国土交通委員会 第6号
- 発言数
- 134 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2002/11/28
会議録
○委員長(藤井俊男君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。 建物の区分所有等に関する法律及びマンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 本日は、神戸大学大学院法学研究科教授山田誠一君、愛知産業大学造形学部建築学科教授藤木良明君及び全国マンション管理組合連合会事務局長谷垣千秋君の以上三名の参考人に御出席をいただき、御意見を聴取し、質疑を行います。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、大変御多忙のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。 参考人の方々から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。 それでは、本日の議事の進め方について申し上げます。 まず、山田参考人、藤木参考人、谷垣参考人の順序でお一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。 また、参考人の方々の御発言は着席のままで結構でございますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おき願いたいと存じます。 なお、質疑者は、慣例により、起立の上発言することとしておりますので、よろしくお願いいたします。 また、大変恐縮でございますが、時間が限られておりますので、簡潔に御発言くださいますようお願い申し上げます。 それでは、まず山田参考人にお願いいたします。山田参考人。
○参考人(山田誠一君) あいさつだけ立ってすることをお許しください。 ただいま御紹介をいただきました神戸大学教授の山田誠一でございます。本日は参考人として意見を述べます機会をちょうだいいたしまして、誠にありがとうございます。 着席することをお許しください。 私の専攻は民法学でございます。その研究分野の一つであります共同所有に関する研究の中で、建物区分所有についてこれまで若干の研究を行い、その成果を発表してまいりました。そのようなことがありましたためか、平成十三年五月から本年平成十四年九月まで法制審議会幹事を併任することになり、建物区分所有法部会に出席することを許されました。このようなことを背景として意見を申し述べますことをお許しいただきたく存じます。何とぞよろしくお願いを申し上げます。 さて、本日は、建物の区分所有等に関する法律及びマンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律案のうち、建物の区分所有等に関する法律が、建物を取り壊し新たな建物を建築する旨の決議について規律する内容が変更される点を中心に私の意見を申し述べたいと思います。 建物の区分所有等に関する法律を以下では建物区分所有法と呼ばせていただき、また分譲マンション、すなわち一棟の建物に建物区分所有法に基づいて数戸の専有部分のある建物のことを区分所有建物と申し述べさせていただきます。 区分所有建物に関する法律関係には次のような特性を認めることができます。 第一は、区分所有権は専有部分に成立しますが、その専有部分は、通常、水平方向及び地面に対して垂直方向に物理的に接着しております。そのため、区分所有権は建物区分所有法上確かに所有権でございますが、戸建ての建物に成立する所有権とはその性格を大きく異にすることになります。 すなわち、一戸の戸建ての建物について、その所有者は自由に取り壊し新たに建築をすることができます。これに対して、一戸の専有部分について、区分所有者は自由に取り壊し新たに建築することができません。これは区分所有権の内在的制約であると言うことができようかと思います。 第二に、区分所有建物の敷地に関するものであります。 敷地に関する権利関係は幾通りかの場合を想定することができますが、ここでは区分所有建物の敷地が区分所有者の共有である場合を考えることにいたします。 民法は、共有について、共有者に分割請求権の自由な行使を認めますが、この原則的な規律は区分所有建物の敷地について適用されません。すなわち、区分所有建物が存在する限り、区分所有者でもある敷地の共有者は敷地について分割請求権を行使できないという例外的な規律に服しております。 区分所有建物をめぐる法律関係は以上のような特性を持つものであるため、区分所有建物を取り壊し新たに建築することは、一棟の区分所有建物全体について行う必要があります。すなわち、何らかの方法で区分所有建物全体について取り壊し新たに建築をするか、そうではなく取り壊しをしないかを決定しなければならないということであります。 複数人の区分所有者の全員が取り壊しをしないという選択をする場合、又は複数人の区分所有者の全員が取り壊し新たに建築をするという選択をする場合には、全員の意見がそのまま実現することになりますので、区分所有者の内部には何も問題は生じません。しかし、どのような割合に意見が分かれるにせよ、取り壊し新たに建築をするという意見と取り壊しをしないという意見とに分かれますと、意見が実現しない区分所有者が生じます。区分所有建物の建て替え問題とは、建て替えについてどのような場合にどのような意見が実現し、どのような意見が実現しないこととするのかという問題であると言うことができようかと思います。 この問題は理論的に何らかの一つの正しい答えを導き出すことができるという性質のものではないと思います。経験に基づき合理的な推論を行い、どのような規律を設けることが区分所有者間の権利相互の調整として適切であり、法制度全体の中で矛盾やそごを生じさせないものであるかという観点からの検討が必要であり、そしてそれによって答えを導き出すことができるものであると考えられます。 改正案は、この点について、六十二条一項におきまして、「集会においては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議をすることができる。」という限定を用意しております。これに対して現行は、「老朽、損傷、一部の滅失その他の事由により、建物の価額その他の事情に照らし、建物がその効用を維持し、又は回復するのに過分の費用を要するに至つたときは、集会において、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、建物の敷地に新たに主たる使用目的を同一とする建物を建築する旨の決議をすることができる。」という規定でございます。 改正案は現行に三点の変更を加えています。第一は、かいつまんで申し上げますと、老朽その他の事情により過分の費用を要するに至ったときという要件を改正案は建て替え決議の要件とせず、それに代わる要件も設けていないという点であります。第二は、改正案は、新たに建物を建築する土地について、取り壊す建物の敷地と一部が共通していることで足り、同一であることを必要としないとした点であります。第三は、改正案は、新たに建築する建物について、主たる使用目的を同一とするという限定をなくした点であります。 この中で最も重要な変更点は第一の点であり、簡略に申しますことをお許しいただきたいと存じますが、過分の費用を要する旨の要件をなくした点であります。すなわち、このことは、客観的要件を設けず、区分所有者の団体的な、すなわち自律的な決定に解決をゆだねたということを意味します。 建て替え決議を行うために区分所有建物又は敷地についての何らかの客観的な要件を設けるということは、区分所有者の権利相互間の調整として、反対者がいても建て替えが許される場合と反対者がいると建て替えが許されない場合を区分する合理的な基準があるということを意味します。この立場については二つの疑問を投げ掛けることができます。 一つは、反対者の意見が法律上尊重されることとなる、あるいは反対者の意見が法律上尊重されないこととなる合理的な基準はあるのかということです。三十年、四十年又は五十年のいずれでも共通しますが、築後年数によって反対者がいても建て替えが許されることとなるという規律は、建物の状態が千差万別であるにもかかわらず、一律に築後年数によって反対者がいても建て替えが許されることになることを意味します。 しかし、このような規律は、同じ築後年数の建物であってもその物理的な状態が様々であり、したがって建て替えの必要性の程度も様々であるという経験に照らし合わせるならば、合理的に説明することができないように思います。 もう一つは、仮に合理的な基準があるといたしましても、その基準に基づき建て替え決議の効力が訴訟において争われた場合、比較的容易に裁判所の判断が行われるような明確なものとしてその基準を示すことができるかということであります。 私は神戸に住んでおりますが、平成七年一月の阪神・淡路大震災の際に損傷を受けた区分所有建物が、建て替え決議の効力が訴訟で争われているため、いまだ建て替えと修繕のいずれにも手付かずのままにあるものを見ております。あるいは、何か特別の事情を抱えていて例外的なケースであると言えるのかもしれませんが、建て替え決議の効力を判断する基準が明確なものとして示されることは極めて強く要請される点であると考えております。 建て替え決議が成立しますと、反対者はその決議に拘束されますが、賛成者とともに建て替えに参加することを強制されることはありません。賛成者から建て替えに参加しない反対者に対して売渡し請求権を行使することができます。この行使により、区分所有権と敷地の共有持分とが賛成者の側に移転し、その結果、建物の取壊しと新たな建物の建築とは可能になります。そこでは、建て替えに参加しない反対者は売却を強制されます。したがって、売却の強制を基礎付ける団体的な決定としては、単に建物を取り壊し新たに建築をするという意見の区分所有者が、取壊しをしないという意見の区分所有者より多いという単純多数決では足りないと言うべきです。 どの程度の特別多数決であれば売却の強制を基礎付けることができるか。すなわち三分の二、四分の三、五分の四、十分の九、これらのいずれが適当かということは極めて困難な問題であります。 しかし、これまでの建て替え決議が行われて建て替えが行われた事案、具体的には阪神・淡路大震災の際に損傷を受けた区分所有建物の建て替えの事案が新聞記事やテレビ番組で報じられたとき、それらを通して知ることができましたのは、五分の四の多数決は一般には短時間でまた容易に獲得できるものではなく、相当程度の時間の交渉、説明、説得などのプロセスを経て、すなわち合意形成に向けての多様な準備が周到に行われて初めて獲得可能なものであるという経験です。 さらに、五分の四の多数決は、区分所有者数について要求されるとともに、議決権についても要求されます。 一般に、各専有部分の面積に大小がある区分所有建物では、専有部分の面積におおむね比例して議決権を定めることがあります。この二重の五分の四の多数決の要件は、一方で、比較的狭い専有部分について区分所有権を有する者を糾合し区分所有者数の五分の四以上となっても議決権の五分の四以上とはならず、他方で、比較的広い専有部分について区分所有権を有する者を糾合し議決権の五分の四以上となっても区分所有者数の五分の四以上とならないことを意味します。すなわち、相当に慎重な多数決要件であると評価することができます。 したがって、建て替えに参加しない反対者に売却を強制するためにこのように慎重な多数決要件を要求しているということであり、妥当な規律であると考えます。 そして、この点に追加して、最後に一つ重要な点を指摘しなければなりません。 改正案は建て替え決議を行うために必要な手続要件を整備しました。建て替えの選択肢と建て替えをしない選択肢のいずれが自己の利益にかなうものであるかを各区分所有者が判断するために、必要な情報が提供され、また比較検討が行われるために十分な時間が確保されることが、反対者がいても建て替えが許されるためには要求されるということです。 具体的には、議案の要領とともに建て替えを必要とする理由などの一定の事項を集会の二か月前までに通知すること、そして集会の一か月前までに説明会を開催することを改正案は建て替え決議のための手続要件といたしました。妥当な要件であり、この手続要件を設けたことが建て替え決議の合理性を担保し、客観的要件を設けないことを積極的に正当化すると考えることができます。 老朽化し、又は損傷を受けた区分所有建物を建て替えるのはその区分所有者であります。建て替えの事業を行うことは区分所有者の多くの労力を必要とします。もちろん建て替えを望まない区分所有者の利益は保護されなければなりません。しかし、建て替えを望む区分所有者の利益もまた保護されなければなりません。反対者がいても建て替えをすることができるための要件が著しく重いものでありますと、老朽化し、又は損傷を受けた区分所有建物を建て替えようとする区分所有者のインセンティブを不当にそいでしまうことが懸念されます。 昭和五十八年の改正後の経験を生かして、区分所有建物の建て替えに関する規律を現時点でデザインするならば、考えられる他の選択肢と比較し、改正案の内容が最善であると考える次第であります。 私の意見は以上のとおりでございます。御清聴を賜りましたことを心より御礼を申し上げます。 誠にありがとうございます。
○委員長(藤井俊男君) ありがとうございました。 次に、藤木参考人にお願いいたします。藤木参考人。
○参考人(藤木良明君) 藤木でございます。よろしくどうぞ。 私は大学で教鞭を執っておりますが、実は三十数年来設計事務所を主宰しておりまして、特にこの二十年ぐらいでしょうか、マンションが都市の一般的な住居になってきた時期からその大規模な修繕工事の設計を主に草分け的にやるようなことをやってまいりまして、本日はそういう経験を踏まえまして、むしろ研究者、学者の立場ではなくって、実務家の立場に比重を置いたところでお話を申し上げたいと思います。 私の経験の中で、かれこれ四万数千戸ぐらいのマンションの改修工事ないしは維持保全のコンサルティング、お手伝いをしております。現在、日本のマンション、四百万戸ちょっとというふうに統計されていますけれども、ほぼ一%に当たるぐらいの延べ実績でございますけれども持っております。 その中で、現在建て替えをしなければならないマンションというのは、私の経験ないしは私の身の回りでは一棟もございません。建て替えが可能なもの、これは、等価交換によって建て替えが可能なものは二団地、かつての住宅公団が分譲しました高経年で比較的至便な場所にある団地で、二団地はこれは等価交換による建て替えが可能。それから、あとの、恐らく管理組合数としては二百数十管理組合のお手伝いをしているんだと思いますけれども、これは建て替えは議論はほとんど立ち上がっていませんし、またそのことは事実上不可能と思います。 そういう状態の中で、今日、なぜこのような形で建て替え要件を中心にした改正が急がれているのか、ないしは、もっと言いますと、私のレジュメの一番上に書かさせていただきましたけれども、いわゆるマスコミ間にというか、何紙か、世評としてマンションは三十年しかもたないというような、何となくそういう雰囲気が世評に出てきた一面がございます。 これを考えてみると、どうもこれは建物の老朽化を原因にしたんではない。にもかかわらず、老朽化、建て替えというふうな議論が引き起こってきている。これは、つまるところ、バブル期前後に敷地にゆとりのある旧住宅公団ないしは自治体の供給公社が分譲しました団地型のマンションは一住戸当たり大体百平米から百五十平米ぐらいの敷地を持っております。したがって、交通の至便なところでは等価交換による建て替えが可能になるわけですね。 そこで、バブル期を契機にしまして、幾つかのマンション、団地型マンションで建て替え問題が持ち上がった。それが成功したものは約六十例ぐらい現在までにございますけれども、計画は持ち上がったけれども紛争に至って、今日まで実現していないというものもある。 特に、その中で千里ニュータウンの桜ケ丘住宅、これは建て替えをめぐって推進派とそれから反対派の抗争が最高裁まで至りました。ここのところで約十年ぐらいほとんどろくな修繕をしなかったために、この桜ケ丘住宅はある面では外観的には非常に傷んだ印象になってまいりました。そういうものをとらえて、建て替え推進派の方々は建物の老朽化と言い、かつマスコミはそれをとらえて、三十年でマンションというのは駄目に、ぼろぼろになってくるんだというような風潮をどこかで作ってしまったところがある。 でも、これは非常に特殊な形でありまして、きちっとしたマンション修繕をしていけば、そんな、マンションは三十年、四十年どころでぼろぼろになったり物理的に住めなくなったりということはあり得ないんです。ところが、そのことがどこかで、世評の上ではおかしな形で今日に流れてしまった。 実質的に、統計上は、二〇一〇年ないしは一一年ぐらいになりますと三十年を経過するマンション、まあ大体百万戸を超えるとされます。このうちで等価交換ができるマンションというのは、先ほども、私の経験値の中でないしは私の周辺の中での事例で申し上げましても極めて少数です。大方はこれは等価交換による建て替えは不可能、現行法の中ではですね。 そうすると、今回の五分の四というその案件、合意による建て替えということになると、その結果として、要は多くのマンションで、特に団地型の等価交換が可能か可能に近い団地においては建て替え議論というのは大変蒸し返されるだろうと思います。その結果として、桜ケ丘で起こったように、建物が放置されて荒廃するという結果も招きかねない。これは建物だけではなくて、居住者がそこで生活しているわけですから、居住者関係、人間関係まで実は荒廃してくるという結果を招きます。 ともあれ、マンションというのは修繕をきちっとすれば百年だって物理的には大丈夫なんです。 これは、お手元に写真を三枚、これはホッチキスで留めていただいていないと思いますのでちょっとぱらぱらと見ていただきたいと存じますけれども、三枚目になっているかと思いますけれども、同潤会アパートの写真を写真2として真ん中に入れておりますけれども、仮に、同潤会アパートは昭和二年の入居でございますから、現在で七十何年ですか、経過していて、これはろくな修繕ほとんどしてこなかったわけですね、ほとんどと言うと語弊がありますけれども。でも、なおかつ現在使われている。これがきちっとした修繕がなされていれば百年だって十分使いこなし得てくる。 ちなみに、その上の写真の1にロンドンのハロッズの近辺のフラットを挙げておりますが、これは十九世紀の初期のものというふうに私は正確ではございませんけれども思っておりますけれども、ある種のロンドンの中のエポックを作り、かつステータスですね、この場所は。こういうような形で、都市の中の価値を見いだしていくその使い方というのが、どこかでやはり日本の中には忘れられている一面がある。 つまるところ、この建て替え議論ないしは建て替えをめぐるいろいろのマスコミ的な報道の一面で、非常に建て替えは困難であるという現実があり、かつストックはどんどんと増加してくる。その中で、いろいろのマンションで建物の延命化をめぐりまして大変な努力がなされております。このことが意外に世間に認識されていない。もっともっと日本のマンションでも長もちできるんだ、それから長もちして快適に過ごそうとしているマンションの努力というのはいろいろあるんだということをやはり知っていただきたい。 それが、もう一枚、二枚のペーパーに写真がございますけれども、一つは石神井公園団地、これは初年度時入居が昭和四十二年でございますから、現在で三十六年経過しているかと存じます。そこに改修前と改修後の写真を挙げておりますが、改修後の写真、右側の上のところ、非常にゆったりしたところ、緑も育ち、かつ芝生も豊かで、こういう中で、改修後、大変ゆったりした建物、生活空間になっております。 それから、二番目の真ん中の写真では、左側に改修前、それから右側に改修、ひさしを付けてきれいにしたのが載っけております。 さらには、一番下には耐震補強を一部でして、神戸の地震の経験を生かした形での備えもこれ万全にしております。 こういう、石神井公園でございますから都心部にそう遠くないところに、大変これは時代の文化的な価値も生み出してくるほどの豊かな住居空間を作り始めている。 それから、もう一つは東豊エステート、これは世田谷でございます。野沢でございますけれども、左側の写真列は実はこれ築十七年時の劣化状態なんです。要は、マンションというのは手入れをしないでほうっておきますと、かように鉄筋コンクリートというのはもろいんです、十七年でこんな状態になってくるんですね。それを、この十七年時のところ、これ昭和六十一年でございますから今からもう十四、五年前ですけれども、これを徹底的に私の方で直しました。その上で二回目の修繕を平成十二年に更にまたやりまして、その結果がこの右側の写真列でございます。 ここでも、一番下の写真に見るように、ピロティーの柱には鉄板を巻いて耐震補強をし、それから真ん中の写真は、これは玄関の周りを大判タイルを張ったりオートドアを付けたり、それから一部段差があるのを、ここをスロープを付けてバリアフリーにしたりというようなこと。それと同時に、かつての三十年前の面影もテントとそのテントのフレームの中に残すとかいうような形で、大変これはお住まいになっている方たちも喜んで、ああ、まだまだ大丈夫というふうな形で現在も使って、もちろん使いこなされていきます。 つまるところ、現在我々にとって何が重要かというと、これは建て替えというよりもむしろ建物をいかに延命化させるかということこそ緊急課題であり、このことを国民の中にも普及させていく、この意識を普及させていくということこそ極めて重要なことなんだと思います。 そういう観点から考えますと、衆議院におきまして附帯決議が提案されておりますけれども、これは大変結構なことだと私はある一面喜んでおります。ただし、区分所有法の改正案とこの附帯決議案の間には大きな断層がございます。これを具体的につないでいく施策、政策、これはなかなか拘束力を附帯決議は持っていないだけに大変だろうと思います。むしろ、ここのところを具体化していく政策をこそ望ましい、望まれるところだろうと思います。 もう一点最後に、やはり経済構造、大変建築業界、今不況であえいでいます。その部分で経済的な活性ということから含めて建て替え策ということも考えられるんですけれども、むしろ、私はこれからの二十一世紀の地球環境時代に向けていかに持続する経済を、社会を構成するかということからは、リフォーム、リノベーション、そちらの方を促進させていく、そのことによって民間の中小零細企業も持続した展望を持たせていくと、このことが極めて重要であるというふうに考えております。 以上でございます。失礼をいたしました。
○委員長(藤井俊男君) ありがとうございました。 次に、谷垣参考人にお願いいたします。谷垣参考人。
