内閣委員会 第15号
- 発言数
- 324 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 2004/05/19
会議録
○山本委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、公益通報者保護法案を議題といたします。 本日は、本案審査のため、参考人として、日本経済団体連合会経済法規委員会消費者法部会長代行・三菱商事株式会社理事大村多聞君、日本弁護士連合会消費者問題対策委員会副委員長田中厚君、国民生活審議会会長・同消費者政策部会長、東京大学大学院法学政治学研究科教授落合誠一君、弁護士・公益通報支援センター事務局長阪口徳雄君、以上四名の方々から御意見を承ることにいたしております。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。 次に、議事の順序について申し上げます。 大村参考人、田中参考人、落合参考人、阪口参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。 なお、参考人の方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、御了承をお願い申し上げます。 それでは、大村参考人にお願いいたします。
○大村参考人 日本経団連消費者法部会長代行の大村でございます。国民生活審議会消費者政策部会に、日本経団連の代表として、委員として参加させていただいております。 本日は、このような場で発言の機会をいただきまして、まことにありがたく存じます。 まず初めに、公益通報者保護制度の導入に対する日本経団連としての基本的な考え方につき申し上げます。 御高承のとおり、公益通報者保護制度の検討は、食品偽装表示事件や原子炉のひび割れ隠し事件などの企業不祥事が相次いで内部告発によって明るみに出されたことが発端となっております。内部告発が注目されるようになったわけでございます。そして、内部告発が企業不祥事を防止する上で一定の役割を担っているとして、公益通報者保護制度について、より具体的に検討することとなった次第であります。 日本経団連といたしましても、このような企業不祥事はまことに遺憾に思っております。このような不祥事を起こした企業は、事件発覚の翌日にはその企業の製品が売り場から一斉に消えるということもありますし、関連企業や取引先企業にも多大なダメージが波及いたします。また、一従業員が勝手にやった場合であっても、企業の経営者は株主代表訴訟を起こされたり引責辞任を余儀なくされておりますし、企業が倒産に追い込まれるという最悪の事態も容易に想定できるとともに、既に現実のものとなっております。 このような事態をいかに未然に防ぐかが重要になるわけでありますが、そこで、各企業は、あらゆる法令の違反や企業倫理に反する行為を予防するため、コンプライアンスに力を入れております。日本経団連では、企業行動憲章と、その企業行動憲章の実行の手引も発行し、会員企業のマニュアルとして活用してもらうことなどを通じて未然防止の働きかけを行っております。それでも企業不祥事が発覚した企業に対しては、会員資格の停止や退会勧告、場合によっては除名もあり得るという厳しい対応をとっております。 一方、日本経団連では、本来、内部告発は個々人の正義感と責任のもとで行うものであり、制度的に奨励すべきものではないという考え方が根底にございます。これまでも、内部告発者につきましては、一般法理に基づいて、保護されるべき者は保護されてまいりました。今回の公益通報者保護法案は、一般法理を前提として、公益のために通報する労働者の保護に関するルールをより明確化しようとしているとのことですので、そうであれば、企業のコンプライアンスへの自主的な取り組みを踏まえ、これを後押しする観点から、公益通報者保護法案を立法することには一定の意義があるものと考えております。 公益通報者保護法案は、国民生活審議会消費者政策部会が二〇〇三年五月に発表いたしました報告書がベースに制度設計されておりますが、報告書の取りまとめに当たりましては、経済界、消費者団体、弁護士団体、学者など、関係各界が活発な議論を行いました。その結果、各界の意見に十分に配慮して、バランスのとれた制度設計が取りまとめられたわけでございまして、新しく制度をスタートするという意味では合理的な内容であるものと存じます。この法律の対象にならないものにつきましても、これまでどおり一般法理で保護されるわけでございますから、全体のレベルを下げることにはなりませんし、ルールが明確化される分、前進しております。また、立法による国民、企業へのアナウンス効果も大きいものと存じます。 先ほど申し上げましたとおり、今回の公益通報者保護法案は、公益のために通報する労働者の保護のルールの明確化と、企業のコンプライアンスへの自主的な取り組みの促進がもともとの趣旨でございますが、私どもといたしましても、この二つの観点から法的な枠組みをつくっていくことが、実務の混乱を回避する観点からも肝要と存じます。 まず、ルールの明確化という点でございますが、これまでも、内部通報者に対する不当な扱いについては裁判所で一般法に基づいて是非が判断されており、保護されるべきものは保護されております。しかしながら、限られた判例等からでは保護されるための要件や効果が明確でない面がありました。また、企業にとりましても、事実が不確かなものや個人的な恨みなどから、いきなり誹謗中傷的な情報が外部に通報されてしまっては致命的であります。 そこで、今回、公益通報者保護制度を導入して、どのような内容の通報をどこへ行えば解雇等の不利益な取り扱いから保護されるかをあらかじめ明確にしておこうということでありますから、いかなる通報が保護の対象となるのか、予測可能性が高く、また濫用されないルールにすることが重要となっております。 その観点からいたしますと、例えば、公益通報者保護法案では、公益に貢献するということで保護される通報の範囲につきましては、国民の生命、身体、財産などの保護にかかわる法令違反が生じ、またはまさに生じようとしている場合とし、その範囲を明確化し、予測可能性の高い制度となっていることは評価できるものと存じます。 また、保護される通報者の範囲につきましても、公益通報者保護法案では、現在雇用されている労働者に加えて、派遣労働者や元労働者、取引事業者の事業に従事する労働者を対象にすることとなっておりますが、例えば、事業者と直接的な雇用関係にない派遣社員の場合には、派遣先の企業の契約上の要求に見合わない派遣社員であった場合、みずからが交代させられないようにするために通報することや、元労働者については、不満を持って退職した者が報復目的に通報することが考えられます。 このように、不利益処分を受けて当然の者が、それを免れるための悪用や、他人への誹謗中傷あるいは人事処遇への報復を目的とした制度の濫用が行われないような対策をあわせて講ずる必要が出てまいりますが、今回の法案におきましては、公益通報を理由とした解雇等を禁止するとともに、「公益通報をする労働者は、他人の正当な利益又は公共の利益を害することのないよう努めなければならない。」と規定することで、一定の濫用防止効果が働き、法の目指す公益通報が確保されるものと評価しております。 企業は、みずからの問題については他人に頼らず自助努力で解決していくのが基本でございます。企業も、みずから進んで不祥事の発生を抑える努力を行うことが何よりも重要でございます。 日本経団連では、冒頭申し上げましたとおり、企業行動憲章を策定し、会員企業に対して、社内へのヘルプライン、相談窓口の設置を初め、コンプライアンス強化の自主的取り組みを働きかけているところであります。一昨年十二月に、全会員企業約千三百社を対象に、企業倫理・行動に関するアンケート調査を実施いたしましたところ、ほぼ半数の企業がヘルプラインを設置しており、設置予定のところを合わせると八割を超えていることが判明いたしました。 私が所属する三菱商事においても、二〇〇一年より、社内で目安箱と言っているヘルプラインを設置いたしました。目安箱には、社内コンプライアンス部局及び監査部のものがあり、さらに社外弁護士のものがあります。現在では、年間二十件から三十件の報告、相談を受けており、これらの報告、相談に対して会社として真摯に対応しています。 そこで、経済界としては、ヘルプラインの設置など各社の自主的な取り組みを尊重、推奨する観点からも、内部告発者の保護については、まず社内窓口で対応したものを対象とすべきであると主張してまいりました。 今回の公益通報者保護制度の立法化に当たりましては、英国の公益開示法の考え方がベースになっております。英国では、一九九八年に慎重な議論を踏まえて公益開示法が制定されたわけですが、その過程では、メディアなど外部にいきなり通報することに対する警戒感や、内部告発を制度的に奨励するような制度を創設することによって、使用者と労働者との間の信頼関係、忠誠心といった文化、風土の問題が懸念されました。その結果、まず最初に事業者に対して通報がなされることを原則とする制度にすることにより、事件や事故の早期発見のみならず、企業内の健全なガバナンス体制やオープンな組織体質を促す上でも有効であるという認識が広まり、ようやく各界からの支持を得ることができ、法案の成立に至ったという背景があると聞いております。 企業が幾らまじめにコンプライアンスの取り組みを行っていても、いきなり外部機関へ通報されてしまっては、コンプライアンスへ自主的に取り組むインセンティブが阻害されてしまいます。また、事実かどうかわからないのに、あたかも事実かのように扱われ、簡単に企業の信用や評判を損ね、その株主や従業員、取引先にも不利益を生じさせ、ひいては失業者を生む可能性も十分にございます。 そのため、今回の法案では、企業内部への通報を実質的に促し、企業がきちんと対応しない場合や証拠隠滅を図る場合、あるいは急迫性がある場合には外部通報できる制度になっておりますことは合理的であり、基本的に評価しております。このような枠組みであれば、事業者といたしましても、労働者が安心して通報してきてくれる環境を整えるなど、コンプライアンスの自主的な取り組みを積極的に行うことのインセンティブも働きます。 日本経団連としては、経営者が率先してコンプライアンスを徹底するという取り組みを一層強化していくよう、引き続き会員企業に呼びかけてまいる所存であります。 先生方におかれても、ぜひ本法案の方向で立法化していただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
○山本委員長 次に、田中参考人にお願いいたします。
○田中参考人 日本弁護士連合会消費者問題対策委員会副委員長の田中厚と申します。法案に対する意見を述べさせていただきます。 日弁連は、あるべき公益通報者保護制度について検討を重ね、国民生活審議会に始まる法案作成経過の節目節目に意見書を提出しております。きょうは、その意見書の立場に沿って、日弁連を代表して意見陳述をさせていただきます。 公益通報者保護制度の立法化は必要であります。しかし、本法案には問題点が多々あり、このままでは、現在よりも公益通報者の保護水準を切り下げ、公益通報者を萎縮させるので、最低限、以下の三点の修正がなされない限り、反対せざるを得ません。 第一に、通報対象事実を、限定列挙された法律のうち罰則で担保された規定違反の事実に限定するのではなく、英国公益開示法に倣って、人の生命、身体、財産への侵害、危険、環境破壊、公益にかかわる違法行為一般、これらに関する情報隠匿行為、こういった定め方をすべきであります。 第二に、通報先を、被害の発生、拡大防止に必要と認められる者に限定しないということであります。 第三に、外部通報の保護要件が極めて限定的に列挙されていますので、一般的保護要件を付加すべきと考えます。 この意見の理由について述べさせていただきます。 まず、本法は、一歩前進ではなく後退だということであります。 限定的な要件を明確化することによる萎縮的効果が指摘されます。 これまでの審議を傍聴させていただきましたが、本法案は、通報対象、通報先、通報要件が極めて限定されていることは共通認識になってきたことと思います。それを前提に、野党側は各要件の緩和を求めています。これに対して政府・与党側は、従来保護されていたもののうち類型化できるものを明確化したものであり、通報者にとっても予測可能性がつくので通報しやすくなる、本法案の対象外の公益通報も従来どおり一般法理で保護され得る、したがって、本法案は公益通報者保護制度の一歩前進となるので、早く立法化する必要があるというふうにされています。 本当に一歩前進であれば、日弁連としても反対するものではありません。しかし、以下の理由により、本法案は、一歩前進ではなく後退と言わざるを得ないのです。 一つは、通報しようとする者に大きな萎縮的効果が働くということです。 竹中大臣は、自分が通報者の立場に立った場合、このような法律があれば、どのような場合に保護されるか明確化されるので、それを見て検討することができる、予測可能性がつくので通報しやすくなるという御趣旨の答弁をされました。しかし、本当にそうでしょうか。 通報者が内部に通報することは、対象が犯罪行為等に限られているとはいえ、犯罪行為等が生じ、またはまさに生じようとしていると思う場合に、通報者に不正の目的がなければいいということでありますから、比較的容易だということがわかります。 しかし、最近報道されている不祥事は、トップの犯罪であったり、組織ぐるみ、会社ぐるみ、場合によっては業界ぐるみの場合もあります。そのように内部で是正措置が期待できない場合には、次に行政機関に通報することが考えられます。 行政機関への通報は、内部通報の要件のほかに、犯罪行為等が生じ、またはまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があるという要件が付加されています。「相当の理由」とありますが、事業者が事実を否定して争うことが十分予想されますので、犯罪行為等と信じるに足りる相当の理由を裏づける証拠がなければ、規制行政機関に対しても通報できないということがわかります。この要件で既にかなり通報をちゅうちょするでしょう。 勇気を奮って何とか行政機関に通報しても、適切な措置がとられるとは限りません。産業育成を目的とし、業界との癒着が生じやすい我が国の行政システムの現状からしても、東京電力事件の例や三菱自動車タイヤ脱落事件、これはちょっと新聞記事で資料をおつけしましたが、こういう事故に見られますように、行政機関への通報に対して、行政が迅速適切に対応することを期待することは困難と言わざるを得ません。場合によっては、東京電力の例のように、事業者側に氏名を漏らされるおそれすらあります。 また、六本木ヒルズ事件の原因となった回転ドア、この件についても新聞記事を資料でおつけしましたが、罰則で担保された安全基準がない製品に危険がある場合、本法では通報対象事実を刑法の業務上過失致死傷罪とするしかありません。この場合、処分・勧告権限を有する行政機関とは警察、検察しか考えられませんが、現実に悲惨な事故が発生しない限り、危険が判明したというだけでは、警察や検察に通報しても動いてくれるはずがありません。 内部もだめ、行政もだめとなると、マスコミ等外部に通報するしか是正の道はなくなりますが、この場合は、行政に通報する場合の要件のほかに、第三条第三号のイからホのいずれかに該当する場合という要件がさらに付加されています。内部や行政に通報すれば不利益取り扱いを受けると信じる相当の理由があること、内部に通報すれば証拠隠滅のおそれがあると信じる相当の理由があること、口どめをされたこと、内部通報したが二十日以内に調査をするという回答がなかったり調査をしなかったこと、個人の生命、身体に危害が発生しまたは発生する急迫した危険があると信じるに足りる相当の理由があること、これらのいずれかに該当しなければなりません。 行政に通報して適切な措置がとられなかった場合は要件にはありませんので、外部通報はできません。また、まず内部に通報した場合に、二十日以内に調査を行う旨の通知をし調査さえすれば、是正措置を講じたか否かに関係なく、やはり外部通報はできません。さらに、イからホのいずれかに該当した場合でも、通報先は、犯罪行為等の発生またはこれによる被害の拡大防止に必要と認められる者に限られているということになります。仮に、将来解雇等の不利益処分を受けた場合は、これらの要件をすべて満たすことを立証しなければ保護されないということになりますから、よほど勇気のある人でも通報をあきらめざるを得ないでしょう。 一般法理によってケース・バイ・ケースで保護される余地があることを広報周知すればよいとの反論が予想されますが、本法の要件に該当しない通報は保護されない可能性があると言われてなおかつ通報に踏み切る者は、ほとんどいないと思われます。 政府がおっしゃっている予測可能性とは、結局、こういう結果を招くことになります。要件を明確化してもそれが余りにも限定的であれば、通報者を萎縮させることになることは明らかです。 次に、一般法理の解釈に悪影響を及ぼすということであります。 政府は、本法案の対象外の公益通報であっても第六条の解釈規定によって一般法理で保護され得るので、公益通報者保護は後退することはないと言っています。しかし、裁判実務に携わる我々弁護士の立場から申し上げれば、それは余りにも楽観的な見通しと言わざるを得ません。本法の限定的な通報要件が流動的な一般法理の解釈に悪影響を及ぼし、スタンダードとして定着することによって、結果として従来の保護水準を切り下げることが大いに懸念されるのです。 過去の裁判例を見ると、一般法理はいまだ流動的であり、固まっておりません。どのような場合に公益通報者に対する解雇等不利益処分が無効になるのか確定した最高裁判例と言えるものもありません。下級審判決は、通報内容の基本的部分に真実相当性があれば保護するというものから、それに加えて事業者内部での是正の努力を尽くしたこと等を要求するものまで、区々に分かれています。 このような一般法理の解釈が流動的な状況下では、裁判官は、現行法上何らかの基準があれば、類推解釈という手法を通じてそれに依拠しがちです。そうすると、本法の対象外とされた生命、身体に危険を及ぼすが罰則つき規制がないといったケースにおいて、裁判所が一般法理による救済要件を検討する場合、本法の通報手続要件を解釈基準として用い、本法同様の限定的要件が要求されることが十分予想されるのです。本法が罰則で担保された法令違反の事実の場合でも限定的な要件を課していることからすると、これに該当しない実質的な危険が生じる事実を通報した場合はさらに厳しい要件のもとでしか保護されないことにもなりかねません。 このような一般法理への悪影響を防ぐためには、外部通報の保護要件として、上記イ—ホの要件のほかに、これに付加して「イ—ホのほか、通報の対象となった事業者等の行為の内容、人の生命、身体、財産、環境、その他の保護法益への侵害、危険の程度、通報先、通報者がその外部通報先に通報するに至った事情等を考慮し、当該外部通報先への通報が相当であること、又は通報時において相当であると信ずるに足りる合理的理由がある場合」、こういった一般的保護要件を明記して、イからホ以外の場合にも保護される余地を残すことが必要不可欠です。 政府側のお考えが、竹中大臣の御答弁でありましたように、本法は、保護されるべき公益通報のうち類型的なものを明確化して通報者の予測可能性を明らかにして公益通報しやすくしたものであって、本法の場合のほかにも一般法理によって保護される場合が十分あるというものであれば、通報者の予測可能性についてはイからホの各要件によって予測可能性がつきますので、一般的保護要件を加えることを拒む理由にはならないのではないでしょうか。 限定的に列挙された要件のみを明記し一般的保護要件を明記しないというのは、結局、本法の要件に該当しない公益通報は保護されないという予測可能性を労使双方に与えることを期待しているとしか考えられず、今より公益通報を萎縮させ、後退させることになります。 通報対象事実について申し上げます。 対象が狭過ぎて被害の発生を防止できないということであります。 限定的に列挙される法律のうち刑罰で強制され得る規定の違反の事実のみが対象とされ、極めて狭い範囲に限定されている点で大きな問題があります。審議会案においても「規制違反や刑法犯などの法令違反」としていたものを、さらに処罰に結びつくものに狭く限定したものになっており、しかも、今回の法案では、政治資金規正法、公職選挙法、税法等については、国民の生命、身体、財産の利益保護にかかわる法令ではないとのことで対象外とされています。本法案のような限定を加えれば、そもそも対象から外された法令の違反のほか、処罰規定による裏づけのない法令違反や、形式的には法令違反に該当しない国民の生命、身体、財産等への侵害や危険、民事不法行為上の違法行為等は、いずれも本制度の対象外となってしまいます。 例えば、雪印乳業事件で問題となった総合衛生管理製造過程、これはいわゆるHACCPシステムを食品衛生法に導入したものでありますが、この承認を受けた製造過程の無断変更。それから、外国で危険性が認識され禁止されている医薬品の使用、過去の例では薬害エイズ事件を発生させた非加熱血液製剤などがありました。強制的な安全基準が定められていない危険な製品、例えば六本木ヒルズ事件で問題になった回転ドア、遊園地や公園の遊具。こういった、法案では公益通報の対象外とされる問題は枚挙にいとまがありません。 罰則を背景にした法令の規制は、事業者側が受け入れるまでなかなか法制化が実現しないために、どうしても後追いであり、その間に消費者、国民に深刻な被害が多数発生してしまうことになります。シックハウスの原因となるホルムアルデヒドは、平成六年に社会問題化しましたが、厚生省の指針値ができたのが平成九年六月、建築基準法で強制的に規制されたのがようやく昨年の平成十五年と足かけ十年間を要し、この間に何百万人というシックハウス患者を発生させています。 国民、消費者に深刻な被害が発生する前に、公益通報者が内部や外部に通報できるように、通報対象は、人の生命、身体、財産に対する危害、危険、環境破壊またはそのおそれ、及び消費者利益等公益にかかわる違法行為一般とすべきであります。 英国公益開示法を見習うべきだということであります。 これは、資料におつけしましたが、英国では、公益通報者保護制度の一般法である公益開示法が制定されていますが、そこでは通報対象事実を犯罪事実に限定しないことはもとより、民事法も含めた法的義務違反、個人の健康や安全に対する危険、環境破壊、さらにこれらの事項に関する情報の隠匿を対象としています。このように通報対象を広く定めているのは、そうでなければ公益通報を公益のために生かせないからです。我が国においても、この英国公益開示法に倣って、通報の対象に広く一般人が公益にかかわる違法と考える事由を盛り込むべきであります。 対象か否かの判断の困難性という問題があります。 個人の生命身体に危険を及ぼすような一定の問題がどの法令の規定に違反するのか、その法令違反が行政処分を経て最終的に刑罰で強制される規定違反に該当するのかという判断は、法律の専門家であっても容易ではありません。ましてや労働者にとってその判断は至難のわざでありますので、通報を萎縮させることになります。この春発覚して社会問題になった採卵日偽装事件、これは新聞記事をおつけしましたが、採卵後半年後の卵を最近とれたもののように偽って販売したものでありますが、この事件でも、規制当局の京都府ですら、当初は犯罪行為に該当しないと誤解して不処分の方針であったわけです。 次に、対象法令の政令委任の問題です。 わずか七法律を列挙するだけで、あとはすべて政令に委任しています。同じような公益通報をしても、通報対象事実がたまたま政令に指定されているか否かによって、本法による保護が受けられたり受けられなかったりするのは不合理です。本法の公益に「公正な競争の確保」をうたいながら、独占禁止法を初めから対象法令に入れなかったのは疑問がありますし、消費者の安全に関する重要法令としては、道路運送車両法、消費生活用製品安全法、薬事法、建築基準法、電気用品安全法等もありますが、これらが対象法令に含まれるのか、これも現段階では不明確です。 国会の審議、パブリックコメントを通じて十分意見を聞いて政令で定めるとのことですが、時間の関係で十分審議されているとは思われませんし、パブリックコメントについても、この法案の提出経過から明らかなように、意見が反映されるとは期待できません。 最後に、通報先について述べます。 国民生活審議会報告書では「被害の未然防止・拡大防止のために相当な通報先」とされていましたが、本法案は、通報対象事実の発生、それによる被害拡大の防止に必要と認められる通報先であることを要求しています。竹中大臣は、報道機関や消費者団体も事業者外部の通報先に含まれると答弁され、永谷国民生活局長は、労働組合、公益通報者を支援するNPO、消費者団体は通報先に含まれるだけでなく外部通報でもない旨答弁されました。しかし、法案の文言上、消費者団体、報道機関、議員、公益通報者支援組織など、規制権限を有しない通報先は、そもそも被害の発生、拡大防止に必要と認められる通報先ではないと解釈されるおそれがあります。通報者に必要な通報先であることの立証負担を課すことにもなりますので、外部通報を萎縮させることになります。 その他の問題もありますが、時間も参りましたので、これで意見陳述を終えさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○山本委員長 次に、落合参考人にお願いいたします。
○落合参考人 公益通報者保護法案に関する私の意見を申し上げます。 私は、政府提出の公益通報者保護法案には基本的に四つのメリットがあって、したがって、賛成したいというふうに考えております。 まず第一でありますけれども、これは、国民各層を集めた国民生活審議会における検討結果というものに基本的に沿うものになっているからであります。 第二は、国及び企業等のすべての組織を対象とする包括的な法的ルールを新たに導入することのメリットであります。 これまで、我が国には、公益通報を保護するような法律というのは全く断片的にしか存在しておりませんでした。しかし、公益通報者保護法案が通過いたしますと、全部をカバーする法律ができるわけであります。これにより飛躍的に公益通報の保護が増大いたすと存じます。 それから第三のメリットといたしましては、第二の包括的な法的ルールができるということに加えまして、予測可能性の高い法的ルールができるということであります。 内部告発につきましては、裁判例集積というものはほとんどない状態でありまして、内部告発がいかなる場合に保護されるかという基準が極めてはっきりしない状況にございます。この状況は、内部告発者はもとより、企業にとりましても、内部告発のリスクが予測できない状況にあるということであります。これは非常に、甚だ困ることであります。しかし、公益通報者保護法案が通過いたしますと、保護基準の予測可能性は飛躍的に増大する、そういうメリットがあるわけでございます。 最後に第四点でありますが、法案は、企業がその自助努力によって不祥事を防止しようとするインセンティブを与える効果があるというふうに考えております。 法案は、内部通報の場合と外部通報の場合とでその保護の要件に違いを設けております。すなわち、この違いがあることによりまして、不祥事を防止するための内部統制システムの確立に非常に努力した企業は内部通報が原則になり、全く努力をしなかった企業というものは外部通報が原則になる、そういう効果が生じます。 これは、言いかえますと、外部通報を望まないならば、企業はしっかりとした内部統制システムというものを確立するよう努力しなければならないということであります。したがいまして、法案には、企業の不祥事防止のための内部統制システムというシステムを構築させる大きなインセンティブを与える効果があり、この点は非常に大きなメリットであるというふうに考えております。 私の意見は以上でございます。(拍手)
○山本委員長 次に、阪口参考人にお願いいたします。
○阪口参考人 公益通報支援センターの事務局長をしています弁護士の阪口といいます。 この団体は、一昨年の十月の二十九日に、大阪の弁護士を中心として、公益通報者に対するアドバイスをする団体として発足いたしました。具体的には、公益通報者からメールなりファクスなりでいただいて、その上で、弁護士が必要とすれば、その人に対するメールのやりとりをしたり手紙のやりとりをしたり、そして面談をして、この場合はここに行ってはどうでしょうか、あなたの場合はやめたらどうでしょうか、こういうような形でアドバイスをしているわけです。 現在のところ、大体二百二十件から三十件のいわゆる通報があります。きょうの資料の中に別表で、通報内容として、平成十四年の十月二十四日から平成十五年の五月二十三日、これは去年までの分です。後は忙しくて我々の方は整理ができていない現状ですけれども、これで大体百何十件が来ています。その後、この一年の間で百件ぐらい来ています。大体、皆さんが見ているのは、我々の公益通報センター、PISAという団体のホームページをつくっているんですけれども、それを見て通報してきています。 私どもは、それを見ていろいろ相談に乗った結果、この法案についての意見は、まず感想としては、この法案ができた段階では私たちのアドバイスはやめようと思っています。なぜなれば、この法案が極めてわからない、難し過ぎる。これを我々が下手にアドバイスしたら弁護士の弁護過誤が発生する。このような危険性のある、私が危険性と言うのも、難し過ぎてわからない法律なんです。だから、私どもの方は、これは中止しようと思っています。 結論から言いますと、余りにも通報内容が広いんです。二百二十件も三十件もありますと、これがどの法律に当たるのかというのは全くわからないわけです。それを勉強しようと思ったら、これはもう我々がボランティアでやれる限界を逸しています。 この法案の内容、まず結論から言いますと、刑罰でもって罰せられる犯罪行為に対してなぜ二重三重の足かせをしなければならないのか。私どもは、弁護士としてだけではなくて市民の感覚からして、犯罪行為をしている人が悪いじゃないですか、なぜそれを通報するのに、ああだこうだ、あっちの道に行きなさい、こっちの道に行きなさい、それは保護しませんよ、そんな道があるのですか。これはもう私どもの弁護士の率直な感想です。 なぜなれば、犯罪行為を行ってはならないというのは最低限のこの社会のルールなんです。もっと高度なレベルのことを要求しているのではないんです。犯罪なんです。それに対する通報の制限ということに関しては、我々も、アドバイスも先ほどできないと言いましたけれども、いろんな意味で難し過ぎるということでの非常に不安を持っています。 同時に、この外部通報に関しては、今までの判例で一定程度を勝訴しているとか敗訴しているとかいう事例よりもかなり大幅に後退するだろうというふうな意見を持っています。 では、内部告発というのは濫用されているのか。 非常に濫用されやすいということを言われます。だけれども私どもは、まず濫用以前の問題として、やはり犯罪行為の事実があるわけです。ないのにあるというのは、これはまさに濫用です。そうすると、それを受け取った側はそんなことは相手にしないわけですね、証拠がなければだれも相手にしないんです。だから、濫用濫用とおっしゃるけれども、客観的な犯罪事実がある。単に犯罪があっただけではなくて、その企業風土の中に、だれでも一回二回は上司に、これはおかしいんじゃないですかと言っているわけですね。何にもなしにぽんと外へは行かないわけです。だけれども、言ってもなかなか改善されない。だから我々のところに相談が来るわけです、またマスコミに行くわけです。 という意味で、濫用ということ自体は私はそれほど、むしろ犯罪行為を行っていることをやめることの方が先決であって、濫用濫用ということで法律を制限する理由にはならない、こう思います。 私は、この法案の中で修正していただきたい点は、まず一つは、行政機関に対する通報。これは極めて難しいのです。なぜなれば、犯罪行為に対する規制権限を持っている者に対してのみ通報するわけです。ところが実際は、その法律を探していくのは非常に大変なんですね。 私のレジュメの中に書きましたけれども、四ページです。例えば、補助金の不正受給といっても、いわゆる経済産業省所管の補助金もあるし、そして厚生労働省所管の補助金もあるし、地方自治体の補助金もあるし、独立行政法人の補助金もあるわけです。そのときに、そういう通報は、実はうちの会社でこんなことをしているんですと。現場で詳しい人は別にして、内部の経理をやっている人なんか結構通報がある。こんなインチキしていますよ、本当はやっていないのにこんなことをやっていますといったときに、じゃ、どこへ行ったらいいんでしょうかと必ず相談が来るわけです。 私どもはそれはわからないんですね、率直に言って。じゃ、どんな助成金ですか、法律はどうなっているんですかと聞いても、経理の人はわからないです。そうなると、弁護士はもともとそんなに業法については詳しくはありませんので、我々もわからない。結局、二時間ぐらいかけて、法律を一生懸命めくって、ああ、ひょっとしたらこれらしいな、大体この辺に行ってはどうでしょうか、こういうことをやらなければ通報先がわからないんです。 私の方はむしろ、通常の、じゃ、行政機関に行きなさい、例えば国土交通省所管だったら、まず国土交通省に行ったらどうですかと大幅に言えたらいいわけです。ところが、その中の規制権限のある行政機関と言われてしまいますと、これは極めて難しいです。素人の人もわからないし、弁護士もわからない。恐らく国会議員の皆さんでも、そんなばあっと二百件もある相談になったら、どれがどこへ行っていいのかわからないのが率直じゃないかと思います。 そういう面では、私は、この「規制権限のある行政機関」というのは「行政機関」にしていただきたい。そうすれば、まあここへ行ったらどうでしょうかというアドバイスは楽にできるわけです。それを受け取った側は、規制権限のあるところに回付してくれたらいいわけです。その法案の修正を最低限まずやっていただきたい。 もう一つは、規制権限があるのかないのかという問題、この五ページのところに書いています。 防衛庁と航空機の仕事を受注している関係の告発などは、私どもに二件ほどありましたけれども、これは取引契約に基づく請負契約なんですね。規制権限がある行政機関には防衛庁は当たらないと思います。契約上の規制権限があるだけなんですね。そうすると、防衛庁の工数を改ざんしているということに関しては、これはどこに行くかというと、規制権限がある行政機関というのはどこかといったら警察になる、検察庁になるんですね、詐欺罪ですから。防衛庁に行ったらいかぬのです、これは外部通報になるわけです。こんなばかな、ばかなと言ったらあれですが、こういう難しい法律は私はおかしいと思います。 例えば、地方自治体が入札して請負契約をした。少なくとも、請負契約関係については、これは公法上の関係ですから自治体は規制権限を持っています。ただ、一たん契約をしてしまうと、今度は自治体は、その規制権限、契約上の権限しか持っていないわけです。だから、公法上の規制権限がある行政機関と言われてくると、非常にまた難しい。もっと広く「行政機関」としていただければ、これは非常に、改善はしやすいし、使いやすい、そしてわかりやすい法律になると思います。 次は、外部通報の問題。 これは田中弁護士が言いましたけれども、私どもは外部通報の件では、私のレジュメの中に、堺の地裁、大阪いずみ生協事件と奈良地裁の判決を引用しておきました。 全部が全部、日本の社会の判例はまだできていませんけれども、どういう考え方をするかというと、まず基本的には、事実であるかどうか、これは今の法案と同じなんですね。そしてその次には、その犯罪事実がどれだけの重みを持つのかということを考慮するわけです。犯罪事実の重みと、そして通報者が行った行為とをバランスにかけるわけです。ところが、この法案の場合は、外部通報の場合には、あなたは手続を踏みましたか、こんなことを言われましたかと、この形式論で切っていくわけです。 実は、奈良地裁のように、もともと事業者が悪いことをしているんじゃないですか。それをすぐマスコミに言った。これは確かにおかしいといえばおかしいですよ、今の法案では保護されないわけです。だけれども、事業者が悪いことをしているのに、通報者も一部落ち度があったからといって通報者だけを責めるというのは一体どういうことなんだ、これは極めて常識論なんです。ところが、この法案の場合はそうではないのです、残念ながら。 私どもは、外部通報の要件の中に、田中弁護士が言いましたけれども、一行入れてくれたらいいのです。「その他外部通報するに当たって相当な理由がある場合」と。だから、「相当な理由」がなければもちろんだめですね。変な団体のところへ行かれて迷惑を受けるということもありますけれども、その通報先とかその手段に相当性がある場合。 例えば、私どもに通報がありましたけれども、下請の企業の社員が、親企業に納入している商品についていろいろ隠匿を、ごまかしている事例があった。内部で、彼はそこで言ったわけですね。そのときに、言ったけれども、常務の人らはそんなものは信用しなかった。そんなものはほっとけ、こんなものはまあこんなものなんだということで言った。仕方がないから、彼は良心にとがめて元請の部長に相談したわけです。ところが、これは内部の情報を外部に漏らしたと。その結果、彼は解雇されそうになった。弁護士を頼んでやっと解雇が撤回できました、裁判までして。 これなどもまた、親企業に行くというのは言うなら当たり前の話。一〇〇%子会社ですから、そこへ納入するのは当たり前なんです。これも外部通報に当たるわけです。こういうのは準内部的な立場なんですね。それから、粉飾決算における監査法人、これも一種の準内部的な当事者です。しかし、現行の法律では、これは外部者、外部の人間になる、外部になるわけです。そうすると、第三条のイロハニホ、この要件があるかないかという審査になるわけです。 そんなことはないでしょう。日本の社会の一般の常識は、子会社が不正行為をしていたら、親企業に相談したからといってどうってことないじゃないですか。ところが、親企業は通報先に定めていない。じゃ、この人は保護しない、こうなるわけです。これはやっぱり余りにも使いにくい法律だし、市民の常識に反するという感じを私は持ちました。 もう一つ、行政機関が今回この法案の中では非常に重要な役割を果たすことになります。行政機関が受け付けた段階で、それはやっぱり適切に処理してくれるのだ、法律は表向きはそうなっています。だけれども、一番皆さん方が心配しているのは、本当は、行政機関に言ったら、その秘密、自分の情報が企業に対して開示されてしまうのではないか。 これは、受け取った側は、行政機関は当然守秘義務を持っていますから漏らしてはならないのは当然なんですけれども、私のレジュメにも書いたように、実際は漏らすわけです。なぜなれば、行政機関としては、内部告発があったからあなたの会社に調査に来ているんです、こう言わざるを得ないわけです。そうなると、本当に完璧な資料があって行くんだったら別です、三菱自工のような内部告発があって、あそことあそことあそこを回りなさいというんだったら別だ。だけれども、告発者というのはある断片の知識しか持っていないわけです。そういうときに行政機関は調査に行くわけです。そのときの説明として、内部告発があったということは言わざるを得ない面があったにしても、どの部署からどういうものが、こう言っちゃうと、もう個人情報が特定されちゃうわけです。 私どもに通報があった件で、自衛隊のジェット機とかいろんなものを納入している業者の会社が、中で工数を改ざんしているという通報がありました。本来は防衛庁に出す資料と内部の実態は違うんです、数人でその資料を書きかえているんです、こんなことをやっていたら自分も嫌だし、残業は多いしということでの通報があったんです。 そのときに私どもは、では告発しましょうかどうしましょうかという相談をしました。だけれども、その通報を、防衛庁、今回行政機関ではないですけれども防衛庁に言ったら、だれが通報したかというのはおおよそわかっちゃうわけですね。そういうときに、やはり行政機関が、少なくとも本人が希望するときは情報を漏らさないというのを絶対に条文の中に入れるか、必ず附帯条項に入れていただきたい。そうでなければ、行政機関に対する通報は市民は恐らくしないでしょう。こういうことです。 最後に、大幅とは言いませんけれども、今言ったような修正をぜひ入れて、その上で法案を成立させていただきたいと思います。 以上です。(拍手)
