本会議 第30号
- 発言数
- 61 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2003/06/06
会議録
○議長(倉田寛之君) これより会議を開きます。 日程第一 国務大臣の報告に関する件(サンクトペテルブルク訪問及び第二十九回主要国首脳会議出席に関する報告について) 内閣総理大臣から発言を求められております。発言を許します。小泉内閣総理大臣。 〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、五月二十九日から六月四日まで、サンクトペテルブルク建都三百周年記念行事及び主要国首脳会議に出席するため、ロシアのサンクトペテルブルク及びフランスのエビアンを訪問しました。 日ロ首脳会談では、平和条約締結問題、エネルギー分野での協力等、幅広い問題について協議を行い、本年一月の私の訪ロの際に合意した日ロ行動計画を今後とも着実に実施していくことが重要であるとの認識で一致いたしました。 胡錦濤国家主席との日中首脳会談では、本年が日中平和友好条約締結二十五周年であることも踏まえ、両国間の幅広い交流、協力を一層推進していくことを確認し、北朝鮮問題について互いに協力していくことで一致しました。 主要国首脳会議では、世界経済や開発、テロ、大量破壊兵器の拡散、中東和平等の困難な問題について、各国が協力して取り組もうという国際協調の重要性の認識を共有することができました。 世界経済については、成長に向けた強い決意を確認し、私は、構造改革、デフレ対策を含め日本経済の再生に積極的に取り組んでいることを説明しました。また、米国の強いドル政策を歓迎する旨述べました。 開発については、一日目に新興国・途上国との間で有意義な対話を行いました。京都フォーラムでも議論された水問題、SARSを含む感染症対策や違法伐採対策の重要性、科学技術を通じた環境と成長の両立に関する更なる国際協力の必要性や、京都議定書の早期発効の重要性についても訴えました。また、人間の安全保障委員会報告書及び国連小型武器中間会合の重要性についても述べました。 地域情勢については、中東和平の実現に向けたブッシュ大統領の努力に対し、その成功への強い期待が表明されました。イラク復興支援は広範な国際協調の下で進めていく必要があり、我が国の呼び掛けを受けて国連がイラク復興支援に関する国際会議の開催に向けた準備会合を開催する旨発表したことをG8として歓迎しました。 北朝鮮について、私は、核問題を始めとする安全保障上の問題や拉致問題等の懸案を包括的に、そして平和的に解決したい旨強調し、各国の理解を得ました。G8として、北朝鮮に対し、いかなる核兵器計画をも廃棄することを強く求めていくことで一致しました。 また、一日目のアフリカ首脳との対話では、九月に東京で開催する第三回アフリカ開発会議への積極的な参加を要請しました。 私は、今般改めて確認した各国首脳との個人的信頼関係を踏まえ、今後とも、国際政治経済等の各分野において、我が国として主体的、積極的な役割を果たしていきたいと考えます。(拍手) ─────────────
○議長(倉田寛之君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。河本英典君。 〔河本英典君登壇、拍手〕
○河本英典君 私は、自由民主党・保守新党、公明党を代表して、ただいま報告のありました総理の帰国報告について質問をいたします。 五月下旬の日米首脳会談を皮切りに、中東訪問、さらにロシア、中国首脳との会談、そしてエビアン・サミットに至るこの約二週間は、我が国の国家戦略、外交戦略上、誠に有意義なものであったと受け止めております。内外ともに多事多難な中、討議の行方、具体化が我が国の展望を切り開くことにつながると考えるからでもあり、総理の御活躍を大変に心強く思った次第であります。 我が国にとっては、北朝鮮問題という懸念があることから、日米同盟関係が二国関係として最も重要な関係であることは論じるまでもなく、トップ同士の信頼関係が深いことは国民の一人として頼もしいものに見えます。もちろん、その友好な関係の背景には、本年三月の米軍等によるイラクに対する軍事行動の際、小泉総理がいち早くアメリカ支持を表明したことがあったことは論をまちません。 この首脳会談では、イラク問題を始め、日米両国の在り方、為替問題等の経済問題等、数多くの両国の重要課題が率直に議論されたかと存じます。そして、我が国にとって目下最大の安全保障上の課題である北朝鮮問題も取り上げられております。 拉致問題については、ブッシュ大統領は、北朝鮮によって拉致された日本人の行方が完全に解明されるまで米国は日本としっかり連帯すると約束をされました。また、エビアン・サミットの議長総括においても、初めて拉致問題の解決に言及されております。 こうした目に見える成果は、総理が、今まで、欧米首脳への粘り強い働き掛けの結果であることは明らかであります。 また、日米首脳会談において、北朝鮮に対して、対話と圧力をもって問題を平和的に解決していくということで一致したことは特筆すべきことであります。しかし、対話については従来どおりと存じますが、一方で圧力については具体的に何を指し示すのか判然といたしませんので、この点、国民に分かりやすく御説明願います。 また、アメリカの圧力と日本の圧力の間に温度差があり、なおかつ、米韓首脳会談における北朝鮮が朝鮮半島の平和を脅かした場合の追加的な措置を講じるという言葉と、このたびの首脳会談における一層厳しい措置とは開きがあることから、三か国の対応には若干違いがあるという指摘も見られます。 しかし、北朝鮮問題を解決するためには、三か国の一致結束した取組が肝要です。よって、明日開かれます日韓首脳会談では、総理のリーダーシップによって、北朝鮮問題に対する三か国の連携を強化するとともに、北朝鮮への強いメッセージを発信していただくことを期待しますが、総理の御決意を伺います。 さらに、北朝鮮に対しては、現行法で行える密貿易や麻薬の徹底的な取締り等はもとより、今後、北朝鮮が八千本にも及ぶ使用済み核燃料棒の再処理やミサイル発射をするといった瀬戸際政策をエスカレートさせないためにも、そうした行動を取った場合、経済制裁を始め、北朝鮮籍の臨検を行う等といった毅然とした姿勢を鮮明にすべきであり、必要があれば法整備も含めて万全な体制を一日も早く整えるべきと考えております。 また、過日、アメリカ上院の公聴会において元北朝鮮高官が、ミサイル部品の九〇%以上は日本からのもの、三か月ごとに万景峰号により運ばれた旨の発言をいたしました。万景峰号では麻薬密売や工作員への指示をしていたとも考えられており、国民の間では不安が高まっております。そこで、この万景峰号が来週六月九日に新潟港に入港する予定であることから、関係各省庁においてしっかりと連携をして、徹底した検査を行うよう強く要請いたします。 次に、イラクの戦後復興問題について伺います。 イラクの戦後復興は、国際社会が一致をして取り組んでいかなければならない重要な問題であります。五月二十二日、対イラク制裁解除決議が、安全保障理事会において、シリアを除き、イラク戦争に反対したドイツ、フランス、ロシアを含めて多くの国の賛成で採択されたことは、この問題に対していったんは亀裂が生じたかにも見えた国際社会が再び結束し取り組む第一歩だと考えます。 我が国も、周辺国へのC130輸送機の派遣を始め、雇用、教育のためのイラク復興人道支援等を実施しております。それに加えて、今後、自衛隊の米英軍等の後方支援という目に見える積極的な国際貢献も考えられますが、イラクの戦後復興に当たっての我が国の今後の基本的な対処方針をお尋ねいたします。 総理は、サミットに先駆け、五月三十日に日ロ首脳会談を、翌日の三十一日に日中首脳会談を行われております。 日ロ首脳会談においては、ロシア側が北方領土問題の解決より経済問題を重視しているという印象を受けましたが、このたびの会談で領土問題に関してどのような進展が図られたのか、お尋ねいたします。あわせて、我が国のエネルギー政策として重要となってくる東シベリアからのパイプライン構想についていかなる議論が行われたのでしょうか。 次に、日中首脳会談についてでありますが、日中の間には様々な懸念する問題があるとはいえ、我が国にとって経済的に重要な国の一つでもあり、なおかつ北朝鮮問題を解決するためにも、北朝鮮と経済的、地理的に密接な関係を有する中国との関係をより良いものにしておくことが肝要です。こうした中、中国の胡錦濤新政権が誕生したにもかかわらず、日中首脳会談が開催されてこなかったことに対して若干心配をいたしてまいりました。 そこで、このたび胡国家主席とは初の会談でありましたが、日中の未来志向の両国関係構築に向けてどのような感触をお持ちか。胡主席と同世代である総理として、新主席の印象も併せて伺います。 サミットについて伺います。 初日は中国等の新興国・途上国及びアフリカ諸国との対話が行われ、二、三の両日は、不透明な世界経済情勢の問題を始め、北朝鮮やテロ対策等の安全保障問題、イラク復興、アフリカ問題、SARS対策、環境問題等、各国首脳同士の活発な意見交換がなされております。 特に、経済討議の中で、総理のリーダーシップによって、日米首脳会談のときと同様に、ブッシュ大統領の口から強いドル政策は変わらないというドル高政策の言葉を引き出したことが契機となり、それが各国のドル高政策の確認をしたことにつながったことに対しては、世界的なデフレ危機の中、米国が国際秩序の維持に積極的に乗り出したものであり、我が国の国策にかなうものと評価いたします。 果たして、これをもって為替相場が安定を取り戻すととらえてよいのか、不透明な世界経済について各国首脳間においていかなる意見交換が行われたのか、世界的なデフレ進行について他の首脳と共通理解が得られたのかを伺います。 また、サミットでは、テロ対策における国際的な協力体制やSARSやエイズ等の保健対策や、四千万人に上るアフリカの飢餓対策、水問題に対する国際的な取組について議論が行われております。そのいずれもが、現在、国際社会の抱える重要な課題であり、こうした問題の解決に向けて我が国も積極的に参画すべく、総理が一層のリーダーシップを発揮されますよう、決意を伺って、私の質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 河本議員にお答えいたします。 北朝鮮に対する対話と圧力についてですが、先般の日米首脳会談で私が言及した圧力とは、北朝鮮が対話に前向きに応じることを促すためのもので、国際社会による核兵器開発は容認しないとの強いメッセージの発出、違法行為の厳格な取締り、事態悪化の場合の一層の厳しい対応等を趣旨としております。 日韓首脳会談についてでございますが、北朝鮮をめぐる諸問題の平和的解決のためには、日米韓を始めとする関係国が緊密に協力して、北朝鮮に対し責任ある行動を取るよう強く求めていくことが重要であります。盧武鉉大統領との会談では、この点につき確認し、また、米中朝三者協議への日韓の参加を含め、対話の継続、発展のため、緊密に連携していく考えであります。 イラク復興の基本的な対処方針についてでございますが、我が国は、国際協調の下、イラクが一日も早く再建され、イラクの人々の生活が正常化するよう速やかにできる限りの措置を講じていく考えであります。我が国として何ができるかについては、我が国の国力にふさわしい貢献を行うとの観点から、今後、主体的に検討を行ってまいります。 