財政金融委員会 第21号
- 発言数
- 11 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 2003/07/17
会議録
○委員長(柳田稔君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨十六日、森元恒雄君、野上浩太郎君及び円より子君が委員を辞任され、その補欠として加治屋義人君、若林正俊君及び岩本司君が選任されました。 ─────────────
○委員長(柳田稔君) 保険業法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案に対する質疑は既に終局しておりますので、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚耕平です。 ただいま議題となりました保険業法の一部を改正する法律案に反対する立場から討論を行います。 今次改正案の問題点、論理矛盾点を挙げれば枚挙にいとまがなく、これほどずさんな法案をよく提出したものだと、ただただ感心するばかりであります。また、保険業法改正案は今国会二度目の提出です。統一地方選挙への影響をおもんぱかって、国民に不人気な今次改正部分だけを先送りしたと言われていますが、政府のそうした姿勢も厳しく糾弾されなくてはなりません。 以下、主な反対理由のみ申し述べます。 第一に、仮に改正案が成立しても、すべての生命保険会社が予定利率引下げを申請する意思がないことを表明しているのですから、そもそも必要性のない法案と言えます。不必要な法案に膨大なマンパワーを費やす金融庁は、人手が余っている蓋然性があります。 第二に、保険契約者の債権は、通常の破綻処理であれば一般債権に優先して弁済されるのに対し、改正案の内容では一般債権に劣後することになります。保険契約者にとって有利との金融庁の説明は、基本的な優劣関係において事実に反します。 第三に、予定利率引下げを認める生命保険会社に関して、金融庁が、向こう十年間は経営の心配はないものの、破綻の蓋然性がある先と想定していることが審議の中で明らかになりました。当面経営の心配がないならば、今次法案のずさんな点、論理矛盾点を一、二年掛けて検討し直し、破綻の蓋然性が生じるタイムスパンをその分短縮して八年から九年とすればよいものと考えます。 なお、向こう十年間の将来収支分析を行う際、マクロ経済環境等に対する想定が各社の自由であることは、統一性を欠いています。また、分析を精査するアクチュアリーが各社の社員であることも問題なしとしません。こうした点は、分析結果の客観性、正当性に疑義を伴う蓋然性を著しく高めるものであり、当該分析結果を基に予定利率引下げの申請を認めることは、見識ある行政府の取る行動とは考えられません。 第四に、私的契約を一方的に変更する行為は、契約者の財産権を侵害するものと言えます。内閣法制局は、財産権の侵害に抵触するか否かは公共の福祉に照らして判断するものと説明していますが、そうであるならば公共の福祉の定義をあらかじめ明確化すべきです。当該定義が不明確なまま予定利率引下げを認めることは、それ自体が公共の福祉に反する蓋然性が高いものと言えます。 第五に、百歩譲って金融システムの安定化のために予定利率引下げを認めたとしても、将来、収益が改善した場合には、予定利率を引き下げた契約については可能な範囲で予定利率を引き上げるなど、契約者の逸失利益を留保する義務的な仕組みを設けることが必要です。そうした対応がなければ、予定利率引下げという行為の片務性は極めて著しく、民商法の原理原則に反する蓋然性が高いものと考えます。 また、そうした行為を私企業の自主的な申請に基づいて行わせることは、信頼、信用を経営の根幹とする私企業の基本的仕組みを否定することにほかなりません。予定利率引下げが必要とするならば、政府の判断においてなされるべきものと考えます。 第六に、生命保険会社の自己申告に基づく予定利率引下げを認めるのならば、三利源などの徹底した情報開示が大前提となります。経営に関する情報開示もないまま、一方的に契約内容を変更する行為は、資本主義経済の下で許される行為ではありません。日本はいつから官僚社会主義国家になったのでしょうか。 なお、ソルベンシーマージンに過大計上されている繰延税金資産など、生命保険会社の財務内容の適正化と透明化が必要なことも申し添えます。 