武力攻撃事態への対処に関する特別委員会 第9号
- 発言数
- 370 件
- 登壇者
- 41 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2003/06/02
会議録
○委員長(山崎正昭君) ただいまから武力攻撃事態への対処に関する特別委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る五月二十八日、田名部匡省君が委員を辞任され、その補欠として大江康弘君が選任されました。 また、同二十九日、岩佐恵美君及び大田昌秀君が委員を辞任され、その補欠として畑野君枝君及び田英夫君が選任されました。 また、同三十日、福本潤一君、田英夫君及び畑野君枝君が委員を辞任され、その補欠として遠山清彦君、大脇雅子君及び小池晃君が選任されました。 ─────────────
○委員長(山崎正昭君) 安全保障会議設置法の一部を改正する法律案、武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案及び自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。 去る五月二十九日、当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。 まず、第一班の報告を願います。国井正幸君。
○国井正幸君 第一班につきまして御報告いたします。 派遣委員は、山崎委員長、榛葉理事、山口理事、小泉理事、椎名委員、岩本委員、大江委員及び私、国井の八名で、去る五月二十九日、福井市において公聴会を開催し、五名の公述人より意見を聴取いたしました。 まず、公述の要旨を申し上げます。 最初に、福井県商工会議所連合会会頭の江守幹男公述人からは、法治国家である以上、有事法制の整備は当然であり、今回の武力攻撃事態対処法はもっと早く整備しておくべきものであり早期成立を期待する、テロや不審船、拉致事件により多くの住民は不安を感じており、エネルギー基地としてテロへの関心は有事以上に高い、政府のテロ、不審船対策への取組の態勢、今後の作業スケジュールが示されれば有事法制がより整備されたものとなる、有事や緊急時に備えた法制は平時にこそ整備すべきである、との趣旨の意見が述べられました。 次に、全国原子力発電所所在市町村協議会会長であり敦賀市長の河瀬一治公述人からは、原子力発電所は、地域住民の安全、安心が確保され地域住民から信頼されることが基本である、米国の同時多発テロは原子力発電所に対するテロ行為が甚大な被害をもたらすことを連想させ立地地域住民等に不安感を抱かせるものであった、原子力発電所における武力攻撃事態への対処については、電気事業者や市町村の能力を超えている部分もあり、その特殊性から、国が主体となって、地方公共団体等と相互に連携し万全の措置を講じていただきたい、との趣旨の公述が述べられました。 次に、福井大学助教授の塚田哲之公述人からは、武力攻撃事態の定義の修正後も、周辺事態において予測事態が併存した問題は残存している、国会の関与は、事後関与となっており、対処措置の終了に際しても、国会の議決では自動的に対処措置が終了しない間接的なものにとどまる、基本的人権の尊重では、予測事態時から人権制約の可能性を一般的に承認しており、公共の福祉による制限に軍事的公共性を含むほか、最大限に尊重という文言が、有効な歯止めになるか疑問が残る、との趣旨の意見が述べられました。 次に、同志社大学助教授の村田晃嗣公述人からは、長年の懸案に野党の建設的な意見が取り込まれ法案が衆議院を通過し、参議院で審議していることを高く評価する、周辺事態法に続き、有事法制が成立することで日米安保条約の五条及び六条の事態に関する国内法整備が進むことになり、日本の安全保障の観点から評価する、しかし、全般的な問題として、内閣総理大臣の職務権限の継承順位について平時から決めておく必要がある、危機管理庁のような組織の在り方の検討に当たっては、省庁間の権限を実効的に調整できるような組織にする必要があるとの趣旨の意見が述べられました。 最後に、前北陸中学・高校校長の村田嘉孝公述人からは、三法案が我が国の平和と安全を図る重要な法案であり早期成立を期すべきである、武力攻撃事態対処法案は、武力攻撃事態における基本理念、国、地方自治体の責務、役割を明確にしており、自衛隊の行動の円滑化を促進する枠組みが準備されていることを評価する、内閣総理大臣への権限集中は大事だが、監視・抑制機関が必要である、当地域はテロ、不審船事案の発生が危惧されており、その対応策を促進すべきである、国民の協力の基本となる愛国心ひいては人を愛する心をはぐくむ施策を推進していくことが重要であるとの趣旨の意見が述べられました。 これらの公述人の意見に対し、派遣委員より、国民保護法制に関する自治体の長としての懸念、避難のための自動車道の整備状況、米国の先制攻撃戦略の我が国への影響、有事における消防活動の問題点、基本法のあるべき姿、有事に関する教育の果たす役割、危機管理庁の必要性、有事における経済活動の自由の制約、有事における民間資機材の活用、基本的人権の保障、有事法制に対する敦賀市民の懸念と不安、指定公共機関等による対米支援、法案に対する評価、安全保障関連法制の制定と周辺諸国への配慮等について質問がなされるなど、熱心な議論が行われました。 なお、会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はこれによって御承知願います。 以上で第一班の報告を終わります。
○委員長(山崎正昭君) 次に、第二班の御報告を願います。阿部正俊君。
○阿部正俊君 第二班につきまして御報告いたします。 派遣委員は、中川理事、福島委員、佐藤委員、若林委員、福本委員、畑野委員、田村委員、田委員及び私、阿部の九名でございまして、去る五月二十九日、横須賀市において公聴会を開催し、五名の公述人より意見を聴取いたしました。 まず、公述の要旨を申し上げます。 最初に、横須賀商工会議所副会頭の小山満之助公述人からは、独立・主権国家として、自ら国を守り、国民の生命、財産を保護することは政治の責任であり、国家の責務である、有事関連法案は衆議院で民主党修正案が受け入れられ、国家有事に関して与野党合意で可決されたことは我が国の将来にとって極めて意義深く、関係各位に敬意を表する、あるいは、法案が参議院で速やかに成立されるよう要望するとの趣旨の意見を述べられました。 次に、弁護士の呉東正彦公述人からは、有事法制は国民の権利を統制し、国家権力の濫用を許し、戦争に日本を巻き込ませる危険な側面を持っている、武力攻撃事態などの概念はあいまいであり、認定に当たって濫用を招く危険が存在する、取扱物資の保管命令、業務従事命令などは国民の基本的人権を大きく制限する、有事法制は地方自治体の権限を制限し、憲法の定める地方自治の本旨に違反する、参議院で法案の危険性を明らかにして廃案にすべきであるとの趣旨の意見が述べられました。 次に、横須賀市長の沢田秀男公述人からは、与野党の合意により法案が衆議院を通過したことを評価する、ただし、法案についての政府の説明が具体性に欠けて分かりにくい面があるので、具体例を挙げて住民に分かりやすく説明できるようにしてもらいたい、住民の理解と協力を得るためにも国民保護法制の早期策定が必要である、国民保護法制の立案過程には住民に最も身近な自治体職員を参加させることが望ましいとの趣旨の意見が述べられました。 次に、神奈川県隊友会会長の冨田定幸公述人からは、名実ともに自衛隊が軍隊であるよう早急に法制の整備を願いたい、国家非常事態に関する規範が欠如し、国民の国防義務の規定がない憲法の改正の問題から着手するのが本筋である、日本の国防に貢献した自衛官の功績についての記述がない叙勲基準を見直すべきである、自衛隊にその力を十二分に発揮し得るよう場を与えるのは政治に携わる者の務めであるとの趣旨の意見が述べられました。 最後に、防衛大学校助教授の松浦一夫公述人からは、有事法制の整備は戦争を誘発することはなく、国家の防衛機能を高める効果を生む、民主党の修正案は不当な権利侵害の排除に一層配慮するものと言える、国会の関与を強化した武力攻撃事態対処の枠組みが定まることは軍事に対する政治の優位を制度的に確保する点で肯定的に評価されるべきであるとの趣旨の意見が述べられました。 これらの公述人の意見に対しまして、派遣委員より、衆議院修正に対する評価、武力攻撃事態等への対処における適正な手続の確保、武力攻撃事態等において自治体が果たすべき責務に係る懸念、有事における経済団体の対応、国民保護法制の課題、有事法制の整備と戦争誘発との関連性、小泉総理の自衛隊は軍隊かについての発言に対する所見、有事法制が自治体や市民生活に及ぼす影響、戦争と基本的人権の保障は両立し難いとの意見に対する所見、集団的自衛権に関する政府解釈に対する評価、朝鮮半島有事に米軍が出動した場合における自衛隊の対応、武力攻撃事態対処法案と国民保護法制の整備の順序、有事法制に関する政府から自治体への説明の内容等について熱心な質疑が行われました。 なお、会議の内容は速記により記録いたしておりますので、詳細はこれによって御承知願います。 以上で第二班の報告を終わります。 以上です。
○委員長(山崎正昭君) これをもって派遣委員の報告は終了いたしました。 なお、地方公聴会速記録につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたします。 ─────────────
○委員長(山崎正昭君) 安全保障会議設置法の一部を改正する法律案外二案について、前回に引き続き、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○松井孝治君 民主党の松井孝治でございます。 今日は、お忙しい中、五大臣におそろいをいただきましてありがとうございました。本日は、この三法案に関連し、また、これ本当に有事の危機に当たって政府、内閣は国民の生命、財産を守るという基本的な責務を果たし得るのかどうか、関係大臣からそれぞれ御答弁をいただきたいと思います。 今日は、時間の関係で片山総務大臣が早く御退席をされるということがございましたので、全体の順序を少し変えまして、まず、片山大臣が関連した御質問からさせていただきたいと思います。 一週間前に、鴻池大臣、宮城沖で地震がございましたですね。この法案に直接関係ありませんが、やはりこの有事というのは、当然、自然災害も含めた危機対応というのは、国民から見れば非常に、先ほどの地方公聴会の御報告にもありましたけれども、非常に大きな関心を持っておられる部分だと思います。 今回の地震に際しての対応、政府側の対応は、結果として大きな、被災された方はお気の毒ではありますが、全体からいえば、その揺れの割には災害の規模が比較的小さかったということもありまして、政府の対応も円滑なものだったと私も思いますけれども、ただ、やはり教訓があると思いますね。 私もそうですが、宮城県あるいは東北の方に電話をしようとしましたら全然通じませんでした。あっちこっちでそういう事態が頻発をしたようでありまして、今、携帯電話が非常に皆さん普及していますが、携帯電話もそうですし、有線の電話ももう相当不通になっていたようでございます。 これに関連しまして、片山大臣、お尋ねしたいんですが、一一九番も、お掛けになられた方もやっぱり電話が通じなかったという話を聞いております。これはたまたまそういうことだったのかどうなのか実態を把握されるお立場にあるわけですが、私も含めて、安否を確認したいということで地震で揺れを感じた瞬間に親戚やらあるいは知人、友人に電話するわけですね。それも国民感情としては当然のことであります。 ただ同時に、本当に生命の危機に瀕して、火の手が上がった、一一九番を掛けた方がそういう電話、照会の電話に圧迫されて回線が非常に混雑をして、いざというときに本当の命にかかわる問題について電話が不通になってしまうということであると、これはやっぱり将来大災害が起こったときに多くの生命が失われることになるんではないかと思うわけですが、本当の緊急時、例えば一一九番に掛かる例えば通信網の、交換機の枠をある程度補完をするような指導を電気通信事業者にされるとか、そういった対応というのは今後なさるつもりはおありでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) 今お話しの今回の宮城県沖での地震の話なんですが、こういうときには、法律の規定もあるんですけれども、一般利用者の固定電話と携帯電話からの通話を規制するんですよ。何で規制するかというと、今正に委員が言われたように、一一〇番、一一九番等の緊急通報を優先するため、それから、警察や消防や気象庁などの災害関係機関同士が行う通信がありますね、こういうものを優先するために一般の方を抑えるんです。一一九や一一〇が規制されることはありませんし、今回の件で御質問があるということで電気通信事業者等に確認しましたら、そういう苦情は来ていないと、こういうことでございまして。 一般の電話は規制したんですよ。これは災害のときはパニックになるんです。もう三十倍から五十倍ぐらい掛かってくる。だから一般の電話は抑えるんです。今言ったような公的な電話とか緊急通話だとか、こういうものはもうちゃんと通じるようにしております。
○松井孝治君 そのお話を聞いて多少安心をいたしました。私が聞いた話はたまたまということだったのかもしれません。 そういうことがないように、是非とも、緊急通話用の回線の確保あるいは交換機のスペースなどの確保、あるいはそれ以外の若干の制限ということは、これまた制限し過ぎても混乱を招きますから難しいところかもしれませんが、今回のお話を教訓にして、是非遺漏なきを期していただきたいと思っております。 それで、片山大臣がいらっしゃる間にひとつこの法案の関連で、自衛隊法百三条で、これは自衛隊あるいは防衛庁が都道府県知事に、有事の際あるいは危機に際して都道府県知事に要請して、都道府県知事が土地や物資の収用を行えるという規定がございますね。これに関して、私のある存じ上げている地方の首長さんから、やっぱり地方の現場にちょっと混乱があるというお話がございました。 どういうことかといいますと、物資の収用ということになりますと非常に広範な、例えば県庁であっても職員が関連します。今、これは、総務省としてどういうお立場かはまた後でお述べいただければいいんですけれども、地方自治体で外国人の方々を採用されているところが増えていますね。そうなってきますと、ふだんの平時は別に公権力の行使というようなことを必ずしもやっておられないそういう職員の方々に、いざというときは、防衛庁から連絡が行って、ここの物資を収用しろ、土地を収用しろ、まあ土地の収用というのはふだんから公権力の行使かもしれませんが、そういったことが起こり得るわけですね。 そうすると、何が外国人を置いてはいけないポジションなのか、どういうポジションはそうなのかということについて非常にあいまいになってくる。ところが、平時、有事っていつ来るか分からないものですから、やっぱり外国人の方を採用して余り差別的な任用はしたくない、しかし、いざというときには何があるか分からない。そうなってきたときに、本当にこれ、公務員の外国人の採用というものをどう考えたらいいのか、これについて非常に地方の自治体の方から不安の声が現実に上がっております。これについて、総務大臣、どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) 外国人を、国家公務員も地方公務員も同じですけれども、任用することについてはいろんな議論が前からあって、これは今の解釈ではこうなっているんですよ。今、正に委員が言われましたように、公権力の行使だとか公の意思形成ですね、国なり地方団体の、意思形成に参画するのはもう当然国籍が要るんだと。だから、外国人は、帰化していれば別ですよ、帰化していないなら外国人はこれはなれないんだと。これは解釈なんですね。内閣法制局が中心になってそういう解釈を確立して、国会でも何度も答弁しておりましてね。 そこで、地方公務員も基本的には同じ考えなんです。今のような、有事の際に物資を収用するとか土地を収用する、立ち入るとか、こういうのは正に公権力の行使ですよね。だから、緊急時であっても、そういう可能性があるのはやっぱり外国人でない方がいいと思いますよ。
○松井孝治君 いいと。
○国務大臣(片山虎之助君) ええ、外国人でない方が。ただ、その場合に、この任用は各地方団体の長にあるわけですから、各地方団体の長。我々としては、こういう基本的な考え方でやってくれと。それは、個別には地方団体で事情も違うし仕事もいろいろあるんだから、それぞれ判断してやってくれと、こう言っておりまして、やっぱり首長によって違いますよ。できるだけたくさん採ろうというところと、できるだけたくさん採りたくないというところと。 そこで、若干あいまいなところあるんですが、これをしかし全部きっちりAかBかと分けろといっても、なかなかそれは難しいんです。我々に相談があれば我々は答えますけれども、基本的に、公務員採用の当然の法理としての公権力の行使、公の意思形成に参画する職員は、やっぱり日本国籍が要ると。こういうことにいたしておりまして、今のような点は今度、有事立法がきっちりする際に、国民保護法制の議論その他を含めて我々としてはどういう考え方を取るかは、これは改めて検討して、場合によっては地方団体にそういうことを指導するというんでしょうかね、そういうことはやる必要があるいはあるのかなと思っております。
○松井孝治君 今、大臣おっしゃいましたけれども、大臣、これは外国人を、公権力の行使に当たるあるいは国家意思あるいは公の意思の形成に当たるところに外国人を採用しないんだというのは、何か法律があってそういうことをお決めになっているんですか。
○国務大臣(片山虎之助君) 法律はないんです。外務公務員法か何かにあるそうですけれども、それは私よく知りませんが、国家公務員法にも、地方公務員も入りません。しかし、公務員の性格からいって当然の法理だと、こういうことになっております。
○松井孝治君 今、外務公務員法にはあるとおっしゃいましたけれども、外務大臣、何でほかの法律、ほかの公務員の職種にはなくて外務公務員法にあるんですか。
○国務大臣(川口順子君) これは外務公務員法の七条で決まっているわけですけれども、これは国家公務員法の特別法として外務公務員法がございますのは、外務省の職員、外務公務員の仕事というのが、常に対外的な関係、国際的な関係を持っているということから来ておりまして、特に外国にいる場合、これは日本国を代表をして国際的な仕事を行うという、そういう特殊的な、特殊な性格があるということから来るものです。
○松井孝治君 当然だと思いますね、そういう規定があるというのは。 しかし、逆に言うと国家公務員法も、恐らくこの質疑をごらんになられている、あるいは後で聞かれる、見られる方々は驚かれる方も多いと思うんですよ。どうして国家公務員は外国人、欠格事由としてないのか。普通に考えれば、国家公務員というのは公権力の行使なり国家意思の形成を行うために働いているんじゃないのか、どうしてそれが法律上きちんと規定されていないのか。これは、普通の一般の方々の常識からいえば、そういうことこそ法律に決めることじゃないかなというふうに思われるんではないかと私は思います。私がこの事実を初めて知ったときには、やっぱりおかしいんじゃないかなと自然に思いました。 それで、法制局、お見えいただいています。国の行政権というのは地方公共団体に及ぶんでしたですか。
○政府参考人(宮崎礼壹君) お答えいたします。 お尋ねは、憲法六十五条におきまして「行政権は、内閣に属する。」と規定をしておりますことについての御関連の御質問だと思います。 このように規定されておりますのは、三権分立の原則の下で国家作用としての行政権は原則として内閣に属するんだということで、裁判所と国会との役割分担ということを規定したものだというふうに解されております。 一方、御案内のとおりでございますが、地方自治につきましては、憲法の規定を見ますと、九十四条で、地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有する旨規定しておりますとともに、同じく九十二条におきまして「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」というふうに規定しておるわけであります。 このために、現に地方公共団体で行っておられます事務自体はもちろん内閣が執行するものではございませんわけですが、このことは内閣が地方公共団体の執行する事務につきまして一切責任を負わないとか、あるいはかかわりを持たないということを意味するわけではありませんで、地方自治の本旨に違反することがないようにしつつ、例えば地方自治法の規定に定めますところによりまして、地方公共団体の事務に国が一定の関与を行うことは可能というふうに考えてございます。
○松井孝治君 ありがとうございました。そういうことなんですね。 それで、これは片山大臣、先ほど、当然の法理としてと。公権力の行使、国家意思の形成、あるいは地方公共団体の場合、公の意思の形成ということだと思うんですが、それは日本人でなければいけないというふうにおっしゃいました。 これの根拠というのは、私が知る限り、これはもう昭和三十年代でしたでしょうか、内閣法制局の部長さんが内閣総理大臣官房総務課長に出された文書であるというふうに私は理解しておりますが、そのとおりでよろしいでしょうか。 大臣、よろしければ、うなずいていただければそれで結構です。
○国務大臣(片山虎之助君) それは国会で何度も答弁しているんですよ、私自身も。だから、そういうことでは、これはもう確立した解釈だと、こういうふうに思っております。
○松井孝治君 それで伺いたいんですが、今、法制局の部長から御答弁をいただきましたのは、これは国会でも議論されていることなんですね。 基本的に、これは平成八年に割と画期的な法制局の答弁がありまして、内閣に属する権限、行政権は内閣に属するというその意味は、行政権は原則として内閣に属するんだ、逆に言いますと、地方公共団体に属する地方行政執行権を除いた意味における行政の主体は、最高行政機関として内閣である、そういう答弁があるわけです。これに引き続きまして、亡くなられた、小渕恵三国務大臣となっていますから、この当時はまだ総理ではなかったのかもしれませんが、こういう答弁を平成十一年にされています。「地方公共団体の行政執行は基本的には内閣に属するものではないことになりますが、内閣が、法律の定めるところにより、行政権の行使として地方公共団体の行政執行に関与することがあり得ることは当然のことである、こういう認識でございます。」。明快な答弁であります。 要するに、基本的に、内閣法制局の解釈とか内閣の解釈ということが、それが地方公共団体を縛るというような場合は、原則として私は、法律に定めるところによって、内閣がその意思を地方公共団体に及ぼしていくべきだ。内閣としてあるいは法制局としての解釈はこういう解釈だから、地方はこうしてはいけないんですよとか、こうすべきなんですよということは、やはり基本的にはこの憲法六十五条の解釈からしても慎むべきではないかと思うわけであります。 今までの、今、片山大臣がおっしゃったように、国会答弁では、基本的には、この内閣法制局の見解、内閣あての見解が解釈をされて、当然の法理として、それは公権力の行使あるいは公の意思の形成にかかわるものは外国人は登用すべきではないという解釈を取ってきたということは分かります。分かりますし、これまではそういうことだったんだと思いますけれども、やっぱりこれ、地方分権の時代で、平成になってからこういう内閣法制局の長官の、当時の大森長官の答弁もあった。あるいは小渕大臣の答弁もあった。そういうことを踏まえて、今後の地方公務員の国籍条項については、これはやっぱりこの有事の議論をきっかけにきちんと法律で定めていかないと、最初に申し上げましたような、自治体の知事さんにしても首長さんにしても、どこまでのところは外国人を採っていいのかいけないのか、そうしたときにどこまでのところは、平時にどういう仕事は外国人に任せていいのか、はっきりしないんじゃないか。 私は、外国人の方が一部の公務を担われるというのはいいことだと思います、地方において。だけれども、その基準というものをある程度はっきりしておかないで、今のように法制局の解釈に端を発して、当然の法理といいながら外縁が定かでないというのは、これは国の危機管理上も望ましくないような気がいたしますけれども、片山大臣、どう思われますか。
○国務大臣(片山虎之助君) これは、地方自治とか地方公務員とかという問題もありますけれども、一つは、公務員というもの、国家公務員も地方公務員も公務員ですから、公務員というものの性格からいってこういう解釈だということでございまして、それは松井委員、法律に書いても同じことですよ。公権力の行使だとか公の意思形成に参画するものは国籍だと、こう書くだけの話でございまして、外務公務員の場合は違うんですよ。外務公務員はもっと排除が大きいんですよ。 我々の場合には、今言ったようなぎりぎりの、日本国籍が要るものについては、国家公務員、地方公務員は、これは排除しようと、外国人を。それ以外は、例えばサービスをするとか、福祉の関係だとか保健の関係なんかで、そういうことで外国人を使うということは私はあってもいいと思っています、現業的なことを含めて。ぎりぎりの権力だとか公の意思形成だとか、これは排除せないかぬので、それは法律に書いてもいいですけれども、同じことなんですよ。 だから、これは確立した解釈だから、解釈に従ってやろうと。判断は、判断は地方団体の長がやるんですよ。この場合には、これは公権力の行使か、公の意思形成かの判断は。だから、これはもう入れませんとか入れるとか。だから、そこは地方団体で差が若干あるんですよ。 それから、自治権というのは大きい主権の中なんですよ。だから主権を分けているんですよ、自治権ということで。だから、小渕さんのような解釈も、いろんな解釈成り立つんですけれども、そこのところは是非御理解賜りたいと思います。
○松井孝治君 最後の部分の、どういうところが本当に公権力の行使に当たるか当たらないかというのは、当然それはケース・バイ・ケースで判断せざるを得ないところは出てくると思うんですが、今までも何度もこれ総務大臣あるいは自治大臣が指導されています。しかし、これ、法律の根拠のない指導を続けるというのはやっぱり良くない。やっぱりこういう部分については法律上の根拠を持って、それで最終的にはケース・バイ・ケースの判断に仰がざるを得ないというところはあるかもしれないけれども、私はそういう行政が新しい時代の行政だと思います。 それで、じゃ、国家公務員の方は本当にきっちりやっているのかというと、例えば、福田官房長官、国家意思の形成といったときに、国家行政組織法上いろんな審議会が位置付けられていますね。それで、小泉総理大臣も審議会大変お好きでありますが、いろんなところで学者さんなりが非常に重要な国家意思の形成に関与しておられますね、審議会の委員として。 それで、官房長官御存じかどうか分かりませんが、政府にはたくさん審議会がありますけれども、外国人の委員は全然雇っていないですか。これ非常勤公務員ですよ。いかがですか。──いや、御存じかどうか、御存じなければそう言ってください。
○国務大臣(片山虎之助君) 国家行政組織は私どもの所管ですからね。 今、私が聞いているのは十九人いろんな審議会におると。ただ、ちょっとこれ、答弁を長くしちゃいかぬのでしょうが、審議会は公の意思形成じゃないですよ。これは単なる諮問機関ですから。三条機関や何かなら別ですけれども、普通の八条機関の諮問機関というのは、これは諮問を受けて答申をするだけですから、答申をどう扱うかは受け取った方ですね。その場合に、同じことをやるんなら、なるほど、国家意思の形成に参画したみたいなことになるけれども、決めたのはこっちですから。
○松井孝治君 都合のいいときはそういったことをおっしゃるんですね。道路公団の民営化の委員会は何だったんですか、じゃ。それから、皆さんが食品安全行政変えますと言って食品安全委員会作っておられるのは何なんですか、あれは。あれは国家意思と関係ないんですね。違うでしょう、それは。それは詭弁と言うんですよ、大臣。 その、大臣がそういう、そういう御答弁上手ですけれども、あるときは国家意思の非常に重要な部分を審議会に投げておいて、そこで決めるというようなことを言っておいて、食品安全委員会作るからそこでチェックしますから大丈夫です、大臣に勧告権与えていますから、大臣に対して勧告できますから大丈夫ですと、きっちりやります、BSE問題も安心してくださいと言いながら、参考意見ですから外国人でも何でもいいんですよというようなおっしゃり方をされると、やっぱりちょっと国民の中には、テクニカルにはひょっとしたら片山大臣は整合的なことをおっしゃっているかもしれないけれども、ちょっとこれは納得できないという議論が起こってくると思いますよ。 そうなんですよ。十九人なんですよ。これ、調べていただいて、随分御苦労されたようです、総務省の方が。知らないんです、ふだん。何人外国人を雇っているかということは官僚組織も御存じないんです。私が調べてくださいと先週の木曜日お願いして、恐らく随分御苦労を掛けたんです。それで十九人という数字が出てきた。 それで、さっき外務大臣立派なことをおっしゃいましたが、実は外務省は、外国人をこの審議会の委員で雇っておられるんです。別に、だからさっきの片山大臣と同じ趣旨の答弁で恐らく賢明なる川口外務大臣は切り抜けられるでしょうから、時間の節約のために答弁は求めませんけれどもね。じゃ、何が国家意思の形成かというようなことを、やっぱり国家公務員というか、あるいは各省の中でもどういう議論をじゃ外国人にはしていただいていいのか。これはっきり言って、統括してどっかがチェックしているということはないと思いますよ。 これはもうイエス、ノーで結構なんですけれども、福田官房長官は、どんな八条機関、要するに政府の審議会にどういう方を任命するか。国会承認人事の場合は、官房長官として当然御承知になられる立場だと思いますが、それ以外の各省がどんな審議会でどういう方を任用するかということは、福田官房長官のところに一々お伺いありますか。
○国務大臣(福田康夫君) いろいろな場合ございます。ただ、専門専門で、私ども分からないような名前の方は大勢いらっしゃいますもので、目を通すというようなこともございます。しかし、その都度その任命の理由とかそういうことは聞いておるつもりでございます。
○松井孝治君 この議論ばかりしておっても片山大臣も出れませんし、また私の本来の時間がありません。 要するに、私が申し上げたいことは、何が公権力の行使あるいは国家意思の形成だということをもう一回見直して、それを慣行で当然の法理だということで認めるということではなくて、きっちりやっぱり議論をした方がいいんじゃないでしょうかということだけ申し上げて、片山大臣、別の御公務があるというふうに伺っていますので、どうぞ御退席をいただいて結構です。 それで今回この三法案の議論をしていますけれども、本当にこの法案ができたら、私はこの法案ができて、しかも国民保護法制がきちっと整備されれば、本当の意味での民主主義国家としての国民の生命、財産を守る、しかも人権も守るという意味では大きな前進だとは思いますが、本当にこれで国民の生命、財産はきっちり守られるのかどうかということになりますと、ちょっと疑問があります。 例えば内閣法九条には、内閣総理大臣の代行者を置くことができるという規定がございます。今これは官房長官のところで扱っておられるわけですが、五人あらかじめ指定をしておられて、その五人の大臣についても公開をされていますね、第一順位から第五順位まで。これは例の小渕総理が倒れられたときいろいろ議論があってなされたということで、以前よりは良くなっていると思うんです。 ただ、例えば毎週二回閣議があるわけですね。国会をやっているときはこの院内の閣議室で全閣僚がそろわれるわけですね。これについて時間も含めてもうほとんど公開されていると言ってもいい状況ですね。国会休会中は官邸で一時間繰り下げてそれを行う。要するに、そこには全閣僚が集まるわけであります。そうなってくると、そこで万が一のことがあったときに、この国の危機管理体制はどうなっているのかということになるわけであります。 これは法制局にお伺いした方がいいのかもしれませんが、まず、内閣法九条で指定できるのは基本的に閣僚のみですか。
○政府参考人(宮崎礼壹君) お答えします。 御指摘の内閣法九条は、内閣総理大臣に事故のあるとき又は欠けたときは、そのあらかじめ指定する国務大臣が臨時に内閣総理大臣の職務を行うと規定をしておりますので、国務大臣ではない内閣官房副長官あるいは危機管理官等々が内閣総理大臣の臨時代理になることはできません。
○松井孝治君 それは内閣法上の規定ですね。 その内閣法上の規定で、国務大臣に限定しているというのは、憲法上の要請に基づくものでしょうか。
○政府参考人(宮崎礼壹君) 憲法第六十五条は、「行政権は、内閣に属する。」と規定しておりますが、その六十六条の第一項を見ますと、内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣その他の国務大臣でこれを組織するというふうに規定しております。 御案内のとおり、大臣には行政大臣という立場と国務大臣という立場がありまして、内閣法の四条三項では、各大臣は、案件のいかんにかかわらず、閣議を求めることができるというふうに規定しておりますことから分かりますように、国務大臣といいますのは、各省の長という立場だけでなくて、それを超えて内閣の一員としての立場で国政全体に関与しておりますので、そういった意味で、憲法第六十六条が内閣総理大臣その他の国務大臣でこれを組織するというふうに規定しておりますことからしますと、これは憲法上の要請であると思います。
○松井孝治君 そういうふうに理解するのが当然だと思うんですね。 そうすると、内閣総理大臣の代理は国務大臣でしかなれない、憲法上の要請で。国務大臣よりもひょっとしたら国務大臣でない人の方が適任かもしれないとかいう議論はあるかもしれないけれども、憲法上の要請でそれはなれないわけであります。 そうすると、閣議の場がもし万が一、余り考えたくないことですが、考えたくないことを考えるのがこのこういう国会の議論の意味ですから、閣議の場に何らかの爆破物が仕掛けられて閣議に御参加されている閣僚の皆さんが全員欠けたような場合、これはだれが内閣の指揮を取られるんでしょうか。石破防衛庁長官、一番これはそういう局面を考えなければいけない国務大臣として、補職辞令をもらっておられる防衛庁長官ということではなくて、国務大臣としてお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) そのときは私も死んでおるわけでありまして、何ともこう難しい御質問ですが、これ、そういう事態は想定をしていない、国会において速やかに内閣総理大臣を指名し、指名された総理は速やかに組閣を行うと、こういうことになるのですが、その間はどうするんだということなのだろうと思います。 その間については、私、後ほど法制局なりからお答えがあるかもしれませんが、その間どうするんだという議論は実は飛んでいるんではないかなと思います。 委員御存じかもしれませんが、昔、小松左京に「首都消失」という小説がありました。要するに、首都全部なくなっちゃう、霧に覆われちゃう。国会議員も機能しない、内閣もワークしない、そのときにどうするんだという議論があって、そこは何と何と知事たちが集まってそこにおいて代行すると、こういうことになっていまして、そこでも、一体何によって正当付けられるんだ、そんなことがと、こういう話で、どうも国民投票もこれは憲法改正にしかないし、その組織は一体何によって正当付けられるのだというと、これはもう緊急避難の法理を使うしかないだろうというようなお話でありまして、私は専門ではございませんから存じませんが、すぐ組閣を行うということであります。 しからば、じゃ国会議員も全部そうなったらどうするのというお話は、理屈の上からはあるんだろうと思います。緊急事態としてはそこまで考えるのが仕事だとおっしゃられれば、それはそこまでぎりぎりと考えておくのもそれは必要なことなのかもしれません。これは個人的な意見でございます。
○松井孝治君 やっぱりそこまで考えておかなければいけないんじゃないかと思うんですよね。 実際、この国会開会中は、閣議はこのすぐ近くのこの国会内で行われているわけですよ。それで、そこに全閣僚が集まっておられるわけですよ、朝八時から。朝八時から九時まで、みんなに、世界じゅうに公表して、閣議を国会議事堂の中で行っている国なんですよ、この国は。そのときに、本当に閣僚が全滅したとき、あるいはもうその事態というのは、ひょっとしたらこの国会自体が機能しないといったときに、どういう状態を想定するのか。この議論を、今、防衛庁長官は抜け落ちていると、そこの部分は抜け落ちていたというふうにおっしゃいました。 ちょっと官房長官にお伺いしますが、その前に、鴻池大臣、それは単に外敵の武力攻撃によるものだけじゃないですよね。大規模災害で同じような事態が起こる可能性がありますね。少なくともそれは、全員死亡するかどうかは別として、全く連絡が取れなくなって、全国の自衛隊やあるいは警察、消防、連絡が取れないような事態があり得ますよね。 大臣は、災害担当大臣としてということを離れて、国務大臣として、今、石破長官から御答弁がありましたけれども、失礼、石破大臣から御答弁がありましたけれども、国務大臣として鴻池大臣は、こういう事態に対して我々はどういう備えをするべきだと考えられますでしょうか。
○国務大臣(鴻池祥肇君) 何とか私だけでも生き残ってお役に立ちたいと思っておりますけれども、先ほど石破大臣の御答弁のとおり、欠落した部分があるということは松井委員の御指摘のとおりだと思いますので、こういう重要な議論はきちっとどうするかということを国務大臣として考えなきゃいかぬというふうに思っております。
○松井孝治君 本当にそうなんですよ。やっぱりアメリカなんかは、大統領とその代行権限、これは大変、全閣僚が当然ランクが付いていますけれども、大統領と副大統領は基本的にできるだけ一緒にならないように運営しておられるわけですよ。だから、例えば閣議、閣議を今……(発言する者あり)ちょっと静かに聞いていてください。
○委員長(山崎正昭君) 静粛に。静粛に願います。
○松井孝治君 閣議を全員が集まっておられる。鴻池大臣は今自分だけでも生き残ってとおっしゃいましたが、本当にそういうことを考えていただかなきゃいかぬわけですよ。鴻池大臣と石破大臣だけでも生き残っていただかなきゃいかぬ。それは別にほかの、ほかの大臣もそうですけれども。要するに、本当に緊急時にきちんと総理に代替して指揮命令をできる人間がいないということはやっぱり大変な混乱を招く可能性がある。それは国民の生命、財産を守るという国家の基本的な任務を果たせなくなる可能性がある。そうしたときに、まず法制的に、まあみんなが死んでしまったらしようがないじゃないか、そんなことはということかもしれませんけれども、考えられることは幾らでもあるわけですよ。 ここで、それも含めて官房長官に伺いますが、閣議は全閣僚が同じ場所で同じ時間いなければ成立しないんですか。その閣議の運営の在り方というのは、私の理解では官房長官がいろいろ仕切っておられるという理解ですが、この閣議の運営の在り方、例えば鴻池大臣は、特区担当でも大活躍ですから防災担当大臣としてはその場にいなくてもいいかもしれないけれども、特区担当大臣がいないと規制改革が進まないというようなことはあるかもしれないけれども、しかしやっぱり防災担当大臣は、ちょっとふだん閣議に常にだんご状態で、下手なサッカーという言い方もありますけれども、常にその場にいなければいけないのか。場合によっては、今これだけ情報通信が発達しているわけですから、決裁はいろんなところでできますよ。閣議はみんなで一生懸命お習字のけいこをしているという悪口を言った方が閣僚経験者にもいらっしゃいましたけれども、私がそう申し上げているわけではありませんけれども、だけれども、とにかく決裁はできるわけですよ、持ち回り閣議なんというのもあるわけですから。 これ、本当に防衛庁長官あるいは災害担当大臣が閣議に一緒にいなければいけないのか、閣議運営の在り方も含めてこの有事の議論をしている際に見直されたらどうかと思いますが、官房長官、いかがですか。
○国務大臣(福田康夫君) いろいろと有事の際における対応の仕方について御意見をいただきました。私も、石破国務大臣、鴻池国務大臣が答弁したように、そういう問題意識を持っていろいろ考えなきゃいかぬところがあるんじゃなかろうかと、そのことについて私も全く同意いたします。 今まで、私、私どもというか日本国民全体、有事とか安全保障の問題、これに対する意識というのは非常に希薄であったというような感じがいたします。ですから、一体そういうことが起こったときにどうするかという対処の仕方、そしてまた平時においてどうあるべきかということについては、委員のおっしゃるような意見も含めて、これから細部検討していかなければいけない、そういう部分がたくさんあると思います。 閣議において全員が一挙に死んでしまうと、これはあり得るんですよ、現実の問題として。例えば、九・一一のようなああいう大型の飛行機が飛び込んでくるというようなことがあれば一遍にやられてしまうというような、そういうようなときに、これはもう現実としてあったわけですから、そういうときにどういうふうに対応するか、平時においてどう考えておくべきかということは当然考えなきゃいかぬことで、これは今後早急に詰めてまいらなければいけない問題だというふうに考えております。
○松井孝治君 今の御答弁を信頼して、国民保護法制の検討など積み残しの課題もあるわけでございますから、そのタイミングに合わせて、私はそういう閣議運営の在り方、あるいは内閣法九条の順位も、普通に考えたら分かるんですよ。十七番まで順位付けにくいですよね。五番目ぐらいまでですといいですけれども、おれは十七番かということになると、つらいものがありますね、その大臣は。 それは分かります、分かりますけれども、でもやっぱりつらいことかもしれませんけれども、それはそれでつかさつかさの危機管理の順序だということで、やっぱりそれはアメリカがやっているように閣僚の順番というのは全部付けなければいけないんじゃないか。あるいは、その中で必ずしも、場合によってはそれは十七名、総理入れて十八名の大臣がそろわなければいけないというケースもあるかもしれないけれども、そうでないときを増やして、分散的に閣議を開けるような仕組み、何らかの工夫というものを、是非これ官房長官、野党からの提案だからといって取り合わないということではなくて、これは本当に有事に際して国のやっぱり備えの問題ですから是非前向きに御検討いただきたいと思いますが、ちょっと手を挙げられたので、どうぞお願いします。
○国務大臣(福田康夫君) 閣議で、防災担当大臣は閣議に入らないという提案もございました。そういうように決めればいいわけです。 ただ、現行は、閣議というのは内閣の意思決定の場でございまして、その議決というのは全会一致による、こういうようなことになっております。ですから、通常は全閣僚が一堂に会するというような形で行っております。もちろん、持ち回りとかいうのもございますけれども、閣議は閣議で、これは全会一致と。効率的に行うためにも全員そろってなければいけない、そういうことであります。 しかし、そういう御提案もありました。これも含めて検討対象とさせていただきます。
○松井孝治君 聞かないでおこうかと思ったことだったんですが、全会一致という話をされてしまいましたので。私は、閣議の全会一致については大いに議論をすべきだと思っております。 法制局、お見えでございます。 閣議の意思決定が全会一致でなければいけないというのは、一体、あるいは憲法のどこからそういう要請が導き出されているんでしょうか。
○政府参考人(宮崎礼壹君) お尋ねのように、閣議の全会一致につきましての明文の規定はないわけでございますが、これまで政府の方から何度かお答えをしておりますのを整理しますと、次のようなことになるんじゃないかと思います。 憲法六十六条の三項で、国会に対して内閣は連帯して責任を負うという規定がありますことから、簡単に言いますと、そういう結論が導き出されてきていると思います。
○松井孝治君 内閣として連帯をして責任を負うということとその意思決定が全会一致であることと、どういう論理的なつながりがあるんでしょうか。──結構です。結構です、通告していませんから。通告しておりませんので、御答弁は結構でございます。おっしゃったので、つい聞いてしまいました。 これは橋本龍太郎内閣総理大臣の下の行政改革会議、私も官僚として参加をさせていただいておりましたが、そこの議論で、行政改革会議の議論で、閣議の全会一致原則というのは別に憲法上の要請ではない、別にそれは慣行にすぎない、それも含めて見直しが必要だということを総理の行革会議で議論がなされているわけです。そういう議論を得ているわけであります。 ですから、それは、今そういう慣行があるのはよく分かりますし、それはできれば閣議が、いろんなことを割れているよりは、それは全会一致の方が望ましいというのは当然そうだと思うんですが、やっぱり閣議の全会一致があるから閣僚は全員そこにそろわなければいけないとかいう議論は、これはいざというときに本当にそういう意思形成でこの国の意思決定は速やかに行われるんだろうか、機敏に国民の生命、財産を守れるんだろうかということについて、私大いに疑問があります。 例えば安全保障会議で意見が、安全保障会議の議員、閣僚の意見が割れたときに、全会一致でないと安全保障会議は議決ができないんですか、防衛庁長官。
○国務大臣(石破茂君) それは、安保会議は諮るということになっておるのでありまして、議決を要するとはなっておりません。
○松井孝治君 議決を要さないから別にそれは意見が割れても結構だということですか。そういうものだと思うんですよ、私は。 だから、それは連帯して責任を負ってもらわなきゃいかぬですよ、国会に対して。しかし、その連帯して責任を負うときには、意見の相違があっても、我々は、意見が相違があったときに、最後は例えば総理の意思に従おうとか、あるいは多数決で決めて最終的に総理の裁断を仰ごう、そういう意思決定の在り方で、でも、最終的には連帯して、これは国会に連帯して責任を負うよというふうに決めればいいんです。 例えば我々が手本として作ったイギリスの内閣の意思決定は、別に全会一致じゃありませんよ。これは多数決で行われる。ただし、その中身について、お互いに、対外的に、我々は違う意見を持っていたということを言うのはやめようねという、そういう慣行を持っているわけであります。 私は、成熟した民主主義国に日本がなろうとすれば、何でもかんでも全会一致、実はこれが、いろんな閣議決定に当たって、だれかが反対したらそれは通らないということになるわけですよ。これ、鴻池大臣、お分かりでしょう。どなたかの大臣が反対したら、鴻池大臣が一生懸命やっておられたって、要するに横になってしまわれたら、内閣として意思決定ができないんですよ。そういうことがたくさんあるわけですよ。 だから、これ、鴻池大臣、ちょっと国務大臣として、内閣のこの全会一致でなければいけない、それは僕は全会一致の方が望ましいと思いますよ、もちろん。できる限り全会一致でコンセンサスを得られるように努力しなければいけないと思いますよ。しかし、それが金科玉条のように、これは憲法で、国会に連帯して内閣は責任を負うから全会一致でなければいけないというふうに言われると、この問題でこんなに時間を使うつもりはなかったんですけれども、つい熱くなってしまいましたが、ちょっと大臣から、個人的見解でよろしいですから御見解をいただきたいと思います。
○国務大臣(鴻池祥肇君) 絶えず閣内不一致的な発言をしておりまして恐縮をいたしておりますけれども、私は、全会、内閣で一致ということは大変結構なことだと思います。ただ、そこで決定したことは閣僚は守らなきゃいかぬ、このように思っております。
○松井孝治君 それは当然そうですよね。ちょっとこれに予想外に時間を取ってしまいました。 今回の有事法制に関連して与野党で合意された事項の一つは、FEMAのような縦割りの従来の行政組織の弊害を取り除いたようなものを作らなければいけないんじゃないか。これは実はこの委員会でも、与党の、自民党の委員の方からも是非そういうことを検討すべきだという意見も開陳されたところであります。 これ、鴻池大臣、阪神・淡路大震災、鴻池大臣御自身が被災者のお一人であったと思います。私も親戚を亡くした者の一人であります。あのときの教訓を今思いを致していただいて、本当に今、この有事法制三法案、成立もう間近かもしれませんが、この有事法制できても、結局のところ、これ第十条で本部というのを作られて総合調整を図るということになっていますが、結局、私の理解では、消防とかあるいは警察に対する指揮命令権というのは、これは各自治体にあるわけでありまして、統合的に整然と指揮命令ができるわけではないですね。 できるだけそれは調整をして円滑にやろうということにはなっていますけれども、本当の意味で、大臣の場合は災害対策ということに限定してでも結構ですが、このFEMAのような統合的な、縦割りの各組織がそれぞればらばらの指揮命令を持っている、しかもさっきのお話から明らかになったことは、もし万が一で、内閣全体がいざ万が一のことがあったときにはそれを束ねてだれも調整する人もいなくなってしまう、そうすると事務方がそれぞればらばらにじゃ指揮命令するのか、さっき石破大臣がおっしゃったように、知事さんたちが協議をしてやるということになるのか、そんな話にもなりかねないと思うんですが、大臣、これも個人的見解で結構です。閣僚としてはなかなかおっしゃりにくいと思いますが、一議員として、このFEMAのような組織、これについてどう思われますか。
○国務大臣(鴻池祥肇君) 貝原という兵庫県知事の嘆きでございますけれども、やはり自衛隊は防衛庁、消防は消防庁、警察は警察庁、自らの指揮命令が実はやりにくかった、できなかった、こういう嘆きがあります。これを解決をしていくということは、やはり私は、その災害時における組織の在り方ということを民主さんから御提言いただき、与党も納得をしていることに早速検討に入る必要があると思います。 例えば、今は改善されましたけれども、神戸で火の手が上がった、大阪あるいは豊中から消防車が救援に来た、ホースがつながらない。大きさが違うんです。そういうことがある。そういったことが随分反省材料として八年前の状況から相当改善をされております。 また、情報につきましても、先日の宮城沖地震につきましても、一時間以内にほとんどの火災場所の状況が私の手元に入ってきました。それゆえに、一番に記者会見をして、ある意味で御安心をいただくような表現をさせていただいた。しかし、阪神・淡路のときは、お昼まで、あの朝の、未明の大地震が、官邸に届いたのは、お昼もまだ届いていなかったと、こういう状況でありますので、それは相当改善をされているということを先日の宮城沖地震で一応の安堵をいたしておるところであります。
○松井孝治君 是非、今回の宮城沖地震は幸い大きな被害にはなりませんでしたが、今後ともFEMAの検討も含めて、是非大臣にも政治家として御尽力いただきたい、そのように思います。 石破大臣にお伺いしたいと思うんですが、韓国では一九九八年に統合防衛法というのができたそうなんですね。これは、いわゆるテロとか騒乱状態、いわゆる有事の少し前の段階で、しかしながら非常に国家の安全管理上ゆゆしき事態が起こったときに、事態を甲、乙、丙、三種類に分けて、それぞれに応じて軍とそれから消防、警察あるいは海上警察と言うんでしょうか、向こうは。そういったところがどういうふうに動くかというようなことをきちっとマニュアル的なものを作って対応しているという事例があります。 お隣の国の韓国のことでありますが、石破大臣はこういう韓国の法制は御存じでしょうか。そして、こういう法制も参考に今後日本の法制を更に検討されるおつもりはあるでしょうか。
○国務大臣(石破茂君) 私も諸外国の有事法制、一通りすべて見てみました。例の危機管理庁的な発想、あるいは災害だって人災だってテロだって戦争だって一緒じゃないか、だれだって国民にとっては一緒じゃないかとおっしゃる議論は、私はドイツの基本法が似ているのだろうと思っておりますし、韓国のその法律のことも存じてはおります。 先般韓国に出張いたしましたときも、そのことについて随分と向こうの内務庁長官なり、そしてまた防衛当局なりお話しをいたしました。ただ、委員もよく御案内のことかと思いますが、この法律、例えば戒厳令でありますとか、あるいは大統領の勅令でありますとか、そういうものは随分我が国と違っております。また、徴発令みたいなものも、我が国は今回想定をいたしておりません。 そういうことで、相当に違いがある。そこにおいて、シビリアンコントロールというものをどうかませるかという点において、危機管理庁の御議論と併せて、今後の議論の余地が相当にあるだろうと思っております。
