内閣委員会 第13号
- 発言数
- 218 件
- 登壇者
- 28 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2003/05/28
会議録
○佐々木委員長 これより会議を開きます。 第百五十一回国会、中山太郎君外八名提出、少子化社会対策基本法案を議題といたします。 提案者の皆さん、きょうは御苦労さまでございます。長時間でございますが、よろしくお願いいたします。 この際、お諮りいたします。 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府男女共同参画局長坂東眞理子君、文部科学省大臣官房審議官有本建男君、文部科学省大臣官房審議官金森越哉君、厚生労働省大臣官房審議官青木豊君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長岩田喜美枝君、厚生労働省年金局長吉武民樹君及び厚生労働省政策統括官水田邦雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○佐々木委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。星野行男君。
○星野委員 自由民主党の星野行男でございます。 去る五月二十三日にお述べになりました、本少子化社会対策基本法案の提案理由の御説明によりますと、「我が国における急速な少子化の進展は、平均寿命の伸長による高齢者の増加と相まって、我が国の人口構造に大きなひずみを生じさせ、二十一世紀の国民生活に深刻かつ多大な影響をもたらす」、「我々は、紛れもなく、有史以来の未曾有の事態に直面しているのでございます。」と述べられており、また、提出者の中山太郎先生は、このような少子化の進行は我が国というこの国が静かに沈んでいくことであると喝破されておられまして、けだし明言であると私は考えるところであります。このような危機感に立ちまして少子化社会対策基本法案を提出されました提出者各位に、深甚なる敬意を表したいと思います。 国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口によりますと、二〇〇〇年に一億二千六百九十三万人でありました我が国の人口が、二〇五〇年には七九・一七%の一億六十万人、二一〇〇年には五〇・五三%の六千四百十四万人になります。このような人口の減少は、当然のことながら、経済の縮小につながることでございましょう。 そして、二〇〇〇年には一七・四%でありました六十五歳以上の高齢人口が、二〇二五年には二八・七%、二〇五〇年には三五・七%となりまして、三・六人で一人のお年寄りを支えている現在でも世代間の受益と負担が論議されておりますのに、二〇二五年には一・九人で一人の高齢者を、二〇五〇年には一・四人で一人のお年寄りをそれぞれ支えていかなければならなくなるわけであります。次の時代を担う子供たちがこのような負担に果たしてたえることができるであろうかと考えてみますと、まさに背筋が寒くなるような思いがいたします。 そこで、まず、合計特殊出生率、一・三人台という少子化が続いた場合の我が国の社会保障制度に対する影響について、厚生労働省にお伺いしたいと思います。 いよいよ団塊の世代が年金の受給者に入ってくるわけでありますが、今後十年間の公的年金の受給者数と加入者数の増減の見通し及び年金総額の推移の試算をお示しいただきたいと思います。
○吉武政府参考人 平成十六年度の年金改革に向けまして、昨年十二月に厚生省の方でお示しを申し上げました「年金改革の骨格に関する方向性と論点」、いわばたたき台として提示をさせていただいておりますが、そこでの試算で申し上げますと、平成二十六年までの今後十年間で、まず年金制度を支えていただきます加入者の方々でございますが、これは、自営業の方、それから公務員、それから民間のサラリーマンの方、全体の被保険者で申し上げますと、人口減少の影響がございますので、約七千万人から六千五百万人という形になる見通しとなっております。 それから、厚生年金、民間のサラリーマンの方が加入していただいております厚生年金だけで申し上げますと、約三千三百万人から三千二百万人という見通しでございます。 それから、受給者の方々につきましては、今後十年間で、いわゆる老齢基礎年金、これは自営業の方、サラリーマンの方、共通でございますが、その受給者の数が二千四百万人から三千二百万人。それから、厚生年金は二階建てとなっておりますので、その報酬比例もお受け取りになる方々につきましては、一千万人から一千五百万人ということでございまして、先生御指摘ございましたとおり、団塊の世代が高齢者となってまいりますので、それに伴い増加する見通しとなっております。 それから、年金総額でございますが、これは、現在の給付水準をそのまま維持したということで計算を申し上げますと、基礎年金の年金総額が十七兆円から二十三兆円。それから、厚生年金の方、これはいわゆる基礎年金部分と報酬比例部分の両方を足した年金総額でございますが、三十二兆円から約四十四兆円へと増加する見通しとなってございます。
○星野委員 このように、受給者がふえていくわけであります。恐らく、これからの年金改正、大変な問題になってくると思いますが、さらに、実は、二十代、三十代の若者が、自分たちが年金の受給資格を得たころには年金を払う金がなくなっているんじゃないか、こういうことを言っておりますけれども、二〇二五年あるいは二〇五〇年、このあたりの年金制度のアウトラインというか青写真がもしありましたら、お示しください。
○吉武政府参考人 我が国の公的年金制度は、基本的には世代間扶養の考え方を基本といたしておりまして、これに積立金の運用収益を加味いたしまして、将来の負担をできるだけ低くしようという運営をやっております。 経済社会における現役の方々の生産活動、その成果の一部をその時点で高齢者の方あるいは障害者の方に移転するという仕組みでございますので、我が国の経済社会全体の生産活動が将来安定して営まれている限り、公的年金制度が破綻するということはないだろうというふうに思います。ただ、給付と負担の調整は、やはり全体の動向に応じて適切に図っていく必要があるだろうというふうに考えております。 それで、その端的な例を申し上げますと、先ほど申し上げました十二月の方向性と論点の中で、一つの方式を提示申し上げております。それは、将来の若い方の保険料の負担の上限を例えば年収の二〇%というふうに固定をする、それ以上は引き上げない、その範囲内で給付を調整するという仕組みを提示申し上げておりますが、これは、厚生年金で申し上げますと、現在、男性の平均が、ボーナスも月割りにいたしまして約四十万、現役の方は給与を受け取っておられまして、これに対しましてモデル年金が二十三万八千円という形でございます。この比率が五九%ということでございます。 それで、保険料率を固定いたしますと、出生なり経済の動向によって給付が徐々に調整をされるということになってまいりまして、二〇二五年までは、実は、支えとなります生産年齢人口の方は、ほぼ確定をいたしております。つまり、今、一歳、二歳の方が、将来、二十から入ってこられます。それで、そこまでは実は人口推計が低位、中位、高位でございましても約五六から五七という形でございますので、約二、三%を二十五年ぐらいかけて調整を進めていくという形になります。それ以降が、出生なりあるいは少子化の影響を非常に受ける形になってございまして、二〇五〇年で申し上げますと、人口研の今回の中位推計で申し上げますと、五二%という状態でございます。ただ、高位推計ということが仮に実現をすれば、先ほどの二〇二五年の五七%からそれ以上は低下をいたしませんで、五七%という状態になるだろうというふうに計算をいたしております。それから、逆に低位推計で申し上げますと四五%という形になってくる、そういう計算をいたしております。
○星野委員 時間がありませんので詳しく立ち入りませんけれども、これからやはり大変な状態になると思います。 それから、健康保険あるいは介護保険に対する影響について、簡単でよろしゅうございますが、お触れください。
○水田政府参考人 お答え申し上げます。 先生御質問のありました医療保険あるいは介護保険、これも概して申しますと、やはり高齢者を現役世代が支える、こういう構図になっております。このため、少子化の進行は、高齢化の進行と相まちまして現役世代の負担を高めるということになりますので、長期的に見ますと社会保障制度の持続可能性に重大な影響を与えるものであると認識をしております。 また、少子化の進行は、こうしたことにとどまりませんで、子供同士の交流の機会を減少させる、そういうことを通じて次代を担う子供の健やかな成長にも影響を与えることが懸念されておりますので、私どもとしましては、少子化の流れを変えるためのもう一段の取り組みということを着実に進めることが重要である、このように考えております。
○星野委員 はい、お願いします。 次に、子供を育てるのに大変な費用がかかるわけであります。このことを考えてみたいと思いますが、子供一人について、大学を卒業させるまで大体どのくらいの教育費がかかるのか、文部科学省の方からお願いします。
○有本政府参考人 御説明いたします。 文部科学省では、隔年ごとに子供の学習費及び学生生活費の調査を行っております。現在、使用可能なものとして平成十二年度のものがありますけれども、これを単純計算いたしますと、幼稚園から大学までに要する教育費用といたしまして、すべて公立の場合で約七百五十万円、それから、小学校のみが公立でそれ以外すべて私立という場合に千四百七十万円というふうになってございます。
○星野委員 合計で大きなお金がかかるわけでありますが、このほかに生活費がかかるわけですね。大学の場合、下宿した場合の生活費の平均でありますけれども、百三十八万三千五百円、四年間で合計五百五十三万四千円という数字が出ております。あるいはまた、一歳から十八歳までの生活費、例えば家庭裁判所の離婚の場合の子供の養育費などを参考に考えてみますと、一歳から十八歳までの生活費の合計は五百万を下ることはないのではないか、そんなふうに考えます。 そう見てみますと、生活費だけで一千万円以上かかるということになりますと、子供一人を大学に上げ、卒業させるまでに二千万から二千五百万かかるということが言えようかと思うのであります。若い女性で、子供を育てるということは親が貧乏することで、子供を持ちたくないという話を聞いたことがありますが、全くわからないことはありません。大変な費用がかかるわけですね。 そういうことで、子育ての支援ということが問題になるわけでありますが、厚生労働省にお聞きをしたいと思いますけれども、その前に提出者の皆様方に、この子育て支援という仕事の位置づけについて、お考え方を聞いておきたいと思うんです。 国家の構成要素は国土と国民と統治権力ということが言われているわけでありますが、万葉歌人の山上憶良は、 銀も金も玉も何せむにまされる宝子に如かめやも と詠んでおります。法案要綱の施策の理念で、子育てについて父母その他の保護者が第一義的な責任を有すると述べておりますことは否定するものではありませんけれども、人がいなくなっては家庭も地域社会も国家も成り立たないわけでありますから、私は、子供を育てる、つまり子育てを支援するということは、道路や橋をかける、いわゆる国土整備にまさる公共事業ではないか、そんなふうに考えるところであります。 そういうことにつきまして、子育て支援の位置づけについて、提出者のどなたかからお考え方を聞いておきたいと思います。
○中山(太)議員 星野議員にお答えを申し上げます。 今委員からいろいろと御指摘がございましたけれども、子を育てる支援というものは、国をつくるというよりも、公共事業の道路とか港湾とかやってきておりますけれども、私は、それにまさるものであって、この国家というか社会を支える国民の数が減ってくるということは、一国の衰亡にかかわる大きな問題であろうと考えております。
○星野委員 ありがとうございます。 それで、先ほど厚生労働省からお述べいただきましたように、この少子化が続いていくということは、我が国の社会保障制度に深刻な影響をもたらすということであります。そういう意味で、出生率のアップが必要なことは申すまでもありませんけれども、現状、子育てについての親の経済的な負担が大きい上に、女性の社会進出や核家族化あるいは地域社会の総サラリーマン化などで、家庭や地域社会の子育ての機能が低下しているところであります。 政府の方でも、この平成十五年度における子育て支援の施策あるいは予算、かなり真剣に取り組んでいると思うのでありますが、厚生労働省の方から、平成十五年度の子育て支援の関係の施策と予算の概要をお聞かせいただきたいと思います。
○岩田政府参考人 今先生おっしゃいましたように、都市化、核家族化によりまして子育てが孤立しているということがあるというふうに考えております。家庭や地域の子育て機能が低下いたしておりますので、これに対応して子育てを社会全体でバックアップしていくというようなことが重要な課題となっているというふうに考えております。 十五年度の予算の主要なものを申し上げますと、一つは、子育てと仕事の両立の負担をいかに軽減させるかというような観点から、保育所対策を推進しておりますが、待機児童ゼロ作戦ですとか、延長保育や休日保育といったような多様な保育ニーズに対応できるような保育サービスの整備に努めております。 二つ目は、経済的な負担の問題の御指摘がございましたけれども、我が国は児童手当制度がございますけれども、この児童手当制度を着実に実施していくということでございます。 三つ目は、共働き家庭というよりも、むしろ専業主婦家庭の方に子育ての孤立感、負担感が重いということもございますので、そういう専業主婦家庭も含めてすべての子育てをされている家庭に、地域でさまざまな支援サービスが届きますように、市町村が中心になって子育て支援総合コーディネーターを配置するという事業を今年度から始めようというふうにいたしております。子育て支援サービスの情報を一元的にそこで把握いたしまして、利用者に情報提供や利用の援助をするといったような仕組みでございます。 予算の金額でございますが、どこまでを子育て支援策に含めるかという技術的な難しさもございますけれども、例えば、医療の給付は除きまして、それ以外の児童家庭予算につきましては、一兆四千億という金額になっております。
○星野委員 厚生労働省がたしか昨年十月に少子化対策推進本部を設置されまして、積極的に取り組んでいるということについては、敬意を表しておきたいと思います。 ただ、この子育て支援の関係と、少子高齢化といいますが、老人医療とか老人介護その他の福祉の関係、この関係の予算の概要についてちょっと比較をしてみたいと思うのでありますが、お聞かせください。
○岩田政府参考人 先ほど申し上げましたように、医療の給付を除いた児童家庭関係の予算は一兆四千億でございます。老人医療、介護、そして基礎年金に要する予算を合わせました高齢者関係予算を見ますと、十兆四千億といったような金額になっております。
○星野委員 金額の字面だけで比較をするわけじゃありませんけれども、次世代を担う子育て支援に要する費用が一兆四千億、これに対して老人関係の医療あるいは介護その他の福祉関係予算合計が十兆円を超えるということは、随分大きな開きがあるというふうに思うのであります。 そこで、子育て支援についての経済的負担の軽減ということにつきまして、提出者にお伺いしておきたいと思いますが、法案の第十六条によりますと「国及び地方公共団体は、子どもを生み育てる者の経済的負担の軽減を図るため、児童手当、奨学事業及び子どもの医療に係る措置、税制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとする。」としてございますが、私は、先ほど申し上げた子供一人、幼稚園、保育所から大学を卒業されるまで二千万円からかかるという計算が出るわけでございますが、そういう経済的な負担を軽くするということが、どうしてもやはり子供を生み育てやすい環境づくりに必要だと思うのであります。 そういう観点から見ますと、今小中学校の義務教育は無料ということでありますが、人格形成に一番重要な幼児教育について、幼稚園とか保育所の父母の負担をゼロにすることを考えていくべきではないか、そんなふうに私は考えておりますが、提出者の皆さんの御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○西川(京)議員 失礼いたします。 星野先生のおっしゃること十分よく、同感の部分もあると思います。要するに少子化の、子供を育てる若い夫婦にとって、まず考えることに、この経済的負担というのは大変大きな部分があると思っております。 そういう中で、昨年来税調でも大変な論議になりました配偶者特別控除、これは廃止して、ぜひ子育てで一番大変な人たちにその税源を振り向けようということで、児童手当の見直しが図られまして、与党三幹事長で図られましたけれども、その中で、今まで就学前までだったのを引き延ばそうということで、六千億の財源の中で二千五百億の枠内でこれを充実するという方向が決まっております。 これは、その他の奨学金制度の充実、あるいは幼児期の子供の医療費が三割から二割に負担軽減というのが十四年度から行われておりますが、そういう政策と相まって、先生御指摘の幼稚園、保育園にかかる経済的負担の軽減ということと一致する政策だと思っております。
○星野委員 ぜひ頑張っていただきたいと思うのであります。 関連いたしまして、ここに書いてございます「子どもの医療に係る措置」ということがございますが、この関係で何か前向きに御検討されていることがございましたら、お伺いいたします。
○岩田政府参考人 前回の医療制度改革によりまして、三歳までのお子さんの自己負担に関し、それ以外の年齢の部分については自己負担が三割であるところを二割に抑えるといったようなことで、子供の医療費の負担の軽減を図っております。また、小児慢性疾患、非常に長い間病気とつき合わなければいけないという問題がございますけれども、そういう小児慢性疾患を抱えたお子さんですとか障害をお持ちのお子さんですとか、それから未熟児で生まれたお子さんですとか、そういった特に医療費のかさむ方については国の方で特別の助成制度を設けております。
○星野委員 そういうことで、子育てにかかる経済的な負担の軽減を図っていただいておることに敬意を表しますが、なお一つお願い申し上げたい。 今お話しいただきましたように、この子育て支援の十五年度の予算でありますが、約一兆四千億ということでありますが、老人医療、介護、福祉の関係が十兆円を超えるということであります。もちろん、長い間地域社会あるいは国家を支えていただいた高齢者に対する当然なその処遇だとは我々は思いますけれども、それはそれといたしまして、次の世代を担う子供たちを育成していくということも国家としての大変な必要な事業である、そう考えるところであります。 そう見てまいりますと、何も同額、同率にせいということじゃありませんけれども、高齢者医療あるいは福祉の関係の予算に少なくとも迫るような、やはり思い切った経済的な支援あるいはまた施策をとっていただくことが必要ではないか、そんなふうに考えておりますが、このことについて、中山太郎先生から御決意のほどを伺いたいと思います。
○中山(太)議員 先生御案内のように、高齢者に対する医療費は四十五歳ぐらいから上昇してまいりまして、やはり七十五歳ぐらいからピークに向かって八十代に入ってまいります。こういうことで、高齢者医療について約十兆円の経費が必要でございますけれども、子供の成長期であるゼロ歳から五歳、四歳ぐらいまでの間の人たちは非常に健全でありまして、その中で、その人たちが医療を受ける場合、負担を軽減するということで二割負担ということに相なっていると思いますが、政府は引き続きこのような、子供たちが、次の世代が立派な日本人に育っていくように、あらゆる努力をし、それに向かっていかなければならないと考えております。
○星野委員 ありがとうございました。 次に、雇用対策について伺っておきたいと思います。 法案の第十条には、仕事と子育ての両立の視点から雇用環境の整備を図るとしておりますが、それはそれとして結構でありますけれども、現在、失業率が五・五%、三百八十万人の人が失業しているという状況であります。しかも、若者のフリーターが百九十万人もいるということでありまして、高校、大学などの学卒者の就職難が大きな社会問題になっているところでございます。 経済のグローバル化の中で、ここ十年来、あるいはもう少し前になりますけれども、日本の優良企業はどんどん海外に進出をして、そして国内産業の空洞化を招いた、その結果、中小企業などの倒産あるいは事業所閉鎖、失業ということが多くなっていることは、御案内のとおりであります。 私は、このようなグローバル化あるいはボーダーレスの時代ではありますけれども、それであるからこそ、やはり国内の産業の立地政策を国がしっかりととっていくことが必要ではないか。企業の海外移転を野放しに、放任していくということは、私は、少し言葉はきつくなりますけれども、亡国政策につながるのではないか。それが結果的には財政破綻を招いているということにもなっているわけでありますから、非常に重要な問題であると思うのであります。 そのあたりのこれからの産業政策あるいは産業立地政策について、提出者の先生方、どなたかからお答えをいただければありがたいと思います。
○近藤(基)議員 星野先生の大変御貴重な意見、ありがとうございました。 本法案の第十条第一項で、子育てと就業の両立を容易にする雇用環境の整備を図るということを規定しております。ただ、一方で、星野委員御指摘のとおり、昨今の経済のグローバル化で、日本企業が海外に進出し、産業の空洞化とか、あるいは、大変厳しい経済情勢と相まって倒産、失業、あるいは自殺、あるいは就職難という、大変失業率の高いことになっております。かてて加えて、国及び地方の財政が非常に困難な、深刻な状況となっております。 ですから、この法案において、縦割りの行政というものをできるだけ排除して、創業、起業、いわゆる会社をつくったりあるいは新たに会社を起こしたりする、そういった支援、あるいは、星野先生御指摘のとおり、産業立地政策というものを大胆に見直して、日本企業の国内立地を促進して、そして若者に対する雇用機会を拡大するということは、少子化対策においても大変重要なことだと考えております。 ですから、少子化対策に関連しましては、縦割りの行政というものではなく、それこそ政府一体となってあるいは国家全部で考えなければいけないということで、基本法という、そういった理念を先に制定して、その後、各法においてそういった起業あるいは雇用をなお一層拡大できるような法案とさせていただきたいと思っております。
○星野委員 貴重な御答弁、ありがとうございました。 以上で終わります。
○佐々木委員長 以上で星野行男君の質疑は終了いたしました。 次に、小宮山洋子君。
○小宮山委員 民主党の小宮山洋子でございます。 私は、最初にこの法案が提案をされてから既に何年もたっておりまして、幾つかの点では具体的な対応がなされていると思っております。ですから、今なぜこの基本法が必要なのか、多くの面で危惧をする点が多いこの基本法は要らないという立場から質問をさせていただきたいと思います。 まず、基本的な考え方について伺います。 今なぜ基本法が必要なんでしょうか。具体的な政策を個別法でする方がよいのではないかと思いますが、その点をお答えください。
○中山(太)議員 今委員から御指摘のように、この基本法がなぜ必要かというお尋ねでございますが、各法でやりますというやり方も、もちろん先生のおっしゃるとおりございます。しかし、社会全体の構造が大きく変化していって、国家の将来というものが隆昌に向かう傾向は見られないと思います。 だから、総合的に、国民それぞれが、今の状態でいけばこの国がどうなるかということの認識を深めて、そして子供たちを立派に育てていくということをやるための必要な施策を、この基本法をもとに関係各省庁が協力しながら個別法を立てていくことが大切であろう、このように存じております。
○小宮山委員 この少子化の問題、子を産むか産まないかということは、個人的な価値観にどこまで国が関与をすることができるのかという非常に微妙な問題だと思っています。特に、女性たちから、このことによって人口政策の対象にされるのではないかという危惧の念がどうしても払拭できないんですが、その点についてはいかがでしょうか。
○中山(太)議員 委員のお尋ねは、国が戦前行いましたような産めよふやせよの政策をとるのではないかという御趣旨も含まれていると存じておりますけれども、現在、そのようなことを考えるべきではない。国としては、子供が欲しい、子供を育てながら仕事をしたい、こういった御婦人のために、必要な保育の施設あるいは手当の減額の問題、税制の控除とかいろいろな問題を含めて、働く婦人たちが喜んで社会で男性とともに社会活動を行えるような体制を整えることが極めて重要である。子供を産む、産まないは御本人の御意思でございまして、あくまでも御本人を中心に私ども政府はやるべきであろうということを、議員立法提出者としては考えてきております。
○小宮山委員 産む、産まないは本人の意思、これはもう当然なことだと思うんですけれども、議連の会長でいらっしゃる中山議員はそうおっしゃいますけれども、そうはいっても、やはりこの文面を見ますと心配な点が幾つかあるんですね。 人口問題につきましては、一九九四年のカイロ会議で行動計画が採択されておりますけれども、その中のかぎになっているのが女性のエンパワーメント、女性が力をつけて、子供を持つか持たないか、またどういった間隔で持つかなどの自己決定をすることが、途上国での人口爆発あるいは先進国での少子化問題解決のかぎだということが確認をされているわけですね。その中でも、女性を人口政策の対象とするのではなく主体とするということで、今おっしゃったことからだけだと、この文面とちょっとずれがあるというか、この法案を見ますと、どうしてもそのことに対しても抵触するのではないかという危惧があるんですが、重ねて伺います。
○中山(太)議員 私もカイロ会議に出ておりましたけれども、委員御指摘のような注意は十分払っていかなければならないと思います。 あくまでも、御婦人の人生の中で、自分が子供を産み、そして育てていきたいということについての社会的な障害があってはならない、それに社会が、その御婦人が立派な人生を送っていただけるように子育てを支援していくという考え方でやっていくべきだと考えております。
○小宮山委員 そして、もう一つ、別の角度から、基本法という法律の形について、ちょっと法制局の方に伺いたいと思うんです。 この法案は、どう見ても、子を産むというところに偏り過ぎているように思われます。現在、子供が欲しいのに十分に働くことができなくなるなど、自分らしく生きられなくなる、子供を持てない原因というのはさまざまあると思うんですね。 基本法というのは、もっと広く枠組みとか土台になるものを決めるものであって、私も男女共同参画基本法づくりをした一人なんですけれども、それをするときに、もっと、男女共同参画の社会をつくるためには、職場ではこういうことをする、あるいは税制、社会保障はこんなことをする、いろいろな制度、慣行についてはこういうことをするというのを具体的に盛り込みたかったんですね。そのとき、さんざんやりとりをしたときに、枠組み法でありますから、基本法というのは個別具体的なことは書いてはいけないと強く言われまして、断念をしたことがございます。それなのに、この中では不妊への対応などが事細かに書いてあります。これは、私が以前、男女共同参画基本法をつくるときに伺った基本法という形からは随分違うのではないかという印象があるんですけれども、法制局はどのようにお考えですか。
○鈴木法制局参事 お答えいたします。 ただいま先生がおっしゃいますように、基本法といいますのは、重要な国政分野について、その施策の基本的な方向あるいは理念あるいはその施策を推進するための体制等について定めるものでございます。現に、この法案におきましても、第一条で、その目的として、少子化対策のために講ずべき施策の基本となる事項を定めるものというように規定しているところでございます。 御指摘の、十三条二項の不妊治療を望む者についての規定でございますが、これは、子供を望む方が必要な保健医療サービスを受けられるよう情報提供、相談等の施策を講ずるということが少子化対策として必要であるということを認識して、第二章の基本的施策として規定しているものと承知をいたしております。
○小宮山委員 それでは私が聞いたことの答えになっていません。私が前に伺った、男女共同参画基本法をつくるときに個別的なことは基本法には盛り込めないと言われたことと、今回不妊治療などが細かく盛り込まれていることとはどう違うんですかということに答えてください。
○鈴木法制局参事 お答えいたします。 繰り返しになって恐縮でございますけれども、この法案におきましては、先ほど申し上げましたように、不妊治療を望む方についての規定も基本的な施策として規定するのが少子化対策の環境整備として必要である、そういう認識に立って、基本的施策の一つとして位置づけられているということでございます。
