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156回国会参議院2003/03/25

法務委員会 第2号

発言数
36
登壇者
8
会派数
5
開催日
2003/03/25

会議録

魚住裕一郎公明党

○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に金融庁総務企画局参事官西原政雄君及び法務省民事局長房村精一君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

魚住裕一郎公明党

○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

魚住裕一郎公明党

○委員長(魚住裕一郎君) 金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

鈴木寛民主党・新緑風会

○鈴木寛君 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。  それでは、本日の法案、債権譲渡円滑化法というふうに略しているんだと思いますけれども、その法律についての質疑に入らさせていただきたいというふうに思います。  まず、提出人にお伺いをいたしますけれども、この法律が施行されまして五年弱が経過していると思いますけれども、本法律案についての施行状況を踏まえた評価についてお聞かせをいただきたいと思います。

山本幸三自由民主党

○衆議院議員(山本幸三君) 本法律によりまして、現在までの実績といたしましては、平成十三年度及び十四年度、これは主要行におきましてヒアリングをした結果でございますけれども、大体、千四百五十六債務者のうち七一%、千三十五債務者について本法が利用されているという状況でございます。つまり、この法律によりまして、金融機関等から整理回収機構やサービサーへ譲渡する不良債権処理の円滑な推進が大変図られているというように考えております。  今後とも、政府の方針としても平成十六年度には不良債権問題を終結させたいという方針がございますので、是非この法律を引き続き使わしていただきまして、不良債権処理の円滑な処理を図りたいと思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思っております。

鈴木寛民主党・新緑風会

○鈴木寛君 今はいわゆる譲渡をしようとする立場の側からの評価についての御説明があったかと思います。おおむね七割の方がこれを使われていて、このことによって譲渡をしようという側の立場からは意味のある、意義のある法律だということについての御説明があったわけでございますが、いわゆるこの根抵当権の設定者側からどのような評価をされているか、あるいはその辺の状況はどうかということについて、提出者の方々は何か情報を持っておられるでしょうか。

杉浦正健自由民主党

○衆議院議員(杉浦正健君) 設定者、債務者が多いんですけれども、の立場からいたしますと、どうなるかということはケースによると思うんですけれども、おおむねと申しますか、ほとんどと言ってもよろしいかと思いますが、この法律に基づいて金融機関等から債権が譲渡される場合というのは債務者がほとんど破綻しているケースだと思うわけです。設定者は債務者と一致しない場合もあるんですが、いずれにしろ処理が必要だというケースと考えていただいてよろしいかと思います。  それで、通常そういう場合の処理は、貸手と借り手、担保提供者が相談いたしまして、根抵当権、債権が確定していない場合は確定させる、相談の上、確定させる、そして登記を行う、そして譲渡をするという手続でやるわけでございます。ここに、今、山本先生が報告されたケースというのは、この法律に基づいて一方的にやったケースでございまして、大部分といいますか、かなりの部分といいますか、の処理は円滑に行われているのは普通でございます。私も弁護士時代、債権回収を一生懸命やっておりましたので、そういうケースを相当扱ったんですが、話合いで行われるものなんです。  ですから、それができないというのはいろんな事情があるわけなんですけれども、一番極端な例は、債務者が夜逃げしちゃった、いなくなっちゃったと、相談もできないというケースがございます、かなりございます。そういうような場合にはこういうものは有効で、相談できないんですから確定しようがないということでございまして、譲り受ける側も、RCC等の債権、サービサーもそうですが、債権回収のプロでございますので、そういった点はできるだけ円満に話し合った上で譲り受けると、やむを得ない場合はこの法律を適用して譲り受けるということですから、さほどの不都合はないんじゃないかと。実際まだ起こってないんじゃないかというふうに思います。  先ほども金融庁に聞いたんですが、そういう不都合、クレームなんか来ているかと聞いたら、特に聞いてはいないということでございますので、設定者あるいは債務者の側から見てもさほどの不都合は生じていないというふうに私は認識しております。

鈴木寛民主党・新緑風会

○鈴木寛君 それでは、今回は、私が理解しておりますところによりますと、法律内容の単純な二年間の延長だというふうに理解をしておりますけれども、その理由と背景について、提出者の方から御説明を賜りたいと思います。

