農林水産委員会 第4号
- 発言数
- 345 件
- 登壇者
- 30 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2002/11/21
会議録
○委員長(三浦一水君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律案を議題といたします。 本日は、参考人として日本大学生物資源科学部教授岡本雅美君、有明海漁民・市民ネットワーク顧問錦織淳君、長崎県森山町長田中克史君、日本海洋学会名誉会員宇野木早苗君に御出席をいただいております。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。 本日は、御多忙のところ本参議院農林水産常任委員会に御出席を賜り、誠にありがとうございました。 ただいま議題となっております法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜りたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。 本日の議事の進め方について御説明いたします。 まず、お一人十五分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答え願いたいと存じます。 それでは、岡本参考人からお願いいたします。岡本参考人。
○参考人(岡本雅美君) ただいま御紹介にあずかりました日本大学に現在在籍しております岡本でございます。 冒頭、恐縮でございますが、私事なのですが、後の説明の関係上、私の経歴、専門について一言述べさせていただきたいと思います。 私は、農業工学科と俗に申しますけれども、土地改良あるいは農業農村基盤整備あるいは農業農村整備といったような事業名で皆さんよく御案内のことと思います。農業土木事業あるいは土地改良事業あるいは農業農村整備事業と呼ばれる事業にかかわります。 この中身を言いますと、要するに、農業の主要な生産基盤である農地にかかわる一切の土木的な事業を行う分野でございます。そのために、農業土木という世界にない日本だけの名前を使っておるわけでございますが、具体的には、まず農地を開発、今日も出てまいります諫早のような干拓事業、あるいは陸地の開墾事業、続きまして、さらにでき上がった農地を更にレベルアップするための圃場整備事業とかあるいはかんがい排水、水利事業を行います。水利事業に至りましては、中山間にダムを造ることから堰を造ることまで、大変な土木事業を伴うことをやっております。そのほかに防災といったような、大体そんな事業分野を土木的手法で行う、そのような学科を卒業いたしまして、以来、所属としてこの分野での仕事を続けてまいりました。 私個人は、特に計画部門、ただ、計画と申しますと、河川の水利ということになりますと、これは多部門にわたりますので、私自身は多面、多部門の水資源開発とか、例えば極端なことを言うと、国際河川の水利調整といったようなことも専門にしてまいりました。そういうことで、余り物理的な個々の具体的な事業のいわゆる土木屋らしい設計施工といった面についてはいささか不案内な点がございます。 ただ、計画を行い、またでき上がった後の維持管理あるいは利用といったところを専門にいたしておりますので、また常々この有明海の再生にかかわるような議論を聞いたときに、土木を素養としております私から見ると、少し技術的に申し上げておいて理解しておいていただいた方がいいんではないかという点が幾つかありましたので、今日はそこを中心に申し上げてみたいと思います。 まず、有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律案ということで、衆参両院でこのような法案が議論され、また設置を目指しておられることについては、私はこのこと自身を意義あるものと評価しております。 その理由は、個々の、例えば水質汚濁であれば水質汚濁防止法とか下水道法とか個々の法はございますけれども、特別に有明海及び八代海という地域を限定したそういうような特別措置法を設立することの意義ということでございますけれども、これが有明再生特措法の場合は大いにあるだろうと考えます。 それはどういうことかというと、まず緊急性がございます。御存じのように、諫早干拓を中心にして現在国の行う公共土木事業は、あるいは港湾の事業等々が既に終わり、あるいは現在進行中でございまして、また地元の促進要望あるいは中止要望等、社会的な大変なイシューとなっております。また、行政としての対応も迫られるというふうな緊急な社会的、行政的な背景があろうと思います。 また、地域を区切るという意味では、差し上げた二枚目を見ていただきたいんですが、このように有明海というのは非常に湾口の狭い、八代もそうですけれども、閉鎖水域になっております。ですから、余り他との影響なく、ここだけで単品で扱えると。また、そのことが非常に有効性を持つという特徴を持っておりますし、したがって、直接の対象としませんけれども、後の汚濁負荷の総量規制というようなことになりますと沿岸への規制が及ぶわけですけれども、その場合にも、流入河川の流域も海域とともに一体的に、つまり汚濁源を特定しやすい、また環境劣化域というものも特定しやすい、特定できると。これは一般的な、例えば仮に太平洋に接した沿岸で特別立法をやるということは大変難しいのに比べて、特別な特措法で対応するにふさわしい川でございます。 また、今回、総合調査ということを標榜されておりますけれども、現在まで、私どもから見ると、大変単項目的といいますか、余り総合的でない調査というものがあって、環境問題あるいはこのような社会的な影響の大きいものについては、そういう単純な調査では駄目で、それを総合的、有機的なアセスというのをやらなきゃいけないわけですが、そういうものをやるための根拠法としても大変有効であろうと。 また、情報公開も強くうたわれておりまして、これは住民あるいは日本国民に対するアカウンタビリティーという点と、また多面的検討が当然情報公開には伴うわけですけれども、これは文殊の知恵ということで大いに期待できるだろうと。後ほどいろんな議論が出ると思いますけれども、例えばシミュレーション結果にしましても、専門家によって大いに議論が変わります。そのようなことは、やはり文殊の知恵で情報公開の前提の下で多面的な検討をやる、そのようなことのステージを作るという意味でこの特措法は大変有効であろうと。 汚濁負荷の総量削減措置が修正案の方に入っておりますけれども、これは行政政策の理念、原則としては私は評価いたします。してはと申し上げるのは、この点若干の疑義がというか懸念があるからでございます。後ほど申し上げます。 釈迦に説法でございますが、この有明海は、だれもが言うことですけれども、閉鎖性、孤立しておりまして、外海から独立しております。また、干満の差が非常に特大であると。言い方によって五メートルとか十メートル、何とでも言えるわけですけれども、とにかくこのような干満差を持った海湾は日本にはございません。ですから、東京に三番瀬のようなわずかな干潟がありましても、有明海ほどの干潟を持った湾はございませんが、これは大きな干満差のせいでございます。 干潟は決して干満差だけではできません。つまり、干潟を生産する土砂灰とわざわざ書いたんですけれども、普通は泥と言った方がいいんですが、この泥の根源は両岸からの火山から流れてまいります火山灰でございます。火山灰が非常に細かい。そういうことでございまして、それが豪雨地帯である、台風銀座の地帯でございますので大変な土砂の流出量がある。そういうことが延々つながりまして、そこにありますような古典的な干拓も発達したし、洪水の被害も大変多かったと。そして、干潟の上にだんだんと我々が、人類が開発してまいりましたところは常時排水不良の地区になると。 そこで、簡単に干拓のことでございますけれども、干拓は、三枚目の一番最後の図面を見ていただきます。これは色分けしてございまして、もう三百年以上前から有明海はこのように干拓してまいりました。この場合、干拓といいましても、これは言うなれば干潟がだんだんだんだん土砂がたまってきて次第に水面上に現れる、それを我々が、御先祖様が水田に開田されていったというように理解されていただきたい。しかも、これは大きく分けてございますけれども、実際にはこれはもう本当にうろこ状にちびちびと開発した結果が現在こうなっておりまして、このようなものは単式干拓と言っておったわけですが、実は戦後、大変な技術革新が起こりまして干拓の事業は変わりました。 このことをもう一つ申し上げておきたいんですが、それはオランダから輸入されましたオランダのアイゼル海、デルタプランが典型でございます。日本では八郎潟、児島湾、諫早湾、諫早干拓が典型でございますが、複式干拓と申しまして、三枚目の図面を見ていただければ分かりますように、前面に潮受けの堤防を、そして内部に干拓堤防、第二線堤防を造るという二段の複式の堤防を造るというやつでございます。 これはどういう意味があるかというと、真ん中に調整池というのがございます。ここは内陸から参ります淡水、河川水でだんだんだんだん真水になってまいりますので、これが真水に完全に入れ替わったときには水源として使えると。つまり、干拓地を造るだけではなくて水源も同時に造成するという二つの機能を持った、これがオランダ起源で日本でも戦後大いに活発化した事業でございます。このことを行うためには大変な土木工事量がありますが、そのことは、そこにありますように工事の大規模化による環境影響度は大きくなっております。ですから、従前の三百年以上前から行われていた干拓に比べて技術的に異質の干拓であるということを御承知おきいただきたい。 またさらに、諫早干拓特有の、日本の、あるいは恐らく海外にもないたった一つの特性は、調整池の水位を下げておいて洪水対策にも使おうという防災効果を持った干拓事業でございます。もちろん、潮受け堤が高潮に対する防災効果を持つことは当然でございますが、それ以外に内陸の洪水対策を兼ねるといったことは、恐らく全世界唯一の干拓事業でございまして、このことが大いに記憶されるべきことであろうと。 この干拓事業はそのほかに付加価値的な特性を持っておりますが、それについては時間の関係で省かせていただきまして、この問題を取り扱うときに一つだけお考えいただきたいのは、有明海、特に諫早干拓も含めた議論では、他の地区に見られない特徴、つまり二千八百億円の総事業費を想定した、もう恐らくは九〇%ぐらいの予算執行ができていると思うんですが、さらに物理的には潮受け堤防そして中央干拓地の干陸といったものが済んでおると。そして、調整池もマイナス一メートルのコントロールをして実際の防災効果を、施設でいえば供用開始、つまり効果をもう既に発現させちゃったということです。 つまり、現在既にかなりの施設ができ、実際の効用を発揮しておる。それに対して、一方でいろんな形の被害といいますか、悪影響を指摘した場合に、その間のどちらを取るにしても、どちらに進むにしても、現在既にこれだけのものができており、そして効用を発揮しているということを無視してはこの議論が進められないという点で、簡単に、例えば潮受け堤防を全部つぶしてしまえば元の干潟ができるだろうといったような議論は、真ん中に、じゃ今あるものの処置、今発揮されている効用をどう処置するかということを考えなくては、実際の政治的あるいは行政的な議論にならないだろうということでございます。 総合調査についてのコメントでございますけれども、そのようなことで、開門度合いにしましても、期間何年間でやるとか、あるいは洪水シーズンといえどもやるんだとか、あるいは時間帯をどうする、淡水湖の水位をマイナス一メートルでコントロールしないでもう外海とつなげてやってしまおうといったようなことは調査条件として重要でございますが、その際に今申し上げたようなことを勘案する必要があると。どう勘案すべきかについては多々議論があろうと思いますが、そのことについて強調しておきたいと思います。 また、私どもの経験からいたしますと、総合調査は、特定因子と環境変化との因果関係というのは総合調査でも簡明には特定し難いだろうと思います。なかなか、自然界が相手でございますので、原因と結果というのを単純につなげないという懸念が私はあると思っております。したがって、原因調査はもちろんこれは当然やらなきゃいけないことですけれども、もう防止対策というのは効果が自明なものが多々ございます。 比喩は飛ぶようですけれども、現在、例えばがんはいまだに発生のメカニズムは分かっておりませんが、がんの治療法というものは、ある場合にはいろいろ確立しております。そのような意味で、効果が自明の対策こそ一方で急がれるべきであると。ですから、ただ原因調査ということにこの特措法を特化してほしくないということでございます。 それから、総量規制についてなんですが、これは理念として単に濃度規制では駄目で総量の負荷の削減が必要であると。これはこのとおりでございますが、実際問題としまして、例えば水質汚濁防止法あるいは土地改良法の中にもこれにかかわるような条文がございますけれども、実際問題として総量規制というのは、実際に効果を発するためには個々の汚濁源に排水規制を掛けていかなきゃいけませんけれども、その特定あるいはその排水規制を行う行政的な手段、またその効果を担保する手段等々がなかなか実現難しい面がございまして、この点で、総量規制を理念としてうたうことに私はもうもろ手を挙げて賛成でございますが、実施技術という点で技術者として若干の不安を残しております。 以上でございます。
○委員長(三浦一水君) ありがとうございました。 次に、錦織参考人にお願いいたします。錦織参考人。
○参考人(錦織淳君) この問題についてお話ししたいことは多々あるわけでございますが、最低限の前提として諫早干拓事業が有明海の漁業資源に大変大きな打撃を与えたということ、そしてそのことについての原因究明のこれまでの過程に対する反省なり考察というものを行っていくこと、これがどうしても必要だと思います。しかし、そうしたことを抽象的に議論することは余り意味がありません。そこで、私はタイラギの話を中心にそのことを申し上げたいと存じます。 なぜタイラギなのか。それは、有明海異変といえば多くの人がノリ問題と誤解をいたしております。甚だしきは、去年もまた今年もノリが取れるから有明海異変は解決した、あるいは諫早干拓とは何の関係もない、こういうことを言う方すらおられるわけでございます。しかし、ノリはよく海の農業と申します。海の体力が弱ってもまだ技術力によってカバーすることが辛うじてできるわけでございます。 しかし、魚、貝、タコ、クルマエビ、有明海にはたくさんの漁業資源がございますが、そうしたものを対象とする漁船漁業、あるいはタイラギは潜水器漁業と呼ばれておりますけれども、そうした漁業は残念ながら海の力が弱れば立ち所に壊滅をしてしまいます。その象徴こそタイラギ漁なのでございます。 私はこの点について四つほど申し上げたいと思います。 まず、諫早干拓事業を始める事業主体、九州農政局やあるいは関係自治体、そうしたものがこのことについてどのような予測を立てていたのか。それは大きく予測を誤ったということでございます。 諫早湾内の十二漁協に対する漁業補償協定は昭和六十一年から六十二年にかけて行われました。そのときの漁業者に対する説明は、潮受け堤防の内側の八漁協は、これは海がなくなるから致し方ないとしても、潮受け堤防のすぐ外側の小長井町を始めとする四漁協の漁業は十分やっていける、諫早干拓工事によって多少の影響が出ることは避けられないけれども、しかしそれは大したことではない、タイラギも死なない、漁業経営の存続は可能である、このような説明がなされたわけでございます。その結果、漁民はそれを信じて漁業権を放棄し、干拓工事の事業実施に同意し、そしてそのような予測に基づく、算定結果に基づく漁業補償金を受け取ったわけでございます。しかし、現実はどうだったのでしょうか。 お手元に諫早湾漁場調査委員会の調査結果を、一部を用意いたしました。その中の資料Ⅰの二百八十九ページと記載されたところをごらんください。そこに、泉水海、つまり諫早の湾内でありますけれども、このタイラギ漁が、工事が始まったのは、試験堤の工事が平成元年から始まったわけでありますけれども、間もなく、平成三年にはタイラギの漁獲は激減をいたしました。平成四年はほとんど取れませんでした。そして、平成五年からはゼロになったのでございます。そして、この打撃は今日までも回復されず、平成十四年に至る十年間、タイラギ漁は全滅をしているわけでございます。 こうしたことをだれが予測し得たのか。このことを抜きに議論はできないというのが最初の問題でございます。 そして、二つ目に申し上げたいことは、ではこの諫早干拓事業とそうしたタイラギ漁の漁業資源の壊滅ということの因果関係をどのように考えたらよいかということでございます。そして、そのことを踏まえた上で、調査ということについてどのように考えるべきか、これをお話ししたいと思います。 漁民は、工事が始まると間もなく、タイラギに異変が起きたということを生活の現場で実感をいたしました。特に、サンド・コンパクション・パイルという工法が採用されたために、泉水海の最も豊かな漁場から大量の砂を取り、それを試験堤の工事にサンド・コンパクション・パイル工法ということで利用したわけでありますが、そうした目に見える形での漁場荒らしによってタイラギは死んだのではないかと強く疑ったのでございます。 因果関係を考える場合に、有明海全体という形で広げるまでもなく、潮受け堤防の直前という極めて物理的に狭い地域、そして工事が始まって間もなく、こうした時間的な近接関係、そうしたことによってもしタイラギが全滅したのであれば、当然だれでもそこに強い因果関係の推定が働くと考えるのではないでしょうか。 そして、そのことについて漁民はそのように主張し、漁場調査委員会が設置されたわけでございます。そして、このような強い推定が働くときに、通常ならばそうした調査結果が判明するまではこれは工事を進めない、これが鉄則というものでございますが、現実には、平成五年に設置された漁場調査委員会は、何と八年間も掛けながらやっと調査結果を報告する、その間、工事はどんどん進んで海は荒れていったということでございます。 そして、肝心の漁場調査委員会の議論はどうであったのか。お手元にその一部を出しておりますけれども、いろいろな原因は考えられる、でも結局よく分からないという結論になったわけでございます。そして、その議論の経過を精査してみますと、いろいろな要因が考えられる、そのことについては専門委員会からも強く激しい疑問が出されたにもかかわらず、データがない、そういうデータは古いときに取っていなかったから比較しようがないではないか、そういうような議論に押し返されて、結局そのことを議論することはできないということで、疑うべき要因の中から外されていきます。そして、最後に残ったのが低酸素水、貧酸素水塊の問題と底質の細粒化の問題でありました。しかし、この二つについても、結局そのことがどのようにタイラギの変死と結び付いていくのか、具体的な因果関係が解明できない、そういう理由の下に、結局結論は出せないということになったわけでございます。 私は、これを読んで非常に残念に思いました。私は、かつてこの有明特措法の対象としているもう一つの不知火海の水俣病問題に関与をいたしました。あの工場廃液から出された水銀がなぜ水俣病という形で発症するのか、そこには多くの疑問がありました。無機水銀がどうして有機化するのか、あるいは海で希釈されるはずの水銀がなぜ濃度が濃くなるのか、そうしたことについて食物連鎖との関連で説明され、そして体内での発症のメカニズムが解明されるまでには随分と長期間を要したわけでございます。しかし、多くの人たちはあのチッソの工場廃液が原因ではないかということを疑ったわけでございます。しかし、その因果関係のメカニズムがとことん解明されない限り何も手を打てない、こうしたことが行われたために、その間多くの貴重な人命や健康が失われたわけでございます。 私は、因果関係というものはそのように考えるべきものだ、そういうふうに考えておりますので、この有明特措法によってもし調査委員会が作られるとすれば、そうした過去の経歴についてどのようにお考えになるのか、そうしたことを改めてお考えいただきたいと存じます。 そして、三番目は、この有明特措法に基づく対策によってタイラギが復活するかという問題でございます。残念ながら、そのような期待を持つことはできないと思います。そればかりではありません。覆砂事業あるいは海流の漂流物の除去、あるいは稚貝、稚魚の放流、こういうような対策が取られようとしております。しかし、タイラギの場合は、結局、稚魚は育つんです。しかし、育っても大きくなる過程で皆死んでしまう。幼貝、成貝に至っても死んでしまう、そういうことが分かっているわけでございます。 そのように考えますと、稚貝や稚魚を有明海に放流したところで弱って死に絶えた海にそういう放流を行うことが果たして漁業資源の復活につながるのか、タイラギについて言えばどうなのか、このように考えてみますと、残念ながら、そこには私は大きな疑問を持たざるを得ないということでございます。 タイラギだけではありません。湾口部の大浦漁協では、何とか生き延びようと漁民が必死になり、例えばカキの養殖などを始めておりますが、こうしたことも、うまくいくと思ったらまた駄目になってしまったといって、行政以下多くの人が頭を抱えているのが現実でございます。 そして、最後に申し上げたいことは、このタイラギの教訓、諫早湾内の教訓、これをきちっと踏まえない限り、有明海全体についてどのような対策を取るべきかということについての正確な判断はできないということでございます。 タイラギについて申し上げれば、泉水海、すなわち諫早湾内は十年間タイラギ漁は全滅、そしてもう一つの有力な漁場である有共一号を中心とする福岡県と佐賀県の潜水器協議会というのがございます。ほんのつい先日、三年目の休漁を決定をいたしました。つまり、漁獲高はゼロということでございます。タイムラグがあるということでございます。一つの海の中で、まず湾内が駄目になり、そして有明海全体が駄目になっていく、こういう予兆としてとらえることはできないのでしょうか。 このようにして考えていくならば、今私たちは、そうした具体的な事実に基づく教訓に基づいて具体的な対策を立てていく。私たちは、「政治は有明海を救えるか」というシンポジウムを今年の四月に開きました。どうか、この場の先生方におきまして、是非とも政治の力によって有明海を救っていただきたい。 今、潜水器の業者はおろか、多くの漁船漁業者は泣いております。たくさんの自殺者が出ている、あるいは夜逃げをする、破産宣告をする、そういうことが相次いでおりますし、非常に悲しい事態として、ある潜水器漁業者は七十キロの潜水器、これは重い、海に沈むためのおもしでありますけれども、それを身に付けて入水自殺を図ったという、そういうことも伝え聞いております。 このように、今漁民は追い詰められております。そうした漁民が倒れるということは海が死ぬということであり、この美しい豊かな海を基に生活をしている有明海沿岸の四県の多くの地域の人々、そうした人々の産業振興、地域振興という観点からも、本当の意味でそうした有明海が復活できる、そういう対策を取っていただきたい。これが私のお願いでございます。 以上です。 ありがとうございました。
○委員長(三浦一水君) ありがとうございました。 次に、田中参考人にお願いいたします。田中参考人。
○参考人(田中克史君) 長崎県森山町長の田中でございます。 国会の先生方におかれましては、日ごろから我が国の安寧秩序の保持と国民生活の維持向上のために、そして豊かな緑と青き海、流れ清き日本のふるさとを守るために日夜御尽力をいただいておりますことに心からの敬意をささげるものでございます。 このたびは、有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律案の御審議に際し、地元自治体の代表として意見を申し述べる機会を賜りましたことを、地元住民に成り代わりまして有り難く厚く御礼を申し上げます。 私は、平成十二年のノリ不作の主因として諫早湾干拓事業がいわれなき指弾を浴び始めていた昨年の初めから、ともに海の恵みを分かち合ってきた有明海湾岸の四県の漁民と住民の間で、利害の違い、立場の違いがあらわになりつつある現実を憂い、関係機関の協力によって有効な漁業振興策の発動による一日も早い宝の海の再生を訴えてまいりました。 この間の経緯は、先生方のお手元に配付してございます。この資料でございますけれども、三十ページでございます。(資料を示す)平成十三年三月一日発行の広報「もりやま」の記事で御確認をいただければ幸いでございます。この記事でございます。 本日、私は、有明海再生に向けた本格的な対策が講じられるべきこと、同時に、諫早湾干拓事業が有する防災目的の正当性と農地造成の今日的意義についても御理解を賜りたいとの立場から意見を申し述べさせていただきます。 私は、諫早湾の旧堤防から約二キロメートルの近くに生まれ、そこで少年時代を過ごしてまいりました。幼いころ、父親にはね板と呼ばれる板スキーの上に乗せられて干潟を走ったのが有明海との初めての出会いであり、以来、アゲマキと呼ばれる甘い二枚貝やハゼ、グロテスクな風貌ながらも美味この上ないドウキュウと呼ばれる有明海特有の魚など、おびただしい海の恵みをいただいて育ってまいりました。 有明の海は、私たち諫早湾岸の住民にとりましては、遊びの場、生活の糧を得る場を超えて、命をはぐくむ母なる豊穣の海であり続けました。私の有明海への愛着は、幼少からの生活体験に深く刻まれ、決して人後に落ちぬいとしさは無限のものがあります。 それゆえに、このたび本院で御審議賜る有明海等再生特別措置法案は、地球温暖化などの大きな環境の変化や大都市における水需要の増加にこたえる筑後大堰建設、熊本新港、三池海底炭鉱の陥没、また、ノリ養殖に用いられてきた不適切な酸処理剤や肥料の海洋投棄、生活雑排水の流入や漁網、廃船、空き缶、ビニール袋の置き捨て等々、様々な複合的な要因が折り重なってもたらされた有明海の疲弊を救い、豊かな海を再生させようとする画期的な時宜を得た法案であり、心底より歓迎し賛意を表するものであります。 ただいま申し上げましたとおり、有明の海は私たちに様々な自然の恵みをもたらしましたが、その一方で、毎年五センチメートルのスピードで堆積する干潟が、後背地よりも標高が高くなる有明海の地勢上の特異性や毎年豪雨に見舞われる台風常襲地帯であること、また、河川が急峻で許容流量が少ないため容易にはんらんを招きやすいなどの諸条件が重なり合って、有史以来、この地域に住む住民に高潮や洪水、塩害などの被害をもたらしてきた事実も指摘しなければなりません。 昭和三十二年七月二十五日、私は小学一年生の夏休みが始まった直後に諫早大水害を経験いたしました。本町を流れる仁反田川のはんらんによって河川の堤防が決壊し、多くの家屋が流失し、肥沃な大地が一面海と化した当時の光景は今もって私のまぶたに焼き付いて離れることはありません。 また、昭和五十七年七月二十三日の長崎大水害に際しては、その夜長崎にいた私は、一瞬の激しい集中豪雨に家路にたどり着くすべをなくし、翌朝から直ちに災害復旧活動のボランティアに参加した経験を持つものであります。 自然がもたらす恵みも生命財産を脅かす脅威も、身をもってよく知るのはそこに長年住む住民であります。自然の恵みが様々であるように、自然の脅威もまた様々であります。 諫早湾沿岸の住民の中にあっても、とりわけ江戸時代以来の数次にわたる干拓によって開かれた広い低平地に住む森山町、諫早市小野地区を中心とする地域住民にとっては、降雨のたびに水の恐怖と背中合わせに眠れぬ夜を過ごさなければならない生活を強いられてまいりました。このことを身をもって知る私は、先人たちの尊い勤労と犠牲によってもたらされた優良農地を守るため、干拓完成の悲願を実現するため、そして子々孫々に地下水の枯渇や水質汚染、地盤沈下のない豊かで安心して暮らすことのできるふるさとを譲り渡すことが私たち世代の使命であると考えてまいりました。 諫早湾干拓事業は、有明の海によって育てられ、干潟に深い愛惜の気持ちを抱く私たちにとりましても、成就されるべき悲願の事業でありますことを先生方に是非とも御理解を賜りたいと願うものであります。 諫早湾干拓事業は、昭和六十一年に着工され、平成九年に湾が締め切られました。平成十一年三月に完成した潮受け堤防の防災効果は目覚ましく、台風時の高潮防止や河川からの流水や発生した湛水を潮汐の影響を受けることなくスムーズに調整池に流入させる効果が発揮され、地元では高く評価され、感謝されている事業であります。 また、私は、干拓事業の防災効果は高潮、洪水対策にとどまるものでなく、現在この地域で起きている地盤沈下の進行を抑止する上からも極めて重要な役割を担うものであることをこの機会に是非とも御理解いただきますようお願いを申し上げます。 諫早湾奥部は、河川の流域面積が低いために常時水不足に悩まされ、これを補うために地域一帯は水源を地下水に依存しております。しかし、地下水も無尽蔵であるはずもなく、地下水の揚水がもたらす広範な地盤沈下は地域の深刻な問題となっております。そして、地下水位の低下に起因する地盤沈下の次に来る地下水の枯渇、水質悪化は、地下水がやがて飲料水としても農業用水としても使用できなくなることを意味し、これが食料の供給にも致命的な打撃となる悲劇の到来を意味しております。 森山町では、昭和三十九年に国営干拓事業により二百八十二ヘクタールの農地が造成されましたが、営農のため年間二百万トンの地下水を利用しており、このままの状態が続けば最大三メートルの地盤沈下の可能性があることが専門家の調査により報告されております。農地では、既に一メートルないし一・二メートルの地盤沈下が見られ、近年では住宅地でも最大五十センチ前後の沈下が見られます。このため、地下水のくみ上げをできるだけ制限していくことが町政を推進する上での重要な課題となっております。 本町では、潮受け堤防締切りに伴う調整池の淡水化に伴い背後の、後背干拓地にある潮遊池も淡水化したことから、それを水源として一部の水田に反復利用するなどして地下水のくみ上げの抑制に努めておりますが、これが一部に主張される中長期の開放が現実のものとなれば更なる淡水化の遅れを招くこととなり、これは私たちの地下水揚水の抑制、地盤沈下問題への真剣な取組に冷水を浴びせ掛けることを意味しており、到底認めることはできません。 いま一つ、私は、諫早湾干拓事業の目的である農地造成の意義について触れさせていただきたいと存じます。 新しく造成される農地に対して、必要ない、無駄であると主張される向きもありますが、地球的規模では現在約六十一億の人口は世紀末には約百二十五億に増えると予測され、二十一世紀は人口爆発、食料危機の世紀と言われております。巨大人口を抱える中国も間もなく食料輸入国に転ずるでありましょうし、その一方、我が国の耕地面積約四百七十万ヘクタールを優に超える六百万ヘクタールの耕地が荒廃や砂漠化により毎年失われる中で、果たして、食料自給率が先進国では類を見ない四〇%の低さに甘んじている我が国において、本当に農地は必要ないのでしょうか。よく考えてみる必要があると思うのであります。 新しい農地は、平たんかつ広大で、農業用水に乏しい諫早湾奥部の低平地にとって貴重な水源が確保された生産性の高い農地であり、事業の早期完成に寄せる期待は高いものがあります。平地が少ない本県にとりましても、先進的な農業が展開できる重要なプロジェクトであります。 有明海再生法案は、有明海等の環境海域の保全及び改善と水産資源の回復及び漁業振興を図る有明海の再生に向けた画期的な法案であります。 私は、冒頭、ノリ不作の主因を諫早湾干拓事業に事寄せるのはいわれなき指弾であるとも、また、有明海の異変は複合的な要因によるものであるとの考えを申し述べました。 昨年のノリの作況は、一昨年の二十三億三千九百万枚から一挙に四十四億六千四百万枚と大幅に増加し、史上最高の生産量となりました。今年のノリについては、十一月七日から行われた初入札では、豊作であった昨年を上回ると聞いております。これが何を意味するものであるかは、先生方におかれましては既にお気付きのとおりであります。ノリの不作の原因を諫早湾干拓事業に結び付けるのは無理があるということでございます。 また、有明海における貝類の漁獲高の低減は昭和五十四年以来急激に進行しているのであり、その後は大方漸減の傾向にあるわけでございまして、決して私どもは諫早湾干拓事業の水質汚濁によってもたらされたものではないと考えております。なぜならば、手元にそれぞれの県のCOD、いわゆる化学的酸素要求量という指標で比較した汚泥の資料がございますけれども、それは数値が高いほど汚濁が進んでいるということを意味しますけれども、佐賀県がリットル当たり五・一ミリグラム、福岡県四・三ミリグラム、熊本県二・八ミリグラム、長崎県二・四ミリグラムとなっております。調整池が汚濁しているという批判にもかかわらず、この数値は長崎県の海域が最も汚濁が進んでいないことを示しているわけでございます。 森山町では、調整池の水質改善を図るために集落排水事業を町内全域に整備し、一〇〇%の下水処理を行っております。また、周辺の市町は、窒素や燐を除去するための高度処理に多額の投資を行っております。その一方で、第九回のノリ委員会での報告によると、酸処理として窒素で四十七・七トン、燐で百・一トンが、施肥として窒素で八十二・八トンが投下されております。公共下水道等の設置により汚濁負荷量を軽減させる一方で、ノリ養殖のために有明海の汚濁負荷が許されているのであります。有明海再生のためには、このような矛盾した行為、不公平・不誠実な行為は直ちに抜本的に真剣に取り除かなければなりません。 私は、有明海湾岸に暮らす人々と同じように、だれよりも有明の海を愛し、心から疲弊した有明の海の再生を願っております。有明海をよみがえらせる力強い第一歩を踏み出す一里塚として、議員立法による有明海再生法案の速やかな成立を心から期待いたしております。 あわせて、九〇%近くまで進んできた諫早湾干拓事業を一日も早く完成させることが有明海の海域の安定を取り戻し、再生を図る上でも有効な手段であり、早期の完成を地域住民とともに念じておりますことを申し上げまして、私の意見の陳述とさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。
○委員長(三浦一水君) ありがとうございました。 次に、宇野木参考人にお願いいたします。宇野木参考人。
○参考人(宇野木早苗君) 私は、五十年余りの間、海のことをやってまいりまして、特に沿岸の物理現象について学んできました。そして、最近では川と海の関係を調べています。最近の私の仕事は、五ページ目に一応文献のリストが若干ありますからごらん願いたいと思います。 こういう研究の結果、沿岸の開発に関連しては、次に述べる一番目と二番目の項目が極めて重要であるというふうに考えています。初めに、これに関する私の経験を話した後に、そしてこれから有明海と八代海に関する今回の法案に対する私の考えを述べたいと思います。それは三以下になります。 まず最初に、沿岸開発に際して海は一つであると認識することの重要性についてお話しいたします。 一九六〇年代後半から瀬戸内海は汚濁の海と化して赤潮が大発生しました。当時、汚染対策は府県ごとにやっていましたし、また開発事業の影響評価も地元の地先の湾、灘ごとに行われていました。そこで、私たちは一九七〇年に図一に示すような計算結果を示しまして、瀬戸内海は一つの海と考えることの重要性を示しました。すなわち、これを見ますと、例えば備讃瀬戸に物質を流しますと瀬戸内海全体に広がって大きな影響を及ぼしているわけですね。だから、瀬戸内海は一つの海と考えるべきだと、そういう重要性を示したわけです。この結果は朝日新聞の第一面に大々的に取り上げられまして、汚染対策に悩んでいた各方面に衝撃を与えたと聞いております。その後、瀬戸内海周辺の十余の府県知事と政令都市市長の洋上会談が開催されまして、それでそれが後に瀬戸内海臨時措置法あるいは現在の恒久法につながっておるわけです。また、通産省によって呉に世界最大級の瀬戸内海の水理模型も建設されて、瀬戸内海を一つの海とする行政の研究と体制が作られてきたということを示しておるわけです。 こういう点からいいますと、有明海全体と八代海全体を総合的に見ようとする今回の法案は、趣旨としては結構であると私は思います。だが、その内容は科学的に見て不備な点が多々あり、目的の達成は困難であると私は判断いたします。その理由を三以下についてお話しいたします。 次に、河川事業に際しては川と海を一体として考えねばならないということです。 かつてその豊かさをうたわれた三河湾は、これは東京湾の次に三河湾が豊かだったわけですが、その三河湾は現在は、図二、これは環境基準の達成率ですが、これを見ますと分かりますように、我が国で最も汚濁した内湾であり、しかも憂慮すべきことは、その汚濁が進行している傾向にあるわけですね。原因として、地形的閉鎖性と埋立てによる広大な干潟、浅瀬の喪失が言われますが、それとともに豊川用水事業、図三を見てください、これ点線で書いてあるのが豊川用水事業ですが、その事業によって多量の取水が行われ、これが湾に注ぐ河川流量が大きく減少したことが極めて重要であるということが私を含む研究グループで明らかにすることができました。 ところが、驚くべきことに、更にこの瀕死の三河湾、特に渥美湾がひどいんですが、をむち打つような設楽ダムと大島ダムが建設が計画されております。このように多量な取水を行うとしますと、これでは幾ら関係当局が汚濁負荷削減に努力してもそれは無駄であって、環境の回復は不可能とさえ思われるわけであります。海のことを考慮せずに河川事業が行われた典型例でありまして、この例は全国に多く、八代海、有明海にも見られるわけでございます。この危惧は有明海に関してもあるいは八代海についても参考になることかと思うわけです。 それでは三番目に、この法案は子孫に美しく豊かな有明海と八代海を残すためということでありますが、そのためには何が必要かということをお話ししたいと思います。 近年、有明海の環境は悪化してきました。その原因として、全般的な汚濁負荷の増加、それから筑後大堰などの堰やダムの建設、埋立てなどの開発工事その他いろいろ挙げられております。だが、その悪化を加速して決定的にしたのは、実は諫早湾干拓事業がその弱った体に強烈なパンチを加えたためであります。これは、干拓事業着手後、水質、底質の悪化、底生生物の顕著な減少、海底と海面の漁獲量の激減などが生じたことから明らかでありまして、こういうデータを示すことは可能です。そのパンチ力がどのように強いかを次の(1)の項目でお話しいたします。 大事なことは、しかもそのパンチが現在も続いているわけです。それゆえ、環境を再生するためには、日々加えられているこのパンチを止めることが何より必要です。だが、今回の法案は、その強烈なパンチを止めようとはしないで、栄養ドリンク剤などを与えるものにすぎないと私は思います。これでは子孫に誇れる海を残すことは期待し難い。これは、私が今まで東京湾、伊勢・三河湾あるいは瀬戸内海、こういうことを調べてきてこういうふうに思っております。三河湾の二の舞が心配されるのであると。八代海についても同様に思います。 それでは、(1)潮受け堤防が存続すれば体質の弱った有明海の再生はほぼ絶望的か、こういう印象を述べたいと思います。 潮受け堤防は、本明川などの川の流れを海から断ち切る長大河口堰と考えられます。これが有明海の環境悪化に果たす役割は、大略、次の三つに分けられます。 一つは、有明海の潮汐と潮流の大きな減少であります。 図四に有明海の湾奥の潮汐の減少を示しておきましたが、この減少の影響の中で、この減少の六五%は河口堰の影響であるということを示すことができます。これは潮汐がそうです。それから、図五は、これは当局の資料によりまして、締切り後、潮流がどれぐらい減少したかというのを示したわけです。すると、図五を見てみますと、この堤防締切りの前面では八〇%から九〇%も水が、潮流が弱まっている。水は停滞しているわけですね。中もずっと弱まっていまして、湾口ですら、諫早湾口ですら一〇から三〇%も弱まっています。それから、一番右下のが有明海中央ですが、これも一三%も弱まっています。こういうことです。 次、二つは、広大な干潟、浅瀬の喪失であります。 これはもう諫早湾内もそうでありますし、それから潮汐が小さくなったために有明海の外側においてもやっぱり干潟が減少しております。浅瀬、干潟が生物の生存と生活に、また海域の水質浄化にどのように重要であるか、もうこれは皆さんよく御存じだと思うわけです。 それから三つ目は、諫早長大河口堰は巨大な汚濁負荷生産システムの機能を果たしているということに注目をお願いします。 堰内部の停滞した淡水は富栄養化して、底にはヘドロが厚くたまっています。そして、水門を開けると下部から強い勢いで排水が噴き出すわけですが、これは、下の方、その巻き上げられたヘドロを含んで非常に汚染度が高いわけです。そこで、図六に諫早湾におけるCODの分布を示してあります。これを見ますと、結局もう非常に諫早湾はCODが高いわけですね。湾口が二ぐらいで、奥の方では一〇ぐらいのものが見られます。国では環境基準は一〇ですが、それは十分満たしておりません。これは、とかく、この一〇という値は、日本の湖沼のワーストスリーの三番目に当たるそういう状態の湖に相当する悪さが一〇であります。これは、この量を日本自然保護協会が汚濁負荷量として勘定いたしますと、六千三百トンになるわけです。これは有明全体の負荷量の実に一三から一七%ということであります。すなわち、これだけこの干拓事業によって汚濁負荷がたくさん有明海に出されているというわけです。 このように栄養を豊富に含むので、浮上後、光を受けて生物生産が活発に行われ、ところが、そこでは先ほど言いましたように潮流が非常に小さいので、混合は微弱で海水は停滞しています。この結果、沈降した多量の生物遺骸などが分解して、底層が貧酸素化するわけです。 その状況は、図七の溶存酸素の分布を見てください。そうすると、潮受け堤防の前面がどれだけ貧酸素になっているかが分かると思います。生物が生存するには三以下ぐらい必要だと思うわけですが、その範囲は諫早湾を越えて有明海の方の中央部まで広がっておると、こういうことを見てください。これは、そしてこのことは、諫早湾では予想を超えて、湾内部よりも、堰の外側において厚いヘドロ層があるということからも理解できるわけです。 以上の結果、潮受け堤防は膨大な汚濁負荷を日常的に有明海に供給し、これに潮汐、潮流の減少と干潟、浅瀬の喪失が重なって、有明海の環境悪化を促進させると考えられるわけです。 ここで考えていただきたいのは、いろんな要因が挙げられますが、環境悪化の要因が挙げられますが、これほど大きな要因を与えるものは別にありません。このことを十分認識する必要があるわけです。 それから、(2)、川辺川ダムの建設は八代海の環境と漁業に重大な影響を与える。 河川内のダムや河口堰の建設後、海域の環境や漁業が大きな影響を受けることは、八代海や有明海の漁民が痛切に体験して訴えているところです。だが、残念ながら、決定的な証拠を明確に示すことは非常に難しいわけです。これが実は難点なわけです。 というのは、一つは、沿岸開発が進んだ内湾では、それによる影響と河川事業のみの影響を分離することが非常に難しい。もう一つは、一般に、河川内と違って、海域では河川事業の影響が長い時間を掛けて緩やかに現れ、気が付いたときは取り返しの付かない状態になっていることが多いからであります。だから、その点、十分あらかじめ注意しなきゃいけない。 図八は、八代海を三つの海区に分けて、これは不知火海区、鹿児島海区、天草東海区に分けておりますが、海面漁獲量の相対的変化を示したものです。そうしますと、明らかに不知火海区が一番減少が大きくて、だんだん減少しております。これは、塩分やそれから流れの状況から見て、これは球磨川の河川水の広がっていく順序に一致しております。ということは、球磨川に何らかの影響が出れば、それがこの順序で広がっていく。球磨川は、結局、変化というのは、結局相続くダムの建設が考えられまして、そういう影響がこういうふうに現れているということを示唆していると思うわけであります。 それから、川辺川ダムは八十年に一回の洪水を対象にする巨大ダムであって、それが海域に与える影響は無視できると当局は言っております。これは、八十年の間、ダムに砂が堆積し、それだけ海の砂が削られて、そして海に来なくなっても、海には影響はないということを意味するわけです。 そこで、当局の資料を用いて、八十年間のダムの堆砂量を求めると表一になります。そうすると、川辺川ダムだけで二千百六十万立米、既存ダムを合わせると三千五十万立米になります。この量は、六十一平方キロメートルもの広大な海底が厚さ五十センチずつ削られることに相当するわけです。これが海に出てこなくても影響がないということが果たして信じられるでしょうか。また、無視できるという根拠も示されていません。さらに、ダム湖には多量の汚濁したヘドロがたまっております。これは、黒部川出し平ダムのあれでも分かりますが、これが海に影響を与えると。球磨川もそういうことがあるということを示すことが、高いことが示すことができるわけです。 それゆえ、現状の八代海の環境と漁業の環境を止めて更に再生を図るためには、まず、そういう川辺川ダム建設によるインパクトをまず抑えることが必要であって、そして、その右下にあるこういう漁業環境の悪化、抑えておいて、これをどう回復するかということがまず一番必要だと思うわけです。 そういう順序がこの法案の中には見受けられないということでもって、私は非常に残念に思っております。 以上です。
