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155回国会参議院2002/12/05

内閣委員会 第10号

発言数
184
登壇者
24
会派数
7
開催日
2002/12/05

会議録

小川敏夫民主党・新緑風会

○委員長(小川敏夫君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、羽田雄一郎君、神本美恵子さん及び小池晃君が委員を辞任され、その補欠として松井孝治君、川橋幸子さん及び筆坂秀世君が選任されました。     ─────────────

小川敏夫民主党・新緑風会

○委員長(小川敏夫君) 構造改革特別区域法案を議題とし、参考人の方々から意見を聴取いたします。  参考人を御紹介いたします。  社団法人日本経済研究センター理事長八代尚宏君、医療法人財団河北総合病院理事長河北博文君及び法政大学経営学部教授角瀬保雄君、以上三名の方々でございます。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところを当委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。  本法案につきまして、皆様から忌憚のない御意見をいただき、審査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、参考人の皆様から、八代参考人、河北参考人、角瀬参考人の順に、お一人十五分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、参考人の御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず八代参考人からお願いいたします。八代参考人。

八代尚宏社団法人日本経済研究センター理事長

○参考人(八代尚宏君) 八代でございます。  本日は、構造改革特区法案の意義と規制改革への効果ということについてお話しさせていただきたいと思います。  まず、お手元に資料を用意してございますので、これに沿ってお話しさせていただきたいと思います。一枚めくっていただきまして、こういう特区というものはなぜ必要かということから御説明させていただきたいと思います。  御承知のように、九〇年代以降の日本の経済社会というのは長期停滞でございまして、これは今の一番大きな問題になっております。様々な原因があると言われておりますが、一つはやはり、グローバル化する世界経済、特に九〇年からの旧社会主義国の市場経済化等とか東アジアの国の台頭、そういう中で世界がますます一つの市場経済化している、そういう中で日本の対応というものがこれまで十分なされてこなかったのではないかというのが一つだろうと思います。  それから、やはり急速に進む少子高齢化の進展の中で、日本のように極めて年齢に依存した社会制度を持っている国というものはそれだけ大きなインパクトを持つのではないかということであります。こういうグローバリゼーションに対応した製造業というのはどんどん海外に出ていってしまって、残されたサービス部門、ここで雇用を吸収しなければいけないんですが、その部分が依然として規制万能の制度の下に置かれている。これを、国際化する経済体制の下で日本についてもセーフティーネットをきちっとするということを前提に市場競争をできるだけ導入する、そのために構造改革、規制改革というものが必要であるというのが私の認識でございます。  そういう規制改革というのは、ともすれば単に規制を緩和するだけだという見方もございますが、必ずしもそうではなくて、規制を阻害する制度を極力撤廃しあるいは緩和する、同時に規制を促進するような制度を強化するという形で、ともかくも事業者間、企業間の競争をできるだけ活発化することによって消費者、利用者の利益を守るというのが一つの考え方でございます。これは同時に、過去の経済社会に見合って作られた制度を新しい社会の中に見合うように効率的な制度へと改革する、制度改革という視点もございます。それから、小泉総理がいつも言っておられますように、官から民へ、民のできることは民へということ、あるいは国から地方へ、地方ができることは地方にゆだねて国はもっと国際化対応を進めなければいけないと、そういう制度改革の考え方とも整合的でございます。  そういう規制改革の必要性ということは多くの方は賛成していただいているわけなんですが、問題は、それがなかなか進まないということであります。非常に、二歩前進一歩後退という形で、せっかく規制緩和ができても、それを妨げるような詳細な別の規制というものが同時に生まれることによって、なかなか急速に変わる国際化の波に、スピードに付いていくことができないわけであります。国際化というのは、必ずしも欧米だけではなくて、韓国、中国を始めとする日本の近隣のアジア諸国は日本以上のスピードで急速に改革を進めているわけですが、日本だけがいつまでも慎重に慎重にということで緩やかな改革しかできないわけであります。  なぜそういう緩やかな改革しかできないかというと、やはり全国一律に制度を変えるためには様々なリスクを考慮しなければいけない。神学論争が繰り返されてなかなか大胆な改革ができないわけであります。そういうボトルネックを克服するための一つの方法がこの特区でありまして、全国一律ではなくて特定の地域に限って新しい制度を試みてみる、それによって制度の効果を確かめた上、全国に適用するという、そういう一つの社会的実験であります。  こういう社会的実験というのはこれまでも国のモデル事業という形で行われていたわけでありますが、それはあくまでも国主導でやる、あるいは特定の後れた地域を発展させるための政策として行われていたわけなんですが、そうではなくて、この特区の考え方というのは、地域の主体性に基づいて、国の押し付けではなくて地方が正に自分たちがこういう改革をすることで地域を活性化したいという意図をくみ上げるという形で行うということ、それから必ずしも後れた地域だけではなくて、むしろ地域間競争という形で進めていくということが大事ではないかということであります。  これは、中国が沿岸地域について特区というものを作って、それが見事に成功し現在の中国の繁栄に至っているわけでございますが、必ずしもそういう中国型の特区ではなくて、私が思いますには、むしろ米国型でやる。米国というのは五十の特区が常に存在するわけで、五十の州がそれぞれ独自の制度を持っていていろんな新しいことを試す、それによって良い制度はほかの州によってまねをされ悪い制度は廃れるという形で絶え間のない制度間競争が行われている、これがやはり米国の経済社会が非常に活性化していることの一つの原因ではないかと思います。残念ながら連邦制ではない日本では米国のようなことはできませんが、せめてその一つの、一部でも取り入れるということがこの特区の最大の意味ではないかと思います。  かつてのようにキャッチアップ時代であれば外国のまねさえしていればよかったわけでありますが、もうこれだけ大きくなった日本経済は自ら試行錯誤を通じてより良い制度を求めていかなければいけない、そのためにも、やはり特区というのは非常に有力な一つの手段ではないかと思います。  一枚めくっていただきまして、「通則法としての特区法案」というのがございますが、こういう特区のアイデアが最初に総合規制改革会議あるいは経済財政諮問会議で出てきたときに、各省がそういう特区を作るのは結構だけれども、当然その場合は各省の法律を改正してやらなければいけないということなんですが、それではやはり同じような問題が起こる、このために内閣府で一括して通則法を作り、それに基づいて各省の法律を横断的に改革するというようなアイデアが出たわけであります。当初このアイデアが出たときは、極めて非常識な考え方であるというふうに非難されたわけですが、結果的に閣議決定に至って、今日こういう参議院の場で審議していただくような状況になったということは非常に大事なことではないかと思います。  こういう特区法案の考え方というのは、あくまでも地方自治体の自発的な立案ということに基づいて、できる限り幅広い内容を対象とするということが基本だと思います。それから、決して法律だけではなくて、規制は細部に宿ると言われますように、法律自体よりも、むしろ各省の政令であるとか通達というものが競争を妨げている面も多い。そういう意味では、省令、通達にかかわらず、細かい点にも含めて、行政指導的なものも含めて改正するというのが一つのポイントであります。  それから、しばしば言われることとして、特区は結構だけれども、例えば生命、身体にかかわるような規制というのは外すべきであると。特定の地域の住民を言わば実験台にするようなことは許されないという考え方がございます。  ただ、こういう考え方の前提というのは、あくまでも現状が最適であるという強い前提に基づいているわけでありまして、その場合は当然ながら実験する必要もないわけでありますが、そうではなくて、やはり今の社会的規制、医療、教育、農業、あらゆる分野について多くの問題点があるということであれば、より良い医療制度、福祉制度を考えるために何らかのやはり実験というものが必要ではないかということであります。  医療の世界は、後でまた河北先生がお話しになると思いますが、私はむしろ特区に向いている分野ではないかと思います。それは、結局、医療自体が絶え間のない実験の中でこれまで医療技術の進歩、新薬の開発をしてきた分野であるわけであります。例えば、新しい薬を承認するときには、当然ながら有益性と有害性のジレンマというのがございます。新薬を作れば副作用という弊害が起こる可能性がある、しかし同時に、それを恐れていて一切新薬を作れなければ、それで救えたかもしれない患者の命が失われるという正にジレンマがあるわけであります。そうした中で、治験という手段を通じて、管理された病院あるいは製薬会社の中で実験を繰り返すことによって新しい薬を作っていくわけでありますが、この考え方は正に医療制度にも適用できるのではないだろうか。医療制度についても様々の提案がありますが、それに対する懸念もあるわけでありまして、それは結局、何らかの十分な安全措置、代替措置という言い方を取りますが、その下で実験するより仕方ないんではなかろうか。古い制度が良い制度という今までの社会的規制の考え方というのは、急速に変化する世の中では、ある意味で国民生活の多様性あるいは質の向上を妨げる一番大きな要因ではないかと思われます。  それから、特定の地域を限った特区であったとしても、そこに全国から言わば利用者が来る可能性があるわけですから、それは全国ベースの改革と変わらないんじゃないかというお考えもあるかと聞いておりますが、それは逆に言えば、そういう決してクローズの特区ではなくて、全国どなたでも利用できるよというような特区を作ることによって、正に地域間競争が起こるわけであります。現在は、例えば日本では認められていないような医療システム、新薬とか手術法を受けるためには、例えば米国とかヨーロッパに行かなければいけない。そうではなくて、同じ日本の中でも、例えば米国並みの技術を持ったような病院があれば、これは国民にとって非常に大きなプラスではなかろうか。そういう意味で、正にその地域の人以外を排除するような特区というのは本来の特区の意味をなしていないのではないかということでございます。  あとはちょっと特区法の具体的内容で、これは皆さんもとっくにもう御承知のことですから省きますが、五ページ目の特区法の具体的成果の例示としましては、規制改革会議等で各省と協議した結果、幾つかの新しいアイデアが認めていただいたわけであります。  教育関係では、御承知のように、長年の課題でありました教育カリキュラムの多様化とか、大学設置の校地面積基準の緩和とか、あるいは農業でいいますと株式会社の参入が、賃貸方式という制約はございますが認めていただいた。それによって、例えば耕作放棄地がどんどん増えているような地域において、新しい血を導入することによって農村の活性化を図るような手段が生まれたわけであります。福祉関連でも、長年の課題となっておりました施設介護の分野において株式会社が公設民営方式という形で特養を運営することが特区では認められたということであります。  医療関係での特区というのは認められなかったわけですが、実質的に、例えば高度先進医療病院の適用基準の弾力化という特区要望というのは、全国対応という形で認めていただいたわけであります。必ずしも特区でなければいけないということはないわけでありまして、正に特区を飛び越して一挙に全国対応の規制改革を進める一つの契機になったというのもこの特区法案の一つの成果ではないかと思います。  株式会社の問題は後でまた御質問があればお答えするということで、今回は特区法案の審議でございますので、全部飛ばしまして、最後に九ページのレジュメを見ていただきたいと思います。  それは、今後、内閣府と総合規制改革会議との連携ということでありまして、これは基本プログラムにも明記されております。  それから、現に今回の法案を作成するに当たって、具体的な特例措置の内容とか規制改革の在り方について各省と規制改革会議と特区推進室が協力で意見交換をし、かつその意見交換の内容は完全に外部に公開する、傍聴も可能ですし議事録も完全に公開する、そういう中で、国民環視の中でその規制改革の議論が行われたというのは非常に大きな成果ではないかと思います。  最後に、一つだけ問題点がございまして、これは特例措置の評価ということでありますが、これが実は非常に大きな重要性を持っているわけでございます。  やはりこの特区というのの最大の目的というのは、地域を限って行う実験というもの、新しい試みというものが最終的には全国ベースで広がるということを意図しているわけでありますが、そのときはやはりこの評価というものが極めて重要でありますが、だれがこの評価をするのかと。関係各省だけではなくて、やはり第三者、民間のシンクタンクあるいは内閣府、いろんなところで評価することによってそれが速やかに全国ベースの規制改革につながる、そういうことが極めて重要であって、これをいかに担保していくかというのが今後の特区法案の大きな課題ではないかと思います。  以上でございます。

小川敏夫民主党・新緑風会

○委員長(小川敏夫君) ありがとうございました。  次に、河北参考人にお願いいたします。河北参考人。

河北博文医療法人財団河北総合病院理事長

○参考人(河北博文君) おはようございます。  私が本日使います資料が二枚ございます。一つはこの色の付いた資料でございまして、これは私が本日のために用意をいたしました。それから、今日朝持ってまいりましたのは、これは日経新聞、三日の日経新聞夕刊だと思いますけれども、こういう意見が載っていたのでお持ちをいたしました。これは後ほど御説明をしたいと思います。  初めに、私がこちらの方にお呼びいただいて参考人としてお話をさせていただく理由を御説明したいと思うんですけれども、私が所属をしております医療法人財団河北総合病院というのは財団でございます。社団ではございません。医療法人には医療法上二つの種類がございまして、財団と社団がございますけれども、持ち分のないという意味で私は非営利に属するのではないかというふうに常々思っております。ですから私は非営利でございますけれども、例えば医療に関しましては規制改革の中で株式会社の参入を、排除する理由がないということで認めている立場でございます。  それから、私自身は病院の医療法人財団の最終責任者であると同時に、約二十年間医療政策にかかわってまいりました。その以前から、武見太郎元日本医師会長に私のアメリカに留学をしたときの推薦状を書いていただきましたし、それから、帰ってまいりまして、村瀬敏郎先生、日本医師会長をされた方ですけれども、非常にかわいがっていただきました。それから、日本病院会の副会長を六年いたしましたときに諸橋芳夫先生という方にもかわいがっていただき、その間に、特に厚生省では寺松元健康政策局長と一緒に、医療の評価、第三者評価をいかに日本に導入するか、それから医療の資本的な費用としての病院の建て直しの資金等を考えて、施設近代化施設整備事業というものを、一九四六年に作られましたアメリカのヒル・バートン法というものになぞって作ってきたことがございます。  今、私が医療の中にいて非常に大きな矛盾を感ずるということを特に今日はお話をしたいというふうに思います。ですから、私は思い付きで今日お話をすることではなくて、約二十年間のいろいろなことを通じて先生方に御理解をいただきたいというふうに思っております。  もう一つ、私は医師でございます。医師がよく、発言をするときにプロフェッショナルフリーダムという言葉を使いますけれども、私はプロフェッショナルフリーダムの前に、プロフェッショナルコミットメントという言葉を常に説明をするようにいたしております。コミットメントというものは、自分の命に懸けて使命を遂行することを神に誓うということであって、よく、プロフェッショナルスクールというのは三種類しかないと。これは法学、神学、医学。神学、法学、医学でしょうか、この三つに共通することは、人の命の判断を神にゆだねられるという立場でございます。ですから、コミットメントして、自分の命を懸けて使命を遂行することを医師は神に誓っているということを私は常々考えております。  ですから、そういう意味で、やはり日本の医療を良くしたい、社会が許容する範囲の中で、日本の医療を、最善の医療を作りたいということからいろいろな活動をしてきているわけでございます。  それで、患者さん個人にとって医療の質というものは必要な医療が適切に得られること、何が必要であるのか、必要な医療というのはどういうものであるのか。適切にというその方法論でありますけれども、きちっと説明がなされているのか、あるいは社会が許容する範囲のことをすべてそこに網羅されているのかどうか。得るということは、与えられるということではなくて、患者さんが参加をして自分で選択をするということであるということが基本であります。  そこで、私の今日の主題は「選択の自由」ということを持ってまいりました。  規制改革委員会等で私も市場競争原理という言葉を何回も聞かされましたけれども、医療の中で余り競争原理という言葉はふさわしくないのではないか。ですから、選択の原理とか、あるいは選択の自由という言葉の方がふさわしいというふうに思って選択の自由という言葉を使っております。今、日本の社会というのは非常に経済を含めて閉塞感がある。閉塞感を打破するというのは、やはりこの選択を自分でできるということが大切なのではないかというふうに思います。  少し生意気なようでございますが、この資料の右の上の方に「社会システムはバランスである」、絶対正しいということはございません。ですから、常に社会を見ながら、右なのか左なのか、どこにその調整をしていくかというバランスを大切にしなければいけないんだろうというふうに思っております。その中で、バランスを考えたときに、ある一点だけ考えるということではなくて、総合的な視野を持つということは極めて大切でございます。  それから、フェアとリーズナブルとシンプルというのは私の政策の三つの基本でございますけれども、フェアというのは公平ではありません。公正であるということであります。公平というのは、すべて一律に同じであるはずだという、違いを認めない言葉であります。公正ということは、違いを前提にして、それを正しく評価をして、その評価の結果に対して適切に対応するという言葉が公正という言葉でございます。これがフェアであります。リーズナブルというのは、合理的という言葉よりは理にかなっている、多くの人たちが納得できるということなんだろうと思います。全員一致ではございません。それから、シンプルというのは、分かりやすいということであります。  パブリック・プライベート・パートナーシップというのは、公と私、官と民という言葉の違いを先生方御存じでいらっしゃると思いますけれども、民間であっても公の仕事をしなければいけないということがございます。  それから、ネガティブリストの社会というのはどういうことかといいますと、ポジティブリストの社会ではないと。ポジティブリストの社会というのは、やっていいことをいわゆる行政あるいは政治の判断にゆだねて、やっていいことを増やしていく、リストを増やしていくという社会であって、それ以外は原則禁止という社会であります。ネガティブリストの社会というのは、やっていけないことを最小限にリストの中にとどめて、あとは自己責任で原則自由にするという社会であります。そういう社会にしなければいけないというふうに思っていて、これが私の社会に対する基本的な考え方であります。  その次に、医療でございますけれども、この円をごらんいただきたいんですが、「社会保険」という黄色い部分、この中に閉じ込められている。閉じ込められている中で、左側の「多くの矛盾・分配論」と書きました。  日本の医療には非常にたくさんの矛盾がございます。例えば医療費、これは全国一律の制度であって、コストは全く地域によって違う。それから、コストとエクスペンスの違い。日本の医療を、現在の医療を支えるためにもコストが三十五兆円ほど掛かっていますけれども、医療費として支払われているのは、三十兆円か三十一兆円ぐらいが医療費であります。その差額は何なのか。例えば、他会計からの繰入金、これは一兆数千億円毎年ございます。それから、表に出ない患者さんの御負担、そういうものを含めてコストをようやく支払の方でカバーしているというような形であって、コストとエクスペンスが一致していない。それからさらに、診療報酬体系というのは、医療の、あるいは診療の質を問わない体系になってしまっているということに問題があります。  それからさらに、開設主体というのは、これは株式会社の問題は後ほど触れたいと思いますけれども、開設主体は既に二十数種類あります。非常に多くの矛盾を抱えています。あるいは、医学あるいは医師の教育に関しての医局の問題、こういったものも考えなければいけないというふうに思っております。  それから、その黄色の中で、分配論をする、分配論というのは堺屋太一さんが昔おっしゃっていらっしゃいましたけれども、分配論というのは嫉妬の経済学しか生まないというようなことで、だれが幾ら持っていったかということであって、枠を拡大する議論をしなければいけないのではないかというふうに思います。  その周りにあるこの緑色の「医療・保健」と書きましたのは、これはいわゆる衛生法規に関して、社会保険に収載されていなくても医学的見地からこれは効果があるのではないかというふうに認められているものを含めての、この衛生法規の部分でありますけれども、この部分は私はやはり医療では外してはいけないことだろうというふうに思います。これを中からも何とかこの矛盾を解決し、分配論ではなくて枠を拡大したいという力はございます。私だけではございません。それから、外からは、新しいビジネスチャンスとしてそれをとらえている人たちは決して少なくはないというふうに思います。  この二つの力を考えてみて、この枠を拡大しなければいけない。拡大するためには点線のこの青い部分を膨らますということであって、現在日本の医療費、先ほどのコストの部分で考えれば三十数兆円あるわけでありますけれども、これはGDPの中でも既に第四番目ぐらいの大きさの産業として位置付けられるんではないかと思います。これからの日本のGDPあるいは経済を考えたときに、確実に拡大できる可能性を持つものの、これはもう私はその最たるものではないかというふうに思っております。  そこで、現在の日本の医療でありますけれども、これは左の上に書きました。「貧困からの救済」という、まだ一九四五年当時の基本理念が残っていて、先ほどの公平、すべて一律に同じであるはずだという公平と、量を拡大してきた医療でございました。これは同質性の社会というものを意味して、この中に、異質であるということを前提にした第三者機能評価を導入するというのは非常に時間が掛かります。約十五年掛かりました。  国民皆保険制度、これは将来的にも確保していかなければいけないことだと思います。フリーアクセス。フリーアクセスには大きな問題がございます。適正なアクセスを確保するということであって、どこに何回行っても構わないというものでは私はないというふうに思います。それから、自由標榜制。開業するときにどんな標榜科を選ぶかということは、自分が選ぶことができるということ、これにも多くの矛盾があると思います。それから出来高払にも矛盾があると思う。支払制度、幾つかの支払制度がございます。  そこで、それをどういうふうに見直すかということがその下でございますけれども、「制度見直しの目標」というのは、患者さんが選択できる制度にする、それから医療の質を向上させるような方向に持っていかなければいけない、医療の枠の拡大、それから提供者側も選択肢を持ちたいというような気持ちがございます。  右側に参りますけれども、「活力ある経済社会に向けて」。  今と同じような問題ありますけれども、選択原理それから質の向上とともに、産業、内需そのものであるということ、それから技術政策、いろいろなナノテクノロジーあるいはバイオその他を含めて、可能性はもう本当に無限にあるというふうに考えております。雇用政策、まだまだ数十万人あるいは百万人を超える雇用が、医療が拡大をする、これは無限に拡大をするということではなくて社会が許容する範囲で拡大をする、社会保険とその周辺の部分を含めてでありますけれども、ことが可能であるというふうに考えます。  それから、国際的視点。ここに「国際貢献」と書きましたけれども、国際的にその国に出掛けていってということではなくて、教育を含めて、いろいろな途上国の人たちの教育を日本で引き受けるということが国際貢献の私はもう基本であるというふうに思っております。  それから、保険制度、医療提供体制も、基本的には私は民営化をすべきであると。アメリカのメディケア、メディケードの支払が、公的保険の支払がもう既に五〇%を超えております。アメリカの医療費というのは、日本円に直すと現在でも百五十兆円ほどお金が掛かっていて、全世界の二分の一以上のお金をアメリカ一国で医療費として使っています。  それでも、その下でございますけれども、アメリカの医療を見たときに、まずアメリカの医療制度、勉強すべきことがたくさんあります。制度として、マネージドケアを含めて、我々が導入するかしないかは別にしましても、非常に参考になる制度がございます。それから、マネジメント。病院のマネジメント、医療政策のマネジメントというのははるかにアメリカの方が進んでおります。医療の評価、あるいは医学教育、それから医師、看護婦その他、看護師でございますか、専門職が直接日本に来ても十分な診療ができるということ。それから、物。薬でもそうですし、あるいはその医療材料、医療機器、そういったものもアメリカからの輸入がかなりたくさんあるというふうに考えておりまして、お金を掛けるということは、こういうものを貿易財として国際的に流通できると。  我が国は一体何があるでしょうか。我が国に以前、国民皆保険制度を勉強するために来た人たち、アジアからたくさん来られました。今は全くありません。我々が出掛けていって、アメリカに行き、オーストラリアに行き、韓国が今すばらしく変化をしています。そういうところに我々が出掛けていかなければいけないものになってしまったんですね。非常に私は残念だろうと思います。  今回、私は特区の申請をいたしました。千代田区丸の内の医療特区を出したんですけれども、それは、私どもは財団でございますけれども、資金調達の道が非常に限られている。我々の資金ではとてもこういう事業はできないというようなことで、資金調達の道として株式会社と組みたいということがあります。それから、価格の自由化。これは混合診療でありますけれども、価格を自由化しなければいけないということ。それから、資格の国際化。海外から、特にアメリカ、ヨーロッパの医師は、あるいは看護師は日本でも十分に仕事が果たせるというふうに考えている。これが競争なのか選択になるかということであります。  それから、こちらの方の資料でございますけれども、日本にいる外国人は日本の医療を選ばないと。非常に残念なことでございます。後ほどお目を通しいただければと思います。  以上でございます。

小川敏夫民主党・新緑風会

○委員長(小川敏夫君) ありがとうございました。  次に、角瀬参考人にお願いいたします。角瀬参考人。

角瀬保雄法政大学経営学部教授

○参考人(角瀬保雄君) 法政大学の角瀬と申します。  今回の構造改革特区法案に対する参考人意見の依頼がありましたのがちょうど一週間前のことで、時間的にもかなり押し詰まった時期でありました。早速、法案等、資料を送っていただき、目を通したところでありますが、限られた時間でもあり、法律の条文や個々の提案の内容を検討することは不可能でありました。そこで、構造改革特区構想の背景と本質に関する私なりの考えを取りまとめてお話しするのが最も適切と考えて参りました。  かつて、私は、規制緩和が大きな問題となり始めました一九九三年当時、衆議院の規制緩和に関する特別委員会に参考人として出席する機会があり、以来、規制緩和問題については著書等を通じて発言をしてまいりました。  当時は細川内閣の時代で、以来、内閣は次々と変わりましたが、政府の規制緩和促進の政策は一貫しております。当時の規制緩和という言葉はやがて規制改革に改められ、現在の小泉内閣の下では構造改革という言葉が用いられておりますが、そこに流れている思想は、国際的にはレーガン、サッチャーに代表された新自由主義思想で、市場原理万能主義とも言われているものであります。その世界的な背景としてはグローバリゼーションの流れがあり、地球全体を活動の場として行動する多国籍企業、多国籍金融機関の要求がありました。グローバリゼーションの結果、富める者と貧しい者への社会の二極分化と弱者の社会的排除が進みました。規制緩和とIT革命がもてはやされたアメリカの九〇年代の好景気も、エンロン、ワールドコム事件で証明されましたように、IT・株式バブルによるものでしかありませんでした。今日ではその崩壊が明らかとなっております。  我が国では、九〇年代のバブル崩壊後、経済不況が深刻化する中で、細川首相の私的諮問機関でありました経済改革研究会から平岩リポートが発表され、公的規制について、経済的規制は原則自由、社会的規制についても、経済的規制の機能を持つとして必要最小限に縮小するというスローガンが打ち出されました。こうした中で、景気回復のためには規制緩和という大合唱が繰り広げられたわけでありますが、私は規制緩和による競争の促進、効率化の追求は、弱肉強食によって大企業は栄えても、中小企業の整理淘汰と働く者の失業の増大をもたらさずにはおかず、景気回復に逆行するものであるという意見を申し上げました。  その後、約十年間の事態の推移は私の危惧が正しかったことを証明したものと考えております。その後も景気は一向に良くならないばかりか、リストラによって完全失業率は五・五%と高い水準で続いております。今後、小泉内閣の構造改革が進められていくならば、さらに中小企業の倒産や失業者が増大するであろうということは多くの識者の一致して見るところとなっております。  こうした中で、経済を活性化させることは必要欠くべからざるところでありますが、経済が閉塞状態にあるのは、規制があるということよりも、バブルに見られたような利潤第一主義と反社会的な企業の行動に問題があったと言えます。自ら反省することなしに、規制を緩和しさえすればという単純な発想はいただけません。  ここで誤解のないように申し添えておきますと、私は、今日の日本経済の再生にとって、ある意味での構造改革が必要なこと、また規制改革が必要であるという考え方を持っておりますが、その内容は政府が考えているところとは大きく異なっております。それは、あるべき日本の姿、日本の将来像をどう考えるかによって大きく変わってくるからであります。利潤の追求と効率優先の弱肉強食がまかり通る社会が望ましいのかどうか、そうではなく、弱者に優しい福祉社会、協同と共生の社会が望ましいのかによって大きく分かれてきます。私は後者の立場に立っております。  また、規制について言いますと、それはすべて維持すべきものとも考えておりません。国民の生活向上にとって必要でない、邪魔になる官僚的な規制はなくすべきであると思いますが、国民生活にとって必要欠くべからざる社会的規制は強化する必要があると考えております。したがって、規制一般が是か非かと言うことはできず、個別具体的に検討し、その必要性、問題点を検討すべきものと言えます。国の規制緩和政策に対し、地方自治体が住民の生活の立場から地方独自の規制を強化することも必要と考えております。  現在の小泉内閣は、これまでの歴代の内閣と同様に、構造改革なくして景気回復なしと叫び続けておりますが、景気は一向に良くならず、国民の将来の生活に対する不安は増大するばかりであります。それに対して、規制緩和政策が悪いのではなく、与党内のいわゆる抵抗勢力や官僚の反対があり思うように進んでいないことが見るべき効果の上がっていない原因だとして、その徹底化が図られようとしております。こうした中で、そのための手段、突破口として打ち出されてきたのが今回の構造改革特区構想であると思います。  構造改革特区構想は、これまでの、規制は全国一律の形でなければならないという考えから、地方の特性に応じた規制を認めるという考え方に転換を図ると言われるもので、まず地方公共団体や民間事業者等の自発的な立案により、地域の特性に応じた規制の特例を導入する構造改革特区を設け、そこでの実験の成功を通して全国的な構造改革へと導き、我が国全体の経済の活性化を実現させようとするものと言われております。そのために、地方からの申請を基に内閣がそれを承認するという手法をもってするところに特徴が見られます。しかし、地域間の公平性が崩れたり、適用を受ける地域、人の間での平等性の確保などが問題点として指摘されてもおります。  第一次緩和要望として示されたものは九百三項目に上り、そのうち特区として認められたのは約一割の九十三項目とされておりますが、その内容は様々であります。さらに、総合規制改革会議の第二次答申で検討されるものから、平成十五年の一月十五日を期限とする新たな提案の受付も予定されており、その全体像は必ずしも明確になってはおりません。  大きな問題となりました農業、医療、教育への株式会社の参入について見ますと、医療、教育については見送られたとのことでありますが、総合規制改革会議の第二次答申では、教育研究分野への株式会社の参入が目玉として再度浮上してくるものとの報道もあります。  個別の事例として挙げられているものについて見ますと、国際交流から産業競争力の強化、新産業の創出、技術開発、産学官連携から町おこしに至るまで様々なものが見られ、その中には煩雑なお役所式の形式主義の簡略化、廃止など国民の要求にこたえるものも見られますが、公共的な分野への株式会社の参入解禁など、規制緩和によるビジネスチャンスを追い求める大企業の要求にこたえるものについては問題と言えます。そうした点からも、総合規制改革会議の中間取りまとめに見られる、生命・身体・健康、公序良俗、消費者保護等に関する規制であるという理由によって対象外とすべきではないという発想には大きな問題があります。生存権よりも経済効率を優先させようという発想が見られるからです。  今大きな問題となっているところについて見ますと、まず農業ですが、食糧自給率の低下はとどまるところを知らず、憂うべき状況にあることは広く知られております。さらに、最近では、食の安全性が大きく脅かされてきております。こうした中、国内農業の振興が求められておりますが、政府は米の生産調整から手を引こうとしております。こうした中での株式会社の農業参入と農業を市場原理にゆだねることは、農業保護に取り組んでいる欧米諸国の動向にも逆行するもので、日本農業の再生に資するものとは思われません。  さらに、国民の命と健康にかかわる医療について見ますと、医療改革によって国民の負担は増大するばかりで、受診抑制が広がってきております。病気になっても医者に掛かれない深刻な状況も生まれております。また、医療機関に対する診療報酬の引下げは病院経営を直撃しておりますが、こうした中、医療分野への株式会社の参入と先端的治療に関する混合診療の容認など、私費診療の拡大が進められようとしております。しかし、そうした医療の公共性を顧みない市場化、営利化では、金持ちにはいいかもしれませんが、公的医療に頼るしかない低所得者にとっては命を守る医療の機会が失われることになります。非営利の無差別平等の医療制度が守られなければならないゆえんです。  高齢者の介護の問題についても、介護保険の導入は二面的な影響をもたらしています。高額所得者にとってはこれまでよりも負担が軽減する良い制度であるとしても、低所得者にとっては選択の自由はなく、サービスの抑制をしなければ負担し切れないものとなっております。ここでも株式会社の参入は様々な問題を引き起こしております。  また、地域の公共施設についても、公設民営方式やPFI方式により株式会社が施設運営を行うことを認める特区や、図書館、体育館、学校などの第三セクター以外の民間企業へのアウトソーシングを解禁するなど、株式会社の参入を認め、営利企業の利益追求にゆだねることには問題があります。  また、教育について見ますと、教育の高度化、多様化推進の名の下に競争が奨励され、教育の機会均等が破壊されたり、株式会社の学校経営への参入など、教育が営利企業の利益追求の対象とされることには問題があります。これまでの官僚的規制にも様々な問題がありましたが、公的責任が放棄され、市場原理による規制へゆだねられることには別の問題が伴います。適切な計画と規制が必要と思われます。  最後に、労働の規制緩和について触れますと、労働者派遣関係の緩和などによる労働力の流動化が更に進められようとしております。これは、リストラの受皿作りとして人件費の切下げによる企業の競争力の強化には役立っても、働く者の賃金水準の引下げに拍車を掛けるもので、景気回復の足を引っ張るものと言えます。また、特区内に派遣労働者と非正規雇用の労働者ばかりという労働法制の規制緩和特区になるようなことにでもなれば、人権保護の見地からいっても問題となります。また、障害者雇用の促進などは規制の強化が必要になっています。  以上、見てきましたように、構造改革特区の構想は、個々の提案の中には評価されるべきものが含まれ得るとしても、その背景と本質に立ち返ってみるとき、全体としては規制緩和の持つ否定的な影響を拡大するものであり、受け入れることができないというのが私の意見であります。  以上で終わります。

