武力攻撃事態への対処に関する特別委員会 第3号
- 発言数
- 245 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2003/05/20
会議録
○委員長(山崎正昭君) ただいまから武力攻撃事態への対処に関する特別委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨日、岡崎トミ子君及び荒井正吾君が委員を辞任され、その補欠として直嶋正行君及び久世公堯君が選任されました。 ─────────────
○委員長(山崎正昭君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 安全保障会議設置法の一部を改正する法律案、武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案及び自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、必要に応じ政府参考人の出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山崎正昭君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 ─────────────
○委員長(山崎正昭君) 安全保障会議設置法の一部を改正する法律案、武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案及び自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。 三案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○久世公堯君 自由民主党の久世公堯です。 有事関連三法案につきまして、内閣総理大臣及び関係大臣に質問をいたします。 去る五月十五日、衆議院において、有事関連法案が与党及び民主党による修正協議の結果を受け、与党並びに民主党、自由党の賛成を得て可決されました。私は、安全保障政策の根幹に係るこの法案に対して、修正の上、与党三党のみならず野党の民主党、更には自由党の賛同が得られましたことは、日本の政治史上画期的なことだと思っております。 これまで、我が国は外国の侵略が行われた際に、武力攻撃を排除し、国民の生命、財産を保護するための法制、いわゆる有事法制の整備が不十分でございました。このことは、諸外国と比較をして、民主的な法治国家、独立国家では考えられない異常な状況であったと思います。そのような中で近年、湾岸戦争、米国同時多発テロなどの世界史的な大事件が発生いたしました。また、北朝鮮の核開発の動向など、アジアの情勢も大きく変化をいたしております。 国際情勢の変化に対応して国会における論議が活発化し、安全保障に関する議論が徐々に成熟してきております。衆議院における法案審議では、有事というのはいかなる事態のことか、その場合において政府や地方団体は何をすべきなのか、国会の役割はどうあるべきかというようなことに関し、与野党間で真っ正面から真剣な議論が行われたと承知をいたしております。そして、与党三党並びに民主党、自由党が修正案や対案をそれぞれ提出をして、それを基にした議論の結果、四党による修正に至ったわけでございます。私は、その御努力に対して最大の敬意を払いたいと思います。 私は、与野党が共通の土俵で有事について議論できる環境が整った今こそ、本委員会におきまして国民の視点に立って分かりやすい議論を展開していく責務があると思っております。政府はそれに対し誠実にこたえ、法案に対する国民の理解を一層深める努力をすべきだと思います。どうか、小泉総理ほか閣僚の皆様にも、国民の視点に立ってという認識に立って御尽力をいただきたいと思います。 そこで、まず第一に、有事法制整備の必要性と我が国の安全保障について御質問申し上げたいと思います。 有事法制は、有事において武力攻撃を排除するための行動等が超法規的になされることを防止するという上で是非とも必要でございます。我が国は、戦後、冷戦期を通じて有事法制は整備されてこなかったわけです。なぜ有事法制が整備されなかったのか、また冷戦終了後のこの時期になぜ整備をするのか、総理のひとつ歴史認識をお伺いいたしたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今回、有事法制について、与党三党のみならず、野党第一党の民主党との修正合意がなされ、さらに自由党も賛成する形で衆議院が通過し、本日ここで、参議院において本格的な審議が始まったと。言わば、昨年来から与野党対決の法案と言われていたこの有事の法制に関する法整備が、こうして与野党、やはり有事に備える法制が必要だという認識を共有できたことは、日本のこれからの平和と独立、また国民の安全を確保する上において、非常に望ましい形で審議がなされ、与野党、安全保障に関する共有の認識ができたということは大変良かったと。私も、この折衝に当たった関係者の方々、また賛成してくれた、協力してくれた方々に敬意を表したいと思います。 なぜ今までできなかったのか。これはやっぱり第二次世界大戦の、二度と戦争を起こしたくないと、また戦争のことを考えること自体、それに対する嫌悪感もあったと思います。しかしながら、最悪のことを考えてそれを準備するのが政治の責任だという本来の当然の常識が、言わば戦争の痛手で、嫌なことは考えたくないという国民も多くあったのは事実だと思います。 しかしながら、戦後五十年以上たって、近年の大規模テロ事件、あるいは武装不審船の問題、拉致の問題、本来、考えたくない、あってはならないことが現実に起こる可能性が十分あるという国民の認識も高まってきたと思います。そういう国民の認識をやはり国会議員の方々も強く感じたんだと思います。それは、与党、野党を問わず、いざというときに備える法整備は必要だと。 そういうことから、今回、安全保障に関する責任ある政党として、あるいは政治家として、考えたくない最悪の事態に備えることも必要だという認識ができたからこそ、与野党合意の形でこうして衆議院を通過して参議院で審議が行われることになったと。本来の姿に戻らなきゃいかぬと、政治家として。常に望ましい姿を追求しなきゃならないけれども、最悪の事態に備える対策も必要だという認識が強く与野党合意の形になったのではないかと私は認識しております。
○久世公堯君 ただいまは総理から戦後の歴史認識に立った御答弁をいただいたわけでございますが、国家の独立と平和を確保して国民の安全を図るということは、政府の最も重要なかつ基本的な責務だと思います。 有事法制の整備は、国の安全保障政策の不可欠な要素であり、是非とも早期に成立させることが必要であると考えますが、そのためには国の安全保障に関する基本的な考え方を明確にし、それを国民に十分に理解していただくことも必要不可欠でございます。 ただいまも御答弁をいただきましたが、この点をひとつ踏まえて、我が国の安全保障に関する総理のお考えを承りたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) ただいま答弁した中でも触れましたけれども、国民の安全を確保するという場合におきましてはいろいろな事態が想定されます。一番今まで想定されるのは、日本の国が侵略された場合にどうして日本の国民の安全を確保するのか、また国家の独立を維持するのか。こういう点につきまして、起こってきてから考えればいいというのは無責任ではないかと。どういう根拠に基づいて有事の際に政府として行動したらいいのか、それはやはり法律がなくてもその時々の情勢に応じて勝手に判断すればいいんだということにはいかないだろうと。法治国家としていろいろな有事の事態を想定しながら、その際に法治国家としての法の整備をしなきゃならないと。政府が行動する場合には法的根拠に基づいて行動しなきゃならない。それは、いざ事が起こって、いざ侵略が起こって、あるいは国民に危害を及ぼすような、安全を確保できないような事態が起こった場合に、現場の指揮官が法律を無視して行動していいかというと、これはあってはならないことだと思います。やはり、法に基づいて行動しなきゃならない。 だからこそ、有事になる前に、言わば日本国民にとって最悪の事態に備えるというのが重要だと、昔から言われております治にいて乱を忘れず、治というのは平和のことでありますね。平和時においていざ乱が起こった場合、戦争が起こった場合、一朝事があった場合に平時から備えておく、これがいわゆる備えあれば憂いなしという考え方。これは古今東西、いつの時代でもどんな国でもごく常識的な考え方だと思うのでありますが、日本の中には、御承知のように一部には、備えのことを考えると憂いが起こるという奇妙な議論を持っている方々も一部にあるわけです、そんな最悪のことなんというのは考える必要ないと。この方がおかしかったんであって、むしろ備えあれば憂いなしという常識が通用してきたなと。 本来、この有事法制整備しても、この法制が適用されないように努力するのはこれまた政治の責任であると思います。こんなのは考えなくてもいいんだし、起こってはならないんだから整備しなくてはいいという考えには私はならないと思います。この有事法制ができても、この法の発動ができないように日々外交的、政治的努力をするのは当然だと思っておりますが、やはりいざというときに備えておくというのは法治国家として私は必要だと思っております。
○久世公堯君 この武力攻撃事態対処三法案、これは大変長い名前でございまして、国対関係では事態法と呼んでおるらしゅうございますので、私も事態法ということでやらせていただきます。あるいは、有事法制ということでやらせていただきたいと思います。 有事法制の整備はこの事態三法で終わるものではないと思います。国民保護法制あるいは米軍に関する法制、これからの法整備についてどのようにお考えか、官房長官に伺いたいと思います。
○国務大臣(福田康夫君) 一括して有事法制と、こういうように申し上げてもよいと思います。今後の整備の在り方というか仕方ですね、段取りというか、そういうことであろうかと思います。 法案におきましては、事態対処法制の整備を速やかに実施しなければならないと、こういうふうにされております。このことを踏まえまして、政府といたしましては、法案成立後、国民の十分な理解と協力の下に速やかに関係法案の成果を得るように、政府を挙げて真剣に取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。
○久世公堯君 国民保護法制のみならず、後でも申し上げますが、関係法がいろいろあろうかと思いますので、是非とも御検討、そしてその段取りを定めていただきたいと思います。 次に、国民の防衛に関する意識という点について総理にお尋ねしたいと思います。 内閣府が全国二十歳以上一万人に行った、国を愛する気持ちの程度の意識調査というのが昨年出されております。ここでは、約半数の人が国を愛するという気持ちが強い方だと回答いたしております。また、今年の一月には、全国二十歳以上三千人に行った自衛隊・防衛問題に関する世論調査では、約八割の人が戦争の危険があると回答し、朝鮮半島情勢に強い関心を示しております。 このような防衛に関する国民世論の変化は、我が国を取り巻く国際情勢の変化に国民が敏感に反応している証左だろうと思います。 思えば、昭和五十二年に有事法制研究を開始して以来、四半世紀の時間を経てようやく法案審議の段階に来たことは、国を守るということに関する国民意識の変化によるものだと思います。このような国民意識の変化について総理はどのように思われているのか、また、国民の関心を更に高め、これにこたえるために、北朝鮮情勢を含めて、国民に対して適時適切な情報の提供というのが極めて大事なことだと思いますので、それについてのお考えを併せてお願いを申し上げます。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 最近は、世界の情勢が瞬時に日本にも報道されるようになっております。毎日、テレビや新聞等で世界各国のいろんな紛争が報道されます。日本の地域から遠く離れた地域でもいまだに紛争が絶えない、多くの死者が出ている。 特に、米ソ対決の時代が終わって、冷戦構造が終わって平和が来たと思ったときもあったわけでありますが、むしろ冷戦構造が終結した後に、旧ユーゴスラビアの各地域での紛争、あるいは三十年近く前に起こったアラブとイスラエルの中東戦争。いまだにイスラエル、パレスチナ、テロ等の紛争が絶えない。さらには、近年、北朝鮮における不審な行動。こういうことについて、いかに米ソの冷戦構造が終結したとしても、各地域での紛争がこう連日、新聞、テレビ等で報道され、なかなか紛争というのはなくならないんだなと。日本はおかげさまでこの戦後六十年近く平和のうちに発展をしてきましたけれども、各国を見ると、紛争のために、あるいは争いのために、戦争のために、国づくりにも励むことができないというのをやはり多くの国民は感じているのではないか。とりわけ、身近な近隣諸国の北朝鮮の核の問題とか、あるいは拉致の問題とか武装不審船の問題のことを考えますと、人ごとではないなと。 まして、一昨年のニューヨークでの大規模なテロ事件発生を見ても、日本人も多くの方が犠牲になっている。いまだにテロの活動が絶えないということになると、幾らそういう嫌なことを考えなくても実際起こっている。起こった場合にやっぱりどう、どのようにその被害を最小限にするか、あるいは起こらないように未然に防ぐためにはどのような整備が必要かということに対して、私は今まで以上に多くの国民が不安に思ってきたのではないか、あるいは脅威を感じているのではないか。そういう不安や脅威に対して、未然に防ぐ措置、あるいは嫌なことだけれども起こった場合にどのように被害を最小限に食い止めるかという必要性を多くの国民が理解し、認識し出したのではないかと思っております。 そういうことから、今回、このように対決法案と言われた法案が与野党合意をもって今日審議されている状況になってきたのではないかと私は思います。
○久世公堯君 次に、予測とおそれのことについて伺いたいと思います。 政府原案では、武力攻撃事態の定義として予測やおそれという言葉を使っておりました。極めて分かりにくい表現でございました。この点につきましては、小泉総理も法案作成の過程においてかなり強くおっしゃったということを仄聞をいたしております。修正案では、武力攻撃事態と武力攻撃予測事態と二分されて、少しは分かりやすい記述となったわけでございますが、この法案の正にこの事態というのは基本でございますので、ひとつ総理のお口から国民の方にこれを御説明いただきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 後ほど担当大臣から答弁させますが、私はこの法案の作成の段階から、武力攻撃が起こった場合と予測できる場合とおそれの場合、これは国民は分かりにくいんじゃないかという疑問を持っていたんです。法律は元々分かりにくいですから、法文を読むと実に分かりにくい。しかし、今までの関連の法案で整合性を取らなきゃいけない、これは法律の用語ですからという意見もありましたが、案の定、国会審議の場合でそこをつかれたわけです。 考えてみれば、私の不安が当たったなと。しかし、野党の指摘ももっともだと、これは修正した方がいいということで、今回修正したわけです。むしろ、こういう法案の策定から私の常識の方が健全だったなという認識を強く持っております。よかったと思います。 担当大臣。
○国務大臣(福田康夫君) 総理のおっしゃるとおり、確かに分かりにくかった。私も随分頭を悩ましたところでございますけれども……(発言する者あり)そういうこともあるんです。 事態の緊迫度に応じた対処措置の違いが法律上分かりにくいということ、それから武力攻撃のおそれと予測という言葉ですね、この違いが分かりにくい、そういうことでございまして、この指摘もなされたわけでございます。 そういうような指摘を踏まえまして、衆議院における修正では、まず、政府原案の武力攻撃事態からいわゆる予測を切り離して、事態を二つに分けました。それぞれの事態について対処の基本理念を明らかにすることといたしました。また、武力攻撃のおそれと予測の表現をそれぞれ分かりやすいものに改めるということもしたものでございます。 その結果、武力攻撃事態の定義は今お示ししているような内容になったわけで、かなり整理されたものと思っておるわけでございます。
○久世公堯君 ありがとうございました。 次に、周辺諸国の警戒感とか不安感についてお尋ねをしたいと思います。 昨日の本会議質問でもこれは出されたところでございますが、有事法制は主権国家として当然整備するべきものでございます。諸外国に警戒感や不安感を与えるものでないと考えますが、他方におきまして、周辺諸国の中には我が国の有事法制整備に関心を持っている国もあると思われます。 そこで、有事法制についての各国の理解を得るための外交努力が非常に重要ではなかろうかと思いますが、外務大臣にお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) 委員がおっしゃいますように、この有事法制につきましては、これは国の独立と主権、国民の安全を確保するために主権国家として当然に整備すべきものでございますが、そして各国に不安感や警戒感をもたらすようなものではないというふうに考えております。そして、むしろ有事法制があった方が、有事の際に我が国がどのような行動を取るかということについて透明性を高めるという点でそういう効果があるというふうに思っております。 ただ同時に、無用な誤解、不安感を与えてはいけないということはおっしゃるとおりでございまして、したがいまして、その観点から、この法制の基本的な考え方あるいは構造につきまして、東京の外務本省において、あるいは各国にあります在外公館を通じまして主要な国々に説明をいたしてきておりますし、今後もそのような努力を続けてまいる所存でございます。
○久世公堯君 外務大臣が答弁されましたように、これからも努力を是非続けていただきたいと思います。 次に、集団的自衛権行使というものについての懸念が持たれております。冒頭申し上げましたように、参議院の審議は是非国民に分かるように、国民を通じてということを念頭に置いていただきたいと思いますが、我が国の周辺事態の後方支援がこの事態法によって集団的自衛権の行使につながっていくんではないかという批判がございますが、これについて国民は不安を感じていると懸念をいたします。このことについて、防衛庁長官からお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) 今、集団的自衛権の行使につながらないかという御指摘がございました。 我が国は憲法上、集団的自衛権は自衛の最小の範囲を超えるのでこれが行使することはできない、これが政府の立場でございます。これの変更ということは一切考えておりません。 衆議院でも御議論があったことでございますが、要は周辺事態というものがあって、それが武力攻撃事態に移る場合に、周辺事態が武力攻撃事態に移る場合に集団的自衛権の行使になし崩しになるのではないか、こういう御懸念があるように私は感じております。 これは、周辺事態というものは、そのまま放置すれば我が国の平和と安全に影響を及ぼすおそれのある事態というようなことでございます。概念が違っております。武力攻撃事態ということになりますと、これは当然のことでございますが、閣議で決定をし、国会の御承認をいただくというようなことになるわけでございます。ですから、現場の指揮官の判断で急に集団的自衛権を使っちゃうと、そのようなことはございません。そして、武力攻撃事態になりましたとしても、我が国にできますことはあくまで個別的自衛権でございまして、集団的自衛権に当たることはないわけでございます。 ですから、閣議決定、そしてまた国会の承認、そしてまた個別的自衛権しか使わない、このことははっきりしておりますので、集団的自衛権行使という御懸念は私は当たらないものだと、かように考えておる次第でございます。
○久世公堯君 私も、今の御答弁のとおりの考えを長く持っているわけでございますが、往々にして懸念ということが言われますので、お答えを賜ったわけでございます。 それと非常に類似をすることでございますが、総理に御答弁をお願いしたいのは、武力行使の目的を持って武装した部隊をほかの国の領土なり領海なり領空に派遣する、いわゆる海外派兵というのは、もう私どもの常識では自衛のための必要最小限度を超えるものであると認識をしておりますので、これは憲法上許されないと思うわけでございますが、そしてこれからも専守防衛を堅持していくことを改めて申し上げたいんでございますが、これについてやはり総理のお口からはっきりとお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) 海外派兵につながるのではないかというお話でございます。 当然のことでございますが、この法律は憲法の範囲内で作られております。専守防衛に徹することは当然のことでございます。海外派兵に当たるようなことはない、私どもはそういうつもりでこの法律を作らせていただいておりますので、御懸念は当たらないと、このように考えておるところでございます。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 元々、この有事法制というのは、日本が武力攻撃なり危機に瀕した場合対処する法案であります。今の防衛庁長官のとおり、海外派兵とかそういう意図を持ってやるんでなくて、日本をいかに守るか、日本の有事にいかに備えるかということであるということを御理解いただきたい、言わば専守防衛そのものの法案であるということを御理解いただきたいと思います。
○久世公堯君 ただいま総理それから防衛庁長官から御答弁がありましたが、このあくまでも政府の基本的な考え方、これは専守防衛ということを堅持するということをはっきり御答弁いただいたわけでございます。 そこで、少し具体論になりまして、専守防衛とミサイル防衛についてお伺いいたしたいと思います。 我が国の防衛政策の基本である専守防衛は、今もお答えがありましたように、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使するということを中核とする考えでございますが、この武力攻撃を日本が受けたときというのは相手が武力攻撃に着手したことも含まれるわけでございまして、現実に国民に被害が生じた後でなければ防衛力を行使し得ないわけではないと思います。この点については、誤解があるところでございますので、国民の皆様方に十分説明をしていただきたいと思います。 その上で、一つミサイル防衛について申し上げますと、正に専守防衛に合致した政策でございまして、最近の弾道ミサイルの拡散は非常な脅威を与えております。この間のイラク戦争でも、米国はPAC3を実戦で使用して効果を上げました。今自衛隊が保有しておりますPAC2につきましても、比較的短期間でPAC3に改造が可能と承っております。 ミサイル防衛は、これまでの机上の憲法論の段階から既に現実的な配備に向けた議論を行うべき段階に来ているわけでございますが、この弾道ミサイルの脅威から国民生活の安寧をいかにして確保する考えか、防衛庁長官に承りたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) ここもいろんな御議論があるところでございますが、我が国は先制攻撃ができるのかという議論があります。これは、先制攻撃は我が国はできません。それは憲法の解釈からいってそうだと思っております。 つまり、自衛権行使の三要件というのがあって、我が国に対する武力攻撃があること、そしてまたほかに手段がないこと、必要最小限度にとどまること、この三つがなければ自衛権の行使としての武力の行使は我々はできないわけでございます。したがいまして、私どもの方から単なるおそれがあるよというだけで先制攻撃、これはできないということは動かないと私は思っております。 しかしながら、まさしく委員が御指摘のように、それじゃ被害を受けてからなのか、被害を受けてからでなければ我々は何もできないのかということになれば、そんな無責任な話はないであろう。ですから、被害を受けてからではない、しかしおそれの段階では駄目だということになりますと、これは我が国に対する武力攻撃の意思が明確であり、そしてまたその準備に着手したという場合には、それは我が国に対する武力攻撃が行われた、着手があったということが判断できる場合があるということを申し述べておるわけでございます。 そして、ミサイル防衛の御指摘でございますが、委員御指摘のように、これは相手が撃たなければこっちは撃ちようがない、迎撃ミサイルだけ撃ちましても、これは何の意味もないわけでございます。したがって、専守防衛以外の何物でもない、我が国の専守防衛の考え方にかなったものだというふうに考えております。 それでは、導入の状況いかんという御質問でございますが、今までの湾岸戦争や今回のイラク戦争で使われましたものは射程五百キロぐらいの比較的短いミサイルでございます。射程が短いものでございますから、そんなに速いスピードでは飛んでまいりません。ところが、例えば今懸念されておりますような弾道ミサイルというのは中距離ですから、千三百キロ、千四百キロの射程を持っております。マッハ二十ぐらいで落ちてきます。そうすると、マッハ二十なんかで落ちてくるものに本当に撃ち落とすようなものができるのか、当たるのか、そんな夢物語みたいなことを言ってどうする、そんな御議論がございました。 しかしながら、昨年の秋、アメリカ合衆国においてイージス艦からそういうようなミサイルを撃ち落とす、こういうものに成功した。そして、委員が御指摘になりましたようなPAC2のミサイルというのは、湾岸戦争におきましても、そして今回のイラク戦争、これはPAC3も使われたと言われておりますが、実際に、今まで夢物語では、そんなもの当たるはずがないと思われておったものが技術の進歩によって当たるということが確実性を増してきたと思っております。ですから、アメリカ合衆国は、昨年の暮れ、二〇〇四年度からこれを実戦配備するということをブッシュ大統領が発表をいたしました。 我が国においてこれをどうするかということは、専守防衛にかなうものだという政府の立場ははっきりしておりますが、それがどれぐらいの確率を持って当たるものなのか、お値段がどれぐらいして、納税者の御理解が得られるものなのかどうか、そして防衛力全体の中でどういう位置付けになるか、あるいは法的な整理をどのようにするか、そういうことをきちんきちんと議論をしました上で、安全保障会議、そこにおいて決せられるというふうに考えております。 しかし、その実現可能性は、ミサイル防衛というものの実現可能性は急速に高まっておると、こういう認識を私は持っておるところでございます。
○久世公堯君 ただいまの御答弁と関係するわけでございますが、弾道ミサイルは発射から我が国へ着弾するまで極めて短時間だと承っております。ミサイル防衛に加えて発射基地への攻撃も考慮すべき重要な課題でございます。 ところで、法律論といたしましては、我が国の憲法の下でも敵の基地攻撃が可能であると考えられますが、いかがでございましょうか。また、こういうような法理論を踏まえて、現実の防衛政策への反映についての考えはどのようにお持ちでございますか、防衛庁長官にお願いいたします。
○国務大臣(石破茂君) お答え申し上げます。 今、委員が御指摘のように、昭和三十一年鳩山内閣総理大臣答弁というのがございます。そのときはまだ弾道ミサイルなぞという言葉はございませんで、誘導弾という言葉を使っておりましたが、それが飛んできた場合には、ほかに何も手段がない、そういう場合に、座して死を待つというのは憲法の予定するところとはどうしても思われない、そのような答弁がもう今から四十七年も前にございます。 それは、法理上はそれは可能である、すなわち先ほど申し上げましたように、我が国に対する武力攻撃があり、それが着手であったとしても、あり、そしてほかに何も手段がなく、必要最小限度にとどまるものであって、それが自衛権の行使の範囲内であれば、それは法理上は可能だ、憲法上可能だということであります。 しかしながら、ガイドライン等々に基づきまして、我が国は、その今、委員がおっしゃる敵基地攻撃という言葉を仮に使うとすれば、その打撃力はアメリカ合衆国にゆだねておるということでございます。そういたしますと、私どもとしては、本当にアメリカ合衆国との連携というものが、日米安全保障条約に基づきまして、本当に実効性のある、信頼性のあるものであるように更なる努力をしていくことが肝要だ、このように考えておる次第でございます。
○久世公堯君 先ほど総理も御指摘になりましたが、最近は新たな脅威がいろいろ現れております。米国に対する同時多発テロ事件、あるいは北朝鮮当局による武装工作船、さらに拉致、ミサイル発射、新しい脅威が我が国の国民に恐怖を与えております。 このように我が国を取り巻く安全保障環境は極めて不確実であり、不透明でございますが、我が国に対する新たな脅威について総理はどのように認識をしておられるか。また、その脅威に対してこの有事法制が整備されれば対処できるようになるとお考えでございますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 脅威がどのように現実に起こってくるかというのは、すべて想定するのはなかなか難しいことだと思います。できるだけ想定し得るものについては現実に法整備をしていかなきゃならないし、想定しにくいことに対してもある面においては今後協議していかなきゃならないと思いますが、正に一昨年のニューヨークのテロ事件なんていうのはだれもが想定し得なかったことですよね。武器ではない、民間飛行機を武器に使う、そういうことを今まで想像した人がいるでしょうか。しかし、現実に起こってきている。ましてや、拉致の問題についても不審船の問題についても、こんなことはでっち上げだと言って、それを信じてきていた人もいたんですから。 こういうことを考えますと、これから想定し得ない、何が起こってくるか分からない、正に脅威というのは様々な形で起こってくるということは否定できないと思います。それに対してどのような法制が必要かというのは、この有事の法制、今回のだけで十分であるとは思っておりません。だから、今後、与野党十分協議をしてより良いものにしていこうという合意が成立しているわけでありますので、今後、それぞれ与野党の議員の意見なり知恵をかりてより良いものにしていく、そしていろんな想定しにくい問題に対しても、万が一そういうような事件なり脅威に直面した場合にどのような法的対応が必要かという、法整備が必要かということについては、この法律が成立した暁にも必要ではないかと思っております。
○久世公堯君 去る三月二十八日でございましたか、情報収集衛星が打ち上げられました。我が国の独自の情報収集衛星の打ち上げというのは、主体的な情報を獲得するという手段、それから情報の質的な高度化という意味で、専守防衛の政策を取り、また一般の行政におきましても、災害が非常に多い我が国にとっては、非常に画期的なことだろうと思います。 情報収集衛星の保有によって国民生活の向上にどんな寄与をするかというものを余り今まで言われておりませんので、具体的に承りたいと思います。官房長官、お願いいたします。
○国務大臣(福田康夫君) 今、委員御指摘になられました、国民生活とおっしゃいましたか、国民にとってどういう関係があるか。 これは、安全を確保するという意味におきましては、これは今御審議いただいております安全保障ですね、そういう問題は一番大きな問題かと思いますけれども、しかしそれ以外に、国民的には、大規模災害、災害の問題、それに対する対応をどうするかといったようなこと、そういうときにこの情報収集衛星の活用というのは非常に大きな効果を発揮する可能性があるのではないかと、このように思って期待をいたしておるところでございます。 この情報収集衛星は、二か月、一か月半ぐらい前に打ち上げ成功いたしたわけでございます。そして、その内容、情報、どういう情報を収集するかという内容につきましては、例えば安全保障上の弾道ミサイル基地や艦艇、航空機等の状況などは、これはつぶさに分かるだろうというふうに思います。また、ただいま申し上げました災害面におきましては、地震とか火山の噴火などの大規模の災害の状況が、これが把握できるだろうと。それからまた、海外において、邦人保護に必要な情報、例えば紛争が起こるとか大規模な事件、事故等が起こった場合にこの情報収集衛星によって状況を把握することができる。こういうようなことはこの手段により可能なわけでございますので、安全保障と危機管理という両面にわたりまして国民生活にも関係が、大きな関係が出てくるものである、国民生活の安全に寄与するものだと、このように考えておるところでございます。
