法務委員会 第23号
- 発言数
- 324 件
- 登壇者
- 28 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2003/07/17
会議録
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨十六日、陣内孝雄君が委員を辞任され、その補欠として片山虎之助君が選任されました。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、警察庁刑事局長栗本英雄君、法務大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、法務省刑事局長樋渡利秋君及び法務省矯正局長横田尤孝君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○江田五月君 随分少ないですかね。定足数はいるんでしょうね。大丈夫ですね。 司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正する法律案でございますが、前回に引き続いて質問をいたします。 司法制度改革の範囲に入るかどうか疑問もあるかもしれませんが、広い意味で日本における司法制度というものがどう機能していくかという観点から、国民の規範意識といいますか、刑事の、あるいは少年保護の関係について一体どっちを向いていくのかと、こういうことが今大きく国民の中で議論になっているので、まず先日の長崎の幼児殺害事件の関係についてお伺いをいたします。 法務大臣に伺います。 七月の十一日午前の閣議後の記者会見で、鴻池祥肇防災担当大臣がこの事件について、今の時代、厳しい罰則を作るべきだ、親なんか市中引き回しの上、打ち首にすればいいと発言をしたと、こういうことです。これは、その後のてんまつはいろいろありますが、まずこの発言自体、これは森山法務大臣は批判的なコメントをされているようですが、ちょっとこの場でもう一度伺います。この発言についてどういうふうに思われますか。
○国務大臣(森山眞弓君) 鴻池大臣は非常に大きなショックを受けられまして、被害者の方は本当に気の毒だという考えと同様に、加害者の少年の親たちにもよく考えてもらいたいという気持ちをおっしゃったんだと思いますが、もし報道されているとおりの言い方であったとすれば、ちょっと表現が行き過ぎではないかというふうに思うわけでございます。
○江田五月君 表現が行き過ぎというよりも、私は、まあ表現も行き過ぎですけれども、その基にある考え方ですね、子供の犯罪について親に刑罰を科すという、刑罰を科すという、こんな考え方のような感じもするんです。 最近、被害者の人権と加害者の人権ということが議論になって、どうも加害者の、まあ加害者の人権という言い方も変なんですけれども、まあ余りくどくどしい説明はちょっとのけて、加害者の人権がじゅうりんされれば被害者の人権が保護されると、何か逆もまた同じという、そういう加害者の人権と被害者の人権がはかりに掛けられて、どっちかが下がればどっちかが上がるという、そんな議論が横行しています。 まあ、そういう部分が全くないとは言いません。全くないとは言わない。それは、刑罰に応報的な機能があるということも確かです。しかし、被害者の人権ももちろん守っていかなきゃならぬ。国連で被害者の人権の決議がありますよね。被害者というのは社会からしっかり支えられなきゃならないんだという、これはそのとおりで、我々もこの犯罪被害者についての法案を提出をしたり、政府の方もまたいろいろと工夫を凝らしてこられました、これまで。しかし、被害者の人権を守るためには加害者をやっつけなきゃいけないんだという、これまた違うんで、加害者に適切な刑罰を科す、適切な保護処分を与えていくということ、これは両方がてんびんに掛けられているんではなくて、両方共々にということではないかと思いますが、その辺りは、まさか法務大臣、間違った見解を持たれてはいないと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(森山眞弓君) 鴻池大臣の発言は、先ほど申し上げたような感じで私は受け止めたわけでございますが、鴻池大臣もその後反省されて、例え話にしても、これから十分発言には気を付けたいということをおっしゃっておりますので、十分気を付けてほしいと私も思っております。 また、今度の事件につきましては、まだまだ解明しなければならないことがたくさんございまして、いろいろな真相が明らかになった上で、まずはそれらを冷静に分析し解明していくということが重要でございまして、これらを通じて、このような悲しいことが二度と起こらないようにしなければいけないというふうに思います。 被害者、加害者の人権というお話がございましたが、被害者ももちろんでございますし、加害者もあのケースではまだまだ若い子供でありますから、これから先の長い人生ということを考えますと、そのことを配慮した上で十分に人権を尊重されるべきであるというふうに思います。
○江田五月君 今のお話、今の答弁にあるいは尽きているかと思いますけれども、十二歳の子供ですよね。確かに、それは自分のやったことの意味というものはよく分からさなければいけないし、そしてそのことについての一定の社会的な制裁、それは子供なりにですね、これは受けなきゃいけないと思います。そのことによって社会の厳しさというものも子供にも教えなきゃならぬし、世間もまたそれは理解をしていかなきゃならぬ。 しかし同時に、この子もこれから大きくなって育っていくわけです。長い長い人生があるわけですね。その十二歳の子供にとってやっぱり一番大切なのは親ですよね。親がどんなに、まあいろいろ困った親であろうとも、やっぱり親ですよね。たとえ、例え話といえども、親を打ち首にしたら、一体この子はだれがこれから守っていくのか。そういう親もまた足りないところがあるなら、親にもいろんなことを分かってもらって、この大切な子供を育てていける、育てていく、そういう親になってもらわなきゃいけない、そういう観点が一番大切だと思うんですが、どう思われますか。
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおりでございまして、私はその親がどういう方か存じませんけれども、しかしその子供にとって非常に大切な存在であろうと思いますので、親にもこのことを十分認識していただいて、そして子供が順調に生育していくように親として努力してもらいたいというふうに思います。
○江田五月君 親はなくても子は育つとか、親がない方が子がよく育つとか、いろいろあるのかもしれませんが、やっぱりまずいですよね。法務大臣のそういう発言を聞いて安心いたしましたが、鴻池大臣はああいう人柄ですから、やんちゃなんですが、やっぱり大臣はやんちゃだけではちょっと済まないので、私も、彼、面白い人間だから、もうしょっちゅう、また一杯やろうやと言っているんですけれども、やっぱりそれでもちょっとやんちゃが過ぎたときには、少年じゃないんだから、やっぱりちょっと考えてもらわなきゃならぬと思います。 もっとも、御本人も後に、これは閣僚懇、十五日の閣僚懇談会で発言を撤回して、その後、記者会見をされたということですが、そしてまた、昨日は衆議院の方の委員会でも呼ばれたようですが、しかし陳謝はあったのかもしれないけれども、謝罪はない。メールが一杯来ていて、そのうちの、テレビのインタビューでは八割が自分に賛成、昨日の委員会では八割五分が自分に賛成と。それは、そういう事実はあるでしょうが、それを得々として国民の皆さんに説明をするという、そこらがどうもやんちゃのやんちゃたるゆえんだけれども、やんちゃじゃ済まないという気がいたします。 鴻池大臣の、その十五日、閣僚懇後の記者会見で、政府の青少年育成推進本部の副本部長として、七月末に出すことになっている青少年育成施策大綱について、スローガンばかりでは国民から批判が上がると述べて、大綱はまとめない、青少年犯罪問題だけを取り上げる検討会を設置をすべきだと主張して、大綱を出せと言うなら辞める、出したかったらおれの首を取れと息巻いたというわけです。 この前段の大綱についての発言、これは閣僚懇で発言したということですが、閣僚懇のことについてそのとおりであるかどうか、閣僚懇でそういう発言があったのかどうか。これはどうですか。
○国務大臣(森山眞弓君) 確かに、閣僚懇において似たような趣旨の発言をなさったというふうに記憶しております。
○江田五月君 そして、少年犯罪対策を取りまとめるための関係省庁局長級による検討会、これは七月十五日、おととい立ち上げたというんですが、ちょっとこの少年非行対策のための検討会、これは一体どういうことで立ち上げられて、どうスタートしているのかを御報告ください。
○国務大臣(森山眞弓君) 先ほどの閣僚懇における発言がありましたときに、官房長官が、まあそう言わないで、大綱も重要なんだから、それはそれで出したらいいんじゃないですかと、しかしそれと別に非行対策のための検討会というものもやりましょうよということになりまして、七月十五日に発足いたしました。 その趣旨は、最近、少年が加害者となる重大事件が続いて発生していることを踏まえ、このような緊急の課題に対応するために総合的な少年非行対策について早急に検討を行うということでございまして、構成は、関係各省庁責任者及び専門家をもって構成するということになっております。 関係各省庁というのは、内閣府の政策統括官、警察庁生活安全局長、法務省刑事局長、文部科学省スポーツ・青少年局長、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、それからオブザーバーとして最高裁判所の事務総局家庭局長などでございます。そのほか、内閣がお願いする有識者の方が何人か、数人集まられて第一回が行われたと聞いております。
○江田五月君 そうすると、この今月末に予定されていた青少年育成施策大綱、これは先送りされるんですか。
○国務大臣(森山眞弓君) 大綱は、今申し上げたこの検討会の方の検討結果を見まして、それと調整しながら出すということで、当初の予定よりも遅れるということになっております。
○江田五月君 鴻池大臣は当初、座長となることは遠慮したいということのようだったんだけれども、まあそう言わずにと。そう言わずにというのも変ですが、結局、座長になられたようですが、そして大綱の方は先送りをされて、この検討会の方の施策取りまとめの方が先行すると。これでは鴻池大臣が閣僚懇で言われたことがそのまま通ったということですね。ちょっとおかしいんじゃないですかね。鴻池大臣が閣僚懇で言ったことは、これは、大綱を出すなら辞める、出したかったらおれの首を取れというようなことを息巻いて、結果として、まあそう言うなとはいうものの、同じ主張が通ったということですから遺憾に思いますが、こういうスタートを切られたと。 専門家というのは、これはどういう人を予定をしているんですかね。
○政府参考人(樋渡利秋君) 私もこの検討会のメンバーに入っておりますので、第一回の会議が七月十五日に開かれまして、その専門家の構成はこれから考えていかれるところだというふうに聞いております。
○江田五月君 今回の事件については、これは非常に私も重大な問題を含んでいて、それは一人の幼児、一人の中学一年生の事件ですけれども、しかしその事件はやはり今の社会の病理現象といいますか、持っている問題というのを象徴的に表している部分があるだろうと。こういうところから私どもは最大限の教訓を得て、この社会の病理を治していくために取り組んでいかなきゃならぬと思いますけれども、それにしても、鴻池大臣が座長になって、市中引き回し、首切りという、それに八割五分の人が賛成だったというような、これに勇気付けられて、行け、進めで、非行少年、触法少年など全部、家族も含めて退治をするんだという、そういう少年非行対策を作られたんじゃ見当外れも甚だしいと思っております。 今、刑事局長から答弁いただいたんですが、そして、伺うと、この検討会は法務省からは刑事局長だけが入っているようですが、確認します。それでいいんですか。
○国務大臣(森山眞弓君) そのとおりでございます。
○江田五月君 樋渡刑事局長は大変いい人だと思います。しかし、少年保護の関係のことを議論するのに刑事局長だけでいいんですかね。私は、やはりこれは保護局長辺りは入らないと議論にならないんじゃないかと思いますよ。 法務大臣、どうお感じですか。今、確定的なところまで答弁はなかなか難しいでしょうが、ちょっと問題意識、分かりますかね。
○国務大臣(森山眞弓君) 先生のおっしゃりたい意味は分かると思います。確かにそういう考え方もあると私も思いますが、それは必要に応じてその関係の他の局長が出席する、あるいは意見を述べるという機会はあると考えております。
○江田五月君 私は、むしろ必要に応じてというよりも保護局辺りは中心になっていかなきゃいけないんじゃないかという、中心の一人になっていかなきゃいかぬのじゃないかと思います。 今回は、小泉首相も前の池田小学校事件のときと違って冷静な対応でしたし、もちろん森山法務大臣は冷静で慎重に発言をしておられる。そこで、むしろ私の方からやや暴走族風に踏み込んで、少年院法の改正を考えなきゃいけないんじゃないかと。これは御存じですよね、十四歳以上でなければ初等少年院、医療少年院といえども子供を預かることができない。しかし、触法少年は少年法の対象になっていて十三歳以下であっても保護処分はできる、保護処分の範囲が狭められているわけですよね。 今、子供の成長過程というのも随分昔と違っていますから、十四というところですぱっと線を切ってしまうので本当にいいのかと。もっと弾力的で現実に適用できる、そういう運用をしようと思うと、やはり例えば医療少年院の持っているいろんな機能というのを十三歳以下の少年にも適用できるような、そういう仕組みが要るのではないかということで、少年院法の改正を検討してはどうかということを申し上げているわけですが、これはどうお感じですか。
○国務大臣(森山眞弓君) 先生の先日の御指摘もうなずけることではないかというふうに私自身はそう思っておりますし、いろいろと様々なこと、まずこの事件そのものの解明をし、かつ、その理由あるいはその背景等を研究いたしました上で、あるいは世間全体の少年非行というものについても十分分析いたしました上で、十三歳以下の少年を少年院に収容して矯正教育を行うことの効果、あるいは様々な影響について配慮して検討してみたいというふうに考えております。
○江田五月君 官僚答弁の前向きにというのでなくて、本当に真剣に検討していただきたいと思います。 私は、ついつい思い余って、今ここで議員立法で少年院法を変えればあの加害少年を医療少年院というところで処遇できるかなと。保護処分だから確かに泥縄の典型ですけれども、正に泥縄ですけれども、それでも事後法といったようなことはないかなと思ったりしたんですが、やっぱりそうもいかぬなと。今日は弁護士さん方の傍聴も多いようですが、弁護士さんの賛成は得られないなと思ったりして、それはちょっとやめておきたいなと思いますが、思いますが、やっぱり本当に真剣に検討しないといかぬ。 あの少年は児童自立支援施設で、まあ少年のことはまだ何も分かっていないですから、保護処分が必要ないかもしれませんけれども、しかし恐らく何か要るだろう。今すぐ、あるいは短期の間に社会に戻すと、どうせ地域社会ではもう知られていることですから、なかなか少年の自立にとってそれは険しい道にほうり出すことになってしまう。やっぱり保護の観点からもいろんな知恵が要るだろうと思いますね。今の制度の中では自立支援施設にかなり長期間置いて、その後、少年院に移すとか、しかしそれもちょっと長くなり過ぎるといいますか、ちょっと法が予定しているやり方じゃないですよね。調査官による試験観察で、補導委託先に預けてかなりの期間、補導委託という手で施策を講ずるということもあるかもしれませんが、いずれにしてもそういうことも考えていただきたい。 それから、捜査ができないんですね。この駿ちゃんの殺害の事件を児童相談所に送致した時点でこの事件は終局処分が終わっていて、警察としては捜査ができない。しかし、家裁の調査などによってはなかなか解明できない部分があるかもしれない。ないかもしれません、この事件については。しかし、一般的に言うと、やっぱりそれはいろんなことがあるかもしれない。刑事訴訟法が予定しているいろんな捜査の手だてを十三歳以下の少年の事件の場合であっても動員しなければ事案の解明ができない場合というのはあるだろうと思うんですね。 それで、十四歳未満について刑事処分はできないと、これはそれでもちろんいいんですけれども、しかし刑事責任年齢というものをある年齢でぱっと切ってしまって、そこから上でなければ捜査の権限はありませんと、そこから下はもう捜査当局としては年齢が分かった途端に全部お手上げですというのも、ちょっと一般の納得というのは得られないのかなと。 そうすると、例えば刑事責任年齢というものでなくて、刑事責任能力、これはもちろん必要、責任能力がなくて刑罰科すことは、これは当然できない。しかし、それを年齢で切るというのはちょっと硬直過ぎて、妥当な解決に資さない場合が出てくるんじゃないかという感じを持っておりますが、問題意識はお分かりでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 先生のおっしゃりたいことは私は理解できるつもりでございますが、お尋ねのことについては、現行法におきましては、犯罪を認知した後の初動捜査や刑事未成年者と判明した後の調査、これは実は触法少年であると判明した後でも警察においては強制権限はありませんが、事案の真相解明のための調査の権限はあると解されておりまして、少年警察活動規則にもそれを前提とした規定があるそうでございますが、そのような調査、それから児童相談所における調査と措置、家庭裁判所における調査と審判などの事案の真相を解明するための手続があるというふうに理解しております。 したがって、まず現行法上の制度において真相解明のための証拠収集等の手段が十分かどうか、調査等への協力を得るなどの点を含めまして問題点はあるか、これに対して委員御指摘の手法を含めましてどのような検討が必要か、対策が必要かなどについて十分な検討が必要だというふうに考えております。
○江田五月君 任意の、任意の調査ができると、これはもうそれは当然。今、この少年については、駿ちゃんの事件と別に幼児を裸にしたという事件があって、この点は捜査をしている。それはだれが犯人だか分からないという前提で、まだ十二歳の少年の犯行かどうか分からないという前提で調査を、捜査をしている。しかし、犯人と結び付いて、その犯人が十二歳と分かった途端にもう捜査はできない。 調査はいいんですけれども、やっぱり、捜査というのは別に加害者を懲らしめるという話じゃないんで、捜査というのは例えば令状を取って捜索、差押えをやるとかいろいろそういう話ですから、そしてそれは令状を取るということは捜査される、加害者以外のところもいろいろ捜査するわけです。そういう人たちに対する人権上の配慮から司法チェックを入れておくと、その代わり、司法チェックを受けた場合にはかなりの強制権限を持って証拠収集などができるということで、それは余り年齢でもうすぱっと切ってしまうということが妥当なのかなという感じです。 それは個別の事案のことです。しかし、冒頭にも申し上げましたが、そういう事案が我々に与えているいろんな警鐘、これをやはり考えていかなきゃならぬと、今の社会の持っている問題点。 それは、現代社会というのはなかなか複雑でいろんな問題を抱えています。私ども政治家ができること、できないこと、いろいろあります。政治家ができないことをやろうといってもそれは無理な点もある。しかし、政治家ができることもあります。一番できることは何かというと、まず政治家自身が身を処すことですよね。政治家が勝手なことを言っておいて、子供に対していろいろ言うというようなことができるかどうかで今、政治家の責任、最近、自民党有力議員のとんでもない発言が目立つ、ちょっとひどいです。 森山法務大臣にこの責任を問うのも気の毒なんですけれども、やはり法務大臣としてこれについてどういうことを、どういう見解をお持ちになるかは国民にメッセージとして発していただかなきゃならぬと思うんですが。自民党行政改革推進本部長で元総務庁長官太田誠一衆議院議員、人はいい人ですけれどもね。しかしやっぱり、六月二十六日、鹿児島市内で行われた全日本私立幼稚園連合会九州地区主催の公開討論会で、少子化問題について、男性にプロポーズする勇気がない人が多くなっている、集団レイプする人はまだ元気があるからいい、正常に近いんじゃないか。これ、どう思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 太田議員がどのような意図でおっしゃったのか、その発言された言葉だけでは十分分かりませんので難しいんでございますけれども、しかし一般論として申しますと、集団レイプなどというのは重大な犯罪でございまして、被害者の心身に耐え難い苦痛をもたらすという大変な犯罪でありますので、これを正当化するような発言というのは甚だけしからぬと私は思っています。
○江田五月君 甚だけしからぬですよね。 福田官房長官、この人も人はいいですが。何か一々そう言うのも嫌になるけれども、決して人が悪いと言っているんじゃないんですが、やっぱりその立場にある人がどういう発言をしていいかということは考えてもらわなきゃいけないんで。男女共同参画担当大臣ですよね。六月二十七日のオフレコ記者懇談で、男はクロヒョウ、裸のような格好をしている方、でいる方が悪いというような発言をしたと。各方面から抗議を受けている。これはどう思われます。
○国務大臣(森山眞弓君) これは、御本人もそういう発言はしていないというふうにおっしゃっているそうでありますので、私としてはここでコメントは差し控えたいと思います。
○江田五月君 オフレコ懇談でどうも言ったことは確かのようですけれども、オフレコだから、オフレコというのはないことだからないということで、だれがばらしたというのを一生懸命犯人捜しをやっているというようなこともあるようですが、品がないですよね、幾らなんだって、ちょっと。 森元首相、同じ、太田誠一さんと同じ公開討論会で、子供を一人もつくらない女性が自由を謳歌して、楽しんで、年取って税金で面倒見なさいというのはおかしいという発言。これはどうです。
○国務大臣(森山眞弓君) これも、本当の意図がどういう気持ちでおありになったのか、この発言の言葉だけではよく分かりませんけれども、私は、女性が子供を産んだかどうかということは老後の年金給付には全く関係がないことだと思っています。
○江田五月君 そうですよね。女性が子供を産んだかどうかって、男性がいなけりゃ子供は生まれないんで、それじゃ子供を一人もつくっていない男性はこれはどうなるんですかとか、そうすると、いやいや、あっちの方へつくっていますとか、もう何を言っているのかというひどい話になってしまうわけですよね。そういう問題とは違うだろうというふうに思います。 私は、それは人それぞれに自分のいろんな本音の気持ちというのはあるだろうと思いますよ。あるだろうと思うけれども、本音という、いわゆる、いわゆるこの本音がそのままストレートに出ていくのがいいのかどうかということはやっぱり考えなきゃならぬので。 全部本音でいくというんだったら、それこそ動物の食物連鎖ですよね、一番上に猛禽類というのがおる、鳥の。ああいう社会に人間社会がなった方がいいのかというと、そんなことはないんで、そうじゃないんで、人間を人間たらしめているのは、火を使うとか二本足で歩くだけじゃないんです。 やっぱりそれぞれの人はそれぞれ皆、人権を持った尊重される個人なんだという、そこは男も女も、あるいはお年寄りも若い者もという、皆同じだという、そういうある種のこれは建前です。しかし、その建前というのがあって、それが規範になって社会を成り立たせているわけですよ。その規範の意識がまるっきりなくなって、みんな本音でやろうというのを、それは面白おかしく言う人たちが面白おかしくそういうことをはやし立てたっていいけれども、政治家が、しかも重要な職責にある政治家がそういう本音で、建前ということのルールということの規範ということの重要性をどんどんどんどん掘り崩していったら社会は成り立たなくなる。 法務大臣、それは同感していただけますよね。
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおりだと思います。
○江田五月君 我が参議院にもそういうことがあった。今ではないけれども、前の参議院議長、埼玉県の土屋義彦知事が辞職となりました。これは事案はどういうふうに把握をされていますか、簡単に御報告ください。
○政府参考人(樋渡利秋君) お尋ねの件につきましては、東京地方検察庁において、平成十五年七月十日、市川桃子外一名を、政治資金規正法違反、収支報告書虚偽記入罪により逮捕したものと承知しております。 被疑事実の要旨は、被疑者は、埼玉県知事土屋義彦の資金管理団体、地方行政研究会の資金管理を統括する者であるが、同会の事務担当者と共謀の上、自治大臣又は総務大臣に提出すべき同会の平成十年分ないし同十四年分の収支報告書の本年の収入額欄に五期合計で約一億一千三百万円分過少に虚偽の記入をし、それらを、各翌年三月中旬ないし下旬ごろ、埼玉県選挙管理委員会を経由して自治大臣又は総務大臣に提出したというものであると承知しております。
○江田五月君 この長女さんの規範意識のなさ、驚くほどです。こういうことがどんどんあるとやっぱり今の日本社会の規範意識の低下につながってくると思いますが、大臣はこの土屋知事の事件をどうごらんになりますか。
○国務大臣(森山眞弓君) 私も長い間、参議院に置いていただきましたものですから、土屋先生が議長をしていらしたときのことはよく存じておりますし、知事になられてからも何度もお目に掛かって、大変ざっくばらんな、それこそいい方だというふうに思っておりました。 ですから、このような事態になったのは本当に残念だなと思いますが、しかし知事がどのようなお気持ちから辞職をされたのか、その真意について特に承知しているわけではございませんので、私から所感を述べることは差し控えたいと存じます。
○江田五月君 参議院は良識の府だと言われておるわけで、ところがどうも参議院の議長経験者がいろんなことが起きますね。参議院議員として恥ずかしいと思っています。国民の皆さんに申し訳ないと思っております。 がらっと話変わります。 司法制度改革法案、弁護士の綱紀委員会に弁護士以外の委員を加えるという、これはどういう理由ですか、御説明ください。
○政府参考人(山崎潮君) 今回の改正の趣旨でございますけれども、現在の綱紀委員会でございますけれども、弁護士会の所属弁護士によって構成されているわけでございます。中に、裁判官、検察官、学識経験者の方が参与として入っておられるようでございますけれども、表決権はないという状況で運営されているということでございます。 こういうような構成でございますと、やっぱり同僚のみによる調査ではないか、手心を加えかねないのではないかといろいろ指摘もございまして、弁護士以外の外部委員を加えることによって、より一層公正な調査、判断が行われるように客観的に担保をしようと、こういう趣旨に出るものでございます。
○江田五月君 日弁連の皆さんとの意見調整は十分できた上でこういう制度をスタートさせようと提案されていることと思います。 私も、自分自身も弁護士で弁護士会にももちろん所属をしているんですが、しかしまあ手心を加えているんじゃないかと疑われるなんてものじゃない、手心なんてものじゃない、そういうような場合も実際あります。本当に、弁護士というのは本当に何様だと思っているんだというような感じを中にいる我々が思うこともあるので、是非とも外の風を弁護士会に入れるということは、十分弁護士会員の皆さんにもその意味を分かっていただくように努力をしてほしいと思います。 外国法事務弁護士と弁護士又は弁護士法人との共同事業及び収益分配、それから外国法事務弁護士による弁護士の雇用、これを禁止をする規定を削除をしたと。で、特定共同事業制度を廃止すると。この規定は、この趣旨、内容をもう少し、前回ちょっと、全然伺う時間なかったんですかね、詳しく説明してください。
○政府参考人(山崎潮君) この問題に関しましては、改革審の意見書におきまして、日本弁護士と外国法事務弁護士等との提携、協働を積極的に推進すべきであるというふうに位置付けられておるわけでございます。 これを受けまして、私どもの方で検討したわけでございますけれども、まず第一に、利用者のニーズにこたえるため、提携・協働関係をできるだけ多様なものにする、こういうことが必要であるということが一つの理由でございます。それから、もう一つの理由は、これまで外弁が、制度が導入されまして十五、六年になるわけでございますけれども、その間、外弁が権限逸脱行為によって懲戒処分されたという事例が一件もないと。こういうような実績に照らして、雇用禁止、共同事業、収益分配禁止などの事前規制の撤廃によって外弁が権限逸脱行為に及ぶおそれが高くはないというふうに考えられたということでございます。 こういう理由からこの規定を削除いたしまして、その提携関係の内容を当事者の自由意思にゆだねる趣旨で改正を行うことにしたということでございまして、言わば事前規制型から事後チェック型に移行をすると、こういう趣旨でございます。
○江田五月君 警察庁の皆さん、本当に済みません。来ていただいたんですが、ちょっと質問できなくなってしまいまして、お帰りくださって結構です。済みません。 外国法事務弁護士が日本弁護士を雇用して、そしてその日本弁護士を通じて外国法事務弁護士が日本法の事務を行うということはこれはいけないんだと、これは変わらないんでしょう。
○政府参考人(山崎潮君) 御指摘のとおりでございます。外弁のできる権限、この範囲は全く変わっておりません。 取りあえず、それでよろしゅうございますか。
