法務委員会 第19号
- 発言数
- 298 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2003/07/03
会議録
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る一日、南野知惠子君が委員を辞任され、その補欠として青木幹雄君が選任されました。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 裁判の迅速化に関する法律案、民事訴訟法等の一部を改正する法律案及び人事訴訟法案の審査のため、来る八日、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認めます。 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 裁判の迅速化に関する法律案、民事訴訟法等の一部を改正する法律案及び人事訴訟法案の審査のため、本日の委員会に司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、法務大臣官房長大林宏君、法務大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、法務省民事局長房村精一君、法務省刑事局長樋渡利秋君及び法務省矯正局長横田尤孝君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 裁判の迅速化に関する法律案、民事訴訟法等の一部を改正する法律案及び人事訴訟法案を一括して議題といたします。 三案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○佐々木知子君 おはようございます。自民党の佐々木知子でございます。 私に与えられた時間は十五分ということで、常よりもっと早口になるかもしれませんけれども、御容赦くださいませ。 まず、司法制度改革の一つの柱である裁判の迅速化法案が出てきたということでございます。裁判といいますと一般に長く掛かると思われているわけですが、実は必ずしもそうではなくて、地裁第一審通常訴訟について見れば、刑事事件、これは平成十三年の数値ですけれども、九二・四%の事件が六か月以内で終わっております。一年以内で見たら九八・二%、つまりほとんどが一年以内で終わっているということで、それほど長く掛かっているわけではない。二年を超えるのはわずかに〇・四%。ただし、五年を超えるものというのが〇・一%ございまして、三十六人という数になります。殊に、オウムはまだ終わっておりませんけれども、特に首謀者に関しましては。世間の耳目を集める事件が長く掛かる傾向にあるために、世間では一般に裁判は長く掛かるというイメージがございます。 また一方、民事事件につきましても、六か月以内に六二%が終わっておりまして、一年以内で見ますと約八〇%が終わっております。ただし、一方、二年が超えるものについても七%という数値になります。五年を超えるものも〇・七%で千百七十六件、これはかなりの数ではないかと思われます。これまた医事関係訴訟や知的財産訴訟などが一般に長く掛かっている傾向があるようでございます。 古今東西、裁判の遅延は裁判の否定であるという格言がございます。実際に、迅速でないから裁判には訴えず、暴力団に頼んじゃおうかなというようなことも世間では間々行われておるようでもございます。 今回、司法制度改革に関連して提出された裁判の迅速化法案は、見てみますと、第一審の訴訟手続については二年以内のできるだけ短い期間内にこれを終結させることを目標としておりますが、具体的な方策としてはどのようなことを考えておられるのか、法務大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(森山眞弓君) この法律案は、第一審の訴訟手続について二年以内のできるだけ短い期間内に終局させることなどを目標といたしまして、言わば裁判の迅速化に関する総論を定めるものでございます。具体的な方策は別途講じられることを予定しているわけでございます。 民事関係につきましては、一緒に御審議いただいております民事訴訟法の一部改正法案におきまして、計画審理の推進、証拠収集手段の拡充などが、また人事訴訟法案において人事訴訟の家庭裁判所への移管などが規定されております。 また、刑事関係につきましても、充実した争点整理のための新たな準備手続の創設、証拠開示の拡充、公判の連日的開廷、裁判所の訴訟指揮の実効性の担保などの具体的方策が検討されているところでございます。 さらに、法曹人口の大幅な増加や、裁判所、検察庁の人的体制の充実などの体制の整備につきましても、現在、政府におきまして、司法制度改革推進計画に従いまして必要な取組を行っているところでございまして、また最高裁判所や日弁連におかれましてもそれぞれ積極的に必要な取組が行われているものと考えております。 この法案が成立しました場合には、さらに本法案の趣旨や最高裁判所による検証の結果も踏まえまして必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
○佐々木知子君 司法制度改革の一環として市民の司法参加ということも要請されているようでございます。 日本では、現在、検察審査会のみが市民の司法参加ということになっておりますけれども、今回は、ある一定限度の刑事裁判について一般市民が参加する裁判員制度ということを現在検討しているようでございますが、素人が裁判に参加する以上、これは今までのプロフェッショナルだけがやっていた裁判とは違いますから、様々な手だてが考えられないといけないということになります。例えば、書面審理だけであればやはり難しいでしょうから、証人尋問を活用するとか、それからやっぱり事前の準備、計画審理というようなことも大変になると思います。 まずは、裁判は早く終わらなければならない。プロフェッショナルであるからいつまでもずっと、五年前の事件でも何かずっとそれは記憶しておかなければいけませんけれども、一般市民がちょっと前にあった事件を覚えておいてくれといったってこれは無理な話で、すぐにもやってしまわなければもう実際上は難しいということになりますから、そういう要請としても裁判は迅速であらねばならない、こういうことでございますね。
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおりでございまして、裁判員制度の導入に当たりましては、公判が可能な限り連日継続して開廷される、真の争点に集中した充実した審理が行われるようにするということが必要でございまして、刑事裁判の迅速化を図る必要があるというふうに私も思います。
○佐々木知子君 さて、二つ目の民事訴訟法等改正法案の中身は多岐にわたっております。 先ほどお述べになりました計画審理の推進、証拠収集手段の拡充、そして専門委員制度の創設というのも挙がっております。そして、特許権等関係訴訟事件の専属管轄化及び簡易裁判所の機能の充実、こういうことでございまして、これまた裁判の迅速化法案が要請する訴訟手続等の整備の一環を成すものと考えるわけですけれども、時間が限られている関係上、このうちの専門委員制度の創設についてだけ伺いたいと思います。 これもまた、ある意味では市民の司法参加という側面も持っているのではないかと私は思っているわけですが、これはどういう制度であって、どのような事件においてその関与を想定しておられるのでしょうか。これは民事局長、お願いいたします。
○政府参考人(房村精一君) 今回の民事訴訟法案で設けようとしております専門委員制度でございますが、これは、現在、非常に専門的な知見が問題となる事件が増えております。典型例としては、医療過誤であるとか建築紛争、あるいは例えば金融関係でも非常に新しい金融商品が出てまいりますので、そういう専門知識を要する事件が増えている。こういう事件に対しまして、裁判官がその分野について専門的な知識を持っている人を専門委員としてその事件の審理に関与をしていただいて、その知識を活用しながら適切な審理が行えるようにしようと、こういう趣旨の制度でございます。 活用される場面としては、訴訟の中のまず主張整理の段階、この段階でそういった専門委員の意見を聞きながら適切な争点整理あるいは当事者との進行協議を行う。次に、証拠調べの段階に入りますと、例えば証言の中に出てきた専門用語、そういうものの意味を明瞭にしてもらう、こういうような点で専門委員を活用するということが考えられますし、さらに和解を試みる場合にも、和解案について専門的立場からの意見を述べてもらって、より充実した和解案を作成していくというようなことが考えられると思っております。
○佐々木知子君 ありがとうございます。 裁判もどんどん多岐にわたっておりまして、一般に裁判官ないし法曹はどちらかというと理系に弱い方が多うございまして、医事関係にしても、それから今お述べになりました建築関係でも実はさっぱり分からないというようなことが間々ございます。やはり、そういう専門委員制度というのを活用していくことが、裁判を迅速化させるだけではなくて公正、そして正しい裁判ということに必要不可欠というふうに思っておりますので、是非これは活用していただきたいと思うわけなんですけれども。 ただ、公平性、中立性を確保すること、これは私は非常に難しいと思うのです。例えば、医療関係訴訟というのになりますと、そのお医者さんが選んだ専門委員がどちら側に例えばコネクションを持っているとか、同じ大学出身者であるとか、学会がどうだとか、結構、人的な関係などもございまして、なかなか不利な証言というんですか、供述ができないというようなことも実際間々あることも私は承知しております。 ですから、専門委員制度を導入するのは非常に結構なんですけれども、実際の運用においてどのようなことを手当てを考えておられるのか、それについてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、この専門委員は裁判に関与をいたしまして裁判官に直接意見を述べるという立場でございますので、その公平性、中立性の確保が重要な問題だと思っております。 今回の制度を採用するに当たりましては、そういうことから、まず専門委員が当事者の親族であるなど一定の事由がある場合には当然に排除されるという除斥の制度、また公正な職務執行を妨げる可能性を示す一定の事由がある場合に排除できる忌避の制度、これは裁判官についても設けられている制度でございますが、これを専門委員にも当然に適用するという形で制度を作っております。 また、専門委員の意見につきましても、当事者のいる期日で口頭で述べるか、あるいは書面で意見を述べてもらうという形で、必ず専門委員が述べた意見を当事者が知り得るようにして、当事者が適切にこれに反論の機会を得られるようにということを考えております。 また、その専門委員の指定に当たっても当事者の意見を聞いた上で行う、あるいは、そもそも専門委員を手続に関与させることについて当事者双方が不必要だというような場合にはその関与の決定を取り消すと、こういうような制度的手当てを講じまして公平性、中立性を確保できるものと考えております。
○佐々木知子君 もう一つ出ております人事訴訟法案で、これは明治三十一年にできたままでこんなに旧仮名遣いで難しい法律だったのだなと、今回やっと平易な、特別に平易でもないですけれども、そういうふうに改まるのだなということを、認識を新たにしたわけですけれども、それは、家庭裁判所の機能の拡充による人事訴訟の充実・迅速化を図ることで民事司法制度をより国民に利用しやすくさせるものであり、これまた、やはり裁判の迅速化法案による訴訟手続等の整備の一環を成すものと思われますが、時間の関係上、この中にある参与員というのだけお伺いしたいと思います。 今までも家庭裁判所には調停委員というものがございまして、これは随分活用されておられますけれども、ここにいる参与員というのは、調停委員とどう違うのかあるいは同じなのか、その資格はどういうものになるのか、それについてお答え願いたいと思います。
○政府参考人(房村精一君) 参与員と調停委員でございますが、これは、まず職業裁判官以外の者が裁判所における手続に関与する、その意見を言うという点では共通でございます。そのねらいも、要するに国民の良識をそういう裁判手続に反映させるということでございますが、この調停委員の方は、裁判官と一緒になりまして自ら調停委員会の一員となって調停を主宰すると、こういう立場でございますが、今回、拡充しようとしております参与員は、裁判官の言わば諮問機関として、裁判所の諮問機関として裁判官に対して意見を述べると、こういう点でその果たすべき役割が相当違っているということでございます。
○角田義一君 民主党・新緑の角田でございます。 裁判の迅速化に関する法律案についてやや総論的なことをお尋ねをし、民事訴訟あるいは人事訴訟あるいは迅速化の各論については江田先生の方からまたいろいろお尋ねがあると思います。 私は、この裁判の迅速化に関する法律案、原案ですね、修正される前の、ばっと目を通しましたときに、まあ大体法律というのは味もしゃしゃりもないんだけれども、これほど風格も品格もない法律というのはないなというのが私の率直な第一印象ですね。 こういう法律がなぜ出てきたのか、なぜこういうものを作らにゃいかぬのかと、その背景の事情からまず御説明いただきたいと思うんですよ。
○政府参考人(山崎潮君) まず、裁判の実態の事実認識について、まず申し上げます。 審理期間につきましては、実務の努力で徐々に短くなってきているということでございますけれども、平成十三年の民事通常事件、訴訟事件の第一審の平均審理期間八・五か月でございます。そのうち審理期間が二年を超えたものが七・二%、件数でいうと一万数千件になるわけでございます。それから、刑事の通常訴訟事件の第一審の平均審理期間三・三か月でございます。審理期間が二年を超えたその人員〇・四%、二百数十名ということになるわけでございます。 このように、我が国の裁判は全体として確かに相当の迅速化が徐々に徐々に図られてきているということでございますけれども、やはり当事者間に争いがあって人証調べをするような事件、あるいは複雑、専門的な事件、あるいは国民が注目する重大事件等におきまして、やはり依然として長期間を要するものが少なくないという認識にまず立つわけでございます。これで本当に国民が納得するかなという点が出発点になるわけでございます。そういう問題意識からスタートをしたということでございます。
○角田義一君 小泉総理の悪口を言うと罰が当たるというから、私は人の悪口は言わないが、本当のことだけは申し上げておいた方がいいと思います。 この司法制度改革の本部長をやっておられますな、総理大臣はね。それで、しかるべき公の席上で、裁判、何しろ一審、二年以内にやっちまえと、こういうことを発言されたというのを新聞で見ました。私はそれを読んで、えらいことを言う総理大臣だなと。何でもかんでも、裁判、一審を二年でやっちまえばいいんだというのは、随分乱暴なことを言う人だな、この人はと。これは悪口じゃないですよ、本当のことだから。乱暴なことを言うなと思った。刑事裁判、民事裁判、全然本質は違うと思うんですがね。 と同時に、さっきあなたはおっしゃったけれども、確かに長期化する裁判はあるんだけれども、国民はそういうものだけ見ていれば何か裁判はうんと長くなっているように思うかもしれぬけれども、実際はそうでもないと。 何かこの、国民迎合と言ってはちょっと、いささか物の表現きついかもしれぬが、大衆受けするというか、市民受けするというか、そういう発言をして、それにのっとって、偉い人がみんな寄ってたかってそれを受けてこの法律を何か作り上げたような感じがしてしようがないんだけれどもね。どうですか。
○政府参考人(山崎潮君) この問題のきっかけは、今御指摘がございましたけれども、その前に、私どもの本部に顧問会議というものが有識者八名で構成されておりますけれども、顧問会議でまず顧問の中からこの声が上がったということが最初のきっかけでございます。それに呼応いたしまして総理大臣も、その二年以内に終局できるようにすべきであるという御意見をいただいたわけでございます。これがきっかけになったということは間違いございません。 で、これは、そういうことをきっかけに事務局の方で最終的にどういうふうな判断をするか、それが必要なものだったら必要なものとして法案として考えるという、そういうことで事務局の方に投げられたということでございます。私どもの方でその提言等を受けまして考えたのが先ほどの実態でございます。 これは、それほどじゃないじゃないかという方もかなりおられるわけですね。大部分は二年以内に終わっているじゃないかと、こういうふうに御指摘があるわけでございますけれども、ただ、私はそこの事実認識が若干違っておりまして、これは委員、釈迦に説法だと思いますけれども、事件、発生いたしまして、多分、まず近所の方々に相談したり知り合いに相談して、まず解決しない。そこで何か月かたつわけですね。それから弁護士さんのところへ行く。それで和解とかをいろいろ話合いをしてみるけれども、駄目だと。これは、本当は裁判を起こすというのはかなりの勇気が要るわけでございますので、そこで何か月かあってやっと裁判になるということで、そこまでには一年からあるいは場合によっては二年まずたっているだろうと思うんですね。 それから、今回言っているものは、一審の裁判は二年以内ということを言っているだけでございまして、じゃ、一審で全部終わるのかというと終わらないものもかなりあるわけでございまして、そうなりますと控訴審に参ります。そこでまた時間が掛かる。じゃ、そこで終わったとしまして、じゃ、今度は執行に移るというときにまた時間が掛かる。 これ、相対的に考えると、事件が発生してその当事者が一応その事件が解決して新たな気持ちで再スタートをするというまでに四、五年は掛かってしまう実態であるという私、認識でございまして、これは幾ら何でも現在の時代を考えると長過ぎるだろうということが我々のこの立法に向けた最初のきっかけ、気持ちはそこにあるわけでございますので、御理解を賜りたいと思います。
○角田義一君 私は、その法律をずっと見てつくづく思うのは、確かに司法制度改革というようなものが大きな時代の流れになっておるなということは私のような年寄りでも分かりますけれども、守旧派でも分かりますが、何としても、何というのかな、効率一点張りだな、何でも即席ラーメン作るような格好でどんどんやっちまえばいいんだというような風潮、それが今の司法界にもあるように思えて、私は本当に実は憂慮しておる一人ですよ。何で、裁判の迅速化法案というものが必要なのかね、私には一向にいまだ、今日質問していても分からない。党議拘束があるからこれ賛成しないわけにはいかないんだけれども、党議拘束なけりゃ反対の急先鋒に立ちたいような心情なんですよ、実はね。後でいろいろその理由を説明しますけれども、お尋ねしますけれども。 そんな心境でおるんですが、まず一つ聞きますが、失礼だけれども、民事裁判の本質というのは一体どういうふうに理解しているんだ、山崎さんは。
○政府参考人(山崎潮君) かなり哲学的な問題になろうかと思いますけれども、私、若干自分の経験を言わせていただきます。 大分前でございますけれども、高等裁判所で事件、二年ぐらい見ておりました。このときに感じたのは、控訴審まで来る当事者、相当に疲れております。精神的にも非常に疲れている。どうにか自分の、何というんですか、投げどころと言うとおかしいんですけれども、負ける方はそれなりに理屈が付くところを与えてほしいと、それを望んでいるわけでございます。それを裁判官がどういうふうにそういうものを与えていくかということが裁判官の仕事になるわけでございますが、それでも乗らない方もおられまして、最後まで突っ張りますという方もおられます。それは選択の問題でございますから、それはよろしいわけでございます。 そこで感じたのは、やはり裁判というのは権利の病気なわけでございまして、やはり病気は病根を早く取って治して元気に世の中に戻っていただくというのが裁判の使命だろうと思います。そうなりますと、一審でももう相当に疲れて、本当にこの方はそういう、こういう問題がなければ相当に常識的な行動をする方ではないかと思われる方が、裁判が長引くことによって相当に精神的にもおかしくなり掛かっていると、こういう状態はやはり看過できないということでございまして。 それから、刑事でも同じでございます。これは、事件が発生をいたしまして、その被害者がおられるわけです。それから、被害者だけではなくてそれを見ている国民の方がおられるわけでございまして、やはり社会秩序に対する病気でございます。ですから、病根は早く取り除いて、それから社会がどういうふうにその犯罪に対応した方がいいかということを決着した上でそういう対応を考えていくと、こういうことが重要なわけでございまして、ですから、そういう意味では裁判は当事者の納得もございますし、それからやはりやることはやった上で早めに治療をしてあげなければならないと。これが私は裁判の使命であるというふうに考えております。
○角田義一君 あなたは現場におったときに非常に有能な裁判官だということは私もよく聞き及んでおりますし、現に有能な裁判官でしたよ。それで、民事裁判の今本質についてあなたの御説明聞いておりまして、理解できるところと理解できないところもあるんだが、やっぱり民事裁判は、私も若干の経験ありますけれども、私的紛争のこれは解決ですから、その場合にそれは余りにも時間が掛かり過ぎるということはいかがなものだとは思うが、しかし時間の効用というのかな、時の効用というのかな、そういうものも実は事件を解決する上ではあるわけで、当事者というのは最初はもうかあっとなっちゃって、これはもう大げんかするんだけれども、ある程度冷静になって、そして審議を進めていく上で、その人情の機微に触れた裁判長がおれば、余り官僚的な裁判長ではどうしようもないけれども、統計ばっかり気にするような裁判官じゃだめなんだけれども、本当に人情がよく、機微がよく分かった裁判官であれば、自分でいろいろ調べて、そして適当なタイミングを見て和解を勧告をし、いい和解案を出すというようなこともできるわけで、それには時間というものが及ぼす作用というかな、そういうゆとりというか、そういうものもやっぱり一面あっていいと私は思っておるんですが、またなきゃならぬと思うんですね。 ところが、この法律ができて、二年以内で何でもやっちまえばいいんだということになると、ヒラメ裁判官というんで、ヒラメ裁判、上ばっかり見ている、最高裁の方ばっかり、最高裁の人来ているのかな、ヒラメ裁判官というんで上ばっかり見ている裁判官がそういうことを全然考慮しないで、何しろ二年以内にやらなくちゃいけないんだという、金科玉条にやられたんでは私は一番迷惑するのは国民だと思うんですよ。山崎さん、どう思う。
○政府参考人(山崎潮君) ただいまの御指摘、私も共感できるところ十分にございます。やはり、裁判、紛争の解決とともに、それなりに、これ裁判ですから勝ち負けは当然あるわけでございますけれども、負けた方もそれなりにやむを得ないと、ある程度納得ということですね、これが必要であるというふうに私も思っておりまして、そのために若干時間を要するということもそれは当然、解決のためには必要な時間というふうに考えられるわけでございます。 今回の法案におきましても、この法案は充実した手続、やることをやった上で迅速化をいたしましょうということでございまして、やることをやった上でということは法文の中にも三か所きちっとうたわれているわけでございまして、それを前提にして裁判を行っていくということでございますので、この法の趣旨はきちっと徹底をして裁判官にも、各裁判官にもそれが前提であるということです。これを十分分かってやっていただくということ、これを期待しているところでございます。
○角田義一君 この法案の閣法の原案には「充実」という言葉はなかったんだよね。「迅速」だけなんですよ。「充実」というのは衆議院でいろいろ議論して、議員の皆さんがこれを入れたんだけれども、私が許し難いと思う、許し難いというのは余りちょっと言葉がきついな、よく分からないのは、なぜ原案に「充実」という言葉が入らないんだい。最初から「迅速」だけで、「充実」という言葉があなた方当局は入れていないじゃない。出すときになぜ「充実」という言葉が入らなかったか、そこを糾弾したいんだ、僕は。糾弾したいんだよ。どういうふうに説明する、しますか。
○政府参考人(山崎潮君) ただいまの御指摘は、確かにこの法律の一条、法律の「目的」ですね、そこのところに「充実」という文言がなかったことはそのとおりでございます。議員修正でここに加えられたという経緯がございます。 ただ、私どもの法案といたしまして、その充実した手続が必要であるということは、例えば二条の一項、「充実した手続を実施すること」ということで入っておりまして、これによって行われるものというふうにしておりますし、それから六条はこれは「裁判所の責務」でございますけれども、ここでも裁判所は充実した手続を実施することによりということで、私どももそこは十分に意識しながらその法文の中に入れさせていただいたということでございます。 じゃ、なぜこの一条に入れなかったのかということだろうと思いますが、これはその法文は、この法律は全体として充実した手続をやった上で裁判を迅速化させていくと、迅速化させるためにはどのようなシステムが必要かということを問う法律でございます。ですから、それぞれに皆、責務を掛けながら裁判を検証して、その検証の結果、やっぱりこれじゃ二年以内にできないという、そういう結論が出てきて、どこに問題があるかということになれば、そこには新たな施策を講じていくと。それでまたやってみると。また、更に検証をして、それでまた結論を出してみて足りないところは手当てをと。これを何回か繰り返していきましょうという裁判の迅速化をし、言わばシステム化する法律ということでございますので、そこでその迅速化ということを端的に前に出したということでございます。
○角田義一君 あなた一流の理論を展開されるんだがね。 先ほどの話を聞いていると、当事者の納得ということを言いますね、民事裁判の一番大事なことだと。私もそのとおりだと思いますよ。納得をさせにゃいかぬと。それは刑事裁判はそういう要素ありますけれども、特に民事の場合は両当事者が納得するということが大事なんだけれども。 当然、あなた方のお手元にも行っていると思いますが、日本弁護士連合会が「裁判の充実・迅速化のために」というので資料集というのを私どもにくれたので目を通しましたところですが、司法制度改革審議会が二〇〇〇年に行った民事訴訟利用者調査によれば、民事裁判に満足したという人は勝訴した人を含めて一八・六%しかいないというんだよ。五分の一以下ですよ。これの数字を見て私はびっくりしたんですが、こういう満足した、要するに納得していないということは、勝っても負けてもですよ、これしかいないんだよね。百人のうち二十人以下ですよ。 これ、どういうところに原因があると思います。
○政府参考人(山崎潮君) ここでまとめられているもの、理由を読みますと、例えば審理過程に対する評価、それから裁判官に対する満足度とか弁護士に対するもの、それから訴訟の費用に関するもの、そういうような点にいろいろ不満があるということでございますけれども、これで端的にこの中で明確に言われておりませんけれども、私はやはり物によっては時間が掛かり過ぎるということですね、これも不満の一つではないかというふうに推測しているわけでございますが、いろいろな要因が重なり合っているというのが実態であろうというふうに思っております。
○角田義一君 それは少し違うんじゃないですか。 先ほど、あなた、統計出して言われたけれども、民事の通常事件の審理期間というのは平均八・五か月だと。十年前に比べれば二・五か月も短縮したと、こう言っているんですね。証拠調べをやった審理期間でも十九・二か月というんだから約二十か月ですよ。要するに、裁判そのものは、民事訴訟の裁判そのものは短縮されているんだけれども、なぜ短縮されているのかということが問題だと思うんです、僕は。 いろいろこの資料等を見ると、はっきり言うと手抜き工事だよ。手抜き裁判だよ。手抜き裁判というのはどういうことかというと、当事者の言い分あるいは証拠調べ、そういうものを裁判所が極力制限する。そして、供述書、陳述書、書面審理だな、これを出しなさい、陳述書を出しなさいと。 本来、裁判というのは口頭弁論主義じゃないですか。もちろん民事というのは、争いのないところは証拠要らないんだけれども、争いのあるところは、それを書面でもって適当に書いたものを裁判所で、裁判所が目を通せばいいというものじゃないでしょう。やっぱり裁判所、裁判長の前で証人調べをやり、反対尋問もやり、そこで真相がおのずから出てくると。あるいは、当事者の、当事者調べなんて全然やらない裁判がたくさんあるという話じゃないですか。 当事者の言い分も聞いてくれないで納得するはずないよ。当事者調べやらないんだから。訴えているのは当事者ですよ、あなた。その訴えている当事者の言い分を法廷で聞いてやらない、それで陳述書を出せと、そうやれば裁判の期間は短縮されるに決まっているんですよ。 だから、この裁判の短縮というのは決して喜ばしいことでも何でもないんです。充実していないんですよ、私は。充実を犠牲にして迅速だけでもって来たのが今の実態で、更にこれを加速しようとしているんじゃないかと僕は思うんです。裁判はますます国民から離れる、逆に言えば、こんな迅速化法案でやったら。 どう思います。私の指摘、どう思う。
