P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
155回国会参議院2002/11/26

経済産業委員会 第8号

発言数
154
登壇者
27
会派数
7
開催日
2002/11/26

会議録

田浦直自由民主党・保守党

○委員長(田浦直君) ただいまから経済産業委員会を開会します。  知的財産基本法案を議題とし、参考人の皆様から御意見を伺います。  本日は、本案の審査のため、参考人として東京大学名誉教授小柴昌俊君、三菱電機株式会社代表取締役社長野間口有君及び弁護士・弁理士・知的財産戦略会議委員松尾和子君の三名の御出席をいただいております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  皆様には、御多忙中のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の本案審査の参考にいたしたいと存じます。よろしくお願いいたします。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、お一人十五分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。  なお、参考人の方々の御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず小柴参考人にお願いをしたいと思います。小柴参考人。

小柴昌俊東京大学名誉教授

○参考人(小柴昌俊君) 私、この会に呼ばれて大変光栄に存じております。ただ、気になりますのは、ほかの二人の参考人の方々はこの法案の内容にいろいろと詳しい御意見をお持ちだと思われますけれども、私、実はここにある内容に果たして関連のある意見を述べられるかどうか、大変自分で心もとなく思っておる次第でございます。  といいますのは、私、ほとんど全生涯にわたって特許とかそういうこととは全然関係のない仕事をしてまいりましたもので、余り考えたことがございません。ただ、この渡していただいた文献をちらちらと拝見しまして、少し感じたことを述べさせていただきます。それで、もし何か後で御質問がございましたらお答えできるだけのことをしたいと思います。  まず申し上げたいことは、ここでまず冒頭に書かれてある日本の経済の停滞ということでございますけれども、私の素人考えかもしれませんけれども、数年前、もう十年ぐらい前になりますか、日本でMBAでしたか、そういう経営学修士というのが非常にもてはやされて、それでアメリカでももちろんそうだったわけですけれども、その人たちの願いはやはり自分が責任者になった企業の業績を任期中に高めて、そしてその利益率の増大で自分も十分な収入を得るというようなことで、一時的にはブームになるんですけれども、どんなことでも同じだと思いますけれども、二、三年先にどうなるかという見通しと、それが終わった後で十年先、二十年先にどういうふうになるだろうかという見通しとは違う場合が多々あると思うんです。その点をはっきりと認識していただけば、日本の企業が十年先、二十年先というのを見据えてさてどうするかということを考えていただくことが大事ではないかと私は思います。  その理由は、すぐ研究成果が産業的な利益とか特許に結び付くかどうかという種類の研究ももちろん大事ですけれども、私どものやっている基礎科学というのは、腰を据えて十年、二十年と努力を続けなくては結果が得られないというようなものでございます。そういうことをたゆみなく続けていくということが、その事の性質上企業からの応援を得られない分野としては、国家の支援というものがどうしても必要になる。  問題は、そういうふうにして得られた結果というのは、先ほども申し上げましたように、産業界の利益に直接結び付くものではなくて、ただ人類の共通な知的財産に何らかのプラスをしたという国民的な喜びといいますか、それだけで終わるものです。そういうものをどれだけ評価するかというのが、やはりその国の国民の文明の程度だと、そういうふうに私は理解しております。  話が少し横にずれていったのではないかと思いますので、元に戻そうと思うんですが、ここにも書いてありますとおり、日本の大学の特許の申請件数というのはアメリカの同じ程度の大学に比べて随分低いようです。これは一つには、私の考えでは、日本で特許を出すということは相当難しい面倒くさいことだという感覚が研究者や学生の間にあるんだと思います。それが事実かどうかは別として、そういう感じというのがあって、それを、何か大学の中に適当な部門を配置して、それで特許というものを取りやすい手助けをしてやるようなことをやってやると、目に見えて増えてくるんじゃないかと思います。  もう一つその点に関連して私が感じますことは、日本の大学は、国立大学特にそうですけれども、閉鎖的であったということを反省しなきゃならないと思います。というのは、例えば国立大学は教育公務員であるから日本国民でなくてはならないと。非常にもっともらしいようですけれども、大学がやっぱりフルに発展していくためには、国籍を問わずやはり立派な人を教員に迎え、大学院学生にもどんどん外国の優秀な人材をそろえていく、こういうことがどうしても必要だと思われます。そういう点で、少しずつ事情は改善されているとは思いますけれども、なお一層の努力をこの面で必要とするのではないかと考えております。  時間が与えられたのが十五分で、今十分になりました。そこで、私は一応ここで私の述べることを終わらせていただいて、もし御質問がありましたら、それにお答えしたいと思います。  どうもありがとうございました。

田浦直自由民主党・保守党

○委員長(田浦直君) どうもありがとうございました。  次に、野間口参考人にお願いいたします。野間口参考人。

野間口有三菱電機株式会社代表取締役社長

○参考人(野間口有君) 三菱電機の野間口でございます。座らせていただきます。  私は、総合科学技術会議知財戦略専門委員会の委員として、今後の我が国における知財戦略の在り方につきまして意見を述べさせていただく立場にありましたけれども、本日は、国会の場において産業界の立場から意見を陳述させていただく機会を与えていただき、誠に光栄に存ずる次第でございます。  それでは、本法案に関する意見を述べさせていただきたいと思います。  このたびの国を挙げての知財立国への取組といいますのは、明治に特許制度が創設されて以来初めての画期的なことと私どもは考えております。現在、産業界は中国等の台頭に伴うメガコンペティションの一層の激化、IT不況の深刻化、世界同時的景気減速などによりまして、例を見ない厳しい生き残りの競争の局面に立たされております。こうした中で、企業は今その生き残りを懸けまして日々懸命の努力を行っているところでありますが、中長期的に見ますと、我が国産業の競争力を図っていくためには、世界に通用する、世界と戦える新技術を創造し、この知の創出という、それと蓄積でもって戦っていく必要があると認識しております。  企業は、今や知的財産権を単なる無体財産権というのではなく重要な経営資源としてとらえ、知的財産戦略を経営戦略の柱の一つとして位置付けておりまして、知的財産権問題に非常に真剣に取り組んでいるところであります。こうした時期に本法案が国会の場において審議される運びとなりましたことは、産業界としては極めて適切かつ時宜を得たものと高く評価しております。本法案の一日も早い成立を期待しております。  また、本法案では第四章におきまして、知的財産の創造、保護及び活用に関する施策の集中的かつ計画的な推進のために内閣に知的財産権本部を置くことを規定し、本部長には内閣総理大臣をもって充てるということになっておりますが、これらの施策の推進に当たっては、国の組織としても内閣官房を始めとし、多くの省庁の協力が必須であると考えておりまして、かかる観点から総理自らが本部長として関係各省庁の総力を結集して対処していただくということは大いに評価できると考えておりますし、期待しております。  さらに、第三章におきまして、本部が推進計画を作成し、その実施を推進するということになっておりますが、産業界といたしましては、本推進計画が競争力強化の観点から実のある形で立案され、本部の主導の下で強力に推進されることを期待しております。  去る七月に決定、公表されました知的財産大綱によりますと、二〇〇五年度までの長きにわたって多くの課題に取り組むことになっておりますが、産業界としましても推進計画の策定に当たり、必要に応じ積極的に提言させていただく所存でございます。また、国、地方公共団体、大学等及び事業者間で連携を強化するとともに、推進母体である知的財産権本部の陣容を充実することが特に重要であると考えております。  さて、先ほど述べましたように、国際競争が激化する中で、私ども企業は競争力確保のため事業の集中と選択を進め、世界で勝ち得る強い事業作りを志向しております。研究開発と知的財産戦略を柱にした経営戦略をそういった考えで推進しているところであります。そのような立場から、知的財産戦略上重要と考えております三点に関連しまして、本日は要望を及び意見を述べさせていただきたいと思います。  第一は、知的財産創造へ向けての産学連携の強化でございます。小柴先生の方からもお話がございましたが、この産学連携の強化というのが大変重要と考えております。  御高承のとおり、国際競争の変化に伴い、今、我が国の企業は苦戦を強いられておりまして、研究開発につきましても、集中と選択、取組の重点化を余儀なくされております。こうした背景から、技術革新の急速な進展をリードする基礎研究につきましては、企業が自前で行うことが資金的、人的にも困難となってきておりまして、大学等が基本特許につながる革新的ブレークスルーを担うことに対する期待は一段と高まってきております。  また、応用技術分野におきましても、企業としましては産学連携を強化し、大学等の力をかりることが不可欠と考えております。この点に関連しまして、幾つか付け加えたいと思います。  まず、大学における知的財産創造のための体制構築ということでございますが、日本の大学は従来、一般に産業の発展に資する知的財産の創造への関心が欧米と比較して低かったと考えております。大学において知的財産を創造する仕組みを早急に構築していただきたいと思います。  現在、大学発の知的財産の産業界への移転促進を図るためのTLOの活動が開始されておりますが、知的財産の創造を促進するための取組も必要と考えております。この場合、企業の立場から見ますと、知的財産の創造から活用といいますのは一連の活動として密接に連携すべきものでありまして、大学における知的財産体制におきましても、知的財産の創造等の目的で現在設置が検討されている大学内の知的財産権本部とTLOの連携を是非とも強化していただく必要があると考えております。  もう一つは、大学発知財権の産業界移転を円滑にする制度の構築でございます。移転を円滑にするためには、知的財産権の帰属の問題が重要であります。現在、国立大学等における発明の帰属は国帰属が主体となっておりまして、利用する際には、その都度時間の掛かる手続を踏んで国の許可を得る必要があります。産業界から見ますと、このことが権利の幅広い活用の障害となっていると考えられます。かかる観点から、今後、欧米と同様に大学又はTLOに帰属させるいわゆる機関帰属としていただき、移転の促進を図っていただきたいと思います。  また、大学等における知的財産の創造を促進するためには、これも外国では一般的なことでありますが、海外から優秀な研究者を受け入れて一緒に研究を行う方向をもっと志向すべきと考えております。そのような場合、日本の研究者と一緒に海外の研究者も入って新しい知的財産権が生まれますが、それらの取扱いの仕組みも検討しておいた方が良いと思います。  知的財産戦略上重要な第二のポイントは、先端技術分野における国際標準化と関連知財活動の強化であります。先端技術分野、特に、例えば情報通信分野等においては、国際標準などがビジネスと直結する場合が非常に多くなってきております。国際標準を支える知的財産権が企業の競争力の重要な要素となってきております。  例を申しますと、携帯電話では欧州、アジア諸国において欧州メーカー主導のGSM方式が標準に採用されていることから、日本の技術及び知的財産権を生かせず、日本製がビジネス上劣勢に立たされているのが現状であります。また、次世代であります第三世代の国際標準におきましても、基本特許の多くを欧米企業が取得しておりまして、今後第三世代製品の普及が始まりますとロイヤルティー支出の増大が見込まれ、携帯電話事業そのものに少なからぬ影響があると考えております。  ところで、欧米の国際標準化活動を見てみますと、米国の場合、標準化機関に当たるNISTが商務省等の政府機関と緊密に連携し、財政支援も受けて、産業界を全面的にバックアップする標準化活動を展開しており、また欧州の場合も、学界の積極的な参画と関係国政府の支援を受けて標準化活動を行っております。  一方、我が国におきましては、企業の自主的活動が主であり、政府の関与、支援と学界の参画も欧米に比べて弱く、日本発の技術の国際標準化活動において後れを取る傾向にあります。このため、優秀な技術であっても、国際標準にして世界に向けて普及させることが難しく、知的財産戦略において日本が劣勢に立たされることが多いわけでございます。このような状況にかんがみ、日本発技術の国際標準の取得を促進するため、民間企業及び大学が国内外の標準化作業の場で強く連携し、これに国が積極的に関与するということが望ましいと考えております。  また、国際標準、特にデファクトスタンダードに関連した知的財産権の運用に関し、動画圧縮技術であるMPEG、デジタルビデオ記録に関するDVD、あるいは第三世代携帯電話等にかかわる国際的な特許プール機構が設立され、又はされようとしておりますが、これは技術の標準化による利益と特許独占による弊害の調和を図る大変適切な仕組みではないかと考えておりまして、このような取組に対しても、民間企業が努力することは当たり前でありますが、国の理解と支援も大変重要と考えております。  知的財産戦略上重要な点の第三を申し上げます。海外における知的財産の創造、保護及び活用の強化でございます。  企業にとって知的財産の創造、保護及び活用を図るためには、グローバルに権利を取得することが不可欠であります。このため企業は、欧米はもちろんのこと、事業と密接な関係にある多数の国に特許を出願することを余儀なくされておりますが、このための費用、手間は膨大なものとなっております。当社の場合、海外での特許取得をする費用は全特許経費の約三分の二を占めるに至っております。  また、日米欧等の各国特許庁では、年々増加する各国企業からの海外出願の増加に伴う審査滞貨の急増が審査処理を圧迫し、適時適切な権利の発生を妨げ、知的財産の創造を損なう状況にあります。かかる状況にかんがみ、海外出願のコストの削減及び各国における権利化の促進のために知的財産制度の国際調和に向けた更なる努力をお願いしたいと思います。各国制度の統一が究極の理想の姿でありますが、これには時間が掛かると思いますので、当面は主要先進国間での審査結果の積極的活用など、早期審査に資する取組を是非お願いしたいと思います。  また、今日、中国などのアジア諸国は世界においても数少ない成長市場であります。携帯電話、自動車それから家庭電器品など、市場としての成長性は極めて高く、我が国企業の将来の成長もここでの活躍に左右されると言っても過言ではありません。しかしながら、これらの国の知的財産制度は、法制度の形式面では整いつつもありますが、全体としてはなお多くの問題を抱えております。このような知的財産の保護に関する制度の整備が十分に行われていない国では、我が国企業による現地での事業を知的財産で保護することができず、大きな不利益を被る結果となります。  したがって、我が国の企業がこれらの国において迅速かつ確実に知的財産を取得し、またその権利を行使できるよう、例えば特許庁での審査体制の支援協力、現地審査官の我が国特許庁での研修等必要な措置を、現在もやっていただいておりますが、更に積極的に講じていただきたいと考えます。  さらに、例えば中国等におきましては、今日模倣品問題が大変大きな問題となっておりまして、これらにつきまして私どもは日々努力しております。この対策を努力しておりますが、国としても関係当事国と積極的な交渉を行うなど適切な対応をお願いしたいと考えます。  以上、産業界の立場から本法案に対し意見を陳述させていただきました。重ねて、本法案の一日も早い成立をお願い申し上げます。  以上で終わります。