小川敏夫民主党・新緑風会

○委員長(小川敏夫君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  なお、質疑時間が限られておりますので、簡潔に御答弁いただくようお願い申し上げます。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 おはようございます。自由民主党の森下博之でございます。  構造改革特区域法案につきまして、三人の先生から大変貴重な御意見を賜りまして誠にありがとうございました。  時間が限られておりますので、早速まず八代先生から御意見を承りたいと存じます。  八代先生は、平成十年から政府の規制改革緩和委員会の委員をされ、また昨年四月からは内閣の総合規制改革会議の委員を歴任をされておられるところであります。先生は構造改革特区構想の具体化に深くかかわられてこられた方と思うわけであります。  まず、大変素朴な質問で恐縮でございますが、以前は規制緩和と言っておったものが最近では規制改革というふうに言われておるところであります。また、規制改革特区と呼ばれたものが構造改革特別区域と、こういうことに相なっておるわけでありますが、この言葉の変遷といいますか、そういうものに何か特別の差異があるかということが一点。  それから、先生率直に、この国会に法案が出てくるまでいろんな経過をたどるわけでございまして、初めに予定をされた法案の理念というものが必ずしも十分かどうかという問題もあるわけでありますが、この点につきまして先生の率直なこの法案の採点といいますか、というものをちょっと併せて承れれば有り難いと思いますし、あるいは、この点がちょっと抜けておるんじゃないかというような御感想がございましたらお聞かせ賜りたいと思います。  よろしくお願いいたします。

八代尚宏社団法人日本経済研究センター理事長

○参考人(八代尚宏君) どうも貴重な御質問をいただきましてありがとうございました。  まず、言葉の定義でございますが、私は基本的に、規制改革特区も構造改革特区も、あるいは規制緩和も規制改革も、基本的には変わることはないと思います。  ただ、規制緩和という言葉自体が非常に誤ったイメージを持たれる、つまり新自由主義であるとか、市場万能であるとか、弱肉強食であるとか、そういう誤解を生むために、そうではなくて、古い制度を新しい制度に変える規制改革であるということを、内容は変わらないんですが、誤解を受けない表現に変えているというのが一つの解釈だと思います。すなわち、アダム・スミスでさえ市場万能ということは言っていないわけであります。アダム・スミスの国富論の本を読んでいただければ、その四分の一のページは財政論に触れられているわけでありまして、いかに自由放任の市場というものは存在しないのかということでありまして、政府の適切な介入は常に必要であります。  問題は、何が適切な介入かというときに、個々の消費者とか企業の行動自体に介入するとこれは社会主義になってしまうと。そうではなくて、独占とか不当な競争制限とか、あるいは大企業に対する、中小企業の不公平な取引であるとか、そういうものを政府が規制して、できるだけ自由な取引を行う。それによって企業も消費者もできるだけ選択の自由を得ると、それが人々の生活を向上させるために大事な点である。これを強調するために規制改革という言葉を使ったわけで、元々規制緩和もそういう思想を持っていたという点では変わりはございません。  それから、構造改革特区というのは経済財政諮問会議の方で言われた表現で、同時に、規制改革会議の方では規制改革特区ということを言っていたわけですが、これは同時並行的に審議が進んだためにこうなったわけでありまして、結果的に実態は変わっておりません。  それから、御質問の、法案を作った経緯でございますが、最初にこの規制改革特区の考え方を出したときは、はっきり言って霞が関の非常識と言われました。こんな法案が内閣法制局を通るはずがないということを言われたわけですが、現に法制局の合意もいただいたわけで、そういう意味では、当初の法案の考え方というのはかなり生かされていると思います。  ただ、残念ながら、これが規制改革の突破口になるためには様々な問題点があるかと思います。例えば、法案にございますような、特区を認定するときに各省が同意するということでありまして、この同意要件が余りにも厳しければ結果的に各省の法律を変えるのと何の違いもなくなってしまうわけであります。しかし、この同意というものを、一つの構造改革特区というもののアイデアに対して反するようなもの、例えば住民の本当の希望を踏みにじるような仕組みであるとか、あるいはいろんな本来の、規制改革と言いながら実は逆に規制強化になっていたり、特定の企業の利益になるようなものであるとか、そういう特区の精神に反するようなものであればこれを否定するという非常にネガティブチェック的なイメージでとらえるのであれば、これは当然必要なことではないかと思います。  それから、同じように、特区の評価を関係各大臣がやるということでございますが、当然ながら、第一次の評価は関係各大臣がやられるのは当然でありますけれども、そこだけで決めていただいてはいけないわけでありまして、やはり全国総合的な判断から決める必要がある。そのときは、政府だけの判断ではなくて、当然ながら民間の見識というか、民間の評価も受けるようなオープンな仕組みにならなければいけない。  そういう意味では、これは今後の課題でありまして、この法案がどう運用されるかということが実は大事でありまして、現在の法案の段階ではこれは様々な可能性があるわけで、ですから、できるだけ悪い可能性を排除し、良い方向に向けていくというのが今後の運営の工夫次第でございますので、採点せよということですが、私は基本的に、一部不満は残っておりますが、全体的には良といいますか、つまり七十点ということでいいのではないかと思っております。  以上でございます。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 大変、先生、ありがとうございました。  もう一点だけ承りたいと思います。  私、四国の片田舎の高知県選出の参議院議員であるわけでありますが、この法案の審議に当たりましては島袋先生のところの沖縄がいつも話題になるところでありますが、私の高知県も沖縄と県民所得さして変わらない、非常に厳しい条件下にある県であるわけであります。私は、高知県あるいは四国全体を、一つの地域の活性化を図るためにこの特区として考えていただければなということの願いを持つ者の一人であります。二次募集もあるということでございますので、私も大いに努力をしたいと考えておるところでございます。  考え方を若干異にするかも分かりませんが、私は、国土政策ということを考えた場合は、東京一点集中ということは私は排すべきではないかと思うわけであります。こういった、地方に大規模な特区といいますか、規制改革区域を設けるということも大変必要ではないかとも思うわけでありますが、この点の所見を先生、よろしくお願いいたします。

八代尚宏社団法人日本経済研究センター理事長

○参考人(八代尚宏君) おっしゃる点はよく分かるわけですが、ただ、沖縄の金融特区は、ここで議論している構造改革特区以前に構想された、私はやや古い形の特区ではないかと思います。これはあくまでも国のモデル事業であって、沖縄の地域振興という観点から様々な規制緩和と、それから一種の財政的な補助も含めて行われた、あくまでも地域振興のための特区であろうかと思います。  それ自体はもちろん大事なことだと思いますが、ここでの特区というのは、むしろそういう面だけではなくて、やはり、例えば高知で全く新しい仕組みを考えていただいて、そこで高知から日本全体を活性化させるというような発想で考えていただく特区というのを今、正に募集しているわけでございます。そのときに、従来型の財政を、国から財政面での補助をいただいてやるということでは、財源に限りもございますし、やはり知恵を出していただきたいと。  例えば、米国が八〇年代に非常に長期停滞に陥ったときは、米国の各州から例えば知事あるいは政治家の方も日本にやってきて、是非工場を日本からアメリカに誘致したいというような努力をされたわけでありますが、日本も正に今、同じような状況にある。何も日本の企業だけじゃなくてアジアの企業、大企業だけじゃなくて中小企業、そういう企業の方に来ていただいて地域の活性化を図る。そのためには、現在の様々な官僚的な規制が邪魔になっているわけで、これを取っ払い、かつ地方のアイデアで地域を活性化していただくということが大事だと思います。  私は、この規制改革というのは大企業より中小企業にとって大きなメリットがある。つまり、それは、大企業というのはどっちみち優越的な地位にあって、今でも正に中小企業よりも逆に言えば大きな優越的な立場にあるわけであって、それと十分に競争するためには中小企業の活力が大事であって、ただ中小企業の場合は、様々な大企業と比べてハンディキャップがあることによって規制に対して十分対抗できるだけの力がない。その意味で、規制緩和というのは自由貿易と同じであります。  自由貿易というのは正に弱者の論理でありまして、これは経済学で教えるように、賃金の安い国が賃金の高い国に物を輸出することによって、比較生産費原理に基づいて貧しい国が豊かになる。ですから、自由貿易を恐れているのはむしろ豊かな国でありまして、それと同じように、規制緩和というのは、正に中小企業あるいはこれまで貧しかった地域が自由な貿易をすることによってより豊かな地域に接近するというための重要な大きな手段ではないかと思います。  そういう意味で、是非、地域に大規模な特区を作っていただく、それによって地域を活性化していただくということをどんどん御提言いただければ有り難いと思います。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 先生、ありがとうございました。  河北先生に一点承りたいと存じます。医療分野への株式会社の参入の問題についてでありますが、一昨日の当委員会におきましても、山口先生と局長のやり取りを承っておりまして、この問題というのは大変難しい問題をはらんでおるなという認識であるわけであります。私も、株式会社悪玉論といいますか、そういうものにくみするものではもちろんないわけでありますが、特にこの東証一部上場会社にも消費者を欺いたというか、そういうことで大変国民の糾弾を受けておる会社もありますし、また一方では、医療機関や医療法人もいろんな問題を惹起をいたしておるわけであります。  先生の今日の御意見を承りまして少しは理解は深まったつもりでございますが、私も確たる一つの自分の意見をいまだ正直持ち合わせていないわけであります。  この日本の医療改革というものは、今後とも当然のことながら進めていかなくてはならない問題であろうかと思うわけでありますが、この日本の医療改革というものと先生のお考えになっておられる特区というものとの関係といいますか、そのことについてもう少し御意見を賜れば有り難いんですが、よろしくお願いします。

河北博文医療法人財団河北総合病院理事長

○参考人(河北博文君) 医療制度全般を取ったときに、やはり国民、すべての国民一人一人に関してセーフティーネットを張って、すべての人が利用できる制度を作るということは私は基本だろうというふうに思っております。ですから、国家の政策として医療制度を構築するときには非常に幅の広いものでなければいけないと。  ただ、先ほど八代先生が言われたように、医療というものは新しいものを追求していく、あるいは患者さんの個別性に合ったものを考えていくということが必要であります。患者さんの個別性に対して医療の標準化という話がございますけれども、これも当然なされなければいけない。  今、私どもは診療情報の標準化とデータベース化というものを厚生科学研究の中でこの四年間、五年ですか、やってまいりましたけれども、それを含めてエビデンス・ベースド・メディスンと言われるような科学的根拠あるいは文献的根拠に基づいた標準化をなすというようなことも当然必要であって、その医療の診療の標準化の中で患者さんの個別性を考える。ですから、国家政策としてすべての人が利用できるシステムでなければいけないと同時に、患者さんの個別性を考えることも必要なんだろうと思います。  それから、科学的根拠に基づいて診療をされるということであり、しかも我が国の社会生活あるいは経済力というものを考えたときに、国際水準、グローバルスタンダードではなくて、国際的に海外の人たちが見ても十分な水準を維持した医療でなければいけないというふうに思っておりまして、そういう意味では特区というところで新たなものに関して、あるいは患者さん個人が選択をするものに関しては、その特区というようないわゆる実験の場というものが私はあってもいいのではないかというふうに思います。  それからもう一つ、株式会社の病院経営の参入でございますけれども、先ほど私は排除する理由がないということを申し上げました。私は積極的に株式会社が入ってくればいいとは考えておりません。ただ、排除する理由はない。  二十数種類の開設主体は、これはもう極めて矛盾に満ちています。それこそ国立病院あるいは自治体立病院と言われるようなところに多額の一般会計からの繰入金がなされている、あるいは他会計からの繰入れがなされている。それから、政策医療と称するものがその理由に使われているというようなこともありますし、あるいは個人の病院、医療法人社団というような個人の持ち分を認めているところ。  これは、ちょっとごめんなさい、議論を整理する意味で、株式会社の参入に関しては、まず一つは資金調達の問題があります。それからもう一つは利益処分の問題があります。それからもう一つは診療の質ということなんだろうと思いますけれども、資金調達に関しましては、医療法人というもの、特に医療法人を取り上げた場合には、今までは金融機関からの借入れだけに頼るということになってしまっていて、多様化した資金調達の道がないということがございますので、是非これは拡大をする意味で株式会社的な発想が必要であるというふうに考えております。  それから、利益の処分でありますけれども、この利益の処分は、私的所有を認めているということは結果として一〇〇%配当をしてしまうことになるんですね。ですから、ここを変えない限りは、一〇〇%配当というのは一部配当している株式会社以上にそこに留保をしてしまうということになりますから、大きな矛盾であるというふうに考えます。  それから、診療の質ということでよくクリームスキミングというふうに言われますけれども、それでは現在の医療機関がそれをしていないかといえば、やはり、これを不採算とは私言いません、採算がうまく取れない分野に関してはどんどん排除をしている医療機関が非常に多い。東京都内でも、やはり小児医療、小児救急に関してはほとんど手を出さなくなってしまったということ。小児科の、これは小児病床と小児科病床とは違いますけれども、そういうものを病院の中で解消してしまったというところがたくさんございます。  ですから、株式会社であろうと現在の医療機関であろうとさほどの差はないというふうなことで、先ほど私は医師のプロフェッショナルコミットメントというふうに言いましたけれども、医師が本当にしっかりして患者さん個人個人にしっかりした診療がなされれば、私は開設主体を問う必要はないというふうに考えております。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 先生、ありがとうございました。  角瀬先生にも御質問させていただきたいと思っておりましたが、ちょっと時間が参りましたので、私、先生の母校の出身でございますので、改めて学校へ参りまして教えを請いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  以上で終わります。

松井孝治民主党・新緑風会

○松井孝治君 民主党の松井孝治でございます。  先生方におかれましては貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。  まず、八代先生に御質問をさせていただきたいと思います。  八代先生がこの特区構想の原案の部分をお作りになられて、ここまで御苦労されながら推進してこられたことに敬意を表したいと存じます。  その上で、その御趣旨について十分私も理解したつもりでおりますが、あえてそもそもの原案御提案者のお一人である八代先生に確認的にお伺いしたいんですけれども、この特区の構想を規制改革の突破口にしようという思いはよく理解できたんですが、他方で、レントシーキング合戦といいましょうか、特にこれだけ財政制約が厳しい中で、ややもすると地域振興がまず先立ってしまっていて、そして地域振興を行うためには、全国的な規制改革が行われるのではなくて、その地域に規制の特例措置が一定期間温存されることが確保されないと、例えば一定の産業集積が起こりにくいとか。したがって、地域振興のためには、平たい言葉で言うと、地域利権的なものにこの特区がなる可能性というのはやはり私あると思うんですね。それに対してどういう歯止めを掛ければいいのか。  先ほど八代先生は自由貿易になぞらえてお話をされておられましたし、先日、ある種これは最恵国待遇的なものでなければいけない、排他的な特許権的なものであってはいけないというようなお話も先生の御説を耳にしたところでございますが、その意味で、この特区というものをどういうふうに規制改革の中で位置付けて、それを全国展開をすべきなのか。特区の性格について、八代先生から御意見を賜りたいと思います。

八代尚宏社団法人日本経済研究センター理事長

○参考人(八代尚宏君) ありがとうございました。  正にその点が非常に重要なポイントだと思います。  それから、最初に、この特区構想というのは決して個人的なものではなくて、若手官僚あるいは衆議院のこれと同じような委員会で参考人として呼ばれました福井政策大学院大学教授等、多くの方がかかわっておられます。  それから、正におっしゃったように、この構造改革特区というのは、従来型の国のモデル事業とは違って、特定の地域だけに排他的な利益を与えるようなものであってはいけない。それは、従来の国のモデル事業は正に後れた地域の開発、振興、それから国土の均衡ある発展というために正に特定の地域に排他的利益を与えていたわけでございますが、今回はそういうものであってはいけない。  そういう意味で、例えば特定の地域だけが規制改革の恩恵を受けるとほかの地域が自動的にその分だけ損をしてしまうというようなゼロサムゲームであってはいけないということは強く認識しております。  ですから、今回の特区法案では必ずしも明確にはなっておりませんが、規制改革会議の中間答申ではカジノ特区のようなものは認めない。なぜならば、カジノ特区というようなものは、ある地域だけ認めて隣の地域で認めなければ明らかにほかの地域が損をしてしまうような、ゼロサムゲームに近いようなものだからということでありまして、これは当然ながら、もちろん法律自体が完成されて全国どこでもできるようになればそれはそれで結構なわけですが、最初の特区の対象としては必ずしもふさわしくないんじゃないかということでございます。  それから、ある地域が非常に苦労されて新しいアイデアを持って特区を作られた、それが成功した。それをほかの地域がまねしてはいけないというような、正に今、松井先生が御発言になったような特許権的なものも排除するというのも一つの大きな思想であります。むしろ積極的にまねしてもらいたい。最初の先発者というのは、もちろんある意味で名誉的な意味で報われることは大事なんですが、決して企業が開発する特許権のような形での利益を受けてはいけないというのが一つでございます。  だからこそ、先ほども申し上げましたが、政府の特定の地域だけに限った財政的な支援というものがあると正にそれに近いものになりますので、今回はこれは極力考えるべきではないんじゃないかということであります。それから、あとはできるだけレントシーキングにならないように、様々なこれからも歯止め措置を付けていくことが大事であろうと思いまして、引き続き松井先生の御発言の趣旨を是非参考にさせていただいて、今後とも、規制改革会議でも特区推進室と協力して考えていきたいと思っております。

松井孝治民主党・新緑風会

○松井孝治君 ありがとうございます。  それで、先ほど森下先生の方からも御発言、御指摘があったところでありますが、これは別に条文審議の時間ではありませんけれども、八代先生が評価のお話をおっしゃっておられました。それは、今の特定地域の利権にしてはいけないということにも関連して、先ほど先生の方にも念のために条文のその関連部分をお届けをいたしましたけれども。  この法律の三十六条に、見出しから言うと、「規制の特例措置の見直し」という条項がございまして、まず、関係行政機関の長が定期的に適用の状況を調査をして本部に報告をするという項目があるわけです。それを受けて、関係行政機関の長は、地方公共団体等の意見を踏まえて必要な措置を講ずる、これをもって政府側はそれを見直しをするんです、あるいは全国的な規制改革の是非を議論するんですというふうな御答弁を既にこの委員会でされています。  例えば、私は、この部分、この第二項の「関係行政機関の長」というのを内閣総理大臣にするとか、あるいは法律上、本部というのが設けられて全閣僚がそこに入って規制改革の在り方を議論するわけですから、例えば、簡単なことは、第二項を内閣総理大臣にするとか、あるいは本部というものをここに位置付けて、主語を政府全体にすることによって、私は、各省庁が個別に、先ほど先生が御指摘されたような不同意というものを乱用するとか、あるいは個別の問題で言うと、文部科学省であるとか厚生労働省だけが規制改革の全国的適用について判断をするということについて、具体的にこの法案を個別に数文字改正をすればおっしゃった点の改善が抜本的に進むと思うんですけれども、この点について、先生の御意見をいただければ有り難いと思います。

八代尚宏社団法人日本経済研究センター理事長

○参考人(八代尚宏君) ありがとうございました。  正におっしゃったように、評価の点は極めて重要であって、特にこの特区法案の基本的な考え方である特定の地域での規制改革が成功したかどうか、成功したらそれを全国的に適用すべきかどうかという評価について、関係行政機関の長だけが判断するのであれば、非常にある意味では危険なことになるわけであります。それは当然ながら、内閣総理大臣あるいは閣議で決定するということが必要だと思われます。  ただ、三十六条の二項をよく見ますと、「関係行政機関の長は、前項の調査の結果及び地方公共団体その他の関係者の意見を踏まえ、必要な措置を講ずる」ということで、なぜか総理大臣が「その他」に入ってしまっているというような、非常にある意味では問題のあることであって、これは是非、ある意味ではそうではなくて、正に関係行政機関の長の意見も当然ながら聞かなければいけないけれども、最終的に決めるのは当然ながら総理大臣であり、また、より幅広い見地から考えなければいけないということは全くそのとおりだと思います。この点はやはり将来の課題になるのではないかと思っております。

松井孝治民主党・新緑風会

○松井孝治君 貴重な御指摘をありがとうございます。  私は、この三十六条について言えば、「地方公共団体その他」ということになって、例えば民間事業者の声も例示に入っていないんですね。すべて「その他」の中に入っている。そういうところにも、何というんでしょうか、シンボリックな、象徴的な、やっぱり官尊民卑的な発想があると思っています。  時間も限られておりますので次の御質問に移行したいと思いますが、先ほど河北先生がお話をされた中で、官と民、公と私というお話があって、全く私も同感でございまして、企業は悪であるとか、あるいは特に大企業が悪であるという発想ではなくて、今や民間も含めて公共的な政策の担い手になりつつある、あるいはもう既になっているということは、今や私は良識ある方々から見ればもう常識のたぐいだと思っております。株式会社の参入を妨げる理由がないとおっしゃったのは、私も全くそう思っておりまして、入口で法人の属性ですべてを判断するという物事の考え方がやはり今非常に大きな間違いを起こしているのではないか。逆に、ある一定の、例えば公益的法人であればそれは善である、その後の行為についてほとんどしかるべき規制が行われていないという現状もあるわけでして、そこの考え方を変えていかなければいけないと思っております。  実は、この委員会におきまして、株式会社の医療分野への参入について、私が十一月の二十八日でございますが、質問をさせていただきました。その際に、鴻池大臣の御見解と厚生労働省の見解というのが大分違っていたと思います。私も別に、医療分野を全部株式会社が席巻すればいいなんということを全然思っていないんですけれども、その食い違いの背景に、厚生労働省の現在の医療の問題、今日、河北先生からるる御説明をいただいて私も非常に勉強になったんですが、そこの現状認識がそもそも大分違っているのかなというふうに率直に言って感じました。  先ほどちょっとその部分のメモを河北先生にもお渡ししたところですけれども、厚生労働副大臣の御答弁の中で言うと、そもそも社会保障、特に医療は人の命にかかわるので、これは特区にまずなじまないという発言をされています。それから、株式会社は営利動機を持つのでクリームスキミングが起こるという懸念を持っているという発言をされています。それから、今の医療についての現状認識として、鴨下副大臣は、もう既に大体の医療に関するサービスは充足しているというような一つの考えがございますというふうにおっしゃっています。さらに、その上で、現在の皆保険で、そしてさらにフリーアクセス等を実現している我が国医療制度そのものが健康寿命、そして費用対効果、こういうような面において世界に冠たる制度であることは間違いない、あとは微調整は否定しないと、そういう御発言をしておられるわけでございまして、そもそも、医療特区の是非に入る前に、現在の我が国の医療の水準、あるいは患者さんにとっての医療の質の問題、あるいは医療の提供者側の問題も含めて、私はこの現状認識自体が相当議論の余地があるのではないかと思いますが、こういう厚生労働省の副大臣の現状認識を踏まえて、そしてまた医療特区制度の在り方について、河北先生から一言御意見をいただきたいと思います。

河北博文医療法人財団河北総合病院理事長

○参考人(河北博文君) 私は、過去を否定をするつもりはございません。ですから、正に今、先生がおっしゃられたように、現状認識をどうするかというところが大きな差になって出てくるんではないかというふうに思っております。  私がアメリカの大学院の学生でいたときが七〇年代後半から八〇年代でございます。例えば、アメリカでメディケア、メディケードという制度が導入されたのは一九六五年でございまして、公的医療保険が導入されると医療の市場が拡大をするというようなものが考えられて、そこに営利企業が参入をしてきた時代でございます。ですから、正に一九七〇年代から八〇年代の前半が営利企業による病院経営が非常に伸びた時期でございました。  ところが、結果として、現在アメリカ、これは統計の取り方にもよるんですけれども、恐らく、医療費ベースで考えたときに、アメリカの営利の病院が持っているシェアというものは恐らく四分の一弱にすぎないというようなことで、そこで基本的に考えなければいけないのは、さっき先生が言われたように、席巻をされるということではないんですね。ですから、営利企業体を私は排除する必要はないと考えておりますけれども、彼らが入ってきたことが現存する医療機関が頑張るということにつながることが大切なんです。現存する医療機関の水準というものは、私は国際的に決して高くはないというふうに思っています。  それが正に私が今日お示しをした、この日経新聞の記事なんですね。海外のことをよく知っている人たちは、日本の医療には、病院には掛からないということをはっきりこの人は書いているわけであります。  そこで、そのために何をすればいいかということでありますけれども、一つは、マネジメントとは何かということを考えるべきなんだろうと思います。私が日本病院会の副会長を六年やり、それから今は東京都病院協会の会長でございますけれども、私が見ていて、日本の病院にマネジメント、組織管理がきちっと存在をしているところは一割にすぎないというふうに考えている。  マネジメントとは一体何かということは、我々が社会から与えられている資源、人的、物的、財的資源を、良質な情報を得て、ある時刻設定の下に、時刻設定がなければやらないことと同じですから、ある時刻設定の下にいかなる社会価値を作り出すかということがマネジメントであります。これは営利であっても非営利であってもマネジメントの原則は変わりません。ですから、先ほど私が申し上げたように、資金調達の道が違うということ、あるいは利益処分の道が違うということであって、マネジメントに差があってはいけないというふうに考えております。ですから、そこは、現存する医療機関が本当に組織管理をきちっとできるマネジメントを持つということが非常に大切であります。  例えば、これはしかられるかもしれませんけれども、国立病院の院長、人事管理権がありますか。人を採用すること、給料を考えること、人を評価すること、全くありません。それから、病院の建て直し、あるいは大きな機械を買う、それも何年も掛かって予算を獲得するということになります。あるいは、お金というのはどんなに病院が頑張ってもそれは国庫に入ってしまって、決められた予算が下りてくるだけである。こういうものは管理者ではないんですね。そういうことを平気でやってきた我々の医療のマネジメントというものは、私はもう破綻寸前であるというふうに考えております。ですから、営利企業体が入ってこようと、やっぱりここを考え直さなければ、日本の医療は、これは更に向上していくということはあり得ないというふうに考えます。  以上でございます。

