法務委員会 第11号
- 発言数
- 244 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2002/12/03
会議録
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 会社更生法案及び会社更生法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の審査のため、来る五日、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認めます。 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 また、両案の審査のため、本日の委員会に預金保険機構理事長松田昇君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 会社更生法案及び会社更生法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の審査のため、本日の委員会に内閣府産業再生機構(仮称)設立準備室次長梅村美明君、同小手川大助君、金融庁監督局長五味廣文君、法務省民事局長房村精一君、厚生労働大臣官房審議官青木豊君、経済産業大臣官房審議官桑田始君及び中小企業庁次長青木宏道君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(魚住裕一郎君) 会社更生法案及び会社更生法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案を一括して議題といたします。 両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○柏村武昭君 おはようございます。自由民主党の柏村武昭でございます。 本日は、会社更生法の改正法案及びその関連法案について質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 さて、今回、審査の対象となっております会社更生法は、終戦から七年たちました昭和二十七年に制定されまして、その十五年後の昭和四十二年に改正がなされたものの、以来大幅な手直しを経ないまま現在に至っております。 改正法案は、近年の著しい日本経済の変化、とりわけ会社更生法が対象としている大規模な株式会社の倒産事件が激増していること等に対応するもので、現行法の定める厳格な更生手続、特に更生計画の成立までに時間が掛かり過ぎることに対する批判や、また、破綻した企業を清算してしまうのではなくて再建していくための手だてをより一層機能的なものに整備すべきとの要望等にも配慮したものであると承知いたしております。 その主要な改正点は、さきの法務大臣の提案理由説明において示された七点。つまり、一番、更生事件の土地管轄規定の緩和、二、更生手続開始前における更生会社の財産保全措置の充実、三、更生手続の開始要件の緩和、四、更生手続開始後の手続の簡素合理化、五番目に更生計画案の早期提出の義務付け、六として更生計画案の可決要件の緩和、そして、最後に七番目、更生会社再建のための手法の整備ということなんですが、これらの改正点につきまして、細部にとらわれず、日本経済の再生にどうつなげていくべきか、こういう大きな視点から質問をさせていただきます。 法務省、最高裁を始め関係当局におかれましては、どうぞ、国民に分かりやすく、共感を得られるような言葉でお答えをちょうだいしたいと思います。 今回、会社更生法改正法案について審議をする前提として、倒産処理の仕組みについて、また、その利用状況等についておさらいをしておきたいと思います。 現在、我が国は、いわゆる私的整理のほかに様々な法的整理の手段が用意されております。そこで法務大臣にお伺いします。我が国の現行倒産法制の概要についてお聞かせください。
○国務大臣(森山眞弓君) 現在、我が国の倒産法制はざっと五つに分かれているかと思います。第一は破産法に基づく破産手続、二番目は民事再生法に基づく民事再生手続、三番目は会社更生法に基づく会社更生手続、四番目は商法会社編に基づく会社整理手続、五番目が同じく商法会社編に基づく特別清算手続というふうに考えられます。 このうち、最初の破産手続及び特別清算手続、これは五番目に申しましたが、この二つは、経済的に破綻した企業等の財産をすべて換価し債権者に配当等を行う清算型の手続でございまして、二番目、三番目、四番目に申し上げました三つは、つまり民事再生手続、会社更生手続及び会社整理手続は、経済的苦境にある企業等について債権の減免等を行うことによってその経済的な立ち直りを図る再建型の手続でございます。 以上、五つが大まかに分けたところでございます。
○柏村武昭君 以上で概要はよく分かりました。 次に、今回の改正のきっかけでございますが、我が国では景気の低迷が長引いていることによって、中小企業だけではなくて東証第一部に上場する大企業でさえも倒産の憂き目に遭う、そうした異常事態に着目したものであると思います。 ここで法務当局にお伺いしたいんですが、近年における企業倒産の実情、特に倒産全体の件数についてお聞かせをお願いします。
○政府参考人(房村精一君) 民間の信用調査機関の調査によりますと、企業の倒産件数でございますが、平成四年から平成八年までは大体一万四、五千件程度で推移しておりました。近年これが大分上昇いたしまして、平成十二年及び平成十三年は一万九千件前後で推移しているという実情にございます。
○柏村武昭君 随分増えているわけでございますが、続きまして最高裁にお伺いします。 最近の法的倒産処理手続の申立て件数についてお聞かせをください。
○最高裁判所長官代理者(千葉勝美君) 会社更生事件につきましては、全国で、平成十二年に二十五件、平成十三年に四十七件の申立てがありまして、本年につきましては、十月末まででございますが、八十六件の申立てがされております。 民事再生事件につきましては、平成十二年四月の施行以来、同年十二月までに六百六十二件、平成十三年に千百十件の申立てがありまして、本年につきましては、十月末までに九百二十二件の申立てがされております。 それから、個人破産を除いた破産事件についてでございますが、職権によるものも一部は含まれておりますけれども、平成十二年は六千二百六十八件、平成十三年は八千七十件でありまして、本年は、十月末までに七千八百九十六件でございます。 これらの件数に、その他の法的倒産処理手続でございます今、法務大臣から御説明ございました会社整理事件それから特別清算事件とを合計いたしますと、平成十二年は全部で七千三百五十五件、平成十三年は九千五百六十四件でございまして、本年につきましては、十月末までに九千百八十三件となっております。
○柏村武昭君 今の数字を見るだけでもデフレ不況がいかに深刻か、よくお分かりではないかと思うんですが。 会社更生法は、初めに申し上げましたとおり、昭和二十七年、つまり、今からちょうど五十年前に制定されたものであります。その後は一度だけ手直しがされただけで、経済という生き物を相手にするには余りにも古臭い法律になってしまっていると思います。大日本帝国憲法あるいは日本国憲法のような不磨の大典になってしまったのではないか、そう思わざるを得ません。 そこで、現行会社更生法の制定経緯とその特徴及び昭和四十二年改正の内容について法務当局にお伺いします。
○政府参考人(房村精一君) 現行法の会社更生法、ただいま委員から御指摘のとおり、昭和二十七年に成立しておりますが、これは、第二次世界大戦後、我が国におきましては商法の大改正など、企業法制の整備に力が注がれました。しかし、その中で、我が国の倒産法制が企業の再建手段として不十分なものであると、こういう認識が広まりまして、当時アメリカで実績を上げつつありました連邦倒産法第十章のコーポレート・リオーガニゼーション、会社更生ですね、これに倣って我が国でも企業の再建法制を整備すべきではないかと、こういうことから、法制審議会の審議を経まして昭和二十七年にこの会社更生法が成立したものでございます。 その特徴といたしましては、まず何といってもアメリカの旧連邦倒産法の影響を非常に強く受けているということが挙げられようかと思います。 そういう形で会社更生法、出発したわけでございますが、その後、昭和三十年代後半から経済不況の影響を受けまして更生手続の申立て件数が非常に増加したと。そのような中で会社更生手続に様々な問題点が指摘をされました。そして、そのことから、昭和四十二年に、主として会社更生手続の濫用の防止、それから下請企業など中小企業者の保護、こういう観点から改正がなされたものでございます。 昭和四十二年の改正の主要な内容といたしましては、まず、濫用防止という観点で、手続の濫用に対する裁判所のチェック機能を強化するための調査委員制度、これを拡充いたしました。また、経営責任のある取締役等が申立て後も経営を継続することによる弊害を防止するために保全管理命令の制度を新しく創設した。それから、保全処分を利用して後、取り下げてしまうという濫用形態が見られましたので、保全処分発令後の申立ての取下げを制限する、こういう改正もいたしました。また、中小企業保護のためには、中小企業者の連鎖倒産を防止するために裁判所の許可を得て弁済ができる、こういう制度を新しく設ける、このような改正を昭和四十二年にいたしております。
○柏村武昭君 今回の会社更生法改正は、一部のみでなく全面的な改正と承知いたしておりますが、元々会社更生法が対象としている会社は大規模な会社でありますから、関係する当事者の数もおのずと多くなってくるんじゃないかと思います。 そこで、改正法案の作成に当たっては、そうした利害関係者の権利や義務についてもしっかりと配慮をして、彼らの意見等にも耳を傾けながら改正作業を進めていくことが肝要であったと思います。今回、改正要綱試案がパブリックコメントに付されたこともこうした背景事情に基づくものであると思います。 ここで、改正法案の取りまとめに至る経緯と、その間における利害関係者の意見集約の状況について法務当局にお伺いします。
○政府参考人(房村精一君) 法務省は、平成八年の十月から、法制審議会におきまして我が国の倒産法制を全面的に見直すという作業をいたしております。問題点を洗い出しをいたしまして、平成九年の十二月には倒産法制に関する改正検討事項というものを公表いたしております。その後、検討作業を進めまして、緊急性の高い民事再生法、これの制定をいたしました。さらに、個人再生のためにその改正もすると、こういう作業をいたしまして、次にこの会社更生の検討作業に取り掛かったわけでございます。 会社更生手続の見直しにつきましては、昨年の三月から検討を具体的に開始いたしました。そして、平成九年に発表いたしました倒産法制に関する改正検討事項に対して各界から寄せられました御意見、それから民事再生手続を検討した際の審議の成果、それと最近の倒産処理実務を反映させるために新たに部会の委員から募集した意見、こういったものを踏まえまして審議、検討を拡大いたしまして、今年の三月に、会社更生法改正要綱試案、ただいま委員から御指摘の中間試案を公表いたしたものでございます。これに関しまして寄せられた意見も参考にして引き続き審議を進めまして、本年の七月に会社更生法改正要綱案を決定いたしまして、法制審の総会で九月三日に了承をされて答申をされた。 この審議の過程では、様々な各界から委員に参加していただきましていろいろな御意見が示されましたが、最終的には全会一致ということでこの要綱案が決定されたという経過でございます。
○柏村武昭君 初めに我が国の会社更生法そして倒産処理法制について大まかにお伺いしました。 会社更生法の制定に当たっては、先ほど民事局長の言葉にもありましたように、米国占領下の時代に作業が進められたという事情もありまして米国法の影響が極めて強いということが分かりました。また、今回の改正作業におきましても、米国のいわゆるチャプターイレブン、これは連邦倒産法第十一章に定められる手続のことを指すんですが、このチャプターイレブンとの対比についていろいろと議論があったと理解しております。 この際、諸外国における倒産法制の現状と、特に米国連邦倒産法第十一章の内容について法務当局にお伺いしておきます。
○政府参考人(房村精一君) まず、諸外国の倒産法制でございますが、御指摘のありましたアメリカにつきましては、チャプターイレブン、第十一章において個人及び法人を対象とする再建型の手続が規定されております。それ以外にアメリカにおいては、個人及び法人を対象とする清算型の手続、我が国でいえば破産に相当いたしますが、これが第七章に規定されております。その他、自治体の債務整理手続、これが第九章、それから家族的農業者の債務整理手続、これが第十二章、それから定期的収入のある個人の債務整理手続、これが第十三章、こういう形で五種類の手続がアメリカでは設けられております。 次に、イギリスでございますが、イギリスは大きく分けますと法人の倒産処理手続と個人の倒産処理手続に分けられます。そして、法人の倒産処理手続につきましては任意整理から強制清算まで四種類の手法が定められており、個人につきましては任意整理と破産という二つの種類の手続が設けられております。 それから、ドイツでは、法人及び個人の双方を対象といたしまして清算、再建という区別のない一個の倒産処理手続が設けられております。したがいまして、倒産処理計画の定め方次第で清算もあり得ますし、また再建を図ることも可能になっていると、こういう仕組みでございます。 それから、次にフランスでございますが、フランスでは、法人及び個人事業者が対象となる手続と、それから消費者が対象となる手続が分けられるという形になっております。 このように、諸外国においても倒産法制、様々な形が取られておりますが、特に御指摘の米国連邦法の第十一章、これが我が国の会社更生手続とは最も類似しておりますので、その類似点及び相違点について若干御説明申し上げますと、まず、両者とも債務の繰延べ、減免など、債権者等の権利を変更する条項、それから財産の譲渡、合併に関する条項など、こういうものを定めました再建計画案を債権者等に諮りまして、これについて法定多数の同意が得られ、かつ裁判所の認可が得られた場合には再建計画が成立し、その計画を遂行することによって事業の再建を図ると、こういう基本構造においては類似しているわけでございます。 違う点はどんな点かといいますと、まず第一に、手続を利用することができる債務者の範囲。我が会社更生法は株式会社に限定しておりますが、アメリカの第十一章手続においてはそういう限定はございません。 それから、債務者が申立てをする場合の手続開始の原因。これは、我が国の会社更生手続におきましては、破産の原因となる事実が生ずるおそれがある場合、又は弁済期にある債務を弁済するとすればその事業の継続に著しい支障を来すおそれがある、こういう要件を満たす場合に申立てができると、こうなっておりますが、アメリカの第十一章手続におきましては手続開始の原因が特に定められておりません。したがいまして、債務者が申立てをいたしますと、それだけで手続を開始すると、こういう形になっております。 次に、その手続を開始したときの保全処分でございます。会社更生手続では、裁判所が申立て又は職権で各種の保全処分を発令するという仕組みになっておりますが、アメリカでは、申立てがあると自動的に債権者の権利行使がすべて禁止されると、こういう制度が取られております。 それから、第四に手続開始後の事業経営等の主体でございます。アメリカにおいては、従来の経営者が原則として事業の経営を継続するという構造、我が国の民事再生法と同様の構造でございますが、これが取られておりますが、会社更生手続では、手続開始と同時に必ず裁判所が管財人を選任して管財人が事業経営を行うと、こういう点が大きく違っております。
○柏村武昭君 次は最高裁にお伺いします。 現在の会社更生手続では、その開始から終了に至るまでに大変多くの時間や労力、そしてコストが掛かることが問題視されておりました。各界からの改正要望におきましても、正にこの点が最も重要視されていたんではないかと私は思うわけでございます。 そこで、実際にどのくらいの時間が掛かっているのか。最近の会社更生手続における更生手続開始から更生計画認可決定までの平均的な審理期間についてお聞かせください。
○最高裁判所長官代理者(千葉勝美君) 平成十三年七月の時点で全国に係属しておりました会社更生事件二百十件について調査した結果でございますが、更生手続の申立てから開始決定までの期間は平均四か月強でありますが、御質問の更生手続開始から更生計画認可決定までの期間の平均、これは約二年三か月という数字でございます。
○柏村武昭君 というふうな長い、二年三か月というと、ほとんど忘れてしまうんじゃないかというぐらいの。 ただいま最高裁より示されたデータに照らしてみると、やはり会社更生手続には随分時間が掛かり過ぎているような、そういう感じがしますが、この点につきまして法務大臣はどのような御認識に立っておられるんでしょうか、お聞かせください。
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおり、私も現在の手続は時間が掛かり過ぎているというふうに思います。会社更生手続の申立てをした企業について、できる限り早く結論を出して、再建の見込みのある企業につきましては早くその再建を図るということが重要であることは申すまでもございません。 したがいまして、今回の改正も、このような問題意識に立ちまして手続の迅速化というのを重要な課題の一つとして見直しを行っているところでございます。
○柏村武昭君 更に法務当局にお伺いしたいんですが、更生手続開始から更生計画認可決定までにどうしてこれほどまでに多大な時間が掛かるのか、その要因を分析してください。どうぞ。
○政府参考人(房村精一君) 現在の会社更生事件、相当時間が掛かっているというのはただいまの最高裁判所からの説明のとおりでございますが、この要因につきましては、これは様々なものが複合的に関連しているということだとは思いますが、一般的に申し上げると、現行の会社更生手続が厳格に過ぎ、柔軟性に欠けるという点に最大の要因があるのではないかと考えております。 具体的に申し上げますと、まず、最初の申立てから開始決定に至るまで、ここも四か月程度掛かっているという話でございますが、これは、やはり現行法が会社更生手続を開始するには更生の見込み、すなわち更生会社が将来経済的に立ち直るかどうかという経営的判断をしなければならないと、こういう構造になっていることから、そこで相当時間が掛かっているのではないか、こう思われるわけでございます。 また、開始決定から更に更生計画の認可まで、これも二年数か月掛かっているわけでございますが、これは、その間の手続が非常に厳格だということもあろうかと思いますが、やはり、この更生計画案を提出する期限が法定されていないということが計画案の認可までに相当時間が掛かっている大きな要因ではないかと思っております。 また、その更生計画が作成されましても、可決要件が非常に厳格だということから管財人等が更生債権者の説得交渉に非常に時間と労力が掛かると、こういう指摘もございますので、そういう点もやはり時間が掛かるということの要因かと思います。 そのほか、現行の会社更生法では定款所定の本店所在地の裁判所にしか管轄が認められておりませんので、地方に本店所在地がある場合にどうしてもそういうところに事件が係属する。そうなりますと、関係者も手続に余り慣れておりませんので必要以上に時間が掛かってしまう、こういう事件もあろうかと思います。 そのような様々な要因が複合いたしまして現在のような非常に時間が掛かるという事態を招いているのではないかと考えております。
○柏村武昭君 今、具体的に様々な要因をお示しいただきましたが、今回の改正の主要な部分はそうした要因を取り除くためのものであるということは私も理解しております。 また、最近、会社更生手続が敬遠されるもう一つの要因として、本来は中小企業向けとして用意されました民事再生手続が多用といいますか、活用され過ぎ、そのあおりを受けて会社更生手続の利用が減少している、そういう現象が起きているということを指摘しておきたいと思います。 つまり、大規模な会社は大体がこれは会社更生法なんですが、中小企業のための民事再生法を大企業までが利用しようという、つまり、法務当局としては、民事再生法が多用される一方で会社更生法が活用されないというその理由をどのように分析しているんですか。
○政府参考人(房村精一君) これは、確かに民事再生法が施行をされた後、会社更生法の申立て件数が相当減少いたしましたので、本来、会社更生法が想定しているような会社が民事再生法を使っているという実態もあろうかと思います。 その大きな要因といたしましては、やはり民事再生法が簡易迅速な手続、非常に使いやすさを主に作られております。開始要件も、そういう意味では経営的判断を不要として明らかに再生の見込みがないもの以外は開始をするということとしておりますし、また、手続開始後も経営者が事業経営権を失わないという制度、あるいは包括的禁止命令の制度であるとか担保権消滅の制度というような現行の会社更生手続にはない再建手法も採用している。このようなことから、使い勝手の良い民事再生手続を利用するという動きも出たのではないかと思われます。 ただ同時に、最近は、やはり大規模な株式会社が民事再生法の申立てを行っても結局うまくいかずに会社更生に移行する、こういう事件もございますし、認識として、やはり複雑な利害関係者を多く含む大規模な会社については会社更生手続によらないと再建は難しいという認識も定着しつつあるのではないか、こう思っておりますが、いずれにいたしましても、この会社更生手続が使いにくいということが現在会社更生手続の利用件数が少ないものにとどまっているということの理由の一つになっているのではないかと考えております。
○柏村武昭君 確かに、会社更生法に比べて民事再生法は時間が早く面倒でなくて、一番いいのはマネジメントがそのまま残っちゃうという、そういう利点もあるということを私も勉強して感じたんでありますが、会社更生手続と民事再生手続では企業を再建させるという点では似ております。しかしながら、多くの国民の皆さんにとっては、それらの違いというのはなかなか分かりにくいことも確かであります。 そこで、国民の共感としては、会社更生手続と民事再生手続との将来的な統合の可能性について法務当局にちょっと聞いてみたいと思うんですが、どうでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 再建型の倒産法制につきましては、御指摘のように、現行の会社更生手続と民事再生手続の二本立てでいくという考え方と、これを統合したものにすべきではないかという二つの考え方がございます。 法制審の中でもいろいろ議論がされましたが、統一して分かりやすくするということも考えられるが、同時に、債務者の法人、個人の別、あるいは債務者の規模や業務内容、事件の規模、必要となる再建手法など、倒産事件の種類に応じた手続類型を別々に設けるべきであると、こういう御意見の方がやはり強かったように思っております。 また、社会的に見ましても、現時点においては、民事再生手続を再建型倒産処理手続の基本的な手続としつつ、大規模な株式会社のための特別な手続として会社更生手続を併存させるということについてはおおむねコンセンサスが得られているのではないか、こういうことから、現段階においては、この両手続をきちんと整備をいたしまして、その制度、趣旨、特徴について周知徹底を図るということが必要なことではないかと考えております。
○柏村武昭君 政府が今年の十月三十日に発表いたしました「改革加速のための総合対応策」、これは一般に総合デフレ対策と言われているものでありますが、この対策の中では、金融と産業の再生のための不良債権処理の加速に力が注がれています。また、産業再生に資するための司法機能の充実として会社更生法の改正による会社更生手続の迅速化と合理化が目標とされております。 ここで、政府の不良債権処理策における会社更生法改正の意義について法務当局にお伺いします。
○政府参考人(房村精一君) 会社更生手続を始めといたします法的倒産処理手続、これは、私的整理あるいは不良債権の売却と並びまして金融機関の有する不良債権を直接処理する手段の一つでございます。 また、会社更生手続は、倒産状態に陥った大企業のうち、再建の価値があるものを選別し、その再建を図ることによって企業の解体、清算を防止する手続でございます。そういうことから、雇用の維持及び取引先企業の連鎖倒産の防止など、不良債権処理に伴って生ずる社会経済的損失の軽減にも寄与する手続でございます。 実績を見ますと、平成十三年の十月から平成十四年の九月までの一年間におきまして、主要な会社更生事件の会社の負債総額、これを見ますと合計四兆円を超えております。この大半、少なくとも半数程度は金融機関の有する債権ではないかと思われているところでございます。 本年の十月三十日に取りまとめられました「改革加速のための総合対応策」、いわゆる総合デフレ対策におきましては、御指摘のとおり、我が国の金融システムと金融行政に対する信頼を回復し、世界から評価される金融市場を作るためには、まず主要行の不良債権問題を解決する必要があるとされております。また、産業構造改革を更に進め、我が国の企業の国際競争力を高めるため、産業再編により過剰供給構造を是正するとともに事業の早期再生を図るともされているところでございます。そして、この産業・企業再生に資する司法機能の充実の一つとして会社更生法の改正が取り上げられ、更生計画案の可決要件の緩和、同計画案の決議における書面投票方式の導入、更生計画に基づく弁済期間の短縮など、手続の迅速化、合理化等を図るものとされているところでございます。 このように会社更生手続の改正が取り上げられましたのは、先ほど述べましたとおり、会社更生手続はこれまでも不良債権処理及び過剰債務の削減に重要な役割を果たしてきており、今回の改正により手続の迅速化及び合理化が図られて使い勝手が向上すれば、不良債権処理の加速及び有効な経営資源の過剰な債務からの早急な切り離しにより一層大きな役割を果たすことになるためと考えられております。
○柏村武昭君 時間がないんで、できれば簡潔にひとつ。 現在、政府では、皆さん御承知のように、産業再生機構の設立に向けた準備が進みまして、来年一月にはその骨格が明らかになると言われておりますが、現時点ではまだまだその内容が不明であります。 ここで、産業再生機構、これは仮称ですが、その設立準備室にお伺いします。 今後、産業再生機構による我が国産業の再生を進めるに当たり、新しい会社更生手続との役割分担をどのように図っていかれるんでしょうか。どうぞ。
○政府参考人(小手川大助君) 現在検討中でございますが、産業再生機構につきましては、これは金融機関におきまして要管理先等に分類されております債務者企業のうちで、メーンバンクとその債務者企業の間で再建計画が合意されつつあるといったような理由によりまして当該機構、産業再生機構が再生可能と判断する企業の債権をこの機構が企業の再生を念頭に置いた時価で原則として非メーンの金融機関から買い取るというスキームでございます。その意味で、この機構は企業の債権を買い取った後に大口債権者の立場から企業の再生を進めるものであるという点、すなわち保全処分といった裁判所の監督等の法的な手続というものが入ってこないという意味での企業再生の仕組みでございます。 それに対しまして、今回の新会社更生法につきましては、会社更生手続の申立てをいたしまして裁判所の監督の下で再建を目指す法的な手続であるといった点、その他企業再生の手続には幾つかの相違点があるので、当然、その間には役割分担が行われていくことになるんではないかというふうに考えておりますが、いずれにしましても、機構の設立及び運営の詳細につきましては今後引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