○小宮山委員 それでは答えになっていないと思います。 私が言いたいのは、今のような、例えば前に男女共同参画基本法をつくるときに、職場は職場の法律で、それから税制は税制の法律でと言われたように、今回もそういう考え方でいくのであれば、もっと個別の、職業生活と家庭生活が両立するためにもっと職場でどうしたらいいかとか、もちろん不妊治療のことは是非がございますけれども、そのことも含めて医療面ではどういうことが必要なのかとか、個別法でやった方が今の時代には合っている、今さら基本法をつくってやる問題ではないのではないかと私は思うんですが、これは、提案者、いかがでしょうか。
○荒井(広)議員 先生から御指摘ございまして、この法案の成立過程でも、実は、かなりの議論になりました。 むしろ、各法で対処するよりも、横のつながり、先ほど中山会長からもありましたけれども、連携を密にしていないがためにさまざまな課題が残っているのではないかというところに私たちは着目しておりますので、一つの理念や方向性を大きく打ち立てまして、そのための体制も当然、総理が会長になりまして、体制づくりをするなどを含めて入れているわけでございます。 むしろ、各法をきちんとするためにも、各省にまたがり、そして理念をしっかりし、そういったところに効果が上がるものが出るのではないか。その意味では、先生御指摘のような意味で、各法の成果を上げる、実効性をもたらすためにも、総合的な考え方、各省庁連携をさせるという体制が必要であろうということで、この法案は立てている次第でございます。
○小宮山委員 個別の法律は、閣法でなくても議員立法でもいいと思いますけれども——カク法というのは、個別の各、それぞれの各という意味ですか。個別の法律で対応することの方が私は望ましいと考えております。 それでまた、ある程度譲って、これを基本法としてつくるといたしますと、懸念がかなり多い。もちろん、そういう各省の連携というのは、子育て、子供についても必要だということは私も思いますけれども、基本法というのは、それができたから何が具体的に進むというものではないですね、性格上。みんながその基本理念を共有することによって個別のことがうまくいくように、今お話しのようにしていくものだと思うんですが、そういう雰囲気づくりというか土台づくりをするには、余りにも懸念材料が多い法案だというふうに思います。 それぞれの懸念材料について、この後、伺っていきたいと思います。 まず、前文と基本理念に、「家庭や子育てに夢を持ち、」とあります。また、少子化に歯どめをかける、これも前文にございます。これは、最初に申し上げたように、個人が決定すべきことに国がやはり干渉をしているのではないか、そういう懸念がございます。 少子化というのは、確かに、持ちたい人が今持てないというのは、私は、それはよくない。持ちたい人が安心して育てられるように、国もいろいろな自治体も事業所もやるべきだと思っておりますけれども、歯どめをかけるというのは、少子化ということはいけないことであって、何とか歯どめをかける対策を考えなきゃいけない、そういうようなことが盛り込まれているように思いますし、家庭や子育てに夢を持つかどうかというのは、これはそれぞれの個人や家庭の主体的な判断であるので、こういうことが前文、基本理念にあると、ああ、やはり家庭や子育てに夢を持つようにみんながしなければいけない、それを強制している法案だととられかねないのですが、その点についてはいかがでしょう。
○五島議員 先ほど中山会長からもお話ございましたように、この法案は、基本的に人口政策ということを全く考えておりません。ただし、少子化社会というものに歯どめをかける必要があるかどうかということについては、歯どめはかけなければならないもの、それを推進していい状況とは考えておりません。 したがいまして、子供を生み育てていく、そうしたことについての障害となっているものを広範に除去し、そして、そういう環境を整備することによってそうした問題を解決していこうという考え方をとっているわけでございます。 また、先生おっしゃっておりますように、個別法というものでの対応も必要でございますが、この基本法の中におきましても、具体的な施策において、例えば第二条の第三項、そうしたところにおいて、施策の基本理念として、子供たちがどのように健やかに育つことができるかというところを述べておりますし、第十四条におきまして、子供たちに対するさまざまな文化体験、スポーツ体験、社会体験といったようなもの、あるいは子供が育つ環境を整備するために必要なこと、あるいは、第十五条におきましては、子供が犯罪や交通事故その他の危害から守られる地域環境を整備するまちづくりといったようなことをこの法案の中でも述べているわけでございまして、決して、おっしゃるように、人口政策として子供を産めというふうに強制する、あるいはそういうことを強く女性に求めるという内容にはなっていないものというふうに考えています。 あくまで、すべての個人がみずから結婚や出産を望んだ場合には、それが妨げられることのないように、そうした妨げとなっている社会の意識や慣行あるいは制度を是正していきたい、そして、子育てを支援するための諸施策は、総合的かつ効果的な推進を図ることを目的とするという内容になっているものでございます。 当然のことでございますが、国家が干渉することで、妊娠、出産といった個人の自己決定権を制約したり、個人の価値観の多様性を損なうということについては、あってはならないことと考えておりますし、そのようなものにはなってはおりません。
○小宮山委員 中身のことじゃないですが、先生と言わないでいただきたいんですね、委員で結構だというふうに思っております。 中身のことでございますが、今、人口政策ではない、つくられた方は意図していらっしゃらないかもしれませんけれども、これを読んだ多くの女性たちは、やはり人口政策になるのではないかという危惧を持っている。そうだとすれば、多くの人が納得できる内容に文言を変えたらいいのではないか、そのように思っております。例えば、結婚、出産は個人の決定にゆだねられるものであるが、子を持ちたい人が安心して生み育てられる社会にしていく必要があり、そのためには社会的な支援が必要であるとか、そのような文言の工夫がもっとあっていいというふうに思います。 それからもう一点は、先ほど、歯どめはかけなければいけないとおっしゃいましたが、歯どめをかけるというのは、国がやはり何らかを上からして歯どめをかける。そうではなくて、私が言いたいのは、一人一人が安心して子を持てる環境を、こういう例えば基本法によってそういう理念をあれしてつくっていくということであれば、そのことによってみずからが安心して産むようになり、結果として歯どめがかかるということなら、歯どめにもこだわりますけれども、表現としては、歯どめがかかるんならいいんですが、歯どめをかけるというのは、やはり上から政策としてかけていくというふうにとられかねないと思うんですが、簡潔にで結構です、一言お答えください。
○五島議員 もちろん、歯どめがかかるか、かけるかという議論というのは、おっしゃっている意味はよく理解できます。しかし、国が、人口政策ではなく、子供の生育に必要な、あるいは子育てをすることについて経済的にも社会的にも不安のないような施策をとっていくということを指して、歯どめをかけるというふうにしております。
○小宮山委員 なかなかそうはとられていないのです。 それから、次の点ですけれども、「生命を尊び、」という表現が前文に、それから第十七条には、「生命の尊厳」とあります。これは、一番最初の議連の案にはなくて、途中から挿入をされたと私は認識をしております。 生命はもちろん大切です。とうとばなければいけません。ただ、この生命の尊厳という表現は、プロライフの考え方の方がいつも使われることで、どんなことがあっても中絶は許さないというときに使われる文言になっています。そうなりますと、これは、カイロの行動計画の中にある安全な人工妊娠中絶ができるということに反することになると思うんですね。生命が大切なことは言うまでもありませんよ。ただ、この表現ぶりがそういう考え方にとられるというか、とることができるんです。 この文言は当初どおり入れる必要はないのではないかと思いますが、この点はいかがでしょう。
○肥田議員 小宮山議員も御存じのように、子どもの権利条約、日本は批准しておりますけれども、その中に、すべての子供が「生命に対する固有の権利を有する」とございます。そして平成十二年には、議員立法で児童虐待防止法も制定されたところでございます。 生命に対する尊厳、大切さというのは小宮山議員も私もまさに共有するところでございますけれども、それがやはり今、口論の末、殺人事件を起こしましたり、お金欲しさに人の命をとったり、子供たちの世界にいじめもございます。児童虐待はさらに深刻になっております。命に対する畏敬の念がどんどん欠如してきている、そういう社会であるということもやはり私たちは危惧するところでございますので、この文言を入れたわけでございます。これは、私としては、普通に生命の尊厳の重要さを強調したというふうに理解しております。 中絶するかどうかはまさに御本人の自己決定の問題でありますし、本法案が自己決定を妨げるものでないことは、申し上げるまでもございません。そして一方、十代の女性に中絶を受ける人たちがたくさんいて、健康障害が起こっておる。それに対応できるカウンセリングサービスとか保健サービスも、女性の生命の尊厳を守るためにはやはり必要だと思っております。ですから、私は、これをもう少し普通に読みたいなというふうに思っておりますけれども。 それで、これは私の考えなんですが、女性意識の変化がございまして、育てることができないけれども産むことができる人、それから、産むことはできないけれども育てることはできる人、そういう傾向もふえてくると思いますので、新しい選択肢としてお互いに考えてまいりたいと思っております。
○小宮山委員 ごく普通の生命の尊厳といってもそうとれないと考えている人も多いので、やはりそこは御考慮いただきたいと思うんですね。 確かに、中絶の問題にしても、どこから生命かというのはクローン禁止法をつくるときにも大変議論をいたしましたし、後ほど触れたいと思っています不妊治療とか、生命についてどこまで、どういう形を日本の国として認め、法的枠組みをつくっていくかというのは、やはり非常に大きな問題だと思っています。これは生命倫理、生殖医療、いろいろなことについてですね。そうした枠組みをつくることは大きな議論をする中でやっていかなければいけないと思うんですが、あくまでも生命の尊厳というのは、先ほどのプロチョイス、プロライフという大きな対立がある中で、プロライフの皆さんがいつも、通常使われる言葉であるということには非常にひっかかります。 ですから、先ほどおっしゃったような、命は大事だ、それはもう同感なんですけれども、この法律の中でもしこういう趣旨を盛り込むのであれば、この言葉ではない言葉を選んでいただきたい、それは強くお願いをしたいというふうに思っています。 それから次に、第六条の国民の責務に「国民は、家庭や子育てに夢を持ち、かつ、安心して子どもを生み育てることができる社会の実現に資するよう努めるものとする。」とありますけれども、国、地方公共団体、地域社会、企業など社会全体が安心して生み育てられるように認識を深め、努力をしていくということはそうだと思いますが、国民に対しては、これは余計なお世話だ、そこの結婚とか家庭生活に一歩も二歩も踏み込んでいるのではないか、だからこれも、こういう法律の中でこういう文言の国民の責務を入れるというのはやはりなじまないと思うんですが、いかがでしょう。
○五島議員 今、小宮山さんがおっしゃったように、国、地方自治体、事業主の責務というものも定めております。そして、少子化対策が社会全体の責務であることは、御指摘のとおりだというふうに思います。国、地方自治体がその対策を講じる責務があるのはもちろんでありますが、国民の側も、この少子化社会の現状を理解して、安心して子供を生み育てる環境をつくっていく、そういうふうな努力をすることは当然だろう。事実、そうしたことに資するさまざまな子育て支援あるいは介護といったような形のNGO、NPOの市民活動も盛んになってきています。そういう意味で、サービスの受け手となる国民の責務もあわせて規定したということでございます。 なお、基本法では国民に努力義務を課すことは一般的なものであって、本法が特別なわけではございません。
○小宮山委員 基本法に国民の責務が通常入るということは私も知っております。ただ、その読み取り方がいろいろあるのかとは思いますけれども、家庭や子育てに夢を持つかどうかというのは、それはやはり個人の自由なんですよ。子供を持っている人が安心して子供を生み育てることができるように持っていない人も努めるというのはいいかもしれませんけれども、「家庭や子育てに夢を持ち、」ということを国民の責務に入れるということは、私はやはり違うと思うんですが、いかがですか。
○五島議員 そうした「夢を持ち、かつ、安心して子どもを生み育てることができる社会の実現に資するよう努めるもの」というふうに書いてございまして、国民が家庭や子育てに夢を持つか持たないかは勝手だから、そうした環境をつくることに対して国民は知らないよというふうな話ではないのではないかというふうに私は思っております。
○小宮山委員 このことだけ議論していてもしようがないんですけれども、これは読み取り方で、私が申し上げたように読み取る人もいるんですよ。結構多いんですよ。これは調査でもしていただければわかると思いますけれども、特に女性たちにそういう声が多いです。そういう懸念される表現を国民の責務と入れることはやはり賛成できない、これは削除をしていただきたいというふうに思っております。 次に、一つの大きな争点になっておりますというか論点になっております十三条のところへ行きたいと思いますけれども、十三条の母子保健医療体制の充実等、そこの二項に「不妊治療を望む者」「不妊治療に係る情報」「不妊相談」「不妊治療に係る研究」と、不妊という言葉が二行の間に四回も出てくる。ここには何の意図があるんだろうということを考えざるを得ません。また、今、与党で提出をされているのかされるのか、不妊に悩む方に保険を適用できないかとか、そういう個別の課題があることはわかります。これにも賛否両方あります。 ただ、これだけ、最初にも申し上げたように、基本法、枠組み法なのに何でこの不妊のところだけ突出する形で二行の間に四回も個別のことが出てくるのか。これはやはり不妊の人は治療をして産めよふやせよと言っているととられかねない表現だと思うんですが、いかがでしょう。
○福島議員 この基本法の中にさまざまな施策が位置づけれられているわけでございますが、その一つとしてこの不妊治療に関しての施策も位置づけられている。基本法の中で個別の施策を位置づけるのはいかがなものかという御指摘がございましたけれども、各省の所管するところの事業を総合的に進めていくことが必要だ、そういう考え方に立って構成されているわけでございます。そして、四回出てくるということでございますが、これは、特段この四回、数を多くしなければいけないということで書いているわけでございませんで、一つ一つの施策を順次書いていくとこういう文章になったということでございます。 そして、もう少し申し上げますと、不妊治療をこれだけ強調するということは、強制したいんじゃないか、そういうやましい思いがあるんじゃないか、こういう御指摘じゃないかというふうに思いますけれども、私、決してそんなことではないというふうに思っております。もちろん、不妊治療というのは、望む方がその治療を受ける、そうであるべきでございます。ただ、一方では、現に不妊治療を受けておられる方がさまざまな悩みといいますか、困難を抱えておられるということも事実だと思っております。 一つは、例えば体外受精ですとか顕微受精といったような不妊治療というのは、必ずしもその成功率が高いわけではございませんけれども一回当たりの費用の負担というのは大変大きい。そしてまた、成功率が必ずしも高くないということから、複数回繰り返すとなると、家庭にとっての負担というのは相当大きなものにならざるを得ないと思っています。 こうした方からいろいろとお話をお聞きしますと、何とかそうした負担というものを軽減していただけないかと。それは、御本人の選択として、自己選択として子供を持ちたいと。その自己選択権というものを実現するに当たって経済的なハードルがあるというわけでございまして、そういうハードルというものを社会がバックアップすることによって下げてあげるということは、自己実現にこれはまた資するということだと思っています。 また、逆にこの不妊治療が強制されるのではないかという御指摘でございますけれども、現に子供のない御夫婦の方というのは、周りの方からいろいろなことを言われるということも事実でございます。ですから、単に治療を受けるといいましても、心理的なさまざまな葛藤ですとか負担ですとか、そういうものに対して対処するということも同時に大切でございまして、ですから、普通の医療的な治療を受けるということとは違った側面があると思っています。 ですから、この相談事業ですとか情報の提供ですとか、どこに行けば安心して治療を受けることができるのか、これも情報が錯綜しておりますから、そういったことの整備というのはまた自己選択に基づく自己実現に資する話だと私は思っております。 そのようなことから、このような条文とさせていただいた次第でございます。
○小宮山委員 やはり不妊治療がこれだけ行えるのだから、子を持てない人に不妊治療を、言葉に出すか出さないかは別にして、もっと強制する、あるいは、子を持たない判断をした人が、それを暗黙のうちに非難されるということを心配する声が当事者の方からもあるんですね。 現在、全国に会員が五百人いる、これまで会にいたことがある人が六千人から七千人いるフィンレージの会という、不妊に悩む人、不妊の問題を抱えた人のためのセルフヘルプ、自助グループがございますけれども、そこからも「以下の理由から、私たちはこの「少子化対策基本法案」に反対いたします。」という意見書が届いております。 その中で、いろいろ細かく書いてあります。「私たちは「子どもがいなくても誇りをもって生きられる社会」を願います」というようなこととか、その中で、この不妊治療について「不妊治療についての正確な情報提供や相談先の充実は大切ですが、それが産むことの奨励、不妊治療の奨励であってはなりません。今回の法案および第十三条2の条項は、子どもが欲しくともなかなか子どもができなくて悩んでいる人たちをさらに心理的に鞭打ち、不妊治療に追い込むことになります。」当事者の方がそういうふうにおっしゃっているんです。 ですから、やはりこれは改めるべきではないかと思いますが、いかがでしょう。
○福島議員 そうした御指摘のありますことも存知していないわけではございません。 ただ、また一方では、不妊治療を受けておられるたくさんの方がおられますけれども、さまざまな治療を含めれば三十万人ぐらいになるんでしょうか、そうした方から、支援の体制をもっとしっかりやってほしいと。この経済的な支援というような課題については、先般与党で合意をいたしましたけれども、今まで要望がありましてもなかなか実現をしてこなかったことでもございます。ですから、一方では、法律の中に定めることによって今以上に施策を充実してほしいという声があるということも事実である。 ですから、その両方をとりますと、こうした施策が充実をしたとしても、フィンレージの会の方々がおっしゃられますように、それが不妊治療を受けるということに対して周囲からの圧迫にならないような社会にしていかなきゃいけないと思いますし、そしてまた、そうした社会の理解というものも深めていく必要があるんだろう、そんなふうに思っております。
○小宮山委員 そうした社会にしていかなければならないんですけれども、当事者の方がこういう危惧を持っていらっしゃる。 今現にお話があったように、保険の対象とすることに対しても賛否がやはり同じような理由からございますけれども、今現に、この基本法がなくてもそういうことをなさっているではないですか。そうしたら、そういうことを書き込む基本法というのは、私はやはり必要がないんじゃないか、やるとしても個別のもので対応すれば、今現にやっていらっしゃるわけですから、いいのではないかと思っています。 ちょっと残り時間があるので、また次のことを質問させていただきたいと思うんです。 やはりここにあるように、母子保健ということで、日本ではずっと子と一緒に母だけが守られてきたという言い方もできると思うんです。そのことが少子化を招いているという言い方も私はできると思います。 ですから、もしこういう基本法をつくるのであれば、例えば、教育啓発の中でもどこでもいいんですけれども、生涯を通した女性の健康、性と生殖に関する健康といっておりますけれども、リプロダクティブヘルス・ライツ、そういう性教育から初潮、避妊、不妊、妊娠、出産、人工中絶、性感染症、更年期など、細かく言えば十何項目あると思うんですが、そうしたトータルなものについての認識をしっかりと深めるようなことも盛り込む必要があるのではないですか。
○五島議員 その点については、小宮山さんのおっしゃるとおりであると思います。 特にこの不妊の問題につきましても、この法律の中に書いておりますのは、不妊治療そのものについてではございません。若干の誤解があるのではないかと思いますが、不妊治療に対するいわゆる情報の提供や相談というものと研究に対する助成等をこの中ではとりわけ書いております。 そして、今日、夫婦の間における子供が非常に減ってきているその理由、その原因の中に、小宮山さんのお話は、女性の方に原因する不妊がふえているというふうにお考えなのかなというふうにお伺いしました。事実、それはクラミジア等々の感染によって一部ふえております。 それ以上に大きな問題は男性不妊の問題でございまして、この点はむしろ環境その他との関係の非常に大きなもの、そういう意味においては、個々の不妊治療をどうするかというのは、与党の方で御議論なさっているようですけれども、ここでとらえているのは、こうした大きな不妊というものが社会全体、若いカップルの中に非常にふえてきている、それをどうするかということは、やはりきちっとした研究と対策をとるべき課題であるというふうに考えております。
○小宮山委員 もしも不妊についてこれだけ事細かく入れられるのであれば、それに対して第五条の事業主の責務、これは余りに抽象的なんじゃないでしょうか。それだけ個別に書いていくのであれば、子供を持っても仕事と両立できる、安心できるという内容を入れていいのではないか。不妊治療に対する丁寧な書き方と比べて、余りにそっけないという印象を持ちます。 例えば、育児休業を男女ともにとれるようにすること、それから労働時間の短縮、また真のワークシェアリング実現のための同一価値労働同一賃金の法整備など、多様な働き方をきちんと特に子育て中保障できること、それから家族的責任を持つ労働者へのILOの一五六号条約に基づく保障とか、権利としてとれる看護休暇とか、これに倣って細かくやりますと幾らでも出てくるのでございますけれども、そのあたりはいかがでしょう。
○肥田議員 今、小宮山議員がおっしゃったとおりなんですね。ですから、雇用慣行についての個別の法案につきましては、来年度には育休法の見直しなんかも出てまいりますので、こういうところでしっかりとした対策を立てていただきたいし、頑張っていきたいと思うわけでございます。 時間が迫っていますから、これで切ります。どうぞ。
○小宮山委員 御配慮いただいてありがとうございます。 この法案がつくられまして、議連ができて六年ぐらいだと思いますが、最初に衆議院に提出されたのが一九九九年の十二月で、それから三年半もたっております。その間に、社会も意識も変化をしましたし、法案とのずれが出ている。さらに、今私が幾つか抜粋して申し上げましたが、多くの懸念が持たれている。今回、次世代のための法案とセットと言われていますけれども、これはセットにする必然性は全くなく、もし基本法をつくるとしても、改めて必要な事項を検討し直す必要があるのではないか。 私は、あくまでも個別法でいいと思っているんですが、もし基本法をつくるとしても、その雰囲気とか枠組みをつくるためにこれだけ危惧の多いままつくることはちょっとよくないのではないかと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
○五島議員 御指摘のように、時間が経過しております。その間における社会というのは、ますますこの問題を深刻化させてきているというふうに考えています。 そういう意味においては御指摘のとおりでございますが、少子化という問題に対して、一層急速に進行しているという状況の中で、この基本法の制定というのは時宜にかなったものだというふうに考えています。社会の変化に対応するということは、逆に、個別の法律によることが可能であって、そうすることの方が時代に即応した施策が可能なのではないかというふうに考えています。 この法律はあくまで基本法でございまして、役割は少子化対策の諸施策の基本方針を定めるというところに目的があるということで、今なお有用であるというふうに考えております。
○小宮山委員 申し上げましたように、ちょっと一部だけが突出して、基本法として私が認識しているあるべき姿とはちょっと違っている点がございましたり、この質疑の中でも、この基本法によって、本来個人が自己決定するべき、子を持つかどうかがやはり政策の対象として考えられているのではないかという懸念は払拭されません。 心配を持たれる反面、今の時点で、基本法で、具体的なことはそれからやっていくわけですから、基本法をつくる必要があるのかというと、私はやはり個別法で対応すべきだ、何歩か譲って基本法をつくるとしても、やはり新たに出直してやるべきだと申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
○佐々木委員長 以上で小宮山洋子君の質疑は終了いたしました。 次に、石毛えい子君。
○石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。小宮山委員に引き続きまして、質問をいたします。 まず最初にお伺いいたしますけれども、やはり、小宮山委員も発言しましたように、多くの女性が、特に私のような戦争を知っている世代、それから個別具体的には、不妊という状態にあるような方々、あるいは自分の人生の実現と子供を育てることに悩んでいる方々、いろいろな方々が、この法律がひとり歩きし始めれば、子産み子育て奨励策として生き方を規制されるのではないかという強い懸念と不安と、不信といったらよろしいんでしょうか、そういう思いを持っているということは事実でございますし、提出者の委員の皆様にもそういう声は届いているかと思いますし、改めて私も、ここでそのことに触れておきたいと思います。 そうした思いや考え方を持ちましてこの法案を読みますと、何か、どちらが目的でどこが施策の内容なのかということの、因と果の関係が余り明瞭ではないのではないかという、まずそういう感想を持ちました。 そこで、まず最初の質問でございますけれども、この前文の部分は「急速な少子化の進展は、」間、少し抜きますけれども、「二十一世紀の国民生活に、深刻かつ多大な影響」、また、こういう表現もございます。「少子化という、社会の根幹を揺るがしかねない事態」、こういう記述がされているわけですけれども、では、それはどういうことなのかという具体的な記述はございません。 先ほど提出者の中山委員は、日本の国家の衰亡にもかかわるという、大変抽象的なといいましょうか、集約的なという表現の方がよろしいでしょうか、御説明をされましたけれども、この「国民生活に、深刻かつ多大な影響」とか「社会の根幹を揺るがしかねない事態」というのは、法案作成者、提出者としましてはどのようなことを含意されているのか、この法案の意味、あるいは今なぜ少子化対策なのかというようなことを、まず総括的にお伺いしたいと思います。