○久世公堯君 この我が国独自の情報衛星につきましては、今防衛庁の隣にその建物が建築中でございます。ひとつ、なるべく早くこの機能が発揮できることをお祈りをいたしたいと思っております。 次は、この事態法にとって一番議論の多い基本的人権の問題について質疑を申し上げたいと思います。 まず、総理にお願いをしたいんですが、日本国憲法が保障する基本的人権は、この武力攻撃事態においても最大限尊重されるべきものだと思います。一方、国家の緊急事態である武力攻撃事態において基本的人権が制限されることもあり得るということが考えられます。このように、基本的人権の保障は絶対的なものではないが、できる限り尊重されなければならないというのが憲法における基本的人権の保障の考え方であると思います。ほかの問題についても、戦後五十年、憲法制定以来五十数年、公共の福祉と基本的人権の関係というのは様々な局面で議論されてまいったわけでございますが、今この事態法の審議に当たりまして、ひとつ武力攻撃事態における基本的人権の最大限の尊重についての総理のお考えを承りたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 基本的人権の最たるものは生命を守るということですね。こういうことに対して、戦争が起こったらまず大事なことはいかに命を守るかと。命を守るということを前提に、今回の法案におきましては、国民の自由と権利を尊重すべきこと、基本的人権に対しては、命を守ることだけじゃありません、様々な国民の人権があります。この基本的人権に対する制限は必要最小限のものであり、公正かつ適正な手続の下に行わなければならないことが明記されています。 このように、武力攻撃事態の対処におきましても、基本的人権というものは最大限に尊重されなければならないと考えております。
○久世公堯君 ただいまの総理の御答弁、国民がテレビを通じて見ておりますので、非常に分かりやすかったと思います。そういう、これからも国民に対する答弁というものをお願いをいたしたいと思っております。 武力攻撃事態において国民を保護することは国の最大の責務でございます。また、国民としても最大の関心事だと思います。衆議院の審議におきまして既に国民保護法制の整備の重要性がいろいろと指摘をされて、これを受けて、政府におきましても、「国民の保護のための法制について」という案をお配りになりました。私どもも見せていただきました。 今後、国民保護法制を迅速に整備する必要があるわけでございますが、その国民保護法制の整備において基本的人権の尊重についての理念をどのように反映させていくのか、その考え方について官房長官からお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(福田康夫君) 国民保護法制におきまして国民の基本的な人権が最大限尊重される、これはもう当然のことでございます、ただいまの総理からも御答弁ございましたけれども。そのため、所要の規定の整備に努めてまいる考えでございます。 また、具体的には、国民に協力を求めるための手続や法律の規定に基づく措置の実施による損失の補償、そういうこともあるわけでございますけれども、こういう補償に関する規定の整備、これも検討してまいらなければいけないということでございます。 基本的な人権については、これは総理の答弁のとおりでございますけれども、法案の第三条第四項に、日本国憲法の保障する国民の自由と権利の尊重ということを明記しておりますので、その点については十分配慮してまいらなければいけないと思っております。
○久世公堯君 この国民保護法制につきましては、もう既にいろんな報道がなされておりますが、国民の権利を制限する法律であるという報道もございました。国民保護法制は、武力攻撃事態において、先ほど総理もおっしゃいましたように、国民の生命、身体を保護するために、警報なり、避難なり、救助なり、そういう各種の措置を実施するために整備されるものであって、基本的人権を制限するためのものではないと考えられるわけでございますが、これについて官房長官のお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(福田康夫君) 国民保護法制で定めることとなります国民の権利及び義務に関する規定につきましては、医療施設とか医薬品、食品などの緊急物資の確保など、国民の生命、身体等を保護するためにやむを得ない場合に限って土地の使用や、それから物資の収用等、必要最小限度の措置を定めると、こういうことを想定しているわけでございます。 この法制は、警報とか避難、救援等に関する所要の規定を整備し、国民の生命、身体等を保護するための法制でございまして、国民的、国民の基本的な人権を制限しようという、そういう趣旨のものではございません。
○久世公堯君 基本的人権と公共の福祉といいますか、この事態法に想定されるいろんな問題、極めて重要でございますので、今の御答弁の趣旨に沿って運営をしていただきたいと思いますし、これからの法案審議がやがて出てくるわけでございますが、それに対処していただきたいと思います。 次に、指定公共機関についてお尋ねをいたしたいと思います。 武力攻撃事態から国民を守るために、国、地方公共団体だけではなくて民間企業も含めて多くのものが連携をしなければいけません。連携協力をしながら、国全体として万全の措置が講ぜられるようにする仕組みを設けることが重要でございます。こういう見地から、この指定公共機関という制度がこの法律に取り入れられたものと思いますが、その必要性について総理の見解を承りたいと思います。
○国務大臣(福田康夫君) 国民の保護の法制の中で、指定公共機関の問題が出ているわけでございます。 武力攻撃事態におきまして、国民の生命とか、それから身体の安全の確保というために、これ、緊急の迅速なる情報伝達というものはこれはもう欠くことはできないものでございます。そのために、放送の速報機能、一番速報性が高いものということで、放送事業者を指定公共機関として位置付けることを考えておるわけでございます。 放送事業者は、指定公共機関に指定された場合にも、仮に指定されたという場合に、自ら作成した業務計画に基づいて警報などの緊急情報を放送するということでございますので、放送の自律性を損なうということはないと考えております。 政府は、報道内容の規制など、放送事業者の報道の自由を制限するような、そういう考えは全く持っておりません。
○久世公堯君 今の指定公共機関の問題でございますが、民放連は、この指定公共機関制度が放送事業者の報道の自由を制限することになるということを主張しているようでございますが、この警報とか、こういう緊急情報の伝達は、正に国民の生命、身体の保護のために極めて重要であって、こうした役割を担うものとして放送事業者を指定公共機関と指定しても報道の自由を制限することにはならないと考えますが、総理のお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(福田康夫君) 先ほど私、ちょっと先走りしまして、ただいまの御質問のことについても触れました。 要するに、放送事業者というのは、これは指定公共機関に指定されるという、そういう場合にあっても、要するに業務計画は自ら作成をしたものを用いるということでございまして、政府として放送してもらわなければならない、期待しているところは、警報などの緊急情報を放送する、あまねく国民に知らしめると、こういうことでございますので、そういう意味で、放送の自律性まで損なうような、そういうものではない。 あくまでも、放送の、若しくは報道の自由を制限する、そういうことではないということでございます。
○久世公堯君 次に、国民の協力についてお伺いをいたしたいと思います。 国民の協力という条文のある法律というのはそう多くはないと思っておりますが、国家を守るためには、国や地方団体、あるいは今お話のありました指定公共機関による対処措置というものが基本になるわけですが、その際、例えば住民の避難とか救援などにおいては国民から協力を得ることが極めて重要であると考えます。 そこで、そういう趣旨からこの国民の協力というのが書かれたのかもしれませんけれども、それについてのお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(福田康夫君) 武力攻撃事態への対処という観点から、これは地方公共団体、指定公共機関、それらが協力して措置を実施するということを基本と考えております。これは、対処基本方針に基づいて実施するということになります。 一方、武力攻撃事態において国全体として万全な措置を講ずる、こういうためには国民の協力がどうしても必要でございまして、国や地方公共団体が対処措置を実施する際に、それを補完する形で必要な協力をお願いすると、こういう考え方をしております。このために、この国民保護法制では、住民の避難、被災者の救助の援助というような国民の協力が期待されるような、そういう措置については協力を要請できると、そういう旨の規定を設けることを、これは想定を今の段階でしているところでございます。
○久世公堯君 今、官房長官もちょっと触れられたわけでございますが、次に、国民保護と地方公共団体の関係について、三点、総務大臣に伺いたいと思います。 第一点は、武力攻撃事態等における国民の保護について、住民に最も身近な行政機関は地方公共団体でございます。この地方公共団体が重要な役割を担うものと認識をいたしておりますが、都道府県あるいは市町村に対してどのような責務を果たすことを期待しているのか、お考えを承りたいと思います。 第二点目は、国民保護法制が国民の期待にこたえ、有事の場合に十分機能する法制となるためには、地方公共団体の理解と協力が必要でございます。そのためには、法制の整備に当たって地方公共団体の意見を十分に聞いていくべきだと思います。これは既に全国知事会等からは意見を聞いておられるそうでございますけれども、なお全体にわたってこの御意見を承りたいと思います。 三点目は、国民の保護に当たって、国、地方公共団体、それから指定公共機関が一体となって万全の措置が講ぜられることが必要でございます。このために、地方公共団体の計画の一番基本になる統一的な国の基本方針というものを策定すべきだと考えますけれども、その際に、地方公共団体の意見を十分聞くべきではないかと思いますが、この三点について総務大臣のお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 今、久世委員から三点の御質問がございました。 国民保護法制における地方公共団体の役割は大変重要ですね。地方団体の最大の責務は住民の生命、身体、財産を守ることですから、私は、そういう意味では地方公共団体というのはそういう根幹になると、こういうふうに思います。 そこで、具体的な内容は、概要は示しておりますが、これから検討してまとめていく、固めていく、こういうことでございますが、例えば、都道府県は避難の指示ですね、あるいは避難した住民の救援、炊き出しその他、あるいは医療の確保等が主なる役割になるんじゃなかろうかと。それから市町村の方は、住民の避難の指示が出た場合の誘導ですね、あるいは災害が出る、被害が出た場合の応急措置、あるいは警戒区域の設定だとか、あるいは消防ですね、そういうことが中心になるんではなかろうかと思います。 それから、この国民保護法制を固めるに当たっては、地方公共団体の意見を十分聞くことは言うまでもありません。今までも知事さんだけじゃないんですよ、市長会にも町村会にもその他にも、あるいは担当者にも何度も内閣官房と総務省も一緒になりまして説明会をやり意見を聞いてまいりましたが、再度聞くと、こういうことでございますが、今回のこの事態法の中に国民保護法制整備本部というものを法定するということになっているわけですね。この本部で正式に、法律の根拠があるわけですから、十分地方公共団体の意見も聞いていくと、それ以外も聞いていくと、こういうことではなかろうかと思います。 それから、三点目の基本方針ですね。これは国が作るわけでありますが、この基本方針に基づいて、例えば地方団体や指定公共機関、指定行政機関ですか、が国民の保護のための計画を作ると、こういうことでございますから、計画が作りやすいような基本方針にしてもらわなければ私ならないと思います。そういう意味では、この基本方針策定についても地方団体等の意見を十二分に聞いていただくと、そのための場をいろいろ考えていきたいと、こういうふうに思っております。
○久世公堯君 今のことと関連もするわけでございますが、自衛隊の活動に関する災害時の対応との相違といいますか、緊急事態の場合と災害時の場合との比較においてお尋ねをいたしたいと思います。 この武力攻撃事態が災害と最も違うのは、敵が存在しているかどうかという点だろうと思います。戦争では自衛隊は敵の排除に全力を挙げざるを得ません。災害時のように被災者の援助、救出に専念はできないわけでございます。 そこで、既に衆議院においてお配りいただきました国民保護法制の骨子では、地方公共団体による避難措置に関し、消防などとともに警察及び海上保安庁、自衛隊は市町村を中心に調整を行って避難住民を誘導するということが書かれております。 戦闘行動と並行することが現実的にあり得るのか、この議論が必要であると思いますが、防衛庁長官、その辺りの御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) 近年の有事と言っても戦争と言ってもいいのですが、それの特色というのは、正しく民間人の犠牲が非常に多いということだと思っております。昔の王様同士の戦争なんというのは、これはもう民間人が犠牲になるなんということはなくて、王様と騎士団同士がやっておればよかったわけでございますが、これが第一次世界大戦になり第二次世界大戦になり、第二次世界大戦では民間人と軍人の死者というのはほとんど同じになったと言われております。朝鮮戦争に至っては、初めて民間人の方の犠牲が増えた。ベトナム戦争に至っては、何倍も民間人が犠牲になった。九・一一などというのは、すべての犠牲は民間人ということでございました。 私どもは、有事において民間人が犠牲になるということは絶対に避けなければいけないことだというふうに考えております。有事の場面で、そこに民間人がいるということはあってはならないのだと。どうやって民間人を安全にそういう場面から隔離をしていくか、そういう場所から退避をしていただくかということを第一に考えなければいけないというふうに思っておる次第でございます。 しかし、委員御指摘のように、それでは有事と災害と違うではないかということでございます。違います点は、委員御指摘のように、一つは、地震でも地すべりでも何でもそうですが、それは普通は一か所に限定的に起こるものだと思っております。しかし、有事は敵がおりますので、それがあちらこちらで、ここで起こったりあそこで起こったりということがあるだろう。 そして、自然災害というものは、基本的に終息に向かっていくものだ。しかし、有事というものは、終息に向かうどころかどんどん拡大をすることがあり得るだろう、これが二点でございます。 第三点は、この点がまさしく委員の御指摘の点だろうと思いますが、阪神大震災でも何でもそうですが、自然災害の場合には、自衛隊も来る、消防も来る、警察も来る、いろいろな国家の持っておる、あるいは地方公共団体の持っておるすべてのパワーがそこの復旧に当たるということだと思います。しかし、有事の場合には、敵と遭遇し、その敵の侵略というものを排除するという役割は、これは自衛隊のみが持ち得るものでございます。有事になったら私も銃を持って戦うんだなどという方がいらっしゃいますが、そういうことはジュネーブ条約上やってはいけない。民間人が銃を持って戦うということはジュネーブ条約上もあってはならないことでございます。敵の侵害を排除するということは自衛隊のみがなし得ることだということであります。 そうしますと、不幸にして民間人がいらっしゃるところが有事の場面になってしまった、そのときに自衛隊は何をするのだということであります。当然、民間人の方々を、市町村や警察や消防と連携をして避難誘導のために自衛隊も働きます。しかしながら、同時に敵の侵害を排除するということもやらねばなりません。その場合に、自衛隊が敵の侵害を排除するというときに相当の力をそちらに取られるということは私は起こり得ることだと思っております。それは民間人の方の避難や救助をおろそかにするということではなくて、自衛隊しかできないことによって敵の侵害を早期に排除するということも極めて重要なことだと思うからであります。 したがいまして、じゃ、自衛隊がそこで十分といいますか、災害のようなことができないとするならば、じゃ、だれがそれを負うべきなのかという議論、そして、自衛隊と市町村と警察と消防と、それがどのように連携をしていくのかという仕組み、そういうものをきちんと構築をして万全を期すことが肝要だというふうに考えておる次第でございます。
○久世公堯君 それでは次に、国会の関与についてお尋ねをいたしたいと思います。 この国会の関与の問題は、今まで安全保障関係の法律の議論の際にも、例えば、PKO法の問題、あるいはPKOの中でもPKFの本体業務の解除の問題、それから周辺事態法のとき、あるいはテロ特措のとき、そして今回の場合、それぞれ、この国会の承認というものをどういうふうにやるのか、あるいは国会がどのように関与するのかというところはいろいろ議論があり、法律の規定もそれなりに適合したものがあると思うわけでございます。 ところで、この事態法につきましては衆議院で国会の関与についての修正がございました。国会の意思を尊重し、シビリアンコントロールを確保する観点から、国会の議決で防衛出動などの対処措置を終了させる旨の規定を設けて、より一層国会の関与に配慮する内容になっております。 この衆議院の修正では、政府の判断が正しいのかどうかを国会がチェックをし、自衛隊の活動に歯止めを掛けるという意味で有用な修正であったと考えますが、総理のお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(福田康夫君) 武力攻撃事態への対処につきましては、これは、行政府と立法府とがこれは統一的な意思の下で行っていくということが、これが大事なのだろうというように考えております。自衛隊の活動を含む対処措置の開始だけでなく、衆議院における法案の修正はその終了についても国会の関与を法的に担保するものでございまして、国会と政府の統一的な意思の形成が一層重視されるというように考えております。
○久世公堯君 今御指摘がありましたように、武力攻撃事態への対処は国会と政府の統一的な意思の下で行うことが非常にかなめである、私もそのように感ずるわけでございます。 さて次に、国際人道法の的確な実施の意義についてお尋ねをいたしたいと思います。 ちょっと個別の条文になりますけれども、武力攻撃事態対処法、事態法の二十一条二項では、「事態対処法制は、国際的な武力紛争において適用される国際人道法の的確な実施が確保されたものでなければならない。」と、このように規定されておるわけでございますが、武力攻撃事態に対処するに当たっては、武力紛争による惨禍をできる限り軽減するために国際人道法の的確な実施を確保していくことが重要であると考えます。このような国際人道法の的確な実施を確保することの意義につきまして総理から御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(福田康夫君) 国内法制の整備に関することでございますので私から御答弁申し上げますけれども、委員の御指摘のとおり、これは重要な問題でございまして、武力紛争による惨禍をできる限り軽減すると、これがポイントでございます。 今後整備される、事態対処法制の整備に当たりましては国際人道法の的確な実施を確保するということが重要課題でございまして、そのために必要な国内法制をできるだけ速やかに整備をしてまいりたいと思います。
○久世公堯君 そこで、この国際人道法、非常に今の御答弁にありましたように重要な意義を持っているわけでございますが、これの的確な実施を確保するための法制整備というものは早急に行う必要があると従来から言われております。 冒頭、官房長官から国民保護法制についての御答弁をいただきましたが、同時に、このジュネーブ諸条約に基づく国際人道法を遵守するための法制整備というものもこの一環のこれから検討しなければいけない重要な要素であると思いますが、その進捗状況につきまして外務大臣から承りたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) 実施の状況についてでございますけれども、これは現在、関係省庁間で国際人道法の的確な実施を確保した国内法制の整備に向けた検討作業を今進めているところでございます。 それで、外務省といたしましては、ジュネーブ諸条約、これは我が国が既に締結済みでございますが、また、現在、締結する方向で検討を進めておりますジュネーブ諸条約第一及び第二追加議定書といった国際人道法の的確な実施を確保する観点からも事態対処法制の検討に引き続き積極的にかかわってまいりまして、できる限り速やかにこのような法制全体の整備を通じて国際人道法の実施を確保していく所存でございます。
○久世公堯君 ここで少し日米関係の問題あるいは国連関係、それから北朝鮮をめぐる問題についてお尋ねをしたいと思っておりましたが、全体の時間の関係上、後で武見委員の方からいろいろ御質問もあろうかと思いますのでそちらに譲ることにいたしまして。 ただ、一点、総理の訪米なりあるいはこれから一、二か月の間にいろいろと外交のためにお出掛けになると承っております。それにつきまして、イラク問題をめぐっていろんな亀裂を深めました関係から国際社会は国際協調の重要性を再認識していると思うわけでございます。こういうような国際情勢の中で、五月末から六月にかけて総理は、アメリカに行かれ、中東を訪問され、さらにロシアを訪問され、サミットに臨まれるというふうに承っておりますけれども、こういうような会議におきまして総理はどのようなことを国際関係の問題として意見交換をされるおつもりか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) イラクの戦闘状況が終結に向かって、いかに今、早く治安を確保して、イラク人のイラク人によるイラク人のための政府を作るかということに大きな関心が国際社会の中でも高まっております。こういう中で日本としても、武力行使はしない、戦闘行為には参加しませんが、イラクの復興支援、人道上の支援に対しては国力に応じた支援をしていきますということを表明しておりました。 そういう中で、今週アメリカを訪問し、またエジプト、サウジを訪問いたしますが、私は、日米首脳会談におきましてもブッシュ大統領に対して、国際協調体制を構築しながら国際社会がイラクの復興支援にどのように関与し協力するか、またそれが望ましいかという点について日本の立場を説明しながら、ブッシュ大統領に対しましては国際協調体制を作る重要性も指摘していきたいと思っております。 同時に、北朝鮮の問題につきましては、中国と北朝鮮とアメリカ、三者協議が行われました。その中での協議の状況、表面に出ている言いぶりと実際の真意はどうなのか、そういう分析、そして、今後、北朝鮮に対しては日本も韓国も参加しての協議が重要である、また、日韓の参加が不可欠であるという認識をブッシュ大統領も持っておりますので、中国の働き掛けによってアメリカと中国と北朝鮮との会談が行われているわけでありますので、今後、関係諸国との協議がますます重要になってくると思います。 まあ日本の立場、韓国の立場、また盧武鉉韓国大統領は最近ブッシュ大統領とも会談されました。そのときの様子も伺い、日本と韓国とアメリカが緊密の協力の下に中国とロシアとの協力をどのように図っていくかという点も話し合う必要があると思っておりますし、また、日本としてはこのイラクの開戦前から、これはアメリカとアラブ諸国との対立でもないし、イスラム諸国との対立でもないと。国際社会全体とイラクとの問題であるということから、アラブと日本との対話なり交流もますます重要性を増してくると思います。 当然、アラブ諸国にとって、イラクの問題のみならず中東和平の問題が非常に重要であります。このイラクの戦争終結が中東和平の解決に向けて大きく一歩を踏み出すべきだというのは、私は世界共有の認識だと思いますので、その中で日本は、イラク自身に対する復興支援も大事ですけれども、イラク周辺、アラブ諸国との二国間関係のみならず、エジプトなりアラブ諸国との間でイラクの復興支援のために協力できることはないかという点についてもよく話し合っていきたいと思っております。
○久世公堯君 それでは、この事態法、これからの残されたいろんな問題があろうかと思いますので、それについてお尋ねいたしたいと思います。 この事態法三法は、衆議院で修正の上、多数の賛同を得て可決をされ、参議院におきましてもこれは可決、成立ということになれば、有事における我が国の対処に関する骨格はこれで整備されたことになります。しかし、国民保護法制の整備等、これから残された問題も少なからず存在をすると思っております。 幾つか、何点か指摘をしたいんですが、第一点といたしましては、米軍との関係を国民の理解を得ながら今後どういうふうに整理していくべきかという問題、二番目には、対処措置の実施や戦争被害に伴う国民の損失をどう補償していくべきであるかという問題、それから三番目には、国際人道法の実施を図るためにジュネーブ条約の国内化をどのように進めていくべきかという問題、四番目に、民間防衛という視点から国民保護のために地域コミュニティーに何を求めていくべきかという問題など、課題は山積をいたしております。 今の四点の中でも既に御答弁いただいた問題もあるわけでございますが、全体としてこのような諸問題にどのように取り組むお考えか、承りたいと思います。
○国務大臣(福田康夫君) ただいま四点、御指摘いただきましたけれども、そういう法制の完結に向けて今後整備を行うということになっておりますが、政府としては、衆議院における修正によりまして、これらの事態対処法制の整備は速やかに実施しなければならないと、こういうふうにされたわけでございまして、そのことを踏まえまして、事態対処法案の成立後、国民の十分な理解と協力をいただきまして、できるだけ速やかに成案を得るように真剣に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○久世公堯君 政治の信頼についてお尋ねをいたしたいと思います。総理にお願いをいたします。 武力攻撃事態において我が国の平和と独立並びに国民の安全を確保するためには、国民の自発的な協力が必要不可欠でございます。有事法制を整えたり武力攻撃事態に万全な対処をするためには、政府に対する国民の信頼が不可欠であると考えております。総理のお考えを承りたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) まず、防衛、安全保障につきましては、我が国におきましても自分の国は自分の力で守ると、自国の独立と平和は自分の国の努力によって守るというこの決意と意欲が大事であると思います。その決意なり、我が国の安全は独立は我が国で守るんだという決意を形で表したのが自衛隊だと思っております。 自衛隊がなくていいと、そんな組織がなくてもいいということは、一般国民でいざというときに全部対応しろということでありますから、こんな無責任なことはないと思います。日ごろのそういう訓練をしていない市民に対して、銃の扱い方も知らない、敵が大量破壊兵器を持っているためにどのような対応をするか知らない、訓練も何も分からない人に守れということほど無責任なことはないと思います。だからこそ、常に非常時に対して、有事に対して訓練する組織を持っている。我が国においてはそれが自衛隊であります。 しかしながら、自衛隊、我が国だけで自らの安全を保障できない。だからこそ、日本はアメリカと日米安保条約を結んで、日米同盟を強化して、協力して我が国の安全を確保しようということで、戦後一貫して日本の平和と独立を守りながら安全を確保してまいりました。 しかし、その際、いざとなったらば、日本には防衛力は不完全であっても、アメリカの軍事力が強大だからアメリカが守ってくれるんだと、そういう考えであって果たしてよその国が真剣に日本の国を守ってくれるか。まず自分の国民がはっきりと自分の国は自分で守るという決意と意思があって初めて他国は援助の手を差し伸べるんだと思います。 そういう点から、私は、まずアメリカが守ってくれる、同盟国だから守るのは当然だと考える前に、日本もアメリカの信頼に足る同盟国でなくてはならない、そういう意識を平時から持って、自衛隊に対しても、いざという場合に怠りない訓練と修養、国民がその自衛隊に対して支援をすると。自分たちができないことに対して、きつい仕事、危険な仕事をあえて自衛隊の諸君はやってくれるんだという敬意と感謝を持てるような環境を作るのが政治として大事だと思っております。
○久世公堯君 最後の質問になろうかと思いますが、総理にお尋ねをいたしたいと思います。 私は、質問の冒頭に世論調査の結果を申し上げ、若い方々も含めて国を愛する気持ちを持つ者が半数になって、防衛問題に対する関心を持つ者も八〇%になっていることを申し上げました。最近ようやく国を愛するとか愛国という言葉を耳にするようになりました。三月に出されました中教審の答申にも、教育基本法に新たに規定する理念の中に国を愛する心が書かれておりました。 実は、一昨年の九・一一テロ事件の一日か二日後に、テレビに映し出される米国各地での米国民の表情を見ました。連邦議会の上院、下院におきましては、テロ対策の会議の後に、全員が立ち上がって胸に手を当て、目を伏せ、うなだれて、テロ事件の死者たちを追悼する歌を歌うのを聞きました。伴奏のないゴッド・ブレス・アメリカでございました。同じような光景が、テレビを通じて全米の町や村の姿が映し出されました。ロサンゼルスでは、俳優のロバート・デ・ニーロがアーティストたちと追悼集会を主催しておりました。野球場やフットボールの球場では、観衆が立ち上がって静かにゴッド・ブレス・アメリカを歌っておりました。小さなコミュニティーハウスやあるいは小さな公園で老若男女を問わず、そこにはもはや人種も職業も地位の別もなく、ただ祖国のために死んだ死者の霊を慰めるためにゴッド・ブレス・アメリカを歌っている風景でございました。 私は、このゴッド・ブレス・アメリカという歌を持っている米国が率直に言ってうらやましいと思いました。祖国のために死んだ死者たちの霊を慰め、自分の国が栄えることを願う歌を持ち、全国民が折に触れて口ずさんでいる米国、米国人たち。この米国の人たちの支えが、国家の危機を乗り切っていく米国の力であり矜持であると私は思います。 このような歌を日本では持たないばかりか、私たちは、祖国だとか故国という誇らしい言葉もいつの間にかどこかへ忘れてきたような気がしてなりません。この際に、小泉総理の国家観、祖国観というものをお聞きしたいと思います。 ただ、既に御質問申し上げましたように、近年、ようやく国民の国を守るという国家に対する意識が出てきております。今、総理の御答弁にもそのような趣旨のことが言われましたけれども、総理は常々、備えあれば憂いなしという大方針を掲げておられます。国民の安全確保への意識が今高まり掛けております今国会でこそ、長年の国家的重要課題である有事法制三法案を是非とも成立しなければならないと考えますが、総理の国家観、祖国観とともに、確固たる法案に対する決意を改めてお伺いをいたしまして、武見先生に譲りたいと思います。お願い申し上げます。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 一昨年の九月十一日のニューヨークあるいは国防総省に対するテロ攻撃、これによってアメリカ国民の意識も大分変わってきたと思います。 アメリカが攻撃の意思を持たなくても、アメリカに対して強い憎しみを持ち異常な手段でアメリカを攻撃しようとする勢力が各国に存在しているということを、アメリカの指導層のみならずアメリカ国民が大きく認識したと思います。これに対して何もしなければ相手は攻撃してこないかという意識とは違っていると思います。今までの善意なり好意を信じてくれない、むしろ憎しみを持ってアメリカに被害を与えていこうという勢力に対して断固戦わなきゃならないというのがブッシュ大統領始め多くのアメリカ人の気持ちだったと思います。だからこそ、テロに対する強い決意を持っていまだにその戦いを続けている。 既に、テロ組織にかかわるアルカイーダ始め三千人以上の全世界に散らばっている犯人と目される人たちを拘束している。あるいはそれ以上の人が殺害されている可能性もある。いまだにアメリカのみならずインドネシアにおいても、あるいはサウジにおいても全く関係のない市民を巻き込んで攻撃しようとする勢力が存在しているということから、日本人にはむしろ、ある面においては理解し難いほどその備えに対して十分にしなきゃならない、あるいは、何もしなくてもアメリカを攻撃しようとする勢力が世界に散らばっているという意識をアメリカ国民は持っていると思います。そういうことのテロの問題に対してアメリカ国民の脅威感、不安感を国際社会は理解しているからこそ、各国が協力して今後もテロの防止に、テロの撲滅にできるだけの協力をしようということで現在も続けております。 日本は幸いにして戦後そのような戦争に巻き込まれたこともない、また自衛隊を戦争に派遣したこともない、戦闘行為で自衛隊員が一人も亡くなったことはない、これは誇るべきことだと思っております。これは、二度と戦争を起こしてはならない、二度と戦争に巻き込まれてはならないという決意と、その間の努力が実を結んでいるからこそ日本は平和のうちに繁栄を築き上げることができたと。今後も、いかに平和な環境の下で日本の発展を築くことができるかということについて、日米同盟と国際協調というのは外交政策の基本でございます。また安全保障政策の基本でもありますが、同時に、日本の国は日本国民自身が守るんだという愛国心なり郷土愛なり、自分の社会を自分たちの力で発展させようという意欲を持つことができるように、いろいろな場でお互いの意識が共有できるような対応が必要だと思っております。
