法務委員会 第12号
- 発言数
- 203 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2002/12/05
会議録
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨四日、浜四津敏子君が委員を辞任され、その補欠として木庭健太郎君が選任されました。 また、本日、鈴木寛君が委員を辞任され、その補欠として川橋幸子君が選任されました。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 会社更生法案及び会社更生法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案を一括して議題といたします。 本日は、両案の審査のため、お手元に配付の名簿のとおり、三名の参考人から御意見を伺います。 御出席いただいております参考人は、弁護士・慶應義塾大学講師宗田親彦君、弁護士・日本労働弁護団全国常任幹事古川景一君及び全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟政策局長逢見直人君でございます。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。 参考人の皆様方から忌憚のない御意見をお聞かせいただきまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 議事の進め方でございますが、まず、宗田参考人、古川参考人、逢見参考人の順に、お一人十五分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、念のため申し添えますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いしたいと存じます。 なお、参考人の方の意見陳述及び答弁とも、着席のままで結構でございます。 それでは、宗田参考人からお願いいたします。宗田参考人。
○参考人(宗田親彦君) おはようございます。ただいま御紹介いただきました参考人の宗田でございます。 お手元に、要旨とまとめましたピースを差し上げてございます。それを説明しながら進めさせていただこうと存じております。 今回の会社更生法の改正の趣旨は、私なりに見ますところ、要点は二つ、スピードと改良でございます。 民事再生法が運用として、百五十日ルールで再生計画の認可決定までという、申立てから認可決定までが百五十日ということで処理しているということに比べて会社更生は大変に重装備で時間が掛かっておりましたので、スピードアップすること、スピードと書いてありますが、ダウンするんではなくてスピードアップすることです。それから、合理化して改良するという部分と二つに分かれるかと思います。 現行の会社更生法は、御案内のとおり、昭和二十七年に成立しまして、当時のアメリカのアクト・オブ・バンクラプシー、アメリカ連邦破産法第十章のコーポレーション・リオルガニゼーションというものを輸入しまして、これにドイツ法系の手続を加味して成立したものでございます。そういう意味では、アメリカ法とドイツ法を加味した世界最先端の法律として当時スタートしたわけです。 その後、十五年たった四十二年に相殺に関するものなど若干の改正を経ましたが、ちょうど今年は、成立から五十年たちました今日、社会、経済、法制度の状況から特に倒産件数が激増して、中でも自然人の自己破産、先日の新聞報道によりますと、平成十四年は自己破産が二十万件を超える見込みだというような状態と並んで大企業の倒産が増加しているため、ここに全面的な改正をする必要があるというふうに至ったものと存じております。 この昭和二十七年の会社更生法は、精密で世界最高レベルの法律でありましたけれども、重厚長大の典型でございまして、重装備で時間が掛かるというものでございました。平成九年以降は金融機関、保険会社等の更生特例法の制定もありましたが、これらにおいても基本は従来の会社更生法のままでございました。 我が倒産法制には、破産、和議、特別清算、会社更生、会社整理がありましたけれども、この会社更生法によって法制度としては世界のトップランナーとして走ってきたのでありますけれども、昭和五十年代から世界の先進諸国では倒産法の改正が相次いでなされまして、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、中国、お隣の韓国でも既に最新の倒産法が施行されております。我が国の状態は既にトップランナーではなくなっているという状況も改正に拍車を掛けたという事情かと存じております。 そこで、御承知おきの民事再生法が平成十一年に成立して和議法に取って代わりました。和議法がなくなって民事再生法になったわけですが、この民事再生法は、和議法の欠点を補い、会社更生の制度を取り入れた上で、スピードの速い、使い勝手の良い法律として現在多数利用していることは御案内のとおりです。これに個人再生手続が平成十二年に加わりまして、同じく平成十二年には外国倒産承認法も制定されて、国際倒産についても国連のUNCITRALのモデル法を参考として渉外倒産につき一定の処理がなされるというところまで参っておるわけでございます。 このような状況でございますが、民事再生法は成立のときに会社更生法の良い点を取り入れて、かつ新しい制度を取り入れましたので、民事再生法が現在では最先端の法律というふうになっております。会社更生が最先端であったものを民事再生ができたために民事再生の方が最先端になってしまいましたので、そこで会社更生を民事再生の制度を取り入れたり新しい制度を作ったりして再びリニューアルして、時代の流れにマッチした、スピードアップした、そうして改良した法律にしようというのが今回の改正法案だというふうに存じております。 ここで注意しなければなりませんのは、法改正に当たりまして、市場原理から、倒産者を負け組、倒産者の相手方を勝ち組、又はスポンサーが市場に残っておりますから、それを勝ち組として、勝ち組の論理だけで処理を進めてはなりませんで、管財人の背後にある一般債権者や当の企業の従業員の立場とのバランスを失ってはならないと。特にこの点は、スポンサーの利益だとか、倒産法は現在、実体法の改正が進んでおりますけれども、そちらの部分でも十分に注意するべきであるというふうに考えております。 さて、民事再生と会社更生はそうすると重複するのではないかという点がございますが、民事再生は、株式会社以外の法人、個人を対象といたしまして、DIP、すなわち再生債務者に管理・処分権が原則として残り、運用で全件監督委員が付きますけれども、DIP制度が取られていること、抵当権などの担保権の行使が自由であるというものに対しまして、会社更生においては、更生管財人がいて、担保権独自の行使が禁止され、担保権は届け出て更生計画によって弁済されるというものでございます。また、両制度とも経営者、役員等の責任追及や否認権などの詐害行為取消し権が修正拡大したそういう制度を備えておるわけでございます。 民事再生で従来の経営者が残りましてもスポンサーや利害関係人の協力で再建できる例もございますが、経営者のモラルハザード、責任問題、信頼関係、スポンサーとの関係などから民事再生から会社更生へ、民事再生を申し立てるけれども会社更生に変更したという実例も皆様御案内のとおりでございます。 会社更生の利点としましては、法的権限のある更生管財人が存在することと、担保権などの権利行使が制限されて再建するための企業としては大変にやりやすいということと、裁判所の積極的な指導などによって利害関係人間の調整とかスポンサー問題、そして雇用の継続の対処というものが合理的にスムーズに進められるという点がメリットであるかというふうに考えております。 ただ、先ほど申しましたように、会社更生は重厚長大で時間が掛かり過ぎますから、そういうものでございました。私が管財人代理として担当した日本リースの会社更生では、債権者などの利益の極大化という点と、早く確実にと、この二つをモットーに進めましたけれども、それでも開始決定から更生計画の認可決定までは十五か月、一年三か月を要しました。先ほど申しましたような民事再生が百五十日というところからすると、これは十五か月要した、早くしてもそれだけ掛かりましたから、やはりこちらの方が長く掛かるということはやむを得ないということになるかと存じます。 今回の改正案は、その折の処理方法が数多く取り入れられているというふうに考えられます。例えば、更生計画によらない営業譲渡とか、それから早期売却のための担保権消滅制度とか、それから更生計画の早期の提出とか情報公開などがそういうわけでございます。 新法を先取った日本リースのケースではパラダイム革命が起こったというようなことが言われたわけですが、そこで、具体的なその二番目のスピードアップでございますが、(1)から(12)までまとめてございます。 (1)が管轄。東京地裁、大阪地裁にできると。それから、書いてございませんけれども、子会社とか親子会社、それから連結決算の会社も申立てができるというようなことでスピードアップ、東京地裁、大阪地裁には専門部がございますから、これでそれを図ろうというふうに、そういう法案でございます。 それから、(2)が更生手続開始条件の軽減。従前は更生の見込みがあることというふうに条文がございましたが、それを削除いたしまして、更生の見込みの判定に開始の部分で非常に時間を取られるということでこれをやめたわけです。 (3)が更生計画によらない営業譲渡。早く企業そのものを再建するという立場であれば、それだけであれば更生計画によって営業譲渡をすればよろしいわけですけれども、企業の再建から事業の再建へという時代でございますから、これは民事再生でも同じでございますが、更生計画によらない営業譲渡は、法案の四十六条で、裁判所の許可でそれができると。そして、債務超過の会社の場合には株主に通知をしなくてもよろしいというような制度になってございます。 四番目が担保権消滅制度。これは、先ほど申しましたような更生会社の各物件には担保権が設定されておりますから、早い売却、営業譲渡などをするためにはこの担保権の消滅制度、日本リースのケースでは担保権返還の和解契約、それを裁判所で御許可をいただく。担保権の数だけ和解契約がございましたから大変に難渋した点でございました。これを制度として一括して処理できるということにしてあるわけです。 五番目が債権調査における調査期間と書面主義。債権調査期日を設けたり、そこでのボートをしておりましたのが、書面で管財人が認否書を出したり、債権者が異議があれば書面で異議が出せるというようにしたわけです。 六番目と七番目が、債権等の確定の査定手続及び異議があったものについて、届け出た担保権者でも届け出た更生債権者でも、異議がなされると査定の申立てをしておいて、そして(7)の価額決定の申立てをすると。担保権についての大きな争いというのがこの担保権の目的物がいかほどであるかというその価額が問題でございましたから、これを一律に裁判所によって価額決定していただくというのも、これもスムーズになるためのものと存じております。 それから、八番目、更生計画による弁済期間の短縮。これが十五年。従前は二十年でございましたが、特別の事情で二十年ということは残してございますものの、原則として十五年。 九番目、更生計画の早期提出を一年。従来は二年も三年も四年も、更にもう少し掛かるというようなこともございましたが、それを開始後一年で提出していただくというふうにしてあります。 それから、社債権者について、十番目です。社債権者について社債管理会社が議決権の行使をすることをむしろ原則としまして、多くの社債権者がおりますから、商法の規定で会社更生などに権利行使するためには法定多数の社債権者集会が必要でございますが、それを通知しているいとまがない、なかなか連絡が取れない、それでは、社債権者が一人一人会社更生で議決権を行使すればよろしいかというと、これも何千人、何万人というふうにおりますから、それが実現できない、具体的な例でも、社債を発行している会社が今申し上げたような事情で会社更生を断念したという実例に接したことがございます。そういうわけで、原則としては社債管理会社が議決権を行使すると。 それから、十一番目、更生計画の可決の要件の軽減。これが更生債権について総額の二分の一、更生担保権が、原則三分の二、カットをする場合に四分の三、清算の場合には十分の九、株主は従来と同じ二分の一。それぞれが三分の二、四分の三、五分の四、一〇〇%であったものをそのように軽減したわけです。 認可された更生手続の早期の終結について、十二番目でございますが。金銭債権の全体で三分の二が弁済されればそれで終結決定ができるというふうに企業が再建するというときに商業登記簿謄本に会社更生の開始決定の登記がなされておりますから、海外の取引などでそのことが大変に、この会社は履歴として倒産したんですねというようなことが、まだ倒産状態であるのかというようなことが指摘されてやりにくかった経験がございますので、早めにそれが終結できるということが望ましいと思います。 その次のピースでございます。 3が改良点でございますが、(1)の担保権の目的の評価と(5)の更生会社の財産の評価、これが「(時価)」と書いてございます。これが従前は、ゴーイング・コンサーン・バリュー、すなわち企業の継続価値というふうに定められておりましたけれども、そうすると、全体としての継続価値、それから、それをディスカウント・キャッシュ・フローで計算いたしましたとしても全体で出てきますが、担保権を持っている方々は個々の担保権について市場で現在どれぐらいかということを考えて担保を設定してございますから、それを私は市場処分価格と呼んでおりましたが、法案では時価ということで、民事再生では、これを処分するものとそれから企業を継続するものと両方で書いて構わないという規定がございますが、会社更生の方は時価で一本化していると。 それから、情報開示。これも十四条、十五条で、原則情報公開、ランニング中のものについて支障部分というものを設けまして、それで非公開にすることができるというような制度を作りました。 (3)の保全措置につきましては、担保権の実行中止を含むというのは、会社更生では担保権が実行できませんが、それは開始決定があってからのことでございますから、申立てから開始決定までの間に担保権の実行をするということは大いにございます。例えば、動産売買先取特権などはそれをするわけですが、そういうものについての中止という命令を出したり、それから、更生債権、更生担保権について、全員について、二十五条、包括的に禁止命令というものも導入しましょうと。これは、既に民事再生法の二十六条ないし二十七、二十九、三十一条に既にあるものを導入したものでございます。 それから、開始前の商事留置権の消滅制度。商事留置権が事実上最優先で、占有をしているというので最優先の担保権ということになったりすると、例えば倉庫に品物が預けてある場合でございますけれども、全額払わないと引き渡されないなどということで原材料などが動かない、それで再建がやりにくいということがございました。開始決定後にはこの制度がございましたが、それを開始決定前、保全の段階でも導入しましょうと。 それから、(5)は先ほど説明申しましたので、第六番目に、更生債権者委員会、更生担保権者委員会というようなものを作りまして、これは運用としてはもう何十年も前から私どもが利用しておりますが、これを法制化して、管財人に意見を述べたり、債権者集会の申立てなどを求めたり、その他をするというような制度がございます。 七番目のホッチポットルールというのは、渉外の倒産で、外国で同一会社について再建の届出をして回収してきた場合には、議決権としては全額で行使できるけれども、債権の回収としては、海外で回収したものをカウントして、それが日本で配当するものと同レベルに達するまでは海外で回収したものは債権の回収ができないというルールでございます。 それから、議決権の不統一行使。これは、サービサー会社、債権回収会社などが債権を譲り受けて行使する場合に、複数の譲渡し会社からそういうことを譲受けをしておりますと、それぞれの色彩がございますので、そういうものに拘束されるという、議決権をそれぞればらばらに使ってもよろしいのではないかという、実務でもそのニーズがございましたので、こういうことが導入されたわけです。 議決権の基準日の制度というのは、これは、更生手続を始めた後、外資に債権を売ってしまうとかその他ということがございまして、そうすると、せっかく法定多数の同意が取られつつあるのにまた新しく更生計画案の御同意をいただかなければならないというようなことがございまして、目まぐるしく変わって私もちょっと大変に悩んだ難しい局面に逢着したことがございまして、そのために、議決権を行使するのは、一定の日時を裁判所が設けて、その日における債権者を議決権の行使者というふうにしたわけです。債権の配当は、実体の譲受け債権者が配当を受ける。 外国倒産処理手続がある場合の特則というのは、そういう法律の特別法がございますが、それとほとんど同じような、各管財人が相互に協力し合うとか、届出のない債権者について管財人が代理等になれるというような制度が改良点でございます。 その他といたしまして、倒産実体法の部分、相殺権、否認権、取戻権、多数当事者関係、賃貸借契約、請負契約等の実体法に関する改正は現在進行中でございますので、今回の当改正には盛り込んでございません。 そういうようなことを考えてまいりますと、統一的にできるものは倒産法、4の(2)、最後でございますが、会社更生法、民事再生法、破産法等を統一して単一法化するということについても今後検討してみなければならない部分であるかというふうに存じております。 時間がございませんでしたのでやや早口で大変失礼いたしましたが、私からの報告は以上にさせていただきます。失礼いたしました。
○委員長(魚住裕一郎君) ありがとうございました。 次に、古川参考人にお願いいたします。古川参考人。
○参考人(古川景一君) 私は、今回の法案には労働者保護の観点から見たときに少なくない問題があると考えております。この点について、以下、参考人として意見を述べさせていただきます。 まず第一点として、今回の法律が会社更生だけを目的とするのではなくて、会社を安楽死させることを実現させるための法改正であるという点を指摘したいと思います。 今回の会社更生法案では、第一条で定める法律の目的が大きく変化いたします。現行法では、「窮境にあるが再建の見込のある株式会社」という規定になっておるわけですけれども、今回の改正法案では、「再建の見込のある」という言葉が削られます。それで、「窮境にある株式会社」とだけになります。また、改正法案の第一条では、「当該株式会社の事業の維持更生」という言葉があるわけですが、「当該株式会社の」という言葉が加えられます。 このため、今回の法改正によって再建の見込みのない会社も会社更生法の手続を利用できるようになります。また、事業を他の会社に売却して、事業は残るけれども会社は残らないということも可能になるわけであります。これは、企業の安楽死と突然死ともいうべき事象に対応するためでございます。 企業が経営困難となってその再建の見込みがない場合には、突然死する場合と安楽死する場合があります。 経営困難に陥っている会社がいきなり破産の申立てをいたしますと、これは企業の突然死でありまして、業務は直ちに全面的に停止し、それから従業員もほぼ全員が即日解雇される、そして取引先への打撃や社会的な影響も大きなものがあります。このような突然死を避けるために、つまり激変を緩和するために取られるのが安楽死であります。 それで、今回の法改正は、正に会社の安楽死のために使えるようにするというのが大きなねらいの一つであります。そのために様々な規定の整備がされます。 第一に、入口の段階で更生手続の開始要件を緩和して更生の見込みについての裁判官による経営審査を不要といたします。すなわち、更生の見込みのない会社でも更生手続の開始決定を得られるようにするということになります。 それから第二に、安楽死するまでの延命期間の運転資金を金融機関が安心して貸せるようにし、それから、電力等の安定供給を受けられるようにするために再建支援融資と電気料金等の保護を図るようにいたします。 それから第三に、会社の事業の全部又は重要な一部を他の会社に売却するための営業譲渡手続を設けるということになっております。 このことを前提にして、第二点として、会社の安楽死の場合における労働債権の問題を指摘したいと思うわけであります。 まず、債権の回収する力の強さという点について見たいと思います。 企業が倒産した場合における債権の回収力の強さについては、大ざっぱに言って三段階があります。第一の順位は、抵当権や譲渡担保などの強い担保権を有する債権です。それから、第二順位は、一般先取特権という余り強くはない担保権を有する債権であり、その典型が労働債権です。第三順位が担保権を有しない一般債権です。これは、当然のことながら、第一順位と第二順位の債権への弁済がなされた後に残っている資産があれば配当を受けるという地位であります。 この企業が安楽死させられる場面では、第二順位の労働債権が最も脅かされることになります。なぜならば、第一順位の抵当権などを有する債権、すなわち銀行の融資等については既に特定の物件を担保として押さえておりますから、安楽死をしたからといって影響を受けるものではありません。そればかりか、安楽死すれば、更生計画で債権カットを強いられることもなく担保権は実行できますから回収額が増える可能性さえあります。 これに対して安楽死の過程では、企業は残存する体力、すなわち売り掛け債権や受取手形、在庫などを使い果たしていくわけであります。このため、もしも仮に会社更生の申立てではなく破産の申立てがされていれば、退職金などの労働債権への優先弁済をするための原資として残るはずであった会社の一般財産が減少して労働債権への弁済が困難となります。そればかりでなく、今回の法改正では、安楽死をした時点での企業の残存資産は、安楽死までの期間の運転資金として金融機関から受けた融資の返済に充てられることになります。このため、労働債権や一般債権への弁済原資はますます減少することになります。 第三点として、倒産法制における労働者の位置付けを述べたいと思います。 まず一番目として、権利行使の機会を保証すること、その必要性であります。 そもそも、倒産法制の適用場面では、清算するにせよ再建するにせよ、企業経営者、株主、金融機関、仕入先、販売先、労働者などの関係者は相互に激しい対立関係になります。だれかが得をした分だけ必ずだれかが損をするという関係になります。である以上、その利害関係の反する当事者を手続に参加させて自らの権利を保全する機会を付与するのでなければ倒産手続が公正に運用される保証はどこにもありません。手続から排除された者が割りを食って保護を受けることができないのは、ある意味で自明のことだからであります。 そして、第二に指摘したいのは、そのような状況の下では、退職の自由を行使して労働者が逃げるしか方法がないということであります。 現在の法律では、労働者保護、労働者の手続参加が極めて不十分です。このために、安楽死の目的で会社更生の手続が行われているのではないかとの危惧や不安が発生した場合に労働者が取る唯一の自己防衛の手段は、退職の自由を行使して早い者勝ちで退職金を受け取るということになります。これまでにも、企業の経営危機の際にそのような事態は繰り返し起きております。このために、本来なら再建できるはずの企業まで人材が流出して再建できなくなるということさえ起きているわけであります。すなわち、会社更生法は、労働者保護と労働者の手続参加の機会を付与することが不十分であることに起因して会社更生が失敗に至る可能性を自ら高めていると言うことができるわけであります。 では、第三番目として、本来どのような姿であるべきかという点を指摘したいと思います。 本年十一月に静岡大学の川口助教授が季刊労働法の二百一号に発表された「フランスにおける企業倒産と労働者保護」という論文は、倒産法制における労働者保護の在り方に関して大変示唆に富んでおります。 すなわち、フランスにおいては倒産手続を担う主体が四者おります。その第一は受命裁判官、第二は裁判所が選任した管理人、それから第三が裁判所選任の清算人又は債権者代表、そして第四として労働者代表がおります。 この第四の主体である労働者代表は、再建の手続でも清算手続でも、いかなる小企業の場合でも選出することが義務付けられています。労働者代表は、各種手続について情報の提供を受け、諮問を受け、意見聴取の機会を付与されるだけでなく、裁判所の行う手続開始決定や営業譲渡許可、再建計画認可などに対する異議申立て権や上訴権までも有しております。再建や清算のいずれであっても労働者の解雇については商事裁判所の許可が必要であり、労働者代表はこの決定に対する上訴権も有しております。 これらのフランスの制度というのは、一面において労働者保護ですが、同時に再建や清算手続への労働者の協力を取り付けて再建や清算の手続を円滑に進める、それによって倒産処理の関係者全体の利益を図るものと言うことができます。 まとめとして、労働者保護の在り方を四番目に指摘したいと思います。 第一点としては、まず私的整理を禁止することであります。 日本では、倒産事件の八割が私的整理であり、法的整理は二割程度であります。経営危機でも自転車操業を続けて、倒れたときには何も資産がなく、労働債権が踏み倒されるといった例が続出しております。フランスのように、私的整理を禁止して、会社が窮境にあったときには法的整理の手続開始の申立てを義務付ける、そしてさらに、社会保険料を一回でも滞納すれば社会保険基金が手続開始の申立てをするというようなシステムにすれば、残存している体力に即して早い段階で再建をすることも可能になり、また労働者保護に資することが可能であります。 それから、第二点として、労働者代表の手続参加が必要であります。 企業という有機体において労働者は不可欠の構成要素です。この不可欠の構成要素を粗末にして企業の再建や清算がスムーズに進むわけはありません。今回の会社更生法案によって安楽死目的での濫用的な申立てがなされ、会社の残存資産を食いつぶして労働者の退職金を脅かすような事態が発生するのを防ぐためにも、会社更生手続の不可欠な主体の一つとして労働者代表を置くべきであります。そして、開始決定に対する抗告権を付与したり、手続廃止の申立て権を付与するなどの措置を講ずるべきであります。 今回の改正案では、営業譲渡の許可や会社更生計画に関して意見聴取をすることとしていますが、しょせんは聞きおくだけであります。この点につきましては、法制審で現在、破産法改正策定のための作業がされており、安楽死させた企業を破産手続に行って言わば企業のお弔いを上げる、会社更生でうまく安楽死をさせて最後の締めくくりは破産でやるということの審議が現在なされていますが、この過程で、この審議においても労働者代表の手続関与についての検討が絶対に必要不可欠であると思っております。 それから、第三に営業譲渡に関する問題です。 今回の法案では、管財人が裁判所の許可を得て更生会社の営業の全部又は重要な一部を譲渡することができますが、一九七七年のEEC指令や日本における会社分割法等の例に見ても、営業譲渡について労働者が原則としてくっ付いていくということを義務付けるべきであります。労働者を振り捨てた上での営業譲渡というものは許されるべきではありません。 それで、最後に裁判管轄についても触れたいと思います。 現行法では本店所在地を管轄する地方裁判所の専属管轄となっておりますが、先ほども指摘のありましたように、全国の事件を東京地裁、大阪地裁で扱うことができるという改正がなされようとしています。これは大変問題が多いと考えております。 なぜならば、地方の企業の労働者の手続の関与を困難にするというのが第一です。それからもう一つは、将来このような会社更生法はより利用されなければなりません。そのときに清算型や再建型の倒産処理に対応できる人材を全国各地に長期的に養成しなければならないのに、その人材が東京と大阪に集中する結果になることが目に見えていると考えるからであります。 以上をもって、私の意見陳述とさせていただきます。