○松井孝治君 是非、関係閣僚の皆さん、これからもやっぱり政府の最終的な、あるいは最高の使命というのは、国民の生命、財産を守るということだと。ほっておくとどうしても縦割り型の組織が幅を利かせるのが戦後の日本の行政システムだと思います。どうかこれからも、この法制成立した後も、更により良いものにするために我々も努力しますが、皆さん方も引き続き御努力をいただきたいことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○大江康弘君 国会改革連絡会(自由党)の大江康弘でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思いますが、連日のこの集中審議でありますので、質問において重なる部分がありましたらお許しをいただきたいと思いますし、重なるということはそれだけ大事な部分であるというふうにも思いますので、御理解をいただきたいと思います。 まず最初に、官房長官、おめでとうございます。けげんな顔をされておられますが、何がめでたいかといいますと、連続在任期間、今日で九百四十九日ということで、実は歴代の官房長官の連続日数では一番記録を更新されたということで、大変、日ごろのお忙しい中、御苦労であると思います。今は総理がサミットに行かれて、その職務代理ということで大変御苦労いただいておるということを、まず冒頭、お祝いを込めて御慰労をさせていただきたいと思いますが、我々の立場からすれば、余り長くやられても困るわけでございまして。 しかし、今こういう大事な時期に、私は昭和五十二年に、亡くなりましたが、玉置和郎先生の秘書として務めさせていただきました。当時、総理は官房長官の御尊父である福田総理でありました。 この三月の予算委員会でギリシャ、ローマの崩壊、これはなぜ起こったかという、そういう議論を実は総理と玉置先生の間で、本当に政治家としてのやり取りを聞かせていただいて感銘を受けました。あのギリシャ、ローマが、あれだけの帝国を誇った国がやはり外からではなくて内から滅びていくという、それを福田総理がいろいろと歴史をひもといて答弁をされておった。 そういうことを思い起こしますと、昭和五十二年、あれから二十六年余り、当時福田総理が有事法の研究を言われた。戦後初めて総理としての立場で言われた。しかし、それは時の、当時の野党の意向もあったりということで法制化をしないということが前提だったということで、そういうことを思えば、今回、官房長官の立場でこういう法案ができたということも一つの感慨もひとしおかなというふうに思いますけれども。 私は、まだまだこの法案というのは十分でないという実は立場の一人でございます。しかし、やはり日本というのはアメリカほど世論の国ではありませんから、なかなか世論というのは形成しにくい日本の国であります。しかも、何か事がなければ進んでいかないというこの国民性というものも、私は非常にこれを我々が乗り越えなければ本当に国際社会の中で生きていけないということを日ごろから思う一人であります。 しかし、随分、官房長官、世論も変わりました。 私はびっくりしたんですけれども、私も自民党当時余り朝日新聞は読まなかったんですね。しかし、野党になってから朝日はしっかり読んで大分考え方も少しは変わってきたわけでありますけれども。しかし、私は朝日新聞というのも変わったなと。(「産経も読まなきゃ駄目だよ」と呼ぶ者あり)ええ、しっかり読んでおります、産経も読売も。 平成十五年の五月の二十九日の朝日の「声」の欄に、いわゆる三十一歳の女性の方が、「疑問がわいた9条の神聖化」、そこにこうあるんです。 戦争には、二つの悲劇があります。殺されることと殺すことです。平和憲法で阻むことができるのは「殺す」悲劇だけです。「殺される」悲劇の方は、戦争の放棄によってむしろ危険が増すかもしれないのです。 「自分が殺さなければ、相手も自分を殺さない」と言い切るのは、あまりに楽観的すぎるのではないでしょうか。また、そうした理由で平和憲法を神聖化して守るというのは、一種のすり替えのように思います。 これは、官房長官、朝日新聞がこういう記事を載せておるということは私も大変実は驚きでありました。それだけ意識というのは変わってきたんかなというふうにも思うんですけれども、まだまだ、先ほど言いましたように、何か事がなければ我々国民の意識というのは一歩前へ進んでいかないという、それだけに今回こういう法案ができたということは、私は官房長官としてもある種の感慨、思いもあったかと思いますけれども、この国民の意識とあわせて今回の法案というものをどういうふうに官房長官は思っておられるのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(福田康夫君) 私は、有事法制というのは日本の形を作るための一つの体系だというふうに思います。日本の形と申しましても、もちろん憲法があって憲法の下でいろいろな行動をしているわけでありますけれども、その憲法の下で、やはり戦後欠けていたもの、例えば我が国が国際的な平和協力活動をしようとしても昔はできなかった、しかし十年前にそれができるようになったという、これも日本の形作りだというふうに思います。やっぱり時代も変わり、国際社会も変わり、また日本に求められている役割、国際的な役割も含めて役割というものも変わってきているのだというふうに思います。 今思えば、四半世紀前に研究だけというようなことでその考え方が出たわけでありますけれども、しかし、その四半世紀の間、それに対するもちろん配慮というものもあったかもしれませんけれども、それもなかなか具体的になるようなそういう環境は熟しなかった。それは今、委員のおっしゃるように世論が変わってきたということもあるかもしれませんけれども、やはり日本の形をしっかり作っていかなければいけないということに国民全体が目覚めてきたんではなかろうかなというように思っております。 今回、提案をさせていただきまして審議をしていただく、衆議院では九割の衆議院の議員の方々に賛同いただいたということは、これは正にそのことではなかろうかということでございまして、今後も私は、国づくりということ、そしてまた、日本としての形を作っていくというために何が必要なのかということはいろいろあるんだろうと思います。ですから、そういうことはまた積極的に提案をし、そして議論をさせていただかなきゃいかぬというように思いますけれども、そういう一つの体系づくりが今回なされるということについては大変な感慨を持っております。 玉置先生のお話もございましたが、玉置先生も国の形づくりということには大変強い意識を持っておられた方だというふうに思っておりました。そういう意味において、私はこれからも、前向きということよりか、これからの日本に求められていること、そしてそれを着実に実行していく、そういうふうな国になるためにどう日本があるべきか、その形づくりというものに努力をしていかなければいけないと思っております。
○大江康弘君 ありがとうございます。 そこで、せっかく作った、作ろうとしておる法案でありますけれども、やはりいろんなところにやはりまだ足らざるところがあるわけでありますけれども、早速先ほどの松井委員との重複でありますが、実は、先般五月の二十二日に私どもの平野達男委員から実は政府統一見解をお願いをしました。いわゆる自衛権発動としての武力の行使の判断権者ということであります。 その中で、政府から出てきましたのは、いわゆる最終的には総理大臣が武力行使の判断も行うという、実はそういう政府見解であったやに思います。 そこで、私はやはり大事なのは、今、官房長官がこれ総理の職務権限者としてやられておる。この内閣のこの九条を調べてみますと、日本は五人までしかないんですね。一が今の長官、福田官房長官、そして今は塩川財務大臣、それから森山法務大臣、それから平沼産業経済大臣、そして谷垣国家公安委員長、五番までしか記載をされておらない。ところが、アメリカは御存じのように大統領の職務継承順位で、下院の議長だ、上院の議長代行も含めて、最後は復員軍人の長官まで十七人の職務権限者を規定をされておるということでありまして、先ほどのちょっと意見のやり取りを聞いておりますと、いささか非常に不安に思う一人であります。 それだけに、これはもう答弁はいいです、今後、本当にこういうことも含めて、最終的にこれ防衛出動発令をして武力行使まで行かないと駄目だということになったときに、例えば五番までの方がその判断ができないという状態になったときに、緊急に総理を選ぶとかなんとかという話もございましたけれども、私はそれで果たして有事即応できるのかという非常に不安に思う一人でありますから、これはまあまた、今日時間もありませんから別の機会に譲らさせていただいて、非常にこれは国家としての、いわゆる独立国家としての少しはこれ体を成しておらないんじゃないかなということだけ申し添えておきたいと思います。 そして、先般、実は山崎当事態特の委員長にお供をして公聴会に行ってまいりました。私は、あの福井県へ行ったことは二つの意味があったと思います。それは、ここ数十年にわたって我が国の主権を侵してきたあの北朝鮮。特に、福井県というのは原発銀座と言われますように、全国の原発のうちの十五基を抱えておる、大変国策に貢献をしていただいている県であります。同時に、あの日本海は、もう御存じのように、やれテロだ、やれ不審船だ、拉致だ、不審船だということで、大変毎日危機と隣り合わせておるわけでありますけれども、私はあの敦賀の市長のお話を聞かせていただいて、やっぱり原発、いわゆる原子力発電所というのは、大体、敦賀の市長の話でもありましたが、通常の攻撃では、陸上の攻撃のときはある程度耐え得る、しかし、一番怖いのは空からの攻撃であるということでありました。 それだけに、今日はMDの話も時間がありませんから譲りますけれども、私は、これは官房長官にお聞きしたらいいんですかね、日本は今、非核三原則を貫いてきていますね。これは、いわゆる作らず、持たず、持ち込ませず。これは今、北朝鮮が核兵器の開発ということで大変我々にとっては正に危険と隣り合わせであります。 それだけに、もしこれ、北朝鮮が、あえて私は北朝鮮と申し上げますけれども、北朝鮮が核攻撃をしてきたときに、日本は果たして核で例えば応戦をしなければいけないといったときに、アメリカにそのことをこれは求めるわけですか、そういうケースがあった場合に。これはどうなんですか。
○国務大臣(福田康夫君) 御案内のとおり、非核三原則ということで日本はその原則を堅持しているわけです。今、北朝鮮というお話ございました。しかし、それは仮定のお話でございまして、そういうような脅威が存在すればという、そういう前提のお話だと思います。 我々としては、そういう事態にならないように外交的な努力を続けていかなければいけない、決して北朝鮮に核を持たせるというようなことにならぬように外交努力を傾けると、そういうことではないかと思います。 北朝鮮ということでなくて、一般論として、問題があるというときには米国との安全保障条約で米国の抑止力の下で自国の安全の確保に万全を期すと、こういうことになるわけでございますけれども、そういうことにならぬように最善の努力を傾けるべきであると思います。
○大江康弘君 その努力は分かるんです。しかし、日本はやはり、広島、長崎を抱えて、戦後、そういう核に対する一つの国際的なある面においては責任を果たしてきたというふうに思います、核の抑止という意味で。 しかし、私は、もうそろそろ、アメリカの原潜が入るたびに、これ、核を搭載しているんじゃないか、あるいは核のミサイルを搭載しているんじゃないかというような、こういうことがマスコミを通じて言われておる。そういうときに不安が国民によぎる。しかし、もう事ここに至っては、やはり作らず、持たずということはこれは一つの国是としても、やっぱり持ち込ませずということに関しては、アメリカとの同盟関係の中で、もうそろそろ非核三原則というもの自体を見直す時期ではないかなというふうにも思うんですけれども、これは、官房長官、ちょっと飛躍した意見ですかね。まあ努力をされるという、そういう核を某国が使わないような努力をするということを言われましたけれども、しかし、もしということがありますから。
○国務大臣(川口順子君) 官房長官にお答えをいただくので全然構わなかったんですけれども。 先ほど官房長官おっしゃいましたように、まず外交努力、そして我が国の安全保障環境を整えていくということですが、やはり最近、国際情勢をごらんいただけると、実際に核を持っている国もありますし、また大量破壊兵器の拡散という問題もあるわけでございます。そういった中で、我が国としては、核を保有しない、三原則を堅持しているわけでございますので、これはそういった正にアメリカの核の抑止力の下で我が国の安全の確保ということをやっていくということであるかと思います。したがいまして、そういう考え方でいくのではないかと私は考えております。
○大江康弘君 そういう極端な事態が起こらなければいいわけでありますけれども、私は、もうそろそろこういうことも見直したらいいんじゃないかなというようなことを個人的に申し上げて、次に移りたいと思います。 済みません。ちょっと用意しておったんでありますけれども。 次に、実は戦争権限法について少しお尋ねを申し上げたいと思います。 これは、アメリカの国内法でありまして、一九七三年に、昭和四十八年に制定をされたんですけれども、この国内法の効力、法的な効力というのはこれは今も、存在というか、そのままですよね。
○政府参考人(海老原紳君) 現在も有効でございます。
○大江康弘君 そうしたら、この法律というのは、アメリカの国家の意思として、例えば米軍が交戦をしておってもそれを引き揚げることができるということに中身は間違いないですね。
○政府参考人(海老原紳君) これはちょっと御説明をさせていただいた方がよろしいと思いますけれども……
○大江康弘君 簡単に、簡単にしてください。
○政府参考人(海老原紳君) ええ、簡単に御説明をさせていただきますけれども、基本的には、戦力を大統領が議会による宣戦布告がなく投入する場合におきましては、報告が、議会に対して、投入後、大統領による報告がなされてから六十日以内、原則としてですが、に撤退しなければならないということでございまして、その後は、改めて議会が宣戦布告を行った場合、あるいはこの行動に対して特定の授権を与えた場合、あるいはこの六十日の期限を延長した場合以外については米国の軍隊の行動というのは停止しなければならないという趣旨だと思いますけれども、ただ今、委員がおっしゃいましたように、これは実際にはこの規定が発令、発動された例はないわけでございまして、しかも、これは米国の中にも行政府と議会との権限関係ということでいろんな意見がございますので、これは米国の国内法でもございますし、実際そういうことが起きましたときにどのように運用されるのかということについては、我々としては意見を申し上げるのは差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
○大江康弘君 もう一点聞きます。 例えば、日米安保の第五条の適用で、アメリカが日本国のために対日防衛義務を履行しておるわけですね。今、そういうことが発動されたことはないということでありますけれども、私は非常に懸念をするのは、その前に、もしこの議決がされたときにアメリカが引き揚げたときは日本が単独で戦うということでよろしいですね。
○政府参考人(林景一君) ただいまの御指摘は、戦争権限法の解釈のみならず、日米安保条約第五条との関係ということがポイントになるわけでございます。 戦争権限法につきましては、先ほど同僚から御説明いたしましたとおり、アメリカの国内においても憲法上の観点からも多々御議論があるということでございますけれども、日米関係におきまして、これはもうずっと政府が、玉置和郎先生なんかもこの問題を御提起になりまして、政府がるる御説明しておりますけれども、日米関係で最も重要なことは、この日米安保条約が米国政府が締結したということのみならず、米国の議会によって承認されたものであって、そこに対日防衛義務というのが明定されておるということでございまして、日米安保条約第五条により、日本に対する武力攻撃が発生した場合、米国政府のみならず米国議会を含めた米国の、米国が国家として我が国を防衛する義務が設定されたものであると。したがって、この義務を承認した同じ議会が、他方においてこの義務の履行を妨げるがごとき措置を取るようなことは本来考えられないということを累次申し述べてきておるところでございまして、また、米国政府もこの戦争権限法の成立後におきまして、特段の条件を追加することなく日米安保条約上の対日防衛につきましての誓約を繰り返してきているということでございます。
○大江康弘君 それは分かるんです。それは今までの国会での議論の中の答弁の域であると思うんです。しかし、私は大変不安に思うのは、今は小泉総理がブッシュ大統領とこういう個人的な信頼関係を作り上げて、日米関係というのは、官房長官、そんなに悪くないというよりは非常にいいですよね。 ただ、一度、この戦争権限法ができて、昭和五十二年、正に官房長官の御尊父である福田総理当時に、アメリカは時の大統領はカーターさんであります、民主党、このときに、今絶対大丈夫だと言ったその裏付けとなる第八条の(d)項一項ですね、この現行の条約の規定を変更するものではないという、ここに皆さんが大丈夫だという一つの法的な根拠を置いていると思うんですけれども、私は、非常に心配なのは、こういうこの第八条の(d)項の一項を変えようという動きがカーターさんの当時起こったんですね、民主党政権の当時。 私は、今回もクリントン大統領からブッシュさんに替わったというのは非常に喜んでおる一人であります。極東政策も変わりました。それだけに、私は、やっぱり本当に日本が同盟国としてアメリカの信頼を得てやっていることに関しては、こういうようなことは大丈夫で、戦争権限法ができたからといったってこれは大丈夫であると思いますけれども、例えば、想定しました。いわゆるアメリカに親日政権でない政権が起きたとき、あるいはまた逆に日本が親米政権でない内閣ができたとき、そして、それは共和党か民主党か向こうは分かりませんが、二つ目は、日米関係が何らかの悪い状況、例えば貿易摩擦があるだとか、あるいは経済的にお互いが摩擦があるとか、そして三つ目に、例えば直近のアメリカのいわゆるユニラテラリズムですか、いわゆる単一行動主義で戦争をやったときに、例えばあのイラクのような形でやったときに、我が日本がそんなに貢献ができなかった、いろんな法の整備の中でできなかったといったときに、果たしてアメリカはどういう日本に対して感情を持つだろうか。 それだけに、そういう、戦争というのはやっぱり戦費調達というのは必ずこれ裏付けとして出てくるわけですから、議会がそれじゃ日米安保があるからといって、これ、対日防衛のためにどれだけお金が掛かるか分からないこの予算を、そういういろんな悪い環境、これは僕はリンケージ論として言っているんじゃないですけれども、そういうところまでやっぱり考えたときに、果たして、この戦争権限法というものが片方で存在している、しかし今、八条の(d)項の一項があるから大丈夫だということには僕はやっぱりなっていかないんじゃないかと。 それは、官房長官も言われるように、日ごろの努力だ何だと、これは大事であると思いますけれども、しかしこれだけ国際環境というのが時々刻々変わっておる中で、日米関係も私はどうなるか分からない。それだけに、同盟というのは、かつて第一次大戦のときに我が日本はイギリスの要請に応じて地中海まで艦艇を派遣しているわけですね、そういうやっぱり姿を見せて。 ですから、そういうことを考えたときに、私は、甚だやっぱり、今のいろんな法律の規制もありますけれども、この日米の同盟というのは果たしてアメリカがリップサービスをしていただいておるようなそういう大きな信頼感があるかな、今はあっても将来どうかなということを不安に思う一人でありますけれども、やっぱりこういうことを考えたときに、私は、この戦争権限法というある中で、日本というのは非常に努力が足りないんじゃないかなと思うんですけれども、これは官房長官にお尋ねしたらいいのかな。これは外務大臣ですね。済みません。
○国務大臣(川口順子君) 委員がおっしゃるように、正に基軸は同盟関係であると思います。この同盟関係を我が国としても日々強化をし、確固たるものにしていく努力が必要であると思います。それの努力の一端は、我が国が自らを守ると、そういう強い気持ち、それを持つということであるということは総理も時々おっしゃっているとおりであると思います。 日本とアメリカの関係というのは、もう長い期間、いろいろなフェーズがございましたけれども、強固である。今後、引き続きそのための努力をすることが大事であると思います。
○大江康弘君 もうこの議論は、時間がありませんのでここまでにしておきます。 防衛庁長官、実はこの近代の兵制のこの制度を作ったのが、我が紀州藩の陸奥宗光公と津田出公、このお二人が、当時、明治維新前後に近代の兵隊制度を作った。これは我々郷土の先輩として大変自慢に思っておるわけでありますけれども、果たしてこの陸奥公あるいは津田公がそういう思ったような、こういう今の日本を守るにふさわしい今の制度であるかな、状態であるかなということを私は墓場の下で悲しんでおるんじゃないかなと、こんなことも思う実は一人でありますけれども。 私は、防衛庁長官にお尋ねをさせていただきたいのは、いろんな形で日本は内閣法制局というものの解釈にいつまで我々政治家が縛られるのか、いつまで政治家がそれを乗り越えられないでおるのかという、もうこれを非常に日ごろから私は不満に思う一人であります。 それだけに、自衛隊というのは、憲法九条の下のいわゆる自衛だけの自衛隊でいいのかどうか。これは、今日時間がありませんでしたから、川口大臣に聞きたかったんです。いわゆる内閣の七十三条の二項の中に外交関係というものがある。その中で、やっぱり当然この外交関係というものの中で、集団安全保障というのは私はこういうことでやっていって、三百六十度、自衛隊を使っていったらいいんだというふうに思うんですね。 それだけに、今日はもう議論はやめますけれども、防衛庁長官、そういう中で日本というのはどうも、この今回の法案もそうですけれども、しっかりと幹というこの憲法をしっかり改正するなりなんなりすればいいんですけれども、何か枝葉で自衛隊を外にほうり出して、今度はまたイラクに行って、どういう形で、まあ行ってというか、まあ行くかどうか分かりませんけれども、そこで、また武器なんかも、あれを使うな、これを使うなと。 私は、武器の行使なんというものは、そこまで政治が規制をするというのは、これは僕はある意味ではシビリアンコントロールではない。いわゆるシビリアンコントロールというのは、出すか、あるいはそして武力行使を認める、ここまでがシビリアンコントロールであって、やっぱり行ったら現地の指揮官に任すとか、そういう意味で、やっぱり私は自衛隊というのは本当にそういう意味では名誉と誇りというものが与えられておるんだろうか、いろんな意味で。そういうことを私は非常に不満に思う一人であります。 それだけに、自衛隊が発足して今日まで何人の方が殉職をされたか、防衛庁長官、知っていますか。
○国務大臣(石破茂君) 約千七百名と承知をいたしております。
○大江康弘君 私もその数字をこの間聞いて、びっくりしたんです。戦争が、直接こんな自衛の戦争も何もない中で、まあPKOで行かれた方が何人か亡くなりましたが、千七百人も亡くなっておる。 これは、なぜこんなに殉職の方が多いのか。それはこれだけの数字をやっぱり我々政治家も知らなかったということも、これは私は反省をしなきゃいけません。しかし、逆に言えば、それだけ厳しい訓練、いわゆる厳しい任務をこなしておるということであって、私は、やっぱりそういう崇高な使命を与えておるということであれば、もっとやっぱり我々国民が、政治家も、すべてが高い信頼感を自衛官に与えてやって、私はやはりそういう中でしっかりと国を守ってもらう、国際的に貢献してもらうということがやっぱり大事であると思うんですけれども。 最後に、長官、その自衛隊員の名誉と誇りをこれからどうやっぱり守っていくのか、どうこれからやはり更にやっていただけるのか、ちょっと最後に聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) ありがとうございました。 本当に、委員の御指摘はそのとおりだと思いますし、例えば、国会の先生方が私ども防衛庁を御視察においでのときは、必ず慰霊碑、その千七百名を祭ってあります慰霊碑、こちらに参っていただくようにしております。外国から賓客がお越しのときも、必ずお参りをいただきます。そしてまた年に一回、その年に亡くなられた方々を霊をお慰めするために、必ず内閣総理大臣御臨席の下でそういう式をやらせていただいております。 そして、何よりも大事なのは、御家族の方々に対するそういうような手当てがきちんとできるのかということです。 先般も、岩国で海上自衛隊の飛行機が事故を起こしました。まだ原因は究明中でございますけれども、その中の隊員の二人の方はお子さんがまだ一歳です。もう一人の方はまだ奥様が八か月の身重でいらっしゃるというようなことであります。そういう方々に対してきちんとしたことができるかどうか。私もそのことでもう十分配意をしておるつもりですが、そういうこともちゃんとやりたい。 そして、長くなって恐縮ですが、これだけで終わります。例えばパイロットが殉職をするときに、助かろうと思えば助かれた。しかし、絶対に人家のあるところに落としてはいけない。そして、河川敷で絶対にだれももうここにはいないよというところまで飛んで、そこまで来たときに力尽きて、もう脱出装置は動きませんから、そこまで来ますと、殉職をしたという例もたくさんございます。 それはもう本当に政治家の皆様方、国民を代表する政治家の皆様方がそのことを御理解いただいて、自衛官がどれだけ自分の身を犠牲にしてでも国のために尽くそうと思っておるか、そういうことを御理解をいただくことが私は肝要なことでありますし、私ども政治任用の者としても、そのことにこれから先も努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
○大江康弘君 ありがとうございました。
○泉信也君 泉信也でございます。大変いい質疑が行われておりますが、引き続きまして、私は、集団的自衛権、それから国民の協力について、さらに基本的人権の問題についてお伺いをさせていただきます。 集団的自衛権の問題については、再三、当委員会でも議論がなされてまいりました。まず、法制局にお尋ねいたしますが、集団的自衛権の行使は憲法違反でしょうか。お答えをください。
○政府参考人(宮崎礼壹君) お答えいたします。 〔委員長退席、理事阿部正俊君着席〕 憲法第九条は、第一項におきまして、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と規定しておりまして、さらに、同条第二項は、「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」と規定しております。 解釈論といたしましてはここから出発するしかないわけでございます。この文理だけから見ますと、一見いたしますと、我が国による実力の行使は一切禁じられているようにも見えるわけでございます。 しかしながら、憲法前文で確認しております日本国民の平和的生存権や、憲法十三条が生命、自由、幸福追求に対する国民の権利を国政上尊重すべきこととしている趣旨を踏まえて考えますと、憲法九条は、外国からの武力攻撃によって国民の生命や身体が危険にさらされているような場合に、これを排除するために必要最小限度の範囲で実力を行使することまでは禁じていないというふうに解されるところであります。 すなわち、先ほど述べました憲法九条の文言にもかかわらず自衛権の発動として我が国が武力を行使することができる、認められるのは、当該武力の行使が、外国の武力攻撃によって国民の生命や身体あるいは権利が根底から覆されるという急迫不正の事態に対処して国と国民を守るためにやむを得ない措置であるからだというふうに考えられるわけであります。 ところで、お尋ねの集団的自衛権は、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する権利というふうに解されております。 このように、集団的自衛権は、我が国に対する急迫不正の侵害に対処する、直接対処するものではございませんで、他国に加えられた武力攻撃を武力で阻止することを内容とするものでありますので、先ほど述べましたような個別的自衛権の場合と異なりまして、憲法第九条の下でその行使が許容されるという根拠を見いだすことができないというふうに考えられるところでございます。
○泉信也君 そういうお話はこれまでも何度も聞かせていただきましたし、政府のあるいは法制局のお考えはそれなりに理解いたしますが、私は今、憲法に反するのか、違反するのかどうかということだけお尋ねしておるわけで、簡潔にお答えください。
○政府参考人(宮崎礼壹君) ただいまも申し上げましたけれども、憲法第九条の文言から出てまいります自衛権の行使といいますのは、自分の国が直接武力攻撃にさらされた場合における個別的自衛権の行使が限度であって、集団的自衛権を現行憲法の解釈の下で認める根拠は見いだすことができないと考えているところでございます。
○泉信也君 今の御答弁ですと、現行憲法では集団的自衛権の行使は憲法違反だと、こういうお答えと理解してよろしゅうございますか。
○政府参考人(宮崎礼壹君) そのように従来政府としては答弁してきておるものと思っております。
○泉信也君 これは大変な御答弁をいただきました。 総理は、私の参議院本会議での質問に対して、議論はよろしい、ただし小泉内閣では考え方は変えないと、こういうふうにお答えになっておるわけですが、今の法制局のお答えですと、憲法違反だということになりますと、総理のお答えは矛盾してはおりませんでしょうか。
○政府参考人(宮崎礼壹君) ただいま御指摘のとおり、小泉総理は、御自分の内閣におきましてはそのような解釈を変更する考えはないとおっしゃっておりまして、その点に矛盾があるとは考えておりません。
○泉信也君 憲法違反の問題であれば解釈の問題ではあり得ないわけでありまして、今、部長が憲法違反だということになりますと、これは我々としてももう一度根本から議論をさせていただかなければならないと思うわけです。 憲法解釈から出たということでありますと、我々、今日まで、個別的自衛権は行使できる、これは国家固有の権利である、むしろ自衛権は国家固有のものであるというふうに説明を何度も聞かされました。しかし、この自衛権を個別的と集団的というふうに分けました途端に、集団的な問題の在り方については憲法を持ち出してくると、こういう論理を法制局は今日までやってきたわけですが、本来、自衛権というものが国家固有の権利であるとすれば、その個別と集団というものは一つの手段にすぎないわけでありまして、私は甚だ納得できないところであります。 そこで私は、安保条約、新旧含めまして、日米間では、日本も集団的自衛権の行使ということが議論されてきたのではないかという観点から二、三お尋ねをいたします。 新旧安保における国連憲章の引用の仕方が、前文において違っております。旧安保では、国連憲章では、集団的、個別的自衛権があることを承認しているという、主語が国連憲章でありますが、現安保では、両国が確認しという、日米が確認しというふうに記述されておりますが、どうしてこのような主語が違うようなことになったのか、御説明ください。
○政府参考人(林景一君) 旧安保につきましては、何分四十年前に失効した条約でございますのでなかなか明確に申し上げにくいところもございますが、今までの理解として申し上げますると、御指摘のとおり、旧安保条約の前文におきましては、御指摘のように、国連憲章は、すべての国が自衛権を有することを承認しているとあり、また現行の日米安保条約の前文では、両国が国連憲章に定める自衛権を有していることを確認しというふうに規定されております。この規定の実態的な意味と申しますのは、日米両国が国家として国際法上個別的又は集団的自衛の固有の権利を有しているということを確認したものでございまして、その趣旨に相違があるとは考えておりません。 ただ、それなら、じゃなぜ書きぶりが違うのかということがお尋ねでございますけれども、この条約の前文と申します、そもそも論になって恐縮でございますが、その条約の作成に至った背景、条約の目的、あるいはその条約のよって立つ基本原則などを述べるところでございます。旧安保条約につきましては、御案内のとおり、平和条約を締結する際に併せて締結したものでございまして、したがって、この前文のところにも、サンフランシスコ平和条約において、これはたしか五条の(c)だったでしょうか、日本がその集団的な安全保障取決めを締結する権能を持っておるんだということを確認しておるわけでございますけれども、それに言及した上でこの自衛権を持っているということを確認するという形になって、そういう流れがあるものですからこういう書きぶりになっておるのかなということで、同じ趣旨を表現するのに、この両者の文章のスタイルといいますか、立て方が異なるということは間々あることでございまして、それほど不自然だというふうには考えておりません。
○泉信也君 条約局長のお答えに私は納得できないんです。条約の一言一句について本当に神経をとがらせて批准するかどうかを含めて議論をいただいておるはずなのに、旧安保の考え方、新安保の考え方の主語の違いを御説明のようなことでは納得できません。 それはそれといたしまして、それでは、旧安保の前文で、国連憲章は、「すべての国が個別的及び集団的自衛の固有の権利を有する」として、これらの権利の行使として日本は米軍の駐留を云々すると、要請するというふうに、これらの権利の行使ということは集団的、個別的自衛権の行使というふうに私には読めるんですが、こう記述してあっても日本には集団的自衛権の行使ということは読めないという解釈になるんでしょうか。
○政府参考人(林景一君) お答えいたします。 今の前文第三項から四項にかけてのところでございますけれども、平和条約、第三項で、「平和条約は、日本国が主権国として集団的安全保障取極を締結する権利」、単数、ア・ライト、「を有することを承認し、さらに、国際連合憲章は、すべての国が個別的及び集団的自衛の固有の権利」、もう一回単数のライトでございますけれども、「を有することを承認している。」とした上で、この第四項、今御指摘のところでございますけれども、「これらの権利の行使として、日本国はその防衛のための暫定措置として、日本国に対する武力攻撃を阻止するため」米軍がその軍隊を維持、アメリカが「その軍隊を維持することを希望する。」となっているわけでございまして、これは、ここの趣旨は、旧安保条約第四項の趣旨というのは、あくまで日本国に対する武力攻撃を阻止するために、平和条約で日本が独立を回復した後においても米軍が引き続き日本の防衛を行うためにとどまるということに、その希望に言及しているということでございまして、このこと自体で我が国が集団的自衛権を行使して米国を防衛するということに言及したものだとは考えておりません。
○泉信也君 短い時間の中でのやり取りでございますので十分に理解できませんけれども、「これらの権利の行使として、」というのは、両自衛権、個別的、集団的自衛権が含まれておると思うんですね。これらの権利の行使として日本はアメリカの駐留を希望すると、こういうことになっておるわけでありまして、当然、一つの形態としてアメリカの、集団的自衛権の行使の一つの形態として駐留を日本政府は要望したと。当然、日本も集団的自衛権の行使があり得るという前提ではなかったかと私は思うんです。 簡潔にお願いします。
○政府参考人(林景一君) これらの権利につきましては、先ほどもライト、ライト、単数二つあるということを申しましたが、集団的安全保障取決めを締結する権利と個別的及び集団的自衛の固有の権利、この二つを指していると、そういう意味でジーズ・ライツというふうになっているというふうに解釈しております。 いずれにいたしましても、第四項の趣旨は、先ほど申し上げましたとおり、米軍の、何といいますか、駐留継続ということによりまして、集団安全保障体制といいますか、集団安全保障取決めの体制を作るということの希望を表明したもので、我が国が集団的自衛権を行使して米国を防衛することに言及したものではございません。 これは、例えば昭和二十七年四月の……
○泉信也君 もう結構です。
○政府参考人(林景一君) はい、済みません。
○泉信也君 とにかく、一つのお尋ねに百万言を費やさなければ答えができない。かなり無理をしておるという証左だと思うんですね。 官房長官お帰りになりましたので残念でございますけれども、内閣で是非この集団的自衛権の問題について組織を挙げて議論をしていただきたい。先日もこの委員会でそういう御要望があったのに、国会の議論を待つというふうに官房長官はお答えになっておりますけれども、是非私はお願いをしたい。内閣法制局は憲法を守る最後のとりでとして、あるいは逆に、内閣法制局の存在の最後のとりでとして、この集団的自衛権の問題をいつまでもガラス細工の論理を展開しておるのではないかと、甚だ不満であることを申し上げて、次の問題に移ります。 法律の、今回の事態法の中で、八条に国民の協力というふうにうたわれております。四条は国の責務、五条は地方公共団体の責務、六条が指定公共機関の責務と、そこまでは責務という言葉でございますが、国民のところは協力となったその背景について御説明ください。
○政府参考人(増田好平君) お答えいたします。 今、先生から御質問のように、武力攻撃事態対処法案第八条では「国民の協力」という見出しになっております。確かに、その前の四条から六条まで、国、地方公共団体、また指定公共機関については責務という形で規定をしておるところでございます。 この背景といたしましては、基本的に、この法案の下では、国、地方公共団体、また指定公共機関につきましては、この法案の体系において定める対処措置等につきましては、それぞれの機関の正にある意味では法的な義務を負って実施するというようなことになっておりますので、責務という言葉を使っております。 それに対しまして、国民一般に対しては、国民一般に対しましてはそういう法的な義務を課すということを前提としておりませんので、協力という言葉を使っておるわけでございます。
○泉信也君 こういう戦時体制の中で、諸外国ではどのような国民に対する協力なり義務なり責務を求めておるのか、幾つか例示的に簡単に御説明いただけますか。
○政府参考人(増田好平君) お答えいたします。 いわゆる有事における国民の役割につきましては、それぞれの各国、基本制度とか置かれている国際環境等が異なりますことから、その規定ぶりも各国各様でございます。 例えば韓国では、憲法に国民の国防義務を規定いたしております。さらに、すべての国民は国家及び地方自治団体が行う国民の保護や軍事上の施策に協調し、法に規定した個々の義務を誠実に履行しなければならないというような法律を設けておるところでございます。 また、ドイツでございますけれども、ドイツでは、ドイツの基本法の第十二a条の三項で、第一項及び第二項に定めた役務に徴用されていない国防義務者に対しては、失礼いたしました、第一項、第二項とは、第一項が、男子に対しては満十八歳からの兵役義務を課しておるわけでございます。第二項が、良心的兵役義務者に、兵役拒否者に対する規定でございますけれども、第一項、第二項に定めた役務に徴用されていない国防義務者に対しては、防衛上の緊急事態において、法律により、また法律の根拠に基づいて民間人の保護を含む防衛を目的として非軍事的な役務給付をなす義務を課すために労務関係に就かせることができる等の規定があるわけでございます。
○泉信也君 今御説明ございましたように、韓国も国防の義務を国民に負わせておりますし、ドイツもそれ相応の規定がある。スイスの話は既にこの委員会でも取り上げられたわけです。にもかかわらず、日本では国民の責務、義務を明確にしなくて、協力するよう努めるものとするというふうに非常に柔らかい表現になっております。 御承知のように、災害対策基本法の中では、三条、四条で国、都道府県の責務を言い、五条で市町村の責務を言い、七条で国民の責務と、こういうふうに明確に規定をされておるわけでありますが、専守防衛の立場では、国内は災害以上に大変な事態になっておるにもかかわらず、ここを協力として緩やかな規定にとどめたということについては、私は、間違いではないか、きちんと国民の責務をうたい上げるべきではなかったかと思いますが、もう一度お答えいただけますか。
○政府参考人(増田好平君) 重ねての御答弁になって恐縮でございますが、第八条につきまして、国民の協力として、国民は必要な協力をするよう努めるものとした趣旨は、先ほど御答弁させていただきましたように、この武力攻撃事態対処法案の体系の下において、国、地方公共団体、指定公共機関の役割若しくは立場と国民の立場というものが異なることに基づくものでございます。 既に御説明させていただいております「国民の保護のための法制について」の中でも、国民の皆さんに協力を求める項目につきまして、例えば住民の避難や被災者の救助の援助、消火活動、負傷者の搬送又は被災者の救助の援助等、四項目を挙げさせていただいておりますけれども、私どもとしては、これは正に任意の協力を求めているというふうに考えているところでございます。
○泉信也君 その任意の協力に私は問題があるというふうに申し上げておるわけですが、今引用されました国民の保護法制の中で、住民の自主的な防災組織やボランティアに対する国、地方公共団体の支援という項目がありますけれども、これはどういうことを言っておるのか。例えば民間防衛組織を作るような思いで、国、地方公共団体の支援というふうにうたい上げておられるのかどうか、お答えください。
○政府参考人(増田好平君) お答えいたします。 今御質問の点は、先ほども私の答弁の中で触れました「国民の保護のための法制について」の中で、「国民の役割」というところで、「国及び地方公共団体は、武力攻撃事態における住民の自主的な防災組織やボランティアの自発的活動に対し支援」という部分を指しての御質問と思います。 これにつきましては、私どもが考えております支援というものは、正に武力攻撃事態等におきますこれらの自主的な防災組織またボランティアに対する活動場所の提供、また必要な情報の提供などを想定して記述しているものでございます。
○泉信也君 何か、戦時の問題については殊更この災害よりも一歩も二歩も下がった規定をしようというようなことを考えておられるのではないかと私は危惧をいたしております。 これから、国民保護法制はこれから考えるのだということでございますので、考えられる際に、むしろ災害よりも、災害時よりも大変厳しい環境の中で国民の命と財産を守らなきゃならない、そのときには当然近隣の人々が自分の意思でもって積極的に協力をする、またそうしたことを誘導していく、訓練もしておくということが大切だというふうに思っております。 それで、一つお尋ねいたしますが、国民の協力をする、国民が協力をしておるときにこれを妨害する、あるいは何か邪魔をするような個人、団体に対する処罰と申しますか、それを阻止するような仕組みをお考えでしょうか。
○政府参考人(増田好平君) お答えいたします。 国民の皆さんが武力攻撃事態等において住民の避難や被災者の救援の援助という、また消火活動等に御協力をいただいていることについて、これを妨害するような行為そのものを例えば罰するとかというような点については現在のところ考えておりません。
○泉信也君 そういうことが国内にあってはならないと思っておりますし、そういう法律を作らなきゃならないということは残念なことでございますけれども、そういう場合がやっぱり考えておくべきではないか、そういう場合をやはり考えておくべきではないかということを申し上げて、次の問題に移ります。 まず、この基本的人権の問題について、衆議院で修正されたところもございますが、海外において、戦時における基本的人権の問題についてはどのような規定がなされておるか、これまた簡潔にお話しいただけますか。
○政府参考人(増田好平君) 武力攻撃事態等におきましても基本的人権を最大限尊重しなければならないということは言うまでもないことでございます。このような考え方というものは、私どもが承知する限り、我が国と他の外国との間でも基本的に異なるところはないものと認識しておるところでございます。 〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕 ただ、具体的にどのような規定があるのかというような点について若干例示を申し上げますと、例えば、ドイツ連邦共和国の憲法とも言える基本法の中には、例えば、民間人の保護を含む防衛のための法律は、移転の自由及び居住の不可侵の基本権が制限される旨を規定することができるというような規定がございます。また、これがいい例示になるかどうか分かりませんけれども、アメリカ合衆国憲法の第三修正の中には軍隊の営舎に対する制限というものがございまして、戦時においても法律の定める方法による場合のほか同様とすると。この同様とは、その前にありまして、平時においては所有者の同意を得ない限り何人の家屋にも兵士を舎営させてはならないという、この点は戦時においても法律の定める方法による場合のほか同様とするというような規定ぶりがございます。
○泉信也君 第三条四項の基本的人権に関しては、その制限は必要最小限のものに限られ、そして人権に関する規定は最大限尊重されなければならないと、こういうふうになっておるわけです。 しかし、今お話をいただきましたように、またこの委員会でも総理がお答えになりましたように、基本的人権の最たるものは命を守ることだと、こういうふうに総理はお答えになって、恐らく諸外国でもそういう観点から基本的人権の制限、一時停止、こういう事柄がうたい込まれておるのではないか、私はそんなふうに思っております。一時的に国民の自由や権利が制約されるということは目的達成のために避けられないことではないかというふうに思っておりますが、これから立法される過程の中ではどのようにお考えになっておられますでしょうか。
○政府参考人(増田好平君) 正に今、先生から御指摘のありましたように、法案の三条四項は衆議院段階で修正はされておりますが、その三条四項のそもそものポイントは、基本的人権については、その制限が加えられる場合であっても、その制限たるもの必要最小限のものでなければならないし、また最大限に尊重されなければならないというような趣旨かとも、趣旨と、そういう規定ぶりになっておるわけでございます。 ただ、武力攻撃事態への対処に際しましては、何らかの形で国民の権利と自由というものが制限が加えられるということは考えられるところでございます。現実に、既に国民の保護のための法制の中でも示させていただいておりますけれども、ある一定の条件の下では国民の皆さんの土地を武力攻撃事態への対処のために使うというようなことも制度として作っていかなければならないというふうに考えているところでございます。 しかし、いずれにいたしましても、いずれにいたしましても、このような国民の皆さんの権利と自由の制限に当たりましては、その正に三条四項の趣旨にのっとって規定ぶりなり制度を考えていかなければならないと、こういうふうに考えて、これからいろんなことを考えてまいりたいと思っておるところでございます。
○泉信也君 この法案が成立しますと、今のお答えのように、三条四項を踏まえての国民保護法制になっていくわけでありますけれども、内心の自由というようなそういう問題はともかくといたしまして、物理的に国民に協力を仰ぐ、あるいは物理的な移動の自由でありますとか、そういうものを制限をするというようなことは私はあってしかるべきだと、当然そういうことを前提にしなければ軍事活動、あるいは国民の生命を守ることはできないんではないかというふうに思っておりますので、是非御配慮をいただきたいと思います。 もう一つ、日本の国籍を有しないいわゆる在留、在日外国人の人権の保護というような問題については、あるいはさらに協力とか責務というようなものについてはどのようにお考えでしょうか。
○政府参考人(増田好平君) 失礼しました。 法案の第八条に言う「国民」は、正に国民でございますので日本国籍を有する方ということになろうと思いますが、基本的人権の尊重という観点に立ったときには基本的にはその外国人の方々も、正にその外国人の方々の有する基本的人権というものは最大限に尊重されなければならないと考えております。 また、先生から国民の責務という形でお尋ねがございましたけれども、正に国民の協力という第八条の持っておる精神というものは可能な限り外国人の方々にも、何といいますか、外国人の方にも考えていただきたいというような考えでおります。
○泉信也君 お答えのように、基本的人権については、国民はもとよりでありますが、在日の外国人の方々にもきちんと守っていくということは大切なことだと思います。それと同時に、やはり協力をしていただかなきゃならない、そういう事態が必ずや想定されるわけでありますので、その点については在日外国人の方々にも是非周知徹底するような取組をしていただきたいと思います。 次に、自衛隊法の百三条の問題についてお尋ねをいたしますが、この百三条の一項、二項あるわけですが、輸送、土木建築業者などに対する業務命令に対して反した場合に罰則を掛けない、この理由を御説明いただけますか。
○国務大臣(石破茂君) これ、昨年、与党のプロジェクトチームでも随分委員と議論をさせていただきました。要は結局こういうことだと思います。保管命令には掛かるがなぜ業務従事命令には掛からないのか、あるいは災害対策基本法では掛かるのになぜ今度掛からないのかということに尽きようかと思っております。 結局のところ、二項地域、つまり自衛隊が活動する地域じゃないところで業務従事命令をお願いをいたしますので、ほかにやる業者さんがあるのではないでしょうか。一項地域のような地域であれば代替性は非常に確保しにくい、しかし二項地域のようなところであれば、例えばA運送もあればB通運もあればC陸運もあるよというようなことで、実際に確保する場合に代替可能性があるということが一点あるのだろうと思っております。災害対策基本法の場合には一項地域、二項地域という分け方をいたしておりませんものですから、災害対策基本法との不整合ということはないだろうと思っております。 もう一つは、保管命令のときに答弁申し上げましたが、結局、その動機が何であれ、動機のいかんは問わないということなんですね。動機のいかんで、その反社会性というものに対して非難をするわけではなくて、故意にそういうようなことを行った場合ということでやっております。 したがいまして、業務従事命令の場合にも、それが反社会性云々かんぬんということに着目をしておるのではなくて、まさしくその業務を遂行する場合に代替可能性というものがあるということ、そして一項地域、二項地域という考え方を取っておらない、私はそういうことに整理をすることになるというふうに考えております。
○泉信也君 長官のお答えのように、百三条の一項地域というのは、これは自衛隊で何としても処理をしていただかなきゃなりません。二項地域というのに対しましては選択の余地があるだろうというふうにお答えをいただきました。確かにそうかもしれません。また、従事命令を出すときもいきなりA社、B社に出すということはないだろうと、相談事が多分あってしかるべきだと思うんです。しかし、万が一そこに従事してくださる輸送業者等がなかった場合に、遠方から更に調達をしなけりゃならないというような事態を考えますと、私は、災害対策基本法と同じようにと言っては長官のお答えと違うかもしれませんが、やはり罰則を掛けておくということが必要ではないかと。あえてここを、規定を外すという意味は私には考えられないんです。 法律の建前が今の政府案ではそのようになっておりませんけれども、こういうことはいずれ見直していただきたいという御要望だけ、まずさせていただきたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) 私も随分これ、ぎりぎり考えてみたんですが、ただ、業務も結局、自衛隊が輸送とか医療とかそういうものを全部持っているわけではない。もちろん、そんなもの有事に備えてみんな持っていたら、これ自衛隊何十万いたって足りないお話でございます。そういう場合でも代替性がない場合にはどうするんだと、そういう地域もあるだろうということも議論もいたしました。そういうことがないように努めていくということしかないんだろうと思っております、この法律でいきます限り。 もう一つは、義務で掛けましたときに、これはやらなきゃ駄目なんだと、罰則をもってやるんだといったときでも、本当にどれだけ従っていただけるんだろうかという気もいたしております。本当に有事において二項地域のようなところで、私ども本当きれい事申し上げるわけではありませんが、それだったら自分も協力しようということが日本人としてあってほしいなというふうにも思っておりますが、委員の御指摘も踏まえまして、本当に実効性が、それはもう自衛隊の活動に支障が出ないようにどう動くかということをよく内部でも検討させていただきたいと思います。