○久世公堯君 終わります。
○委員長(山崎正昭君) 関連質疑を許します。武見敬三君。
○武見敬三君 それでは、関連して御質問させていただきたいと思います。 まず、総理にお願いと最初の御質問でございます。我が国は正に北東アジアに位置しておりまして、台湾海峡、そして朝鮮半島には引き続き分断国家というものが存在をしていて、そしてそれぞれの地域にはかなり近代的な装備をした兵力が対峙をして、極めて緊張した状態が今日においても続いている。すなわち、この北東アジアでは冷戦構造というのはまだ解決されていない。したがって、我が国にとってこれから五年から十年かけて、いかにこの緊張をはらむ冷戦構造というものを解消し、安定化させるかというのがこれから五年、十年をかけた我が国の戦略的な最も優先的な課題だろうと思います。 しかし、こうした状況を直面しながらも、我が国はこうした国際社会の中の一部として、グローバライゼーションという洗礼にも遭っている。人、物、金、情報というものが国境を越えてすさまじい勢いで行き交うようになってきますと、そこにはプラスの側面もありますが、マイナスの側面もたくさん出てきた。その一つの典型的な例が最近のSARSであります。従来であれば、あの広東省の一部の風土病で終わるであろうあの新興感染症が、何と人の移動を通じてこれがあっという間にこれが世界に蔓延するかもしれない危険性を及ぼし、そして既に多くの死者をもたらしているわけであります。 したがって、このようなグローバライゼーションのネガティブアスペクトというものに対しては、幾らこれ防衛力を増強しても国民の命は守れない。こういうような新たなグローバライゼーションのいわゆる否定的な側面というものについては、これはもう政府だけではない、民間のNGOとも連携をしながらネットワークを国境を越えて作り上げてこうした新興感染症を着実に抑止していくということがこれから求められてくるわけでありまして、そうしたことを実行していくということを我々は考えなきゃいけないという非常に複雑な時代状況になりました。 そういう中で、我が国の中に二つの極めて新しい政治的な動きが私は出てきたように思います。 その一つが、やはり北東アジアの緊迫した軍事情勢というものを踏まえた上で出てきた政治的な動きとして、やっぱり軍事的なリアリズムというのが我が国の中に出てきていて、そういう軍事的なリアリズムを担うそのリアリストの方々が様々に新たな発言をされるようになってきている。私はこれは当然のことだと思います。これは、もう石破防衛庁長官であるとかあるいは安倍官房副長官というのがそういう方々だろうと思うんです。そしてまた、こういう方々が、やっぱりこの北東アジア情勢に、これをいかに着実に正確に対峙することを通じて国民の生命と財産を守ろうかということを真剣に考えるようになってきている。 それとまた、他方、このグローバライゼーションという状況下において、地球市民として、その一員として、正にこういう人類共通の課題というものに対してより積極的にかかわろうではないかと。そして、実際にNGO等を組織して、我が国の中でのみならず国外においても、こうした紛争やあるいは災害が起きた場合に、あるいは難民がたくさん発生した場合に、NGOとしてそこに参画をし、こういった人たちを救済をする、こういった新たな市民社会の一員としての自覚を持った、そういう主体的な市民というのも我が国の中にたくさん出てきている。そういった人たちが新しい政治の動きをまた作り出している。 この正に軍事的なリアリストの方々とこの地球市民としての自覚を持った方々というものが、正にこれから我が国のこの大きな安全保障を考えていく上での二つの大きな流れを作り出していかれるだろうと思います。それをどのような形で総理が受け止めて、我が国にとっての新たな総合的な安全保障の骨格を再構築するかということが今私は問われていると思う。 その上で、私は、こういう状況下において三つの安全保障の概念を活用することが必要だと考えております。 その北東アジア情勢に対処するためには、やはり従来どおりのこうした伝統的な国家安全保障という概念がまずきちんと確立をしなければならない。その国家安全保障という概念の枠組みの中で正に日米の新たなガイドラインに基づいた周辺事態法というものが整備をされ、そして今正に有事法制というものが整備されようとしているのだと私は理解をしております。 しかし他方で、このような国家安全保障という考え方というのは、とかく周辺諸国というものの持つ軍事力というのに関して、その能力にのみ焦点を当てる傾向がどうしても出てくることによって不必要な軍拡競争を引き起こすことにもなりかねないという危険性は当然備わっている。したがって、ただ単にそうした周辺諸国の軍事的能力のみに関心を持って対処しようとするだけではこの地域の平和と安定を確保することはできない。当然にそうした周辺諸国の持つ政治的な意図にも焦点を当てて、そして相互の理解を深め、信頼を醸成をし、緊張を緩和し、その安定化を図るという、正に二つ目の安全保障の概念である協調的安全保障という概念がまた常に私どもには求められてきているわけであります。 しかし、この協調的安全保障に基づく安全保障対話、これを二国間さらに多国間で推進するということを通じて、さらには様々な外交交渉を通じてこの協調的な安全保障に基づいてこうした問題点を解決していくという姿勢、常に持たなければならないわけでありますが、それだけでも不十分。 すなわち、先ほども申し上げたとおり、このグローバライゼーションの結果として、こうした新興感染症であるとかあるいは麻薬であるとかあるいは様々な環境破壊であるとか、そうした組織犯罪、そして、さらにはテロリズムというものが国境を越えて新たな脅威を作り出すようになった今日においては、正に政府と民間が連携をした形での新しい安全保障の概念として、人間の安全保障という考え方もまた同時に中長期的な視点から我が国はきちんと持っていかなければならないという状況になってきているように思います。 したがって、この三つの安全保障の概念というものを再構築していくことを通じて、我が国は今直面している国際社会の諸状況に的確に対峙をし、そして国民に理解を求めるということが私は必要であろうと考えております。 その上で、まず私は国家安全保障に基づくこの有事法制という点についての正にその歴史的意義というものを私は感ぜざるを得ません。これは、ある意味において、先ほどから総理が御答弁されているような太平洋戦争という悲惨な経験を踏まえて、様々な呪縛をもまた国民は受けてきたわけであります。その中で、改めて私どもは、こうした新たな事態の下でその呪縛というものを一つ一つ健全に解いていかなければならない。その正に呪縛を解いていくための一つのプロセスがこの有事法制であろうというふうに思います。 そして、その中で様々に国民の権利を保護しようという意向がたくさん出て、くることは当然であります。もはや以前の国家総動員のこうした戦争という形態から、巨大なテロリズムによる大量破壊兵器を通じた脅威というようなものや、あるいは北朝鮮というような近隣諸国が実際に核兵器を有しそしてミサイルを開発し我が国に脅威を及ぼすような事態であるとか、こういうような状況下にあって、これは正に全く新しいこうした戦争形態に私どもは国家安全保障という視点からも対処しなければならなくなってきたわけであります。 その際に、盛んに国民を守るということが言われてきておりますが、それは当然のことでありますが、同時に総理、国民を守るのは国民であります。そして、国民というのは守られるだけではいけません。国民は自らの国そしてまた国民を守るという、そういう意識をきちんと持たなければ、これは有事法制というものは魂が入りません。そして、正に自ら守られつつ、その国民を守るという強い覚悟がこの有事法制を通じて私は求められるという点が、正に我が国の戦後の安全保障という歴史を見たときに最も大きな意義を有するというふうに私は認めざるを得ないわけであります。 その中で、改めて総理にお聞きしたいことがございます。北東アジアの戦略情勢というのは実は着実に変化しようとしてきております。北朝鮮が核を保有するということをどうも言ったようでありますし、また再処理施設を稼働しているというようなことも言っているようでありますが、まだそれが確証されたわけではございません。しかし、もし北朝鮮が核を保有し、そしてまたそれをミサイルに、弾道として、搭載をし攻撃する能力を持つようなことになれば、これはこの北東アジアの戦略情勢を根底から変えていくことになります。 そしてまた、同時にもう一つ、今韓国に駐留している米軍の部隊というものが三十八度線から漢江の南側に新たに移動をするということがどうやら内定しているように伺っているものであります。こうした状況は、この韓国に駐留する米軍の戦略的な意味合いというものを実は着実に変え得る、そしてまた韓国に駐留する米軍の戦略的な役割というものが実は修正されていくことを私は意味していると思います。 その際、改めてそういう戦略的な情勢の変化というものを踏まえながら、いかにして我が国がこうした韓半島等を通じて実際に派生する脅威というものを的確に抑止をするかということを考えるときに、私は改めて日米同盟の抑止機能というものを再強化していくことが今着実に求められているというふうに認識をしているものでございますけれども、この点、総理はどのような御認識を持っておられるのでしょうか。 私は、既にこの今年の四月に航空自衛隊が米国の空軍との間で空中給油にかかわる訓練を始めました。そして、今度はコープサンダーという改めてこの共同訓練を米国で、アラスカですか、行うということになっているというふうに伺っております。 一九八〇年ごろから海上自衛隊とこの米国の海軍との間では実際にこうした共同訓練がシーレーンの防衛やあるいは我が国の防衛を目的として始まってきているわけでありますが、実はこの空とミサイルという点については、改めて、この日米の軍事的な連携というものがまだ実は確立をしていないわけであります。したがって、この部分を改めてきちんと連携する仕組みを確立していくことを通じて、私は抑止機能というものをしっかりとこれから体系的に再構築していくという努力が求められてきているように思うわけでありますが、この点についての総理の御見解をまずお聞きしておきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 日米安保条約が改定される際にも、この日本の安全保障を図る点については国論を二分するほどの大きな問題になりました。今、武見議員御指摘のように、日米同盟関係の重要性を認識する方々と、あるいは日米同盟の強化を図ると逆に戦争に巻き込まれるという両論があるのも、現在でもあるのは事実でございます。 しかし、私は、現時点においては、日本への攻撃はアメリカへの攻撃とみなすんだというアメリカの決意、姿勢、いわゆる日米安保条約というものが大きな他国に対する抑止力になっていると思います。言わば、日本への武力攻撃をした場合には、アメリカと戦うことを覚悟しないと日本へは攻撃できない。アメリカの強大な軍事力に対抗できる勢力は今ないと思っております。 そういうことを考えますと、日本の安全を日本は独自では確保できないからアメリカと共同して日本の安全を確保していくという日米安保条約の重要性については、一部に反対の勢力はあったとしても、多数の国民は日米安保条約に関して賛意を表明しているのが現状だと思っております。 しかし、だからといって、アメリカばかりに頼っていればいいという問題ではない。御指摘のとおり、日本の国は日本国民が守るんだと。日本の国民の安全は政府だけが守るのじゃない、自分たちが守るんだという意識がなくして日本の国民の安全も確保できないし、日本の国家も防衛できないというのは御指摘のとおりだと私は思います。 さらに、軍事力だけで平和を確保することができるものでもございません。各国と協力しながら、それぞれの国と友好関係を増進していく、協調体制を作っていく。そういう国際協調体制を作っていくのも重要ですし、最近の北朝鮮に対する対応も、長年にわたって国交が正常化されておりませんが、この問題につきましても、一番密接な関係のある韓国、そして韓国とアメリカもそれぞれ安全保障条約を締結しております。韓国にも米軍が存在しております。日本もアメリカと安全保障条約を締結しております。お互い、北朝鮮に対しましても、韓国、アメリカと緊密な連携を維持しながら、いかに北朝鮮を国際社会の責任ある一員にしていくかということを働き掛ける際にも、日本だけではできないことがたくさんあります。 また、北朝鮮の核開発プログラムにつきましては、これは単に韓国や日本だけの問題ではありません。また、北朝鮮とアメリカだけの問題でもありません。中国もロシアも北朝鮮の核保有は容認できない。これは朝鮮半島全体、世界の平和と安全に大きな脅威であるという認識を共有しております。 そういう各国とも連携しながら、単に軍事力だけじゃない、外交的、政治的働き掛けというものも平和を維持するためには大変重要だと認識しておりますので、そういう両面からの働き掛けが私はますます重要になってくるという認識を持っておりますので、いざという最悪の場合の軍事攻撃に対する対応と、それを起こさせないための外交的、政治的努力、両面が重要である、そのような認識をしております。
○武見敬三君 今、総理御指摘のとおり、朝鮮半島の問題に関しては、日米のみならず、中国、ロシアとも戦略的な利益が共有されております。したがって、この問題を平和的に解決をするという基本路線でこの四か国がきちんと連携をしてこの問題を解決することができると、実はこの地域における主要国間の戦略的な協調というものの基盤が確立します。それによって非常に新しくこの地域全体を安定化させる秩序が形成されていくことになりますので、実は、極めて大きな緊張をはらむ問題ではありますが、もし上手に成功いたしますと、かなり長期間にわたってこの地域を安定化させる仕組みが私は同時にできるという、そういう大きな特質を持っているように思っているわけであります。 その上で、人間の安全保障の方について一つだけお願いがございますが、緒方貞子さんが六月にニューヨークから帰ってこられます。人間の安全保障委員会の共同議長として大変大きな役割を果たされましたけれども、やはりこういう中長期的に立った我が国の平和国家としての意思を未来志向で強化するために資するこういう考え方というものを、是非これを更に推進していくための仕組みを総理の音頭で取っていただけないかと。 こういう問題は、政府のみならず、やはり国際機関や民間と連携しなきゃなりませんから、いわゆるセカンドトラックのようなものを作って、そして実際に各縦割り行政も克服するような形でのそういう各省の参画、そして在京の国際機関、そしてさらにNGOの代表者などを集めたこういうセカンドトラックを通じて、こういう問題に日本が積極的にかかわるんだということを国民に対してもまた外に対してもきちんと示すということをやっていただくことが、私はこうした有事法制を進めていく一方で非常に国内の政治的なバランスをきちんと確保していく上で必要ではないかというふうに考えておりますので、その指導力を発揮されることを切に私は期待しておりますので、よろしくお願いを申し上げます。 その上で、石破防衛庁長官に御質問をさせていただきたいと思いますが、先ほども久世先生からの御質問で先制攻撃というような言葉がございました。これは、我々よくディフェンスディクショナリーと呼んでいますけれども、アメリカの統合参謀本部が出しております「デパートメント・オブ・ディフェンス・ディクショナリー・オブ・ミリタリー・アンド・アソシエーテッド・タームズ」という、二〇〇一年四月、これは正にいわゆるこうした軍事用語をきちんと定義付けているようなそういう本なんですけれども、これは九・一一の五か月前に出された中に、実は予防攻撃、予防戦争と先制攻撃というのがその中に書かれております。 その中の予防戦争というのはこういうふうに書かれております。軍事的衝突が差し迫ってはいないが、不可避であり、遅れると一層重大な危険を招くと信じて開始される戦争というのが予防戦争であると。これに対して、先制攻撃というのは、敵の攻撃が差し迫っているという動かし難い証拠に基づいて始められる攻撃と、こういう定義になっているんですね。 こういう定義に基づいて、私は、先ほどから議論になっているように、先制攻撃については、やはり今のようにミサイルが発達をし、そしてまた同時に核兵器のみならず生物化学兵器等、大量破壊兵器というものが開発されているそういうおそれが極めて高い。それによるもし被害を被るということになると、特に都市部においては何十万人という犠牲者が出ることさえもがあり得ると。したがって、そういうことを回避するためにはミサイルディフェンスというのを日米で共同して確立をしていくことというのは私は当然でありますけれども、しかし、これはどうしても完全なものにはなり得ない。であるとすれば、こういった攻撃が実際に先制攻撃というような形で行われる可能性をきちんと想定をして、そのためのやはり政策的な検討はきちんと私はしておくべきだろうと思います。 その中で、専守防衛という概念を、やはり今のままの概念でいいのかという私は問題提起をしておきたいと思います。そして、その専守防衛という概念の中で、私は改めて、米国がこうした先制攻撃をするというような事態が想定された場合に、そうした米国の攻撃というものを正に援護するための護衛ぐらいの役割というものは、私はこの専守防衛の概念の枠組みの中で認められるべきことではないか。さらに、こうした先制攻撃にかかわる情報の提供やそして共有というようなことも、こうした専守防衛の概念の中で認められる、そういう考え方ではないかというふうに私は考えるのでありますけれども、防衛庁長官のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) お答え申し上げます。 私も、今、委員が御指摘のアメリカの軍事用語辞典、これは二〇〇一年の四月十二日作成ですが、改訂が今年の一月九日でございます。ですから、一番新しいアメリカの概念だと思って間違いないだろうと思います。 先制攻撃というのは、まさしく敵の攻撃が差し迫っているという明白な証拠、明白な証拠に基づいて開始される攻撃と、こういうふうになっております。 アメリカ合衆国は国際法に基づいて行動するというふうに私どもは考えておりますし、さきのイラク攻撃も国連決議に基づいて行われたものだというふうに理解をしておるところでございます。しかし、まさしく委員御指摘のように、昔の古典的な戦争と違いまして、弾道ミサイルが今や四十六か国に拡散をしてしまった。国ではないグループみたいなものを、持っているかもしれないという状況、そして、それが数分で壊滅的な打撃を与えるだけの力を持っているという状況の変化、これをどのように評価をするのかということだと思っております。 私どもの国が先制攻撃、たとえそういう状況であるにしても、我が国に対する武力攻撃というものが行われていない状況で私どもは、仮にこの定義をこのとおりだといたしましても、そのような先制攻撃ができるものだというふうに私どもは考えておりません。 では、委員御指摘のように、そういうことに基づいてアメリカがやったときにどうなのかという議論。それは、武力攻撃事態であるかどうか、そして対処方針を決するかどうかということはすぐれて我が国の主体的な判断に基づくものであります。我が国が、これは我が国に対する武力攻撃である、武力攻撃事態であるというふうに思えば、それは主体的に決められるものだと思います。 その中でどのような対処をするかということが議論されることになるわけでありますが、話を少し戻しますと、アメリカでこの先制攻撃の議論がなされたときにこういう話があったそうです。庭にガラガラヘビがいて、本当にそれが飛び掛かってきてかみ付くまで何もしないのかという議論、これはワインバーガー氏の議論であったように覚えておりますが、そういうような状況をどう考えるんだというお話だと思っております。弾道ミサイルというものが本当にきちんと装備をされる、そしてその確実性が上がる、それまでは過渡的概念としてそういうものは合衆国においては存在するのかもしれないということだと思っております。他国のことについてあれこれ申し上げるべきではございませんが。 そのときに我が国として何ができるのかということでございますが、それは、我が国がまさしく個別的自衛権というものが発動できる前の時点とそれが発動してからの時点と、これは分けて考えなければいけないと思っております。 その前の時点であれば何ができるかということになりますと、これは武力の行使と一体化するかしないかと、こういう議論を今までしてまいりました。現在の政府の立場もそうでございます。そうすると、護衛というものが、我が国として個別的自衛権がまだ行使できない状況において、護衛という行為が、それは一体化というものに私はかなり抵触する場面が多いのではないだろうかというふうに考えております。 では、情報の交換はどうかということになりますと、これも周辺事態法からずっとされておる議論でございますけれども、その情報を我が国の自衛隊が主体的に集める、そしてそれがアメリカに仮に流れたとしても、それが一般的な情報である限りにおきましては、それは武力行使の一体化とはならない、そういう整理を今までいたしておるところでございます。 それがどういう状況であるか。繰り返して申し上げますが、アメリカが先制攻撃をするかどうかについて我々が論評する立場にございません。しかし、そういうような状況になったとして、我が国が何をするかということは、そのときの状況、状況に応じまして、憲法の趣旨を体しながらやってまいるというのが私どもの現在の立場でございます。
○委員長(山崎正昭君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 午後零時一分休憩 ─────・───── 午後一時一分開会
○委員長(山崎正昭君) ただいまから武力攻撃事態への対処に関する特別委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、岩佐恵美君及び広中和歌子君が委員を辞任され、その補欠として筆坂秀世君及び小林元君が選任されました。 ─────────────
○委員長(山崎正昭君) 休憩前に引き続き、安全保障会議設置法の一部を改正する法律案、武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案及び自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○武見敬三君 まず、経済産業大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、どうも不審船引き揚げてみたら、その中にあった多くの武器が実は日本製の部品をたくさん使っていた。また昨今、新聞報道などで、在日朝鮮人系の貿易会社が発注し輸出しようとしていたその部品等々が、生物化学兵器であるとかあるいは核兵器等の開発に資するような部品を相当部分含んでいたと。 そこで、経済産業省の、これは貿易経済協力局ですか、が実際にこれを取り締まるための対応をされた、そして、香港辺りまで既に運ばれていたものを実際に香港当局の協力を得ながら差し押さえるというようなことをされたという報道を伺っているわけでありますけれども、こういう取締りする上で、最近、特にこういうことに対して取締りを強化するという意思が働いているように私には思われるわけでありますけれども、いかなる状況判断の中からこういう取締りの強化をするという判断を下されたのか、そして、それはまたどういうふうな政府の中の意思決定でそれが策定をされ実行されるに至ったのか、その経緯をちょっと御説明していただきたいのでございますが。
○国務大臣(平沼赳夫君) 武見先生にお答えさせていただきます。 我が国は二つの法律で、外国為替そして外国貿易法によって国の安全保障上の機微に触れる物品に関しましてはしっかりとした厳格なそういう体制をしいているところでございます。特に昨今、御指摘のようないろいろな問題がございますので、昨年に、キャッチオール規制、こういうものを導入させていただきました。 そして、これによりまして、例えば税関でございますとかあるいは取締り当局、さらには先ほど香港というお話が出ましたけれども、諸外国と連携を取って、そして迂回貿易等も含めて、そういうおそれのあるそういう品目に対しては、やはりそれが大量破壊兵器でございますとかあるいは核開発等に結び付いては、これは世界の平和と安定にとって大変重大なことでございますので、その規制を強化する措置を取らせていただいた。その一連の中で、私どもは香港の当局の協力を得て、そしてその迂回融資を未然に防ぐことができたわけであります。 御指摘の株式会社明伸というのに関しましては、そういう疑いがございましたので、経済産業省といたしまして立入検査をさせていただき、さらに、そこが明確になりましたので外為法違反という形で警視庁に告発をさせていただき、そしてさらに、香港当局の協力をいただきまして、そして香港で現物を押さえることができました。 ですから、こういう事態の中で、私は常々そういう問題意識を持ち、役所間の連携を密にして、そして逐次報告を受けながら対処をしてきているところでございまして、今後ともこのキャッチオール体制ということを更に徹底をして、そして、こういう大量破壊兵器とかそういうことに結び付くおそれのあるものはしっかりと私どもは管理して防止をしていこうと、こういうことで問題意識を持って臨んでいるところでございます。
○武見敬三君 今の経済産業大臣の御指摘のとおり、正にこれは我が国のみならず安全保障にかかわる非常に重要な判断に基づいてこうした取締りが実行官庁によって執り行われた一つの典型的な事例だと理解をしております。 このことは何を意味しているかといえば、やっぱりこういう実行官庁の段階だけでこうした安全保障上の判断が下されるというわけでは本当はないんだろうと思います。やはりこうした安全保障上の判断をやはりこうした実行官庁の上に、きちんと内閣の中にそうした組織、機能があって、そしてそこがやっぱり安全保障上の判断を下し、その判断と指示に基づいて実行官庁がそれぞれ連携をしてこうした取締りを強化するという、そういう政策決定過程というものがきちんと確立をしていなければいけないんだろうと思うんです。 このことは何を意味しているかというと、いわゆる外交と今回有事法制で策定をしているようなこの有事、その間に実はグレーゾーンがあると。すなわち、外交というのがあるけれどもその有事に至る前の段階で実は経済制裁という段階がある。そういう経済制裁というツールというのはいろんな段階、レベルがあります。そういうツールをそれぞれの状況に適した形で着実に実行していくことによって、実は有事に至らしめないで事前に問題を解決していくということがその中で最後の最後まで試されなければいけない。 そうすると、外務省という機能とそれから内閣官房の安全保障・危機管理室の機能との中間の、経済制裁等にかかわる、そういう人や物、金をやっぱり一元化してコントロールして、そしてその政策を策定するような、そういう組織、機能がきちんとやっぱりなければ本当はいけないんだということになるんだろうと思うんです。 民主党さんの御提案で緊急事態基本法というのが御提示されましたね。その中で緊急事態管理庁のようなものを御提案されている。私、これ一つの大変な見識だと理解をしている。ただ、この管理庁においてさえも、やっぱり事態が起きてからの対応というところにその焦点が当たってその役割というものが規定されているんです。しかし、その事態が起きる前の段階というのはまた同時に非常に重要で、その事態にいかに的確に対処するかということは、こういった外交の延長としての経済的な制裁の領域というものをいかに実は的確に実施していくか、そのための政策立案能力、そして権能というものをどのように整備するかということに掛かってくるのではないかというふうに思うんであります。 そこで、官房長官にお伺いしたいわけでありますけれども、そうした政策を策定、実施する組織、機能というものの必要性をお考えになっているかどうか、その点についての御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(福田康夫君) 武力攻撃事態に至る前、予測の事態もございます。また、予測の前の状況と、こういうこともあるわけですけれども、委員御指摘の点は、その前の、予測にも至らないという前の段階のお話かなというふうに思ってお聞きしておりましたけれども。もちろん、武力攻撃事態もそうでありますけれども、予測の事態におきましても、これはいろいろな事態が想定されますけれども、武力攻撃の発生が回避されるように、まずは外交でしっかりやるということがございます。必要に応じては、ただいま御発言がございました制裁処置といったようなことも、経済制裁ですね、そのような措置も講じなければいけないと、こんなふうに思います。 ですから、この予測の事態について付言いたしますと、対処基本方針をまず定めまして、そして、内閣総理大臣を本部長として全国務大臣を本部員とする武力攻撃事態対策本部を設置して対処措置を総合的に推進すると、予測事態はそういうことなんです。で、対策本部長は、対処措置を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、対処基本方針に基づき、対処措置に関する総合調整を行う、総合調整を内閣として行っていくと、こういうことであります。 その前の段階について申し上げれば、安全保障会議がございます。そしてまた、その下に事態対処専門委員会というものを設けるということをこの安全保障会議設置法の一部改正法律案の中に記載しておるわけでございまして、そこでは、この安全保障会議に進言する、的確なる進言を行うために必要な事項に関して調査、分析を行うと、こういう規定がございまして、そこで、これは専門委員会は委員長が内閣官房長官でございますが、そこで常時、必要に応じていろいろな調査、検討を行い、安全保障会議に必要に応じて意見具申をすると、こういう仕組みになっております。 もとより、安全のためには平時から十分注意していなければいけないということございますので、そういう意味におきまして、今回のこの有事法制が体系ができますと、こういう機能をフルに活用して、そして万全を期してまいりたいと、こういうふうに考えているところでございます。
