農林水産委員会 第2号
- 発言数
- 5 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 2004/02/18
会議録
○高木委員長 これより会議を開きます。 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 この際、農林水産大臣から所信を聴取いたします。農林水産大臣亀井善之君。
○亀井国務大臣 農林水産委員会の開催に当たりまして、私の所信の一端を申し上げます。 昨年四月に農林水産大臣に就任して以来、農林水産分野における構造改革を進め、消費者、生活者の視点に立って、国民への安全で安心な食料の安定供給や食料自給率の向上を実現すべく取り組んでまいりました。 今後とも、生命をはぐくみ、自然環境を保全し、文化を形づくる食料、農林水産業、農山漁村を力強く支える農林水産行政の展開に向け、食料・農業・農村基本法、森林・林業基本法、水産基本法に基づき、各般の課題に着実に対応してまいります。 昨年は、地震、豪雨、冷害など災害が多発した年でした。被災された関係者の方々に、改めて心からお見舞い申し上げます。特に、農業分野では、低温と日照不足によって、北海道、東北などでは水稲等で十年来の冷害となりました。お米の作況指数は九〇となりましたが、今回は、緊急輸入を実施した平成五年のときとは異なり、官民の備蓄等をもとに安定供給が図られているところであります。引き続き被災農家への支援を行うとともに、価格動向の注視、卸売、小売段階での品質表示の監視、指導も徹底しながら適正な販売が確保されるよう努めてまいります。 まず、現在の農政の最大の課題であります新たな食料・農業・農村基本計画の策定に向けた取り組みについてであります。 食料、農業及び農村に関する政策については、平成十一年に制定された食料・農業・農村基本法と、その理念を具体化し平成十二年に閣議決定された食料・農業・農村基本計画に即して、各般の施策を実施してまいりました。その後、BSEの発生など食と農に関するさまざまな問題が顕在化する中で、食の安全、安心の確保に関する施策の強化や米政策の抜本改革など、農政の改革を進めているところです。 しかしながら、消費者の食の安全、安心の確保に対する関心が一層高まっている一方で、農業、農村の現状は、構造改革が立ちおくれ、高齢化、耕作放棄地の増加が進むなど大きく変化しております。このため、国民の皆様の期待にこたえられる農業、農村の実現に向けて、農政改革を一層加速化していくことが国民の要請であると考えております。 こうしたことから、昨年八月から着手した現行基本計画の見直しの中では、各般の施策の徹底的な検証と見直しを行いながら、消費者、生活者の視点に立った施策を強化するとともに、農業の構造改革に関して次のような三つの事項を重点的に検討することとしております。 すなわち、第一には、品目別に行っている価格・経営安定政策から、諸外国で行われている直接支払いも視野に入れつつ、意欲と能力のある担い手の経営を支援する品目横断的な政策へ移行することであります。第二には、望ましい農業構造、土地利用を実現するための担い手・農地制度の改革を進めることであります。第三には、環境保全を重視した施策を一層推進していくとともに、食料安全保障や多面的機能の発揮のために不可欠な農地、水等の保全のための政策を確立することであります。 昨年十二月九日には、食料・農業・農村政策審議会にこの基本計画の変更について諮問を行ったところであります。今後、同審議会企画部会等において、国民に開かれた透明性のある議論を進め、国民の皆様の参画と理解、納得のもと、平成十七年三月に新たな基本計画に結実させてまいります。それまでの間にも、本年の夏ごろには審議会の中間論点整理をいただき、できるものから平成十七年度予算概算要求や制度改正に反映していくなど、より一層スピード感を持った改革を推進してまいります。 農政改革に先行して本年から本格的にスタートする米政策の改革については、消費者重視、市場重視の考え方を基本に、各地域で売れる米づくりに取り組んでいただくことが重要であります。このため、米づくりの本来あるべき姿の実現に向け、産地づくり対策や担い手経営安定対策など新たな制度を創設したところであり、地域の特色や発想を生かした産地づくりや、担い手の明確化、育成などを支援し、水田農業の構造改革を推進してまいります。 また、米政策の改革にとどまらず、意欲と能力のある担い手が大宗を担う農業構造の確立に取り組んでまいります。 具体的には、施策の一層の集中化、重点化を進め、農地の利用集積や経営の多角化、複合化等の取り組みを加速化してまいります。