○泉信也君 自衛隊法についてはその点だけお尋ねをいたしまして、事態法にもう一回戻らせていただきますが、十四条の二項、ここで総合調整に関し、対策本部長に意見を申し出ることができる、こういう規定があります。これは、大変緊迫した状況の中でこういう事柄が起こると想定をしておられるのか、どんなことを想定してこの規定を書いておられるのか、お尋ねをいたします。
○政府参考人(増田好平君) お答えいたします。 お尋ねは、武力攻撃事態対処法案第十四条第二項におきまして、地方公共団体の長等がそれらの団体に関します対処措置に関して対策本部長、これは内閣総理大臣でございますが、が行われる総合調整に関し、対策本部長に対して意見を申し述べることができるという規定の趣旨についてのお尋ねかと存じます。 十四条は第一項で、対策本部長の権限として、指定行政機関なり指定公共機関また地方公共団体の行います対処措置に関して総合調整を行うことができる旨を規定しているところでございます。このような総合調整を行うに当たりまして、その調整の相手方の意見を聞くことは当然の前提だというふうに理解しております。 ただ、指定行政機関の長等とは異なりまして、すなわち、指定行政機関の長等は対策本部員になっておられるわけです、対策本部長が内閣総理大臣、また対策本部員は閣僚ということでありますので。そういった意味で、地方公共団体の長には対策本部員としての立場がございませんので、制度上の担保として意見を述べる機会を与えるということが必要という観点から、このような二項の規定を置いた次第でございます。 なお、地方公共団体の長等が意見を申し出る場合としては、対処措置の実施に当たって正にその当該地方公共団体の長が熟知しておられるその地域の実情等を申し出る場合などが想定されるところでございます。
○泉信也君 今のお話は、手続的にはそういうことが、意見を述べることができるようにしておくことが必要かとは思いますけれども、私は、総合調整を行うという中でお互いに、本部員であれ何であれ、何であれというのはちょっとおかしいんですが、副本部長であれ、意見を述べて、その上で調整をしていくということが素直な受け止め方ではないか。したがって、ここにこういうふうに殊更書かれると何か問題が起きてこないかなという心配をしておるわけですが、取り越し苦労に終われば幸いでございます。 もう一つ、十五条の二項で、国は代執行をやることができるわけですが、その際、地方公共団体の長は差止め請求というようなことができるのかどうか、この点についてお尋ねをいたします。
○政府参考人(増田好平君) お尋ねは第十五条第二項の、内閣総理大臣の自ら又は関係の閣僚を、大臣を指揮しての実施という点についての差止め請求というものができるのかというお尋ねかと存じますけれども、私どもとしては、現在のところそのような事態を想定しておらないわけでございます。
○泉信也君 そうした事態が起きないことを期待をいたしておりますけれども、地方自治体の中で特別な考えを持っておられる首長さんが仮にこれから出てこられるとしますとやや問題があるかな、こんな心配をしておるところでございます。 私が準備をいたしました質問は以上でございます。是非、この法案が成立をされまして、国民保護法制、米軍への支援、それから自衛隊の活動、こうしたことが円滑にまいりますように、時間も限られておると思いますが、引き続き法案を提出いただきますようお願いして、質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。 防衛庁長官、お疲れのところ、連日御苦労さまでございます。 まず、私、最初に在日米軍基地とこの武力攻撃事態の法制の関係について基本的な質問をさせていただきます。もう防衛庁長官は博学でいらっしゃいますので、本来は官房長官に聞くべき質問かもしれませんけれども、御容赦いただきたいと思います。 最初の質問は簡単な質問ですが、在日米軍基地、これは自衛隊と共同で使用している基地もたくさんあるんですけれども、私がここで聞きたいのは、米国が嘉手納のように単独で使用している基地に対して外部からの武力攻撃が行われた場合に、当然この基地は日本の領土でもありますから、日本に対する武力攻撃と認定して対処することになるんだろうなと思っておりますけれども、確認の意味も込めて、どうなるのか、武力攻撃事態というふうに認定をされるのか、常に。防衛庁長官にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) そういうことに相なります。
○遠山清彦君 ありがとうございます。 それで、仮定の話はよく外務大臣等に答えてもらえないんですが、防衛庁長官答えてくれると思いますけれども、仮にその日本の武力攻撃事態と認定され得る在日米軍基地に対する攻撃なんですが、この攻撃主体が、防衛庁長官、あらかじめ米軍基地だけを対象に攻撃やりますよ、ほかの日本の都市とかは一切攻撃しませんという意思を明示した場合、これ、日本の政府としての対処はどうなるのか。これはもう今技術的には可能ですね、軍事技術的には。もう米軍基地だけをピンポイントで精密兵器で攻撃しますよ、日本のほかの都市には一切攻撃しませんよと、そういうことを明示して、米国だけが敵ですよということで、まあ大体何となく答え予想できるんですが、一応お聞きをしておきます。日本政府の対処はどうなるでしょうか。
○国務大臣(石破茂君) 例えばどことは申しませんが、日本の従業員がたくさん働いているということがございます。別にそういうことがあるからということは本質的にかかわり合いがあるわけではないのですが、例えば米軍の某基地がある、そこには日本人もたくさん働いておるのだと。それでは、これから米軍、日本に所在する米軍の某基地を攻撃するのである、ついては日本人従業員は速やかに避難をするように、日本人に全く危害を加えるつもりはないのであると親切な侵略者がそういうことを言ってくれたといたします。我々は米軍だけが相手なのであって、日本人にも危害は加えない、要するに米軍の施設、米軍のあるいは将兵、それだけが相手なのだからというような状況であったらどうなのだということを考えてみましたときに、私は、それでも日本は日本に対する国家の組織的、計画的な武力の行使だというふうに私ども考えております。それは、仮に人命というものが失われることがなく、日本国の財産というものが、国であれ、あるいは地方公共団体であれ、あるいは個人の所有に帰するものであれ、そういうものが侵害を受けないとしても、それは日本国の領土というものを侵すことなしに成就せられる行為ではございません。 したがいまして、どんなに、親切なという言い方は変なのかもしれませんけれども、限定を付けてピンポイントでそういうようなことがあったとしても、それは我が国に対する組織的、計画的な武力の行使というふうな認定をすることになります。
○遠山清彦君 丁寧なお答え、ありがとうございました。 私は何でこんな質問をしているかと申しますと、やはり、米軍基地のない地方公共団体はいいんですけれども、米軍基地を抱えている地方公共団体の地域の住民の皆さんの中には、正に米軍基地と今回の武力攻撃、日本に対する武力攻撃、また武力攻撃事態として政府が認定する場合の対処の議論の整理がややできていないところがありまして、その余地のところにまた一部のマスコミ等の誤解を招く話なんかもあるものですから、あえてお伺いをしている次第でございます。 私も、米軍基地といえども日本人が多数働いている場所がありますので、そこが突発的に攻撃された場合は、これはもう日本人の死傷者も免れないといった意味でも、なかなかこれを、米軍基地攻撃したんだから日本に関係ないよという話にはならないんではないかというふうに思っているわけでございまして、ただいまの御答弁を聞いて、それがまたはっきりとしたというふうに思っております。 ちなみに、もう一点しつこく聞いて申し訳ないんですが、今のような米軍基地のみに対する攻撃を武力攻撃事態として認定する場合、大臣御存じのとおり、自衛権発動の三要件ございますね、急迫不正の侵害ということと、他に侵害排除の適当な手段がないということと、必要最小限の実力行使でなきゃいけないという、この三要件に照らし合わせても、日本に対する攻撃として個別的自衛権の発動をすることは問題ありません。
○国務大臣(石破茂君) その三要件を、これは私の方が御教授をいただきたいのですが、その三要件を満たさない場合、つまりアメリカのみにピンポイント、アメリカの基地のみにピンポイントで絞って撃ってきたときに、三要件を満たさないということがさてあり得るのだろうかということだと思います。 つまり、その第二要件の、ほかに手段がないということが、冒頭おっしゃいましたように、これはアメリカに対する、アメリカも当然個別的自衛権を行使し得るということに相なるわけです。そうなったときにどうなのだというようなことは、理屈の上からは、理屈の上からは私は絶無ではないのかもしれない。しかし、基本的に私どもとしてほかに手段がないという形を充足をすると考えておりますので、そうじゃない場合があるかどうかは、それはまたそのときそのときの判断だと思いますが、基本的に、私どもが自衛権の行使というものが可能になり、それによって武力行使をする場合には三要件を満たすということは基本どおりでございます。
○遠山清彦君 続けて、防衛庁長官に違った質問をさせていただきたいというふうに思います。 昨年来、衆議院を中心に、この参議院に来てからもそうなんですけれども、二〇〇一年の九・一一の米国同時多発テロと同様の事案が日本で発生した場合に、それを武力攻撃事態に該当することがあり得るかどうかについていろんな論議がございました。 衆議院での政府の答弁を概観いたしますと、この攻撃が、このテロ攻撃が組織的かつ計画的で大きな被害が出た場合には該当することもあり得るという立場を政府は取っていると理解をしております。しかし、通常、武力攻撃といった場合には外部性の要件もございますね、外部からの攻撃じゃなきゃいけない。それからもう一つは、攻撃主体が国又は国に準ずる組織であるかどうかという要件もございます。 そうすると、国内で大規模なテロ事件が、事案が発生した場合に、被害の形態を見て組織性、計画性を見ることは恐らく可能だと思います。ただ、この攻撃主体がだれなのか、それからこれが外部からの攻撃なのか、もしかしたら日本の国内のどこかの組織が、オウム真理教の事件あったわけですから、テロ攻撃をやったということもあり得るわけでありまして、この攻撃の外部性というもの、これを認定するというのはかなり困難なんじゃないかなと私は思っています。 米国の九・一一のテロも、これ大臣御存じのとおり犯行声明出ていないですね、私がやりましたという犯行声明がない。それから、攻撃主体はだれなのか、これはアルカイーダだというふうに通常言われているわけでありますけれども、これを客観的に認定し得る情報というものはあるのかもしれないけれども、少なくとも公にはなっていないという状況なわけですね。 この点について防衛庁長官にお伺いしたいんですが、九・一一のようなテロが日本で起こった場合、被害の大きさ見て、計画的、組織的にやったんだなと。しかし、外部から行われたのかどうか、国又は国に準ずる組織がやったのかどうか、これは分からない。こういうケース、すごくあり得ると思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
○国務大臣(石破茂君) 実はその国又は国に準ずる者というのは、起きた被害は一緒なのですよね。つまり、その国又は国に準ずる者が民間機を乗っ取って組織的、計画的にどんとぶつかって九・一一のようなことが起こって何千人と死んだと、いやいや、国内の勢力が乗っ取って同じことを起こしたと、起こった被害は一緒であったということで、起こっていることは一緒なのですが、これは非常に割り切った言い方をしてしまいますと、起こったことは一緒なのだけれども、それに対して国家としてどのように対応するのかというのは、全く違う話なんだろうと思っています。それに対して、これは自衛権だという形で武力行使を行うのと、いやいや、警察権なのだということで行うのでは、後の対応が全く違うことなのだということを一つ認識しなきゃいけない。だから、だれによって起こされたものかということの峻別は極めて重要だと私は思っています。 かてて加えて申し上げれば、その場合に、起こってしまった後はそういう話になるのですね。しかし、じゃ、それに対してどうやって予防というか、その行為を未然に防ぎ得るか。例えば、ぐんぐん高度を下げている、それに対して何ができるか、そういう場合にはいろんな場合分けをしてみる必要が正直言ってあるんだろうと思っています。それが国又は国に準ずる者によって行われた場合、だれだか分からない場合、そしてそれが国内であることがはっきりしている場合、その飛行機が我が国のものである場合、あるいは外国籍のものである場合、いろんな場合分けをしてみて議論をきちんと詰めておくということは、私は平素から必要なことであって、そういうことになってどうしましょうといってわあわあ騒いでみても、それはもう五分とか十分とか三十分の間に対応できるものではございません。 しかしながら、考えておかなきゃいけないのは、それに対してどう対応するかということによって、その後の法的状況が全く変わってくる可能性がある。何でもいいからそういうものを阻止してしまえばいいんだというようなこと、もちろん阻止しなければいけないのですが、どういう対応によって阻止をするのかということはきちんと考えておかなければいけないことだと思っています。 私ども政府として、本当にそういうことは考えたくもないことですし、そういうことが起こらないように、ハイジャックをいかに起こらないようにということはもう政府として今考えられる限りのことを行っております。したがいまして、そういうことはまず起こらないというふうに考えておりますし、今後努力をいたしてまいることでございますが、どう対応するかということも、これはある意味考えておくことは必要なことなのだろう。国民の皆様方に御安心をいただくためにも、かつまた抑止力としてきちんとそういうものが行っても駄目なのだよということを担保する意味においても、私自身は考える価値のあることだというふうに考えております。 ただ、現在、政府として、ハイジャック防止でありますとか国民の生命、財産の維持のために、それは自衛権の行使ではなくても、警察権の行使として治安出動であれ海上警備行動であれ、可能な限り今実動が行われるように最大限の努力をいたしておるところでございます。
○遠山清彦君 長官、ありがとうございます。 正に長官が今おっしゃったように、要するに、テロというとこれは警察ですよ、自衛隊は自衛権に基づく武力攻撃に対応することですよというのはそのとおりなんですけれども、これはもう今は賛成してくださっている民主党さんも以前は、いや有事の前にテロじゃないかという話をずっとおっしゃっていたわけで、いわゆる日本を国又は国に準ずる者が攻撃する確率よりもテロが起こる確率の方が高いんじゃないか、蓋然性が高いんじゃないかと。それは国民の多くの皆さんも共有していて、そういう議論が去年からあったわけですね。 それを考えますと、大規模テロの中には武力攻撃事態と認定し得る場合もあるという立場を政府として取る以上、やはり先ほどおっしゃいました民間飛行機がぐんぐん高度を下げてから、これはどうしようという打合せする時間は普通ないと思うんですね。だからやっぱり、平素からとおっしゃいましたけれども、この武力攻撃事態法制が成立した後の話になるかもしれませんが、しっかりと政府として最悪の事態に対しての対処方法というか、手続というかを考えていただきたいと思います。 これに関連する質問なんですけれども、当然この大規模テロということの場合、やはりこの事案の分析のためにも、また再発防止、そもそも予防しなきゃいけないわけでありますけれども、徹底した情報収集が欠かせないと。 ここで、これは外務大臣、お答えになっていただいてもいいんですが、もしテロの犯行主体あるいは攻撃主体が国外にあると想定される場合は、やはり日本の今の情報収集体制では国外の、海外の情報機関から提供される情報等に大きく依存せざるを得ない状況じゃないかと思いますが、この点いかがでしょう。
○国務大臣(川口順子君) おっしゃるとおりの状況であると思います。 テロ組織自体が国際的に国境を越えて動くわけでございますから、ここに的確に対応するためには、やはり我が国も国際的に情報を収集するその体制の強化が必要だと思います。 現在、テロに関連しては、大使も任命をされていますし、それから省内にも組織もあり、また国際的にも様々な情報交換が行われているわけでございますけれども、じゃ、それで十分かという疑問は常々あるというふうに思います。これは、引き続き強化をするということの努力をしていかなければいけないと思っております。
○遠山清彦君 ありがとうございます。 続けて外務大臣、お聞きをいたしますけれども、私あるいは我が公明党の同僚議員が何度も国会で言及をした件でありますけれども、国際刑事裁判所、いわゆるICCとこの有事法制、武力攻撃事態法制とのかかわりでございます。 虐殺とか戦争犯罪などの非人道的行為にかかわった個人を裁くための世界で最初の国際刑事裁判所設置を決めたローマ規程というものが二〇〇一年の七月一日に発効いたしました。この裁判所はオランダのハーグに設置をもうされたわけでありますけれども、今年二月には十八名の裁判官が選出をされました。三月十一日には裁判所の開所式が行われたわけでございます。私はずっとこのICCへ日本が早期に参加すべきであるという主張をさせていただいております。 現在、このICC、参加しているのは八十九か国になっているわけでありますけれども、ただ、この外務省の御説明ですと、日本がICCに参加するためには国内法の整備が必要だと、国内法で担保しなきゃいけないと。で、じゃ、この国内法整備というのは何なんだと。具体的に言えば二つ柱があると、一つは実体法上の整備であって、もう一つは手続法の整備が必要だと。実体法上では、いわゆるこのICCの対象犯罪になっている集団殺害罪であるとか、人道に対する罪であるとか、戦争犯罪を国内法上も犯罪化しなきゃいけないということが一つあるわけです、作業として。もう一つの作業は手続法の分野で、これは今の日本の国内法ですと、国の場合はいいんですけれども、ICCという国際機関に対して犯人の逮捕及び引渡し、捜査、訴追に関して協力することが国内法上決められていないわけですね。これをやらなきゃいけないというふうになっているわけですね。 つまり、国内法の整備の実体法上の整備と手続法上の整備ができないと日本はICCに参加できませんよと、こういう話になっているんですが、この全体像の中で今回の武力攻撃、今回じゃないですね、これから整備されていく国際人道法にかかわる、済みません、武力攻撃事態法制がこのICCに参加するための準備の中のどの部分と関連していくのか、御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) 先ほど委員が実体法の分野でとおっしゃった分野で、ICCは集団殺害罪、あと人道に対する罪、戦争犯罪、侵略の罪、これに対して管轄権を行使し得るということにされているわけですけれども、戦争犯罪について、そのうち戦争犯罪についてジュネーブ諸条約の重大な違反行為等が該当するというふうにされているわけでございます。 それで、今後、武力攻撃事態対処法制の整備を行っていくということになりますと、この部分について、すなわちその戦争犯罪の分野についてICC規程の締結に向けての前進があると、そういうことになります。
○遠山清彦君 これは確認の意味で伺いますが、この実体法の中で、有事におけるICC対象犯罪の国内法上の犯罪化ということが必要だという話だったんですけれども、これは日本が国際刑事裁判所、ICCに参加するための十分条件じゃないけれども、不可欠な前提の一部と理解をしてもよろしいでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) ちょっと先ほど一つ落としたと思いますが、その有事、戦争犯罪、それから人道に対する罪のうち、有事における人道犯罪の罪、これについてカバーをするということであるわけでして、したがいまして、これ以外に例えば集団殺害罪、そして平時の人道に対する罪、それからまだ構成要件がICCにおいてはっきり決まっていないということのようですが、いずれ侵略の罪等、これは構成要件が決まった後ですが、ということが今後必要となる分野と、そういうことになります。ですから、それ以外のものについてはこれの準備過程で前進がICCの規約の締結に向けて行われるということになるということでございます。
○遠山清彦君 分かりました。 侵略のところは、これは私、国際社会で容易に侵略の罪のところ合意できないんじゃないかなと思っていますので、で、余り外務省として、侵略の罪の構成要件がまだ出てきていませんから、日本はICCに参加しませんという立場に余り立ってほしくないんですね。原理主義者になってほしくないということだけちょっと申し上げておきます。 それで、次の質問は、外務大臣でもあるいは官房長官でもいいんですが、この国民保護法制に関しては与野党の合意で一年、与野党の合意というか、あれは附帯決議ですかね、一年を目標とした期間の中で整備していこうという方針が出ているわけですけれども、この国際人道法に関する法制の整備も、これはまだ批准していないジュネーブ条約の追加議定書の批准も含みますけれども、この整備も早期に、これは実は法務省さんもかなりかかわる話なんで答えにくいかもしれませんけれども、私、できればせっかく国民保護法制も早くやるというのであれば、こっちの国際人道法の方もできれば同じようなスピードで早くやっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょう。じゃ、官房長官、お願いします。
○国務大臣(福田康夫君) 一言で申し上げます。 できるだけ早く整備しなければいけないと思います。
○遠山清彦君 簡潔な御答弁ありがとうございます。 本当に、私としては、これ、確かにICCで難しいのは、有事のときの対象犯罪の犯罪化というのはこの武力攻撃事態法制の整備で進んでいくんですが、問題は、平時においても、例えば集団殺害罪、ジェノサイドなんというのは平時にやったってこれやっぱり犯罪なんですね。しかも、このICCの対象犯罪になっているわけですから。そうすると、私、詳しく知りませんけれども、恐らく刑法をいじって集団殺害罪みたいなものも、平時において犯された場合も犯罪であるというふうにしなきゃいけないので、こっちの作業もしないと日本がなかなかICCに参加できるようにならないということなんですが。 ただ、私は、この国際刑事裁判所の設置を決めたローマ規程ができたときに、日本の当時の小和田大使が非常に頑張って中心となって、欧米諸国の中でけんかがたくさんあったわけでありますけれども、これを調整して成立させたと。日本が一番頑張った外交成果の大きな一つであるにもかかわらず、日本がスタートから参加できなかったという非常に遺憾な状態なわけでありますから、是非、この武力攻撃事態法制が進んでいく中で、同時にICCにも早く入れるような形に持っていっていただきたいということを重ねて要望申し上げたいと思います。 最後、残りの時間で官房長官にお聞きをしたいと思いますけれども、安全保障会議に設置される事態対処専門委員会についてお伺いします。 武力攻撃事態にも様々な形態があり得るわけで、一概に論ずることは難しいわけでありますけれども、事態によっては対処基本方針を作って閣議にかける等の措置を取る余裕がない場合も想定できると。そうなると、平時から、平素から有事に際しての国家の基本方針というものはある程度策定していくことが望ましいというふうに考えておりますが、それはこの安全保障会議に置かれる対処専門委員会の役割なんでしょうか。
○国務大臣(福田康夫君) 緊急事態において政府はいかに素早く対処できるかということは、これはもう国民の、何というんですか、損害を未然に防ぎ、またあっても最小限にとどめるというそのために、これはもう本当にそのスピードというものは大事なんだろうというふうに思います。もちろん事態にもよるわけですけれども、そういう緊急性を要するという意味におきまして、これは安全保障会議、これはこの会議の果たす役割は非常に重いというように思います。 ですから、この会議に今、委員御指摘になった事態対処専門委員会というものを設置します。これは官房長官を長とするということでございまして、この委員会が、政府として事態発生時に即座に対応できるように、これは平素から専門的な調査とか分析を行って、そして重要な役割を事態対処において果たすと、こういうことなのであります。ですから、緊急に対応するためにどういうふうにするかといったようなことについても、この事態対処専門委員会においてよく検討しておかなければいけないと、こういうことになります。 そういうことは、そういうことも含めてこの専門委員会でいろいろと具体的な事態対処の進め方を検討してみたいと思っております。
○遠山清彦君 それで、官房長官、この委員会に、専門委員会に関して、昨年五月の衆議院の審議で、この専門委員会に事務局を置くかどうかという議論で、官房長官はそのときはっきり言わずに検討しますというふうに御答弁されているんですね。 今、官房長官の御答弁を考えても、やはり日常的に情報収集したり分析したりシミュレーションをやったりする場所ですから、これは事務局もないとなるとやっぱり何をやるのかなと。官房長官が長ということですけれども、官房長官、大変にお忙しいお立場でもありますので、専門委員会が本当に平素から日常的に、日常的にといっても二十四時間体制じゃないでしょうけれども、有事の際のいろんな対処のシミュレーション等をするということを考えたら、やはり事務局等を置いてしかるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(福田康夫君) さっきの答弁から一年近く経過いたしたわけでございますけれども、その間いろいろ考えております、もちろん。 御指摘のような対処専門委員会の事務局を作るべきかどうか、これは作るべきだということでございまして、これは官房副長官補を長といたしましてその任に当たらせようと、こういうことにしております。その事務局において必要な専門的な調査分析を、正に専門的に研究を、調査研究をさせる、そして的確な判断ができるように準備をさせる、そういうことになると思います。
○遠山清彦君 ありがとうございます。 じゃ、一年たって、事務局は置くと。置いて、専門的な立場というお話でしたので、恐らく、これは衆議院の審議でも言っておりますけれども、軍事の専門家ということで自衛官も参加する可能性もあると、排除されないというふうに聞いておりますので、是非しっかりとやっていただきたいというふうに思います。 最後に、最後の質問になると思いますけれども、一部の、官房長官、専門家が、この事態対処専門委員会が、やはり有事の話ですから、起こらなければ使わないマニュアル、手続、話等が多いわけでありますし、また、個別の国際情勢とか国が特定され得るような形で出すというのは外交上好ましくないわけでありますので難しいところはあると思うんですけれども、例えば一部の、私じゃないですよ、一部の専門家が、この事態対処専門委員会が定期的に例えば日本の安全保障にかかわる情勢分析とかあるいは対処方針案の大綱みたいな大きな枠組み、こういったものを、内部で策定すると思うんですけれども、これをやはり国会に報告する制度を確立するのが望ましいということを、指摘がなされております。 この点について長官の見解を聞きたいと思います。
○国務大臣(福田康夫君) この有事法制は、これは国民の理解を得ないと効果的な実施ができないというように思います。そういう意味において広く、もちろん国会もそうでありますけれども、国民にもどういう形でいろいろな協力をしていただきやすいような情報提供ができるかと、そしてまた、状況の説明ができるかということでございます。そういうことにつきましては、正にこの事態対処専門委員会でもっていろいろ検討してみたいと思います。 そういうことで、要はこの実効性を高めるという観点から、御指摘の点も踏まえまして検討してまいりたいと思っております。
○遠山清彦君 すぐ終わります。一言だけ。 何で私こんなことを聞いたかといいますと、やはり武力攻撃事態法整備が終わった後に、もう有事が起こるまで国会はもう全然この議論にかかわりませんよというふうになるとこれは非常に私は問題だというふうに思ったので、是非、安全保障会議の事態対処専門委員会が国会に対して定期的に何らかの報告をしていただくことが、国民に対する説明責任も果たしていけるんじゃないかと、そういう趣旨でございます。 ありがとうございました。
○大脇雅子君 まず、武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案というものについては、その「目的」のところに、国の安全及び国民の安全と定義がされております。それに対しまして、自衛隊法等改正法案につきましては、国の平和の独立と国の安全ということで、国民の安全という言葉が入っておりません。 国民保護法制が一年内に制定されるということですが、この両法案における差異をどのように解釈したらよろしいのでしょうか。
○国務大臣(福田康夫君) 武力攻撃事態対処法案のここに「国及び国民の安全の確保」という文言において、その国というのは国家を示し、また国民というのは日本国籍を有する者を指している、こういうことであります。国家というのは、これはその構成要素である国民や国土を含むものであるということでございますので、この法案の「国及び国民の安全の確保」というのは自衛隊法の国の安全の確保と同じ趣旨の言葉でございます。 じゃ、なぜそういう「国及び国民の安全」と、こういうふうに言うのかという、こういうことでございますが、これは、この法案では国民の保護に関する規定を盛り込んでおります。国民の安全の確保の重要性と、これを強調しようというがためにこういう表現を採用したわけでございます。
○大脇雅子君 その解釈は分かりましたが、国民の安全が国家による戦争の惨禍から保護され、平和に生きる生存権が憲法の基本だとすれば、国家の軍事作用は憲法体系から排除されているということではないかと思い、そういう意味では、今回の法案では、住民の、国民の保護法制というものがどういう形で入るかということが憲法体系をも左右するのではないかと、私は法律的に思うものであります。 さて、今回のイラクの戦争を例に取って有事法制関連法案を見ますと、例えば日米安保条約及び国連との関係において、防衛出動と在日米軍との共同行動が当然予定されている本法案について、国連への報告との、報告及び国連への働き掛けあるいは国連の対応というものはどのように考えたらよろしいのでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) 報告、働き掛け、対応の三つですけれども、まず報告は、この十八条、武力攻撃事態法十八条において、五十一条、国連憲章の定める、五十一条の定める報告義務、これが十八条で確認をされているということでございます。 それから、その働き掛け等ですけれども、これ、一般論として申し上げますが、我が国としてはそういった事態において国連憲章の諸規定にのっとって行動をするということでございます。我が国の立場について安保理に説明をする、それだけではなくて、広く国際社会の理解と支援が得られるように努めるというふうに思いますと。 それから、国連の対応ということですけれども、これは、それぞれの具体的な状況によって異なりますので、一概にこうであるということを申し上げることは難しいかと思います。
○大脇雅子君 例えば、国民保護法制で国民が率直に不安に思っているのは、国土に対するミサイル攻撃や空爆等の具体的な攻撃が始まった場合の、今回の法制に国及び国民の安全を保つと言われても、その具体的な措置とは何か見えていないのではないか。今回のイラク戦争で使用されたクラスター爆弾や劣化ウラン弾やMIRV等の非人道的兵器やトマホークの攻撃について国民の生命と財産を守るための具体的な備えというのが、法制の中ではどんな位置付けをされているんだろうかと。 例えば、地方公共団体からの八十項目を超える質問、意見がございまして、その項目を見てみますと、正にそうした武力災害の規模が大きいときとか、あるいは化学的な兵器による被害とか、あるいは原子力発電所やダムなどの生活関連施設の安全の場合とか、様々な危惧が地方自治体から表明されておりますが、これはどのように考えればよろしいのでしょうか。 そして、保護法制の中でどのような形として目に見えて規制されるのでしょうか。
○国務大臣(福田康夫君) 武力攻撃から国民の生命、身体及び財産を保護するというためにいろいろな措置を取るわけでございますけれども、それは今後整備する国民保護法制におきまして必要な規定を置くと、こういうことを検討いたしておるわけでございます。 例えば、例えば国土に対する御質問ありましたミサイル攻撃又は空爆などが発生する場合には、まず事態の状況につきまして警報を発令する、そして住民に対して屋内避難を含む、屋内退避ですね、退避を含む避難の指示及び避難の誘導を行うというようなことを考えております。また、避難住民に対しましては、避難地において炊き出しや収容施設の提供などの救援が的確に実施できるようにすることを想定をいたしております。 さらに、被害が生じた場合には、応急措置や消火活動ですね、消火活動が円滑に実施できるようにすることを考えておるわけであります。また、ライフラインの確保も必要でございますが、電気・ガス事業者などを指定公共機関等に指定して、業務計画に従って適切に電気、ガスの供給などを実施するようにすること、また発電所や上水施設を生活関連施設として指定してその安全確保を図ることや、公共的施設の応急復旧が適切に実施できるようにすることなどにつきまして規定を設けることを検討しておると、こういうことでありまして、今後の整備で具体的な形にしてまいりたいと思っているところです。
○大脇雅子君 地方自治体との、地方自治体からの質問や意見に対しますと、避難のためのいわゆるシェルターを装備するということは保護法制で検討しているかという切実な質問があり、国民保護法制にどう反映させていくかについては今後検討を深めてまいりますという回答があるんですが、それ以上に進んでおりますでしょうか。
○国務大臣(福田康夫君) 今現在、シェルターを造るか造らないか、これは国際情勢等々いろいろ勘案しなければいけませんけれども、具体的には今後そういうことも含めて検討してまいりたいと思っております。
○大脇雅子君 そういたしますと、保護法制の枠組みでございますが、日本には今大規模地震対策特別措置法と災害救助法等ございます。災害復旧や救助に関してや、言わば軍事的な要素を含まない防災体制の枠組みがあるわけですが、この枠組みと今度の保護法制との関係ではどのような関連付けを考えた方がいいんでしょうか。全く別個のものを考えられるのでしょうか、あくまで防災関係の枠組みというものの上に立って検討されるのでしょうか。
○国務大臣(福田康夫君) ただいま御審議いただいておりますのは、有事、すなわち武力攻撃事態等に対する対応と、こういうことであります。自然災害とか大規模災害、そういったようなものは、それはその災害対策という観点からこの法律に基づいて今対応をしているということでございまして、その対応の仕方は、これは体系的には今、別になると考えております。
○大脇雅子君 そうすると、どこが別の枠組みになるのでしょうか。
○国務大臣(福田康夫君) それは、原因が全く違いますんでね。自然災害といいますと、例えば地震であれば急に来る、まあ最近は予知ができる部分がございますけれども、急に来るといったようなことで、それに、その被害に対応してどういうふうにするかと。もちろん被害の予知ということもありますけれども、被害の拡大を予知、防止、防止、予知じゃなくて防止ですけれども、被害の拡大を防止するとかいったようなこともございます。それは原因が自然災害ということであります。 武力攻撃というのは正に他国から攻撃を受けると、こういう事態でございますから、これはそういう意味においては対外的な配慮、原因が外国にあるということであります。
○大脇雅子君 自衛隊法の言わば出動の枠組みは、ある意味では災害救助法の枠組みと類似した形で法整備がなされているような感じがいたしますが、そうすると、国民の保護法制に関して、それは全く違うということになりますと、国民の協力義務が入っていて、それは努力義務でございますが、国民の協力と損失補償又は損害賠償との限界についてはどのように考えたらよろしいのでしょうか。
○国務大臣(福田康夫君) 両方とも原因は別ですけれども、その状況の中で国民を守る、国民を保護するという、そういう観点については同じ共通する部分はあるかと思います。ですから、対応の仕方が同じという場合もあるというように当然のことながら思われるわけであります。 今後、その損害等々についての対応の仕方等については、これは今後の体制整備の中で検討していくことであるというように考えております。
○大脇雅子君 国民の協力義務が書いてあるんですが、消防団については、でき得る限りその義務を果たしてもらわなければならないというような回答があるわけですが、いわゆる民間防衛体制というところまでは踏み込むことはありませんよね。
○国務大臣(福田康夫君) 政府が要請してそういうような組織体を作るとかいったようなことは考えているわけではありません。しかし、今現在も地域等においてはそういうような体制をその地域において自ら作っているというところもございます。そういうところには協力をお願いするということは十分に考えられるわけです。
○大脇雅子君 四党共同修正案についてお尋ねします。 自衛隊法百三条の改正によりますと、物資の保管命令違反者への罰則適用と基本的人権の最大限の尊重規定というものが書かれております。国民の基本的人権の尊重については憲法十三条で最大の尊重を保障しているということで、今回修正された三条の基本理念は憲法との関係でどのような積極的な意義があるというのでしょうか。 そして、自衛隊の防衛出動に際して、物資の保管命令の判断について、個人の思想、信条あるいは人命尊重等の観点から命令に従わない者あるいは違反した者への罰則適用ということになりますと、今回の修正に反するということになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○衆議院議員(中谷元君) 今回修正をした部分におきましては、各政党間で基本的人権を尊重するというお話がございましたので、それに基づきまして三条の四項に後段を加えまして、その最大限の尊重について入念的に規定をしたものでございます。 そのときに、基本的人権を守るためには命を守る必要もございますが、人命を救うためには時として皆さんが協力をしてもらう必要がありまして、一時的に権利義務が制約されるということはあり得るものでございますが、その制限というものは必要最小限のものに限られ、かつ公正かつ適正な手続の下に行われなければならないということでございます。 お尋ねの百三条の規定におきましては、憲法で保障されます内心の自由ということは保障されるわけでございますが、自衛隊が活動する際に、この保管命令に違反して物資等を隠匿、遺棄又は搬出する行為を行った者に対して刑罰を科すとしているのは、防衛出動が下令されるような国の緊急事態に自衛隊の任務遂行に必要な物資を確保することを積極的に妨害するというように、実際に外部に現れた行為を処罰するものでございまして、個人の内心の自由に制約を加えるものではなくて、思想、良心の自由を侵害するということにはならないと考えております。
○大脇雅子君 終わります。
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。 米国は、ブッシュ戦略の下で世界のあらゆる地域の紛争に介入するという方針を取っております。二〇〇二年度の国防報告でもこう述べています。米軍は大統領の指示に基づいて、国家と非国家組織体を含むいかなる敵対者に対してもアメリカとその連合国家の意思を押し付けることができる能力を維持しなければならない。この基本戦略に基づいて在日米軍基地は、アジアのみならず、世界のあらゆる地域へ展開の出撃拠点として機能しているわけであります。 もしも、その米軍が日本の周辺に展開し、そして在日米軍基地などから作戦行動を繰り返している、そういうさなかにこの周辺事態と認定されることが起きたと。そうすれば、恐らくかなりの日本に対して協力を求めてくるということになるでしょう。 その場合、最初にお聞きしたいのは、法律の解釈になるわけですが、現行の周辺事態法は、日本の国民あるいは地方自治体に対してどの程度の強制力を持つ法的な仕組みになっているのか、まず最初にお伺いします。官房長官。
○国務大臣(福田康夫君) 周辺事態法との関係でお答え……
○小池晃君 周辺事態法について。
○国務大臣(福田康夫君) についてですね。 周辺事態法では、地方公共団体の長は、関係行政機関の長は、その有する権限の行使について必要な協力を求めることができる、それから民間等につきましては、関係行政機関の長は、必要な協力を依頼することができると規定しております。また他方、国民及び指定公共機関の協力を明示した規定というものは置かれていないということでございます。 周辺事態法の必要な協力は、あくまでも地方公共団体の長等に対し、協力を求め又は依頼するということでありまして、措置の実施を強制すると、そういうものではありません。
○小池晃君 今お話あったように、周辺事態法での日本の支援というのは限定されている、あくまで協力をお願いするということであります。強制できない。そういう意味では、周辺事態法による対米支援ということは、これはおのずから限界があるということでよろしいんですね、お願いだということで。──いや、それ、当たり前のことでしょう。
○国務大臣(福田康夫君) これは、先ほども申し上げたことなんでありますが、措置の実施を強制するものではない。それは同じ考えです。
○小池晃君 そこで、一方の今回の武力攻撃事態法ではどうなるのかということでいうと、これは第五条、第六条で、自治体あるいは指定公共機関の措置の実施は責務とされております。つまり、この周辺事態法とこの点は違って強制力を持つと、そういうことでこれはよろしいわけですね。
○国務大臣(福田康夫君) 武力攻撃事態対処法案におきまして、地方公共団体また指定公共機関は必要な措置を実施する責務を有すると、こういう規定ですね。必要な措置を実施する主体として位置付けておるところでございまして、これらの者に対して国が協力を求めるという規定は置かれておりません。 また、よろしいですか、国民につきましては、「指定行政機関、地方公共団体又は指定公共機関が対処措置を実施する際は、必要な協力をするよう努めるものとする。」と規定されておりますが、この国民の協力は国民に協力を義務付けるものではないと、こういうことになっております。
○小池晃君 すなわち、周辺事態法というのは、あくまでお願いするという法律だったんですが、今度の武力攻撃事態法では地方自治体や指定公共機関は対処措置を行う責務があると、これは基本的な枠組みであります。その点で周辺事態法に設けられていた制約が外されていると、そういう法律の仕組みになっていると思うんですよ。 これに対応する米軍の行動は一体どうか。これは、そもそも米軍は、周辺事態かあるいは武力攻撃事態か、こういう日本の法律の枠組みで動いているわけではありません。これは、あくまでブッシュ戦略に基づいて、アメリカの外交・安全保障戦略に基づいて行動しているわけであります。これが米軍の行動です。 その場合、この間議論になっているように、武力攻撃予測事態と周辺事態が重なり得るということが御答弁の中でも明らかになっていると思うんですね。これはお認めになっている。そうすると、両者が重なってきた場合に、この地方自治体の対処というのにどういう問題が起こってくるんだろうか。 これ、例えば、いろんなケース想像すると、米軍の艦船が自治体が管理している港湾に入ってくると、物品役務の提供を受けることを要請してくるとする。これ、周辺事態法の適用であれば、これ、協力の要請であり、お願いしますということになる。もうやりませんと、断りますと言ったら、それで終わりなわけです。ところが、武力攻撃事態法であれば、これは対処措置の実施の責務ということになりますから、これは拒否できないということになるわけですね。そういうときどうするのかということなんですよ。 これは、米軍の行動というのは、先ほど言ったように、周辺事態だろうが武力攻撃事態だろうが関係なく動いているわけですから、あなたのこの船は武力攻撃事態法の適用なんですかと、周辺事態法の適用なんですか、そういうふうに聞いたって、これはアメリカは分かりゃしないわけですよね。周辺事態法で行動中の旗立てるとか、武力攻撃事態法で行動中という旗立てるというわけにいかないわけであります。こんなことは無理なんです。 そういう中で、防衛庁長官はこの質疑の中で何を言ったかというと、五月二十二日の質疑で我が党の小泉委員の質問に対してこう答えているんです。それぞれ別個の法律に基づく別個の判断だと、こうお答えになっているんですね。 米軍の任務には、こういう別個の法律に基づく別個の行動というのはないわけですよ。周辺事態法だろうが武力攻撃予測事態だろうが、その区分はそもそも存在しないんですから、防衛庁長官ね、米軍に対する日本の支援考える場合に、別個の法律に基づく別個の判断で支援することなんか、これは不可能ではありませんか。
○国務大臣(福田康夫君) まず、周辺事態法に規定されております協力も、武力攻撃事態対処法に規定されている協力も、措置の実施を強制するものでないという意味においては同じでございます。 なお、武力攻撃事態における米軍の行動の円滑化に関する措置については、これは、武力攻撃事態対処法案成立後、この法案に示された枠組みに基づいて行われる事態対処法制整備の中で検討をしていくと、これから検討していくと、こういうことになるわけです。
○国務大臣(石破茂君) 起こっておる事態というものがそれぞれ違うこともありますし、そしてまた、そのことが我が国から見てどう見えるのかということに着目をした場合には、当然、別個の法律に基づく別個の判断という実に当たり前のことを申し上げておるわけでございます。
○小池晃君 それは説明になっていませんよ。だって、周辺事態だろうが、重なる場合ですよ、私聞いているのは。重なり得るとおっしゃったんだから、重なる場合はあるわけです。そのときに米軍が行動していると。それは、日本の法体系と関係なく動いているわけですから、そのときに防衛庁長官は別個の法律に基づいて別個に対応するとおっしゃったわけですよ。どうやって判断するんですか、判断のしようがないじゃないですかとお聞きしているんです。 先ほど官房長官おっしゃったけれども、これ、法律として先ほど最初に確認しましたよね、枠組み違うわけですよ。武力攻撃事態法は、これはあくまで自治体、指定公共機関は実施の責務がある。周辺事態法は、これは要請なんですから、これは自治体としての対応は全く違ってくるわけでしょう。そのときどうするのかということを聞いているんです。お答えいただきたい。
○国務大臣(石破茂君) いや、それは、併存する場合があるということは、ある一つの時点を切って併存をしているという状況があるということです。 それから、もう一つ答弁中でお答えをしましたのは、時系列で周辺事態が武力攻撃予測事態になる、周辺事態が武力攻撃予測事態に転化することはあるということを申し上げたのであって、一つのことが、一つの起こっておることが、それが周辺事態でもあり武力攻撃予測事態でもあるというような、そういう概念矛盾みたいなことは起こらないということです。
○小池晃君 いや、それはごまかしですよ。防衛庁長官おっしゃったのは武力攻撃予測事態が、周辺事態が武力攻撃予測事態に変わるということもあるというふうにおっしゃいました。しかし、同一の時間帯、同一のシチュエーションの中で、同時に周辺事態と武力攻撃予測事態、併存し得るということあったわけじゃないですか。そのときに日本の支援というのがどうなるのかというふうに聞いているんです。それ、今答えていらっしゃいませんよ。そういうふうに時間的に、時系列で変わったときの問題言っているんじゃないんです。同時に併存した場合に、日本の協力、日本の協力というか、自治体あるいは指定公共機関の支援がどうなるのかと。これ、今後の対米支援法制で決めるというのは、これは駄目ですよ。こんな重大な問題をこれからの法律で決める、こんなことで逃げられたら、私はこれ納得できません。これは重大な問題ですからきっちり答えていただきたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) これは私からお答えすることが適切かどうかは存じませんが、こういうことで御理解をいただきたいと思います。 米軍をどう支援するかという法制は、本当にこれから議論をするものでございます。その中身が分からないともう全然こんな法律は駄目だと、こういうふうにおっしゃるのかもしれませんが、この新しい法律というものも当然私どもで立案をいたしまして国会の御審議をいただくわけでございまして、それが分からなければ何にも審議できないと、こう言われますと、これは見解の相違だとしか申し上げようがございません。 したがいまして、新たな法制の整備に際しまして、その法制に基づく措置の対象となりますアメリカ軍の行動の目的、そういうものを適切に規定することによりまして、当該法制と周辺事態法の各々に基づき対米支援を区分して行い得るようにすることは十分に可能であるというふうに考えておるわけでございます。 その委員の御趣旨からいいますと、そういうことは実際には不可能だろうと、こういうことでございますが、そういうために調整メカニズムというものが存在をしておるということでございます。米軍の活動につきまして、日米間で情報の共有がなされる、そして対象となる米軍に対する措置を区分して実施するということは可能になるものというふうに考えておる次第でございます。
○小池晃君 調整メカニズムで情報を交換するということになれば、この同時に起こっているというような場合に、日本の対応を判断する場合に、判断のためには米軍のそれぞれの部隊の行動がいかなる任務によって行われているのか、これがすべて米軍から情報提供され、それを切り分けるという作業をし、その中で一つ一つ判断していくということができるんですか、そんなことが。そんなこと到底できるはずないじゃないですか。今おっしゃったのはそういうことですよ。それは、どこかの遠い離れたところでの自衛隊の行動の範囲の中ではそういったことが成り立つというあなた方の議論は、私は認めないけれども、あるのかもしれない。しかし、日本の国民、自治体あるいは指定公共機関が協力するときにもその調整メカニズムの中でそういった情報をやり取りして、この船は周辺事態法の船です、あるいはこれは武力攻撃事態法の、そんなことがあり得ない。 しかも、そもそもアメリカの行動には周辺事態法か武力攻撃事態法かというような区分けないんですから対応のしようがないじゃないですかと。だとすれば、日本が主体的に判断するということになったら、結局アメリカの要請強いんですよ、これ。アメリカは全面的に協力してくれと言うに決まっているわけです。 だとすれば、これは結局、こういうふうに周辺事態と武力攻撃予測事態が重なったという場合には、結局、武力攻撃事態法の枠組みに合わせて義務的に業務遂行させていくということに結果としてなっていくんじゃないですか。そのことはどうでしょう。