○武見敬三君 今の御説明は理解するものでありますけれども、実際に外交の延長として、こうした現行法の中でこうした取締りを強化するような判断を下すというのは、ただ単に実行官庁の担当大臣だけの判断でできることでは当然ございません。これはやっぱりより高度な安全保障上の判断というものが内閣としてきちんと策定をされた上で、こうした実行官庁がそれをその指示に基づいて的確に実施するというような、そういう政策の決定過程がやはり必要になってくるんだろうというふうに思います。 その上で、実際に考えなければならないのは、例えば外為法に関する送金停止にかかわる政府の解釈の変更というようなことが新聞の中でも取りざたされているわけでありますけれども、これも実際、以前はたしか三か国以上の協力があってこうした送金停止ができるとか、国連の決議を前提とするとか、様々な条件があったものが、今度の解釈の変更で、実際に二か国の協力の下でこの送金停止を我が国として実施することができるというふうな形にされるというようなことが報道されてきているわけであります。 しかし、こうしたことが実際に定められたとしても、それは例えば財務大臣の判断だけでこうした送金停止が行われるようなことがあってはならないわけで、当然にその上に安全保障上の判断とそれから政策方針というものがきちんと内閣の中で策定をされた上で、こうした外為法の解釈の変更に基づく実施が行われるというふうになっていなければならないんだろうというふうに思います。 さて、そこで防衛庁長官にお伺いしたいわけでありますけれども、経済制裁といえば当然に船舶検査といったようなことも実は行われなければなりません。もし国連の決議に基づいてこうした経済制裁というものが行われ、我が国もこうした船舶検査活動に参画するというようなことになった場合に、我が国はそれでは直ちにそれに参画できるのかどうか。我が国の船舶検査活動法というのは周辺事態法の枠組みの中で策定されているわけでありますから、周辺事態と認定されない限り、国連が決議してもこうした船舶検査活動には参画できないということになっているのではないかと思いますが、こういう問題についての事実認識と、それから、もし国連決議で経済制裁が例えば北朝鮮に対して実施されるようなことがあった場合に、我が国として一体どのような対応がし得るのか、防衛庁長官にお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) 委員御指摘のとおり、船舶検査法の第二条には、「この法律において「船舶検査活動」とは、周辺事態に際し、」と、こういうふうに法律がなっております。 国連の決議がなされた、例えば経済制裁のような決議がなされたといたします。そして、その事態がそのまま我が国の平和と安全に重大な影響を与える事態と重なればそういうことは起こり得ることでございますが、国連の決議はあっても、その状況が我が国の平和と安全に重大な影響を及ぼす事態というふうな認定がなされない場合、それはあることだろうと思います、理論的にも実際も。その場合には、国連の決議がありながら船舶検査活動ができないということが実際に起こり得ることでございます。 ここのところをどうするかということは、それこそ立法論の話ということになろうかと思いますが、実際問題、そういう問題が生じるということは現在の法律で起こり得る状況だというふうに考えております。それが重なる場合、重ならない場合、その両方の場合があり得るというふうに認識をいたしております。
○武見敬三君 以上で終わります。
○直嶋正行君 民主党の直嶋正行でございます。 突然の御指名で出だしがちょっとくじけたのでありますが、今日は民主党・新緑風会を代表する形で総理始め各大臣に御質問させていただきたいと思います。 それで、今日は武力攻撃事態対処関連法案の質疑ということでございますが、本題に入ります前に幾つか、りそな銀行グループへの公的資金の注入について御質問させていただきたいというふうに思います。 まず、総理にお伺いをしたいのでありますが、りそな銀行グループは資本不足に陥り、去る十七日でありますが、公的資金の申請に追い込まれました。ちょうどその一方で、一—三月の名目GDP、これ統計が発表されまして、年率で実にマイナス二・五%という大幅なマイナス成長になりました。このことも合わせると、私は、正に小泉内閣の失政の結果であると、金融行政の大きな失敗であると、こう思うわけであります。 御承知のように、既に金融機関にはこれまでに三十六兆円もの公的資金を投入しております。りそなグループに対しても一兆一千億円の公的資金を投入してきました。にもかかわらず、今日、更に二兆円とも言われる巨額な公的資金を投入をせざるを得ない事態に立ち至った責任について、一体総理はどのように認識しておられるのか、お伺いをしたいと思います。総理にお願いします。総理の責任を聞いていますので、総理に。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、この経済構造改革、着実に進めていかなきゃならないと思っております。今回のりそなに対する公的資金の注入は預金、預金者に心配を掛けない、また取引先企業にも迷惑を掛けない、未然に防止するための措置であって、公的資金注入も、銀行の破綻ではない、再生を図る、健全化していくための措置であります。そういう意味において、金融危機は起こさせない、この発言に沿って判断を下したものであります。 私は、就任以来、二、三年のゼロ成長ないしはマイナス成長は覚悟しなきゃならないということでやってまいりました。十四年度の見込みもゼロ%、実質経済成長率で見込んでおりましたけれども、結果はプラス一・六%の実質成長であります。デフレスパイラルと言っていますけれども、スパイラルというのはどんどんどんどんマイナスに落ち込むことであります。そうなっていない。しかも、年率、名目成長率は確かにマイナスでありますが、これも政府の見通しを上回って、年率たしか〇・六か七だと思います。厳しい状況だとは認識しております。しかし、これは進めていかなきゃならない改革だと思っております。行財政改革、さらには今言った金融改革、規制改革、税制改革、歳出改革を断行して、将来の持続可能な成長につなげていきたいと。経済失政とは思っておりません。やらなきゃならない改革だと思っております。
○直嶋正行君 銀行に公的資金注入するのがやらなけりゃならない改革だというのはあきれましたよ。ちょっとこの点に関して二つ、ちょっと御指摘させていただきたい。 一つは、今、総理は経済成長率について実質の話をされました。しかし、小泉政権の今一番問われているところはデフレ状態からどう脱するかということだと思うんです。これは総理も御異存ないと思うんです。しかし、ずっと国会の答弁をお聞きしていますと、竹中さんも総理も基本的に経済の説明をするときには実質でしかおっしゃらない。しかし、今問題になっているのは、実は名目なんですよ。デフレというのは名目なんですよ。日本のGDPも名目で五百兆円切っちゃいました。今、政府が苦労している税収も名目です。企業の収益も名目であります。個人の所得もすべて名目であります。今、日本経済が一番問われているのは名目なんです。 ですから、私はこれから総理にお願いしたいのは、経済の議論をするときに必ず名目でやり取りをしていただきたい。これはそういう意識を共有しないといけないと思います。これは与党野党、関係ないと思うんです。これが一つです。 それからもう一つは、何かちょっと聞きますと、今、今回のりそなの資本注入に対して、政府の中で、これは国有化ではなくて公的支援なんだと。今、総理もおっしゃったですね、危機じゃなくて予防なんだと。こういうような言ってみれば、破綻でなく再生というのもそうだと思うんですが、何か禁句集みたいなのがあるやに聞いております。これは私は、今回は預金保険法百二条ですよね。これは明らかに金融危機になるおそれがある、したがって発動されたはずなんです。総理が主宰された会合も金融危機対応会議という金融危機という看板が入った会議でございます。ですから、言葉はいろいろお使いになるのは自由でございますけれども、やはりきちっとその言葉の定義に沿った是非議論をこれからもお願いをしたいと。 この二つをお願いしておきたいと思います。 それから、結局、こういう状況になってくるというのは、私は、この不良債権の処理が思うように進んでいない、このことに一番大きな問題があると思うんです。結局、それはさっき言いましたが、実体経済、デフレである、特に地価や株価が下落しつつあると、こういうことに対する私は危機感が欠如している、そういう結果だと思うわけであります。 今度、金融再生プログラムでもうたわれておりますし、国際公約ともなっておりますが、いわゆる主要行の不良債権比率を十六年度、平成十六年度に半減する、そして問題を正常化すると、こういう方針を出しておられますけれども、これは達成が非常に難しいんじゃないかというふうに思っています。この点について、どうこれから更に政策を実行されるのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(竹中平蔵君) 直嶋委員の御指摘の中で名目と実質の話がありました。 これは、名目には名目のやはり解釈があり、実質には実質の解釈がございます。我々、別に実質だけで議論しているわけでは全くありません。デフレの克服が重要だというのは我々自身が言い出していることであります。したがって、実質成長率によって評価する、国民の購買力というのは実質成長率、実質所得によって評価されるわけですから、これはこれの議論としてしっかりしなければならないと思います。しかし同時に、御指摘のとおり、税収等は名目が重要でありますから、我々としては、実質成長率をできるだけ高め、かつデフレをしっかりと克服していくと、これを政府、日銀一体となってやっていくという強い姿勢を持っているわけでございます。 名目の成長率、それに関連して経済のマクロの動向が今回の公的資金注入を生んだのではないか、失政ではないかという御指摘でありますが、これもそうではないというふうに思っております。 今回、六%、三月の時点で六%ぐらいと思われた自己資本比率が二%台になるという報告を受けました。四%ポイント低下したのはなぜかということに当然なるわけでありますが、そのうちの三分の二は実は税効果会計をめぐる監査法人の評価の問題でございます。株価が安くなって、それで自己資本比率が低下したという要因もあることはありますが、この四%の低下のうちの〇・四%を占めるだけでございます。 いずれにしても、デフレはしっかりと克服していく、これは我々にとっても重要な課題だと思っております。 お尋ねの、不良債権処理が進んでいるかどうか、これはもちろん極めて重要なポイントでございます。我々は、昨年の九月期で八%台であった不良債権比率を今から二年後ぐらいには四%台に削減したいというふうに考えておりますが、昨年の三月から九月までで主要行で二十七兆円のものが二十四兆円に減っている。今回、今、決算の作業中でございますけれども、不良債権の比率を低下させていくということに関しましては決算、これ最終的には決算の数字を見なければ分からないわけでありますけれども、私は、四%台に向けて着実に低下していくための努力を銀行も危機感を持って必死に行っているというふうに認識をしております。これはいずれにしましても結果が出ますので、是非それで御評価をいただきたいと思います。
○直嶋正行君 この議論、またしたいと思いますが、今、私、竹中さんにお見せしたのはこの記事なんです。あと二十兆円あるんですよ。この三月期で一年で三兆円しか減っていないんですよ。どうやって減らすんですかね。これ、改めてまた御答弁ください。改めた日、日にちを改めても結構ですから。 それで、もう一つ申し上げたいのは、実は、昨日、日銀が調査結果を発表されています。これは、金融機関の、国内銀行の中小企業向け融資残高というのを発表されています。これは百九十六兆八千億、前年同期に比べて八・五%減であります。大企業の方も減っていますが、四・五%減でそれほど減っていません。 私は、一体もう政府は何を指導されているんですかと言いたくなるんですよ。この中小企業向け融資を増やすというのは銀行に公的資金を入れたときの約束なんですよ。そうでしょう。特に、主要行は努力をして中小企業向けの融資を増やしますという約束をしているんですよ。それがずっと減り続けじゃないですか。しかも、名前は言いませんが、ある大手行は金融庁から業務改善命令まで出されている。これ、一体何をやっておられるのかなと言いたいです。中小企業、本当に今苦しんでいますよ。ですから、私は、ここのところの指導もきっちりやっていただきたい。約束を守らせていただきたい。 それから、もう一つ申し上げたいのは、このりそなでありますが、これは、もう御承知のように、大阪地区で大体取引に対してシェアが二〇%です。埼玉は取引に占めるシェアが四〇%と言われています。ですから、とりわけ中小企業に対する融資を、これは経済産業省だけじゃなくて、金融庁はきっちり主要行を指導しなきゃ駄目だと思うんでありますが、きっちりやっていただきたい、このことをお願い申し上げておきたいというふうに思います。
○国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと、日銀の数字につきましては、質問通告をいただいておりませんでしたので手元にはございませんのですが、基本的には、御指摘のとおり、経営健全化計画を、資本注入を受けた銀行は経営健全化計画を出しております。その中で中小企業貸出しの目標値を定めております。我々は、その計画が実行されるように監督する立場にあるわけですが、これも、直嶋委員正に御指摘くださいましたように、大幅な未達のところに対しては中間期の段階で、年度が終わらない段階で業務改善命令を打つという非常に厳しい態度で臨んでいるつもりでございます。加えて、様々な立場で協力要請をしながら、中小企業に対する金融が円滑化するように努力を重ねているつもりでございます。 それで、りそなについても、御指摘がありましたように、全国平均で見ますと中小企業の貸出比率というのは六一%なんですが、りそなの場合は大阪、埼玉を中心に中小企業貸出しのウエート七六%ある銀行でございます。 今回、資本の注入を申請があって行うに当たっては、当然、経営健全化計画を出していただくわけでございますから、地域の金融、地域金融に根差した同行のことでありますので、そうした点を重視しながらその経営健全化計画の審査を行いたいというふうに思っております。
○直嶋正行君 ありがとうございました。 僕、説明はいいんです、とにかくやってくださいよ、きっちり。要するにもう、小泉内閣はいろいろおっしゃるんだけれども、実効性は伴っていないんですよ。このことは申し上げておきたいと思います。 それでは、本題の方に入らせていただきます。 私ども民主党についてちょっと申し上げますと、五年前の一九九八年に今の民主党を結党しました。実は、そのときの結党の政策の中に、国民の生命、身体を守るためには、シビリアンコントロールや基本的人権を侵害しないことを原則としながら、有事、危機に際して超法規的措置を取ることのないよう関連法制の整備を進めると。ですから、これはもう五年来の民主党の方針として取り組んでまいりました。 もう御承知のとおり、今回、衆議院における協議の結果、私どもがいろいろ御提案をさせていただいた部分について政府・与党の方でも酌んでいただきまして、大幅な修正ができました。私は、このことは、これで衆議院で可決をされて参議院に送られてきたわけでございますけれども、非常に意義のあることだということで率直に評価したいというふうに思います。 ただ、一方でやはり、今後とも私どもが考える上で重要な課題である例えば国民保護法制でありますとか基本法の制定、こういう問題がございます。したがいまして、これらについては政府・与党に強く求めて成立を期していきたい、その決意であるということを申し上げておきたいと思います。 これ以降、法案の議論に入りたいと思いますが、その前に、最初に総理に基本的なことを確認をさせていただきたい。 それは、この有事法制を私たちが整備することによって我が国の外交政策、安全保障政策の基本が変わるのかどうかという点であります。例えば中国、韓国を始めとする近隣諸国は、恐らく、この日本国内での議論を見ながら、この点を一番注視しているんではないかなというふうに思うわけであります。 我が国は、先ほどの議論にもありましたが、専守防衛政策を堅持してまいりましたし、日米安保体制を維持しつつ、アジアの一員として地域における諸課題の平和的解決を目指すと、こういう外交の基本姿勢をこれまで取ってまいりましたが、私は、これを貫くことが肝要であると、こう思っております。 有事法制の整備をこれから進めるに当たり、この点に関しては、私は小泉総理と、我が国外交の基本姿勢が揺るがないと、このことを確認をさしていただきたいと思っておりますが、総理の御所見を承りたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 我が国の安全保障政策、これは専守防衛に徹するということであります。他国への攻撃ということは考えておりません。 今回の有事法制におきましても、他国から攻撃を受けた場合にどういう法整備が必要かという観念であります。もちろん、憲法の範囲内で基本的人権を尊重しながらいかに法的整備をするかということでありますので、これからも外交努力、そして戦争をしないための抑止力、これは日米安全保障条約、そして外交的な努力等につきましては、国際協調体制によって日本の平和外交を進めていく。他国に脅威を与えてはならない。防衛力を整備する際にも必要最小限度の防衛力を整備すると、言わば専守防衛に徹するんだと。そして、防衛力の整備については必要最小限度の整備に努めると。 今回、有事法制というのは決して戦争のための準備ではないと、他国から仕掛けられた戦争に対してどのように防衛体制を整備するかということでありまして、何ら今までの安全保障の基本政策を変えるものではございません。
○直嶋正行君 安全保障の基本政策を変えるものではないということを確認をさしていただきたいというふうに思います。 それでは、具体的な法案について、引き続きまして総理の御見解を伺いたいと思うわけであります。 今回の法整備は、私は、ある意味では緊急事態法制の通過点であると、このように思っております。今後、様々な課題が残っているわけでありますが、特に基本法や国民保護法制に取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。 民主党が提出をさしていただきました緊急事態基本法については、与党三党と民主党との協議の覚書の中で、四党間で「真摯に検討し、その結果に基づき速やかに必要な措置をとる」、そうした覚書を交わしまして、衆議院での審議では、総理から、基本法が必要という考え方は十分に共有できるという趣旨の御答弁をいただきました。私は、やはりこの問題は総理御自身が強力な指導力、リーダーシップを発揮して取り組んでいただきたいと、このように思っております。でないと、なかなかできないんではないかと思います。是非、この問題に対する総理の御決意と、それから、ちょっと小さいようですが結構重要な問題なんで御見解を伺いたいのが、その覚書の中にあります、「速やかに」という表現があるんですけれども、これは大体どのぐらいを想定しておけばよろしいのか、この点についても御見解を賜れればというふうに思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今、自民党の久間議員と民主党の前原議員が同席されておりますが、これについても十分協議が重ねられた重要な問題であります。基本的な法制の整備につきましては共有した認識を持つことができ、「速やかに」という御質問でございますが、これは時期を明言するということは今の段階では申し上げられません。 しかし、速やかに真摯に検討してやらなきゃならないということは、お互いの信頼関係の下でやっていかなきゃならないものと認識しております。
○直嶋正行君 是非、先ほど申し上げましたが、政党間で協議をする話ではありますが、自民党総裁としての総理の指導力の方もよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。 次に、この基本法について、民主党の提案者に御質問させていただきたいと思います。 私どもは、やはり国家の緊急事態に的確に対処していくというためには、国民の生命、自由、財産を守っていく、そのためにも憲法に、明文の規定が我が国の憲法の場合はありません。そういう状況の中で考えますと、安全保障や緊急事態に関する基本法制が必要であると、このように認識をしております。したがいまして、今回、民主党が提出をされた基本法案の趣旨について御説明を賜れればと思います。
○衆議院議員(前原誠司君) 今御指摘をされましたように、憲法には緊急事態というか戦争に関する規定というものがございません。唯一あるとすれば、憲法第五十四条に「参議院の緊急集会」というものが書かれているぐらいでございまして、戦時あるいは緊急事態においてどう、例えば憲法で保障されている基本的人権というものが戦時においても果たして同様に保障されるのかどうかということをしっかりとやっぱり書く必要があるというふうに私は思っております。 したがいまして、憲法にそういう規定がない以上は、基本法のようなものをしっかり作って、そこに今申し上げた基本的人権の尊重規定、そしてまた、民主主義の根幹であります民主的統制の在り方、そしてまた、我々は日本版のFEMAという言い方をしておりますけれども、緊急事態においてどう行政が速やかにそして効果的に対処するかという省庁横断的な仕組みも必要だと思いますし、そういった趣旨というものもしっかり書く基本法が必要だろうと、こういうことで出させていただきました。 なお、政府が出してこられましたこの武力攻撃事態対処法につきましては、基本的な理念と、そして個別の法案、また、国民保護法制でありますとかあるいは米軍との支援法案というのはこれからどのように規定をしていくかというプログラム規定が混在をしている極めて分かりにくい法律になっておりますので、その点も指摘をしながら、我々としては基本法を出させていただいたということでございます。
○直嶋正行君 もう一点、民主党の提案者に御質問をさせていただきたいと思います。これは、基本的人権についてであります。 ちょっと、やや誤解を恐れずに申し上げますと、緊急時においては、先ほどもありましたが、基本的人権といえども無制限に保障されるものではないと、これはそうだと思います。それを保障するというのは、やはり現実性に欠けるんではないかというふうに思っています。ただ一方で、無制限に政府に免罪符を与えるものでもないと、このことも言えるんではないかと思います。 したがいまして、緊急時であるからこそ逆に、緊急時であるからこそ安易に人権侵害が行われるという心配があります。我が国がかつてそのような負の歴史を有していたということも言えるんではないかと思います。したがいまして、特に、思想及び良心の自由、表現の自由といったいわゆる精神的自由については、平常時、緊急時を問わず、普遍的に守られるべきものと私どもは考えております。 今回の与党との修正協議において、基本的人権に関する規定はどのように盛り込まれ、また今後の課題としてどのようなものが残されているのか、この点についてお伺いをしたいというふうに思います。
○衆議院議員(前原誠司君) 先ほど答弁をさせていただいた中にもかかわってまいりますけれども、憲法に基本的人権のくだりがございます。しかしながら、緊急事態においてもそれが果たして本当に担保されるのかどうかという疑念がございました。 去年からこの三法案につきましては衆議院でいろいろと議論をされてきましたけれども、やはり有事であるときの方がこういう基本的人権の侵害の可能性が高いんではないかと。したがって、先ほど基本法でも書くべきだと申し上げましたけれども、しっかりと具体的な、先ほど御指摘をされたような条文も含めて書くことが極めて重要であると。今までの政府の案ですと、訓示規定的なものしか書かれていないと、それをより詳しく書くことにおいて、そしてそれが最大限尊重されるという文が書かれたことについては、私は大きくこの法案についての基本的人権の尊重についての前進が得られたものと思っております。 と同時に、来るべき、整備をしていきます国民保護法制においても、この我が党が出しました六項目については改めてきっちり書くと、こういうことも四党間の合意として書かれておりますので、我々は、国が国民や地方自治体に協力を求める、それも大切なことでありますけれども、求められたときにどう憲法上認められた基本的人権というものが保障されるかということをしっかりと担保する立場から法案修正に臨んで、今申し上げたような前進が得られたと認識をしております。
○直嶋正行君 もう一点、民主党の提案者に御質問させていただきたいと思います。 さっき武見議員からもお褒めをいただいたわけでありますけれども、今回の民主党の提案をいたしました緊急事態対処基本法案に危機管理庁を設置するということが明文化をされておりました。これは、いわゆる武力事態だけではなくて、大災害やあるいは大規模テロ、こういったことが発生した場合にも、現行の国、地方の行政組織で迅速に対応し、国民の保護や避難誘導が円滑に行うことにはならないんではないかと、こういう考え方から考え出したものであるというふうに思っております。また一方で、政府・与党の方からは、この危機管理庁を設置すると行革に逆行するんではないかと、こういう指摘もいただいております。 この危機管理庁を提案した趣旨と、それから行革に逆行するという指摘に対して、どのような見解をお持ちなのか、御答弁をいただきたいと思います。
○衆議院議員(渡辺周君) 御指摘の点につきましては、私どもがこの基本法の中で危機管理庁設置について議論をいたしました。 御案内のとおり、従来から、いろいろな国家的な災害等が起きたときに、その都度、対策本部が作られてきたわけでございます。残念ながら、各省庁からの人員が集まって対応しますと、先ほども武見委員からも御指摘ありました、その都度その都度対応策を考えていかなきゃならないわけであります。そこには縦割りの弊害もあります。また専門知識の、その場において専門知識が必要とされるときに発揮されない部分もある。そして、相互の情報の共有あるいは連絡という意思の疎通において非常にそごを来していた部分も指摘されました。 それだけに、私どもは、内閣府に常設の危機管理の庁を設置をいたしまして、日ごろから、人員とそして予算と権限を併せ持つ、それによって国家的危機に対応できる組織を作ろうというのが私どもの考え方でございます。考え得る、想定し得る限りの危機を、あらゆる危機を日ごろから想定をした中で、いかにして対処していくか、あるいは政策立案をし、そして政策遂行する手段を構築しておくかと、これは日ごろからやっておかなければならないことだろうと思います。 そして、行革に反するのではないかという御指摘がございましたけれども、この点につきましても、既存の行政機関、省庁の各部署あるいは行政機関の機能を、例えばこれは警察、消防、国土交通、あらゆる分野におけるその部署を整理統合して、そして人員も一人も増やさずに、予算もゼロベースから作り上げることによって、いわゆる行政改革に反しているということがなきような、どちらかといえばもうこれは行革に資するという一元化された組織を作る、そうしたことを我々は念頭に置いて考えております。ですので、そういう行革に反するのではないかというような御指摘に対しましては、我々は逆に資するものであると、そのように考えております。
○直嶋正行君 行革に反するものではないということであります。今申し上げました私どもの主張も含めて是非御検討いただきたいというふうに思います。 それで、今度、官房長官にお尋ねをしたいと思うんでありますが、今答弁されました危機管理庁の問題についてでありますが、今後整備される事態対処法制のために内閣官房に検討作業チームをそれぞれの法制ごとに置いているということ、先ほどちょっとお答えにもございました。今、一つは、この今のこういう進捗状況についてお伺いをしたいということであります。 国民保護法制については、元々二年以内に整備をすると、こういうことでありましたが、今回、衆議院の方で削除され、附帯決議において一年以内という決議が付けられました。それで、一方で、衆議院の修正の中で、危機管理庁のような組織の在り方について検討を行うものとするという附則がございます。これは国民保護法制の検討とも密接にかかわってくるんではないかというふうに思うわけでありますが、今後一年以内に、そういう意味でいいますと、先ほど言いました附帯決議等の関係も含めて一年ぐらいで検討、結論が出されるべきものというふうに思っておりますけれども、この危機管理庁の検討の期限について御所見を承れればというふうに思います。
○国務大臣(福田康夫君) 国や国民の安全に重大な影響を及ぼす武力攻撃事態と、こういうことや、またその他の様々な緊急事態に迅速かつ的確に対処すると、この態勢を構築するということは、これはもう政府として当然の義務であり、そういうために今までも努力をしてまいったわけでございます。 この事態に応じて適切な対応を取れるよう緊急事態対処の中核を成す組織の在り方、例えば危機管理庁のようなそういう組織についても、これも今後検討していくところでございますけれども、これはいろいろな論点があろうかと思います。そういう論点を整理して、そして問題は、国、国民の安全と、こういう一番大事なところでございますから、しっかりと対応してまいりたいというように思っております。 時期について、今明確に申し上げられるような段階でないということを申し上げておきます。
○直嶋正行君 時期を明確にするというのはなかなか難しいということでございますが、先ほどの「速やかに」もそうでありますけれども。 ただ、元々二年になったのを、国民保護法制が一年という附帯決議になっていますし、私どもやはり、この緊急事態法制はさっき言いましたように通過点でございますので、そういうことも含めて考えますと、余り時間を先送りするということになると結局はこれは作れなくなるんではないかということを取り越し苦労をいたしておりますので、ひとつよろしくお計らいをお願いを申し上げたいというふうに思います。 それからもう一点、基本的人権と国民保護法制の取組について政府の御所見を伺いたいというふうに思います。 四月にたしか衆議院の事態特委員会において、国民保護法制のこれは骨格というふうに読んだらいいんでしょうか、これが示されました。ただ、この場合は権利の制限とか義務の部分が先行いたしておりまして、さっきもちょっと議論にありましたが、住民の避難誘導でありますとか、あるいは例えば原発の安全確保とか、こういった国民の非常に関心の強い、また重要な部分の具体的な姿がまだよく見えないというのが実態であろうかと思います。 この法律については、衆議院での協議で、武力攻撃事態法第三条四項を、入念的にという言い方がよろしいんでしょうか、憲法の条文を挿入する形で修正をされまして、民主党が求めた基本的人権についてはこの国民保護法制で措置することになっております。 したがいまして、この四党の合意について、一つは、政府は今後きちっと対応していただきたいということであります。今どのように対処をお考えか、政府の御見解を賜りたいというふうに思います。
○国務大臣(福田康夫君) 国民の保護の法制につきましては、これはこの法律が成立しましてから直ちに取り組まなければいけない、また時間も限られているというように考えております。国民の基本的人権が最大限尊重されなければいけないということ、そしてそのための所要の規定の整備に努めると、こういう考え方でございます。 具体的に申し上げれば、国民に協力を求めるための手続とか法律の規定に基づく措置を実施した場合に損失が起こった、発生したといった場合の補償に関する規定の整備といったような割合と複雑な問題がこれからあるわけでございますので、またこれは国民の理解を得ながら、またよく国会でも議論をしながら検討を進めさしていただきたいと思っております。
○直嶋正行君 それから、あと一点。これは昨日ちょっと、私、通告をさしていただいたかどうかちょっとはっきりしないのでありますが、ちょっと官房長官、お答えいただければと思うんですが、実はテロとか不審船への対応についてなんですが、これは通常、テロとか不審船というのは武力攻撃に至らないというふうにも思われるわけでありますが、現実に今、今の日本を取り巻く情勢からいいますと、一番発生する蓋然性が高いといいますか、そういうものであるというふうに思います。 また、今、普通は武力攻撃に至らないと、こういうふうに申し上げましたけれども、時と場合によってはその前兆になるということもあり得るわけでありまして、今回の法案について若干追加が、修正の中で追加が加えられました、加えられたわけでありますけれども、一つは、こういうテロ・不審船対策について今どのように考えておられるのか、これが一点であります。 それから、この三法案を閣議決定されましたときに、これは昨年の四月十六日でありますが、総理談話の中で、当面する課題への対応として、「テロ対策を引き続き推進するとともに、警察機関と自衛隊のより緊密な連携のため運用面の改善を図ることといたします。」という一節が総理談話の中にございます。 こういった連携、緊密な連携のための運用面の改善ということでうたわれているわけでございますけれども、具体的に今、これまでどんなことが、どんなことをおやりになってきたのか、この点についてもちょっと確認をさしていただければというふうに思います。