○中山(太)議員 委員が御自身でおっしゃいました、戦前の日本という中での日本婦人の生き方、また戦後の日本婦人の生き方というものには大きな差が出てきております。当然でございまして、女性の権利というものが確立されているということのもとで、私は、現在の少子化問題というのは、これは人工的にどうすることもできない自然現象のあらわれの中の一つであろうと思います。 私はもともと小児科医でございまして、母校の小児科教室へ行きましたときにも、数年前ですが、小児科医に入局する希望者が卒業生の中で非常に減ってきた、こういうことで、その話を聞いた昨今では、深夜の子供の緊急処置につく小児科医が極めて少なくなってきているという現実がございます。そういうことも一つの端的なあらわれでございますが、このまま進行いたしますと、今、二人の夫婦と子供の一人というのが平均的な家庭の姿になりつつございます。 このまままいりますと、少子化が進んでいきますと、産婦人科医がまず困るわけです、出産する人の数が減ってまいりますから。その次にあらわれてくる問題が、いわゆる塾の経営が非常に難しくなってくる。子供の数が減りますから、学校、小中の教室で勉強する生徒の数も減ってくる、こういう状況が起こってまいりますし、それが高校、大学へと続いていくわけでございますが、大学を卒業して社会で活躍される男女が、数が減ってくるということになってまいります中で、産業の面から見てまいりますと、二〇〇七年から生産年齢人口が減少し始めますから、日本の生産力を維持するということから考えてまいりますと、生産年齢人口が減ってくるのに対応して、外国からの労働者がこの国へ働きに入ってくるという可能性が大きいと思います。 さらに、そのような現象の中で、学校に通う私鉄の定期の売り上げが、学生定期が今減少しつつございます。こういう問題が出てきております。 さらに、今、夫婦二人子供二人の家庭が課税対象の標準家庭になっておりますけれども、やがて、夫婦二人子供一人というふうに課税対象の家庭が形を変えてくるだろうと思います。 こういった中で、この人たちが社会で活動していく中で、日本は世界一の長寿国でございますから、平均余命は現在もなお延びつつございます。そういった中で、社会保障の基盤である財源が逆転してくる可能性が多くなる。そうなりますと、労働人口に対する社会保障費の負担というものが上昇してくる可能性がある。 こういうふうなマイナスの面を見てまいりますと、ここで戦前の産めよふやせよというような考え方は、私どもには毛頭ございません。ただ、現在、私ども、選挙区に回りましても、どこに参りりましても、保育所へ入りたいけれども保育所になかなか入れないという保育所待機児童の問題、そういうことをよく聞かされますし、子供を産んだら、勤めているところに、就業時間中に、預けてある子供が引きつけを起こした、どうしてもすぐ帰ってほしいということが何遍か重なると、経営者側の方もその人に対する考え方が冷たい考え方になってくる。こういう現象を私ども目の当たりにいたしまして、やはり、子供を産みたいという御婦人、そして働きながら子供を預けて楽しい人生を送りたい、そういう御婦人の生活環境というものを少なくとも向上させていくことが非常に政治的に大切なんじゃないか、私はそういうふうに思っておりまして、決して戦前のような古臭い考え方は持っておりません。 どうぞ先生、委員のいろいろな御指摘ございましたけれども、国の形としてはいわゆるヨーロッパ、特に北欧型の社会になっていくのではないかというふうに考えておりますが、あわせて、企業の海外移動に伴いまして、国の経済は、自由貿易協定が十年以内に成立をするという見通しが立ってきておりますから、大変大きな社会の変化が起こってくる、こういうことを考えながら我々は協議をしてこの法案の作成をしたということを御理解いただきたいと思います。
○石毛委員 決して戦前の産めよふやせよという人口奨励策ではないということは、この質疑を通じて何度も何度も確認させていただきたいことだと思います。それほど、まだ戦後五十数年といいましょうか、もうとは決して言い切れないそうした意識が続いているわけですし、また、状況もそうした状況としてとらえなければならないというふうに私は考えております。 伺っておりまして、子供を産みたい、子供を持ちつつ働きたい、そうした方を支援する、そのことが結果的に、日本の産業やら経済やらさまざまな面でいろいろな課題を背負っていることに結果的に資することになるのではないか、こういう御説明を今いただいたと思いますけれども、ここは飛躍がございますよね。 結果、そのとおりにするかどうかというのはまだ未知の部分がとてもあるということだと思いますし、それから、御説明の中で少し触れられていましたけれども、結論的におっしゃったことではないのですが、例えば外国人労働力を日本にもっと、たくさん働いていただけるような日本の法制度、社会システムを整備していくということによっても、中山議員がおっしゃられましたことはある部分対応可能。現に北欧でも、時々訪問しますと、いろいろな国の方がいらっしゃって、母国語をきちっと教育して、そして多分野で働いて、まずはその国の労働のスタンダードが守られるというシステムをとっている。 ですから、中山議員が今御説明くださいました、日本のいろいろな意味で国力と申しましょうか、民力と言いかえてもいいんだと思いますけれども、そこを維持していくあるいは高めていくためには、少子化の対策ということも必要だと思いますけれども、日本の労働力のありようをどういうふうにとらえるか。この部分は、私は、日本はまだ論議がおくれているといいましょうか、あるいはタブー視されているところもあるんだというふうに思って、むしろ今は積極的にそうしたことを議論していく必要があるのではないかというふうに考えておりますけれども、一言お考えを伺いたいと思います。
○五島議員 先生の御指摘のとおりであろうと思います。特に、この労働力の問題につきましては、我が国はまだ、女性や高齢者の労働力率を上げることによって一定の労働力人口全体の減少というのは緩和できるものだというふうに考えています。 そのためにも、女性が、もちろん高齢者もですが、意欲、能力に応じて就業できるための環境の整備、あるいは仕事と育児の両立を可能とする支援策の充実、それから性別にかかわりなく雇用されるための条件の整備等が必要であろうというふうに思っています。 私たちといたしましては、少子化の進行というのは、この労働力の減少という問題だけを問題にしているわけではございません。特に、社会保障制度の問題、持続可能性等を考えた場合に、非常に大きな影響を持つ問題だというふうに考えております。 その中での労働力がどうなるかというのは、我が国の産業がどれだけの雇用労働者を必要とするかということとも関連いたしまして、それが国内において賄えないとなれば、先生がおっしゃるように、外国からの大量の労働力の流入ということも結果としてあり得るのかなと思っておりますが、まだまだ我が国の場合は、労働力として考えた場合に、先生御指摘のようにM字型から脱していない、特に女性のM字型から脱していないということを考えた場合、こうした法案ができることによって、よりそうした先生御指摘の方向へ進めることができるものというふうに考えています。
○石毛委員 次に予定しておりました労働力人口との関係を、今五島委員が御答弁くださったのだと思いますけれども、この法案のタイトルは少子化社会対策、でも内容は、まあ雇用環境の整備とか入っていますから、社会対策といえばくくれるかとも思いますけれども、むしろ少子化社会対策だというふうにとらえると、労働力人口政策をどう考えるかとか、あるいは社会保障の財源論をどう考えるかとか、しかも、それは少子化だけではなくて、おっしゃられましたように女性や高齢者あるいは外国人の方々、今働きたいという障害者の方もたくさんいらっしゃいますから、障害をお持ちの方、そうしたさまざまな、働きたいという意思があって、働く力量をつける、そうしたトレーニングをして力量を身につけて労働市場に出てくる。労働市場に出てきて所得を得るということは、社会保障の財源を負担し得る、負担力を持つということになってまいりますから、それは少子化社会対策であると私は考えるのですけれども、その総合的な少子化社会対策と、それから少子化対策——私は、この法案のタイトルは、むしろ、内容に即すれば、小宮山委員が指摘されましたように、いろいろな、考えて直していただくべきことは私もあるというふうに認識しております。 それらを総括しまして、法案のタイトルは少子化対策及び子育て支援対策法案の方がむしろ中身を正当に表現するというふうに私は考えるのでございますけれども、何か少子化社会対策というふうにタイトルを拝見して中身を見始めていきますと、ずれと言ったらいいでしょうか、そのずれにいささかたじろぐ思いがいたします。法案のタイトルの変更というのはなかなか難しいというふうにも、従前ではそうだったというふうにも伺っておりますけれども、いかがでしょうか、提出者としてのお考えを伺わせてください。
○荒井(広)議員 先生の御指摘含めて、これも議論にございました。名は体をあらわすというようなこともありますが、法案で、ちょっとお目通しをいただければと思いますけれども、例えば第二条、基本理念でございますが、三ページに、法案にございますが、第二条第二項に「少子化に対処するための施策は、人口構造の変化、財政の状況、経済の成長、社会の高度化その他の状況に十分配意し、長期的な展望に立って講ぜられなければならない。」というようなことを言っております。これは、少子化社会対策も少子化対策であり、一方で社会全体としてこうした取り組みをしないと成果も上がらない、こういうようなことの認識を一つ言っているわけでございます。 それから、先ほど来御指摘がございましたけれども、先生方から、提出者からお話がありましたように、いろいろな環境の社会を実現して、結果的に少子化の進展に歯どめがかかっていくということを、先ほど先生も御指摘をいただいたわけです。こういったことからはっきりいたしておりますように、基本的には、少子化という現象の対策をしていくことが社会というもの全体のまた対策になっていくという両方でございますし、また、法律の中身に入れておりますように、それぞれの法律だけでは不十分な横の連携、また、二重三重に対応しなくちゃならないさまざまな分野に、少子化の状況に配慮してさまざまな対策を講じよう、こういうことを申し上げている次第でございまして、恐らく先生の御指摘と同じ意味合いのものでございますので、まさに、少子化対策というよりは、社会という基本法ということで御理解いただいても同じ意味合いになるんじゃないかと思います。
○石毛委員 それにしても、冒頭、中山議員から御説明をいただきましたように、子供を産みたい、そして子供を持ちつつ働きたい、その方たちに対して支援をするという法の趣旨を明確にタイトルに表現していただくためには、少子化社会を入れるんでしたら入れるとしましても、少子化社会対策子育て支援法と。これはまた、今国会に次世代育成支援法が出てまいりますので、悩ましいところではあると思いますけれども、そうした悩ましい関係の中でこういう法案が提出されていること自体そもそもいかがなものなんだろうか、閣法の方に任せてもいいのではないかという、そうした政治的な判断もあろうかと思います。 この問題はまた折がありましたらということにいたしまして、人口推計のことについてお伺いしたいと思います。 今回の少子化という人口推計のとらえ方ですけれども、直近のでは平成十四年、二〇〇二年一月推計ということになるわけです。この二〇〇二年一月推計というのは二〇〇〇年の国勢調査をベースにしている。それからその前、いつが人口推計かといいますと、平成九年、つまり一九九七年一月の人口推計で、これは九五年の国勢調査をベースにしている。 当然のことでございますが、今審議に付されている法案、この少子化社会対策基本法案は九九年提出でございますから、直接にベースにしたかどうかは別にいたしまして、前提になっているグラウンドといいますのは九七年一月の人口推計ということになると思います。 私は、これは厚生労働省の方からいただいた資料ですけれども、そのほかにも国立社会保障・人口問題研究所の推計値というのは、いろいろなところに出ているわけですから、よく知られているということであるわけですけれども、二〇五〇年という年次を推計したその推計値が、九七年推計と二〇〇二年推計の間に、余りにも違っているとあえて表現させていただきますけれども、余りにも違っていることについて私は驚いております。 そこで、きょうは政府参考人においでいただいておりますので、なぜこういう違いが出てきているのかということ、その社会的背景、理由をどのように考えられるのかという点も含めて、御説明をいただきたいと思います。
○水田政府参考人 お答え申し上げます。 先生からただいま平成十四年一月と平成九年一月の人口推計の違いについてのお尋ねがございましたけれども、基本となります合計特殊出生率の推計に当たりまして違いがございます。前回の推計におきましては、晩婚化の要因によります少子化のみを織り込んで推計を行ったところでございますが、今回推計におきましては、晩婚化に加えまして、夫婦の出生力自体の低下も見られたことから、この要因も織り込みまして、将来の合計特殊出生率が最終的に一・三九という水準となる見込みとなったところでございます。いわば少子化がさらに深刻化をしたということでございます。 なお、お尋ねありました、なぜ夫婦の出生力が低下したかということでございますが、この点につきまして、社会保障審議会の人口部会におきましては、バブル経済の崩壊によります心理的影響、あるいは都市部で働く女性の増加、それから女性の高学歴化の進展などが考えられるといった議論がなされたところでございます。
○石毛委員 今の政府参考人の御説明の中には、このデータではよく示されております生涯未婚率についての御指摘はなかったように伺いましたけれども、この点は合計特殊出生率が違ってくるということに関して余り意味がない、寄与していないというふうに認識されているのでしょうか、確認させてください。
○水田政府参考人 お答え申し上げます。 ただいま御指摘ございましたとおり、晩婚化の一つの至り着く点といたしまして、生涯未婚率につきましても上昇しているということでございますけれども、それ自体は前回推計でも見込まれていたわけでございまして、新たな要素としては夫婦出生力の低下という現象が見られたということが、今回推計の新しいところでございます。
○石毛委員 現在の状況というのを二〇〇〇年データで見ますと、合計特殊出生率は一・三六、これは低位でとれば一・三三というとらえ方をする場合もありますけれども、初婚の年齢、平均初婚年齢が二十四・四歳、夫婦の完結出生児数が二・一四人、生涯未婚率が四・九%です。 九七年推計で二〇五〇年を推計した値を見ますと、実は合計特殊出生率は一・六一。これは、一・六一というのは、恐らく現代のスウェーデンの合計特殊出生率よりも高いと思います。そのときに、今、水田政府参考人が触れられましたけれども、夫婦の完結出生児数は一・九六人ですね。現在が二・一四で若干減っておりますけれども、この完結出生児数という一・九六人が、前回推計では一・九六人、今回の中位推計では一・七二人に減っているという、ここが大きな意味を持つということ。 私は、今回新しく出た点だけを触れたというふうにおっしゃられましたけれども、とりようによって説明の仕方は違ってくるのかと思いますけれども、二〇〇〇年の生涯未婚率が四・九%で、九七年推計での生涯未婚率は一三・八%、今回の二〇〇二年の推計では一六・八%、三%推計値が違っているというのはかなり大きいのではないか。二〇〇〇年、現在と比べて最も大きな変化があるというのはこの生涯未婚率ですよね。現在と比べてです。推計は九七年と二〇〇二年で三ポイントほど違っているけれども、現状から二〇五〇年を見通していった場合に、最も大きな要因の一つは生涯未婚率ということがある。それに加えて、この五年間の国勢調査の間に変化したことを加えるならば、夫婦の完結出生児数が減っているということ。 私は、申し上げたいことは、今なぜこの質問をしたかといいますと、九九年に立法化された、それ以前に議連がつくられて策定されたこの法案の内容は、個別の条文で、繰り返しになりますけれども、産めよふやせよと危惧される面があるというその側面と同時に、九五年、二〇〇〇年この方、変化してきている子供の出生をめぐる社会の状況をビビッドに受けた内容にはなり得ていないのではないか。つまり、不足してきたものが出てきてしまっているのではないか、こういう思いがしております。 きょう、新聞やら何やらいろいろと読んだんですけれども、例えば、これは五月二十六日、ごくごく最近のですけれども、「増えるフリーター」という、今フリーターの存在が一つの社会的な課題として分析されるようになり、昔のように好んで若者がやっているというよりも、この経済的な不況の中でそこに追い込められているというような分析がかなり出されるようになってきております。こうした新聞記事、あるいは、大学でも、例えば千葉大学の宮本先生とか、青年分析をされているというようなことがございますし、それから、この少子化現象に関しましても、厚生労働省の中で調査をしている、これは東京学芸大学の山田昌弘助教授ですけれども、少子化進行の主因というのは若者の雇用不安ではないだろうかと。これを、実際のヒアリング調査をベースにして、新しい知見といいますか認識として出されているというようなことがございます。 読んでいきますと、いろいろありまして、それから、きっと提出議員の方もお目通しになっていらっしゃると思いますけれども、私は、大変興味深く読みましたのは、これも情報として得たものですけれども、国立公衆衛生院保健統計人口学部長の林氏が「わが国の出生率低下にもう一つの背景」というタイトルで「既婚者は出産間隔を延ばす方向」という、こういうことを書かれておりまして、いろいろ丁寧に説明がしてありますけれども、これは先ほど水田政府参考人が指摘されましたことと一部重なりますが、「バブルの崩壊が出産行動に影響を与え」というふうに書かれております。それで、推計人数を出しているんですけれども、バブル崩壊の経済的影響で人工妊娠中絶をされた方が十年間で約五十七万件、年間五万七千件。これは、バブルの崩壊影響ではなく人工妊娠中絶された方と、影響を受けたと答えられた方の比較をして、その差を出しているわけですけれども、十年間で五十七万人ということになります。 そうしますと、先ほど水田政府参考人が晩婚化とあわせて、今回、夫婦の出生力の低下というふうに言われましたけれども、この夫婦の出生力の低下は、二〇〇〇年の国勢調査だと、ちょうどバブルがはじけ始めたころを表現しているのかもしれない。そして、日本の経済、これからどんなふうに推移していくのか、あるいは経済政策をどういうかじ取りをしていくのかということも大いに密接に関係するわけですけれども、もしかしたら、バブルから崩壊した経済が復興して、安心して子供を生み育てるという経済環境が整えば、これは、一・三九というこうした二〇〇二年の中位推計ではなくて、もとの推計に戻るということも予測されないことではない。これは、いろいろと価値判断もあるでしょうし、経済政策がどのように機能していくかという見通し、評価もあると思いますから、例えばの表現にしかすぎないということを私も認識しておりますけれども。 申し上げたいことは、先ほど少し触れましたけれども、九五年と二〇〇〇年の人口統計の変動の中で、九九年法案といいますのは、九五年の人口推計をベースに判断されたのではないか。それは、そうした判断がおありになったからこそ、子育て支援の方にウエートが置かれていて、子供が誕生するという前提になる結婚ということ、これは私は、法律婚、事実婚どちらも含めて、子供が生まれるというそのこと自体に注目をしまして、結婚ということに関して、これも自己決定、自己選択のことではあると思いますけれども、社会的環境が結婚ということに関して非常に劣化しているという、そのことに対する分析がないのではないか。 そこから一点申し上げたいのは、やはり基本法であるからには、実情をきちっと調査分析するという機能も法案の中に位置づけられるべきではないかということと、それから、やはり、もう一つは、肝心の主張になりますけれども、法案をもう少し膨らませて検討をし直されて、機を改めて提出されるということを申し上げたい。 質問も含めて申し上げることになってしまいましたけれども、私の別の質問の中には、条文を読んでまいりますと、ほとんどの条文の冒頭の一行目の書き出し、そこは「子供を生み育てる者」という、そうした構成になっております。 ですから、繰り返しになりますけれども、これは、子供を生み育てる者に対する支援策の意味はあるとは思いますけれども、子供が生まれるということに対する社会環境の整備、そのことが欠如している大きな問題点があるのではないか。そのことに、すごい長い質問になって恐縮ですけれども、御見解を伺いたいと思います。
○五島議員 お答えいたします。 まず、人口推計の問題につきまして、九七年の統計だけで、その後、全然検討していないのではないかという御指摘でございますが、十三年六月の再提出の際にもこれは検討をいたしました。そういう意味では、石毛議員のおっしゃることについても私自身同感するところもたくさんございますが、基本的に、ここで提案者の立場ですから、議員ですから自由に言わせてもらいますが、人口研の推計なんて、この十数年間当たったことがないわけで、今さら驚きはしません。そういう意味では、今回もまた外れたなと。低位推計でいけばいい方というのは、この十数年間続いてきているわけです。 問題は、その原因が何かということについてですが、これは今先生も御指摘になった内容で、一つは、やはり晩婚化という程度を超えて、シングルを明確に選択する人が男性も含めて非常にふえてきているということは一つの事実だと思います。しかし、より大きな問題として、やはり私は、昔に比べて結婚をされておられる方の完結出生児、この数が大幅に下がってきている、そのことが大きな問題だろうと思います。そして、この両方の問題には、今先生御指摘のようなバブルの崩壊の問題を含めた社会全体の変動という問題は、一つは共通の問題としてあるだろうと。 それから、もう一つは、シングルを選ばれるということの中において、結婚生活というものを疎ましく思い出した女性も男性もふえてきたというふうな、結婚というものに対する認識の変化も生まれつつあるということが言えると思います。 そして、もう一つ大事な問題としては、先ほどからも御指摘があったわけですが、結婚し、カップルとして望む子供の数というのは余り変わらないんだけれども、社会的にも、あるいは、もっと言えば、不妊という膨大な増加によってもそれが達成できなくなってきている日本人というものがそこに見えるのかなと。 そうした問題をひっくるめて、トータルに、やはり基本法という形でこの問題全体を考えて進めていかなければならない問題だというふうに思っています。 なお、人工妊娠中絶についての調査というのは、通常、経済的事由というものを挙げられることが多うございます。そういうふうな部分があることは大いにあり得ると思っておりますが、九九年、あるいは九八年から二〇〇〇年の間のデータを見ますと、実は妊娠の中絶というのは、各世代において非常にぶれているわけですが、二十歳未満での増加が非常にふえているということがございまして、例えば三十代、特に三十代後半のかつては高かった人工妊娠中絶は減っているわけで、むしろ若い人たちの妊娠中絶が非常にふえてきているということが問題であり、一つの理由に絞り込んで物を言うことが果たして正しいかどうかということについても、やはり十分検討する必要があるんじゃないかなというふうに思っています。
○石毛委員 年代別の人工妊娠中絶の推移に関しましては、それはそれとしてきちっと議論をしなければならない大きなテーマだというふうに思っております。十代の方の人工妊娠中絶をもししなくてもいい子育て支援の環境が整えられれば出生児数はかなりふえるだろうという、そうした主張をされる方もございますし、私も同感する部分がございます。 私が先ほど事例に引きましたのは、世代別にどこが減っているかふえているかというよりは、バブルが崩壊した影響を受けた層とそうではない層の中絶の件数という、何が影響を受けたかどうかというような、与件のつくり方も議論のポイントはあるだろうとは思いますけれども、そうしたことで申し上げましたので、そこは御理解いただきたいと思います。 そして、もう質問時間が終わりましたので、また次の機会をいただきたいということでございますけれども、今五島委員に御答弁いただけなかったのは、法案の中に、今子供たちが置かれている状況とか、子供の出生をめぐる状況とか、あるいはそのことに対しての社会意識、それぞれの個人の意識、さまざまな要因がもっと詳しく分析されないと、子育て支援策といいましてもなかなか個別の支援策とそれから子供支援がフィッティングしないということが、これまで政策が打たれながら出生がふえてこなかったという大きな要因になっているのではないか。 私は、もう一つ興味深いのは、有職女性の賃金への期待値が子供の出生をおくらせている、こういう分析。そうしますと、育児休業の制度の仕組み方にしましても、かなり精緻に丁寧に仕組んでいかないと子産みへの支援にはならない。そのミスマッチを埋める、その作業が今一番求められていることではないかということを強調いたしまして、きょうの質問はこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○佐々木委員長 以上で石毛えい子君の質疑は終了いたしました。 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時五十二分休憩 ————◇————— 午後一時二分開議
○佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○佐々木委員長 質疑を続行いたします。水島広子君。
○水島委員 民主党の水島広子でございます。 本日は、内閣委員会に出張をいたしまして質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。 私自身も今五歳と一歳の子供を育てている立場でございますし、また、かねてから子供たちの心の問題などを見てまいりまして、日本というのは本当に子供たちにとって冷たい国であるし、また子育てをする者にとって冷たい国であるということを痛感してきた者でございますので、こうして国会で子育てというものに関して注目をしていただけるということは、率直に言ってありがたいことであると思います。 ところが、そんな中、出されてまいりました今回のこの法案を見ますと、タイトルが少子化社会対策基本法案となっております。この法案の名称については既にこの委員会の中でも議論があったと思うわけですけれども、やはり少子化社会対策というのであれば、次世代育成支援のほかにも、例えば外国人労働者の問題であるとか年金制度のあり方であるとか、そういうことも含めて幅広く考えて初めて少子化社会対策なんだと思いますけれども、この法案を何度読みましても、主に規定していることというのは次世代育成支援そのものであって、私はむしろ、この法案のタイトルは、少子化社会対策基本法案ではなく、次世代育成基本法案であるべきではないかというふうにも思うんですけれども、まず、その点についてはいかがでございましょうか。
○中山(太)議員 委員御指摘のように、子供たちの問題が社会で取り上げられる率が非常に少なかった。しかし、現在はそういう状況ではございません。子供たちが減ってきたということが社会共通の概念になっていると思います。 そういった中で、子供を欲しいと思っても子供が産めない御婦人たちもたくさんいらっしゃいます。それは、仕事の上、また家庭生活の上であります。そういう問題をどういうふうに解決していくのか。あくまでも女性の御自身のお考えにもよりますけれども、子供が欲しいとお望みの御婦人がどうしても産めないというような問題をいかに解決して次の世代をつくっていくか、こういうふうに考えてこの法律案をつくっているところでございます。
○水島委員 では、済みません、法案のタイトルを次世代育成支援基本法案にでもすべきではないかという点についてはいかがでございましょうか。
○中山(太)議員 少子化対策、即、次世代育成法案というふうに御理解いただければ大変ありがたいと思っております。
○水島委員 何か大先生に申し上げるのも大変失礼でございますが、そうではなくて、例えば外国人労働者やそういうものも含めて社会全体としての対策を考えなければいけないのではないかと最初に問題提起をさせていただいたわけでございますので、本当にこの法案、このままでいくのであれば、タイトルは次世代育成支援基本法案、そのタイトルにしても何ら問題のない内容だと思いますけれども、この法案の名称変更も含めましてもう少し御議論いただければと思いますので、ぜひその点はよろしくお願い申し上げます。 何か特に御異議はございますでしょうか。大丈夫ですか。では、次に進みます。済みません。では、ぜひ御検討をお願い申し上げます。 さて、この法案の中には、二カ所だったと思いますが、「家庭や子育てに夢を持ち、」という表現が出てまいります。これは、法律上に置かれている言葉としては極めて特殊な、独特なものだと私は思いますけれども、まず、この言葉の意味はどういうふうになっているんでしょうか。