江崎洋一郎保守新党

○衆議院議員(江崎洋一郎君) お答えいたします。  先生も御承知のとおり、政府の「改革と展望」二〇〇二年度改訂版におきまして、この集中調整期間を一年程度延長すると、これが二〇〇四年度、平成十六年度までの延長ということで改革を集中的に推進するということでございます。その中で、この不良債権処理の加速化ということも同様にこの十六年度内に行うということでございます。  したがって、引き続き、整理回収機構、RCCあるいはサービサーへの不良債権の譲渡を円滑に推進するということを目的に不良債権処理に必要不可欠であるという観点から、今回、平成十七年三月三十一日までの延長をお願いしている次第でございます。

鈴木寛民主党・新緑風会

○鈴木寛君 先ほどの、その前の御答弁で、この法律が使われるケースは多くは破綻のケースで、いわゆる債務者がどこに行ってしまっているのかよく分からないというようなことによく使われて、それが非常に有効だったという御答弁があったわけでございますけれども、これから二年間もやはりこの法律というのは、その破綻先の債務の円滑な処理といいますか、そこに使われていくというふうな理解でよろしいんでしょうか。

杉浦正健自由民主党

○衆議院議員(杉浦正健君) 金融庁が設けております債務者区分でございますと、破綻先とか実質破綻先が中心になると思います、対象としてはですね。そういうふうに思っております。

鈴木寛民主党・新緑風会

○鈴木寛君 金融庁来ていらっしゃいますでしょうか。  私が昨日お伺いしたこの背景で、金融庁のお話は、いわゆる破綻先の不良債権処理というのはかなり進んでいる、更に二年間これが必要なのは、健全行によるいわゆる不良債権の加速化といいますか、処理の加速化という要素もある、あるいはその方が強いんだというふうな御説明いただいたわけでありますけれども、今の提出者のお話のありました提案理由と金融庁の背景認識は一致しているのか、それとも付け加える点があるのか、そこの点はいかがでしょうか。金融庁の御認識をお尋ねしたいと思います。

西原政雄金融庁総務企画局参事官

○政府参考人(西原政雄君) お答え申し上げます。  昨日、恐らく金融庁が申し上げたのは破綻金融機関、これからの債権譲渡、これを申し上げたんだろうと思います。いわゆる金融機関の破綻処理を円滑にするために、それを受皿金融機関に対して円滑に譲渡をしていくと、こういう処理が一方でございまして、これについてはだんだん終わり掛けていると。  ところが、今、話になっておりますのは、健全な金融機関からいわゆる不良な債権、その債権がいわゆる破綻先ですとか破綻懸念先とか、そういったものについてのいわゆる譲渡、これがこれまでも不良債権処理として使われてきておりましたが、今後もこれは非常に重要であると、こういうふうに申し上げたんだと思います。

鈴木寛民主党・新緑風会

○鈴木寛君 提出者の先生方はいずれもこの道の大変な御専門家なのでお伺いをしたいと思いますけれども、そもそも根抵当という制度、これについて、これは我が国に大変特徴的な制度であるというふうに私は理解しておりますけれども、この根抵当の持つ、何といいますか、いわゆる債権債務者の関係における、何といいますか、地位といいますか、その力関係といいますか、そういったことにどのような認識を持っていらっしゃいますでしょうか。

杉浦正健自由民主党

○衆議院議員(杉浦正健君) この根抵当権制度というのが我が国の産業経済の発展に果たしてきた役割は計り知れないと思います。  要するに、根抵当権というのは、その極度額の範囲で貸したり借りたり、借りたり返したり繰り返すことができるわけでございます。抵当権というのは、額が決まっておりまして、一億円なら一億円。返済した場合は減っていきます。増減がございません。根抵当権の場合は返せば額は減るし、極度額の範囲内で債務者にとっては借りる、金融機関にとっては貸すと。ですから、担保として押さえている不動産その他が例えば一億円あれば、その範囲であれば回収も安心しておれるという制度でございます。  これは、貸す側にしても借りる側にしても非常に都合のいいといいますか、非常にお互いの利益になる制度でございますので、実態としても、ビジネスの方々の利用する制度としてはほとんど根抵当権だと思います。抵当権を設定するというケースもちろんありますけれども、御商売なさっている方は金融機関から根抵当権の設定を求められるというケースがほとんどではないかというふうに思っております。  例えば、家を建てた、住宅資金借りたという場合は、借りた金額一定していますし、返す条件も一定していますから、抵当権が随分多いですけれども、ビジネスの場合にはほとんど根抵当権ではないでしょうか。