○委員長(魚住裕一郎君) ありがとうございました。 次に、逢見参考人にお願いいたします。逢見参考人。
○参考人(逢見直人君) UIゼンセン同盟の逢見です。 UIゼンセン同盟は、本年九月にゼンセン同盟、CSG連合、繊維生活労連の三組織が統合して結成された組合員七十八万人の産業別組織です。UIゼンセン同盟は、製造業、流通・サービス産業を中心に個人消費に密接にかかわる生活関連産業をカバーしております。 私はそこで企業倒産や合理化問題の担当責任者をしておりますが、ここ四年ほど前から、私たちの組織の中でも長期不況によって経営が行き詰まり会社更生法を申し立てる企業が増加しております。私自身がかかわったものとしても、ヤオハン、長崎屋、シーガイア、マイカルなどのケースがございます。もちろん、会社更生法のみならず民事再生あるいは破産申立てといった事案も多いわけです。 これら倒産法制全般について意見がございますけれども、本日は会社更生法改正案にかかわる論点に絞って意見を申し述べさせていただきます。 まず第一は、労働組合の手続関与であります。 不良債権処理が企業経営者と銀行との間で行われている間は従業員は直接の当事者でありませんが、倒産法制を活用する場合には取引先や当該企業に働く従業員にも直接的な影響を与えます。倒産法制は、当該企業に働く従業員にとって雇用あるいは労働条件に直接かかわる問題でありながら、しかし、これまでは労働組合がその手続に関与するウエートは極めて低いものでありました。例えば、現行の会社更生法においては、百九十五条で更生計画案について裁判所の労働組合等からの意見聴取があるのみであります。 二〇〇〇年四月から和議法を全面的に改正する形で民事再生法が施行されましたが、この民事再生法では、これまでの倒産法制に比べて労働組合の手続関与の割合が増えました。今回の会社更生法改正におきましても、労働組合が民事再生法と同様に手続の各段階に関与できる旨の規定が設けられ、それに加えて、民事再生法にはない労働組合の手続関与が更に書き加えられたことは率直に評価したいと思います。 特に、会社更生法の場合は、更生計画案の策定段階よりも更生手続開始の段階でスポンサーが事実上決定するなど、更生の枠組みが決まってしまうケースが多いので、更生手続開始前から労働組合の意見聴取ができるように法改正すべきであるということを、私はかねてからそういう意見を持っておりましたけれども、今回の改正でこれが明記されたことは評価したいと思います。 ただ、民事再生法の下で私たちが経験したところでは、民事再生法では、原則的には債権者と債務者との間で決められるという枠組みであるために労働組合の意見は聞きおく程度というのが実情でございます。会社更生法では管財人や裁判所の管理の度合いが高いわけでありますから、また、会社更生法の場合は手続が厳格で、更生計画案の策定に至るまでに幾つかの関門といいますか、節目節目があるわけであります。そうした各段階での労働組合の意見聴取にとどまらず、これを協議というレベルまで引き上げるべきであるというふうに私は思っております。 とりわけ問題と思っておりますのは営業譲渡であります。改正案にある更生計画認可前の営業譲渡については、これは当該企業に働く従業員の譲渡先との雇用契約の承継に密接にかかわる問題であります。しかし、これについての労働組合の関与は、営業譲渡の許可の際の裁判所による意見聴取ということとなっております。労使関係の分野では、こうした問題は意見聴取ではなくて事前協議で行っております。このような内容の改正では今後様々な営業譲渡にかかわる問題が出てくることが予想されます。 お手元に資料をお配りしておりますので、ごらんいただきたいと思います。 これは、営業譲渡にかかわって厚生労働省内に設置された企業組織再編に伴う労働関係上の諸問題に関する研究会の報告でございます。この報告書の結論は、営業譲渡時の労働契約の承継については特段の立法措置の必要はないというのが結論であります。この結論そのものについても私は問題があると思いますが、ここでは営業譲渡全体の問題には触れません。 ただ、報告書では特段の立法措置は必要ないとしながらも、二ページのところですが、譲渡会社が経営破綻している場合についてこの報告書では、 譲渡会社自体が経営破綻していることから、当該譲渡会社の全ての雇用を確保することは、一般的には困難であり、様々な努力によって、どれだけの雇用の場が確保できるのかが焦点となる。 このような場合には、譲渡会社の破綻処理・再建の過程を通じて、労働者の雇用や労働条件について、適切な配慮がなされることを期待することになる。このため、具体的には、会社更生法等法律に基づく手続等において、労働組合等に適切な関与の機会が与えられ、管財人等が労働関係法を遵守し、裁判所が手続の過程で雇用等に適切な考慮をすることによって、対応すべきである。 こう述べているわけであります。 この研究会は、第百四十七国会における商法改正による会社分割制度の創設と労働契約承継法の制定の際に、衆参両院の附帯決議を受けて営業譲渡を中心に調査研究を行ってきたものであります。 当時の国会の附帯決議では「立法上の措置を含め」という形でボールが投げられたわけでありますが、厚生労働省の研究会報告は、特段の立法の措置の必要はないという結論を出し、しかし、譲渡会社が破綻している場合には会社更生法等法律に基づく手続等において労働組合に適切な手続関与の機会を与えるべきであるという形で今度は逆に球が投げ返されてきた。今回法務省が中心になってまとめた会社更生法改正案には、更生計画提出前の営業譲渡を認めたにもかかわらず労働組合の手続関与に関しては意見聴取にとどめたわけであります。 民事再生法の下でも再生計画提出前の営業譲渡が認められております。この営業譲渡の実態について私が直接かかわった事案に関してだけでも、全部譲渡のケース、それから一部譲渡のケース、それから譲渡先が複数企業にわたるケースなど様々であり、その後の再生手続でも、申立て企業が清算型に行く場合もあるし再建型に行く場合もあります。要するに、営業譲渡はケース・バイ・ケースで判断せざるを得ず、私どもUIゼンセン同盟の場合は、そうした場合には個別に合理化対策委員会を設置して、経営者あるいは弁護団、管財人等と随時協議をして、従業員の最大限の雇用、雇用がどのような受皿で移るのかということについてかなり協議をしているわけであります。 こうした民事再生法での経験から類推するに、会社更生法においても今後、更生計画提出前に営業譲渡するケースがかなり出てくるものと思います。営業譲渡がなされる場合、雇用数あるいは労働条件といったものは極めて当該従業員にとって重要な問題であり、実際には、運用上は管財人は労働組合にも十分な説明をして理解を求めることになるだろうし、労働組合も、協議の経過を組合員に報告するなどして、個別の営業譲渡問題について、そこに働く労働者としてこれが理解できるのか、納得できるのかという判断をしていくことになると思います。 ただ、管財人が労働組合との事前協議に応じてくれるかどうかというのは、法律の規定がない以上、これはあくまでも管財人の善意に期待するだけということになります。 会社更生法のような申立てというのは、私たち産業別労働組合にいる人間は幾つか経験がありますが、企業別組合の役員にとってそのような経験をした人はほとんどいないと言っていいと思いますが、そうすると、法律についての知識もありません。事前協議もなく、結果だけを通告されて、最終段階で意見を聴くということであれば、これは形式的に聞きおくだけということになります。スピーディーな処理というのが分からないわけでもありませんが、雇用の承継や労働条件に直接かかわる営業譲渡については、意見聴取ではなくて事前協議とすべきであります。 また、営業譲渡全般についても、会社分割と同様に労働契約承継についての法的なルールを作るべきであります。その際、譲渡される事業にある労働組合と譲渡元の企業、譲渡先の企業、その三者での協議を義務付ける必要があると思います。この点は、今後、法務省、厚生労働省との間で十分な協議がなされることを強く要望したいと思います。 次に、管財人の選任に関して、経営責任の存しない取締役等に継続して事業を運営させるいわゆるDIP型の更生手続を導入することについてであります。 私たちの経験でも、会社更生法申立て直後は保全管理人の管理下に入って、取締役は原則として全員退任するわけですが、その際に、実務の責任者が不在になって保全管理人が企業の全体を把握するまでに言わば司令塔不在の状態になってしまい、労働組合が現場からの問い合わせに答える、あるいは保全管理人に対して今どのような指示を出すべきか意見具申するといった経験がございます。 また、更生会社の事業再生に当たって、これまで事業に携わってきた旧役員が管財人になる、そのことによって更生がスムーズに進むことがあるというケースも否定しません。しかし、会社更生法申立てというのは、取引先等の債権者に多大の損害や迷惑を与えているわけですから、そういった人たちが管財人に加わる、あるいは管財人代理になるということについては、その必要性、合理性を十分説明する責任があると思います。 経営者が退陣しなければならない会社更生法と違って民事再生法は現経営陣がそのまま残って経営の指揮を執ることができるため、大企業でも会社更生法を選択しないで民事再生法を選択したというケースがあります。これは経営のモラルハザードともいうべき問題であって、私どももそうしたことに立ち会ったわけですが、そうした場合には、民事再生申立て企業でも、経営責任の所在を明らかにさせて経営者に退陣を求めたこともあります。会社更生法改正によってこの点について経営者のモラルハザードを起こすことがあってはならないと思います。 企業の再建のためには、当該企業の従業員の理解と協力、とりわけ倒産企業を再建させるためには、理屈抜きに従業員の求心力となるべき人材が必要になります。裁判所が旧経営陣を管財人とする場合には、その選任について労働組合からの意見を事前に十分聴くべきであると思います。 次に、適用法人の拡大についてであります。 現行法では適用対象は株式会社のみでありますが、しかし、経営が苦境にあるのは、株式会社だけではなくて学校法人あるいは医療法人のような公益法人もあるわけですし、協同組合形態による事業体、あるいは今後、特殊法人、認可法人、独立行政法人についても経営が行き詰まるところがあるかもしれません。 私も県や市が出資した第三セクターの会社更生にもかかわりましたけれども、これは株式会社であったために会社更生法が適用されましたが、別の形態の法人ではこれを使うことができなかったわけです。会社更生法の特徴は、すべての利害関係人を取り込み、会社の役員、資本構成、組織変更までを含んだ抜本的な再建計画の立案が可能になることであります。こうした枠組みを活用するためには適用法人を一般まで広げるべきだと思います。 最後に、会社更生法だけの問題ではありませんが、倒産法制における労働債権の優先順位の引上げについて申し上げたいと思います。 今後も不良債権の抜本処理に関係して倒産件数が更に増加することが懸念されます。こうした中で労働債権が確保できないという事態が発生します。現行法制では労働債権の保護が余りにも不十分であり、倒産法制の中での労働債権の優先順位を引き上げる必要があります。 一九九二年に採択されたILO百七十三号条約では、国内法令は労働者債権に他の大部分の優先的債権、特に国家や社会保険料よりも高い優先権を与えると定められております。つまり、国税や社会保険料などの公租公課よりも労働債権が優先的に取り扱われることを義務付けております。日本はこの条約を批准しておりませんが、労働債権は公租公課よりも劣位にあります。労働債権を租税、社会保険料債権よりも優先させるべきであります。 それから、担保権と労働債権の順位につきましても、現在は労働債権は担保権よりも劣位にあります。法的手続に至った企業は、不動産等はほとんど担保設定されており、労働債権に回せるものがないというのが実態です。会社更生法でも共益債権となる労働債権の範囲が限られております。 会社更生法のみならず倒産法制全般において、一定限度の労働債権は抵当権等の担保権より優先すべきであるということを最後に申し上げまして、私の意見陳述を終わります。
○委員長(魚住裕一郎君) ありがとうございました。 以上で参考人の意見陳述は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○佐々木知子君 おはようございます。自由民主党の佐々木知子でございます。 今日は、三人の参考人の先生方、貴重な御意見を賜り、ありがとうございました。 まず、宗田参考人にお伺いしたいんですけれども、今回、会社更生法を全面改正して会社更生手続を使いやすく改めますと、民事再生手続と会社更生手続とのすみ分けの問題が今まで以上にクローズアップされてくるのではないかと考えております。現状におきましても、マイカルに代表されますように、当初は再生手続開始の申立てをしながら、後に会社更生手続へ移行する例が少なからず生じております。 このような事態が生ずる原因はどこにあると考えておられるか、あるいは将来は二つの手続は統合すべきであるのかどうか、宗田参考人にお伺いいたします。
○参考人(宗田親彦君) 宗田でございます。 私も佐々木先生と同じようなことを考えてございまして、将来統合すべきものは統合してよろしいのではないか、民事再生法が会社更生法を追い掛けて、追い抜いて、会社更生が民事再生を追い掛けてというようなことをして、また破産法も実体法改正の今作業が進んでございますが、それでも、民事再生、会社更生でも同様にこの部分を改正することというと、実は統合するべきものは統合しようというのがベースに潮流としてあるのではないかというふうに考えるわけです。 しかしながら、先ほど申しましたように、民事再生と会社更生のすみ分け、ですから、総論というか総則の部分では統合しておいて、それぞれのキャラクターを持った部分については各則としてそれぞれを定めるというような形になろうかというふうに考えておるわけでございますが、それぞれのキャラクターといったときの民事再生は何といってもDIP、再生債務者に管理・処分権があるというところが、これが原則というところが外せないところ。 そういうようなことから、今、他の参考人から、会社更生にも適用対象を拡大した方がよろしいのではないかと。私もやや同じような考えを抱いていた時期もございますし、そういう発言をしたこともあるんですが、会社更生の運用が株式会社とだけ法文は定めますが、現状では、一地方に、その地方における社会経済に大きな影響を及ぼすものというのが運用のラインでございますから、東京のような大都会とあるいは地方の都市における企業とでは規模が違っても会社更生はそれぞれの地方における影響があればそれでなされるというようなことがあることと、役員が残存するということによって、理論上は、私は、民事再生の再生債務者というのは従前の債務者とは変わった手続上の機関としての、第三者としての位置付けになるのだというふうに考えて、そういう論考も立てたことがございますが。 しかしながら、やはり従来の債務者が、立場が変わった第三者、機関としての債務者、人間としては同じです。機関として変わりましたといっても、法感情としてややしっくりこないものがどうしても残らざるを得ないというようなことがあったり、それから、御案内の具体的な民事再生から会社更生に移ったケースなどでは、スポンサーとの間の信頼、取引相手方からの信頼、それから内部におけるあつれき、その他がありまして、私が見るのに、やはり管財人という一定の権限を持つ者、裁判所の監督があるというこの二つが大変に強力に再建をスピードアップしてスムーズにできる一つのポイントだというふうに考えておりますから、それぞれのすみ分けといいますと、それぞれそれに即したものをお選びになればよろしいことだし、そのようにバラエティーに富んだメニューを用意しておくことが法制度としては必要ではないか。 ですから、一言で言えば、管財人による強制権限、裁判所による管理ということで再建するというよりは、それ以前の段階で自主的に合意に基づいてスポンサーその他、又は増資をするなどによって再建できるという方が企業としては望ましいし、そういう方がより倒産からリモートしているというか、まだ安全なところにあると。それを脱して、更に規模の大きなところは、それ以上のレベルのところは会社更生で強力に再建していくと。 そうすると、残るは、社会においてその企業を残させるのがよろしいかどうかという観点になるわけですが、しかしながら、先ほども他の参考人から御指摘がありましたように、最近では、当の企業から営業の譲渡ということによって企業の再建から事業の再建へというふうにシフトされてございますので、従業員を……
○委員長(魚住裕一郎君) 御答弁は簡潔にお願いいたします。
○参考人(宗田親彦君) はい。 従業員を伴って営業譲渡をすると。 私の担当した日本リースのケースでも、GEの子会社とGMの子会社にそれぞれ数百人ずつを付けて営業譲渡をいたしましたけれども、労働条件は同一ということで一歩も譲らずに、そこは営業譲渡契約に臨んでそれが貫徹されたという経験を持っておりますので、御報告申し上げております。
○委員長(魚住裕一郎君) 時間がかなり限定されて、多数の方に質問したいものですから、簡潔にお願いいたします。
○佐々木知子君 質問したいことはたくさんあるんですけれども、時間が押しておりますので、私はもうこれで結構でございます。ありがとうございました。
○角田義一君 今日は、三人の参考人の皆様から大変御高説をいただきまして、ありがとうございます。 古川先生にお尋ねいたしますが、先ほどの、今度の法律は安楽死だと、突然死と安楽死という話が出まして、聞いた方は突然死しそうなショックを受けましたんですが、私は率直に思いまして、今日リストラのあらしが吹きすさんでいるんですが、逢見参考人もおられますけれども、労働組合もそれなりの抵抗はいたしておると思うんですが、何か風潮とすると、リストラは当然のような風潮がやっぱり一般にありまして、そして、今日非常に深刻な失業の事態を招いているというようなことを考えます。 さらにまた、中小企業の経営者、自殺をする人もうんと多いということを考えますと、手続法とはいえ、こういった会社更生法のどういう理念で把握すべきかという、この倒産の現象を。やっぱりそこには、一般債権者、中小企業の方とか、特に働く労働者の方とか、社会的全体のことを考えながら企業の社会的責任や存在ということを考えた場合に、やっぱり倒産するか再建するかにしても、どういう理念でもってそれに対応すべきかというその理念がないと右往左往するだけだと私は思うんですね。 それは、フランスの先ほどのを聞きますと、一つの見識だと思うし、立派な法制だと思うんですけれども、実務を担当されておられて、どういうその辺はお考えを持っておられますか。聞きたいですな。
○参考人(古川景一君) おっしゃること、よく分かるので、私が言いたいのは、企業が倒産したときに利害対立が必ず複数の人たちにある、その利害対立を起こしている人たちすべてをきちんと手続の中に取り込んで発言の機会を与える、これがやはり基本になると思うんです。 それで、その観点で見たときに、先ほど申し上げたのは、現行法でいえば一番取り残されているのが労働者である、こう考えるわけです。
○角田義一君 それと、あともう一つ私が非常に感じたのは、例えばヤオハンというのを見たら、一般債権者というのは九七%切られているわけですね。新聞等によると、それは一人一人頭下げて回って同意を得たということでありますけれども、切られる方の立場になるとこれは深刻だと思うんですよ。ヤオハンは再建ができたからいいようなものだけれども、切られる中小企業者は、九七%切られたらこれは大変ですわな。連鎖倒産が起こりますよ。 そうすると、再建計画をするときに、私は、それは同意が得られればいいというものの、果たして九七%とか九〇%というようなことを平然とやっていいものかどうかという、非常に疑問に思うんです。これ、つぶしちまえばゼロになるかもしれぬけれども、いやしくも再建と、会社更生は再建なんでしょうから、再建というときにこれはいかがなものかというふうに私は思うんですが、これはひとつ、宗田先生はリースで特に大変ならつ腕を振るわれたようでありますけれども、これ、どう思いますか。
○参考人(宗田親彦君) おっしゃるように、破産するのであれば三%の配当、九七%カット、会社更生では果たしてどうか。 ここで、私ども通常、運用として、会社更生でもそうですし民事再生でもそうでございますが、破産価値、清算価値だとすると何%、先ほど申しました市場価値、つまり時価でいくと何%、それからディスカウント・キャッシュ・フローでいくと何%の配当ということを三つぐらい更生計画の前には出しまして、それで、最低限度の破産価値、破産清算のパーセンテージよりも以上でなければ更生計画としては妥当でない、アメリカにはそういうルールがございますが、日本でも運用としてそのようにしてございます。
○角田義一君 もう一遍、ちょっと古川先生に戻りますけれども、フランスのような法制というのは、ただそれはフランスだけでございますか、EUの中では皆そういうような法制度を取っているんですか。
○参考人(古川景一君) 残念ながら、今の段階で詳細なレポートが出ておりますのは、お手元に配りましたこの川口先生のレポートでフランスのことが分かっているぐらいでありまして、それ以外の国で労働者保護がどうなっているのかということについては、残念ながら研究がまだほとんどなされていない実情でございます。
○角田義一君 逢見参考人に若干お尋ねしたいと思うんですけれども、大変現場で苦労されておられるので、よく御苦労の気持ちは痛いほど分かるんですが、二、三点聞きますけれども、先ほど、営業譲渡の件ですが、営業譲渡といっても現実はやはり相当なリストラが伴っているんじゃないのかなと。全員が本当に行けるのかなと。そして、そういう首を切られていくというのを一生懸命労働者は抵抗をしているんだと思いますけれども、闘う武器を我々立法から与えていないということは、私はさっきもお話を聞いて大変怠慢だというふうに反省をしているんですが、どういう闘う武器が欲しいですか、現場で苦労されて。 営業譲渡の前の労働者のリストラを防ぐというか、いろいろ判例では、営業譲渡のときの労働契約の継承の問題についてまだ最高裁の判例は出ていないようですけれども、判例は判例として、立法としてどのようにしてもらうのが一番いいということですか。 先ほど、管財人の善意に期待するだけじゃ駄目だということ、それはそのとおりだと思うんですが、じゃ法整備としてどういうのが、現場の経験でこういうふうにしてもらえれば一番有り難いなというふうなお気持ちというか、あれがあれば私は提起してもらいたいと思うんですけれどもね。
○参考人(逢見直人君) 会社更生法申立てのように、経営が破綻した企業をどのように立て直すか。これは通常の健全な企業とまた違っておりまして、そこに破綻に至る原因があったわけですから、その破綻に至った原因を取り除いていかないとその企業が再建できない。それが赤字部門を抱えていてこれは到底事業として継続できないということになれば、やっぱりそこはリストラといいますか、そこを削らないとなかなかその企業は再建できないということになると思います。 そういう意味で、闘うといっても、全面的に勝負しても結局は何も取れないということもあるわけですので、その破綻企業における労働組合の闘い方といいますか、そこは非常に難しいんですが、営業譲渡で、ある部分雇用が守れるというんであれば、そこにできるだけ雇用を引き継いでもらって、経営体は替わってもそこの職場は残るというのが、私たちはそれがその時点における最善の選択だとしたら、そういう道も選ばざるを得ないと思っています。ただ、今は全くルールがないわけですね。つまり、営業譲渡しても雇用は一切引き継ぎませんという契約でも有効なわけです。会社分割に伴う労働契約承継のようなルールをやっぱり営業譲渡にも作るべきだというふうに思います。 それともう一つは、先ほどの繰り返しになりますが、事前協議でそのプロセスに労働組合も入って、その中で労働組合も納得できる形で営業譲渡に行くと。それが蚊帳の外に置かれて、結論部分だけ示されて、さあ意見を述べよと言われても、それでは単に聞きおくだけの意見聴取ではないかというふうに思うんですね。そういう、是非そのプロセスに関与させるようなものを担保していただきたいというふうに思っております。