○政府参考人(山崎潮君) 裁判、もしそういう実態があれば、それは個々の事件によって差異はあるかもしれませんが、一般的に言えば、それは確かに好ましくないということでございます。やはり、言い分があるんだから聞いてあげるというのが裁判の原点であると。それは、陳述書を出させてもそれはいいですけれども、それに伴って、短時間でもいいから口頭で聞いてあげるということが必要かなというふうに私は思います。 そういうようなもし実態にあるとすれば、これは十分な審理を経ていないということでございますので上訴審に行ってもいろいろ変更されることもあり得るわけでございます。そういうことで是正はされていくということになりますが、まずそういうことをやられたら困るということだろうと思います。 そこで、私どもも、そういう点も配慮をしながら、充実した手続、これをやることを前提にして、その上で審理の迅速化をしていこうと、こういうことを法文でもはっきりうたっているわけでございますので、それがもう前提になっているということで御理解をいただきたいと思います。
○角田義一君 私に言わせれば、じゃ、この法律ができて初めてあれですか、裁判が充実するわけ。今までは全然ひどい裁判だったということですよ、あなたの言うことをかりて言えば。とんでもない裁判制度だったということだよ。本人の言い分も聞かないし、本人調べもやらない。陳述書を出して判決だけ書けばいい。えらい裁判官、裁判所だったと、今まで、そういうことになるんじゃないですか。 だから、私が言いたいのは、こんな法律、こんな法律なんて言っちゃ悪いけど、法律作る前にやること一杯あるんですよ。例えば、裁判官を増やしてもっと軽くしてやって、それで本当に本人の言い分を十分聞いてやれるだけのゆとり、余裕を裁判官に与えるということの方が先決でしょうが、こんな法律作るより。そう思わない、あなた。どうですか。
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、今までも裁判官を増員していくべきであると、この司法制度改革でもそういうことはうたわれているわけでございます。これにつきまして我々も努力してまいりますけれども、ただ、これは抽象的に増員すべきである、人を増やすべきであるということを言ってもなかなかインパクトがないわけでございます。 そこで、我々は、この法案に基づいて検証を行って、二年という目標を与えて、それにどれだけのものがそぐわないのか、そぐわせるためにはどういうものが必要なのかということをこれによって明らかにして、その具体的な増強をしていくということにつながるわけでございますので、そういう意味で私はこの法案は大変重要な意義があるというふうに理解をしております。
○角田義一君 その実情というのはもうみんな知っているんですよ、弁護士会にしろ、裁判官にしろ、検察官にしろ。これじゃどうにもならぬ、人間が足りなくてしようがない。一遍に司法試験でどうこうするという問題があるんだけれども、それはそれとしても、問題点というのははっきりしているじゃないですか。それは各地の裁判の実情を見たら、もう事件がどんどん増えているのに裁判官はほとんど増えていない、逆に減っているようなところもあるということで、それはよくこれだけの事件をこなすなというのが実態じゃないですか。 そういうもう問題点というのはこの法律作る前からはっきりしているんで、くどいようだけれども、この法律作る前にやることがあるんじゃないのということですよ。これは最高裁にも聞きたいな。あなた方、いい加減なこと言っちゃ駄目よ。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 突然のお尋ねでございますけれども、裁判所の方では、司法制度改革審議会に対して、現在の審理期間を半減するためにどういうようなことが考えられるか、裁判官の人的体制、あるいは裁判所職員の人的体制をどう考えるかと、こういうことをお尋ねいただき、最高裁の方から一つの提案ということをさせていただきましたが、そのときには、今後十年間で約五百人の裁判官を増員することにより審理期間は現在よりも半減できるということを明らかにしたわけでございます。 また、その五百人という数字につきましては、単に数字合わせをしたというものではなくて、第一審の裁判官の一週間の生活というものをシミュレーションし、その上で地裁の裁判官の意見も聞いて、こういうことであれば十分、事件処理がやっていけるだろうか、ある程度の余裕を持ってやっていけるだろうかと、こういうことを聞いた上での数字でございます。そして、その後、この五百人を増員するという前提の下に、ここ三年間、四十五人の増員を続けてきていると、こういうことでございます。 今後とも、十年間で五百人、あるいは今後、この迅速化法ということが施行されました折には、さらにそれで本当に必要かどうかということも改めて検証し直して適切な増員を図っていきたいと、こう考えておるところでございます。
○角田義一君 じゃ、話題をちょっと変えます。今、民事ばっかりやっておったから、刑事の方へちょっと話題、時間があるから。 刑事裁判の本質というのは何ですか、刑事局長。どう理解していますか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 急に難しい質問でございますが、いろいろな考え方があるんだろう、立場の違いによってまたあるんだろうというふうに思うわけでありますけれども、私自身といたしましては、これは正義の実現だというふうに思っております。 ただ、正義の実現、いろんな方法があるわけでありますけれども、それを刑罰法令の適正な適用というところから正義の実現を図っていくものだというふうに思っておりまして、これを端的に言いますと、罰すべき者は罰し、罰せざるべき者は罰しない。また、罰するにいたしましても、罪重い者は重く、罪軽い者は軽くというところの刑罰法令を適用していくことにあると思うんでありますが、これを適正な手続によって、刑事訴訟法の一条によりましたら、人権の保障と公共の福祉の実現ということの両面を考えながら適正に刑罰法令を適用していくと、これが刑事司法の本質だろうというふうに考えております。
○角田義一君 久しぶりにいい話を聞きましたな。そのとおりだと思いますよ。 そこで、私はどちらに力点を置くかというと、やっぱり罰せざる者を罰してはならない。要するに、冤罪は避けにゃいかぬということでしょう。無実の者を刑務所にやるほど悲劇なことはないからね。 そうすると、本人が自白しているからこれ有罪だというわけには簡単にいかないんだけれども、否認をし徹底的に争っているという事件は当然あってしかるべきだし、それを二年でやるなんというわけにいかないでしょう。これはそんなこと関係ないんだよ、これね。刑事も民事もへったくれもないんだよ。何しろ裁判、二年以内でやると。こういう裁判、まずめちゃくちゃだよ、これは。 被告人が、自分は無罪である、無実であるというふうに訴えている者に対して二年以内に裁判をしなきゃという、努めなきゃならぬって書いてあるんだ、当事者は、これに。何か衆議院で問題になって、衆議院の諸君が一生懸命修正してだな、当事者の権利は侵害しないんだなんと、こう言っておるけれども、書いて、修正したようだけれども、本質の大事なところは全然変えてない。 要するに、当事者はこの二年の間にやらなきゃいかぬというんです。そんなことを言えるの、国家が、命じられるんですか。これはだれに質問しようかな。刑事局長だ。刑事局長、あなた、どうや、そんなこと命じられるのか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 確かに、起訴された人が自分は無罪であるというふうに訴えて裁判で堂々と争うということは当然にあるべきことでありまして、それを口をふさぐなんということはできるわけでもございませんし、また、してはならぬことだというふうに思っておりますが、しかしながら一つの社会現象としての犯罪というものを見ますると、裁判の白黒といいますか、本人が有罪であるか無罪であるか十年も二十年もたってから明らかになるというのは、これまたひとつ異常な社会でございまして、そういうことがないように、裁判を充実しながら裁判を迅速化して、その有罪、無罪をはっきりと早い段階で見極めを付けなければ、これは国民としまして、また被害者といたしましてもどこに頼っていけばいいのか分からない状態にもなるおそれがあるわけでございまして、一般的に刑事裁判というのは迅速化されております。しかしながら、一部のものが長引いておりまして、この一部のものは、これは審議会の意見書にも載っていることでございますけれども、そのたった一部でありましても、それが長引いているということに国民の刑事司法に対する信頼を揺らいでいるんじゃないか、揺るがせることになるんじゃないかということも考えられるわけでありますから、一般的にその事象が起こった早い段階で決着を付けるべき問題だというふうに考えております。
○角田義一君 一部の事件で裁判が相当長引いているというのはそのとおりでありますが、その主な理由は、弁護士の方は、弁護側は一生懸命それは無罪をかち取るために頑張るんだと思うが、先ほどあなたの言った正義の実現ということになれば、検察官の任務は、一方の当事者ではあるけれども、真実を明らかにするということになれば、例えば手持ち証拠というようなものを全部明らかにするということが大事じゃないんですか。手持ち証拠を裁判所が見て、そして弁護人もそれを検証してやればいいものを、どうも検察官の方はそういう公共の利益を軽視して隠す。自分の、国家権力が税金でもって集めた証拠を何で大事に隠して持っちゃっているの。それを国民の前に出せばいいじゃない、裁判所の前に出せばいいじゃないですか。そういうことをやりたがらないでしょうが、傾向として。それが一つ。 それから、すぐ大きな裁判になると自白がいいとか悪いとか、任意性があるとかないとかということで大問題になって、その自白の任意性をあなた、争うだけでもって裁判が随分時間が掛かっているのが実態でしょうが。だから、その裁判の、いや失礼、自白が本当に任意でできたかどうかということの、このごろの言葉で言えば可視性とかなんとか言っているわけだけれども、その辺が明らかに分かるようにするとか、そういうふうに、国家権力を握っている方がまずやるべきじゃないんですか。 それから、僕がちょっと関係して身柄の保釈のためにいろいろ頑張って努力している事件が、もう十六年間も一審がまだ終わらないで拘束しているのがあるんですよ。十六年、一審まだ終わらないんだよ。検察官の立証もまだ済んでいないんだよ。そんな人権侵害みたいな裁判やっていて、よくこんなもの出してこれますな、一方で。どうですか、刑事局長。
○政府参考人(樋渡利秋君) 刑事司法の迅速化につきまして、検察といたしましても今後考えるべき点が多々あるんではないかというところから、現在、最高検察庁の方に刑事裁判迅速・充実化プロジェクトチームというものを発足させておりまして、あらゆる観点から検討をしているところだと承知しております。 お尋ねの、証拠の開示につきまして、これは司法制度改革審議会のときからいろいろと委員の間で議論がなされましたが、証拠開示を広げるということについては大方の賛成を得たものと承知しておりますが、意見書にも書いてございますように、開示というものには、個人のプライバシーに影響を及ぼすとか、いろいろな不都合な面もあり得るというところから、それも考慮しなければ、考慮しながら考えるべきだという意見になっているはずでございます。そこで、最高検察庁の方におきましても、そのプロジェクトチームにおきまして、あらゆる観点から検討をしながら、もっとできるだけ柔軟な対応ができないかということを検討しているというふうに伺っております。 また、証人尋問につきましては、これは現在、司法制度改革推進本部の方で考えていただいております。また、検討会の方で考えていただいておることでございますが、事前準備におきまして争点整理をするということとも密接につながってくる問題だというふうに思います。争点整理に絞った尋問ができる、その際に、お尋ねの三百二十一条で提出するかどうかというような任意性の問題等ももっと尋問で明らかにできることがあるはずだと、いかにも形式的な尋問でそれを言った、言わないという水掛け論争ではなしに、尋問で明らかにしていく方法ということもプロジェクトチームでお考えいただいているようでございまして、いろいろな角度から、迅速化に向けて検察官がすべき方策、これから取るべき方策を検討しているところでございます。 保釈につきましては、これは裁判所の権限でございますので私の方でなかなかとやかく言うこともできないことでございますが、適正に運用されるべきは当然でありますし、また適正に運用されているだろうというふうに思っております。
○角田義一君 最高裁に聞きますわ。保釈ね。まず、保釈金が高い、それから検察官の意見のとおり。独立不覊の気概がある裁判官が猛烈に今減っている。検察官が意見を言ってこようが、自分がもっと、保釈するなら保釈する、こういう教育全然していないじゃないですか、今。検察官の顔色だけうかがって検察官が駄目だと言ったら駄目、そういう裁判官ばっかりだよ、今。恐るべきことじゃないですか。どうだい、局長。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 検察官の意見がどうであれ、きちんと事件に見合った処理を行うのが裁判官でありますから、そこの点は誠にごもっともでありますけれども、そういった裁判官ばかりであるというところにつきましては異論がございます。
○角田義一君 あなた、異論があると言ってそういう立派なことを言うんなら、もうちょっと保釈が増えてもいいんだわ、世の中。全然増えてないですよ。金、高い金積まされて、金にしたってですよ、大体、私のつたない経験で今聞いてもみんなそうだよ。だから準抗告が増えるんですよ。裁判官が第一審の保釈の却下をするから準抗告増えるんじゃないですか。もうちょっと、司法研修でどういう教育しているか知らぬけれども、気概を持った裁判官をつくってくださいよ。はい、局長、お願いします。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 今直ちに数字は言えませんけれども、保釈請求率に対する保釈認容率というものはずっと変わってきておりません。したがって、保釈が求められているにもかかわらずその保釈がされなくなってきているのではないかといったところは、少なくとも統計上は出ていないというところを御承知おき願いたいと思います。 そういった気概を持った裁判官を今後ともつくり続けていきたいというのは誠に同感であります。
○角田義一君 まあ頑張ってくださいよ。 それからもう一つ、時間があるけれども聞きますけれども、山崎部長さんに聞きますが、この検証というのがあるわな、二年間でどうなっちゃったかというのを検証する、なぜこんなものをやるの、検証制度というのを何で作るの。
○政府参考人(山崎潮君) この検証は、二年という目標を立ててそれでやっていこうとしても、やっぱり実態を見てみないと本当に可能なのかどうか、どこに問題があるのかということが出てこないわけでございます。これを出てきて施策に結び付けないと実効性がないものになってしまう。 そこで、この実効性をあらしめるためにこの検証を行ってもらいまして、その検証結果をいろいろ分析をして、で、やはりその手続の問題で、手続が必要なのか、あるいは人的体制が必要なのか、そういうような施策に結び付けていただきましてその施策を実行していくと、こういうために絶対に必要なものというふうに理解をしております。
○角田義一君 ちょっと細かいことを聞いて申し訳ないが、時間があれなんですけれども。 この検証というのは、検証の対象ですな、検証の対象の裁判というのはどういうの。その二年を超えた暁にピックアップしてきてやるんですか。ちょっとあなた方が想像していることを言ってちょうだいよ。どういうふうにやって、やりたいんだか言ってちょうだいよ。
○政府参考人(山崎潮君) この法律案でも「二年以内のできるだけ短い期間」と言っております。ほかの訴訟手続以外のものについてもできるだけ短い期間と、可能な限り短い期間ということを言っておりますので、全事件が対象になるということでございまして、二年を超えたものだけではないということでございます。ですから、そういう意味では、全事件対象で裁判所の方で把握をしていただくということを頭に入れております。
○角田義一君 そんな非現実的なことやめなさいよ。全事件をだれが審査するんだね。裁判のもう一遍事実上やり直しみたいなものじゃないか。全事件やれるはずないじゃないの、あなた。そんな無駄なことやめた方がいいよ、税金の無駄遣い。もう一遍全事件を洗って、これ二年超えたか超えないか、なぜ超えたか、そんなもの、あら探しなんと言っちゃ悪いけれども、全部の事件なんてできっこないじゃないですか。
○政府参考人(山崎潮君) まあ形は違いますけれども、現在、裁判所の方でも事件の動向を把握するために、それは一審以外のものも含めましていろいろ通常の調査はされていると思いますので、それにいろいろなものを加えていくということになろうかと思います。
○角田義一君 あとは江田先生にお任せするけれども、最高裁判所だけで、自分たちだけでやるわけ。例えば、弁護士会だとか検事だとか一般の人を入れてそういうのを作って、プロジェクトみたいなのを作ってそこが検証するということはしないの。第一、全部やるなんというのは無駄、無駄なことはやめた方がいいですよ。私は思う。できないよ、そんなこと。 それで、裁判官、今度、萎縮するわ。またもう一遍見られるのかと、おれの出世どうなっちゃう、人間だもの、考えますよ。考えるなといったって無理だ、それは。裁判、事実上の裁判官の独立を、局長またどんな答弁するのか分からないけれども、最高裁どんな答弁するのか分からないけれども、そういうものですよ、人間というのは。もう一遍調べられて、それでおれがやった裁判が二年を超えちゃったから、おれの出世どうなるだろう、考えるの当たり前ですよ、人間だもの。よほどしっかりした人じゃなきゃ、このくらい関係ないと言って割り切ってやるような裁判官がいれば大したものだけれども、そんな人はいない、今。 どうです、どういうシステムでやるのか、これ。
○政府参考人(山崎潮君) この調査によって裁判の独立に影響を与えるということは厳に慎まなければならないことでございますし、そうあってはならないということはもう裁判所法でも明確にうたわれているわけでございます。 この調査は個々の事件、それが当否とかそういうものを調査するというよりも、全体を把握して、それで全体を検証して、それで将来どういうものについて何が足りないかということの施策のために使うということでございますので、その個々の事件の調査が主の目的ではないということでございます。そういう意味で、その裁判の独立に影響を与えるというおそれはないというふうに考えております。 それからもう一点、弁護士会等の参加云々の問題でございますけれども、これは正に調べる、調査をするときには個別の裁判の内容にも入っていくわけでございますので、そういう意味で裁判所以外のところがそれを行うということについてはやっぱり裁判の独立に影響を与えるおそれがあるということから、これは最高裁判所に限っているわけでございます。 ただ、これをいろいろ分析してどういう問題点が考えられるか、何が原因であるかということに関しましては、やはり検察庁、弁護士会、それぞれのいろいろ御意見も賜って、その上で施策に結び付けていくということが必要になろうかと思いますので、その運用上の問題としてはそういう声をきちっと伺ってやっていくということが必要だというふうに理解をしておりますし、最高裁判所の方もその点はお考えになっているというふうに理解をしております。
○角田義一君 この修正で「客観的」って付け加えられた意味、あなたどう理解してるの。最高裁判所そのものだけでやるということを信用してないんですよ、この法案、修正されたということは。私はそう理解している。裁判所だけが単独、独断で検証するのは許さないという趣旨だと私は思っているんだよ。あそこに提案者いるから後でどうせ質問があると思うけれども、後でやるからいいだろう。そうだと私は思うんですよ。客観的にというのをわざわざ入れられたんだから、その意味、どう理解しているの、山崎さん。
○政府参考人(山崎潮君) これは、条文自体は主語は最高裁判所が検証を行うということになって、そこは変わっておりません。 ただ、その客観的にということを議員修正で入れていただいたわけでございますが、これはやっぱり裁判所だけではなくて外部の声も聞いてその原因を調査していくと、調査というか原因を検討していくと、こういうことを言っているわけでございますので、そういう意味の文言であると私は理解をしております。
○角田義一君 私の質問、時間ですから江田先生にお願いをしますが、裁判の迅速化に関する法律案というので、えらい大変な法律なんで、これ理事さんにお願いしますけれども、審議余り迅速にしないでちゃんとやってくださいよ。それで、問題点をえぐり出して、これで附帯決議でも何でも立派なものを付けるなり修正するなりして、もう一遍衆議院に返すぐらいなひとつ気持ちで私はやってもらいたいということだけ要望して、終わります。
○江田五月君 角田委員の方から質問がありまして、私も全く同感で、何でこんな法律が、法案が出てきたのかなと大変いぶかしく思っております。 そこで、今の角田委員の質問を更に補足をしたり、あるいはもう少し掘り下げてみたり、いろいろやっていきたいと思います。 その前に、この法務委員会、今日の前の質問はちょうど一か月前、六月の三日でしたね。そのときは心神喪失者等医療観察法案の審議であったわけです。 多くの解明すべき問題点が本当にたくさんまだまだあって、私どもも幾つかこれは委員長にもお願いをし、委員長も理事会で協議をすることを幾つかお約束をいただいていたわけですが、これが全部そのまま積み残しになって抜き打ち強行採決と、しかも直前の理事会でも採決の提案もなしにということで。いや、偶然そうなっちゃったんだと、それにしてはいろいろ手際が良過ぎるということだったと思いますね。残念でなりません。 心神喪失者医療観察法案は衆議院に送られましたが、この場に多くの問題点は残っているわけで、これは、あのときの審議を終了し採決をした経過については、野党各委員の発言もあり、また委員長の御発言もありましたから、それをこれから蒸し返すことはいたしませんが、しかし、そこで残された問題については、これは私たちは今後とも厳しくフォローしていかなければならないと思っておりまして、まず冒頭そのことだけは申し上げておきます。 また、昨日は、衆議院の方ですが、二つの特別措置法の強行採決が今日にも行われるのかと、すべての審議がストップするのかと思いましたが、これはどうやら回避をされて国会の方は衆参ともに正常に審議が進んでおりまして、私ども法務委員会は、特にこの参議院の法務委員会は、これから処理が待たれている法案がもう山ほど、本当に山ほどあるわけでございまして、精力的な審議を進めていくと。衆参ともに全部の委員会が、この参議院の法務委員会の審議に悪い影響があるようなことがないようにやってもらいたいとつくづく思っております。しかし、本日議題の迅速化法案は、これは手抜きで迅速にとにかく手早くやればいいというものではないと、角田委員おっしゃるとおり。 そこで、本日のこの裁判迅速化と民事訴訟法の改正案と人事訴訟法案と、この三法案でございますが、私たち民主党も、今、角田委員も私も申し上げたいろんな疑問点は感じておりますが、衆議院での、今日は修正案提出者も来ていただいておりますが、大変な御努力もあって参議院に送付を、修正で迅速化の方はされておりますので賛成の立場ではございます。賛成の立場ではあるけれども、やっぱりいろいろ、ここはただしておきたいと、よりいい法律になるように、そしてその法律の成立の結果、よりよい裁判が実現するように努力をしていきたいというので質問をいたします。 まず、裁判迅速化法案について森山法務大臣に伺います。 どうも、なぜ一体この法案が出てきたのか。さきの心神喪失者等医療観察法案とどうも同様に、小泉首相のツルの一声といいますか、お声掛かりで法案化されたとも言われている。私も何かそんな感じがします。となると、またこの医療観察法案と同じように、軽率で誤った認識から出発をしているんじゃないかと、そこを検証しなければならぬと思うんですが。 一体なぜこの法案が必要なのか、二年以上掛かる裁判が本当にそんなに多いのか、この法案がなければ裁判の迅速化はできないのか、その辺りについて、法務大臣、どう認識をしておられるのか、お伺いします。
○国務大臣(森山眞弓君) 最近は、我が国の裁判は、関係者の御努力によりまして少しずつ短縮化されてきたことはおっしゃるとおりでございます。しかし、例えば当事者間で争いがあったり、人証調べ等を必要とする事件、複雑、専門的な事件、国民が注目しているようないわゆる重大事件などにおきましては依然としてかなりの長期間を要するものが少なくないというのが現実でございます。 この法案は、このような事件を含めて、第一審の訴訟事件を始めとする裁判の一層の迅速化を図ろうというものでございまして、そのための基本的な枠組みを規定する点に意義があるというふうに思うのでございます。
○江田五月君 確かに、長く掛かり過ぎる事件も、それはあります。個別の事件を言うといろいろ波紋を呼ぶといけませんが、例えばこれは、例のリクルートの江副被告に対する刑事裁判があれだけ時間が掛かって、もう風化してしまってだれも、だれもと言うといけませんが、今ごろ何言っているんだろうという感じになっている。しかも、これは執行猶予ですから被告人は、痛くもかゆくもないと言うといけませんけれども、過ぎたなという、これでいいのかとか、あるいは最近では、十数年掛かった医療過誤事件ですかね、裁判官が判決で、これだけ時間が経過してしまったことについては一定の遺憾の意を表明をしたというような事件もありました。 こういうものは、それは早くなきゃならぬと。しかし、ごくごく例外だと思いますよ、全体で見ると。そして、むしろ今、訴訟関係者の方は、もうちょっと聞いてほしいと、もうちょっと裁判官に分かってほしいというような、そういういら立ちを感じながら判決を受けておると。これが先ほど角田委員御紹介の弁護士会の資料の中にも出ているわけですよね。 もし、迅速だけが、つまり速ければ速い、短ければ、審理期間は短ければ短い方がいいというんだったら、二年なら二年で、もう二年たったら判決するんだという法律を決めれば判決はできますよ。森山法務大臣、それはお分かりですか。二年たったら判決をするんですという法律を作って、どうやっても判決するんならできるということを、これはお分かりでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) もしそういう法律があればそういうことになるだろうとは思いますが、それではやっぱり裁判の目的を果たすことができないと思いますので、そういう法律は恐らく作れないんではないかと思います。
○江田五月君 だけど、例えば裁判というのも、裁判機構も検察も含めて、維持していくのに国民の税金でやっているわけですよね。国民の税金でそうやって提供されている司法サービスを、当事者だけが使うわけですから、それはいつまでも使われたら困ると、もうあなたに許された時間は二年以内ですと、それ以上使っちゃいけませんという、そういう考え方が、どうです、そういう考え方はどこかおかしいですか。まあちょっと、法務大臣。
○国務大臣(森山眞弓君) そういう考え方もあるかもしれませんけれども、やっぱり裁判というものは、民事、刑事、それぞれに目標がありまして、その目標を達成するということが重要なことでありますから、二年だけであとは打ち切るというようなことはできないと思います。
○江田五月君 もちろん私は極端な言い方を今しているので、これは、じゃ、山崎局長とちょっと議論してみましょうか。 いろんな要素があって、どれもそれなりに一定の必要な利益であると。それをどういうふうにうまく組み合わせながら一番いい組合せの結論を作っていくのかということで、時間は短ければそれは短い方がいいだろうけれども、しかし短いことだけが唯一の価値ではありませんよね。 今の私の二年でやれと言ったらできるというのは、これは山崎さん、お分かりですよね。つまり、もう立証責任で片を付けりゃいいんですから、もうここでおしまいと、あとはもう勝手にしてくださいと、あとは出ている証拠で、これは立証できています、これはできていませんと、できている、できていないの責任がどっちにあるかは、それはもう立証責任で解決しますとやれば判決は書けますよね。どうですか。
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、おっしゃるとおり、そういうシステムを作れば、立証できない方は負けと、そこで終わりということになろうかと思います。これはできることはできると思います。しかし、これをもしやるとすれば、一体裁判って何だということがまた逆に問われてくる。紛争はきちっと解決していないじゃないか、あるいは言い分をきちっと言わせていないじゃないか、こういうことにもなろうかと思います。 ですから、私ども、今回考えましたのは、やはりやることもきちっとやりましょうと、その上で時間をなるべく短くやっていきましょうと、この二つの要素を両方持ったそういうものにしましょうということを問うているわけでございます。
○江田五月君 ある一定の時間だけ当事者に与えて、そしてその間にどうぞ好きなようにやってくださいと、それで、ある時間が来たら、もうおしまいです、あとは判決しますと、それでは裁判にならないんでしょう、やっぱり。それでは裁判にならないんでしょう。 さて、そうすると、それじゃなぜそれでは裁判にならないかというと、やっぱりそこに当事者の納得というのが全くないからだということになるんじゃないですか。裁判というのは、刑事裁判もそうだと思いますが、民事裁判の場合は特にやっぱり紛争の解決なんですよね。紛争の解決ということになれば、これは私の持論なんでいろんな意見あるかと思いますが、判決で紛争が解決するなんということはまずないと思った方がいいんです。判決でやって強制執行やって、ちゃんと取れるものが取れるなんということはまずないと考えた方がいい。それよりは、例えばそれは自分の求めるものの半分であったって三分の一だって現実に取れた方がよっぽど解決には資する。 今のも極端な言い方をしているわけですけれども、そうすると、先ほど角田委員の冒頭強調されていた、やっぱり当事者の納得のためには時間の効用というのがあるんだと。一定のやはり熟度といいますかね、事件がずっと熟してくる。ライプネスといいますか、和解に熟してきた、それがやっぱり一番民事の紛争としては、民事の解決方法としてはいい。しかし、どうやってもこれは和解で熟させるというわけにいかない。しかし、もうここは判決に熟しているという判断をする。そういうような、時間を掛けながら熟成させていくという、それが裁判官の技量だということはあるんじゃありませんか。