○国務大臣(石破茂君) お答え申し上げます。 テロ・不審船対策についてどうかという御指摘でございます。 委員がおっしゃいますように、テロでありますとかあるいは不審船というものは、それが我が国に対する武力攻撃というふうにはすぐには認められないのだと思います。したがいまして、第一義的には警察機関であります警察、そしてまた海上保安庁が対処をすることになる。しかし、その能力を超えた場合には、警察権を行使する自衛隊、すなわち治安出動でありますとか海上警備行動、それによって対処をすることになるわけでございます。 一昨年、法改正をいただきまして、例えば警護出動というものが認められるようになった、あるいは情報収集活動というものが認められるようになった。九十条の武器使用の権限が緩和された、あるいは海上保安庁法を改正し、それによる準用が自衛隊法になされた等々のいろいろな改正をいただいております。したがいまして、私は法的にはかなり詰まってきた、緻密なものができたというふうに思います。 あとはこれをどのように、海上保安庁と海上自衛隊、警察と陸上自衛隊、主にそういうことになると思いますが、それが連携ができるかということだと思います。 例えば陸で申しますと、四十七都道府県すべての県警と陸上自衛隊との間に協定ができた、今までは中央レベルでしかなかったものが、今はもう各四十七都道府県全部と協定を結んでおります。そういうような協定が結ばれた。そして、海上保安庁と私どもの間も、それぞれの現場レベルにおいていろんな協議、訓練をいたしておるところでございます。 要は、法律的にはきちんとしたものができているのだけれども、本当にそれがちゃんと運用できるか、それを現場レベルにおきましても中央レベルにおきましても、すべての事態というものをそれぞれ具体的に検証する、そして図上演習をやる、そういうことが必要なのだというふうに私は考えておるところでございます。幾ら法律がきちんといたしましてもそれができなければ意味がないことでございますので、私は要は運用の問題だというふうに考えます。 大事なことは、要は、警察官の皆様方がかなり犠牲が出てから初めて自衛隊が出てくるとか、あるいは海上保安庁で手に負えなくなって事態が拡大をしてそこでようやっと海上自衛隊が出てくるとか、そういうような間隙があってはならないのだと思っております。 ただ、それはあくまで自衛隊が自衛権を使うのではなくて警察権に基づいて治安出動を行い海上警備行動を行う、そこのところはきちんと認識をすべきだというふうに考えておるところでございます。
○直嶋正行君 まだこの法律案、議論をしていきますとたくさんありますが、参議院の審議も今日始まったばかりでございますので、あとまた残る部分は同僚議員の議論に譲りたいというふうに思います。 それで、あと少し、私の持ち時間の中で総理に特に北朝鮮の問題についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。 実は、先ほどもちょっとお話の中にございましたが、先月下旬でございますが、北京で米朝中三か国協議が行われました。たまたま私ども民主党の代表チームが、その日程が、日程といいますか協議が決まるというふうに報道された日に北京におりまして、私どもも行く末を、この協議の状況を注目をして見ていたわけございます。もちろん内容は外へ公表されておりませんので、あくまでもこれは報道等を通じた推測ということになるわけございますが、その中で、北が核爆弾を二個保有していると、それから、そういうふうに言った上で、あらゆる手段で核兵器の能力を示すということをアメリカ側に伝えたというふうに言われております。このあらゆる手段で能力を示すということは、アメリカ側の分析によりますと、これはテロ組織とかテロ支援国家に核兵器を売却する、これを意図したものであるというふうに言われております。 さっきも言いましたように、これは事実関係、特にまだ不明確でございます、明確になっているわけではございませんが、もしこれが仮に事実であるということになれば、国際社会は北の核開発という問題だけではなくて、今度は北による核の拡散という新しいこういう問題にも対応しなければならないと、こういうことになるわけであります。 総理は今週アメリカへ行かれて日米首脳会談が開催されるというふうに伺っておりますが、当然、日米首脳会談では北朝鮮の問題というのは重要なテーマになるというふうに思っておりますし、こういったことについても対策を協議されるんではないかというふうに思っております。もちろん、協議をする上で、日本政府としてもどういう対処をしていくかということを示すことも求められるのではないかというふうに思うわけであります。 総理はこの件に関して事態をどのように今認識をされており、そしてどう対処をされようとしているのか、そのお考えをお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) アメリカと北朝鮮と中国との協議について、北朝鮮側は核兵器の問題について言及したということについてはアメリカ側も公表していると思いますが、その北朝鮮の真のねらいとか背景については、今私がここで申し上げることは差し控えたいと思います。 こういう点についても今週アメリカを訪問してブッシュ大統領と話合いをしてまいりますが、今までの例でいきますと、北朝鮮側の表面的対外発表の言いぶりと真のねらいは何かという点につきましては、各国ともよく分析する必要があるという点では一致していると思います。また、核保有については日本も容認しないし、韓国も容認しないし、中国も容認しない、アメリカも容認しない、ロシアも容認しない、そういう中での北朝鮮側の言及でございます。その点もよく見極めて判断する必要があるのではないかと。 私は、この問題につきましては日本だけで核問題とかミサイルの問題、北朝鮮側と交渉してもうまくいくとは思っておりませんし、だからこそ韓国とアメリカと緊密な連携の下に北朝鮮に対応しなきゃならぬということでありますので、今回盧武鉉大統領とブッシュ大統領が会談して、そして今週私とブッシュ大統領が会談する。そして来月には盧武鉉大統領が日本を訪問されます。そのときに私もまた盧武鉉大統領とも話合いを行います。そういう中での米中朝協議が行われたわけでありまして、当然、アメリカ側も今後の協議には日本と韓国の参加が不可欠であるということもはっきりと言明しております。 そういう点を踏まえまして、強硬なあるいは挑発的な発言も北朝鮮側はするときがございますが、その点はよく真意とねらいを見極めながら、日本は各国と連携しながら北朝鮮との交渉に当たっていきたいと思っております。
○直嶋正行君 今総理もおっしゃったように、公式には北がアメリカに核保有について言及をしたと、こういうことでありますが、この会談、協議以降、私は、若干日本政府の動きも少し変わってきたんではないかというふうに思っています。先ほど来もいろいろ議論がありましたが、例えば、今までは対話と言っていたわけでありますが、例えば法律の運用を厳格にして、いろいろないわゆる違法な輸出等について厳しく取り締まるとか、あるいは昨今報道されておりますけれども、状況によっては送金を停止できるように法解釈を変えると。つまり、ずっと動きを見ていますと、やはりこのままの対話とだけ言っていたのでは駄目なんで、様々な形で、これは制裁になるとかそういうことではなくて、いろいろ圧力をといいますか、そういうことによって我が国のやはり意思をきちっと伝えようと、こういう表れではないかというふうに思っています。 それで、恐らく、さっき総理がおっしゃったように、日米首脳会談、米韓はもう終わっております、それから今度は日韓首脳会談もあるということになりますが、そういう中で、そこでいろんなことが話し合われるんでしょうが、先日の米韓首脳会談について、一応平和的解決ということで合意はされたということでありますが、その中には、朝鮮半島の平和と安定が更に脅かされた場合には一層の措置の検討が必要になるものの、これ日本語ですからちょっとよく、何か意味がうまく通じないところもありますが、なるものの平和的解決は達成可能と、こういうくだりが入っていまして、マスコミなんかでも追加的措置がいろいろ取りざたされているわけであります。 それで一方、その状況の中で、これはアメリカの国務省の筋の話ということなんですが、平和的解決というのは軍事以外のすべてのオプションを含むんだと、こういうコメントが出されたりしております。 そうすると、やはり軍事は使わない、もちろん話合いをベースにしてやるわけですけれども、その間にはいろいろレベルがあると、こういうことになるわけなんですが、ここら辺の認識、つまり平和的解決というのはいろんなことがあって話が進んでいくんだよ、だからその中にはいろいろ対応することが含まれているよという認識については総理はどのように認識をされておられますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) ブッシュ大統領も、この北朝鮮に対する対応はイラクと違うと、私の発言に対してそのとおりだと。イラクに対する対応と北朝鮮に対する対応は違っていいんだし、日本は違う対応を求めると。あくまでも平和的、外交的解決を求めるんだということをブッシュ大統領はよく理解し、支持しております。しかし、アメリカはアメリカ自身の戦略を持っていますから、あらゆる選択肢、拒否するものではないというのがアメリカの戦略であります。 そういう中で、これから日本は韓国とアメリカと緊密な連絡の下に対応するわけでありますが、どういう対応が有効かということを考えなきゃいかぬと。制裁というものが、実際、軍事的制裁ではなくて経済的制裁が有効なのかどうか、あるいは有効でないのか、その点をよく見極めなきゃならない。そして、現行法で対応することが、いろいろな、外為法の問題あるいは他の法律でも、解釈によっては現行法で対処できるじゃないか、あるいは法改正が必要ではないかというのは自民党でも与党でも議論が行われております。 そういう点も踏まえながら、日本政府としては、関係諸国との対応をにらみながら、北朝鮮を何とか核開発プログラムを放棄させ、拉致問題、ミサイル問題等、解決することが北朝鮮にとって最大の利益になるんだというような働き掛けをどうやってしていくかというのが重要であって、私は現時点で、どのような話合いをしたいとか、北がこう思っているから日本はこうやるんだということは今の段階で具体的に言うべきものではないと思っております。
○直嶋正行君 あと一つ、特に今、総理も触れられましたが、日本はこの核兵器、ミサイルの問題以外に拉致問題という非常に重要な問題がございます。先日の米中朝三国協議でも、北朝鮮は、北朝鮮の一つの提案として行われた提案の中に日朝正常化も含まれているというようなことも言われております。 そうしますと、やはり私は拉致問題も含めて日本の強い意思を示す必要があると。それがもちろん総理がおっしゃるように有効な、有効と見られる効果があるやり方でなければいけないというのはもうそのとおりだと思うんでありますが、なかなか今のままではその日本の強い意思というのがうまく示せない、示せていないんではないかなと、こんなふうにも思っております。 それで、そういう中で一つ総理に申し上げたいのは、今の状況を考えますと、北朝鮮は、昨年末の十二月でしたっけ、いわゆる再処理施設の再稼働、これが一番始まりだったと思うんでありますが、それ以降、約半年の間にどんどんどんどん事態を進展させてきております。瀬戸際外交と言われているわけなんですけれども。そうしますと、総理は衆議院の審議なんかでも、平壌宣言ですね、平壌宣言をやはり踏まえて、それをてこにして、そこへ北朝鮮、北を戻したいと、こういうことでお考えだというふうに思うわけでございますけれども、事態は残念ながらだんだんだんだん平壌宣言と遠ざかっているんではないかと。そうしますと、そろそろ新しい、何といいますか、新しいメンタリティーというんですかね、そういうもので新しいやり方というものも考える時期に来ているんではないかと、そう思うわけでございますけれども、この点どうでしょう、総理。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 日朝平壌宣言を誠実に履行することが北朝鮮にとって最大の利益になるし、またこの朝鮮半島の平和と安定のためにも一番いいんだという点については、韓国もアメリカも中国もロシアも共有の認識を示しているわけであります。また、EUもそうであります。国際機関もそうであります。だからこそ、昨年九月、私は訪問して金正日総書記とこの宣言、署名したわけでありますが、今言った国は支持をし、歓迎した。現時点においてもこれを支持すると。 つい最近の連休、五月の連休を利用して、イギリス、スペイン、フランス、ドイツ、そしてEU定期首脳会議にギリシャを訪問いたしましたけれども、共通して、日朝平壌宣言、これを支持してくれました。そして、今後これをいかに誠実に履行させていくことについて各国が協力していこうということであります。 どのような働き掛けをして、見えていないじゃないかと。私が九月十七日に北朝鮮へ行くのも、発表するまで全然見えていなかったでしょう。今、米中朝協議、これが始まるまで、北はアメリカとしかやらないと言っていたんです。中国が入って三者協議になりました。私は、外交問題ですから、あれをやっています、これをやっていますとみんなに言うべき問題と、言わないで水面下でやらなきゃならない問題、両方あるということを御認識いただきたい、御理解いただきたい。 そういう点におきまして、私は、日朝平壌宣言を誠実に履行するために北朝鮮は何が必要かということを今よく分析しているはずであります。九月十七日以来、新しい事態の展開もありました。それは、イラクの戦闘状況、よく見ているはずであります。こういう点も踏まえて、私はいろいろな働き掛けが必要だと思いますので、この日朝平壌宣言、重要な政治文書であります。これを誠実に履行することが北朝鮮にとって最大の利益になるということを、日本だけでなく、各国で働き掛けていきたいと思っております。
○直嶋正行君 まだこの問題、いろいろ事態が動いておりますので、また改めて議論をさせていただきたい。ただ、確かに総理がヨーロッパ等も行かれて理解活動をされてきたことは報道等で承知しておりますが、あえて申し上げますと、なかなか状況は厳しいんではないかというふうに思います。 一応私の時間終わりましたので、あと同僚の齋藤議員に関連質問をお許しいただければと思います。 どうもありがとうございました。
○委員長(山崎正昭君) 関連質疑を許します。齋藤勁君。
○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。残り時間、質疑を交わさせていただきたいと思います。 最初に、総理も昨日の本会議、あるいは本日のこれまでの委員会の答弁でも繰り返し答弁されているなというふうに思いますが、改めて、衆議院から我が院の方に送付をされてまいりました今回のいわゆる有事法案、緊急事態対処法でございますけれども、今回の法制化が国内にあっては国民の生命、財産、これを守るためであって、基本は国民に安心感をこれはやっぱり与えなければならないというのは、これは言うまでもないというふうに思います。 したがって、戦争を仕掛けたり、外国の戦争に参加をするとか、そういうためではないわけであって、国内、そして国外も、とりわけ我が国は歴史、様々な厳しい歴史を、痛ましい歴史を持っておりまして、アジアの人々に対し危険性を感じさせるものではあってはならないということだと思います。 したがって、万が一の備えなんだということ、また万が一の備えであっても使われてはならない、そういうことをするためにこの法律あるいはその法律以前のまた外交、様々な努力がこれは必要だということであると思いますが、このことは私どもも今度は合意を、修正を申し上げ、そして多くの点で一致をし、そして今後また国民のための保護法制とか幾つか様々な課題がございますが、スタートの時点でもございますので、このことについて総理からの答弁をお願いしたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今回の有事法制は、決して他国を攻撃するためのものでもなし、他国へ脅威を与えるためのものでもありません。 他国から日本が攻撃を受けた場合、あるいは日本国民に危険が及んだ場合、様々な脅威が想定されますが、そういう事態にどういう法的整備をしていく必要があるかというための法制でありまして、この点についてはこれからの議論でもよく御理解いただけると思うし、また、外国に対しても、日本は専守防衛に徹すると。防衛力につきましても、必要最小限度の整備でいかに我が国の安全を図るかということに努力してきているんだと。そして、日本は経済大国になると軍事大国になるんじゃないかという外国の懸念、これに対しては常に、今までの歴史だと経済大国は必ず軍事大国を目指したというけれども、日本は戦後そうじゃない、経済大国になっても軍事大国にはならないということをいろんな場で私も外国で表明しております。 そういう点につきまして誤解のないように、いかにこの有事法制が日本国家の独立と平和と国民の安全を図るための措置を法的に整備する法案であるかということにつきまして、お互い与野党を通じて御理解いただくように、国民に対しても、また国外に対しても努力をしていきたいと思っております。
○齋藤勁君 通告していないんですけれども、久間さん、今お立ちになっちゃっているんですけれども、中谷先生、たまたまよくテレビで、私どもの前原議員と久間さんがもう両筆頭同士でこの修正についていろいろ語り合っていたんで、本院の審議に当たりまして、少し、一問でございますけれども、いらっしゃいましたけれども、多分、もう賢明なる久間先生ですから半分聞いてすぱっと答えられるんじゃないかと思いますけれども。 大変長い間の衆議院での論議だったと思いますね、そして修正、そして修正から本院に送付をされてきまして、私ども、これ昨日から本会議、今日始まったばかりですけれども、これは、何がというのは分からないです。しかし、先ほど総理の答弁でも、おれはこう思っていたんだけれども、やっぱりおれの思うとおりになったというようなやり取りがございましたけれども、そうすると提案者としてどうなのかなと思うんで、おれがこう思うんだったら、最初からそういう法案出してくれりゃいいわけであって、いろいろ与野党の修正論議でそれはそれでよしとするということだと思いますが。 参議院でもやっぱり質疑を交わしていく中で、大勢としてこれはやっぱり改めていこうという一致点があれば、当然、修正案提案者のお立場でも、あるいは政府でも、こっちの本院の与党の方々もそうお思いじゃないかと思うんですが、これスタートでございますので、いや、おれたちはもう修正論議して、これがもう精一杯だったんだと、もう参議院に行ったらもう何にもいじらないでそれを上げてほしいというお気持ちでやられてきたのかどうか、それぞれちょっとお伺いしたいんですけれども。
○衆議院議員(久間章生君) このたびのこの政府提案に対しまして、基本法という形、あるいはまた武力事態対処法に対する修正動議という形で民主党さんの方から案が出てきたというのは、私どもとしても大変心強かったわけであります。 そういう中で、いろいろと議論させていただいたわけでございますけれども、基本法一つ取ってみましても、民主党さんの案では全体の上位法みたいな位置付けされておりますが、やはり災害対策基本法とかそういう、あるいは原子力災害特別措置法とか、そういう形との整理をどうするのか、この辺はまだまだ問題がたくさん残っているわけであります。 だから、そういうこともございますし、また今まで警察あるいは消防、あるいはまた地方自治体がそれぞれ現在の個別法に対応して慣れておるわけでございますから、新しい基本法ができたときに、そういうこととの関係はどうなるのか、この辺についてやはり議論をこれから先していく必要があるじゃないかと。そういうことで、政党間同士で真摯に検討しながら、この問題についてはこれから先、更に詰めていきたい。できれば、何かそういう一つの法体系みたいなものが、法制ができればそれもいいんじゃないかと。といいますのは、衆議院の方で参考人を呼びましたときに、我が党の推薦人の中からもそういう意見が出てまいりました。 ただもう一つ、FEMAといいますか、要するに危機管理庁でございますけれども、これについてはやや問題がもっと大きくございまして、参考にされたのがアメリカのFEMAを参考にしておられるようでございますけれども、最近はアメリカでもこのFEMAが余り評判よろしくなくて、これはむしろもうなくなる方向に向かっておりまして、国土安全省といいますか、そういう形で新しい省が作られたわけであります。 したがいまして、この問題についてはやはり政府の方で検討していただいて、世界各国の制度がどうなっているのか、それらをもう少しつまびらかに検討した挙げ句結論を得ていいんじゃないかということで、これは検討するという形でややトーンダウンした形になったわけであります。 そういうような経過でございますから、参議院においてもまたいろんな角度から議論していただいて、その後は私どもも決して、衆議院でやったからこれで終わりというようなそういうつもりはございませんけれども、いろんな問題点を含んでおるということはひとつお含みおきいただきたいと思います。
○委員長(山崎正昭君) ずっとですか。
○齋藤勁君 一言。
○衆議院議員(前原誠司君) 先ほど総理は、政府原案についておれもおかしいと思っていたんだよなと、こういうことをおっしゃって、それは提出者として私もいかがなものかと思います。したがって、今回の修正案については自信を持ってお送りをしておりますけれども、しかし一〇〇%完全なものかといえば、そうではなくて、これからもっともっと詰めていかなければいけない問題というのもたくさんあると思います。 したがいまして、参議院で熱心に議論されて、そして賛成をされた五党ですかね、五党の間でよりいいものをまとめ上げようというような合意をされれば、それはそれで私は大変結構なことじゃないかというふうに思っております。
○齋藤勁君 私自身の限られた時間ですので、要点のみの今日は質疑になると思います。その上に立って、私どもの党としまして、二つの問題点があったんではないかなと思いまして、一つは国民の基本的人権の問題であり、もう一つは極めて、対策本部長そして内閣総理大臣イコールですけれども、総理大臣が非常に権限と権力が集中する、こういうような内容を持っているなという疑問もございまして、一つは基本的人権については幾つか修正をすることができましたし、そしてまた、この対処法においては総理大臣の権限で地方公共団体、指定公共機関に対して総合調整を行うということを指示し、実施させることが規定をされておりますが、幾つかまた国民保護法制ができるまでの間凍結をするという、こういう議論になってきていると思います。あるいはまた、附帯決議での盛り込まれていることがあろうと思います。 そこで、官房長官、ずっと衆議院からの議事録を見ながらそれ全部やりますと、いろいろ理解の度合いがそれぞれしやすいのかなと思いましたけれども、本当に限られておりますので、指定公共機関なんですが、指定公共機関の指定の問題で、先週、衆議院の事態特で我が党の横路議員が、福田官房長官は、日本赤十字社が指定公共機関に指定されるものとしても、その自主性、公平性及び中立性は尊重されなきゃならない、今後、個別の法整備、運用に当たっては、指示又は自らの対処措置の実施については、日赤をその対象と想定していないと答弁されておりますが、その考えは変わらないですね。これ、議事録をそのまま読んでいますので。
○国務大臣(福田康夫君) 日本赤十字社につきましては、避難住民等の救援、医療の提供、それから外国人の安否情報の提供などを指定公共機関の対処措置とすることを想定しているんです。これらの措置はいずれも日本赤十字社の本来業務というように言えるものばかりでございまして、また、日本赤十字社は自ら作成する業務計画に基づいて自主的な判断により活動するものであるということから、日本赤十字社の自主性、公平性、中立性に影響を及ぼすものではない、そういうふうに考えているところでございます。
○齋藤勁君 そうしますと、自主性ということになりますと、私は幾つかこれからも議論しますが、この事態対処法二条五号のところで日赤を指定公共機関と挙げているということについて、総理の指示権なり、そことのかかわり合い方の問題なんですけれども、指定公共機関に入れていくこと自体、これは必要ないんじゃないかというふうに思いますが、削除すべきじゃないですか。いかがですか。
○国務大臣(福田康夫君) この国民のための保護の法制におきましては、指定公共機関にかかわる内閣総理大臣の是正のための指示又は自らの対処措置の実施については、これは日本赤十字社をその対象とすることは想定していない、こういう考え方でございます。
○齋藤勁君 指定公共機関としてこの法律で入っていますよね。ですから、この自主性を日赤に対しては尊重するんだということになりますと、この指定公共機関の意味合いは、じゃ、日赤に対してどういうかかわり方になりますか。
○国務大臣(福田康夫君) 先ほども御説明申し上げましたんですが、日本赤十字社というのはいろいろな仕事をしておられます。避難住民等の救援、医療の提供、外国人の安否情報の提供、収集、そういったような役割を担っておるわけでございます、元々。元々担っているわけであります。そういう意味で、総理大臣が指示をするというそういうことはないと、こういうことでございます。
○齋藤勁君 ここが衆議院でずっと議論していた中で、そのままこっちに送付されてきているんですね。 今さら日赤についての基本原則、人道、公平、中立、独立、奉仕、単一、世界性とか、私、今短い時間で申し上げるつもりはなく、それで、我が日本赤十字社につきましては、名誉総裁が皇后陛下であるということで、皇室の方々がそれぞれ名誉総裁、副総裁に。 で、この指定公共機関、そして実施をする対象として日赤を入れること自体、これは日赤そのものは分け隔てなく対応するわけですから、そしてまた医療機関としても自主的に行っていくわけですから、この対策本部長である総理大臣が何かをしようということではなくて、そのことが専らもう仕事ですから、指定公共機関に盛り込むということ自体が私はむしろ削除すべきだということを申し上げさせていただいております。 並びに、いわゆるNHKとか日本民間放送連盟、NHK自身は会長からこの法案の推移ということしかコメント出ておりませんが、民放連から、今回の衆議院のこの法案が、法律が可決された時点で、十五日ですけれども、氏家報道委員長は、「武力攻撃事態法案が、憲法二十一条の最大限の尊重を盛り込む修正を加えて、」これは表現の自由ですが、「衆議院を通過したが、民間放送が指定公共機関に指定される可能性が、完全に払拭されたとは言い難い。 指定公共機関となれば、有事における放送計画を事前に策定して、首相と協議する義務が課される。法案修正によって、政府が放送内容に介入するおそれがなくなったわけではない。こうした懸念が払拭されない限り、放送事業者への有事指定公共機関制度の受け入れは難しい。 理念としての表現の自由・報道の自由の尊重にとどまらず、これを実態として保障するシステムが不可欠だからである。われわれはこの点に関する参議院の審議を重大な関心を持って見守る。」と、こういうコメントを出しております。 これは表現の自由、報道の自由に入っていくわけで、むしろ報道機関というのは、むしろそのことについて客観的立場に立って伝えていくわけであって、危惧になりますのは、こういうことをしなさいよ、これは放送しちゃ駄目なんだ、こういうことをしようということについて恣意的内容が入るということについて、私は報道機関側というのは非常に、私は危惧を、問題点を投げ掛けているんではないかというふうに思いますが、このことに関しても官房長官、いかがでございましょうか。
○国務大臣(福田康夫君) 民間放送の放送事業者につきましては、指定公共機関としていかなる法人を指定するか、これは別にいたしましても、緊急事態に警報を正確にかつ迅速に国民に伝達する、そのことによって国民の損害を、被害、損害を最小限に食い止めることができるならばそれはしていただきたいということであります。 このことは、国、国民の安全のためにとっても極めて重要でございまして、要するに放送の速報性ということが大事なんでございますので、緊急情報の伝達を指定公共機関の対処措置とすることを今現在想定をいたしております。指定公共機関である放送事業者自ら作成した業務計画に基づいて、放送方法等を自主的に定めた上で緊急情報を放送するものでございますから、放送の自律性を損なうというものではない、こういう考え方をいたしております。何から何まで指示をすると、そういうことではないんです。
○齋藤勁君 答弁では、衆議院の答弁ではそういった官房長官の答弁というのはされております。自主性を損なわすものではないということがございます。 で、今、凍結を、なっています文書の中で、この法案の中で、法文ですね、十五条二項ですけれども、「実施させることができる。」、「前項の指示に基づく所要の対処措置が実施されないとき。」とか、これはずっとあるわけですね。ここが報道機関に関するとどういうことになるのだろうかということで衆議院での議論もあったし、私もそういう危惧を申し上げさせていただいているわけで。 そこで、やっぱりやり取りの中で、総理大臣のいわゆる対処措置が実施されないときの実施権の問題なんですが、福田官房長官は、途中まで、強制ではないあるいは義務ではないと言っていましたけれども、後段、いや、義務はないと言ったけれども間違いで、義務はある、しかし強制ではない、そういう仕組みなんだと。内閣総理大臣が指示をする、それに対して、国民としての義務は発生する、しかし、強制するまでの指示はできないと。 これ、十三日の答弁ですから多分御記憶にあるというふうに思いますけれども、この指定公共機関への指示について、それでは官房長官は義務はあるが強制ではないということの答弁しました。どういう意味なんだろうかと。義務はあるが強制ではない。では、協力義務というのは、これたしか周辺事態法のときに出てきたと思うんですけれども、このことを指しておっしゃっているんですか。
○国務大臣(福田康夫君) 放送事業者を指定公共機関とした場合に、対処措置の実施について総理大臣から指示をするということ、そのことは、これは想定はいたしてはおりません、指示では、ございません。それで、もしその要請をして、そしてそれに、それは今、委員からも御発言ございましたけれども、これは義務が、国民としての義務が発生すると。しかし、そのことについて、それをじゃそのとおりしなかったからといって、例えば罰則を適用するとかそういうことはしない、そういう強制力はない、そういう意味においてという意味でございます。
○齋藤勁君 そうすると、指示を拒否をする、指示を拒否をするということは可能ということでしょうかね。そうすると、そのときに何か正当な理由ということを求めるということになるんでしょうか。その場合、何か納得をするということであって、側の方としては正当な理由はどういうことなんだろうかという、こういったようなやり取りというのは想定するんでしょうか。
○国務大臣(福田康夫君) もし、放送事業者が緊急情報である警報を放送しないという場合、内閣総理大臣が法的拘束力のない総合調整の一環として放送事業者に対し放送の実施を求めることはあり得るが、是正の指示まで行うことは考えていないと。これは、放送事業者の公共性にかんがみて、総合調整を行えば放送の実施が確保されると、そういうふうに考えておるためでございます。
○齋藤勁君 平成十四年四月十八日の衆議院の安全保障委員会で、村田政府参考人が質疑の中で、内閣審議官だと思いますが、この武力攻撃事態、いろいろやり取りの中で、強制力を伴うような指示権といった概念でこの権限を考えるならば、対策本部の長としてこの権限の枠を越える。新たな法律に基づいて、対策本部長としてではなく、内閣総理大臣の権限として新たに付与して、それに基づいて指示を行うという形にするのが妥当であるという判断から、そのような規定の仕方になったものでございますということが述べられております。そして、今回の法律なわけでありまして、内閣総理大臣の権限として新たに基づいてこの強制力を伴うようなというこの指示権ということを、これ実は答弁をしているんですね。 すると、今具体的に指定公共機関ということで私は放送機関、報道機関というふうに言っておりますけれども、福田官房長官の答弁とこの十四年四月十八日の村田内閣審議官の答弁は違うんですよ。違うんです。これひとつ整理していただかないと困ると思うんですが、いかがですか。 強制力と言っているの。強制力を伴うからこの法律というのは……
○国務大臣(福田康夫君) ただいま申し上げたのは、放送についてこれは内閣総理大臣の指示はないと、こういうふうに申し上げたわけでございますけれども、例えば民間の場合に海運事業者、この海運事業者の場合には、これは内閣総理大臣が指示をすると、こういうことができることになっております。 それは、なぜそうなっているかと申しますと、緊急事態のとき、避難等のために県を越えて移動するというような場合も想定されるわけでございまして、そういうような避難のために海運事業者に対して指定公共機関の対象として、これは今検討し、そういうことを検討いたしておりますけれども、その上で指示を行うと、こういうような考え方になっておるわけでございます。