あわせて、これを支える人材確保に向け、「農林業をやってみよう」プログラムを踏まえ、新規就農対策を一層充実してまいります。また、農協については、農業者、消費者に最大のメリットや満足を提供できるよう、系統みずからが経済事業等の抜本改革を進めていくよう支援していきます。農業委員会系統や農業改良普及組織についても、事業の効率化や活動の重点化等に向け、改革を促していきます。加えて、構造改革の基礎となる生産基盤の整備を進めるとともに、技術開発や研究開発を重視し、イネゲノム研究の成果の早期実用化等のための取り組みを推進してまいります。 こうした取り組みの一環として、就農形態の多様化に対応した就農支援資金の貸付対象の拡充、農協の経済事業等の機能の十全な発揮、農業委員会の設置に係る市町村の裁量の拡大や業務運営の効率化、農業者の高度で多様なニーズに対応できる普及事業の展開等に向けた所要の制度改正についても進めてまいります。 また、農林水産業を守りから攻めへと転換することが重要であります。 近年のアジア諸国の経済発展に伴う所得向上等を踏まえ、高品質な国産農林水産物や食品の輸出機会の拡大を図るとともに、海外ニーズにも対応する産地の体制整備等を総合的に支援する体制の確立に努めてまいります。 さらに、環境保全を重視する農林水産業への移行に向けて、昨年末に決定した農林水産環境政策の基本方針に即して、健全な水、大気、物質循環の維持増進と豊かな自然環境の保全、形成のための施策を展開してまいります。堆肥を利用した土づくりなどの取り組みや畜産環境対策の促進などにも意を用いてまいります。 次に、食の安全と安心の確保についてであります。 食の安全と安心の確保につきましては、国民の健康保護を第一に、農場から食卓までの全行程において食品の安全性の確保のための措置を的確に講ずることが極めて重要であります。 昨年、食品安全基本法が制定され、食品安全委員会が発足しました。これにあわせ、消費・安全局や地方農政事務所を設置するなど農林水産省の組織体制を整備するとともに、農薬、肥料、飼料などの生産資材の適正使用に向けた制度を充実しました。今後は、国民の皆様へのより的確な情報提供と意見交換に努めつつ、農産物の安全性の確保や家畜防疫体制の強化を行ってまいります。信頼性の高い食品のトレーサビリティーシステムの開発、実用化を進めるとともに、わかりやすく適正な食品表示等を徹底してまいります。また、国民一人一人が食について考え、判断するための食育についても、さらに力強い国民運動として発展を期してまいります。 また、無線ICタグなどの情報技術を積極的に活用した食品流通の普及や卸売市場の改革、国内農業と連携した地域ブランドの確立などにより、消費者ニーズの多様化、高度化に的確に対応した食品産業の展開に取り組んでまいります。 こうした取り組みの一環として、卸売市場の取引規制の緩和及び適正な品質管理の推進や再編の円滑化、特定農産加工業の経営改善の促進等に向けた所要の制度改正についても進めてまいります。 昨年末に米国においてBSEが発生し、我が国は直ちに米国からの牛肉輸入を停止いたしました。この問題は、食の安全、安心に関する重要な問題であり、国民、消費者の安全、安心の確保を第一に考えなければなりません。農林水産省といたしましては、食品安全委員会や厚生労働省との連携を密にし、国民、消費者の意見を伺いながら、適切に対処してまいります。 また、本年に入って、国内で高病原性鳥インフルエンザが発生いたしました。家畜伝染病予防法に基づき、直ちに発生農場における殺処分や周辺農場における移動制限を実施し、蔓延防止等に全力を挙げております。さらに、タイ、中国等においても高病原性鳥インフルエンザの発生が相次いでおりますが、直ちに生きた家禽、家禽肉等の輸入を停止し、本病の侵入防止に努めております。この病気は鶏卵や鶏肉により人に感染したという報告はありませんが、生きた鳥から人へ直接感染するおそれもあることから、厚生労働省等と連携して、適切に対処するとともに、国民、消費者の皆様への正確な情報提供等により風評被害の防止に努めてまいります。 次に、農山漁村政策についてであります。 農林漁業生産の基盤である農山漁村については、水源涵養、環境の保全、景観の形成、文化の伝承等の重要な役割を果たしております。このため、地域の個性を生かし、多様な主体の参加による風格ある美しい農山漁村づくりや観光立村の実現に向けた振興施策を強力に展開していきます。