○江田五月君 そこは全く変わっていないと。しかし、もう少しフレキシブルにいろんな雇用形態などが、事務所の経営などができるようにしようと。で、それは事後チェックにすると。事後チェックにするということになると、やっぱりチェックのときのルールがしっかりしていなきゃいけない。外国法事務弁護士に雇用された弁護士の業務、報酬について、何がルール違反で、何がルール違反でないのか、ここのところの基準ですね、これを、もう時間が余りないんですが、具体的に明確に説明してください。
○政府参考人(山崎潮君) この改正案の中でも大きなルール、二つ掲げております。 一つは、雇用される弁護士ですね、日本の弁護士ですけれども、これに対して業務上の命令を行うこと自体を禁止するということが一つでございます。もう一つは、雇用される日本の弁護士が自ら行う法律事務であって、権限外法律事務に当たるものの取扱いについて不当な関与はしてはならないと、このルールをはっきり定めております。 これが一つの基準になるということで、大きな基準になるということでございます。
○江田五月君 業務命令は禁止をすると。それから、不当な関与は禁止をする。しかし、弁護士事務所の中で、外国法事務弁護士といえども法律家、日本弁護士ももちろん法律家、この間で、業務命令ではなくて、いろんな相談事で事を進めていくというようなことはあって、どこまでいったら業務命令になるのかというようなことは、一々恐らく業務命令書みたいな、指示書みたいな、そんなものを出すわけじゃないだろうし、それから不当な関与というのも、何が不当であるかというのは非常に難しいと思いますが、このルール違反があったかないかというのは、一次的にはどこが判定するんですか。
○政府参考人(山崎潮君) この権限は日弁連でございます。
○江田五月君 結局、これは日弁連がやはりしっかりしていただくと。それに対して国が不当な、それこそ不当な関与をするというものではないと。日弁連の皆さん、しっかりしてくださいねと、そういうことが一番基本にあるんだと。これはそう確認してよろしいですか。法務大臣、いかがですか、そこは。 最後ですから、法務大臣、今の点、日弁連さん、しっかりしてくださいねということが根底にあるんだということの確認をお願いします。
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおりでございます。
○江田五月君 終わります。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。 まず、簡易裁判所の事物管轄の引上げについてお尋ねをします。 これ、通告していないんですが、参考人の意見に基づいてまず一点お聞きするんですが、土屋参考人からも軍司参考人からも少し疑問の声が出ておりました。 その中で、例えば土屋参考人は、やはり簡裁の特質を生かす場合に重くなり過ぎないようにする必要があると。事件の総件数の三分の一ぐらいで制度設計されているものと承知していると、こういうことも言われました。 軍司参考人からは、昭和二十九年以降の簡裁と地裁の事件比率の推移が出されまして、一番簡裁の事件の取扱いが少なかったのが昭和四十四年の三一・三%、その翌年の昭和四十五年にこの事物引上げの法改正が行われたと。そういうグラフをいただきますと、実は、平成十三年というのは、簡裁の扱いは六六・五%で、昭和二十九年以降最も多い状況になっているわけですね。 そういう事態の下で、なぜこの百四十万なのかと、こういう参考人の御意見が二つ出ました。この点、まずいかがでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) この点、端的に申し上げれば、国民のアクセスの利便も考えなければならないという点がポイントだろうと思います。 物価等経済情勢が変わりますと、それまで簡易裁判所でできていた事件が、結局、同じ程度のものが、単位が上がりますから、地方裁判所で行うということになってくるわけでございます。そうなった場合に、近くの住民の方が地方裁判所まで行かなければならないか簡易裁判所で裁判ができるかということになるわけでございます。そういう観点から順次見直しをしているわけでございます。 今回も、そういう観点から、まずいろいろな経済指標がございますが、その経済指標を参考にしながら、その分、上がっている分、その範囲内でどういうような位置付けをするかというふうに考えたわけでございます。この点は、じゃ、その経済指標の範囲内ならどこでもいいのかということでございますけれども、そうはならないわけでございまして、今度、逆に、それによって簡易に迅速に裁判を行うという簡易裁判所の特質が失われては困ると、こういう要素もあるわけでございます。 この二つの要素を勘案いたしまして、今回、百四十万にいたしますと七〇%ちょっとを超える形になるかと思いますけれども、全体の金銭債権の比率とか、そういうものを考えた場合に、この百四十万円ならばその性格を変えないでやっていけるだろう、こういう判断をして百四十万という数字にしたわけでございます。
○井上哲士君 事件の内容にむしろ着目をしているということなんだと思うんですが、しかし簡裁の特質は生かしていかなくてはならないということでありました。 そうしますと、現行制度では不動産を目的とする訴訟については、この訴額算定の基準になる固定資産の評価額が時価と相当隔たっているということもあります。不動産の実質的な価額が相当高額で、内容的にも複雑な事件もある。これらの事件はなかなか簡裁になじまないものも少なくないと思うんですが、これは運用上どういう配慮がされていくんでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) 現在でも法がございまして、不動産については簡易裁判所でも地方裁判所でもどちらでも競合管轄を持つという建前になっております。現実の動向を見ておりますと、不動産の事件の大体七割は地方裁判所に訴えが提起されているという実態でございます。 今後につきましても、いろいろ周知徹底をいたしまして、やはり複雑な要素を持つ不動産事件、こういうものについてはなるべく地方裁判所の方で提起をされるような周知徹底、それからもう一つは訴えられた後、その移送の規定、これの活用等、こういうことで支障のないようにやっていただきたいと、そういうことを考えております。
○井上哲士君 簡易裁判所は、現在でも二〇〇〇年に導入されました特定調停で増加の一途をたどる事件処理に忙殺をされているという現状があります。この事物管轄の引上げに伴って地裁から事件がシフトしてくる、それに合わせて人の体制もシフトをすると、こういう答弁が衆議院でもされておりますが、やはりそれだけでは不十分だと思うんですね。簡裁が使いやすくなることによって事件数の増大が予想されるのが一点。それから、少額訴訟の上限引上げなどもありました。本人訴訟なども増えていくということになりますと、非常に窓口業務というのが重要になってくると思います。そういう事件数の増大、窓口業務の重要性の増大と、こういうことにも対応した増員についても考えられているんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) お答え申し上げます。 基本的には、今、委員御指摘のとおり、地裁から簡裁へ事件がシフトするわけでございますから、そこの部分で機動的配置をすればまずは足りるというふうに考えておりますし、また少額訴訟につきましては、今回、六十万円ということにもう既に法改正あったわけでございますけれども、実は裁判所の方では市民型の紛争はできる限り少額訴訟と同じような手続でやっていこうということで、ここ数年やってきております。そういう意味では、準少額訴訟手続というふうに勝手に名前を付けまして運用をしてきており、もうある程度そこの部分は先取りをしているというところもございます。 〔委員長退席、理事荒木清寛君着席〕 したがって、その辺り考えていけば、まず対応できるかなと思いますけれども、今御指摘いただいたように、制度の趣旨というものが徹底するに従って事件の掘り起こしも進みましょうし、そういうような中で、今現在、簡裁の平均審理期間、二か月でございますけれども、これが延びてきてミニ地裁化するというようなことになればこれは大問題であると、こういうふうに思っておりますので、そこのところはきちんと検証しながら、更なる人的体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
○井上哲士君 今回の法改正全体として、この司法アクセスの拡充ということが大きな柱になっておりますが、そのためにはこの制度面の整備とともに、今も簡裁で申し上げましたけれども、人的・物的体制の拡充ということは不可欠だと思います。特に、司法過疎の解決というのは非常に重要だと思うんですが、まず弁護士の問題についてお聞きをします。 都市部に集中をする一方で、いわゆる弁護士が、地裁がありながらゼロないし一名というゼロワン地域が全国で六十か所ある。いわゆる悪徳商法とかやみ金融、この被害というのはこのゼロワン地域で非常に多いという話もあるんですね。 日弁連は、この問題でいわゆるひまわり基金による公的事務所を十数か所設置をして、この過疎の解決の努力もされているわけですが、やはり日弁連だけの努力では限界があります。一人一万二千円の拠出をされているそうでありますが、一つの事件を同じ事務所でやるのはやはり具合が悪い。そうしますと、二か所以上の事務所が必要になってくるわけで、今後、数十か所の事務所設置ということも必要になってくる。こうなりますと、やはり国の責任で司法アクセスの拡充という観点から解決をすべきことだと思います。 こういう全体の司法アクセスの拡充、このことへの国の責務と、そしてその中での弁護士過疎の対策というのはどういうふうに位置付けられているでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘の点、大変重要な問題だろうというふうに私ども認識しております。 過日、私どもの本部にございます、で行いました有識者懇談会でこの司法ネットの問題を議論いたしました。これにつきましては過疎地域の公設事務所に勤められた方あるいはその県の知事等、四人の地方の方、お呼びいたしまして、お伺いしました。その中でやはりショッキングだったのは、本当に弁護士が一人もいないところは、本当にアウトローの草刈り場になっているという御指摘でございまして、これは私も本当にショックを感じました。それからもう一点は、ニーズは掘り起こせばあるんだと、掘り起こすというよりも、もうあるんだけれども、現実に弁護士がいないということから眠っちゃっていると、こういう認識でございます。 これを、事は大変重要な問題でございまして、日弁連も公設事務所を設けて御努力されている、それも私ども評価したいと思いますが、やはり限度はあるだろうということでございまして、そういうことから現在、私ども、本部において、国民が気軽に全国のどこの町でも法律上のトラブルの解決に必要な情報あるいはサービスですね、この提供が受けられるような司法ネットの整備ということを今鋭意検討中でございまして、まだ具体的にどのような姿でということを、新聞記事等にはいろいろ上がっておりますけれども、まだそこまで具体的に固まっているわけではございませんけれども、今鋭意検討して、可能であれば来年の通常国会には御承認を得たいというようなことを考えております。
○井上哲士君 報道によりますと、そういう司法ネットの大きな位置を占めるリーガルサービスセンター構想などというものも報道がされております。こういう新たな何らかの組織ができるということになると思うんですが、その運営について基本的な考え方をただしておきたいんです。 推進本部の公的弁護制度検討会が新たな公的弁護制度の運営主体を独立行政法人にすることで一致をしたと、こういう報道がされました。そして、この独立行政法人が、公的弁護のほか、犯罪被害者の支援や民事事件を含む法律相談業務を扱う、そして刑事、民事一体型の総合的な司法サービスを展開すべきだとの意見も多かったと、こういう報道がされました。 これがこのリーガルサービスセンターというものにつながっていくのかなと思うわけでありますが、やはり組織として国からの独立ということが保障される必要があります。公的弁護の場合、相手が国になるということもあるわけでありますから、そういう、今後、組織形態としてはいろいろ考えられるといたしましても、そういう国からの運営上の独立ということについてはどのような検討がされているでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) 私どもの検討会の議論、いろいろ報道にも載っておりますけれども、そういう議論がされたということで、決まったということではございません。 ただ、その考え方として、どういう法人になるかは別として、やはりその法人の問題と個々の事件の問題、これは分けなければならないところでございまして、個々の事件にいろいろな影響を与えるというふうなことは避けるべきでありまして、これはやっぱり独立にやっていただくと、こういうような構成にしていかなければならないということは十分に意識をしております。
○井上哲士君 例えば、独立行政法人になりますと、法人役員の人事とか中期目標の設定という形で国が関与するということになります。ですから、例えば長の任命を、これは主務大臣の任命になるわけでありますけれども、公正中立な第三者機関に人選を任すであるとか、それから評価委員会の制定に、選定も弁護士会とか消費者団体の代表を含めるであるとか、こういういろんな形をして、組織の運営の独立、それから個々の弁護士の裁判活動についても独立が確保されるということがこれは絶対不可欠だと思いますので、改めてそれを求めておきます。 その上で、弁護士過疎の問題以上に深刻とも言えるのが裁判官、それから検察官の過疎という問題です。裁判官が常駐しない地裁支部、家裁支部、出張所、簡裁、月一、二回しか裁判官が来ないというところも例外ではありません。裁判官が常駐しないので弁論期日がなかなか入らないと、場合によっては二、三か月後しか入らない、こういうところもあります。 北海道を見ますと、裁判官もゼロ、弁護士もゼロ、検事もゼロ、この三重苦のところが函館の地裁の江差支部、旭川地裁の名寄支部、旭川地裁の留萌支部、それから釧路地裁の根室支部、四つあります。 こういう状況というのを最高裁としてはどのように認識をされているでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 非常駐支部、今お話があったとおりでございますけれども、例えば今出ましたところですと、名寄支部辺りですと、裁判官一人当たりの件数の五分の一程度しか事件がないというような状況であります。そうしますると、そこに裁判官を常駐しているということで、あとは一体、例えば月曜から金曜までの間、月曜仕事すれば火曜から金曜がなくなってしまうと、こういうようなことでございまして、やはり裁判所が税金で賄われているという公的機関である以上は、その辺、効率性というものも考えなければならないだろうと思います。 さはさりながら、今御指摘のような問題点が本当に出てまいりまして、例えば審理期間が非常に長くなってきたというようなこと、そういった病理現象が出てくれば、またそれはきちんと対応しなければならないと思っております。 そういう意味で、全国的規模のところで恐縮でございますが、例えば地裁の平均審理期間、民事ですと八・五か月、刑事ですと三・三か月でありますが、これが非常駐支部の場合には、民事で九・四か月、刑事ではむしろ平均審理期間、より短くて二・九か月というようなところになっており、いずれもそれほどの問題が生じているというふうには考えておりません。 今後とも、その辺り、各庁ごとに状況がどうかということを見守りつつ、適正な対処をしてまいりたいと思っております。
○井上哲士君 先ほどもありましたように、実際にはニーズがある、そしてアウトローと言われましたけれども、いろんなやみ金などの草刈り場になっているということもあるわけでありまして、今現状がそうだからということではなくて、やはり国民の司法サービスにどうこたえるかということでの検討が要るかと思うんです。 日弁連はこの「裁判官増員マップ」というのと、それから検察、「検事増員マップ」というのを作られて、それぞれの支部ごとにどんだけ増やすかということもかなり具体的に出されております。これを見ましても、検察官のいないところが非常にもう大変深刻でありまして、検事の常駐しない検察庁の支部、副検事の常駐しない区検というのもたくさんあります。交通事故による業務上過失致死事件が一年以上遅延するという事態があるとか、これは徳島では、副検事が行ってもない事情聴取を行ったかのように装って検察官調書を捏造したという事件がありましたが、これなどの背景にはやはり検察官不足ということも指摘をされております。 こういう現状についての法務省としての認識。そして、このマップの中では、例えば島根県でいいますと、簡裁判事の兼任の解消とともに、これは益田か浜田のどちらかに一人、検事を置いてください、まあささやかな要求だと思うんですね。こういう司法過疎の解消という見地から、現状をどう考え、どう改善をされようとしているのか、その点をお願いします。
○政府参考人(樋渡利秋君) 検察当局におきましては、検察官の常駐しない支部や区検の運営に腐心しているところでございます。例えば、警察からの事件相談も日常これ受けるというようなことも大事なことでございますし、また関係諸機関との連絡を協調することも事件処理の円滑処理に資するばかりか、治安対策そのものにとっても必要だと、必要なところがあるんだろうというふうに思うわけなんでございますが、ただ、いかんせん、今の現状で見ますと、本庁の事件数と比較しましても、本庁から人を削るわけにもいかないというような事情もこれございます。 しかしながら、そういうふうに腐心はしておるところでございますけれども、事件処理という観点から見ますと、そのような事情があっても事件処理が滞ることが許されるわけではございませんで、そういうことがないように、各支部、区検の実情を考慮して、本庁所属の検事等から担当者を選び、各支部、区検の受理事件数等の業務量を勘案して、適宜の頻度で検察官を各支部、区検に赴かせて執務させるなど、所要の体制を組んで適正に対処をしているものと承知しております。 今後、いろいろな事件数のあんばい等を見ながら、また適切な人事の配置ができるように努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○井上哲士君 終わります。
○平野貞夫君 この司法制度改革法の関連の法律については、できるだけ私たち国連としては賛成したいんですよ。そういう中で司法制度の改革をやってほしいんですが、この法案はやっぱり国会議員だけじゃないんですけれどもね、弁護士資格の特例の拡大についてはどうしてもやはり我々抵抗がある、私たちは抵抗がある。国会議員五年やったからといって修習しなくてもいいという、弁護士の資格を与えるというんだったら、司法書士の人たちの職域をもっと拡大して国民の皆さんの役に立つ方策を取ったり、様々な知恵があると思うんですよ。そういう意味で、残念ながら私たちは反対の立場なんですが。 〔理事荒木清寛君退席、委員長着席〕 そこで、質問の通告はしていませんですが、ここは法務大臣と山崎参考人に、基本的な問題ですから、ちょっとその所見も伺いたいんですが、実は今朝、コロンビア大学のジェラルド・カーチスさんと日本の社会どうなっていくのかということを話す機会がありまして、カーチスさんから言われたことなんですけれどもね、千代田区で昨年の暮れ、たばこのポイ捨てを条例でもって禁止して、あれ、たしか罰則があったと思いますね。それをPRする街角に看板出してあるわけですが、「マナーからルールへ」という看板を出しているんですよね。カーチスさん何と言うかといいますと、日本の社会も変わりましたなと、本来、マナーで規制すべきことをルールにして罰則付けなきゃ日本の社会やっていけなくなったのかと。彼はまあ、もう三十年ぐらい日本の社会政治、分析していますからね。私も、なるほどと思いまして、やはりマナーで規制すべき部分はマナー、やっぱりルールとして法律でもって規制せにゃいかぬ、いわゆる司法でもって規制せにゃいかぬという部分というのはおのずから境があると思うんですよ。 この一連の司法制度改革がそういう部分が貫徹されているかされていないか、あるいはそういう部分についてどのような考え方を持っているか。突然の質問で恐縮ですが、法務大臣と山崎さんの、特にこの二人、中心人物ですからね、今後進めていくそのお気持ちも含めてひとつ御所見をいただきたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 私も、ジェラルド・カーチスさんには前にもお目に掛かったことありまして多少存じ上げておりますが、三十年ぐらい前に初めて日本においでになったときと比べますと今の日本の社会が大変変わってきたなという考えをお持ちになるだろうということは私も理解できます。 しかし、確かにマナーはもちろん重要でございますし、それを中心に考えるべきことというのはたくさんあることは承知しておりますけれども、特に東京のような、各地から様々な人が入り込んできて様々な活動をするというようなところで一定の規律を維持していこうと思いますと、その人によってマナーというものの考え方がいろいろあるでしょうし、遵法精神というか、守る態度も様々でございましょうから、どうしてもこれだけはというものは法律あるいは規則にして、場合によっては罰則も掛けてということも、その区民あるいはその住民の意識によってそういうことも出てくるのはやむを得ないというふうに思いますので、私としては、カーチスさんよりはずっと日本の社会の変遷を自分で見ているわけでございますので、そういう変化も、確かに時々おいでになってごらんになる方にとっては、よく知っていらっしゃる方でもそういう考えをお持ちだろうとは思いますが、ずっとここに住んでやっている私たちとしてはそういう変化もやむを得ないことだなというふうに思うわけでございます。
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、何十年か前の日本を考えますと、非常にあいまいでまあまあの社会だったと思いますが、そうなると、その世界ではある意味じゃマナーで解決ができたのかもしれません。しかし、現在の社会を考えますと、価値観が非常に多様化している、物の考え方がもうばらばらであるという時代である、それともう一つは非常に複雑化している時代である、それからやはり世界もかなり共通化してきている時代である。こういうことを考えると、やはりマナーだけに頼っているのはもうなかなか難しい時代になって、やっぱりきちっと最低限のことはルールとして取り入れて、それに従って行動をしていただくと。 こういうことがどうしても必要になるだろうということで、この司法制度改革全体もその辺のところを意識しながら改正を行っていることでございますし、今後も、時代が変われば直ちにやはり法律をその時代に合わせたように変えていかざるを得ない、そういう意識を持ちながらやっていかなければならないというふうに考えております。
○平野貞夫君 一連の司法制度改革の原因がグローバル化だとか価値観の多様化だとか時代の流れに迅速に適応するとかということは分かりますんですけれども、これ、一部の財界の人からも出ているんですけれども、やっぱり市場中心の社会を作ろうとしているんですよね、マーケット中心の、小泉政権の方針は、アメリカのやっぱりマーケットの中心の社会を。言わば、マーケットが人間化して人間がマーケットの対象になるというような、そういう世の中を作ろうとするようなために司法制度改革が行われるということじゃこれは困るわけなんですよ。 今、山崎参考人の強気の御発言ですけれども、やはりルールだってマナーが確立していなきゃこれ機能しないんですよ。特に、政治家の犯罪なんというのは、政治と金の問題なんかについては、ほとんど倫理といいますか気持ちで自制できるものなんですけれどもね。残念ながら、ルールばっかりに頼るというような風潮に僕は抵抗感があります。かつての日本の、儒教はいい部分、いいものばっかりじゃないですけれども、儒教倫理のやっぱりいい部分なんかをもう一回思い起こして、家庭教育、学校教育なんかに入れるということは私は大事だと思うんです。これは意見だけにしておきます。 そこで、典型的な例として一つお聞きしたいんですが、司法試験合格者が修習を受ける、そしていろんな進路を選ばれるわけですが、この法案にも直接関係あると思うんですけれども、一番僕らがやっぱり常識的に見てこれはと思うような一つのポイントとして、検察官の進路を選んで、そしてその検察官がどういうその後の進路を選ぶか、これをちょっとデータ的なことを知りたいんですが、例えば二つぐらい、昭和五十年ごろからでいい、ごろでいいんですが、二つぐらい、検察官の進路を選んだ人が二十年後にどういうふうな数が変わっておるか、これちょっとお答えいただけませんか。
○政府参考人(寺田逸郎君) データを申し上げますと、昭和五十年に司法修習を終了いたしまして検事に任官した者、全部で三十八名おりましたが、そのうち、その後の平成七年までに退職した者は十四名でございます。また、昭和五十九年に司法修習を終了して検事に任官した者は全部で五十名でございますが、そのうち、現在までに退職した者は十一名となっております。
○平野貞夫君 ただいまの説明でも分かりますように、二十年後はやっぱりかなりな部分の人が、昭和五十年の場合には三分の一強ですね、昭和五十九年の場合には五分の一ですか、辞められている。多くの人はいわゆる辞め検という、国会議員になっている方もいると思いますけれども、そして弁護士になるという全く逆の社会的立場に立つと。これも別に悪いというわけじゃないですよ。悪いというわけじゃないですけれども、私らみたいな一般人からすれば、何かそこに裁判が迅速に行われない原因の一つだとか、それから、どっちかというと、私らも役人やっていた仕事柄、私、衆議院の事務局にいたんですが、国会議員が犯罪を起こす、いろいろ検察の側の人たちとも接触したんですけれども、弁護士側との接触もする。すると、私も前に検事やっていましたという、そんな不思議な、ちょっと面白いなと、面白いというか分からぬなと思うんですが。 検事さんが辞めて弁護士さんになるときに、やっぱり意識の転換とか一種の教育といいますか、のやり直し、これは必要だと思うんですが、今、制度的にどんなことが行われていますか。
○政府参考人(寺田逸郎君) これは、検察庁の方で弁護士になられる方に弁護士の心得をどうこうするというこれは立場にございませんので、これは何にもいたしておりません。むしろ、弁護士会の方で、新たに入会されるということで様々な研修、その一環として弁護士倫理等もいろいろな形でお教えなされているというふうに理解しております。
○平野貞夫君 それは、法務省の方で弁護士になるための教育やるというのは、これはなかなか大変なことだと思いますが、ただやっぱり、これだけの量の人が検事辞めて弁護士やるということはやっぱり問題だと思うんです。なるべくやっぱり志を貫いてほしいわけですよ。 それから、やっぱりなるについては、それは弁護士会でも結構ですが、やっぱり社会的常識といいますか、正義をどう遂行するか、いわゆる辞め検という人たちの問題がいわゆる世間では多いんですよ。そういうことも司法制度改革のためのポイントじゃないかということを申し上げておきますから、これは答弁要りません。 それと、もうこれで質疑はしませんが、司法制度改革という非常に立派な動き、大事な動きというのは分かるんですが、これ、お金が掛かると思うんですよ。どこで、法務省であんばいする場合もあるし、最高裁であんばいする場合もいろいろあると思うんですが、これ、一般的な考え方で結構なんですが、一般的な考え方で結構ですが、どのように司法制度改革に展開して予算措置をやっていくつもりか、またこれ、我々も無関係じゃないと思いますが、そこら辺について山崎参考人、いかがでございますか。
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、御指摘のとおり、制度をきちっと変えていくということになれば、金銭的なものあるいは人的なもの、これが必要になることは当然生じてまいります。私どもは、制度に伴って必要なものは当然それはお願いをしていくということを考えておりまして、私どもの方からと、それから、でき上がると、これはそれぞれの例えば裁判所の制度になり、あるいは法務省の制度になるということがございますので、それぞれのところと一緒にその点は、必要なものはお願いしてまいりたいというふうに考えております。
○平野貞夫君 小泉総理は本部長でしょう、この司法制度改革の。ですから、小泉総理に司法制度の法律について変な立法するといって掛け声掛けるよりか、きちっと予算を付けるようにひとつ法務大臣、よく要望しておいてくださいよ。 ということで終わります。
○委員長(魚住裕一郎君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、青木幹雄君及び片山虎之助君が委員を辞任され、その補欠として大仁田厚君及び世耕弘成君が選任されました。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 本案の修正について千葉君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。千葉景子君。