○角田義一君 私も田舎におりますから、中小企業の倒産とかいろいろまだ、ちょっと実務から離れてはいますけれども、相談を受けるときに、やっぱり先ほど言った税金の問題ですな。国とか地方公共団体が税金の優先権を持っておって、そしてそれが余り固いことを言ってやるものだから、よく、君ら国はあれかい、企業つぶして労働者を殺す気かなんと言ってうなって、よく談判に参加することもあるんだけれども、先ほどのILOのことをもうちょっと詳しくお話ししていただけると、今後これ、どうやって労働者を保護するために頑張れるかなというふうに思うので、もうちょっと御説明いただけると有り難いですな、労働債権の優先権の問題。
○参考人(逢見直人君) ILO百七十三号条約というのは、労働者債権の保護に関する条約で三部構成になっておりますが、特にその第二部のところで優先順位のことが書かれているわけです。 その中で、国税や社会保険料などよりも労働者債権に優先権を与えるということが条約に明記されておりまして、これを批准している国もあるわけですね。言わば、ILO条約というのは労働の分野におけるグローバルスタンダードと言っていいと思うんですが、日本は当然のこととしてこれを批准していないわけです。
○角田義一君 批准していない。
○参考人(逢見直人君) 批准していないんです。 問題は、私は法務省の法制審議会でも意見を述べましたけれども、結局は国税徴収法を変えないことにはこれが変えられないんだということで、法務省はそれを財務省に責任を押し付けているわけです。国税徴収法の見直しということについては、これは省庁間の話でなく、やはり国会の場で是非こういう問題を取り上げて、この優先順位の見直しについて是非お願いしたいというふうに思っております。
○角田義一君 十四分までだというから、あと二分あるから。 失礼ですけれども、ILOの百七十三号条約をちゃんと批准してそういう法律化されている国というのはあるんですか、例えば今言ったフランスのようなところとか。──ちょっと相談してください。
○参考人(逢見直人君) 済みません。私、今ちょっとその資料を持ち合わせていないので。
○角田義一君 古川先生、御存じですか。
○参考人(古川景一君) フランスは法律化されています。
○角田義一君 ほかには。
○委員長(魚住裕一郎君) 発言は委員長の許可を求めてお願いします。
○角田義一君 ごめんなさい、委員長。どうも失礼しました。
○参考人(古川景一君) 失礼しました。 フランスでは、おっしゃるとおり、租税より労働債権が優先されると。
○角田義一君 分かりました。 これで終わります。
○荒木清寛君 公明党の荒木清寛です。 まず、宗田参考人にお尋ねをいたします。 会社更生手続は、破産的な清算、解体を回避をするわけでありますから、その意味では多数の利害関係人の利益を図るという意味がございますが、一方で、更生計画によって債務のカット、繰延べ等で利害関係人に犠牲を強いる面があることも当然否定できないわけでございます。したがいまして、更生会社の経営陣の責任については厳格に追及をされる必要があると考えますが。 そこで、宗田参考人には、実務上、更生会社の経営陣の責任の追及について苦労された点があればお伺いをしたいと思います。
○参考人(宗田親彦君) 現実に、更生手続で役員の責任追及をした経験もございます。 特徴的に申しますと、責任を追及するからそうなるのか病気だからそうなるのか分からないんですが、多くの役員は、高血圧だとか糖尿病がひどいとか入退院を繰り返しているとか、中には本当にろれつが回らないというような方もいたり、お葬式が出てしまったりする方もおられるわけですが。そうすると、未亡人だとか御遺族から涙の訴えがなされるわけですが、それでも基準は、やはり過去数年にわたって債務超過であるのにいわゆる粉飾決算で利益配当を出して配当をしていたとか、それから、特殊な取引先と違法な取引をしていたとかというようなケースがございまして、大いに努力をいたしまして、それで、会社更生でも損害賠償の査定の手続というのがあって、役員は異議があれば異議訴訟に移るわけでございますが、その査定の手続というレベル若しくはそういう制度があることが担保されているためでございましょうか、そこまで行かないで大体一定額の支払を受けるということになるわけですが。 実務に携わっている悩みといたしましては、損害額が百億ある、君、百億払えと言っても資産は百億ない、自己破産でもすればというようなことにもなるんでしょうが、一定の支払える程度の限度というものが隠される方が現実的なのではないか。そうすると、長男のために建てた家というのが、もちろん保全処分もございますから、そういうことになってからそういうことをすれば数々の手続によって仮処分その他ができるわけでございますけれども、それよりかなり前に第三者名義になっていたりするとなかなかそこもできないんでございますけれども。 故意に基づく損害賠償というようなものと落ち度に基づくというものとを区別して、故意に基づくのは私は制限を付ける必要はないというふうに思っておりますが、落ち度、過失、重過失というような部分については一定の限度というのがあっても、かえってその方が実務的にはやりやすいのかなというような感触を抱いております。
○荒木清寛君 次に、逢見参考人にお尋ねをいたします。 企業が倒産の危機に瀕した場合には、労働組合としましても、雇用の確保に重点を置くのか、賃金の確保に重点を置くのか、再建にどのように協力をしていくのか等々、いろいろ判断に迷うのではないかと思います。 そこで、参考人が関連をする組合の皆さんから、こうした倒産に瀕した、危機に瀕した企業の組合員から、あるいは幹部の方から相談を受けた場合には、その対応についてどのような点に留意をしていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
○参考人(逢見直人君) 会社更生申立てのように、経営が破綻した場合にはそこに働く従業員はすぐに失業の不安に陥るわけです、職場がなくなってしまうんじゃないか、自分たちは失業者として外にほうり出されてしまうのではないかと。その不安を取り除くために、会社更生法は再建のための法律であって我々の職場を守るために頑張ろうではないかということで企業の再建に向けて労働組合も基本的には協力していくという姿勢で組合員を説得、理解してもらうわけです。 そのための前提としては、やはりその企業に再建の見込みがあることと、それからその企業の事業の継続が期待できることでありますけれども、ケースによってはなかなかそれができないこともあります。そうした場合には、会社を守るのではなくて、次に職場を守る。会社の看板は変わるかもしれないけれども、職場が残って、そこに雇用が継続できれば、それは次善の策としてそういう選択もあり得るというふうに思っております。 そういう場合には営業譲渡のようなケースも想定されるわけですから、営業譲渡について全面的に反対するつもりはありません。ただ、これは、そこにどれだけの雇用が引き継げるかということが大事なのであって、営業権だけをいただきますという営業譲渡では雇用に全く結び付かないわけです。 その中で、さらに労働条件についても、これは不利益変更に当たりますから慎重な判断が必要ですけれども、しかし、どうしても一定期間、労働条件を下げてでも雇用を守りたいという場合には、組合員の理解と納得を得て一定の範囲で賃金の引下げなどに応ずることもありますが、これも相手との信頼関係がポイントでありまして、しっかりした経営者が事業を責任持って引き継いでくれるという場合であれば、そうした点についても柔軟に考えております。
○荒木清寛君 最後に、古川参考人にお尋ねをいたします。 労働者保護の観点から、いわゆる解雇ルールの法制化について参考人はどうお考えなのか、仮にこうした解雇ルールの法制化がなされた場合に、今回の法案にありますような会社更生手続における更生計画認可前の営業譲渡の運用などについて影響を与える可能性があるのか、こうした点につきまして参考人のお考えをお伺いします。
○参考人(古川景一君) 私は、解雇ルールにつきましては正当な理由がない限り解雇できないということを明確にすべきだと考えております。これはヨーロッパ各国の法律では既に実現しております。 現在、厚生労働省の方で、審議会でこの検討作業がされているわけですが、現在事務局から出てきている案は、経営者、使用者は解雇できる、ただし正当な理由がない場合には権利濫用だという理屈になっております。 それで、そのように原則として解雇できるというような条項になったときには、これは大変な問題を引き起こすというふうに私どもは考えております。あくまで、解雇できるのではなくて、正当な理由がない限り解雇できないというふうに明確化すべきだと思っております。 それで、その点につきまして、さらに倒産法制との関連で申しますと、日本では倒産した以上解雇して当然だというふうに考えられています。しかしながら、この川口論文にも出てきますように、フランスではむしろ倒産したときでも商事裁判所が許可しなければ解雇できない、それで、正に倒産状態であっても審査をきちんとしなければできないというルールになっているわけです。 それで、やはり私は、解雇というのはそこまできちんと規制を掛けなければならない問題であるというふうに思っております。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。 今日は三人の先生方、本当に貴重な御意見をありがとうございます。 まず、古川参考人にお尋ねをいたします。 衆議院での参考人の労働組合代表の方の陳述を見ておりますと、現行の会社更生法は裁判所が管財人を選任し厳格に手続が行われるので大変安心感が持てる、こうした会社更生法が持っていた良さ、管財人の下で厳格な手続がなされ、労働者が安心感を持って企業の再建に邁進する、こういうものを捨て去るようなことがあってはならないと、こういうことが言われております。 今回、旧経営陣も管財人に残る道も開かれたわけでありますが、こういうことなどで従来、会社更生法が持っていたような良さが失われるという懸念についてまずお尋ねをいたします。
○参考人(古川景一君) 御指摘のありましたその従来の安心感がどこから出てくるのかと申しますと、やはり裁判所が再建の見込みがあるというお墨付きを与えた点だと思うんです。手続を開始するのに、要件として、再建の見込みがなければ裁判所は手続開始の決定ができません。ですから、労働者の側も、裁判所がそういうふうにお墨付きを与えた以上はみんなで頑張ってこの企業を何とかしようという意欲が出てくるわけです。 それに対して、今度の法案では、再建の見込みがあろうとなかろうと、むしろそれがなくても手続が開始できる。これは従来にあった安心感を著しく揺るがせるというふうに考えております。
○井上哲士君 いわゆる旧経営陣が残れるという、その点ではどうでしょうか。
○参考人(古川景一君) 旧経営陣の残れるかどうかということについては、それはケース・バイ・ケースなのではないかというふうに思っております。
○井上哲士君 次に、逢見参考人にお尋ねをいたします。 先ほど、更生計画認可前の営業譲渡について労働組合との協議を義務付けるべきだと、こういうお話がございました。法制審の第四回の会議だったと思うんですが、資料などを見ておりますと、そういう意見がゼンセン同盟から出ているとした上で事務局の方が、営業譲渡というのは営業秘密の漏えいの防止等のために限られた範囲の者の中で話が進められ、しかも資産の劣化を防ぐため迅速に行う必要がある。したがって、労働組合との協議を管財人に義務付けるとすると、その迅速性を阻害することとなり、更生計画認可前の営業譲渡を認めた趣旨を忘却させることになる。かつ、労働組合が営業譲渡の必要性やその内容の相当性について有益な意見を持っていることも少なくないと考えられるが、その意見を反映する手段としては裁判所の意見聴取で行うことで十分だと。したがって、このゼンセン同盟の意見は採用しないと、こういうペーパーが出ておりまして、そういう議論になったわけでありまして、是非、この場で御反論があろうかと思いますので、御意見、いかがでしょうか。
○参考人(逢見直人君) 民事再生申立てのケースでも再生計画前の営業譲渡で直接かかわった件が私も幾つかございます。 確かにスピードアップというのは分かりますから、我々もそういうことを前提にした上で、営業譲渡でいきたいという場合は、その営業譲渡先の企業がどのような企業であるか、そこの経営体がしっかりしているか、どれだけの雇用が引き継いでもらえるのかと。その場合に、行った場合の労働条件はどうなるのかということを精査して、その方が良いと判断した場合は、申立て企業にずっと残っているよりも新しい経営者の下で職場を引き継いでもらう、そういう判断はしておりまして、法務省の反論にあるように、やっぱり迅速化を阻害するような労働組合の存在というふうに考えるのは余りにも一方的過ぎるんではないかと思います。むしろ、従業員の理解と納得を得た上で新しい営業譲渡先で頑張る、そのためにはモラールをアップして、そこで、新しいところで頑張るという気持ちを持って働くことが重要なんであって、そこに不安を抱いたまま行くということがあってはいけないと思うわけです。 そういう意味でも労働組合の立場は非常に大きなものがありまして、それが今回のように意見聴取にとどめるというのでは、なかなかモラールアップをしてその譲渡先へ進む、そういうためのルール作りに関与することにはならないというふうに私は思います。
○井上哲士君 引き続いて、古川参考人、逢見参考人にお尋ねをいたしますが、逢見参考人の陳述の中で、民事再生法の中で労働組合の関与が増えたことは評価をすると言われましたが、今回、この会社更生法の中にも同じような手続を取り込むことによってよしとするというのが法務省の立場でありますが、実際上、民事再生でのいろんなケースに立ち会われて、この意見聴取というのが果たして本当に全面的に機能しているんだろうかという疑問があるわけでありまして、現実のケースの上で実際には聞きおく程度になっているというお話がありましたけれども、具体例をそれぞれお持ちであれば、お二人からお願いをいたします。
○参考人(古川景一君) 私が関与している例でいいますと、山田紡績という事件がございますが、それでいいますと、やはりもう裁判所は全く聞きおくだけでございます。しかも、民事再生を申立てする前からもう工場完全閉鎖を決めて、全員解雇を決めていて、言わば再生目的ではなく清算目的の事案であります。それで、そのような場合に果たして本当に民事──しかも、債権者には一〇〇%配当する、一般債権者。一〇〇%配当ですから必ず債権者は同意するわけです。そうすると、正に工場閉鎖のために使うというケースです。 そういうような、だれも反対するわけがなく、民事再生法が通ってしまうわけですね。そのときに労働者だけが取り残され、意見聞きおくだけで済まされるというケースがございます。
○参考人(逢見直人君) 今、古川参考人から申し上げた山田紡もいわゆるゼンセン同盟の加盟のところでありまして、ここは全員解雇を一方的に通知してきたと。そのことに対して、私たちは裁判所に対しても意見書を文書で出しました。それから、債権者集会の場でも、再生計画案の採否をする前にそこで意見を述べて、このような再生計画では我々は認められない、反対であると意見を表明しましたけれども、しかし、債権者にとっては幾ら返ってくるかが関心事項であって、労働者は気の毒だ気の毒だと思うけれども、債権者にしてみれば幾ら返ってくるかで、一〇〇%返ってくるなら反対する理由がないということで、結局その再生計画案が認可されてしまったわけですね。結局、それはただ単に聞きおかれただけであって、何にも影響力を行使することができなかったということで、ほかにも幾つかの例がございますけれども、もちろんプロセスに関与して再生計画案に至るまでに労働組合も十分協議したケースもあります。 そういう場合には、聞きおくだけではなくて、ちゃんとそのプロセスに関与できたケースもあるわけですけれども、そうではなくて、結論だけ押し付けられて、反対してもそのことは何にも結果に影響を与えなかったということもあります。特に、中小の場合はそういうケースが間々ございます。
○井上哲士君 今のに関して逢見参考人にお聞きしますが、そういうケースによって差ができますのは、結局、管財人の善意といいますか、それにほぼかかわっているということとお聞きしてよろしいでしょうか。
○参考人(逢見直人君) はい。実務的には、会社更生法の場合、管財人といろんな形で協議をしていかないと、ゴーイングコンサーンとしての企業を回していくためには従業員が協力していかないと回っていかないわけですから、当然そういう協議の場はあるんです。しかし、それは法律に定められていることではなくて、あくまでも管財人の善意で、この企業を再建しようという熱意に燃えた管財人と、その管財人が信頼できるというふうに考えた従業員との関係でありまして、これはルールではないわけですね。 そういう意味で、今後、会社更生法改正案が再生の見込みのないところにも広がっていくということを考えると、管財人の善意だけに期待する今のような法案で果たしていいのか、いろんな問題が生ずるのではないかということが懸念されます。
○参考人(宗田親彦君) 参考人から。
○委員長(魚住裕一郎君) 質疑者から指名いたします。
○井上哲士君 次に、宗田参考人にお尋ねをいたします。 先ほどの陳述の中で、勝ち組の論理だけでは駄目だと、バランスが必要なんだということを言われました。それで、会社の再生ではなくて事業の再生だと言われるわけですが、旧経営陣は退陣をするけれども、そして、会社の名前や事業形態は変わっても働く皆さんなどがきちっと残っていけるというのが事業の再生とイメージをするところなんですが、どうも今回の法案でいいますと、旧経営陣は残る道が開かれる。そして、計画前の事業譲渡、営業譲渡などができまして、その下で実際にいろんな首切りなどが現に行われてきていることを見ますと、むしろ非常にバランスが崩れていくんじゃないか、今よりも悪くなるんじゃないか、そのバランスがと私は思うんですが、その点、御意見いかがでしょうか。
○参考人(宗田親彦君) その点は私も同感なんです。 実体法の改正が進んでいますが、そこでの倒産者の相手方の利益をどんどん強くして、倒産した者は負け組だから市場から撤退してそれでよろしいという論理がどうも強いのではないか。私は、管財人の背後には一般債権者もいるし、当の企業には企業の担い手である従業員もいるから、そこを十分に考えなければ駄目だ、そのバランスがどうしても必要なんだと。勝ち組だけで、それでは倒産企業というのはこの社会から要らないのかというような風潮がなしとしないと思う。 ただしかし、この会社更生法でいけば、スポンサーの利益のために事業をペリッシュ、枯らせないために早くするんだというところから一定の早い営業譲渡その他があるかと思いますけれども、改正法で、先ほど失礼ながら手を挙げてしまいましたのは、従業員も労働債権者という優先債権者ですから、優先債権者であれば今度の改正法によって情報公開が大いに果たされますので、どうぞそれらを入手されて、それを基として協議に臨むべきだし、もう一つ、債権者委員会というのが法制度上できますから、その債権者委員会に労働債権者として委員会に加わられて、そこで御発言なさったり、私どもも現実には先ほど申しましたように何十年も前から法制にはなくても各種の担保権者の会同、それらの委員会というのを作って協議を重ねて運用しているというのが実情でございましたから、それがようやく法制化され、労働債権者の債権者としての情報公開、債権者委員会に加わること、これらによって随分情報も御意見もアップすることができるのではないかというふうに考えてございます。
○井上哲士君 終わります。
○平野貞夫君 参議院に国会改革連絡会という、通称国連というんですが、非常にユニークな会派がありまして、自由党と無所属の会で構成しておりますが、私は自由党に所属しております。 率直に言いまして、私は、政党更生法なんという法律でしたら多少はしゃべれる知識があるんですが、この会社更生法となると、とても、どこからどういうふうにお尋ねしていいか非常にここのところ悩んでいたんですが、今日、三人の参考人の先生方の話を聞いて本質的なことが非常に勉強できまして、私は格別お礼を言いたいんですが。 最初に宗田参考人にお尋ねしたいんですが、この新しい会社更生法、必要性は私、もちろん理解しましたんですが、とんでもない問題があると。日本でこれからどういう健全な市場経済社会を作るかということに対して大変な問題持った法案だ、システムだということが分かりましたし、手続法とはいえ、そういう新しい資本主義社会の理念の根本に迫る部分があると思うんですが。 二十七年に作られたという旧法でございますか、これは世界的水準であったというふうなお話でございましたんですが、新法のそういう国際的な評価といいますか、どのようにお考えでございましょうか。
○参考人(宗田親彦君) 先ほどちょっと申し上げましたけれども、民事再生に抜かれた会社更生は民事再生を抜き返したと、そういう意味で世界最先端の法律になった、なろうとしている。 ただしかし、世界の倒産法制は、イギリスがやや例外なんですけれども、各国が倒産単行法なんですね。ですから、保全処分とか、先ほど申しましたような通則の部分、共通な部分は共通にして、キャラクターがある部分は各則に回してというふうにしていったらよろしいのではないか。我が国だけがいわゆる倒産五法といってばらばらでやっているというような状態があるわけです。
○平野貞夫君 もう一つ宗田参考人にお伺いしますが、海外取引が物すごく拡大していますし、それから多国籍企業も膨大なものになっておるんですが、倒産制度について国際的なルールといいますか、あるいは国際法的なものが必要なんじゃないかと思うんですが、そういうことについての御意見、あるいはそういう動きはどうなっておるでしょうか。
○参考人(宗田親彦君) この倒産法、既に現行会社更生法もそうでございますが、我が国で開始した会社更生開始決定の効力は世界的に及ぶ。しかし、外国に主権がございますから、外国が承認しなければならない。 私は、だから承認しなければならないというところでまだ十分ではないというふうに考えておりますけれども、しかし、主権国家がある以上、そこが限度であろうという形で、国連が数年前に商事委員会、UNCITRALというところで国際倒産について統一的な条約を作ろうと最初試みたんですが、事情調査をしているうちに、余りに世界に様々な倒産法制があり過ぎる。そこで、やむなくモデル法という次善の策になりまして、モデル法を作って、それに基づいて我が国は、先ほど申しましたような外国倒産承認法という特別法だとか、それから民事再生、破産法、会社更生においてもそれらを取り入れた改正がなされて、それに歩調を合わせて会社更生も、今回、外国管財人が日本で外国の会社を代理して更生の申立てをすることができるとか、債権の届出ができるだとか、その他代理権を行使できるだとか、相互の、それから協力条項だとか情報交換条項だとかいろいろ付けまして、その辺りは国際協調でしているのでございますけれども、国連そのものが統一条約というところに参りませんでしたから、できるだけこういうモデル法とフィットするような各国国内法制でそれにお合わせくださいという状況にございます。 そういう観点からいけば、それによくフィットして、なかなか世界各国まだ進んでいないんですが、日本は大変早いうちにそれにフィットした改正を進めている状況というふうに見ることができます。
○平野貞夫君 古川参考人にお尋ねしますが、この新法は運用の仕方によっては会社を安楽死させるような機能といいますか、そういう性格を持っているという、なるほどと思って感心して聞いていたんですが、私も何か提案理由を聞いてからもやもやもやもやしたものがあって、非常にすっきりしたんですが、私は、これは実質的には株式会社処理法じゃないかと思うんですよ。 となると、恒久法としてこれを置いておくことが、今こういう不況のころですし、それは小泉さんとブッシュさんでどんな約束があったか知りませんが、ワシントン・コンセンサスみたいなものの流れの中で結構これ、来年からの産業再生機構なんかとジョイントすれば乱暴なことが行われるんじゃないか。しかし、ある意味では、法の支配の下でそういったものもやむを得ない部分もあるわけなんですが、安楽死法から一歩進めて、これは株式会社処理法じゃないかという私の認識は、そんなところでよろしいですか、ちょっと御意見を。
○参考人(古川景一君) 実は、民事再生法のときも企業の再生のためと言われたわけでございます。しかしながら、現実の運用は、むしろ企業をつぶす、そして使える部分だけを切り売りするというところでかなり運用されているのが実情でございます。それと同じようになることを大変危惧しているわけです。そのときに一番振り捨てられるのが、発言権がない、異議権もない、それから上訴権もない、意見を聞きおくだけという労働者に一番しわが寄せられるだろうということを危惧するわけでございます。
○平野貞夫君 そこで、私は労働者という言葉は余り好かないんで勤労者という言葉を使うんですが、の問題は大事だと思うんですよ。 私たち自由党は、特定の労働組合からの支援は一つも受けていませんが、政策あれやれこれやれということはよう要請は受けるんですが、友愛系の人とは割合仲がいいんですが、私たちの党の方針は、健全な資本主義と健全なデモクラシーは労働者を含む勤労者の社会的、経済的地位の拡充、拡大なくしてあり得ないというのが現代の、二十一世紀の資本主義じゃないかと思うんですよ。 そこで、逢見参考人にお尋ねしますが、大事なことは、やっぱり支持している政党が、組合がもうちょっとこういう基本問題について、ちょっと申し訳ないんですけれども、緊張感がないんですよ。むしろ保守系の我々が非常に心配しておりまして、これはやっぱり資本と経営者だけで資本主義は成り立ちませんから、勤労者と消費者ですよ、今動かしているのは。 そういう意味で、私は、経営譲渡の問題だとかいろいろなこの法律の細かな問題はあると思うんですが、本質的にやっぱり勤労者の新しい資本主義社会における位置付けというか立場というものをもうちょっと、組合さんももうちょっと声高に国民的コンセンサスを求めるような運動を起こさなきゃ大変なことになると思いますがね。そういう意見を持っておりますが、逢見参考人の御意見を。