○荒井(広)議員 議連ができまして足かけ六年、法案が第一番目に出ましたのが十一年の十二月で、衆議院解散とともに廃案になりまして、十三年の六月に提出をし直した。その間の状況なども踏まえていろいろ議論しておりますが、そうした議論の中で、法律用語では初めてというふうに聞いておりますけれども、「家庭や子育てに夢を持ち、」という「夢」という言葉が入りました。 これにつきましては、いろいろな先生方の御意見がございましたけれども、特に私たちの日本においては、結婚、出産、子育てに伴う負担感が非常に大きく意識されておりまして、さまざまな調査におきましても、実際上、これは厚生省の十三年度の調査事業で十四年に報告されておりますけれども、実際に子供のいない世帯と子供さんがいる世帯、ここの身体的、精神的、経済的負担感などを見ましても、実際にいない、持っていらっしゃらない方の方が非常に重圧感を覚えていらっしゃる。こういうところにも見られますように、さまざまな負担意識を大きく持っておられるようです。 また、この法案をつくるに際しましては、議員立法でございますが、東京、大阪と地方公聴会までして大勢の皆さんの御意見を承ったところですが、そういったことが、最大の要因の一つである晩婚化をもたらしたり、また結婚して持つ子供さんの数が理想像より減っているというようなことなどの、ちゅうちょの原因になっていると思いますので、やはり若い男性や女性が結婚や子育てをして、そうした重圧感から解放された、正しいと言うとおかしいんですが、いや喜びだ、いや楽しいなというふうに見出すことができるような社会全般の環境、先ほどの少子化社会というところにも当たるんですが、そういう社会全般の環境を整備することが、結果的には、選択的自由でございますけれども、御結婚されたり子供さんを産んでいただけるという現状につながっていくだろうというようなことでございまして、家庭や子育てに夢を持つことができるためには、若い世代も含めまして住みやすい環境を整備する、そして子育て世代の先ほどの不安を取り除く、そして安心して子供を生み育てることができる広い意味での社会環境やら子育て支援。そしてもう一つは、この法案は子育ちという概念も非常に入れています。子供自身の立場でどう考えるか、こういったことを考えまして、先ほどの夢という言葉を使わせていただきました。 同時に、議論になりました過程では、男女共同参画で、しかも多様な価値を持つそれぞれの個人、夫婦が、ともに子育てに責任を持っていくというところに前向きな雰囲気が生まれる、それは一人一人の夢ということに、喜びということにつながっていくのではないかということから、こういう言葉を使わせていただいているということでございます。
○水島委員 本当にるる御説明いただきましてありがとうございます。 一言だけ確認をさせていただきますと、つまりここで言いたいことは、今、実際に家庭や子育てに夢を持てない、絶望感しか持てない人たちというのは、例えば、現に子育てをしていてこんなに社会のサポートがないというふうに感じていたり、中には産むだけ損をしたというような方もいらっしゃるわけでございます。また、子供の側から見て家庭に夢が持てないとすれば、それは自分が生育過程で虐待を受けたり、あるいは非常に機能不全な家庭で育ったりというような中で、とても将来自分が家庭を持とうという気持ちになれないお子さんもいらっしゃるわけでございます。 そういった人たちに対して、とにかく家庭や子育てはすばらしいから夢を持ちなさいと押しつけることがこの法案の趣旨ではなく、子育て支援とか虐待の防止とか、そういったことを全部含めて最終的に夢が持てるような制度をつくりましょうということをおっしゃりたいということだけ、一言御確認いただけますでしょうか。
○荒井(広)議員 全く同感でございます。
○水島委員 ありがとうございます。 この法案が仮に成立した場合に、全く諸般の事情からとても夢なんて持てないという方たちに、家庭や子育てはすばらしいんだ、家庭を持ちなさい、子供を持ちなさいと、それを強制するようなふうに運用されないように、これは立法者の皆様に本当にくれぐれも御注意をいただきたいと思っております。 また、くれぐれも御注意いただきたいというもう一つの点なんですけれども、法案全体を何度も読みましたが、中に一つ決定的に欠けている配慮があるなと思いました。それは、子供を産むことができない、あるいは子供を産まない人への配慮というものでございます。 私も、かつて精神科医として、不妊に悩む方たちの精神的なサポートをしておりました。本当に大変な苦しみの中にいらっしゃいます。不妊治療をしたからといってすべての方が生まれるわけではございません。また、子供をどうしても欲しいと思えない、どうしても子供をかわいいと思えない、あるいは、自分自身が虐待を受けていて、どうしてもまだ親になるという気持ちになれないのに、無理やりどうしても子供を産めと言われて産まされてしまって、その結果、やはり子供をかわいがれなくて虐待してしまうというような方の相談にも乗っておりました。これは、子供を巻き込んでの大変な問題でございます。 そういう方たちを見ていた立場からいたしますと、この法案が、産めやふやせや法案になってしまって、子供を持てない人あるいはどうしても持たない人、そういう人たちを今以上に追い詰めていくんじゃないかということが、本当に率直に言って心配でございます。 もちろん、子供を持つ、持たないは自分自身の判断する権利があるとかそういうふうにおっしゃるわけでございますし、それは当然のことなんですけれども、自分が決める権利がある以前の段階で、全く現実的に持つことができないという方たち、希望としては持ちたいけれども持てない方たちを追い詰めてはいけないというような、そういった配慮をどこかしらに書き込んでいただくことはできませんでしょうか。
○中山(太)議員 先生御指摘のように、子供を産めない人たちを追い詰めるというような考え方は一切持っておりません。これははっきり申し上げておきたいと思います。
○水島委員 今はっきりと言っていただきましたので、ぜひそれを条文上にはっきりと書いていただかないと、なかなか会長の思いというものは、これが今度印刷されてひとり歩きしていきますし、日本の各地隅々で運用されていくわけでございますので、ぜひそれは、だれがどう見てもそれが読めるという形に最終的に書いていただけますように、これは強く希望を申し上げます。よろしくお願いいたします。 本当に少子化の今、子供を取り巻く身近な大人の数というものが、昔の概念で言うと少ない。親戚のおじさん、おばさんも少ない。近所の大人ともそんなに密接な関係を持っているわけではない。そういう中で、結局、親が自分の子供だけをかわいがっているのでは、とても子供にとって、育つ環境として、かかわる大人の数が少な過ぎると私は思っております。ですから、他人の子供もかわいがろうとするだけの心の余裕をすべての人が持っていなければいけないと思いますので、くれぐれも人を追い詰めるような運用だけはされないように、自分がどうしても子供を持てなくても、またいろいろな形で次世代の育成の支援をするというのは、いろいろ献金をするとか、またいろいろなところで支援をするとか、いろいろな形でかかわれるわけでございますので、そういう本当に幅広い意味での次世代を育てようという気持ちを多くの方に持っていただくためには、いろいろな事情のある方たちを追い詰めるような制度はくれぐれもつくってはいけないですし、間違ってもそのように解釈され得るようなものはつくってはいけない。 これは、人によっていろいろな読み取り方がございます。ですから、はっきりとそういう言葉で、いろいろな、体の事情であるとか精神的な事情であるとか、また個人の判断によって、子供を持てない、持たない人たちに対しての十分な配慮をしなければいけないんだということを、この法律の運用上の注意として条文上にぜひ書き込んでいただけますように、強くお願いを申し上げたいと思います。 さて、第二条に「少子化に対処するための施策は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するとの認識の下に、」というようなことが書いてございます。これは、第一義的責任が父母その他の保護者にあるというのは当たり前のことでございますけれども、ただ、今の子育て現場において起こっている問題を見ますと、親に第一義的責任があるかないかが不明だから起こっているというよりは、そこに過度に行き過ぎてしまっているために起こっているんじゃないかと思われる問題がたくさんございます。 例えば、少子化時代で周りに大人の数も少なく、ただでさえ子育てがしにくい中、親だけに過剰な負担がかかって、ちょっと子供が何かいたずらなんかすると、あそこの親は何なのかしらと言われることが怖くて、かえってストレスをため込んで、子供を虐待してしまったり、また子供に対しても過剰に厳しくしつけをしてしまったりとか。子供なんて試行錯誤しながらいろいろ育ってきて、私もそうですし、皆様もそうだと思いますけれども、そういう、全く試行錯誤する自由も許されないほどに、ひどい、本当に虐待とほとんど区別のつかないしつけなるものを受けている子供もいるわけでございます。 そんなふうに親だけに過剰な負担がかかって、親がその結果うつ病になって、うつ病の親が子供の生育に対して非常に悪い影響を与えるということは、これはもうデータとして得られていることでございますので、非常に親だけに過剰な負担がかかるということが一つの大きな問題だと思っております。 二言目にはみんな、そうはいったって、子育ては親の責任なんだから、それがわかっていて産んだんでしょうということになれば、親はそれを抱え込まざるを得ないので、まず、親の責任というものを言うときには、そういった現実を知らなければいけないのではないか。 また、もう一つは、虐待問題にかかわっておりますと、今度、青少年問題特別委員会で児童虐待防止法の見直しということを審議していくことになりますが、その中では、やはり必要な今回の改正のポイントとして、親権というものをもっと部分的にあるいは一時的に、柔軟に停止したりできるような仕組みをつくらなければ、子供を実際に虐待から守れないということが既に指摘をされておりますし、私もぜひそういう改正をしなければいけないと思っておりますけれども、そうやって現に虐待問題を見ておりますと、親として機能できていない親というのは現実に存在をしております。 自分自身がちゃんと育ててもらえなかったからちゃんとした親になれない人もいますし、あるいは、もっといろいろな理由によって親として機能できない人もいますけれども、そういう親として機能できない親だけれども、第一義的責任を有するからといって子供をついついゆだねてしまうことによって、子供の発育に致命的なダメージを負わせることもありますし、命すら奪われるということもあるわけでございますので、今、親たちが置かれている環境、片方は、育てようという気持ちは強いんだけれども、過剰な負担がかかり過ぎてどうしても子育ての姿がゆがんでしまう。もう一方では、親だからといって何でも権利を持っているように見えるために、子供の人権が侵害されている。そういった親が置かれた現状というのを考えてみますと、そのような現状を認識した上でこの法案がつくられたのであれば結構だと思うのですけれども、そのあたりについては御認識の上でつくられましたでしょうか。
○荒井(広)議員 結論から申しますと、そういう考えでつくられております。 先生の御指摘のように、児童の権利に関する条約あるいは児童福祉法第二条、児童の権利に関する条約は十八条でございますけれども、例えば、それらの文言は「父母又は場合により法定保護者は、児童の養育及び発達についての第一義的な責任を有する。」また、児童福祉法の第二条では「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」というふうに書いて規定しております。 そういうものと同一の今回は中身でございますが、第一義的に責任を有する父母その他の保護者の子育てに関する主体性をこの法案では尊重しつつ、少子化に対処するための施策を講ずるということを確認的に書いておりますが、最も御主張されたかった部分、そのとおりでございまして、子育て中の親の負担感、あるいは精神的、肉体的にも、先ほど申し上げましたように、共通の認識が先生とございます。 また、児童虐待の問題も午前中ございましたけれども、法案には、生命をとうとぶ、こういったことの文言も入っておりまして、親にばかり過剰な負担が行くということのマイナス点もございますから、単に親を家庭に閉じ込めるということだけでなく、法律を読んでいただきますとそのとおりでございまして、社会全体で、国、事業者、国民の責務という形でも明確にしておりますけれども、そうした協力があってこそ初めて社会全体で子育てをサポートして、そしてさまざまな、個人にとっても、親にとっても負担感を軽減していくのではないか、そういったところに望ましい方向が見えていくんじゃないか、こういったことを考えているので、そのとおりでございます。
○水島委員 ありがとうございました。 また、同じくこの第二条の基本理念の中では、子供が心身ともに健やかに育つことができるよう配慮しなければならないというような、そんな文章もあるわけでございますけれども、これは簡単な確認なんですが、この心身ともに健やかに育つというようなこと、これは子どもの権利条約の精神を踏まえたものというふうに理解してよろしいでしょうか。
○肥田議員 水島議員おっしゃるように、全くそのとおりでございまして、これは子どもの権利条約をしっかり踏まえたことだと思っております。私は、この法案の文言が児童でなくて子供であるということに大変喜びを感じております。
○水島委員 私も本当にそれは大変うれしいことだと思っております。 子供を育てていくとき、健やかということの定義がかなり人によって違っていて、虐待をしている親でも、これは子供を健やかに健全に育てるためにやっているんだということも時々ありますので、これはあくまでも子どもの権利条約という共通のきちんと文章化されているものに立っているものなんだということは、ぜひ皆様、共通の認識として持っていただかないと、また変なふうに使われてしまいかねないと心配をしておりますので、今確認をさせていただきました。 さて、次に内容の確認なんですけれども、第十一条を見ますと、第二項で「国及び地方公共団体は、保育において幼稚園の果たしている役割に配慮し、」というようなところがございます。ここを読んで、ちょっと私は違和感を感じたんですけれども、こうやって「保育において幼稚園の果たしている役割に配慮し、」と書くのであれば、その後に、幼児教育において保育園の果たしている役割に配慮しというようなことも書かないと、何となくバランスがとれないような気がするんですけれども、その点は何か幼稚園の方だけに重きを置いたような趣旨があったんでしょうか。
○五島議員 今、これまで水島議員のお話を聞いていまして、全くそのとおりとうなずいていたんですが、ここのところだけはえらく読み違いをしていただいているような気がいたします。 御案内のように、この段落、すなわち第十一条は、「保育サービス等の充実」という部分の中に規定している内容でございまして、その第一項で保育所の果たしている役割については述べているところでございまして、したがって、第二項は、保育において幼稚園の役割にも配慮するように規定したものでございまして、幼児教育における保育所の役割を無視したものではございません。むしろ、第一項において保育所の役割というものを強調した上で幼稚園の役割も取り上げたという内容でございます。
○水島委員 恐らく、この「保育サービス等」の「等」の読み方の違いかなとちょっと思いましたけれども、私、実は、今こういう議論をしていて、不毛な議論だなと思いながら質問をさせていただいているわけでございますが、今やはり、子供たちのために、この少子化時代に最も必要とされている施策は、縦割り行政からの子供たちの解放ではないかと思っております。幼稚園だ保育園だと言っているような大人側の都合ではなく、現に子供がどういう環境で育っているのかという、その子供の生活に注目しなければいけないと思います。 実際に私、多くの方たちから子育てに関する相談なんかを受けておりますと、専業主婦の方でも子供を保育園に預けたいとおっしゃっている方に実は多くお会いをしております。また、データを見ましても、専業主婦の方の方が育児不安を強く抱えているというデータも見せていただいたこともございます。 また、その一方、私の子供たちは保育園に通っているわけでございますけれども、これはゼロ歳から通っておりますが、保育園ではコンピューターとかダンスとかお茶とか体操まで習っているようで、幼稚園と比べると教育的ではないというようなことは私はとても思えないわけでございます。 むしろ本当に必要なのは、希望するすべての子供たちに家庭以外の居場所を提供するということではないかと思います。今、兄弟の数も少ないですし、また近所の子供たちも少ない。そして、いろいろと社会の安全が失われておりますから、子供たちが、私たちが子供だったときみたいにふらふらその辺で道草をして遊んでいられないような地域もある。そういう中で、兄弟がいなくて一人っ子であっても、同じくらいの年ごろ、あるいはちょっと上、下の子供たちとともに育ち合える場というものは非常に重要でございまして、そのような家庭以外の居場所というものを提供できるように考えることが何よりも必要ではないかと思っておりまして、民主党ではそのような政策をかねてから提案させていただいているわけでございます。 ですから、そろそろ児童福祉法の「保育に欠ける」という条項の撤廃も含めまして、抜本的な改革をすべきではないか。もう幼稚園だ保育園だと言ってないで、その子の生活一日で見て、やはり小さい子だったら、一日じゅう大体同じ人と一緒にいられる環境の中で教育的な部分、保育的な部分というのがあってよいでしょう。例えば、本当に五歳、六歳になれば、今実際そういう運用をされている子供もいますけれども、午前中はどこかの幼稚園に行って、午後だけちょっと保育園で預かってもらってという場合もあります。そういうときに、同じ場所がいいのか、別の場所がいいのか、それも含めて、子供の視点から一日の生活をどう組み立てるかということをもうしなければいけない。 「保育に欠ける」なんというちょっと前時代的な表現はもうやめて、今、ある意味では、日本の子供たち、そういう意味ではすべて保育に欠けているのかもしれません。地域社会が昔のように育ててくれないわけですから、すべての子供たちが保育に欠けているのかもしれませんから、そうであれば、家庭以外の居場所を必ず提供できるように、この際抜本的な改革をすべきではないかと思いますけれども、いかが思われますでしょうか。
○肥田議員 今、水島議員のお話を伺っておりまして、私は三十数年前を思い出しておりました。三人の子供を育てておりますときに、実は両親が同居だったんですね。ですから、保育に欠けるという要件のために、おじいちゃんとおばあちゃんを、片一方は高血圧でぶっ倒れた、母はもう足腰が悪くて歩けない、そういう作文を書いたことを思い出しておりました。これがまだ三十数年たって残っていることに私は大変疑問を感じております。ですから、ぜひこの垣根を外していく努力をしなければいけないと思っております。 それから、幼保一元化でございますが、これは、先ほど申し上げました子どもの権利条約、それから昨年国連で行われました子ども特総の中でも、やはり子供の最善の利益、また子供にふさわしい社会をつくる、そういう基本理念が世界的に合意されているわけでございますから、これもぜひ子供の側に立った居場所づくりをしたい、そう思っているわけでございますが、野党議員同士でやり合っていてもこれはなかなか実現できませんので、ぜひ省庁の方にしっかりと頑張ってもらってください。お願いします。
○水島委員 そのようなことで、きょうは準備よく厚生労働省と文部科学省から政務官のお二人に来ていただいているわけでございますけれども、これは政治家が決断しなければできないことでございます。文科省、厚労省それぞれの中で幾ら努力してもその垣根というのは払えないものだと思いますので、ぜひそれぞれのお立場から政治的な決断をしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○池坊大臣政務官 京都の古いしきたりの中で二人の子供を育てながら仕事をしてまいりました私にとりましては、今は多少なりともいい時代になったなという思いはございますけれども、それはやはり多少の少の方ではないかと。私の長女の子供もゼロ歳で保育園に行って、今三歳になりました。幼稚園に午前中行って、午後からは認可外の保育所に通うという大変忙しい生活をしております。 これが一元化されたらいいのではないかという思いは、私が政治家になりましたらぜひこれをしたいと思っておりましたが、確かに、これは文部科学省、厚生労働省という役割だけでなくて、例えばきのうは保育所関係者の方が何万人とお集まりになりました、それからまた同時に、同じ日に私立幼稚園の方々も集まっていらっしゃるんですね。それぞれ、自分たちがやってきた仕事に対する深い自負とか誇りとかがおありになって、省庁だけの問題ではないんだなということにも直面してまいりました。 御存じだと思いますが、文部科学省の幼稚園というのは、これはやはり小学校に入ります前の、生きる力をつけるための前段階としての学習とか生活の基礎をつくるところでございます。それからまた、今は、先ほど専業主婦もたくさんの悩みを抱えているんだとおっしゃいました、親と子の育ちの場として、専業主婦の方々の相談にも乗る、あるいはまた、就園しないお子様方を連れて幼稚園にいらっしゃれるようにもする、さまざまな親と子供とが育っていく場の提供というのをいたしております。 一元化というのは、今、地方自治体ではやっているところがございます。千代田区のいずみこども園など私も視察に参りましたけれども、あるいは、過疎地で子供の数が少ないから一緒にやろうよというところもあるわけですね。 今、私は、きっと地方自治体の大きな流れがこの一元化をつくっていくのではないかというふうに思っておりますけれども、施設の共用化の指針などもつくっておりまして、共用して幼稚園と保育所が施設を使っている場合がございます。あるいは、教育内容、保育内容の整合性の確保。それからまた、幼稚園教諭それから保育士というのは、資格が違います。これも一緒になりますように、例えば幼稚園の教諭は七割が保育士の資格を持っております。それからまた、幼稚園と保育所が同じ研修をするように、あるいはまた、事例集でともに学ぶなどということで今連携を図っているところでございます。この連携がもっともっと深まったら、それは一元化の方向になっていく流れにはなっていくというふうに思っております。 やはり保護者の立場それから子供の視点というのが大切だというのは、全く同感でございます。
○森田大臣政務官 先生、十分おわかりいただいているんじゃないかと思いますけれども、保育所は、親が働いていること等で子育てができない、こういうことで家庭にかわりまして育てている、これが保育所だろうと思いますし、それからまた、幼稚園につきましては、親の希望でもって、教育というほどのことはないと思いますけれども、集団生活になれてもらうとかしつけだとか、こういうところの施設だろうと思います。 そういうことで、施設の性格、これも、片っ方は児童の福祉の施設であり、片っ方は学校、こういうようなすみ分けになっておるのではないのかなというふうに思います。また、対象児童も、片っ方はゼロ歳児、片っ方は三歳以上とか、それから、保育の期間も違いますし、そういうことで、両者にはそれぞれ異なったところがあるのではないのかな、このように思っておるわけでございます。 また、近年働く女性が大変ふえているということは御案内のとおりでございますけれども、そうした多様な時間帯に加えまして、休日も含めまして年間を通じた保育、あるいは、ゼロ歳から二歳児のさらなる受け入れ等、保育所の需要というものが大変増大しておるんだろうと思いますし、また、幼稚園との差異と申しますか、そういったことも拡大している、こういうふうに考えておるわけでございます。 このような多様化する子育てのニーズに対応するために、地域の子育て資源を効率的に活用することが重要であり、こうした中で、保育所と幼稚園は両施設単一の制度として位置づけるのではなくて、地域の実情を踏まえた相互の連携をより一層強化するといいますか、こういったことが重要になってくるんだろうと思います。 そういったことで、例えば幼稚園と保育所を合築するとか、同じ敷地内につくるとか、こういうようなことで、もう既に合築なんかも全国には幾つかあるわけでございまして、御承知のとおりだと思いますけれども、そういったことが必要になるのかなと。そうしたときに、やはり幼稚園と保育所と違うのは、幼稚園は早く帰らなくちゃいけない、四時間ぐらいでもって大体帰りますし、保育所は長いですからね。こういったことで子供が寂しがる、そういったこと等に対する工夫といいますか、そういったことも必要だろうというふうに思います。 また、保育所に預けられない主婦でも預けられるという制度等もございますので、そういったことは私は大変結構なことだろうというふうに思っております。 今、先生、大体すべておわかりの上での御質問だろうと思いますけれども、厚労省としましての答弁とさせていただきたいと思います。
○水島委員 改めて勉強をさせていただきまして、ありがとうございました。 要するに、このように、池坊政務官はかなり感情的に踏み込んだ御答弁も下さいましたし、今委員の中からも、幼稚園と保育園の枠を取り払ってということに関しては賛成というような声も上げていただいている、与党席から上げていただいているわけでございますけれども、そのように、大体の人の間で、これは現状はおかしいんじゃないかということはコンセンサスがだんだんと得られてきているんじゃないかと思います。 私はかねてから、子供省あるいは子供担当大臣というようなものをつくって、縦割りを撤廃して、子供の生活はこうなっているんだということで、厚生労働省、文部科学省にも協力していただけるような、そういう何か強力な、独立した機関が必要なんじゃないかと思っておりますし、国会の中でも発言させていただいておりますけれども、今回この法案をつくられたことをきっかけに、法案提出者の皆様にも、その点ぜひ真剣に考えていただきたいと思います。場合によっては、この次の議員立法、幼保一元化法案というのでもよろしいかもしれませんし、ぜひ、こうやってチームワークをつくられた以上は、その上でまた子供たちのために引き続き取り組んでいただきたいと思っております。 時間がもうじきなくなってしまうんですけれども、もう一つ、第十二条で述べていますように、地域において子供と他人が交流できる場をつくるということは、実はとても重要でございます。 私も、今宇都宮に住んでおりますけれども、地元のお祭りとかおもちつきとか一斉清掃とか、さまざまな行事の中で子供を育てていただいておりますし、また、子供が気軽に遊びに行ける近所の家もありまして、こんなに忙しい仕事をしている割には安定した子育てをさせていただいていると思っております。 ただ、気になりますのは、地域活動における男女共同参画問題でございます。 確かに、地域において掃除をしたりと、ある程度の奉仕をするというのは子供の教育上も必要なことではないかと思いますし、我が家もこの四月まで自治会の役員をやっておりまして、自治会費を集めて歩いたりとそれなりに面倒なことをやってきたわけでございます。大変ではございましたけれども、子供も一緒に連れて歩きまして、子供を育てる環境としては、プラスになったのではないかなと思っております。ところが、現状では、若い人を中心に自治会離れ、地域活動離れが進んでおります。私も東京におりましたときにはそんな活動をほとんどしておりませんでしたけれども、やはり地域活動をしたくても、価値観が押しつけられるということに若い人たちは抵抗を感じているのだと思います。 その最たるものがジェンダーだと思います。自治会長やPTA会長など地元の顔役は男性ばかりでございます。また、お祭りなどに行きますと、男女の役割が見事に分かれております。こんな環境では地域参加の意欲もそがれるのではないかと思いますけれども、第十二条を規定する上で、それらの点は考えられましたでしょうか。
○五島議員 おっしゃるとおり、家庭においても職域においても、男女が仕事を共同して担っていくという視点は大事でございます。当然、地域社会の中においてもそれはそうでなければならない。第十二条は、そういうふうな意図を持ってつくられたものでございます。 挙げられた事例につきましては、先生のお住まいのところというのは男性にとってはえらく頑張らされているところだなと。高知は早々と手を上げておりまして、ほとんどそういう役割は女性の方々の仕事になっておりますので、もう今の時代において、必ずしもそれは一般的ではないのではないだろうかというふうに思っております。
○水島委員 もう時間がなくなりますので、このあたりのことをちょっとまとめてできれば中山太郎会長にお伺いしたいところでございますけれども。 今、五島さんの、どうも前に聞きましたら五島さんの地元の高知では、自治会の役員とか何かそういうのはほとんど女性がやっていて、男性は居場所がないんだなんというようなことも聞きまして、随分東と西とでは違うんだなと思ったところがございました。ただ、そうはいっても、多分全国的に見ますと、やはりPTA会長とか、PTAの実際の活動をやっているのは女性の方が圧倒的に多いのに、会長ということになると男性がついたりとか、私の子供の保育園もそうでございます。また、地域で活動をするときは、必ず女性はお茶くみあるいは裏方、そんなふうになっているようなところがまだまだ多くて……(発言する者あり)全然違うとおっしゃっている方もいらっしゃいますので、またそういう地域もあるのかもしれませんけれども、私がいろいろ政策をつくる上で聞きましたときには、まだまだそういう地域が多いと。 もう少し自由に、その人らしい形で地域参加ができるようにしていかないと、結局、そういう価値観が嫌だから地域の人と人とのつながりも嫌だということになって、どんどん人々が孤立していくのではないかと思っておりまして、その辺は、既存の価値観から脱却しつつも人間関係のつながりを失わないような工夫が政策上求められているのではないかと思いますけれども、どのようなイメージを持っておられるでしょうか。