北方領土問題についてですが、我が国としては、日ロ行動計画の着実な実施を図っていく中で、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結し、もって日ロ関係を完全に正常化させることが必要と考えております。先般の首脳会談でも、私はこの点につき発言し、プーチン大統領より、日ロ関係の重要性にかんがみ、この問題を解決したいとの強い気持ちが示されました。 日ロ首脳会談における東シベリアからのパイプライン構想に関する議論についてですが、日ロ首脳会談において、両国にとってナホトカ・パイプラインの戦略的重要性を確認しました。同プロジェクトは、日ロ行動計画に基づく貿易・経済分野の協力の最重要の柱でもあり、引き続き実現に向け協力していくことで意見の一致を見ました。 今回の日中首脳会談の結果、胡錦濤国家主席の印象についてでございますが、今回の会談では、本年が平和条約締結二十五周年であることも踏まえ、幅広い分野で未来志向の交流、協力を推進していく旨確認するとともに、北朝鮮問題の平和的解決の重要性につき一致いたしました。 また、胡錦濤主席については、私と同世代の新たな指導者として、両国の協力関係を一層強化していきたいとの強い意欲を持っておられると感じました。 為替についてでございますが、私は、現在の経済の状況からして円高になる理由はないと考えており、ブッシュ大統領のドル高政策を歓迎するとともに、こうした見方を今回サミットの場でも表明いたしました。 為替相場の見通しについての発言は総理大臣として差し控えたいと思いますが、いずれにせよ、為替相場は安定的に推移することが望ましいと考えており、必要に応じて適切な措置を取ってまいります。 サミットにおける世界経済に関する議論についてでございますが、世界経済については、G8として成長についての強いメッセージを発出することの必要性について共通の認識があり、この認識の下で主にマクロ経済運営と構造改革について議論を行い、経済成長の確保の重要性、そのための国内改革の必要性につき意見の一致を見ました。 テロ対策、開発問題に関する我が国のリーダーシップについてのお尋ねでございますが、御指摘のとおり、サミットではテロ対策、保健、飢餓、水問題等につき活発な議論が行われ、私は、違法伐採対策や京都議定書の早期発効の重要性、科学技術を通じた環境と成長の両立に関する更なる国際協力の必要性等を訴えました。 今後とも、こうした諸課題に関し、一層積極的に主導的役割を果たしていきたいと考えます。(拍手) ─────────────
○議長(倉田寛之君) 長谷川清君。 〔長谷川清君登壇、拍手〕
○長谷川清君 私は、民主党・新緑風会を代表して、小泉総理の日米首脳会談、エビアン・サミット等の報告に対し、総理及び関係大臣に質問します。 まず、サミットのテーマとなりましたイラク復興支援について、民主党は国連決議なくして単独主義的なイラク攻撃を行ったアメリカやイギリス等の行動に対しては国際法上の疑義もありと、そういう観点から反対を表明してまいりました。 しかし、既にフセイン政権は崩壊し、国連によるイラク制裁解除決議がなされ、イラクの国民の民生を安定させることが急務であることにかんがみ、援助を否定する態度を取るべきではありません。 日本としては、医療や教育分野への支援、社会的なインフラの整備などに重点を置くと主張すべきであります。湾岸戦争後、我が国は、法人税や石油税の増税をもって支援を講じてまいりましたが、今日の日本の経済の情勢下にありましては、そうした手段は取るべきではないと存じます。でき得る限り、不要不急の経費の削減によって財源は賄うべきであると考えます。 以上の諸点について総理の答弁を求めますが、さらに、イラク復興支援への協力で補正予算を編成することもあり得るのかどうか、併せて答弁をいただきたいのであります。 自衛隊はPKO法やテロ対策措置法に基づいて海外で活動できることになっておりますが、ただし、受入れ国の同意が条件になっているのであります。しかしながら、このところ政府内において検討されております新法は、イラクに政権が樹立をされていないということにかんがみまして、相手国の同意なしに自衛隊を派遣できるものとすることと報じられております。自衛隊は米英軍への協力支援や被災民救済を行うものとし、武器の使用基準については現状のままでいいということも伺っております。 私は自衛隊の活用を否定するものではありません。しかし、このようななし崩し的な拙速な議論は避けるべきであります。国民に丁寧に説明し、野党とも十分協議をした上で法案の最終案を決定する手順を踏んでいただけるかどうか、総理にお伺いするものであります。 なお、現在、今、参議院におきましては重要な法案が山積をし、それをまじめに審議しているところであります。その最中に、山崎自民党幹事長から国会延長発言が飛び出してみたり、内閣改造をめぐりまして与党の中に不穏な動きが出ておりますが、これらイラク復興支援とともに、これらの動きについて、自民党総裁選をにらんだ政争の具と言わざるを得ません。有権者をないがしろにするこういう行為というものについて、参議院としては迷惑千万であります。ここに苦言を呈するものでございます。 次に、北朝鮮問題について質問いたします。 今回のサミットにおいて採択されました議長総括では、北朝鮮の核開発問題と拉致事件の包括的な、平和的な解決への支持が盛り込まれましたが、サミットにおいて拉致事件に言及されたのは初めてのことであり、国際的な世論においても政府が毅然たる態度を貫き通すことが不可欠であります。 なお、先日行われました日米首脳会談で、小泉総理が、北朝鮮に対して、対話と圧力、これが必要だと述べたこの発言に関し、外務省内での動きによって、記者への説明資料から圧力という二文字が故意に削減されたと言われております。 こうした行動がもし事実とするならば、日米同盟に対する重大な背信行為であるばかりか、二十数年間にもわたって生き地獄の苦しみのような味わいを続けてこられました被害者の方々やその家族に対しても説明の付かないことと受け止めざるを得ません。政府は事実の関係を明らかにすべきではありませんか。これに関与した外務省の担当者の更迭を求める声も強まっております。どう対処するおつもりか、小泉総理に答弁を求めます。 小泉総理は、昨年の九月の平壌宣言が破綻をしているということを率直に認めるべきではないですか。拉致被害者及び家族全員の早期帰国や、安否情報の提示や、現地の調査や、拉致の行為に対する正式な謝罪と補償、原状の回復等々、これらを最優先事項として、米中朝に日韓を加えた枠組みで、さらに、国連安保理、国連人権委員会、これら国連機関を活用した取組というものを強化して拉致事件の早期解決を図るべきであると考えますが、総理のこの間における方針を明らかにしていただきたいのであります。 また、今月の九日に、北朝鮮の万景峰号が新潟港に入港を予定しております。民主党は、これら対日・対韓工作に使われている疑いのある万景峰号などについては、北朝鮮工作員による不当な活動を防止するため、出入国管理規制や貨物等の輸出入の検査などの税関体制を強化することを政府に求めてまいりましたが、政府は、このたびのこの入港に対しましていかなる態度を取るのでしょうか。あるいは、北朝鮮向けの物資やお金の動き、対日工作などに対する監視体制をいかに強化をしていくおつもりなのか、総理に対して御所見を伺うものであります。 さらに、核拡散防止条約、NPTの脱退、ミサイル発射の実験、あるいは核兵器保有表明など、幾つかの危険な瀬戸際の政策をエスカレートさせている北朝鮮には厳重に抗議すべきであります。こうした姿勢を絶対に容認しないぞという厳しい態度こそが重要であります。 こうした北朝鮮の蛮行を転換をさせるためには、日米韓を始め、中ロとの政策調整が一層重要であります。国連に対して、北朝鮮問題の早期解決を促すなど、国際社会の関与を強めることが重要と考えますが、政府としていかなる態度で臨むのか、総理の見解を伺います。 次に、日米関係についてであります。 我が党は、責任政党といたしまして、日米同盟を日本外交の基軸としております。アメリカとの関係強化にも努めております。 今般の一連の外交活動において、日米関係においても、両国首脳が緊密に意思の疎通を図り、協力をしてこれらの問題に対処していく機運がつくられたものについては一定の前進を評価しております。 しかし、沖縄の海兵隊の削減方針がまことしやかに報じられている件についても、日本政府が正確な情報の把握やアメリカとの緊密な協議をしているようには見受けられないのであります。イラク復興支援などの重要課題に関してアメリカとどのように政策調整をされているのか、全く判然といたしておりません。 また、今回のサミットでは、アメリカとフランス、ドイツなどとの関係修復が重要課題となりましたが、日本としてはもっともっとこの問題は積極的にかかわってよかったのではないでしょうか。 沖縄米軍基地の整理縮小、アメリカの国際社会へのかかわりもいろいろ展望したときに、いかなる将来のビジョンを持って日本政府は新しい日米関係を構築しようとしているのか、その点について総理の答弁を求めます。 次に、財政問題に移りますが、失政を重ねる小泉内閣に対しましては、これからの質問はどうしても辛口にならざるを得ません。 今、経済の血液である金融が破綻寸前の状況にあります。総理は、テキサスでの首脳会談において、りそな銀行には金融危機に陥る前に公的資金の注入を決めたとか、日本経済の実態は言われるほど悪くはないんだということを強弁して、ブッシュ大統領をちょろまかしたわけではないが、ブッシュ大統領のお墨付きを得て、サミットに行き、我が国の金融システム対策や不良債権処理策についてあえて議題から外すというか、議題から避けている。経営者が多少の責任を取ったというだけで従業員も株主も何ら責任を取らない、このことも問題ではありますけれども、何はさておいても、かかる金融危機を招いた政府の責任を明らかにすることこそ先決ではないのですか。 金融危機対応会議の直前まで、太平洋・島サミットにおいて総理はアイーヤと踊っていましたね、沖縄で。非常にいい顔をしておりました。大写しでした。その一方において、りそなが救急車で危篤状態で国立病院に送られているという映像です。これを同時に見た国民からすれば、危機管理意識に欠ける内閣の姿勢に危惧の念を抱かざるを得ません。総理のこの点に対する答弁を求めます。 既にもう銀行には三十六兆円もの公的資金がつぎ込まれているのでありますが、中小企業には金は貸しません、庶民に、預金者に利息は払えません、手数料だけは取ります、そういう銀行が守られていて、その上に、銀行のずさんな事務のために、通帳が盗まれ、あるいは偽装の印鑑を使って銀行から預金を引き下ろす、こういうことが許されていて、元々の本来の預金者が補償さえ行われていないというこの事件が多発をしているのであります。 小泉内閣は、金融再生どころか、銀行のやっている庶民や中小企業いじめに加担をしているのではありませんか。政府の金融政策は破綻していると断ぜざるを得ませんが、総理の明快なる答弁を求めます。 サミットでは、小泉総理は、世界のデフレ懸念を逆手に取って、日本のデフレ脱却への取組を説明するにとどまりまして、厳しい責任から逃れて帰ってきております。もう限界でございます。 小泉さんの構造改革を何とか転換を早くして、新しい社会のビジョンを明らかにしてリーディング産業を育てる、雇用をつくるための真の構造改革をこれから促進していかなければ日本の経済の再生はあり得ないと存ずるのであります。 小泉総理はやみくもにスローガンだけを叫ぶだけであります。口だけ改革なんです。ゴルフでいえば、口だけワトソンと同様のことなのであります。肝心な、目指すべき国家の将来像を明らかにしていないのであります。