このほか、細かい問題を挙げれば切りがないものの、取りあえず以上の理由だけでも十二分に今次改正案に反対する蓋然性が認められるものと思います。 加えて、審議の過程で明らかになった東京海上に対する金融庁高木長官の圧力問題について一言申し述べます。 高木長官の言動は、行政手続法や国家公務員法等に著しく抵触している蓋然性が高く、厳しく断罪すべきものと考えます。発言の詳細は議事録にゆだねますが、驚くべき所業と言わざるを得ません。 期せずして官僚組織の裁量行政に関する考え方が明らかになりましたので、総務委員会や行政監視委員会等の場で今後も継続的に審議していく必要があります。東京海上問題をめぐる過日の竹中大臣の答弁は、裁量行政の在り方を考える上で歴史的資料になるものと考えています。 いずれにしても、高木長官の、業法の目的以上の裁量権があるとか、行政に期待を抱かせたこと自体が罪だという趣旨の物言いは、法扉にあるまじき発言であります。果ては今次改正案に関連した議員立法の方針にまで言及し、与党議員の皆さんまでも自分の道具のごとく差配する趣旨の発言を行っている姿は、不遜、傲慢のそしりを免れません。このような長官の下で提出された法案は、そもそも選良たる私ども国会議員が神聖な議会の場で審議すること自体がはばかられます。 高木長官には深く反省を求めるとともに、監督下の企業を恫喝し、議会を混乱させ、まじめに職責を果たしている金融庁の多くの後輩諸兄に重い課題を背負わせた所業に思いをはせ、この際、潔く身を引くことを求め、反対討論を終わります。
○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸です。 私は、日本共産党を代表して、保険業法一部改正案に対する反対の討論を行います。 本法案に反対する第一の理由は、保険契約者の保護の名の下に、逆ざや問題を専ら保険契約者の犠牲によって解消しようとしている点であります。本法案が実施されれば、一部の契約者には四〇%を超えるような保険金の削減という耐え難い負担が求められます。正に国民の生活設計を根本から狂わせるものであります。 そもそも、保険会社の経営悪化を招いた主な原因の一つは、この二年間の株価の大幅下落を始めとする経済環境の悪化であります。小泉内閣の経済政策の失敗を契約者にツケ回しすることは許されません。 また、一義的に責任のある保険会社の経営者や銀行などの株主、出資者の責任の取り方については、法案による規定はなく、保険会社任せとなっています。このような仕組みは、経営者や出資者のモラルハザードを招くものであり、結局、国民犠牲の下に銀行などの出資者を救済するものであります。 第二の理由は、契約違反を公然と認め、社会の基本的なルールを破壊しようとしていることであります。 生命保険は保険会社と国民が保険契約を結ぶことによって成立するものです。本法案は、保険会社には約束した保険金は払いませんという明らかな契約違反を許し、その負担を弱い立場に置かれている保険契約者に押し付けるものであります。 金融庁は、保険会社と契約者の自治的手続によることで契約違反を正当化しようとしています。しかし、今回のスキームは、形骸化した総代会が意思決定機関と位置付けられ、契約者の唯一の手段である異議申立ての要件も厳格に定められるなど、契約者の意思を反映するものとは言えません。これではとても自治的手続とは言えません。 第三の理由は、一昨年の金融審議会で国民・保険契約者の社会的認知が十分に得られて初めてその導入が可能となるものだと確認されたにもかかわらず、国民の理解を全く得ていないことです。 現在、世論調査でも予定利率引下げに賛成はわずか五・八%であります。五月の金融審議会でも反対意見が多数でした。審議会の委員も当委員会の参考人質疑で、本法案は審議会が裏書したものではないと明言しています。審議を通して、政府は社会的認知が得られたことを証明できませんでした。このような法案を提出したこと自体、重大な過ちであります。 以上、反対討論を終わります。