○中山(太)議員 委員御指摘のように、男女共同参画社会というものをどうしてつくり上げていくか、これが原点だろうと思います。 その中で、私も勉強をこの問題でさせていただいて驚きましたことは、育児休業休暇をとっている比率は、女性が五九%ぐらいで、男性はわずか五%ぐらいですね。(水島委員「〇・五」と呼ぶ)〇・五。済みません、間違えました。訂正させてください。これを見ただけでも、やはり男性が子育てに直接関与する機会というのは男性自身がみずから非常に避けている、それは、今までの男子中心社会の伝統の中に生きているんだと思います。そういう意味で、これから、真の男女共同参画社会をつくっていく中で、男性側も十分考えて努力していかなければならない、このように思っております。
○水島委員 ありがとうございました。 もっとたくさん通告していたんですけれども、質問できなくて申しわけございませんでした。また機会を与えていただければうれしいと思いますが、本当にこの子育ての問題というもの、今、真の男女共同参画を目指してというふうに最後に締めくくっていただけまして大変ありがたかったわけでございますけれども、これは、私は、男性にやる気がないというよりは、やはり男性なんだから子育てのために仕事を休むなんて男らしくないとか、男性側も好きこのんでやっているわけではないということも多くございますから、よりよいあり方に関して、男性、女性それぞれの事情を踏まえながら話し合っていかなければいけないと思います。 また、この法案の中で、今育児休業のことをおっしゃいましたけれども、子供が生まれてから労働時間が短くなるだけではやはり子供を持とうというインセンティブにはなかなかなりませんで、妊娠中のつわりのつらさですとか、あるいはそもそももともとの労働時間が短くなければ、地域がもっと活性化してほかの子を育てるような体制がなかなかつくれない。もう本当に日曜日寝ているだけであとは会社人間というようなことでは、なかなか地域の子育て力も上がってまいりませんので、ぜひ本当に大きな視野でこの子育ての問題に取り組んでいただきたいと思いますし、冒頭に申しましたように、せめて法案の名称を次世代育成支援基本法というふうに直していただけると私もすっきりと賛成できるような気がいたしますので、その点を改めてお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○佐々木委員長 以上で水島広子君の質疑は終了いたしました。 次に、遠藤和良君。
○遠藤(和)委員 最初に、この法案の審議を午前中からしているんですけれども、その感想からちょっと述べてみたいと思うんですけれども、立法府として大変いい議論ができているんじゃないかと思うんですね。少子化という問題に対して議員立法で提案をされる、そして議員の皆さんが自分の考えを開陳してお互いに議論をする、これは大変いいことだと思うんですね。そして、その中で、こう思うけれどもこうはどうだということで、だんだん法案が熟成されてくるというんでしょうか、だんだんよくなってくることは、大変いいことができているんじゃないかなと私は思います。 そういう中で、ちょっと感想のようなものも含めて私からも質問したいんですけれども、最初に、法律の名称です。これは少子化社会対策基本法というかなり大上段から振りかぶった法律の名称になっているんですけれども、その心はどういうことかというと、私の理解では、子供を生み育てることを支援する基本法、こういうふうなものではないのかなと思います。そうすると、法案の名称がこういう名称だから何となく身構えちゃうので、もっと法案の趣旨そのものを素直に言った方が理解をされるんじゃないかなと思いますが、そういうことについての提案者の御感想をまず聞きたいと思います。
○福島議員 ただいま委員おっしゃられましたように、この基本法の目指すところは、子供を安心して、また夢を持って生み育てることができるような社会をつくっていくための基本的な法律として提出をしたわけでございます。 少子化社会対策という言葉が非常にいかめしいのではないかという御指摘でございますけれども、少子化社会ということは現在日本国民の中でも広く使われるようになった言葉だと思っておりますし、そしてまた、国民に対してある意味で警鐘を鳴らす言葉にもなっているんだというふうに私は思います。 少子化社会対策と言いますと産めよふやせよではないかというふうにとられかねないという御指摘もございますけれども、今の日本の社会が少子化社会になってしまったその事実というのは事実としてあるわけでございまして、それをとらまえたときに、そこでは子育てというものがかつてとは違って、かつて以上に夢が失われ、そしてまた負担が感じられる社会になってしまったのではないか、そのことが少子化社会ということであらわされている。とするのであれば、そうした社会をつくりかえていこう、夢を持って子供を生み育てることができるような社会につくりかえていこうということがこの少子化社会対策という言葉に込められた本意であるというふうに御理解いただければと思います。
○遠藤(和)委員 それから、条文もそうなんですけれども、提案者の趣旨というものと条文とが乖離はしていないと思うんですが、提案者の意思と関係なく、法律になっちゃうと条文がひとり歩きするわけですよね。そのときにどういうふうな心配があるかということがいろいろな質問者の発言の中にもあったわけでして、その辺ももう少し提案者の趣旨を正確に伝える条文に手直しをするとか、そうした方がいいのかなというふうな認識を私は持ちました。 質問者の皆さんの御意見というものも、素直に、これは理解できる、本当にそうだな、そんな見方もあるのかなというものも理解されたわけでございまして、そういう方々の杞憂をなくすといいますか、そういう意味での修正というものも視野に入れて今後は議論をさらに進めるべきではないかなと思っていますが、その辺に対する基本的認識はいかがでしょうか。
○福島議員 ただいまの委員の御質問に私が責任を持って答える立場にあるかといいますと、なかなか難しいというふうに思っておりますけれども、修正も考えてはどうかという御指摘でございました。 私個人の立場として申し上げますと、この委員会でいろいろと議論していただいて、そしてまた、コンセンサスが得られるという形であればそういうこともあり得るのかな。ただ、いかんせん、この基本法は、当初の経過は、先生もよく御存じのように大変長期間にわたっておるわけでございまして、ですから、何とかこの国会におきまして成立をさせていただきたい、そのことをまずもってお願いを申し上げたいと思っております。
○遠藤(和)委員 私、きょうは政府委員をどなたも呼んでいませんのは、やはり政治家同士が話し合いをしてよりよいものに仕上げていく、これが立法府の責任じゃないかなと思うんですね。そういう意味で、建設的に、やはり修正というものも視野に入れてこの法案が成立することを図っていくということがまず大事ではないかな、こういう認識を最初に申し上げておきたいと思います。 それで、日本のあるべき総人口という議論は余りないんですけれども、一億二千万人という人口は、そもそもこの日本という狭い国土の中におきましては少し多いのではないかな。外国の先進国の事例を見ましても、快適な生活といいますか、そういうものから考えると、若干、総人口というのはもう少し少な目でもいいのではないかなという認識を持っているんですね。 ただ、年齢構成が問題ですよね。年齢構成というものもやはり考えて、あるべき日本の姿といいますか、そういうふうな認識というんでしょうか、あるいはイメージというんでしょうか、そういうものを提案者はお持ちなんでしょうか。そこをちょっと聞きたいと思います。
○福島議員 大変難しい御質問を賜りまして、あるべき日本の人口というものは一体いかなるものであるのかと。これはさまざまな議論があるというふうに思います。 今、少子化ということが問題になっているわけでございますけれども、さらに少子化が進んだ方がゆったりした生活ができるんじゃないかということをおっしゃっておられる評論家の方もおりますし、そしてまた、単に人口密度という問題だけではなくて、近年は環境に対しての負荷、またエネルギーの消費をどう考えるのかといったようなこともあるのだろうと思います。ですから、一概にどのような人口が適切かということは大変難しい、視点によってそれぞれに異なってくるんだろうと思っております。 そしてまた、今回この少子化社会対策基本法を提出させていただきましたけれども、こういった人口、そしてまたこういった人口構造、これが望ましいということを前提にして提出したというわけでは必ずしもない。ただ、しかし、少子化が進んでいくことによって日本の社会に対して大変大きな影響が現にあらわれ始めている。社会保障制度にしてもそうでございます、年金制度をどのようにして将来にわたって維持していくのか、少子化が大変大きな影響を与えている。そしてまた、少子化ということは、単に子供の数が少なくなるというだけではなくて、子供の育ち方そのものも変わっているんだというような指摘もあるわけでございます。 少子化がそうしたある意味で国民にとって解決しなければならない幾つもの課題を迫っているということは確かであるというように私は思っております。したがって、この基本法を出す意義もそこにある。一つの人口、そしてまた人口構造ということを前提にして提出するわけではございませんけれども、少子化の与える影響ということを考慮して今回私どもはこの法案を提出させていただいた、そういうことでございます。
○遠藤(和)委員 ただいまのお話は、個人個人の自己決定権と国との関係をどう考えるかという、言葉を言いかえればそういう話ではないかなと思うんです。 結婚とか出産ということは、進んで個人の自己決定権に属する問題ですよね。それと、国としてそれを干渉することはできません。しかし、やはり国としては、社会保障のあり方とかいろいろなことを考えると、少子化という問題が惹起する問題点というのは透けて見えるわけですから、何とかして少子化というものがそうではない方向に結果的になった方がいいわけですね。 そうすると、どういうふうな政策の選択肢があるかというと、例えば子供の数ということからいうと、産みたいんだけれども、経済的とかいろいろなバリアというかハードルがあって断念をしている、そういうハードルを除去してあげる、そういう役割を果たすのではないか、またそれ以上の役割を果たす必要はないのではないか、私はこのように認識するんですけれども、この法律の性格づけにもなるんですが、そのような認識でよろしいんでしょうか。
○福島議員 ただいま先生おっしゃられたとおりだと私は思っております。子供を生み育てるということは、すぐれて個人的な営みでございますし、自己決定にゆだねられたものである、そのように思っております。その自己決定自体に国が、また公が積極的に関与をするということではならないと思っております。 しかしながら、自己決定そのものも、社会状況、そしてまた働き方といったようなこともあります、システムの問題もあります、そういうことに大きく影響を受けるわけでございます。子供を持ちたいと思っても断念をする、持ちたいと思っても持てない、そういう事実があるということ、これを認識すべきだと思うんです。 そのギャップというのはなぜ生まれてくるかといえば、例えば働き方の問題であったりとか経済的な問題であったりとか、さまざまなことがあるわけです。そのことは、実は自己実現という意味においては、みずから子を生み育てたいと思っても、その自己決定というものを自己実現することができない、こういうことになるわけでございます。 ですから、そうしたさまざまな障害となる要素というものを除去していくということは、実は、個人の自己決定に国が、また公が関与するということではなくて、それをむしろ促進するということなんだろうというふうに思っております。 そしてまた、そういうサポーター、ある意味でサポーターということだと思いますけれども、その立場を徹底するということが必要なのではないでしょうか。そして、今回のこの少子化社会対策基本法というものは、そうしたサポーターとしての公の役割、それを、各省縦割りではなくて横断的に包括することによって提示をさせていただいた、そういうことだろうと思っております。
○遠藤(和)委員 それは、例えば、少子化という問題に対して、少子化に歯どめをかけることを目的にした法律ではなくて、結果として少子化に歯どめがかかるものを期待している、こういう法律である、このように理解してよろしいですか。
○福島議員 そのように理解していただいて差し支えないと私は思います。
○遠藤(和)委員 結婚された新婚の夫婦の方に、子供は何人ぐらい欲しいですかというアンケートをした。それで、実際に産んだ子供の数と差があるんですね。そういうふうな差はどのぐらいあると理解をされていますか。それから、何で欲しい子供の数と産んだ子供の数に差が起こる、その理由について尋ねたアンケートがありましたら、それも開陳してほしいと思います。
○福島議員 平成十一年に、国立社会保障・人口問題研究所が全国の五十歳未満の妻を対象に調査をいたしました。出生動向基本調査という名称でございますけれども、この調査におきましては理想の子供の数は二・五三人でございましたけれども、実際の出生児数は二・二一人ということで、〇・三二人の乖離があったわけでございます。これは、昭和五十二年から調査開始以来一貫してこの〇・三から〇・五程度の乖離が見られております。 そしてまた、この乖離の理由ということでございますけれども、これについては、平成九年に、内閣府の国民生活選好度調査というものを行い、公表されておりますが、この調査の結果では、子供を育てるのにお金がかかる、年齢的な理由で無理だ、育児の体力的な問題、子供が伸び伸び育つ環境がない、家が狭いといったような回答が多くなっているというふうに認識をいたしております。
○遠藤(和)委員 いろいろな調査があるんですけれども、何か一番大きな不安というのは、やはり子供を育てていく教育に対して大変な負担になる、こういうふうな心配をされる方が多いように聞いております。ですから、教育に対してきちっと支援をする体制、それをつくっていくということが不安を解消する大きな役割になるのではないかなと思いますけれども、こういうふうな視点から見て、どういうことを充実していけばいいと考えていらっしゃいますか。
○福島議員 教育にかかわる費用が家庭にとって現在大変大きな負担になっている、このことはだれもが共通して認識しているところだろうと私は思っております。そして、先ほどの調査の報告がありましたけれども、経済的な負担ということを理由に掲げている方も多かったわけでございます。 したがって、本法案の中におきましては、子供を生み育てる者の経済的負担の軽減の例示として、特に奨学事業というものを挙げております。この奨学事業につきましては、この数年間拡大が図られてきておりますけれども、家庭の教育における経済的な負担というものを軽減するために、さらに政府に対しては引き続き拡大を図っていただきたい、私はそのように思っております。
○遠藤(和)委員 あと、小児医療の問題なんですけれども、これは、子供さんが病気になったときに行く専門病院が少ない。小児の外来ですか、小児を窓口にした病院がない。それから、お薬なんかも、小児専用のお薬というのはないんですね、ですから大人の薬を半分にして出すとか、それは大人のちっちゃいのが子供ではないので、子供は子供特有の症状があると思うんですけれども。 そうした子供さんが病気になったときの体制の整備というのが随分おくれているんじゃないかなと思うんですけれども、その辺の配慮というものはどのように提案者は考えているんでしょうか。
○福島議員 この小児医療体制の整備ということも大変大切なことでございます。 私ごとになって大変恐縮でございますが、私は大阪市のすぐ隣の隣接する市に住んでおりますけれども、私の子供が発熱をしてけいれんを起こして、まだ夜間診療所がやっていない、それで救急車を呼びました。救急車を呼んでどこに連れていかれたか。私、そのときには東京におりましたけれども、対応してくれる医療機関が自分の市にはまずない、隣の市にもない、それでもう一つ隣の市と。もう生駒山脈のふもとの近くまで運ばれていきまして、帰ってくるのも大変でございました。こんな実態でございます。 私も、ですから数年前から、この小児医療の問題というのはもっときちっとしなきゃいかぬということを国会でも繰り返し指摘をさせていただいておりますけれども、この法案においても母子保健医療体制の充実ということをうたっているわけでございます。 具体的にどうするのかということが大切でございます。本来政府が答弁をすべきかもしれませんけれども、幾つか具体的に御説明をさせていただきますと、小児医療の危機ということが言われておりますように、小児医療の採算性というものが大変今厳しい、そのことによって病院等が小児医療から撤退をする、そういう実態もあるわけでございます。したがって、小児医療に対しての医療保険上の評価を高くする、そういうことも必要でございます。昨年診療報酬改定を行いましたけれども、この診療報酬の改定においては、急性期の小児入院医療においての手厚い医師また看護師の配置を評価する観点から、小児入院医療管理料というものを再編いたしました。評価を高くさせていただいたというような見直しがまず挙げられると思います。 また、救急医療に関しましては、二次医療圏単位で当番制で小児救急対応が可能な病院を確保する小児救急医療支援事業、これを進めておりますし、そしてまた、二次医療圏単位でこうした体制の構築がなかなか難しい、それは地域によっては難しいところもありますので、そういう場合には複数の二次医療圏でこの体制をつくる、小児救急医療拠点病院の整備が進められております。地域の実情に応じてすき間のない体制をつくっていこうということで取り組んでいるわけでございます。 そしてまた、小児科医の育成ということが大切だということも、この国会でもたびたび指摘をいただいておりますけれども、平成十六年度から新たな臨床研修制度がスタートいたします。その中では、小児科というのが必修科目として、三カ月を目安として、少なくとも一カ月以上は研修をしていただくという方向で検討が進められております。 また、医薬品の問題でございますね。小児用の医薬品の開発というものをきちっとしてほしい、これも多くの方から指摘があります。私も医者ですから、昔は錠剤を割って出したりとかいろいろとやっておりましたけれども、小児の用量に合ったような医薬品の提供ということも大変大切なことだと思います。これは、提供する側からしますと、いろいろな剤型を用意しなきゃいけないということでコストの問題もありますので、その合理性みたいなものもあると思いますけれども、ニーズとして製薬業界に対してはきちっとお伝えをしていく必要があるんだろう、そんなふうに思っております。 こうした多面的な取り組み、これが今回この基本法の中で母子保健事業のことを掲げさせていただきましたけれども、そうしたことの反映としてさらに進んでいくように私どもは期待をしていきたい、そのように思っております。
○遠藤(和)委員 これに関連して、病児保育の問題。 この体制は、国の制度としてはできているんですけれども、地域では進んでいませんよね。ですから、保育所に預けているお子さんが病気になったときに、お母さんは本当に大変な思いをしていますよね。だから、そういうサポートをきちっとするという意味であれば、この病児保育の体制をもっと整備しなきゃいけない。そのために、これは保育所の方もそれから医師会の方も協力して体制の整備をしていかなければいけないのですけれども、なかなか手を挙げているところが少ないように思いますけれども、これはどういうふうに体制を進めますか。
○福島議員 これも先生御指摘のとおりでございまして、病児保育の体制というのはもっともっと充実させていかなければならない、そのように思っております。これは、政府におきましては新エンゼルプランというものを策定いたしましたけれども、その中では、十六年度までに五百市町村で実施する、そういう目標を立てているわけでございます。 具体的な進捗状況は、平成十二年度の百三十二、平成十四年度が二百五十一まで伸びました。倍増に近くなったということでございます。十六年度までに五百という目標をきちっと達成するために、政府に対してさらに努力を求めてまいりたいというふうに思っております。
○遠藤(和)委員 不妊治療の問題が午前中も出たんですけれども、これ、本当に欲しいと思っているんだけれども産めない、そういう方々がたくさんいらっしゃいます。それはかなり経済的に負担があるわけでして、これに対して保険適用を考えてほしい、そういう話があると思うんですけれども、保険というのは要するに病気になったときの治療というふうな話で、この不妊治療を積極的に保険適用するというのはいろいろ議論があるようですけれども、これはやはりきちっと議論をして保険適用する、その保険適用するまでは別途の助成制度ですか、そういうものを考えるべきだと思いますけれども、与党の中の協議はどのようになっていますか。
○福島議員 この不妊治療の経済的な支援につきましては、五月二十一日に、与党三党におきまして、次世代育成支援の一環として、平成十六年度から不妊治療費の助成を行うべきであるという基本方針について合意をしたところでございます。二つ基本的な考え方がございまして、医療保険の適用とする、そしてまた手当という考え方があります。 午前中も委員の御質問ございました。この不妊治療の助成ということは不妊治療を強いることにつながらないだろうかという御指摘でございました。こういう意見があるということも私は事実だと思っております。そしてまた、医療保険の適用にするのか、そしてまた手当にするのかという議論をしたときに、医療保険の適用であれば、より不妊治療を強いるのではないか、そういう懸念が強まるのではないかという御指摘もございました。ただ一方で、経済的な負担が大変重たいと。子供を産みたい、そのために努力しているけれどもこれだけ負担があるのではなかなかたえられないという意見があることも事実です。 したがって、私どもは、先般、与党として経済的な支援をするということを決定したわけでございますけれども、こうしたさまざまな意見があるのだということを踏まえながら現実的な対応をしていくということが私は必要だというふうに思っております。
○遠藤(和)委員 児童手当制度なんですけれども、現在は無拠出の給付制度ですね。それではなくて、やはり拠出する社会保険制度の中で児童手当給付を考えた方が私は合理的ではないのかな、こう思っているんですね。 例えば、年金制度の中に、設計変更しまして、年金の給付を障害給付と老齢給付だけではなくて、結婚お祝い金、それから出産お祝い金、それから児童手当給付、そういうものも年金給付の中に入れることによって、年金制度の魅力がふえますね。ですから、二十歳以上の方が国民皆年金になっているんですけれども、年金制度が空洞化するんじゃないかという心配が今あるわけで、そうしたものを加える、そのかわりに児童手当に使っている経費を全部年金の中に入れちゃう、そういうことによって抜本的に制度変更する、こういうことも考えたらどうかなと私は思っているんですけれども、これに対する御意見はどうですか。
○福島議員 先生の御指摘、大変大切な課題についての御指摘だというふうに思っております。 一つは、年金制度の信頼性といいますか魅力が損なわれてきて空洞化が進んでいるのではないか、それは特に若い世代に多い、ですから若い世代にとって年金制度というものをもっと魅力あるものにしなければいけないと。 現在、年金制度の抜本改革に向けてさまざまな議論が行われておりますけれども、そうした若い世代そしてまた子育て世代、そういう世代にとってどのような魅力をつけ加えることができるのか、次世代育成支援ということをどのように盛り込むことができるのか、検討されておりますのも、先生の御指摘のような考え方に沿ったものだろうというふうに思っております。 具体的にどのような制度にしていくことができるのか。これは、年金制度本体の改革をどうするのかということ、その根本の議論がありますので、それに応じてでなければならないと思っておりますけれども、しっかりと検討していかなきゃいかぬというふうに思っております。 そしてまた、児童手当制度につきましても、拠出制度にした方がいいのではないかという御指摘だと思います。それは、年金制度の中に入れるか入れないか、ここでも選択肢が出てくるわけでございますけれども、次世代が将来成人したときには今の現役世代は高齢者になっているわけでございまして、そういう意味では、次世代を育成するということは、当該家庭の親の利益ということだけではなくて社会にとっての大きな利益であるということを考えれば、社会的連帯の理念のもとで次世代の育成、例えばその児童手当というようなものについても社会保険の仕組みでやるということは、決しておかしな話ではないというふうに私は思っておりますし、十分検討すべき課題でもあるんだろう、そのように思っております。
○遠藤(和)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○佐々木委員長 以上で遠藤和良君の質疑は終了いたしました。 次に、塩田晋君。
○塩田委員 自由党の塩田晋でございます。少子化社会対策基本法案につきましてお伺いをいたします。 まず、この法案を提出されました趣旨及び法の目的についてお伺いいたします。
○五島議員 ちょっと会長が席を外しておりますので、私の方から答えさせていただきます。 今、塩田先生御指摘のように、結婚や出産は個人の選択の問題でございますので、国が直接関与するということができるものではございません。 しかし、我が国では、多くの人が結婚したいあるいは出産したいと望んでいるにもかかわらず、未婚率が上昇し、少子化が進んでおります。この背景には、結婚や出産の妨げとなっているさまざまな社会経済的、心理的な原因があると考えられることから、こうしたもろもろの問題を取り除くとともに、子育てを支援するための諸方策を推進し、個人の望む選択ができるような環境整備を進める、そのことによって少子化の進展に歯どめをかけるための取り組みをしていく、そのことが必要であろうというふうに考えて、このような法案を作成した次第でございます。 〔委員長退席、中沢委員長代理着席〕
○塩田委員 この法案の前文を見ますと「国民生活に、深刻かつ多大な影響をもたらす。」と、これが少子化についての認識の最初ではないかと思います。そして「有史以来の未曾有の事態に直面している。」と、こういう表現がなされております。そして、長期的な展望に立ってこれを考えなければならぬ、こういう表現になっております。この観点に立ちまして私は質問を申し上げたいと思います。 将来の日本民族の消滅を憂う、それを防ぐための法案である、こういうふうに受け取れるわけです。私は、日本民族という場合は、よく言われております単一の民族だということではなく、むしろ、いろいろな民族あるいは人種等がこの日本列島に集まって、そこで混合し、混成されたものだと。そして、日本人という意識を持っている、ある程度の共通的なものを、生活、慣習あるいは考え方、そういったものを一体的なものとして日本民族というものをとらえていきたいと思うんですが、そういった意味の日本民族の存亡にかかわる今問題だという意識がこの条文の中に出ていると思うんですね。 そこで、私は、まずそういった民族の消滅ということを憂えてこれがつくられているかどうかということについてお伺いいたします。
○五島議員 おっしゃいますように、少子化の進展というのは、非常に深刻な結果をもたらすものと考えております。ただ、その問題が、例えば労働力不足とか、そうした観点に限って申し上げるならば、それは必ずしも、例えば日本の産業そのものが必要とする労働力の大きさによって、恐らく日本にも外国人労働者が流入してくるということは避けられないものだろう、そういうふうな形での対応もあり得るんだろうというふうに個人的には考えております。 問題は、そうした問題だけでなくて、この少子化が進展することによって、例えば社会保障の基本的な基盤であってみたり、そうした我が国のさまざまな制度の根幹に大きな影響をもたらしてくるだろうというふうに思っています。 そういう意味で、この少子化に対して、今、結婚したい、子供を産みたい、そのように願っておりながら、さまざまな制約やあるいは経済的事由、それらの問題によってそれができていない多数の方々がおられることは事実でございまして、そうした問題を除去する、そのことによってそうした問題を少しでも解決していきたいというのがこの法案の趣旨でございます。