○参考人(谷垣千秋君) 本日は、マンションに居住し、管理の現場に携わる私どもに発言の機会を与えていただきましたことに心より感謝申し上げます。 私どもは一九八六年に設立されましたマンション管理組合の全国組織であり、これまで十六年にわたって良好な住環境の実現を目指して管理組合の自立を図ることを目的に活動を続けてまいりました。今回の区分所有法改正法案は私どもにとって直接のかかわりを持つ内容であり、重大な関心を持って見守っているところであります。 私どもは長年マンションの現場において管理組合の活動に携わってまいりましたが、ここでは共同所有、共同管理、共同居住というマンションの特性を踏まえたその活動は、多くの区分所有者の意思を一つにまとめていくという合意形成の困難性が常に付きまとう活動でもあります。一人の人間の意思でマンションというのは何も決められない、常に多くの区分所有者の意思を一つにしていくという作業が付きまとう。その意味で、合意形成というのが管理組合の活動にとって極めて重要な活動であるわけです。 民主主義の学校とも言われる管理組合におきまして、区分所有者の多様な意見を保障しつつ、全体の意思を一つにまとめていくときの重要な要素がマンションの憲法とも言われる区分所有法であります。区分所有法並びに各マンションの管理規約を区分所有者の共通認識とし、それを合意の集約軸とすることによって多くの人々の多様な意見を一つにまとめていくことが可能となります。その意味で、この法律には何よりも多くの区分所有者が納得できる合理性が要求されます。そして、この法律がマンションにおける日常の規範であることを考えると、だれにでも容易に理解できる平易な文章であることが重要であり、難解な専門用語や表現は厳に慎むべきであるというふうに考えております。 さて、先ほども述べられましたが、阪神・淡路大震災の復興過程で現行区分所有法の様々な問題点があらわになったわけですが、区分所有法はマンションの現場において極めて重要な役割を担っており、それゆえ、その内容は住民自治の理念に即した実際的なものでなければなりません。しかし、阪神・淡路大震災において現行区分所有法はその欠陥をあらわにし、多くの被災マンションを大混乱に陥れました。今回の法改正はこのことを大きな契機としていると認識しております。 問題となった建て替え決議要件は、今回の改正法案では五分の四以上の多数決のみに変更されました。しかし、この変更は妥当なのでしょうか。現行法のどこに問題があり、何を改善すべきであるのかという点について、私は次のように考えております。 一、現行法の過分性要件は受け入れられているというふうに私は判断しております。 私どもは、区分所有者が建て替えか補修かという判断を下すときの判断基準として、現行法の過分性要件は一定の合理性を有していると認識しています。阪神・淡路大震災の被災現場においても、また建て替えをめぐって争われた五件のマンションにおいても、過分性要件を批判している例はありません。このような事実からも、過分性要件は区分所有者の間で一定の理解と支持を得ていると認められます。 二、過分性要件の解釈と運用を明確にすることが法改正の出発点。 現行法の問題点は過分性要件の解釈と運用が不明瞭であったところに存在します。すなわち、どのような状況に至った場合を過分というのか、そしてその判断の前提となる建物の効用の維持、回復に要する費用の算出は、どのような調査、方法に基づいて行われるのか、また費用算出に用いられる工事単価は何を根拠としているのかというような点が全く明確ではなく、実際に様々な工事業者が様々な調査に基づき様々な工事計画によって費用を提示してきたところであります。 例えば、現在もなお最高裁で争われているグランドパレス高羽の復旧費用は、建て替え賛成の被告側が十一億二千三百万円掛かるとしているのに対して、建て替え決議は無効とする原告側はその約六割の六億五千二百万という金額を示して争っております。同じ建物を復旧するのにこれほどの費用の差が生じており、これではとても建て替え決議の客観要件とは言えません。この原因は取りも直さず過分性要件の解釈と運用ルールが明確になっていない点にあります。これを明確にすることが今回の法改正の出発点だったはずであります。 三、過分性要件の明確化としての五〇%ルール。 過分性要件を明確にする最も具体的な方法として私たちが支持しているのが、米国連邦緊急事態管理庁、FEMAが採用している五〇%ルールであります。この五〇%ルールを基礎にして、次のようなルールを定めることが建て替え決議要件の混乱を解決する現実的な方法であろうと思われます。 一、劣化あるいは損傷した建物を原状に復するのに必要な工事計画を作成し、それに基づいて必要な工事費用を算出します。二、劣化あるいは損傷する前の状態と同じ建物を新築するのに必要な費用を算出します。三、一と二を比較して一の費用が二の費用の五〇%を超えれば五分の四以上の多数決で建て替え決議ができるものとします。 この五〇%ルールを運用するために、建物の劣化度や損傷度を判定する評価制度や、そうした業務を担う独立機関の設置等も併せて整備することによって過分性要件の総合的な運用体制を確立することが可能であると私たちは考えております。 次に、改正法案についてですが、改正法案は、建て替え決議を区分所有者の多数決にゆだねることとしました。区分所有者の自治を尊重するという考え方は一般的には十分支持できるものであります。しかし、問題は、今回の改正法によって区分所有者が適切な判断を下す条件を十分に与えられたのかという点にあります。すなわち、過分性要件が外れたことによって、従来存在していた区分所有者の判断基準が失われてしまい、ルールなき多数決といった状況に陥る危険性があります。 我が国のマンション管理組合の現状を見たとき、建て替えのような重大な決定を自律的に実行し得る自治能力を有している管理組合は必ずしも多くないのが実情であります。そのような現状で、管理組合に対して適切な情報提供や専門的な助言等を行っていく社会的な制度が整備されていないことは、十分な判断材料なしに建て替えの決定を区分所有者の多数決にゆだねることにつながり、合理的な決定が担保されるとは言い難い状況が予想されます。 以上のような状況の招来が予測される改正法案は、建て替え決議をめぐって区分所有者間の対立を再び生み出しかねない危険性を有していることを指摘せざるを得ません。 維持管理の徹底と建物の長寿命化・再生の重要性と環境保護。 全国のマンション管理組合は、これまで日常管理及び長期修繕計画を中心とした建物の計画的管理を実践することによって建物の耐用年数を延ばすための努力を続けてまいりました。このことは、同時に社会的にも良好な住宅ストックを形成することに貢献してきたと言えます。多くの管理組合にとって、適正な管理を行うことによって建物を長く使い続けることが管理組合活動の大きな目標となっております。そして、そのことが管理組合活動の着実な蓄積にもつながってきた経緯があるのです。しかし、今回の改正法案は、改正論議の過程で声高に叫ばれたマンション三十年説や、さきの建替え円滑化法の成立とも相まって、国のマンション政策が建て替えへと大きく転換した印象を与え、現場の管理組合に少なからぬ戸惑いと動揺を与えています。 私は、今回の改正法案については、管理組合を主体とした管理体制と、それによる建物の維持管理を徹底することによって良好な住環境及び住宅ストックを実現していくというこれまでの国のマンション政策との矛盾を指摘せざるを得ません。したがいまして、従来の国のマンション政策との整合性を担保するためには、衆議院の附帯決議でも指摘されているように、建物の長寿命化や再生に向けて法整備を含めた必要な措置を早急に取ることが肝要であると考えます。 他方、環境面からこのマンションの高経年化問題を考えますと、京都議定書に示された世界のコンセンサスから見たとき、我が国のマンションの将来に対して建て替えという針路だけを示してこれを乗り切ることには無理があります。持続可能な発展が世界の潮流となっている現在、資源活用、環境保護、低コスト、コミュニティー重視の方向性をこそ国は国民に示すべきでありましょう。この点からも附帯決議の早急な具体化が望まれるところであります。 最後ですが、少数意見の尊重と国民の権利への配慮です。 最後に、今回の改正法案、とりわけ建て替え問題はこれまで我が国のマンション管理組合が蓄積してきた住民自治に基づく直接民主主義のありように大きくかかわる問題であります。憲法で保障された居住に関する権利や財産権は特に尊重されなければなりません。少数意見に対する態度は民主主義の成熟度を示すバロメーターとも言われます。この法律が我が国市民社会における民主主義の発展に寄与するために、このたびの法改正に当たりましては、管理組合が今日まで築いてまいりました直接民主主義と住民自治の蓄積の上に立って、少数意見の尊重と憲法で保障された国民の権利を擁護することに十分な配慮をすることが強く望まれます。 以上が私の意見です。ありがとうございました。
○委員長(藤井俊男君) ありがとうございました。 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。 これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○吉田博美君 参考人の先生方のそれぞれの御所見を賜りまして、ありがとうございました。 私から申すまでもなく、安心して住める住宅の確保というのは、これはだれしもの願いではないかなと思っておるところでございます。 そうした中で、先ほど三十年説についての疑問点はお聞きしましたが、建築後三十年を経過したマンションが平成二十二年には九十三万戸に急増いたします。そして、私が一番心配しておりますのは、阪神・淡路大震災の折に倒壊したマンションが一九八一年以前にできましたマンションだと。 ということを申しますのは、一九八一年に現在の耐震基準が作られたわけでありまして、それ以前のマンションも百万戸あるというのが事実でありまして、そうした中で建て替えを急がなければならないマンションもあるとお聞きをしておるわけでございますが、ところが現行の区分所有法では建て替えるときに建て替え決議の要件等がございまして、それが紛争の種になり、また、先ほど来お話が出ましたように、訴訟にまで持ち込まれたケースがあるわけでございますが、そうした中で今回この両法案が提案をされまして、この両法案が成立いたしますと、マンションの建て替えがよりスムーズになり、いろいろな問題点も解消されるんではないかと考えられているわけでございますが、その点についてそれぞれの参考人の先生方からお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(山田誠一君) 建て替えのスムーズになるかどうかというお尋ねでございますが、現実にどのように進むかというのは様々な事情が絡み合うかと思いますので、この法改正で目に見えるような形でスムーズに建て替えが進むかどうかは、私は十分に予測できません。 しかし、区分所有建物の区分所有者の集まりが、その多くが建て替えを選択しようと建て替えの方向に考えをまとめましたら、現行法に比べると、建て替え決議ということで、全体について取壊し、建て替えができるためのコストが下がりますので、そこでのコストの低下ということは区分所有法の改正によってもたらされるだろうと、それを別のところに向けることができるだろうというふうに思います。
○参考人(藤木良明君) 現実的に一九八一年並びに一九七一年に建築基準法が改正されておりますが、むしろ危険なのは一九七一年以前のピロティー形式、柱だけで壁がなく構成されている建物ですね、これが極めて危険なわけですけれども、じゃ、今回の改正とこの耐震上の弱い建物の建て替えとがどう関係してくるかということで考えますと、私は事実上はほとんどこちらには影響しないだろう。 というのは、特に一九七一年以前のピロティー形式を持った、ないしは一階に壁がない建物の過半の部分は、都心部の、場合によったら旧地権者が相当量を所有している、管理組合が十分に機能していないマンションが過半だと思います。これは間違いなく過半だと思います。そういうところで、五分の四になったからといって建て替えないしは建て替えが推進するというふうには、私はもう全くこれは考えられない。むしろ、かえって混乱が起こる。先ほども意見を申し上げましたような形での推進派と、それから、そんなことできない、費用が掛かるから自己負担になるというようなことでの混乱が生じて、ますます管理組合は荒廃する可能性がある。 私は、あえてもう一度申し上げますけれども、むしろ危険なマンションに対する補強、修繕、こちらの方を世間的にも高め、かつその援助をする政策の方がより安全性を高めていく方向だと思います。 以上です。
○参考人(谷垣千秋君) 二点申し上げたいと思います。 一点目のいわゆる旧耐震基準で造られたマンションについては、政府の方で耐震改修促進法というか、法律が制定されまして、マンションにつきましても、そういう耐震性能の弱いところについては一部の自治体は補助金等も出して調査あるいは耐震改修をする誘導を行っております。 そういう手だてが一方で確実に講じられておるということと、もう一方で、じゃ、今回の改正あるいは建替え円滑化法によって本当に円滑に建て替えが進むのかということでいいますと、建替え円滑化法の方は管理組合で建て替え決議を上げて以降のことが大体対象になっていると思いますが、問題は建て替え決議を上げるまでが非常に困難性があるわけで、ここで言うと、やはり先ほども指摘しましたように、区分所有者が建て替えをするかどうかについての判断材料、すなわち維持管理をしていくことがマンションにとっても社会的にももはやマイナスであるというふうな状況に至ったかどうかという判断をこれまで一つの基準にしてきたわけですけれども、今回の改正でそれもなくなってしまうと、つまり判断基準もなくなってしまう。さらに、その様々な自分たちが判断をする上での情報が提供されていくシステムというのは、社会的にはまだ整備されていない。そういう中で、果たして円滑に建て替えの決議が進んでいくのかというと、これは疑問に思います。 そういうことで、この二つの法律ができたからといって建て替えが円滑に進むというふうには私は思っておりません。
○吉田博美君 谷垣参考人にお聞きしますけれども、過分性要件の明確化としての五〇%ルールがございますが、これは、「劣化あるいは損傷した建物を原状に復するのに必要な工事計画を作成し、それに基づいて必要な工事費用を算出します。」と。二が「劣化あるいは損傷する前の状態と同じ建物を新築するのに必要な費用を算出します。」と。一と二を比較して一の費用が二の費用の五〇%を超えればということで、五分の四はそのままでございますが、ちょっと私が心配をしておりますのは、例えば全く新築をする場合は原状をということでございますが、かなり古いマンションの場合ですと、段差があったりあるいはバリアフリーにもなっていなかったり、また階段室型になったりしておりますとお年寄りの皆さん方がエレベーターを使う場合がありますよね。そうすると金額の計算がかなり増してきますから、この五〇%というクリアはかなり厳しくなると思うんですけれども、その点についてはどのようにお考えなんでしょうか。
○参考人(谷垣千秋君) その点、効用増という問題かと思いますが、法制審でもその効用増を一般論としては語れないという議論がかなり交わされたと思いますけれども、これは一つの判断をするために比較をしていくということが基本ですから、この場合に例えば効用増を認めていくと際限なく効用を高めていくということで、比較にならなくなってしまうと思うわけですね。 ですから、判断をするための材料というものと、これは実際に建て替えるときの計画は必ずしもイコールである必要はないというふうに考えております。
○吉田博美君 済みません、もう時間が余りないんですけれども。 じゃ、山田参考人にちょっとお聞きしますけれども、先ほどは五分の四の話について説明をされたわけでありますが、大規模な団地等を建て替えるときに、その一棟を建て替えるときに、今まではその敷地の全員の同意が必要だったわけでございますが、今度は四分の三ということになったわけでございますけれども、その四分の三になったその数字のあれはどういうように思っておられますか。参考人のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(山田誠一君) 五分の四、十分には自信はございませんけれども、適当な多数決要件ではないかと思います。 その理由は、区分所有建物が建っております敷地というのは建物と実際上一体的なものでございますので、その建物の区分所有者五分の四の建て替え決議が成立したのであれば、敷地についての共有者に関しては比較的低い多数決要件で区分所有建物の建て替えというものを承認する、同意をするという仕組みとして妥当なものではないかと思います。
○吉田博美君 藤木参考人の一番の理念と申しますか、やはりいかにマンションをテークケアして長もちさせるかという理念だと思うわけでございますが、そうした理念に基づいて衆議院の附帯決議をより具体化すべきじゃないかというお考えじゃないかと思うんですけれども、それは、衆議院の附帯決議というのは藤木参考人の理念とほとんど一致だということで、そういう解釈でよろしいんですか。
○参考人(藤木良明君) ほとんど同意をする、賛成するというふうにお考えいただいて結構です。むしろ、それを具体化する政策が欲しいと思っております。
○谷林正昭君 今日は本当にお忙しい中おいでいただきまして、ありがとうございます。私の方から若干、今の御意見などを参考にしながら少し質問をさせていただきたいと思います。民主党の谷林と申します。よろしくお願いいたします。 これほど見事に意見の違う方が参考人としておいでになったということで、私はいいことだなというふうに思います。話が分かりやすい、非常に。そういう意味では一人一人に聞いた方がいいのかなというふうに思いますが、まず五分の四問題はちょっと横へ置いておきまして、私は、まずその五分の四の決議に至るまでの間にいかにその合意形成を、そこに住んでいる人たちの合意形成を取り付けるかということをもっと見るべきではないかなというふうに思っております。 そこで、建て替えであろうと大規模修繕であっても、その合意形成の円滑化を図るためにはどういうようなことが必要か。私は情報開示も大事だというふうに思いますし、あるいは専門家による相談窓口だとかそういうことが大事になると思いますし、今国土交通省では合意形成マニュアルというものを作っております。それを十二月までに作ると言っていますが、パブリックコメントにも出しておりません。今ひそかに作っていると、こういう感じなんですね。私に言わせれば、先日の質疑で、それをもう明らかにして国民の皆さんから意見を求めなさいと、こういうふうに指摘をさせていただきました。 そういう意味では、この合意形成をできるだけスムーズに図る、あるいは先ほど高層という言葉が谷垣参考人の方からよく出てきたんですけれども、私はその住んでいる人たちの中で高層ビルというのは非常に不幸だというふうに思いますから、コミュニティーの醸成ということなども含めて、この合意形成の円滑化に向けての方策を是非、こういうことを参考にしていただきたいという御意見がありましたら、山田参考人の方から、お三方にお聞かせいただきたいというふうに思います。
○参考人(山田誠一君) 私の専門の民法学というのは合意が形成された後の問題を扱うのが一般的でございますので、合意形成は当事者にゆだねるというふうにまず思ってしまうわけでございますが、しかし、確かに集団の中の合意形成というのは難しいという認識に立ちますと、まず、本改正法はその時間を確保し、説明会を設ける、情報を提供すると。これが合意形成のまず第一だろうと思います。 しかし、それだけで、あとはほうっておいたら区分所有者は合意が自発的に形成されるかというのは、なかなか難しかろうと思います。恐らくその区分所有法という私権の調整を定めるルールとは別に、戸建てとは違う居住形態であるマンションというものを直接見据えて、そこでの合意形成をどういうふうに促していくかという観点から考えるべきなんだろうと思います。 その中では、恐らく今日いらっしゃっている谷垣さんのようなNPOの活動というものをうまく政府と連携しながら、しかし恐らくNPOの方が現場に近いですので、そういう方の知恵、力というものを使いながら、一戸一戸のマンションの中の良好な居住というのを確保し、場合によっては何らかの大きな変更をその中で決断していくということを支援していくというふうに考えたらいいのではないかと思います。
○参考人(藤木良明君) 先ほどの御質問は大変難しいと思います。 それは一つは、基本的に基準作りというのは、老朽化判定であるとか、それから社会的な対応であるとかというような基準ということになろうと思うんですけれども、現行の建て替えで議論になってくるのは、容積率の問題、それから等価交換率がどれだけか、いかに無償で建て替え可能かというのが基本的な管理組合内部での議論になるんですね。その後ろに老朽であるとか、先ほどもお話がございました、エレベーターがなくて高齢化対応ができないとかいうような条件が後ろからくっ付けられるというのが現実です。 そのときに、老朽化問題一つ取り上げましても、果たして鉄筋コンクリートの老朽化というのは何ぞやということは、学問的にも十分にこれは検証されていません。議論もされていません。何といったって、現在最長老のマンションが四十年そこそこなわけですね。それを、私の資料にもございますように、直せば、十分にぼろぼろであったものだって回復できるわけです。そのことが世間的にも十分に研究者や技術者の間にも認識されていない。そういう段階でどういうふうにして老朽化基準を設定できるのか、これは極めて疑問がございます。むしろ、その基準作りというようなところで、その後ろには、どちらかというと容積率、等価交換率のアップ、ないしはそのことが、議論が実は先行してあると、そういう状態の中にある。 したがって、的確なお答えにならないかも分かりませんけれども、現状では基準作りというのは非常に難しくて時間を要することである。かつ、いろいろのジャンルから経験値も積み重ねた上で慎重にこれは検討していかなくちゃならないというふうに思います。
○参考人(谷垣千秋君) 合意形成のかぎということでお答えしたいと思いますけれども、私自身のこれまでマンションの管理組合で経験してきたことを基に言いますと、やはり三つぐらいの要素があろうかというふうに思います。 一つは、決定しようとしていることの必然性、そのことを管理組合の理事長とか理事とか、そういうリーダーになる人たちがどれだけ理論的にきちんと整理できているかという、この必然性を明らかにし得るか否かという、これは一つの管理組合の力量にもかかわるわけですが、この必然性を説明する論理というものが一つあると思います。それは合理性というふうに一言で呼べるものであると思うんですけれども、こういう能力。 二番目に、区分所有者の間で共通認識が形成されているのかどうか。マンションはたくさんの人が一緒に住んで管理組合という組織を運営しているわけですが、民主主義でありますから多様な意見をやはり保障していかないといけない。多様な意見を保障しつつ一つの考え方にまとめていくというのが必要、至難の業であるわけですけれども、それを保障するかぎは区分所有者の間に共通認識を形成していくというところにあるわけです。その一つが、このマンションのルールである区分所有法であり、あるいは管理規約と。そういうものを皆さんが共通認識として持っているのかどうか、それがあれば一定の合意というものは可能になっていくわけです。 さらに、この二つ、決定の必然性及び共通認識をつなげていくかぎが情報ということになってくると思います。情報の中には知識というものも必要ですけれども。阪神大震災等で見られた混乱は、共通認識の基になっている区分所有法の解釈が混乱していたと。したがって、共通認識がなかなか形成されなかった。もう一方で、必要な情報が区分所有者の下に提供されていなかった。建て替えをするかどうかについて、自分たちのマンションがどれだけ傷んでいたのか、どれだけの被害を受けていたのかということについて信頼できる適切な情報が社会的に用意されなかったということが大きな問題として挙げられるわけです。 したがって、必要十分な情報が与えられていない中で区分所有者が適切な決定をしていくということは非常に困難なわけで、逆に言いますと、こういうものがきちんと整えられると管理組合は非常に有効な決定を適切な時期に行っていくことができるというふうに言えると思います。
○谷林正昭君 どうもありがとうございました。 そこで、今度、藤木参考人にお尋ねをいたします。 私も、どちらかといいますと、建て替えをどんどん進めるよりも、やはりせっかく自分のものにした、そういう環境をより長く使うというのは、私は理想だと思いますし、するべきだというふうに思っております。 そういう意味では、今、日本にはマンション再生法のような、あるいは長寿命化法というような、そういう法律は今ございません。したがいまして、今、建て替え法は先日できたんですが、私は再生法みたいなものが必要ではないかというふうに思いますが、そこら辺りのお考えを聞かせていただきたいというふうに思います。