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘のとおりでございます。そういう側面も当然ございます。ですから、当事者の納得と紛争解決、この両方を求めなければならないということになろうかと思います。 それで、この法案におきましても、裁判所の責務のところで、「可能な限り」ということを言っているわけでございまして、それからこの六条でございますね、充実した手続を実施することにより、可能な限り二条一項の目標を実現するように努めるものとすると言っているわけでございます。それから、当事者の責務のところも、手続上の権利は、誠実にこれを行使しなければならないということを言っておりまして、やっぱり必要なものをやっていただくということが前提でございます。裁判所の方も必要なものはやるということが前提になっているということで御理解を賜りたいと思います。
○江田五月君 そういうお答えを本当に大切にしながらこの法律の運用をやっていただきたいと思います。 私なんかは、私も裁判官やっていたんですが、裁判官やっている当時は、どっちかというと早い方が好きでした、本当は。もうそんなに当事者がもうあれこれあれこれ細かなことをしつこくしつこくというのにずっと付き合い切れないよと、もうこの辺でひとつ判決しようやという方が個人的には好きだけれども、それではいけないということで、やはりそこは当事者の納得のためにいろんな努力をしてきたつもりです。 それから、もう一つこういうこともあるんですよ。当事者の納得といったって、特に民事事件は一審だけじゃないから、さっき山崎局長は、高裁へ行ったらまあ疲れ切ってみんな来ているというふうにおっしゃったけれども、だけれども、裁判所だって、一審は途中下車じゃないけれども、この辺で一遍判決しておこうと。で、判決というものがその両当事者の紛争の中に一つ加えられて、その判決を見て、高裁へ行って和解をするとか、あるいは、まあまあ判決が出たから、どうせ高裁へ行ったってまあ変わりもしないからここらでいいやとか、審理が充実していようが納得が得られようが、まあそんなことはいいやという、そういう処理の仕方もあるし、現実に民事事件の処理の中では、一審はここまで、あとはどうぞ高裁で、和解の素材となるような判決をしておきましょうと、ちょっとこれは片っ方の当事者が余りにも態度がきつ過ぎるから、高裁へ行ってもうちょっとこの態度を変えてもらうためにこっちを負かしておきましょうなんて、そんな判決だってありますよね。どうです、正直なことをちょっと答えてみてください。
○政府参考人(山崎潮君) 何ともお答えしにくい御質問でございますが、事件により顔が違いますから、その顔に合わせた、性格に合わせた処理の仕方というのは当然あろうかと思います。
○江田五月君 刑事だってあるんですよね。それをもうあながち、あなた、今、顔に合わせたとおっしゃったけれども、なかなかいい表現をされる、事件のそれぞれの性格ですから、今のような、一審はここまで、どうせ民事は続審ですからあとは二審でというのも一つの知恵でもあるんですよね。だけれども、一つの知恵でもあるけれども、そういう顔をしていない事件に無理やりそういうやり方を押し付けると、これはえらいことになります。裁判の拒否になりますよね。 ですから、やっぱり二年あるいは二年以内のできるだけ短いとかというのを機械的に当てはめたら絶対にこれはいけない。絶対それは裁判の否定につながってしまうということを申し上げておきたい。裁判というのは短ければ短いほどいいというものでもないんで、もちろん長ければ長いというものでもない。それから、充実と言うけれども、充実はもちろん大切だけれども、充実という名の下に、何か熟してぽとっと事件が落ちてくるのをじっとただ待っているだけというようなことは絶対あっちゃいけないという、そういういろんな要素が複雑に絡んでいるというのが裁判だということをよくお分かりだと思いますけれども、くれぐれも注意をしてほしいと思います。 さてそこで、幾つかの事件について、これもお答えしにくければ知恵を働かせた答弁をしていただければと思いますが、例えばオウム真理教の事件というのは、これはこの法案が成立したら進め方は変わるんですか、変わらないんですか。刑事局長は──いいですか。
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、個別の事件、係属中でございますし、今ここで個別の事件を言うことは適当ではないかと思いますが、それはさておき、やはり今非常に長く掛かっているような事件、こういうものをいろいろ分析を、検証するわけですね、この八条で。そういうことによって、やっぱりどこに問題があるのか、それが手続なのかあるいは人的体制なのか、あるいは別のものか、こういうものをきっちり検討して出すわけでございます。将来の施策に結び付けるわけでございますので、そういう意味では、全体的な大きな意味では、それが施策に結び付けば裁判が迅速化していくということは当然あり得る話でございます。
○江田五月君 もう一、二、個別の事件ですが、さっきちょっと挙げたリクルート事件、これも非常に長い裁判。これが、迅速化法があったとしたら、この裁判は短縮されたんでしょうか。それからもう一つ、十数年掛かったと言われる医療過誤事件、これはこの法案があったとしたら短縮されたんでしょうか。御説明ください。
○政府参考人(山崎潮君) ちょっと個別の裁判の内容を私も十分承知しておりませんのでお答えすることはできませんけれども、先ほど申し上げましたように、やはり八条で調査をし、それで検証をして、仮に何かその事件が手続上の問題だったと、こういう手続がないからこそ遅れてしまったんだという問題があれば、やっぱり手続を改正せざるを得ないと思うんですね。それに従ってやっていけば迅速化していくということは当然あり得るわけでございます。それが例えば、膨大な事件であると、人が足りないんだと、そこに投入する人が足りないんだというのなら、人を増やしてやっていくということで迅速化が図られるということで考えておるわけです。
○江田五月君 だけどですね、今、私は三つの個別の事件を挙げて、どうなんですかと聞いて、それは、個別の事件のあそこはこうだ、ここはああだという答えはそれは難しいですよね。だけど、今の局長の答弁ですと、どうも個別の事件の検証をして、そこに問題があったら制度を改めてというようなことをやるかのような答弁に聞こえましたが、どうなんですか。最高裁の責務となる検証、この検証は、そういう個々の事件の個別の検証はしないと、さっきあなた、そう答えたばかりじゃなかったですかね。
○政府参考人(山崎潮君) 個々の事件の、検証をして個々の事件の当否を言うわけではなくて、そういうことを抽出させて将来どういう施策にマクロ的に利用していくかと、そういう意味の検証でございます。 ただ、その前提としては、個別の事件がどんな態様であったかということは調査として把握はする。把握はするけれども、その事件の当否を言うのではなくて、将来どういうことが必要になってくるかということをマクロ的に判断をする、こういうことでございます。
○江田五月君 いや、それがよく分からないんです。マクロ的という言葉を使われた。しかし、個別の事件の、いろんな抽出してということも言われた。しかし、二年以上掛かったものだけを抽出するわけではないと言われた。全部の事件だと、さっき角田委員の質問では言われた。全部の事件なんて、とてもそんな全部の事件を一つ一つ見るなんてできないじゃないかというのは、これは当たり前だと思いますね。 だから、どういう検証の仕方をするかというのは、何か混迷してしまって私もどうも頭がうまく整理できない。どうやって、どうやって検証するということをこの法案の提出者としては考えておるんですか。
○政府参考人(山崎潮君) これは、現在もいろいろ裁判所の方で統計を取るためには調査をされているわけでございまして、そういう意味では全事件対象になろうかと思います。そういうことにいろいろな必要な項目を加えていくということでその調査をするということになろうかと思います。
○江田五月君 抽象的なお答えになるときはそれなりにふんふんとなるんですが、それが実際どう具体的な姿を取るのかと想像を巡らすとどうもよく分からなくなる。 検証はマクロで行うと、具体的な事件をピックアップするということはないと、全体を統計的な手法で姿を、今の現実のその訴訟の姿を見て、その中で更に迅速にできるような要素は何かないんだろうかということをこう探っていくと。たしか私が山崎局長から聞いた説明では、そうやって今の全部の事件の中で見ると、例えばやはり人的な体制がもっと整えばもう少し短くなるんではないかというようなことが結論として出てくる。そうすると、人的な体制を整える努力をして、それが今度、その今の検証から出てきたアウトプットの結果、現実の司法の運営の中に投入される。で、それが今度実現されたら、今度はまた司法の姿が変わってくる、ああ少し短くなった、ああなるほどあれが効いたんだなというようなことを検証の結果、また自分たちが手に入れる、そして次には、今度は物的なものがもう少しどうかと、次かどうか分かりませんが。 というような、そういうある種の検証と施策と検証と施策と、そういう繰り返しの中で裁判の迅速化というのを図っていこうとするんだというように、何か私が答弁しているようで、ちょっと主客逆転しているような感じがしますが、そういう説明受けたんですが、それはいいんですか、それで。あるいは違うんですか。
○政府参考人(山崎潮君) 私の答弁内容を言っていただけたような形になりましたけれども、そのとおりでございまして、まず実態を調査して、検証して、何が足りないかということを抽出して、それを施策に反映させると、それでまたその状態でやってみると。それでもまだ何かが足りないとまた結論が出てくる、またそれは新たな施策にということで、これを何周かやっていくうちに安定的なものになっていくのか、そういうことを考えてこの検証を入れた、こういうことでございます。
○江田五月君 そうすると、迅速化で二年以内のなるべく短いとか言うけれども、それは目標として掲げているだけであって、実際にやるのは、そういうことをやるのは、一人一人の裁判官に、あるいは一つ一つの事件にこれだけでやりなさいというようなことをやるのではなくて、今の検証と、そしてそれに基づく施策の実現ということがこの法案の仕組みである、そこがこの法案の一番のみそであるというように私は理解をしたいんですが、それでいいんですか、そうじゃないんですか。
○政府参考人(山崎潮君) 正にそのとおりでございまして、個々の事件について、あれがいい、これが悪い、そういうことを問うものではございません。将来の施策に結び付けるための調査であり検証であると、こういうことでございます。
○江田五月君 何か誘導尋問みたいになって大変申し訳ないんだけれども、最高裁の方もそういう認識でいいですか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 今後、法律が制定された段階で具体的に検討していくということになりますけれども、事は裁判官の独立に影響するようなことでございますから、データ取る対象にはもちろん個々の事件ということになりますけれども、これをできる限り類型化する、大数的な観点から見る。そういうことによって、例えば運用面で、これはどうもこういった税法事件では鑑定に随分時間が掛かっている、調査官のですね、そういったものに掛かっている、あるいは医療過誤であれば、鑑定提出までの時間が非常に掛かっている、そういった運用面での解決策が本当に図れないのか。さらに、それで運用面では駄目だということになれば、それは手続面、手続法の改正ということにもなりましょうし、さらにはその後、人的あるいは物的体制といったところに広がっていくというふうに私どもは考えております。
○江田五月君 もう一遍、今の、こういうふうにするということを考えているということは分かりましたが、私が言ったように、個々の、個別の事件に着目をして、二年以内にやれとか、そのためにはこうしろとかというようなことではなくて、全体の今の事件の動き方、民事も刑事も、あるいは家事もある、いろいろある。そういうものを見ながら、そこへ一定の類型化とか、あるいはいろんな尺度を当てはめて、それをある意味では統計的に処理をしてみて、そして施策がそこから浮かび上がってくるものを見付ける、これを実現をする、実現をした結果がまた現実の司法の運営の姿に反映される、その姿を検証してみていくという、そういう繰り返しのシステムというのを最高裁も考えているんだと。これはそれでいいんですか、いけないんですか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 全くそのとおり考えております。
○江田五月君 そこで次に、そうだとすると、それは私、いいと思うんですが、どういう、今ちょっとお話しになりましたね、医療事件、医療過誤事件ではどうだろうかとか、あと何おっしゃったか、そういう類型化というのもあるでしょう。そのほかにもいろんな、マクロで検証するときの検証の手法、何を基準にして見るのか。あるいは、その中には、例えば当事者が多数の事件はどうなっているかとか、いろんなことがあるでしょうが、そのときの基準あるいは尺度、これはどういうものなのか。これは、まず推進本部の方はそこについてはどういうことを考えておられますか。
○政府参考人(山崎潮君) これは、まず基準、調査の基準でございますけれども、これはやっぱり裁判の迅速化にどういう要素が関与してくるかということが大事でございますので、例えば当事者の数だとか、それから審理の方法だとかそのやり方、そういうものをまず幾つか類型化をしていただきまして、それについて個々の事件、現場の方からチェックをしていただいて上げていただくと、それを基にして最高裁の方でいろいろ分析をしていくと、こういうやり方ということでございます。
○江田五月君 最高裁の方はいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) これにつきましては、これ最高裁がもちろん検証主体ということになっておりますけれども、最高裁だけでこういったものがすべてでき上がるというふうには思っておりません。最高裁だけが結論を出したにしても、法曹二者の協力を得られなければ、言わば迅速化は絵にかいたもちになるわけでございますから、そういう意味では、検察あるいは弁護士会の知恵というものもおかりしていかなければならない。 したがって、ここで断定的なことはもちろん申し上げかねるということは御理解いただきたいわけでありますけれども、基本的には、大きくまずいろんな統計を取りまして、その上で問題を類型化し、その上で、この辺りに問題があるんではないか、この辺りが隘路になっているんではないかといったことに仮説を立て、更にその上でそこの部分に焦点を当てたデータを収集し分析をしていく、こういうふうなことになっていくんではないかなというふうに思っております。
○江田五月君 今まだ、マクロで把握したこの調査検証対象をどういうふうにして解析していくかという基準、尺度までお話しいただけるほど、それこそ熟していないのかもしれませんが、十分そういう問題意識でやっていただきたい。 そこで、修正案提出者山花衆議院議員に伺いますが、法案の第八条、「最高裁判所による検証」について、「客観的」という、そういう文言を加えた修正をされた、この趣旨ですね。この「客観的」というのは主観的の反対ですから、そうすると、やっぱりデータに基づいた検証というようにも読めるし、それから、最高裁がやるというけれども、最高裁がやるというだけでは、これは、観念的とは言いませんが、最高裁という主体がある意味で主観的にやるということだから、そうではなくて、その手続の主語は最高裁でも、いろんな人をそこへ入れてというようにも読めるんですが、どういう趣旨の修正だったのか、そしてその修正の結果どういう効果を生ずるのか、どうお考えでしょうか。
○衆議院議員(山花郁夫君) 第八条の最高裁判所による検証の方法について「客観的」という文言を加えた趣旨でございますけれども、最高裁判所による検証は外部の有識者による客観的な判断が不可欠であるということを明確にするという点にございます。 かつて、宮沢俊義先生だったと思いますが、国家上級試験の合格者に非常に東大出身の学生が多いと、どういうことだろうかと。ただ、国家上級試験の試験委員に東大の先生たちが大変多かったので、それを指して宮沢先生が、猿回しが自分の猿を試験しているようなものだからだと、このようなことを言って、猿回しと比較するのは最高裁に失礼かもしれませんけれども、つまりは、自分たちだけではなくて外部の有識者を加えて判断することが不可欠であるという趣旨でございます。 この修正によりまして、検証を行う際に、法曹三者の協力だけではなくて、外部有識者の関与を認めるための措置を講ずることが期待できることになるものであると、このように考えております。 なお、衆議院の法務委員会でこの法案を採決した際には附帯決議が付されておりまして、そちらの方には、「最高裁判所による検証については、裁判の独立及び関係者のプライバシーを十分尊重しつつ、総合的、客観的かつ多角的な検証を確保するため、法曹三者の協力に加え、外部有識者の関与を認めるよう、必要な措置をとること。」と、こういう決議を付して、衆議院側の意思としてこういうことを希望しているということも御紹介させていただきたいと思います。
○江田五月君 そういう趣旨の修正だということですが、これは、修正されたものについての、修正案についての質疑というのはここで初めて行われるわけですから、聞いておきますが、推進本部の方は、今のような趣旨の修正であるということは、これは十分理解をしておられるでしょうか。そして、それはそれで、そういう趣旨の修正を踏まえてこの検証の実現を考えておるということでいいんでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) ただいま山花先生から答弁ございましたけれども、趣旨はそのとおりというふうに私どもも理解をしておりまして、これに従ったやり方をしていくということで理解をしております。
○江田五月君 最高裁にも同じことを聞いておきます。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 最高裁判所が最終的な検証主体という、されている意味というのは幾つかございますけれども、私どもの方としては、例えば検証の結果を国民に対してこういうものであるというものをきちんと説明する、そういう責任主体、あるいは、そういったことを提言した以上それを実行しなきゃならない、予算要求等も行わなければならないという意味で、これはそういった実施責任という観点からも、国家機関である最高裁判所が最終的な検証主体であるというところは考えられてきているものだと、こういうふうに受け止めております。 ただ、先ほどもお話し申し上げましたように、これは独り最高裁がそういった検証を行って結論を出せというものではございませんので、検証の大きなプロセスの中で、当然今、山花先生がおっしゃったような第三者、外部の声も聞く、そういったようなものをシステムとして組み込んでいく、こういうふうに考えているところでございまして、その趣旨が今回の八条の修正案であろうと、こういうふうに考えているところでございます。
○江田五月君 外部の声も聞く、それをシステム化していく。これは、システム化するというのはどういうふうにされるんですか。 つまり、この検証というのは、何か最高裁事務総局の中に一定の委員会を設置をする、その委員にはいろんな外部の人も入れる、あるいはそういう委員会を作って、その運営を明確にするために最高裁判所規則を作るとか、そういうことはもう既にお考えなんですか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) まだ成立していないわけでございますから、そこまで確たることは申し上げかねますけれども、そういったような現状に対しての検証システムの中の、検証プロセスの中のある一つのシステムとして組み込む場合、これをもちろん今考えているわけでありますし、また、アドホックにと申しますか、例えば統計の専門家の御意見を特に聞いてみるというような、そういったような御依頼の仕方という形もまたあろうかと思います。 その辺りは、どういう仕組みにしていくかということにつきまして、法務あるいは弁護士会とも今後相談してまいりたいと思っているところでございます。
○江田五月君 法律がまだできていないと、法案成立していない段階だからと言われるけれども、我々の方は、この法案成立させたらどういうことが行われるんだろうかなということも考えながら、この法案を成立させようかどうかを審議しているわけですから、法律ができてから考えますじゃ、それは困りますよ。 もう一度。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 江田先生、大変恐縮でございますが、裁判所は法案提出者ではございません。あくまでも法案ができた場合に、司法というのはこれを実行していくというのが私どもの責務でございますから、いささかやはり司法としては先走り発言というのはできる限り抑えたいという気持ちを持っております。その辺り御理解いただきたいと思います。
○江田五月君 先走り発言は慎まれるのは結構ですけれども、提出者でないからといったって、現実に、だって、検証の責任を負うことになる、この法案ができたら。そして、そういうものがここで今審議されている。余りこんなことばっかりやっていたら時間が掛かってしようがないけれども、やはりそこは、この法案が現実に可決されて法律になればこういうことを考えておりますということは、素直におっしゃっていただいた方がいいんじゃないかと思いますが。 修正についてちょっと伺いましたが、ここでその他の修正部分についても併せて聞いておきたいと思いますが、まず七条の方、これは当事者の責務について二項を加える、正当な権利の行使を妨げてはならないという規定。この修正の趣旨、そして効果、さらにこの「当事者等」、「当事者等」は一項の方に定義があって、その定義の中にある「当事者」、これには刑事被告人も含まれるのですか。その三点。
○衆議院議員(山花郁夫君) この修正は、第七条に新しく第二項を加えまして、当事者等の責務について、「当事者等の正当な権利の行使を妨げるものと解してはならない。」との規定を加えようとするものでございます。 この趣旨なんですけれども、裁判の迅速化の実現によって当事者の正当な権利義務が害されることのないようにするということであるということで御理解をいただきたいと思います。 先ほど来、大変御議論があるところですけれども、この修正を行うことによりまして裁判の迅速化と、迅速、迅速ということだけになってしまって当事者の正当な攻撃防御権の行使というものが制限されることはなくしていただきたい、そして裁判における当事者の手続保障に資するためにこういった修正を加えたものでございます。 なお、この「当事者等」の中には刑事被告人が含まれるというのは、これ、もちろんそのとおりであると考えております。
○江田五月君 二項では「正当」という言葉を使っている、一項には「誠実」という言葉がある。誠実も正当もそれはもう大変結構なことで、だれもそのことを否定する者はいない。ただ、現実の場面になると、これは誠実といい正当といい、非常に難しい場面というのはあるだろうと思うんですね。 ちょっと極端な例で聞いてみたいんですけれども、人間というのは、たとえ訴訟当事者であっても、訴訟当事者というのがその人の全人生というわけでも何でもないですよね。それぞれ皆、自分のいろんな人生を持ちながら訴訟当事者という一面もまた持って訴訟にかかわってくるわけですから、訴訟当事者ということだけですべてその人生を決めてしまえと言われてもそれは困るだろうと思うんですよね。ですから、私は、例えば死刑が求刑されることが当然予想できるような事件の被告人、この人が、おまえ、訴訟の中ではそれはちょっとやり過ぎだよというようなことがあるにしても、いや、自分はやっぱり生に執着するんだと、自分は生きたいんだと思って一生懸命ありとあらゆる努力をすると、これは誠実じゃないんでしょうか、正当じゃないんでしょうか。まず修正案提出者、そこはどうお考えですか。
○衆議院議員(山花郁夫君) 私は、個人的には死刑制度はなくなれば一番いいと思っているんですが、そのことはさておき、死刑求刑が予想されるような事件においては、恐らくはたから見ていると、弁護士さんも、被告人が犯罪事実について認めているケースなんかですと、一生懸命今度は情状の立証をしようとすると。そうすると、この被告人の小学校のときの先生を呼んでくれとか、はたから見ていると訳の分からないようなことをやっているのかもしれない。ただ、その被告人がどういう人格形成過程を経て今のこういう人になったのかというのを立証しようとして一生懸命そういうことをやることはあると思います。それは、二年を超えようが何であろうが、私、提出者としてはそれは正当な権利の行使であると、このように考えております。
○江田五月君 同じことを推進本部の方にも聞いておきます。 誠実あるいは正当といっても、その言葉は、それを聞いただけではそれはなるほど分かりますと、ですが、実際の場面場面になるとなかなか苦しむ場面が出てくるだろうという気はするんですが、そこで今の、死刑求刑が予想されるような事件の被告人が生きるということに執着をする、そのために必死の努力をするということは、おまえ、それは誠実じゃないよとか正当じゃないよということが、というようなことをほかの人間が言えることなんでしょうか。どうでしょう。
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、死刑を求刑された被告人の立場でございますけれども、その争い方は、犯罪事実を争う場合もありますし、情状で立証をしていくという場合、両方ありますけれども、やはり必要な防御活動を行おうとする場合に、裁判所が二年なら二年という審理期間の目標を、それに拘泥して十分な審理を尽くさないまま審理を進めるということは私はあってはならないというふうに思いますし、正当な権利行使を制限するようなことは避けるべきであるというふうに思っております。 そういう観点から、この法案の二条三項でも当事者の正当な権利利益を害することがあってはならないということを元々明示していたわけでございますが、修正によりまして七条の二項にも、非常に重要な点なので、そこにもう一度文言を加入をし、挿入をいたしまして、よりその趣旨を明確にすると、こういう修正が行われたわけでございまして、その趣旨は十分反映させた裁判を行っていくという必要があろうかと思います。
○江田五月君 法務大臣に、今のことなんですが、これは法律の細かな解釈がどうとかという話じゃなくて、法務大臣の法務行政全般を預かる言わば高い立場の政治家として、実際に裁判というのは一人の人間の人生が懸かるわけで、特に、人生どころじゃない、生命が懸かる裁判だってあるんですね。そういう営みですから、ですからそういう営みの中で、今の生きるということにもう見苦しいまでも執着をするということを、ほかの人間が、おまえ、それは誠実でないとかいうことが言えるんだろうか。逆に、そういうことを言うということが、何か変な風潮を作り出すということが起きるんじゃないかと。 やっぱりその立場に立ってみたら、もう生きていくんだという、それはやっぱりみんなの本当の気持ちの中にちゃんと伝わって、どう言うか、国民みんながそういう、自分は生きていくんだといって必死に見苦しい抵抗をしている者に対して、それをある種の理解を持っていくというようなことはこれは必要なことじゃないか。こういう法律を作って、そんなことはもう見苦しいからやめなさいなどということを世間は言っちゃいけないというふうに思いますけれども、いかがですか。
○国務大臣(森山眞弓君) もちろん、正当な権利行使を制限するというようなことがあってはならないというふうに思います。 この法律におきましてもそのようなことを言っているわけではございませんで、いわゆる世間一般で言うところの濫用のようなものにわたることは慎んでもらいたいというふうに考えているわけでありまして、生命を守るという人間、当然にすべての人が持っている要求、それを実現するために努力するということは正当なことではないかというふうに私も考えます。
○江田五月君 今、特に最近また、かなり目を覆いたくなるような凶悪事件もいろいろ起きたりして、これはこれで大問題。ただ、そのときに、あんな悪いことをしたやつはもう分かり切っているじゃないかと、裁判なんか要らないからもうすぐ殺してしまえなんという風潮が出てくるということはやっぱり慎まなきゃいけないということを申し上げておきたい。 それから、もう一つ修正で、第一条ですが、「充実」、これはどういう趣旨で、どういう効果を期待しておるのか、修正案提出者、お答えください。