鈴木寛民主党・新緑風会

○鈴木寛君 今、提出者の先生からは、債務者にとっても債権者にとってもいい制度ではないかという御答弁がございました。私はそこはちょっと見解を異にいたしておりまして、この委員会は弁護士の先生方も大変に大勢いらっしゃいますので、先生方がどのようにお考えになるかということはそれぞれあるかと思いますが、弁護士資格を持っておられる先生方も多いと思いますが、私は東京の選挙区でございますが、いろいろな債務者の方々からお話を伺います。  この根抵当権、私の理解では正に債務の付従性という問題がありまして、とにかく、いったん金融機関と取引関係に入りますとずっと抜けないと。正に日本の、戦後、経済を支えてこられたというふうにおっしゃりました。メーンバンク制というのがあって、そして、確かに戦後、日本が右肩上がりの成長期にはメーンバンク制というのは非常に有効に機能したことは私も否定をいたしません。しかし、産業構造、社会経済構造が変わって、そしてメーンバンク制度というものがいろいろな意味で制度矛盾、制度疲労を来しているというのが、住専処理以降の日本の金融政策あるいは金融構造の抱える問題点だというふうに少なくとも私は理解をしております。  そういう中で、私は、この根抵当権という日本の制度が少なくとも一九九〇年の後半、九〇年代に入ってから、八〇年代以降、九〇年以降、非常に債務者にとって過大な負担になっている制度だというふうに理解をしております。  そして、現行の民法は、きちっと根抵当権というものをどのように整理をするか、確定をしていくのか、あるいはその処理をしていくのかということで、そういうこともあって、恐らく債務者と債権者、この場合は金融機関と債務者に十分な協議を尽くして、そして債権譲渡をする場合にも現行の民法上の手当てがなされているんだというふうに私は理解をしております。  そして、このいわゆる今日議題となっております譲渡円滑化法というのは、しかし日本の金融システムが大変だからということで、金融機関に限って特別の措置として、特例の措置として、こういう法律を当時、平成十年のときに作ったというふうに理解をしております。  でありますから、やはり今もなお毎日のように私のところに、債務者、ビジネスをやっておられる方々から、この根抵当権が抜けないので大変なんだと、こういう声は非常に寄せられておりますし、それからこれはどうも政府・与党の言っておられる不良債権の処理といったときに、いわゆる不良債権のオフバランス化をしたら、これは処理だというふうに聞こえてならないわけであります、私は。  私あるいは民主党が考える不良債権の処理というのは、結局、債務者の債務返済能力をこれ増強して、そしてきちっとその債務を返済していくということが筋であります。であれば、特に中小企業を中心としてきちっと事業を更に整理を、整理というのは、前向きに再編をして、そして債務返済能力を付けて、そしてきちっと借りたものを返していくというふうな社会インフラを整えるということ、その視点が私は不良債権処理の中で非常に重要だと思います。  そういう中で、債務者がビジネスをもう一回再構築していこうといったときに、金融機関はこの根抵当権を盾に、とにかくオフバランス化することばかりに終始をするわけですね。そうしますと、実は最近は例えばコミュニティービジネスとかあるいはヒューマンサービスとか、いろいろな新規産業の芽はあります。ありますけれども、そうした金融機関の態度の中で、中小企業の皆様方あるいは新しいビジネスを起こそうという皆様方は新しい新規設備投資意欲を本当にそがれているというのが私は経済の実態だというふうに思います。  