田浦直自由民主党・保守党

○委員長(田浦直君) ありがとうございました。  次に、松尾参考人にお願いします。松尾参考人。

松尾和子弁護士弁理士知的財産戦略会議委員

○参考人(松尾和子君) 弁護士・弁理士の松尾和子でございます。知的財産戦略会議の委員も務めましたので、そのときの議論も踏まえまして意見を述べさせていただきます。  お手元にレジュメを配らせていただきましたけれども、この知的財産戦略会議は、この三月、春に設置されたわけです。七月には知的財産戦略大綱が公表され、十一月には、はや知的財産基本法案が国会で審議されることになりまして、停滞気味の日本社会においては異例の速さだろうと思っております。しかし、このような迅速な対応というのは知的財産の特質、我が国の国際競争力が低下している現状、それからこれから山積みされた解決課題を考えますと、当然に必要なことであるというふうに思います。  基本法の第二条を見ますと、知的財産あるいは知的財産権とはという定義がございます。広く技術、デザイン、ブランドあるいは音楽、映像などのコンテンツ、ノウハウ等、付加価値の高い無形財産、情報というものを包含しております。戦略大綱は、このような無体財産を経済社会の再活性化の基礎に据えることを目的としているわけです。このような目的にふさわしい知的財産創造の環境整備また知的財産活用のための経済社会基盤、またこの作られた知的財産を保護し、この権利を実現するためには、それに相応した関連法規の整備、司法制度の構造改革が必要であると思います。このような新境地を築くような改革というのは、国家として集中的に、計画的に、総合的に実施していただく必要がありますので、是非この知的財産基本法の早期成立をお願いしたいと思います。  また、既にこの戦略大綱に具体的な施策、改革の項目、期限が付けられておりますので、これに向けた審議や検討が進められております。したがいまして、それとの関係におきましても、この知的財産基本法の早期成立が必要であろうと思います。  基本法の第一章は、今言いましたような目的とか基本的な理念、それから国、大学、産業界の責任及びその連携の必要性というのを説いております。第二章に行きまして、基本的施策になります。研究開発とか産業界との関係というのは、今までお二人の参考人が述べられると思っておりましたらやはり述べていただきましたので、私はこの中の法的措置に関係するものにつきまして、私自身、戦略大綱の下で産構審が行っておりますいろいろな今までの検討事項につきまして御説明いたしまして、意見を述べたいと思います。  産構審の下に紛争処理小委員会、特許制度小委員会、不正競争小委員会というのがございます。私、いずれもこれに出ておりますので、そのポイントを次のところに、二ページに述べておきました。問題は、まず基本法の十四条関係ですが、ここでは特許等知的財産権付与の迅速化ということで、まず迅速的確な審査制度が問題になります。  今、野間口参考人が言われましたように、これは国際的な状況ですが、出願・審査請求というのが増加しております。特許の内容は技術の進歩に伴い複雑かつ高度化しておりますので、審査にも時間が掛かります。ということで、ここにおきましたように、出願してから待つ時間、審査まで待つ時間でも二十二か月掛かっているというような状況です。また、国際出願がなされますと、その調査や国際予備審査のために特許庁で作業が必要になります。ということで、迅速かつ国際的に調和の取れた的確な審査制度というのが要求されると思います。そのために、どうしても人員の増加というのを考えざるを得ないかと思います。  また、先行技術文献調査につきましては、どうやって外注を拡大し民間の知的財産の調査機関を育てるか、それをどう利用するかという問題もございます。審査基準の国際的調和というのもあります。また、日米、三極等の国際機関との調査協力の推進も必要です。審査結果を共同で利用するということも必要です。そのほか、今まで行えなかった官じゃなくて官民の意思疎通によって審査を有効に促進するということも必要であり、法制面、それから運用面の双方からの改革が要求されると思います。  出願人の方も、この基本法の十四条の二に書いてありますように、発明の内容を高める、それから出願を厳選する、あるいは現在ある早期審査制度を利用する等、審査に協力する必要があろうかと思います。  また現在、これらと関係しまして、出願料や登録料の値下げ、審査請求の値上げというようなことが議論されております。発明は、先願主義の日本の下では早く出願されなければなりませんけれども、出願だけではなく権利を取らなければならないと思います。その出願から権利取得までの全体の流れの中で、この知的財産立国にふさわしいような特許行政というものを根本的に考え直す必要があろうかと思います。  ちょっと飛びますが、この十八条に、「新分野における知的財産の保護等」というのが基本法の十八条にあります。これに関連しまして、現在、医療行為と特許権等の検討もなされております。  それから、これらが特許制度小委員会で検討していることですが、紛争処理委員会の方では、特許が、権利付与の過程、あるいは権利付与後の権利の有効性の早期確立というところで、審判制度を議論しております。その結果、例えば異議申立てと無効審判制度を一本化するとか、新無効審判制度をどういう構造にするかとか、裁判所に対して特許庁の審決の取消し訴訟がありますが、それとの関係をどうやって行い、裁判所と特許庁の連携をどのようにして促進していくかということも検討されております。  ここでは、訂正審判制度の廃止、これを民間の仲裁センター、ADRに移行するようなことも議論されておりますが、ADRにつきましては、基本法、知的戦略大綱ですね、そこにも規定されておりますけれども、なかなかADRに対する一般の認識といいますか、あるいは産業界の要望といいますか、そういうものがまだつかみ切れない、あるいは形成され切っていないということで、なかなかこういうADRの活用というのは難しい状況ではないかと思いますので、こういうものは一般に裁判とADRの関係として検討する必要があろうかと思います。  また、戻りますけれども、特許制度小委員会の方では職務発明についても検討することになっております。しかし、これにつきましては、現在、アンケート調査その他、外国法制及びその運用、問題点というのを調査中なので、こういう資料が集まりましてから早急に制度の確立のために検討を始めることになり、その必要があろうと思います。  次に、基本法の十五条ですが、ここでは「訴訟手続の充実及び迅速化等」というのが問題になっております。  知的財産訴訟の迅速化につきましては、早くから産業界からも法曹からも要求がありました。それで、裁判官や調査官の増員等行われてきましたが、現在、東京、大阪の裁判所で見る限り、一般の民事訴訟よりも下回る審査の期間というのを示しております。司法制度改革推進本部では、一般の訴訟事件について、裁判所、訴訟当事者に二年以内に第一審判決をということを努力義務として課すると言っておりますが、知的財産訴訟につきましては、東京では十五か月、大阪地裁でも十八・五か月というように努力の結果が見られております。  しかし、この知的財産訴訟につきましては、迅速だけではなくて充実と信頼性の向上というのがもちろん必要となります。これにつきましては、技術専門家の関与というのをどういう形で認めていくか、それから訴訟の管轄の集中化ということが問題になろうと思います。また、証拠収集の充実化、拡大というのも重要なポイントでございますけれども、これにつきましては、現在、憲法の下に裁判公開の原則というのがございます。それとの関係で、どういう範囲でどのようにして非公開のインカメラ手続を認め、一部は認められておりますが、あるいはこれを今以上に有効にして、どのようにして相手方から証拠の提出の促進をするかということが議論中であります。これにつきましては、新しく設けられました司法制度改革推進本部知的財産訴訟検討会が担当しております。  日弁連でも、八月になりましてようやく知的財産政策推進本部というものを設置しまして、こういうところに代表を送りまして、また、その推進本部におきましても、それから従来からある知的所有権委員会におきましても、すべて今問題に挙げましたような課題について検討しているところでございます。  次に、戦略大綱にも盛られました営業秘密の保護の問題です。  まず、これは不正競争防止法に規定がございます。不正競争防止法というところに、まず、今問題になっておりますのは、営業秘密について刑事的制裁を設ける規定を置こうということです。大分議論されておりますけれども、まだいろいろ、民事救済で今までの制度で補えないところといいますか、新しく競争秩序に反するものとして問題になるようなところに刑事的制裁を課すべきであるという観点から、どの範囲で刑事的制裁を課するか、あるいは裁判の公開の原則、それから刑事被告人の権利の保護との関係でどのようにバランスを取っていくべきかが検討されております。  また、不正競争防止法の民事的救済規定には、これは特許法よりもその損害賠償とか証拠収集についての規定が後れているといいますか弱かったわけなので、こういうものを少なくとも特許法並みに拡充しようということがほぼ決まっております。同じような問題は著作権法についてもあると思います。  次に、第十六条にあります権利侵害への措置ということで、先ほど野間口委員も言及されたところです。  これにつきまして、まず国内では水際措置と言われる措置で、関税定率法に規定はございます。しかし、この知的財産侵害品や輸入禁制品につきましては、輸入差止めの認定手続を取るべく税関長に申請する権利というのは、現在のところ商標権者、著作権者、著作隣接権者に限られております。商標権という、ブランドですね、見れば分かると思うんですけれども、しかしその侵害の有無の判断になりますと法律的判断が必要になりまして、簡単ではございません。  現在、特許権者や種苗法による育成権者、あるいは意匠権者についてもこの申立て権を認める提案というのがなされておりますけれども、そうなりますと商標権の場合以上に法律的判断が必要となります。そういうことで、私は是非、準司法的な組織というものを税関に設けていただきたいと思っております。  それから、海外における模造品や侵害品の排除のためには、今のところ民間で模倣対策措置というのを盛んに行っておりますけれども、これを民間だけではなく国が支援していただきたく思います。また、外国の法制の後れたところにつきましては、これは民間ではどうにもなりませんので、是非国の方でバックアップしていただきたいと思います。  二十二条に人材の確保というのがあります。日弁連関係だけで申しますと、法科大学院の中で教える知的財産法の問題、それから今、弁理士に対して知的財産訴訟が一定範囲で認められておりますが、その支援につきましてカリキュラムを組んだりいろいろ努力をしております。  最後に、この基本法ですが、第三章は戦略本部が置かれたときの問題ですが、戦略本部につきましては是非強力な本部を作っていただきまして、この知的財産戦略の司令塔になっていただきたいと思います。  それに関連しまして、三点だけ挙げておきましたが、八ページですが、この一は読んでいただいたとおりですが、二番目に、達成状況を適切に調査の上公表し、各界の意見を吸収して効果的に推進していただきたいと思います。目的が具体的に決まっており時間も決められますので小さくまとまりがちですが、そういうことがなく、戦略大綱にのっとって、あるいは基本法にのっとって大きな改革を遂げていただきたいと思います。  そして、この改革が終局的には国民を文化的に精神的に豊かにし、国民が喜ぶものにしていただきたいと思います。日弁連としましても、私個人としましてもいろいろ本部の活動にも協力したいと思います。よろしくお願いいたします。  以上です。

田浦直自由民主党・保守党

○委員長(田浦直君) ありがとうございました。  以上で参考人各位の御意見の陳述は終わります。     ─────────────

田浦直自由民主党・保守党

○委員長(田浦直君) 委員の異動について御報告をいたします。  本日、緒方靖夫君が委員を辞任され、その補欠として畑野君枝君が選任されました。     ─────────────

田浦直自由民主党・保守党

○委員長(田浦直君) それでは、これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言をお願いします。

加納時男自由民主党・保守党

○加納時男君 自由民主党の加納時男でございます。  小柴昌俊先生、野間口有先生、松尾和子先生、三人の参考人の方、今日はありがとうございました。大変示唆に富んだ有意義なお話をいただきました。ありがとうございました。このお話に基づきまして質問させていただきたいと思います。  初めに小柴先生でございますが、お話の中で、冒頭に、企業の目先の利益に資する技術開発も大事だろうが、それだけではない、国民的観点から見るともっと長期の、十年、二十年、三十年先の人類の知的財産、これに関する基礎研究も大事だよと、こういった分野はむしろ国が非常に大事な役割を果たすよというお話、私も小柴先生と同じ大学で教師を十三年やっておりましたので痛感するところでございます。全く大事なことだと思っております。  その上で御質問したいと思いますが、大学と企業の関係について、特に大学の基礎研究と企業の技術開発の関係について伺いたいと思います。  先生、ノーベル賞お取りになられましたカミオカンデの検出装置のことでございますが、ニュートリノが水分子中の電子に衝突する際に発するチェレンコフ光をとらえる装置として使われたのが実は浜松ホトニクスという企業の光電子増倍管だというふうに新聞で読んだわけでございますが、こういったことを一つの事例として、大学の先生のような長期にわたる基礎研究と企業の技術開発がうまく結び付いた例かなと思いますが、その関係について先生、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

小柴昌俊東京大学名誉教授

○参考人(小柴昌俊君) 御指摘の浜松ホトニクスとの関係は次のようなものでございます。  浜松ホトニクスという会社と最初に私どもが縁ができましたのは、その数年前、私どもがヨーロッパで電子と陽電子の衝突を国際共同実験として実施するということを始めたときです。  そのときに新しい測定装置としてあるものを考えたのですが、それに使う光電子増倍管、それがたまたま強い磁石のそばで使わなければならないという事態になったもので、そういう光電増倍管は世界じゅうどこを探してもなかったわけです。  そこで、今、残念なことに亡くなってしまいましたけれども、折戸という教授が中心になって磁石のそばでも使える光電増倍管を開発しようということで、当時浜松テレビと言っていた会社と協力して、そういう新しいタイプの光電増倍管を開発するのに成功したわけです。  そういうことがありましたものですから、私が世界でいまだ存在しない極めて大きい光電増倍管が欲しいと思ったときに、そこの会社の社長と技術部長に来ていただいて、いろいろ長いこと掛けて説得をし、更には私の研究室の二人を開発のための共同研究に派遣するからということで、浜松ホトニクスの方も納得してくれて開発に踏み切ったということでございます。  また、この法案に関連するようなこととして、特許とかそういうことというのは我々全然疎いものですから、浜松ホトニクスの方で取ったかどうかは私、存じません。

加納時男自由民主党・保守党

○加納時男君 ありがとうございました。  大学の方で先生が、世界にまだない磁石のそばでも使える光電増倍管を開発したいという強いニーズを申され、それをまた開発しようという企業の強い意欲があって、これが結び付いて先生のまたノーベル賞にもなられたと思っております。すばらしいお話だと思います。  こういう理科に関する、自然科学に関する話というのはとっても幅が広く、奥行き深いんでございますが、私、この一年間、実は文部科学省というところで大臣政務官をやらせていただきました。そのときに私が一番やりたかったことの一つが理科教育でございます、理科の教育。日本人がどうも理科離れ、自然科学離れをする。大学を受けるときにも理科とか数学は当然私は入学試験であっていいと思うんですが、そういうことがなくても大学生になれる、それで卒業した後、いろんな科学について怖いとか危険だとかって文学的に言っているような時代があります。今日はその話じゃないんですけれども、基本的に言いますと理科離れというのは大変なことだと。理科を大好きになるプランを作ろうということを文部科学省でやりまして、実現しつつあるんですけれども、そういう意味で、理科教育について先生のお考えを伺いたいと思っております。  先生は中学生時代に学校の先生から「物理学はいかに創られたか」という本を読むように薦められて、それを先生が読まれて、御自身の自然科学への、物理への興味がわかれたということを新聞で読んだことがございます。こういう自然との触れ合いですとか未知との出会いというのはとっても人間にとって刺激的なことでございまして、驚きとかときめきというのは言わば科学する心だろうというふうに思うわけでありますが、こういうことについて、理科教育について先生、何か御示唆いただけたら有り難いと思います。

小柴昌俊東京大学名誉教授

○参考人(小柴昌俊君) 私、ほかでも申し上げたことがあるんですけれども、大人になった人を見ますと、理科嫌いという人と理科好きという人ははっきり分かれちゃっているんですね。じゃ、どのくらいの年のときにそれが分かれちゃうのかと自分の経験も照らして考えてみますと、どうも十二、三歳ごろというのが分かれ目じゃないかという気がするんです。そのころに理科の先生にいい先生がいて、その先生を好きになると理科が好きになるということが大分効いているようなんですね。  理科というのは変な学問で、これ音楽と同じじゃないかと思うんですけれども、自分でやってみないと面白みが分からない、こういうところがあると思うんです。  私、あるところでも申し上げたんですけれども、アメリカ、私の見たのはボルティモアですけれども、科学博物館がありまして、その科学博物館の相当広い面積というのが幾つかのコーナーに分かれていて、そこに子供が勝手に行って自分でいろんな実験をやれるようになっているんですね。それで、別に指導員がそばにしょっちゅう付いているわけじゃない。相談に行けば相談に乗ってくれるんですけれども。子供たち、開館と同時にわっと入って、それぞれ自分の気に入ったところへ行って、自分の好きなように実験をやって遊んでいるんですね。実に楽しそうなんです。  そういうことというのは、理科を自分でやる楽しさを味わわせるということでとっても大事なことだと思うんです。ですから、我が国でも、ただ大きなダイナソアのあれを見せるだけじゃなくて、子供たちが自分で実験を楽しめるようなそういう博物館を是非ともいろんな県で作ってやってほしいと、こういうふうに私は考えております。

加納時男自由民主党・保守党

○加納時男君 ありがとうございます。  先生おっしゃったとおり、小学校から中学校に進むときがやっぱり変化があると思います。いろんな世論調査をやりましても、あるいは国際比較をしても、小学校では理科、算数ともに決して悪くない。できはいいんですね。ところが、中学生にアンケートを取ると理科が面白くないとか嫌いとかいうのが増えてきまして、高校になると非常に増えちゃうと。これ、やっぱり改善のヒントがそこにあると思いますので、先生のお話をこれから参考にさせていただいて、是非教育の改善にも政治家として取り組んでまいりたいと思います。  次に、産学の連携についてもうちょっと伺いたいと思いますが、先ほど野間口参考人の方から産業競争力強化のための産学連携の強化が不可欠だということ、そのための方策幾つか言われた中で、大学における海外からの研究者の受入れの促進が大事だと言われました。  また、小柴先生も長い間国立大学におられて、国立大学では、国立大学の教員は公務員だと、公務員は日本人じゃなきゃならないというので海外からの優秀な研究員の受入れが難しいということになっていました。これから国立大学法人になり、さらに国立大学のより民営化に近い方向を我々は目指しているわけでありますけれども、そういった中において、こういった海外からの研究者の受入れの促進について、小柴先生、そして野間口先生から一言ずついただけたらと思います。

小柴昌俊東京大学名誉教授

○参考人(小柴昌俊君) 先ほども申し上げましたように、学問というのはどの国の人間にも理解できて、どの国の人間にもプラスになるということが本質的な問題だと思うんです。そういった意味で、どこかの国の大学がその国の人間だけで作り上げなきゃならないというのはちょっとおかしな話で、元々。  ですから、先ほども申し上げましたように、優秀な人材はどんどん採って、またこちらの優秀な人材も外国へどんどん派遣するということがもっと行われていいし、さらには、今度の化学賞をいただいた田中さんのように、民間でやっておられて学位も取っていないけれども立派な仕事をなさった方というのは、方々の大学が競ってうちに来て学生を教えてくださいということが出てきて当然なはずだと私は思っているんです。  ですから、大学と産業界の人間の交流というのはもっと本気で考えてしかるべき問題だと私は思います。