○衆議院議員(山花郁夫君) 第一条の「目的」について、「公正かつ適正な手続」の表記を「公正かつ適正で充実した手続」の表記に改めた修正の趣旨と申しますのは、裁判の審理の充実は裁判の迅速化の前提であるということを明確にするためでございます。 先ほども角田委員からも大変厳しい御指摘がございましたけれども、やはり裁判の迅速ということだけではなくて充実した審理というものが本当に今求められていると考えております。 先ほど、山崎事務局長からは、いやいや、必要なことはやるというのは前提であるという答弁がございましたが、前提であればやはりしっかりと法文に明記すべきではないかというのが私どもの考え方でございます。 また、江田委員は先ほど、この委員会は六月三日に質疑をしたのが、それ以来だというお話がございまして、その中身は、言わば司法と医療の連携ということが問題になる法案だったと承知をいたしておりますが、私は、司法というのと医療というのは非常に似ているところがあるのではないかと思っております。 九九年の七月ですからもう四年ぐらいになりましょうか、私事で恐縮ですが、四年前、父を亡くしました。治らない、難病指定されている治療法のない病気だったものですから、お医者さんは大変手を尽くしてくれたと感謝をしておりますけれども、お医者さんが一生懸命やろうがやるまいが結果は一緒だったのかもしれません。裁判というのも実は似たところがあって、実体法に当てはめれば裁判やろうがやるまいが結果は一緒なことはあるんでしょうけれども、しかし私がお医者さんに感謝しているのは、もうできるだけ本当に手を尽くしてくれたと思っております。 裁判でもやっぱり、ちゃんと自分たちの意見を聞いてくれた、あるいはこの人の話を聞いてくれたと、それで納得した判決が出るのではないかと、このように思っておりますので、「充実した」という文言を加えることによって、裁判の充実化という名の下に、裁判において最も重要な審理の充実ということがかりそめにも害されることはなくなるという効果が生じるものと期待をしております。 先ほど、最高裁の方から、法案ができたら実行していく立場であるという答弁がございましたので、こういう立法の趣旨であるということをよく御承知おきいただいて、実行していただきたいというのが私の希望でございます。
○江田五月君 修正案提出者の方はそういう趣旨で効果を期待して修正されたということですが、推進本部それから最高裁、お分かりですよね、それはもう聞くまでもないですよね。 そもそも、充実させる、裁判を充実させる、これは本当の意味でですよ、何かじっと、ただただぼたっと落ちてくるのを待っているのではなくて。充実させるということが実は迅速という結果をもたらすことだと思いますよ。是非、くれぐれも充実をお忘れなくいただきたいと思います。 さて、時間の方もだんだん気になってきましたが、民事局に伺いますが、平成八年に成立して平成十年の施行の新しい民訴法、新民訴、これは裁判の充実、迅速を目指したものだと思いますが、簡単にちょっと、どういうポイントがあってどういう実が上がったのか、何か当事者へのアンケートなども行われたようですが、その結果も含めて御説明ください。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘の平成八年の民事訴訟法改正でございますが、これは、大きな目的といたしましては、国民に利用しやすく分かりやすい民事訴訟手続にするということを目指して民事訴訟の充実、迅速を図ろうとしたものでございます。 具体的なポイントとしては、まず第一に争点及び証拠の整理手続を整備する、次に証拠収集手続を整備する、また少額訴訟手続を創設する、これは簡易裁判所でございますが、それから最高裁判所に対する上訴制度の整備と、こういうようなことが柱でございます。平成八年に制定されまして、平成十年の一月から施行をされております。 その結果、訴訟の特に迅速化の点が統計上も明らかではないかと思っておりますが、実は十年前の平成五年には、地方裁判所の第一審民事訴訟事件の平均審理期間は十・一か月でございました。平成九年の段階で、それが十か月、平成十年に新民事訴訟法が、現行民事訴訟法が施行されまして九・三か月になりまして、平成十四年には八・三か月になっておりますので、民事訴訟につきましては確実にその迅速化が図られているのではないかと、こう思っております。 よろしいですか。
○江田五月君 アンケートの結果。
○政府参考人(房村精一君) アンケートの結果は、これから。 それでございますが、ただ、この新、現行民事訴訟法施行後、司法制度改革審議会が平成十一年に民事訴訟の利用者に対するアンケートを実施しております。 そのアンケート結果を見ますと、気になりますのはその訴訟の迅速化の点でございまして、裁判結果について、やや長いと、長過ぎるという評価をした人が三六%、そして合理的範囲だと答えた方は二八%、短過ぎると答えた方も八%ございますが、多くの国民は現行の民事裁判についてやはり長いという評価をまだ下しているのではないかと、こう思われます。
○江田五月君 推進本部に伺いますが、この民事訴訟における福岡方式というものは御存じでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) 概略は存じておりますが、詳しいことは存じておりませんが。
○江田五月君 いや、私も実は知らなくて、昨日、日弁連の副会長で福岡弁護士会の藤井克已弁護士、今、彼は来週、参考人でこの委員会に来ていただくので、そのときに詳しく伺えればと思うんですが、この藤井弁護士から初めて伺った。 平成二年に福岡県弁護士会が福岡地方裁判所と共働して民事訴訟手続の審理の充実促進のための方策、いわゆる福岡方式を実践してみたと。現実の民事裁判で、この双方に代理人が付いている事件でなきゃ駄目ですが、両方の代理人の了解を、了解というか協力をいただいて、もうこの手続ごとに決まった、フォーマットの決まったペーパーにいろんなことを書き込んでいくと。例えば、原告代理人が、今日はせっかく準備書面用意したのになぜ陳述させなかったのだろうかと、裁判官は、こんな準備書面を用意したなんて何てピンぼけなんだろうかなどというようなことを書いて、それで、ずっと審理が終わってからそれを回収して検証して、そうすると、その両方の当事者と裁判官の間でどういう、例えば意見の一致があったのか、意見の食い違いがあったのかなどということがずっと浮かび上がって、そして後で事件の検証ができる。その結果、なるほど、こういうことを改めたらもっと速くなるなとか、充実するなとかというようなことが分かってくると。 そのようなことのようで、これによって福岡での民事訴訟は、例えば全国に比べて証人調べの人数が多くなって充実が図れるとか、あるいは審理期間も短縮をしたとか、何かその合意では、結審後一年以内、必ず一年以内には判決は出すという合意をしているんだそうですね。本当は一年も掛からないです、普通なら。だけど、一年掛かるようなのもあるけども、冒頭にも申し上げましたとおり、判決を書けといえば書けるんですよ、その内容のいかんを問わなければね。これが往々にして、結審後、随分長く判決も出してくれないと。判決出してくれなきゃ控訴もできないわけですからもう困ってしまうというようなことがあって、そういうことはもうなしにするという約束事で裁判をやるというようなことが福岡方式ということで。 で、その福岡方式だけでなくて、当時です、つまり新民訴ができてくるよという、そういうことがずっと伝わったころに、裁判官の中でも、それから中堅、若手の弁護士さんの中でも、これは、やっぱりそういう新民訴を先取りして民事訴訟というのの改革を自分たちでやろうじゃないかという機運が生まれてきた。 私は当時、岡山にいたんですが、岡山弁護士会に所属をしていたんですが、そして、浪人していましたから若干弁護士の仕事をして食いつないだんですが、岡山では桃太郎コートというのがありまして、なぜ桃太郎かというと、これは単純に岡山だから桃太郎というだけなんですが、若手弁護士さん、中堅弁護士さん方がグループを作って、そして両当事者にそのグループの弁護士が付いているときはそういうことをやってみようじゃないかというので、準備もしっかりする、証拠の点検もあらかじめ両方でちゃんとやる、裁判所も入っている。あるいは、宮崎も何かそんなことがあったとかいろいろ伺うんですが。 私は、これは是非強調しておきたいんですが、訴訟の充実にしても迅速にしても、ここでこうやって法律を作って、そしてかねや太鼓で、それ充実だ、迅速だとやれば、何かみんながそういうことになっていくというものでも必ずしもないんじゃないかと。むしろ、何か当事者が、裁判所も含めて、本当に充実したものをやろう、本当に迅速にやろう、それには次は何かこういう道具が用意されるようだから、ああいうものをひとつ前もって自分たちで実践してみよう、その実践の中で、ああ、こうしたらよりいいものができるというような提案もしてみようという、そういう雰囲気を作り出すことがやっぱり一番大切なんじゃないかと思っているんですけれども。 どうでしょう、これは推進本部、今のようなことがあったということをもう少し、それこそこの法案じゃないけれども、検証してみられたらいかがでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御紹介がございました法曹三者による運用実態でございますけれども、運用の方式でございます。これはこれとして一つの評価ができる方式かというふうに思います。ただ、我々もちょっと、全体に、全国でどのような運用がされているか、これはちょっと裁判所の方を通じて調べなければ分からないところでございますが、我々としてもいろいろそういう実態についてお聞きをしたいというふうに思っております。 また、この方式は方式として、これを今回のような、例えば検証ですね、これにそのまま登用できるかどうかというのはまたちょっと当事者間の合意があっての前提でございますので、これはまた違うかなというふうに思っております。
○江田五月君 これは、最高裁がおやりになる検証、それはそれとして、それだけでなくて、例えば今のような実例が既にあるわけですから、そうしたことが各地域地域で当事者の参加の下にいろんな形が行われていく。それが、そういう、自分たちで自分たちの仕事を検証をしながら実際の訴訟運営に当たっていくということがあれば、そこへ参加している当事者も、自分で後で反省する思料もずっと日々行えるわけだし、それから、やっぱり何か最高裁に後から見られたらどうも具合悪いなというのでヒラメ裁判官になるということもあるかもしれぬけれども、そうでなくて、自分たちの納得の上で、実際に自分たちで事件処理をしているそのグループが後から検証してみるということになったら、これはためにもなるからいろんなことをやってみようと、もちろん充実や迅速に向けてですよ。 そういうことにもなるので、そういう検証、最高裁がやるというのじゃなくて、現場で行われる検証の過程自体が迅速や充実につながるんだということがあると思いますが、最高裁、どういうふうにお感じですか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 福岡方式の実践、そしてそのモニタリングあるいは桃太郎方式、東京、大阪、そういったところではまた別の工夫も行われておりましたし、札幌でもまた同様のことが行われました。そういうことが、平成八年の新民訴法の結実に一歩つながったというふうに理解しております。 私どもは、法曹三者として、これまでもやっぱり、本来はそういった努力というものがずっと求められてきたはずであります。御承知のように、第一審強化方策協議会というものがございますが、そういったものも本来はそういったものとして機能してくるということであっただろう、それが望まれていたんだろうと思いますが、それが必ずしも十分ではなかったということだったのではないかと思います。 最高裁の検証とはこれは少し視点は異にしますけれども、最高裁がその検証によって、ここにやはり隘路がある、問題点があるといったときに、現場の方でそういったような工夫がなされてこういうふうに解決されているということでありますれば、それは正に処方せんになっていくというわけでありますから、そういったことが大いに進められていくことを期待しておるところでございます。
○江田五月君 是非ひとつ、現場の皆さんをとにかくエンカレッジする、間違っても締め付けて何かしようというんじゃなくて、エンカレッジする、あるいはエンパワーするという、彼らはそうやればする力を持っていますから、是非そこは現場を信頼して、大いに現場でいろんな試行錯誤が行えるように、むしろ自由度を高めていただきたいと思います。 そうした関係で裁判員制度のこともちょっと実は伺ってみたかったんですが、だんだん時間が気になりますので先へ行きます。 民訴法の改正ですが、これは幾つかのポイントがありますが、特許の裁判について、これ、東京、大阪に専属管轄化ということだと、地方の弁理士さんはどうなっちゃうのかなとちょっと心配するんですが、地方の弁理士さんのことはどういうふうに考えておるんですか。
○政府参考人(房村精一君) 今回の民事訴訟法改正におきましては、非常に専門性の高い特許権等の訴訟につきましては、審理体制の整っております東京地方裁判所及び大阪地方裁判所に専属管轄をすることによりまして、適正迅速な裁判を実現するということを考えております。これは、地方の人たちにとりましても、非常に大きな意味のある特許等について専門的な体制の整っている裁判所で適正迅速な裁判を受けるということが長い目で見れば利益になると、こういう考え方に基づくものでございます。 代理の方につきましても、その地方の方が利用する場合の負担ということがありますので、当事者あるいは代理人のことを考えまして、基本的にまず専属化はいたしますが、特許権等に関する訴訟でありましても、著しい損害又は遅滞を避ける必要があるような場合には、当事者が居住する地方裁判所等に移送するという移送の制度を用意しております。 それから、東京、大阪等で審理をする場合におきましても、電話会議システムあるいはテレビ会議システム、こういうものを利用いたしまして、争点整理手続あるいは証拠調べの期日について、地方にいながらにして、法廷に出頭することなく審理を行うというような方策も整えられておりますので、こういったものを活用することによりまして、できる限り地方の方の不利益をなくすということを考えております。
○江田五月君 これはやはり最高裁判所におかれましても、東京、大阪の地方裁判所に専属管轄になったから、あとはもうこっちへ来なさいというだけじゃなくて、地方の弁理士さんに例えば訴訟についての情報提供をするとか、今のテレビ会議その他の証拠調べなどなどのいろんな遠隔地の工夫が幾つかありますから、そういうものが地方の弁理士さんにちゃんと活用できるようにいろんな方策を行うよう要望をしておきたいと思います。 それで、さらに推進本部、この今回の専属管轄化は実質的な特許裁判所の創設だというように民事局としては触れ込みでございますが、推進本部の方で今、知財の検討会やっておられますよね。そこで、この実質的な特許裁判所を超えて、八つの高等裁判所のほかに知財だけの高等裁判所を作るようなことも検討の範囲に入っているというように漏れ伺いますが、入っているのか入っていないのか。いずれにしても、話題には、世間で話題にはなっていますが、検討会の今の状況を簡単に教えてください。
○政府参考人(山崎潮君) 私どもの検討会は、知的財産訴訟の更なる充実・迅速化、この方策について検討を行っています。その中の一つとして、知的財産高等裁判所の創設の問題もテーマの一つとして入っている、こういうことでございます。これ、現在はどういう審議状況かということでございますけれども、現在は諸外国の法制を調査いたしまして、大体この調査が終わったということでございまして、現在大ざっぱな意見は賛否両論あるということでございまして、判決の予見可能性を向上させる必要がある、あるいは我が国の技術立国、知財立国としての姿をはっきりさせる必要があるという考え方と、今御審議いただいております民事訴訟法の改正等、実質的な意味での知的財産高等裁判所の機能を創設するような内容が盛り込まれているわけでございますので、この制度の導入後の姿も見る必要があるという慎重論と、両方ございます。現在、それで検討中ということでございまして、まだ方向は定まっていないという状況でございます。
○江田五月君 賛否両論、どんなことでも賛否両論はあるんですが、ひとつしっかりした検討をしていただきたい。 人訴ですが、訴訟事件を扱う裁判所と家庭裁判所と、これはもうその裁判所というものの持っている哲学が違うんだというように我々はずっと習ってきたんですが、それは確かにあるだろうと思いますよ。やっぱり訴訟手続をやるところはどうしたってそれは堅いですよね。家庭裁判所は、そうじゃなくて、もっともっと社会との密接度というのは高くなきゃならぬ、後見的役割も必要だ、和やかに優しくというようなことがある。だけれども、人訴が家裁に移管されたら、家裁の持っている雰囲気というか、家裁のアドバンテージが崩されるんじゃないかという心配がある。他方で、いや、そうじゃないんだと、人訴の扱いが、やっぱり離婚とかという話だから余りそうかみしもを着て堅く堅くじゃ困るので、人訴というものがもう少し和やかになっていくんだという、そういう見方もある。これはどちらを念頭に置かれていますか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、特に家庭裁判所での家事調停と民事訴訟で行われております典型的な民事訴訟というのはかなり性質の違う面があるだろうと思います。家庭裁判所は、どちらかといえばそういう人間関係の調整機能を中心として役割を果たしてきた、正にそれが調停等に向いているということだろうとは思います。 ただ、離婚等の人事訴訟につきましては、もちろん訴訟事件として当事者が厳しく対立するという側面もございますが、しかし同時に、扱われている内容が正にそういう家庭に関すること、人事に関することが中心でございますので、その扱いが典型的ないわゆる財産的な民事訴訟と同じかというと、これは地方裁判所で扱っていてもおのずからその性質の差はあるのではないかと、こう思っているところでございます。 今回、家庭裁判所に持ってくるのは、正に家庭裁判所の持っておりますそういった人間関係調整機能を生かしながら、それを人事訴訟の側面でも必要な場面には、親権者の指定その他、そういうところに活用できるようにと、こういうことを考えたものでございます。
○江田五月君 その点も是非間違わないようにしていただきたい。 この人訴で、家裁に持ってきたからというわけじゃないんでしょうが、離婚事件で和解ができるようになるというのは、これは法律をやった者からするともう驚天動地の変革なんですね。そもそも人事訴訟では、これは人間、権利義務の形成であるから、形成訴訟、形成判決、それは当事者に処分権がなくて裁判所が形成していくんだから、そんなものに和解はないんだなどということをもう教わってきている。ところが、何か事もなしに和解できるといって、ああ、なるほど、そんなものだったのかというので、何か法律学なんというのはいい加減なものだなというように痛感をしておりますが。 これは、もう時間ですよね。余りおたく風の質問はもうやめることにして、最後に法務大臣、家庭裁判所が今の離婚事件までやるようになったと、家庭裁判所というのはますますこれから重要になってくると思うんですが、家裁をどう充実強化させていくかということについて覚悟のほどをお伺いをしておきたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 今後の家庭裁判所は、家事調停、家事審判のほか人事訴訟をも取り扱うというようになりまして、身分関係の紛争全体についての専門裁判所ということになっていくわけです。その機能が充実強化されることになるというふうに考えます。家庭裁判所におかれましては、このような充実強化された機能を十分に発揮することによりまして、身分関係の紛争の解決について、ますます充実した司法サービスを国民に提供されるように期待しているところでございます。
○江田五月君 終わります。
○荒木清寛君 なるべく重複を避けまして質疑をさせていただきます。 まず、迅速化法案についてでありますが、先ほど来ありますように、裁判の迅速化に対する国民の期待は大きいわけですが、一方で、最近の審理状況を見ますと、統計的には二年以内という目標はおおむね達成されているということでございました。 そこで、そういう中で、本法案を提出する意義についてどう考えているのか、まずお尋ねいたします。
○政府参考人(山崎潮君) 先ほど来いろいろ御答弁をさせていただいておりますけれども、やっぱり統計上依然として長期間を要する事件、少なくないということでございます。これにつきましては、やっぱり紛争の発生から解決までという時間、その単位を考えますと、やはり国民にとっては必ずしも納得が得られるものではないという状況であろうというふうに我々は理解をしているわけでございます。 この法案は、そのような事件も含めまして、第一審の訴訟事件を始めとする裁判の一層の迅速化を図ろうとするものでございまして、そのための基本的枠組みを設定をするという点に意義があるというふうに考えているところでございます。 このような観点から、この法案では、二年以内のできるだけ短い期間という期間の目標を掲げた上で、運用面におきまして充実した手続の実施をできる限りこの目標の実現を目指すとともに、審理に長期間を要する事件については、その原因を明らかにするということなどをいたしまして、その目標の実現に必要な制度、体制の整備を図ると、こういうような総合的な方策を実施することによって迅速化の実現を図っていくと、こういうことを目指したものでございます。
○荒木清寛君 迅速化の実現の手段として充実した手続の実施及びそのための制度、体制の整備という手段が明記をされているということでございました。 そこで、もう繰り返しませんが、拙速になってはいけないという指摘が先ほど来あったわけでございます。そこで、これはちょっと最高裁に、通告はしておりませんが、あえてお尋ねいたしますが、我々法務委員会で新潟県に行きました折にも、当地の弁護士会の会長から、なかなか証人調べも採用してもらえない等々の話も聞きました。また、日弁連からは本人や証人の採用がなかなかしてもらえないですとか、あるいは現場検証や鑑定が十年間で三分の一になったというようなことも文書の中で表明しているわけであります。 当事者ではありませんけれども、当事者の代理人からこういう指摘といいますか意見が出ていることについて最高裁はどういう認識を持っているんですか。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 人証調べに関しましては、具体的にどの事件でどれだけの人証調べをするかということ自体につきましては、これは個々の裁判官が判断するということですので、裁判独立、裁判の独立にかかわる事項でございますが、一般的に申しまして、これまで裁判所では、争点についてよく煮詰めて、その煮詰めた争点に関して適切な人証調べをするということでこれまで努力を重ねてきたところでございます。そのようにして必要にして十分な人証調べをするけれども、迅速に審理を進めるということに関しても努力をしてきたところでございます。その結果といたしまして、人証調べの数が統計的に見て絞り込まれておるということがあるというような認識を持っているわけですが。 ただ、私自身、地方裁判所で裁判に携わっておったころのことを考えますと、複数の弁護士の方から、ただいま御指摘のような裁判所で人証を言わば絞り込み過ぎているのではないかというような指摘を受けるということもあったのは事実でございます。これは、それぞれの事件に関して、裁判官が十分に双方の当事者の意見を聞いて、議論を煮詰めた上で人証調べをしていかなければいけないということを、そういう努力をこれからなお一層しなければならないというようなことを表すものでございますが、一般的に申しまして、必要な人証調べに関してはきちんと人証調べをした上で訴訟の審理を進めていくということは大変に必要であるというような認識でございます。
○荒木清寛君 次に、人的体制の充実について大臣にお尋ねいたします。 司法制度改革というのは、端的に言えば、大きな司法を実現をするということでありまして、法科大学院の申請も七十二校あったんですか、全部認可されますと入学定員は六千人弱になりますので、当初の想定目標をこれはもう大いに上回るわけです。しかし、弁護士ばかりたくさん出ましても、裁判官や検察官が増えなければ、そういう大きな司法としての機能を果たすことはできないというふうに思います。 そこで、法曹人口の増加、中でも裁判官、検察官等の人的体制の充実について大臣はどう取り組んでいくのか、お考えをお聞かせ願います。
○国務大臣(森山眞弓君) 誠におっしゃるとおりでございまして、充実した手続の下で裁判の迅速化を図るというためには、現在、司法制度改革推進計画に従いまして、司法試験合格者の増加による法曹人口の大幅な増加に加え、裁判所、検察庁の人的体制の充実等の必要な体制の整備を行わなければならないと思っております。 本法案が成立いたしました場合には、引き続き、本法案の趣旨や最高裁判所による検証の結果を踏まえまして、その時々における事件数、犯罪動向なども考慮した上で、関係省庁とも御相談しながら、充実した手続の上で裁判の一層の迅速化を実現していくために、裁判官、検察官等の増員を含めた必要な体制の整備を行ってまいりたいと考えております。
○荒木清寛君 そこで、これは最高裁にお尋ねするんですが、我々は与党でもありますし、常々この裁判官の増員については最大限の応援をしていきたいと思っているんですが、なかなか控え目な予算、定員要求しかされないわけですよね。だれに遠慮することもありませんのに、増やせば質が下がるというふうに思っているのかと邪推もしたくなるわけであります。 そこで、先ほど、十年間で五百人という計画がある、これで審理期間を半減できるということでありましたけれども、もちろんこれは、こうした迅速化法案というものを前提にしない計画でありますし、さらに、当然これは、大きな司法になれば裁判、訴えが提起される件数も増えるということは当然でありますが、こうしたことも特に考慮せずに、まあ今の傾向での事件の増加傾向が続くというふうな前提であったかと思います。 そうしますと、到底この程度の、まあ毎年毎年四十五人というのは確かに従前から比べると思い切った要求をされておりますけれども、また査定当局もきちんと認めたということは我々も評価いたしますが、しかしもうこの程度の増員ではこの迅速化法案の要請、あるいは大きな司法の実現ということを目的を達成することはできないと思いますので、やはりもう一回、この増員計画についても練り直して、思い切った要求をしていただきたいと考えますが、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) お答え申し上げます。 今、御指摘ございましたように、私どもが約五百名ということを平成十三年の四月に司法制度改革審議会の方にプレゼンテーションいたしましたのは、あくまでも現在の事件数がこのまま続くという、言わば固定してのものでございます。 今後、法曹人口が増加してくる。もちろん、法曹人口が増加しましても直ちに事件が比例して伸びてくるというものではないだろうとは思っております。予防法務という側面で、かえってそういうところも機能していくことを期待しているわけでございますが、それにしても右肩上がりになっていくことは必至だろうと思っておりますし、さらにまたこの迅速化法で、私どもは審理を半減ということでございましたけれども、これはあくまでも平均審理期間を半減するということでございましたので、それ以上の国民の要請があったものというふうに受け止めているところでもございます。さらに、裁判員制ということになれば、それに合ったまた手当てというものも必要でございます。そういったところも含めて、今後とも適正な増員ということを努力してまいりたいと思っております。
○荒木清寛君 我々は新潟に視察に行きましたときに、庁舎が狭隘であるというようなお話もありまして、これは家裁でしたですか、待合室まで調停で使っていますというようなお話もございました。 当然これは、迅速な裁判の実現のためには裁判所、検察庁等の物的体制の充実が不可欠であると考えますが、本法案ではこの点どう予定しているのか。また、当局として、この物的施設の体制の充実にどう取り組んでいく考えなのか、お答え願います。
○政府参考人(山崎潮君) ただいまの物的な体制の充実でございますが、これは司法制度改革推進法五条二号においても、人的体制の充実のための制度の整備を例示として挙げておりますが、この中には、やはり裁判所、検察庁等の物的体制の充実も、迅速化の推進に必要な体制の整備ということで、内容的に含まれているということでございます。 これを前提にして、今回の法案の中で、二条の二項がございますけれども、そこの中に、裁判所及び検察庁の人的体制の充実等により行われるものとするというふうに書いてございますけれども、この中に、やはり迅速化に伴う物的体制の充実、これも含まれているということでございます。
○荒木清寛君 もう時間があれですので、民事訴訟法等の改正案につきましては一問だけお尋ねいたします。 先ほども自民党委員の方から、この専門委員の中立性、公平性の確保の重要性の指摘がございました。特に、医療関係訴訟におきましては、なかなかお医者さんに対して率直に物を言う、今でいうと鑑定人ですか、を選任するのが難しいというようなことが指摘をされております。 これは専門委員につきましても同様の問題が生じると思いますが、先ほどは最高裁にはこの点は問いがありませんでしたので、最高裁として、この専門委員の中立性、公平性を確保するためにどういう任命手続についての検討をしているのか、お尋ねいたします。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 専門委員の中立性につきましては、特に医療訴訟に関して十分な検討をする必要があるという議論がされておりまして、最高裁といたしましても、同じ認識で、これからしっかり検討しなければならないというように考えております。 専門委員の任命に関しては、具体的事件に関していいますと、二段階ございます。まず、第一段階といたしましては、専門委員の名簿を整えるという段階でございます。それから、第二段階といたしまして、具体的事件で専門委員を任命するというところがございます。 第一段階の、専門委員の名簿を作成するという段階につきましては、専門委員候補者の発掘のために複数の機関から推薦を得るというようなことを努力いたしまして、偏った名簿の作成というようなことが見られないような努力をしていく必要があるというように感じております。 それから、第二段階の、具体的事件についての専門委員の選任という段階になりますと、これは民事訴訟法上、双方の意見を聞いて専門委員を選任する、双方の意見が一致して専門委員を付するのをやめてほしいということであれば取り消さなければならないというような民事訴訟法の規定をきっちりと運用して、双方当事者の意見をよく聞きながら公平さに疑念を持たれないような選任をしていく、こういう検討をこれからも続けていかなければいけないというように思っております。