○齋藤勁君 ちょっとかみ合っていないんです。まだこれ始まったばっかりですから、引き続きやっていきます。是非、これまでの議事録とかいろいろ検証していただきたいと思うんですね。 結論からいいますと、最初に戻りますと、日赤の話をさせていただきました。マスコミの話させていただきました。いわゆる総理大臣の指揮下に入ったら、実施権という強制権を持つということ自体問題点があるんではないかという一つの今対象として今挙げさせていただいたわけで、例えば何も無関係ということじゃないと思うんですね。 ですから、実施機関というのは指定公共機関という名称ではなくて、協力機関だとかそういったこともあり得るんではないかなというふうに思いまして、何か全部外せばいいということではないんで、是非この表現の自由とか報道の自由、そして日赤本来の持つ歴史的な経緯、今日の組織の成り立ちがありますから、是非このことを整理して議論をしながら、冒頭、久間そして前原両衆議院議員にお話ししましたけれども、参議院が合意をすればですけれども、合意していただける対象として私は指摘をさせていただきました。 時間がなくなりまして、専守防衛について、先ほど防衛庁長官と武見議員のやり取りを静かに聞いておりました。それから、総理大臣の方は、先ほど私どもの直嶋議員の質問に対しまして、専守防衛についての極めて、私は、今の政府の、これも答弁を繰り返しておりましたけれども。 どうも閣僚の一人として防衛庁長官というのは、おそれ、何かその攻撃をする、られるおそれとか着手したときということについて、このことについて検討をして、そのことについて論理展開をして、論理は、議論はいいと思うんですよ、議論というのはある。どこの議論はいいと思うんですが、あのおそれとか着手したときということについては、現行の今の専守防衛の議論の中で、私は、あり得る議論として、閣僚の一人としていかがかなというふうに思いますけれども、いかがですか。いかがですか、それは。いや、防衛庁長官、長いんだ。余り長いから、もう三分しかないから。総理大臣、聞いていておかしいと思いませんか、閣僚の一人として。いやいや、駄目だ、駄目です。総理大臣がいいです、また長くなっちゃうから。
○国務大臣(石破茂君) 申し上げておりますのは、おそれでは足りないということ、被害が発生してからでは遅いということ。そうであれば、着手という時期が我が国に対する武力攻撃があったというふうにみなされるというのが昭和三十一年からの政府の見解でございます。何も政府の見解を変えたことはございません。おそれでは足りない、しかし被害が発生してからでは遅い、そういう場合の間が実行の着手ということは一つの考え方としてあり、政府の立場でございます。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) いいんじゃないですか。というのは、分かりやすく言えば、座して死を待つわけにはいかぬと。はっきりと侵略の意図がある、組織的、計画的意図がある、それをまず日本国民が被害を受けるまで、それが分かっていながら何もしないというわけにはいかぬだろうと。これはもう論理的な頭の体操にもなるんですけれども、そういう点を石破防衛庁長官は言っているんだと思います。
○齋藤勁君 国民がまざまざ、ある意味では被害を受ける、もうほとんど十中八九分かっているということについてどうするかというのは当然議論はあると思いますよ。しかし、かねがね我が国のこの専守防衛というのは攻撃があったときなんですよ。攻撃があった後どうするかということであって、(「死んでからじゃ間に合わない」と呼ぶ者あり)いやいや、死んだ後では間に合わないです、それはそのとおりですよ。だけれども、これは我が国の防衛と同時に、我が国は、二国間であり、これは日米、総理だって言っているでしょう、日米という関係の中で、日米安全保障条約に基づいて。 だから、これは我が国の国是、専守防衛というのは非常に極めて狭義に私どもは解釈をしながら、こういう実は対応をしてきたと思うんですね。ここは、かつての政府答弁で、どこかにあるんだと言いつつも、それはそうそう出てこなかった防衛庁長官の発言なんですよ、これは。これ、先ほど直嶋議員とやり取りをしておりますからまたぶり返しはしないつもりなんですけれども、非常に狭義に私どもは専守防衛というのは解釈してきたから、防衛力についても攻撃的兵器は持たないんだというふうに実は対応してきているというふうに思います。 おそれがある、何かされるからそこへ行くということ、これはかつての専守防衛の考え方と違うし、大変私は逸脱しているものだと思います。いかがですか。いやいや、総理大臣がいい。
○国務大臣(石破茂君) 一切逸脱をしておると思っておりません。そういうようなことは法令上は認められる、しかしそういう能力、打撃力については米国にゆだねておる、今の日本の立場でございます。従来の政府の立場と、今回の武力攻撃法によって何ら見解の相違はございません。
○齋藤勁君 中身は全然違うけれども。総理、ちょっと。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、論理的にいろいろ議論すればこれ切りがないんですけれども、もしそういう攻撃あれば、これは日本は日米安保条約があるからアメリカから攻撃を受けるなというのが抑止力になっているから、今までそういうことはあり得ないだろうと、現実的に、原則として。しかし、論理的に頭の体操しようとすれば、今言った石破防衛庁長官みたいに、向こうが来たら座して死を待つわけにはいかぬと、攻撃を受けて、日本は専守防衛だから相手の基地をたたくことはできないと言いながら、はっきり攻撃を受けた場合は、それは相手の基地をたたくこともあるだろうと、そういうこの一つの論理を言っているのであって、それを抑止するために今、日米安保条約を締結してそのような気を起こさせないというのが日本の安全にとって大事なんだと、日ごろの外交努力も重要であるということで御理解いただけるんじゃないかと思っております。
○山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。 このたびの法案が衆議院において修正されて、より幅広い合意を得て当院に送られてきたということは極めて喜ばしいことだろうと思います。特に、独自の案を出しておりました自由党、さらには民主党、それぞれが法案を取り下げるとか、あるいは大幅な修正に応じるとか、こういう言わば英断とも言うべき決断をされたことは高く評価したいと思います。その上で、関係者の御努力に深く敬意を表するものであります。 この法制全体の整備の仕方については非常に特徴があります。これはたくさんの関係省庁がかかわっておりまして、それぞれのいろんな法律の言わば束が必要なわけであります。しかし、これを議論するに当たっては、長年いわゆる有事法制研究が行われてきたわけでありますが、これは主として防衛庁を中心に行われてまいりました。残念ながら、関係の薄い省庁は特別強い関心や努力があったとは思われません。しかし、このたびこういう全体的な法制化をしようとするに当たって、そういう言わば認識のギャップ、作業のギャップというものがありまして、一気にこれを必要な法律を作り上げるということはできなかったわけであります。したがって、この法律にも明記されておりますように、総合的、計画的に整備を図っていくということも条文にうたわれているところであります。ですから、今回でき上がる法律でかなり整う部分もありますし、また、言わば法律をこれから作り上げるための地図を作るというような、計画を作るというような部分もあります。 その上で、これからまだ未整備な部分、これから検討し、作っていかなければならない部分が一体どういうところがあるのか、これは国会議員の合意ほどには国民の皆さんの理解は浸透していないと思うんですね。これからこういうふうに作ります、足りないところはここですということをまず明確に御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(福田康夫君) この武力攻撃事態対処関連三法案の今御審議いただいておりますが、この成立後、今御指摘のようないろいろな法案に関する必要な政令の整備が必要になる、こういうことになります。また、事態対処法制としては、例えば国民保護法制、自衛隊や米軍の行動の円滑化に関する法制に加えまして、国際人道法の的確な実施を確保するため、捕虜の取扱いに関する法制や、また非人道的行為の処罰に関する法制についても速やかに整備を行うということにしておるところでございます。 また、この今申しました国際人道法につきましては、既に我が国が締結済みでございますジュネーブ諸条約以外に同条約の第一及び第二追加議定書について現在締結する方向で検討を進めておるところでございます。
○山口那津男君 今おっしゃられましたように、国内法を作るという部分と、条約を締結しなければならない部分、あるいは今度できる法律の政令を整備しなければならない部分、いろいろとこれから整備すべき課題があると思います。 そこで、衆議院で修正をされた部分について幾つかお尋ねしたいと思います。 まず、基本的人権の保障に関してでありますが、武力攻撃事態対処法の三条四項という規定が、当初の案では「日本国憲法の保障する国民の自由と権利が尊重されなければならず、これに制限が加えられる場合は、その制限は武力攻撃事態に対処するため必要最小限のものであり、」と、こう書かれているわけですね。今回の修正にはこの言わば前段の部分と、それからさらに後段の部分が付け加えられました。その後段の部分には、こう書いてあります。この場合において、日本国憲法十四条、十八条、十九条、二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならないと、こう書かれたわけであります。 そして、この後段の部分で具体的な条文が列挙されているわけでありますが、その他の基本的人権に関する規定も尊重されると、こう書いてあるわけでありますから、ここに明示されなかった例えば憲法二十条の信教の自由でありますとか、あるいは憲法二十三条の学問の自由でありますとか、こういう様々な人権規定というものも同様に保障されると、こういう趣旨であるというふうに私は理解しますが、修正案提出者の御意見を伺いたいと思います。
○衆議院議員(久間章生君) 全くそのとおりであります。 この四条だけを列挙したといいますのは、実は、民主党さんの修正案で六項目ほどございましたけれども、そのうちの五項目と六項目につきましては、これは損失の補償等に関係する問題でございますから、これは国民保護法制を作るときにそのような規定、法律をどっちみち作らなければなりませんから、そのときに対処すればいいという。それで、一号から四号ぐらいまでをやっぱり列挙することによって、平時において憲法上の基本的人権を守るというのは当然ですけれども、有事においてもそういうことを強調したいという思いがあの修正案に入っておりましたのでそれを列挙したわけでございますけれども、今おっしゃられましたように、二十条とか二十三条、学問の自由とか、そういうような基本的人権についてももちろん最大限の配慮をしなければならないわけでございますから、そのような形で列挙しておるということでございます。
○山口那津男君 続いて伺いますが、そうしますと、ここで、当初からあった前段の部分、そして新たに修正で付け加えられた後段の部分、これは、念のため同じことを言っているというふうな趣旨に私には受け取れるわけであります。この修正の議論の過程で、屋上屋を重ねるものであるとか、いや、具体的にこの保障を充実させるものであると、いろんな御主張があったと思います。この後段をあえて修正で付け加えたということの意義を念のためお伺いしておきたいと思います。
○衆議院議員(久間章生君) 衆議院におけるこの議論の途中におきましても、民主党さんの修正案に対して、憲法で保障されているのをあえてここにこのように列挙するのはどういう意味かというときに、提案者の方から、これは入念的にこのように書くのであるということを言われたわけであります。そういう意味で、私たちも、これは入念的に念を入れて要するに列挙したと、そういうようなふうに理解しております。
○山口那津男君 この武力攻撃事態にあっても人権を保障しなければならないと、そういう思いは各修正案提出者同様であろうと私は思います。 ここであえて人権保障を基本理念としてうたったということは、緊急事態においては憲法が停止するとか基本的人権の保障が停止するとか、そういう考え方も一つあるわけですね。しかし、我が国におきましては、日本国憲法の精神からいって、原則として基本的人権は保障されると、しかし全く無制約ではないと、仮に制約が必要な場合であっても必要最小限のものにとどめると、この言わば大原則を基本理念としてまず確認をするということが必要であると。これは公明党がこの立案当初から強く主張したところでありまして、これが、修正においてもこの精神は維持されていると私は思います。 その上で、実際に大切なことは、今後整備する法律の中で必要最小限度はどこなのかということ、この言わば法益のバランスをどこで取るかということを具体的に確定することが一番大事なことであろうと思いますので、是非ともこの点を原則を踏まえた上で今後の議論に生かしていかなければならないと、こう思います。 そこで、国民保護法制をこれから整備するということになったわけでありますけれども、この整備の期限について、当初の原案では成立後二年以内に整備を実施するというふうに決めておりました。しかし、提出したときからもう既に一年を経過をいたしまして、今回の修正ではこの二年以内というのを削って速やかに整備すると、実施するということになりました。そして、附帯決議では、これを一年以内にやるということもあえて確認をされたわけであります。 そうしますと、来年の通常国会にこの国民の保護に関する法制を仕上げて提出するということを決議されているのかどうか。これは政府側にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(福田康夫君) 国民保護法制につきましては、政府としては、今御審議をいただいておりますこの法案の成立後、地方公共団体等が関係する民間機関との本格的な調整を早急に進めまして、国会の意思を十分尊重しながらその早期整備に努めてまいりたいと、こういうことになるんでありまして、今、この法案そのものを御審議いただいているということでございますので、その後の段取りについて申し上げるのは遠慮させていただきたいと思っております。
○山口那津男君 これまで、国民保護法制について、全く指標がなくてただ作りますということでは到底国民や自治体の御理解が得られないということで、既に何度も意見交換を重ねてきて、その自治体あるいは住民側の意向というものを酌み取りながらこの準備を進めてきているということは既に御承知のとおりであります。しかし、このたび、統一地方選挙も済みまして、言わば自治体においては新たな民意が反映される状況になったわけでありますから、この最新の民意を反映した上でこれからの国民保護法制の整備に準備を重ねるということが必要だろうと思います。 これを今後具体的にどういうふうに作業していかれるおつもりか、念のためお伺いしたいと思います。
○国務大臣(福田康夫君) 国民の保護の法制につきましては、広く国民の御理解を得なければいけない、そういう観点からこれまでも地方公共団体等に対しましてもう何度も説明を行ってきました。またそして、その中でこの法制に対する理解を得るように努めてまいったところでございます。 この法案が成立しまして、国民保護法制整備本部というものを立ち上げますけれども、その整備本部を活用するなどしまして、節目節目で地方公共団体の御意見を伺うということが必要でございます。 今、委員がおっしゃられました、今後の段取りと申しますか、そういうことについても、いろいろ都道府県知事などの御意見も聞かなきゃいかぬだろうというようなことも考えておりまして、これは現在総務省において日程調整をいたしておりますけれども、知事さんだけでなく地方自治体、やはり広く御理解を得るための努力は全力を挙げて尽くしてまいりたいと思います。
○山口那津男君 この点については、自治体は当然でありますけれども、民間や住民、個々の見識ある方々からも意見を聞くというような努力はしていただきたいと思います。 そこで、この国民保護法制を整備するということは極めて重要なことでありますけれども、これまで自治体の側で必ずしも自衛隊や防衛庁の行政の在り方について統一した共通の理解があったかどうかについては疑問なしといたしません。例えば自衛官の募集について、情報の提供の在り方とか協力の度合いとかというのはやっぱり差があったというふうに言われております。また、防災の訓練その他の行政行事等に関しても、自衛隊の参加の在り方についても、これも相当な差がありました。阪神・淡路の震災を契機にしてここはかなり改善されつつあるというのが実情だろうと思いますが、それでもなおばらつきがあるだろうと思います。 私は、この国民保護法制が重要である、自治体の関心も高いというところ、これは非常にいい機会だろうと思うんですね。この機をとらえて、こういう自衛隊と自治体の関係の在り方についても、ばらつきが出ないような努力が必要だろうと思います。防衛庁としてその点は、自治体側の懸念を取り払うような努力というものも必要だろうと思います。 そしてまた、総務省におきましても、そういうばらつきを解消するような理解の御努力をお願いしたいと思うんですね。その点について、総務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 今、山口委員が言われますように、昔よりは相当変わってきていると思いますけれども、まだ地方団体の中には自衛隊アレルギーがあるところがあるんですね。それから、いろんなやり方で協力をしているところもありますし、それは薄いところもあると。こういうことの中で、国民保護法制、これは決まっていくわけですね。 それで、地方団体は、国民保護法制の中で自治体の役割ということは私は十分な認識を持っていると思いますが、中身が決まらないものだから不安があり懸念があり、自分の方からの注文もある。その意味で、今、官房長官御答弁ありましたけれども、あらゆる機会を通じてこちらが説明をして向こうの意見をくみ上げると。 こういうことの中で、防衛庁にも入っていただいて、この機会に、今、委員が言われるように、自衛隊アレルギーを少なくして、今の募集のことでも、これは個人情報保護法制の方で大変議論になっているんですよ、御承知のとおりですね。それからまた、防災活動への協力、参加についても私は新しい局面を作っていく、こういう連携を成果をあらしめるものにしていくということが必要だと考えております。
○山口那津男君 再び修正案提出者に伺いますが、国民保護法制については一年以内に実施すると、こう決めました。附帯決議ができました。しかし、そのほかにも整備しなきゃいけないものは、先ほど御指摘のあったとおりで、例えば国際人道法に関する国内法整備その他いろんな課題があるわけですね。これらについては何年以内という取り決めはなくなったんですね。「速やかに」ということしか残っておりません。 そうすると、これはどういう期限についての考え方になるのか、何かある程度の目標というものをお持ちなのかどうか、ここは修正者の御意見を伺っておきたいと思います。
○衆議院議員(久間章生君) 附帯決議を付けるときに、やはり国民保護法制については、先ほどから話がございましたように、国会に提出されましてからもう一年近くが、一年以上がたっておりますし、その間に政府においても具体的に骨子案なるものを各都道府県に示したりなんかして、かなり作業が進んでおります。 しかしながら、その他の法制についてはまだ準備もできていないような嫌いもございますので、それをここで附帯決議できちんと日限を切ってしまうというのは少し酷じゃないかなと、そういうふうに思いましたので、早くできれば一年以内でも結構でございますけれども、これらについては日限を切りにくいと、そういうような思いもございまして、この国民保護法制については、そしてまた国民からも一日も早くという、そういう気持ちがございますので日限を附帯決議で決めたということでございます。
○山口那津男君 このこれから整備しなきゃならない法制につきまして、かつて私は外交防衛委員会において、平成十四年七月二十三日に質疑をさせていただきました。必要な法制について、一体どこが言わば所管官庁になるのかという質問に対して、なかなかこの省庁であるという明快な答弁がなされませんでした。これはほかの委員も同様の質問ではなかなかなされなかったわけであります。 そこで、私は違う聞き方をいたしまして、こういう法制を整備するのに主たる関係省庁はどこになりますか、複数で結構ですと、こういうことでお尋ねしましたら、内閣官房の方から明快な御答弁があったわけであります。それについて、国民保護のための法制については、内閣官房を中心に、警察庁、防衛庁、総務省、外務省、国土交通省などが考えられますと、こういう御答弁です。 これは、冒頭申し上げましたように、仮にも防衛庁は長年の研究の実績がありますけれども、しかし御縁の薄い、あるいは関係性のよく分からない、そういうほかの省庁においては必ずしも積極的にこの法制の作業に参加しようという意欲が見られなかったわけであります。だからこそ、この所管がどこかということについては、なかなか自ら手を挙げて我が省庁ですと、こうも言いにくかったわけですね。そこで、この関係省庁を明示していただいた上でこれからのグループごとの作業というものも密にしていくということが必要だと私は考えたわけであります。そして、今、国民保護に関する法制についての関係省庁の指摘がありました。 それから、国際人道法に対応する国内法については三つの法制に分けて検討しますと、こうおっしゃっているんですね。その中で、一つは、国民保護のための法制を整備する中で、武力紛争の影響を受ける住民の保護及び武力紛争の結果生じた傷病者、死者等の人道的な取扱いについて必要な措置を講ずること、これについての関係省庁は、内閣官房、総務省、厚生労働省等が考えられますと、こう指摘されております。 この点について、総務省としてどういうお考えをお持ちか。国民保護の法制について、一般はもちろん主たる官庁の一つとして責任感をお持ちだったと思います。しかし、国際人道法という、この条約絡みの点についても視野が必要である。これは、なぜここが重要かと、私なりの考えを申しますと、国民保護の法制というのはやっぱり日本国民が第一義的に対象になる、これは当然のことであります。しかし、住民としては外国人の方もいらっしゃるわけでありまして、こういう外国人の方も含めて保護に当たらなければならない、こういうことが条約の精神としてうたわれている。正に、この条約をきちんと踏まえた上での整備が必要だと、こう思うからであります。 この点について、大臣のお考えをお願いします。
○国務大臣(片山虎之助君) 今お話しの国際人道法に基づく国内措置ですね。これについては、内閣官房や外務省が中心で現在検討して、我々も入って検討していると、こういうことでございますが、我が省の関係で言いますと、一つは、武力の衝突、紛争で傷病者が出ますね、これを搬送する人々、それからもう一つは消防活動等、こういう非戦闘員の保護の在り方をどうするか、国内法制として。これが当面の私は課題かなと、こう思っております。
○山口那津男君 是非、消防等の活動を中心に、この点の必要な議論を進めていただきたいと思います。 そこで、今の点について、紛争後の結果生じた傷病者、死者等に対する人道的な取扱い、これについては厚生労働省がやはり大きな責任を負うと思います。この点について、厚生労働大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(坂口力君) 国際人道法の範囲の中で申しますと、二つの立場あると思いますが、一つは、これは予防的なことでございますけれども、これは多くは日本国民というふうに考えてよろしゅうございますが、その傷病を最小限に食い止めるためにどうするか、避難をどうさせるか、分散をどうさせるかといったような問題がございます。これは総務省などとよく連携を密にしてやらなければならないことだというふうに思います。 もう一つは、傷病者が出ましたときにどうするか、そして死者が出ましたときにどうするかというその対応でございます。とりわけ傷病者が出ましたときに、それに対する対応が適切に迅速に行われなければなりませんから、日本の国のいかなる場所においてどのように起こりましてもそれを迅速的に行うための対応、それを細かくやはり決めておかなければいけないというふうに思っている次第でございまして、そうしたことがやはり国際人道上求められると。 傷病の場合には、時には、日本国民だけではなくて外国の人もいるかもしれない、傷付いた人、亡くなった人の中には双方いる可能性もある、そうしたことも含めてどうするかということを検討しておかなければならないと思っております。
○山口那津男君 続いて、国際人道法に関する国内法のもう一つの、二つ目の分野として、捕虜の取扱いに関する法制というのがありまして、これは防衛庁を中心に検討すると、こう書かれております。防衛庁もこの点については既にかなりの研究を進めてこられたと思っておりますので、是非、他の分野と併せて法案を提出できるような御準備をお願いしたいと思います。 そして、三つ目の分野といたしまして、武力紛争時における非人道的行為の処罰に関する法制という分野があります。 ここの関係省庁は、内閣官房、防衛庁、法務省、外務省が主な関係省庁と、こう指摘されているわけであります。 その中で、どういうものが非人道的行為として処罰に値するものか、いわゆる構成要件を決める、そしてそれに当たる場合どの程度の処罰が必要であるかという罰則を決める、こういう点では法務省の長い経験と技術というものが非常に必要になるわけであります。 法務省として、この点についての考え方と整備の目標期限というふうなものをある程度お持ちかどうか、この点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) このような法制の整備につきましては、ジュネーブ条約によって保護される傷病者、捕虜等に対する非人道的行為を行った者等の処罰等に関して必要な措置を講ずる必要がございまして、法務省といたしましては、内閣官房や外務省、防衛庁など関係省庁と連携しながら必要な検討、協力を進めていきたいというふうに考えております。
○山口那津男君 この国際人道法、核心はジュネーブ四条約でありますが、その後に作られました第一追加議定書、第二追加議定書という、これも条約の一種でありますが、これはまだ未締結であります。それは、外務省にお聞きすれば、やっぱり国内法の整備が十分整わないと締結に踏み切れない、国内法の側がどれだけ準備を進めるかに掛かっている。主役は国内法を整備する官庁でありますので、是非とも早急な準備、検討をお願いしたいというふうに思います。 そこで、次に、緊急事態への対応、危機管理という点についてお伺いしたいと思います。 この緊急事態の対応というものは、言わば典型的な武力攻撃事態への対処とはまた別に、いろんな対応が検討されなければならないと思います。この点も、当初は必要な措置を検討の上、講ずるというふうになっていたわけでありますが、若干の修正が加えられました。 そこで、今、現行法制の中で、役割分担とある程度の能力というものは一応私はでき上がっていると、こう思っております。しかし、それでなお十分かどうかという点について幾つかお尋ねしたいと思います。 例えば、原子力発電所あるいは石油化学コンビナートなど我が国の重要な施設に関して緊急事態が起きた場合に、それに対応する能力、これを政府としてきちんと備えているかどうか、不十分なところはないかどうかという点であります。 この点について、私はかつて、平成十三年の十月二十三日、外交防衛委員会、国土交通委員会、内閣委員会の連合審査の折に質問させていただきました。そのとき、国家公安委員長の答弁として、石油化学コンビナートに小型航空機が突入してきた場合、これを直ちに武力攻撃事態とも認定し切れないし、まずは第一次的に警備の責任を負う警察庁が対応すべきだ、警察組織が対応すべきであろうと思いましたが、しかし実際にそういうものに対して警察組織がこれに対応する能力があるのかどうかというふうにお尋ねしたときに、村井国家公安委員長は、その点についての能力は警察にはありません、しかしながら、その他の、自衛隊やその他の組織と協力をしながらやっていくという趣旨のことをお述べになったと思います。 私はやっぱりその点で、どの能力がどの組織が持っているか、限界がどこか、そしてそれを補うためにはどうすればいいかということは、やっぱり明確にしていかなければ今後の課題というものも見えてこないと思います。こういう点について、まず第一義的に責任を負われる警察組織の代表である国家公安委員長、御答弁をお願いします。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、委員が指摘されたような事態に対応するために一番大事なことは未然に防止するということでありますから、警察としては情報収集活動というものを強化しまして、そしてテロ関連の情報の早期把握にまず努める、これが前提でございます。 その上で、重要施設の警戒警備を今強化しているところでありますが、その典型的な例として、今お挙げになった中の一つ、原子力発電所を取りますと、ここには銃器対策部隊というものを常駐させております。この部隊は、ライフルであるとかサブマシンガンであるとか、あるいは耐弾仕様の装甲車を整備して二十四時間態勢で常駐しているわけですが、もちろん原発のある沖合に、沖合で警戒をしております海上保安庁の巡視船と緊密な連携を取りながら行うというのは当然のことだろうと思います。 さらに、緊急事態が起きた場合には、警察ではSATという部隊を用意しております。これは、ライフルあるいは自動小銃、それから作戦用のヘリコプターといったものを装備しておりまして、テロリスト制圧の高度な能力を持っているわけでありますが、いざという場合にはその部隊を投入すると、こういうことになります。 それで、さらにそれで、警察の力では治安が維持できないと、こういうことになりましたら、先ほど石破防衛庁長官も御答弁をされたところでありますけれども、治安出動を下令していただくということになるわけであります。で、先ほどの石破長官の答弁にもございましたけれども、そういった場合、警察と自衛隊というのは緊密な連携に立たなければなりません。そこで、先ほどのお話にありますが、防衛庁長官と国家公安委員会委員長との間で協定を結び直しまして、そして、それだけではなく全国の都道府県でも警察と自衛隊との間で協定を結びまして、昨年の秋から共同の図上訓練を繰り返しておりまして、そういう活動を通じてその運用能力を高めていく、また、どこに問題点があるかということをしっかり把握、整理していくということが大事ではないかと思っております。 それに加えまして、我々としては、装備資機材あるいは体制、それからそういうものに対応する手法、こういったものに何か足りないところはないかというのは不断にこれから検討も続けていかなければなりませんし、必要があればそれに対処する方策も考えていかなければならないと、こういうことであろうと思っております。
○山口那津男君 同様の質問で国土交通大臣に伺いますが、不審船、工作船に関して排他的経済水域については主権の行使に制限があります。また、領海を警備するといっても誠に広大でありまして、物理的な能力もこれは十分かどうか考えなきゃいけないところだろうと思います。この点について不十分な部分がないかどうか、御認識を問いたいと思います。
○国務大臣(扇千景君) 海上保安庁、御存じのとおり戦後初めての銃撃戦を行ったという経験をいたしまして、こういうことを今まであり得ないことだと思っていたのも甘うございましたし、また、日本領海内にあれだけの重装備をした工作船が徘回していたということも初めて経験したわけでございますけれども、その中で、今おっしゃいましたように、EEZの中に、他国の経済水域内に入った場合にということもこれもございますけれども、少なくとも我々は、今までの法整備の中で甘かったこと、また、少なくとも今までの装備で本来は防御できたにもかかわらず装備が整わなかった点、その分類をいたしました。 その中で、装備と運用面という面では、少なくとも三つございますけれども、巡視船艇の防弾化、あの操縦席を防弾ガラスにするなんて当たり前のことだったのですけれども、それもできていなかったという反省点で、これを防弾化をいたします。 二つ目には、遠距離から確実に不審船に対応できる武器の装備ということで、あれだけの重装備に対応できるということはあり得ませんけれども、最低限船員の生命の確保ということで装備の拡充を図っていきたい。 それから三つ目には、大変悪天候の下で工作船を追跡すると、そういうときに海上保安庁の船といたしましては高速の大型の巡視船を装備しなければならないということで、スピード自体も今まだ整っていないということで、これも十四年度の当初予算、また十四年度補正予算等々におきまして、これらのでき得る準備、最低限装備しなければいけないものに対してはその予算によって早急に装備すると。 また、今お話しございましたけれども、装備をするのみならず、平時におきましても少なくとも関係の二国間協議等々で多国間及び二国間の海上保安機関長官級会議、これを行いまして、多国間あるいは太平洋の安全保障会議、そして又は二国間では、日韓とかあるいは日中というようなことでそれぞれ長官級会議を開きまして、平時から余り武装しないでもいいような会議というものをずっと続けておりますので、両面で対処していきたいと思っております。