○平野達男君 国会改革連絡会の平野でございます。 若干反対討論長くなるかもしれませんが、御容赦お願いしたいと思います。 私は、国連を代表して、ただいま議題となりました本法案につきまして、反対の討論を行うものであります。 以下、反対の理由を大きく四つの観点から申し述べます。 第一に、本法案の必要性が判断できる状況になっていないということです。 予定利率の引下げは、仮に実施するとしても最後の最後の手段となるべきであります。資産の運用環境が現段階で良くないことは事実であります。また、政権交代でも起きない限り、今後もこうした状況が続く蓋然性は極めて高いと思われます。 しかしながら、予定利率の引下げという非常手段に打って出る前に、保険会社がやるべきことはたくさんあるはずです。そうした会社の経営努力が現在どこまで進んでいるのか、また、今後どのような努力をしていくのかについての考え方や道筋が全く示されていません。 さらに、現段階では、利差、費差、死差といった保険会社の経営状況を判断する上での必要な経営情報公開は十分進んでおらず、また、将来において進むという見通しも立っていません。 こうした状況下で本法案の必要性を理解することは無理であり、少なくとも現段階において必要な法律でないことは明らかであります。 第二に、法案の枠組みに大きな問題があることです。 世の中にエコノミストとかアナリストと称して経済、金融の将来見通しなどについてもっともらしく論じる方はたくさんいるようです。しかし、それぞれが勝手なことを言い合っているだけで、たまたま予測が的中した人がいると、それを自慢するといったたわいのないことをやっているように思えます。大部分は弁舌にたけ、聞く耳を何となく信じ込ませてしまう技に秀でており、それだけに、余計世間を混乱させているアナリストならぬアナーキストと言った方がいいかもしれません。将来の見通しなど、お茶飲み話でするのは面白いとしても、基本的にだれも分からないことをしっかりと認識すべきであります。 仮にこの見通しなるものを前提とした制度を構築する場合には、それにふさわしい制度とする必要があるはずです。保険会社が作成し、金融庁がお墨付きを与える「保険業の継続が困難となる蓋然性」は、その判断のプロセスから考えても、かなり不確かなものと考えなければなりません。小泉総理の公約と竹中大臣の骨太方針と同じで、かなり不確かなものと考える必要があります。 一方、予定利率の引下げは、その前提条件が蓋然性という、言わば仮置きのものであるにもかかわらず、契約者の負担だけを固定してしまうことを意味します。 問題は、予定利率の引下げによって捻出された契約者の負担金がどうなるのかについての明確な法的規定がないことです。 蓋然性という不確かなものを前提とし、契約者に負担を求めることを認めた法案である以上、法律で、負担、すなわち予定利率の引下げのことでありますが、これが妥当であったかどうかのチェックを会社に義務付けるとともに、必要以上の負担を求めたことが判明した場合には、それを契約者に還付する旨の規定を設けるべきであります。このことに何ら触れずに、規定だけを用意するのは法律の不備としか言いようがありません。 こうした場合には、配当などで予定利率引下げ対象者へ還元することは可能、具体的な仕組みは法律に規定せず契約者と会社に任せるのが妥当との政府答弁でしたが、契約者保護とは全く裏腹の、契約者無視の態度と言わざるを得ません。会社がどのような使途に振り向けても構わないと言ったと同じことです。蓋然性をうまく使うことで、事実上、保険会社は実に便利な資金調達手段を得ることになります。この点の法案修正は必須であります。 また、予定利率変更対象契約者の意思確認を十分の一以下の異議申立てで全体同意とみなす手続も、会社の都合を優先し、契約者を無視したものであります。契約変更である以上、異議の申立てではなく、同意確認をすべきであります。また、同意確認に当たっては、契約者が自分の意思を決める前に会社に対し質問や意見を言える場を設けるべきであります。 第三に、法律の実効性であります。 そもそも、本音かどうか分かりませんが、保険会社の大半が事実上本法案は必要ないと公言している以上、それを素直に尊重すべきです。また、保険会社は、予定利率の引下げを行うことを決めた場合の、契約解除の増加、新規契約者の減少のリスクを恐れ、結局は予定利率の引下げには踏み切れないという指摘はかなり現実性があります。 政府からどういう場合に法案のスキームが有効なのかについての明確な説明もなく、ただ選択肢を用意したでは説得力を持ちません。逆に、法律の制定によって、国民に各種保険に対する疑心暗鬼と不信感だけを残してしまいます。 第四に、言葉による虚飾が目立つ法案だという点であります。 