○委員長(魚住裕一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時三十分休憩 ─────・───── 午後一時三十三分開会
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、裁判の迅速化に関する法律案、民事訴訟法等の一部を改正する法律案及び人事訴訟法案を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。 まず、裁判の迅速化法案について質問をいたします。 今日の午前中の議論でも、衆議院でも、なぜこの法律が必要なんだろうかと、こういう議論が相次ぎました。この間、説得力ある答弁がないわけです。 私、疑問として三つぐらいあると思うんですね。一つは、司法制度改革審議会が二〇〇〇年に行った調査でも民事訴訟の制度全体に満足した人は一八・六%にすぎない。そして、審理の充実度については肯定意見が三五%、否定意見が四三%。むしろ、利用者の多くは審理の充実度ということについて不満を持っているのではないか。 二つ目は、審理期間が二年を超えるものが刑事事件では〇・四%、民事事件では七・二%にすぎないし、しかもむしろこの間、審理期間自身は短くなっているということ。 それから三つ目は、外国の平均審理時間と比べましても、刑事事件でいいますと日本は三・三か月、アメリカは六・〇か月、ドイツは六・二か月、イギリスは三・三か月。民事事件では日本は八・五か月、アメリカは八・七か月、ドイツは六・九か月、イギリスは三十七・七か月。むしろ、日本の審理時間は短いとも言えるわけです。 ですから、こういう状況の下でこの二年以内のできるだけ早く終結させるということを目標にする、こういう法案を作る、法律を作る立法事実がないんではないか。この点、まず大臣の見解をお願いします。
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃいますように、我が国の裁判は全体としては近年、相当の迅速化が図られてまいりました。例えば、当事者間に争いがあって人証調べ等を必要とする場合、複雑、専門的な事件、国民が注目する重大事件等において、しかしながら依然として長期間を要するものが少なくございません。そのため、そのような裁判の現状については必ずしも国民の納得が得られていない状況にあると感じております。 この法案は、そのような事件をも含め、第一審の訴訟事件を始めとする裁判の一層の迅速化を図ろうとするものでございまして、そのための基本的な枠組みを規定する点に意義があるというふうに思う次第でございます。
○井上哲士君 裁判の迅速化ということは今初めて議論がされたわけじゃありませんで、司法制度改革審議会の中でも、充実とともに迅速ということも議論になってきたわけですね。そして、あの意見書が全体としてその方向を打ち出していると思います。人的・物的基盤の整備とか証拠収集手続の拡充とか、取調べ過程の可視化とか、様々な課題を既に提起をしているわけですね。ですから、むしろこうした具体的なことを、課題を、対策を進めるということが求められるのであって、あえてこうした法案を作る必要はないと思うんですが、再度、いかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) いろいろな迅速化の試みが行われておりまして、それが相当効果を上げていることは確かでございますけれども、それを本当に定着させて、実際に短縮していこうということになりますと、裁判のやり方あるいは手続その他、そういう面でも一工夫しなければならないということが言われておりまして、それらの基礎となるべくこの迅速化法が是非必要だというふうに私は思っています。
○井上哲士君 私は、基礎となる方向は既に出されている、これをまず進めることが必要だということを申し上げておきます。 問題は、この立法事実がないだけじゃない、この審理の充実さというのがむしろ犠牲にされるんじゃないかというおそれであります。民事の通常事件、刑事通常事件、それぞれの第一審の総件数、その中で証人調べ、鑑定を行った割合について、九三年と二〇〇二年についてどういうことになっているでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) まず、民事事件について私の方からお答えしたいと思います。 民事通常第一審訴訟事件の地裁における既済事件数は、平成五年には十三万七千九百二十一件でございました。平成十四年には十五万五千七百五十四件となっております。このうち証人調べを実施した事件の割合は、平成五年は三〇・八%でございまして、平成十四年はこれが二三・二%になってございます。 鑑定を実施した事件の割合は、平成五年は二・二%でございますが、平成十四年はこれは一・一%になってございます。
○井上哲士君 刑事事件についてもお願いします。
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) それでは、刑事事件の関係についてお答えいたします。 平成五年度の地方裁判所の刑事通常第一審の終局人員は四万八千六百九十二人でありました。そのうち証人調べの行われました人員の割合は六三・〇%、鑑定の行われた人員の割合は〇・四%です。 続きまして、平成十四年度の終局人員は七万五千五百七十人、うち証人調べの行われた人員の割合は五七・三%、鑑定の行われた人員の割合は〇・二%ということであります。
○井上哲士君 今、見ましたように、民事事件についても刑事事件についても、鑑定、証人調べが行われた数が非常に、割合が激減をしているというのが実態です。 私、地元の京都で少しお聞きをいたしましたけれども、京都地裁の本庁を見ましても、平均審理時間というのは、民事で、九六年が十・六か月だったのが二〇〇一年には九・四か月、刑事で、九六年が五・〇か月だったのが二〇〇一年には四・四か月と減少をしておりますが、その下で、例えば民事訴訟で検証を行った割合というのは、九六年には三千五百七十九件中三十三件なのが二〇〇〇年には三千七百三十件中十七件、これ、もう半減をしているという状況があります。 これ、いろんな分野で起きていますが、特に顕著なのが東京地裁に作られた四つの医療集中部であります。医療訴訟の平均審理期間が全国平均は二年六か月、これに対して東京地裁は一年三か月と半分。確かに迅速化が進んでおりますが、同じく医療訴訟の鑑定実施の割合を見ますと、二〇〇二年の全国平均で二八・六%、東京地裁でほぼ同時期を見ますと、わずか七%と平均の四分の一ということになっておりまして、迅速化によってやはり審理の充実というのが犠牲になっているんじゃないか、こういう声や批判があります。この点いかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) まず、ただいまの御指摘のありました鑑定の実施率に関してですが、平成十四年の全国の医療事件の鑑定実施率は、ただいま御指摘のように、二八・六%となっております。ここ数年、この数値に大きな変化はございません。一方、東京地裁全体の医療事件の鑑定実施率は平成十四年には一七・一%というようになっておりまして、全国平均より少し少なくなっておりますが、余り大きな違いはないと見ることもできます。 ところで、東京地裁には平成十三年四月から御指摘のような医療集中部が四箇部設けられまして、平成十三年四月以降の新しく東京地裁に起こされた医療事件はその四箇部で審理されておるわけでございますが、ただいま御指摘のように、平成十三年四月から平成十四年九月までの間におけるその四箇部の鑑定の実施率が七%であるという数値が示されておりまして、これが法律雑誌などにも発表されておりまして議論の対象になっているわけでございます。 今の、経過を御説明いたしましたように、東京地裁の医療集中部は創設されてからまだ二年余りしかなりませんので、そこに係属する事件は訴えが提起されてからそれほど期間がたっていないという事件が多い特徴もございますので、そこでの事件処理状況に評価を下すというのは今の時点ではまだ早いのではなかろうかというように考えておりまして、この鑑定の率についての推移なども今後、関心を持って見守っていきたいというように思っております。 一般論といたしましては、必要な証拠調べは、証人尋問であろうと鑑定であろうとこれを実施するというのは当然のことでございまして、ただ、争点の絞り込み、争点に関する活発な弁論、そういう中でそのような人証調べあるいは鑑定の実施が双方、当事者との関係から見ても必要性がないと見られる事件がどのように多くなってくるのか、それが専門的処理がされることによってどのような影響があるのかというようなことについては、これからも更に関心を持って見守っていきたいというように思っております。
○井上哲士君 この鑑定やそして証人調べが非常に減っているんじゃないかというのは、いろんなところから私どもはお声を聞いております。日弁連が今年二月に出した資料集の中でも、当事者や代理人から強引に和解を押し付けられた、証人尋問を申請したら陳述書で十分と言われた等々、様々な声が上がっております。だからこそ、この法律によってこういう充実した審理が犠牲になるんじゃないかという様々な懸念の声が上がっております。 最高裁の中山総務局長が衆議院でこういうふうに答弁されています。私ども一審裁判官の目標は、暗黙のうちに二年以内で処理するよう努力してきた、今回はそれがある意味で数字化をされたと、こういう答弁でありました。暗黙の目標でも拙速になっているんじゃないかという声がある中で、数字化をされることによって一層縛りが掛かるんじゃないか、こういう懸念についてどうお考えでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 衆議院で確かにそのようにお答え申し上げているわけであります。 私ども、先ほどもお話がありましたけれども、江田先生の方からお話がありましたけれども、基本的に、できる限り早く、裁判は芳しいうちが美しいわけでありますから、その間に事務処理は、裁判処理をしなければならない。裁判官になりましたころから、どんなに遅くても一審判決は二年以内にするように努力しようと、こういうことで努力してまいりました。しかしながら、裁判官の方の努力も足りず、また種々の要因もあり、どうしても二年を超えざるを得ないものも出てきているのも確かでございます。 今回の迅速化法が成立することで、その辺り、数字化するというだけではなくて萎縮効果を生むのではないかというようなお尋ねでございますが、この迅速化法ができて直ちに全部の事件が二年でできるというふうには私どもも考えておりません。午前中からもお話し申し上げているとおり、種々の基盤整備といいますか、裁判をめぐる社会的諸条件が整備されて初めてそういうものが可能になってくるというものでございますから、当然ある程度のスパンを持って考えていくべきものであり、裁判官は、これまで自分たちが二年というものを努力目標としてきたというところもあり、冷静に受け止めているというのが実態でございます。もっとも、そうはいいましても、またこれで拙速であるというような批判が強まるというようなことがあってはならないというふうに思っておりますし、衆議院でも、裁判の適正というのは裁判の言わば生命線であると、こういうふうにもお答え申し上げました。 さきに、六月の中旬でございますが、全国の高裁長官、地・家裁所長会同が開かれましたけれども、その際にもこの迅速化法案について議論になり、この際改めて、裁判官は適正な裁判が行われてこそ迅速化が意味があるんだということを自戒して、心して裁判をするというのをまず前提に据えていかなければならないという多くの意見が出されたところでございます。 以上でございます。
○井上哲士君 萎縮をするんじゃないかというのは、私は単なる杞憂でない、現にそれを思わせるような事態が進行しているということを指摘をしなくてはなりません。 衆議院の答弁で最高裁は、長期係属事件の個別について個別調査表による調査を行っていると、こういうふうに、刑事事件ですね、答弁をされております。この調査を始めたとき、それから目的、調査対象、項目、方法、これについてどうなっているでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) こういった調査を継続的に行うようになりましたのは昭和二十八年からということでございます。 調査の目的は、各庁における長期係属事件の状況、動向を把握いたしまして、これを人的配置の検討あるいは増員といったような司法行政上の措置を取る際の参考とするためのものであります。調査対象といたしましては、係属二年を超える刑事の通常訴訟事件ということで調査を行っております。 調査の方法につきましては、そこまであれしましょうか。調査の方法、だれがどのように記載しているかということだろうと思いますけれども、実際にだれが記入するかについては各庁の判断に任せておりますので、刑事局としては詳細は把握しておりません。しかし、多くのところでは恐らく書記官が裁判官と相談しながら記入しているという例が多いのではないかというふうに思われます。
○井上哲士君 調査の項目についてもお願いします。
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) 調査項目は、事件名、審理期間、事件の概要、審理の段階、長期化の原因ということであります。
○井上哲士君 これは調査対象は二年を超えるものということでありましたけれども、去年まではこれは三年を超えるものであったとお聞きをしておりますが、去年の段階で二年を超えるものに調査対象を広げたのは、その理由は何でしょうか。
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) この調査は、先ほど御説明いたしましたとおり、各庁におきます審理事件の状況、動向を把握いたしまして、これを人的配置の検討、増員等といった司法行政上の処置を取るということのために、その参考とするということのためのものでありますが、平成十四年十二月十九日の通達当時、政府が民事、刑事の第一審判決を二年以内に出すことを目指して、裁判の迅速化に関する法律案を平成十五年の通常国会に提出する予定であるというような方針でありましたことから、これに伴い、各庁における係属二年を超える事件の審理状況、動向を把握しておく必要があるというふうに考えて二年ということにいたした次第であります。
○井上哲士君 午前中の審議でも検証の在り方とか議論になりましたけれども、あくまでも法案が決まってからだという答弁が続きましたが、実際にはこういう調査は言わば法案の先取り的に、それまで三年を超えるものが二年を超えるものになって行われている。私はそれ自体が問題だと思いますが、この調査、これは未済事件についてこういう調査をしているわけですけれども、憲法七十六条は、「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」と定めております。 これに関連しまして、中山局長が衆議院での答弁でこう言っていますね。裁判官の独立については、外部からの独立はもとより、内部からの独立というのも非常に重要でございます。そこで、これらの調査に当たりましては、基本的に、外形的な実態を把握するというところをベースに考えている。そして、長期未済事件について個々の事件を調査する際も、「証人の人数、証拠調べの回数、公判回数、そういった外形的、客観的な事実を調査するにとどめております」と、こう答弁されておりますが、この認識は今も変わりありませんですね。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) そのとおりでございます。
○井上哲士君 これは逆に言いますと、外形的、客観的事実の調査を超えると裁判官の独立というものに抵触するおそれがあると、こういうことかと思うんです。 ちょっと資料を配付をお願いをいたします。 〔資料配付〕
○井上哲士君 重大なのは、この間、この外形的、客観的な事実にとどまらない、非常に大きく踏み込んだ調査が行われているということであります。この間、最高裁が行った調査の資料を今手元に配付をしております。資料①と②がございますが、資料②の方は先ほど答弁のありました、これまで行われてきた長期係属事件の個別調査表の集計表です。 例えば、一番右の欄、「審理長期化の事由」というところでも証人調べなどは回数のみを書き込むと、こういう表になっております。ところが、この一月三十一日付けで刑事局長から通達が出ている資料では大変踏み込んだ調査が行われております。 まず、お聞きしますけれども、この調査は何のために、いつ、どのような方法で行われているのか、答弁をお願いします。
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) この調査は、当時といいますか、今も続いておりますけれども、司法制度改革推進本部の検討会などで裁判や刑事事件の充実・迅速化等、制度改正に向けた議論がされておりました。そこでの議論に備え、あるいはその議論の参考に供するということのために、係属二年を超える刑事事件につきまして、裁判所側から見た審理遅延の原因をアンケート調査したものです。この調査を行いましたのは今年の一月からということでありますが、同様の照会は昨年八月にも行っております。 調査表の調査の方法ですけれども、これにつきましては、先ほど述べましたとおり、刑事局として正確に把握しているわけではございませんが、書記官が裁判官と相談するなどして記入している例が多いというふうに思われます。
○井上哲士君 衆議院での質問で我が党の木島議員が、「裁判迅速化を進めるための、既済事件及び未済事件についてどのような調査をしているのか、すべて明らかにしていただきたい。」と、こういう質問をしておりますけれども、この調査については明らかにされませんでした。なぜでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) 当時の質問と、私ども受け止めましたのは、継続的に調査を行っているものということで承ったというふうに承知しておりまして、このような単発的な調査につきましては、特に求められなかったというふうに理解しておりますが。
○井上哲士君 当時の質問では、すべて明らかにしていただきたいとわざわざ言っているんです。私も今回の質問の準備に当たりまして、こういう調査を行っているものをすべて改めて明らかにしていただきたいと要望いたしましたけれども、最初は、先ほどありました、例年のものしかないという返事でありました。地裁段階でもっとやっているのがあるんじゃないかと再度いろいろお尋ねする中で、やっと今お配りをした調査が出てきたわけでありまして、意図的にやはり明らかにしてこなかったんではないかと思わざるを得ないんです。 しかも、この調査が、先ほど司法制度改革推進本部の議論のための調査だと言われました。昨年八月にまず調査を行ったということでありますが、しかしそうであれば、既に法案が提出されている一月以降に再度、調査をする必要は一体どこにあるのか、この点いかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) 昨年夏、調査いたしました資料は、必ずしもデータとして十分なものというふうにも思われませんでしたので、改めてある程度の期間、それなりの母数を取って調査をしておく必要があるというふうに考えた次第です。
○井上哲士君 昨年の十二月の二日でしたか、司法制度改革推進本部の中で最高裁がこの問題でのプレゼンテーションをしているわけですね。その後、しかし法案がもう出されたんです。なぜ改めて取る必要があるのか、これが実際上、今後の検証のための資料に使われることはないですか。その点いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) 司法制度改革推進本部の検討は、この迅速化法案だけではなくて、現在も続いております裁判員制度の関係、あるいは充実・迅速化の関係といったような検討もまだ続けられておりまして、その長期化の原因を把握しておくということが必要であると、そういう理由から行っているものであります。
○井上哲士君 裁判の迅速化のためにのみ行っている調査はしておりませんというのが衆議院の答弁でもありましたけれども、実に先取り的にこういうやり方が行われていることは大変大問題であります。しかも、調査内容が実に細かく踏み込んでおりまして、この間、最高裁が言ってきました未済事件については外形的、客観的な事実にとどめるべきだと、この調査を大きく逸脱していると言わざるを得ません。 資料を見ていただきますと、証人尋問開始後に時日を要した事件の要因というのがあります、四ページ目ですね。「ウ 証人調べに多数の公判等を要した。」という項目がありまして、その中に「(ア) 証人が多数であった。」と。そうしまして、その中から幾つかの要因を選ぶということになっております。「争点整理が不十分であった。」、「検察官の立証が過剰であった。」、「弁護人が争いのない事実に関する書証まで不同意にした。」、「整理後の争点が多岐にわたり、多数の証人を調べる必要があった。」と、これから選ぶわけですね。これは、しかし、裁判官の認識まで踏み込んで調査を、その認識を問うているものだと思うんですね。これでも外形的、客観的事実にとどめていると、こういうふうに言えるんですか。そういう認識ですか。
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) これらの調査項目につきましては、これまで裁判官の認識としてここに掲げられたような事項が長期化の原因であるというふうに思われておりました事項でもありますし、またそういった指摘もなされているところでもあります。それらの事項につきまして、これを認識、裁判官、今まではそういった認識であるということでしたが、それをより客観的な数字としてまとめてみる必要があるということから、そういった実情を把握しておくということで、長期化原因の一つとして取り上げてきたものであります。
○井上哲士君 私が聞いているのは、外形的、客観的事実と言えるのかと。今言われたのは、裁判官のいろんな認識を客観的に調べたいということでありますけれども、外形的と言えますか、これが。
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) このような事項につきましては、外形的には時間等で出すことになろうかと思いますが、それでは実際のところが分かりません。何時間掛かったからそれが反対尋問としてあるいは長時間掛かったと言えるのかというようなことになりますと、やはりその意味では、裁判官のその事件との関係でこれが長かったかどうかというところの認識を確認しない限り、こういった調査、実際の長期化の原因というのは把握できないというふうに考えています。
○井上哲士君 長かったかどうかを聞いているんじゃないんですよ。検察官の立証が過剰であったとか、争点整理が不十分であったとか、裁判官がどう評価をしているかということを聞いているんですね。要するに、客観的なことを聞いているんじゃないんです。裁判官の主観を聞いているんじゃないですか。どうですか。
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) その意味では、裁判官の認識という、先ほど申し上げたようなことですから、主観であるという表現を使われるのであれば、それはそのとおりかもしれません。
○井上哲士君 それが大問題なんですよ。裁判官の独立に対する、実際上、圧力になるし、萎縮効果になるんじゃないか、そういうことになったらならないから、外形的、客観的な調査にとどめるということでやってきたわけですね。これ結局、難しい事案だから長期化しているんじゃなくて、訴訟指揮がまずいからじゃないかと、そういうことを実際、これに回答していく裁判官に思わせるような質問ぶりになっているんです。 もう一個聞きましょう。 (イ)ですね。「一人の証人尋問にかかる時間が長かった。」、こういう項目がありますが、ここでも、「争点整理が不十分であった。」、「必要以上に詳細な尋問を行った。」、「主尋問終了後、反対尋問を即日行わなかった。」、これから選ぶようになっていますが、この「必要以上に詳細な尋問を行った。」、この「必要以上に」というのはだれにとっての必要性なのか、だれが判断をするのか、その点どうでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) これは、先ほど申し上げましたとおり、裁判所側から見た原因ということですので、もちろん裁判所がその事件との関係で判断するということになろうかと思います。
○井上哲士君 結局、こういう調査項目では、長くなったのは、一人の証人尋問に掛かる時間が長かったのは言わば必要以上のことをやらしたからだと、できるだけ証人尋問の時間を短くせよという、こういう萎縮効果を生むのははっきりしているんですよ。 もう一点行きましょう。 さらに、次に五ページ、エというのがありますが、「被告人質問に多数の公判を要した。」、こういうのがあります。「争点を明確にしないまま被告人質問を行った。」、「必要以上に詳細な質問を行った。」、「任意性立証のための被告人質問を行った。」、これから選ぶようになっておりますが、この「争点を明確にしないまま」というのは、これ、主語はだれを指して聞いているんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) これは、当該事件の中でそういった争点が明確にされなかったという意味で、その意味では法曹三者いずれもが入りますが、最終的には裁判所がそこを明らかにすべきであったということになろうかと思います。
○井上哲士君 結局、こういう項目も通じて、被告人質問のために多数の公判を行うということは訴訟指揮上問題があるよということを、結局このアンケートに答える私は個々の裁判官に対して大変な圧力になると、人事権を持っている最高裁がこういうアンケートを取るわけですから。 しかも、この中を見ますと、例えば人的・物的体制にかかわって長期化をすると、こういうことを問うような項目がほとんど見受けれないわけですが、その点はどうしてでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) これにつきましては、この事件の対象、調査の対象はB1表と連動しておりまして、B1表の方で先ほど申し上げましたような事件のふくそう等含めて出てきているわけでありまして、そういったところはB1表の方で把握し、先ほど申し上げたような人員配置、定員等の問題を考えるということで、B1表は先ほど申し上げましたように司法行政上の目的と、こういうことで行っておりまして、こちらの方はそういう客観的なデータにつきましてはB1表でということでそちらを除いているということであります。
○井上哲士君 B1表はB1表で年末に取られまして、これと別個これがやれるわけですね。そうしますとどうなるのか。全体として二年以上掛かっている裁判について調査がされて、そして個々の項目を裁判官が、これは自分の判断じゃないと書けないから裁判官が記入するんでしょう。結局、やっぱり訴訟指揮がまずかったんじゃないかと、そういうふうに裁判官に自己採点をさせるような、そういう中身になっているんですよ。 ですから、人事権を持つ最高裁がこういう調査を行うこと自身が裁判官の独立に対して侵害になるばかりでなくて、丁寧過ぎるということで審理が長過ぎると低い人事評価になるんじゃないか、こういう圧力を掛けることになる。個々の裁判官が萎縮して、迷うこともあるでしょう、この証人をやるかどうか、そういうときにちゅうちょをする。結局、やっぱり拙速化に拍車を掛けることにつながるんじゃないか、おそれがあるんじゃないかと。そういうおそれは一切ない、そういう制度的保証がありますか、どうですか。
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) 私も裁判官でありますが、こういう今現在のような司法制度改革についていろいろ議論がされているというそういう状況下におきまして、このような調査、アンケートに答えるということは、ある意味では時代、そういった議論の参考にするということで理解を求められるものでありましょうし、そこは不可解なものと、あるいは不思議なものという感覚は持たないであろうと思います。このような調査が行われるということで萎縮をするというようなことは考えられないというふうに思っております。