○山本委員長 以上で各参考人からの意見の開陳は終わりました。 —————————————
○山本委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本拓君。
○山本(拓)委員 自民党の山本拓でございます。 今ほどは、四名の参考人の皆様方の御意見をそれぞれ拝聴させていただきまして、それぞれのお立場で意見を開陳していただきました。なるほどなという感想でもございます。 私自身は、これを取りまとめる自民党の内閣部会長ということで、取りまとめさせていただいたわけでありますが、それぞれの立場になれば、どれもある意味では正しいかもしれません。今ほど弁護士の方からおかしいという議論が出ましたが、確かに、すべてが善意の通報者という立場であれば、また弁護士さんというのは依頼者を守って議論を展開しますから、やはり通報者の立場でいうならば、足らない、足らない、足らないというのも一つあるかもしれません。しかし、立場を変えれば、同じ弁護士さんでも、これじゃ大変なことになると言っている弁護士もたくさんおりますし、バッジ組の、自民党でも各政党の中でも弁護士がおりますが、立場が変わればみんな意見はばらばらでございます。 私が申し上げたいのは、先ほど引用されておりました、イギリスのことが言われておりましたけれども、あれだって、お手元にありますけれども、結局外国だって、通報が誠実に行われているか、その内容が正しいかということをまず一番重要視しているわけでございます。 野党が今言われているように、すべてに対象を広げなさいとかということになりますと、例えば、きのうかおとといテレビを見ていましたら民主党のだれかが出ておられまして、菅代表が後で調べたら地元のあれは結局本人が悪いんじゃなしに手続上は事務方が悪かったんだ、証明書もいただいたんだ、だから菅さんはやめる必要はなかったんだという話を、民主党の、名前はちょっと忘れましたけれども、出ておられました。逆に言いますと、何でも飛びついて、後で調べたら違ったんだと。要するに、悪意の人なら、あれは悪意ではなかったかもしれませんが、すべてに適用されて、これが正しいと信じ込む、結果的に間違いだった、そのときにごめんなさいではもう収拾がつかないわけでございます。 今ほど三菱自動車の問題で内部告発があってどうのこうのと言われましたけれども、確かに、国土交通省に、ああいう自動車関係、国土交通大臣型式指定品関係すべてにおいての認可受け付けをしている窓口にユーザー業務室というのがございます。そこに年間、物すごい量の通報がございます。現役の方じゃなしに、やめたOBの方にお聞きしたところ、言っては悪いけれども、一つ一つ全部チェックして確認を受けますから、相手方にもやります。しかし、例えば三菱自動車のような的を射たというか、そういった事案は全体の量の二割に満たないだろう。確認すると、ほとんど相手方の嫌がらせ。これは間違いないと言っても、調べてみると、何と。 ましてや、自動車会社というのはそれぞれ技術を新製品で競い合っていますから、欧米でもどこの自動車会社でも、新型の事故証明とか事故責任、会社本位でもって実験データとともに全部証明しておりますから、逆に、それが正しいかどうかなんというのは、最先端を行く技術はわからない。それに対して、その開発過程でちょっと漏れた、違ったり外された人が、おれの頭の中ではあれは違反だということでやられたら、全部開示しなくてはならない。これは大変な被害をこうむるわけでもございます。 私どもとしましては、日本の企業というものは国内に事業所ベースで五百万を超えるとも言われておりますし、決算書ベースで三百万社ほどあるのかどうか知りませんが、やはりそういう会社が今、海外との取引も含めて、また厳しい同業者競争に合わせて、コンプライアンス経営というのが大事だということで、ISO導入、そしてまた企業のヘルプライン、内部監査制度、かなり厳しくみんなやっております。具体的に言いますと、やたらISO、ISOだとかHACCPという話がありますが、非常にお金をかけて、そういう制度、システムに乗っかって内部監査でやっております。 そして特に、今回の対象例であります国民の生命、財産等にかかわるものということであれば、例えば、一番わかりやすい例が自動車関連のものでありますけれども、それなんかも、基本的にはすべてにおいて個別法で、道路運送車両法とかすべてで義務を課しておりますし、今度さらにそれを、リコール制なんかを含めて限界がありましたから、国交省がこれを改めろとか自主回収しろとか何しろと言っても向こうでやりましたから、今度は法律を変えてさらに、もし内部が、担当官でさえ虚偽の報告をしたならば禁固刑に処すという改正もしているわけでありますから、我々としては、さらにそういうところにうそをついて、そして、労働者が逮捕される、そういうものに対しては、まずそこから始めたらいいじゃないか。 この法律はやってみなきゃわからないところが実はございます。 やはり我々としては、何遍も言いますけれども、日本の企業のコンプライアンス経営というものは、今後、各事業所、またISOの普及率から考えると、みんな意識を持ってやろうといたしておりますし、私も青年会議所出身でありますから、最近、おやじが創業者でも息子がどんどんどんどん変わってきて、そして、新しい教育のもとでそういったものを積極的にやろう、自分たちは何とかしなくてはならないということで頑張っております。 やはり我々としては、あくまでも企業を信じ、そして、決して間違っても日本の企業の体質を外部通報者によらなければ守れないような企業体制、企業環境だけはつくりたくない。とにかく最低限のところでスタートして、しかし、それでだめならさらに見直しをしながらやっていくべきだというのが、これは私の個人的な考え方でもございます。 いずれにいたしましても、これからの議論の中で修正協議には応じるところは応じたいと思いますけれども、しかしながら、今ほどの議論の中で、やはりすべてに当てはめるとかということになりますと、これはそれぞれの企業の、あそこはセクハラがあるとか何があるとか何があるとか、また違ったところで全国を考えてみてください。企業の中でよく、テレビなんかを見ていますと、女の子に訴えられた、おしりをさわられた、何をさわられた、そして後から調べたらそれは冤罪だったという事例も結構あるんですよ。それは、事実関係は、あの人にやられたやられたとか、会社の事前通報の要件でも、別に口頭でどうのこうのと言っただけで約束事は企業の場合は合法ですから、そしてまた後で、ちょっと違う、これはやめたと合意したところで、その過程を知らない人が、前段階の話を聞き及んだ人が、テープにとった人がそれを訴え出たら、それはそれで一つ弁護士さんを入れて大裁判をしなくちゃならない。 みんなそれぞれ利益を求めて、雇用確保のために新しいことをしなくては、伸び伸びさせなくてはならないのに、そういった、いわゆるある一説に、人によると、こんな厳格なものができて、今でもできたら恐らく、昔、総会屋絡みのがありましたが、ああいう人たちが今度やらせ屋をやる、やらせ請負業で、一定の要件で、私はこうしたんだ、見たんだ、何なんだということをやられると、これは一体、立証責任というのはどうやって説明するか、こんなことで戦々恐々とせんならぬ、そういう実態があちこちで蔓延をするということは大変不幸な出来事ではないだろうかというふうにも私は考えております。 我々国会議員事務所であれ弁護士さん事務所であれ、どこでも当てはめれば一緒なことなんですよ。やはり、言った言わない、見た見ないというので、一応、真実だと言われちゃったらそれは無視できませんから、後で違ったとか言われたって、それはもう手おくれ。また、それに対応するエネルギーたるものは大変なものであります。 これからの時代、大変な競争の中で、コンプライアンスというか、余り横文字は好きじゃないんですが、法律を守るということは当たり前のことでございます。ぜひとも弁護士の皆さん方にお願いしたいのは、企業側の立場に立った場合に、また通報者側の立場に立った場合に、その人が誠実に、そしてまた正しい通報者なのかどうか。またそれは、そのときは思い込みでそうであっても、さかのぼってそうなったときにどうするのか、その救済策が今の段階では難しくてしようがありません。 やはりそういうことを考えれば、というけれどもこれは自民党であれ与党の選挙公約でございましたから、公約を守るというのが小泉自民党でございますので、いろいろな形で、いわゆる今回、妥協点。一番けしからぬのは、雪印乳業のようなああいう問題、そして三菱自動車のああいう問題。あれは、正直な話、市場から抹殺すべきだと我々は実際思っております。しかし、実際に懸命にやったところはさらに応援してあげる、やはりそれが一つの市場原理だろう。 あくまでも日本の企業風土というものを、今後、二十一世紀にかけて、若い、今や一円でも、お金のない人でも自分で起業をやってやりなさいといったときに、どんなにうまくいっても、たまたま、あいつをつぶしてやろうといったときには、だれかが一人入り込んで、いや、これはこうだと言われたら、それでストップしてしまう。また、そういうスパイ、意外と皆さん知られていないけれども、結構、産業スパイその他、嫌がらせ、そういうものは企業の場合は物すごく多いわけでありますから、そこらをひとつしっかり防御して、そして健全なる企業の活動に反映するようなシステムで、早期にこの現行案のまま成立をお願いしたいというふうにも考えております。 私の演説会ではございませんので質問をさせていただきますが、本法案の成立、一番野党の方から言われております、いわゆる下請業者にも広げるべきじゃないかということでございますが、一口に下請といっても、何が下請かわからぬのですよね、要するに業務委託でありますから。それに、業務委託をする場合にはA社とB社のトップ同士の契約でございますから、労働者のところの保護が今回目的でございますので、そこはいささか難しいのではないかというふうに考えております。 民主党案では、弱い立場にある下請業者についても保護の対象に含める必要があるとされておりますが、事業者を保護の対象にすることは契約関係を保護するということになるわけでありまして、この点について、商法が専門の落合参考人に対して、取引自由の原則からの考えで妥当かどうか、そしてまた、事業者側の観点から大村参考人にもお尋ねをいたします。
○落合参考人 お答え申し上げます。 下請事業者を保護するかどうかという論点につきましては、国民生活審議会においても十分議論があったところであります。ただ、これも、含めるべきだという立場と含めるべきでないという立場が対立をいたしまして、結局、基本的な国民生活審議会の立場としては、含めないという方向をとったということであります。 契約自由の原則ということから推していきますと、含めるのは契約自由の原則から矛盾するという可能性が非常にあるという問題点が確かに御指摘のとおりあるかと思います。それに加えまして、諸外国のこういう公益通報者を保護する法律等を見ましても、労働者を対象にしているものが大半でありまして、下請事業者までも含んで保護の対象にしようという法律は、少なくとも私の知る限りでは余りないという認識を持っております。
○大村参考人 下請事業者を保護するということは、基本的に、通報されたもとの親企業と下請企業との契約を維持しろ、こういうことなんでしょうけれども、取引は、都度都度、事業者が任意にお互いに交渉して、どちらが強い弱いということは必ずしも言えないわけでございますが、やっているわけでございまして、その保護ということの発想は、ちょっと内容が想像もつかないほど取引の自由ということを阻害するような話になろうかと思います。そのような発想というのは、今、落合参考人からありましたように、特に諸外国で聞いたことはありません。 前提として、この公益通報の考え方でコンプライアンス問題を全部解決しようというのは、そういう発想から来ていると思うんですけれども、我々は前々から申し上げていますけれども、公益通報というのは、企業が自主的なコンプライアンス経営をするシステムの中の、モニタリングの中の、さらにそれを補充する一部である。したがって、時と所を得て扱いをしていただきたいということでございます。 以上でございます。
○山本(拓)委員 本当にこの法律、何でもかんでも内部通報のこの法律案ですべて守るんだということはもともと無理があるわけでありまして、今ほど参考人が言われたような意見が妥当だろうというふうに思っております。 国内企業だけそういう下請、契約相手に対してもどうのこうのということが仮にできちゃいますと、これからの日本の企業というのは諸外国の企業と契約もされなくなる可能性が非常に強くなっちゃうということでございます。五一%の株また実質株主とか要件がある場合には国内にあっても外国企業とみなされるところでございまして、今や国境を越えて、またいろいろな意味での特許、またそういったものは今やアメリカとか諸外国が基礎特許を持って日本に事業展開していく企業が大変多いわけでございまして、当然のことながら、そことの契約、また逆に、日本のいかなる大きい企業であってもそこの下請という扱いで日本国内で事業活動をやって、多くの人たちが働く。やはりそういった関係まで、日本の企業と契約を結ぶと、よからぬことでそういったものにいわゆる権力が入り込んでしまうと。 これは一歩間違えると、考えなければいかぬのは、こういう法律というものを何であれすべて適用されたりやりますと、自由が保障されるべき事業活動がすべて、ちょっと権力者の運用に当たっては、自民党が政権を持っている間は大丈夫だと思いますが、超何かわけのわからぬ、民主党とは言いませんよ、運用を一歩間違えると大変、いかなるいちゃもんで、別件逮捕じゃありませんが、どんどんどんどん企業に権力というものが入り込んでしまう可能性は否定できないわけであります。 これは私の持論でありますが、家庭の問題、そして企業の問題、事業の問題は本来、自己責任で、みんなで話し合ってやる。しかし、その考え方の中で、外部に影響を及ぼす、国民の生命、財産に及ぼすものだけ限定してやらないと、すべて外部通報して、そういう規制の中で警察権力なり裁判所なり弁護士さんなりという権力をかりた人たちが入り込んで、情報開示させろ、そこにマスコミが入ってくるというような制度を上から勝手にかぶせちゃったら、これはもう大変なことになるわけであります。それこそ、さっき冗談のように言われましたが、どんな社会でも、裏社会につながろうとするたぐいは世界じゅうあるわけでございますから、冗談抜きで、通報仕掛け人みたいなやらせ屋さんが出てきたらそれこそ大変でございます。 私としては、きちっと会社のコンプライアンス経営、ISOなりHACCPなり、ただ、先ほど雪印乳業のHACCPがどうのと言っておりましたが、HACCPは非常に雑な、そこの細かいところまで規定していませんでしたから、その制度を改めて、今度はISOの方でかぶせるというような形でやっておられますので、まず我々としてはその推移をしっかり見定めるということが適切ではないか。 あわせて、当然広く、今現在でもいろいろなところで実質内部通報がございますし、そしてそれに基づいていろいろな報道がなされているところでございますが、それを明確にするというのは、そういう概念がある、つくるということが我々の今回の目的でありますし、一つ一つバランスのとれたものをひとつ今回成立させていただきたいというふうにも考えております。必ず一歩後退どころか二歩も三歩も前進になるし、これがちょっと気に食わないから、オール・オア・ナッシングでだめだということで、なしにするという考え方であれば、それもそれで一つの考え方であるのでございます。そういうことでございますので、私としては、今回の野党の修正案については、さほど、我々としては余りする必要がないのではないかというふうにも考えております。 民主党案では、通報事実を実質的に公益侵害に拡大し、政府案における「まさに生じようとしている旨」を「生ずるおそれがある旨」に拡大するとされておりますが、この点について、事業者側の考え方を大村参考人に、並びに落合参考人にお尋ねしたいと思います。
○大村参考人 先ほど御紹介を申し上げましたように、このような法律ができる前から、もう既に大多数の企業では社内のヘルプライン、相談窓口というのを設置して、まさに今御指摘のあったような、おそれがあるとか、主観的な問題であろうと誹謗中傷であろうと全部受け付けて聞く体制は、ほとんどの企業は受け付けています。 その目的というのは、たとえそういう通報、相談が九割は誹謗中傷、客観的でないもの、蓋然性のないものであっても、その中に一割の真実があれば企業としては貴重で、早くこれに対応したい、こういうことで各企業は頑張って人を割き、企業として真摯に対応しているわけでございます。 このおそれの段階、九割方の、結果的に根拠に欠ける話とか誹謗中傷とかいろいろな動機不純の話がそのままおそれという非常にあいまいな形で外に出るということを国家が推奨するというようなメッセージを持った法律というのは、極めて企業の現場のコンプライアンスにとってマイナスであるということであります。 以上でございます。
○落合参考人 広げるかどうかということに関して、国民生活審議会における議論というものを踏まえますと、おそれというような形で含むべきだというのは、国民生活審議会自体の中での統一見解ということにはならなかったわけであります。人の生命、身体に危害を加えるような、そういう重大な場合にはおそれを含むべきであるという意見があったことは確かでありますけれども、それが審議会における多数の意見ということではありませんでした。
○山本(拓)委員 大体予想されたことでございまして、ただ、私としては、土壇場になって民主党案が出てきて、共産党さんもいただきましたけれども、これは一つの考え方として成り立つのかもしれませんが、まさしくおそれがあるだけだとすると、過去の実例にさかのぼれば、例えば社会保険を払わなければ、期日が来ている、内部の議論で、こんなものいいじゃない、だれかちょっと言っただけで、それをおそれがあるということでわっとやるというような考え方は余り好ましくないということでございます。個人の場合はとにかくとして、すべてにおいて、事業者が汗水流して、一個信用をなくしちゃうとそれこそどんなしにせであれ一時繁栄した信用企業でももうつぶれちゃう時代になってきているわけでありますから、事実そういうことであればいいんですが、悪意の通報者の、また仕掛け人の手配によって、結果的にそのような事案が五百万事業所対象にやられるとか無造作に引用されるということはいかがなものか。 これはあくまでも今回ぎりぎりの線で、日本は、あくまでも企業が、しっかりと、外国からの企業もお客もいろいろ入ってくるところでございまして、そことしっかり戦えて、そして成長して、さらなる繁栄をしていくことを心から期待いたしておるところでございますので、今回、政府案でしっかり成立させていただいて、そして必要とあらば、見直し事項も入っておりますので、その時点でまた見直すということで運用されることを望むものであります。 時間が参りましたので、この辺で終わらせていただきます。ありがとうございました。
○山本委員長 次に、石毛えい子君。
○石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。 参考人の皆様、お忙しいところを、この法案の審議に有益なお考え、御示唆をいただくために御意見をお伺いさせていただきまして、本当にありがとうございました。 ただいまの山本委員の御発言をお伺いしておりましても、この公益通報というそのことが、国民あるいは消費者にとって本当に必要な、例えば生命、身体、財産を守るというようなことについて必要な観点から真実の公益通報がなされるのか、それに関連して嫌がらせですとかあるいは濫用というようなことが膨大に起こってくるのか、そのことを加速してしまうのではないか、このような見方が一つの重要な論点になっているというふうに、参考人の皆様の御意見を伺いまして、まずは私はそういう感想を持ちました。 それで、まず最初に、経団連の部会長代行でいらっしゃる大村さんにお伺いしたいと思いますけれども、公益通報の、先ほどの御意見の中でも、誹謗中傷的な通報がされては大変困るし、制度の濫用に向かう、そのことを危惧するという御趣旨の御発言をなされました。そして、今の山本委員に対する御答弁でもそのような御発言がございました。九割は真実相当性がないというような御趣旨だったかと思いますけれども、もう少しそのあたりを具体的に展開していただきたいと思います。 あるいは、そうした濫用の事例について、多少は情報開示をするときに修正を加えるのかもしれませんけれども、そうした濫用に相当するような情報ということを、働いている方あるいはある種経団連としての自助努力として公開をなさっていらっしゃるのでしょうかどうかということを、大村参考人にお伺いしたいと思います。 それから、濫用という点に関係いたしまして、公益通報支援センターを主宰されておられます阪口参考人に、これまでいろいろな方がアクセスをされてこられていると思いますけれども、この濫用ということに関して、先ほどの御意見でもお触れになっていらっしゃいましたけれども、濫用があるということを想定して、この法案をリジッドにしていくということがどうなのかというようなところ。それから、私は、公益通報をするときにかなりの決意をして、そしてこれはおかしいんじゃないかというふうに思うのが、初期動機と申しましょうか、事柄のスタートだと思いますけれども、そのことと濫用ということは、現場を主宰していらっしゃいましてどのようにお受けとめになっていらっしゃいますでしょうか。そこをお聞かせいただきたいと思います。 お願いいたします。
○大村参考人 濫用に関しまして、諸外国でございますけれども、特にアメリカのように訴訟が大変多い国の訴訟の内容等を見ますと、専門家から聞いた話等でございますが、特に労働者の解雇問題につきまして、その労働者が違法、不当なことをして当然法律上解雇されてしかるべきであるということが判明すると、その労働者は、その企業に何かコンプライアンス違反もしくはコンプライアンス違反として調査していくことはないだろうかということを一生懸命調べて、企業としては既にその問題に対応しているにもかかわらず、コンプライアンス通報する。もし解雇するというんだったら、これはコンプライアンス通報したから解雇するということで、法律の考え方に違反するんだ、このような争いがいわば一つの典型としてあるというふうに伺っております。 それから、米国ではなく国内で他社さんの話を聞いたんですけれども、人事関係で恨みを持っている方がいて、恨みを持たれている方がその会社の中でコンプライアンス問題について調査をする立場にいらっしゃった。不祥事があった方を調査したら、その不祥事を起こした方が大変心痛に悩まされて自殺未遂を犯してうつ病になったので、医師から調査は慎重にするようにと言われたので調査に時間をかけていた。こういう状況をとらえて、人事問題で恨みを持っている方が、その調査をしている方はコンプライアンス違反問題を隠ぺいしているんだということを書いて社外の業界誌等に配った。これは当然匿名か偽名でございますけれども、このような濫用というのは企業の現場でもあるということでございます。 それから、先ほど、コンプライアンスの窓口で各社それぞれ相談を受け付けておりまして、九割は根拠がないと申しますか見解の相違という話につきましては、やはり一番多いのは、パワハラだとかセクハラだとかいうこの種の通報というのは、ほとんど人間関係の問題とか、それから、上司が厳しく部下を指導したらこれはパワハラであるとか言ったり、そこに男女がおってセクハラと言う、こういう種類の話で、冷静に言えばセクハラでもパワハラでもなくて、単純に、厳しい職場の現場の中で部下をどうやって指導するか、管理するか、その手法についての見解の相違という話が多いのであって、突き詰めてみると専らセクハラでもパワハラでもないという話が多いわけでございます。しかし、当人としては真剣でございまして、これはセクハラだ、パワハラだと言う。 これについても、真剣に言ってくるのはまだいいんですけれども、我々が一番困るのは誠実でない通報ですね。すなわち、単にあの人をおとしめたいと、あの人はセクハラをしているよという形だけで、では、いつ、どこで、だれに対してどういうセクハラをしているんだと言うと、そこから急にあいまいになる。それで、コンプライアンス部門が調査しろと。調査するということはどういうことかというと、そういうような理由で調査を受けることがその人に対するダメージになるだろう、こういうことですね。こういう形で、先ほど申した誹謗中傷、恨みの話というのは、調査すること自体がダメージになるだろう、このような使い方をされる。 それも含めて企業の内部であれば適切に対応するということでございますが、これが先ほど言いましたように外部にばらまかれたりすると、企業の現場で、企業のみならずあらゆる事業所が対象ですので、あらゆる事業所で人権侵害が起こるんじゃないかなということを危惧しているというのが、我々が濫用を恐れる理由でございます。 これについて、最後の質問がよく理解できなかったんですけれども、企業としてどういう努力をしているかという質問であれば、これは当然のことながら、あらゆる企業が、倫理行動とか役職員の行動規範等で、内部通報者は一切差別されない、秘密は必ず守るという形で、それから、厳密な問題ではなくていいんです、相談ベースでもいいですという形で、実はあえて誹謗中傷であろうと考え違いであろうと、未然に来るようにと。 その結果、先ほど申し上げました、ほとんどは見当違いであっても、例えば同じ部署から似たような話が何度もあると、きっとその部署には何か体質の問題があるんじゃないかとか、企業の目も変わるということで、必ずしも直接的なコンプライアンス違反というよりも企業の管理運営のあり方についての有益な情報が得られるということもありまして、真摯に対応して、対応している結果を、三菱商事の例をとらせていただきましたが、社内では、あさって、コンプライアンス委員会という形で、全世界からコンプライアンスオフィサーも呼びまして、こういう人たちにこの種の対応をしたということを全部社内で開示しております。 以上でございます。
○阪口参考人 質問は、濫用している事例があるのかどうかということですけれども、まず、濫用を一体どういうふうに見ているのかということです。 濫用というのは、今おっしゃられたような考え違い、間違い、そして事実でない、こういうものはもともと今でも保護されないし、現法律でも保護されないのは当たり前なんです。真実でないことをあたかも真実かのごとく言うのは、これはまさに濫用ですけれども、恐らくそういうものは、仮に外部においてもそんなものはだれも相手にしないでしょう。証拠がない以上は、マスコミでもそれは扱わないですよ。それはもう、いわゆる三流とかガセネタのものは、別にこんな法律ができようができまいが、どんな法律ができようが、そういう人はやるんですよ、もともとやるんです。 そういうものを対象にするのではなくて、圧倒的な、割と善意な人を、まさに会社を思い、そしてこれは社会に被害を与えていると、そういう人をどういうふうに通報しやすくするかというのが今回の法律の目的だと思います。 そういう面で、少なくとも私が体験した、いろいろな人に会ってみると、なぜあなたは通報するんですか、それはいろいろな理由を言います。もちろん会社に対する不満というのもあります。だけれども、会社に対する不満があるから、では、それは濫用なのか。私はそうは思いません。あくまでもその事実が真実かどうかなんです。真実であれば、やはり是正するのは当たり前です。その人の主観的な動機が会社に対する恨みであったにしても、これは直すことが社会のためなんですよ。そういう面で、私は、それは濫用だということを言うべきではないと思います。 この法案の場合は、不正な目的、例えば金を目的にするとかなんとかしようというんだったら、これはもともと保護の対象外。だからそういう面では私は、濫用しているケースという形で全部、正常なものまで、八割、九割のものまで切っていく——恐らく濫用している人は一割か二割はおるかもしれません。そんな人を対象にするのではなくて、まじめに通報しようとしている、そしてそういう違法行為をやめていただきたい、被害を受けているのは多くの市民です、そういうことに対して通報しやすくする。 もちろん企業に言うのは当たり前の話です。企業だけでなくて、行政に対して言いに行くのも一つの道です。同時に、行政と企業に本当にインセンティブを働かせようと思ったら、こんな狭い法律じゃなくて、外部にひょっとしたら行かれますよという方がもっとインセンティブを働かせると私は思います。 この法律は二年間の猶予があるわけです。企業は、濫用濫用と言うんだったら、この二年間の間に全部是正すればいいわけです。 以上です。
○石毛委員 この法律は、労働者が労務提供先の事業者に対して通報を行うということも定めておりまして、外部通報に対しましては、それに対して事業者の方が二十日以内に回答を出すというような中身、構成になっていると思います。ですから、事業者の対応がどれだけ通報する方に対してきちっと適切にされるかどうかというところがかなめであって、濫用か濫用ではないかというのはそうしたときにきちっと判断をされることであって、最初から濫用を憂えて法構成をするということに対して私は肯定する立場にはございませんということを申し上げさせていただきたいと思います。 次に、田中参考人にお伺いしたいと思います。 御指摘の中で、三菱自動車のタイヤ脱落事故に対して指摘をしていただきました。これは、この法案審議に入ります前に、内閣府から、一連の企業不祥事と言われる事象につきましてこの法律ができたら該当するかどうかというようなところで、法律の構成自体が、どの法律を適用するかということに関しましては、七つ指摘されている法律以外はまだ未知でございますので、三角印がついていたと思います、丸にはなっていなかったと記憶をしております。でも、もしこれから、公布後二年間の中で、その法律が入ると丸印になっていくかと思いますけれども。 この一連の事故の過程を通して検討されまして、通報先の問題等もございますし、お尋ねさせていただきたいのは、事故が起こった後、強制捜査の前に外部通報した場合、通報者は本法で保護されるかどうかということをお教えいただきたいと思います。
○田中参考人 お答えさせていただきたいと思います。 三菱自動車のタイヤ脱落事故に関しましては、きょう、お手元の資料の最後のページ、日経新聞の記事で「タイヤ脱落事故の経緯」という形でコンパクトなまとめがありましたので、これを資料にさせていただいたんですが、この事実関係を前提にちょっと御説明したいと思います。 まず、事故後、強制捜査前に外部通報した場合に本法で保護されるか、こういうことですが、本法は、まず、通報対象事実を非常に限定していますので、何が通報対象事実なのかということを考えないといけません。 刑法該当の犯罪行為、つまり業務上過失致死傷罪というふうに考えますと、実際に横浜で母子死亡事故が起こりましたのが二〇〇二年の一月ですね。警察が強制捜査に着手したのが二〇〇三年十月ですから、この間二年近く経過しているわけですね。その間、会社の方は、ここに記事でありますように、一貫して整備不良を主張して、欠陥を否定しているわけですね。ですから、それを覆すだけの根拠がないとだめだということになります。それから、業務上過失ということですから、この事故について会社のだれかに過失があるということを、主張を立証しなきゃだめなんですが、それもなかなか難しい、だれに過失があるのかはっきりしないということになると思います。ですから、通報対象事実の真実相当性を立証するのは非常に困難ではないかというふうに思われます。 次に、通報対象事実を道路運送車両法該当の法令違反と考えた場合。 つまり、道路運送車両法をよく読みますと、型式認定された後に何か保安基準に不適合な状態が発生した場合には、設計、製作の過程が原因の保安基準不適合、こういうことがありますとリコール勧告を国交省が行いまして、それに対して勧告違反があると公表をしまして、公表後も違反している場合は命令を出しまして、命令違反に罰則がある、こう順次たどっていってようやく罰則が出てくるわけですね。 ただし、二〇〇二年の改正前の道路運送車両法では、公表以降の手続はなくて、リコール命令権もなかったので、罰則がなかったわけです。ですから、改正前後でちょっと考えないといけないんですが、改正後の今の状態で仮に考えますと、一応対象になる可能性はあります。 しかし、技術系の従業員においてこのような複雑な道路運送車両法の規定を正確に理解するのはかなり困難だと思います。それから、どの法令が通報対象事実に当たるのかは政令委任されるということですから、政令も調べなきゃなりません。各業法は、規定を見ていただいたらよくわかると思うんですが、ランダムに罰則規定が後にまとめて書いてありますから、何条何条何条と延々と書いています、その中から探し出さないといけないんですね。こういうことが正確に技術系の従業員においてできるのかということであります。 それから、今の道路運送車両法の規定にひっかける場合でも、リコール勧告の対象となるような設計、製作に起因する保安基準不適合であるという証拠をつかんで通報する必要があります。国交省でさえ三菱からの訴訟を恐れて結局リコール勧告をしなかったわけですね。ですから、一従業員が、社会問題化する前に、リコール勧告に該当する設計、製作に起因する保安基準不適合だということの真実相当性を立証することができるという確信を持って通報が果たしてできるのかということで、できないと思います。 結局、通報対象事実を生命、身体、財産への危害、危険とせずに、この法案のように罰則に結びつけられた法令違反に限定すると、通報は著しく困難になるということになります。