○参考人(藤木良明君) 私も、それは是非望むところでございます。それによって、修繕が十分に行き届いていない、管理組合の事務の運営が非常に不安定で修繕が十分に行き届いていないマンションに対しても定期的な修繕を繰り返していく。さらには、例えば建て替え問題が持ち上がって、合意形成にはこれはいずれにしろ随分時間掛かります、そんなに簡単に建て替えは実行できるものじゃございません。その間にも一定の建物の維持を図っていくようなルール作り、そういうようなものが必ず必要だろうと思います。 私はよく、建て替えが可能な、ないしは等価交換が比較的率が高いマンションの御相談を受けているときに必ず申し上げることは、健全な建て替えというのは健全な維持保全の上にしか成り立たないんだ。それを、修繕を放置した形で建て替え推進を図ろうとすると、必ず人心、人間の荒廃が起こる、健全な修繕、維持保全をした上で建て替え計画というのは考えていこうということを力説しますけれども、その線に沿いまして、今の御指摘の再生法であるとか維持保全推進法であるとか、そういうようなことの御整備を是非考えていただきたいと思います。
○谷林正昭君 ありがとうございました。 あと二分しかございませんが、山田参考人にお尋ねをいたします。 客観的要件はない方がいい、分かりやすいというような御意見でございます。しかしながら、私は、非常にそこに危険性があるのは、五分の四ではなかなか進まない、決議が取れないということになってきたときに、五年後ぐらいにあるいは三年後ぐらいに、これ四分の三にしてもいいんじゃないか、あるいは三分の二にしてもいいんじゃないかというような話が出てきそうな気がしてならないんですね。そこら辺りのお考えはどういうものでしょうか。
○参考人(山田誠一君) 私は、十分な自信ございませんけれども、五分の四でよろしいだろうと思います。五分の四のままですと建て替えが進まないという状況はあるいはそこはあるかもしれません。しかし、それはやはり、まだなおその建物を維持して使おうという方々が二〇%以上いるわけですから、それを生かしてというか、それを尊重して残していくと。 私は、先ほどうまく説明できたかどうか分かりませんが、建て替えをどんどん、多く行われればいいという考えを持っているものではなく、したがって、この法律ができたからといって建て替えがどんどんたくさんあちらにもこちらにも建つということになるのでもないだろうと申し上げました。 何が重要かというと、建て替えをするためにその決定をする、合意形成をする、そのために現行法ではやはり無駄なコストが掛かっているのではないか、そこを少なくすればいいのではないかということですので、五分の四の多数決要件になりましたら、客観的要件はありませんから、私が申し上げたような懸念はなくなりますので、それで建て替えができないのであれば、それはそれでそのマンションの運命なんだというふうに思います。
○谷林正昭君 終わります。
○森本晃司君 公明党の森本でございます。 三人の参考人の先生方、今日は大変ありがとうございます。 今、谷林先生の話の中で、客観的要件という話が出ておりました。この点に関して私もお伺いしたいんですが、マンション円滑化法の審議の際に、客観的要件が要るのではないだろうかと。その基準は、一つは、三十年あるいは三十五年あるいは四十年ということになれば建て替えの決議ができるという客観的要件を付け加えてはどうかなという議論が、今回のこの法律ができるまでの間もいろいろと法務省等々でも議論をされてきたわけなんですが、今回の中からそういう三十年、四十年というものが書かれておりません。外れておりません。場合によっては、そういうものがなくなれば、建て替えの必要のないものまで逆に多数決で決められてしまって、そこに住んでいる方々の保護というのはできなくなるんじゃないだろうか。あるいはまた、ストックという問題もあるわけでございます。 先ほど来、藤木先生は、もっともっとリフォームして大事に使えという非常に貴重な御意見も伺いました。建ってから三十年あるいは四十年という基準が書かれていないことについて、それぞれ三人の先生方はどのようなお考えをお持ちなのか、まずお伺いをさせていただきます。
○参考人(山田誠一君) 建て替えの必要のないものまで建て替えてしまうのではないか、三十年、四十年の要件がないことがそのことをもたらさないかという御質問でございますが、やや理想論かもしれません、私の考えとしては、三十年、四十年という年数要件がないことによって建て替えの必要のあるものが建て替えられ、建て替えの必要のないものは建て替えないという、その団体の自律的な決定を促すということを望みたい。それは今すぐ容易にはできないかもしれませんが、マンションの居住者あるいは社会全体がそういう意識を持つことによって可能となるだろうと思います。 しかし、年数要件がありませんので、比較的築後年数が若くて、専門家の方が見ればこれは建て替える必要はないという建物が建て替わる例は生じるだろうと思います。しかし、やや強い議論かもしれませんが、戸建ての建物は、建て替える必要のない建物でありましても、その所有者が建て替えようと建て替えを望みましたら建て替えができるわけです。 確かに、区分所有建物においては建て替えに反対する少数者がいるというところが問題ではございますが、しかし、やはりそれはその建物の権利を持っている人たちが集団的に決める、正に当事者の自律的な決定というものを尊重していくべきなんだろうと思います。 それを政府は、何というんでしょうか、間接的に支援をしていくという考え方でマンション問題には取り組むのがよろしいのだろうと思います。 以上です。
○参考人(藤木良明君) 私は、元々現行法の建物が老朽化していること、それから費用の過分性、この二つをもっともっと議論し十分に検討すべきだという立場に立っておりますので、今の御質問に正確に対応することはできませんが、そのことを前提の上で、取りあえず三十年、四十年というのが消えたということは良かったと思っています。 これは、三十年、四十年というのは物理的な建物の耐用年数ではなくて、経済的耐用年数ないしは社会的耐用年数というような要素のことから考えられていることであって、時代的にはこの価値観はいろいろと変わっていきます。 そういう中で、特に今回、この三十年、四十年というのは経済的側面から出てきたような受け取り方を私はしておりましたので、これが消えたことは大変喜んでおります。その一方で、消えたことによって今度はまた違った面で、例えば必ずしも従前用途と同じ用途じゃなくてもいいという建て替えが可能になり得る。 そうすると、消えたことによってさらにもう少し違った形での経済的な要因がここにクローズアップしてきた。またぞろ本来の建物の耐用年数というのは何か、それから、重ねて申し上げますけれども、時間がたつことによってそこに作られていく価値というのは何なのか、都市というのは何であるべきなのかというようなことの議論というのはここからは欠落している、そういうふうな形で私は今回の経過を見ております。
○参考人(谷垣千秋君) 私どもは、先ほど申し上げましたように、現行の客観的要件である過分性要件を支持するという立場ですので、三十年説や四十年説に対しましては反対という意見でずっとこれまでやってまいりました。 問題は、今回の法改正の中で、私は、一番やはり議論されるべき、これは法制審議会も含めてなんですけれども、特に国民の代表である国会で是非客観的要件について十分議論していただきたいと。といいますのは、要は、これがルールになるんですね。五分の四の多数決で決められたときに、五分の一の反対の人たちが、自分たちは反対だけれども決定は受け入れますというときのかぎになるのがこのやはり客観要件なわけですね。 現行法では、建物を維持管理していくことが不合理になった場合、要するにそれを過分性要件という形でルール化したわけですけれども、このルール化が抽象的で現場では非常に混乱を招いたと。そこから更にこの抽象的なルールをもっと具体化してほしいというのが国民の声ではなかったかというふうに思います。 このルールをやはり国会できちんと決めていただきたい。これをなくすというのは非常に私は安易ではないかと。それをなくして区分所有者にすべてを、責任を預けてしまうというのは、やはり日本のマンション管理組合の現状、それから区分所有者の置かれている社会的な立場等を考えたときには、これは過大な要求であり、無理な責任を要求しているということになるんではないかなというふうに思います。 したがって、建替え円滑化法あるいはマンション管理適正化法等でマンションは社会資本であるという位置付けがなされております。そういうことから考えると、この社会資本であるマンションについての判断決定を行うときに、法律でやはりきちんとしたルールを定めるべき、こうなったときは建て替えるんだというふうな客観的な要件をやはり国会議員の先生方で十分議論をしていただいて結論を出していただくということをこの区分所有法の改正の中で是非行っていただきたいというのが私たちの意見です。
○森本晃司君 藤木先生にお伺いしたいと思います。 地球に優しい住宅政策をいろいろ推進していくには、マンションのやっぱり長命化が非常に必要ではないかと思っております。私たち人間でも、大体四十歳を過ぎると人間ドックに入ったり、あるいは我々国会議員も定期健診があるということで、そういう機会にいろいろと自分の体を診て、今後に向かって補給すべきところ、直すところは直すという形を取っていくのがこれは自然ではないだろうかと思います。 私は、マンションについても全くそうではないかと思います。そういう意味で、一定の期間が来たら専門家の判断を受けることが必要であって、建築基準法第十二条に基づく定期報告制度により、今、建築物の定期調査を実施しているところではありますけれども、きちんとした、劣化あるいは耐震の問題等々、そういうのを含めて定期検診システムというのを構築する必要があるんではないだろうかと、このように思っております。 いろんなマンションのリフォーム等々を実際に経験された先生の御意見をお伺いさせていただければと思います。
○参考人(藤木良明君) おっしゃるとおりでございまして、大変管理組合が意欲を持っているところは現在も長期修繕計画を保有し、かつ長期修繕に基づいて修繕を行い、修繕後に更に長期修繕計画の見直しをするというのが既にルールになっているところはかなりございます。その一方で、管理組合の運営がなかなかうまくいかなくて、事実上理事会も年に数度しか開いていないというようなところもないことはないわけですね。 そういうところに向けてこそ、これからいろいろの施策を、政策を考えていかなくちゃならない。そういう点で、定期点検制度、定期点検を義務付ける、それから適切なそれに対する、例えば基準に達していなかったら改善命令を下す、そういうような法的な措置というのは是非講じていただく、考えていく必要があろうかと思います。
○森本晃司君 今、先生からお話がございました管理組合を活発にということは、非常に私も大事ではないかと思うんです。 ところが、現実に管理組合はそう活発に行われていないというのが実情ではないかと思いますし、管理組合の例えば理事長になるということ、忙しい自分の日常の中でできるだけ避けたいと思っておられる方々も数多くあるわけでございます。そういった意味で、いろんな友人の話を聞きますと、管理組合の会合に参加する参加者も極めて少ないんだというふうに聞いておるところでございます。重要なことは活発に機能していくことではないかと思います。 私の時間があと二分でございますので、済みません、山田先生に、自立した管理組合を目指す上で現状と今後の課題について、短い時間で恐縮でございますが、もし御提案ございましたらお願いしたいんですが。
○参考人(山田誠一君) 自立した管理組合になるためには管理組合が頑張らなければいけないんですけれども、自立していないとそのままになっているということなのだろうと思います。 そうしますと、国とか政府とかが管理組合に対して何か支援ができるのかということになるのではないかと思いますが、しかし問題の基本は、やはりその区分所有者がそういう意識、自覚を持って時間の一部を割いて管理組合活動をするというしかないのだろうと思います。国の組織の一部、自治体の一部では決してありませんので、当事者にゆだねるのではないかと思います。 したがって、やはりできることは間接的なことにすぎず、啓蒙活動、啓発活動というようなことが国ないし間接的に、先ほども申し上げましたが、こういうことについて専門的に関心を持っているNPOなどの協力あるいは主体的な活動を通してその区分所有者、管理組合に届けていくということではないかと思います。 したがって、隔靴掻痒の感はあろうかと思いますが、粘り強くやらなければいけない問題だろうと思います。
○森本晃司君 ありがとうございます。
○大沢辰美君 参考人の皆さん、御苦労さまです。日本共産党の大沢でございます。 三人の方に順次御質問させていただきたいんですけれども、まず最初に谷垣参考人にお伺いしたいと思うんですが、先ほどの意見の陳述の中で、復旧費用の額が建て替え賛成派の方と反対派の方では同じ建物を復旧するのに二倍近い差が出てしまったという例を言われまして、これが大きな争いの原因になっているということを指摘されたと思いますけれども、私はこのようなことは往々にしてこれからも起こるのではないかなと思っています。 これを改善するにはどうしたらいいかという例としてアメリカのFEMAの例を出されたと思うんですけれども、これを具体的に改善できれば六十二条に対する不明確規定という評価は私は大きく改善されると思いますけれども、どのようなお考えをお持ちか、もう一度お伺いします。
○参考人(谷垣千秋君) 過分かどうかという判断をするときの比較の数字がこれほど違うと、客観要件といいながら実はもう全然客観性がないということに現実はなっているわけで、そうなっている背景は、十一億と六億の差は、調査をするゼネコンの調査の仕方がまず違うわけですね。どういう損傷を受けているかというその把握の仕方がまず全然違います。損傷度の把握が違いますと、当然それに対する修復方法、工事計画、工事方法も当然違ってくるわけですね。使う材料も違ってきますし、工法も違ってきます。そうすると、更にそれに加えて工事単価もゼネコンによって違います。大手ゼネコンと小さいゼネコンではまた工事単価にも差があります。 その比較する基準がどんどんどんどん広がっていく、要するに差異が広がっていく要素が一杯あるわけですね。そういう条件を放置したままこれを比較して判断をするということにはしょせん無理があると。ですから、その比較できる条件をまず作るということが今一番必要ではないかというふうに考えています。
○大沢辰美君 次に、藤木参考人にお伺いしたいと思いますが、これまでに老朽化ということで建て替えられた事例、立地条件の良さとか敷地面積の広さとかいう点で好条件を持ったマンションが多くあったと思うんです。いわゆる等価交換方式で行われていたと思うんですね。その意味では、建物の老朽化を直接の原因として、そういうものではないということを趣旨でおっしゃったのじゃないかなと思いますが、建て替え計画が持ち上がって、その団地で十分な修繕が実施されなかった経緯があることも指摘をされていますけれども、私は非常に重要な指摘だと思いました。 長い間の高齢マンションと言われる実態と可能性についてるる述べられたわけですけれども、私は今後の政策に期待するものとして、今質問の方からの御答弁で本当に長寿命化の、長命化の推進が大事であることを繰り返し述べられて、私も本当に同感です。 お尋ねしたいことは、建物の長命化のために一人一人の区分所有者や管理組合が真剣に取り組むことはもちろん大事なんですけれども、これを促進するための国の、また自治体の政策の基本はこうあるべきだと、こういうふうにしたら確立が求められるのではないかという、そういう点で具体的にお持ちでしたらお伺いしたいと思いますが。
○参考人(藤木良明君) 具体論にはならない一面があろうかと思いますけれども、私は今回の建て替え、この区分所有法の改正は、ある面ではマスコミにあおられた一面も非常に基盤としてはあるように思います。それともう一つは、バブル崩壊以降の経済の停滞に基づく何か経済政策上の活性化というようなものがもう一つ基盤にあるような気がしてならないんですね。そういう意味で、どこかで社会的な風潮というのが建て替えの方向に向けて醸成されている。 逆に、これは地球環境という大きなグローバルな命題を考えたときにはもっと違うことを考えなくちゃいけないんじゃないのか。社会的にやはり物を大切にしていく、CO2の排出量というのを日常生活の中からいかに削減していくか、そういうレベルの中で、国民の生活の価値観、このものをいろいろのところから一つずつ転倒していく、そういうことが必要なんです。それが、私はレジュメの方でいわゆる価値観の、パラダイムの転換ということを申し上げていますけれども、それは例えば今回のマンションということに関して言えば、建て替え推進ということではなくて再生推進の方こそ先行すべきであるし、というようにいろいろ、持続するためには何を軸にするかというようなことを国民の中に醸成していくようなことが必要なんだというふうに思います。
○大沢辰美君 山田参考人にお伺いしたいと思うんですが、先ほどの意見陳述の中で、この二ページから三ページにかけて書かれている内容で、やはり反対者の売却の強制を基礎付ける多数決、五分の四の多数決ということになるわけですけれども、これは一般的には短時間で容易にはできるものではないということをもちろん言われていますし、私もそうだと思うんです。 だけれども、私はこの被災マンションの場合、短時間ではできない状況に今置かれていたわけですね。ですから、本当に先生がおっしゃっているように、短時間でこの問題をプロセスを得ていくことは非常に難しい、安易に獲得できるものではないということではっきり言われていて、一方では、改正案の、二か月前に通知し、一か月までに説明会を開催し、五分の四ということは妥当だということをおっしゃって、ちょっと私は現実の被災者の皆さんが経験した教訓と、これはやはりこの法改正は大変きついものになるというように感じたんですけれども、その点についてもう一度。
○参考人(山田誠一君) 二か月前の通知、一か月前の説明会というのでは、二か月しかないではないかと、長時間時間が掛かるという私の認識とどういう関係にあるのかということでございますが、実際には、二か月で建て替えがゼロから、白紙から始まって決まるということは全く私は予想しておりません。具体的にはよく分かりませんけれども、一年、二年掛かるのが一般的であろうと思います。 それを決定をし、その決定が司法上の効力を持ち、反対者に対しても売却を強制させるという私権のルールとして、私の権利の私権のルールとして仕組むときには、まずはやはり一回の決議ではできず、説明会を設ける。そしてそのために通知は通常の通知よりも長く掛けて通知を要求するというところから始めるべきなんだろうと思います。 それに追加する部分は、先ほどの、何でしたか、合意形成マニュアルというのがちょっとどのようなものか私余りうまく想像できませんけれども、どういう手順を踏み、あるいは場合によってはどのぐらいの規模の区分所有建物であれば一つ一つの手順にはどれぐらい時間が掛かるのが通常であるというようなことも、ガイドラインというんでしょうか、正にガイダンスとして示しながら時間を掛けるという、掛からざるを得ないというところを実現していくべきであり、区分所有法の中に説明会を三回やりなさいとか、あるいは一回一回の説明会を二か月以上空けなさいというようなことを定めてそれを義務付けるという性質のものではないだろうと思います。
○大沢辰美君 もう一度谷垣参考人にお伺いしたいんですが、京都新聞というのがございまして、十一月の十八日の新聞を見ましたら谷垣参考人のマンション問題のコメントがあったのを読んだんですけれども、今マンションが供給過剰の状態にある中で、建て替えを一方的に進めればどうなるかと。 震災後、神戸市内で建て替えられた百棟以上のマンションでは空き家が目立っている、修繕積立金さえ十分に回収できない、この状況が続けば、適切な改修がすることができなくて十年後には確実に不良ストックになるというのが心配されるのではないか、こういう神戸パターンというのが全国化は避けないといけないということを言われているんですけれども、これは私ちょっと衝撃的な指摘で、その実態をもう少し詳しくお聞きできたらなと思いました。 この指摘は本当に建て替え後のマンションに再入居できた区分所有者もその後の修繕積立金の不足など、私は大きなリスクがあるような指摘だと思いましたので、併せてお伺いしたいと思います。
○参考人(谷垣千秋君) その話は、実は日本マンション学会の方で、震災後、被災マンションの追跡調査をずっと行っておりまして、特に建て替えられたマンションについての追跡調査を行ってきたわけです。 その中で、今指摘したような実態、一つは、建て替えられたマンションに空き家が目立ってきていると。空き家があるということの裏には、十分な維持管理費用が積み立てられていないという実態もあるわけです。 もう一つは、これはそこには言っていないんですけれども、建て替えマンションに住んでおられる方がやはり経済的に非常に苦しい状況に今至っていると。御承知のように、神戸は全国的にも失業率が非常に高い地域になっております。 我々マンション学会の方で調査をしたケースでいいますと、二重ローンを設定されている方の平均年齢が四十九歳というのが出ています。それと、二重ローンになっていない方も、前のマンションの抵当権を抹消するためにローンの残債を一括して返済をされております。建て替えるときにローンを一括返済されている。そのために、自己資金をそこで一回使い果たしているという方がたくさんおられるわけです。すっからかんになって建て替えマンションのためのローンを設定されているということで、二重ローンでない方も経済的には非常に厳しい状況に置かれているという実態があるんですね。 そういう中で建て替え後の生活があるわけですが、思ったように給料は上がっていかない、だけれどもそのローンの返済は確実に迫られると。当初言われたように、建て替えたら高く売れるという話も、現実には高く売れるどころか全然建て替えマンションは売れにくい、新築マンションの方と競争に負けてしまって、結局マンション買う人は新築マンションの方を買うわけで、建て替えマンションの方はやはり競争力がないというふうなことから、非常に建て替え前に聞いていた話と建て替え後の現実とのギャップが大き過ぎて計画どおりにいっていないと、そういう実態があるわけです。そのことがマンションの維持管理、良好な住宅ストックを作っていくという観点からいうと非常に大きなマイナス要因になってきているということで、そういうお話をしたわけです。
○大沢辰美君 最後にもう一度藤木参考人にお尋ねしたいんですが、先生がお書きになりました岩波新書の「マンション」という本の中に、その二百十二ページに被災マンションの復旧という内容が書かれています。二つのマンションの事例を挙げて、補修が成功した背景や理由を述べておりますし、貴重な事例だと思って読ませていただきました。 それから、二百二十九ページには、建て替えか補修かという点も書かれておりまして、一つの建物に住む者たちがなぜ争うことになったのかという点でお書きに、るるされていますが、私も神戸市の皆さんの被災マンションの方のお話を聞きまして、やはり今もお話がありました合意形成手続上の問題として、まず第一番目に、管理組合は総会決議に当たって建て替え案を優先して補修案に対して十分な検討をしていないということがあったということの指摘もありました。私もこれは事実だったと思います。 今回提案されている案は、六十二条から建物の老朽化状況や復旧するための費用の比較などの条文を削除してしまいました。建て替えでもうかるかどうかという経済的利益を直接持ち込んで、賛成の多数決でしてしまうということは本当に私は心配です。 先生も心配されていると思いますが、一つの建物に住む者たちがお互いに争うことに私は今回の改正はまたなるのではないかと思いますが、どのような影響になるかという点を最後に一言お願いします。