○塩田委員 有史以来の未曾有の問題、そして、長期的な展望で見るということからいって、私は、この日本民族というものについて考えていきたいと思うのです。 有史といいましても、有史以前からこの地球上に人類が発生し、そして民族が勃興し、そしてここ数千年、数万年にわたっての歴史というものは闘争の歴史であった、民族間あるいは部族間あるいは国家間。そして、その民族あるいは部族が、非常にエネルギーが盛り上がって、ほとばしり出るような力が出たときに、それが他民族を侵略し、殺りくし、そして国家をつくっていく。そして平和が訪れ、何年かたつうちに、これが内部的に崩壊をしたり、腐敗をし、そして外敵からの侵入を受け、滅んでいく。これの繰り返しですね。 いうならば、世界の歴史というものは、闘争の歴史といいますか、闘争と平和のあざなえる縄のような形で時が過ぎていっている、これが歴史だ、こう言っても過言ではないと思うのです。そこには、勃興した部族、民族、滅んでいった部族、民族、これがあり、国も興り、また衰亡し、滅亡していった。これが歴史ですね。 もっと具体的に申し上げますと、アメリカ大陸に栄えたアステカ帝国あるいはインカ帝国、あっという間に長年の歴史を閉じて滅んでしまった。その末裔たる民族は本当に細々と生活を送らざるを得ないという状況。それから、かつての帝国をつくったローマ、これも、そのローマ帝国をつくったローマ人は今どこにもいないと言われるような状況。 それから、かつて世界で最大の帝国をつくったモンゴル、元ですね。これも跡形もない。しかし、モンゴルという国を今つくって、二百万人。これはエネルギーはまだまだあるために、朝青龍なんかも日本に来て、角界を占領したわけじゃないけれども、本当に今大変な成績を上げておるという状況。 これはこれとしまして、チベットにしましても、聖徳太子のころは、中国に対しては日本よりも上の大国だったのですね、吐蕃国といって席は日本よりも上位だったと。それは、軍事的に当時はすごく強かったんですね。ところが、今やラマ教といいますか、チベット仏教を得て、平和でずっときたところが、前の世紀の終わりごろに、中国に併合されというか、殺りくをされ、また逃亡して、今や百万人も減って二百万人ぐらいになっているんです。なお民族が減少していっている状況、こういったこともありますね。 それから十四世紀、五世紀、六世紀に至っては、ヨーロッパの民族が非常に勃興して、そして世界の各地に出かけて侵略をし、殺りくをし、そして植民地をつくって支配をしていっている。これは今日、様子がかなり変わってきたと言えますね。 それで、現代は、混合民族のアメリカがひとり勝ちというか、一大強国として世界に臨んでいるという状況が今あるわけです。これが有史以来というか、世界人類の歴史だと思うのです。 日本は一体それじゃどうだったかといいますと、やはり人口ですね。世界の中に占める人口が一番多かった時期は、倭寇だとか戦国時代ですね、そして徳川の政権ができた直後、そのあたりまでは日本の人口は実に二千万人を超えているんですね。当時世界の人口は四億七千万と推定されている資料もあるんですが、非常にウエートが高かった。日本民族としての非常なエネルギーが盛り上がり、世界にも進出していった。そういう状況、やはり人口が世界の中で大国であったということですね、相対的ですけれども。 当時は、イギリスはまだ六百万人、あるいは、ヨーロッパで一番大きかった大国のフランスは千七百万人ぐらいの規模だ。ドイツも千五百万人、そういった規模で、アメリカ大陸に至っては百万人ぐらいだったと推定されているわけですね。そういった人口の規模、これが歴史の長い中に非常に消長していっている。 日本は今どうか。これは、人口規模自体においては、一億二千万を超えて大国ではあります。しかし、世界の中に占める人口の割合というのは、戦国時代、徳川の初めにおいては五%ぐらいあった。現代は、いずれ世界の人口は百億人になる、日本は今の一億二千万が半減する、六千万になるということが推計もされているわけですね。そういった見通しの中で、日本の民族というものが、このままいけば本当に消滅に向かっていくんじゃないか、長期的に見ればですね。エネルギーも、かつてのような失われたエネルギーが回復できるかどうか、そこにやはり端的に出てきているのが少子化の現象だと思うのです。 そういった観点からいうと、これはかつての戦争の、終戦の詔書を見ますと、御承知のとおり、「朕深ク世界ノ大勢ト帝国ノ現状トニ鑑ミ」というところから始まって、そして、敵は「頻ニ無辜ヲ殺傷シ惨害ノ及フ所真ニ測ルヘカラサルニ至ル而モ尚交戦ヲ継続セムカ終ニ我カ民族ノ滅亡ヲ招来スルノミナラス」という文章がありますね。よって、それを避けるために「堪ヘ難キヲ堪ヘ忍ヒ難キヲ忍ヒ」、そして「万世ノ為ニ太平ヲ開カム」という決断をして終戦になったわけですね。 そして、総力を将来の建設に傾ける。そして有史以来の苦難の道を、我が国民、日本民族が結束して再建に取り組み、そして今日まで努力の結果、世界で二位の経済大国になり、そして平和を半世紀以上にわたりまして謳歌してきておる、こういう現状にあるわけですね。 せっかく、大戦のときに、あの決断をして、民族を守るためにやったのに、今や民族が衰亡しつつある。半減をし、そのうちなくなってしまうかもわからぬといったような状況、こういう事態になっている、そういった認識から、これは何とかしなきゃならぬではないかということで、私は、この法案が出された意味は非常に大きいものがある、このように痛感しておるところでございます。 そこで、端的に人口をふやすということになりますと、これは、一言で言いますと、産めよふやせよ、そういうことになるわけですね。現に、戦時中ですけれども、昭和十五年、十六年、十七年、十八年、ここで人口が減りかけたところを、産めよふやせよという国策でふやしたんですね。現にその結果が出てきた。急増していますよ、この時期に、戦時中にかかわらず。そういう政策を打ち出した。これは、具体的に言いますと、大陸に行っていた兵士を故郷へ帰した、復員を大量にやった、この結果であるとも言われておるわけですけれども、そういった方法もあるわけですね。現に成功した。 ただ、さっき言われました労働力の不足という問題につきましては、これは産めよふやせよでは二十年先になかなか間に合わない、だから今からやっておくんだということだと思いますけれども、それは、先ほどおっしゃったように、外国からすぐ使える労働力を輸入といいますか、入国させればいいということもありますね。それから、人手が足らないということであれば、日本は技術国ですから、人間に近いような、そういった精密なロボットをどんどん開発して将来の人手不足に備えるといった、いろいろな手があると思うんですね。また、いわゆる産児制限運動というのもありましたが、産児制限のためのいろいろな措置、これを見直して、撤廃していくということも考えられます。いろいろな方法があると思うんです。 これらにつきまして、どのような御感想をお持ちか、お伺いいたします。 〔中沢委員長代理退席、委員長着席〕
○五島議員 先生の御意見を拝聴させていただきまして、ありがとうございました。 提案者としては、現在の少子化についてさまざまな御意見があることは承知しておりまして、そうしたさまざまな御意見の最大公約数として本法案を提出させていただいている次第でございます。提案者としては、この法案の提出を機に、少子化につきましていろいろな御意見が寄せられ、国民的議論が巻き起こることについて期待をいたしております。 そこで、各論についてでございますが、まず、この法案が労働力不足解消のための産めよふやせよの発想であるかどうかということでございますが、この法案につきましては、午前中も先生方の御議論に対してもお答えしてまいりましたように、すべての個人がみずから結婚や出産を望んだ場合には、それが妨げられることがないよう、結婚や出産の妨げとなっている社会の意識、慣行、制度を是正していくとともに、子育てを支援するための諸方策の総合的かつ効果的な推進を図ることを目的とするものでございます。 したがって、妊娠、出産に関する個人の自己決定権を制約したり、個人の生き方の多様性を損ねようというものではございません。少子化対策は、若い世代を含む国民各層の幅広い理解を得ることが不可欠であり、子供を持つ意思のない人、子供が欲しいのに得られない人を心理的に追い詰めるようなことがあってはならないものと考えています。将来において予想される労働力不足の解消を意図してこの法案をつくる、先ほども申しましたように、そういうものではございません。そういう意味において、かつての産めよふやせよの発想につながるものでないということを御理解いただきたいと思います。 次に、労働力不足の解消の手段。当然、少子化が進みまして、そして、我が国の産業の規模がそれを維持するために必要な労働力を国内において調達できないとなった場合どうするかという問題でございますが、これまで、午前中の議論の中にもございましたように、やはり、高齢者や女性の労働力率を引き上げていくということが当面の大きな課題であろうと思っております。その上で、なおかつ労働力の不足が存在した場合に、外国人労働者の導入とかロボットの開発という問題があるかと思います。 もちろん、外国人労働者も導入した場合、それによって社会全体にどのような影響を生じるか等の検討が必要でございますが、基本的に、我が国の産業界が労働力を膨大に必要とし、それが国内で供給できない場合は、世界の通常からいって、外国人労働者が我が国に入ってくることというのは避けられないものだろうというふうに考えています。また、ロボットの開発が現在でも既に一定されているわけですが、それが果たして労働力をトータルで代償するものであるかどうかということについては、検討する必要があるかと思います。 最後に、産児制限の撤廃ということでございますが、どのようなことを想定されているのかよくわかりませんが、例えば、中国の一人っ子政策のような政策を日本ではとれるはずがございません。そういう意味において、産む、産まないというのは、基本的にカップル、あるいはとりわけその主体である女性の判断であり、そして、女性が子供を持ちたいと願っている場合にその制約を取り除いていく、子育てが苦痛にならない、そうした社会をつくっていくというところにこの法案の目的を置いている次第でございます。
○塩田委員 私は、先ほど、我が日本民族の運命の問題として提起したわけでございますが、一方、人間の尊厳に関する問題だ、出産、育児という問題は。これは、国がとやかく言ったり対策するような性質のものでない、自由にこれを放任していくべきだ。そして、民族がそれによって衰亡すれば、それはその民族の運命なんだというような考え方もあるわけですね、手を加えるなという。自由に人間の尊厳を保つような政策をやるべきであって、少子化がどう、あるいは、ふやせということがどうということは議論すべきではないというような意見もありますが、これについていかがお考えですか。
○五島議員 今も申し上げましたように、基本的に、子供を産むか産まないかということについて国家が関与すべきものではない。障害物を取り除くというのは国を含めた任務でございますが、基本的に、最終的に、先生がおっしゃるように、人口が減ることが民族にとって重大な問題だということは理解いたしますが、そのことをもって、国家が国民に対して出産を義務づけたり奨励したりというような政策をとるべきでないと私は思っております。
○塩田委員 出産、子育てにつきましては、経済的な困難、これが問題だということをよく言われます。したがって、所得をふやしたりあるいは手当を給付するということの必要性、これがよく言われるわけでございます。 ところが、経済的に向上し、文化、文明が進んだところほど少子化が進んでいるということ、また、片や貧乏人の子だくさんというような言葉もかつてはあったわけですが、こういった経済と人口との関係についてどのように見ておられますか、お伺いします。
○荒井(広)議員 一般論でございますけれども、経済が豊かになって、避妊手段やあるいは知識が普及し、また衛生状態が改善すれば、それに伴ってだんだん、多産多死、多く生まれて多く死ぬという状況から少産少死という人口構造の転換が起こるというふうに言われております。また、乳幼児の死亡率が高く、老後の生活を子供に依存している、そのような社会では、子供をたくさん生み育てることに経済的合理性があったものと考えられております。 この点、現在の日本と置きかえてみますと、衛生状態もよく、また社会保障制度も比較的充実しており、一般的に言う豊かさ、これが少子化を進める一因となっていることは、先生の御指摘のように、否めないところだと思います。また、少子化の進展により人口が急激に減少するということは、先生の御指摘にありましたように、労働人口の減少、経済成長の制約、現役世代の負担の増加、現役世代の手取り所得の低迷などによって、国民生活の豊かさにも多大な影響をもたらすことは十分予想されるわけでございます。 そこで、この法案は、先ほどから提出者の先生方からもありましたように、そうした少子化社会にあるいは少子化状況に的確に対処するためには、総合的、かつ、個人の選択的自由ではございますが、みんなで日本をよくしていこう、社会をよくしていこう、家庭をよくしていこう、そういうようなものを持ちながらも、何か障害があるということであればそこを取り除く、それを総合的な施策でやっていくということをみんなで認識していくということがいろいろな問題を解決する一助になるのじゃないかということで、この法案を提出した次第でございます。
○塩田委員 時間がございませんので、まとめて二問お伺いいたしまして、最後にいたします。 一つは、この法案の中に、父母が子育ての第一義的責任者である、家庭というものの重要性が強調されております。ところが、中をまた読んでいきますと、手当、給付の充実だとか、あるいは勤務時間の短縮、休暇の増加等が言われております。これは全く逆の考え方ではないかと思いますが、いかがお考えか、お伺いいたします。これが第一問。 第二問は、ヨーロッパ、先進諸国と言われるところで、いわゆる出産、育児のための有給休暇の制度がかなり進んで、整えられているということを見るわけです。我が国におきましても、先進的な企業等におきましては、一年以上休みをとることができるような、そういうところもあるわけですが、そういった現状についてお伺いし、そしてそれについて、出産、子育てについてどのような効果があると評価しておられるか。 以上二点についてお伺いいたしまして、質問を終わります。
○佐々木委員長 西川君、時間が来ておりますので、なるべく簡潔に答弁を願います。
○西川(京)議員 最初の御質問にお答えいたします。 先生おっしゃいますように、子育ての基本は家庭である、これは私、おっしゃるとおりだと思っております。その中で、今現実にさまざまな職業を持った女性の職場進出の中で、やはりその現実に対応する施策、育児の支援体制の充実というのはどうしても必要なことだろうと思っております。 そういう中で、今、労働時間の短縮とその他のそういうところで実際に図れるのかという御意見がありましたけれども、実は、この法案の中には子育てという意味と子育ちという意味も入っております。私も、この保育制度の充実の中に、子供の側の気持ち、それに配慮するところが少々不足しているのではないか。長時間保育あるいは夜間保育、そういう問題は現実には対応しますが、子供にとってはかなりの負担になることです。ですから、やはりそういうところでも、労働時間の短縮ということは、やはり母親と子供との接点を少しでも多くするという意味で、大変もっと子育て全体に対する大きな意味があることだろう、私はそう思っております。 そして、保育施設の充実などで、例えば今の、現実に家庭が一番、それは第一義的に大事だと思うのですけれども、家庭自体が大変核家族化して、子供一人で夫婦二人というような若い家庭などの場合には、本当に異世代の交流とか社会性を育てるとか、そういうことが大変厳しい状況がありますので、そういう意味では、保育園、幼稚園その他でいろいろな、高齢者も交えた保育なり、あるいは地域の子供たちと一緒になったり、児童支援体制とか、そういうことでやはり先生のおっしゃるような目的は十分果たされていく、その方向で頑張ってまいりたいと思っております。 以上です。
○佐々木委員長 井上君、簡潔に。
○井上(喜)議員 育児休業制度の世界各国の状況ということでありますが、日本は御承知のとおり一年なんですよね。ヨーロッパ大陸の方は日本より長くて、何かドイツとフランスが三年間、スウェーデンが十八カ月と聞いているんですが、アメリカ、イギリスはずっと短くて、アメリカの場合は病気休暇とか家族介護なんかを含めまして一年につき十二週間ですか、それからイギリスが四週間ということになっておりますから、日本としてはまあまあ中ぐらいの休暇制度になっているのではないかと思うんですね。 そういう休暇制度なりあるいはいろいろな手当、これと出産数との関係もお尋ねになったと思いますけれども、やはり我々も随分検討したんです。しましたけれども、制度の定性的あるいは定量的な分析とこれは一致しないんです。一致しないといいますか、ちゃんとした相関の関係が出るということがありませんで、これは今後の検討課題じゃないか、こんなふうに思います。
○塩田委員 ありがとうございました。終わります。
○佐々木委員長 以上で塩田晋君の質疑は終了いたしました。 次に、瀬古由起子君。
○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。 まず、質問させていただきますが、国連カイロ人口会議で、性と生殖に関する健康と権利、リプロダクティブヘルス・ライツの問題が提唱されました。厚生労働省の厚生白書の二〇〇〇年版におきましても、リプロダクティブヘルス・ライツという概念は、子供を産む、産まない、産むとすれば何人産むか、女性が自己決定をする権利を中心課題とし、広く女性の生涯にわたる健康の確立を目指すものであり、国際的に女性の人権の一つとして認識されてきていると明確に述べられております。 少子化社会対策という場合に、国際的にも大きな流れになっている女性の自己決定権については当然前提になると思いますが、その点いかがでしょうか。
○岩田政府参考人 今委員が言われましたように、リプロダクティブヘルス・ライツという概念は、子供を産むか産まないか、産むとすればいつ、何人産むかということについての男女、女性だけではなくて男性もだと思いますが、男女が自己決定する自由と権利を持つということを中心的な課題とした概念であるというふうに認識しております。この概念は平成六年の国際人口開発会議において提唱され、その重要性が国際的に認識されるに至っているというふうに思っております。 我が国におきましても、平成八年に策定された男女共同参画二〇〇〇年プランや、平成十二年に策定された男女共同参画基本計画において取り入れられているところでございまして、各般の施策の中に生かされているというふうに考えております。したがいまして、少子化対策を進めるに当たりましても、この概念が前提になるというふうに理解をいたしております。
○瀬古委員 我が国の今までの歴史で、産む、産まないという女性の自己決定権が政府によって奪われた例、こういうのはございますでしょうか。
○岩田政府参考人 大変残念なことではございますけれども、昭和三十年代以前の国立ハンセン病療養所においていわゆる半強制的な優生手術が行われていたということが、関係者、厚生労働省も含めてでございますが、関係者の共通の認識となっております。また、戦中において、政府が人口増加政策をとったということも承知をいたしております。 今日の少子化対策におきましては、個々人の多様な生き方が否定されるということがあってはならないということは当然でございますので、子供を産みたい、育てたいという方が生み育てやすいような環境をつくるということを政策の基本といたしまして取り組んでまいっているところでございます。
○瀬古委員 政府によって自己決定権が奪われる、恣意的に産む、産まない、国がそれを支配する、こういう歴史を日本が持っているということも今指摘されたと思います。 私がこの間かかわってまいりましたハンセン病の患者さんたち、元患者さんたちの問題も指摘されました。この病気が全く遺伝性もなければ感染力も弱いのに、男性には断種、女性には堕胎を強制しました。今日では、たとえ遺伝性や感染性の病気があっても、産む、産まないという権利は保障されなきゃならないと私は思いますけれども、日本民族浄化の旗のもとに三千人の子供たちの命が奪われたわけでございます。そして、今言われたように、戦争中は、産めよふやせよということで子供を産むことを奨励し、健康でないと言われた病弱や障害者は不当な迫害のもとに置かれた、こういう歴史を持っているわけです。 私は、少子化対策という場合には、今日、日本がとってきた誤った歴史の教訓からしても、国際的な前提となっている自己決定権は当然鮮明にされるべきだというように思いますが、その点いかがでしょうか。
○岩田政府参考人 これまで述べましたように、結婚や出産は当事者の選択にゆだねられるべきという自己決定権の尊重という基本的な理念に立脚してこれまでも子育て家庭の支援をやってまいりましたし、今後の対策も、そういう考え方をしっかり踏まえた上で進めるべきであるというふうに考えております。
○瀬古委員 今回、この委員会での法案審議に先立って、子育てをしながら働く職場が一体どうなっているのか、働く女性がますます子供が産めない、育てられない事態が、まさに、事実上自己決定権が奪われている、こういう事態がすさまじい状態で進んでいるという問題について私は質問したいと思います。 日本航空の客室乗務員の深夜勤務免除の申請者を大量に休業させているという問題についてお聞きします。 日航では、約六千五百人の客室乗務員のうち、就学前の子供がいる労働者が八百人から九百人と言われております。そこで、三月には百人の深夜免除を、毎年申請者がふえる四月に、これを七十五人に大幅に縮小、限定した。それ以外の申請者については、二泊あるいは三泊四日以内の勤務かもしくは無給の休業か、こういうことを迫る事態が四月以降引き続き起こっております。 厚生労働省は三月に行政指導されたわけなんですけれども、会社に報告させ、指導していく、このように言ってきたわけです。休業した人についての賃金や他の処遇は一体どうなっているでしょうか。六月、七月についてもかなりの休業者を出すのではないかと当事者を抱える組合では心配されていますけれども、一体どのようになっているでしょうか。
○岩田政府参考人 日本航空は、JASとの経営統合というプロセスの中で今再編を行っているというふうに理解いたしておりますけれども、その過程で、日勤といいましょうか、深夜業を伴わない路線が大幅に縮小しているという事情があるというふうに理解をいたしております。 本件については、東京労働局から日本航空に対しまして、深夜業の制限に関する措置がより適切に実施されるように指導を行ってきているところでございますけれども、その指導の結果、日本航空では、七月までの当面の措置として、今委員が言われましたように、緊要度に応じて、希望者の中から選抜した七十五名については日帰りのみの勤務に従事をさせております。その他の者については、本人の選択によって、最長三泊四日の勤務を含む勤務にするか、あるいは休業を続けるかといった措置を実施しているというふうに報告を受けております。 さらに、日本航空では、東京労働局の指導を踏まえまして、八月以降は、これまでの当面の措置にかえまして、長期的な対応措置を講じるように検討しているというふうに聞いているところでございまして、行政としては、どのような措置が講じられるかということについて注視をしてまいりたいというふうに思っております。 休業中の賃金、社会保険の状況についてでございますが、育児・介護休業法にはそういうことについての具体的な規定はございません。労使でお話しになってお決めになるということだと思いますけれども、この日本航空の場合には、休業中は無給であるということ、社会保険については引き続き適用をするということ、したがいまして、事業主負担分は企業が負担し、そして労働者負担分については、とりあえず企業が立てかえ払いをして、復帰した後に給与または賞与から差し引くというようなことで合意をしているというふうに聞いております。
○瀬古委員 今、本人の選択によってと言われたんですけれども、実際には乳幼児を抱えている女性が、それも、深夜免除といったって、午後十時から朝の五時までなんですね。そのわずかな期間、その時間さえも帰れないような勤務、二泊、三泊といった勤務をしなきゃならない。そういう勤務をしますか、それとも無給の休職、休ませる、やりますか、どちらか選びなさいというわけですね。本人の希望なんということはあり得ないです。無理やり選ばされて、実際には、小さい子供を抱えている人が二泊、三泊やれないですから、選ぶとしたらもう無給の休業に追い込まれる。これがずっと続きますと、保育園だってもう預かってもらえないという事態になりますから、やめざるを得ない。こういうところに今こういう人たちが立たされているわけです。 この問題で、三月に東京労働局が三点について指導したんですね。 深夜業の制限を適用する労働者の枠を拡大するよう一層の努力をするとともに、深夜業の制限の枠から外れた者に対する配慮をさらに検討すること。 深夜業の制限を適用する労働者を限定する方法については、緊要度の高い者を優先する等合理的な方法が求められること。 これは、抽せんでやるなんて言ってひどいことやって、これはさすがにやめさせたわけですけれども、こういう御指導。そして、三つ目には、 恒常的に深夜業の制限を拒むことを前提に業務運営を行うことは問題があり、制限を希望する労働者が制限の適用を受けられるよう、人員体制の整備を可及的速やかに検討し、実施すること。 このような指導をなさっているわけなんですね。 ここにも書かれておりますように、恒常的に深夜業の制限を拒むことを前提に業務運営を行うことは問題がある、これが、この間、四月、五月、六月とずっと恒常的に続いてきているわけですね。 このまま拒否する事態、変わらないという事態があれば、これは違法状態になるということの認識で御指導なさっているんですか、少なくともこれは好ましくないというふうに思って御指導なさっているんでしょうか、その点いかがですか。
○岩田政府参考人 東京労働局では、日本航空に対しまして、今委員も引用なさいましたけれども、恒常的に深夜業の制限を拒否することを前提に業務運営を行うことは育児・介護休業法上問題があり、制限を希望する労働者全員が制限の適用を受けられるよう、人員体制の整備を可及的速やかに検討し、実施すること、これを指導しているわけでございます。 今とられております日本航空の対応は、臨時当面の措置であるというふうに理解をいたしております。
○瀬古委員 少なくとも、こういうことがずっと続くということは好ましくない、このように御判断されていますか。そういう立場で御指導なさっていますか。
○岩田政府参考人 今のような状況が恒常的にこの後長期間続くということは問題があるのではないかというふうに思っております。 復職したいけれども休業せざるを得ない方、あるいは深夜業を伴わない昼間だけの勤務が希望どおりできている方、そういった方の間に不公平感もございますし、ぜひ八月以降の体制については、会社の方で関係労働組合ともよく協議をされて話を進めていただきたいというふうに考えております。
○瀬古委員 今言われたように、こういう事態がずっと続いているということは好ましくない事態だと思います。そういう意味では、本当にわずかな、ともかく深夜だけでも帰って子供に、それでも五時からの勤務ですから、もう四時とかそんなに起きて、四時ごろに弁当をつくって、それで出かけていく、こういう女性たちが、これがだめになったら働き続けられない、もう明らかだと思うんですね。 そういう意味では、こういう事態が続くことは好ましくないし、もしくは、また、八月以降の体制が準備されているなら、今局長が言われたように、労働組合ともよく話し合って、ちゃんと本人たちの状況も聞いて、ぜひ御指導なさっていただきたいと思うんです。 そこで、やはり今回の場合は、例えばこういう日本航空の場合に、事業の正常な運営を妨げる場合ということで特別に認めないという例を例外的に出しているわけですが、しかし、よっぽどそれは事業主が努力をしなきゃならないと思うんですね。 これはちゃんと通達の中にも、事業主は、労働者の請求が実現されるように、通常考えられる相当の努力をすべきで、単に事業経営上、時間外労働、深夜労働が必要であるといった理由だけで拒むことは許されない、こういう通達も出ているわけですね。客観的に判断されて代替要員を探すことが著しく難しいとかよっぽどのことでない限り、本来なら、深夜業を申請した人に対してそれを認めないというのは、よっぽどのことでない限りこれは認められないと思うんですね。 その点は、会社の言い分が、こういう免除が出たら正常な運営ができないといっても、実際にはもう休業させているわけですから、労働者を休業させて実際飛行機は飛んでいるわけですね。こういう姿勢というのは、これがうんと一般社会に広がっていくと、それこそ大変な事態になっていく。深夜業免除の申請をした人に、休業するかそれとも普通どおり働くか、どっちかにしなさいみたいな迫り方をやる会社がどんどん出てきたら大変なことになると私は思うんですが、その辺いかがでしょうか。
○岩田政府参考人 今委員もおっしゃいましたように、育児・介護休業法の精神は、労働者が深夜業の制限を請求した場合には、請求どおり深夜業の制限を受けることができるように、通常考えられる相当の努力をすべきであるというふうに考えております。 日本航空の場合には、先ほどもちょっと触れましたけれども、国内路線の再編に伴って日帰り勤務が可能な路線が大幅に減少するという非常に難しい状況の中での問題かというふうに思っております。 こういうことが、深夜業の免除の請求をした方が希望どおり実現できないというようなことが一般化するということはもちろんあってはならないことでございますので、それは、もし万が一そういうようなことがございましたら、地方労働局の方に御相談いただきまして、必要であれば指導してまいりたいというふうに思います。