私は、一言で言うならば、経済力の高い国家の創造を目指すべきであると考えます。 そのためには、まず第一に、今コンクリートのように経済社会の土俵が固まってしまっております。まずは、経済に対する規制を撤廃しなければなりません。新たな規制は苗を新たに植えればよろしい。 第二には、科学技術の基礎研究を徹底すること。これまでの日本の約五十八年間、〇・三%でずっと据え置いてきている。優秀な科学者は、助手まで連れて諸外国で、あちらで特許を取っている状況です。産学官の連携を高めてこれらの柱を築くこと。 第三には、人こそが財産であるという発想の転換が必要です。戦後五十数年の間は、人材は人の材料として材料扱いです。これからの日本は、人こそが財産である、人材を扱う場合には人財と書いてジンザイと呼ぶ、そういう転換を必要といたしております。そこに支援をすることです。 第四には、新しいニーズに対して、今は需要と供給がミスマッチを起こしているからデフレ不況なんです。このミスマッチを解決するためには、新しく多様化したニーズにどう供給体制を整備するか、それなくしてデフレ不況の克服はありません。 最後に、商品のみならず、我が国は世界じゅうの六十億を相手にして、商品や文化や芸術や音楽やスポーツや環境や、ありとあらゆる人間としてのインタレストを供給する国に、それを目指していこうではないかと私どもは思います。 このような国家像に向かって改革に取り組むという考えがおありなのかどうか、総理に本音のお答えをいただきたいのであります。 民主党版の言う構造改革は、具体的な国家の将来ビジョンを定めた上で、お金の使い道にまで踏み込んで行政や財政の仕組みを大胆に変えようとするものであります。福祉、環境、科学技術などに予算の重点配分を行い、地方が自由に使える一括交付金制度を創設すべきであります。今のように、古い器の中に予算を幾らつぎ込んでも経済の回復などは望めないと考えますが、総理の答弁を求めます。 小泉内閣の失政に苦しむ勤労者や若者、中小企業に対する緊急の策が今、不可欠であります。雇用保険の財政基盤の強化、きめ細かな職業訓練やキャリアカウンセリング、政府系の金融機関の貸付制度の拡充や、今、実態を無視した金融庁の検査マニュアルの見直し等々を図るべきではないかと考えますが、総理からそのお約束をいただきたいのであります。 小泉内閣は、深刻な不況にもかかわらず、患者負担の引上げとか……
○議長(倉田寛之君) 時間が超過いたしております。簡単に願います。
○長谷川清君(続) 配偶者特別控除の縮小などを強行しております。さらに、生命保険の利率引下げ法案を国会の終盤になって提出をしております。 これらの問題等々を、時間が来たと言っておりますから先を急ぎますが、小泉総理は在任中に消費税を引き上げないと明言しておりますけれども、既に一方においては、政府税調や経済財政諮問会議においては税率の引上げが検討されているような状況です。私どもは、大胆な行政改革とか福祉ビジョンの確立をまず先議して、その上に立ってこれらの消費税問題を議論すべきではないか、それまでの間は凍結すべきであると考えますが、総理と財務大臣に質問をいたします。 最後に、小泉内閣が誕生して二年余り、この内閣は、経済政策をひたすら悪化させ、国民生活を破綻に導いた内閣として歴史にその名をとどめるところでありましょう。 小泉内閣の退陣と政権交代こそが最大の景気対策であることを、これを強く私は信念として強調し、私の質問を終わりたいと思います。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 長谷川議員にお答えいたします。 イラク復興支援の重点分野及び自衛隊の活用についてでございますが、我が国は、国際協調の下、イラクが一日も早く再建され、イラク人の生活が正常化するよう、御指摘の医療、教育、インフラ整備等の支援も含め、速やかにできる限りの措置を講じていく考えであります。イラクの復興等を支援するために我が国として何ができるかについては、我が国の国力にふさわしい貢献を行うとの観点から、主体的に検討を行ってまいります。 イラク復興支援に係る財源及び補正予算の編成についてでございますが、今後の事態の推移を見極める必要があることから、その財源等について現段階で確たることは申し上げられません。したがって、現時点でイラク復興支援のための補正予算の編成を議論することは時期尚早と考えます。 日米首脳会談の対外説明についてでございますが、首脳会談について種々報道されていることは承知していますが、いずれにせよ、政府の方針は、私がブッシュ大統領に述べたとおり、北朝鮮問題の平和的解決には対話と圧力が必要であるというものです。本件に関連し更迭などは考えておらず、今後ともこの方針に基づき、政府は一体となって対北朝鮮政策に真剣に取り組んでまいります。 拉致問題についてでございますが、政府としては、日朝平壌宣言に従って、北朝鮮をめぐる諸問題を包括的に解決し、北東アジアの平和と安定に資する形で日朝国交正常化を実現する方針に変わりはありません。特に拉致問題については、引き続き北朝鮮側に対し、被害者の御家族の早期帰国と追加情報の提供を求めるとともに、国際場裏や二国間会談の場等あらゆる機会をとらえて問題の早期解決に向けて粘り強く努力していく考えであります。 万景峰号に対する対処及び北朝鮮向けの物資等の監視体制についてでございますが、万景峰号については政府としても重大な関心を持って情報収集を行っており、関係機関の連携を確保しつつ、輸出入貨物や出入国を行う乗船客の携帯品について厳正な審査、検査を行うなど、水際における厳重な取締りに努めています。北朝鮮向けの物資等については関係省庁が連携して監視を強化し、違法行為に対しては厳正に対処してまいります。 北朝鮮の安全保障上の問題についての国際社会への働き掛けに関するお尋ねでございますが、政府としては、核問題を始めとする安全保障上の問題については、日米韓の連携を基本としつつ、中国及びロシア等の関係国や、国連や国際原子力機関等の関係国際機関と緊密に協力し、北朝鮮に対し、国際社会の一員として責任ある行動を取っていくよう引き続き積極的に働き掛けていく考えであります。 日米関係の在り方についてでございますが、日米両国は強固な同盟関係にあり、世界の問題を世界の国々と協調しながら解決していく原動力だと思っております。さきの日米首脳会談で私とブッシュ大統領が一致したとおり、このような世界の中の日米同盟、これを強化し、御指摘のような日米二国間の問題や国際社会の諸課題にともに取り組んでいく考えであります。 今般のりそな銀行への対応を含め、公的資金注入にかかわる金融行政についてでございますが、りそな銀行に対する公的資金の投入は、金融危機が生ずることを未然に防止し、預金者や中小企業を中心とする取引先に不安を与えることのないよう、銀行の再生と金融システムの安定を確保するために行うものです。金融機関が破綻したわけではなく、金融危機が生じたわけでもありませんが、りそな銀行がこのような事態となったことについては遺憾であると考えております。 なお、従業員の責任については、年収の三割カットが既に公表されており、また、株主責任としては、配当の抑制を行うことを考えております。 中小企業金融等をめぐる環境は厳しい状況にあるものと認識しておりますが、今後とも中小企業に対するセーフティーネットに十分配慮しつつ、不良債権処理を始めとする改革を進め、強固な金融システムを構築していくことが政府に課せられた責務であると考えます。 経済力の高い国家の創造を目標に改革に取り組むべきとの御指摘でございますが、小泉内閣が目指すのは、簡素で効率的な質の高い政府の下に、自助と自律の精神で、国民一人一人や企業、地域が持っている大きな潜在力を自由に発揮できる、活力ある民間と個性ある地方が中心となった豊かな経済社会の実現であります。規制改革の推進、科学技術の振興等を通じた産業競争力の強化、文化、芸術分野を含めた多様な人材育成など、種々御提案のあった点についての基本的な考え方は長谷川議員とも共有しているものと考えており、これらの点に関する政府としての基本的な方針については、既に骨太の方針や「改革と展望」等において明確に示しているところであります。 政府としては、今後とも、活力ある豊かな経済社会の実現を目指し、日銀と一体となってデフレ克服に取り組むとともに、各般の改革に全力を挙げて取り組んでまいります。 予算の重点配分と一括交付金制度の創設についてでございますが、歳出の構造改革により、限られた財政資源を経済の活性化や将来の発展につながる分野へと重点的に配分することは重要な課題であると認識しております。こうした考え方の下、平成十五年度予算においても、歳出全般にわたる見直しを行い、活力ある社会、経済の実現に向けて、福祉、環境、科学技術などの分野において予算配分の重点化、効率化を行ったところであります。 地方財政の自立性の向上を図ることも重要な課題と認識しておりますが、民主党御提案の一括交付金制度については、現行の補助金の水準より社会保障、教育分野を含め二割削減することが可能かなどの点で問題があるものと考えております。 いずれにしても、政府としては、国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分の在り方を三位一体で検討し、今月中に改革案を取りまとめてまいります。 雇用・中小企業対策についてでございますが、構造改革を進める上で雇用、中小企業のセーフティーネットに万全を期すことは政治の責任と考えております。このため、雇用保険制度の安定的運営を確保する観点から、早期再就職を促進するため、給付の在り方を見直すとともに、ハローワーク等におけるキャリアカウンセリングや若年者を対象とする民間機関を活用した職業訓練を充実するなど、きめ細やかな支援策も実施しております。また、政府系金融機関の活用を含め、やる気と能力のある中小企業の資金繰りを円滑化するため、セーフティーネット保証、貸付けの拡充などの措置を講じているところであります。 なお、金融検査マニュアルについては、昨年、中小企業融資向けに別冊を作成し、中小企業の実態に即して検査を実施しているところであり、引き続きその周知徹底を図るとともに、内容の充実に努めてまいります。 予定利率引下げ法案についてでございますが、今回の法案は、保険契約者等の保護の観点から、保険会社、保険契約者間の自治的な手続により予定利率の引下げを可能とする新たな選択肢を追加するものであります。なお、解約の停止命令は、予定利率引下げの手続進行中の破綻を防止することなどにより、結果として保険契約者等の保護につながるものであります。 政府としては、こうした制度の意義や内容について、国民の十分な理解が得られるよう努めてまいります。 消費税についてでございますが、これまでも繰り返し申し上げておりますが、歳出の見直しを含めた徹底した行財政改革を行うことが私の内閣の大きな目標であります。したがって、私の在任中は消費税率を引き上げません。しかしながら、少子高齢化の進展等を踏まえた将来の税制の在り方については、消費税を含め、大いに議論を行っていただきたいと考えております。 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手) 〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(塩川正十郎君) 先ほど総理の答弁にもございましたように、行財政改革が進まない間は消費税議論を凍結したらどうだというお話でございまして、全く私もそのとおりだと思っております。 総理が申しておりますように、消費税の税率の問題を議論する前に、その前に我々としてはやらなきゃならぬ問題は行政改革であり、また予算の有効な執行について考えるべきであるということでございまして、現下におきましては、財政は非常に苦しいところではございますけれども、行財政改革を優先して、その上におきます消費税議論に入りたいと思っております。 が、しかしながら、消費税は言わば骨幹の税制でございますので、絶えず御議論していただくことは大いに結構だと思っております。 よろしくお願いいたします。(拍手) ─────────────