○国務大臣(石破茂君) そういうことを実際に可能にするために平素から日米共同調整所というものを設けている。そこにおいては、私も報告を受けることでございますが、ハードでもソフトでも、そういうものについてどうやって調整をするかという努力を行っておるわけでございます。まさしく、委員御指摘のようなことが起こらないように、そういう御懸念が発生をしないように調整会議も平素から行っておりますし、連絡員も派遣をしておるわけでございます。 それは、おまえはそんなこと言うが、米国の言いなりではないかというようなことだと思いますが、それは、我が国は主権国家としてそのようなことはないということでありまして、委員が日本をそのような国だというふうに御判断をなさるとすれば、それは委員の御判断ということに相なりますが、私どもはそうは思っておりません。日本国は日本国として、主権に基づいて、これは周辺事態なのか、それとも武力攻撃予測事態なのかという判断をするのでありまして、結局、対米追随ではないかと言われれば、それは委員の御見解でそうなのでしょうということです。
○小池晃君 全然明快じゃないですよ。だって、だって、その分けようがないじゃないかと私言っているんですよ。だって、アメリカ軍の行動には周辺事態法、武力攻撃事態法という概念ないんですから分けようがないでしょうと。そのときに別個の法律に基づいて別個に対応するといったら、これは日本は判断のしようがないから、結局、武力攻撃事態法で対応するしかないということになるんじゃないんですかと。いや、私もう当たり前のことを聞いているんですよ。 じゃ、どうやって、調整メカニズムで調整するとおっしゃったけれども、じゃ、これは周辺事態法のその範囲、範疇の米軍の行動であり、この部分は武力攻撃事態法の米軍の行動の範疇であるというのはどうやって分けるんですか。お答えいただきたい。
○国務大臣(石破茂君) 何度も同じことをお答えしますが、それは我が国が我が国の主権に基づいて判断をするのです。その事態が、そのまま放置すれば我が国の平和と安全に影響を与えるような事態なのか、それともそれが我が国に対する武力攻撃予測される事態なのか、それは我が国が我が国の主権でもって判断をすることですから、それができないではないかと、こう言われても、これはできるというしか私には申し上げようがございません。
○小池晃君 違うんですよ。私が聞いているのはそういうことじゃないんです。この事態が武力攻撃予測事態かあるいは周辺事態かという認定は、それは我が国がやるんです。だから、そのことを言っているんじゃないんです。 武力攻撃予測事態と周辺事態が併存するということがあり得るというときに、このアメリカの部隊が武力攻撃予測事態に基づく部隊で、このアメリカの部隊が周辺事態だということが概念としてそもそも存在しないでしょうと。そういうときに、あなたは別個の法律に基づいて別個に対応すると言ったけれども、対応のしようがないじゃないですかと。ということになったら、結局これは併存している状態の中では武力攻撃予測事態だということで対処するしかなくなるんじゃないですかというふうに聞いているんです。 事態の認定の問題を言っているんじゃないですよ。それは日本がやるのは分かっているんです。その中でどういう切り分けがされているのかということであります。
○国務大臣(石破茂君) もうそれは事態の認定を我が国が我が国の主権に基づいて、法律に基づいて行うように、これがどういうものであるのかということも我が国が我が国の主権と我が国の法律に基づいて行うわけです。 それはできないというふうに委員はおっしゃいますし、私……(発言する者あり)いや、違うんです、切り分けの問題じゃなくて、これがどちらの方に対応するのかということも両方の法律に基づいて、これは周辺事態、これは武力攻撃予測事態というふうに私どもは切り分けて対応ができる。それが区別ができないとおっしゃるのは委員のお考え方でしょうし、できるというのが私どもの考え方でございます。
○小池晃君 これはできるはずないと思いますよ、私は。だって、同じ作戦行動の中でやっているアメリカの行動をどうやってそういう切り分けるんですか。この船は武力攻撃予測事態で動いていて、この船は周辺事態で動いている。この部隊は武力攻撃予測事態で対応している、この部隊は周辺事態で動いている、こんな分け方が、そもそもアメリカにはそういう分類ないんですから。アメリカは一貫した戦略の中で動くわけですから、それを分けようがないだろうと。それを主体的に判断できるというのは、私もう正に牽強付会であるというふうに申し上げたいと思う。 結局、こういう事態になれば、こういう事態になれば、私が聞いているのは周辺事態と武力攻撃予測事態が重なった場合ですからね、それが併存している場合ですよ。だから、それぞれの認定は可能だと、それはそういう枠組みなんですからそれは可能でしょうと。しかし、併存している場合に、そのそれぞれの部隊を切り分けるということが可能ではないんじゃないですかと言っている。しかし、それも可能だと。 確認しますけれども、可能だと、日本の主体的な判断で切り分けることが可能だというふうにおっしゃるんですね。
○国務大臣(石破茂君) 先ほど来お答えを申し上げているとおりでございます。
○小池晃君 私も、今の議論を通じて、本当に、今回の法案によって結局そういう形でいけば、一体として一つのシチュエーションの中で起こっているときに分けようがないんですよ。これは、米軍の方からはこれはもう強い要請が来ることは間違いないわけです。そういう中で、結局、武力攻撃事態法の枠組みに合わせて義務的に業務遂行させていくということになる危険性は極めて強いと。 結局、今回の法案で、私は、周辺事態法で設けられていた本当に様々な制約があったわけですけれども、これが外されてくると。周辺事態法では、自治体などにはあくまでこれ協力依頼するということになったわけですが、これがいったん武力攻撃予測事態ということが認定され、併存するということになれば、同じ事態であるにもかかわらず、これが結局自治体には業務が義務付けられてくるということになるわけであります。そして、自治体だけではなくて指定公共機関にも義務付けられていくということになる。そして、さらにこれから作られる国民保護法制の中では、国民の協力まで具体化されてくるということになると思う。私は、三法案の危険というのはますます強いものであるというふうに言わざるを得ないというふうに思うんですね。 そこで、自治体の協力、自治体の業務についてお聞きをしたいんですが、そもそも国及び地方自治体のいわゆる公務員であります。(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。これは、この対処措置の実施の業務命令というのは、これは公務員は拒否することができるんでしょうか。
○国務大臣(福田康夫君) 公務員の場合にそれ、これは公務員としての職務を遂行するということでありますから、公務員法でもって規定をされておるわけです。
○小池晃君 回りくどい言い方なんですけれども、拒否できないということですね。
○国務大臣(福田康夫君) それはその職場職場のその任務ということありますけれども、それはその職務として行うことについて、それは公務員法で規定されているとおり行うわけであります。
○小池晃君 いや、もうそういう同じこと言わないで、回りくどいこと。 要するに公務員は、これは、対処措置の実施ということになってくればこれは業務命令が出てくるわけですから、これ拒否できないということになるわけですねと。イエスかノーかでお答えいただきたい。
○国務大臣(福田康夫君) その職務としての任務であれば、それはその任務を果たすというのは公務員の立場であると思います。
○小池晃君 拒否できないんだということであります。 これは任務なんだから当然だと、公務員にいったんなった以上当然なんだというやじが自民党から飛んでおりますけれども、これは本当にひどい言葉だと思うんですね。 例えば、対処措置、具体的に見ていくと、例えば医療活動なども含まれてくると思うんです。これは最初は取りあえず自衛隊が対応するということになっていくのかもしれません。 そこで数字をお聞きしたいんですが、自衛隊所属の医師、看護師の数というのは、これは防衛医大所属も含めて現在何名なのか。医師、看護師ということでお答え願いたいと思います。
○委員長(山崎正昭君) 厚生労働省篠崎医政局長──おりませんか。
○小池晃君 いや、違う、防衛庁です、自衛隊ですから。防衛庁です。
○国務大臣(石破茂君) お答えいたします。 医師の場合には、陸自、海自、空自、防衛医大含めまして一千二百三十四名、看護師の場合には、同じでございますが、陸自、海自、空自、防衛医大含めまして三千三百七十七名、こういう数字になっております。
○小池晃君 真っ先に対処措置で動くのかもしれません、この自衛隊所属の医官や看護師。しかし、これだけでは賄えないということも出てくるのかもしれません。 そこで厚労省に、ちょっとここで質問なんですが、現在、病院に勤める医師、看護師の総数と、それから、そのうち国及び地方の公務員の数、これを明らかにしていただきたいと思います。
○委員長(山崎正昭君) はい、ここです。厚生労働省篠崎医政局長。
○政府参考人(篠崎英夫君) ここでお答えいたしますが、医師数は、常勤換算したものでおよそ十六万九千七百六十九人でありまして、看護師は五十三万六千百二十一人でございます。 それで、国立とそれから──国立と地方自治体で分けるんですか。
○小池晃君 国立と地方自治体、分けないで一緒にしてやってください。
○政府参考人(篠崎英夫君) 一緒はちょっと。 国の方は、国の開設する病院で働く医師の数は先ほどの中で二万六千六十三人、それから看護師の数は五万八千六百六十六人でございまして、地方自治体で働く者は、医師の数について言いますと三万三千百六十四人でございまして、それから看護師の場合は十三万二千四百七十九人でございます。
○小池晃君 ちょっと、まとめて答えてくださいと言っておいたのに、ちゃんと答えてほしいんですが、医師は、総数では十六万九千七百六十九人、うち公務員、国及び地方自治体の公務員は五万九千二百二十八人、三四・九%です。看護師は、総数で五十三万六千百二十一人で、公務員は十九万一千百四十五人、三五・七%です。 ですから、病院勤務の医師も看護師も、これ三人に一人以上公務員なんですね。 だとすれば、武力攻撃予測事態の段階から、これ予測事態の段階から、公務員はこれは業務従事命令出るわけですから、予測事態の段階から、日本の医療従事者の三割を超える六万人の医師とそれから二十万人の看護婦は、看護師は、これ対処措置を担うことを求めることができる対象となり得るということになるわけですね。この三法案の法的な枠組みでいえばそういうことになるということを確認させていただきたいんですけれども、これはよろしいですか。
○国務大臣(石破茂君) 聞き間違えだったら申し訳ないのですが、防衛出動又は防衛施設構築措置を命ぜられた自衛隊の部隊等が行動する場合、いいですか、八十六条に規定をしておるように、自衛隊法八十六条です、都道府県知事、市町村長その他の地方公共団体は、相互に緊密に連絡し、協力していただく、こういうことになっております。 委員は今、百三条ではないというふうにおっしゃいましたが、先ほど業務従事命令が掛かるというような言葉をお使いになりましたので、これは百三条ではないということを申し上げておることでございます。
○小池晃君 いや、ちょっと、私が聞いたのは、対処措置の実施は、これは武力攻撃事態等への対処ですから、予測事態から動き始めるわけですね。その対象として、地方自治体、先ほど確認したように、公務員というふうになっていくわけですから、そうすると、今回の武力攻撃事態法の枠組みの対処措置を武力攻撃予測事態の段階から担うことを求めることができる対象に、この約三割、六万人の医師と二十万人の公務員である看護師、これはその対象となり得るという法的な枠組みなんですねということを、再度、これ確認ですから、当たり前のこと、法的な枠組み聞いているんですからお答えいただきたい。ちょっと長官、そういうことでしょう。
○国務大臣(福田康夫君) これ、国民の生命、身体、財産を保護するためと、こういうことでございまして、そのために医療活動に携わっている公務員、これは医療をするのは、これは当然のことだと思います。
○小池晃君 いや、そこまで私聞いてないんですけれども。要するに、法的にはそういう枠組みだということは認めたということです。 当然だとおっしゃるけれども、一体中身はどうなのかということが全く見えないわけですね。実際に攻撃されているときのことだけではなくて、今回の仕組みでいえば、これは医療従事者も含めてこうした公務員が、武力攻撃予測事態の段階から従事させることができるわけであります。 その際に、私、お聞きしたいのは、これ、在日米軍に対する支援のために武力攻撃予測事態の段階でこうした公務員を使うことがあり得るのか。これ、在日米軍は日本から周辺地域に部隊を展開させる、あるいは米本国からの増援部隊受入れ、兵たん補給作戦、大変な仕事をするわけであります。そういうときに、在日米軍に対する支援にこうした公務員を武力攻撃予測事態の段階で従事させることができるのか、それとも使うことはできないのか。政府の見解を明らかにしていただきたい。
○国務大臣(福田康夫君) 具体的なことについてはこれから決めることでありますけれども、予測事態においても、これは医療活動をするということについてのその任務というのは変わらない、こういうことであります。
○小池晃君 あり得るということなわけですね。これは、本当に医者や看護師だったらけが人見たら助けるのは当然だというような議論で私は正当化できるような話ではないと思うんです。 この対米支援については、今確認してきたように、これは公務員、国家公務員、地方公務員を始め指定公共機関の職員あるいは国民、これが米軍支援にどうかかわるのかというのは一切明らかにされていない。しかし、予測事態における米軍の作戦行動はアメリカ政府の戦争方針に従ったものであることは私は紛れもない事実であるというふうに思うんです。そういう中で、予測事態だと認定をすれば、周辺事態法ではできなかった地方自治体や指定公共機関あるいは公務員の協力強制が可能になってくる。 これ、どういう人たちが、あるいはどういう機関がどういう対米支援を押し付けられるのかを一切隠したまま全く明らかにされない。こういう中でこの法案を通すということは、私は政府に白紙委任をすると。国民については違うんだとおっしゃりたいかもしれませんけれども、改めて言いますが、公務員や指定公共機関、これは強制が可能となっていくということになれば、これは正に、中身は分からないまま法案通すということは、中身については政府に白紙委任してくださいよということになるじゃないですか。こんなことを国民が許すというふうに思うんですか。はっきり答えていただきたい。
○国務大臣(石破茂君) 白紙委任ということになりますと、国会の権能って何だろうかということになるんだろうと思います。国会におきまして御相談をしながらやることでございますし、そしてまた国民の保護法制につきましても、それぞれの整備本部を設けました趣旨は、いろんな方の御意見を聞きながらより良いものを作っていこうということでございます。米軍支援につきましては、そういうような本部ができるかどうか私は存じませんが、いずれにしても、国民の皆様方のそれぞれのお考えの方々の、お立場の方々の広い御意見を聞きながら法律はできるものでございますし、そしてまた国会におきましても御審議をいただけるものというふうに思っているわけでございまして、政府が白紙委任で勝手なものを作るというような御指摘は私は当たらないと考えております。
○小池晃君 しかし、現時点では全く明らかになっていないわけです、これから決めますという答えでこの三法案通してくれということですから。現時点では後の中身はこれから議論するという形で、こんな重大な法案通していいのですかと、私はそう申し上げているんです。 それから、衆議院の審議では百三条、自衛隊法百三条の問題です。これ四項にある政令を有事法制成立後に制定したいというふうに答弁されておる。つまり、今まではこの百三条は動かなかったわけであります。しかし、この百三条第二項が政令制定によって動き出すと、使える法律になるんだと、そういうことになるということなんですね。
○国務大臣(石破茂君) 政令が定めておられる、定められておらなければ法律は動きません。そういう意味で、法律の実効性というものをこれによって確保させていただけるというふうには考えております。
○小池晃君 百三条二項の業務従事命令は、今までとは違って民間事業者を対象としたものであります。これ、今まで三十年以上ですか、発動されなかった、政令がなかったから使えなかった。この百三条二項が、民間人まで動員する仕組みが政令の制定によって息を吹き込まれて動き出してくる。ここで行われる業務従事命令、拒否することはできるんでしょうか。
○国務大臣(石破茂君) 動員という言葉は私ども使いませんけれども、業務従事命令を課す、そしてそれに罰則が科されないというのはるる答弁を申し上げているとおりでございます。
○小池晃君 罰則は科さないんだという話はこの前、この間の答弁でも出ております。しかし、たとえ罰則がなくても、公用令書が交付されて、その処分に従わないということはこれは違法状態、違法行為ということになるんじゃないんですか。その点はいかがなんですか。
○国務大臣(石破茂君) 罰則は科されません。しかしながら、業務従事命令に反したという状況は現出をしておるということだろうと思っております。それ、違法と言うかどうか、それは何に照らして違法なのか、その状況で、例えば何か民事上の、少なくとも罰則はないということは刑事上の問題がないということでございます。民事上、どういうその場合に何か違法性が生じて何か損害賠償とかそういうことが起こるかといえばそれも起こりません。 したがいまして、委員がおっしゃいますことがどういうようなことを指しておっしゃっておるのか、ちょっと理解いたしかねるところでございます。
○小池晃君 それで、民間まで業務従事命令ということが出せる仕組みを作ろうとしているという中で、お聞きしたいのは、これ例えば公務員という話ありました、これ対処措置の実施が責務となっていくと。あるいは民間人、業務従事命令に基づいて業務に従事すると、こういう場合は、そのものは、これジュネーブ条約の議定書がございます。ジュネーブ条約の第一追加議定書の第五十一条、ここに照らした場合には、これは敵対行為に直接参加したことになって文民としての保護を受けられなくなると、そういう危険があるのではありませんか。その点、お答え願いたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) そのような懸念は、申し上げておきますが、全くございません。 それはほかの条約等々見ましても、そういうことに従事する人たちを直接戦闘に参加しているとみなしてはならない、ジュネーブ条約の保護の対象にしなければならない。それはほかの条約によっても担保をされておることでございます。そういうようなことによって文民ではなくなる、攻撃の対象ではなくなる、だから危ないんだというような御議論は私は全く当たらないものと考えております。
○小池晃君 いや、医療ということにかかわってくればそういう議論もあり得るのかもしれませんが、一般論として対処措置実施する、あるいは業務に従事するという場合は、この五十一条に照らせばこれは敵対行為というふうに判断され得る中身になっているんではないですか。もう一度確認したいと思います。一切関係ないというふうにおっしゃるんですか。
○国務大臣(石破茂君) それはまさしく立場を変えて、攻撃する側が医療に従事をしておる、そういう人に対してそういう攻撃を与えてはいけないということの趣旨でございますから、そのような対象に相なりません。
○小池晃君 私は、そういう例外を置いて言っているのではなくて、一般論として申し上げているんです。そういう形で、今回のような形で公務員が例えば対処措置を実施したり業務従事命令に基づいて業務に従事したという場合というのは、五十一条を素直に読めば、これは我が国がいかに解釈するかというのはありますよ、しかし国際的にはこれは文民として保護されないというふうに扱われる危険性はないのかというふうに聞いています。
○国務大臣(石破茂君) そのためにジュネーブ条約というのがあるんでして、相手がそういうふうに見るだろうからなどという議論をし始めたら、これはジュネーブ条約の議論そのものが成り立ちません。そういうような人をそういう者とみなして撃ってはならない、攻撃してはならない、そのためにジュネーブ条約があって、各国ともそれをどうやって遵守するかということに努めておるわけでございます。そんな議論をなさいますと、ジュネーブ条約の議論そのものができなくなる、そういうことだと思います。
○小池晃君 結局、今回の法案、従来の周辺事態法の制約すら外されて、本当に自治体、指定公共機関には予測事態の段階から支援が強制される、拒否することが許されないという法案だということが明らかになった。法案の危険性はいよいよはっきりしたと思います。これは廃案にすることを強く求めて、私の質問を終わります。
○委員長(山崎正昭君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。 午後五時四十一分散会 ─────・───── 〔参照〕 福井地方公聴会速記録 期日 平成十五年五月二十九日(木曜日) 場所 福井市 福井県国際交流会館 派遣委員 団長 委員長 山崎 正昭君 理 事 国井 正幸君 理 事 榛葉賀津也君 理 事 山口那津男君 理 事 小泉 親司君 椎名 一保君 岩本 司君 大江 康弘君 公述人 福井県商工会議 所連合会会頭 江守 幹男君 全国原子力発電 所所在市町村協 議会会長 敦賀市長 河瀬 一治君 福井大学助教授 塚田 哲之君 同志社大学助教 授 村田 晃嗣君 前北陸中学・高 校校長 村田 嘉孝君 ───────────── 〔午後一時開会〕
○団長(山崎正昭君) ただいまから参議院武力攻撃事態への対処に関する特別委員会福井地方公聴会を開会いたします。 私は、本日の会議を主宰いたします武力攻撃事態への対処に関する特別委員長の山崎正昭でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 まず、本日の地方公聴会に参加しております委員を紹介させていただきます。 自由民主党・保守新党所属の国井正幸理事でございます。 民主党・新緑風会所属の榛葉賀津也理事でございます。 公明党所属の山口那津男理事でございます。 日本共産党所属の小泉親司理事でございます。 自由民主党・保守新党所属の椎名一保委員でございます。 民主党・新緑風会所属の岩本司委員でございます。 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)所属の大江康弘委員でございます。 以上の八名でございます。 参議院武力攻撃事態への対処に関する特別委員会におきましては、目下、安全保障会議設置法の一部を改正する法律案、武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案及び自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案、以上三法案につきまして審査を行っておりますが、本委員会といたしましては、三法案の重要性にかんがみ、国民の皆様から貴重な御意見を賜るため、本日、当福井市及び神奈川県横須賀市におきまして地方公聴会を開会することにいたした次第でございます。何とぞ特段の御協力をお願い申し上げます。 次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。 福井県商工会議所連合会会頭の江守幹男公述人でございます。 全国原子力発電所所在市町村協議会会長、敦賀市長の河瀬一治公述人でございます。 福井大学助教授の塚田哲之公述人でございます。 同志社大学助教授の村田晃嗣公述人でございます。 前北陸中学・高校校長の村田嘉孝公述人でございます。 以上の五名の方々でございます。 この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 皆様には、御多用中のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日は、皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、委員会審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。 次に、会議の進め方について申し上げます。 まず、お一人十分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、これより公述人の方々から順次御意見をお述べいただきます。 まず、江守公述人にお願いをいたします。江守公述人。
○公述人(江守幹男君) 私は、福井県商工会議所連合会の会頭でございます江守でございます。 本日は、有事法制関連三法案の地方公聴会、我が福井県において開催されますこと、また、私に意見陳述の機会を与えていただきましたこと、まずもって御礼を申し上げます。 さて、私からはこの法案に対しまして賛成の立場から意見を述べさせていただきます。 昭和二十年、当時私はまだ学生でした。家族は東京浅草にて事業を経営しておりましたが、東京大空襲を経験いたしました。その後、両親の郷里である福井に疎開してきましたが、ここでも空襲に遭うという巡り合わせの悪さで、二度も悲惨な体験をいたしました。したがいまして、戦後、日本が一度も戦争に巻き込まれることなく今日まで平和を享受できたことに対しまして非常に高く評価するものでございます。同時に、国が滅びるときの痛みを二度と次の世代に、味わうことのないよう、だれよりも強く念じている一人でございます。そのためにも、自国の防衛、国防に対しましては、かねてより国家存続の基本にかかわる問題として関心を持っておりました。 現在、国会におきまして武力攻撃事態対処法を始めとする有事法制が議論されておりますが、このような体験を有している私から見ますと、いかにも遅い、遅過ぎると率直な感想を持たざるを得ないのであります。 世界の主要な国を見ましても、国家の非常事態、特に外国からの侵略に備えて、法律が未整備であるという国はないと思います。日本と同じ敗戦国でありましたドイツにおきましても、昭和四十年代に既に整備が行われているのでございます。およそ法治国家である以上、有事に備えて法体系を整備することは誠に当然のことでございます。緊急事態に際しまして、いかなる組織がいかなる役割を担うかについてあらかじめ定めておかなければ、いざというときに、関係各機関が有機的に連携し、国民の生命、財産を守るための効果的な活動を実施することは不可能であります。 このような意味で、国、地方公共団体等の役割等を定める今回の武力攻撃事態対処法はもっと早く整備しなければならなかったものであり、早期の成立に期待しているところであります。 ところで、有事に際しての武力攻撃に対して、自衛隊による軍事的な措置について定めておくことが必要なのは当然でありますが、このような軍事的な観点のみではなく、有事法制は国民の安全をいかに確保するか、社会生活の混乱をいかにして最小にとどめるかという、国民の保護のための体制はそれに劣らず重要なものであります。国民生活の根本であります経済活動が阻害されることのないよう、エネルギー、交通・運輸、情報通信など、社会的インフラについてもその安全と運用が保障されることが必要であります。 御案内のとおり、本県は十五基の原子力発電所を有し、我が国のエネルギー政策、原子力政策に多大な貢献をしてまいりました。総発電量八百六十八億キロワットで、関西の電力の五五%は本県にて供給しているのが実情であります。有事において最優先で防衛すべき施設であります。 ところが、かかる重要な施設が配置されているにもかかわらず、本県では高速交通網、例えば新幹線や高規格道路の整備が十分でなく、有事の際に物資や人員、必要な機材、さらに補修用の各種資材を大量かつ迅速に輸送できる社会インフラが欠如しているのであります。 先般の武力攻撃事態対処法の衆議院における可決に際しましては、附帯決議におきまして、この国民保護の法整備は、武力攻撃事態対処法の実施の日から、施行の日から一年以内を目標として実施するとされており、今後の政府において精力的に取り組まれることが強く期待されているところであります。私も、一年と言わずに、間を置かずに早急に整備されるべきだと考えております。ただし、法律で規定するだけでは十分ではなく、それを具体的にどのように担保するか、どのような手段を使って実現するかを明確にしなければ単なる精神論に終わってしまう可能性があります。特に、北陸新幹線は首都圏と関西圏とをつなぐものであり、北陸という冠にとらわれることなく、我が国の二大経済圏を結ぶ大幹線として、東海道新幹線とともに相互にバックアップ機能を持たせ、有事における最重要インフラとして国家的観点から早急に整備されるべきであります。 もう一点、テロ・不審船対策の充実につきまして本県の立場から意見を述べさせていただきます。 武力攻撃事態対処法案においてはテロや不審船対策についても速やかに施策を講ずるとされておりますが、国民保護法制とは異なり、全件の作業スケジュールやどのような法整備を行うのか等については不透明な部分が多くなっております。 福井県は古代から大陸や半島との交流の窓口になっておりました。半島から船を出しますと、海流に乗って福井県の越前海岸に着岸すると言われております。このため、これまでも本県の海岸には不審船が漂着したり漂着物が海流に乗って接岸することが度々あったわけで、この意味では、本県は有事にはリスクが高まることが当然予想されるわけであります。したがいまして、当地域におきましては、テロや不審船の出現といった事態に多くの住民が不安を感じているところであり、またエネルギー基地として、テロはある意味では有事以上に関心の高い分野であります。小浜市での拉致事件は私から申し上げるまでもございません。 武力攻撃事態対処法を受けて、今後、政府としていかなる体制で、いかなる作業スケジュールでこれらテロや不審船問題に取り組んでいくのかが示されれば、有事法制としてより整備されたものになるのではないでしょうか。目前の脅威に対応した法整備はどうしても場当たり的で、場合によっては国民の基本的権利を侵害するおそれもないではありません。社会が平時のときにこそ有事や緊急時に備えた法体制を客観的に整備すべきであります。 終わりに当たりましてこのことを付け加え、私からの意見陳述を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○団長(山崎正昭君) どうもありがとうございました。 次に、河瀬公述人、お願いいたします。河瀬公述人。
○公述人(河瀬一治君) この福井市のほん近くでございます敦賀市長の河瀬でございます。 私、全国に原子力発電所を持っております自治体、二十六の市町村ございますけれども、全国原子力発電所所在市町村協議会という協議会がございまして、その会長も仰せ付かっている次第でございます。 本日は、私ども原子力発電所を持っております立地地域の意見を聞いていただけるというようなことで、大変いい機会を持っていただきまして心から感謝申し上げる次第でございます。 原子力発電所といいますのは、皆さん方も御承知のとおり、これは、地域住民の安全、安心が確保されまして、地域住民から信頼のされることがこれ基本でありますし、また原子力発電所とともに共存共栄をする、これは地域振興等がしっかりと確立をされまして、そして立地の住民の皆さん方が原子力発電所があってよかったなと言われるような、そのような郷土の発展を私ども願っておるところでございます。 しかし、原子力発電所といいますのは潜在的に危険性を持っておるわけでございます。国の安全規制とともに多重防護の観点から何重にも安全対策が講じられておりますので、私どもは原子力発電所自体はそう心配はないというように思っておるところでもございます。原子力発電所の安全は確保されている、このように私は信じておる一人でございます。 特に、米国の同時多発テロございました。本当にこれは衝撃的な事件であったわけでございますが、平成十三年九月十一日であります。特に、このテロを私ども知り得まして、本当に大変なことだなと。そのときにふと、私ども原子力発電所という施設を持っている地域にとりましては、もしそれが、この発電所がそのターゲットになったらどうなるんだろうという、そのような実は心配をしたものでございます。そういう意味で、私どもの地域、特にこの福井県嶺南地方には十五基の今発電所がございますし、また、いろいろと今議論がされております高速増殖炉の「もんじゅ」等も、これは敦賀市に持ってございます。そういうことで、私ども地域住民には本当に大きな不安が広がったところでもございます。 こういうことで、私どもは実はもう九月十三日に、これはもう二日後でございますけれども、全原協という立場で内閣総理大臣を始め関係各省庁に対しまして、原子力発電所に対しますテロ等防護対策ということで、この強化に関します要請をさせていただいたところでございます。その内容につきましては、やはり何といいましても、国民の皆さん方の不安に対処するために、事業者はもちろんでありますけれども、国は、テロ行為、また武力攻撃などに対しまして原子力発電所を、重点的かつ恒常的な防護対策の強化を求めたものでございます。その結果、今日まで各発電所周辺におきましては、警察等を始め、また海上保安庁、関係の皆さん方によりまして厳重な警備がされておるわけでございまして、警察始め関係の皆さん方に深く感謝を申し上げたい、このように思っている次第でございます。 特に、そういう中で私ども立地地域住民の期待でございますが、そういう中で特にイラク戦争もございました。これはもう極めて短期間と申しますか、期間的なことにつきましてはいろんな御意見があるというように思いますけれども、戦争も終結がされたわけでありますけれども、逆にこのテロの脅威というのは全く私は収まっていない、このようにも感じておるところであります。それと、特に拉致問題等々いろんな話題になっております北朝鮮のミサイルの開発問題、これもございまして、そういうことを耳にするたびに目にするたびに、やはり立地地域の皆さん方というのは、発電所を持っておって大丈夫なのかなという、そのような一抹の不安、これもあることも事実でございます。 そういう中で、特に不測の事態が仮に起こった場合でありますが、私ども立地自治体としては本当に何も、どうしていいのか分からないというのが実は実情でありまして、そうなりますと、地域住民の皆さん方、これ市役所に任せておいてもどうもならぬと、やはりこれは国が責任を持って守っていただかぬことにはというような、そういうような思いの中で、非常に今回のこの有事関連三法案に対しましては、期待といいますか、何とか整備をして私ども地域を守ってほしい、国として責任を持って守ってほしいというような、そのような思いがあるというように私は考えておる次第でございます。 特に、このような事態の中では、当然私ども市町村長といいますのは地域住民の皆さん方の生命を、財産を守る、これが第一の仕事でございますので、当然、このような有事になった場合には、私どもの市町村でできることはもちろん全力を尽くしてやりますが、国との十分な連携が取れる体制を持つことも非常に大事だというように思っておりますし、これは国が主体といいますか、主になって万全の体制を取っていただく、そのことが重要だというように考えておる次第でもございます。 そういうことで、特に、私の個人の思いかもしれませんけれども、日本の今の、今までの体制というのは、言い方は悪うございますけれども、安全ぼけといいますか、余りにも、国を守る、国の危険、そういうものに対しましての認識が薄いように私は感じておる一人でございます。 特に海外の方なんかに行きますと、いろんな国の警備体制なんかを見ますと、日本というのは本当に平和でいいなというふうに私は思っておったんですが、そういうものだけに、享受できる時代ではないということも今はっきりと認識を深くしている状況でもございます。 私、特に韓国との姉妹都市関係もございまして、東海市というところがその姉妹都市でありますが、あそこは長い海岸線がございます。当然北朝鮮も近いということで、海岸へ行きますと、鉄条網が張り巡らされ、トーチカといいますか、そういうもので軍隊が常に警備をしているようなその状況などを目の当たりにしますと、特にそういうことを感じたことでもございます。 今回のこの有事法制関連の三法案につきましては、我が国に対します外部からの武力攻撃が発生した事態、また事態が緊迫しまして武力攻撃が予想される、予測される事態に至ったときの対処についてということでの、地方公共団体、また国民の皆様、警察、自衛隊等々、国家全体がどのように連携をしていくべきか、あらかじめ基本となります事項を定めることによりまして、武力攻撃事態への対処のための体制を整備をし、あわせて、武力攻撃事態への対処に関してのルールを定めたものというふうに理解をいたしておるところでございます。 そういう中で、何度も繰り返しになりますけれども、私ども、発電所を持っております地域住民といいますのは、発電所へのテロの攻撃がないだろうかという、そのような不安を持っておることは、繰り返しになりますけれども、事実であるというふうに思っているところでありまして、特に、確固たるそういう体制ができることを私は期待をしている、このように思っているところであります。 そういう点で、私どもも地方として、また地方自治体としてできることはもう当然協力はさせていただきますけれども、国としてのしっかりした体制を取ってほしい。そういう中で、これも先ほど江守会頭さんの方からお話がございました、新幹線のお話もございました、いざというときの一つのインフラ整備。また、私どもの今地域には、舞鶴若狭自動車道という道路の今建設が進んできておりますけれども、小浜西までできてまいりました。しかし、その後が、また国の方でいろんな議論がされております。私どもの地域といたしましては、この細長い嶺南地域の中に十五基の、先ほど言いましたように発電所がございます。そういう中で、本当にこの道路網の整備が遅れておりまして、是非こういうものも併せて、この有事法の関連法案も大事でございますけれども、私どもの地域にとりましての、そういう高速交通網を始め、そういう道路網の整備も、これも大きな一つの対処できる要素だと思っておりますので、先生方にもまた、そういう違う方面でございますが、お力をいただきたい、このようにも思っている次第でございます。 本当に、本日は私どもの意見を聞く機会を持っていただきまして、心から感謝を申し上げます。 発電所といいますのは、繰り返しになりますが、地域住民の皆さん方の安全、安心が確保されまして、そして信頼されるのが基本でございます。そういう意味で、私どもは原子力発電所と共存共栄をしながら、その安心、安全を、基本でございますけれども、それを基本として共存共栄をして、地域住民が原子力発電所があってよかったなと言われる、そのような地域を目指しておるものでございます。 有事の際の体制を早期に確立をされるように切に要望を申し上げまして、発言を終わらさせていただきます。 よろしくお願いいたします。
○団長(山崎正昭君) どうもありがとうございました。 次に、塚田公述人にお願いいたします。
○公述人(塚田哲之君) 福井大学で憲法を担当している塚田でございます。 本日は、公述の機会を与えていただきまして、誠に光栄に存じます。ありがとうございます。 お手元にレジュメが一枚、それから資料が三枚参っているかと存じます。資料の方でございますが、これは、衆議院における審議の最終段階におきましていわゆる四党合意というのがございましたが、これを受けまして憲法研究者の有志が発表いたしました緊急声明の文書でございます。今審議の対象となっております本法案につきましては、少なからぬ数の憲法研究者が強い憂慮というものを示しているということをお伝えするために付けさせていただきました。ごらんおきいただければ幸いでございます。 以下、レジュメに沿って申し上げたいと存じます。 私は、憲法学の立場から、法案の文言に即した形で問題を指摘いたしたいというふうに考えております。 それは、一般に近代憲法におきましては、軍事に対する立憲的統制というものが重要な課題であったという事情だけではございません。何よりも日本国憲法の下においては、殊のほかその要請が強いという事情によります。 しかしながら、この三法案自体相当の分量を持っておりますし、かつ構造自体もかなり複雑であるというふうに思います。それに加えまして時間の限定というのがございますので、私は、四党合意を受けて行われた修正に関する点を中心に三つほど申し上げたいと存じます。 なお、レジュメにおきまして条文番号のみを示しているものは武力攻撃事態法案の条文でございます。 一でございます。 武力攻撃事態の定義変更というのがこの間行われました。御案内のとおり、政府原案にありました武力攻撃事態というものが武力攻撃事態と武力攻撃予測事態という二つに分かれまして、両者を併せて武力攻撃事態等というふうにされました。これによりまして、予測との関係が問題となったおそれという文言は消えたわけでございます。しかしながら、新たに定義をされました二条二号、それから三号の文言というのは、昨年の五月十六日の政府統一見解中に表れた文言をそのまま利用しておるものでございます。したがって、内容上の変更はないというふうに考えております。また、予測事態というものが残された結果、この間指摘されてまいりました予測事態と周辺事態との併存と呼ばれている問題、これも依然残されているというふうに考えます。 したがいまして、例えば周辺事態法に基づいて米軍を支援する活動を行っている自衛隊、これに対する武力攻撃が予測されれば、自治体、事業者、国民を動員する事態対処システムというものが発動される、こういう法案の基本構造には全く変更はないというふうに考えております。 また、武力攻撃事態等を認定する実質的な主体というふうに思われます事態対処専門委員会、これは安全保障会議設置法の八条でございますけれども、設置法、失礼いたしました、改正案の八条でございます。これにつきましては、新ガイドラインの下での包括メカニズム、調整メカニズムとの関係というものが問題になろうかというふうに考えております。 第二に、国会の関与に関する問題でございます。 法文上、対処基本方針の法的効力の発生の時点というものは必ずしも明確ではございませんが、対処基本方針が閣議決定後直ちに公示され周知されるということ、そして、国会が対処基本方針に対して不承認の議決をした場合、速やかに対処措置が終了されるべきことを定めていることからいたしますれば、閣議決定後、国会の議決がある前から対処措置が実施されるというふうに理解できます。したがいまして、四項の一号に基づく防衛出動に係る記載がある場合は別でございますが、これ以外の場合は国会の関与というものは事後というものが原則になろうかと思います。この国会の事後の関与というものは、現に武力攻撃が発生しているわけではないいわゆる予測事態の場合も含めて事後の関与ということになりますし、修正協議におきましてもこの点には手が付けられていないというふうに見ております。 また、修正されました九条の十四項でございますが、これは、対処措置を終了すべきことを国会が議決した場合には、内閣総理大臣が対処基本方針の廃止につきまして閣議決定を求めるという定め方をしております。法案には九条の十一項の場合を除きまして対処措置の終了を直接定める規定はございませんけれども、十五項が対処基本方針の廃止の閣議決定の後速やかに国会報告及び公示するというふうにしていることからも、国会の議決があれば自動的に対処措置が終了するというわけではなく、この点でも国会の関与は間接的なものにとどまるというふうに考えております。 さらに、こうした国会関与の脆弱性というものは、対処基本方針に記載されるべき事項の不明確さによりまして増幅されるというふうに見ております。法案は、九条の二項三号で対処措置に関する重要事項というものを定めておりますが、それを受けまして三項ないし五項で自衛隊の活動にかかわる規定というものを置いております。しかしながら、それ以外の重要事項の内容というものは明らかでありません。加えまして、そもそも、その対処措置を定義する二条の七号を見ましても、とりわけ予測事態における対処措置の中身、全体像というものは不明確であるというふうに思われます。このように、対処基本方針の内容に不明確な点が残されているというふうに判断されますので、これに対して国会が実効的な統制を行い得るかという点については強い疑問を持っております。 以上のように、修正点を含めましても、法案における国会の関与というのは極めて不十分なものではないかというふうに思っております。 第三に参ります。基本的人権の尊重についてでございます。 政府原案の三条四項というものは、文言に若干の修正を加えた上で、修正後の前段という形で維持されております。したがいまして、同時に提案されております自衛隊法改正案の七十七条の二、これは防御施設の構築という規定でございますが、などにも見られますように、予測事態における人権制約の可能性というものがこの修正合意におきましても一般的に承認されている格好になります。かつ、この三条四項にかかわりまして、政府は、これは公共の福祉による制限であるという説明の仕方をしております。これは、自衛隊法の改正案の中に物資保管命令、百三条に係る規定ですが、これに新たに百二十五条で罰則を設けるということが行われた、存在しているということからも、ここにおける公共の福祉というものの中には、いわゆる軍事的公共性というものが含まれてくるという格好になります。 そもそも、一切の軍事的手段を否定した日本国憲法九条の下でこのような軍事的公共性が承認されるのか自体、極めて疑問でありますけれども、それをおくといたしましても、公共の福祉による人権制約の可能性というものを一般的な形で承認すること自体、公共の福祉の名目で行われる野方図な人権侵害を排除すべく学問的な努力を積み重ねてきた憲法学の成果というものに余りに配慮が欠けているのではないかというふうに感じております。 また、修正によって追加された三条四項の後段でございますが、これは、前段に言う尊重されるべき国民の自由と権利と区別する形で、「日本国憲法第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。」としております。法文上、その他ではなく「その他の」ですので、十四条等は例示規定ということになります。したがいまして、最大限に尊重されるべき基本的人権に関する規定の範囲というものが決定的に重要になると思いますけれども、この間の修正協議の中で民主党が提案いたしましたいわゆる対案におけるそれなりに詳細な定めというものが、この修正後の後段におきましてはかなり簡略化された形になっております。したがいまして、ここで言う基本的人権に関する規定の範囲というものについては、今後の審議の中で是非具体化していただく必要があるのではないかというふうに考えております。 もっとも、先ほど申し上げましたように、三条四項の前段で人権制約の可能性を一般的に承認する格好になっておりますので、後段におきまして「最大限に尊重」というのも、せいぜいのところ程度問題にすぎず、人権侵害に対する有効な歯止めとなり得るかについての疑問というのはやはり残ります。 仮に武力攻撃事態等が発生した場合にも、確実に人権保障を行うというのであれば、むしろ自衛隊法改正案の中にございます、先ほど申し上げました物資保管命令あるいは業務従事命令等に係る規定、さらには現行法に既に存在しております防衛秘密の保護規定、九十六条の二でございますが、といった規定の削除あるいは修正といったことを考えるというのがむしろ筋ではないかと思っております。 また、この間の修正協議の中で民主党が要求した点につきましては、今後の国民保護法制の整備の中で具体化するという覚書がございます。しかしながら、この整備期限については、事態対処法制全体については速やかにという形、そして国民保護法制につきましては一年以内を目標というふうになっておりますが、人権制限にかかわる具体的な定めを欠いたまま一般的な人権制約の可能性のみを先行して承認するという、こういう法整備の在り方にも大きな問題があるというふうに考えております。 以上のように、修正された点を含めましても、平和主義のみならず、人権保障、議会制民主主義、さらには、公述では触れることができませんでしたが、地方自治の保障についても極めて深刻な影響を与える本法案の問題は解消されていないものと考えております。 もっとも、政府原案について、欠陥だらけであるとか破れ傘等々、様々な形容があったわけでございますけれども、これが修正によって実質的に修正されたというふうに言うのでありましたらば、四党合意から衆議院通過に至る経緯にかんがみましても、本院においてこそ本格的な審議が必要であるということになろうかと思います。 したがいまして、当委員会におかれましても、法文に即しまして慎重かつ徹底的に審議されるということを私としては希望したいと考えております。 時間でございます。以上をもちまして私の公述とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○団長(山崎正昭君) どうもありがとうございました。 次に、村田晃嗣公述人にお願いいたします。