○参考人(逢見直人君) 同感でございます。 今、企業統治をめぐるいろんな議論が行われておりますけれども、その企業統治の中で会社はだれのものかということが議論になるわけですが、これを株主のものだという形で位置付けて考える立場と、それから、企業というのは株主だけのものではなくて、いろんな利害関係人、ステークホルダーによって成り立っていると。そこに働いている従業員も重要なステークホルダーの一員であって、その企業の方向についてきちんとした発言の機会が与えられ、参加もすべきである、私どもはそういう考え方を持っておりまして、そういう中でいろんな事前協議をやったり、あるいは、協議で合意できなければ実行できないというようなことも入れて関与しているわけです。 そういう社会がやはり望ましい。日本は正に平野委員が言われる勤労者の国でありますので、その勤労者が適切な形で企業の経営にも意見を述べることができるのが産業民主主義であるというふうに考えておりますので、是非そうした立場で国政の場でも意見をどんどん出していただきたいと思います。
○平野貞夫君 確かに、この厳しい法律で、勤労者の方たちがリストラだけでなくて様々な労働債権の不利、結構形の上では有利とはいえ、問題を残しておると思いますが、この法律に伴う組合側なり勤労者側のいろんな権利を確保するということもこれは大事なことだと思うんですが。 私は、こんな厳しい方法で会社が処理されるということになると、これ、全体の問題として、基礎的社会保障というのは、やはり社会政策としてあるいは経済政策として、ある程度、結果平等といいますか、例えば、基礎年金とか介護保険だとか高齢者医療なんかは保険料はもう取らないと、最悪の場合があっても一定のレベルで生きていけるんだという、そういう結果平等的なものもある程度国の基本施策の中に入れていかなきゃ駄目だ、こういうものに、こういう厳しい、これはやむを得ないシステムかも分かりませんけれども、新法というのは、そういう総合的なやっぱり政策の見直しというものが必要だと思いますが、古川参考人、どんなお考え。
○参考人(古川景一君) おっしゃるとおり、あらゆるセーフティーネットの整備をする必要があると思っております。それで、そのセーフティーネットの一つの重要な構成要素がやはりこの会社更生なんだろうと思うわけですね。 それで、川口助教授のお調べになったところによると、フランスの場合に、早期に倒産処理をさせる。そのために、結果として、全件数を私的整理にゆだねずに早期に持っていくがゆえに二割が大体再生の方に回るという報告なんですね。つまり、早い段階で体力のあるうちにやれば生かせるものは大きく生かせるわけですよね。それに対して今の日本では、自転車操業で最後まで体力を使い果たしてやっているから、みんなが苦労して、先ほどから御指摘のあるように、三%しか配当を受けられないというようなところで問題が起きているんだろうと私は思っております。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。今日は本当にありがとうございます。 私も、労働債権の保護や営業譲渡の際の承継の問題などに関心があるのですが、先ほどからもちょっと出ておりますし、参考人からも意見がありましたが、更生手続開始前の給料及び退職金について全額を共益債権として保証しない現行法と、それを見直さないことについても御意見があったやにも思います。 逢見参考人の方から、先ほど、たくさんの事件にかかわっていらっしゃるというのが一番初めの意見陳述の中であったわけですが、実際、ちょっと聞きましたところ、一般債権の実情が、先ほども出ておりますが、ヤオハンの会社更生事件では九七%カットで、多くの事例でやっぱり九〇%前後カット。ですから、今のように共益債権としないというふうになりますと、かなり給料の労働債権の保護が不十分ではないかという点についてはもう少し、実際いろいろケースをやっていらっしゃると思うので、それを踏まえてちょっと教えてください。
○参考人(逢見直人君) 労働債権の全額を共益債権とすべきであるという意見もあります。ただ、私は実際にいろんなケースに遭遇すると、その企業を退職する人たちもいるわけですね。その企業を再建するためには、その企業に残って、苦しいけれども歯を食いしばって頑張って何とかこの企業を再建させようと、そういう人たちのためには、退職者が出ると退職金をどんどん払っていく、更生手続に入った中で退職金が全額共益債権でどんどん出ていくと、その会社の運営のための資金がどんどん減っていくということがありまして、退職者が続出するような形にならないように、再建できるというふうに考えた場合はみんなで歯を食いしばって頑張ってほしいということをやるわけですね。 そういう意味で、もし労働債権の全額が共益債権になると、そのような途中で辞めていく人たちに会社の運転資金を持っていかれるんじゃないかという心配がありまして、そこは、全額とすることについては私はどうかなという感じがいたします。ただ、優先順位として公租公課よりも低いというのは、これは改善してほしい、税務署が差押えに来たら、それで労働者には何も配分されないということは是非改善していただきたいというふうに思います。
○福島瑞穂君 では、古川参考人、今の話を聞いてちょっと私は悩ましくなってしまったんですが、その共益債権を保証すべきかどうかという点については、いかがでしょうか。
○参考人(古川景一君) 私も実はその点につきましては逢見参考人と同じ意見でありまして、共益債権に全部していくと後で必ずひずみが出てくると思っております。 ただ、もう一点、この川口論文の中にも出てくるのですが、フランスの場合ですと、その駄目な部分、回収し切れない部分を今度、立替払制度を充実させて、それによって使用者全体で負担していくということになっております。それで、日本においては、その立替払制度がまだ権利としてなされずに労働福祉事業の中で予算の許す範囲の中でだけ行われている。これをやはり権利化していく、そして、さらに早期に、早い段階で処理していくということが実現されれば、労働債権の保護はもうちょっと手厚くなるのではないかと思っております。
○福島瑞穂君 ありがとうございます。 下請中小企業の安定や下請労働者、派遣労働者の雇用、賃金確保についてなんですが、実は更生債権の大部分が下請中小企業の場合、人件費になるというふうにも言われておりますが、この点について政府答弁では、ケース・バイ・ケース、実質的に判断すると政府の答弁だったんですが、全建総連や様々なホームページを見ますと、やはりなかなか支払われないという実態も報告になっております。 労働形態が多様化しておりますので、できるだけこの辺の保護、会社更生手続に入った結果、下請、労働派遣、そこでの労働者が切り捨てられるんではないかという危惧も持っておるのですが、その点について、逢見参考人、古川参考人、宗田参考人、いかがでしょうか。
○参考人(逢見直人君) 確かに、民事再生や会社更生で保全命令が出ると、派遣を入れているところとか下請に出しているところにも支払がストップしてしまう。その大部分が人件費、給料であるために、そういった取引をしているところの下請、派遣企業は全く入金がなくなってしまって給料が払えないというケースがあります。そういう場合は、私どもは、民事再生であれば申立て代理人、会社更生であれば管財人なり保全管理人にそこは保全から外してほしい、それを裁判所に許可を求めてほしいということを意見具申して、そういう形でやっていただいたケースもあります。 ですから、ケースによっては保全の対象から外してもらってそこはつなぐという手法があるんですが、これはすべてがすべてそれができるというわけではありません。そういう意味では、労働債権の範囲の中で、今、派遣とか下請の代金についても労働債権の範囲にすべきだというふうに思っておりまして、これを要望意見として法務省にも出しておりますけれども、まだこの点については結論が出ておりません。
○参考人(古川景一君) 御指摘の点につきましては、特に構内で下請している、それで元方企業が指揮命令しながら働かせているというようなケースにつきましては、ヨーロッパでは既に一部、元方に賃金支払の連帯責任を負わせるというようなシステムがあります。 さらに、そのことは、国内法だけではなくて九八年のILOの審議の中でも、コントラクトレーバーの条約、契約労働と訳されたり請負労働と訳されたりしていますが、その中で、元方企業が下請企業の従業員について賃金支払について連帯保証しなければならないというような条約の審議も行われたところであります。 ただ、残念ながら、日本政府はそれに猛反対をしてつぶしたという経緯があります。ヨーロッパ諸国とアメリカ合衆国はそのコントラクトレーバーの条約、賛成したんですが、日本とニュージーランドとオーストラリアが反対をして、政府側が猛烈に反対してつぶしたという経緯があります。ですから、私はやはり、そのような御指摘のような下請それから中小企業の労働債権保護のためにも日本政府は方針を変えるべきであろうと思っております。
○参考人(宗田親彦君) 私が以前、中小企業庁の委員をしていたときに調査した調査結果では、下請のそういう債権は七五%が人件費の平均であるという点から私どもも労働債権として処理するべきではないかという認識を強く持っているんですが、ただ実体法が、商法二百九十五条がそれでございますけれども、そこを直さなければいけないので、それを直すということから始めないといけないのかと。 ニーズは、一線にいる弁護士として、他の参考人の方々と同じように労働債権として扱うべきだというふうに考えてございます。
○福島瑞穂君 ありがとうございます。 社内預金と、それから例えば更生会社の所有不動産を賃借して営業活動を行っているテナントが差し入れている保証金などが実は問題になることも多いと思うんですが、例えば、この確保や請求できる範囲についての逢見参考人の御意見を教えてください。
○参考人(逢見直人君) 社内預金については、今まで全額保護されていたものが今回、一定の範囲に限定されるわけです。これは、確かに労働者にしてみると不利益といえば不利益なんですが、ただ債権の順位からいうと、労働債権は共益債権で一定の範囲しかないのに社内預金が全額保護されていたというのはバランスが悪いというのは確かにありまして、何か将棋でいうと王様より飛車の方が大事にされているという感じがいたしまして、その点について整合性のあるものとなったことについては理解をしたいと思いますが、ただ、社内預金についてそうなることの周知がこれから必要だと思います。それについては、我々もそういう点の周知をしていく必要があると思います。 テナント料、保証金の問題は、そういうことの相談も受けたんですが、これはなかなか、法的には非常に難しい。経済産業省で研究会の報告が出ておりますけれども、まだいわゆる通説として確立されたものになっておりませんので、これについてはもう少し差し入れ保証金の、特に小売業におけるショッピングセンターの差し入れ保証金の性格等について更に法的な整理が必要ではないかというふうに思っております。
○福島瑞穂君 十五条の規定による文書等の支障部分の閲覧等の制限についての古川参考人の御意見を教えてください。
○参考人(古川景一君) 私は、そもそも労働者、労働組合というのは当事者の一人にならなければいけない、そして、当然経営情報の開示を受けなければいけない、諮問を受けなければならない、異議権を持たなければならないという立場でございますから、そのような制限をするというのは全く立法としてはいかがなものかというふうに考えております。
○福島瑞穂君 管轄の問題について、東京、大阪地裁に更生事件が集中することが、いい面もあるかもしれないけれども不便になる面もあるかもしれない。逢見参考人は先ほどマイカルの話をされたと思うんですが、この管轄の問題についての御意見をお聞かせください。
○参考人(逢見直人君) 大企業の場合は関連の子会社などを抱き合わせで申立てするというケースがありまして、マイカルの場合でも、二十数社が最初は民事再生、後は会社更生に切り替わったわけですけれども、そういうときに一括して東京地裁なり大阪地裁へそれを持っていった方が、地域子会社であっても親会社と一体的な関係にある場合は、本社が地方にあっても一体でやる方がいいというケースは確かにありまして、そういうものは東京なり大阪で処理する方が当該の労働者にとってもいいというのがあるんですが。 ただ、古川参考人が懸念したように、元々東京にも大阪にも事業所がなくて地方にあるだけの中小企業が東京地裁へ持っていったというときに、管財人も東京の弁護士だというときに、当該に働く労働者は東京へ出てきて管財人と話をしなければいけないというのでは非常に時間的にも金銭的にもロスがあって、そうなることによって労働者が情報から阻害されてしまうのではないか、そこがちょっと懸念されるところです。
○福島瑞穂君 民事再生法の議論のときに、人員整理はこの法律によって行わないということだったんですが、古川参考人の方からもあったように、今不況だということもあるかもしれませんが、やはり人員整理や整理解雇が起きていて、今回、会社更生法案が成立した暁に、もちろん企業を残すというのは必要な面もあるわけですけれども、今、本当に失業者が多い中、また整理解雇等が非常に増えるのではないかという懸念を実は一番持っているのですが、それについての古川参考人、先ほどちょっと意見をおっしゃいましたが、改めてそこを教えてください。
○参考人(古川景一君) まず、日本では解雇のルールがありませんから解雇のルールをきちんと作る。それから次に、倒産だからといって解雇が当然ではない。むしろ、その場合でも、通常よりも厳格に審査をするというのがフランスの考え方です。 つまり、商事裁判所が許可しなければ、どのセクションでどれだけの人数をやるのか、その必要性がなぜあるのかという審査をしなければ駄目だと、そして、そこで許可があって初めて解雇ができる、そういうようなやっぱりシステムにしていく必要があると私は思っております。
○福島瑞穂君 時間ですので、どうもありがとうございました。
○委員長(魚住裕一郎君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、大変お忙しいところ貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。当委員会を代表して厚く御礼申し上げます。(拍手) 午前の審査はこの程度にとどめ、午後一時十五分まで休憩いたします。 午後零時二分休憩 ─────・───── 午後一時十五分開会
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、荒木清寛君が委員を辞任され、その補欠として山下栄一君が選任されました。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 会社更生法案及び会社更生法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の審査のため、本日の委員会に司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、法務省民事局長房村精一君、法務省矯正局長中井憲治君、厚生労働大臣官房審議官青木豊君、厚生労働省職業安定局次長三沢孝君及び経済産業省商務情報政策局消費経済部長小川秀樹君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 会社更生法案及び会社更生法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○千葉景子君 今日は、会社更生法について質疑をさせていただくわけでございますが、その前にちょっと何点かお聞きをさせていただきたいというふうに思います。 それは、実は昨日、私、そしてそれぞれ野党各党の皆さんにも御一緒していただきまして、名古屋刑務所を調査をさせていただいてまいりました。これにつきましては、法務省当局にも様々御便宜を図っていただきましたことについては心から御礼を申し上げる次第でございますが、それはそれとして、調査の結果につきましては、本当に私も改めて衝撃を受け、あるいは様々疑問を抱かざるを得ないことが多々ございました。 この委員会でも、後日、刑務所等につきましての集中審議を行っていただくという方向にございますので、詳細につきましてはまたその折に触れさせていただきたいというふうに思っておりますが、その審議などを充実したものにする意味で、多少、本日、昨日のちょっと何点かの御報告をさせていただき、そして集中審議への準備みたいなものをさせていただければというふうに思っているところでございます。 昨日、名古屋刑務所に参りまして、二時間余り、予定は更に延長されまして、本当に夕刻の時間まで大変御厄介をお掛けをいたしましたが、その中で、名古屋刑務所の事件などでいろいろ皆さんが関心をお持ちである例えば保護房と言われる房、これが名古屋刑務所には五つございますけれども、その五つの保護房をすべて拝見をさせていただいてまいりました。 この造り等は、ここに保護房を再現するというわけにはまいりませんけれども、極めて、本当にその中に入るだけでも、私なども本当に何とも圧迫感というか、精神的に非常に屈辱感のようなものを覚えるような、そんな感覚もいたしました。一時間たりともそこに一人で入るという羽目になりましたら、これは大変なことだろうなという率直な感覚でございます。そのときにもお聞きをいたしましたけれども、最近でも長い者は、ちょっと手元にあれしましたけれども、数日間にわたってその保護房に収容されていると、こういう事例もあると伺いました。 そして、保護房とともによく使用されると言われております革手錠につきましても、実際の現物を拝見をいたしました。 革手錠は四種類あるそうでございまして、特大、大、中、小と、こういうふうに分かれているそうでございます。幾つ名古屋刑務所にあるか分かりませんけれども、大は今、検察庁の方に押収をされているということで、特大とそれから中、小というものを拝見をいたしまして、大変恐縮をいたしましたけれども名古屋刑務所の所長にもそれを付けていただきまして、私どもも装着をするとどのような状況になるんだろうかということなども見聞をさせていただいた次第でございます。 今年一月から十二月までで保護房に収容された事例が二百十一件あったそうでございます。そして、革手錠が使われましたのが百六十件、保護房に収容し、かつ革手錠をはめたというケースが百五十件あったというふうに報告をいただきました。本当に、これを見ますと、連日のように保護房に収容する、あるいは革手錠を使用するというような事例があるのだなということを改めて感じた次第でございます。 これらにつきましてまた詳細ないろいろな疑問点などをたださせていただきたいというふうに思いますけれども、その前提として、私は、幾つかの基本的なデータといいましょうか資料、こういうものを是非、法務省からこの委員会に出していただきまして、議論の前提にさせていただけたらというふうに思っているところでございます。 ちょっとそれを私の方で、こういうものがあれば論議の前提になるんではないかということをちょっとお示しをさせていただきたいと思いますので、是非、次回、集中審議などがされるときにはおそろえいただければというふうに思います。 一つは、保護房を使用することについての根拠になる例えば規定がどういうものが存在するのか。それから、保護房を使用する際の要件、これはどういうことか。それから、保護房使用を決定する決定権限は最終的にどなたが持っておられるのか。名古屋刑務所において二百十一件ということでございますので、これをすべてというのは大変かもしれませんけれども、でき得る限り名古屋刑務所において、根拠規定、要件、決定権限を踏まえて、この保護房使用というのはどういう形でなされたのか、その実績、こういうものを資料、材料としてお出しをいただけたらというふうに思います。 また、革手錠につきましても同じ問題がございます。革手錠、特大、大、中、小とあるそうですけれども、こういう種類を作るまず根拠、また革手錠を使用する根拠、それから要件、あるいは決定権限、これに基づいて百六十件と言われる革手錠の使用が本当にこういうものに即してきちっと何か理由があって行われたのか、その点の実績、それからさらに、これは大変なことだと思うのは、保護房と革手錠を併用するというケースがどうも多々あるようですけれども、併用するというための根拠、あるいはどういう場合にそういうことが許されるのか、要件、それからこういうことを決定するのはどなたなのか。名古屋刑務所で百五十件こういうケースがあるというわけですから、こういうものがきちっとそういう論拠に基づいて行われていたのかどうか。 こういうことを一度整理をいただきまして、この委員会に提出をいただきたい。それを前提に論議もいろいろと進むものというふうに思いますので、是非それをお願いをしたいというふうに思います。 それからさらに、この際ですので、できるだけ議論の前提を出していただくという意味で、ビデオ録画がなされております。このビデオ録画、とりわけ保護房などについて、これもどういう規定に基づいて、あるいはどういう要件でビデオ録画が行われ、そしてそれがどういう形で保存をされているのか。どうも昨日、聞くところによりますと、保存期間とかそういうものが余り明確にはなっていないようにも受け止めてまいりましたので、こういう実情を是非整理をいただいてお出しをいただければまた次の議論の参考になるのではないかというふうに思います。 その点よろしくお願いをするとともに、私どもも拝見をして、やっぱり本当に実物を見るというのがこれほど大変なことかと思いますけれども、革手錠、何というんでしょうね、感触と言うとおかしいんですけれども、ごつさというか、あるいはそれを使う際の大変なる力の必要性とか、装着したときの本当にどういう受け止め方あるいは体に影響があるのかというようなことを、やっぱり委員会としてもみんなでどういうものなのかということをきちっと知るということも必要だと思いますので、是非、革手錠につきましてもこの委員会に、どういう種類が、昨日は四種類と伺いましたけれども、種類あるならばそれをすべてこの委員会に提示をいただいて、こういうものが本当に実際に使われているんだということをやはり委員会としてもきちっと認識をしておく必要があるのではないかというふうに思います。 以上、いろいろ細かいことも申し上げましたけれども、これらの点につきまして、矯正局長でしょうか、是非準備をいただき、あるいは革手錠などは存在をするものですから、御承知をいただければこの委員会に御提供いただけるのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。その点についてよろしくお願いいたします。
○政府参考人(中井憲治君) いろいろ多岐にわたる御要望でございますけれども、御要望のありました件につきましてはそれぞれ検討させていただきまして、資料として提出できるものは資料を提出させていただきたいし、またお示しできるものはお示しさせていただきたいと考えております。 若干の、現時点でお答えできる点だけを申しますと、戒具の使用及び保護房の収容要件につきましては矯正局長の通達が発出されております。また、戒具の使用あるいは保護房の収容につきましての権限はすべて施設長に属しております。 そのような点につきましては、また詳細、後ほど検討した上でお答えしたいと思います。
○千葉景子君 できるものはということでございますが、お示ししたものは、一件一件ということになると難しいことはあるかもしれませんけれども、決して不可能な問題をお示しをしたというわけではありませんので、是非早急にお取組をいただきたいというふうに思いますし、委員長におかれましても、是非この委員会でそういう資料などをきちっと提出を求めるように、委員長からもお取り計らいをよろしくお願いをしたいと思います。
○委員長(魚住裕一郎君) 後刻、理事会にて協議いたします。
○千葉景子君 さて、もう一件、このような事件ばかりではなくて、矯正関係にかかわってもう一点だけちょっと指摘をさせていただいておきたいというふうに思うんですけれども、先般、横浜地裁の川崎支部の公判廷から被告人が腰縄を切って逃走したというような事件がございました。どうやってどこから何かを調達したのかと、本当にこれも大変疑問が呈されたところではございます。 片方では、非常に収容者をかなり厳格に保護房あるいは革手錠などを使用するという形で拘束をしている、片方ではすきをつかれて逃走されると、非常にちょっとアンバランスな感がしないでもありませんけれども、移送中、腰縄を切って逃走したというこの件につきまして、事実と、それからその後のこういう問題に対する対応、どのように取られたのであるか、お答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(中井憲治君) それでは、最初に当該事件の概要について御説明し、次いで対応状況についても補足して説明させていただきたいと思います。 まず、お尋ねの事件でありますが、平成十四年十一月二十二日午後零時五十五分ころ、強盗殺人事件等で横浜拘置所に勾留中の被告人、三十一歳の中国籍の者でありますけれども、この者を横浜地方裁判所川崎支部に護送をいたしました。その際に、同支部の駐車場から逃走したという事件でございます。横浜拘置所の職員三人が戒護しておりまして、当該勾留中の被告人に対しては、手錠、これは金属手錠でございますけれども、この金属手錠を使用した上にほかの二名の被告人とともに捕縄、これは縄でございますけれども、この捕縄でつなぎまして護送車で拘置所から横浜地裁の川崎支部まで護送をいたしました。その後、車から降ろそうとしたところが職員の戒護の間隙をつきまして捕縄を切って、切るとともに、使用されていたところの手錠を外して逃走した、職員らの追跡を振り切って逃走したと、こういう事案でございます。 その後の対応でありますけれども、横浜拘置所から警察に通報いたしまして、横浜刑務所本所でありますとか、近隣の行刑施設の職員二百数十名を動員いたしまして非常配置態勢を取りました。警察と連携して逃走被告人の捜索に当たったわけであります。他方におきまして、報道機関に対して逃走者の写真等を公開いたしまして、関連する自治体であります川崎等にも通報いたしまして、地域住民に対し所要の情報を提供して警戒方を呼び掛けるなどしたわけでございます。逃走者は同月二十九日、大阪市内において逮捕されました。 矯正当局といたしましては、今後この事件の事実関係や原因等を徹底的に解明いたしまして、改めるべき点があらば改め、処分すべき者は厳正に処分して、この種事案の再発防止に万全を期してまいりたいと考えております。