そういう中で、もちろんこれは債権譲渡の円滑化の観点から大変に重要な法律であるということは認識をしておりますけれども、本当にそうした民法の特例として、しかも金融機関と、しかも金融機関がRCCなどに譲渡するというケースに限ってこの特例を延長していくという前提には、やはりそうしたことをきちっと法改正のたびに見直して、本当に単純延長でいいのか、あるいはそうした債務者の新しい新規事業をやっていこうという意欲に対して本当に今の金融システムが、あるいはその法的なシステムがうまくワークしているのかということを検証した上で、その法律をもう一回この国会で審議をしていくということが私は必要だということで、先ほどからるる御説明を、御質疑をさせていただいているわけであります。  これは、要するに債務者の知らない間にその債権が、金融機関から借りていたと思っていた債権がこれ、RCCなどに譲渡されると、突然RCCに行っちゃったと、こういうことを認めましょうという法律なわけですね。  で、私は、これ根抵当権を設定する、要するにこれは私は良くないことだと思います。なぜかといいますと、いわゆる銀行とその事業をやっておられる方というのはいろんな信頼関係の下で、いろんな理由があって、そして基本メーンバンクだということですから、そういう信頼関係の下でその貸し借りといいますか、金銭の貸借というものが発生したわけです。それで、そこには法律に書けること、契約に書けること、それから実態として申し上げれば、契約外の、しかし付随的な了解といいますか相互の了解という中で、そして銀行の支店も支店長の引継ぎでそういうことをるるちゃんと引き継いで、ここはこういう経過があってこういうことになっているんだと、よって根抵当を設定していただいているんだと。その裏には、これメーンバンク制があって、借りる側は最後は銀行の言うことを聞かなきゃしようがないですから、銀行の支店長から根抵当権付けてくれと言われれば分かりましたと言わざるを得ないですよ。そういうことものみ込んで貸し借りが発生しているわけですね。  しかし、今多くの企業の方、事業をやっておられる方の不満は、そうした昔の約束、昔の事情、昔の信頼関係はどこかに行っちゃって、いわゆる法律関係だけが切り取られて、そして今まで顔も見たことないようなRCCというところに行ってしまうと、突然RCCからいろいろ言われてと、このことについて大変な不安を持っておられるわけです。  そういう意味で、これはやはり金融というのは、もちろん法律も重要でありますけれども、やっぱり現場のことを分かっている、信頼関係のできている当事者で何とか処理をしてくる、まあそのことは今も前提だということはお話をいただきましたけれども、しかし法律というのはこれぎりぎりのところのせめぎ合いがやっぱり決定していくのが法律ですから、そういう意味では法律というのは私は大変大事だというふうに思っておりますけれども。  そういう観点で、実態からより乖離した、しかも銀行はその貸し手のあるいは借り手の事業の育成ということも事業目的の一つであります。もちろん、その当事者の金融機関の健全性ということもこの目的の一つでありますが、二つの目的を追い掛けているわけですね。しかし、RCCというのは単にいわゆる不良債権の処理ということを目的とした機関でありますから、当然それによって行動も違ってくるわけであります。  そういう意味で、私は本当に単純にそうした議論を留意せずに二年間延長するということについては、我々はきちっともう一回問題意識を持つべきではないかというふうに思っておりまして、そうした私の議論を踏まえて、再度この法律を単純に延長する、そしてそのことが本当に債務者の利益という観点から大丈夫なのかどうかということについてお答えをいただきたいと思います。