野間口有三菱電機株式会社代表取締役社長

○参考人(野間口有君) 海外からの研究者の受入れということにつきまして述べさせていただきたいと思いますが、私、こういう立場になります前から三菱電機で開発部隊を率いておりまして、二千人ほど国内に研究者がおります。海外にも百五十人ぐらい、ヨーロッパ、アメリカ合わせて、合計しますと研究者がおりますが、そういうこともありまして、アジア各地、欧米各地いろいろ回りまして、その地域の政府機関あるいは大学とも交流をやる機会が多かったわけですけれども、そこで感じますのは、非常に外国の優秀なトップクオリティーの人材を受け入れるというのに対して積極的、壁が低いというふうに感じます。  そこへいきますと、日本では空洞化とか産業競争力とかいいますけれども、何か日本が非常に高いところにあって常に流出を心配しているというような感じがしまして、流出は結構、その代わりどんどん俊英を受け入れますよというようなことで考えなければ、これから日本の知的創造力というのは非常に大きな問題になっていくんじゃないかなと思います。  そういった意味で、一番それが弱いのは大学じゃないかと。企業はやはりそれなりの工夫をしてできる範囲で努力はしておりますが、やはりアカデミアのところでもう少し踏み切った海外からの俊英の受入れの仕組みを考えていただきたい。これはマインドの問題もありますし、仕組みの問題もあります。  それから、先ほども申しましたけれども、そこで出てきました知的財産をどういうふうにシェアしていくかと。日本がテークリードすることによって生まれた財産でございますので、日本が生み出したと言ってもいいわけですね。日本の研究者も参加し、海外の研究者も参加し、それで一緒に新しい知的財産を生み出すと、こういうものにもっと意を砕くべきだというふうに思います。

加納時男自由民主党・保守党

○加納時男君 ありがとうございました。  海外から大学と企業等によって研究員もどんどん受け入れていこうということ、そのときの問題としてはマインドと、それからレジームといいますか、仕組みですね、これが大事だということは大変よく分かりました。  野間口参考人に伺いたいと思いますが、いわゆる死の谷という言葉がございます。これは、大学でせっかく取った特許が企業の方にうまく移転して活用されずに、その間のところにおっこってしまう。これはデスバレーといいますか、シリコンバレーじゃなくて死の谷と、こう言っておるのでございますが、この死の谷をどうやったならば越えることができるかというのが知的財産戦略として大事かと思うんですけれども、これは企業経営者として、どういうふうなことを企業としては努力し、大学には望まれるでしょうか。

野間口有三菱電機株式会社代表取締役社長

○参考人(野間口有君) ありがとうございます。  デスバレーという言葉が出てまいりまして、本当にRアンドDをいかに生かすかということで日夜考えておられる先生らしいなと思いました。  私ども、実を言いますと、開発にはいろいろチャレンジしますけれども、それが事業につながるというところで大きな関門がございまして、アメリカでは私は最初、企業の中における開発投資と事業化の壁をデスバレーと言ったように思うんですが、今日の御指摘では、大学で生まれる知的財産が事業につながらないという意味で、もっと大きなデスバレーがあるんじゃないかという御指摘だろうと思いますが、そういう観点でいきますと、先ほども述べさせていただきましたのとちょっと繰り返しになりますが、大学における知的財産の創造の体制構築でございますね、これは大変今新しい動きになっておりまして、知的財産権本部を考えようとか、そういう一元的に知的財産の創造と活用を考えるような仕組みを考えようとか、取組が始まっておりますけれども、そういったものも是非強化していただきたいと思います。  それから、これも繰り返しになりますが、知的財産を民間に移管しますときに、今、国の財産というのは、国家財産を軽々に扱えませんので、大変な手間と時間が掛かりまして、これはやはり機関帰属にしていただいて、事業本位で、競争本位でタイムリーにそれがうまくシフトできるように考えていただくと、こういう改善を図るべきだと思います。  それからもう一つは、大学の優秀な先生方の企業への、あるいは企業から大学への人材のシフト、こういう人材の相互交流でございますね、これが正直言いまして、国家公務員法との問題もありますでしょうし、余りレベルが高くないと思っておりまして、先生方の例えばインターンシップ制度とか、ああいうのをもっと拡充していただいて、企業における企業家を目指した第一線の生の経験もしていただくと更に実効的な知的財産権の発掘につながるんじゃないかと思いますので、そういった点も考慮していきますと、死の谷というのは必ず存在するものでございますけれども、その谷を埋めて、少しでも効率の良いRアンドDができるんじゃないかと、私はそういうふうに考えております。

加納時男自由民主党・保守党

○加納時男君 ありがとうございました。  松尾先生への御質問、いろいろ考えておりましたけれども、私の質問の仕方がうまくなくて時間がなくてごめんなさい。同僚議員が質問いたしますので、よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。

若林秀樹民主党・新緑風会

○若林秀樹君 民主党・新緑風会の若林でございます。  私の方からも質問させていただきたいと思います。  今日は、大変お忙しいところ、三人の御参考人の方においでいただきまして、ありがとうございました。  小柴教授におかれましては、本当にノーベル賞受賞、本当におめでとうございます。私の名前は若林秀樹と申しまして、秀樹というのは小さいころから湯川秀樹にちなんで付けられたと。気が付いたら全然違う世界にちょっと来ていたんじゃないかなという感じはしますけれども、そういう意味で、私も小さいときからそのノーベル賞というものが常に何か身近に感じながらこれまで来たわけでございますけれども、今回、あれから五十年という年月を経てダブル受賞ということで、やっぱりちょっと今元気のない日本において、非常にそういう元気を取り戻す自信にやっぱりつながったんではないかなという感じはしているわけでございます。  そこで、最初の質問なんですけれども、小柴教授から見て、今、我が国の基礎技術レベルというんでしょうか、どんなふうにとらえて、ちょっと一般論で難しいかもしれませんけれども、まだまだノーベル賞受賞にふさわしい技術は一杯あるんだというふうにお思いなのか、いや、そうじゃない、まだまだここで安心しちゃいけない、まだまだこれからどんどんやっぱり日本はもっと基礎技術、その開発に力を向けなきゃいけないのかという、一般的なちょっと質問で恐縮ですが、お答えいただければ有り難いと思います。

小柴昌俊東京大学名誉教授

○参考人(小柴昌俊君) 私、別に誇張して言うわけではございませんけれども、あと三、四年、あるいは四、五年かもしれませんけれども、少なくとももう一つの物理学賞は神岡の実験から出ると思っております、ほかの、化学とかほかの分野のことは私、存じませんから。  さらに、今、私どもの分野の若い人たちが一生懸命に推している将来計画というのが国の応援を得て実施されるのであれば、十年後にもう一つ物理学賞が来るという可能性は極めて高いと私は思っております。それから先のことは私には分かりません。

若林秀樹民主党・新緑風会

○若林秀樹君 ありがとうございました。  ある意味では、国の支援というのか、そういうのがやっぱり必要だということだというふうに思っているところでございます。  先ほど自由な発想というんでしょうか、そういうものも必要だというふうにおっしゃられたんではないかなと思いますが、産学の連携で、基礎技術というのはやはり大学でしっかりそれを育てて応用的なものは企業でという、その辺の産学連携をすると、それが何かちょっと侵食されるというんでしょうか、やっぱり応用技術にちょっとシフトしやすくなっちゃうんではないかなという感じも危惧しているんですけれども、その辺のバランスの取り方というのはどんなふうに小柴参考人はお考えでしょうか。

小柴昌俊東京大学名誉教授

○参考人(小柴昌俊君) よく聞いていただけたと思います。  最近、新聞などで見ますと、科学技術を振興しなくてはならないということが非常に強く言われて、うれしいことには違いないんですけれども、その科学技術というのが役に立つ技術のための科学だというふうに理解されているんじゃないかと思われる節が多くの面で見られます。  確かに、技術に役立つような科学の研究というのが我が国の産業の将来にとって極めて大事なことはだれも疑わないことです。ですけれども、国全体としての科学政策というのが技術に役に立つ科学だけに集中されて、技術にすぐ役立つのでない、もっともっと基礎的な科学、先ほど私が申し上げましたように、十年、二十年たってみなければ役に立つかどうか分からないような、そういう基礎的な学問に対する国の応援というのが景気、不景気によらずある割合で保ち続けていかなければこの国のそういった基礎科学の将来はなくなってしまうと思うんです。是非そのことを議員の先生方に頭に置いていただきたい、そういうふうにお願いいたします。

若林秀樹民主党・新緑風会

○若林秀樹君 ありがとうございました。  私も議員の一人としてそういうことに対する理解をより深めていきたいなというふうに思っております。  続いて、野間口参考人にお伺いしたいと思います。  野間口参考人は三菱電機の社長になられたということで、研究畑、技術畑出身の社長という意味では、何というんでしょうか、時代の要請というんでしょうか、これからの三菱電機さんの方向性を示唆するようなものではないかなというふうに思います。  その中で、この前、世界経済フォーラムの競争力の発表がありまして、そこでは全体的には二十一位から十三位へ上がったということなんですが、その中で特筆すべきことは、企業の革新性というものが一応世界で一位にランクされたというところでございます。そういう意味では、せっかくの企業の革新性、技術がありながら実績になかなか結び付きにくいというのは、もちろんその企業内の問題もあるかもしれませんけれども、社会やあるいは政府の役割として、御自身の実感としてどういう面を改善すべきだというふうに考えていらっしゃるか、ちょっとお聞かせいただければと思います。

野間口有三菱電機株式会社代表取締役社長

○参考人(野間口有君) 私どもは、八〇年代後半それから九〇年代前半にかけまして、グローバルな意味で大変な成長をさせていただいたと思っておるわけですが、今の御指摘で、ここ九〇年代の終盤から今日にかけまして大変な苦境の中にありますが、これは一つには、日本企業としての八〇年代後半から九〇年代にかけて成長してきたモデルが少し古くなったと、新しい競争モデルを確立する今産みの苦しみの時期かなと私は思っております。  そういうことも背景にありまして、この知的財産大綱とか本法案等が検討されるというんじゃないかと思いますが、欧米もそうですし、アジア各国へ行きますと、私どももそうですが、日本企業が進出しましてどんどん効率的な生産をやっております。これが一〇〇%の資本の場合もありますし、現地企業とジョイントベンチャーでやる形もありますが、そこのドライビングフォースになっておりますのはやはり技術でございまして、日本生まれの技術がそういった競争力のある製品群を市場に提供していると。しかも、それが日本で次々に新しい、例えば環境対策とかあるいはエネルギー問題とか、そういう新しい課題が出るたびに新しい技術レベルに到達しまして次々に生み出しているがゆえに、日本企業は今現在、損益的な目で見ますと一見苦しいようには見えますけれども、この知的財産的なプレステージでいいますと、大変なやはり存在感を示しながら経営ができていると。  この辺を軸にして、再度世界における経営モデル、こういったものを主張し確立していくような今前夜じゃないかなと、そういうふうに思って日々経営しているところでございます。

若林秀樹民主党・新緑風会

○若林秀樹君 ありがとうございました。  最後の五分間は同僚の簗瀬議員の方から質問させていただきますので、私としては時間は最後になると思いますが、松尾参考人にお伺いしたいなというふうに思います。  松尾参考人、弁護士であり弁理士ということで、まだまだそういう方は日本ではやっぱり少ないのかなという感じがしていますし、圧倒的な人数として、こういう知的財産に詳しい方が私はやっぱり少ないんではないかなというふうに思います。  そういう意味では、もっともっと弁護士、弁理士の方が増えるということが必要だと思いますが、弁理士の方は訴訟代理権が拡大したとかということで徐々にそういう仕事の領域が広がってはいると思うんですけれども、将来を見据えたときに、この知的財産をどうやってやっぱり活用し保護していくかというときに、弁理士と弁護士の役割分担というんでしょうか、どんな具合な形が一番理想かなというふうに考えていらっしゃるか、ちょっとお伺いしたいと思います。

松尾和子弁護士弁理士知的財産戦略会議委員

○参考人(松尾和子君) お答えします。  私としましては、弁理士の方に嫌われるかもしれませんけれども、弁理士が訴訟代理権の方で活躍する、これも結構ですけれども、まず優れた明細書を作っていただきたいと思います。そして、そのためには、早い段階で、これは大学や企業の方にも提携していただく必要がありますけれども、発明の早い段階でその問題になっている技術を知って、そして早くから明細書の準備をして、しかもその明細書は、特許でいえば権利を取るだけではなくて最終的に実行できるような、訴訟でも問題なく実行できるような、そういうところを見据えたものをまず作っていただく。技術の方でもっと、何といいますか、訓練を積んでいただきたいと思います。そして、その上で、我々弁護士、これまた技術的な面で欠けておりますから、そこで大いに協力して、お互いに協力して訴訟を遂行していったらいかがかと思います。  そういう意味で、法曹の人間、今少な過ぎますので、弁理士、弁護士が協力して法曹の層を厚くする必要があろうかと思っております。

若林秀樹民主党・新緑風会

○若林秀樹君 ということで、質問の方は簗瀬議員の方からまた残りの五分をさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。

簗瀬進民主党・新緑風会

○簗瀬進君 若林議員にお許しをいただきまして、五分間だけいただきたいというふうにお願いをさせていただきました。お許しいただき、ありがとうございました。  私は、三年前、神岡にございますカミオカンデに行ってまいりまして、チェレンコフ光が反応をする純水を間近に見させていただきました。そして、予算委員会でそのことを当時の小渕総理に質問をさせていただきまして、そういう過程でずっと知財の重要性というのが皆さんに認識され、このたび知財基本法あるいは内閣府に知財戦略本部が常設のものとして置かれると。大変そういう意味では、私のこの分野でのきっかけを作ってくれたのは神岡にあるスーパーカミオカンデでございました。  その研究成果で小柴先生がノーベル賞を御受賞なさると、大変私として本当にうれしく思っております。また、こうして知財基本法の審議の中で参考人として御参加いただいているということは、本当にうれしく思っておる次第であります。  時間が限られておりますので、もう同僚議員から大変すばらしい質問と、またそれぞれの参考人の皆さんから大変示唆に富む御意見をいただけたなと思っておりますけれども、私は、小柴参考人、非常にこの知財基本法について大変重要な示唆といいますか、ある意味では一種の警鐘を私たちに与えてくれているんではないのかなと。言うならば、知財は銭になるとかあるいは知財は金になるとか、そういうふうなある意味での近視眼的な取組をしてしまいますと、結果としては本当にこの法律の意味が大変低いものになってしまうと。正にそういう意味では、この人類の共通の知的財産に我が国が貢献をするんだと、そういう大きな目標を持ってやるべきだと、小柴先生のおっしゃられるとおりだと私も思っております。  そういう中で、日本の知的創造力を高めていくためには何をしたらいいのか。私は、いろんな創造、保護、活用のプロセスがありますけれども、その中で一番大切なのはやっぱり知財の創造だろうと思います。その創造力を高めていく一番の拠点として大学があるであろうと思いますけれども、先ほど先生御自身のお言葉の中にも閉鎖的というような言葉がありましたし、また野間口参考人からももっともっと人事交流をと、こういうふうなお話もあったところであります。私は、組織とやっぱり研究資金の問題なんだろうかと思います。  現在は随分力が入っておりますので、大学を始めとしていろいろな研究の助成が講じられておりますけれども、特に組織の問題とそれからお金の問題で、先ほど言った閉鎖性というようなものが更に今後開かれたものになっていくのかということを、正に研究体制といいますか、研究の組織をどうするんだろうかということと、研究資金というようなもの、いろんな助成が来る。それをどういうふうな形で流していくんだろうかということに非常な意味があると思います。  そういう意味では、大学の創造力を高めていくポイントとして、この組織の問題とそれから研究費の配分の問題等について先生の御意見があれば聞かせていただいて、私の質問とさせていただきたいと思います。