○委員長(三浦一水君) ありがとうございました。 以上で参考人からの御意見の聴取は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○田中直紀君 自由民主党の田中直紀でございます。 今日は、岡本先生、錦織先生、田中先生、宇野木先生、大変お忙しいところ、参考人としてお出掛けをいただきまして大変感謝を申し上げたいと思います。 ちょっと座って質問をさせていただきます。 二十分ほどの時間をいただいておりますので、先生方にそれぞれ一、二問、まず質問をさせていただきたいと思います。 十二年のノリ不作という事態を受けまして、いわゆるノリの第三者委員会が設立をされました。二年間の調査ということで、いろいろな各方面からの意見を集約して、現在、進行しておるところでございます。幸いにも十三年度は、そういう面では、心配された二年続きの不作ということではなくて、御存じのとおり、ノリの生産も、順調に収穫をしたと、こういうことでありますが、しかし、最終的に二年は不作が続かなかったからといって油断をしてはいけないというのが現状の第三者委員会の見解でございますし、地元の皆さん方が争点にされました水門開放につきましても、まず調査を二か月ほどやっていく。それで、いろいろ地元の方々は、大変、今、その後の調査、水門開放の調査についての御議論があるやに私も聞いておるところでありますが、私が見たところでは、このノリ不作に対する第三者委員会、地元の漁業者の代表も入って、そしてまた水産関係の学識経験者の皆さん方が、それも、特にその議論が一般に公開されながら、九回ほどでしょうか、真剣に、そしてまた現実的な形で展開されたというのは、大変そういう面では、対応としては評価が高いんじゃないかと。 私も参加したことはございますが、ほかの検討会もこのように行われれば、後でいわゆる関係者が、非常に不利益を被ってしまったのは不作為の故意ではないかとかいういろいろな事件がございましたけれども、まず、第一段階として情報公開をまず審議の中でやっていく。そしてまた、その提案は時宜を得たものではないかと、そういうふうに思っておりますし、あくまでも、今回の法案は、第三者委員会で議論になった内容をこの法案によってそれぞれの関係者が理解が得られるような地域の対策をしていくんだ、そしてまた調査も引き続きやっていくんだという法案だと私は理解をいたしておるところでございます。 三人の先生方からも、強弱はありますが、法案に対しての意義は認めておられるというふうに理解をいたしておりますが、だからといって、これが再生になるかどうかという御批判の御意見も耳にしたところでございます。 まず、岡本先生にお伺いをいたしたいと思いますが、農業土木の分野として、大変、現地にもお出掛けになって非常に熱心にこの問題に取り組んでこられたことには敬意を表するところでございますが、今の第三者委員会で提示をしておる内容の調査が計画どおり行われてきているかどうか、そしてまた、二年間という区切りがありますけれども、今後、水門の開放等、中長期の問題も含めて、御心配な点がありましたら御示唆をいただきたいと思います。
○参考人(岡本雅美君) まず、私は、現在の諫早干拓事業の当否について申し上げる立場じゃございませんので、まず、第三者委員会が提案いたしまして二年間の、本年度ですね、短期、二か月余り、足らずですか、やられた調査の問題について田中先生にお答え申し上げたいと思います。 まず、このことで何が分かったか。現在までのところ最終的な報告が出ておりませんので、門外漢の私として、結果がこうであったということを紹介する立場じゃございません。ただ、清水委員会、第三者委員会の本来の要望は、もう少し長期に、また開門条件ももう少し緩めてということがあったろうと思います。ただ、そのことは、先ほど私の陳述の中で申し上げましたように、現在発揮しておる防災機能をいったん停止すると、つまり元に戻すということを一部意味します。また同時に、私自身は、もっと荒っぽいことを言いますと、一体、七キロの堤防の両側にあるわずか二百五十メートルの開門を仮に全面開放いたして海と通貫いたしましても、そのことでどれだけのことが本当に分かるのかなという疑問は、私はそういう意味では素人でございますが、ございます。 ですから、先ほど宇野木先生の証言にもありましたように、恐らく漁業サイドの方、また環境保護の方から見れば、もうとにかくもう一度七キロの堤防をぶっ壊せと言わざるを得ないだろうと思いますし、また、森山町長おっしゃったように、現在その効用を既に享受している住民から見れば、何としてもそれは困るとおっしゃる。正にトレードオフといいますか、全く相反する見解のところでございます。 ですから、多分、とにかく現在の堤防等々を前提条件として極力何か被害を減少する方向を目指すといったような、恐らく行政当局が現在目指されているのはその方向だと思いますが、つまり、諫早干拓そのものが、決して定性的に申し上げてこれが環境にいいわけはない。これはもうすべての干拓事業全部そうです。もっと言えば、公共土木事業で環境に被害を与えないものはございません。ただ、問題は、それから得られる利益との比較考量の問題、また被害が出たときの措置の問題という、そういう総合的な判断での、正に政治的あるいは行政的な総合判断というのが必要になりますので、個々の、環境に対する影響だけというようなことに限りませんし、また仮に限ったとして、それが定量的に実証できるものかということに関しては、疑問なきを得ません。 以上です。
○田中直紀君 あともう一点、諫早湾干拓事業が当初の目的よりも縮小されたわけでありますが、当初の目的と比べて防災等含めて支障がないかどうかということについて若干、もう余り時間がございませんので、コメントをお願いします。
○参考人(岡本雅美君) 防災効果については何がしか、既に過去の、近年の洪水の際に発現しておりますから、これはあったとみなしていいと思います。農地の問題については森山町長のおっしゃるようなことであろうかと。 以上にとどめます。
○田中直紀君 錦織先生にお伺いいたします。 先生の論文をちょっと拝見させていただきましたら、御発言より相当過激な文章がちょっと見受けられたんでありますが、今日の御発言で大変タイラギの問題を中心にお話がありました。大変御心配の点があると思いますし、御自身の地元の経験からも発想されておるというふうに思っております。 今の時点で、この有明海あるいは八代海の再生ということで広範囲に事業が展開できるような議員立法になっておるわけでありますが、当然、二枚貝の再生という問題についても、それも地域のいろいろな、諫早湾の中の問題あるいは有明海の全体の問題ということがあろうかと思います。その辺もう少し、象徴的にお話をされておりますが、具体的にもう少しどういうふうに考えたらいいかということを付け加えていただきたいと思います。
○参考人(錦織淳君) この問題を考える上で、いろんな角度から考えることができると思います。先ほどは申しませんでしたけれども、基本的にはやはり大きなグランドデザインといいますか、そうしたことが必要だと思います。 そこで、考えるべきは二つあると思います。 一つは、二十一世紀型の国土戦略ということでございます。 この高度成長下において日本の自然が荒らされてきたのは事実であって、それに対する抜本的な見直しが今議論されているわけですけれども、では二十一世紀型の国土づくりというのはどのように考えるべきか、そしてそのための公共投資をどうしたらよいのかと。まずここをしっかりと押さえていく必要があると思います。そこで、やはり基本的には、これからは自然の摂理に反しない、あるいはむしろ逆に自然の摂理をいただく、利用した、そうした新しい技術体系というものが求められていると、このように考えるわけでございます。 先ほど宇野木先生の御指摘にもありましたように、例えば水というものを考えた場合にも、天から降った水が山の森にたまり、そして小川となり野を抜けて、そして川や湖を通って最終的に外海に流れていく。その中で、農業用水や生活用水にあるいは工業用水に取水され、また排水されていくわけでありますけれども、そうした全体を設計をして、そして新しいIT技術などを駆使しながら、そうしたものをどう利用していくか、そして傷んだ自然をどうやって回復するのか、こういう観点から国土戦略を考えるべきだと思います。 もう一つは、産業振興ということでございます。 私は中海干拓のときにも申し上げたんですが、干拓事業をやめさせるだけだったら簡単なことだと。でも、問題は、その干拓事業に込められた地元の思いの中には地域振興、衰退していく地域に対する焦燥感、そういう中で何とか地元にも産業を興したい、こういう気持ちがございます。そうしたものを受け止めていくならば、二十一世紀型の産業振興、そのためのインフラ整備というものはどのようにあるべきなのか、こういうふうに考えていくべきだと、こう考えているわけでございます。 そういう意味での、大きな設計に立った上での施策というものが今こそ必要であり、誠に申し上げにくいことではありますが、この有明特措法はそういう目から考えますと、余りにも小さな小さなそういう対策だけが取られているのではないかという懸念を持ちますし、また最近、長崎県で、壱岐諸島で砂を取ったということで大きな問題になっております。同じ長崎県では、しかし湾内で砂を取って工事に使っているわけでございます。 このように、ばらばらなことが行われているのが日本の行政でございますので、そうしたことを総合的に今こそ考えていただくということがこの場で私が申し上げたいことでございます。
○田中直紀君 どうもありがとうございました。 田中町長さんにお伺いをいたします。 先ほど、地盤沈下の問題あるいは背後地の問題、そしてまた農業の重要性な問題の御指摘がございました。特に、最大の災害対策というものが生活の中で当然、ここ十数年の間あったわけでありまして、やっと解消はしたという時点で今回の問題があるわけでございますので、大変地域の皆さん方は御心配があろうかと思いますが、この法案が成立をいたしましたら、既に、成立をするだろうということで、熊本県では具体的な計画を、案を作られておるわけでありますので、長崎県でも諸般にわたって今進めておられると思いますが、追加をさせていただいて、どういう点、重点的に取り組んでいったらいいかということを御示唆をいただきたいと思います。
○参考人(田中克史君) 本県でのこの対応の中身については、私は承知をいたしておりません。 それから、本法案が有明海の再生にどの程度寄与するかということでございますけれども、これは、有明海の疲弊に対して及ぼしている要因としては、恐らく人為的なものと様々な複雑な自然現象のメカニズムが起因しているものと二つあると思うんですけれども、私たちができるところは、この人為的な要因による疲弊であると思いますので、どの程度寄与できるのかということについてはなかなか難しいのではないかなというふうに思っております。 ただ、言えることは、私どもは今まで余りにも自然に対して、あるいは有明海に対してむとんちゃくな乱暴な付き合い方をしてきたのではないかなというふうに思っておりまして、それは公共事業の問題、あるいは生活雑排水の問題、あるいは海洋投棄の問題、いろいろあろうかと思います。ただ、やっぱりこういったものも、この法律ができることによりまして、有明海に対する付き合い方といいますか、接し方をみんなが考えると、そういうのが私は非常に大きないい影響をもたらすんじゃないかというふうに思っておりまして、いわゆる環境教育というんでしょうか、余り具体的なことを申し上げられなくて申し訳ないんですけれども、住民の方々への啓発活動というのに非常に力を入れていけば、かなりやっぱり期待できるのではないかなというふうに思っております。 おいおい具体的な施策については、ここにいろんな網羅的なものが挙げられておりますので、新しい有効な施策が分かり次第、順次追加的にやっていくと。今のところは、取りあえずできるところからみんなで手を付けていくと、こういったことでよろしいのではないかと、そういうように思っておりますけれども。
○田中直紀君 ありがとうございました。 余り時間がございませんので簡単に御質問を申し上げますが、宇野木先生には、これから川辺川ダムの建設につきまして、地域の皆さん方も活性化のために、そしてまた今までの対策のためにも建設が必要であるというような方々も多くいらっしゃるわけでありまして、一つのこれからの方向性を出していかなきゃいけない時期じゃないかと私は伝え聞いておりますけれども、第三者委員会等が設立されて、有明海全体の問題を教訓にして、川辺川ダムも地域の皆さん方の理解の下に取り組めるのかどうか、その辺、先生の御見識も参考にされればいいんではないかと、私、委員の一人として思っておりますが、今後ともいろいろ御示唆をいただきたいと。回答は結構でございます。今日のお話を大変耳を傾けて聞かさせていただいた次第でございます。 私はこれで終わらせていただきます。
○和田ひろ子君 民主党の和田ひろ子でございます。 四人の参考人の先生方、今日は本当にありがとうございます。座って質問をさせていただきます。 まず、私は、この今回の法律案、よく何回も何回も読ませていただいております。この法律は、有明海及び八代海が、国民にとって貴重な自然環境及び水質資源の宝庫として、その恵沢を国民がひとしく享受し、後代の国民に継承すべきものであることにかんがみ、有明海及び八代海の再生に関する基本方針を定めるとともに、有明海及び八代海の海域の特性に応じた当該海域の環境の保全及び改善並びに当該海域における水質資源の回復等による漁業の振興に関し実施すべき施策に関する計画を策定し、その実施を促進する特別の措置を講ずることにより、国民的資産である有明海及び八代海を豊かな海として再生することを目的とするという法案であります。 この法案、私は本当に私たちの世代が次代の、次代に住む日本の若者たちのために残すべき大きな役割を果たさなければいけないという思いで、参考人にお聞きをしたいと思います。 まず、宇野木参考人、海に命を与えるために、有明海の再生には干潟、潮流、潮汐の大切さを言っておられますが、是非そのことをお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(宇野木早苗君) 今、和田ひろ子先生がおっしゃったことを漁民の奥さんが言っております。というのは、結局海は天からの預かり物なのよと、子供たちに残すときにはきれいにしてから返そうねと、子供たちに返すときにはきれいにしてから返そうねと、そんなふうに漁師の主婦の方が言っておられます。今、先ほどおっしゃったこともそうだと思うんです。 そういう観点から私は、有明海をきれいにして、そして回復してそれを後世に残すという観点からこの法案を考えるべきだと思うわけです。それにふさわしいものかどうか、それをやっぱり議員さんによく見ていただきたいと思うわけです。 今お話しした潮汐、潮流のことですが、これは海の流動を支配する基本的なものです。例えば、三ページの図の五を見てください。結局、先ほど説明しましたように、この堰を造ったために、潮受け堤防を造ってもう中が、諫早湾の中がこれだけ潮流が弱くなっておりますね。それからまた、有明全体にしても潮汐が小さくなっております。こういうことは、もう結局海水の交換、流れ、それから海水の交換、それから、それはひいては物質の循環、生物生産全部にくっ付いてくるわけです。例えば、流れがないところはもうよどんじゃって、そして本当に汚れる、これは湖なんかも閉鎖的だからそうですよね。 だから、結局そういう潮汐、潮流というのは海の環境を考える場合に基本的に重要なことであって、それを小さくしておいて、ゼロに近くしておいてそれで回復しますなんて言っても、僕はそれはできないと思います。だから、本質的にそういうことをやっぱりきちんと見て、そして考えないといけない、こんなふうに思っています。
○和田ひろ子君 はい。ありがとうございます。 そして、この一番の法律の原点は、瀬戸内海をきれいにするという瀬戸内海保全というものの法律がモデルになったと言われておりますが、瀬戸内海保全法の有効性を宇野木先生はどういうふうにお考えですか。
○参考人(宇野木早苗君) 私は、最初に言いましたように、瀬戸内海の法律が結成される前のことでやはり一つにして考えねばならないということで、全体としてやるべきだと思っております。 ただし、法的なことに関しましては錦織さんが適当と思いますから答えていただきたいと思いますが、私の考え方で言いますと、やはりそれなりの効果はあったけれども、結局規制が、特に埋立ての規制が緩いためにそれができなかったということがあります。というのは、結局今の環境アセスメント、それにしてもすべて一つ狭い海域の一つの事業だけのアセスメントなわけです。だから、一つのアセスメントで、瀬戸内海に一つの事業をやったアセスメントであって、それで影響は小さかったのだといって認める、次のことも認める、結局小さいと認める。そういうことをやれば、もう湾あるいは瀬戸内海全体を埋め立てることだって可能なわけです。だから、そういうことを許すようなアセスメントあるいは規制法というのはいけないわけでありまして、同様に有明海もきちんとした規制しないと、同じようなことが起こってまいります。
○和田ひろ子君 今、宇野木先生が、錦織先生の方が法律とか振られましたので、錦織先生にお尋ねをいたしますが、総量規制という、瀬戸内法にもありました、瀬戸内の保全法にもありましたが、総量規制にはどんな意味があるというふうにお思いですか。
○参考人(錦織淳君) その前に、瀬戸内保全法をどう評価すべきかということをごく簡単に申し上げたいと思いますが、この有明特措法案は、至るところで瀬戸内保全法のスキームといいますか規定ぶりを参考にしておられるわけでありますが、では、その瀬戸内保全法はどうであったかと申しますと、結論からはっきり申し上げて、そちらの方が私は優れていると思います。というのは、明確に規制権限を与えているということでございます。 それから、お尋ねの総量規制についても、非常に具体的な規定を置いております。したがって、抽象的な規制権限を付与するだけではなく、もっと踏み込んだ内容になっているということでございます。それから、自然海浜の保護、そうしたことについてもうたっております。 そういう意味ではかなり良い面も持っていたはずなんですが、実際には、先ほど宇野木先生も御指摘されたように、大量の廃棄物処理のための埋立てにこの瀬戸内の浅瀬がつぶされてしまったために瀬戸内は大きな打撃を受けた。そのことを阻止できなかったというのが一つの教訓として残っていると思います。 お尋ねの総量規制について申し上げますと、私は基本的に、今私たちが有明の再生というふうに考えるべきときに、総量規制をメーンとして考えるべきなのかと。はっきり言えば、やはり私は、諫早干拓事業をやめる、こここそポイントであって、その海を駄目にした基本的な原因に手を付けずに総量規制をしたとしても、問題が少しずれていることになりはしないかということでございます。 それからもう一つは、そのような総量規制は海全体に対する汚濁負荷が絶対量としてどうなのかという観点でありますけれども、今、漁民たちが問題にしているのは、潮受け堤防の内側の調整池から排出される排水に大きな問題がある、それが大きな汚濁負荷になっているということを言っているわけでありまして、そういう観点から考えますと、海全体に希釈をさせるという考え方は、既に水俣の例によっても明らかなように、必ずしも有効ではありません。具体的な汚濁負荷がどの水域にどのような形で出され、それがどのように漁業資源に影響を与えるのか、それをずばりとらえる対策こそ必要だと思います。
○和田ひろ子君 私は、この有明の問題、いろいろ新聞や何かで見ていまして、本当に残念でたまらないのは、昔はみんなでこの海を利用して漁をしておられたんですけれども、今考えると、半分の皆さんは土木に関する仕事をされておられる、そして仲間の皆さんが漁業を守っておられる。本当に話を聞くたびにとても残念な思いがいたします。例えばごみ掃除などに従事しておられる皆さんとか、いろんな思いがあられるんではないかなという思いでお聞きをします。 覆砂の事業とか種苗の放流とかごみの掃除なんというふうになっていますが、これは果たして有効なことなんでしょうかね。錦織先生にお尋ねします。
○参考人(錦織淳君) 先ほど、最初の意見陳述のときにも申し上げましたけれども、私はこれは有効ではないと思います。 まず、稚貝、稚魚の放流というようなものについては冒頭でも申し上げましたし、更に覆砂について申し上げますと、その砂をどこから持ってくるのかという問題でございます。そうしますと、当然海から砂を取ってくるわけでありますが、他方でその海を荒らしてしまうという問題がございます。それからまた、外から砂を持ってまいりますと、その砂がその地域特有の、水域特有の生態系を壊すのではないかという問題も出てまいります。さらには、そもそも覆砂そのものが有効なのかということでございます。それは、単に下のヘドロを覆い隠すだけではないのか、文字どおり臭い物にふたということになりはしないかということでございます。 そして、もう一つは、冒頭で申し上げたように、稚貝をそこに放流しても、あのタイラギの例のように、結局生育をしない、育たないということになってしまうのではないかという意味で、そのような有効性を期待することはできない、むしろ新たな害が生ずる危険性すらあるということを御指摘申し上げたいと思います。 なお、漁民の心情をおもんぱかれば、今漁民は、本来海で生活をしたい、海のタイラギで生計を立てたい、そう思っております。でも、そう思ってもそれでは食べていけない、背に腹は代えられない、仕方なく泣く泣くマリン工事に従事をし、そしてそれに予算が付けばそれにすがらざるを得ないという、ある意味では悲劇的な状況にあると。しかし、それではおかに上がったかっぱだということになり、将来に夢も持てない、後継者も作れない、そういうことになってしまうおそれがございます。
○和田ひろ子君 錦織先生に続けてお尋ねをしますが、御地元の中海の例なんかを参考にして、これ、諫早とか有明に代替的なものがありますかね。ちょっとお尋ねします。
○参考人(錦織淳君) 私はやはり、単に批判をし反対するだけでは問題の解決にならないと思います。推進をしたい人たちの思いと、反対、批判をする人たちの思いの共通点はないのか、これがいつも考えてきたことでございます。 先ほど田中先生の御質問にもちょっとお答えしましたけれども、中海干拓の場合でも、既に造られた堤防や水門を利用して新たな水質の改善、こういうことが可能であるし、新しい産業振興が可能であるという提案をいたしました。私は、この諫早においても同じようなことが可能であると思っています。しかし、諫早湾の方がいささか問題が深刻なような気がいたしております。 しかし、オランダの例を見ますと、干拓の先進国です。オランダから随分土木的にも干拓技術を学んだわけでありますけれども、そのオランダは今どんどんと造った堤防を開放しております。そして、いったん造った堤防にすごい勢いで外の海流が流れている、そういうビデオ放映もテレビなどで流されております。 そうした例に見られるように、結局は、そうした新しい国土戦略といいますか、地域振興のためのそういう公共投資をどこにどのようにやったらいいのかと、これこそ正に政治の問題だと思います。そのために、いったん造ったものを壊すことも恐れてはなりません。あるいは、それをうまく利用する方法もあるかもしれませんが、しかし、造ったからただ前に進めていけばいいという考え方は既に国際的にはもう取られていない考え方だということを申し上げたいと思います。
○和田ひろ子君 最後の質問になりますけれども、錦織先生にまたお尋ねをします。 先ほど、田中委員のところで、公共事業の在り方、今も少しお答えになっていると思いますが、私も午後からこの質問をさせていただくつもりでおりますが、今まで掛けたお金が大切じゃないか、もったいないじゃないかという話もたくさんあります。でも、私は戻る勇気も絶対に必要だというふうに思っています。宇野木先生に先ほど申し上げたように、後世にすばらしい海を残すとすれば戻る勇気も絶対に必要だというふうに思っていますので、公共事業の在り方についてもう一度お尋ねをしまして、私の質問は終わります。
○参考人(錦織淳君) 時間の関係で一言だけ申し上げれば、この諫早干拓事業は、見直しをされた結果、規模が縮小されたわけでございます。そして、その土地改良事業として本来想定してきた一対〇という、一・〇という費用対効果、この数値を割ってしまったわけでございます。 私どもから見ますと、その費用対効果の前提としてどのような要素を取り込むか、例えば干潟の浄化能力とか、あるいは有明海全体の負荷とか、そういうものを考えますともう全く計算が違ってしまうわけでありますけれども、これまでの伝統的といいますか、従来型の手法によっても一・〇を割ってしまったということは非常に重大な問題だと思っております。
○和田ひろ子君 ありがとうございます。
○日笠勝之君 公明党の日笠勝之でございます。 今日は、四人の参考人の方々には、公私ともにお忙しいところ当委員会に御出席をいただき、貴重な意見陳述をいただきましたことを感謝申し上げる次第でございます。 〔委員長退席、理事田中直紀君着席〕 もう既に、二人の委員からいろいろとお聞きをされましたので、私はずばり四人の方に同じことをお伺いをしたいと思います。 それは、昨年の十二月十九日に農水省の有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会が「諫早湾干拓地潮受け堤防排水門の開門調査について」という報告書を出しております。その中にはこのようにございます。「開門調査はその影響の検証に役立つと考えられる。現実的な第一段階として二ヶ月程度、次の段階として半年程度、さらにそれらの結果の検討をふまえての数年の、開門調査が望まれる。」と、こういうようにまとめられたわけでございます。 それに対しまして、御承知のように、現在の農水省の立場というものは、平成十四年度中に設ける場での論議を経て農水省において判断するというのが今農水省の立場でございます。 先ほどの検討委員会の要約に対して、二か月、半年、数年と、こういうことについての御意見、御所見がございますれば、四人の先生方から漸次お答えをいただければと思いますが。
○参考人(岡本雅美君) まず、ノリ不作等第三者委員会は、あくまで一昨年のノリ不作の原因の調査ということに目的を限定いたしております。そして、その観点から開門調査かくあるべしということの御提言でございますから、実際にそれをやります際には、私が先ほど指摘しましたような、多々、社会的、経済的な問題を複合的に生じます。したがって、その提言をいかに実施あるいは修正するかということについては更に大きな立場からの総合判断が必要であろうと。 そういう意味で、それが、農林水産省当局がそれにふさわしいのか、あるいは別途、更に総合判断、第三者委員会を包摂した形での更に包括的な検討委員会のようなものを設けられるか。それは私は分かりませんが、いずれにしましても、あの第三者委員会の提案は原因究明のためにはかくかくしかじかのことが必要であるという科学的なその一点だけに絞った御提言でございますから、それを実際に実行するとなれば、極端なことを申し上げれば、かなりそのために失われる防災効果の補償とか、そのことも考えていただかなければならない。 私は決してこれは足を引っ張る意味で申し上げているんではなくて、陳述の中で申し上げたように、既に実際にこれだけの施設ができて、一方での効用、一方で被害が出ているという御主張があると同時に、一方での効用を発揮したところで、一体どのような前提条件を満足すれば例えば調査そのものができるのかという点の改めて検討が必要であろうと思います。
○参考人(錦織淳君) この有明海の沿岸の漁民の方々といろいろ頭を悩ませている立場から申しますと、正直言って、十年もタイラギが取れない、あるいは最近はカニまで駄目になってしまったという大浦漁協の人たちの話を聞きます。そういう中で、今からまた調査かというのが率直な印象でございます。そして、何年掛かって、いつ、どんな調査をして結果を出し、そしてどんな対策を出してくれるのかということについて、もはや非常に冷めた気持ちもございます。 しかし、そうはいっても、このノリの第三者委員会は、大臣の諮問を受けて中長期調査という三段階の答申をされたわけでございます。私は、やはり行政としては、自らの諮問に対する答申なんですから、それは尊重するというのがやはり義務ではないかなと思っております。 ただ、懸念をいたしますのは、そのような調査がいつ行われるかも分からないし、漁場調の例を見ますと、結局、もみくちゃにされてしまって何も分からない、そういうことになってしはしまいかと。そして、もっと恐ろしいことは、その調査をしている間に海が回復不能なまでに打撃を受ける。あるいは、沿岸の漁業者あるいはその隣接の産業もございます。そうしたものが立ち直れないほどの打撃を受けてしまうことがないのかと、こういうことを恐れます。 したがって、中長期調査は是非やっていただきたい。しかし、同時に大切なことは、せめてその間工事をしない、これ以上進めて余分な金を投入したという結果にならないようにすることは最低限の前提だと思っております。
○参考人(田中克史君) 私どもがこの排水門の開放調査について終始一貫反対であったことは御承知のことと存じます。しかしながら、平成十八年度に工事が完成されるという前提の下に、私どもはやむなくこれを受け入れたという経緯がございます。 農水省の説明では、短期排水門開放の後、この調整池の状況は二か月間で元に戻るということでございましたけれども、現在、七か月たってもまだ元の状態には戻っておりません。そのように、この排水門の開放につきましては予測し難いことがあるわけでございまして、先ほど私が意見陳述の中で申し上げましたように、この調整池の淡水化に伴って、後背地の潮遊池の水を反復利用することによって地下水のくみ上げを抑制する、ひいては地盤沈下の問題を抑制する、そういった私どもの真剣な努力が徒労に帰するわけでございまして、そういったことから私は、この中長期の開門調査も、また、一部言われているような干拓事業を中止するというようなことにつきましては、断じて反対をするものでございます。
○参考人(宇野木早苗君) 私は先ほど、潮受け堤防がどういう役割を果たしているかということを二ページ目の(1)のところで述べました。すなわち潮汐、潮流の減少、それから広大な干潟、浅瀬の喪失、そしてさらに巨大な汚濁負荷生産システムというのをデータを用いてきちんとお示しいたしました。これでもって、私はもうかなり有明海干拓事業の影響は大きいというふうに思っております。これに匹敵するようなほかの要因はありません。 しかし、それでもなおいろんなことを言われる方はおるわけですから、したがって、その諫早堤防の強烈なパンチというのがどれぐらい強いものかということをやっぱりきちんと確認しないといけないと。そういう点で、こういうような言わば調査が行われるというふうに考えております。そして、それは結局、もう有明海の環境回復にはここが一番根本的なことですから、この根本的なことを明確にしなければ回復は不可能だと私は思っております。そういう点で、やはりそういうふうにして調査をして明確にして、だれもが分かるようなことをやることは非常にいいわけでありまして、そのためにはやはり工事を中断してやるべきだと思うわけです。 結局、長い有明海の将来を見た場合に、有明海が本当に弱ったままでいって、そして全体が弱って、それでいいのか。ふたを開ければいろんな点で問題は出てきますが、しかし将来の有明全体の、それから美しい、後世に残すということを考えて、それでいいのかということを考えていただきたいと思います。 それから、最初にこういうことを岡本参考人がおっしゃいましたが、水門を開けてどれぐらいの影響があるかということは、ちょっとお話しいたしますと、この参考人関係資料というものの五十ページを見てください。私のところの五十ページ、これの、参考人資料というのがあります、この五十ページを見てください。そうすると、このフィグ二十、結局、二十のところに、これは非常に簡単なモデルで大分様子が違うんですが、今の水門を開ければ、どの程度開ければどれぐらい潮汐が回復するかということを私が簡単に計算したわけです。そうしますと、結局、今水門は、横軸が二百五十メーターです。横軸が水門の幅、それから縦軸が元の潮汐に対してどれぐらい回復する、パーセンテージですね。そうすると、二百五十メーターぐらい開けますと大体五〇%以上回復するということが大体分かるわけですね。 そうしますと、これは非常に簡単な理論ですからきちんとしたものではないわけですが、一応目安として、かなり水門を開ければ水が流れ込むと。そうすると、それだけに対してどれだけの影響が出てくるかというのはかなり明確に把握することも可能だと思うわけです。 〔理事田中直紀君退席、委員長着席〕 そういう点でも、やはりそういう調査というのは意味があると、こんなふうに思っております。
○日笠勝之君 錦織先生、本来ならばこちらの委員席から参考人の方にいろいろお伺いをされるお立場だったんだろうとは思いますけれども。 先ほどからの、錦織先生、タイラギ、またカニとか巻き貝、魚介類のことをいろいろと、絶滅、大凶漁ですか、凶作、凶漁と。ノリのことはどのようにお考えになり、ノリの大不作、大凶作というのが平成十二年にございましたけれども、これの原因はいかようにお考えなんでしょうか。
○参考人(錦織淳君) 基本的には同じだと思っております。ただ、現れ方がかなり違うのかなという気がしております。 先ほども申し上げましたように、ノリの場合は、海の養分を吸い取るということもございますが、そのバランスが非常に微妙なんだと思うんですね、色落ちをするバランスという面で。そこがノリの特殊性かなという気がいたしますが、大量のプランクトンの発生による色落ちというようなことの原因は、私はやはり諫早干拓が原因だと考えるほかはないと思っております。 というのは、これは宇野木先生の御指摘にもありましたけれども、やはり私がいろんな海を見て有明で一番やっぱりすばらしいと思うのは、潮流、潮汐の物すごい力というものがあったということですね。これが海を攪拌することによって大量に酸素が供給される。こういう海はなかなかほかに日本では少ないわけでございますし、またそれに伴って干潟が生ずることによって、そこでまた大量の酸素が供給されると。こういう海でございますから、それが弱まってしまったことによって有明海全体の海のパワーが落ちてしまったと。そういう意味で、ノリも恐らく時間の問題だというふうに思っております。
○日笠勝之君 岡本先生、今の錦織先生のお話でございますが、私もこのことについて、かつて与党三党でも対策本部を作りまして現地へ視察にも行きまして、いろいろそれ以降関心を持ってこのことについてそれなりに勉強しておりました。 原因というのは、いろんな学者の方がいろんな観点から御専門の立場でコメントされておられますので、一つの原因、二つの原因じゃなくて、もう複合的要因といいましょうか、先ほどもそういうお話されましたけれども、そういうものがやっぱり存在するのかなというのが率直に今の私の考えなんですね。 例えば、エルニーニョの年はノリは不作だという何か定説があるとか、それから筑後大堰が大きな原因になっているとか、それから熊本新港、港、これが潮流の変化をさせているんじゃないかとか、いろんな要因がたくさんあるんじゃないかと言われておりますけれども、岡本先生から見て、ノリということに限定してで結構でございますが、大凶作だった平成十二年の原因は那辺にありや、このことについてお答えいただければと思いますが。
○参考人(岡本雅美君) 十二年についてはもう既に定説が出ております。つまり、直接の因果関係としては、それに先行する高温と多雨ということで、この点に関しては皆さん異論がないようでございます。 ただ、問題は、おっしゃるように、その前提というのは、それは言わば上乗せした直接的な原因、結果でございますから、本来その前提としておっしゃるようなエルニーニョあるいは新港、諫早干拓等々等々といったもろもろの現象、さらにノリ業者そのものが使った肥料、酢酸といったものの影響等々、もろもろあるだろうと。 いずれにしましても、先ほどの錦織先生の御指摘のタイラギにしましても、見ていただくと分かります、錦織先生のお示しになった図二を見ていただいても分かるんですけれども、平成四年に諫早干拓が始まる前に既に一度ほとんど壊滅的な状況になっております。ですから、その後、更に、閉門の結果更に駄目になったということは言えますけれども、これを見ても分かるように、例えばタイラギを指標に取ったときの被害というようなことになると、これはもう正に複合としか言いようがない。もろもろの汚濁の進行ということを想定せざるを得ない。それが私が、原因調査もさることながら、具体的な対策、個々の、有効がもう自明のことである対策を急ぐべきであろうと申し上げた根拠でございます。 以上です。
○日笠勝之君 最後に、地元で本当に御苦労されている田中町長さんに一点だけお伺いします。 先ほど錦織先生から、地元はタイラギ大凶漁というんですか、ということで自殺、破産、夜逃げ等々が続発といいましょうか、たくさん起こっていると、こういうことでございますが、地元の町長さんとしてはそれの実感というのはどうなんでしょうか。
○参考人(田中克史君) 私のところは農業が主体でございまして、漁業者というのはございません。ただ、湾岸に……
○日笠勝之君 地域で。
○参考人(田中克史君) そういった地域はございますけれども、それは話としてそういうことがあるというふうには漏れ聞いております。 そういったことは非常に痛ましいことでございますけれども、ただ、皆様方にもお考えいただきたいんですが、先ほどのいろんな意見を聞いておりますと、じゃ本当に海の異変というのは有明海だけなのかということをお考えいただきたい。それから、有明海の異変というのは本当に諫早湾干拓だけだと、心底そのようにお考えになっているのか、私の方がむしろお尋ねしたいというふうに思っております。 今、この諫早湾干拓事業を完全に中止した場合に果たしてすぐ元の状態に戻るというふうに本当に信じていらっしゃるのかどうか、私は大変疑問に思うわけでございます。やはり、先ほど来御意見ございましたように、様々な複合的な要因、それからまた、私どもの小手先の人為的な対策では何ともいかんとしがたい大きな地球環境の変化というものが、私は、この背景に、根底にあるのではないかというふうに思っております。 それから、これはお手元に配らさせていただいているこのペーパーをごらんいただきたいんですけれども、諫早湾のこの干潟を守ることだけが本当に環境問題なのかと。 私どもは、このように厳しい自然の脅威、猛威というものにさらされて何十年も闘ってきたわけでございます。政治というものが、数の力だけではなくて、国民にひとしく血のぬくもりを感じさせるものでなければならないとするならば、いかに私どもの住民が少数であろうとも、狭い地域であろうとも、やはり私どもの生命であるとか財産であるとかはひとしく守られてしかるべきだというふうに思っております。それが政治の心である一視同仁ではないかというふうに私は申し上げたいわけでございます。 それから、地盤沈下の問題、あるいは私どもが直面しております地下水の枯渇の問題、あるいは地下水汚濁の問題というのは環境問題ではないのかということを申し上げたいわけでございます。 環境問題というのは、干潟だけの問題に矮小化されるべきではないと私は思っております。二十一世紀は、人口爆発、食料危機、水不足の世紀だと思っております。そういった意味では、人類がお互いに共存していくためには水問題というのはどうしても避けて通ることができない問題でありまして、この諫早湾干拓問題というのは地域が抱える水不足の問題についても極めて重要な役割を担い得るものであるということについても、是非思いを致していただきたいというふうに思うわけでございます。 以上でございます。