○柏村武昭君 いずれにしても、重複しないようなことを希望したいと思いますが。 今回の改正法案の要点は、手続の迅速化、手続の合理化、そして再建手法の強化の三点でありますが、これらはいずれも会社更生手続の実効性を高めまして機能の向上を図るものですが、手続の面での改善だけを一気に進めていきますと、実体の面、つまり中身の問題がおざなりになるんではないかと心配する向きもありまして、その点が若干気になります。倒産処理をめぐっては、会社それ自体にとどまらず、株主、経営者、従業員、会社債権者等の多数の利害関係者が関与せざるを得ないんですね。 そこで法務当局にお伺いします。 手続の迅速化及び合理化と利害関係者、とりわけ金融機関等の担保権者及び一般債権者並びに株主の権利保護について改正法案ではどのような配慮がなされていますか。
○政府参考人(房村精一君) 手続の迅速化を図ると同時にその関係者の権利保護を図るということは今回の会社更生法においても考えておりまして、まず第一に、会社更生手続の透明性を確保するということから、会社更生事件に関する書類について利害関係人の閲覧及び謄写を認めております。これを活用して情報を得て適切な行動が取れるようにするということでございます。 それから、更生債権者で構成をいたします更生債権者委員会、あるいは担保権者で構成する担保権者委員会、株主等委員会など、委員会を新しく認めまして、この委員会に手続上の各種の権限を認める、こういうことによりまして債権者等が権利主張を適切に行えるような仕組みにするということが取られております。 また、個別の手続におきましても、例えば手続の迅速化のために、債権の確定につきまして、従来、訴訟によるしかなかったものを査定という簡易な決定手続を利用することといたしましたが、これについて不服がある場合には訴訟を起こせる異議の訴えという制度を設けましてその保護を図っております。 その他、各手続におきまして利害関係人の不服申立て権を保障するなどの方法を取ることによりましてその権利保護が欠けることのないような配慮をしているところでございます。
○柏村武昭君 先ほど、法務省に答弁をもらったんですが、民事再生法が多用される理由の一つとして、従来の経営者がそのまま居座るといいますか、残留することができる点を私は挙げました。マネジメントがそのまま残る。この点、昨年秋のマイカルのケースが典型的なんでありますが、企業破綻の責めを負うべき無能な経営陣が自己保身のために民事再生法を隠れみのとして活用してしまう、あるいはバブル債務の徳政令と誤解してしまう、そういうケースが続いたように思います。 改正法では、こうした再生債務者が引き続き事業執行権と財産管理・処分権を失わないいわゆるDIP型手続を原則的に取っておりません。しかし、DIP型の弊害に配慮しながらも、改正法第六十七条第三項では経営責任のない取締役等の管財人等への選任については道を開いておりますが、その理由を法務当局より聞かせてもらいます。どうぞ。
○政府参考人(房村精一君) 現行の会社更生法では、管財人等はその職務を行うに適した者のうちから選任しなければならないとされているのみで、選任資格には特段の制限はございません。ただ、実務上は、ただいま委員から御指摘のありましたように、更生会社の旧経営陣は経営に関与していたということから一律に管財人には選任しないという扱いが定着しております。これは、基本的に担保権者の権利についても権利変更をすることができる強力な会社更生の手続において旧経営陣がそのまま居座るということでは債権者の理解が得られない、こういうことからこのような運用が定着したものと思われますが。 しかし、旧経営陣の中には直接的な経営責任がない、例えば会社がおかしくなって支援企業から再建のために送り込まれた取締役、そして再建計画を立てて会社更生の申立てをする、こういうような場合もございます。そういう場合に、この再建計画の中心となった人の能力あるいは経験を活用するということが現行の扱いでは困難となっておりますので、そのような場合に、直接的な経営責任もなく、かつ再建のためにはこの能力を是非活用する必要があるというような場合には裁判所が管財人に選任することができるように、今回、欠格事由として更生会社に対して損害賠償義務を負うような者は管財人に選任することができない、こういう規定を設けることによりまして、逆にそういう欠格事由がない者については、その能力と適性を裁判所が判断をして管財人として任命するにふさわしい場合には任命できると、こういうことを明らかにしたものでございます。
○柏村武昭君 続いて、参考までに最高裁にお伺いします。 最近の裁判所における更生管財人選任の実務の現状と、その妥当性の確保のための方策あるいは工夫について簡潔にお聞かせください。
○最高裁判所長官代理者(千葉勝美君) 更生手続開始の申立て後、多くの場合には弁護士を保全管理人に選任しまして、この保全管理人は通常、開始決定後はそのまま管財人になるわけでございます。また、通常、これとは別に事業経営にたけた者を事業化の管財人として選任しております。 現状では、弁護士の保全管理人がスポンサー企業を探しまして、開始決定時にスポンサー企業から経営能力のある者の派遣を受けまして事業化の管財人に選任すると、こういう例が多いようでございます。 弁護士の管財人についていいますと、更生事件の処理には高度な法的な知識のほか、経営面のノウハウ、税務、会計などの専門知識も要求されますので、一定の経験のある者を管財人に選任するということになるわけでございます。 裁判所では、過去の事件における管財人や管財人代理としての活動状況等を参考にしながら管財人の適任者の把握に努めているところでございます。また、事業化の管財人につきましては、保全管理人から候補者の経歴書の提出を受け、あるいは候補者と面談をするなどいたしまして適正な選任がされるように配慮しているところでございます。 今後とも、事案に応じまして適切な管財人の選任がされるように努力していきたいと思っております。
○柏村武昭君 ここ数年、大手ゼネコン等に対する再建支援の手法としてデット・エクイティー・スワップ、つまり債務の株式化が幅広く活用されておりますが、ここで金融庁当局にお伺いします。 この債務の株式化の現状についてお聞かせください。
○政府参考人(五味廣文君) 債務株式化すべてについて把握しているわけではございませんが、私どもの所管いたします主要行が債権者となっているものにつきまして、本年一月以降公表されたデット・エクイティー・スワップで実施済みあるいは実施予定のもの、これを合計いたしますと、十四社、七千億円程度という実績になっております。
○柏村武昭君 更に続くんですが、その債務の株式化と同様の効果を発揮する債務の超長期社債化が改正法の第百六十八条で認められておりますが、この点については法務当局に伺いましょうか。どうですか。
○政府参考人(房村精一君) 現行の会社更生法では、更生計画の弁済期間が原則二十年が最長と定められておりまして、これがそのまま社債にも適用されております。 しかし、社債は一般の債権とは異なりまして有価証券として流通性が強化されておりますので、社債を引き受けた者はこれを売却することによって容易に資金の回収を図ることが可能でございますので、他の債権のように一律にその弁済期間を法律で定めるということは必要がないのではないかということから、今回、会社更生法案においては、更生計画により社債を発行する場合にはその償還期限を制限しないと、こういうものといたしまして、債権の一手法としての社債の発行を活用する道を許可するということとしました。
○柏村武昭君 では、引き続いて法務当局にお伺いします。 今度の法改正によって、会社更生手続を利用する企業はどの程度増加するものと見込んでおられますか。
○政府参考人(房村精一君) これは、現在、九月末時点で八十六件ということで相当増えております。今回の改正でどの程度増加するかというのは、経済情勢その他大きな要因によって左右されるとは思いますが、しかし、基本的に非常に使いやすくするということでございますので、現行の会社更生手続の利用件数は相当上回るのではないかと、こういうことを考えております。
○柏村武昭君 さらに、法改正によって会社更生手続を利用する企業の再建実績はどの程度改善するものと見込んでおられますか。また、期間はどの程度短縮されるものと見込んでおられますか。
○政府参考人(房村精一君) まず、再建実績でございます。これは、平成十二年それから十三年に会社更生手続が終了をいたしました時期を見ますと、総数が百件、そのうち更生手続終結の決定に至ったのが八十四件でございます。この八十四件のうちには清算的な更生計画も含まれているので全部とは言いませんが、しかし、その大半は再建が成功したと言えようかと思います。 今後、開始要件を相当緩和いたしましたので、開始決定がされる事件が相当増えるであろう、また再建手法を強化して再建もより容易になる、このようなことから、数値的にどのくらいというのは明確な予想は困難ではありますが、再建実績としては、現在の再建実績を相当上回る会社が立ち直るということになると考えております。 また、期間につきましては、現在、通算しますと二年七、八か月掛かっておりますが、今回の改正が成立して当事者がその扱いに慣れれば、その半分程度の期間で更生計画の認可まで達するということが見込まれます。
○柏村武昭君 時間がなくなってきたんですが、改正法の施行期日、これは政令で公布後半年以内に定めることとされておりますが、会社更生法改正には経済不況に苦しむ経済界等からの強い要請があったことを考えますと、できるだけ早い時期に施行されるべきであると考えるんですが、ここで、改正法の具体的な施行期日についてどのように予定しておられるのか、法務当局にお伺いします。
○政府参考人(房村精一君) 今回、法改正、成立をさせていただきますと、施行のための具体的な裁判所規則あるいは政省令の制定が必要となります。また、関係人に対する、相当大幅な改正でございますので、改正内容の周知徹底ということも必要となります。 こういうことをできるだけ精力的に行いまして、現在の予定では来年の四月一日の施行を目指しております。
○柏村武昭君 おしまいでございますので、法務大臣にお伺いしたいと思います。 今後の倒産法制の全般的な見直しのスケジュール並びにその見直し作業における課題について最後にお聞かせください。
○国務大臣(森山眞弓君) 倒産法制に関します残された検討課題といたしましては、破産手続の全面的な見直し、倒産手続における各種債権の優先順位の見直しなどを含みます倒産実体法の検討及び商法が定める会社整理手続、特別清算手続の見直しなどがございます。 これらの検討課題につきましては、現在、法制審議会倒産法部会におきまして審議を継続しているところでございますが、破産手続の全面的な見直し及び倒産実体法の検討につきましては、平成十五年中に関係法案を国会に提出することを予定しております。また、それ以外の検討課題につきましても、できる限り早く成案を得まして、関係法案を国会に提出したいと考えております。
○柏村武昭君 ありがとうございました。 本日は、会社更生法改正法案に関して、根源的なテーマあるいは核心的な論点について的を絞って質問をさせてもらいましたが、法務省始め関係当局におかれましては、現在の厳しい経済状況における倒産法体系の整備と充実に今後とも万全の対応をされまして、経済界のみならず、国民各層の期待にこたえていかれるよう、しっかりと頑張っていただきたいと思います。 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○鈴木寛君 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。 今回、会社更生法の全部改正ということでございますけれども、私は、冒頭、現下の経済情勢というのは大変に深刻な状況にあるというふうに思います。本来、この臨時国会といいますのは、正に経済有事という問題に対してどのように取り組んでいくかということが主要な論点といいますか、議題の一つだったというふうに理解をしておりますけれども、そういう観点で今回の会社更生法の全面改正の提案の理由説明を読ませていただきました。 確かに、相当古いものになっている。今の柏村委員との御議論の中でも、そういった状況については、一定の改正理由について理解はできるわけでありますが、あるいは、いろいろな不備が指摘をされていますからこの際直しますと、こういうこと、これはもう当然なわけでありますけれども。 私は、もっとポジティブに、もっと前向きにといいますか、要するに今の経済が非常に深刻な状況にあるのは、そもそもやはり産業構造の転換とか、あるいは企業組織というもの、今までのビジネスモデルというものが相当制度疲労を来していると。今までそれなりに頑張ってきた企業も、ここでもう少し前向きに企業再生といいますかリスタートをしていって、そういうことを世の中全体として加速をさせながら、正にそういう意味での真の構造改革だと思うわけでありますけれども、そういうことを世の中全体として制度としても推し進めていくんだ、その上で、必要条件と十分条件とあると思いますけれども、今回の会社更生法というのはその必要条件を整備をしていくんだと、このように私は理解をしながらこの会社更生法の改正の議論というものを見守って、注視をしてきているわけでありますけれども。 昨日も全国紙の中で、政府が発表されております失業率というのは五・五%だけれども、特に若年失業、特に十五歳から二十四歳の若年失業率は八・八%と、これは大変ゆゆしき事態だと私は思います。さらに、最近は無業者、失業者ではなくて無業者という言葉がありまして、これが六十一万人いるということなんですね。ですから、無業者を足しますと、実はグローバルスタンダードで見たときの失業率というのは六・三%になっていると、こういうふうな深刻な事態にあります。 私は、会社更生法の意義、あるいは、いわゆる清算型ではなくて再建型の会社更生の意義というのは──正に企業というのは、これは経済生命体でありますから、もちろん創業も重要であります。これはこれで別途いろいろなところできちっとやっていただかなければいけないわけでありますが、やっぱり新しい生命体を作るというのは大変なことでありまして、もしも再生可能であればきちっとそれを生かしながら、正にビジネスモデルを変えて、あるいはビジネス・プロセス・リエンジニアリング、BPRという言葉もありますけれども、そうしたことで更に日本の経済の活力を上げていくという意味で、正に経済再生というのは、その柱の中に企業再生というものがあるというふうに私は理解をしているわけでありますが。 今日は経済産業省お見えだと思いますので、現下の経済情勢あるいは現下の経済情勢を踏まえた正に日本経済の再建という観点からこの会社更生法の改正の意義をどのようにとらえておられるのかをお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(桑田始君) お答えさせていただきます。 先生から御指摘いただきましたように、私ども経済産業省としましては、経済構造改革を推進をして我が国の経済の活力の維持向上を図るには、何といいましても、やはり企業の有しております有用な経営資源が無用な散逸をしたり劣化をするというのをいかにして回避をして、また、それの有効な活用をできるだけ迅速に図るということが大事だというふうに考えてございます。こうした観点から、近年の倒産法制の見直しにつきまして積極的に当省も提言をしてきたところでございます。 御承知のように、既に再建型の法的手続といたしましては民事再生法が二〇〇〇年度から施行されております。従前の和議と比較しまして約五倍の申立てが行われております。しかし、規模の大きな企業の場合には民事再生法の活用は難しいといった面が指摘をされておりますし、他方で、先生から御指摘がありましたように、大企業の倒産というのが地域経済にとりまして、雇用の問題、連鎖倒産の問題、非常に大きな問題を抱えてございます。したがいまして、できる限り早期の段階で、また、かつ迅速な手続により事業再生を図るということが何よりも必要不可欠だというふうに考えてございます。 とりわけ、現下の企業を取り巻く情勢、大変厳しゅうございます。会社更生法を早期に改正をいただいて、会社更生法におきます入口要件の拡大、更には迅速な手続を可能としますと、不良債権処理の加速化でございますとか産業再生の促進、事業の再生というものがより一層円滑に進むのではないかという観点から私どもとしては極めて重要な問題だと考えてございます。
○鈴木寛君 伊藤副大臣、お忙しいところ大変恐縮でございます。ありがとうございます。 私も、この今回の会社更生法の改正といいますのは正に経済政策だというふうに考えておりまして、そういう観点から、正に金融の再生というものも今国会あるいは現下の最も重要な課題の一つだというふうに思っております。 十月三十日に金融庁は、「主要行の不良債権問題解決を通じた経済再生」ということをあえて副題とした金融再生プログラムをお出しになっておられますが、いろいろな報道で、この主要行と金融庁のいろいろなやり取りが報じられておりますが、今、実際のところ、どういうことがどのように議論がされていて、本当にこの主要行の不良債権問題解決を通じた経済再生というものがうまくいくんだろうかどうだろうかと正にかたずをのんで見守っているところでございますが、現状のそうした御相談の状況あるいは御検討の状況について少しお教えをいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○副大臣(伊藤達也君) お答えをさせていただきたいと思います。 先生は経済政策の専門家でいらっしゃいますし、今お話がございましたように、やはりこれからの経済構造改革の中にあって新しいビジネスモデルというものも次々に輩出しながら、お客様、消費者、利用者からやはり支持される、そういう産業に大きく生まれ変わっていくことが極めて重要でありまして、その中で、経営資源を再構築しながら経済の活性化を実現をしていく、そうしたことと金融の再生を一体的に実現をしていかなければいけないというのが私どもの強い問題意識でありました。 その問題意識の下に、今回、十月三十日に金融再生プログラムというものを提示をさせていただいて、新しい三つの枠組みというものを明らかにさせていただいたわけであります。この点については、主要行を始めとした金融機関の方々も同じ問題意識を共有をしていただいて、総理から、十六年度中に不良債権問題を終局をさせるんだ、その方向に向かってお互いに協力をしながら、いい意味で建設的な緊張関係を持ちつつ、しっかりそれぞれの立場でやっていこうということで、お互いの建設的な意見交換を積み重ねてきているところでございます。 私どもとしましては、主要行各行において不良債権処理を進めていただいて、そして各行の健全性を確保していただき、そして資金仲介機能というものを一層高めていただきたい、そして収益力を向上させていただいて財政基盤というものを強化をしていく、そういうことをしっかりやっていただくということを大きく期待をいたしているところでございます。 今後も、本プログラムの実施については、適宜適切に金融機関と意見交換を行いながら、この大きな目的実現に向かって一生懸命やっていきたいというふうに考えております。
○鈴木寛君 これも金融庁副大臣にお尋ねをしたいと思いますけれども、不良債権処理という言葉はすごく誤解されているといいますか、非常にネガティブなイメージを市場に与えているということを私は常々懸念をいたしております。 不良債権処理ということは、裏を返せば企業のいわゆる返済能力強化ということなんですね。そうしますと、要するに不良債権というのはもっとダイナミックなもので、経済情勢が良くなって、いわゆる債務者であります企業の業績が上がり、キャッシュフローがどんどんどんどん入ってくればこれは返済に回ってくるわけでありまして、そうすると、不良だったものもやや優良になり、優良債権になってくると。正に生き物だとおっしゃっていることはそういうことを言わんとしているんだと思いますが、その後の解説がなかなかないものですから、よくそこのところがつながっていないわけでありますが。 正にいろんなステージで企業を再生をしていく、それは更生法の適用、発動の前でやっていくということもあります、この後、産業再生機構のことについてお伺いしたいと思いますが。あるいは、それが間に合わない段階でも会社更生法あるいはいろいろな、様々な民事再生も含めた再建手続、いろんなステージでもう一回生き返らせていくんだ、なるべく破産型にならないんだということの構えが社会制度としてきめ細かく制度設計をされていて、それが実際にもきちっと動くんだという、やっぱりトータルな金融政策といいますか、正に経済金融、産業政策のこの両方、これはコインの裏表でありますから、そういう観点で、金融庁が今御苦労されておりますこの金融再生、特に不良債権問題の処理ということと今回の会社更生法の改正というものがどのような関係にあるのか、あるいはそれを推し進めていかれる中でこれはどういう位置付けにあるのかということについてお答えをいただきたいと思います。
○副大臣(伊藤達也君) 今、先生から御指摘がございましたように、やはり総合的な政策が極めて重要だというふうに私どもも考えております。 特に、今回の会社更生法の改正によりまして、会社更生手続開始後、原則として一年以内に更生計画案の提出が義務付けられ、また会社更生手続の終結時期の早期化が図られるなど、会社更生手続は迅速に遂行できるようになるというふうに考えられます。 金融庁といたしましては、やはりこの法的な枠組みの中で会社更生法がある意味では会社の更生を実現をしていくということの中で極めて重要な法律でございます。したがいまして、会社更生手続が合理化、迅速化され、適切に利用されることになれば、その結果として不良債権処理の促進につながるものというふうに考えております。
○鈴木寛君 今回の会社更生法が新しい会社更生法になれば──今は、どちらかといいますと、最悪の状態になってから会社更生手続が行われるわけですね。最悪の状況になって会社更生手続が行われますと、いわゆるその債権者の側からいえば、正にそれを通じた債権回収というのは非常に、何といいますか、割合として十分ないわゆる債権の回収というのが厳しくなる。これがもうちょっと会社更生法の適用が弾力的に、要するに会社の経営状況が、最悪の手前というのは何と言ったらいいんだかよく分かりませんが、今よりももう少し再生可能な状況でいろいろな手が打たれていれば、実はその債権者からした場合の債権の回収額というのもこれは当然上がってくるわけですね。 そういう意味で、私は、正に会社更生法が文字どおり会社更生のためにワークするということになるということは、不良債権の処理の観点から、あるいは不良債権額を少しでも圧縮をしていく、不良化する債権の額を少しでも圧縮していくという観点から大変に重要だというふうに思っているわけでありますが。 そこで、今日は内閣府にもお見えをいただいていると思いますが、正に総合デフレプランの中で産業再生機構の構想がございました。これ、産業再生機構(仮称)を作るとしか書いていないわけでありまして、その後、何日かたっておりますので恐らく様々な検討が行われていると思いますが、この産業再生機構を通じてどのような措置、施策、支援策を考えておられるのか、現在の検討状況をお話しをいただけたらと思いますが、よろしくお願いいたします。
○政府参考人(梅村美明君) お答え申し上げます。 十月三十日に政府の方でまとめました「改革加速のための総合対応策」におきましては、産業再生機構は、まだ仮称でございますけれども、産業再生・雇用対策戦略本部が策定する基本指針というものに従いまして、金融機関におきまして要管理先などに分類されている企業のうち、メーンバンクあるいは企業間で再建計画が合意されつつある等により当該機構が再生可能と判断する企業の債権を企業の再生を念頭に置いた適正な時価で原則として非メーンの金融機関から買い取るというようなことでございます。 産業再生機構がこうした機能を果たすことによりまして個々の問題企業の再生が可能となる、また、ひいてはこのような企業再生を推進していくことによりまして金融及び産業の早期再生を目指した一体的対応、つまり不良債権の処理の加速と併せまして一体的対応を進めていくことに資すると、かように考えて今鋭意検討をしているところでございます。
○鈴木寛君 先ほども柏村議員の中でも少し議論になっておりましたが、この産業再生機構を通じた産業再生の今御検討中のプランと、それから新会社更生法、先ほど役割分担がどうなっているのかと、デマケができているのかという御質問だったんですけれども、私の質問の意図は、デマケるというよりも、もっと連携した方がいいというか、新会社更生法による──もちろん法的な分類分けは先ほどの御答弁で、法務省からしていただいた、それはよく分かりました。 しかし、私の質問の意図は、結局、今の企業再生というものが抱えている問題というのは、以前であればメーンバンクがもっとしっかりしていましたから、相当きめ細かく企業が経営状態が悪化したときにいろいろな手だてをメーンバンク主導で、いろいろな債権者をも含めて、ある意味での債権のオーガナイザーとしていろいろな役割を果たしてきたと思うんです。しかしながら、最近は金融機関自体が相当傷んでいますから、そうすると、そこにどれだけのエネルギーを割けるか、あるいは金融機関自体の体力がなかなかないものですから、従来ほどメーンバンクとしてその再生のオーガナイズあるいは再生のイニシアチブをなかなか取れなくなってきているというのは現状あると思うんです。そうした中で、恐らく産業再生機構というものを官製で作らなければいけないという現状にある。 これは本当に官製でできるのかどうかということで、その政策の当否はまた別のところで議論しますけれども、しかし、せっかく産業再生機構ということをやる以上、ここがかなり、従来、企業の経営が悪化した正に最悪の状況にあるところの再建に向けたオーガナイザー、イニシアチブを取るということ、そのプレーヤーになれるかどうかというのが恐らくこの産業再生機構という政策の成否といいますか、やって良かったと言われるか、やっぱり駄目だったと言われるかということの正にそのターニングポイントを分けると思うわけです。 そういう意味で、産業再生機構はいろんな道筋というものが法的に準備されていた方がいいと私は思うわけなんですが、そういう意味で新会社更生法というのはうまく使えるのか、あるいはそれを何か、この道が更に広がることによって手数が増えるといいますか、選択肢が増えるといいますか、総合的な施策を打っていく上で、仮に産業再生機構による再建プランがある程度のところまでやって、その次、新会社更生法の世界に引き継いでいくというか、バトンタッチしていくというか、あるいはそこの出動を求めると、言い方はいろいろあると思いますが、そういう意味で新会社更生法というのはどういうふうに評価というか、使えるというか、どういうふうに認識されておられるかということについてお話しください。
○政府参考人(梅村美明君) 先ほど申し上げましたように、産業再生機構の詳細については現在検討中でございまして、現時点で断定的なことというのはなかなか申し難いところもあると思うんですけれども、一般論といたしましては、今御指摘のとおり、産業再生機構に持ち込まれた案件でありましても、必要に応じまして民事再生法とかあるいは会社更生法等による法的手続を用いた企業再生ということに移行することもあり得るのではないかと、かように考えております。 いずれにしましても、冒頭申し上げましたように、設立とか運営につきまして今後引き続き検討を鋭意進めてまいりたいと、かように考えております。