○参考人(藤木良明君) 私は、今回の五分の四がこれで正式に可決されるとなると、等価交換ができるマンションでは、ないしは可能性があるマンションでは建て替え議論が持ち上がると思います。確実にこれは立ち上がってくる。これはディベロッパーの営業攻勢も必ずそこへ集中していきます。 そのときに、私が推察するには、これからは、いわゆる無償建て替えができるんだから、きれいになるんだから、バリアフリーになるんだからというふうな形の効率論者と、それから環境保護、三十年、四十年近く育ててきた緑であるとかそういう環境をやっぱり大切にしておこう、それは子孫にも残すべき価値を持っているじゃないか、我々が育てたというふうな環境擁護論者との間のこれからは私はイデオロギー闘争ができると思います。 これは、いわゆる今までの建て替え議論とはちょっと違う局面を迎えるであろう、そういうことに今回の改正案というのは追いやっていく可能性というのが非常に強いんじゃないかというふうに見ております。翻って言えば、やっぱり拙速だったと、今回の改正案の検討というのは非常に拙速であったというのが私の意見でございます。
○大沢辰美君 ありがとうございました。
○田名部匡省君 大変今日はありがとうございました。 私は、国会改革連絡会、余りお聞きになったことがないと思うのでありますが、自由党と無所属の会が院内会派を作っている、私は無所属の会の田名部と申します。よろしくお願いをしたいと思います。 最初に、山田参考人にお尋ねしたいと思うんですが、どうも私は基本的に、一体このマンションというのはこれからどうなっていくだろうかというのが一つあるんです、少子化、高齢化時代に向けて。一極集中排除というのはもう十何年前、私が自民党にいるころ、一極集中排除だと。ところが、どんどんどんどん進む政策が片方では進んでいくと。しかも、同じ建物でも土地の地盤の強度によって価格は違うんです。あるいは、周辺の環境のことあるし。 そういう中で、この五分の四の多数決は私は余りなじまないんじゃないかなと。合意形成のための条件とかは、ある程度の専門知識というのを持っていないと。私はそういう意味で、合理的な基準というものはどんなものか分かりませんが、これ示せるんだろうかなという気持ちがあります。このことについてまずお伺いしたいと思います。
○参考人(山田誠一君) 様々な新しい社会的な変化を迎えて、マンションどうなるか、なかなか予測し難いところがございますが、やっぱり区分所有者はそれぞれ何が大事かというものを持っているんだと思うんですね。環境が大事だ、あるいは効率の高いところに住みたい、それらは多様であることはもう当然のことであって、そして、そのうちの何を国の施策として進めていくかというところは一方であろうかと思いますが、当該その建物の建て替えあるいは修繕、どういうふうに維持するかというのはそこに住んでいる人たちが決めればいいことであって、そして、環境保護の観点からは、それはそれとは別に、私権間の調整とは別に何らかの規制をもし掛けるのであれば、それは戸建ての建物と同様に掛ければいいんだろうと思うんです、必要であれば。 したがって、合理的な基準というのは、正に五分の四の人たちが何を大事なものと考え、何を重要だと考えたかということを集めて、そしてそのときには手続については十分に配慮をする、それが正にその建物にとっての合理的なものであり、それが社会、公共に対してその建物を建て替えることでもし悪影響が及ぶのであれば、それは区分所有建物だけでなく戸建ての建物も同様でありますから、何らかの建築規制なり都市規制なりで臨むべき問題なんだろうと思います。
○田名部匡省君 藤木参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほど申し上げたように、よほど、まずこのマンションを建てようというときの知識がないんですね、専門的な知識がない。 例えば、耐用年数とか何とか言われても、建てる方はなるたけ安く建てたい、こういうことしか分からない。そうすると、私は、何かこういうものの情報を提供する。あるいは、この建物はもう六十年は耐えられると、したがって基礎のくいもこういうふうに打ってやればこうなりますよとかという、知識が全く違うんですね、建築屋さんと、ゼネコンと建て主とのギャップがあるんです。それで、建っちゃってからいろんな問題が起きてくるということになると、そういう情報というものをやっぱり提供できるそんな仕組みというものを相談できる、何かあってやっぱりやるということにしないとなかなかうまくいかないんじゃないかなと、そんな気がしているんですね。あるいは、建てる前にもう入る人が決めて、こういうものを造りましょうよと、高くたっていいから八十年ぐらい入れるようにということでもやるんなら別ですけれども、もう建てる方が先になっちゃっていますから。 その辺は私はなかなか難しい、何かいい方法がないのかな、こんな気がしているものですから、お考えがあったらお伺いしたいと思います。
○参考人(藤木良明君) 恐らく、現在までの建築産業を支えている構造、パラダイム、これは、基本的には建てること、新築することを主体にして組み立てられてきている。建物を維持していくという観点から建築構造を考え直すという雰囲気は出てきていますけれども、具体的にそれはまだ新築に対しても、さらには現在建っている建物に対しても反映されていない段階だと思うんですね。 したがって、私は、私のように新築の設計もやり、かつ建物修繕に関してかなりの実績を持ってきた者が少しずつ現在増えてきておりますので、そういう、建物がどんなふうに劣化していくか、それに対していつの時期にどんな適切な処理をしていく必要があるのか、これを維持の観点から、さらには建物を新築する際にはどういう注意が必要であるのかというようなことを、建築体系を組み替えていくような仕組み作り、これを具体的に各界が協力してやっていかなくちゃいけないんだと思います。 建築学会の方ではかなりそちらの方の動きというのが近年では出てきております。ただ、まだ手探りの状態というのが事実じゃないかと思います。
○田名部匡省君 おっしゃるとおり、やっぱり何か評価するものがないと、建ててもらおうと思う人はもうなるたけ安くやろうと思うし、建てる方は高いものにしようと思う。そうすると、予算に合わせてやりますよね。ですから、こういうものはやらない方がいいですよと、例えば窓のベランダはこうだとか、先ほど写真見せていただきましたが、そういうのなんかこれ建てる人は知識がないですから。そういうふうな何か相談して、こういうものをした方がいいと、積雪寒冷地帯の青森ではこうやらなきゃ駄目ですよとか、沖縄の方はこうでいいですよと、そういう知識が建築主にはないということが後からになっていろんなトラブルが起きてくるんだろうと。 私もロンドンやパリに行ってみまして、古い建物が、あれはもう百年以上もたった建物だろうと思っていいなと思って見てきますが、ああいうのを見ると、三十年たったらもう建て替えだなんという話は、木造だって田舎の方に行くと百年たってもまだがっちりしていますでしょう。その辺のところが、建てる人はもう素人ですから、そういう何かが必要だなと思うんで今のお話を申し上げました。 次に、谷垣参考人にお伺いしますが、入居前の合意形成というのは私は大事だと思うんですね、見て。私もマンションをやっている人を一杯知っています。もうトラブっちゃってね。それで、これ、皆さんの方に管理をお願いしているんですか、組合の方にお願いしているんですか、それとも管理する会社がたくさんありますかね。で、何か何でそこになったかというのも分かっていないんですよ。そう言われたからというんで、管理人が二人来てやってくれていると。何か悪いところあると、組合はそこにあるんですよ、マンションには。そんな程度の大きいのと小さいのとの違いがある。もう十戸ぐらい、十軒ぐらいしか入っていないところと高層なマンションとでもまた違う。 で、その人たちの話を聞くと、もう何かどこで決めたんだか組合にお願いしていると、こういう程度の話ですよ。それで、自分が親戚に工務店とかあるいは水道屋さんがあって直接頼めば安いけれども、そっちでやってくれるものだから高い金取られるという不満が出ているんですね。ですから、いずれにしても、後からいろんな問題が起きないように私は管理組合も自主的にやれる程度のところはそういうふうにやったらいいし、大きいところは、一律でくくって、何でも国が全部一律ですから、やっぱりそこを見てやってあげないと無駄な経費が掛かっているという、二人分も払っているそうですよ、管理人に。だから、親戚のおじさんでも連れてきてやればいいようなところもいろいろあるわけですからね。 そういうことについてどうお考えになるか、ちょっと。
○参考人(谷垣千秋君) 今の御指摘のところは非常に根本的なところで、実は先ほどの御意見にもありましたように、日本の管理組合というのがなかなか役員のなり手がないとか、活発に活動できていないところがたくさんあるとか、そういう実態になっているわけですが、その一つの原因が、例えば分譲マンションと賃貸マンションの違いすら一般的には余り認識されていないと。実は分譲マンションというのは、この区分所有法によって区分所有者自身が維持管理をしないといけないというふうに定められているわけですね。そのことを認識してマンションを買う人が一体何人あるのか、あるいは買ったときにそういう説明をきちんと受けるような社会的な制度があるのかというと、これもないわけですね。何も分からないまま買って、何も分からないまま入居して、ある日突然管理組合の役員に指名されると。ひどいところはじゃんけんで決めているところもあるんですけれども、じゃんけんで決まった人がマンションというその何億の共有財産を維持管理する責任を突然負わされると。区分所有法上の管理者になると罰則まであるわけですね。 そういうふうなみんなの共有財産を管理する責任を担う立場に法的になるにもかかわらず、そのことの自覚あるいはその自覚を促す知識というものが社会的にきちんと提供される場がないということが今の日本の分譲マンションの管理の上での一番大きな問題点になっているわけです。 この間、急速に法整備がなされておりますけれども、基本的な入口のところでマンションのシステムについて十分理解をしていただくための社会的な教育、啓発の制度、これは一昨年辺りから各自治体で管理組合支援ということで様々な施策が講じられるようになっておりますけれども、まだまだ窓口相談的な程度で、特に新規に購入される方に対する啓発活動というのは全く後れていると。この辺りがやはりその管理組合が正常に機能していきにくい大きな原因になっているんではないかというふうに考えています。
○田名部匡省君 時間ですから終わりますけれども、国民の意識とかマンションの経営する人たちの意識というのを変えていくというのは、いろんな情報とか、やっぱり何かそういうのをやってやらないと、何でもとにかく困れば国がやってくれるという、もうこれ日本、何の業界でも、農業だろうが漁業だろうが、長いことそうやってきたのを今から自分でと、自立してということを盛んに言われたって、そう簡単には私はいかないと思うんですね。 ですから、いずれにしても何かやってから、いろんな問題が起きてから法律出すと。どうなるかということを事前に、いいことばっかりじゃなくて悪いことも出てくるわけですね、例えばアクアライン造ったって何造ったって。やれやれとやってみたが全然通らないと、あとは国民の負担だと。この種のものが多過ぎるんですよ。それで景気が悪い悪いと、消費が六割も占める日本の経済で。 だから、これなんかもそういうことで一生懸命になるというのは分かるけれども、後に起きる問題というのも十分防ぎながら考えてやらないと、先送りばっかりしているとまた問題起きてくると、そんな感じがします。 今日は大変短い時間で恐縮でありましたけれども、ありがとうございました。
○渕上貞雄君 社民党の渕上です。本日は大変貴重な御意見、ありがとうございました。改めてまたマンションに対する認識をしているところでございまして、以下、御質問申し上げます。 まず、山田先生にお伺いいたしますが、今度の法改正の最大の問題点は、六十二条の一項だと思いますね。そこで、老朽その他事情により過分の費用を要するに至ったときの要件を改正案から外すと、こういうことになっています。外した場合の処置として、五分の四という非常に特別決議をやらなきゃならないという要件を置きました。その場合に、五分の一の人たちの扱いというものも恐らくこの法案改正の中では議論になったと思うんでありますけれども、また議論にされたと思うんでありますが、やはり反対者に対するといいますか、その決議、五分の四でない人たち、五分の一の人たちに対する意見の保障といいましょうか、その人たちの何といいましょうか、その建て替えなら建て替えに対する考え方に対して、どこがどういうような形で説得をしていくのかというようなことは非常に重要なことだと思うんですね。その点、なぜやはり、そこのところをマンション管理組合の方々に自律的に決定をしていきなさいと、こう言っているわけですね。 では、五分の一の人たちはどのような形で保障されるのかという、五分の一の反対意見を持っている人たちの意見というものはどのような形で保障されるのか、お伺いいたします。
○参考人(山田誠一君) この法律に、改正案に従って考えますと、少数であり、建て替えに反対する側に対して保障されている権利というのは、集会において意見を表明し、自分の考えに対して同調、賛成してもらう人を説得するという機会が与えられ、それに対して説明会もあり、時間も用意されたということ、それは改正点だと思います。 そして、従来の、現行法にもありますものですが、しかしそれでも、その反対をした少数の人にとっては残念なことですが、五分の四で成立しましたら売渡し請求によって自分の持っている区分所有権と敷地についての共有持分を売却し、その対価を受け取るということが、その反対をし、五分の一未満になってしまった人に対する権利の保障であると思います。
○渕上貞雄君 では次に、藤木先生にお伺いをいたしますけれども、実は私、こういう新しく建てる技術というのは相当進んでおるというふうに思います。 昨日のこの委員会の中における質問も、いわゆる改築についての技術のノウハウについてやはり積極的に国は支援をし、開発をしていくべきではないかという御意見を申し上げたところ、国はやっているというような言い方で大臣の方から答弁はいただきました。それは新しい工法などを含めて考えられておるようでありますけれども、やはり、どうもこの法案ちょっと何かおかしいなとは思いながらも、どこら辺かなというふうに思っていましたら、このマンション三十年説が最大の原因のように言われております。 そこで、ここは国民の意識とのかかわりになってくるところでありますから、今日全体のお三人の御意見を聞いて、私の印象ではやはりマンションに対する情報、国民に対する知らせる情報が余りにも少ないのではないか、同時に啓発ということが行われていないのではないかという印象を持つわけでございまして、一つは情報開示の問題が一つ。 それから、やはりこれから先、維持修繕をしていくその評価の基準みたいなものを明らかにすることによって、この三十年説というのを払拭できるのではないかというふうに思っているわけでございますが、その点、先生はどのようにお考えなのか。もちろん、先生の基本的なところは、価値観を変えなきゃ駄目だよということはここのところでお話しになっているわけでございまして、今後の政策課題に生かしていかなきゃならない問題等も含めて御示唆があれば御意見をいただきたいと思います。
○参考人(藤木良明君) おっしゃるとおりでございまして、実は、私なんかのように改修工事をこれをもう二十年ぐらいやってきている、そういうものの実績をどんどんと、今日も写真を見てごらんになっていただいたと思いますけれども、こういう三十年代になってどんどん修繕もやっているところが増えてきている、こういうものを公にしていくということが一つ大切だと思います。 それからもう一つは、この石神井公園団地それから東豊エステートも両方とも耐震補強をしておりますけれども、実は耐震補強の前に耐震診断というのがございます。これで、東豊エステートの場合に耐震診断する費用に一千万掛かるというんですね。私に言わせればこれはとんでもない話。要は、マンションの場合には補強できるところというのは限定されます。それでかつ、ある種の経験を持った者がどういうふうならばどういうふうな形で補強が可能かというふうなアドバイスは、これは比較的簡単にできるんです。 実は私はこの耐震補強で六十万の費用で、コンサルタント費用でやっています。耐震補強自体は一千三百万ぐらいでできています。結局、耐震診断に掛かる費用に若干の費用を積めば実際の耐震工事ができるんです。そういうことがどこかで情報がクローズになっていて、形式論がまかり通っている。そういうように、現在までささやかでありますけれども積み重ねてきている実績がどんどんとやはり広報されていく必要があると思います。
○渕上貞雄君 次に、谷垣参考人にお伺いをいたしますが、昨日、私、一番最後の委員会の質問で、この法律の文章は非常に難解だと、もう少し平易にすべきではないかというふうに実は政府の方に質問したわけです。私もそう思うと言いながら文章に書かれているのは大変難しいわけですよ。担当者の方がそう言われたのでありますけれども。 やはり、そこで、先生も管理組合を運営するに当たって、役員になり手がないという一つの原因にこういうものがあるのではないかというふうに思うんですが、その点は実際に管理運営をやられている点で御意見ございましたら一つはお伺いをしたいと思っております。 それから過分性要件の問題について、いわゆる比較をするものというものをやはり明確にすべきではないかというふうに御意見を伺ったわけでございますけれども、その点、どのようにお考えになっているのか、お伺いをいたします。
○参考人(谷垣千秋君) この区分所有法という法律がマンションに住んでいる人たちにどれぐらい読まれているのかということについて、私は、阪神大震災の直後に私どもで現地で、一か月後ですけれども、二月の十八、十九と二日間、神戸で相談会を行いました。非常にたくさんのマンションの管理組合の方が相談に来られたんですけれども、非常に驚いたのは、管理組合の理事長や理事をされている方が区分所有法を読んだことないという方が圧倒的に多かったんです。区分所有法を今まで一度も読んだことがないので、今までは管理会社の人に総会とかそういうことは全部任してきたと、ところが震災で管理会社も動けなくなってきている。そういう中で、今まで総会のときに来てくれた管理会社のフロントマンももう来てくれない、自分たちで総会をやらないといけない。ところが、やったことがないし、また区分所有法の知識もないので総会をどういうふうにやったらいいのかがまず分からない。招集するのにどういう手続が必要なのか、議長はだれがするのか、議事録はだれが作るのかというふうな本当に初歩的なことを、知識を持っておられない方が非常に多かったというのがあります。やはりこれが、冒頭に私言いましたように、管理組合というのは合意形成というのが一番重要な仕事なんですけれども、合意形成の要になるルールを運営する理事会が知らないということが非常に大きな問題としてあります。 読まない一つの原因は、読む必要性を感じていないという原因があります。つまり、それは全部管理会社がやってくれるので自分たちがやる必要がないから読まない。もう一つは、読んでも分からない。専門用語がずらずら並んでいる。区分所有法を見ていただいたら分かるんですが、最初の定義のところから六法全書なり法律がなかったらよく分からないというのが一杯出てきます。それは、専門教育を受けた人が読めば分かるというふうに作ってあるからで、区分所有法はマンションに住む人の日常の規範ですから、六法全書がなくても専門教育を受けてなくても一定の理解ができるというやはり文章あるいは構成にする必要があると。このことについて、私どもは昨年の法改正の議論が始まるときからずっと言い続けているんですけれども、実際にでき上がってくる法律はやはり一般の人はなかなか読んでも分からないという内容になっているわけです。 もう一点の過分性の比較の問題につきましては、先ほどちょっとお話ししましたように、やはり国会というか法律を作るところで定義をきちんとしていただきたい。読む人によって解釈が幾通りにも分かれるような法律、それはそういう必要もある場合もあると思うんですけれども、特にマンションにかかわる区分所有法についていろんな解釈ができるというのは混乱を生み出すだけですので、ここについては明確な解釈を国会の場でもやはりしていただきたいなと、そういうふうにお願いしたいと思います。
○渕上貞雄君 終わります。
○委員長(藤井俊男君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々に一言御礼のごあいさつを申し上げます。 参考人の方々には、長時間にわたり御出席をいただき、有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。今後は皆様方の御意見を委員会の審議の中で十分に活用していきたいと存じます。 委員会を代表いたしまして、厚く御礼申し上げます。(拍手) 午後一時十五分まで休憩いたします。 午後零時八分休憩 ─────・───── 午後一時十五分開会
○委員長(藤井俊男君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 建物の区分所有等に関する法律及びマンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に法務省民事局長房村精一君及び国土交通省住宅局長松野仁君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤井俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(藤井俊男君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 建物の区分所有等に関する法律及びマンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に都市基盤整備公団理事中田雅資君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤井俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(藤井俊男君) 休憩前に引き続き、建物の区分所有等に関する法律及びマンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○谷林正昭君 民主党、谷林正昭でございます。よろしくお願いいたします。 まず、都市基盤整備公団にお尋ねをするわけでございますが、週刊朝日という週刊誌でございますけれども、この週刊誌の十一月二十二日号、そして十一月二十九日号、これに大変な状況になっている分譲公団マンション、これが実は特集で出ております。 中身を読めば読むほど、こんなことが本当にあったのか、あるのかと思われるくらいの実はニュースになっております。手抜き工事、否定していない、公団は。こういうような状況。そして、扇大臣がその話を全く知らされていなかった、その週刊誌を見てこの状況を知った、そして激怒して整備公団に対して内容の状況を聞かれた、こういうようなことが週刊誌に出ております。 そこで、私、こういうものはしっかりしたところでしっかりしたてんまつを明らかにしておくべきだというふうに思いますので、まず、この都市基盤整備公団が分譲したニュータウンで発覚した手抜き工事の実態のてんまつについて、整備公団から説明をいただきたい。 その後、扇大臣からは、資料を集めてその後の対策を立てるということに、これはニュースでありますし、衆議院の委員会でも御答弁されているということになっておりますので、今後の対策について是非お聞かせいただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。