小柴昌俊東京大学名誉教授

○参考人(小柴昌俊君) 私、申し上げたいことは、次のようなことです。  最近特にそうなんですが、いろいろな研究をしたいという資金の要請とか、そういうのが出てきたときに、いろんな委員会を作ってそれを審査する。これは当然やられることなんです。  ただ、一つ気を付けなきゃならないことは、学問の世界、特にこれから進歩していくような新しい分野の場合、どうやればいいかということをだれも知らないわけなんですね。  往々にしてあることは何かというと、例えば、資金を出す関係省庁がその分野のいわゆるお偉いさんを指名して委員会を作って、その委員会で審査していただくということをやるんですけれども、一番こういうふうに民主的なやり方をやっているように見えるんですけれども、実はそこに落とし穴があると私は思っています。  それはどういうことかといいますと、これは当然のことなんですけれども、その委員会に呼ばれるのは大概理論屋さんが呼ばれるんですね。どこの国でもそうなんですけれども、理論屋にもピンからキリまでありまして、一流と二流の理論屋というのは、一流の理論屋の数は二流の理論屋の数の五十分の一ぐらいですよ、大体。だから、二流の理論屋がそういう委員会にたくさん呼ばれるということは、もうこれは当然あることなんです。  困ったことは何かというと、二流の理論屋は、みんな大学でいい成績を取って論文も幾つも書いた先生ですよ、そういう先生は、自分の理論でみんな分かっちゃったと思っているんです。もっと立派な一流の理論屋はどう考えるかというと、私は理論でこれこれのことは理解できた、だけれども、どんな理論でも適用のできる限界があるんだ、私の知っている理論の適用限界のその外ではどういうことが起きるか分からぬと、そういうことをちゃんと自分で認識しているのが一流の理論屋なんです。残念なことに、そういう人は数少ないんですね。ですから、そういう二流の理論屋が多く出ている委員会でいろいろな計画を査定しますと、要するに常識で分かるようなことしか通らない。科学の世界では、百人中九十二人がこうだと、一人が、いや、そうじゃない、こうだと言ってこっちの方が正しいこともあるんですよ。  そういった意味で、私は、どういう研究をサポートしていくべきかとかいうときには、本当に難しい評価、査定を必要とするんで、それについてどうしたらいいかというのは、これは本気で考えなきゃならない問題だと思います。  ただ、国としては、特に基礎科学の方、これは本当にいい結果が出るのか出ないのかというのは分かりませんから、だからある程度の要するに失敗は見越した上で援助していくんだという覚悟を決めていただかなきゃならないだろうと、そういうふうに思っております。

簗瀬進民主党・新緑風会

○簗瀬進君 正にそのとおりだと思います。  ありがとうございました。終わります。

松あきら公明党

○松あきら君 今日は、お三人の先生方、本当に当委員会にお出ましをいただきまして、ありがとうございます。  今、子供たちの理科離れ、科学離れということが心配されている現状でございますけれども、私は実は宝塚歌劇に長いことおりまして、正にその理科、科学というところから一番遠いところにいた私でございますけれども、本日は特にまたノーベル賞をいただいた小柴教授にこうして御質問させていただけるということを非常に光栄に思っております。どうぞ、三人の先生方、よろしくお願いを申し上げます。  私、伺いたいと思ったこと、種々、今、同僚議員から伺ったところでございますけれども、小柴先生は、目先のことだけではない、あるいは技術だけに偏らないで、十年先のことを見越した上での支援というものも国として考えてほしい、こういうふうにお話をいただいたと思います。  先生のような第二、第三のそうした多大な業績を残す研究者が出現をしてほしい。先生は、カミオカンデからもう一人近々ノーベル賞が出るなんという心強いお話もいただきましたけれども、国の支援は非常に一番大事だと思うんです。しかし、それ以外に研究者の人材の育成について、あるいは必要なことがあればそれを教えていただきたいと思います。まず、それをお伺いいたしたいと思います。

小柴昌俊東京大学名誉教授

○参考人(小柴昌俊君) 研究者の人材育成についてどう考えるかという御質問だと理解します。  私、東京大学で現役の教官として大学院学生を毎年二名とかそういうふうに採っていたんですけれども、その学生たちにしょっちゅう、耳にたこができるくらいに言ったことが二つあるんです。  一つは、おれたちはな、国民の血税で自分たちの夢を追わせていただいているんだぞ、かりそめにもこの研究費を無駄遣いしちゃならぬ、業者の言い値で買っちゃならぬ、値切れと。そういうこともありまして、浜松ホトニクスの社長は、あの五十センチの玉を開発して、僕が一本について向こうの言う値段の三分の一しか払わなかったというんで、私は、小柴先生のおかげでうちの会社は三億損したと大分文句を言われたことがある。それは話は別としまして、それが一つと。  もう一つは、おまえたちがこれから研究者として一生を過ごそうというつもりならば、自分でいつかはこれを実現したい、いつかはこれを解明したいと思うような研究の卵を三つか四つ必ず抱いておけよと。何か新しい結果が発表されたら、あっ、こういうことがやられちゃったんならこの卵は抱いていても意味ない、捨てちゃえ、ほかの卵にしようと。あっ、こういうことがやられたんならこの卵かえせるかもしれない、そういうチェックをいつもしていろよと。そうすると、運が良ければそのうちの卵を一つかえせることになるかもしれないぞということを言ったんです。  私思うのに、大学を出るまで我々みんな教室で先生から物を教わって、それを一生懸命理解して、理解したことを試験のときに答案に書いて、それで点をもらうわけですね。そういうことが上手にできる人は成績のいい子なんです。確かにそれは必要なことには違いないんだけれども、じゃ大学を出て大学院に入って研究を始める、あるいは大学を出て実社会に入った、三菱電機に入ったと、そういったときにどういうことが要求されるかというと、それまでとは違ったタイプの能力を要求されると思うんです。  もし、教室で教わったことを理解されるというのを例えば受動的な認識と名付けるならば、実社会あるいは研究で要求される能力は能動的認識とも言うべき、自分から何を調べよう、どうやって調べよう、自分から発意して働き掛ける能力、これが大事なんだと思います。そういった意味で、私は、能動的な認識能力というのを意識的に高めるような、そういうような取扱いをできるだけ子供たちの若いころからしてやる必要があると、そういうふうに思います。

松あきら公明党

○松あきら君 大変にすばらしい、正に示唆に富む、これからの日本にとって忘れてはならない一番大事なお話を今いただいたというふうに思います。ありがとうございます。  もう一点、先生にお伺いさせていただきます。  先生は先ほど海外からの研究者の受入れもしなければならない、また日本からも海外に出ていってそういう交流も深めなければいけないというお話がありました。  しかし、今、日本では残念ながら頭脳流出、人材が流出している、ただでさえ少ないそうしたすばらしい人材が海外にどんどん出ていっていると。これは、一つは、日本の研究環境が外国の研究環境に比べて余り良くないからということもあるんですけれども、残念ながら頭脳の空洞化ということも言われて久しいんですけれども、これに対して先生、あるいはどういうお考えがあるか、あるいは空洞化ということを止める必要があるのかないのか、伺わせていただきたいと思います。

小柴昌俊東京大学名誉教授

○参考人(小柴昌俊君) 御指摘のように、学者の経済的な報酬という面からいいますと、アメリカと日本と比べると、確かに日本の方が大分低いです。これは、第一に、日本の国立大学は九十九ぐらいあるらしいんだけれども、そういう研究者全部同じに待遇しているんですから、良くしようったって無理だとは思うんですけれども、事実そういう差はございます。  今御質問の、頭脳流出というのが起きて、それを心配しなくていいかということだと思いますが、私はそういうことを余り気にしないでもいいんじゃないかと思っております。引っ張られたら、いいやつはどんどんいろんなところで欲しがるわけですから、いいやつは出ていく。こっちからもよその国にいいのがあったら引っ張ってくると。そういうふうに自由な、知的な才能が自由なフリーマーケットでどんどん動くというのは、僕は悪いことじゃないと思うんです。いなくなると、有り難いことに若くていいのが後から出てくるんですよ。  私、自分の経験から言うんですけれども、こういうことを言ったら、後で文句を言われたんです。男は、若くてちょっと無理かなと思っても、責任ある地位に就けるとびっくりするくらい成長する、そう言ったら、そばにいた女性が、男ばっかりじゃないですよ、差別の発言ですと言われて僕は怒られたことがあるんだけれども。いや、女性でもそうだと思います。  若さ、年とか、そういうことじゃないんですね。つまり、自分が責任者だ、ちゃんとしたことをやらなきゃならないんだという自覚が成長させることが随分あるんですね。

松あきら公明党

○松あきら君 本当にありがとうございました。たくさんありますけれども、時間の関係でこれだけにさせていただきます。  それでは、野間口先生、よろしくお願いいたします。  今、我が国の特許、約百万件あると言われておりますけれども、未利用特許は全体の三分の二に上ると、こう言われているんですね。せっかく取得した特許が活用されないままに眠っているというのはどうにももったいないなと、こういうふうに思いますけれども、こうした未利用特許の活用について、やはりこれは一企業だけではなかなか対応できない、困難ではないかなというふうに思うわけでございます。個別企業の枠を超えて産業界全体として対応を考えていくことも必要だと思いますけれども、御所見をお伺いさせてください。

野間口有三菱電機株式会社代表取締役社長

○参考人(野間口有君) 未利用特許が今三分の二というお話でございました。  私も実を言いますと何十件か特許を持っているんでございますけれども、我々のころのあれでいきますと、二割も活用しましたらいい方だと。新しいアイデアでございますので、先ほどの小柴先生のお話にもありましたけれども、研究をやっておりますと、これは将来活用するかもしれない、そういう可能性を信じて特許を出すというものが多々ありまして、結果としてそのうちの幾つかが実用に活用される、そういうのが通常でございます。  したがいまして、未利用特許がたくさんあるというのは、悲観的に見ていただくよりも、知的財産を生み出すすそ野がこういうふうに広いんだというふうに見ていただくのがまず私は一番いいんじゃないかなと思っております。  ただし、未利用特許を未利用のままほうっておくのを是とするわけではございませんで、これをやはり広く公開して、いろんな、見方が変わりますとまた活用の可能性も出てまいりますので、その特許を取った機関だけが保持するのでなくて、広く社会に公開して広い範囲の方が活用できる、そういう仕組みを考えていくと。今そういう動きになっておりまして、私どももこれを強化していきたいと思っております。

松あきら公明党

○松あきら君 ありがとうございました。  気持ちを大きく持って、また広くこれを公開することが大事だというお話をいただきました。  今、TLO、これ、先ほどちょっとTLOのお話も出ました。私もこのTLO、非常に大事だと思っていますけれども、この活用、あるいは産学連携を促進していくことが今後ますます重要になってくるわけでございますが、現状は、実はこれなかなかまだまだという状態なんですね。  産業界から見まして、大学との協力がいま一歩進まない理由、どういう問題点があるのか、お聞かせいただきたいと思います。

野間口有三菱電機株式会社代表取締役社長

○参考人(野間口有君) これは、まず産業界の視点、責務といいますか、ミッション、そういう点で言いますと、新しく生まれた大学等での知的財産を活用するに当たっての事業化へのシナリオ、具体的シナリオ、戦略、こういったものを明確に持ってどういう形で知的財産を生かすか。ただし、事業化するためにはいろんな多種類の技術が必要でございますので、欠けているところは何かというのを明確にしながら取り組んでいく、そういうことが必要かと思います。  また、大学の先生方にお願いしたいのは、アイデア一つで物が、事業ができるのではなくて、いろんな周辺の努力があって初めて物につながるのだということをよく認識していただいて、ともに育てる姿勢、そういったものが必要だと。これは、アメリカ辺りは大学の先生でも事業化マインドの非常に高い方は、そういうのを自ら助けるといいますか、自ら学ぶような社会的チャンスがあるんですね。そういうのが日本ではどちらかといえば軽視されていたというふうに思っていまして、今回のこういった取組で充実してくることに大きな期待をしているところであります。

松あきら公明党

○松あきら君 ありがとうございました。  社長にも実はお伺いしたいことが一杯あるんですけれども、時間の関係でお許しいただきたいと思います。  最後に、松尾先生、よろしくお願いをいたします。  今、男女共同参画の時代でございますけれども、正に松尾先生の時代には、弁護士であり弁理士でありという、こういったすばらしい、先生は女性のそういった意味で先駆者でいらっしゃる。今、女性の弁護士も三〇%くらいになったといいますけれども、先生の時代は、この両方をお持ちになる正に知財に強い弁護士さんというのはいらっしゃらなかったんじゃないかなと、こういうふうに思いまして、ますます先生に頑張って、私ども教えていただきたいという思いでございます。  その中で、今、知的財産を担保として資金調達を行う、知的財産活用、知的財産を活用していく、この観点から、またあるいは知的財産紛争において損害賠償額を算定する観点から知的財産の経済的価値をきちんと評価をしていくことが不可欠であるわけでございます。  先生はその評価手法の確立ということを知的財産戦略会議で提言なされたというふうに伺っておりますけれども、問題は評価手法を確立するということ、これをどうして確立していくのかと、評価手法の確立のために留意する点があればお聞かせいただきたいというふうに思います。

松尾和子弁護士弁理士知的財産戦略会議委員

○参考人(松尾和子君) 私は、非常に難しくてそれは分からないからこそ問題に挙げたわけです。  損害賠償の計算するに当たっても、それから知的財産を担保にしたり、それから税金上、税務上どう扱うかという問題につきましても知的財産の評価が必要なわけです。しかし、それは本当に十分にどこでも行われていないわけです。経産省でブランド評価の手法というようなことも検討していましたし、知的財産研究所で知財の評価ということも検討しておりました。ただし、まだ一部でしか行われておりませんので、私ども弁護士、弁理士が入ったいろいろな協会で、実はこの間はブランド価値評価の研究会というのを立ち上げました。そのようにしてみんなで勉強して研究し、そしてそれを基にしてこれから運動を展開していかなければいけないと思っております。

松あきら公明党

○松あきら君 ありがとうございます。  正に、この評価の手法確立というものは大事でありますけれども、今経済産業省も、そして先生方もみんなで知恵を出し合ってこの手法を確立していく最中であるというような御答弁であったと思います。  三人のお先生方、本当にありがとうございました。終わります。

西山登紀子日本共産党

○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。  今日は参考人の三人の先生方、朝早くから本当にありがとうございます。  実は、小柴先生にお伺いしたいわけですけれども、まず最初にノーベル賞の受賞、本当におめでとうございます。私の六年間、この参議院で御一緒しておりました上田耕一郎参議院議員と小柴先生が一高時代に学生寮で御一緒なさっていたということをお聞きしておりまして、今日はノーベル賞受賞者の偉い先生に私が質問するということ、ちょっとどきどきしているんですけれども、そういうこともあってちょっと気を取り直して御質問させていただきたいなと思っております。実は私、化学は少しはあれなんですが、物理となるとてんで駄目だったものですから、よろしくお願いしたいと思います。  先生、十五年間もノーベル賞受賞騒ぎというかそういうものを体験していて、これからやっと静かな生活に戻れるというようなことをおっしゃっておられます。私は、実は地元が京都なもので、田中耕一さんの島津製作所のあるところなんですが、田中さんは青天のへきれきのように受賞が決まったんだけれども、先生は十五年間もノーベル賞受賞騒ぎの渦中の人であったということで、ノーベル賞を受けるのも大変なことだなと思ったんですけれども、そういう意味で、まずこの先生の御研究が世界の最高峰の受賞として認められた、その意義ですね。  先生は先ほど、御自身の研究は産業的な利益というよりもむしろ人類的な貢献、国民の喜びに通ずるものとしてやってきたというようなお話があって、大変スケールの大きいお話を伺って、私も本当に心洗われる思いがしたんですけれども、この先生の御研究がノーベル賞で認められたということの意義、それがこれからの人類といいますか、二十一世紀の人類にとってどのような新たな希望と展望を切り開くのでしょうか。その点についてお話をいただければと思います。

小柴昌俊東京大学名誉教授

○参考人(小柴昌俊君) 実は大変難しい質問をされちゃって、どういうふうにお答えしていいか分からないんですけれども、この二十一世紀に入って世界は、また人類は今までよりももっとうんと速い速度でいろいろ変わっていくんだと思います。ただ、その変わっていく世界の中で、恐らく紛争とか疫病とか、そういうものたくさんあるんでしょうけれども、そういうこととは離れて、安心してこれが人類共通の財産なんだと思えるようなことを少しでも増やしていけると、そういうことが続けばいいなと私は感じておりますけれども。  そのほかに、御質問の内容に関係あるかと思いますのは、私、ノーベル賞の前にも文化勲章を含めて幾つかの賞をいただきました。だけれども、今度のノーベル賞は、今までいただいた賞とは随分周りの国民の皆さんの受け取り方が全然違うというふうに感じております。先ほども申し上げましたように、我が国の産業に何のプラスももたらさないようなことでも、私どものやった仕事に賞が与えられたということで、こんなにも多くの国民の方が喜んでくだすったということは、私がそれでうれしいというだけじゃなくて、国民の皆さんが、多くの人が、もうけにはならなくてもこれは我々としてうれしいことだというふうに受け取ってくだすったということが私にとっちゃ本当にうれしいことでした。  御質問にお答えしたことになるかどうか分からないんですけれども。