山本幸三自由民主党

○衆議院議員(山本幸三君) 私は、先生のおっしゃったこと、全く同感であります。これを当初立法いたしましたのは、平成十年に私どもの金融再生トータルプランというのを作りました。そのときに、不良債権処理を金融機関からもやらなきゃいけない、しかしそれは同時に借りている人のためにもなるような形でやるべきだという基本的な考えでスタートしております。したがって、そのときに一緒にやったのがサービサー法とかあるいは競売の手続の簡素化、あるいはちょっと一年遅れましたけれども特定調停法、そしてこの債権譲渡法案ということで、そういうパッケージの中の一つなんですね。  で、基本的な私の考えは、銀行だって責任があるんだから債権放棄しろと、そして再生できる企業はそういう債権放棄をするということにおいて立ち直れるようにやっていくべきじゃないかと、そういうことを念頭に置いていろんなやつを作ったわけでありますが、その一環として、ただ銀行は、私どもいろいろけしからぬというような話を随分したんですが、彼らから見れば簡単に債権放棄すると責任問題になるとか、あるいは大量にあるんで一挙になかなか出すと利益にも影響するとか、そういうことがありまして、そう簡単にうまくいきませんでした。ただ、こういう手当てをしておいてそれじゃもう銀行からとにかく外して、そういう債権放棄だと、交渉に乗りやすいところでやった方が早いんじゃないかと。  私どもは、RCCが一つありましたけれども、その後サービサーというのを作って、実際にいろいろ聞いてみますと、サービサーに行ったら話早いんですね。じゃ、もう幾ら払うからあとはチャラにしましょうというようなことが相当スムーズに進むようになっています。  RCCは、これは個人的なあれで申し訳ないんですけれども、まだがちがちでちょっと問題あるということは十分に私も承知しておりますから、それも随分厳しく言いまして、だんだん今RCCも再生、回収だけじゃなくて債権放棄もある程度応じると。そして、再生に図るというようなことも努力していますので、そういう全体のパッケージで考え方は基本的には私は同じだという気持ちでやっておりますので。  それで、これはまたその当時もおっしゃった根抵当権の問題もあるし、元々民法の原則のところがこんな不良債権出て、こんなふうに債権を譲渡するというようなことが想定してなかった時代の法律ですので、これはやっぱり本体の方で変えていくのが筋だということで、実は今回の民法改正法案にもこれはもう本体を変えるということで、いずれこれは吸収されるという形になっておりますので、それまでのつなぎということで是非御理解を賜りたいと思います。

鈴木寛民主党・新緑風会

○鈴木寛君 終わります。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  二〇〇一年のこの本法案の時限措置の延長の審議のときに、当時も提案者でありました杉浦議員は、金融機関がばたばた破綻している、その破綻した金融機関から不良債権を譲り受けて大量に処理しなければならない、ですから緊急の臨時措置を定めたと、こういう趣旨の答弁をされております。しかし、当時から見ますと、二年がたちまして、いわゆる金融機関の破綻というのは二〇〇二年の三月十五日以降起きていないというふうに状況はかなり変わっております。こういう状況がかなり変わった下でこの本法を更に二年間延長する、その目的、改めてお願いをいたします。

江崎洋一郎保守新党

○衆議院議員(江崎洋一郎君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、この延長という問題につきましては、「改革と展望」二〇〇二年版の一年程度、集中調整期間を延期するということに基づいているわけでございます。デフレ克服というのがこの集中調整期間の主眼ではございますが、同時にこの不良債権処理というものも行っていくと、こういった観点から、先ほど申しましたとおりRCCあるいはサービサーに対する不良債権の譲渡を円滑に推進するという観点から、平成十七年三月三十一日までの延長をお願いしている次第でございます。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 二年前は金融機関が破綻をしていると、これだから緊急だと言われましたけれども、不良債権の早期処理のためなんだという、私は言わば目的が変化をしてきていると思うんですね。問題は、無理やり早期処理を、不良債権をするという今のやり方が新たな倒産や失業を生み出して新たな不良債権を生み出すという悪循環に陥っていることです。産業再生法、再生機構法ができまして、九九年の四月からRCCも破綻金融機関からだけではなくて健全金融機関からの債権の買取りができるようになったと、これがこの二年間で非常に大きな変化だと思いますが、このことがこの法律の運用に与えた影響、これはどういうふうに把握をされているでしょうか。