○千葉景子君 結局は何が問題で、具体的には、そういうこれらのことを防止するためにどういう手だてを講じられたのか、ちょっとはっきりおっしゃっていただければ。
○政府参考人(中井憲治君) どういう原因であるかということは、その点につきましては、先ほど申しましたように、現在捜査中でもありますし、私どももこれと並行して調査中でありますので、確たることは現時点で申し上げられません。 しかし、先ほど御説明いたしましたように、要は、同じ車の中に三人の職員が乗っておって、手錠を掛け、捕縄を縛って、連絆というか、つないでおった者がその捕縄を切ったという事実があるわけでございますね。次に、逃走の際には少なくとも手錠を外しているわけでございますので、その切る行為と、それから手錠を外すということについての監視体制に不備があったこと自体は間違いがなかろうかと、かように考えております。ただそれだけなのか、それ以外のことがあるのかということにつきまして今後とも捜査結果等を踏まえ、私どもも調査を尽くしていきたいと、かように考えている次第でございます。
○千葉景子君 今調査中ということでもございますので、きちっとした調査を尽くされまして、また結果、御報告をまた求めてまいりたいというふうに思っております。 さて、会社更生法、本題の方に移りたいと思いますが、この間の議論で、やはりどうもこの会社更生法あるいは倒産法制全体につきまして、一体今大きく動いている司法制度改革等の中で、一体この倒産法制の見直し等がどういう位置付けがされているんだろうか。この間単発的に、一つ一つを見れば単発的に、民事再生法が出る、今度、会社更生法が出る、また来年になるとまた更に次の法律が出ると、こういう単発的に審議をするということになるわけですけれども、やっぱりその根底には大きな時代あるいは社会、こういうものの動きと連動した考え方、理念等があってしかるべきであろうというふうに思います。 司法制度改革全体もそういう大きな時代の流れやあるいは社会のありよう、こういうものに密接にかかわりながら進められているわけですので、司法制度全体の改革の流れとこの倒産法制の見直しという動き、これがどういう関係になっているのか、意味合いを持っているのか、まず御説明をお願いいたします。
○政府参考人(房村精一君) まず、司法制度改革の流れでございますが、これは我が国においてその司法の果たすべき役割、これが時代の変化とともにますます高まっている。それに必ずしも司法の体制が十分追い付いていないということから、より国民に身近な利用しやすい司法制度の実現を目指すと、こういう観点で司法制度全般についての検討が進められていると承知しているところでございます。 ただいま御指摘の倒産法制、これにつきましても観点は正に同じでございまして、やはり経済的に窮境にあるものをどう再建するか、あるいはどう適正な財産の清算を行うかと、こういう点に関しまして、やはり司法の果たすべき役割というのは中心になるはずだと。こういうことから、我が国の倒産法制全体について、国民にとって利用しやすいものとなっているのか、あるいは適正な処理がなされているのかと、こういう観点から見直しをしているということでございます。 そういう点で申し上げますと、従来、我が国の倒産法制、五つに分かれておりまして、それぞれその本とした母法も違いますし、制定の時期も違う、また連携も必ずしも十分でないということから非常に使いにくいという御指摘がございました。こういう点から倒産法制全体を見直しをいたしまして、時代の要求に応じて必要な部分から順次改正を行ってきているということでございます。 まず第一弾といたしまして、その再建手続の一般的な法律として民事再生法を整備いたしました。民事再生法の言わば特則として個人を対象とするものを平成十二年には改正によって整備をいたしました。そして、今回、株式会社に特化した再建手段である会社更生法の全面改正をお願いしているということでございます。 今後、更に清算型の一般的な法制である破産法制の整備を行うと、こういうことによりまして、日本の倒産法制全体を順次整備をいたしまして、全体として国民にとって使いやすく、かつ適正な解決が図られるようなものにしたいと、こういうことで行っているところでございます。
○千葉景子君 やはり、時代の要請、一体、時代の要請というのは何なんだろうというところが問題なんでして、これも午前の参考人等の意見も含めまして考えますには、やはりこれから法の支配、そして公平公正な法の下に社会が動いていくと。やっぱりこういうところを根底にきちっと据えておくことが必要なんだろうというふうに思うんですね。 やっぱり一つ一つを見ると、何か単に効率あるいは企業活動を優先させるとか、そういうことになってはいけない。やっぱりそれぞれにかかわるものが公平公正に法の下に活動ができると、こういうことがやっぱり司法制度改革の大きな理念でもあり、倒産法制を考える際にもやっぱり頭に置いておかなければいけないことであろうというふうに思いますので、そこは指摘をしておきたいというふうに思います。 さて、そういう大きな全体像の中で行われることなんですけれども、どうもこの辺がなかなか複雑になっているんです。一つは、片方では司法制度改革推進審議会から今本部の下でいろいろな各分野の検討が進められている。民事関連の法制も司法制度改革本部の方の検討会などを通じて行われている。片方では、この会社更生のように法制審議会というところを検討場所にして進められると。 この法整備をしていく手法といいましょうか、そのやり方としてそれはいろいろあると思うんですけれども、片方ではどっと司法制度改革、片方では従来からの法制審議会という場を中心にする。ここ、どういうふうに関連があるのかないのやら、あるいは非常に緊密に連携が取れているのか、あるいはそれぞれその立場立場でやってみてくださいと、こういうことなのか。 この辺の進め方というんでしょうか、これについては、大臣、どうでしょう。法制審議会も大臣の下にあるわけで、それから司法制度改革本部も大臣が実際の責任者として務められているということでございまして、大臣も両方の手綱を取って大変なんではないかと思うのですが、その辺の関連については、大臣御自身、その責任者としてどういうふうにお取りまとめされていると御認識でしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 確かに、おっしゃるようなことがあるとは思います。しかし、実はこのところ、もう十年ぐらい前から法律、制度の見直し、新しい法律にしなければということがいろんな分野について言われてまいりまして、そしてこの司法制度改革審議会がスタートし、あるいは本部ができる前から手を付けて勉強を始めていたことがたくさんございました。特に、民事関係の法律につきましてはややそれは先行しておりまして、それが、法務省の中での勉強がある程度進んだところで法制審議会にお願いしていたというものがあったわけでございます。その後、追っ掛けて基本的な見直しをしなければと、それにはこのような仕組みが必要だということで司法制度改革推進審議会、それから本部ということで始まりまして、本部の中にはいろんな問題の検討会が設けられて鋭意やっていただいているわけでございます。 しかし、法律を新しいものに、新しい世の中に合うようにしなければという目標は同じでございますので、既に法制審議会の方で手を付けていただいた主として民事関係のものは、そちらでせっかくやり始めていただいたわけですから深めていただいて、結論を出していただこうということで大体進んでおります。 それからさらに、そのほかの分野、例えば刑事関係の方は、国民の参加ということも新たに考えられているわけでございますので、その点からいいますと、言わばゼロからのスタートということに近いわけでございましたので、それは新しくできた司法制度改革推進本部の方の仕事として検討会でゼロから議論を始めていただき、今大分進んでいるところでございますが。 いずれにいたしましても、それぞれの結論をそれぞれの場で出していただきまして、最終的にはお互いに報告し合い、あるいは確認し合った上で、政府の提案として法改正を出させていただくという仕組みになっておりまして、何といいますか、明治の政府のときのように全く何もないところからスタートするんでしたら、もうちょっときれいに分かりやすくいったのかもしれませんが、既にあるものを直していく、一日も早くというようなものがたくさんございましたものですから、結果的にあるいは分かりにくいかと思いますけれども、私どもの頭の中ではそのように整理をいたしまして、逐次やっていただいているというのが現状でございます。
○千葉景子君 是非、私などはなかなか頭が余りいま一つなものですから、両方でどうやってうまくいくんだろうという気がしないでもないんですけれども、是非大きな理念としては一つの目標に向かい、両方を連携をしながら良き方向付けをしていただきたいというふうに思います。 さて、今回の会社更生法そしてさらに破産法を含めて倒産関連法相互の問題なんですけれども、大変今日も参考人の御意見等にもありました。複雑なんですよね。もういろいろなケースに分かれておりまして、破産関連、倒産関連法案が。それから、これを逆に言えば入口からは一つで入っていって、それぞれの特色に合わせて枝葉で分かれていくと、その特色に合わせて、そういう法の作り方もないわけではないという御意見もありました。 それから、民事再生法とこの会社更生法なども、一般法と特別法というよく御説明をいただくんですけれども、何かそういうことなんだろうか。本来、会社更生法で整理をすべきものがどうも簡易な方へ流れて民事再生法を使っているということもあり得るんではないかと、こんなことも感ぜざるを得ません。 それから、やはり会社という以外の他の大きな法人等についての再生あるいは整理、こういうものについても、さあ、どこでどうしたらいいのかと、こういう問題があり、社会的にも大きな波紋を呼んだりする。こういうことを考えますと、今この会社更生法、ようやく改正をと言ってはおるんですけれども、この倒産関連法というものを今後どういうふうに全体像をまとめていくのか。統一する方向へ行こうとするのか、あるいはもう明確に入口のところからこれはここ、これはこっちと非常に厳格に分けるようなそういう方向であるのか、いささかその辺がいま一つはっきり分からない。この辺りは、将来像みたいなものは何か念頭に置かれているのでしょうか。それとも、まずは一つ一つやってみようやと、こういうやり方なんでしょうか。いかがですか。
○政府参考人(房村精一君) 倒産法制の在り方としては、御指摘のように、一つに統合してしまいまして、その中で分岐をするといいますか使い分けていくというやり方と、それぞれの対象を想定した複数の手続を用意してそれを使い分けていただくというやり方とがあるわけでございます。 今回、会社更生法を議論したときにも、どの方向を目指すかということも議論の対象となりました。ただ、現実に今、我が国の法の整備状況を見ますと、再建型の手続につきまして、従来、会社更生以外に十分なものがなかったということを踏まえて、広く法人、個人の別を問わず使っていただける非常に簡易、迅速を旨とする民事再生手続を創設して、今非常に利用していただいております。 一方、大型の株式会社を主として念頭に置いておりますこの会社更生についても、いろいろ問題点の指摘を踏まえて、今回その全面的な改正をお願いしたところでございます。こういう実態、実情からいたしますと、現段階で両手続を統合するというのはやはり困難であろうと。やはり、現時点においてはそれぞれの手続をその対象に合った適切なものとして更生をし、その使い分けを、その特質を十分理解していただいて、当事者に適切に使い分けをしていただく。 ただ、その手続の内容として、共通化できるものについてはでき得る限り共通にしていく。そのようなことを通じまして、その運用の状況を見ながら、更に将来のこの倒産法全体の手続をどうするかということを検討していくべきではないかと。こういうことから会社更生法を従来の枠組みを基本的に維持しつつ、使いやすいものにするという全面改正をお願いすることといたしました。 また、再建型はそういう意味で再生法と会社更生法でほぼ全域をカバーできるような体制になりますので、残っております清算型の一般法である破産法について、やはりそういった他の手続との調和を考慮しつつ、全面的な改正を現在検討を進めているというところでございます。 そのほかの大型の、例えば学校法人等について会社更生法に匹敵するような手続が必要ではないかという御議論もありますが、これはそれぞれの法人の特質に応じた特別の扱いをまた定める必要があろうかと思います。そういう例として金融機関に関する更生の特例法がございますので、そういう特別な法人についてはそういう特別な手当てをまた別途検討していただくということが倒産法制全体の在り方としては望ましいのではないかと、こう考えているところでございます。
○千葉景子君 この会社更生法の改正等によりましてちょっと懸念をされるのは、更生手続の開始要件が緩和をされました。民事再生法についても、やっぱりこれがいささか使い勝手が、今良いとおっしゃったんですけれども、良いがゆえに濫用されている嫌いがあるのではないかと、こういう懸念もございます。 この会社更生法の方も、更生手続の開始要件が緩和をされるということによりましてやっぱりまた濫用される、非常に前倒しで会社更生手続に入っていくと、それが結果的にはリストラとか、事業は残るけれども、要らない、働いていた者だけが追っ払われちゃうとか、何かそういう濫用の危険、そういうものにつながるのではないかということもあろうかというふうに思うんですが、この点については、今回の緩和措置と濫用の防止についてはどんなふうに調和が取れているんでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 今回、更生手続開始の要件を緩和いたしましたのは、従来、更生手続に時間が掛かり過ぎるという御批判のうち相当部分が、申立てをしてから開始をするまでの間に更生の見込みというような経営的判断を裁判所がしなければならないということで相当そこで時間が掛かっていると、こういう御指摘を踏まえたものでございます。 また、更生に関与した実務の方々からの御指摘として、やはり会社を立て直すというそのためにはスピードが何よりも大切だ、やはり迅速に再建に取り掛かるということが必要なので、再建するかどうかを判断、再建に取り掛かるかどうかを判断するために時間を掛けるというのは本末転倒だという、そういう御批判もございました。 そのようなことから、今回、更生の見込みの有無という経営的判断を不要といたしまして、明らかに更生計画が樹立できないような例外的場合を除いて手続を開始するとしたものでございます。 ただ、これは更生の見込みがないものをそのままずるずる手続を進めるということではありませんので、開始した手続の中で、その会社の財産状況、経営状況等を踏まえまして更生の見込みがないことが明らかになれば、直ちにその時点で手続を打ち切って更生手続としては廃止して、必要に応じて破産手続等に移行すると、こういう仕組みになっておりますので、開始要件が緩和されたからといってこれを会社側が濫用するという可能性は少ないと思いますし、また会社更生法の全体的な構成として、管財人が選任され、裁判所の監督の下で手続の進行を図るということになっておりますので、そういう厳格な扱いが維持されておりますこの手続の下では、更生要件開始の要件の緩和で直ちに濫用の申立てが増えるという心配はないと、こう考えております。
○千葉景子君 是非そこは、やはり開始自体がある意味では厳格だということによって、先ほどの参考人の御意見でも安心感みたいなものもあったということでもあり、是非そこは本当に濫用がないようなきちっとした運用がなされるよう監視をしていっていただきたいというふうに思います。 さて、会社更生法の改正に伴いまして、今お話がありましたように、だからといってむやみやたらに増えるということではまたおかしいわけですけれども、やっぱりスピーディーに、そしてこの法律の趣旨とすればできるだけ早く再建ができる、あるいはめどを付けられるということになると、裁判所の方の受入れ体制というんでしょうか、あるいはこれを運用していくための人的な充実等が必要になってこようかというふうに思うんですけれども、裁判所の方の体制整備についてはどんなことを今考えておられるのでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(千葉勝美君) 会社更生事件の申立て件数は、これは景気の動向にもよりますけれども、法改正後どの程度申立てがあるかは予測は困難でありますけれども、件数は多くなるだろうというふうに思っております。今年の十月までに既に八十六件の申立てがありますし、今、委員が御指摘されましたように、手続の改正がされますと利用が増加するわけでございます。 この倒産事件、会社更生事件も含めた倒産事件の処理につきましては増加が非常に著しいわけでございます。これまでも、事件が急増しているそういう繁忙庁を中心に、必要な人員の増配置とか特定の裁判官や書記官を専属的に倒産事件処理に当たらせるとか、そういう事務処理体制を充実してきたところでございます。また、パソコンを配付するとか、そういう物的な対応もしてきております。 会社更生事件でございますけれども、現状では東京と大阪で八割の事件が集中している状況でございますが、今回の法案では、東京、大阪に競合管轄が認められるということで、一定の事件がその両方の庁に集中するということが予想されますので、これまでもこういう体制整備してまいりましたけれども、やはり適正な事件処理を行うことができるように、事件の動向等を十分見ながら必要な人的体制、物的体制、そういった整備を考えていきたいと考えております。
○千葉景子君 今、法曹人口そのものの増加というのが叫ばれているわけでして、全体の底上げがなされていきませんと、なかなか最高裁が一人踏ん張ってもそこには限界があるようにも思いますが、少なくともやはりこの法律の趣旨が全うされるような人的体制などの充実には十分力を入れていただきたいというふうに思います。 さて、この再生手続、最初の理念に戻りますけれども、やはりそれにかかわる債権者等が公平公正に手続にかかわり、そして再建に向けてそれぞれの責任を果たしていくということになりますと、この再生手続における情報の公開、開示というのが非常に重要なことになってこようかというふうに思います。 この情報公開の重要性ということを踏まえまして、十五条の支障部分というのがございます。これの意義、意味、それと、この閲覧制限を設ける理由。やっぱり、逆にまたこれもなるべく見せないようにするみたいな、濫用がこの支障部分ということに活用してなされないかと、こういう懸念を持つわけですけれども、この点については十分に公開の重要性というのが全うされるようになるのでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、今回、会社更生法におきましては、利害関係人が情報を的確に把握して適切な行動が取れるようにということで、裁判所にあります文書等についての閲覧、謄写の規定を設けたわけでございます。 ただ、更生会社の管財人が裁判所に提出した文書の中には例えば営業秘密に触れるような部分も含まれるわけでございますので、こういったものを無制限に閲覧、謄写の対象といたしますと会社に損害を与え、かえって更生が妨げられると、こういう事態も予想されるわけでございます。 そういうことから、この会社更生法案におきましては、管財人等が提出する一定の文書、例えば裁判所に報告書として提出するものであるとか、保全管理人が常務に属さない事柄について許可を得るために提出する文書と、こういった文書を限定いたしまして、その文書のうちに更生会社の事業の維持更生に著しい支障を生ずるおそれ又は更生会社の財産に著しい損害を与えるおそれがある、そういう部分が含まれているときには、これを支障部分として閲覧の請求を制限できると、こうしたわけでございます。 ただ、支障部分であるということで必要以上に閲覧が制限されるということはもちろん困りますので、この支障部分に当たるかどうかということは裁判所の判断にゆだねると、こういうことにいたしておりますし、また利害関係人はその裁判所の判断に不服がある場合にはその取消しの申立て、その決定について不服がある場合には更に即時抗告と、こういう争う手段も用意いたしまして、この支障部分による制限が濫用されないような歯止めを掛けているわけでございます。
○千葉景子君 今の御説明伺いました。先ほど労働者債権などもいろいろな形で主張するにしてもやっぱり公開がきちっとされていませんと、結果的には聞きおくという話じゃありませんけれども、それだけになってしまうと。そういうところともつながりますので、この公開については十分にされるように是非その方向をしっかりと進めていただきたいというふうに思います。 それから、更生計画、今度は可決要件、これも緩和をされました。これによって、少額の債権者などがむしろ不利になるという結果になるんではないかと。これはやむを得ないところはあるかというふうには思うんですけれども、その点についての何らかの歯止めとか濫用防止、こういう点についてはどうお考えになっておるでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、今回の改正では更生計画案の可決要件をそれぞれ緩和をしております。これは現行の可決要件が非常に厳格であるために、債権者等の同意を取り付けるために管財人が非常に苦労をする、時間が掛かる、これが更生計画の長くなっている原因の一つだと、こういう指摘がございましたので、これを受けまして、いろいろな御意見を拝聴した上で、それぞれ緩和をしたわけでございます。 その場合に、少額債権者の保護が欠けることにならないかという点でございますが、これは会社更生法の基本的な考え方といたしまして、少額債権というのは更生計画においてもある意味では有利に取り扱う代表例として掲げられているわけでございますし、また手続の中でも早期弁済を裁判所の許可でできるというような、少額債権についてはある意味では法律自体が相当の優遇をしているところでございます。 そういったことを踏まえて、更生計画の内容について、裁判所は、公正かつ公平であるか、遂行可能であるかということでその認可決定をするわけでございますので、そういった裁判所の適切な権限の行使、あるいは債権者のそういう更生計画に対する意識というものを考えますと、緩和をしたからといってそのことによって少額債権者の保護が不十分になるという心配はないだろうと思っております。 また、現実の問題といたしましても、今の早期弁済の制度が活用されているのが実情でございますので、更生計画認可の段階まで少額債権者が相当大勢残っているという事態は実務上は少ないのではないかと思います。
○千葉景子君 次に、最近、大手スーパーの事例などで公募社債、結局これは全部パアになってしまったということがあったわけですけれども、この倒産会社更生手続の中での公募社債について、やっぱり一定何か保護をする措置とか講じなければいけないのではないかというふうに思われるんですけれども、かなりこれは一般の本当に市民にとって影響のあるものですから。その点については何かお考え、あるいはどういう取扱いになるか。
○政府参考人(房村精一君) 公募社債の場合には、社債権者が相当散在をしているということから、その権利行使がなかなかいろいろな意味で難しい面がございます。そういうことから、公募社債につきましては、商法で社債管理会社の設置が義務付けられております。 会社更生法が、会社更生手続が開始をいたしますと、社債権者も当然債権の届出をしなければいけないわけですが、これは社債管理会社が一括して行うということになりますので、個々の社債権者としては特段届出をしなくても債権の届出は法律上保障されているということになります。 また、更生計画が認可された場合、この債権の受領も社債管理会社が代理して受領することができますので、その点についても特に会社更生手続を気にしなくても社債権者としては社債管理会社を通じて弁済を受けられる、こういう手続にはなっております。 会社更生計画の内容ということになりますと、これは債権者間の実質的な公平を害しない限り更生計画の内容について差を設けることが許されておりますので、一般投資家が購入した公募社債について、実質的な公平の見地から他の債権と比べて保護する必要性が高いと認められるようなときには、弁済率あるいは弁済時期等について有利な取扱いをするということも法律上可能となっておりますし、またそういう扱いもあるようでございます。 問題は、そういった更生計画が樹立されて、これが関係人集会の決議に付されたときにそれが可決できるかどうかということでございます。実は、社債権者の場合、特に無記名社債ですと、会社側は全くその所在が把握できません。ところが、現行の可決要件というのは、その絶対額、総議決権をベースにいたしまして、それの過半数というような定め方になっておりますので、把握できずに棄権をする出席しない者もすべて反対にカウントされてしまう。そうなりますと、社債権者が相当多数おりまして、その方々が権利行使をいたしませんと、幾ら合理的な再建計画を樹立いたしましても可決できない、こういう事態が生ずるわけでございます。 その対応策といたしましては、社債管理会社が社債権者集会の特別決議で授権を受けて議決権を行使するという方法が用意されておりますが、実はその特別決議自体、定足数を満たさずに成立しない場合があるということが言われております。そのようなことから、社債権者の保護といたしましては、実質的に妥当な内容の更生計画がせっかく樹立されたのに、そういう無関心な社債権者が多いためにそれが可決できない、これが実務上の問題だという御指摘が法制審の中で実務家の間から出されました。 そういうことから、今回は、社債権者の議決権につきまして、社債権者集会で授権決議がなされればそれはもう問題ないわけですが、それができない場合には、社債権者が別個に議決権行使の届出をしない限り、その総議決権数の数から除外をしてカウントをする、こういう仕組みにいたしまして、決議が成立しやすくする、こういう方法を考えまして、今回の改正で取り入れているところでございます。