西山登紀子日本共産党

○西山登紀子君 私の質問が本当にまとまっていなかったかと思います。でも、本当にいいお答えいただけたと思います。  株にはいろんな株があるんですけれども、京都の島津製作所では田中さんの受賞によって随分株が上がったようでございますが、私は小柴先生の受賞ということによって日本の基礎科学の株が上がったと、日本の国民の夢が更に広がったというふうに思っております。  それで、先ほど来、国の支援ということを先生は力説なさっていらっしゃるんですけれども、失敗を恐れずにきちっと応援をしてほしいというお話だったと思います。私もそういうことで努力をしたいと思っておりますが。  少し具体的に、先生、カミオカンデという施設を造るときに、随分お金が要りました。百億円近いお金が要った、もっとですかね、要ったと聞いているんですけれども、何か新聞で読みますと、先生はその予算を集める非常に卓越した能力をお持ちだったということで、いろんな省庁からお金を取ってこられたということなんですけれども、その際にやっぱり渋る省庁をどうやって説得なさったのか、そのお話などをお伺いできれば私たちも役に立つかなと思うんですが。

小柴昌俊東京大学名誉教授

○参考人(小柴昌俊君) お話ですけれども、私が予算をいただいたのは日本では今の文部科学省、その前の文部省だけでございます。アメリカではナショナル・サイエンス・ファウンデーションとか海軍研究所から予算をふんだくったことがありますけれども。今、神岡の実験、百億あるいはそれ以上掛かったんじゃないかというお話ですが、神岡の実験には前のカミオカンデという実験とその後を引き継いだスーパーカミオカンデと二つございます。今働いているのはスーパーカミオカンデというやつで、それは百億余り掛かっております。その前のカミオカンデというのは実はそんなに高くなくて、穴を掘る費用が一億五千万ぐらいでしたか、それから検出器自体が一億七千万ぐらいだったと記憶しております。  そのころ、例えば筑波での加速器実験には一つの実験に五百億ぐらいの金が出ておりますから、そういう実験に比べれば大分少ないんです。ですけれども、加速器以外の実験に億単位の金を取るというのはなかったもんですから、そこで私は文部省にうるさがられるくらいどうも通ったらしいんですね。自分は意識していなかったんですけれども、相当うるさがられたようです。でも、有り難いことに、こっちが一生懸命になって説得しますと分かってくれる人もできてきましてね、それで結局合わせて一億五千万と一億五千万と、その穴掘りと検出器の費用を次々と出していただけましたので。  次の百億円のスーパーカミオカンデは、私ども大変運が良かったと思うのは、太陽ニュートリノを測るつもりで検出器を整備した、し終わって太陽ニュートリノを測り始めて間もなく超新星が爆発してくれまして、それのニュートリノを世界で最初につかまえたというのでマスコミがわっと書いてくれたんですね。それのおかげで世界じゅうにカミオカンデという計画が、実験が広まっちゃって、ですからスーパーカミオカンデは大分前から計画していたんですけれども、さてスーパーカミオカンデを概算要求しようというときには、世界のノーベル賞物理学者が六人ぐらいが、この計画は非常にいい計画で、我々はその結果を待ち望んでいるんだという手紙を日本に出してくれたんですね。それで助かったことがございます。

西山登紀子日本共産党

○西山登紀子君 ありがとうございます。  小柴先生に最後の御質問をさせていただきますが、先生はいつもいろんなところで研究者に、自分で種を見付けなさいと。また、自分で卵ですか、二つか三つきちっと自分がちゃんと持ちなさいということを言っていらっしゃいます。それは、研究者としてのありようというものを先生が言っていらっしゃるんだと思うんですけれども。  今、私たちがこの知財基本法を議論している際に、私が懸念しておりますのは、こういう知的財産の活用についての施策を国や地方自治体が作ってそれを大学に持ち込むというような方向が少しあるものですから、先生に大学の基礎研究のありよう、あるいは研究者の在り方について、日ごろ思っていらっしゃることがあればお話しいただきたいと。私は、プロジェクトを作る中心というのは正に研究者自身だというふうに思っておりますが、先生のお考えを伺いたいと思います。

小柴昌俊東京大学名誉教授

○参考人(小柴昌俊君) 基礎研究をやる大学の研究者の在り方、これは恐らく多くの人によってこうあるべきだというのが違いがいろいろあると思うんですけれども、私が感ずるのは、個々の研究者というのは本質的に自分から発想して何をどうやるかということを決めていけるような人間であってほしいと思うんです。  そういった意味で、もちろん今の科学研究というのは、一人だけでフラスコを握ったり、あるいはたこを揚げたりしてやれるもんじゃありません。何人かの人間が協力してやらなきゃならない。その場合でも、個々の研究者がそれぞれ自分のアイデンティティーを保ったまま協力できるようによく話し合うということが大事ではないかと思っています。  そのときに、その何人かの研究者がお互いに十分に意見を尽くし合って、こういう問題を、こういう装置を作ってやってみようじゃないかという計画に到達できたとします。その計画が当たっているか当たっていないかというのは実はだれにも分からないわけですね。だれかに分かるような実験ならやる価値ないわけなんです。いや、本当にそうなんですよ。分からないこそやるわけ。だから、必然的に危険はあるわけですね、失敗する。  じゃ、その失敗する危険をどうやったら少なくできるかと。私の経験から言えることは、皆さんもお持ちだけれども、ヤマカンというのがあります。ヤマカンというのはばかにされること多いんですけれども、実は、例えば東大の経済学の教授、だれに聞いたって株で大もうけしたというのは一人もいないんですよ。いや、本当にそう。経済学というのは株の動きなんかをはっきり予言できるような学問じゃない。だけれども、そういう学問の全然ない、例えばある株屋は非常に勘が良くて、株で大もうけをどんどん続けていくわけ。勘というのは磨きようによって僕は当たりが良くなると思うんです。  研究の場合も僕はそうだと思う。例えば、ある問題を頭に置いていて、これを何とか実現したいと。こういう方法じゃ駄目だな、こういう方法でも駄目だな、ああやったらどうだと、これをもう夜中に目が覚めても考える、それから電車の中でも考える。もう徹底的に考えて、考えて、考え抜くと勘の当たり良くなると僕は思っております。

西山登紀子日本共産党

○西山登紀子君 どうもありがとうございました。ノーベル賞受賞者からヤマカンの話を聞こうとは、大変勉強になりました。  最後に、松尾参考人にお伺いしたいんですけれども、よく金型の図面の問題で、大企業が下請の中小業者の、大田区なんかでは図面を出させて、それを海外の工場で低コストで生産をするというようなことがありまして、当委員会でも問題になったことがあるんですけれども、先生の扱っていらっしゃる例でほかにこのような事例があれば御紹介をいただきたいし、どうしたらいいかということも教えてください。

松尾和子弁護士弁理士知的財産戦略会議委員

○参考人(松尾和子君) お答えします。  ございます。小さいところで共同研究といいますか、事実上はその小さいところがやってでき上がったわけですけれども、それを親会社に取り上げられて、親会社が自分の名前で生産して、自分の関係のところに、全然違う自分の関係のところに製造させると。それは中国に出したという事件ありましたけど、それは日本の国内ですけれども、そういうことはございます。それで、小さいところですから、訴訟を起こすにも親会社からそんなことをしていいのかと脅されてできないと。こういうのが今、営業秘密の保護でこれを強化しなければいけないんじゃないかという問題につながっていると思います。ノウハウの流出、不当な流出を防ぐ方法をどうしたらいいかということです。  それから、訴訟におきましても、こういう問題が出た場合に証拠の収集をどうするか、証拠が、仮に訴訟を起こしても、その下請の方から、親の方から盗まれたという証拠をどうやっていとわないで出せるかという、そこのインカメラ手続といいますか、営業秘密が漏れないようなそういう工夫というのが訴訟の中でも重要だと思います。

西山登紀子日本共産党

○西山登紀子君 ありがとうございました。終わります。

広野ただし国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○広野ただし君 自由党・無所属の会の広野ただしでございます。  今日は、三人の参考人の皆様、本当にお忙しいところありがとうございます。そしてまた、先ほどからすばらしい示唆に富むお話を一杯聞かせていただきまして、感激をいたしております。  そしてまた、小柴先生には、私、官庁におりましたときに正に隣に住んでおられて、私の家内が奥様にちぎり絵を教えていただくような、そんな本当に近くに住まわせていただいていたものですから、何か自分のことのようにうれしくてたまらないわけでございます。また、田中耕一さん、余談でございますが、田中耕一さんも富山県の出身で、私の高校の後輩なものですから、何か二重にうれしいという、そういうことでございますけれども、私が最後の質問者になりますので、お疲れでしょうけれども、ひとつよろしくお願いをしたいと存じます。  日本の場合、いろんな発明がなされていて、どんどん発明の数も多くなっている、特許も多くなっていると、こういうことなんですが、往々に言われるのは、応用研究というか、改善をしていくのは非常に日本は得意なんだけれども、画期的な発明といいますか、そういう独創的な発見といいますか、そういうものについて往々にして欠けるということでございますけれども、ノーベル賞はそういう面では全く画期的な発明、発見であろうと思いますが、そういうことを、そういう画期的な発明、発見ができる雰囲気といいますか、そういうものが何かあるならば、その点、小柴先生にちょっとお答えいただければと思います。

小柴昌俊東京大学名誉教授

○参考人(小柴昌俊君) なかなか難しい問題で、どういうふうにしたら創造的な研究が生まれるのかという質問だと了解しますが、これ大変に難しい問題でして、ちょっと例を挙げさせていただきます。  私ども、一九七〇年のごく初めのころですけれども、電子と陽電子を衝突させたらどういうことが起きるかというのを実験しようとして、そのころソ連のノボシビルスクというシベリアの真ん中にある学術都市で、その電子・陽電子衝突、ぶつける装置を作っている学者がうちへ来て共同研究してくれないかという話に乗ろうとしたことがございます。そのころ、電子・陽電子衝突というのは世界でも言わば物好きの少数の人間がやろうとしていただけの分野です。私はその共同研究の申入れを受けて考えてみますと、これ結構将来性あるんじゃないかと思いました。ところが、一九七〇年初めのころの日本とソ連の関係というのはそんなに親しいものじゃなくて、どうしたらそれが実現できるかというのは分かりませんでした。  そこで、帰ってきて、御存じだと思いますけれども、茅先生という東大学長をやられた先生、その先生に相談しましたら、君、とにかく現地に行って実物を見てこなきゃ話にならぬよと言われて、各分野の専門家三人を誘って現地へ行って見ました。  そのとき、ついでで申し上げますけれども、ここに三菱の社長さんおられますけれども、今でもあるかどうか知りませんけれども、三菱の社長さんたちが作っている何か金曜会という会があるんだそうで、それで、茅先生が、君たち四人分のシベリア行きの旅費を金曜会に頼んでやったからもらいに行きなさいと、そういうことで私、もらいに行きました。そうしたら、金曜会の幹事をしている三菱のある会社の社長さんが、小柴先生、電子と陽電子をぶつけて実験するというんですけれども、それが一体何の役に立つんでしょうかと。これ社長さんとしては当然の質問だと思うんですけれども、私、何と答えようかと思って一瞬迷いました。何か役に立ちそうなことを言わなきゃ旅費くれないのかなと思ったけれども、うそつくわけにいきませんから、社長さん、実を申しますと、やってから百年ぐらいたって役に立つか立たないか分かると思いますと、こういうふうに答えたら、その社長さんが、先生の御返事、気に入りました、で、旅費を出してくれたんです。だから、やっぱり変わった社長もいるものです。  それで、現地をそれぞれの分野の目から見たらこれはまともだと感じたんで、帰ってきまして、私の研究室のこれからの一つの大きな柱として、電子・陽電子衝突というのを国際協力でやるということを研究の柱にしたいということで、物理教室にこういう概算要求を出したいと提案したんです。そうしたら、さっき話した、要するに一流でない先生方が、電子、陽電子というのはよく分かった粒子だと。つい二、三年前にノーベル賞をもらった朝永先生の量子電気力学で電子、陽電子の振る舞いは全部正確に分かっとる、だから、そんなのをぶつけて実験、今更実験しても量子電気力学はやはり正しかったという証明をするだけだ、意味はないと、こう言って反対されちゃったんです。  それで、出せないかと思って悲観したら、有り難い、僕は運がいいんですね、有り難いことに、そのとき物理教室の教室主任をやっていたのが一流の理論物理学者だった。その先生が主任として、そういう御意見もありますけれども、電子と陽電子をそれだけ高いエネルギーでぶつけるということは今までだれもやったことのない実験だと、だれもやったことのない実験というのは何か予期しないことが生まれてくる可能性があるんだと、だから、やらせてやりましょうよと言って、概算要求を出すことができたんですね。それがいろいろの紆余曲折をした後で、シベリアではなくヨーロッパ、特にドイツと、スイスにあるCERNという国際研究所で電子・陽電子衝突を続けてずっと幾つも国際協力の実験でやりまして、電子・陽電子衝突というのはその後間もなく素粒子研究をやるならこれが王道であると言われるくらいの分野になったんです。  だから、本当に何がどういう分野に開けるかというのを見極める勘というのは、さっきも言ったように、磨いて磨き抜かないとなかなか当たりが良くない。  それと同時に、今の御質問に対する答えは、研究者の創造的なアイデアをできるだけ生かすような、そういう思いやりといいますか、そういうのが大事じゃないかと私は思っております。

広野ただし国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○広野ただし君 どうもありがとうございました。本当にいいお話を伺いまして、ありがとうございます。  それと、三菱の野間口社長にお伺いいたしますが、有と書いてタモツさんといわれるようでございますが、私、前にもこの委員会で申し上げたんですが、ちょっと技術屋の端くれなものですから、無から有を生み出す、これが正に科学あるいは技術のもう真髄だということで、無有会というメンバーになっているんですが、そういう有、タモツ社長でいらっしゃいますが、この三菱電機で、企業さんですから、いろんな意味でやはりちゃんと業績を上げなきゃいけない、利益を上げなきゃいけないという点があろうかと思いますが、企業における基礎研究といいますか、そういうところはなかなかこれ大変だと思うんです。また、知的財産になりますと基本特許というようなことになってくるかと思いますが、そういう点について企業ではどういうお考えでやっておられるのか、お伺いさせていただきたいと思います。

野間口有三菱電機株式会社代表取締役社長

○参考人(野間口有君) 私どもも、企業における基礎研究、これ企業の場合は目的基礎と申しておりまして、やはりある程度どの領域で、通信領域とかコンピューターの領域とかあるいはエネルギーの領域とか、そういうふうにどの領域で活用できそうだというような方面を決めまして取り組んでおりますけれども、そういった意味で目的基礎研究といった呼び方をしておるんでございますが、これはすぐれてプレコンペティティブといいますか、まだ具体的な応用、事業、これが見えないような領域のものでございまして、こういったものもRアンドDの五%ぐらいのあれを割いて、力を割いてやっていると。そういうのが、私どもの会社でいいますと情報分野の暗号とか、ああいうのは本当にもう数学屋さんだけしかできない、論文全体が数ページ全部一つの式で表されるというようなものでございますけれども、そういうのにつながったのかなと思いますが。それがある日突然、先ほど先生のお話にもありましたけれども、何年かたちまして時代の要請が変わってまいりますと、ある日突然こういったものが非常に有効なんだというようなことになってまいります。  そういうことでありますので、決して改良特許だけあるいは目先のアプリケーションが見えているものだけに集中しているよりも、少し先行した基礎研究、こういったもの。それからもう一つ先の基礎研究、これはやはり大学に期待するところ大でありまして、そういった意味の社会的、よい意味での分担というのが、こういった法案等を基にしてだんだん形成されてきつつあるということに大いに期待しております。

広野ただし国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○広野ただし君 それと、国際標準の問題ですが、ビデオが非常にはっきり分かるわけで、ベータとVHSでいろいろとあって最終的にはVHSに統一されていくということになったわけですが、そういうこととか、通信の世界での国際標準、非常に大きな影響を世界的に持つし、また消費者にとっても、使い勝手が変わってしまいますから、大きな意味を持つわけでございますが、この国際標準において、日本の場合、国の関与というものがもう一つどうなのかというようなお話があったように思いますけれども、この点についてお話を伺わせていただきたいと思います。具体的なお話でも結構です。