○井上哲士君 再び中山さんにお聞きしますけれども、衆議院の質疑で我が党の木島議員が、「裁判所法逐条解説」も引用しまして、最高裁当局が個々の裁判官に対して、一般的な訓示や研修までは良いけれども、具体的な個々の裁判に関しては根掘り葉掘り調査してはいけない、一般的な研修はいいということではないかと、こう質問いたしますと、基本的にはおっしゃるとおりですと、こういう答弁をされておりますが、現に行われているこの調査は、正に個々の裁判について根掘り葉掘り聞いている、こういうことじゃないんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) いつ回ってくるかしらんと思って、待っておりましたけれども。 これ率直に言いまして、裁判員制が今度、今、議論をされているわけでありますけれども、裁判員制になりましたときに、迅速化法の二年というようなことでは裁判員制は絶対動いていかない。二年も缶詰にされて審理をするということは、これはとても無理であります。例えば、今まで二年掛かっていたものであっても最大限二か月とか、あるいは、二か月じゃない、失礼しました、二週間とか、せいぜいそのぐらいのところで審理が終えるというようなことにならなければなかなか難しいだろうと。 そういうことで、今、司法制度改革推進本部の方の検討会で議論がされているわけでありますが、いずれその折に、じゃ最初に事前準備を行うためには、今までどうしてできなかったのか、それが審理にどのような影響をもたらしたのか、マクロ的に見て。そういったものをやはり実証的データとして裁判所としてはお出ししていかなければならない、そういった責務があるだろうと、そういう観点からこれは取られたものだというふうに思っております。また、これを一月に取る際には、当然、そういうものであるということにつきましては、これ高裁長官及び地裁所長あてでございますけれども、高裁の事務局長に対して、その辺りは誤解のないようにしてもらいたいということでございます。 また、この間、裁判所の中では、裁判員制になったときにどこをどのように工夫することにより、運用上の方策を取ることにより、あるいは制度上いろいろ御勘案いただくことにより、そういったような短期に裁判員が無理なく審理に参加する、そういった訴訟手続が実現できるかどうか、こういうふうに考えてそういった議論をしてまいりました。その延長線上であるというところも御理解いただきたいというふうに思うわけであります。
○井上哲士君 これはまたもう一回、中山さんにお聞きいたしますけれども、先ほど引用しました衆議院の答弁で、裁判官の独立の関係から外形的、客観的な調査にしてきたということを言われておりましたけれども、この今の項目も外形的なものだというのが中山さんの御認識ですか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) そこら辺のところは、これは主観的なものを求めるものではないかというふうに言われても、それは致し方ないというところはあるかと思いますけれども、その辺りは目的との関連でお考えいただくこともまた必要かと思っております。 往時、私が刑事局の課長をしておりましたときには、百日裁判という事件が、なかなか百日以内にできない、一体どういうことだと、こういうことをやはりこういった法務委員会の場で追及されたということもございました。そういう場合に、どういったところに問題点があるのかどうかというものを、かなりさかのぼって、やはりそういって細かく調べるというようなこともございます。 その辺り、決してそれを裁判官の独立あるいは裁判官の評価に使おうというものではない、あくまでも、いい制度を作るための資料集めであるという観点も御理解いただければと思うわけであります。
○井上哲士君 目的が違うからやってもいいという、全然違う話ですよ。中山さんが言われているのは、裁判官の独立については内部からの独立というのも非常に重要だと、だから基本的に外形的な実態を把握するということをベースに考えていると、こういう答弁なんですよ。ですから、目的が変わったら、多少、裁判官の独立について問題があっても、こういう調査をやっても構わないと、こういうことになるんですか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 少し言葉足らずで申し訳ありませんでしたけれども、恒常的にこういったものを毎年取り続けるということになりますれば、それはどうしても人事評価とかそういったものにまで影響してくるのではないかと、こういうふうに思われるというふうに私は考えております。 したがって、そういった統計的に恒常的に取り続けるというものは、外形的なもの、そういったものにしなければならないと、こういうふうに考えているわけでございますが、その場、時期、その時期においての必要性ということで、こういった単発的に取るということはあり得るということを御理解いただきたいというわけでございます。
○井上哲士君 いや、衆議院の答弁では、そんな、そういう、系統的にやったらいけないけれども単発ならいいとかいうことは言われておりませんし、仮に単発であっても、仮に一つの事件であっても、それは絶対に裁判官の独立としては侵してはならないんですよ。だから、私は、単発であろうが、こういう形で正に裁判官の訴訟指揮、その認識を問うような調査というのは行われてはならないと。 この点、山崎局長にもお聞きをいたしますが、これ全部、未済事件について踏み込んでいるんですね。衆議院の答弁では、この法案に基づいた今後の検証の調査について、個々の裁判の独立に影響を与えてはならないと言われまして、調査対象については原則的には既済事件を中心に行われるのが相当だ、一審で現にやっているような事件については相当な配慮をするべきだと、こういうふうに言われておりますが、今ここでやられているような未済事件について、争点がどうだったかとか必要以上な尋問があったんじゃないかとかいう、そういう、裁判官の認識を問うようなこういう調査が、相当な配慮、こういう範囲に入っているんでしょうか、それともはみ出しているんでしょうか、どうでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) ただいま最高裁の方でおやりになっている調査でございますけれども、これは、この法案に基づく、検証に基づく、検証ですね、八条に基づく検証、これに直接連動するものではないということで御答弁がいろいろあったと思います。 私どもの認識も、一応、調査の対象は全事件、これが対象にならないと全体の実態が分からないわけでございます。その中で、やはり現に係属中の事件については、その裁判に対する影響も考えて、その調査はなるべく客観的な外形的なものにとどめて、既済事件については、これはもうその影響はないということでございますので、それはある程度踏み込んで調査が可能かもしれませんけれども、そういうような、未済事件については何らかの配慮、こういうものが必要かなという認識は申し上げました。
○井上哲士君 そうしますと、今後、この法案に基づく検証のための調査ということが行われるわけでありますが、その調査の内容としては、こういうふうに、個々の裁判の中身について裁判官のこうした認識を問うということについては、この相当の配慮から考えるとふさわしくないと、こういうことでよろしいですか。
○政府参考人(山崎潮君) この実際のやり方等、私ども十分承知しているわけではございませんし、そこのところをお答えするのは適当ではないかと思いますけれども、そこのところは、この法案の趣旨に照らして、最高裁判所の方で今後どのようにやっていくか、それをいろいろ御判断されて、裁判の独立に影響のないやり方をやっていただく、それを期待しているというところでございます。
○井上哲士君 その独立、期待されているその独立に影響がないやり方というのは、先ほども少し言われましたけれども、外形的、客観的な事実にとどめるべきだと、こういう認識でいいわけですね。
○政府参考人(山崎潮君) 一般的にはそういうことでございますけれども、それが文言の意味としてどこまで外形的なのか、客観的なのかと。それは例えば、いろんな原因について一般的に言われている幾つかの範疇があるといたします。それの範疇のどれかというぐらい、これを聞くこと、これは客観的に言われている原因であれば、それは客観的なところにマークをするというものになるというふうに考えられますし、その内容いかんによるということで、文言から一義的に決まってくるわけではないということでございます。
○井上哲士君 ここで問われている、不十分であるとか、過剰であるとか、こういうのは明らかに裁判官の主観を問うものなわけですね。 もう一回、最高裁にお聞きしますけれども、先ほど、単発的なものというふうに言われました。となりますと、今後はもうこの調査は行わないんだと、今回限りだと、こういうことは言えるわけですね。
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) この調査、ごらんいただいてお分かりのとおり、十五年末で終わるということになっております。 今後、このような調査を行うかどうかというか、単発の調査、こういう調査かどうかは別として、単発の調査を行うかどうかということに関しましては、裁判の独立にも十分配慮しつつ、やっぱりその必要がある場合には単発的な調査を行うことはあり得るだろうと思います。
○井上哲士君 単発的な調査でも、例えば間を置かれて数度も行われますと、さっき言われたように、それは正に人事も含めて影響が起こってくるわけでありますから、これは、今回行われたこと自体が問題でありますけれども、今後こういった形で正に独立に影響を及ぼすようなことは絶対にあってはならないということを求めておきます。 大臣にも認識をお伺いしますけれども、これは衆議院の答弁で、最高裁が検証を行うに当たりまして個々の裁判官の独立に影響を及ぼすことが許されないのは当然だと、こういう答弁でありますが、このようなやはり個々の裁判官の主観を問うような調査というのが今後行われるということは、私は大変独立という点から問題があると思いますけれども、その点、大臣のお考え、いかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 今、御説明がございましたように、この問題にされております調査はこの法案に基づく検証に使用する目的ではないということが明らかでございますし、当然、最高裁判所においては、本法案に基づく検証の実施に当たりまして、裁判官の独立を侵す、あるいは害するということがないように調査の在り方については十分に配慮されるものと考えております。
○井上哲士君 このように、既にこの間の国会答弁とはやっぱり食い違うような調査が行われておりまして、やはり最高裁がこの法律に基づく、法案に基づく検証の主体になるということは、調査の項目、やり方、これも含めてやっぱりいろんな問題があるということは改めて浮き彫りになったと思います。やはり、第三者も組み込んだしっかりとした検証機関を作るべきだと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) ただいまの御指摘の点につきましては、最高裁判所の方でやはり裁判の独立に影響を与えないような調査の仕方、これは工夫していただくということになりますけれども、じゃ、これを仮に第三者に行ってもらおうということになれば、それはますます裁判の独立に影響が出てくるというおそれもございます。また、現に事件、係属中のものもありますので、それは守秘義務等もあるわけでございまして、プライバシーの問題もございます。そういう関係から、やはり調査の主体は最高裁判所でやっていただく、これが一番いい方法であるというふうに我々は判断したわけでございます。
○井上哲士君 先ほど、午前中の審議で福岡方式のお話がありました。詳しく御説明がありましたからあえていたしませんけれども、この検証の方式、生の裁判を素材にしつつ、それぞれが記録をして、そして検証自体は終結後に行うという形でやったわけでありますけれども、私、非常に工夫された仕組みだと思うんですが、あの方式については最高裁としてはどういうような御評価をされているでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 福岡方式といいますか、福岡方式のモニタリングのことをお聞きになっているかと思いますが、あれは現実に担当をしています裁判官、それからその訴訟代理人である弁護士の方、これらの方が自主的、主体的に相互の意思疎通をより図って、その結果、福岡方式を実のあるものにしようということでなされたものだというふうに思っており、地・家裁レベルでそういった共働関係を作る方策として非常に有力なものだというふうに考えております。
○井上哲士君 非常に有力なものだという評価でありましたけれども、この福岡方式では、それぞれが持ち寄ったものについて、地裁の中に、とともに、裁判官とともに弁護士が加わって検証しているわけですね。そのことによって、いわゆる裁判の独立が侵されたような事態が起きていると、こういうことは当然ないわけですね。その点いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 先ほど、裁判官、弁護士、それぞれの意思に基づいて自主的、主体的に今行っているというものでございますから、裁判に対する不当な影響という目的も、そういったまた弊害も生んではいないというふうに考えております。
○井上哲士君 そうしますと、この福岡方式でやることによって、検証に弁護士も加わってやっているわけですけれども、それによって独立が侵されるようなことはないということになりますと、この法案に基づく検証というものにも、最高裁とともに訴訟関係者、利用者である市民、こういう者が加わった第三者機関によって検証するということも何ら問題はないんじゃないかと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) ただいまの福岡方式、私も十分承知しているわけではございませんけれども、関係者の合意があって行っているものでございます。そういう意味において、裁判の内容的なものも外に現れると、こういうようなやり方でございます。 こちらの八条に基づきます検証、これについては、それぞれの事件の当事者の合意があるかどうかということを問わずに調査をまずしなければならないということでございますので、そこで性質は大きく変わってくるということでございます。 ですから、第一義的には、それは裁判所の方でお願いをいたしまして、そういうものをある程度まとめて抽出したもの、これをどういうふうに分析していくかという場面において、弁護士会あるいは検察庁、それ以外の有識者も含めていろいろ分析をしていただいて、その上でこれを施策に持っていくと、こういうことは必要であろうというふうに理解をしておりますし、また衆議院における修正あるいは附帯決議、これもそのことを意味しているというふうに理解をしております。
○井上哲士君 今、最高裁が検証の主体となった場合も関係者の意見をしっかり聞くんだと、こういう答弁でありましたが、意見の聞き方もいろいろあると思うんですね。言わば、一本釣りでコメントを聞く場合もあるでしょう。パブリックコメントという形で発表して求める場合もあるでしょう。しかし、そういうコメントを聞きおくようなやり方ではなくて、しっかりやっぱり協議をする場を作ることは私は必要だと思うんですね。 例えば、この五月に下級裁判所裁判官の指名諮問委員会が立ち上がっております。法曹三者五人に学識経験者六人を加えて、最高裁が下級裁判所の裁判官として任命されるべき者を指名するに当たってその指名候補者について諮問をする、そしてこの委員会が意見を述べると。最高裁がこの意見と異なる結論を出した場合には、その理由を委員会に示すということになっております。 これは、人事権は最高裁にはあるけれども、しかし実際その中にこの委員会を通して国民の声を反映をさせると、こういう仕組みかと思うんですね。 ですから、こういう例えば法曹三者や外部の有識者などを加えた検証委員会的なものなど、こういうこの下級裁判所裁判官指名諮問委員会に似たような性格のものを例えば作ると、こういうことも可能かと思いますけれども、こういう仕組みを採用することに何か不都合がありますか。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) その前に、福岡方式に対するモニタリングというものがこの最高裁の今回の検証とどんな関係にあるかというところをちょっと、先ほど福岡方式のモニタリングについて裁判所としてどう見ているかということでありましたので、ちょっと誤解があるといけませんので、そこの部分、お話しさせていただきたいと思いますが。 午前中に江田先生の方からもお話ありましたけれども、あれは、福岡方式というものを実施に、本当に実のあるものにするためにどうしたらいいか、裁判官と訴訟当事者の間で共働関係というものをきちんと作って審理を充実するとともに迅速化を進めていくためにはどうすればいいか、言わばそういった素地をそれで作っていったということになるわけであります。あくまでも、それは福岡方式というものを対象にそのモニタリングを行っているというものであります。今回の最高裁の、今、八条に言われている検証といいますのは、より大きな視点からのものではないだろうかというふうに考えているわけでございまして、少しく場面が違うのではなかろうかというふうに思っています。 そこで、午前中に江田先生の方にお答え申し上げましたとおり、そういったものを率先して下級裁が、こういうやり方でどうだろうかということを弁護士会と共働していろいろやっていただく、こういうことは大いに考えられますし、またそこで、こういうやり方をするとこういう隘路が乗り切れたということであれば、それが裁判所の、最高裁における検証の結果、こういう問題点があるところの処方せんとなり得るということであれば、それは採用していくということにはなるだろう、そういうような関係に立つものだろうというふうに考えております。 それから、先ほど、今回は、今の御質問に対する答弁でございますけれども、裁判所が国家機関として最終的に国民に対する説明責任あるいは実施責任を負わなければならない、そういう意味では国家機関として検証主体とならなければならない立場にある。最終的に最高裁がどういった提言をここで行っていくか、あるいは結果を出していくかというのは、裁判官会議による、最高裁の裁判官会議による議事を経てということになるわけでございます。しかし、その過程において最高裁だけで、あるいは裁判所だけでいろんな結論を出せるものではなかろう、いろんな視点、あるいはデータの提供も受けなければならない。そういう意味で、この大きなプロセス、検証の大きなプロセスの中でシステムとしてそういった外部の方にお入りいただく、法曹二者に御協力をいただく、そして意見もちょうだいする、検討にも参加していただく、そういった場が必要であるというふうには思っておりますが、それが指名諮問委員会というような形のものとは少し違うのではないかなというふうに思っているわけであります。
○井上哲士君 形はどうあれ、いわゆる単にコメントを聞くというだけではなくて、一定の協議や議論をする場というものを恒常的に作って一緒に検証していくというものが作られるということだというふうに御答弁をお聞きをしております。 いずれにしても、本当に国民の立場でしっかりとしたことが行われるということを改めて求めまして、質問を終わります。
○平野貞夫君 今日は七月三日でございます。一月前の六月三日には心神喪失者医療観察法案が当委員会で強行採決されて、一月目でございます。この心神喪失者医療観察法案の内容、それからこの法案の立法過程、極めて不明瞭な問題がある。金で買われた法案ではないかということが言われておりますが、いずれ、この法案の内容等については今後も厳しく監視し、そして必要な改正は行っていかなきゃならぬと思っていますが、取りあえず、その一月前の問題の整理といいますか、検証としてちょっと確認をしておきたいことがあるんですが。 私は、五月の終わりごろの委員会で、上野内閣官房副長官の公設秘書三人が政治資金規正法違反容疑で東京地検に告発されたという、事実であるかということを確認をしまして、事実はあるという刑事局長の答弁があって、受理したかどうかということについては答弁できないという状況だったんですが、その後どういう状況だったのか確認をしたいと思うんですが、受理されましたか。
○政府参考人(樋渡利秋君) お尋ねの告発状につきましては、御指摘のとおり、平成十五年五月十九日に東京地方検察庁に提出されたものと承知しております。 受理されたかどうかというお尋ねでございますが、前回もお答えいたしましたように、なかなかストレートにはお答えいたしかねるのでございますが、あくまでも一般論として申し上げますと、告発状が提出された場合には、捜査機関において告発としての要件の有無を検討しまして、その要件を備えている場合には、これを受理して所要の捜査を遂げた上、適宜適切に処理することになるというふうに思っております。
○平野貞夫君 個別の問題について明確にお答えできないという事情ですが、私の情報では、受理されたという情報を持っております。したがいまして、そのことについてはもうそれ以上言いませんが、公正でやっぱりきちっとした捜査が行われることを期待しておきます。 それから、もう一点ですが、七月一日付けで、現在の厚生労働省の副大臣である木村義雄氏、いろいろ当委員会でも問題になった副大臣ですが、この木村義雄氏と日精協を贈収賄罪の容疑として告発状が東京地検に提出されたという情報を私は入手しておりますが、この点については、提出されていますか。
○政府参考人(樋渡利秋君) お尋ねの告発状は、御指摘のとおりに、平成十五年七月一日に東京地方検察庁に提出されたものと承知しております。
○平野貞夫君 受理したかどうかということについては、先ほどの答弁と同じことになると思いますから聞きませんが、これも当委員会でいろいろ指摘があった問題と直結する問題でございます。さらに、九月には平成十四年度の政治資金関係の報告書が公開されますので、新しいいろいろな展開が出てくると思います。重大な関心を持っているということを承知しておいてください。 心神喪失者医療観察法案関係の確認事項は以上としまして、次に入りたいと思いますが、司法改革推進本部長にお聞きしますが、現在盛んに、積極的に司法制度の改革が行われていますが、元はといえば、司法制度改革審議会意見書がその原点だと思います。 そこで、ちょっと包括的なイメージを持っておきたいんですが、これまで実現した制度、それから、これから具体的に着手できるもの、それから、今後やらなきゃいかぬものというようなことでですね、大体どのような全体的な見通しを持っているか、お聞きします。
○政府参考人(山崎潮君) 御案内のとおり、私どもの本部は、来年、平成十六年の十一月三十日までが設置期限ということでございまして、三年間の設置期限と、こういうことでございます。その中で意見書に書かれているものを実現していくと、こういう任務を担っているところでございます。 今までやってきたこと、それから現在やっていること、次にやること、この順にちょっと、若干時間が掛かりますが、御説明申し上げます。 まず、今までやってきたものでございますけれども、昨年の臨時国会で、法曹養成制度の改革に関連をいたしまして、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律、それから、これは文部科学省からの提出でございますが、学校教育法の一部を改正する法律、それから司法試験及び裁判所法の一部を改正する法律、これを提出させていただいて御承認をいただいたと、これがまず第一弾目でございます。 それから、現在の法案の関係でございますが、既に御承認をいただきました法科大学院に教員を派遣する関係の法律、それから今御審議いただいているもの、それからこの後に御審議をしていただくことを希望しております司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正する法律案、仲裁法案、それからこれは法務省提出でございますけれども、担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律案、これが今提出になっているというところでございます。 今後のことでございますけれども、今後大きなものといたしましては、来年の通常国会として、まず民事司法制度の改革という大きなくくりのものがございます。この中には労働関係事件への総合的な対応強化、それから知的財産関係事件へのやはり総合的な対応強化、それから司法の行政に対するチェック機能の強化というものが大きく三つございます。 それから、刑事司法制度の改革に関連いたしまして、裁判員制度の導入、それから被疑者、被告人への公的弁護制度の整備などがございます。これ以外に裁判外紛争解決手段、いわゆるADRと言っているものでございますが、これに関する共通的な制度基盤の整備というものも予定をしております。 それから、全国どの町でもあまねく市民が法的な救済を受けられるというような、司法ネットと称しておりますけれども、この整備に関する法律というようなものも検討を進めているということでございます。 これが全体の法案の内容でございますけれども、今後とも重要な法案がもうメジロ押しという状況でございまして、我々としても鋭意努力をして、御承認を得られるように頑張ってまいりたいというところでございます。
○平野貞夫君 今の説明によりますと、現在までこなした、あるいはこなしているものはまだ入口という印象ですね。やっぱり来年辺りが大分、一番山場じゃないかというふうな感じを受けますが、これは事務当局の人もしっかりとやってもらわなきゃいけないわけですが。 そこで、司法制度改革というのはこれ、やらなきゃならぬ作業なんですが、今朝からのやっぱりいろんな論議の中にも、改革をやるということに伴う様々な意見の違いといいますか、あるいは意見の違いだけじゃなくて弊害というものも当然出てくると思うんですが、大事なことはやっぱり、そもそも司法制度改革とは何であったかという原点だと思うんです。その原点をやっぱりちょっと忘れているというか逸脱しているような法案が、ものが、例えば法科大学院制度の中にもあったんですよね。それから今回も、この裁判の迅速法案については各先生が御指摘しているとおりだと思うんですよ。 そこで、ここでもう一回、司法制度改革とは何であったかという原点について、これ大臣に聞いていいですかね。どういう御認識なさっているか、もう一度確認したいと思いますが。
○国務大臣(森山眞弓君) 司法制度、司法というものは非常に国家にとって重要な大きな柱の一つでございます。自由で、かつ公正で活力にあふれるという社会を築いていく上ではどうしてもなくてはならないものだというふうに考えます。 一方、社会が複雑化、多様化してまいりまして、国際化もしてまいりましたので、今までのままでいいとはなかなか言いにくい、いろいろ新しい変化に応じて対応するよう変えていかなければならないということも多くの人が認めるところでございまして、これからの我が国の社会において司法の果たすべき役割というのは、そのような新しい観点からも一層重要なものになっていくというふうに思います。 このたびの司法制度改革は、こういう社会の目的、需要にこたえまして、大きな変化の中でその役割を十分果たしていくことができるようにしなければいけないということで、事務当局、先生方を始め大変みんなで努力しているところでございますけれども、一口に申せば、その基本的な理念は国民に身近で頼りがいのある司法制度を構築するということにあるのではないかというふうに思います。 その理念を実現するために、裁判の充実・迅速化、いわゆる司法ネットの構築など国民の期待にこたえる司法制度の構築をすること、それから司法制度を支える質、量ともに豊かな法曹の養成等の人的基盤の拡充、裁判員制度を始めとする国民の司法参加等の国民的基盤の確立というようなことを三つの柱にいたしまして、順次精力的に取り組んでいるというところでございます。
○平野貞夫君 優等生のお答えなんですけれども、なかなか分かりにくい。 そこで、この司法制度改革審議会で非常に功績のあった、しかも今、顧問の座長をなさっている佐藤幸治先生が最近、「憲法とその物語性」という随想の本という、立派な本を出されて送っていただいた中に非常にいいことが書いてある。これをひとつ皆さん、かみしめてほしいんですが。 この司法制度改革とは何かということで、「いってみれば、」、御紹介しますが、「いってみれば、政治改革、行政改革等は、心臓に脂肪がたまり、動脈にコレステロールがたまったのを血がよく流れるようにするということ、それに対して今度の司法改革は、従来の小さすぎた、細すぎた静脈を大きくし、血液をきちんと浄化できるようにするということです。静脈がもっとしっかり機能できるようにしようというのが今度の司法改革の狙いである、」と。非常に分かりやすいですね。 そこで、今の大臣の説明は、それは非常に論理的にはそのとおりだと思いますが、前提が、世の中といいますか、今までは農業社会から工業社会に移ってきましたですね、二十世紀は。その世の中が変わらぬという前提の論理なんですよね。私はそういうふうに理解するんですよ。これから情報化社会の中で全く我々が予想できない新しい社会が生ずるんですよ。僕はやっぱり司法改革というのはそれにも対応できるものじゃないといかぬと思っていますよ。 角田先生の議論の中で非常に面白かったのは、裁判とは何かという議論がちょっとあった。その中で山崎参考人は、何か記憶がちょっとあれしたんですけれども、意味としては、今まで誤っていたことをそこで是正するんだという趣旨の話があったんですがね。 私、裁判というものは、そういう全く我々が予想できない社会の中では、新しい価値を作るようなんですね。司法というものの役割は、社会の新しい価値基準というか、正義を作るような作用になると思う。今まではそうでなかったかも分かりませんよ。そういう意味ですごく大変な問題を持っておると思うんですよ。だから、そういう問題意識というのを私はやっぱり共有しなきゃいかぬと、与野党ともですね、そういう思い。これは私の意見でございます。 そこで、議題になっている三つの法案で、この民事訴訟法等の一部改正案と人事訴訟法案というのは司法改革の流れとして私は素人ながら理解できます、かなりいろんな工夫がなされているという。ところが、この裁判の迅速化に関する法律案というのは、諸先輩の先生方が指摘された、私、それ以上に私は、ちょっと、静脈の浄化じゃなくて、かなり動脈部分あるいは神経部分まで触った法案じゃないかという思いを持っているわけなんですよ。 そこで、お尋ねしますが、この第一審のいわゆる訴訟手続ですか、これの終局について二年以内を目標ということを設けるというようなことを中心に、要するに訴訟手続に関するかなり革命的な内容なんですが、これは下手すると司法権の独立を侵す内容じゃないですか。そういう印象を私は持っていますが、それは間違いでしょうかね。