松井孝治民主党・新緑風会

○松井孝治君 ありがとうございました。  先ほど、八代先生にもう一つ聞き漏らした点がございました。  八代先生、最後に、内閣府と総合規制改革会議との連携という御指摘をされました。これは私も非常に大切な問題だなと思いまして、この委員会でも質問をさせていただいたところでございますが、例えば、鴻池担当大臣が総合規制改革会議にはこれまで出席をされたこともないし、一般的に言えば、事務的に聞けば、総合規制改革会議には石原大臣は御出席されるけれども鴻池大臣はそこに御出席されるメンバーには今のところは入っていないということでございまして、これはやっぱり特区と全体の規制改革のブリッジといいましょうか、特区が自己完結的に存在するのではなくて、それはむしろ全国的に広げていかなければいけない。より良いものを広げていく。そして、ある意味では試行ですから、それは好ましくないといったものをすべて広げる必要はなくて、そこは試行的、あるいは先生は実験という言葉をお使いになられましたが、そこのリンケージをきちんと持たせるべきだと思うんですが、そういう意味で、総合規制改革会議でずっと御議論をしてこられていて、全体の規制改革と特区構想をどうつなげていくか、その体制整備の在り方についての先生の御意見をちょうだいしたいと思います。

八代尚宏社団法人日本経済研究センター理事長

○参考人(八代尚宏君) ありがとうございました。  正にその点も大きな、今後重要になる点だと思います。  先ほど申しましたように、構造改革特区の一つの大きな意味は、やはり社会的実験ということを通じて特区の規制改革を全国的な改革に広げていくということが大事でございまして、この点、当然、連携はございます。  それだけではなくて、今回も現に、特に厚生労働省関係であったわけですが、特区にはなじまない、したがって全国的に規制改革するということを担当省庁自らが定義したということも幾つもあるわけでありまして、正に特区が契機になって全国の規制改革が進むという点もある。  それから三番目に、これはこういうことをやっていて気が付いた点ですが、規制改革で大事なのはシーズというふうに我々言いますが、規制改革に対するニーズがなかなか政府の方まで届いてこない、例えば経団連の要望とかそういうルートしかないんですね。しかし、企業の要望だけじゃなくて、正に国民生活的な要望というものをちゃんと全国的な規制改革につなげるためには正に特区というのは非常にいい方向になってくる。  ある地方自治体の方が言っておられましたけれども、特区というものができると、地方自治体の公務員の方は、これまで法律というのは上から与えられるものだというふうに考えていた。しかし、特区というものができることによって、地方自治体の公務員の方あるいは議会の方あるいは企業の方がそれぞれ何が一番いい制度なのか、これは企業のためだけじゃなくて、国民生活のために、教育も正にその一番典型例でありますが、それを自分たちで考えて、それを自分たちが実現する一つの道が生まれたわけでありまして、そういう意味で、正に地域から全国の規制改革のアイデアを出していただくという一つの大きなルートが形成されたと思っております。  そういう意味で、是非、規制改革会議と特区推進室との今後の連携というのは、大臣のレベルだけじゃなくて事務レベルも含めてあらゆる方向で考えていくべきだと思っております。

松井孝治民主党・新緑風会

○松井孝治君 ありがとうございました。  本来、今御質問をした事項について角瀬先生からも一言御感想をいただこうと思っていたんですが、時間になりましたので私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

白浜一良公明党

○白浜一良君 公明党の白浜と申します。  今日は、お忙しいところ国会に足を運んでいただきまして、貴重な御意見いただきましてありがとうございました。短時間でございますので、早速お伺いしたいと思いますが、八代先生にお伺いしたいわけでございます。  日本は規制社会でございまして、改革せにゃいかぬというのは正しい流れなんで、全体的にはできないんで特区方式でということで、そういう面ではこれは一定の評価できるわけでございますが、しかし問題は二つございまして、この法案の趣旨に書いてございますように、今回は地方自治体からの自発的な立案に基づく制度と、こういうふうになってございますね。ところが、実際提案された件数は四百二十六件ということで、量的にも、また個々の内容から見てもまだまだいかがなものかなと、こういう点が一つございますね。もう一つは、実際に認可になった件数が極めて省庁の壁が厚いから少ないと、この二つの大きな問題があるわけですね。  それで、お伺いしたいんですが、あくまでも地方からの立案と、こういうことになっていますので、そういう面でいうと、地方自治体の能力、これが問われるわけでございますが、このレベルに関しましては先生はどのように認識をされておりますか。

八代尚宏社団法人日本経済研究センター理事長

○参考人(八代尚宏君) ありがとうございました。  まず、四百二十六件、具体的に事項では九百三事項でございますが、これの数については、私はごく短期間の中ではよくこれだけ出していただいたというふうに思っております。特に、わずか八月一か月だけのもので、しかも突然こういう法案が、構想ができたわけでありますから、それに対して、言わば積極的に対応していただいた自治体がこれだけの数であって、私も非公式に伺いますけれども、もう少し時間があれば是非出したかったという方もたくさんおられるわけで、それが次の一月十五日に来るものと期待しております。  それから、自治体の提案ということになっておりますが、これはあくまでも形式でありまして、何も自治体がすべて考える必要はないんで、その自治体、その地域に住んでおられる住民の方あるいは企業の方がアイデアを例えば持ってきて自治体と協力して提案すると。そういう意味では、自治体固有の能力ではなくて、むしろ自治体というのは一種のモデレーターの役割を果たすわけでありまして、大事なのはできるだけ透明性を確保して、その地域の人たちあるいは別に地域でなくてもいいわけで、今後その地域に来る住民の方、企業の方のアイデアをうまく特区を使って全国レベルに提案していただくということでありますから、大事なのは構想力だけじゃなくて、そういうマネジメント能力、それから何といっても自発的な積極的なイニシアチブというのが大事だと思います。  先ほども少し申し上げましたが、やはりこれまでの自治体というのはどっちかというと国に陳情する、お金を陳情するというパターンでありましたけれども、これからはやはりアイデアを売り込むという形の方に変わらなければいけないかと思います。  それから、今、医療関係だけの議論でありますが、特にそれは教育でも重要でありまして、教育は医療と並んで規制にがんじがらめにされている点でありますが、多くの自治体の方が、やっぱりこれでは自分たちの子供の教育がどうしようもないと、もっと自由な学校を作りたいという要望が非常に大きいわけで、こういう面からもどんどんこれはNPO、住民の方々からのアイデアが地方自治体を通じて特区という形で、特区提案という形で国に流れてくるということを期待しております。

白浜一良公明党

○白浜一良君 今お話しされましたですけれども、今回も、民間のアイデアを自治体が吸収して、それを出せばいいので、それは当然そうなんですが、そういう意味で時期的な問題もあるかも分かりませんが、今回は実際民間からのアイデアというか提案は少ないですね。これは、要するに今何が問題になって、どのようにすればこの辺が今後とも活性化してくるでしょうか。

八代尚宏社団法人日本経済研究センター理事長

○参考人(八代尚宏君) ありがとうございました。  おっしゃるとおりで、今後どうすべきかというのは我々も本当に考えているわけでございますが、やはり周知徹底の時間が足らなかった、そういう意味では、今回こういう国会で審議されて新聞あるいはマスコミ等にも大きく取り上げられているわけで、今アイデアを練っていただいている方も多いと思います。  それから、我々の方でも、ただ待っているだけではなくて、例えばこういうアイデアがあるんじゃないかということも積極的に広報していくと、そういう形でそれをまた地域の実情に応じて修正していただく。ただ、我々が考えるアイデアというのはもう基本的にステレオタイプのものでありますから、それに加えて、地方独自の想像も付かなかったようないいアイデアというものが現に来ているわけですし、それが今後更に膨らむというふうに今期待しております。

白浜一良公明党

○白浜一良君 もう一点、八代先生にお伺いします。  先ほども出ていましたが、評価の問題ですね。これは大変大事で、雇用が増えるとかいろんな見方というのがあると思うんですが、評価する場合どこの機関がやるかと。第三者機関とかいろいろおっしゃっていますが、そういうこともあるんですけれども、その評価のいわゆる基準というか、何かお考えがございましたら、お教えいただきたいと思います。

八代尚宏社団法人日本経済研究センター理事長

○参考人(八代尚宏君) これはまだ、私どもももちろん個人的に考えておりますし、規制改革会議でも今後最重点事項ということで考えなければいけませんが、やはり私は一つは雇用だと思いますね。やはり今一番問題になっているのは失業の問題でもありますし、やはり古い産業をいつまでも抱えておくことはできない、しかしそこで働いている人を新しい産業に移すためには新しい産業がどんどん発展しなきゃいけない、そのためには雇用拡大というのが一つの大きな基準になると思います。  ただ、それだけではなくて、直接雇用に結び付かなくても、先ほども河北先生もおっしゃいましたが、消費者の選択肢が拡大する、これまではお仕着せのメニューしかなかった、教育でも医療でもですね、それを多様な選択肢が広がるということ自体これは国民の満足度を高める大きな要因ではないかと思います。  ただ、満足度が高まれば自然と需要も増えますから、それがまた生産の拡大、雇用の拡大にも結び付くわけでありまして、そういう意味では一番分かりやすい手法は一つは雇用だと思いますが、ほかにもいろいろいいアイデアがあるかと思います。

白浜一良公明党

○白浜一良君 どうもありがとうございました。  次に、河北先生にお伺いしたいと思いますが。  私は、これは初めてこういう図示された基本的な理念と申しますか貴重な御意見を伺いまして、それで時間がないので十分に御意見をおっしゃる時間がなかったと思うんですが、この日本の、ここにも書いてございますが、国民皆保険制度、どこに問題がございますか。

河北博文医療法人財団河北総合病院理事長

○参考人(河北博文君) 国民皆保険制度は、私は将来にわたっても維持をするべきことであるというふうに思っております。  ただ、そこで問題は選択肢がないということなんだろうと思うんです。それから保険という仕組み、英語で言うとインシュアランスシステムでございますね。本当に保険なのか。というのは、保険というのはあるリスクを前提にして、それに対して統計・確率論で保険料を設定する、給付を考えるということで、それからどのように被保険者を選んでいくかというようなこと、それからリスクの軽減を図るというようなことが保険であるというふうに思っておりますけれども、社会保険の場合には多少違うわけであります。これは所得に関しての保険料率が違うということで、所得とリスクは相関をしないというふうに私は考えているんですけれども、ということは日本の社会保険に関しては、これはある種の目的税であるというふうに最近は考えるように至っております。  ですから、そこに選択というものをどのように導入するか。やはり基本的には、国民皆保険制度というのは国家が主宰する社会保険の中にきちっとしたセーフティーネットとしての広がりを持たなければいけないんですけれども、それに加えて上乗せができるような仕組みが必要なのかなというふうに思って、今でもこれは選択の自由があるわけでありますけれども、民間の医療保険をどのように組み合わせるかということが必要なんだろうと思います。  それからさらに、民間の医療保険に関しては、社会保険の運営をつかさどるということがあってもいいのではないか。例えば、アメリカのメディケア、メディケードの運営に関しては民間の保険会社が担っております。ですから、社会保険庁ではなくてそういうものも参入できるような仕組みにする。それから、保険者の機能というのが現在は法律で定められた活動をしているということにすぎないんですね。ですから、それを最終的には個別の契約まで持っていくかどうか分かりませんけれども、そういった保険者機能というものをもう一度患者さんと医療機関の間に入るエージェントとして考えるかどうかということによるんだろうと思います。  これは情報の非対称性というようなことというのは、医療は常にそれは言われますけれども、ほかの分野でも情報の非対称性はございます。それは、昨年でしたか、ノーベル経済学賞を取った人たち、レモンの原理とかスクリーニングとかシグナリングというようなものが正にそれに当たっておりまして、エージェントとしての、エージェンシーとしての機能をもう少し考えるべきであって、それから一対一の対応ではなくて、被保険者が選べる、あるいは保険者もこれは選べなければいけないのかもしれませんけれども、そういった選択の可能性を入れるということが大切なんだろうと思います。

白浜一良公明党

○白浜一良君 今お話伺いましたけれども、本来保険というのはリスクに見合ったものだという、所得にかかわるものじゃないという、それはよく分かるんです。民間の保険はそうなっていますからこれはもう極めて分かりやすいんですが、公的な保険制度までそういうふうなものになれますか。

河北博文医療法人財団河北総合病院理事長

○参考人(河北博文君) それは非常に難しいというふうに思います。ちょっと話は離れますけれども、例えば税制においても源泉徴収制度というのがございますね。これがいいか悪いかという議論は、私はやっぱりすべきだろうというふうに思っているんです。それと同じように社会保険に関しても、国家が主宰をするというところにはやはり今のような仕組みしかあり得ないのかなというふうに思っております。  ただもう一つは、価格設定の問題があるんですね。価格設定というのは、現在例えば診療報酬体系の中で、先生方御存じでいらっしゃると思うんですけれども、私が以前、厚生省の老人保健審議会の委員をしていたときに、隣に日本医師会の常任理事吉田清彦先生という、非常に社会保険あるいは診療報酬制度に詳しい方がいらっしゃいました。その方に言われたのは、日本の診療報酬体系というものは医師が行う医療行為に対する費用弁済である。医師が行う医療行為に対する費用弁済ということはドクターフィーでしかないということなんですね。それをこの数十年間改定に改定を重ねてきた中で、このドクターフィーをいかにホスピタルフィーをカバーするようなものにしてしまったかということで、もう訳の分からないものになってしまっているんですね。  それから、一点十円というその仕組みがありますけれども、これも大きな経済変動があったときに一点十円を変えるかどうか、あるいは、例えば消費税を導入するときにこれをどうするかというようなことがほとんど議論されないままに一点十円で据え置かれています。例えば、現在、臨床研修制度の必修化あるいは診療情報の電子化、電子カルテというふうに言われていますけれども、そういうものを導入するということが私は非常に大切なことだろうと思っていますけれども、それをするために非常に大きなコストが掛かります。ところが、これをカバーできる今財源を見付けることが非常に難しい。そういうときには、例えば、これはまだ議論は必要ですけれども、一点十円を一点十一円、十二円にする、幅を持たせること。それは社会保険で出せなければ、患者さんの選択によって自己負担をお願いをする。ただ、これは三割負担との整合性を考えてということになりますけれども、そういった価格の自由化というものも私は必要なんではないか。  ただし、それはきちっと情報を発信をしなければそういうことはあり得ませんので、そういうことを含めてやはり診療報酬体系の見直しをするということが社会保険の中では必要になるだろうというふうに思います。

白浜一良公明党

○白浜一良君 どうもありがとうございました。  もう一点、この同心円ですね、同心円。当然広がっていく流れというのが、今の日本の社会構造から見ると自然にも広がっていきますね。ところが、その一番真ん中の社会保険という部分が財政的な意味もあってどうしても固く収縮するわけですね。そうすると広がらないという、そういう今現状にあると思うんですが、いわゆるこういう全体像の中での社会保険の一番中心部分のここが広がればもっと楽にずっと広がっていくと思うんですが、その役割というか、先生はどのようにお考えになっていますか。

河北博文医療法人財団河北総合病院理事長

○参考人(河北博文君) これは公費支出をどう考えるかだろうと思います。政府の国家予算の中での医療に関する公的支出というものがそれほど諸外国に比べて大きくはないというふうに私は考えておりますので、この公的な社会保険に関してはやはりその公費支出をもう少し高めてもいいのではないかというふうに私は考えます。

白浜一良公明党

○白浜一良君 どうもありがとうございました。  それから角瀬先生、私率直な感想を述べます。  意見をお伺いしていまして、ちょっと経済原理が違うなという感じがしたんです。確かに、弱者に対する配慮、これ極めて大事なことでございます。しかし、今日本の抱えている問題というのは産業の空洞化という問題があるわけですね。ですから、企業が成り立たなければ雇用も成り立たないわけでございまして、ですから、そういう全体的な視点でどう受け止めるかという、物をどう考えるかということが私は個人的に大事だと思っているわけでございまして、そういう意味で一点だけお伺いしますが、地方自治体、またそれぞれ地域で民間も含めてやっぱり過疎化したり停滞したりしているわけですね。それで何とか活性化しようということで、この特区法案にちなんでいろんなアイデアをそれぞれ地域から出してきているわけです。  そういう地域の意見というんですかね、そういうことも、この法案全体の趣旨から見て余り好ましくないというふうに先生はお考えなんでしょうか。この点だけをお伺いしたいと思います。

角瀬保雄法政大学経営学部教授

○参考人(角瀬保雄君) 御質問の地域の活性化は大変重要なことであります。今地域が過疎化したりして沈滞してしまっているのは、その責任はどこにあるのかというと、やはり、私最近聞いた話なんですが、上場会社の人は、うちの工場は一杯あるけれどもみんながらんどうになっちゃっている、つまり海外に出てしまっている、こういうことであったり、やはりその企業の活動原理といいますか、それは利潤というものによって動いていくということは否定できないわけであります。  そこら辺の歯止めをどうするかということで、いろんな方策を考える必要があるんですが、そういう中の一つとして例えば沖縄の特区と、そういったような個別のものについては私も否定いたしません。それが必要なところがあると、あるいは北海道であるとか、全国的に見ても著しい状況に置かれているところに対しては特別な手当てをする必要があるかと思いますが、そうじゃなくて、地域に対して特区をそれぞれ与えてお互いに競争させると、そういうやり方で果たしてうまくいくのかなという点、根本的な疑問があるわけです。  本来ならば、要するに市場経済であるわけですから、企業がみんな競争していたわけですよね、自由な競争をやっているわけです。ところが、それでうまくいかないと、それについては一定の誘導なり、規制なりがやっぱりなくてはならないと、こういうふうに考えるわけです。

吉川春子日本共産党

○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  三人の参考人の皆さん、本当に御苦労さまです。  私は、まず角瀬参考人にお伺いいたしますが、実は昨日、NHKの「クローズアップ現代」で長距離トラックの規制緩和の問題をやっておりました。これによりますと、トラックの台数が規制緩和で増えて、そして長時間労働になり、事故が多発している、そして過労死が増えているということがビデオの、NHK側の挿入を加えながら進んでいった番組なんですけれども。  さらに、これは私が聞いたことなんですが、このトラック業界では区域の規制も外してしまうということが今後行われるそうで、そうなると、一度、一たび自分の住んでいるところから荷物を運んで長距離トラックで出ると、もう一か月とかそれ以上、次から次からあっち行けこっち行けという形になってなかなか自分の家にも帰ってこられないんだと。これは働いているトラックの運転手さんから聞いたお話なんですけれども、こういう状態が進んでいます。  それから、タクシーの問題で、私は自分で運転できませんのでタクシーによく乗るんですけれども、この皆さんの状態というのも非常に悲惨で、これもタクシーの規制が緩和されて台数がどんどん増える、そして、しかも賃金が、これは基本給というのはあってなきがごとしで全部歩合制ですから、そういう中で事故も多くなっているし、収入がもうとにかく物すごく減っていて、二百万台と、年収が、こういうお話も日常的に聞くんですけれども。  このような規制緩和が今、日本を覆っているということに対して一体背景に何があるんだろうか。そして、どんどん弱者を追い詰めるような規制緩和がどこかで歯止めが掛かるんだろうか。歯止めを掛けるためには何が必要なんだろうか。もう私は、正に自分自身が弱者、その弱者に近いところで生きている者として規制緩和というものに対して非常に害悪を感じるんですよ。こういう問題について先生の御見解はいかがでしょう。

角瀬保雄法政大学経営学部教授

○参考人(角瀬保雄君) 今、例に挙げられました長距離トラックの事例とか、あるいはタクシーの運転手の事例、これは私もいろいろと話に聞いたりしております。  大変なひどい状態にあるということであるわけですが、そのことがその当事者だけじゃなくて周りの環境に対しても大変否定的な影響を及ぼしているという社会的な問題を引き起こしているというふうに思うわけですが、やはり、これは今この日本の国内のことしか議論がいっておりませんけれども、もっと大きくは今の世界的なグローバリゼーション、アメリカを始めとする、そういう先進国のグローバリゼーションによって日本もその中に巻き込まれている、いや応なしに。企業の担当者にとっても、いや応なしに自分が生きていくためにはそれに入っていかなければならない。だんだんだんだんと行きますと、最後にはそこで働いている労働者のところにしわ寄せが行くと、そういうような構造に今の世界はなっているんじゃないかと思います。  ですから、日本国内で経済の再生を考えることも重要でありますけれども、同時に国際的な観点、国際的な場面では、いわゆる国際的な金融資本が金転がしをやっている、それで経済が混乱させられているわけです。そういうことを何とかして国連その他の国際的な機関がちゃんと規制できるようにしないことには、一国内でどうこうしようとするだけでは限界があるというふうに私は思うわけです。  グローバリゼーションの中で、先進国のごく一部ですね、やはりその恩恵を受けているのは。そうでない先進国から更に東南アジアとかアフリカ、中南米にまで目を向けていきますと、これは物すごい状態にあると言われております。今、北朝鮮の食糧問題が関心を集めておりますが、もっと全地球的に見れば飢餓状態にある人々の数はどんどん増えていると、そういうような話も聞いております。  ですから、そういう意味で、私はやはり日本国内の、日本の経済の構造改革ばかりじゃなくて、世界経済全体の構造改革に取り組まなければならないと、これは私なりの意味での構造改革という用語の使い方でありますけれども、そういうふうに今考えているところです。

吉川春子日本共産党

○吉川春子君 国際的な会議に行きますと、グローバリゼーションということが本当に深刻な事態を途上国を中心にもたらしているという報告がたくさんあります。サミットの会議やりましても、グローバリゼーション反対の大きなデモがあったり、それを取り締まる官憲側とのあれで犠牲者が出たりというような報道も私たち日本にいても接しているわけですけれども、確かに日本一国ではどうにもならない。空洞化の問題もそうですけれども、このグローバリゼーションも日本一国ではどうにもならない。  そして、やっぱり企業は、さっきお話がありましたように、企業はつぶれてはどうしようもならないから生き残りを懸けていろんなことをするという、そういう事態に陥っているんですが、先生、これは国連がどの程度の役割を果たせるかという問題が一つあるんですけれども、これは、ある種資本主義経済の危機というような側面でとらえられるのか、あるいは、それにまた資本主義の中でも、私たちは資本主義の中で改革をという政策を掲げているんですけれども、そういう中での改革という道があるのかどうか、その点についてはどのようにお考えなんでしょうか。

角瀬保雄法政大学経営学部教授

○参考人(角瀬保雄君) 今の事態をどのようにとらえるべきかという御質問だったと思いますが、資本主義と一言で言いましても、アメリカ型の資本主義、あるいはヨーロッパ型の資本主義、あるいは日本型の資本主義と、こういうようにそれぞれ異なっている点が大きいわけです。  今、問題を引き起こしているのは、正にこのグローバリゼーションを引き起こしたアメリカ型の資本主義の在り方だと思います。それを株式資本主義と私は呼んでおりますが、株価の上昇だけを追い求める、ついに今破綻を来しているわけですけれども、そういうものはお手本にならないというのはもう世界のいろいろな大学の教授たちも指摘しているところです。  新しい制度や、どういう資本主義が望ましいのかということになるわけですが、一つモデルになるのはヨーロッパ型の資本主義というのを挙げることができるわけでありますけれども、それを機械的にまねるわけにはいかないし、日本は日本独自で最も望ましい経済、社会を作っていかなければならないというふうに思っております。ですから、国際的な機関の果たす役割とともに、それぞれの国の政府とか、あるいはそれぞれの市民の、あるいは働く人たちの草の根の運動等が大きな役割を果たしていかなければならないと思います。  特に最近痛感するのは、御指摘の国際的な機関の活動に対して日本政府の参加が非常に消極的なんですね。ILOその他の最近の活動状況を聞いても、本当に責任のある人が参加していないと言わざるを得ません。そういうことで、もっと本気になって政府には取り組んでいただきたいと、そういうふうに思っているところです。

吉川春子日本共産党

○吉川春子君 ありがとうございました。  次の質問は八代参考人と角瀬参考人に共通してお伺いしたいと思うんですけれども、先ほど八代参考人が、特区法案は最初非常識のものだと非難されたけれども閣議決定されたと、こういうお話がありました。  前回も、私、大臣にも質問したんですけれども、身体、生命、健康、公序良俗、消費者の利益、これに反するという理由だけで規制緩和を排除することはしないんだと。これ、ちょっとまさかという活字で、今までずっと何年も国会議員やってきて、法律も何百本となく議論して、反対したのもあり、賛成したのも通していく中でこの言葉は非常に私にとってショックでした。  公序良俗というと、善良な風俗、国家の秩序ですよね。それに抵触するからといって規制緩和をやめないんだということは、今までの、何というんですか、価値観のすごい転換だなと思って、私はこれはもういかがなものかという立場なんですけれども、ちょっと今度の特区法案はそういう哲学、思想で出てきたのかということで、非常に私としては賛成できないという立場です。  それで、そういう国の基本的な秩序、ポリシーにかかわるようなものでも、とにかく特区の提案ということで、一点突破的にある地方が出してきたらそれを認定していくという、こういう判断を地方にゆだねていいかという意味じゃなくて、一地方にゆだねていいかということに非常に疑問を思うわけですね。  つまり、例えば教育とか医療とかその他の問題でも、国は少なくとも今まで審議会を設けたり、いろんな各方面の意見を聞いて、そしてその政策転換を図ってきた、新たな制度を導入してきた、こういう手法なんですね、私が見てきた日本政府の手法は。それを、そういう専門的な機関に全然ゆだねもしないで、アイデアとして出しなさいと、それはこういう方向で認めますよという、こういう、今度の特区法案の特徴とでもいうのでしょうか、私はこれに大変危惧を覚えたのですが、この点についてお二人の参考人から御意見を伺いたいと思います。

八代尚宏社団法人日本経済研究センター理事長

○参考人(八代尚宏君) ありがとうございました。  今おっしゃった点はある意味で完全な誤解でございまして、これは、なぜ生命、身体にかかわる規制も対象にすると書いたかと申しますと、正にこれまでの規制が生命、身体にかかわるということを口実にあらゆる制度改革を排除してきたという例があるわけですから、そういう意味で、今回の特区法案における規制改革というのは、そういう生命、身体にかかわるから無条件に排除するということではないわけで、当然ながら、生命、身体を侵していいという規制改革ではないのは当たり前のことでございます。  これは、先ほども申し上げましたように、この生命、身体にかかわるというのは一番目が医療でありまして、医療というのは、先ほども河北先生がお話しになりましたように、今、日本では様々な大きな問題点があって、患者、消費者も改革を求めているわけでありますから、そうした分野についても積極的に対象としていくというのが第一点でありまして、むしろ患者、消費者のために良い規制改革をしていくということを目的にしているわけであります。  第二の点については、それを一地方だけに任せていいかどうかということですが、逆に言うと、それは国は正しくて地方は正しくない可能性があるという御意見に近いんではないかと思います。  国というのは確かに審議会を通じて様々なことを議論しておりますが、その審議会のメンバーというのは各省庁が選ぶわけでありまして、ある意味で狭い利害の関係者の間だけで様々な改革あるいは改悪が行われている。そのときに、そのすべてを国だけで決めていいのかどうか。つまり、これは労働者の利害、患者の利害、企業の利害も非常に多様化しているわけでありますが、それが例えば労働者の代表、例えばお医者さんの代表という代表だけの間で決めると、結局多様な利害というのが十分反映されない場合がある。  そういう意味では、当然ながら従来型の国の審議会を通じていろんな法律を作るという仕組みを残しつつ、それとは別に地方の多様な声を特区という形で国に反映するパスがあってもいいんじゃなかろうか。これは、多様化するニーズにこたえるための国民の意思決定の多様化であって、決して従来型の仕組みを排除することではないわけですね。当然ながら、この医療関係の改革についても厚生労働省ときちっと協議して決めるわけでありますから、決して御心配のようなことはこの特区では起こらないというふうに考えております。