○千葉景子君 私は、ただいま議題となっております司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会を代表いたしまして、修正の動議を提出いたします。 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。 以下、その趣旨について御説明申し上げます。 弁護士資格の特例の拡大については、現行制度の根幹である司法試験合格と司法修習の修了という資格要件の例外を広げるものであり、新たな改革である法科大学院構想に基づく法曹養成制度の下で多数の法曹の養成が行われるという法曹養成理念に照らし、安易に特例を設けることには極めて慎重な配慮が必要であります。 今回の改正では、国会議員及び特任検事についても新たに特例を認めることにしておりますが、まず国会議員については、各種特権の見直しが問題とされている状況の中で、一定年数の在職のみを要件に司法修習を免除するというのは職務の実態に照らして合理性に欠け、司法修習の形骸化を進めるものにほかなりません。これではお手盛りとの国民の批判を避けることはできません。 衆議院において、特例を認める要件として所定の研修の修了を義務付ける修正が行われましたが、形だけの研修を課するものであれば、その本質は全く変わるものではありません。 次に、特任検事に対しては、司法試験、司法修習抜きで弁護士資格を与えることにしておりますが、その職務は刑事が中心で、民事に関して十分な知識があると言えず、また内部の試験に合格したというだけでは法曹資格を付与する合理性に欠け、到底認められるものではありません。 そこで、本修正案は、第一に、司法試験合格後、国会議員の職にあった期間が五年以上になる者を弁護士資格を有する者から除くこととし、第二に、特任検事となった後、その職にあった期間が通算して五年以上になる者を弁護士資格を有する者から除くこととするほか、所要の規定の整備を行うこととしております。 以上が修正案の趣旨であります。 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○委員長(魚住裕一郎君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、司法制度改革のための裁判所法等改正案に対し、反対の討論を行います。 反対の第一の理由は、本改正案の弁護士資格特例の要件緩和は、現行法曹養成制度の根幹である司法試験合格、司法修習終了という資格条件の例外を安易に拡大するものであり、多様化の名の下に国会議員、特任検事、企業法務担当者らに弁護士資格を付与することは、司法修習の形骸化を進めるばかりか、これから立ち上がろうとしている法科大学院によるプロセスによる法曹養成の理念にも真っ向から矛盾するものだからです。 国会議員等に形だけの研修を課すという修正も、法案の本質を変えるものではなく、お手盛りという国民からの批判を免れるものではありません。 中でも、特任検事に司法試験、司法修習抜きで弁護士資格を与えることは重大です。合理的理由が全くないばかりか、民事について十分な知識があるとは言えず、また刑事についても検察側の視点でしか職務を行ってきておりません。幅広い人権意識を身に付ける訓練を行っていない者に弁護士資格を付与することは到底認められるものではありません。 反対の第二の理由は、外国法事務弁護士に対して日本法弁護士を雇用できるように改めることにより、日本の法廷にアメリカの営利第一主義の法理を持ち込み、日本弁護士の自立をも脅かし、弁護士法の理念にも影響を及ぼしかねないからであります。 日本の弁護士のみに与えられた法律事務に関しては、雇用主たる外国法事務弁護士といえども干渉してはならないとしていますが、現行の共同関係と違って、雇用関係になった場合に不干渉が守られる保障はありません。 日本弁護士を雇用しようとしている外国法事務弁護士は、アメリカの数百人、数千人という弁護士を抱えた巨大ローファームであり、アメリカの多国籍企業の海外での収奪を支える仕事を専らにする巨大法律会計企業であり、これらの本格的な日本への進出に道を開くものであり、到底認められません。 なお、非常勤裁判官制度の創設、弁護士の綱紀・懲戒手続の整備は、司法の国民的基盤の強化につながるものであり、賛成です。 また、簡裁事物管轄の百四十万円への拡大は簡裁の人的基盤の充実が、さらに弁護士の営利業務従事制限の緩和は弁護士の社会的使命の強化などがそれぞれ欠くべからざる前提であることを付言しておきます。 以上、本法案は、若干の改善点はあるものの、弁護士資格の要件緩和と外弁法改正により、日本の裁判制度と弁護士制度を基本的人権の擁護と社会正義の実現から営利追求第一に変質させかねない改悪部分が顕著であり、全体としては反対の態度を表明をし、討論を終わります。
○委員長(魚住裕一郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。 まず、千葉君提出の修正案の採決を行います。 本修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(魚住裕一郎君) 少数と認めます。よって、千葉君提出の修正案は否決されました。 それでは次に、原案全部の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(魚住裕一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、千葉君から発言を求められておりますので、これを許します。千葉景子君。
○千葉景子君 私は、ただいま可決されました司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守新党、民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府及び関係機関並びに最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。 一 不動産に関する訴えを提起しようとする者が、簡易裁判所の事物管轄の上限引上げに伴い、訴訟の目的の価額の上限を超えない請求をする場合でも、簡易迅速に事件を解決する簡易裁判所の機能を十分に踏まえ、第一審裁判所として地方裁判所も選べる旨周知すること。 二 簡易裁判所の事物管轄引上げに伴い、簡易裁判所と地方裁判所の役割及び民事訴訟法第十八条の簡易裁判所の裁量移送の趣旨が周知徹底されるよう努めること。 三 民事調停官及び家事調停官の制度については、その機能と成果を検証しつつ定着を図るとともに、着実な規模の拡大に努めること。 四 弁護士が裁判官と同等の立場で、調停事件以外の非訟事件に関与する制度の導入に関する研究を進めること。 五 弁護士資格の特例を拡充することとなる者に課する研修については、司法修習の理念に基づき、弁護士実務に必要な理論的かつ実践的な能力を涵養するために、十分な内容及び時間を確保するよう努めること。 六 法科大学院を中核とする新たな法曹養成制度が構築されることや、本法によって新たに特例措置を講ずる者に対しては研修を課することとしたことにかんがみ、五年以上一定範囲の大学の法律学の教授・助教授、衆参の法制局参事、内閣法制局の参事官等の職に在った者に対して弁護士資格を付与する制度について、速やかに適切な見直しを行うこと。 七 弁護士の報酬に関する標準を示す規定が会則から削除されることに伴い、弁護士法第一条に明記された弁護士の職務に公共的性格があることにかんがみ、国民の弁護士へのアクセス拡充に支障が生じないよう、日本弁護士連合会が行う弁護士報酬の実態等の情報提供に協力すること。 八 外国法事務弁護士が、弁護士との共同事業や弁護士の雇用により日本法などの職務外法律事務を取り扱うことのないよう、日本弁護士連合会が外国法事務弁護士に対して広報及び研修や監督の充実に努めることについて十分な配慮をするとともに、本法の施行後、外国法事務弁護士の法律事務取扱いの状況にかんがみ、必要があるときは適時適切な見直しを行うこと。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(魚住裕一郎君) ただいま千葉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(魚住裕一郎君) 多数と認めます。よって、千葉君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、森山法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。森山法務大臣。
○国務大臣(森山眞弓君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。 また、最高裁判所にも本附帯決議の趣旨を伝えたいと存じます。 ありがとうございました。
○委員長(魚住裕一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 午後一時まで休憩いたします。 午前十一時三十四分休憩 ─────・───── 午後一時四分開会
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、総務省自治行政局長畠中誠二郎君、法務大臣官房長大林宏君、法務省民事局長房村精一君、法務省刑事局長樋渡利秋君、法務省矯正局長横田尤孝君、法務省人権擁護局長吉戒修一君、厚生労働大臣官房審議官阿曽沼慎司君、厚生労働省健康局国立病院部長冨岡悟君及び厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長上田茂君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○千葉景子君 民主党・新緑風会の千葉景子でございます。 今日は、私の質問時間、四十五分いただいているところでございますが、できるだけ短縮に協力ができますように努力をしてみたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。 また、なかなか、法務委員会、たくさんの法案の中で一般的な司法行政等についての調査を行う時間も限りがございます。貴重な今日はお時間をいただきましたものですから、少し大きな項目としては統一性がない部分もございますけれども、この国会、あとわずかになってきたということも踏まえて質問をさせていただきますので、よろしくお願いをしたいと思います。 まず、行刑にかかわる問題について御質問をさせていただきます。 この国会、そして当法務委員会も、この国会冒頭から、名古屋刑務所にかかわる問題等々を含めまして刑務所の処遇の在り方等が大変大きな課題になりました。これはこの委員会でも、これからも引き続きましていろいろな角度から検討をしていこうと、こういう言わば委員会としての共同の意思もあろうかというふうに思っております。 そういう中で、法務省も、やはり事の重大さということもございまして、内部だけではやはり本当の意味での改革は進まないのではないかと、そういう意味で外部のいろいろな意見も取り込んで、そして抜本的な行刑にかかわる改革を進めていくと、こういうスタートを切られました。私も、これについては一定の評価をさせていただきたいというふうに思っております。 是非、この行刑改革会議という形で今論議が進められているということでございますが、そこの論議と、そして国会での様々な論議、意見等々、それからそれ以外にも市民の皆さん、いろんな有識者の皆さんからも意見がたくさん今出されているところでもございます。そういうものを本当に総合的に積極的に受け止めていただきながら、この改革が進むよう心から望むところでございます。 そういう意味で、この行刑改革会議、七月十四日には第四回の会議が開かれたというふうに承知をしております。今日は細かいことはお聞きできませんけれども、この行刑改革会議を中心にした論議というのは、今後どのように進められ、どんな段階で何か取りまとめのような形になっていくのでしょうか。その辺りの今後の見通し、段取りのようなものがございましたら、お教えいただきたいと思います。
○副大臣(増田敏男君) お答えを申し上げます。 受刑者及び刑務官に対するアンケート調査は六月下旬から七月上旬にかけて行われました。現在集計中でございます。九月八日に開催予定の第五回行刑改革会議に報告される予定と聞いております。 行刑改革会議におきましては、今後も原則として毎月一回、全体会議を開催するほか、三つの分科会に分かれまして、分科会で個々の論点について集中した議論を行い、年内には改革の方向性を示すことができるよう議論がなされるものと承知をいたしております。 当省としては、その結果であります御提言を最大限尊重いたしまして、国民に理解され支えられる刑務所を作るための諸方策を講じてまいりたい、このように考えているところであります。
○千葉景子君 この行刑改革会議、十四日の第四回会議にも、資料をいただきまして、様々な各委員からの大変積極的な、そしてまた傾聴に値すべきいろいろな御意見が出されていると、本当に委員の皆さんが熱心に論議をされているというところではないかというふうに思います。そういう意味では、その御意見等々も踏まえながらやはり抜本的な改革をすべきところ、それが幾つもあろうかというふうに思います。 それで、私もこの際、本当に抜本的な改革ということを望みますけれども、その中で、意見の中、私も読ませていただきまして、あるいは私も同感をするという点、幾つかございます。特に、抜本改革とかあるいは法制度の改革等がなされませんでも、直ちに運用、あるいは基本的な理念を踏まえて改革できるものがあるのではないかというふうに感じております。 幾つか指摘をさせていただきたいというふうに思いますので、是非すぐにでもできるものであれば着手をいただく、あるいはどうお考えか聞かせていただきたいというふうに思います。 まず一つは、その中で、やっぱり刑務所に常に市民の目が行き届いているということが大事なんではないかと、こういう意見がございました。やはり閉鎖的な、あるいは密室性のあるこういう施設を大きく変えていこうといたしますと、市民参加あるいは市民の目が光るということは大変重要なことだというふうに思います。 市民が刑務所にいろいろな形で参加をするというのは、今でも、例えば講演があるとか教誨師の方がおられるとか、いろんな形で篤志家の方がいろんなボランティアをやっておられると、いろいろあろうかというふうに思いますが、こういう部分はこれまで以上に運用の面でも市民がその状況を本当につぶさに見れる、あるいは立ち入っていることによってそこに開放性あるいは市民感覚、そういうものが生まれてくると、こういうこともあろうかというふうに思います。 これは当然、社会復帰などにも寄与するものだというふうに思いますが、こういう点で直ちに、更に市民の参加、こういう面で何か検討なさっているようなことがございましょうか。
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。 御指摘のように、現在、行刑施設におきましては、篤志面接委員あるいは民間篤志家等による援助、協力をいただいておりますし、それからまた近隣住民あるいは更生保護女性会等、民間有志の団体からの様々な激励、援助等を受けておりますし、また有識者の方からの講演、講話なども受けておりまして、現在でも民間の方々に矯正施設において幅広い活動を行っているという実績がございます。 御指摘のございましたように、矯正施設が外部協力者との連携を図ることは、単に処遇上、多様で柔軟なプログラムが実施可能となって一般社会の人との交流が被収容者の社会復帰に効果的なものとなるばかりでなく、矯正施設に外からの目が常に届き、外部の方にも矯正施設を正しく御理解いただけるなど、開かれた施設運営に資するものであると考えております。 したがって、外部協力者の方々に積極的に矯正施設の中に入っていただいて矯正施設が社会とともに活動する輪を広げるべきだという議員のお考え、全く賛成でございます。矯正局といたしましても、ますますこれを活発に行うべきことと考えておりますので、御指摘のような御意見を踏まえながら、幅広く関係各位の御意見を賜りながら、実施できることから積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○千葉景子君 それから、今日は全部をあれできませんけれども、外部交通の拡大などもやはり一番刑務所の密室性や閉鎖性を、ある意味では外部と意思を通じさせるということで重要なポイントだというふうに思います。 この中で、いろいろ問題はありますけれども、私は、ヨーロッパの刑務所等でも行われておりますように、電話の設置のようなことは、これはできるだけ早く試みることができる部分ではないかというふうに思っております。何かやっぱり今の法規上難しいというような御指摘も聞いておりますけれども、そういうところを、監獄法なども電話などということは考えてもみないようなときにできた法律でございますので、確かにその法律に照らせばなかなか電話というのはイメージに入ってこないということもあろうかと思いますが、やっぱり一定の制約はあるにせよ、電話の利用ということは一つの大きなポイントではないかというふうに思いますが、いかがですか。
○政府参考人(横田尤孝君) 今おっしゃいましたとおり、現行の監獄法令上、電話の使用は認められておりません。これを運用によって認めることができるかどうかということもありましょうけれども、なかなかこれは困難であると考えておりまして、電話の使用には法改正が必要なのではないかと考えております。 電話による通話については、必ずしもその相手方及びその内容を十分確認することができない場合もあるなど、施設の規律及び秩序維持の観点からの問題もあるというふうに承知しているところでございますけれども、他方、電話が一般社会において通信の重要な手段になっているということなどにかんがみますと、受刑者にその使用を認めるべきではないかという委員の御指摘や、行刑改革会議における今後の御議論、御提言等を踏まえまして検討してまいりたいと考えております。
○千葉景子君 是非、これは確かに法の改正というお話もございますけれども、大きな今の流れとしては電話を入れるということにはかなりの合意といいますか、そういう意見もあろうかと思いますので、でき得る限り早急に必要な手だてをしていただく必要があるのではないかというふうに思います。 それから、もう一点御指摘をさせていただきます。 やはり被収容者の地位ということになりますと、やはり管理の対象、対象物のように考えるのではなくして、やっぱり人間としての尊厳を保つ、やっぱり人間として処遇をするということがまず基本だというふうに思います。そういう意味で、幾つかの問題ありますけれども、例えばもう過剰な自由の拘束、こういうものは決して処遇上効果もございませんし、それから基本的な、人間的な尊厳を保つという意味からも許されるべきではないというふうに思います。 例えば、私も視察などさせていただいた折に見ましたけれども、どこかへ移動する際のあの軍隊式の行進とか、それから正座をして必ず点検を受けるとか、あるいは私語を極めて厳格に規制をしている、あるいは工場からの行き帰り、帰りということになりましょうか、舎房に帰る際に必ず裸体の検査を行う等々、それは理屈を付ければ意味があるんだということもあろうかと思いますが、とてもこれは今のやっぱり人権尊重という建前、それから本当に処遇の効果ということを考えても、なぜこういうことが必要なのかということはやっぱり合理性がもう乏しいのだというふうに思います。 そういう意味で、今挙げましたようなのが例ではございますけれども、こういうやっぱり過度の自由の拘束とか、あるいは人間性を奪うようなやり方、こういうものはもう早急に改める必要があるし、できることだと思いますが、いかがでしょう。
○政府参考人(横田尤孝君) 我が国の行刑施設では、被収容者の日常的な生活あるいは処遇場面におきまして、被収容者の行う行動、動作につきまして一定の要領を定めて実施している施設が少なくないものと承知しております。 これらは、限られた人的、物的諸条件の下で多数の被収容者を的確に管理し、逃走、自殺、被収容者間のけんか等を未然に防止して施設内の規律及び秩序を適正に維持するという点に目的があり、また受刑者にとりましても規律ある生活態度の涵養を促進させるという点にも目的があるものというふうに理解しております。 しかしながら、その具体的態様、程度につきましては必要な限度を超えることのないようにすべきことは当然のことでございまして、このため矯正局では、このような動作要領にかかわる実施状況につきまして巡閲時の重点調査事項の一つとして取り上げるとともに、本省の現場施設処遇責任者の協議会において協議議題に取り上げるなどして現場施設に対し行き過ぎのないよう注意を喚起しているところでありますが、委員の御指摘や行刑改革会議における今後の御議論、御提言等を踏まえまして、今後とも適切な運用となるようよく検討してまいりたいと考えております。
○千葉景子君 是非、これは早急に検討をいただき、また御報告なぞいただきたいというふうに思っております。 それでは、ちょっと全く視点が変わりますが、司法制度改革について今日は簡単にお聞かせいただきたいというふうに思います。 今、検討会がそれぞれ、十一検討会、精力的に議論を進めているということでございますけれども、私はやはりその検討の基本になるのは司法制度改革審議会の意見書、これのやっぱり基本的な考え方がベースになるものだというふうに承知をしております。 そういう中で、今、漏れ聞くところによりますと、大変大きな議論になりつつあるのが、やはり裁判員の制度、それから労働関係の裁判の在り方、それから司法アクセスの中でも弁護士費用の敗訴者負担、これらの、まだほかにもあるんですけれども、かなり対立があり、そして論議が大変緊張する場面になってきているというふうに承知をしております。 これ、それぞれ、やはり司法制度改革審議会意見書の基本を考えると、裁判員の制度はやはり国民ができるだけ裁判に関与できるという視点が大事なんだということで、例えばその選出の仕方は無作為抽出を基本にするというようなことが明確に書かれております。漏れ聞くところによると、いや、無作為抽出じゃとんでもない人が入ってくるので困るんでないかというような意見があるやないやということも耳にしたりいたします。 また、労働の部分は、これも意見書で、諸外国でも労働関係事件についてはヨーロッパなどで労働参審制、これが非常に効果を持っていると、相当の機能を果たしていると大変評価をしている。そういう評価の上に立って、こういうものも導入をすることができるか検討せいと、こういうことになっております。 また、敗訴者負担の問題なども、基本的な司法へのアクセスを容易にする、市民が利用しやすい司法という観点で考えますと、やはりこれも、弁護士費用の敗訴者負担をもし盛り込むと、大変司法へのアクセスがしにくくなる、市民の司法利用が非常に阻まれると、こういう意見も出ているわけでございます。 いずれにしても、大変これは根幹にかかわることでして、是非やっぱり意見書の理念あるいは基本、こういうものを踏まえた検討会の議論の進め方となるべきだというふうに私は考えているところで、いろんな意見が闘わされるということは結構ですけれども、何か意見書と違う方向へ方向へと導かれるようなことがあってはならないと、こう考えております。 今日は三つのポイントでちょっと指摘をさせていただきましたが、これらの検討会の議論の状況、そして今後の見通しというのは変ですけれども、その辺りについて、それから基本的な、何というんでしょうね、胸に置かなければいけない意見書が大事なんだという点、改革本部、どう認識をなさっておるか、改めて確認をしておきたいと思います。
○政府参考人(山崎潮君) ただいま三つの視点から御意見ございましたけれども、共通することは、やっぱり司法制度改革審議会、この意見書の趣旨にのっとった改正をやっていくと、これが基本であるということは私どもも認識しております。個々の検討会それぞれで様々な意見がそれはあろうかと思います。これはオープンな検討会でございますので、議論は様々な角度からきちっとやっていただきたいというふうに我々思っているわけでございます。 最終的には、意見書の趣旨の範囲内でその制度を構築していくということ、そういう心構えでやらざるを得ないだろうというふうに私どもも思っております。 個々の問題につきまして、裁判員制度ございますが、ただいま無作為抽出云々という問題がございましたけれども、ちょっとその点で私どもの検討会でそれと違うような意見があったかどうかというのは余りよく承知はしておりませんが、それ以外のところでもいろんな議論が出ております。そういうことは承知はしております。 それから、裁判員制度については様々なポイントがたくさんございまして、たたき台というものを提出させていただきまして、今そのたたき台に沿って議論をしております。ただ、このたたき台もこれに限るというものではなくて、取りあえずの本当のたたき台ということでやらせていただいているというところでございます。 それから、二番目に言われましたのは労働関係の点でございますけれども、これも意見書の趣旨に沿いまして現在進めておりますが、まず一つは労働調停、これの導入ということがうたわれております。それともう一つは、専門的な知識、経験を有する者の関与する裁判制度の導入の当否を始め、労働関係事件の適正迅速な処理のための方策ということでございまして、この観点からの今検討を加えているというところでございます。 それから、敗訴者負担の点でございますけれども、この点に関しましては、意見書の方でも、勝訴しても弁護士報酬を相手から回収できないために訴訟を回避せざるを得なかった当事者にも、負担の公平を図って訴訟を利用しやすくする見地から、この制度を導入すべきであるとしておりますけれども、また他方で、この制度の設計に当たっては、上記の見地と反対に不当に訴えの提起を萎縮させないよう、これを一律に導入することなく、このような敗訴者負担を導入しない訴訟の範囲及びその取扱いの在り方、敗訴者に負担させる場合に負担させるべき額の定め方等について検討をすべきであるというふうにうたわれております。 今、この趣旨の線に沿って検討を加えているというところでございます。
○千葉景子君 是非、この司法制度改革が何のために、そしてどういう理念で進められているのかということを忘れることなく論議が進んでいくよう、改革本部におきましてもきちっとした対応をしていただきたいというふうに思っております。 さて、今日はもう一点お聞きをいたしたいと思います。 それは二重国籍、重国籍にかかわる問題でございます。昭和五十九年に国籍法が改正になりました。実は、これはもう私の方で何か説明してしまって恐縮でございますけれども、これまで日本が国籍について父系主義を取っておりましたが、女子差別撤廃条約の批准等を踏まえまして、父系主義ではなく、父系、母姓、両姓の主義を取ることになったと。 こういうことを背景に、そうなりますと、母親の国籍も取れる、父親の場合でも母親の場合でも国籍が、日本の国籍が取れる。国際結婚とかが増えているということも含めて、重国籍が現実に増えてくるのではないかということの中で、国籍唯一の原則といいましょうか、単一国籍という方向へ国籍法が改正をされたということでございます。 これは、女子差別撤廃条約を踏まえた男女の差別をなくしたという面はよく分かるわけですけれども、このときにやはり重国籍を認めないという方向に法改正をしたというのは一体どういう理由だったのでしょうか。それは、現状を踏まえると、今そのままで本当にいいんだろうかという問題があるんですけれども、その理由をまずお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(房村精一君) 一般に重国籍の弊害としては、一人の人が二つの国に属するということになりますので、その人に対する外交保護権が衝突をして国際的な摩擦を生ずる可能性がある、それから、例えば日本国民が他の国籍を持っていてその国の軍事的役務に就くということは日本にとって好ましくないのではないか、あるいはそれぞれの国が国民として身分関係を管理する結果、重婚が生ずるおそれがあると、こういうようなことが重国籍の弊害として指摘されているところでございます。
○千葉景子君 今、そのときに重国籍を認めない法制を取った理由というものが御披瀝いただきました。ただ、最近の国際情勢とか、あるいはそれぞれの個人の生きる範囲等々を考えてみますと、そのときの確かに理由は全く否定するものではありませんけれども、それが今やっぱり本当にもう通用するようになっているのかなというちょっと感がいたします。 私の下にも、かなり重国籍を認める制度を導入したらどうかという意見も寄せられています。どういうことがよくあるかといいますと、例えば属地主義を取っている国で、御両親は日本人であってもいいんですけれども、お子さんが生まれる、そしてそこで成長して、その国でこれから仕事や学問も続けていこうというようなケースもかなり多くなっている。そうなりますと、やっぱりその国で生きる国籍、その基礎になる国籍も捨て難い。しかし、やはり両親が日本人でもある、日本人としてのアイデンティティーのようなものもやっぱり存在をする。どちらを捨てるといっても、なかなかその決断がしにくい。 確かに今、いろいろな衝突があるというお話がございました。しかし、それはそれぞれの生き方の選択ということにもなってくるわけでして、強制的にやはりどちらかの国籍でなければ駄目なんだと言ってしまうことが本当にいいのだろうかという感もいたします。それから、父親、母親、両親の国籍が違うというようなときに、やっぱり母親の国の人間でもありたいし父親の国の人間でもありたいと、こういうこともあろうかというふうに思っております。 そういうことで、そろそろ少し考え直したり検討してみた方がいいのではないかなと思いますが、今その選択制度が導入されて国籍を一定の年齢で選択をするということになるんですけれども、これ、どうなんでしょうか。実態として、もし選択をしないとどんなことになってしまうんでしょうか。ペナルティーが掛けられたりするのか、あるいは絶対その国籍、二重の国籍を持っている人が法律的にはいないと言い切れるものなんでしょうか。その辺の、ちょっと手続等を含めて、御説明いただければと思います。