○公述人(村田晃嗣君) ありがとうございます。御紹介いただきました同志社大学の村田でございます。時間が限られておりますので、本題に入らせていただきます。 まず、今般、いわゆる有事三法案が衆議院で与野党多数の賛成で可決され、今この参議院で慎重に審議されているということを誠に結構なことだというふうに存じております。さきの国会で政府が御提案になった法案についての様々な批判や意見を盛り込んで、今回の政府提案も前回に比べて緻密なものになっていたというふうに思いますし、また、今回はそれに対して野党が建設的な対案を提示をされて、それを取り込む形で法案が少なくとも衆議院で通過し、今参議院で審議されているということは大変結構なことであろうというふうに存じます。 そもそも、よく言われますように、政府が有事法制の研究に着手をいたしましてからおよそ四半世紀がたっているわけでございますけれども、当初の有事法制の研究と申しますのは、これは専ら自衛隊法の第七十六条にかかわるもの、つまり、いわゆる防衛庁マターの問題でございましたけれども、今般の法案は、防衛庁だけではなくて国全体が有事にどのように取り組むか、あるいは国だけではなくて、お話に出ておりましたような地方公共団体を含めての取組という、大きな法的枠組みについての整備を進めようとしているという点で、大変評価されてよいことであろうというふうに存じております。 それから、我が国では、さきに日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインに基づきまして周辺事態法が成立しておりますけれども、これで有事法制が整備されますと、日米安全保障条約に言うところの六条事態と五条事態両方についての国内法的な整備が進むということであって、我が国の安全保障の観点からも私は大変結構なことではないかというふうに存じております。 また、御案内のように、ここ数年来、我が国を取り巻く北東アジアの安全保障環境が極めて流動化し、あるいは危機が高まっておりますけれども、こうした中で我が国の国会が有事法制を成立させるということの対外的なメッセージと申しますか、我が国がこの国際環境に対してしかるべき危機感を持って臨んでいるということを近隣諸国にも明確に伝えるという意味でも、この有事法制が今般審議され、そして成立することは大変重要なことであろうというふうに考えております。 しかし、もとより法案そのものの中にも幾つかの将来の課題が盛り込まれておりますけれども、将来更に検討すべき点が、これはお話にもありますように国民の人権にもかかわる問題でございますから、将来にわたって慎重に議論されるべき点が多数あることは言うまでもございません。 私は二点だけ申し上げたいと思いますが、まず第一点でございますけれども、この事態対処に当たって、何ですか、対策本部が設置をされると。総理が本部長におなりになって、全閣僚がその対策本部のメンバーになる、また対策本部には本部長、副本部長を置くと。これは極めて適正なことであろうというふうに思います。 しかしながら、例えばテロにいたしましても、あるいは武力攻撃型の有事にいたしましても、有事というのはそもそも今まで私どもが想定していないようなことが起こる可能性が多々あるわけでございまして、例えば首相官邸がねらわれる、あるいは国会の承認といっても国会議事堂そのものがねらわれる、国会議員の三分の二以上が死んでしまうというような事態もこれはないとは言えないわけでございまして、この対策本部でも、本部長に故障があるときには副本部長が代行なさるということですけれども、副本部長をおやりになる閣僚が例えば官房長官のような場合、総理がねらわれるというようなときに官房長官も実は近くにおられて、一緒にねらわれているという可能性は排除できないのでありまして、この職務権限の代行といいますか継承の順位というものについて、副本部長までではなくてもう少し厳密にお考えになるべきではないかと。 もちろん、各内閣ができるときに総理の職務代行については内閣ごとにお決めになっていると思いますけれども、それはその時々の内閣の年輩の閣僚の方に回るとかいうようなかなり状況的なものであって、総理大臣あるいはこの対策本部長の権限の、故障があったときの継承について考える必要があって、あるいは、これはこの有事法制案ではなくて国家行政組織法であるとか内閣法に関連することかもしれませんけれども、有事の際の意思決定のメカニズムが有効に機能するという点では、こういうことについても今後御検討いただきたいというふうに思っております。 それから、もう一点目は、これは民主党が御提案になってこの法案の中に盛り込まれた危機管理庁について検討するということでございまして、私はもちろんその危機管理庁というようなものの設置について検討することも大事なことかというふうに思いますけれども、この有事法制が仮にできまして、法律の大枠ができる。今度はそれの実施、運用ということになりますが、そうしますと様々な中央官庁がこの実施、運用に関係する。それから、地方公共団体もこれにおかかわりになる。非常に複雑な運用、実施のプロセスを進めていかないといけない。そうした中で、官僚機構間の権限であるとか所轄のすり合わせという非常に難しい問題が出てまいります。 そうした中で、実際的に考えたときに、危機管理庁のようなものを作ることで官僚組織間のそういう権限の重複ですとかすり合わせを統合するような役割を危機管理庁が果たせるのか。あるいは、もしかしたら屋上屋を架すもう一つの官庁を作って事態を更に混乱させるだけになるのかもしれない。 その点については、御検討になることはもちろん重要でありますけれども、作った以上はそれが本当に官僚機構や地方自治体との連携に役に立つものにするような、そういう方向で慎重に御検討いただきたいというふうに思いますし、あるいは、ここで危機管理庁ということが考えられているのは、恐らくアメリカの連邦緊急事態管理庁、いわゆるFEMAがイメージとして想定されていると思いますけれども、私の理解するところでは、アメリカの場合はアメリカ合衆国軍が基本的に外征部隊、つまり外で戦う部隊であって、国内での戦闘や活動に従事することを本来の職務にしていないといいますか、課題にしていない軍隊でございますから、アメリカ合衆国軍に対して、国内での緊急対策に対してFEMAというものがあるのであって、我が国のように専守防衛を前提とした自衛隊という組織がある国で、FEMAに類するものを国内で新たな官庁組織として作ることが果たしてどれだけ有効かということについては御検討を更に賜りたいところであるというふうに存じます。 しかしながら、いずれにいたしましても今後残された課題はたくさんございますけれども、そして、それについては慎重に基本的人権の問題を含めて御検討いただきたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、有事というのは基本的に私どもの想定を超えた事態を多く含んでいるのであって、余りに法律論的な議論に傾いたときに、本当には役に立たない法律を作ってしまったというようなことにならないように、政治的、大局的な御判断をもって今後更に議論をお進めいただきたいというふうに思います。 少し短いですが、これで終わらせていただきます。
○団長(山崎正昭君) どうもありがとうございました。 次に、村田嘉孝公述人にお願いいたします。
○公述人(村田嘉孝君) こういう機会を生まれて初めて得たわけでありますが、その点について非常に有り難く思っているわけであります。 参議院というのは、二院制の中でいろんな参議院の必要性とかなんとかというようなことが言われているわけでありますが、相当前からあると思うんですけれども、こういうような場を設定していただいたということは、非常にやはり参議院の特性が生かされていて、極めて良識の府であると私は思います。 そういう意味で、地方で、特に地方で公聴会を開かれるということは、いわゆる政治についてきめ細かい国民を思う配慮が参議院にはあるんだなということを私はつくづく感じたわけであります。しかも、この委員の皆様は、国会の、先ほどの資料を家へ送ってきて、一昨日送っていただいたんですが、ほとんど読む時間がなくて、ほとんどさっと見ただけでございますけれども、国会で衆議院と合わせて何百時間も今まで検討されて、参議院も今何百時間という審議をされているということについて、参議院の委員の皆様方は大変な専門的に勉強をなされたことであると私は思っております。それで、私ごときが意見を言っても非常におこがましいと思うんですけれども、思ったことだけ申し上げたいと、こういうように思うわけであります。 私は、公立中学校や公立高校の教員をしまして、それで県の教育委員会、社会教育課でございますが、それから公立高校の校長を二つやりまして、そしてその間、体協の副会長とかそれから国体選手団の副団長とか体育関係もやりまして、現在は社会福祉法人、自閉症の施設でございますが、これは非常に重要な施設で、その施設とそれから小さな会社を今経営しているわけであります。 そういう意味で、私は、今朝の新聞見ましたが、イラク新法というのは、自衛隊をイラクへ送るという法案についても、どうも今朝の記事を見ると有事関連法案の後に考えると、こういうようなことを言っていましたが、それに位置しますと、非常にこの法案は重要な地位というんですか、位置を占めていると、こういうように私は思います。 それで、まず外部からの武力攻撃を受けた場合の国民の生命それから身体、財産を保護するための法整備、これは私は国の責務であるとまず思います。やはり、これは日本国憲法の中に、資料の中にもありましたが、日本国憲法の中に国民の、国民と自由の権利、先ほども公述の中にありましたけれども、そういう基本的人権、こういうののすり合わせも大切なことだと、こういう具合に思っております。 それで、この法案について簡単に申し上げますと、まず有事関連三法案は我が国の平和と安全を図る極めて重要な法案であると、だからもう早期成立をしなければならないのではないかと、これが私の立場であります。したがって、骨子としましては、全般的に考えてみますと、やはり三法案は、我が国の平和と安全といいますか、やはり今まではいろんな事件がありまして、国民の生命や身体やそういうものが非常に侵害されている状況が他国によって起きていると、そういうふうなことを守るための基本的な法律であると私は思います。 それから、武力攻撃事態対処法案については、外国からの武力攻撃に対して国全体で対処する姿勢を明示したもので、これは、私はやはり国民への意識付けですか、それから納得、それから憲法の各条文、他の法律との関係、これは恐らく法制局とすり合わせなされると思うんですけれども、その点で評価できるのではないかと。なぜ今まで整備されていなかったかということについては、どうやらというような感じを私は持っているわけであります。 それから、各法案につきましては、武力攻撃事態、これ、どうも資料見ますと、専門的なことは分かりませんけれども、攻撃が発生する明白な危険が切迫するというように言われているわけでありますが、このときの基本理念又は地方公共団体の基本的な責務を規定しているから、国及び地方公共団体の役割を明確にしているんではないかと、こういうように思っております。 今後、国民と一番の接点を有する地方公共団体にどのような役割を期待しているのかということを国民と一体となって検討することが必要ではないかと。それから、国民に協力を求めていますが、これはちょっと、後でもまたちょっと申し上げたいと思うんですけれども、政府としての法案の趣旨をよく説明して、地方公共団体と連携して一体となって行動するための枠組み、そういう醸成、醸し出す、雰囲気を醸し出すといいますか、そういうものをやっぱり促進することが必要ではないか。 それから、国防の中心である自衛隊、これ、自衛隊というのはやはり私は国民のそういう点においてはよりどころだと思いますけれども、より迅速的確に対処できる、そういう枠組みが整備されているということについても評価いたします。 それから、国家として一元的な行動を行うために必要な限度で内閣総理大臣に権限が集中されることも必要だと認識しますが、ただし、その場合に、私はやはり監視・抑制機関が必要ではないかと、こういうふうにちょっと思うんですが、その点余り自信ありませんけれども、やはりある程度抑制機関とか監視機関が必要ではないかなというような気を、私個人は思っているわけであります。 それから、地域的な特性につきましては、九州の不審船は別としまして、この地域は能登沖不審船、あれは平成十一年三月でございましたが、その不審船の事案、それから他国兵士の漂流遺体、漂流、海岸へ漂流しましたね、そういう問題。又は、先ほど公述人が言われましたように、原発の集中。こういう武力攻撃事態というよりその他のテロ、いろんなテロが考えられると思うんですけれども、その緊急事態の発生の蓋然性、いわゆるその蓋然性というのは起こる可能性が高いといいますか、そういう地域だと。その地域的な特性を有しているから、このために、それに対処するための施策をやはり推進していくということが重要であると。だから、この地域の、この地域の喫緊といいますか緊急といいますか、そういうものの課題と私は認識しているわけであります。 それから、国民の啓発につきましては、やはり常に危機と同居しているこの地域、福井という地域でございますが、これにかんがみて、防災訓練とかそういうものも、事態が発生した場合の対応行動についてそういう防災訓練などを行っていくことが重要ではないか、そして単に計画するだけではなくて、実践することによって問題点を把握し分析していく、そして継続的に改善し、計画を修正することが必要ではないかと、こういうように思います。 それから、郷土愛ですね。私たちは、この国民の協力ということからちょっと考えるんですが、この法案によると責務はないんだと、協力してもらうんだと。そうすると、この協力というのは一体何だろうと。そうすると、協力というのは、やはり地域を愛し、郷土を愛し、そして人を愛する。人は生かされて生きる、自分一人で生きているんではない、いわゆる他の人と一緒に生きていくんだということを考えていきますと、この郷土愛を中心とした、もっと言い換えれば人を愛する、国を愛する、そういう気持ちをどんどん図っていかないと国民の協力が得られないのではないか。私は、この国を愛する気持ちというのは人を愛する気持ちと一緒だと、地域を愛する気持ちと一緒だと。そういう気持ちで、やはりそういう気持ちを国民が持たなければ、協力する、責務はないんだと、協力するんだと、協力する気持ちを引き出すためには、そういう国を愛するといいますか、地域を愛する、郷土を愛するという気持ちをやっぱり育てていく施策を作る。どんどんやっていかなければならないのではないか。これ、これだけで終わるんではない。また次の時代、次の時代、次の時代、歴史はやはり、弁証法的にやっぱり歴史は繰り返すんですから、そういう次の世代のことを考える必要があるんではないかというように私は思います。 それから、一つ最後に言っておきたいんですけれども、私、ちょっと分からぬから先生方も考えていただきたいんですけれども、やはり自衛のための防御システム、自衛ですね、自衛のための防御システム、僕は余りよく分からぬですけれども、例えば弾道ミサイルというような場合に、それを防御するシステムをやっぱり開発といいますか、何とかしなければ、これは技術的にできるかできぬかはちょっと分からないんですけれども、その防御システムを開発すると。どれだけ掛かるか知りませんよ、私、財政とかそんなのは私たちには分かりませんけれども、そういう財政的な措置を取って、そして自衛隊ですか、国の行政機関の中に、やはり防御システム、攻めるんではなくして防ぐんだと、そういう防御システムを開発し、取り入れていかなければこれはならないのではないかと、こういうように痛切に思います。 特に、最後のこの防御システムについて、参議院の先生方は優秀な先生で、何百時間という審議をなされているんですから、今の財政的事情の中でひとつ、その点をひとつ御配慮いただければ有り難いと。 つまらない意見、取り留めもなかったんですけれども、御意見拝聴していただきましてありがとうございました。 よろしくお願いいたします。
○団長(山崎正昭君) どうも本当にありがとうございました。 以上で公述人の方々の御意見の陳述は終わりました。 それでは、これより公述人に対する質疑を行います。 質疑のある方は、挙手の上、私の指名を待って御発言願います。 なお、委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いしたいと存じます。 また、御発言は、質疑及び答弁ともに着席のままで結構でございます。 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
○国井正幸君 自由民主党の国井正幸でございます。 今日は、公述人の方々には本当に貴重な御意見を賜りまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。 まず、河瀬公述人にお尋ねをしたいというふうに思いますが、全国の原子力発電所がある自治体の協議会の会長さんもやられておると、こういうふうなことで、特に市長さんとして市民の安全の確保のために日ごろ御尽力いただいているわけでございますが、そういう中で、原子力発電所、確かに原子力発電所そのものについては安全を期して運行されているわけでありますが、ただこれは、通常のいわゆる事故、通常で言う事故等に対しては安全な形を最大限取っているわけでありますが、外部からの攻撃というのは余り想定をされていないわけですよね。そういう意味で、テロの御心配なども先ほどお話がありました。 そういう中で、これから国民保護法制がこの三法案の成立後速やかにということで、一年以内に国民保護法制を整備することにいたしているわけでありますが、自治体の長として、こういう部分が非常に心配だとか、あるいはこういう部分はどうなんだろうというふうなことで、今お気付きの点がありましたら、ひとつお聞かせをいただきたいということと、もう一つ、これは江守公述人とも共通しているわけでありますが、いったんこの地が、例えばもう、今日はこの地で、これ公聴会をやっているんで、あえてこの地とこう申し上げますが、どうも攻撃されそうだと、こういうことになったときに、市民を避難をさせなくちゃならないわけですね。そのときに、特にこの近在には原子力発電施設なんかもあって、幾つかの自治体がある。そういう中で、先ほども舞鶴若狭自動車道の整備の話がありました。伺っているところ、余り整備がよく進んでいないような話も承ったわけでありますが、その辺の整備状況等について、この際、国等に要望するような状況があれば、この国民を避難誘導するということを含めて、その辺の考え方、現状といいますか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思いますが。 河瀬公述人と江守公述人、併せてお願いしておきたいと思います。
○公述人(河瀬一治君) それでは、私どもの心配ということで、いろんな法律の中で、私もそのいただいた資料、もうたくさんございまして、全部読む間もございませんでして、細かい部分につきましては分からないところもあるんですけれども、ただ、心配といいますのは、先ほど村田先生もおっしゃっていただきましたけれども、その発電所の安全問題で、実は例のテロ事件、アメリカのテロ事件のときの話で、じゃ、そういうジェット機が発電所の方へ突っ込んできたらどうなるんだという、いろんな議論あったときに、いろいろこの解析もしていただきまして、真上から突っ込む以外は、今の発電所はジャンボジェットが横から突っ込んでも安全であるという話を聞きまして、じゃ、その真上から落ちるという、私も聞いた話なんですけれども、そういう話を聞いたりしまして、ただ、先ほど言った北朝鮮のミサイルが本当に核を積んで飛んできたら、もうそれはどうにもできないであろうと、もうお手上げになるという。 そういうようなところで、防御といいますか、もちろんこれは有事の中で、もし相手が何かするからどうなるという場合には、やはり専守防衛といいますか、そのミサイルがこちらに落ちる前に落としてもらうのがこれは一番でございますので、そういう点で、これは仮に、民間のジェット機はもう今のしっかりした体制の中ではそういうことはないというふうに思いますけれども、そういう心配があるものですから、今回のこの法律の中で、そういう事態になったとき、それと先生おっしゃっていただきました例の避難ですね、もし攻めてくるって分かったときに、やはり避難させなきゃこれはならぬものですから、これは、私も、ちょうど今、原子力災害対策特別措置法なども成立をいただきまして、今もし万々が一に発電所で事故があった場合にはということで今訓練を、これ今定期的にやらさせていただいておりまして、そういうものも恐らく生かせるのかなというふうに思っておるんですが、悲しいかな、今私どもこの嶺南地方には国道二十七号線が一本通っております。これも実は慢性的な渋滞する箇所がたくさんある実は道路でありますし、県の方で海街道という道も少し通ってまいりましたけれども、極めてその道路事情が悪い。これ、いざというときに避難しなさいと言われましても、恐らくできないんじゃないかということはあります。 特に今、私ども、この敦賀半島がございまして、これは例の映画、「宣戦布告」の映画でも出ましたけれども、ちょうどあの辺りのところでありますけれども、実はこの敦賀半島というのは道路が切れております。といいますのは、私どもの市街地からずっと行きまして、ちょうど日本原電一、二号機、またふげん発電所があります浦底、そして立石という地区がありますけれども、そこで実は道路が切れております。昔から敦賀半島を周遊をしようという道路の計画もあったんですけれども、これも遅々として進まない。そしてそれを、道路がありませんから、もし仮に道路ができますと、そこから「もんじゅ」という発電所、先生方も行かれたかもしれませんけれども、その地域、それを渡りますと今度、これは美浜町さんになりますけれども、丹生というところに関西電力の発電所が、一、二、三、四号ありまして、もう現在でも七つの発電所がその半島の先に立地がいたしております。しかし、道路がつながっておりません。 そのような状況と、先ほど言いました舞鶴若狭自動車道も、これも敦賀から小浜の方までまだ切れておる、五十キロ残っておりまして、これもなかなか、もちろん、やっていただけるものというふうに思っておりますけれども、そのやり方を、今までのようにじゃなくて、いろんな方法で云々かんぬんというような議論をまた、非常に乱暴な意見ですと、もう必要のないところは造らぬでいいじゃないかというような、そんなような今意見も出ておりまして、非常に私ども憤慨しておるんですが。 そういう意味で、こういう立地地域にとりまして、先ほど先生おっしゃっていただきましたように、いざというときにどうするんだということを考えていただけば、当然これは早くもう国として造っていただかなくちゃならぬ私は道路だというように常々思っておりまして、いろいろお願いもさせていただいております。 そういう点、是非こういう道路網の整備等につきましても、私どもはもう現状のままではとてもこれ、仮に法律できまして、さあ、いざ、仮に有事がなりそうなときに逃げいと言いましても、一体どこへ逃げていいのかなという、実は地元としては実は不安がございますので、このことを強くお訴えを申し上げたい、このように思っております。
○公述人(江守幹男君) 今、国井先生の方からの御質問でございます。 私どもの方は、そういう有事の場合にどういうふうにするのかということで、実は私、公安委員長の経験をしておるんでございます。そのときにつくづく感じましたのは、もちろん全国の警察の警察官がこの十五基の原子力発電所に今応援に来ていただいておりますよ、警備のためにね。しかし、一たび有事になった場合に、本当にこれそういうことで防御できるんであろうかということ、とても不安に思うんですね。 そうしますと、やはり、例えば自衛隊、そういう正規軍を大量に移動できる、これをやっぱり特にこういう地方は持たなきゃいけない。そうなりますと、私は新幹線だと思いますよ。これ金沢に大きな部隊がございますし、大量に持ってくるのに今のJRではとても持ってこられませんな。これはやっぱり新幹線ですね。それはまた大阪から持ってくることもございましょうしね。 そういうことを考えました場合に、新幹線というものは有事の場合に非常に大切なんだということを私はやっぱり感じるんですね。もちろん、平時の場合もこれがないことにはその地方の開発は起きませんからね。 そういう意味におきまして、福井県は、今度新幹線が北陸新幹線というので見直しになっているんですね。この中の先生方の中でそういう御関係の深い、特に山崎先生は非常に関係の深いものでございますのでお願いをしているわけでございますけれども、そういう有事の場合にも、大量輸送の手段としての新幹線の重要さ、必要さ、これは先生方、よろしく御記憶をお願いいたしたい。 もちろん、これは先ほど河瀬市長言われましたように、高速道路ですね、これはもう当然でございます。特に、若狭のところに通っております二十七号線でしたかね、これはもう本当に、もう本当に一日も早く開通しないと、私は有事の場合にどうするんだろうかと一番心配するのは地域住民だろうと思いますね、もう物すごく混雑する道路でございますので。 そういうふうに、有事の場合の大量輸送手段、これをやはり是非私は実現できるように国として考える責務があると、防衛のための責務があるんだというふうに思うわけであります。 以上でございます。
○国井正幸君 今の御意見、しっかり私どもも受け止めて、これから努力をさせていただきたいというふうに思います。 なお、あわせて、村田公述人からもありました、あるいは河瀬公述人からもありましたが、ミサイルディフェンスの問題ですね。これ、参議院のこの特別委員会もテレビ放送があれば皆さんが、冒頭の部分なんかはありましたからお聞きをいただいた部分あると思いますが、延々とやっていまして、そういう中で、私どもも十分専守防衛という立場でこのミサイル防空システムの開発研究について鋭意検討を進めておりますので、これは国会の議論を通じて、与党としても一生懸命進めていきたいというふうに思います。
○椎名一保君 自由民主党の椎名一保でございます。 今日は公述人の皆さん方、ありがとうございます。御苦労さまでございます。 初めに村田晃嗣公述人にお伺いをしたいと思います、備えと憂いということにつきまして。 この有事法制の整備が戦争国家につながるとかアメリカの戦争に巻き込まれるとか、巻き込まれるんですかね、まだそういう疑念を持たれている方が大分おられると思うんです。備えあれば憂いなしという言葉がありますけれども、しかし、過去の侵略戦争がすべてその備えから始まったんだというようなまたことをおっしゃられる方もおられます。 このことにつきまして、これは先生がおっしゃられる比較考量の問題だと思うんですけれども、簡潔にこの辺りのことをお話しいただければと思います。
○公述人(村田晃嗣君) ありがとうございます。 備えあれば憂いなしというのは小泉総理が繰り返し言っておられたことですが、失礼ながら私はそれは間違いだと思っておりまして、備えがあっても憂いがなくなるわけではないのであって、ただ、備えがあると憂いは減るかもしれないということでございます。しかし、その備えの結果、別の憂いが生ずること、可能性もあって、備えによって減る憂いと新たに生じる憂いを比べてどちらがよいかということを判断するのが政治や外交というものでございますから、ワンサイデッドに、一方的に良くなったり一方的に悪くなったりするわけではなくて、常に比較の中で考えていかなければならないということだろうと思います。 しかしながら、今般の有事法制についても、もちろん人権の観点その他でいろいろな問題があろうかと思いますけれども、処罰規定につきましても、この法案の中で盛り込まれているようなものは、何でしたか、懲役六十日、三十日ですか、以下、それから何万円以下の、以下の罰金というようなものであって、もちろん、それでも処罰規定があることは事実ですから、それは非常に深刻に受け取ることもできますけれども、例えば、それをもって国家総動員法や治安維持法等の連動で議論するというのは余りにもアナクロニスティックで、そうした議論が中身についての本当に建設的な議論をこれまで阻んできたのだろうというふうに思います。 それと、アメリカの戦略に巻き込まれる危険ということでありますけれども、逆に、これも御案内のように、アメリカのいわゆる軍事技術革命が急速に進んでおりまして、アメリカが世界に展開をしている米軍のプレゼンスについて大幅に今見直しつつあるという中で、アメリカの同盟国の間でも、場合によってはアメリカに巻き込まれるどころか見捨てられるという可能性を今世界の主要国が持ちつつあるわけであって、巻き込まれと見捨てられのバランスといいますか、危惧感のバランスというものも出てこようかというふうに思います。 もちろん、我が国がアメリカの同盟国であり、我が国に米軍の基地が存在する以上、アメリカの軍事行動に我が国が巻き込まれる可能性がそれは全くないというふうには言いませんけれども、問題は、我が国とアメリカとがどれほど国益を理解といいますか、国益の判断、共有しているかというところであり、そして、様々な日常的なあるいは政治的な協議の中で日本とアメリカとの政策がどれだけ調整できるかということが非常に大事であろうというふうに思います。 同盟というのはリスクをある程度共有することですから、リスクをゼロにすることはもちろんできませんけれども、しかし、私どもがアメリカと同盟を組んでいることによって生じているメリットというものとそのリスクとのバランスを考えたときに、私どもはやはりアメリカ合衆国との同盟というのを今後も選択すべきだというふうに私は思っておりますし、それから、周辺事態と並んで、日本有事のときに日米がどう協力できるかということ、あるいはそのときの米軍の行動についてどういうルールが定められるかということも含めて、今般のような有事法制の大きな枠組みができて、さらに将来、細部について議論が深められるというのは大変結構なことだと存じております。
○椎名一保君 ありがとうございます。 続きまして、河瀬公述人、先ほど御意見をお伺いさせていただきました。このように理解をさせていただきたい、理解をいたします。 まず、日本は非常に、物すごい中央集権ですね、そしてなおかつ縦割り行政であると。恐らく、この原発の所在地を代表する市長さんとして、もう大変な御苦労をされてきたと思うんです。ありとあらゆることに備えたシミュレーションをされてこられたと思うんです、先ほどのお話にもございましたけれども。しかし御承知のとおり、水際を見ても、水際線を見ても、港湾から漁港から、道路だって国の管理、県の管理、市の管理、河川についてもそうですね。 そこで、市民に対して一番責任を持たなければならない長として、ああしよう、こうしようと考えたとき、これはもうどうにもならぬということでは、そういうお考えに至ったんではないかと思うんですけれども、ですから、そのためにはどうしても一刻も早く国家、国として、国家としての有事法制を整備しなければならないと、そういうことでございますか。 御意見をお伺いしたいと思います。
○公述人(河瀬一治君) 今、先生がおっしゃっていただいたように、行政も本当に今、今は地方分権の時代ということで、少しずつ変わってきておることもありますが、やっぱり基本的には余りにも縦割りがはっきりし過ぎておる。それといろんな許認可についてはまだまだそういうような体制も整っておらぬのも現実でありまして、これはまたこれからの地方分権に向けての、私ども市町村合併と、いろんな諸問題ございますので、それはそれとしてまたいろいろ運動したいと思っておりますが、特にそういう中で、特に原子力発電所を持っている地域は、特にこれはもうこの有事のみならず発電所の災害時におきましてもいろいろと実は苦慮することがたくさんございます。 〔団長退席、国井正幸君着席〕 私ども、いつも原子力につきましては、いろんなことについて、ともかくこれは一元的に国が責任を持ってやってくれと。といいますのは、一地方自治体で対処できない諸問題、事故等々に関してでもありますが、いろんなことがございます。当然、これはもう建設に当たる段階からでももうそういう問題がいろいろ複雑に絡み合っておりまして、これは基本的に、もし地方としてこれを責任を持ってやりなさいという、例えば私どもに権限もすべてありますれば、またその防御についても、何かあったことについても自分たちでこれはやろうという一つのことになりますが、そういう点では、今の現時点では、やはり例えば建設段階から当たって、すべてにおいてはやはり一応国の国策という中で地方は協力するという形なんですね。地方は、発電所を建設をしたいという事業者の動き、また国としての立場の中で私どもは協力をするという立場でありますから、そういう体制の中であれば、やはりこの有事の際であっても、災害、原子力災害の際であっても、当然これは国としての一元的な責任をまず持ってほしい。 それをやることによって、縦割りであり横割りであり、その辺りは統一してできるということで、そういうことをやることによって私ども地方は、まあ言い方は変でありますけれども、安心ができるということでございまして、是非、今回においても、これが国としてこれはもうしっかり守ってあげますよという、そういうことは明確に地域住民にとって分かることでありますので、先ほど言いましたように、こういう法律をしっかりと取って、そういう体制を取っていただきたいという願いで発言をさせていただきました。
○椎名一保君 ありがとうございました。
○榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。 それぞれの公述人の方々には貴重な御意見、心から敬意を表したいというふうに思います。 お二人の公述人に御意見を求めたいと思います。 まず、河瀬公述人にお伺いをします。 この有事三法が通りますと、一年以内に国民保護法制という形で地方に大分御負担と責任が行くということになろうかと思います。とりわけ避難住民の誘導でありますとか、有事のときの災害の措置でありますとか、様々な問題が参ります。大きな問題になりますと、自衛隊、それは国の管轄でございます。そして警察は県と。 様々な問題が来るわけでございますけれども、私が一番地方自治体の長の皆様方に御負担になろうかと思うのは消防の部分でございまして、国会で消防署と警察、自衛隊という関連はよく論ぜられるんですけれども、現場において、とりわけ市町村の現場においては消防団という組織がございまして、実はこの火災の現場というのは消防署が消すものだというふうに皆さんよく思います。これは当然そうなんですけれども、ところが、実際の火事の現場になりますと、地域にいる消防団の方が先に火事の現場に行って消火活動に従事するということが非常に間々起こります。 ところが、この災害がテロで起こった場合、非常に現在の地域自主防災の方々であるとか消防団の方々に私は大きな責任と御不安が降り掛かってくるんだろうと。そのときの管理者は市町村長でございますから、その点について非常に難しい指令が今の市町村長の段階でできるかどうかと、実際にですね、その点の懸念について、現場の声をお聞かせ願えればというふうに思います。 そして、もう一点。今度は村田晃嗣公述人にお伺いをしたいと思います。 昨年八月のセキュリタリアンの論文を拝見させていただきました。ここでも触れているんですけれども、少し先生には武力攻撃事態と周辺事態の関連、この点で先生が危惧されている点を若干教えていただきたいという点と、そして日本国憲法には、緊急条項というものが憲法五十四条にしか触れてありません。この憲法五十四条というのは、御承知のとおり、参議院の緊急集会というもので、これだけなんですね。ですから、民主党は、このためにも是非とも基本法というものを制定するべきだということを主張してまいりました。この基本法のあるべき姿について教えていただきたいと思います。 そして、三点。これは関連ですけれども、今イラク新法のことが国会でもだんだん話題になってまいりました。武器使用基準を今のままにして、「軽い」イラク新法というのが今日の新聞にも載っていましたけれども、この点について御意見をお願いしたいと思います。 以上です。
○公述人(河瀬一治君) 今回の新法ができて、そして私ども地方自治体にたくさんの負担があるよということで、それはもう私どもも地域住民を守るという観点の中で、私の立場とすればいかなることにも対応できるように最善の努力はしたいと思いますが、特に今、一般の火災ですと、確かに先生御指摘のように、消防署というのはある程度地域、ある場所が限られておりますので、比較的地域の自主防災の組織の中で先に動いていただいて、そして消防、私どもの町は地域、場所によりますけれども、比較的小さい町でございますので時間、ある程度の時間では行けますけれども、現場でお互いが、私どもの消防署とそして自主防災会等が日ごろいつも、私どももこれは訓練を行っていただいて、いざというときに備えておるんですが、そういう体制は取っております。 しかし、今回、有事ということになりまして、火災だけではいいんですけれども、例えば火災も起こっておるし、そこに敵の兵士がおるときに、じゃ行けと言って本当にこれみんな行くのかなというような思いになったときに、いかに私どもが、例えば消防の責任者として火を消すのにと旗を振ってもだれも付いてこぬ、みんな逃げてしまうという、そんないろんな事態がございますので、一概に、いや、私どもの気持ちとしてはそれはもう守るためにやりますと言いながら、これは失礼ですけれども、現に自衛隊の皆さんの方だけで、本当にいざ現場になって向かい合ったときに、命張ってやってくれる人ももちろんこれはいると思いますけれども、逆に言うと、いなくなる人もいるかもしれぬ中で、全く、それじゃそういう有事のときの訓練を是非、じゃそこに敵兵を構えてですよ、実際に、そこぐらいはやっていただかぬことには何とも判断のしようがないというのがまず一点でありまして、それは確かにその辺は心配です。 目の前に敵がいながら、そんな一般市民に、幾ら私が先頭になってですよ、私はまあ太いですから弾の三発ぐらい当たっても通らぬと思いますけれども、そういうわけにはまいらぬわけでありまして、そういう非常に実は心配はしておるところでありまして、その辺りもやはり研究をしながら、それは自衛隊とどう出るのか、こうなった場合ああ出るというある程度のシミュレーションといいますか、やつを描いていただいて御指令をいただくように、いただいた指令に対しましては、私どもとすれば力一杯守っていきたいと思っておりますけれども、大変難しい点もあるというように思っております。
○公述人(村田晃嗣君) ありがとうございます。 まず第一点の周辺事態法と今般の武力攻撃事態法との関連でございますけれども、何と申しましょうか、それはいろんなお考えがあると思いますけれども、現実的なシナリオとして考えたときに、周辺事態法が発動されるような場合というのは正に我が国の安全にも相当深刻な事態が生じているわけであって、武力攻撃事態に近い事態につながりやすいというふうに思いますし、多くの場合、多くの場合といいますか、この両方が重なるという可能性が実は一番高くて、周辺事態法と武力事態攻撃法の両方が発動されるということが一番多いのではないか。もちろん我が国だけをねらったテロというようなことになりますと後者だけということになりましょうけれども、実際問題は両者がともに発動される可能性が非常に高いのではなかろうかと思います。 ただ、大変重要な問題でございますから、この両者の関係について、国会でも御議論でしょうけれども、国民により分かりやすい形で説明する責任というのは国会にも政府にもあるというふうに思います。 〔団長代理国井正幸君退席、団長着席〕 それとの関連で、先生が御指摘になりました基本法、多分安全保障基本法のようなことをおっしゃっているんだと思うんですが、私は、安全保障基本法を定める必要は極めて重要だと思っておりまして、今般、仮にこれで有事法制が参議院でもお認めになってできるといたしましても、周辺事態法ですとか、PKO法ですとか、冷戦終結後の十年ほどの間に日本は今までから考えると想像できないほど安全保障について次々にいろんな立法を作ってまいりましたけれども、それが対外的な必要性とかその時々の必要性に応じて、言うならば五月雨式に作られてきているわけでございまして、そうした個別の安全保障の法案、法律ももちろん大事でありますけれども、日本の安全保障全体を考える枠組みとしての安全保障基本法、アメリカでも国家安全保障法というのが一九四七年に作られておりますけれども、そうした大きな枠組みについて考える時期ではないかというふうに思いますし、衆参両院でも憲法調査会で、憲法問題についても来年ですか、最終報告が出ると。二〇〇五年でございましたか、最終報告が出るということでございますけれども、集団的自衛権の問題を含めて、を国会がどう解釈するかという問題を含めて、安全保障基本法のような大きな枠組みを国会が是非御検討いただきたいと私は個人的に強く考えているところでございます。 それで、緊急事態に関して申しますと、私の理解するところでは、先生方がいらっしゃる国会議員の議員会館に金属探知機が置かれたのは九・一一のテロ以降であって、私は、これは国会議員の怠慢だと思います。つまり、国会議員の身体を守るというのは別に国会議員だけのためじゃなくて、国民に選ばれた代表であって、その国会議員の議員会館に金属探知機が九・一一のテロの前に置かれていないというのは、国政を預かる者として私は極めて怠慢だと思っておりまして、我が国の危機意識はこの点でも極めて低いと申し上げなければなりません。 それから、イラク新法については、イラクに関する新法については、文字どおり今後国会で御議論いただくことだと思いますけれども、私は、国連決議も幸い通りましたけれども、一番大事なことは、イラクの復興、イラクの民生、福利に何が役に立つかということを一番の大前提にして、それに対して日本が何ができて、日本が一番得手、得意とすることが何かということから議論を出発しなければ話がこじれていくだろうというふうに思います。 自衛隊の武器使用の基準につきましては、もちろん合理的に考えれば、正当防衛の今の基準だけではなくて、任務遂行のために武器を使用するというのが、私は本来のミッションを果たすという意味ではそれが筋だというふうに考えておりますけれども、もちろん自衛官の方々の命を守るという意味で正当防衛はそれは認められなければなりませんけれども、このイラクの問題で申しますと、任務遂行のための武器の使用というのがイラクの民間人の方々を場合によって傷付けてしまうようなことが、非常にまだ治安の安定していない流動的なイラクの社会情勢の中で混乱を招くような可能性もあって、筋としてはそこまで進むべきだというふうに思いますけれども、今回のケースについてそれを実施するかどうかというのは、イラクの情勢が非常に流動的であって悩ましいところであり、正にそれは政治的判断により今後御議論いただきたいところだと思います。 以上でございます。
○榛葉賀津也君 今、村田公述人から議員会館の金属探知機の話がございましたけれども、実は山崎委員長が議運の委員長のときに英断でやってくださいまして、私がイスラエルに留学しているとき、あちらは有事の国ですから、郵便局に行ってもスーパーに行っても、学校の門でも常にボディーチェックとバッグのチェックがあると。この場をかりて発言しておきたいのは、議員会館の金属探知機も国会議員と秘書はフリーパスで通れると。会館に来るその他の方は金属探知機を進んでいくけれども、バッグの中まではチェックをしません。やはりこれからもう日本は足下から緊急有事、そしてセキュリティーという問題をきっちりと国民の場でも、そして当然政治の場でも議論をしていく必要があるんだろうというふうに感じております。 以上です。
○岩本司君 本日はありがとうございます。 まず、村田嘉孝先生に、公述人にお伺いしたいんですけれども、先ほど村田先生のお話の中で、国を愛する、また人を愛する気持ち、協力し合う気持ちですとか、またその前に、国民への意識付けというようなお話がございましたけれども、正に教育者としての御発言だなというふうに感じたんですけれども、私も九・一一のテロの後に、三か月後に現地、アフガニスタンに行ってまいりまして、今回のイラク戦争開始の前の二月の末にも現地に行ってまいりましたけれども、教育現場にも、教室にも行かせていただいたんですけれども、教育は子供たちの無限の能力を、未来を引き出すすばらしいものでもありますけれども、逆に恐ろしいものでもありまして、イラクの子供たちにしてみればサダム・フセインが正義であるわけです、また北朝鮮も同じだと思いますけれども、そのどの国もそれぞれ。 具体的に、そういう有事というか、今からいつ有事が起こるか分からないその中での教育もそうですが、アジアの、また地球の平和を守っていく、そういう日本としての役割の教育といいますかをどうお考えなのか。それを具体的に、現場はどういう教育をしていくべきか、また国としてはどういう教育行政を行っていくべきか、ちょっとお話しいただければと思います。
○公述人(村田嘉孝君) ただいまの質問で、私、先ほど申し上げましたように、教育ずっと一筋といいますか、高等学校の校長を、平成元年ですか、小浜水産高校の校長をしまして、平成六年に福井商業高校の校長を退職しまして、今、今年の三月に北陸中学と北陸高校の校長を次に譲ったと。それで、ずっと教育をやってきたわけでありますが、特に私がやってきたのは、県の教育委員会の社会教育課で、青少年教育、公民館、それから同和教育、その他いろんな教育やってきましたし、社会福祉教育もやってきましたし、リカレント教育もやってきましたし、青年の家の職員もやってきましたし、それで社会福祉法人も今やっていますから、福祉教育全部合わせて、大体教育という名前の付くものは教育行政を含めて全部やってきたわけでありますが。 ただ一つ、私、この法案の中に、ただ有事法制というので、有事があって初めて国に、国民は先ほど申し上げましたように責務はないんだと、責任はないんだと、国民の、自分の責任はない、ただ協力するんだと。今度それがもうこの時期だけでは終わらないと思うんですね。やはりこの事態は私たちの子供や孫に全部影響してくるわけですよ。だから、今急に有事があって、そしてみんな協力しなさいよと、責任はないんですよと、責務はありませんと、協力しなさいよと言っても、国民の協力がどの程度できるか。 先ほど避難訓練とかいろんな問題ありましたね。例えば、国民の協力といいますと、ちょっと具体的に、ちょっと資料を調べてみたんですけれども、例えば被災者の搬送とか救援援助、それから衛生面ですね、それからその他いろんな面があると思うんですけれども、その面について果たして自分が自発的に協力する、他人が困っているとそれを助けるんだと、有事があったときにね、そういう気持ちは、やはり長い目で見た教育行政といいますか、大きく言えば日本国憲法に従った教育基本法、そういうものの中か、又は学校教育その他の、今私言いました社会教育、福祉教育、リカレント教育、企業内教育ですね、そういうものの中にいかに取り入れていくか。他の人を、困っている人を見たら助けるんだという気持ちが、やはり私、いろんな資料を見てみても日本というのは非常に弱いんですよ、資料で。欧米諸国やら、そういういろんな国に比べると非常に弱い。 それからもう一つは、梅原猛さんが言っていましたように、エッセーの中で言っていましたが、宗教教育をやって初めて道徳教育ができるんだと、そういうようなことを言っていましたけれども、これもある一定の僕は価値観があると思うんです。 というのは、教育行政の中にそういう国民への意識付け、いわゆる心の教育、他を思いやる気持ち、これはやはり、これも資料の中に出ていましたが、例えば隣組組織、自治会組織、そういう町内の防災組織、そういうものにも全部生きてくると。だから、人を愛する気持ち、郷土を愛する気持ち、それがやがては国を愛する気持ちになるんだと。そういう気持ちが他国に比べて非常に低いから、それをやはり参議院の、この二院制における参議院の先生方はそういうことを、今この法案に直接関係ないんですけれども、何年か、何十年かの計画でもって、そういう大計的な、将来的な設計をやっぱり立てていってほしいなと、そういう希望的な気持ちで申し上げたわけであります。 それでよろしいでしょうか。
○岩本司君 はい。ありがとうございます。 同じ質問なんですが、同志社大学の助教授であられます村田公述人、また塚田公述人にも同じ質問でございますが、よろしくお願いします。
○公述人(村田晃嗣君) 教育の果たす役割ということでございますか。
○岩本司君 同じ質問でございます。
○公述人(村田晃嗣君) 国民が、あるいは市民がと言ったらよいのでしょうか、安全保障についての理解あるいは関心を高めるということはもちろん安全保障のいかなる緻密な政策にも先立って最も根本的なことであって、市民や国民の協力を得られなければどのような精緻な戦略や政策を立ててもそれは砂上の楼閣でございますから、国民の理解を得、国民に安全保障の問題についての啓蒙を深めるというのは極めて重要なことであることは言うまでもないというふうに思います。 そういう意味では、やや御質問の趣旨にかなうかどうか分かりませんけれども、総じて言えば、安全保障について論ずることが我が国では戦後長らくややもすればタブー視されていた側面があり、高等教育などの分野でも安全保障の研究や教育というのが少なくとも欧米に比べれば随分立ち後れていたところがあるわけでございまして、ところが、この十年ほどの日本を取り巻く国際環境が非常に大きく動く中で、国民が戸惑いながら必死に事態に付いていっているという状況が続いておりまして、そういう広い意味での教育や研究、啓蒙というのは極めて重要なことだというふうに存じております。
○公述人(塚田哲之君) 御質問ありがとうございました。時間があろうかと思いますので、簡潔にお答えしたいと思います。 教育の役割が重要だというのは一般論としてはそのとおりであるというふうに思うのでございますが、ただ、この間の日本での教育をめぐる動向といいますか、そういうのからいたしますといささか以上の懸念を持っているということがあります。 象徴的な事例だけ挙げますと、九九年の例の国旗・国歌法制定後の学校現場でのいわゆる日の丸・君が代の問題、あれは事実上、強制という形で言わば愛国心を上から調達するというようなことになっていないだろうかということについて極めて深刻な懸念といいますか、それを私は持っております。ですから、愛国心という言葉は、国を愛すると言い換えるかどうかは別ですけれども、その気持ち自体は人によって様々であり得るわけでございまして、決して公権力の側がこうあるべしと言って押し付けるようなものではないだろう。 それはやっぱり安全保障と呼ばれる問題群についても基本的には同じことであろうと思いますので、したがって、仮に安全保障に関する教育が必要であるということを承認するといたしましても、その言わばありようといいますか進め方というのは、そうした、今国旗・国歌法の事例を出しましたけれども、そういうところで指摘されている問題点というのに十分配慮した形でないと行い得ないし、そうである以上は、これは憲法論を出して恐縮ですけれども、十九条の問題との関係というのもやはり出てこようかというふうに考えております。 直接お答えになっていないかもしれませんが、失礼いたします。
○岩本司君 ありがとうございます。 最後に、村田晃嗣公述人。もう時間ですかね。じゃ、時間ですかね、よろしいですか。村田晃嗣公述人、もう一問、簡潔にお願いしたいんですが、先ほど、危機管理庁を作ると、もっと役所を大きくするとマイナスじゃないかというような御意見があったんですけれども、もう少し、対策本部長また副本部長がどうかなった場合のための組織をきちっと整備するべきじゃないかという御意見があったんですが、であるならば、簡潔に、どういうような危機管理庁の、危機管理庁が必要でないんであれば、もっと分かりやすく御説明いただければと思います。
○公述人(村田晃嗣君) いや、私、危機管理庁が必要でないと言っているんではないんですよ。ただ、危機管理庁が本当に統合に役に立つような方向で御検討いただかないと、この法案では今後の課題として検討するということでしたし、民主党の御提案でもそれほど詳しい御説明が私はなかったように思っておりまして、各省庁間の統合調整に役に立つような危機管理庁をお作りいただきたい。ただ単に今までとプラスアルファということであれば意味がなくなるので、その点を十分御配慮いただきたいというのが私の趣旨でございます。
○岩本司君 ありがとうございます。 終わります。
○山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。 公述人の皆様には、貴重な御意見を大変ありがとうございました。十五分という限られた時間の中で、順次お伺いしてまいりたいと思います。 初めに、江守公述人にお伺いいたします。 いざ有事のときといえども、基本的人権の尊重は貫かなければならないと思います。経済活動の自由、これについても保障はされなければならないと思うわけであります。しかし、また一定の制約も許されているわけでありまして、そうした場合、公共のために私有財産が用いられる場合には正当な補償もすると、そしてこれに対する手続もきちんと法律で定めるべきであると、こういうことも法律に盛られているわけですね。 この、いざ有事のときの経済活動の自由の制約について、経済界を代表して、御意見があれば承りたいと思います。 それと、もう一点。災害のときに、民間の持っているインフラといいますか資源を活用しようという試みもなされております。例えば、ブルドーザーやショベルカーといった重機を持っているところがチームやローテーションを組んでこれを災害の復旧に提供するとか、あるいは水道技術を持った方々がチームを組んで被災地に向かってボランティア活動をするとか、そういう試みもなされているわけですね。これを有事のときにそのようなことも考えるべきか否か、この点についても御意見がありましたらお伺いしたいと思います。
○公述人(江守幹男君) 大変難しい御質問でございます。 今、山口先生の御質問を、的確にお答えできるかどうか分からないんでありますけれども、私ども地方の企業でございましても、かなり皆さん国際化しているんですね。ですから、国際化の中における企業の在り方というのは、それぞれの企業が皆勉強しているわけであります。日本がさて有事になった場合に、どういう具合にこれに対処すべきなのかということになりますと、これはやっぱりその方の勉強から掛からなければ駄目ですね。 アジアの国々が非常に多いんでありますけれども、そういうところに企業が進出しておられるわけでありますけれども、かなりやはりそれぞれの国のそういう法律の中で、日本では不思議だなと思うぐらい厳しいやっぱり制約の中で企業活動をやらざるを得ないケースもあるわけでありますね。特にインドネシアなんかはそういうケースが非常に多いんですね。 ですから、これは、今、山口先生が言われたようなことをもっと幅広く、日本全体の産業界の中で、有事における企業活動はいかにあるべきかというようなことの私はやっぱり勉強をしなきゃいかぬと思います。それは、例えば私、今、商工会議所をやっておりますから、だから全国の商工会議所のそういうものを使うということもございます。何せ、今日まで経済界というのは、経済の繁栄のみを追い求めたと申しましょうか、そこら辺に私、一つ日本の経済界も問題点があると思うんですね。 やはり心の問題、先ほどいろいろ出てきましたね。それからまた、企業活動の中における愛国心の問題と、こういうことにつきましてもやはり企業経営者として幅広い反省も必要でございましょうし、また勉強も必要でございましょうし、また、アジアのやはり日本はリーダーでございますから、リーダーとしてのやっぱり見識を持つべきではなかろうかという具合に思うわけであります。 それからもう一つは……
○山口那津男君 有事のときの民間の機材や人材を生かすべきか否か。