○日笠勝之君 終わります。
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。 今日は参考人の皆さん、本当にありがとうございます。早速やらせていただきます。座らせていただきます。 最初に、宇野木参考人にお伺いしたいと思います。 それで、潮汐、潮流の研究をされていて、それがやはりどういう影響を与えるかということが、お話もありました。 それで、私は、影響の評価をめぐって、二〇〇一年の三月に日本海洋学会海洋環境問題委員会が有明海の環境回復のための提言を発表いたしました。 その中で、汚濁の問題について、汚濁の量について数値が、例えば自然保護協会の皆さんが出される調査と、それから農水省が示している数値に三倍の開きがあるということですとか、それからモニタリングについても、調整池から汚濁の負荷が出されてくると、その状態というのが締切り以前と以後でやっぱり大きな違いがあるはずなんだけれども、しかし、農水省の発表したところによりますと、締切り前と後では水質に変化はない、環境にそれほど大きな影響を及ぼしていないというふうに出されるなど、食い違いがあると。 それから、サンプリングの問題なども、海のどの部分を取って調べているのかということも含めていろいろ御指摘をされているわけなんですけれども、その点で、農水省の調査の客観性とか科学性という問題について先生のお考えをお聞きしたいと思います。
○参考人(宇野木早苗君) 私は海洋物理が専門ですから水質、生物の方は余り、知識が不足していますが、そういう点は御了承願いたいと思います。 それでは、今のお話に対しまして、私の資料の三ページの図六を見てください。 これはCODの分布を示したわけです。そして、このCODの分布からいうと、これは日本自然保護協会のデータですが、ともかく膨大な汚濁負荷が出ているということが分かるわけですね。それが、今おっしゃったように、農水省の方のデータとは違っていると。これは、違うのは当然なわけです。測り方がおかしいわけです。 農水省の測っているのは、海面からたしか五十センチぐらいのところで測っているわけです。そうすると、海というのは結局、上に淡水が中から出てまいります。そうすると、淡水というのは表層の方を流れていくわけですね。上と下じゃ、かなり密度成層をしているわけです、密度が違うわけです。五十センチのところというのは下の方の影響がかなり大きいわけです。例えば塩分なんか見てみましても、場合によっては、もう下の方と五十センチのところの層は塩分が同じということは、そこには中からの淡水の影響はないときもかなりあるということを意味するわけです。 したがって、中から出てくる淡水、汚濁水というのは、結局、表層近くを流れてくるわけでして、それをつかまないといけないわけでして、それをつかまなくて、そして下の方の影響を受けた五十センチのところでやっていて違いがあるなんとか言っては、これはもう大きな間違いです。これはもう本当にモニタリングの問題になってくるわけで、そういうようなデータが多いわけです。 結局、形式的に決められた深さでやるとか、そうじゃなくして、現象を見て、その現象を把握するにはどういう測り方をすればいいかと、そういうことを日本自然保護協会はやっているわけです。その結果、こういう図六とかあるいは図七とか、こういうデータが出てくるわけですね。だから、こういうふうに現象に応じた調査をすればきちんとしたデータが出てくる、そういうことを私は考えております。
○紙智子君 そういう点では、調査のやり方ももっと考えなきゃいけないということがあると思うんですが、それと、ちょっと角度がまた変わる話なんですけれども、公共事業をやっていく場合に、総合的にその効果を考えるということなんですけれども、費用対効果という問題があります。それで、やっぱりその事業によってどういう効果があるのかということを出していく場合に、失われる効果というものも当然考えなければいけないだろうと。 それで、例えば有明海の場合、干潟の浄化機能などは非常に大きな効果があるということが言われているわけですけれども、こういうものなどの損失部分といいますか、こういったものを差引きしてやっぱり計算をして出していかなきゃいけないというふうに私は思うわけですけれども、この点についての先生のお考えはいかがでしょうか。
○参考人(宇野木早苗君) 私の資料の四ページを見てください。四ページの一番最後の行のところで、ここで、その成功がうたわれたナイル川のアスワンハイダムでさえ、利益に対してその約七〇%の損失を伴っていたということを我々は銘記しなければならないと。 結局、ナイル川のアスワンハイダムは非常にエジプトに利益を与えました。しかし、その結果としてやはり大きな損失が出ておりまして、河口付近の地中海の漁業は非常に大打撃を受けております。エンツという人は、結局、評価いたしまして、プラスの面がプラス六〇%、マイナス面がマイナス四〇%で評価しているわけです。だから、実質的な効果というのは二〇%ですよね。 したがいまして、有明海の場合にも、干拓事業でいろいろやっても、その効果といった場合に、私は詳しいことは知りませんが、結局、それを考課すると、これだけ農地が増えて作物ができてと、そういうふうな評価しかやっていないような気がするわけですよね。結局、有明海全体がこんなふうに悪くなってきた評価というのは、損失は入っておりません。だから、私は、評価する場合には、効果とそれから与えるであろう影響というのを引いて、それに対して費用との比率を考えるのが本当であろうと思うわけです。そうすれば、有明海干拓事業が本当にプラスになっているのかどうか。アスワンハイダムですら、あれだけのマイナスを作っているわけですよね。 それから、三河湾におきまして豊川用水のことを例を出しましたが、豊川用水だってあの地区に大きな農業利益を得ております。しかし、それが実は、この一ページの図の二にしましたように、結局、三河湾がもういつまでも日本一汚れていて、そして更に低下の傾向もあるということを見れば、そういうことまで含めてそういう事業を考えないといけない。ところが、そのとき、新たに考えられている設楽ダムとかそういうダムの影響というのは、そういうことは考えていない。それで果たして費用対効果が出てきているのかと、こんなふうに私は思います。
○紙智子君 宇野木参考人は、この有明海の弱った状態に強烈なパンチを加えたのが諫早湾の干拓の事業だと、だから、再生をさせるためには今も日々続いているパンチを止めるということをやらなければいけないと、それなしに再生ないということをお話の中で言われているわけですけれども、その点で、今回出されているこの法案ですね、これについて、再生につながるのかどうかということについてお伺いします。
○参考人(宇野木早苗君) 私は、正直に言って、これはつながらないと思います。
○紙智子君 今度の法案が、有明海の再生の方策について、漁場の整備それから覆砂事業などいろいろな項目があるわけですけれども、再生のために、やはり人為的、対症療法的な漁業振興策ではなくて、自然の治癒力を本当に大切にしてやるべきだということがノリの第三者委員会の会議の中でも議論をされたわけですけれども、その点についての御見解はいかがでしょうか。
○参考人(宇野木早苗君) 私は、自然の力、これは非常に大きいものですから、それに逆らってそれでやろうとしてもそれは無理です。だから、自然に逆らわないようにちゃんとうまくやらねばならない。ところが、潮受け堤防ですと、とかく口付近では流れが停滞しているわけですよね。そういう停滞した状態を作って、そこに膨大な汚濁が入ってくる。それで海が汚れないというのはおかしいわけです。 そういうことを考えると、やはりそういう根本的なところにも人間の手によって非常に重大な問題が起きているわけですから、それを除くということが、自然の力をかりて有明海を再生する、これがやっぱり後世に残すべき有明海であろうと、こんなふうに思います。
○紙智子君 ありがとうございました。 それでは、錦織参考人にお聞きしたいと思います。 今度の法案についてですけれども、大島農水大臣が、十月の一日ですか、記者会見をやって、今回のこの議員立法については、総合的に、いろんなこれまでの経過というのはあるわけですけれども、そういう問題を乗り切るための議員立法として提案をし、臨時国会で成立をせしめていただくと同時に、先ほど来申し上げた経過の中から、というのは、まあ漁業者やいろんな反対もあったと、そういう中から、様々な諸計画については着実に一つ一つ進めていくというのが農林水産省としてのスタンスだというふうに述べておられるわけです。 それで、この法案のやっぱり政治的なねらいといいますか、その辺り、どのようにお考えでしょうか。
○参考人(錦織淳君) 私がこの法案の問題点について具体的なことを幾つか今日もお話しをいたしましたけれども、もう一つ、この法案がどういう客観的な機能を果たすのかということについてのお尋ねだと思いますが、それも私にとっては懸念材料なんです。 例えば、農水大臣の、今の大島大臣の前の大臣のときから、この有明特措法の制定経過を受けて平成十四年度中に立ち上げる新たな委員会で議論をするんだと、こうおっしゃっているわけなんですけれども、先ほど御質問いただいたノリ第三者委員会のその答申あるいは調査も終わらないうちにまた委員会を作るのかと。そして、先ほど冒頭で申し上げたこの諫早湾の、泉水海のタイラギの死滅についての調査も、結局何も分からないという結論だったと。 もう諫早湾の干拓事業、有明海に関しては、極端な言い方をすれば、ごまんといろんな委員会ができております。次から次へと立ち上げて、何が分かったのか、何が解決できたのかと、こう考えますと、またもや委員会なのかと。そして、事はすべて先送り先送りされ、そして、有明海異変の要因は複合的であるということによって、何もかもあいまいになっていくということを恐れております。
○紙智子君 四月十五日の深夜に、農水大臣と四県の漁連の会長さんと、それから衆議院議員の方、それから長崎の知事さんや佐賀の知事さんが会って会談をしたと。それで、その中で、短期の開門調査の実施ということと併せて、二〇〇六年度の干拓事業を完成するということを合意したということが伝えられました。しかし、その後すぐに、この合意そのものが大きく揺らぐ、崩れるような状況が起きています。 その合意を知って、有明海沿岸の四県の漁民や住民の皆さんが幹部の独断だということで抵抗して、二十六の漁協の中で二十一の漁協がそれを覆すと。やっぱり工事再開に反対だということを示しているわけですけれども、工事反対の集団訴訟まで起こそうとしているという事態になっているわけですが、こういう状況があるのに推進しようということについては、参考人の考え方はいかがでしょうか。
○参考人(錦織淳君) その四月の会談については、私は、まずどういう会談なのか、その手続やらそうしたものが一向に分かりません。 そういう意味では、もし伝えられるような、あるいは大臣が答弁されているようなことが決まって、有明海の関係漁民はそれに同意をしたんだという意味で本当におっしゃるのであれば、極めて手続的にあいまいなものだと思います。しかも、内容は一向に公開をされておりません。そこに出席をした方が果たしてどういう形でイエスと言ったのか、ただ黙ってうなずいただけなのか、そうした素朴な疑問すらございます。 当然、そうしたことを受けて物を進めようとすれば、現場との間に大きなあつれきが起きるのは当然でございます。その結果、例えば福岡県漁連は、そうした合意があったとすればそれは到底受け入れ難いという形で御指摘のような法的手続を今進めておられますし、同じようなことが佐賀県でも起きているということでございます。
○紙智子君 ありがとうございました。 じゃ、次に、田中参考人にお伺いしたいと思います。 実は、私、昨年十二月に諫早湾に参りまして現場を見せていただきました。それで、またがる四県も、ずっと走りながらですけれども、地元の方や、諫早市にもお邪魔しましたし、そういう方々からいろいろ意見も伺いました。 その中で、やっぱり災害防止ということに対する切実な思いというのが非常に分かりました。それで、本当にそういう意味では防災対策が必要だという、これは当然のことだというふうに思いますし、そのことについては対策を打たなきゃいけないというふうに私も思います。ただ、その対策という場合に、やっぱりいろいろな大きな影響を及ぼすあの大きな潮受け堤防ですね、それでなければならないのかというのは、正直な思いとしてそのときに私の中に残りました。 それで、やはり本来、防災対策といった場合に、いち早く手を付けてやらなければならないこと、例えば現存の、既存の堤防を改修したり、かさ上げをするとか、それからポンプ排水機場をもっともっと作っていくという問題ですとか、川の流れについての工事をするとか、そういったことなどを含めて、実際には堤防を造るということでもってなかなか手を付けられないできていたということがあるんじゃないだろうかと。やっぱり、そういうところにもっと処置をして防災対策というふうにならないのかということを、正直言っていろいろお話聞きながら思ったわけなんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○参考人(田中克史君) 旧堤防の修復で防災効果を発現できないのかという御趣旨かと思いますけれども、ごらんになっていただけば分かるかと思うんですけれども、旧堤防は相当に老朽化しておりまして、至るところにひび割れ、それから沈下、そういったものが起きております。これを仮に修復しようとすれば相当の金額が私は要るであろうというふうに思っておりますし、また、ひび割れですか、地下水脈を通りまして潮が後背地の農地に流入すると、こういった問題もあるわけでございます。 それから、それと比較の上でこの複式堤防を申し上げますと、旧堤防をかなり修復するといたしましても相当のお金が掛かるわけでございますけれども、それとても高潮、洪水のときには、あそこは非常に風が強いところでございますので、潮の飛沫が後背地の農地を襲いまして塩害の問題が発生するわけでございます。しかし、この潮受け堤防を前面に出すことによりまして、そういった高潮も防げますし洪水あるいはその飛沫の飛来に伴う塩害を防ぐ、こういった効果があるということについても御理解をいただければというふうに思います。
○紙智子君 ちょっと時間がもうなくなってきましたので、次に移らせていただいて、ありがとうございました。 岡本参考人にお聞きしたいと思います。 今度の再生法の中で覆砂事業の問題が言われているわけですけれども、この事業についてはまだ、はっきりした効果ということで、そういうことが証明されているというわけではなくて、実験でやってきているという状況でもあると思うんですけれども、この覆砂事業を再生事業の言わばかなりの部分を占めてやるということになっているわけですけれども、これについて参考人の御意見はいかがでしょうか。
○参考人(岡本雅美君) 私も専門外ですので正確なお答えになるかどうか分かりませんが、まず、底泥がそのままむき出しになっていますと、そこに貧酸素水塊ができたりして明らかに害が出ることは分かっております。それを取りあえず対症療法的にしのぐのに覆砂が有効であると、これはもう非常に単純明快な話。 ただ、トータルに考えたときに、先ほど錦織先生がおっしゃったような、一体その砂を持ってくるところで副次的に発生する被害の方が大きいんじゃないかとか、いろんな疑問。それからさらに、衆議院で私と同業の中村先生が証言なさいました、証言の中になかったかもしれませんが、覆砂をしてもまたヘドロは乗るだろうと。ですから、その場合、我々がやることは、普通は乗ったらまた乗せざるを得ないなという形が土木的対応でございます。 ただ、土木的対応がどこまで有効か、また費用対効果ということであればどうかという点に関しては、むしろこれは実行する中である程度テスト的にやっていかざるを得ないだろうと。つまり、最初から駄目だとも言えないし、やっていく過程で、いや、意外に効果が薄いからやめようということになるかもしれません。 現段階で言えるのは、その程度だと思います。
○紙智子君 ありがとうございました。 終わります。
○岩本荘太君 国会改革連絡会の岩本荘太でございます。 それじゃ、座って質問をさせていただきます。 四人の委員の方々から大分いろんな質疑が出まして、私もいろいろ勉強させていただきまして大分分かったんですが、私なりの切り口で少し質問をさせていただければと思っております。 有明海及び八代海を再生する特別措置法の参考人との質疑でございますけれども、どうも諫早というのに大分話が集中されているようでございますので、私も全く関係しなかったわけじゃないものですから、諫早湾の計画に、計画じゃないんですけれども、諫早湾の仕事と、そういう意味で、その辺りからちょっとお話を伺わせていただきたいんですけれども。 この諫早湾、私は施工中にヘリコプターで上から見たこともありますし、現地で見たこともあります。問題がかなり前からいろいろ出てきたことは出てきたと思うんですけれども、私は直接計画には関与していませんけれども、率直に言って、先ほどどなたかおっしゃったと思いますけれども、諫早湾はあれ、江戸時代の昔から州ができるといいますか、干陸されていっているんですね。そういう状況がヘリコプターの上からも十分分かるわけでございますし、それが見るところによると、ずっと前に堤防、潮受け堤防ができていると。 だから、そういう一つの計画があるんでしょうけれども、その州が、もし堤防を造らなくても、恐らくその潮受け堤防のところまで、遠い将来ですけれども、行くのかなというような感じを持ったわけですが、もしそういうことで時代とともに州が出ているものについてそれを守るというようなことであれば、これは自然の現象ですから何の問題も起きないと、だれも非難がしようがないというような感じを持ったのが正直なところです。 ただ、先ほど田中参考人、防災の面言われましたけれども、それにしても、先ほどちょっと委員の方からありましたが、その対策というのは何か別のものもあり得ると。これは、公共事業というのは私もある面では関与していましたけれども、昔は言うなれば公共事業やっても自然の浄化機能というか、自然がカバーしてくれた面がある。今は、費用対効果とかそういうことで考えてもいいんですけれども、もう一つ考えなきゃいけないのは、国土としてというか自然としてサステーナブルかどうかということが、一つもう大きな課題として入ってきたのが現実じゃないかなというのが私は認識しているわけですが。 そこで、諫早について今日お話聞いてもいろんな御見解の方がおられる。ただ、今の議論をいろいろお聞きしていますと、どうしても平行線をたどっているような感じがいたしまして、その中でやはりしっかりした科学的解明、これ諫早湾の潮受け堤防による自然環境との関係の科学的な解明というのが最優先されるべきでないかと。政治や行政に拘束されないでそれが基本にならなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、錦織先生言われた、ごまんと委員会ができていると、解明できない、だから本当はこれ解明できないのかなというような気もするんですが、この辺、本当にこういうことは解明できるのかどうか、そのためにはどうすればいいのか、これはひとつ研究者という立場で岡本先生と宇野木先生にちょっと率直な御感想をお聞きしたいんですが。
○参考人(岡本雅美君) 先に御返答させていただきます。 科学的な解明という場合なんですが、言うなれば複合的ないろんな病気を持った人間の診断のようなものでございますから、単純な物理学的な、一つの原因に一つの結果が対応するといったような形での解明というのは多分できないだろうと思います。 特にこれは言わば慢性病の調査のようなものでございますから、原因と結果を特に特定的に結ぶという調査は難しいだろう。それは調査をやらなくていいということではなくて、それを明らかにするためにも調査はしなきゃいけない。ただ、調査の結論から直接に、ある行政的なあるいは対策というものが一義的に導かれるかということになると、先ほどから何度も強調いたしておりますように、その際に考慮すべき社会的な、つまり利害が反する両方の立場の人の利害をどう繰り込んでいくかといった高度の政治判断、社会的な判断というものが要請されますから、簡単に申し上げますと、調査はやるべきであるし調査によってある程度は分かるであろうと。 ただ、念のため申し上げますが、例えば潮汐の幅が、振動が非常に小さくなっているということはこの事実として全員認めているんですが、それすらも、あるレポートを見ますと、M2でやるとそうでもないとかいうことが出てまいりますし、外海に比べてどうだ、外海の振動に対して中の振動が狭まっている。その原因者が何%が諫早かということに関しては、私は専門外ですが、海岸工学者あるいは宇野木先生のような専門学者のものを見ますと、正に何倍ものと言っていいぐらいの開きが出てくるので、科学的調査というのはそういうものだと。 その上で、やはりアカウンタビリティーあるいは透明性の中で衆議を集めると、文殊の知恵を発揮するという以外になかろうと思います。
○参考人(宇野木早苗君) 今、科学的調査をおっしゃいまして大分違いがあるとか言いましたが、それはとんでもないことです。というのは、結局、私は潮受け堤防の影響で湾の奥が六五%ぐらい潮汐が小さくなると言いましたところが、ある研究者はそうじゃなくして一〇%か二〇%ぐらいであるという論文を発表しました。そのことをおっしゃっていると思います。 私が調べたところ、それは大きな間違いがあります。その間違いを検討しまして、私のデータの五ページを見てください。五ページの一番最後に、「有明海の潮汐と潮流はなぜ減少したか」ということをちゃんとやりまして、そして今、海洋学会の機関誌の「海の研究」で受理されまして、一月に印刷になります。それを見ればどちらが正しいかが明確になると思います。 だから、今おっしゃったような潮汐が一〇%か二〇%しか減らないというそういう言い方もあるということはこれは大きな間違いでありますから、その点は考えていただきたいと、こんなふうに思います。
○岩本荘太君 宇野木先生のお話分かるんですが、要するに、客観的に眺めまして、先生は確信を持って言われている、それが必ずしも全体のコンセンサスにならない、失礼なことを言いまして済みませんけれども。その辺が一つ、科学的解明に根拠を置いた場合に、そういうものを我々は本当は出してもらいたいんですけれども、それが出てこないという一つの、あれじゃないんです、一つの原因じゃないかと思うんですけれども。先生の言われるようなことがきちっと解明として評価されて、そういうことが委員会として発表されるようになるためにはどうされたらいいというふうにお考えでしょうか。
○参考人(宇野木早苗君) 委員会というのはどの委員会でしょうか。
○岩本荘太君 委員会というか、そういう調査委員会といいますかね、そういうものを公的な見解として出るようなふうにするためにはどういうふうにされたらいいと思いますか。
○参考人(宇野木早苗君) 学問的なことですから、これやっぱり学会で発表しまして、そして学会誌なんかに載せてきちんと評価してもらう。それは、一つの説に対していろんな意見の人もおりますが、しかし、それはやっぱりみんながどう評価するかということで決めざるを得ないと思います、どれが正しいかというようなことは。
○岩本荘太君 分かりました。大変難しい問題であることがつくづく分かりました。 それで、もう一つは、これ、私、去年、ノリの問題で現地に行ったわけですけれども、諫早湾も視察させてもらいましたが、正直言って、結局、有明海の環境悪化が最終的に、悪化についての国民的議論に対して最終的に火を付けたのが諫早湾じゃないかなというような感じを正直持ちました。 確かに、今お話聞いていますと、諫早湾そのものがいろんな大きな影響があるというようなお話は伺いましたけれども、それにしても今のお話でして、なかなかこれだというのは学会に発表されていろんな人に認められなきゃいけないという難しい問題があると思うんですけれども。 したがって、私なりの解釈でいきますと、有明海というものに対して私は非常に危機感を持ったのが正直なところです、漠然とした危機感、環境に対するですね。これ、環境問題というのは、いわゆる、先ほども言いましたように、公共事業を実施して効率性を求めるという以外に、人間がいかに長生きするかという大きな問題ですから、その辺は新しい要素として考えなきゃいけないというふうに思うんです。そういう面から、有明海に対しては、私は、何か危機感を持って何らかのことをしなきゃいけないというふうに思ったんですが。 各先生方は、有明海、八代海の今の現状、環境の面から何か対策をしなきゃいけない、当然そう皆さんお考えでしょうけれども、再度、何か対策をしなきゃいけない海と御認識になっておられるのか。そうなった場合に、どういう目標に向かったらいいのか。ということは、今度の特措法にしても水産振興ということが大きな目玉になっていますけれども、本当に水産振興という意味で昔のタイラギなり昔の魚がすむ状態、これを目標とするのか、それによって対策等も随分今後変わってくるんじゃないかなというような気がするんですけれども。 その辺、大変横着でございますけれども、各先生方、有明海に対する現状の御認識と、どういうふうに最終的な目標を持っておられるのか、ちょっとお話を伺わせてください。
○参考人(岡本雅美君) 私は、錦織先生がおっしゃるように、例えば二枚貝というか、底生の貝類、そのようなものを指標として、ゴールあるいはターゲットとして、それに向かって浄化を進めていくという、つまりインデックスとして単にCODがどうとかでなくて、具体的な生物、特に魚類、貝類を指標とすることは大賛成でございます。 ただ、そこまでの道のりがかなり遠いことは事実で、じゃ、現在、八代海ないし有明海はどうかと。もう大変汚れていると、これはもう自明でございます。ただし、これはここの二海に限るわけではなくて、東京湾も含めて日本の海湾すべてが汚れておりますし、例えばインランドの汚濁問題を国際的に追及したグループがあるという、業績が出ておりますけれども、これは地中海もしかりでございます。 ただ、それは決して単に一つの企業というような、一つの原因ということではなくて、例えば先ほどの渥美湾にしましても、あそこにトヨタ自動車の支社もありました、等々、非常に多くの、そして人口も張り付きました。そういう多面的な汚濁の増加というのがあるんですから、その意味で総量規制というものが非常に有効であるし、その総量規制をもう少し実効あらしめるような方策、そして、できるところから、より大きなものからつぶしていくということを行政の目標あるいは政策の目標とされるべきであろうと。 大変概論的になりましたが、そのように考えております。
○参考人(錦織淳君) 私は、やはり二十一世紀の日本の国づくりということを考えますと、やはり豊かな自然をいかに回復するか、そしてその海が生き返るためには、漁業が生き返ったかどうか、それによって判定をすることが可能だと思っております。そういう観点からいたしますと、とにかく諫早干拓事業をやめない限りは問題の解決にはならないと思っております。 先ほど、因果関係を科学的に解明することができるかという御指摘もございました。しかし、冒頭で申し上げたかったことは、因果関係は強く推定される、どんなに譲ってもそこまでは言えるわけなんです。 つまり、それは、先ほど申し上げたタイラギは循環型の資源の、何といいますか、取れたり取れなかったりするというようなことでは説明できない。平成元年の工事後、試験堤防が造られ、次第に本格的堤防が設置されるに従って潮流、潮汐の変化をもたらし、そしてその結果、平成三年から四年にかけてはっきり兆候が現れ、そして、平成五年以降、タイラギは全滅したではないかと。そういう明快な、時間的、物理的、局限されたそういうところでさえも、はっきりしているにもかかわらず、その詳細なメカニズムが分からない限り因果関係があるとは言えないという議論を吹っ掛けたら、どんなに科学的な解明をしても永遠に結論が出ないことになってしまうと思います。 私は、そういう意味では、因果関係ははっきりしているんだと、そして、少なくとも強い推定は働いているんだと。だったら、工事をやめて、もしもっと本格的な調査をしたいのであれば工事をやめなければいけない。それが水俣病の、八代海の水俣病の教訓ではなかったのかというふうに思っております。
○参考人(田中克史君) 有明海の疲弊の原因究明が科学的に解明できるかということでございますけれども、研究者の方々の場合にはそれぞれの御専門の立場からテーマを絞って、時間を掛けて十分議論を尽くしてそれの見解を出していくということは、それがお仕事ですからよろしいかもしれません。しかし、そういった方々の間でさえ、見解はなかなか一致しないのが世の常でございます。 しかしながら、現実の問題に手を打っていかなければならない私ども実務家にとりましては、みんなが納得する結論が出るまでには、出るまでは何もしなくていいのかということでは済まされないわけでございます。それぞれが自分たちの知恵を出し合って、これは有効ではないかと思うのは順次手を打っていく、それが私は現実家の姿勢でございまして、そういった意味で、私は、この有明海の特措法については高く評価されるべきだというふうに思っております。 先ほど来、有明海の疲弊は諫早湾干拓が決定的なダメージを与えたというようなことが強く主張されておりますけれども、私も、有明海のこの異変について諫早湾干拓事業が全く影響を及ぼさなかったというふうには申し上げません。何らかの影響を与えたというのは常識的に考えられるのではないかなと思っております。 ただ、私、冒頭、意見陳述の中で申し上げましたとおり、小さいころからアゲマキという魚を取ってまいりましたけれども、これが、昭和五十年代に入ってからあのアゲマキがいなくなったといううわさがあるいは事実が起きた時期がございます。それは、はるか、諫早湾干拓事業が着工されるずっと以前のことでございます。大体、昭和五十年半ばぐらいでございます。 そして、これは地元に住む人々の間では本当にささやかれているんですけれども、あるいは自らそれを告白した方もいらっしゃるわけでございますけれども、やはり酸処理を使ったんだと、これが決定的な原因だということは地元の人の間では知る人ぞ知る話でございます。 そしてまた、最近、去年ぐらいの報道であったかと思いますけれども、鹿島の方で大量にアゲマキが発生したという記事が紹介されております。したがいまして、私は、この諫早湾干拓事業と二枚貝の非常に少なくなったというのを結び付けるのは、私はやや予断に満ちているのではないかというふうに思っているわけでございます。 ちょっと時間が長くなりましたけれども、私が差し当たりお願いしたいことは、この特措法の中にも織り込んであると思いますけれども、有明海の浄化機能を高めるために、例えば下水処理あるいは生活雑排水、そういったものについてきちんとした手当てを行う、それから様々な海洋投棄物、漂流物、そういったものをきちんと処理する、それから、これは非常に時間が掛かることかもしれませんけれども、海を守ろうと思えばやはり山も大事にする、そういったことも含めて国民全体の啓発というものも極めて大事なことではないかと、そのように考えているところでございます。
○参考人(宇野木早苗君) 私は、海の環境がいいかどうかというのは、そこに豊かな生態系が営まれているかどうかが判断の基準と思います。特に、そこにはベントス、そこにすむ底生生物の状態が非常に大事だと思うわけです。 ところが、長崎大学の東教授らの研究によりますと、干拓が始まってからベントスが随分減っております。これは明白な事実でありまして、たくさんの、結局、生産にかかわる、いわゆる漁業にかかわるようなのだけじゃなくして、海の生き物としてのベントスがたくさん、もうどんどん減っております。これは明らかに干拓事業が起きてから起きているわけですから、その影響が大きいというふうに思うわけであります。だから、単に漁業だけではなくして、生態系全体がどうであるかということから判断するべきだと思うわけです。したがいまして、私は、諫早湾干拓事業の結果、環境が非常に悪くなってきたということはかなり強く言えると思います。 そうすると、結局、まず潮受け堤防がない前の状態に持っていく、その状態に持っていくことがまず基本だと思うわけです。そして、その上で、さらにそれから、あるいはそれと並行してですが、その他のいろんな要因をなくすようにどんどん努力をしていく、そういうことについては今度の法案でいろいろ言っておりますから、それはそれで結構だと思うんですが、最初のそういう元の状態に戻して、それもかなり悪い状態になっているわけですね。それで、それを更に後世に残すべき豊かな海にするためにいろんな手を打っていく、そういうことが基本的にあると、こんなふうに思います。
○岩本荘太君 ありがとうございました。
○中村敦夫君 中村敦夫でございます。よろしくお願いします。 まず、二つ質問があるんですが、四人の参考人の方々にそれぞれお答えいただきたいと思います。 最初の質問ですけれども、農林水産省ノリ不作等対策関係調査委員会というものの存在を私は非常に重いものだというふうに考えています。ノリ不作等となっていますから、これはノリだけが対象ではないわけであって、しかも海洋全体の環境を調べなければノリのことも分からないわけですね。その委員会が中長期開門を、開門調査を望むとはっきり報告書を出しました。この報告書の主張というものは、有明海の環境保全、そして漁業回復のためにこれは正しいのかどうかということを私は皆さんから確認したいんです。もし正しくないんであればどこが違うのかということで、簡潔なお答えで結構ですから、よろしくお願いします。
○参考人(岡本雅美君) 専門家の衆知を集めた結論でございますから、多分この結論には間違いないだろうと。ただ問題は、何度も申し上げますが、それでは実際にどのような調査を具体的に行うかについては、先ほどから申し上げているようなクリアしなきゃいけない社会的あるいは経済的な条件があるということです。ただやらなきゃいけないからやるんだということだけでは、これは正に議会の問題でしょうけれども、相当な予算をつぎ込んでの調査、これは単に科学的な調査のスケールを超えた、恐らく、金額はあえて申し上げませんが、想像を絶する金額を充てていただかなければこの調査は実現はできないと思います。
○参考人(錦織淳君) 先ほどもお答えをいたしましたけれども、これは大臣の正式な諮問に対するお答えですから、いろんな意味でも尊重して実施をすべきものと思っております。そして、その前提としては、諫早干拓事業が潮流、潮汐に大きな影響を与えたということが前提になっておりますので、当然工事はやめなければならない。つまり、調査をするのであれば工事はそれ以上進めない、これがセットでなければ意味がないと思っております。 なお、中海干拓でも同じように堤防の試行的開削、試しの開削ということで潮通しをいたしましたところ、たちどころに魚介類がわいてきたという経過も御参考までに御紹介をしたいと思います。
○参考人(田中克史君) 私は、短期から中長期あるいは常時開放を含めて調査を行い、そして常時開放すべきだと言う方々には、前提としてやはりこれを中止させたいという政治的な動機が私はあるのではないかというふうに思っております。それから、中長期をしたらどうかという御意見の方々は、それをもって何が分かるのかということについて私はちょっと疑問を持っているわけでございます。 私どもは、中長期の開放調査によって学問的な知見というのは多少明らかになることがあるかもしれませんけれども、しかし、それに伴って地元の住民がその都度振り回されるのは非常に迷惑であるというふうに思っておりまして、そういった意味では、私どもは既定方針どおり十八年度に完成させるということを目途として粛々と工事を進めてもらいたい、そのことに尽きるわけでございます。
○参考人(宇野木早苗君) この報告によりますと、潮汐、潮流が減少したということとそれから汚濁負荷が増加したということははっきり言っているわけですね。そういう点で私は高く評価すべきだと思います。そして、私は、今日示したデータでそれがはっきり出てきているわけでして、この事実はこれは間違いありません。 それで、この調査の目的なんですが、そういう影響が出て実際にそういう現象が起こっているわけですから、それがパンチ力としてどれだけ効いてきたかということを明確にするということが非常に重要なことでして、その重要なことをやっていこうということで調査は意味があると思います。そして、その調査に基づいて後世に残すべき海というのはどういうものか、そういう方策を考えるという点で意味があると、そんなふうに思います。
○中村敦夫君 今の質問に付随して田中参考人にお聞きしますけれども、中長期の開門調査を望む人たちには政治的な動機があるというふうに言われましたけれども、そうしますと農林水産省ノリ不作等対策関係調査検討委員会というのに政治的な動機があるということなんですか。
○参考人(田中克史君) そこのところは発言が少し真意を伝えておりませんので訂正させていただきたいんですけれども、やはり私が申し上げたいのは、有明海異変の問題を殊更、諫早湾干拓と結び付けて考えられるのは、私どもにとりましては不公平な議論のように思われて仕方がないわけでございます。いわゆる環境問題のテーマとして有明海の問題に非常に関心を寄せていただく、議論の対象になるということ自身は私は結構なことだと思うんですけれども、公共事業に対する批判のたびに諫早湾干拓だけが取り上げられる、そのことに対しまして多少割り切れなさというのを感じている、そのことを申し上げたかったわけでございます。 失礼いたしました。
○中村敦夫君 つまり、諫早湾干拓がこの委員会では深く関連しているという結論で、だから中長期の開門調査を望むと言っているんですね。これは、じゃ正しくないというふうにお考えですか。
○参考人(田中克史君) 私は科学者ではございませんので、そういったことについて正しいとか正しくないとか、そういったことを断じる知識、そういったものは持っておりません。 ただ、現実問題として、現実に私どもの住民が非常に災害の問題で苦慮している。そういった問題を預かる立場といたしましては、これ以上防災問題を置き去りにして、中長期の調査であるとかあるいは元の状態に戻すだとか、そういったことが議論されるのは非常に困ると、そういうことをお伝えしたいわけでございます。
○中村敦夫君 では、次の質問に移ります。 この法案の中には大変地域振興ということを重視しているというところがあると思います。私はそのことは間違いではないと思っておるんですね。しかし、基本的に、ここの地域が振興するためには、有明海が非常に良い環境になって魚介類がどんどん豊かに増えていかなければいけない。そうでなければ地域振興というのはあり得ないんですね。その根本的なところを実現するという内容なしに、いろいろな土木工事を増やしたり、あるいは対症療法的な覆砂だとかそういうことを取りあえずやって、それで補助金のかさ上げをやるということではこれは本末転倒なわけですよ。それは自転車操業的な地域振興であって、基本的には、この海が再生しない限りこの地域というのは、永久にそれじゃそういう対症療法的な補助金にすがるということでしか地域振興ができないんじゃないかというふうに思うんですね。 そしてここの、魚介類の宝庫だったわけですし、特に、象徴的にはタイラギというのがもう代表的な産物だったわけですよね。これがもはや絶滅している状況というものがあります。しかし、それは昔はたくさん取れたわけですから、必ず清浄な環境が保たれればまた再生できるというふうに私は考えます。そして、法律を作るならば、実際にそれが再生できるんだというような相当な根拠のある法律でないといけないと思うんですね。 そこで、象徴的なものとしてタイラギを挙げたいと思うんですが、この法律ができてタイラギというのは再生できるとお考えかどうか、四人の方々に御質問したいと思います。
○参考人(岡本雅美君) 私は、かなり長期ということであればできると信じたいと思います。しかし、そこまでの道のりがかなり長いだろうというように思います。つまり、もうここまで汚れちゃったものを戻すというのは大変です。 一言だけ付け加えさせていただくと、それじゃ、諫早湾干拓を仮に中止して全面的に元の海に戻したときに一体どこまで回復するかということに関しては、これは甲論乙駁で、かなり効果があるという今日の参考人お二方のような方もいらっしゃるし、それほどでもないんじゃないかと、数%程度じゃないかという意見もあることを紹介しておきます。 そういう中で、じゃ諫早湾干拓を現在縮小した形で続行しながら回復の方策はないのかと。これ自身はこれからの検討課題だろうと。客観的に言えるところはそこまででございます。
○参考人(錦織淳君) 結論から申し上げれば、この法案ではタイラギを救うことはできないと思います。 それは、何よりもこのデータが物語っております。十年間にわたる休漁、漁獲高ゼロ、さらに、その前二年、漁獲高の激減、そして覆砂協議会、潜水器協議会が三年間休漁したと。こういう形で有明海のタイラギ漁は今もはやほとんど絶望的という、そういう縁に立っております。それを救うためには、この根本の要因を作り出した諫早干拓事業を取り除くしかほかに方法はないと思います。そして、政治の責任において防災問題とか地元の問題を解決すべきです。 諫早干拓は農業用地を確保するという面も当初は強かったけれども、次第に後景に退きました。しかし、もうこの点は断念をするしかないと思います。なぜ海をつぶして漁民を泣かせて農地を造るのか。漁業は海で、農業は陸でやればよいではないか。そして国民の、海洋国家日本の貴重なたんぱく資源を守る、こういう観点から、食料事情を考えてもこの海を生き返らせることは国民的な課題だと、それをタイラギが訴え掛けているということを私は最後にもう一度申し上げたいと思います。