○政府参考人(房村精一君) 国籍選択の概要でございますが、二十歳前に外国の国籍も併せて持っているという場合には、二十二歳に達するまでに国籍選択をしていただく、二十歳以後に他国の国籍も取得した方については、その取得したときから二年内にいずれかの国籍を選択していただくと、こういう仕組みになっております。 選択をしない場合でございますが、これはぎりぎりの場合には、法務大臣が書面によりまして国籍の選択すべきことを催告することができると、そして催告を受けた者が催告を受けた日から一か月以内に日本の国籍の選択をしないと日本の国籍を失うと、こういう規定になっております。
○千葉景子君 今、もし選択をしないと、法務大臣の選択の催告があって、それに応じないと国籍を喪失するという形になると。実際にこういう適用されるようなケースというのはあるんでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 現在まで、この催告を行ったことはございません。
○千葉景子君 そうなりますと、多分、現在でも制度上は重国籍を認めないという形ではありますけれども、分かりません。原因は、たまたま選択の制度を知らないままいたのかもしれませんし、あるいは自分の意思として国籍を選択をしないで事実上おられるということも含めて、多分、重国籍になっておられるケースも現実にはあるんじゃないかというふうに推測されます。 それから、先般、私、ちょっとフジモリ氏のことをお聞きしたことあるんですけれども、この改正前から二重の国籍を持っておられて、そのまま引き続き日本の国籍と他国の国籍を持っている方、こういう方も当然おられる。そして、世界の潮流としても、どうやら必ずしも単一の国籍ということが国際的な全体の潮流ではないようにも私は聞いております。 問題は確かにあるかと思いますし、簡単なことではないのは承知をしておりますけれども、こういうことを考えますと、それから先ほど紹介させていただいたような今の国際状況、あるいはもうグローバルなボーダレスな社会ということを考えましたときには、少しこの重国籍についての法制を検討し直してみる、あるいは見直してみるようなこともそろそろ必要なのかなという感じがいたしますが。 今日ちょっと時間が限られておりましたので、簡単に指摘をさせていただきましたが、法務大臣、いかがなものでしょうか。こういう実情等を踏まえまして、どんなふうに感想といいましょうかお持ちでしょうか、その点をお聞かせをいただきたいというふうに思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 国籍法につきましては、これまでも、我が国を取り巻く国際情勢とか国内情勢の変化を踏まえまして、所要の法改正を行うことも含めて適切に対処してきたところだと思いますが、先生の御指摘は貴重な御意見であると思います。興味深く聞かせていただきました。今後とも、御指摘の点をも踏まえながら、こうした問題についての国際的な動向などを注目してまいりたいと考えております。
○千葉景子君 時間早いですが、ちょっと協力をさせていただいて、終わります。
○荒木清寛君 まず、私は、最近の事例から、報道と人権の問題につきまして論じたいと思います。 まず、長崎市での誘拐殺人事件と実名の公表についてでございます。 かつて法務省は、少年事件につきまして、週刊誌、月刊誌、写真週刊誌が被疑少年の実名や顔写真を掲載した件につきまして何度かこれは法務局長名での勧告を行っております。今回の件におきましても、これは報道機関ではございませんが、一部インターネット掲示板に補導された少年の実名という、氏名及び顔写真等が掲載をされていると承知をしております。もちろん、私はこの問題の本質を知りたいという国民の願い、また気持ちも分かるわけでございますが、しかしこれは少年法の精神からすると行き過ぎである、このように考えますが、法務省として今回の件についてはどう対処いたしますか。
○政府参考人(吉戒修一君) お答え申し上げます。 今月の九日のことでございますけれども、人権擁護局におきまして、いわゆる今、先生御指摘の長崎市の男児誘拐殺人事件の加害少年に関しまして、その実名など個人のプライバシーに関する情報がインターネット上の掲示板に多数掲示されているということを把握いたしました。これは正に実名などを掲示されました少年などに対します重大な人権侵害に当たるというふうに私どもで判断いたしまして、人権擁護の観点から、人権擁護局それから関係いたします法務局、これは東京法務局と福岡法務局それから長崎地方法務局、そういうところから当該掲示板の開設者に対しましてその削除を要請いたしたところでございます。今日現在、十七日現在で約一千百件の削除依頼をいたしておるところでございます。こういうふうな依頼に対しまして、順次該当部分の削除が行われているようでございますが、なお同様の情報につきまして新しい書き込みが現在も続いておるというふうな状態でございます。 したがいまして、今後とも、これはあくまでお願いということでございますけれども、粘り強く同様の措置を講じていきたいというふうに考えております。
○荒木清寛君 今の、現行の権限の範囲内で適切な対応を要請いたします。 次に、報道被害に対する自主規制の在り方についてお尋ねをいたします。 七月一日からBPO、放送倫理・番組向上機構が新たに業務を開始をし、これは大きく報じられました。このBPOというのは、放送による言論、表現の自由を確保しながら人権及び青少年と報道の問題につきまして自主的に、かつ独立をした第三者の立場から取り組むということで鳴り物入りで発足をしたわけでございます。従来から、BRC、いわゆる放送と人権等権利に関する委員会というのがございましたが、これも今回はBPOの下に運営されることになっております。 このBRCにつきましては、報道による権利侵害申立てにつきまして、理由があると認めるときには審理を行って、その結果を見解あるいは勧告として公表する、またその審理の結果を当該放送局に放送することを求めるという活動を従来からやってきました。今回、発足をしましたBPOにつきまして、新聞の論調等いろいろな評価はございますけれども、これは放送界全体に第三者の目が光る仕組みができ上がりつつあるというふうに言っていいかと思います。 ところで、これは今日の朝刊各紙でございますけれども、こんな報道がございました。熊本県で二〇〇〇年に起きました病院関係者の交通死亡事故が保険金目当てであったかのように報じた写真週刊誌の掲載記事をめぐりまして、警視庁から名誉毀損容疑で東京地検に書類送検をされましたこの雑誌の発行元の新潮社佐藤隆信社長ら八名につきまして、告訴していた熊本市の医療法人から、昨日、これを取り下げるということが行われた、これが各紙に載っておりました。これは、大手出版社の社長が送検されると、珍しい事例でありましたので大きく報道され、また今日は今日でそれが取り下げられて報道されているということで注目を集めているわけでございます。 ちなみに、この記事をめぐっては、今年の四月になりますけれども、東京地裁が名誉毀損等を理由としまして、この出版社側に合わせまして千三百二十万円の損害賠償の支払を命じています。現在控訴審で争われているという案件でありますが、この事案の内容、また比較的高額の判決であったということでまた注目をされているわけです。 そこで、私はお尋ねをいたしますが、近年、名誉毀損を理由としまして、各雑誌社を訴える事例が相次いでおります。これは一部のメディアではありますけれども、言いたい放題、書きたい放題ではないかと評されるケースもあります。そういう中で、裁判所が認容する場合の損害賠償額も増額をされる傾向にございます。事柄の性質上、報道による人権侵害の問題は、まずは報道機関の自主的解決に向けた取組が基本でございます。 そこで、この点で、雑誌界あるいは出版社各社におけるこうした問題についての自主的取組の状況はどうなっているのか、法務省にこれは報告を求めます。
○政府参考人(吉戒修一君) お答え申し上げます。 雑誌によります人権侵害の救済に関する自主的な取組でございますが、これはまず各出版社での個別対応というのがございます。そのほかに、いわゆる日本雑誌協会というものがございますが、そこにおきまして、昨年の三月から、人権問題にかかわる苦情の申立てを受け付ける窓口として雑誌人権ボックスというものを設置しているというふうに承知しております。この雑誌人権ボックスが統一的に苦情を受け付けて、これを各出版社に振り分けをしているというふうに承知しております。
○荒木清寛君 この雑誌人権ボックスというのはある意味での自主的取組でございます。しかし、先ほど私はBPO、BRCの例を出しましたけれども、これに比べますと、この雑誌人権ボックスというのはいわゆるそういう苦情の受付窓口を一本化して、それを雑誌社各社に伝えるという仕組みでございますから、放送界におけるそれと比べると、率直に言って後れている感を否めないわけでございます。 もちろん、報道の自由に対する権力の介入というのは避けなければなりません。このことを踏まえた上で、この委員会にも人権擁護法案が付託をされていることでもありますので、この自主的取組の問題につきましては実態をよく調査をし、また関係者の話も聞きまして、各方面で議論を深めなければいけないというその問題提起を私は本日させていただきます。 そこで、最後に、交通事故問題と被害者の立場について質問いたします。 愛知県におきましても、高速道路におきます重大交通死亡事故がここのところ相次いでおります。ちょうどドライバーが疲れてくる地域であるというような評価もございます。私は、一般予防の観点から、この交通事案については厳正適切な処断が必要であると思います。 ところで、業務上過失致死傷罪につきましては五年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金ということであります。私は、他の刑法犯と比べましてこの罰金刑の五十万円という上限は不当に低い、こういう見解を持っております。もちろん、悪質交通事案は懲役なり禁錮刑が選択をされるであろうとは思いますが、しかし私は、現に地元の有権者の方から、その方は三歳になる娘を運転ミスによる事故で失った御両親でございますけれども、人一人の命を奪ってわずか五十万円の罰金だとは思いませんでしたという、そういう切実な訴えを、手紙をちょうだいをしております。 そこで、法務省としましてもこの業過致死傷罪の罰金刑の上限の引上げを検討すべきだと考えますが、いかがですか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 業務上過失致死傷罪の法定刑は委員御指摘のとおりでございまして、検察当局におきましては、被害の内容、過失の程度、被害弁償の有無など諸般の事情を考慮しながら、懲役刑、禁錮刑、罰金刑等の刑種の選択も含め、事案に応じた適正な科刑の実現を図っているものと承知しております。 一般に、選択刑である罰金刑の上限の金額につきましては、懲役刑等の法定刑とのバランスや犯罪の性質、例えば利得目的で敢行される犯罪類型であるかなど、刑罰体系全体の中における犯罪の法定刑の在り方の問題でございまして、業務上過失致死傷罪の罰金刑が現行刑法の中においては必ずしも低いとは言えないと考えておりますが、御指摘にも留意しながら、種々の観点から検討してまいりたいというふうに考えております。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。今日は、まず、性同一性障害の特例法に関して質問をいたします。 先日、当委員会の全会一致で、そして委員長提案という形で性同一性障害者の性別の取扱いに関する特例法が提出をされ、全会一致で衆参両院で可決をし、成立をいたしました。当事者にとっても第一歩でありますし、今後の様々な施策の向上につなげていきたいと思っております。約一年後にこの法が施行されるわけですが、この法律が一人でも多くの当事者に適用されていくように、運用について幾つか今日はただしたいと思います。 まず、法務省にお尋ねをします。 この法律の第三条一項で、性別の取扱いの変更の申立てをできる当事者の要件が記されておりますが、第三号、「現に子がいないこと。」という要件があります。民法上、子がいないことということになるわけでありますが、これは一般的にはどういうふうに解釈をされることになるんでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 民法上の子には、実子と、それから養子も含まれるわけでありますが、この「現に子がいないこと。」というのは、実子、民法上の実子あるいは養子、そのいずれもがいないということを意味するという具合に考えております。
○井上哲士君 例えば婚姻外で生まれた子で認知をしていない場合とかいろんなケースがあると思うんですが、もう少し詳しくお願いします。
○政府参考人(房村精一君) 婚姻外で生まれた子供との父子関係は認知によって生じますので、認知以前、認知をしていないものについては親子関係は民法上ありませんので、そういう場合には子があるとは法律上は言えません。
○井上哲士君 例えば過去に出産をした子が不幸にも死亡している場合、こういうことはどうなりますか。
○政府参考人(房村精一君) 現に子がいないということでございますので、過去に子がいても、その審判を申請をする時点において死亡等で既に存在しなくなっている場合には子がいないという場合に該当いたします。
○井上哲士君 子供がいないことというのを要件としている法律は他国には例がないということで、関係者からも是非この項は外してほしいという要望も随分ございました。施行三年後の見直しということになるわけで、この点で、そのときに是非、必ず削除をしてほしいという声も随分強いものがあります。国際水準の法律にしていくという点で、この点は議員立法であるという経緯からも、私ども国会議員に大きな責任があるということを確認をしておきたいと思います。 今後、戸籍法の施行規則が作られるわけですが、この法律に基づく審判によって戸籍の性別変更がなされた場合に、当事者は新戸籍を編さんするということになります。新戸籍と旧戸籍との関連、それから身分事項への記載などについて、一目瞭然で性同一性障害で性別を変えたとかそういうことが分かるような形になりますと、当事者のプライバシー上も随分問題があると思いますが、その辺の観点からの慎重な対応が必要かと思うんですが、そこはどうされるんでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、戸籍の記載方法についても、プライバシー等にも配慮した記載方法が必要だろうと思います。 そこで、原則として、この審判を受けて性別の変更をする方については、新戸籍を編製する、そして従前の戸籍から除籍をする際に、身分事項欄の記載の仕方としては、性別変更であるとか性同一性障害という表記は用いずに、法律第何号の第三条による裁判確定というような抽象的な記載にするということを考えております。
○井上哲士君 この法律は、当事者がメディアを通じて立法の必要性を訴えたり、またそれを受けて非常に短期間で議員立法で作られたということから、大変話題にもなり、可決、成立の際にもメディアで大きく取り上げられました。その点では、短期間のうちにこういう問題があるんだということが国民の中にある程度認識になったということは大変大きいことだと思いますが、実際には地方自治体の担当者の方などが携わるわけで、やはり法施行に向けて、スムーズに運用されるような、そういう戸籍事務担当者への周知徹底が重要かと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように従来ない扱いでございますので、適切な対応ができるように十分周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
○井上哲士君 それは具体的にはどこがやることになるんでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) この問題について所掌しておりますのは、法務省民事局の民事第一課というところが所掌しておりますので、そこで各法務局に通達等を出して、各法務局から市町村に連絡をして、その事務処理を適切に行っていただくようにする、こういうことになります。
○井上哲士君 次に、最高裁にお聞きをいたします。 この審判手続で性別変更が認められた場合に、戸籍変更というのはどういう手順で行われることになるんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(山崎恒君) この法律におきましては、当事者の負担などを考えまして、当事者に対して届出義務が定められなかったというふうに認識しておりますので、家庭裁判所が性別の取扱いの変更の審判をした場合には、速やかに戸籍事務を管掌する者へお知らせできるように考えていきたいと思います。
○井上哲士君 当事者が、こういう審判が受けましたということでそれぞれに自治体の窓口に行ったりする、そういう必要はないような仕組みになると、こういうことでよろしいでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(山崎恒君) 具体的には、恐らく今後の手続は最高裁規則で具体的なものを定められると思うんですが、裁判所書記官が直接、戸籍事務を管掌する者に戸籍記載の嘱託手続をするというような方向で検討されるものと思います。
○井上哲士君 是非、当事者の負担にならないような形での対応を求めたいと思います。 次に、厚生労働省にお聞きをいたします。 この法の第三条の二項で、性別変更の請求をする際は、性同一性障害に係る第二条の結果並びに治療の経過及び結果その他の厚生労働省令で定める事項が記載された医師の診断書を提出しなければならないと、こうされておりますが、この厚生労働省令に盛り込むべき内容の検討はどのようになっているでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律第三条第二項においては、性別の取扱いの変更の審判を請求するに当たっては「厚生労働省令で定める事項が記載された医師の診断書を提出しなければならない。」こととされております。この厚生労働省令で定めることとされていますこの事項については、性同一性障害に関する診断結果や、治療経過及びその結果のほか、患者の生育歴や性染色体検査、ホルモン検査等の項目を想定しておりまして、今後、専門家からの意見をも参考にしつつ検討してまいりたいというふうに考えております。
○井上哲士君 この法三条の一項の第五号、「他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。」、こういう条文になっておりますが、当初、自民党内で検討されていた骨子案などを見させていただきますと、その身体の一部として、外見上、他の性別に係る性器に近似するものであることと、こういうような記述でありました。ですから、法律になった段階では非常に大きく解釈をして対象者を幅広くできるような書きぶりになっております。 女性から男性へ性別適合手術を行った当事者の中には、第二段階の手術後に外性器が壊死をして第一段階の手術時の外性器のみという人も少なくないというふうにお聞きをしています。しかし、こういう人も性適合手術については行っているわけでありまして、この性器に係る部分に近似する外観を備えるというところがどう判断されるのかということがこの審判に大きくかかわってくるわけです。 裁判官がその点の判断がしっかりできるように、治療の経過及び結果等については、こういう手術のいろんな経過についてもたくさんのやはり情報が盛り込まれるべきだと思うんですが、その点の配慮はいかがでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) この法律に規定します「他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観」につきましては、厚生労働省令におきましては、診断書に記載すべき事項の一つとして、治療歴、治療の経過及びその結果、この項目を記載させることを想定しておりまして、現時点では、先ほど申し上げました「他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観」、このことにつきましては、その詳細を規定することについては考えておりません。
○井上哲士君 詳細にというのは、そういう経過について、よく裁判官が判断できるような経過がしっかり記述をされるような配慮をしてほしいということですので、この点、改めて求めておきます。 現在、性別適合手術を行っているのは埼玉医大と岡山大学の二か所です。カウンセリングだけなら他の精神科医も対応しているということですが、それにしても、この性同一性障害の問題を的確に扱うことができる専門医が非常に限定的だということをお聞きをしています。そのために、例えばカウンセリングのために北海道から月一回飛行機で埼玉医大に通うとか、そういう当事者もいらっしゃると。せめて対応できる医療機関が、北海道に一か所、東北に一か所とか、ブロックごとに一か所ぐらい設置をできないものかと、こういう強い要望もあるんですけれども、この点、厚生労働省としての対応はいかがでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) 今回の法律につきましては、この問題に造詣の深い国会議員の先生方が関係各方面の御意見を伺いつつ立法作業を行ったものというふうに認識しております。私ども厚生労働省といたしましては、このような立法背景や関係者の御要望を踏まえつつ、まずはこの法律の円滑な施行を図っていきたいというふうに考えております。 この法律の施行を受けて、今後、性同一性障害をめぐる状況は随時変化していくものというふうに考えられます。そうした中で、ただいま先生御指摘の点も含めましたそういった実態把握の必要性が生じた場合には、関係学会等通じながら適宜そのような情報収集を図ってまいりたいというふうに考えております。
○井上哲士君 今、情報収集のことも御答弁があったんですが、この障害を持つ当事者につきましては、専門家の論文などを見ますと最大七千人くらいではないか、という症例もあるのではないかと、こういう指摘もございます。その中では、ホルモン治療だけ希望する方もいらっしゃるでしょうし、性別適合手術まで行った、そういう当事者もいらっしゃると。 問題は、そういう症例の当事者がどのくらいいて、治療へのアクセスがどうなっているのか、その問題はないのか、治療の期間や費用がどれくらいか、こういう実情をだれもやはり現状ではつかんでいないことです。先ほど述べたような遠方からのカウンセリングに通う当事者もいるわけで、非常に交通費だけでもかさむわけですね。そういう点で、この法律が成立したという新しい事態にかんがみて様々な実態を是非厚生労働省として把握をしていただきたいんです。例えば、医療機関の協力を得まして、そこで受診をしたり現に受診している当事者の了解を得るような形で、もちろんプライバシーにしっかり配慮をしながら調査をするという方法もあると思うんですね。 そういう当事者の実情、抱えている困難、要望などの調査をまず私は着手をしていただきたいと思うんですけれども、改めていかがでしょうか。
○政府参考人(上田茂君) 先ほども申し上げましたが、まず円滑な施行を図ってまいるとともに、ただいま先生御指摘ございましたいろんな課題につきまして、関係学会等、専門家等、あるいはこういった医療の関係者の御意見なども伺いながら、適宜その情報収集を今後とも図ってまいりたいというふうに考えております。
○井上哲士君 三年後にしっかりとした見直しをするという点からいっても、それからやはり円滑な施行をするという点からいっても、これは是非着手をしていただきたいと思います。 次に、この治療費への保険適用の問題ですが、ホルモン療法は手術するしないにかかわらず一生続ける必要があります。当事者から聞きますと、この費用は自由診療ですので五千円ぐらいから万単位まで言わば医者の言い値になるとお聞きをいたしましたし、きちっとしたクリニックも余りないということがあります。これは非常に手術をしない多くの当事者にもかかわるものでありまして、是非保険適用が望まれるものです。 昨年の十一月の当委員会でも同僚委員からの質問があったわけでありますが、その際、薬事法上、ホルモン剤が性同一性障害に対する治療薬として効能を有しないということなので保険適用は認められないと、こういう答弁がされておりますが、こういう法律が新しくできたという時点でこれは是非再検討していただきたいんですけれども、現在でもこういうお考えでしょうか。
○政府参考人(阿曽沼慎司君) お答えをいたします。 性同一障害に対する治療でございますけれども、現在、日本精神神経学会の性同一障害に関する診断と治療のガイドラインというものがございまして、それに基づきまして実施をされているというふうに承知をいたしております。このガイドラインでございますが、精神療法を第一段階といたしまして、第二段階にホルモン療法、手術療法が第三段階ということでございます。 精神療法につきましては、医師が一定の治療計画の下に危機の介入あるいは社会適応能力の向上を図るために指示とか助言などを継続的に行った場合には保険適用が認められているというところでございます。 第二段階でございますホルモン療法につきましては、今、先生御指摘ございましたけれども、現在のところ、ホルモン剤が性同一障害に対する効能について薬事法における承認を受けておりません。そういうことでございますので、ホルモン療法の保険適用は今のところ認められていないというところでございます。
○井上哲士君 保険適用は申請主義ででして、製薬会社の申請によるものなんだという説明もこの間受けたわけでありますが、この種治療で使われているホルモン剤は既に他の治療の疾患の治療には広く使われている薬剤でありますし、現にこのホルモン治療のみで症状の安定をする患者もいらっしゃるわけですから、是非これは適用ができるように御尽力をいただきたいと思います。 手術についてもお聞きをするんですが、これも当事者に聞きますと、女性から男性への手術で大体五百万、男性から女性への手術で約二百万と、こんな金額もお聞きをいたしました。この点も、法律ができたという、こういう新しい状況の下で保険適用を検討すべきかと思いますが、その点いかがでしょうか。
○政府参考人(阿曽沼慎司君) 先ほど申し上げましたように、性同一障害に対する手術療法でございますけれども、ガイドラインにおきましても第三段階と位置付けられております。 精神療法やホルモン療法など、ほかの療法による治療が十分にも行われたにもかかわらず、治療効果に限界があるといった場合に実施されるものだという認識をいたしておりますが、これまでの治療経過も踏まえまして、例えば治療上やむを得ない症例かどうか、あるいは手術に用いる術式が適切であったかどうか、あるいは医療機関の倫理委員会の承認があったかどうかなどを総合的に勘案した上で、保険適用について個別に慎重に判断していく必要があるというふうに考えております。
○井上哲士君 いろんな努力で法律ができ、そして社会的なこの障害に対する認知も非常に広がっているという新しい状況の下で、是非一層前向きな対応をお願いをいたします。 当事者の皆さんが非常に生活上に困難を強いられているのが医療機関への受診です。手術をしていなくてホルモン療法を受けていて外見上は別の性になっていると、しかし保険証の性別記載は従来のままだと。そうしますと、受診をしますと、窓口で男性か女性かをめぐって非常にトラブルになるわけですね。非常に嫌な扱いも受ける。こうしたことから病院に行きたくないということで、例えばこの間よくテレビにも登場されました当事者の虎井まさ衛さんは、風邪を引かないように常にビタミンCとマスクを欠かさないんだということも出ておりました。 この法律が通ったという新しい時点で、医療機関へのやっぱり周知徹底というのも待ったなしのことだと思うんですね。少なくとも、例えば厚生労働省が所管をするような国立病院などは、窓口に行ってもそういう嫌な思いはしなくても済むというぐらいの窓口への周知徹底は是非まずやっていただきたいと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
○政府参考人(冨岡悟君) 今回の法律制定の趣旨を勘案いたしまして、御指摘のような受付での対応を含めまして、国立病院の職員が性同一性障害について適切に理解し対応できるよう全国の現場に周知徹底してまいりたいと考えます。
○井上哲士君 よろしくお願いいたします。 中には、窓口のトラブルが嫌で、がんにかかっていたのに受診が遅れて手後れで死亡したと、こういう事例もあるとお聞きをいたしまして、正に命にかかわる実態ですので、これはまずそういうところを率先をして、そして他の公立病院や民間病院などにも広げていくように重ねてお願いをいたします。 最後に、この問題で総務省にお聞きをします。 今回の法律で一定の要件に合致した当事者は性別変更を申し立てることができますが、まだまだハードルは高い。その要件を満たさない当事者は随分いると見られます。そういう皆さんが日常生活で非常に苦痛に感じていらっしゃるのが、地方自治体で提出する書類に性別を記載してあると、これが非常に多いという問題です。今、当事者や地方議員の皆さんの運動でこの性別記載にも自治体独自の見直しが始まっております。 私は草加市の取組をちょっといただいたんですけれども、草加市の場合、様々な申請様式は全体で二千五百三十九あるそうでありますが、そのうち性別欄がある様式は六十一事務二百様式、これを一つ一つ見直しされているんですね。これ全部一覧表で、一つ一つこれが必要なのかどうか、果たして、見直しをされております。そうしますと、その結果、実に六八%に当たる百三十六の様式は性別記載は必要ないということで独自に性別欄を削除されております。残りの三二%、六十四様式は性別欄を残すと。その理由は、生活保護など法令に規定があるもの、それから派遣サービスの登録申請、住民異動届など、市における基本的な登録情報を変更するもの等々、きちっと理由を挙げて残すものは残すというふうにやられますと、実に七割は必要なかったということのわけですね。そのほか鳥取市とか小金井市などなどでも不必要な行政書類の性別欄を見直したということが報道されておりますし、これ以外にもいろんなことが進んでおります。 総務省として、こういう新しい法律ができた時点でこういう自治体の取組を把握をされているかどうか、そして、やはり一番身近でやっておられるわけでありますから、こういう経験などを情報としていろんな自治体にも流していただきたいと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