野間口有三菱電機株式会社代表取締役社長

○参考人(野間口有君) いろんな国際標準を定める機関がございます。大体におきましてこれはヨーロッパに多いんでございますけれども、その場に行きまして、我が国で生まれた国際標準にたり得る技術を提案いたします。大体、今現在、日本の場合は日本の企業が主体的にやっているというのが一般的なんでございますけれども、アメリカとか欧州諸国は、その後ろの方に国の機関、大学あるいは国の機関がおりまして、いろんな意見の調整とか国としての意見をまとめて提案するとか、そういったことをサポートいたします。そういった意味で、非常に日本企業の、日本の場合の提案力というのが弱いんじゃないかなと思っております。  第三世代の携帯電話で幸いにして私どもの技術が世界標準になったわけですけれども、これなどは欧州の方から逆に声を掛けていただきまして、いろいろ検討した結果、三菱に参加してほしいというあれがありまして、そういうこともありましたので、欧州勢のサポートを全面的に受けるという形でなりましたけれども、それ以外のところではなかなか、日本だけで生産、事業化するような技術ならまだしも、世界じゅうでやるものに対しては大変なビハインドがあるという現状であります。

広野ただし国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○広野ただし君 それでは、松尾和子参考人にお伺いいたしますけれども、日本の特許の関係の滞貨が非常に多くて、待ち時間が多い、その御指摘もありました。随分改善されたとしてもまだ二十二か月で、アメリカの十二、三か月と比べるとまだ倍ぐらいのことがあるということでありますけれども。  そういう中で、やっぱり早く権利化するということは非常に大切なことで、その中で大きな問題はやっぱり審査体制の充実ということだと思うんですが、なかなか人員を増やすというのは限度があって、それをアウトソーシングで、できるだけ契約等によって、審査官の補佐官とか、そういう形で、もちろん機密の保持はやってもらわなきゃいけないんですが、大いにそういう弁理士さんなんかを活用して審査体制の充実を図っていくと、こういうような案もあろうと思いますけれども、その点についてお伺いをさせていただきたいと思います。

松尾和子弁護士弁理士知的財産戦略会議委員

○参考人(松尾和子君) 今のアウトソーシングをどうするか、弁理士の活用というような問題もあるのではないかという御指摘です。私もそうであろうと思います。  ただ、その場合に、結局、調査というのは審査につながっていくもので、ある意味では審査の一部を構成するわけです。したがいまして、アウトソーシングにする機関、今、十分育っておりません。それをどうやって育てるかということが重要な問題であり、私個人の考えでは、全面的にさあといっても育てられるものではないので、分野をいろいろ選んで、それである分野から手掛けて、その場合には、初めにそういう体制作りのために特許庁、国でもって支援をして、そして組織を固めていく、そういうのを一つずつ増やして、着実にアウトソーシングとしての審査の一部であるような機能を果たすように、それを官民で、あるいは弁理士さんも加わって作っていかなければいけないだろうと思っております。

広野ただし国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○広野ただし君 御三人の参考人の皆様に本当に心から御礼を申し上げまして、終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。

田浦直自由民主党・保守党

○委員長(田浦直君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方に一言お礼を申し上げます。  参考人の皆様には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。(拍手)  午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会

田浦直自由民主党・保守党

○委員長(田浦直君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、直嶋正行君が委員を辞任され、その補欠として辻泰弘君が選任されました。     ─────────────

田浦直自由民主党・保守党

○委員長(田浦直君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  知的財産基本法案の審査のため、本日の委員会に内閣官房内閣審議官平井敏文君、文部科学大臣官房審議官坂田東一君、文部科学省初等中等教育局長矢野重典君、文部科学省高等教育局長工藤智規君、文部科学省科学技術・学術政策局長山元孝二君、文化庁次長銭谷眞美君、経済産業大臣官房審議官桑田始君、経済産業省産業技術環境局長中村薫君、特許庁長官太田信一郎君及び気象庁長官山本孝二君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田浦直自由民主党・保守党

○委員長(田浦直君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

田浦直自由民主党・保守党

○委員長(田浦直君) 休憩前に引き続き、知的財産基本法案を議題として質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

小林温自由民主党・保守党

○小林温君 自民党の小林温でございます。  実は昨日、平沼経済産業大臣に横浜にお越しをいただきまして、日本の底力はこんなものじゃない、必ず日本は回復するんだ、再生するんだと、こういう強い決意を聞かせていただきまして、私、大変感銘を覚えました。そういう意味では、この知的財産基本法というものは日本の今後の国際競争力を高め、そして世界に伍していくために大変重要な法案であると、こういう認識をさせていただいております。  この議論は、衆議院あるいは木曜日の本院での議論、そして午前中の参考人招致と続きまして、法案提出の意図や背景については理解をさせていただきました。あとはいかに強力な推進体制を作っていくか、そういう意味で、基本法を認識していく上での、推進していく上での環境について幾つか質問をさせていただきたいと、こういうふうに思います。  まず第一に、特に現在、ITを中心とする技術あるいは特許をめぐる環境がどういう状況にあるかということでございます。  近年、急速に技術の発展の速度が向上している、市場あるいは技術開発のフィールドがグローバル化している、そしてインターネット時代に伴ってネットワーク化が進展しています。その流れに対応するためには標準化あるいは国際標準ということが避けて通れない時代になっているということは、本日午前中の参考人質疑でも取り上げられたところでございます。つまり、孤立した技術を例えば特許で囲っても意味がない例が散見されるような、そんな時代になってきたということが言えるんだろうと思います。  米国では、プロパテント政策が取られて以来、知的財産の保護強化政策を推進してきました。そして一方では、これも午前中の議論にありましたが、アメリカの企業や企業グループは特許に縛られない形での標準化、例えばいわゆるデファクトスタンダードと呼ばれる標準によって各種の市場を制圧してきたということもまた事実だというふうに思います。よく言われることでございますが、コンピューターのOSのシェアの九五%をマイクロソフトが占めている、あるいはCPUの八〇%以上をインテルが独占しているということが例えばデファクトスタンダードの一例だろうと思いますが。  日本は、今回の知的財産戦略大綱、そしてこの基本法の制定によって、後ればせながらではありますが、知的財産創造立国へ巻き返しを図ろうと、こういうふうにしているわけでございますが、そのためには、この標準化の問題を国家戦略としてどういうふうに位置付けるかということはこの基本法を考える上でも避けて通れないテーマだと、こういうふうに考えるわけでございます。この点について、平沼大臣、どのようにお考えか、お聞かせいただければと思います。

平沼赳夫自由民主党経済産業大臣

○国務大臣(平沼赳夫君) お答えさせていただきます。  技術の標準化に関する我が国の今後の対応についてのお尋ねでございます。  この技術の標準化につきましては、経済のグローバル化がますます進んでまいります中で、御指摘のように国際的に取り組んでいくことが大変重要な課題になっていると思っております。  現状をちょっと申し上げますと、ISO、国際標準化機関、あるいはIEC、国際電気標準会議における日本からの国際標準提案数、これはまだ年間六十から八十件、非常にまだ低調でございます。それから、国際幹事の引受件数、これは世界の一割にしかすぎません。そういう意味では、現状は必ずしも十分な取組が行われていないと、こういうことでございます。ただし、情報通信分野などの先端分野においては、我が国企業はAV機器等を中心に国際的なフォーラムに積極的に参加をしておりまして、これらのフォーラムで作成された御指摘のデファクトスタンダードをISO及びIECなどの公的国際標準にすることで一層の普及を図って世界市場を獲得しようとする動きも現れてきているところでございます。  当省といたしましては、我が国産業の国際競争力を強化する観点から、我が国の優れた技術を国際標準にすることが、先生御指摘のように、戦略的に非常に有効だと、このように考えておりまして、昨年八月に日本工業標準調査会で策定されました標準化戦略に沿いまして国際標準提案数の増加など積極的な政策展開を行って、私どもとしてもこの分野、しっかりとやっていかなければならないと、このように思っております。

小林温自由民主党・保守党

○小林温君 今、大臣からお答えいただきましたが、やはり標準化の問題、アメリカもヨーロッパもかなり戦略的にとらえて、日本が、数字もいただきましたが、若干遅れている状況にあるという部分は否めないと思います。是非、戦略的に強化していく分野について今後そういう推進体制を作っていただきたいと、こう思うところでございます。  このデファクトスタンダードが一部では日本の競争力を脅かしていると、こういうことも言われているわけでございます。先ほどマイクロソフトのOSの例について触れさせていただきましたが、アメリカではマイクロソフトが独占禁止法違反で各州政府に訴えられて、これは大変な議論になりまして、先日、和解を見たわけでございます。  この知的財産基本法を通じて、一つには知的財産権の保護を推進していく、これが今後進められていくわけでございますが、と同時に、独占禁止法を含めた競争政策というものと知的財産の保護というものをどう関連付けて考えていくか、あるいはバランスを取っていくかということが、今後の新しい時代の中で国の産業競争力にとってこれも大変大きな影響を及ぼすだろうと、私はこういうふうに思うわけでございますが、この点につきましては、副大臣、いかにお考えでしょうか、よろしくお願いいたします。

高市早苗自由民主党経済産業副大臣

○副大臣(高市早苗君) プロパテントの大きな潮流の中で、知的財産の保護を強化していくということは大変大切なことでございます。しかし一方、仮にも独占や優越的な地位の濫用といった競争上の弊害が生じました場合には、独占禁止法で対応することが必要であると考えます。  例えば、アメリカでは知的財産の独占に対しても独占禁止法が厳しく適用されております。また、日本におきましても、公正取引委員会が「特許・ノウハウライセンス契約に関する独占禁止法上の指針」というものを策定するなどの取組をいたしております。例えば、この指針の中で、「特許法等による「権利の行使と認められる行為」には独占禁止法の規定が適用されないが、「権利の行使」とみられるような行為であっても、それが技術保護制度の趣旨を逸脱し、又は同制度の目的に反すると認められる場合には、「権利の行使と認められる行為」とは評価されず、独占禁止法が適用される。」となっておりますので、こうした公正取引委員会の対応も通じまして市場の競争が促進されまして、その結果、新たな産業の発展につながっていくものじゃないかと思います。  そして、この知的財産基本法案の第十条におきましても、知的財産の保護及び活用の施策の推進に当たっては、公正かつ自由な競争の促進が図られるよう配慮する旨規定されておりますので、今後、こうした点に配慮しながら、産業競争力強化の点から知的財産権の保護を図ってまいりたいと考えております。

小林温自由民主党・保守党

○小林温君 ありがとうございます。  私、こういうふうによく考えるんですが、例えば先ほど申し上げたマイクロソフトのOS、アメリカ発の技術で日本でもかなりのシェアを持っている。仮にこれが日本発の技術でアメリカの市場で九五%のシェアを握ったときに、果たしてどういう反応がアメリカ国内で起こるか、あるいは国際的に起こるかということを考えると、今の状況とは違うのかなと、こんなことも思うわけでもございますが、それも含めて、これも産業競争力の一環でございましょうし、国の国力の一環なんだろうというふうにも考えるしかないのかなとも思っているわけでございます。  それで、先日来議論されておりますように、知的財産基本法の趣旨は、やはり国の産業競争力をいかに高めるかということが一つの柱になっているわけでございますが、戦略的に考えれば、数多くあるフィールドの中でも日本が世界と伍していけるグローバルスタンダード、あるいはそういう標準を実現できる分野は最大限、国内の産官学の英知を結集して育成すべきだろうと、こういうふうに思うわけでございます。  例えば、先ほど大臣からも御言及いただきましたように、例えばAV機器の分野でありますとか、例えば携帯電話の技術あるいはIPv6、こういう日本が今後世界をリードしていけるであろう可能性のある分野が幾つかあるわけでございますが、そういう技術を戦略的に育成していくときに、その特許の審査体制が足かせになってはこれは決していけないと、こういうふうに思うんです。  国際的な取決めによりますと、技術分野によってひいきをして取扱いに差を付けるということはこれはいけないということになっているということでございますが、であるならば、先ほど申し上げたような、例えば国として戦略的な分野として掲げることができるものについては、例えばその分野の審査体制や人員を充実させる、あるいは専門家をどんどんどんどんその審査の中に組み入れていくことによってそういう強化をすることも可能なんじゃないかと私は思うわけですが、この例えば戦略的な取組について、これは特許庁長官から少し御意見をいただければというふうに思います。

太田信一郎特許庁長官

○政府参考人(太田信一郎君) お答え申し上げます。  小林先生御指摘のように、技術は日進月歩でございます。技術革新が加速化し国際競争が激化する、そういう先端技術分野におきまして、競争力を早期にきちんと確保したいと、こういう思いは皆同じでございます。そのためには、迅速かつ的確な特許権の付与が重要だと考えております。  特許庁といたしましては、遺伝子関連技術あるいはナノテクノロジーなどの先端技術に関する特許、さらにはビジネスモデル、先進的な環境対応製品に係る特許の審査を行う必要性が最近とみに増大していると。これに機動的に対応するため、関連する技術に知見を有する審査官を集めまして、例えばナノ物理審査室あるいはEコマースの審査室、ハイブリッド自動車審査チーム等の専門部署を設置してきております。  また、先進的な技術の知識を有する修士・博士課程の修了者を積極的に採用するなど、審査体制の整備にも努めております。これに加えて、海外にも出願している特許については早期審査制度を活用していただく、そのための対象とするなど、いずれにしても国際競争力強化に向けた迅速かつ的確な審査の実現に努めているところでございますが、今後ともそういう方向で力を入れていきたいと思っております。

小林温自由民主党・保守党

○小林温君 よろしくお願いします。  次に、これ文部科学省さんにお願いをしたいと思うんですけれども、知的財産基本法を考える上で知的財産を担う人材の育成が大変重要であるということは今までの審議の中でも議論をされてまいりました。一つには、高度な専門分野を有した人材を育てるということが大事であると同時に数も増やしていかなければならない。  これは大変な取組であるというふうに思うわけですが、私は、アメリカで法律事務所に二年ほどおりました。弁護士が七百人ほどいる事務所でございましたので、とにかくありとあらゆる専門を持った弁護士が七百人の中にいるわけでございます。MBAを持った弁護士というのはかなりの数いるわけですが、と同時にお医者さんの資格を持っていたり物理学の博士号を持っていたり機械工学とか情報工学とか薬学とか、そういう二つの修士号、博士号を持っている弁護士が普通に存在しているわけでございます。  これを、向こうで彼らと話をしていますと、アメリカでは二つの大学院に同じ時期に通えて、ダブルメジャーという形なんですが、同時に二つの修士号なり、博士号と修士号なりというものを取ることができるわけです。何が重要かといいますと、例えばロースクールに行って法学博士、普通三年掛かる、それからMBA二年掛かるところを、これ一緒に通うと三年半だったり四年で実は卒業できるわけですね。これを是非私は日本でも早急に検討して可能にしてほしいというふうに思うわけです。  現在のロースクール構想の中でも、例えば法学部以外の学部の卒業生を広く受け入れていくということは実は打ち出されているわけですが、今、専門性を持った高度な教育を受けた人材をということになりますと、やはり大学の学部の教育はリベラルアーツというか教養学部的な色彩を帯びて、そして大学院で学んでいくと。その際に、先ほど申したように二つ以上の専門を有しているという人材がいろんな分野でこれから必要になってくるでしょうし、特に、弁護士の能力を考える上ででもそういったことが多分日本でも必要な時代が間近に迫っているんだろうというふうに思います。  知財創造立国を担う専門性を持った弁護士の育成のために、このダブルメジャーの可能なシステムということについて文部科学省さんの御意見をいただければというふうに思います。

工藤智規文部科学省高等教育局長

○政府参考人(工藤智規君) 多様な法曹人の養成をということは、そういう方向で今、法科大学院の制度設計進めてございまして、さきに成立をお認めいただきました学校教育法の改正でそういう方向での制度改正とともに、今、法務委員会でも関連の法律を御審議いただいているところでございます。  これまでの御議論で、法科大学院というのは、単に法学部出身者だけではなくていろいろなバックグラウンドを持った方々、今御指摘がございましたように、医学の関係でございますとか経営学の関係でございますとか、いろいろなバックグラウンドを持った方々がお入りいただいて、三年間の標準修業年限でございますけれども、かなり中身の濃い法曹養成に特化した大学院を予定してございます。  各大学のカリキュラム等の工夫の次第でございますけれども、知財に強い法曹人あるいは国際取引等に強い法曹人等々のいろんな特色を持った人材養成が期待されてございます。  これからカリキュラム等の編成は各大学で行われるわけでございますけれども、他の大学院との単位互換ももちろん可能でございますし、それから、現に昨年、司法制度改革推進本部の方で御調査いただいたところ、法科大学院を準備しておられる大学のほとんどで特にこの知財の関係のカリキュラムの充実を検討中と伺ってございます。  また、これもカリキュラムの工夫次第でございますけれども、法科大学院は法曹養成に特化したものでございますが、カリキュラムの工夫次第では、関連のといいますか、弁理士さんでございますとか税理士さんのような他の資格を取得するようなカリキュラムの御用意も可能なわけでございます。  そういう中で、年限の短縮あるいはダブルメジャー等のお話がございましたが、法科大学院は日本で初めて立ち上げる、しかも中身の濃い教育を予定してございますので三年間の標準修業年限でございますが、学生さんの履修の状況によっては一年以内の短縮が可能な仕組みになってございますし、それから既存の大学院の場合、修士課程ですと通常二年でございますが、学生さんの努力の具合によりましてはそれを一年短縮するという仕組みもございますので、これらのいろんな仕組みを活用しながら、期待されている法曹人が養成されるように私どもも各大学の努力を促してまいりたいと思っております。