○議長(倉田寛之君) 緒方靖夫君。 〔緒方靖夫君登壇、拍手〕
○緒方靖夫君 私は、日本共産党を代表して、エビアン・サミットについて小泉総理に質問いたします。 エビアン・サミットとその前後の各国外交の中で議論になったのが、二十一世紀を迎えて三年目の今日、イラク戦争の経験を経て世界はどうあるべきか、そういう国際政治秩序の課題でした。アメリカの国連無視も辞さないユニラテラリズム、単独行動主義か、それとも国連中心の多極世界か、異なる国際秩序の対立が見て取れるサミットでした。 議長国のシラク大統領は、サミットの終了後の会見で、米英の国連承認なしで行ったイラク戦争を承認しなかったし今後も承認しないと述べ、イラク戦争の不法性を強調し、アメリカの単独行動主義的な世界ビジョンに対して国連中心の多国間国際協調の必要を対置いたしました。さらに、フランスの提起する多極化世界構築の構想は多数の国々から支持されていると述べました。 ロシア、中国の首脳も同様に、国際法上の公認の原則を基礎として、多極的で公正で民主的な国際秩序の確立を提言いたしました。また、六日前のイスラム諸国会議機構、OIC外相会議は、共同宣言の中で、テロも単独行動主義も拒否すると述べ、名指しはしないものの、アメリカの行動への不同意を表明し、国連中心の多国間の協調を高く掲げました。 私は、二十一世紀の世界は、武力を行使しない、平和的な対話を進めていくこと、異なる文明の衝突ではなく平和共存が可能であると確信しております。しかし、小泉首相は、国連の定めている国際の平和のルールに反するアメリカの戦争に賛成いたしました。今後も単独行動主義を掲げるアメリカと進み続けるというのですか。ならば、総理、その道は国連中心の多国間の協調に反する道にならざるを得ないではありませんか。総理の答弁を求めるものであります。 アメリカが国連憲章に反して戦争を始めようとしたからこそ、国連で戦争の是非をめぐって大きな議論が行われたのです。戦争開始前の半年間、国連安全保障理事会は真剣な審議を行い、最後の最後まで安保理としてイラクへのアメリカの武力行使に承認を与えませんでした。 しかし、小泉内閣が、国連憲章に基づく平和のルールを守れという世界の理性ある奔流に背を向けて、それから逸脱した道を取ったことは、大きな汚点を残しました。総理、あなたの行動は国連の権威を傷付けるものとなったのではありませんか。明確な答弁を求めます。 今日、イラク戦争を行った根拠、さらに戦争を支持した理由が改めて鋭く問われております。私は、戦争を行ったこと自体、大きな誤りであったと考えていますが、イラクに大量破壊兵器を廃棄させるためなら米英軍が戦争をするのはやむを得ないと考えた人たちは、戦闘終了二か月近くを経ても大量破壊兵器が見付からないことに、米英国内でも政府に裏切られたという批判の声を上げています。米英の議会では調査が開始されます。 総理は、アメリカの戦争を支持した理由を、三月二十四日の衆議院予算委員会で、危険な独裁者が大量破壊兵器を持った場合、この脅威を除去するために立ち上がったものと答弁していただけに、その責任は極めて重大であります。さらに、UNMOVICのブリックス委員長は、かねてから、米英両国が持ち出した機密情報は当てにならない不確実なもので、国連を不当に傷付けることをねらったものと非難してきましたが、昨日、安保理への報告で、イラクが十分に説明責任を果たさなかったというだけで大量破壊兵器があるはずだと一足飛びに結論を出したことは正当化されないと、米英を批判しました。総理が米英の言うことをうのみにして、日本の進むべき道を誤らせたという重大な問題であります。 総理、あなたがイラク戦争の支持を理由として、戦争の結果廃棄されるはずであった大量破壊兵器がいまだ見付かっていないこの事実を一体どう説明されるのか、しかとお答えいただきたいと思います。 戦争が終わっても単独行動主義の問題は解決しておりません。イラクの石油管理や復興インフラの整備などはアメリカ企業がほぼ独占しており、アメリカは血を流しただけ分け前を取るという発想が見て取れます。OIC外相会議は、イラクの完全な主権の速やかな回復、イラク占領の終結、戦後イラクにおける国連の中心的役割を強調しております。今日の世界は勝者が利権を一切獲得するという世界であってはならないはずです。イラクの復興は文字どおり国連中心に進むべきではありませんか。総理の明確な答弁を求めます。 政府はイラクへの自衛隊派遣新法を検討すると言っておりますが、イラク国民からもアラブ周辺諸国からも要請がなく、アラブと日本の友好と信頼に傷をつくる自衛隊の派遣には断固反対する、このことをはっきりと申し上げたいと思います。 次に、北朝鮮問題についてお尋ねいたします。 北朝鮮の核問題、核開発はサミットや一連の各国首脳外交で重要な課題となりました。北朝鮮の核兵器開発を食い止める上で、これまで北朝鮮が従うとしてきた国際的な取決めの厳守は当然であります。しかし、それにとどまらず、強力な軍事的抑止力、物理的抑止力に依拠し、軍事力の強化にすべてを優先させる軍事優先思想による軍事的対決の論理と北朝鮮が決別し、周辺国との正常な関係をつくるように促すことこそ必要であります。 総理、核開発を正当化する論理を掲げる北朝鮮に対して、その誤りを道理をもって真正面から説く外交が求められているのではありませんか。答弁を求めます。 こうした相手の状況に合わせて道理を説くことを抜きにして、北朝鮮に対する圧力ばかりが独り歩きするとしたならば問題解決にならないであろうということを指摘しておきたいと思います。 北朝鮮にとっての安全保障上の最大の問題、それは軍事力や抑止力が足りないことではありません。北朝鮮が周辺諸国、さらには国際社会から孤立を深めていることにあります。この孤立は、北朝鮮が拉致、ラングーン事件、航空機爆破事件など、長期にわたる数々の国際的な無法を重ね、それらを清算するに至っていないことに起因しております。無法を清算してこそ北朝鮮が国際社会への仲間入りをすることができるし、それは国際社会にとっても歓迎すべきことであります。 北朝鮮の核保有も絶対認められないし、拉致問題の解決もしなければなりません。サミット議長総括には、北朝鮮の核及び拉致など人道問題を含む包括的解決を平和的手段で追求する努力を支持するとあります。提起されたこうした方向に沿って、総理、どう行動されるのか、答弁を求めます。 昨年九月の日朝平壌宣言は、安全保障、拉致や歴史認識の問題を含めて日朝間の諸問題を解決し、日朝関係を正常化する上で、内容上も形式上も引き続き重要な意義を持っております。この間、前進が見られなかったわけですが、今後の日朝関係で日本側として平壌宣言をどのように生かしていくおつもりなのか、総理に伺います。 最後に、北朝鮮にはなかなか道理が通用しないではないかという意見があります。 国際社会は道理を持った外交を協力して進めることを一致して呼び掛けており、これが今回のサミットの結論であったと思います。そうしたときに、北朝鮮の脅威をあおり立て日本の軍事的対決を強めていくことは、国際社会の合意と願いに逆行するものとならざるを得ません。軍事対抗ではなく、道理を尽くした平和的な外交交渉への努力こそ日本政府に求められている、このことを指摘して、私の質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 緒方議員にお答えいたします。 我が国の外交が多国間協議に反しているのではないかということでございますが、我が国は、国際社会が直面する諸課題の解決に向け、引き続き我が国外交の基軸である米国との同盟関係の維持強化に努めると同時に、韓国、中国、ロシア等の近隣諸国を始めとする友好国、国連を始めとする国際機関等と緊密に協力していく考えであります。 日本のイラク問題に関する行動が国連の権威を傷付けたのではないかとのお尋ねですが、米国等の対イラク武力行使は関連安保理決議に合致するものであり、国連憲章にのっとったものであると考えております。したがって、この武力行使を支持した日本政府の行動によって国連の権威が傷付いたとは考えておりません。 イラクの大量破壊兵器問題についてでございますが、国連の査察団が指摘している数々の疑惑にかんがみれば、イラクに大量破壊兵器が存在しなかったとは想定し難いと考えております。現在、米英軍等による大量破壊兵器の捜索活動が実施されており、我が国としてもこれを注視していく考えであります。 イラク復興における国連の役割についてでございますが、イラク復興には国連の関与を得つつ国際社会が一致団結して取り組むことが重要であります。先月採択された安保理決議一四八三はイラク復興等において国連が重大な役割を果たすべきである旨規定しており、我が国としてもこれを歓迎しているところであります。 北朝鮮による核兵器開発問題の解決に向けた我が国外交の在り方に関するお尋ねですが、核兵器開発問題に関し、北朝鮮は、昨年より、KEDOによる重油供給の停止等を理由として、関連施設の再稼働を始めとする一連の措置を取ってきております。 このような北朝鮮側の説明は受け入れられるものではなく、我が国としては、北朝鮮側の対応に重大な懸念を有しています。政府としては、引き続き、アメリカ、韓国を始めとする関係国と緊密に協力して、北朝鮮側に対し、その核兵器開発計画を即時に放棄し、国際社会の責任ある一員として誠実に対応するよう、粘り強く求めていく考えであります。 サミット議長総括における北朝鮮問題に関するお尋ねですが、我が国として、サミットで聞いた各国首脳の意見も参考にし、各国と協力しながら、北朝鮮に対して国際社会の責任ある一員として誠実に対応するよう引き続き強く求め、平和的解決のために粘り強く努力していく考えであります。 日朝平壌宣言についてでございますが、日朝平壌宣言は今後の日朝関係を取り進めていく上での方向性を示す重要な文書であります。政府としては、日朝平壌宣言に従って諸懸案を解決し、国交正常化を実現するという方針に変わりはありません。 また、国際社会の責任ある一員になることが北朝鮮自身にとって利益となることを北朝鮮に理解させることが重要であると考えており、引き続き関係国と連携しながら、北朝鮮側に対し、諸問題の解決に向け誠実な対応を求めていく考えであります。(拍手) ─────────────
○議長(倉田寛之君) 広野ただし君。 〔広野ただし君登壇、拍手〕