○鈴木寛君 是非、これからの御議論の中で、今の論点も踏まえて御検討をいただきたいというふうに思います。 そこで、ちょっと経済産業省に伺いたいわけでありますが、現在の政府のいろいろな経済政策を見ておりますと、マクロ経済政策とミクロ経済政策、私はこれは車の両輪だと思うんですが、どうもそのバランスが悪いんじゃないかという気がしてならないわけであります。 マクロ経済政策についてはいろんな改革案がそれなりに検討されて、我々によく、当否は別として、何をやろうとしているのかということについてはよく分かる。しかし、マクロ経済政策というのはやっぱりマクロですから、正にそのベースといいますか、経済のベースを整えていこうと、こういう話だと思います。 しかし、私はやっぱりミクロの経済政策というものが相対的に弱いというふうに最近感じておりまして、やはり企業の再生をやっていく上で当然金融あるいは不良債権処理ということは大変重要でありますけれども、企業といってもいろいろな規模によってやっぱりその対応というのは違っていく、あるいは産業というものによってその再生の道筋というものはやはり違っていくわけでありまして、そうした正に金融庁あるいは経済財政諮問会議とか、そういうところは、要するに鳥瞰的に、鳥の目と虫の目というふうな言い方がありますが、鳥の目で鳥瞰して世の中うまく回るかなと、こういうことでやるわけでありますが、逆に再生する企業の側からは、先ほど申し上げましたように、正に不良債権処理というのは個々の企業の債務返済能力の強化なわけでありますから、そういう観点から資金調達が、あるいは今抱えている不良化した債務、企業からすれば、それをどのように一つ一つ片を付けていくかということをもう少しきちっときめ細かにだれかが見てあげなければいけない。その部分が、そこはいや民間なんですということなのかもしれませんが、今はある意味での経済有事でありますから、恐らくその視点でもって様々な政策を立てる責任は私は経済産業省にあるというふうに思います。 そういう観点から、現在の産業再生機構構想について、経済産業省としてどのようにかかわってこられているのか、あるいはこれからきちっともう一回ちゃんとそういう観点でかかわっていくというのか、その辺りのことについてミクロ経済政策の責任省庁としての御答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(桑田始君) お答え申し上げます。 不良債権の抜本処理は、先ほど伊藤副大臣からの御答弁がありましたけれども、金融機関の収益力などの改善を通じまして新たな成長分野の資金の移動を促進をするという効果が期待され、それによりまして日本経済の再生につながるという認識でございます。 他方で、この不良債権処理の加速化は、先生から御指摘いただきましたように、いたずらに経営資源の散逸をもたらすことのないよう、産業再生の加速化によりましてある意味では過剰供給構造を解消するとか、更には事業の早期再生によりまして過剰債務構造の是正を同時に進めるということが私ども肝要であるというふうに考えてございまして、ある意味ではこの不良債権処理と企業、産業の再生というのは一体として適切に進めていくというのが、先ほど車の両輪という御指摘がございましたけれども、私ども自身もそう思っております。 私ども経済産業省といたしましては、産業政策を統括をする立場でございます。こういう立場から、我が国の企業・産業再生を円滑に進めていく上で産業再生機構が的確に機能を果たしていけるように引き続き積極的に役割を果たしていきたいというふうに考えてございます。 以上でございます。
○鈴木寛君 是非、そういうことで頑張っていただきたいと思います。 次に、先ほども議論になっておりましたが、いわゆる二〇〇〇年度から発動されております民事再生法、既存の、それから新しい会社更生法が併存する形になります。更に申し上げれば、商法による会社整理と、この三つが併存することになると思いますが、先ほど分かりにくいという御議論がありましたが、分かりにくいこともさることながら、きちっとやっぱり理念の整理というものに立ってこの法制度の設計というのはしていかなければいけないというふうに思います。 現在の整理として、今までの民事再生法と新会社更生法、改正後の会社更生法をどのように企業の側に立った場合に使い分けていったらいいのか、そのときの判断基準というものは何なのかということについて御答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(房村精一君) まず、民事再生手続と会社更生手続のそれぞれの特徴の違いでございますが、民事再生手続は、担保権付きの債権あるいは優先権がある債権、株主の権利、こういったものは手続の外に置いております。また、合併等の企業組織の再編行為、これも手続の外に置いております。その代わり、再生手続そのものは非常に迅速かつ低廉に行えると、こういう特色がございます。 これに反しまして、会社更生手続は、今申し上げたような諸権利すべてを手続に取り込み、会社の組織再編行為も手続の中で行うと、こういう株式会社をめぐるすべての権利関係を更生計画により変更するという強力な手続でございます。 そのようなことから、この利用に当たりましては、企業再建につきまして担保権付きの債権であるとか優先権がある債権、これについても権利変更を行わなければ企業を再建できない、あるいは手続内で株式会社の組織再編行為を行う必要がある、こういう場合には会社更生手続によらなければ再建は難しいということが言えようかと思います。 そういうことをもう少し敷衍しますと、一般的には、事業規模が大きく権利関係の複雑な大企業は会社更生手続を使う、それほど権利関係も複雑でない中小企業については民事再生手続を選択する、これが合理的だろうと思います。ただ、大企業であっても、例えば私的整理が進んでおりまして担保権者等の同意が得られている、こういう場合には民事再生手続を使って迅速に行うということも可能な選択肢の一つである、こういう考え方で整理をしたいと思っております。
○鈴木寛君 法務大臣にお伺いをしたいと思いますが、正に今の点なわけでありますけれども、重要なことは、やはりそれぞれのフレームワークがどういう条件で、今も権利関係が複雑な場合は更生法だと、そうでない場合、じゃ、どこで複雑であるか複雑でないかという線を引くのかとか、これ、なかなか判断しづらい。やっぱりある程度のガイドラインといいますか、考え方の整理ということをきちっとするべきだと思います。 それから、将来的にはやはり倒産法制全体についての再建型そして清算型、先ほど御答弁がありましたけれども、じゃ、その商法を使ったらいいのか、民事再生を使ったらいいのか、会社更生を使ったらいいのかということについて、やっぱりもう一度、今回の会社更生法の改正は改正として、きちっと整理をして、予測可能な制度設計をすると。そうすると、企業行動も当然それに応じてより合理的になってくるわけでありまして、日本の良くないのは、これ、どうなるか分からないということなんで、いろいろな判断がどうしても遅れてしまうということがあると思いますので、その点、そうした倒産法制全体についての法体系を更にきちっと検討され、きちっと整理をされた形で再編をされる、するということを私は提案をさせていただきたいと思いますが、法務大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃることもよく分かりますけれども、我が国の再建型の倒産処理手続の在り方につきましては、御指摘のような会社更生手続と民事再生手続とを統合して一つの手続をするのが望ましいという意見が確かにございます。その一方で、債務者の法人、個人の別、債務者の規模や業務内容、事件の規模、必要となる再建手法など、倒産事件の種類に応じた手続類型を別々に設けるべきであるという意見も有力でございます。 しかし、現時点におきましては、民事再生手続を再建型倒産処理手続の基本的な手続としながら、大規模な株式会社のための特別な手続といたしまして会社更生法手続を併存させるということについて、例えば法制審議会その他の場でもおおむねコンセンサスが得られているというふうに考えております。
○鈴木寛君 私は、これを単に一本化したらいいというわけじゃなくて、きちっと道筋を整理をして、それがある程度の合理的な考え方の中で整理されていることが必要じゃないかということを申し上げております。 答弁は要りませんが、例えばこれから起こってくる倒産法制の中で若干議論をもう少しした方がいいなと思うことに、学校法人とか社会福祉法人とか医療法人、これも、特に、私は大学改革の方もやっておりますが、学校法人の経営状況というのは、これは相当これから急激に悪化してくる、大変な競争環境の中で。今申し上げた学校法人とか医療法人というのは、特にその事業の性格から清算型ではなくて再建型の整理というのは非常に重要なんです。しかし、会社更生法では、例えば学校法人、これは学校法人というのは非常に複雑な私は債権債務関係を持っていると思います。しかし、現行の会社更生法では、巨大な学校法人は整理というものがこれはできないというようなことがあります。 そういう意味で先ほどのような御提案を申し上げているわけでありますが、いずれにしても、いろんなことがこれから出てまいりますし、想定をされますので、是非そういう意味での、全体を見ておられる法務大臣にそうした観点からの御検討もお願いを申し上げたいと思います。 そういう意味で、いろんな観点から見ていかなければいけないということで更に質問を続けたいと思いますが、今までは会社をどう再建をさせるかという観点で議論をさせていただきました。しかし、会社更生ということにかかわりまして申し上げますと、会社に対する債権者あるいは債権債務関係というのは本当に多岐にわたるわけですね。 更に私が申し上げたいのは、実は私は九五年辺りからいわゆる資産担保型証券とか不動産の流動化、証券化とか、あるいは売り掛け債権の流動化とか、そういうことにも少し携わっていたことがあるわけでありますが、これは、いわゆるコーポレートファイナンスではなくて、正にプロジェクトあるいはアセットというものに着目して、それを一くくりにしていろいろな仕組み証券を作っていこうというファイナンシャルエンジニアリングの一環として様々な商品が出てきている。あるいは、それが金融ビッグバンの目玉の一つでもあったというふうに思っております。 その点は金融庁も相当な御努力、御尽力をされたのでありますが、今回の例えば会社更生法、そういう観点からもきちっと議論されているのかなということが若干気になります。 例えば、今回の会社更生法では包括的禁止命令ができることになっている。これは会社更生という観点からすると恐らく望ましいことだというふうに私は思いますが、これには担保権実行も含む包括的禁止命令というのができているわけですね。 そうしますと、資産担保型証券というのは、いわゆるそういうふうな企業がバンクラプシーした段階でも、あるいは売り掛け債権でもそうですが、そういう仕組み証券というのは、そういうコーポレートとは別にきちっと債権なり資産を切り出して、そしてそこについてはきちっと、バンクラプシーリモートと言いますが、要するに倒産を回避されたところに安全な債権を寄せて、それを正にバックト、要するに担保としてその証券を作ると、こういうことになっているわけでありますが、新会社更生法で包括的禁止命令が出てきて、そこに対して担保権の実行も含む包括的禁止命令ができるということになりますと、その商品設計に対してはバンクラプシーリモートがきちっと本当にできるのかどうかと。 今、民間の商品をお作りになる方は、その辺は相当に契約でもって、あるいは商品設計の段階でそのことは私的にやっておられるわけでありますが、これは強行法規ですから、これをオーバーライドされるということになりますと商品自体のリスクというものに対して影響があるということなんです。 これ、別に一般の債権者もきちっと配慮していかなければいけない。それから当然、後で申し上げますけれども、労働債権もこれは配慮していかなければいけない。それから、いわゆるコーポレートの社債権者、あるいはコーポレートのいわゆる株主、いろんな人にも配慮しなければいけませんと同様にこうした仕組み証券の投資家の配慮もしていかなければいけない、これは本当に難しい話なのでありますが。 今申し上げましたいわゆる仕組み証券の健全な運用、活用という観点から今回の会社更生法というのは大丈夫なのかどうなのかということについてお答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、最近いわゆる資産担保証券、これの利用が進んでおります。 これは、企業が保有する債権あるいは不動産等の資産を企業から分離いたしましてその資産の信用力を背景に証券を発行する、その証券の利払いあるいは償還はその分離された資産から生ずるキャッシュフローに基づいて行うと、こういう仕組みでございます。 一般的な形としては、担保となる資産を保有する会社、これはオリジネーターでございますが、これが特定目的会社にその資産を譲渡いたしまして、その資産譲渡を受けた特定目的会社がその資産を裏付けとして証券を発行し、そのキャッシュフローから償還、利払いを行うという形でございますので、この資産の企業からの分離がきちんとした法的な形式を取っていれば、企業が倒産をしてもその倒産は特定目的会社の保有する資産に影響を及ぼさない。正にこれがおっしゃっている倒産隔離でございますので、手続的にはそういうことを念頭に置いた更生手続となっております。
○鈴木寛君 今の御答弁で、少なくとも仕組み証券を設計をし、あるいはその販売をしている、あるいはそれを購入している投資家に対する心配というものはある程度払拭されると思いますが。 これは答弁要りませんけれども、昨日、いろいろ事務方の方と議論していますと、いわゆる特定目的会社型、SPC型だとこれは完全なバンクラプシーリモートはできるんですが、信託受益型だとここのところがやっぱり若干グレーなんですね。だから、そういう観点からも、より更に金融庁と法務省と連携されて、本当に法的な漏れがないかどうかということについては引き続きの詳細な御検討を両省にお願いを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。 そして、次の質問は、会社更生法、これ、必要条件として、より柔軟かつ弾力的な会社更生ができるということになっておりますが、せっかくこうした新しい会社更生法の下で会社更生、これを是非成功させていかなければいけないわけであります。そうした観点から、法的な問題は新会社更生法である程度担保されるんだと思いますけれども、私はやっぱり会社更生が更生計画どおりうまくいくかどうかというのは、その更生中の会社の資金調達がうまくいくかどうか、正にそこに懸かっているというふうに思います。 先ほども柏村委員の御質疑の中で、デット・エクイティー・スワップの現状とかあるいはDIPについての御答弁、御議論がありましたけれども、私はやっぱりこれ、正に更生中の会社の側に立って本当に資金調達がうまくいくのかどうかということをきちっとやっぱりチェックを、あるいは手当てをしていかなければいけないんではないかというふうに思っております。 これは、金融庁と経済産業省にお伺いをいたしますが、金融庁には、まず、そうした観点からDIPファイナンスについて、これも若干誤解といいますか、まだ十分に浸透していないということかもしれませんけれども、いわゆる更生中の会社ですから、債務者区分でいくとこれは問題ある会社ということになってしまいます。そういうことからDIPファイナンスがなかなか進まないんじゃないかというような懸念がありますが、これはそうではないんだということで昨日確認をさせていただきましたけれども、そうではなくて、きちっとそれぞれのDIPファイナンスの担保がどうなっているかという個別の債権を注目しながら判定をしていくということで金融庁マニュアル上もきちっとした整理がされているということは確認をさせていただきましたけれども、そうした会社更生をきちっと進めていくんだという視点に立った金融庁の金融行政についての見解、姿勢について御答弁をいただきたいと思います。 そして、経済産業省には、更生中の会社がちゃんと資金調達ができる、この調達先はデット・エクイティー・スワップの場合もあるし、DIPを民間金融機関から借りる場合もあるし、しかしそこがなかなか、金融庁は制度設計をされても最後判断するのは民間金融機関ですから、そうすると実態上はやっぱり政府系の金融機関でそこを埋めていかなければいけないと。そういうことをトータルに、借り手、企業の側に立ったいろいろな手当てをどのようにされていくのかということについて御答弁をそれぞれいただきたいと思います。
○副大臣(伊藤達也君) お尋ねの点でありますが、そもそも金融検査は金融機関の経営判断や融資判断にまで立ち入るという性格のものではございませんので、デット・エクイティー・スワップやDIPファイナンスを行うか否かについては金融機関自らの経営判断により行われるものでございます。 今、御紹介ございましたが、金融検査マニュアルにおいては、会社更生法の規定による更生手続開始の申立て等が行われた債務者に対する共益債権については、回収の危険度の度合いを踏まえ、原則として非分類ないしはⅡ分類としているか検証することとなっておりますので、したがって金融検査がデット・エクイティー・スワップやDIPファイナンスの利用を妨げるものではないというふうに考えております。
○政府参考人(桑田始君) お答え申し上げます。 法的再建手続を活用しております企業にとりましては、先生から御指摘ありましたように、短期、長期の運転資金でございますとか、設備資金、これをいかに円滑に調達するかということが再建の可否を握る重要な課題というふうに認識しております。このため、DIPファイナンスでございますとかデット・エクイティー・スワップ、企業再生ファンドの活用促進が必要不可欠という認識でございます。 いわゆるDIPファイナンスにつきましては、昨年度から日本政策投資銀行と政府系金融機関により民間金融機関との協調融資という形で開始されているところでありまして、実績も比較的上がってきている状況にございます。今後は、むしろ民間金融機関におきまして倒産企業に対する融資といったいわゆるネガティブなイメージが払拭をされまして抵抗感がなくなるように、制度の理解を社会全体に進むように期待をしております。 また、デット・エクイティー・スワップにつきましては、平成十一年に独占禁止法並びに銀行法における運用の見直し、いわゆる五%ルールの見直しが行われまして活用事例が出始めております。法的再建手続のみならず私的整理ガイドラインに基づきます私的整理におきましても活用が今後進んでいくというふうに期待しております。 それからさらに、本年に入りまして設立が相次いでおります企業再生ファンドにつきましては、更生企業のスポンサーとして資金を供給する主体となり得るものというふうに期待をしております。 私ども経済産業省といたしましては、このような事業再生に向けた関係者による取組が何とか促進されますよう、関係省庁とともに引き続き環境整備に向けた検討を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
○鈴木寛君 次の質問は労働債権の問題でございます。 今回の会社更生法の改正の前と後と労働債権の取り扱われ方が要するに変わるのか変わらないのか、きちっと引き続き共益債権として労働債権というものを位置付けていただいているのかどうかということが一つでございます。 それから、併せて御質問を申し上げたいのは、いわゆる実質的な労働債権と理解できる債権というのはほかにもございます。例えば請負とか、あるいは委任、あるいは準委任、要するに正に労務に対する、労働に対してきちっとその対価が支払われるという性格の債権、これは私は労働債権と位置付けていいと思いますが、こうしたものが現状共益債権に十分に加えられていないということは私は問題だと思いますが、そうした実質労働債権と理解できる請負、委任、準委任も共益債権に加えるべきだというふうに私は考えておりますが、法務省の御見解をいただきたいと思います。
○政府参考人(房村精一君) まず、労働債権の扱いでございます。 これは、給料債権あるいは退職金債権については今回の改正において扱いは変更していません。 それに関連するものとして扱いが変わりましたのが使用人の会社に対する預り金債権でございます。これは、預り金でございますので厳密には労働債権ではございませんが、従来、立法当時の経緯からその全額を共益債権といたしておりました。しかし、実体法上、先取特権等が与えられております給与債権あるいは退職金債権と比較いたしまして、退職金債権でも手続開始前六か月というような限定がございますのに、実体法上、先取特権もない一般的な貸金債権の性質を有する預り金についてその全額を共益債権とするということは法理論的に合理性を欠くのではないかということから、今回、共益債権とする範囲を限定いたしまして、手続開始前の給与六か月分相当額又は三分の一の多い額という、退職金債権と同じ範囲のものを共益債権とするという変更をしております。 それから、実質的な労働債権の保護がどうなっているかという点でございますが、これは確かに労務提供に当たりまして請負、委任というような様々な法形式が取られることがございます。ただ、現行の会社更生法の解釈といたしましても、この労働債権というのは、形式的に雇用契約に基づく労務提供、その対価のみを指すのではなくて、実質的な雇用関係に基づく債権であるということを判断して労働債権としての保護を与えておりますので、その点はこの改正後も変わらない扱いでございます。
○鈴木寛君 最後に、お願いします。 今の点は是非きちっと告知をしていただきたいと思います。それから、いわゆる社内預り金について、これは改悪という私たちはちょっと解釈をせざるを得ないわけでございますが、この点については引き続き議論をさせていただきたいということ、それから、現行そうなるということであれば、それぞれの従業員は自衛をしなければいけませんので、きちっと告知をしていただくことは最低限お願いを申し上げて、私の質問を終わらさせていただきたいと思います。 どうもありがとうございました。
○委員長(魚住裕一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時三十五分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、会社更生法案及び会社更生法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○江田五月君 会社更生法改正案と関係法律の整備法案、この両案に対して私たち民主党は賛成でございます。 既に、会社を更生させるということの社会的な意義とか、あるいはこの法案の改正案のねらいとか、今の日本の経済状況の下におけるこの法案の早急な整備の必要性とか、こうしたことについてはもう当委員会でも議論があり、もちろん衆議院の方でもいろんな議論がございましたので、これについて蒸し返しの議論はなるべく避けていきたいと思っておりますが、私個人としては、実はこの会社更生法は特別の思いがございます。 不良債権処理問題、これは現在の日本の最重要課題の一つですが、その一番最初の大問題が一九九六年の住専処理問題だったですね。住専処理に国民の税金を使うなということで、六千八百億円でしたかね、大議論になったわけで、当時私は実は衆議院の予算委員だったんですね。 予算委員会で再三にわたって質問して、住専を私的整理ではなくて法的処理をすべきだ、会社更生法によって法的処理をすべきだと。いやいや、住専というのはもう更生させないんだ、これはつぶすんだと。いや、しかし、それは会社更生法でも清算型のような運用もあるじゃないかということをいろんな角度から議論をしたことを思い出しておりまして、また、更生手続の申立て権あるいは管財人の権能、責任追及のための刑事訴追権能、こうしたことを持つ国家行政組織法三条に基づく行政委員会としての不良債権処理公社、日本版のRTCの設置、こういう提案もさせていただいたことを思い出しておりますが、それは残念ながら実現せず、現在に至るまで国民の税金を使って私的整理をやるというやり方で政府は不良債権に当たってきた。大変残念だと思っております。 九六年当時の自民党首脳の発言に、この問題は日本的処理と法的処理の対立だという、そんなことを言った人がおりました。しかし、国民の税金を使って私的整理をするということが日本的な処理だと言うんだったら、それは私は間違っていると思います。政府が入って私的整理をするんだから変なことにはならない、さあ、そうかどうか。現実に当時の大蔵省や農水省の幹部がいろんなことをやった、いろんな言動があった。そんなことについても当時鋭く批判されたわけです。 やっぱり、私的整理は民間の合意によって整理をするといっても、そこにいろんな不条理な要素が介在してくる、それは暴力団であったりいろんなものがあるわけですから。法的整理というのは、じゃ合意の要素は全くないのかといったら、そんなことはないんで、法的処理も裁判所というものがちゃんと入りながら、合意の要素も取り入れながら整理をしていくわけで、やはり理非曲直、きっちり正した不条理のない透明なそういう手続で整理をするということが必要だと思っていますが、最初の質問。 法務大臣、住専問題以降、法律の整備も進んで、今回の会社更生法、あるいはその前の民事再生法の制定とか更生特例法、特定調停法とか、こうしたものも整備をされました。民事再生法などよく活用されているようですが、会社更生法についてはまだまだ件数が少ない。 そこで、改めて、今のようなことを踏まえて今回の会社更生法改正案の意義、これをどういうふうに整理をされておるか、端的にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 会社更生手続を始めとする法的整理は、私的整理と不良債権の売却と並び金融機関の不良債権を直接処理する手段の一つとされて活用されております。また、会社更生手続や民事再生手続は、倒産状態に陥った企業のうち再建の価値があるものを選別いたしましてその再建を図るということによりまして企業の解体、清算を防止する手続でありまして、雇用の維持とか取引先企業の連鎖倒産の防止など、不良債権処理に伴って生ずる社会経済的損失の軽減にも寄与するというふうに考えられます。 もっとも、現行の会社更生手続に対しましては、手続が厳格で時間が掛かり過ぎてなかなか難しいというような批判がございましたので、今回の改正によりまして手続の合理化及び迅速化を図り、使い勝手を大幅に向上させようというものでございます。 したがいまして、今後の不良債権処理あるいは過剰債務問題の解決に当たりましては、会社更生手続を積極的に活用していただくことを期待しているところでございます。 もっとも、会社更生手続は法的整理である以上、一定の費用と時間とを要する手続ですから、個別企業の実情に応じまして、低廉でかつ迅速な私的整理をも活用し、両者の適切な役割分担が図られるべきであると考えております。
○江田五月君 私的整理は低廉、迅速、法的整理は費用が掛かって時間も掛かる、必ずしもそうでもないんで、私的整理をやっていたら泥沼に入ってどうにもならなくなる、もっとなぜ早く法律家に相談しないかといったケースもたくさんあるわけですよ。 私的整理の長所というのも私も十分分かっておりますが、こういう会社更生法を使いやすくしようということの基には、やっぱり日本的処理ではなくて、透明で公平公正な法的整理をもっと日本社会の中に根付かせていかなきゃならぬ、もっと積極的にみんなが法的整理というものを使えるようにしなきゃならぬという、そういう思いがあると思いますが、これは違いますか。
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおりでございまして、そのような考え方から、先ほどもいろいろ申し上げました会社更生法の改正を含む法的整理を多くの方が活用しやすくなるようにということでございます。
○江田五月君 そこは我が国の今後の在り方に係るところなんで、しっかり認識をしておいていただきたいと思います。 平成十三年七月一日現在、全国の裁判所に係属していた会社更生事件二百十件のうち、更生計画認可決定がされていた百六十六件についての開始決定から認可決定までの審理期間、二十七・一か月、八百十四日、これは先ほど柏村委員の質問にあったところです。さらに、平成十一年から十三年までに終結した全国の会社更生事件九十四件の審理期間の平均値は八十・四か月、六年と八か月くらい。いずれも長い。 さて、そこで、今回の会社更生法改正で手続の迅速化、これが大きな目標ですが、これらの平均審理期間はどのくらい短縮されると見込んでおられるか、難しいですが、お答えください。
○政府参考人(房村精一君) 今回の改正によりまして、開始決定までの期間もまず相当短縮できると思っております。これは、現在の会社更生法では更生の見込みと……