専門的な知識が必要な「継続が困難になる蓋然性」の妥当性の判断は、いかなる説明資料を作っても契約者にその判断を求められるものではないと知りながら、あくまで契約者の理解を得ると言い切る欺瞞。情報の非対称性を悪用し、金融庁お墨付きの、しかし実態はほとんど根拠のない会社の破綻という脅しの下、会社に有利な手続によって契約者からの負担を求める一方、契約者には意見や質問を申し述べる機会さえ与えない制度にしておきながら、なおこれを自治と言う厚かましさ。保険会社が契約者への契約不履行、すなわち契約プロテクトではないほごを政府公認で認める内容であり、かつまた、実態上は契約者が負担をして会社を破綻から防ぐという会社保護の法律でありながら、平然と契約者保護とラッテルを張る金融庁直轄の偽装表示。 第四の点に関しましては、行政の信頼性にかかわる問題でもあり、竹中大臣御自慢の駆け込み寺、コンプライアンス室の御意見を聞くことをお勧めします。 あくまで、会社による徹底した自助努力と、金融庁による厳格な検査と必要に応じた適正な早期是正措置の発動が基本であり、本法案の撤回を強く求めて、私の反対討論といたします。 長くなりました。失礼をいたしました。
○委員長(柳田稔君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 保険業法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(柳田稔君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(柳田稔君) 銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 発議者衆議院議員熊代昭彦君から趣旨説明を聴取いたします。熊代昭彦君。
○衆議院議員(熊代昭彦君) ただいま議題となりました銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 御承知のように、平成十三年にこの法律が制定されましたが、その後も実体経済の停滞により、株価水準は低迷している状況にあります。銀行等の保有株式の市場への売却が株価の下げ圧力となっているという見方がある中で、株式保有制限の導入の背景となった新BIS規制の導入が、当初予定の二〇〇四年から二年程度延期される見込みとなっております。 また、銀行等が事業法人株を放出する場合には、株式持ち合い関係を背景として、事業法人が銀行株を放出することが一般的であり、事業法人が保有する銀行株の市場への放出について対応することも必要であります。 他方、こうした株式の処分に対応するためのセーフティーネットとして設立された銀行等保有株式取得機構については、株式買取りの開始から一年半近く経過した現在でも、その買取り実績は二千億円強にとどまっており、関係者からは制度を利用しやすいものにしてほしいという要望が寄せられております。 この法律案は、このような銀行等をめぐる情勢にかんがみ、所要の改正を行おうとするものであります。 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、銀行等による株式等の保有を制限する規定の施行期日を、平成十六年九月三十日から平成十八年九月三十日に改めることとしております。 第二に、銀行等保有株式取得機構が銀行等の保有する事業法人株式を買い取る際に徴収することとされている買取り価額の八%に相当する拠出金を廃止することとしております。 第三に、銀行等保有株式取得機構が事業法人の保有する銀行株式を買い取る限度額は、銀行等が保有する事業法人株式の買取り額の二分の一となっておりますが、これを買取り額の同額まで緩和することとしております。 第四に、銀行等保有株式取得機構の定款に定めるべき解散事由を設立の日後十年を経過するまでの一定の期日の到来から平成二十九年三月三十一日の経過に改め、機構の存続期間を延長することとしております。 以上が、銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律の一部を改正する法律案の提案の理由及び内容の概要でございます。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(柳田稔君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午前十時二十一分散会