○広野ただし君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の広野ただしです。ただいま議題となりましたサミット報告等について、通称国連を代表して、総理及び関係大臣に伺います。 まず、サミットが余りにも華やかになり、ショーのようになっていること。今回、ブッシュ大統領のフランス滞在が一日半のみ、そして実質数時間の会議出席で、G8の首脳全員が同席した時間はわずかに三時間余との由であります。 本来、サミットは、主要国首脳が正に胸襟を開いて世界の主要課題について大局的に語り討議するということに本当に意味があったものが、実際は各国の役所の文書のつなぎ合わせばかりが多くなって、首脳自身の本音をぶつけ合い、そして個人的な信頼関係を築くという側面が失われているように思われます。マンネリ化やショーと化した部分を直し、サミットの改革が必要と思いますが、総理の見解を伺います。 次に、対ロシア関係について伺います。 今回からロシアが完全なサミット国となり、正に中心に位置するようになりました。今までロシアはサミット国としては日本の後塵を拝していたわけで、そういうときにこそ北方領土問題を解決すべきであったし、ロシアのサミット完全加入以前に各国の協力を得て北方領土問題を解決すべきでありました。二〇〇六年にはロシアがサミット開催国となる予定ですが、昨年発覚した鈴木宗男問題も加わって、北方領土問題の解決はますます困難になったのではないかと憂えます。総理大臣の答弁を求めます。 小泉内閣に北方領土問題を本当に解決する気があるのか、ただ交渉を継続しているという格好だけを付けているのではないかと疑いますが、総理の見解を伺います。 対北朝鮮問題に移ります。 北朝鮮は、金正日の軍事独裁国家であり、ここ十年来の核やミサイル開発、さらには武装工作船、そして拉致問題等々、北朝鮮は北東アジア、そして我が国に大きな脅威を与えています。北朝鮮の脅威に対応するためには、太陽政策のみでは駄目で、圧力も当然必要となります。 小泉総理は、昨年九月十七日、友好国との十分な根回しもせず突然訪朝し、平壌宣言なるものを発し、成果を誇っておられますが、一体それで何が解決したのでしょうか。核やミサイル問題、武装工作船、拉致被害者の問題等々、何一つ解決していないのではないでしょうか。ブッシュ大統領との間で交わした対話と圧力、特に圧力の中身についてどのようなことを具体的に考えておられるのか、総理に伺います。 その後、北朝鮮は、核不拡散条約、NPTから脱退、査察官追放を行い、核開発を続けていますが、これをやめさせる具体策について外務大臣に伺います。 拉致は被害者が殺害されることもあり、その意味でテロの一形態です。昨日、総理は衆議院本会議で拉致はテロということをお認めになったようですが、テロに屈せず、毅然として戦うのが国際的な合意です。日本は直接的に拉致被害を受けている国、すなわちテロ被害を受けている国です。総理に本当に拉致問題を解決する気があるのか、伺います。 この二十数年に行方不明者となり、拉致被害ではと疑われる案件が百数十件に及んでいます。関係者の悲しみと心労は察して余りがあります。この方々をどう守るのか。また、拉致国家、すなわちテロ国家ということを認めた北朝鮮に対してもっと毅然として対応するため、グレーゾーンの方々も含めて確認すべきと思いますが、谷垣国家公安担当大臣に伺います。 北朝鮮の武装工作船による麻薬取引、けん銃等の武器取引等が明らかになっています。これを受け取ったり、情報連絡している我が国の国内組織の概要、そして拉致に対して我が国で共謀、幇助した組織や人物がいるやに報道されています。この点について谷垣大臣の答弁を求めます。 朝銀、アサ銀への公的資金の投入が、私たちがあれだけ反対していたにもかかわらず、一兆四千億円も投入されました。朝銀では正にずさんな経理がなされ、その結果、朝銀等から北朝鮮に違法な送金がなされ、その資金の穴埋めを公的資金で行った。つまり、公的資金が間接的にであれ、北朝鮮に送金されたわけであります。業務横領等の背任行為を行った朝銀関係者に対する責任追及は、民事、刑事とも厳格に行うべきと思いますが、その実情と見解を総理に伺います。 日本から北朝鮮に資金が送付され、その資金で北朝鮮は核やミサイルの開発を行う、本当に困っている一般国民には資金や食糧は回らない、言わば日本に対する北朝鮮の脅威は日本の資金が源になっている、日本は何というのうてんきな国なのだとアメリカ等から指摘されています。 北朝鮮への海外送金の現状、そして、核不拡散条約を破棄し、国際約束を守らず、核やミサイル開発、拉致、武装工作船等、数々の脅威を与え続けている国、北朝鮮に対する送金は禁止すべきと考えますが、塩川財務大臣の答弁を求めます。 続いて、イラク問題について総理に伺います。 自衛隊をイラクの復興支援のために派遣するのに必要な新法の制定が報道されています。自衛隊をイラクに派遣し、どのようなことをしようとするのか、どこからか要請があるのか、要請の中身等について明確にお答えください。もし、要請がなく、日本の独自の判断で自衛隊を海外派兵するとすれば、それこそ歯止めのない海外派兵につながるわけで、絶対にあってはならないということを申し上げておきます。 ところで、先週、スリランカで開催されたアジア自由と民主主義国際会議に私は自由党を代表して参加してきました。 スリランカは、長期間にわたっていわゆるタミールのトラと政府軍との間の紛争が続いてきましたが、現在はノルウェー政府の尽力により和平の枠組みが整いつつあります。また、日本政府もスリランカの経済復興に貢献する努力を積み重ね、明石元国連事務次長も何回かスリランカに入っておられます。 御承知のとおり、スリランカは、第二次世界大戦後、対日賠償請求をいち早く放棄した、日本にとって言わば恩を受けた極めて重要な国です。人口が千九百万人の比較的小国ではありますが、アジアの仏教国です。親日派の多い国です。イラク問題の陰に隠れて余り報道されませんが、日本はイラク以上にスリランカの経済復興に積極的に貢献すべきと考えますが、総理の答弁を求めます。 華々しい外交問題の陰になっていますが、国内経済は誠に厳しく、ゆるがせにできない状態にあります。 りそな問題は金融危機を未然に防止したと小泉総理は胸を張っておいでですが、中小企業の倒産は後を絶たず、完全失業者は三百八十万人を突破し、フリーター百九十万人を加えると五百五十万人以上の人々が希望の職が得られず苦しんでいます。自殺者が年間三万人、うち経営難で自らの命をもって償う人々が七千人。言わばイラク戦争にも匹敵する悲惨な状況が国内で日常的に起こっているのです。 小泉政権が発足して二年以上になりますが、成果は全く見えません。医療費の負担増、失業保険、健康保険及び介護保険の保険料の引上げ、配偶者特別控除の廃止等々、国民に四兆円以上の負担を押し付け、国民に痛みのみを強いる小泉内閣。経済政策の失敗に伴う数々の悲劇と苦難。国民を不幸にし苦しめる内閣は即刻退陣すべきであります。 小泉内閣では日本丸はただ漂流するのみで、早晩沈没することとなるでしょう。沈没する前に、小泉総理は毅然として責任を取って総辞職すべきであります。それが国民を不幸にしたせめてもの総理の責任の取り方でありましょう。そうすることが日本を救う第一歩であり、そのことが日本立て直しの第一歩になると強く訴えて、私の国連を代表しての質問を終わります。 どうもありがとうございました。(拍手) 〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 広野議員にお答えいたします。 サミットの意義についてでございますが、サミットは主要国の首脳が国際社会が直面する緊急の課題につき率直な意見交換を行う場として重要であります。今回のサミットにおいても、種々の課題について国際協調の重要性の認識を共有することができたと考えます。 今後も、サミットのこうした意義が生かされるよう、G8間の議論に積極的に参画していく考えであります。 北方領土問題とロシアにおけるG8サミット開催についてでございますが、我が国はこれまで、ロシアとの間で、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという一貫した方針に基づき、精力的に交渉を進めてまいりました。 我が国としては、二〇〇六年のG8サミットがロシアで開催されるなどの国際環境の新たな進展を踏まえ、日ロ関係を発展させていく中で、北方領土問題の解決に全力を尽くす考えであります。 対北朝鮮政策についてですが、先般の日米首脳会談において、私はブッシュ大統領に対し、北朝鮮をめぐる諸問題の平和的解決のためには対話とともに圧力が必要であると述べました。これは、国際社会による核兵器開発は容認しないとの強いメッセージの発出、違法行為の厳格な取締り、事態悪化の場合の一層厳しい対応等を趣旨とするものであり、このような対応は北朝鮮が対話に誠実に応じることを促す観点からも有益と考えています。 拉致問題についてですが、北朝鮮による拉致は国民の生命と安全にかかわる重大な問題であると認識しております。 政府としては、拉致問題を含め、北朝鮮をめぐる諸問題を包括的に解決し、北東アジアの平和と安定に資する形で日朝国交正常化を実現させるとの方針であり、問題の解決に向け全力で取り組んでいく考えであります。 朝銀信用組合についてですが、破綻した朝銀信用組合による不透明な融資については、これまでも金融整理管財人において旧経営陣等の民事、刑事責任の追及を行い、民事提訴二十一件や刑事告訴、告発五件など一定の成果が上がっているところであります。今後とも、一層厳格な責任追及作業、債権回収作業を通じ、こうした融資の実態解明に努めてまいります。 自衛隊のイラクへの派遣についてですが、自衛隊のイラク派遣について米国等より具体的な要請はなく、また、我が国として決定は行っておりません。 いずれにせよ、今後、イラクの復興等を支援するために我が国が何ができるかについては、我が国の国力にふさわしい貢献を行うとの観点から、主体的に検討していく考えであります。 スリランカ復興についてですが、我が国は、スリランカ和平に、平和の定着の観点から、積極的に貢献しております。 来る九日、十日には、スリランカ復興開発に関する東京会議を開催します。この会議では、和平促進を目的として、国際社会の一致した決意や支援が表明される予定です。 私の経済運営の責任についてですが、小泉内閣は、やるべき構造改革を行わなければ日本経済の再生はないとの認識の下、デフレ克服を目指しながら各般の改革を推進し、経済情勢に応じては大胆かつ柔軟に対応するという一貫した方針で経済運営に当たってまいりました。このような努力により、金融危機の防止など、経済の不安定化要因に適切に対処してきたと考えております。 構造改革の成果が明確に現れるまでには、いまだしばらく時間が必要であります。御指摘のとおり、雇用情勢は厳しく、自殺者の増大は誠に痛ましいことと認識しておりますが、引き続き、決して金融危機は起こさないとの方針の下、改革を進めるとともに、日本銀行と一体となってデフレ克服に取り組み、日本経済を再生させていくことが私に課せられた責務であると考えております。 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手) 〔国務大臣川口順子君登壇、拍手〕
○国務大臣(川口順子君) 北朝鮮の核兵器開発問題についてお尋ねがありました。 御指摘のように、昨年末以来、北朝鮮は国際原子力機関の査察官を追放し、NPT脱退を宣言する等の行動を取ってきておりまして、我が国として重大な懸念を持っています。 我が国としては、今後とも、米韓両国と緊密に連携をいたしまして、また、北朝鮮と伝統的に友好関係にある中国及びロシアといった関係国、IAEAを始めとする関係国際機関と協力をしながら、北朝鮮の核兵器開発問題の平和的な解決に向けて外交努力を傾注していく考えでおります。(拍手) 〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕
○国務大臣(谷垣禎一君) 広野議員にお答えいたします。 拉致被害ではと疑われる案件について、グレーゾーンの方々も含め警察は確認すべきではないかとのお尋ねですが、警察においては、北朝鮮による日本人拉致容疑事案について、これまでの一連の捜査の結果、現時点で十件十五名と判断しているところと承知しております。 一方、それ以外にも、御家族等から北朝鮮に拉致されたのではないかとして警察に対して多くの届出がなされており、警察においても、十件十五名以外に北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案があると見て、現在、鋭意所要の捜査や調査を進めているところと承知しております。 警察においては、今後とも、関係各機関と十分に連携して、事案の全容解明のため最大限努力していくものと承知しており、国家公安委員会委員長としても、引き続き警察当局を督励してまいる所存であります。 それから、北朝鮮ルートによる薬物、けん銃等の取引にかかわる国内組織についてお尋ねがありました。 北朝鮮ルートによるけん銃等の密輸入事件は摘発されておりませんが、薬物については、北朝鮮当局が関与していると断定する証拠は得られていないものの、北朝鮮を仕出し地とする覚せい剤の大量密輸入等事件が摘発されております。 我が国における覚せい剤密売の多くは暴力団によって敢行されており、これら覚せい剤大量密輸入等事件においても暴力団員が検挙されていることなどから、日本側組織には暴力団又はこれに関係する者が背後にあるものと見ております。 北朝鮮を仕出し地とする覚せい剤の押収量が近年の我が国全体の押収量の約三分の一を占めていることは深刻な事態であると認識しており、今後とも、関係機関と連携し、その摘発と背後関係の解明に全力で取り組むよう、警察当局を督励してまいる所存であります。 北朝鮮による日本人拉致に関して、国内における共謀、幇助についてお尋ねですが、警察はこれまでに、昭和五十二年に石川県内で発生した宇出津事件の共犯者として、被害者の男性を北朝鮮工作員に引き渡した在日朝鮮人を検挙しているところであると承知しております。 警察においては、十件十五名の北朝鮮による日本人拉致容疑事案及びそれ以外の拉致の可能性を排除できない事案について、国内における共犯者の有無も含めて、現在、鋭意捜査や調査を行っているところであると承知しております。 さらに、犯罪に協力した者が明らかになり、その協力行為が刑罰法令に違反する場合には、これに対して厳正に対処していくものと承知いたしております。(拍手) 〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(塩川正十郎君) 二点お尋ねでございましたが、まず第一点の送金の現状はどうかということでございました。 御承知のように、送金をします場合には、五百万円以上は報告しなきゃならぬとなっておりますが、十四年度中に報告ございましたのは四億円でございます。 それから、現金の持ち出しでございますけれども、百万円以上の場合はこれを届出しなければならぬということになっておりますが、その総額は三十六億円となっております。 二番目の問題といたしまして、送金停止すべきではないかというお話でございまして、北朝鮮の核兵器開発プログラムや弾道ミサイルの放棄等につきましては、我が国が米国等と協力して、外交努力によってその停止を盛んに涵養しておるところでございます。 したがいまして、我が国としては、北朝鮮に対して、こうした外交努力に寄与するため、更に働き掛けを行う上で特に必要があると判断いたしました場合には、北朝鮮に対して送金を停止することが可能であるということでございます。 なお、このことにつきましては、外交上の問題として判断していく、その上においての外為法の執行ということになろうと思っております。 以上であります。(拍手)
○議長(倉田寛之君) これにて質疑は終了いたしました。 ─────・─────
○議長(倉田寛之君) 日程第二 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案(第百五十四回国会内閣提出、第百五十五回国会衆議院送付)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長魚住裕一郎君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔魚住裕一郎君登壇、拍手〕
○魚住裕一郎君 ただいま議題となりました心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本法律案は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対し、継続的かつ適切な医療の実施を確保することによって、その病状の改善とこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、対象者の社会復帰を促進するため、適切な処遇を決定するための裁判所の審判手続等を定めるとともに、その医療を行うための指定医療機関及び医療を確保するために必要な精神保健観察制度等を整備しようとするものであります。
○議長(倉田寛之君) 傍聴人はお静かに願います。
○魚住裕一郎君(続) なお、衆議院において、対象となる精神障害者の社会復帰の促進を図るべく、本制度の目的及び対象者の明確化、精神保健観察官を社会復帰調整官とする名称変更、精神医療及び精神保健福祉全般の水準の向上、施行後五年経過した場合の検討等の修正が行われております。 委員会におきましては、本法律案に民主党・新緑風会提出の裁判所法の一部を改正する法律案、検察庁法の一部を改正する法律案及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案の三案を加え、四案一括して審査を行い、政府、衆議院修正の提出者及び三案の発議者に対して質疑を行うとともに、参考人からの意見聴取を行い、また、厚生労働委員会との連合審査会を開催し、慎重に審査を行いました。 質疑の主な項目は、本法律案の立法に至る経緯、入院決定等の要件における政府案と修正案との相違点、指定医療機関における医療の内容と体制の充実策、精神保健福祉法による措置入院制度との関係、起訴前鑑定の問題点等でありますが、詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終局することに決定した後、公明党の荒木理事より本法律案の法律番号を改める等の修正案が提出されました。 続いて、採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも多数をもって可決され、よって本法律案は修正議決すべきものと決定いたしました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。 本案の委員長報告は修正議決報告でございます。 本案を委員長報告のとおり修正議決することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百二十五 賛成 百三十一 反対 九十四 よって、本案は委員長報告のとおり修正議決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○議長(倉田寛之君) 日程第三 公益法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長藤井俊男君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔藤井俊男君登壇、拍手〕
○藤井俊男君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本法律案は、公益法人に係る改革を推進するため、国土交通省が所管する法律に基づく検査、検定、登録等の事務について、実施する者の指定制度を登録制度に改める等の措置を講じようとするものであります。 委員会におきましては、指定制度から登録制度に移行する理由、検査等の事務事業への新規参入の見通し、公益法人の改革と指導監督体制の充実、退職公務員の再就職の在り方その他について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して大沢委員より本法律案に対し反対する旨の意見が述べられました。 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百三十四 賛成 二百二 反対 三十二 よって、本案は可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○議長(倉田寛之君) 日程第四 インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長小川敏夫君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔小川敏夫君登壇、拍手〕
○小川敏夫君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本法律案は、最近におけるインターネット異性紹介事業の利用に起因する児童買春その他の犯罪による児童の被害の実情にかんがみ、インターネット異性紹介事業を利用して児童を性交等の相手方となるように誘引する行為等を禁止するとともに、児童によるインターネット異性紹介事業の利用を防止するための措置等を講じようとするものであります。 委員会におきましては、インターネット社会の進展がもたらした恩恵と弊害、本法律案の趣旨とストックホルム宣言の精神との整合性、年齢確認義務付けの効果、本法律案と児童買春・ポルノ処罰法との関係、児童に対する情報リテラシー教育の必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。 昨日、質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して吉川理事より反対の旨の意見が述べられました。 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本法律案に対し七項目から成る附帯決議を行いました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百三十二 賛成 百三十五 反対 九十七 よって、本案は可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○議長(倉田寛之君) 日程第五 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。総務委員長山崎力君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔山崎力君登壇、拍手〕
○山崎力君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本法律案は、地方公共団体の組織及び運営の合理化を図るため、地方分権改革推進会議の意見にのっとり、都道府県の局部数の法定制等を廃止するとともに、公の施設の管理の委託に関する制度を見直すほか、所要の規定の整備を行おうとするものであります。 委員会におきましては、地方公共団体の自主組織権の尊重と地方行革の推進、指定管理者制度導入と住民福祉の向上、公の施設の管理代行と公共性の確保等について質疑が行われました。 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して宮本岳志委員より反対の旨の意見が述べられました。 討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百三十四 賛成 二百七 反対 二十七 よって、本案は可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○議長(倉田寛之君) 日程第六 職業安定法及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長金田勝年君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔金田勝年君登壇、拍手〕