○江田五月君 簡単に。
○政府参考人(房村精一君) はい、分かりました。 そこが大分短縮される。それから、計画までを一年という規定も置きますので、見込みとしては現在の半分程度まで短縮できるのではないかと、こう考えております。
○江田五月君 半分程度。開始決定までは要件を変えるから、簡単にするから短くなる。次に、今度認可までは期間をちゃんと法定するから短くなる。誠に明快ですよね。期待をしておりますが。 次に、会社更生事件の新受件数は平成十二年二十五、十三年四十七、今年は多くて九月末現在で八十六。この法案ができれば適用申請が劇的に増加することになるのか、どのぐらい増加すると見込んでおるのか、これはいかがですか。
○政府参考人(房村精一君) ただいま御指摘のように、現在の経済情勢の変化等を反映いたしまして今年、この会社更生事件、相当増えております。この状況でしばらくは続くのではないかということと、この会社更生法の改正によって格段に使いやすくなる、こういうことを考えますと、今年の実績を相当上回る数がしばらくの間はその申立て件数として現れるのではないかと、こう思っております。
○江田五月君 予測はなかなか難しいですが、大いに期待をしたい。 そこで、この会社更生法とか民事再生法とかの適用申請にどうもちゅうちょするということの理由の一つに、適用申請すると事実上の倒産と報道される。この報道で、もう一発で終わりになってしまうというのでなかなかそこまでやれない。実際は、民事再生法にしても会社更生法にしても、これから会社をスリムにしながら社会的に価値あるものを生き残らせていってダメージを少なくしようということですから、その適用申請があったら、もうあと取引は全然できなくなる、会社は事実上つぶれる、そういうことがあっては困るわけですが、社会的にはなかなかそうはいかない。 そこで、事実上の倒産──倒産という法律概念はないんだろうと思いますね。何か聞くと、外国でそういう倒産手続に入ったものについて倒産とかいう用語を使っているとかいうんですが、法律上、しかし、法律上の用語じゃなくて、倒産というのは単に事実上そういう言葉が流布されているだけだと思うんですけれども、倒産というのはどうするんですか。法務省としては、この倒産という表現はもうなるべく使わないようにされた方がいいんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(房村精一君) 確かに、御指摘のように、この会社更生手続あるいは民事再生手続というのは企業を立て直すということを目的とする手続でありますし、営業活動等も当然継続をして、その中で再建を図っていくわけでありますが、社会的にはこれが事実上の倒産という受け止め方をされており、これがある意味では手続の利用の妨げの一つの要因になっているというのは御指摘のとおりだと思います。 私どもとしては、会社更生とか民事再生の手続が再建を目指す手続だということを今まで以上に理解をしていただくよう努めるということを当然やらなければいけないと思っています。 また、倒産という言葉自体についても、こういう再建型の手続を指すのに倒産という言葉がいいのかどうか、そういう点も改めて検討を加えてみたいと考えております。
○江田五月君 これは、本当に是非検討していただきたいと思います。 マスコミなんかにも事実上非公式にお願いをしているということも言われますが、清算手続とそれから再建手続と、やっぱり違う。再建手続に入ったという、そのこと自体ももちろん企業にとってもあるいは取引先にとっても大変なことではあるけれども、そこはやはり再建手続なら再建手続で更生・再生手続とはっきり区別して表現すべきだと思います。 そもそもが法制審議会に倒産法部会という、これがおかしいんじゃないか。どうも倒産法制、我々も民主党の中で法務部門会議の倒産法プロジェクトチームなんて作っているものですから余り人のことは言えないんですけれども、我々も考えますが、法務省としても、まず隗より始めよということで、倒産法制、倒産法部会、こういう表現をそれこそ整理をするという必要があるんじゃないかと思いますが、もう一遍、これは、法務大臣、どうです、ちょっと感じを聞きたい。感じ。
○国務大臣(森山眞弓君) 確かに、余りいいイメージではないですから何かいい言葉があれば変えたいとは思いますけれども、何かいい言葉がございますでしょうか。何かいい思い付きがありましたら教えていただきたいと思います。
○江田五月君 考えます。皆さんも考えてください。 もう一つ。東京地裁破産再生実務研究会というのがあるようで、園尾隆司、深沢茂之、どちらも東京地裁の民事二十部の裁判官、総括裁判官と次席のようですが、その人たちが編さんした解説書、「破産・民事再生の実務」という本があります。その下巻の中に、民事再生法の営業譲渡についての解説で、「営業譲渡の許可をする場合には、再生債権者および労働組合の意見を聴かなければならないが、適宜の方法で聴けば足りる。」と、こう書いてあるんですね。 この意見を聴かねばならないということをどういうふうに一体実務の皆さんなど意識をされているかと。随分冷淡な書き方だと思いますが、きちんと条文に書いてあるわけですから、条文の趣旨は、まあ聴けば足りるんだという、格好だけ付けりゃいいよという、そういう意味じゃないと思うんですけれどもね。しっかり意見を聴いて尊重するということだと思いますが、こういう営業譲渡の許可の場合に当事者、債権者や労働組合の意見を聴かねばならないというそのことの意味合い、もちろん政府が提案されたんだと思いますが、立法府が立法しているわけですから、立法府の意図をどういうふうに行政府としては理解をされているか。
○政府参考人(房村精一君) この営業譲渡の許可に当たって裁判所が意見を聴取するという手続を取りましたのは、必要性や相当性を欠く営業譲渡がされるときには、結果的に事業は継続されず、また債権者等の利益を害されることにもなると。そういうことを防ぐために事情に詳しい債権者あるいは労働組合の意見を聴くことを義務付けたものでありますので、これは必ずやっていただく必要がある事柄でございます。 確かに、御指摘の本では「適宜の方法で聴けば足りる。」となっておりますが、これの趣旨は、義務付けてありますのは、どのような方法で意見を聴くか、例えば書面で聴くのか、直接聴くのか、集会を開くのか、そういうことは法律で定めていないので適宜な方法でということが書かれているのではないかと。現に、その後の方を読みますと、この御指摘の書物では、単に書面で意見を聴くだけでは十分でなくて、直接聴くということが必要だというようなことをるる説明されておりますので、趣旨はそういう方法が適宜だということであって、その重要だということは十分認識された上で書かれているのではないかと思っております。
○江田五月君 その本の後の方に確かに書いてあるんですが、これは債権者のことは書いてあるけれども労働組合のことは書いていない。なぜ書いていないんですか。
○政府参考人(房村精一君) そこまではちょっと私もあれだったんですが、労働組合の意見聴取を義務付けたのも、もちろん会社更生を成功させるには労働組合の協力が不可欠であるということと、企業の内部事情に労働組合が非常に詳しい、こういうことを重視して法で義務付けたものでありますので、裁判所におかれても必ずその意見を聴取した上でそれを尊重して判断をしていただけるという具合に考えております。
○江田五月君 ここでこの研究会の皆さんの書かれていることを取り上げて民事局長をつるし上げても、それは筋違いですからそうはしませんが、やっぱり企業というのはそこでかかわっているみんなのものですから、そしてそれは労働者一人一人を、この一人一人を言わば束ねてその労働者一人一人の利益を代弁していくのが労働組合ですから、大切に考えていただかなきゃならぬので。 適宜というのは何かですが、「適宜の方法で聴けば足りる。」と言うからどうもかちんとくるので、適は適切ですから、宜はよろしいですから、適切でよくなきゃいけないんで、足りるというその意味と違うんですよね。適宜でなければならないというぐらいに考えていただかないといかぬと思います。 さて、会社更生法案も営業譲渡の許可について同様の規定がある。四十六条三項ですね。「裁判所は、前項の許可をする場合には、次に掲げる者の意見を聴かなければならない。」。一号、二号の更生債権者と更生担保権者については、これは更生債権者委員会とか更生担保権者委員会とかがある場合には「その意見を聴けば足りる。」と条文に書いてあるけれども、三号の労働組合等については意見を聴けば足りるとはどこにも書いていないので、文字どおり意見を聴かなければならない。 その趣旨は、聴かなければならないというのは、当然意見は可能な限り尊重する、これはそれでよろしいですね。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のとおりでございます。
○江田五月君 労働組合等の意見聴取については、労働組合等が希望するなら債権者、担保権者と同じ機会でもそれはいいでしょう。しかし、労働組合が自分たちの意見を特に聴いてほしいというときには別個に場を設けて意見を聴くべきだと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(房村精一君) そこは、もちろん裁判所の御判断で、適切な方法でしかるべく意見を聴くということになろうかと思いますが。
○江田五月君 是非、労働組合側の希望というものも何が適切かを判断をする場合の重要な要素であると、そう考えていただきたいと思いますが、それはいかがですか。
○政府参考人(房村精一君) 先ほども申し上げましたように、労働組合からの意見の聴取を義務付けましたのは、組合の協力が不可欠だということと必要な情報等を持っているということを考慮したものでございますので、その意見はそれなりにきちっと尊重した上で判断をされるということが必要だと思います。
○江田五月君 冒頭申し上げましたように、私は、不良債権問題の処理について法的整理を中核に据えるべきだと、特に公的機関である日本版RTCに申立て権、管財人の権能あるいは刑事訴追権能なども付与して積極的に行うべきだという考えを持っておりますが、どうも残念ながら公的機関としての日本版RTCは存在しない。現在、日本は住専処理機構と整理回収銀行が統合されたRCC、整理回収機構がある。そのRCCが私は債権者としての申立て権を行使して積極的に会社更生法や民事再生法を活用すべきであると思っております。 今日は預金保険機構の松田理事長に来ていただいていますが、まず、このRCCの企業再生における法的整理の現状、それから法的整理というものに対する基本的な考え方、これを説明してください。
○参考人(松田昇君) お答えいたします。 RCCに企業再生本部というのを作りまして、これは昨年の十一月でございますが、それ以降、RCCが再生計画の策定過程におきまして主導的に関与した案件というものが現在までに八十七件ございます。そういう再生案件八十七件の中で、法的再生にかけておりますのが十八件でございまして、残りの六十九件が私的再生案件ということになりました。 法的再生の内訳でございますけれども、会社更生法によりましたのは八件でございまして、民事再生法による申立てをしたのが八件でございます。残り、その他二件というのが会社整理と特定調停ということでございます。 私どもといたしましては、再生に当たりまして、やはり対象となる企業のありよう、実情に合わせて最も適当なものを選ぶということにしておりまして、例えばどの選択をするか、私的整理にするか法的整理にするか、法的整理でも何を選ぶかということになりますと、やはり回収の極大化をねらった場合の経済合理性があるか、それから、法的整理によらないでも債権者全体が一体合意をしてくれることが可能なのか、あるいは経営者の交代が必須なのか、そういういろいろの事情を個々に判断をいたしまして、個別に検討した上で、それぞれ利害得失を判断の上で法的整理にかけたり私的整理のままで処理をしたり、このように運用をいたしております。
○江田五月君 会社更生法改正、これは使い勝手を良くするということですが、これによってRCCが会社更生法の申立てをする件数は、これは増えるでしょうか、どうでしょうか。
○参考人(松田昇君) 御指摘の点でございますが、やはり具体的には対象とします案件の実情いかんによるとは思いますけれども、今回の改正そのものを拝見いたしまして、株式会社の事業の維持更生を合理的かつ機能的に図るという御趣旨であるということと、改正の内容の中に土地管轄の拡大だとか更生計画提出期限の短縮化等、実態面、手続面におきまして我々債権者にとっては更生制度の内容が簡易、迅速化されている、あるいは営業価値を維持したまま早期に売却できると、そういう手当てなどがなされておりますので、こういう点は非常に我々にとっては使い勝手の良いものになることは間違いございません。 したがいまして、これらの点にかんがみまして、今回の改正によりまして、私どもも早期の事業再生を目指しておりますので、RCCといたしましては会社更生手続を選択する、あるいは活用するという余地は広がるのではないかと、このように考えております。
○江田五月君 昨日、説明を聞いたんですが、どうも現状ではゴルフ場、リゾート施設、この二つがしょっちゅう出てきて、関係者が多いからと言うんですが、ゴルフ場やリゾート施設のように債権者の数が非常に多いときに会社更生法を使うということでしたが、さらにまた、旧経営者を排除した方が企業再生がしやすいと、こういう場合も会社更生法を使っていきたいということですが、これはそのとおりでいいんですか。
○参考人(松田昇君) 御指摘のとおりであります。
○江田五月君 次に、最近の政府の総合デフレ対策の中で産業再生機構が注目されています。うまくいくかどうか、どうも心もとないという意見もありますが、RCCとしてはこの産業再生機構との役割分担、まあ産業再生機構の方がまだちょっとどういうことになるかはっきりしていないということもありますが、役割分担というものをどう考えておるのか。今後、RCCの事業として企業の再生というものをどう位置付けて体制を強化していくのか。これは先ほどの企業再生本部ということはございますが、改めて、産業再生機構との役割分担の中でRCCとしてどういうふうに企業再生を位置付けて体制強化をしていくのかをお答えください。
○参考人(松田昇君) まだ産業再生機構のありようがはっきり決まっておりませんので将来どういう構造になるか定かではありませんけれども、現在のところは、デフレ対策のほかに公表されました金融再生プログラムによりまして、RCCとしても不良債権処理と企業再生を促進するという観点から具体的にいろいろな対策を打ち出しております。 具体的には、RCCの地方の拠点に企業再生専担の組織を新設するというような組織の強化、それから企業再生関連部署の人員の増強、あるいはスキルの向上、再生学校を行いましてスキルの向上を図るという人材の強化、あるいは政府系金融機関等と協議会の設置、これは既に動いております。さらには、企業再生ファンドとの連携強化のための窓口の設置、あるいは中小企業再生型信託スキームの創設、こういうふうに現在動いておりまして、RCCはRCCとして破綻懸念先以下の引き取りました不良債権の再生に引き続き注力していくと、こういう構えでございます。
○江田五月君 RCC、企業再生ということにかなり積極的になっていただけるということで、これも期待をしたいと思いますが、それでも産業再生機構の方は、単に個別の企業だけでなくて、一定の、個別の産業秩序をどういうふうにしていくかといったことまで踏み込んだ表現ぶりがあって、その辺りをどうするかというのは注目されますが。 産業再生機構について、まず、この産業再生機構の目的とか、いつ立ち上げて、存続期間をどのくらいにするのか、これを、今検討されている限度で結構ですから、お答えください。
○政府参考人(小手川大助君) まず、この機構につきましては、不良債権処理の加速という点と企業それから産業の再生という二つの目的を持っております。 それで、現在、私ども準備室の方では、この機構につきましては、法律上の手当て、それからその予算上の手当て等が必要でございますので、法律を次期通常国会にいつでも提出できるように鋭意準備しているところでございます。 それで、これは現実的な組織とする必要があるということで今いろんな意見を聞いておるところですが、少なくともその買取りにつきましては、これは短期集中的にやっていく必要があるんじゃないかということで、これを二年としてはどうかということで今、内部では検討しているところでございます。
○江田五月君 産業再生機構がどういうことになるかというのは、本当に注目もされますが、危惧も随分強い。さて、そんなものが本当にうまくいくかどうか。いずれにせよ、これはこれからよくチェックをしていきたいと思いますが。 企業の安易な延命を図ったり、あるいは産業全体で過剰供給構造、これを助長したりはしないということですね。企業の安易な延命あるいは過剰供給構造の助長、舌をかみそうですが、これをやらないと。具体的にどうするのかを説明してください。
○政府参考人(小手川大助君) 基本的な方針といたしましては、今、先生のおっしゃったとおりでございます。 具体的なところにつきましては、まだ今、構想の段階でございますので、今後ここは詳細を詰めていく必要がございますが、一つのイメージで申し上げますと、まず、この機構の一番のポイントは、メーンバンクとそれから債務者たる企業の間で一定の再建計画があることでございます。その再建計画に基づきまして、まずメーンバンクの方からオファーといいますか、買取り価格がやってまいります。それを機構の方で精査いたしまして、それでその価格で買い取る、あるいはそうでなければもう少し別の価格で買い取るということの決定をするわけですけれども、もちろんその場合、買取りに値しないものも当然ございます。 その際の一つのポイントは、時限的な機構の存続期間のうちにこの会社を新しく仕上げて新しいスポンサーが見付かるかどうかというのが非常に大きなポイントになってきますので、当然その過程で、その会社について魅力がある、すなわち、正に先生がおっしゃったような安易な延命とかそれから過剰供給構造じゃないという観点も含めまして、スポンサーが現れるかというのが一番ポイントになってくるというふうに考えております。
○江田五月君 それから、トータルな国民負担は最小限のものにするということですね。昨日の説明では、この企業再生がうまくいけば債権価値が上昇してすべての人にプラスになる、ウイン・ウインにすることも可能だということですが、国民負担を最小限にするというより、むしろ国民負担はゼロ、あるいはプラスにする、負担という意味でいえばマイナスか、にするということを目指していかれると、こういうことでなきゃならぬと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(小手川大助君) 機構につきましては今申し上げましたような基本的なスキームでございますので、例えば、簿価百のものを三十五で買ったというときに、その数年後にそれがスポンサーに対して三十五を上回る価格で売却できたかどうかということで極めて明確に結果が出てくるものというふうに考えております。 当然、その観点から、機構のトップというものはそこを綿密にその買取りの場合において審査していくと思うんですが、正にここで、先生おっしゃいましたようにトータルにつきましては、そうはいってもなかなか十勝ゼロ敗というわけにはいかないかもしれないと。しかしながら、全体としましてはとにかくその国民負担が最小になるように、当然機構のトップとしてはそこを真剣に考えていくということになってくると思います。
○江田五月君 十勝ゼロ敗は難しいでしょう。五勝五敗、あるいは六勝四敗、いやいや四勝六敗かもしれない。それでも勝の方が随分勝てば、敗の方が少なければトータルでは国民負担ゼロになるし、あるいは国民にとってプラスにもなるわけですから、一件一件について勝敗はもちろんよく吟味をしながら、全体としての国民負担の問題は当然意識をしていただきたい。 過剰供給構造を助長しないだけではなくて、やっぱりこれは適正規模に縮めていくということも時には必要かと思いますが、そうなると、やっぱり産業再生機構も会社更生法とか民事再生法の申立てを積極的にしてスリムにしながら再生していくという、そんなことも考えられなきゃならぬと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(小手川大助君) まだ機構の概要については今申し上げたような段階でございますので一般論ではございますけれども、法的な手続というものの利用ということは当然今回の機構の視野の中に入っているものというふうに考えております。
○江田五月君 中小企業庁に、会社更生法とちょっと離れるんですが、今年の三月の参議院予算委員会で、石川県とそれから私の地元の岡山県と、この二つの県の赤字の中小企業に対する経営改善計画支援制度、これを紹介をして質疑をさせていただきました。 中小企業診断士とか税理士などの専門家を派遣をして経営改善計画を作る、そうして、場合によっては融資もする、さらに、その専門家の謝礼金は、これは県が負担をする、そういう制度だと。これを私は予算委員会で、国としてもこのような支援制度に取り組むべきではないかという提案をいたしましたが、どうも最近の報道で、今年度の補正予算と来年度の予算の中で中小企業庁が、仮称でしょうが中小企業地域再生協議会、こういう取組をするということがございました。これは私の提案したような内容と合致するのかどうか、その趣旨を御説明ください。
○政府参考人(青木宏道君) ただいま江田委員より、私どもが現在検討中の中小企業地域再生協議会、仮称でございますけれども、これについての趣旨についてお尋ねがございました。 委員御案内のとおり、中小企業は全国で約四百八十四万事業所ございます。大変極めて多数でございます。また、その一人一人の業態も極めて多様でございます。場合によっては、事業内容もそれぞれの地域特性が非常に強いといったような特徴がございます。 検討中の再生協議会は、そうした中小企業の特性を考慮し、中小企業の事業再生支援のために、既存の中小企業政策を幅広く活用しつつ、かつ関係者の力を結集して個々の中小企業にきめ細かくケース・バイ・ケースで対応しようというのが趣旨でございます。 具体的には、各地域の商工会議所等に事務局を置きまして、中小公庫あるいは商工中金といった政府系金融機関、さらには地域の金融機関、自治体、私ども国の地方支分部局、さらには専門家でございます弁護士さんですとか診断士の方々、こういう幅広い各層の方々に参加していただくことを予定をしております。 こうした協議会を各地に設置をいたしまして、様々な経営上の問題を抱えております中小企業に、具体的な課題を抽出するためのまず個別の相談事業に的確に応ずる、さらに、必要がございましたら既存の施策も活用しながら取引あるいは金融、政策金融のあっせん、さらには事業改善実施計画の作成支援といったそれぞれの中小企業の個別の課題に対応をする所存でございます。 事業の詳細につきましては、今後、関係機関の理解と協力を得ながら早急に具体化をし、できますれば年度内にも事業に着手したいと考えております。
○江田五月君 それぞれの地域の実情に合った中小企業の再生策を検討するために、そしてそれを実行に移すために協議会をお作りになるということで、やっぱり地域地域でその地域の実情というものがありますから、その中で効果のあるものということになると、どうしてもそういう地域密着型というのが必要なんだと思いますね。 ちなみに、私ども民主党は、金融の面についても、地域の金融機関を元気にさせていく、それも地域の皆さんの言わば情報の共有と参加によってそうしたものを果たしていこうということで金融アセスメント法案なども出しておりますので、是非御検討いただきたいと思います。 これ、予算規模としては補正で二億、本予算で二十四億ということで、本予算の場合は主として専門家の謝礼金に充てられると聞いていますが、そのとおりですか。その配分はどうされますか。
○政府参考人(青木宏道君) 本協議会の運営のために必要な予算でございますが、ただいま江田先生がおっしゃいましたように、今年度、補正で約一億六千万、二億弱を今検討中でございます。また、次年度につきましても二十億前後の予算を検討中でございます。 いずれにいたしましても、これは個別の相談に応じ、事実関係の的確な把握ですとか正確な問題点の整理、あるいは、再生計画を策定支援する場合におきましてはその企業の発展性をきちんと見抜くといったような、あるいは地域における支援体制を十分に見据えた指導、助言を行うことが重要でございます。 こういう指導的な役割を果たす人材の配置、さらにはこういう人材を助けるためのいろんな専門家の方々の配置というのが中心的な予算になっておりまして、現在、財政当局と所要の調整をしているところでございます。また、配分につきましては今後の検討課題でございます。 私どもといたしましては、少なくとも年度中に、可能であれば約半数ぐらいの都道府県においてこういうものに着手していただけるように所要の予算を講じてまいりたいと思っております。
○江田五月君 岡山県とか石川県のように、既に県でこういう制度を作っていると、こういうものとの整合性、これはどうなりますか。
○政府参考人(青木宏道君) 委員御指摘の石川県あるいは岡山県につきまして、私ども、よく連絡を取らせていただいているところでございます。いずれもそのプログラムの概略は、再生に意欲のある中小企業の方がまず倒産するのを防止をする、さらに、可能であれば再生を支援をするということで、例えば倒産防止相談事業、あるいは再生支援チームによる個別企業ごとの経営計画の策定支援、さらには県が独自に持っております保証あるいは融資制度、そういった資金調達の支援というものをパッケージとしたプログラムであると認識をしております。私ども、このように各地域の実情に応じて各地域で施策が展開されることは大変望ましいと思っております。 他方、中小企業庁におきましては、例えば来年度、中小企業信用リスクデータベース、これはCRDと申しますけれども、現在、約百三十万以上の中小企業の経営情報とデフォルト情報が入っております。こうしたものを活用して客観的に中小企業の経営診断をしてさしあげるといったような情報提供事業、あるいは事業の再構築に必要なMアンドAの情報ですとか、あるいは最近問題となっております後継者難、こういう後継者マッチング情報といったようなものを国としても横断的な施策として展開してまいりたいと思います。 いずれにいたしましても、こういう協議会を今後検討するに当たりましては、既に行われております地域独自の取組状況を十分に参考としながら、多様な中小企業に対してきめ細かに対応できるようその内容を検討してまいりたいと思っております。
○江田五月君 私は、日本の中小企業の皆さん、本当に大変よく頑張っておられると思います。しかし、残念ながらその大半が赤字なんですね。中には税金対策で赤字でいいんだと、こう考えている人もいるみたいで外形標準課税議論なんというのが始まったりしますが、やっぱり赤字ではしかしいけないと思うんですね。中小企業といえども企業はやはり基本的には黒字を目指していく、これが基本で、日本の中小企業が黒字を目指し、経営改善計画を立て、企業再生を図っていくということは、日本経済の再生にとっても非常に重要だと思います。この点をどうお考えになるか、中小企業庁の見解と決断、決意、これを最後に伺っておきたい。 労働組合の関係については、先ほど営業譲渡の意見聴取のことだけを聞きましたが、これは労働債権、預り金の問題なども含め、もう議論がたくさんありますのでここで繰り返しません。中小企業のことだけ最後に伺って、質問を終わります。
○政府参考人(青木宏道君) 中小企業も当然企業でございますので、是非、黒字になっていただくというのが私ども中小企業政策の基本的な考え方でございます。 現在非常に金融状況が逼迫している中で、単に赤字であるからといってなかなか融資が出ないとか、そういった状況も一部に見られるようでございます。私ども中小企業庁といたしましては、セーフティーネット保証あるいは貸付けといったような幅広い金融の安全網を張ることによりまして、仮に赤字であってもなお再生の可能性がある中小企業については幅広く支援をしてまいりたいと思っております。