○参考人(田中克史君) 私は、この有明海特措法でタイラギを救うことができるかどうかということにつきましては、専門家ではございませんのでお答えはできかねるわけでございます。 ただ、近年、有明海あるいは橘湾、すぐ近くに橘湾という海がございますけれども、サンゴ礁が発見される、あるいは熱帯魚がたくさん泳いでいるという事例が多数報告されておりまして、そういった意味ではこの地球環境全体が日本の海あるいは世界の海を変えているんじゃないか、そういったことも見失ってはならない現実ではないかというふうに思っております。 現実的な問題といたしましては、何が決定的に有明海を救うのかというのは分かりかねますけれども、お互いにとにかく気付くところ、専門家の御提言に従って、できるところから手を付けるというのが最も現実的な対応ではないかと、そのように思っております。また、新しい知見が発見されればその都度追加的な施策をすればいいのではないかというふうに私は思っております。
○参考人(宇野木早苗君) 私は、生息する環境を作ることが一番大事だと思うわけです。それが現状のままできるかどうかというわけですよね。それは今、もう錦織さんがおっしゃったようにできていないわけですから、そうするとやっぱりそれは、そういう生息できる環境を作るためには、やはりそういう元に戻す環境にするということがまず一番最初に大事であって、その環境を壊しているのは諫早干拓事業ですから、それを中止するということは基本だと思います。その上で環境を作って、さらに、それでもまだ状態はそれほど良くないかもしれませんが、一つ一つつぶしていってより良い環境を作って昔の豊かな海を作ると、そういう考え方にすべきだと思います。
○中村敦夫君 このことに関して岡本参考人にお聞きしますけれども、干拓事業が始まる前はもっと漁獲量も多くて、そしてタイラギを始め、その工事が始まったときからどんどんどんどん減ってきているわけですね。ですから、過去のデータからいっても、要するに自然の生態系に関する常識からいっても、自然のままに置いておくのが一番実は自然が豊かになるというのが本当だと思いますね。ですから、そういう意味では、干拓事業を中止した方が魚介類がもっと復活していくという可能性はあるということは言えると思うんですが。 参考人は中長期的に回復するだろうという、この法律によって、いろいろなことをやっていけば中長期的に回復するだろうと言われましたが、それはどういう根拠で言われたんでしょうか。
○参考人(岡本雅美君) まず申し上げたいんですが、諫早湾干拓事業の進行といろんな漁獲類等々の減少といいますか、これが同時並行していたことはこれは統計学的な事実です。ただ、その間に因果関係があるかということになれば、疫学的な推定、錦織先生がおっしゃったように強い推定ができる局面はあるでしょうが、直接的な、量的にですね、完全にそれを証明するにはまだ無理があろうというのは、筑後堰だとか新港の問題とか湾岸の埋立ての問題等々漁獲量の減少につながる要因は無数にあります。 さて、そこで、私が今申し上げたのは、そのような要因が諫早干拓も含めて自然に対して与えたインパクトを何とか減らしていく方向、それを個々に対策を講ずることでかなり戻せはしないかという。ですから、私は、信じたいと申し上げたのは、そうであるということを断言するつもりはありませんで、その方向を信じたいと申し上げたのは、その意味でございます。 ですから、あくまで、諫早湾干拓事業に絞ることなく、正に総量規制的な概念から、あらゆる汚濁要因、自然破壊要因を丹念につぶしていっていただきたいというのが要望でございます。
○中村敦夫君 再度お聞きしますけれども、これからいろいろな施策をやるわけですね、この法律によって。それで、補助金が増えて、現実的に何か対策を練っていくと。 これからやることですから、やはりこの対策をやれば魚介類が増えるという、これは根拠がなければできないと思うんですよ。将来のことも、いろいろ複合的な条件でなるだろうという話は、過去の問題について調査するときにはある程度言えるかもしれないけれども、これからやることは積極的な自信がなければ、これはやれないと思うんですね。漠然とそれを信じたいという話で法律ができてしまって、金が使われ、そしてそれが無駄だったらどうするんだという問題がこれから出てくると思うんですが、いかがでしょうか。
○参考人(岡本雅美君) 中村先生の言い方をかりれば、例えば、仮に何人かの方が御主張なさっているような、諫早湾干拓事業を一切元に戻す、潮受け堤防も壊す、内陸も元に戻すといったような、恐らく建設費、事業費が二千八百億ですから、壊し賃から、更にそれを補強するための防災事業を別途行うというようなことを考えたら、相当な投資額になるということは御想像が付くと思います。それだけの投資に見合うだけの漁獲量の復元があるかどうか、これは何人といえども現在の段階で断定することは科学的にはほとんど不可能だろうと。 したがって、今おっしゃった意味で、通常の公共事業のように費用対効果ということを一対一で一つの事業をやる、あるいはつぶすということとその効果ということを一対一で考えて費用効果を算出することは、ほとんど私は研究者としては不可能だと考えております。 ですから、あくまで、とにかく美しい自然を取り戻すためにできることを財政の許す範囲、また合理的と考えられる範囲でやっていくという以上にはできないんじゃないかと考えております。
○中村敦夫君 これからの調査費が膨大だと言われましたが、これからいろんな事業をやっていく中につぎ込まれるその金額と比べて、調査費の方が大きいと言われるんですか。
○参考人(岡本雅美君) いや、ですから私は調査の場合に、例えば端的に申し上げますが、マイナス一・〇という水位がございます。そしてそれは、特に洪水期に守ると。ところが、通年で何年間か継続ということになると、この条件が外れます。そうなると、森山町長が主張なさったように、高潮に対する水害、あるいは洪水時のはんらん、あるいは常時の排水に大変多大な障害を及ぼします。ですから、もちろん調査費の中にそういう調査のための補償費を含めたら、これは膨大なものになると申し上げているわけです。 だから、ある、某代議士がおっしゃって私どもは余りいい感じがしなかったんですが、元はそのとおりずぶずぶのところで作らせていたんじゃないか、少々我慢しなさいよとおっしゃった某議員がいらっしゃいました。そういうことであれば調査費は安上がりに付きます。そういう意味で申し上げただけです。
○中村敦夫君 終わります。
○委員長(三浦一水君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々に一言御礼を申し上げます。 参考人の方々には、長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見を拝聴させていただきました。誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。(拍手) 午後二時に再開することとし、休憩いたします。 午後零時三分休憩 ─────・───── 午後二時開会
○委員長(三浦一水君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 政府参考人の出席要求に関する件につきましてお諮りいたします。 有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律案の審査のため、本日の委員会に農林水産省生産局長須賀田菊仁君、農林水産省農村振興局長太田信介君、食糧庁長官石原葵君、林野庁長官加藤鐵夫君、水産庁長官木下寛之君、国土交通省都市・地域整備局下水道部長曽小川久貴君、国土交通省河川局長鈴木藤一郎君、環境大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君、環境省総合環境政策局長炭谷茂君、環境省環境管理局水環境部長石原一郎君、環境省自然環境局長岩尾總一郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(三浦一水君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(三浦一水君) 休憩前に引き続き、有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○松山政司君 自民党の松山政司でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 まず冒頭に、大変重要な問題の一つでもあります、また様々な議論がただいまなされております米政策の見直しについて、一点だけお尋ねをさせていただきたいと思います。 米につきましては、申し上げるまでもなく我が国国民の主食であるとともに、稲作は農業の中心的存在であります。しかしながら、最近の米をめぐる事情は誠に厳しいと言わざるを得ません。需要が大きく減少する中で、三十年以上にわたって続けてきた生産調整はますます拡大をして、この生産調整を行っている水田は我が国水田の約四割にも及んでいます。この生産調整に対する強制感や限界を叫ぶ声が高まっており、現在の市町村や農協は大変疲弊をいたしております。 このような状況の下で、後を継ぐ若者も出るはずもなく、新規就業者数は一万戸当たり四名と、ほかの作物に比べて圧倒的に少ない状況であります。担い手の四割以上が六十五歳という高齢化も同時に進んでおります。このような状況を放置していては、我が国の米作り、水田農業の将来を当然ながら描くことはできません。正に生産調整を始めとする米政策を抜本的に見直すことが今必要であると私も考えております。全国的に米価が下がり、担い手が減少する中で、将来あるべき姿を描く前に農業の生産現場が崩壊してしまう、そんなおそれさえ感じております。 そこで、現段階で、食糧庁の国による生産調整の配分の見直しの方向性について、御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
○政府参考人(石原葵君) お答えを申し上げます。 生産調整を始めとする米政策につきましては、ただいま先生の方からもお話ございましたように、需要の減少を始めとする様々な問題がございます。政策を大きく転換する必要があると考えているところでございます。 このため、今年の一月から生産調整に関する研究会というものを開催いたしまして、米政策の見直しにつきまして検討を進めてきているところでございます。先月の十七日の研究会、ここで、効率的かつ安定的な経営体が市場を通じて需要を感じ取り、売れる米づくりを行う、米作りの本来あるべき姿を実現するための改革のステップをお示ししたところでございます。 この米作りの本来あるべき姿が実現した段階におきましては、担い手農業者や産地が、需給や価格に関する情報を踏まえまして、国による生産調整の配分が行われなくても自らの経営判断により適量の米生産を行う等、主体的な需給調整が行われるものと考えているところでございます。このようなことを踏まえまして、米作りの本来あるべき姿の実現のステップにおいて、農業者、それから農業者団体の自主的な生産調整に移行すべく、国による生産調整配分の廃止の目標年次も定めた案も提示しているところでございます。 いずれにしましても、国による生産調整の配分の在り方につきましては研究会で重要な論点の一つとなっております。米作りの本来あるべき姿の実現に向けまして、農業者、それから農業者団体が主役となるシステムへの移行をどのように円滑に進めていくか、幅広い論議を進めていきたいと考えているところでございます。
○松山政司君 今、お答えいただきました国による生産調整の配分の継続の是非でありますが、研究会関係者の方や生産者団体の方とはまだまだ意見の隔たりがあるというふうに思います。特に今、私と同世代、これからの世代を担う小学生や中学生を持つ、子供たち、そんな親の世代でありますけれども、大変不安を抱えて頑張っておられるのも事実であります。 この過剰米対策についても、生産段階から主食用と加工用が明確に区別できるような計画生産を実施をしたり、流通システムを構築するとか、そのような米価の安定を図って、経営意欲が高揚するような、そのようなことを考えていっていただきたいというふうに思います。 大臣に、この米対策の見直しについて御決意を一言お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(大島理森君) 松山委員が様々な観点から米の環境の分析をされました。私は基本的に、松山委員が分析されたそのことについては、私どもも同じ見方、考え方をある意味では持っております。 いささかちょっと申し上げさせていただきますが、昭和五十八年に私自身が衆議院に当選して、毎年米価闘争をやって、そして何か日本の農政がそこで終わったという感じに、私自身、議員として、若いときに大変な、ある意味ではそんなことでいいんだろうかと、率直な疑問を持っておりました。もっと構造的に、農協も生産者も、そして我々政治の場でも考えないと大変なことになる。一方において、世界はガット・ウルグアイ・ラウンドという姿がどんどんどんどん進んでおりました。 長い間の政府・与党、あるいは各議員の皆様方の努力で食管法というものの制度が、私は、変わったことによって、大きく米のまた姿も変わってきておると思うんです。決して今度の改革が新しい改革ではない。もっと言えば、今、委員がお話しされたように、作る人たちも戦略性を持ち勝負できるような、そういうふうな作る喜びというものを感じ、消費者も、今、米の需要の多様性を、この間も言いましたけれども、恐ろしく多様な、米の需要の多様性を求めております。農協もその姿に、分かってはいるんですが、やはりそこに挑戦するような姿に変わっていかなければなりません。 そういうことを考えますと、やはり米とて、我が国の基幹作物、最も大事な基幹作物であればあるほど、国民が求めているものは何かという視点からの、そういうことを念頭に入れた米の政策転換というものを考えなきゃ、これは限界に来ていると私は思うんです。 そういうことで、今、長官からいろいろお話をされました。そういうことで、私どもとしては、もちろん農協系統団体を私は敵にするという考え方は全くございません。むしろ、新しい農協の姿になっていただいて農家農民をしっかりと守っていただかなきゃなりませんし、またそのために戦略性を持ってもらわなきゃなりません。そして、そういう状況の中で、十一月末を目途に、もう一度その基本論だけ申し上げますと、作る人も意欲性を持つ、そして買う人も様々な多様な米の選択ができる、そしてそういう中で、これからの米政策、米の生産というその中において、多様な、主体的な、意欲のある主体性を持った方々にやってもらおうと、こういう観点から議論をし、十一月末には何とか結論を出すべく全力を尽くしてまいりたいと思います。 もちろん、こういう委員会での御議論も賜ります。議院内閣制ですから与党の皆様方の御議論もいただきます。系統の皆様方の御意見もいただきます。消費者の皆さんの御意見もいただきます。いよいよ、そういう意味では詰めの段階に来たなという思いで、全力を尽くして、そういう方向性に基づいて結論を出してまいりたいと、これが私の考え方でございます。
○松山政司君 大変前向きな力強い御決意、ありがとうございました。 それでは、有明海関連の御質問をさせていただきます。 御承知のとおり、有明海は、我が国のノリ生産の四割を占める主要な産地であり、タイラギやアゲマキ、アサリなど海域固有の生物が多数生息する、生産性の高い極めて貴重な海域であることから、正しく宝の海というふうに呼ばれてまいりました。しかし、一昨年、ノリ養殖業はかつてない不漁に見舞われ、また魚介類も長年にわたって漁獲量の減少が続いております。 我が自由民主党は、こうした状況に対処し、関係者が将来に希望が持てるよう、海域環境の改善と水産資源の回復による漁業の振興に万全を期すことを政策課題として掲げて、与党の皆さんの賛同を求め、さきの国会に特別措置法を提出したところであります。 私は、地域の皆さんの熱い期待にこたえて、また、この貴重な有明海を後世の国民に継承するためにも、この法律を何としても成立させることが政権与党の責務であると考えております。このような基本的考えの下に、政府に対しまして若干の御質問をただいまよりさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 まず、先般新聞で報道されていました、本年十月十八日の有明プロジェクトの公開成果検討会、また、本日午前中の参考人質疑でもございましたが、潮受け堤防の締切りが有明海の潮位、潮流に著しい影響を及ぼしているとのお話がありました。農林水産省では、現在、開門総合調査を実施しているということでありますが、その成果は出ていないのかもしれませんけれども、事実に即して、こうした指摘に対して、今現在どういうふうにお考えであるのか、農林水産省の見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(太田信介君) 有明海の潮位差につきましては、潮受け堤防の締切り以前から年々小さくなる傾向が見られておりまして、こうした傾向は堤防の締切り以降も継続しております。加えて、外海の長崎や湾口部の口之津におきましても同様の潮位差の減少傾向が見られておりまして、外海での潮位差の減少が有明海の内部の潮位差にも影響を与えているものと考えられているところでございます。こうした中で、諫早湾干拓事業が有明海の潮位にどの程度の影響を及ぼしていくかにつきましては、専門家の間でも様々な意見がありまして、現時点では明らかになっておりません。 一方、潮流につきましては、諫早湾内の潮流調査の結果によりますと、潮受け堤防の締切り後、潮受け堤防前面の海域では最大流速が毎秒三十センチメートル程度減少しておりますが、湾口部に向かうにつれてこの減少幅は徐々に小さくなり、諫早湾外の調査地点におきましては潮流が遅くなっている層を含む地点がある一方で、速くなっている層を含む地点もあり、締切りの前後で一様な変化傾向が認められているわけではございません。 また、海上保安庁水路部が平成十三年五月に実施されました有明海の潮流につきましての調査によれば、昭和四十八年八月の調査結果と比較いたしましたところ、全体的には、場所によって今回調査した方が若干流速値が大きい傾向にあるが、ほぼ同等の潮流を示しているとされておりますなど、潮受け堤防の締切りによります有明海の流速の変化は明確にはされていないところでございます。 いずれにいたしましても、農林水産省といたしましては、現在進めております開門総合調査の中で、有明海の流動等の状況を再現するコンピューター解析等を行い、諫早湾干拓事業と有明海の潮位や潮流との関係について調べてまいりたいというふうに考えております。
○松山政司君 ありがとうございました。 次に、本日の参考人質疑でも言われておりましたけれども、長崎県においては大変平たんで広がりのある農地が少ないと、しかも農業用水に乏しいということもあって、諫早湾干拓事業で造成される干拓地、それに対する長崎県、地方自治体、農業関係者の期待は大変大きいということでございます。 事業計画が遅れていること、また事業規模が縮小になったと。当初の諫早湾干拓営農モデルは変更せざるを得ない点も生ずるかと思いますが、今後この干拓地においてどのような営農を展開していく考えか、改めてその御見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(太田信介君) 今後、干拓地におきましてどのような営農を展開していく考えかという御質問でございますが、諫早湾干拓事業におきましては、長崎県、地元市町、農業関係者から、平たんで大規模な干拓農地の早期の創出につきまして強く要請されておりますとともに、関係機関の方にも直接干拓地利用の問い合わせが寄せられている状況にございます。 干拓地におきます営農につきましては、平成十二年六月に長崎県が取りまとめられました諫早湾干拓営農構想報告書を踏まえまして、バレイショやタマネギを中心といたします大規模野菜経営、また、企業的な組織経営によります花などの施設園芸経営、さらに、低コスト粗飼料生産等によります安定した畜産経営などを軸にいたしました収益性の高い近代的な畑作生産基地の育成を目指すことといたしております。 これらを進めるに当たりましては、環境に優しい農業を推進する観点から、畜産と耕種部門の連携によります、畜産農家から発生する家畜のふん尿をすべて堆肥化、液肥化いたしまして、干拓地内の農地に還元することや、飼料作物を組み入れた合理的な作付け体系の確立による地力の維持増進を図ること等によります営農による環境への負荷を軽減することといたしております。 今後、これらの考え方に基づきまして、地元関係者の期待にこたえ、大規模な農業経営の展開が図られますよう、関係者の意向を踏まえつつ推進してまいる所存でございます。
○松山政司君 それでは次に、この法律案に即して質問をしてまいりたいと思いますが、有明海、八代海の関係地域は六県もの広大な地域にまたがって、その再生のためには海域改善だけではなくて水産資源の回復も必要不可欠であります。これらの施策を推進していくためには、関係県、県計画において各種の支援策をどのように効率的に組み合わせていくかということが大変重要になろうかと思います。そのためにも、まずは国が責任を持ってこの有明海再生のための基本方針を明示をして、対策の方向性を明確にすべきではないかというふうに考えます。この御見解について、太田副大臣にお伺いしたいと思います。
○副大臣(太田豊秋君) ただいま委員御指摘のとおり、有明海の再生特措法案の中での第四条の中に、主務大臣が定める基本方針についてというふうになってございますが、その一つには、有明海及び八代海の海域における環境の改善や漁業の振興等に関する基本的な指針、二つ目には、県計画の策定に関する基本的な事項を定めるものとされております。これらを併せまして、第五条では、今度は関係県はこの基本方針に基づいて有明海、八代海の再生に関する県の計画を定めることとされておるわけでございます。 農林水産省といたしましては、関係各省と緊密な連携を図りつつ、この基本方針において、有明海の再生を図る上で関係県が講ずべき施策の方向性を明確に示しまして、関係県の対策が実効あるものとなるように調整を図ってまいる所存でございます。
○松山政司君 ありがとうございました。 先ほども御答弁がありましたけれども、この有明海の環境悪化の原因については様々な要因があるというふうに思います。水産資源が減少している現状を見れば、政府としてはまずは最優先で取り組んでいかなければならないのは水産資源の増大ではないかと思います。その手段としては、水産動物の種苗の放流が有効と考えますけれども、今後、水産庁としてはどのような措置を講じていくのか、水産庁の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
○政府参考人(木下寛之君) 委員御指摘のとおり、水産資源の増大には、環境との調和に配慮しながら水産動植物の増殖なり養殖を推進する必要があるというふうに考えているところでございます。既に現在、有明海あるいは八代海におきましては、クルマエビ、マダイ、ヒラメなど約二十種類の魚介類につきまして種苗放流が実施をされているところでございます。 したがいまして、水産庁といたしましては、種苗生産技術の開発を継続するとともに、現在実施しているような種苗の大量放流、また県が実施しております技術開発等につきまして支援を行い、有明海、また八代海におきます栽培漁業の一層の推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
○松山政司君 続けて、資源の増大と併せまして、有明海の漁場環境の改善を図ることが重要だというふうに思います。そのための事業として具体的に今お考えの対策をお伺いしたいというふうに思います。
○政府参考人(木下寛之君) 有明海の漁場環境の改善を図る事業といたしましては、水産基盤整備事業におきまして、堆積物の除去、覆砂など底質改善事業、あるいは水産動植物の生育の場のみならず、海水中の有機物の取り込みによります水質浄化機能を有します藻場の造成等を実施をしているところでございます。 今後とも、有明海におきます漁場環境の改善、また水産資源の回復等による漁業の振興を図るため、関係県の要望も十分配慮しつつ、これらの事業につきまして積極的に推進していきたいというふうに考えております。
○松山政司君 ありがとうございました。 次に、有明海及び八代海の再生には水質の浄化が喫緊の課題である、その解決には、まずは有明海、八代海に流入する河川、一級、二級河川を合わせると八十八もあるというこの河川の水質の浄化が大変重要であると考えます。 農林水産省が作成されました平成九年度の有明海における発生源別汚濁負荷量の資料によりますと、COD、いわゆる化学的酸素要求量の指標で見ますと、その汚れの原因は四九%が生活排水ということであります。有明海、八代海の再生のためには身近な生活排水処理対策が非常に有効であるということを示しております。したがって、この法律が成立した暁には、その効果を上げるために、下水道の整備を早急に進める必要があるのではないかと思います。 またさらに、生活排水処理施設として、集落排水の処理、あるいは合併処理浄化槽等々があると思いますけれども、これらの施設をどのような形で効率的に整備をしていくことができるのか、また国としてどのような措置を講じていくことが考えられるのか、国土交通省、農林水産省、そして環境省の見解をそれぞれお聞かせをいただきたいと思います。
○政府参考人(曽小川久貴君) まず、生活排水処理施設の効率的な整備についてお答えを申し上げますが、汚水処理施設の整備指標につきましては、下水道などの集合処理と、また合併浄化槽のような個別処理とがあるわけでございまして、これらの整備手法の選定を行う必要があるわけでございます。この場合に、建設費と維持管理費のトータルでのコスト比較をすることによりまして、総費用が最も経済的になるように役割分担を図っていく必要があるわけでございます。一般的に申し上げますと、都市の中心部など人家が密集している地域では下水道などの集合処理が、また人家がまばらな地域では合併処理浄化槽による個別処理が経済的に有利となるわけでございます。 このような考え方を踏まえまして、お話ございました、農林水産省、国土交通省、環境省の関係三省におきまして、各都道府県が汚水処理施設の役割分担に関する都道府県構想といったものを策定いたしておりまして、既に平成十年の六月までにはすべての都道府県で策定済みとなっているところでございます。なお、適宜これらにつきましては見直しを実施しているということでございます。 今後とも、関係省とも連携をしながら汚水処理施設の効率的な整備を図ってまいりたいと考えております。 また、下水道についてのお尋ねでございますが、有明海及び八代海の流域内市町村における下水道の普及率は、平成十三年度末現在で三七・五%となっておりまして、全国平均の六三・五%と比べますと著しく低い状況にあるわけでございます。このため、有明海及び八代海の水質の保全のためには、下水道の普及によります汚水処理の推進が不可欠であると認識をいたしております。このため、有明海及び八代海の流域市町村において下水道整備が促進されるよう支援を行ってまいりたいと考えております。具体的には、流域内の市町村を対象といたしまして、汚水に係る管渠の補助対象を通常よりも拡大する措置につきまして現在検討を進めておるところでございます。
○政府参考人(飯島孝君) 下水道や集落排水施設あるいは合併処理浄化槽の効率的な整備のための役割分担につきましては、ただいま国土交通省から御答弁があったとおりでございますが、家屋の密度の高い地域では下水道や集落排水処理施設等の集合処理が、またそうでない地域では合併処理浄化槽の整備が一般的には効率的と考えているところでございます。 環境省といたしましても、特に生活排水処理施設整備計画の策定マニュアルというのを作りまして、これを各市町村に通知をいたしまして取組を進めているところでございます。また、その合併処理浄化槽の整備の促進方策でございますけれども、市町村が事業主体となって合併処理浄化槽を整備、管理する特定地域生活排水処理事業という、こういう補助事業のメニューがございまして、この要件を有明海、八代海の流域市町村について緩和することでインセンティブを与えることを現在検討しております。具体的には、汚水処理の整備率が六〇%未満というのが現在の基準でございますが、これを七〇%未満までにして、この地域で市町村設置型の合併処理浄化槽整備事業を推進していきたいと考えているところでございます。
○政府参考人(太田信介君) 農業集落排水事業におきましては、国土交通省、環境省と連携いたしまして、地域全体としての整備の促進を図りたいということで、まずは平成九年度から、特に汚水処理施設の普及率が低い地域におきまして、三省連携した事業をスタートしております。また、平成十二年度からは、公共下水道との接続によります処理場の共同利用を開始しておりまして、さらには、本年度からは、農業集落排水施設と合併処理浄化槽とを一体的な計画の下に整備する連携制度を創設するなど、処理施設の整備を効率的に進める取組を進めております。 今後とも、これらの整備を効率的に進めてまいりたいというふうに考えております。
○松山政司君 ありがとうございます。 海域環境の改善のためには、川の上流から川下までの流域を通じた取組が重要だと考えますけれども、さきの新聞報道で、全国のダムの中には、土砂で埋まり、その機能が十分に発揮されていないダムも見られるとされております。現在、河川の流況が水質変化にどのような影響を与えているかを考慮をしながら、今回の特別措置法において河川の流況の調整について特別の規定が設けられておることは大変に意義深いというふうに思います。 この規定を踏まえて、国土交通省として、有明海及び八代海の再生に向けて今後どのように取り組んでいかれるのか、その御方針をお聞きしたいというふうに思います。
○政府参考人(鈴木藤一郎君) 御説明申し上げます。 まず第一点の、有明海の水質の変化に関する件でございますが、これにつきましては、河川の流入負荷あるいは底質、海の底の物質でございます、底質の巻き上げ、あるいは底質からの栄養塩類が溶け出したり、それからプランクトンが発生したりとか、あるいは外洋との水交換など、様々な要因が重なり合いまして有明海の水質変化が生じていると、このように承知しております。この点については、今後更に調査、解明していく必要があると考えております。 次の、河川における流況の調整等の件でございますが、御案内のように、筑後川の松原・下筌ダム等のダムから、ノリ業者等の要請に基づきまして、関係者間の調整を経た上で、ノリ期に緊急放流というのを実施しているところでございます。 国土交通省といたしましては、今回の法案との関連で申し上げますと、ただいまの河川における流況の調整、あるいは河川における土砂の適正な管理、例えば砂利採取を禁止しているというようなことも含むわけでございますが、あるいは漂流物の除去というようなこと、こういったことを今までもやってきているところでございますが、今後とも、この法律に基づきまして関係省庁と連携いたしまして海の再生に努めていくという所存でございます。
○松山政司君 有明海及び八代海を再生を図っていくためには、農林水産省や国土交通省は無論のこと、関係各省そして関係県等の関係機関が連携をして様々な施策を一体的に実施をする必要がありますけれども、そのためには関係各省や各県などの関係機関間の調整が大変重要となってくるというふうに思います。 今回、与党が一致をしてこの特別措置法を提出したのは、将来にわたって漁業者の経営を安定させるためには、一刻も早くノリを始めとした水産物に甚大な被害をもたらした原因を早急に解明するとともに、関係者が将来に希望が持てるよう、各省が足並みをそろえて万全な対策を講ずることによって、有明海及び八代海を豊かな海として取り戻すことが重要であると考えたからでございます。 前国会で国会対策委員長をされた大島大臣は、私どもの熱い思いは十分お分かりのことと思いますけれども、本法案を受けて、今後の施策の展開について大臣の御決意をお伺いし、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○国務大臣(大島理森君) 松山委員がお話しされましたように、前国会で、大変申し訳なく、私が国対委員長をやりながらこの法案を通せなかったという思いは今もってございます。 そして、有明海、八代海、この八代という名前を聞きますと、私、環境庁長官をやったときに、水俣問題に最終決着をするときに、責任者でそうさせていただいたものですから、八代と聞きますと、また非常に思いがございます。海の力が有明海や八代海は落ちているというのが事実だと思うんです。そして、それは漁業生産の減少傾向を見ても分かると思うんです。 今次、皆様方が作られた法案をよく読みますと、一番大事なことは、まず私どもに基本方針を作りなさい、その基本方針に基づいて関係地域の県が基本計画を作りなさいと、こういうふうになっております。 私は、大事なのは、この七条の促進協議会が大事ではないかなと思うんです。海というものを共有し、また共同利用している。そうすると、みんなの財産である。そこに面した県、関係県が同じ認識を持って、そして基本計画を作ったならば、それを受けて私どもが国の場で関係省庁とまたしっかりとスクラムを組んでこの海の力の再生を果たすことがこの法律の目的であり、成立させていただいた暁には、正に行政の執行という意味でそういう各省としっかり連携を取って、そして全力を尽くしていくということがこの法の目的ですから、その法の目的に沿って全力を尽くしてまいる所存でございます。
○松山政司君 ありがとうございました。
○岩永浩美君 自由民主党の岩永浩美でございます。 今日は、衆議院の方から提案者で金田英行先生、今村雅弘先生、宮腰先生、それぞれ、金田先生は自民党の農林部会長として、今村代議士は選挙区が有明海に深いかかわりのある地域の代表として、宮腰議員は当時諫早湾干拓の農林大臣政務官として大変御活躍をいただき、この法案の提案に向けて大変御努力をいただいた方々に質疑の答弁者として御出席をいただいていること、心強い限りであり、二、三、私の感じるところを御質問をさせていただきたいと思います。 今回、与党案と野党案について法案をつぶさに精査をさせていただきました。採決の過程の中で修正案が出され、修正されて議決をし、ここへ送付されてきております。内容の細かいことについては十分私自身も理解しているつもりでございますので、答弁については簡潔にお願いをしたいと思います。 そこで、衆議院において、第十八条の調査研究の体制整備の規定に詳細な調査項目が規定される修正が今回行われました。国、県がこれらの調査を行うとしていますが、この規定は国及び県に対して調査を義務付ける趣旨なのか、それとも確認的な趣旨なのか、これはどういうふうなことなのか、明らかにしてもらいたいと思います。まず金田先生。
○衆議院議員(金田英行君) 岩永先生にもいろいろ御協力いただきまして、ありがとうございます。 一部修正させていただきました。一部修正、与党案を修正させていただきましたけれども、これはやはり争い事の海と申しますか、抗争の海からまずは平和の海にしなきゃならないなと。そのためには、できるのであれば、野党の先生方の意見も取り入れられるものについては取り入れて、何とかたくさんの政党の支援の中で有明海の豊かな海を作っていきたいという趣旨から修正に踏み切らせていただきました。 修正点は、今御指摘いただきました十八条の関係でありますが、何といっても海の状況を調査するということから始めなければ、そして今どういう状況にあるかということから、調べることから始めなきゃならないということで、八号までの八つの調査項目、これは現在も第三者委員会等を中心としてやっている調査でございます。各省にまたがっておりますけれども、こういったのを義務付けて、そして特にそれを公表するということに力点があるわけでございますけれども、こういった資料等をみんなで共有しながら、有明海の再生を目指すための調査という形で位置付けていこうというふうに考えているものでございます。
○岩永浩美君 ただいまの御答弁は、要するに県に対し義務付ける趣旨ということで理解していいですね。
○衆議院議員(金田英行君) はい、結構です。
○岩永浩美君 それだと、国において十八条に列挙された調査項目を完全に実施できる体制ができますか。
○衆議院議員(金田英行君) 水産庁始め環境省、国土交通省それから海上保安庁等々、それぞれこれらの八つの項目については現在調査を行っておりますし、またこの法律の制定を受けて必要な調査費用の計上等々も図ってまいることによって実施体制も整備していくことができると思っております。
○岩永浩美君 私は、今まで役所の仕事の中で十分にこういうふうな、今ここに八項目に挙げてあるそれぞれの条項について十分に仕事が消化されていたならば、こういう不信感というものは増幅しなかったのではないのかと。にもかかわらず、この八項目を掲げて国の体制ができるとするならば、今までの体制と変わった形のものを示さなければ有明海漁民の皆さん方の理解は得られないのではないのかという不安を抱くから、私は今確認をしているところです。
○衆議院議員(金田英行君) 一昨年のノリ不作を受けまして、有明の海が死の海になっているんじゃないかという相当の御批判等々がありまして、世論を大きく沸かしたわけでありますけれども、それについての調査というのはやらなきゃならないということで、急遽この種の調査をおっ取り刀でと申しますか、一生懸命にやってきたという現状でございます。さらに、この調査をしっかりとした体制、いろんな研究機関等々もございます、そういったところも活用しながら、しっかりと調査をやっていくんだという国の意思を示させていただきました。
○岩永浩美君 そうすると、十八条に「有明海及び八代海の海域に流入する水の汚濁負荷量の総量の削減に資する措置」というものが規定されています。この規定が盛り込まれた理由は何なんだろう、明らかにしていただきたい。 また、瀬戸内海では汚濁負荷量の総量規制が行われていますけれども、これは、削減ではなくて規制と明確に規定しなかったのはどうしてなのか。国として、総量規制をしていった場合には、実施することは不可能だから総量規制を明確にしなかったのか。これは今村代議士からでも。
○衆議院議員(今村雅弘君) 先ほど岩永委員から御紹介がありましたように、私も有明の海を目の前にして育った者でありまして、この海の問題は本当に私自身、そして地域の大切な、重要な問題ということで受け止めているところであります。 そういう意味で、この有明海の特性でございますが、大変特異な海で、そしてまた非常に閉鎖性が強い海域でございます。 そういう中で、ここが一度汚濁が進んだりしますと、なかなか改善するのに時間が掛かると。そしてまた、現実に赤潮とか、底質層には貧酸素水塊等々が発生している、大変環境の悪化等々が見られるわけでございまして、まず、こういった状況の中で、何よりもこういった負荷を与える、汚濁をする、そういった汚濁負荷量の総量をまず削減しようじゃないかということから、その決意の下に総量の削減ということを追加した次第でございます。 なお、瀬戸内海等の例を引かれて、総量規制ということがないではないかということでございます。 これは、御案内のように、水質汚濁防止法ということで、瀬戸内海あるいは東京湾等々、箇所を決めましてやっているわけでございますが、先ほど言いましたように、汚濁量を削減するということは大変まず取り組まなきゃいけない大事なことであるということでございますが、この有明海と八代海につきましては、総量規制をやるべきか、あるいはどこまでやるべきか、そういった調査等もまだ十分にできておりません。 したがって、そういった調査ももちろん必要でありますが、もう論より実行ということで、まずこういった総量削減ということで第一に取り組んでいきたいということでございます。
○岩永浩美君 総量規制をしていった場合には、将来の開発とかそういうものに非常に危惧する問題が出てくるから総量規制をしないということにしたんですか。
○衆議院議員(今村雅弘君) そういうことではございませんで、まず論より実行ということで、こういった汚濁物質をできるだけ減らしていこうじゃないかということでございます。
○岩永浩美君 もちろん、地域の一つの振興策を一方において考えることは大変大切なことだと思うし、私自身は、その地域の振興策は、海もだけれども陸も、それに隣接する陸の方も十分にやっぱり考えながら開発をしていかなければいけない。そういう視点に立って、この一つの、修正をされた三項目については、やっぱり提案者の皆さん方の本心をお聞きしておきたい。その意味で質問させていただいたので、御理解を賜りたいと思います。 そこで、短期開門調査を四月の二十四日から今年始めました。私自身も当時、農林大臣政務官をいたしておりましたので、十分にその経過は理解をいたしております。私自身、当時から開門調査の一つの結果に非常に深い関心を抱いていました。 今まで、国営の諫早湾干拓事業と、あるいは事務方の行政対応特別研究費の中でそれぞれ調査をした、それぞれの調査項目がありました。有明海のやっぱり自然現象のメカニズムの分析を目的とした総合的な調査を各県や関係役所が今までしてきています。それらの調査と短期開門調査の位置付けが今の時点でどういうふうになっているのか。また、国営総合開発事業調査による調査が終了する前に短期開門調査というのを行う目的がどこにあったのか、そこをはっきり局長からお聞きをして、次の質問に参りたいと思います。