○金田勝年君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告を申し上げます。 本法律案は、厳しい雇用失業情勢や働き方の多様化等が進む中で、労働力需給のミスマッチを解消し、多様なニーズにこたえていくため、職業紹介事業の許可等の手続の簡素化、労働者派遣事業の対象業務の拡大及び派遣期間の延長等を行おうとするものであります。 委員会におきましては、派遣労働者の保護の現状と今後の対応、労働者派遣制度が常用雇用に与える影響、製造業への派遣を認めることの問題点、職業紹介事業に対する規制緩和の在り方等について質疑を行うとともに、参考人から意見を聴取いたしましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して小池委員、社会民主党・護憲連合を代表して大脇委員より、それぞれ反対する旨の意見が述べられました。 討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。 以上、御報告を申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百三十四 賛成 百三十三 反対 百一 よって、本案は可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○議長(倉田寛之君) 日程第七 安全保障会議設置法の一部を改正する法律案 日程第八 武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案 日程第九 自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案 (いずれも第百五十四回国会内閣提出、第百五十六回国会衆議院送付) 以上三案を一括して議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。武力攻撃事態への対処に関する特別委員長山崎正昭君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔山崎正昭君登壇、拍手〕
○山崎正昭君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、武力攻撃事態への対処に関する特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 まず、安全保障会議設置法改正法案は、武力攻撃事態等に際して、政府が事態の認定、対処に関する基本的な方針の策定等の重大な判断を行うことに際しての安全保障会議の重要性にかんがみ、内閣総理大臣の諮問事項及び同会議の議員に関する規定を改めるとともに、会議に専門的な補佐組織として事態対処専門委員会を設けることにより、事態対処に係る安全保障会議の役割を明確にし、かつ強化することを目的とするものであります。 次に、武力攻撃事態対処法案は、武力攻撃事態等への対処について、基本理念、国、地方公共団体等の責務、国民の協力、その他の基本となる事項を定めることにより、対処のための態勢を整備し、併せて武力攻撃事態等への対処に関して必要となる法制の整備に関する事項を定め、もって我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に資することを目的とするものであります。 次に、自衛隊法等改正法案は、防衛出動時及び防衛出動下令前における所要の行動及び権限に関する規定を整備し、並びに損失補償の手続等を整備するとともに、関係法律の適用についての所要の特例規定を設けるほか、武力攻撃事態に至ったときの対処基本方針に係る国会承認等が新設されることに伴い、防衛出動命令の手続について所要の整備を行い、併せて防衛出動を命ぜられた職員に対する防衛出動手当の支給、災害補償その他給与に関して必要な特別の措置を定めるものであります。 委員会におきましては、三法律案を一括して議題とし、政府から趣旨説明を聴取するとともに、衆議院修正部分について修正案提出者から説明を聴取した後、小泉内閣総理大臣、福田内閣官房長官、石破防衛庁長官、関係大臣等に対し質疑を行い、委員を派遣して福井市及び横須賀市において地方公聴会を開催したほか、参考人からの意見聴取を行うなど、慎重かつ熱心な審議を行いました。 委員会における質疑の主な内容を申し上げますと、有事法制の整備と憲法との関係、緊急事態における基本法制と危機管理組織の在り方、不審船・テロ対策等新たな脅威への対処、有事法制整備の防衛政策への影響、自衛隊の在り方、国民保護法制における基本的人権の尊重、国民保護法制の整備における地方公共団体の意見聴取と、警察、消防の役割、武力攻撃事態等における国民の協力、武力攻撃事態等における対米支援と米軍の行動の円滑化に関する法制の内容、武力攻撃予測事態と周辺事態との関係、米国の戦略との関係、指定公共機関の指定に当たっての日本赤十字社及び民間放送事業者の取扱い、国民、国会への情報提供、武力行使の判断権者、防衛出動時における物資の収用等に伴う補償と物資保管命令及び業務従事命令、事態対処専門委員会の体制と事務局の設置などでありますが、その詳細は会議録によって御承知願います。 質疑終局の後、討論に入りましたところ、日本共産党の小泉理事より三法律案に反対、民主党・新緑風会の池口委員より三法律案に賛成、社会民主党・護憲連合の田委員より三法律案に反対、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の平野理事より三法律案に賛成する旨の意見がそれぞれ述べられました。 次いで、順次採決の結果、三法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、三法律案に対し附帯決議が付されております。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(倉田寛之君) 三案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。富樫練三君。 〔富樫練三君登壇、拍手〕
○富樫練三君 私は、日本共産党を代表して、有事法制三法案に対し、強い憤りと平和への熱い思いを込めて反対の討論を行います。 五十八年前、私たちは過去の侵略戦争を反省し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないように決意し、復興と平和の道に足を踏み出しました。これは、私たち日本国民の固い決意であると同時に、あの戦争で重大な被害を与えたアジアと世界の諸国民への公約でもあります。 憲法第九条を、今の国際情勢に合わないとか、時代後れだという議論がありますが、これほど、戦争と平和の歴史の教訓に学ばず、世界の平和を願う人々の期待を裏切ることはありません。 世界的にも、かつては戦争は合法とされていました。それが違憲なものとされ、国連憲章では自衛以外の戦争は禁止されました。憲法第九条は戦争の違法化という世界史の流れの最も先駆的な到達点を示したものであります。 その日本で、アメリカの無法な戦争に協力するために国民を強制的に動員する法律がつくられるのであります。これほど歴史の進歩に逆行するものはありません。 反対理由の第一は、この有事法制三法案は、アメリカの無法な先制攻撃の戦争に対し、日本国民の協力を強制するものだからであります。 ブッシュ政権は先制攻撃戦略をイラクで実際に発動しました。明らかに国連憲章違反の無法な戦争だったのであります。フランスのシラク大統領は、サミット前に、正当性を欠く戦争というものは戦争に勝ったとしても正当性を得られるものではないと述べています。正に的を射た発言であります。 このような無法な戦争に対し協力を拒否することこそ、日本政府が行うべき責務ではありませんか。有事法制三法案を実行することはこの無法な戦争に加担することであります。しかも、その矛先はアジアの諸国に向けられるものであり、アジア諸国民との友好と平和にも反するものであります。 第二に、有事法制三法案は、日本を丸ごと米軍の戦争のための一大兵たん補給の基地に変え、地方自治体や交通通信を始めとする指定公共機関などを米軍支援に駆り立てるものだからであります。 イラク戦争を見れば明らかなように、アメリカが戦争を始めるときには大量の兵隊と装備、軍事物資を事前に準備しますが、それに必要な施設の提供や物品役務の支援を地方自治体や指定公共機関に押し付けるのがこの法律の大きな柱の一つであります。 武力攻撃予測事態及び武力攻撃事態になればどのように米軍を支援するのか、これは本法案の中心問題であります。にもかかわらず、委員会審議では、参考人からも、何も明らかにされていないと厳しく指摘されました。我が党の要求で提出された政府文書もこの指摘に何ら答えるものではありませんでした。 今後予定される米軍支援法制は、周辺事態法では建前上禁止されていた戦闘地域での米軍支援を実行するものとし、米軍の武力行使と一体となった支援に公然と道を開く極めて危険なものであります。ところが、骨格さえ示さない政府の態度は言語道断と言わなければなりません。 第三の反対理由は、政府は口を開けば備えあれば憂いなしと言いますが、これは国民を守るための備えではなく、自衛隊が米軍とともに攻めるための備えだからであります。 周辺事態法では、海外で米軍を支援する自衛隊は戦闘地域と一線を画した地域でしか支援活動をすることができません。活動地域で戦闘が始まれば、米軍への支援を中止し、その場から撤退することになります。ところが、この武力攻撃事態法案では、米軍支援中に戦闘が始まった場合に、武力攻撃予測事態と認定すれば、その場に踏みとどまって米軍への支援を続けることになります。これは自衛隊が戦闘地域に入って米軍を支援することに道を開く危険なものであります。さらに、米軍支援に当たる自衛隊が武力攻撃を受けた場合は自衛権の行使があり得るとまで答弁をしました。 有事法制三法案は、周辺事態法のような戦闘地域には行かない、武力行使はしないなどの制約を取り払い、自衛隊が海外で米軍と一体となった武力の行使を可能にする法案にほかならないのであります。 第四に、この法案は地方自治体や指定公共機関と国民に対し戦争協力を強制するものだからであります。 政府は戦争から国民を守るのが法案の目的だと言いますが、アメリカの戦争を後押しするのがこの法案の核心であります。武力攻撃予測事態などという定義を持ち出し、周辺事態法では強制できないことを国民に強制するものであります。 我が党の追及に、政府は、日本が武力攻撃を受けていない予測事態でもこの法律を発動し、地方自治体や政府が指定する民間企業や公共機関の米軍支援を強制できることを認めました。日米軍事当局が日米共同の軍事演習に自治体を参加させる計画を持っていることも判明しました。さらに、国、地方を問わず、公務員は予測事態の段階から米軍支援に協力させられることも明らかになったのであります。 与党と民主党が修正した自由と権利規定についても、基本的人権は最大限尊重されなければならないと述べていますが、これは基本的人権の制限はやむを得ないという政府見解と少しも変わるところがありません。憲法第九条を信条としている国民やアメリカの国連憲章違反の戦争には反対だという国民にも協力を強制し、戦争反対の行動をすれば権利を制限する、協力違反には罰則を付けるなどということは憲法上絶対に許されることではありません。 以上四つの理由で、有事法制三法案に断固反対するものであります。 周辺事態法とこの有事法制三法案が目指す海外派兵国家づくりの道は、世界の平和の流れに逆行し、国際社会での孤立に日本を追いやる道であります。 私たち日本共産党は、憲法を生かし、道理に立った外交の力でアジアと世界の平和に貢献する日本をつくるために全力を尽くすものであります。そのために、有事法制三法案が成立しても発動させるわけにはいきません。有事法制三法案の具体化を図る個別法制の制定を許さないために引き続き全力で闘うことを表明し、反対討論を終わります。(拍手)