山本幸三自由民主党

○衆議院議員(山本幸三君) この法律は、先ほどもお答え申し上げましたけれども、元々平成十年の金融再生トータルプランを受けましてできたわけでございまして、不良債権処理を促進するためということで始まりました。したがいまして、RCCが、その後、健全金融機関からの破綻懸念先以下の債権を譲渡できるということが始まったことによって、特にそれで影響を受けて何か変わる、運用が変わるというようなことはないと思っております。  いずれにしても、金融機関の不良債権処理を加速する、政府の方針としても平成十六年度には終えるという方針を立てておりますので、それに向かって是非延長をさせていただいて、活用させていただきたいと思っている次第でございます。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 少なくとも二年前の審議のときには、とにかく民法も予想していなかったような金融機関の破綻がばたばた起きているから臨時なんだということを何度も答弁されているわけですから、私はこの運用の状況について把握をされていないというのはこれいささか無責任だと思うんですね。  金融庁に聞きますけれども、二〇〇一年度から二〇〇二年度に掛けて、健全行からの根抵当権付債権のRCC向けの売却における本法の利用実績はどのようになっているでしょうか。

西原政雄金融庁総務企画局参事官

○政府参考人(西原政雄君) お答え申し上げます。  健全金融機関からRCCへ債権売却した際、それがこの債権譲渡円滑化法に基づいて、これを利用したケースがどれだけあるかということでございますが、主要行に対してこれをヒアリングをさせていただきました。その結果によりますところでは、二〇〇一年度、これでは債務者数で七十三先、それから債権額で約五百二十四億円でございます。一方、二〇〇二年度、これは十四年の十二月まででございますが、債務者数で七百二十五先、それから債権額で約三千六百七十二億円というふうになっております。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 二〇〇二年度は年度途中の数でありましたけれども、今ありましたように、債務者数でいいますと約十倍、債権額でいいますと約七倍に健全行からの利用が急増しているというのが運用の実態なわけですね。  先ほど引用した答弁にありましたように、金融機関の破綻という民法がそもそも予定していなかったような事態の下で、あくまでも緊急の臨時措置だということを二年前に言われたのがこの法律なんです。健全行の不良債権の処理のためということであれば、元々の民法の原則、抵当権確定原則を変えることが果たして必要なんだろうかと。民法の三百九十八条ノ二十の第一項二号から五号まで債権確定事由というのはきちんと決められているわけですから、健全な金融機関ならばむしろこの原則をきちっと実践をすると、こういうことでよいかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