○山口那津男君 弾道ミサイルについて対応能力があるかどうかについては、午前中同僚議員の質問にもありました。我が国はそういう能力を持っていない、じゃ持つべきかどうか、これについては今後の検討課題であると思います。 それから、防衛庁長官に簡潔に御答弁いただきたいと思います。 本法案が成立した場合に、中期防衛力整備計画、あるいは防衛関係予算、これが変更し、増額しなければならないということはあるか否か、その点だけお願いします。
○国務大臣(石破茂君) 本法案は、ある意味、自衛隊法、防衛二法ができました昭和二十九年からの課題だったと思っております。 そういたしますと、本法案が今参議院で御審議いただいておるわけですが、これが、本法案が成立、仮にしたとしましても、これが、中期防でありますとかあるいは大綱でありますとか、そういうものと必然的な連関を持つものというふうには考えておりません。それは、要するに、周りの状況がどうであるのか、それによって日々刻々検証されるべきものだというふうに考えておるところでございます。
○山口那津男君 そうしますと、この本法案整備によりまして我が国の防衛力が急速に拡大するとかあるいは周辺諸国に脅威を与えるものではない、これは当然のことであります。しかしまた、あらぬ疑心や懸念を抱くという周辺諸国もあります。そこで、やっぱり外交努力というのは必要だろうと思うんですね、御理解を求めるために必要だろうと思います。特に、韓国あるいは中国あるいは東南アジア、こういった国々の理解を求めることが最重要だと私は考えます。 近々、サンクトペテルブルクで中国首脳とお会いになるという報道もなされておりますし、韓国大統領も訪日されるという話もあります。こういう機をとらえて理解を深める努力を是非総理に期待をしたいと思っておりますが、総理のお考えと御決意をお述べいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) この有事法制の整備は、長年懸案でありました日本が他国から攻撃を受けた場合の対処であって、決して他国を攻撃するものではないという点について国民にも御理解いただく、また各国に対しても御理解をいただきたいと、努力を続けてまいります。
○山口那津男君 終わります。 ─────────────
○委員長(山崎正昭君) 委員の異動について御報告いたします。 本日、若林秀樹君が委員を辞任され、その補欠としてツルネンマルテイ君が選任されました。 ─────────────
○筆坂秀世君 有事法案は、衆議院において与党と民主党との間で修正に合意して本院に送付されてきました。しかし、私は、修正によってこの法案の危険な本質は何も変わっていないと、こう思います。最大の問題は、有事法制制定の取組を加速させることになった九七年の日米防衛協力指針、新ガイドラインとその具体化である周辺事態法との関係であります。 そこで、まず総理に確認的に伺いたいと思うんですが、周辺事態法というのはアメリカが何らかの軍事行動を起こして初めて発動される、そういう法体系になっています。また、周辺事態とは地理的概念ではないんだと、つまり理論上は地理的な限定はないと、周辺事態法に基づいて自衛隊が公海上、つまり海外に展開することもこれは想定されている、そしてその海外に展開した自衛隊の艦船、これは領土と同じように我が国とみなすというのが、これがこれまでの政府の説明だったと思いますが、この点は間違いないでしょうか、一応確認します。
○国務大臣(石破茂君) 周辺事態に地理的な要素は全くないわけではございません。これは、日米安全保障条約の効果的な運用に資するためという文言がございまして、日米安全保障条約は極東条項は掛かっております。地理的に無限定ということだとは考えておりません。 そしてまた、先ほど来、我が国ということについてでございますが、それは何でもかんでも海外にある自衛隊とか、そういうものが我が国だと申し上げているわけではございません。我が国に対する武力攻撃ということの評価がなされるかなされないかということでありまして、海外にある何が攻撃を受けてもそれは我が国であるということにはならないというのが政府の立場でございます。
○筆坂秀世君 我が国になることもあるということです、つまりね。 しかし、この周辺事態法には幾つかの制約がありました。例えば、後方地域支援を行うが戦闘地域には行かない、アメリカの武力行使と一体化しない、もし危なくなればこれは回避する、ありていに言えば逃げるという、こういう制約であります。 では、海外に展開している自衛隊艦船が武力攻撃事態法の下で武力攻撃を受ければどうなるか。これについては、それが組織的、計画的なものであること、状況が整った場合には武力攻撃事態と認定することもあり得るというのが官房長官の答弁であります。 したがって、こういう武力攻撃事態だという認定になれば、戦闘地域であっても、これは当然のことだと思いますが、米軍を支援するし、自衛権発動の三要件に合致すればこれは武力行使もすることもあり得ると、こういう解釈でよろしいでしょうか。
○国務大臣(石破茂君) それは、一に掛かって自衛権行使の三要件に該当するかどうかということでございます。我が国に対する武力攻撃があるということ、ほかに手段がないということ、そしてまた必要最小限を超えない範囲内であるということ、その三要件を満たした場合に限りまして自衛権の行使としての武力行使があり得るということでございます。 要は、我が国の自衛権行使の三要件に該当するかしないかということでありますし、そしてまたこれが我が国に対する武力攻撃事態ということになるかどうかという点におきましては、それは防衛出動の下令を含めます対処方針の決定というものが閣議で決まり、そしてまた国会の承認をいただきということでございますから、その都度その都度閣議の決定、そして国会の御承認というシビリアンコントロールの縛りが全部掛かってくるわけでございます。 無限定に行うということはございませんし、ましてや憲法が禁じております集団的自衛権の行使を行うということはございません。我が国に対する自衛権の行使ということで個別的自衛権の発動がなされる場合があるかどうかという問題なのでございます。
○筆坂秀世君 そんなことは当たり前のことで、武力行使に踏み切るんだから閣議決定もある、当たり前の話です、そんなことは。国会の承認も得る、当然のことです。無限定でされたら困りますよ。当然のことなんだ。だから、結局あり得るということでしょう、今の答弁は。あり得るということでしょう。 問題は、武力攻撃予測事態のときにはじゃどうするのかということです。 石破長官はこういうことを衆議院で我が党の木島議員の質問に対して答えられていますね。周辺事態法とは、武力攻撃予測事態は、武力攻撃予測事態というのは、周辺事態法とはまたおのずから異なった局面であると。周辺事態とはおのずから異なった局面だというのがあなたが言う武力攻撃予測事態だということなんです。そうすると、周辺事態法とはおのずから違う対応をすると。 つまり、周辺事態法が設けている制約、戦闘地域には行かない、武力行使と一体化しない、こういう制約を武力攻撃予測事態では取り払う、これがあなたの立場だということですか。何がおのずから違うんですか。
○国務大臣(石破茂君) それは、例えばPKO法にいたしましても周辺事態法にいたしましても、テロ特措法にいたしましても、そういう事態にならないように戦闘地域では活動は行わないということになっておるわけです。そしてまた、そういうことがあれば活動を一時中断する、あるいは撤収をする、退避をする、そういうふうに決まっておるわけでございます。 そういうような、私どもの方が、例えばPKO業務なりテロ特措法なり、そしてまた周辺事態なり、そういうふうに私どもの方から定められた要件に従って行動しているという場合と、我が国に対する武力攻撃を受動的に受けたというような、我が国に対する武力攻撃あり、ほかに避けるべき手段がないというような認定がなされるという場合とおのずから場面が違うということを申し上げておるわけです。それを同列に論じるということ自体が論理としてそれは無理があるのだろう。私どもとしてはそういうことにならないようにやっているわけでございます。
○筆坂秀世君 今、防衛庁長官が言ったのは、武力攻撃事態と言ったじゃないですか。そうじゃない。武力攻撃予測事態のときに、予測事態と周辺事態とは、あなたはおのずから局面が異なった局面になると、こう言っているんですよ。しかし、武力攻撃予測事態だってまだ日本有事じゃないでしょう。別に攻撃されているわけじゃないんですよ。何でそれが、どこがだから違うかと言っているんです。今のは答弁になっていないですよ。
○国務大臣(石破茂君) では、そういうような武力攻撃というものが起こるという可能性が高い予測事態ということですね。そういうことが起こる、我が国に対する武力攻撃が起こるというような予測される事態ということとPKOや周辺事態やテロ特措法やということは全く場面が違う。それは重なることはございましょう。しかしながら、想定している事態が違いますし、そういうことになるという要件もすべて違うわけでございます。それを混同して議論をするから話が分からなくなるということだと私は思っています。
○筆坂秀世君 あなた方一体、これまで何回答弁して、今、重なるということもおっしゃった。周辺事態と武力攻撃予測事態については、周辺事態がそのまま武力攻撃事態にも、武力攻撃予測事態にもなり得ると、全くそれが一つのケースだってあり得るとこれまで答弁してきたじゃないですか。今日、中谷さんあっちにいらっしゃるけれども、中谷さんが防衛庁長官のときにはっきりそうおっしゃっている。前も、周辺事態と武力攻撃予測事態が全く違うものだと。それは全く違うこともあるでしょう。しかし、全く同じの場合だってあるとあなた方が答弁してきたじゃないですか。そのときに何で、何を、どこが異なった局面なんですか。あなた方がそういう答弁をしてきたじゃないですか。
○国務大臣(石破茂君) 要するに、別の法律に基づく別の事態なんです。それが重なる場合もありましょうよ。つまり、周辺事態の中でやっておることが武力攻撃事態になることは。ただし、申し上げておきますが、先ほど来答弁申し上げておりますように、PKOにせよ、周辺事態にせよ、テロ特措法にせよ、そういうことにならないようにということで法律が作ってあるわけです。 例えば、PKOであれば、周辺事態であれば、そういう場合になれば撤収をするわけですよね。私どもは気を付け気を付けそういう法律を作ってきて、そういう事態にならない、内容にならないように。ですから、重なる場合があるではないかという御指摘ですけれども、そういう重なる場合というものが極めて考えにくいというふうに衆議院でお答えを申し上げましたのは、そういうふうに法律が作ってあるからでございます。であらばこそ、衆議院、参議院で法律をお認めいただき、成立をし、私どもの自衛隊が海外で活動しておるということでございます。
○筆坂秀世君 それじゃ聞きますが、武力攻撃予測事態のときには、予測事態のときには、周辺事態法であるような制約、こういうものは取っ払うと、そういう考えでしょうか、将来。例えば、これから対米支援法、二年後めどに作るでしょう。それとも、周辺事態法と同じ制約を設けるんですか。その点はいかがですか。
○国務大臣(石破茂君) それは今後の御議論であるとは思いますが、事態が違いますので、先ほど来申し上げておりますように、その武力攻撃事態あるいは予測事態というものと、周辺、失礼、周辺事態というものは全く違う評価がなされる別の法律でございます。ですから、そういうのを取っ払うとか取っ払わないとか、そういう御議論自体がどうも何を意図しておられるのか、よく理解ができないところでございます。
○筆坂秀世君 明瞭じゃないですか。武力攻撃予測事態のときに自衛隊が動くわけでしょう。そのときに、武力攻撃事態法を適用すれば、予測事態でも戦闘地域に入っていく、あるいはアメリカの武力行使と一体化することもあり得ると、こういう考えかどうかということを聞いているんです。
○国務大臣(石破茂君) それは今後の検討でございますが、事態が全く違うわけですよね。武力攻撃事態というのは、我が国が攻撃を受けるあるいはそれが予測されるという事態でございますから、全くそれは評価が違うことなのだと思っております。 今後、議論をされることでございますが、私は、それを取っ払うとか取っ払わないとか、そういうような議論というものは、何かなじまないといいますか、違和感を覚えるものでございます。
○筆坂秀世君 じゃ、聞き方変えましょう。 周辺事態法はいいですよ。武力攻撃事態法で、予測事態のときには戦闘地域に行くことがあるのか。あなた方は、今、長官がおっしゃる、おのずから違う、全く違う法律なんだとおっしゃったでしょう。じゃ、武力事態法、武力攻撃事態法案の言う予測事態では、戦闘地域に入ってもいい、予測段階で、武力行使と一体化してもいい、こういう解釈かどうかということを聞いているんです。
○国務大臣(石破茂君) 周辺事態であるというふうな認定があるとするならば、そこで一体化ということはあり得ない話でございます。そういう意味においてそういう事態はあり得ないということだと思います。
○筆坂秀世君 いや、だから予測事態。駄目だよ、答えていないよ。
○国務大臣(石破茂君) いや、ですから、周辺事態と予測事態というものが重なった場合ですね、併存した場合です。(発言する者あり)いや、ですから、併存した場合でなければこれは議論する意味がないわけであって、併存しておって、周辺事態と予測事態が併存する場合でなければこれは議論にならない話でございますから。
○筆坂秀世君 じゃ、逆のときはどうなるの。
○国務大臣(石破茂君) それは、周辺事態法に定められているように一体化しないということになるはずでございます。
○筆坂秀世君 全く明快じゃないでしょう。だって、あなたは変なことを言いますよね。可能性は少ないけれども重なることがあると、周辺事態と予測事態が。そう言いながら、そう言いながら全く別の法律だと。だから、周辺事態法今ちょっと忘れたっていいですよ。武力攻撃事態法で言う予測事態のときにどうするのかと聞いているんです。明瞭でしょう、質問は。あなた、それにちっとも答えていないじゃないですか。 じゃもう、もういいですよ。ただ、いや、じゃもう一つ関連して聞きますからね、一緒に答えてください。 政府は武力攻撃事態法に基づく対米支援について今後検討するということだけれども、その基本は、検討の基本は何かというと、アメリカのニーズにこたえるということでしょう。これは例えば川口外務大臣がそうおっしゃっていますよね。アメリカの今後、ニーズにこたえるということで今後検討していくということをおっしゃっている。アメリカのニーズにこたえようと思えば、予測事態であったとしても戦闘地域に入っていく、武力行使と一体化するという、そういう支援もアメリカは求めているんじゃないですか。
○国務大臣(石破茂君) 米国のニーズにこたえるというお話でございますが、そのときの米国は何をしているかというと、我が国を守るために行動している米国のニーズにこたえるということでございます。そしてまた、我々は繰り返して申し上げておりますように、我が国を守るために個別的自衛権というものを行使するのでございまして、どういう場合におきましても集団的自衛権を行使するということはあり得ません。それがないように細心の注意を払って法律を組み立てておるわけでございます。 そして、先ほど来のお話、もう一度お答えを申し上げますが、武力攻撃予測事態におきましては我が国に対する武力攻撃は発生をいたしておりません。我が国を防衛するために米軍が武力を行使しているということもそもそもないわけでございます、我が国に対する武力攻撃が発生していないわけですから。その時点で周辺事態と武力攻撃予測事態が併存するということになるわけでございます。 我が国防衛のためではなく、周辺事態に対応するために武力の行使を行っている米軍がある場合には、我が国の当該米軍に対する措置というものは周辺事態法に基づき実施をされるわけでございまして、いずれにいたしましても、武力の行使と一体化するということは起こり得ないことでございます。
○筆坂秀世君 要するに、あなたのおっしゃっていることはだんだん分かってきましたよ。武力攻撃予測事態で自衛隊が活動する、集団的自衛権の行使には当たりませんと、こう言うんですよ。周辺事態法のときには、これは一緒に、もし一体化すれば、これは集団的自衛権の行使になるということだったんでしょう。したがって、これはできません、一体化はいたしませんということを、これは現実にどうか分かりませんよ。実際にはそんなことは不可能だと思いますが、とにもかくにもそういう建前で言ってきたんですよ。 ところが、今いみじくも長官おっしゃったように、今度は個別的自衛権で説明しようとするんですよ。それは何でかと。それは、日本に対する武力攻撃が予測される事態だからというので、個別的自衛権で説明しようとするんですよ。しかし、起こっている事態は一緒なんですよ。だって重なることがあり得るんですから。同じ事態が起こっているのに周辺事態法を適用すれば集団的自衛権の行使になる、だから憲法以上できませんと。そこへ武力攻撃事態法を作っちゃえば、これが個別的自衛権で説明できると。これは全くからくりみたいなものですよ、全くのインチキですよ。これがあれなんですよ。 私は、長官まともに答えないけれども、今何が制約か、アメリカの要求ははっきりしているんですよ。 例えば、ホワイトハウスの国家安全保障会議で日本・韓国部長をしているマイケル・グリーンという人がいますよね、長官なんかもよく御存じなんでしょうか。この方が、日本が今取り組むべき目標について、次のように述べていますね。それは、武力行使の一体化禁止原則の緩和であると。つまり、周辺事態法で言っている一体化禁止原則の緩和である。周辺事態について、自衛隊が米軍を効果的に支援することを妨げている内閣法制局の見解は、極めて現実離れした独善的なものである、したがって、最初の落としどころは武力行使一体化禁止原則の緩和であると、こういうことをマイケル・グリーン氏は明瞭に述べています。 戦闘地域に行けない、行けば米軍の武力行使と一体化すると。こんな周辺事態法じゃ、実際には間に合わないじゃないかと。だから、こんな一体化禁止原則を取り払えというのが、これがマイケル・グリーン氏、つまりアメリカの要求なんです。これは当然でしょう、アメリカの立場に立てば、私たちは反対ですがね。アメリカの立場に立てば当たり前でしょう、戦争をやっている最中に危なくなったら逃げますよと。そんなものね、認めるわけないですよ。だから、あなた方はそれを武力攻撃事態法案で取っ払おうということじゃないんですか。 大体、自衛隊が行う後方地域支援あるいは後方支援ということでやろうと言っているのは何ですか。米兵の輸送、武器弾薬の輸送、油や水、食事の補給あるいは医療、通信関係の業務の提供等々、正に戦争遂行にとって決定的な一翼を担うものなんです。ところが、その自衛隊が周辺事態法じゃ、危なくなったら逃げますと、そもそも危ないところには行きませんと。大体、危ないところに行かずに本当に支援活動ができるのかと。こんなことは当たり前の話ですよ、本当は。これはそれを取っ払おうと、これはだから、じゃ、それを取っ払おうということでしょう。(発言する者あり)
○委員長(山崎正昭君) 静粛に願います。
○筆坂秀世君 それを取っ払おうというのが武力攻撃事態法案だ。今、みんな自民党席笑ったけれども、正にそれを取っ払おうということでしょう。そこにねらいがあるんじゃないですか。
○国務大臣(石破茂君) 御質問の意図がだんだん分かってまいりましたが。 要するに、予測事態において私どもが何ができるかということは、これから御議論を賜ることだと思っております。これから予測事態において私どもが米軍の支援に対して、支援として何ができるか、これは正しく米軍支援法制の中身にかかわることでございます。まだ法律ができていないことを前提にしてあれこれ議論をすることに意味があると私は思っておりません。 しかしながら、はっきりしておりますのは、じゃそれを取っ払ってしまって、集団的自衛権のようなものの行使までなし崩しに認めようとしているのではないかとか、一体化論というものをやめてしまおうとしているのではないかと、そういう意図は私どもにはございません。 その事態がどういうような事態であるのか、周辺事態であるのか予測事態であるのか、あるいは我が国に対する武力攻撃というふうになり我々として個別的自衛権を行使する場面であるのか、その場面場面において私どもがやれますこと、あるいは米軍に対して支援ができますこと、それがおのずから決まってくることでございます。 憲法に禁ぜられておるというふうに政府が考えておりますところの集団的自衛権の行使に踏み込むようなことをなし崩し的に考えておるのであろうがという御指摘であれば、そのようなことにはなり得ないと思っております。
○筆坂秀世君 長官は、これは三月五日の参議院の予算委員会でこうおっしゃっているんですね。 水、油、そういうものの補給は米軍にとっても必要なオペレーションであると、そのときに、ここは危なくなりましたからさようならといった場合に何が起こるんだろう、同盟国とは何だろう、実際の現場で本当にそれがもつのかと、さようならではもたないと。つまり、さようならと言わないようにするということじゃないんですか。 だから、あなたね、今、二年後に米軍支援法制を作ると、今これ議論することが意味ない、とんでもない話ですよ。その米軍支援法がどうなるのか。武力行使と一体化しないのか、そういうことは絶対やらないのか、戦闘地域には行かないのか。だって、予測事態というのはまだ予測事態だ、あくまでも、武力攻撃事態じゃないんですから。そのときに、そこに入っていくのか、一体化するのか。これがはっきりさせないで、これこの法案の中心問題でしょう、本来は。それはまだ出てきていないです。しかし、議論することに意味がないというのは何事ですか。重大な問題じゃないですか。あなた方は、それ、そこのところを聞いているんです。意味がないじゃ、そんなことで済まされないですよ。 やるのかやらないのか、どっちなんですか。
○国務大臣(石破茂君) その法律は、これから先、政府全体として議論をしてまいることでございますので、私がそういうことを前提にして申し上げることは適切ではないということを申し上げておるわけでございます。 憲法に触れるような、憲法に反するような、そういう法律が成り立つはずがないということは委員よく御案内のとおりでございます。
○筆坂秀世君 そんなもの駄目、これ答弁になっていないですよ。 憲法を守るのは当たり前だと、そんなことは当たり前だと。しかし、あなた方、そう言いながら一体幾ら破ってきたんですか。何言っているんですか。そんなことじゃ駄目ですよ、ちゃんとはっきりしなさい。 対米支援法では戦闘地域に行くのか行かないのか、武力行使と一体化するのかしないのか、それちゃんと言いなさいよ。それちゃんと答えなきゃ、これ答弁になっていない、そんなことは。
○国務大臣(石破茂君) 繰り返しの答弁になって誠に恐縮でございますが、それはこれから議論をされることですが、集団的自衛権というものの行使というものが認められない、これは政府の立場として一貫をしておるわけでございます。 ですから、一体化をなし崩しにするとかなんとか、そういうようなお話がございますが、集団的自衛権に触れるような、そういうようなことができるはずもない、そのような立法があり得るはずもないということでございます。 これでお許しをいただきたいと存じます。
○筆坂秀世君 結局、答弁回避しているんですよ。集団的自衛権になるようなことはしないと言っているだけです。そんなこと分からないじゃないですか。 大臣、しかし、この法律の中心の一つは対米支援でしょう。どう対米支援、アメリカ支援どうするかが中心問題じゃないですか。それについて全く方向を明らかにしていない。言っていることは、憲法を守りますと言っていることだけじゃないですか。何を言っているんですか。 だから、制約取り払うのか取り払わないのか、どっちなんですか。対米支援法では周辺事態法と同じような制約を設けるのか設けないのか、どっちなんですか。その方向もはっきりさせないで、一体何を今後検討していくんですか。そして、アメリカはそれを取っ払えと要求しているじゃないですか。それ、何で明言できないんだ。
○国務大臣(川口順子君) まず、マイケル・グリーンが言ったと委員がおっしゃられたことですけれども、彼は元々NSCに入るまでは学者でございますから、今おっしゃった、引用なさったことがどの時点で出てきたかということであるかと思います。少なくとも、NSCの部長としてのマイケル・グリーン氏から日本政府はそのようなことを聞いたことはないということを申し上げたいと思います。 それから、先ほどからのおっしゃっている御質問でございますけれども、武力攻撃事態においてはいかなる支援をするかということについては、先ほど来、防衛庁長官がおっしゃっていらっしゃいますように、これは、具体的にはこの法案成立をさせていただいて、そこで示された枠組みに基づいて事態対処法制の整備の中で検討していくということでございます。 具体的に中身が明らかではないじゃないかということをさっきからおっしゃっていらっしゃいますけれども、これについては正に今後、議論を具体的にしていくということでございますし、将来、必要があれば、その時点で国会にそういうことをお諮りをするということになると思います。
○筆坂秀世君 結局、答えられないんですよ、そこのところは。結局、戦闘地域に行くとも行かないとも、武力行使一体化原則を、一体化禁止原則をそのまま続けるともあるいは破るとも言わないんです。それは何でかと、それは、そこを破るためにこれ今やろうとしているんでしょう。それ隠しているだけですよ。 だって、アメリカのこの戦争がどういうものですか。例えばイラク戦争見てごらんなさい。三十数万の軍隊を事前に集結さして、何か月も前から先制攻撃やるといい、何千という戦車や航空機やあるいは車両を投入する、そうやってやるわけですよ。そして、これ、イラク戦争のアメリカのコンバットゾーンですが、イエメン除いて、この色の付いているところがそうです。(図表掲示)これは、水のところは海ですね。それと、これは陸地ですよ。これだけ広大な地域なんです。ここで展開して、三十数万の軍隊、展開したんですよ。そのときに、それを後方から支援するという日本の役割が、これは別ですよ、イラク戦争は、イラク戦争は別ですが、それが戦闘地域には入りませんと、一体どこから支援するんですか、それは。だから、それを取り払えって言うんです。 しかし、周辺事態法は、少なくとも建前は、戦闘地域には入っていけないという建前になっているんですよ。だから、周辺事態法適用だったらコンバットゾーンには入っていけない。だから、戦闘地域にも入らなきゃ、アメリカの側からすれば何だと、日本の自衛隊は肝心なところにいないじゃないかと、こうなるわけでしょう。だから、アメリカは戦闘地域にまで入ってこいという要求をしているんじゃないですか。それにこたえようというんじゃないんですか。それははっきり言わないんです、言えないんです。それはそうです。言えば、これは武力攻撃事態法案、大変なことになりますから、予測事態で戦闘地域に入っていくとなれば。当たり前ですよ。だから、それを隠しているだけなんです。 しかし、あなた方は既に、現実には、戦闘地域に入っていかない、武力行使一体化はしないんだと、こういう原則、既に破っているんですよ。 例えば、テロ特措法で派遣された自衛隊の補給艦「ときわ」がアメリカのイラク戦争のコンバットゾーンに指定しているオマーン湾、ここですよね。(図表掲示)オマーン湾、ここです。ここでアメリカの補給艦に約二十二万ガロン補給する。それが空母キティーホークに補給された。これは石川統幕議長も認めています。開戦前だと、まだ戦争が始まる前だと、イラク戦争が、というふうに弁解しています。しかし、この時点で、空母キティーホークはイラク南部の飛行禁止空域での監視爆撃行動、サザンウオッチと言われていますが、これに参加しているんですよ。 要するに、アメリカのニーズがあれば、コンバットゾーンであろうとそういうところでも入っていく、これを実際に自衛隊の艦船はやっているということじゃないですか。現に、もう破っているんですよ、そうじゃないですか。
○国務大臣(石破茂君) この答弁、何度も申し上げたかと思いますが、御理解をいただけないようでございますので、もう一度申し上げます。 コンバットゾーンとは何なんだろうかということでございますが、コンバットゾーンというのは戦うところと今お話がありました。普通そういうことになってしまうわけでございますが、コンバットゾーンというのは、よろしいですか、当該地域に派遣されている米軍人の手当、税制優遇措置等、福利厚生の観点から設けられているものでございまして、軍事行動における米軍の活動地域をそのまま意味するものではないということは何度も答弁を申し上げているとおりでございます。それをコンバットゾーンは戦闘地域だという前提において御議論をされますと、そういうような話になりがちでございますが、定義はそもそも違うということ。 そして、「ときわ」の補給につきましても、これも何度も答弁申し上げているとおりでございますが、これはテロ特措法の範囲内で行っておるものでございます。それは合衆国と我々との間で交換公文を締結をし、テロ特措法の趣旨をよく理解し、その目的の範囲内でしか使わないということを確認をしておるものでございます。 したがいまして、何ら問題のあるものとは考えておりません。
○筆坂秀世君 何も分かっていないんです。何も分かっていない。分かっていてそう言っているのか分かっていないのか、どっちかですよ。 大体、コンバットゾーンについてアメリカの統合参謀本部はどういうふうに言っているかといえば、戦闘部隊が作戦遂行のために必要とする地域というふうに規定しているんです。兵たん地域とも明確に区別しているんです。兵たん地域はコミュニケーションゾーンというふうに呼んでいます。 福利厚生と言いますが、別にこれは福祉施設造っているんじゃないですよ。要するに、危険な地域なんですよ。戦闘で負傷したり死傷、死んだりする、だから給与体系を特別にしていると、こういうことなんです。 例えば、これはアメリカの陸軍幹部学校の教本です。コンバットゾーンについてどう言っているか。射撃、砲撃は毎日発生する、死の恐怖は広がっている、コンバットゾーンではいつどこで敵が現れるかもしれないが、常にストレスがあり、不確実性に満ちているというふうに指摘しているんです。そういうところなんですよ。 しかも、テロ特措法で行っているんだということをおっしゃった。しかし、石川統幕議長、何と言っていますか。このキティーホーク、これがテロ特措法のためにキティーホークが動いていると、それはアメリカを信じるしかないと言っているんですよ。 しかし、さっき私が言ったように、イラクに対する監視爆撃行動であるサザンウオッチにちゃんと参加しているんですよ。しかも、開戦前だということも防衛庁は言うんです。しかし、コンバットゾーンというのは開戦の前から指定されるんですよ。アフガンのときだって三週間前に指定されたんです。二月二十五日でしょう、補給したのが、「ときわ」が。二月二十四日の国防総省、ペンタゴンのホームページ見ると、既にその地域はコンバットゾーンに指定しているというふうに書いているんです。あなた方の全くのごまかしです。これは福利厚生の範囲だと、何を言っているんですか。さっき自民党席からやじ飛んだとおり、戦うところなんです。正に戦闘地域なんですよ。そういうごまかしで、実際には、ある制約を破って行っているんですよ。そして、その制約を今度は法律の上でも取り払おうというのがあなた方のねらいなんですよ。 もういいです。だってあなたの答弁聞いたって、いいよ、もう同じことばっかりだから。 本当に私、周辺事態、これを武力攻撃予測事態、これ読み替えるだけで話ががらっと変わってしまうんです。行けるようにするんです。制約取り払うんです。そこに本当に一番の大きなねらい。 もう一つ、私、時間がなくなってきましたからあれですが、新ガイドラインで約束したもう一つの問題に、施設の使用という問題がありますね。民間の空港、港湾の使用は周辺事態法で法的な義務とされました。新ガイドラインでは、しかし、新たな施設・区域の提供ということも約束しています。有事三法案の一つ、自衛隊法改正案では、予測事態の段階で陣地を作れることになっていますね、法案では。この土地は米軍に提供することが大きな目的の一つになっているんじゃないですか。