角瀬保雄法政大学経営学部教授

○参考人(角瀬保雄君) 今、問題とされている点は、この規制緩和問題が起こってきた当初から経済的規制と社会的規制という形で議論されてきたわけでありまして、そして、その中で社会的規制がやり玉に上がってきているのは最近の大きな特徴だと思います。かつては、経済的規制をできるだけなくしていくということはもう突破したということで、社会的規制の方にそのターゲットが絞られてきておりました。  私は、この社会的規制というのは、今は問題になっておりませんが、個人の人権であるとかあるいは公共性にかかわる大変重要な国家の果たさなければならない役割であるわけですから、これはもっともっと強化していかなければならないという立場に立っております。  と同時に、この社会的規制は単なるそういう問題だけにとどまるのかというと、そうではなくて、社会的規制を通じて、例えば雇用であるとかそういう経済的な面においても大きな効果を生み出すことが可能だというのは、医療とか福祉を考えていただければこれは分かると思うんです。  そういう二面的な点をきちっと押さえて、これをもっと強化していく、そういう必要があるのではないかというふうに私は思っております。  よろしいでしょうか。

吉川春子日本共産党

○吉川春子君 地方自治体の、地方公共団体の判断が正しくないと言うつもりは全然ありませんで、私も地方議会を、議員を経験しておりますので、地方の重要性ということももちろん十分知っています。  今度の特区のアイデアは、夏休みを含む一か月間で出せと。七月の終わりにやって八月の終わりに出させたわけですよ。議会も開かれていない、十分な検討する余裕もない、そういう短期間の間にアイデアとして出させたということ自体、私は大変問題だというふうに思っていますが、今日はそれ以上はあれですが。  最後にちょっと、時間が余りないのですが、河北参考人にお伺いしたいのですが、率直に言って、医療の機会に株式会社が参入するということになるとどういうことになるのかということについて私は危惧を持っています。  一つだけ伺いたいんですが、今、医療費さえ払えない、病気でも病院に掛かれない、こういう人たちに対して株式会社の参入というのはメリットになるのかどうか、その点だけお伺いしたいと思います。

河北博文医療法人財団河北総合病院理事長

○参考人(河北博文君) 基本的には、その人たちは恐らく自己負担という意味では対象にはならないと思います。ただし、株式会社が経営をする病院が将来あったとして、あるいは現在も数十の病院がございますけれども、そういうところがそういう方たちに対しての診療を行わないかといえば、決してそうではないというふうに思っております。  私の病院は先ほど申し上げたように財団でございますけれども、医療費を払わない人たち割合多く来られます。それから、例えば私の非常に親しい麻生さんという人が経営をしている麻生飯塚病院という、これは企業の病院でございますけれども、こちらの方も地域医療としては基本的にきちっとした医療が行われていて、保険を持っていない、あるいは医療費を払えないからといって拒否をすることはございません。  ただ、その人たちは社会の仕組みの中で守られているというふうに私は思っております。例えば生活保護あるいは医療保護というようなものがございますから、それはきちっと医療費の支払につながっていく仕組みがあると。ですから、提供体制の問題ではなくて、それは保険あるいは保障体制の問題だというふうに考えます。

吉川春子日本共産党

○吉川春子君 ありがとうございました。終わります。

島袋宗康国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○島袋宗康君 国会改革連絡会の島袋宗康です。  御三名の先生方、大変貴重な時間を割いていただきまして、ありがとうございます。  まずは、八代参考人にお尋ねいたします。  参考人は国際医療特区という考え方について述べておられます。つまり、世界から一流の医師や医療関係の研究者を招聘し、滞在ビザや国内の医師免許等に煩わされることなく、先端的な医療技術の成果を競ってもらう。また、企業の資金を活用することで、病院と研究機関の一体的な運用で効率的な臨床研究を実施できる。また、効率的な病院経営を実現するために、病院の理事長要件、医師以外の者による病院経営の禁止や、公的医療保険と自由診療との併用禁止、医師、看護婦の派遣禁止等の規制は免除されるというような特区について述べておられますけれども、今回の法案が成立すれば日本のこのような国際医療特区は実現できるのかどうか、お尋ねしたいと思います。

八代尚宏社団法人日本経済研究センター理事長

○参考人(八代尚宏君) ありがとうございました。  今回の特区の考え方というのは、あくまでもできるだけ幅広い規制の撤廃、緩和を目的としているわけで、今、島袋先生が引用していただいた私の論文は一つのアイデアとして出したものでありまして、必ずしもそれに沿った要望が出てきておりませんので、そういう形ではまだ実現しておりません。  それから、厚生労働省との合い議の中で認めていただけなかったものも幾つもあるわけですが、ただ、特区としては実現しておりませんが、先ほど少し御説明しましたように、全国対応という形で高度先進医療病院というのは規制緩和をしていただいた。そういう意味で、外国人医師の活動範囲も従来の規定を拡大解釈することでかなり自由度を認めていただいた。そういう意味では第一歩だと思われます。  ですから、今後は、どんどん自治体あるいは企業から、あるいは市民団体からのそういう特区提案というものを踏まえまして、再度今後関係各省庁と協議することによって、全面的な解禁ではなくて、例えば混合診療でも株式会社でも特定の分野から少しずつ外していくというような形での特区構想というのは今後生まれてくる可能性があろうかと思います。  これはやはり何といいましても、今、日本で一番人々が求めているのは良い医療を受けたいという願いでありまして、ですから病院の情報本であるとか、いいお医者さんの選び方という本もたくさん出ているわけであります。これまでの日本の医療というのは、残念ながらそういうニーズに十分こたえてこなかった。これは当然ながら、かつての結核等の感染症が非常に問題であった時代にはともかくも国民に画一的な医療という精神が優先していたわけで、それはそれとして非常に重要であったわけですけれども、これからのやはり経済発展も進み、国民のニーズも多様化したときには、やっぱり人々の多様な選択肢を広げていく。そのためには、先ほど河北先生もおっしゃったように、国民皆保険は基本的に死守する、維持した上で、それに加えて多様な選択肢を広げると、そういう道を広げるのが特区の役割ではないかと思っております。

島袋宗康国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○島袋宗康君 実は、この前、この審議の中で、ある自治体から外国人の医師を招聘してこの特区を設けたいというふうな提案がなされたけれども、やっぱり医師そのものが国内の免許じゃないんでこれはできないんだというふうな内容だったかと思いますけれども、そういうふうなことになると、先生の今おっしゃっているような多様な、いわゆる外国からの医療も医師も受け入れてやっていくという場合に、国内の免許を持たなければできないんじゃないかと、基本的には。そういうふうな関係については、今のところどういうふうな見解でございますか。

八代尚宏社団法人日本経済研究センター理事長

○参考人(八代尚宏君) 御指摘のように、今回の特区法案では、外国人の医師が単独で日本の免許なしに診療行為を行うということは認められておりません。ただ、依然として日本人の医師と共同で行う診療行為は認められているわけでありまして、この辺かなり解釈の幅があるんですが、そういう形で少しずつそういうところに近づいていると思います。  ただ、もちろん外国人の医師といってもいろんな国がございますので、一概にもちろんそれを認めることは危険である。ですから、当然ながら日本人の医師と同等以上の能力を持っているところで、しかもあらゆる病院でというのもやや問題があるわけで、厚生労働省が認定したレベルの高い病院に限定してという形で、様々な代替措置を考慮しつつ、患者がわざわざ外国に行かなくても世界でトップクラスの医療を受けられるような地区をまず日本のどこかに設ける。できれば全国的に認めるのが一番いいわけでありますが、それが問題があるとすれば、まずそういう特定の自治体がしかるべき条件を備えた上で申請していただく、そういう形で私は一歩一歩進んでいるかと考えております。

島袋宗康国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○島袋宗康君 ありがとうございます。  河北参考人、お伺いいたします。  先進諸国の医療費の対GDP比は、アメリカが一五%、フランス、ドイツが一一、一二%、イギリスが六%、日本が六から七%であり、イギリスは安過ぎる、アメリカは高過ぎる、日本は、フランス、ドイツと同様程度の一一から一二%あっていいとおっしゃっておりますね。一一から一二%あっていいということは、医療費の総枠の問題で官僚ではなく市場が決めていくという形にしなければならない、市場では非効率なプレーヤーは淘汰されるので、何の努力も改善もしない病院、診療所は消えていっていいと言っておられます。医療の市場形成が必要だと言っておられます。しかし、セーフティーネットの部分に関しては、安易に民間に任せたり寄附に頼るということではなく、税金と社会保険と自己負担のバランスを考えながら国家が政治と行政の中で作るべきだと述べておられます。  そこで、医療の市場形成ということとセーフティーネットとの関連についてどのようにお考えになっているか、お伺いいたします。

河北博文医療法人財団河北総合病院理事長

○参考人(河北博文君) 日本の医療の中で大きな問題の一つに資源の集積ができていないということがあります。医療のこれからの市場、市場という言葉がいいかどうか、私は市場と使いますけれども、の中での資源の集中というのは余りにも今まで分散し過ぎてきたということが片やあります。  ですから、病院の数が今全国に九千三百、これは病院の定義によります、それから診療所が九万か所をもう超えているというようなもの、それに対して医師が今約二十五万人いますし、それから現場にいる看護師の数が約百万人でございますけれども、これを国際的に見たときに、一人の入院の患者さんに対しての人員配置というものは極めて薄い。これは、医師を含めた全職員、病院の職員が一・〇でしかないんですね。アメリカが五から六、それからイギリスが今三・五ぐらいというふうに言われています。それから、ドイツとかフランスが二・五。  これと極めてきれいに反比例するのが在院日数なんですね。一人の方が入院をされたときに平均どのぐらい滞在をされるかというものでありますけれども、アメリカの六日弱、日本はこれは統計の取り方によりますけれども三十日、今、急性期の病院が二十一日ぐらいになっております。私のところが今十四日をちょっと切るぐらいになっておりまして、極めて短くなりつつありますけれども。ということは、在院日数が短くなるということは非常に人手が掛かるということなんです。  それで、市場形成をするに当たっても、ただ病院の数が増える、診療所の数が増える、そこにいる人たちが増えるということではなくて、それぞれの拠点に資源が集中するということが必要なんですね。そういうことが始まれば、決して病院の数は増えない。病院の数は逆に減る方向になるだろうというふうに思います。  ただし、先ほどのちょっと御質問にもあったんですけれども、価格の問題がそれに関連をしてきます。価格というのは、これは我々いわゆる労働集約型というふうに言われていて、アメリカの医療費が百五十兆円と言われても、その中の人件費率というのは日本よりも高いんです。非常にたくさん人にお金が集中をしている。ですから、人が行う仕事に対して、価格がどんどん下がればいいということはあり得ないんですね。やはりプライスリーダー的な価格設定、あるいは公的な最低賃金みたいなものが確保されるということがやはり必要であって、それを維持しながら集積をしていくというような市場形成の方向が私は最もいいというふうに考えております。

島袋宗康国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○島袋宗康君 先ほどの先生のお話の中に、日本の小児科病院がいわゆるもうからないと。そのために地方に行けば行くほど、それは先生の言葉じゃないけれども、私の考え方なんですけれども、地方に行けば行くほど小児科病院が成り立たないということで、非常に地方では小児科病院を是非設立してくれという声が強いんですけれども、それは恐らく日本全国に言えることじゃないかと思いますけれども、先生、そういった小児医療についての御見解についてどういうふうにお考えですか。

河北博文医療法人財団河北総合病院理事長

○参考人(河北博文君) 小児科を含めて、例えば無医村というようなものに対しての考え方も含めてでございますけれども、医療の拠点がたくさん増えればいいということでは決してないと思うんですね。ですから、やっぱり適正な数が確保されているということを前提にして、いかに小児科の医師を確保していくかということも一つつながるだろうと思います。  これは、多少話が長くなるかもしれませんけれども、日本の臨床研修医教育の中でようやくゼネラルな、ですから一般的な総合診療的な臨床研修医教育がこれから始まる。これは、六年の医学部教育を終わって、その次の二年間で臨床研修医教育を行って、アメリカのUSMLEというんですけれども、そのステップ3までようやく行けるかどうかということになります。アメリカの場合にはステップ2というところまではもう学部の卒業で作られています。そのステップ3を含めて各科の研修医教育がその後レジデンシーとして始まるんですね。日本の教育は、私は製造物責任とは言いませんけれども、各科に分散する以前の教育がいまだに学部教育のレベルで行われていないということが一つ大きな問題としてあります。その後、例えば小児科医になるために、あるいは小児科救急に対応できるドクターというものを確保するということがほとんど議論されないできてしまったんですね。私のところは以前は二十四時間三百六十五日小児科の医師がいました。ところが、大学の医局の都合で全員引揚げになってしまったのが数年前でございます。ですから、こういうことがもうまかり通ってしまう。  ちょっと話が変わりますけれども、先ほどの医師の問題、国際免許ということを、例えば麻酔科あるいは病理、それから放射線画像診断というところの医師も極めて不足しているというようなことで、そういうものに関しては、コミュニケーションがもちろん必要であります、患者さんとの会話は必要でありますけれども、こういった部分に関しても外国の医師の診断を仰ぐということは私は可能ではないかというふうに思っておりますし、小児科医に関しても医師を確保することが非常に難しい。  それから、大変申し訳ないことですけれども、女性の医師が増えてきたということも一つの問題であるわけですね。やっぱり、この人たちの働く環境作りというものを同時に進めながら子供たちの診療がきちっとできるようにするということは我々これはもう絶対使命でございます。  ですから、診療報酬、経済的に厳しいからといってやらないということではなくて、医師が確保できないということで小児科医療が今不足しているということが私は現状の方だろうというふうに考えております。

島袋宗康国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○島袋宗康君 どうもありがとうございました。  角瀬参考人にお伺いいたします。  医療・福祉分野に市場原理を導入すれば消費者に良質なサービスを効率的に提供することができるという命題は、医療・福祉が生存権的基本的人権保障の土台であることを無視あるいは拒否する認識をベースにしているというふうな御意見であります。そして、その論理には致命的な落とし穴があり、その落とし穴とは、かの命題が、医療・福祉サービスの消費者は十分な情報さえ手にすることができるのならば、いつ、どこでもだれもが合理的に選択し行動できるという仮定の上に立っていることであると批判されております。  先生には、医療・福祉分野における個人と国家あるいは行政とのかかわり方、そしてこの分野の企業参入の問題について御見解を承りたいと思います。

角瀬保雄法政大学経営学部教授

○参考人(角瀬保雄君) 市場原理が今問題になっているわけでありますが、この市場原理にもいろいろとレベルといいますか、区別しなければならないところがあります。それは、一般の消費財等の需要供給を規整している市場原理があるとともに、もう一つ問題なのは、私がなぜ医療の分野に株式会社が入ってきては困ると言っているのは、アメリカでは株式会社の株が証券取引所に上場されるわけですね。それで投機の対象にもなり得るということで、株価が下落すればその医療機関はどうなるのかと、またそこで医療を受けている人たちはどうなるのかということについて全く放置される形になるんじゃないか、無責任な形になるんじゃないかというふうに思っているわけです。そういう事例はアメリカでもう頻繁に起こっているわけですね。保険会社についてもしかりであります。  それから、情報格差についてはこれはもうかなり決定的な格差がありますので、情報の公開というのはなくてはならないことでありますけれども。それでも株式会社、利潤動機で動く、投機の対象になるような株式会社がそれを運営していくということはいろんな弊害が起こってくるんだろうと考えているところです。

島袋宗康国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○島袋宗康君 どうもありがとうございました。  終わります。

黒岩宇洋各派に属しない議員

○黒岩宇洋君 無所属の黒岩宇洋でございます。三人の参考人の先生方、本当に忙しい中、国会までおいでいただきまして、ありがとうございます。  まず最初に、角瀬先生にお聞きします。  私は、今回、医療の分野への株式会社参入というこの件に関して参考人の御意見をお聞きしたいんですけれども、先ほど角瀬先生の提言の中で、やはり弱者に優しい社会を作っていきたい、それにはちょっと利潤追求主義というのが相反するというふうな表現があったんですけれども、私、今回の特区法案の審議の中で再三申し上げているのは、官と民の在り方、そして公と営利というものの関係で、私はこの公と営利というものは決して相反しないものだと。  私は民間企業におりましたけれども、やはり今、企業というのは、いかに社会に貢献し、そして社会から信頼を得て、結果それが利益につながるという、こういう企業しかもう生き残れないという、これがもう大方の常識です。そういう意味で、私は、株式会社が医療に参入しても何ら問題がないどころか、むしろプラスの効果もあるのではないかと思っております。  それで、角瀬先生が御著書の中で、患者というのは医師に依存した消費者だという表現で、要は、患者というのは自分の欲求、ウォンツは分かるんだけれども、何が必要か、ニーズが分からないという表現で、言わば株式会社の参入云々について否定的な見解、これは先ほどから出ているやはり情報の非対称性ということだと思うんですけれども、私はこの情報というものが相互に関数の関係にあって、お互いがきっちり理解しているということが本来あり得ないということもあります。これは若干ネガティブな理由ですけれども。もっと言えば、むしろ株式会社が入ることによってどんどん情報を提供して、今のこの情報の非対称性が解消されるんじゃないかという、私はそういうポジティブな見解を持っております。  今申し上げた公と営利という関係、それと情報の今の医療機関の特殊性、この二点について私が今申し上げた見解に対して、角瀬先生の御意見をちょうだいしたいと思います。

角瀬保雄法政大学経営学部教授

○参考人(角瀬保雄君) どうもありがとうございました。私の一番言いたいと思っている点について質問をしていただきました。  公と営利は反しないんだと、株式会社でも今日では社会的貢献をいろいろとやっているし、そうでないと生き残れないと、こういうことであるわけですが、私も是非そうあってほしいと願っております。株式会社だからすべて悪だと、株式会社は全部これはもう解体してしまうべきだというような、そういう考え方は少しも持っておりません。  ところが、現実の株式会社の中には、そういう社会貢献をされているところもあるかと思いますが、圧倒的にはマスメディアのところに登場してくるのはそれに反する、反社会的な行為をする株式会社の例しか出てこないですね。  あと、いろいろと、もっと、例えばソーシャルインベストメントなんという問題も最近は取り上げられているわけです。そういう社会に貢献するところにお金が回るように、会社にお金が回るようにすべきだと。ところが、実際はなかなかそうなっていないという、今のこの日本型といいますか、アメリカ型にだんだん引きずられてきている株式会社あるいは経済の仕組み、そこに大きな問題があるんだろうと。  それで、そうでない、先生のおっしゃられるようなそういう経済なり株式会社なりになっていけばこれほどいいことはないと私も考えているわけです。ですから、その点についてはそんな意見の違うということはなかろうかと思いますが。  そして、二番目の、情報の非対称性が解消される、株式会社によって解消されるということでありますが、株式会社ほど社会的な企業というのはないわけですから、株式会社においては徹底した情報の公開が行われなければならないと思います。  ところが、実際には、株式会社は真実の情報をなかなか出さないと。粉飾決算をするということがもうしょっちゅう起こっているわけですね。だから、必ずしも情報の量が増えたからそれで問題が解消されるということにはならないと。やっぱり真実な情報が出てこないことには駄目なわけですね。  ところが、真実な情報ということになりますと、アメリカのエンロン、ワールドコムに見られますように、あのアメリカ有数の企業が実はもう社会を欺いていたということになりますし、その会計を監査していた公認会計士もそれとぐるになっていたと。アンダーセンという世界的な、ビッグファイブに入るところがついにもう消滅する事態にまで至っているわけです。  そういうことで、私も、株式会社こそ情報の、真実な情報の積極的な開示に取り組むべきであるということで、先生の言われるような方向に進んでいくということを希望しております。ところが、現実はなかなかそうなっていないということですね。

黒岩宇洋各派に属しない議員

○黒岩宇洋君 どうも官尊民卑的な思想が根底にあって、例えば株式会社でしたら、そういう粉飾決算が明るみに出れば経営が揺らぐか倒産ですけれども、国や公共団体も同じようなことをやっています。つぶれないんですよね。だから、そういう意味で、私は情報公開の透明性という意味では、企業の方がリスクを負っている分、明らかに担保されていると思います。  私、ちょっと時間がないもので、お一人一問ずつ、次に八代先生にお聞きしますけれども、今の議論でもあったんですけれども、この特区構想というのは私は本当に二十一世紀の新たな挑戦だという、本当に前向きなことで私はとらえておりますけれども、ずっと役所の方と話していても、本当に官尊民卑ということが我々にはにじみ出てくるのが感じられるわけです。  私、河北先生と八代先生と伊藤前医政局長と、厚労省の、この鼎談なんかを見たんですけれども、前局長の表現でも、株式会社が赤字を出しても歯を食いしばっていかに地域医療のために貢献していくかという姿勢は営利企業にはないと、そういうふうな表現も出ているわけです。私は、やはりこういったことに対して八代先生の方から御見解があると思います。  八代先生がある意味これ生んだ法案なんですけれども、中身を見ていくと、やはり手を離れてから大分しっちゃかめっちゃかに、怒られちゃうかな、大分いじくられている状況なんです。そういう意味で、官と民との関係と、そしてやはり医療への株式会社の参入についての御見解をお聞かせください。

八代尚宏社団法人日本経済研究センター理事長

○参考人(八代尚宏君) ありがとうございました。  今、正に黒岩先生がおっしゃったように、株式会社の参入というのは実は消費者の選択肢を広げるということに大きな意味がありまして、これは競争を促進するからであります。ですから、株式会社の方が例えば医療法人、学校法人より必ず優れているということではないんで、問題は競争を促進するための一つの道具にすぎないということであります。  だから、先生がおっしゃいましたように、正に選ぶのは消費者であり利用者である。もし利用者が株式会社が嫌いだと言えば選ばなければいいわけで、その選択の自由を与えるということがこの参入の意味でありまして、今は選ばせないということなんですね。つまり、消費者は選ぶ能力がないから我々が代わって規制してあげるという、これが正に今、先生がおっしゃった官尊民卑の発想であるわけであります。もちろん放置しておけば患者も学生も、情報の非対称性がありますが、それは逆に言えば、医療機関、学校の間を競争をさせればお客を得るために自ら情報を提供するというインセンティブが生まれるわけであります。  ですから、正に大事なのは、競争か独占かが大事なのであって、株式会社がもうけ主義かどうかというのは私は二次的な問題であって、正に競争を促進するためにどういう手法があるのかということを考えなければいけない、そのための特区だと思われます。  それから、情報公開については、先ほど株式会社は情報の公開をすべきであるというふうにおっしゃったわけなんですが、むしろ法律でもう既にそう決まっているわけでありまして、情報の公開義務があるわけですね、株式会社の場合は。株主に情報を提供しなければ株式会社として株主総会も開けないわけです。  ところが、医療法人、学校法人はそういう義務はございません。特にあったとしても、それは国に対して、監督機関に対して出せばいいので、一般の消費者に対して出す義務はないし、現にほとんど出しておりません。医療なんというのは、公的保険を使う、国費を投入している法人であるにもかかわらず、医療法人は事実上の個人企業でありますから、何ら出す義務はないわけで、正にそういう意味でも異質な株式会社が参入することによって従来型の閉鎖的な非営利の世界、いわゆる非営利の世界と言うべきであると思いますが、そこに競争が巻き起こるということが大事だろうと思います。  そういう意味で、マスメディアには当然ながら悪いケースだけが出てくるわけで、大部分の企業はきちっと法律を守ってやっているわけでありまして、そういう一部だけのことを取り上げてやっぱりこの問題を議論するのはまずいんじゃないか。やはり悪いことをした企業あるいは医療法人、そういうものが淘汰されなければいけない。そのために競争の必要性がますます重要なのであって、それをするための特区であろうかと思います。

黒岩宇洋各派に属しない議員

○黒岩宇洋君 最後に、河北先生にお聞きします。  私は、この医療の株式会社……

小川敏夫民主党・新緑風会

○委員長(小川敏夫君) 時間がないので、手短にお願いします。

黒岩宇洋各派に属しない議員

○黒岩宇洋君 それで、私は、医者以外の人間が経営に携わるという意味のすごいメリットがあると思うんです。というのは、今医療法人というのは医療法の四十六条で医師免許がなければいけないと。このことによる弊害というのは結構ありまして、私の実家は医療法人、先生のところと違って社団法人なんです。私が医学部に行かなかったものですから、弟のことを父と二人で説得して医学部に行かせたという、これ浅ましいことも起こるんですけれども。  私は、先ほど先生おっしゃった、正にプロフェッショナルコミットメントというところで、医者は確かに自分の使命を神に誓わなければいけない。だけれども、私はそれと経営者というのは別だと思うんですね。ですから、医者が経営者であってプラスな面もあると思いますけれども、医師じゃなければ病院経営というものができないんだという、このことについてどうお考えか、先生お聞かせください。

河北博文医療法人財団河北総合病院理事長

○参考人(河北博文君) 医師でなければできないということはございません。診療と組織管理は違うということであって、診療ばかりに専念をしている院長は私は早く辞めた方がいいと、院長をですよ、というふうに思っております。ただし、医師であれば非常に有利であるというふうには考えております。

黒岩宇洋各派に属しない議員

○黒岩宇洋君 ありがとうございました。

小川敏夫民主党・新緑風会

○委員長(小川敏夫君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、一言御礼を申し上げます。  参考人の皆様におかれましては、大変御多忙な中、貴重な御意見をお述べいただきまして誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。(拍手)  午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会

小川敏夫民主党・新緑風会

○委員長(小川敏夫君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、川橋幸子さん及び筆坂秀世君が委員を辞任され、その補欠として鈴木寛君及び畑野君枝さんが選任されました。     ─────────────

小川敏夫民主党・新緑風会

○委員長(小川敏夫君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  構造改革特別区域法案審査のため、本日の委員会に政府参考人として、内閣官房内閣審議官中城吉郎君、内閣府大臣官房審議官山本信一郎君、同政策統括官坂篤郎君、総務大臣官房総括審議官板倉敏和君、文部科学省初等中等教育局長矢野重典君、同高等教育局私学部長玉井日出夫君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長岩田喜美枝君、国土交通省海事局次長金子賢太郎君及び同港湾局長金澤寛君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小川敏夫民主党・新緑風会

○委員長(小川敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

小川敏夫民主党・新緑風会

○委員長(小川敏夫君) 休憩前に引き続き、構造改革特別区域法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

鈴木寛民主党・新緑風会

○鈴木寛君 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。  構造改革特別区域法案に関して御質問をさせていただきたいと思います。  まず、確認から少しさせていただきたいと思いますけれども、現在、いわゆる規制特例についての第二次募集をされている関係で、法律の制定、あるいはそれに引き続く地方公共団体の特区計画の認定申請のことと、この二次募集のことが若干こんがらかって自治体に理解をされている、誤解をされている向きがあると思いますので、まずそのことについて確認をしたいわけでありますが。  今回、今正に法案審議がされまして、その中で、基本方針を内閣がお作りになると、こういうことになっております。今の基本方針は、まず第一次募集の御提案を基に恐らく基本方針が作られるんだというふうに思いますが、これで基本方針ができてこれからきます。その中でいろいろ、まだ作成中、まだ検討中、まずは審議中でございますが、いろんなメニュー案が大分明らかになってきておりまして、もちろん、その中にはなかなかこれいいメニューがある。地方自治体の方々も、これは使えるなという動きがいろいろなところで出てきております。  御質問ですけれども、これは基本方針がまずきちっといつ出るのか、そして、これが出て法律が仮に成立をした場合に、第一次募集に手を挙げていなかったけれども、その基本方針を見てこれはうちの自治体でもやりたいというふうに思った自治体が、法律に基づき認定計画を作り、認定申請を行った場合には、これはきちっとその基本方針に照らして問題なければ逐次認定をされるということでよろしいのかどうか、御確認をさせていただきたいというふうに思います。

中城吉郎内閣官房内閣審議官

○政府参考人(中城吉郎君) お答え申し上げます。  この法案通りました場合には、今後のスケジュールといたしまして、まず、法案に基づく構造改革特別区域基本方針というものを閣議決定することを考えておりますが、その中では、構造改革の推進等の意義、目標、それから、定期的な特区に関する提案募集など政府が実施すべき施策の基本的方針、それから内閣総理大臣が計画を認定する際の基準、それから、政省令、告示、通達等も含む特区において講じられる規制の特例措置と関係行政機関の同意の要件、こういったものが閣議決定されるわけでございます。  地方公共団体は、この基本方針に基づいて構造改革特別区域計画というものを作成して、平成十五年四月一日以降に申請受付されることになりますが、先生御指摘のように、ここには、八月末までに提案を出さなかった自治体であっても、この基本方針に載っている規制改革項目について自分たちの地域計画というものを出すことができるということでございます。  もう一つの流れといたしまして、一方、一月十五日を締切りで第二次提案というものをやっているわけでございますが、第二次提案は、受け付け次第早急に関係省庁に検討を要請しまして、結論を得られたものについては速やかに基本方針に定める規制の特例措置のリストに追加するというようなことでその二次募集に対する対応というものを考えていきたいというふうに考えておりますが、先生御指摘のように、一次募集といいますか、八月末で締め切ったものにつきましては、これまで提案をしていなかったところも四月一日以降の申請ができるということでございます。