○公述人(江守幹男君) これはもう今の段階ではとてもそれはできませんですね、今の段階では。 これも、やっぱりそういうふうに日本全体に対しての、有事に対しての教育を、これもうすべての私は場面に対して行うべきだと思うんですよ。私、教育界だと、教育界においてもそうだと思うんですよ、必要だと思うんですよ。例えば愛国心とは何かとか、こういう問題点についてもっと深く考えていくべきではないかとか、またそういうことをやはり教えていくべきじゃないかと。 有事ということになりますと、これやっぱり自分の国は自分で守ると、これをやっぱりやることが最低限の心構えでございますので、そのときにやっぱり自分の国を愛さなければ自分の国は守れないでしょう。 じゃ、愛国心ということに対してどれほどの教育をやっているのか。昨今、そういう話題が先生方の方にも非常にたくさん出て問題点として提起されていることは非常に結構だと思います。それは、私は企業もそうだし、あらゆることもそうだと思いますので。
○山口那津男君 ありがとうございました。 次に、河瀬公述人に伺います。 国民保護法制を作っていくに当たって、やっぱり自治体と国との間の意見交換というのが十分になされなければならないと思います。今までもやってこられたとは思いますけれども、しかし十分であったかどうか、これは考え直さなければいけないと思います。 いよいよこれからが佳境でありますので、この点について自治体の側から望んでおられること、あるいは今までの在り方の反省、こういうことがありましたら、お伺いしたいと思います。
○公述人(河瀬一治君) この法律に限らず、例えば原子力関係でいろんな特別措置法も先生方のお力で作っていただいたんですけれども、そのときにも適切に私ども自治体の御意見を本当に取り入れていただいたこともございまして、当然これからの国民保護という観点で、これは私のみならず、これは各自治体の、例えば私どもですと全国市長会という組織がございまして、そういう中で全体として私ども各市のその思いでありますとか、そういう機会が恐らくまたこれからもどんどん出てまいるというふうに思いますので、そういう機会を通じて意見を集約をしながらまたお願いをしていきたい、このように思っております。 まだ今は十分だとは思っておりません。
○山口那津男君 じゃ、次に、塚田公述人に伺います。 今度の法律で基本的人権の保障の在り方というのは基本理念というところに書かれているわけでありまして、保障をするということ、そして制約は一般的には可能性を認めること、そして必要最小限の制約にとどまるべきこと、こういうことが書かれているわけですね。 これはあくまで基本理念であって、具体的な法制度を作っていくに当たって、この権利を制約したり義務を課したりする場面でこの具体的な必要最小限度というのはどの程度であるかということをきちんと議論し決めていくべきであると、こういう考え方もあるわけであります。 先生といたしまして、今度の法律の基本理念をもっとより明確に具体的に書くべきだというお考えであられるか、それとも今後のその具体的な法制を作るに当たって必要最小限をどの程度吟味していくべきであるか、この手法についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○公述人(塚田哲之君) 御質問ありがとうございました。 既にその法整備が行われるという前提での御質問であるというふうに御理解いたしましたので少し私の前提とは異なる部分があるんですけれども、仮に、今後の法制でやるべきであるのか、具体論については考えるのか、それともこの基本理念のところでもう少しちゃんと書いた方がいいのかということでいいますれば、私の基本的な発想といたしましては、公述でも申し上げたように、このような、もう少し詳しくしてもですけれども、形で一般的な制約の可能性をまず承認する、そして具体的な定めは先に送るというようなやり方というのは、人権の保障という点からするならば極めて不安定な状況になるだろうというふうに考えますので、仮にどちらかというふうに問われましたらば、基本理念の方をもっとちゃんとするという方がまだいいのではないかというような感じは持っております。 ただ、これは先ほど民主党の対案をちょっと引き合いに出させていただくような形で申し上げましたけれども、少なくとも現在のこの修正後の、とりわけ後段ですけれども、この書き方というのはやはり極めて不十分というふうになるのではないかということは思っております。 以上でございます。
○山口那津男君 じゃ、村田晃嗣公述人に伺います。二点あります。 一つは、危機管理庁とかFEMAとかという発想は別にいたしまして、様々な国の機関を統合的に活用するということは非常に大事な問題だなと思います。言うべくしてそれほど簡単でもないと思うわけであります。現に、自衛隊や警察や消防の組織あるいは海上保安庁、これが合同で訓練をしたということもつい最近始まったことでありまして、今までなされてこなかった。この統合運用の在り方について具体的な御意見があれば、より聞かせていただきたいと思います。 もう一点あります。もう一点は、いざ危機のときの最高意思決定の在り方でありますが、職務代行を置くとか代理を置くということで一応法律の形はできているわけであります。しかし、具体的に内閣の実際の行動を見ておりますと、例えば大臣が海外出張をして内閣の半分以上の大臣が日本国内にいなくなるということも過去、例があったわけですね。私は、内閣の在り方として、やはり閣僚が例えば一定の割合は絶えず国内にいるとか、何か内閣としての歯止めといいますか、在り方をきちんと考える必要があると、こう思っているわけですが、この点の考え方についても伺いたいと思います。
○公述人(村田晃嗣君) ありがとうございます。 まず第一点目でございますけれども、やはりその点に関しても、私は何らかの安全保障基本法のような大枠から考えていく必要があるのではないかというふうに思います。そうした中で、危機について我が国が大きな観点でどうとらえるかという、そういう認識から考えていかなければ、危機管理庁とかなんとかって個別のイシュー以前に、そういう大きなフレームワークで物事を考える必要があろうかと思います。 しかし、何と申しましても、制度をどうするかというのは大事ではございますけれども、制度は多くの場合、人いかんであって、更に言いますと、これは多分に政治文化というものによるのであって、我が国の政治文化が危機にどれだけ対応するように変わっていけるかということが大事でしょうし、先ほど来教育ということが言われておりますけれども、教育というのは何も一般国民だけじゃなくて政治家の教育、政治家の教育、それから官僚の教育と申しますか、つまり官僚や政治家が個別の利害を超えた本当の意味での国益の観点に立って安全の保障の問題を論じていける風土が更に培われていくかということが非常に大事な、抽象的ではありますけれども、政治文化の問題というのは非常に大きいと思いますし、安全保障基本法のような大きな枠組みから考えていくことが更に重要であろうというふうに思っております。 それから、二点目の意思決定の問題でございますけれども、これはもう先生おっしゃるとおりでありまして、例えばアメリカの、よく言われますようにアメリカ合衆国の場合でしたら、大統領、副大統領、それから下院議長以下、かなり、十何位まで大統領の職務代行の順番が決まっておりますですよね。それから、大統領の一般教書演説のような大統領の職務権限の継承権を持って、継承というか代行権を持っている人たちがかなり集まる席では必ずだれか一人は抜けているとか、そういう配慮がなされているのでありまして、この問題は有事法制の問題ではなくて別の立法の問題かもしれませんけれども、総理大臣、内閣府が強化されて総理大臣の意思決定が非常に重要だというときに、総理やその代行者に故障があるときの遅滞ない職務代行が可能になるようなシステムについては今後是非御検討いただきたいというふうに思います。
○山口那津男君 次に、村田嘉孝公述人に伺います。 長く教育現場にいらっしゃった御経験から、これからこういう法制度について児童や生徒にどのように情報を授けていくかということは極めて重要なことだろうと思います。特に保護者の間にはいろんな価値観の違いというものもありましょうし、こういう制度のとらえ方は非常に千差万別だろうと思うわけですね。しかし、これからの未来を担う世代に対してはより客観的、冷静にこの仕組みを教えていただくということ、そしてまた平和やあるいは社会、人々を愛する心、こういうものを養うためにはより情熱的な教え方ということも必要かもしれません。 この児童や生徒に対する今後の教育の在り方について御意見を伺いたいと思います。
○公述人(村田嘉孝君) この教育というのは、先ほどありましたように、大きくとらえると生涯教育ですね、大人も高齢者も子供も全部含めて。学校教育もあれば、又は高齢者に対する教育もあるし、それから先ほど言いましたようにリカレント教育、会社の人に対する教育もあるでしょうし、それから家庭におられる御婦人方に対する教育もあるでしょうし、いろんな教育があるわけです。 それで、今、先生おっしゃったのは、子供に対する教育。今、子供に対する教育というのを、子供というのは今のところ、十八歳以下ぐらいに限定していいのかどうかちょっと分かりませんが、いわゆる児童福祉法で言いますと十八歳以下ですね。だから、その場合の教育といいますと、やはり保育所、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学も入るかもしれませんが、短大なんか、十八歳、大学はちょっと入らないかもしれませんが、その辺の教育ということで考えれば、やはり私、先ほども言いましたように、外国と比べて、外国と比べてですよ、日本人の、いわゆる人が困ったときに何とかしようとか、困った人を見ると何とかしようとか、それから又は郷土を愛するとか、それから将来、何か社会のために役に立つ人になりたいとかというのがどうも欧米諸国に比べると日本の青少年は少ないんですよ。 しかも、この青少年の場合には、日本の場合に非常に犯罪といいますか、虞犯といいますか、そういう社会的な慣行といいますか、それに反する子供も非常に最近日本では多くなっている。 〔団長退席、国井正幸君着席〕 そういう現状を踏まえると、やはり教育に対する考え方の一番基になるもの、例えばいろんな問題あると思うんですよ。ただ、愛国心だけでとらえると、愛国心というのは、やはり下手すると過去の日本のように何か突っ走る、そういう危険性もあると思うんですね。 ただ、外国と比較して、教育というものに対して、本当に心の教育、人を愛する気持ち、困った人があったときにそれを助ける気持ち、そういう気持ちをやはり小中高の間に何とか植え付けるという方法を取っていかなければ、私が言うのは、この有事法案、何か事があったときに、こういう気持ちが、隣組意識でも何でもいいんですけれども、そういうときに芽生えないと、日本の将来を考えたときに、この有事というのはこのときだけではないわけですね。ずっと続くわけですよ、恐らく。五十年も百年も、ひょっとしたら何千年も続く問題なんですね。だから、そういうものを原則的に入れないと、場当たり的な有事法制だけではない。 だから、私は、教育が大切だというのはそこに理由があって、教育でどういうことをやったらいいかということは、それは私が答えるべきよりは、やっぱり参議院の経験豊富な先生方が考えていただかなければならない問題でもあると私は思います。 そんなのでよろしいでしょうか。
○山口那津男君 はい、ありがとうございました。 終わります。
○小泉親司君 日本共産党の小泉親司でございます。 今日は、公述人の皆さん、本当にありがとうございます。それから、傍聴人の方の皆さんも大変お疲れさまでございます。 私は、時間が限られておりますので、順次質問させていただきますが、まず、私ども日本共産党の考えについて簡単にお話しさせていただきたいんですが、御承知のとおり、私どもは今回の法案については反対であります。廃案を求めております。 その主な理由でありますが、私たちは、今度の法案は、日本がどこかの国から攻められた場合ではない、アメリカがアジア、特に周辺事態で戦争を起こす、その場合に日本の国民を強制的に動員する仕組みを今度の法案は作るものだと。特に、二条七項で、武力攻撃予測がされる事態、つまりまだ日本が武力攻撃でない事態から米軍に対する協力、支援の在り方を具体化するという中身を持っていることからも、私たちははっきりしているというふうに考えております。その点で、私たちは今度の法案を廃案に求めるのが、この点で主な理由でございます。今日はそのことが主題でございませんので。 〔団長代理国井正幸君退席、団長着席〕 そこで、私、まず河瀬市長さんにお尋ねをしたいと思います。 先ほど河瀬さんもお話しになりましたが、原発の危険と、それから国道などの道路の整備ということをおっしゃられました。私も実は国会に来る前にしんぶん赤旗の特派員でアメリカでアメリカの政治を見てまいりまして、アメリカも今一番大変な問題というのはスリーマイル島の原発事故で、言わば原発問題というのは総本山のアメリカも大変安全性に危惧されているような状況がある。 私は、皆さんの外部からの原発の危険というのを非常に懸念しておりますし、これに対する対策をしっかり取るべきだと私も思います。しかし、一番最も肝心なのは、「もんじゅ」の事故に見られるように、国がこの原発に対する安全対策を本当にしっかりとやるかどうかと、ここに私は非常に懸かっているんじゃないかという点が一つ。 それから、道路の整備の問題についても、私たちは、本当に無駄遣いをなくして、皆さん方の本当に道路整備がしっかりとできるような、国の税金の使い方をしっかりと改めていくと。言わば私は、私の意見を申し上げさせていただければ、有事法案がなくても、国の政治をしっかりと変えれば皆さん方の御懸念は私は解消できる面もあるんじゃないかということを私は考えております。 その上で、この有事法制について、今多くの自治体で、実際、国民保護法制の中身が具体的じゃないじゃないか、米軍にどういうふうな協力をするんだろうか。これを国会で質問しますと、外務省も内閣官房長官も、中身はまだこれからだ、全然分からないと。こういう中身になってくると、前に民主党のある代表の方と議論したことなんですが、まんじゅうの皮だけあって中身がない。そうしたら、じゃ一体本当に守ってくれるのかどうかと、こういう懸念というのが今非常に自治体で高まっておりまして、御承知のように自治体の中での二割強の自治体の方々で、地方議会で、この懸念、反対、この決議が出ておることはもう御承知のとおりだと思います。 そこで、この敦賀市の中ではそういうふうな住民の方の御懸念、御不安、こういうものがこの有事法制法案に対してどういうふうな点があるのか、この点、まずお尋ねをさせていただきたいと思います。
○公述人(河瀬一治君) 小泉先生のおっしゃいます有事法制に対する不安というのは、確かに共産党の皆さん方、今街頭の方で演説をされながらそういうお話はされておりますけれども、今具体的に、例えば敦賀市民の間で有事法制云々というのは、今私は具体的には実は聞いておりません。ついせんだっても選挙行いましたけれども、全くこの話出ませんでしたし、まだ議会も始まっておらぬものですから、恐らくこの六月の議会にはまたそういうお話は出るというふうに思いますけれども、今具体的に市民の間の中で、じゃこの有事法制が云々でというのは、今感じておりません。 特に、それで、先ほど原子力発電所の関係等々で道路がとおっしゃっていただいたんですけれども、私どもも、実はそのとおりなんです。若狭舞鶴自動車道というのは、よく言うんですね、原子力発電所との関連といいますか、あれはもう原子力発電所があってもなくても必要な実は道路でありまして、特に今回は、何かあったときにはそれがプラスでなるものですから、先ほどもお話しさせていただきましたけれども、あれはもう道路にしましても、例えば新幹線にしましても、会頭さんおっしゃっていただきましたけれども、あれも有事があってもなくても、これは必ず必要な鉄道網でございまして、たまたま今日は先生方お越しでありますので、こういう思いの中でお話をさせていただきまして、そのとおりであります。 そういう意味で、いろんな高速交通網の整備等々については、たまたま今日機会があって話をしましたけれども、今、先生おっしゃっていただいたとおり、これはもう全く、原子力あってもなくても必要な道路という認識では実はおりまして、そういう点ではまたそのほかの面でお力をいただきたいと思っています。 先ほど、有事法制については、今とりわけ私どもの町に関してはそういうことはございません。
○小泉親司君 私たちの党は、外部から、ないしは内部からの言わば原発の安全性の問題についてはもう皆さん方と一生懸命やりたいと思います。それから、国道の整備始め生活道路の改善についてはもう全力を挙げてやっていきたいということだけ申し上げさせていただいて、次に、塚田助教授にお尋ねをさせていただきます。 私、先ほど申し上げましたが、今度の法制の中の、私、主要な課題に、米軍に対する支援法制的な中身が非常に性格が強いものだと私は考えております。 先ほども申し上げましたが、法案の二条七項でも、武力攻撃予測事態から米軍への支援をやると。これは単に自衛隊が支援するばかりじゃなくて、自治体も支援する、それから指定公共機関といいまして、JR、新東京国際空港公団始め航空関係、それから東京ガス、東京電力、NTTドコモ、ドコモじゃなくてNTTの全体、それから日本通運、言わばこういうものが強制的に米軍に協力できるような仕組みが私は法案の中にあると思いますが、その点、公述人はいかがお考えでございましょう。
○公述人(塚田哲之君) 御質問ありがとうございます。 基本的な認識においては恐らく小泉議員と同じだろうというふうに考えております。と申しますのは、そもそも予測事態なる概念の新設自体そうだというふうにも言えるわけですけれども、法案の構造に即して見ましても、この法案は、従来からの自衛隊にかかわる権限規定ですね、これの追加の部分というのもあるわけですが、むしろ事態対処法案がそうでありますけれども、今御指摘のあったような自衛隊法だけではない指定行政機関、指定公共機関、あるいは国民一般等々、あるいは当然のことながら自治体ですけれども、も含めた、対処システムという言葉を私は使っておりますが、それの構築ということが可能になっているだろうというふうに思います。 むしろ、もちろんいきなり日本が攻められたという場合に対応できるということも目的ではありましょうが、それだけではなくて、先ほど周辺事態との関係を申し上げましたが、要するに、アメリカが行う軍事行動への協力というのがこの武力攻撃予測事態というものを通じて可能になるということはやはり法の仕組みとしてあるのではないかということを考えております。それは、公述でも申し上げました事態対処専門委員会の認定の仕組みというのもそうですし、議員の御質問にございました、その対処措置に関する二条七号のイの部分だと思いますけれども、ここの条文に即してもやはりそういうことは言えるのかなということを思っております。 ただ、この条文そのものにつきましては、私は極めてあいまいさを残している規定だというふうに考えております。簡単に申し上げますけれども、二条七号のイのところで柱書きがあるわけですが、「武力攻撃事態等を終結させるためにその推移に応じて実施する次に掲げる措置」というのがありまして、御指摘の米軍の支援にかかわる部分というのは(2)のところに挙げられているわけでございますが、この柱書きは当然予測事態というのを含む、そして「その推移に応じて」というのは今回の修正で入りましたので、これは恐らく武力攻撃事態と予測事態に二分したことの効果だろうというふうに思っておりますけれども。 となりますと、予測事態からその(2)に挙げられました米軍に対する支援というのが可能になるということだろうというふうに一応読めるのではありますけれども、これは(2)だけではなく(1)もそうなんですが、実は武力攻撃の排除云々という文言が出てきまして、これは実は、三条の三項の基本理念のところでいうと予測事態ではなくて発生した事態、あるいは従来の概念でいうとおそれの事態ですね、にかかわる言葉ですので、その三条二項と併せて読むと、予測事態では武力攻撃の排除というのは入ってこないはずのものであります。となりますと、柱書きのところでは予測事態からというのを含みながら対処措置を行うわけですが、(1)あるいは(2)のところでは、予測事態時の対処措置の中身というのが実は明らかでないのではないかというふうに思っております。 となりますと、対処措置の内容として、おっしゃるような予測事態時からの米軍への支援を行うということは、この部分に関します限り、法的な根拠規定としては甚だあいまいかつ問題があるのだろうということは考えております。 以上でございます。
○小泉親司君 ありがとうございました。 続いて、村田晃嗣先生に一つだけお尋ねさせていただきますが、先生、アメリカ外交論なので、私も大変興味深く先生の御本は大体読ませていただいております。 そこでお尋ねしたいんですが、今アメリカが大変、単独行動主義という大変危険な私は戦略を取っていると。例えばイラクの今度の戦争については、あれだけ史上空前の世界の反戦運動が起きたにもかかわらず、国際社会の一致も得られない、国連決議もない、そういう下で、政府は国連決議があるんだと言って頑強にやっておりますが、私はないと思いますけれども、その下で言わばイラクの戦争をやった。私はこの点では大変この先制行動主義が世界からも非常に懸念し心配されている。 先ほども私申し上げましたが、今度の法案はこのアメリカの戦略とも非常に密接だと。例えば日本の防衛という問題では、これまでも日米安保と自衛隊で車の両輪だと言ってきたと。となれば、このアメリカがこういう単独行動主義という危険な戦略を取っていると、大変私は、日本の逆に防衛にも憂いが出てくる。備えあれば憂いなしの議論じゃございませんが、そういう危険の問題について先生はどのようにお考えなのか、お尋ねしたいと思います。
○公述人(村田晃嗣君) ありがとうございます。 そのアメリカのいわゆる単独行動主義について世界で懸念がある、持たれているということは、小泉理事が御指摘のとおりであろうと思います。 日本がそうしたアメリカの単独行動主義に巻き込まれる危険性ということについても、つまり、恐らく日本も韓国も、戦後のアメリカとの同盟関係の中で初めて、アメリカが軍事技術革命でもってアメリカの軍事技術がどんどん進んでいって、必ずしも同盟国の協力をそれほど、今までほど必要としなくなってきたという軍事技術上の状況、客観的状況が生じてきている。そうした中で、アメリカに一方では見捨てられるという潜在的恐怖と、そしてアメリカのいわゆる単独行動主義で巻き込まれるという恐怖、この二つを日本も韓国も今同時に潜在的には感じているというところが言えると思うのであります。 しかしながら、私は、アメリカが単独主義的であるということを必ずしも否定するつもりはありませんが、しかし、歴史をさかのぼれば、アメリカが単独行動主義的であったのは今始まったことではなく、そもそも国際連盟に加盟しなかった国を今ごろ単独行動主義だといって驚くのは大きな間違いであろうと思いますが。ただ、今アメリカは非常に大きな力を持っているということが問題でありまして、しかし、国際社会はアメリカなしには成り立たない。私ども、アメリカなしには世界の安全保障もあるいは国際の秩序も世界的な経済も支えていくことはできないので、国際秩序、国際社会はアメリカを必要としている。同時に、アメリカも国際社会を必要としているのであって、そのことについてのアメリカの認識、つまり、世界がアメリカを必要としていると同時に、アメリカも国際社会との共存が必要だということの認識をアメリカに深めてもらう必要がある。 私はそういう意味でも、日本がアメリカ合衆国と密接な友好関係、さらに同盟関係を持っているということは、私はアメリカを国際協調の枠組みに関与させる上で一つの重要な役割を日本は果たし得るというふうに考えています。
○小泉親司君 塚田公述人にもう一つお尋ねさせていただきたいと思いますが、先生が先ほど述べられましたが、今度の中には、三条の中に基本的人権の尊重というのが出てまいります。 実は今度の法律の中には、日本国憲法に定める国民の権利とか、自由と権利は尊重されるけれども、制限される場合があるというものが原案でございました。それに民主党さんの修正が加わりまして、今度は十四、たしかちょっとあれですけれども、十四条、十九条、二十一条などのその他の基本的人権については最大限尊重するという文言が付いた。 それは先生が御指摘したとおりなんですが、私、一番あれなのは、今度の国会の中でも議論がされておるんですが、民主党さんはこれは大変前進したと言っておられます。私は、そうじゃなくて、政府がこれまで言ってきた、基本的人権を侵害する、その制限については、今まで政府は信教の自由や思想、良心の自由のうち、内心の自由だけは絶対に保障しますよと、それから二十一条二項の検閲だけについては絶対に保障しますよと、それ以外はほとんどと言っても、制限しますよというふうな政府見解を出されておられるんですが、そうなってきますと、ちょっと私は、基本的人権の制限、制約されるということに歯止めがなくなっちゃうんじゃないかという懸念を大変強く持っておるんですが、その点、改めてちょっと先生の御意見をお尋ねしたいと思います。
○公述人(塚田哲之君) 御質問ありがとうございました。 時間がございませんので、一点だけ申し上げます。具体例を挙げた方が分かりやすいかと思います。 今回の自衛隊法の改正案の百三条にかかわる話ですが、物資保管命令に罰則が付きました。これについて政府側の答弁などを拝読しておりますと、要するに、内心にかかわりなく外形に表れた行為でその違反があったかどうかというのを判断するんだという言い方をしておりまして、これは当然のことながら、その対象となった、基本的には事業者でございますけれども、が、要するに、自分はこうしたものに協力するのは嫌であるというような考え方というのを持っていて、それに基づいて協力を拒んだ場合も、当然、外形上表れた行為がそうである以上は処罰の対象となるということに政府の答弁からはなるはずでございまして、仮にそういうことが承認されるということになりますと、これは十九条の思想、良心の自由が内心にとどまっている限り絶対的に保障されるというふうに言ってもほとんど意味はないということでして、むしろ一定の行為の範囲といいますか、それは考える必要があるかとは思うんですが、そういう場合であっても、正に行為そのものがそうした真摯な思想なり良心に基礎付けられたものであるのであればそれを処罰しないということが十九条の人権を保障するということの意味になるというふうに思いますので、その点では、今一つの例しか申し上げることできませんでしたが、政府のような考え方というのにはやはり問題があるのではないかというふうに考えているところでございます。
○小泉親司君 時間が参りましたので、江守公述人、それから村田嘉孝公述人には御質問できないで申し訳ございません。よろしくお願いいたします。 どうもありがとうございました。
○大江康弘君 国会改革連絡会、通称国連といいます。本家の国連は余り機能しておりませんが、参議院の国連の方はしっかり機能しておりまして、私は自由党でございます。無所属の会の皆さんと会派を組んでおるわけでありますが、今回、本当にお忙しい中、公述人の皆さんには本当に御苦労さまでございます。 私は、今日は二点意義があったなと思います。それは、委員長である山崎委員長の御地元、御配慮によりまして、委員長の御配慮によりましてこうして福井県に寄せていただいた。一つは、やはり河瀬公述人が大変日ごろ御苦労されているこの原発銀座といいますか、日本で一番国策に貢献をしていただいておるという、そういう地域へ寄せていただいたということ、そして一つは、正に今そこにある危機であります北朝鮮に対して、今日はこの福井県でやったということは私は大きなメッセージになるというふうに思います。 今日は横須賀でもやっております。二か所でやっておりますけれども、それだけに、委員長を始めこうして御配慮いただいた皆さんにお礼を申し上げたいわけであります。限られた時間でありますし、実は最後の質問というのは、皆さん紅白でしたらトリで格好いいんですけれども、これはもう本当に言いたいこと全部聞かれまして、もう全く最後というのは実は損な役回りでございます。その中で、若干、お越しいただいておる公述人の皆さんすべてにお聞きさせていただけないと思いますが、お許しをいただきたいと思います。 まず、同志社大学の村田晃嗣先生、先生のお考えというのは私は個人的には非常に価値観を同じくしているかなというふうに思います。それだけに、今回この有事法がいわゆるこの日本の国の中で世に出てきたというのは随分長い時間が掛かったわけです。 昭和五十二年に福田総理がこの有事法を研究せよと。しかし、そのときは野党の力も強くて、法案にしちゃいかぬというただし書まで付けられて、あれからいけばもう二十五年、六年。自衛隊がこれだけ貢献していただいているといいましても、つい、PKO法案ができて海外に行くようになったのは十年余り前ですね。 それだけに、本当にそういう意味では、私は今回こういう国民の機運が盛り上がってきたということには、一つだけ感謝するのは、北朝鮮があれだけ日本をいろいろと挑発してくれるというか、それだけに私はむしろイラクよりもまだ危機はこれ極東にあるんじゃないかと、我が日本にとってはです。 しかし、私、思いますのに、今回の法案というのは、なかなかやっぱり日本人の民族性というのは何か事がなければ進んでいかないということでありますから、そういう意味では、私は、なかなか一気呵成には行きませんが、ようやく今般ここまで来たという、確かに国民の皆さんには、政治は何やっておる、国会は何やっておるというおしかりもあろうかと思いますけれども、その時々の状況の中で、一国だけでは日本は成り立っておりませんので、そういうお互いの各国の協力の中で、こういう情勢の中でやっておるものですから、なかなか遅々として進んでいかない部分に私個人も非常に歯がゆい部分も実は持っております。 それだけに、今回のこの法案に対して村田先生が点数を付けるとすれば、どのぐらいの点数を実は付けていただけるのか。まず一回ちょっとそこを聞かせていただきたいなと。
○公述人(村田晃嗣君) 何点と申し上げることはもちろんできませんで、と申しますのは、法案自体が、法案の中に今後の多くの課題を含んでおられるわけでありますから。つまり、まだ宿題が提出されておりませんので、宿題が最終的に出されませんと私ども教師は最終的には成績を付けないことになっておりますので、今の段階で、言うならば中間試験をお通りになった段階で何点と言うことはできないということは一つでございますが。 ただ、点を付けろと言われたことは、私は大変、それに触発されて申し上げますと、この種の法律を作るときに、ややもすれば人は減点法を取りがちであると。ここが駄目だ、ここが整合性がないからマイナス五点、この点については前回の政府答弁と違うからマイナス三点、ここは何とかだからマイナス五点という、教育の現場におりますと、そういうマイナス主義の教師って余り人は育てられないというふうに思うんです。逆に、どんな法律でも百点満点はもちろんないわけでございまして、逆にトータルとして、あなたは七十点取れているということを評価するということが大事であって、ここで二点マイナス、ここで三点マイナスと言っているのは割と嫌な先生でございまして、法律についても私はそういう減点主義は取りたくないですし、それから、事柄が有事法制ですからそもそも満点なんかあり得ないことでございまして、オール・オア・ナッシングの議論に陥ってはならないということで、しかも実際の運用に当たっては極めて弾力的に進めざるを得ない事柄の性格であろうというふうに存じております。
○大江康弘君 ありがとうございます。 恐らく国民の皆さんは村田先生と同じようなそういう評価ではなかろうかなと実は思っております。ただ、私は基本的にこの法案に対して現実を考えたときに危惧するのは、例えば今、日本は日米安保を主軸にやっている。しかし、アメリカには御存じのように戦争権限法というような、国会がもう戦争をやっちゃいかぬということで、これ六十日ルールでその戦争地から帰ってこなきゃいかぬというようなこともあるし、一つは、例えば河瀬公述人が心配されておられたように、通常兵器では私は原発のこの部分というのは結構守れると思うんですね。 そういう意味では、ミサイルが飛んでくる、これが例えば核であると。核であったときに、日本はいまだにこれ非核三原則というようなおかしなものを持っているんですね、作らず、持たず、持ち込ませずという。そうしたときに、核に対してどう対処していくかということになったときに、今、日本には核がありませんから、これは当然アメリカが、例えば来てもらって、核に対して核で、例えばですよ、そこまで私は有事というのは考えにゃいかぬと思うんですけれども、結局そういうことも非常に今回実はネックになっておるわけなんですね。 十分にこの法案がどこまでの有事、有事といえば何かまだ我々余裕があるように思いますけれども、やっぱり私はこれは戦時と言い換えてもいいと思うんですけれども、それの方が非常に国民の皆さんにも分かりやすい。それだけに幾つか、幾つかというか基本的な非常に危惧する部分が多いわけですけれども、先生は安全保障の基本法を言われている。我々もそうでありますけれども、やはりそういう、それをしていくのに対して周辺の理解を求めることが大事だということを先生はあるところでおっしゃっておられた。しかし、周辺国の理解というのは一体どこまで求めていくのか。 私は、極東アジアでもそんなに日本に対して批判的な国というのは少ないと思うんですよ。私は今後、今回北朝鮮の次に危険なのは中国じゃないかなと、むしろ台湾海峡というふうに。これは個人的な考えですけれども。それだけに、やはりどこまで理解を求めて日本はいかなければいけないのか。ここらは先生のお考えがあればちょっと。
○公述人(村田晃嗣君) ありがとうございます。 ただ、戦争権限法のことを例として挙げられましたけれども、しかしアメリカでも実は戦争権限法は守られておらないわけですよね。歴代のすべての大統領は戦争権限法は憲法上違憲であるという立場を取って、これを少なくとも形の上では無視しておりますから、本当にブレーキとして利いているかどうかは別なんですけれども。その安全保障基本法のようなものを作るときに、先生がおっしゃるような近隣、私がどこでそういうことを言ったのかは実は今私は定かに記憶にはないのですけれども、近隣諸国の理解を求める必要があるというのはもちろん、何というんでしょうか、戦後何十年もの間、日本は基本的に大きな軍事力を持たないという方針でやってまいりましたし、集団的自衛権についてもこれは行使しないという方針でやってまいりましたし、それが一つの北東アジアの国際環境の所与の条件として北東アジアの安全保障というか国際環境は動いてきたわけであります。 私は、引き続き日本が大きな軍事力を持つべきだとは思いませんけれども、安全保障基本法のようなものを作って、集団的自衛権の行使についても検討するということになれば、北東アジアの国際環境の今まで所与の部分であったところに変化が出てくるかもしれないので、当然それは北東アジア全体の安全保障にかかわる問題である。そういうことについての配慮というものは日本としても持つべきだと思います。 しかし、これは我が国が我が国の安全を考えて我が国の中で立法をする、もし安全保障基本法というものを国会でお作りいただくならば。もちろん、国際社会の中で生きる日本であり、北東アジアの中で繁栄し安定する日本であるという視点を見忘れてはなりませんけれども、もちろん基本的には我が国の立法であって、我が国の国権の最高機関たる国会の御判断でお作りになるべきことだというふうに存じております。
○大江康弘君 済みません。ありがとうございました。 塚田公述人にちょっとお尋ねします。 今回のこの法案に際して、衆議院の方では与党三党と野党第一党である民主党さんが精力的に交渉していただいてという中で、修正案という形で出てまいりましたこの国民の保護をどうしていくか。 ただ、私は、平時の国民に対する人権といわゆる戦時の人権というのは、これはおのずとこれ違ってくるんではないかと、こういうふうに感じる一人であります。それだけに、戦争だから何をしてもいいんだ、有事だから何をしてもいいんだということではならないだろうし、我々は、これは私は戦争体験者でありません、戦後生まれですから、あの太平洋戦争の、御苦労いただいた先人の皆さんの大きなそうした戦争に対する思いというものもこれありでありますから、やはりそういう皆さんの気持ちもこれ人権という部分に生かさなきゃいかぬのですけれども、やはり基本的に、私は、独立国家というのは、そこに土地があって、人が住んでおって、やっぱり一番大事なのは主権を持つと。 主権を持つということは、やっぱり敵が来たときにそれをぶち破るという力を持つということでありますから、おのずと人権というものも戦時になればこれ制約されても仕方がないんじゃないかと。むしろ国民としての義務としてどうするかという部分が問われるんじゃないかというふうに思うんですけれども、こういう考えというのは行き過ぎでしょうかね。ちょっと公述人、ちょっと聞かせてください。
○公述人(塚田哲之君) 御質問ありがとうございました。 戦時あるいは有事という言葉、どちらを使うかは別ですけれども、要するに、通常であれば認められないような人権の制限というのがあり得るんではないかという御質問だというふうに理解いたしました。そういう発想が、これは日本に限りませんけれども、世界各国で少なくとも存在しているということは確かだと思います。 ただ、私はその発想はやはり危険な要素というのが含まれているのではないかというふうに考えておりまして、事柄の性質上と申し上げていいと思うんですが、必要最小限というような言い方が法案の中に出てまいりますけれども、ともするとその最小限の部分というのはどこかに行ってしまって、必要だからどんどん制限しなさいという話に行きやすい。かつ事後的にそれをチェックするということも実は大変機能しにくいという性質があろうかと思います。当然のことながら、事前のチェックというのはほとんど不可能であると思います。 といたしますと、いったん戦時である、あるいは有事であるからこういう制限が必要なんだというふうに言ってしまうと、あと残されたものは人権の残骸と申しますか、変な表現で恐縮ですけれども、そういうことになりかねない。 したがって、仮にそういう制限を認めようとするのであれば、要するに特別の制限を認めようとするのであれば、それはよほど注意して掛からないと、もう歯止めがそれこそなくなってしまいかねないということは思っておりますし、逆に、だからこそ、戦時だからこういう制限はあり得るんじゃないかということが、これは国家緊急権絡みの話でも共通する要素があろうかと思うんですけれども、極めて言わば立憲主義と申しますか法治主義、あるいは人権の保障という考え方からすると、言わば遺物として現れざるを得ないという要素があるんじゃないかということは考えております。 抽象的な物言いで恐縮ですけれども、以上でございます。
○大江康弘君 はい、ありがとうございます。 最後に一点、河瀬公述人、大変いつも危険と隣り合わせといいますか、こういう状況というか、世界の流れの中で、やはりそういう一つの市政を預かっている、自治体を預かっているという、大変御苦労いただいておるわけですけれども、先ほどこの有事に際してどう地方はあるべきか、江守公述人も新幹線の話出ましたけれども、これはやはり、一番ねらわれるのは実は国内であると新幹線でありまして、やはりそういう意味では、新幹線というのは大変高速大量輸送で便利でありますけれども、これは山崎委員長が実力者でありますから、これはまた普通の部分で付けていただけるかなと思うんですけれども。 やはりどうも、国としてもやはりどうするかということの御意見もありましたけれども、最終的にはやっぱりこの縦割り社会の弊害の中で、やはり地方の独自の考え方というか、そういうものがやはり生かされる。我々も、これから国会でどうこれを、地方の在り方を検討していくかということに対して、やっぱり地方をどう重要視していくかと。私は、おのずとその中でランクが出てくると思うんです、この有事の際に、やっぱり一番危険な地域、そうそう危険でない地域という。恐らくこれは、全国あまねくこれは危険だという考え方もあるでしょうけれども、そうじゃなくて、やっぱりある程度の私はランク分けをしてきて、この危険度、出てくると思うんです。 そういう意味では、福井県なんかというのは私はもう特Aクラスの危険地域ではないかなと、これは想像するんです。別に危険をあおっているわけじゃないんですけれども。 それだけに、やっぱりどうするかという対処が大事で、やっぱり一番分かっておるのは、私は、地方の自治体の長であり、また江守公述人さんや、それぞれ地方の皆さんの、それぞれのお立場におられる皆さんじゃないかなと思うんですけれども。やっぱりこれからどんどんどんどんそういう形で言っていただく、むしろ国に対してやっぱりこうだということを積極的に提言をしていただく、やっぱりこういうことが私は基本的に必要じゃないかと思うんですけれども、そこら、最後にひとつよろしくお願いします。
○公述人(河瀬一治君) ありがとうございます。 先生おっしゃっていただいたように、私どもの声を取り上げていただくというのは非常に有り難いことでありまして、今回も地方公共団体の役割ということでいろいろ質問的に私どもの方から出したやつでお答えというのは質問答弁形式で出ておりまして、ああすべきこうすべきということはあるんですけれども、まだまだ具体的なこともございませんから、是非またそういう機会で、先生方の方で是非また一度関係当局、声を聞けよというようなことございましたら、また是非そういう会に出させていただきまして声を出していきたいと思っております。 特に、私ども発電所を持っておる地域、特Aとはいきませんが、確かにそういう部分もあるかもしれません。また、基地を持っておられる地域もそうでありましょうし、そういう点で、例えば有事の中でそういう指定地域というふうにまたこれされますと、イメージが下がるといいますか、だからこれ、痛しかゆしのところがございまして、非常に、特に私どもの若狭湾といいますのは日本海側で唯一リアス式海岸の地域でありまして、これまた魚が物すごくおいしいんですね。それで、若狭牛もうまいですし、観光も力入れておりますので、そこらでまた有事立法の中で特Aのねらわれる場所なんて出されましたら、もう観光客だあっと来ませんものでして、その辺りの、いつも本当にこう。 発電所も、私どもこれ何もなければ大変すばらしい施設だというふうに思っています。しかし、ちょっとしたトラブルがあったり、例えば東電のああいう問題があっても、私どもの地域も影響するんです、全く離れたところで。東海村の事故、ジェー・シー・オーのがありましたが、あれも全く燃料を作る過程で発電所とは関係ないんですけれども、もうあっちであっても全部影響するということで、非常にデリケートな実は部分も持っておりますので、そういう点も是非この法律の中では是非配慮をしていただいて、地方のいろんな特性がありますから、そういうものも守っていただけるのもこれは私は国の一つの責任じゃなかろうかと思っていまして、そういうこともまた発言をする機会がございましたら是非取り上げていただきたいと思います。
○大江康弘君 ありがとうございました。
○団長(山崎正昭君) 以上をもちまして公述人に対する質疑は終了いたします。 この際、公述人に一言御礼を申し上げます。 皆様には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございます。(拍手) 拝聴させていただきました御意見は本委員会の審査に十分反映してまいりたい、このように思います。派遣委員を代表いたしまして重ねて厚く御礼を申し上げる次第でございます。 また、本地方公聴会のために数々の御尽力を賜りました関係者の皆様方に、この場をおかりいたしまして厚く御礼を申し上げたいと存じます。 以上をもちまして参議院武力攻撃事態への対処に関する特別委員会福井地方公聴会を閉会とさせていただきます。 どうもありがとうございました。 〔午後三時二十九分閉会〕 ─────・───── 横須賀地方公聴会速記録 期日 平成十五年五月二十九日(木曜日) 場所 横須賀市 横須賀プリンスホテル 派遣委員 団長 理 事 阿部 正俊君 理 事 中川 義雄君 福島啓史郎君 佐藤 雄平君 若林 秀樹君 福本 潤一君 畑野 君枝君 田村 秀昭君 田 英夫君 公述人 横須賀商工会議 所副会頭 小山満之助君 弁護士 呉東 正彦君 横須賀市長 沢田 秀男君 神奈川県隊友会 会長 冨田 定幸君 防衛大学校助教 授 松浦 一夫君 ───────────── 〔午後零時二十九分開会〕
○団長(阿部正俊君) それでは、ただいまから参議院武力攻撃事態への対処に関する特別委員会の横須賀地方公聴会を開会させていただきます。 私は、本日の会議を司会させていただきます武力攻撃事態への対処に関する特別委員会の理事をしております阿部正俊と申します。よろしくお願い申し上げます。 まず、本日の地方公聴会に参加しております委員の皆さんを御紹介させていただきますので、お名前と所属を申し上げますので、お立ちになり、ちょっと何というか、おじぎお願いできればと思います。 まず最初に、お隣におります自民党・保守新党所属の中川義雄理事でございます。 同じくその隣が、自由民主党の保守新党所属の福島啓史郎委員でございます。 次は、左手でございますが、民主党・新緑風会所属の佐藤雄平委員でございます。 同じく民主党・新緑風会所属の若林秀樹委員でございます。 それから、公明党所属の福本潤一委員でございます。 日本共産党所属の畑野君枝委員でございます。 国会改革連絡会所属の田村秀昭委員でございます。 最後でございますが、社会民主党・護憲連合所属の田英夫委員でございます。 以上の九名でございます。よろしくお願い申し上げます。 ちょっと長いんですが申し上げますと、参議院武力攻撃事態への対処に関する特別委員会におきましては、目下、安全保障会議設置法の一部を改正する法律案、武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案、それから自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案、以上三法案につきまして審査を行っているところでございます。本委員会といたしましては、三法案の重要性にかんがみまして、国民の皆様から幅広く貴重な御意見を賜るため、本日、当横須賀市と、それから福井県におきまして地方公聴会を開会することにいたした次第でございます。何とぞ特段の御協力をお願い申し上げます。 次に、本日、お忙しいところお集まりいただきました公述人の方々を御紹介申し上げます。 最初に、横須賀商工会議所副会頭の小山満之助公述人でございます。 次に、弁護士の呉東正彦公述人でございます。 そのお隣が、横須賀市長の沢田秀男公述人でございます。 それから、そのお隣が、神奈川県隊友会会長の冨田定幸公述人でございます。 最後に、防衛大学校助教授の松浦一夫公述人でございます。 以上の五名の方々でございます。 この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本当に皆様には、御多忙のところ、急な御案内にもかかわらず御出席いただき、誠にありがとうございます。本日は、皆様から忌憚のない御意見を拝聴いたしまして、我々の委員会審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 次に、会議の進め方というほどではないんですけれども、お話しいたしますと、まず、公述人の方々からお一人ずつ十分程度で順次御意見をお述べいただきまして、その後、委員の質疑にお答えをいただくという形で進めさせていただきたいと思います。 なお、御発言は着席のままで、公述人も委員の方も着席のままで結構でございますので、よろしくお願いします。 それでは、これより公述人の方々から順次御意見をお述べいただきます。 まず、小山公述人にお願いいたします。小山公述人、どうぞお願いします。
○公述人(小山満之助君) 私は、横須賀商工会議所の副会頭をいたしております小山満之助であります。 本日、公述の機会を賜りまして、ありがとうございます。 私の要旨につきましては、この一枚の、お手元にあろうかと思いますが、これをひとつ読ませていただきます。 独立主権国家として、自ら国を守り、国民の生命、財産を保護することは、これは政治の責任であり、国家としての責務であります。 武力攻撃事態対処関連三法案につきましては、昨年以来、一年を経て、ようやく平成十五年五月十五日、衆議院本会議において可決をし、参議院に送付をされました。 注目すべきは、この中で野党第一党の民主党の修正案を与党三党が受け入れられ、協議の結果、四会派共同修正案が採択されたことであります。 国家有事に対する与野党の合意法案の可決ということは、我が国の将来にとって極めて意義深きことでありまして、関係各位には敬意を表します。 私は、本三法案に賛成をし、参議院において可及的速やかに可決、成立せられますよう要望するものであります。 一九四五年の終戦以来、もう既に半世紀以上たっております。今までいわゆる有事法案が、有事法制が整備されてこなかったということは独立国家としてどうなんだろうかと強く感じておりました。今や世界における政治・軍事情勢等は極めて厳しく、変化も急激に起こりつつあります。独立国家としてこれに即応すべき態勢を一刻も早く確立することが喫緊の課題と言わなければならないと思います。 私どものこの横須賀は、戦前からいわゆる軍都としてその使命を果たしてまいったわけでありますけれども、現在も、海上自衛隊、これはすなわち自衛艦隊司令部、横須賀総監部、潜水艦隊司令部、護衛艦隊司令部、第二術科学校等があります。陸上自衛隊におきましては、久里浜の駐屯地、久里浜の通信学校、武山の駐屯地、少年工科学校、第一教育団等があります。このほか、防衛大学校、在日米海軍司令部、横須賀基地司令部があります。 横須賀市並びに商工会議所におきましては、これら各機関と共存を図りつつ、幹部同士が常に情報交換、支援、協力を行っておりまして、友好関係を継続している、維持しているというところであります。我々は、この有事関連法案につきましても重大な関心を持って見詰めているというところであります。 実は、去る五月十二日から一週間、原子力米空母のカール・ビンソンが横須賀に入港いたしました。さきにペルシャ湾から帰ってきましたキティーホークと空母二隻が同時入港ということは、これは初めてのケースでありますけれども、かつての湾岸戦争当時に比べますと、市民感情も私の見たところかなり冷静であると。それで、反対運動も私の見たところでは非常に一部だけで少なかったように感じます。 実は、今朝、駅を降りてこの会場に来る間、チラシを配っている姿を見て、ああ本当に、個人としてはがっかりいたしました。今日はなかろうと思って実はおったわけでありますけれども。そんなことでありますが、これは最近の国際情勢等をにらんだ我々国民の危機意識が相当に変わってきているというように私は思います。 実は、カール・ビンソンの内部も見たわけでありますけれども、これは実戦に参加してこなかったからかもしれませんけれども、乗組員の規律、態度等は非常に整然と保持されているという感じがいたしました。艦内のいわゆる雑排水等も、これは地元の回収船によって処理をし、環境にも相当に神経を使ってくれているという感じがいたしました。約五千人の乗組員は毎日千人ずつ上陸をして市内にとどまったわけでありますけれども、事故らしい事故は一つも聞いていないということであります。 本題から若干それますけれども、実は私は三浦半島を縦貫する私鉄に職を奉じましてもう五十年以上になるわけでありますが、会社では毎日百四十万人の旅客輸送を行っておるわけであります。我々は、これを定時に間違いなく運行する、それから安全を確保するということを最大の使命として経営をいたしておるわけでありますけれども、例えば電車は、朝晩のラッシュ、十二両編成で快速特急というのを動かしておりますけれども、これはおおよそ三千五百人から四千人ぐらいのお客さんが一編成に乗っておられると。時速百二十キロ運転ということでラッシュとしては非常に速いんですけれども、これをたった一人の運転士と車掌が乗客の命を預かって運転をしているということであります。 これは正に、かつて評論家が言われましたが、生命産業そのものであろうかと思います。このために、我々としては法律に基づいて厳正な運行管理の規則を策定し、遵守を図っておるわけであります。災害時において乗客の安全確保ということに日夜腐心しているわけでありますが、例は違いますが、国の安全も全く同じであろうと私は考えます。 以上、所感の一端を申し上げましたけれども、冒頭の陳述要旨のとおり、この三案につきまして、参議院においても早期に可決せられますことを切望して、陳述を終わります。 以上であります。