○千葉景子君 なかなか公募社債の場合には本当に無記名で一般の市民が関係者だということになりまして、手続への関与とかなかなか分かりにくいことになりますので、今御説明いただきましたけれども、できるだけそこがスムーズに関与する、あるいは自分の権利をきちっと行使できるような、それを分からしめるといいましょうか、そういう手だても講じていく必要があるのではないかというふうに思います。 さて、労働債権につきましては、この間、本当にそれぞれ議論がございました。今日の参考人等からもいろんな御意見がありまして、これはもうあと長々と私も申し上げませんけれども、やはり賃金等の確保、これはやっぱり働く者にとっては何といっても生活の基盤です。生きる根本ですから、やっぱりそこを十分に確保するということが公平公正な見地からいっても重要なことだろうというふうに思うんですね。 そういう意味で、今日はもう多くは申し上げませんけれども、やはりこの倒産法制全体の中で賃金等の位置付けですね、優先順位、やっぱりこれ、先に公租公課どっと持っていかれちゃって、あら、もう何にもなくなったわと、やっぱり本当にこれでいいんだろうか。むしろ、国の方はこういうときにこれまで社会を支える働く勤労者の生活をサポートするという立場になくてはならない。こういうときにやっぱり、先に国の方が、済みません、お先にって、これはいかにもという感じもするんですね。 そういう意味で、今後の検討課題としてやはりこの優先順位、先ほどお話があって、法務省に言うと、いやそうじゃない、財務省の方が変わらなきゃ駄目だという話になるそうですけれども、やっぱりむしろこの法律を管轄するところとして毅然とした考え方をお持ちいただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、給料債権等の労働債権は労働者の生活の基盤を成すものでございますので、その保護というのは非常に重要な意義があるだろうと思っております。この会社更生法においては相当の保護が図られておりますが、破産手続におきましてはやや労働債権の保護についていろいろな問題も指摘されております。 そういうことから、現在、破産法の見直しの中で、そういった他の債権との優先順位も含めまして労働債権の保護の在り方について検討を加えているところでございます。現段階では、その一部を財団債権について保護を図る、こういうような方向も中間試案で示して意見を集めているところでございます。今後も更に検討を続けて、来年の秋には成案を得て、また国会に提出したいと考えているところでございます。
○千葉景子君 あと、もう時間が限られてまいりましたので、最後に、今後といいますか、今の金融とかあるいは投資の実情などをちょっと踏まえてお聞きをしておきたいというふうに思うんですけれども、今、やっぱり投資も企業の、何というんでしょうね、財産ということではなくして収益力とか企画力とかそういうものに着目して融資をするという、よく言われますけれども、プロジェクトファイナンスと言われるようなもの等が行われるようになりました。それから、包括的な担保という形も取られます。 こういうことを考えますと、結局どうなんだろうか。問題としては、包括的な担保のような形になると、その担保権者が非常に大きなやっぱりその支配力を持つ、あるいは今度は企業の収益力のようなものに着目した投資となりますと、その権利の範囲というのは一体どこまでかぶるんだということもなかなか分かりにくいと、こういう問題が出てきていると思われるんですけれども、この辺りについては、今回の会社更生法それから今後の倒産法制等の中でどんなふうに整理をされていくものなんでしょうか。 その辺について、ちょっと私もなかなか余り得意な分野ではないんですけれども、是非どういう問題があるのか教えていただければ教えていただいて、質問を終わりにしたいと思いますので。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、現在、様々なファイナンスの部分では新しい動きがございます。その中でもプロジェクトファイナンス、企業の中の一定の事業、プロジェクトを対象としてファイナンスを企業にする。その場合には、通常、特定目的会社を設立いたしまして、そこに融資対象となる事業を移す、そしてその特定目的会社に対して融資を実行する、融資の担保としては特定目的会社にある資産すべてを対象とするというような形で行われるのが通例と伺っております。 これは、その事業の収益力を担保にして融資をする、言わば元となった企業の企業としての信用の影響を受けないという、企業からの分離を図るわけでございますので、そういう意味では、これが適切に行使されれば、その元となっている企業が例えば会社更生手続とか再生手続を始めてもそのプロジェクトファイナンスはその影響を遮断されると、こういう形になりますので、特に会社更生、倒産手続上の問題が生ずるおそれはないだろうと考えております。 これに反しまして、浮動担保あるいは包括担保ですね、これが今非常に、もっと充実すべきではないかという御指摘も受けているところですが、これが頻繁に利用されるということになりますと、企業の財産のほとんどが担保の対象になってしまう。そうなりますと、一般債権者の引き当てとなる財産が極端に減少するおそれがございます。 そういうことから、この包括的担保制度につきましては、倒産法制との調和を考慮しないと適切な制度設計は難しいのではないかと思っているところですが、そういう点も踏まえて、今後、倒産法制、それから包括的担保制度、その双方の観点からの検討を継続したいと考えているところでございます。
○千葉景子君 終わります。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。 昨日、私も、野党共同の名古屋刑務所の調査に参加をしてまいりました。現地に行きますと様々な新たな疑問もわいてきたわけでありますが、所長が新任だという理由でどうもなかなか基本的なことのお答えがないということがございました。先ほど、千葉委員の方から様々な資料要求がなされましたけれども、やはりこの問題の解決を図っていくという点で必要な資料ばかりでありますので、是非、私の方からも強く要望をしておきます。 その上で、まず会社更生法の改正にかかわりまして、社内預金の問題についてお聞きをいたします。 現在、これ実施している事業所数、労働者数、それから預金の総額はどういうふうになっているでしょうか。厚生労働省からお願いします。
○政府参考人(青木豊君) 社内預金制度の実施状況でございますが、平成十四年の三月三十一日現在で、実施事業場数は二万五千三百六事業場ということであります。預金総額は一兆五千八百五十八億円ということでございまして、預金者数は百六万人ということになっております。
○井上哲士君 かつてから比べますと減ったとはいえ、かなりの規模であります。預けている人にとっては本当に生活設計上欠かすことができない大切なものであります。これを今回、共益債権として請求できる範囲を狭めるというのが法改正であります。 ちょっと通告した質問に入る前に、この範囲を狭める理由について、衆議院の答弁では、銀行等に預金する場合と本質に変わりがないと、こういう御答弁がありました。この点は法制審でも随分議論になったようでして、議事録などを見ておりますと、労働者側委員から、少しそれは実態と違うんじゃないかという発言があります。ボーナスの時期には社内でアンケートが回ってきて、まずどのぐらいするのかと目盛りがあって、課長が一〇〇と書くと補佐は八〇、一般の人は五、六〇と書かざるを得ないようなそういう状況もあって、やはり普通の預金とは少し違うんじゃないかという意見でありました。私は、この方が随分実態を踏まえた発言ではないかと思うんですが。 銀行等の預金と変わらないというのはやはり現実の実態とは違うと思うんですが、その点、局長、いかがでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 銀行に預ける場合と変わらないと申し上げましたのは、その債権の法的性質が変わらないという趣旨でございまして、これは、労働者が預けた、いわゆる法律的に言えば貸金請求権になると、そういう意味で変わらないということを申し上げたわけでございます。 ただ、やはり同じ会社の中で労働者が会社に預けるという、それは銀行に預ける場合とは異なるからこそ、今回の改正法案におきましても共益債権として保護する範囲を退職金並みの範囲、減縮はしますが、相当の範囲を共益債権として、最優先の債権として保護しているわけでございます。
○井上哲士君 こういう時期にこういう切下げ、事実上の権利の切下げをやるのはいかがかという御意見も法制審ではあったようであります。 いずれにしましても、全額が共益債権として請求できないということになりますと、この預金の保全の在り方というのが大変重要になってくると思います。賃金の支払に関する法律の中で、この社内預金の保全の在り方が定められていると思いますが、それはどういうふうになっているでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 社内預金の保全措置につきましては、賃金の支払の確保等に関する法律によりまして、事業主は毎年三月三十一日における受入金額について同日以降一年間を通ずる貯蓄金の保全措置を講じなければならないというふうにされております。具体的には、金融機関と保証契約を締結すること、あるいは信託会社と信託契約を締結すること、あるいは質権又は抵当権を設定すること、あるいは預金保全委員会を設置し、併せて貯蓄金管理勘定その他適当な措置を設けること、これらのうちのいずれかの措置を取らなければならないというふうにされております。
○井上哲士君 今、四つの措置が言われました。四番目のこの預金保全委員会を設置をするというやり方が大体八割を超えているというふうにお聞きをしております。会社が倒産をしたという場合は、この四番目の措置を取っている場合は、先ほどのように共益債権としては一部しか請求できないということになるわけですが、それ以外の方法、例えば信託をして労働者を受益者としておくと、こういうふうにした場合にはこれは基本的に全部返ってくると、こういう理解でいいわけですね。
○政府参考人(房村精一君) はい。御指摘のように、会社と信託銀行の間で契約をいたしまして受益者を労働者とすると、こういう契約をいたしますと、信託財産の所有権が信託銀行に移りまして、会社が会社更生手続に入りましても労働者は信託財産からその社内預金相当額の返還を受けられると、こういうことになります。
○井上哲士君 ですから、今回、法改正によりまして労働者の権利が随分変わるわけでありますから、こういう保全の方法等についても様々な検討がされるべきことだと思うんですね。 で、労働者にとって現状より不利になるという点については周知徹底をしていくという旨の答弁が一昨日もありましたけれども、だれがだれに対して、どのような方法でこの問題を周知徹底するということになっているでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 法務省といたしまして、今回の法改正の内容を国民一般に広く知ってもらうというために、パンフレットあるいは説明会、その他いろいろな方法を取りたいと思っております。特に、この社内預金の関係につきましては、使用者である会社、それから使用人である労働者、その双方にもその変更内容を十分知っていただく必要があろうかと思いますので、経済団体であるとか労働団体等にも協力を求めて、できる限り多くの方にこの内容を正確に理解していただくという努力をしたいと思っております。
○井上哲士君 主要な所管は厚生労働省ということになるかと思うんですが、それについては法務省としてどういうふうな分担といいましょうか、どういうふうにやっていくかというのは相談をされているんでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) これは従来から関係する省庁には必要な協力を求め、また私どもから協力をするということで行っておりますので、今回の改正内容につきましても十分、厚生労働省と協議をして、協力をして周知をしていきたいと考えております。
○井上哲士君 厚生労働省にもお聞きをいたします。 直接的には所管をされているということもあります。それから、先ほど保全の方法についてもお聞きをしたわけですが、これも法制審の議事録などを見ておりますと、大規模な企業ではこの預金の管理も非常にきちんと分別管理がされていて取戻し権的更生で余り問題が生じていないけれども、中小零細なところではいろんなことがあるというようなことも含めて言われております。信託等をしているところも大企業が多いやに聞いておるわけですが、こういう制度が変わるということに伴いまして、例えば中小零細のところなどにも社内預金についてはこういう信託にするであるとか、そういうようなことも含めて、指導をしていくことも含め周知徹底をしていくことが必要かと思うんですが、その点、いかがでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 厚生労働省といたしましても、今回のこの法改正に伴います会社更生手続における社内預金の取扱いというものを十分労働者自身が理解をして、その負うべきリスクを納得した上で預入が続けられるというようなことを周知していきたいというふうに思っております。そういうことで、法務省とも協力をしてまいりたいというふうに思っております。
○井上哲士君 保全の方法についてそういう信託などを例えば中小零細などにも進めていくという、その点ではどうでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 先ほど申し上げました四つの保全方式につきましては、そのいずれかを事業主の方は措置を講じていただければいいということにいたしております。それぞれいろいろな機能を有しておりますし、そういう意味で内容をよく労働者の方々にも、あるいはその事業主、中小事業主も含めましての方々にその内容をよく周知していただくように、理解していただくように周知をしていきたいというふうに思っております。
○井上哲士君 現実は、先ほども少し紹介しましたように、会社の中では半ば強制的な雰囲気ということもあったりするわけでありまして、結果として労働者にいろんなやっぱり被害が来ないという方向で周知徹底をお願いをしたいと思います。 続いて、いわゆるテナント保証金の問題についてお尋ねをいたします。 長崎屋とかマイカルの倒産に伴いましてテナント保証金の問題というのが大変浮上しております。マイカルでいいますと店舗数が四千七百テナントがあります。そのうち四百六十九が閉鎖ということになりますが、一店舗当たり数百万、一千万以上の保証金を払っている、保証金、敷金を払っているところもありまして、四千七百店舗全部でいいますと総額は四百億になると言われております。預けてあるだけだから返ってくるんだと思っておりますと、倒産でこれが凍結をされる、最終的にはほとんど返ってこないと。特に、閉鎖をされる店舗でいいますと一方的に追い出される。別の場所で新たな店を開こうと思っても保証金は返ってこないので資金がなくてできないと、にっちもさっちもいかないという非常に深刻な事態が今、全国で広がっております。 この問題に関して経済産業省で研究会を立ち上げて議論をされているかと思いますが、この問題の中心点といいましょうか、どういう観点からこの研究会が立ち上げられているのか、まずその点についてお願いをいたします。
○政府参考人(小川秀樹君) お答え申し上げます。 委員御指摘のいわゆるテナント保証金でございますけれども、テナントの方々が多額かつ長期間の保証金を支払うという商慣行なんでございますけれども、そもそもそういうことでテナントの負担が重い、したがってそのテナントの方々の財務体質の悪化の要因になるということがあるわけですし、また昨今の経済情勢でいいますと流通業の破綻リスクが高くなっているという状況下では、ディベロッパーである流通業が破綻した場合に、今も御指摘のとおり保証金が返還されないというような事態につながるというような点がございまして、改善の余地があるのではないかと、そういう認識を持っておるわけでございます。 そういう認識から、御指摘がありましたとおり、本年七月から今後のテナント保証金の在り方につきまして研究会を設置いたしまして、御審議をいただいておるところでございまして、今まで四回御議論をいただいておりますけれども、できれば契約期間が長い、中途解約の手続が存在しない、そういった問題について一定の取りまとめがいただければというふうに考えておるところでございます。
○井上哲士君 経済情勢の大きな変化の中で生まれた新たな問題かと思います。午前中の参考人質疑の中でも、なかなかこの点については通説というものがなくて新しい問題だということを組合の代表の方も言われておりました。そういう点では、現行制度がこうだということに単に当てはめるだけでないいろんな研究が要るかと思うんです。 この研究会では、解決方向としてはどの辺が議論になっていて、中間的なまとめなどはいつごろをめどに出されようとしているんでしょうか。
○政府参考人(小川秀樹君) 研究会といたしましては、今後のテナント保証金の在り方ということで、一つの方向性といたしましては業界のモデル契約を作成いたしまして、契約内容が非常に不明確であるという点も一つの問題でございますので、例えば中途で解約する場合の規定とか解約条件、また契約期間が非常に長いというのをもうちょっと短い契約期間になるようにならないかとか、低い保証金額にならないかとか、また法律的な性格付けとしても、通常の金銭貸借ということになっておるわけですけれども、敷金的な性格を持つ保証金ではないかとか、そういった辺りをモデル契約として明確化できないかというようなのが一つの方向性として議論されておるというふうに認識しております。
○井上哲士君 できれば年明けにも中間報告をというふうにお聞きしておりますが、そういうことでありますね。 今もありましたように、法的な性格付けも含めたいろんな議論がされているわけですので、これ年明けにもまとまるということでありますから、是非、法務省としても様々な法整備等の検討も要るかと思うんですけれども、その点、大臣から御所見をお願いいたします。
○国務大臣(森山眞弓君) 御指摘のテナント保証金の保護の方策につきましては、現在、今お話がありましたように、経済産業省において、いろいろな問題点の分析と実務の在り方などを含む広い観点から検討が行われているわけでございます。 そこで、経済産業省における検討の結果や保証金の慣行の推移を踏まえまして、法務省としてもどのような法的問題があるかを検討してまいりたいと考えております。
○井上哲士君 経済産業省、ありがとうございました。 次に、営業譲渡の、いわゆる計画外の営業譲渡の問題でお尋ねをいたします。 今回、更生計画外のこれが導入されるわけですが、これは現行法ではできないということでこういう改正が行われると、こういう理解でいいんでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 現行の会社更生法では更生計画の任意的記載事項に営業譲渡が含まれておりますので、更生計画によって営業譲渡ができることは明らかでございます。 ただ逆に、では更生計画によらない営業譲渡ができるかという点につきましては、法律上何らの規定も存在しないために見解が分かれているところでございます。 これを否定する見解といたしましては、まず明文に記載がないということと、営業譲渡が非常に重要な行為であって債権者等の多数意思によって成立する更生計画によらなければならないはずだと、こういう考え方でございます。 これに対しまして、計画によらない営業譲渡を認める考え方といたしましては、裁判所の許可によって行うことができる会社財産の処分、この財産の中には一体としての営業も含まれると、こういうことで、裁判所の許可によって計画外においても営業譲渡をすることができると、こういう考え方がございます。 今回の改正に当たりましては、こういう見解が対立しているということを踏まえまして、解釈上の対立を明文で解決するということでこの計画外の営業譲渡を認めたわけでございます。
○井上哲士君 新潟鉄工などを見ますと、財産処分ということで、実際そういう営業譲渡が行われているということを承知をしているわけですが、今回それをできるということで明文化をしたということは、それなりの目的があったということかと思うんですが、民事再生法などでも活用されているようでありますが、今朝の参考人質疑などでは、要するにもうかる部分だけを切り売りするものだと、こういう指摘もあったわけですが、目的としてはそういうことだと考えてよろしいわけでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 営業譲渡というのは、企業が倒産した場合の企業再建の方法としては広く取られているところでございまして、譲渡先において事業の再建を図りながら、倒産した企業の債権者等に対する弁済率を向上させると、こういうことが期待されるわけでございます。 ただ逆に、必要性や相当性を欠く営業譲渡がされますと、結果的に事業が継続されず、また債権者等の利益も害されるということにもなりかねません。そういうことから、原則として営業譲渡については更生計画において更生債権者等の多数の意思に従って決めると、こういうことにしているわけでございます。 ただ、営業というのは、会社更生の申立てのような言わば事実上の倒産ということが社会に広がりますと急速にその内容が劣化していく、お客が逃げてしまう、あるいは中で働いている人の中でも言わば非常に優秀な人が先を争って逃げてしまうと、こういうようなことが起こるという指摘がされております。そういうことから、営業譲渡については、時間を掛けると譲渡すべき営業そのものが非常に劣化してしまって、事業の再建ができなくなる場合があると、こういう指摘を受けていたわけでございます。 そういうことから、今回、やはり早期に営業譲渡を行う必要があるだろうということから計画外の営業譲渡を認めたわけでございますが、先ほど申し上げたように、営業譲渡が、ある意味で事業の更生の骨格を決めてしまうというような重要なものでありますから、これを裁判所の許可にかからしめる、かつ裁判所は、その許可をする場合には、知り得ている更生債権者、更生担保権者、それから更生会社の使用人の過半数で組織する労働組合等の意見を聴取しなければならないと、こういう手続的な定めをした上で営業譲渡を認めるということにしたものでございます。
○井上哲士君 民事再生法で営業譲渡に労組の意見聴取ということで入れて歯止めを掛けたと言われたわけですが、現実には、例えば衆議院でも我が党は質問しておりますが、日立精機などの場合は事実上すべてを営業譲渡したわけですけれども、労働者が全員解雇されて、再雇用されたのは半分、希望者でいっても三分の二。で、裁判所は労働組合に意見聴取をして、その翌日にこれを許可をしておりまして、実際上は形式的なものにしかなっておりません。ですから、歯止めになっていないというのが実態でありまして、いろんな形での労働者の権利の引下げが行われている。 今回予定されています大規模会社で営業譲渡が使われた例になりますと、いわゆる財産処分としてやっている新潟鉄工の例でありますが、ここもこの一月に更生計画案が出ておりますが、三年後をめどに会社清算、全員解雇ということでありますが、それに先立って様々な営業譲渡が行われております。中核の原動機部門は石川島播磨、その他の部分は十二社、計十三社に営業譲渡ということになっておりますが、この一番中核と言われる石川島播磨に丸ごと引き継がれる原動機部門でいいますと、仕事量は今はもう倒産時まで回復をいたしまして、今後倍加するんじゃないかというぐらい非常に好調なわけですね。しかし、この部分でも労働者が千二百のところが千に減らされるだろうということが言われておりまして、ですから営業譲渡に伴って非常に好調で一層発展すると思われる部分であってもこういう首切りが行われる、非常に深刻な事態かと思うんですね。 こういう今の現状、実態については大臣はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 御指摘の具体的な事例については余り詳しく存じませんものですからコメントを差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論といたしましては、会社更生手続中に行われた営業譲渡の際に一部の労働者の雇用関係が譲受け会社に承継されないこともあるというふうに承知しております。そして、営業譲渡の際に雇用関係が継承されるか否かの問題は、会社更生手続に限らない営業譲渡の一般的な問題であると認識しております。 営業譲渡がされた場合に雇用関係や労働条件が法的にどのような影響を受けるかはいろいろ見解が分かれるところでございますが、いずれの見解に立ちましても、営業譲渡に伴い承継される雇用関係の対象から合理的な理由もなく特定の労働者を排除するということは原則として許されないということは申すまでもございません。
○井上哲士君 問題は、今は中核的事業でもこういう事態だということを申し上げましたが、計画外で譲渡される部分は非常にもっと大変でありまして、新潟鉄工の場合、もう営業と設計図と工具だけが売り払われる、人は付いていかないと、こういうふうな部分もあると聞いております。ここでも労働条件などの提示がないまま面接日や移行日がどんどん進んでいるということが、全員で組織している労働組合があるにもかかわらず、起こっているということも問題になっているわけです。 民事再生法における労働者からの意見聴取というのが非常に形式的になっているということは先ほども指摘をいたしましたし、今朝の参考人質疑の中でも、例えば山田というところで、全員解雇で、そして債権者に一〇〇%返すと、これが通ってしまったが、まともな意見聴取はないと、こういうことも言われておりました。 実態としてはこういう形で進められているわけですから、やはり労働組合が事実上関与できないで進むというようなことが果たして今回のこの更生法の改正によって歯止めが掛かるのかどうか大変疑問なんですけれども、この点いかがでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 営業譲渡に際しまして裁判所に労働組合からの意見聴取を義務付けましたのは、やはり営業譲渡等、営業譲渡に限りませんが、会社更生を成功させるためには労働者あるいは労働組合の協力が不可欠だ、また企業の内部の事情に明るい労働組合がいろいろな情報を持っていると、こういうことから営業譲渡の計画外での許可を決するに当たっては労働組合等からの意見を聴取すべきであるとしたものでございますので、裁判所におかれてはその趣旨を十分踏まえて、労働組合からの意見聴取を行い、それを尊重しつつ許可の決定を行っていただけるものと、こう考えております。