小林温自由民主党・保守党

○小林温君 是非、その体制の推進についてはよろしくお願いしたいと、こういうふうに思います。  次に、特許を取り巻くサポーティングインダストリーの育成が必要だと、これも議論の中で出てきております。  少し離れますが、例えば今、e—Japan戦略で各役所にIT絡みの予算がたくさん付いております。そうすると、その予算の行き場として、例えばポータルサイトを官の側で用意している、用意するということが実はありまして、結果的にそれが民間の方と利害が衝突するということも幾つか出ているというような事例も報告されておりますし、衆議院の先日の質疑の中でもそういう議論がなされておりました。  民間でできることは民間にということが小泉内閣の一つの大きなテーマでもあるわけでございますが、特に特許を取り巻く官と民の協力体制の中で官の具体的な役割というものについてはどういうふうにお考えかということについて、特許庁長官の方からお願いしたいと思います。

太田信一郎特許庁長官

○政府参考人(太田信一郎君) お答えいたします。  特許制度を円滑に効率的に運用していくためには、当然政府自身が取組を強化していかなければなりませんが、同時に特許出願と、例えば権利の取得を支援する、今、小林先生が言われましたように、民間事業者がそういうところでは大いに活躍をされるということも大変重要であると私どもも考えております。例えば、特許等に関する情報を収集、加工して出願を行う企業等に高度で多様なサービスを提供する事業者は、これはもう内外に既にございまして、出願者に大いに活用されているものと承知しております。  このような民間事業者の育成を図る観点から、私ども、平成十年以降、特許庁の作成したデータについて、コピーの実費相当の価格をいただきますが、もう実費相当の価格でコピーを提供をしてきているところでございます。  他方、特許等に関する情報の公開、提供につきましては、これは社会全体の技術水準の向上を図るということで重要な役割を果たしておりまして、特許法等においても国が行うべきこととされております。  このような観点から、特許庁においては、CD—ROMによる特許公報等の発行に加えて、平成十一年からインターネット上の特許電子図書館、私どもIPDLと呼んでおりますが、におきまして特許公報の閲覧サービス等、一般国民の標準的な利用ニーズにこたえたサービス提供を行っているところでございます。  そういうことで、今後ともこのように官民がそれぞれ役割を担って特許情報等が国民に広く提供され活用されるよう努めていきたいと、このように考えているところでございます。

小林温自由民主党・保守党

○小林温君 あくまでも官が民の活動を、企業活動を阻害するということ、これはあってはならないということでございますので、その点については今後とも是非しっかりとお願いしたいと、こういうふうに思います。  時間もないようでございますので、次、この知的財産戦略本部の今後の組立て方でございますが、本部の構成メンバーとして民間有識者をメンバーとして入れるということになっておりますが、この民間からのメンバーについては広く意見を聞く観点から人選を行うべきであると、こういうふうに考えます。  また、事務局の構成においても民間から人材を登用するということになっておりますが、これ、いろんな国やら役所の審議会のメンバー、私、特にIT等のメンバーの人選を見せていただきますと、もう既に大御所になられた方がどんとたくさん座られていて、今の一番新しい分野の意見を代弁してくれるような方がその審議会の中に入っていないということが多く見られることがあって、私ももうちょっと何とかならないのということをお願いしたりもしているわけでございますが、是非、この知的財産戦略本部というものは、正に官民、産官学の英知を結集して中身を作っていくところであると思いますので、この本部の人選あるいは事務局の人選については今までにない取組をしていただきたいと、こういうふうに思います。  この点について、これは内閣の方ですか、お答えをいただければと思います。

平井敏文内閣官房内閣審議官

○政府参考人(平井敏文君) 御答弁申し上げます。  戦略本部における民間有識者につきましては、その人数も含め本法成立後に決定されることになりますが、民間有識者を本部員とする趣旨は、知的財産の源であります大学等の関係者、それから知的財産保護において重要な役割を担っていただいております法曹界の関係者、そしてその知的財産の効果的活用ということで事業者の皆様方、そういった専門的知見を生かすためであるというのが趣旨でございます。  したがいまして、御指摘の点も踏まえまして、幅広い分野からの参加を求めたいと考えております。  また、本部のスタッフ、事務局体制につきましては、民間からの登用も含めまして内閣官房に所要の人員を配置したしっかりとした事務局体制を整備することとしておりまして、官民の交流に十分努めながら、十分に実効性を確保して、政府全体で知的財産戦略を進めていきたいと考えております。

小林温自由民主党・保守党

○小林温君 官民の交流については、これは法律も制定されているわけでございますが、やはり人材の官への登用という点では、まだまだ面白くないといいますか、遅々として進まない部分も実際はやはり指摘されているところだと思います。  この辺も踏まえて、是非、今回の取組についてはよろしくお願いしたいと、こういうふうに思います。  最後になりますが、近年、いろんな基本法あるいは大きな政策というものが策定される中で、理念が良くて必要な施策名も網羅されているが、実行してみるとなかなか結果が伴わないというものも実はあるんだろうと、名前は挙げませんが、思うところあるんですが、是非この知的財産基本法は実効あるものにしていただきたい。  先ほど申し上げましたように、戦略本部の設置、推進体制の整備等について、是非、平沼大臣の方から強い御決意を述べていただきたいと、こういうふうに思います。

平沼赳夫自由民主党経済産業大臣

○国務大臣(平沼赳夫君) この知財基本法に基づく知的財産戦略を実効あるものにするためには、正に小林先生御指摘のように、その推進体制の整備ということが非常に必要なことだと、このように思っております。  こうした観点から、基本法によりまして知的財産戦略本部を内閣に設置をすることにいたしておりまして、その本部長は総理大臣でございまして、すべての国務大臣が参画をし、そして幅広い学識経験者にも入っていただいて民間の活力も出していただこうと、こういうふうに思っております。総理のリーダーシップの下に、各それぞれの大臣が先頭に立ちまして、各府省を指導して、この知的財産推進計画というものを推進をしていくわけであります。  この本部を支える体制につきましては、民間からの登用も踏まえまして、内閣官房に所要の人員を配置をしたしっかりとした事務局体制、これを整備をしまして、これによりまして、御指摘のように仏作って魂入れず、こういうことにならないように、私どもはこの知的財産戦略を進めていきたい、このように思っているところでございます。

小林温自由民主党・保守党

○小林温君 終わります。

若林秀樹民主党・新緑風会

○若林秀樹君 民主党・新緑風会の若林でございます。引き続き、質問をさせていただきたいと思います。  御案内のとおり、午前中、参考人質疑を行いまして、小柴東大名誉教授あるいは野間口三菱電機の社長等にお伺いして、非常にいい質疑ができましたので、是非、議事録等で見ていただければこれからの国の在り方ということについて非常に参考になるのではないかなというふうに思っておりますので、是非読んでいただければというふうに思っております。  その中でも出たんですが、やはり小柴教授からは、国の支援というのが非常に大切だと、どんなに景気、不景気になろうとも、安定した、やっぱり二、三十年を見据えた国の支援というのがありましたし、野間口社長からも、小林委員からも発言がありましたけれども、国際特許あるいは標準化、あるいは財産の保護という、海外の模造品対策等、国が果たしてほしい役割は非常に大きいというお話がありましたので、そういう意味では今回の知的財産基本法、若干遅きに失した感は否めませんけれども、将来に向けて私はこのねらいというのは非常に重要なものだというふうに思いますので、実効性あるというんでしょうか、箱物行政的に終わらず、中身はしっかり詰めてこれからいければなというふうに私も思っているところでございますので、今日は我が国のそういう意味でイノベーションシステムをどうやって作っていくかという話で質問をさせていただきたいなというふうに思っております。  私は、ついこの知的財産というとアメリカモデルが頭に浮かぶわけですけれども、私はやはり我が国の文化、風土、あるいは行政組織、法制度にのっとったやっぱり独自のイノベーションシステムを作り上げるということが私は必要だなというふうに思っておるところでございます。ですから、やっぱり知的財産を作り出す力というのをどうやって生み出していくかという観点からお話を進めさせていただきたいと思いますが、まず大臣にお伺いしたいというふうに思います。  IMDの国際競争力調査ですか、今年はついに三十位まで下がったということで、九三年まで一位だったんですが、三十位まで下がってきたということでございます。よくよく中身を見てみますと、科学技術に関する項目というのが非常に高いんです。いまだにトップレベルなんですね。例えば、御紹介しますと、研究開発費では総額とか一人当たりとかGDP比というのは大体二位ぐらいを堅持しておりますし、研究開発の従事者総数ということでは一位でございます。あるいは、企業における研究開発者も一位ということでございまして、非常にまだまだやっぱり科学技術力はあるんだということをこのIMDの調査でもしているわけでございます。  一方、最近出ました世界経済フォーラムの競争力調査におきましては、昨年の二十一位から十三位に上がってきたということで、こういうのに一喜一憂する必要は私は必ずしもないと思いますけれども、若干気になるところで、更に続けたいと思いますが、その中で企業の革新性は第一位なんですね。トップなんです、この経済フォーラムの中では。あるいは、技術面でもトップレベルということで、両方の調査で共通しているのは、政府の非効率性とか、あるいはマクロの経済政策、あるいは金融面の弱さ等々ありますので、このように科学技術レベルが本当に非常にトップレベルにあるにもかかわらず、我が国の競争力向上に結び付いていないというところを大臣の実感としてちょっと御所見をお伺いできればなというふうに思っております。  取りあえず、高コスト経済とか非製造業の競争力のなさとかそういうのは除いて、どんなふうに今思っていらっしゃるか、率直なところをお伺いしたいなというふうに思っているところでございます。

平沼赳夫自由民主党経済産業大臣

○国務大臣(平沼赳夫君) 今、若林先生御指摘のように、IMDという、いわゆる国際競争力レポート、これによりますと、インフラ分野の総合ランクというのは四十九か国の中で三十位になっています。しかし、御指摘のように、いろいろな細かい点を見ていくとまだまだ優秀だと、こういうことで、一概に私は悲観すべき問題でもないと、こういうふうに思っております。  この国際競争力について三十位になっているということは、我が国の大学、企業等の研究開発がある意味では効果的に事業化に結び付いていない、こういう面が結果として競争力の強化につながっていない、それが大きな要因であると、私はこのように認識をしております。研究開発の成果を新たな市場や事業の開拓に結び付けていくことが極めて重要であると、このように思っているところでございます。  このような認識の中で、我が省といたしましては、知的財産政策の強化に加えまして、平成十五年度概算要求におきまして、一つは研究開発の成果が迅速に事業化に結び付いて、そして市場創出に直結するような研究開発プロジェクト、これはフォーカス21、これを創設をいたしました。それから二つ目として、産学官連携の強化あるいは研究開発型のベンチャーの創出等を通じたイノベーションの加速化、こういったことをしっかりと実施をして我が国の産業の競争力強化を図ってまいりたい、こういうふうに思っておりまして、先ほど御指摘させていただいたそういったところを、やっぱり我々としてはよくチェックをした上でそういう足りないところを補っていくと、こういうことで全力を挙げていく、こういうふうに思っております。

若林秀樹民主党・新緑風会

○若林秀樹君 足りないところを補っていくということで、そういうのも今回の基本法の趣旨の一つではないかなというふうに思っております。  今の科学技術項目でちょっと申し上げたんで、その続きでちょっと質問させていただきたいと思いますが、これでちょっと気になるのは、現状の科学技術のいろんなレベルでは高いんですけれども、低いのは、一番最下位なのが若者の科学技術への関心度、あるいは科学教育というのがほとんどもう低いということでございまして、午前中も加納委員が何か政務官を務められたときに理科教育云々というお話をされておりましたけれども、改めてこういう問題、やはり、今はいいですけれども、将来というのはやはり教育なり若者の科学技術の関心度というのが必要だというふうに思いますので、その辺の対策をお伺いしたいなというふうに思います。  話を変えます。  小学校の学力で、理数系はいまだにトップレベルなんですが、じゃ理数系が好きかどうか、あるいは将来それに関する職業に就きたいかどうかというのもまたこれは最下位の方ですから、これも関連していると思うんですけれども、この辺について文部科学省にお伺いしたいなと思います。

山元孝二文部科学省科学技術・学術政策局長

○政府参考人(山元孝二君) 御説明させていただきます。  今、先生御指摘の、子供たちだけじゃなくて、国民全体かもしれません、科学技術離れ、理科離れ、この問題が非常に大事な問題だと思ってございます。  一つは、科学する心、科学技術、理科についての学ぶ意欲、こういうもの、あるいは科学技術に関する活動に携わることへの意欲の問題、あるいは現在の社会をめぐるいろんな課題について科学的な形で判断を行えるように、国民が広く科学技術についての理解をやはり国民全体が持っていただく、こういう点について我々はいろいろと対策その他考えていく必要があろうかと、こう思ってございます。  その中でも、特に子供たちへの問題でございますが、やはり何をおいても夢、こういう夢をやっぱり持っていってほしいなと、こう思いますし、せっかくこうして文部科学省ができました。こういう科学技術の面と子供たちの小学校、中学、高校、そういう中における理科・数学教育、こういう点についても私ども一緒になった利点を是非生かしてやっていきたいなと、こう思っていろんな施策をやっておるところでございます。

若林秀樹民主党・新緑風会

○若林秀樹君 余り具体的な中身はなかったような感じはしますけれども、次に進めさせていただきたいなというふうに思っております。  先ほどの国際競争力の中で、やはり大学教育というのが非常に重要だと思うんですが、一つ指摘されているのが、やっぱり経済ニーズに合う大学教育というものが国際競争力の評価でも下位であるという指摘がされております。  これ新聞報道なんですけれども、経産省は産業の寄与度でこれからの大学をやっぱり格付し、それを生かしていきたいというお話が載っておりましたので、それに対する現状の進捗状況というんでしょうか、ねらいでしょうか、お聞かせいただければと思います。

桜田義孝自由民主党経済産業大臣政務官

○大臣政務官(桜田義孝君) 若林先生御指摘のとおり、七月十四日の日曜日で、読売新聞におきまして、「産業寄与度で大学格付け 経産省、評価基準作り着手」と報道されたところでございます。  大学は、様々な学術研究や人材育成を行うところでありまして、我が国の経済社会の発展に大きく寄与していたと認識しているところであります。当省といたしましては、共同研究など、大学が行う産学連携活動に着目し、産学連携活動を通じた我が国経済社会の貢献につきまして、大学を評価する調査研究を本年度より開始したところでございます。  具体的には、共同研究や産業界への技術移転実績等、産学連携活動を客観的に評価するための評価手法を開発中であります。こうした大学評価手法の調査研究結果が一般に公開されることで大学間の競争を促進し、ひいては産学連携の促進に資することを期待している、目的としているところでございます。  本事業の進捗状況といたしましては、本年度、基本的な評価手法について検討し、平成十五年度以降、順次ライフサイエンスや情報通信、環境といった個別分野ごとに評価手法を検討していく予定でございます。

若林秀樹民主党・新緑風会

○若林秀樹君 関連なんですけれども、評価手法を作って評価して、それに対して経産省として何か予算措置も含めて支援していくということなんでしょうか。

桜田義孝自由民主党経済産業大臣政務官

○大臣政務官(桜田義孝君) この計画については五年計画でやっておりますので、まず今年は全般的なものをやって、それで来年度から逐一、毎年度ごとに少しずつ個別分野に入っていくという予定を立てているわけであります。

若林秀樹民主党・新緑風会

○若林秀樹君 ありがとうございました。  一方、文科省の方でも今後分野ごとの競争力を評価して、予算を重点配分するという二十一世紀のセンター・オブ・エクセレンスですか、COEプログラムというのを作っているそうでございますが、それとの関連も含めて、このねらいとするところ、あるいはバッティングするところはないのかどうか、ちょっとお伺いしたいんですが。