○団長(阿部正俊君) ありがとうございました。 それでは次に、呉東公述人にお願いいたします。呉東公述人。
○公述人(呉東正彦君) 私の要旨とそれから資料をごらんになってください。 私は、有事法制三法案の審議中の参議院の各先生方に、この基地の町横須賀で弁護士として仕事をし、また生活する一市民として、これらの法案が国民に及ぼす重大な影響、そして危険性を訴え、これらの法案を廃案にすることを強く求めます。 まず、忘れてはならないのは、私たちの先輩たちが犯した過去の過ちです。多くの犠牲者を出した第二次世界大戦は突然始まったのではありません。帝国憲法の立憲体制に対して、軍隊の活動、そして非常事態における例外が徐々に拡大していき、国民の人権が次第に制限され、議会が国家、軍隊をコントロールする力を失った状態で始まった戦争が日本を破滅に追い込んだのです。そして、有事、戦時体制下の横須賀では、港を眺めることすら固く禁じられていたのです。そして、この横須賀からたくさんの軍人、そして民間人が戦地に赴き、亡くなったのです。 私たちの先輩たちがこの過ちから学び、今また私たちが確認しなければならないのは、日本国憲法の掲げる国際協調主義こそが平和を守り、一人一人の国民の生活を守る安全保障だということです。そして、その平和を守る力は、一人一人の国民の人権が、日本国憲法の下、どのような状況においても例外なく保障されることから力強く生まれてくるということです。 法律というものは、本来、国民の権利を守るために国家権力を様々なルールによって縛る鎖なのです。有事法制は、有事の名の下に国民の権利や法律に例外を設けることによって国民の権利を統制し、また国家権力の濫用を許し、ひいては日本を戦争に巻き込ませるという大変危険な側面を持っているのです。 私は、法律家として、基地の町に暮らす一市民として、有事関連三法案の持つ根本的な欠陥、危険性を三点にわたって指摘したいと思います。 まず、有事法制の開始要件である武力攻撃事態の「武力攻撃が発生した事態又は武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態」との概念は極めてあいまいであり、武力攻撃予測事態については更に「事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態」とあいまいであり、「認められる」とか「予測される」という政府の認定に明確な事前の実体的、手続的縛りが定められていないため、どのような状況において武力攻撃事態等が認定されるかについて明確な限定がなく、濫用を招く危険性が強く存在するのです。 これらのあいまいな開始要件が、アメリカの先制攻撃やその予告によって緊張が高まった事態にも適用されて、日本がアメリカの動きに巻き込まれて有事態勢となり、自衛隊が主体的に戦闘行為に参加したり、日本国全体がそれに協力するために有事統制状態となるおそれは、今日の情勢の下、極めて高いと言わざるを得ません。衆議院での四月二十四日の石破防衛庁長官の答弁もそのことを否定していません。これは、憲法の定める平和主義の原理、憲法九条の戦争放棄、戦力及び交戦権、集団的自衛権行使の否認に明らかに違反するもので、これを単なる法律としてなし得るものでは決してないと思います。 第二に、罰則等の強制力をもってする防衛出動時の施設の管理、土地又は家屋の使用、保管命令、物資の収用、業務従事命令などは、国民の基本的人権を大きく制限し、危険な立場に置くものであり、さらに各行政手続の有事の大幅な特例を設けるという内容は、我が国の憲法体制を根幹から変質させる危険性を有しています。この点については添付しました資料の一の新聞記事をごらんください。 この横須賀は、戦後、軍転法の精神に基づき、平和産業港湾都市として町づくりを進めてきました。今日の横須賀の繁栄は、この軍需産業からの脱却がもたらしたものにほかなりません。しかしながら、有事という名の下で、このような市民の財産、経済活動、労働に対して広範かつ強制的な統制が加わることは、基地のある私たちの町の市民生活、経済活動、そしてここで働く多くの人たちの生命に深刻かつ重大な影響を与えることは間違いありません。一昨年のテロ事件直後に、町の中心部にある米海軍横須賀基地が入口の検査を厳重にしただけで朝晩大渋滞が発生し、市民生活や経済活動に深刻な影響が発生したのです。 今回の自衛隊法改正案では、出動した自衛隊員が死亡した場合、行政の許可なくどこでも火葬、埋葬できるということが規定されています。これは資料の二の条文をごらんください。これは一体どのような事態を想定しているのでしょうか。私は、この町にともに暮らす自衛隊員にこのような事態が決して起こってほしくないと思います。実際に、昨年、市民団体の行った自衛官ホットラインには、自衛官や家族からの深刻な不安の声が寄せられているのです。これにつきましては資料三の新聞記事をごらんください。 また、今回の自衛隊法改正案は、医療、土木建築、輸送関係の業務従事命令により業務に従事した者が、そのために死亡し、負傷し、若しくは疾病にかかり、あるいは障害の状態となったときには損害をてん補しなければならないと規定しています。これについては資料四をごらんください。これも一体どのような事態を想定しているのでしょうか。有事の際、真っ先にこれらの業務への従事が命令によって強制され、生命が危機にさらされるのは、基地の町横須賀の労働者なのです。横須賀市の職員労働組合は、これらの危険や戦争非協力の視点から、有事法制に対してはっきりと拒否する宣言をしているのです。これについては資料五の新聞記事をごらんください。 さらに、有事法制は、地方自治体に対して国が決定した対処措置を実施するよう強制的に指示し、さらに、地方自治体が行う措置を直接実施するという強大な権限を、何ら地方自治体の同意のないまま、その際の手続的保障もなく規定し、地方自治体の活動にも統制を課し、地方自治体の権限を制限しようとしています。このことは、憲法の定める地方自治の本旨に違反し、国と地方自治体との関係を根本的に変質させてしまうおそれがあります。 これは、地方分権改革の中で、国が地方自治体に対して命令ができる場合を制限してきた動きに真っ向から逆行するもので、強制力を伴う有事法制ができることによって、有事態勢の準備事務が行政内で日常化し、地方自治を次第に統制し、侵食していく危険性が極めて高いと言わざるを得ません。 今、この懸念から、全国の自治体、議会でも有事法制に対する反対決議が相次ぎ、六百三十八自治体に上っています。全国各県の知事も有事法制の内容について深刻な懸念を表明しています。これについては資料六の資料をごらんください。 そして、基地を多数抱えるこの神奈川県では、ほとんどの自治体が市民団体のアンケートに対して、有事法制に対する政府の説明は不十分で、有事法制制定に当たり自治体の意見を聞くべきであると回答しているのです。これについては資料七をごらんください。 以上に述べたように、今回の有事法制三法案は、憲法改正に匹敵する国民生活及び国の統治機構の在り方に重大な変質をもたらす危険性を持った法案です。 今、法案の衆議院通過の前後を問わず、全国各地で有事法制に対する反対運動が広がっています。先週金曜日には、東京の明治公園で、三万人の市民が集まって有事法制の廃案を求めました。これについては資料八の新聞をごらんください。今週の日曜日に徳島市で行われた街角市民一票投票では、三分の二の市民が有事法制に対し反対に投票しています。これについては資料の九をごらんください。 そして、今、多くの国民は有事法制の内容すら知らない状況です。そして、この有事法制にとって最も問題が大きい国民保護法制と米軍支援法制は、いまだ何ら内容が明確化されていないのです。そして、公開され、時間を掛けた議論のないままなされた今回の修正と衆議院による採決に多くの国民は疑問を感じています。 今こそ、良識の府である参議院において、この法案の危険性を時間を掛けて明らかにした上で廃案にしてください。この横須賀での形だけの公聴会ではなく、全国津々浦々で公聴会を開催し、市民の声を聞いてください。そして、この法案の内容を深刻に懸念している全国三千の自治体の意見をきちんと聞いてください。 私は、この町で再び戦争の犠牲者が出ることが決してないよう、有事法制三法案の廃案、そして十分に時間を掛けた慎重審議を求めます。二十一世紀の日本の民主主義の運命が懸かっているのです。 以上です。 どうもありがとうございました。
○団長(阿部正俊君) どうもありがとうございました。 では次に、沢田公述人にお願いいたします。沢田公述人。
○公述人(沢田秀男君) 私は、全国市長会の行政委員長及び全国基地協議会会長として、この武力攻撃事態対処法案あるいは国民保護法制の輪郭等について政府から説明を受ける機会を何度か持ちました。 本日は、武力攻撃事態対処法案について、当地横須賀市で公聴会を開催され、市長として意見を述べる機会を与えられましたことにお礼を申し上げます。 国と国民の安全を守るということは、政治の根幹であります。しかし、長い間、危機管理システムとしての有事法制が確立されないまま経過してきました。識者によれば、私たち日本人は、自分の方からは相手を攻めない、だから相手も攻めてこないだろうと考えがちで、それで日本人の危機管理意識が薄いと言っています。しかし、今日、北の脅威が現実のものになってきました。そういう状況の中での今回の有事法制は、日本人の危機管理意識を高める契機になるものと思います。 有事法制のような国政の基本にかかわる重要な法案が国論を二分するかのような形で決まるということは、国内的にも国際的にも望ましいことではありません。その意味で、今回、与野党合意の上で衆議院を通過し、参議院で更に審議が深められるということは画期的なことであります。私は、そのことをまず高く評価したいと存じます。 せっかくの機会ですから、横須賀市の実情について少し申し上げたいと思います。 横須賀市には陸海空の自衛隊施設や米海軍基地があり、本市は、言わば国の防衛の最前線にある都市であります。 本市においては、議会の議決を得て策定した都市の基本構想において、米軍基地の可能な限りの返還と自衛隊施設の可能な限りの集約統合を掲げています。 とりわけ、米軍施設は本市中心部と港湾部の最も重要な場所に所在しており、便利で快適な市民生活の営みや地域の発展性を高めるための都市づくりにとって障害となっています。また、原子力艦船がしばしば寄港することによる市民の不安という問題もあります。しかし、返還の実現が現実には困難である以上、町づくりは米軍施設の存在を前提として行うほかありません。 そういう条件の下で、私は、米軍との共存の精神に基づき、単なる横須賀という地域レベルを超え、日本全体を視野に入れた良好な日米関係の維持という気概を持って努力しているのであります。 横須賀に住んだ米国人は、横須賀での生活を通じて日本人のメンタリティーや日本の歴史、都市社会、産業、文化などを知り、ほとんどが日本の理解者、親日家となって帰国すると聞いています。それらの人々が全米に散って草の根レベルで日米同盟関係の精神面での基盤ともなっているのであります。 しかし、基地があって大変でしょうとか、基地がある分だけ余分な苦労ですね、うちは基地がなくてよかったというような言葉を聞くと、国全体としての防衛意識を高めるには、なお大きな努力が必要だと痛感します。 今回の有事法制は、有事への対応は国の機関だとか、国の問題だとか、自衛隊がやればいい、あるいは基地のある自治体に任せればいいという考え方を改め、政府、自治体、国民が一致してそれぞれの役割を果たすべきだということを明確にしました。その意義は大きいと思います。 そうであればあるほど、国は自治体の首長に法案の内容を十分理解できるように努め、首長が住民に分かりやすく説明できるようにしなければなりません。ところが、法案の条文を読んで意味は分かっても、それで現実的、具体的なイメージがわくわけではありません。 例えば、武力攻撃予測事態とは、法案によれば、事態が緊迫し、武力攻撃が予測される事態と同義語反復のように規定されています。法律の性格上そのように書かざるを得ないことはよく分かります。しかし、市民等に聞かれたときに、そう説明しても理解をしてもらうことは難しいのではないかと思います。 例示として適当かどうか分かりませんが、某国が日本国内の主要都市を破壊するなどと宣言し、部隊を続々集結しているとか、弾道ミサイルに燃料を注入し始めたというような場合が武力攻撃予測事態であるというように具体例を挙げて言わないと理解できないのではないでしょうか。 また、内閣総理大臣の総合調整と指示についても、これは国民保護法制ともかかわりがあるかもしれませんが、例えば、負傷者の収容をA県とB県とに病床の空き具合に応じてどのように配分するか、それをだれがどのように運ぶのかというようなことを決めるのが総合調整であり、それでもB県知事が応じなかったときに対策本部長が乗り出して指示をするというようなことだとしたら、そのような具体例で説明しないとなかなか理解してもらえないのではないかと思います。 自治体の責務は、法案では住民の生命、身体及び財産の保護のため必要な措置を行うこととされています。具体的に横須賀市の場合を想像すると、警報の発令、伝達、避難の指示、学校体育館等への応急避難の誘導、安否情報の提供、炊き出し、被災者の救助、救急、医療、伝染病の予防、道路の確保、上下水道の確保、廃棄物の処理、障害物の除去、自主防災組織や災害ボランティアの動員などの業務が予想されます。 国民保護法制の問題だと思いますが、これらのほとんどは住民に最も身近な市が中心となってやらざるを得ないものであります。地域では、国や県にはマンパワーがありません。住民も平素の防災訓練や防災教室などで市町村と強いかかわりを持っていて、市を頼りにしています。消防への一一九番通報が鳴り続け、それが被災現場の状況を知るのに役に立つと思います。地域での総合的な対策本部は市に置かれ、市長が本部長として市と国、県、指定公共機関などとの総合調整をすることになります。それには住民に早い時期に国民保護法制の内容を理解してもらう必要があり、その早期整備が必要だと思います。 国民保護法制の立案過程においては、実務レベルの作業チームに地域の事情に通じた自治体職員を何らかの形で参加させることが望ましいと思います。 これまで、国民保護法制の輪郭などについて国から説明を受けたり資料をいただいたりしましたが、国、県、市町村と上から下への縦の整然とした仕組みになっているものの、市町村の立場から見ると、何となく現実感の薄さを感じないわけではありません。 有事の情報の伝達などはそれでいいのですが、それでも、ITを使えば官邸からの情報は即時に全国の市町村に伝わります。実際の現場活動に至っては、国や県からの連絡を待つ間もなく、まず市町村が状況に通じて動き、必要な活動を行うことになると思います。市町村ではできないこととか複数市町村にまたがる広域的な活動については県が乗り出すというようなことになると思います。そういう意味でも、市町村職員を含む自治体職員を国民保護法制の立案過程に参加させたらどうかと思うのであります。 以上、種々申し上げましたが、終わりに、有事法制が十分に論議され、成立することを期待いたすとともに、国民保護法制が早期に制定されますようお願い申し上げて、私の陳述とさせていただきます。 ありがとうございました。
○団長(阿部正俊君) ありがとうございました。 それでは、続きまして冨田公述人にお願い申し上げます。冨田公述人。
○公述人(冨田定幸君) 私は、昭和二十七年七月に警察予備隊の一隊員として入隊し、その後、保安大学校創設に伴い一期生として入校、卒業後、陸上自衛隊に入り、平成元年三月に退職をいたしました。この間三十六年八か月、日数にして一万三千三百九十日国防にかかわったのでありますが、現在は神奈川県の隊友会、会員五千名の会長として頑張っております。本日は、退職した自衛官の一人として、率直に真情を吐露したいと思っております。 昭和二十八年の四月に保安大学校、現在の防衛大学校の第一期生が四百名が入校いたしました。その年の十月、吉田茂首相が現職として初度視察に参りました。そのときに学生の前において訓示をされましたが、その中で、諸官は将来我が国の新国軍を率いている核になるんだとはっきりと言われたわけであります。 自来、いつ国軍になるのかといって待っておりましたが、もう既に十二期生ぐらいまでがリタイアしておりますが、いまだ国軍にはなっておりません。もし吉田茂首相が言われたとおり新国軍が誕生しておれば、当然、憲法が改正され、国家非常事態についての規範も整い、有事法制等は当然整備されておって、今日のようなことにはならなかったと思っております。 最近、小泉首相が自衛隊は軍隊であるというようなことを発言されましたが、名実ともに自衛隊が軍隊であるように早急に整備されんことを願うものであります。 有事法制をめぐっては、私は現職時代二つの悲しい出来事に出会いました。 一つは、御存じのとおり、昭和四十年二月の三矢研究において問題になり、関係者が処罰されたことであります。次の昭和五十一年というのは五十三年に御訂正を願います。昭和五十三年、栗栖統幕議長の奇襲対処、この発言がございまして、五十三年七月二十八日、金丸防衛庁長官のげきりんに触れて罷免をされました。国防の任に当たる自衛官が当然やらねばならぬことをやって処罰され、責任ある立場にある自衛官が言うべきことを言って罷免されたわけであります。 平成十五年の三月に防衛大学校の第四十七期生の卒業式がありまして、私も参列いたしましたが、その際、石破防衛庁長官は、自衛官は政治的活動に関与してはならないが、進言しなければならないと思うことはどんどん発言してほしい、遠慮せずにやれと、こういうことを言われました。正に今昔の感があります。 もしこの、もしじゃなくて当然と思いますが、有事法制が成立いたしましたら、その栗栖統幕議長の名誉回復を是非やってもらいたいと、こう思うわけです。軍人、自衛官も同じであります。最も大切にしていることは名誉と誇りであります。栗栖元統幕議長の名誉回復を是非やってもらいたいと思うわけであります。 今回採決された有事法制関連法案につきまして、自民党が民主党からの人権保障規定等を受け入れまして、与党と民主党が合意し、自由党も賛成したということで、本当に我が国にとって画期的な出来事であり、すばらしいことだと思っております。元来、外交防衛政策には党利党略はないと思っています。よく外国等に行って野党の先生方がそこにおいて外国の首脳と話をしたことが記事に載っておりますが、その際、ほとんどが日本の政府の政策について批判をしております。国内におきまして、国内の場におきまして、国会等の場におきまして、与党、野党がどんどん議論をやることは私はすばらしいことでありますし、どんどんやるべきだと思います。しかし、一歩外国へ行ったならば、そういうことはやってはならないと。我が日本の政府がやっていることをしっかりと誤解を解くように向こうの外国の首脳に説明をして、日本は一枚岩であることを示すことが有事の事態を招かないことだと思います。野党の先生方が外国へ行ってそういうことを発言したという記事を見るたびに、本当に寒々とした思いに駆られるのは私一人ではないと思います。 また、今回、合意の基になった人権保障規定、これは私は当然のことであって、良いこととは思いますが、忘れてはならないのは、有事の際、戒厳の問題とか土地、物資の強制収用、物価統制、産業調整、物流統制、言論統制、行動の規制ということは、国権の発動上、普通の国家では当然のことであるというふうに認識されていることであります。日本は普通の国家とは違いますのでなかなかこういうことにはいかないと思いますけれども、そして、今回のことは一歩も二歩も前進だと思いますけれども、そういう国権の発動というようなときには、国民は個人の自由とか権利というものは当然のことながら制限されることは当たり前だという認識を持つべきだと思っております。 有名なケネディ米大統領の言で、国民は、国家が国民のために何をするかということではなくて、国民は国家のために何をなすべきかということを言うべきであるということを言いましたけれども、正に至言であり、特に有事の際におきましては、国民が本当に国家のために何をなすべきかということをまず考えるべきだと思うわけであります。 インターネットに表示されました自由法曹団の意見、先ほどの呉東公述人の中にもありましたけれども、いろんなことが書いてありました。そして、今回の有事法制が米軍のための動員、戦争動員法であるというようなことで、米軍に追随して、政府、自治体、民間機関を含めた戦争態勢作りを眼目とする武力攻撃事態法を中心に検討と手続を定める安全保障会議設置法改正と、国民動員を強化し、自衛隊にフリーバンドを与える自衛隊法改正が一体となって、軍官民を挙げた戦争態勢を確立しようとするのが法案の構造である、これは米軍に追随して、この国と国民を戦争態勢に引き込もうとする戦争動員法と言うにほかならない、そのようなことが書いてありました。 こういう意見もあるんだなと言って見ましたけれども、このような事態が、何で同じ日本の国民でありながらこういう見解を持っている人が生まれてきたのかと思うと、その最大の問題は日本国の憲法にあるのではないかと思うわけであります。 日本国憲法には、憲法全体を貫く国家非常事態についての規範が欠如しております。世界的常識の中で、我が国の憲法のみ国民の国防義務について何の規定もありません。国防の義務がなければ、当然国防に対する関心は低下し、有事の認識もなし、有事法制、有事法制に関する研究等が不毛状態で五十年間以上も放置されたのも当然のことであります。 有事法制の問題は、本来は有事における国民の生命、財産の被害を最小限度にすることを主眼に、国民のために制定されるべきであるにもかかわらず、今は有事における自衛隊の行動を円滑にするための法制、自衛隊のためのものと解される向きがあります。国防は、国民全体の重要な問題として国民全体が取り組むべき問題であります。 以上のような観点、視点から言及すれば、有事法制の検討は、まず憲法の改正問題に着手するのが本筋であろうと思います。しかし、今回の有事三法案はもう一歩も二歩も前進でありますから、速やかな成立を望むものであります。 これは、こういうことを申し上げますと政治家の皆さんには怒られるかもしれませんが、国防の関心低下は政治家や閣僚の方にも及んでおると思っております。それは、最近の平成十五年五月二十日の閣議で決定された叙勲基準であります。その叙勲基準にはいろいろな項目があります。その中に、日本の安全保障、国防に貢献した功績について勲章を与えるということはどこにも書いてありません。 かつて、アメリカの空軍参謀総長に対して、平成十二年ですか、勲一等旭日大綬章を授与しましたが、そのときの授与理由は、日米両国の安全保障に貢献したとはっきり書いてあるわけです。にもかかわらず、今回の閣議決定の叙勲基準には、日本の安全保障、国防に貢献した者に与えるということはどこにも書いてありません。また、緊急授与の場合の例に、防衛出動、災害派遣、国際平和維持活動など自衛官が任務遂行に当たっての功績ということもどこにも書いてありません。警察官、それから風水害で災害派遣等で身命を賭した人には与えると書いてありますが、自衛官については何も書いてありません。当然、危険な業務に従事して公共の福祉に貢献したということがありますから、それに該当されて勲章はもらうと思いますが、しかし、こういうものにしっかりと自衛隊のことを、国防の任務、自衛官の功績等をはっきり書くのが当然のことだと思います。何かそういうことを書くのはタブーだと、自衛官という字を書くのがタブーだという考えが国会の先生方にはあるのではないかと、これを憂うわけであります。是非、朝令暮改になっては大変だと思いますが、速やかにこの叙勲基準は改正してもらいたいと思うわけであります。 平時における有事のための法制でありますが、今回の有事法制の主体は有事であることを認識してからの特別措置だというふうに考えております。しかし、本当に大切なのは、平時において特別扱いする平時における有事のための法制がより重要であろうかと思います。情報体制の刷新、関係機関との協力体制の確立、平時における領域警備の実施、不測の事態に派遣する場合の対応行動の対処など、平時においてしっかり備えておれば有事の事態は来ないと思っています。そのためにも、こういうことについて今やっておられると思いますが、やるべきことはしっかりと整備をしていただきたいと思うわけであります。 余談でありますけれども、国家的な事業が実施する場合は、まず有事を想定するというのがほとんどの国であります。主要国の高速道路は有事における兵力輸送がねらいだと、そういうことを最近日本のラジオ放送でやっておりましたけれども、当然のことであります。ドイツのアウトバーンという高速道路がありますが、これはいざというときは航空機の滑走路としても使うんだということを言っておりました。そういうねらいが日本にはございません。日本の高速道路は、余りスピードを出し過ぎたらいかぬということで、ほか、いろいろなことをやってみたり、直線が長くなったら危ないといって曲げてみたり、少しも有事のことは考えておりません。そういうことのないように、ひとつ平時においても有事を想定したところの事業を実施してもらいたいと思うわけであります。 最後になりますが、シビルコントロールにつきまして、栗栖元統幕議長が私にこういうことを言いました。自衛隊に対して明確な使命を示し、その使命を達成し得ると確信できる戦力を与え、任務を達成した自衛官に十分な処遇を行い、名誉と誇りを与えることだよと、こういうふうにはっきり私に言ってくれましたが、私はその中にもう一つ、自衛隊のその整備された戦力を十二分に発揮し得るように環境を整備するということを付け加える必要があろうかと思います。 さきの大戦で連合国を驚嘆させた精強帝国陸海軍は占領政策によって消滅いたしましたが、世界各国からこれに勝るとも劣らぬ評価を得、国民の信頼と期待にこたえている陸海空自衛隊は、正に我が国における至宝であり、いざ鎌倉の場合、自衛隊にその力を十二分に発揮し得るよう場を与えるのは国民の責任であり、政治にかかわる者の務めであると思います。 国民の一人として、今提出されている有事法制三法案の成立、これに関連する法制の速やかな整備、そして究極的には憲法の改正に一日も早く着手されんことを念願するものであります。 終わります。
○団長(阿部正俊君) ありがとうございました。 それじゃ最後に、松浦公述人にお願いいたします。松浦公述人。
○公述人(松浦一夫君) 防衛大学校の松浦でございます。 私は、防衛法研究者、また防衛大学校におきまして法学教育に携わる者といたしまして、有事法案の早期成立を支持する立場から幾つかの諸点に関しまして意見を述べさせていただきます。 お手元に私の発言要旨をお配りしてありますが、おおむねこの順でお話をさせていただきます。 有事法案に対する反対者の意見といたしまして、有事法の制定は戦争を準備するためのものである、有事法は戦争を呼び込むといったような主張がしばしばなされるわけであります。しかしながら、私の考えといたしましては、戦後有事法を制定した国にそのような例があるのかということを考えますと疑問に思います。有事法の制定自体が戦争を引き起こすということは考えられません。むしろ効果としては逆ではないかというように思っております。 例えば、同じ第二次大戦敗戦国でありますドイツは、一九五四年のNATO加盟以来、再軍備を始めます。それとともに、様々な緊急事態法を制定いたしまして、法制整備を進めていきます。戦後、多くの法律を制定いたしました。六八年の六月には憲法を大改正いたしまして、多くの緊急事態規定を憲法に組み入れております。これによりまして、非常事態法、それまで制定してきたもののその体系的な運用というものが可能になりました。しかし、それが戦争を誘発するということはありませんでした。むしろ、NATOの防衛機能を高め、その攻撃抑止力、これを増進する効果を生みました。また、立法作業、改憲作業を通じまして、各会派の防衛政策に関する基本的合意形成と国民世論の理解、これを増進することにも大きく寄与いたしました。その結果、かえって安易な武力行使と過剰な有事対処を抑制することにもなったわけであります。その結果、NATOは冷戦期を通じまして武力行使を行ったことはないわけであります。 冷戦後、NATOはバルカン半島において平和維持のための派兵を行ったり、あるいはコソボの空爆にも用いられましたが、これはドイツ国内の有事法とは全く無関係の問題であります。また、九・一一の米国テロ時には、NATOは同盟事態を確定いたしまして米軍支援を決定いたしました。これはドイツの緊急事態における同盟事態の規定に係りまして有事法を発動できる状態でありましたが、結局、ドイツ政府は有事法を発動いたしませんでした。つまり、作っても使わない、作ってもその適用に慎重であるということにドイツは非常に配慮をしたわけであります。 冷戦が終わりまして、ドイツ再統一とNATOの東方拡大によりまして、ドイツに対する直接的な軍事的な脅威はなくなりましたが、冷戦時代に整備した有事法を不要として廃止する動きはありません。既成の枠組みを残しながら、新たな脅威、例えば対テロでありますとか、そうしたものにより合理的な運用を行うようにバージョンアップしております。例えば、九・一一米国テロを機に民間防衛体制の運用の改善が図られまして、より現実的な対応、特にテロに対する対応というものを民間防衛体制に組み入れるような努力をしております。国の安全にかかわる基本となる法制度を整備すれば、これを基に新たな脅威に対応できる様々な立法政策的なバリエーションが可能になるわけであります。 今回、日本でも、武力攻撃事態対処法等三法案は、四月の政府案提出以来、昨年四月の提出以来、多方面から建設的修正案、対案が提示されまして、さきに与野党双方から修正案が提出されました。この間、政府原案で不明瞭であった武力攻撃事態の概念の二分化でありますとか、再定義による明確化、国民への情報提供でありますとか、国会関与の強化といったような様々な改善がなされました。衆議院の本会議において約九割の賛成を得たわけであります。防衛、安全保障の法案審議において与野党がこのような広範な合意形成をしたことは戦後初めてのことであって、極めて喜ばしいことであると考えます。つまり、安全保障に関する根幹に関して与野党間の合意がなされたということは大きな前進であった、こういうことであります。 第二の観点でありますが、これは基本的人権の保護に関する問題であります。 基本的人権は、最高法規である憲法が保障するものでありますが、公共の福祉による制約を受ける場合があることもまた憲法は予定しているところであります。憲法に保障された人権を制限し、新たな義務を課すというような場合には、政令のみでなし得ません。これは国会制定法上の根拠が必要であります。これは内閣法の第十一条に明記されております。 戦時を含む国家緊急事態と人権の保障ないし制限につきましては国際的な規約が結ばれております。市民的及び政治的権利に関する国際規約というものがございまして、昭和五十四年の八月四日の条約七であります。 国際人権規約と呼ばれるこの規約は、人権保障の国際基準、国際的なガイドラインと考えてよいと思いますが、同規約の第四条では、国家緊急事態における人権制限について次のように規定されております。 国民の生存を脅かす公の緊急事態の場合においてその緊急事態が公式に宣言されているときは、この規約の締約国は、事態の緊急性が真に必要とする限度において、この規約に基づく義務に違反する措置を取ることができると定めております。ただし、このような制限措置の中には、人種、皮膚の色、性、言語、宗教又は社会的身分、出身のみを理由とする差別を含んではならないということも添えられております。また、生命に対する固有の権利、拷問・残虐刑の禁止、奴隷・強制労働の禁止、思想、良心、宗教の自由等を制限の対象外ともしております。 しかしながら、他方で、同規約の第八条第三項の(c)では、社会の存立又は福祉を脅かす緊急事態又は災害の場合に要求される役務、これは強制労働には該当しないということも明記しているわけであります。つまり、有事の際の業務従事命令は強制労働禁止の規定には違反するものではないということになります。 十八条では、思想、良心、宗教の自由について、宗教又は信念を表明する自由については、法律で定める制限であって、公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の基本的な権利及び自由を保護するために必要なもののみを課すことができるということで、やはり公共の安全、公の秩序のために制限が可能であるということを明記しているわけであります。表現の自由についても同じような規定が設けられております。 いずれにしましても、緊急事態において人権が平時と同じように制限されるということはあり得ない、やはり制限というものは加えられるんであろうと思います。ただし、それは非常に限定された必要最小限度のものでなければいけないということが国際基準であります。 国家緊急時において憲法に保障される基本権が制限されるとしましても、法律に基づき必要最小限の制約のみが許される、この原則は武力攻撃事態法の政府原案でも強調されているところであります。民主党による政府修正案、ここでは更に個別条文を挙げまして、人権の最大限の尊重を求めるという点で更に一層の配慮を促すものと言えましょう。 第三に、既成法との関連についてであります。 武力攻撃事態法と既に制定されております自衛隊派遣法との関連、これにつきましても様々な問題が指摘されました。既成法の中でも、特に周辺事態法との関連が問題点として指摘されるわけですが、一部反対派からは、米軍の紛争介入に引きずられる形で武力攻撃事態が認定されるんではないか、あるいは、周辺事態法や対テロ特措法で海外派遣中の自衛隊に対する攻撃があった場合に、これが武力攻撃事態と認定されて日本が戦時体制化するんではないかというような疑問が提起されていました。しかし、仮にこうしたその適用上の問題が生じたとしましても、その原因がどこにあるかといえば、これはやはり我が国有事に関する対処法の制定が後れたこと、後回しになったことが最大の原因であると私は考えます。 本来、専守防衛の国が安全保障法制を整備する場合には、まず自国領域の防衛、これに必要な緊急事態法制を整備する、これがまず第一であります。その後に自国周辺地域における平和維持への貢献、さらには、最後にグローバルな平和協力というような順序で優先順位を考えるのが常識でありましょう。 しかるに、日本においては、憲法問題や一部国民世論、周辺諸国への政治的配慮などの要因もありまして、最優先に置かれるべき我が国有事に関する立法が後回しになりました。このため、安全保障法制の中核であるべき部分が欠落した状態が続いた結果、自衛隊域外派遣の原則と安全保障法制全体の体系性に若干不明瞭な点を残しているということは否めないかもしれません。もしそうであるならば、この欠落を埋め、日本の総合的な防衛体制を法的に整備するとともに、地域安全保障、国際平和維持に関連して制定された既成法との整合性を今後見直していく必要があるかもしれません。そのためにもまずは、各会派の広範な合意の下に、我が国有事に関する法制を早期に制定する必要があると私は考えます。 個別法の制定に関しましては、これは既に市長の方から御意見がございましたので、これは省略いたします。 第五に、文民統制に関する観点から一言申し上げます。 今回の法案審議の過程で武力攻撃事態における国会関与の在り方が議論されまして、特に、民主党による修正案によりまして国会関与が強化されました。これは、軍事に対する政治の優位、これを制度的に確保する点で非常に意義のあることと考えられます。ただ、有事法制定が自衛隊のシビリアンコントロール確保に与える積極的な効果というのは、このような制度的な面だけにはとどまらないと私は考えます。つまり、防衛、緊急事態対処に当たる自衛官の心理的な側面における効果というものが重要でないかと考えます。 私は、防衛大学校において憲法、防衛法などの講義を担当している立場から一言申しますと、授業の中で日本の防衛法制に関する説明をする場合、特にこれを国際比較の観点から論じる場合に、他国に比較して日本の法制に不十分、不明瞭と思われる部分が残されるために、説明に苦しむところが多々あります。 立憲国家、法治国家の意義を強調する一方で、緊急事態法制になぜ不備があるのか。これは、単に憲法九条があるから仕方がないということでは済まされない問題だと私は考えます。専守防衛を国是とする我が国自衛隊にあって、自国防衛に必要となる非常措置を可能とすべき法制に不備があることは、現行法制、ひいては立法府に対する自衛官の不信を招きかねないという点で文民統制上好ましくない効果を生むと考えます。軍隊に対するシビリアンコントロールというものは、文民である政治家や官僚の軍人に対する一方的な支配を意味するものではなく、軍人と文民の意思の疎通と相互理解を基盤として初めて成立するものであります。軍事に疎い政治家の無理解とバランス感覚を欠く軍人の政治的発言は、政治と軍事の健全な関係を損なうものであります。 今回、有事法の基盤整備がなされ、これに基づく計画策定が進む過程で、各省庁と自衛隊、自治体、さらには民間ボランティア団体などの協議といいますか、話合いがなされるものと考えます。私は、有事法の制定を機に、政治機関と行政機関及び軍事機関、自衛隊ですが、さらには民間団体の意思疎通と相互信頼が築かれ、深められることを期待したいと考えます。それは、自衛隊に対するシビリアンコントロールを制度的な側面だけではなくて心理的な側面においても確固たるものにする基礎となることでありましょう。 以上、私の意見を終わらさせていただきました。
○団長(阿部正俊君) ありがとうございました。 以上で公述人の方々の御意見の陳述は終わりにさせていただきます。 それでは、これから公述人の皆さん方に対して委員から質疑を行わさせていただきます。 質疑のある方は、挙手の上で私の指名を待って御発言をお願いいたします。 なお、委員の質疑時間をあらかじめ打ち合わせておりますので、それをひとつ念頭においてお願いしたいと思っております。 また、御答弁の方も、時間が限られていますので、できるだけ簡潔で、申し訳ないんですけれどもお願いしたいと思います。 なお、御発言になるときにはどうぞ着席のままで結構でございますので、そのままでお願いいたします。 それでは、お願いいたします。福島先生。
○福島啓史郎君 自由民主党の福島啓史郎でございます。 まず最初に、小山公述人にお聞きしたいと思います。 小山公述人の方からは、今回の三法案につきまして、衆議院におきまして野党第一党の民主党の修正案を与党三党が受け入れて、協議の結果、四会派共同修正案が採択されたということを非常に評価されているわけでございます。この点に関しまして、この評価されている点はどちらにあるのか。つまり、野党第一党の修正を与党三党が受け入れたということ、つまり相当部分が、政党の相当部分が合意を達したということなのか、あるいはその修正内容なのか、どちらに力点を置かれて評価されておられるのか、まずお聞きしたいと思います。
○公述人(小山満之助君) 今お話しの両方であります。
○福島啓史郎君 まあ、そういうことでしょう。 次に、小山公述人は鉄道業務に従事されておられまして、電車、車両の、毎日三千五百人から四千人の運送という、生命産業の一つだというふうに言っておられるわけでございます。そのためにはルールを定めて、そのルールを徹底を図っていかなきゃいけないということを言われたわけでございます。私は、その際に小山公述人の言われました、国の安全も同じようにルールを作って、そのルールを徹底させていくことにあるのではないかということを言われた点につきまして同感するところが多いわけでございますが、特にこのルールの徹底につきまして、社員等、どういうふうに徹底されておられるか、お聞きしたいと思います。
○公述人(小山満之助君) これは私ども、鉄道法もありますし、いわゆる運転規則その他、細則等もありますが、これは所属の現場の長がまず全責任を持って関係者、乗務員等の教育をすると。それから、あと絶えず担当の部長、本部長、時には社長以下関係役員が現場に出向いていって、事故防止その他、規則の徹底をあらゆる現場を訪れましてきちんと確認をするといいますか、これを年に三回ぐらいやっております。 最初に申し上げましたように、我々の事業はまず事故をないようにするということが最大の目標でありますので、それに向かっては全社を挙げてやっていると。長い間やっておりますけれども、これはいわゆるゼロディフェクトの運動でありますけれども、無事故運動というのをこれはもう最初から取り入れて、ここ三十年来やって成果を上げている。 以上であります。
○福島啓史郎君 次に、呉東公述人にお聞きしたいと思います。 まず、呉東公述人にお聞きしたいわけでございますが、公述人は日本国憲法の下におきまして自衛権というのを肯定しておられるのか、否定しておられるのか、それをまずお聞きしたいと思います。
○公述人(呉東正彦君) 私、まず、個人の立場としては、自衛権ということでまず厳密に言うと、自衛権ということについての武力の行使とかは認められないという考え方であります。 ただし、私が述べております今日の意見は、仮に、つまり自民党さんなども言われているように、自衛権が認められるという立場でもこういうことが言えるだろうと、そういう立場で私は述べているつもりです。つまり、今のほかの公述人の方もおっしゃっておられましたと思いますけれども、日本の自衛隊が現実として存在する、しかしそれは憲法の下での自衛隊であると。自衛隊であるとするならば、そこの自衛隊の活動範囲はその自衛権の範囲に、厳密な意味での自衛権の範囲に限られるべきだろうと。そういう考え方に立って今日の議論は展開しているつもりです。 つまり、そういう意味でいいますと、自衛隊の任務というのは、厳密な意味での今までの政府解釈等に基づいたような自衛権の範囲に限られるべきだろうと、そういう考え方に基づいて今日の意見を述べたわけです。
○福島啓史郎君 ちょっと分かりづらかったんで確認をいたしたいわけでございますが、公述人は要するに、その自衛権の内容として武力行使は個人的には認めない、認めていないと、しかしこの内容は、武力行使の、自衛権の内容として武力行使を認める前提に立って書いているという、そういうことですか。
○公述人(呉東正彦君) そうです、はい。 つまり、今現実として自衛隊という存在がある。それに対して、やはり憲法第九条、日本国憲法が枠をはめているということは間違いない事実だと思うんですね。そういう意味での従来の政府の見解ですとか、そういうようなものに私は基づいて議論を立てておりますけれども、その立場からしても、やはりそこの今までの政府の見解、つまり憲法第九条の下での存在とされる自衛隊の存在を憲法解釈上踏み破っていく、そういう危険性がこの有事法制の中にあるということを私は指摘しているわけです。そういう意味で、今申し上げましたとおり、固有の意味での自衛権の行使に限られない集団的な自衛権の行使に自衛隊が踏み込んでいく、そういうきっかけというものをこの有事法制の武力攻撃事態の概念のあいまいさというものが与えてしまう可能性があるんじゃないかということなんですね。 今私が触れましたのは、現実に四月二十四日に衆議院での石破防衛庁長官の答弁がございました。その中に、いわゆるアメリカがある国を先制攻撃した場合に、それに対してある国がそういう日本に対して報復的な意思を表明したような場合というのが武力攻撃事態になるかどうかというような話があったと思うんですね。そこの段階で現実にアメリカが先制攻撃をしているという状態の下で、ほかの国からそういう表明があった場合に……
○福島啓史郎君 簡潔にひとつ。
○公述人(呉東正彦君) やってくるのはその集団的な自衛権の行使になる。そこは政府の今までの見解を踏み越えてくるという、そういう私の意見でございます。
○福島啓史郎君 ちょっと時間がないので、簡単に、簡潔にお願いしたいんですが、要するに今回の法律は、武力攻撃という事態があったときにそれにどう対処するか。どう対処するかということは、それを早急に終結させるには、自衛隊によります武力の行使とそれから日米安保条約に基づきます米軍の協力、さらにはその背景となります外交措置ということを明確に書いてあるわけでございます。したがって、武力攻撃という事態に対する対処のための法制でありますので、公述人が言われるような、元々武力の行使に反対だと、自衛権であってもですね、ということからあるいは来ているのかも分かりませんが、主張は私は当たらないというふうに思うわけでございます。 かつ、これは質問でございますが、今回は、従来であればこういった法制がないものでございますから緊急避難ということですべて済まされるようなことをデュープロセス、要するに適正な手続でもってやっていこうということが明確に貫かれていると思うわけでございますが、その点についての評価はいかがでしょうか。
○公述人(呉東正彦君) 私ですか、はい。 デュープロセスという点でも、私、今指摘させていただいた意見の中に含まれているわけなんですけれども、まず、そのデュープロセスという中に武力攻撃事態というものをどういう要件の下に認めるかということについてのきちんとした手続が不足しているんじゃないかというのが、まず私の懸念する点の第一なんですね。これについては、この武力攻撃事態というものが内容的にもあいまいだというようなものがありますけれども、政府がこれを認定する仕組みになっているわけです。しかしながら、この政府が認定するということについての事前のチェック、国会のチェックの仕組みがまだ、いまだないんではないだろうかということと、それから内容的な問題として、やはり具体的に武力攻撃事態というものをきちんと明確に、だれもがそうだというふうに定義されるような要件の定め方としてはやはりまだ概念があいまい過ぎると、そういうことを指摘させていただいているわけなんですね。それが実体的とそれから手続的な保障と言った意味です。
○福島啓史郎君 私は、十分なデュープロセスを今回確立したということで評価すべきだというふうに考えております。 次に、沢田公述人にお聞きしたいわけでございますが、沢田公述人は市長として、横須賀市が非常に基地と軍、自衛隊と米軍基地ということで、基地を前提とした町づくりをやってこられたということでございますが、特にその点で苦労された点、あるいは基地を町づくりの中に取り込んでいく、あるいは生かしていく、そういった点で、特に経済的な効果、あるいは社会的な、言わばこれはマイナスになるのかも分かりませんが、そういったものを是正するために常日ごろ心掛けておられることをお聞きしたいと思います。
○公述人(沢田秀男君) 基地とおっしゃるのは米軍基地のことだと思いますが……
○福島啓史郎君 いや、両方でございます。
○公述人(沢田秀男君) 両方ですか。 一つは、例えば米軍基地に限って言いますと、米軍基地が所在することによって、町の中の一番いい場所を米軍基地が取っているものですから、それから港湾でも一番条件のいいところを港湾として、軍港として使っているということもあって、そういう制約の中で町づくりをやらなければならないということに非常に苦労をしているわけですね。 例えば、道路を拡幅するときにも、米軍のところの土地をちょっと削ってもらうのにもなかなか時間と労力を要するというようなことも技術的にありますし、それから九・一一テロが起こってから入門規制が大変厳しくなりました。そうすると、入門するための自動車が路上に、特に日本人の乗る業界、事業者も含めた車が、十六号線の上にオーケーを取るまで並ぶものですから交通渋滞を起こすとか、そういう面がありますね。 それから、他面、米海軍の仕事に市民を中心とした日本の人たちが雇用されるという、そういう面の雇用吸収効果といいますか、それもあります。それから、物資を調達するのに日本の事業者との契約をするとか、中で建設工事、建設改良工事をやるときに、日本の建設業者との契約をするというような面の経済的な効果はあると思いますね。 一方、財政的には、財政というのは、市の財政で見ると、基地交付金というのが国から交付されるわけです、固定資産税が入りませんから。固定資産税の代替的な措置として基地交付金という制度があるんですが、固定資産税であったとすれば入るであろう金額と比べると非常に少ない、そういう状況もあります。 いずれにしても、私ども、私自身が心掛けているのは、基地が存在する以上はそれを前提にして町づくりをやらなきゃならないということと、それから、そこに約二万人と言われている、正確な数字は分かりませんが、家族を含めて二万人という人たちが住んでいるということからして、そういう人たちは横須賀での生活によって様々な日本の事柄を知る。横須賀に住んだけれども、嫌な生活だったというようなことで向こうへ帰るというようなことではいけない。地元でも様々な形で市民レベルでも交流は行われていますから、そういう人たちが日本での生活を通じて、日本の国民というのは大変礼儀正しいし、夜の治安も、女性の独り歩きも安全なんだというようなことを生活の中で知ることによって、自分たちがいざというときには日米安保体制、日米同盟の下で日本を喜んで守ってやろうと、そういうような気持ちになってもらえるように様々な形で努力をしております。
○福島啓史郎君 今苦労されておられる、市長の立場で苦労されておられましたこと、私は特に町づくりの点で、そうした言わば、何といいますか、具体的な計画、例えば道路づくり、道づくりのような話ですね、個別に対応できるような体制を国としても作るべきだと。これは持ち帰りまして、防衛施設庁と政府部内でも対応していかなきゃいけない問題だということで、それは受け止めていきたいというふうに思っております。 次に、冨田公述人にお聞きしたいわけでございますが、冨田公述人は保安大学校、現防衛大学校の一期生ということでございます。 まず、お聞きしたいのは、防衛大学校の学生の意識ですね、意識は変化しているのかどうか。特に、任官するときに職務宣誓をするわけでございますが、そうした学生が、一期生の時代とあるいはそれから現在の学生を比べて、本当に自衛隊員として国を守ってくれるということは昔も今も変わらないというふうに実感しておられるかどうかという点と、それから二番目は、米軍はここにいるわけでございますが、米軍の隊員と比べて、自衛隊の隊員の特に士気について遜色があるのかないのか、その点をお聞きしたいと思います。
○公述人(冨田定幸君) 私は、先ほどのときに自己紹介したとおり、保安大学校に入る前に警察予備隊にもう既に入っておりましたので、そしてその警察予備隊に入るときに、元々、戦時体験といいますか、米軍機のグラマンの攻撃を受けるのを小学校の五年生ぐらいのときに上で見ておりましたし、そのころから米軍をやっつけてやってやろう、早く一人前になって予科練に行って、そして玉砕といいますか、体当たりをやろうと、そういうことを子供心に思っておりましたので、高等学校を出るときに警察予備隊に入らないかと言われたときにイの一番に入りましたので、そういうところからいきますと、一般の、田村議員もおられますけれども、学生よりは、私は国防に関するところの意識は相当高かったものですから、当然のことと考えております。 そして、現在の防大生等は、むしろ松浦さんの方がよく分かっておると思いますが、私は、何といいますか、OBになりましてから、PKOに行った者、そういう者とか、それから湾岸、その後の機雷処理に行った落合さんだとか、ルワンダの救難民のあれに行きました大田連隊長とか、そういう方から話を聞きまして、いかに今の隊員が諸外国の軍隊に比べてすばらしいと、そういう評価を受けていると、本当に米軍とかいろいろな軍隊が来ていると思いますが、その軍隊に比べまして自衛隊員は本当にすばらしいという評価を受けているということを聞きまして、さもあらんと、そういうことで、もう心配ないと。本当に今の陸海空自衛隊の隊員、もちろんその幹部となる防大出身もしっかり期待にこたえるものになっていると。 しかし、最後に言ったように、期待にこたえるけれども、それが十二分に発揮できる場を与えられるかというと、それはまだ不十分だと思っております。だから、御心配要らないと思います。 しかし、それに対して是非国家が変えてもらいたい。もうこれは、ちょっと時間申し訳ありませんが、北清戦争の義和団のときに福島支隊というのができまして、連合軍と一緒になって赫々たる戦果を上げまして、それが基になって英国が日本のあれを見直して、そして日英同盟ができ、それによって日露戦争が無事に成ったということですね。そのときの、義和団のときに出掛けていった福島支隊に対して桂総理大臣は、福島支隊に、おまえは連合軍に対して保険料を払うために行くんだ、だから速やかに戦死をせい、しかし福島支隊が全滅してもその功績は、日本に功績は末代まで残るであろうと言って激励をして送り出したと言っていますね。 今、PKOとかいろいろなところに行っている自衛隊は、正に世界各国におけるところの保険料を払いに私は行っているんだろうというふうに思います。それによって日本におけるあれは国際的なところで地位を高しめている。保険料を払って一生懸命やっている自衛隊のしているようなことに処遇を与えるのは、これは国家の務めだということに思っております。よろしくお願いします。