鈴木寛民主党・新緑風会

○鈴木寛君 私は、特に教育分野についてのこの法律の適用に大いに関心を持って注目をしているわけでありますが、特に教育の場合は四月一日から始まりますから、恐らく二〇〇三年の四月一日を逃せば、恐らく二〇〇四年の四月から、あるいは二〇〇五年の四月から、それから、二〇〇三年から先行的に始まったほかの地域を見て、これはなかなかいいぞということになれば、そういう後続地方自治体も続々と手を挙げてくるということになると思いますが。  今の内閣からのお話、御答弁ございましたけれども、随時、地方自治体がきちっと作ってくればどんどんとやりますよと、こういうことでありますが、文部科学省、今の内閣官房の御答弁に付け加えることがありますでしょうか、どうでしょうか。そういうことで、同じ理解かどうかだけ確認させていただきたいと思います。

玉井日出夫文部科学省高等教育局私学部長

○政府参考人(玉井日出夫君) 今回の構造改革特区、正しく各自治体の様々な提案、しかもそれぞれが地域に基づいた特色ある御提案、これをできるだけやはりその趣旨に沿って実現するというのが政府の基本的な方針でございますので、そういう政府の方針の中で、文部科学省としてもできるだけその趣旨に沿った実現ができるように努力をしてまいりたい、かように思っております。

鈴木寛民主党・新緑風会

○鈴木寛君 それから、第二次提案募集を行っておられるわけでありますが、いわゆる基本方針の改定はどういう見通しになるのか。  もう一度、その時期的な、一次の計画と、要するに地方自治体は一次のところで準備を進めた方がいいのか、第二次まで見た方がいいのか、その辺りを今迷っておられるといいますか、よく見ておられますので、第二次提案募集を受けた基本方針改定について、これはあれですか、要するにバージョンアップといいますか、ということになるんだと思いますが、その辺の時期も含めた見通しを再度お答えをいただきたいと思います。

中城吉郎内閣官房内閣審議官

○政府参考人(中城吉郎君) 二次募集でございますが、先ほど申し上げましたように一月十五日を締切りにしておりますが、提案を受け付け次第、早急に関係省庁と検討を始めて、結論を得ましたものから速やかに基本方針に定める規制の特例措置のリストというものを追加していくというようなことで、特区において講じることができる規制の特例事項というものを決めていきたいというふうに考えております。  第二次募集でどのような提案ができるか、出されるかということについてはまだ予見できませんけれども、法律の特例措置を講じる必要がある場合には、次期通常国会というようなことで改正案を提出することも視野に入れて本法案に追加するための改正案というようなものを検討していきたいというふうに考えております。

鈴木寛民主党・新緑風会

○鈴木寛君 それでは、少し個別の問題についてお伺いしたいんですが、今回、構造改革特区研究開発学校制度というものが検討されていると、基本方針にもそうしたことが打ち出されるというふうに聞いております。  基本的に私は、今の非常に硬直したスクールガバナンス、いわゆる学校の運営を、こうした研究開発制度が導入されることによっていわゆる教育現場の創意と工夫というものを引き出すという観点で評価をしているわけでありますが、改めて、この構造改革特区研究開発制度の趣旨、ねらいについて御説明をいただきたいと思います。

矢野重典文部科学省初等中等教育局長

○政府参考人(矢野重典君) 学校の教育課程につきましては、これは全国的に一定の教育水準を確保いたしますとともに、教育の機会均等を実質的に保障する、そういう観点から、国におきまして、それぞれの学校が教育課程を編成する際の基準として学習指導要領というものを定めているわけでございます。  今回、構造改革特区制度に関して設けることといたしております構造改革特区研究開発学校制度、これは仮称でございますけれども、この研究開発学校制度は、これは地域の特性に応じまして、国の定める教育課程の基準によらない教育課程を編成、実施することを可能といたしますために、学校教育法施行規則の特例の規定に基づきまして、現行の研究開発学校制度とは別に新たなタイプのそういう特例制度として設けたいと、そういう趣旨のものでございます。

鈴木寛民主党・新緑風会

○鈴木寛君 この正に研究開発学校制度についても、先ほどの御答弁であれば、これはもっと積極的に活用していこうという地方自治体がこれからどんどん出てくれば全国各地で行われるということについては先ほどの答弁で御確認をいただきましたが、これはあれですか、計画策定は地方自治体でございますので、その自治体内の学校であれば随時どこでもできると、こういう理解でよろしいのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

矢野重典文部科学省初等中等教育局長

○政府参考人(矢野重典君) 具体的なイメージといたしまして、その計画の中に具体的な学校というものも当然のことながら特定をして、そういうものを盛り込んだ形で計画として申請をいただけるものと、そういうふうに理解をいたしております。

鈴木寛民主党・新緑風会

○鈴木寛君 これは、活用の方法によっては非常に期待される制度なんでありますが、残念ながら、これは法律自体がそういうことなのである程度はやむを得ないと思いますが、五年後にいわゆるこの構造改革特区制度が見直しと、こういうことになっております。せっかく各自治体で工夫して非常にその地域に合った、あるいは地域の子供たち、児童たちに合った教育が行われるということで始まったけれども、五年後になっちゃうとまた元の学習指導要領に戻しなさいと。  こういうことになりますと、大変によろしくないといいますか、残念な結果になるわけでありまして、これは是非この制度は五年で切るということじゃなくて、未来永劫きちっといいものはどんどんどんどん取り入れていくということが必要だというふうに思いますが、いかがでございましょうか。

矢野重典文部科学省初等中等教育局長

○政府参考人(矢野重典君) 委員先ほど御指摘がございましたように、五年後の取扱いにつきましては、特区法案の附則の二条におきまして、法施行後五年以内に本法の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとされているところでございまして、文部科学省といたしましては、この規定に基づいて実施される政府全体としての検討を踏まえまして、個々の学校の取組の状況を十分勘案の上、適切に対応をいたすことになろうかと思うわけでございますが、この特区に係ります研究開発学校制度の在り方につきましては、その取組の期間も含めまして、今後、制度の在り方という観点で検討してまいりたいと思っております。

鈴木寛民主党・新緑風会

○鈴木寛君 今回は構造改革特区研究開発制度と、こういうことになっているわけでありますが、元々、研究開発学校制度というのはございますですね。この研究開発学校制度の目的というのは、実験的にいろいろな新しい試みをやってみて、そこでいいものが出てくれば学習指導要領本体に反映をさせるということがこの研究開発学校制度の趣旨だというふうに思っております。  その制度の枠の中で、今回構造改革特区についてこの制度が更に援用をされているわけでありますが、私は、これはどんどんいいものが出てくれば、五年間見るわけじゃなくて、随時、学習指導要領を弾力的に改訂をしていったらいいのではないかというふうに思っておりますが、その点についてはいかがでございましょうか。

矢野重典文部科学省初等中等教育局長

○政府参考人(矢野重典君) まず、構造改革特区の研究開発制度の成果の活用の仕方でございますが、これにつきましては、各地域における取組の成果、課題についての評価を十分行いまして、その上で全国的な教育課程の基準でございます学習指導要領の改善に反映させることが適当と考えられる、そういう内容につきましては、学習指導要領の改善の検討のための実証的な資料としてこれを生かしてまいりたいと思っております。  それが一つでございますし、それから、学習指導要領の改訂の仕方についての御指摘がございましたが、これにつきましては、この学習指導要領は、これまでは大体おおむね十年程度を一つの期間といたしまして改訂を行ってまいったところでございますけれども、今後は学校教育に対する社会的な要請等を踏まえながら、不断にその改善に向けた検討を行うことが必要であるというふうに私ども考えておりまして、文部科学省といたしましては、そのために中央教育審議会という私どもの審議会があるわけでございますが、その中に常設の機関として教育課程部会、これは学習指導要領を検討するということを主たる目的とするものでございますが、教育課程部会を設置をいたしますとともに、継続的に全国的な学力調査を実施するなどいたしまして、教育課程の基準について不断に見直す体制を整備をいたしているところでございます。  そういう観点で、そういうふうな考え方で今後教育課程の基準についての改善に取り組んでまいりたいと思ってございますが、その中におきましては、先ほど申し上げましたように、この特区の研究開発学校制度の成果も必要なものについては活用をしてまいりたいと考えているところでございます。

鈴木寛民主党・新緑風会

○鈴木寛君 今、御答弁の中で不断にやるということでございます。これは本当に不断にやっていただきたいと思います。  と申しますのも、今、局長の御答弁にありましたけれども、学習指導要領というのは十年に一回しか変わらないわけですね。これだけ世の中の変化が激しい、特に今までの近代産業社会における人材像と新しい情報社会、あるいは文化多元主義、あるいは国際化という中で、教育制度のみならず、その中で何を教えていくかという、育てるべき人材イメージというのはどんどんどんどん変わってきております。  ある意味、試行錯誤だと思いますけれども、だからこそ、こういう構造改革特区でいろいろな試みをしながらそれをどんどんどんどんフィードバックさせていくということでありますから、確かに戦後は十年間に一回の学習指導要領、私もこの二〇〇二年から始まっております情報教育の導入についてはその協力者会議にも私、参加をしておりました、学者として。でありますが、やっぱりそのプロセスを見ていますと、非常にこれ慎重過ぎるという感じもございますので、そうした中で、不断にどんどん柔軟に変えていくという御答弁、是非実行していただきたいと思います。  加えまして、我々民主党がかねてから申し上げておりますけれども、そもそも学習指導要領の内容が非常に細か過ぎる。詳細なことまできちっと決めて、正にトップダウンで文部科学省から三万八千の末端の現場の小中高に下ろしているということ自体、もう少しきちっと地方分権を踏まえて、現場でいろいろなことを自由に、そして私はきちっと、児童生徒の顔が見える人たちがその人たちの学習内容をきちっと決めていける制度ということが最終的に必要だと思っております。  そういう観点から、学習指導要領の大綱化ということを、中身自体は不断に見直していただけるということでありましたが、併せて、もう少し大ぐくりにして、現場でいろいろなことを特区の指定を受けずともできるような学習指導要領にしていくべきだというふうに思いますが、この大綱化についてはいかがでしょうか。

矢野重典文部科学省初等中等教育局長

○政府参考人(矢野重典君) 学習指導要領は、各学校が、先ほど申し上げておりますように、教育課程を編成する際の基準であるわけでございまして、それぞれの学校がこれに基づいて地域や学校あるいは子供の実態等に応じて創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開することが重要であるわけでございます。  我が省といたしましては、先ほど御指摘がございましたように、これまでも学習指導要領の大綱化、弾力化を図ってまいってきているわけでございます。こういう例えで適切かどうか分かりませんけれども、戦後すぐに学習指導要領の試案としてできた当初、それは大変大部なものでございまして、何百ページといったような形のものでございましたが、現在は大綱化、弾力化を進めてまいりまして、例えば小学校の学習指導要領、小学校全教科の教育内容を規定したものでございますが、それでも百ページ足らずといったような、極めて小冊子にまとめられるぐらいに大綱化、弾力化をしてまいっているところでございます。  本年四月から実施されております新しい学習指導要領におきましては、例えば国がその内容を定めるのではなくて、地域や学校あるいは子供の実態に応じて学校が教育内容を定める、全面的に学校が教育内容を定める、そういうものとして総合的な学習の時間というものをカリキュラムの中に新設をいたしたり、あるいは子供たちが興味、関心に応じて学習できるように選択学習の幅を大幅に拡充するなどの一層の大綱化、弾力化を進めてまいってきているところでございます。  そういう意味で、今後とも私ども、御指摘の趣旨は私どももそのとおりというふうに考えているところでございまして、それぞれの学校が地域や学校の特色を生かした教育を一層展開できますように、新しい学習指導要領の下での優れた取組を全国に普及するなどのそういう措置を講じながら、そうした学校の努力について支援をしてまいりたいと考えております。

鈴木寛民主党・新緑風会

○鈴木寛君 大綱化するのかしないのか若干不透明な答弁だったわけでありますが、ちょっと前段のところ、局長があえてそういう御答弁をされましたので付言しておきますと、元々、局長もおっしゃったように試案だったわけですね。試案のころは、確かにこれは試案ですから、それを参考に各現場が決めていいということがあります。しかし、これはもう釈迦に説法でありますけれども、これは国会の審議でありますからきちっと申し上げさせていただきますが、学習指導要領のいわゆる法的拘束力というのが高まってきたと、そういうことがその背景にあるということはきちっと押さえた上でそうした御答弁をしていただきたいと思います。  そうした法的拘束力を強める、それを私はもっともっと弱くしていかなきゃいけない。そのことがもちろん最終目的でありますけれども、その中で現状の法的拘束力を維持するのであれば、やはりその中ではきちっと大綱化ということについて、現場主権の教育制度改革ということをやる上では大綱化を真剣に取り組んでいくべきではないかと、こういうことでございますので、いや、戦後からずっと大綱化しています、簡素化していますということではないんだということはきちっと踏まえた上で、きちっと再度この大綱化についての御検討をお願いを申し上げておきたいと思います。  それで、その話も実はもっとしたいわけでありますが、今日一番申し上げたい議論に移りたいと思います。株式会社制度の導入の問題についてであります。  いろいろ報道されておりますけれども、まず大臣にお伺いをしたいと思いますが、いわゆる株式会社制度の導入について医療と教育についてはゼロ回答ということがいろいろなところで報じられておりますが、大臣、医療と教育について株式会社制度が全くもう頭から駄目だと、こういうことになっている現状あるいはこの問題について、大臣としてどういうふうな方針で、考え方で臨まれようとしているのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

鴻池祥肇自由民主党・保守党防災担当大臣

○国務大臣(鴻池祥肇君) 先ほどから委員の質問、また答えておられる文部省の答弁を聞かしていただきまして、一歩進んだなという気がいたしました。  私はやはり、委員御指摘の医療、教育の分野に株式会社が参入するということに関しては、極めて前向きにとらえていかなければならないという立場で絶えずそういう発言をさせていただいておるところでございます。  これが進んでいく過程におきましても担当大臣と意見の交換もいたしました。そこにはいろいろな歴史的なもの、あるいは周りにいる関係諸団体の御意見等々、相当乗り越えなければならない分厚いものがあるということは各大臣のお話で承知もいたしております。しかし、やはり先ほど局長の御答弁にもありましたけれども、一定の教育水準、これは大事です。一定の教育水準を保つ役所の姿勢というのは非常に大事でありますけれども、一定の教育水準、これをかたくなにそれだけを考えておるということは私は今の御時世に合わないのではないかと思います。  一つの目標に向かって、鉄を作らなければならぬ、あるいは船を造るんだと、とにかく日本はそういうことでやっていくんだという時代が当然ありました。これは、すごいやはり役所の指導力に、文部省の指導力によってそういう教育が、同じ服を着て同じ給食を食って同じ日に運動会をやって同じようにやる、しかし一定の教育水準だから競争心を余りあおってはならない、運動会でも一等二等を付けない、こういう教育も実は戦後の日本教育の社会であったわけです。  果たしてそれが今の我々が考えている現代社会に合うのかということを考えた場合には、私はすべて、間違っているとは言いませんけれども、すべて合っているとは思いません。やはり、多様なニーズの中で教育も考えられるべきである、医療も考えられるべきであると。そういう中で私は、やはり供給者側よりも国民側、教育を受ける側、あるいは受けさす父兄の側の立場に立って多種多様の教育というものがあってしかるべきであると。そこに株式会社の参入ということは私は大変結構なことであるし、全国で株式会社の教育というものを私はやる必要があるとは言っておりませんけれども、やはり先行して一か所二か所、その地域のニーズ、そういうものがあれば認めていくべきだ、このように考えております。

鈴木寛民主党・新緑風会

○鈴木寛君 内閣官房にお尋ねをしたいわけでありますけれども、今は文部科学省と相当この問題について御議論をされていると思います。  内閣の方としては、株式会社制度を導入することの意義といいますかメリットということ、大枠、コンセプト、理念については今大臣から明確に御答弁をいただきました。本当にありがとうございました。もう少し具体的にといいますかプラクティカルに、私は、どういう御説明といいますかどういう御説得というかされているのかと。いわゆる株式会社制度導入の意義とメリットについて、まず内閣はどのように御理解をされているのかということをお尋ねをさせていただきたいと思います。

中城吉郎内閣官房内閣審議官

○政府参考人(中城吉郎君) 私どもは内閣官房といたしましては、地方から出てきた提案というものの中に株式会社も入れてほしいというようなものが十件近くございまして、それにつきまして、その要望に沿いましてできるだけ地方のニーズを生かすためにはどうすればいいかということで、地方のニーズをできるだけ受け入れられる形でできないかという形で折衝しているということでございます。  それにつきましては、株式会社の参入につきまして、できるだけ民間の活力を最大限に引き出すということが構造改革特区の一つの有効な手段でございますので、そういう意味で是非そういうものを検討してほしいということでございます。  理念的なことについての御質問でございますけれども、株式会社というものが万能というわけではございませんけれども、株式会社が参入すれば、例えば資金調達が円滑化するだろうとか、あるいは経営の近代化、効率化というのが図られるだろうと、それでまた投資家からのチェック体制もできるだろうというようなことで、より効率的で質の高いサービスを供給できるというそういうメリットがあるんだと、そういうことで地方公共団体から出てきているんだろうということで折衝しているところでございます。

鈴木寛民主党・新緑風会

○鈴木寛君 大臣、今日は私この問題で、相当何といいますかメンツ争いみたいな、やや不毛な議論でちょっと議論が硬直している、それは非常に残念なことなわけでありまして、もう少し建設的な議論を深めていただきたい、それの一助となるような議論を私は展開させていただきたいと思うんですが。  確かに、民間の活力の導入という観点で今回のことが行われていると、そういう中で株式会社制度を導入していくということ、もうこれはいろいろなところでいろんな議論がなされておりますので今日はあえて私は繰り返すつもりはございません。しかし、それ以外にもいろいろな観点からの論点があるんです。それを私は今日は幾つか御提案をし御指摘をさせていただいて、今後の内閣の中での、あるいは内閣官房とそれから文部科学省との議論に反映をさせていただきたいという意味で文部科学省と質疑をさせていただきたいと思いますので、是非それをちょっとお聞きいただいて、一番最後にまた御見解をお伺いしますので、よろしくお願いをしたいと思います。  それで、特に内閣官房と文部科学省の本件をめぐるやり取りを私も少し勉強をさせていただきました。  文部科学省さんは、学校教育は公の性質を持ち極めて公共性が高いものであるため、営利を目的とする株式会社とは相入れないでありますとか、あるいは学校経営を永続的に行えるだけの安定性、継続性を学校の設置者に求めているということで、公共性、安定性、継続性というものが学校運営に求められている、よって株式会社は駄目だと、こういうロジックが展開をされております。  さらに、十一月二十八日のこの内閣委員会での同僚の松井議員からの河村副大臣に対する御質疑に対する副大臣からの御答弁も、副大臣からは、やっぱり教育の公益性の高さといいますか、そういうことを考えたときに、やっぱり株式会社が持っておる利潤の追求といいますか、そういうものとが整合するかどうかという点に私どもは非常に懸念を抱いたものでございますという答弁がありました。さらに、現実には株式会社も学校法人という形態を持って多く大学等を運営されておると。そういうことを私はもっとやるべきで、企業は投資をするということであれば、もっと学校法人に投資をしていただくというやり方があるんではないかという御答弁をいただいているわけなんでありますが。  まず、これをもう少しやっぱりきちっと論理的に私は今日深めていきたいと思いますが、まず後段の、今、企業は学校法人に投資をしているというふうにお答えになっておりますけれども、企業は今投資できませんよね、学校法人には。寄附はできます。そして、寄附した場合の寄附の税額控除という恩典は受けられますけれども、投資というのはその出資、投資に対してリターンがあるものが投資というわけでありまして、そういう意味では寄附免税しかない。正に、これは企業は寄附しているケースは多いかもしれないけれども、投資はできないわけでありますから、投資という形態が今なお行われているという実態については、これは事実誤認ではないかというふうにまず思います。  それから、教育の公共性、安定性、継続性が必要だと、私はここについては全く賛成であります。しかし、だから株式会社の参入は一律に駄目だというところには論理の飛躍があるんではないかということを申し上げたいわけであります。  私、いろいろな御議論を聞いていますと、まず現行の私立学校法に基づく学校法人のガバナンスの実態ということについての文部科学省ないしは内閣委員会での御理解というものをもう少し深めていただきたい。是非、大臣もそのことを更に深めていただきたいと思いますが、株式会社イコール金もうけの組織だという非常に印象論といいますか、教条主義的な思い込みで議論がなされていることに私は大変な懸念を覚えます。  私は、もう一度株式会社制度ということを昨日専門書を引っ張りまして確認をいたしましたが、そもそも株式会社というのは人材とか資金とか知識を結集して事業を行うための非常にある意味一六〇〇年以来人類が進化させてきた器なわけでありますね。その器あるいはその知恵というものを、この公共性、安定性、継続性が求められる教育の事業に導入することの是非というものをやっぱりもう一回きちっと考えていかなければならないというふうに思います。  特に、日本における株式会社というのは百二十万社あります。しかし、上場企業は三千五百しかないわけですね。そうすると、百十九万数千の会社というのは非公開の株式会社でありまして、更に申し上げると、様々な公的な目的を持った公企業というものも株式会社形態で運営をされているわけでありまして、そもそも株式会社というのは営利性と社団性と法人性と、この三つの要素を持った団体である、社団であるということであります。  もちろん、この一番最初の営利性というところが難しいわけでありますが、この営利性というのは、済みません、少しちょっと細か過ぎる議論になりますが、しかし、こういう正確な議論の下に議論がされないと深まらないものですから少しお許しをいただきたいわけでありますが、商法あるいは関連法でこの営利性は恐らく私は三つに分類できる。一つ目は収支適合性ということであります。二つ目は利潤獲得性ということであって、三つ目は利益配分性、いわゆる配当がされるかどうかと、こういう話であります。  一点目の収支適合性は、これは何も学校法人であってもちゃんと収支が適合して赤字を出さないということはこれは重要でありますから、別にこの意味での営利性というのは何ら問題がないわけでありまして、そして三つ目の利益の配分性ということは、先ほど内閣官房からも御答弁がありましたけれども、このことによって資金調達が円滑になるということでありますから、学校法人の経営という観点で何ら問題がないわけであります。  よく言われておりますけれども、いわゆる今現在も学校法人は銀行から借入金をしているわけでありまして、それに対する利子というものと株式会社の配当と別に実質は違わないではないかという議論には、私は非常に説得性があるというふうに思っております。  残るは利潤獲得性、こういう問題なわけでありますけれども、そこは松井議員も前回御指摘をさせていただきましたように、様々な行為規制でもってきちっと手当てをしていくと。もちろん、利潤獲得性を全面的に否定するわけではありませんが、それよりもいわゆる学校教育活動の再投資というものにきちっと向けられる、あるいは経営の安定性というものに対して向けられるという議論が私は必要だというふうに思っております。  ちなみに、こうしたいろんな知恵は他省庁の所掌する政策の中ではもう幾つも取り上げられておりまして、典型的なものは、日本銀行というのはこれは株式会社であります。それで、日銀法の第五条できちっとこれは公共性についての規定がありますし、じゃ、日銀が利益第一主義でやっているのかというと決してそうではなくて、通貨の安定と金融システムの、金融秩序の維持という観点から日本銀行というのは運営されているわけでありますから、日銀が株式会社で営利だけに走っているから日本経済がおかしくなったというロジックではないというふうに思いますし、さらに銀行、いわゆる一般の銀行とか保険というのも、これもちゃんと銀行法とか保険業法の第一条に公共性というものが担保されていて、それに伴ういろいろな認可制、許可制、あるいはそれに基づく行為規制というものまでいろいろ掛かっているわけでございまして、頭から株式会社は営利目的だ、だから駄目だというのは、若干これは正確性を欠く論理ではないかなというふうに思いますが、改めて文部科学省に株式会社制度導入についての見解を伺いたいと思います。

玉井日出夫文部科学省高等教育局私学部長

○政府参考人(玉井日出夫君) お答え申し上げます。  委員も先ほど来の御質問の中で、教育が多様であるべきであり、そして民間活力が生かされるべきであるという正に御指摘があったわけでございますが、日本の学校システムはまさしく公共性と同時に多様性を求めようということで、国、地方公共団体と、今国立、公立だけではなくて私立学校という形で民間活力を大いに生かしてきているわけでございまして、これは委員御案内のとおり、諸外国と比べてもこんなに私立学校が大きな役割を果たしている国はちょっとほかにないぐらいでございます。  その際、民間活力を生かすに当たって、やっぱり教育の公共性だとか継続性、安定性の観点から特別な形態で学校法人という形を作り、そこに様々な活力が生かされることによって教育全体が多様化していくことを願っているわけでございます。  そして、それは先ほど来申し上げていますように、やはり公共性、継続性、安定性からいうとやはりそれにふさわしいシステムではないか。株式会社そのものがどうこうと申し上げているのではなくて、よりふさわしいのは何だろうかという観点から申し上げているわけでございまして、したがって、先ほど利益追求ということについての講学的な御説明がございましたけれども、要はやはり学校とそれから民間の株式会社でありますと、そこで利益追求あるいは私的配分、こういうものを前提とした活動と、そしてやはりそれは中の教育研究活動に再投資するんだというシステムと、ここがやはり基本的に違うんではなかろうか。あるいは、場合によっては投機的な事業だって自由にできる企業と、それから安定性、継続性を求めている学校のシステムと同じにやはり議論をできるであろうかと、かように思っているわけでございまして、これは委員御質問の中で既に御指摘いただきましたように、企業が正しく学校に寄附、正確に言えば寄附でございます、という形で事実上設立をしていくと。自分たちが学校法人という姿を取って大学等を設立するという例はたくさんございますし、近年では、これも委員御案内のとおり、地方公共団体と学校法人が協力して、いわゆる公設民営という形での新しいユニークな学校も今出つつございます。そういったものを是非私どもとしては促進をさせていただきたいと思っております。  ただ、時代の変遷から見ますと、学校法人の設立要件が、今見ますと安定性、継続性を求める余り大変厳しいというところも、これも事実でございます。したがって、その設立要件についてやはりその緩和を図っていく、見直していくということは必要だろうと思っております。  今回、構造改革特区におきましては、先ほど冒頭でお答えいたしましたとおり、せっかくの自治体の御提案でございます。直接株式会社が設置するということについてやはりいかがであろうか、適切とは言い難いわけですけれども、その御提案の趣旨というものをどう生かしていくかということについて真摯に検討し、様々な検討をして、この構造改革特区におきましては自治体の提案に実質的にこたえて、企業が学校教育に参入するのと同様になるように専門職大学院やあるいは不登校の児童生徒を対象とした学校など特定の種類の学校の設立につきましては学校法人の設立要件というものを大幅に緩和する、そのことによってその趣旨を実現しようとしているところでございますので、そこはひとつ御理解を賜れば有り難いと思っております。