○参考人(中田雅資君) 御質問にお答えいたします。 週刊朝日に掲載されました当公団の分譲住宅につきましては、平成元年八月から平成二年の三月にかけまして入居した団地でございます。 この団地は譲渡後十年を経過いたしまして、大規模な修繕工事の際に、その躯体の部分で通常では見られないような施工不良が判明したということでございます。公団は、資産を所有している譲受人から成る管理組合と協議を行いまして、合意に基づき瑕疵補修工事を行っておるということでございます。 このような瑕疵のある建物を供給し、譲受人の皆様に多大な迷惑をお掛けしていることにつきましては、誠に遺憾に思っております。 今回の瑕疵が発生した主な原因でございますが、現時点では確定的な結論を得ておりません。以下に述べますような状況下にあって、請負人の施工体制が不十分であったというふうなことと推察しております。 第一点は、当団地が景観等に配慮した斬新さに富む特有の複雑な設計であったこと。二点目は、当時の建設環境でございますが、いわゆる建設バブル最盛期で、公共事業の契約不調等が多く発生した建設環境下にあって、労務あるいは資材とも非常に逼迫しておりました。また、良質な技術者が確保が非常に困難な時期であったということでございます。それから三点目は、当団地は東京都下の西部の新規の開発地にありまして、工事上の制約が非常に多い立地であったと、現地は高低差の多い丘陵地での工事であったということで、施工難度が非常に高い工事現場であったことがございます。 そのような状況下にあって、早期に町開きをしようということで完成を急ぎまして、工事を小工区に分けて実施しました。結果として、比較的中堅の業者によるJV工事の区分が多くなりまして、現地がふくそうしたということもございました。 公団としては、工事中に仮移転が必要な譲受人の方々には従前の居住環境に近い公団住宅を提供するなどしまして、できる限り御不便を軽減するよう対策を講じております。また、譲受人それから管理組合と密接な連絡を保つために専任の事務所を現地に設置し、早期の補修工事の完成に全力を注いでいるところでございます。 それ以降、先日、衆議院の国土交通委員会で御質問いただきましたが、その後二週間たって、今公団は何をやっておるかということでございますが、まず一つとしましては、公団としては一日も早く居住者の居住の安定が得られるよう早期の補修工事完成ということに全力を尽くす所存でございます。先日も早速責任者を派遣しまして、その旨を改めて補修工事中の管理組合に説明させていただいたということでございます。 それから、再発防止の問題でございますが、原因究明のための委員会を本社に設置いたしました。当時の関係者に個別ヒアリングを行うなど、原因究明に全力を挙げているところであります。当委員会により瑕疵発生原因を明確にし、かつ内容の確定と補修による回復の見通しが立ち次第、速やかに関係者の責任を明らかにし、必要な措置を取る所存でございます。 それから今後の、まだ補修内容が確定していないところ、あるいは調査に入っていないところにつきましては管理組合と協議して決めることとなりますが、更に原因分析とそれから対応措置の適切さを期するために独立行政法人建築研究所に第三者から成る委員会を設置していただき、対処してまいりたいと思っております。 それから、急遽調査を実施いたしましたが、当団地と同時期に供給された分譲住宅につきまして、十年目の大規模修繕工事が完了した団地ではこのような瑕疵は発生していないことを確認しております。まだ修繕工事未了の団地につきましては、今後、管理組合と相談をしながら瑕疵点検調査を実施し、完了にしたいというふうに考えております。 あわせまして、現在、当該団地で明らかにこれは瑕疵補修を実際にすることになったという瑕疵工事工事中の住宅の請負業者が施工した他の公団住宅につきましても、管理組合の了解を得まして、至急点検調査を実施しようということにしております。 以上でございます。
○国務大臣(扇千景君) 今、谷林議員からお話がございまして、私もその週刊朝日の新聞広告が大々的に出ているのを朝見たんです、中身は分かりませんけれども、見出しだけ。私、聞いたことない話ですから、すぐ電話で、どういう理由なのか、すぐにということで、公団の総裁が、朝、私が家を出て役所へ待機しておりまして、私は聞いたこともないし報告も受けたこともないし、いつの話ですかと、いつの時点でこれが分かったんですかと。一年前、一年もう三か月ですか、前だとおっしゃるから、じゃ、総裁に、この週刊誌がなかったら私に報告しないんですかということを問いただしました。いろいろ理由はあります。今も公団から、こういう理由でだったと言いますけれども、私は問答無用。少なくとも私は、公団史上初めての、こんなみっともないことというのは私は聞いたことありません。 しかも、私もこれ調べましたら、長くなるからやめますけれども、全部で九百十九、戸数。しかも、一番すごいのが、第一次で応募倍率四十七・三倍、第二次五十二・五倍、第三次に至っては八十四・三倍、四次に至っては四十七倍、平均倍率でも五十五・六倍の倍率の、大変な競争率の中を買い取られた団地なんです。すごい斬新なデザインで、それは本当にヨーロッパみたいなデザインですから、そういう意味でも、この倍率で応募数が本当に多かった中を厳正な抽せんで買い取った皆さん方は、一生に一度の買物ですから、こんないい買物したことないと思って喜ばれたのが、十年たってこのざまだと。 私は許せない気持ちであったんですけれども、それは、皆さん方に聞きましたら、入っている皆さん方が、この団地がこういうことで評判になって値打ちが下がる、しかも買い取って、自分たちは財産を買ったんですから、その財産の値打ちが下がるから公表しないでくれと頼まれたと、こう言うんですね。ですから、私は、理由はいろいろありますけれども、それは買い取った皆さんにしたら、自分の財産が値下がりするのはたまったもんじゃないと思いますけれども、私は、現段階でいろいろやっていることはありますけれども、十年間全然、入っている人から、私はここがおかしいとかあるいは雨漏りしているよというのがなかったんですかということも聞きました。 それやこれやで弁明はいろいろ言いましたけれども、これはどんなことがあっても新品同様にするべきであると思いますし、しかも、聞きましたら、これは二十四業者が入っているわけですね。二十四業者で今幾らお金が掛かっているんですかと言ったら、この修理に約四十億、そして二百戸の皆さん方が移転していらっしゃるので約三億。そして、それはだれが払っているんですかといって私が聞きましたら、二十四業者に全部補修をさせていますと。そうしたら二十四業者で全部負担するんですねと、公団の責任もありますよということも申し渡してございます。 ですから、これ全部修理が終わって、住んでいる皆さん方が、ああ、十年たったけれども新品同様になって安心して住めるなというような気持ちになっていただけるまで最善を尽くすというのは当然のことだと思っています。 それから、今公団からお話ございましたけれども、私はその中で、皆さんが不安を感じないように、どうしてこういうことが起こったのかと。今、バブルで業者がなかったとか資材が不足したと。それは問答無用です。設計、施工する人が責任者と契約しているんですから、材料をそろえるのは当たり前の話です。 ですから、私は、その中で当時供給された他の公団分譲住宅、同じ時期に工事したものが同様の瑕疵がないかどうかというのを全部調べることというお達しをいたしました。そして、その結果、すべての分譲住宅、八千五十八戸ございます、七十二団地、これを全部調査し直しなさいということで、今までに五千八百八十五戸、五十六団地については瑕疵がないということが今確認済みでございますという報告が私に来ております。残りの二千百七十三戸、十六団地については、管理組合と交渉しながら、皆さんお住まいになっているわけですから、管理組合と交渉しながら、点検を再度いたしているのが状況でございます。 そして、二つ目には、この瑕疵がだれの責任であったのか、またどのような理由で発生したのかについて詳細な報告をしなさいということを言っておりまして、現段階で、だれの責任で、どのような理由というところでは、延べ三十二名の担当者に聞き取り調査を実施しているという報告が参りました。それによっては、技術的、専門的な観点に立って原因の究明をしたいということで、今公団側からお話ございましたように、学識経験者で専門家委員会を設置してこれを調査を行うということでございますので、これもやがて報告が来るであろうと思っておりますけれども。 少なくとも、たとえどういう理由があるにしろ、これは公団の責任あるいは施工者の責任というものを明快にして再発防止と万全を期すということを私は申し渡してあります。
○谷林正昭君 今ほど大臣の方から、強い決意で再発防止、そして今後の対策を述べられました。 公団の方は、私は、先ほど幾つか理由だとかるる述べられましたけれども、もう少し反省するべきではないかなというふうに思います。人ごとじゃないんです。今ほど大臣がおっしゃいましたように、正に四、五十倍の競争率の中で抽せんで当たって物すごく喜んで、そしてもう夢がかなった、こういう思いで入居をした、それが十年でパアになってしまう、とんでもない。しかも、公団ですから絶対間違いないだろうと、こういうふうに思って入ってこられるんです。 ですから、私は、いろいろつらいとは思いますけれども、これは原因はすべて公団がしっかりした検査、立会い、それをやっていない、ここにポイントがあります。設計が複雑だとか業者が足りなかったからだとか、そういう問題じゃないんです。公団がしっかりした検査さえしておればそういうことにはならなかった、私はそういうふうに指摘をさせていただきたいと思います。 そして、この問題はこの後、また引き続き後日議論させていただきますが、今日はこの程度にとどめさせていただきます。公団、お引き取りいただいて結構でございます。 法案審査でありますから、そちらの方へ戻らさせていただきます。 先日、八十分やらせていただきまして、今度は、管理の適正化について今日はやらせていただきたいというふうに思います。 まず一点は、大規模修繕、これが二分の一になったということでございます。それから、形状又は効用の著しい変更は四分の三以上の決議、こういうことになっております。法文上「形状又は効用の著しい変更」というのはなかなか不明確、法文上不明確であるというふうに思いますし、例えばバリアフリー化をした場合には、階段のスロープを付けた場合はどうなる、階段をスロープにした場合はどうなるのか、あるいは階段に手すりを付けた場合は二分の一でいいのか、四分の三必要なのか、そういうようなことも含めて、私は事例集積集みたいなものを作るべきだと、そして国民に周知するべきだというふうに思いますが、法務省の考え方はいかがでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) お答えいたします。 今回、改正によりまして、マンション管理の典型例である大規模修繕、これにつきまして、従来は多額の費用を要するということから四分の三以上の決議が必要とされるという解釈でございましたのを改めまして、著しい形状又は効用の変更がない限りは二分の一の多数決で決められるということといたしました。この趣旨としましては、マンションの維持管理に不可欠であるそういった修繕をより容易に行ってマンションを長く使えるようにすると、こういう観点から行ったわけでございます。 法文上定めております形状又は効用の著しい変更というのがどういう場合に当たるかということでございます。ここで共用部分と申しておりますのは専有部分以外の建物の部分、典型例としては、廊下、階段等の構造上区分所有者の全員又はその一部が共用する部分、それから屋根、外壁、支柱など建物全体の基本的構造部分をいうわけでございますが、これらについて、その形状、要するに外観、構造等を変更する、その程度が著しい場合、あるいはその機能や用途を著しく変更する、こういったものが法律で定めております形状又は効用の著しい変更に当たるわけでございます。典型的な例といたしましては、例えば階段、これをエレベーターに変えると、こういうような場合には形状が著しく変更されております。あるいは共用部分として例えば集会室に用いていたもの、これを用途を変えまして賃貸店舗にしてしまうと、こういったような場合は効用の著しい変更に当たると思います。 今申し上げたようなのは典型的な例でございますので間違えるおそれはないわけでございますが、確かに微妙な場合もあろうかと思います。総合的には、この変更を加える箇所、範囲、変更の態様及び程度、こういうものを総合して個別的に判断をしていかざるを得ないわけでありますが、御指摘のように、この判断を的確に行うためにはそういった事例を集積するということは非常に効果があるのではないかと思っております。私どもとしても今後そういった事例の集積あるいはその周知ということに努めてまいりたいと考えております。
○谷林正昭君 事例の集積、蓄積、こういうものは、安心を持って、あるいはいろんな決議のときに非常に参考になるというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。 そこで、今ほど公団の話をしましたけれども、これが十年目だったから、そして公団も、ああ、これは手抜きだった、失敗だったと認めていますからいいんですが、仮にこれが二十年目ぐらいで、そして雨漏りがしてきた、そういったときにこれは正に大規模修繕をしなきゃならぬということになります。そのときに、大規模修繕するときにこの四分の三に当てはまらないところ、二分の一でできるというようなときに、もう非常に大きなお金が掛かる、個人負担になるといったときに、その過半数、いわゆる二分の一というのはどういう妥当性があるのか。私は、金額で決めるというのは難しいかも分かりませんけれども、非常に大きな金額になったときの二分の一の妥当性、これをお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(房村精一君) 今回、大規模修繕につきましては、その費用を問わずに二分の一で決められるということといたしましたのは、御指摘のように、例えば雨漏り等が激しいと、こういう場合に、これはマンションを維持しようと思えば修繕というのは不可欠でございます。そのときに多額の費用があるから四分の三の人たちの決議がないと修繕ができないんだということになってしまって、しかも住民の方々が過半数は超えているけれども四分の三に達しないと、こういう場合になりますと、みすみすマンションが修繕ができずにどんどん劣化するのを放置しなければならないと、こういう事態になってしまうと。 現在の状況といたしましては、できるだけマンションには手を加えて長く使う、こういうことが社会的にも要請されている、こういう社会状況を考えまして、私どもとしては、その費用の点をおいて、やはり必要な大修繕というのは過半数でできるようにしよう、これがマンションの長命化につながると、こういう考え方を持ちまして、今回、費用の点を除いて、著しい形状あるいは効用の変更がない限りは過半数でできるとしたものでございます。 それと、もう一点、一般的に申し上げまして、形状とか効用を著しく変えないという程度であれば額的にはそう多額にはならないのではないか、それが通常であろうと、そういうようなことから今回この改正をお願いしているわけでございます。
○谷林正昭君 おっしゃるとおり、要はそのマンションを長もちさせるためには修繕が必要だという観点から、その二分の一というのは私も妥当ではないかなというふうに思っていまして、再確認のためにちょっと問いをさせていただきました。 しかし、今度は問題は、どうしてもやっぱりお金払えないと、積立金もそうないといったときに、負担できない場合、しかし出ていってくれとは言えないと、そういったときに何か知恵を絞って、共有持分の割合を増減する形でだれかに譲り渡すとか譲り受けるとかいうような形で穏便にそこにまた住み続けるというようなことも私は必要ではないかと思いますけれども、そういうことができるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(房村精一君) ただいま申し上げましたように、修繕というのは不可欠なことでございますので、これはできるだけそういうことに備えて積立金をきちんと積んでいただくということが望ましいことは間違いないと思っておりますし、そういう点の周知を私どもとしても今回改めて努力をしたいと思います。 ただ、御指摘のように、ぎりぎりのところ、修繕をしたら相当の費用が掛かったという場合もあろうかとは思います。そういう場合どうするかということでございますが、一般的には、修繕の費用ですので全く復旧工事を大々的に行うとか建て替えをするという場合に比べれば額としては比較的少額で、特に持っておられる専有部分の価額に比べればそう多額にはならないのではないか。そう思いますと、一般的には、基本的に管理組合、同じマンションの住人同士の間のことでございますので、長期分割にするとか、適切な対応ができるのではないかと思っております。 自分の持っている所有権の一部を他の人に譲渡することによってその負担を変えるということは、一般的に言えば、所有権の一部を譲渡して代物弁済として債務の弁済に充てるということは民法の一般原則としてはあり得ますので、そういうこともあり得ようかとは思いますが、ただ、それを取るとかなり法律関係が複雑になるのではないかという気はしておりますが、全く不可能ということではないようには思います。
○谷林正昭君 不可能ではないということですね。あとは難しいだけだと、法律的に。しかし、法律的に言ってもできるという判断でございますね。はい、よく分かりました。確認をさせていただきました。 次に、管理組合、先日もちょっと質問をさせていただいたんですが、区分所有法を読んでいきますと、第三条の法文に区分所有者の団体というのが出てまいります。よくよくそれを読み返していきますと、それは管理組合のことだということが分かります。そして、四十七条には管理組合法人というのが出てまいります。しかし、お話を聞くところによりますと、この法人化された管理組合はほんのわずかしかないというふうな話にも聞いております。そういう意味では、これらの修正をしてくれということになったらちょっと面倒かも分かりませんけれども、私は今度の見直しのときに、次の見直しのときに、あるいは何かの流れの中で、やっぱりこの管理組合というのは日ごろの重要性も含めて法文にしっかり位置付けるべきだ、そういうふうに感じます、思います。そうすることによって、管理組合というのは、あるかないか分からないような状況だとか、理事長が毎年替わるとか、お世話をなかなかだれもやりたがらないとかということではなくて、そのマンションの自治、いわゆるコミュニティーの醸成、そういうようなことも含めて、管理組合をしっかりしたものにするためにも法文上しっかり位置付けるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、マンションの維持管理、あるいはそれのみならず、そこの住民のコミュニティーにとっても管理組合というのは極めて重要な役割を果たすということだろうと思います。この存在なくしては適切なマンションの管理というのはできないと思っております。そういうことで法律の方も、管理組合の結成を当事者の任意に任せませんで、法律上当然に区分所有者は管理組合を構成するんだと、こういうことを定めたわけでございます。そういう意味では、法律としては管理組合の重要性を非常に重視するがゆえにもう当然の団体としたわけでございます。 ただ、そういう具合に条文上書いたものですから、特に名前を付けなくても条文上は問題がないものですから、現行の条文では何の名前も付いていないわけでございます。ただ、それが仮に管理組合ということの重要性を国民の方が理解していく妨げになっているのだとすれば、私どもとしても今後そういった名前を付けるということも考えてまいりたいとは思いますが、現段階では法律的にはこれでも十分でございますので、この管理組合の重要性、特に今回の法改正によりまして今まで以上に重要な権限が与えられておりますので、そういう点を改めてマンションの住民の方々にも理解していただけるように周知の努力をしてまいりたいと、こう考えております。
○谷林正昭君 是非、管理組合の重要性というものを周知をする、できれば法文的にもしっかりしたものにしていただきたいなというふうに要望させていただきます。 次に、規約についてお尋ねをいたしますが、おとついも原始規約について少し議論がされました。この規約について、非常に、購入される方はうっかり思って、規約のことをうっかり思っているんですね。買ったときに、マンションを買うと同時に規約に判こを押して入ってくると、こういうことになっております。判こを押した以上は全員がその規約に合意したということになるわけでございますが、特に原始規約というのは非常に不公平な部分がたくさんあるんではないかというふうに思います。 例えば、地主さんが、土地を提供した地主さんはいつでもそこの駐車場を使えるようにするとか、あるいはそこに看板を立てる権利を自分が持ってしまうとか、そういうことが実は原始規約に仮にあったとした場合、それを後で気が付いて、これはちょっとおかしいよと、この人は入居もしていないのにどうしてそういう権利があるのと、こういうような話に必ず私はなると思います。 そこで、一つは、そういう不公平な規約を、気が付いたときにその規約は無効にできるのかどうか、これが一点。それからもう一点は、この原始規約を、どういうんですかね、みんなで決める規約に変更するときはどういう手続を経ればいいのか、新しいマンションに入ってくるのを全室埋まらなかったらそれができないのか。それとも、百人が入るマンションに五十人入ったら、その五十人の四分の三でみんなで決めた規約に切り替えられるのか、そこら辺りを少しお聞かせいただきたいというふうに思います。
○政府参考人(房村精一君) 規約の問題につきましては、御指摘のように、規約が公平さを欠いているということから訴訟に持ち込まれた事例もございます。そのようなことから、今回の改正に当たりましても規約を適正なものとすることが必要だということで、今回三十条に、規約につきましては、専有部分あるいは共用部分、建物の敷地若しくは附属施設について、「これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払った対価その他の事情を総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならない。」、こういうことを明文で規定をいたしました。これは様々な事情がございますので、そういったものを総合的に判断してなおかつ公平を欠くんだ、こういうものは規約としては許さないということを法律の立場から明らかにしたものでございます。したがいまして、規約が著しく公平を欠くような場合には、この条文に照らしまして無効とされるということも今後はあり得るということを考えております。 このことによりまして、規約をめぐる紛争に適切な解決が与えられるようになるのではないか、また、法律がこういうことを明定することによりまして、分譲に際して原案を作成する分譲業者等も適切な規約の案の作成を心掛けるようになることが期待されると思っております。そのようなことを通じて規約の適正さを図っていきたいと考えております。 それから、規約がいつ成立するかということですが、これは、分譲が一応済みまして区分所有関係が成立すれば、その時点でこの規約が成立しますので、仮に空き室があって残っている部分があっても、それは規約として成立したということになります。以後は規約改正の手続で、区分所有者の四分の三で規約の改正をしていただくと、こういうことになります。