○井上哲士君 先ほど紹介した山田紡績の場合も、結局、裁判所に対しても直接の意見を送っているけれども、結局行われてしまったということでありますし、日立精機の場合もさっきも言ったような状況のわけであります。ですから、今日の午前中の参考人にもありましたけれども、要するに聞きおくということではなくて、やはり協議ということを義務付けるということによって、言わば管財人の善意に頼るんではなくて、制度として確立をしてほしいんだと。私は、これは非常に真っ当な思いだと思うんですね。 これも法制審の議論などを見ておりますと、要するに労組との協議を管財人に義務付けると迅速性が害される、こういうことで言われているわけでありますが、迅速性の名の下に労働者の権利が置き去りにされるということはあってはならないと思うんですね。 改めて協議を義務付けにすべきだと思うんですが、その点いかがでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 管財人に労働組合との協議を義務付けるかどうかという点につきましては、営業の譲渡ということになりますと、やはり秘密の保持というような観点からどうしても限定された範囲の者で交渉を行うということが必要になる場合もございますし、また、先ほど申し上げたように、営業の劣化が非常に速いということから迅速性も要求されるということになります。 一方、逆に、営業譲渡が適切な時期に行われずに企業の再建が難しくなりますと、これは労働者にとっても結局は雇用の場が確保できないということにもなりますので、やはり管財人に適時適切に営業譲渡等を行っていただくということのためには協議を一律に義務付けるということは適当ではないだろうと、こう考えております。 ただ、具体的な事案に当たって組合等との協議あるいは意見交換等を活用して円滑な営業譲渡を目指すということは実務上されているようでございますので、そこはそういう実務の工夫を期待したいという具合に考えております。
○委員長(魚住裕一郎君) 井上君、時間ですから。
○井上哲士君 はい。 実務上されていないからこそ労働組合からもそういう意見が出ているわけでありますから、今日の厳しい経済状態の下では、やはりこういう迅速の名の下で労働者の権利が切り下げられるようなことがあってはならないということを指摘をして、質問を終わります。
○平野貞夫君 新しい会社更生法がどういう理念でもってどういう今の現代社会に対して効果を出すかということについて、私なんかは法律の素人ですからよくイメージがわかなかったんですが、午前中の参考人とのお話で非常に私は明確になったんです。あの参考人の話は是非、法務大臣に聞かせたかったんですが。インド洋にいる「ひえい」をイージス艦に替えるような強烈な新会社更生法だと思うんですよ。ですから、これ、やはり運用の在り方というものを非常に気を付けておかにゃいかぬと。 参考人の先生方も、宗田先生ですか、現時点で国際的には最も高い水準の会社更生法だというお話であると同時に、しかし余りにも勝ち組と負け組を分けたり、それから会社更生といういろんな人に影響のある問題を余りにも機械的に処理するということになると悪い影響が出るというお話をしていましたし、それから古川参考人はいいことを言っていましたよ、会社を安楽死させるような法律だと。なるほどと思いましたね。私は、ひょっとしたら株式会社処理法というふうに名前を変えてもいいぐらい。それから、逢見参考人は、やっぱり組合の立場から労働債権の保護について大変切実な主張をしておりました。 そこで、法務大臣にお聞きしたいのは、相当この法律というものは、日本人の従来の会社経営とかあるいは日本的な企業経営の発想を転換しないと付いていけないような要素があると思います。ですから、私はあと一週間審議したらひょっとしたら反対に回ったかも分からぬけれども、しかし必要性は認めるんですよ、必要性は。ですから、これは真剣に、当事者、関係者だけじゃなくて、広く国民一般にこういうふうに企業の後始末の仕組みが変わるんだということを徹底的にPRというか広報をすべきだと思うんです。その周知徹底が不足していたら混乱が起こると思うんですよ。ですから、法務省としてどういうふうにこれを周知徹底させるか。普通の何かチラシを配るようなことじゃ駄目だと思いますがね。どういうお考えか、お聞かせください。
○国務大臣(森山眞弓君) 確かに、我が国の現状を見ますと、大変この法律は言わば誤解されるかもしれないという心配があるわけでございます。経済的に苦境にある債務者は、会社更生手続や民事再生手続の利用をちゅうちょする傾向がございまして、必ずしも適切な時期にこれらの手続が利用されて、非常に効果をよく発揮しているという状況ではないかと思います。 その理由については様々なことが考えられますけれども、企業経営者の意識、経済社会における企業再生に対するマイナスイメージの定着、会社更生手続等の趣旨、内容についての理解が十分でないことなど、誠に御指摘のとおり、意識革命が非常に必要だというふうに、私も全く同感でございます。 そこで、会社更生手続を始めとします企業再建のための諸手続の趣旨、内容等については今後とも一層周知徹底を更に図っていきたいと考えておりますし、今回の会社更生法案は、会社更生の手続につきましていろいろ決めたものでございますし、したがいましてその改正内容についても十分に周知徹底をしていかなければならない。専門の皆さん方にはもちろんのことですが、国民全体に対しましても、このたびの改正というのはこのようなものであり、会社を更生させるためのものであって、つぶすためのものではないということをよく理解していただくように、あらゆる手段を講じて努力していきたいと思っております。
○平野貞夫君 更生のつもりで申請したら、そうはならなかったというケースが一杯出てくると思うんですよ、この法律でやると。余り素人が偉そうなことを言っちゃいけませんが。 そこで、民事局長、たしか民事再生法の附帯決議で、別に会社更生法だけじゃないんですが、倒産関係の法改正を行うに当たって、たしか倒産法制の統一性、整合性を持たせるべきだという附帯決議をここでやったことがあると思いますが、そういう意味で、この法律も含めて、それからこれから改正する破産法も含めて、どういうふうに全体の統一性、整合性を持たせようという志向をしていますか、説明してください。
○政府参考人(房村精一君) 倒産法制全体として統一性、整合性が保たれている必要があるということはもう御指摘のとおりだろうと思います。その方法としては、統一的な法典にしてしまうということも一つの方法ではあります。 ただ、現実に、先ほど来申し上げておりますように、今、我が国で行われている倒産法制の整備の在り方からいたしますと、一気に統一法典にするということは困難だろうと、こう思っておりますので、それぞれの対象を念頭に置いた複数の手続を整備をする、その手続間の流れといいますか、そういったものをできるだけ同じような形にして理解をしやすくする、そして手続間の移行等についてきちんと整備をする、こんな方向を目指しているところでございます。 そういう意味では、現在、再建型といたしましては、既に成立をさせていただいております民事再生法がございます。今回、株式会社に限定した会社更生法を作っております。これは、ある意味ではターゲットが広く一般、あるいは主として中小企業を念頭に置く民事再生法と大規模な株式会社を置く会社更生法と、こういう違いから、更生担保権者あるいは優先債権者、こういったものを取り込むかどうか、こういう大きな違いがございます。 しかし、同時に、再建を目指す手続であるということから共通の手続も多く設けておりますし、今回もこの会社更生法において民事再生法で採用した手続を新たに採用し、逆に、今回の会社更生法で新たに採用することになった手続を民事再生法にも入れる、このような形で両手続ができる限り統一されたものになるような工夫をしているところでございます。 例えば、文書の閲覧でございますが、従来全く規定がございませんでしたのを再生法に合わせて整備いたしましたし、それから開始要件につきましても、再生法で明らかに駄目なとき以外は始めると緩和したのを受けて、今回、会社更生でも同じようにしております。あるいは債権の調査等の手続についても、集会を必須のものとせずに書面で行うということに、再生法に合わせております。また逆に、今回、会社更生法で採用いたしました、例えば職権で破産宣告をする場合の保全措置、こういったものを再生法でも逆に設ける、このような形で実質的な手続の統一性を図る、整合性を取る、その中で各手続の違いを十分国民に周知することによって国民が適切な手続を使い分けられるようにする、こういうことを現段階では目指しております。 これが定着した運用を見た上で、更にその後の倒産法制全体の在り方については検討を進めたい、こう考えているところでございます。
○平野貞夫君 すぐ統一法を作るのは難しいとしても、十年ぐらい先には、その五つあると言われている、減っていくでしょうけれども、倒産法制について、一本にすべきだと思いますよ。これ、先週通した法科大学院でもばらばらじゃ教えにくくてしようがないと思いますよ。 それから、新法の特徴というのは、何度も何度も聞いていますが、迅速化、更生に当たっての、それから合理化、それから再建の手法の強化という三大原則があるようなんですが、確かに申請してから計画決定するまで迅速になったということは分かるんですが、今日の参考人の先生方の話の中にもありましたように、やっぱり更生を成功させるためには、もうどうにもならなくなって申請したってこれはどうにもならぬわけですよね。早い時期にやっぱり更生法の適用を受けさせるということが行われなきゃ駄目だ。 これは、もっとも法務省が早くしろと言うわけにはいかぬと思いますけれども、ここは会社経営の方針でもあろうし、それから行政というか政策の一つの判断でもあろうと思いますが、フランスなんかでは非常にそれが、早い時期に更生法の手続に入るものだから更生が成功する率も非常に高いという話だったんですが、そういうことについての法務省はどのような所見ですか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のような、できるだけ早く更生手続を利用してほしいというのは法務省としてもそう考えているところでございます。 これは、この会社更生手続、民事再生もそうですが、こういう再建型の手続に関与した実務家の方々が異口同音に述べておられるのが正に、ここまで悪化させる前に何とか手続の申立てができなかったのか、最後に急速に悪化してしまう、そういうことを言っております。 ですから、やはり今まで、日本の中で倒産手続を取るというのはもう言わば最後の手段だ、あるいは企業経営者としては恥だ、こういうような感覚があったのではないかと思います。もちろん、こういう会社更生手続のような手続を取ることが望ましいとまでは申し上げられませんが、しかしそこは、放置して悪化してより多くの人に迷惑を掛けるよりは早めに再建手続を利用して被害を最小のものにする、こういう観点からできるだけ早い申立てをしていただきたい、こう思っているところでございます。 私どもとしては、そういうために今回使いやすい制度を整備したつもりですので、そういった趣旨をこれからもできるだけPRをして、そういう形での運用を期待したいと思っております。
○平野貞夫君 そういう意味でも、大臣、やっぱり本当に親切丁寧な周知徹底というのは国として責任があると思います。 そこで、多少、私も細かな質問をしなきゃちょっと格好悪いものですからしますのですが、何か的が外れていたら注意してくださいね。 私、この法律の急所というのが幾つかあると思うんですが、その一つは更生手続開始の決定ですね、四十一条一項の三号ですか。今までやっていた裁判所の経営審査ですか、これをなくしたことだと思うんですよ。 これは、確かにそれで申請の手続は入りやすくなりましたが、同時に、いささか無責任、無責任と言ったら言い過ぎかな、やはり裁判所が経営の状態見て手続に入るということは、再生の見通しが、ある意味でかなり安心というか、あるんだなということで入る。ところが、そういう基準というか、めどもないまま計画の作成に入るということは、逆に言えば、かなり会社更生において事務的に、機械的に行われるんじゃないかという不安を国民の方は持つ。 しかし、ここのところが一番引っ掛かるところでしょうが、これを適正に運用するには、この法律の書き方が、要するに「見込みがないことが明らかであるとき。」という場合には排除されるわけですが、それ以外は入るわけでしょう。「見込みがないことが明らかであるとき。」というような判断というのは、具体的にどういうイメージしたらいいんですかね、排除をする場合。それ以外は皆手続に入れるわけですから。そこら辺を教えてください。
○政府参考人(房村精一君) 具体的には裁判所の判断になるわけですが、例えば開始決定をするに当たっていろいろ事情聴取したところ、主要な債権者の大半がおよそ反対をしてしまっていると。これは手続を進めても、およそ更生計画の可決の見込みがないというような場合もあろうかと思います。そういう場合は、この「明らかである」ということだろうと思いますが、従来は積極的に、どちらかといいますと更生の見込みという、経営状態がどうなるかというようなことを判断しなければならなかったものですから、どうしても時間が掛かるということだったわけでございます。 それを、今回、そういった手続的な判断に変えましたので、しかも見込みがないことが明らかであるとき以外は始めるということですので、相当多くのものが手続開始ということになろうかと思います。 ただ、これは従来は申立てをしてから開始決定までの間に相当振り分けがなされた、時間が掛かった。それを今回は早めに開始することによって、開始決定をした手続の中で更に強力な財産状況調査等を行って、見込みを付けて、振り分けを開始後行っていくということでありますので、基本的にはやはり見込みのないものはいずれ駄目にはなるわけでございます。
○平野貞夫君 勘ぐりかも分かりませんが、ここら辺の規定が来年からの産業再生機構なんかと結び付いたときに乱暴な運用になるんじゃないかという心配をしております。 それから、ちょっと言葉の問題で、これは素人ですから教えていただきたいんですが、八十三条一項、管財人が更生会社の財産について価額を評定する場合、「時価」という言葉がありますが、時価といえば何となく分かるんですが、財産といえばこれ様々な不動産もあるし債権もあるし、時価とはいいながら一日で幾らも変わりますからね。ここら辺についてはどういう趣旨なんですかね。
○政府参考人(房村精一君) これは、八十三条は更生手続が始まった後、管財人が更生会社に属する財産についてその価額を評定する。更生財産の財産状態、現在どうなっているかということを把握するためにこれは行うわけでございます。 これは実は改正前は、この価額の評定が時価と改正法ではなっておりますが、これが会社の事業を継続するものとしなければならないと、こう定められておりました。継続企業価値と通常言われておりますが、そういうものとして定めると、それを今回、時価に変えたわけでございます。 会社が継続するものとして評価するというのはどういうことかという、これがまたなかなか理解が分かれているところではございますが、一般的には会社財産、個々のものがあります。それぞれの財産の価額を積み上げた額、これが言わば時価としての総額になりますが、会社が継続するものとしての評価というのはそういう個々の財産の積み上げではなくて、そういった全体的な構成をされている言わば有機体としての会社が企業活動を行う、その企業活動によって収益を上げられる、その収益力を評価して企業の価値を定めようと。 ですから、多くの収益を上げられるのであれば、その収益を利益率で還元いたしまして、これだけの収益を上げられる財産、会社の全体の価値はこの程度だと、こういう評価をする、これが企業継続価値でございます。それは会社全体の企業継続価値ですので、それを更に個々の財産に分けていく、そういうことを改正前の会社更生法では定めていたわけでございますが、これは今説明しながらもなかなか難しいことだと思うわけで、現実にも非常に混乱も生じて、この評価がなかなか適切にできないという問題を指摘されたわけでございます。 そういうことから、今回の改正に当たりましては、これを例えば通常の会社、商法の会社で財産を評価するときは時価で評価しているわけでございますので、それと同じように、市場で適正な評価を受けたときの価額である時価、これを基準に管財人に評価してもらう、こう変えたものでございます。
○平野貞夫君 大きな銀行なんかが仮に更生法を受ける場合、一杯株を持っていますわな。どんと落ちるのは、一日、午前と午後で巨額な金額が変わりますね、ここの資産の時価の位置付けというのは相当問題があると思いますよ。そこら辺もひとつ混乱がないようにということを申し上げておきます。 それから、更生債権者委員会というのを作りますね。百十七条一項、ここの一項三号に、更生債権者委員会というのは債権持っている人たちの会合ですから、この中で利害が対立していますわね。そうしますと、この百十七条一項三号の中で、裁判所の承認で更生手続に関与する場合の要件として「更生債権者全体の利益を適切に代表すると認められる」と。こういうときに関与できるということなんですか。 そうすると、利害対立している人たちが全体の利益を適切に代表すると認められるようなということは論理がちょっと私は矛盾しているような気がするんですが、これは抽象的な規定ですから、僕らのような素人はそういう誤解をするかも分かりませんが、もうちょっと正確に言っていただけませんか。
○政府参考人(房村精一君) 今回、更生債権者委員会、それから更生担保権者委員会、株主等委員会、こういう委員会制度を設けることにいたしましたのは、やはり株式会社、特に大規模な株式会社になりますと、こういった関係者が非常に多くなります。こういう多くの関係者が個々ばらばらに会社更生手続に関与しようと思ってもその実効性が上がらない。そういうことから、委員会制度を作って、それを通じて自分たちの意見を手続に反映すると、こういう仕組みにしようとしたものでございます。 そういう意味で、更生債権者と更生担保権者、それから株主というのは基本的に利害が対立いたします。それは、更生担保権者というのは常に更生債権者に優越する地位にありますので、これを一緒にはできません。また、株主も会社のオーナーとして株主責任を追及される立場にもありますので、これもまた別です。したがって、この三つは全く別にしておりますが、債権者の中を更に分けると、これはまた個々に分かれ過ぎる。 おっしゃるように、更生債権者といっても、それはやはり少額の債権者もいれば相当大きな額もいますし、その中で細かく見ればいろいろな意見の対立はあろうかと思います。しかし、そういうことであっても、結局、更生計画案の決議のときには一固まりでそこでまた行うわけですから、その全体としての意思形成ということは当然あり得るわけでございます。 したがって、そういう更生債権者委員会というのも、そういう更生計画案の決議をにらんで、そこで形成されるような更生債権者一体としての意見がうまく集約できるようなものであれば、裁判所もその意見を聴きましょうと。逆に、今、先生の御指摘のように、ある偏った構成で債権者のごく一部の意見しか代表しないということでは、その手続関与を認める意義が薄れてしまいますので、そういう趣旨でございます。
○平野貞夫君 分かりました。 先ほど来、新潟鉄工の、これは現行といいますか、旧法になる会社更生法での更生でしょうが、お話があったんですが、実はその管財人に前参議院議員の戸田邦司さんという人がなっていまして、私、同じ党、同僚だったものですから、その話聞いたときに、大体管財人というのは金持ちか弁護士がなるものだけれども、あなたどっちかと言ったら、どっちでもないということで。 それで、実は委員長にもちょっと立ち話で、戸田さんを体験者として参考人に呼んでちょっと話聞いてみたらと言って、面白いなという話だったんですが、最高裁が私のところへ来て、それはやめてくれと、利害関係者だからと言って。話は分かるんですけれども。私は彼からいろいろ話聞いているんですよ。やっぱり容易なことじゃないらしいですね、会社の更生というのは。 そこで、余り言うと、秘密のことを言うと問題になるから、細かいことも聞いていますよ、財産を処分するのに坪幾らのやつが幾らにたたかれたとかいうことを聞いておるんですが、具体的な数字は言いませんが。ただ、私、印象として残るのは、一応更生の見通しが付いたらしいんですけれども、要するに最終的には更生するわけですから、営業譲渡をしたところがもうかるという前提で買ったわけでしょうけれども、やっぱり情実といいますか、人間関係といいますか、あるいは国家的になくしちゃいかぬ技術だとかいうようなことで最終的には話が付いているんですね。これがいいのか悪いのかというのは、これは議論のあるところだと思いますよ。 私は、国家的に必要な技術とかそういったものについては、これはやっぱり若干のそういうものは社会的な公正さの下に置いてあってもいいと思うんですよ。ですから、今後の新会社更生法の中でも、そういう意味では日本の社会、国益全体を照らして、やっぱり適切な新会社法の運用ができるよう要請しまして、これはもう答弁要りませんから、終わります。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。よろしくお願いします。 私も、昨日、野党の名古屋刑務所への調査、視察、見学ということで、千葉委員、井上委員と一緒に、ほかの委員と一緒にも行ってまいりました。先ほども千葉委員、そして井上委員からも話がありました。わざわざ時間を割いて対応していただいた刑務所には大変感謝をしております。 ただ、二点思いました。 一つは、所長とそれから応対してくださった職員の大部分が替わっていらして、この点についてどうかという質問をしても、現在調査中とか、分からないと。実は十二月になって赴任したばかりということで、ほとんど分からないという対応でした。 私は、国会議員の調査権ということであれば、刑務所などに、入監施設に関しては事前のアポイントメントなしでの国政調査が認められるべきではないかということを強く思いました。この間、ル・モンド紙の、フランスの新聞社の人と話をしておりましたら、フランスの下院議員はアポイントメントなしに、予約なしに刑務所に行けるということを話していました。御存じ、外国ではそういう例もあるわけです。 そうしますと、時間がたって行ってみても、被害が起きたときと違うかもしれませんし、あるいは所長も応対してくださった方も替わっていて、十分、そこでは聞いても分からないということも起き得るわけです。 ですから、また火曜日に集中審議が行われますけれども、是非今後、国会議員の国政調査に関しては、事前のアポイントメントなしに調査をできるということも、日本の国会の地位を高める上でもこれは是非実現をしたいと思います。 それから二つ目は、人権救済のための第三者機関ということについても、やはりそこが事前の了解なくきちっと調査ができるというふうにしなければ、人権救済は全くできないというふうに思いました。 神奈川の方で警察署の中でピストル自殺をしたと言われていた人が、実は警官による誤射であったという横浜地方裁判所の判決が出て、控訴はされましたけれども、要するに密室の中で起きたときに遺族がよほど熱心に、あるいは執念を持って頑張らない限り、なかなか真実が明らかにならないということがあります。 ですから、そういう意味では、例えば南アフリカ共和国の人権救済機関は事前の了解なく刑務所や拘置所や警察に行けるということを人権委員長がおっしゃっていらっしゃいましたので、そういう意味では、人権救済機関の在り方、権限としても是非、昨日の視察から思ったことを実現していきたいというふうに考えております。 また、千葉委員の方からも資料要求がありました。昨日も申し上げたんですが、十年間、保護房で亡くなった人の件数、どこどこ刑務所、例えば五十代男性、革手錠あり、なしとか、そういう統計で、もうプライバシーは教えていただかなくて全く構いませんので、せめて十年間の間に保護房で亡くなった人のどこの刑務所で何件ということを、革手錠があったのかなかったのかということを教えていただきたいと、再度、野党超党派で申入れをしました。 手間暇が掛かるということは、大変な作業だということは言われました。しかし、国会議員が、保護房で、刑務所で亡くなった、すべての亡くなった人のケースを出せと言っているわけではなく、非常に特殊な保護房に入って死亡したケースについての件数を出してほしいということに関して、作業が大変で出せませんと。過去三年分以上にさかのぼっては難しいということの回答なことには非常に残念で、問題があり、その場でも再度みんなで要求をいたしました。 事実がどうであるかということすら国会が知ることができないというのは、やはり非常に変だというふうに思います。 死亡事案の中でも保護房で死んだというケースについて、是非、過去十年分、件数だけで結構です、どこの刑務所で三十代男性一人とか三人とかというので構いませんので、是非出してくださるようにお願いします。大臣、その資料の提出などについてはいかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 委員長の御指示に従いたいと思います。