鈴木寛民主党・新緑風会

○鈴木寛君 ちなみに申し上げておきますが、大臣も御理解をいただきたいんですが、私は決して経済界側の人間ではございませんで、むしろ教育現場サイドの人間だというふうに思っております。私自身も高等学校の教壇にも立っておりましたし、今なお大学の教壇には立っております。加えまして、私の研究テーマの一つが、新しい社会におけるスクールガバナンスの在り方ということについて、ここ二、三年、いろいろな観点から検討を行っていた者でございます。そういう者がどう考えているかという意味で大臣にもお聞きをいただきたいというふうに思いますが、私は、いわゆる教育分野における市場万能論ではないんです、私はないです。  と申しますのも、教育というのは確かに非常に情報の非対称性というものがある分野でありますから、そうすると、情報の非対称性がある程度ありますと、これはなかなか市場というものがワークしない、いわゆる市場の失敗というものが起こってしまう可能性というのが非常に高い。特に、初等教育というのは、小学校のときに教育したサービスの結果が出るのが、これは一生出るわけでありまして、そういう意味でのサービスを提供した時期とその効用あるいは効果というものが現れる時期にも非対称性があるという問題もあります。そういう意味でありますし、それからサービスというのは、同じことを教えていてもAという生徒には非常に教育効果があるけれどもBという生徒には全然ないとか、そういう意味で、何でもかんでも市場にあるいは民間に任せていればいいということではないということは私も十分に理解をいたしております。  そういう意味でのまず情報の非対称性、それからある情報を判断する判断の非対称、あるいは能力の非対称という意味があることはよく分かっておりますし、特に教育というのはこれは不可逆なものでありますから、十五の春は二度と来ない、十八の春は二度と来ないということでありますから、そういうことは十分よく分かった上で、私は、じゃ、いわゆる教育自由論者ではなくて、どういう論者かと言いますと、私は教育現場論者なんですね。要するに、そこで学ぶ学習者の顔が見えている人たちが、大人たちが、あるいは高校とか中学であれば本人たちが、生徒たちが入ってもいいと思いますけれども、きちっと自分たちが何を学んだらいいかということを現場でどんどんどんどん決めていこう、そして不断に現場からより良い教育というものが行われる、そういうふうな自発的な創意工夫というものがわき出てくる、そしてそれがどんどんどんどん実行に移される、そしてどんどんどんどん進化していくと、こういうふうな教育現場主義というものをこの教育、日本教育サービスの中で展開をしていきたいなというふうな観点に立っております。  でありますから、単に私は市場取引に、あるいは価格だけで物を決めていくというところに教育をさらすということについては、やはりそれはある程度慎重にしていかなければいけないと思いますけれども、そういう中で現場でより良いものを選んでいくという意味で、やっぱり選択肢というのは多様にあった方がいいだろう、そしてその選択肢を選ぶその選択の機会、判断の機会というのはやっぱり一杯あった方がいいだろうと。しかも、ピリオド、インターバルというんですかね、その間隔というのはやっぱりもっともっと、いつでもより良いものを選べる、あるいは更に言うと、より良い判断を教育サービス者にフィードバックをしていくと、こういう進化のメカニズムを私は教育に導入したいというふうに思っておりますけれども、そういう観点からも、私は現状の日本において株式会社制度というものはやはりもうちょっときちっと検討をすべきではないかというふうに思っております。  それは、正に今教育の現場というものは、先ほど設立に当たってのもろもろの御答弁はありました。そこの自由度あるいはそこに創意工夫を入れていくということについての取組をされているということは、私はその部分はきちっと評価をしたいと思います。本当にこの数年間でかなり劇的に変わってきているなというふうに思いますし、この国会でも学校教育法の改正が行われました。しかし、より大事なことは、できた後、要するに走りながらどんどんどんどん良くしていくと、そういうふうなガバナンスを学校に導入するということがやっぱり一番重要なわけでありまして、そういう意味で、先ほど来ずっと申し上げておりますような情報の非対称性というものをきちっと措置をしていく。  結局、最近のガバナンスというのは情報の開示、あるいは情報のシェア、共有、それと関係者からの、いわゆるすべての関係者、ステークホルダーからの正当な評価という仕組みをどういうふうに作っていくかということに尽きるんだと思います。そして、正に情報の入手、ステークホルダーから言えば情報の入手と、その入手したものに基づいて正しいフィードバックをするんだということをそれぞれのステークホルダーがきちっとモチベートされながらやっていく、そしてきちっと、要するに正当な監視、正当な評価のフィードバックというものを怠ったならば自分も不利益になってしまう。更に言えば、もっとポジティブに言えば、きちっと情報を入手して、そして評価をフィードバックしていけば良くなるんだと、そういうふうなインセンティブ、それは両方必要だと思いますが、そういったことが制度上きちっと担保されているということが必要でありまして、そのような正に情報公開と評価と、それからだれからでもステークホルダーがきちっとチェックできて、更にいろいろなインボルブメントがなされてガバナンスにインボルブされていくというようなことのための行為規制とか事業規制とか、そういうことをむしろきちっとすべきではないかと思います。それを一律に設置主体によって学校法人ならオーケーで株式会社ならそれができないという議論はややこれは乱暴ではないかというふうに思いますが、いかがでございましょう。

玉井日出夫文部科学省高等教育局私学部長

○政府参考人(玉井日出夫君) 学校の在り方についてのかなり御意見をいただきました。  学校の設置認可の弾力化、言わば世の中全体が事前規制から言わば事後チェック型に世の中の仕組み自体が動きつつある、こういう中での学校の在り方でございますので、設置認可の弾力と事後のきちんとしたチェック、それからその間の言わば第三者評価をきちんと入れるということは、委員も正にこの国会での御審議を賜りましたけれども、今国会で法律を成立をさせていただきました。  あわせて、やはり大切なことは、今設置者である学校法人についての御意見であったわけでございますけれども、そもそも今の学校法人という仕組み自体をよくごらんいただきますと、この法律によりまして、理事会では同族支配を禁止するとか、あるいは評議員会を必置にすることによって教学とのバランスを取っていくとか、あるいは監事制度がございまして内部監査機能がある、しかもこの監事というのが問題があれば直接所轄庁、大学でいえば文部科学大臣に直接報告ができるというような仕組みが実は整えられているわけでございます。  ただ、いろいろ御議論がございまして、果たして制度はあるが監事機能が本当に十分に機能していると言えるであろうか、あるいは財務情報の公開が、実はもう八五%ぐらいの大学がそれなりの取組をされておりますけれども、果たしてそれでもう十分と言えるであろうかという御議論があることは重々承知をしているわけでございまして、そういう意味でのいわゆるガバナンス機能について更に強化を図るべきではないかという御意見があると承知をしているわけでございます。  このため、実は現在、大学設置・学校法人審議会の学校法人分科会におきまして、学校法人の内部監査機能の強化や、あるいは財務の透明性の確保のための具体的な方策はいかにあるべきかについての検討を既に開始をしているわけでございまして、その検討結果を踏まえながら必要な施策を講じてまいりたい、かように考えているわけでございます。

鈴木寛民主党・新緑風会

○鈴木寛君 その検討がやっぱりちょっと遅かったなと思いますね。  今、私立学校法で、例えば評議員会制度、評議員制度のお話がございました。しかし、そうした現行の私立学校法が想定しているチェック機能というものがはっきり申し上げてほとんどワークしていないんですよ、大臣。  例えば、その評議員というのはどういう人たちで構成されるかと申し上げますと、私立学校法の四十四条で、これは法律で規定されているんですけれども、まず学校法人の職員から選ぶという話になっているんです。それから二つ目は卒業生から選ぶと、こういうことになっているんです。あとは学識経験者。そうすると、要するにその学校の職員さんですから、あるいはその卒業生ですから、それに対してある意味できちっと批判的精神を持って、本当にこの学校経営というのはうまくいっているかどうかということをチェックする人がそもそも評議員に入っていないわけですよ。  だから、私は公共性の意味というものをもう一回きちっととらえ直すべきだと思います。私の考える公共性というのは、その学校運営に携わるすべてのステークホルダーがきちっと入って、そのすべての関係者の関与によって適正な運営が行われるということ自体が私は公共性の追求だと思う。  だけれども、現行の私立学校法はどうなっているかといいますと、正にだからOB、こういうことになっているから、私立学校の経営というのはOBが発言権を持つわけです。OBに対して、何といいますか受けのいい執行部が、ですからOBの顔色をうかがい、そしてあとは内部ですから、それからあとは、めくら判をとは言いませんけれども、別にそのことに、学校経営がうまくいこうがいくまいが別にそんなに痛みを感じない学識経験者と、こういうことになっているわけです。  もちろん、何かあれば所轄省に言ってくればちゃんと発動できますよと、こういうお話です。しかし、現実問題、数百とある私立学校法人を現行の文部科学省、もちろん一部都道府県にも下りておりますけれども、じゃ、そういうふうな所轄省が逐次チェックをできるのかと。それから、そもそも今の規制改革あるいは構造改革、日本全体の構造改革の趣旨というのは、一番最初に大臣がおっしゃられたように、何でもかんでも役所がチェックするということではなくて、きちっと現場で当事者がそうしたチェッカー、チェックをしながら、あるいはより良いフィードバックをしながらセルフガバナンスを確保しながらやっていきましょうということが趣旨でありますから、そうすると、現行の私立学校法に基づくガバナンスというのは私は破綻していると思う。だからこそ、帝京大学の問題とか酒田短大の問題とか起こっているわけなんです。  私は、なぜ世論がここまでいろいろな厳しい声があるかということをもう一回考え直してみますと、現行の学校法人というのがうまくいっていないじゃないですかと、そこに対して何かのやっぱり是正措置というものを取られなければいけないという声なんだと思うんですね。私は、そういうガバナンスの観点から、株式会社制度というものをもう一度きちっと見直していく必要があるというふうに思います。  日本の株式会社制度というのは、ここ数年、劇的に変わっております。商法あるいは会社法の改正というのは急速に進んでいるわけですね。正にコーポレートガバナンスということに向けて商法の改正が非常によく行われております。例えば、十三年から十四年の一年間だけでも四回の商法改正が行われております。そして、コーポレートのガバナンスあるいはステークホルダーの関与、更に言えば、きちっと電子化というものも取り入れながら迅速な経営判断をやっていく制度ということも取り入れられております。  例えば、監査役の独立性あるいは監査役の監査機能の強化ということも私は現行の私立学校法の監事に比べればよっぽど株式会社の監査役の方がワークしていると思いますし、そういうふうな制度に私はなっているというふうに思います。  それから、最近は執行役員という言葉が広まっておりますけれども、これはいわゆる委員会等設置会社制度の創設というものが行われて、きちっと取締役会が監視をして、そしてその執行役が実質業務を行うという取締役会自体が、今までもちろん監査役というものが見ていくという道と、それから取締役が監査機能をきちっと強化していくと、こういう新しい方法を見いだして、そして業務執行をきちっと監督をしていくということができております。  それから、それぞれのいわゆる株主の監督是正権というものもかなり付与されておりまして、これはいずれも単独でできるわけでありますが、違法行為の差止め請求権もありますし、代表訴訟提起権もあるわけであります。更に申し上げますと、解任請求訴権というものも現行の株式会社制度は認められております。  このように、いろいろなステークホルダーが何か経営がおかしくなったときにチェックをできるということが株式会社制度では導入をされているわけでありますが、るる申し上げませんけれども、時間がなくなってきましたので。しかし、現行の私立学校法というのは、精神論は公共性、自主性と書いてある。私はそこを否定するわけじゃない。しかし、その担保が本当に現行の私立学校法下の学校法人でできているかというと、これ詳細に制度を見ていくと、あるいはその実態を見ていくと、明らかに株式会社の方がいわゆるコーポレートガバナンスあるいはスクールガバナンスという観点では優れていると言わざるを得ないという意味でも、私は株式会社制度というものを頭ごなしに否定するというのはおかしいんじゃないかというふうに考えております。  そういう中で、改めて今の議論に対して文部省の見解をいただきたいと思います。

玉井日出夫文部科学省高等教育局私学部長

○政府参考人(玉井日出夫君) お答え申し上げます。  先ほどは現行の仕組みのことを若干重立ったところを申し上げたつもりでございますが、要は株式会社、正に事業そのものをどう最も効率的に行うかというところと、やっぱり学校教育とその運営とのバランスをどう取っていくかということを同列になかなかそれは論じ難いところがあるんではなかろうか。  先ほどの、言わば株主の、株主が最終的にはその出資の比率に応じて議決権を持つ株式会社と果たして学校というものが同じなのかどうか、これはやはりいろいろ議論が分かれるところではないかと率直に思います。したがって、一概に、先ほど委員がおっしゃったとおりとは、それはなかなか言いにくいんではなかろうか。ただ、議論としてあるのは、そういう仕組みはあるけれども、本当に機能しているのかどうか、実態はいかがであろうかといったところについては、先ほどお答えしたやっぱり点もあろうかと思っておりますので、その点は検討していきたい。  それから、かなり運用で考えねばならないところがあると思っております。それは、例えばより機動的に学校を運営していくというときに、今は少数ではございますけれども、学校の中には担当理事制を導入しているところもございます。  これはまだまだ少数でございますけれども、そういったいろんな工夫を学校法人自身が新しい時代に向けて今は行っているところでございますので、そういう私どもはそれぞれの工夫あるいは努力というものが促進されるように支援はしていきたい、かように思っております。

鈴木寛民主党・新緑風会

○鈴木寛君 正にそういう意味できちっと議論をすべきだということだけは私一致させていただいたかと思いますが、ここでまたほかの法律の説明しませんけれども、そういういろいろなことをバランスする中で、いろんな知恵があるわけですから、そこを議論は深めていただきたいと思います。  もう一つ私は指摘したいのは、同じくこれは平成九年辺りからでありますけれども、特に平成十一年の持ち株会社解禁などが行われまして、いわゆる会社分割とか企業結合とか企業連携とか、そういう組織間の非常にフレキシブルな連携強化ということがこの会社法の一連の改正の中で取り入れられております。  この点も私は非常に重要なポイントだと思っておりまして、実は我々文教関係者の中で非常に懸念をされておりますのは、これからいわゆる学校法人の経営問題というものは少子化の中で非常に深刻化してくると思います。もう既に深刻化していると思います、実態は。これから正に右下がりの中で学校法人というものがいかに生き残っていくかということがこれはもう本当に文教政策の最重要課題なわけでありますね。  そういう中で、むしろ座して死を待つのではなくて、座して死を待って、また私学助成金で公的資金導入で今までの二分の一制限を超えてどっと入れると、こういうことにならないようにするためにも、むしろ戦略的に今ならまだいろんな体力があります。いろんな体力がありますから、もう少し有機的な大学間の連携とか、場合によれば統合とか、あるいはいわゆる親子関係とか、いろいろな制度あるいは企業連携の在り方ということが私は必要だと思います。  これも現行の私立学校法で見ますと、理事会三分の二、更に評議会三分の二の同意がないと、実態上はないと、これはなかなか合併とか、いろいろ解散というのはこれはできないと、こういうことであります。こうなると、またいわゆる卒業生が非常に有力な実権を握っている評議会制度のところで止まっちゃうわけですよ。そうすると、非常に好機をどんどんどんどん逸していくと、こういうことになります。更に申し上げると、こうした企業再編あるいは事業のリエンジニアリングということになってきますと、資金調達というものが非常に重要な課題になってきます。  そういうような観点で、私は、やはり現行の私立学校法でもうこれでいいんだということを突っ張り続けるというのは私はこれはいかがなものかというふうに思いますし、それから、先ほど地方自治体が公設民営の方式を検討されているというお話がありました。確かに、いろいろ検討されています。しかし、なかなか取り得べき制度が学校法人法しかないものですから、例えばこれが株式会社であれば、例えば高知工科大学というのがあります。これは高知県が造った私立大学です。理事長は高知県知事がなっていますが、しかし理事のうちの一人なわけです。しかし、そのあれは高知県がほとんどお金を出しているわけです。であれば、高知県の御意向をもうちょっときちっと反映させるためにも、すっきりとその辺の出資と議決の関係を明らかにしようと思えば株式会社の制度というものも参考にし得るというふうに思いますから、現行の学校法人の在り方のままでいいということでもないというふうに思いますし。  そういうふうな観点から、私はもちろん学校教育法あるいはその中で一発でその株式会社を学校設置者に入れていくと。これは私自身も非常に勇気の要る、それを頭から主張するにはね。しかし、今回の構造改革特区法というのは、正にそうしたいろいろ慎重にかつ大胆にやらなきゃいけない問題について、期間と区域を限定をして、そこでいろいろな実験、トライアルをしてみようと。そして、そこで正に部長がおっしゃったように、いろいろな実態を踏まえて、そしてそれをもう一回持ち帰って、いろいろな関係者で株式会社制度なんかも参考にしながら、私は、株式会社を導入するという方法もあるかもしれないし、あるいはきちっと学校法人の在り方をもう一回根底から議論をしていくということもあるのかもしれません。  その議論は本当にいろいろこれからさせていただきたいと思いますが、その一つのきっかけ、あるいはそれを机の上だけで議論していても始まりませんから、そういう意味で、やっぱり実際いろいろ試験的にやってみるという意味で、正に構造改革特区でまずやってみるにふさわしい私は試みではないかというふうに思います。  ほかにもいろいろ御議論をさせていただきたいことを一杯用意させていただいておるんでありますが、時間なので、今御議論をさせていただきましたが、鴻池大臣、今の議論についての感想と、こうした観点からも、要するにコーポレートガバナンスというもので相当法務省さん中心になられていろいろな知恵が出ております。この知恵を教育行政あるいは医療行政に導入をしていくという観点から株式会社制度導入問題ということを内閣官房としても、そうした観点からも、単に民間活力ということだけではなくて、現場の知恵を最大限に生かすんだと、そういう観点から再度見直し、議論を総括し、更にこれからの御議論に反映をさせていただきたいというふうに思いますが、それについての御答弁、御感想をいただきたいと思います。

鴻池祥肇自由民主党・保守党防災担当大臣

○国務大臣(鴻池祥肇君) 御論議を聞かせていただいておるというよりも、大変勉強させていただきました。  私は明日、あさってからPRに九州や北海道や、もう既に大阪方面も行ってまいりましたけれども、教育だけの問題じゃなく、特区というものについて出前持ちをするという就任当初から申し上げていることを実行していっているところでございますが、ただいまの先生の御高説につきまして、大変勉強をさせていただきました。また、文部省側の御意見もすべてが反論ということではなく、私自身も極めて真摯に聞かせていただいたところでございます。  ただ、私自身、二十九歳からちっぽけな運送会社、港湾運送事業でございますけれども、ちっぽけな会社の社長をいたしておりました。株式会社でございます。そういったところで、お役所の方から、どうも、厚生省、文部省の、株式会社どうも悪党だというふうな感じで聞こえるものですから、そうではないぞという感情的なものも実はございますけれども、ただいまの御議論で大体御理解もいただいていると、このように思いました。  そこで、ただいまのお話のように、いわゆる監査制度とか、株式会社自身が相当法案が、対する法律が整備をされてきて、そして株式会社というのは公共性があるんだというような審査の制度、監査の制度というものが充実をしてきておりますので、こういったものを取り込んでしっかりいけば、悪口ではありませんが、帝京大学のあの正しからざる状況といったものに株式会社の学校ができても対応を、そういった他山の石を見ながら対応ができるのではないかというふうに思っております。  正に私は、何度も申し上げておりますように、全国一律株式会社でやろうと、こういう構想ではありません。一点、株式会社で試みにやってみたらどうかと、これが特区の構想でございますので、文部省の方も御理解をいただいて、また私、文部大臣ともお話をいたしますけれども、次の一月十五日の締切りの第二次提案にも恐らく地方からこの教育の分野に株式会社参入というものが出てこようかと思います。これが出てまいりましたら、なお一層議論深めまして、一点これが実現できるように私自身も努力をしていきたいと、このように覚悟を新たにいたしております。

畑野君枝日本共産党

○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。  構造改革特別区域法案について、私は最初に教育の問題に係って質問をさせていただきたいと思います。  まず、特区法案の十三条の市町村費負担教職員任用事業にかかわりまして、その問題に入る前に、まず義務教育費国庫負担制度の問題について伺わせていただきたいと思います。  八月三十日の経済財政諮問会議で、退職手当や共済費長期給付など五千億円の削減が提言をされております。小泉総理から夏休みの宿題を与えられた七省庁のうち、明確に数字を示して減らすことを明言したのは文部科学省だけだというふうに思いますけれども、それではその五千億円というのは一体だれが負担をするのか、地方自治体か国か、この問題についてまず伺いたいと思います。

矢野重典文部科学省初等中等教育局長

○政府参考人(矢野重典君) 義務教育負担制度の見直しについてのお尋ねでございますが、少し経緯を申し上げますと、この義務教育国庫負担制度につきましては、地方分権の推進あるいは国の歳出削減に係る観点から、まず直近の話といたしましては、先日、十月の三十日でございますが、地方分権改革推進会議の報告におきまして、共済費長期給付、それから退職手当等にかかわります経費についてはこれを国庫負担対象から外して、平成十五年度からこれらを段階的に縮減し、一般財源化を行うと、そういう提言がなされているところでございます。これを受けまして、十月の三十一日、翌日でございましたが、経済財政諮問会議におきましては、負担対象経費を国として真に必要なものに限定するなどの文部科学省としての考え方を示したところでございます。  具体のお尋ねは、こうした負担対象経費に外す、例えば共済費長期給付等の経費についてこれをどうするか、これはどこが負担するかということでございますが、共済費長期給付等の経費を、これを国庫負担の対象から外しましても、当然のことながら都道府県はこれを支給しなければならないわけでございます。そういう意味で、これを国庫負担の対象から外した場合の財源措置についての問題があるわけでございます。  このことにつきましては、私ども、国庫負担の対象から外した場合についての地方財源の手当てへの配慮というのは、私ども文部科学省としてもこれは必要であるという、そういう認識をいたしているところでございますが、この問題につきましては、分権会議の報告にもございますように、基本的には国庫補助金負担金それから地方交付税、それから国と地方の税源移譲問題を含みます税源配分の在り方、この三者を一体の中で検討する中でこれは政府全体として検討をしていただかなければならない、そういう課題というふうに考えているところでございます。

畑野君枝日本共産党

○畑野君枝君 これまで義務教育費国庫負担については堅持堅持というふうにおっしゃってきたわけですね。そして、その中でいろいろと手を付けてこられたというふうに思います。  私たちの議員団も過去にはいろいろな大臣に質問をいたしましたけれども、例えば一九八五年の十二月十九日の文教委員会では、松永大臣が義務教育費国庫負担制度の基本はあくまでも堅持してまいりたいというふうにお答えになっておられますし、一九九二年の衆議院の文教委員会ですが、鳩山大臣の方からも義務教育費国庫負担制度の根幹は死守するという、必ず守っていかなければならない、極端に言えば未来永劫と言っていいかもしれませんと、こういうふうに言ってこられたわけです。しかし、そう言いながらも削減をして、例えば国と地方の役割分担だということで旅費、教材費、共済年金に係る追加費用に要する経費、恩給費などを減らしてきたわけなんです。  そうやってやっていきますと、次は何かというふうにどんどんなっていくと思うんですが、今お話がありましたように、政府そのものあるいはいろいろな審議会、調査会でも、これは本当に一致しない、三位一体と言いますが、三位が一体にならない状況が続いてきたわけですね。財務大臣の諮問機関である財政制度審議会では、地方交付税の財源保障機能の将来的廃止と言うし、一方で小泉首相の諮問機関である地方制度調査会では、交付税堅持、税源移譲、こういうふうになっているわけです。  ですから、その五千億円というふうにアドバルーンを上げても、一体、じゃどこがやるのか。本当に無責任極まりないというふうに思うんです。そういう点ではそういうことを言うべきではないと思いますけれども、いかがですか。

矢野重典文部科学省初等中等教育局長

○政府参考人(矢野重典君) 繰り返しになりますけれども、この義務教育費国庫負担制度についての見直しにつきましては、これは地方分権会議等における見直しの御議論もございました。また、あわせて、総理の方からも私どもに対する見直しの御指摘、御指示があったわけでございます。  そうした中で、分権会議としては、私どもに対しまして、中間報告でございましたけれども、国として真に負担すべきものに限定すべきである、そういう観点から義務教育費国庫負担対象経費について見直しをしてほしいと、そういう御要請があったわけでございまして、私どもそれを受けて、先ほど申しましたけれども、義務教育の、この義務教育国庫負担制度の趣旨、目的があるわけでございます。  すなわち、義務教育についての国としての一定水準を確保する、そのための制度としてのこの義務教育費国庫負担制度の趣旨、目的があるわけでございますので、その趣旨、目的を維持しながら、その範囲内において、今、先ほど申し上げましたように、国として真に負担すべきものに限定すべしという、そういう観点からぎりぎりの見直しをした結果、先ほど申し上げたように、在職の教職員の給与以外のものについては、これを国庫負担の対象から外しても義務教育費国庫負担制度の趣旨、目的を損なうことはないと、こういう判断に立って、私どもの分権会議の御指示に対する一つの答えとして、一つの案として御提言を申し上げたところでございます。

畑野君枝日本共産党

○畑野君枝君 その案を出しても財源を決める権限はないわけですから、それはもう本当に混乱を生むわけですよね。  そして、地方自治体含めて今どういう声が寄せられているか、文部科学省はつかんでいらっしゃいますか。

矢野重典文部科学省初等中等教育局長

○政府参考人(矢野重典君) 地方自治体のこの問題についての御意見でございますが、これは全国知事会等が、分権会議の中間報告が六月に出されましたが、それに対するアンケート調査結果として分権会議で御披露があった調査がございますが、その中では国庫負担制度の負担対象経費の見直しについて、慎重に検討すべき、あるいは現状維持すべきという、そういう意見が多数を占めていたというふうに承知をいたしておりますし、また先般の分権会議の報告がなされた段階で、全国知事会等六団体から、この問題については財源措置が明確にされていないといったことなどを理由とする談話が当日公表されるなど、地方財源の手当て等について批判的な御意見があったというふうに私どもは理解をいたしております。

畑野君枝日本共産党

○畑野君枝君 今おっしゃったとおりの声が本当に、大勢占めているわけですよね。  十一月二十九日の地方制度調査会、総理諮問の調査会の意見の中では、退職手当、共済長期給付等に係る経費を国庫負担対象から除外する案が検討されているが、これについては財源措置も明らかにされず、何ら地方の自主性向上にもつながらないことから、地方公共団体の強い反発を招いている、このままでは単なる地方への負担転嫁となりかねず、当調査会としても強い危惧を抱かざるを得ないというふうにおっしゃっているわけですし、これは私のところに参りました指定都市市長会、十一月二十日でありますけれども、同じ、到底受け入れることはできないと、こういう意見も上がってきているわけです。  全教のアンケートでも、十一月二十三日までに四百五の自治体の首長から義務教育費国庫負担制度堅持に賛同すると。そして、同じ全教の調査でも十一月十一日時点で、議会での採決が三十五都道府県議会含む三百七十八地方議会で行われていると、こういうことであります。  ですから、そういう意見を真摯に受け止めるならば、その制度は堅持するということは当然でありますし、これは給与費というふうにおっしゃいますけれども、やはりいい教員、きちっとした教員を配置するというのが、国の責任でやってきたわけですから、そういう点ではユネスコの教員の地位に関する勧告でも、社会保障は十分行うと、そして教員の質を保つということを言っているわけですね。  ですから、そういうのであれば、こういう削減、見直しというのは、これは撤回すべきだと思いますが、いかがですか。

矢野重典文部科学省初等中等教育局長

○政府参考人(矢野重典君) 今回の義務教育負担制度の対象経費の見直しにつきましては、先ほど申しましたように、分権会議から共済長期給付についての見直しの報告がなされたわけでございますが、その際に分権会議自体としても、この財源手当てについては今後、補助金、負担金の見直し、それから交付税の見直し、さらには税源配分の在り方の見直し、この三者一体を見直す中で検討してほしいと、そういう要請があるわけでございます。  そういう意味では、この財源手当てについては政府全体として、先ほど来申し上げていますように、単に国庫負担の対象から外すだけではなくて、必要な財源手当ては検討する、政府全体として検討すると、こういう状況になっているわけでございますから、まずこの点は御理解をいただきたく思うわけでございます。  そしてその上で、私どもとしては、いろいろな経緯がある中で、こうした経費を国庫負担の対象から外しても義務教育国庫負担制度の趣旨、目的を損なうものではないと、そういう理解の上に立っての一つの判断であるということについても併せて御理解をいただきたく存じます。

畑野君枝日本共産党

○畑野君枝君 地方自治体で保障できる条件が整っていないときに、そうやって空論を言っても私は説得力を持たないというふうに思うんです。そういう流れでどんどん、堅持といいながらも、今度はそういうものを五千億円だと幾らだと、これを本当に人質に差し出して減らしてきたわけですよね。それで、私はこういう姿勢がやっぱり今度の特区法案の中で本当に大きく問題として浮かび上がってくるというふうに思うんです。  それで、十三条の市町村費負担教職員任用事業の具体的な中身に入りますけれども、特区では国庫負担なしに教員一人当たり全額負担をしていくことになるわけですけれども、そういう市町村というのは存在するのかどうか、その点について伺います。

矢野重典文部科学省初等中等教育局長

○政府参考人(矢野重典君) 今回の特区制度によって、県費負担教職員以外に、特区における独自の特例的な制度として市町村が単独で独自に経費を負担する教職員というのを新たに置くことができるようになるわけでございます。

畑野君枝日本共産党

○畑野君枝君 だから、具体的にそういうところがあるんですか、考えられるんですか。

矢野重典文部科学省初等中等教育局長

○政府参考人(矢野重典君) これは、制度ができて実施される段階になればそういう市町村もあろうかと思うわけでございますし、現にこういうことを法案として御提案申し上げている背景には、こういうことをやりたいという提案があった市町村が現にあるわけでございますので、そういうところの市町村におきましては、制度化されれば、この制度を適用する形で今申し上げたような市町村単独の教職員を置く制度として実施されることになろうかと思います。

畑野君枝日本共産党

○畑野君枝君 もしそういう自治体が手を挙げるというふうになりますと、そこの自治体はお金があるじゃないか、国の負担がなくても全額保障することはできると、そういうふうになってくると、そこは自治体があるから今後その分の教員給与費の国庫負担まあ減らしてもいいじゃないかということが大変危惧されるわけですが、そういう可能性についてはいかがですか。

矢野重典文部科学省初等中等教育局長

○政府参考人(矢野重典君) 今回、制度化いたします特区における市町村費負担教職員というのは、これは現在の制度で措置されております教職員定数、すなわち義務教育標準法等の規定に基づき都道府県が定めた教職員定数というのが定められているわけでございますが、それとは別に、言わば上乗せをする形でその地域の特性に応じた特色ある教育を実施する、そういう観点に立って市町村が独自に常勤の教職員を任用する、そういう場合に限られるわけでございます。  したがいまして、市町村県費負担教職員の任用については、国としての特段の財政措置を新たに講ずることは予定しておりませんけれども、特区として認定された市町村につきましては、これは引き続き、引き続きというのは現行の制度をベースにという意味でございますが、引き続き義務標準法やあるいは県費負担教職員制度などによりまして全国的な教育水準の確保のための制度は適用されるわけでございます。すなわち、義務教育標準法に基づく定数は確保されるわけでございますので、その上で特区として認定された市町村において特色ある教育を実施するためのそういう独自の取組としてなされるものでございますから、そういう意味では、今回の特区における市町村費負担教職員の制度化は現行の国庫負担を減らすことにはつながるものでは全くないというふうに考えております。