○国務大臣(石破茂君) 私どもといたしましては、その陣地なるものは自衛隊の行動のためというふうに考えております。したがいまして、委員御懸念のような、それが米軍に提供されるというようなことを想定はいたしておりません。
○筆坂秀世君 川口外務大臣、いかがですか。
○国務大臣(川口順子君) 同じでございます。
○筆坂秀世君 これはおかしいな。去年の五月七日、川口外務大臣がこうおっしゃっていますよ。「今後の検討課題の、どういう分野でということでございますけれども、対米支援、あるいは日本政府が米軍へ陣地として使用される施設・区域をより迅速に提供ができるような、あるいは緊急通行についても今後検討していく必要がある」とあなた答弁されているじゃないですか。
○国務大臣(川口順子君) 米軍への支援につきましては、先ほど申しましたように、この法制の示す枠組みに従ってこれから具体的に検討していくということでございます。それと先ほど委員の御質問の自衛隊法の改正の結果の話とは、これはまた別な話でございます。
○筆坂秀世君 じゃ、あなたが言う、日本政府が米軍へ陣地として使用される施設・区域をより迅速に提供できるようにというのはどういう意味なんですか。
○国務大臣(川口順子君) そういう事態が必要でございましたら、それは日米地位協定に従いまして考えていくということでございます。
○筆坂秀世君 ですから、米軍への陣地提供も当然あるということでしょう。もちろん、それは自衛隊が新たに使うこともあるかも分かりません。しかし、米軍に陣地を提供すると、新たに、新たな施設・区域を提供するというんですから、そういうことも当然あり得るということでしょう。 それはもう全くないということじゃないんでしょう。米軍にはもう新たな施設・区域は提供しませんと新ガイドラインだって約束しているでしょう、あなた方。それが全然ないとはあり得ないことでしょう。
○国務大臣(川口順子君) 先ほど申しましたように、米軍に対してどういう支援を行っていくかということはこれから検討していくということを申し上げたわけでして、そういう意味では検討の課題の一つであると思います。必要であれば日米地位協定に従って考えていくということで、委員の御質問の、それが米軍への地位、自衛隊がその基地を、施設を求めて、それを米軍に渡す、貸す予定ではないかという御質問については、そういうそのような具体的なことを今申し上げているわけじゃなくて、これは具体的な今後の検討課題であるということです。
○筆坂秀世君 委員長、ちょっと速記止めて。駄目だ、そんなの。駄目。小泉さん。それは間違っているよ。自分の答弁じゃないか。(発言する者あり)
○委員長(山崎正昭君) 再度、御質問願います。 明確な答弁をお願いします。(「明確な質問をお願いします」と呼ぶ者あり)
○筆坂秀世君 だから、何を言っているんだ、五月七日に、あなたは、去年の、対米支援、あるいは日本政府が米軍へ陣地として使用される施設・区域をより迅速に提供ができるようなことを今後検討していくと明確に答えているじゃないですか。あなたの答弁ですよ。
○国務大臣(川口順子君) 具体的にいかなる支援を行うか、そのためにどのような制度が必要かということはこれから検討いたしますけれども、先ほど来申し上げていますように、必要であればそれは日米地位協定に基づいて行うわけでございまして、そういう意味では、その中にはその施設・区域ということも入る可能性はありますけれども、それは今後議論をしていく、あるいは必要であれば日米地位協定の中でそれを行っていくということでありまして、自衛隊の基地の話とは違う話だということを申し上げております。
○筆坂秀世君 要するに、アメリカのニーズがあれば、要請があれば、米軍のための新たな施設・区域の提供もするということなんですよ。そのことを、結局それは否定はされなかった、お認めになった。 結局、私、今日二つの問題を言ってきました。周辺事態法というのも典型的な対米支援法でした。だって、アメリカが戦争をやらなきゃ周辺事態法なんて動きようないんですから。それを、その制約を取っ払って、陣地の提供なんかは今度は罰則付きで強制的に土地の収用までやるんですよ。アメリカに新たな陣地を提供するために国民に罰則付きでまで動員していくと、典型的な正に極め付きの対米支援法、これが有事三法案なんだと。こんなものは絶対認められない、廃案しかないんだということを指摘して、私の質問を終わります。
○田村秀昭君 国会改革連絡会(自由党)の田村でございます。 有事法制の今審議でありますけれども、私は、現在の自衛隊、防衛庁のいろいろな問題点について総理に二、三、お伺いさせていただきます。共産党のような神学論争はいたしませんので、建設的な質問をさしていただきます。 まず、私は、歴代の戦後の総理大臣というのは、我が国の総理ですよ、自分の国は自分で守るという、そういう決意がなかったように思うんです。 〔委員長退席、理事阿部正俊君着席〕 それは、そんなことないよと言われるかもしれませんが、小泉総理は、私は、防衛大学の卒業式に、選挙区ということもあるんでしょうけれども、ずっと出席しておられる。防衛に対する思いが強い方だというふうに私は思っております。 そういう小泉総理は、我が国を自ら守る決意というものはお持ちなんでしょうか、ちょっと確認のためにお答え願いたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 我が国は、我が国国民の力で守らなきゃならない。政府として常にいざというときに、外国の侵略あるいは危険な勢力が日本国民に侵害しようとするときには断固たる決意を持って抵抗するぞ、戦うぞという決意を形に表したものが自衛隊だと私は思っております。 そういう点におきまして、これからも我が国は我が国国民の手で守るという決意を外国に誤解させないようにきちんと整備していかなきゃならない。そういう意欲を持った国で初めて外国は支援の手を差し伸べる。日米安保条約があるから安全なんだというだけでは足りないと思います。不断の我が国自身の努力、相手国、侵略しようとする国に対して、この国は抵抗しないな、いつ侵略しても手を挙げるな、何ら抵抗しないなという、そういう安易な気持ちを侵略勢力に持たしてはいけない。そのための自衛隊であり、そのための今回の法整備である。しっかりとした防衛体制、防衛意識を持つことによって日米安保条約も有効に機能していく、抑止力として機能していくという考えを私は基本的に持っております。
○田村秀昭君 さすがに小泉総理、自らの国はきちっと自分で守るという決意を披瀝されました。 そうであるならば、その戦士である自衛官に名誉と誇りと地位を与えないとおかしい。全然、名誉も誇りも地位も五十年前と少しも変わっていない。その辺はどういうふうにお考えなのか。 そして特に、後から申し上げますけれども、自衛官というのは我が国の社会の中で、命を懸けるという、自分の命を賭して勤務をするという特殊な組織でございますが、その最高位である統幕議長はなぜ認証官ではないんですか。
○国務大臣(石破茂君) これは外交防衛委員会におきまして、常に先生から御指摘をいただいていることでございます。 先生おっしゃいますように、事に臨んでは身の危険を顧みずという宣誓は自衛官しか、自衛隊員しかいたしておりません。ここのところはきちんと考える必要があるという意識を私も持っておるところでございます。 認証官についてでございますが、統幕議長及び三幕僚長を認証官とするということにつきましては、認証官となっておりません政務官あるいは事務次官、それとの均衡をどうするかという問題があるというふうに聞いております。これはどっちが上でどっちが下だみたいな議論をしますと非常に妙な話になると思います。そういう議論を先生も考えておられるとは思っておりません。ほかとの兼ね合いでどうなのかという議論が必ずしも最もその正当な、真っ当な議論だと私も考えておりませんけれども、これ今後も考えていかねばならないことでございますが、政務官あるいは事務次官が認証官となっておらない、そういうこととも併せて、しかしながら、そういうような服務の宣誓をやっている者の最高位としての統幕議長、幕僚長というものをどう考えるか、また今後とも御教導を賜ってまいりたいと思っておる次第でございます。
○田村秀昭君 自衛隊の行動は防衛庁長官の命を受けて幕僚長が執行するのであって、事務次官は省内外の事務を総括するわけで、全然内容が、職務が違う。そういう点において、最高裁判所長だとか特命全権大使とかみんな認証官ですが、認証官になっていない。命を懸けて国を守る人たちの最高位の人たちあるいは自衛官の人たちにどうして歴代の政権というのはもっとそういうものを大切にすることをしないのか。そのまま、今までも大丈夫だったからそのままにいこうということだと思うんですが、そういうふうにお答えになった内閣総理大臣もおられますけれども、その点、総理のお考えをお尋ねいたします。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、日本国民として自衛隊に対して何か他の国と違って特別の感情を持っている、言わば自衛隊を軍隊として認めたがらない、これはやっぱり戦争の経験が大きく影響していると思います。 言わば、これは私自身の考えでございますが、戦争中、いわゆる第二次世界大戦において、日本の軍隊に対して多くの国民が、日本国民を守ってくれたという感情以上に日本国民を抑圧したという気持ちを強く持っているんだと思います。アメリカの軍隊は違います。よその国の軍隊は、自国の国民を守るためだと、自国の国民を解放するためにあるんだと、自国の国民を侵略から防ぐためにあるんだという、そういう意識を強く持っているんだと思います。ところが日本は、第二次世界大戦、これにおいて指導部は過酷な要求を一般国民に押し付けたんじゃないかと。軍隊も、アメリカの軍隊に比べると、輸送とか補給とか装備とかに加えて、十分な手当てをしなかったんじゃないかと。あるいは、特攻隊というような、若き青年たちに非情な要求をしてあのような貴重な命を散らしたと。これはやっぱり軍隊を持ったからだという、軍隊に対する反感がよその国よりも非常に強いんだと思います。 そういう戦争体験、軍隊に対する一つのアレルギー、これが今まで、戦後、防衛論争、憲法論争には強くにじみ出ている。だからこそ、自衛隊という組織に対しても、軍隊としてなかなか認めたがらない。 〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕 しかしながら、最近ようやく、やはり我が国においても軍隊の組織は必要だという気持ちを持っている国民が多くなってきた。危険はいつ起こるか分からない、脅威がいつ起こっても不思議ではないという状況になってきて、やはり我が国においても、侵略勢力に対して、あるいは日本国民に危害を与える勢力に対しては、しっかりとした抵抗組織、対抗組織を持たなきゃいかぬという気持ちがだんだん沸き上がってきているんだと思います。 そういう中で、かつては自衛隊を平和維持活動に送るときでさえも戦争に参加するんだという反対論が巻き起こりました。しかし今、しばらく時間がたつと、やはり自衛隊の組織でなくては、いろいろな普通の国民ではできない活動があると、平和維持活動だったら自衛隊派遣してもいいというのが大方の国民の私は気持ちだと思います。だんだん変わってきているんです。 これからも私は、自衛隊というのが将来やはり我が国の平和と独立を守る軍隊であるということが正々堂々と言えるように、将来やはり憲法を改正するというのが望ましいという気持ちを持っておりますが、いまだにその機運にはまだ至っていない。それは戦争の痛手、これを強く感じていると。やはり本来の軍隊というのは、自国民の独立と平和を守るものだと、自国民を侵略から防ぐものだと、そういう気持ちが、やはりほかの国と違って、手痛い戦争の敗戦、これが大きく影響しているのではないかと。 私は、いずれ、民主主義的な軍隊というのはどうあるべきか、一国の国防というものに対して、独立国としてどのような戦闘組織を持つかという健全な意識が芽生えれば、今、田村議員が指摘したような、事に臨んで身を挺して危険を顧みず任務を遂行するという自衛隊諸君に対して、正当なる名誉と地位を与える機運が盛り上がってくることを期待しております。
○田村秀昭君 私は、自民党政権によって作られた防衛大学の一期生であります。戦前の軍隊とは全く無関係であります。にもかかわらず、戦前の軍隊のいたしたことによって、今、総理がおっしゃったそういう負い目を、ずっと軍隊なるがゆえに、自衛隊なるがゆえにそれを負っていけと、そういう厳しいごさたでありますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 二度と戦前のような軍隊を持ってはいけないと、また他国を侵略するような意思を持つような人を指導者にはしていけないと、してはいけないと、そういう反省の気持ちを持って、戦後一貫して日本の指導者なり日本の国民は当たってきたと思うのであります。
○田村秀昭君 自衛官は、先ほど申しましたように、服務の宣誓というのをいたします。「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に努め、」云々というのに宣誓署名をいたします。 こういう、事に臨んでは身の危険を顧みずということを宣誓している組織は自衛隊以外にありません。警察はそれに近いんですが、「公平中正に警察職務の遂行に当ることを固く誓います。」と、これ命を懸けるとは言っていない。 そういう服務の宣誓をするんですが、そのことについて、まず、総理はどういう御所見をお持ちですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 他に類を見ない、事に臨んで身の危険を顧みず任務を遂行すると。しかしながら、正当な地位と名誉を与えられていないという状況にありながら、自ら志願して自衛隊に参加している諸君に心から敬意を表したいと思います。
○田村秀昭君 それで、防衛庁長官は、防衛庁長官及び副大臣、政務官はこの服務の宣誓はしていないんです。自分の部下はみんな命を懸けると言っているのに、その最高指揮官である内閣総理大臣及び防衛庁長官はこの服務の宣誓をやっておられない。少なくとも防衛庁長官には、総理から、なぜ宣誓しないのかと、服務の宣誓をやったらどうかとおっしゃっていただきたいなと私は思うんですが、いかがですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) いや、防衛庁長官にしても総理大臣にしても、職に就けばいつ身を挺してもいいという覚悟で私は職務に当たっていると思います。
○田村秀昭君 それはそのとおりだと思いますけれども、みんな服務の宣誓をやっておるわけですから、その最高指揮官である防衛庁長官、内閣総理大臣は服務の宣誓をおやりになるのが、そういう部下を統率する上に必要なことではないだろうかと私は思うんですが、いかがですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) すべて服務規定とか法律以前の問題だと思います。
○田村秀昭君 そういう服務規定以外の理念できちっとやっておられると、そういうふうに受け止めてよろしいんですか。(発言する者あり)最高指揮官の覚悟ですか。はい、分かりました。いいよ、そこ答弁しても。自民党の総裁だから同じじゃないですか。 次に、防衛庁を国防省にすると、したいという、これはどこの国でも防衛、ディフェンスエージェンシーというのは、エージェンシーじゃなくてミニストリー、省でありますので、私は特に形だけそういうふうになったらいいというふうに言っているんではないんです。 防衛庁長官というのは、防衛庁は大臣庁でありますけれども、内閣法による主任の大臣ではないので、所管の法律案の制定だとか改変、改廃について閣議の開催を要求する閣議請求権を有しておられない。しかも、防衛庁の所掌事務は量的に極めて膨大であって、総理府を経由して事務処理を行うという非効率性はもう是非とも改善しなきゃいけないというふうに思っておるんですが、防衛庁の省への昇格について総理がどういうふうにお考えなのか。総理がやれと言ったらもうすぐなるんではないかと私、思うんですが、いかがですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、国民の意識がどのように変化してくるかということも見極めなきゃいけないと思っております。 今、ようやく、タブーと言われていた有事の議論もタブーでなくなりました。与野党対決法案と言われたこの有事関連法案も、与野党合意の下に衆議院を通過して、今審議が行われております。そして、憲法改正も、国会に調査会も設けられ、野党の中にも憲法九条は改正すべきだという、堂々と言う方も出てまいりました。五十年前には考えられなかったことであり、かつて社会党の委員長も、自衛隊は違憲でなく合憲であるということを総理大臣になって表明されました。日米安保条約があると日本は戦争に巻き込まれると言っていた勢力も、日米安保条約は日本にとって必要だと言うようになってまいりました。いろいろ時間がたてば変わってまいります。 いずれ国民により、自国の戦闘組織に対して、やはり自分たちはできない大変危険な仕事、きつい仕事、身を挺してやる仕事に従事している諸君に対してしかるべき名誉と地位を与えようという機運がいずれ時がたてば来ると思います。その時期を見極めて私は判断したいと思います。
○国務大臣(石破茂君) 先生御案内のことでございますが、平成九年にこの問題は政治の場で取り扱うという整理がなされております。そして、今、議員立法が出て継続審議になっておるところでございます。与党三党の幹事長、政調会長が申入れをいたしまして、政府に対して申し入れましたのは、この有事法制というものは、仮に成立をしたならば、この防衛庁の省移行について最優先で取り組むという申入れをちょうだいをいたしておるところでございます。 どうか政治の場におきまして、防衛庁の省移行につきまして引き続き御尽力を賜りますように私どもとしてお願いを申し上げる次第でございます。
○田村秀昭君 どうぞよろしく防衛庁長官も御尽力いただくようにお願いしたいと思います。 総理にお尋ねいたしますけれども、自衛隊は軍隊なのか何なのか、自衛隊の位置付けはどういうふうになっているのか、警察なのか。私は、法的には、現在、自衛隊というのは、警察予備隊で発足しておりますので、警察と余り変わらないと、ただ外敵と戦うことができる警察だというふうに理解しておりますけれども、総理はどういうふうにお考えなのか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 外国の侵略に対して戦う集団ということになれば、外国から見れば軍隊と見られても当然でしょう。しかし、日本では憲法上のいろいろな規定もあります。自衛隊を軍隊とは呼んでおりません。そこが不自然だから憲法を見直そうじゃないか、いろいろ議論が今出ております。 私は、自衛隊なくてもいいという方もかなり日本国民にはおりますが、それは極めて無責任な考え方だと思っております。戦闘組織がなくてもいいということは、一般、何にも訓練の必要ない市民に戦えということであります。あるいは降参しろということであります。泳げない人に海飛び込めと言って、そんな酷なことはありません。常に泳げる人、訓練している人が外国の侵略に対して戦う訓練をふだんからしている、そういう組織が自衛隊である。しかし、日本はそれを軍隊とは呼んではいけないということになっている。ですから、自衛隊と呼んでいるんです。しかし、外国人から見れば、外国の侵略に対して戦う自衛隊というのはやっぱり軍隊と見ているでしょう。
○田村秀昭君 そういたしますと、総理は、言っておられるのは、最高指揮官ですから、自衛隊の、憲法上許されないので自衛隊という名前を使っていると、軍隊持てないから。だけれども、実質的には軍隊であると、そういう認識をお持ちなのか、いや、そうじゃないのか、ちょっともう一度総理の御認識を承りたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 自衛隊を軍隊とは言ってはいかぬと、そういう議論さえしていけない、してはいけないという時期がかつてありました。だから、戦車のことを特車と言っていたでしょう。しかしながら、私は実質的に自衛隊は軍隊であろうと。しかし、それを言ってはならないということは不自然だと思っております。 しかし、いずれ憲法でも、やはり自衛隊を軍隊と認めて、違憲だ、合憲だと、法的の問題で不毛な議論をすることなしに、日本の国を守る、日本の独立を守る、日本国民を守る戦闘組織に対してしかるべき名誉と地位を与える時期が来ると確信しておりますし、また、そのような環境醸成というものも政治家として作っていかなきゃならないと思っております。
○田村秀昭君 私は昭和三十二年に防衛大学を卒業したわけですが、そのときに今のようなことを、今、総理のおっしゃったようなことを、間もなく軍隊になるからしばらく我慢しろみたいなことを言われて、そのときまだ十九歳ですから、前途有用な、有望な青年たちがみんなそう思って、そのうちになるんだ、なるんだと、自分たちでならすわけにいかないものですから、国会議員じゃありませんから。ずっと待っていたんですが、もう五十年以上たってもなっていないと。そういう思いをしている人たちも、反対をしている人もいるかもしれないけれども、一生そう思ってきた人たちもいるということを総理は是非御認識を賜りたいと思っております。 それで、最後にお尋ねいたしますが、私は、やはり自衛隊の位置付けを不明確なまま、今申し上げたような不明確なままに緊急事態法が成立しても、それを実際にやる大本の自衛隊というのがそういういろいろな問題点を含んでいるということで、それをきちっとしない限り、本当に国家国民のために有効な法律なのかどうかということに若干の疑問を持っているわけです。もちろん自由党は賛成ですので反対はいたしませんが、そういう危惧を持っているということを申し上げて、最後の質問といたします。 総理の御所見を承って、私の質問を終わりたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 防衛大学校第一期生の田村議員にとってみれば、現状の自衛隊に対する在り方に対して憤慨される気持ちはよく理解できます。かつては防衛大学生に対して、一部勢力から不当な誹謗中傷が行われた時期もございました。しかしながら、そういう批判にめげず、黙々と努力されてこられた自衛隊諸君も立派だと思います。 これからも、しっかりとした独立国として、自国の戦闘組織はどうあるべきか、また憲法はどうあるべきかという議論の中で、国民全体で我が国を守るんだと。そのために、いつでも身の危険を顧みず人々に対してしっかりとした体制を作るというのは正に政治の責任だと思っております。
○田村秀昭君 大変どうもありがとうございました。
○田英夫君 朝から皆さんの御議論を伺っておりましたが、戦争にまつわる大変厳しいはずの議論がいとも淡々と話されているといいますか、大変私のような太平洋戦争で特攻隊で生き残ったという経験を持っている者にとっては心外であります。 武力攻撃事態というのは、そもそも一体、今までの日本語にはなかったことでありますが、なぜこういう言い方をするのか。要するに戦争の話じゃないでしょうか。また、有事とか武力攻撃事態とか、なぜそういうふうな言い方をするのか、国民の皆さんは分かりませんよ。戦争を、戦争に対してどう対応するかという、それが有事の法案でしょう。 総理は、そもそもその戦争というものをどういうふうにお考えになっておられるのか、どういう状態を戦争というふうに思っておられるのか、まずお答えいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 戦争を望む人はだれもいないと思います。戦争というのは、今、各国で絶えることなく、この歴史、人類史始まって以来何度か繰り返されてまいりました。人と人とが殺し合う極めて残酷な戦いであります。二度とあってはならないことであると思います。 しかしながら、あってはならないと思いつつ、人類、歴史を見るとなくならない、常に最悪の事態に備えるというのも、これまた政治の責任ではないかと思っております。しかし、戦争というのは残酷非道なものであり、これを避けるための努力は不断にしていかなきゃならないのもこれまた政治の当然の責務だと思っております。
○田英夫君 本当に人類の歴史は残念ながら戦争の歴史でありました。しかし、今冷静に考えると、これ以上戦争というものをやっていいのか、考えなければいけない状態にある。世界じゅうの人が考えなければいけないと思いますよ。 戦争が終わったときに、今の憲法を作る、特に第九条を作る中心になられた時の総理大臣、幣原喜重郎さんが、後に後輩に対してこういうことを言っておられる。 自分はあの広島、長崎の原爆の体験の中から、もう日本は二度と再び戦争をしてはならないと思う。じゃ、どうしたらいいのか。それには武器を持たないことだと思い至った。つまり、非武装だ。非武装などと言うと狂気のさたと言われるかもしれない。しかし、戦争で人間が殺し合うことと非武装とどっちが狂気のさただろうかと、こういうことを言っておられる。それが凝縮したのが憲法第九条だということであります。 私の戦争の体験の中からも、本当に明日の朝までに特攻隊を志願するかどうか決めろと言われたときの苦悩ですよ。これは本当に二度と再び我々の後輩にそういうことを体験させてはならないと思いましたね。 多くの戦友が死んでいきました。そういう中で、彼らは、ちょうど私どもは二十二、三歳、大学に入ったばかりで学徒出陣で出ていきましたから、本来なら前途洋々たる人生があるはず。それを戦争のためにそこで断ち切られて命を失ったと。正に無念の思いですよ。 こういうことを二度と再びやってはならないというその気持ちから申し上げるんですが、戦争というのは要するに人間が人間を国家の名において殺すことですよ、と私は本当に思います。殺す話ですよ。だから、兵器というものはいかに効率よく相手を殺すかということをずっと人間は考えてきた。弓矢から始まって、鉄砲になって大砲になって、そして今核兵器ですよ。生物化学兵器ですよ。 今度のイラク戦争で使われましたクラスター爆弾というのを自衛隊も持っている。このクラスター爆弾というのは、ベトナム戦争で使われたボール爆弾が進歩といいますか、改良されたものです。私もベトナム戦争にジャーナリストとして取材に行きました。そのときに使われたのがボール爆弾という、野球のボールぐらいの大きさで、真ん中のあんこに当たるところに火薬が入っている。周りが鉛で、その鉛の中にちょうどパチンコの玉ぐらいの鋼鉄の弾が埋め込んである。それを三百個ぐらい入れる大きな容器に入れて、戦闘機が、戦闘爆撃機が抱いて相手の上に行って投下すると、空中でそれが開いて中から数百個のボール爆弾が落ちてくる。地上に激突すると爆発する。そして、このボールが、鋼鉄の弾が飛び散る。正に殺人兵器です。それを今度改良して、缶ビールぐらいの大きさのようですけれども、子爆弾が飛び出してくるのはクラスター爆弾ですよ。殺人兵器、しかも極めてむごたらしく人を殺す、それを自衛隊が持っているというのは一体どういうことですか。専守防衛の自衛隊がこれは何に使うんですか。どういう場面で使うんですか。その目的は、防衛庁長官、どういうことなんですか。
○国務大臣(石破茂君) クラスター爆弾についてのお尋ねでございます。 委員御案内のとおり、クラスター爆弾を作っております国というのは世界じゅうに三十三か国ございます。保有しておる国は五十六か国でございます。何も日本国自衛隊だけがそのような残虐な兵器を持っているというような御指摘であるとすれば、製造している国は三十三か国であり、保有をしている国は五十六か国でございます。 クラスター爆弾というのは、子爆弾というものを持っておることは委員御指摘のとおりでございます。これが通常爆弾とは何が違うのかといえば、広範囲の敵に対して攻撃を仕掛ける場合にこちらの方が効率が良いということはございます。そして、それでは不発率が高いのかということでございますが、私ども、今日の新聞にも一部報道がございました、あの数字にもいろんな議論がございますが、格段クラスター爆弾の不発率が高いというふうには承知をいたしておりません。 私どもは、このクラスター爆弾というものをやむを得ず使用いたします場合には、当然のことでございますけれども、民間人の避難、これはもう朝からずっと申し上げているところでございます。民間人の方々にまず避難していただくということが第一でございますし、仮に敵を、侵害を排除した場合、民間人が戻ってくる、そこでクラスター爆弾を拾ってけがをするとかそういうようなことがないように、敵の攻撃というものを排除した場合に、民間人の方々が戻られる場合も、そういう危険がないということを確認してからでなければ戻っていただくということはあり得ません。 要は、この兵器をどのように使うかということでございまして、この兵器を保有していることがすなわち残虐な行為ということには当たらないものと考えております。
○田英夫君 持っている国がたくさんある、作っている国もたくさんあるということを言われましたけれども、日本はそういう国と違うんだということを、改めて若い皆さん、考えていただきたい。 日本国憲法というのは、先ほどの幣原さんのお言葉のとおり、そういう中で作られた、日本は普通の国じゃないんですよ。この間、ある新聞の政治部長が、衆議院をこの法案が通過した日の翌朝の朝刊に書いておる、署名入りで書いておりましたが、これで日本は普通の国になったという書き出しですよ。それでいいんですか。日本はそういうことではならないという決意をしたんじゃないですか。あの戦争の広島、長崎などの貴重な体験の中から、多くの犠牲者の中から我々はそういう決断をしたはずですよ。このことをもっともっと重く考えていただきたい。 戦争というものは本当にどういうものか。人間と人間が殺し合うということをまだ続けていていいのか。サバンナの猛獣だって共食いはしませんよ。本当に人間だけがそういう人間同士の殺し合いということをまだまだやっていると。アメリカのブッシュ大統領のイラク戦争に突入していくときのやり方などは、本当にもう人間がやってはならないことの模範のような、モデルのようなことをやっているじゃないですか。しかも、日本はああいう憲法を持っているということをもっと重く考えていただきたい。 いや、それどころか、三年前ですか、これはちょうど衆議院の速記録が手に入りましたから持ってきましたけれども、戦争決別宣言というのを、つい三年前にやったばかりですよ。しかも、与党の皆さんが提案をして、小渕さんが亡くなった直後です。その本会議では、まず小渕さんの追悼の演説があって、その後、衆議院ではこの戦争決別宣言という決議をやっている。 唯一の被爆体験を持つわが国は、日本国憲法に掲げる恒久平和の理念の下、歴史の教訓に学び、国際平和への貢献に最大限努力するとともに、九州・沖縄サミットを契機に、日本はじめ各国が国家間の対立や紛争を平和的な手段によって解決し、戦争を絶対に引き起こさないよう誓い合うことについて、世界に向け強く訴える という、これが正に戦争決別宣言。 このことを今大事にすべきじゃないですか。
○国務大臣(石破茂君) 総理が御答弁なさいましたように、私どもは、戦争をするための有事法制だということは思っておりません。 ただ、今のままで平時の法体系でいった場合には超法規でなければできない。それは法治国家として許されることではない。日本はいざとなればいろんな法の障害があって自衛隊は整然と動けない、そして国民が避難するための手だても整っていない。そうだとするならば、日本に攻撃を仕掛けたとするならば自衛隊は行動はできない、民間人は避難できない、それでは乾坤一てきやってみようかという誘惑を抑えることができない場合もあり得る。したがって、自衛隊は整然と行動でき、そして民間人が整然と迅速に避難できるようなそういう法制を作ることが日本に対して攻撃を仕掛けようという誘惑を抑止することになるというふうに私どもは考えておるところでございます。 そして、先生が今御指摘になりました戦争決別宣言、正しく戦争から決別することを実効あらしむるためのこの有事法制であるというふうに私どもは考えておりまして、この宣言を実行するためにきちんとした法的な整備をする、それが今回御審議を賜っておる有事法制だという理解をいたしておるところでございます。
○田英夫君 時間がなくなりました。 細かな具体的な問題については改めて議論をしたいと思いますが、私は、やはりこの国会決議を受けて、政府が日本は戦争をしない国だと、不戦宣言を世界に向かってすべきだということを強く申し上げたいと思います。改めてそのことの具体的な提案をさせていただきます。 終わります。
○委員長(山崎正昭君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。 午後四時五十三分散会