杉浦正健自由民主党

○衆議院議員(杉浦正健君) この法律は根抵当権の確定原則について臨時的に修正を加えたというものなんですが、この法律をそもそも審議したあの金融国会のときに、私ども議員提案の関係者は、今の民法の確定原則の中に修正すべきものがあるじゃないかという議論を相当いたしました。  つまり、先ほど山本議員が、提案者が申し上げたんですけれども、この民法ができたころは、このように、あの当時は金融機関がばたばたいったわけですけれども、それから不良債権が大量に発生をして、処理をしなきゃいけないというような事態は予測していなかったんではないだろうかと。だから、根抵当権の確定について、確定事由、三百九十八条ノ二十というのがあるんですが、その一号、一項に、「担保スベキ債権ノ範囲ノ変更、取引ノ終了其他ノ事由ニ因リ担保スベキ元本ノ生ゼザルコトト為リタルトキ」、あと二号以降は具体的なんですが、こういう抽象的な規定がありまして、実質破綻が起こった場合に、この一項一号で解釈をしてずっと処理してきたということでございます。  お互い話合いで合意する、確定しましょうと、債務者と債権者が、そういう場合には問題ないわけですが、じゃ片っ方がもう取引をやめたいと言った場合にこの事由に当たるのかどうかということも問題になりました。それから、不渡手形を二回出して実質上倒産、こういうケースが多いんですが、そして債務者がいなくなっちゃったと、極端な場合ですね、それは二号以降の事由には当たらないわけですが、この根抵当権、確定しないと、それじゃ不都合じゃないかとかいうようなこともございました。  ですから、私どもそもそものときには、この民法の原則そのものを少し、確定の原則を直すべきではないかというところからスタートしたと記憶しております。  民法にはこの根抵当権の譲渡について、三百九十八条ノ十二ですけれども、「元本ノ確定前ニ於テハ根抵当権者ハ」「設定者ノ承諾ヲ得テ其根抵当権ヲ譲渡スコトヲ得」とありまして、確定していれば根抵当権、譲渡できるけれども、確定していないときには承諾を得て譲渡しなきゃならない。しかも、その根抵当権の被担保債権の実行については、三百九十八条ノ七ですが、「元本ノ確定前ニ根抵当権者ヨリ債権ヲ取得シタル者ハ其債権ニ付キ根抵当権ヲ行フコトヲ得ズ」と、こうありまして、根抵当権というのはいつも変動する権利ですから、確定前に根抵当権で担保された債権を譲渡する、譲り受けるといっても実行できなければ意味ないわけですね。  ですから、確定させなきゃいかぬ。話合いをして承諾を得るとか、確定事由があったから確定させるとか、そういうことをやらなきゃいけないわけですが、ここのところ不備でございまして、もし承諾が得られない場合は裁判を起こす、確定の。半年ぐらい掛かります。債務者がいない場合は公示催告手続で訴状を送達する。手間が掛かる、手間と時間が掛かります。登記にもやはり承諾を要求する、裁判をして登記するということで手間暇が掛かるということで、元々民法の確定原則については問題があるんじゃないかと、これを直すべきだということから始まったんですが、民法本法の改定については、法務省の方から、法制審議会の議を経なきゃいけない、本法ですから、それはもうすごく時間が掛かるわけです。  やっと、法制審議会で四年間掛かって検討されまして、この二月に出ました。この担保執行法で今度出てまいりますが、この法律そのままの内容が本体に盛り込まれた改正案が出てまいります、出てまいります。今度の改正が通りますとこの法律は廃止になります。やっとと申しますか、四年間掛かって出てきたわけでして、当時、緊急事態じゃ間に合わないからこの特例措置を設けようということにしたわけでございまして、健全であろうと健全でなかろうと、不良債権処理のために確定原則を、これは金融機関、健全のあるいは非健全の、破綻のも含めてですが、法律を作ったんですけれども、そもそも民法の確定についての原則が時代に合わなくなっている、ニーズに、そういうところから出発したんだということは御理解いただきたいと思います。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 民法の問題は出てきたときにまた大いに議論をしたいと思うんですが、今もありましたように、結局、合意なしに一方的金融機関の側からできるという、やっぱりその立場に立った議論だと思うんですね。  前回やはり審議のときに、当時の法務大臣が、この法律に基づく元本の確定でそれ自体、債務者である中小企業に法的な不利益被ることがないという趣旨を言われていますが、そういうことで確認できますか。

房村精一法務省民事局長

○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、この法律によりまして根抵当権の元本が確定したからといって、法律的にそのことによって抵当権設定者あるいは債務者に不利益が及ぶことはないということでございます。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 法的にはそうだということが前提なわけですが、現実はこの経済の実態なわけですね。今、やはり金融機関というのは債務者に対して非常に優越的な地位を持っておりますし、それが、今この不良債権早期処理という方針の下で、大変な貸し渋りや貸しはがしが深刻な実態があります。そういうときだからこそ、そういう優越的な地位に一定の歯止めを加えてこの実質的な平等を実現をするということが求められていると思うんですね。  今いろんなところで私どももいろんな相談を聞くわけでありますけれども、回収が困難になった債権ということがこの第一条であるわけでありますが、実際にはこの客観的な判断基準が明確でなくて、基本的にはやはり金融機関側に任されていると。その債権は本当に回収困難になった債権なのかどうかということを担保する制度もないと。今、中小企業の皆さんが、利益はなかなか上がらないけれども、それこそ血のにじむような努力で、この金融機関に対する返済は何とか、せめて利子だけは払うとか、頑張っていらっしゃるわけですね。こういう事業者の方が金融機関に対して引き続き取引をしたいと思っているときに、この本法によりまして金融機関側が一方的に、もう不良債権ですので根抵当権を確定しますと通知をしますと、これで取引終了と。ぎりぎりのところで営業を守ってこられた中小企業の皆さんにとって余りにも不利益を与える結果に私はなっていると思うんですが、その点、提案者、いかがでしょうか。