○政府参考人(太田信介君) 有明海の環境改善の有効な方策を検討、実施するために、まずは有明海の環境に影響を及ぼしているとされます過去の開発行為や周辺の社会経済的変化などの環境変化の原因について総合的に検討を行うことが必要だということで、平成十三年度から関係各省と共同して有明海の本格調査を進めているというのがまずございます。 諫早湾干拓事業につきましては、ノリ不作等第三者委員会の見解、昨年十二月に出されました。この見解の趣旨等を踏まえまして、有明海の再生に向けてその環境変化の要因を早急に究明し、有明海全体としての環境改善の方策を講ずるための総合的な調査の一環として、短期の開門調査を含みます開門総合調査を実施しているところでございます。 短期の開門調査は、調整池に海水を導入することにより、調整池及び海域の水質や諫早湾の潮の流れ等にどのような変化があるかをまずは現場で観測するということでありまして、その他の調査と総合的に開門総合調査として結果を出していきたいというふうに考えております。
○岩永浩美君 この開門調査に当たって、長崎県からは強い反対の意思表示がなされました。また、漁連からは、是非開門調査をせよという大変強い要望も一方でありました。 この短期の開門調査は、海水の導入開始前と終了後の観測期間を合わせて二か月、海水導入を行う期間は一か月として今まで調査をやってまいりました。農林水産省は、今回調整池に海水を導入しても、平年並みの雨が降れば、河川水が流れ込みやすい水際の場所で一か月で元の淡水に戻ると説明を今までしてこられました。しかし、一か月を経過しても予定どおり塩分濃度が下がっていません。この原因は、雨が少なかったからということで片付けていいのか。また、ようやく開門調査の終了の判断がなされるレベルまで調整池の塩分濃度が低くなったということが今言われていますが、その調査結果というのはいつごろ具体的にお示しになるのか、それをお聞きしておきたいと思います。
○政府参考人(太田信介君) お答えいたします。 まず、短期開門調査の実施に先立って行いました影響予測では、平均的な降雨があった場合、これは平成十一年の降雨条件で試算いたしましたけれども、調整池の塩分濃度の低下の過程を予測しております。委員御指摘のとおり、かんがい期となります六月中旬までに約三百ミリの雨があることを見込んで、その結果として千ミリグラム、一リットル当たり千ミリグラムまで低下するものと予測しておりました。しかしながら、五月二十日に海水導入を終了しましてから六月中旬までに、本年の降水量はわずか二十七ミリ、平成十一年と比較して一〇%、十分の一にすぎなかったということ、そして海水導入を終了してから十月末までの降水量を見てもまとまった雨がなく、平成十一年とこれも比較いたしまして三〇%にとどまったことがその主たる要因であるというふうに考えております。 いずれにいたしましても、御指摘のとおり、その水質がそろそろ淡水に近づいてきております。そうした中で、この短期開門調査の結果でございますけれども、まずはともかく即時性が大事だということで、データにつきましては、逐次インターネット等を通じてまずは公表しようということで、させていただいております。ただし、短期開門調査そのものは、本年度おおむね一年間で実施することとしております開門総合調査の一環という位置付けでおりますので、諫早湾干潟に類似した現存干潟におきます実証調査、開門調査により得られた情報も活用したコンピューターによる水質、流動等の解析結果とともに実施している状況にございます。 開門総合調査の結果につきましては、調査の終了後速やかに公表することといたしておりますけれども、そのトータルということはなくても、この開門調査だけのものについてもこの開門総合調査運営会議という中で公表もしながら、逐次その結果を明らかにしていきたいというふうに考えております。
○岩永浩美君 今、局長からは、平年並みの雨量がなかったので淡水化が非常に遅れているという御説明ですが、うがった見方をすれば、何か異常な事象が判明したためにデータの分析を慎重にしているんじゃないのかという気がしないでもないんですけれども、そういうことはないんでしょうか。
○政府参考人(太田信介君) 開門調査そのものは、いわゆる潮を入れる過程と、それから潮から真水に戻る過程、両方トータルとして考えておりますが、そのすべてが終わらなければ解析を完全に、論理的には解析を完全に行うことはできないわけですが、その前半部分だけでも相当のことが解析できるという意味で、先ほど申しましたように、開門総合調査を行う上での運営会議という中で、これはもうオープンの会議としてその結果を公表し、その段階段階に応じた結果を皆さんにお知らせしていきたいということでございます。
○岩永浩美君 そうすると、今まで第三者委員会の中で議論をされたもの、それと、そういう一つのやっぱり総合的な検討の場というものを、短期調査の結果をやっぱり早く示さなきゃいけないと思う。そういう短期調査の結果を総合的に検討する場というのは、いつごろ、どういう方によってなさる御計画でしょうか。
○政府参考人(太田信介君) 委員御指摘の総合的に検討する場の意味合いでございますけれども、私どもはそれを新たな場という表現でしておるかと思います。その新たな場につきましては、ノリ不作等第三者委員会の科学的、技術的な提言を受けました各種の調査結果等を踏まえ、有明海の再生方策を総合的に検討するための場という位置付けで平成十四年度中に立ち上げることを表明しております。 この新たな場につきましては、現在御審議されておられます有明海の再生に向けた新法制定の状況、開門総合調査を含む各種調査の結果等を見ながら、年度内の設置に向けて検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○岩永浩美君 そうすると、年度内に一応そういう一つのやっぱり場で検討される。検討された結果に基づいて中長期の開門調査ということが具体的に出てくるのでしょうか。それとも、この有明海及び八代海を再生する今回の特措法の成立後、具体的に新たな検討委員会というものを作って、その場で検討するということに変わっていくのでしょうか。
○副大臣(太田豊秋君) 新たな場を作りまして、そして農林水産省といたしましては、ノリ不作等第三者委員会の見解などを尊重いたしまして、被害を防止するための有効な対策を講ずることができること、二つには、早期に成果を得るという観点から適切な調査手法であること、そして、様々な要因の調査と連携が保てることの三つの観点に立ちまして調査方法を検討いたしまして、短期の開門調査を含む開門総合調査を行っているところでございます。特に、短期の開門調査に当たりましては、長崎県地元関係者の方々の苦渋の決断をいただいて実行したところでございます。 このようなことから、農林水産省といたしましては、まずはこの開門総合調査により、諫早湾干拓事業による有明海の環境への影響をでき得る限り量的に把握していくことに全力を尽くしてまいりたいと考えておるところでございます。 なお、中長期の開門調査につきましては、短期の開門調査で得られた成果やその影響、その他の各種調査の動向、ノリ作期との関係などの観点を踏まえ、総合的な検討を行った上で、新たに平成十四年度中に設ける有明海の再生方策を総合的に検討する場での議論を経て、農林水産省において判断することといたしております。
○岩永浩美君 今回の特措法の中で、第二十四条において、「環境省に、有明海・八代海総合調査評価委員会を置く。」としています。これは、今、太田副大臣が御答弁いただいた、今までのノリ対策委員会の中における第三者委員会とは少し趣の変わるものになっていくと私は思いますが、そういう理解でいいんでしょうか。
○政府参考人(石原一郎君) 新たに修正、本法案の二十四条で評価委員会を設けることになっております。 この評価委員会につきましては、有明海、八代海の再生を図るために総合的な調査を実施すると、その調査を適正に評価するということでございます。そういう評価を踏まえ、再生に係る評価を行うとともに、附則、五年後の見直しということにつなげていくという形での役割を持った委員会であるというふうに理解をしております。
○岩永浩美君 今回の有明の特措法は、有明海の再生と同時に、地域振興策が盛られています。私は、大変時宜を得たことであり、地域の皆さん方は待望いたしています。それだけに、国として有明海並びに八代海の総合評価委員会の位置付けということが大変私は重要な意味を持つと思います。 ただ単に賛成だけでも駄目だし、反対だけでも駄目だし、そういう意味で、有明海全体を考えた将来の展望に立った評価委員会でなければいけないと思いますが、その人選はどういうことを基に考えておられるのか。人選について、その時期。これは明日、皆さん方の理解を得て成立をするとすれば、来週から施行されることになります。この評価委員会も同じく速やかに立ち上げなければいけないと思いますが、その時期はいつごろをめどに考えておられるんですか。
○政府参考人(石原一郎君) 総合評価委員会につきましては、有明海、八代海の再生に向けた非常に重要な役割を持った委員会であるというふうに認識しております。したがいまして、委員会につきましては、法案の成立後できるだけ早く設置したいというふうに考えております。 具体的に申しますと、関係省庁とも調整しつつ、年明け早々を目途に、遅くとも年度内には委員会を開催できるよう準備を進めてまいりたいというふうに考えております。
○岩永浩美君 人選等については将来に誤りがないように、是非十分に留意してやっていただきたいことを強く要望いたしておきます。 次に、今日午前中に参考人の質疑がありました。四人の参考人の意見に賛成する部分もあったし、意見が随分違うなという思いを強くしたものもありました。その中で、有明海の再生に向けて、ノリ漁業だけを中心として、漁船漁業並びに潜水漁業というものが置き去りにされている部分がなかったのかということを、私自身、反省をいたしています。 諫早湾干拓のすぐ近くにある漁協の皆さん方は、漁船漁業並びに潜水漁業を中心として、特にタイラギの漁業についてはもう今年既に三年休業になっています。その人たちの生活の場がなくなりつつある現状を考えると、その地域の漁場の資源回復のためにもっと本腰を入れた施策を目に見える形で示していくことが国の役割だと思いますが、それについてどういう構想をお持ちか、お示し願いたい。
○政府参考人(木下寛之君) 私ども、有明海あるいは八代海を豊かな海として再生するには、先ほど申し上げましたように、統一的な計画の下で関係各省が連携をして、環境の改善、それからもう一方の柱といたしまして、水産資源の回復等によります漁業の振興のための施策を一層強化をしたいというふうに考えております。 具体的には、優先的にやりたいと思っている事業といたしましては、水質の保全のための下水道など排水処理施設の整備あるいは堆積物の除去、覆砂、しゅんせつ等の底質の改善、さらにはやはり水産動植物を増加させるという観点から種苗放流等の増殖の推進等がまず優先的に実施をするべき事業でないかなというふうに考えております。
○岩永浩美君 私は、そこで、国の機関として西海区水産研究所が、大学、県の研究所と共同の調査の中で今、長崎市に設置されています。これは東シナ海や黄海、九州西海岸を中心とした資源の調査等々をやっています。しかし、西海区水産研究所が、こういう事案が発生した折、有明海独自の漁場の一つの資源回復や、有明海の干満の差のあるこの特殊な再生のために本格的な研究をしていくことによって、地域住民の皆さん方の将来に対する構想に安心できるシステムを確立していくことが私は大切ではないのかなと。ただ単に言葉だけで、あるいは行政改革をやっているさなかだから新たな独立行政法人を作ったりとかそういうふうなことはできないんだということで、通り一遍でそのことを言うのではなく、事態や事象に合った一つの形を推し進めていくためには独立した、有明海のその資源回復、そういう一つの組織自体を作り上げていくことが大切だと私自身は強く感じます。 それについて、提案者である皆さん方、どういうお考えをお持ちなのか、今村先生がよくないですか。
○衆議院議員(今村雅弘君) ただいま岩永委員御指摘のとおり、本当にそのとおりであると思います。 有明海はほかに例を見ない非常に特異な海でありますし、またほかにはいない魚介類もいるということでございまして、やはりここには特別なそういった対応をすることが必要であるというふうに思います。 現在は、今言われました西海区水産研究所の関係でいわゆるこの独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所を中心に関係省庁、県の関係等々入れますと約二十二ほどこれに関連する研究機関等がございます。当面はこのセンターをヘッドにして対応していかなければいけないと思いますが、いずれ是非、そういった研究機関から優秀な人材を抜てきして、そしてこういった、やっぱり今正にこれは闘いでありますから、闘いに臨むには現場の第一線にしっかりした前線司令部を置いてやらなきゃいけないわけでありますから、いずれそういった今委員がおっしゃったような方向で私も是非これは関係当局にお願いしていきたいというふうに思っております。
○岩永浩美君 いずれというのは大変時間、長い時間が掛かるいずれもあるので、できるだけ早く、やっぱりこういう一つの法案の成立と同時に速やかに私はそういうことを関係省庁にお願いをしたい。 そこで最後に、限られた時間の中で十分な質問ができませんでしたが、今まで大臣御自身が、同僚の松山議員からの御質疑もあったように、有明海に対する私たちの思いと同時に、一面においてその資源が枯渇してしまっている現状を考えると、有明海を再生していくためには強い大臣のリーダーシップがあってこそ初めてそのことが可能になります。大臣の、今後有明海再生に向けて、西海研究所並びに単独の組織の整備も含めて、決意のほどをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(大島理森君) 今、提案者と岩永議員の議論を中心にお伺いをしました。提案者から、独立した研究所をいずれ作りたいという熱い思いを聞かさせていただきました。 現場の責任を持たなければならない者としてその熱い思いを受けながらも、今大事なことは、研究機関の場合に、私は、きっちり責任を持って行うコアを作ることだと思うんです。あっちもやっとるこっちもやっとる、だれがやっとるだろうかという無責任体制ではなくて、そういうまずその責任体制を明確にして、そこがハブになって、そしてネットワークを組んで全力を挙げて、大学、県の研究機関も含めてそのコアとしての現場として、先ほどからお話しされた私どもの長崎にある研究機関を差し当たりそこでしっかりまずやっておる。今から、先生、独立機関を作るとなると、もうこれはそれだけでもまた酢だのコンニャクだのといって長くなります。まずそこでやっていく。熱い思いはしかと今、隣で聞かさせていただいて、お互いに同じ県のやり取りを伺って、また同じ思いも伺いました。 そしてもう一つ、僕は、岩永先生がお話しされたこと、非常に大事な点があると思います。あの海はもちろんノリの生産の場であるけれども、他の業種もあるよと。それを全体として考えろという視点が非常に大事なことだと、このように私は改めて痛感をいたしました。 そういう中にあって、今度の立法が成立させていただいた暁には、まず私どもが基本計画、基本方針を作るということになっております。そして、大事なことは、佐賀県も長崎県も福岡県も熊本県もみんな一緒になってどうやったらあの海を再生するかという同じ気持ちになっていただいて、そしてそういうことから計画を作っていただいて、それを私どもが、各省庁別々ではなくて、農水省がリーダーシップを持って、そして全力を尽くしてその再生に向けて努力することだと思います。 私も十九年衆議院におりますが、時としてみんな熱くなるときはみんな熱いことの議論をいたしますが、持続性を持って、この再生に向けて情熱の持続性をみんなで持って努力しなければならぬことも決意の一つとして申し上げて終わりたいと思います。
○和田ひろ子君 民主党の和田ひろ子でございます。よろしくお願いします。 とても熱い思いで語られている大臣に、ちょっと冷たい質問をさせていただきます。 先日のこの委員会でも各党から、今日の農林水産業をめぐる状況は大変厳しいものがあり、元大臣秘書官の口利き疑惑について国民が納得する説明を速やかにしてほしい、農林水産政策の推進に全力を傾注してもらいたいという御指摘があったと思います。でも、その後も明確な調査結果や説明はありませんでした。というより、疑惑が指摘されて以来、何の進展もないのが実態でありました。 大臣は、この疑惑を掛けられ、そのことを明確にしないために、農政の課題がこんなに山積している中、こんな貴重な時間を私が費やしているわけでございますから、こういうことをどう思われますか。御自身の責任をきちんと明確にされた上でお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(大島理森君) おまえは元秘書、前秘書の問題で質問を受けていることに対しての責任をどう思うかという御質問であったと思いますが、私の責務は、あらゆる問題について質問があれば誠心誠意お答えするのが私の責務だと思います。 さはさりながら、農業政策、水産政策、林業政策以外のことでこういう御質問を受けるということについては、私の気持ちにも、誠にそういう意味では遺憾であり残念なことだという思いは私にもありますし、政治家としてあるいは大臣として、お答えも申し上げておりますように、自らを律して考えなければならないことは考えなきゃならぬという思いで今おるところでございます。
○和田ひろ子君 それで終わり。もっと言っていただくのかと思ってじっと待っていました。 大臣は、国対委員長時代に鈴木宗男さんの、宗男議員の問題がありました。議員は秘書を監督する責任があるというふうに厳しく諭されたと聞いております。 振り返ってみて、自らの問題として秘書が疑われ、潔白であれば、これは大変な質問をみんなから受けているわけでありますが、ちっともお怒りにならないのは何でなんだろうというふうに私は思います。名誉毀損だと言ってほしい、本当に大臣が潔白ならそういうふうに言ってほしいというふうに思いますが、いかがですか。
○国務大臣(大島理森君) 和田委員に、大変お言葉でございますが、私はこの報道がされて以来、一つだけ申し上げさせていただきますと、私が何か関与をしたとか、あるいは私が命じてそしてどうしたとかという報道というよりは、元秘書の様々な報道でありました。 したがって、今、監督責任というのは非常に幅広いものがあると思うんです。例えば、大臣と大臣秘書官、これは国家公務員法でしたか、何かの中に統督すべきと、こう書いてあります。もう一つは、代議士と秘書の関係、この監督責任の法的根拠というものは、委員も御承知かと思いますが、どこにもございません。それは、雇用しているという関係の中での監督責任であり、政治に携わっている者としての監督責任であろうと思うんです。 したがって、私自身は、その元秘書、前秘書の様々な報道に対して、まず大臣と大臣秘書官という関係の中で、国家行政組織法の十条に書かれておりますが、あの報道以来とても職務を遂行する状況ではない、できる状況ではないということで、話合いの上、彼にその職を辞させることにいたしました。 一方、どなたの先生方もあると思いますが、私がかかわったことがないこと、あるいはまた初めて知るような問題について、雇用しているという関係上の政治家と政治家の秘書の間における私の責務は、問われたことまた聞かれたことに対して本当に、雇用関係であるということを基本にして本当に誠実に調べること、調べてそれに足らざることがあれば資料を持ってこいと言って彼の報告を引き出して皆さんにお答えすることが私の責任と思って今日までやってまいりました。 また一方、政治家として十九年、いや県議会議員時代から考えますともう二十六年の政治生活でございます。今日までの自らを省みて、先ほど冒頭に先生が私に対して御質問されたように、私自身自らを省みて、なお身を律して職務に専念し、そして努力することが私の責務と思って今頑張っておるところでございます。
○和田ひろ子君 二十六年も議員をされておられる先輩に大変申し訳ない質問を続けておりますが、素朴な国民の気持ちとして、私は福島県で、帰ったら女性の方たちからいろいろ話を聞きます。私のこと、みんな地元ではひろ子ちゃんというふうに言います。ひろ子ちゃん、大臣の秘書というか議員の秘書さんにお金を渡す企業があるとすれば、それは大臣、大臣というかとっても偉い人が後ろにいるから秘書にお金出すんでしょう、だから大臣が関与しないというのはそれはないよねとみんな言います。それは、国民の疑惑は全部それだと思います。 今、秘書の、例えば秘書の方がたまたま同じ時期におうちを建てられたとか、そういうことでいろんなところで帳じりを合わせようとされておられるようでございますけれども、本当は関与があったんじゃないかなとだれでも思っているんです。 本当に大臣に関与がなければ私もいいなという思いがいたしますが、もう一刻も早くその事実関係を調査され、調査してくださいと言うと秘書官からのお話しか聞いていないと。やっぱりこれは、やりません、あんた盗んだんだろう、盗みませんと言って、盗まないと言いましたというんでは、何も調査されたということにはならないというふうに私は思いますので、どうぞ自らの本当に疑惑を晴らすためにも、是非、今後絶対にこんなことはないんだということを再度言っていただきたいと思います。
○国務大臣(大島理森君) いささか私の名誉のためでございますが、今、和田委員から私が関与をしたかのような御発言がございました。
○和田ひろ子君 じゃないかということ。
○国務大臣(大島理森君) いや、もし私がそのことに関与をしたとするならば、和田委員から具体的にこういう事実があるようだけれどもどうだと言われてくだされば、私はお答えします。 本当に私自身が、様々に報道されたことについて私自身が、あのA氏の言葉からも私が何か関与をしたとかそういう記事はどう見ても見当たらないんです。また、私自身も、自らの先ほど省みて、律して、客観的に思い起こしても、明確に申し上げますが、私が関与したことはございません。また、私がそういうことをしろと指示したこともございません。これだけは名誉のためにも明確に今お答えを申し上げております。 そして、冒頭に先生からお話しされた、であれば何か法的、あるいはなぜ怒らないのかと。私は様々なことを報道されました。報道されたそのことについて今精査をいたしております。それは、私自身に関することでもしそこに間違いがあったり、私自身にもぎりぎりの人権というものがございます、そういう中で精査しながら考えてまいりたいと思います。 もう一度申し上げますが、私自身に関与をしたとか、あるいは彼にそう命じたということは一切ないことだけは申し上げさせていただきます。
○和田ひろ子君 TBSテレビの二十日の夜に、JNNのインタビューに答えたAさんと言われる社長さんが言っておられますことの中で、前秘書官が自ら関係する会社への融資も口利き料から捻出したという表現もありますし、大臣が言われていることとはもう完全に違って、食い違っていますね。コンサルタント会社社長の証言は真っ向から食い違っています。振り込む前日に、樋口さんという方との手紙のやり取りの中で、前秘書官から例の金庫から振り込んでほしいと言われたと。例の金庫から、そうです、そうです、金庫の中身はあくまでも前秘書官のものだという認識だからそう発言するんじゃないですか、仲介したコンサルタントの会社社長が言っています。 衆議院でもこういうことが本当に大臣に御質問されたと思いますが、今参議院の予算委員会が二十五日に立つことになりました。どうぞそのところでも潔白を表明をしていただきたいと思います。 大変失礼いたしました。 有明の問題に入ります。 この事業は、全国的に食糧難の時代であったから、昭和二十七年に県知事が食糧増産を目的として発表した長崎大干拓構想に端を発しております。国営事業としても当初は大規模な水田、酪農による食糧増産を目的として昭和二十九年から調査が開始されたというふうに聞いております。長崎干拓事業として計画をされていたそうです。しかし、漁業補償交渉が難航したほか、昭和四十四年からは開田抑制政策が始まり、長崎干拓事業は事業計画決定までには至らないで、昭和四十五年には新たに畑地の造成と水源開発が主なる目的となりました。もういろんな紆余曲折がありながら、これは農地の造成がもう本当に必要だった時期にできなくて、表紙を変えながら表紙を変えながら六十一年の実行になったように聞いております。 構想から半世紀が過ぎています。農業目的がいつの間にか防災に名をかりた干拓事業となり、地域に混乱を招き、有明の海を死滅させようとしているこの壮大な公共事業は一体何だったんだろうか、改めて問い直さなければいけないというふうに思います。 この構想について、ずっと昭和二十七年ころからの経緯を教えていただきたいと思います。
○政府参考人(太田信介君) 諫早湾におけます干拓構想といたしましては、昭和二十八年度に調査に着手いたしましたが事業着手に至らなかった国営長崎干拓計画、昭和四十五年度に調査着手いたしましたが打切りとなった長崎南部地域総合開発計画がございます。そして、昭和六十一年度に現在進めております諫早湾干拓事業に着手したものでございます。 事業の目的でございますが、最初の国営長崎干拓計画では、高潮、洪水の防止、水田及び工業用地の造成、農業及び工業用水の確保。そして、長崎南部地域総合開発計画では、高潮、洪水の防止、畑地の造成、農業及び水道用水の確保。そして、現在実施しております諫早湾干拓事業では、高潮、洪水、排水不良等に対する防災機能の強化と優良な畑地の造成でございまして、防災機能の強化と優良農地の造成はいずれの計画においても一貫して事業の主目的に位置付けられてきたものでございます。
○和田ひろ子君 長崎干拓事業計画や長崎南部地域総合開発計画は、漁業補償交渉がうまくいかなかったり関係三県の漁連が漁場の保護などを主張したことなどから断念をされておりました。 それでは、昭和六十一年に諫早湾の干拓事業計画を決定するに際しまして、環境影響調査などに基づいて漁民にはどのように説得、説明をされたか、教えていただきたいと思います。
○政府参考人(太田信介君) 諫早湾周辺地域は、低平地でかつ集中豪雨が起きやすい地形であるとともに、台風の常襲地帯でございますので、昭和三十二年の諫早大水害等、高潮、洪水、排水不良による被害が度々発生しておりました。また、非常に急峻な地形を有しており、優良な農地にも恵まれないという中で、諫早湾干拓事業は、防災機能の強化と優良農地の造成を目的として、地元等の要望に沿うとともに、関係漁業者の皆さん方の苦渋の選択と御理解をいただいて、昭和六十一年度に事業に着手し、その推進を図ってきているところでございます。 本事業の実施に際しましては、関係漁連、漁業協同組合に施工計画の案等を説明し、その意見も伺った上で、事業に対する御理解を得て、昭和六十一年度には諫早湾内十二漁協に対し、また翌年の昭和六十二年度には島原十一漁協、佐賀県大浦漁協、佐賀県有明海漁連、福岡県有明海漁連及び熊本県漁連に対し漁業補償を行い、事業を進めてきておる状況にございます。(「質問に答えていないだろう」と呼ぶ者あり)
○和田ひろ子君 例えば、今、答えていないというふうなこともありますけれども、本当に影響は、干拓事業実施に伴う生態系への影響は全然ないということを漁業者に説明をされたんですか。
○政府参考人(太田信介君) 漁業に影響を与える諸要因について、その影響の程度についての説明をさせていただいております。
○和田ひろ子君 だから、どういう説明をしたんですか。
○政府参考人(太田信介君) その影響は軽微であるという説明でございます。
○和田ひろ子君 軽微である。軽微であるということは、やっぱりあるということなんですよね。軽微であるということはあるということなんですよ。結果は大変影響があったんですよね。昭和六十一年から、工事が始まったときからその漁獲量がぐんと減っている統計があるんですから、軽微であるどころか大変な大きな影響があったと言わざるを得ないんですよ。有明海の貝類の漁獲量は、事業に着手された昭和六十一年以降どんどん減ってきており、宝の海ではなくなってしまっております。だから有明海、八代海を再生する法律を作らなければいけなくなってしまったんでしょう。ノリの不作を契機に慌てて法律を提出せざるを得なくなったこの法案ですが、これが実際、もう本当に、こういうことが実態でやっぱりこの法律を出さなければいけなくなったというふうに思われます。 しかし、衆議院から提出をされた修正を加えた与党案というのは、農水省の第三者委員会が、干拓事業が有明海全体の環境に影響を与えていると想定されるという指摘にもかかわらず、この諫早干拓事業に一切触れようとしていないのはなぜなんでしょうか。また、第三者委員会が潮受け堤防を開門して、そして一年足らずで、そして本当に中長期の調査の実施を求めているにもかかわらず、政府は、短期調査の結果を見て考える、そして本格的な調査を実施して原因を明らかにしようとする姿勢も見られません。原因が明らかにならないのにどうして実効性のある対策が取れるのか、私には不思議でなりません。 それで、提出者の方と政府にお尋ねをいたしますが、この法案で有明海がきれいになるというふうに思われますか。
○衆議院議員(金田英行君) 和田先生にお答えさせていただきます。 そういったこの特措法を実施することによって有明海の再生が成ると信じているからこの法案を作らせていただいたわけであります。 確かに、先生おっしゃるとおり、この法案の中には諫早湾という表現がございません。なぜあのようなノリの不作が発生したか、あるいはタイラギ等々の水産資源が減少したかということについては今一生懸命に調査しているわけでして、あの有明の海は安土桃山の時代から開拓をどんどんどんどんやってきたというようなこともあります。また、海辺でいろいろな都市化が進行しておったと、進行しているために汚濁が進んでいるというようなこともあると思います。とにかく、あらゆる調査、そしてまたあらゆる対策を講ずることによって有明海の再生は成るものだと信じて提出させていただきました。
○和田ひろ子君 政府の方は。
○国務大臣(大島理森君) 大臣にという、そういう御質問ではございませんでしたが、政府としてはと、こういうことでございますから。 先ほど来からの議論、それから衆議院での議論を伺いまして、やはり提出者の皆さんは、それじゃこのままでいいのかと逆の問題提起もしたんだと思うんです。何かしなきゃならぬ、そしてそれは、やはりこの有明再生のために今考えられ得るそういうふうな知恵を出し、実行する、そういうふうなことのためにこの立法化に駆り立てられたものと私は思っております。 思いは、この再生のためだと思います。したがって、私どもが、この法律が成立をさせていただいた暁には、この大きな目的のために、先ほど来申し上げましたように、農林水産省がリーダーシップを持ち、各省庁に働き掛け、一体となって取り組む決意でございます。
○和田ひろ子君 原因が明らかにならないのに、どうして対策が立てられるのかなと私は不思議です。出発といっても、目的地が分からないんですよね。どこに走っていけばいいんでしょうかね。
○衆議院議員(金田英行君) なぜノリが不作になったかという直接の原因はもう明らかでございまして、赤潮の発生等と貧酸素の水塊、水の塊が大分増えてきておるというようなことでノリの不作になったんだと。じゃ、それがなぜできたかということについては、そういった環境関係全般にわたる複合的なといいますか、総合的なあと原因が考えられるということでございます。諫早についても関係があったかもしれませんし、そこいら辺の因果関係と申しますか、そういったことについてはいまだはっきりと解明されているという状況がございません。 対策は作れるというふうに考えております。いろんな対策事業を、干潟を新たに発生させるとか、あるいは耕うんするとか、覆砂事業をやるとか、河川の汚濁、また総量の汚濁の規制をしっかりとやっていくとかというようなことで、そういった赤潮の発生あるいは貧酸素水塊の発生、あるいは潮の流れが大分遅くなっているというような、そんなことについても、我々、今の科学の力では対策が講じ得るものだというふうに考えて、この法律を作りました。
○和田ひろ子君 主務大臣が定める基本方針というのは、国として一つのことをみんなでやろうとするのか、それとも、大臣、大臣の縦割りというようなことになるのですか。
○衆議院議員(今村雅弘君) これにつきましては、六人の主務大臣によりまして十分な検討協議を経て、そして国としてかちっとした方針を立ててまいるということでございます。
○和田ひろ子君 国として一つの方針になるんですか。
○国務大臣(大島理森君) 立法者の趣旨を私どもはかんがみて、いずれにしろ、この問題における、確かに国土交通省も環境省もあるいは厚生労働省も、それぞれの省があると思いますが、農林水産省が本当にリーダーシップを取ってそしてこれは進めないと、とかく協議事項となるとみんな横を向きまして進まないときがあります。立法者の意思はあの海の再生でございますから、再生ということはその再生のために海の力を増すことですから、それは私どもが責任を持って積極的にそういうリーダーシップを持ってやることが肝要だと、立法者の意思を踏んで私はそう思っております。
○和田ひろ子君 立法者の意思が海の再生であるというふうにお答えをいただいて本当に安心をしているんですが、果たして本当に再生になるかというのは疑問なんです。その疑問をずっと持ち続けながら質問をしていくんですが。 ちょっと視点を変えて、今、日本の国に遊休農地というのはどのぐらいあるんですか、ちょっと教えてください。
○国務大臣(大島理森君) 私、先ほど、ついつい言葉が走りまして、厚生労働省と、こう言ったそうですが、厚生労働省は入っておりませんでした。 改めて、総務大臣、文部科学大臣、農林水産大臣、経産大臣、国土交通大臣、環境大臣でございました。訂正しておわびを申し上げます。
○政府参考人(太田信介君) 全国の遊休農地の現状いかんということでございますが、これを耕作放棄地と置き換えますと、その面積につきましては、平成十二年の農業センサスによりますと、全国で約二十一万ヘクタール、耕作放棄地の放棄の割合にいたしますと約五%という状況でございます。特に条件の不利な中山間地域においてその面積は約十一万ヘクタールという高い状況にございます。
○和田ひろ子君 今、この国会に農業特区の問題が出ていて、農業にも、この農林水産委員会にもかかる問題があります。二十一万ヘクタールの遊休農地というか不耕作地があるというふうに言われました。先ほどの参考人の方が、二十一世紀は食糧難の時代である、やっぱり農地を作らないんじゃしようがないじゃないかという話もありました。 農林水産省は担い手を育てるということで担い手対策というのをずっと何年もやってきていて、その担い手対策が功を奏さないので、今度は株式会社も参入してどうにかして休んでいる農地を耕して何か作ってもらいたいということなんですけれども、もう本当に、何と申していいか分かりませんけれども、こういう諫早干拓事業で農地を造成することが本当の意味があるんでしょうか、お尋ねをいたします。
○政府参考人(太田信介君) 我が国の食料の安定供給及び地域の農業振興を図るためには、生産性の高い農業経営を実現し得る優良な農地を確保することが必要でございます。干拓事業はこれを実現するための有効な事業の一つであるというふうに考えております。 長崎県におきましては、平坦でまとまりのある農地が少ないことに加えまして、諫早湾の周辺地域では、農業経営面積の拡大や園芸作物による新たな経営転換による営農意欲が高いこと、強いことから、生産性の高い農地に対する地域の期待は高く、諫早湾干拓事業により優良農地の造成を進めているところでございます。
○和田ひろ子君 二十一万ヘクタール、五%の農地が余っていて、それで諫早干拓事業を進めなければいけない。確かに昭和二十七年、委員長は生まれていないというふうにおっしゃいましたが、そのころはおにぎりが全国民に必要でありました。しかし、今考えてみて、そんな時代ではないということを考えたら、本当に疑問に思わざるを得ないのが私の気持ちであります。 干拓地の農地の価格は十アール当たり七十万円もしなければ採算が合わないと聞いています。例えば十ヘクタール購入するとすれば一億円も掛かってしまいます。こんな中で干拓地の農業経営は成り立つんでしょうか。
○政府参考人(太田信介君) 諫早湾干拓事業の営農計画でございますが、平成十二年六月に長崎県が取りまとめられました諫早湾干拓営農構想報告書を踏まえて作成をしております。 具体的には、バレイショやタマネギを中心といたします大規模野菜経営、また企業的な組織経営に成ります花などの施設園芸経営、さらに低コスト粗飼料生産等によります安定した畜産経営などを軸にいたしました八つの営農類型を設定し、収益性の高い近代的な畑作生産基地の育成を目指すことといたしております。 それぞれの営農類型につきましては、他産業並みの労働時間でゆとりある経営と、一経営体当たり年間所得七百から八百万円を確保できる水準を目標といたしまして、最近の農産物価格の動向等を踏まえ、農地配分価格を十アール当たり七十万円台を前提条件として経営試算を行いました。償還の可能性を検証もしておりまして、干拓地農業の経営は十分成り立つものというふうに考えております。
○和田ひろ子君 一億円もする農地で植えるものがどんなものか私も知りたいというふうに思います。 太田副大臣にお尋ねをいたします。今年の六月四日に行われた諫早干拓事業の計画変更によって、費用対効果は土地改良法で求められる一・〇以上を割り込み、〇・八三になったと聞いております。これは土地改良法違反ではないかということがいろんなところで言われておりますが、またそうした事業であれば中止に向けて政治が決断すべきときでもあるんではないか。小泉さんはそういうことをおっしゃっているんじゃないんですか。よろしくお願いします。
○副大臣(太田豊秋君) 諫早湾干拓事業につきましては、本年六月四日に計画変更を行いまして、費用対効果がおっしゃいましたように〇・八三となったものでございまして、国営土地改良事業につきましては、土地改良法上、事業の開始に当たっては費用対効果が一・〇以上であることが求められるものの、計画変更に当たっては費用対効果が一・〇以上であることは求められておりませんので、こういったことで、評価の第三者委員会の意見なども踏まえまして、本事業を、防災機能の十分な発揮、そして概成しつつある土地の早期の利用、環境への一層の配慮、予定された事業期間の厳守の四つの視点に立って総合的な検討を行った結果、現状を生かして効果を発現できるために実施すべき必要最小限の事業内容として取りまとめられたものでございますので、計画変更によって着実に事業を実施してまいりたいと思っております。
○和田ひろ子君 私も太田先生と一緒に福島県で育っております。費用対効果ということを考えれば、地方のいろんな事業は必ずしもその言葉には私は依存していないで、本当に費用対効果がなくてもやらなければいけないところというのはあるというには、私もしっかりその思いは持っていますが、この諫早におきましては本当にそれでいいのかな、そんな高い土地を造っていいのかなという気がしますので、お聞きをしました。 例えば、防災機能ということをさっきから聞いておりますが、既存の堤防のかさ上げとか排水ポンプとか、いろんなところで、各地でやっているそういうことで防災とかそういうことに政治は機能していくべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○副大臣(太田豊秋君) 防災機能の問題でございますが、諫早湾干拓事業というのは、潮受け堤防を設置をいたしまして高潮を防止するとともに、その内側に設けた調整池の水位を標高マイナス一メートルに抑えますので、そういった中では潮汐の直接的な影響を受けなくなる。そしてまた、既存堤防の排水樋門の前面における潟土の堆積が解消され、みお筋の確保が容易となること、また、河川とか排水路などから調整池への排水が速やかに行われ、大雨のときでも洪水被害の軽減が図られるわけであります。 このうち、高潮の防止については、伊勢湾台風のときに高潮が防止できるような標高プラス七メートルの潮受け堤防で諫早湾を締め切った結果、例えば、締切り前の昭和六十年八月に発生した台風十三号によりまして、諫早湾周辺の水稲千三百ヘクタール、それから家が三棟に被害があったわけであります。締切り後の同規模の高潮が発生した平成十一年九月の台風十八号の際には、この諫早湾では潮受け堤防の設置によりまして高潮の被害は防止されたところでございます。 また、洪水に対する効果は、排水門の適切な操作によりまして調整池の水位を標高マイナス一メートルに管理することにより発揮するものでございまして、昭和三十二年の諫早大水害当時の降雨があっても、潮の影響を受けずに洪水を調整池に安全に下流に一時貯留することで、諫早湾周辺地域の低平地の洪水による被害を軽減することができる可能性がなったわけでございます。 また、本事業の洪水防止機能につきましても、具体的には、締切り前の昭和五十七年七月の長崎大水害のときには諫早市の小野平野で湛水が四、五日間継続したわけであります。また、農地被害や床上浸水被害が発生いたしましたが、締切り後の平成十一年七月の最大時間雨量が同程度の大雨のときには、農地は一時的に湛水したものの、その日のうちに解消するとともに、床上浸水も全くなかったというような状況でございます。 また、同年に同程度の雨が降った締切り前の平成五年と締切り後の平成十年を比較してみますと、洪水時の背後地のポンプ運転時間は、前においては千三百六十時間から百二十時間へと大幅に短縮をされたわけでございます。これらは地域の住民からも実感をされておられまして、感謝の声が多く寄せられておるところでございます。 このことについて、先日、衆議院におきます参考人質疑の際に、吉次参考人、諫早市長から、台風時の高潮が防止され、洪水時の湛水の規模や時間が大幅に改善され、常時の自然排水も可能になるなど防災効果が発揮されており、非常に感謝しているとの評価をいただいたところでございます。
○和田ひろ子君 十月三十日に行われた諫早湾干拓事業の前面堤防工事の差止め仮処分申請のときに、国側は前面堤防の工事は漁業に著しい損害を与えないとまた主張されましたそうですが、そう断言できますか。