○議長(倉田寛之君) 国井正幸君。 〔国井正幸君登壇、拍手〕
○国井正幸君 私は、自由民主党・保守新党、公明党を代表して、ただいま議題となりました武力攻撃事態対処関連三法案について、賛成の立場から討論を行います。 平成十三年に発生した米国同時多発テロや武装不審船事案などに見られるように、我が国をめぐる安全保障環境は依然として不安定であります。これらの事件は、国民に大きな不安を与えるとともに、新たな危機に備えることの重要性を再認識させることとなりました。 そもそも、緊急事態に際し、これに有効に対処し、国民の生命と財産を守ることは、独立国家として最も基本的な重要な責務であります。武力攻撃事態を始め多様な危機に対処し得る態勢の整備は我が国の長年の重大な懸案事項として取り組まれ、今日に至ったものであります。 とりわけ、専守防衛を国是とする我が国にとって、平時においてこそ国及び国民の安全を確保するため、いかなる事態にも対応できる万全な体制を確立しておくことが喫緊の課題であります。 昨年四月に提出された武力攻撃事態対処関連三法案について真剣かつ慎重な検討がなされ、その結果、与党と民主党の協議により、幅広い国民の理解が得られるよう修正が加えられました。さらに、本院での十分な審議を経てここに採決の運びとなりましたことは、安全な国づくりのみならず、議会政治史上にも画期的な成果であると確信するものであります。 三法案のうち、いわゆる武力攻撃事態対処法案については、武力攻撃事態等への対処について、基本理念、意思決定の手続などとともに、国民保護法制を始めとする今後の更なる法整備の枠組みを定めるものであり、我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保のための法制のかなめとなるものであります。 また、安全保障会議設置法の一部改正案につきましては、内閣総理大臣の諮問事項が追加され、議員に関する規定が見直されるとともに、専門的な補佐組織が設置されることにより事態対処における安全保障会議の役割がより明確となり、強化されるものと考えます。 さらに、自衛隊法の一部改正案については、防衛出動時及び防衛出動下令前における自衛隊の行動及び権限に関する規定を整備し、あわせて損失補償の手続などを整備するとともに、関係法律の適用について所要の特例規定を設けることにより、防衛出動を命ぜられた自衛隊がその任務をより有効かつ円滑に遂行し得るようになるものと考えます。 衆議院で行われた修正は、事態の定義、基本的人権の保障、国民への情報提供、事態の認定、国会の関与、国民保護法制を始めとする事態対処法制の整備、緊急事態対処に資する組織の在り方の検討について政府提出三法案の補うべき点を補い、国民的な合意形成に必要な内容のものであり、武力攻撃を始めとする多様な危機の抑制や排除に万全を期するために不可欠のものであると考えます。 これらの法案が国民の協力を得つつ武力攻撃事態等へ有効に機能するためには、今後、国民保護法制を始め事態対処法制の整備を速やかに進めること、武装不審船事案、大規模テロ等の緊急事態への対処態勢の改善などが必要と考えます。 特に、法治国家として、国民の基本的人権を最大限に尊重しつつ国民に対する被害を最小限にとどめるよう、今後、不断の検討を進め、議論を深めていくことが必要であると考えます。 我が国は、さきの大戦終結後、半世紀以上にわたり平和と繁栄を享受してまいりました。今後、国際関係が不透明、不安定性を増す中、国民の合意形成の下で自らの安全を自らが守る専守防衛体制の整備を図ることが我が国に対する攻撃の抑制になるとともに、我が国として国際社会全体の平和と安定、繁栄に貢献し得るものと確信するものであります。 そのためにも、これらの法案が本院で大多数の賛成により成立することを願って、武力攻撃事態対処関連三法案に対する賛成討論を終わります。(拍手)
○議長(倉田寛之君) 榛葉賀津也君。 〔榛葉賀津也君登壇、拍手〕
○榛葉賀津也君 私は、民主党・新緑風会を代表し、ただいま議題となりました武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案、安全保障会議設置法の一部を改正する法律案、自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、賛成の立場から討論を行います。 民主党は、世界の平和と安定のために積極的な役割を果たすことは国際社会における重要な責務であり我が国の国益であるとの立場から、結党以来、対話と信頼醸成による予防外交を重視し、他方、様々な緊急事態に際し、国民の生命と財産を守るための危機管理体制の整備を主張してまいりました。とりわけ、万が一の武力攻撃事態における有事法制については、国が超法規的行動を取ることのないよう、基本的人権とシビリアンコントロールを担保しながら関連法案の整備をすることが国家の重大な責務であるとしてまいりました。 このような万が一の武力攻撃事態を想定した有事法制は、使われないことにこしたことはなく、むしろ、使われなくて済むようにするために最大限の努力を払うべきだと考えます。しかし、他方で、国家として最悪の事態を想定した法律の整備を怠ることは国民の生命と財産を守る責務を放棄することと同義だと考えます。 政府より第百五十四国会に提出された当初の法案は、対処基本方針に係るシビリアンコントロールが不十分であること、基本的人権に係る規定があいまいなことなど、多くの問題が含まれておりました。 それに対し、民主党は、明確に対案の形として、緊急事態への対処及びその未然の防止に関する基本法案を衆議院において提出いたしました。 これは、今回の参議院における審議の中でも幾度となく指摘をされた国民の平和憲法と有事法制を両方持つことのもやもや感や不安への説明としても、やはり憲法との関係をはっきりさせる意味では基本法の形を取ることが最も望ましいと考えたからであります。 民主党の基本法案のポイントの一つは、広義の有事を想定していることであります。つまり、国民の側から見れば、いわゆる有事、緊急事態は武力攻撃事態に限りません。むしろ、テロや不審船、災害や原子力事故など多岐に及ぶことにかんがみ、国民の側に立った危機管理の視点からは、縦割り行政の弊害を廃した危機管理庁の設置が望ましいという結論に達しました。 これらの論点を真っ正面から政府に対し示した結果、政府・与党案の不備を補う形で、以下のような武力攻撃事態対処法案の仕組みの根幹にかかわる部分での改善が見られたことを評価いたします。 民主党が修正を求めていた六項目に対し、与党は当初、個別具体的な人権に関する規定は明記しないとの姿勢でしたが、修正協議を経た幹事長合意によって、憲法十四条、十八条、十九条、二十一条、その他の基本的人権にかかわる規定は最大限尊重されなければならないとの条文修正を行うとともに、その他の項目を含む六項目全体については国民保護法制で措置することが合意をされました。 また、民主党は、従来より国民保護法制の整備がなされるまで武力攻撃事態法の施行を凍結すべきであるとの主張をしてまいりましたが、特に国民に対する影響の大きい第十四条、十五条、十六条の施行につき、別に法律で定める日からとの修正を行うことになりました。 さらに、対処措置の実施に関し、政府の恣意的な運用を避けるため、対処基本方針に事態認定の前提となった事実を明記するとともに、国会の議決により対処基本方針の廃止を求めることができるよう修正することで合意いたしました。 また、危機管理庁を含む組織の在り方について検討することを附則に書き込むとともに、衆議院における附帯決議において、国民保護法制の制定の期限の短縮や指定公共機関について言及するなど、政府に対しより厳しい対応を求めております。 なお、基本法については、四党間で引き続き真摯に検討し、速やかに必要な措置を取るとの覚書を交わすとともに、総理からも、基本法が必要であるという考えは共有できるとの答弁をいただいているところであります。 審議を通しての基調低音として、民主党の基本理念でもある日本の安全保障はあくまで外交が基本であるということが確認をされました。また、個別的自衛権の発動に関しては何ら拡大的な意味はなく、ましてや先制攻撃や集団的自衛権に踏み出すものではありません。さらに、周辺国に対しても今回の法案については丁寧な説明をしており、理解を得ていることから、この法案の成立によっていたずらに危機をあおるといった批判は当たらないと考えます。また、有事においても国民の基本的人権は最大限担保されるという確認がされたところであります。 民主党は、今後、広い意味での政府の情報公開、そして説明責任を求めてまいります。今回の三法案を含め我が国の安全保障に関する法制は大変緻密で微妙な論理構成をはらんでいますが、事態の認定に際して前提となった事実などの情報は速やかに国会に提出されなければなりません。また、国民の避難に関する情報などは適切に伝達されなければなりません。 民主党は、国民に選択肢を示し、責任ある対応をする政党であります。国民の側に残る不安や心配にこたえるため、政府の事態対処の法整備の状況を注視し、説明責任を求めてまいります。また、民主党は、法案の共同提出者として、修正協議での約束や委員会審議を通じて確認をされた項目を中心に、国民が安心できる法律の整備、運用をしていくようチェックする重大な責務があることをここで改めて確認をしたいと思います。 今回の有事法制の議論において、我々民主党は、国家の存亡にかかわる外交・安全保障問題の法整備には従来の政局中心のゼロサム的な発想から脱却すべきだとの結論に達しました。よく、我が民主党に対して、事、安全保障問題に関しては幅広い考え方があるといった御指摘をいただきます。しかし、今回の有事法制の策定のプロセスでは、それぞれの議員が自らの信念を持ちながら議論に議論を重ね、最終合意に達しました。私はこのような民主党のフェアな議論を中心とした内容本位の政策立案の在り方に誇りを持っております。 こうして生まれた今回の有事法制、日本の平和憲法の精神にのっとり我が国の安全を担保する一連の法整備に民主党の議員たちが更に一丸となって今後も努力してまいることを強調し、私の賛成討論を終わります。(拍手)
○議長(倉田寛之君) これにて討論は終局いたしました。 ─────────────
○議長(倉田寛之君) これより三案を一括して採決いたします。 三案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百三十四 賛成 二百二 反対 三十二 よって、三案は可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────────────
○議長(倉田寛之君) 本日はこれにて散会いたします。 午後零時十七分散会