○政府参考人(畠中誠二郎君) お答えいたします。 先生御指摘の自治体が取り扱う各種申請等につきましてはいろいろなものがございます。まず、国の法律や要領等に基づく事務に係る各種申請等がございまして、この性別欄につきましては、やはりその当該事務を所管する省庁が個別の事務の性質を勘案しまして、申請等の種類の様式とか記載事項を規定することによって性別欄を設けていること、設けることを義務付けること、又は準拠すべきものとして示している場合が多いというふうに承知しております。 したがいまして、まずはそれぞれの所管省庁がそういう性別欄の記載の必要性を判断し、必要ないということなら削除するということを決めていただいて、その所管省庁がそれを必要なところ、自治体に通知するということが先決ではなかろうかというふうに考えております。 また、国の法令に基づかない都道府県や市町村の独自事業に係る各種申請等も多うございまして、これらの申請等の性別欄が必要かどうかにつきましては、その当該自治体自らが適切に判断すべきものというふうに考えております。 したがいまして、総務省が御指摘の自治体の取組を照会するということは、やはりまずは所管省庁で判断していただくことが先決じゃなかろうかということでございまして、性別欄の削除を奨励することにも、私どもが奨励していることにもなりかねないということで、そういう立場になく、私どもが一方的にそういうことをするのは適切ではないんじゃないかというふうに考えております。 ただ、先生が御指摘のように、草加市等でそういう取組がなされておることは承知しておりまして、もし自治体等からそういう御照会、どういうところでどういう取組がなされているかという御照会があれば、適宜私どもが承知する範囲でそれをお示しするということはあり得るかというふうに考えております。
○井上哲士君 草加市などの取組も、先ほども言いましたように法令上必要なものは残しているんですね。自治体の判断でこれは不必要だというものについては、それはなくすという対応がされているわけでありまして、今の地方分権の時代に総務省からこうやりなさいという指示をしろということではなくて、やはりこういう新しい法律ができたわけでありますから、それにふさわしい情報提供をしっかりしていただきたいという趣旨でありますので、是非、その点重ねて要望をしておきます。 刑務所問題も是非聞きたいと思っておったんでありますけれども、ちょうど時間になりましたので、是非もう一回こういう場を持っていただきたいことも求めまして、質問を終わります。
○平野貞夫君 法務大臣にお聞きしますが、去年から今年にかけて、衆参の法務委員会も大変忙しいといいますか、いろいろなことがあって、必ずしもスムーズな審議が進まなかったんですが、それが原因とは言いませんが、最近、異常で凶悪な犯罪がすごく多い。テレビのニュースの一番に出るんですよね、殺人事件というのは。極めて遺憾なことだと思いますが、法務大臣、これらの非常に最近多くなっている原因をどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(森山眞弓君) 大変痛ましい事件が相次いでいるように私も感じております。本委員会の審議が時間が掛かっているからというわけではもちろんないと思いますが、社会全体、子供、特に少年犯罪ということについて考えますと、少年を取り巻く社会の条件あるいは家庭の問題、学校ももちろんあるでしょうが、近隣社会の問題、その他いろんなことが複雑に重なってこのような状態になっているのかなと、私、素人なりに思うわけでございますが、逆に言いますと、こういう問題を解決するためにはどうすればいいかということになりますと、何か一つだけこうすればぱっと片付くというようなものではなくて、いろいろな面で社会全体がそれぞれ努力をしなければならないというふうに思いますので、大変難しいことになってきたなというふうに思うのが率直な感想でございます。
○平野貞夫君 特に、少年と言うとちょっと常識的には正確でないんですが、中学生、小学生といいますか、が犯罪の対象になったり、それから場合によっては犯罪を起こしたりというケースが非常に顕著なんですよね。 そこで、元文部大臣という立場もありますので、これはやっぱりそういう教育とか文部行政の問題、教育の在り方の問題でもありますから、そういうのもちょっと幅広く御見解を聞かせていただきたいんですが、一回、法務大臣と文部大臣が、犯罪の若年化、あるいは小学生と中学生あるいはそれ以下の子供が犯罪の対象になるということについて、いかにあるべきか、そういうものをいかに防止していくべきかというようなことについて、あるいは何が原因かということについて、一回、法務大臣と文部大臣で真剣に会談されたらどうですかね。 役人と役人というのは、これは優秀ですけれども、今の制度の枠でしか物考えませんからね、私も役人やっていましたからよくそれは分かるんですよ。そういうものを超えて、やっぱり本当に国民の立場になって、住民の立場になって、文部大臣と一回この国会中にそういう会談を持たれたらどうですか。
○国務大臣(森山眞弓君) それも有意義なことかとは思いますけれども、実は、一、二回前の閣僚懇談会で、文部科学大臣がこの長崎の事件に触れられまして、非常に問題が複雑であって、その子供が中学生なら、中学生であるということになると、中学校がどうしてこういうことに今まで対処しなかったんだとか、学校が非常に責められることが多いけれども、とても学校だけでは対処し切れないと、学校だけではなく、それを取り巻く社会全体の問題であるから、政府を挙げて各大臣がみんな協力してやってほしいというようなことをお話しされたのを覚えております。 私も全くそのとおりだという感じがいたしますので、私と文部科学大臣が対談することも無意味ではないと思いますが、そればかりでは直ちに解決に結び付くというものでもないというふうに思うのでございますが。
○平野貞夫君 いや、それは分かりますよ。それは法務大臣と文部大臣で解決できる話じゃございません。その根本原因といえば、私たち国会、与野党含めてやっぱり政治に責任があるでしょうけれども、そういうふうに問題を広げてぼかすのもこれも問題だと思うんですよ。 鴻池大臣入れるわけにはいきませんけれども、法務大臣として、それから文部大臣として、しかもお二人とも女性ですからね、そこは男性のような大ざっぱな物の考え方はしませんから、きめ細かな視点で、こういうところに問題があったと、こういうところを今後議論してもらわなきゃ駄目だというようなことを僕は一回やられると、あるいは、本当はテレビに出て二人でじっくりとどうあるべきだということを、僕は本音ベースで、官僚の意見なんか聞かずに、それから総理大臣の意見なんかも聞かずに、アメリカの社会みたいなのを日本に作ろうとするような人たちの意見、あれが大きな原因ですからね、そういうのをひとつ僕はお勧めします。 そこで、こういう非常に異様な犯罪の状況になっているということについて、特に義務教育段階について何か制度的なシステムの欠陥があるかどうか、そこら辺はどんな御認識ですか。
○国務大臣(森山眞弓君) 制度はいろいろ工夫をされて、最近、教育、義務教育についてもかなり柔軟になってきたというふうに思うんでございますけれども、制度というよりは、それを取り巻く社会全体の問題ではないかというふうに思います。制度を動かす大人たち、あるいはそれを取り巻く社会全体の状況ということが問題なんじゃないかなというふうな感じが、私も専門家でありませんので分かりませんが、素人なりにそんなふうに思うわけでございます。
○平野貞夫君 私は、若干制度上の問題もあると思うんですよ。といいますのは、学校、先ほど学校の問題になるからということなんですが、学校に問題があれば、学校の問題としてやっぱり率直に問題に挙げるべきでして、私は、今の教育システムの中で学校教育、それから家庭教育、それから社会教育、この三つがうまく連携を取ってない、適切な相互の補完関係にないところにこういう犯罪の若年化とか、あるいは子供が犯罪の対象になるその原因があるんじゃないかと思っているんですよ。 ちょっと、義務教育というとほとんど都道府県レベルの話になるんですが、どうも今の教育システムというのはそういったものがばらばらで、のり代がないところに原因があると、こういうふうに思うんですが、その点はどんな御意見ですか。
○国務大臣(森山眞弓君) 平野委員がおっしゃる意味がどういうお考えでおっしゃるのかよく分からない部分もあるんでございますけれども、確かに今のような社会になりますと、割合、制度というものはきちんと決まっていて、その中でそれぞれ努力してということになっているものですから、その枠にはまり切れないような子供たち、あるいは先生もそうかもしれませんが、そういう人々が伸び伸びと成長するとかあるいは伸び伸びとした教育をするとかいうようなことがしにくいのかもしれないという気はいたします。おっしゃいましたように、義務教育と生涯教育あるいはその他の教育の場面との接点が十分うまくいっていないということもあるかもしれない。 おっしゃることはうなずけるんでございますが、なかなか、じゃこうすればというようなことはすぐに思い付かないのは残念でございます。
○平野貞夫君 教育基本法の改正というのが与党レベルで、政府、文部省も大変熱心に議論されているんですが、ここら辺も私なんかは、今の教育基本法を否定するような議論を文部省の官僚もやっているみたいですな、それから与党の中にもあるようですが。私らは教育基本法は完備せにゃいかぬと思っていますけれども、これをやっぱり否定してはいけないと思うんですよね。だから、そういうふうなやっぱり教育の根っこに対する政治の一種のコンセンサスが取れないのも、私は学校教育、家庭教育、社会教育の連携がうまくいかない、お互いにいい意味で干渉をし合っていない、孤立して、一種の自分の責任だけ免れればいいという風潮に非常に問題があると思っていますが。 私どもは、国会改革連絡会じゃないんですけれども、自由党の方なんですけれども、衆議院の方に人づくり基本法というのを実は提案しています。これは教育基本法を改正するという話じゃございません。学校教育と家庭教育と社会教育の適切な連携と相互の補完というものを強くして、やっぱり教育の機能を高めると同時に、何といっても人間教育といいますか、そういうものを、そしてやっぱり法を犯す、命の大切さ、法を犯すことはよくない、命は大切なものだということについては、閣僚全体でといっても僕は成果上がりにくいと思いますがね。 一般論はその辺で終わりますが、少年法の改正の議論がこの長崎事件を契機に出ていますが、何回か答弁されていますが、法務大臣として、現時点での長崎事件を契機にした少年法の改正についての見解をお願いします。
○国務大臣(森山眞弓君) 事件が起こって、発見されて、また加害者と言われる子供が特定されて、すぐに出てきた議論は、少年法で刑事責任を認めるのが十四歳以上というのは十二歳に下げればいいじゃないかという非常に性急なお話でありました。 それについて申しますと、まだ、十六歳だったのを十四歳に二年ほど早めたというのがついまだ二、三年前のことでございますし、少しその推移を見なければいけないと思いますのと、それから、このようなそういう種類の法律を外国の例見ますと、いろいろございますけれども、大体十三、四歳で多くの国が決めておりますので、日本だけが特に高いとか低いとかいうこともないわけですので、もう少し様子を見てからということを申しました。もっとそれよりは、子供を取り巻く様々なほかの条件についても併せて総合的に検討するべきではないかということを何度かお答えもしたわけでございます。 しかし、少年法につきましてはほかにもいろんな部面がございますので、この事件をきっかけとしてというよりは、あるいはよく検討してみれば改めるべき点があるかもしれないと思いますので、引き続き問題意識を持って勉強していきたいというふうに思っております。
○平野貞夫君 今、大臣がおっしゃられたように、唐突に年齢を引き下げたらいいというものではないと、私もそれは賛成でございます。 ただ、こういろいろな犯罪が続くと、将来のこととして検討していただきたいのは、犯罪の性格によって十四歳、十三歳、十二歳とかというような、広い意味での刑事立法ですよね、そういうふうな法の組立てというのはこれはやっぱり難しいんですかね、やれないんでしょうかね。これは刑事局長、いかがでしょう。
○政府参考人(樋渡利秋君) 刑事責任年齢は少年法といいますより刑法の問題になってくるわけでございまして、現在、刑事責任年齢は十四歳ということになっております。 それを委員のように罪種によって決めるといいますか、そもそもの刑法の理念は違法性と有責性を持ったものを申します。したがいまして、心神喪失者の処罰もしないということになってくるわけでございまして、是非弁別の能力のあるかないかと、それを年齢で一区切りにするかどうかと、これまた別のことでございますけれども、そういうようなことを考えてきますと、罪質によって刑罰を科す、科さないという問題とまた若干異なる議論になるんではないかなというふうに思っております。
○平野貞夫君 それから直接、少年犯罪と直接のつながりはないと思いますけれども、もうちょっと幅広げてお尋ねしますが、刑事局長ね、事前に通告してなくてもあなたなら十分答えられると思うんですがね、意見で結構ですから。 私のような素人、犯罪を起こして時効があるということをすごく矛盾に感ずるんですよ。非常に極端な議論するんですけれどもね、時効をなくするということはこれはやっぱり立法論としては成り立ちませんか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 立法論として成り立ち得るか成り立たないかということの前に、なぜ時効制度が考えられるかといいますと、やはり社会の安定性というものが考えられるわけでありまして、いつまでも、何といいますか、犯罪者、被疑者といえどもその不安定な状態のままで置いていいのかというようなこともございますし、また時の流れとともに証拠は散逸していくわけでございまして、時効がなくなれば、たとえ捕まったとしても結局は処罰できなくなるんではないかというようなこともございまして、したがいまして、世の中には、私も正確には知りませんけれども、かつてナチスの犯罪のように時効がないというような、これは私正確でないので、間違っていたら済みませんということでございますが、立法論の問題というよりは、そういう刑法の理念の問題で、社会の安定性とかそれから実際の処罰が可能であるかどうかというようなもろもろの観点から、やはり時効というのはあってしかるべきだろうなというふうに思っております。
○平野貞夫君 私も、乱暴な議論したわけですけれども、時効を全部なくせという意見ではないんです。ただ、ちょっといろんな意味で時効が短過ぎるんじゃないかという気がするんですよ。 最近、政治家の中でも死刑廃止議員連盟というのがありまして、私は死刑存続論だったんですけれども、もう周りから廃止論に変われ、廃止論に変われといってつっつかれて。 ふと考えていますのは、仮に議員立法するということで、廃止は、制度としては残していても実際は機能させないような死刑を、死刑制度を、そういうような法案もやがて出てくると思うんですが、そういった場合に、やっぱり時効をもうちょっと凶悪な犯罪には長くするというようなことについてはいかがなものでしょうか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 時効の期間の長短につきましては、いろいろなお考えがあることは承知しております。 先ほど申しましたような理念のことを考えながら、いろいろと我々も検討させていただきたいと思います。
○平野貞夫君 これで最後にしますが、大臣、極めてこれ深刻な問題だと思います。その国の社会の特徴を何が一番代表するかといいますと、犯罪の質ですよ。 そういう意味では、経済も、あらゆるものが停滞している我が国なんですが、是非ひとつ、秋に内閣改造するかどうか分かりませんですけれども、ちょっと全国の母親、父親が子供のことについて、ああ、あの法務大臣も、文部大臣やっていた法務大臣、それから文部行政に詳しい文部大臣、やっぱり心配して、自分たちもこのまま子供をほったらかしにはできないんだという気持ちにさせるような、何かそういう深刻だという訴えをやっぱり国民にしていただくことを、答弁要りませんから、お願いいたしまして、終わります。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。 まず初めに、刑務所の問題についてお聞きをいたします。 行刑改革会議で今後設置される分科会、第一分科会処遇の在り方、第二分科会透明性の確保、第三分科会医療や組織体制について。基本的に委員が一つの分科会だけしか参加できず、非公開であると伝えられています。この点については、一つしか参加できませんし、非公開という点について是非見直してほしいと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(大林宏君) 七月十四日に開催されました第四回行刑会議において、分科会の構成及び非公開について議論がなされ、委員は一つの分科会に参加することができ、会議の公開については議事概要及び顕名の議事録により公開すると、こういうことが決定されました。 この結論自体については特段の異論はなかったというふうに聞いております。 〔委員長退席、理事荒木清寛君着席〕
○福島瑞穂君 議事録の公開ということなんですが、是非、今後会議自体のリアルタイムでの公開等も是非検討をよろしくお願いします。 次に、医療の問題です。 行刑改革の中でも医療の問題は非常に大きいわけですが、新聞等の報道によりますと、医療刑務所、少年院統合構想や、あるいは行刑改革会議から出ている資料では、医療についての何かセンターのようなものを設けてやったらどうかとかいう提案がなされているように聞いています。 これは是非、大臣にお願いをしたいのですが、この行刑改革会議の中で刑務所医療を法務省から厚生労働省の所管に移すべきだとの意見も出ております。私たちに公表していただいたあの死亡帳、それからその後に公表していただいた様々な資料を分析しますと、やはり医療が法務省の中だけで行われているということに根本的に問題があるのではないか。 例えば足が痛いとか今日はつらいとか言っている受刑者に、サボるなというか、何言っているんだと言ってむしろ懲罰にかけて、保護房の中で、あるいは保護房から出された直後に亡くなっていると。つまり、サボっているんじゃないかというふうに思われて、十分な医療が行われない。 ですから、刑務所という部門ではなく、やはり本人がつらかったりしんどかったりすると、管理とはまた別の側面での医療の保障などがされるべきではないか。残念ながら、今の刑務所が十分な医療体制を地域の地方都市の中で実現するのは、正直言ってやはり困難ではないかというふうに思っています。 それで、是非、厚生労働省に例えば委託とかして、やはりしんどいとかつらいとかいうときに、サボっているんじゃないかということではなく医療に掛かれるようにしないと、今回亡くなった人たちに対して申し訳ないと言うと変ですが、全然改革が実は進まないというふうに思っています。 つまり、幾ら集中治療センターみたいなものを作っても、何言っているんだ、痛いとか言っているけれどもサボっているんじゃないかみたいな形で懲罰にかけられたら、結局は全然効果がないわけですから、今までのたくさんの例を踏まえて是非、厚生労働省への例えば委託とか、もう一歩進めていただきたいと考えているのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 行刑施設の医療は、今、先生もおっしゃいましたように、なかなか改善、すべての行刑施設で良い医療を施すということは非常に難しいものでございます。医師の確保も大変難しいですし、被収容者の身柄の確保あるいはプライバシー保護の観点などから、施設内において診療が行われる体制を維持もしなければならないという必要もあるわけです。非常時に登庁できる医師を確保して、急患への対応が速やかに取れる体制を維持する必要もある。 そんなことを考えますと、いろいろ難しい条件がございまして、考えるべきことがたくさんあるわけでございますが、御指摘の点も含めまして、先ごろ矯正局において発足させました矯正医療問題対策プロジェクトチームというのがございますが、そこにおける検討や、お話しの行刑改革会議の御議論、御提言などを踏まえながら、関係省庁の御協力も得て医療の一層の充実が図られるように幅広く検討してまいりたいと思うわけでございますが、今おっしゃいました厚生労働省は当然医療の所管でございますので、既に協議を行うということで合意しておりまして、今後どのような御協力をいただけるか幅広く協議を行っていきたいというふうに思っています。
○福島瑞穂君 フランスは日本と同じような方式を取っていましたけれども、やはり医療の問題が刑務所で非常に起こるということで、委託をきちっとするということにして医療改革をしました。 日本でも是非、厚生労働大臣と話していただいて、先ほど平野委員は文部科学大臣と話をということでしたが、私は厚生労働大臣と是非話をしてもらって。フランスも実は改革、それで私は一定改善されたと思います。是非、大臣自ら厚生労働大臣ときちっと話合いを開始していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 先ほど申しましたとおり、お話合いをそろそろ始めているところでございまして、私自身も厚生労働大臣とたまたま同席いたしましたときには、こういう問題があるので是非厚生労働省も御理解いただいて協力してほしいということは折に触れてお話ししております。
○福島瑞穂君 では、是非、他の例えばフランスのような改革例なども参考に是非進めてください。よろしくお願いします。 次に、女性差別撤廃条約についてお聞きをいたします。 七月八日に、国連で、女性差別撤廃条約の実施状況に関する日本政府報告書に対する審査が行われました。委員から、日本での女性差別解消の進み具合が非常に遅いことが何度も言及をされました。その中から幾つかお聞きをしたいと思います。 まず、法務省の出席についてです。この審査では人権擁護制度、これについても非常に、法務省の外局では駄目なんじゃないかと、インドネシアやオランダ、いろんな国の委員から質問が出ました。あと、裁判官の登用やジェンダー教育、民法改正など、多岐にわたり法務省関連の質問が委員から出ました。しかし、政府代表団に法務省が入っていないため、不正確な答弁になったり後で答弁を追加することになったりと、議事運営上も好ましくなかったと思っております。 法務省は、是非こういう重要な国連の国際会議に出席をしていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) お話しの七月八日のニューヨークにおける国連本部の女子差別撤廃委員会、大変重要な会議だったと思います。日本政府の第四回、第五回報告書の審査に関しては、重要な条約にかかわる政府報告書審査でありましたから、法務省におきましても、事前の関係省庁の打合せには積極的に参加いたしましたし、その審査に関係部局の担当者を出席させたいと考えておりまして、いろいろ努力をいたしましたが、しかし残念ながら、いろんな理由で出席することができませんでした。 今後は、当省にもかかわりが深い重要な条約に係る同種の審査がございましたときは、積極的に出席するように更に努力したいと思っております。
○福島瑞穂君 是非よろしくお願いします。 厚生労働省や警察庁、文部科学省、農林水産省から出席をしていたのですが、法務省は残念ながら出席していなかったので、是非今後様々な、こういう特に重要な条約の、人権のこれは条約ですので、出席を是非お願いいたします。 次に、委員から、国際条約は日本の法の一部であるはずなのに裁判において女性差別撤廃条約や他の人権条約の適用が余りないのはなぜかという質問がありました。政府から、裁判で言及した例はたくさんあるという答弁がありました。これは、本当にそういうことはあるのでしょうか。
○政府参考人(大林宏君) 法務省において御指摘のようなすべての裁判例を承知しているわけではございませんが、国を当事者とする訴訟という範囲内でお答え申し上げますと、国を当事者とする訴訟において女子差別撤廃条約に言及した裁判例は、当局で承知している限り四件でございます。
○福島瑞穂君 是非、判決の中でもっともっと女性差別撤廃条約が活用されるように、これは裁判所の研修等も最高裁にはお願いしたいと思います。 次に、選択議定書の批准についてですが、非常にたくさんの人から、議長を始め多くの委員から日本政府に対し、個人通報制度などを規定した選択議定書の批准を求める声が上げられました。クロアチアからは、政府は選択議定書批准が司法の独立性を侵さないか検討中だと言うが、既に七十五か国が署名をしていて積極的検討を求めると、女性差別撤廃委員会は司法機関ではないので司法権の独立は問題でないという言及があります。また、オランダの委員からは、選択議定書の批准を真剣に検討すべきである、特に、既に批准している国が多いこと、また批准は司法権の独立権の強化及び国際法を使う正当性を強化することになりこそすれ侵害にはならない、たくさんの指摘がされています。 外務省と法務省で研究会を開いているようですが、いつから行っているのでしょうか。 〔理事荒木清寛君退席、委員長着席〕
○政府参考人(大林宏君) お答えいたします。 今の議定書の関係で、個人通報制度に関する勉強会につきましては平成十一年十二月から外務省の主催により開催しておりまして、法務省の関係部局の担当者も参加しているところでございます。
○福島瑞穂君 随分長く研究をしているようですが、なかなか結果が見えないのはなぜでしょうか。
○政府参考人(大林宏君) 個人通報制度は、やはり問題となっているところでございますが、この制度自体は条約の実施の効果的担保を図るとの趣旨から注目すべき制度であるというふうに考えております。他方で、司法権の独立を含め、司法制度との関連で問題を生ずるおそれがあると考えられますことから、この制度の導入の可否については、その運用状況等を見つつ、慎重な検討が必要であるというふうに考えております。 そのため、個人通報制度に関する勉強会においては、個人通報の事例等についてのケーススタディーを行うなどしているところでございます。この制度の対象となる権利等が広範囲に及んでいる上、個々の事例はそれぞれの関係国の法制度を背景とするものでありますことから、様々な観点から慎重な検討を行っていると、こういうふうに承知しております。
○福島瑞穂君 もしよろしければ、これまでの研究報告を、批准の可能性も含めて、もう少し教えてください。
○政府参考人(大林宏君) この個人通報制度についてはいろいろと評価のあるところでございます。条約についても四条約に及んでいることでございまして、非常に今慎重な検討をしているところでございます。 今、見込みについてお尋ねがございましたけれども、第一義的には、批准については外務省の所管ではございますけれども、私の承知しているところでは、やはりまだ今申し上げた問題が種々あるということで、現時点においていつということまではちょっと申し上げることはできないということで御理解いただきたいと、このように思います。
○福島瑞穂君 先ほど官房長は、司法権の独立の問題もありというふうに答弁をされました。しかし、最高裁は、自らは司法権の独立を問題にしたことはないと国会に来て答弁をしております。その司法権の独立を問題にしているところは一体最高裁以外にどこがあるのでしょうか。
○政府参考人(大林宏君) なかなか難しい問題でございまして、法務省として反対しているというわけではございません。ただ、それまた非常に、おそれというところで申し上げているところで、非常になかなかお答えが難しいところがございます。 ただ、しかしながら、やはり影響を及ぼさない問題かと、全くそういう問題かと言われますと、そこはなかなか厳しいといいますか、申し上げたいのは、やはり国連というのは権威ある組織でございます。国連の委員会において協議され、御指摘があるということは、やはり日本の裁判制度においてじゃ全く影響のないものかと、これはまた難しい問題でございまして、そういう点を踏まえまして、もうしばらく慎重に検討させていただきたいと、こういうことでございます。
○福島瑞穂君 判決について様々な検討がなされるのは当然のことで、それが司法権の独立を侵すというのはやはり理解できないと思います。最高裁判所は答弁で、幾つかの委員会で、司法権の独立を問題にしたことはないと自らおっしゃっています。 じゃ、端的に聞きますが、法務省は司法権の独立を侵すおそれがあると考えていらっしゃるんでしょうか。
○政府参考人(大林宏君) 司法権の独立の根幹である裁判官の職権行使の独立は、外部から裁判について、事実上のものも含め、重大な影響を受けないという要請をも含んでいるものと考えております。 例えば人権委員会の見解には法的拘束力はないというふうに承知しておりますけれども、今申し上げたとおり、国連というものの委員会が具体的事件の裁判に関して一定の判断を示した場合、国内の司法判断に当たっての裁判官の職権行使について事実上影響を与えるおそれはやっぱり否定できないんではないかというふうに私どもは考えているところでございます。