○谷林正昭君 この規約というのは非常に微妙でありまして、例えば、新しいマンションに入るときに、このマンションでペットを飼ってはいけないと、こういうことを書いていないとしますね。そして、そこへ入る。そして、お年寄りが、例えば孤独を紛らわすためにペットを飼い始めた。ところが、周りの人たちはペットを飼ってもらっちゃ困る、だから規約でしっかり、ペットを飼わない規約を作りましょうということになったとします。そうしたときに、最初の原始規約はペットを飼ってはいけないということが書いていない、ところが、みんなで、四分の三でしたっけ、規約を作る、新しい規約を作ったときにはペットを飼ってはいけないと、こういったときに、そのペットを飼っている人はどうしたらいいのか。ペットを捨てなきゃならないのか、それとも出ていかなきゃならないのか、あるいはそのペットを買い続けてもいいのか。私は非常にその辺はこれから問題が出てくるというふうに思いますが、この具体的な例に対してお答えいただきます。
○政府参考人(房村精一君) 実は御指摘のような事件が裁判で争われたことがございます。 そこで問題となりますのは、まず第一に、マンションで、規約でペットの飼育を禁止するということができるかどうか、それから第二に、仮にそれができるとして、最初の原始規約でそう決めてしまえばよろしいわけでしょうが、御指摘のような当初規約がなくて、現にペットを飼っている人がいるときに、その規約を変更してそういった禁止ができるかと、二つの点が問題になりました。 裁判所で現在まで出ております裁判例では、まず最初のペットの禁止を規約で定められるかという点については、これは定められるという、合理的な制約として区分所有者は多数決の決定に従うべきであると、こういう判断が示されております。 それからもう一つ、じゃ、現に飼っている人がいるときに規約の変更をして禁止できるかと、こういう点についても争われまして、高裁まで行った例もございますが、そこでは、確かに個別の事情はあるけれども、マンションという共同体で生活をする以上、やはり多数の意思でそういうことが決められれば、これに従わざるを得ない。例えば、盲導犬であるとか、そういう生活上必須の場合であれば格別、通常のペットの場合には、この区分所有法で言っている特別の影響、本人の同意がなければ変えられないと、こういう場合には当たらないということで、多数決で決められればそれに従わざるを得ないというのが現在までの裁判例としては出ているものの考え方でございます。
○谷林正昭君 裁判にまでなるということですから、私はちょっとこの規約というのは非常に厳格なものにしていかなきゃならぬのではないかなというふうに思います。 次に、既存する不適格マンションについて国土交通省にお尋ねをいたします。 不適格マンションの事実を知らずに購入して、そして後で問題を認識する状況が多々あろうかというふうに思います。中古市場の適正化、活性化、こういうものを図る上においても何らかの対策が必要だというふうに思います。 その対策の現状と今後の取組について、私は評価制度の検討、もし評価制度を入れますと、あのマンションは値打ちが下がるとか、こういうことになろうかとは思いますけれども、そういうことは横に置いたとしてでも、やはり評価制度みたいなものが必要ではないかなというふうに思いますが、いかがでしょう。
○政府参考人(松野仁君) 御指摘のような既存不適格、特に容積率の不適格というマンションがあるわけでございます。これが中古市場で売られると、それを買う方がいらっしゃいますが、ただ、そのときに、購入者が契約に当たって、容積率が現行規制に合っているのかどうか、そのマンションの敷地延べ面積などを把握して将来の建て替えに備えるという場合もあろうかと思います。そのようなことのために、将来の建て替えに関する相談の適切な窓口を公共団体に設置していただくというつもりでおりますが、そういったところで相談していただく、あるいは建築士等の専門家の方々にも相談できるような情報提供体制などを整備するということを考えております。 ただ、先生お話しになりました住宅性能表示制度のようなもの、これで表示できないかというお話でございましたが、この制度は住宅単体のいわゆる物理的性能を主として評価するという制度でございまして、この性能評価機関が過去の経緯あるいは法改正の改正経緯までずっとフォローして調べなきゃいけないということになると、これはちょっと無理があろうかと思います。そういうことで、評価を一律に義務付けることはこの制度についてはちょっと無理ではないかと思っております。
○谷林正昭君 次に、この不適格マンションを建て替えるとき、建て替え促進ですね、これはいや応なしに都市再生だとかあるいはまちづくりの観点で建て替えざるを得ない場合が出てくるというふうに思います。ところが、不適格マンションですから、三十人住んでおれば三十人ともそこへまた住み続けるというのは非常に私は難しいと思うんですね。そうなってくることも予測されますので、この不適格マンションの建て替え促進策、これについてあればお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(松野仁君) 御指摘のような問題がございまして、建て替える際に現在の容積率に適合させようとしますと大変小さな、今の床面積を下回る規模の建築計画とせざるを得ないというようなことが起き得るわけでございます。サンプリング調査の結果によりましても、例えば東京都内ですと、都市計画が実際に施行されました、容積率規制が一般的に施行されました、四十八、九年でございますが、五十年以前に竣工した既存マンションにつきましては、その約六割程度が不適格と推計されるというような調査がございます。 こういったものの建て替えを積極的に進めていくためには、敷地内の空地の整備をして良好な建築計画にする場合には容積率を割増しをするという総合設計制度というのがございます。東京都におきましても、既存不適格マンションの建て替え問題に対応するという意味で、この総合設計制度を活用するというふうに表明されております。こういった制度を利用していただきたいというふうに考えております。 また、前回、さきの通常国会で建築基準法等の一部改正がございまして、一定の要件を満たす場合には容積率制限の緩和が建築確認でできるという制度も作りましたので、この制度が有効に機能するのではないかと思います。 また、今回の改正案で、敷地の同一性要件を緩和するということで、隣接地を買収して不適格マンションの建て替えを更にスムーズに進めるということが可能になったということがございまして、この制度も活用していただきたいというふうに考えております。
○谷林正昭君 是非、私は、この不適格マンションの建て替えというのは不可欠だというふうに思っていますし、進めなければならない問題だというふうに思います。そのときには、そこに入居をされている方々のやっぱり権利だとか人権だとか、そういうものはしっかり守ってあげなければならないというふうに思いますので、そこら辺りの配慮を今後も要請をさせていただきたいというふうに思います。 そこで、一点提案でありますけれども、さきの六月のマンション建替え円滑化法を成立したときに附帯決議が付いております。最後の方に、「国土交通省と関係行政機関との十分な連携を行うことにより、マンションの管理、建替え等に係るマンション法制の有機的な運用が図られるようにすること。」という附帯決議を実はこの委員会で付けさせていただきました。 そこでお尋ねをするわけでございますが、今、マンション関係の法律が三本あります。法務省、それと国土交通省二本、法務省一本。こういうことについて、私は、共管といいますか、マンション法制一本化するべきではないか、そういうふうに思っておりますが、お考えがあればお聞かせいただきたいというふうに思います。
○国務大臣(扇千景君) さきの国会で皆さんに御賛同いただいて通りましたマンションの建替えに関する円滑化法、この法案のときに、今おっしゃったように附帯決議で、おっしゃいましたけれども、少なくとも今のマンションに関します法制度ということから考えれば、今おっしゃいましたように円滑化法、それから区分所有法、そういう、マンション管理適正化法、こういうセットができているわけでございますけれども、少なくともマンションの建替えの円滑化法、これに関しましてはいろいろ御論議いただきましたけれども、マンションを建て替えるために円滑に進めるための事業手法ということでございまして、これは住宅とか建築行政を担当する地方公共団体とのこれは連携に加えるわけでございますので、そしてまた公営住宅のあっせん等、少なくとも居住の安定の確保等に関する施策の充実が不可欠であることから、これはマンション管理士という、これも皆さんに御論議いただきましたマンション管理士等について、マンションの管理適正化法とともに、これを住宅とかあるいは建築行政というものを担当して国土交通省がこれを所管しているというのは今おっしゃったとおりでございます。 けれども、一方、今回の区分所有法は所有権という権利でございまして、これは区分所有権という特別の権利に関する基本的なルールを決めるものであり、民法とそして商法、この両面から私人の権利に関する基本ルールを定める法律と同様に、これは民事法制に関する企画立案に関する事務を担当する法務省において今所管されているということでございまして、私は、さきの附帯決議に、おっしゃいましたように、これは車の両輪でございますので、そういう意味ではお互いに十分な連携を取ることが重要であると、そう思っておりますし、また今回の法案に立案に当たりましても、私たちは両者が一致協力して、少なくとも法務省がお書きになって言葉が少し難し過ぎるなという、この間御注文も出ましたけれども、法的には理解し難い、一般の皆さんにはなじみのない言葉がなきにしもあらずだとは思いますけれども、ある意味では法的にはむしろそれがきちんとされているという意味で、今後とも、私たちは両省が一致協力して取り組んできておりますし、また今後も、私はより所有者の皆さん方、別々の省で所管しているということが弊害にならないように、今の、今回の、現行というものを、よく綿密な連携を取って、住んでいる皆さん方が一番、ワンストップサービスという言葉を使うと何か両省一緒になれというふうに聞こえますけれども、皆さん方が迷うことのないように一層連携を取っていきたいと思っています。
○谷林正昭君 是非連携をより強く取って、おとついの審議でも出ましたが、国土交通省が下請をしているという、そういう話はやめましょうね。これはやっぱり連携をしっかり取りながらやっていくということでよろしくお願いをいたします。 最後になりますが、時間の都合で最後になりますが、先日も話ありました住宅の品質確保の促進、いわゆる品確法があります。この品確法にマンションの評価制度が入っているというふうに初めて先日知りました。私も勉強不足で知らなかったんですが、私はそれをより、さらに、入っているとすれば充実し、普及を図るべきだというふうに思いますし、とりわけ設計性能評価制度、あるいは建設性能評価制度、建設性能ですね、建設の性能ですね、そういうものを、評価制度、こういうものをしっかり私は充実、普及を図るべきだというふうに思いますが、御見解があればお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(松野仁君) この住宅の品質確保の促進等に関する法律、通称品確法と言っておりますが、この性能表示制度、これはマンションも戸建ても両方できることになっております。 この制度を使いますと、先ほどちょっと話題になりました公団の欠陥住宅問題がございましたが、これは設計段階の評価、これはどのぐらいのグレードになるという評価も当然できますし、それから工事の後の建設評価というのも出せることになっております。その後で評価を出すためには、工事の途中のプロセスを検査するという仕組みになっております。少なくとも、ちょっとした小規模なものですと四回途中で検査をすると。少し階数の大きなものになりますと六回も検査するということですから、欠陥工事のようなことが未然に防げるという制度でございます。これを是非今後も活用していただきたいということで、我々もこの普及啓蒙に努めてまいりたいと考えております。
○谷林正昭君 なぜわざわざこれを言ったかといいましたら、先ほど最初に取り上げた欠陥マンション、それと同じような状況が今私は起こりつつあるんではないか。というのは、このときはバブルで業者が忙しかったからこうせざるを得なかった。ところが今度はそうじゃなくて、マンションを建て替えするに当たってでも、もうけを出すためには非常に安い単価で受けざるを得ない。そうなってくると、そこからもうけを出すときにはやっぱりまた手抜きという問題が出てくる可能性が非常に心配だ。したがって、私は最初にこの問題を出して、最後には今のマンション建て替えするときにはしっかりした検査、しっかりした評価制度、こういうものをやっていかなきゃ駄目ですよということを最後に言いたかったわけでございまして、いろいろこの後また議論されると思いますが、私の質問はこれで終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。 区分所有法について伺います。 この法案については法務省が主な所管というか、こういうことになっておりますので、法務省を中心に伺いたいというふうに思います。 今度の法案というのは、最大のこの法改正の目的、眼目、それは建て替えをスムーズに行えるようにしようと、こういうことだったと思います。建て替えを進めようということについての動機は、立場によっていろいろあるようでありますけれども、しかしながら現に老朽マンションが今後急速に増えるということを考えれば、区分所有者がスムーズに建て替えができる制度、これを作ることには異論はないというふうに思います。現行の区分所有法の建て替えに関する規定が不十分であるという点も、私も不十分であるというふうに思っています。 最初に確認をしておきたいんですけれども、法制審の区分所有法部会、ここでは、「建替えの円滑化を図るためには、建替え決議の客観的要件について、より具体的かつ明確な基準を定める必要がある」、こういうこととして、五分の四の多数決の前提として、老朽化の場合の甲乙二案と、それから損傷、一部滅失の場合の甲乙二案、合計四案ですね、これを客観的な要件として改正要綱の中間試案として発表したわけですね。これ、ここまでの事実経過については間違いありませんか。
○政府参考人(房村精一君) 中間試案に掲げました案は御指摘のとおり四案でございます。ただ、中間試案の注として建て替え決議のための手続を整備した上で、多数決のみで建て替えができるとする案も示してはおります。
○富樫練三君 それで、問題なのは、今年三月五日の中間試案ですね。それまでは客観的要件四案を含めて提案をしていたと。ところが、今年の九月三日、法制審の総会で答申が決定されました。そこで出された法律の改正案の要綱では、この客観的要件、前提部分、これがすべて削除をされて、五分の四の多数決だけで建て替え決議ができるという案になって出てきたということなんですね。現在審議中の提案されております法案も五分の四の多数決だけと、こういうふうになっていますけれども、この認識も間違いないですね。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のとおり、法制審議会の答申には客観要件は含まれない形で答申されております。
○富樫練三君 ということは、三月段階で中間試案と最終的に九月に出された最終報告とはその内容が変わったと、こういうことになるわけですけれども、そこで問題なのは、この建て替えに関する客観的要件を全面的に削除してもいいのかということが、これは最初からずっと問題になって、最後まで問題になって、現在国会でもこの部分が一番の問題になって、ここの部分に一番時間が割かれていると、こういうことだろうと思います。 そもそも一九八三年、昭和五十八年の改正のときに、客観的要件としての費用の過分性、すなわち修繕の費用が改築あるいは建て替えの費用の半分以上になる場合には区分所有者の五分の四の多数決で建て替えを議決できるということですね。なぜこの要件を前提にしたのかと、五十八年のときですね、ここがまず問題だと思うんです。 この点については一昨日の大沢議員の質問でも明らかでありますけれども、法制審議会の区分所有法の部会、この中間試案の補足説明というのが既に資料としても配られているわけでありますけれども、その中では、現行法すなわち昭和五十八年に決めた、改正された法律ですけれども、「建替えを望む区分所有者と建替えを望まない区分所有者の双方の利益を考慮しつつ、その適切な調整を図るため、現在の建物を維持することが客観的にみて不合理となった場合に限り建替え決議をすることができる」という、そういう趣旨に基づいて費用の過分性の要件を定めたんだと、こういうことが出されています。 すなわち、区分所有権というのは建て替えの場合には一定の制約を受けるけれども、その制約は現在の建物を維持することが客観的に不合理となった場合、こういう前提付きの制約と、こういうことだということだと思うんです。この前提がなくなって多数決だけで決めると、建て替えを望まない区分所有者の所有権を事実上これを制約すると。元々制約はあるんだけれども、その制約がより強化される、所有権を自ら処分する権利が制約されると、こういうことになるだろうと思うんです。 この権利の制約というのは極めて重大だというふうに思うんですけれども、政府も今度の法案を提案するまではそういう立場に立っていたんじゃないですか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、今回、区分所有法の改正を検討するに際しまして法制審議会でも当初から非常に議論が集中したのが、この建て替え決議につきまして、いわゆる費用の過分性という要件を維持するのか、あるいは変えるとしてどのようなものに変えるか、それとも廃止してしまうのかと、こういう点でございます。 これは、御指摘のように、区分所有権というのは実質的には一つの建物を複数の人で共有していると、こういうことからその権利の行使の在り方には必然的に制約が伴わざるを得ないと、こういうことから、どのような制約の仕方が合理的かということでございます。単純な、一つの物を一人の人が持っている場合にはこれをどう使うかということはもうその意思だけで決まりますが、区分所有建物の場合にこれを建て替えようということになりますと、一人で決めるわけにはいかない。全員の一致ということを要求しますと、事実上建て替えが不可能になってしまいます。したがいまして、何らかの合理的な建て替えの制度を作らざるを得ない。 そのときに、建て替えを希望する人にとりましては、建て替え要件が厳しくなればそれだけ所有権の行使が制約されるという関係に立ちます。また一方、建て替えに反対する人にとっては、その建て替えの要件が軽くなれば、そういう意味では自己の所有権を失う危険性が増えるという意味で制約が高くなります。 したがって、この建て替えの要件の定め方というのは、どのように定めても区分所有者に対する所有権の制約として働く。一方の制約を強めれば他方の制約が緩くなる、逆に片方を緩くすれば片方に強くなる、こういう関係に立ちます。そのような中で多数決をどう決めるかということで、やはり重要なことであるので、単純な過半数ではなくて五分の四にしようということが決められました。 そして、この五十八年改正のときには、それに付け加えて、さらに修理のために過分の費用を要する場合あるいは修理によって効用が増す場合、それからもう多数決だけでいいという、それぞれの考えが主張されて、御意見もいろいろあったようです。その中で、やはりそれまで全員一致だった法律を改正して多数決を導入するという初めての試みでもありますので、より慎重を期して、御指摘のように、その建物を維持することが客観的かつ全体的に見て不合理となった場合、いわゆる過分の費用を要する場合、それに限定しようと、こういう結論が取られたと承知しております。
○富樫練三君 そうなんですよね。今度の法案が提案される前までは現行法に基づいて政府も判断して、それを提案して、それが可決されて、今まで五十八年からやってきたわけですから、政府もそういう立場に立っていたと。すなわち、五分の四で決定する前提として客観的な要件が必要だと、それを満たしたものについてのみ五分の四の多数決が認められると、こういう法律の構造になっていたということだと思うんです。 今回の法制審の審議の中で、こういうふうに、こういう議論もあるんですね。そもそもマンションの区分所有権というのはどういう権利なんだと、通常の財産権とどこが違って、どこが一致するんだという議論もあって、たまたまあるマンションに住みたいと思って所有権を買って住んだと、そういう人たちが団体を構成することになると、住んでいる人でですね。この団体というのは、マンションの共有部分についての管理とかあるいは運営について一定のルールをお互いに作って、それをお互いに守ろうじゃないかということで、そういう拘束をしようというのはあるんだけれども、他の区分所有者の所有権まで左右する権利が果たしてあるだろうかと。ここは大事なところだと思うんですね。自分も区分所有者である、隣の人も区分所有者だと。隣の人の専有部分の持っている区分所有権まで私に拘束をする、それを動かす権利が一体あるのかと。ここが議論されているわけなんですね、法制審議会の中で。 しかしながら、壁一つで隣り合わせですから物理的にはくっ付いているわけで、自分の家を壊せば隣の家の方にも当然影響があるわけでね。そういう関係だからこそ、所有権を制約する場合には慎重にやらなくちゃいけないということで、今、法務省から答弁があったように、そういう前提を設けたということだったと思うんですね。 ですから、今回、その突っかい棒というか、これがあって初めて五分の四という多数決が生きていると。これを、突っかい棒を外しちゃって、前提条件を外しちゃうということになれば、五分の四という多数決そのものが果たして有効なのか、数だけでもって他人の所有権を規制することにならないだろうか、これは財産権の侵害にならないかと。ここが大問題になっていると思うんですけれども。 私は、やっぱりそれは他人の、多数決だけで、五分の四という多数決だけで他人の財産権を侵害する、それは売渡し請求をやって、その人はそのときの値段でお金をもらって立ち退くしかなくなっちゃうわけですよ、建て替えに参加できないと、賛成できないとなれば。言わば立ち退き料ですよ、立ち退くということを前提にしてお金を払うわけですから。ここまでやって財産権を奪うというのは、これはやっぱりやり過ぎではないのかと。前提を除くということは、これはやっぱりそういう問題に発展すると。 この点についてはどういうふうに考えていますか。