杉浦正健自由民主党

○衆議院議員(杉浦正健君) 先生おっしゃったような事案、あるいは先ほど鈴木先生からも御指摘された事案は、破綻金融機関の場合ですね、引受け、その破綻債権を新たな金融機関が引き受けます。不良部分はRCCに譲渡するというような場合には、非常に多くケースが起こったようで、選挙区に帰っても随分言われました、あちこちで。  通常の取引、金融機関の、破綻していない金融機関と債務者、設定者との取引ではそういうようなことは、普通、信頼関係が厚いですから、また借りている方もお客様ですので、そういう事態が比較的起こっていないんじゃないかと思うんです。もうケースによるんですけれども、金融機関は貸すのが仕事ですし、借り手はお客様ですから、基本的には融資するかしないか、融資を打ち切るかということは金融機関にとってもぎりぎりの判断になります、担保が十分あるかどうかとかを含めましてですね。  ですから、この法案によって、御指摘のようなぎりぎりのところで営業を守っている中小企業の方々に、金融機関が破綻した場合は別にして、健全な場合には、おっしゃるような不利益があるというふうには私は思えません。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 やっぱり認識が違うと思うんですね。今、先ほど言いましたように、健全行の利用が非常に急増しているということを申し上げましたけれども、例えば東京三菱などが七百件ぐらいRCC送りにするというような話もありますけれども、健全行などが本当に安易に、中小企業を事実上の死刑宣告のような形でRCC送りにするというような事態がたくさん生まれております。私、東京三菱の関係の取引の方のお話も聞きましたけれども、長い付き合いで、そして苦しい中でも利息だけはずっと払ってきた、その人がやはりRCCに今、送られようとしているということで、大変な窮状を訴えておられましたけれども、現にそういうことが起きているわけです。  ですから、この法律が、大変金融機関の側には便利だけれども、意に反して取引の終了を迫られる債務者である中小企業などにとっては死活問題になる中身を持っていると思うんですね。金融機関側の一方的な判断で通知をするだけで元本を確定をさして、以降の取引を止めてしまえると。こうなりますと、中小企業の側は大変厳しい資金の調達の状況になるわけです。  最初に言いましたように、金融機関の破綻がばたばたしているという状況も既に変わっている、それから債務者が不利益を被ることがないという前提も違うという以上、私は本法のこれ以上の延長はするべきでないということを申し上げまして、質問を終わります。

魚住裕一郎公明党

○委員長(魚住裕一郎君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、根抵当権付債権の譲渡円滑化法の一部改正案に反対の討論を行います。  反対討論の第一は、本法案がまじめに取引の継続を願っている中小企業などの債務者を、金融機関の一方的判断でRCCなどの特定債権回収機関に売却できてしまい、中小企業の整理、淘汰を一層促進することになるからであります。  現行民法の原則は、根抵当権の確定期日到来前若しくは取引終了前の元本確定又は債権の譲渡をするときは債務者の承諾を必要としています。しかし、本法案は、債権者である金融機関の一方的判断により、たとえ経営が厳しくともまじめに返済をし、引き続きの取引を願っている正常な借り手までも取引終了通知によって元本の確定があったとみなし、RCCやサービサーなどの特定債権回収機関に簡便に譲渡できてしまうものであります。これは、金融機関にとっては非常に有利な法律ですが、借り手にとっては意に反して取引の終了を迫られるものとなり、認めるわけにはいきません。  深刻な不況が長期に及び、不良債権処理の加速などによる中小企業への貸し渋り、貸しはがしが深刻な今だからこそ、金融機関の優越的地位に一定の制限を加え、法の下の実質的平等を実現することこそが求められているはずであります。  反対の理由の第二は、本法案が根抵当権付債権の譲渡円滑化のために登記の真正さを犠牲にしていることであります。根抵当権の確定の登記について不動産登記法は共同申請主義を原則としています。しかし、本法案は、根抵当権の元本確定の登記をする場合に、根抵当権者による単独申請を認めています。これは、共同申請によって登記の真正さを担保する原則に対して明らかに例外を認めるものであり、許されません。  以上、反対の理由を申し述べ、討論を終わります。

魚住裕一郎公明党

○委員長(魚住裕一郎君) 他に御意見もないようですから、本案に対する討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

魚住裕一郎公明党

○委員長(魚住裕一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

魚住裕一郎公明党

○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十時四十九分散会

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