○団長(阿部正俊君) よろしいですか。──じゃ、最後に。
○福島啓史郎君 福島、同じ福島姓として心してお聞きいたしました。 最後に、松浦公述人にお聞きしたいわけでございますが、松浦公述人はドイツの例を引かれて述べられました。有事法制とそれからシビリアンコントロールにつきまして、ドイツとまた今回の有事法制を含めた日本の比較を簡単にお述べいただきたいと思います。
○団長(阿部正俊君) それじゃ、簡潔にひとつお願いします。
○公述人(松浦一夫君) 簡潔になかなか説明しづらいところもございまして、たくさん法律がございまして、非常に複雑かつ広範な非常事態態勢をドイツは憲法レベルで備えております。これは先ほど申しましたが、また時間があれば別途御説明申し上げたいと思うんですけれども、今回の、特に修正が掛かった後の日本の武力攻撃事態法というのはドイツに非常に似ております。 これは、危機段階を二段階に分けて、更にそれが同盟軍との関連で幾つかのバリエーションがあるというような態勢というのはドイツに極めて近い。しかも、事態の認定に伴って個別法を発動させていくというような段階的な発動の方法というのはドイツの形に近い。これは、ドイツもやはり非常事態に必要最小限度の対処をする。人権の制限をしても必要最小限度にとどめるんだという配慮からこうした態勢を取っておるわけでありまして、日本もそれに近いものになりましたので、人権の制限であるとかあるいは事態の認定における国民あるいは国会に対する説明という点において極めて配慮したものになっているということが言えると思います。 ただ、ドイツの場合には、やはり集団的自衛権を明確に認めておりますし、また日本のような様々な憲法上の制約というものも、かつてはいろいろと議論されたんですけれども、今はもうすべてクリアしております。これは憲法改正によらずに、解釈改憲によって九四年に行われました。 そういうことで、日本とドイツを単純な比較はできないわけなんですが、今後、個別法を制定する段階、特に国民保護法制であるとか同盟軍との関係を整理する上では極めて参考になる点が多いというように考えております。
○団長(阿部正俊君) それじゃ、続きまして佐藤雄平君。
○佐藤雄平君 民主党・新緑風会の佐藤雄平でございます。 今日は、同僚の若林議員と一緒に公聴会に参加をさせてもらっておりますけれども、時間、二十分という制限の中でございますので、代表して私がそれぞれ質疑をさせていただきます。 公述人の皆さん方には今本当に貴重なお話をいただきまして、本当にありがとうございました。 その中で、沢田市長さんから今お話がありました正に武力攻撃事態と、予測と、どういうふうな、現実問題としてなかなか想像ができないと。正に今、国会の中でもここがどこの党も質問のまず冒頭に出てくる話でありまして、正にこれは国民の皆さんがテレビの中継を見ていても何か納得のできようのないところかな、我々もその委員会を見ている中でそんな感じをしますし、まずそこは我々国会の責任としてもう明確にどういうふうな事態が予測の事態である、また事態なんだということは国会の中で更に詰めていかなきゃいけないかなと。 それと同時に、冨田さんからもいろいろ国防の話、こんなの今ごろある意味では遅いんだと。各国の、諸外国の話を伺いましたけれども、私は、最大の今その認定をする前提となる情報というのが国際情報、諸外国の日本の情報というのが極めて、からの情報が希薄でありまして、そういうふうな意味で、私は、判断する材料というのはやっぱり情報だと思うんです。 ですから、日本の国が世界に対して情報インフラが一番やっぱり少ないということは、やっぱりある意味では国の責任で、これから防衛庁についても外務省についても情報インフラをきちっとするようなこともしなきゃいけないのかなと、そんな思いをしております。 また、呉東さんからさっき話がありましたけれども、全国の知事会のいろんなコメントがありましたけれども、この全国の知事会のコメントというのは、この法案は、実は有事三法と同時にこれは国民保護法を同時にこれは質疑をするのが一番正当な話かなと思うんですけれども、どうしてもそっちの方が遅れておりますから、全国の知事会の皆さん方、これも市長さんももちろんだと思います。ある意味では、国民の皆さんも現実問題として現場ではどういうふうな対応をしていいかというふうなことを非常にこれ戸惑うような現況だと思いますので、一日も早くこれは国民保護法というのを成立をさせなきゃいけないかなと、そんな思いをしております。 法案は、皆さん方もそれぞれ思っていることがあると思いますけれども、事態が発生する、その指示が今度都道府県に行く、更にまたそれが市町村に来るという、こういうふうな連携に実はなっておりまして、国の方ももちろんうんと大事でありますけれども、もっと大事なのは、やっぱりある意味では県であり、市町村、自治体のやっぱり市町村長さんがうんと荷が、重責を持つのかなと。それは、やっぱり市民の生命、財産というふうな点からだと思うんですけれども、そういうふうなまず前提の中で、私はそれぞれお伺いしていきます。 まず、市長さんに、沢田公述人に、本当に実際このような状態になったとき、市としてどんなことをしなきゃいけないか。まず消防、警察、特にまた、基地また自衛隊のあるところはそことの連携を取るにつけて、現実問題としていざそのときになったときにどんなことが国としてきちっとしてもらわなきゃいけないかなと。むしろ、国民保護法をこれから作るに当たってのいろんな懸案、想定した中での懸案があったら、まずお伺いしたい。 さらにまた、小山公述人、商工会議所副会頭さんには、この事態となると、生活物資の話になります、また運送の話になります。それが県知事さんとかまた自治体の町村長、市町村長さんから食料、物資を保護してくれとか、更にまた運搬をしてくれと、そういうふうな際に、現実問題としてその事態になったときに、商工業界、いわゆる国民として対峙するにつけて、こんなことを国でしておかなければいけないだろうと、そんなことがあったらまずそういうふうなことをお聞かせ願いたい。 さらにまた、松浦さんに、今度の事態法、有事立法について政府をして施行するときに、更にまたこれから国民保護法を作っていく中で、国民に対してこれだけはきちんとしたものを作らなきゃいけない、そんなことがありましたら、実は教えていただきたい。 市長さんと小山さんと松浦さんにお伺いしたい。
○団長(阿部正俊君) それじゃ先に、順番で沢田公述人から簡潔にお願いいたします。
○公述人(沢田秀男君) 例えば、武力攻撃予測事態ということになったときに国に最も求めたいのは、どういう事態なのかということを正確かつ迅速に自治体レベルにも分かるように教えてほしいと思うんですね。 今こういう状況になっている、今後こういうふうに展開するおそれが、おそれというか可能性があるという有事の中身についてまず的確に教えてほしいということと、自治体ですから、三千二百もあるわけですから、それがどの地域に及ぶ可能性があるのかと。例えば、不審船ですと大体日本海ということになるし、ミサイルだってどこへ飛んでくるかよく分からない面もあると思いますが、某国が例えば東京を対象にするとか、攻撃するとか、何というか、いろいろな宣伝をすると思いますが、そういう予測事態あるいは武力攻撃事態ですね、その情報は国にしか分からないわけですから、それに基づいて自治体が必要な行動をやるわけですから、その大本の情報をできるだけ早い手段で正確に教えていただきたいと。今後の予測、展開の見通し、判断が難しい場合もあるでしょうけれども、それを教えてほしいと思うんですね。 それから、こういうことだから自治体にはこういうふうにしてほしいという、そういう自治体がやるべき、あるいはやってほしい、国の立場から、そういう情報も迅速に伝えていただきたいと、そのように思います。
○佐藤雄平君 あれですかね、その現場では、警察とか消防とか、ここはあと自衛隊とか、場合によっては米軍と。この辺の実動部隊というんですか、この辺を市長さんが指示する中で、何か困難なこととか、そんなことは予想されないでしょうか、これはやっておいてもらわないとという。
○公述人(沢田秀男君) 例えば、横須賀が標的にされたという、標的にされそうだというような場合を想定してみると、自衛隊は自らの使命がありますから、そちらの方に全力を投入すると思うんですね。警察は警察で自らの使命がありますから、そういう地域におけるマンパワーで、それぞれの役割を果たすために動くと思うんですね。 そして、市としては、私が本部長になって、いつも風水害とかいうような場合に緊急非常災害対策本部とかそういう本部を作りますから、多分というか、ほかに方法もありませんから、きっとこの有事の場合もそういうスタイルで、例えば輸送機関、私鉄、JR、要するに交通、鉄道ですね、それからバス。電気、ガス、あるいは水道、そういうライフライン関係の機関の人も災対本部のメンバーに入っていますから、災対本部を立ち上げるかどうかという判断がまず先行しますけれども、災対本部を立ち上げたときには当然非常招集を掛けて、そういう関係者もすべて災対本部である市に集まるということになっております。 その中で、それぞれが持っている、例えば鉄道は鉄道が持っている現時点の情報をそこで報告するとかいうふうなことで情報の一元化と情報の共有化をそこに図って、その上で住民にはどういうふうに対処してもらうかということを取りあえず決めるということになります。それ以上に実際に被害が、予測事態の場合は被害はありませんけれども、実際の武力攻撃事態のときは被害が現に生ずるわけですから、一一九番ですぐ情報が入ると思います。
○佐藤雄平君 沢田さん、災害訓練というのは年何回ぐらいやっていますか。
○公述人(沢田秀男君) これは、全市的にというか、市が主体としてやるのは九月一日を前後に、それを中心にして一回、年一回、大掛かりなのをやります。それには自衛隊も米海軍も参加してまいります。
○佐藤雄平君 分かりました。
○公述人(沢田秀男君) それから、そのほかに、阪神・淡路大震災の教訓に学んで、一月の寒いときに地震を前提にした災害訓練をやりますし、それぞれの地域ごとに自治体単位で一年じゅうどこかしらで訓練をやっています。
○佐藤雄平君 ありがとうございました。
○公述人(小山満之助君) 御存じのように、全国のいわゆる中小企業といいますか、商工業者、商工会議所のメンバーになっている方々が九九・七%、残りが、〇・三%がいわゆる大企業ということであります。 我々この横須賀は、四十四万市民のうち商工会議所の会員がほぼ七千名、いわゆる議員が九十名おります。もちろん、あらゆる業種にわたって会員、議員が出ておりますので、先ほどのお話のように非常事態の物資の調達、輸送とか、そういったものは正式の形で要請があれば、地元で、地域で十分に対応できるというように考えております。 以上であります。
○公述人(松浦一夫君) お答えいたします。 国民保護法制に関して、どのような点が重要かというお話であります。特に、国民に対してどのような提案ができるか。 これまたドイツの比較になるんですが、ドイツでは一九九七年の三月に市民保護再編法という法律、日本でいう国民保護法制を、改正なんですが、作っております。その第一条の第一項で何が書かれているかと、これが自己防護なんですね。つまり、自分の身は自分で守れということが、それがまず第一なんですね。要するに、自治体とかあるいは国による救助というのはどうしても二次的なものになる、機動性には限界がある。特に、攻撃が同時多発するようなケースの場合にはそれが遅れる可能性がある。したがって、まず第一に、自分の身は自分で守る。自分の身を守った上で、更に近隣、近くの人たちを守れるような体制を整えるべきだというような形で自己防護という条文をまず第一に置いております。 これはやはり重要な点でありまして、阪神大震災のときにもいろいろと批判されましたですが、自衛隊が出が遅かったと。それから、手続上の問題もあっていろいろあったわけですけれども、やはり国の機関の対処を待っていては被害が拡大するわけでありまして、その点はやはり自己防護体制、これをどう整えるか。また、そのための訓練とか、いろんな装備といいますか、そうした面での整備ということがその第一であろう、ということが重要であろうと思います。この自己防護に関しましては、市町村がその教育の義務を、責務を負っておりますし、またそのために必要な機材などは中央政府、政府がこれを手当てすることになっています。財源も中央政府が出すことになっております。 それから、もう一つ重要な点は、ボランティア組織といいますか、自主的な防災組織というものがドイツには非常にたくさんございます。これは平時の災害救助に従事するものではありますけれども、有事の際にもこれはやはり活用されるわけであります。 警察、消防と同時に、ボランティア団体といっても日本のボランティア団体とはちょっと性格が異なりまして、労働組合などもそういった団体を持っておりますし、あと教会ですね、修道会とか教会とか、こういったものもたくさんこういったボランティア防災組織を持っております。 こういったもの、日本にももちろんあるわけでありますが、これとその自治体あるいは自衛隊、こういったものとの連携をやっぱり法律上整備しておくというようなことがなされておりまして、今回、政府案、政府のその骨子の中でも自主的防災組織というようなものが提案をされておりますけれども、かつての、こういうことを言うとかつての隣組の監視体制とかいうような方向に話が行ってしまいますけれども、諸外国でもやはりこういったものを十分に活用できるような法体制になっているという点は見習うべきであろうと思われます。 簡単ではありますけれども。
○団長(阿部正俊君) じゃ、次に、福本潤一君、お願いします。
○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。 今日は、公述人には各お立場も含めて、きちっと我々に対する、検討している委員会に対する御意見もいただきました。私の方は時間余りありませんから、一問一答形式でさせていただければと思います。 最初に、沢田市長にお伺いしたいと思います。 武力攻撃事態、また予測事態等々の不案内な、また国民に周知されていないという言葉がありました。そういう中で、昨日の委員会でも、有事のとき、憲法第九条の下の自衛権発動の三要件というのがかなったときに、武力行使を行うか否かの判断は内閣総理大臣が内閣の総意と踏まえた上で行うという発言ございました。 その上で、今後、国民保護法制、しかれていく形になると思いますけれども、ここは横須賀市、基地の町でございますので、今後、保護法制の下で、従来と同様、地方自治体の責務が四月十八日に提示された案によると出てくると思いますが、この問題点、具体的に感じておられるところがあれば、これを先にお伺いしておきたいと思います。
○公述人(沢田秀男君) 有事の際に、地域レベルでは、先ほど申し上げましたように、様々な業務をやらなきゃならないようになると思うんですね。避難誘導、警報の伝達と。避難誘導、それから学校体育館等への避難とか救急医療とか、様々なことがもう盛りだくさんに出てきます。それらは結局、消防機関とか消防団とか、自主防災組織あるいは防災ボランティア、そういうマンパワーを持つ市町村でやらざるを得ないと思うんですよね。市町村が何もやらないというわけにいかないんで、当然これはやります。 それは、自らの責務、法案の中にも自治体の責務となっていますけれども、その責務の内容としてそういったことをやるということになると思います。したがって、そういう責務、そういう現場活動をやるに当たってどういう行動をやったらいいかということが的確に判断できるような情報、それが真っ先に欲しいと、そのように思いますね。 それから、これは説明会を内閣官房からお聞きしたときに、出席した多くの市長から、これは全国市長会でやったんですが、声が出たのは、こういう有事の際に、土日もなく、また二十四時間場合によっては職員が勤務して活動しなきゃならない、様々な支出を伴う、臨時の支出を、それについての必要な国の財政的な措置はどうなっているのか、是非措置されるようにという、そういう要望が随分ありましたことをお伝えしたいと思います。
○福本潤一君 どうもありがとうございます。 同時に、呉東公述人と、また防大松浦助教授、お二人のお話聞かせていただいた中で、やはりお二人の立場が、今回の法案成立に行く過程において、両方の立場の方々のぶつかり合いというのは非常に大きかったなというのを先ほど感じさせていただきました。と申しますのは、民主党また自由党賛成で九割の賛成になったのは、最終的に、有事法制自体を議論できなかった段階から、議論してその法整備をすることが逆に抑止力になるんだという松浦公述人の意見と、また呉東公述人の御意見のように、ある意味では傘を準備したら雨が降るおそれがあるんだという論議、それを乗り越えようという話の中で進んできたということがあると思います。 これが九割賛成で今回通過した大きな背景だろうと思いますので、この御意見、法整備をしたからといって戦争が起こるわけではないということに対する御意見を、呉東公述人と松浦公述人、お二人からお伺いしたいと思います。
○団長(阿部正俊君) それでは、じゃ先に呉東公述人、お願いします。
○公述人(呉東正彦君) まず、先ほども述べましたように、私の意見というのも、やはり国際関係紛争を解決するためには国際協調主義が必要だという考え方に立っております。 それで、それは例えば日本と北朝鮮の関係をめぐっても、昨年の秋以来、日朝間の国交の正常化ということで日本国政府はいろいろと努力をされてこられましたけれども、その中で、やはりそれに対して日本政府とはまた違ったアメリカ政府のいろいろな考え方もあって、そこのところでいろいろとボタンの掛け違いがかなりこの間進んできているなという私は印象を持っているわけですね。そういう中から考えますと、また、日本の外交の立場と隣国である韓国の外交の立場というのもまたかなりニュアンスが違ってきているんではないかと思います。 そういう中で、私としては、国際協調というものをやはり前面に押し出していって、そういう中の枠組みの中で問題が解決されるべきではないかというふうに考えているのと、そういう話合いをする、そういう動きをする中で、やはり国際間の不信というのは一つの行為自体がまたその一つの行為を誘発するという要素が多分にございます。今の、要するに、日朝間あるいはそれ以外の国との関係も、そういう要素もやはり無視はできないものはあるであろうと。そうすると、国際協調を進めていく中ではやはり日本がそういう国際協調主義を前面に押し出していくべきだろうと、そういう考え方です。 それから、先ほどもう一つ私が述べましたのは、要するに有事法制そのものが、言ってみれば、本来考えられている、有事に対して対処するというのをはみ出してやはり発動される可能性があるということを非常に深刻に心配しているわけです。つまり、本来の意味でいくと、日本が武力攻撃を受ける、そういうおそれがあるというものに対して日本を守るという形での開始のされ方が想定されていると思いますけれども、先ほども私も触れましたように、今の国際間の状況では、やはり先制攻撃というものが非常に現実化しつつある国際情勢だと思うんですね。 例えば、アメリカがある国に先制攻撃を始めたと、それに対してやはり……
○団長(阿部正俊君) できれば簡潔にひとつ締めくくってください。
○福本潤一君 ありがとうございます。
○公述人(呉東正彦君) はい。
○団長(阿部正俊君) それじゃ、松浦公述人、お願いします。
○公述人(松浦一夫君) 適切なお答えかどうかは分かりませんですが、法律を作ったから、何か法律そのものに意思があってそれが何かを引き起こすというような発想というのは、そもそも言霊信仰的なところがございまして、余り賛同できない。 元々、国際協調主義が重要なのはこれは当然のことでありまして、紛争を抑止するために最善の努力を尽くす、それでもなおかつやはり紛争が最悪の事態に至った場合にじゃどうするのかという場合に、何の手続的なルールもなくそれを始めてしまうのか、また、起こった後は法律がないから超法規だ、緊急避難的なやり方ですべて解決だというようなやり方がいいのかどうかという問題なんだろうと思います。ですので、法律そのもの、先ほども申しましたが、法律、有事法を制定したことだけが紛争を誘発するとかいうものではなかろうと。 また、米軍の始めた紛争に巻き込まれるんではないかと。これは、有事法制があろうがなかろうが、そういった事態に至った場合にどう米軍に対して協力するかということは決めなきゃいけないことなんだろうと思います。それを、いずれにしましても、アメリカはこれ日本に駐留しておりますけれども、本国から補給をするわけにはいかない、やはりそのバックアップは日本がせざるを得ないわけでありまして、それをどの段階でやるのか、どういう手続でもってどういう事態になったらそれができるのかということを決めれば、そこで一つの抑止力にもなると私は考えておりまして、全面的にアメリカが勝手に始めたものに全部乗っかるというようなこと、むしろ、ない方が危険なのではないかという気が私はしております。
○福本潤一君 どうもありがとうございます。 戦争でない、平和を望むのは多くの、ほとんどの国民、人類共通だろうと思います。そういう中で、今のお二人の御意見、貴重な御意見として聞かせていただきました。 と同時に、現実に自衛隊におられて、今まで様々な思いで来られた隊友会会長さん、この言葉の中に、我々の友人にも親が自衛隊に行っていて、我々が子供のころ、戦後すぐでございますが、広島生まれで、広島、原爆の後の時期に生まれた人間ですけれども、自衛隊に勤めているだけで、あんたらのおやじさん憲法違反よというようなことまで言われて苦しい思いをした子供さんも知っておりますけれども。 先ほどの公述の中で、小泉首相が自衛隊は軍隊だということを認められたと、そのときに、今後、名実ともに軍隊であるということが、というふうに認められる方に行くと有り難いということがありました。長年勤められた実感として、名は今回軍隊だということになるとしても、実態として、これ、軍隊だなというふうに思われる状況かどうかというのを勤められた経験から聞かせていただきたいと思います。
○公述人(冨田定幸君) 私は、ホークミサイルですね、それの指揮官をやりましたので、対空射撃、実際のミサイル射撃ですね、アメリカに行くわけです。アメリカへ行きますと、アメリカの国内便に乗るわけですが、そうしますとアナウンスがありまして、これから搭乗していただきますと、まず身体障害者の方、まず乗ってください、その次には軍人の方乗ってくださいと言われるんですね。我々は自衛官ですから、また米軍の軍人じゃないかと思って、引率してもらってもまだまだとこう言っていますと、いえ、どうぞと。 正に、アメリカ、同盟国のアメリカにおきましては自衛官は軍人だという認識の下にきちっと処遇してくれるわけです。それがやってくれないのはもう我が国だけであります。これはもう皆さん御存じのとおりだと思いますです。 そういうことで、ですからまたそれぞれの各幕、いろいろなところで一生懸命頑張った幕僚等に対しても、米国の方はすぐに陸軍長官等が現役の自衛官に対して勲章を授与しております。そういうふうにして、本当に諸外国は皆自衛官は軍人だというつもりでやってくれていると思うんですね。独りそれをやってくれていないのは日本政府であると思うんですね。しかし、やっぱり自衛官、今度はっきりと言ってくれましたので、なら自衛官にふさわしい処遇、実を与えてもらいたいと。 それで、さっき言いました端的な、名誉と誇りというところで端的にあったのがこの叙勲基準だったものですから先ほど申し上げたんです。せっかく三十九年の叙勲基準が今回改正されているんですから、私は本当に、本当心躍る思いで、今度こそ入るよと、自衛官の自の字が必ず入るだろうと、そして国防に貢献した者というやつが入るだろうと思っていて、目を皿のようにして見たんですが、どこにも入っていないと。そういうところから、本当に自衛官に対して、すばらしいです、本当にすばらしい自衛官がせっかく国の宝としてあるわけですから、それを大いに活用し、そして活用する限りはそれに対するところの実質的な名誉と誇りを是非与えてもらいたいと、こういうことです。
○団長(阿部正俊君) それじゃ、時間もございまして、済みません、次へ参ります。次に、続いて畑野君枝さん。
○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。 この武力攻撃事態対処法案等三法案の内容は、衆議院の議論を経て参議院に参りまして、その国会の議論の中でもますます明らかになってきた問題ですが、当初、備えあれば憂いなしと言われてきたその備えというものが、正に米軍とともに攻めるための備えであるということが具体的に明らかになってきたと思います。正に米軍支援法だというふうに私は考えております。 具体的に申し上げれば、国会論戦の中でも、武力攻撃事態なるものが日米防衛協力の指針、ガイドラインに従って認定されることがあり、このことによって武力攻撃事態法案が発動されるという問題、あるいはアメリカのいわゆる先制攻撃によって引き起こされる武力紛争にこの武力攻撃事態法案が発動されることがあるということなどからも明らかだと思います。 そして、そうした武力攻撃を認定し、対処するために自衛隊を出動させ、国民を動員し、しかも罰則付きで動員をする。市民生活、経済活動に対する規制も大きく拡大し、基本的人権を侵害する。この点では、憲法の根本的な規定から見て到底認められない法案だと私は思います。 その点で、まず呉東公述人に伺いたいのですが、今ある周辺事態法、これは自治体に協力を求めるということでしたが、今度の武力攻撃事態対処法案等三法案では、これに対して責務を求めるというふうになっております。具体的に米軍のニーズ、必要を踏まえた新たな法律を作るということですが、これは米軍支援法というふうになるのでしょうか、具体的にされるということで、今まだ中身は明らかになっておりません。 この点では、横須賀を事実上の母港、出撃基地としている空母キティーホークやミサイル巡洋艦、そして厚木基地で訓練を重ねております艦載機が、さきの米軍の無法なイラク戦争でトマホークやクラスター爆弾で殺りく、破壊を行っております。武力攻撃事態法案が発動されるようなことになれば、横須賀の基地は一層重要性が増すし、機能の拡大強化が予測されると思うんですね。そういう点では周辺の住民への影響も出てくる、強制力を持った市民生活への様々な規制が強められるというふうに思いますが、この点についてどのようにお考えでしょうか。
○公述人(呉東正彦君) まず、この基地の町に対する影響の問題でありますけれども、先ほど私の陳述の中にも触れさせていただきましたとおり、これは端的に言いますと人、それから物の面で様々なやはり強制的な要素が出てくるというふうに考えられます。それで、人の問題に関して言えば、まあこの有事態勢というのが自衛官の方たちに対しても非常に強制的な要素をもたらすことは間違いないわけですけれども、それに限る問題ではございませんで、自衛隊法百三条の中に業務従事命令というのがございます。 この業務従事命令というのの対象は、医療関係者、それから輸送関係者、それから更には建設関係者、その指定された地域における、そういう意味では我々の町に働いている普通の人たちが偶然に建設会社に勤めている、あるいは輸送会社に勤めているということで、その業務従事命令の対象になるということになってくると思うんですね。 そこでの問題というのは、いわゆる普通の労働関係ですとそれはもう契約の関係です。だから断る自由というのはあると思いますけれども、それに対して、要するに強制的な、国家が命令をするという要素になってくるわけですね。そこでやはり様々な業務に従事をさせられるということになると思います。 そこで、やはり今私が問題だと思いますのは、この業務をするという範囲というものがどういう、つまり、防衛出動時におけるということに対するいろいろな関連業務となってくると思いますけれども、その業務の性質そのものもやはり様々、後方支援的なものから直接戦闘的なものにまで及んでくる可能性が出てきます。 それと、問題は、やはり今議論されている枠組みの中でいくと必ずしも日本の領域内とも限らない要素が出てくるんではないだろうかと。やはり、例えば輸送業務にしても建設業務等にしても、それが公海上に及び、更には海外に及んでくる可能性というのも、この武力攻撃事態法の概念そのものに地理的な限定というのがないわけですね。日本国に対する武力攻撃というのが、国会審議の中でやはり日本の領域内に限られず、場合によっては公海上の日本の艦船等への攻撃等にも含まれると、そういうようなことにもなってきますので、そういう地域的な限定がないということと、強制的な区域にわたるということで、特に私は横須賀市民で横須賀の問題を心配するわけですけれども、やはり多くの働く人たちが、今までの問題とは違って有事態勢の下で、業務従事命令という危険な命令の下で、強制的な命令の下で危険な目に遭い、場合によったら命を落とすということが十分に出てくるという要素があるかと思います。 それから、それはいわゆる業務従事命令に限られないということが今回のこの地方自治体、それから指定公共機関に対する強制的な、強制的なというか指示権ということになってくるんだと思うんですね。国がこういうことをしてくださいということを指定公共機関あるいは自治体に対して協力を、協力ということだけではなくて直接的に強制的な命令をしてくると。それについて自治体がこういう有事に関する危険な業務を労働者に命じて、そこでやはりいろいろな犠牲者が出てきた場合にどうするんだということがやはり問題、まだ全く解決されていない問題でもありますし、私はその点を非常に危険、心配するものです。 さらに、それから物の問題といたしましては、やはり是非先生方にもまたもう一度条文をきちんと御参照いただければと思うんですが、この有事態勢の下で、防衛出動準備態勢、その前段階から防衛施設構築あるいは展開予定地域内におけるいろいろな施設の使用等、それから家屋の使用とかそういう不動産、それから実際の物の使用ということが位置付けられております。そういたしますと、やはり様々、私たちの基地の町でいえばそういう施設というものが、これを使わせてくれという形でいろいろと権利関係で衝突してくることもありましょうし、いろいろな経済活動とも衝突してくることが多分に出てくるのではないかなということが非常に心配の内容になってまいります。
○畑野君枝君 関連して、沢田公述人にお伺いをしたいのですが、先ほどの公述の中で、法案についての政府説明の問題で、市長として説明するのに不十分だということが述べられたと思います。 今、呉東公述人からもお話を伺いましたが、横須賀の、とりわけ日常的に米軍基地と対応されている横須賀市長さんとして、市民からの危惧の声にどう答えるかという点で苦慮されている点があれば伺いたいと思います。
○公述人(沢田秀男君) 今回の有事法制について危惧をされているのは、呉東公述人を始めとするグループというか団体というか、そういう方々からの声は聞いておりますが、それ以外の市民から今回の有事法制についての危惧の声は聞いておりません。
○畑野君枝君 市長として説明するのに不十分であるというふうにお考えになっているその具体的な点は、先ほどちょっとお話しになりましたが、横須賀市民に御説明するときに不十分だと、政府の説明がですね、それで何か具体的な点ございますか。
○公述人(沢田秀男君) 先ほどの繰り返しは避けたいと思うんですが、一つだけ言いますと、一番分かりやすい例が武力攻撃事態と武力攻撃予測事態ですね。武力攻撃事態は、事態というのはよく分かりますよね。武力攻撃予測事態というのはなかなか分かりにくい面があるんですが、そういうのは法律でまた定義付けているんですが、その定義がまた分かりにくい面がありますから、具体例でこうこうこういうケースだということが分かれば私どもとしても説明しやすいと。そういうことで、そういう説明がないから不十分だと。 よく説明不十分と言う場合、説明回数が少ないとかいうふうなことで説明不十分だということが言われるんですよね。確かに説明回数が多いとは言いません。だけれども、同時に、何回説明聞いても分からない場合には、それは説明されたという実感がないから、分からないから説明不十分だという声になるんじゃないかと。そういうことで、分かりやすい説明をこれからお願いしたいと、そういうことです。
○畑野君枝君 具体的にお話をいただきました。 続いて、呉東公述人に伺いたいのですが、国民保護法制の具体的な内容もまだ明らかにされていないという点で、例えば武力攻撃事態法案という一般の法律に基本的人権の尊重をうたったとしても、私は人権保障が確保されるというふうには考えられないわけです。また、戦争という有事なんだからむしろ国民の自由と権利は制限、制約を受けるのは当然だという意見も出されているわけですね。この点で、私は戦争と基本的人権の保障は両立し得ないものだというふうに考えますが、公述人はいかがでしょうか。
○公述人(呉東正彦君) これ、私、二つの観点からお答えできればと思うんですけれども、まず、一つは、やはり過去のいろいろな、私たちのいろいろな戦争中の体験などもございます。そういう意味で、実際にいろいろな事態を想定することはできると思うんですね。しかし、例えば日本の国土が戦場になる、そういうような状態において、いろいろな法整備をしたからといって果たして国民の人権が守り得るものなんだろうかということをやはりリアルに考えていく必要があると思います。 人口がやはりこれだけ、横須賀にも四十三万の人口がいて、首都圏にも三千万の人口がいる、日本には一億二千万の人口がいて、この狭い国土の中でこの法律が想定しているような国土での戦争が起こった場合にやはり多大な被害者が出てくる、その中での人権保障というものが、果たしてそれが現実的なものになり得るのかどうかというところについてやはり私は非常に深刻な疑問を抱かざるを得ません。 そういう意味でいいますと、やはりもう一度日本国憲法の原点に立ち返って、やはり日本は武力紛争というものを国際協調の下で、話合いの下で解決していくと、そういう枠組みが非常に必要であろうと思われます。 それから、同時に、人権保障というものは、やはりこれは法律家の立場からの議論になりますけれども、人権保障というものはやはり一人一人の私たちの命とか権利とかいうものを大切にするわけですけれども、それはやはり平和でないと守られない。平和でないと守られないというのは、戦争を起こしちゃいけないと言っている意味だけではなくて、やはり戦争という名の下の例外というものが日常化していくことによって我々の権利保障というものが非常に骨抜きになってしまうと、そういう側面があるということとが非常に表裏の関係になっているからなんですね。 そういう意味で、やはりこの有事法制というのは、やはりそれはいろいろな皆さんお考え方はあると思います。それで有事法制が必要だと思われる方もあるかと思います。しかし、有事法制は必ずそういう人権利保障とか、それから国民の法律に対して例外を設けるものです。その例外を設ける上では、やはりそれが常にもろ刃のやいばであるということを是非頭の中に入れていただいて、この法律の要件というものがきちんと整理をされているということが非常にやはり国民の権利にとっては非常に重要であるということを是非各委員の先生方お含みいただいて、その中でもう一度この有事法制の条文、それからその規定の仕方というものをきちんとチェックしていただいて、これが本当に権力の濫用を許さない状態になっているものだろうかということをもう一度精査いただきたいと思うんですね。 それで、今回、民主党の修正案の中で、民主党との修正協議の中で最大限尊重ということが文言としては入っていますけれども、これがまだ私としては法的な拘束力のあるものとは思えないんです。やはりこれが、もう少し具体的なレベルで、この条文の中で具体的にはこういう場合にはこういう手続が保障される、あるいは、具体的には、例えば地方自治体との間では、地方自治体がこういう権利が言える、こういう手続が保障される、あるいは、こういうふうに言った場合にはこういうふうになるということを、よりきめ細かくそういうふうに検討していかないといけないわけでありまして、それがやはり今回の最大限の尊重を必要とするというだけの、要するに総則的な拘束力のない規定では、基本的な人権を防ぐという効果というのは法律家としてはいまだ望むことはできないと私は考えます。
○畑野君枝君 ありがとうございました。
○団長(阿部正俊君) それじゃ、続いて参らせていただきます。 では次に、田村秀昭君、お願いします。
○田村秀昭君 国会改革連絡会というのができまして、自由党に所属しております田村でございます。 沢田市長さんは、基地と共存する横須賀の町づくりを十年来やっておられて、日本の文化をアメリカの軍人さんによく知ってもらって帰国してもらって日本が好きになる、そういうアメリカの軍人さんをたくさん作っておられるという名市長さんというふうに私は理解しておりますので、良好な日米関係を構築されておられる市長さんでありますので、そういう面で非常に敬意を払って私はおります。 今日の沢田市長さんの意見陳述の中で、政府の説明が、三法案の、具体性に欠け分かりにくいと、首長として市民に説明するのに、したいんだけれども、どうも不十分だというふうに言っておられますが、ちょっと聞きそびれてしまったんですが、どういう点が具体性に欠けて分かりにくいのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
○公述人(沢田秀男君) さっきお話ししたこと、あるいはお答えしたこととダブってしまうかもしれないんですけれども、武力攻撃予測事態にしても、総合調整とかあるいは指示などについても、内閣官房等から説明は何回も実は受けているんです。全国市長会の立場で、若しくは全国市協議会の立場で受けているんですが、無理もない面もあると思うんですけれども、具体例で示していただかないと分からないんですよね。 武力攻撃予測事態とは、緊急の事態が生じて、何といいますか、事態が緊迫し、武力攻撃が予測される事態だということですから、予測事態とは何かといえば予測事態だと、こういうお答えみたいなもので、それは内閣法制局との調整とかいろいろあってそれ以上踏み込んで書けないと、こういうことは私も法律を作った経験もありますからよく分かるんですけれども、そうであるとすれば、それはそれとして、例えばこういうようなケースがそうなんだということを具体的におっしゃっていただければ聞いている首長もすっと分かると思うんですよね。私の聞いたのはしばらく前なものですから、まだそこまで行っていなかったのかもしれませんが、そういうことを申し上げているわけです。
○田村秀昭君 今、北朝鮮は、火砲一万、約一万ぐらい持っていて、それがどおんと行ったら、もうソウルも火の海になるわけですね。そういうところに例えば燃料を補給したとか、そういう兆候があったときが予測事態だよとか、そういう具体的に書けと言われましても、いろんな事態があるから、やっぱりそういう予測される事態と言う以上詳しくは、いろんなケース・バイ・ケースがありますから、難しいんじゃないかと私は思いますけれども、まあよく分かりました。 それでは、神奈川県の隊友会長、五千人の、非常に、冨田さん、前の青山基三さんとともに非常に活躍されておられる方でありますけれども。北朝鮮が核兵器の開発をしていて、平和的、外交的に解決できなかった場合に米軍が出動すると、武力行使に踏み切ったというときに我が国はどうするかということについて、私見で結構ですから、何もしないのか、何もしなかったら日米安保条約は壊滅だと私は思いますけれども、どういうふうに隊友会長はお考えなのか。
○公述人(冨田定幸君) それはもう言うことにやぶさかではありません。当然のことだと思います、私は。アメリカがですね、当然のことながら、これは日本とのあれはあると思いますが。そういうことで、アメリカといいますか、もう世界の平和を愛する国全体が、北朝鮮がそのようなことで核攻撃のそれをやるということになりまして、それを撤去せよと言っても、それを、核を持っていることが明白であり、それを撤去することに言うことを聞かないとなって、それを、日本の地からそれをやるということになれば、それに対してこういうことをやってくれという要請がもしもあった場合は、それに対して積極的に支援することは私は日本国家として当然のことだと私は思います、個人的には。
○田村秀昭君 その場合に、今一番問題になっているのは、集団的自衛権があるけれども行使できないという政府見解を変えないと……
○公述人(冨田定幸君) 私、これまた個人的な見解でありますが、個別的自衛権はあるけれども集団的自衛権はないという、今そういうことになっておるようでありますけれども、個人的には、これこそ訳の分からない解釈は私はないように思っております。少なくとも、集団的自衛権と申しますか、そういうことでアメリカと日本とがこれを同盟を結んでおって、アメリカは日本のためには助けてもらってもいいと、しかしアメリカに対しては日本は何もしませんというようなそんなことは国際的に私は通用しないと、そういうようなことをいつまでもやっておったら亡国の道をたどっていくというふうに思っています。 ですから、そういうような解釈しかできなかったら、憲法上できないんだったら、憲法を改正すべきだと。それで、憲法解釈でいけるんだったら速やかに、そんなあやふやなことを言わないで、どちらも日本の国を守るためには必要なんだったらそれはやれるんだという憲法解釈にすべきだと、憲法解釈でできなければ憲法を改正すべきだと私は思います。
○田村秀昭君 ありがとうございました。 もう結構です。
○団長(阿部正俊君) よろしゅうございますか。
○田村秀昭君 はい。
○団長(阿部正俊君) それじゃ、時間もありますので、恐縮でございます。次に進ませていただきます。 最後に、田英夫君、お願いします。
○田英夫君 私事ですが、およそ六十年近く前、昭和十九年に私はこの横須賀で一年間を過ごしました。海軍航海学校で戦争に行くための訓練をしておりました。その横須賀で今日、戦争にまつわる問題で皆さんの話を伺うということは言わば感慨無量であります。 私どもは今、平和主義と民主主義という二つの柱を持った憲法の下にいるわけでありまして、これは戦争には全くなじまない、戦争をしない国だということを決めている憲法の下にあるわけですが、したがってもし、今回の法案というのは戦争になったらどうするということですね、有事とかあるいは武力攻撃事態とかいう言葉を使っていますけれども、私は要するに戦争だと思っています。したがって、ずばり言ってしまえば、冨田さんがおっしゃったように、今の憲法があって、そして戦争をするという、この準備をするための法律というのは矛盾するわけですね。だから、憲法を変えろとおっしゃるのはその意味ではよく分かります。 そういう状況の中で、今回の法案に衆議院段階での与野党の自民党と民主党の修正で人権ということを入れようということで修正が行われました、憲法十四条以下のことを入れろという。これは一体本当に、法律の中に入れたことは分かりますけれども、守れるのか、戦争になったとき人権ということはあり得るのか。弁護士のお立場で、呉東さん、どういうふうに、戦争下で人権を守るという問題はどういうふうにお考えになりますか。
○公述人(呉東正彦君) 先ほども簡単に触れさせていただきましたけれども、まず、状況をいろいろと考えてみなきゃいけないと思いますけれども、まずそういう戦闘状態ということがありますね。それから、戦闘の準備状態ということが出てくるかと思います。それで、現実にやはり戦闘状態になった状態の下では、例えば沖縄戦の例が示しております、それから日本の中国あるいは満州でのいろいろな状態も示しておるかと思いますけれども、やはり大量の戦死者あるいはいろいろな非常な混乱が起こるということで、そこでの人権保護というものは非常に困難な状況になるということが考えられますね。 ですから、逆に、やはり日本国憲法がなぜここで平和主義というものを認めているか。これは平和そのものが目的なのではありません。そうではなくて、憲法の一番根本的な大切な価値というのは、一人一人、我々一人一人の命が何にも増して大切で、それを守らなきゃならない。それを守るために、やはり戦争状態というものは一人一人の権利というものを大切にしないものである、そういう我々の得てきた教訓の中から、やはり平和を守る、そして戦争、交戦権、そして軍隊を放棄しようと、そういうふうに考えたということが根本的にある。その点を各委員の先生方はもう一度その根本的な原理を御理解いただければと思っております。 それから、続いて具体的な問題についてですけれども、やはり基本的に人権というものが守られるためには努力規定だけでは駄目なんですね。もう少しやはり拘束力のある規定というものをきちんと入れることが必要であろうかと思われます。 それは、一つはこの有事態勢、仮にそういうような態勢が起こった場合に基本的な人権が守られるためには、手続の規定をもう少しきちんとした形で入れるということと、それとやはりこういうようなことをしてもそれは保護されるということをきちんと権利の形で書いて、そういうようなことが不利益を受けることはない、あるいはそういうようなものは一つの権利としてあるということをはっきりともう少し明確な形で明記することだろうと思うんですね。そういうことがやはりない。 言ってみれば、この今回修正された非常に御努力というのは私もそれなりのものはあるかとは思うんですけれども、この修正された条文を見てみますと、その前段に書かれていることと後段に書かれていることというのは、法的な効力では余り変わりがない。つまり、元々の案でも、要するに権利というものは尊重が必要とされると書いてあって、その中で、その後で最大限の尊重が必要とされるというふうに書いてあるわけだけれども、これはもちろん争いになったときにいろいろ裁判の規範となってくることはあるわけですけれども、現実的にどれだけの、その場で人権侵害が起ころうとしているときにどれだけの具体的にこれを防止する力があるかということになると、努力規定というふうに解される余地がないだろうかというところで、私は非常にそういう危惧感を持つものであります。
○田英夫君 もう本当に戦争というのは人と人が殺し合うことなんですから、その点はもうはっきりしておいた方がいいと思いますよ。 その戦争をするときにはどうするかということを考えていこうというのが今度の法案だろうと思います。しかし、政府が提出しましたのは、その戦争をするに当たってどうするかということの中で、まず自衛隊がどういうふうに動くか、あるいは政府が自治体や個人に対してどういうことをやるのかというような、その面からまず三つの法案が出てきているわけですね。一番大事なことは、戦争になったらどうするかということを考えるときには、国民をどう守るかということから考えるのが順序じゃないでしょうか。そういう意味では、国民保護法というのが出てきていない、一年先だというのはそもそもおかしいんですね、戦争を想定するとしても。その点は、どなたでも結構ですが、国民保護法って、戦争になって国民守れると私は思わないんですが、松浦さん、どうですか。
○公述人(松浦一夫君) おっしゃるとおりだと思います。 国民保護法制というものと武力攻撃に自衛隊がどのように対処するか、あるいは国家機関がどのような対処をするかということは、これはワンセットでありまして、どちらか一方だけではこれはよろしくない。 有事法制を作る場合に、まず非戦闘員の保護ということ、これをまず大前提にしていかなければいけないんですが、ただその場合に一つ申し上げたいのは、ジュネーブ第一追加議定書、この中に民間防衛、非戦闘員の保護というものがあるわけですけれども、今回これを、その条約の内容というものを国内法的に確保していこうということで話は進んでいるんだと思うんですね。確かに、出すのが遅れたということはありますけれども、これはやはり逆に言いますと、ジュネーブ条約を国内実施するために、憲法九条が一つの支障になっていたという側面もあるわけでありまして、その点はやはり、戦争することは大変なことであって、その決定はもちろん重く受け止めなければいけないんですが、もし仮にそういう事態に陥った場合にどのような対処をするかということはやっぱり憲法九条改正云々にかかわらず考えていかなければいけない問題なんだろうと思います。 ですので、遅れたことに関しては、これは一年以内ということだと思いますが、もう素案もできていることでありますし、また実動のレベル、これは市長にお伺いするのが一番いいんでしょうけれども、実動のレベルでは災害救助の組織というものが既にあるわけでありまして、それが有事の際にどのように機能するかという問題でありますから、災害関係の法令である程度の枠組みはできている。災害対策基本法とかですね、そういったものである程度の枠組みはできておりますから、それプラス有事の際に何かそれの上に乗っかるのかなという考え方で私は考えております。 いずれにしましても、早期にこれは作らなければいけない法律だと思います。
○田英夫君 本当に戦争ということを体験しておられない方が今や国民の大部分になりましたから、戦争というものを想定しにくいことは分かるんですけれども、自治体を預かっていらっしゃる沢田さんは、特にこういう基地の町の横須賀を預かっていらして、本当に戦争ということを想定して、戦時下の横須賀で市民の皆さんを守らなくちゃいけない。今度の法案で政府からは説明がまだ不十分だとおっしゃった気持ちは実によく分かるんですね。 具体的には、一体今までに自治体に対して、政府の方からこの法案を作るに当たって具体的にどういう説明があったんですか。
○公述人(沢田秀男君) 自治体の組織として、首長の方だけでいいますと、全国知事会、全国市長会、全国町村会とあります。それぞれごとに内閣官房あるいは防衛庁あるいは総務省関係の、あるいはじゃなくて及びですけれども、関係の省庁の担当者が見えまして、何回か説明がありました。説明がありましたが、したがって法案のことについては理解できたんですが、私どもは、それを地域において、その法案によってどういうふうに動くのかという具体的な行動マニュアルみたいなものがないと、実は効果的な活動ができないわけですね。それを法律の中に書くのは、田村先生おっしゃったように難しいと思います。法律は法律で包括的に書くしかないと思いますが、法律以外の分野で、例えばQアンドAでもいいですし、マニュアルでもいいですし、具体的にそれを見れば自治体が動けるような、そういうマニュアルを欲しいと思っているんですね。QアンドAも、私は官邸のQアンドAを見ました。見ましたけれども、分かったところもあるし、まだまだというところも確かにあります。ですから、なかなか政府のメディア等を使ってやるのは限界が、いかに具体的にといっても限界があるのかなという思いはありますけれども、説明の過程では、そういう会での説明の過程ではもっと具体的におっしゃっていただければと思うんですね。 国民といっても実際には住民ですから、自治体の役割というのは大変重要なものになっていきますので、なおさら国民保護法制をできるだけ早く作っていただきたいと思います。
○田英夫君 ありがとうございます。 時間がなくなってしまったんですが、本当に戦争というのはみんな狂気の状態にならざるを得ないとさえ思います。そういう中で、本当に今こういうものを考えなくちゃいけないのかなという気持ちを持っていることを申し上げて、終わりたいと思います。
○団長(阿部正俊君) ありがとうございました。 それでは、以上をもちまして当会場での公述人に対する質疑は終了いたしました。 この際、今日公述していただきました方々に一言お礼を申し上げます。 大変、公述人の方には、長時間にわたりまして有益な御意見をお述べいただきまして、本当にありがとうございました。拝聴いたしました御意見はこれからの本委員会の審査に反映してまいるよう努力したいと存じます。派遣委員を代表いたしまして、重ねて厚く御礼を申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。 言い忘れましたが、また、本公聴会のためにこの会場の準備を始めといたしまして御準備をいただきました関係者の皆様に、この際改めまして厚く感謝申し上げる次第でございます。 それでは、以上をもちまして参議院武力攻撃事態への対処に関する特別委員会の横須賀地方公聴会を閉会とさせていただきます。 〔午後三時二分閉会〕