○政府参考人(山崎潮君) 今朝ほどからこの問題ずっと議論しておるわけでございますが、私ども考えているのは、この法案の中でも二年という目標はございます。これは大きな将来の施策の目標ということになるわけでございます。 個々の裁判にどういう影響を与えるかということでございますが、この法案の六条という規定がございまして、これは「裁判所の責務」のところでございますけれども、ここでも、その目標を達成するために可能な限りその目標の実現に努める責務を課しているということで、何が何でもその目標を達成しろということではなくて、やっぱり事件によっていろいろなものがあるということを配慮してやらなければならない、それからその前に、充実した手続を行うことによってと、やることはやった上で、その上でその目標を達成していけるように可能な限りやりなさいということでございますので、そこは強制しているわけでも何でもないわけでございます。それぞれの裁判所の判断ということになるわけでございますので、必要なことはやるということですので、裁判の独立に影響を与えるということはないというふうに考えております。
○平野貞夫君 それは、法案作った人はそう言うでしょうね。 しかし、憲法の七十七条は、「最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。」と規定していますね。となると、この裁判を迅速にするかどうかということは、これは訴訟に関する手続のことでしょう。
○政府参考人(山崎潮君) 裁判をどの程度の期間でやっていくかとか、これは例えば刑事事件で百日裁判がございます。これについては、やっぱりきちっと法律で百日で行うということを定めているわけでございまして、そういう意味では、もう少し細部のことについて最高裁の方で規則を定めるということは可能かと思いますけれども、裁判の基本的な部分についてはやっぱり法律で定めるという在り方ではないかというふうに私は理解をしております。
○平野貞夫君 そうですかね。最高裁判所の規則制定権というのはもうちょっと大きい意味があるんじゃないですか。 性格付けですね、裁判所の在り方の性格付けとか目的ということは、これは国会で審議すべきものでしょうけれども、一般論として、可能な限り一審の訴訟手続期間は二年を目標にしようじゃないかという話は、私は、法律事項に入れて果たして適切かどうか、問題があると思うんですよ。それは、いろんな事情があるから裁判を早くしましょうということを法律に書くことはいいんですけれども、具体的に二年とかという、それは目標であり、押し付けたものでないとはいいながら、そういうことは私はやっぱり最高裁判所の権限、裁判所の判断であり、これはむしろ書くとすれば、最高裁の判断としての規則、そういうものに置くのが、これは三権分立、司法権の独立を守る一つの見識じゃないかと、こういう意見を持っていますが、いかがでございますか。
○政府参考人(山崎潮君) それは一つのお考えだろうと思います。 私どもは、今回これを法律で定めた理由がちょっと別な点もございまして、この二年という目標は当然ございます。それに伴っていろいろ検証をやってもらう、検証をやったものについて施策に結び付けていくと、こういうことを併せて規定しておりまして、これがやっぱり一体となって意味があるということでございまして、そういう意味から法律ですべてを一体として定めたということでございます。 これに伴いまして、国の責務、裁判所の責務、その他様々な責務も全部決めているわけでございますので、やっぱり責務は、ある意味じゃ国民に対してのいろいろの責務を負うということは法律事項というふうに考えられますし、全体としてやっぱり法律で一体として定めるのが適当ではないかと、こういう考えに基づいたわけでございます。
○平野貞夫君 意見の分かれるところかも分からぬけれども、じゃ、この迅速法を作るときに、当然、最高裁と協議したり、最高裁の意見を聞いていると思いますが、これ、最高裁の人に答えていただけますかな。どの程度の最高裁との協議をこの法案を作るにやったんですか。
○政府参考人(山崎潮君) この問題は私どもの本部にございます顧問会議、そこで声が挙がった。総理大臣もこの点については同じ御意見を述べられたわけでございます。これについて、私ども事務局としてどういうことが可能であるか、事務局独自の立場でいろいろ判断をしたわけでございます。そういうことから案をいろいろ練りまして、顧問会議にもいろいろ御報告しながら進んでいったわけでございますが、私どもの事務局におきまして、昨年の十二月に最高裁判所を含む法曹三者の方に全部お集まりをいただきまして、もちろん顧問会議の顧問の方等も御出席をいただきまして、そこでヒアリングをいたしまして、御意見はそこで伺ったということでございます。まず、そこで御意見を伺いながら、それから案を練っているわけでございます。 これは、それぞれの場面で担当者同士はいろいろ意見の交換というのはあろうかと思いますけれども、最終的にはこの法案を作り上げるとき、これはもう最高裁判所の方に、こういう趣旨であるということは全部御説明をしているということでございます。
○平野貞夫君 私は説明してもなかなか簡単に納得しなかったと思いますよ、もっとも最高裁の人には何も聞いていませんけれども。 ただ、しかし、こういう三権分立にかかわる重要な問題を小泉さんのお声掛かりでやるというところに問題があるんですよ。心神喪失の医療観察法だって小泉さんのお声掛かりで始まるんですよ。こういう基本的な問題というのは、大体権力者の名前出したら駄目なんですよ。それは顧問会議の人がいろいろ言うことは、それは立場があっていいでしょうけれども、僕なんかは野党ですから、特に小泉さんの今やっている政治というのはもうけしからぬと、日本の社会をぶち壊す政治をやっていると思っていますから、それだけ言われただけでも非常に抵抗があるんだ、本当は。今後、小泉さん、総理の指示なんか、司法制度改革するときに受けないでくださいよ。これは大事なことなんですよ、それは。ブッシュさんに言わば追随している人ですからね。 そこのところはやっぱり冷静で、しかも徹底した深い思考が要ると思いますが、その点について、最高裁の方、これ、この規定を満足して、それはそのとおりだ、分かりましたという、ウエルカムという感じで対応されたんですか。構わなかったら答弁してください。答弁できなかったらこの次にまたやりますから。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 先ほど、最高裁の規則制定権について司法の自立権を尊重するという立場から有り難いお言葉をいただいて、恐れ入ります。 この問題につきまして、最高裁としては基本的に、こういうような法律が出ていくことになるからと十二月のプレゼンテーション、その際に、最高裁の方からは、迅速化を進めるためにはこういった条件が必要であると、こういうふうにいろいろ申し上げましたけれども、そういう、その後にこういった法律を出すことになるという御説明を受けました。政府がそういうふうな方針を立てられたという以上は、これは司法の方として、これは立法問題でありますので、口を出す資格はございませんので、分かりましたということで受け止めているわけでございます。 規則の方でやる方がよろしいのではないかという問題、有り難く拝聴はいたしましたけれども、他方で、最高裁規則でもし仮にこれを二年というようなことになりますと、先ほど来、先生方が御心配いただいている、拙速になるんじゃないかとかいうような、御議論が出てこないということにもなるかなと思って、感想めいたことでございますが、そういったものを、思いを持って今聞いていた次第でございます。
○平野貞夫君 突然お尋ねして恐縮でした。 私、以前も申し上げたんですけれども、日本のやっぱり統治機構の問題というのは、司法権が十分機能していないということなんですよ。残念ながら、行政が、官僚が強過ぎて。政治家も余りできが良くなくて、私を含めて。これは深刻な問題なんですよ。やっぱり、アメリカなんかはそういう意味で司法権がばちっと確立していますから、やっぱり最終的に秩序を決めるのは、政治を決めるのは裁判、司法権なんですよ。そして、こういう立法をするにせよ、予算を付けるにせよ、予算はあれですね、定員を付けるにせよ、全部官僚任せの司法権というところに、私は今の日本の社会の堕落があると思うんですがね。そういう意味では、司法権、最高裁というのは本当にしっかりしてもらわないかぬという意見でございます。 私、実は一時間今日いただいているんですけれども、イラク法の関係で与野党の国対とか野党の国対があるものですから間もなくやめますけれども、この次に回しますけれども、第一、一審の訴訟手続だけを短くしたって意味ないんですよ、全体の訴訟を短くしなきゃ。 そこで、ちょっと突飛なことを言うんですが、意見のある方は言っていただきたいんですが、刑事裁判で一審無罪になったら検察はもう控訴しないと、それが一番、裁判迅速、短くするもとなんですよ。こういう制度というのは現憲法下ではできないんですか。可能ですか。もし分かっている方があったらお答えください。
○政府参考人(樋渡利秋君) 突然で私もよく分かりませんが、憲法の問題ではないだろうというふうに思っております。
○平野貞夫君 憲法の問題。
○政府参考人(樋渡利秋君) 憲法の問題ではないだろうと思っております。
○平野貞夫君 分かりました。 それじゃ、憲法を改正しなくてもそういう制度を法律で作るなり、あるいはそういう慣行を、すればできるということですかな。
○政府参考人(山崎潮君) 例えば裁判、ちょっと刑事、民事、そこをちょっと問わない形で言わせていただきますが、この裁判一審限りというやり方を法律で決めても、要するに上訴はできないと、どっちもできないというのも可能なわけでございますので、あと、検察の方が控訴できない、それがいいかどうかという問題ですね、これは残りますけれども、それは法律上の問題としてあり得る話だろうと思います。
○平野貞夫君 実は、私、何でこんなことを言うかといいますと、私は憲法改正論者なんですよ。あるとき、社民党の土井党首ですか、土井党首と議論をしたんですよ。平野さんは九条改正論だから駄目だと、こう言うわけですね。そんなことをしていて、じゃ、あなたはどこの憲法を改正すれば乗るのかと言いましたら、今、私の言うことを言うたんですよ。刑事裁判で一審無罪になったことをもう控訴しないと、控訴できないという憲法だったら、私は憲法変える、その部分の憲法改正は賛成だと。 ですから、これ憲法改正しなくてもできるんじゃないですかという、そんな感じの話をしたことがあったものだから言ったわけですが、要するに裁判の迅速化というのは、様々なやっぱり工夫と、様々なやっぱり人間の動きの大事な部分でございますから、なかなか簡単に結論、これだから迅速だとは言えない問題があるということを申し上げて、済みませんが、私、ちょっと退席させていただきます。 ありがとうございました。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。 私も今日、一時間、時間をいただきましたので、ちょっと前半、六月十三日、法務省が死亡帳調査班による調査結果報告、刑務所のケースにつきまして調査結果報告を出していらっしゃいますので、また後日、刑務所問題については参議院の法務委員会で集中審議があることを期待をしておりますが、今日、この点について冒頭ちょっと時間をいただきたいというふうに思います。 六月十七日、法務省矯正局は、革手錠の代替品について発表をされました。法務省では、一連の名古屋刑務所事件において、革手錠を使用したことにより受刑者が死傷するという重大な事案が発生したことにかんがみ、本年三月五日、行刑運営に関する調査検討委員会において、革手錠を半年以内に廃止し、代替品に切り替える旨を決定しておりましたが、このたび、その代替品の概要が固まりましたと。今日、持ってきてくださいというふうに申し上げたら、まだちょっと固まっていないので持ってくることができませんと言われたんですが、是非、固まったら委員会で是非御報告をお願いいたします。 代替品は、革手錠のように腹部に巻き付けるベルトがなく、通常の金属手錠のように両手首のみに装着するものであるというふうに報告があります。ウエストの部分、腹部の部分のベルトがなくなるということは大変進歩だと思っておりますが、この革手錠は、報道されているところによりますと、前で締めてもいいし後ろで締めてもいいと。これは形状によりますと、後ろで締めると結構厳しい場合もあるのではないか。あるいは、暴れた場合はヘッドギアを同時着用し、後ろ手で締めるということもあるんですが、この点はどうなるのでしょうか。
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。 今御質問にございましたように、この新しい手錠、これは革手錠と呼びませんけれども、革手錠の代替手錠につきましては、後ろでも着用できるように考えています。 使用方法でございますけれども、原則として、保護房収容のみでは被収容者の暴行又は自殺を抑止できない場合に両手首に使用するという考えでございます。そして、その使用方法でございますけれども、原則として手の位置は腹部側、つまり両手前手錠になりますが、その方法では暴行又は自殺を抑止することができないときは、その手の位置を後ろにする、いわゆる両手後ろで使用する予定です。 この点につきましては、拘束度が高いんじゃないかという御質問ですけれども、やはりこれは、この拘束力は人の体格にもよりますし、それから両手の間隔にもよるわけですので、この点につきましては、異なるサイズのものを四種類ほど今考えておりまして、必要以上の緊度、緊縛にならないように配意する予定でおります。 以上です。
○福島瑞穂君 ただ、両手後ろにしたまま寝るのは非常につらいと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
○政府参考人(横田尤孝君) 寝るというのはいわゆる就寝のことをおっしゃっているのかもしれませんけれども、この使用時間あるいは使用要件といいますか、時間も含めて、については部内的に改めて検討いたしまして、そのような不都合が生じないような運用というものを考える予定でおります。
○福島瑞穂君 是非、何日間も使用するとか、あるいは夜間も含めて後ろ手錠、あるいは、今までだと片手は前、片手は後ろという、腹ばいになってもあおむけに寝てもしんどいという、そういう使用もあったわけですが、是非、時間を非常に限ってということの運用について是非よろしくお願いいたします。 次に、六月十三日に出た死亡帳調査班による調査結果報告についてですが、二つのケース、ぜんそくと拒食症のケースにつき、医療的措置ないし対応の適切さにかかわる刑事上の責任についての判断を刑事手続にゆだねるのが相当と思料されると。つまり、法務省自身も、これは刑事上の手続に付すべきだという結論を出していらっしゃるわけですが、その後どうなったでしょうか。
○政府参考人(大林宏君) お尋ねの二件につきましては、平成十五年六月十三日、最高検察庁あてに大臣官房から参考送付して通知しております。今後、検察当局において検討の上、適正に対処していただけるものと考えております。
○福島瑞穂君 済みません、受理をきちっとされたんでしょうか。
○政府参考人(樋渡利秋君) お答えいたしますが、これは告発をしたのでもなければ、捜査指揮をしたものではございませんでして、受理という観念は起こらないのでございまして、最高検察庁に御報告いたしまして、適切に御判断いただきたいということをお願いしているところでございますから、最高検察庁において適切に御判断されるものと思っております。
○福島瑞穂君 その後どうなったかについては、まだ連絡はないということでしょうか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 最高検察庁におきましては、この参考送付をして通知された案件については、そのような通知があった旨を管轄する地方検察庁に既に伝達されておりますので、当該地方検察庁において適切に対処するものと考えております。
○福島瑞穂君 今後の行刑医療の在り方を検討する上で参考にすべきものと考えられた案件、十八件がリストアップをされています。これは、どれも非常に重要なものだと考えますが、今後、具体的にどういうふうにしていくのでしょうか。
○政府参考人(横田尤孝君) お答えします。 先般、死亡帳調査班から示された今後の行刑医療の在り方を検討する上で参考にすべきものとされた案件につきましては、当局で発足させました矯正医療問題対策プロジェクトチームにおきまして、矯正部内の医師のみならず、部外の専門医の参加も求めて検討を行い、その結果を踏まえて問題点を抽出し、このプロジェクトチームの使命とされております矯正医療の課題の洗い出しと、その対策にかかわる取りまとめ作業に反映させますとともに、そのうち直ちに実施することが可能な事項につきましては、必要な措置を速やかに講じていくこととしております。
○福島瑞穂君 この調査結果を見ますと、やはり刑事事件に該当するかどうかという点に割と集中をされているので、二件は確かに刑事事件であると。ただ、ほかにも問題があるということなんですが、今日は、ちょっと済みません、刑務所問題ではないので細かくちょっとできませんが、革手錠に関連していると考えられる死亡事例、保護房拘禁が死亡事例になったんじゃないか、あるいは明らかに熱中症で死亡した者や、女性で物すごい栄養失調みたいな形で亡くなっている人のケースや、かなり落ちているという部分もあると思いますので、特に今後、二件以外の点についてもその後どうされるのか是非お聞きしたいということと、この十八件の問題について、その後どういうふうに検討されるかについて、また後日お聞かせください。 それで、衆議院の死亡、例の調査についてですが、五月二十一日の衆議院の法務委員会の参考人質疑で清水陽一、太陽の陽ですが、清水陽一医師は、この資料を見て、急性心不全は死亡診断書では許されない病名であるのに、国会で公開された二百三十八件の中に急性心不全が五十件も含まれていること、一般の医療機関で発生すれば二百件以上の医療過誤訴訟を受け、莫大な損害賠償を支払わなければならない内容であるということを証言をされています。 確かに、私たち見まして、一行、急性心不全と終わっていると、大抵みんな死ぬときは心不全で死ぬわけですから、急性心不全と書いてある死亡診断書は余りにひどいというか、一行だけでなぜ死んだかが一切分かりません。最後、心臓が止まって死ぬのは当たり前ですから。 やはり、お医者さんの方から急性心不全は死亡診断書では許されないというふうになっているのに、五十件も急性心不全で終わっていること、一般の医療機関で発生すれば医療過誤訴訟を大量に受けると、二百件以上受けるようなことになっているのに、おかしいんじゃないかと。刑務所で作成されているカルテの多くはカルテとは言えない内容ではないかと激しい発言がされています。この点についてはどう受け止めていらっしゃいますでしょうか。
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。 まず、施設における死因確定の問題でございますけれども、行刑施設におきましては、施設内で施設の医師が被収容者の死亡を確認する場合と、救急車等で外部医療機関に搬送した後に、当該医療機関の医師が被収容者の死亡を確認する場合がございます。 いずれの場合におきましても、被収容者の死亡事案につきましては、運用上そのほとんどにつきまして当該行刑施設から検察庁に通報し、検察庁におきましては必要に応じて司法検視、司法解剖等を実施しているものと承知しております。 そこで、この急性心不全の病名についてでございますけれども、厚生労働省監修のマニュアルによりますと、死亡診断書あるいは死体検案書の記載に当たりましては、疾患の終末期の状態としての心不全の記入を控えるようにとされております一方、明らかな病態としての心不全を記入することは何ら問題はないとされております。 行刑施設におきましては、被収容者が急死した場合であって外傷がないこと、単独室での死亡であること、それから真夜中等で職員の介在が考えられない時間帯の死亡であることなどから、暴行による死亡等の外因死が否定され、かつ中枢神経系や呼吸器系の障害が積極的に疑われないなどの場合に、病態として急性心不全との診断名を付けることが多いものと承知しております。このような取扱いにつきましては、必ずしも不適切なものではないというふうに考えております。 それから、カルテの記載の問題が今お尋ねございました。 カルテは、御承知のように、これは医師が記載するものでございますので、それぞれその医師の判断、必要とするものかどうかということの判断があろうかと思いますけれども、ただ、いろいろまた御指摘もございますので、これは一面、矯正局として指導の対象となるものであれば、その点につきましてもまた検討してまいりたいと考えております。
○福島瑞穂君 是非、その点の改善をお願いします。 というのは、先ほど申し上げた六月十三日の調査結果報告についても思うのですが、検察官が中心にやっているせいかもしれませんし、仕方ない面もあるかもしれませんが、結論、医師あるいは刑務官の刑法上の責任を問擬すべきとは認められない。つまり、明白に何らかの刑事事件だというのが立証できなければ、有罪か無罪かということであれば刑事事件を問えないという結論で終わっているんですね。 もちろん、そういうアプローチもあると思うのですが、むしろ暴行は振るわれてないかもしれないけれども、こういう点が問題であるということを明らかにするのが矯正の立場からは必要ではないかというふうに考えます。つまり、有罪か無罪かというのではなく、どういう点にやはり問題があるのか。有罪と立証できないからといって問題がないわけではないと。 今のお答えですと、刑務所でもし万が一亡くなると、自分の個室で特に死んで外傷がなければ、特に病歴がなければ、急性心不全ということで終わってしまうわけですね。そうすると、なぜその人が本当に死んでしまったのか。通常の病院やほかのところであれば、やっぱり家族も何でこれは死んだのか、死因は何なのかとやっぱり知りたいと思うんですが、外傷が特になく個室で死ねば、急性心不全、一行で終わり。これではやはり、例えば栄養が悪かったのか、例えば冷暖房あるいは何か心筋梗塞を引き起こすような事態があったのか、作業は適切だったのか、様々なアプローチからやはり死因を究明すべきだと思うのですが、もう一度、矯正局長、お願いします。急性心不全というのだけでなく、もう少し一歩踏み込んで死因の透明化等は必要ではないか。いかがでしょうか。
○政府参考人(横田尤孝君) お答えします。 死因の透明化というのがどういう御趣旨であるか、ちょっとそれだけで分かりにくい点はあるわけですけれども、いずれにいたしましても、もう一つは、この問題が取り上げられているということは、これまでも度々国会において御指摘を受けております矯正医療の問題にも絡んでくることだというふうに思います。 この点につきましては、これもこれまでるる申し上げているところでございますけれども、現在、この矯正医療の在り方、そしてその内容等につきましても、幅広い観点で検討しているところでございますので、そういった点で検討してまいりたいと思っております。
○福島瑞穂君 刑務所内で死亡したケースについて、今後どのように発表していかれるのでしょうか。
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。 行刑施設において被収容者が死亡した場合ですけれども、従来、被収容者のプライバシー保護等の観点から、報道機関からの取材に応答する場合を除き、矯正施設側から公表を行うことは差し控えてまいりました。 しかしながら、行刑運営に関する調査検討委員会におきまして、行刑施設における死亡案件の公表の拡充が決定されましたことを受けて、本年二月二十七日付けの矯正局長通達をもちまして、被収容者の死亡事案のうち、被収容者間における殺傷行為等による死亡や保護房収容中及び革手錠使用中並びにそれらの解除後おおむね一週間以内の死亡など事件性が疑われるおそれがあるものについて、報道機関を通じて公表することとしました。 今後とも、被収容者や遺族等のプライバシーの保護に配慮しながら、適正な公表に努めてまいりたいと考えております。
○福島瑞穂君 殺傷の場合、あるいは保護房、革手錠の場合はもちろん死亡について公表、もちろん名前という意味ではなく、死亡の事実を発表すべきだと思います。 ただ、これも客観的事実はもう今、分からないのですが、私は、一九八〇年代に、新潟刑務所で同じ日に三人の人が風邪で亡くなったらしいということを弁護士が聞いて、内部の調査に、というか、あるいは面会を求めようとしたら、事件を受任していない弁護士は受刑者に会えませんから、会えなかったという話を人づてに聞いたことがあります。 つまり、私は、思うには、千六百件の死亡帳のケースが出てくる前は、病死である、あるいは風邪である、あるいは自損行為による死亡である、自殺であるというふうなことで言われていた、自殺はちょっと別ですが、熱中症の死亡なども全部病死だったりするわけですね。ですから、殺傷事件、革手錠、保護房以外にやはりおかしいんじゃないかと言われているケースが実は隠されてきたということが非常に問題なわけですから、私は死亡のケースについては全件発表すべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。 つまり、極端に言えば、同じ日に十人の人が同じ刑務所で風邪で死んだというふうにもしなれば、それはやっぱりちょっとおかしいんじゃないかとか、何か別の原因があるんじゃないか、肺炎だろうかというふうに一応推測や外部からのチェックができますので、刑務所は密閉された空間ですから、死亡事案について例えば死因を発表するとか、そのような考慮は必要ではないでしょうか。
○政府参考人(横田尤孝君) 先ほども一部触れましたけれども、やはり人の死ということ、そしてその死因とか疾病とかといいますのは、これは極めてプライバシー性の高いものであるということだと考えております。 先ほど申し上げましたように、今年の二月の通達で一定の基準、言ってみれば公表基準と申しますか、そういうものを設けて、これで現在行っているところであります。このように、死亡を公にする必要があると考えるものについては既に公表する方針をし、そして現にその運用がされているわけですけれども、現状におきましても、その公表が遺族の御意向に反する場合がないではないという現実がございます。 したがいまして、今の委員の全件発表すべきではないかということにつきましては、なかなか難しい問題があるというふうに感じているというのが私どもの現在のお答えでございます。
○福島瑞穂君 イギリスでは、死亡した場合に、死亡を発表し、陪審制ではありませんが、一応ヒアリングを行うということを聞いております。プライバシー、受刑者のプライバシーには一切興味がなくて、そういうことを知りたいわけでは全くないんです。ただ、死んだことすら今まで出てこなかったので、それを、どこの刑務所でAという、名前なんかは全然、プライバシーには興味ありませんから、例えば何十歳代で死亡、原因は例えば肝臓がんで死亡とか、そういうので全然構わないのですが、それがどうしてプライバシーの侵害になるのでしょうか。
○政府参考人(横田尤孝君) どの程度のことが公表になるかということともまた絡んでくると思うんですけれども、やはりそれは施設名であるとか年齢であるとか、そういうことによってその死亡者が特定されてくる、推知されるということはあると思います。
○福島瑞穂君 ただ、受刑者はほとんど、何百人かいるわけで、年齢等では、是非これは、必要な事案とは思わないのですが、要するにプライバシーを暴こうとか、プライバシーには一切関心がありません。問題なのは、密閉化されている刑務所の中の事案に関して、やはり透明化していくということをしなければ外部が知る由がないという観点からなのですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(横田尤孝君) 繰り返しになりますけれども、透明性というその観点では一種の公表を私どもとしては踏み出したところでございますので、この状況を見守っていただきたいと思っております。
○福島瑞穂君 いや、それでは余り改善にならないというふうに思います。なぜならば、この法務委員会で議論になったケースは、病死であったりしたケースもたくさん、病死とされていたケースが実は問題ではないかというのもありましたので、現実に殺傷、保護房、革手錠だけが、この調査報告書にありますように問題なわけではありません。ですから、死亡帳を公開していただいたように、今後きちっと、プライバシーには本当に関心はありませんから、そうではなく、チェックできる体制を作っていただきたいと思います。 大臣、今のような答弁でよろしいのでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 今、局長からお話し申し上げましたように、できるだけ透明でオープンなという立場で最近できるだけ公表するようにいたしております。一定の条件のものについては積極的に公表するということを決めているわけでございます。 ですから、すべてのものを機械的に全部とおっしゃられてもなかなか難しい問題があるかと思いますので、現在踏み出しました新しいやり方をもう少し見詰めていただきたいというふうに思います。