○瀬古委員 客室乗務員の、若い、本当に子育て中の方がたくさんいる、こういう会社でこういうことがまかり通ったら、ある意味で日本を代表する大企業ですよね、本当に大変なことになると私は思うんですね。 こういうことは絶対許してはならないと思うんですが、例えば日本航空はこんなことを言っているんですね。休業するということも実は深夜業の免除ですと。確かに休業させたら深夜業をさせない、仕事をさせないわけですから、これも免除ですよなんて言って深夜免除の勤務を拒否し続けてきたわけですね。 労働者は働きたいと言っている、しかし、結局七十五人ですという枠を決めるから、ある意味では働けない、こういう状態に追い込んで、そして休んだ人は無給でやりなさい、そして休業も免除などという、こういうことが蔓延したらまた大変になると思うんですが、その点いかがですか。
○岩田政府参考人 なかなか一般的にお答えするのは難しいかと思いますが、日本航空の件につきましては、これまでも御答弁申し上げましたように、当面の措置として、日帰り勤務の選択から漏れた方について、休業していただくかあるいは深夜業を伴う勤務で復帰していただくかという選択を準備した、こういう経緯だというふうに思っておりますので、現時点では、日本航空は相当の努力を行っていないとは、そこまでは言えないのではないかというふうに考えております。 いずれにいたしましても、八月以降どういう対応をなさるのか、その点について大変注視をしているところでございます。
○瀬古委員 今言いましたように、一般的に休業も深夜業の免除だ、こういう考え方が蔓延しますと、例えば労働者が深夜業免除を要求する、そうしたら、休業してください、休業するか働くかどっちかにしてくださいと。これは今、日本航空の場合で言われたんですが、一般的にそういうことがまかり通ったら、わかりました、深夜業を免除します、そのかわり無給の休業ですよ、こんなことが蔓延したら一体どうなっていくでしょうか。本当に深夜業の免除という申請はできなくなっちゃうんじゃないですか。 その辺、一般的にこういうものが広がったらとんでもないと思うんですが、いかがでしょうか。
○岩田政府参考人 やはりなかなか一般化することは難しいと思うんですね。 昼間の勤務をする、そういう機会が希望者に十分あるような、そういう業態であれば、もちろん事業主の方は相当の努力をしてそれを実現されると思いますけれども、今問題になっておりますケースについては、日帰りができるような路線が大幅に縮小しているということですとか、あるいは、問題になっている労働者の皆様方は、客室乗務員という、職務を当初から決めた上での採用ということでございますでしょうし、一般的にはそういう客室乗務員の業務というのは深夜業を伴うということでございますので、その中で子育てをしながら仕事を継続したいという方たちの、深夜業を免除の上で継続したいという要請を、企業としてぎりぎり努力していただいてどういう形で実現できるかということであるというふうに思っておりますので、こういう問題が一般的に通常起こるということはとても考えられないというふうに思っております。
○瀬古委員 日本航空がぎりぎり努力をしているかどうかという問題でも、私は疑問があると思うんです。 七十五名の枠を絶対変えないわけですよ。普通、努力すれば、いや、では今月は九十名にしましょうとか八十名にしましょうとか、いろいろな努力の跡が見えるわけですが、どんなことをやっても七十五名の枠は、それしか免除しない、こういうやり方をとったり、それから、実際には、それだけ免除があったら飛行機は飛ばない、運航上大変問題があると言いながら、労働組合の皆さんが具体的にこうやればこういう免除を希望している人たちがちゃんと受け入れてやれるという提案までしているのに、それについては答えられない。現実に、飛行機は、今、免除を出した人みんな休業にさせて、飛行機に乗せないで、実際には飛ばしているわけですね。 こういう努力という点でいいますと、私は、やはり本当に本気で努力しているというふうに思えない。ある意味では、子育て中の労働者をどうやってやめさせるか、どうやって子育てできないようにしていくか、子供を産むということをもうやめちゃう、あきらめる、こういうところに追い込んでいる、こういう事態を日本の大企業がやるなどということがあったら、もうとんでもないと思うんですね。私は、少子化社会対策ということを考える場合に、現実にはもうすさまじい勢いでこういうやり方が進んでいるということは、本当に異常だと思います。 とりわけ、これは、客室乗務員の方たちは、ここの日本航空で働けば、ちゃんと深夜免除が子育て中はあるわということで働いている。ところが、突然、一方的に言ってくるわけでしょう。これも、就業規則で、労使の話し合いもなくて、一方的に変更しちゃう。そういうことが許されていいんでしょうか。どうですか。
○青木政府参考人 就業規則につきましては、労働基準法上、使用者が定めるということになっておりまして、そこでさまざまな規範、事業場内の規律でありますとか、あるいは労働条件にかかわることが書かれるわけでありますが、その際には労働者を代表する方の意見を聞いた上で定める、そして、労働基準監督署に届け出るということになっているところでございます。
○瀬古委員 そうしますと、こういう場合にもきちんと労働者の意見をよく聞いてやらなきゃならないという点でも、私は、日本航空は努力したとは思えないと思うんですね。 そこで伺いたいんですけれども、育児休業、介護休業法において、解雇、不利益取り扱いは禁止されているわけなんですね。厚生労働省は、指針において、その不利益取り扱いについて、解雇、労働契約内容の変更、自宅待機、降格、減給、不利益な配置変更などが当たるとされております。これらは、育児休業法等で定められている時間外労働の制限や深夜業免除についても、それを請求したことで不利益取り扱いの禁止についても同様のことと考えていいでしょうか。
○岩田政府参考人 育児・介護休業法の第二十八条に基づく指針においては、今委員が言われましたように、労働者が深夜業の制限の請求をしたことなどを理由としてその労働者に対して不利益な取り扱いを禁止しているということでございます。この不利益取り扱いに該当するかどうかは、労働者の深夜業の請求という行為と使用者が命じた自宅待機の間に直接的な因果関係があるかどうかということに基づいて判断をするということだと考えております。 そこで、今問題になっておりますケースのように、事業主の合理的な範囲内での努力では昼間の勤務への転換を行うことができない、そういった場合に一部の者が自宅待機となるような場合についてですけれども、その期間の長さにもよると思いますけれども、必ずしもこれがすぐに不利益取り扱いに該当するとは言えないのではないかというふうに考えております。
○瀬古委員 この自宅待機というのは、いわゆる会社都合の休業と言われているものだと思うんですけれども、例えば、会社都合の場合は、今の労基法で六割の支給ということになっているわけですね。そういう賃金保障があるわけです。この場合は全く無給なんですね。これは問題になるということにはならないでしょうか。
○青木政府参考人 ちょっと、個別の案件については個々の事案を十分精査してみなくてはいけないというふうに思いますけれども、今委員お話しになりましたような労働基準法の二十六条では、一般的に申し上げれば、使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合においては、休業期間中、平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならないということで、休業手当を支払えということになっているわけであります。 この使用者の責めに帰すべき事由というのが、おっしゃった会社都合と俗に言われていることだろうと思うんですが、これは、経営者として不可抗力を主張し得ない一切の場合を包含するというふうに解しておりまして、経営面について起こった事由によって労働者を自宅待機させて休業させるには、一般的に申し上げれば、本条の使用者の責めに帰すべき事由に該当するだろうというふうに思っております。
○瀬古委員 ぜひ、この場合も当てはまるかどうか、しっかり調査していただきたいと思います。 時間がありませんので——今のところ、いいですか。この問題について、具体的に調査をしていただけませんか。
○青木政府参考人 それぞれ労働者の方々から、通常、いろいろなところで申告でありますとか御相談がございますので、そういうことが具体的にございますれば、調査をいたしたいと思います。
○瀬古委員 ぜひ、お願いします。 最後ですけれども、男女共同参画室にお聞きしたいと思います。 今お話しさせていただきましたように、この日本航空のやり方ですよね。ともかく、子育てしながら働き続けることができない、こういう状態。ある意味では、子育てしながら働き続けることができる社会を目指す男女共同参画法の精神にも私は反すると思うんですね。政府の進める少子化対策にも私は逆行する事態を生むことになると思います。 男女共同参画社会づくりのために企業の果たす役割、これを明確にぜひ述べていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○坂東政府参考人 一般論としてではございますけれども、男女共同参画社会の実現のためには、政府はもとより、特に企業、民間団体、さらには国民一人一人の取り組みが重要であると認識しておりまして、男女共同参画社会基本法におきましても、国民の責務として、「職域、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成に寄与するように努めなければならない。」とされているところでございます。 今後とも、企業や民間団体を初めあらゆる分野において、男女共同参画社会の形成の促進について御理解を得るための取り組みを真剣に進めてまいりたいと思っております。
○瀬古委員 終わります。ありがとうございました。
○佐々木委員長 以上で瀬古由起子君の質疑は終了いたしました。 次に、北川れん子君。
○北川委員 社民党・市民連合の北川れん子です。 この法案は議員立法だとお伺いしているんですけれども、この議員立法が立法化されるまでの間に大きな議論の分かれ、相違点というのがあったと思うんですが、手短に教えていただきたいと思います。
○中山(太)議員 この法案が法制化、文章として成文されるまでにいろいろな意見の対立があったかどうかというお尋ねでございますが、私ども有志の議員連盟は、子育てをやっていらっしゃる方々、あるいは保育所の代表者、幼稚園の代表者、いろいろな方から御意見を承りまして、それを集約したものがこの法案でございます。 ただ、法案が提出されてから数年間の日時が経過をいたしておりますが、それは全く議会運営のために出てきた結果でございまして、この法案は作成された当時と何ら変わっておりません。
○北川委員 私ども社民党は、議員連盟にも入っておりまして、立法化をされるという前提のもとで一緒に共同作業にも携わらせていただいておったのですが、実は具体的な文言の提案というものもさせていただきました、今、中山提案者の方からはその点の指摘がなかったんですけれども。 実は、清水澄子前参議院議員の方から、前文に、結婚及び出産は個人の選択にゆだねられるものである、そして二条の二項に、少子化に対処するための施策に当たってはまず女性の自己決定権が尊重されなければならないということで、きょうは前段の御議論もお伺いしておりますと、このリプロダクティブヘルス・ライツ、自己決定権の文言がないのではないかという御指摘がございました。この提案をいたしたんですけれども、残念ながら採用されなかったという事態に至りまして、提案者にはならなかったという事実があるんですけれども、これに対しての御認識はいかがでいらっしゃいますでしょうか。
○荒井(広)議員 清水先生を初めとして実は各党からもいろいろな御意見がございました。今、中山会長からもお話がございましたように、そうした御意見がございまして、先ほど来提出者の先生方からお話がありますように、法文を読んでいただきますと、生み育てようとする方々の自己決定権はもう当然ある、そして、その中で障害となっているものがあったらそれを除去しようということでございますから、前文にもまた目的にもその趣旨を書いてありましたので、そういうことでよろしいのではないかというのが大筋の御意見であった、こういうことでございます。 なお、さまざまな御意見としては、少子化対策としては物足りないのではないか、もう少し踏み込むべきじゃないか。それから、今お話がありましたようなほかに、結婚や出産にかかわる問題を法律で規定するのはいかがかというような御意見までございました。この間、地方公聴会やさまざまな皆様方の御意見を承りながら、共通してほとんどの御意見は、我が国における急速な少子化の進行というのは、経済面、社会面で非常に深刻な影響をもたらす、この点ではほとんどの方の認識をいただきました。その中で、皆様方で御議論をいただいた最大公約数の意見をいただいているというようなことでございます。 その間に、公園デビューというようなお話であるとか、子育ても大切だが子供側から見た子育ちというのも大切だろう、そういうようなさまざまな御意見を最大公約数としてこの中に盛り込んで、十省庁以上にわたる総合的な対策が必要だということで、理念と施策、そして総理が長となります会議を構成いたしまして、毎年国会に報告をし、そして実効性あらしめていこう、こういうようなことでこの法案が成り立ったという経緯でございます。
○北川委員 生み育てない者の自己決定権に対して心配しなければいけない。先ほど、生み育てる者の自己決定権を脅かすものではないという御説明なんですけれども、では生み育てない者の自己決定権というものもこの条文からはどうなるのだという御意見が先ほどあったように、民主党さんの中から廃案の要求、修正の要求ということが出ているという点におきましては、では、厚労省の方から、流れ的には、多分始まりは七九年の女性差別撤廃条約から始まって、去年十二月にバンコクで開催された第五回アジア太平洋人口会議でも性の自己決定権は採択をされております。この流れを受けて施策を各施されていらっしゃったと思うんですけれども、条文的にこのことを少子化対策基本法の中に盛り込むことは可能であると思うんですが、いかがでいらっしゃいますでしょうか。
○岩田政府参考人 リプロダクティブヘルス・ライツという、子供を産むか産まないか、いつ産むか、何人産むかということは男女が自己決定できるその自由と権利を有する、そういう概念に基づきまして私ども政府の施策は立案し、施行いたしております。これからの少子化対策についても、そのような考え方に基づいて推進すべきというふうに考えております。 基本法の構成、条文をどうするかというのは、立法府のお話でございますので、私、お答えする立場にはございませんので、御容赦ください。
○北川委員 立法化すれば、今回も基本法より個別法にすればいいんじゃないかという御議論もありましたが、個別法は既にもう文言が条文として入っておりますよね。そうしますと、基本法に入らないことを余計にいびつに深読みをしてしまう、これが平成版の産めよふやせよの施策ではないのかという現実的な心配が提案されておるゆえんではないかと思うんです。 ここのところを解消するためにも、一番背骨のところの自己決定権、このことに対する文言というものに対して、積極的に立法された提案者の方で議論の余地、四年たちましたし、要るということがより一層明確になってきているという点におきましても、これは要るというふうに考えますけれども、いかがでいらっしゃいますでしょうか。
○中山(太)議員 今委員から御指摘の点は、この委員会における与野党の委員からの御質疑を踏まえて、この法案を採決するときにもう一度協議をするということで、結論を出したいと思っております。 もちろん、御指摘のように、産む、産まないの権利というのは女性にあるわけです。私は、それは原則だと思います。ただ、その原則を尊重していく、リプロダクティブヘルス・ライツというのは、これはもう動かし得ない、現実に守らなければならない基本的な条件であると考えております。
○北川委員 中山提案者の方から、今のは力強く、では採決までに時間がかかるだろうという逆に言えば御提案かとも思いますけれども、おっしゃったように、女性の健康と性の自己決定の保障というのは、もう三十年来議論され、個別法でも日本は充実してきたという点がございます。新たにこのことを盛り込まないことでの不用意な迷いや、どうすればいいのだろう、自分たちの存在が脅かされるのではないかというような立場から、この法案はない方がいいというふうに御提案される方もあるということに至っては、やはりこの基本姿勢を入れるか入れないかというところが大きな分かれ目になるということを、ぜひ提案者の方にもじっくりお考えをいただきたいと思います。 そして、私どもの方は、前文に「生命を尊び、」、十七条には「生命の尊厳」という文言が出ております。これはいろいろなふうにまた読める文言ではあるんですが、これが生殖や女性の性の決定の場面で使われますときには、中絶反対運動、プロライフの考え方を持つ皆様が積極的に使われる文言として強調されて使われていくということがございますので、先ほどの基本理念にリプロダクティブヘルス・ライツの考え方を入れるといった点からも、この文言の強調化を避けていくという姿勢が必要ではないかと思うんです、これは私どもの考えであるということをお伝えしておきたいと思うんですが。 次に、この条文を読ませていただきまして、すごく多く出てくる言葉があるんですね。それは「子どもを生み育てる」という言葉です。これは前文に一回、そして条文の方には十二回、合わせて十三回ほど「子どもを生み育てる」と、まさに提案者の方もお使いになっているんですが、出てきております。この「子どもを生み育てる」、これはだれを指すのか、まず初めにお伺いをしたいと思います。
○西川(京)議員 「子どもを生み育てる」、この文言はだれを指すのか。これはもちろん、産むという、お産の産という言葉を使いますとどうしても女性のみということになりますので、あえてこの生という字を使ったということで、これは当然男性、女性、両方指す言葉だと思っております。
○北川委員 産むという体の性を持っている女性、その女性が初めて自己決定権という場面に出くわしたのが一九七九年の女性の差別撤廃条約で、自分たちの権利として獲得できたところであると。ですから、お産の産という字は使わずに、生活の生と言ったらいいんでしょうか、命の生まれると言ったらいいのでしょうか、その生むという漢字を使い、生み育てるにしたというふうに言われたんですが、でも、改めて聞くと男女のことを指すというふうにおっしゃいました。 それで、調べてみましたら、女性の差別撤廃条約、八五年に日本も批准しているんですけれども、この折も訳の問題でもいろいろ議論があったようなんですが、やはり全部の条項に「男女」というふうに入っております。前文では「社会及び家庭における男子の伝統的役割を女子の役割とともに変更することが男女の完全な平等の達成に必要であることを認識し、」とか、例えば四条だったら「男女の事実上の平等を促進することを目的とする暫定的な特別措置をとることは、」とかという形で、「男女」というふうにあえて入ってくるんですね。 それで、過去に、生み育てる、多少、お産の産を生にしたということを提案者の方からは丁寧な御説明をいただいたんですけれども、学校現場では、生み育てるという言葉をやめていこう、変えていこう、そして、男女というふうに使い方を明確にしようと。生み育てるというと、どうしても耳で聞くときも雰囲気的にも女性を指すというふうに強調して読んでしまいますので、男女として使っていこうということを積極的にされてこられたという事実があるということを教えていただいたんです。 その点などに関しての御配慮といいますか、提案者の方は、そういう事実も踏まえて生み育てるというお言葉を十三回も使われていくのであろうかどうかというのをお伺いしたいと思います。
○西川(京)議員 先生のたび重なる御指示でございますが、当然カイロ宣言でも男女と言っております。そして、子供を産むという行為に関して、当然男性と両方の合意のもとにしか成り立たないわけですから、当然そのことは認識の点で一致していると思います。
○北川委員 せっかく、子どもの権利条約のときもそうだったんですが、子供という字、子供の子にそれからお供の供、だから大人のお供をする子供と読めるということで、供のところを「ども」、平仮名で置きかえていこう、そういうことも熱心に、言葉というのはとても大事だからという視点で変えてくる、いろいろな積み重ねられた努力というものがあります。 私自身は、八五年から、まず教育の最先端の現場で、生み育てるという言葉自身を消滅させていって男女というふうに置きかえていく提案をされていたという点も受けまして、実は、社民党の方では、この言葉を、子育ては男性と女性と社会の責任であるという認識のもとにと。特に二条は、「父母その他の保護者が」ということで、かなり自己決定権の中に、どちらかというと結婚制度というものの背景のありようというものを選択する人たちへの応援、そういう制度の背景に入らないという人たちへの部分ではなく、父母という言葉も、具体的に男女が父母に変わっております。 そういった点で、この二条も、子育ては男性と女性と社会の責任であるという認識のもとにというふうに御提案をさせていただき、あと、「子どもを生み育てる」という文言は「男女」というふうにぜひ変えていただけたらと思うんですけれども、この点などは、御議論のほどは、今の様子をお伺いしていると全くなかったようにお見受けするんですけれども、議論に上せていただくことはできないでしょうか。
○西川(京)議員 当然、我が党の中でもその議論はやっております。その中で、やはり、今先生が御指摘の父母という家庭の中だけの子育てというのをあらわすのじゃないかということがありますが、これは一般的な常識の中での範囲のことでありまして、当然それ以外の子育て、それらすべてのものを包含してこれにうたっていると思っております。
○北川委員 今、西川提案者の方がおっしゃっているのは、それは既に議論になっているというのは、議員連盟の方で議論になっていたということなのでしょうか、それとも、自民党さんという政党の中で議論をしたんだよということなんでしょうか。
○西川(京)議員 当然議連の中で議論になっております。
○北川委員 ということになりますと、最初に戻りまして、やはり一番、立法化するときに、いろいろな議論、それを最大公約数でとられたと言うんだけれども、そこからぽろぽろと落ちていた視点というものが今改めて、今回、四年前の法案を審議するときにおいて浮かび上がってきているのではないかという気がするんですね。 それで、次は、第六条の国民の責務という条文があるんですけれども、これはもう皆様のお手元にも多分、日弁連の方からも声明が上げられておりまして、御存じだろうと思うんですけれども、こうおっしゃっているんですよね。 多少読ませていただきますと、「「国民の責務」として「国民は家庭や子育てに夢を持」つことができる社会の実現に資するよう努めることを掲げている。これは、国民に「子どものいる家庭」という家族像を押し付けるものとなりかねず、一定の価値観を持つことを「国民の責務」として間接的に国民に課すものである。これは、政府が「唯一の理想的な家庭像を追求」する危険性があり、国際的・国内的潮流を否定し、婚姻や出産に関する自己決定権の尊重という確立した考え方を否定するものである。」 だから、ここで皆様方は自己決定権をあえて生み育てる者側のというふうにやはりおっしゃったので、あるモデル像はあったということだと思うんですが、その方たちの自己決定権はないのではないかという意味で、私は先ほど言いましたが、「自己決定権の尊重という確立した考え方を否定するものである。」というふうにおっしゃっており、そしてさらに詰めると、「「家庭や子育てに夢を持つ」という一定の価値観を持つことを「国民の責務」として間接的に国民に課すものであることから、憲法の定める思想信条の自由や幸福追求権等の基本的人権と相容れないという問題がある。」というふうに、声明を五月二十二日に上げていらっしゃるんです。 この見解に対して、皆様方の方ではいかがでいらっしゃいますでしょうか。六条にあえて国民の責務という形で少子化社会対策を、みずから、あなた自身の体を使って、あなた自身の時間を使ってやりなさいと言われている点、それも片やのモデル、理想像に向けてということがこの条文からは読めるということで、この日弁連の見解についての皆様の御意見、もしくはこういう提案に対しての今の立場をお伝えいただければ幸いです。
○肥田議員 日弁連の御意見に対するお答えにはならないかもしれませんけれども、私の考え方を申し上げたいと思います。 今回、議員連盟では最大公約数の形としてこの法案に到達しました。それはまさに、子供を生み育てるための環境整備、これをした結果、人口のひずみが是正されることになるかもしれない、そういう社会構造をイメージしてつくられたわけでございます。私は、国、地方公共団体、事業主の責務を掲げております以上、国民それぞれがみずからの問題として未来への社会づくりをイメージしても、これは構わないんじゃないかと思っているんです。 多分、日弁連に対するお答えにはならないかと思いますが、私見を申し上げました。
○北川委員 国も事業者も地方自治体もあるんだから、一人一人の国民も責務を明らかに書いておいた方がいいのではないかということなんです。この文言自身も、「家庭や子育てに夢を持ち、かつ、安心して子どもを生み育てることができる社会の実現に資するよう努める」と書いてある。 先ほどバブルの話が出ておりましたけれども、実際、バブルの当事者といいますか、バブルをちょっとはすかいから見ていたその時代、二十代後半で、今多分三十五、六歳の世代の皆さん方の子供を持ちたいという希望人数、先ほど二・六人が平均的とおっしゃったんですけれども、見ていくと、それが三十歳では一・六、三十五歳では二・〇ということで、希望の大体平均の二・六よりも大幅に減っているわけですね。 ですから、バブル、何か夢を持って、国は本当に高度経済成長で右肩上がりでずっといきますよという時代、多分その世代が留学をされたり世界へ出ていくという、謳歌をされた世代でいらっしゃると思うんですね。そして、逆にいくと、バブルの崩壊というのも見て、今どうしようもない閉塞感というのを感じている。その世代自身が当事者性を持って、希望する人数というのが少ないという実態が出ているということになると、これはある意味、やはり経済や労働場面における国の責任というものに根幹的な問題があると分析せざるを得ないと思うのが一つと、もし国民の責務というところを御配慮されるのであれば、どの子であれ社会の一員として健やかに育つ、そういうことをサポートする責務はありますよぐらいな感じかなと。私は、この条文、六条は削除したらいいという提案であったものですから代替案は考えていなかったんですけれども、そういうところが分析できるのではないか。 今、労働力不足の五十年後を何かイメージされているようなんですが、現在は、先ほど日航の客室乗務員の方のお話が出ましたけれども、働きたくても働けない場面の方が多いんですね。というふうになりますと、とても実感を持って労働者不足の問題やこれ以降の日本の状況の中における人余りと自分との対比、そして、なおかつ職場が不安定であるということで、子供も育ててあげられる時間が短い。今までだったら二十までは、十八歳までは、今はもう大学を出ても就職先がないわけですから、皆さん、何か資格をということで留学や大学院へ行かれたり、またさらにほかの資格も受けられるということで、三十五ぐらいまでは親が面倒を見ないといけないという実態もございますよね。パラサイトシングルの問題もあるし、逆に言えば、家庭を持っていても親世代が負担をしているという世代もあります。 そういうところからいくと、いかがでしょうか、今の現実というものは、国の責務といったところにおける、国が施策として充実しなければいけない部分をここに国民の責務をあえて書いたことの矛盾というよりは、吸収できないもの、国民は責務としてこれを条文化されてしまったらとても大変という事態があると思うんですが、実態の分析からして、もう一度あえてお伺いしたいんですが、その点などはどうとらえていらっしゃるのか、どうとらえていくべきだと思っていらっしゃるのか、教えていただきたいと思います。
○肥田議員 私は、子供の問題というのは、まさに党利党略を超えた問題であって、ぜひ党派を超えた形で皆さんと一緒の気持ちでつくっていきたい、これはそういう法律だと思うんですね。 そこで、この法律の中に「国民の責務」と入れたのは、みんなで同じように、同じようにと言ったらまた同一方向とおっしゃられるかもしれませんけれども、この国の形を考える意味では、国民も一緒に考えていこうよというこの法律の願いのようなものを私は感じるんですけれども、それは説得になりませんかね。