○江田五月君 終わります。
○浜四津敏子君 公明党の浜四津でございます。 まず初めに、法務大臣にお伺いいたします。 近時の経済情勢の影響から、中小企業の倒産の増加とともに大企業の倒産も増加している状況にございます。こうした中、欧米諸国においては、一九七〇年代から倒産処理法制の整備が進められてまいりました。中でも、いわゆる敗者復活を後押しする企業再建法制が進められてきたのに対しまして、日本はその面では非常に大きく立ち後れてきたと言われております。ようやく二年前に、経営者及び債権者の自己責任で企業再建を図る再建型の破綻処理手続を定めた民事再生法が施行となりました。それ以降、中小企業だけではなくて、本来、大企業を対象とする再建手続を定めた会社更生法があるにもかかわらず、大企業も数多くこの民事再生法による再建手続の申請をしているという状況でございます。 厳格な手続などで使い勝手が悪いと評判が余り良くなかったこの会社更生法につきましては見直しが非常に後手に回ったという声も強いわけでございますが、なぜここまで遅れたのか、もっと早く提出できなかったのかについて、法務大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(森山眞弓君) 法務省では、民事訴訟法の改正作業が終了した直後の平成八年十月から倒産法制の全面的な見直し作業に着手いたしまして、当初は倒産法制全体を一括して改正する前提で作業を進めておりました。 しかし、いわゆるバブル経済の崩壊後、不況が長期化いたしまして倒産事件が著しく増加いたしましたために、平成十年九月からは法整備の緊急性の高い課題を優先して順次検討を進める方針に転換いたしました。その成果として、平成十一年十二月には民事再生法が、また平成十二年十一月には民事再生法等の一部を改正する法律及び外国倒産処理手続の承認援助に関する法律がそれぞれ成立いたしました。その後、昨年三月からは、会社更生法の見直し作業と破産法及び倒産実体法の見直し作業と並行して進めるということにいたしました。そして、より早期に検討が終了いたしました会社更生法について今回、改正の法案を提出するに至ったものでございます。 このように、法務省では、経済情勢を勘案いたしまして、適宜、立法スケジュールを見直しながら優先度の高い立法課題から順次法整備を進めてきましたために、会社更生法案を今国会に提案することになったのでございます。
○浜四津敏子君 今回の会社更生法案の検討は法制審議会の倒産法部会において検討されてまいりました。その審議の経過がどのようなものであったのか、流れが分かるポイントを説明していただきたいと思います。また、審議の過程でどのような点が争点となったのか、特に意見が分かれた点は何だったかについて簡潔に御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(房村精一君) 今回のこの会社更生法の検討には、ただいま大臣からも御説明いたしましたように、昨年の三月から検討に着手いたしました。その結果、今年の三月にそれまでの議論を取りまとめました会社更生法改正要綱試案を公表いたしまして、パブリックコメントの手続に付しました。この試案に各界から寄せられました意見を参考に引き続き審議を進めまして、本年の九月に会社更生法改正要綱が決定され、答申されたわけでございます。 その審議の過程で特に争点になった事項でございますが、主なものといたしましては、まず更生会社の取締役に更生手続開始後も事業経営権、財産管理・処分権を認めるかどうか、再生法と同じような現経営陣が原則として当たるDIP型を取るのか、従来のような管財人型を取るのかと、こういう点でございます。それから次に、更生会社の財産の評定を行うわけですが、この財産の評定あるいは更生担保権の評価の基準、これをどう定めるか。時価とするのか処分価格とするのかと、こういうような点をめぐってかなりの意見の対立がございました。それと、更生計画認可前の営業譲渡、今回認めたわけでございますが、この認可前の営業譲渡について裁判所の許可にかからしめることは当然として、そのほか株主総会の決議を要するかどうかと、こういう点も議論の対象となりました。そのほかの点といたしましては、更生担保権の減免を内容とする更生計画案の可決要件を現在の五分の四を維持するのか、それとも四分の三に緩和するかと、こういう点についてもかなりの意見の対立がございました。 以上のような点で相当の議論がなされましたが、最終的には全会一致をもって今回の要綱案が可決されたものでございます。
○浜四津敏子君 審議会ではかなり活発な審議が行われたという御説明がありましたが、たしか平成九年の十二月に公表された倒産法制に関する改正検討事項では、会社更生法に関する改正事項はほんの数項目しか上がっていなかったと思います。今回の会社更生法案はその実質的な改正事項は五十数項目にも及んでおりまして、言わば抜本的な大改革、大改正と言えるわけでございますが、なぜ、かつて数項目しか上がっていなかったのが今回これほどの大改正になったのか、その背景、理由を分かりやすく御説明ください。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、平成九年に公表いたしました改正検討事項では数項目しか上がっていなかったわけでございます。これが増えた理由ですが、まず公表いたしました改正検討事項について関係各界からいろんな御意見が寄せられております。それの中で取り上げていない事項についても当然触れられておりますので、そういったものも検討の対象に加えました。それから、先に先行して整備されました民事再生手続、これの検討過程で種々の議論がございましたので、その成果も当然、会社更生法にも取り込むべきだと、こういうことがございました。それからさらに、会社更生を専門的に検討するための部会の委員になっていただいた方々から、改めて検討をするのであればこういう事項もということが追加される。 そのようなものをすべて取り込みまして部会において精力的に審議をいたしました結果、最終的には五十四項目という非常に大きな改正が行われるということになったものでございます。
○浜四津敏子君 それでは、会社更生手続の流れに沿って各論について質問をさせていただきます。特に、債権者保護の視点からの質問をさせていただきます。 従来の会社更生法は、かなり厳格な手続で迅速性を欠いてきた、また硬直した手続になってきた、それが迅速が命と言われる企業再建にとってはマイナスであると指摘されてまいりました。そこで、今回は迅速性、柔軟性を持たせる改革となったわけですけれども、その一方で債権者の利益保護が十分かという問題が指摘されております。この法制審議会の倒産法部会には、債権者側を代表する者として経済団体から推薦を受けた一般有識者の方も参画していたということでございますけれども、会社更生法案が迅速性、合理性を重視する余り債権者の利益をないがしろにしていないかという視点から、以下、質問をさせていただきます。 まず、第二条九項によれば、「この法律において「更生債権者」とは、更生債権を有する者をいう。」とあります。ここにいう更生債権というのは、およそ会社に対する債権であれば、その発生時期いかん、あるいは債権の種類いかんを問わずすべて含まれることになるのか、どの範囲の債権を指しているのか、御説明願います。
○政府参考人(房村精一君) 会社更生手続は、経済的に苦境にある株式会社について、更生計画による債務の弁済の猶予、減免等の権利変更を行ってその負担を軽減することにより事業の維持更生を図る手続でございます。その中核となります更生債権でございますが、これは更生会社の経済的な苦境の原因となりました更生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権という、開始前の債権と、こういうことでございます。さらに、細かく分けますと、開始前の債権のうち無担保のもの、これが更生債権でございます。そして、担保権が付いておりますものは更生担保権ということで、手続上異なる扱いがなされております。 ただし、更生手続開始前の債権でありましても、例えば労働債権、このように公平の見地あるいは社会政策的考慮等から特に共益債権として取り扱われているものもございますので、そういうものはこの更生債権から除外をされます。
○浜四津敏子君 会社更生法案の第百六十八条第一項によれば、更生債権は一般の優先権がある優先的更生債権とそれ以外の一般的更生債権とに分けられております。 そこで、まず通常の取引債権者等が有する一般的更生債権というのは会社更生手続においてどのように取り扱われることになるのか、お伺いいたします。
○政府参考人(房村精一君) まず、更生手続開始の申立てがされ、それから開始決定に至るわけでございますが、まず開始決定がなされますと、ただいま御指摘の一般的更生債権、これは優先的更生債権も同じでございますが、更生計画の定めによらずに弁済することが禁止をされると、こういう効果が生じます。申立てから更生計画の開始決定までの間は法律上当然にそういう弁済禁止の効果が生ずるということにはなっておりませんが、ただ実際の運用といたしましては、会社の財産の保全等の必要性があるために、裁判所が財産保全のための弁済禁止の保全処分などを発令することによりまして弁済が禁止されるというのが通常でございます。
○浜四津敏子君 次に、優先的更生債権の内容としては百二十九条の租税債権と百三十条、労働債権が中心となると理解しておりますけれども、まず百二十九条の租税債権は会社更生手続においてどのように扱われることになるのでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) まず、一般の租税債権につきましては、御指摘のように、優先的更生債権ということになります。したがいまして、他の優先的更生債権、例えば労働債権で共益債権とされないものと同じように一般的な更生債権よりも優遇した地位が与えられておりますが、租税債権につきましては、それだけではなくて、実体法上、特に優越的な地位が認められているということを反映いたしまして、例えば更生計画によりまして租税債権の権利変更をするには徴収権者の同意を要するというような事柄、あるいは中止命令等の対象になりますが、この租税債権に基づく滞納処分を中止する場合には発令に際して徴収権者の意見を聴く必要がある、こういうような、それぞれ租税債権のそういう優越的地位を反映した特別の扱いがなされているということでございます。
○浜四津敏子君 次に、第百三十条の給料債権あるいは退職金債権等のいわゆる労働債権については、この会社更生手続においてどのように扱われることになるのでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) まず、給料債権でございます。これは、会社更生手続開始前の債権と開始後とで扱いが若干異なりまして、まず開始前の給料債権につきましては、開始前の六か月分に相当する給料債権、これは共益債権として最優先で随時弁済が受けられるということになります。それ以外の開始前の給料債権につきましては、優先的更生債権ということで、更生計画に基づいて優先的な取扱いがされますが、随時の弁済は受けられない。更生開始後の給料債権につきましては、これは共益債権として全額が随時弁済を受けられると、こういう扱いになります。 それから、退職金につきましても、やはり開始決定前と開始決定後とで分かれまして、開始決定前につきましては、開始前六か月分に相当する額あるいは三分の一、このいずれか多い額が共益債権とされ、その余の部分が優先的更生債権とされます。開始決定後の退職でございますが、これは会社の都合によるいわゆる整理解雇、この場合には退職金の全額が共益債権となります。労働者の側の自己都合によって退職する場合には、開始決定前の退職金と同様に六か月分若しくは三分の一の多い額が共益債権となって、その余が優先的更生債権となると、こういう扱いでございます。
○浜四津敏子君 それでは、以下、手続の流れに沿って債権者、殊に一般的更生債権を有する通常の取引債権者の利益が図られているのかを確認していきたいと思います。 まず、会社更生手続の申立てがなされてから開始決定がされるまでの保全段階において、会社更生法案では第二十五条から第二十七条に規定するとおり、包括的禁止命令の制度を新たに設けております。この包括的禁止命令が発令されますと、債権者は会社の財産に対する強制執行等を一律に禁止されることになり、大変重大な影響を受けることになるわけでございます。 他方で、会社が駆け込み寺のようにこの手続を使って、当面の強制執行を免れるといった制度本来の目的を外れた使い方をする濫用の危険はないのか、また濫用を防止する手だては今回の改正においてなされているのかについてお伺いいたします。
○政府参考人(房村精一君) これは、会社更生の申立てがなされた場合に、個別的な強制執行を許してしまいますと会社の更生が不可能になる、こういう場合が予想されますので、現行法におきましても個別的に強制執行の中止を命ずることは可能となっております。 ただ、それでは足りない場合があり得る。例えば、非常に多くの債権者がいて多くの強制執行が同時になされる可能性がある、それを個別的に対応していたのではとても会社の営業が継続できないと、こんな場合もあろうかと思います。そういうことから、今回この包括的禁止命令を導入したわけでございますが、御指摘のように、濫用の危険性がありますので、まずこの包括的禁止命令を発令するための要件といたしまして、個別の中止の命令によっては会社更生手続の目的を十分に達成することができないおそれがあると認めるべき特別の事情があると、こういう要件を満たした場合に限って発令をするということといたしております。 また、このような包括的な禁止をしながら更生会社による財産処分を無制限に認めると更生債権者の利益を害する可能性がございますので、この発令をするためには、あらかじめ又は同時に会社の主要な財産に関する保全処分、保全管理命令又は監督命令が発令されていると、こういうことも発令の要件としております。 それともう一つ、言わば食い逃げといいますか、発令だけしてあと逃げてしまうということを防ぐために、この包括的禁止命令を発令した後は裁判所の許可がない限り更生手続開始の申立てを取り下げることを許さないと、こういう制度にいたしまして、仮に破産原因があればもう破産まで行ってしまうと、こういうことにしておりますので、包括的禁止命令が濫用される危険はないと考えております。
○浜四津敏子君 次に、保全段階において、裁判所は更生手続の目的を達成するため必要があると認めるときは三十条で保全管理命令を発することもでき、また三十五条で監督命令を発することもできるということになっております。現行法では、仮差押えあるいは仮処分、その他必要な保全処分を命ずることができることと、監督員による監督命令ができるとされております。 これまでの実務上から見ますと保全処分が多いということで、改正後もこの三十条の保全管理命令が発せられることが多いと考えられますが、この保全管理命令とはどういう制度なのか、従来の個別の保全処分とどう違うのか、なぜこういう制度を設けたのかについて説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(房村精一君) これは、会社更生の開始決定がなされますと管財人が選任されまして、会社の経営権、それから財産の管理・処分権が管財人に掌握されるわけでございます。法律上は、開始決定までは従来の経営者がその地位にとどまりまして事業経営権及び財産管理・処分権を保持しているということになるわけですが、更生手続開始の原因となる事実を生じさせた経営者がそのままその地位にとどまりまして事業経営や財産の管理、処分を行うということを認めますと業績を悪化させたり財産を散逸させると、こういうような弊害を生ずることも場合によってはあり得るわけでございます。そういうことに対応するために、裁判所として更生手続の目的を達成するために必要があると認めるときには、利害関係人の申立てあるいは職権で会社の業務及び財産に関して保全管理人による管理を命ずる処分をすることができると、これが保全管理命令でございます。 そうなりますと、保全管理人が会社の事業経営権及び財産管理・処分権を掌握いたしますので、これによりまして財産の管理あるいは事業の経営が適切に行われると、こういうねらいでございます。
○浜四津敏子君 次に、裁判所にお伺いいたします。 三十条の二項で、裁判所は保全管理命令を発する場合には一人又は数人の保全管理人を選任しなければならないとされております。その保全管理人の権限につきましては、三十二条に、保全管理命令が発せられたときは開始前会社の事業の経営並びに財産の管理及び処分をする権利は保全管理人に専属するとされております。 大変強力な権限を保全管理人が有することになるわけで、債権者にとってはだれが保全管理人に選任されるのかということが大変重大な関心事項となってまいります。保全管理人は現行法でもある制度なわけですけれども、現在の実務上、保全管理人にはどのような人が選任されているのかをお伺いいたします。
○最高裁判所長官代理者(千葉勝美君) 保全管理人には、営業、維持管理、そのほか契約関係の整理など高度な法律知識を要求される事務が非常にございます。そういうことから、弁護士を選任するというのが通例でございます。 保全管理人を選任する場合には、会社更生手続開始の申立て後速やかに選任する必要が多いわけでございますので、裁判所におきましては、弁護士の過去の管財人あるいは管財人代理としての活動実績についてデータを持っておりまして、これに基づきまして事業の維持管理や法的な処理を適切に処理できる適任者を事案に応じて選任していると、こういう状況でございます。
○浜四津敏子君 次に、同じく裁判所にお伺いいたします。 この保全管理人や手続開始後選任される管財人に対してどれくらいの報酬が支払われるかということも、会社から弁済を受ける債権者にとっては関心のあるところでございます。実務上、これらの報酬額というのはどのように決められるのか、その基準はどうなっているのかについてお伺いいたします。
○最高裁判所長官代理者(千葉勝美君) 保全管理人や管財人の報酬、これは業務の内容や就任期間を考慮して決められるわけでありますが、この具体的な業務の内容は、会社の事業の内容、事業規模、それから財産状況、それから営業所の分布状況、それから従業員の数等に応じて異なるものでございます。裁判所は、こういう事案に応じまして相応な額を個別に判断をしているわけでございます。また、保全管理人や管財人が複数選任されている場合、それから保全管理人代理あるいは管財人代理が選任されている場合には、それぞれに対して報酬が支払われるということになるわけでございます。その人数分も考慮されるということになるわけでございます。 保全管理人の場合につきましては、その職務が終了する開始決定時に報酬を一括して支払います。この点については基準というようなものはございませんが、それまでの保全管理人の業務を相対的に評価をして決めるということになろうかと思います。管財人につきましては、就任期間が長期になる場合が多いことが、長いことが多うございますので、月額幾らという形で決めますが、これも会社の規模等によって決まると、個別の判断ということになろうかと思います。
○浜四津敏子君 会社更生法案では第三十五条で、裁判所は保全管理命令とは別に監督命令を発令することができるということになっておりますが、この監督命令というのはどういう制度なのか、簡潔に御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(房村精一君) 先ほども申し上げましたように、現経営陣に問題があるという場合には、保全管理命令を出しまして、保全管理人を選任して経営権、財産の管理・処分権を掌握する、言わばそういったものに現経営陣をタッチさせないと、こういう仕組みがございます。ただ、現経営陣にそれほどの問題はない、しかし任せっきりで自由にやらせるわけにもいかないと、こういう場合が当然あり得るわけでございます。そういう場合に備えましてこの監督命令という仕組みを作っているわけでございまして、原則として現経営陣に事業経営あるいは財産管理をしてもらうけれども、会社の行う重要な行為についてその第三者である監督委員の監督を必要とする、その同意がある場合にできると、こういう仕組みを作っております。これを監督命令ということでございます。
○浜四津敏子君 それでは次に、会社更生手続の申立てがされた事件について更生手続開始の決定をするかどうかという段階について質問をいたします。 現行法では、裁判所は更生の見込みがないときは更生手続開始の申立てを棄却しなければならないとされておりまして、更生の見込みというのが手続開始の条件とされております。今回の会社更生法案では第四十一条におきまして、手続の開始要件から更生の見込みというものを削除しております。手続開始という早期の段階で更生の見込みがあるのかどうかという経営的判断を裁判所に要求するというのはかなり無理があり、迅速性も欠いていたと言われているわけで、したがってこれをやめて手続の迅速性を図るという目的は理解できます。しかし、これによって更生の見込みがない会社が、ともかく更生手続に駆け込んで不当な延命を図るといったような濫用あるいは弊害を生ずることがないのかについてお伺いいたします。
○政府参考人(房村精一君) 今回の改正におきましては、御指摘のように、申立てから開始決定まで時間を要することの要因となっております更生の見込みの判断、これを不要とする開始要件の緩和をしております。ただ、この開始決定をした場合に、更生の見込みがないことが明らかになれば、その手続の中で直ちに会社更生手続を終了させると、こういう仕組みになっております。 例えば、開始決定をいたしまして、会社の資産、負債の状況、収益力等の調査を進めます。その中で、遂行可能な更生計画案の作成の見込みがないと、こういうことが明らかになりますと、その段階で廃止決定に移行して、必要に応じて破産手続等へ移っていきます。また、更生計画案を作成いたしましても、関係人集会でこれが否決されてしまいますと、その段階でやはり廃止の手続の方に行きますし、計画案が可決されましても、裁判所が遂行可能な計画でないとして不認可といたしますと、そこでやはり手続は終了いたします。仮に、計画が認可されましても、その遂行過程で遂行される見込みがないことが明らかになれば、やはりその段階で手続が廃止される。 そういうことで、常に手続の中で更生の見込みの有無は判断をされまして、ないことが明らかになったら終了するという仕組みになっておりますので、開始の要件からこの更生の見込みを削除したとしても、これが濫用されるという心配はないと思っております。
○浜四津敏子君 次に、更生手続開始の公告等について、第四十三条に規定がなされておりますが、その二項によりますと、開始決定がされた場合において、現行法では更生手続開始の決定を知れている債権者に送達するということにされておりますが、この更生法案四十三条二項では単に通知すれば足りるということになっております。 従来、送達することとされていた手続を通知で足りるということで緩和しているわけですけれども、なぜこのように手続を改めたのか、その理由をお伺いいたします。
○政府参考人(房村精一君) 現行の会社更生法におきまして更生手続開始の決定をいたしますと、これは公告とそれから送達と両方するということになっております。この送達については、一応より簡易かつ低廉な通常の取扱いによる郵便によることが許容されているわけでございます。 ただ、この会社更生法の場合には関係する人が非常に多い、すべての債権者、株主等に対してこの送達をするということになりますので、費用を節減し、迅速な事務処理を可能にするということのためには送達方法を更に柔軟化すべきであると、こういう指摘がされていたところでございます。そういうことから、今回、送達ということから通知に改めまして、普通郵便だけでなくファクスであるとかEメールであるとか、適宜の手段によってその通知をすることを許容するということにしたものでございます。
○浜四津敏子君 会社更生法案百五十一条以降に更生債権及び更生担保権の確定のための裁判手続について規定があります。債権者が届出をした債権の額を管財人が認めなかった場合に、債権の額がどのように決められるかについては、債権者にとって大変重大な関心事項となってまいります。 そこで、会社更生法案においては、このように債権者と管財人との間に争いがある場合について、更生債権の額はどのような手続で決められることになるのかについて御説明願います。
○政府参考人(房村精一君) この会社更生手続の中で、債権の額について争いがありますと、それを確定いたしませんと弁済等もできませんので、従来はこの会社更生手続の中の債権の確定については訴えによるということしか認めておりませんでしたが、今回の改正におきましては、この手続迅速化の要請にこたえられることを目指しまして、更生債権の確定手続を査定決定という、訴訟に比べますと格段に迅速、簡易にできる決定手続による手続を新たに設けております。 ただ、この場合、決定という簡易な手続で最終的な権利を確定させるわけにはまいりませんので、この査定決定に対して不服がある場合には異議訴訟を提起できる、こういう二段階の仕組みとして関係者の権利の保護とそれから迅速な処理と、この要請を調和させるということを考えたものでございます。 査定手続におきましては、査定の申立てを受けた裁判所は管財人を審尋した上で更生債権の内容を決定すると、こういう手続でございます。これに不服がある当事者は異議の訴えを提起いたしまして、これは裁判手続において確定をいたしまして、判決があれば最終的に判決の内容どおりに確定をすると、こういうことになっております。
○浜四津敏子君 そして、更生債権の額が確定されますと、それを前提として更生計画案が作成されることになります。更生計画案は会社の再建方針の基本となる大変重要なものであります。その記載事項については百六十七条一項に絶対的記載事項が定められており、二項に相対的な記載事項が定められておりますが、これらの記載事項について少し具体的に説明していただきたいと思います。
○政府参考人(房村精一君) 更生計画案は、更生会社と更生債権者とそれから株主と、こういう関係人との間の権利関係を適切に調整するために作成されるものでございまして、正に更生手続の中核をなすものでございます。 この更生計画案の最も重要な内容としましては、更生債権者等の権利の変更、それから株主等の権利の変更、こういう権利の変更に関する条項を記載するということでございます。債権の一部カットあるいは猶予、こういった内容、株主につきましては減資等の内容になりますが、そういった権利変更に関する条項が中心になります。そのほか、更生債権者等に対しまして更生計画の遂行可能性等に関する情報を提供する、こういう目的から、更生会社の取締役等の役員構成、氏名あるいは任期でございますね、こういうこと。それから、将来、弁済すべき共益債権、あるいは債務の弁済資金の調達方法、こういった条項もこの計画には記載しなければならないとされております。 それから、任意的記載事項といたしましては、再建の手段として会社の分割あるいは合併というような組織再編行為を行う場合に、そのために必要な事項に関する条項を記載すると、こういうことになっております。