畑野君枝日本共産党

○畑野君枝君 そうでなくては困るんですね。しかし、十一月二十日の衆議院内閣委員会で河村副大臣が特区のケースについて、その動きを奨励しながら、つまり市町村で全額見るということも含めてですよね、奨励しながら、また今後全国的な制度化はどうだということに進んでいくことになるだろうと、どんどんそういうところをやってくださいと、まるで奨励するような発言をされているんです。  国の負担も少なくなっていいじゃないかと、こういう危険な方向性を含んでいるんじゃないかと、そういうことがあってはならないというふうに思いますが、いかがですか。

矢野重典文部科学省初等中等教育局長

○政府参考人(矢野重典君) 先ほど申し上げておりますように、新しい制度ができたことによって現行の国庫負担制度を減らすということにはつながらないという話を申し上げておりますが、そのことと全国化の話というのは別な話として御理解をいただきたく思うわけでございます。  すなわち、国庫負担の減少につながらないということはもう説明は繰り返しませんけれども、全国的な制度化ということにつきましては、これは私どもも直ちに全国化ということにつきましては、市町村県費負担職員の処遇の在り方の問題とか、あるいは同一市町村に県費負担教職員と市町村負担教職員が混在することによる学校運営の問題といった幾つかのいろいろな問題が考えられるわけでございますので、私どもとしては、特区制度で実施することとなる市町村の状況も踏まえながら、かつまた都道府県や市町村あるいは教育関係者の御意見も聞きながら、全国化の問題には別途の問題として検討をしてまいりたいと考えておるものでございます。

畑野君枝日本共産党

○畑野君枝君 鴻池大臣、済みません、今の点で。要するに、こういう特区で国庫負担を減らすという方向に行くのではないかという懸念があって、そうではないという話ありました。そういう問題を含めて、市町村費の教職員の問題について御認識を伺いたいと思います。一言で結構です。

鴻池祥肇自由民主党・保守党防災担当大臣

○国務大臣(鴻池祥肇君) 国庫負担は、私は特区構想が実現していく中でそう簡単に減っていくものではないと思います。というのは、全国に株式会社をしようと言っているわけじゃない、一か所やりませんかと言っているだけですから、私はその……

畑野君枝日本共産党

○畑野君枝君 株式会社のことを聞いているんじゃないんだけれども。  やはり今回の法案も、地方では少人数学級にしたいという願いがあるわけです。だからそういうところに本当に、標準法もやはり緩和しても国からの負担がないということで非常勤になっているわけですね。だから今やるべきことは、本当にこういう法案でなくて国の責任できちっと少人数学級をやると。もう既に一年間で倍の自治体、四割の県に広がっているわけですから、こういうことをきちっと私はやる必要があるということを申し上げて、次に幼稚園の問題について伺いたいと思います。  それで、特区法案の十一条なんですが、幼稚園の入園について、現在満三歳としている学校教育法を変更して満二歳児の入園を可能にするものなんですが、二歳児を受け入れる場合の学級編制についてそれぞれで自主的に御判断をいただくというふうにされておりますけれども、この設置基準との関係でどのように認識されているのか、伺います。

矢野重典文部科学省初等中等教育局長

○政府参考人(矢野重典君) 幼稚園の設置基準におきましては、一学級の幼児数は三十五人以下を原則とすると、こういうふうに規定をされているところでございますけれども、特区における当該特定事業の実施のために最低基準である幼稚園設置基準の改正までは、この点については考えておりません。

畑野君枝日本共産党

○畑野君枝君 やっぱり三十五人以下が原則という、この三十五人ということが本当にそれぞれのところで幼稚園の運営の大きな支障になっている、あるいは保護者の負担になっているわけですよね。それで、やはり定数改善をしてほしいという声が本当に自治体からも現場からも寄せられていると思うんですけれども、その点についてどうお考えになるのかということと、もう一点、幼児教育で三十五人というのは余りにも大き過ぎると。そういうその三十五人を基準に、公立なら交付税措置、私立なら私学助成ということなんですが、国の財政支援はまだまだ少ないと。そういう点で、私立における一人当たりの園児に対する国の助成はどうなっているのか、その二点についてまとめて伺いたいと思います。

矢野重典文部科学省初等中等教育局長

○政府参考人(矢野重典君) まず、私の方から三十五人についての問題をお答え申し上げたいと思います。  先ほど来申し上げておりますように、この学級定数についての基準の改正までは考えていないことを申し上げたわけでございますけれども、この三十五人以下という基準はこれは最低の基準であるわけでございまして、幼児期は人間形成の基礎が培われる極めて重要な時期であるわけでございますので、そういう意味で、幼児一人一人の発達の段階や年齢に応じたよりきめ細かい保育を行うことができるよう教育環境を整備することは大変重要なわけでございます。  そういう意味で、私どもといたしましては、複数の教師が合同で保育に当たるチーム保育等の少人数指導を推進するために、私学助成の充実でございますとか、あるいは公立幼稚園の教育環境の充実のための地方交付税措置などを通じてそうした支援をしてまいっているところでございます。  さらに、この基準そのものの改正でございますが、これを更に引き下げるべきという御意見もあることは承知いたしておりますけれども、この問題につきましては、全国一律にこれを、幼児数の基準を下げますと、当然のことながら学級数が増加することになって、それに応じて施設や教員配置などの基準を満たす必要が出てまいるわけでございます。そういう意味での幼稚園側の負担、特に私立の場合その負担が相当なものになるというふうに考えられるわけでございます。  そういう意味で、私どもとしては、一律に学級編制の基準を引き下げるんではなくて、先ほど申し上げましたようなチーム保育等のそういう指導が可能となるような体制を整えるということが実際的、現実的ではなかろうかと考えております。

玉井日出夫文部科学省高等教育局私学部長

○政府参考人(玉井日出夫君) 幼稚園に対します私学助成の観点からお答えを申し上げます。  特に今少子化の中で、幼児教育、大変重要になってきているという認識を当然のことながら持っておりまして、そのうちの八割が実は私立幼稚園、幼稚園のうち八割は私立であるということでございますので、したがって、その充実の、振興のためのやはり私学助成の充実は大変重要と認識をしております。  そこで、十四年度、現在の平成十四年度の予算でございますけれども、これは私立高等学校等経常費助成費補助金がございます。その中で、一般補助につきましては幼児一人当たりの単価を増額をしておりますし、また特別補助の中で、これも委員御案内のとおりでございますけれども、預かり保育だとかあるいは子育て支援、こういった観点の経費の増額を図っているところでございまして、なかなか私学助成自身も大変厳しい予算の中ではございますけれども、幼稚園関係につきましては対前年度九・五%増ということを図り、トータル二百九十二億二千六百万円を計上しているところでございますし、さらには私立の小中学校と違って幼稚園の場合には就園奨励費という形での保護者の負担軽減ということも行っているわけでございます。  今後とも、幼稚園教育の充実、その観点からの私学助成の充実については努力をしてまいりたい、かように考えております。

畑野君枝日本共産党

○畑野君枝君 一人当たりというのは伺いましたでしょうか。

玉井日出夫文部科学省高等教育局私学部長

○政府参考人(玉井日出夫君) 十四年度の単価という意味で申し上げますと、一般補助、特別補助を合わせまして、幼稚園の場合には園児一人当たり国費でございますと、国の場合には二万百七十円でございます。  ただ、これは委員も御案内のとおり、私学助成というのはこれは都道府県が行う、それに対して国がその一部の助成を行うということでございまして、都道府県も正に交付税措置の中で私学助成が行われているわけでございます。  合わせますと、これ十四年度、これは国庫補助とそれから地方交付税の単価を両方合わせますと、幼稚園につきましては園児一人当たり十四万四千七百七十円というふうになっているわけでございます。

畑野君枝日本共産党

○畑野君枝君 チーム保育の話とか、あるいは後で預かり保育の話もしようと思っていたんですが、いろいろされているということなんですが、まだまだ少ない額ですし、それから就園奨励費ですか、これも本当に収入による制限もいろいろと差がありまして、これも本当に増やしてほしいという声がたくさん出されております。  そこで、私は時間の関係でまとめて伺いますが、預かり保育の問題にかかわって、四十万円というふうになっております。また、職員配置の問題も基準はないというふうに伺っております。  そこで、特区法案なんですが、二歳児が幼稚園に入園してくると、例えば朝の部分とかあるいは幼稚園が終わった午後の部分とか、それがその預かり保育というふうに理論的には考えられるわけですね。そういうふうになりますと、二歳の子供が朝から夕方まで、長時間しかも三十五人の中で、また体制も弱い中で成長発達を保障できるのかという問題が出てくると思うんですけれども、この点についてはどういうふうにお考えになっているんでしょうか。

矢野重典文部科学省初等中等教育局長

○政府参考人(矢野重典君) 今年の六月現在でございますが、預かり保育を実施している幼稚園が全体の六一%という状況でございます。私ども、一般的に預かり保育の実施に当たりましては、これは通常の教育時間の指導計画の作成、あるいは諸活動に支障ができないようにまずは適切な指導体制を整えること、それから幼児の心身の負担に配慮した環境作りが必要というふうに考えているところでございまして、このため文部科学省といたしましては、幼稚園教育要領におきまして、預かり保育につきましては先ほど申しました指導体制の整備の必要性ということを強調いたしておりますし、さらには、具体的には全国の実施事例を基に作成いたしました預かり保育の参考資料におきまして、実施に当たっての留意事項等について指導をしてまいってきているところでございます。  そこで、構造改革特区で預かり保育を実施する場合におきましても、先ほど御紹介申し上げました幼稚園教育要領やあるいは預かり保育の参考資料の趣旨を踏まえながら、必要な体制を整えた上で実施されることが大事であろうかと思ってございますし、引き続きそうした点について指導をしてまいりたいと思いますし、また予算等の面におきましても引き続き支援をしてまいりたいと考えているところでございます。

畑野君枝日本共産党

○畑野君枝君 しかし、預かり保育をやっているところに伺いますと、やっぱり三十人超えたら幼稚園の先生、視野に入らないとかもう八人で手一杯とか、本当に手間が掛かる中で二歳の子供たちが入ってくるわけですね。それで、今度の特区法案で省令を変えて保育園と幼稚園のクラスを合同にできるようにという話もありまして、これ具体的にどんなふうに変えようとしているのか伺いたいんですが、いかがでしょうか。

矢野重典文部科学省初等中等教育局長

○政府参考人(矢野重典君) 今回の合同保育の趣旨は、幼児が社会性を涵養することが困難となりました地域におきまして、幼児が同年齢帯の児童とともに活動する機会の充実を図り、そしてその社会性の涵養を促すと、そういう観点に立ちまして、幼稚園の学級定員、先ほども申しました三十五人でございますが、学級定員の範囲内におきまして幼稚園児とともに幼稚園に在籍していない幼児に対し、これは保育所の子供なども想定しているわけでございますが、そうした子供たちに対しまして合同の教育、保育活動が行うことができるよう、そういう特例を設けようとするものでございまして、そのことを幼稚園設置基準におきまして明確にすることを具体的には考えているところでございます。

畑野君枝日本共産党

○畑野君枝君 具体的にどうするかということは本当にこれからというふうに思います。  その点でも本当に聞きたい不安な点はあるんですが、もう時間がありませんので最後にこの問題について厚生労働省に伺いたいと思うんです。  十月三十日の地方分権改革推進会議において幼保一元化問題が検討されて、「保育所運営費負担金等の国による補助負担金の一般財源化等も検討されるべき」というふうに言っているんですが、これは厚生労働省はどういうふうに考えていらっしゃいますか。

岩田喜美枝厚生労働省雇用均等・児童家庭局長

○政府参考人(岩田喜美枝君) 保育施策は、従来から児童福祉施策の中で中核的な施策として取り組んでまいっておりますが、今後とも少子化対策として、あるいは男女共同参画社会の推進という観点からも引き続き強化をすべき分野の政策であるというふうに考えております。  お尋ねの保育所の運営費負担金等についてでございますが、保育所については職員の配置あるいは施設の面積などについて最低基準が設けられておりますけれども、国の保育所の運営費負担金等につきましては、そういった最低基準が維持することができるように必要な経費を計上いたしておりまして、こういうような形で保育サービスの質の確保を図ってきているところでございます。  また、特に今年度から待機児童ゼロ作戦という政策も推進しているところでございますけれども、保育ニーズが拡大している地域がございまして、こういったところも含めて、国庫負担金によってそういった拡大する保育ニーズに対応してきているという実態があるというふうに考えております。  したがいまして、保育所の運営費負担金等を一般化、財源化することにつきましては、保育サービスの質の確保の観点から、また供給量を拡大する必要があるというような観点から適当ではないというふうに考えております。

畑野君枝日本共産党

○畑野君枝君 それで、鴻池大臣、教育の問題、株式会社参入問題は私は大臣と違う立場でございまして反対なんですが、そこはもう時間がなくてもう一つ別のことを伺おうと思っているので伺えないんですが、幼稚園のその二歳のお子さんたちが入ってくる特区というのは、いろいろなまだ不安なところ、今、少子化が言われていますけれども、親御さんたちが安心して預けられるというところでは、まだまだ解明されていない不安な部分があるというふうに思うんです。  そういう点について、やはり教育のことはきちっとやるということがやっぱり必要じゃないかと思うんですけれども、そういう不安についてどのように大臣は考えられますか。

鴻池祥肇自由民主党・保守党防災担当大臣

○国務大臣(鴻池祥肇君) 先ほど来、文部省の答弁のように、幼児教育というのは極めて大切でありますし、親御さんが安心してそういう施設に預け、そして働ける、あるいは重要な用事を果たしていくというようなことは極めて大切と考えておりますので、必要な体制を整えた上で実施、実行していかなければならないと思っております。

畑野君枝日本共産党

○畑野君枝君 それでは私、最後に特区法案の十四条、港湾問題について伺いたいと思います。  地方公共団体が、特区内の港湾において特定埠頭と規定したところを特定の民間業者に長期貸し付けることが可能になるというふうになっております。  これは、岸壁使用、あるいはヤードなどでの荷さばき施設もすべて民間業者に任せることになるということからいえば、正に港湾関連の法体系を根本から崩すものだというふうに思うんです。  なぜこんな異例な措置を取られるのですか。

金澤寛国土交通省港湾局長

○政府参考人(金澤寛君) お答え申し上げます。  現在、アジアの港との間で激しい国際競争というのが進んでおりまして、我が国の港湾の相対的地位が低下してきております。国際競争力を強化していくことが我が国の経済の活性化なり国民生活の安定のために非常に重要な課題となっております。  今回、特区法案の中で改正をお願いしております特定埠頭運営効率化推進事業と申しておりますが、この事業は、当該重要港湾の効率的な運営を実現し、また我が国港湾の国際競争力の強化を図っていくために、公告とか縦覧などの公正な手続を経ました上で、特定埠頭、これは岸壁とその背後の荷さばき施設などをいいますけれども、この特定埠頭を事業者に貸し付けまして、一体的かつ効率的に運営していただこうという、そういう趣旨の事業でございます。  この特定埠頭運営効率化推進事業の具体的な内容は、現段階では、福岡市とか那覇港管理組合から要望のございましたいわゆる公共コンテナターミナルの一体的、効率的な運営を行う事業を想定しておりますけれども、今後、地方公共団体の自発性というものを重視する特区法の趣旨にかんがみまして、関係港湾管理者の意向を把握した上で、国土交通省として省令で規定してまいりたいと思っております。  先生御指摘のように、民間に貸し付けることが港湾法の体系を抜本的に変えるというお話でございますが、元々、港湾法の中では、港湾の埠頭、これは公共で整備しておるということが現状でございますけれども、そのいわゆる運営につきましては、いわゆる企業者、民間事業者に許可の形で、貸付けということではございませんが、一定の期間の許可を、使用許可をするという形で利用していただいております。  そういう意味では、特にこの法律で根本的な体系を変えているということではございません。

畑野君枝日本共産党

○畑野君枝君 私が問題視したのは、正に形骸化していくということです。  今ありましたように、国際競争力というふうに言われます。一言で言えばアジアに負けるな、シンガポールや韓国に負けるなということが言われているんですが、結局、国際ハブ港湾を目指すものなわけですね。単なる中継にすぎないと。中国の貨物を日本に持ってきて北米に持っていくと。私は横浜ですけれども、横浜に例えばそうなれば荷物が降りて、国内に物流が回るというものじゃないんですね。素通りするだけなんです。それじゃ、その地域の経済にどういうふうに役割を果たすのか、せいぜい港湾使用料が入るだけと。ですから、国土交通省もハブという言い方は今されていないというふうに思いますけれども。  同時に、比較すること自身が意味があるのか、ないんじゃないかと。大体、シンガポールなど、もう造り方が違うわけです。使用料は安い、賃金は安い、そして税金も掛けない等々ですね。ですから、意味がない問題だというふうに思うんです。  それで、私、今回の法案の……(発言する者あり)時間がないから私、焦っているんです。端的に申し上げますと……(発言する者あり)

小川敏夫民主党・新緑風会

○委員長(小川敏夫君) 静粛にお願いします。

畑野君枝日本共産党

○畑野君枝君 港湾運送事業法はそのままだというふうに言いますけれども、大きな、例えば北九州などで問題になっているPSA社などが入ってきた場合にはコスト削減が目指される、運送事業者も労働者も低コストでたたかれるということですから、どうなるか心配だと。  結局、運送事業法が変わらないといっても、仮に運送料金が変わらないと仮定しても、岸壁使用料やクレーン使用料などの費用が下げたら、それは結局他の港湾やそれから非特区のバースとの差が生じるわけですよね。そういう中で、結局コストの切下げしていくということになるんじゃないかということを私は危惧しているんです。  それで最後に、私、二十四時間フル稼働の問題について伺いたいんですけれども、一番危惧しているのは、その二十四時間フルオープンの前提とした環境整備、あるいは交代制の勤務というのを労働者は要求しております。それにきちっとこたえる、このことをやらなければ、それは二十四時間フルオープンといったっていかないですよ。  こういう問題をきちっと国土交通省が指導するべきじゃないかと思うんですが、その点、いかがですか。

金子賢太郎国土交通省海事局次長

○政府参考人(金子賢太郎君) 御指摘のとおり、昨年の十一月の末の労使合意を受けまして二十四時間化が進んできております。例えば年末年始でありましても、全国で五百四十五隻の船舶が入港して荷役が実施されるなど、大変我が国の港湾の競争力の強化に大きく貢献しているものと考えております。  今、先生御指摘の二十四時間のフルオープン化の進展につきまして、港湾労働者のための労働環境の整備も重要ではないかということでございますが、確かに、その点につきましても私どもとしましてはそのように重要な課題であると認識をしておりまして、今後とも港湾事業者あるいは労働者の声を聞きながら、所要の労働環境の在り方について関係省庁とも連携しながら検討を進めてまいりたいと考えております。

畑野君枝日本共産党

○畑野君枝君 最後に申し上げたいのは、そういうことも本当にまだきちっとやられていないという中で特区をやるということなんですけれども、例えば国土交通省が一バース当たり百五十万トンというふうに言ってきましたけれども、アジアのシンガポールなどではもっと多い数をやっているわけですね。それから、日本の博多でもそういう高いものを取り扱ったときもございます。私のいる横浜でいえば、本牧、大黒、南本牧、二十一バースあります。そういう計算すると、コンテナバースでは百五十万トンやっているんです。しかし、それ以上に更に造るという話が今進んでいるわけですね。ですから結局、港湾造りというのは今本当に過剰になっていると。特区にする必要もなくて、今のをもっと稼働を上げられるようなものをすればいいというふうに思います。そして、造り過ぎた港湾のしりぬぐいをするということになるわけですから、これは本当にどうなるのかという問題を指摘して、時間が参りましたので終わります。

島袋宗康国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○島袋宗康君 規制改革とは本来あるべき規制への改革であるが、現実には、たとえベストな制度が不明なときは実際に試してみてから決めた方が神学論争を繰り返すよりも建設的であるとの意見があります。  先日の私の質疑に対するお答えで、経済的分野の規制改革はある程度進捗しているが、社会的規制の分野では余り進捗していないとのお話でありました。それは労働、医療、教育等で生命、身体、個人の権利等にかかわる分野で多面的な検討を要するから遅れているとの答弁であったと思います。今後、この社会的規制の分野の規制改革も促進していく考えなのか、それともこの分野では規制を存続させる必要があると考えておるのか、承りたい。  また、これに関連して、例えば国際医療特区のような制度を設けて、世界から一流の医師や医療関係の研究者を招聘し、滞在ビザや先進国の医師免許があれば、国内の医師免許等に煩わされることなく先端的な医療技術の成果を競ってもらってはどうかというような提案があるようであります。この点についてはどのようにお考えであるか、お尋ねします。

坂篤郎内閣府政策統括官

○政府参考人(坂篤郎君) ただいまの御質問の前段の部分だけ私からお答えさせていただきたいと存じますが、先生のただいまおっしゃいましたように、社会的規制はなかなか、ほかの分野に比べると改革がなかなか進んでいないというのは事実であろうかと私どもも思っております。  それで、実は昨年来、総合規制改革会議では、そうした認識もございまして、労働でございますとか医療でございますとか福祉、教育といった分野につきまして、いわゆる重要分野ということでかなり集中的に昨年来検討をさせていただいたということがございます。その中で、いろいろなことが指摘されたわけでございまして、そういう意味ではかなり積極的に取り組んでいる、またこれからも取り組んでまいらねばならないというふうに考えております。  特に、今御指摘になりましたような分野というのは、なかなか考えなきゃいけないところが先般御答弁申し上げたように多いわけでございますが、同時に、国民生活と申しますか、そういうのには非常に密接に関連している分野でございますし、直接に非常に関連するところが多い分野でございます。また、あるいは経済的な側面から見ましても、いわゆるこれからの経済成長の大きな割合というのは多分サービス系、サービス分野というのが恐らく占めるんだろうというふうに考えておりまして、あるいは雇用の創出という意味でもサービス分野というのは当然に多いわけでございます。  そうしたことを考えますと、生活を向上する、国民生活の向上をするということ、あるいは経済の成長というようなこと、あるいは雇用といったようなこと、いろんなものを考え合わせましても非常に重要な分野であろうというふうに考えておりまして、今後とも鋭意取り組んでまいりたいというふうに政府としても考えているわけでございます。

鴻池祥肇自由民主党・保守党防災担当大臣

○国務大臣(鴻池祥肇君) ただいまの内閣府からの答弁と重なる部分がございますけれども、やはり可能な限り地方からの提案につきましては、経済活性化のためではなく、社会福祉の目的を持ってでも可能な限りの規制を改革していきたいというのがこの特区法案の哲学というところであります。  ただいま医療のことをお問い合わせでございますが、神戸市が先端医療産業特区というものを提案をいたしまして、高度先進医療の見直しや外国人の医師について臨床修練制度で対応をしよう、全国的にやろうということに相なりました。これも沖縄県から、特に具志川、私の孫の生まれたところですけれども、具志川から健康特区をやりたいと、こういうことの御提案がございまして、ちょっと引っ掛かっておりますのは、やはり外国人医師という問題、あるいは東洋医学だと聞いておりますけれども、こういったところを何とか福祉向上につながっていく、健康につながっていくということになれば、工夫ができないかなということを我々も考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、地方の知恵、工夫というものを、第二次、一月十五日の締切りの第二次募集で期待をいたしているところでございます。

島袋宗康国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○島袋宗康君 坂統括官、どうぞ用件があるようですからお引き取りください。  ただいまの大臣のお答え、大変、一月十五日ですか、それまでには何とか海外の、国際社会ですからグローバリゼーションという意味では、やっぱりそういった地域医療というものを考える場合に、地域からせっかく上がってきたものを、それをただ現在の医療制度がこうだから駄目だというふうなことになってくると、せっかくの提案が何かしら期待外れといいますか、無駄になるというふうな感じがしますので、その辺を何とかいい方法はないのかというふうなことを思いますけれども、再度、何かありましたら感想を述べていただきたいと思います。

鴻池祥肇自由民主党・保守党防災担当大臣

○国務大臣(鴻池祥肇君) 医療の問題になりましたら、また厚生省と意見が対立をしてまいりまして乱暴なことも言わざるを得なくなるんですけれども、やはり私は、今日の午前中に河北病院の先生がお越しになって相当御意見を申され、質疑が大変すばらしいところであったと思っておりますが。  私は、河北病院の院長先生の御意見というのは大変すばらしいことだと思います。やはり日本での医療というのは、すばらしい部分もあるけれども、遅れている部分もある。その遅れている分野に、外国人の医師がその分野に携わって日本人の命が助かっていく、あるいは在日の外国人の命が助かっていくということは、極めて医師の天命にとっても重要なことだというふうに私も、今日、別の部屋で参考人の御意見を聞かせていただいてそのように思っております。  そういった中で沖縄県というのは、先日も申し上げましたように、東京との等距離でソウルやあるいはシンガポールや香港といったところがあるわけでございますから、やはりアジアの私は中心的な場所として、ハブの場所として、例えばその先端医療というのを持って、例えばの話ですよ、沖縄へ行ってあの病院へ行けば大概治るぞと、病気が治るぞといったような大きな構想も、是非ともこの沖縄県の知恵としてお出しいただけたらと、このように、私見でございますが思っております。

島袋宗康国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○島袋宗康君 大変、力強い御答弁いただきまして大変ありがとうございました。よろしくお願いします。  構造改革特区を地域経済の活性化に結び付けるために、地方公共団体に対して求められていく幾つかの重要な視点があります。一つはグローバルな観点を重視することにありますけれども、規制が障壁となって進出を妨げられてきたと考える外国事業は多いと言われております。  外国事業のニーズの把握は重要であります。この点に関し、政府は外国事業へのニーズをいち早くキャッチして地方公共団体にその情報を提供する必要があると思いますけれども、これについてどうお考えですか。

中城吉郎内閣官房内閣審議官

○政府参考人(中城吉郎君) お答えを申し上げます。  構造改革特区制度につきましては、諸外国の政府機関等も関心を持っておりまして、これまで幾つかの国、例えばアメリカとかオーストラリア、中国、韓国、こういったような大使館等とも意見の交換を行ってきたところでございます。また、構造改革特区制度につきましては、地方公共団体や民間事業者などからの提案を基に構築しているものでございますので、外国の企業というものも提案する機会はあるわけでございます。  今後とも、こうした外国の政府機関や企業等に対しまして構造改革特区をPRするとともに、これらからのニーズの把握といったものに努めてまいりたいというふうに考えております。

島袋宗康国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○島袋宗康君 また、最近の中国を始め、アジア諸国が急速に工業化を進めております。したがって、特区の企画に当たっては、国内だけでなく世界的規模での地域間競争を念頭に置くことが必要であろうかと思います。我が国に比べ、はるかに労働コストの安いアジア諸国等との競争の観点から、単なるコストの引下げではなく、新たな付加価値を生み出すための施策を打ち出すことが重要であると考えられます。  このような施策を打ち出すために、政府は積極的な援助と協力が不可欠と思いますけれども、この辺についてはいかがでしょうか。

中城吉郎内閣官房内閣審議官

○政府参考人(中城吉郎君) 御承知のとおり、先生御指摘のとおり、地方公共団体、世界的な地域間競争という中にさらされているわけでございますけれども、特区制度を推進するためには、地方公共団体等に対しましてできる限り協力していくということが重要だというふうに認識しております。法案第十条におきましても、情報提供や技術的アドバイスといったような国の援助について規定しているところでございます。  この一環といたしまして、内閣官房の構造改革特区推進室では、これまでも説明会の開催やホームページ上での質問の受付など、地方公共団体や民間事業者等に対しまして可能な限りコンサルティングをしてきたところでございますが、御指摘のような点も含めて、今後とも地方公共団体への支援を進めてまいりたいというふうに考えております。

島袋宗康国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○島袋宗康君 構造改革特区においては、内外の企業等への広報が極めて重要になると考えられます。特例措置の内容や地域の様々な特性について早期に広報を行うことが特区の活性化にとっては極めて重要になると思います。  法案第十条は、内閣総理大臣及び関係行政機関の長は、認定を受けた地方公共団体に対して特区計画の円滑かつ確実な実施に関し必要な助言その他の援助を行うように努めなければならないと規定しております。また、内閣総理大臣、関係行政機関の長、地方公共団体及び実施主体は、相互に連携を図りながら協力しなければならないと規定しております。  この規定には、内外の企業等への広報に対する政府の援助や協力が含まれていると解してよいのかどうか、積極的に解することができるとすれば、政府は認定を受けた地方公共団体に対してどのような形で援助、協力を行うか、お尋ねいたします。