また、都市と農山漁村の共生、対流に向けた国民的な運動を一層推進するとともに、バイオマス・ニッポン総合戦略に沿って、トウモロコシなどからつくられたバイオマスプラスチックを使った食器の利用実験を進めるなど、バイオマス利活用の促進を図ってまいります。 次に、WTO、FTA交渉への対応であります。 WTO農業交渉については、我が国は、多様な農業の共存を基本理念とし、農業の持つ多面的機能を反映したバランスのとれたルールの確立を目指して交渉に取り組んでまいりました。このような中、昨年九月にメキシコのカンクンで行われたWTO閣僚会議では、他分野を含め途上国と先進国の対立が解消されず、残念ながら合意のないまま終了したところであります。 今後は、カンクン閣僚会議において配付されたデルベス議長案を出発点として議論し、枠組み合意を目指すこととされております。デルベス議長案については、重要品目に対する一定の配慮が見られるものの、上限関税や関税割り当て等について問題点の是正を図る必要があると考えております。引き続き、スイス、ノルウェー、韓国等の関心を共有する国々と連携し、途上国にも働きかけを行いながら、我が国提案が交渉結果に反映されるよう全力で交渉に取り組んでまいります。 また、地球規模の環境問題や有限天然資源の持続的利用等を目指す林野、水産分野についても、カンクン閣僚会議において、主要な論点について途上国と先進国が対立し、解決が実質的に先送りされているところであります。我が国としては、分野別関税撤廃について林水産物が対象分野に含まれることのないよう、また、我が国の林水産物の事情に配慮できる関税削減方式となるよう、引き続き、最大限の努力を続けてまいります。 FTAについては、現在、メキシコに続き、韓国、マレーシア、フィリピン、タイとの間で政府間交渉を進めているところであります。これらの国々は、それぞれ、我が国農林水産業との関連度合いや貿易事情などが異なっております。農林水産省内に設置したFTA本部を中心に関係省庁とも連携しつつ、各国の事情等についてできる限り情報の収集、分析を行い、我が国の食料安全保障や農林水産業の構造改革の進展ぐあいにも十分配慮しながら、積極的かつ戦略的に対応してまいります。 次に、森林の有する多面的機能の発揮、林業の持続的かつ健全な発展、林産物の供給及び利用の確保を基本とする森林・林業政策の展開についてであります。 地球温暖化防止に向けて、京都議定書で我が国が約束した温室効果ガスの削減目標を達成するため、地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策に基づき、緑の雇用等による担い手の育成を図りつつ、多様で健全な森林の整備、保全を推進してまいります。さらに、地域材の利用や木質バイオマスの利活用の促進、森林ボランティア等による国民参加の森林づくりの推進等に積極的に取り組んでまいります。 こうした取り組みの一環として、緊急に間伐等を要する森林の整備や機能が低下している保安林の機能回復等に向けた所要の制度改正についても進めてまいります。 次に、水産物の安定供給確保と水産業の健全な発展を基本とする水産政策の展開についてであります。 水産政策については、海の恵みの持続的利用のために、科学的知見に基づく資源管理の徹底やつくり育てる漁業を推進するとともに、収益性の高い魅力ある漁業の確立に向けて、技術革新や担い手の確保、育成などを進めてまいります。さらに、衛生管理の的確な実施や水産加工の体質強化、流通の効率化等により消費者の求める水産物の生産、供給に万全を期すとともに、魅力ある漁村づくりを目指して、豊かで活力ある浜づくり等の施策を展開してまいります。 また、昨年、茨城県を初め各地で発生したコイヘルペスウイルス病については、関係都府県とも協力しながら、早期発見と的確な蔓延防止等に取り組むとともに、被害を受けた養殖業者の経営支援を図ってまいります。 以上のような農林水産政策を展開するため、平成十六年度の農林水産予算の編成に際しましては、十分に意を用いたところであります。 また、施策の展開に必要な法整備につきましては、今後御審議をよろしくお願いいたします。 以上、私の所信の一端を申し上げました。 農林水産行政の展開に当たっては、国民の皆様の御理解、そして信頼をいただくことが重要であります。今後とも、国民の皆様の御意見を真摯に受けとめ、次の世代に対してどのような姿の食料、農林水産業、農山漁村を残していくべきかという大きな視点に立って、全力を尽くしてまいります。 委員各位におかれましては、農林水産行政の推進のため、今後とも一層の御支援、御協力を賜りますよう、切にお願い申し上げます。(拍手)