○浜四津敏子君 次に、更生計画案によって、債権者の債権は通常はカットされた上で繰延べ弁済されることになります。会社更生法案では、百六十八条第五項において、その繰延べ弁済の期間の上限を現行の二十年から十五年に短縮しております。 しかし、弁済期間が短縮されるということになりますと、債権者に対する弁済の総額が減額となって、債権者の利益を害するのではないかという危惧の声がありますが、この点についてはいかがでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 現行法は二十年の最長弁済期間を原則として定めているわけでございますが、ただ、これだけ変化の激しい時代に二十年というのはいかにも長いと、こういう指摘もございます。また、二十年も先の計画についてその遂行可能性を的確に判断することは困難ではないかと、こんな指摘もございますので、こういった指摘を踏まえまして、今回、二十年を十五年に短縮したわけでございます。 確かに、期間を短縮いたしますと、弁済の総額が減少するという可能性もあるわけでございますが、しかし同時に、長期の分割弁済ということと、弁済期間が短縮されることのメリットをどう考えるか、そこを債権者のそれぞれの御判断にゆだねるということは十分考え方としてはあり得ると思っております。 また、事情によりまして、十五年では余りにも短い、これを延長すれば、より多くの利益が債権者等にもたらすことが可能になると、こういうような特別な事情がある場合には、この十五年の期間を延長することもこの法律では可能としておりますので、そういった仕組みを活用すれば、最終的にこの改正によりまして債権者の利益が害されるということはないだろうと思っております。
○浜四津敏子君 今の御答弁の中にありました原則十五年、ただし更生計画の内容が更生債権者等に特に有利なものになる場合、その他の特別の事情がある場合には二十年と定めておりますが、ここで言う、百六十八条五項の中で定めてある特別の事情というのは具体的にどういうような事情を言うんでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 例えば、十五年以内の弁済計画では破産した場合の弁済額、清算価値、これを上回ることが困難である、しかし二十年に延ばせば、その清算価値を上回る弁済が可能になる、こういうような場合もあろうかと思いますし、また、元々債権の弁済期間が長いということによりまして、十五年を超え二十年の範囲内で定めたとしても、そのことによって元々の債権の弁済額が増えるということであれば特段の不利益はない、そういった事情を考慮いたしまして、延長することも可能だということでございます。
○浜四津敏子君 更生計画によりまして、債権者は通常、債権の大幅カットを受けるということが行われるわけですけれども、そうしたこととのバランスから考えても、そういう事態を招いた会社の経営者の責任というものは厳格に追及されるべきものと考えられます。 改正案では、取締役が管財人として続投する道が開かれております。旧経営陣は退陣するのを原則とするという運用をすべきではないかと考えられますけれども、この会社更生手続において、旧経営者の、旧経営者といいますか、経営者の責任はどのように追及されることになるんでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) この会社更生手続の中におきまして、いわゆる旧経営陣の責任追及の仕組みでございますが、これにつきましては、まずは管財人が選任されますと経営権、それから財産の管理・処分権を失うという形で従来の経営者としての地位が事実上失われるということが仕組みとして定められております。 それから、具体的な損害賠償請求ということにつきましては、商法によりまして取締役等の損害賠償義務が法定されておりますが、この損害賠償請求権の行使につきましては、訴訟によらずに手続内の査定決定という簡易な手続によって追及するという道が開かれております。 さらに、この査定決定によって損害賠償請求をするために、経営者の有しております財産等を保全する必要があって、保全処分をするということもこの更生手続において定められておりますので、通常の場合に比べますと、相当簡易、迅速な手続によってその責任の追及が図られるということになります。 また、そういう違法な行為をいたしました経営者につきましては、刑法上の詐欺罪、あるいは商法上の特別背任罪はもちろんでございますが、そのほか詐欺更生罪という特別法、この法律による刑罰法規も予定されております。
○浜四津敏子君 次に、更生計画案の提出が裁判所になされますと、第百八十九条によって裁判所は原則としてその更生計画案を決議に付する旨の決定をするということになっております。債権者としては、これに同意するか否かということにつきまして議決権の行使を通じて表明することになるわけでございます。この議決権行使の方法に関しまして、従来は関係人集会を招集しなければならないとされておりましたが、改正案では書面等投票による議決権行使を認めております。 この議決権行使の方法に関してどのような改正がなされているのか、少し詳しく御説明願います。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、現行法におきましては、この会社更生計画の関係人集会を開きまして、その議決をするということが義務付けられております。 そういたしますと、遠隔地に居住しているために関係人集会に出席することが事実上困難な更生債権者等は、議決権行使の機会が事実上与えられないということにもなりかねません。また、非常に大規模な株式会社などになりますと、著しく多数の更生債権者がいるために関係人集会を開催すること自体が困難、あるいは開催をしてみても会議体として機能しないと、こういうこともあり得るわけでございます。 そのようなことから、今回、この更生債権者等の議決権行使の方法につきましてもう少し柔軟化をするということから、関係人集会に出席して議決権を行使するという従来の方法に加えまして、会議を開催することなく、書面等によって議決権を行使させる、いわゆる書面決議でございます。こういう方法を設けました。 またさらに、関係人集会は開催するものの、これに出席して議決権を行使するか、あるいは書面等によって議決権を行使するかの選択を認めると、こういう第三の道も用意いたしまして、この関係人の更生債権者等の人数あるいは関係人集会に出席するために要する費用等の諸要素を考慮いたしまして、裁判所がこの三種の中から適切な方法を決定すると、こういう仕組みにいたしました。
○浜四津敏子君 次に、第百九十三条第二項では、「議決権者は、その有する議決権を統一しないで行使することができる。」と定められております。 例えば、百万の議決権を持つ債権者は、そのうち五十万を賛成、五十万は反対と、こういう不統一の行使をすることができるということになるわけですけれども、なぜこうした不統一行使の制度を設けることにしたのか、その制度の趣旨についてお伺いいたします。
○政府参考人(房村精一君) 今回、議決権の不統一行使を認めることといたしました一番大きな理由は、サービサー、いわゆる債権回収会社でございます。これは委託を受けまして債権の回収等に当たるわけでございますが、その更生会社に対する債権を多数の依頼者から委託を受けて行使することがあり得るわけでございます。そういたしますと、そのサービサーに依頼をしております者の意思をサービサーとしては尊重しなければならない。そういうことから、サービサーの議決権行使に当たりまして、その依頼者の意思を反映できるように、必ずしも統一して行使しなければならないとするものではなくて、不統一で行使をできるようにすると、こういうことを考えたものでございます。 ただ、この不統一行使を無制約に認めますと議決権行使の結果の集計事務等が混乱いたしますので、この手続の円滑の観点から、裁判所の定める期限までに裁判所に対して書面でその旨を通知しなければならないという手続的な制約は課しております。
○浜四津敏子君 次に、百九十九条では、「更生計画案が可決されたときは、裁判所は、更生計画の認可又は不認可の決定をしなければならない。」と定められております。その同条二項には、更生計画認可の決定をしなければならない場合を定めております。また、三項以下にも、認可の決定をすることができる場合、あるいは不認可の決定をしなければならないといったようなことについてそれぞれ規定をされておりますが、これ、裁判所にお伺いいたしますが、実務上、裁判所は更生計画を認可するかどうかということをどのような資料に基づいて、またどのように判断されるんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(千葉勝美君) 更生計画案の認可についての審理方法につきましては法律上、特段の定めはございませんけれども、裁判所は通常、更生計画の内容自体に加えまして、更生会社の財産状況についての管財人の報告、そのほか更生債権者やスポンサーなどの利害関係人が関係人集会の席上で又は書面で述べた意見等を総合的に考慮をして、更生計画案がこの法案百九十九条所定の各事由を満たしているかどうかということを審査することになるということでございます。
○浜四津敏子君 次に、第二百三十九条には、更生手続終結の決定についての規定がなされております。「次に掲げる場合には、裁判所は、管財人の申立てにより又は職権で、更生手続終結の決定をしなければならない。」とありまして、その一号に「更生計画が遂行された場合」、その二号に「更生計画の定めによって認められた金銭債権の総額の三分の二以上の額の弁済がされた時において、当該更生計画に不履行が生じていない場合。」と定められております。 会社更生手続の終結時期の早期化を図っているものと考えられますが、手続の迅速化という目的の合理性については理解できますけれども、そうしますと、手続が終結した後に会社が弁済を遅滞する事態が生ずる可能性が否定できません。 そこで、そうした場合に債権者としてはどのような手段を取ることができるのかについてお伺いいたします。
○政府参考人(房村精一君) 会社更生手続が終結いたしますと、更生会社は裁判所の監督の下を離れまして一般の株式会社と同様の法的地位に戻ります。そうなりますと、債権者と更生会社との法律関係も一般的な債権者、債務者の関係ということになります。 したがいまして、手続が終結した後に会社が弁済を遅滞した場合、債権者としては一般の債務不履行の場合と同様の手段を取り得ることになりますが、更生計画の場合には更生債権者表あるいは更生担保権者表の記載が確定判決と同様の債務名義となりますので、その債務名義に基づいて強制執行をするということは可能でございます。
○浜四津敏子君 次に、裁判所にお伺いいたします。 会社更生手続は大企業を対象とした手続でございまして、その運用には経済、経営に関する専門的知識が要求されると考えられます。そうしますと、一般的には、そうした知識が必ずしも十分とは言えない裁判官の方が会社更生手続を円滑に運用するためには研修等の措置が必要であると考えます。その点はいかがでしょうか。 さらに、弁護士会でも人材の育成あるいは研修、情報、ノウハウの共有などに向けて取組が始まっていると伺っておりますが、裁判所においても、裁判所内だけではなくて、弁護士会とかあるいは公認会計士とか、関連する方々との連携を図りながら倒産法制の実務について講習会を開くなど、専門家の育成にイニシアチブを取られてはどうかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(千葉勝美君) 企業というのは生き物でございまして、いろんな経済情勢に対応して迅速に適切な対応をしていかなければ経営を続けることはできないわけでございますが、こういう企業の再建を目的とします会社更生手続におきまして、裁判所といたしましてもその円滑な運用をするために節目節目で法的な判断をする必要が出てくるわけでございますが、そういう法的判断の前提として一定の経済的あるいは経営的な問題についての理解、知識、そういったものが必要であるということは委員御指摘のとおりでございます。その辺、我々、十分認識はしております。 それで、これまでも裁判所に対する研修ということで、倒産事件に関する専門性を高めるためのカリキュラム、これを例えば司法研修所においてなどでございますけれども、いろいろ実施をしております。専門部の裁判官や学者による講義をする、あるいは専門家を交えた共同討議を行うなどしてそういうノウハウを十分蓄積できるようにする。それから、各裁判所の中におきましても、例えば東京、大阪などでは既に勉強会、研究会など、適宜開催をしまして、こういう専門知識を身に付けるための研さん、こういったものを考えて現実に行っているところでございます。 委員御指摘の裁判所外部での弁護士、公認会計士、そういう関係職種の方々との連携、これも大変重要なことでございます。裁判所が核になってというのがいいかどうか分かりませんが、裁判所としてもこの点の問題意識を十分持っておりますので、手続の円滑な運営のために必要な、法曹だけではなくて、関係職種の方々の連携を図るための勉強会、これも十分考えているというところでございます。
○浜四津敏子君 続いて、裁判所にお伺いいたします。 民事再生法に続きまして今回の会社更生法の改正により、日本は制定法による企業再建が活発になるとの予測及び期待が寄せられております。これでアメリカに次いで世界第二の再建法大国になる可能性があるという指摘がございますが、そうなるためには、ただしという条件が付いているようでございます。それは、裁判所が硬直的な運用をしなければ世界第二の再建法大国になると、こういう条件付だと言われております。 そこで、こうした期待にこたえるためにも裁判所には是非、会社更生法の立法趣旨に沿った柔軟、迅速な運用をお願いしたいと思っておりますが、その点について裁判所の取組への御見解をお伺いしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(千葉勝美君) 大変大きな御質問をいただきました。 先ほど申し上げましたけれども、企業は生き物でございまして、その再建を図る手続を上手に運用していくというのは大変なことでございます。硬直的な運用というものがあってはいけないわけでございます。 裁判所といたしましては、今回の会社更生法の改正の理念、これは手続の迅速化、合理化を通じまして会社更生手続を現代の経済社会に適合する機能的なものにすることにあるということでございますので、これを踏まえまして事案の実情に応じて適切な運営をしていくと、こういう点で努力をしていきたいと思っております。
○浜四津敏子君 ありがとうございます。 以上で終わります。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。 大臣は、十月二十九日の当委員会での所信表明の中で、今回の会社更生法改正の目的について、喫緊の課題である不良債権早期処理の環境を整備することができる、こう述べられました。不良債権の処理は必要でありますけれども、これを無理やり早期にやるということは中小企業を倒産に追い込み、景気の悪化を招き、ひいては新たな不良債権を作るという悪循環に陥るということを私どもは指摘をしてまいりました。 実際、この一年間で十兆円、不良債権処理されましたが、新たに二十兆円が発生をしたと、逆に十兆円増えた、このことを見ても問題は明らかだと思います。にもかかわらず、今、この不良債権処理が加速をするということが小泉政権の下で行われている。なぜかということを私ども、今国会、予算委員会等でも追及をしてまいりました。その背景にはアメリカの対日要求があるんだということでありますが、さらに振り返りますと、この間の一連の商法の改正、倒産法整備などなどもアメリカのいろんな要求が背景にあります。 九〇年六月の日米構造協議の最終報告を踏まえまして、政府は直接投資の開放性に関する声明というのを発表しております。その後、九四年に総理を議長とする対日投資会議が作られました。この会議の九九年の専門部会の報告を見ますと、外国企業のMアンドAの円滑化のための合併手続の簡素化、会社分割制度の導入、倒産法制の整備などに日本が取り組んできたということも報告で書かれているわけであります。 この間のこういう一連の商法の改正、倒産法制の改正の背景の一つにこのようなアメリカの対日要求があったということをまず確認をしておきたいんですが、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 倒産法制の整備といたしましては、最近、民事再生法の制定、個人債務者向けの督促手続の創設に伴う民事再生法の改正及び外国倒産処理手続の承認援助に関する法律の制定、そして今回の会社更生法の全面改正などが行われております。また、商法につきましては、合併、株式交換、会社分割等、組織再編の円滑化に資する改正、金庫株の解禁、新株予約権の創設など、資金調達の円滑化に資する改正、委員会等設置会社の創設等、企業統治の向上に資する改正などが行われてまいりました。 このうち倒産法制の整備につきましては、複雑化、多様化する現代社会における社会経済の高度な発達に伴う大規模倒産事件、国際倒産事件、消費者倒産事件、中小企業等の再建への対応という観点から行われてきたものでございます。また、商法改正につきましては、企業間の国際的な競争の激化を始めとする我が国の企業をめぐる社会経済情勢の変化に対応するために、我が国の会社にとって使いやすく、かつ合理的な制度を構築するという観点から行われてきたものでございます。 このように、いずれも我が国の社会経済情勢の変化に適切に対応するために改正が行われたものでございまして、アメリカによる対日要求に基づいて改正が行われたというものではございません。
○井上哲士君 昨年、対日投資シンポジウムというのがありまして、各五つの省庁から政策立案者がパネリストとして参加をしております。法務省からも参事官が出席をされておりますが、この中で、米国の一九七八年の倒産改革法、いわゆるチャプターイレブンをモデルにした倒産法制の改革をして、見込みのある企業の再生がしやすくなるとともに、見込みのない企業の市場からの撤退がスピードアップされた等々、発言をされておりまして、やはり一連の改正が、このシンポジウムの発言にありますように、対日投資の拡大という文脈の中に位置付けられてきたということは私は明らかだと思うんですね。 その中で、ではこの不良債権の処理というのがどういう位置付けにあるのか。九月にブッシュ大統領との日米首脳会談に基づきましてこの加速ということが言われました。 今年の一月の十七日にブッシュ大統領から小泉首相に親書を出したということを二月の朝日新聞が報道をしております。この中でブッシュ大統領は、銀行の不良債権や企業の不稼働資産が早期に市場に売却されていないことに強い懸念を感じる、私は、日本が不良債権を処分し、塩漬けになっている資金や企業の不稼働資産を解き放ち、最も効果的に資産を活用できる人たちの手にゆだねて機能を回復させることが必要だと信じていると。 要するに、早く処分をして不良債権を市場に解き放てということを強く要求しているわけですが、今回のこの会社更生法の改正について不良債権早期処理の環境整備と言われたわけですが、こうしたアメリカの対日要求というのも背景の一つとして踏まえたものだと、こういう点ではいかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 会社更生手続を始めとする法的倒産処理手続は、私的整理、不良債権の売却と並びまして金融機関の有する不良債権を直接処理する手段の一つでございます。したがいまして、御指摘のとおり、今回の改正によりまして会社更生手続の迅速化及び合理化等が図られ、使い勝手が向上すれば不良債権処理の迅速化により一層大きな役目を果たすということになります。 しかしながら、今回の会社更生法の改正は、現行の会社更生法に対してされている、手続が厳格に過ぎる、時間が掛かり過ぎるというような批判や、企業再建のための手法をより一層整備すべきであるとの指摘にこたえるためのものでございます。すなわち、会社更生手続の迅速化を向上させ、あるいは再建手法を強化するための様々な改正を行いまして、経済的に苦境にある株式会社についてその事業の維持更生をより一層合理的かつ機能的に図ることを目的としているものでございまして、アメリカからの不良債権処理の早期化の要請に基づくものではございません。
○井上哲士君 法改正のいろんな流れについてお話がありました。ただ、今、現実の問題として先ほど述べたような対日要求があって不良債権の加速ということを小泉政権が約束をしている、そういう中でこの法律が出てきていると。この政治的位置付けといいますか、このことは明らかだと思うんですね。 今年六月の日米投資イニシアチブに関する共同報告書ということが出ておりますけれども、この中でも今後の課題として、アメリカ政府は資産を購入しようと待機している資本が多く存在していることに触れつつ、不良資産を市場で今すぐ流動化させるための骨太の行動を強く奨励した、これに対して日本は日本の買収マーケットが急速に発達している現状を紹介したと、こういうことがこうした公式の文書にも出ているわけであります。 そして、これ、いろんな民間のところからも指摘をされておりまして、例えば東京商工リサーチの担当者が最近、雑誌に書いておりますが、なぜ直接償却を急ぐのか、不良債権があるから資金が円滑に流れない、企業再生のためと言われていますが、そうではないと思う、アメリカが直接償却を急がせるのは再生ビジネスという外資企業にとっておいしいビジネスが出てくるからでしょうと、こういうふうに述べております。 実際、この間、こうした資本が日本でやっていることを見ますと、宮崎のあのシーガイアの問題が随分話題になりました。リップルウッドが買収をしたわけですが、実質百八十億円の買収であります。債務総額の三千二百億のわずか六%、初期の設備投資額二千億円の十分の一にも満たない金額でありました。「財界九州」という雑誌を見ておりますと、投資額と比べると買いたたかれたとの見方も当然かもしれないと、こういうふうに言われておるんですね。 ブッシュ大統領は、親書で、最も効果的に資産を活用できる人たちの手にゆだねると、不良債権を、こういうふうに、そして機能を回復させるべきだと、こういうふうに言っているわけですが、今、日本で行っているようなこうしたアメリカの投資ファンド等の動きをどのように評価をされているか。いかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 経済がグローバル化しておりまして、外国の様々な資本が日本の市場ということに注目しているということも現実だと思います。 最近の会社更生事件や民事再生事件におきましては、御指摘のとおり、外資系の企業が更生会社から営業譲渡を受けてその更生を図るというケース、スポンサーとなるという事例が増えているということはおっしゃるとおりでございます。 しかしながら、どのような企業がスポンサーとなるかの選定は、会社更生手続又は民事再生手続において、例えば外資系企業への営業譲渡につき、債権者等の多数決による同意を得て、又は裁判所の許可を得ることなどによりまして適正に行われているものでございまして、御指摘のようなことは当たらないと思います。
○井上哲士君 経済のグローバル化は、それは私どもも否定をしませんし、公正なルールの下でそれぞれの経済が発展していくのはそれは当然だと思うんです。しかし、一方的に日本国民の犠牲を強いるような形でこれが行われることになりますと、これは大問題であります。 新生銀行という銀行がありますが、これは旧長銀がつぶれたときに政府が三兆円の税金を使って不良債権を全部きれいにしました。これもやっぱりリップルウッドがたった十億円で買ったということで、これも大問題になりました。これがどういう銀行になっているかといいますと、今、国内向けの貸出しは、二〇〇二年三月末で四兆八千億円、二〇〇〇年三月末の七兆五千億円に比べまして二兆五千億円も貸出し、減少しているわけですね。去年の十月に業務改善命令を受けた第一号の銀行になっているわけであります。 いろんな雑誌でも、八兆円ビジネスが目を付けた日本の不良債権とか、様々な雑誌でこうした活動が指摘をされておりますが、日本の金融をこうした米国の大手投資銀行の支配下に置く、その下で不良債権を早く市場に出してハゲタカファンドのえじきにしていこうと、こういうような思惑がある中で、やはり今回の改正がこういうハゲタカファンドと言われているような企業の横暴などを更に加速をするということになるおそれがあると私は思うんですが、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 御指摘のような外資系のファンドが更生手続に関与する形態といたしましては、新株の引受け又は営業譲渡の譲受人となることが多いと承知しております。しかしながら、これらにつきましては、いずれも更生計画による場合は、債権者等の利害関係人の法定多数の同意を要するということになっておりますし、更生計画の認可前に、更生計画によらない営業譲渡による場合には、裁判所の許可を得るべきことになっております。 したがいまして、会社更生法上はその適正さを担保する手続的な手当てがされているというふうに考えますので、御指摘の外資系ファンドの横暴を許すということにはならないと思います。
○井上哲士君 アメリカが大統領を先頭に日本の市場を、先ほどの親書にありますように、ねらっているというときに、およそ危機意識がないというようなことは私は大変残念な御答弁だったと思います。 その上で、いわゆるモラルハザードの問題についてお尋ねをします。 民事再生法ができたときに、本来の立法趣旨は中小企業の再建手続を定めるものでしたが、実際には大企業の手続に随分使われまして、いわゆる経営者のモラルハザードが問題になってまいりました。なぜ、本来、会社更生法を申請すべき大会社までこの民事再生法に雪崩を打ったのかと。当時、青木建設の社長が記者会見で述べた発言が典型的でありますが、申立てから手続開始までの時間をできるだけ短くして事業を続けたかった、現体制で仕事を続けるのが一番いい道だと思ったと、こう発言をされまして大変ひんしゅくを買ったわけであります。 要するに、今の経営陣が責任を問われることなく残れるということが大企業がこの民事再生法に走った最大の理由だったと思うんですが、中小企業の再生を期した法の理念がねじ曲げられている、乱脈経営の責任から逃れ、零細な債権者が泣きを見る、大企業のモラルハザードだと、こういう指摘について大臣の御所見をお願いします。
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるように、合理的な理由がないのにもかかわらず、大企業が民事再生手続を選択してモラルハザードを生じているのではないかと指摘されたケースがあることは承知しております。 しかし、民事再生法の施行後、二年を経過いたしまして、民事再生法の制度、内容が周知されるにつれまして、会社更生手続でなければ大企業の抜本的な再建は困難であるという認識が一般化してきていると考えられます。 現に、最近では、当初は民事再生手続の申立てをしながら、後になって会社更生手続に移行した事例も少なくございません。さらに、今回の改正によりまして、会社更生手続はより迅速化、合理化されまして、使い勝手が大幅に向上いたしますので、大企業の再建は会社更生手続によるべきであるという方向性は今後一層確立されていくものと考えます。
○井上哲士君 今後の状況を見るということも言われましたが、ただ、当時、この民事再生法が議論をされたときの質疑を見ておりますと、法制審の竹下守夫さんが参考人質疑にも出ておられますが、法人たる債務者の役員のモラルハザード防止のためにその責任追及手続を整備をしたと陳述もされまして、当時の大臣も、手続濫用防止の措置が十分に講じられていると、こう答弁をされましたけれども、実際、相当数の大企業がこれに殺到したということを見ますと、この濫用防止措置が十分に機能してこなかったんではないかと。この点どうでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 民事再生法におきましては、特に中小企業におきまして、経営者が有する事業上のノウハウとか取引先との信頼関係、こういうものが事業を維持、継続していく上に非常に必要な場合が多いということを考えまして、原則として従来の経営者が手続開始後も経営に当たるといういわゆるDIP型の手続を取ったわけでございます。 ただ、そうなりますと、御指摘のようにモラルハザードを招くのではないかと、こういう懸念が生ずるわけであります。それに対しまして、民事再生手続におきましては、まず基本的に、債務者である企業は一方的に債務の減免を受けられるというものではございませんで、事業を再生させるかあるいは清算させるかと、こういう判断は最終的に債権者の意思にゆだねられておりまして、債権者の多数の同意を得ることができるような弁済率あるいは弁済方法を定めた再生計画を作成する必要があるという仕組みになっております。 また、債権者等から退陣を求められた場合には、経営者が債権者の多数の同意を得るために退陣に応じざるを得ないということもあり得るわけでございますし、また再生法上も、裁判所が従来の経営者に代えて管財人を選任するという管理命令の制度も設けられております。 このほか、経営者の損害賠償責任を簡易、迅速に追及するための損害賠償請求権の査定の制度、あるいは財産を隠匿した場合の刑事罰の整備、こういったこともなされております。 そういう意味では、民事再生手続におきまして経営者のモラルハザードを抑止するための様々な手段は用意されておりまして、これらが適切に活用されれば、原則として従来の経営者がそのまま経営を続けられるという仕組みを取ってはいるものの、そのことを理由にモラルハザードを招くことはないと、こう考えております。