中城吉郎内閣官房内閣審議官

○政府参考人(中城吉郎君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、特区推進に当たっては、内外企業等への積極的な広報というものが重要だというふうに考えております。法の十条では、認定を受けた地方公共団体に対して必要な助言その他の援助を行うことというふうにしております。地方公共団体による広報活動につきましても適宜相談に応じ、効果的な実施ができますように必要な情報提供や技術的なアドバイスを行っていきたいというふうに考えております。  また、国といたしましても、今後とも内外へのPRを積極的に行いまして、外国企業も含めた様々な民間企業によりこの制度が積極的に活用されるように努めてまいりたいというふうに考えております。

島袋宗康国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○島袋宗康君 内外の企業等への広報については、例えば米国においては、地域に関心を持った企業に対して州や郡、市の首長によるトップセールスが盛んに行われている、またほかにも多くの州が企業誘致を主要な役割とした在外事務所を各国に設置しているとのことであります。我が国の都道府県や市でそのような在外事務所を設けている事例があるのかどうか、現況についてお伺いすると同時に、政府は今後このような施策を推進していくお考えがあるのかどうか、承ります。

板倉敏和総務大臣官房総括審議官

○政府参考人(板倉敏和君) 都道府県又は地方団体などの地方公共団体におきまして、企業誘致のために海外事務所などを設置している例はあるかという御質問でございます。  海外企業の誘致や海外進出企業の活動支援、また観光物産の振興などを目的といたしまして都道府県や市が海外に事務所を設置している例は数多く見受けられるところでございます。

島袋宗康国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○島袋宗康君 今年、成立した沖縄振興特別措置法には、沖縄地域における情報通信産業特別地区及び金融業務特別地区の創設が盛り込まれました。情報特区は、情報通信産業の集積の牽引力となる特定通信事業を行う企業の立地を促進することを目指し、名護市と宜野座村及び那覇市と浦添市の二地区が指定されました。金融特区は、金融業務の集積を促進することを目指して名護市が指定されております。ここでは、いずれの制度においても対象事業者に対する課税の特例措置が取られることになっております。例えば、法人税所得控除が三五%、投資税額控除一五%の選択適用等。  一方、名護市は今回の特区法案によって金融テクノロジー開発特区を設けることを提案し、一部認められたということのようであります。これはアジアに最も近接している沖縄の位置と、我が国で唯一の金融特区制度を生かし、キャプティブ保険を始めアジア証券市場の創設、公共機関に対する通信回線の民間開放等の規制の特例を導入して、情報通信及び金融関連産業を集積、立地させて、雇用の拡大並びに沖縄北部の地域の振興を図ることを目指すものであるとされております。  名護市では、二本の法律による制度が併存することになるわけでありますけれども、このような制度間の相関関係及び両制度の併存による効果についてはどのようにお考えなのか、お聞かせください。

中城吉郎内閣官房内閣審議官

○政府参考人(中城吉郎君) 名護市におきましては、先生御指摘のように、沖縄振興特別措置法に基づく特区と同時に、今回名護市の方から金融テクノロジー開発特区ということで御提案がございまして、保険業へのキャプティブ保険業務の追加、証券取引所設立に関する最低資本金の引下げ、公的機関による民間への通信回線の開放等の特例が要望されているところでございます。  そのうち、金融分野の規制の特例につきましては、その影響が特区に収まらないということで、所管官庁の方から特区で実施することは困難というふうにされたところでありまして、今後、引き続き検討すべき事項というふうに位置付けられております。これらの事項を含めて、来年の一月十五日に締切とします二次提案募集において名護市からの提案があった場合には、こういうことを含めて更に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

島袋宗康国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○島袋宗康君 沖縄県では、沖縄振興特別措置法による振興計画がスタートしております。自立型経済の構築を目指すことになっておりますけれども、自立の目安となる失業率や県民所得の改善は容易ではないというふうに思います。  沖縄振興計画では、人口及び社会経済の見通しとして、労働力人口は二〇〇〇年の六十三万人から、二〇一一年には約七十万人に増加すると想定をし、就業者総数を五十八万人から六十七万人に増やすとしております。人口増を吸収しながら失業率を全国並みに下げるためには、一年当たり一万人近い新規雇用の創出が必要とされるわけであります。この失業率の改善計画の達成、見通しについてはどのようにお考えなのか、お伺いいたします。

山本信一郎内閣府大臣官房審議官

○政府参考人(山本信一郎君) 今、先生御指摘ございましたとおり、今回の新しい沖縄振興計画におきましては、今後十年間の計画期間中に約七万人の労働力人口の増加を見込みます中で、失業率の五%程度への改善を目標としております。したがいまして、十万人近い雇用創出がこれからの十年間に必要であるということになるわけでございます。  この目標の達成のためには、何よりも新規の雇用創出が必要であると考えております。沖縄の優位性や地域特性を生かしつつ、付加価値の高い産業群を形成し、自立型経済を構築していくことに全力を注いでいきたいと考えております。具体的には、今後、新計画に沿いまして、基幹産業である観光・リゾート産業を始め、近年急速に拡大しております情報通信産業、あるいは健康バイオ産業、加工貿易型製造業、さらには亜熱帯の特性を生かした農林水産業の振興等を図ってまいりたいと考えております。  また、最近の月間有効求人数が一万人を上回るにもかかわりませず失業率が増加しているという状況を見ますと、やはり一方ではきめ細やかな雇用対策が重要であると考えております。今回、沖縄県が作成をいたしました職業安定計画にも盛り込まれておりますが、労働力需給のミスマッチの解消策ですとか職業能力開発、あるいは人材育成などの施策が着実に推進されますよう、政府としても積極的に支援をしていきたいと考えております。  こうしました産業振興の面、それから雇用対策の面の両面の総合的な取組を進めますことによりまして、種々困難はあるとは思いますが、年平均では一万人近い雇用増の実現が達成できますよう、最大限の努力を図ってまいりたいと考えております。

島袋宗康国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○島袋宗康君 私は大変重要なことだと思っております。毎度申し上げるようで、本当に沖縄県は失業率が高い、そして県民所得が低いというふうなことが長年続いております。これからの振興計画によって、やはり今おっしゃったような事柄が本当に達成できる状況にあるのかどうか。そして、今、県がどのような、皆さんが検討、もちろんいろんな形でそれをした形でこういったものが生まれてきていると思いますけれども、本来、やっぱり失業率、こういった本当の意味での形でのことをどういうふうに表していくのかというふうなことは、これはもう机上だけじゃなく、実際に沖縄県でどうすればいいのかというふうなことが問われているというふうに思います。  今、求人に対してなかなかミスマッチで雇用ができないというようなこともありますし、それで、私は、教育関係といいますか、そういった情報特区とかそういった金融特区における労働者のいわゆる教育というのは非常に重要になってくると思いますけれども、その辺のことについて、教育関係から、あるいはそれぞれの問題について、これがどのように位置付けておられるのか、再度御答弁をお願いしたいと思います。

山本信一郎内閣府大臣官房審議官

○政府参考人(山本信一郎君) 今御指摘のとおり、非常に日本全体が厳しい経済環境の中で、沖縄県の失業率がこの九月には九・四%と非常に高い数字を示したところでございます。そういう意味では非常に厳しい状況でございます。しかしながら、一方では求人数というのが一万人を超すといったような統計数値も出ております。  したがいまして、今、先生おっしゃいましたように、求職を求人に結び付けていくというところのネックの解消が非常に重要だなという具合に考えておりまして、したがいまして、今おっしゃいましたように、あらゆる国や県の機関を通じまして、職業能力の開発ですとか、あるいは人材育成ですとか、そういったものにも非常に力を入れて、そういうミスマッチをできるだけ解消していくということを当座やっていく必要があるなと。  それから、沖縄全体の今後を長期的なレンジで考えますと、そういったような対策とともに、やっぱり新しい雇用をしっかりと沖縄の産業振興を図る中で生み出していくというところでの努力が必要だと。これにはもちろん行政も努力をしなければいけませんけれども、企業ですとか県民ですとか地域の市町村、あらゆるところが全力を挙げて取り組んで初めてこういったことが達成できることになるという具合に考えておりまして、私どもも努力していきたいというように考えています。

島袋宗康国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○島袋宗康君 御承知のように、与那国まで、台湾に近い与那国まで大変離島が多いわけですから、私どもとしては、要するに離島も含めて沖縄のすべてのいわゆる振興策を図ってほしいというふうに願っておりますけれども、その辺については何とか、ありましたら御答弁いただきたいと思います。

山本信一郎内閣府大臣官房審議官

○政府参考人(山本信一郎君) 今、先生御指摘ありましたように、沖縄県の地理的条件ということを考えますと、東西南北、非常に幅の広い地域の中で離島がたくさんございます。したがいまして、そういう意味では産業振興なりいろんな面で困難な条件を抱えているということになりますが、そういう中で、新しい計画の下で、沖縄県もそういったような離島の振興ということも十分に念頭に置きまして、高齢化いたします、そういった福祉、保健といったような面も十分に踏まえまして、離島にふさわしいような発展をこれから十年間やっていこうということにしておりますので、私どもも県と十分相談しまして支援をしていきたいという具合に考えております。

島袋宗康国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○島袋宗康君 ありがとうございます。  終わります。

黒岩宇洋各派に属しない議員

○黒岩宇洋君 無所属の黒岩宇洋でございます。  前回の質問で木村副大臣に、厚労省の、特養ホームへの民間参入についての質問で最後で終わってしまいまして、肝心の鴻池大臣の御答弁をいただけずに、本日冒頭でと申し上げたんですけれども、やはり鴻池大臣の御答弁を受け止められる厚労省の政治家ということで、やはり舞台を整えるために渡辺政務官にお越しいただきました。政務官にお聞きいたします。  今申し上げた特養ホームへの民間参入の認可基準を厚労省に問うたところ、その答弁は、証券取引所の上場基準を満たしているとか、特養ホームの経営等を主たる事業とし、他の事業と経理を区分することなど、ケアハウスへの参入基準に準じているということでした。これは今法案の十八条の二項で示されている基準に比べますと、明らかに上乗せ基準だと言えると思います。おとといの議論のとおり、余りにも条件が厳し過ぎます。  このケアハウスへの民間参入を認めた平成十四年一月から今約一年が過ぎようとしています。しかし、いまだに民間の参入実績はゼロ。確かに、参入を認めてから実際の実績に至るまでにはタイムラグがあるのは分かるんですけれども、ですけれども、今現在で事業者の選定を行われている自治体も全国で一か所と聞いていますし、そのほか、実施方針の公表とかもわずか数自治体が行っているだけと。これはケアハウスの現状ですけれども、今回の特養ホームの規制緩和策を公表してから一か月が過ぎてもこの特区活用を表明して手を挙げた自治体は皆無であると聞いております。  おととい、木村副大臣は盛んにPFIの推進につながると、この特区法がつながると答弁されていましたけれども、これで実際に参入してくる民間会社があるんでしょうか。政務官のお考えをお聞かせください。

渡辺具能自由民主党厚生労働大臣政務官

○大臣政務官(渡辺具能君) 特養老人ホームの民間参入の基準が厳しいのでなかなか入りにくいし、PFIがなかなか推進できないんじゃないかと、こういう御指摘でございます。  委員御指摘のとおり、ケアハウスにつきましては既に昨年より参入を認めておるところであります。  今回、特区におきまして特養老人ホームの参入に当たって、PFI方式の下で参入をいただくということになりまして、その審査基準は、委員御指摘のとおり、ケアハウスの場合と同じであります。しかし、これは元々社会福祉法の基準と同じでございまして、考え方が同じであるのでそういうことになっているということでございます。  ケアハウスについては、このような基準の下でありますが、なかなかPFIが進行してない、推進されていないんじゃないかという御指摘でありますけれども、今のこの基準で既にプロジェクトが進行中のものもあるわけでございますので、必ずしも推進されていないということではなくて、進行中のものもあるということも言えるというふうに思うんですね。  特別養護老人ホームなんですけれども、やっぱりこのサービスは常時の介護が必要でございますし、在宅では困難な高齢者の入所施設であり、長期間安定して介護サービスを提供することが必要だと、こういうことから、利用者保護の観点ということから、先ほど申し上げたような、委員も御指摘になりましたような基準が必要ではないかというふうに考えております。  しかし、これだったら、PFIがなかなか進まないんではないかということでございますが、法律自体が来年の四月からの施行でございますので、まだこれからの時間もございますので、自治体ともいろいろ情報交換をしながらPFIが進行しますように努めてまいりたいと、こういうふうに考えております。

黒岩宇洋各派に属しない議員

○黒岩宇洋君 お待たせしました。鴻池大臣にお聞きしますけれども、今、政務官もおっしゃったこの社会福祉法の基準、これ前回も私、改めて申し上げましたけれども、五十年以上前、戦後間もないころに作った基準を二十一世紀のこの洋々たる特区法案の中で基準として丸写しで作っているわけですね。  こういう状況をまず念頭に置いて、私はこの問題というのは、基準の厳しさという程度もあるんですけれども、それ以上に、このような基準がどのようにして決められているのかと、このことが私、大問題だと思っているんです。担当省庁、今回でいえば厚労省だけで決めるのならば、従前の縦割り行政から何の変化もない、何のために今回内閣府主導にしたのか、何のために担当大臣を置いたのか、私は意義が全く分かりません。  どうも今までの議論から感じられることは、先ほど申し上げたケアハウスの事例でも分かるように、これは全国で数か所ですから、民間参入に厳しい条件を付けることによって事実上排除しているのではないかと、そのような感さえ私には否めません。民間参入と大きく打ち出してはいますが、結局は厳し過ぎて民間参入、私はないんじゃないかと思っているんです。これじゃ特区の、いや、この規制改革の意味が全くないかもしれないと、このことも私は心配しておるんです。こんな厳しい参入条件を法案の文言ではなく、先ほどのケアハウスのあれ、法案じゃありませんから。法案の文言ではなくて、上場基準とかこういったことを担当の省庁の判断で決めさせていていいのか。  そこで、大臣にお聞きしたいんですが、今回のこのような条件というのは厚労省と内閣官房との間で調整は行われたのか否か、そして鴻池担当大臣は、この構造改革特区担当大臣としてこの件について御了承されたのか否かをお聞かせください。

鴻池祥肇自由民主党・保守党防災担当大臣

○国務大臣(鴻池祥肇君) 政治家として、政務官御出席の上で、私も政治家として責任を持って発言をしたいと思っておりますけれども、先日の厚労省の局長の答弁、委員が御質問なさいました。それを聞きまして唖然といたしました。その後、時間がなかったので私が意見を申し上げる機会を逸したんですけれども、今日また御質問をいただきましたのでここに立たせていただいたわけでございますけれども、例えば、民間参入オーケーだと言いつつも上場企業でないと駄目だと。こんなことがあるんだろうかと、正に唖然と聞かせていただいて、それが、その真意がいかなところにあるのかということをいまだに私は分かりません。  先ほどのお話のように、上場企業は約三千ぐらい、他のそうでない企業というのはわんさとあるわけです。参入したい企業、一杯あるはずです。福祉に自らの企業の力を使いたいというのが一杯あるはずです。上場でなかったらできないと。上場企業が、上場会社がとってもすばらしいという感覚自身がどうかしているんではないかと私は思いますよ。上場企業でない立派な会社、一杯ありますよ。あるいは中小企業でも一杯ある。上場企業でないといけない、そんなとんでもない発想、私はこれはどうかしているんではないかと思いますよ。  それで、承知しておるかと。知りません。聞いていません。聞いておりません、私は。そして、内閣府と厚労省と、そういう話、調整をしておるかということも、聞いておりませんし、まだやっていないはずでございますから、こういったことに関して、静かな中で意見交換をする機会を作っていきたいと、このように思っております。

黒岩宇洋各派に属しない議員

○黒岩宇洋君 今の御答弁を聞くと、これからきっちりと横断的に鴻池大臣を中心として意見交換されていくと、私はそのことに期待しておきます。  次に、文科省の方にお聞きいたします。  免許の授与についてちょっとお聞きしたいんですけれども、今回、多くの市町村から、これは群馬県の太田市からも出ていますけれども、免許状の種類の弾力化、もっと具体的に申しますと、民間人を市町村独自の判断で採用したいと、こういう提案が多数出されています。  それについての文科省の回答は、現行の特別免許状制度や特別非常勤講師制度を活用することで可能と、こうあります。また加えて、都道府県との手続の簡素化で対応としています。しかし、市町村の願いは、とにかく自分独自の判断でやりたいわけですね。  この特別免許状の制度でいえば、市町村が任命権者で、推薦しても、都道府県の教育委員会の審査があるわけですよ。これがある限り、どう考えても市町村が採りたいような人が採れるとは思えません。そして、非常勤講師制度といいますけれども、正にこの非常勤では優秀な人材が採れないわけです。ですから、今、市町村というのは大変悩んでいるわけですね。  こういうような紋切り調で、可能だということで回答していますけれども、私はとにかく、簡素化云々とかそういうことではなくて、本法案の目的、第一条にございます。「地方公共団体の自発性を最大限に尊重」と、こうあるわけですから、本来の市町村の提案にある目的を達成させるべく、この特別免許状の授与権を市町村の教育委員会に与えてほしいというこの提案、全くもって私は理解できるんですが、この市町村の提案に対して文科省としてどうお答えになりますでしょうか。簡潔にお答えください。

矢野重典文部科学省初等中等教育局長

○政府参考人(矢野重典君) 特別免許状は、これは制度といたしましては授与された都道府県におきまして終身、一生有効なそういう免許状でございます。そういう意味で、特別免許状の都道府県単位の広域的な通用性というものを確保する必要があるわけでございますので、そういう意味では、市町村ではなくて都道府県教育委員会が責任を持って判断し、授与する制度によることが私どもは適当であろうと考えております。  一方、このたびの措置におきましては、市町村教育委員会の要望を踏まえまして、特別免許状の授与に関して、市町村教育委員会が独自に社会人等を教員として採用する場合には、市町村教育委員会における円滑な採用が可能となりますように、都道府県教育委員会における教育職員検定、これは特別免許状を与えるための検定でございますが、その教育職員検定に係ります手続の簡素化をするということを内容とした通知を指導通知として都道府県教育委員会あてに発出することといたしているところでございまして、このような措置を講ずることによりまして、特区におきましては自治体の提案の趣旨に沿った免許状の授与が円滑に行われるようになるのではないか、またそのように努めてまいりたいと考えております。

黒岩宇洋各派に属しない議員

○黒岩宇洋君 今の答弁でも、私、何度も文科省の方に聞いたときも、この通用性という言葉を、要は市町村だけでなく、県ならどこでも教職員として採用されるんだという、このために都道府県から授与されなければいけないとおっしゃいますよね。私、これは絶対におかしいと思うんです。  どうしてかと申しますと、じゃ、今回、市町村が一回自分のところで雇うわけですね、自分のところの出費、負担で、この十三条の特例で。この人間が他の市町村で今度雇われるためには、一回市町村を辞めるわけですよ。辞めた後に更に県の採用試験を受けるんですよ。今、御存じのように、県の採用試験で受かるなんというのは本当に大変なことなんですね。ですから、私は元々通用性がないと指摘したいと思います。  もう一つ、非常に論理矛盾がございまして、十三条の特例ですと、元々免許のある人を雇ったと、この人はその市町村でしか勤められないんですね。この人に通用性がないんですよ。免許のある人が雇われると通用性がない。でも、免許のない民間人が特別免許状制度で雇われると通用性がある。こんなばかな話はないし、元々通用性があるとは思いませんけれども、この整合性が全くなっていない。  もっと踏み込んで言うと、県単位の通用性といいますけれども、これは雇う側と雇われる側、すなわち今言う市町村と新しい教職員のこれは雇用の契約ですよね。別に通用性なんというものははっきり言えば余計なお世話で、雇われる側はここでいいんだと、雇う側はこの中だけでと言ったときに、何でおせっかいにも通用性なんということでまた新たな規制を掛けるのか。これは私は今回の規制改革の根本的な姿勢に反すると思っているんです。これはちょっと長くなるからもう質問はしませんけれども。  こういう中で、太田市からも、やはり太田市の場合は英語のいい先生を採りたいんだということで提案が出ているんですけれども、今のこのやり取りを聞くと、どうも大臣が、鴻池大臣がおっしゃっている、おもしろいと言っている英語による授業の実現、私、大変もう既に危うくなってきていると思っているんですね。  文科省にお聞きします。  鴻池大臣が衆院でも参院でも内閣委員会で再三おっしゃっている太田市の英語による授業というのは本当に可能なんでしょうか。私、大変ずっと疑問に思っておりました。今までの太田市の提案に対する文科省の大変つれない回答を見ると、どうも本当に可能かどうか疑わしくてしようがないんですけれども、これについて文科省の見解をお聞かせください。

矢野重典文部科学省初等中等教育局長

○政府参考人(矢野重典君) 御指摘の群馬県太田市の構想は、これは構造改革特区において国語以外のすべての教科の授業を英語で実施しよう、そういうものであるというふうに理解をいたしております。  それへの対応でございますけれども、文部科学省といたしましては、構造改革特区において学習指導要領によらないで弾力的な教育課程を編成する取組を可能といたしますために、先ほどの御質問にもお答え申しましたけれども、新たに構造改革特区研究開発学校制度というものを設けることといたしているところでございます。そこにおいては、学習指導要領の基準によらない弾力的な教育課程の編成が可能になるわけでございます。  そこで、受け皿としてはそういうことの、そういう制度を設ける考えでございますけれども、御指摘の構想につきましては、これは当然ながら幾つかの問題も考えられるわけでございますが、その点については関係の自治体において現在恐らく十分な検討、いろいろな問題点を克服するための十分な検討をしていただいているのではないかと思うわけでございますので、文部科学省といたしましては、構造改革特区計画としての申請を待って具体の計画について検討をさせていただきたいと思っておりますので、今の段階で先走ったことを申し上げることは差し控えさせていただきたく存じます。

黒岩宇洋各派に属しない議員

○黒岩宇洋君 大臣、これは大分まずくなってきましたね、これは明らかにもう。  私も何回か文科省に聞いているんですけれども、いろんな条件で、大体、分からないというよりはほとんどできそうもないというニュアンスで私は聞いておるんですよ。  これは前の鈴木委員の質問で、構造改革特区研究開発学校制度について文科省のお答えがあったので私も何となく理解したんですけれども、そんな中で、これ実は、大変幾つもの提案が結局この開発制度で検討だということでお茶を濁されているんですよ。だから、すごい万能な制度のようなんですけれども、これで、私、局長の御発言聞いていて、ちょっとおやっと思ったんですけれども、今までの文書の回答では従来の研究開発学校制度の下に設置すると言ったのが、今日、その制度と別にと変わっていましたね。ただ、よく鈴木議員とのやり取りを聞くと、どうも下にありそうですね、研究開発学校制度というものに確実に沿っていると。  そう考えますと、元々この研究開発制度というのは、繰り返しになりますが、要は学習指導要領の作り直し、もっと言えば要するに文科省のカリキュラムを作ることが目的なんですよね。そうなんですよ。ということは、今回の市町村の目的とは全く別のところにあります。同じような何か制度ですけれども、目的が違うんですよ。更に言えば、やっぱり特区構想の地域地域の自主性を重んじるというのは違うわけですね。要は、中央に何とかフィードバックしようという、そういう目的なわけです。  ですから、ここに何でもかんでも投げて、そして本当に各市町村や、もっと言えば子供たちが望むような、非常に自由濶達な学校教育というのが果たして実現するのかどうか。そのことについて、局長、お願いします。端的にお願いします。

矢野重典文部科学省初等中等教育局長

○政府参考人(矢野重典君) まず、現在の制度についてもう一度私の方からきちんと説明させていただきたいのでございますが、現在の制度といたしましては、学校教育法施行規則等によりまして教育課程の基準でございます学習指導要領によらない教育課程の編成・実施を認める、そういう制度があるわけでございます。  それは幾つかのタイプがございますけれども、研究開発学校制度というのはその代表的なものでございますが、研究開発学校制度等のそういう制度があるわけでございますが、その特例的な制度そのものがあるわけでございますので、その中に新しいタイプの特例的なものとして構造改革特区における様々な提案を受ける制度として、先ほど来申し上げてございます構造改革特区研究開発学校制度というものを設けたいと考えているところでございまして、その具体的な中身……

小川敏夫民主党・新緑風会

○委員長(小川敏夫君) 答弁は簡潔にお願いします。

矢野重典文部科学省初等中等教育局長

○政府参考人(矢野重典君) 中身につきましては、現行の制度との相違点も含めまして現在は検討いたしているところでございますので、その中で十分対応は可能と考えております。

黒岩宇洋各派に属しない議員

○黒岩宇洋君 そうしましたら、池坊政務官にお聞きしますけれども、今のやり取りを聞いて、やはり私は、教育も挑戦していくんだと、新たに挑戦していく。今大変荒廃している中で、鈴木委員のところでも出てきましたけれども、文科省自体が挑戦もせずに、大胆に切り込まないで、一体本当に子供たちに、挑戦だ、大胆な発想だと求める、こういった教育が果たしてできるのか。このことで、今のやり取りを聞いて、文科省の政務官として、池坊政務官の御見解をお聞かせください。

池坊保子公明党文部科学大臣政務官

○大臣政務官(池坊保子君) 大胆に切り込むことも必要ですけれども、私はやっぱり市町村のいろんな意見を聞きながら、その事情に応じて調整しながら、しっかりとしたやっぱり基になるものは守っていくべきではないかと思っております。  今ございましたように、研究開発学校制度は様々ないいことをいたしております。十四年度は二億九千万取っておりますし、十二年度四十一校、三十三校、今は十七校やっております。ですから、これを更に拡大するような気持ちで、英語だけの授業が行われてもよろしいですし、あるいは小学校、中学校の一貫制教育が行われるようなことがあってもよろしいと思うんですよね。  ですから、やはり私は大胆なことばかりがいいとは思いません。教育は大胆であるから新しい発想が生まれ、大胆な心根を持った子供たちが出るわけではないと思います。教育は地味な努力の中で着実に堅実にする必要がありますから、私どもはそういう中で、いろんな地域の意見を聞きながらも、でも、慎重にしなければいけない点はきちんと慎重にしていきたいというふうに思っております。  十三万九千人の不登校児も、今の学習指導要領によらない教育課程の編成によって学校に行きたいなと思う子供たちもいると思いますから、そういう子供たちにはそれにふさわしい学校を作っていきたいと思っておりますので、これは大変有効であると思っております。決して後退しているわけではございません。

黒岩宇洋各派に属しない議員

○黒岩宇洋君 政務官にそうおっしゃられると私も何か納得しつつあって大変危険なんですが、鴻池大臣、助けてください。  最後にお聞きします。  大臣、大臣が声高におっしゃる、わくわくする、そしておもしろくなるような学校、今回でいうと英語で授業する、こういったものが何かできそうもないんですよね。大臣、そのことをどうお考え──できますか。じゃ、できるんだ、やるんだという、このことを大臣、ちょっとここで御披露ください。お願いします。

鴻池祥肇自由民主党・保守党防災担当大臣

○国務大臣(鴻池祥肇君) 太田市から面白い提案がなされ、それをやろう、できるぞということで、文部科学省との打合せで、できる方向で進めておると信じております。  ただ、いろんな、本日に至りますまで、委員各位の御質問にお答えされる役所の答弁を聞いておりますと、一歩前進二歩後退の部分が随分あるなという感じもいたしますし、日暮れて道遠しという感もございます。  しかし、特区の構想というものは全国でやろうというんじゃない、何度も申し上げておりますように。勘違いされている、お役所の方も。全国でやろうというんじゃない。一か所でやってみようじゃないか、一か所だけで。面白いところでやろうじゃないかと。経済の活性化につながるものを一か所でやろうじゃないか。港、反対されているけれども、また要らぬこと言ったら怒られる。  教育の分野においても一か所でやって、医療も一か所でやってみようじゃないかというのが特区構想です。是非とも、我々は理解しておるんですけれども、理解されないところ、教育は、政務官、地味がいいと。その地味の部分も結構だと思いますけれども、やはりどこか一か所派手な部分があってもいいんじゃないかと。地味な教育ずっと余りにもし過ぎてきたんじゃないか、余りにも。だから、この世の中面白くなくなってきたんだと私は思いますよ。  先ほど、株式会社の話もありました。株式会社一番先にやったのは坂本龍馬ですよ、あれ。面白いじゃないですか。とにかく、そういう新しい時代にマッチするかどうか別にして、とにかくやってみようというそういうチャレンジ精神というものをこの特区構想の中で作り上げていきたいと。一歩後退でも三歩進まなきゃいかぬ、このように思っております。  以上であります。

黒岩宇洋各派に属しない議員

○黒岩宇洋君 大臣、委員会質疑は大変わくわく面白いものになってきましたけれども、それだけではいけません。どうか教育もわくわくするようなそういったことが可能になるように担当大臣として御尽力ください。お願いいたします。

小川敏夫民主党・新緑風会

○委員長(小川敏夫君) 本日の質疑はこの程度といたします。  鴻池国務大臣は御退席ください。     ─────────────

小川敏夫民主党・新緑風会

○委員長(小川敏夫君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案審査のため、来る十二日、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小川敏夫民主党・新緑風会

○委員長(小川敏夫君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小川敏夫民主党・新緑風会

○委員長(小川敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十三分散会

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