○石毛委員 ただいまの御説明で、今は事故後、強制捜査前ということで、業務上過失致死傷というようなことと絡んで御説明いただきましたけれども、御説明の中に、事故前に外部通報できたかという点では、罰則規定はなかったのでそれはできないというような御説明をいただいたかと思います。大変理解するのが難しい。一生懸命まじめに働いている労働者が、これは罰があるかどうかとか、そこまできっちりと考え切るというのはなかなか難しいというような思いで私はお伺いさせていただきました。 時間が限られておりますので、もう一つ。 この法案につきましては、一般法理とそれからこの法律によるルールの明確化ということ、その関係が非常に問われているというふうに認識しておりますけれども、ただいまの御説明等々も踏まえまして、仮に、三菱自動車の方が通報して、うまく立証できなくて保護されなかったというようなことを考えました場合に、ですから本法に該当しない場合ということになりますけれども、この法案の第六条で規定されております労働基準法等の一般法理で守られるという可能性はございますでしょうか。 少し具体的な事例でもよろしいですし、あるいは一般法理とそれからこの法律の中でのルールの明確化ということでは先ほど御指摘いただきましたけれども、もう一度そのあたりをお教えいただければと思います。田中参考人にお願いいたします。
○田中参考人 三菱自動車の例で御説明すればよろしいでしょうか。(石毛委員「はい」と呼ぶ) 今言ったようなことで、本法による保護が難しいという場合に一般法理で保護されるのかという問題がありますが、本法六条で、労働基準法の規定を妨げないと。労働基準法には解雇権濫用について法文化したものが最近ありまして、これは、社会的相当性を欠き合理的な理由がない解雇については無効とする、こういった趣旨の規定だったと思います。ですから、先ほどから私の方も話しましたし、阪口弁護士も話したと思いますが、この規定は適用を妨げられないので一応検討の対象になるんですが、そこには外部通報の要件については全く触れていません。まさに一般法理ですから、相当性とか合理性とか、そういう話になりますね。 そうすると、裁判官がどういう判断をするかということなんです。裁判官としては、恣意的な判断をしている、判決をしているというふうに言われるのを非常に嫌いますから、何らかの基準を探すわけです。現行法上何らかの基準を探すとなると、公益通報に関する細かな手順、保護要件を定めた法律はこれしかありませんし、一般法の包括法ですから、公益通報に関する包括法ですから、これを必ず参照すると思います。 そうすると、この法案の対象になっている、つまり犯罪行為だとか最終的に罰則に結びつけられている法令違反行為だとか、そういった場合でもこのイロハニホという要件が要るというふうになっていますと、やはり裁判官の判断としては、それに準じるようなことが要件を満たしているのかどうか。 さらに言うと、明確に犯罪行為とされていないわけですね、実質的に危険だというところで結局通報するわけですから。明確に犯罪行為とされているものであってもイロハニホとそれだけの細かな要件を言われるわけですから、そうじゃない、実質的に生命、身体に対する危険があるということで通報する場合は、そのイロハニホよりもさらに厳しい要件を課されるおそれがあるということなんですね。 ですから、判例法理が築いてきた保護水準がこの法律によって切り下げられる。その結果として、この六条の解釈規定による労働基準法による救済も難しくなるんじゃないかというふうに私は考えているわけです。
○石毛委員 ありがとうございました。 時間が限られておりますので、落合参考人にお尋ねしたいと思います。 参考人は、国民生活審議会の会長のお立場で、この法案の、政府案の提出まで、もちろん審議会と政府は違うわけですけれども、ずっと一貫して中心に座られ、また政府案の提出に至るまで注視されてこられたといいますか、じっと、きちっとと申しましょうか、フォローされてこられたと私は理解させていただいております。 どうも、先ほどから落合参考人は審議会で統一見解がなかなか出なかったというふうには御説明になられていらっしゃいますけれども、審議会の案として公表されましたものよりも、内閣府がパブリックコメントにかけました案、それから政府案、提出されました案というこのプロセスをたどってみますと、だんだん法案の内容がリジッドになってきているというか、狭められてきているというふうな認識を私は持っているものでございます。 例えば、通報対象事実に関しましては、審議会の検討では規制違反であるというところで押さえていたものが、最終法案では、犯罪事実が「まさに生じようとしている」という、そうした規定のしぶりになっているというようなこともございますし、それから外部通報の要件としては、国生審報告に含まれていました行政機関ルートが削除になっているというような点もございます。 それから、これはもう時間がありませんで、もう一つ、大村参考人にも時間があればお尋ねしたいところなんですけれども、「他人の正当な利益等の尊重」というような文言が加えられました。この「他人」ということの理解というのは大変難しい問題を含んでいるというふうに私は理解しているわけですけれども、そういうものが最終場面になって入ってきているというようなことで、私は、このプロセスをきちっとフォローしている人というのは正直言って余りいないのではないかという思いもあるんですけれども、それはおいておきまして、国生審の会長職にあられた落合参考人といたしまして、この変化に対しましてどのようにお受けとめになっていらっしゃいますでしょうか。 大変率直な質問でございますけれども、審議会案がそのまま政府案になって出てくるのがベターであったのではないかというふうにお思いになっていらっしゃるのではないかと私は拝察いたしますが、そのあたりにつきましても率直な御見解を承れればと思いますので、お願いいたします。
○落合参考人 国民生活審議会で統一的な見解がないということはなくて、消費者政策部会のこの問題に関する報告、これが統一見解ということであります。 そして、行政機関に対してという部分がなくなっているとか、国民生活審議会の統一的な立場と本法案の間にはいろいろずれがあるのではないか、それは一体前進か後退か、そういう趣旨の御質問かなというふうに理解いたしました。 国民生活審議会というのは、法律の専門家の集まりではございません。したがって、そこでの議論というのは、法案の形、つまり技術的な法律上の条文を詰めるというような議論ではありませんで、もっと大局的な見地での議論を国民各方面の方々で議論していただくということで、その議論を集約したものが国民生活審議会消費者政策部会の報告という形でまとめられております。ということは、つまりこれは、いわば法案を作成するための議論をしたわけではなくて、基本的な、ファンダメンタルな、あるいはグランドデザインというものをそこで国民生活審議会として打ち出そうということになっております。 今ここで審議の対象になっております具体的な法案というものは、これは非常に法技術的な議論が恐らく内閣法制局等でなされた上で出されてきたものだと思いますし、その内閣法制局における検討につきましては国民生活審議会の手を離れておって、どういう議論がなされたのかちょっと私もわからないわけですけれども、そういう意味で、いわばグランドデザインを提示したという国民生活審議会の報告と現法案との間、技術的にも法律条文としてでき上がってきた条文との間に差があるというふうに見える部分があることは私は確かだと思うんですね。 ただ、それは、国民生活審議会が出したグランドデザインというものを実質的に十分受けとめた形でこの法案が技術的な検討を経た上での法律条文として的確にあらわされているかどうかという点、そういう観点が重要な視点だろうと思います。 そういう観点から見ますと、私は、国民生活審議会のグランドデザインを基本的に実質的にこの法案は体現しているものではないかなというふうに思っております。
○石毛委員 時間が参りましたので終わります。 参考人の皆様におかれましては、本当にありがとうございました。感謝申し上げます。
○山本委員長 次に、大口善徳君。
○大口委員 公明党の大口でございます。 四先生方、きょうは本当にありがとうございます。大変勉強になる御意見でございました。 時間もないものですから、私の方から早速御質問させていただきますが、まず落合参考人にお伺いをしたいんです。 これは、一橋の松本恒雄先生が、この公益通報者制度のイメージについて、二つの側面があると。 一つは、告発イメージと言えるものですね。悪事についての、個人的法益はもとより国家的法益や社会的法益を守る立場からも、これを侵害する違法行為についての告発を奨励し、国民の知る権利にこたえ、透明性確保に努めることを目的とする、こういう告発イメージ。それと、通報イメージとして、本制度が外部への告発を奨励することが目的であってはならず、内部に問題があれば早い段階で経営トップによって是正措置が行われるよう、企業による自浄努力やコンプライアンス経営を奨励することが重要であって、本制度はそのためのインセンティブを与えようとするものであるべきである。こういう二側面があるということでございました。 これは、どちらがどちらということでもないんでしょうけれども、竹中大臣は後者のイメージが強い、こういう答弁もありました。先生はどういうふうにお考えでしょうか。
○落合参考人 御指摘のとおり、その二つの観点というものは、これは明確に区別できるというわけじゃなくて、重なる部分というのがこの公益通報者保護法案の中にもあると思います。 ただ、重点をどちらに考えるかということで、この点は実は国民生活審議会でも議論をいたしまして、国民の知る権利というものを中心に考えていこうとすると、なるべく情報が外部に出ていくということが好ましい、したがってそういう方向を促進するような内容にすべきであるという議論もございました。 これに対して、公益通報は、公益に資するということから、いわばそれを法的に保護していこうという根拠は公益に資するというところにあるんだ。そうだとすると、公益違反というようなことを出現させる企業の不祥事というものをいかなる方法で効果的に防止していくかという観点から見たときの一つの方策である。そうだとすると、企業が自主的な不祥事防止の取り組みをみずからするというのが、これが企業の不祥事防止のための一番のポイントであろう。 勉強しない子供に親が幾ら勉強しろと言っても、成績は上がらないわけであります。ただ、その子供が本当にやる気になって勉強すれば成績が上がるということになるので、それと同じように、企業の不祥事を一番効果的に防止する策としては、企業自身がみずからそういう対応をとっていくということをエンカレッジしていくということが全体として日本の企業不祥事防止に役立つというふうに思っております。 そうすると、そういう二つの観点がございますけれども、私の認識としては、むしろ企業の不祥事を一番防止するのは企業みずからが襟を正すことであり、しかも、不祥事防止のための内部統制を確立しようとすると、これはコストのかかることであります。そうすると、いいかげんで何もそういう配慮を全然していない企業というのは、いわばコストをかけないで、そういう意味での競争力というものを、優良な企業に対する競争力をそういう形で得ようという不届きな企業も出てくる可能性もあります。そうだとすると、内部統制をしっかりして不祥事を防止しよう、企業にそういうやる気を起こさせる、インセンティブを与えるような仕組みというものを考えていかなければいけないだろう。 私は、だから、現在出されております公益通報者保護法案というのは、むしろそういうインセンティブを与えるという方向に力点を置いた法案であろうというふうに思っております。 そして、我が国の法律を今まで見てみますと、余りそういうインセンティブというものを十分考慮して法律をつくったという例が、我が国の場合はある意味で非常に乏しいわけでありますけれども、しかし、人が行動するもとというのはインセンティブがあるかないかが非常に重要であるということになりますと、遵法行動を守らせよう、そういう気持ちを起こさせるような仕組みをインプットした法案あるいは法律というものも我が国は今後十分積極的につくり上げていくという必要があると考えておりまして、その意味で、この公益通報者保護法案というものは、そういうインセンティブに配慮した法律づくりの中の重要な第一歩になるのではないかなというふうに考えております。
○大口委員 それで、これはまた落合参考人に聞きたいんですが、阪口参考人が、あるいは田中参考人もおっしゃっておりましたが、この法律案でいきますと、外部通報について、今まで判例で守られていたものまで守られなくなる、あるいは保護の水準が下回る、こういう御主張でございました。落合参考人は判例研究されていると思いますが、その点、どうお考えでしょうか。
○落合参考人 私は、この法律が通りますと現在の公益通報の一般法による保護の水準が萎縮する、あるいは切り下げ効果が生ずるのではないかという見方があることは確かに承知しておりますのですけれども、本当にそういう効果になるのかどうか。私の理解では、同じような議論は実は消費者契約法あるいは製造物責任法においても展開されたわけで、こういう法律ができると一般法による保護というものが低下をしていくのではないかという指摘は、既に割とファミリアな反論の議論であります。 それらは結局どうなったかといいますと、消費者契約法につきましても、それから製造物責任法につきましても、一般保護水準というものが低下したという事実は私はないのではないかなというふうに思っておりまして、むしろ、この法案がねらっているような形で、非常に明確な基準でもって、しかもすべての組織、公的、私的、すべてを含めた組織、それから全分野をカバーして、そういう包括的で予測可能性のあるルールをつくって、その範囲内でまず明確な保護が図られる、それから漏れるものについては一般法によって保護していく、こういうプラスアルファをするものである。 この公益通報者保護法案というものはいわば現行法の保護にプラスアルファをするものであるという、この点は、従来の製造物責任法あるいは消費者契約法と同じ理解であって、従前の場合、製造物責任法、消費者契約法に見られたように、この法案が法律になった場合であっても、萎縮効果あるいは一般法による保護水準を低下させるということは考えにくいのではないかなというふうに思っております。
○大口委員 さらに落合参考人に聞きたいんですが、落合参考人、論文もいろいろここに書かれております。その中で、守秘義務についての部分があります。その中で、特に、公益通報として保護すべき利益と、事業者の正当なものとして保護されるべき利益の衝突の場面がある、こういう場合は比較考量をして考えていくことになる、こういう御意見でございました。 本法案の八条に、他人の正当な利益、公共の利益を害することがないように努めなきゃいけない、努めるという努力規定でございますけれども、その第八条との比較考量、守秘義務の関係についてお伺いしたいと思います。
○落合参考人 守秘義務と公益通報という問題は極めて難しい問題でありまして、いわば両者が衝突をするという可能性が出てまいります。そういう、公益通報したんだけれども、それは守秘義務に違反をしているというような場合を考えますと、守秘義務を優先すべきかそれとも公益通報の方を優先させるかという非常に困難な問題が出てまいります。 その点について、一般的な解釈指針を示すような規定を入れるということは、これは守秘義務も非常に多様な範囲が、いろんなタイプがございますし、それから公益通報の方もいろんなタイプがある。そういうことを考えますと、両者がバッティングをした場合に明確な線引きを可能とするようなルールというものを条文としてすべて盛り込むというのは、これは極めて困難なことであろう。 そうしますと、次善の策として、今委員御指摘がございました、条文によってその辺のところのいわば利益を考量して、もし公益通報を優先させることがより国民全体にとって利益になるということであればそちらを優先しますし、個人あるいは組織が持っている正当な利益を優先させる方がこの場合は妥当であるという場合はそちらを優先するという、ケース・バイ・ケースで判断をしていかなきゃいけない問題であろうと思います。 そういう意味では、余り明確な基準を定めた硬直的なルールをこの困難な問題に用意するよりは、御指摘のあったような条文を置くことによって、その基本的な精神をそこに体現させるという解決は、かなり私としてはリーズナブルな解決ではなかろうかというふうに思っております。
○大口委員 そうしますと、第八条というものが一つの指針になるということなんですか、もう一度確認いたします。
○落合参考人 そのとおりでございます。
○大口委員 ただ、この論文で、エンジンの欠陥によって多数の人身事故が発生する確率が極めて高い場合における事例を挙げておられます。この事例でいきますと、どうなんでしょう。
○落合参考人 私は、多数の生命に重大な被害というものが予想されるという場合は、やはり公益通報の方を守秘義務よりも優先させるという取り扱いが妥当なのではないかなというふうに思います。
○大口委員 それから、この十条、また十一条と、行政機関に対しての通報についての規定があるわけでございます。権限について非常にわかりにくい面がある、こういうようなこともあって、十一条に教示義務というのを規定しておるわけでございますが、落合参考人は、むしろ回付する義務を考えるべきではないかとこの論文で書いておられます。それは阪口参考人もそういうことをおっしゃっておりました。それについて落合参考人、どうでございましょうか。
○落合参考人 教示するというのも、間違った、権限がない行政機関に誤って通報してしまったといったときに、それをほったらかしにするというのは好ましくないわけでありまして、その通報を受けた行政機関が、適切な権限を有する行政機関はどこであるかということを教示してあげるというのは、これは最低限必要なことであり、妥当な定め方であろうというふうに思いますが、さらにもう一歩進めて考えますと、教示するだけじゃなくて、権限のある官庁の方に回してあげるというところまでの親切をすることはどうだろうか、そういうルートというものも十分検討に値をするというふうには考えております。 しかし、行政官庁、これはいろいろな種類、いろいろなタイプ、それから膨大な数が存在しております。そうしますと、それが、そのすべての案件について回付というような義務を課した場合に、本当に実務的にそれが十分さばけるということになるのかどうか。この点はちょっと、私は実務家ではないのでその辺のところはわかりませんけれども、そういう留保を付した上で、教示するよりも回付をしてあげた方がより親切であり、そういう方向も考えられるのではないかというふうにその論文では書いたわけであります。
○大口委員 次に、落合参考人と大村参考人にお伺いしたいんですが、一つは第九条の、事業者が是正措置をした場合にそれを通知するよう努めなければならないということで努力義務になっているんですが、これについては落合参考人は、義務化した方がいいんじゃないか、こういうことを論文で書いておられます。それについての落合参考人と大村参考人のお考えをまずお伺いしたいと思います。
○大村参考人 企業での現実の運用は、社員から内容のある公益通報もしくは相談があった場合に、必ず本人に回答します。これは各企業のコンプライアンスのコードにも書いてあるんです。問題は、この法律が、派遣事業者とか取引先とかだんだん対象が広がって、通知しようと思ったら相手が把握できないとか、報告しっ放しとかいろいろな、もしこれが全部正社員だけというんだったら問題ないと思いますけれども、対象が広がったために、このような努力義務という形にしたことは法律としては適切だと思いますし、その上で、企業としてはわかっている人には必ず通知する、そういうことだと思います。 以上、お答えします。
○落合参考人 私の考えとしては、企業がいかに真摯な対応をその通報というものに対してとるかということが、企業の不正あるいは不祥事防止のためのかなめになるところであろうというふうに思います。 そういう意味で、真剣な対応を企業が通報に対してとるということがあって初めて内部統制システムというものが円滑に作動する。そして、従業員の信頼というものもその内部統制システムについて生じてくる。これは通報する者にとっても利益でありますし、同時に企業にとっても利益であるという観点からいたしますと、単に努力義務というふうにとどめるというのは、いわば内部統制システムというものの重要性、しかもワークする内部統制システムというものを確立するという観点からいたしますと、努力しなさいというのではやや甘いのではないかなというのが私の個人的な見解であります。 ただ、この点は、そのような意見に対して、消費者あるいは事業者、いろいろな学識経験者その他が、この点を国民生活審議会においては議論したことがありませんので、一体どのようなそれに対する反応が出てくるかということは予測ができない状態にあるわけであります。 そういう意味では、国民生活審議会の消費者政策部会の報告で示したグランドデザインに合致した法案になっているかどうかという観点から見たときに、私が努力義務では足りないと個人的に言ったことが、その文脈の中でもし仮にこの点を議論してみたら果たして消費者政策部会における多数の見解になるかどうか、あるいは共通の見解というものになるかどうかは、これはわからない。そういう留保をつけました上で、私の個人的な見解としてはそのように考えているという次第であります。
○大口委員 十条で、行政機関の通知、通報者への措置について、「法令に基づく措置その他適当な措置をとらなければならない。」こうなっておるわけですけれども、行政機関はそういう措置をとらなきゃいけないということでございますので、その措置した結果の内容をやはり当該公益通報者に相当の期間内に通知するということも必要ではないかと思いますが、落合参考人、この点についてはどうでしょう。
○落合参考人 その点は御指摘のとおり、通知するのが好ましいことであります。 つまり、通報したことの結果が一体どうなったのかということは通報者が一番知りたいことでありますけれども、それが全くナシのつぶてであるというような状態は好ましくないというふうに考えておりまして、その意味では、一般的には、必ず真摯な対応をするということが必要であろうというふうに考えられますけれども、そうすると、行政機関一般にそういう対応義務を課すということになりますと、これは恐らくまたさらに議論が必要になってくる可能性はあります。 これは、先ほどお答えしたのと同じように、そういういろいろな問題点というものを十分検討していない、あるいは意見の分布状況がどうなっているかというあたりについての情報は持ち合わせていないという限定をつけた上で、私の個人的な見解としては、やはり通報があった者に対して何らかの情報を提供するということはやってしかるべきではないかなというふうに思っております。
○大口委員 それから、通報を受けた事業者や行政機関が通報者の個人情報を漏らすようなことがあってはならないと私は思うんですね。そういうことについて、大村参考人そして落合参考人、御見解をお願いします。
○大村参考人 通報者の情報を漏らさないということは、もう最低限、必ず、絶対守らなきゃいけないということは、これは各企業においても、コンプライアンス部門、経営は常識化しておりまして、そういうことについては、ぶれというのは一切ありません。 ただ、現場の悩みというのは、調査をする過程で推測がついてしまう、だれが通報したんだろうと。結局、その人の職場にいろいろ詳細を裏取りしますと、その情報を知っているのはその人しかいないはずだとか、複数、この人とこの人と挙がってしまうんですね。 したがって、こういう場合にはどうするかといいますと、通報があった話についてここまで調査をしている、本当の真相はわからないのでもう一歩踏み込みたい、そうするとあなたの名前が結果的にあぶり出されたり推測されてしまうかもしれないけれども、それでも調査をすべきだと思うがどうかということを、本人に確認しながら調査をする。そこまでの配慮は、企業はいたしております。 以上でございます。
○落合参考人 通報者の情報が漏れるというようなことがもしありますと、これは通報制度そのものに対する信頼を非常に害し、したがって、企業が不祥事防止のための確立すべきシステムにおいて重大な欠陥があるということになり、結局のところ企業も困る、つまり有益な情報が企業のしかるべきポジションに上がってこないという事態をみずから招くということですから、そういう結果をもたらすようなことは極力避けるというのが合理的な行動であるはずであると思います。しかし、企業と申しましてもいろいろな企業がございますから、そういう合理的な行動をとらない企業というものも考えられるわけであります。 そういう点からしますと、個人情報というものが通報制度というものを媒介にして拡散していくというようなことは、個人情報保護という観点から見ても問題であるし、公益通報という制度自体からも問題であるという、両方からこれは重大な問題になるというふうに考えておりまして、このところはしっかりとした、安心して通報ができるという体制をつくらなければ、結局、通報制度自体が信頼を失うということになろうかと思います。
○大口委員 次に、田中参考人と阪口参考人にお伺いします。 阪口参考人から、それこそアドバイスをずっと地道にやっておられて、大変御苦労されている。本当に、阪口参考人のようなそういう団体、支援組織というものが、この公益通報者保護制度の中で非常に大事な存在であると私は思うんです。 その阪口参考人から、今回の法案ではもうアドバイスをやめざるを得ない、こういうショッキングなお話をいただいて困ったなと思っておるわけでございますが、田中参考人に、日弁連として、こういう支援組織、弁護士のグループでやっておられる場合もあるし、いろいろNPOがやっておられることもあると思うんですが、そういう体制についてどういうふうにお考えになっているのか。それから、阪口参考人については、よりアドバイス機能が充実するためにはどういう施策を講ずればいいのか、そのことをお伺いしたいと思います。
○田中参考人 今の質問については、率直なところ、私の部署ではそれはまだ検討に上がっていないんです。 ただ、こういう法律ができて、そういう相談の必要性があるということであれば、各弁護士会に法律相談センター等もございますし、いろいろな弁護士の組織なんかもありますから、そういったところでの対応は、法律ができて、やはり通報者がどこにも相談に行くところがないと困るということになれば、弁護士会としては対応せざるを得ないということになりますが、ただ、この法律だとやはりちょっと使い勝手が悪いので、日弁連としては、今の段階では修正がなければ反対せざるを得ないという立場であります。
○阪口参考人 一つは、やはり条文の通報先がわからない。これは、例えば先ほど言いましたように、補助金、助成金なんかになったら、どこに行っていいのかわからないんですよ。例えば内閣府の中に総合的なアナウンス機関があればまだ別なんでしょうけれども、それも大変な話になるし。 だから、条文の形態としては、「権限のある行政機関」としないで「行政機関」というふうに広くしていただければ私どもも、気楽とは言いませんけれども、これはここに行ったらどうですかという勘で、今は大体そういうアドバイスをしているんですよ。我々もボランティアでやっていますから、さっき言ったように、本当の条文をずっと探っていったらやはり二時間、三時間かけないといかぬ。そんなことをボランティアでやっていることはできませんので、大体、勘で、今までの弁護士の経験で、ここはこうでしょう、ここへ行ってはどうでしょうかと。 例えば、権限がなくても、医療費の不正受給なんというのはよくありまして、医師会に行ってはどうですかとかいうのも、本人が行きたいというようなケースもあるんですね。もともとこれは権限ないんですけれども、これなんかもやはり外部通報になるわけですね。 だから、余り外部通報、全部が全部行っていいとは私も思いませんけれども、基本的には、やはり行政機関については、行政機関というふうに一般的にしていただければ我々も非常にやりやすい。 もう一つ、外部通報の議論の中で、いろいろな週刊誌だとか、全部が全部、私、行っていいとは思いませんけれども、それから2ちゃんねるとかいろいろなややこしいものがいっぱいありますけれども、ただ、私どもが書いたように、「外部通報に至った諸事情に相当性がある場合」と、条文を修正していただければ。例えば、行政に行ったけれども、結局行政も相手にしてくれなかった。具体的なケースで、ある県に助成金の不正受給で告発していたわけです。会社の方は探偵を雇って犯人を捜していた。でも、このままだとやられてしまうということで県に通報して、県の調査が一部入ろうとか、ちょっと入りかかったところなんですね。ところが、なかなか動かない。結局、我々のところに相談に来まして、慌てて通報して、二カ月半ぐらいたってからやっと、マスコミに取材をしていただいたんです、そしたら県も慌ててさっと動いて事なきを得たというようなケースも多々あるわけです。 そういう面では、行政に通報しているんだけれども行政が動かなかったとき、また動くのにそれはなかなか時間がかかりますけれども、そのときにはやはり外部通報の道を与えてくれないと、いや行政に行ったらもう永久に外へ行っちゃいけません、こう言われると、ではやみで行きなさいと。かえって情報がやみに行く可能性の方が私は高いと思います。 そういう面では、その条文の二カ所を修正していただければ、我々も元気を持ってやれるかなと。根本的には、法律の細かい、例えば犯罪事実をどうするかとかなんかはいろいろありますけれども、技術的なところでいえばその二点かなというふうに思います。
○大口委員 どうもありがとうございました。 時間が来ましたので、この辺で終わらせていただきます。ありがとうございました。
○山本委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。 きょうは、参考人の皆さんには大変お忙しいところをありがとうございます。 私は、順番に伺っていきたいと思うんですが、最初に大村参考人に伺います。 ヨーロッパの方では、今企業の社会的責任が非常に重視されてきていますね。コンプライアンス経営は当然のことと思うんですが、そしてヘルプラインなど内部処理も必要だと思うんです。ただ同時に、やはり外部通報にも道を開くということですね。ここには、やはり早く問題にすることが、結局、企業の社会的責任を果たしていく上でも、あるいは企業のコストを低減することにもつながっていくということが随分多いと思うんです。 私、若干、例を少し見てみますと、例えば茨城県のあのジェー・シー・オー事故ですね。先ほど風評のお話ありましたけれども、実はジェー・シー・オーというのは内部告発等でもっと早く防いでおれば企業は倒産していないんです。同時に、周辺の国民の皆さんが、農家の方は随分風評被害を受けました、ああいうこともなかったんですよ。 それから、三菱自動車のリコール隠しに端を発した、今経営上もなかなか危機にあると思いますが、一部の企業の内部で実は私は以前から聞いていたんですけれども、ユーザーがテストドライバー、こういう言葉がありました。それは、実は開発期間を最近うんと短縮してしまう、それから開発、設計等技術の部門にまで派遣労働の割合がどんどんふえてきて、技術の蓄積が弱くなっているんですね。そういう中で問題が出てきているんです。 ところが、一労働者が、犯罪につながる、つまり罰則に結びつくということを確信して告発をするとか、要件を厳しくしてしまうとなかなかそれはできないんですね。しかし、内部的には、既に御承知のように、三菱のリコールの問題などについては、トップの方たちはみんなわかっていたわけですね。あれが、トップがわかっておっても、現場の人が、どうも最近おかしいな、ユーザーはテストドライバーみたいなこんなやり方をしておったら大変だということで、内部告発を早くやっておればここまで来る前に問題の解決ができたんじゃないかと私は思うんですよ。その点では、京セラのソーラーカー研究への通産省補助金水増し請求による社会的不信を食らった事件とか、随分こういう事件がたくさんありました。ですから、内部告発があって是正措置を行うことによって、かなりこういう事態を食いとめることができたと思うんです。 私、こういう点で、内部処理で努力されるのは当然なんですが、同時に、外部通報にも道を開いて、やはり早く明らかにして早く是正する、そのことが社会にとっても企業にとっても大事なことだと思うんですが、これは大村参考人に伺いたいと思います。
○大村参考人 全くそのとおりだと私も思います。まず内部で問題を一刻も早く処理し、最も自助努力で問題を未然に防止する、そのためにこの公益通報保護法案ができると理解しております。 内部で通報しても上が取り上げないとか、それから、それに対して適切な対応をしないという企業に対しては、厳罰主義、こういう物の考え方で現在も世の中の動きは進捗していますし、この法律もその考え方と全く軌を一にしているというふうに理解しています。
○吉井委員 ただ、そのときに、内部の努力とともに、バリアを高くしないで、やはり外部への通報もきちんとできることによって早く対処できるようにする、それが大事だと思うんですよ。 今お話を伺っていて思ったんですが、真実のものもあれば誤解に基づくものも含めて、やはり企業としては、寄せられた情報のすべてというのは一つ一つが技術の発展に結びついていくものですから、やはりそれはプラスになるんだ、そういう積極的な受けとめ方をして対処していくということなしには、私は、企業が社会的責任を果たしたり、企業そのものの存立が危うくなるようなことを食いとめるということは、これはなかなか大変だというふうにお話を伺っておって思いました。 もう一つ大村参考人に伺っておきたいんですが、ですから、公益通報のような法律をつくるときも、そもそも国民の立場から見てどうか、ここが一番のポイントじゃないかと思うんです。企業のコンプライアンス経営の範囲内に内部告発を抑え込もうとしてしまう、やはりこれは根本が間違っているんじゃないかと思うんです。企業がみずから正すのは当然なんですが、それができないとき、今言った内部告発で早く問題を明らかにして解決する。それが結局、企業も社会的に高いコストを払ったり信頼を失うようなことを回避できるし、何よりも国民の安全や利益につながる、公正な経済社会をつくる。 こういう点で、やはり、この法律を考えるときの立脚点が、国民の立場に立って法律をつくる、これが根本だということをきちんと踏まえて臨むことが大事だと思うんですが、この点、もう一問伺っておきたいと思います。
○大村参考人 企業のコンプライアンス経営と国民の立場が矛盾するということは全くなく、むしろ重なる。企業も国民の一人であり、社会の一員であり、企業がきちんとコンプライアンス経営を図るということは、企業の社会的責任の基本的な考え方でございます。コンプライアンスに関しましてもその考え方で、究極的には、企業の財それからサービスを利用するユーザー、国民の立場、この立場でコンプライアンスということを徹底するということでございますので、その点に関しても我々は、企業の現場としても、日本経団連としても全く同感でございます。 その上で、申し上げているのは、公益通報制度というのは諸問題を解決する一つの補助的なツールであって、これが問題をすべて解決するということではないということでございます。基本的に、もし国民の信頼を裏切るような企業があれば、それは厳罰に処せられるべきであり、それが基本であります。 公益通報ということに関しましては、先ほども申し上げましたように、企業としては、まず、たとえ根拠のない通報でも積極的に取り上げ、全部聞く、こういう姿勢をとって運用しておりまして、その中で一部の真実でもきちんと対応しようと。こういう対応もできないような企業、これはやはり罰せられる、こういうのが今回の公益通報保護法案の考え方と理解しております。 以上でございます。
○吉井委員 コンプライアンスのことを随分言っておられるわけですが、だからこそ、内部告発をコンプライアンス経営の範囲内に抑え込むんじゃなくて、やはり外部通報のルートをきちんと開いて、それで本当に物事がきちんと進むように。そういう点では、今出されているこの法案の枠の中じゃなくて、いろいろ多くの方から欠陥が指摘されておりますから、もっと外部通報もできやすいような、本当の意味でのこの制度が生きてくるものにするという立場でお考えをいただかなきゃいけないんじゃないかと思います。 次に、田中参考人に伺います。 通報者保護の対象は、労働基準法第九条に規定する労働者で、公務員、派遣労働者、取引先の労働者、契約社員、パートも含まれ、その退職者も保護の対象になっておりますが、問題は、解雇の禁止ということ、それから、減給や通常労働者より悪い環境で働かせる、あるいは左遷など、不利益取り扱いを禁止するという、このことはやはり必要だと思うんですが、この法案は、もうこの法案だけで不利益取り扱い等の禁止が十分なものなのかどうかということが一つ。 もう一点伺っておきたいのは、原状回復の規定がなくて、通報者は不利益取り扱いについて裁判で争うしかない。通報内容によっては通報者が特定されるケースが多いという話がこれまでからも出ておりましたが、事実上の不利益取り扱いを許さないためには、事業者側に制裁措置なりあるいは立証責任を課すなどの措置を設けなければ実効性が出てこないのではないか、こういう問題もあろうかと思うんですが、田中参考人に伺っておきたいと思います。