○福島瑞穂君 判決文は様々な点から批判をされ、検討をされます。非常に奇妙な、今日の答弁で非常に奇妙なのは、最高裁自らは司法権の独立を侵さないと裁判所は言っているのに、なぜか法務省が、やっぱり司法権の独立を侵すのではないかとおもんぱかっているというこの現状はやっぱり奇妙だと思います。 現に、選択議定書は七十五か国が署名をしています。そうすると、七十五か国は司法権の独立を理由にしてないわけです。委員からも繰り返し繰り返し、司法権の独立を強化すると、司法権の独立の強化及び国際法を使う正当性を強化することになりこそすれ、侵害にはならないと。既に批准している国が多いので、司法権の独立を理由にするのはおかしい、選択議定書の批准を真剣に検討すべきである、オランダの委員などからも出ておりますが、いかがでしょうか。是非前向きに、最高裁が言っているわけですから、法務省も是非お願いします。どうでしょうか。
○政府参考人(大林宏君) 私、この最高裁の中山局長から答弁があった際にその場にいたものでございまして、そのときの答弁の内容は、最高裁判所はこの問題について意見を述べる立場にはないものと考えております、政府ないし国会の政策的な判断に基づいて行われる事柄だと、こういうふうな答弁がなされたと理解しています。また別な機会に先生の御質問があったのかもしれませんが、私の理解はこういうことでございまして、最高裁が全面的に否定されているのかどうかということは、ちょっと私も断定できないところでございます。
○福島瑞穂君 中山局長が法務委員会で答弁されたのも事実ですが、別の委員会で、川橋委員の質問に対して、最高裁が阻んでいる、司法権の独立を理由に阻んでいるというのは冤罪であるというふうに答弁をされたんですね。ですから、じゃ、法務省が阻んでいるのかと聞くと、これは冤罪なのでしょうか。
○政府参考人(大林宏君) なかなか難しいお答えでございますが、先ほどから申し上げていますとおり、政府といたしましては、やはり司法権の独立ということは非常に大事なことでございます。なかなか個々のケースの判断が、各委員会、国連の委員会からあった場合には、やはりそれなりの影響はあるのではないかというのが率直な感じでございまして、それはもうケース・バイ・ケースでございますのでなかなかはっきり申し上げられないんですけれども、やっぱりそのようなおそれがある以上は、やはり慎重に検討をした結果、結論を出すべきではないかと、このように考えております。
○福島瑞穂君 ただ、国連から勧告が出ることも、それは事実上の影響ということもありますので、是非お願いします。 大臣にお聞きします。大臣は、語学が極めて堪能で、GHQでも通訳として働いていらして、国際的には物すごい感覚をお持ちですが、もう少し踏み込んで、選択議定書の批准の問題についてはいかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 先生のお気持ちは私もよく分かります。できればそういうふうにしたいものだと私も思いますけれども、今、官房長が大変るる御説明申し上げたような次第でございまして、なかなかはっきりと割り切るというのは難しい状況が今まだあると思いますので、更に鋭意検討してというふうに考えます。
○福島瑞穂君 割り切れないという程度であれば、是非もう少し割り切れるように、是非前向きによろしくお願いします。 先日も言いましたが、婚外子差別の撤廃について、民法改正についても非常に質問が出ました。これは前回も触れましたけれども、面白いのが、面白いというか興味深いのがありまして、婚外子差別を理由に一九九七年にオーストラリアで日本人女性の難民申請が認められています。つまり、日本でシングルマザーになって、親から、会社から、社会の中からいろんな差別と偏見を感ずると。彼女が子供を連れてオーストラリアに行って、日本で迫害を受け、迫害といいますか、大変つらい思いをすると。それが難民認定をきちっとされているんですね。 これを見ると、日本は何という国だろうと。実際彼女が受けた、親からいろいろ言われる、会社でいろいろ言われるというのは現実に起こり得たことなんですが、これが理由に難民認定されるというのは、ちょっと恥ずかしいというか、社会自身も変わらなければならないというふうに思っています。 その意味では、先日、戸籍の続柄欄の差別撤廃についてお聞きをしましたけれども、法定相続分の差別も含めた婚外子差別の撤廃についてはいかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 先生からいただいた資料によりますと、オーストラリアにおいて日本人女性の難民申請が認められた事例があったということでございますが、この事案の詳細あるいは結果を十分把握しておりませんので、この事件についてのコメントは差し控えたいと思います。 我が国において、嫡出でない子と嫡出である子の相続分の同等化の問題がもちろんあるわけでございますけれども、従来から、これは立法政策の問題として、相続分における差異は解消するのが適当であるという意見がございまして、法制審議会でも平成八年にその趣旨の答申をいたしております。しかしながら、この問題は、家族制度の在り方についての国民感情や社会事情と密接にかかわる問題でございまして、大方の国民の理解を得ることができるような状況の下で法改正を行うのが相当であるというふうに思います。
○福島瑞穂君 B規約からは、世論ではなく、やっぱり子供の権利の問題である、子供は生まれてくるときに親を選べないので差別をなくしてほしいというふうに言われていますので、是非この点は本当によろしくお願いします。 次に、裁判官、検察官の増員、その中での女性の登用についてお聞きをいたします。 資料をいただきましたら、もちろん少しずつ増えてはおります。しかし、検察官は、平成、平成の言い方で済みませんが、平成十二年には、前年度が十六だったのが十にがくっと減っていると。その次の年は二十人というふうに検察官になった任官者が増えているんですが、思ったほど何か余り増えていないようにも思います。この登用の問題について、いかがお考えでしょうか。 それから、女性の検事正は現在何人いるのでしょうか。
○政府参考人(大林宏君) お答えいたします。 検事の採用につきましては、従来から、性別を問わず有能で適性のある検事任官者を確保するように努めてきたものと承知しております。 女性の検事の採用数は年によって増減があるものの、個々の検事任官希望者の能力、適性、識見等を総合的に判断した上で採用に当たっておりまして、今、委員御指摘のとおり、平成十二年十月がちょっと下がってはございますが、全体として女性検事の採用数は増加の傾向にあるというふうに言えます。 今、検事正の方のお尋ねでございますが、現時点において女性の検事正はおりませんが、過去に検事正に就任した女性検事が一名おり、また検事正級の職である最高検検事を経験した女性検事は二名ということになっております。
○福島瑞穂君 女性の所長さんは、裁判官の方は何人もいらっしゃる、かつて何人も何人もいらっしゃるわけで、検事正がゼロと言いますと、やはり今後是非、いやもちろん能力でということにもちろんなるでしょうけれども、是非女性の登用をよろしくお願いします。 女性の裁判官で育休取ったりするのもなかなか難しいところはあるのかもしれませんが、女性の裁判官、検察官の登用で、裁判所、検察庁で工夫していらっしゃることなどはあるのでしょうか。
○政府参考人(大林宏君) 広範にわたる範囲でございます。 検事の関係で申し上げますと、御承知のとおり、今御指摘ありましたとおり、女性検事の数が非常に大きな割合では増えてきております。また、出産の問題もあり、あるいは結婚の問題もあり、さらには配置、特に女性検事の場合は男性との同居をできるか否かという問題もございまして、私どももいろいろ今考えているところでございます。なかなか、数が増えてこられるに従ってそういう配置の問題が、非常に難しい問題が出てくると。 しかしながら、今の育児休暇の問題は、もう現実に取っておられる人もおりますし、これは私どもとして、その間正直なところ痛手となる部分もございますけれども、それはもうこういう時代でございまして、女性検事に活躍していただかなければならないと考えておりますので、そういう点については、なるべく能力を発揮していただくように私どもも検討していきたい、このように考えております。
○福島瑞穂君 先日行われた女性差別撤廃条約の対日本政府質疑でも、公務員、特に裁判官、検察官に対するジェンダー教育について質問がありました。 ちょっともう時間があと二分ぐらいなんですが、裁判所、検察庁でどういうふうにしていらっしゃるのか、ロースクールにおいてジェンダー教育はどのように行われるのか、教えてください。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 一つぐらい答えて帰らないと具合が悪いものですから。 基本的には自己研さんがあれになりますけれども、中心になりますけれども、司法研修所の、おける各種研究会で、相当程度その辺り配慮したものをやっております。 例えば、この平成十四年、十五年見ておりますと、男女問題と人権、ジェンダー、DV問題ということで、大学教授に来ていただいて何度かやってございますし、あるいは先ほど来御議論になっております国際人権規約と国際的動向。つまり、そういった中で女子差別撤廃条約等についても触れるようなことも進めてきております。 今後とも更に研修を充実させていきたいと思っております。
○政府参考人(樋渡利秋君) 検察官に対しましては、任官後数次にわたりまして各種研修を実施しておりますが、その中で、児童及び女性に対する配慮等、検察の実務等、女性に対する配慮や被害者保護の在り方等をテーマとする研修を実施しているところでございまして、このようなジェンダー教育を行うことは司法が適切な役割を果たしていく観点からも重要であると考えておりますから、今後ともこの問題に関する検察官の理解の増進に努めてまいりたいと考えております。
○政府参考人(山崎潮君) ジェンダー視点に基づく教育、これ大変重要な問題でございまして、御存じのような法科大学院につきましては、高度の専門的な法律の知識、これを教えるということはもとより、幅広い教養や豊かな人間性などを備えた多数の法曹を養成する、これを目的としております。基本的には、基本科目と選択科目に大きく分かれておりまして、その選択科目の中でジェンダーの視点による教育ですね、これについて検討している法科大学院もあるというふうに承知しております。 私ども、おととしにアンケートを取ったときにも幾つかやるということを言っておりますし、今申請が行われておりまして、現実に来年から始まりますけれども、それでどのような状況になっていくか、私どももその経緯をきちっとフォローしたいというふうに思っております。
○福島瑞穂君 終わります。
○委員長(魚住裕一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめます。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に金融庁総務企画局長藤原隆君、金融庁証券取引等監視委員会事務局長新原芳明君及び法務省民事局長房村精一君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 発議者衆議院議員塩崎恭久君から趣旨説明を聴取いたします。衆議院議員塩崎恭久君。
○衆議院議員(塩崎恭久君) ただいま議題となりました商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。 本法律案は、会社をめぐる最近の社会経済情勢にかんがみ、定款の授権に基づく取締役会の決議による自己株式の取得を認めるとともに、中間配当限度額の計算方法を合理化するため、商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正しようとするものであり、その内容は以下のとおりでございます。 第一に、自己株式の取得の方法について、現行法では、定時株主総会の決議をもって取得する自己株式の総数等を定めなければならないこととされていますが、定時株主総会後に生じた株価の急変や、急を要する合併等に的確に対応するための機動的な自己株式の取得が行えるよう、定時株主総会の決議がない場合であっても、定款の授権に基づき取締役会の決議をもって自己株式の取得をすることができる制度を創設することとしております。 第二に、最終の決算期後、資本又は法定準備金の減少を行うとともに、減少した資本等の額をもって自己株式の取得枠を設定した場合における中間配当限度額の計算方法について、現行法では、中間配当限度額の計算に当たり、減少前の資本等の金額と自己株式の取得額とを純資産額から控除することとされているため、中間配当ができなくなる事態が生じております。そこで、このような事態の発生を防止するため、中間配当限度額の計算に当たって、減少した資本等の額を加算することとする措置を講じております。 以上が本法律案の趣旨であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(魚住裕一郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○鈴木寛君 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。 ただいま御提案のございました商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律案について、質疑をさせていただきたいと思います。 まず最初に、今回の商法改正案の提出者の概要について御答弁をいただきたいと思いますが、どういう方が提出をされていらっしゃるか。今回は与党の議員の方々による提出者というふうに理解をしておりますが、そのことに相違ありませんか。
○衆議院議員(塩崎恭久君) 提案は、我々与党三党の提案でございます。
○鈴木寛君 議院内閣制の下で与党の議員の方々が閣法ではなくて議員立法をするということは、どういう意味があるというふうに考えておられるか、御答弁をいただきたいと思います。
○衆議院議員(太田誠一君) この今回提案の法律、いわゆる自社株の取得にかかわる法律というのは、平成九年から一貫して議員立法でこれは提案をし改正を重ねておりまして、たしかこれで三回目だと思います。 これは、時々刻々経済情勢が変化をする、あるいは新たな必要性が生じた場合に我々議員のイニシアチブで法律を作るというのは当然のことでございまして、むしろ立法権は国会議員の方にあるわけでありまして、政府は、これは国会、内閣法で提案できるように、国会の意思でしたということでありますので、これは我々が提案するのはむしろ正常であるというふうに思っております。
○鈴木寛君 私も、議員の大変重要な仕事であり、権利が、立法を提出するという権利であるということについては全く同感でございます。 しかし、今日あえてなぜこういう質問をさせていただいているかといいますと、もちろん超党派で議員立法がなされるという、これは非常に望ましいことでありますし、そういう必要性は十分にあって、この必要性と重要性について私は何も否定するわけでございませんし、それから野党議員が正に国会で重要な法案を議論していただくために議員立法を提出するということ、これはもう大変重要なことだと思います。 しかし、与党議員の場合、二つ方法があるわけですね。今回のように与党の議員の方々が提出者となって法案を提出すると。それから、正に内閣を構成をされていらっしゃるわけでありますから、正に議院内閣制というのはそういうことでございますから、閣法という形で法案を提出すると。 この二つがあるわけでありますけれども、この二つをどういう基準で、あるいはどういう考え方で使い分けていくというか対応されていらっしゃるといいますか、現内閣を構成されておられる現与党の皆様方はどういう判断でやっておられるのかなということが私の質問の趣旨でございます。
○衆議院議員(太田誠一君) この法案の、今回の改正案の提出につきましては、過去の、平成九年以来、最初に自社株取得を緩和をいたしました法案は議員立法、私が提案者代表だったんですけれども、からスタートしておりますので、これはその都度、やるんであれば我々責任があるというふうに思っております。 ただ、これまで議員立法、様々な形で行われておりますけれども、その都度、今回のこのことでいえば、法制審議会の、それまでは三年以上掛からなければ結論が出なかったと。事態は刻々と進んでおって、エクイティーファイナンスで調達したいわゆる準備金が三十兆とか四十兆とかの巨額に上っておって、それを有効に使わなくちゃいかぬということがあったので急いだわけであります。 例えば、今、行革の基本法のような特殊法人等整理合理化計画のような場合は、政府を国会が縛る、行革をさせるために政府を縛る、内閣を縛るという意味で与党から提案をしたというようなことがあります。その都度、ケース・バイ・ケースだと思います。
○鈴木寛君 この法案について、従来も責任を持ってやっておられたチームが引き続きやるんだと、こういう御答弁でございました。 私もつい最近まではそうかなというふうに思っておったんでございますが、七月一日に、私、我が党の同僚であります大塚耕平参議院議員が、参議院の財政金融委員会にある資料を提出をさせていただいております。この資料と申しますのは、金融庁高木局長と、当時ですね、東京海上森副社長の会談記録でございまして、これは竹中金融担当大臣にもごらんをいただいて、そしてその中身が基本的には存在をしたというような質疑があったことは提案者の方も御存じかというふうに思います。 この会談記録はお読みになられましたでしょうか、お四方の方は。いかがでございましょうか。
○衆議院議員(塩崎恭久君) 読ませていただきました。
○鈴木寛君 この中で、あれっと思ったことはいろいろあったかと思いますが、余り何かなぞ掛けのようなことを申し上げても恐縮なんで申し上げます。 この会議記録の中で、当時、高木局長のお話の中に、生保の予定利率引下げ法案を議員立法でやってはどうかとも考えたと。東京海上とA生命保険とのいろいろなやり取りの中で高木局長が、実は私もいろいろ考えてきた、ほとほと嫌になっていると、そして先ほどの予定利率引下げは議員立法でやってはどうかとも考えたと。 これは、私もこうしたメモが出てくるまでは、太田先生がおっしゃるように、責任ある議員の方々が従来の内閣のいろいろな政策形成過程の中で、機動性を要する、あるいは特に商法といった大きな問題を変えるときに、法制審にゆだねていたんではなかなかストックオプションとかいろんなことが、何といいますか、いろんな人の評価ですから言い方が難しいわけでありますが、傾向として非常に時間が掛かる傾向にあったと。そういう中で本当に政治家がイニシアチブを取って必要な改正はやっていくということで、私は、ある意味でこういう方法を適宜適切に使っていくということは、政治の極めてリーダーシップの表れとしていいことだというふうには思っていたわけでありますが、こういうメモが出てきますと、先ほどのお話に戻りますが、現在内閣を構成しておられる与党の中で議員立法と閣法との整理というのは、今、塩崎先生、太田先生がおっしゃったものともう一つ別の何かルールといいますか、運用基準といいますか、あるのかなということが心配になってしまうわけでございまして、こうした高木当時局長の認識、要するに、問題法案といいますかは議員立法で、難しいのは議員に押し付けてという趣旨ですね、これずっと読んでいただいておられるからよく分かると思いますが。これはやはり甚だ政と官との関係、特に、正に立法という極めて重要なことに関することでございますから私は極めて遺憾なことだと思いますが、その点について。
○衆議院議員(太田誠一君) 議員立法は、かつてからも一年に二本か三本ぐらいは出ていたと思います。かつて、私も当選した最初のころに聞いていたのは、これは議員立法でやってもらいましょうというようなことを政府側、官界の方々が言っておられるのを聞いたことがありまして、これは随分侮辱した話だなというふうに思っておりました、だれがどうだとは言いませんけれども。 そこで、やはり議員立法でわざわざやるというんではなくて、要は一つの課題についてどっちがイニシアチブを取ってきたかということであって、どうしても政府側がリラクタントであれば、じゃもう議員立法でやるということでもって、そこで踏み切るということになるわけであります。 だから、この場合も、今も法務省の方々おられますけれども、リラクタントであったことは確かでございますから、じゃ我々の方でやるよということで進めたと。だから、外から見ると、最後は渋々同意している場合もあるわけでありますから、それはどっちが出したか、どっちがイニシアを取ったか分からない。しかし、この法案については、間違いなく議員のイニシアチブによる議員立法でございます。
○鈴木寛君 今のことを確認させていただいて中身の議論に入りたいと思いますし、また、やっぱり今後、高木当時局長のような、現長官のような考え方による議員立法というのは私はあってはならないと思いますので、その点だけは御答弁をいただいてから中身に入りたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○衆議院議員(塩崎恭久君) 私もあれ読ませていただいて、えっと思いました。おっしゃるとおりでありまして、いろんな考え方があると思いますが、内閣法制局を通らないからとか、いろんな、言ってみれば司法が機能をしていないからというようなこともあって今のようなことが言われるんでしょうが、本来そういうことはやっぱりあってはいけないことだと思っております。
○鈴木寛君 それでは、この中身の話をさせていただきたいと思います。 本件、今回の改正案の中身は、今、提案理由の御説明にもございましたように、自己株式の取得の方法と、それから中間配当限度額の計算をより実態に合わせていくということだと思います。私も、本日の議論は、その一点目のことについて特に議論をさせていただきたいと思っております。二点目のことについては、いろいろな実態から来る要請ということもありますし、いろいろなお話を伺ってみると、当事者、関係者の方々はいろいろ御苦労をされているということは私も十分に承知をしております。 自己所有、自己株式の取得の緩和の歴史といいますものは、正に平成六年あるいは平成九年のストックオプション制度の導入辺りから極めて重要な課題の一つということで、私もその経過を横目で、あるいは日本のベンチャーを育成をしていく、あるいは頑張っておられる方にストックオプションというような制度を導入してインセンティブを付けていくとか、あるいは日本のコーポレートガバナンスというものをもう一度見直していくという意味で非常に重要な課題に、先ほど塩崎先生、太田先生からお話がありましたように、いい意味での政治の側の主導でもって問題提起をしてきたということで、ある意味で一定の評価は個人的にはさせていただいているつもりでございます。 とりわけ、十三年の商法改正でもって、今までは原則行わないということから基本的には容認をするという方向になりました。もちろん、当時、民主党は、インサイダー取引の防止策とか相場操縦の防止策とかというものが不十分ということをもちまして反対ということに回ったわけでございますが、このことが、例えば持ち合いの解消とかあるいは機動的な企業再編という選択肢の可能性というものを広げたということについては、あるいはそうしたダイナミックな経営というものを広げたという意味では、いろいろな効果というものがあったということは私も否定をしないわけでございますけれども、十三年にかなり大幅な改正が行われまして、そして二年後の今国会において再び改正が行われる、こういうことなわけでありますが、まず平成十三年の、要するに自己株式取得についての基本方針の大転換、そして二年たったわけでございますけれども、この評価、平成十三年改正の評価というものをどういうふうにされていらっしゃいますでしょうか。
○衆議院議員(金子善次郎君) お答えさせていただきます。 基本的には、金庫株の解禁でございますけれども、積極的に評価できるものというふうに考えております。 その中身、利点と申しますか、申し上げますと、基本的には機動的な組織再編ということになるわけでございますが、合併、株式交換、会社分割などの組織再編の際に、新株の発行に代えまして会社保有の自己株式の割当てを可能にするなど、要は自己株式の活用というものをより柔軟にいたしまして、そして、新株発行に伴う会社の配当負担の増加の問題あるいは株式価値の希薄化、こういうものを防いでいくというようなことで機動的な組織再編が行われるという点が第一点でございます。 第二点でございますが、企業財務の観点から見まして、金庫株の解禁でございますが、企業が財務政策を選択していく上で自由度を広げる、自らの成長力に応じまして財務構成を機動的に変更することを可能にしたわけでございます。こうした観点から申しまして、資本の有効活用等を通じまして株式投資の魅力を高めまして、ひいては株式市場の活性化につながる、こういう利点があったものと評価をしているところでございます。 総括して申し上げますと、株式市場における、結果としてでございますが、需給バランスの改善につながってきている、このように考えているところでございます。
○鈴木寛君 十三年改正はそういうことで評価されていることはよく分かりましたが、それを受けて、今回改めて先ほど御説明のありました改正を行う。特に、第一の項目ですね、自己株式取得方法についての改正。一言で言うと定時株主総会の決議が要らないというところが特徴的だと思いますが、この改正にあえて踏み切る目的というのは何でしょうか。
○衆議院議員(塩崎恭久君) 今、金子議員の方からも御説明申し上げましたように、やっぱり機動的に対応しなければいけない事態というものが期中に起きるということで、総会でもちろん、定款授権ですから、定款を変えるのは総会で変えるわけですけれども、実際にいつやるかということは取締役会で決めるというときに、今までの総会で決めるということになると、枠を多めに決めるということになると、まず第一に、使わないで残ってしまう枠をたくさん残すということにもなる。なかなか株主の理解がその次の総会で得られないというようなこともありますし、また一方で、言わば、やるぞやるぞと言っていてやらない、風説の流布か、こういうようなことも、誤解を招きかねないようなことが想定される。こんなこともあって、機動的に対応できるようにということで、定款で授権した上で取締役会に決議をしていただこうという形を取ったらどうだろうかという提案でございます。
○鈴木寛君 機動的にというキーワードが三回か四回出てまいりましたが、機動的にやりたいというニーズは私も分からないわけではございません。 しかし、元々、商法が正にこの自己株式の取得というものに対しての制限を加えていたやっぱり理由というのはあるわけですよね。そこの理由と機動性というものを本当にはかりに掛けながらきちっと議論をして慎重にやっていかなきゃいけない、こういう極めて大事な話だというふうに思います。 恐らく平成十三年のときもそうしたすごく慎重な議論をした結果、平成十三年改正をしたわけでございますが、私は、率直に申し上げて、今回の改正はやや機動性を、重きを置き過ぎている改正ではないかなという思いがしております。 これは恐らく、経済界の強い要請、こういう話が大きなインセンティブになっているんだということも私は承知をしているつもりでございますけれども、これを、私ないし民主党が反対の立場を取らざるを得ないのは、平成十三年のときと同じようにインサイダーあるいは株価操作、その対応策が十分でない、これは少しこの後も御議論させていただきたいわけでありますが。 やはり加えて、今、コーポレートガバナンスということをずっと言ってきたわけであります。そうした商法改正がずっと行われてきました。きちっとやっぱり株主から経営陣というものがチェックをされる、あるいは評価をされる、いいものはいい、悪いものは悪いと。そのためのトランスペアレンシーというのが確保されて、そして、取締役会ももっと機能するように、こういういろいろなことがやられている中で、私は、確かに経団連を中心とする現在経営の地位にある方々はこうした制度を強く望んでいる、これは当然だと思います。ある意味で当然だと思います。 しかし、日本の経済停滞の理由、いろいろあるかと思います。もちろん政治の責任もあろうかと思いますけれども、私は、現在の経済界、特に現在の低迷している日本の会社の経営陣の経営責任というのは、私は否定できないと思っております。日本の企業が再生をしていくという意味で、もちろんいろいろ様々な施策が考えられますけれども、最も重要なことの一つに、やはり経営陣の交代という項目を私は抜かすわけにはいかないんだというふうに思います。 確かに、今までの右上がりの成長型の経済の中で非常に的確な経営をやり、あるいはそうした方々の後継者として成長型の経営にはたけておられた方かもしれませんけれども、これから非常に不透明、不確実性の中で、二十世紀と二十一世紀の特に日本における経営の質というものが変わったときに、私は経営責任ということを、余り過去のことを追及し過ぎるというのは好きではありませんけれども、しかし違うタイプの経営者がやはり必要だということは同意をしていただけるというふうに思います。 別に日産自動車の例を取るまでもなく、経営陣が交代をし、そのことによって、今でもどの企業でも技術陣、あるいはそれを実際に造ったり、あるいは売ったりしておられる現場の方々、そうした優秀な現場の方々、そうした正に経済資源といいますか、経営資源が息を吹き返して、そしてV字カーブで反転攻勢をしている企業のあるのを見るにつけ、私が申し上げているこの経営陣の交代というものは極めて重要な課題だなというふうに思っております。 そうしたことを考えてみたときに、経済界からの要請だと恐らくおっしゃるんだと思いますけれども、それは本当に日本経済界全体の要請だろうかというのが私の問題提起でございまして、確かに経済界の一部の、特に今経営をされている方々の強い意向であるということは分かりますが、しかし国会としては、あるいは日本経済をV字反転、回復させるためにも、果たして、機動性というキーワードは正に悪いキーワードではないわけでありますが、しかしこのことによって経営陣の交代あるいは経営責任の追及といいますか、その問題が株価に反映されて、そしてそのことによってダイナミックな経営陣の交代が行われるというダイナミズムをそぐ可能性について私は大変危惧し、そのことを大変に心配をしているわけでありますが、いかがでございますか。