○井上哲士君 民事再生法の議論のときもそういうような御答弁をされているわけですが、しかし現実にはいろんなところでこれはモラルハザードだと指摘をされるような事態がこの間続いてきたわけです。その上で、今回、会社更生法の改正の中に取り入れられてくるわけですね。 実際、去年の三月に経済産業省が商事法研究会の協力を得て行ったアンケートでも、これは三百五十九社のうち八二・五%が民事再生法のマイナス評価として経営者のモラルハザードの懸念、これを挙げているわけですね。にもかかわらず、今回にもこういうことを起こしかねない規定が取り入れられると。 衆議院の参考人質疑でも竹下先生がやはりモラルハザードが生じる危険があるということは認めていらっしゃるわけですが、こういう懸念が既にたくさん出ているにもかかわらず、そして民事再生法でも起こったにもかかわらず、なぜあえて今回の改正案に盛り込んだのか、この点いかがでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 今回、会社更生法は、基本的な構造といたしましては、裁判所が管財人を選任するということで再生法とは異なる手続構造を取っております。そういう意味で、基本的考え方として民事再生法の経営者がそのまま居残るという場合とは仕組みが違っているということはまず申し上げられるかと思います。 御指摘の点は、この管財人につきまして、直接的な経営責任がない者を管財人に選任できるという規定を今回特に設けたことに関連してと思われます。この点につきましては、現行の会社更生法は管財人の資格について特段の規定を置いておりませんで、「その職務を行うに適した者のうちから選任しなければならない。」としているのみでございます。ただ、実際上の運用といたしましては、更生会社の旧経営陣は経営に関与していたと、この一事をもって一律に管財人に選任しないという運用が定着していると承知しております。 ただ、その旧経営陣と申しましても、例えば会社がおかしくなって、支援企業から再建のために送り込まれ、再建計画を中心となって樹立したと、こういうような人もいるわけでございます。そういう再建計画に基づいて会社更生法が申立てをされたときに、その人の能力あるいは経験というものを管財人として活用をしたいということを裁判所が考える場合も十分あり得るわけでございますので、そういう場合に備えまして、今回、会社更生法案において更生会社に対して商法上の義務違反等によって損害賠償義務を負う者、そういう者は管財人に選任することができないという規定を置くことにおきまして、逆にそういった欠格事由がなく、かつ能力的にその管財人にふさわしいと、こう裁判所が認める場合には旧経営陣にいた人間であっても管財人に選任できると、こういう道を開こうとしたものでございます。
○井上哲士君 今ありましたような欠格条項を規定をしてやるわけですが、これ具体的にはどういうような運営を裁判所はやられるのか、この点いかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(千葉勝美君) 一般論として申し上げますと、申立てに至る経緯や取締役への就任時期、取締役としての活動内容等、総合判断をいたしまして、経営責任があるかないかということを判断していくということでございます。 判断に当たりましては、これも例えば今、法務省の民事局長が挙げた例を使わせていただきますと、事前に経営陣が退陣をして申立ての直前にスポンサーから有能な取締役が派遣されていると、そういうような経緯がもしあるとすれば、そういう経緯を示す資料を出させる、あるいは債権者等の意向を聴く、それから監督員による管財人の適性の調査をする、それから経営責任の有無について調査委員による調査を事案において活用すると、そういったようなことが一般的に考えられるわけでございます。 今回の改正は、優れた経営能力を持つ者で当座に至ったことについて責任のない取締役について、人材の有効活用ということを図るためにこういう取締役、経営責任のない取締役を管財人に選任できるということを明確にしたものというふうに理解しておりますので、そういった改正の趣旨に沿った運営が確保されるように努力していきたいと考えております。
○井上哲士君 逆に、なれない欠格条項としては、損害賠償の査定を受けるおそれのある取締役ということになるわけですが、これは商法二百六十六条に基づく損害賠償責任が問われる場合だという御答弁が衆議院でもあるわけですが、具体的にはどういう場合か、典型的な例などいかがでしょうか。 〔委員長退席、理事荒木清寛君着席〕
○最高裁判所長官代理者(千葉勝美君) 裁判所としてお答えできますのは、典型的な場合というよりはむしろ実際にあった事例ということでお答えさせていただきたいと思います。 倒産した企業の取締役で倒産法上の損害賠償義務について査定手続が行われて、委員御指摘の商法二百六十六条等の損害賠償責任が認められた裁判例、最近三年ほど公刊物に登載されているものを調べますと二件ございまして、一つは平成十二年十二月八日に東京地裁でされました、これは民事再生法に基づく査定決定でございますが、これは大手百貨店そごうに関しまして、過去にこの会社の取締役の地位にあった十九名に対する損害賠償義務の査定の申立てがされて、これを認めたものでございます。中身は、関連会社との架空取引によって生じた損害とか、回収可能性についての慎重な配慮を欠いて外国法人へ追加融資をしたということによって生じた損害、それから配当可能利益がないにもかかわらず違法な配当をしたことに基づいて生じた損害ということで、六十億円余、合計六十億円余の損害を会社がこうむったということで、商法二百六十六条の責任を認めたというものでございます。これは十九名の十七名に対してその関与の度合いに応じて損害賠償義務を肯定したというものがございます。 それからもう一つは、平成十三年三月二十二日に東京地裁でされました更生特例法に基づく損害賠償請求権の査定決定というのがございます。この事件は千代田生命保険相互会社でございまして、これが過去に行って回収不能になりました三件の融資について、この融資自体が保険業法に定める他業禁止規定に違反する、あるいは回収可能性に関する審査が不十分であったと、こういう点で取締役でありました四名の守秘義務違反というものを認めまして、合計で約七十一億円余の損害賠償義務を肯定したというものでございます。 こういう例が挙がっております。
○井上哲士君 ですから、実際には非常に厳格に規定をされておりまして、大変例が少ないわけですね。株主代表訴訟などを見ておりましても、この間和解になったものなどでいいますと、総会屋への利益供与であるとか、談合による課徴金であるとか、独禁法違反だとか、こういうものに非常に限られております。ですから、非常にやはりこれでいきますと範囲は狭くなっていく。本来、取締役の経営責任というのはこういったものだけに限定をされるわけでないのに、実際にはこれが残る道を開くという仕組みになっております。 〔理事荒木清寛君退席、委員長着席〕 準大手の青木建設は、随分過去にも問題になりましたけれども、建設省の天下りの社長が再生計画の策定に当たって債務免除も受けた、途中で再建計画がとんざをして、去年十二月に民事再生法の適用を申請をいたしましたが、依然として経営陣に残って社会的な批判を浴びましたが、経営を続けて、今年四月には辞任するということが明らかになっております。当然のことだと思うんですね。 現行の会社更生法ではこうした経営陣というのは当然排除されるわけですが、改正案では残る道が開かれると。一体これで社会的な納得を得られるんだろうかと。民事再生法の下で助長されたモラルハザードというのが拡大することになるんではないかと私は思います。 日本経済の大きな問題として、大企業の社会的責任の欠如というのは、この間の雪印グループとか日ハムの問題、東京電力の問題、目を覆いたくなるような不祥事が相次いでいるわけですね。いろんなやはりモラルハザードというものが日本の経済界の中にあって、それが民事再生法で私はやはり助長をされたと思います。経営責任を問われないような仕組みを作ってもらった、そこに飛び付いたというのが実態だったと思うんですね。 そんなときに、今回、こうした会社更生法の中にもこういうモラルハザードを助長するような仕組みを作るということは、日本経済の将来にとっても非常に重大な問題になりかねない、そのことを指摘いたしまして、質問を終わります。
○平野貞夫君 この会社更生法の全面改正の議論の前提としまして、会社法を始めとする企業立法の意味といった基本問題について政府当局に尋ねたいと思います。 最初に、法務大臣、今回の会社更生法の全面改正のねらいといいますか理念、理由じゃありませんよ、これはどういうところにあるんですか。
○国務大臣(森山眞弓君) 現在の会社更生法は、先ほどもお話が出ましたが、昭和二十七年に制定された後、昭和四十二年に手続の濫用防止等の観点から一部改正が行われた以外には、特段の見直しがされないで現在に至っているわけでございます。 しかし、この間の社会経済情勢の変化は大変に大きなものがございまして、特に近年は、会社更生法がその利用対象として想定する大規模な株式会社の倒産事件が激増している状況にございます。このような状況の下で、現行の会社更生法が定める会社更生手続に対しましては、手続開始の申立てから手続の終結に至る各段階の手続が厳格過ぎまして、更生計画の成立に時間が掛かり過ぎてという批判がございましたり、企業再建のための手法をより一層整備すべきであるという御指摘も多々あるわけでございます。 そこで、会社更生法を全部改正いたしまして、経済的に苦境にある株式会社について、その事業の維持更生をより一層合理的かつ機能的に図ろうとしているものでございます。
○平野貞夫君 同じ答弁を今朝から何回かなさっておるんですが、それは提案の理由でしょう。私は、全面改正する会社更生法の理念はどこに置くべきかということを聞いておるんですが、大臣にこれ以上言いませんですがね。 社会経済事情の変化に伴いということが大体の企業立法の最近のまくら言葉になるんですが、私は、やっぱり一番大事なことは我が国に健全な資本主義社会を作ることといいますか、あるいは市場原理の暴走を抑えること、公正な商取引をやることというのが理念だと思うんですよ。ところが、そこのところをぽかっと外して、そこに共産党の井上先生が指摘する、対アメリカとの問題なんかのことを私は勘ぐるんですが、私、この全面改正された会社更生法に二つの側面があると思うんですよ。私は素人ですが、そういうふうに感じているんですが。 一つは、大臣が理由でおっしゃったとおり、やはり更生手続の簡素化によってより企業再生を効果的にする、これは必要なことだと思います。これはもっと早くやるべきですよ。法務省も怠慢だったと思うんですよ、それは、ほうっておくということについて。しかし、もう一方で、報道にもかつてあったんですが、米国流の短期決着、倒産とかの会社の再生に短期決着をする道を開くんだと。要するに、運用によっては、特に、来年できますか、産業再生機構、ああいうものとセットになって不良債権処理をだんだんやって、ハゲタカファンドによる日本のたたき売りの道具にも使われるかもしれない、運用によっては。そういったものを促進する側面も持っておると私は思うんですよ。皆さんは法律を抽象的に並べるのが仕事ですから、そこまで考えないかも分かりませんが。 となりますと、この法律というのは、もっと早く日本の企業のためにやるべきだったという面と、運用によってはアメリカ式市場原理中心主義、いわゆる強い者が弱い者を踏み付けるという効果も私は心配するんですよ。 そこで、そもそも会社更生法の全面改正が国会に提案されるまで、どういうプロセスで、いつごろからその要請があって、それに対して法務省が対応してきたかというところを、ちょっと簡単で結構ですから、説明してくれませんか。
○政府参考人(房村精一君) 先ほど来申し上げておりますように、会社更生手続そのものは昨年の三月から具体的な検討に入っております。ただ、これは平成八年から日本の倒産法制全体を見直す、こういう作業を進めております。 こういう倒産法制全体を見直すという作業を始めましたのは、御承知かとは思いますが、日本の倒産法制が非常に複雑になっております。清算型としては破産法、これはドイツに倣っております。昔は和議というオーストリアに倣ったものもございました。そのほか、会社更生が再建型として戦後、アメリカに倣ってできております。商法には会社整理あるいは特別清算というイギリスに倣った制度がございます。こういうものがそれぞれ母法を別にし、制定の時期も異なる、その手続の間の連絡も余り十分ではない、こんなことから日本の倒産法制が非常に分かりにくい、使いにくい、こういう御指摘を受けておりました。そこで、倒産法制全体を対象として、日本の実情に合ったものにするということで、倒産法制全体の見直し作業を始めたわけでございます。 当初は、そういうことで、全体として包括的な倒産法制を一気に作る、こういうつもりでいたわけでございますが、時代の変化が非常に速い、特に倒産が非常に増えているという実情から早急に対応すべきだ、こういう御指摘を受けまして、倒産法制の中でまず必要性の高いもの、そういう意味でいいますと、再建型としては当時、会社更生しかない、和議は非常に使いにくいということでしたので、そういう意味で大規模な株式会社に限定されております会社更生を補充する意味で、より広く一般的な再建手続、こういうものを整備することが緊急の課題だと、こういうことから、まず民事再生法を最優先で行いました。 民事再生法、幸い平成十一年にできまして、その後、次に問題になりましたのが個人でございます。特に、給与債務者あるいは非常に小規模の個人、こういったものについては、やはりまだ民事再生は企業を中心に考えておりますので、なかなか使いにくい、そういうことから、そういう小規模、個人を中心とする特例を設けるということで民事再生の改正をしたわけでございます。 これで再生型の一般的な手続についてはほぼ整備が終わりましたので、残っております大規模株式会社を中心とする会社更生法と、それから清算型の一般手続である破産法、この二つに次は焦点を合わせてその検討を続行してきたところでございます。その中で、会社更生の方がやはり早く進んでまいりましたので、これをこの国会にお願いをする、こういうことになった次第でございます。
○平野貞夫君 民事再生法との関連についてはまた後刻お尋ねしますが、平成九年以降、倒産関連法案というより、いわゆる商法関係の立法が物すごく、異常に増えているわけなんです。私も、十年昔、参議院議員になったときに、法務委員会に来れば、大体、裁判官の給与法ぐらいなものだというので。そうしたら、ここのところ、恐らく各委員会の中では一番法案審議していると思うんですが。 とにかく、一貫してぼんと出すことは無理だと思いますが、私が記憶しているだけでも、この五年間で会社関係法が十件ぐらいたしかやったんじゃないかと思います。それから、会社法以外のやっぱり会社関係の議員立法とか、そういうのも十件以上法律を作っておるんじゃないかと思いますが、私なんか法律の素人なものですから、質問するにも非常に困るわけですわ。 そこで、会社更生法の全面改正もその一環だと思うんですが、ちょっとおさらいになりますが、九年以降、会社法関係の改正が、主な改正のポイントを、どういう段取りでやってきたかということを説明してくれませんか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、平成九年以降、商法関係、非常に多くの改正がなされております。これは、やはり時代の変化、これが非常に急激であると、これに対応しなければならない、特に国際化、グローバル化が進んでいると、こういうこと。それらに対する対応をどうするかということから改正をしたものでございます。 その中で、まず企業の国際的な競争が激化した。そういうことから、企業の組織の柔軟な再編成によりましてその競争力を高める必要があるということで、会社の企業組織の再編成のための法制度の整備、これを何回かにわたって行っております。 まず、平成九年に合併手続の簡素合理化、これを行っております。これは、やはりグループ企業の再編成ということで合併法制が非常に利用されている、こういうことから、まず合併の手続の簡素合理化を行ったものでございます。次に、平成十一年には株式交換及び株式移転制度を創設いたしまして、これによって完全親子会社の創設を容易にすると、こういう改正を行いました。次に、平成十二年には会社分割制度の創設ということで、会社の営業を別会社に包括的に譲渡することを容易にすると。この三つの改正によって企業組織の再編成、これを柔軟に行えるようにしたと。これは一気に行うのはなかなか困難でございますので、それぞれのテーマごとに年度を分けて実施したものでございます。 それから、やはりそういう時代の変化に対応するために企業の資金調達、これの多様化が進んでおりますので、これに対応できるようにということで株式関係の制度改正を相当行っております。 代表的なものといたしましては、平成十三年に新株発行に関する規制の緩和あるいは種類株式の多様化と、こういった改正を行っているところでございます。また、平成十三年には自己株式の取得、保有、これの原則自由化という改正もなされております。これによりまして、経済構造改革の推進あるいは証券市場の活性化ということが図られることとなっております。 それから、あとは企業統治関係、これも企業統治の実効性を上げるということで、平成十三年には監査役の機能強化、取締役の責任の軽減等を内容とする改正が、これは議員立法でございますが、行われております。また、平成十四年には委員会等設置会社制度という全く新しい制度を導入するということによりまして、企業統治の実効性の確保を図る仕組みを作っております。 従来、多くの改正がなされておりますが、主なものとしては以上のようなものが挙げられると思っております。
○平野貞夫君 分かりました。私たちも大変だったですけれども、これ、準備する皆さんも本当に大変だったと思います。その御苦労は敬意を表しますが、今ざっと説明を聞いたところによると、国際競争の激化、そして社会情勢の変化というこの二つだと思うんですが、要するに今説明された流れというのは、日本の企業立法を整理して、グローバルスタンダードと言われるアメリカ式のものに切り替えていくという傾向が強かったと、こういうふうに理解してよろしいですか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、グローバル化が非常に進んでおります。これは、好むと好まざるとにかかわらず、もう巻き込まれている動きでございますので、我が国の企業がそういうグローバル化の時代の中で生き延びようと思えば、それに対応して競争力の強化を図らなければならない。そういうことから、私どもも企業の競争力強化のための法制度の整備をしているところでございます。 その場合に、やはり先進諸国の中でもそういう市場を中心とする法制度が進んでおりますのは米国でございますので、米国の制度ももちろん参考にはしております。ただ、これは内容のいかんを問わず、米国の制度を日本に移植するというような考え方で行っているわけではありませんで、そういったグローバル化あるいは社会の変化が進む中で、それに対して日本の企業としてどう対応するかという観点から、各国の制度を参考にしつつ、それなりに内容を煮詰めた議論をして整備を進めてきたつもりでございます。
○平野貞夫君 そうおっしゃることについては分かりますが、見方を変えれば、一連の商法関係の改正というのは構造改革に伴うもの、いわゆる規制の緩和でもあったというふうに理解してよろしいですか。
○政府参考人(房村精一君) そういう見方もあり得ると思います。やはり、特に市場の中で生き延びるということのためには、参加する企業がそれぞれ最も適切と思える方策を取り得るような、そういった法制度にする必要がある。その点、我が国の従来の法制度は非常に細かい規制を加えて動かし難いものとするという傾向がございました。 その点、今進めております改正内容、もちろん強行法規も随分ありますが、基本的な考え方としては、できるだけそういう当事者の創意工夫を生かして市場に適切に対応できるような柔軟な仕組みを作る、こういう観点で整備を進めているところでございます。
○平野貞夫君 そこなんですが、私もフリー、フェア、オープンというようなことをかねてから言って、規制緩和、規制撤廃をあらゆる部分でやるべきだという主張をしてまいりましたんですが、最近は、それだけでいいのかなという若干反省をしております。 国際経済の競争力の激化ということは、別な視点でいえば、これ、経済の戦争なんですよね、食うか食われるかと。アングロサクソン・ユダヤ・リセッションなんという、私は最近の世界経済というのは資本主義の変質といいますか、大変な時代に差し掛かっていると思います。 ですから、皆さんが苦労されて準備された商法関係の改正が常に後追いであったということ。これはそんなことに先んじてなかなか立法なんというのは難しいと思うんですが、それにしても後追い過ぎるということと、それからアメリカをモデルにした、全部が全部アメリカに従ったわけじゃないですけれども、規制緩和というやり方が、現在、アメリカで新しい既得権といいますか、新しい様々な社会問題を起こしていると。エンロンにしろどこにしろ、そういう問題が生じている。 規制緩和の結果、アメリカが大きく発展させたIT産業なんかの中で、特に会計検査の破綻だとか、それからアメリカのようなところにはないと思っていたクローニーキャピタリズム、縁故資本主義といいますか、元々アメリカは日本とか東南アジアは縁故資本主義だと言ってたたいたわけですから、それが、日本どころじゃない、アメリカの方に大きなやつがあったという、非常に資本主義というものの問題が露出しているんですが、法務当局としては、商法関連法律の改正について、一つの一貫した物の考え方ですか。それは後追いでもいいですよ、そういう哲学みたいなものは持っていたんですか。
○政府参考人(房村精一君) 哲学と言われますとあれですが、御指摘の規制緩和を進める必要があるということと、しかし同時に規制の緩和が不正の横行を許すようであってはならない。これは、私どもが商法に限らず法務省として現在進めております法整備の基本的な理念でございます。 商法においても、できる限り会社の選択の余地を広げて時代の変化に的確に対応できるような制度にしたいということと、しかし同時に、企業統治など適正、適法な企業運営がなされる、この確保のためには強行法規で義務付けるということも当然必要でございます。その調和を図りながら整備を進めてきたつもりですし、今後もそういう観点で整備を進めていきたいと、こう思っております。
○平野貞夫君 大臣、民事局長が苦労されていろいろ日本の企業立法について効率的、柔軟に、しかもある部分では厳しく社会の大きな変化に対応させようと、これからも。ばらばらばらばらに出してきているけれども、一定の時期になったら一貫した商法体系を作るという、そういうことでやっておると思うんですが。 素人がこんなことを言って誠に申し訳ないんですけれども、ここ五、六年の企業立法について私の印象を申し上げれば、柔軟かつ効率的な適用ということになると、どうしてもモラルハザードの問題にも係るし、それから腐敗といいますか、の問題にも係るし、また政治、政官財の癒着という問題もできるし、そういう意味で、不足している部分はそういう企業関係の犯罪の罰則といいますか、あるいは犯罪の概念を当然広げなきゃ駄目じゃないかと。そこら辺の罰則の設け方のところについては余りやられなかったというふうな印象を持っておるんですが、そこら辺の御見解と、今後どうするかという、今後どうしたらいいかということをお聞かせください。
○国務大臣(森山眞弓君) 今までお話がありましたように、国際的なグローバル化ということが進んでおりますし、我が国としても今までの事前規制型から事後監視型に変わらなければいけないということは局長からも申し上げたとおりでございまして、社会経済構造の変革の時代を迎えているというわけでございます。おっしゃいます規制緩和というのもそうした動きの一つでございます。 その一方で、各種の商取引に関係する特別背任事件とか、いわゆる総会屋に対する利益供与事件など、商法違反の行為もなお後を絶たないところが現実でございます。一般に、各種の犯罪における刑罰の在り方につきましては、その罪の罪質や他の罪の刑との均衡、その犯罪によって起きる被害の内容や程度など、様々な観点から総合考慮した上で決められるべきものでございまして、事案の内容に応じて適切な刑罰を科し得るものでなければならないと考えております。 商法違反の罰則につきましては、そのような観点から、平成九年の商法改正によりまして法定刑の引上げや罰則の新設が行われたところでございまして、今後とも国民が安心して暮らせる社会、ルールに従った健全な経済活動が営まれる活力のある社会を確保していくために、社会経済事情の変化に応じた罰則の在り方については十分今後とも意を用いてまいりたいと考えております。
○平野貞夫君 その辺、よく御研究いただきたいと思います。 そこで、民事再生法と会社更生法との関係の基本問題についてお尋ねしますが、たしかあれ、民事再生法を提案なさったときには森山大臣でしたよね。違いましたっけ。──じゃ、別ですか。 私が印象で残っていますのは、提案理由の中で、民事再生法の中で、この法律は中小企業に適用するものだというのを明確におっしゃったんですね。ところが、法文の中になかったと思うんですよ。しかし、それが一つの適用の基準だと僕らは思った。それから、できればあの時点でこの会社更生法の全面改正が行われて、セットで出されるべきだと、そういう議論も各先生方もやったと思います。 そこで、大きな問題として、いずれも倒産という言葉は悪いと言いますけれども、倒産立法ですわね。これは二つになっておるんですけれども、これは将来やっぱり統合してこの一定の基準を設けて、これは会社更生法、これは民事再生法と峻別を法律ですべきじゃないでしょうかね。今のまま併用させていたら、大会社だって民事再生法やろうと思ったら法律的にはできるわけでしょう。その辺どうなんですか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、確かに民事再生法、立法のねらいといたしましては中小企業を中心とした再生手続ということで考えたわけでございますが、ただ当時の日本の実情からいたしますと、大規模の株式会社向けには会社更生法がございますが、それ以外の広く一般の再建手続、そういったものの整備がなされておりませんでしたので、再生法はその対象を特に限定せず、会社に限らない、他の法人も入る、あるいは個人も入ると、こういう再生手続の一般法ということを考えたわけでございます。ただ、一般法ではありますが、その手続的には比較的簡易、迅速に行えるようにということで中小企業に向いたものと、こういう位置付けでございました。 大企業が現に利用しているじゃないかという御指摘ですが、それはそのとおりでございます。しかし、同時に大企業が利用してやはりうまくいかない例も近年増えてきております。それはやはり手続の特質、再生法が簡易、迅速ということで担保権あるいは優先債権、そういったものを除外している、また会社の組織再編もできない、こういう手続にしておりますので、大企業が利用するには限界がある。大企業が利用できるのは、例えばそごうのように私的整理がほとんど先に進んで担保権者の同意がほとんど得られている、こういう極めて限られた場合だろうと思います。 ただ、そういう極めて限られた場合であっても、そういう事実上の話合いが先に進んでいて、より簡易、迅速に処理できる民事再生でも適切に処理できるのであれば、それを利用を禁止する必要はないだろうと、こう思いますので、やはり考え方としては、その特質を利用者の方々によく理解していただいて向いた手続を選んでいただく、やはり担保権者の同意が得られないのに居座りを図って大企業が再生法を使うということでは、これは多分うまくいかないだろうと思います。そういった特質を十分理解してもらえるように、私どもとしてはその手続の差についてこれからも周知を図りたいと、こう思っております。 現段階では、そういう形でこの二つを各利用者に必要に応じて使い分けていただくという方向を進めたいと考えておりますが、将来的にどうするかということはその運用の状況、また今後、破産法の整備も進みますので、そういった日本の倒産法制全体を見ながら将来の課題として考えていくべき事柄ではないかと、こう思っております。