○田中参考人 先生御指摘のとおりだと思います。 まず、不利益取り扱いの禁止を定めるだけで通報者保護は十分なのか、こういう御質問と理解しましたが、これに関しましては、不利益取り扱いの禁止、それから解雇等の無効、こういったことは当然必要です。ただ、それだけでは十分ではないということ。重大な問題が残っています。つまり、民事免責、それから刑事免責の問題です。 具体的に言いますと、労働者が公益通報をしたことによって、先ほどから風評被害等のお話も出ておりますが、労務提供先としては、企業としては、当然、労働者に対して、公益通報をしたことによって名誉、信用が毀損された、それで莫大な損害をこうむったということで、損害賠償請求をするということが考えられるんですね。これは民事責任の問題です。これは不利益取り扱いとはまた別の問題ですね。 そういうことを野放しにしておけば、結局、労働者としては、莫大な損害賠償請求をするぞというふうに企業におどされますと、実質的に公益通報できないということになります。そういうことで、そういう損害賠償責任から免れるということは法律で明記する必要があるんじゃないかというのが一つですね。 それから、刑事事件の問題になることもあります。例えば名誉毀損だとか信用毀損だとか、名誉毀損罪というのは、条文を見ていただいたらわかるんですが、本当のことを言っても名誉毀損罪が成立するんですね。公益性、公共の利害に関すること、それから真実相当性、この三つの要件を満たさないと名誉毀損罪が成立するんです、本当のことを言っても。ですから、名誉毀損罪で告訴するぞ、こういうことを言われる可能性もあるわけですね。ですから、要件を満たす公益通報については刑事免責もやはり法律に明記しないと、通報者としては安心して通報できないということになります。 そういう例として、正当な争議行為の刑事免責、民事免責を労働組合法一条二項とか八条とかに明記している立法例があるんですね。ですから、それと同様に、本法案でもこれを中に取り込むということが必要だと思います。 それから、原状回復の困難性なんですが、裁判をして解雇無効をかち取れば原状回復されるわけですが、やはりそこまで行くにはなかなか非常な苦労をするというふうに聞いていますし、私も同僚の弁護士からそういう経験を聞きます。我が国のように内部通報者に対するいろいろさまざまな不利益取り扱い、事実上、法律上のいろいろな、いじめみたいなことも含めてありますから、罰則を設けるのも一つの考え方だと思うんですね。ただ、構成要件はある程度その場合は明確にしないといけないという問題はあるかもしれません。 それから、立証責任の問題につきましては、これは労働弁護団などから常に言われていることでして、真実相当性だとか、それからいろいろな外部通報の手続要件ですね、こういったことについて労働者の方に立証責任を負わせると、結局裁判で負けてしまう、勝ったとしても物すごく労力と時間がかかる、ですから立証責任の転換の規定を入れるべきではないかというふうに意見を言われていまして、日弁連としても、かなり先の話になりますけれども、そういう修正もあればそれにこしたことはないというふうに思います。
○吉井委員 外国の例などでは、真実の内部告発であっても報復すること自体を犯罪ととらえてのものもありますし、どういうやり方がいいかというのは研究を要するところだと思うんですが、いずれにしても、原状回復される、それはきちんとされるということをどう実現していくかということなしには実効性というものはなかなか大変だなというふうに思うんです。 そこで、就業規則とか労働契約による守秘義務や公務員法による守秘義務規定と公益通報との関係ですね。これはやはり、そのことを考えたときもそうなんですが、法律に盛り込んでおく必要があるのではないかと思うんです。この点について田中参考人に伺いたいと思います。
○田中参考人 守秘義務の問題につきましては、この委員会でも審議がされていたと思うんですね。私の考えとしては、要件を満たす公益通報というのは、要するに公益に資することでありますので、当然、守秘義務違反に問われて例えば懲戒にされるとか、不利益な取り扱いをそれを理由にされるとか、損害賠償とか、そういうことになりますと結局のところそれは保護していないことになりますから、法案の中身にいろいろ問題ありますが、要するに、この保護法によって保護されるというふうにされる公益通報に関しては、就業規則や労働契約の守秘義務規定、それから公務員等の守秘義務規定、そういったものは適用されないということを明確にすべきではないかというふうに思うんです。そうしないと、通報者は、一方ではその規定に縛られているというふうに理解していますし、一方ではこの法律がありますから、ではどうしたらいいんだということになって迷うと思います。 ですから、要件を満たす公益通報については、やはりそういう義務から解放するんだということを法律上明記する必要があると思います。
○吉井委員 もう一問、田中参考人に伺っておきたいと思うんですが、内部通報者の中に、取引業者、下請業者などの役員が除外となっているんですが、しかし、構造的に見て、下請協力事業者、製造ラインに入っている請負業者というのは、結局、大企業の指揮監督下にあり、実質的に労働者と同じ立場に置かれているわけですね。雪印牛肉偽装事件でも告発したのは冷凍倉庫会社の社長であったとか、こういう事例を見たときに、下請協力事業者、取引業者の役員も保護対象にするのが当然ではないかというのが一つなんです。 もう一点。私、かつて「もんじゅ」事故のときに、大手の原発メーカーのその下請で、事故をやった温度計の細管をつくったのは大田区の零細業者ですが、このつくっている人が、これじゃ流力振動などで壊れやすいと。技術屋さんですからわかるわけですね。だけれども、それは結局無視して進んでしまって、「もんじゅ」のナトリウム漏えい火災事故を起こしたわけです。あのときに、もしこの方が、いや、企業にちゃんと言っていたんですが、聞かないからということで内部告発しておったら、もっと早くああいうことをなくせたかとも一面思うんですが、しかし逆に今度、企業に取引継続をやってもらえるかどうかわからないんですね。 だから、下請業者が企業活動を継続できるようにするという措置ももう一方ではないことには、役員の方が保護対象になるだけじゃなしに契約解除の禁止とか企業活動を継続できるようにすることなしには、なかなか、よく現場を知っている力のある企業家、中小企業の方、下請の方が内部告発ということまでは行かないんじゃないか。それをやっておればあんな事故は防げたのにと思うことがよくあるんですが、この二点について伺いたいと思うんです。
○田中参考人 公益通報者の対象の問題だと思うんですが、日弁連としても、取引事業者も含めて、それから役員も含めて対象にすべきだと。要するに、およそ、公益通報をすることによって、その企業から不利益取り扱い、不利益な事実上、法律上の扱いを受ける可能性のある者はすべて含めた方がいいんじゃないかというのが我々の考え方ですね。 契約自由の原則とかいろいろ原則論はあると思うんですが、やはり事は犯罪行為や国民の生命、身体に関することですから、それに経済的自由が優先するというのはちょっと、私の憲法の勉強ではそうではなかったような気がいたします。ですから、経済的自由といいましても、やはり公共の利益によって制約を受けるのは当然で、国民の生命、身体がそれより上位にあるということは当然のことだと思います。 それから、効果の問題は難しいというような理屈を審議会で聞いたことはあります。つまり、どうやって保護するのかという話ですよね。ただ、不当な理由によって取引継続を打ち切られるということはやはり事業者にとっては死活問題ですし、公益通報を理由とした継続的な契約の打ち切りは無効とするというような定め方は決して法技術的にも不可能ではないというふうに思います。ですから、先生がおっしゃったような観点を法律に盛り込むことは十分可能だと思います。 雪印食品の、あの水谷社長と私もお会いしましたけれども、やはり雪印から切られたと。それから、それにあわせて、結局業界ぐるみだから、業界全体で村八分みたいにしたんですね。それからさらに追い打ちをかけたのが、行政庁が営業停止処分にしたんですね。私は実は、こういうこと、つまり行政処分については、公益通報をした者に対してはある程度減免措置を考えてはどうかなと。 刑事処分についての減免に関して言うとちょっと司法取引みたいな話になってきて、なかなか日本の刑事法制との関係は検討を要するところですが、行政処分については、少なくともいいことをしたわけですから、それを理由に営業停止処分にするというのはちょっと酷なのではないかというふうに思います。
○吉井委員 次に、阪口参考人に伺いたいんですが、政府は、外部通報のハードルを高くしている理由として、通報の濫用を防ぐということがこの法律の説明なんですが、現実に、先ほどのお話を伺っておっても私もそう思うんですが、心理的抑制がかかっている中で内部告発の濫用などがあるのだろうかと思われるんですね。ですから、逆に言えば、労働者の側が濫用したというふうな例があればお聞かせいただきたい。あるのかどうかという、そこのところ、疑問に思っているんですが、どうでしょうか。
○阪口参考人 先ほど言った濫用というのは、やはり事実でないことを事実だと言って風評をまき散らすとか、そして、事実が小さいにもかかわらず大きく報道するとか、そういうケースが濫用だと思うんですね。少なくとも、私どもが聞いている範囲内では、その事実は一体どういう事実なんですかと全部聞くわけです、弁護士の方が。そうすると、百万や二百万の横領の金をマスコミに報道してくださいと言っても、濫用と私は思いませんけれども、あなた、これはマスコミが扱いませんよ、こういうアドバイスをします。 しかし、その百万、二百万の金でも、仮に国の金を、例えば助成金を不正受給していた、こうなれば、それは今回の法律の対象外の問題になりますけれども、まあ刑法違反になれば別ですけれども、そういうようなケースであれば、これは結構、行政機関に通報していただければ、それはそれで是正される。それはそれだけ、百万、二百万、また何千万の金が助かる、何億のケースもありました。そういうようなものを、やはり助かるわけですから、ハードルは極めて緩くしていただいた方がいいだろう。 濫用されているケースというのは、私は、少なくても私どもが見て、この人は相当企業に対して恨みつらみを持っているなというのはよくわかりますよ。だけれども、話をしていて、あなた、そんなものは通報しても社会も相手にしませんよ、こう言ってあげるとその人は引き下がるわけです。 だから、ハードルを高くしたからといって、それがストレートにマスコミに流れるとか、社会に流れるとか、日本の社会は、それは変な人もいますけれども、必ずしもそれで社会が、仮に間違ったことを通報して社会が被害を受けるというケースはほとんど少ない。むしろ逆に、こういう公益通報を、外部通報を極端に制限することによって本当の通報が萎縮する、その効果の方が大きいという私の印象です。
○吉井委員 次に、阪口参考人の資料を見ておりましても奈良地裁の判決が紹介されていますが、法案ではこの判例の水準より下回ってくると思われるんですが、外部通報をする場合の要件を厳しくすることで判例の水準はどうなっていくんだろうかなという点の疑問も持っていまして、奈良地裁判決なども含めて、この点、もう少し詳しくお聞かせいただきたいなと思うんですが。
○阪口参考人 奈良地裁の事件というのは、生駒市という奈良の自治体があるんですけれども、そこから家庭用のごみの収集を請け負っている業者、約五億円ぐらいで請け負っているわけです。家庭用のごみから収集して、そして焼却場に入れたら、これは無料なんです。ところが、その中に、要するに産業廃棄物だとか事業用のごみも混入させて入れていたわけですね。それはかなり何年も恐らく続いていたんだろうと思いますけれども、最終的には、その労働者の人は、生駒市議会に行ってそれを通報、市議会の議長に言っているわけです。同時に、その後すぐ記者会見をしたわけです。それで、そういう秘密を漏らしたとか就業規則違反ということで解雇された。 これに対する裁判所の判決は、確かに、市議会の議長などに言ったこととか、そして記者会見まで至ったのは軽率な面がある、なぜ事業内部でやらなかったんだ、こういうことだと思うんですね。しかし、もともと、五億円で請け負っておって、混入する方が違法じゃないでしょうか。そのことを問わないで労働者だけに責めを負わせるとすればこれはおかしい、こうなったわけです。 今回の法律ができますと、まず労働者、あなたはなぜ内部に行かなかったんですか、あの要件イロハニホを全部検討するわけです。恐らく私の思うところ、この法律を適用すると労働者を保護しないということになります。ではなぜ彼らが記者会見に行ったのかとか、なぜ市議会の議長に言ったのかという事情がよくわかりませんけれども、今だと簡単に却下なんですね、はい棄却と。 そうではなくて、先ほど言ったように、外部通報に至る事情に相当な理由があると、裁判所はそれを見たんだと思うんですね、外部通報に至ったときにそれなりの理由があったんだと。その条文を入れてくだされば、恐らく奈良地裁の判決と同じレベルの法案ができるわけです。わずか一行なんですね。そう入れていただければ、恐らく奈良地裁の裁判所の基準と同レベルの議論ができる。 いや、これは一般法があるから大丈夫なんだというふうにおっしゃっています。だけれども、先ほど田中弁護士がおっしゃったように、じゃ、日本の公益通報についてはダブルスタンダードができちゃうわけですよ、この法律で保護するものと一般法で保護するもの。恐らく裁判官の意識というのは、一定のこれだけ体系立った法律ができたらダブルスタンダードは認めないのではないか、こう思うわけですね。そうなると、少なくとも、ダブルスタンダードじゃなくてこの本法における保護に限っていくというのは、これは裁判官の心理としてそうなると思います。 私ども弁護士がこれからアドバイスするときも、あなたはこの要件がありますか、ありますか、ありますか、全部聞きます。ないんだったら、やはり外部はやめなさい、企業に行きなさい。いや企業なんか行ってもろくに相手にしてくれませんわ、これはもうそのとおりなんですね。同時に、行政に行きなさい。でも、行政に大体皆さん通報していますよ。通報して、仕方ないから我々のところに来ているんです。それをもう一回行政に返しても、結局その人は外部に行かないわけです。そんなものがどこへ行くかといったら、やはりアングラマネーの、アングラの方へ行っちゃうんですね。むしろオープンにさせていった方が企業も恐喝されないでかえって助かる面がある。 そういう意味では、もっと外部通報は一定の理由をつけて、全部を無条件にせよとは私は思いませんけれども、そうした方が、企業にとっても行政にとっても、そして長い目で見れば国民のためにプラスになる。それは企業のコンプライアンスを進める立場だと私は思います。
○吉井委員 もう一問、阪口参考人に伺いたいんですが、通報対象事実について、政府は別表に掲げるものとして四百八十九本に絞ろうとしているんですが、これでは内部告発の実効性を失わせると思うんです。そこで、支援センターの方で、別表以外に相談を受けておられるものがあればお聞かせいただければと思います。時間が来たようですので、これを最後の質問にしたいと思います。
○阪口参考人 犯罪事実の、別表ということになると、今七つの法律ですから、七つ以外の法律が適用されない。一番私どもに多いのは、やはり税金のむだ遣いです。それは違法な出費ということでやっているケースもあるし、言うなれば税金の垂れ流しをしている。 例えば、今現実に相談に乗っているケースは、ある独立行政庁の理事長が海外に出張を年何回もしている。そのことを週刊誌に告発した。一回行くたびに二百七十万円ぐらい、ファーストクラスで行く、こういうようなことを告発したそうなんですね。それに対して、その従業員に対しては退職金をカットした、こういうような事例なんですけれども、これなんかは犯罪事実じゃないんですね。要するに、高い金で海外旅行、むだな金を費消しているじゃないですか。背任罪というふうにはならないと思うんですね。 そういうようなケースとか、やはり税金のむだ遣い、垂れ流し、それから助成金の不正受給。助成金の不正受給であれば確かにこれは詐欺罪で通報対象事実になるんですけれども、そうでないのは、微妙なところはいっぱいあります。裏金の問題なんかは、犯罪なのか犯罪でないのかわからないです。今回の北海道県警の事件なんかも、あれは別にだれも詐欺罪で起訴されていないですよね。あれも犯罪かといったら、本人たちは余り犯意がないんじゃないかという感じがするんですね。そういうようなものまで、だけれどもやはり違法、不当出費、税金のむだ遣いなんです。 そういう面では、今回の法律は確かに全部入れるというのは難しいと思いますけれども、税金のむだ遣いに関する法律はやはりぜひつくっていただきたい。私どもはその相談が大変なんですね。非常に通報が多いので、そういう法律もぜひ、別途つくるのか今回入れるのかはともかくとして、つくっていただきたいと思います。
○吉井委員 時間が参りましたので、質問を終わります。どうもありがとうございました。
○山本委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。 この際、一言ごあいさつを申し上げます。 長時間にわたりまして、参考人の皆さん方には貴重な御意見をちょうだいいたしました。まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼申し上げたいと思います。 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時四十九分休憩 ————◇————— 午後一時一分開議
○山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 午前に引き続き、内閣提出、公益通報者保護法案を議題といたします。 この際、お諮りいたします。 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府国民生活局長永谷安賢君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山内おさむ君。
○山内委員 民主党の山内おさむでございます。 先週に引き続きまして質疑に立たせていただきました。その際の宿題がございますので、まずそれから解決をさせていただきたいと思います。 親会社の一〇〇%子会社の従業員が、親会社の、私たちで言う実質的な法益侵害行為を子会社の役員に通報した場合には、どういう擬律になるんでしょうか。
○永谷政府参考人 先生お尋ねの、子会社の従業員が親会社の法令違反行為を子会社に通報する場合であります。 この場合の通報は、これはそもそも従業員が雇用元であります子会社への業務報告としてなされる正当な行為であります。したがいまして、これを理由とした不利益取り扱いというのは許されないということでありまして、そのような場合をこの法案で保護の対象とするまでもないということであります。
○山内委員 だとすると、子会社は、親会社から契約関係の解消をされたとしても、子会社は子会社の従業員について不利益取り扱いは絶対に許されないということになりますね。
○永谷政府参考人 そのとおりでございます。
○山内委員 それでは、子会社の従業員が子会社の実質的違反を親会社に通報した場合の擬律はどうなりますか。
○永谷政府参考人 子会社で行われた法令違反を親会社に通報する場合であります。 この法案では、まさに、法令違反を直接調査、是正し得るのは、その違反行為をやっております事業者であるという考え方から、子会社への通報を内部通報というふうに位置づけております。したがいまして、今お尋ねのありました親会社への通報というのは、私どもの法案で言う外部通報に当たります。外部通報の要件を満たせば保護の対象になるということであります。 ただ、前回の御質問でも議員もおっしゃっていましたように、一〇〇%の子会社という言い方をされていました。一〇〇%の子会社という実体がどうであるかというのはなかなか今この時点ではよくわからないんですけれども、全くのペーパーカンパニーで、形式的には別会社になっているとはいえ、役員が同一人物であって従業員も同一というような場合などには、まさにその親子の関係というのが実質的に一体とみなし得る場合というふうに解釈できますので、そういう場合の親会社への通報というのは、内部通報として保護の対象となり得る場合もあるのではないかというふうに考えております。
○山内委員 つまり、外部通報の要件に当たらなければ、今の場合には保護されない可能性があると。しかし、実際上の会社の支配、被支配の関係が明らかになって、親会社と子会社が一体のものであるとみなし得るならば、それは内部通報として普通の保護の対象になるということですね。
○永谷政府参考人 おっしゃるとおりであります。
○山内委員 そうすると、実体を見なくてはいけないという要件がまた付加されて、その要件の主張立証責任は通報した側にあるということになるんでしょうか。
○永谷政府参考人 これはもう釈迦に説法でありますけれども、民事訴訟の原則で、権利というのはみずからそれを主張するサイドが立証するというのが原則でありますので、おっしゃるとおり、これは単なる一般人ではなくて従業員でありますので、そこの親子の関係が実体としてどうなっているかというのは、それを主張する者が立証するというのはさほど困難は伴わないのではないかというふうに思います。
○山内委員 それと、実体を重視する立場からするならば、親会社が子会社の株を五一%以上持っていればいい。もっと言えば一〇%、二〇%でも、子会社を実質的に支配できる関係があるならば同一視できる場合があって、それは内部告発として保護される場合が広がってくるんじゃないかと理解してよろしいでしょうか。
○永谷政府参考人 ケースによってはそういう場合もあろうかと思います。
○山内委員 もしケースによって、広く、それは外部通報じゃなくて内部通報だよと認められる場合がふえてくるとすれば、今の場合は子会社の従業員ということで聞いておりますけれども、こういう理念は下請事業者についても考えられるんじゃないでしょうか。 つまり、午前中の参考人質疑を見ていましても、下請事業者について行政処分がなされる、営業停止がある、それから例えば西宮冷蔵でいうと倉庫業法で刑事制裁も受けたんじゃないかと思うんですが、そういう子会社の従業員についてはできるだけ救っていこうという理念。つまり、もともと公益通報については、この法案を通じて世間に理解を求めていこう、内部告発をする人にためらいを生じさせないようにしよう、そういう思いがこの法案に盛り込まれているわけですから。そうすると、そういう理念は、子会社の下請、いわば孫請、そういうところにまでそういう厳しい制裁を科してはいけない、あるいは、損害賠償を起こして実際にそういう下請業者の動きを封じていく、そういうようなことにならないように、この法律の中にも下請の業者についても保護する規定を設けておく必要があるんじゃないでしょうか。
○永谷政府参考人 この法案では、事業者と労働者の間の雇用労働契約を守るという趣旨でございます。再三申し上げていますように、下請の契約関係とか何かを守るというのは、前から申し上げていますけれども、事業者間の取引関係というものを保護しなければならないですので、そこは、契約自由の原則からいえば、多分無理ではないかということであります。
○山内委員 契約自由の原則ということを根拠にすれば、例えばこの政府案で言う政令で通報対象事実に該当する法律として挙げられているものの素案を読ませていただきましたけれども、これは、契約自由の原則と全く相入れないものはこの四百九十ぐらいの法案にはない、すべてそういう問題、論点についてはクリアされているものが法案として政令事項に書き落としてあるということでよろしいでしょうか。
○永谷政府参考人 今、山内先生、四百八十九本のリストみたいなことをおっしゃっておりますけれども、確かにこの法案の検討過程ではそういうものも内部のメモとしておつくりしたことはありますけれども、それでもって政府として通報の対象法令の範囲はこれですよというふうに意思決定したということはございません。
○山内委員 そうすると、どういう基準で今後選定されていくつもりなんでしょうか。
○永谷政府参考人 この法令の中に国民の生命、身体、財産にかかわる法令ということを書いた上で、生命、身体でありますとか、あるいは消費者利益でありますとか、環境でありますとか、そういう分野を例示しております。それと同時に、刑法以下七つの法令プラス政令で定める法令という書き方で対象法令を規定させていただいております。 したがいまして、四百云々という御議論をされましたけれども、今日本全体で法令というのは千八百本強あります。それを一本一本精査した上で、国民の生命、身体、財産にどれくらいの影響を及ぼすか、被害があったときにどれくらいの影響が及ぶのかというのを一つのメルクマールにして、どういうものを対象として載せるかというのを精査していきたいというふうに思っております。
○山内委員 それは時期的にはいつごろになるんですか。
○永谷政府参考人 法律を成立させていただきましたら、十六年度中には政令を定めたいというふうに思っております。
○山内委員 それでは、相談事例の中で目についた点について、若干具体的に聞いていきます。 例えば、賃金不払いやサービス残業の事実を通報した際には保護されますか。
○永谷政府参考人 お尋ねの賃金不払いそれからサービス残業の問題でありますけれども、これは双方とも労働基準法違反というものであります。したがいまして、労働基準法を対象法令に含めれば、当然のことながら通報の対象になるということであります。労働基準法をどうするかということについては、当然のことながら、国会での御議論等も踏まえてこれから検討していきたいというふうに思っております。
○山内委員 労働基準法についても国会の議論を経ないと書き込めないというのは、何か不思議な話を聞いているんですけれども、そんなに検討しなければいけない法案なんですか。
○永谷政府参考人 それは、事務方として、こういうのは対象に入ってくるんだろうなみたいなある程度の仕分けはもちろんあるんですけれども、最終的にどういうふうに決めていくかというのは、一本ずつ精査していきたいというふうに思っております。
○山内委員 性的な嫌がらせを通報した際には保護はされますか。
○永谷政府参考人 これは職場におけるセクシュアルハラスメントの問題でありますけれども、御案内のとおり、男女雇用機会均等法で、事業者の雇用管理上の配慮事項という位置づけで規定されております。男女雇用機会均等法では刑罰規定が設けられておりませんので、男女雇用機会均等法違反は公益通報の対象にはならないということであります。ただ、そのセクハラ行為が刑法で言うような公然わいせつ罪に当たってくるというようなことであれば、当然対象になり得るということであります。
○山内委員 今のお話で、それでは、経理上の不正や脱税の事実を通報したときにはどうなんでしょうか。
○永谷政府参考人 まず、不正経理の問題でありますけれども、これも、不正経理といってもいろいろなケースがあり得るんだろうと思います。例えばでありますけれども、仮にその不正経理が証券取引法違反というようなことに該当するようなケースであれば、これは御案内のとおり、証券取引法というのは対象法令に今含めておりますので、当然のことながら入ってくるということであります。 それから、脱税のお話をされました。脱税がこの通報範囲に入ってくるかどうかということでありますけれども、とりあえずは私どもの仕切りとして、人の生命、身体、財産を直接的に縛っている法令ということを対象にするということで線を引いておりまして、税法については対象外に考えております。
○山内委員 しかし、今この社会で、公務員犯罪とか、あるいは払うべきお金を払っていない、それは税金とか年金とかですね、そういう問題について国民の怒りが物すごく強い時代に、脱税というのは所得税法違反で刑事罰もあるわけですから、それを対象外にするということは問題じゃないんでしょうか。
○永谷政府参考人 今も申し上げましたように、この公益通報者保護法案でありますけれども、食品の偽装表示の問題でありますとか近年のまさに企業不祥事の発生状況、それから国民生活審議会での御議論を踏まえて、国民生活の安全、安心に資する観点から、国民の生命、身体、財産等の利益の保護にかかわる法令違反を対象とするというふうに決めたところであります。 したがいまして、国民の生命、身体、財産等の利益の保護にかかわる法令違反ということからすれば、おっしゃっております税法違反、それが物すごく重大な問題であるということ、そういうことにつきましては私も否定するものではありませんけれども、そこは、この法令の対象外ということで線引きをしたということであります。
○山内委員 それでは、看護師さんが医師の医療過誤を通報した際には保護されますか。
○永谷政府参考人 医療過誤の問題でありますけれども、これは、刑法上の業務上過失致死傷罪に当たる場合というふうに考えられます。したがいまして、刑法というのは対象法令に入っておりますので、今先生が御指摘いただきましたその行為につきましても、その通報対象事実に当たるというふうに考えております。
○山内委員 公共事業における談合を通報した際には保護されますか。
○永谷政府参考人 公共事業の談合の問題でございますけれども、これは独占禁止法違反に該当いたします。これも、独占禁止法を対象法令に含めるかどうかということになってくるわけでありまして、国会での御議論等を踏まえてよく検討していきたいというふうに思っております。
○山内委員 病院や福祉施設での虐待の事実を職員が通報することは保護されますか。
○永谷政府参考人 保護されます。
○山内委員 この問題も社会問題となっているぐらい今大事な論点になっているんですが、福祉や医療現場での虐待の事実について告発をしても不利益な扱いを受けない、そういうことをしっかりと政府として広報することは考えてもらえますか。
○伊藤副大臣 どのような事案が本法案の保護の対象になるかについては積極的に周知を図っていかなければいけない、そのように考えております。 通常の広報活動のほかに、御指摘のような事例につきましては、これは業種特有の問題でありますので、それに応じたきめ細かな対応、例えば業種別のPR誌でありますとか、業種別に説明会を開くなど、きめ細かな対応をしていきたいというふうに考えているところでございます。
○山内委員 政府案では、労働者や公務員が労務提供先から不利益な取り扱いを受けることを禁止しております。したがって、通報を契機として不利益な配置転換をされることは禁止されるのでしょうが、不利益にならない配置転換は禁止されないということになります。 本人の意思に反するけれども、減給や降格に当たらない配置転換なら会社の業務命令が認められることになるとするならば、やはり労働者の保護とは言えないと考えるのですが、御意見を伺いたいと思います。
○永谷政府参考人 直接的に不利益にならない配置転換が通報を契機としてなされた場合でありますけれども、その配置転換自体が不合理でないということであれば、この法案で言う不利益取り扱いに該当しません。それと、その本人の意思に反した異動の場合でも、同様に考え得るということであります。
○山内委員 私も非常に微妙なことを聞いていると思うんですけれども、通報した労働者が自主的に退社した形にして、実際は退職を強要するという事例が十分に想定できると思うんです。このような場合に、退職した労働者を保護する手だては何かあるのでしょうか。
○永谷政府参考人 通報を契機として、当該通報した従業員に自主的に退社を促すというような扱いがなされた場合でありますけれども、これは、当然のことながら、この法案の対象になります。 今先生がおっしゃいましたような、何らかのそういうものを防止する手だてが必要ではないかという御質問がございましたけれども、今申し上げましたように、まさにこの法案で対象にするわけでありますので、まさにこの法案でそういうような不利益な取り扱いが起こることを防ぐものになっていると考えております。
○山内委員 労働者が、通報当時に解雇や不利益な取り扱いを受けなくても、何年かたってから解雇されたり不利益な取り扱いを受けるということも十分にあり得ると思うんですが、このような場合にはどう考えていますか。
○永谷政府参考人 通報と当該解雇との間に因果関係があるというふうに認められる場合であれば、その間の期間がどれくらいあるかということにかかわらず、保護の対象になるというふうに考えております。
○山内委員 その因果関係のことも、また当然、主張立証責任が労働者にあるとすると、やはり随分、保護の内容としては不十分なものがあるんじゃないかなという気がしております。 それでは、その不利益な取り扱いの中で、午前中の参考人質疑でも出ていたんですが、損害賠償請求を通報者に提起するということによって、例えば、ある会社でそういう事例があって、損害賠償請求訴訟が通報者に、例えば何億円の裁判が起こされたというようなニュースが出るだけでも萎縮効果を生むと私は思うんですが、損害賠償請求も不利益取り扱いとして許さないというような書き方はできなかったんでしょうか。
○永谷政府参考人 この法案におきます公益通報の対象は、犯罪行為でありますとか法令違反行為という反社会的な行為でございます。したがいまして、通常、この法案で定める要件を満たす公益通報をしたことで、その損害賠償責任を問われるということはないというふうに思っております。 ただ、そういう場合でも、例えばその通報の際に窃盗罪などの他の犯罪行為を犯した場合、あるいは不正の目的で通報を行ったというような場合には、その通報者に損害賠償責任が発生するということが考えられますけれども、この公益通報者保護法、本制度においてそこを一律に免責するというのは適当ではないんじゃないかというふうに考えております。
○山内委員 しかし、公益通報として保護されるような通報を行った場合には、そういう損害賠償責任の違法性の部分というのは免除というか阻却されると考えていいんじゃないんですか。
○永谷政府参考人 今、山内先生おっしゃいましたことも、基本的にはそういう部分が確かにあろうと思いますけれども、ただ、いずれにしても、その通報に際して、ほかの犯罪を犯しているとか、あるいは不正の目的で通報して、それが原因で企業がつぶれちゃったというようなケースについては、そこの損害賠償責任まで一律に免除するというのは、それはやはり行き過ぎではないかというふうに思います。
○山内委員 ただ、せっかく不利益取り扱い禁止という条項があるわけですから、一方では公益通報としては行ってくださいという法案の仕組みですので、一番、通報者にとって、会社が不渡りを出すまでの通報をしようかどうかと悩む者にとっては、自分の職がどうなるかということも大問題でしょうけれども、やはり、会社から後で何かお礼参りが来るんじゃないかなと思ってちゅうちょするという人も結構多いと思うんですよね。だから、もう少し、損害賠償請求についてももっと議論すべき問題だと私は思っています。 それから、事業者内部へ通報する場合に、誠実性の要件として、主な目的が個人的な利益を図ることであっては保護としないというふうになっていますが、通報によって、通報事実にかかわる職場内のほかの職員が退職、減給、降格し、通報者がかわりに出世するというようなこともあると思うんです。いわばライバルをけ落とすような場合、こういうようなことを意図して通報した場合は保護されますか。
○永谷政府参考人 御指摘のございました、ライバル社員に対して不利益をもたらすことを意図した通報というのは、これは「他人に損害を加える目的」に含まれますので、公益通報には当たりません。
○山内委員 それから、外部へ通報しても保護されるためには、誠実性に加えて真実相当性がなければ認められないことになっています。真実と判断するに当たる相当性は、だれが、どのような基準で判断するということになるんでしょうか。
○永谷政府参考人 真実相当性の判断でございますけれども、これは通報時点では通報者がみずから判断するということであります。ただ、最終的にそれが係争になっていけば、裁判所で判断するということになります。
○山内委員 まず第一義的には通報者に真実相当性についての判断権限があるということですが、それでは、事業者の外部への通報先として、行政機関あるいはマスメディア、これは当然含まれると思うんですが、インターネットあるいはメーリングリストで公表するのは外部通報先に当たるのでしょうか。