○高木委員長 次に、平成十六年度農林水産関係予算の概要について説明を聴取いたします。農林水産副大臣金田英行君。
○金田副大臣 平成十六年度農林水産予算の概要を御説明申し上げます。 平成十六年度一般会計予算における農林水産予算の額は、関係府省計上分を含めて三兆五百二十二億円となっております。その内訳は、公共事業費が一兆三千七百十二億円、非公共事業費が一兆六千八百十億円となっております。 平成十六年度の農林水産予算は、米政策改革の着実な実施を初めとする農業構造改革の促進、食の安全、安心の確保と食品産業の活性化、都市と農山漁村の共生、対流の促進を図るとともに、多様で健全な森林の整備、保全等の森林・林業政策や海の恵みの持続的な利用の推進等の水産政策を展開するとの観点から、重点施策に思い切った予算配分を行うなど、新たな政策展開が図られるよう編成いたしました。 以下、予算の重点事項について御説明いたします。 第一に、米政策改革の着実な実施を初め、農業構造改革を促進する施策を推進してまいります。 このため、地域みずからの発想、戦略による地域水田農業ビジョンの実現を支援する産地づくり対策の創設など、地域の特色ある水田農業の展開を推進してまいります。 また、意欲と能力のある担い手が大宗を担う農業構造の確立に向けて、担い手の育成支援、農地の利用集積、新規就農の促進等を総合的に推進してまいります。 さらに、高品質な国産農林水産物、食品の輸出機会の拡大を図るとともに、海外ニーズにも対応する産地の体制整備等により、農林水産物の輸出の促進に向けた総合的支援体制の確立に努めてまいります。 このほか、水利施設の効率的な管理や畑地転換、土づくりなどの取り組みを支援するための条件整備を進めるとともに、畜産環境対策の促進、和牛繁殖経営地域の活性化等を図るほか、バイオマス、ゲノム等産業実用化を促進する技術開発を推進してまいります。 第二に、食の安全、安心の確保と食品産業の活性化を進めてまいります。 このため、農産物の安全性の確保、家畜防疫体制の強化を図るほか、食品表示の適正化の一層の徹底、信頼性の高いトレーサビリティーシステムの開発、実用化等を推進するとともに、国民生活の基礎である食を健全なものとするための食育を展開してまいります。 また、国内農林水産業との連携による食品製造業の活性化や卸売市場の整備の抜本見直し、無線ICタグ等の新技術の活用等による食品流通の効率化を図ってまいります。 第三に、都市と農山漁村の共生、対流を促進してまいります。 このため、地域住民等の主体的な参画による風格ある美しい農山漁村づくりを推進するとともに、グリーンツーリズムなどの施策と一体的に、農山漁村資源を活用しつつ、外国人旅行者等も訪れる観光立村の推進を図ってまいります。 また、バイオマス・ニッポン総合戦略に基づき、食品廃棄物、家畜排せつ物、木質系廃材等の各バイオマスの特性に応じた収集・変換・利用システムの構築や利活用の高度化等について、モデル事業を活用するなど、積極的に促進してまいります。 第四に、森林・林業政策については、地球温暖化の防止等森林の有する多面的機能を十全に発揮させるため、管理不十分な森林の整備、間伐、複層林化など、多様で健全な森林の整備、保全を効率的かつ重点的に進めるとともに、緑の雇用等により、今後の森林整備を支える林業の担い手の確保、育成を図ってまいります。 また、大規模需要者のニーズに対応した地域材の新しい流通・加工システムの構築や木質バイオマスの利活用の促進等により、木材利用を推進してまいります。 さらに、里山林の再生、整備、国民参加の森林づくり等による美しく住みよい山村づくりを推進してまいります。 第五に、水産政策については、科学的知見に基づく資源管理の徹底や沿岸域における豊かな環境の創造、つくり育てる漁業の推進により、海の恵みの持続的な利用を図ってまいります。 また、技術革新の推進等による収益性の高い魅力ある漁業の確立を図るとともに、衛生面に配慮した生産、供給基盤の整備等により、消費者の求める水産物の生産、供給の確保を図ってまいります。 さらに、漁村の総合的な整備等による豊かで活力ある浜づくりを進めてまいります。 次に、特別会計については、食糧管理特別会計等についてそれぞれ所要の予算を計上しております。 最後に、財政投融資計画については、農林漁業金融公庫等による財政融資資金の借り入れ等総額二千三百九億円を予定しております。 以上、平成十六年度農林水産予算の概要の説明を終わります。
○高木委員長 以上で説明は終わりました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時三十二分散会