○政府参考人(太田信介君) 去る九月二十四日、福岡県有明海漁連からは、有明海は諫早湾干拓事業の潮受け堤防工事によって壊滅的な打撃を受け、さらに、今回の潮受け堤防の内側の内部堤防工事によってそのような事態が更に進行するといった立場から、潮受け堤防内側の中央干拓地におきます内部堤防工事を続行してはならない旨の申立てを福岡地方裁判所に行われました。 福岡県有明海漁連が債権者として差止め仮処分を申請された中央干拓地の内部堤防工事でございますが、潮受け堤防内における工事でございまして、かつ、陸上において行う工事であります。したがいまして、潮受け堤防外の有明海に漁業権を有します債権者に関しては、仮処分に保全の必要性が認められるための要件であります著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とする場合に該当するものではないというふうに考えております。 いずれにいたしましても、福岡県有明海漁連の申立てに関します主張につきましては、裁判所における審尋を通じて対応してまいりたいというふうに考えております。
○和田ひろ子君 この第一回審尋、第二回、第三回というふうにあると思いますが、そのときもきちんとそういうふうな答えができるのか、そのことをお願いをしていきたいというふうに思います。 中長期の開門調査の実施については、平成十四年度中に新たに設ける新たな場での議論を経て、先ほどの質問にもありましたが、農林水産省として判断することとしているのであれば、その判断を下すまでは前面堤防工事は中断すべきと思いますが、いかがですか。
○副大臣(太田豊秋君) 中長期の開門調査につきましては、現在御審議をいただいております有明海を再生するための新法制定の状況あるいは短期の開門調査で得られた成果及びその影響、その他の各種調査の動向、ノリ作期との関係などの観点を踏まえ、総合的な検討を行った上で、新たに平成十四年度中に設ける有明海の再生方策を総合的に検討する場での議論を経て、農林水産省において判断することといたしておるわけでございます。 〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕 ただ、そこの場合に、防災の問題等々もあるわけでありまして、先ほど御説明いたしたとおりでありますが、さらに、長崎県地元自治体から、農業関係者を始めとする地域住民からは、概成した、もう既に造られました土地の早期利用をさせてほしいというふうなこと、また、諫早湾の中の漁業者などからは、漁協からは漁場安定のための工事の早期完了を強く要望されておるような次第でございます。 このような中で、四月十五日の武部農林水産大臣と長崎県知事、有明海の三県漁業連合会長、それから有明海の三県の知事などとの会談におきまして、出席者全員の有明海の再生を願い努力していくとの思いから、短期の開門調査を実施し、平成十八年度に事業を完成させるとの農林水産省の方針につきまして理解が示されたところでございます。 農林水産省といたしましても、この方針に基づきまして、短期の開門調査を含む開門総合調査の実施と併せまして、平成十八年度に本事業が完了するよう前面堤防の工事などの推進を図っているところでございます。
○和田ひろ子君 この四月から行われた短期の開門調査では、海水導入も小さくて開門期間も一か月と短くて、調査として不十分であって、直ちに中長期の開門調査を実施すべきでないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(太田信介君) 短期の開門調査は、先ほども申し上げましたとおり、調整池に海水を導入することにより調整池及び海域の水質、諌早湾の流れ等にどのような変化があるかを現場で観測するために行っているものでございます。 この短期の開門調査につきましては、四月二十七日から五月二十日までの間に調整池の容量の約二・四倍に当たります約七千万立方メートルの海水を調整池に導入し、調整池及び海域におけます水質、流動等の変化を大潮、小潮等すべての潮汐を含みます一定期間観測し終え、現在は調整池が淡水に回復する過程を調査しているところでございます。 農林水産省といたしましては、有明海の再生に向けまして、この短期の開門調査に加えまして、諌早干潟に類似いたしました現存干潟における通年の現地調査を行うとともに、干潟の物質循環を再現するコンピューター解析を行い、かつての諌早干潟の水質浄化機能を推定する干潟浄化機能調査や開門調査により得られる情報も活用し、有明海全体の流動、水質等の状況を再現いたしますコンピューター解析を行い、諌早湾干拓事業によります流動、水質等の変化を推定する流動解析等調査を組み合わせました開門総合調査を実施しておりまして、本調査により諌早湾干拓事業の有明海の環境への影響をできる限り把握することといたしております。 中長期の開門調査につきましては、現在御審議されております有明海を再生するための新法制定の状況、短期の開門調査で得られました成果及びその影響、その他の各種調査の動向、ノリ作期との関係等の観点を踏まえ総合的な検討を行った上で、新たに平成十四年度中に設けます有明海の再生方策を総合的に検討する場での議論を経まして、農林水産省において判断することとしております。
○和田ひろ子君 先ほども出ましたけれども、いつその短期の調査の結果は出ると言いましたか。
○政府参考人(太田信介君) 短期の開門調査につきましては、先ほど申しました形で、総合的な調査として今年度おおむね一年間実施することとしておりまして、現存干潟における四季を通じた調査も含まれるものですから、データ分析に要する時間も考えますと、結果の取りまとめが来年度にずれ込む可能性もあるというふうには考えております。 この短期の開門調査を含む開門総合調査を実施するに当たり、調査方法、調査の管理運営及び調査の取りまとめに対します専門的な立場からの指導、助言を得るために、九州農政局に開門総合調査運営会議が設置しているところでございまして、本会議の助言、指導を踏まえた調査結果の取りまとめを経て、農林水産省において短期の開門調査を含む開門総合調査の評価を行うこととしております。 この開門総合調査の結果につきましては、ノリ不作等第三者委員会に報告を行うこととしております。
○和田ひろ子君 本当はそのノリ不作第三者委員会がその評価は行うべきだというふうに私は思いますが、いかがですか。
○政府参考人(太田信介君) 具体的な調査につきましては、昨年十二月に開かれましたノリ不作等第三者委員会の場におきまして技術的な観点からの見解をいただき、それをどう取り扱うかについては行政の方で判断して対応するということとされて、今それを開門総合調査として実施しておる状況にございます。 先ほども申しましたとおり、その結果につきましてはノリ不作等第三者委員会にも報告してまいりたいというふうに考えております。
○和田ひろ子君 報告ではなくて、ノリ不作第三者委員会がすべきだというふうに私は申し上げたんですが、いかがですか。
○政府参考人(太田信介君) 先ほども申し上げましたとおり、調査の方法そのものを含めて行政の方で検討するようにということを受けましての現在の開門総合調査でございますので、まずは開門総合調査の結果を農水省として整理してまいりたいというふうに考えております。
○和田ひろ子君 諫早干拓事業の環境への影響を事業主体である農林省が調査するということは、事業推進という予見を持った調査となり不適切だというふうに思います。 環境庁でいらっしゃいますか。環境庁がやるべきだと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(石原一郎君) 各種事業の実施につきましては、その事業主体が当然の責務といたしまして、その事業が環境保全上適正な配慮を確保しつつ実施すべきであるというふうに考えております。 諫早湾干拓事業につきましても、その事業主体である農林水産省が有明海の環境改善のための総合的な取組の一環として現在その調査を実施されているところでございます。また、その調査の実施に当たりましては、具体的には、例えば地元の市町村あるいは関係者とも調整をしつつ、情報の提供、幅広い意見の聴取を配慮しつつ調査を実施しているというふうに聞いておるところでございます。 したがいまして、あくまでその事業の影響調査につきましては、その実施主体である農林水産省において実施するのが基本的な考え方であるというふうに考えております。
○和田ひろ子君 私は、是非、環境省の皆さんが、必ず環境のことを考えて自分たちがやりたいというふうなお申出があって農林省と一緒にやるというふうな、そんな環境省であってほしいなという思いであります。 おいでになっておりますので、有明海と同様の閉鎖性海域を対象にした瀬戸内海環境保全特別措置法は水質浄化と埋立て抑制という二つの規制目標を掲げておりますが、施行から三十年たっても水質の浄化は達成されていません。しかも、有明再生法は、その名のとおり、環境保全ではなく再生するための特別の措置を講ずることを目標にするのであれば、総量規制を掛けてその影響を受ける企業あるいは家庭があるのであれば、これに対して別の手だてを考えてこの有明再生法に資するべきだというふうに思いますが、環境省のお考えはいかがですか。
○政府参考人(石原一郎君) 総量規制の関係でのお尋ねでございます。 瀬戸内海、東京湾、伊勢湾につきましては総量規制を実施しておるところでございます。有明海につきましては、汚濁負荷量の総量の削減に資する措置ということで対応したいということになっております。これは、海域の状況が東京湾及び瀬戸内海などと有明海においては違うというふうに考えております。 東京湾、瀬戸内海につきましては、大規模な工場の集中的な立地あるいは人口の集中ということで、環境基準を通常の濃度規制では守ることが非常に困難であるという状況の下に導入しておるものでございます。ただ、有明海の環境につきましては、富栄養化等が懸念され、その環境の悪化が懸念されているところでございます。 〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕 そういう観点から申しますと、直ちに同様の形での総量規制というのは適当ではないというふうに考えておりますが、汚濁の負荷量の総量が削減されるよう、一つは生活排水対策の実施、それと事業場あるいは工場についての排水基準の規制の強化等々の措置を講じながら、地域に合った汚濁負荷量の総量の削減に向けて努力してまいりたいというふうに考えております。
○和田ひろ子君 三十年たってもまだきれいになっていない、そういうことからすれば、私は、今そういう新しい法律を作るならば総量規制を掛けるべきだというふうに思います。先ほどの御答弁で調査ができていないので削減としたというお答えでしたが、調査ができていないんなら作る必要はないんじゃないか、何で工事をそのまま続けるんだという大きな疑問があります。 それから、最近新聞でも報道されましたが、有明海のプロジェクトの学者グループ、先ほども参考人としておいでになった先生方が、潮流に支障がある、潮汐に影響を与えるということを言っておられます。農林省としてはいかがな考えをお持ちですか。
○政府参考人(太田信介君) 平成十四年十月十八日に、有明海の海況につきまして自主的に一斉調査を行われました有明プロジェクトの公開成果検討会が開催され、熊本県立大学の堤教授らの研究グループが、潮受け堤防の締切り後、有明町と長洲町を結ぶ線で潮流の流速が減少し、湾奥部の海水の停滞を招き、赤潮の大規化、長期化、貧酸素水塊の大規模化を招いている旨の見解を述べられたことは承知しております。 この見解では、当省が実施しておりますモニタリング調査の潮流データを基に議論が展開されておりますが、見解の根拠とされたデータは諫早湾湾口部沖合の南寄り地点のデータのみでございまして、実際には、諫早湾湾口部沖合三地点の潮流の流速は、最大流速が低下している地点が見られる反面、逆に締切り後に流速が速くなる地点も見られまして、締切りの前後で一様な変化傾向が認められるわけではございません。 また、海上保安庁水路部が平成十三年五月に実施いたしました有明海の潮流についての調査によれば、昭和四十八年八月の調査結果と比較いたしましたところ、全体的には、場所によって今回、つまり平成十三年五月調査した方が若干流速値が大きい傾向にあるが、ほぼ同等の潮流を示しているとされております。 このように、有明プロジェクトの研究グループが指摘したような潮受け堤防の締切りによって有明町と長洲町を結ぶ線で潮流の流速が減少したということについては、現時点では明確にはされていないものというふうに考えております。 農林水産省といたしましては、現在進めております開門総合調査の中で有明海の流動等の状況を再現いたしますコンピューター解析等を行い、諫早湾干拓事業と有明海の潮流との関係について更に調べてまいりたいというふうに考えております。
○和田ひろ子君 次に、四月十五日の会談というのがいつも出てくるんですけれども、四月十五日の農林省での会談は密室でやられたのではないか、漁民は認めておられないようでございます。事業に反対するこれほどの多くの漁民がいる中で、その合意を盾に事業を推進するということは、有明海の再生を本当に考えていないんじゃないか、実はもっと別なところにこの目的があるんじゃないかなんというふうに思う方もいらっしゃいますが、いかがですか。
○副大臣(太田豊秋君) 四月十五日の農林水産省で行われました会談は、関係県の知事、それから各県漁連の組織の代表者である会長が参加して行われたものでございます。その結果は広く明らかにされており、この会談で得られた関係者の合意は私は非常に重いものと考えておるところでございまして、この会談において、出席者全員の有明海の再生を願い努力していくとの思いから、短期開門調査を実施し、諫早湾干拓事業を平成十八年度に完了させるとの農林水産省の方針について理解が得られ、長崎県及び地元関係者に極めて強い不安がある中でぎりぎりの段階で容認を得て短期の開門調査が実施されたわけであります。 本事業につきましては、事業再評価の一環として、事業再評価第三者委員会の意見を踏まえまして、防災機能の十全な発揮、概成しつつある土地の早期の利用、環境への一層の配慮、予定された事業期間の厳守の四つの視点に立った総合的な検討を行い、既に事業地域に淡水性の動植物の生態系が定着している現状や概成しつつある土地が出現している状況を踏まえ、自然と共生する先駆的な取組をする観点から陸域と水域の連続性を確保し多様な生態系を形成するとともに、これらの生態系や環境への影響に対して一層の配慮を行うこととしたことでございます。具体的には、このため、既に干潟となっている一千ヘクタールに及ぶ土地のうち、約三割の三百ヘクタールを現状のまま保全する現状保全区域として環境へ一層配慮することといたしておるものであります。 農林水産省といたしましては、干拓面積を二分の一に大幅に縮小するとともに、一層の環境配慮対策を実施することなどを内容とする新たな事業計画に沿って平成十八年度中に完了するよう事業を推進いたしておるところでございます。
○和田ひろ子君 有明海の再生を考えておられる農林水産省が作られたノリ不作第三者委員会の見解を尊重していないのは、今、防災面や何かは尊重しているというふうにおっしゃいましたけれども、中長期の是非調査をしてほしいということを尊重されないのはなぜなんでしょうか。
○政府参考人(太田信介君) 諫早湾干拓事業につきましては、昨年十二月に有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会、いわゆる第三者委員会から、開門調査の意義を、諫早湾干拓事業が引き起こしたと指摘されている有明海の環境変化の諸事象につきましてその指摘の適否を検証することといたしました「諫早湾干拓地排水門の開門調査に関する見解」が示されたところでございます。 農林水産省といたしましては、この見解の趣旨を尊重し、排水門を開けることによって被害が生ずることがないよう、またそのことを地域の方々が実感し得るよう開門調査を行うということを基本といたしまして、被害を防止するための有効な対策を講ずることができること、早期に成果を得るという観点から適切な調査手法であること、さらに、様々な要因の調査と連携が保てることの三つの観点に立ちまして調査方法を検討し、現在、短期の開門調査を含む開門総合調査を行っているところでありまして、これにより諫早湾干拓事業によります有明海の環境への影響をできる限り量的に把握することとしたいと考えております。 このようなことから、農林水産省といたしましては、まずはこの開門総合調査により諫早湾干拓事業による有明海の環境への影響をできる限り量的に把握していくことに全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
○和田ひろ子君 ノリ不作第三者委員会が、幸い二年続けてノリの不作とはならなかったけれども、実は心配すべきことはあるというふうにおっしゃって、赤潮の発生を懸念しておられます。また、タイラギやアサリなどの二枚貝の回復が急務であるということも言っておられます。 このように、有明海の症状は悪化を続けているのが現状です。対症療法で年間二十億円ものお金をかさ上げしてだらだらだらだらいつも、覆砂をしたり、そんなことをしていて本当に効果があるんでしょうか。また、安易に対症療法をしたことによって本当の原因を見付け出すことができるのでしょうか、かえって困難にするのではないでしょうか。 一体、何年間でどの程度の費用を上積みすれば症状の回復が期待できると思われておられますか。金田先生、いかがですか。
○衆議院議員(金田英行君) 先生の御指名でございますけれども、どれだけの金をどの事業にどうつぎ込んだら有明の海が再生するかということについては相当専門的な技術的な知識が必要でございます。私には、とにかく頑張るということしか言えないのでございます。
○和田ひろ子君 年間二十億円もその上も掛けてする事業に、頑張るだけでの御答弁ではちょっと、ちょっとどころか、大変不満であります。 開門総合調査等の結果で有明海の環境悪化の原因が諫早干拓事業となった場合は、事業を再度見直しますか。もしそうなった場合は工事を中断するのが当然と思われますが、いかがですか。
○政府参考人(太田信介君) 諫早湾干拓事業は、地元の要望に沿いまして、昭和六十一年度に事業に着手し、防災機能の強化と優良農地の造成を目的として現在推進しているものでございます。 本事業につきましては、先ほど来説明申し上げておりますように、防災効果が着実に発揮され、さらに長崎県地元自治体や農業関係者を始めとする地域住民からは概成した土地の早期利用を、また諫早湾内の漁業者からは漁場安定のため工事の早期完了を強く要望されている状況にございます。 農林水産省といたしましては、環境への一層の配慮、予定された事業期間の厳守等の視点に立って見直しを行ったところでございまして、本年六月に決定した新たな事業計画に沿って事業を進めることといたしております。 なお、調査結果との関係につきまして、あえて一般論で申し上げれば、調査の結果明らかにされるであろう影響がどの程度の規模であるのか、どのような因果関係があるのか等によりましてどのような対応を取るべきかは異なってくるものというふうに考えておりまして、その結論が出た後にその内容に応じ適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○和田ひろ子君 諫早干拓事業も時代の変化によって事業の目的、意味合いが変わってきているように思います。防災や土地の造成を言うのであれば農林省が考えることではないんです。農林省は宝の海を守ること、有明漁民の皆さんの経営と生活の安定をどのようにして守っていくかを考えるべきだというふうに私は思っています。 これまでつぎ込んだお金が無駄になるのではないかということですが、今後の無駄のお金を使わないということの方が私は大事だと思います。事業を中止する勇気が必要だというふうに思っています。どうぞ再考をお願いしたいというふうに思います。 有明再生法案には、干潟、潮流、潮汐等と当該海域の環境との関係に関する調査等の総合的な調査を行ってその結果を公表することとされておりますが、この調査に諫早湾干拓事業による有明への影響調査が含まれるという理解でいいですか。宮腰先生、お願いします。
○衆議院議員(宮腰光寛君) 本法案の第十八条に基づきまして具体的にどのような調査が行われるのかということにつきましては、現時点では明らかではないというふうに考えております。しかしながら、今ほど先生おっしゃいましたように、干潟、潮流、潮汐等と当該海域の環境との関係に関する調査等の総合的な調査は、有明海及び八代海の海域の環境の保全、改善、水産資源の回復等による漁業の振興を図るために海域に係る様々な調査を包含したものでありまして、諫早湾干拓事業による有明海への影響評価につきましても論理的には必ずしも排除されていない規定ぶりとなっているというふうに考えております。 現に、実施中の短期開門調査を含む開門総合調査では、諫早湾干拓事業が有明海の環境に与えるとされる影響の度合いをできる限り量的に把握をするという趣旨で既に実施されているということでもあるというふうに考えております。
○和田ひろ子君 その結果が諫早湾干拓事業が完了するとされている二〇〇六年までにできるとは思いませんが、そこで、立法の趣旨に照らして、仮に中長期調査が実施された場合の結果、行政対応特別研究費などを使った水産総合研究センターを中心としてノリ不作原因の究明に関する調査結果などによって諫早湾干拓事業による影響が明らかになり、その中止なしには有明の海が再生困難であるというふうに明確になった場合は、有明再生のために干拓事業の中止もあり得ると考えていいですか。
○衆議院議員(宮腰光寛君) 本法案におきましては、有明海及び八代海の環境の保全、改善、水産資源の回復等による漁業の振興を図るための総合的な調査を国及び関係県が行いまして、この結果に基づいて有明海・八代海総合調査評価委員会が有明海及び八代海の再生に係る評価を行うということにいたしております。 そこで、有明海の環境に影響を与えている各種の要因についての評価は評価委員会の行う評価に含まれ得るものでありまして、現時点ではいかなる評価が下されるのか不明ではありますけれども、この評価に基づいて各種の要因の取扱いについて検討されることも論理的には必ずしも排除されない規定ぶりとなっていると考えております。
○和田ひろ子君 今の先生のお答えがちょっと分からないんですけれども、中止はするんですか。
○衆議院議員(宮腰光寛君) この評価に基づいて、総合的な評価でありますから、諫早湾の干拓事業に限らず、そのほかの影響を与えているとされる事業につきましてでもいろいろとまた総合的な調査をされるということでありまして、その評価に基づいて各種の要因の取扱いについて検討されることも論理的には必ずしも排除されない規定ぶりになっているというふうに考えております。
○和田ひろ子君 するかしないかはどうですか。
○衆議院議員(宮腰光寛君) するかしないかというのは、これは我々が今ここでお答えするような問題ではないというふうに考えておりますが、これは、規定では取扱いについて検討されることも論理的には排除されない規定ぶりとなっているということであります。
○政府参考人(太田信介君) 仮にその旨の提言といいますか結論が出された場合におきましても、これは一定の法律手続を取りまして着手した事業でございますので、その最終決定につきましては農林水産省において取り扱うことになるというふうに考えております。
○和田ひろ子君 宮腰先生は排除されない書きぶりになっている、ということは中止するということで、今、農林省は農林省が引き受けるということをお答えになったんですか。
○政府参考人(太田信介君) 事業実施主体でない主体がその廃止を決定ということは、しかねるのではないかというふうに考えております。
○和田ひろ子君 行政の言葉が分からないんですが、分かりやすくお願いします。
○政府参考人(太田信介君) 最終的な取扱いについては、土地改良法におきまして廃止の手続等も定めましたので、その手続を踏まなければ廃止することはできないというふうに考えております。
○和田ひろ子君 有明海及び八代海の環境悪化や漁獲の減少の解明のために新たな研究機関を創設するなど、調査研究体制の充実を図るべきではないかというふうに思いますが、何か今までのお答えを聞いているとこんな質問するのむなしいんですけれども、是非充実を図るというお答えをしていただきたい。
○政府参考人(木下寛之君) 有明海の研究でございますけれども、現在は独立行政法人水産総合研究センターの西海区水産研究所が中心になりまして、関係省庁と連携をしつつ実施をしているところでございます。 従来言われておりますのは、それぞれの研究機関が別個に研究をしていると、そのような研究成果がそれぞれの研究機関で死蔵されてなかなか有効に利用できない、あるいはいろいろな研究データにつきましてそれぞれの研究者が活用しようとしてもなかなかできないというようなことが指摘されているわけでございます。 私ども、有明海の再生を図る観点から各種の調査を実施するわけでございますけれども、そのような調査につきましてデータベースを確立し、いろいろな人がそのようなデータにアクセスするということが今後の調査研究については非常に重要だというふうに考える次第でございます。 このような観点から、私ども、既存の機関の調査研究成果の情報を一元的に管理する体制を構築すべく現在検討中でございます。有明海環境情報・研究ネットワーク構想というものを策定しているわけでございまして、この中で有明海環境情報データベースの開発を行っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○和田ひろ子君 漁業振興策の中で覆砂事業というのが、補助率の特別措置が講じられていますけれども、午前中の参考人質疑では、覆砂事業なんて何回続けても有効でないというふうに言われておられましたが、その実績と効果はどんなものですか。
○政府参考人(木下寛之君) まず、実績でございますけれども、有明海及び八代海における覆砂事業でございます。福岡県、佐賀県、長崎、熊本四県で平成九年度から平成十三年度までの五年間の実績、事業費が約七十八億円、四百七ヘクタールの事業。また、本年度でございますけれども、十三年度補正の分を含めまして、事業費三十九億円、また二百七ヘクタールの事業が行われているところでございます。 また、この効果でございますけれども、覆砂事業、海底に堆積いたしました有機汚泥を良質な砂で覆うということでございまして、そういたしますと底質が改善される、また、そのために栄養塩類の溶出を抑止することを通じまして水質の改善を図ろうというものでございます。底生生物を中心といたしました生物相の回復を図る効果を有するということで、これまでの幾つかの事例でございますけれども、水質あるいは底質の改善、また水産資源の増大等が確認されているところでございます。 私ども、今後とも、これらの効果につきまして更に詳細に把握するよう検討を進めていきたいというふうに考えております。
○和田ひろ子君 覆砂事業に使う砂はどこから持ってきますか。
○政府参考人(木下寛之君) 覆砂事業で行う海砂でございますけれども、福岡県あるいは佐賀県、熊本県で実施をされておるわけでございますけれども、その砂でございますが、熊本県それから長崎県の海域で採取をした海砂でございます。
○和田ひろ子君 海砂の採取というのは、また新たな環境破壊を作るというふうに言われていますが、どう思われますか。
○政府参考人(木下寛之君) 私ども、海砂の採取に際しましては、委員のような御懸念がないよう、海域の濁りを防止し、急激な海底地形変化を生じないような工法の採用をしておりますし、環境への配慮を徹底したいというふうに考えております。 いずれにいたしましても、このような対策の中で、これまでも環境に及ぼす影響をできるだけ少なくするような方法で採取をしてきたということでございます。
○和田ひろ子君 私は、漁業者の方々から、自然の浄化作用とか再生作用を利用した、つまり自然の力を利用した、そのような再生法案であってほしいというお話を何回も聞きました。やはり関係者の多くを納得させる法案であるべきだと考えています。 仮に政府の思惑どおりに進展したとしても、六年度に工事は完了して、与党案が言うように特需もそこで終わります。そのときに漁民が本当に帰るべき海があるのでしょうか。 先祖から受け継ぎ、将来世代に手渡さなければいけない掛け替えのない有明海、宝の海を破壊してしまうような権利が私たちにはないというふうに思っています。人類の英知を絞って有明再生に立ち向かうことが、私たち世代に、生きる、課せられた命題ではないかというふうに私は思っています。 大臣そして発案者の御意見をお聞きして、終わります。
○衆議院議員(金田英行君) 正に和田先生のおっしゃることでございます。我々、じゃ今の有明海の事態を目の前にして何をやるべきか、そして国としての意思としてどういうことを宣言すべきなのかと、これがこの法案として我々まとめたものでございます。 二〇〇六年に確かに諫早の干拓工事は終わります。しかし、これらの再生のための事業は更にこれからも続いていくんだろうというふうに思っております。有明の豊かな自然を何としても子々孫々に伝えてまいらなければならない、今を生きている我々の責任だというそんな思いから、先生と同じ思いだと思いますが、そんな思いからこの法案を提出させていただいたものでございます。
○国務大臣(大島理森君) 人類はこの地球に生まれて以来、様々な活動をしてきたと思います。そして、そのたびごとに変化が起こり、それが環境に影響をし、そしてその環境をまた乗り越えて我々は文明というものを作り出していく。ある意味では一種の人類のさがみたいなものがあると思います。 この有明、八代の海の歴史を勉強いたしますと、先ほども副大臣でございましたでしょうか、江戸の時代から干拓を行い、そして海の変化というものを一回私も見ました、様々に変化してきた。しかし、その変化というものを我々は踏まえつつも、その海が力をしっかり再現させていくという宿題が私どもにあると思います。 この立法の趣旨を、私どもは、成立させていただいたならば、本当に地元の方々とも話し合い、そしてまたここで出された様々な意見、和田委員からも本当に心配の御意見をちょうだいした、そういうことを踏まえながら、全力を尽くして、有明、八代の海の再生に向けて全力を尽くしてまいりたいと、こう思っております。
○和田ひろ子君 ありがとうございました。 ─────────────
○委員長(三浦一水君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、市田忠義君が委員を辞任され、その補欠として富樫練三君が選任されました。 ─────────────
○日笠勝之君 公明党の日笠勝之でございます。 先日、大島大臣、所信的ごあいさついただきまして、私ども一般質疑をさせていただきましたが、残念ながら持ち時間が少なくて積み残したものが二、三ございますので、初めにその点から質問をさせていただきたいと思います。 大臣は御発言の中で、バイオマスのことにつきまして、家畜排せつ物、いわゆるバイオマスが日本には豊富に存在しておる、バイオマスの有効活用を国家プロジェクトとして推進していきたいと、こういう御発言がございまして、全くそれについては同感でございます。 ただ、私も、九月の下旬、広島県福山市の小立団地、小さく立つと書くんですが、その団地に行きますと、これは福山市の分譲地でございましたけれども、その近くに畜産牧場があるわけですね。問題は、そのバイオマス云々ではなくて悪臭なんですね。夏になってくると、豚が多いんだそうでございますが、もう何とも言えない悪臭。もう何回も何回もいろんなところにこのことについて要望、要請、陳情をいたしたわけでございますが、なかなかこれが解消できない。去る二月にも前大臣の武部大臣に、地元からもこの悪臭問題の解決に向けての特段の配慮ということで要請、陳情しておるわけでございます。 その後、八か月、九か月たったわけでございますが、どのような対応をしていただいているか、お聞かせ願いたいと思います。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先生御指摘の広島県の福山市における畜産の牧場、これは肉用牛と豚、鶏を飼っている大きな牧場でございます。近隣の住宅団地、これは昭和五十一年、五十二年に整備された団地でございまして、以来、この悪臭問題、自治会と畜産サイド、その他いろいろ話合いが持たれましたけれども、なかなか解決が見られないというようなことがございまして、私どもは、現地のことでございまして、双方にもいろいろ言い分があるということで、現在のところは、広島市と福山市に引き続き現地で何か解決策が見いだせないかということを指導をしているところでございます。 元々、私どももこの悪臭問題の解決のためにいろいろ一般的な対策はございまして、一つは、家畜排せつ物の堆肥化の処理の過程におきまして、悪臭抑制のために適切な水分調整だとか通気の確保という、それでもある程度悪臭が防止されるというようなことがあり、また悪臭防止施設、紫外線エネルギーを利用したもの、あるいは石綿に微生物を利用して固定化するもの等々の施設がございまして、こういう施設を相手方の状況に応じて補助事業あるいはリース事業あるいは制度融資、こういうもので施設の整備ができるんだということも伝え、地方自治体等が実施する悪臭発生農家への個別指導に対する支援という施策も用意しての上で、現地で引き続き解決に向けて指導をしていただきたいということを今のところはしているという状況でございます。
○日笠勝之君 進んだような進まないような、要はBSEの問題で畜産業界はもう大きな痛手を受けて、いろんなリースだの補助事業だといったってお金が要るわけですよね。そういう意味では、もう少し安価で、安くて効果のある、悪臭問題ということについてはやっぱり農水省としても本格的な研究をすべきだろうと、こう思いますので、この点は要望しておきます。 それからもう一点、大臣はe―むらづくり計画策定をしていきたいということをおっしゃいましたね。eのeは英語のeでございまして、e―Japanのeと引っ掛けているんだろうと思いますが、これは是非過疎地域、離島また半島等々ですね、同じ都市並みのインターネットの通信速度の実現を目指すe―むらづくり計画というのを農水省は立ち上げようと、こういうことでございまして、これはもう全面的に賛成でございます。ところが、農村部とか離島部に高速ネットの導入をしようといえば、費用の問題、費用対効果、大変お金が掛かるわけでございます。 先日、私も岡山県の笠岡諸島に行きまして、真鍋島とか白石島とか六つぐらい島がありますが、本土から光ファイバーを引こうというと、もう何か十数億円掛かるんだと、こういうようなことでございましてなかなか、漁協も農協もあるんですよ、だけれども、本土から光ファイバー引いていたんではとてもじゃないが採算合わないと。じゃ、通信衛星からはどうだろうかと、こういうふうなことも地元では言われておりますが、このe―むらづくりで、特に過疎地だとか離島だとかの農漁村ですね、こういうところへはどのような今後計画を立てて導入を図ろうと、ブロードバンドですよ、図ろうとされておるか、お聞きしたいと思います。
○大臣政務官(渡辺孝男君) ただいま御質問がございました件でございますけれども、過疎、離島等の条件不利地域に約七割が、漁村の約七割がそういう過疎、離島等の条件不利益地に所在しておりまして、時間と距離のハンディの克服が課題となっております。 そういう意味で、漁業生産活動の効率化、そして生活の利便性、そして安全性向上のために、また都市部との交流の推進のために情報化を推進するということは大変必要なことだと、そのように思っております。このようなことから、水産庁におきまして、平成十一年度より漁村における各種活動を支援するためのCATV、そのような施設等の情報基盤の整備を推進しているところであります。 先ほどお話がありました笠岡諸島等も含めまして、施設整備の要望については関係省庁、農水省だけではございません、関係省庁とともによく相談をしながら地域の要請に的確に対応し、漁村における情報通信基盤の整備を図っていきたい、そのように思っております。具体的な案件があれば、農林水産省としても適切に対応したいと考えております。
○日笠勝之君 じゃ、別途陳情に参りますので、よろしくお取り計らいをお願い申し上げたいと思います。 さて、もう一点だけで終わります。大臣発言に対する質疑ということで積み残した分でございます。 これも、先日広島県へ行きますと、大規模林道の戸河内―吉和間というところの大規模林道について、地元とすれば是非、町おこし、村おこしで観光客も見込めるということで是非欲しいという声もございます。反対に、西中国山地最大規模のブナ林があるんだと、そういう意味では希少な原生林もあるということで、そのまま守ってもらいたいと、こういうお話もございます。 ちょうど今回の諫早湾じゃございませんが、守る、守らないというような、神学論争みたいになってくるんでございますけれども、いろいろと林野庁の方もこれに対しては配慮していただいているようでございますが、現状の実施状況と今後の対応について、簡単で結構でございますから、お答えいただければと思います。
○政府参考人(加藤鐵夫君) 今お話がございました林道でございますけれども、中国山地の豊かな森林資源の適切な利用、管理を目的といたしまして、既設の林道の改良を中心として建設をするものでございまして、平成十三年度末現在で、計画延長二十六・五キロのうち十・七キロが完成をいたしておりまして、進捗率は四〇%ということになっております。 当該区間につきましては、お話がございましたとおり、吉和村内におきましてイヌブナ等が群生する渓畔林を通るために、広島県からも弾力的な林道の設計施工を求める意見や、あるいは自然保護団体から自然環境の保全に留意すべきという意見があったところでございまして、このことを踏まえまして、事業評価システムの一環として平成十二年度に実施した再評価におきましては、渓畔林部分の既設林道を活用して、原則として拡幅しないということで行うことにいたしたところでございます。 また、その再評価の段階におきまして、渓畔林部分については環境保全に十分配慮して事業を実施する必要があるという御意見をいただいたところでございまして、その保全に必要な調査を現在緑資源公団で実施をしているところでございまして、その結果を踏まえて実施をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○日笠勝之君 環境調査の結果、十五年秋ぐらいだそうでございますが、しっかりとした調査をして、自然との共生ということも非常に大切でございますから、前向きに御検討をお願い申し上げたいと思います。 じゃ、これから法案の法文についての何点かお伺いをしたいと思います。 まず初めに、大島大臣は環境庁長官もかつて経験をされましたですね。先日、水鳥の生息地として国際的に重要な湿地を保全しようというラムサール条約の第八回締約国会議がスペインのバレンシアで開催されました。ここでは、このたび愛知県の藤前干潟と北海道の宮島沼がリストに登載をされたわけでございます。 これは、そういう意味では、干潟が登載をされたということで、三つ目だそうでございます、干潟は三つ目だそうでございます。ちなみに、千葉県の谷津干潟と沖縄県の漫湖だそうですね、この二つ、それに今回の藤前干潟と。三つの干潟が、水質浄化能力が非常に高い干潟がこのたび一つ追加をされて、三か所となったわけでございます。 そこで、環境省の方は、これは今これで十三か所だそうでございます、ラムサール条約で登録湿地ということで登載されたのは十三か所だそうですが、これを倍増ぐらいしたい、こういうふうな、鈴木大臣もおっしゃっているようでございますが、今後、具体的な倍増計画を目指して御予定、また予定地があるのかどうかとか、併せてお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 環境省は昨年の十二月に、ラムサール条約の湿地選定基準に沿いまして日本の重要湿地を五百選定しております。これらの中から地域の理解を得、鳥獣保護区の特別保護地区や国立公園、国定公園などの特別地域に指定する等の保全措置を図った上で登録を進めていきたいというように考えております。
○日笠勝之君 もちろん、地元の情熱、意欲というものも非常に大切だと思いますね。それと、今おっしゃいましたようないわゆる鳥獣保護区の特別保護地域とか国立・国定公園の特別地域にするというような、こういう作業も非常に重要になってくるわけでございます。 そこで、このことについて、実はNGOがラムサール条約会議の決議で日本の非難勧告をしておるわけでございます。それは、日本の諫早湾と沖縄の泡瀬干潟、この二つを挙げまして、状況の改善を求める提案をし、自ら決められたことを、決議とか勧告を守っていないと、こういうふうなことを非難、また提案をしておるわけでございます。 これについて、午前中の参考人の意見陳述の中でも地元の森山町長さんが、昔は本当にすばらしい干潟だったと、こういうようなお話ございましたし、これも国内に残るまだ広大な干潟であるとも諫早湾は言われておるわけでございます。 そこで、地元を代表して江田提案者に、このNGOが言っているように諫早湾の干潟をラムサール条約に登録湿地として頑張れるのかどうか、御意見ございますればお聞きしたいと思うんですが。
○衆議院議員(江田康幸君) 公明党の江田康幸でございます。私も熊本県の選出でございまして、三浦委員長、それから本田先生と一緒の熊本県でございます。 私も、この有明海再生特別措置法案の成立に関しましてはもう熱い思いでここまで頑張ってきたわけでございます。やはり、今やれることから遅滞なくその対策を行っていくというのが政治家としての我々の務めであろうということで、この措置法案を提案しているわけでございます。 さて、今、同僚の日笠議員の方から御質問がありましたが、この我が国の湿地のラムサール条約の登録に関しましては、ラムサール条約の湿地選定基準に適合することなどの三つの要件を満たす場合に行うこととされていると私自身理解しております。 諫早湾に関しましては、環境省にあって平成十一年から十三年にかけて湿地選定基準に沿った重要湿地を選定する調査が行われまして、諫早湾を含む有明海を全国五百か所の重要な湿地の一つとして先ほども申されましたように抽出されたと聞いております。 今後、私も九州の国会議員としまして、この諫早湾が、そのように水鳥が多く飛来し、そして自然環境もすばらしい、そういうラムサール条約の対象に、登録になるように非常に多く期待するわけでございますが、やはりそういう先ほど言いました三つの要件が満たされた場合に、そういう条件が満たされた場合に諫早湾の登録もあり得るということであると思いますので、そのような方向に持っていけるように、是非、本法の成立を機にそういう自然配慮のそういう対策を取っていきたいと思っております。 以上でございます。