○永谷政府参考人 この法案での公益通報でありますけれども、まず、匿名の通報では本制度の保護の対象にはなりません。それから、単なる憶測とかあるいは伝聞に基づく事業者外部への通報というのも本制度の保護要件を満たさないということであります。 したがいまして、今先生が御指摘されましたインターネットでの告発等でございますけれども、これは往々にして匿名で行われたり、あるいは単なる憶測とか伝聞に基づいて行われたりするというのが普通だろうというふうに考えておりまして、一般的に申し上げれば、ネット上での一方的な書き込みというのは保護の対象にはならないというふうに考えております。 ただ、そういう場合でも、例えば会員向けの商品販売をネット上でやるというような場合に、事業者内部の従業員が商品の危険情報を会員だけが閲覧できるような掲示板に書き込む、あるいはメーリングリストを利用して会員だけにメールを送るというような場合には本制度の保護の対象になり得る場合もあるということであります。 個々の事案に応じて判断がなされていくというふうに考えております。
○山内委員 個々の事案について判断をするというと、どういう場合に保護されるのだろうかと通報者としては心配する人もいると思うんですが、外部通報先を、ここと、ここと、ここですというふうに規定することは考えているのですか。また、規定することによる反対の狭隘さみたいになるんじゃないかというような論点についてはどう考えていますか。
○永谷政府参考人 法文上は、外部通報先ということで、「その者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生若しくはこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者」というふうに書いております。 それは具体的に何を意味するのかということでございますけれども、例えば、有害な違法物質を含んだ食品が販売されているような場合には、その購入者に対して通報するということ、その購入者というのも外部通報先になりますし、それから、有害な公害物質が排出されている場合の周辺住民などの被害者というのも外部通報先になります。それから、そういうものの以外には、例えば消費者団体でありますとか報道機関でありますとか政党でありますとか国会議員でありますとか、そういうようなところがここに入ってき得るということであります。 そのために、すべての外部通報先を具体的に示すというのは、これは困難だろうと思いますので、ガイドラインに通報先の例という形でお示しするなどの形で、どのような者が外部通報先に当たり得るのかということについて周知するようにしていきたいと思っております。
○山内委員 弁護士に通報をするということについてはどう考えていますか。
○永谷政府参考人 今おっしゃった、弁護士さんに対して通報するということでありますけれども、それは恐らく事前相談に該当するということで、通報ではないというふうに思っております。
○山内委員 そうすると、困り事相談とか法律相談というたぐいのことであって、弁護士に通報したということをとらえて外部通報があったということを主張することはさせないということですね。
○永谷政府参考人 弁護士さんの場合には弁護士法で守秘義務等が課せられておりまして、それが外に漏れていくとかそういうようなことは考えられませんので、まさにおっしゃるとおりであります。
○山内委員 それから、内部通報を受けて会社側が調査を開始する、そういう通知をするまでの日数が二十日間ということが法案で書いてありますけれども、これは、二十日という根拠をまず示してください。
○永谷政府参考人 他にこういう場合にどれくらいの期間を置いているかというのを類例を調べてみました。そこで二十日というふうに定めている類例があったというのが一つの根拠であります。 それから、さらに申し上げれば、この二十日間の起算点となる到達主義であります。非常に細かい話をすれば、例えば週末に会社に郵送で届けられたというようなケースにつきましては、土日がつぶれ、それから中での稟議とか決裁とかいうような話があるのでありましょうし、そういう意味でいえば、これはもう先生御案内のとおり、当初二週間というふうな案も骨子の段階では考えていたんですけれども、その後のパブリックコメントで、今申し上げましたような、週末で云々かんぬんというような事情を考慮したら二週間では短過ぎるという指摘がございまして、そういうものを総合的に勘案して、二十日間というふうに規定させていただいたということであります。
○山内委員 しかし、私たち民主党の案のように実質的な法益侵害ということではなくて、生命、身体に当たる刑事事件に該当性の場合にしかこの法案で保護しないということにしているわけですから、そうすると、つまり、刑事罰に触れる犯罪行為が行われたり、行われようとしているわけなんですよね、それを二十日間も余裕を与えるということは、与え過ぎじゃないんですか。
○永谷政府参考人 確かに、おっしゃるとおり、生命、身体にかかわるようなケースもあれば、あるいは財産にかかわるような場合もありますので……(山内委員「財産ですか」と呼ぶ)ええ。通報ですけれども、その場合も含めて、一応、最低のラインということで二十日というふうに決めさせていただいているということであります。
○山内委員 例えば、裁判で一審判決が出て、それが、例えば公害事件だとか医療紛争だとか、とにかく物すごく専門的な裁判で、一審で出た判決についてどう高等裁判所で闘っていこうか、闘って勝てるものかどうか、そういうのを判断するのにも、たった二週間しか法律は考えていないわけです。だから、時間が短いと十分な判断もできないということではなくて、短くても仕事ができる人はできる。 つまり、よく言うんじゃないでしょうか、仕事というのは忙しくやっている人に頼めと。私はずっと暇ですという人に頼んだら、またいつ仕事の結果が出てくるかわからないということを例えでよく、本当に忙しくやっている人の方に頼んだ方がいいということを言いますが、やっぱり、そういう裁判で、それは金銭的にあるいは控訴しても負けるかもしれない、勝つかもしれない、だけれども、そういう財産的にてん補される場合と違って、この法律で考えているのは、まさに今ここでお母さんや子供が死んだり瀕死の重傷を負ったりする、そういうのを意を決して通報した。そういう場合に、裁判の控訴や上告をする期間よりも長くとっておくという必要はないんじゃないですか。
○永谷政府参考人 通報をするサイドからは今先生がおっしゃったような御議論というのも成り立ち得るんだろうと思いますけれども、通報を受けた事業者としてそういう通報があったときにどう行動するかというのを考えてみますと、やはり当該通報が、本当にそういうことがあるのかどうかというのを、それなりのチェックをしなきゃいけないということだろうと思います。 それは、案件によっては、そういうのがあるというのがぱっとわかっているというようなケースも場合によってはあり得るんだろうと思います。ただ、そういうケースはもちろんあるにしても、本当にそういう通報をされたことが事実であるのかどうかというのを事業者としては一応チェックする。そういう通報が到達してからそれをチェックして、あ、これはそういう事実がどうもありそうだということを一応確定しなきゃいけないですから、そこは、パブリックコメント等の議論を踏まえると二十日が妥当であるというような御意見であった、そこをそういう形で採用させていただいたということであります。
○山内委員 それじゃ、内部通報を受けた事業者が是正措置報告することは義務規定としたらどうですか。
○永谷政府参考人 現在は、御案内のとおり努力義務にしているということであります。 ここはまさに、事業者がどういう是正措置を講じたかということについて、それを通報者に通知するように努めるべきことは当然のことであります。 ただ、一方では、この法案というのは、個人事業者とか非営利団体を含めてあらゆる事業者を対象にしているということでありまして、小規模な事業者の場合等には、すべての通報者に通知することが困難というようなことも考えられますので、一律に法的義務という形にはさせていただかなかった、一律に法的義務とすることは適当ではないんじゃないかというふうに考えた次第であります。
○山内委員 しかし、事業者のことを考えて、二週間と最初は骨子では決めていたのを二十日間に延ばしたんだということを言われるんだったら、今度は、一方では、そのかわり事業者についてはこういうふうに少し厳しくさせてもらっていますというような法案の形式にしないと、バランスを欠いているでしょう。どうですか。
○永谷政府参考人 バランスを失しているじゃないかという御議論でありますけれども、事業者の正当な事業活動と、それから公益通報によるまさに公益の保護、そこを非常に慎重にバランスをとって制度設計をしたつもりであります。 それで、山内先生先ほどからおっしゃっている、人の生命、身体に差し迫った危害があるという場合には、イロハニホの、ホの要件で、即外部通報できるということになっているということもございますので、御理解いただければというふうに思います。
○山内委員 だとすれば、二週間でもいいんじゃないかと思うんですけれどもね。 通報者に是正措置の報告をしなくても違法にはなりませんということを法案で認めてやる必要はないんじゃないですか。
○永谷政府参考人 逆に、二十日以内に、何らかの対応をしますということを通報しないと、事業者としては外に出されちゃうという構成にしてあるということであります。
○山内委員 しかし、その要件も、二十日を経過しないといけないということですよね。
○永谷政府参考人 二十日以内に事業者からの通知を行うということであります。(山内委員「いやいや、その場合には外部に言ってもいいですとさっき言われたでしょう」と呼ぶ)ですから、二十日以内にそういう通報がなければ、外に出せるということになります。
○山内委員 ですから、同じことを言っておるんですよ。だから二十日経過しないといけないというわけでしょう。
○永谷政府参考人 二十日以内でももちろん結構です。(山内委員「以内でもオーケーですか」と呼ぶ) 通報があってから二十日間、事業者が全く何にもその対応をしないというときには、外に出せるということであります。
○山内委員 政府案では、内部通報者に対する調査開始通知を義務化して、是正措置通知の努力規定を置いているということですが、是正措置そのものが義務化されていないということになります。是正に向けた努力がなされなくても、政府案では違法にはならないということになります。 通報者が大変な思いで内部通報しても、国民生活の安定や社会経済の健全な発展につながらないことになってしまう。これはおかしい法案の仕組みだと考えますけれども、どうでしょうか。
○永谷政府参考人 もう先生御案内のとおり、事業者にも通報できますし、その真実相当性さえあれば行政機関にも通報できるし、それからその第三条のイロハニホの要件を満たせば外部にも通報できる、そういうような構成にしてございます。
○山内委員 三菱自動車の道路運送車両法違反の事例のように、違法行為、犯罪行為が組織ぐるみでなされていた場合、内部通報することにほとんど意味がないと指摘する論者が午前中もおられたと思うんですが、この場合に、内部通報なしにいきなり外部通報しても公益通報が保護されるという仕組みにすべきだと思うのですがどうでしょうか。
○永谷政府参考人 三菱自動車のケースを御指摘されました。事業者が組織ぐるみで法令違反を行っている場合につきましては、事業者が、第三条第三号ロの、その事業者内部に通報すると証拠が隠滅されたり偽造されたりするおそれがあると信ずるに足りる相当の理由があるという場合に該当するというふうに考えられます。したがいまして、こういうふうな場合には、いきなり外部に通報しても通報者は保護されるというふうに考えております。
○山内委員 ですから、そういう答弁があればあるほど、二十日間の規定の仕方がやはり問題じゃないかということで、さっきからずっと聞いているんですが。 では、例えば、通報者が事業者の内部へ通報し、二十日間という期間内に調査開始の通知があったけれども、遅滞なく出てきた是正措置や調査結果に通報者が不服である場合に、これはどう考えたらいいんですか。
○永谷政府参考人 その二十日の調査期間中に通報者がマスメディアに違法行為の話をしちゃったというケースでありますけれども、それは、その時点で外部通報がなされたというふうに判断されますので、その外部通報要件に該当するか否かで保護されるか保護されないかというのが決まるということであります。
○山内委員 ちょっと通告したのを先取りした答弁になっているようなんですけれども。 つまり、事業者が通報に応じて、是正措置や調査結果で、こうこうしました、そういうことを事業者が行ったら、その内部通報というのはもうそこで終わってしまうのかという問いなんですよ。
○永谷政府参考人 不服を理由とした外部通報というのは認められないというふうに考えております。 いずれにしましても、外部通報の要件に該当するような理由があるか、例えば、事業者が正当な理由がなくてきちんとした調査を行っていないというようなことがあれば、それは外部通報ができて保護されるということであります。
○山内委員 ちょっと整理してもらえませんか。まだ外部まで行っていないんですけれども。(発言する者あり) いいですか。通報者が事業者へ内部通報をしました、二十日の期間の間に調査開始の通知もあって、遅滞なく是正措置や調査結果が出ましたと。仮に通報者が不服であっても、それによって内部通報ということについては一応終わったということになるんでしょうかということを言っているんです。
○永谷政府参考人 一応そこで内部通報は終わっているというふうに理解できます。
○山内委員 だとすると、その調査結果や是正措置に通報者が不服であって、その内部通報したことに不服であって、行政機関やその他の外部通報先へ今度は外部通報をするということは、保護の対象になりますか。
○永谷政府参考人 それは、行政機関への通報というのは、真実相当性さえ満たせばいつでもできるという対象になります。
○山内委員 わかりました。 それから、午前中の質疑で問題となっていましたが、労働者や公務員のその職務に関する守秘義務と通報者の保護の関係については、重ねてになるかもしれませんが、どういう関係になるんでしょうか。
○西川大臣政務官 労働者の場合ですけれども、社員の守秘義務、やはりこれはかかっていると思いますけれども、労働者が労働契約上負っている秘密保持義務、これは解除をする、こういうことで保護される、こういうことでございます。真実相当性があるものについては守られる、こういうことでございます。
○山内委員 それは、言葉をかえて言うと、犯罪行為、法令違反行為ですね、については公務員の守秘義務はないというふうに聞いていいんでしょうか。
○西川大臣政務官 国家公務員法の百条の守秘義務の対象で、その秘密の問題がありますけれども、国民の生命、身体、財産にかかわることであって、これが、通報した、それによって国民の生活そのものを守るということであれば、これは守秘義務から外れる、保護される、こういう解釈でございます。
○山内委員 それから次に、事業者内部へ通報し、事業者が通報を受けて内部で調査をしている。その調査中にマスメディアの取材を受けて答えた場合に、これは保護の対象になりますか。
○永谷政府参考人 それは、マスメディアに通報した、話をした時点で外部通報がなされたということになりますので、その時点で外部通報要件に該当するかどうかということで保護されるかされないかというのは決まってくるということであります。
○山内委員 マスメディアが取材をしただけで、記事にするかどうかわからない、あるいは記事にするほどのことでもないと取材をしたマスメディアが思っている場合でも、通報をしたという点だけをとらえて外部通報ということになるんですか。
○永谷政府参考人 そこはそういうことで線を引かざるを得ないと思います。
○山内委員 事業者が通報者を名誉毀損罪や信用毀損罪、業務妨害罪などで告発するということも、午前中の参考人質疑でそういう事態もあり得るというようなお話も出ておりました。その場合に、刑事的な免責を法律の中に書き込んでおかなければ実質的に通報者が保護されないのではないかと危惧をしながらその議論を聞いていたのですが、政府の御見解を伺いたいと思います。
○永谷政府参考人 この法案におきます公益通報の対象は、犯罪行為と法令違反行為という反社会的な行為であります。したがいまして、通常、この法案に定める要件を満たす公益通報をしたからということで、御指摘になっておりますような名誉毀損罪でありますとか、信用毀損罪でありますとか、業務妨害罪などの刑事責任を問われることはないというふうに考えております。 刑事責任の免責を法律上手当てしたらどうかという御指摘がございましたけれども、まさに刑事政策全般の見地から検討すべき課題であるというふうに認識しております。
○山内委員 もし、刑事政策あるいは心理学的な面も含めてそういうようなことを考えてもらっているんだとしたら、通報者がさらなる犯罪やトラブルに巻き込まれる可能性もあるわけです。通報者がさまざまに受ける心理的な圧力についても、その他の不利益な取り扱いとしてやはり保護すべきであると思うのですが、その点についてはどういう見解でしょうか。
○永谷政府参考人 心理的な圧力というふうにおっしゃいました。例えば上司でありますとか、あるいは社長から心理的な圧力を受けて、その結果ノイローゼになるというようなことがあれば、その保護の対象になることもあり得るというふうに考えます。
○山内委員 それでは、最後になりますけれども、見直し規定について伺います。 施行まで最大二年、これはどういうことで二年間も必要なんでしょうか。
○伊藤副大臣 本法案の場合には、あらゆる事業者を対象とする制度となりますので、制度の周知、また事業者の通報の受け付け体制の整備などに十分な準備期間をかける必要があると考えられることから、公布後二年以内の政令で定める日から施行することとしたものであります。
○山内委員 具体的にどういう作業があるんですか。
○永谷政府参考人 準備としてまず真っ先にやらなければいけないことは、政令を定めることであります。それから、政令を定めた上で、通報者それから通報を受ける者あるいは行政機関等についてのガイドラインみたいなものをつくっていく、それを制度全体をPRして周知徹底を図っていく。そのようなもろもろの準備の作業が必要になってくるということでありまして、二年は優に必要じゃないかなというふうに考えております。
○山内委員 制度のPRということならば、ほかの法律もすべて制定の趣旨等を周知徹底するPR期間というのは必要だと思います。 政令の書き落とし、つまり、どれぐらいでしょうか、約五百個ぐらいの法令の書き出しについては平成十六年度中にやると最初のころ答弁されていたわけですから、それからまだ一年半も施行に必要だという根拠は何でしょうか。
○永谷政府参考人 今先生、一年半とおっしゃいましたけれども、十六年度中に政令を定めてからあと一年ぐらいの周知徹底の期間があるというふうに認識しております。
○山内委員 いや、だから周知徹底の期間というのは必要ないんじゃないですか。だって、法案が上がった途端に周知徹底に努めるわけでしょう。政令を五百個書き並べてから、さあ周知徹底をしようということじゃないでしょう。 公益通報制度を設けました、これによって、今まで内部告発をちゅうちょしていた人について、さあ皆さんが保護される場合がある、そういう法律をつくりましたよというのが周知徹底なわけですから、実はきょうからでもやっていい問題、衆議院が通った段階でどんどん印刷物をつくってもいいぐらいの、新しい法律なんですからそういう決意が私は必要だと思います。 うがった見方かもしれませんが、例えば裁判員法なんか、できてから五年たってから施行するというふうな法案なんですね。つまり、施行期間を二年だ、三年だ、五年だというふうに政府が出してくると、何か自信がなくてそんな長く期間を持ってきたんじゃないかというふうに私は思うんですが、そういうことはないですか、大臣。
○竹中国務大臣 山内委員には、御専門の立場からたくさんの論点を御指摘いただきまして、ありがとうございます。とりわけ、きょう御議論いただいた中では、やはり時間の問題というのを幾つか御議論いただいたと思っております。二週間ではなくてどうして二十日なのかという点、それと準備期間が二年なのかと。 今回の法律というのは、前回も御答弁させていただきましたように、公益という非常に重要なものと、一方で我々の経済社会を支える自由な活動というものをどのように調和させていくのかという、非常に難しいバランスの上に立った法律であろうかと思っております。 その意味では、これも前回民主党の先生方からも御議論いただきましたように、こういう事前相談のような、NPOの組織のようなものも必要なのではないか、全体がうまく機能するようにするためには法律プラスアルファの部分も大変重要なのではないのか。そうした観点から、二年というような準備の期間というのを我々考えさせていただいているわけでございます。 公益と自由という、その点をいかに調和させるか、それをいかにスムーズにスタートアップさせるかという点から、政府としてこういうことじゃなかろうかという法案を提出させていただいておりますので、その我々の姿勢については御理解を賜りたく存じます。
○山内委員 施行期間が公布から二年ということも問題なんですが、そこからまた五年たたないとというか、五年の猶予期間があって見直しということになっている。そうすると、単純に足し算をすると、今から七年もたたないと見直しがなされないということになって、これは随分先過ぎるのではないかと私たちは思っているんです。 特に、最初に議論しましたように、例えば脱税とか政治献金の問題とかで世の中で批判を浴びる、そういうような問題についても政府としては対象外だという。しかし、もっと対象にすべきではないだろうかという議論が、実は、きょうから、いろいろなところから私たちに寄せられているんです。 外部通報先について、ガイドラインを設定することによって限定的になっちゃって狭くなる、だけれども、外部通報先であるかどうかということについて運用上すごく問題となる。あるいは、二十日間というのはやはり長過ぎたな、そういうような、今から考えても問題が起きそうな論点がたくさんあるわけですから、この見直しの期間については、五年をめどの見直しというのを三年をめどの見直しと修正をする考えは政府の方にはないでしょうか。
○伊藤副大臣 今大臣からも御答弁をさせていただいたように、この法案の趣旨というものを徹底させて、そしてこれがきちっと機能していくような環境整備をしっかりやっていくということは大変重要でございまして、私どもとしましては、その見直しの時期というのは、法律の施行後、三年程度運用の状況を見きわめた上で検討を行い、必要な措置を講ずることが必要と考えて、五年を目途に必要な見直しをさせていただきたいというふうに考えているところでございます。 いずれにいたしましても、法律の実効性をしっかり確立するということが大変重要だというふうに思っておりますので、そうしたことをしっかりやっていきたいというふうに思っております。
○山内委員 時間が来ましたので終わりますけれども、修正協議についてはぜひとも真摯に対応をお願いしたいと思います。 正しい目で見て、正しいことを正しいと判断して、それをしっかりと主張していくということは、やはりそれはすばらしい社会じゃないかなと思っているんです。やはり、そういうふうに国の形を変えていくその第一歩としてこういう公益開示法という法律をつくり上げていくんだという気持ちでこれからも法案の審議をさせていただきますので、よろしくお願いします。 ありがとうございました。
○山本委員長 次に、石毛えい子君。
○石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。引き続きまして、よろしくお願いいたします。 若干質問が重なる部分もあるかと思いますけれども、きっと重要な論点であろうかと思いますので、御対応をお願いいたします。 きょうは午前中、この法案に関する参考人質疑がございました。いろいろな論点を御指摘いただきましたけれども、参考人の方の御意見が、大きく分ければ二つに分かれていたかという印象を持っております。 一方の御主張は、企業のコンプライアンスに資するその一助としてこの公益通報者保護法の制定ということで、私流の表現をすれば、あくまでも企業が社会的責任を果たすその基軸は法令遵守、コンプライアンス経営であって、その促進といいましょうか、それに資するために公益通報者保護法という法律も意味がある、経団連の大村さんからはそういう御主張をいただいたと思いますし、この法案のある意味ではグランドデザインとおっしゃっておられましたけれども、国民生活審議会の会長を務めておられます落合先生は、企業のコンプライアンス経営にインセンティブを働かす、そういう意味があるということで、評価をされておられました。 もう一方、日弁連の御見解をベースに、これは公益開示を促進するというよりも萎縮効果の方が働いてしまうのではないかと。 参考人の方の表現ではございませんけれども、私流に受けとらせていただきますと、萎縮効果が働けばそれは必ずしも企業のコンプライアンスに資することにはならないだろう、したがって、社会的な責任を果たすという意味でも、社会的公正を促進していくという意味でも、いわばどちらかといえばマイナス効果に働くかもしれない、そういう理解を私はさせていただいたわけでございます。 それから、これも私流の表現でございまして、参考人の先生の御発言はそうした表現をされたわけではないと思いますけれども、いかにも難し過ぎてわからない、わかりにくい法律だと、ここのところは実感的に私も大変そういう思いがしております。通報をされる主体は労働者の方でいらっしゃいますし、労働者の方が法律的な知識をそれほど豊富に持っておられるということは一般的にはそれほどないんだろうというふうにも思いますので、法律はもっとわかりやすい方がいいという率直な見解もございます。お二方の先生からは、明らかに修正をという御発言をいただきました。 私が今、これは質問通告してございませんけれども、大臣にまず最初にお伺いしたいと思いましたのは、この法律の第一条の「目的」は、当然ながら、公益通報をした労働者、当該の方の正当性がある場合の解雇の無効ということで、まさに公益通報者の保護ということが一つであり、そしてまた、ここに書かれておりますように、企業が法令を守るということも当然ですから、「事業者及び行政機関がとるべき措置」ということで、通報された先の責任というものを規定し、そしてもって、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護という、この三つをいわば社会的にきちっと鼎立させる、そういう法文構成になっております。どちらがどちらにというようなことではないというか、その三者がそれぞれ責任を果たすということによりまして、もって国民生活の安定、社会経済の健全な発展を目指していくというのがこの法律の目的でございまして、決して企業のコンプライアンスのいわば促進策としてこれがつくられるという意味ではないというふうに私は理解をしているわけでございます。 また、萎縮効果が働くことがあってはならない。そういう効果が働いてしまえば、それは社会的公正を担保することにはならないだろうというふうに考えます。 大臣、政府の皆様は午前中の参考人質疑をこちらに御出席してお聞きいただいたわけではございませんから、私が今申し上げましたことは私の受けとめた概要でございますけれども、大方、筋はそんなに違ってはいないというふうに思います。大臣はどのような御感想、お考えをお持ちでいらっしゃるか、まず最初にお伺いしたいと思います。
○竹中国務大臣 石毛委員の方から午前中の議論を非常に簡潔に御要約をいただきまして、ありがとうございます。概略は私も聞いておりますけれども、今石毛委員が三点に御要約くださいましたこと、なるほどそういう視点があるなというふうに改めて思いました。 石毛委員から、質問としては二点今あったように存じます。 この第一条の「目的」、企業の問題、それと労働者の問題、行政の問題を私自身はどのように位置づけているのかという第一のお問いかけでございますが、これは、第一条を素直に読んでいただいて、今石毛委員がおっしゃったような要約に尽きるというふうに思っております。 決してこれは、企業のために、企業のコンプラのためにやるわけではございません。しかし、現実問題としましては、私たちの経済社会、特に消費活動というのが非常に多様にわたる中で、企業にしっかりとコンプライアンスを重視してもらわないと私たち自身が不利益を受けるというような事実が厳然として存在していることは確かでございます。かつ、企業が本当にコンプラを発揮してくれればいいんですけれども、残念ながらというべきか、現実問題としては企業の内部からの通報によって最近のいろいろな不祥事が明らかになってきているという事実も、これまた現実としては明らかでございます。 我々としては、そうした我々の社会、公益がしっかり守られるようにするためにはどうしたらよいか。その一つとして、やはり労働者が公益のために通報する際に当たって不利益を受けないような仕組み、それに対応して企業も行政機関もしっかりと対応していく、そういう仕組みをつくらなければいけないということ、この点に尽きるというふうに思っております。 第二の点で、これによって萎縮効果が出ないかどうか。 この点は先般のこの委員会でもいろいろと御審議をいただいたことでございますが、そのときも御答弁させていただきましたように、一般法理として、これらの公益が、私的なマイナスを上回るような公益がある場合には、現状の法体系においてこうした労働者の内部からの通報というのは当然のことながら保護されるわけでありますけれども、しかし、その予見性が低い。その予見性を高めるためにしっかりとした枠組みを示しておくということ、これがやはり内部からのいろいろな情報発信をスムーズにする一つの方法になろうかと私は思います。 ちょっと例えは悪いかもしれませんけれども、何か、どこか安全地帯、ここで内部通報すれば労働者は不利益を受けないんだよという安全地帯のようなものを明示する。問題は、安全地帯を明示したことによってほかの地域がより危険になるのかどうか。そういう議論に通じているのではないかと私は思います。 これはいろいろな御議論があろうかもしれませんけれども、例えばですけれども、悪いことをする人が一定の数いて、ここを安全地帯にしてここをクリーンにしたらほかのところがより危険になるという議論はあり得るかもしれませんが、しかし、例えば一つの世界の中で、この国が非常に交通安全になったらほかの地域の交通がより危険になるかというと、これは決してそういうことではないのだろうと思います。 我々は、その意味では、基準を明確化することによって予見可能性を高めて、そうすることによって労働者側の内部からの公益のための通報というものをしっかりと保護していく。もって、まさにそれが先ほど申し上げましたようなロジックで我々の国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資するということにつながる。そのように考えております。
○石毛委員 後半の一般法理と、そしてまたこの法文で規定しておりますルールの明確化という中身につきましては、またできる限り触れさせていただきたいと思います。 そこで、これもきっと質問をされたことをまた私が別の言葉でお尋ねすることになっているのかもしれません、ちょっと席を外していた時間がございますので、その点恐縮でございますけれども。この法律が及ぶ範囲につきましては七つの法律が代表例として記載をされておりまして、実はそのほかにつきましては、政令にゆだねるということはございますけれども、ゆだねる基準と申しましょうか、スタンダードになる基本的な考え方ということがまだ必ずしも明確にされ切っていないのではないかという感を私は持っておりますので、そこのあたりをもう少しお伺いしたいと思います。 具体的な事例でございますけれども、私は福祉の分野でいろいろなおつき合いをさせていただいていることが多いのですけれども、例えば、若い障害者の方が入所施設に入られていて、これから高齢化を迎える際に高齢化対応の施設をつくることが必要というニーズはあるわけですけれども、経営者の側の御意向で、その資金を調達するために例えば年金や手当を寄附するというようなこと、これは一再ならず私は今まで聞いております。明確な、例えば後見人制度に基づいてきちっと寄附のお約束をして、法律遵守ということでされていれば、これはこれで一つの解決の仕方かもしれませんけれども、耳に入ってまいりますのは、そういうことよりは、いわば強制的とも思えるような関係の中でそういうことが行われているというようなこともお聞きします。 それからまた、ちょっと違う法律の関係になろうかと思いますけれども、例えば、障害のある方の雇用を促進するために、障害者雇用の促進のための助成金というような制度もございます。これがきちっとルールどおりに働いていらっしゃる障害の方に届けられているかといえば、そういうことがなくて、最賃をも割ってというようなこともしばしば聞くことですし、この数年間の間に何件か訴訟にもなっているというようなことがございます。 例えば、そこに働いていらっしゃる方々が、こういうことは企業ぐるみでされていることですからなかなか労務提供先の事業主にそのことを言うということは事実上あり得ないことだと思いますけれども、行政機関ですとかあるいは外部通報というようなこと、そういうことをした場合に守られるのかどうか。解雇をされないで済むのか、あるいは不利益を受けないで済むのか、そうしたことはこの法律ではどんな位置づけになってまいりますでしょうか、そのことを確認させていただきたいと思います。
○永谷政府参考人 一つの質問が、政令で通報の対象法令を定めるときの基準についてのお尋ねでありました。 何回も申し上げていますけれども、この法令では、その対象法令を「国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令」というふうに定めておりまして、例えば個人の生命、身体の保護とか、消費者の利益の擁護とか、そういう分野を例示しております。それから、刑法等の七つの法律を例示しているということであります。そういうものを示しながら、七つの法律以外の具体的な法令については政令で定めるというふうに言っております。その政令の定め方でありますけれども、これも、先ほども申し上げましたけれども、国民生活に及ぼす影響等を一本ずつ精査しながら定めていくというようなことを考えているということであります。 それから、障害者の施設において、その障害者が受けるべき助成金が正当に障害者に渡っていないようなケースがあるというお話がございました。 今委員御指摘の事案というのは、例えば業務上横領罪に該当するというふうに考えられますので、まさに刑法違反ということでありますから、外部要件を満たした上でその旨を外部に通報する労働者は保護の対象となるということであります。これは行政機関への通報というのももちろん可能でありまして、警察への通報というのも当然のことながら本案のスキームで出すことができるというふうに考えております。 〔委員長退席、大村委員長代理着席〕
○石毛委員 今の御答弁はわかりましたと申し上げてもいいのかというふうな思いと、通報先の、外部通報あるいは行政機関への通報ということの兼ね合いを考えてみますとなかなかわかりにくいというような思いもして伺っておりました。 行政機関への通報が一つの事案として認められる法律であるとすれば、例えば、補助金等が適正に使われているかどうかというようなことで、この場合は厚生労働省になるのかもしれませんけれども、業務上横領ということになりますと、本当に横領されたかどうかということを確認の上で、警察、あるいは警察が受けてくれるかどうか、訴訟か何かを起こしてはっきりしてくれば明瞭に事案としてわかるんでしょうけれども、あるんだということを警察に言ってもなかなか警察は今動いてくれるという状況ではないでしょうし、実際、労働基準監督署に行くないしは職業安定所に行くということもあろうかと思いますけれども、過去、この数年間の起こってきている事柄を見ますと、必ずしも明確に動いてくださったわけではないという実例を私は数件か知っております。 としますと、これは後ほど、どこへ通報したらいいのか判断が非常に難しい、それから業務上の横領罪というのが成立するのかしないのかというのも非常にわかりにくいというようなことを考えますと、確かに局長の御答弁は御答弁としてあるのでしょうけれども、それで法律それぞれがきちっと確定されていくのかどうかということに対してまだ私は確信が持ち切れません。 例えば、私の方も少し論理が飛躍をするかもしれませんけれども、この法律の「国民の」という規定のしぶりと「個人」「消費者」という規定のしぶりとどうつながっているのかというのは、この法律を読むときに必ずしも、「国民」というのはある種抽象概念で使われていて、「個人」「消費者」というのはかなり個別法ごとに特定していけるのであろうというふうに思うんですね。先ほど私が実例として挙げました事案ですと、例えば障害基礎年金にしましても関係の手当てにしましても、それから特別助成金、これは場合によっては企業が法定雇用率を達成していない納付金かとも思いますけれども、それも一遍国庫に入れば公有の財産になるんだと思います。そうすると、「国民の」の読み方によりましては、当然、税法も入ってくるでしょうし補助金等の使い方に対する適正化の法案も入ってくるんでしょう。 いろいろと、どういうディメンションでどう読むかということによりましてとらえる法律の広がりが全く本質的に違ってくるというふうな思いがするんですけれども、このあたりはどのように考えたらよろしいでしょうか。