○政府参考人(房村精一君) まず、所有権というのは憲法でも保障されております権利で、非常に重要なものでありますが、しかし一つの物を複数の人で持っている場合にお互いに制約をせざるを得ないというのは先ほど申し上げたとおりです。 現在の民法を見ますと、共有で物を持っているときにはその管理は全員一致でやらなければいけない、こうなっています。しかし、全員意見が一致しないと管理ができないということに、管理でない、失礼しました、変更でございますが、共有物の変更には全員一致が要求されております。そういうときに、意見が一致しないとどうするか決まらなくなる、その場合に備えまして、現在の民法ではそういう場合には共有者の一人は共有物の分割を請求できると。変更について意見が一致しなくてどちらとも決め難い、そのままであると共有物がどうしていいか決まらない状態になりますので、そういうときには元に戻して分割をしてしまう。その分割で、現物で分割できないときには競売によって第三者にその物全体を渡してしまう。そういう意味では、共有者として、共有権が自己の意思に反しても奪われると、こういう場合が共有に関しては既に現在の民法でも規定されております。これは、要するに共有についてそれぞれの意思を最大限尊重しようと思うと、一致しない場合にその解消の手段あるいは決め方をきちんと決めておかないと財産権としての行使が適切に行われないと、こういうことからそういう制約が入っております。 区分所有建物につきましては、そういった意思が一致しないときに区分所有関係を解消するというわけにはまいりません。そこが住居であり、本拠でございますので、建物がある限りはそれは区分所有建物として利用をしていくということになりますので、そういう解消ができませんので、変更についても多数決という原理を導入したわけでございます。 建て替えが最大のある意味では問題になる場合でございますが、そういう意味で通常の変更より、より重い五分の四という多数決決議にしております。 先ほど言ったようなことから、この五十八年改正のときには五分の四の多数決、特別多数決だけではなくて客観要件を要求したわけですが、その後、現実にマンションの建て替えが問題が起きてまいりますと、この過分費用要件をめぐって紛争が起きる、せっかく五分の四を超える多数で建て替えを決議したのに反対派の人たちが過分費用要件を満たしていないということで訴訟を起こす。訴訟を起こされますとそこで建て替えが止まってしまうわけです。最終的に裁判所で過分の費用要件を満たすという判断をもらえるにいたしましても、その間何年間も建て替えが止まってしまうと、こういう事態が現に生じたわけでございます。そういうことから、この過分費用要件を建て替え要件として維持するということは建て替えの円滑化の妨げになると、こういう指摘を受けて今回の改正作業が始まったわけでございます。 そういう意味で、五十八年、立法当時はまだマンションの建て替えというものも現実的にそうたくさんはございませんし、当時としては慎重を期してそのような要件を定めたわけでございますが、その後の実際の社会状況の変化を踏まえますと、現時点においてはそのような建て替え要件をそのまま維持するわけにはいかないと。そういうことから法務省として検討を加えまして、手続的に建て替えの検討をきちんとやっていただければ客観要件なしでも十分合理的な結論が得られるだろうと、こういうことから今回の法案を提出しているわけでございます。
○富樫練三君 それは法務省、違うんですよ。 私、一番最初に言ったように、現行法の問題点というのは、前提条件として客観的な要件を設置したことが問題なんじゃなくて、その要件の中身として費用の過分性をどう判断するかというところが極めてあいまいで、ここが不十分だったんですよ。これは法制審議会の認識もそうだし、皆さんの認識はそうだったんですよ。 ですから、その費用の過分性の中身を具体的に明確にするということ、前提条件はそのまま生かすんだというのが本来の今度の法改正の最初のスタートだったんですよ。ところが、出てきたのを見たら、その前提条件を丸ごと全部取っちゃったと。ここから問題が、性質ががらっと変わっちゃったと。これが今までの経過なんですね。 それで、更に問題なのは、この団地の一括建て替えについてですけれども、団地全体の五分の四の賛成があれば個々の棟については三分の二以上の賛成で建て替えが可能になると、こういうふうになるわけですよね、今度の法案で言うと。そうすると、三分の二にハードルをまたぐっと下げたわけですよ。団地全体では五分の四だけれども、一個一個の棟については三分の二ということでがくんとハードルを下げたと。 この理由は何だということについて既に政府の方は答弁しているんですよね。既に団地の管理や利用方法などについては四分の三の多数決で決定できるようになっているんだ、既にもうそういう前提があるんだと、したがってそれを更に建て替えやすいようにするために三分の二にしたんですよと、こういう説明がありましたけれども、しかしこれは、利用だとか管理の問題と所有権が移動するということと、動くということとは性質は全然違いますよね。利用の仕方が多少変わるとか運営の仕方が変わるというのと所有権、財産権そのものがなくなってしまうのとは性質が全然違うと思う。そういう形でハードルをぐんと下げるということになれば、最大限三分の一の人たちの財産権は奪われることになるわけですよね。 先ほども質疑の中でありましたけれども、そうやって建て替えが進まないからという理由でどんどんどんどんハードルを下げていくと、最後にはぎりぎり二分の一ですよ、過半数ですよ。そこまで、これでも進まない、これでも進まないとなったら、どんどんどんどんハードルを下げて二分の一以上あればいいというところまで行き着くんじゃないかという心配をみんな思うのは当たり前だと思うんですね。 ですから、そういう意味で今の段階、今度の段階でも三分の一の財産権が奪われる、このことについては法務省はどういうふうに考えているんですか。
○政府参考人(房村精一君) 団地の一括建て替えでございますが、これは団地が個々の棟だけで環境が決まるわけではなくて、団地全体としての配置あるいは団地内の道路、緑地、共有施設、こういうものを含めて団地全体として住環境が形成されている、またそこに住んでいる人たちも団地全体で管理組合を作って団地内の言わば自治をしている、そういう実態に着目いたしまして、団地を再開発する場合に個々の棟を一つ一つやるのではなくて、団地全体としてのマスタープランを作って、それに基づいてより良好な住環境を維持しつつ再開発をするということを可能にするために今回考えたわけでございます。 そういう意味で、ハードルを下げたとはおっしゃいますが、団地全体で五分の四の賛成を確保しなければならないというのは、ある意味では一棟について五分の四を確保する以上の非常に大変な努力が要るんだろうと思います。ですから、全体としての団地一括建て替え決議の要件としては決してハードルが下がったということはないのではないか、やはり団地全体の人たちが、その五分の四の人たちが団地全体をこういう形で新しく建て替えようと、こういうことに賛成される場合でございますから。 ただ、団地の場合には非常に多数の棟が含まれますので、たまたまその中のある棟に反対の方がやや多くて、そこが五分の四に達しないというときに、団地全体のほとんどの人たちが賛成しているのに全体の計画が駄目になってしまうというのは、団地全体の良好な住環境を維持しつつ建て替えを進めるという考え方からやはり対応すべきではないかと、こういうことで考えたわけでございます。
○富樫練三君 私が聞いたのは最大限三分の一の人たちの財産権が奪われる場合が出てくるじゃないかと、そのことについてはちょっと答弁していないんだけれども、それは建て替える方の側の答弁は一生懸命やっているんですよ。どうやって環境を良くするかとかどうやって建て替えるかということは言うんだけれども、そこに参加できないような人たちについてどうするかというところは大事な問題なんですね。なかなかこの問題は答えにくいだろうとは私も思うんですけれども。 そこで、例えば今度の問題で言うと、こういう問題点もあるんですよ。 この法律が通ると、現在マンションの住民、住んでいる方々というのは約一千万人、三百八十五万戸ですか、そうすると戸数イコール区分所有権者とは限らないと思うんですね、一人で二つとか三つとかというのもありますしね。だけれども、少なくともこの一千万人の方々に大きな影響を与えることは確かですよ。この方々が今住んでいるマンションを買ったときは、これは財産権として買ったときに、そのときは前提なしの五分の四だけで自分の財産が動かされるということ、そんなことは決まっていないわけですから、今まで買っている人は。ところが、今度法律が変わると、今持っている財産が極めて不安定な状態になると。通常の場合で言えば五分の四ですから最大限二割の人たちの財産権が脅かされると、こういうことになりますよ。 そうなると、こういう法律を作るときは、既に別の法律、条件の下で買い取った人たちの権利についてはきちんと保障した上で、その上で法律ができた後買う場合はこういうふうにしようじゃないかと、そこには経過措置というのは通常なら作りますよ。そういう経過措置は今度の法案には全然ないわけですよね。そうすると、一千万人の人たちを不安に脅かすというか、そういう状態になるのではないか、ここはやっぱり非常に大きな問題だというふうに思うんです、買ったときの条件と現在の条件は財産権についての考え方が変わっちゃうわけですから。そういうふうになったらこれは大変なことになるなと、この点を指摘しておきたいと思います。 その上で、なぜこういう問題になってきたのか。先ほどからの答弁で一貫しているのは、建て替えに参加できない人をどうするかではなくて、どうしたら建て替えが進むか、こういうところがもう一貫してずっと非常に率直な答弁だというふうに私も思うんだけれども。 こういう問題があるんですね。経過を見れば、これは大変よく分かるわけなんですよ。例えば五分の四だけにする、ほかの前提条件は外すんだという結論が先にあったんじゃないかということなんですね。経過を見ると、こういう問題があるんですね。問題点は二つあります。僕は、やっぱり二つの点で政府は法制審を、率直に言わせていただいて軽視していたんじゃないのかというふうに思います。 例えば、九月三日に客観条件なしの五分の四という結論が法制審で出されましたけれども、実はその前、九か月前ですね、昨年の十二月に総合規制改革会議が区分所有法の建て替え要件を五分の四以上の合意のみとするということを決定しているんですね、既に昨年の十二月段階で。そして、今年の三月の段階で、区分所有法の建て替え要件を五分の四以上の合意のみとすることを検討する。検討すると入っていますけれども、そのことが実は閣議決定しているんですよ、今年の三月の段階で。その上で九月に法制審が同じ結論を出す、こうなっているわけなんですね。そうなると、法制審が結論を出す九か月も前に既にもう結論が出ちゃっているんですよ、これは。ですから、初めから結論ありきと。これじゃ法制審で審議する意味なんかないですよ。そうでしょう。 もう一つ、九月三日の法制審の答申には、先ほどの団地の一括建て替え、これで三分の二というのを入れるわけなんだけれども、これは元々法制審にはないんですね、九月三日の。十月十八日に国会に法案が提案されてきた、この段階でこの三分の二が入っているんですよ。一括建て替えと三分の二、これが入ってくるんですね。 法制審では、これは全然そういうことはやられていない、答申にも全くない、これが突如として十月十八日には、政府が作って出してきたものには入っている、こうなっているんですね。だったら、法制審を作ってそこで十分審議して、そのことを閣議決定して、法律案として国会に出すというなら、これは本来の在り方ですよ。ところが、法制審で全然やっていないことが突如として国会にぽんと出てくる。これじゃ法制審を設置した意味がないでしょう。 この二つの点で、今回、この法案については政府は法制審を全く軽視した、こういうことじゃありませんか。どうですか。
○政府参考人(房村精一君) まず第一の、規制改革推進三か年計画でございますが、この中では、マンション建て替えの円滑化の項目に、「区分所有法の建て替え要件を五分の四以上の合意のみとすることや、隣接敷地との敷地共同化による建て替えや住宅部分以外の床の大幅な増加を認めることも含めて、マンション建て替えを円滑に実施するための方策を早急に検討し、平成十四年秋までに改正法案を作成する。」と、こうなっております。 したがいまして、五分の四以上の合意のみとするということも検討対象として含めろということはこの閣議決定で言われていることでございますが、五分の四のみとするということまでこの閣議決定で決まっているわけではありません。私どもの法制審議会の審議におきましても、この閣議決定も踏まえつつ、どういう要件を定めるべきかということを検討したものでございます。 また、団地の一括建て替えにつきましては、御指摘のとおり、途中まで検討を法制審議会でもいたしましたが、最終的には意見に盛り込まないままになっておりましたが、法制審答申に前後いたしまして、実際にその団地の一括建て替えが必要であるという非常に強い要望をそういうことに携わった人たちから受けまして、事務当局として検討を加えました結果、やはりこの法案に含めて国会での御審議をお願いするのが適当である、こういう結論に達しましたので、法案として提出させていただきました。
○富樫練三君 いずれにしても、三月段階で閣議決定した、その中には四分の三のみとすることを検討するということは入っているんですね。そのほかの問題も入っていますよ。別に閣議を開いてその一項目だけ決めるわけじゃないですから。いろんなことを一杯決めていますよ、それは。その中にそういうふうに入っているということであるということですよね。 三分の二については今答弁のとおり、これはもう政府が法制審で決めていなかったことを突如入れてきたということなんですけれども、問題なのは、そういうふうに去年の十月にその方針を決めて、三月に閣議決定をして、九月に法制審の結論が出るんだけれども、途中で中間試案というのを出されますよね。この中間試案が出されたことについて、実は総合改革会議のここのところではいろんな意見が出ているんですよ。 皆さんのお手元に資料をお配りしました。これは後で読んでいただいて結構なんだけれども、例えばこういう意見が出ているんですよ。 これは改革会議の方ですよ。我々の主張は区分所有法の建て替え要件を五分の四の同意のみとすることだが、年限等が、三十年とか四十年とか、そういう年限等が要件として加わっており、これは中間試案ですね、中間試案に意見を申し入れることは可能か。 それから、パブリックコメントにかける前に閣議決定合意と同じ内容かどうかチェックさせてもらえないのならば、閣議決定の意味がないではないか、こういう意見とか、これは法制審に対するもう内部干渉みたいなもんですよ。 それから、マンションの建て替えを五分の四の同意だけで可能にするということなのに、築後三十年とかの制約を加えるのは規制の上乗せであり、このようなものをパブリックコメントにかけることが許されるのか。 あるいは、当会議、当会議というのは総合規制改革会議ですね、の役割と各省の審議会との関係を明確に定義しておいてほしい。総合規制改革会議の答申と別のことを出してくるのはおかしいのではないか。こういう意見だとか、こういうのがどんどんどんどん出るわけですよ、その中間試案に対して。 これに対して、政府側と思われる、答弁と思われるのがその資料の中へ一緒に混じって入っています。私が整理しました。 これらの意見に対して……
○委員長(藤井俊男君) 富樫練三君、質問をまとめてください。
○富樫練三君 はい。 閣議決定と別のことをやったらおかしいと。各大臣は閣議決定に拘束されるんだとか、役所が閣議決定からはみ出したことをすれば閣議決定違反になるとか、法務大臣にも伝達しておく、また閣議決定から逸脱することがないよう、その旨伝えておく、こういうことを言っているんですよ。こうやって九月三日の法制審の最終結論は五分の四だけになる、こういう経過ですよ。 私は、時間がありませんから結論に入りますけれども、こういう結論を先に出しておいて、それで法制審にかけて、法制審で同じ結論を確認させる、こういうやり方はやめるべきだと。法制審がきちんと審議できるようにその権利をちゃんと保障するということは、まず政府が自らそれをやらなくちゃいかぬというふうに思っています。 ですから、そういう点で、今度の法案は重大な欠陥、法律を作る経過と、内容についても財産権の保護という点から重大な欠陥がある、そういう法案だと思います。私ども修正案を用意しておりますけれども、そういう点では是非ともこれを、本当にマンションに住んでいる人たちが安心してこれからも住める、そういうマンションにするために改善をする必要があるということを強く主張して、質問を終わります。
○田名部匡省君 先ほど参考人の方々からもいろんな御意見いただきましたが、どうも何かやろうとして法律を作って一生懸命突っ込んでいくんだけれども、後に何が起きてどうかというのは全く感じられないんですね。アクアラインを造るにも、関空を造るにも、本四架橋を造るにしても、やれやれとやったが、後は大赤字を出して国民に負担させる。これを見ておっても、もうちょっとやり方があるんじゃないかなと。 建築主、マンションを建てようと思う人というのは専門家でないんですよ。何とかマンション建ててもうけてやろうと思って一生懸命ですから。建てるのはだれかというと、それはゼネコンがやる。どんなものが建つか分からない。耐用年数もどのぐらいあるか。料金だけは分かりますからね。大体何億あれば建つ、これしか分かっていないんですよ、素人ですから。ですから、私はやっぱり建てるときには、築後五十年もつにはこういうことをやらなきゃだめですよ、それから無駄なこういうところはやめた方がいいとか、補修にこういうところが掛かるからここだけはしっかりやりなさいというような、何か仕組みがないものかなということをいつも感ずるんですよ。 私もマンションを今やろうかなと思ってこの間も相談したけれども、だんだん聞いているうちにやめようと。後のことを考えたらやってられないと。そのときは、扇大臣にも言ったけれども、もう話は進んじゃって、隣のお医者さん、一階に入っていてくれると、みんな上にお年寄りばっかりいるからという話で話し込んでおったが、この法案が出てからだんだん腰が引けてきましてね。 そんな感じを持っているんで、そういう体制をまず作って、後々にどういう問題、環境のことだっていろいろ言うけれども、さっきも参考人で、イギリスのマンション、私もイギリスもパリも行って見ているけれども、古いアパートか何か知りませんが、周りに木があって、立派な百年もたったようなものに住んでいますよね。どうも日本はそうでない。この辺のことがむしろ私は建築する前に大事でないのかなと。 ですから、入居をするときも購入のときも、ちゃんと情報公開をしていただいて、将来の負担はこうなりますよ、あるいは建て替えの時期にはこういうことがありますと、分かった上で入るような仕組みというのはこれは作られませんかね、どうですか。
○政府参考人(松野仁君) マンションもいろいろございますので、購入のときに将来必ず何年に建て替えるということが決まっているわけでもございませんし、今回の円滑化法の改正、それから前国会での円滑化法も含めてですけれども、意思決定を五分の四以上で決定されたそのことを踏まえて建て替えをする場合にそれを支えていく制度を作らせていただいたということで、今回更にそれを改正するわけでございます。 今お話しの耐用年数云々でございますが、一つの制度としては、先ほどもお話し申し上げましたが、住宅性能評価制度というのがございまして、その中で、新しく建てられるマンションがどのぐらい耐用年数がある、もつものかという、そのグレードの評価をするシステムができましたので、等級の一、二、三というのがございますが、一番優れているものは例えば等級三でございます。等級三はおおむね、劣化対策とかそれからメンテナンスの設備を交換するのが容易なシステムになっているかどうかというようなことを審査して、等級三ですとおおむね三世代、およそ百年ぐらいはもつだろうというようなものができるという、評価ができるシステムがございます。 こういったものをやはり活用していただければ、おおむねこのぐらいのお金を出せばこのぐらいのものが手に入るということが分かる制度ができましたので、是非それを活用していただければという気がいたします。
○田名部匡省君 余り答えになっていませんけれどもね。そういうやっぱり建てる人も入る人も安心できるような仕組みを作ったらどうか、そのことを言っているんです。特に、建て替え決議五分の四、民法では区分所有法による全員が一致だと。この差は、この数字の根拠というのは一体何なんですか。
○政府参考人(房村精一君) 建て替え決議五分の四という数字と民法の共有物の変更が全員一致を要求されていることとの差というお尋ねだと思いますが、民法は共有物についてはその変更を加えるときには共有者の意思をできるだけ尊重するということから全員一致を要求しております。ただ、その代わり、全員一致が得られなくて変更について意見が分かれてしまったときには、先ほども申し上げましたが、共有者から共有物分割の請求をして共有関係を解消してしまうということを法律上保障しております。 区分所有建物につきましても、実質としては一つの建物を複数の人で共有しているわけですが、民法と同じように全員一致を要求してしまいますと、特に区分所有建物の場合、大勢の人が入りますので、建て替え等について意見の一致を見るというのは非常に困難になる。かといって、意見が一致しないときに、じゃ区分所有関係の解消、共有物分割と同じように区分所有建物の分割というのを認めるかというと、これはそれぞれ多くの場合、住居に用いられているもの、それを区分所有関係を解消するというのは法律上とても無理でございますので、そこで全員一致で解消という制度を設ける民法の代わりに多数決で決めて適切な結論が出るようにしよう、そういうことに変えたわけでございます。 建て替えというのはやはり現在持っている所有物をともかくなくしてしまうわけですので、その影響も非常に大きいということから、単純な過半数ではなくて大多数の人の同意が得られるという五分の四という重い要件にしたわけでございます。
○田名部匡省君 マンションに入っている人というのはいろんな人があるんですね。例えば、投資のためにあっちこっち買っていて人に貸して入っている人もおれば、本当に入っている人もおるというようなことがあるんですよ。だから、総会開いてもなかなかまとまりにくいと言うんだ。中には、善良な人ばっかりでなくて、入ってほしくない人も入ってくると。そうすると、怖いものだから物も言えなくなるとか、もう様々あるんですよ。実態はあなたたちが考えているようにすっといかない。 ですから、私は、いずれにしても、こういう問題を一体どうするかと。管理団体とうまくいかない場合、個人の権利の保護という立場から、これを役所とか裁判所の公的機関がしっかり対応するのかどうか。そこでやり切れなくなっちゃったらどうなるという問題もありますから。まあ、あんたたちはマンションに住んでいない、買ったこともないんでしょうから分からぬだろうけれども、その実態をよく調べていろんな法律を作っていただきたい。 何かこの国は泥縄式で、始まっちゃってからいろんな問題出て法律を出すと。それで、またもめるとまた別な法律を出す。出すときにはもうきちっとそういう背景まで調べた上でやってやらないと、さっき言ったもう素人ばっかりで物をやっているわけですから。プロはいないですよ、中には専門的にこれやっている人もおるけれども。 特に、私は、友人にも何人かやっておって、一番困るのは、大きなマンション経営者と十軒か十何軒入っているようなマンションの人とはもう全然違うんですね。私もよく分からないけれども、聞いたら、いや、管理会社というのがあってねと、管理協会じゃないのかと、いや、管理会社にお願いせいと言われて、そこから管理士さんが二人来て、あそこの入口のところにいてくれたりいろいろやってくれていると。 一軒幾らで、その世帯数でやるものですから、少ないと負担が物すごく高くなるというんですね。知っているところのおばさんとか親戚のおじさんに来てもらえば安くできるけれども、この管理士の人に、会社へ頼むとえらい高くなると。どこか壊れて、さっきも参考人言ったように、親戚の水道屋さんを呼んでくればえらい安くやってくれるんだが、そっちの方でみんなやっちゃうから何の修理やっても高くなると。こういう小さくやっている人たちにすると、やっぱりそんな感じかなと。家賃何ぼもらってるのと言ったら、二百二十万で、管理費に百六万掛かりますよと。だから、やっている意味がなくなるという話です。これで建て替えになると地権者が六軒であとは借りている人が十軒ぐらいおるようですけれども。ですから、人を見て法を説けというわけじゃないけれども、大きくやっている人とこういう人と、法律案をきめ細かに作ってあげないと、大きなのにくくって皆右倣えやったってこれやれないですよ。私はそう思うんです。こういう実態について一体どうでしょう、この一本で一律皆右倣えの法律というものは。どう思いますか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、マンションといいましても非常に小規模のものから非常に何百戸入っている大規模なものまであるのは私どももそのとおりだと思っておりますが、この区分所有法で決めておりますのは、そういう区分所有関係に入った人たちの権利義務関係ということでは規模の大小にかかわらず区分所有権というものは同じ所有権であるという、そういう考え方に立って規律をしております。 もう一つ、規模が最も影響するのは管理の在り方だろうと思いますが、そういう意味で管理組合等につきましても、これはそれぞれの規模に応じてどのような管理組合の組織にするかというのを自主的に決めていただくという観点から、この区分所有法では最小限の規制をして、大規模なものに合わせた規制を小規模なところに押し付けるということのないような配慮はしているところでございます。