○日笠勝之君 じゃ、ちょっと担保していただこうかな。元環境庁長官でもあり、ラムサール条約に非常に造詣の深い大臣でございますから、今後、このいろいろな干潟ですね、今五百個ぐらい選定しておるようでございますが、農水省にも当然関係しておるわけでございますね。そういう意味では、日本も大いにこれから、倍増と言わず三倍ぐらい目指してこの登録湿地がリストされるように、また大臣は大臣の立場で御検討いただければと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(大島理森君) ラムサール条約に基づく干潟の登録、ラムサール条約に対する登録、この問題を私のちょっとした経験からしますと、我々の立場から見て非常にいいところだなと、こう思って運動してまいりますと、地元からすると様々な思いがそこにいざとなると出てくるのでございます。 しかし、当時からするとかなり環境という問題に対する国民の意識、また重要性というものが御理解いただいてきていると思いますので、環境省にも、また思いは同じではございますが、農水大臣としても、そういう環境と共生した施策というものはすべての政策において今求められているわけでありますから、今、日笠委員が御主張されたことを思いつつ、しかと踏まえつつ、微力ですが努力してまいりたいと、こう思っております。
○日笠勝之君 博多湾の和白干潟とか先ほど申し上げました沖縄の泡瀬干潟もあるようでございますので、ひとつよろしくその点お願いを申し上げたいと思います。 さて、次に御質問をしたいと思いますが、生活排水などの増大に対する下水道などの整備をこれからしていかなきゃなりません。今回の法文の第五条「県計画」の中にも、次に掲げる事業の実施に関する事項をまとめなさい、定めなさいと、こうあるわけですが、その中に、「下水道、浄化槽その他排水処理施設の整備に関する事業」と、こう明確にあるわけでございます。 そこで、先ほど同僚議員も御質問されたので重複を避けたいと思うんですが、これは関係しておる省庁といいますと、公共下水道などであれば国土交通省ですね。それから、農村集落とか漁村集落排水ですと農水省ですね。合併浄化槽は環境省ですね、元厚生省ですね。三省がそれぞれ排水処理をいろいろの立場立場でやっておられるということで、いわゆる縦割りになっておるわけですね。このたび、こういうふうな計画を県は立てろと、こういうことでございます。法律で明定しておるわけですが、この三省の連携は一体どうなるだろうかと。例えば、現地において有明排水処理プロジェクトといいましょうか、計画会議だとか、こういうふうなものを設けてそれぞれ出っ張っていかれて、それでいろいろ議論された上で計画を立ててそれに基づいてやるのか、それとも県が立てて、各市町村が、また、補助金ですから、それぞれのところへ要請、陳情に行ってもらってきてやるのか、この辺のところは非常に私関心があるのでございますが、この排水処理についてはどういうふうな構想をお考えなのか、これは提案者にお聞きしなきゃいけないんでしょうかね。
○国務大臣(大島理森君) 提案者というより、日笠委員の御指摘は非常に大事なことだと思うんです。というのは、先ほども私ちょっとお答えしましたが、海は一県や、もっと言えば一漁民だけが使うものじゃ、私、ないと思うんです。海は漁民だけのものだというふうに思い上がっちゃいけないと思うんです。国民のものなわけですね。 そういう観点からすると、そこに関係する県がやっぱり同じ基本的な認識を持っていただく、そしてあくまでもそこの地域がどういう下水処理というものを計画を作るか、そのことに、上がってきたら、正に先ほど来申し上げますように、私どもがある意味じゃ積極的にリーダーシップを持ってその実効あらしめるように関係省庁を本当にまとめていく、連携を取っていくという姿がないと、今、委員がお話しするように、何でも縦割りになっていっちゃう。だから、人間が最後に出すそういう排水に対して、同じ認識と同じレベルで、ここまで目標を立てよう、ここまできちっと基本計画をそれぞれの県が、むしろばらばらではなくて、そこもしっかり、ある意味じゃみんなで話合いをして、私、ある程度計画目標を同一ぐらいにして、そしてその中に国がどう様々な手段でやるかというその計画作りのところが非常に大事だと思って、そんな思いで立法者の意思を踏まえて努力していきたいと、このように思っております。
○日笠勝之君 これは新聞報道ですけれども、八代市は、合併浄化槽の市が設置者となってもう面的に進めていこうと、こういうふうにおっしゃっておられるわけです。これは、私はこれでいいと思うんです。 ところが、これ、環境省の予算は国土交通省の公共下水道に比べると圧倒的に母体が少ないわけですよね。ところが、じゃ、公共下水道の予算を合併浄化槽へ持っていくかといったって、それは流用できないですよね、これは省庁違うと。これは元から、予算編成とかそういうところでこれは考えなきゃいけない話なんですよね。 そういう意味では、この地域が、またその周辺がいろいろ考えて、結果的に、どこがどうとは言いませんが、例えばの話、一番予算の少ない環境省が一番多くの要望があったというような場合、これはもう計画は立てたけれども、縦割りですからね、これは。少々大臣申し訳ないけれども、例えば、そういう地域であれば農村集落排水予算を回してでも地域の御要望どおり早く進むようにやろうと、こういうふうないわゆる縦割りを排した横割りですね、この排水計画というのは。こう思いますが、それぐらいの御決意を持って提案者の方々は、正に構造改革だと思うんですね、中央省庁の、そういうふうなお考えを持ってやられたのかどうか。金田先生、いかがですか。
○衆議院議員(金田英行君) 貴重な御意見で、そのとおりやってまいりたいという決意でございます。
○衆議院議員(江田康幸君) 私から答えさせていただきます。 私も地元でございますので、今の日笠議員の御意見は非常に貴重な大切な視点だと思っております。 今、下水道、農業集落排水施設、それから合併浄化槽と、その三つあるわけですね。そういう各々がどれをやったら一番経済的な効率がいいのかと。そして、この地域には、密度の高い地域には下水道、そしてそれ以外の地域にはやはり合併浄化槽だと。八代が言われているのも、面的整備でそういう合併浄化槽を進ませていった方が、排水処理、総合的な整備としてはより進むというような現実があると思います。 ですから、特に有明沿岸の市町村では、この合併処理浄化槽を進めます特定地域生活排水処理事業というのが環境省がやられているのがございますが、これに参加しているのが八市町村、わずか八市町村でございまして、百五十四市町村ある中で八市町村と。多少、数字はちょっと間違っているかもしれませんが、そのくらい極端に少ない。それを効率よく進めていく上で、やはり三省連携の下で予算も、また政策を効率よく進めていくというのを期待して本法案を作ったわけでございますので、これを機に三省連携をしっかり取っていただきたいと、そのように思っております。
○日笠勝之君 是非選挙のときもそういう公約をして頑張っていただければ認知を得られると、こう思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。 何点か用意しましたけれども、先ほどの同僚議員の質問でほとんど項目がなくなったんですが、あと二つほど残っておりますので、それについて御質問したいと思います。 環境省にお伺いしたいと思うんですが、諫早湾の干拓事業で、今年六月、干拓農地も半減すると、こういう事業計画の変更があったわけでございます。十月三十一日、事務連絡ということで、農水省に対して、農業用水に使われる調整池の水質保全のため、泥の巻き上げ防止などを早期実施するよう求める要望書を県と農水省に出したと、こういうことでございますが、県は今日いらっしゃいませんが、農水省はこれをどういうふうに受け止めて、どういうふうに今後対応しようとされているか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(太田信介君) 諫早湾干拓事業の計画変更に関しまして、環境省の方から長崎県知事に対しまして、諫早湾干拓調整池の水質保全に万全を期する観点から、水質保全対策の着実な実施、環境監視体制の見直し等の検討すべき事項につきまして見解として要請されましたことは承知しております。 農林水産省といたしましても、調整池の水質を向上させることは重要な課題であるというふうに考えておりまして、今回の環境省の意見も踏まえながら、長崎県や地元市町等とも協力いたしまして、調整池の水質保全に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
○日笠勝之君 四月から短期の開門調査を今継続してやっておるわけでございますが、一部新聞報道によりますと、近々に終了を判断するんじゃないか、調査終了を判断するんじゃないかと、こういう報道がありますが、これについていかように現在お考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
○政府参考人(太田信介君) 短期の開門調査でございますが、先ほども述べましたとおり、短期の開門をいたしまして塩水を導入することの後、淡水化の過程を現在実施しております。 短期の開門調査につきましては、調整池の塩分の濃度が海水を入れる前と同じ程度になるまで調査を継続することといたしております。十一月十一日時点での調整池の塩分濃度でございますが、一リットル当たり九百ミリグラム前後という状況になっておりまして、海水導入前の値に戻りつつあります。 塩分濃度の上昇傾向がないかどうかを見極めて、短期開門調査の終了について近々に判断してまいりたいというふうに考えております。
○日笠勝之君 それじゃ、この近々にも終了、九州農政局がやるんではないかという報道は、これはこのとおりじゃないということですか、もう一回。
○政府参考人(太田信介君) その時期を申し上げる状況にはございませんけれども、先ほど申しましたように、短期開門調査はいつ終わるかということについては、近々判断したいというふうに考えております。
○日笠勝之君 それから、午前中の参考人質疑で地元の森山、田中町長が、有明海の汚濁といいましょうか、これについては、ノリの養殖などのいわゆる酸の処理剤の拡散だとか、こういうふうな問題も大きな要因になっているんではないかと。もっと言えば、漁網、網ですね、それから薬品、先ほどの酸の処理剤でしょう、捨てたり、そういうようなことも大きな原因になっているんじゃないかと、こういうふうなこともおっしゃいました。 そこで、このノリ養殖における酸の処理剤の適正な使用といいましょうか処理といいましょうか、これが大きな問題にもなっておるわけでございますが、どのようにこれについて対応を今しておりますか。渡辺さん、お願いします。
○大臣政務官(渡辺孝男君) 酸処理剤の適正な使用に関しましては、有明ノリ不作等対策関係調査検討委員会において、酸処理剤は、海水自体が高い緩衝能力を持つことから適正に使用すれば環境に特段の影響を及ぼさないと考えられる、また他方、海にやさしい漁業・養殖業を進める観点からはその使い方について再点検する必要があると、そのような提言を受けたところであります。さらに、同委員会におきまして、酸処理剤が植物プランクトンの増殖の促進物質として働くのかどうか検討が必要である、そのような言及もいただいております。 このため、水産庁内に化学、環境生態学等の有識者から成るノリ養殖技術評価検討委員会を設置しまして、酸処理剤が海洋環境、生態系に影響を与えているかいないかについて再検討を行いまして、本年度末までに結果を取りまとめると、そのようなことになっております。 農林水産省としましては、こうした点を踏まえまして、環境、海洋への負荷を極力少なくするという観点から、本年度より従来の酸処理剤を使わない技術でありますノリ養殖における電解水を用いた活性処理装置の開発に着手をしたところであります。 また、酸処理剤の使用について都道府県を通じて実態調査を行うこととしております。その結果に基づきまして必要な措置を取るということにしております。 以上です。
○日笠勝之君 最後の質問になりますが、この法案の第五条、先ほどもちょっと言いました県の計画というところに、県は次に掲げる事項を定めなきゃならないという中に、一つは「水質等の保全に関する事項」、それからずっと飛ばしますと、その次は「水産動植物の増殖及び養殖の推進に関する事項」というのがございます。 これについて、熊本県の環境審議会の水保全部会長の弘田・熊本大学名誉教授は、法案は矛盾する二つの目的を掲げていると。ノリ養殖は栄養塩、水素とか燐、これが必要ですと、水質保全とか水質改善には逆に窒素と燐を抑制しなきゃならないと、こういうふうにあるわけですね、おっしゃっているわけです。この県の計画には、その水質の保全に関する事項をまとめなさいよと。片一方では、水産動植物の増殖及び養殖の推進をしなさいと。これは相矛盾することがあるというふうに弘田名誉教授はおっしゃっておるわけでございます。 この辺はどういうことを想定してこういう第五条に書かれたのか、提案者にお聞きしたいと思います。
○衆議院議員(金田英行君) 豊かな海の再生ということでございます。豊かな海であるためには、ノリの養殖の色落ちというのがなくなる状態も必要でございます。また、タイラギ等あるいは魚あるいはと出ておりますので、そういったことも、養殖事業等々をやりながら両方とも満足させなきゃならない。相矛盾するというんじゃなくて、豊かな海であったわけでありますし、そういったこともまた再生のためにやらなきゃならないことで、矛盾していようが矛盾していまいが、両方の目的を達成することがこの法律の目的でございます。あと、「水産資源の回復」ということも目的の条項にも書いておりますとおり、両方がうまくいくような道を探っていくのが我々の務めだろうと思っております。
○日笠勝之君 金田先生の名言をお聞きいたしまして納得いたしました。 要は、この矛盾を乗り越えて、各県がそれぞれきちっとした計画を立てて、地元の発展のため、また有明、八代の海がよみがえるようにしっかりとした対応を期待をして、質問を終わりたいと思います。
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。 まず、大臣にお聞きいたします。 一昨年の有明海のノリ凶作を期に、一気に干拓事業、とりわけ排水門の開閉問題が大きな社会問題になりました。ノリ不作等対策調査検討委員会という第三者委員会ができて、それこそ熱心に調査、討議が行われました。その結果、同委員会は、この干拓事業が有明海全体の環境に影響を与えていると想定し、また開門調査はその影響の検証に役立つということで開門調査に関する提言を出しました。 〔委員長退席、理事田中直紀君着席〕 これに対して、当時の大臣だった谷津大臣、それから前の武部農水大臣ですね、前の大臣も、最大限このことについて尊重するというふうに答弁をされました。 そこで、大島大臣は当然その考えを継承されるというふうに思いますが、まず確認をしたいと思います。いかがですか。
○国務大臣(大島理森君) 尊重いたします。
○紙智子君 それで、まず短期の開門調査が行われました。中間のまとめ、これが出されて、説明を先日受けました。その中で、調整池の塩分濃度が少し増えたとか、あるいは閉めたら減りつつあるとか、それから潮流は排水門近くで変化が認められるとか、聞いていて、そうだろうなと、当然だと言われる程度のことでしかないという印象を率直に受けました。わずか二十センチしか海水を入れていないと、しかも一か月間しか海水を入れていないという程度では、十分な知見を得ることは困難だと思います。 第三者委員会の提言では、短期調査でも、もっと水位を大きく変動する下での、しかも二か月間の開門を提案していたわけです。それでも得られる知見というのは極めて限られたものだろうというふうに述べて、中長期調査を提言をしたわけです。 農水省はこの開門調査はこれで十分だというふうには到底思っていないと思いますけれども、どうでしょうか。そこのところをお願いします。
○国務大臣(大島理森君) 我が省としては、ノリ不作等第三者委員会の見解の趣旨等を踏まえて、有明海全体としての環境改善の方策を講ずるための総合的な調査の一環として、調整池及び海域の水質等の変化を現場で観測する短期開門調査に加え、類似干潟での実証調査やコンピューターによる水質、流動等の解析調査の三つの手法を総合的に組み合わせた開門総合調査を実施しているところでございます。 開門総合調査においては、三つの調査手法のそれぞれの特性を活用することにより、ノリ不作等第三者委員会の見解の中で有明海の環境変化と指摘されている水質浄化機能の喪失と負荷の増大、流動の変化、貧酸素水塊の発生、諫早湾の底質の変化の四つの事象について、諫早湾干拓事業による有明海の環境への影響をできるだけ量的に把握してまいりたいと、こう思っております。
○紙智子君 そういう調査も大事だと思います。しかし、提言では、現存の干潟の調査、そしてシミュレーションを組み合わせてもやはり開門調査は必要で、その場合、一遍にじゃなくて、段階を経て、その条件を整えて、中長期調査を提案しているわけです。これを尊重しないということになれば、一体この間、何のためにこの委員会を作って努力してきたのかということになると思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(大島理森君) 委員からの御質問は、第三者委員会の見解を尊重して中長期の開門調査を実施する考えはないかと、こういうことではないかと思うんですね。 ノリ不作等の第三者委員会の見解の趣旨等を尊重して、有明海の再生に向けた総合的な調査の一環として短期の開門調査を含む総合調査を行っていることは先ほども申し上げました。それによって、諫早湾干拓事業による有明海の環境への影響をできる限り量的に把握してまいりたいと思っております。 中長期の開門調査につきましては、この新法制定の状況、短期の開門調査で得られた成果及びその影響、その他の各種調査の動向、ノリ作期との関係等の観点を踏まえ、総合的な検討を行った上で、新たに平成十四年度中に設ける有明海の再生方策を総合的に検討する場での議論を経て我が省において判断してまいりたいと、このように思っております。
○紙智子君 今、平成十四年度中にその検討の場を設けるということなんですけれども、十四年度中に検討の場、その結論を待たずに、今、前面堤防の工事を強行しているわけですよ。しかし、堤防工事をやってしまったら、仮に中長期調査をやっても調査自体が十分な意味がなくなってしまう。つまり、今までの干潟にまで海水が入らなくなってしまうと。 幾ら調整池に海水を入れても、結局この第三者委員会が提言したように、水位を大きくして海水を入れなければ干潟喪失の影響がどうなるのかということが検証できないということは明らかじゃありませんか。 そしてまた、有明海の環境の変化で干拓事業が大きな原因だという検証を踏まえた調査結果がもし出たときに、その時点で前面堤防ができていたら干潟としての再生は不可能になってしまうんじゃないでしょうか。 大臣、最低でもこの中長期の調査を決断をして、その間は工事を差し止めるべきだと。それが私は第三者委員会の提言にこたえることだと思いますけれども、そうは思われませんか。
○国務大臣(大島理森君) 工事を差し止めろ、差し止めて調査をしろ、こういう一方の御主張、委員の御主張であると思うのでございます。一方、この事業の必要性、また早期の完成というものも強く求めている多くの方々もいるわけでございます。 私どもは、そういうふうな観点の中で、四月十五日の会談において一つの決断あるいは方向性を出させていただきました。したがって、そういうふうなことを進めながらも、この諫早湾、この干拓、失礼、有明、この再生に向けてこの新法を与党の皆様方が提案された、そういうふうな提案の法律が成立をさせていただくならば、そこにおいては様々な知恵を出してその再生に向けて努力する、これが私どもの方針でございます。
○紙智子君 関係者からの要望もあるというお話があるわけですけれども、しかし、このせっかく出されている提言ですね、第三者委員会の提言、この提言の中身を尊重せずに中長期調査を引き延ばし、一方では工事だけはどんどん進めていく、そして中長期調査自体も意味のないものにしていく、有明海再生の干潟の復元もできなくしていくと、それが農水省の姿勢なんでしょうか。私は到底これは納得することはできません。厳しく批判をせざるを得ません。 それで、今度、提案者の方にもお聞きしますが、この法案には、諫早干拓事業について影響調査の実施とか、その間の工事の停止とか、何ら触れていません。しかし、第三者委員会も、「諫早湾干拓事業は重要な環境要因である流動および負荷を変化させ、諫早湾のみならず有明海全体の環境に影響を与えていることが想定される。」と指摘をしています。そのような重大な影響を与えている諫早干拓事業をどうするかというのは、やはりこの豊かな海を再生するかどうかということと密接にかかわっていると思うんです。 〔理事田中直紀君退席、委員長着席〕 それで、午前中の参考人質疑もありましたけれども、そういう根本のところに手が掛からないで、もちろん再生しようというのはだれも反対しないと思いますよ、賛成すると思います。しかし、その重要なポイントのところにきちっと目を当てずにやったとして、果たしてそれでいいのかということが問われていると思いますし、提案者はそういう認識をお持ちなのでしょうか。もし、そうなのであれば、せめて干拓事業のこの調査の徹底と、そしてこの間の工事停止というのが保障されるような法案にするべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○衆議院議員(宮腰光寛君) 有明海の海域の環境の悪化の原因というのは、第三者委員会の御指摘の中でも諫早湾干拓事業のほかに幾つもの事業が挙げられております。 また、今日の御質問の中でも、生活排水の問題もきちっと処理をすべきではないかという御指摘もいただいているところでありまして、そのような幾つもの原因の中で、有明海や諫早湾の干拓事業が有明海の海域の環境の悪化に及ぼしているとされるその影響の度合いを今、短期の開門調査を含む開門総合調査で検証をしているというふうに認識をいたしております。 有明海の現状ということにつきましては、このような開門総合調査を始めといたしまして、この法律に基づいて今後、国、県等が行っていきます総合的な調査研究の中で明らかになるのではないかというふうに認識をいたしております。 本法案につきましては、このような認識の下に、有明海及び八代海を豊かな海として再生するための特別な措置をできるところから速やかに講じるということが趣旨でございまして、それとともに、有明海及び八代海の環境悪化の原因について総合的な調査研究を推進するという趣旨で御提案を申し上げているということでございます。
○紙智子君 やはり、幾ら再生する再生するというふうに言っても、やっぱりその最大の大事なところに的が当たっていなければ、これはやっぱり再生につながらないというふうに思うんですよ。その意味では、やはり再生の眼目という大事なところを欠いた法案ではないかということを指摘して、次の質問に移りたいと思います。 次に、干拓地を造っても農地としての利用ができるのかどうかということです。十アールで七十万円ということで言われていますけれども、だれが一体入植するのだろうか、そして買って農業をやるんだろうかということが議論になっているわけです。 私は北海道ですけれども、今、農地がどんどん価格が下がっていって、高いときは七十万とかそれ以上ということでしたけれども、今はもう三十万とか、水田でも三十万、それ以下というふうになっています。そういう本当にこの価格が下がった状況でさえも土地を買う人がいるのかということになると、これがやっぱり買われないで、動かない状態になっていると、実態は。 それで、そのために今、長崎県などでは農業特区構想が浮上しているというふうに聞いています。長崎県の九月の二十四日の農水委員会で、この特区構想も地域活性化の一つの手法として念頭に置きながら進めていきたいというふうに当局が答えています。ところが、特区というのは、御存じのように、遊休農地や耕作放棄地の解消のために導入されようとしていると。 私、十一月の七日の日に農業特区の問題質問いたしましたね。それで、そのときに、農水省の回答は、特区法案の第十六条においてその対象地域が決められています、その対象地域におきましては耕作放棄地あるいは低利用農地が地区の相当程度存在すると認められている地域というふうに答弁されました。 ですから、長崎県が検討しているということは、まだできていない段階から、今から、このままでは農地が売れ残る、十分に活用されない、耕作放棄地が出ると、そういうことを見越した検討をしているんじゃないかというように思うんですよ。 農水省はこういうことを承知しているんでしょうか。
○国務大臣(大島理森君) 先般、長崎県の知事とも、御陳情に来た際、ここの地区の土地利用をどう考えておられますかと、こう言いましたら、知事のところに、法人の形でやってみたいという人もおったり、あるいは個人でもやってみたいという人もおったり、様々ありますと。今、委員がお話しされた特区という、そういうふうなアイデアで考えることも一つの手だてとしてあるのかもしれないなということをお話しされておりました。 そこで、特区、今の提案されている特区法案からすると、この地域はその該当に当たらないのではないかという御指摘だと思いますが、今出されている特区構想は一時の、言わば各市町村のアイデアを集大成したものでございます。そして、その中には、確かに放棄地、農地の、放棄農地がその地区の中にある一定の部分あることが一つの要件というふうに書いておりますが、地域全体としてその地区の中にという表現の中で、必ずしもその放棄地だけを対象にした内容とは私は思っておりません。 そういうふうな意味で、これからもし、長崎県で特区構想の一つとしてこういう姿でやっていきたいという構想があれば、それらを具体的に聞き及んで、そういう実現方に努力していくということも私どもの一つのこれからの方針であろうとも思っております。 いずれにしても、まだ具体的にどういう形にしたいという具体案を私どもいただいておりませんので、いただいた暁には十分に検討させていただこうと、このように考えております。
○紙智子君 やっぱりちょっと矛盾があると思うんですよね。ですから、実際に十六条の中では対象地域ということで、そこで決められているわけで、その中で、確かに必ずしもすべてが放棄地とは限らないという話されたんですけれども、しかし、大部分がそういうところであるということも事実なわけですから、そうしますと、そのことを分かった上で言っているんだとすれば、初めからこれは売れ残りを懸念して、農地が必要だ必要だということでやりながら、実際に始まったときに懸念をして株式会社を今から導入するとか、農業以外の利用を考えて干拓事業を進めるというのは、これは許されるんでしょうか。
○国務大臣(大島理森君) これからの農業は、多様な主体性を持った、生産者が多様な主体性を持つ農業の構造を作っていかなきゃならぬと思うんです。必ずしも土地を持った農業者だけが農業をやるという世界から、既に農地の拡大においては、賃貸の契約ということの中で拡大をしていったり、法人化がどんどん進んでいったり、そういう多様なその農業主体の時代に、主体が多様な時代になってくるとすれば、法人が持ったり、あるいはまた組合としてまとまってやったりということを考えますと、必ずしも特区、売れ残っているから特区なんだということではなくて、そういう知事のお話を伺ったり、私も感じているのは、そういう様々な多様な主体の人にもこの農地を使ってもらおうと、そういうふうな観点から特区ということを考えておられるのであって、決して消極的な意味でお話しされているとは私は解しておりません。
○紙智子君 だれが農地を管理するのかといいますか、取得するのかという、そこの議論になると、またいろいろとこの話が分かれていってしまうのでそれはやりませんけれども、私は、営農計画実現が困難であるということで、今から、できる前からそういうことでやるということについては認められないと思うんですよ。きちんとやはり営農意向調査をやるべきだと。その上、その結果を踏まえて、国民に対してもその実現性を明白に根拠を持って示すべきだと。それをやれますか。
○政府参考人(太田信介君) 営農意向の調査という御指摘でございますけれども、この確認といいますか調査につきましては幾つかの段階があろうかというふうに考えております。 まず、干拓地への入植者等の見込みという意味で申し上げますと、平成九年及び平成十年の二回にわたりまして、干拓地周辺の二市二十町の農業者を対象にいたしまして、長崎県及び関係市町の協力を得まして九州農政局が直接聞き取り調査を実施しております。さらに、平成十一年には、九州各県の生産法人に対しましても意向調査を実施しております。 これらの調査結果では、干拓地の農地面積を上回る農地利用の要望があるほか、大臣から話がありましたとおり、関係行政機関へも直接干拓地利用の問い合わせが寄せられていることなどから、造成農地の入植の見込みは十分あるというふうに考えております。 実は、去年、一月、二月ぐらいの段階で、去年から見た年明け、いわゆる十三年四月ぐらいの段階から具体の希望をお持ちの方々にも説明会を開く等の準備を進めておった状況の中で、皆さん御承知のとおりの現地の状況になりましたので、それが実施できないでまいっておりますけれども、中央干拓地を含む農地の造成の状況も進んでまいりましたので、長崎県、関係市町村とも調整の上で、そういう具体的ないわゆる配分に向けてのといいましょうか、そういう調査あるいは説明会を進めてまいりたいというふうに考えております。
○紙智子君 次に、費用対効果の問題、そしてこの投資効率の上からも問題があるというふうに思うんですね。計画変更で費用対効果は〇・八三になったと、先ほどもお話がありました。総費用が言わば効能を上回る状態です。このまま事業が続きますと四百三十億円の赤字になるということですね。この点でも一層無駄遣いがはっきりしてきたと思うんですよ。 土地改良法及び施行令では、土地改良事業で費用対効果が一・〇以上ということで要求をしています。しかし、それも、設計段階ではそうだけれども、計画変更時ではそういう規定がないということで、低くなってもいいのだということが説明されているようですけれども、しかし、公共事業なわけですから、国民の税金を、やはり多額の税金を投入していくと。公共事業としてはやっぱり一・〇を上回るのが筋ではないかと思うんです。 また、こういう例はほとんどないと思いますけれども、国営土地改良事業で、現在進行中のものが全体では幾つあって、そして一・〇未満というのは幾つありますか。
○国務大臣(大島理森君) 先ほど和田委員が、くしくも、自分の気持ちの中には費用対効果だけで地域の公共事業を論じてはいけないのではないかという思いをちょっと持っていますということを言われました。農業のかかわる事業、あるいは農林水産業の事業で、すべて共産党の政策で費用対効果でお量りになっているかどうか私は分かりませんが、正に農業は多面的、そして機能を持っている、そういうふうなことも考えますと、余り一次産業にかかわる事業を費用対効果論だけですぱっといくことが本当にいいのかどうかという疑問を持っていることも大臣としてちょっと申し上げておきたいと思います。具体的には局長からお答えをさせていただきます。
○政府参考人(太田信介君) 現在、国営土地改良事業は何地区実施されており、そのうち費用対効果が一・〇未満の地区は何地区あるかという御質問でございます。 実施中の国営土地改良事業、全国で百八十一地区ございます。そのうち費用対効果が一・〇を下回っている、現在走っておる地区では諫早湾干拓事業の一地区でございます。
○紙智子君 今お話しいただきましたけれども、全部で百八十一地区あるわけですね、今。その中で、この一・〇未満というのはたった、諫早湾の干拓だけだ、たった一つだということですね。過去にもやられているものはあると思いますけれども、見てみました、私も。そのやられている規模を見ますと、すべてせいぜい三百億円以内の、そういう小さな規模のものです。ですから、諫早湾干拓に比べてもごくごく小さいものが行われていると。大規模事業で一を切るというのはほかにはないわけです。 もし、この事業をこのまま許してしまうということになりますと、ほかの無駄遣いにも広がっていくんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがですか。
○政府参考人(太田信介君) 今回の計画変更は、再評価第三者委員会の意見を踏まえて、本事業防災機能の十全な発揮、概成しつつある土地の早期の利用、環境への一層の配慮、そして予定された事業期間の厳守の四つの視点に立って総合的な検討を行ったわけでありまして、概成しつつある土地の早期の利用の点で申し上げますと、既にそこに干陸された土地が存在するわけでありまして、これをそのまま放置すること自体は、費用対効果で申し上げますと、今計算いたしまして〇・八三より更に低くなるという意味で、これまで投資したものの必要最小限の事業内容として取りまとめることによって一定の効果を発揮することができるという観点から、総合的な検討を行った上で決定し、変更計画に沿って着実に事業を実施してまいっておる状況にございます。
○紙智子君 数字の問題も的確かどうかということがあると思うんですね。費用対効果を計算するに当たって、失った効果、今度の場合で言いますと、干潟の浄化機能など、依然として費用対効果の計算項目には入っていません。これを入れればもっと低くなると。 農水省にお聞きしますけれども、五年も前に当時の総務庁が大規模な農業基盤整備事業に関する行政監察結果報告書というのを出しています。その中で、計算する場合に、「その減少面についても検討するとともに、対象範囲、算定方法等を明確にすること。」ということを勧告しています。五年たって、そしてこの干潟の喪失が何十万人分の浄化施設を失ったに等しいと最近の研究でも発表されていますけれども、それによれば、干潟を失う経済的損失額というのが計算できると思うんですよ。それなのに、どうしてこれを計算に入れて算出しないのかと。いかがですか。
○政府参考人(太田信介君) 諫早湾干拓事業の環境への影響、このうち干潟の水質浄化機能につきましては、それにかかわる複雑な要因が総合的にかつ周年的に把握されておりませんことなどから、干潟の浄化機能を定量的に把握することは困難というふうに考えております。また、現時点では貨幣評価をする手法が確立されていないことなどから、費用対効果に反映させることは適当でないというふうに考えております。 なお、事業計画には、御指摘のように、失われた効果としての干潟の水質浄化機能だけを計上していないのではなく、新たな農地造成によります食料の安定供給、調整池の淡水化によります淡水系生物の生息などのプラス効果についても、貨幣評価の手法が確立されていないという理由から同様に効果に計上していないところでございます。
○紙智子君 いずれにしましても、総務庁が指摘し勧告をしているわけですよ。それを受けて、やっていないと。農水省自身では、じゃ、それ正しく出していくためにどれだけの算法、計算方法に確立に努力をしたのかということでもあると思うんです。 このように、農地利用の不確実性、それから費用対効果の無駄、計算方法の問題、こういう問題があっても強行するというのは私は許されないと思います。さっきの中長期の調査もしないで強行するというのも、これも許されないと。 二〇〇六年度の完成を前提に進めているわけですけれども、なぜ二〇〇六年度に固執するんでしょうか。その根拠は何でしょうか。
○国務大臣(大島理森君) 先ほど来、先生の御指摘を伺って、この議論を聞いている多くの方が誤解をしてはいけないものですから。 今もう土地を開放して、さあと言って売り出す、売り出して一生懸命努力したけれども売れなかったという、そういうときにおいての御指摘、御批判、御意見であればなるほどなという、そういうこともしなきゃなりません。これから本当に様々な計画を作り、アイデアを出し、こうやろうとすることでございますから、そういうふうなこともひとつお考えいただきたいのと、それから費用対効果の中で様々なマイナス点を言われました。しかし一方、プラスの分、私は申し上げましたが、農業が持つ多面的機能ということを、共産党さんも私どもも同じこれは認識だと思うんです。それじゃ、多面的機能に対する評価、その貨幣評価というその手法はまだできておりません。いろいろな学者がいます。だけれども、そこはあるという認識は同じであります。 ですから、一概に総務省がそう言ったから、それを私どもは、はい、そうですという、そういうふうなことだけで農林水産政策を考えるというわけには私はいかぬと思うんです。やはり私どもは私どもの主張の中で、公共事業も様々な事業もそういう多面的機能とかそういう面において評価をしながら判断していかなきゃならぬと思います。 さて、そういう中で、なぜその時期までに造らなきゃいかぬのかということでございますが、それは様々な今までの、前大臣そして各県の知事、漁連会長さん等が集まって、そういう中でできるだけ早くこの事業を完成させ、有明の再生のためにもそうしてくれという判断をしたから、そこを目指して我々は努力するわけでございます。
○紙智子君 時間が迫ってまいりましたので、いずれにしてもこの干拓先にありきという状況が本当にあるというふうに言わざるを得ないと思うんです。 次の質問に移らせていただきます。 法案では各種の公共事業の実施を挙げています。その中で、法律で補助率を引き上げて重点になっているのが漁場整備事業ですね。このうち、砂を取って海底に盛り砂をする覆砂についてお聞きします。 その効果についてですけれども、水産庁は効果的な事業というふうにおっしゃいますけれども、衆議院、そして今日の午前中に行われた参議院の質疑でも、参考人質疑でもいろんな見解が出されました。ノリ不作等調査検討委員会の報告でもこの「覆砂の効果が長続きしない」、この資料で言うと九十二ページに書いてありますけれども、というふうに言っています。 水産庁は熊本県の試験成績を衆議院で紹介したけれども、私も、直接、熊本県の水産研究センターのアサリ総合対策試験という報告書を取り寄せました。それで、それによりますと、確かにアサリ稚貝の発生は増えていると、入れたときには。しかし、何年かたつと稚貝の分布はゼロになると。そもそものこの貝の卵、浮遊幼生の発生が減少したことも理由にあると思います。また、研究論文の中では、日本ベントス学会誌に、同じ熊本県の緑川河口干潟で、盛り砂した後アサリが急激に増加するけれども、三年後にはまた減少すると、こういう結果を報告しているんですね。 これらの点を総合しますと、覆砂事業というのは今はまだ試験研究の段階で、確固たる効果的な重要な事業というふうに言えないんじゃないかというふうに思うんですけれども、御認識はいかがでしょうか。
○政府参考人(木下寛之君) 覆砂事業でございますけれども、私ども、海底に堆積いたしました有機汚泥を良質な砂で覆うということでございまして、底質なり水質の改善を図り、底生生物等を中心とした生物相の回復を図る効果を有するというふうに思っております。委員御指摘のとおり、現在幾つかの具体的な効果も確認されております。私どもも、海域環境の保全、改善、あるいは漁業の振興を図る上で覆砂事業は効果的で重要な事業であるというふうに考えている次第でございます。 いずれにいたしましても、今後、有明海等におきましては、地域の実態に即しまして、覆砂、しゅんせつ、耕うん等の適切な工法を組み合わせる中で、漁場環境の保全、あるいはまた水産動植物を増やすという意味での種苗放流等を併せまして推進してまいりたいというふうに考えております。
○紙智子君 この事業には十億円、そして昨年度は四十億円使っているわけです。しかし、この生産高がどう増えたかということのデータはないわけですよね、生産高がどう増えたかというのはないわけですね。 同時に、砂を盛られるところの環境への影響、取られるところですね、砂を取られるところの環境がどうなるかと。採取地は当然貧酸素水の大きな穴ぼこができます。産卵場の喪失にもなると。諫早湾で潮受け堤防の工事に使った土砂の採取地がありますけれども、ここが貧酸素の発生を助長している可能性をこの検討委員会も報告の中で指摘をしています。小長井元漁協組合長さんも衆議院で、これが今、湾全体に影響を与えているんだということを述べています。 このような、海の再生どころかマイナスもあるんじゃないか、効果も余り、あるのかどうかということでは、よく分からないと。国としてきちんと効果やそして環境への問題点を研究して、明らかにした上で進めるべきではないでしょうか。
○政府参考人(木下寛之君) 先ほど御答弁申し上げましたように、私ども、覆砂事業につきましては一定の効果があるというふうに考えているわけでございますけれども、さらに、底生生物の増大、底質、水質の改善など多岐にわたります効果につきまして、より正確な把握なり評価をしていきたいというふうに思っておりますし、そのような、また一方で効果の持続性を高める手法の検討につきましても検討を進めていきたいというふうに考えている次第でございます。 いずれにいたしましても、私ども、このような事業を実施するに際しましては、現場でのいろいろの検討を踏まえまして、現場の実情に合わせた事業を実施してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○紙智子君 熊本県では有明海・八代海の再生に向けた総合計画というのを立てています。そこでは、沿岸底質の改善として海域の汚濁防止、それから環境への配慮ということで海砂利の適正管理という問題を挙げています。そして、将来的には採取量の縮小や廃止をうたっていると。県でも一応こういうふうに挙げています。国も、ただ補助率を引き上げて推進するということではなくて、やっぱり責任を持った調査や研究や指導ということが必要ではないかと。そして、やっぱり適正な規制も必要だというふうに思うんです。 県の事業とはいえ、環境に悪影響を与えない適正な執行になるように国がどう対処するのかということについても一言お願いいたします。