○永谷政府参考人 非常に広範な御質問でありまして、完全に答えられるかどうかあれなんですけれども、業務上横領罪というのは確定しないとなかなか通報すらできなくなるじゃないかみたいな御指摘をされておりました。そこの点につきましては、裁判でそれが確定していなきゃこれは出せないのかというふうな問題でありますけれども、そこは、前から申し上げているように、真実相当性というものを要求している。つまり、結果的に真実でなくても、その通報の時点で自分がその通報する事実が真実であると信じたことについて過失がないということを証明できさえすれば、これは通報できるということだろうと思います。 それから、各種の障害基礎年金等々の話で、どこまで通報できるかどうかよくわからなくなるじゃないかみたいな御指摘がございましたけれども、いずれにしましても、法律を成立させていただきました暁にはまさに政令をつくらなきゃいけないんですけれども、どういう法令がこの通報の対象になるというのを、これは午前中の参考人質疑の場でもお話があったかもしれませんけれども、業種ごとに、非常にかみ砕いた形で、わかりやすくPRするというような形で制度の徹底を図っていくということであります。 それから、外部の通報先ということでありますけれども、いろいろな通報先が考えられるのですけれども、先生がおっしゃっていますような福祉とか介護とか障害者とかそういう分野であれば、都道府県の福祉、労働関係の部局でありますとか、あるいは福祉のオンブズマンの団体等も通報先に当然なり得るというふうに考えてございます。そういうところへの通報というのが、外部への通報ということで、この法律でもって保護されるようになるというふうに考えております。
○石毛委員 午前中に参考人として御出席いただきました、公益通報支援センターを主宰されていらっしゃる阪口弁護士のお示しいただきましたものを拝見しますと、かなりの数、これは違法なこと、社会的な公正、正義に反するようなことではないかという案件が寄せられているという、これはもう御存じのとおりだと思います。それを区分けしていただいたものがございます。 そうしますと、一つは消費者利益の侵害ということで、これは、しばしばこの間社会問題になってまいりました食品の問題ですとか自動車の問題ですとか電力とか、いろいろとあります。そういう消費者利益の侵害。 それから二つ目のグルーピングが、補助金、助成金等の不正受給、これが大変多いということでございます。地方自治体の外郭団体ですとか、あるいは協同組合の場合もあれば、社会福祉法人、医療法人、財団法人、いろいろなところがこういう問題を起こしているということ。 それから三番目のグルーピングで、経営者、上司等の公私混同、私腹を肥やしていることとか私物化をしているというようなこと。 それから、その他の通報事例とすれば、暴力団ですとか脱税、詐欺、横領、あるいは空出張というようなこと、こういうグルーピング。 それから、内部告発による解雇等の不利益処分というグルーピング。 こういうふうに整理をしてございます。 それで、今回この法案に記載されている、個人の生命、身体、財産というような規定のしぶり、それから、消費者の利益の擁護、こういう区分けが中心になって政令が整理をされていくというふうに受け取りますと、これは、これまで公益通報支援センターに寄せられてきている事案の約二割ぐらいにしかすぎないということなんですね、お書きになっていらっしゃるものを拝見しますと。寄せられている全体の二割以上が補助金とか助成金の不正受給にかかわるようなことだというふうに整理をなさっていらっしゃいます。 ですから、この最後のところで別表としまして七つの法律とその他政令で定めるという、そこのところが、「個人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確保その他の国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法律として政令で定めるもの」という、この政令で定められるものの中で、どの部分がどれだけこの「政令で定めるもの」にかかっていくかによって、公益通報が保護されるかされないかの中身が変わってくるということが、非常に皆さんが心配なさっていらっしゃることの一つ。 もちろん、国民の生命、身体の保護は重要なことでございますし、消費者の利益の擁護も重要ですけれども、国民の皆さんの汗の結晶であります税が正しく使われているか、不正が行われていないか、そうした意味で社会的な公正を担保していくということも非常に重要でございますので、その広さをどこまでとっていくかということは、可能な限りといいますか、ミニマムでラインを引くというよりは大きくとって大きく構えて、国民の生命、身体、財産、公益にかかわるというようなところでとるというふうに理解をしてよろしいのですねという確認をさせていただきたいと思います。 それと、この間の議論で、四百八十九本ですとか四百九十本ですとかという、あれは内閣府の草案が出された段階で出された法律名だと思いますし、それを理事会の決定で私もちょうだいいたしましたけれども、あの法律を拝見しますと、本当に初めてというような法律の名前もいっぱい、何か、ラッコと何とかのというびっくりするような法律とかいろいろ出てきますけれども、肝心の税法ですとか補助金の適正化に関する法律ですとか、それから、しばしばこの委員会でも指摘をされております公職選挙法のかかわりですとか政治資金規正法ですとか、そういう法律は載せられていないというふうに記憶をしております。 確認になると思いますけれども、あの四百九十本の法律でしょうか、あれは一応ワン・オブ・ゼムといいますか、ワンではなくてたくさん、メニーなのでしょうが、入るとしましても、あれが枠組みではないですねという確認。それから、「国民の」という規定のしぶりからいきますと、国民の安全ですとか安心ですとか、あるいは社会的な公益に資するというその枠取りの中で政令に記載する法律を検討されていくということの確認。よろしいのですかということをお尋ねしたいと思います。
○永谷政府参考人 繰り返しになって恐縮でありますけれども、この法案の通報範囲でございますけれども、これは先生御案内のとおり、一連の近年の企業不祥事の発生、食品偽装の問題でありますとか原子炉の問題でありますとかいろいろな企業不祥事が発生しておりますけれども、そういう発生状況を前提にして、それらの不祥事が企業の従業員からの通報でもって明るみに出ているということを踏まえて、では、その者を企業の中で不利益な取り扱いがされることがないように保護してやる必要があるんじゃないかというのを契機にしてこの制度を構想したということであります。 したがいまして、国民生活審議会の議論でも、今、石毛先生がおっしゃっていましたように、もっと対象を広くとればいいじゃないかという議論ももちろんございました。ございましたけれども、とりあえずはそういうことで、そういう経緯でもってこの制度を構想したということでありますので、国民生活の安心とか安全に資する観点から、国民の生命、身体、財産等の利益の保護にかかわる法令違反を対象とするというふうに決めたものでございます。 先生が先ほど指摘されましたように、補助金とかあるいは助成金の不正受給の問題とか、脱税の問題とかあるいは詐欺とか空出張の問題とか、そういう問題について、私は、重要でないと言うつもりは全くありません。それもきちっと対応していかなきゃいけない問題なんだろうと思います。ただ、補助金とか助成金の不正受給への対応というのを、この法律の中ではそこは線を引いて、とりあえずこの法律の中では対象外としたというふうに決めさせていただいたということであります。 それから、先ほど来、四百八十九本の法律のリストみたいなものが政府の決定としてあるようなニュアンスの御発言をされていましたけれども、実はこれは、私どもの検討の過程で私どもが内部でつくった、ある意味では私のメモというようなたぐいのものであります。これから政令をつくるに当たりましては、千八百本強の法令を一本ずつチェックしながら、その法律に対する違反行為が国民生活にどういうようなインパクトを及ぼすのか、そこをメルクマールにして精査して、政令を決めさせていただければというふうに思っております。
○石毛委員 そうしますと、局長の今の御答弁ですと、企業不祥事をなくしていくためにこの法律をつくるということが目的だとすると、公益通報をする労働者に公務員を含むという合理的な理由はなくなるのではないでしょうか。どうなんでしょうか。
○永谷政府参考人 この法律の目的ということでありますけれども、目的につきましては、公益通報者の保護ということと、国民の生命、身体、財産等にかかわる法令の遵守ということを掲げているということであります。そういうことでありまして、まさに、先ほど来申し上げていますけれども、国民の生命、身体、財産の利益の保護にかかわる法令違反を通報させるわけでありますので、こういう分野につきましては、事業者の違法行為によって実際に国民の生命、身体、財産等に被害が発生するような場合には、その性質上、被害が非常に広範に及ぶ、あるいは回復しがたい被害が生ずるということで、なかなか事後的な損害賠償請求等によって効果的な救済ができないということを考えておりまして、そういう意味で、被害の未然防止、拡大防止の観点から、違法行為を阻止していこうということ、そういう必要性が高いということを考えております。 では、何で公務員も対象にしているのかということであります。 公務員の場合には、御案内のとおり、刑事訴訟法で、職務に関して犯罪行為を知り得た場合には告発する義務が課せられているということであります。他方、公務員法等の規定で公務員の身分保障というのはきちっと守られているということであります。この法律の中では公務員も対象にしますというふうに確認的に書いておりますけれども、今ここで言っております通報者の保護というのは、今の公務員法制でも可能な部分だろうと思っております。 ただ、御案内のとおり、いろいろな公務員をめぐる不祥事等もあるということでありまして、通報をした者が保護されなければいけないというのは公務員の場合も民間の企業の従業員の場合も同じだろうということでありまして、この法律の中で、公務員について、公益通報をした人が不利益な取り扱いを受けないというように公務員法等を運用していきますというのを確認的に書かせていただいているという構成にしてございます。
○石毛委員 後半、最終的な局長の御発言の部分の公務員のところは第七条だというふうに思いますけれども、国家公務員が、あるいは地方公務員の場合もですけれども、告発、内部通報するということに関しましては、そこに母体となっております財源、税金の不正な使われ方があった場合に内部通報をするとかあるいは外部通報をするとかそういうことは当然行われるんだと思いますから、そういう意味でいえば、例えば外部通報先に議員ですとかそういうものが入らないというふうには説明をこれまでもされてきているようですけれども、公務員が通報をしていく場合に、例えば税法に触れるもの、それから補助金等適正化法に触れることというのはあるんだと思いますけれども、そこまでの範囲を含めて広く、広くというのは、何を広くかというのはどこに基軸を置くかによって違ってくると思いますけれども、広くとらえるということは確認してよろしいんですね。 としても、四百九十、局長は御自分の手持ちのものとしてこれをつくられたというふうにおっしゃっていますので、これのオーソリティーというか、これはもうないものとしていいんだと思いますけれども、これをないものとすれば、どの範囲でそれがつくられるかというスタンダードをもう一度明らかにしておいていただきたいと思います。
○永谷政府参考人 何回も同じ答弁で恐縮でありますけれども、この法令の通報範囲でありますけれども、国民生活の安全や安心に資する、そういう観点から、国民の生命、身体、財産等の利益の保護にかかわる法令違反ということで、そこで線を引いた制度としているということであります。 公務員の犯罪等についての御指摘がございましたけれども、例えば公務員の空出張の場合には刑法の詐欺罪になる、あるいは国立病院の医師の医療ミスの場合には業務上過失致死傷罪に該当するというようなことになりますので、そういうものは当然のことながら対象になってくるというふうに考えております。 これも先ほどの答弁の繰り返しでありますけれども、今度の政令の制定に当たっては、この法律の中で掲げられている分野の例示あるいは七つの法律の例示等を参考にしながら、千八百本強ある法律の一本一本、それが国民生活にどういうような影響を及ぼしているかというのをチェックしながら、政令に定める法律というのを決めていこうというふうに思っております。
○石毛委員 やはり、もう一つ、私は、「国民の」という、要するに法律的な整理の仕方といわば日常生活における叙述的な整理の仕方というのは必ずしも同じではないのでしょうけれども、個人、消費者、国民というかかり方の中で法律の広がりをどこまでとっていくのかということと、それがおっしゃられましたように業務横領罪に当たる方なのか、そうではない違う法律が該当することになるのかというのは、かなり論点になるところなんだろうというふうに私は思うわけです。 これは何度やっても繰り返しになりますので、これ以上このことを申し上げるつもりはありませんけれども、具体的に、私は、私はというか民主党もきっとそういう修正法を提出していると思いますけれども、別表というのを外して普遍的な規定のしぶりに変えるべきだという主張をしているわけですが、仮にこの別表というのがこのまま生きていくということを想定いたしますと、別表に規定された法律として政令で定めるというその確定までの間には、パブリックコメントがなされて、そして多くの国民の皆様からの意見を聞いて、きちっと精査をして最終確定をしていく、そういう理解でよろしいでしょうかという手続的なことを確認させてください。
○永谷政府参考人 先ほど、法律を成立させていただければ十六年度中に政令を策定しますというふうに申し上げましたけれども、その過程では、パブリックコメントに付すということも考えております。
○石毛委員 パブリックコメントは受けるだけでは意味がないんですよね。 今回、この法律の制定に関しまして非常に多くの批判が寄せられております。その一つに、確かに内閣府の法案、原案と申しますでしょうか、パブリックコメントに付したわけですけれども、では、そのパブリックコメントに出された意見について情報公開をして、例えばの話ですけれども、もう一回国民生活審議会で審議にかけて確定していく、ないしは、パブリックコメントを受けてこう決めたいと思うんだけれどもどうだろうかという再度のパブリックコメントをかけたわけではないし、パブリックコメントというのはいわば、表現が少しきついかもしれませんけれども、ためにしたパブリックコメントであったと言わざるを得ないような向きもございます。 そういうことをもう一度繰り返すことはないですね、パブリックコメントを受けたら、きちっと議論をして、その議論の過程を公開して最終確定していかれるのですかという、その確認をさせてください。
○永谷政府参考人 今回の法案の策定過程でのパブリックコメントというのが非常におざなりな形で行われたんじゃないかという御指摘をいただいたと思うんですけれども、そこは必ずしもそうではないというふうに考えております。 パブリックコメントで、大別して申し上げますと、事業者の意見、日弁連の弁護士さん等の意見、それから消費者団体等の意見、労働組合等の意見というのが出されておりますけれども、今回骨子で出した案と最終的に法案の形にした案とで食い違っている部分、大方がパブリックコメントの結果を踏まえて修正したということであります。 これから先の政令制定の際のパブリックコメントをどうするんだというのを今の時点で明確に申し上げることはできないんですけれども、きちんとパブリックコメントに付す形で、透明性を高める形でやっていきたいというふうに思っております。
○石毛委員 おざなりであったかどうかというのは主観的なことかとも思いますので、私はあえてそのことを繰り返すつもりはありませんけれども、ぜひ、パブリックコメントが有効に生きる、そういうことをきちっと踏まえていただきたいと申し上げたいと思います。 大臣に一言だけお伺いしたいと思いますけれども、これは大変恐縮ですが質問通告していませんけれども、細かい話ではありませんので。 イギリスの公益開示法は、こうした別表を掲げて政令でというような規定ではなくて、公益の範囲につきまして、犯罪ですとか法的義務、裁判の誤り、個人の健康や安全の危険、環境の破壊、以上の事項を示す情報の意図的な隠ぺいというようなことで、非常に概括的な規定になっておりますし、それから、日本の公益開示法は、まさに犯罪事実が生じようとしている、そうしたことを規定しているわけですけれども、イギリスの場合、非常にそこが広くとられているということは、大臣御存じだと存じます。 これからの方向性として、厳密に規定をして、リジッドにしていくのか、もう少し広く、通報者が理解しやすいような、そういう方向性をとるのかということについて、一言お伺いできればと思います。
○竹中国務大臣 イギリスの公益開示法との比較を今委員お示しくださいましたが、これは、歴史、社会、風土、いろいろな中で我々自身が判断をしていかなければいけない問題かと存じます。先ほどのパブリックコメントにつきましても、その範囲につきましては、広過ぎる、狭過ぎる、双方の意見がございました。そうした中で、我々なりの判断で、スムーズにこの制度を立ち上げるために、今お示ししましたような政府案がよかろうという結論に至ったわけでございます。 今後の方向として、これは一般論といいますか、長期的な方向というお尋ねかと存じますけれども、先ほど局長も御答弁させていただきましたように、ほかに重要な問題は多々あるというふうに思っております。これについても、国民生活審議会でもいろいろな意見が出ておりまして、我々としては、これをどのように広げていく方がよいのかどうかという問題意識を持ちながら、国民生活審議会でも引き続きしっかりと議論をしていきたいというふうに思っていますし、この法案、認めていただきましたならば、その執行状況も踏まえながら、ぜひ引き続き問題意識を持って検討していきたいというふうに思っております。 〔大村委員長代理退席、委員長着席〕
○石毛委員 公益通報できる通報対象事実かどうかということ、これも念のために確認をさせていただきたいと思いますけれども、シックハウスの原因となっておりますホルムアルデヒドの濃度の問題ですとか、それから、一昨年でしたでしょうか日本でも問題になりました、食品衛生法上認められていない食品添加物の香料の問題。それから、遺伝子組み換え食品の表示に関しましては、消費者問題特別委員会がある当時に本当に議論に議論を繰り返しまして、表示の義務化ということにやっとこぎつけたわけですけれども、それに至らない時期の遺伝子組み換え食品の表示の問題。最近でいえば六本木ヒルズの回転ドアの問題ですとか、HIVの非加熱血液製剤の問題ですとか、きっと挙げていくと枚挙にいとまがないほど事故が起こってきて、なおかつ基準もなければ法令もなかった、しかしながら公益には反しているという事案が決して一つとか二つとかではないと思いますけれども、これはこの法律の中で通報対象事実に該当するかどうかということを確認させてください。
○永谷政府参考人 シックハウスの話につきましては、以前ではこの問題については対象法令の中に入っていないということであったんですけれども、建築基準法が平成十四年に改正されてそれが入ってきたということでありますので、建築基準法というのを政令の中に入れることになれば対象になってくるということであります。 それから、食品添加物、日本では明確に禁止されていないけれども国際機関等ではその指針によって禁止がされているものなどにつきましては、まず国内の所管省庁でその問題について適切なリスク評価を行い、国内法で規制すべきかどうかというのを判断して対処すべき問題ではないかなというふうに認識しております。当然のことながら、規制すべきという判断が下されて実際に規制が行われるということになれば、この法案の通報対象事実に含まれ得るというふうに考えております。
○石毛委員 それでも、局長の御答弁は矛盾しているのではないでしょうか。要するに、犯罪に該当する事実ではないわけですから、通報対象の事実ではないですねということが、私が確認してくださいということですよね。 要するに、遺伝子組み換え食品の表示が義務化されてそこに罰則がつくまでは、遺伝子組み換えの原料の大豆を使っているということを知っている労働者の方が、これはもしかしたら不安を呼ぶのではないでしょうかということをしかるべきところに通報したとして、例えば食品衛生法を所管する厚生労働省に通報をしたとして、あるいは消費者団体に通報をしたとして、これは法令に規定された罰を伴う通報対象事実ではないですから、違反したということを、もし合致していないということで通報したということが事業主の方に知れて、もしも解雇あるいはそのほかの不利益をこうむるということはあるんだと思います、現実に。非加熱製剤なんてまさにそういう問題だと思います。だけれども、要するに、事案が、これは公益に反するのではないかというふうに働いている人が思って、そのことを社会にアピールしていって、そのことが法令にきちっと規定されて整理をされて、そこに罰がついて初めてこれが通報対象事実になっていくわけですから、そこに行くまでの間は、この法律に則して言えば通報対象事実ではないということになるんだと思います。 そうすれば、ないものを通報した場合に、場合によってはその方の立場は、通報した方は、公益通報者として保護をされることがなくて不利益をこうむるという危険性が非常に高いと思いますけれどもいかがですかということ。 これに重ねて申し上げてしまいますと、だからこそ、まさに犯罪に相当するような事実が生じるというその旨ではなくて、「生ずるおそれ」という、当初の内閣府の骨子のときに含まれていた、あるいは国生審の基本的な考え方の中にあったその概念をこの法律の中に措定していけば、規制がされるまでのその前段の部分が生きてくるのではないですか、それによって救われる国民はたくさんいるでしょう、現にいたでしょう、いらっしゃるでしょうということを申し上げたいわけです。 ですから、もう一回繰り返しますと、確認になりますけれども、通報対象事実としてシックハウスを呼び起こすようなホルムアルデヒドとか食品添加物、香料ですとか遺伝子組み換え食品の大豆とか、今はこれはまさに法令違反ですよ、今は。だから、これからやろうとした場合、その人は恐らく大丈夫なんでしょう。だけれども、物事がわかっていくということは、特に現場で働いている方は、心と体と、本当に五感を使って働いていて、このことが、おかしいんじゃないか、世の中にもしかしたらマイナスになるんじゃないかというようなことを思うわけで、その思うときというのは、法令に違反しているかとかどうかとか考えるよりはむしろ、社会的にこれは許されるのかとか、そういう意識の方がまずは優先していくんだと思います。まずは優先していって、社会的にアピールが行われて、それが社会の注目するところになって、法令に整備をされていく。世の中の動き方はそういう動き方になるんだと思います。 これからだって恐らくそういうことはあるでしょう。きっといろいろとあるんだと思います。このラグ、ここの問題を防ぐためには、「まさに生じようとしている」ではなくて、やはり「生ずるおそれ」というところを、やはり真実該当性ということもさることながら、誠実性というようなところをきちっとスタンダードに据えて、私は、公益通報の方たちの正義感というようなものが生きるように法律の仕立てを組むべきだと考えるわけです。 もう一回、確認になりますけれども、通報対象事実の規定のしぶりということで、今じゃないですよ、問題が起こってきた当時のことを考えれば通報対象事実にはならないですよねということの確認と、それから、「おそれ」に、法律を当初の骨子案のような段階に戻すべきだという、その二点、お答えいただきたいと思います。
○西川大臣政務官 二点お尋ねがありました。「まさに生じようとしている」、この議論の問題でありますが、そちらは私が答えます。もう一点の、罰則規定のないもの、例えば遺伝子組み換えの食品等に使う材料等の問題、これらについては局長から答えさせてもらいます。 それで、この法案を立案するに当たりましても、確かにさまざまな意見がありました。そして、当初は、「生ずるおそれ」ということを前提に、法案にも各界あるいはパブリックコメントをもらった、こういう状況でありましたが、御指摘の「生ずるおそれ」、この表現では、当事者間の事実認識の相違を生む可能性がまずある、こういうことですね。そして、通報によって事業者に損害が発生した場合、「おそれ」の蓋然性をめぐっての争いとなる可能性がある。こういうことを考えまして、「まさに生じようとしている」と絞ってきた、こういうことであります。 この表現によりまして、通報対象事実の発生が切迫している場合を対象とすることを明確化することが適当である、こういう考えのもとに、私どもは、「まさに生じようとしている」という表現にさせてもらった、こういうことでございます。 もう一点につきましては局長からお答えさせていただきます。
○永谷政府参考人 罰則で担保された規制前の事柄については、この法律としては対象外にしてございます。 要は、石毛先生がおっしゃっているいろいろな事例というのは、後になって、それ見たことかみたいな、そういうような感じの話なんだろうと思うんですね。私も、今石毛先生が御指摘されたような事例というのが全く大事でない、重要でないと言うつもりはございません。重要ではあるんですけれども、ただ、何かをメルクマールにしてその通報をさせるさせないという形にしないと、法律の安定性が保てないということなんだろうと思います。 具体的に、この法律では、直接間接を問わずに刑罰がついた法令違反というものを通報させるということでありまして、おっしゃっているように、社会的に見て不当であるものというのは世の中にいっぱいあるんだろうと思うんですけれども、そういうものをこの法律の中に持ち込んだ瞬間にこの法律の安定性というのが全く壊れちゃうということが我々としては一番懸念する部分であるというふうに認識しております。
○石毛委員 用語をめぐって余りやりとりはしたくはないのですが、それ見たことかというようなことを思うか思わないかで発言しているのではないということだけは申し上げさせてください。 それから、何か基準をつくらないとわかりにくいということも、それはそれで一般論とすれば一理あると思います。ですけれども、これは、通報をしたからといって、その通報の事態が即社会的に流布されるというふうにはとらえなくてもよろしいんじゃないでしょうか。とらえられてしまうというようなこともあるかもしれません、ですけれども、事業主に通報をすれば、事業主はそれを精査して答えをするでしょうから、事実をめぐって違いがあったとしても、それは合理的な手だてをとれば解決する話でありますから、そこから多大な損害賠償が出るというようなことはダイレクトに考えなくてもいいのではないかというふうに思います。 行政機関に通報した場合も、行政機関はまさにルールをもって判断するわけですから、そのルールの判断以前に、外に問題が出て、マスコミ等によって広がってしまうということであれば、これはよほどの問題なんだと思います。例えば、BSEのランキングをEUから幾つとつけられてきたにもかかわらず、それをどうにかしていたなんというのは、かえって結果的に非常にマイナスになってしまったというようなことがあったと思います。 ですから、ある種、「おそれ」というのは蓋然性でもあるわけで、それが真実相当性に当てはまるのかどうなのかということは通報したその関係の中で精査をされていくことなんであって、それが基準になるから法律の安定性を損ねるという局長の御答弁は私は当たっていないのではないかというふうに思いますけれども、何かございましたらお願いします。
○永谷政府参考人 ある意味では同じような答弁になるんですけれども、この公益通報者保護法という制度をつくるに当たっては、制度の明確性でありますとか予見可能性でありますとか、そういう部分に最大限配慮してつくったということであります。 何が当か、何が不当かというのは、まさに個人の主観によって物すごく判断が変わり得る部分でありますので、そこをこの法律、通報の中に持ち込んだ瞬間にまさにこの法律の運営というのは物すごく不安定になっていく、そこは私はそういうふうに考えております。
○石毛委員 個人の主観性で変わるというところから立論をするのかどうかというのは、大変な論点になるところだと思います。私は、やはり社会的な公正という観点が貫き得るのかどうかというところが物事で、それに対して個人の主観性が作用する部分がないとは言いませんけれども、ここは大いに論ずべきところだと思いますということだけ申し上げたいと思います。 この法律は、一般法理の部分と、この法律に基づく解釈ルールの関係ということがございます。これまで、この関係につきましては大臣からもるる御答弁がございました。本当はそのことをめぐってきちっとまた質疑を交わさせていただきたいと思ったんですが、時間がございませんので、済みません。 補足の質問で申し上げましたところの第六条で、この第六条の二項は、第三条の外部通報の規定に関しまして、「労働基準法第十八条の二の規定の適用を妨げるものではない。」というふうに記載されてございます。労働基準法の第十八条の二の規定は、解雇に正当な理由があるのかどうかの立証責任は事業主の側にあるということでございますし、それから、この法律の第三条の外部通報のルートで証拠の隠滅とかそういうことの立証責任は労働者に課せられていて、立証責任の立場が全く逆になっているというようなこともございます。 そのことは指摘をさせていただきました上で、この「規定の適用を妨げるものではない。」という叙述の仕方は、妨げる場合もあるよ、妨げない場合もあるよという読み方ができるのですけれども、これでは、解雇ルールを一般法理とした労働基準法の規定がどう運用されるのか非常に不明だ、そういう感を免れないのですけれども、どのようにとらえたらよろしいのかということをお尋ねしたいと思います。
○永谷政府参考人 前に大臣からも答弁がございましたけれども、十八条の二の排除をするものではないと。これは、これらの規定を適用しなくてもよいという趣旨ではなくて、これらの規定が適用される、そういう意味で大臣は反対解釈は許さないというふうにお答えしたものだというふうに理解しております。
○石毛委員 それでは、大臣のその反対解釈をいただいたということを大変尊重申し上げまして、例えば消費者契約法の「解釈規定」ということの書きぶりは、「適用を妨げるものと解してはならない。」という書き方になっております。この方が非常に明確だと思います。「適用を妨げるものと解してはならない。」こういう書きぶりになっておりますので、ぜひこうした修正を実現して、これは悪用する、濫用するという意味ではないと思います、公益通報をする者が安心できるものになるように、そのほか多方面、民主党は修正の提起をさせていただいておりますので、ぜひ真摯にお受けとめいただきまして、いい法律ができますようにお互いに努力を重ねていけるようにと望んでおります。 終わります。ありがとうございました。
○山本委員長 次に、横路孝弘君。
○横路委員 この法案の本会議と今までの委員会の審議の中で、竹中大臣の御答弁で大変気になる点が一つあります。 それは、公益通報を保護するということと企業の自由な活動というのを何か対立する概念にして、ここのバランスをとるというようなことは、今まで幾つかの点で御答弁がございました。例えば、外部通報についての要件を厳しくする、いわば通報という権利行使が濫用にならないように枠をはめるんだというような趣旨でそういう御答弁がありました。 ただしかし、今回のこの法律でいわば通報の対象となる事実、通報対象事実というのは、一つは犯罪行為、それからもう一つは処罰規定で何らかの担保をしているあるいは裏づけのある規制、これについていわば対象としていこうという、非常に限定されていると私ども思いますが、しかし、そういう法律の枠組みになっています。そうすると、公益通報を保護するというのは、いわばそれは犯罪行為そのものなんですよ、犯罪行為そのものと企業の自由な活動というのをそこで何か調整するとかバランスとるとかという話では私はないんじゃないかと。 先ほど御答弁もありましたように、刑事訴訟法の二百三十九条では、公務員はそういう事実を知ったら告発をしなければいけない、国民何人もそういう事実を知ったときには告発することができるというのが社会のルールの基本になっているわけですよ。 ですから、どうも御答弁聞いていてそこが非常に私気になりまして、後で具体的に御議論いたしますけれども、この点、いかがですか。竹中大臣はちょっと誤解されているんじゃないか。犯罪行為なんですから、企業の活動は自由だといったって、犯罪行為を犯すような活動というのは、これは自由じゃないわけですよ。違いますか。
○竹中国務大臣 私が申し上げているのは決してそういうことではなくて、犯罪行為が確定しているような場合には、これはもう当然のことながら罰せられるべきでございます。 しかし、申し上げたいのは、私たちの社会というのが、個人及び企業の非常に自由な活動によって支えられて、その活力で成り立っているという、その基本がある。それに対して物申すのはもちろん自由でございます。物申すということは、これは常に、さまざまな私たちの社会の一般法理の中でも、今でもそのようになっているわけでございます。しかし、特別に、そうした場合に労働者が不利益な影響を受けるということから守ろうではないか、そうしたある意味での枠をしっかりと当てはめるに当たっては、私たちの自由濶達な事業活動、個人の活動に対して一つのコストを課すということは事実でございます。自由な活動に対してコストを課す以上は、そのコストに見合う公益があるかどうかということのやはりバランスをとっていかなければいけないのではないだろうか。そういうことを私は申し上げているわけであります。 したがって、私が特にそういうことを申し上げているのは、例えば企業に対して直接通報する、これは、思料せられる場合には通報する。しかし、第三者、さらにはマスコミ等々に通報する場合には、これはそれによってもたらされるコスト等々が当然大きいわけですから、さらにそれにふさわしい、それでもやはりやらなければいけない、公益が守られないというような条件が出てきた場合にそれをしっかりと認めようではないか。そのバランスをとるべきだ、そういう趣旨で申し上げているわけです。
○横路委員 しかし、公益通報するという人は、何らかの犯罪行為、これを認識して、これはやはり不正な行為だから許すことはできないということで通報するわけですよね。それが、コストというのもよくわからないんですけれども、例えば、この法律全体の法益というのは何かというと、それは通報した労働者を保護するということ。しかし、保護するということによって、今お話のあった、例えば自由で公正な市場、その活動によって人々の消費生活というものが充足される、あるいは、人々の生命とか健康とか環境とか、そういうものがしっかり守られるような安心のできる公平公正な社会をつくるというようなことが、やはり広い意味でのこの法律の法益なんですね。その法益を守る手段として、通報した人間を保護するという話なんです。 その対象にたまたま、この場合、企業とか役所なども入ってくるんでしょうけれども、そういうことは、しかし、企業としては違法行為はやってはいけないわけですから。むしろ、こういうような制度をつくらざるを得ないのは、もう改めて言うまでもない今日の日本のそういう状況がたくさんあって、それが現実に人々の健康だとか命だとか財産だとか環境破壊だとかいろいろなところに影響を具体的にもたらしているということなんですね。 これを通報してやるのがコストですか、これは。コストじゃないんじゃないんですか。むしろ、本来ならば、事業者というのはそういうことでなくて、ちゃんと企業倫理を持った活動、公平公正な活動をすべきなわけでしょう。それができないでいろいろな問題が起きている。それを、通報した人間を保護しようということを通じて安心した公正な社会をつくっていこう、あるいは公平な市場をつくっていこう、こういうことだと思うんですね。 そこに、企業の自由活動というところをずっと持って、何かそれに対するコストとしてこれを考えるというのは、私はいかがかなと。企業の自由な活動に対するコストじゃなくて、社会全体が公正な社会をつくっていく上のある意味でのコストというなら、それはわかりますよ。違いますか。