○平野貞夫君 最後にお尋ねしたいんですが、産業再生機構というのができれば、やっぱりこの会社更生法は相当活性化すると思うんですよ、こういう状況ですから。ですから、その運用に当たってはやはり一つの良識といいますか、市場原理の暴走をさせないように、日本に健全な資本主義社会を作るということを、ここのところをやっぱり政府としては押さえておいてほしいということと、それと、今後この企業立法というのはあとどんなテンポで進めるつもりですか、いつごろまで。ちょっと見通しを、私もいつまでも法務委員やるわけにいかぬものですから、まだまだ忙しいかどうか。
○政府参考人(房村精一君) まだしばらくは忙しいのではないかと思っておりますが、当面検討を進めておりますのは倒産法制の破産法でございます。これは現在、法制審議会でやっておりまして、来年の秋の臨時国会が開かれればそこにお願いをしたいと、こう思っております。 次に、会社関係につきましては、株券のペーパーレス化、これを今緊急の課題として検討しておりまして、これも来年の秋の臨時国会にお願いできればと。 さらに、会社法の全面的な整備、これは現在、商法、有限会社法、それから商法特例法に分かれておりますし、例の片仮名の文語文ですので、これを一まとめにして現代化を図るという作業がございます。これもできれば十七年ぐらいまでには行いたい。その際には、倒産手続で残っております会社整理とか特別清算も併せて見直しをしたい。まだそれでも残りの商法の部分がありますので、これもやらなければならないということで、本当にメジロ押しの課題で、しかし法務省としては、何とかできるだけ急いで整備を進めまして国民の期待にこたえたいと、こう思っております。
○平野貞夫君 終わります。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。 まず初めに、管轄の問題についてお聞きをいたします。 マイカルの再建手続の中で、記事を見ますと、大変管轄が非常に重要な問題だということがよく分かりました。東京高等裁判所は、今年の五月三十日、東京地裁が出したマイカル九州の更生手続開始決定を取り消し、福岡地裁へ移送するという決定を行った。つまり、九州マイカルにすれば福岡でやってもらう方が地元の気持ちや利害を反映しやすいと。しかし、マイカル本体とすれば東京地方裁判所でやってもらった方がいいというふうに、どこの裁判所でやるかによって随分温度差や、残すかどうかとか、利害が反映されるということが分かりました。 ところで、東京・大阪地裁の競合管轄を認めることが利害関係人の不利益になるおそれはないでしょうか。いかがでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 今回、会社更生法を改正するに際しまして、管轄につきましても相当の合理化を図りました。従来、本店所在地に限られておりまして、しかも専属管轄であった。これを、御指摘のような子会社関係あるいは連結関係にある会社、こういったものを一緒にできるようにということで管轄を広げました。また、そういう個別的な会社の特性に応じた管轄以外に、一般的に東京地裁それから大阪地裁に競合管轄を認めたわけでございます。 これは、会社更生法が非常に特殊な手続、専門的で、かつ複雑であると、こういうことから、慣れていないところですとなかなか適切、迅速に処理をすることが困難だと。こういうことから、専門部が整備され、高い能力を持った裁判官、書記官等がいて、また管財人としても候補者を選任する上に便宜であるという東京、大阪に全国どこからでも利用することができるようにしようと、そのことによって最終的には会社更生手続の迅速化、適切な処理が図れるのではないか、こういう観点でございます。 ただ同時に、御指摘のように、本社と相当離れた東京あるいは大阪に事件が係属いたしますと、関係人がその裁判所まで出頭するという上で不便を感じるというような懸念もございます。そういうことから、今回の改正におきましては、会社の更生手続全体を簡素化あるいは柔軟化するということで対応が可能になるように、例えば一番重要な財産状況の報告、あるいは更生計画の決議、こういった場合、従来は関係人集会を必ず開かなければならないとしておりましたのを任意的なものといたしまして、書面決議の方法も取り得るというようなことにいたしましたし、また東京、大阪に会社更生の申立てがなされたときに、債権の確定手続に対して訴訟になった場合には、これを本来の管轄裁判所に移送できるという手続を設けると。 このような、あるいは会社更生自体の移送についても整備をいたしまして、当事者に不利益が生ずるおそれをできるだけ軽減したつもりでございます。
○福島瑞穂君 今度の会社更生法改正案は、東京・大阪地裁中心にすることをむしろ促進したいと考えているのでしょうか。それとも、やはり地元のある程度利害を反映して、地元でやる方が望ましいというふうに考えていらっしゃるのでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) これは、正にそれぞれの会社がその状況、会社の状況であるとか債権者がどのような分布をしているか、それから複雑な問題を抱えているのか、そういうことを判断して、地元の裁判所に申し立てる方が手続が円滑に進むのか、あるいはそういう専門部が整備されている東京あるいは大阪を利用するか、それはそれぞれの会社が自分の実情に応じて選択をしていただける、こういう意味で競合管轄にしているわけでございます。
○福島瑞穂君 先ほどマイカルの例を挙げましたが、九州の方ではこういうふうにしたい、本社全体としては実はこうしたいという、若干、かなりずれが起きたことで、どこで管轄で争うかがかなり激しく争われたというふうにも思いますが、例えば管轄裁判所を東京・大阪地裁中心にすると、労働組合の関与が若干強化されたにもかかわらず、労働組合が一々、先ほどは書面でというのはありましたが、やはり労働組合としては裁判にもっと関与したい、見張りたい、行きたい。あるいは専門店街、デパートなどですとテナント料などが、例えば百専門店があってテナント保証金が問題になっているという場合に、わざわざ東京地裁に来るということなどなりますと大変負担になると思います。 ですから、書面だけの参加も、書面決議ということもおっしゃったんですが、全体としての裁判への関与がなかなか困難になるのではないかという点についてはいかがでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) まず、労働組合の関与でございますが、これはいろいろな意見を聴くというのは書面でもできるということが一つございますが、どちらかといいますと、主として、裁判所の意見もありますが、労働組合と直接的に接触をして意見交換をするというのは管財人等が多いのではないかと思われます。 そういう意味で、本社が地方にありまして裁判所が東京ということになりますと、管財人としては当然、企業の経営それから財産の管理を行うということが職務になりますので、自らあるいは少なくとも管財人代理は本社に常駐しなければ適切な企業運営ができません。そうなりますと、組合とすれば、常駐している管財人代理との折衝、こういうものを通じて十分な情報を得られますし、また意見を伝える機会も確保できると、こう考えております。 それから次に、例えば保証金をめぐった争いが起きたときと。これについては、先ほども申し上げましたが、東京、大阪に本店がなくて会社更生手続が係属したときに保証金等の債権の確定手続で訴訟になった場合には本来の管轄裁判所へ移送できるという制度を今回整備しておりますので、それは今の移送の制度で対応できるのではないかと、こう思っております。
○福島瑞穂君 東京・大阪地裁中心になることで裁判への関与、手続に参加しにくくなることがないように、今後も是非よろしくお願いします。 次に、法案を読んでみますと、法案は労働者を使用人というふうに書いております。これは商法の規定が使用人というふうになっているので商法上の概念である使用人を使ってあると、会社更生手続において使っているのだと思いますが、今、商法は極めて古い法律になって、でっちとかいろいろ言葉があって、使用人というのはもうちょっと余りに古いのではないかと。この辺については、ほかの会社分割法制創設のための商法改正では労働者というふうに表現をしておりますので、この使用人というのは何とかならないかという点についてはいかがでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、今回の法案の中では使用人という言葉を正に使用しているわけでございますが、これは古いかどうかというのはいろいろな御意見もあろうかと思いますが、この法案で用いているのは、正に委員の御指摘になられましたように、商法で用いているということを考慮して使っております。 商法につきましては、現在、その全面的な見直しということも進めておりますので、その中で用語の問題をどうするかということも検討をすることになろうかと思います。また、そういう商法の検討も踏まえて今後どうするかということは考えたいと思います。
○福島瑞穂君 使用人というのはもう古い言葉で実態に合わないので、是非、労働者なり言葉を変えてくださるようによろしくお願い申し上げます。 それで、労働者という概念なのですが、今日の労働法制や判例、命令では、直接の雇用契約を持つ旧来型の典型的労働者だけに限定をしないで、労働者性を持つ、例えば建築職人のような手間請従事者や、アウトソーシング化で急増する個人事業主型の契約労働者などのいわゆる非正規職労働者も含めて幅広く解釈するようになっております。 これは、一九九七年の「労働基準法研究会労働契約等法制部会労働者性検討専門部会報告」では、手間請従事者の実態が反映され、従来の判断基準を大きく塗り替える内容となっていて、手間請従事者の労働者性が明確になりました。 また、百五十億の負債を抱えて東京地裁から破産宣告を受けた住宅リフォームの大手リモテックスに対し、職人たちの手間である工事代金が優先順位の低い一般債権扱いされていたものを賃金台帳のない職員にも労働債権として認定し、労働福祉事業団から国の立替払制度の対象とすることを決定しております。 つまり、労働者といっても、限りなく委任のような形を取っているけれども実は労働者、民法で言う請負契約だけれども労働者とか、こういう手間請職人などの問題があるわけですが、この点については、労働債権が保護をきちっとされるだろうかという点についてはいかがでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 会社更生法では、更生会社の使用人の労働債権、これを共益債権あるいは優先債権として保護をしておりますが、ここで言っております使用人の労働債権、これは雇用契約に限定をする趣旨ではなくて、契約形態が委任あるいは請負であっても、その種々の状況から全体的に考察をいたしまして、それが雇用に基づく労務の提供である、こういうことが言えれば、これは労働債権として保護をすべきだと、こういう解釈が一般に取られておりますし、御指摘のように、現に裁判所においてもそのような扱いをしていると承知しております。
○福島瑞穂君 労働債権の保護の次なんですが、法案は、更生計画認可以前にも会社資産の営業譲渡を許可することができるとの規定を四十六条二項で設けています。 そうすると、会社の値打ちのある資産や事業が早期に営業譲渡されることになって、残った会社は破産又は清算に至る可能性が高くなるのではないか。その場合、現在、共益債権として保護される範囲以外の退職金は破産又は清算により支払われなくなるおそれが生ずるのではないか。日本では退職金は賃金の後払いの性格を持っておりますので、退職金はその全額を共益債権とするという原則を明確にする、その上で支払に関して労使協議を行うようにすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 現在の扱いにおきましても、更生手続が開始された後、会社側の都合で解雇をする、こういう場合は退職金は全額共益債権となります。したがいまして、御懸念のような場合は、正にその全額が共益債権となりますので、これは随時、弁済を受けられるということになります。 したがいまして、改めて協議等の仕組みを作らなくとも十分権利の行使は図られると、保護は図られると、こう考えております。
○福島瑞穂君 社内預金についてお聞きをいたします。 現行では全額を共益債権として保護していたのに、法案は退職手当と同一の水準に切り下げています。これについてはいかがでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) これは、現在、預り金と言われておりますのは、その実質はほとんど社内預金、従業員が会社に対して預金をすると、こういうものでございます。したがいまして、法律上は貸金請求権ということで、民法等の実体法においては特段、先取特権も与えられていない普通の債権でございます。退職金あるいは給料債権、これは民法、商法においても先取特権が与えられて、特別の保護が与えられている債権でございます。 なぜ、そういう実体法上、先取特権等も与えられていない預り金が全額共益債権になったか。これは、昭和二十七年の立法当時、主に炭鉱、ここを想定して、炭鉱の労働者が給料を受け取る、次に町に出て金融機関に預けるまでの間手元に置いておけないので会社に預かってくれと、言わば正に保管を会社に委託した、こういうような預り金が当時相当あった。それはやはり正に給料そのものだから、これは全額保護する必要があるのではないか、こういうことで全額共益債権としたという立法経緯がございます。 ところが、その後、そのような形の預り金というのはほとんどなくなってしまいまして、実質的には預金と変わらない、社内預金の預り金になってしまいました。そういうことからしますと、保護の必要性という意味では、もちろん預ける立場からすれば保護してもらいたいというのは当然ではございますが、例えば退職金あるいは給料債権、こういう実体法上も優先的な地位が認められております債権と比較して、社内預金だけを共益債権として全額保護するというのは法律的に見るといかにもバランスを欠いている。こういうことから、今回、保護の範囲を退職金並みに限定すると、こういう改正をしたいということでございます。
○福島瑞穂君 今の御説明で一定程度分かったのですが、働いている労働者にしてみれば、会社に預けたお金は、人質ではありませんが、かなり限りなく、実は給料債権、厳密には給料債権ではありませんけれども、それは極めて、保護されるのではないかというように思っている人も多いのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 法律的性質は今申し上げたとおりでございまして、通常の預金債権と基本的には変わらないだろうと思います。ただ、会社に預けて、会社を信頼しているという面もありますでしょうから、今回、一気に廃止ということではなくて、退職金並みの保護を与えるということにしております。 ただ、問題は、そういう事情を利用者の方々に十分知っていただいて、そういう危険があるということを御承知の上で社内預金を利用するということは必要だろうと思いますので、私どもとして、今回この改正を認めていただいた場合には、共益債権として保護される範囲はこの程度に限定されるということを十分周知をして、その上で利用していただくということを考えたいと思っております。
○福島瑞穂君 じゃ、もう危ない会社の場合は預金を引き下ろした方がいいみたい。そういうわけではないかもしれませんが。 それで、民事再生法の議論の立法過程の中で、民事再生手続に基づく人員整理はないという、民事再生手続が人員整理に結び付かないようにということはかなりこの法務委員会の中でも議論があったと思います。しかし、実際は民事再生計画に基づく整理解雇がしばしば行われております。今回の会社更生法の改正案においても、労使協議によらずに更生計画に基づく整理解雇が濫用されるおそれはないでしょうか。 ちょっとこれは、この部分は質問通告していないので申し訳ないんですが、民事再生手続における人員整理、整理解雇についてはどういうふうに把握をしていらっしゃるでしょうか。後者の質問は厳密に質問通告していないので、もし分かれば教えてください。
○政府参考人(房村精一君) まず、更生手続における解雇の問題でございます。 これは、更生計画を定めまして債権者あるいは株主等の権利の変更をいたしますが、労働契約そのものは更生計画による変更の対象となっておりません。 また、更生手続が開始をいたしますと、双務契約等はいろいろ影響を受けますが、労働協約はその影響を受けないということが明文で規定されております。そういうことから、更生手続が開始をいたしましても労働契約あるいは労働協約の内容は依然として従前どおりのものとなっております。 そして、使用者の立場に管財人が立ちますので、管財人が更生計画を遂行する上に整理解雇が必要である、こういう判断をした場合には、労働協約等で定められた手続を経て、かつ一般に整理解雇に必要とされている判例上確立したと言われている四要件、これを満たす、そういうことが必要となります。したがいまして、更生手続であるから解雇が特に容易になるということは法律的には全くございません。これは再生手続においても同様の考え方だろうと思います。 ただ、申し上げたいのは、やはり更生あるいは再生という非常に窮境にある会社の場合に、その再建を図るためには一定の整理解雇が必要とされる場合が相当数あるだろうということは一般的に申し上げることができようかと思います。
○福島瑞穂君 民事再生手続に基づく整理解雇がどういうものなのか、こちらの方もちょっともう少し調べて、もちろん整理解雇をやりたくてやるところはないでしょうけれども、その整理解雇等が、今、民事局長の方から整理解雇の四つの要件の要件はきちっと遵守し、かつ労働協約に基づくという御説明はあったのですが、新聞やいろんなものを見ますと整理解雇、人員整理が非常に行われているというのもありますので、ちょっとこちらも検討した上でまたお聞きをしたいと思います。 営業譲渡で更生計画前の営業譲渡を行いやすくすることが法案のねらいの一つと言われておりますが、営業譲渡に際して当該事業部門で働く労働者の雇用に関して的確な保護措置が取られているだろうかと。この点については法案は、裁判所の許可を必要とするとともに、裁判所は営業譲渡の許可をする場合は債権者、労働組合等の意見を聴取しなければならないというふうにしてはおります。しかし、聴取だけですから、意見を聴けばいいわけで、それが適正化の担保になるだろうかという点についてはいかがでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 営業譲渡は、適切に行使されますと、その譲受け先の企業において事業が継続され、かつ更生会社の方にとっては譲渡の対価によってはより多くの弁済を可能とする、また労働者にとっても雇用の機会が確保できると、こういうメリットもございます。また、しかし同時に不相当な営業譲渡がなされますと、事業の継続もうまくいかず、また弁済計画等もうまくいかないと、こういうことにもなりかねません。したがって、営業譲渡についてその的確性を判断するということは非常に重要でございます。 原則としては更生計画で行うことにしておりますが、会社更生の申立てがなされますと、営業の劣化というのは非常に早く進みます。お客は逃げてしまいますし、従業員の中でも有能な人は先に見切りを付けて移ってしまう。こういうようなことがあり得ますので、できるだけ早く営業譲渡をする必要があると。このようなことから、裁判所の許可にかからしめたわけでございます。 裁判所がその許可をするに当たりまして債権者あるいは労働組合の意見を聴くということにいたしましたのは、やはり非常に利害関係を持っている人たちの意見でございますので、特に労働組合については会社の内部事情、そういったものにも詳しいと、こういうことからその意見を聴くこととしておりますので、そこで述べられた意見については裁判所もそれを尊重した上で判断をされるということが期待されております。
○福島瑞穂君 営業譲渡が速やかに行わなければというのもよく分かりますが、一方で、働いている人にとっては営業譲渡でかなり境遇が激変をしてしまうこともありますので、ここはもう少し立法的に何か保護措置が取られないかというふうには思っております。 会社分割法では労働組合との協議は、労働組合の同意は必要ではありませんが、労働組合との協議は会社分割法は必要としています。しかし、営業譲渡に際しては、会社分割法制創設に当たって改正された商法の規定及び労働契約承継法に基づいて事前に労働組合及び当該事業部門の労働者との協議を行うこと、また原則として譲渡に当たって雇用を引き継ぐべきことを法案で明確にすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。特に、営業譲渡に当たって雇用を引き継ぐべきことということは必要ではないかと。これは、営業譲渡と雇用は別のものだということで雇用は全然それに入っておりませんけれども、実は働いている人もくっ付いていくことになりますので、譲渡に当たって雇用を引き継ぐべきことを法案で明確にすべきではないかという点についてはいかがですか。
○政府参考人(房村精一君) まず、営業譲渡の場合に雇用をどう保護するかという問題は営業譲渡一般の問題で、特に会社更生手続の中で営業譲渡が行われる場合に限定された問題ではございません。そういう意味で、会社更生法でそこの手当てをするということは考えにくいと思っております。 それからもう一つ、次に、じゃ営業譲渡一般について雇用の保護をどうするかということもまた問題となり得るところであります。ただ、この点、雇用の保護、こういうものを目的としております労働法とそれから商法、これはおのずから規律対象が異なります。商法は会社組織の在り方等について基本的な事項を定めると、こういう役割を担っておりますし、労働者の保護については、組織の再編に伴う場合を含めまして、社会政策的理念に基づく労働関係法規によって手当てがなされると、こういうことが現在の法体系の在り方でございます。 そういう点で、このような観点から、労働関係法規を所管する厚生労働省におきまして企業組織再編に伴う労働契約の保護の在り方につきまして研究会を組織して検討をしたところでございますので、法務省としてもその厚生労働省の結論を踏まえて同省とも協力して対応していきたいと、こう考えているところでございます。
○福島瑞穂君 確かに、商法で労働者の保護というのは規定しにくいので、厚生労働省が会社の組織変更に伴う労働者の保護をどう図るかという立法をどうするかということであるというのはよく分かります。ただ、ここで議論するときは労働者の保護が議論できなくて、厚生労働省で議論するときに営業譲渡の際に雇用の保護がどうなるかはまだちょっと未確定なものですから、ここの法務委員会においても商法の部門だけれども雇用の確保、雇用の引継ぎということが全く今ブランク。今ですと、今の会社更生法の改正法に基づいては雇用を引き継がなくても全く問題は法律上はないわけですから、特に引き継がなくても問題ではないわけですから、その点については是非、法務省の方からも強く厚生労働省に言ってくださいということが適切かどうかよく分かりませんが、是非その点についてももっと議論していきたいと思います。 その点について何かありますか。
○政府参考人(房村精一君) 営業譲渡がなされた場合の労働契約の承継等をどう考えるかということについては、当然承継説から特定承継説まで様々な考え方があるようでございます。ただ、問題は特定の労働者を排除するというときに救済が与えられるかどうかと、こういうことが実際の問題だろうと思います。 そういう点に関しましては、労働契約の承継と営業譲渡の関係をどう考えるかにかかわらず、おおむね不合理な差別をした場合には救済が与えられるという方向の解釈が取られているのが通例と思っておりますので、そういった考え方でそれなりの救済は図れるのではないかと、こう考えてはおりますが、また厚生労働省とも意見交換をしながら検討はしたいと思います。
○福島瑞穂君 ただ、新しく会社を作った場合に、ある特定の組合の人たちを排除する、あるいは清算事業団のようなところに追い込む、あるいは新規採用しないとかということも実態はありますので、この点については法務委員会その他のところでもきちっとやるべきではないかというふうには思っています。 次に、先ほど労働債権のことをお聞きしましたが、それと少し関係するのですが、下請中小企業の問題です。 近年の大型倒産事件で更生法を利用した再建事例を見ると、ゼネコン、流通、金属など、いずれの場合も更生会社は再建されるものの、その更生会社の生産を実態的に担ってきた下請中小企業では連鎖倒産が大量に発生をして、下請中小企業に働く労働者の失業、賃金、退職金の不払が多く発生をしています。 法改正は、企業の事業再編や産業再編にとっての利便性を高めるだけであってはならず、日本は中小企業で成り立っている面もありますので、これら下請中小企業の事業継続や労働者の雇用確保にも十分資するものとして改正される必要があると考えます。その点で改正案はどのような措置を盛り込んでいらっしゃるでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、更生手続が取られますと一般的に弁済が禁止されますので、それによりまして、取引先、特に中小企業が連鎖倒産をするというおそれがあります。 この点に関しまして、会社更生法は、やはり中小企業の連鎖倒産を防止するために、更生会社を主要な取引先としております中小企業につきまして、その弁済を受けないと企業の継続が危ぶまれるというような場合には、裁判所の許可によりまして弁済をすることができると、こういう許可弁済の制度を設けております。これは、正に連鎖倒産防止をねらったものでございます。 そのほか、直接、法律上、中小企業の連鎖倒産防止という目的が書いてございませんが、少額債権につきましては、これによって更生手続が円滑に進むという場合にはやはり弁済ができるという制度もございますし、また今回の改正におきましては、更生会社にとって事業の継続のために少額債権の弁済が必要だと、こういう場合にも弁済ができると、こういう規定を新たに設けました。これは、書きぶりとしては特に中小企業の救済ということは明文では書いてございませんが、実際の運用といたしましては、この少額債権の弁済の制度を用いましてそれぞれの中小企業の救済を図っているということが実情でございます。 また、更生計画の内容につきましては、少額債権についてはその公平を害しない範囲で優遇ができるという扱いが現になされておりますので、このような措置を通じてそれなりに中小企業の保護が図られていると考えております。
○福島瑞穂君 時間ですので、終わります。
○委員長(魚住裕一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時十一分散会