○衆議院議員(太田誠一君) 今の提起されました問題は、人材の交代とか再配分とか、そういうことであろうかと思います。 それはコーポレートガバナンスの観点からすれば大事なことだと思いますが、今のこの自社株の取得についてはどういう観点から見るかというと、ここでかつてエクイティーファイナンスが華やかであったバブルのピークのときに時価発行などをして調達したお金が、さっき言いましたように、四十兆円とか三十何兆円とかあったと。それをそのままにしておくんではなくて、それを、自分の会社の株を市場から引き揚げて市場に返すと。すると、市場はそれを受け取って、今度は同じ株式市場で運用するならば新しいビジネスチャンスの方の株を取得をして、そこで資金の再配分が行われると。 それで、効率的なあるいは成長のためのファンドが生ずるわけでありますから、今、委員がおっしゃる人の入替えということと同時に、いわゆる資金がこの成長分野の方に、停滞分野から成長分野の方に移転をするということが一つのねらいなわけであります。
○鈴木寛君 今の点は私も否定しないわけではないんです。しかし、それは平成十三年改正でかなりできるんではないかというのが私の意見であります。 今回、政府は、五月十四日に証券市場活性化関係閣僚会議などで、それ以外でもいろいろ発言をされておりますが、要するに株価対策の一つとして企業による自社株取得のことをやっぱり触れられているんですよね。衆議院でのいろいろな今日のお四方、あ、保岡先生もおられましたか、五方の答弁を丁寧に読むと、いわゆる自社株取得による株価維持というのは、これは結果論といいますか、それは目的ではないんだということは非常に慎重に御答弁をされていらっしゃいます。であるから、その四人に聞いてもしようがないじゃないかと言われてしまえばしようがないんですけれども、しかし、今回の法律改正が関係閣僚においてすらいわゆる自社株購入によって株価急落というものが抑えられる。 資本市場ですから、やはり経営陣の交代を一番促すのは株価という警鐘によって、株価が、まずい経営であれば株価が下がる、いい経営であれば株価が上がる。そこがきちっとマーケットによって的確に反応が返ってきて、リアルタイムで反応が返ってきて、いい経営に向かっていればそれがきちっと株価に反映されて、経営陣が悪くなれば反応する。自社株取得が入ることによってそこの何といいますか、相関関係の感度というものが、緩衝材が入るわけですね。そうすると、結局株価と経営というもの、株価を見ていればいい経営か悪い経営かというマーケットメカニズムを活用しながら、そしてそれをコーポレートガバナンスに反映させながらいい経営を目指していこうという、正にこの間、与野党含めて取り組んできたそのコーポレートガバナンスを上げていこうと。 やっぱり、資本主義ですから、資本市場ですから、何といったって株価なんですね、経営者が一番気にしておられるのは、あるいは株主が一番気にしておられるのは。そこのシステムというものをもっと大事にしたいなというのが私の意義でありまして、それはきちっと定時総会である程度の合理性を持って企業再編をやっていく。それから、今、太田議員がおっしゃったように資金もきちっと入れ替えていくと。 ですから、冒頭申し上げましたように、あるいは金子議員から御説明がございましたように、企業再編とかあるいはその持ち合いの解消とか財務の体質の健全化とか、この意義は否定をしていないんです。 しかし、その取締役会にこのような極めて重要なことを私はやっぱりゆだね過ぎている。そして、アメリカのように取締役会が社外取締役がいて監査役がいて、そして監査法人がきちっと監査をして、その取締役会のガバナンスというんですかね、要するに経営者が緊張感を持ってきちっと経営をやれていると。そのことは目指しています、日本も。そして、そういう経営をやっておられる会社も出てきました。それは大変いいことだと思います。そして、そういうところは株価が上がっています。 しかし、そうでないふうに悪用をされる。本当は下がるべき企業の株が下がらないというのはやっぱり問題でありまして、何でもかんでも株価が上がればいいという問題でもないんだと思うんですね。全体の株価水準の問題は、これは経済政策等いろいろあろうかと思いますが、そういう意味で、やはり私は今回の改正は少し取締役会に権限を付与し過ぎているというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○衆議院議員(塩崎恭久君) 鈴木議員のお話、御懸念の点はよく分かるわけでございますし、また衆議院でのこの議論もやっぱり株価対策じゃないかと、これは。それで取締役が責任逃れをするんじゃないかと、こういうことだろうと思うんですが。 また、今御指摘のとおり、政府の方も株価対策のようなところでこれを取り上げているということでありますが、私も正直言ってあれを見てあれれと思いました。それから、与党の緊急金融対策とかいうのを、私も入っておりましたが、その中にもこれが入っておりました。私は、全く、何でこんなものを入れるのかなと思いまして、私はこれをずっと商法小委員長として自民党の中でもやってまいりましたが、こんなもので株価が本当に変わるわけがない。 ですから、鈴木議員は少し、これによって株価が自由に動くんではないかと、こういう御懸念を、印象をお持ちかも分かりませんが、株価は一体何で決まるんだということを考えてみると、せいぜい中間配当限度額までしか買えないやり方でちょろちょろ買ってみたところで株価なんというのは変わるわけが私はないと思っております。 むしろ、将来の期待収益はどうなんだと。それを割り引いてみてどういうふうに株価は決まるんんだということを考えてみれば、取締役あるいは会社経営者そのものが市場でどういう評価を、彼の経営が、あるいは彼女の経営が評価されるのかというところで決まるわけであって、結果として、これでもし自社株買いをして株が少し上がるのかも分からないけれども、それは短期的な話であって、私は株価というのはそんな短期の需給で決まったりするものじゃないと思っていますから、これがそのような形で株価対策としてのみ何か使われるんだというようなことは、結果としてこれは株価に多少影響が一時的に与えられたとしても、それで経営責任が逃れられるほどのことがあるとは私は思っていません。 むしろ、ですから、株価を本当に上げたいと経営者が思うならば、ビジネスモデルを今お話あったように変え、そして将来この企業もうかるぞとだれでも思うような経営をやって見せて初めて、あるいはそういう商品を出して初めて株というのは上がっていくわけでありますから、必ずしも今御懸念のようなことが目的のためにこれをやっているわけでは決してないというふうに私は思っております。
○鈴木寛君 であれば、やっぱりこういう位置付けをされると誤解を招きますので、是非、与党内あるいは内閣の中で、塩崎先生、もっと大きな声できちっとこうしたものにも目を光らせて……
○衆議院議員(塩崎恭久君) 政府の方に……。
○鈴木寛君 いえ、政府に、与党ですから言っていただくということはやっぱり大事だと思うんですね、これはやっぱり誤解されて伝わりますから。そこにお座りの先生方がいかにきちっとやられても、やっぱりこれは政府がこうやって出されたり、それからいろんなところで報道されて、当初の趣旨と全然違うところでいろんなことがなされる。そうなると、私も信じやすいタイプですけれども、しかしやっぱり心配もせざるを得ないということでございまして。 ただ、先ほど塩崎先生おっしゃった話で、確かに株価というのはそうしたことで簡単に決まるわけじゃないと。ただ、私はやっぱり再度強調させていただきたいのは、現行経営陣をリプレースしていくというのはこれはもう大変な作業でありますし、しかしこれはやっぱりやらなきゃいけないですね、日本の経済、どう考えても。そこのところにやはり、この取締役会に権限を付与し過ぎるというのは私はやっぱり逆行すると思います。 恐らく、いや、これはちゃんと報告するからとかっておっしゃりたいんだと思うんですが、これは報告して総会が否決した場合、これどうなるんでしょうか。
○衆議院議員(塩崎恭久君) 今、否決とおっしゃいましたが、これは事後報告でありますからこれ自体でやったことが覆されるというようなことはないわけであって、むしろそういう判断をした経営者が問われる、取締役が、取締役会が全体として問われるということで、次の期の取締役として選ばれるのかどうかということが大事な判断になってくるんだろうと思うんですね。ですから、やったことが消されるということはないということです。
○鈴木寛君 ですから、やっぱりそこがちょっと弱いのかなと思うんですよね、私は。でありますので、本当であれば、二百歩譲って、機動性を確保するということにされるんであれば、報告ということではなくてもう少し違う仕組み方があるんではないかというのが私のカウンタープロポーザルであります。 それで、これ定款時に授権と、こういうことになっていますが、定款ではどれぐらいのことを書くんでしょうかね、イメージとして。
○委員長(魚住裕一郎君) どなたが答弁されますか。
○衆議院議員(塩崎恭久君) 先ほど申し上げましたように、これは限度は中間配当限度額ということで決まっておりまして、やるということを書くということでございます。当然、特別決議で定款の変更をするということです。
○鈴木寛君 何度も繰り返しになりますけれども、日本というのは、取締役会あるいは総会、その制度上、システム上は確かに問題のある取締役は次の総会で解任をすればいいんだと、こういうことだとは思います。しかし、これはもう皆様方がよく御高承のように、日本の取締役会というのは、六月二十七日とか二十八日とか、大体その辺のときに一斉に行われて、そしてそれが何時間にもわたると。というのは、最近そうでない会社も出てきていますが、しかし、本来、経営陣が替わってほしいと思っている会社の取締役会はやはりまだ十分とか二十分とかで終わっている。替わってほしくないというところはちゃんと議論をやっているわけで、しかし、問題なのはやっぱりそういうところなわけですね。 そうすると、なかなか、今、塩崎先生おっしゃるように、いや、そこで替わりゃいいんだと、こういうことになるかどうかという、これはもちろんこの法案だけの議論ではなくて、日本のそうした株主民主主義といいますかね、きちっといろいろなステークホルダーがノーと言っていく、イエスもですけれども。 そうした、そこも含んだ健全な株式市場というものをどういうふうに構築していくかと、こういう話になりますが、その健全な株式市場を構築していくという中で、これは平成十三年から私たちが一貫して主張をさせていただいております、そして今回も懸念をされておりますいわゆるインサイダーあるいは株価操作といった問題でございますが、インサイダー取引は、これは最近特に、何といいますか、巧妙、悪質化しております。これは専らメールとかITの進歩によりまして、なかなかこれは取締り当局が証拠を押さえるというのは極めて難しくなっている中でインサイダー取引が私は相当横行しているということの実態は否定し得ないというふうに思っております。 もちろん、日本はアメリカに比べて、SEC、SECが不十分であるという御議論、このことについては今日の提出者の方々も以前からこの問題に取り組んでいただいておりますし、この問題については本当に超党派でどのように取り組んでいくかと、こういうことになるわけでありますけれども、アメリカの場合は、そうしたSECを物すごく強力にして、そして加えて、仮にインサイダーをやったときには極めて重いサンクションを科すことによってインサイダー取引の発生というものを極力抑制をしていくと、こういう体制になっているわけでありますが、日本の場合は、そういう意味での抑止力というんですかね、取り締まる力も、あるいはそれを摘発するパフォーマンスも、そして場合によれば重いサンクションを科すというところも私はこれは不十分だと思うんですが、今回、いろんな意味で特に機動的と、こういう話になってきますから、インサイダー取引の可能性というのはやっぱり否定し得ないんだと思います。 そこに対する備えといいますかは、今回どういうふうなことに対応策として考えておられるんでしょうか。
○衆議院議員(石井啓一君) 今の委員御指摘がございましたとおり、監視のための実行体制といいますかね、人員も含めての体制の強化というのはこれは今後の課題でございますし、これは引き続きやっていかなければいけないと思いますけれども、制度的に、自己株取得に伴う不公正取引につきましては、私どもは前回の改正で相当程度これは実施してきていると。インサイダーにつきましては、自己株の取得及び処分を重要事実に含めまして、その重要事実を公表した後でなければ自己株の取得、処分ができないということにさせていただきましたし、今回の改正もそれが及ぶものでございます。 また、相場操縦の点でも、いわゆる米国のセーフ・ハーバー・ルール等を参考にいたしまして、自己株の取引の公正を担保するような内閣府令、例えば証券会社数を一日に一社のみの証券会社を通じて買うとか、あるいは買い付けの期間、取引終了時刻の直前三十分以外の時間に買取りをするとか、そういったルールも定めさせていただきました。 また、前回の金庫株の解禁の時点で、ディスクロージャーといたしまして自己株券買付状況報告書、これを従来三か月ごとの提出でございましたのを一か月ごとに提出するということにさせていただきまして、今回の改正でも同様の規制を及ぼすということでございますので、私どもは、前回、金庫株導入時で導入いたしました証券取引の公正のための所要の措置、これを更に今回も進めるということで考えているところでございます。
○鈴木寛君 冒頭、政治がやらなきゃいけないときは、役所がリラクタントのときは議員立法でやるんだというお話がございましたので、是非SECも政治のリーダーシップで議員立法を出していただきたいということを、これは超党派で出していこうではないかということも併せ御提案を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
○井上哲士君 共産党の井上哲士です。 この法案は与党の議員立法で、野党は反対なわけでありますけれども、にもかかわらず、今、定足数が足りないという状況、これではちょっと質疑ができません。
○委員長(魚住裕一郎君) 速記を止めてください。 〔午後四時一分速記中止〕 〔午後四時十三分速記開始〕
○委員長(魚住裕一郎君) 速記を起こしてください。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、佐々木知子君及び野間赳君が委員を辞任され、その補欠として脇雅史君及び西銘順志郎君が選任されました。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 質疑を続行いたします。
○井上哲士君 この法案は与党の議員立法ということで、今日は趣旨説明から質疑までという、この間、法務委員会ではなかった異例な対応をしてほしいという強い要望がある中で質疑が行われているわけでありまして、これは是非きちっとしたやっぱり定足数の下でやっていただくということで改めて求めておきます。 先ほど、法案提出の在り方についての議論が同僚委員からもありました。私も議員立法というものは非常に大切だと思っておりますし、先ほども本委員会が議員立法で委員長提案をした性同一性障害についても議論をしておりました。あれなどは、役所に任せていたらなかなかできなかった法律だったと思うんです。そういう点では大変重要な役割がある。問題は、そのやり方と中身だと思うんです。特に、商法のような基本法の場合は、その改正については十分なやはり意見を聞き、慎重に行うことが私は必要だと思っております。 かつては五年に一回の改正が不文律と言われておりましたけれども、九七年以降はほぼ毎年改正がされております。自社株買いのルール変更に限っても、関係の深い法律を含め、九四年以降、七回改正がされておる。 調査室の資料にも、法制審の委員でもあります岩原東大教授のインタビューが載っております。こういうふうに言われていますね。この間のこの商法改正の作業について、明確な全体像に基づいておらず、継ぎはぎだらけのパッチワークだ。例えば金庫株の解禁では、企業財務や証券市場に与えられた影響について実証研究が必要なのに、法学者を含めて何もなされていない。金庫株解禁は経済界の意向を反映させた議員立法で、法務省の法制審議会で議論ができなかったから、なおさら検証は欠かせないはずだと、こういうふうに述べられております。 いろんな改正の効果や弊害の検証が必要だと、継ぎはぎだらけの拙速ではいけないと、こういう意見は各界からも私聞くわけでありますけれども、こういう批判について提案者はどういうふうに受け止められているでしょうか。
○衆議院議員(太田誠一君) どのような法律を作っても、やはりこれはポジティブな面とネガティブな面というのは両方あり得ると思いますし、今段階で、この平成九年以来の商法改正で、明らかに相当数の企業がこれを活用し、去年段階で二兆円から三兆円ぐらいの自社株取得がなされたわけであります。 そして、それによって、先ほど申し上げましたように資金の配分の再配分ということが行われておりますので、もし、これは一つの側面でありますけれども、どの会社もやらなかったということになれば、これは空振りだったというふうになるわけでありますけれども、十分に活用されているというふうに考えております。また、そのことによって何かデメリットがあったとしても、それが顕在化しているという状態ではないかと思うのであります。
○井上哲士君 商法のような場合に、言わば目先の問題ではなくて先を見据えた改正が必要かと思うんですが、今回、中間配当限度額の計算方法の見直しが行われるわけでありますが、これもやはり前回、言わば継ぎはぎ的な拙速な改正の下での不備が現れたと、こういうふうにはお認めになりませんか。
○衆議院議員(太田誠一君) 平成十三年段階でこの金庫株を解禁をしたときに、私提案者じゃありませんでしたけれども、そのときには極めて慎重な考え方で限度額の計算方法をこういうふうにされたんだと、当時の提案者はそうされたんだと思いますが、その後の様々な起きてきたことに対応するために、そこを手直しをしなければいけないというふうになったわけでございます。
○井上哲士君 先ほどの提案理由でも、現行法では「中間配当ができなくなる事態が生じております。」と、こういうふうに述べられました。 やはりこれ、調査室の資料にありますが、今年の一月の十六日の日経新聞にこういう記事があります。実は、二〇〇一年六月の改正の際、条文の不備は経団連なども国会審議の途中で見付けていた。だが、手直しをされなかったと。なぜか。「かねて金庫株の解禁を要望していた経団連は、ただでさえ混迷する審議に配当問題が加わり、法案自体が流れることを恐れた。」と、こういう記事が出ておりまして、やはり前回、本来やられるものが十分な議論がなしに提案がなされたということをこの記事は私は示していると思うんです。 過去、いろんな商法の改正も行われました。ストックオプションも議員立法で提案をされました。当時の提案説明を見ますと、自民党の代表は、「取締役及び使用人の意欲や士気を高め、かつ、優秀な人材確保の有効な手段として、企業の業績向上や国際競争力の増大に資する」と、こう手放しで持ち上げられております。ところが、今日このストックオプションは、まあ言わば本家のアメリカでもエンロン事件などを通じて弊害が指摘をされております。株価至上主義の中で様々な不正に結び付いた、そして一部の経営者への富の偏重が起きたと、こういう指摘がされておるわけですね。そして、本家では見直しが進んでいると、こういう事態についてはどうお考えでしょうか。
○衆議院議員(塩崎恭久君) 今御指摘のアメリカでのストックオプションの問題点については、一つは、どういう付与のやり方をしているのかという問題であり、それからもう一つは、会計上の扱いでこれを費用として計上するかどうかというところで問題になっていることでございます。 日本の場合には、もう御案内のように、株主総会の決議が必要でありますが、アメリカはそういうものもない中でこういう形になっているわけであって、ストックオプションにまつわる問題というのはありますが、このストックオプションの法律そのものが問題であるということではなくて、今申し上げた付与のやり方と会計が問題に、会計処理の問題であって、日本も今会計処理の問題については同じように費用として計上すべきかどうかということを議論をしているところでありまして、必ずしも議員立法であることによる問題ということではないというふうに思います。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、浜四津敏子君が委員を辞任され、その補欠として風間昶君が選任されました。 ─────────────
○井上哲士君 アメリカでの見直しというのは法律の不備だけじゃなくて、このストックオプションという方法自身が言わば株価至上主義を招くという、そういう本質的な問題があるんじゃないか、こういう議論も行われているわけです。 これが議員立法で日本が導入される当時に「開かれた商法改正手続を求める商法学者声明」というのも二百三十四人の連名で出されました。この委員会でも何度も議論になったことでありますが、当時この中で、ストックオプションを導入するにしても、それに伴い株価操作やインサイダー取引等の弊害が生ずるおそれを少なくするためにはいかなる方法を取るべきか等、国民にオープンな議論がなされていないと、こういう批判がされました。そして、我が国より格段と厳しい制度がしかれていると思われるアメリカにおいても、近時はストックオプションを富の偏在を招く歯止めの利かない報酬制度であるとする指摘も見られると、こういうふうにこの商法学者の声明が述べておったわけで、私はこの今商法の改正ということを見るときに、やはりこういう指摘も含めまして本当にきちっとした議論の上に行われていくことが必要だということを最初に申し述べまして、法案の中身に入りたいと思います。 それで、まず株主平等の問題でありますが、株主の平等というのはこの株式会社制度の基本原則の一つ、自己株式の取得が一部の株主にだけ払戻しを行うという点で本質的に株主平等に反するものだと思います。今回の改正は、総会権限であった自己株式取得の権限を取締役会にも与えようとするものですが、これまで取締役会決議による株式取得制度が商法に設けられていたのは、親会社が子会社保有の自己株式を取得する場合だったと思いますが、これが株主平等に反しないとされていたのはどういうことでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、現行法におきまして親会社による子会社保有の自己株式の、取締役会決議によって取得できることとされておりますが、これは子会社による親会社株式の取得は原則として禁止をされておりまして、例外的に株式交換、株式移転、会社分割、合併又は他の会社の営業全部の譲受けなど、例外的に認められているにすぎないわけであります。 そういう例外的に子会社が親会社の株式を取得した場合に、この親会社の株式を処分するということはなかなか困難な場合が多いと、こういうことから、そういう例外的な事由によって子会社が取得した自己株式についてはその迅速な処理を図ることが必要であると、こういう観点に立ちまして親会社が取締役会決議によって取得をできるとされたものでありまして、このような限定的な場合でございますので、株主平等原則との関係においても大きな問題は生じないとされたものでございます。
○井上哲士君 そういう限定的なものだから株主平等の原則には抵触しないということでありますが、今回の定款授権の取締役会決議による自己株式の取得は、株主全員に自己株式取得の決定に参加をする、そういう権利が平等に保障をされておりません。そういう点では手続面での保障が株主平等の最低限のものだと思いますけれども、この最低限のラインがこれによって崩されるんではないか、この点、発議者はいかがでしょうか。
○衆議院議員(石井啓一君) 今回の改正で定款の授権に基づいて取締役会の決議により自己株式を取得するその手法でございますけれども、市場取引又は公開買い付けの方法によるものでございまして、いわゆる特定の株主から相対で取引をするということはできないことだと、こういうふうにされておりますので、このような取得方法による限り、株主平等の原則には反することにはならないというふうに考えております。
○井上哲士君 取締役会によっての、これができるようにするということになりますと、インサイダー取引の可能性が高くなるんじゃないかということが衆議院でも繰り返し指摘をされました。 取締役会の周辺にいる者が会社の重要な情報を知り得る立場にあって、事前にそれを知って株式を買って後で高く売り抜けて利益を上がる、典型的なインサイダー取引であります。今度の改正で取締役会決議のみで自社株が大量に買えるという仕組みを作ることによって、このインサイダー取引のおそれを広げることになるんではないか、衆議院でもこのような指摘をしておりました。 そうしますと、今日の審議を待っていたかのように今朝の新聞で一斉にこの問題が報道をされております。 パソコンメーカーのソーテックの元課長が、インサイダー取引の疑いで横浜地検に告発をされたということでありますが、この人は取締役会の資料作成などを担当する立場、そして、同社が自社株の買い付けを実施するなどの情報を把握をして、二〇〇二年四月から五月に掛け同社の株計五十株を約四百九十四万で購入をし、最終的には二百七十七万円の利益を得たと、こういう事件が今朝報道をされました。正に取締役会の周辺にいる者がインサイダー取引をするという典型的な例が出たわけでありますが、今回のこの改正によってこういう事件がやはり広がるおそれがあるんではないか、この指摘については発議者はどうでしょうか。
○衆議院議員(石井啓一君) 平成十三年の金庫株の導入のときに、いわゆる今の委員の御指摘のございますインサイダー取引を防止する仕組みといたしまして、自己株の取得及び処分を重要事実に含めると、その重要事実を公表した後でなければ自己株の取得、処分はできないと、こういう制度的な担保をさせていただいておりまして、今回の改正案も同様の手続にのっとるものでございます。 したがいまして、この制度的に、この今回の改正案ができたからといって一概にインサイダー取引が増えるということはないかと思いますけれども、一方でこういった不公正取引を監視するための人員等も含めた体制の整備というのは、これは重要だと思いますので、それは引き続き努力をしていかなければいけないというふうに考えております。
○井上哲士君 取締役会決議のみで買えるようにするということによって、先ほど挙げたような取締役会の周辺にいる者がインサイダー取引をやりやすくなるとかいうこの可能性が広がること、そのこと自身は認められますか。
○衆議院議員(石井啓一君) いや、それは先ほど答弁させていただいたように、一概にはそのようには言えないというふうに思っております。
○衆議院議員(塩崎恭久君) これまでの総会決議による自社株買いにおいても、それは枠を決めるわけですから、実際にやるときは取締役会でやっぱり決めるわけですね。そのケースでもやっぱり今おっしゃったような周辺にいる人が知り得るということによってインサイダー取引が起こり得るわけですから、そういう意味では、この仕組み、今度の新しい仕組みでその可能性が高まるというよりは、むしろ今御指摘のようなケースをどう取り締まる体制を作っていくのかという方が大事で、先ほど鈴木先生が御指摘になったような体制作りの方が大事であって、これによってその可能性が高まるということではないんだろうと思います。
○井上哲士君 前回改正のときにもそういう取締りの監視の体制が日本はアメリカに比べて非常に弱いということが繰り返し指摘をされたわけでありまして、今回、こういう新しい改正に伴って私は本来一層強化をするというものが出されるべきだったと思いますけれども、それがないということになりますと、今日こういう事件が報道されているわけでありますが、一層こういうものが広がる可能性が増えたということは指摘をしておきたいと思います。 次に、最低資本金の規制の問題でちょっとお聞きをいたします。 商法が株式会社において資本制度を取っているのはなぜなのか、そもそものことをお聞きをいたします。
○政府参考人(房村精一君) これは、株式会社におきましては、株主は出資の額を限度として会社の債務に対して責任を負う有限責任制が取られておりまして、会社債権者のための責任財産は株式会社が保有する財産に限られているということでございます。 そこで、株式会社の財産が適切に確保されるようにする必要があることから、株主からの出資を原則として資本に組み入れて会社財産として保有させるというために資本制度が導入されているという理解でございます。
○井上哲士君 要するに、債権者保護のためにこの制度があるわけですね。 この法定準備金を財源とする金庫株取得が解禁をされたということによりまして資本の払戻しを認めることになったと。これはやはり債権者保護というものが大きく後退をさせられたんではないかと思いますが、発議者いかがでしょうか。