○田名部匡省君 さっきも申し上げたように、この管理団体と調整が難航してうまくいかないと、個人の権利の保護ということもあるし。そういう場合にはどこへこれ持っていけば解決できるか。できないときには、もし。
○政府参考人(房村精一君) いろいろな問題があろうかと思いますが、基本的には管理組合の集会等でその団地の関係の物事は決めていただくというのがこの区分所有法の基本的考え方でございます。 今回、特に問題になっております建て替え決議との関係で言いますと、今回、建て替え決議をするときには二か月以上前にその通知をすると。そして、通知事項につきましても、建て替えの内容だけではなくて、維持管理をする場合の費用の問題であるとか、現在持っている修繕計画があればその計画の内容、修繕積立金があればそれと、こういうような団地の皆さんが建て替えを検討するについて必要と思われることを法律で書きまして、そういった管理組合の集会が充実したものになるようにと、こういう手当てをしたところでございます。 そういうような方法を通じて、できるだけ団地管理組合が適正な判断を行えるような仕組みを整備したつもりでございます。
○田名部匡省君 できないときはどうするかという話をしているんで、大臣、前にも私申し上げましたよね、このマンション新築、建て替えやるときは一階に診療所とか福祉施設、高齢者の生活を支援する施設を併設するようにしたらどうかという話をしました。こういう配慮なんかするようにしたらどうでしょう、これ。
○政府参考人(松野仁君) 委員御指摘のとおりでございまして、建て替えのときに、できればそのマンションの建て替えだけでなく、その中で生活する様々な方がおられます。したがいまして、子育て施設、診療所、福祉施設と、こういったものを入れていくということが必要な場合がございます。 今後、前国会で成立いたしましたマンション建替え円滑化法の大臣の定める基本方針というのが間もなく定める予定でございますが、その中でも委員のお話になったようなマンション建て替え事業でできるだけそういった施設を複合的に取り込むということを考えていくべきであるというような方針を盛り込みます。 それを支援する制度といたしましては、例えば保育所等が入るそのための容積率が不足するというようなことがあれば、そこを設計制度で容積率の割増しをするとか、あるいは優良建築物等整備事業という建て替えの補助制度がございますが、その際に高齢者施設、保育所等を併設する場合の補助の割増しの制度もございます。そういったことで支援してまいりたいと思っております。
○田名部匡省君 一千四百兆の資産があるあるといって、よく国会でまた総理も、みんな答弁しますけれども、一千四百兆といったって六十五歳以上の人が八割近いもの持っているんでしょう。四十代が三%ぐらいですか。だから、私は、相続税も贈与税も何もなしに、一番使いたいときにお金がないんですから、六十五過ぎてから何に使います。税金掛けないでどんどんどんどん使わせるようにしたらいいと。消費が伸びないから不況になっているんですから、六割が日本の経済を支えているんでしょう、消費で。それが逆に倒産して失業者出すものだから、税収は伸びない。それで予算になるとみんなこれを前年度同額確保だと、大会開いて毎日来るが、皆さんのところにも来ているんでしょう。どこを減らすの、どこを。どこも減らせという役所もないし。だから、そういうことなんか考えると、私はもう少し知恵の出しようがないのかなと、そう思うんです。 それで、このマンションについて、私は本当にもう、先ほど来皆さんの質問伺って、ちょっとやっぱり不備じゃないのかなという気がしているんです。特に最近、都心にマンションがどんどんどんどん建って、郊外から都心に移って、そっちの方が空き家になっちゃっているというのが出ていまして、それは、古くなればどこかへ移った方がいいという人も出てくるわけですけれども、マンションの空洞化にしてしまう、結果的には、これやっていると。だから、いい面ばっかりでないと。このことについてどう考えるか、お答えいただきたいと思います。
○政府参考人(松野仁君) 都心でマンションが次々と建設される、このこと自体は大変いいことだと思っているわけですが、つまり郊外から長時間通勤する方がまだまだ我が国の場合多いということで、従来から都心居住というのを推進が必要だということが言われておりました。 最近、この都心でのマンションの供給が増加しております。その際に、人口が郊外で本当にどんどん減っているのかということでございますが、実際には、例えば平成七年から十二年までのデータを見ましても、東京の例えば外の三十キロ圏、四十キロ圏、この辺りでも全体としてはまだ増えているというようなデータもございます。 したがいまして、どんどん郊外部が空洞化しているということではなくて、確かに都心に移ってこられる方がいらっしゃる、その結果としてその部分が空き家になるケースはあろうかと思いますが、全体としてどんどんその人口が減っているということではないかと思います。
○田名部匡省君 様々、マンションができるようになってから世の中の変化というのは私は出てきたと思う。私の友人で、一九八〇年に、十年間、港区の白金台に住んでおった人が、高層マンション時代は土地が高騰して、あの辺は。それで、地元にいたかったんだけれども、高くなって相続税も払えないということで地元を去った人がいるんです。この地域を失うということは、今になって考えてみると、教育面だ、文化面だ、地域の中での人間と人間の関係とか、精神面までおかしくなってくる、そういうことがあるんですね。 様々な問題が起きているということなんかも総合的に判断をして、この国を一体今どうすることがいいのかと。私の町内だってマンションありませんよ、あの辺は区画整理事業やったところですから。アパートに入っている人が一杯いるんです。町内会に入らない。マンション入っている人なんて、町内会、東京辺りどうなっているか、町内会は。私の方は運動会やったり、いろんな、外に出て朝の掃除やったりなんかやっているけれども、ここに住んでいる人は別世界なんですよ。 ですから、余り、八十階のマンションに住んだ人たちは、マンションの中の町内会作るかどうか知らぬが、そういう面での問題が逆に出てきている、これでいいんだろうかと。しかも、マンションの周りは、ロンドンなんか行くと木がたくさんあるでしょう、何にもないんだ。それで口を開けりゃ環境環境と。木の一本もないところに建物を建ててみんな住んで。 いろんなことがあるんで、何かをやるときにはちゃんと後々のことを考えて、さっき言ったように、何やってもいいけれども、後に国民の負担が掛かったり、いろんなことのないように今から考えて、私は、原発の高レベルの廃棄物だってそうでしょう。原発原発といって、もうそれは、あれがなきゃ困るから。しかし、最終処分場、高レベルの、どこに決まっているんですか。決まっていないでしょう、原発はできるけれども。あれは処分をするときが来たら大騒ぎになる。おれのところに持ってこいというところはありませんから。 だから、スタートして後から探そうという発想だから、スタートするときにはそういうものをちゃんとやった上でということが、すべてにおいてこの国は、やるときは威勢がいいが、後始末にはみんなしり込みしちゃって、どの赤字も負担するというと大ごとになっちゃう。これ一人一千万近く借金していますから、国と県と市で。四人家族だったら四千万弱ですよ。払う子供や孫のことも考えてやれといつも言うでしょう。 あの阪神・淡路大震災のときもいろんな補助金を出して、私のところだって地震の多いところですから、十勝沖地震なんて、しょっちゅういろんな地震が来る。あのときだっていろんな、壊れた人一杯いるけれども、私のところで補助をもらってやったというのは聞かなかったが。だから、どの程度の災害になると補助金が出て、どの程度だと出ないかと、こういうような基準がないでしょう。局長、どうなんです、それ。
○政府参考人(松野仁君) 災害の規模によりまして、激甚災害になったりすると補助率が上がるとかというようなことはございますけれども、それから私どもの持っております建て替え制度につきましては、災害の場合もそれから通常の建て替えも同様に使えるという制度にしてございます。
○田名部匡省君 もう時間ですから終わりますけれども、私のところだってあれ激甚災の指定受けた。受けたんですよ、十勝沖地震で。 私の家もおかしくなってね、家が半分にぐっと開いちゃって、建て替えるといったって金掛かるから、しばらくチェーンブロックで引っ張って寄せて、穴、間が空いていた、壁に穴が空いているから新聞紙詰めて、しばらく入ったけれども、とても駄目でね、そこを引っ越して別な方に家を建てましたがね。 そういう、どこであろうと、やっぱりああいうすごい災害でしたから、死人が何人も出て。そういうときに大きいところだからそれは補助金も出す、いろんな支援策もやったということは、それは別に反対しませんが、どこで起きても困っていることは一緒ですから、そういうことをきちっと決めておいて、どこの県が災害に遭っても、同じようなのになったときはちゃんとやるということにしていただきたいと、こう思います。 今日は大変ありがとうございました。
○渕上貞雄君 渕上でございます。 優先入居家賃の補助について再度お伺いをいたします。 前回の質疑におきましても、区分所有権を失う人たちに対する対策についてお伺いをいたしました。公共住宅への優先入居あるいは従前入居の入居者用賃貸住宅制度、それから特定優良賃貸住宅制度があるということは分かりましたが、いずれも入居資格を有することや当選率を高めることなどの要件が付されているようでありましたが、これでは必ずしも転出区分所有者の住居の安定が図られるとは思いませんし、少なくともこれらの現行の制度の要件を変える考えはありませんか。
○政府参考人(松野仁君) 御指摘のようなマンションの建て替えに参加できない方々の居住の安定ということで公営住宅への優先入居あるいは従前居住者用賃貸住宅制度というものを用意しておるわけですが、特に家賃対策につきましては、公営住宅階層、いわゆる公営住宅の入居基準に合致する方については公営住宅と同様の家賃対策補助を従前居住者用賃貸住宅でも行うということでございます。 公営住宅への優先入居について、このときに入居基準を更に緩和するということは、これは今の公営住宅制度では不可能でございます。もちろん公営住宅への一般の入居者とのバランスというものもございますので、それを更に下げるということは不可能でございます。また、従前居住者用賃貸住宅につきましても、通常の公営住宅入居の資格を持っておられる方以上の家賃対策補助をするということは基本的にはできないというふうに考えております。
○渕上貞雄君 できるだけ、できないということは分かりますけれども、考慮していただきたいと思います。 次に、マンションの建替えの円滑化等に関する基本的な方針においても、第五項で居住の安定に関する項がありますが、その文言は「努めなければならない。」、「努めることとする。」となっている上に、建て替え事業の施行者や賃貸人、それから地方公共団体にこれらの取組をゆだねております。これでは転出区分所有者の居住の安定に関する制度が確立できているとは思えません。転出区分所有者や賃借人に対する居住の安定に向けて充実した救済措置が取られるようお願いをするとともに、基本方針の実効ある取組がなされるよう要望をしておきたいと思います。 そこで、お伺いをしますが、地方公共団体が建て替え事業の主体となるような制度の創設が必要と考えないでしょうか。特に、団地型マンションの建て替えとなると極めて社会性を有する問題であると考えます。マンションの建替え円滑法は、市町村等がマンション建て替えについて施行者となることができるのでしょうか。可能でないとすれば、市町村等が自ら施行者となって従前居住者の居住安定措置を図りつつ建て替えを進めることができる制度をメニューとして加えるなど、いかがでございましょうか。
○政府参考人(松野仁君) マンションの建て替え事業は、あくまでもマンションが私有財産であるということから、建て替えは区分所有者自らが主体となって取り組むという原則で考えております。 したがいまして、マンションの建替え円滑化法におきましては、マンション建て替え事業を施行できる者として、マンションの建替組合、それからマンションの区分所有者又はその同意を得た者ということで考えておりまして、公共団体がストレートにこの事業の事業主体になるということは想定しておりません。
○渕上貞雄君 区分所有権の喪失についてお伺いをいたします。 合理的な建て替えの制度に伴う権利の制約であれば、憲法第二十九条の定めるところの正当な補償については、権利の内在的制約であり、補償の必要はないというふうにお聞きをしていますが、多数決だけをもって財産権を制約してしまうことが本当に合理的な制度と言えるか疑問があります。 法制審議会の建物区分所有法部会においても、五分の四の多数決のみとすることについては議論があり、様々な要件も検討され、更には慎重論あり、結局のところ部会として意見の一致は見られなかったようですが、今回の改正は余りにも建て替え促進一辺倒ではないかと思います。多数決で決めるような方法は取るべきではないと考えますが、再度、見解をお伺いをいたします。
○政府参考人(房村精一君) マンションの場合には建て替えというのは必ずいつかは生ずる、したがいまして区分所有関係にある人たちの間で建て替えについて合理的に建て替えの決定ができるような制度というのを設けておかなければならないということになります。 昭和五十八年改正のときには、そういうことから、従来全員一致であったものを五分の四の多数決にすると同時に、慎重を期して費用の過分性という要件を要求したものでございます。しかし、当時、マンションの建て替えというのはそう多くないということもありましてそういう判断に達したところだと思いますが、その後、実際に相当年限のたったマンションが増えてくる、それから阪神・淡路大震災のような震災も起きたと、こういうことから現実に建て替えなければならないマンションが増えてまいりまして、その中で、現実の問題としてこの費用の過分性が建て替えの円滑化を阻害していると、こういう指摘が出てきたわけでございます。 そういうことを踏まえまして、今回、建て替えを円滑に行うために建て替え決議の要件をどうするかということを検討したわけでございますが、従来のそういう客観要件をできるだけ生かすという観点から、一時は三十年あるいは四十年という年数要件を定めるということも検討したわけでございます。 ただ、年数を定めるということになりますと、例えば三十年で線を切ったときに、二十九年目で相当傷んでいるマンション、これについては三十年に達しないから建て替えができない、三十年を過ぎると、非常に手入れが良くてまだまだ使えるものであっても多数決のみで建て替えができると、こういうことが起きる、これは果たして合理的な制度なのかと、こういう御批判がございましたし、また法律で言わばそういう老朽化の目安としての年数を示すということに関しまして、マンションの長命化を図る時代の流れから見て好ましくないのではないか、そういう指摘も随分受けました。 いろいろな検討をしたわけでございますが、この要件をできるだけ客観的なものにしようと思いますと常に合理的な基準にはなりにくい、合理的な基準として追求しますと明確性を欠いてしまうと、こういう二律背反の関係にございます。 そこで、様々な意見が出ましたが、最終的には、そういう点で客観要件で合理性を担保するというのは難しいのではないか、そういうことであれば五分の四の多数決のみにして、その代わり決定をする手続をきちんと整備をする、その中で住民の方々にマンションの建て替えを適切に判断できるような集会をあらかじめ二か月前に通知をするとか、通知事項を整備いたしましてマンション建て替えのときに必要とされる検討事項をあらかじめ通知する、こういうことによって十分な検討をしてもらって合理的な結論を出してもらう、こういう制度がやはり望ましいのではないかということで、最終的に法制審議会として五分の四の多数決のみ、それと併せて手続の整備を行うと、こういう答申をしたものでございます。 そういう意味で、私どもとしては、今回のこの建て替え決議の定め方は区分所有に伴う内在的制約の範囲内のものであると、こう考えておりますので、補償の問題は生じないと思っておりますし、また現実の問題としても、建て替え決議に反対した方々については売渡し請求によりまして自分の持っている区分所有権及び敷地所有権を推進派の方々に売り渡すということが可能になっております。 しかも、その売り渡すときの価格は、マンションを建て替えるということを前提とした建て替えに伴う利益も含んだ額で時価が算定されるという考え方になっておりますので、財産的な補償としても、その点でも十分配慮がされていると考えております。
○渕上貞雄君 では、建て替えの費用の負担ができず、建て替えの参加困難な高齢者などについて、その居住の安定、コミュニティーの維持の観点から、継続居住の意思を有する人に対して建て替え後の再建マンションの一部を公営住宅又は公的借り上げ住宅として提供して、所要の家賃補助等を行うということを原則とすべきではないかと思います。 すなわち、同一のコミュニティー内での継続的な生活を保障することを建て替えの基本理念として政策的に位置付けるという考えはありますか。いかがでしょうか。
○政府参考人(松野仁君) 今お話しになりました、建て替えに参加はできないけれども、是非そこに、引き続き建て替え後のマンションに住みたいとおっしゃる方がいらっしゃるというケースがあろうかと思います。 もちろん、そうした方々を必ずそこに住まわせなければいけないと、そういう義務を課すことはできませんが、一つの考え方として、例えばその方が公営住宅階層であるということで家賃対策補助の対象になり得るとすれば、一つの、理論的には、建て替えマンションのいわゆる保留床部分のような、床の、借家人として入って、それを従前居住者に賃貸住宅制度で借り上げて家賃対策補助をするというような、あるいは区分所有者が権利変換で床を所有すると、床を所有する、それを公共団体が借り上げて、その方を住んでいただいて家賃を補助するということは理論的にはあり得ることだというふうに思います。
○渕上貞雄君 管理組合の管理者に対する過度な負担にならないかどうか、午前中の参考人の方でも管理組合のことについていろいろお話を聞き、参考になりました。 改正案では、管理組合、管理者に対して代理権を認めるとともに、原告又は被告となることができるものとなっておりますけれども、管理者の選出の多くは、午前中はじゃいけんで決めるとか言っていましたけれども、入居順位はフロア順などの順番制によるところが多いとも聞いておりますし、今回の改正案では管理者への過度な負担となることが考えられますが、見解はいかがでございましょうか。
○政府参考人(房村精一君) 今回の改正によりまして管理者の権限が強化されたことは御指摘のとおりでございます。 その行使の方法ですが、これはどのような形で行使するかというのはやはりそれぞれの管理組合の実情に応じた行使の仕方があろうかと思います。じゃんけんあるいは持ち回りで決めるようなところであれば、どのような形で行使をするかについても住民の方々の合意形成というのがそれなりにできるのではないかと思っております。 特に、負担が重くなるということが予想されますのは、訴訟追行権、特に瑕疵、建物の共用部分の瑕疵に基づく損害賠償請求をするというような場合が典型例かとは思われますが、現実の問題といたしまして、マンションの瑕疵の損害賠償請求を法律の専門家でない方が実際に訴訟を起こすということは非常に難しいと思います。現実に行おうと思えば弁護士の方を依頼するしかないわけでございますので、そういう点で、訴訟追行権がこの法律で与えられたから法廷に行って自分で本当に訴訟活動をするということにはならないのではないか。原告名としてその管理者の名前が表示されて、実際の訴訟行為は弁護士の方が行うという場合が大半だと思われますので、そういった全体の処理をどうするかということは、それぞれの管理組合の実情に応じた適切な負担の在り方というのはおのずから決まってくるのではないかと。また、私どもとしても、管理組合が、そうはいっても権限が重くなり責任も重くなるということをできるだけ周知はしたいと思っております。
○渕上貞雄君 情報の提供についてお伺いいたします。 午前中も参考人の方々に情報開示の問題等、情報の問題等についてもお聞きいたしましたけれども、やはり不十分ではないかという御意見であったように思っています。 本来ならば、マンション居住者が、購入しようとする、しようとしている人自らが情報を収集することが望ましいのですが、さきの大臣答弁にもありましたように、国として情報の提供を行っていくことも重要だと考えております。また、建て替えを進めていくだけの情報提供や窓口の設置だけでなく、反対する人の相談窓口や優先入居や家賃補助等の手続に当たっての情報提供や相談窓口の設置なども重要だと考えますが、今後これらの情報提供等をどのように行っていこうとしているのか、お伺いをいたします。
○国務大臣(扇千景君) この法案の審議を通して大変そこが大事なところであろうと思います。そういう意味では、今おっしゃったように、今後少なくともマンションの建て替え自体というものはそれはもう自助努力によって、本来は自分の財産ですから、これはもう何度も私申し上げていると。それはもう基本です。 けれども、どうしても合意形成を図っていく上で、その管理組合を中心にした専門家とかあるいは地方公共団体の助言が必要であると、そういうことも出てまいりますので、そういうときにはマンションの建替えの円滑化法に基づいた建て替え事業の進め方というものも決められておりますし、また建て替えに参加する方々の負担の軽減を図るための今おっしゃったような補助あるいは融資、税制などの支援の内容が書いてございます。そして、建て替えに参加できない人に対する従前居住者用住宅を提供する仕組みは、さっき渕上委員がおっしゃったように、我々としては最大限の努力をし、情報を提供すると。 また、今回、国土交通大臣が基本的な方針を決めると、こうなっておりますけれども、その基本的な方針を決める中において、我々は四つ決めておりますけれども、一つには、地方公共団体等における相談の窓口の設置、これをまず第一に作っていきたいと。二つ目には、インターネット等を活用した専門家等との連携による情報の提供の体制の整備、これを行う。三つ目には、少なくとも管理組合に対する建て替えの検討費用の補助、これをしていくと。そして四つ目には、この間も申し上げましたけれども、約三十万人という建築士がおりますし、また五千人のマンションの管理士等々もいらっしゃいますので、そういう人たちの専門家のアドバイスを受けていただく。これらによって積極的に我々は情報の提供をして、またその対応を取っていきたいと思っております。
○渕上貞雄君 終わります。
○委員長(藤井俊男君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十四分散会