○竹中国務大臣 公益を守るために、犯罪行為等々が思料せられる場合には、それはやはり、まさに公益を守るためにそういった声が上がってくる。現実にそれによって私たち、このような不祥事がどんどん出てきている、そういう事実があるからこそ、私たちはこの法案を提出しているわけです。 ただし、私がコストと申し上げている意味は、もしもこれによって、例えば何か思料せられる、犯罪があるかもしれない、しかしあるかどうかはわかりません、犯罪行為がそこにあるかどうかは今の時点ではわからない。しかし、思料せられる場合に、私が例えば思料せられることをすぐにマスコミに通報する、それで私はそれによって不利益な処分を受けることがない。そういうものが非常にたくさん、安易にという言葉はちょっと誤解を招くかもしれませんけれども、そういうことに対してむしろ非常にエンカレッジングになされた場合に、やってみたら違いました、しかし、マスコミに通報されてそれが大騒ぎになりました。これはコストです。こういうことを私はコストだと申し上げているんです。リスクと申し上げてもよいかもしれません。 そういう意味では、問題がある場合に、善意の市民としては、これは何とかしたいというふうに思う。それはまさに公益を守るための行為であって、これはしっかりと守らなければいけない。しかし、これはあくまでも、最終的には思料せられるような問題についてはやはり何らかの一定の要件をつくっておかないと、それによってもたらされる逆のコスト、逆の公益に反するものが非常に大きくなる。そこのバランスをとらなけりゃいけないのじゃないのだろうかというふうに申し上げているんです。
○横路委員 今までもいろんなケースがたくさんありまして、解雇されるということを通じて裁判例がたくさんあります。もちろん、その裁判例の中でいろんな判断がされていまして、後でちょっと議論したいと思いますけれども、そこでかなり固まってきている。原則から見ると、この法律案、非常にいろんな問題点がございます。 それで、ちょっと具体的なことをお尋ねしていきたいんですが、今までも随分いろいろと議論されてきましたんですね。最初に、八条、九条、十条といったところを質問したいというように思います。 先ほども山内さんから話がありましたけれども、まず、事業者による是正措置等の通知の努力義務ということなんですが、これはどうして「通知するよう努めなければならない。」という努力義務なんですか。 さっき、何か事業者はいろいろあって、たくさんあるからどうこうという話がありましたけれども、内部通報でしょう。内部通報で、その事業者が内部通報者に対してちゃんと通知をするということは当然のことじゃないですか。それを努力規定で、通知してもしなくてもいいということで、先ほどの御答弁は、いや、いろいろといろんな事業者がいるんで、小さいところもあるしというようなお話でしたが、それは関係ないんじゃないでしょうか。
○永谷政府参考人 それを一律に義務として課するには、それにたえ得ないような事業者というのもあるということであります。
○横路委員 いやいや、よくわかりません。どういうことですか。
○永谷政府参考人 概念的に、これは事業者の中には、例えば本当に規模のちっちゃな、財政基盤の弱いNPOみたいなものも入ってき得るということであります。そういうところに一律にそれを義務として、例えば何日以内にこうしなきゃいけませんというのを課すというのは、この人たちの事務処理能力とか何かに配慮しても、余り適切ではないんじゃないかというふうに判断したということであります。
○横路委員 小さいところであればあるほど簡単にわかるんじゃないですか、その中身そのものが。大きいところですよ。大企業の場合は調査するのにそれは時間がかかるかもしれませんけれども、小さいところだったらすぐわかるじゃないですか。 どうして外したんですか、どうしてこれは義務規定にしないんですか。
○永谷政府参考人 大きな組織であれば、人材とか何かも非常に豊富で通報対象事実があるかどうかというのはきちっとそれを調査でき得るということでありますが、小さければ小さいほど、人材的な制約もあればということで、そういうきちっとした調査ができかねないということもありますので、そこを一律に義務化するということはしなかったということであります。
○横路委員 いやいや、これは小さいところの方は中身はすぐわかりますよ、小さいところほど。 だって、内部からの通報者がいるわけでしょう。通報者に答えることをしなきゃいけないという話ですよ。何が問題なんですか、何が差しさわりあるんですか。ちゃんとやるべきじゃないんですか。
○永谷政府参考人 事業者による是正等の措置を期待して通報されるわけですから、事業者が通報を受けて実際どういう措置をとったかどうかというのは、これは基本的にはその通報者に通知するように努めるべきことは当然のことであります。当然のことでありますが、それを一律に義務化することで、コストがその組織にかかってくるというようなことも考えられますので、そこはこういう形で、努力義務という形にとどめさせていただいたということであります。
○横路委員 これは、今の答弁聞いても、委員長、全然理由になっていないと思いますよ。 小さいところは小さいところですぐわかるんですから。中にいるんですから、通報した人にこうでしたよと言えばいい話で。だから、むしろやっぱり大企業の方がコストかかりますよ、どうやって調べるかというのは。ですからこれは、いや、今の答弁聞いて、これはわからないですよね。これはちょっと修正するように、ぜひ御努力いただきたいと思います、努めなければいけないをかえればいい話ですから。 委員長、どうですか。
○山本委員長 お申し出の件につきましては、理事会で協議させていただきたいと思います。
○横路委員 それで、この是正措置なんですが、是正措置というのは、内部で調査して、どういうことになるんですか。企業で、内部でやっていたことをやめたとかいうことだけで終わるんですか。どういうことが必要なんですか。
○永谷政府参考人 そういう通報対象事実があれば、それを是正するということでありますし、それが犯罪行為に該当するということであれば、それが刑事告発につながっていくということもあり得るということであります。
○横路委員 ですから、ここ、是正措置をとるだけじゃちょっとわからないんですね。 例えば、補助金を不正に受給していたという場合には、これは行政にちゃんと通告をして返還しなければいけないでしょう。あるいは、例えば食品の表示が偽りであったとか、使用してはいけない原料や添加物を使ったという場合は、国民に対して公表して回収をしなければいけないわけでしょう。 ですから、是正措置をとったときは、ただそれを通知するというだけで終わっちゃうんですか、言った本人に。そうじゃなくて、国民に対する公表義務とか、行政に対する報告義務とか、そういうことをちゃんととらないといけないんじゃないの、これは。 ですから、この条文、是正措置は通報者に対して言えばいいだけの話であって、じゃ、国民や何かに対してどうするかということに何も触れていないんです、この法律で。それでいいんですか。
○永谷政府参考人 基本的には、個々の事業者がコンプライアンス経営に努めるべきであるというのは、これが基本でありますよね。そういうことでありますので、違法行為あるいは法令違反行為の通報があって、それを調査して、そういう事実があるということがわかれば、企業としてはそれを是正して、それを通知者に開示するように努めるということであります。 あと、それ以外の第三者、国民一般に対してどういうふうに公表するかとかいう話は、個々の企業にゆだねられるべき話だろうというふうに思います。
○横路委員 いやいや、だからそこが、最初に竹中大臣がおっしゃった、つまり犯罪行為と企業の自由な活動とのバランスの話じゃないんですよ。 犯罪行為があったら、補助金を不正にとっていた、受給していたといえば、返さなきゃいけないわけですよ。それはちゃんと行政に報告しなきゃならないじゃないですか。それから、先ほど言いましたように、表示を間違えたとか使ってはいけない原料を使っていたといったら、ちゃんと公表して回収しなければいけないわけでしょう。 だから、それは企業に任せられますと、企業にそれはもう任せるんですというのなら、これはどういうことですか。この法律はもう犯罪行為を認めるような法律ですよ、これは。
○永谷政府参考人 例えばリコール隠しの話、まさに違法行為の中身によっては個々の法律でもってそれを公表しなきゃいけないというのは決められているものはありますよね。したがいまして、そういう法律にのっとって……(発言する者あり)まさに処罰される場合もありますし、その違法行為というのがパブリックにされるというケースもあり得るということであります。
○横路委員 いやいや、ですから、外部通報、内部通報のときにいろいろ議論されてきた心配がここに来て明らかになったわけですよ。つまり、内部通報してそれで完結する仕組みというのは、今のお話だったら、それは法令に触れるものもあるだろうといったって、企業は調べてわざわざ報告しますか。 十条の方は、行政機関の方は、通報対象事実があったときは法令に基づく措置をとらなければいけないと書いてありますよ、「法令に基づく措置」を。これはもう当たり前の話ですよね。行政機関が通報を受けて、犯罪があった、黙っていてそれを黙認するというわけにはいきませんから。 しかし、企業に通報があって、企業が調べてそういう事実があったときに、企業に任せられるんですか。竹中大臣、これでいいんですか、企業に任せられるで。おかしいでしょう、やっぱり。犯罪行為なんですから。犯罪行為があって、例えば、補助金を不正にとったということがわかって、あと企業が考えなさい、あなた方、返すかどうするかというのでは、これはどんな法律なのかということになりますよ。 だから、ここは、やっぱりきちっとした、単に、是正措置をとったときはその旨を通知者に報告するばかりじゃなくて、やっぱり必要なときには行政機関にも報告し国民にも公表するという中身が出てこなければ、これじゃ納得できませんよ、これ。そう思いませんか。 大臣、そう思いませんか。企業に任せていいんですか、企業に任せて。
○永谷政府参考人 法令違反行為を是正するということで、そこが、その目的が完了すれば、とりあえずは、一義的にはこの法律の目的というのは達成されるんだろうと思うんですね。ただ、おっしゃるように、通報対象事実のいかんによっては、個々の法令で、そういうことをオープンにしなきゃいかぬというのは個々の法令で定めているようなものというのはあるんだろうと思いますので、そういうものはそういうものに従って手続をとっていくということだろうと思います。
○横路委員 いや、しかし、必要なとるべき措置というのはいろいろと事案に応じてあると思いますよ、たくさん。ですから、その場合に、企業が隠してしまおうと思って隠してしまえば、それで通る場合だってあるかもしれない。だから、通知するよう努めなければいけないというので、義務規定にしていないんじゃないかと私は思いますよ。 だから、これは、やはりそういう犯罪行為があったときは、やめたというだけじゃなくて、よみがえって何らかの行為をしなければいけないことというのはたくさんあります、いろんな犯罪事実の内容によっては。だから、それをしっかりとるようにしないといけないので、そこは事業者に責任を課さないといけないんじゃないですか。
○永谷政府参考人 ある法令違反行為があったときに、この法律では、それをどこに通報するかという、内部にも通報できますしそれから行政機関にも通報できるわけですね。ですから、内部だけで通報対象事実を完結するということでは必ずしもない。場合によったら行政機関にも要件に合致すれば通報できるわけですし、そういうものが全体として、そういう通報対象事実の中止とかあるいはそれの一般的な公表というのをそういう形で行っていくというふうに考えております。
○横路委員 企業の倫理観を高めて、内部通報をした場合にはちゃんとそれは対応しますよということで、内部通報、そして行政とかあと外部通報を厳しくしているわけなんですが、しかし、内部通報した結果、ちゃんとした措置、だって内部の事業者が行政に報告しなければいけないとかなんとか何も書いていないじゃないですか。通知した人間にだって、通知するように努めなければいけないというだけでしょう。 だから、これはやはり、そういう行為のあったときに、単に事実の是正措置をとるだけじゃなくて、ちゃんと報告をして、やるべきことをやるようにつけ加えないと、これじゃだめですよ、全然。犯罪隠しの法律になっちゃう。
○永谷政府参考人 個々の事業者が、こういう法令違反行為をやっていましたということを、一々全部の案件についてそれを行政に通報しなきゃいけないというのは、それはそれでまた制度としては非常にいびつな制度になるんじゃないかなという気が私はしております。
○横路委員 いやいや、それはいろいろあると思いますよ、いろいろあるけれども、やっぱり中には人々の生命や健康やあるいは環境破壊とか財産とかいろいろ侵害されるようなケースというのはあるわけですから、事業所の中で調べて、それで、場合によったら通知もしなくていいというのでしょう。通知もしなくていい、行政にも報告しなくていい、国民にも公表しなくてもいい、事業所の中だけでもって、はい処理しましたというんじゃ、まさに多くの人が、この法案は問題を内に閉じ込める、そういう法律だと言われて、指摘どおりになるじゃないですか。 これは、ちゃんとはっきり、その措置を行政にもするし国民にも公表するということを事業者に義務づけないとだめですよ。勝手にやってください、やって調査したらそれで終わりですよということにはならないですよ、これ。
○永谷政府参考人 個々の、個別の法律に違反している行為をやっていますので、その行為をどういうふうに是正するかというのは個々の根拠法令に書いてあるわけですよね。そこに、その法令にのっとって行政に通報するケースも場合によってはあるでしょう。場合によっては通報されないケースもあり得るというふうに思います。
○横路委員 いや、例えば、各企業のヘルプラインのいろいろなものを見ましても、何かあったときに行政に報告するなんということはどこにも出ていないですよ。しかも、法律に違反があったかどうかというのは、企業が黙っていたらどうやって行政の方は見つけることができるわけですか、企業が黙っていたら。 企業は申し立てしないとだめでしょう。こういう悪いことをしていました、これだけ返還します、やることは、やめましたと言うだけでは終わらないんですよ。やめるだけではなくて、過去悪いことをしたそのものについて始末をつけないといけないわけでしょう。
○永谷政府参考人 それは、通報者が、要件に合致すれば行政機関への通報もできるわけですね。それによって、事業者がこういうことをやっているというのは行政は知り得ることはあるということです。
○横路委員 それはあり得るかもしらぬけれども、これだって、通知することだって義務規定になっていないじゃないですか。通報者が言うかもしれないけれども、しかし、「通知するよう努めなければならない。」で、義務規定に何もなっていないじゃないですか。 だから、通報者側に期待するんじゃなくて、もうこの段階は事業者が調べたわけですから、調べて何も問題がなかったらいいわけですよ、問題がなかったよと通報者に言えばそれで終わり。しかし、何か問題があったときに、やっていた行為はやめましたということだけで済まないでしょう。 例えば、建設工事でもってコンクリートの水増しをやっていました。やめましたと言うだけで終わりになりますか。強度の危ないような橋、どうするんだというような話になるじゃないですか。それは、ちゃんと企業の方から言われない限り、行政だってわからないでしょう。
○永谷政府参考人 今横路先生が御指摘になりましたそのコンクリートの云々かんぬんという話でありますけれども、それは個々の、個別の法律でどういうような規定ぶりになっているかというところによるということであります。
○横路委員 いやいや、そうじゃなくて、要するに、事業者が水増ししたということを調べた結果、あるいは企業ぐるみでやる場合もあるけれども、やっていました、だからそれはこれから是正しましょうという話と、つくっちゃった橋、どうするんですか、これ。それは、公共事業の場合は、ちゃんと行政に対して申し出て、あるいは民間の場合だったらその民間の企業にちゃんと申し出て、謝って、そして直すことをしなきゃだめじゃないですか。この規定で全然そうならないじゃないですか、この規定で。事業者にだけ任せられているんじゃないですか。 だから、この法律、そういうことを考えますと、行政の方は「法令に基づく措置その他適当な措置をとらなければならない」と、行政に対してはちゃんと書いてあるんです。ところが、事業者の方は、要するに、通知も努力規定で、あとどうするかということが、どうしたらいいのかということがはっきりしていないんですね。 そうすると、結局、心配なのは、じゃ、事業者が正直に全部外に向かって発表すればいいけれども、いや、そんなことは黙っていようといって、公益の通報者に対しても通知するのはちょっとやめようといって、まあこの際黙って、しかしこれからはやめようということで終わりになっていいんですかという話なんですよ。 それは法令違反の行為だからと言うけれども、法令違反であるということを本人たちが申し立てしなきゃだめでしょう、行政に対して。こういう悪いことをしていました、内部の通報があって調べたところそういう事実がありました、したがって、これを是正するためにいろいろとやるべきことをやりますから、行政の皆さん、どうしたらいいでしょうかとか、民間の仕事ですとそれはそれでまたそういう対応はあるでしょう。 だから、この法律の規定だけだと、やっぱりそこがよくわからない。行政との対応だってこれは全然違うわけですからね。 だから、十条と同じように、違反行為があった、つまりこの通報対象事実というのが明らかになった場合には必要な措置を行政あるいは国民に対してきちんととるということを、どこかにはっきりこれは入れておかないと、この規定だけじゃそうならないでしょうと言っているんですよ、この規定だけでは。そして、それでいいんですかと言っているんです。
○永谷政府参考人 通報対象事実がその事業者になされたときに、その事業者は、必要な調査をして、そういう事実があるかないかということを通報者に返すわけですね。そこを、もし事業者が返さないとしたら、今度は、通報者は、行政機関に通報することもあるし、あるいはそれ以外の第三者に外部通報することにもなる。その全体として、今ある事業者の違法行為というのを除去していこうということであります。 だから、個別の、個々の事業者が通報者に対して通報を返すだけでいいのか、そこは個々の法令で、例えば道路運送車両法みたいな話であれば、リコール隠しをしてはいけませんというのがあって、ちゃんと運輸省に届けなさいという規定になっていますよね。だから、まさにその事業者に対する通報だけで全体を見るんではなくて、内部にも通報できれば行政機関にも通報するし、それ以外の外部にも通報する、その全体でもって、問題になっている法令違反行為等をなくしていくというふうに認識していただければと思います。
○横路委員 いや、そういう、ちゃんと法令で決まっていて、決まっていたって、三菱の自動車のケースのように、行政にうそを言っている場合もあるわけでしょう。ですから、ここで言うと、調査して犯罪行為等の事実が明らかになったときどうするかという話なんですよ。 この法律の規定だと、そのままで、どうも何もしなくても黙っていればそれで終わっちゃうねという感じなので、それでいいんですか、是正措置をとるだけで。過去に戻って、やっぱり、例えば補助金だったら返さないといけないでしょう、しっかりと。損害賠償の責任だって場合によっては出てくるし。もともと例えば事業ぐるみでやっていたような場合は、では本当にちゃんと是正措置をとるのかといえば、それだって心配があるわけですよ。 いずれにしても、私は、この事業者の九条の規定は、委員長、これはもうとても不十分なもので、場合によっては、犯罪が表に出ないように、企業の中で封じ込めてしまうような規定にこれはなってしまいます。ですから、ぜひ、これも理事会で協議していただきたいと思います。 これでいいですか、委員長、聞いておられて。
○山本委員長 理事会で協議させていただきたいと思います。
○横路委員 大臣、やっぱりそういう問題があります、この規定だけでいいますと。ですから、企業の自主的な、ちゃんと企業がもともと悪いことをしなければ問題ないわけですが、悪いことをやっている企業なんですから、やっている企業が、言われて調べた結果、いや、こういうことでしたといって、それを何の措置もとらないというようなことは、やっぱり許されないと思います。 では、それができるように、この条文のところを少しいじって追加すればいいと思うんですよ。少なくとも、十条の行政機関に対しては措置をとるように書いてあるわけですから、それと同じような措置をとらなければいけない。ただ、もちろん、犯罪行為をやった人間が犯罪行為をやったと言い出すのは、なかなかそれはつらいことだと思うんです。だからこういう規定になっているのかもしれませんが、せめて行政には報告をするというようなことがなければいけないというように思いますが、大臣、いかがでしょう。
○竹中国務大臣 局長の方から我々の考えは一応御答弁させていただいておりますけれども、基本的には、やはり非常に多様で複雑で大きな社会、個々のプレーヤー、企業や個人が、一人一人がしっかりとコンプライアンスを守っていただかないと私たちの社会は成り立たないということなんだと思います。 そうした意味では、まさに公益、今回の場合ですと、いろんな罰則規定はあるわけですけれども、それは、罰則違反のようなことをやると大きな被害が国民全体に及ぶ可能性があるからだ。内部通報というのは、そういったものを事前に防いで、事前に解決していって、それで公益をもたらそうというのがまさにこの趣旨であろうかと思います。 したがって、個々の企業が悪いことをしたかどうかということも、それはそれで重要かもしれませんけれども、そういうことを未然に防いで、そういう対応を、個々のプレーヤーがしっかりと自覚を持って、これを機に改善策を講じていただく。対応していただいて、もって公益を守るということが、私たちがやはり一番期待しなければいけないことであろうかと思います。 今委員おっしゃったような、損害が出た場合どうするんだ、これは、損害賠償の請求等々、今の一般法理でしていただければいい。是正されていない場合、これは、さらに必要に応じて行政機関なり第三者なりに言っていただいたらいい。そういうことなんであろうかと思っております。 我々としては、そういった趣旨から、まさに公益を守るために今の枠組みを提言しているわけでございますので、委員の御見識は御見識としてしっかりと賜りましたけれども、我々としての一つの法律の組み立てという点についても御理解をいただきたいと思います。
○横路委員 それは理解することができないわけで、組み立て方が、冒頭申し上げました、つまり、犯罪行為と企業の自由活動とのバランスをとろうというところに私は出発点の間違いがあると思いますよ。犯罪行為はやっぱり許されないんですから。犯罪行為も許されるということを前提にして、それが市場の自由だと言うんなら、もう私、何も言うことはありませんけれども、そうではないというように思っています。 内部の通報で、千代田区役所のヘルプラインというのをちょっと読んでみましたら、これは、弁護士などによる外部の独立組織、行政監察官というのがありまして、内部通報があった場合に、事実を調査して、そして結果を区長に報告して、改善勧告を行うんですね。区長は、その報告を受けた後、内容を公表して、必要な措置を講ずる、こういう仕組みになっています。 こういうようなヘルプラインがでは企業の中にあるのかといったら、企業の方は、調査はするけれども、公表して例えば行政当局に通告するとかいうようなことを持っている企業のヘルプラインというのは、私の見たところほとんどありませんので、やっぱりこの千代田区役所のヘルプラインぐらいのことを企業がしっかりやると、今言った、公益通報者から受けたときに、外に対して公表もし、必要な改善措置もこうとりましたというような仕組みがやはりでき上がるんではないかというように思っております。 そんな意味で、ちょっと九条について、これはぜひお考えをいただき、修正をお願いしたい、このように思います。 それから、行政機関なんですが、行政機関が通報を受けてどう処理したのかということについて、事実があったときは、「法令に基づく措置その他適当な措置をとらなければならない。」ということになっているんですが、通知者に対する説明というのは、今度はこっちの方には落ちているんですね。これはどうして落ちているんでしょうか。
○永谷政府参考人 行政機関につきまして、今先生がおっしゃいましたように、必要な調査を行って、法令に基づく措置その他適切な措置を講ずるということであります。その他適切な措置を講ずるという形で、通報者に対する一般的な通知というのはなされたものというふうに理解しております。
○横路委員 では、あれですか、とった措置というのは、例えば国民に対する公表、事業者に対する行政指導、内容によっては検察庁への告発、こういった点がこの必要な「適当な措置」の中に入りますか。
○永谷政府参考人 今先生がおっしゃいましたようなことは入り得るんだろうと思います。 これは、例の原子炉等規制法で原子力施設の安全情報申告制度の運用要領というのが決められております。その中では、まさにガイドライン的なものでありますけれども、「申告者の連絡先が判明している場合には、当該申告案件に係る調査が終了し調査結果につき委員会の了承が得られた後で、当該申告者に対し、当該申告案件の調査結果を通知することとする。通知の方法は、原則として書留郵便によることとする。」というような運用要領があります。 私どもも、法律ができました暁には、こういうようなものをモデルにしながら運用のためのガイドラインというのをつくっていこうというふうに思っております。
○横路委員 ちょっと、もう一度確認しますが、そうすると、通知するということも運用の中で考えるということですか。 それともう一つ、その「適当な措置」の中には、国民に対する公表、事業者に対する行政指導、内容によっては検察庁への告発、こういった点、つまり犯罪行為を知ったときには公務員は告発しなければいけないわけですから、だからそういうことがこの中に含むんですね。今ちょっとあいまいだったものですから、はっきりお答えいただきたいと思います。
○永谷政府参考人 今先生がおっしゃいました点も含み得るというふうに理解しております。
○横路委員 含み得る、得るというのは何ですか。含むでいいんじゃないですか、含むで。
○永谷政府参考人 今おっしゃいました件すべてについて、この場で全部含みますと今言い切るほどの自信がございません。したがいまして、検討します。検討した上で、そういうものも含んだ形での運用というのを考えていこうと思っております。
○横路委員 何か法律の解釈について自信がないと言われても、これはちょっと質問する方も困ってしまうんですよね、委員長。だから、ちゃんと答えを確定にしていただきたいと思います。逐条解釈、もっと時間をかけてやらぬとだめですね。 いずれにしても、そこのところが非常に問題で、ぜひ、せっかく通報してくれた人に対して、しかも行政機関にするというのはいろいろな事情があってやっているわけですから、やはりしっかりと連絡すべきだということですね、運用の中でということじゃなくて考えていただきたいと思いますし、さらに、その点もはっきりさせていただきたいと思います。 それから、行政機関が何もしなかったときにどうするかということなんですね。これは、外部通報、当然できるようにすべきだというように思いますが、いかがですか。
○永谷政府参考人 基本的に、行政に通報して、行政が通報された事実について何にも措置をしないというのは、私どもとしては想定しておりません。
○横路委員 しかし、通知するかどうかもわからないといったら、通報した人はどうなるんですか。いらいらして、やはりこれは外に通報しなければいけないということになるんじゃないんですか。 行政機関だって、今までやらなかったケースがたくさんあるじゃないですか。東京電力、二年間もほうっておいたわけでしょう。行政はそんなことやらないはずがないなんと言ったって、それは信じられないですよ。
○永谷政府参考人 今申し上げましたように、基本的に、行政が通報を受けて、それに対して何にもやらない、不作為を続けるということは、それは想定しておりません。想定しておりませんが、この法律の中に書いてあります外部通報要件に合致する場合には、当然のことながら外部通報できるということになります。
○横路委員 いや、だから、内部通報の場合は、さっき議論になっていましたが、二十日間過ぎても何もない場合は外部通報できるようにしているわけでしょう。同じように、行政機関の場合、どうしてこういう規定がないんですか。 いろいろ考えてみたんだけれども、結局、この法律、行政がつくった法律だから、行政には規定しなかったと言うしか言いようがないんですよね。これは当然外部通報できるようにすべきじゃないですか、外部通報を。
○永谷政府参考人 この十条の規定を読んでいただきますと、通報を受けた行政機関は、必要な調査を行い、法令に基づく措置その他適切な措置をとらなければならないということで、行政に対して義務を課しているというふうに認識しております。
○横路委員 しかし、その期間はどうなんですか、期間は。二年、三年間もいいんですか。東京電力のようなケース、いいんですか、二年間ほうっておいた。三菱の自動車の問題だって、あれ最初にどこかの事業所からこれは整備不良じゃないよという話が上がってから、やはり結構時間がたっていますよ。これは、何日以内にやるかとかという話が全然ないじゃないですか。 しかも、国民生活審議会の消費者部会の二〇〇三年の五月の報告では、行政機関に通報した後、相当期間内に措置がなされない場合にも外部通報を認めている。認めていたんですね。どうしてこれは認めなくなったんですか。 もしあれだったら、二週間以内にとかなんとか入れて、ちゃんとやるように義務づけるか、あるいは、はっきりしない場合には外部通報を認める。外部通報、どうして困るんですか。行政機関に通報があって、どうもうやむやにしたというようなことを外に言われたんじゃ困るということなんでしょうか。
○永谷政府参考人 国民生活審議会のその報告では、行政機関に通報した後、相当の期間内に通報の対象となった事業者の行為について適当な措置がなされなければならない、そういうような提言が国生審の部会の報告ではなされております。 それに対しまして、いろいろ法案の作業をする過程で、この法律というのは、基本的には事業者とその従業員との間の労使関係、労働契約関係を律するためのルール、民事ルールという位置づけ、そういう性格のものとしてこの制度をつくってございます。したがいまして、第三者である行政機関が措置を講じたかどうかということをその要件にするというのが、どうもそういう基本的な法律のコンセプトからはなじまないんじゃないかというような議論が出てきております。 そういうことも踏まえまして、今先生がおっしゃっておりますこの第十条に、新しく、行政機関における公益通報への対応ということで、必要な調査とか適切な措置を講じなければならないという義務規定を明記させていただいた、そういうことであります。
○横路委員 だから、三条のイロハニホの後にもうちょっと包括的な規定を入れるか、あるいは、行政機関へ通報した後、相当期間内に措置がなされない場合には外部通報を認めるというようにやはり規定した方がいいんじゃないですか、これは。 今、何か民事ルールというお話がありましたけれども、問題は、冒頭からお話ししているように、犯罪行為なんです、犯罪行為。この大きな保護法益は何かというと、やはりみんなが、国民が安心して生活のできる公正で公平な社会をつくろう、公正で公平な市場、透明感のある市場をつくろうというようなことが大きな保護法益なんですよ。何か民事ルールが云々なんという話じゃないんです。 だから、後でまた通報者のところは議論しますけれども、行政がどうして通報者に通知しないのか、民事ルールだからというのは通らないです、それは。
○永谷政府参考人 先ほど来申し上げていますけれども、行政機関として、通報を受けたときには必要な措置をとらなければならないという義務を課しております。それの義務の中でいろいろな必要な措置が講じられると。それ自体は、ガイドライン等で、こういうことをやるんですよということは周知徹底していこうと思っております。 いずれにしても、先生、犯罪行為ですというふうにおっしゃるんですけれども、まだ犯罪行為が確定していない段階での通報というのを、合理的な範囲で通報を認めた上で、通報した人が事業者から不利益を受けないようにする、そういう意味での事業者と雇用者との間の労働契約関係をこの法律でもって保護しようとしているということであります。 これは何も、犯罪行為というのが明確にきちっとあって、そういう確定した犯罪行為を通報するという、そこまでのある意味では非常に簡明な法律関係を扱っているものではないというふうに理解しております。
○横路委員 通報する通報者は、これはいろいろ内容はあるでしょうけれども、行政にやるといったら、それは相当大きな犯罪行為というようなことで通報するケースが多いんだというように思いますよ。だから、この場合、通報を受けてから二年も三年も動かないでいる、東京電力のケースなんかどうなるんですか。十条でいうと、それでもいいということになるんですか。
○永谷政府参考人 個々のケースによって、どれくらいの間に行政機関が措置をとるかというのは多分決まってくるんだろうと思います。ただ、こういう御時世ですから、いつまででも通報を受けた行政機関がそれを握りつぶしていて何も措置しないというのは、今ではそういうことはもう考えられないんじゃないかというふうに私は思っております。
○横路委員 次から次へと、各企業が内部でもっていろいろな倫理規定をつくって、経済団体だって倫理規定をつくって、どうするかというルールを決めている企業でさえ、どんどんいろいろな不法行為が出てきているじゃないですか。東京電力だって、結局やらなかったから、告発者が最後はたしかマスコミの方に行って外部通報して、外に出てきたんじゃないですか。 ですから、ここで、一定のこと、先ほどの国民生活審議会の規定のように、通報した後、相当期間内に措置がなされなければいけないとか、やはりそれをちゃんと書いて、そしてそうでない場合には、なされなかった場合には外部通報を認めるということでないと、行政機関はもう本当に、正直にすべての情報を公開して、悪いことはいたしませんと言ったって、今までだっていろいろなケースがたくさんありますから。もちろんそれは、調べるのになかなか大変なのはありますよ。あの三菱自動車のケースのように企業がうそを言った場合には、それはなかなか行政の方だってすぐ真実をつかまえるというのは大変だと思います。 しかし、ここで九条と十条というのがあるわけですから、ここでやはり、相当期間内に何らかの措置をとるようにということはちゃんと行政にも義務づけた方がいいんじゃないですか。二年、三年、四年、五年、十年たっても、その間にどんどん被害が出たらどうなります。
○永谷政府参考人 今、横路先生がおっしゃるような議論を念頭に置いて、この十条というのを新しく規定しておりまして、そこでは、行政機関に適当な措置をとらなければならないというふうに義務づけたということであります。 先ほど申し上げました原子力施設の安全情報申告制度の運用要領というのが別途あるんですけれども、その運用要領の中では、申告者への調査結果の通知でありますとか、あるいは制度の運用状況の公表みたいなものも書いてありますし、それから申告者の意図に反するような形で申告者の個人情報が流出するようなことがないようにというような、そういうような留意事項等も書いてございます。こういうようなガイドラインを一応モデルにしまして、この法律の運用面で遺漏がないようにしていきたいというふうに思っております。
○横路委員 運用面でしっかりやっていただきたいというように思います。 今の外部通報は、もう時間がちょっとなくなりましたが、先ほど大臣がおっしゃられたように未然に防止するというのが大事なんですね、未然に防止する。そうすると、できるだけ間口を広げておかないといけないわけですよ。ところが、この法律はそうじゃなくて、狭くしちゃっているんですね。狭くしちゃったんです。そこが問題なんです。 ちょっと行政機関に関連する問題で幾つか、十一条ですか、処分や勧告権限を有しない行政機関になされたときには、公益通報者に対して、どこが権限を持っているよということを教示しなければならないとありますが、こんなの、調べてどこが権限があるかというのがわかったら、さっき参考人の方もどなたか言われていましたが、そっちに連絡すればいいじゃないですか。どうしてまた一度通報者に戻すんですか。 教示するというのは、ここが権限がありますよ、私のところはありませんよと教えてあげるということでしょう。それならば、役所の方に、こういう通報がありましたよという連絡をした方が早いじゃないですか。むだもなくするでしょう。
○永谷政府参考人 公益通報を受けた行政機関が、必要な調査あるいは是正等の措置を円滑に行うということでありますので、間違ったところに通報されたら、権限を有する行政機関を通報者に教示するということで、その権限を有する行政機関が直接通報者から通報を受けることが適当ではないかというふうに考えております。