○衆議院議員(石井啓一君) これは今回の改正というよりも前回の平成十三年のときの金庫株の改正そのもののお話かと存じますけれども。 法定準備金を自己株取得の財源にするに当たりまして、減資と同様の、例えば無効の訴えの手続等の債権者保護の手続は義務付けておりますので、資本維持の原則が目的としております債権者の保護は守られているというふうに考えております。
○井上哲士君 七月十五日の朝日新聞に、昨年度この自社株買いを実施しなかった三菱商事のコメントが出ておりました。「「自社株買いは株主の利益になるが、資本が減るため債権者にとってはマイナス。格付けにも影響する」と冷めた見方だ。」と、こう書かれておりまして、これは私は見識だなということを思って読みました。 この問題の関連で質問しておきたいのは、法務省が二〇〇五年の商法大改正に向けて現在作業中ですけれども、報道によりますと、最低資本金に関する規制を完全に撤廃をする方針を固めて、すべての企業は無条件で資本金が一円でも起業できるようにすることを目指すと、こういうふうにされておりますけれども、実際どのような検討が行われているんでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 現在、法制審議会におきまして会社法の現代化のための検討を進めているところでございますが、その中で最低資本金制度の在り方についても検討をしているのは事実でございます。 また、意見の中には、最低資本金制度についてこれを撤廃すべきであるという意見もございますが、現段階においては、まだ最低資本金の撤廃や引下げの是非等について検討しているところでありまして、その結論が得られている段階ではございません。
○井上哲士君 その議論の中で三つぐらいの案が提示をされているかと思うんですけれども、それはどういう案が提示されているでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 一つは、もちろん撤廃という案も議論の対象でございますが、最低資本金の額を引き下げる、例えば現在株式会社が一千万、有限会社が三百万でございますが、これを三百万程度に下げる、あるいは更に下げるというような、最低資本金制度は存続するけれどもその額を引き下げると、こういう案も検討されているところでございます。
○井上哲士君 要するに、大幅引下げないしは撤廃と、こういう議論になっているわけですね。 現在、中小企業挑戦支援法で商法の特例として最低資本金規制の適用を五年間猶予しているという例がありますけれども、この最低資本金規制を撤廃、緩和しようというその意見の根拠は一体何なんでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 一つは、今、特例が認められていることからもうかがわれますように、新しく会社を起こす、この妨げに最低資本金がなっているのではないか、ノウハウとかそういったものはあるけれどもお金が今手元にないと、こういうときに、この最低資本金の制約が大きくて新しい企業を起こせない、そういうことによって企業の新規参入が妨げられていると、こういう御指摘がございます。 それから、企業が取引をする場合に、取引相手として取引をするかどうかを決めるときに一番着目するのは、その企業の財務内容なりその企業の実態であって資本金の額ではないと、こういう意見もございます。 それから、例えば最低資本金を定めておりますEU諸国の中でも、フランスにおいてはその撤廃が検討されているところでございますし、またアメリカにおいては最低資本金は一般に定められておりません。そういった国際的な動向も踏まえた御意見があるものと承知しております。
○井上哲士君 起業の妨げということもありましたけれども、中小企業とか起業家の利用を想定した制度としては合名会社とか合資会社の制度があるわけですね。アメリカではこういうものに対応するパートナーシップとかリミテッドパートナーシップと言われるものがベンチャー企業の形態として活用されていると聞いておりますけれども、最低資本金規制を撤廃じゃなくて、むしろこういう制度を利用するということにはなぜならないんでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 合名会社、合資会社の制度もそれなりの役割はあるわけでございますが、その特質として、社員の全部又は一部が会社債務に対して無限責任を負うものとされております。現在要望されております最低資本金の見直しの意見は、株式会社あるいは有限会社の持っております有限責任性を確保した上でその事業を行うことを容認すべきであると、こういう御意見でございますので、合名会社、合資会社の活用ということでは対応が困難であろうと、こう思っております。
○井上哲士君 今、有限責任性の活用ということが言われましたけれども、やはり日本で株式会社という名前にいろんな無形の信頼があるというのは、結局、有限責任であるために設立に一定の資金が必要だと、これに由来していると思うんですね。ですから、最低資本金制度の引下げ、撤廃ということになりますと、そういう債権者保護のために設けられたこの資本制度というのが事実上機能しなくなるのではないかと思いますけれども、その点はいかがでしょう。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、一般に有限会社よりも株式会社の方が社会的な評価が高いということは言えようかと思います。その理由の一つとしては、最低資本金の大小ということも考えられるわけでございますが、しかし平成二年の改正前においては、株式会社において最低資本金制度は設けられておりませんでした。しかし、その段階におきましても、やはり株式会社と有限会社との評価というのは現在とそう大きくは変わらなかったのではないか。そう考えますと、必ずしも最低資本金制度が両者の社会的評価を分ける決定的な要素になっているとは言えないのではないかと。 有限会社が主として閉鎖的な会社を想定した制度で、公開会社も含む株式会社と比較すると、例えば取締役会や監査役の設置義務、貸借対照表の公告義務の有無、こういった点に差異がある、そういうことも評価の違いの要因になっているのではないか、こう考えております。
○井上哲士君 この最低資本金規制の撤廃というのが報道されて以来、いろんな議論が行われております。 七月五日の日経に出ていたコラムが大変私は見識だなと思って読んだんですが、こう言っていますよね。「株主が有限責任という特権を享受する株式会社とは、破たん時には大資産家の株主も投資額以上は責任を負わず、取引先や債権者は一家路頭に迷っても仕方ないという、いわば「非倫理性」を内包した制度である。株式会社法の歴史はこの問題との格闘の歴史である。そもそも起業時や順調経営時ばかりを強調してはいけない制度なのだ。」と言った上で、「最低資本金制度は株式会社制度利用者に制度の意味を教える貴重な教育効果もある。一定の「所場代」なしにはじめてはならないシステムだと。最低資本金制度の撤廃が、株主有限責任、債権者保護、資本金規制といった株式会社制度の基本原理を軽視するところに結びついていくとしたら、その弊害は想像を超える。」、こういう指摘でありました。 こうした、本来の基本原理を軽視するということに結び付いたら弊害は想像を超えると、この指摘についてはいかがお考えでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 先ほども申し上げましたが、現在、法制審議会において最低資本金制度については検討を加えているところでございます。そこにおきましては、廃止ももちろん意見としては出されておりますし、その廃止に伴う弊害を懸念する声もあろうかと思います。 いずれにいたしましても、法制審議会において十分この最低資本金制度の在り方につきましては御議論をいただいて、それを踏まえて法務省としての考え方を決めていきたい、こう考えております。
○委員長(魚住裕一郎君) 時間ですが。
○井上哲士君 経営者のモラルハザードなどが様々言われている中、それを助長するようなことにならないということを強く求めまして、質問を終わります。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。 まず、規制緩和の妥当性ということで衆議院の法務委員会での質疑にもありましたように、商法二百六十条ノ四の規定では、株主に対する取締役会決議に関する情報開示は十分ではありません。確かに、自己株式取得の必要性などについては事後的に株主総会で報告されますけれども、会社が自己株式取得する時点では、株主は会社が自己株式取得することはほとんど知り得る状況にはありません。要するに、取締役会決議でやるわけですから、知る由もないというか、知ることがなかなか困難です。 そこで、会社が自己株式取得する時点での株主の保護についてはどのような対策がなされているでしょうか。
○衆議院議員(石井啓一君) まず、今回の改正で取締役会決議による自己株取得を可能にするのは、そもそも定款の授権が必要でございますから、定款を変更するために株主総会での特別決議が必要になる、そこでまず株主の判断をいただくわけでございます。 なお、前回、金庫株導入いたしましたときにインサイダー取引防止のための規制を設けましたので、自己株の取得及び処分を重要事実として公表した後でなければ取得、処分ができないということにいたしましたので、この規制は今回の改正にも及ぶということでございます。 さらに、自己株の取得につきましては、取締役会決議による自己株取得については市場の取引あるいは公開買い付けの方法によっておりますので、何か特定の株主が有利になるような、そういう方法で取得することではない、こういう方式を取らさせていただいています。
○福島瑞穂君 確かに、授権についてはあらかじめ情報はあるわけですが、取締役会で決議をする時点においては、具体的なことは一般的には株主は知る由もないというか、知ることができない、取締役会は密室の限られた人間での決議ですから。ですから、自己株式を取得する機会は株主平等だけれども、株主に与えられる情報は実態としては平等ではない。今回の改正は取締役会決議に関するディスクロージャーが十分ではなくて、したがって株主保護が十分ではないのではないか。 要するに、取締役会決議で決めてしまうので、その後株主総会でやったとしても、取締役会決議でやるときについての情報は出てこない、このディスクロージャーが不十分である点についてはいかがでしょうか。
○衆議院議員(石井啓一君) 先ほど塩崎議員の方からも答弁をさせていただいたんですが、現行法の定時総会決議に基づく自己株の取得の場合も、定時総会で決めるのは取得の枠だけなんですね。実際に、具体的に取得をするときはやっぱり取締役が適宜行うということになりますから、そういった意味では、今回の改正案も前回の平成十三年の定時総会のときと同様のそういう意味では扱いになっておりまして、差はないということなわけですけれども、先ほど申し上げましたように、そもそも重要事実を公表した後でなければ自己株の取得及び処分はできないのでございますから、株主は等しく自己株取得が行われるということを知り得る立場にあるわけでございまして、そういった面について、私どもは従来と同様の株主保護が図られているというふうに考えておるところでございます。
○福島瑞穂君 やはり今回の改正でそれは変わるわけですよね。 つまり、これまで、株主総会でという比較的、幾つか株式を持っていれば株主総会に出席できますし、株主であればきちっと通知がやってまいりますので、株主総会という比較的開かれた場所でしか決定することができなかった金庫株取得の決定、もちろん枠で、細かい点はまた後だとしても、みんなが一応出席できる、株主には通知が来る株主総会での決定でやっていたのが、今後は、本改正によって取締役会、これは明らかに密室ですし、御存じのとおり取締役会は限られた執行部、これは会社の執行機関ですから、取締役会という密室の決定にゆだねることになると、これはやはり質的に違ってくるというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○衆議院議員(石井啓一君) 今回の定款に基づく取締役会決議による自己株取得についても、そもそも起点は定款変更のための株主総会というのがあるわけでございますから、そこでまず株主が特別決議によって定款を変更するというその時点でまず株主の関与があるわけでございますね。 それと、今回の取締役会決議に基づく自己株取得をした場合は次の定時総会でそのことについて報告を行う、そこでも株主がやはりチェックをできるということでありますから、一番最初に定款を変更するときに株主のチェックが入る、それでなおかつ、今度は事後的にも次期の定時総会における株主のチェックが入る、こういうことで株主の保護ということについても配慮されているというふうに考えております。
○福島瑞穂君 国会の事前承認、事後承認ではありませんが、株主総会というのは事後的なわけですよね。つまり、取締役会で決定するときと株主総会で事後的に承認する、その間にタイムラグがあるわけですし、やっぱり国会も事後承認ではなく事前承認となぜみんながこだわるかというのはそこの部分にあるわけで、取締役会、密室で金庫株、自己株取得を決めて、後から株主総会で報告を受けても、それは違うだろうというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○衆議院議員(石井啓一君) ですから、それは当初の定款を変更するときに、まず、先ほども申し上げましたように株主の判断があるわけですから、そこで否決をされれば取締役会にはゆだねられないということになりますので、そもそもその時点で株主の判断をいただくということがございます。 それから、現行法の金庫株の定時総会に基づく自己株取得につきましても、先ほど申し上げましたように定時総会で決められますのは総枠だけでありまして、いつの時点でどのように買うかというのはやっぱりそれは取締役会において決定をいたしますので、そういう意味において、今回の改正法における取締役会の決定という点では大きな差はないというふうに考えております。
○福島瑞穂君 しかし、事前の株主総会の関与は、非常に、その枠というだけですよね。これはやっぱり違うんじゃないでしょうか。
○衆議院議員(石井啓一君) それは、今の定時総会に基づく自己株取得につきましても枠でございますので、枠という意味では一緒でございます。
○福島瑞穂君 しかし、私が問題にしているのは、取締役会という密室でとにかく決めてしまうということですが、それについて、例えば先ほど井上委員からもありました、自己株情報で事前購入、インサイダーの疑い、元社員を告発と出ておりますが、取締役会で決めるということで、こういうことは、やはりインサイダー取引は増えるのではないか。それはいかがでしょうか。
○衆議院議員(石井啓一君) 先ほどもその点についてはやり取りをさせていただいたわけですけれども、そもそも平成十三年の金庫株導入のときにインサイダー防止をするための措置を取らさせていただいておりまして、それは今回の改正案についても適用されるわけでございますから、今回の改正をされたということをもってインサイダー取引が増えるということは、一概に私どもは言えないというふうに思っております。
○福島瑞穂君 取締役会決議に関するディスクロージャーが十分ではない、株主保護に関して十分ではないという点についてはいかがでしょうか。
○衆議院議員(石井啓一君) これは、実は衆議院の法務委員会でも議論をされた点でございますけれども、現在、株主に対する取締役会決議の議事の公開については裁判所の許可を得るということになっているわけでございますけれども、これは昭和五十六年の商法改正で導入された経緯がございまして、当時、どういう趣旨で導入されたかといいますと、まず取締役会の議事には様々な企業秘密にかかわることがあるということがございます。公開によってその会社が不測の損害を被るような、そういうケースもございます。そういった中で、例えば、総会屋などが企業秘密にわたる記載がしてあるその取締役会の議事録の閲覧を求めて嫌がらせをする、あるいはその閲覧の申出を撤回をさせるために金品を要求するというような事例も当時あったと、昭和五十六年の改正のときですよ。そういったことを踏まえて、株主が取締役会決議の議事録を見る権利と、そして会社の企業秘密を守る権利と、このバランスということで昭和五十六年の商法改正が図られたというふうに承知をしております。 委員が御指摘のとおりに、自己株取得に関して取締役会決議のディスクロージャーを充実すべきだという御意見、これは非常に重要な意見だというふうに思いますけれども、今申し上げました企業秘密の保持ということとのバランスをどういうふうに考えていくか、その点を踏まえてやはりこれは慎重に検討すべき課題じゃないかというふうに思っております。
○福島瑞穂君 おっしゃるとおり、取締役会は執行機関ですから、ディスクロージャーに若干限定が必要な場合もあるかもしれません。ですから、逆に私は、取締役会で自己株取得を決定するのはディスクロージャーの公平との関係から問題が生ずるのではないか。今おっしゃったとおり、取締役会はかなりやはり企業の内部秘密も、取締役は知って議論するわけですから、不適切ではないかという冒頭の質問についてはいかがでしょうか。
○衆議院議員(太田誠一君) 福島委員におかれてはよく分かっておられる上での御質問と思いますが、取締役会は執行機関ではなく意思決定機関でございますので、まあ言ってみれば株主総会の更にその代議員会みたいなものだというふうに位置付けております。執行については、これは執行役員制度、今導入されておりますけれども、言ってみれば代表取締役とその部下たる人たちが日常的なことをやっておるということだろうと思います。
○福島瑞穂君 済みません、取締役会が意思決定機関ですが、ちょっと私の質問とずれていると思うのは、その意思決定機関で、極めて機密性が強く、会社の重要な情報が議論される場所だからこそ、自己株取得の決定をここで、今回の改正でやることについて、ディスクロージャーとの関係から不適切な面があるのではないかと。 要するに、株主総会であればみんなが情報を知り得るのに、取締役会では知り得ないと。議事録もなかなか出てこないわけですよね、裁判所の許可がなければ。その点で、自己株取得の透明性の問題と取締役会で決定することの間に矛盾はないかという質問についてはいかがでしょうか。
○衆議院議員(石井啓一君) 現行法、平成十三年の金庫株の導入時も定時総会で決めるということですけれども、定時総会で決めるのはあくまでも自己株の取得の枠でございまして、実際に自己株を取得するというときにはやはり取締役会決議を行うんです、現行法でも。 したがって、この改正によって、同様にこれは定款授権で取締役会決議ということですけれども、取締役会決議をやった後に買うということについては現行法と変わらないわけでありますから、今回の改正でもってそういったインサイダー取引が増えるというような御懸念はないというふうに思っております。
○福島瑞穂君 では逆に、先ほどからインサイダー取引については様々な制度が必要ではないかという旨の答弁もありましたけれども、実際インサイダー取引の事件が起きているわけで、その点について、提案者としては、例えばこれで不十分ではないかと実は私は思っているんですが、その点について、改めていかがでしょうか。
○衆議院議員(塩崎恭久君) 株式、自己株式を取得することのやり方をどういうメニューを増やすかと、こういう観点から今回こういうことで御提案を申し上げているわけでありますが、それとまた、証券市場の取締りがきちっとできているかどうかという、また別問題としてあるわけですね。したがって、御指摘の点は、今日もう鈴木先生を始め皆さんから御指摘があったとおりで、インサイダー取引は比較的この日本はやりやすい国だということを経営者自身が言っているような人もいるぐらいでありまして、これを取り締まっていく体制をどう作るかというのが極めて大事であることはもうおっしゃるとおりであります。 だからといって、しかしじゃこれをやらないのかというと、それはまた別問題であって、同時にやっぱりこれはやっていかなきゃいけないことで、私自身はアメリカのSECのような強力なやっぱり取締りをするところ、ルールを作るところ、一つで全部の証券市場を見ていくところがやっぱり必要で、その人数も多分要るでしょう。それはやっぱり銀行監督なんかと違って、銀行だけ見てりゃいいというものじゃなくて、一つ一つの取引を見ていかなきゃいけないというのが証券市場での取締りの言ってみれば原点でありますから、そうなると人数も要ります。 ということで、これから事後チェック型ということでやっていこうとするならば、やっぱりSEC型の監視体制、ルールメーキングと監視体制というものはやっぱり要るわけでありますが、しかし、だからじゃ企業のコーポレートガバナンスの在り方、あるいは会社経営の機動性の強化ということをどうするかというのはまた別問題で、それができるまで待ちましょうというのはやっぱりちょっと順番が違うんじゃないかなという感じがいたします。
○福島瑞穂君 インサイダー取引の方をきちっとやった上で自己株式の方に手を付けるべきではないかと個人的には思っているんですが、金融庁にお尋ねいたします。 証券取引法百六十六条の重要事実の公表は、具体的にどのような事実をどのような方法で公表することになっているのでしょうか。
○政府参考人(藤原隆君) お答え申し上げます。 証取法の百六十六条に規定いたします重要事実と申しますのは、例えば自己株式取得の決定等の会社の業務執行を決定する機関が決定した事実、あるいは災害に起因する損害など会社に発生した事実、あるいは決算情報などがございます。 また、その公表でございますが、公表とは、百六十六条では、当該重要事実が有価証券報告書等によりまして公衆の縦覧に供されたこと、又は当該重要事実につきまして、会社により多数の者が知り得る状態に置く措置として政令で定める措置が取られたこと、その政令で定める措置と申しますのは、具体的に申しますと、二以上の報道機関に公開して、かつ公開後十二時間が経過するというようなことが定められております。
○福島瑞穂君 今回の改正で、今日も出ておりますが、取締役が取締役会を利用して株価を操縦しやすくなるのではないかという点についてはほかの委員からも質問が出ております。 それで、公正な証券市場の育成の必要性ということで、市場では、例えば会社が自己株式取得することは株価が過小に評価されている旨のシグナルを株式市場に送ることとなるため、また株主もそのように受け止めるため、自己株式取得枠を設定することで株価が急上昇するという現象が指摘をされています。これは、いわゆるシグナリング効果と言われているものですが、ストックオプションが、ストックオプションが取締役会メンバー全員に与えられている会社において、取締役がストックオプションにより利益を得るため、あえてこのシグナリング効果をねらって取締役会決議により自己株式取得枠を設定した、あるいは取得を議決した場合、情報を流した場合など起こり得ると思うのですが、証券取引法上どのようなこととなるでしょうか。 金融庁お願いします。
○政府参考人(藤原隆君) お答え申し上げます。 証券取引法は、証券市場の公正性と透明性を確保しまして証券市場に対する投資家の信頼を確保する観点から、証取法の百五十八条におきまして、自己又は他人の証券取引を有利に行うため又は有価証券等の相場の変動を図る目的をもって、風説を流布し、又は偽計を用いることを禁止しております。 今、先生御指摘のように、例えば取締役が保有するストックオプションの売買等によって利益を得る目的で、他人を錯誤に陥れようとして、会社が、例えば自己株式を取得する意思がないにもかかわらず、自己株式取得に係る取締役決議をして対外的に発表した場合は、偽計の行使に該当するおそれがあると考えております。
○福島瑞穂君 今回の改正目的の一つに、敵対的買収に対応するためというのはあるのでしょうか。
○衆議院議員(塩崎恭久君) それも一つの対象でございます。
○福島瑞穂君 今回の改正目的の一つに、敵対的買収に対応するためということが、今の答弁でもあるわけですけれども、敵対的買収に対応するために、さっきの、株価を上昇させることは相場操縦になってしまうのではないかという危惧があるわけですが、金融庁、この点についてはどのように理解したらよろしいのでしょうか。
○政府参考人(藤原隆君) 証券取引法は、百五十九条というところにおきまして相場操縦を禁止する規定を設けておりまして、公正な有価証券市場を確立するために、本来、正常な需給関係によって形成されるべき相場を意図的に変動させる行為を、作為を禁止しているところでございます。 したがいまして、一般論として申し上げますと、恣意的に株価を上昇させるような行為は相場操縦禁止規定との関係で問題となり得ると考えております。ただし、敵対的買収に対抗するために行う自己株式の取得それ自体が直ちに相場操縦禁止規定に違反するものではないと考えております。 なお、証取法におきましては、特に自己株式の取得や処分の際に相場操縦が行われることを防止するために、先ほどから石井委員が御答弁されておりますように、自己株式の取得又は処分の際に一定の要件を遵守すべき規定、証取法の第百六十二条の二でございますが、に規定しているところでございます。
○福島瑞穂君 支配権を維持するために自己株式を取得することが違法となる場合として、具体的にどういう場合が想定できるでしょうか。 法務省、お願いします。これは質問通告していると思うんですが。
○政府参考人(房村精一君) ちょっと質問の趣旨がよく理解できなかったんですが。申し訳ございませんが、もう一度おっしゃっていただけますか。
○福島瑞穂君 済みません、質問通告していると思うんですが。 支配権を維持するために自己株式を取得することが違法となる場合として、具体的にどういう場合が想定できるでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 一般的に申し上げれば、自己株式の取得は、ただまあ今回の法律もそうですが、従前、株主総会への授権枠の中で行うというような厳重な手続的制約が行われておりますので、それを満たして行われた適法な自己株式の取得について違法な場合が生ずるというのはにわかに想定し難いところでありますが。
○福島瑞穂君 取締役が、自己株取得を改正商法二百二十一条ノ三第三項の財源規制に違反したり、仮に定款で数量規制を定めた場合にその数量以上に取得して、法令又は定款に違反して自己株式取得をした場合などは、その取引自体はどうなるのか、取締役に責任は発生するのでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のような財源規制は当然掛かっておりますので、通常はその枠内で行われるということだろうと思いますが、仮にそれを、例えば財源規制を違反した場合には取締役等にてん補責任が生ずるというような法律上の規定がございますので、それによって当然そういう責任を負うということになろうかと思います。 取得いたしました個々の株式の取得行為自体が無効になるということは多分ないだろうと思いますが。
○福島瑞穂君 先ほど提案者の方から、これが買収に対抗するためにもあり得ると、自己株取得がということがありましたけれども、敵対的買収が熾烈になる、株価がかなり高騰しているという状況下で、株主利益を守るという目的において取締役会が自己株式取得のため市場取引なり公開貸付けなりを行った場合、取締役には何か責任が生ずるのでしょうか。 これは金融庁でも結構です。──分からない。はい。
○委員長(魚住裕一郎君) どなたが答弁されますか。
○政府参考人(房村精一君) 一般的なお答えになりますが、手続的に商法等に規定されております手続を守って会社のガバナンスのために取締役会が決議をして取得をするということであれば、原則的には違法の問題は生じないのではないかと思いますが。
○福島瑞穂君 金融庁にお尋ねをいたします。 私自身は、取締役会を利用して株価を操縦しやすくなってしまうのではないか、あるいはインサイダー取引が一体どうなるのかと思うんですが、それと併せて証券取引法も開示規制に関する規定以外についてもいろいろ見直す必要があるのではないか、今回のような改正の場合ですね。それについてはいかがでしょうか。
○政府参考人(藤原隆君) 平成十三年のいわゆる金庫株の解禁のときに、自己株式の取得やその処分の際に相場操縦が行われることを防止するために、自己株式の取得又は処分の際に一定の要件を遵守すべき規定を新設するなど、そういうことなど、自己株式の取得に係る不公正取引の防止措置につきましては、証取法上、その時点で整備されたものと私ども考えております。 なお、仮に相場操縦禁止規定等に違反するような行為がありました場合は、証券取引等監視委員会により厳正に対処されるものと考えております。
○福島瑞穂君 いや、実は私は株式とかにはとても弱いんですが、さっきの対抗的買収に対抗するとか、いろんなことで自己株式取得を取締役会で決めるということが起きる、そういうことと、株式の公正さ、株式市場の公正さというところとの対立というか、起き得るというふうに思うのですが、金融庁としては、今回の改正によって株式市場の公正さが害されるおそれがあるのではないか、この点についてはどうお考えでしょうか。
○政府参考人(藤原隆君) 先ほど塩崎委員の方からもお答えがあったように、言わば株式市場の整備、会社法の整備を含めての整備と、それからそれがきちっと正しく行われているか、それを監視する体制の整備、これは二つ分けて考える必要があると思っております。 したがいまして、私ども、現在もその監視体制の整備につきましては、関係者の大変な御理解を得て、年々充実させてきておるところでありますが、これからもそちらの方につきましては努力していきたいと思っております。 したがって、先ほど塩崎先生の方からお話ありましたように、二つは分けて考えるべきだと私ども思っております。
○福島瑞穂君 時間ですので、終わります。
○委員長(魚住裕一郎君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十分散会