○福島瑞穂君 では、会社更生法の話について御質問をいたします。 民事再生法と会社更生法との関係がいろいろ議論になっております。民事再生法の制定時に衆参両議院で、労働債権の優先権の維持に関し特段の配慮を求めるという附帯決議が付けられたことは、先ほど平野委員からの指摘にもありました。この労働債権の維持ということに関して、今回の会社更生法案が特段の配慮をしていないということが非常に残念です。 この点について、今日午前中、古川参考人の意見にも、更生手続開始前の給料及び退職金について全額を共益債権として保証しない現行法や、それを見直さない改正案に問題があるという指摘がありました。確かに、退職金も賃金的ではありますが、特に労働債権、会社更生法の手続になって賃金が未払だというのは物すごくおかしいことなわけですから、賃金未払であるということに関して、これが共益債権に全額はならないということについて、再度御意見をお聞きします。
○政府参考人(房村精一君) 労働債権が非常に保護の必要性の高い債権であるというのは御指摘のとおりだろうと思います。 そういう意味で、会社更生法は労働債権について、御指摘のように、未払の給与については六か月分、それから退職金については六か月分又は三分の一の多い額と、こういうものを最優先の共益債権としているわけでございます。これを全額という御主張でございますが、この債権の優劣、優先順位というものにつきましては、こういう倒産手続だけで定めているわけではございませんで、実体法上の優劣を踏まえて倒産法の特質に応じた扱いをしているというのが現在の日本の倒産法制でございます。 そういう意味で申し上げますと、賃金あるいは退職金のような労働債権につきましては、実体法上、民法、商法に基づきまして先取特権が与えられて、担保権に次ぐ優先的な地位が債権として与えられているわけでございます。 ただ、例えば国税債権、こういう租税債権につきましては、国税徴収法で他の債権すべてに優先するという地位が与えられているわけでございます。例えば、租税債権と労働債権の扱いを見ますと、会社更生手続におきましては、租税債権は一般の優先的更生債権とされているわけでございます。例外的に源泉徴収課税のように徴収権者が保管している状態にあるものは共益債権にされますが、一般の租税債権は優先更生債権にしかすぎないわけであります。実体法上、その租税債権より劣位に置かれている労働債権について、先ほど申し上げましたように、会社更生法は手続の特質等を考慮いたしまして、共益債権として優越する地位を与えているということでございます。 今回、労働債権については、その現在の取扱いを維持するということといたしましたが、これを更に進めてその全額をということになりますと、実体法上の優劣関係と余りにも差が大きくなりますので、それはやはり実体法上の優劣関係の見直しを伴わないで、手続法における会社更生法で定めるということは無理があろうかと思います。
○福島瑞穂君 午前中、逢見参考人は、確かに全額共益債権ということは無理かもしれない、しかし租税とかごそごそとなくなって、そして債権が取れないというのはいかがかという趣旨のことを発言されたと思います。午前中、参考人質疑の中でも出てきましたが、一般債権となりますと、極端な例かもしれませんが、ヤオハンの会社更生事件では九七%カット、多くの事例では九〇%前後カット、ヤオハンの事件では本来一〇〇%保証されるべき退職金も一〇%カット、一般債権となりますと三%しか配当がないということも午前中の参考人質疑の中で出てきました。ですから、会社更生、法務省として今後、労働債権の優先権ということで前向きにもっと考えていただきたいというふうに思います。 主要な諸外国では、この給料債権、退職金債権について、租税債権など他の債権との間でどのような優先順位が与えられているのか、もし分かれば教えてください。
○政府参考人(房村精一君) これも国によって様々でございますが、租税債権に優先する扱いをしている国もございますし、同等でやっているところもございます。ちょっと今、手元に詳細な資料はございませんので。 ただ、労働債権の保護が図られる場合も、諸外国、例を見ましても大体範囲を限っております。フランス等でも何十日分という、あるいはその額の上限を定めた上で優先するという扱いをしているわけでございまして、特に退職金のように非常に多額にわたるものについてその全額をすべて優先的にという扱いはそう多くはないだろうと思います。
○福島瑞穂君 私もちょっと正直言って、退職金は何千万とかかなり、一千万と高額になる可能性はあると思うんですが、給料債権ですと、やはりそれがないと暮らしていけないということもありますので、法務省として是非前向きに、民事再生法のときの衆参の附帯決議もありますし、今度の会社更生法の成立も踏まえて、今後、一歩進んで労働債権については考慮するという考え方はないのでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 法務省としても、労働債権の保護については十分念頭に置いて検討を進めているところでございます。 ただ、一言申し上げたいのは、会社更生法におきましても、労働者の生活の基盤を成す給料、開始決定後の給料は、これは全額共益債権になっておりますので、共益債権になる範囲が限定されておりますのは未払の給与債権、これに限られております。それから、限定が外れた部分につきましても、一般的な一般債権になるわけではなくて、優越的な更生債権、優先更生債権であることは変わりはありませんので、そういう意味ではそれなりの保護は図られていると思っております。 あと、破産手続の検討を現在進めておりまして、その中ではただいま御指摘のような労働債権の保護をどうするかということを、保護を強化する方向で検討しているところでございまして、未払の給料債権の一定範囲について、現在、優先的な破産債権にすぎないものを財団債権に格上げする、こういうことを検討しておりますし、また退職金等についても、その一定範囲を財団債権化できないかと、こういうことも検討課題にしてございます。中間試案で公表いたしまして今意見を求めたところでございますので、寄せられた御意見等を踏まえまして更に検討を続けたいと思っております。
○福島瑞穂君 是非、今後、労働債権の優先的弁済に関してよろしくお願いします。 営業譲渡は既に民事再生法で導入され、譲渡時における労働者の全員解雇など数々の深刻な事態を招いております。これも午前中の参考人質疑の中でも出てきました。 厚生労働省にお聞きをしたいんですが、民事再生法による解雇、整理解雇の件数をもし把握していらしたら御教示いただきたい。あるいは、それ以外の解雇、人員整理による解雇、整理解雇などの件数を把握していたら教えてください。
○政府参考人(三沢孝君) お答え申し上げます。 最初の御質問の民事再生法による解雇、人員整理の件数でございますけれども、私ども厚生労働省としては、雇用対策上の観点から必要な統計を取る、解雇なり人員整理の統計を取るということでございますので、直接的に民事再生法による解雇、人員整理、こういう形での集計はいたしておりません。 ただ、雇用対策を進める上で大量の離職者が生じるという場合には、様々な雇用のための援助、対策を講じなければいけないという観点から、先般改正されました雇用対策法に基づきまして、昨年十月より、工場のラインの閉鎖とかあるいは工場閉鎖などによる事業規模の縮小等に伴いまして、一か月に三十人以上の離職者を出す事業所に対しまして再就職援助計画の提出を義務付けております。その計画の中で、例えば再就職援助計画を作成するに至りました経緯、あるいは再就職援助のための措置等を記載してもらうことにしております。また、一か月の間に離職者数が三十人未満の離職であっても、事業主の任意によって提出するというようなことを措置を講じています。 本年四月から十月までの状況を申し上げますと、千六百五事業所から十万一千五百五十五人についての届出がなされたという状況でございます。
○福島瑞穂君 民事再生法による解雇、整理解雇ということは把握していらっしゃらないということなんですが、ちょっと率直に、素人考えというか、もしむちゃでしたらそうおっしゃってくださって結構なんですが、立法者としては、民事再生法で整理解雇や解雇が起きないように、あるいは会社更生法、新しくこの法律を作ってどんな解雇や整理解雇が行われるのだろうというのが不安なわけですよね。 ですから、厚生労働省として、ある程度解雇、整理解雇、この法律に基づいてどういうのがあったとか、特に民事再生法や会社更生法、特に会社更生は大企業になると思うので、ある程度統計が取れるのではないか。つまり、ケーススタディーとか、どういうことが起き、立法としてはどういう点が注意されていたが、こういうメリット・デメリット、プラス・マイナス起きたとか、そういう統計の取り方は難しいのでしょうか。ちょっと教えてください。
○政府参考人(三沢孝君) お答え申し上げます。 先ほど来申し上げておりますけれども、私どもは、解雇の原因といいますか、そういうものに着目して物事をとらえるというわけではなく、一定の離職者が、たくさんの離職者が出る、これに対する就職の援助、再就職の援助を行う、こういう観点で物事を進めているということでございます。したがいまして、一定規模以上の離職者については、発生する場合には事業主の方に再就職援助計画を義務付けをしていると、こういうことでございます。 ただ、先ほど申しましたように、この再就職援助計画につきましては、この計画の作成に至る経緯というものを計画の中に記載していただくことになっておりますので、その計画の中身を調べれば内容によっては判明する場合もあるというふうに承知しております。
○福島瑞穂君 分かりました。 ただ、ある立法をやって、その立法の結果どういうマイナス部分が出たかということの検証がちょっとできないという点は何とかならないものかと思いましたが、また御相談をしたいというか、教えていただきたいというふうに思います。 午前中の参考人質疑の中で、営業譲渡の件、これは先ほど井上委員などからも質問がありましたけれども、古川参考人や逢見参考人からも強く要望が出ました。私も、営業譲渡の際の労働契約関係の承継については立法的措置が必要だと考えますが、これはいかがでしょうか。法務省、主要な諸外国の例で、午前中はたしかフランスのケースがあったと思うんですが、営業譲渡について立法的に考慮するということは必要ではないかという点はいかがでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 営業譲渡に伴う労働契約の保護をどうするかということは大きな問題だろうと思います。これは会社更生法に限らず、営業譲渡がなされる場合一般の問題でございます。そういうことから、今回の会社更生法案では特段その点についての規定は設けておりません。 次に、では営業譲渡一般を対象とする、例えば商法の観点からどうするかということが問題になります。この点では、我が国の現在の法体系は、商法と労働法というのはそれぞれ法分野が異なるという具合に認識されている。商法は会社組織の在り方についての基本的な事項を定める。労働者の保護のための労働法制については、そういう観点からの関係法規の整備が進められると。それはそれぞれの行政主体、私法、商法、民法等の私法法規の整備については法務行政を担当する法務省が担当いたしますし、労働保護に関する労働法規については、それを担当する厚生労働省が担当すると、そういう法体系になっているわけでございます。 そういうことから、この営業譲渡に関しまして、労働者の保護の在り方について、これは厚生労働省において企業組織再編に伴う労働関係上の諸問題に関する研究会と、こういうものを設けまして種々検討されたと承知しているところでございまして、私どもはその検討結果に基づく厚生労働省の施策に協力をしてまいりたいと、こう考えております。
○福島瑞穂君 法務省が厚生労働省の立法的施策について協力したいとおっしゃいましたので、法務省及び厚生労働省で、是非今後、営業譲渡の際の労働契約関係の承継についての立法的措置について是非一歩進めていただきたいと思います。
○政府参考人(房村精一君) 立法的施策についてと今要約されたんですが、研究会の報告結果に基づく施策に協力をしてまいりたいと、こう申し上げたわけでございますので。
○福島瑞穂君 施策に是非協力してくださるように、よろしくお願い申し上げます。 午前中、やはり逢見参考人そして古川参考人がおっしゃったことで、宗田参考人もおっしゃったんですが、多様化する労働形態への対応で、雇用契約ばかりでなく、請負、委託、委任労働者などの点で下請中小企業の保護、要するに実は債権が人件費であることが非常に多いので、この点をどう保護するかというふうに聞きましたところ、三人の参考人の中から、これは立法でやらないと人件費というのはそのまま保護はできないわけですが、人件費というのは実は労働債権ということでもありますので、その点について、今後、中小企業の下請の労働債権、人件費の保護について法務省としては一歩進めるとか、そういうことはないのでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 現在、労務提供の形態というのは様々、多様化しておりますので、直接雇用契約による場合もあれば、請負あるいは委任、更にそういう会社を通じた形、人材派遣というようなものもございます。そういうものにどう対応するかということは確かに問題があろうかと思っています。 現在の扱いといたしましては、この会社更生法におきまして、労働債権として保護される範囲、いわゆる使用人の債権というものについては、形式的に雇用契約によるかどうかということではなくて、その労務提供の在り方を全体として考察して、実質的に雇用関係にあるかという判断で労働債権かどうかを判断するということとされております。 そのことによって相当の保護は図れるものと思っておりますが、下請企業の人件費が圧倒的な場合にどうなるのかと。この場合に、下請企業の契約形態、それからそこの労働者の労務提供形態、こういうものから直接提供しているのと変わらないような場合であれば労働債権として保護は可能でございますが、そうでないということになりますと、これは現行法上はなかなか難しい。かといって、これは非常に多様な形態がございますので、それを法律的に優先権を与えるような区切り方がうまくできるかということは、これは相当難しい問題があろうかと思います。 私どもも、今後もそういった点については検討を進めてまいりたいと思いますが、現段階におきましては、先ほど申し上げたような実質的な判断をすることによって可能な限りの救済を図ると、こういう会社更生法の運用がなされているということで御理解いただきたいと思っております。
○福島瑞穂君 かなり前向きに言っていただいたんですが、実は前回もこの質問をしたときに、房村さんの方から、一律形式的に使用者か否かを判断しないで、実質的に判断しているという旨の答弁がありました。 しかし、実際、労働組合に話を聞きますと、やはり実質的と言われても、労働者性、使用者性が立証できなくてなかなか認められないというのがあります。今なかなか立法化は難しいのではないかという答弁でしたが、取引先、特に中小、会社更生法で大企業は一応救済をされるけれども、取引先である中小企業、そこで働いている人たちの保護がされなくなる可能性にも注目して、是非、法務省は今後一歩前進してこの辺について検討をしてくださるよう強く要望したいと思います。 先ほど、民事再生法に基づいて整理あるいは整理解雇されたケースについては、厚生労働省としてはそういう統計の取り方はしていないという答弁がありました。立法するに当たって、光の部分と影の部分というのは必ずやあるというふうに思います。法務省としては今後、以前できた民事再生法、それから会社更生法、それから様々な商法関連の法律がどんどんできてくるわけですが、民事再生法に基づく整理解雇、解雇などの件数や影の部分などについての実態把握というのはあるのでしょうか。もし分かったら教えてください。
○政府参考人(房村精一君) そういう統計は法務省では取っておりませんので、分かりません。
○福島瑞穂君 というと、厚生労働省も法務省もそういう統計の取り方は取っていらっしゃらないわけですね。確かに、原因というのを分析は難しいかもしれないんですが、失業や解雇、整理解雇などについては、これからも解雇のルール化についても非常に大問題になってくると思いますので、是非、実態はどういうものなのかという解雇のルール化などの議論のときも含めて、実態あるいは統計など、もし可能であれば是非今後、問題点を教えていただきたいというふうに考えております。 更生手続における情報公開の必要性で、支障部分の異議があって閲覧等の制限が設けられているわけですが、この点は午前中、参考人質疑の中で、これは問題ではないかという参考人の意見もありました。いかがでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 今回、会社更生法で閲覧、謄写の規定を整備いたしましたのは、更生手続の関係者がその情報を的確に把握して適切な行動を取れるようにということでございます。 ただ同時に、例えば管財人から裁判所に提出される書類の中には更生会社の営業秘密に触れるような部分も当然ございます。そういうものが広く一般に閲覧されてしまいますと会社にとって損害が生ずる、あるいはひいては企業、その当該企業の更生自体が妨げられると、こういう事態も予想されるわけであります。 そういうことから、閲覧等を行うことにより更生会社の事業の維持更生に著しい支障を生ずるおそれ又は更生会社の財産に著しい損害を与えるおそれがある部分を支障部分ということで閲覧等の請求を制限するということにしたものですが、この判断は裁判所にゆだねられておりますし、さらにその裁判所の判断に不服がある利害関係人は、取消しの申立てあるいはさらに即時抗告と、こういうことで争う手段も担保されておりますので、これが濫用されるおそれはないと、こう考えております。
○福島瑞穂君 更生会社の業務を監督する行政官庁の関与方法についてお聞きします。
○委員長(魚住裕一郎君) 房村民事局長、簡潔に。
○政府参考人(房村精一君) はい。 更生手続を円滑に進めていくために更生会社の業務を監督する行政官庁の意見を聴く、あるいは協力を得るということを考えまして、この会社更生法案におきましては、行政官庁に対して意見の陳述を求めることができ、また行政官庁は裁判所に対して意見を述べることができると、こうしております。 それから、更生計画案について、行政庁の許可、認可、免許その他の処分を要する事項を定めた場合、これは行政官庁の意見を聴かなければならない、こういたしまして、行政庁の意見と更生計画の内容が重要な点において一致していない場合には更生計画を不認可にすると、こういうような扱いをしているところでございます。
○福島瑞穂君 以上です。
○委員長(魚住裕一郎君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。 これより両案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○井上哲士君 日本共産党を代表して、会社更生法案ほか一案について反対の討論を行います。 反対理由の第一は、改正案が中小企業を切り捨てる不良債権早期処理を更に加速化する環境整備だからであります。 米国は、投資ファンド等と一体となって不良債権を早期に市場に出すことを我が国政府に求めております。その中で、企業再生の名目で米国資本が我が国企業を買いたたくことをますます容易にするような環境整備には、到底賛成できません。 次に、改正案では、管財人に新たに欠格条項を定め、損害賠償請求に当たらない取締役らが管財人になる道を開いております。これは、経営を破綻に追い込んだ取締役の経営責任を厳しく問うことなく再建に当たらせるものであり、結局は民事再生法の下で問題となった経営者のモラルハザードを更に助長するものであります。 最も重大な問題は、更生計画認可前の営業譲渡を認めるなど手続の迅速性のみに配慮する一方、労働者が関与する仕組みは極めて限定され、労働者の雇用や中小企業経営を切り捨てるものとなっていることであります。民事再生法の下で既に進められている全員解雇や退職金の九〇%カットなど多くの実態からすれば、改正案が労働組合との協議の義務付けの手だてさえ講じなかったことは、労働者の雇用継続や労働債権の保護を余りにも軽視するものであります。また、社内預金保護が縮小され、問題となっているテナント保証金の返還問題にも何ら対策も盛り込まれておりません。 今、早急に求められているのは、営業譲渡に際しての労働契約承継の義務付けなどの労働者の権利を守る制度化であります。こうした手だてがないまま、改正案によって更に雇用の切り捨てが加速化されるようなことはあってはなりません。 このことを指摘して、討論を終わります。
○福島瑞穂君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、会社更生法案及び会社更生法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に反対する立場から討論を行います。 確かに、本法案は、経済的に非常に困窮している大規模な株式会社の迅速かつ円滑な再建を可能とするため、会社更生手続について迅速化及び合理化を図るとともに、再建手法を強化して機能的なものに改めるものであり、本法案の一定の必要性や緊急性については理解しないわけではありません。また、更生会社における債権者の重要な一員である労働組合の関与について、民事再生法と同水準の関与に加え、更生手続開始決定前の労働組合からの意見聴取などが規定されたことも一定の前進です。 しかし、以下のような三つの点において大きな危惧があります。 第一に、労働債権の保護に関する規定が現行維持あるいは後退をしていることです。 法務省が労働債権保護の重要性について認識し、また民事再生法の制定時に衆参両議院で労働債権の優先権の維持に関し特段の配慮を求めるという附帯決議が付けられたにもかかわらず、それらが本法案の立法過程において残念ながら反映をしておりません。 二つ目に、営業譲渡と労働契約の継承の問題です。 会社更生法の下で営業譲渡が多用されることは想定されることであり、労働者の雇用に関して法案で的確な保護措置が取られる必要がありますが、残念ながら取られておりません。 第三に、下請中小企業の事業継続や、下請中小企業に働く労働者の雇用安定に関してであります。 残念ながら、今回の会社更生法案でこの点についての配慮はなされておりません。 したがって、質問の過程の中でこのような点がまだまだ不十分であることが明らかになったことを踏まえ、残念ながら反対をいたします。
○委員長(魚住裕一郎君) 他に御意見もないようですから、両案に対する討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 まず、会社更生法案の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(魚住裕一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、千葉景子君から発言を求められておりますので、これを許します。千葉景子君。
○千葉景子君 私は、ただいま可決されました会社更生法案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党及び国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 会社更生法案に対する附帯決議(案) 政府並びに最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。 一 本法の趣旨、内容、他の倒産手続との相違等について、司法関係者、経済団体、労働団体等のほか、一般の国民にも周知徹底がなされるよう努めること。 二 更生手続が適正かつ迅速に運用されるよう、裁判官に対する研修の充実等を含め裁判所の人的・物的体制の整備に遺漏なきを期すること。 三 第十五条の規定による文書等の支障部分の閲覧等の制限は、更生債権者等の利害関係人に対する情報開示の重要性にかんがみ、安易に許容されるべきものではないことを周知徹底すること。 四 更生手続における管財人については、適任者を確保する方策に関し、必要な措置をとるよう努めるとともに、旧経営者を管財人に選任する場合には、経営者のモラルハザードが生じないよう十分配慮されるべきことを周知徹底すること。 五 企業組織の再編に伴う労働関係上の問題への対応については、現在、政府において検討を進めているガイドラインを早急に策定し、その周知を図るとともに、当該問題の実態把握に努めた上で、法的措置を含め検討を行うこと。 六 第四十六条の規定による営業譲渡に関しては、更生会社の事業の更生のために必要である場合にのみ行われるものであることについて周知徹底し、この制度が適正に運用されるよう十分配慮をすること。 七 倒産法制全体の手続における労働債権、担保付債権、租税債権、公課債権等の各種の債権の優先順位については、労働者の生活の保持に労働債権の確保が不可欠であることを踏まえ、諸外国の法令等も勘案し、所要の見直しを行うこと。 八 更生手続における社内預金について、共益債権として請求できる範囲が変更されたことにかんがみ、その趣旨、内容等について使用者並びに労働者に周知徹底することにより、その保護に努めること。 九 労働債権の確保については、多様化する労働形態に対応して十分な配慮がなされるよう周知徹底に努めること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(魚住裕一郎君) ただいま千葉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(魚住裕一郎君) 多数と認めます。よって、千葉君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、森山法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。森山法務大臣。
○国務大臣(森山眞弓君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
○委員長(魚住裕一郎君) 次に、会社更生法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(魚住裕一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十一分散会