○政府参考人(木下寛之君) 私ども、海砂の採取に当たりましては、海域の濁りを防止する、あるいは海底地形の変化がなだらかになるような工法の採用など、環境への配慮を十分するようにというふうにしていきたいというふうに思いますし、必要に応じましてこのような方向で指導していきたいというふうに考えております。
○紙智子君 もう一つ、砂と覆砂の上にまく種苗についてなんですけれども、第三者委員会でアサリの放流は有害プランクトンの移入の原因になりやすいという意見が出されています。それから、外国の方から砂を入れるという事態もあるのではという、心配するそういう発言もあります。それについて委員長から、入れるものについては記録と十分な調査をお願いしますと、これは八月六日の委員会での発言ですけれども、こういうふうにありました。これについてはどのように対策を強化するつもりでしょうか。
○政府参考人(木下寛之君) ノリ第三者委員会でそのようなやり取りがあったということは私どもも承知をいたしております。 したがいまして、調べましたけれども、まず砂でございますけれども、外国の砂を使用している、補助事業に使っているという例はこれらの海域ではないというように報告を受けておるところでございます。また一方で、赤潮発生地域に生息しているアサリを移殖いたしますと注意が必要というふうな指摘を受けてございます。 このような指摘を受けまして、まず第一点といたしましては、アサリに有害な赤潮プランクトンが発生していない海域から移殖すること、これが第一義的に重要だというふうに思っておりますし、また第二点といたしましては、やむを得ずアサリに有害な赤潮の発生海域から移殖を行う場合には、有害な赤潮プランクトンの除去処理を行った上で慎重に処理するということで、いずれにいたしましても、委員長御指摘のとおり、水産動植物の正に増殖の観点からこれらの事業を行うわけでございますから、事業を行った結果、逆の効果にならないように十分心掛けていきたいというふうに考えております。
○紙智子君 私は、委員会でこのように心配して議論されるというのは当然だと思うんです。 やっぱりBSEの問題も、陸の問題ですけれども、最初は、要するに貿易のあれを、関税でなくて、資料にはないから日本は入っていないということを言っていたわけですよ。ところが実際には、第三国とかいろんなルートでそういう事態にも遭ったわけで、砂をあちこちに移すということでもって病原体が広がっていくということもあるわけですから、こういう心配をされるというのは当然ですし、そのための具体的な対策というのは当然やっぱりやっていただきたいと思います。 それで、もうちょっと時間になってしまいましたけれども、私は、やはり今のこの議論というか、やり取りを含めて、諫早の干拓の見直し、そして干潟の再生を強く求めて質問を終わりたいと思います。
○岩本荘太君 国会改革連絡会の岩本荘太でございます。 朝九時から始まりまして、参考人質疑、二時間ほど休憩ございましたけれども、もうそろそろ九時間になるわけでございまして、私の順番になりますと、いろいろと質疑が出ておりまして、通告どおりの質問がなかなか、質問をいたしますと重複しているというようなこともございます。また、午前中の参考人質疑の直後でございますので、通告いたしました質問が多少イレギュラーになるかもしれませんが、その辺はお許しを願いまして質問に入りたいと思います。 今回のこの特措法ですか、これは、僕はこの法律が有明海の再生に向かう第一歩になってもらいたいという願いが非常に強いものでありまして、その点をよろしく御理解をいただきたいと思います。 それで、特措法について審議されているわけでございますが、どなたか御指摘ございましたけれども、諫早という字が入っていないと。ただ、参考人質疑のときから諫早問題が盛んに取り上げられておりますので、その点につきましてちょっと一言感想といいますか、申し上げたいと思うんですが、私は、やはりあそこの事業によってどういう自然界への影響があるか、これはやっぱり最終的には科学的な解明によって予断のない解明を受けて、科学的な解明を受けて、それによって判断すべきであって、それは、もしやめろというのであれば、そういう結論に達したとすれば、それは思い切って事業者側もそういう決断をすべきもので、それは決して事業者が撤退したということではないという、こういう気持ちでおりまして、実はその科学的解明ということに随分期待をいたしまして、事業実施関係者についてもそういうお話をしたことがあるんですけれども。 今日の参考人質疑で、実は研究部門の方おられましたので、そういう科学的な因果関係というのは解明できるものでしょうかと、最終的に。こういう質問をさせてもらいましたら、どうも私の聞いている限りではなかなかできないんじゃないかと、複合的でできないんじゃないかと。あるいは、ある参考人の方は、要するにもう今までのデータで分かり切っているんじゃないかと、こういうようなお話がありますけれども。いや、まあ世の中のことですから、一人の科学者がそれをそうだと言っても、やっぱり国民的なコンセンサスが得られなければそれが最終的な解明だとは言えないというふうに考えますと、どうしたらいいか、非常に私は迷っておるんですけれども。 この先は、やはりそういうことであれば、やはり国民的なコンセンサスをどう得るのか。素人であっても、いわゆる調査結果を素人でも分かるような、そういう、国民に広く情報を公開して、それによって得た判断で進むしかないんじゃないのかなというような気がいたしますので、今回の法律につきましても調査がございますし、そういう意味ではいろいろな面で公表をするなりオープンにする機会があると思いますので、それを是非お願いしたいなと思っている次第でございます。 それで、私、正直言って、私の認識では、今の有明海の問題は、いわゆる、これから人間が、我々日本人がどれだけ生き長らえていくのか、どういう環境でおるのか、どうしたらいいのかという問題ですから、余り賛否両論はあるべきじゃないんじゃないか、なくていいはずだと、もっと集約されていいはずなんだという気がするんですけれども、なかなかそういかないのが実はじくじたる思いがありますし、この辺をこれからどう考えていったらいいのかなという疑問があるのが正直なところでございます。 それで、とはいえ、今、現実に先ほどから出ております第三者委員会ですか、そういうところ、あるいは環境庁が中心になって何か水質の補足調査をやっておられると、そういうものの、今どこまで行き着いているのか。一つのそれが参考になるかどうか、こんなこと言っちゃ失礼ですけれども。それはそういう問題はあるかもしれませんけれども、それで将来、今後どういう方向に向かうのか、農水省と、水産庁ですか、それと環境庁の方に御説明を伺いたいと思います。
○政府参考人(木下寛之君) 私ども、昨年度からノリ不作等に関する原因究明を進める観点から、まず第一点は有明海の環境変化が生物生産に与える影響の解明、また第二点といたしましては有明海の現況の把握、海洋環境の変動要因等の分析を行っているわけでございます。 このような総合的な調査を実施する一方で、これらのそれぞれの調査結果につきましてその時々に第三者委員会に御報告申し上げ、第三者委員会では原因究明、対策の提言を取りまとめていただいているという段階でございます。 また、このような調査でございますけれども、ほかに環境省では水質等のモニタリングの調査、国土交通省では河川流量なり河川の水質等の調査、また有明四県におきましては海域での水質調査あるいは赤潮調査等を実施をしていただいております。 いずれも、それぞれの調査につきまして第三者委員会に報告していただき、これにつきまして先ほど申し上げた原因究明に資する形での議論の参考にしているという段階でございます。
○政府参考人(石原一郎君) 環境省におきます有明海の調査についてでございます。 水質、有機汚濁及び窒素、燐等につきましては、水質のモニタリングということで従来から実施してきております。十二年のノリ不作を受けまして、単に水質だけではなくて底質、底生生物の状況をより的確に把握することが必要であるということで、十三年の二月、八月、十四年の二月というような形で実施してきております。また、本年度におきましても同様の調査を年四回実施する予定でございます。さらに、泥質干潟の浄化機能の評価に関する調査も実施しているところでございます。 これらの調査の結果、現在のところ、十三年の夏の時期に湾奥部なり諫早湾の中央部、湾口部で貧酸素の状態が認められた、あるいは一九七〇年代と比較して底生生物の現存量が減少しているというような調査結果は得られておるところでございます。ただ、こういう状況がどういう原因によって生じたか等については、今後更に検討、調査していく必要があるというふうに考えているところでございます。
○岩本荘太君 調査項目だけで、よく分からなかったんですが、要するに、両省ともそういう判断ができるような、予断のない判断ができるようなそういう情報の公開を今後是非やっていただいて、要するに、試験研究だけで解明できないとすれば、やはり民主主義の国ですから、国民がどれだけそれについて賛成するかということが一つの進むべき方向だと私は思いますので、その辺、ひとつよろしくお願いいたします。 それと、先ほど来から再生とか悪化とか言われているわけですけれども、別の議論でいきますと、例えば水門を下ろしてもいいとか悪いとか、いろんな議論があるわけで、そうすると、本当は悪くないんじゃないかというような、有明海が、というような疑問も起こってくるんですけれども、その辺を皆さん、午前中の参考人の方々にお伺いしたときはいろんな御意見がございました。 今日の、今の委員会の先生方は大体悪いという認識されていると、有明海の状況が、環境状況が悪いと認識されておると思うんですけれども、じゃ、どういう目標を、それに対してどういう目標を置くかですね。 この特措法を見ますと水産振興と書いてありますから、それでいいのか。先ほど大臣は何か別のことも、水産振興だけじゃないというようなことも言われた。例えば、まああれですね、数字じゃないことでいえば、例えば海水浴ができる状況にするとか、いろんな目標値があると思うんですね。昔、何年時点の有明海にするとかですね。その辺、環境庁はどういうふうにお考えなんですか、有明海について。
○政府参考人(石原一郎君) 大変難しい問題でございます。 有明海の環境そのものにつきましては、基準値というような形では水質の環境基準ということでの数値目標が定められております。この目標そのものにつきましては、水質という観点から、先ほど申しました有機汚濁、CODの数値あるいは窒素、燐の数値として定めております。ただ、この環境基準そのものにつきましては、有明海につきましてはすべてで達成しておるというわけではございませんけれども、一部の水域を除きまして基準そのものは達成しているという状況にございます。 有明海の現在の環境そのものにつきましては、単に水質だけの問題ではないというふうに考えておりまして、先ほど申しましたように、底質あるいは底生生物の減少といったような状況が見られます。そういうことから、有明海の環境そのものについては、そういう水質のみでないような形で改善していく必要があるというふうに思っております。 したがいまして、それだけですべてというわけではございませんけれども、環境省としましては、底生生物あるいは底質も含めた形で水環境をとらえるということについての調査をやっております。どのような形で、底質なり、それから底生生物も含めた、当然水質もですけれども、そういうことを含めて水の環境を評価するという手法の検討でございます。現在これについて着手しておりまして、今後、この検討の成果なりも踏まえつつ、有明海の環境について分かりやすいような形で目標なりを検討していきたいというふうには考えております。
○岩本荘太君 その辺、本当に分かりやすく言っていただかないとなかなか国民が納得しないと思いますので、ひとつよろしくお願いします。 それで、大臣おられますので、先ほどから大臣、イニシアチブを、農林省が、大臣がイニシアチブを取ってやっていきたいと。確かに僕はそれは非常に重要なことだと思います。いわゆる多県にまたがりますし、多省庁にまたがるわけでございまして、私、瀬戸内海の件は知りませんし、三河湾も知りませんけれども、例えば昔、琵琶湖の環境問題にちょっと携わったことがありますけれども、あそこで一つできたなと、できたということは、要するに一つの県だったという、非常に指揮命令系統がしっかりといいますか、やりやすかったということがあるんじゃないか。霞ケ浦がどうなったか分かりませんけれども、あそこもそんな面があると思うんですけれども。やはり先ほど大臣言われた、調整機能だけで、人に任すということがこれが一番いけないことで、だれか一人がやらなきゃいけない。そういう意味で、先ほどの大臣の御決意は私は高く評価するつもりですが。 したがって、あるときは環境大臣であり、あるときは総務大臣でなければいけないと、こういうことを思っておりますが、そういう意味で、大臣、農水大臣としてではなくて結構ですから、今と同じ質問で、有明海の再生の目標といいますか、その辺を大臣はどうお考えになっているか。
○国務大臣(大島理森君) 瀬戸内海の再生というものも、我々の政治上の今までの中では経験がございます。 有明海というのは、ひょっとしたら海の、内海というんでございましょうか、この問題を解決をするひょっとしたら大きな私はモデルになるような気がしてならないんです。県が数県あり、関係する省がたくさんあり、そして海というものがそこにあったときに、ですから新しい海の再生の、言わば試作のモデルを作るんだという、そういうパイオニア的な一つのケースでもあり、それからもう一つは、やはり海というものを、先ほどちょっと私は言い過ぎたかもしれませんが、漁業者だけのものじゃないということを言いました。これは、私はある意味じゃそのとおりだと思うんです。したがって、地上に、地上にというか、町に住んでいる人も、自分の海だという認識があれば、その生活雑排も含めて、本当に一体として考えてくれると思うんです。とかく、私は八戸というところですから、海の町です。海の問題という問題について、割とおかの人は違う問題だという意識がある。ですから、そういう意味で、一体として海をどう考えるかというまた試金石でもあるような気がする。 しかし、そういう中にあって、みんなみんなだれかがやるだろうという思いで、せっかく法律を作っていただいたときに、そんな思いでやったらこれは進まないと。したがって、農水委員会で衆参ともにこのように御熱心に御議論をいただき、また海の再生というのは、その一つとして漁業の再生でもあるとするならば、私ども農林水産省が本当にイニシアチブを持って各県に、また各省に調整する、そういう責任を持った実行体制と気概を持って進まなきゃいかぬなという思いでおります。
○岩本荘太君 今のお話ですと、大体農林水産業が復興するということを第一義的に考えられておるというふうに理解してよろしいわけですね。 大臣言われましたように、僕も、海は漁業者だけのものじゃない、要するに生物は海から出てきたわけですから、もろもろの母だと思うんですが。 それで、一つ、法律に関してちょっとお聞きしたいんですが、趣旨でも書いてありますが、実際に後の方にいろんな事業、事業名羅列されておりますが、いわゆるこの第一条の「目的」の中で、真ん中辺に「有明海及び八代海の海域の特性に応じた当該海域の環境の保全及び改善」、これは大変結構、そのとおりだと思います。「並びに当該海域における水産資源の回復」、これも結構なんですが、その下に「等」があるんですね。この「等」というのは、ある意味じゃいろんな面でいろんなものを網羅しているということもあると思うんですが、逆に言いますと、ここに何があるのかなというのは非常に疑心暗鬼なところも出てくる。 したがって、私は、前段のこの「目的」、これも大変結構なことですし、いろんな事業をやられるのもそれは結構なことですけれども、いわゆる水産資源を回復するについても、有明海の再生を第一義にした、水産資源を回復するために有明海の再生を第一義にした事業を中心に、そこを中心にやっていただきたい。よもやそういうことに名をかりて、火事場泥棒じゃないですけれども、うまいことやっちゃったというようなことのないような、そういうことを是非お願いしたいと思うんですが、発議者、通告しておりませんでしたけれども、もし。
○衆議院議員(金田英行君) 国が基本方針を作ります。その基本方針にのっとって関係県が県計画を作ります。そういった関係県がどんな事業をやったらいいのかということも、一に掛かって県の皆さん、地元の皆さん方がこんな事業をやったらどうだろうか、あるいは水質汚濁のために下水道事業のこういったことをやらなきゃならないな、覆砂事業は本当に効果があるんだろうかとか、耕うんの事業、いろいろなことは地元の県計画の段階で国に要望すると申しますか、そんな県計画を作って、それでやるということでございますから、正に、そういう特定事業といって補助率も上げてまいりますけれども、一に掛かって県の皆さん、地元の皆さん方がこういう事業をやろうということを決めていくことになるだろうというふうに思っております。 先生の御指摘のような事業が、本当に効果のある事業が出てくるんだろうと私ども期待もしております。そしてまた、これにかこつけて変な事業がどんどん出てくるというようなことにはならないように、そこいら辺はしっかりと関係省庁連携を取って対応できると思っております。
○岩本荘太君 よろしくお願いします。 あと一分ほどしかございませんが、諫早湾の土地利用についていろいろ質問出ていましたので、これはあえて御答弁結構なんですけれども、ただ、議論を聞いていまして、要するに私は、全国的に土地が余っていてもこの長崎県で必要だということはあり得るというものは持っております。したがって、それはあり得る、本当の要望というのをしっかりつかまなきゃいけない、本当にあるのかということを。造ればあるだろうということではいけないと思うんですね。 ということは、これは見方を変えますと、マクロを見ますと、今食料不足じゃないわけですよね。したがって、新しい農地で農業をやったらその影響を受けるところが出てくるわけですよ。だから、これは自給率の向上というか、自給率を物すごく影響するんですね。前回の委員会でも米の問題と自給率も私、指摘させてもらいましたけれども。したがって、本来、こういう農地を使うということであれば、自給率の向上策とタイアップさせなきゃいかぬ、私はそう思っておるんですけれども。 したがって、もしそういうことに対しての御回答をいただければ結構ですけれども、それ以外のことについては先ほど局長は各委員の方に御説明されていましたから私はそれで結構ですけれども、その辺、大臣もし、私の今話したことについて何か感想ございましたら。
○国務大臣(大島理森君) 先生から御指摘いただいたように、自給率向上だけというか、自給率向上のために使えということにだけであの土地利用が全部できるかどうか。これはちょっと私は、そこだけに限定することはいかがかという感じがします。やっぱり、先ほど地価の問題があって換金作物を植えたいとか、いろんなことを試したいと思いますが、土地改良政策あるいはこれから議論になるであろう米政策の中で、自給率の向上と連動させるそういう事業というものを考えなきゃならぬという根本においては共感できるものを持っております。
○岩本荘太君 時間が来ましたからこの議論はまた追ってさせていただきますけれども、自給率向上のためじゃなくて、自給率と関連させざるを得ないんじゃないかということを申し上げて、終わります。
○中村敦夫君 有明海ノリ第三者委員会について質問します。まず、大臣にお願いします。 二〇〇〇年の暮れに有明海全域でほぼ同時に始まった赤潮、これは例を見ないほど長期にわたって続いて、かつて経験したことのないノリの不作をもたらしたわけですね。そこで大変な騒ぎになりまして、当時の谷津農水大臣が有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会、通称第三者委員会というのを設置したわけですね。そして、ここで谷津大臣は第三者委員会の結論を実行すると確約したわけですね。これは大変重い発言であったわけです。 そこで、専門家や漁協代表の人たちで構成された第三者委員会が非常に精力的に議論と調査を重ねました。そして、昨年十二月に諫早湾干拓地排水門の開門調査に関する見解というのをまとめたわけですね。この報告は、「諫早湾干拓事業は重要な環境要因である流動および負荷を変化させ、諫早湾のみならず有明海全体の環境に影響を与えていると想定され、また、開門調査はその影響の検証に役立つと考えられる。現実的な第一段階として二ヶ月程度、次の段階として半年程度、さらにそれらの結果の検討をふまえての数年の、開門調査が望まれる。調査に当たって、開門はできるだけ長く、大きいことが望ましい。」と、こういうふうに述べているわけですね。 これは、有明海異変というものの一番重要な原因は何かということを調査するのが大切だという、全体的な合意のためにこういうことになったわけですね。それは複合的な要因があるというのは分かりますよ。ダムだとか下水道だとか、あとは漁民が使う薬だとかという、いろいろあるわけですけれども、基本的にこの問題は二つ大異変があるわけですね。一つは潮流、潮汐の変化、それから大規模な干潟が失われたということなんですね。 これは地図を見れば分かるんですが、これは午前中、参考人の方が配った地図ですけれども、大変特殊な海域になっていますね。これはひょうたん形のこういう海域で、それで大洋に接する場所というのは非常に狭いところですね。ですから、そこから水が流れてどんどんどんどん奥へ流れていく、そしてまた戻ってくるというんですけれども。ちょうど真ん中辺がくびれておりまして、そこで、どっと入っていった水がかなり高く上がっていくと。高い場合には六メートルぐらい上がってしまってどんと突き当たるというそういう問題がありますね。ところが、その横に諫早湾という湾がくっ付いていまして、そこでその水を吸収したりなんかして非常に独特な水の流れを形成していくと。これがもう海の生命のような潮の流れなんですよね。これは自然がやっぱりもう最高のハイテクとして長い間作ってきた流れなんですね。 これを、諫早湾というところを干拓してしまったために、ここの調整の役割がなくなった。要するに潮の流れというのは、要するに海底の汚濁物とかそうしたものをまた大洋に運び出してくれるし、また栄養を運んでくれるというような、そういう生態系そのものを担っているわけですよ。また、干潟というのは、下水なりなんなりいろいろなものがあるけれども、そこにたくさんの生物がいて、それを食べたりなんかして、そして水質浄化というものに役立っているわけですね。 ですから、ほかの要因に比べると、これはもう全然レベルの違う自然の大異変を人工的に作ってしまったということになるから、要するに諫早湾の開門による中長期的なその調査が必要だということになったんですね。このことは、もう現場の漁師も専門家も、失礼ながらここにいるどなたよりも最も詳しい人たちが結論を出したことなんですね。そして、こういう委員会ですから、やはりそうしたところで出される方向性に対して確約すると、実行を確約すると谷津大臣は言ったわけですよ。 そこで、大島大臣も、谷津大臣が言ったとおりこの第三者委員会の報告を尊重するのかどうかということを、イエスかノーだけでいいですから答えてください。
○国務大臣(大島理森君) 尊重してまいる所存でございます。
○中村敦夫君 繰り返しますけれども、この第三者委員会報告というのは、「現実的な第一段階として二ケ月程度、次の段階として半年程度、さらにそれらの結果の検討をふまえての数年の、開門調査が望まれる。調査に当たって、開門はできるだけ長く、大きいことが望ましい。」と、諫早湾干拓地排水門の中長期の開門調査を求めているわけなんです。 〔委員長退席、理事田中直紀君着席〕 ところが、農林水産省は今年の四月に、諫早湾干拓事業について二〇〇六年度中の完成ということを改めて表明したんですよね。そうすると、第三者委員会の報告の求めどおりに数年の開門調査を行った場合に、二〇〇六年度の諫早湾干拓事業の完成ということは果たして本当にできるんですか。それについて大臣のお答えを聞きたい。
○国務大臣(大島理森君) 抜粋でございますが、第七回の検討委員会の議事録で清水委員長が、長時間の討議をありがとうございました、見解をまとめることができた、実施についてはこれから行政に御判断をいただくわけですがと、こういうふうな言い方もされておられます。尊重したことを踏まえて、そして関係県の知事さんあるいは漁連会長、そういう方々がお集まりいただいて一つの方向性を出したわけでございます。 私どもとしては、先ほど申し上げましたように、そういう、尊重をいたしながらも、有明海の再生に向けては、総合的な調査の一環として短期の開門調査を含め開門総合調査を行っているところでございますが、やはり基本は干拓事業による有明海への影響の、環境への影響をできる限り量的にまず把握することだと思っております。 〔理事田中直紀君退席、委員長着席〕 中長期の開門調査につきましては、この新法の制定、短期の開門調査で得られた成果、その影響、そして各市町村の動向、そういうノリ作期との関係等の観点を踏まえて、何回も同じことを恐縮でございますが、十四年度中に設ける有明海の再生方策を総合的に検討をする場での議論を経て、我が省において判断してまいりたいと思っております。
○中村敦夫君 そうしますと、検討をした結果、第三者委員会が求めている中長期の開門調査というのが行われないという可能性もあるということですか。
○国務大臣(大島理森君) そういうふうな行わないということではなくて、そういう検討をしながら最後に判断をしてまいりたいと、こう思っております。
○中村敦夫君 よく分からないんですが、第三者委員会の報告というのはかなり決定的な重いもので、国が設置したものでありますし、そうした方向性を明確に出していると。しかし、更にそれをまたこれから検討するということになると、第三者委員会の結論というものは更に検討するような安っぽい代物なのかと。つまり、第三者委員会というものの存在を軽視しているんじゃないか、そこに集まった人々のそれまでの大変な議論というものを軽視しているということになりはしませんか。
○国務大臣(大島理森君) 先ほどもちょっと議事録のところを申し上げさせましたが、提言をいたしました、その実行、実施に当たっては様々な観点から農水省で判断しなさい、それらを受けて先ほどのような経過、あるいはまた三知事、三漁連会長が集まって一つの方向性を出した事実、これも非常に重いものでございます。そういうものを総合的に判断して、先ほど申し上げたような方向で検討してもらいたいと思っております。
○中村敦夫君 私は、何度検討したらいいんだろうかという、最も高いレベルの検討が出た後で、一体そのほかの人々が集まって何を検討するのかという疑問がどうしてもわいてきます。 次の質問に移りますけれども、第三者委員会の報告にはこういうものもあります。「洪水・潅漑期以外は水位管理の条件をゆるめ、できるだけ毎日の水位変動を大きくし、できる干潟面積を増やすことが望ましい。」と、こういうふうに干潟の再生による調査を求めているわけですね。これは非常に専門的にも重要なことだと思います。 ところが、一方で、農林水産省は、干拓地の諫早湾に面した堤防部分、いわゆる西工区というところの工事を進めているわけですよ、つまり正面のところの、堤防の話ですけれども。この西工区の工事が完成した場合に、その後に干拓地排水門の開門調査を行っても、第三者委員会の報告が求めるように、できる干潟面積を増やすことというのは、これは不可能になるんじゃないかなと私は思うんですね。これはいかがでしょうか。
○国務大臣(大島理森君) 有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会の見解において、開門調査の意義は、諫早湾干拓事業が引き起こしたと指摘されている有明海の環境変化の諸事象について、その指摘の適否を検証することとされております。 その中に、「干拓地を元の状態に戻さなければ実現しないことは明らかである。」とされていますが、このような中で、見解においては、できるだけ毎日の水位変動を大きくし、できるだけ干潟面積を増やすことが望ましいと、先生のおっしゃるとおりで、そういうふうなことが書かれております、見解の中で。そして、その調査の取扱いについては、委員長発言にございますように、行政に総合的な判断がゆだねられたということになっております。 現在、短期の開門調査を含む開門総合調査を行っているところでありますが、先ほど来申し上げておりますように、干拓事業が有明海の環境の影響をできる限り量的にまず把握することとしております。したがって、中長期の開門調査、そういうものを先ほど来申し上げたような方法で総合的な検討を行った上で、議論を経て私どもが判断をするわけでございますが、干潟面積を増やす、そういうふうなことにつきましても、そういう経過の中で様々に考えてまいらなきゃならぬと思っております。
○中村敦夫君 私はもっと単純なことを聞いているんです。干潟面積が増えるわけですから、今、堤防で横ができていますね。ここをふたしちゃったら、干潟面積増える部分というのはその中側なんですよ。だから、そこで閉ざしちゃったら調査なんかしても何の意味もなくなってしまうわけですよね。そのことを聞いているんです。
○国務大臣(大島理森君) 干潟面積を増やすことの具体的な可能性についても、様々な形で検討していかなきゃならぬと思っております。
○中村敦夫君 検討したってしようがないんですね、できなくなるということなんですから、これは物理的に。そのことを私は質問しているわけなんです。だれか専門の方、答えられますか。
○政府参考人(太田信介君) 先ほど来御説明申し上げておりますとおり、既に潮受け堤防内にはもう干陸されてほぼ農地になっておる土地がそこに存在するという状況がございます。 現在の内部堤防はその干陸している土地を囲うということを想定しているのでありまして、もちろん委員御指摘のとおり、毎日の水位変動を大きくしてできるだけ干潟面積を増やすことが望ましいとありますけれども、この中で、水位変動を起こすことについては当然のことながら防災の効果の議論もあります。そういった中での総合評価を結果的にしなきゃいかぬわけでありまして、少なくとも干潟面積という意味におきましては、その周辺に残る、いわゆる潮受け堤防の中におきましても、周辺に残る元干潟といいましょうか、そういう土地はあるわけでございまして、そういったものを、可能性を検討していくということであろうかと思います。
○中村敦夫君 全然答えになっていませんよ。これは完全な間違いですよ。 かなり、やっていることと第三委員会がやらなきゃいけないことと、これは矛盾しているという話なんですね。だから、全体的なこの第三者委員会の判定とか決断とかというものを、農水省自身が自分たちで作りながら、どうしても軽視しているとしか思えません。 次の質問に移ります。水産庁にお願いしたいんです。 この法律ができますと、この法律というのはやっぱり第一に有明海の漁業を豊かにしたいということが第一義的ですよね。それによって地域振興というのが興るんですから。これ逆じゃ駄目だと思うんですね。地域振興だからといっていろんなものを造って、海の方はほったらかしということではこれ駄目です。 特に、タイラギというのはここの名産だったわけですよね。これがほとんど絶滅状態まで追い込まれてきたということがありますね。だから、これは象徴的な魚なんですよ。これがたくさん生き返る、そしてタイラギ漁が復活していくということは、これ一つの条件だと思うんですね。 この法律によってタイラギ漁というのは完全に復活するんですか。もしそう言い切るんだったら、根拠というものを教えていただきたい。
○政府参考人(木下寛之君) 私ども、現在、独立行政法人水産総合研究センターが有明海四県と連携いたしまして、タイラギの生息域の特定なり生育環境、生育状態を把握しながら、漁獲量変動過程を明らかにするための調査研究を行っているわけでございます。 このような調査研究と並行いたしまして、先ほど来申し上げていますように、タイラギの減少原因、底質の泥化あるいは貧酸素水塊などが関与しているというふうに考えられるわけでございますけれども、そのような除去を図る観点から、地元の御要望を十分踏まえながら、覆砂なり堆積物の除去、あるいは二枚貝の生息場所の確保のための干潟の造成等に係ります水産基盤整備事業、あるいは食害生物でございますトビエイの除去等を行います事業を実施してきているわけでございます。今後は、本法律におきまして、これらの施策の展開に一層努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。 また一方で、タイラギの稚貝放流でございますけれども、人工種苗生産技術確立のため、関係県とも連携をしながら進めていきたいというふうに考えております。 このような施策を通じて、タイラギ漁を始めとする漁業振興に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○中村敦夫君 今、魚と言いましたけれども、貝の間違いでした。訂正してください。よく知っていたんですが、つい間違えました。 今、しかし、述べられたような、要するに対症療法的なことでこうした海底の生物がよみがえるというようなことは、私は無理だと思っているんですね。午前中の参考人質疑でも、専門家たちはそれは絶対できないということなんです。だから、この法律は、そうすると、そうした最も重要なことに役に立たないんじゃないかなというふうな感想を持たざるを得ないんですね。 環境省にお聞きしますが、この法案によって有明海、八代海の潮汐、潮流というのはどういう変化になっていくのか、その見通しを教えていただきたい。そして根拠も教えていただきたいんですよ。
○政府参考人(石原一郎君) 有明海の潮汐、潮流につきましては、十三年度、十四年度、現在も含めて調査をしているところでございます。 一つは、潮汐につきましては、外海の影響により、有明海の中でも高水温で水位が高く、潮差が減少している。 あるいは流動につきましては、これはいろんな報告がございます。場所によっていろいろ違うんではないかと思っておりますが、以前より減った、あるいは変わらない、あるいは流速が増したというような箇所もあるように聞いております。ただ、流速は、地形等の影響あるいは河川の流量、風などの影響もあって、非常に断定的な結論を下すのは現段階では難しいというような状況にございます。 潮汐、潮流のこういう変化でございますが、未解明の部分が多く、今後一層の調査研究が必要であろうというふうに思っております。 この法案におきましても、国及び関係県が実施する調査の中で潮流、潮汐と海域の環境との関係に関する調査が行われることになっております。そういう点では、この法案によりまして、更に潮流、潮汐と海域環境の調査が進むものというふうに考えております。 環境省といたしましても、関係府省、関係県と連携協力して調査を進めて、その実態把握、あるいはその実態の結果生態系なり環境に及ぼしている影響についての調査、補足に努めてまいりたいというふうに考えております。
○中村敦夫君 調査はするけれども見通しは分からないということなんですね。今大変異常な状況になって、従来の自然の水流というものが狂ってしまったという状況なんですよね。ですから、法律によってやはりその流れを戻すということでないといけないと私は思います。 しかしながら、本当ならば、この有明海・八代海再生特別措置法というのが、やっぱり海の生物をまず回復させていくと、生態系を自然に戻していくということが第一の大義でなければいけないし、今やはりはっきりしているのは、そうした干拓事業による地形の変化ということが大異変をもたらしたんだということは明確なんですね。 そういう意味では、何か施策を打つ前に、やっぱり徹底的な調査が要ると。そして、その間は干拓を凍結するというのがこれは賢明な決断じゃないかと思います。その意見を述べまして、質問を終わります。 ありがとうございました。
○委員長(三浦一水君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律案に反対討論を行います。 反対する第一の理由は、本法案が有明海、八代海の環境悪化を引き起こした根本原因の究明とその対策への方向付けが明確でないことであります。 特に、環境破壊と水産業衰退を引き起こした決定的原因である諫早湾干拓事業の見直しに何ら触れられていないことは重大であります。環境再生の眼目である中長期の開門調査を含む徹底的な影響調査とその間の工事中止、事業の抜本的な見直し、これらが欠けた法案は、豊かな海に再生する実効性がなく、まやかしの再生法案と言わざるを得ません。総量規制という文言が付け加えられても、事の本質は変わるものではありません。 第二の理由は、法案が将来にわたる開発行為の規制強化がないまま、各種の公共事業の重点実施を促進している点です。 法案では、各種公共事業について地方債への配慮等、一定の有利な対策をうたっています。これらの公共事業の中には当然必要なものもありますが、こうした各種事業は、逆に環境保全、水産資源の回復にマイナスになりかねません。環境破壊、水産資源の枯渇に結び付く開発行為については、規制強化を明確にすべきです。 最後に、本法案の制定をもって、中長期調査を否定したり、干拓事業推進に拍車を掛けようとする政治的意図があることを危惧するものです。私は、やはり第三者委員会の提言を尊重して、一刻も早く中長期調査の決断を強く政府に要求するものであります。 以上をもって反対討論とします。
○委員長(三浦一水君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(三浦一水君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(三浦一水君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(三浦一水君) 独立行政法人農畜産業振興機構法案、独立行政法人農業者年金基金法案、独立行政法人農林漁業信用基金法案、独立行政法人農業技術研究機構法の一部を改正する法律案、独立行政法人緑資源機構法案及び独立行政法人水産総合研究センター法の一部を改正する法律案、以上六案を一括して議題といたします。 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。大島農林水産大臣。
○国務大臣(大島理森君) 独立行政法人農畜産業振興機構法案、独立行政法人農業者年金基金法案、独立行政法人農林漁業信用基金法案、独立行政法人農業技術研究機構法の一部を改正する法律案、独立行政法人緑資源機構法案及び独立行政法人水産総合研究センター法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 特殊法人や認可法人につきましては、行政の遂行上重要な業務を担うために設立されたものでありますが、その事業や組織の在り方は時代の変遷に合わせ、見直していくことが必要であります。このような観点から、特殊法人等改革が行われ、昨年十二月に特殊法人等整理合理化計画が閣議決定されたところであります。この中で、農林水産省所管の特殊法人等に関しましては、所要の事業の見直しを行った上で、農業者年金基金、農林漁業信用基金及び緑資源公団につきましてはそれぞれ単独で独立行政法人化すること、農畜産業振興事業団及び野菜供給安定基金につきましては統合の上独立行政法人化すること、生物系特定産業技術研究推進機構及び海洋水産資源開発センターにつきましてはそれぞれ既存の独立行政法人に統合することとされたところであります。 また、特殊法人等改革とともに行政委託型公益法人等改革が行われ、本年三月に公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画が閣議決定されたところであり、この中で、社団法人日本栽培漁業協会につきましては、効率的な事業実施の観点から、独立行政法人水産総合研究センターにおいて事業を実施することとされたところであります。 このため、特殊法人等整理合理化計画等に定められた措置の実施を図るために、これらの法律案を提出した次第であります。 次に、法律案の内容の概要につきまして御説明申し上げます。 第一に、独立行政法人農畜産業振興機構、独立行政法人農業者年金基金、独立行政法人農林漁業信用基金及び独立行政法人緑資源機構につきまして、その名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めるとともに、独立行政法人農業技術研究機構及び独立行政法人水産総合研究センターにつきまして、生物系特定産業技術研究推進機構及び海洋水産資源開発センター等の業務の承継に伴い、その目的、業務の範囲等に関する事項を改めるものであります。 第二に、独立行政法人農畜産業振興機構、独立行政法人農業者年金基金、独立行政法人農林漁業信用基金及び独立行政法人緑資源機構の役員につきまして、理事長、理事、監事等を置くこととするとともに、独立行政法人農業技術研究機構及び独立行政法人水産総合研究センターの役員の数を改めるものであります。 第三に、個々の独立行政法人を所管する大臣等を定めております。 第四に、特殊法人等から独立行政法人への権利義務の承継について定めております。 その他、積立金の処分方法、所要の経過措置等に関する事項を定めております。 また、これらの特殊法人等の解散及び独立行政法人の設立等の期日は平成十五年十月一日とすることとしております。 以上が独立行政法人農畜産業振興機構法案外五法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願いいたします。
○委員長(三浦一水君) 以上で六案の趣旨説明の聴取は終わりました。 六案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時三十五分散会