○横路委員 それだけまた手間暇がかかるわけですよ。だから、何か行政はできるだけ受け取らないように受け取らないようにつくり上げているという感じで、こんなの、連絡を受けて、調べて、ここですよと、そっちに回せばいい話じゃないですか。ちょっとよくわからぬですね。 しかも、行政に通報する場合は、急を要することなんですね。しかも、この法律を前提にすれば、犯罪事実が生じ、またはまさに生じようとしている事態なんでしょう。急いでやらなきゃならぬ事態なんですよ、この法律の枠組みでいえば。ちゃんと行政機関で受け取る公益通報の内容は。そうしたら、また連絡してやりなさいというよりは、そんなもたもたしているんなら外部通報ということになると思うんですよ。そうじゃないんですか。急を要することじゃないんですか、この法律全体の一番のスタートのところは。 犯罪事実が生じ、またはまさに生じようとしている事態なんでしょう。しかも、その犯罪事実というのは、人々の生命や健康や財産やということに影響のある事態なんでしょう。早くやるのが大事なんじゃないですか。
○永谷政府参考人 その事態に切迫性があるような案件が通報に上がってくるという部分は、そこはそういうことだろうと思います。そういうようなケースもあるというふうに思います。 ただ、担当者が、実際にどういう通報であるかというのをきちっと担当の役所の担当者が聞かなければ、なかなか事実関係がどうであるかとかそのあたりもある意味では非常に難しいですので、その案件を担当している所管の省庁の担当者が通報者からきちっと通報内容を聞いた上で物事を処理していくというのがある意味では一番効率的、遅いというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、ある意味では一番効率的なやり方ではないかなと私どもは思っております。
○横路委員 それならば、どこかでまとめて、何か内閣府の中にもあるようですけれども、どこか受け取る場所をつくったらいいんじゃないですか。はい、こういう内部通報はここで受け取りますよ、そこでちゃんと必要な措置はやりますよと。その方がいいんじゃないですか。 きょう、参考人で出てきた阪口さんという方が、例えば監督官庁に疑義が生じている場合でもなかなかやはり通報先が難しいと言って、幾つかのケースを挙げていました。 行政機関との取引のケースで、防衛庁との間の航空機、兵器等の部品等納入取引というのは随意契約で、これは水増し請求したケースがありましたね、あれは詐欺罪になったわけですが。この場合、では、防衛庁が法に言う権限を有する行政機関に該当するんだろうか。処分もしくは勧告する権限というのは公法上の権限であるから、防衛庁に通報したとすれば外部通報になる可能性もあるんじゃないだろうかということで、実際問題、処分・勧告権をどこが持っているかなんというのはなかなかわかりづらいと。そのとおりだと思いますよ。 だから、やりやすくするためには、今内閣府にもあるんですか、何かそういう外からのいろいろな苦情を受け付けるところが。そこは何か、この前、泉さんの質問をちょっと聞いていましたら、今まで件数がゼロ件だという話ですから、そこで受けとめて、やる。 だから、先ほど参考人の人も言っていましたが、行政機関に通報すればそれでいい、処分、勧告云々というのはとてもわからない、簡明にするためにそうした方がいいという話がありましたが、私もそう思います。いかがですか。
○永谷政府参考人 通報を一カ所に集中して、それでさばいていくという体制がいいのか、あるいは、今この法案で想定していますように個々の権限を有する役所に通報させる体制がいいのか。それは、必ずしも一概に集中する方がいいということにはならないんじゃないか。さっきの答弁の繰り返しになりますけれども、個々の所管している役所の担当者がきちっと聞いた上で対応していくということが効率的ではないかなというふうに思っております。 なお、今横路先生は、内閣府の中でのコンプライアンス室、法令遵守対応室の話をされましたけれども、ことしの二月から外部の弁護士さんを室長として、そういう対応室を設けております。
○横路委員 さっき言った、防衛庁のこういうケースはどうなるんですか。これはどこが処分権限を持った役所になるんですか、こういう契約に関する場合。
○永谷政府参考人 急な御質問でありまして、個別の事案がどういうことであるのかというのは私は今全く知りませんので、発言を差し控えさせていただければというふうに思います。
○横路委員 いや、要するに、防衛庁が契約を結んで、その契約を結んだ相手が水増し請求をした、それで詐欺事件になったという話ですよ。その場合に、そういう契約をした当事者である官庁等が処分・勧告権限を持つということになるんですかという話なんですよ。取引における詐欺罪ということで通報対象事実を考えれば、監督官庁は警察か検察庁ということにしかならないんですよね。
○永谷政府参考人 詐欺罪に該当するということであれば、おっしゃるように、警察もしくは検察当局が通報先になります。
○横路委員 そうすると、防衛庁に対する通報は外部通報になってしまうということになって、その本人は保護されるかどうかということになると、イロハニホの要件が必要になってくる、こういうことになるわけであります。 いずれにしても、処分または勧告などをする権限を有するか有しないかということではなくて、行政機関に対して物を言えば、通報すれば、それで受けとめてやるような仕組みが必要ではないかというように思います。 いずれにしても問題が多いんですが、八条の問題もちょっとお尋ねしたいと思います。 これは、「公益通報をする労働者は、他人の正当な利益又は公共の利益を害することのないよう努めなければならない。」ということになっています。公益通報というのは、先ほど来申し上げておりますように、これは犯罪事実ないしは罰することによって裏づけされている規則などなわけですね。これで、例えば他人の正当な利益といって、公益通報というのは使用者や企業の利益を害するおそれというのは多分にあるわけですよ。あるんですね。あるから、使用者が報復するということを心配してためらう人が多いので、いや、それはためらわないでやって結構ですよ、それは大きな法益のために必要ですよということがこの法律の一つの要素なわけですね。 しかも、通報対象というのは犯罪行為なんかに限定されているわけでありますし、刑事罰というのは、もともと社会的ないろいろな行為の中で、相当ではない、だめだという行為をピックアップしているわけですから、ここで何か他人の正当な利益や、公共の利益を害することのないようにというのもわからないですね。 犯罪行為を通報しようというのが何で公共の利益を害するのか。公共の利益を守るために通報しようというわけでしょう。守るために通報しようという人を守ろうというわけですから、何でこんな余計な規定を置いたのか、私にはよくわからない。これは何のためですか。
○永谷政府参考人 この第八条の趣旨でありますけれども、ここで、「他人の正当な利益又は公共の利益を害することのないよう努めなければならない。」というふうに規定しています。 これが具体的に何かということでありますけれども、例えば「他人の正当な利益」につきましては、公益通報に際して病院における患者の病歴の履歴みたいなものを漏らしちゃう、まさに第三者の個人情報を漏らしちゃうような場合、それから、全く通報とは関係ない事業者の営業上の秘密を漏らしちゃったとか、それから、「公共の利益」というのは国の安全にかかわる情報ということでありますので、先ほど防衛庁のお話をされていましたけれども、そういうときに防衛上の秘密を漏らしちゃったというようなケースについては、たとえ公益通報であっても、そういうようなことが起こればそれはペナルティーがかかりますよというのを入念的に規定したというものであります。
○横路委員 これは何、ペナルティーがかかりますよという法律なんですか。ペナルティーがかかりますよというのがこの八条の法律の趣旨なんですか。
○永谷政府参考人 公共の利益を害することがないように努めなければならないという法律であります。
○横路委員 いや、ですから、ちょっと防衛庁の水増しの話をしますけれども、兵器等の部品等の納入取引というのは随意契約だったんですね。その部品について水増し請求したわけですよ。こういう部品はどうかといったら、この契約自身だってこれはたしか部外秘か何か秘密指定されているようなあれだったんですね。 しかし、ではこういうケースというのは保護されないのかというと、やはりそうじゃないでしょう。水増し請求されて、税金をそれだけたくさん払って、結局あれは返したはずですよ、その水増しした部分というのは企業の方で返還したはずですよ。しかしやはり詐欺罪として刑事告訴されて、有罪判決を受けたというふうに、記憶が正しければそうだったというように思うんです。ですから、その場合は公共の利益を害するということになるんです。 だから、局長、まず一番大事なことは何かといったら、やはり犯罪のない社会をつくるということです。犯罪のないそういうフェアな市場をつくるということが問題なんですよ。ですから、ここのところの八条で、しかもペナルティーというようなお話になりますと、一体これは守る法律なのか、おどかす法律なのか。 この法律全体の枠組みを見ていますと、だんだん変わってきて、どこでねじ曲がって最後にこんな法律になったのかわかりませんが、できるだけ、やはり公益通報者を保護するというよりは、何か余りこれは表に出ないように枠をはめて封じ込める、企業の方は自由にある程度活動しなさいよ、こういう感じじゃないんですか。これはどうも市場主義者である竹中さんの方針なのかなと。僕は個人情報保護のときもそう思いましたけれども。 局長、これは八条を削ったらどうですか。こんな法律をつくったんじゃ法律の意味がないですよ。
○永谷政府参考人 例えば、カルテを偽造するということは犯罪行為でありますので、それは通報の対象になるわけですね。ところが、その通報に当たって、患者の氏名でありますとか、あるいは病歴でありますとか、そういう個人情報を漏らしちゃったという場合なんですね。そこの部分は仮に、私さっきペナルティーという言い方をしましたけれども、ペナルティーというよりも、そこについて何らかの形の提訴、訴訟とか何かが提起されれば、それは免責になりませんよという程度の趣旨であります。その趣旨をここで確認するためにこの八条を置いているというふうに御理解いただければと思います。
○横路委員 いやいや、これは免責条項だと言ったらまたおかしくなりますよ。ペナルティー、免責条項だ、この八条があるからと。(永谷政府参考人「免責にならない条項」と呼ぶ)いや、だから、免責にならない条項なんですよという話でしょう。 だから、例えばカルテの偽造の場合だって、その人が例えば手術の患者さんであって、手術に失敗した医者の責任を問うというような場合には、それは個人の名前だって挙げてやらなかったらわからないわけでしょう。あるいは、そういう家族からの要求に基づいてやる場合だってあるわけで。 どうも、この八条、九条、十条、十一条というところを見ていますと、この法律というのは本当にこれは、今の一般法に任せてやった方が、よほど働いている人も保護されるし、内部通報とか告発というのは保護されるんじゃないかなというように思いますよ。 これは本当に、まあ、今修正の協議があるようですし、理事会でもいろいろ御検討いただけるということなんで、時間が来ましたから私はやめますけれども、まだまだたくさんあります。例えば、「まさに生じようとしている」なんというところも、本当はちょっと議論したいところなんですけれどもね。あれもよくわからない。 ということで、ぜひ修正されることを。やはりこういうのは最初つくるときが大事ですから、後で運用していけばいいんじゃないかということになりませんので、できるだけやはり最初に、いろいろなパブリックコメントもたくさんありました、それも読ませていただいてちょっと質問させていただいたんですけれども、ぜひそのことを、これは委員長にもお願いをしたい。 それから大臣にも、やはり出したからというそれはお立場がありますから、大臣のお立場で修正いいよというのはなかなか言えないと思いますが、しかし、議論していってだんだん、やはりちょっと問題だなというところも幾つかは明らかになってきているんではないかというように思いますので、まだ時間もありますから、じっくり議論して、やはりいいものにするために、時間をかけた方がいいと思いますよ、変な法律をつくってしまうよりは。 そういう意味では、ちょっとこの法律は非常にできが悪いということ。できるだけいいものにするために行政の方も御努力いただくことをお願いして、私の質問を終わります。
○山本委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。 私、前回のときに、九九年十一月の原子炉規制法のことを、あれはジェー・シー・オー事故から来たわけですが、取り上げました。そのとき、この改正したものについて結局どういうふうに検討したり検証してきたりしたのかということもあわせて伺っておきましたが、最初、これに少し関連して伺っておきたいと思うんです。 今も出ておりました東京電力。これは、九九年十一月の原子炉規制法の改正があって、六十六条の二が入って以降の話なんですね。 GEから告発があり、それから二年間放置していたんです。告発の方は、これは六十六条の二の第一項で、「従業者は、その事実を主務大臣に申告することができる。」ということに当たるわけです。そして、二年間放置されて、実は告発した人を業者に漏らしてしまったんですね。ですから、それは、六十六条の二の二項、「前項の申告をしたことを理由として、その従業者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。」実はこういう規定が原子炉規制法にちゃんと入ったのに、この方は退職に追い込まれているんですね。ですからこれは、国の方がばらしたことも問題だし、内部告発者が保護されなかったことも問題なわけです。 六十六条の二の二項の場合は、第八章、罰則の中で、第七十八条の四で、六十六条の二の第二項の規定に違反した者については六月以下の懲役または五十万円以下の罰金に処するとあるんですが、こういうきちっとした、不当な取り扱いを受けた内部告発者が本来守られるためのペナルティーについても、結局そういうこともないままに、その後東京電力不正事件はどんどん拡大したわけです。 そこで、こういった六十六条の二については、四百八十九本の中の一つに今リストアップしてやっておられるんだけれども、実際に今度これを仮に組み込んでやっていくとしたときに、では国はどうするのか、企業はどうするのか、内部告発した人は結局のところ今度はどうなるのかということを、例えば今の東京電力の事例などを中心にやはりきちっとした吟味をしてやらないことには、法律上は、既に九九年十一月に原子炉規制法改正で内部告発者保護は入ったはずなのに、実は保護されなかったという、この現実があるわけです。 この点については、二日前に既に私はこの法律については提起しているんですが、まず、どういう検討をしておられるのか。最初にこのことを伺ってから、きょうは次の質問に入っていきたいと思っているんです。
○永谷政府参考人 御指摘がありました原子炉等規制法を政令の対象に入れるかどうかということについては、今の段階ではまだ検討しておりません。
○吉井委員 えらい話なんやね。それを政令に入れるかどうかもわからない、検討もしていないと言うんですが、しかし、もともとこれは内部告発者保護の法律として九九年十一月の改正で入れたわけですよ。これ自身がどのように運用をされて、どのように成果を上げることができたのか、あるいはできなかったのか。やはりそういうことをきちんと吟味しなかったら、新しい法律をつくってみたところで、そもそも、はなから生きてこないじゃないですか。 だから、そのことについてどういうふうに検討されたのか、政令に入れる入れない以前の話だと思うんですが、どうなんですか。
○永谷政府参考人 原子炉等規制法を所管しております経済産業省等と、先ほど御説明いたしましたけれども、個々のガイドライン等がどのような決め方になっているかとかいうようなものも含めて、その制度の運用状況等についても必要に応じて意見交換をさせていただいているということであります。
○吉井委員 委員長も首をかしげてはるように、大体、私、ジェー・シー・オーの事故だとか東京電力の不正事件そのものを聞くんだったら、ここへ経済産業省の人に来てもらって、ちゃんと通告しておいてやるんですよ。問題は、そういう個々の原子力施設にかかわる事故だ、問題だというのをやっているんじゃないんです。 法律そのものが既に、九九年十一月ですから、もう五年ほど前のあの法律改正のときに、内部告発者保護のこの規定をわざわざ入れたんです、罰則で担保もしたんです。 今度の場合は、例えば内部告発をした労働者が不利益を受けるようなものについて、その回復の問題にしても、それから、そもそも外国の法律の中には内部告発者に対して制裁を加えること自体を重大な犯罪と見て対応するものまであるぐらいの中で、だから、この原子炉規制法の内部告発のものについてどれだけ検討して、それをこの新しい法律に生かそうとしてきたのか、そのことが本当に問われていると思うんですよ。それが、どうもお話を聞いていますと大変のんきな話で、とてもじゃないが、これでは。 大臣、こういう、せっかくつくった法律についてのきちんとした吟味、検討もないままに、それで新しい法律をつくって、あなたはこれが生きたものになっていくとお考えですか。
○竹中国務大臣 原子炉等規制法関連に関しましては、きょうの私に対する質問通告の中ではいただいておりませんので、大変申しわけありませんが、事実関係も含めて、私自身はちょっと個々の状況について知る立場にはございません。 もちろん、今回お願いしておりますこの法案に関しましては、いわばアンブレラに相当するような一般的な法律でございまして、原子炉等規制法での公益通報の話というのはいわば個別の案件になりますので、それにつきましては、この法案の組み立てに当たって、経済産業省等々からいろいろな事例も勉強してこの法案を組み立てたというふうに聞いております。 より詳細について情報が必要だということでございましたら、改めて宿題としていただきまして、私の方からまた御報告をさせていただきたいと思います。
○吉井委員 私は、個々の話だったらあなたにももうちょっと言っておくんですが、そうじゃなくて、既にある、今度も資料その他でも書いておられるんですから、調査室から出ているものにもありますよ。だから、五年前の内部告発について決めたもの、それがどのように吟味されて今度生かされておるのかということなしには、新しい法律をつくったって生きてこないじゃないか、それどころかマイナスになることが十分あり得るわけですから、そこをきちんと見なきゃいけないということを言っているわけです。全体がアンブレラとおっしゃったが、どうも破れ傘と言った方がいいんじゃないかと思います。 それで、今の件は次の機会に大臣とまたやろうと思いますが、前回の質問に続いて、私は、五つのハードルで外部への公益通報は極めて困難になるということを指摘しました。それは、四百八十九本の法律で罰則のあるもの、通報事実がまさに生じようとしている場合、企業内部や行政機関に通報する場合とし、その要件に、さらに第三条三号でマスコミや国会議員、労働組合、NGOなど外部への通報に厳しい要件を設けて、いずれかの要件に該当しなければ通報しても保護されないという、この問題を前回も取り上げました。 そこで、そのことに関連して幾つか伺いたいと思うんですが、三条三号イの「公益通報をすれば解雇その他不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由がある場合」という要件ですが、通報するときに、将来不利益取り扱いが行われるということに相当な理由があることを立証することは極めて困難だと思うんです。通報時に、解雇されるとか不利益になるかならないか、これは通報者はわからないと思うんですが、これはどういうふうに判断すればいいんですか。
○永谷政府参考人 御指摘の三条三号イの要件をどういうふうに立証するかという御質問であります。 この三条三号のイというのは具体的にどういう場合かということでありますけれども、例えば、過去に自分の同僚でありますとかが事業者内部あるいは行政機関に通報したところ、不利益な取り扱いを受けたような場合というのを念頭に置いております。 したがいまして、そういうケースをどういうふうに立証するのかということでありますけれども、もちろん一概にはどうこう言えないんですけれども、あえて申し上げれば、「不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由」として、例えば、当該事業者における過去の通報事例でありますとか、通報者の保護に関する社内規定が整備されているかどうかとか、未整備になっている、整備されていないということを示すというようなこと等を積み上げていくということであります。
○吉井委員 今、法律をつくろうとしているのよね。過去に通報して不利益を受けていて、それが公表されていればもちろん参考になるんです。しかし、そもそも過去に事例がない場合、過去に事例があってもその不利益は公表されていないという場合、あるいは裁判でもやって判例があるとか、直接裁判をやった人ならわかるかもしれませんが、まず一般的にはわからない。 過去の例があればまだそれはおっしゃるように参考になるかもしれないが、通報が初めてでは、そもそも不利益を自分が受けることになるかどうかは全く判断がつかないと思うんですが。どうもあなたのお話じゃ判断がつくみたいなんだけれども、どうして通報が初めての人が不利益を受けるかどうか判断がつくんですか。
○永谷政府参考人 その社内に帰属している労働者であります。したがいまして、その労働者が過去にどういうことがあったかというのは、ある程度のことはわかり得る立場にあるというふうに考えております。
○吉井委員 これも全くひどい話で、そんな、過去に全くなかった事例で、新しく不正なりこれは内部告発しなきゃいけないと思ったような、そういうことはこれからも起こってくるわけですよ。だから、過去に事例がない。そのときに、自分がどのように不利益を受けるかどうかは全くわからないと思うんですね。 裁判になれば客観的立証が必要となってくるし、不利益をいまだ受けたことも受けた事例も知らないという通報者が、どうして客観的に「解雇その他不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由がある」という場合を立証することができるのか。もう少し納得できる説明、立証できるということを説明してほしい。
○永谷政府参考人 通報先としては、内部への通報、行政機関への通報、それから事業者外部への通報というルートが用意されております。まず社内に通報してみられたら、それがどのような扱いを受けることになるかというのを見る意味でもやっていただいたらいかがでしょうか。
○吉井委員 どうも変な話で、企業内でも、役所へ言ってもいいし、外部ルートでもいいから、とりあえず通報してもらったらというお話なんですね、今の答弁は。これは本当にひど過ぎると思うんですよね。要するに、納得できる説明なんというようなものはできないということだけはっきりしました、答弁の方で。 次に伺っておきますが、内部告発、内部通報すれば証拠隠滅、偽造、変造されるおそれがあると信ずるに足る相当の理由がある場合としているわけですね。通報時に、将来証拠隠滅が行われるということをどうして客観的に判断するあるいは証明することができるんですか。
○永谷政府参考人 三条三号ロの要件でありますけれども、これは、具体的な事例としては、事業者ぐるみ、会社ぐるみで法令違反行為をやっているという場合があるというふうに思っております。それをどういうふうに立証するかということでありますので、まさに証拠隠滅等のおそれがあると信ずるに足りる相当の理由ということで、例えば、社長でありますとか担当役員が関与して法令違反行為が行われているという事実、それから、法令違反が生じていることを社長や担当役員が知りながら放置されていることなどを示すというような作業になるんだろうと思います。
○吉井委員 きょう何度も出ています例えば三菱自動車の例ですね。トップは知っていたわけですよ、証拠隠滅を図っておったわけですね。そして、整備不良だ、こういう主張をしていたわけです。そもそも事実を認めないんです。証拠隠滅もくそもないんですよ、事実を認めてないんですよ。 それを普通の労働者がどうもおかしいなと思って告発しようにも、通報時に将来証拠隠滅が行われるということを客観的に証明するというのは、あなたは極めて頭が優秀な方でできるのかもしれないけれども、普通はそういう証明はできないと思うんですが、どうなんですか。
○永谷政府参考人 今、三菱のお話をされました。そういうようなケースであれなんですけれども、労働者というのは全くその会社の中で情報が遮断されているかといったら、そういうことはないですよね。今回の三菱の話でも、社内の調査報告書というのがあったということはわかっているわけでして、そういうものを用いながら立証するというのはそんなに難しいことではないんじゃないかというふうに私は思っております。
○吉井委員 今のお話を聞いておりますと、三菱の普通の労働者は久しい以前からこの不正事件を知っていながら、何か、そういう報告書にもアクセスすることもできて事実を知っていながらだれも告発をしなくてこういう事態になってしまったような感じがしてしまいます。私は、本当にとんでもない話だと思うんですよ。 次に、労務提供先から口どめされることということについても伺っておきたいんですが、正当な理由がなく労務提供先から通報しないように要求された場合、直接、通報をやめることを口どめするということは、本人が通報しようとしていることを会社が知っているということが前提なんですね。しかし、こうした法律ができれば、実際には、直接、面と向かって通報するなと要求されることは余りなくて、上手にやると思うんですね。企業のやり方としては、しっぽをつかまれないように、陰湿なやり方で圧力が加えられてくる。こうしたケースを労務提供先から通報しないよう要求された場合として客観的に立証していくというのは、やはりこれも難しい話なんじゃないですか。
○永谷政府参考人 ここで言っております口どめされた場合という話でありますけれども、例えば、既に通報対象事実がなくなっている、それを本人が知らないで通報しようとした、それに対して、その上司とか社長から、もうそれは終わった話だからやめてくれよとかいうような形で言われるというようなケースが該当すると思っております。
○吉井委員 何か、あなたの話を聞いていると、都合のいい話ばかり作文して言っているんだけれども。 要するに、この法律ができると、労務提供先は、口どめするとやはり直接外部ルートで告発されるということがわかりますから、ですから、非常に陰湿なやり方で、直接、面と向かって口どめはしないけれども、非常に陰湿な圧力が加えられて、なかなか物が言えなくなる。しかし、思い切って、労務提供先から通報しないよう要求された、口どめされたんだということで外部へ話をしようとしても、それを客観的に立証するのはできないんですよ。 できると言うんだったら具体的に、これは時間がありませんから、この場合全部できますという事例をちゃんと出して、次の質問のときまでに私の部屋へ持ってきていただきたい。そういうことは客観的に立証できないんですよ。それをできると言うからには、その事例をきちっと出してもらいたいと思います。 次に、内部通報後二十日以内に調査を行う旨の通知がないこと、正当な理由がなく調査しない場合ということですが、事業者が二十日以内に通報者に調査すると回答する、しかし一向に調査が進まない、あるいは調査を放置する、うやむやにしてしまう、こういうケースが想定されるわけですが、しかし、その内情を通報者は実は知ることはできないんじゃないでしょうか。内情を知ることはできるんでしょうか。
○永谷政府参考人 通報した人が、その通報がどういうふうに事業者の中で取り扱われているかということが明らかでないんじゃないかという御指摘でありますけれども、通報した人というのは、その通報がどういうふうになっていますかというのは、事業者に対して、当然のことながら、聞いたりすることというのはでき得るわけですね。だから、それで、ある程度はどういうような取り扱いがなされているかというのは把握できるんじゃないかというふうに思っております。
○吉井委員 それは、中小の町工場だったら、あなたのおっしゃるイメージ、大体わかるんです。しかし、巨大規模の中で、そう簡単にいく話じゃないですよ、これは。 では、通報者は調査の状況を事業者に求めることができるというお話ですが、通報者が調査状況について回答を求めた場合に、事業者は当然通報者に回答する義務がある、今のお答えだったら、そういうことになると思うんですね。それだったら、法律に、通報者の調査状況について要求する権利についてと事業者の回答する義務について規定しておかないと。どうですか、やはりきちんと示してこそ、それがはっきりしなければ、外部ルートということがはっきりしてくるわけなんですが、なぜそれをきちんと規定していないんですか。
○永谷政府参考人 従業員から、労働者から事業者に対して通報がなされる、それに関するもろもろの問い合わせ等があるという場合に、それに対して事業者がきちんとした対応を行わないということであれば、それは外部通報がなされるということになってくるわけですね。そういうような事態を事業者としては避けるためにも、通報者に対して通知をするなり、あるいは、今どうなっているのという問い合わせに対して答えるなりというのをやるということであります。 事業者がどういうようなことをやるかということは、これは先ほど来議論になっていましたけれども、義務ということではなくて、努力義務という形にさせていただいております。
○吉井委員 努力義務ということで、結局、きちっと回答義務を規定していないということになっているわけです。 その場合、今度は行政機関に通報した場合ですね。必要な調査を行い、犯罪行為等の事実があると認めるときは、法令に基づく措置となっているんですが、通報者に対して、調査結果、是正措置の内容、犯罪行為がないと判断した場合はその理由を通知する規定がなくて、通報がどのように処理されたか明らかにされませんが、行政機関が犯罪行為等の事実がないと判断したら、どのような調査を行ったのかわからないということになってくる。 一定期間後に、通報者に対して、調査内容、措置内容について報告するようにするべきだと思うんですが、することになっていますか。
○永谷政府参考人 法文上はそういう規定は置いておりませんけれども、先ほども申し上げましたけれども、原子炉等規制法の運用要領等に応じて、調査の中身でありますとかその他の公表事項等について、適宜周知を図っていくというふうに考えております。
○吉井委員 そこで原子炉の話を出したってだめなんですよ。五年前の改正の後、内部告発しても、告発者の名前を漏らしてしまったり、二年間何もしていなかったという実績があるわけですから。だから、原子炉関係だったらこういうふうにやりますという話は全然通らないということを言っておきたいと思います。 次に、人の生命、身体への危害が発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある場合。このときは外部に漏らしていいということですが、まれなケースしかないのではないかと思うんですが、何か想定しているものがあれば聞かせていただきたいと思います。
○永谷政府参考人 例えば、安全規制に違反した食品が売られているようなケースというのを念頭に置いていただければと思います。
○吉井委員 大体、多くの場合は、人の生命、身体に危害が発生する急迫した危険がある。あなたは結局、今とりあえず一つ出されたんだけれども、まれなケースなんですね。結局は、想定は困難だが結果として生命、身体に危険が及ぶというものが、例えばあのジェー・シー・オー事故の場合もそうなんです。犠牲者が出ました。しかし、あれは、私、前回お話ししましたように、原子力安全審査の過程でとか、あるいは企業の中でこの工程はおかしいということできちんと早くに内部告発して是正が図られたら、犠牲者が出ることはなかったんです。 けさ、参考人の質疑のときに「もんじゅ」の例を挙げましたが、あれは、町工場の技術屋さんが、こんなことをやっておったら流力振動で温度計の細管は破損する、当然ナトリウムが漏れて漏えい火災事故を起こすと。あの「もんじゅ」事故ですね。早くに内部告発が外部ルートにしてもあれば、こういうことは招いていないんですよ。しかし、それは、町工場の技術屋さんには、大手の原発メーカーの若い技術屋さんが行って注文はするけれども、注意を受けても、大丈夫だということで突っ走ってやってしまっているんですよ。三菱ふそうトラックについても、早くに是正しておれば犠牲者は出ていないんですね。 だから、人の生命、身体に危害が発生する急迫した危険という、この急迫した危険の場合だけに限ってしまうと、結局、多くの場合は後からたくさんの犠牲者が出ているんですよ。 だから、大事なことは、こういうハードルを設けないで、早くに外部通報を可能として、そのことによって、企業の方も、ジェー・シー・オーのように倒産というふうなそういうコストを払わなくてもいいように。そして、ジェー・シー・オーの場合などは、風評被害についても、結局、茨城県民の中で農家の方たちが風評被害を受けているんですよ。何か、内部告発があって企業が風評被害で困るような話じゃないんですね。ああいう事故のために風評被害を受けたのは国民なんですよ。そこのところをきちっと踏まえて考えていかなきゃならぬというふうに思います。 法案は、結局、これら外部通報の要件は、公益を侵すような悪いことをした事業者を批判する立場でなくて、逆に、外部通報した労働者が形式的手続を守っているかどうか、守られているかどうかだけで、通報者を保護するかどうかを審査の対象とする性格の規定になっていないというところがやはり根本的な問題だと私は思います。 最後に竹中大臣に伺っておきますが、そもそもこの法律は何のためのものかということが一番大事なところだと思うんですね。企業のコンプライアンス経営の枠の中に抑え込むためのもの、企業活動の自由のためのものなのか、そうじゃなくて、国民の生命、身体、財産等の利益を守るための法律なのか、やはり根本が問われていると思うんですよ。 私も例に挙げましたように、三菱の問題にしても、ジェー・シー・オーにしても、「もんじゅ」にしても、雪印にしても、経営トップがやはり、失礼だが、実際にいいかげんなことをやっておったわけですよ。内部ルートだけでは正せなかったというのが現実なんです。結果として、会社が倒産したり、あるいは茨城県の農家のように風評被害を受けたりとか、そういう問題が起こっているんですから。だから、外部ルートを含めて、早く事実が表へ出て、是正措置が早くとられることが、結局は、企業にとっても社会的責任を果たすことができるし、企業も信用を失墜する前に問題解決ができるし、倒産等もなかったと思うんですね。 だから、法律をつくるときは、国民の利益を中心にした法律にすることが同時に企業の自由な経済活動にとっても大事なことだ、そういう立場でこの法律を考えていかなきゃいけないと思うんですが、最後に、この点、竹中大臣の考えというものを伺っておきたいと思います。
○竹中国務大臣 吉井委員が最後におっしゃった、早くいろいろな措置を、まさに不正な措置を防ぐことによってそれが公益を守ることになるし、結果的にそれによって企業もメリットを受けるはずである、まさに私もそのとおりだと思っております。それがまさに公益、この法律が目指すところ、そうした場合に労働者が不利益な扱いを受けることのないようにということなわけでありますが、そのときに、これは先ほど横路委員にも御議論をいただきましたけれども、一方での風評のリスクとか、私はそれをコストというふうに呼んだわけでございますけれども、そことのやはりバランスはとらなければいけないということなのだと思います。 そうした場合に、実は、もちろん風評リスクをどのようにはかるかということもありますでしょうし、しかし、野党の皆様の修正の案にも結局のところは内部に対する通報と外部に対する通報では差異を設けているわけですから、そこはやはり、そうしたコストをちゃんと皆バランスをとろうとしているということだと思います。もちろん、バランスのとり方がきついか甘いか、それに関しては、私どもの案に対する御批判もございましょうし、いろいろな違った考え方があるということはきょうの審議を通じても私どもも理解をしておりますが、その意味では、委員のお尋ねに対しては、目指すところはまさに公益をしっかりと守ることなのであって、その場合に労働者に不利益な扱いをしないということなのであって、もって我々の自由な経済社会活動がよりよく円滑に運営されるような仕組みをつくっていく、そのようなことであろうと思っております。
○吉井委員 時間が参りました。本日は、これで終わります。
○山本委員長 次回は、来る二十一日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時五分散会