○福島瑞穂君 ただ、公表が一部になればやっぱり全体像は見えてこないというふうに思いますので、是非その点については検討をお願いいたします。森山法務大臣は、法務大臣が天職であり、刑務所改革は使命であるというふうにおっしゃっていらっしゃいますので、その点については本当に進めてくださるようお願いします。 その使命ということの観点からいいますと、医療の問題の指摘がやはりずっとされ、またこの調査結果報告の中にもあるわけですが、法務省矯正局のみで充実した医者を手配するのはやはり今の現状では困難だと思います。厚生労働省の移管あるいはそことの連携、国立大学から分局のような形で派遣してもらうとか、制度的なケアがなければ結局、医者の確保はできないと思いますが、この点はいかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 行刑施設と医療というのは非常に密接な関係がございまして、おっしゃるとおり非常に重大な問題だと思っております。被収容者の健康を保持して、また施設の中で万一病気になった場合に適切な医療措置を講じるということは大変大事なことでございます。 行刑施設の医療については、医師の確保が大変難しいということから始まりまして、被収容者の身柄の確保及びプライバシー保護の観点から施設内において診療が行える体制を維持する必要がまずあるわけでございますが、非常時に登庁できる医師を確保し、急患への対応が速やかに取れる体制を維持する必要があることなど、いずれもみんな難しい問題でございます。 そこで、御指摘の点も含めて、先ごろ矯正局におきまして発足させました矯正医療問題対策プロジェクトチームによります検討や行刑改革会議の御議論あるいは御提言などを踏まえながら、関係省庁の御協力も得て医療の一層の充実が図られるように努力していきたいと思います。厚生労働省とも既に協議を行うことにいたしておりまして、今後どのような協力をいただけますか、御指摘のような点も含めて幅広く協議を行いまして、理解、協力を得ていきたいというふうに思っています。
○福島瑞穂君 行刑施設の医療の改革の問題については、一国会議員としても非常に応援、多分、ほかすべて、すべてというか、他の国会議員の方もそうだと思うんですが、是非、その点については、厚生労働省との話合いで是非改善をよろしくお願いします。 また、死因確定の方にちょっと戻って申し訳ないんですが、今回、死亡帳の記載内容が全くばらばらで統一性を欠いているということにちょっと驚きました。びっちり書いてある宮城刑務所のようなところもあれば、本当に簡単なところもあると。やはり問題なのは、受刑者が死亡した場合の手続が定められていないことが根本的な問題ではないか。死因の独立した調査機関が一切今まで存在をしていなかったということがあります。監獄法施行規則百七十七条により、病死の場合は行刑施設の医師が病名と病歴、死因、死亡年月日時を死亡帳に記載する、自殺その他の変死の場合は所轄検察庁、警察署に通報して司法検視を受け、その結果を死亡帳に記載すると。しかし、それだけであって、外部の、外部といいますか、それこそ透明化が図られていないというふうに思うのですが、その点について、矯正局長、改良の余地はあるのでしょうか。
○政府参考人(横田尤孝君) お答えします。 死亡帳の根拠等につきましては、今、委員御指摘のとおりでございます。また、これも委員御指摘のとおり、この死亡帳の記載が簡略に過ぎたり、あるいは死因しか記載されていないなど、不適切な記載が散見されたこともまた事実であると思っております。そのため、私ども矯正局におきましては、近日中に通達に定められた要領に従って記載すること等、死亡帳の記載要領につきまして、各施設に対し改めて徹底を図る予定でおります。
○福島瑞穂君 是非、通達はよろしくお願いします。 ただ、きちっと記載されると同時にそれをやはりチェックするシステムが何か必要ではないかというふうにも思いますので、先ほどの全件公表すべきでないかということも併せて是非検討をお願いします。 済みません、次に裁判の迅速化に関する法律案について御質問いたします。 ずっと今日、今朝からありますが、まず第二条、というか、やはり私もこれ何のための法律なのかがよく分からないというふうに思います。単なる努力目標であれば書く必要はありませんし、裁判官は子供ではないわけですから、こんなことを言われるのは本当に気の毒だというふうに思います。 二条に、「二年以内のできるだけ短い期間内」とあります。二年以内ではなくて、「二年以内のできるだけ短い期間内」、これは二年以内としなかったことには何か理由があるのでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) 二年以内といいますと、二年を超えていたものが二年以内に入ればセーフという形にはなるわけでございますが、仮に二年以内になっても、今二年以内にあるものでも運用上の努力でなるべく短くしていきましょうということをうたっているものでございますので、内容は違うということでございます。
○福島瑞穂君 吉野屋の牛どんかマクドナルドではないわけですから、短ければいいという問題では、それはないだろうというふうに思います。 裁判は、確かに迅速な裁判を受ける権利というのはあるのですが、私は法案の提出の順序が間違っているのではないかというふうに思います。迅速化法案を出す前に、証拠開示、捜査の可視化の方をきちっとやるべきであると。裁判員制度ができ、もし仮にでき、迅速化法案ができ、しかも証拠開示や捜査の可視化が十分されていなければ、あっという間の迅速なひどい判決になってしまうのではないかというふうに思います。 証拠開示についてお聞きをいたします。これは一九九八年、国際人権規約、いわゆるB規約から日本は勧告、明確に勧告を受けています。証拠開示についてはどのような前進がその後あるのでしょうか。
○政府参考人(樋渡利秋君) いわゆる御指摘のB規約、人権委員会が平成十年十一月に採択しました最終見解におきまして、弁護側には手続のいかなる段階においても資料の開示を求める一般的権利を有しないことに懸念を有するところの見解が示されたということは承知しております。 我が国におきましては、検察官は、控訴事実の立証に必要な取調べ請求予定の証拠につきましてはあらかじめ弁護人に閲覧の機会を与え、またそれ以外の証拠につきましても、事案に即して具体的かつ弾力的に証拠開示の要否、時期及び範囲等を検討し、被告人の防御上、合理的に必要と認められる証拠についてはこれを開示しておりまして、弁護人等が公判の準備をするために必要な証拠の開示を受ける機会は既に適切に保障されていると考えております。 しかし、刑事裁判の更なる充実・迅速化の実現のためには、十分な争点整理のための新たな準備手続の創設と証拠開示の時期、範囲等に関するルールの明確化が必要でございまして、特に導入が予定されております裁判員制度の対象となる事件につきましては、可能な限り審理期間を短くして裁判員の負担を軽減するという見地からもその必要性は高いと考えております。 そのような観点から、現在、司法制度改革推進本部において充実した争点整理のための新たな準備手続の創設と証拠開示の拡充について検討が行われているものと承知しており、法務省としましても最大限の協力をしたいと考えておりますし、最高検察庁におきましても、迅速化、充実化のプロジェクトチームを作りまして、この準備手続とも連関を持った証拠開示の問題について検討をしているところでございます。
○福島瑞穂君 証拠開示が十分されて捜査が可視化をしているのであれば、ある程度裁判を迅速にしてもそれは大丈夫だと思うのですが、今は全然その証拠開示が十分なされない、裁判所も証拠開示について勧告などをきちっと出してくれる場合もあるし、出してくれない場合もある、非常にケース・バイ・ケースです。 そうしますと、特に刑事事件では検察官が手持ち証拠を持っていて弁護側、被告人側は持っていないわけですから、ゼロからスタートしてだんだん争点が出てきたかなというときにもう二年ぐらいたってしまうこともあります。ですから、私は、証拠開示のルール化の法案、捜査の可視化の方を先にやるべきで、裁判迅速化法案がまず出てくる、要するに二年以内に終われということが先に出てくることは法案の提出の仕方として順番が間違っていると思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) これは、考え方は二つあるんだろうと思います。どっちが鶏か卵かという問題になりますけれども、周辺のいろいろな制度、これを全部備えてからスピードアップしましょうというふうに提案するのか、まず運用でできるものはやりながら、それを検証して、本当にできないならできないという結論を出してもらえばいいわけですね、検証で。 できなければ、何が足りないか、それが手続なのか人なのか、あるいは運用のやり方なのか、これを全部検証いたしまして新しい施策に振り向けるわけです。必要ならばまた法改正をやらなければならない。それを繰り返しながらまた検証をしていって、まだそれでもできないということになれば、何がまた足りないのか、こういうことを繰り返して、要するに運用と制度、それから体制、これを三つを繰り返しながらやっていくというのも一つの考え方だろうというふうに思います。そういうことから、我々はこのような選択をしたということを御理解賜りたいと思います。
○福島瑞穂君 鶏か卵かとおっしゃいましたが、裁判の迅速化をした後必ず証拠開示の全面開示が得られるのならいいんですが、今のお話だと鶏が出てきて卵が出てこないということだってあるわけですよね。ですから、それは、迅速な裁判の前提として、不可欠の前提要件として、必要要件として証拠開示と捜査の可視化があると思います。 実は、私も、これちょっと個人的で済みませんが、担当している、ほかの弁護士と一緒に担当している事件で再審を争っているケースがあります。検察官あるいは裁判官に交渉を、面接交渉を弁護士としてしたときに、検察官側は二メートルから三メートル資料があるというふうに言っているけれども、証拠のリストもやっぱり出してもらえないわけですね。有罪か無罪か、再審請求の前提としての証拠を見せてもらうということもできておりません。にもかかわらず、迅速な裁判、二年以内に終われということだけ済むと、迅速な有罪判決が出てしまうのではないか。 日弁連は証拠標目開示を義務化する証拠開示立法化の方向を一九九六年に打ち出しています。証拠リストの開示は当然だと考えます。 元裁判官で現在弁護士の秋山賢三さんは、全面的証拠開示を求める理由は以下のとおりであると。過去の裁判では、松川事件における諏訪メモのように、もしその証拠が早期に法廷に提出されていたならば被告人等の無実が容易に明らかにできたような証拠が隠匿されたまま開示されず、そのために死刑判決を始めする冤罪の判決が言い渡されてきたと。過去に、死刑判決が確定した後、再審、無罪となった四事件を始め、再審により冤罪であることが明らかになった事件のほとんどは、もし全面的な証拠開示が早期になされていたならば、本来の裁判において既に無罪判決がなされていたであろう事件だと考えられますと。 この証拠リストの開示、証拠リストの開示は証拠の開示の前提ですから、証拠リストの開示は当然である、これについていかがでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) 現在、私がその考え方の当否についてお答えするという立場にはございませんが、現在、私どもの検討会でこの問題を集中的に議論しております。今、第二ラウンドの議論に入っております。 その中で、今、委員が御指摘のような証拠開示として、検察官が保管する証拠の標目を記載した一覧表、これを開示するという案もその選択肢の一つとして掲げられていると。もう一つの考え方は、検察官請求証拠の証明力を判断するために重要な一定類型の証拠を開示する旨の案というのが今たたき台として二つ並べられている、これを今中心に議論がされているというところでございます。ただ、この議論はあくまでもたたき台でございまして、それ以外の案も十分いろいろ議論をされる、それは自由だという形でやっております。 まだもう少しこれについて結論を出していくには時間が掛かるというふうに思いますけれども、来年の通常国会には成案を得て法案を提出できればというふうに考えております。
○福島瑞穂君 そのA案、B案というのが報道されたりしておりますが、その危惧を感じて実は今日、質問をしました。 できるだけ広く、少なくとも証拠のリストは発表してもらわないと、弁護側は一体どういう証拠があるか分からない、もしかしたら、例えばこういう、例えば何かルミノール反応の証拠があるんだったら、ああ、こういうのがあるんだとか、それが分かるわけですが、証拠のリストさえ分からない、圧倒的な情報量の差の中で二年以内に終われとなれば、十分攻撃防御ができないまま終わってしまうと、あるいは冤罪も起きてくると思います。 冤罪・誤判をなくすための証拠開示の公正なルールを求める会は、通常刑事手続における証拠開示の在り方について、例えば以下のようなことを言っています。司法警察員及び司法警察職員は、起訴後直ちに、作成したすべての捜査記録・捜査関係書類と収集したすべての証拠を検察庁に送付しなければならない。検察庁自身も知らない証拠がたくさんあったりすると。検察官は、前項によって送付された捜査記録・捜査関係書類、証拠及び自ら収集し、並びに検察事務官に収集させたすべての証拠の目録及び内容を記載した書面、証拠リストを作成し、起訴後直ちにそのリストを弁護人、弁護人がないときは被告人に対し、交付しなければならないなどと提案をしています。 是非、迅速な裁判はあり、裁判員制度も導入されるけれども、証拠開示は極めて不十分、あるいはケース・バイ・ケース、一部になるということがないように、それはくれぐれもお願いをいたします。 捜査の可視化もそうで、なぜ裁判が長期化するかといえば、弁護士は、供述調書の信用性、証拠能力を争うために丁寧にやっぱり立証しないと、それが任意性がないということの立証がなかなかできないという事情があります。そういうことを、裁判員制度を導入し、二年以内、しかもできるだけ短くという中で本当にできるのかというふうに疑問があります。 捜査の可視化、先ほど一九九八年のB規約の勧告の中でも捜査の可視化が勧告をされております。録音テープやビデオテープで捜査が見えるようにと、これは捜査側にとっても自分たちは暴行を振るったりしていないのだといういい証拠になるというふうに思いますが、捜査の可視化が前提条件だということについてはいかがでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) 御案内のとおり、捜査の可視化の問題、その証拠開示も含めて現在、私どもの方で検討しております。それ以外の可視化の問題もございますけれども、今、私どもは証拠開示を中心に行っているというところでございます。
○福島瑞穂君 是非、捜査の可視化の方もお願いします。 ちょっとまだ、くどいようですが、とにかく二年以内に終われと、あとの制度的なことはこれから議論するということだと、二年以内に終わることだけ決まって、あとの改革がなされなければ本当にひどい結果になるというふうに思います。 ですから、是非もう少し、裁判の迅速化法案を成立させようとするならば、前提条件についてもう少し前向き答弁をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) 今、現在、鋭意検討しておりますので、来年には御承認いただけるように成案を持ってやりたいというふうに思っております。
○福島瑞穂君 そうしたら、鶏か卵かというお話でしたので、必ず卵が出てくるように期待をしておりますので、それは是非お願いをいたします。 もう一つ、例えば、ほかの委員の方からもありましたけれども、民事、刑事、民事の点でも医療訴訟が、ごめんなさい、東京地裁の鑑定実施率は七%と極めて低いと、医療訴訟で、この数字が出ておりますが、なぜ東京地裁はこのように低いのでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 東京地裁医療集中部の鑑定実施率につきまして最近議論を呼んでおりますので、数値を示しまして御説明をしたいと思います。 まず、全国の医療事件の鑑定実施率は平成十四年では二八・六%でございまして、ここ数年この数値に大きな変化がないということでございます。全国の地裁、民事第一審通常訴訟事件全体の鑑定実施率は平成十四年で一・一%でございますので、医療事件はその二十八倍の鑑定実施率ということで、大変高い割合で鑑定が行われておりまして、医療事件の困難さというのを表しているわけでございます。 次に、東京地裁の鑑定の実施状況について御説明いたしますと、平成十四年の東京地裁の医療事件の鑑定実施率は一七・一%ということでございまして、これは全国平均よりも少ないけれども、それほど大きな違いがないと見ることもできるという、そういう評価ができようかと思います。 東京地裁に平成十三年四月から設けられました医療集中部の四箇部での鑑定実施率、これが、ただいま御紹介がございましたように、平成十三年四月から平成十四年九月までで七%となっておるという数値が法律雑誌に発表されて議論を呼んでおるわけでございます。 この東京地裁の医療集中部は創設されてからまだ二年余りということでございますので、そこで平成十四年九月までに終了いたしました事件は、訴えが提起されて間もない事件が多いということ、すなわち調査対象となった事件は早期に終わった事件がかなりあるという特殊性もございますので、そこでの事件処理状況についてまだ判断を下すという段階には至っていないのではなかろうかというように考えておるわけでございます。 一般論といたしましては、必要な証拠調べは、証人尋問であろうと鑑定であろうとこれを実施するというのは当然であるという考えでございます。証拠の採否はこれは裁判の独立の範囲内の事項でございますから、私ども事務当局が論評するという限りではございませんが、御指摘の論点につきましては今後とも実務の動向を見守っていきたいというように考えております。
○福島瑞穂君 そうしますと、他の全国平均に比べて東京地裁が七%と極めて低いのは、まだ新しい事件だからということなんですか。ちょっと済みません。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) そういう要素があるであろうというように、外形的な事件の係属状況から見ておりますが、これは今後もなお実務の動向を見守っていきたいというように考えております。
○福島瑞穂君 いや、東京地裁だけ異常に低いので何か理由があるのだろうかと思ったもので、質問をいたしました。 ただ、実は、現在この裁判迅速化法案が国会に提出されておりますが、現場の弁護士の人たちに聞くと、実はもう前倒しで起きていると。つまり、証人申請などをするのを裁判官が嫌がるという話をよく最近聞いております。実は、実際そうなるのではないか。 しかも、先ほど井上委員が提出してくださいましたこういうものを見ますと、現場の裁判官は、やっぱり二年を超えると挙証責任が裁判官の方に来て、何で遅いのかということの立証をやはり迫られるということになりますので、非常に、証人申請をあと一人しようかどうしようかというときに非常に消極的になってしまう。 ただ、裁判はやっているうちに意外な事実が出てきたり、意外な反論が出てきたり、意外な展開を遂げたり、また原告、被告は十分やってもらうことで、結論はどうであれ、精神的には納得をするという面もあります。ようかんを切るみたいにというか、映画じゃないんだから、二年でというのはやっぱりすごい強引ではないかというふうに思うのですが、園尾裁判官と言うといけないですね、園尾さん、中山さんはいずれも東京地裁刑事部、民事部で統括裁判官をやってこられたわけですけれども、現場からいって、本当に実際どうなんでしょうか。それぞれいかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) まず、民事事件について申しますと、これは平成に入って以来、争点を十分に議論をして煮詰めて、証拠の採否などについてもその煮詰めた争点を前提にして検討していこうというような動きが全国的に広まったところでございまして、そのような中から、しっかりした争点を煮詰める作業をした後に証拠決定をしようということで、証拠決定をする人証の数が徐々に絞り込まれているというような動きはあろうかと思います。 ただ、それが実際に必要な絞り込み以上の絞り込みがなされていないかどうかというところが問題であるわけですが、これは、それ自体は裁判官の訴訟指揮に係ることということになりますけれども、確かに私自身も東京地裁で裁判長をやっておったころに、何人かの弁護士の方から、そのような傾向があるのじゃないかというような指摘を受けたことがございます。 これは、裁判官それぞれがそのような指摘を受けてよく検討していくべきことということになりますが、やはり一般論としましては、必要な証拠調べはきちんとやる、必要にして十分な証拠調べをやる、その上で双方の当事者の求めるところに合致したそういう訴訟手続を行っていくというのが原則でございますが、これはそれぞれの裁判官が永遠に追求しなければいけない課題というようなことになるというふうに考えております。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 今、園尾局長が民事の方で申されたことと、基本的に刑事も同じでございますけれども、私も東京地裁で裁判長をやりましたときに、一番気を付けなければならないのは、やはり被告人の言い分を十分聞くということでございました。その結果、証人尋問が本来の時間を過ぎてとか、あるいは臨時開廷というようなことで、そうなりますと、いつも組合の新聞に、あそこの法廷が一番悪いと、こういうふうに書かれるというようなところを経験してまいりました。 先般、長官・所長会同が開かれまして、迅速化法が成立したときにどういう条件が整備されれば本当にそういったことが無理なく実現できるだろうかと、こういうことも議論いただきましたけれども、その前提として、各所長方からは、適正さというものを失ったときに裁判はその生命を失うということをこの機会に改めて裁判官は認識すべきだし、十分理解して心してやっていかなければならない、迅速化ということを過度に意識して充実あるいは適正というものが失われることのないようにしなければならないということで、大多数の所長がそういった発言をされたということであります。 裁判所の中は今そういった雰囲気でこの迅速化法を受け止めているというところで、御理解いただきたいと思います。
○福島瑞穂君 今、例えば園尾さんは、それぞれの裁判官が追求すべきことである、そしてまた中山さんの方からも、迅速化ということで適正化が失われてはいけないということを、そうすれば裁判が死んでしまうということをおっしゃいました。 私は、それぞれの裁判官が追求すべきことであって、法案に書くべき中身ではないんじゃないかというふうに思っております。何のためにこんな法律が必要なのか。二年以内に終わらなかった場合に裁判官をたたくのか、弁護士をたたくのか、あるいは検察官をたたくのか。何か問題があるということが、なるわけですよね。それはやっぱりおかしい。それぞれの裁判官がそれぞれやるべきことではないかというふうに思いますが、それぞれいかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) それぞれの裁判官という立場に立ちますと、私自身で申しますと、適正で、かつ充実した審理の中で迅速な結論を出すということは常にこれまで心掛けてきたものでございまして、そういう意味では、法律の有無にかかわらず、このような姿勢で裁判をするというつもりでございます。 ただ、そのような法律を作るかどうかということは、これは立法政策に属することであるというように考えております。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 裁判所、私、刑事でありますから、二年を超えているものは〇・四%、民事は七・二%ということでありまして、基本的にかなり今、裁判所、過去の裁判官の努力は実を結んできているのではないかなというふうに思います。 しかし、残念ながら一部の事件において、マスコミ等でも報道されているように、やはり遅れているということも確かで、また今回、こういった迅速化法というようなものが出るのは、また国民の要請、国民の期待というものがまたそういう面では強いのである、こういうようなことが現れてきているのかなとも思っておりまして、裁判官一人一人が、こういった法律が出されるということもまた考えながら、適正迅速な裁判の実現に努めていかなければならない、こういうふうに思っているところであります。
○福島瑞穂君 法律の有無に関係なく、迅速かつ適切な充実した裁判は各々それぞれの裁判官は志向されるわけですから、これは法律があってもなくても関係ないと。法律があってもなくても迅速な適正な充実した裁判はなされるべきなわけですから、こんな法律を作るのはおせっかいではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) おせっかいという評価を受けましたけれども、この法案は、じゃ裁判官、二年といっても、この責務のところを見ていただくと、「可能な限り」ということを言っているわけでございます。それから、検証するときも、何かそれぞれ法曹三者を全部たたくというイメージで言われているんですが、たたくんじゃなくて、調査はいただきますが、それを将来の政策に役立てようということでございまして、確かに、それぞれが意識して裁判は充実して迅速化するように心掛けなきゃいけないことは間違いないんですが、この法案は、それを前提にしながらそれを施策に結び付けていく、それを循環させましょうということを定めているわけでございます。大変大きな意義があるということでございます。
○福島瑞穂君 さっきの鶏と卵じゃありませんが、単に二年内で終われということで、他の制度が整っていない段階でやることがいかがかと、まず思います。 それから二点目は、いみじくも今おっしゃっていただいたように、原則として二年なわけで、例外的な事情はもちろん、つまりこの法律そのものが、二年以内でやるのが望ましいが、例外はもちろん許容している。二年で野球の生中継みたいにぶちっと切れたりするわけではないわけですから、それはあるわけです。でも、そうすると、この法律が物すごく強烈であれば有害なわけですし、この法律が単なる努力目標を決めているのであれば役に立たないということになるのではないでしょうか。 それで、先ほど、メディアでたたかれる長い事件があるという指摘がありました。しかし、例えばいわゆる地下鉄サリン事件ですが、これは当初、十七事件が併合されて、被害者多数の事件があると。これは、例えば司法統計によれば、審理期間が長いのは重罪を扱う法定合議事件ではなくて、多数事件が併合されていたり、内容が複雑なために裁判所が特に合議体での審理を求める裁定合議事件で審理時間を要していると。民事事件でも、医療過誤も鑑定があったりしてそうですが、大型の公害裁判や多数の人たちが起こしている裁判、それからやっぱり複雑な事件は明らかに、原子力発電所に関する裁判などは極めて専門的なわけですし、たくさんの専門的なことを要する、たくさんのことを論じなければならない裁判もたくさんあります。そういうものがありながら、二年以内と作ることはいかがかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) 事件によっては掛かるものは掛かるというものはあろうかと思います。ただ、掛かるといっても、それを運用上の努力、あるいは体制の整備として人をその事件に集中させて、ほかの人はほかの事件をやっていただくとか、いろいろな工夫をして、やっぱりそれなりには早くなっていくだろうと思うんです。そういう努力をこれでやりましょうということを言っているわけでございまして、やることをやめろと言っているわけではございませんので、そういう意味ではこれは意義がある法律であるというふうに是非御理解をいただきたいと思います。
○福島瑞穂君 そうすると、もう繰り返し、私がちょっと恐れるのは、二年以上掛かった裁判について、裁判官、弁護人、検察官、被告人、その他が非常にその負い目を感ずると。なぜ掛かるのかということを一々言わなくちゃいけないような事態が発生するんじゃないか。 現に、すべてのことが前倒しで、今日、井上委員提出資料なんですが、調査をしているわけですね、個別ケースで。何であなたのやった事件は二年以上掛かっているんですかという調査が一件一件されるわけですね。こんなことがされたら、二年以上掛かるとそれは非常にちゅうちょするというか、と思うのですが、非常にやはり、ですからこれが司法権の独立を阻むのではないか。事実上、今後二年以上掛かったケースについては検証を行うことになるわけですから、その点については極めて問題であると考えます。 それについて、実は皆さん現場で裁判官やってこられたわけですが、園尾さん、中山さん、いかがでしょうか。
○委員長(魚住裕一郎君) 簡潔に。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 裁判の独立を守るということは裁判所にとっては最も重要なことの一つですので、この点についていささかも揺らぎのあるような行政があってはならないということになるわけです。 その点につきまして、刑事事件に関して、先ほど、特に、裁判員制度というようなことも視野に入れて調査が特にされておるというようなことがございましたけれども、全般として見ました場合には、そのような姿勢で臨んでいるということではないというふうに私ども考えております。 今後とも、この裁判の独立という規範をしっかりと守っていくというような姿勢で行政を行っていくというつもりでおります。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 常にダブルで答えて恐縮でございますが、今、園尾が申したとおりでございます。
○福島瑞穂君 では、時間ですので終わります。
○委員長(魚住裕一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時四分散会