○北川委員 国民の願いとか国民の夢とかというのはその人その人のそれぞれのものがあろうと思いますから、そこは踏み込めないと思うんですね。それは、どちらかというと、国が国民に対して持ってもらいたい願いなのではないかなという気がするんです。 もう一つ、私、きょう、答弁にたくさんの方が来ていただいて、まだ回っていないんですが、この間、多様な家族スタイルや多様な家庭を形成されている方々への支援はではどうなっているのかなと一つ一つ見てまいりました。障害を持って生まれた子供に対しての支援はどうかなとか、一つ一つ聞かせていただいたんですけれども、その中で、やはり光が当てられていないのが婚外子差別の解消、これは法を変えないといけないということでありますので法務省の方の関係になるということなんですけれども、それと現実の支援、施策。 ですから、未婚、非婚であっても子供を持つということが比較的充実をした施策があってできるというのがあると——二十代、三十代でも、逆に言うと中絶はふえているんですね。四十代、昔だと、三人目、四人目、五人目がしんどいので中絶という既婚者の中絶というのがあったんですが、それよりは、晩婚化とおっしゃっていましたが、結婚するまでは二十代でも三十代でも産むのをためらってしまう現実があるということ。十代だけではないんですね。という現実があるという点において、そういう施策の充実が必要ではないか。 そして、昨今は、虐待の関係から里親制度というものが見直されたとも聞いておりますけれども、その里親制度や養子制度、血縁関係ではない形でも生まれ出た子供たちはすべからく一緒に責任を持っていこうとする動きに関しての支援というものがいかばかりになっているか、そして、その支援の光というのは案外ここ最近のことではないかという点において、ちょっと御披露をしていただきたいと思います。
○岩田政府参考人 現在、里親のもとで育っているお子さんは二千百五十七名おられます。親のいない子供、あるいは親がいても育てられない、あるいは育てることが適当ではない子供、こういうお子さんたちは、できるだけ家族的な環境の中で養育されることが大変重要であるというふうに考えております。 里親制度自体は大変古いわけでございますけれども、里親になっていただける方あるいは里親のところで育つお子さんの数は、この間ずうっと減少してまいりました。今委員がおっしゃいましたように、虐待を受けたお子さんなどについては特に、マン・ツー・マンといいましょうか、個人的に丁寧に、愛情をかけてケアしていく必要がありますので、改めて里親制度も、そういった観点からも見直しをしているところでございます。 平成十四年度に里親制度の拡充をしたわけですけれども、例えば、虐待を受けた子供に対して専門的な援助技術を持つ方が里親になってそのお子さんを引き受けるといった専門里親制度ですとか、あるいは、里親制度のすそ野を広げるために、週末だけですとか夏休みだけ児童養護施設からお子さんを自宅に預かってもいいというような短期の里親制度も始めたところでございますし、また里親も、里親に預けたらそれで終わりということではなくて、里親に対するさまざまな支援、研修をしたり相談に乗ったり、息をつけないときのレスパイトケアと言っておりますけれども、そういったようなものができるような制度も昨年度から始めているところでございます。 今後とも、こういった里親制度の充実、それから児童養護施設などの施設の充実もあわせて検討していかなければならないというふうに思っておりまして、今般、社会保障審議会児童部会の中に社会的養護の在り方に関する専門委員会を設置したところでございまして、里親のあり方、施設のあり方、これらをまた拡充する方向で検討してまいりたいと考えております。
○北川委員 ようやく光を当てていこうということで、私自身も知らなかったんですが、カップルじゃないと里親になれないのかと思っていたら、そうではなくて、単身者でも里親になれるんだということも初めて自分自身も認識するぐらい、里親制度に関しては多くの国民に対して広報もなされていないという点があると思うんですね。 そして、もう時間が来ましたので、あと幾ばくかも残しておりますし、これは慎重審議ということもありますので次回にしたいんですが、不妊治療における現場の問題においてもさまざまな問題が噴出しておりまして、その点などもやはり具体的な施策が、どなたもおっしゃっておりましたけれども、この少子化社会対策基本法においては不妊治療が特化して具体的であるといった点はもう少し議論が必要であるというふうに思いますので、これは次回に回したいと思っております。 本日はどうもありがとうございました。
○佐々木委員長 以上で北川れん子君の質疑は終了いたしました。 次に、山谷えり子君。
○山谷委員 保守新党、山谷えり子でございます。 この少子化対策基本法が成立することによって温かな未来が築かれていくようなことであるように願って質問をさせていただきます。 前文の方に「家庭や子育てに夢を持ち、」「子どもを生み育てる者が真に誇りと喜びを感じることのできる社会を実現し、」あるいはまた「生命を尊び、豊かで安心して暮らすことのできる社会の実現に向け、」というような文言がございまして、その趣旨やよしと思いますけれども、幾つかの点で疑問や矛盾を感じることがございますので、質問させていただきたいと思います。 まず、「施策の基本理念」の中の、第二条、「男女共同参画社会の形成とあいまって、」という文言がございます。私は、文脈的に非常に唐突でおかしい感じがいたしますけれども、それはそれといたしまして、今、男女共同参画社会、職場でのいろいろな待遇改善とかあるいは生活の中での新しい男女のハーモニー、これは進めていかなければいけないというふうに思いますけれども、いささか逸脱というか、首をかしげるところがないわけではございません。 例えば、ジェンダーフリー教育といって、ひな祭りを押しつけてはいけないとか、あるいは、体育などの授業も共学化して着がえも一緒にやるというような、区別は差別であるというような、そのような何かおかしな考えが教育の中に入り込んできております。 また、質問の中にたびたび出てまいりましたけれども、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関する意識の浸透」というのが男女共同参画基本計画の中に書かれているわけでございますけれども、きょう、ちょっと資料を持ってこさせていただきましたので、ごらんいただきたいと思うんですが、「家庭一般21」という、これは高校で採択率がトップの教科書でございます。その中で、マーカーがしてありますが、「やむをえずうめない場合には母体保護法において、人工妊娠中絶という方法を選択することもあるだろう。こうした選択肢は、女性の基本的人権の一つとしてとらえることができる。」そしてまた、「母体保護法」のところを注として云々かんぬんいろいろな条件が書いてありまして、最後に、「しかし、「女性の自己決定権」という考えにもとづく法律にはいたっていない。」というふうになっております。 私は、この五月七日に青少年問題特別委員会で米田副大臣に、この書き方というのは誤解を招くのではないかというように申しましたところ、手元にないので詳細あるいはその文脈の趣旨はわかりません、教科書にそういうふうに述べられているとしたらば、それは大変な問題だろうと思います、ぜひ精査、精読をしてみたいと思っておりますというふうに発言なさいましたけれども、この教科書をごらんになられまして、これは、リプロダクティブヘルスの方は世界的に割合認識が進んでいるんですけれども、ライツの方は非常にこれはもう各国で議論になっておりまして、例えば、性的権利、妊娠中絶、性教育、家族の多様化、性的指向性の多様化などの分野では合意文書をつくることができない。去年ももめたばかりでございます。カイロ会議で普遍化されたとか、二〇〇〇年の女性会議で合意があったというような質問がございましたけれども、それは正しくございません。むしろ、去年、リプロの削除を要求したというような会議もございまして、概念は全く普遍化されていないわけでございます。これを、中絶の自由などを含むこのような書き方、基本的人権というような書き方、それから女性の自己決定権という考え方、どのようにお考えでいらっしゃいますか。
○米田副大臣 お答えをいたします。 リプロダクティブヘルス・ライツにつきましては、先般の委員会でも御質問が出ましたけれども、これにつきましては、カイロで一九九四年に開催された国際人口・開発会議において提唱された概念であって、我が国としてのとらえ方は、その中心課題は、いつ、何人子供を産むか産まないかを選ぶ自由、安全で満足のいく性生活、安全な妊娠、出産、子供が健康に生まれ育つこと等、これらが含まれておる。そしてまた、女性の生涯を通じての健康、性と生殖に関する課題が幅広く議論されているものである、そのようにとらえている、認識をしているというお答えをさきの委員会でもさせてもらいました。 御指摘のような、いやしくも誤解を招くような、中絶の自由を意味するような、そういうことではないし、また教育関係の面でも、山谷委員がしばしば御指摘でありますが、男女の区別まで否定をして、みんな一緒にというような話でもない。これらの政府の基本的な考え方は、これまでしばしば申し上げてまいったところであります。 さてそこで、教科書の問題でありますが、私も読ませていただきましたけれども、この注でまさに触れているとおり、現在の我が国の法律におきましては、母体の生命、健康を保護することを目的としまして、妊娠中絶に関しましては厳しくはっきりと限定をされた条件、要件が課されているわけでありまして、しからば、このマーカーの引いてあります部分がどういう意図でこういう記述になっておるのか。「しかし、「女性の自己決定権」という考えにもとづく法律にはいたっていない。」というこの表現が、現在の我が国の国家の法律を否定しておる、そういう意図を含んでおるならば、それが教科書として存在することは、やはりこれはおかしな話になるだろうと思いますが、そういう意図を含んだ記述であったのかどうかは、これはまだ著者や出版元に確認をするに至っておりません。
○山谷委員 私はそのような意味に、少なくとも読んでしまったものですから、検定基準の中には、誤解を招くような表現をしてはならないというのがありまして、こういうのは次の検定のときにぜひチェックしていただきたいと思います。 そしてもう一つ、「ラブ&ボディBOOK」という資料がございます。これは全国の中学生百三十万人に配る予定で印刷されたものでございます。「(厚生省児童家庭局母子保健課)の内容をもとに作成されました。」と書いてありますが、ここでは、中絶について、またマーカーしてありますが、「日本では中絶することが許されている。」とか、「もちろん日本のお医者さんの中絶手術の技術は信頼できるけど、」と書いてあります。そして、隣のページには、ピルの失敗率一%、これは十余年前の間違ったデータを載せているんですが、「「ピル」は、男の子に頼らず、女の子が自分で避妊できるのが最大のメリット。世界中で、広く使われている薬だよ。」下の方で、「月経で困っている女の子は治療のために使うこともできるんだ。」と、ピルのゲット方法も書いているわけですね。これは、WHOでは、思春期にピルは飲んではいけないというふうになっているわけです。しかも、これはピルの副作用が書いてございません。非常に問題だと思います。 教科書の指導資料という、先生が読む指導資料を読みましたら、触れ合いの性、愛がなければ性交、セックスしてはいけないという考えの押しつけではあってはならない、つまり、愛がなくてもセックスしていいというふうに指導資料に書いてあるわけです。そして、先生の実践報告書に、中高校生、確実な避妊方法で快楽の性、セックスが追求できることに気づかせると、ピルを勧めようというふうに実践報告書に書いてあるわけでございます。 ことしの一月の警察の発表調査では、セックスで小遣いをもらうことを、中学生、高校生の四四・八%が、本人の自由と言っています。こんな国、世界じゅうにどこにあるでしょうか。これが男女共同参画基本計画の中の性の自己決定権という中に入っているんですね、教育現場の中に。どう思われますか。
○米田副大臣 御指摘の「ラブ&ボディBOOK」でありますが、既に厚生労働省にもお願いをして、所管団体が回収作業を行ったというふうに認識をしております。(発言する者あり)いや、回収を行うという報告を既に受けました。回収を完了したかどうかは、また確認をしたいというふうに思います。 なお、性の自己決定権について政府はどう考えておるのかということでありますが、言うまでもありませんが、リプロダクティブヘルスについての、カイロでの会議についての、基本的に提示されたところの幾つか、先ほども申し上げたわけでありますが、そのごく当たり前の常識的な、女性の人間としての権利やあるいは健康のためという考え方、まさにそれに尽きるわけでありまして、フリーの中絶を推奨するものであっていいわけがありませんし、あるいは子供にいたずらな性衝動を促すようなものであってもいいとは思いません。 御指摘の、日本では中絶ということが許されているという表現でありますが、我が国は、中絶につきましては厳しい要件を定めておりまして、別に無原則に許されておるわけではありません。この前後を詳しく精読をしておるわけではありませんが、このページだけを見る限り、我が国が中絶に関しては厳しく要件を定めておるということがございませんので、この表現の仕方は問題があるというふうに私は一つは思います。 また、いずれにしましても、政府の考え方としましては、女性も男性も、各人がそれぞれの体の特徴を十分に理解し合い、思いやりを持っていく、このことが男女共同参画社会形成の前提であるというふうに考えているわけでありまして、学校教育におきましても、あくまでも児童生徒の発達段階に応じた性に関する科学的知識や生命尊重、人間尊重、あるいは男女平等の精神に基づく異性観、そして何よりも、みずから考え、判断する意思決定の能力を身につけ、望ましい行動をとれるようにすることが必要だ、こういう基本的な考え方であります。
○山谷委員 この「ラブ&ボディBOOK」回収をお願いしたのが、私、去年の春、五月ぐらいだったと思います。それで、文部大臣が不適切とおっしゃったにもかかわらず厚生省は回収をせず、そして米田副大臣がおっしゃってくださった。しかしながら、ことしになっても、卒業式が終わったら配るというような学校もあったりとか、かなり非常に混乱しているというのが現状でございますので、引き続き、性教育の実態把握と、各県教育委員会に調べさせて、やはり公表していく、保護者に知らせていくということが大事ではないかと思います。 男女共同参画基本法に基づいて男女共同参画条例がつくられておりますが、ここにも、中絶に一定の制約を設けた母体保護法や堕胎罪と矛盾が指摘されるようなリプロダクティブヘルス・ライツ規定の自治体が四十を超えております。 そのほか、また資料を持ってまいりましたが、岡山県の新見市の男女共同参画まちづくり条例というのがございます。ここの三枚目にマーカーがしてございますが、「ウ」というところに「家事、育児、介護等、従来女性が担ってきた無償労働に対し、必要に応じて経済的評価を与える家庭づくり」というのがございます。これは、同様のものが水戸市にもございますし、いろいろなところでできつつあります。 これは努力目標ではございますけれども、やはりこういうのはおかしいのではないかというので、私は以前、市長の参考人招致を求めました。福田官房長官は、自治体の意見を聞くのはいいことだ、男女共同参画が逸脱していないか観察したいと実態調査をお約束してくださいましたが、その後、何ら音さたもございませんし、参考人招致も実現しておりません。 もちろん、地方分権の問題ではございますけれども、この条例の中には明らかに表現の自由とか報道の自由にかかわることも出ておりまして、どういうおつもりでこういうまちづくり条例をおつくりになったのか、やはり聞きたいと思いますので、参考人招致を改めて求めたいというふうに思いますが、それはそれとしまして、育児を労働だとする、じゃ、育てられる子供は商品なのか、この辺はいかがでございますか。
○米田副大臣 私は、親子の愛も男女の愛も、愛の原点は、無償の愛が愛の極致だと思っておる人間でありますが、問題は、要するに、人間の思いというのは十人おれば十人の思想と十人の宇宙があるわけでありまして、人間の関係のあり方もさまざま、多種多様であります。したがって、逆に、御指摘のように、家族間にもかかわらず労働を必ずすべての家庭が有償に置きかえて評価せねばならないというような方針を、もしそんな法律でもできたら、恐らく、余計なお世話だという御家庭もたくさん出てくるでしょうし、私は家族と一体だから、愛でやっているんだからいいんだというお宅もあるだろうし、あるいは、同じ、類似のケースであっても、そうでない、ありがたいという御家庭も多分あるんだろうというふうに私は実際、思います。 つまり、問題は、権力が人の生き方に関して介入して、強制的にあるいは強制に準ずるような形で指導をするという形は、これは私は問題なんだろうというふうに思いますが、しかしまた一方で、だれが見ても、家族であるということを理由に、あるいは女性であるということを理由に、あるいは妻であるということを理由に、配偶者や他の家族やあるいは周囲の社会等も含めて、本人の本来の思いを抑圧する形で無償労働が当然であるというようなことがあり、また現実にそういう社会慣行が残っているんだという御指摘もあるわけでありますから、それらのケースというものを念頭に置きながら、正しいあり方としてやはり必要な経済的な評価はすべきだ、そういう考え方に基づいている、これまで家族契約等の考え方も政策の中で出ておりますが、また、そうであるべきだ、それ以上のものであってはならないというふうに私は思います。
○山谷委員 米田副大臣の見解はわかりました。 改めて、参考人、新見市と水戸市の招致を求めたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○佐々木委員長 じゃ、この件は理事会で協議させてもらいます。
○山谷委員 よろしくお願いします。 次に、この法案には、胎児の生命保護あるいは相談制度、胎児と妊婦をサポートする社会システムや教育の確立といったような考え方が入っておりませんで、私はぜひこれは修正として入れていただきたいというふうに思います。 日本は数え年で年齢を数えている。つまり、おなかの中の赤ちゃんから、授かったおなかの赤ちゃんに対して温かいまなざしを持っている国でございました。また、児童の権利条約の中でも、児童は「その出生の前後において、適当な法的保護を含む特別な保護及び世話を必要とする。」というふうにございます。 ドイツでは、妊娠葛藤相談というのがございまして、例えば二〇〇〇年のベルリン、これは、相談によって二千百三十九人の赤ちゃんが中絶を避けて生まれたということでございます。 マザー・テレサが、日本は豊かな国と聞いていたけれども、たくさんの胎児を殺すような貧しい国、とても残念というふうに言われました。 日本は今、統計では年間三十四万人強が、胎児の命が奪われているということでございます。戦後、七千万人、もしかしたら一億人くらいの中絶で、胎児、赤ちゃんが流れたのではないかというような数も言われておりまして、中絶率は世界でトップクラスなんですね。十代の中絶も四・四万人。これも、この「ラブ&ボディBOOK」みたいな考え方の先生に教わったら、そういうふうにもなると思いますよ、本当に若い子ですから。余りにも胎児の生命保護というような観念、考え方が、感性がなさ過ぎるというふうに思います。 日本では、エンブリオ、これは胎児なんですが、円ブリオ基金というのがボランティアでございまして、遠藤周作さんの奥様の遠藤順子さんがリーダーシップをとっていらっしゃって、ホットラインで、助産婦さんとか産婦人科の先生とかカウンセラーとかいろいろな方たちの励ましによって、そしてカンパのお金によって七十二人の赤ちゃんが生まれております。 いろいろなお手紙が来ていますね。「今回出産費用を支援していただいて本当にありがとうございました。無事に出産を終える事ができました。円ブリオの事を知ったおかげで子供を堕さずに産めた事をすごくありがたい事だと思います。」とか、「あの時浅はかに、彼女の生命を奪わず皆様に助けて頂きながら出産できた事は、何も変えがたい喜びです。」「本当に、ありがとうございました。」「このご恩は忘れません。今は無力ですがきっと何かのお役に立ちたいといつも念頭におきつつ生活してまいります。」というような手紙もいただいております。 そこで、例えば第二条の三項のところに、「少子化に対処するための施策を講ずるに当たっては、」という後に、出産前後における母子に対して適切な法的保護を講じ、特に出産を望みながらもそれを阻害する条件の中で悩みを抱く妊産婦や出産後の子育てに悩む親に対しては、精神的、経済的に適切な支援を行うなどというようなものを入れてはいかがかというふうに思います。それから、「雇用環境の整備」、第十条のところに、「育児休業制度等子どもを生み育てる者の雇用の継続を図るための制度の充実、」の前に、産前産後はもとより低年齢児に対するというような、もう少し幅の広い年齢層を対象にしてはいかがかというふうに思いますけれども、その辺、胎児の命、それから相談制度、サポートシステムについての視点がない、ぜひ入れてほしいという考えに対しては、いかがお考えでございましょうか。
○井上(喜)議員 いずれも大変大切な点の御指摘だと思います。きょうの午前中も、この基本法の修正につきましての意見がございました。案外簡単なところもあるんじゃないかとか、あるいは繰り返し規定をしているところもあるじゃないかというような御意見だったんですね。 この少子化対策基本法といいますのは、たくさん基本法がありますけれども、私は、大変これは難しい基本法だと思うんですよね。一つの理屈だけでずっと通すような基本法じゃないものですから、規定しております事項もこれはたくさんあります。ただ、方向として、少子化対策に役立つようなものということで、方向は一致をしているのでありますけれども、その対策というのは本当に多方面にわたっているわけですね。しかも、それぞれの事項につきまして、各議員の考え方が若干違うようなこともございまして、できるだけ多くの意見を包摂する、取り上げるというようなことで、これはかなり詳しく取り上げた基本法だと私は思います。 そういう意味で、ほかの基本法とは非常に中身が違うと考えておりますけれども、せっかくの御発言ですから、どういう表現になるかは別にいたしまして、そういう御意見につきまして、多くの賛同者がございましたら、ぜひとも中に入れていくような検討をしないといけない、こんなふうに思います。
○山谷委員 前向きな御答弁、ありがとうございました。 続きまして、時間も参りましたので、例えば、保育サービスの充実をうたっておりますけれども、今、乳児ですと、東京都のB区では月に五十六万円、A市では五十三万円、非常にお金がかかることと、それから、二〇〇一年世界子供白書では、三歳になるまでに脳の発達はほぼ完了する、非常に温かく頻繁なコミットが必要だ、コミュニケーションとタッチが必要だというふうに言っています。平成十年版厚生白書では、三歳児神話の否定をうたいましたけれども、これも、三歳児までの発達の重要性と、三歳まで専ら母親だけで育てろと、これの概念の混乱があったわけでございまして、三歳までとにかく温かく頻繁にコミュニケーションとタッチというのは、これは否定できないことだろうというふうに思います。 今、年間、ゼロ歳児保育、五万人ずつふやしていくということなんですけれども、必要だからわっとふやすということではなくて、EUなどは、家族責任というようなことで、新しい理念のもとに新しい流れができております。ですから、ぜひ、労働者としての親を支援する、需要に応じるというような考え方だけに流れるのではなくて、保育する者、教育する者としての親をサポートするというような、二つの考え方の中でバランスをとって保育政策というのを進めていただきたいと思います。 それからまた、今税制上も配偶者特別控除の廃止など、家族単位から個人単位になっていく。しかしながら、それはそれとして、児童のいる家庭へのサポートというようなことももっと積極的に考えていくべきではないかというふうに思っております。 そんなわけで、外注化するのではなくて、家族そして家庭、そして子供の視点、親の父性、母性を育てる視点、そのようなことはどのようにお考えか、お聞かせください。
○西川(京)議員 先ほどから山谷委員の御意見を伺っておりまして、大変賛同する部分があります。私も、第一義的に子供は家庭で育てるべきものだと思っております。ただ、現実問題として、多くの働く母親がふえた中で、その子供たちをいかに安全に保育するかという現実に対する対応として今さまざまな育児支援ができているわけですが、確かにその整備が進めば進むほど母親が子供と距離が離れる、そういう問題も、私も個人的に心の葛藤を持っている一人でございます。 そういう中で、先ほどの配偶者特別控除の控除の問題につきましても、この問題は、その出た税源はあくまでも子育て支援にそれを利用しなきゃいけないということで、この児童手当の問題、二千五百億使うようになりました。そういう意味での税制面での、特に次世代支援、今回の新しくできます法案につきましては、働く、職業を持ったお母さんだけの整備になりがちなこの措置を、専業主婦、家の中で子育てで頑張っている悩み多きお母さんたちも一緒に、同じように、相談窓口、その他保育園も一時預かりとかそういうことを考えていこうということで、あくまでも働く主婦あるいは専業主婦、それはあくまで個人的な選択の問題だというその意識をきちんと持っていこうという方向も取り入れたつもりでございます。
○山谷委員 内閣府、平成十四年十二月の調査で、子育てのつらさのトップが教育費がかかることでございます。ですから、手厚い児童手当とか、あるいはまた奨学事業の推進などを進めていくことも大事ではないかと思いますが、教育については、第十四条に「ゆとりのある教育の推進等」と規定されておりますけれども、これは数年前にできて、そのころは多分ゆとり路線だったんだと思うんですよ。去年は、学びのすすめと文科大臣がおっしゃるぐらい、学力は低下する、学習意欲は、先進国、OECD最低のレベルになりました。それから、価値観を教えられておりませんので、モラルがなくて、いかに生くべきかというようなその判断材料を子供が育てられる、自分の中で持つことができないということで、これはゆとり教育によってむしろ親も子も苦しんでいる、塾に行かせなきゃいけないということもあるでしょうし。 そういうわけで、これはもうちょっと文言を工夫したらいいんじゃないかと思いますけれども、その辺いかがでございましょうか。
○井上(喜)議員 このゆとり教育というのは、ここのゆとりある教育と若干違うと思うのでありますけれども、そもそもこのゆとり教育というのは、がちがちの受験のための勉強あるいはそういった教育、そういったことが背景にありまして、もう少し社会性を持った教育ということを考えていいんじゃないかというところから出発したんじゃないかと私は思うのでありますけれども、今の御指摘のように、いささか行き過ぎた面もありまして、余り勉強しないとか、あるいはそのことで保護者の方が心配をする、また塾にも行かさないといけないというような、こういうようなことが出てきているのではないかと思うんでありまして、教育は教育としてこれは検討しないといけないと思うんですよね。だから、今、中教審なんかでいろいろな議論が行われておりますけれども、そういうのを土台にして変えるべきは変えていかないといけない、こんなふうに思うんです。 ここに言っております「ゆとりのある教育の推進」は、まさに子供を、日本は何といってもまだまだ学歴社会なんですね。学歴社会が多少崩れてはきておりますけれども、まだ牢固としたそれがありまして、子供の教育をどうしていくか、ちゃんとした大学に入れないといけないというような、そういう教育に関する心理的な負担を軽減するためにいろいろなことを考えないといけない、こういう趣旨の教育なんですね。これがゆとりのある教育でありまして、これは今後よく検討していくべき課題だと思うのであります。 最終的には、やはり日本の学歴社会についての考え方が変わりませんと、私はこういった心理的な負担というのはずっとあると思うので、これは長い期間かかりますけれども、しかし、今一つの御提案もありましたから、そういったことで何か対応ができるのであれば、またそういったことも検討をしてまいりたい、こんなふうに思います。
○山谷委員 チルドレンファースト、それから父性、母性、それから家族の意義を大切にしながら、子育てのすばらしさをみんなが共有していくということが大切だと思いますけれども、きょうの議論で大分哲学とかバランス、それから現状認識というものがはっきりしてきたというふうに思います。 まだ混乱している部分もあるし、幸せな生き方とは何かということを考えてのこの基本法だと思いますので、さらなる議論の深まりを期待いたします。 ありがとうございました。
○佐々木委員長 以上で山谷えり子君の質疑は終了いたしました。 ————◇—————
○佐々木委員長 この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 それでは、理事に西村眞悟君を指名いたします。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時二十一分散会