工藤智規文部科学省高等教育局長

○政府参考人(工藤智規君) 二十一世紀COEプログラムは本年度から始めたものでございますけれども、先ほどの御指摘の点と違いますのは、このプログラムはある程度限られた資源を重点配分しようと、しかもそれは研究上のポテンシャルのある大学に対するものでございますが、国公私を通じまして、しかも大学では文系から理系まであらゆる学問分野をカバーしてございますので、私どもこのCOEプログラムにおきましても、専門家によるもちろん審査を経ながら行うわけでございますけれども、そもそもの対象とするのが産学連携という切り口だけではなくて、研究上のインパクトあるいはこれからの可能性なども含めて、その研究そのものの振興のためという観点が一つございます。  それから、分野としまして、先ほど申しましたように人文・社会科学から自然科学まですべての学問分野を対象に、しかもそれは金額の都合もございますので、本年度は半分で二年計画を予定しているわけでございます。  さらに、先ほどの評価の観点からの経産省の御調査の試みがございますが、私どもこれは大学のランキングをするということではございませんで、各大学でいろいろやっておられる中で、特にこれから国際競争力のある大学づくりのために更に支援する分野について行おうということでございますので、結果として世の中がどう評価するかというのはございますが、ランキングを目的とするものではないということもございます。

若林秀樹民主党・新緑風会

○若林秀樹君 ありがとうございました。  必ずしも重なるわけではないと言いながらも、一部あろうかと思いますし、是非有機的に双方が効率的に連携していただければなというふうに思っております。  次に、我が国の競争力を考える上で、技術レベルをどうやって維持するか。それはやっぱり理工系学生のやはり活躍する場をどうやって確保するかということになろうかというふうに思いますが、最近、私にとってはちょっとショックだったんですけれども、二〇〇二年の科学技術政策研究所の調査によりますと、初めて理工系学生が製造業からサービス業に就職する数が上回ったと、それも三・七%も上回った。せっかく理科系の勉強したにもかかわらず、サービス業に行かざるを得ない状況に今日なったということに対しまして、どういう認識でいるのかお伺いしたいなというふうに思っております。  単なる産業構造の変化として仕方ないと見るのか、それともやはり我が国の科学技術立国としての位置付けあるいは国際競争力の観点から、これはやっぱり変えていかなきゃいけない、どう対応していくかということをしっかりやっぱりやっていかなきゃいけないということで見るのか、その辺も含めてお伺いしたいと思います。

平沼赳夫自由民主党経済産業大臣

○国務大臣(平沼赳夫君) 若林先生御指摘のとおり、この科学技術政策研究所の調査によりますと、理工系学生の就職先としまして、製造業よりサービス業が三・七%上回った、このような結果が出ています。サービス業が二万三千四百八十六人、それに対して製造業が二万一千二十三人と、こういうことでございます。  その背景の一つとしては、製造業の生産拠点が海外へ進出、移転、これが近年急速に増加をしていること、これも一つだと思っております。  それからもう一つは、海外からの低価格輸入品の増加による国内生産の減少等によりまして製造業の国内雇用が減少しているということが考えられます。  大きく見てみますと、これは八九年と比較をしまして、これは二〇〇一年と比較をしますと、製造業の雇用者数というのは二百万人全体で減少しています。それからサービス業の雇用者数は、これは八九年と二〇〇一年なんですけれども、この間に四百三十万人増加しています。  理工系学生の製造業への就職割合の低下、その中にもう一つの要因としまして、電気機械器具産業への就職割合の減少というのが大きく寄与しているという実態があります。それからまたサービス業、それだけ九〇年から二〇〇一年まで四百万人増えたと。その就職の内訳を見てみますと、情報サービス関連が大宗を占めておりまして、これが九割以上でございます。これはいわゆるITという、IT革命による情報技術者への産業界のニーズの高まりが大きく寄与しているんではないかと、こういうふうに思っております。  理工学部の就職者の職業別の内訳を見ますと、機械・電気技術者が二五・四%、それから情報処理技術者が二二・〇%、こういうことでいろいろなそういう要因が重なって御指摘のようなところが出てきていると思います。  しかし、物づくりは何といっても日本の一番大切な部分でございますので、製造業は我が国の基幹産業と言えるわけでございまして、理工系の学生等が製造業において引き続き十分に活躍できるように、製造業の高付加価値化あるいは魅力ある事業環境の整備を推進をしまして、国際競争力の強化に取り組んでいかなければならないと。ですから、そういった体制を整備する、このことは絶対必要だと、このように思っております。

若林秀樹民主党・新緑風会

○若林秀樹君 ありがとうございました。  やっぱり就職先がないと、やっぱり最初から学生が大学を選ぶときからやっぱりそこに対して選ぼうとしないという傾向になると思いますので、この対策というのはやっぱり必要じゃないかなというふうに思いますし、まあ情報サービスに行くのであればまだ関連があろうかと思いますし、これからは、これまでも指摘がありましたように、法科大学院ができれば理科系の学生でもそういう弁護士になるとか、あるいは技術に強い弁理士になるとか、そういう可能性というのは私はこれからニーズとしてあるんで、政策的にもそういうふうに誘導していくことがやっぱり必要ではないかなというふうに思っております。  質問、済みません、ちょっとずつ飛ばしていくかもしれませんので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  続きまして、産学連携とTLOの評価というところにちょっと進まさせていただきたいなというふうに思っております。  産学連携の必要性はもうさんざん強調されてはいるんですけれども、残念ながら、この十年ほどを見ますと、必ずしもそういう動きにはなっていなかったというのが実際ではないかなというふうに思います。一九八六年に研究交流促進法を制定するなど、産学連携する問題意識はあったんですが、結果として、振り返ってみると産学連携はやっぱり進まなかったと。何ゆえにこう進まなかったかという認識についてお伺いしたいなというふうに思っております。  法制度の後れなのか、あるいは企業側の問題なのか大学に問題なのか、今朝ほどもちょっとそういう御発言もありましたけれども、今はやっぱり企業側からもそういうことが必要なんだという意識が出てきたのも大きいんじゃないかなと思いますが、この辺の認識についてお伺いしたいと思います。

西川公也自由民主党経済産業大臣政務官

○大臣政務官(西川公也君) 御指摘のとおり、例えば二〇〇〇年度の大学から企業への技術移転実績でありますけれども、アメリカで三千六百六件ありました。一方、日本はわずか九十八件と、こういうことになっておりまして、米国に比べまして確かに大きく後れを取っております。  そして、この後れた背景は何だろうかといいますと、やっぱり日本では産学連携の必要性というのは余り重視しなくて、企業内で教育をやっていってしまったと、こういうことかと思います。自前主義で広く一般化していった、こういうことで研究は自分の企業内でやる、こういうことが原因ではなかったかと、こう分析をしております。  しかしながら、これからどうするかといいますと、やっぱり我が国の企業も選択と集中を行うことを余儀なくされておりますので、これら大学と一緒になりまして、潜在能力を最大限活用すべく産学連携を進めていくと、こういう考え方を持っております。  今、先ほどもお話ありましたけれども、アメリカに二十年後れて大学等技術移転促進法、あるいは一九九九年に日本版バイ・ドール条項が制定されましたけれども、やっぱり急ピッチで法整備も進めていかなければならないと、こう考えておりまして、これからも産学連携活動強化に的確に取り組んでまいりたいと、こう考えております。

若林秀樹民主党・新緑風会

○若林秀樹君 ありがとうございました。  企業内も自前主義でやる余裕がなくなってきたという意味では、研究開発も基礎研究はもう大学である程度やってもらって、その技術を企業に生かしていきたいというぐらいの感じではないかなというふうに思いますので、九〇年代も結構大学でやっていたのは、日本の大学とやられずに海外の大学と結構連携をしているんですね。そういう意味じゃ、やっぱり日本の大学の魅力というのが原点に私は根本的課題としてあるんではないかなというふうに思いますので、それに対して、せっかく日本の大学ですから、そことの連携をこれから強化していくこともやっぱり必要じゃないかなというふうに思っています。  簡単に、TLO法、せっかくもう四年たっているんで、二、三年前ですとまだできたばっかりということがありましたけれども、もう四年たったんで、現状のその評価とこれからどうやってTLOを支えていくんだというようなお話をちょっとお伺いしたいなと思います。五年ぐらいの支援策、いろいろありましたし、その状況についてちょっとお伺いしたいなと思います。

西川公也自由民主党経済産業大臣政務官

○大臣政務官(西川公也君) 一九九八年の法施行以来、現在までに二十七のTLOを承認をしております。その活動実績見ますと、国内の特許出願件数が一九九九年度までに二百八十件と、こういうことでありましたが、二〇〇〇年度は六百十八件、二〇〇一年度は千百四十五件と大きく伸びてきたと、こういう状況にあります。  また、二〇〇一年度に承認TLOから生み出された経済効果は、経済産業省の試算によりますと約百億円と、こういう状況でありまして、着実に成果を上げていると、こう受け止めております。  今後のTLOの設置でありますけれども、現在、国立大学で見ますと、自然科学系の学部を有する八十四大学のうち半分以上の四十七大学がTLOと提携しまして、技術移転活動を行っております。現在、TLOの設立準備を進めている大学もほかにも複数ありまして、今後も着実に多くの大学が取り組んでいくと、こういう状況と考えております。  また、支援の話、お尋ねありませんけれども先にお答えしますと、直接補助金を、支援をやった、こういうこともありますけれども、TLO自らが技術移転に附帯しまして創業支援に対する支援を講ずる、こういう活動もありまして、今後とも機能強化に努めていきたいと、こう考えております。

若林秀樹民主党・新緑風会

○若林秀樹君 ありがとうございました。  支援も五年間とか債務保証とかいろいろいただいてはいるんですけれども、現場の声をお聞きをしますと、弁理士費用が高いとか、もっと非課税扱いぐらいにしてほしいとかという話もありますので、更なる支援策も御検討いただければなというふうに思っております。  一方、中小企業金融公庫が中小企業を対象とした調査で、産学連携というのは進んでいないと。中小から見ると、どうしたらいいのかとか、やっぱりそのきっかけがなかなかつかめないんですよね。今はどっちかというと大企業、中堅企業以上だと思いますけれども、もっとやっぱり中小でもそういう産学連携も必要ではないかなというふうに思いますので、もしそれについての対応策等あれば。これは政務官でよろしいんでしょうか。

西川公也自由民主党経済産業大臣政務官

○大臣政務官(西川公也君) 実は、私も状況を政府の担当の皆さんにも尋ねてみました。  それで、今月の十八日に産学官が一堂に会する第二回の産学官連携サミット、こういうことでやったわけでありますけれども、内閣府が主催でありまして、経済産業省は共催、こういうことで一緒に開催をしていますが、出席者等も、大企業もおるし中小企業の方もいると、この程度でありまして、やっぱり中小企業の皆さんにもう少し積極的に入ってもらえればなと、こういうことを私も思っておりまして、今後とも中小企業の皆さんが十分に活用できるように取り組んでいきたいと、こう思っています。

若林秀樹民主党・新緑風会

○若林秀樹君 ありがとうございました。  続きまして、企業の経営能力ということについて大臣にお伺いしたいなというふうに思っております。  グローバル経済が進展したということは、我が国の国際競争力を露呈したというんでしょうか、いろんな部門部門でどうなのかということでいろいろ言われまして、人件費が高いとか空港の使用料が高いとか、いろいろ数字で見えるところは比較的比較しやすいんですけれども、私は、本当に問われているのは我が国の企業の経営能力ではないかなという感じが最近しておりまして、少し問題意識を持っております。それについて、本当の意味で強い企業を生み出す真のやっぱり経営能力を引き出す我が国のインフラとしてはどうなのかということに対しては、私はややこれから少し長期的に掛かっても改善する点がいろいろあるんではないかという問題意識を持っておるところでございます。  最近の事例でいいますと、本当に危機管理能力があるのかとか、本当にこの倫理観でいいのかどうかという不祥事も非常に続いておりまして、本当にこれが経営者のやることなのかということを私は常日ごろから思っております。最近では、日本信販の総会屋への利益供与の問題もありまして、大臣から見て、我が国の経営者に対して叱咤激励というか、どういう感想を持っていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。

平沼赳夫自由民主党経済産業大臣

○国務大臣(平沼赳夫君) 確かに、御指摘のようにいろいろ不祥事があり、経営者自体の倫理観の欠如等が非常に大きな問題になっております。これはやっぱり、九〇年代までは我が国の経済というのは右肩上がりで来て、そういったことが余り、もちろんあったと思いますけれども、露呈してこなかった。そして、グローバル化が進む中でそういったことが明確に現れてきた、こういうことが言えると思います。ただし、今の企業経営者の中にも、このグローバル化の時代で堂々と、そして指導力を持って大変国際的な評価を受けている人もこれは数多くいるわけでございます。  そういう中で、こういう状況の中で、やはり透明にして、そしてオープンにする、そういうやっぱり体制が私は必要だと思いますし、また今、経団連等でも取り組んでいるようでございますけれども、やっぱり企業の経営者自体の倫理憲章みたいなものもしっかりと使って自覚を促す、こういうことも必要だと思っております。また、産業再生法等も、これも我々としては産業活力再生特別措置法、これは十一年から実施しているとともに、これは何を目的にしているかといいますと、やはり企業における経営改革への取組を促進する観点、ですから企業の事業再構築を支援する、こういったことで特別措置法を十一年から実施しておりまして、企業経営に対する株主や債権者によるいわゆるチェック機能の強化を図る、こういう観点からの商法の見直し等も検討を進めているところでございます。  私どもとしては、最近の主要企業における不祥事については、必要な法令の見直し等を行っているところでございますけれども、企業不祥事への対応においては、まずこれは何といっても産業界における自主的な取組が重要と考えておりまして、日本経団連の、先ほどもちょっと触れましたけれども企業行動憲章の遵守の徹底、こういったことも適切に実施されるように私は期待をしておるところでございます。

若林秀樹民主党・新緑風会

○若林秀樹君 ありがとうございました。  いい意味で高度成長時代は、課長になり部長になり、そしてその次のステップとして取締役になるという意味で、本当の意味での経営者としての自覚というんでしょうか、やっぱりその中での仲間意識等私はあったんではないか、そのことが倫理観等の問題でそれを隠ぺいしてしまうような体質というのがやはり生まれたんではないかなというふうに思いますけれども、今求められているのはやはり経営資源をきちっと生かして強い企業に生まれ変わる、そのための経営能力をどうやって我が国として育て、やっぱり育成していくことが必要じゃないかという意味で、法的に見ても若干これから少し中長期的に見て直す点がやっぱり多いんではないかなというふうに思います。  例えば、何ゆえにカルロス・ゴーンさんが来てあれだけ経営立て直しができるのか。これは単に外部だから、外国人だからということで割り切れないと私は思いますし、電機・電子産業が世界の中で比べて総体的にやっぱりちょっと苦しい立場、しかし一方では、世界各国を見ればその産業でやっているところは幾らでもありますし、最近目をみはるのは、サムスン電子という韓国の企業でございまして、七月から九月期の利益を見るとナンバーワンですよね。もうこれは一九六〇年代にできた、それで日本が技術指導した会社でございますので、それがやっぱりDRAMとか液晶とか様々な分野でトップシェアを取り始めて、そういうことを考えますと、やっぱりいい意味で、厳しくするということは目的じゃないですけれども、強い企業を育てるという意味で私はいろいろ法的にも問題があるんではないかなというふうに思っているところでございます。  そういう意味で、もし法務省の方が答えを用意していればお答えいただきたいと思いますが、もしなければ次に進まさせていただきます。

中野清自由民主党法務大臣政務官

○大臣政務官(中野清君) 若林委員の御質問にお答えしたいと思いますが、今おっしゃったことはいわゆるコーポレートガバナンス、この問題だと思います。このコーポレートガバナンスの在り方につきましては、我が国の会社経営者の経営能力を発揮する上におきましても、また、いざというとき経営の内部について外部からチェックするいわゆる安全装置といいましょうか、つまり経営の保険と、そういう意味におきましてもこのコーポレートガバナンスというのは重要なものだという認識をいたしておるわけでございまして、その中で、先ほど大臣もお話がございましたけれども、商法につきましては、昨年から今年にかけまして例えば監査役制度の強化、これはいろいろございます。例えば、取締役会に監査委員が出席する義務があるとか、それから意見を言わなきゃならない義務があるとか、それから例えば期限にしましても、今までは任期が、三年が四年になったとか、それからもし辞めたときも総会へ行って、いわゆる辞任のときにも発言する権利を持っているとか、それから監査役を例えば選任するときに監査役会が承諾するとかという、そういうような権利を、この監査役制度がございます。そういう意味で一つ片方で強化いたしました。  それから、多分、先生はアメリカでいらっしゃったから、そういう意味でいわゆるアメリカ型の委員会制度、それは我が国におきましてもこのたび、そういう例えば、何というんですか、人事のいわゆる委員会とか、それから監査委員会とか、例えばトップの報酬を決める報酬委員会とか、こういうものをいわゆる社外重役がその構成メンバーの半分以上なるというようなものを作りまして、片方ではそういう場合には、いわゆる何というんでしょうか、この委員会の場合には監査役会は要らないというような制度を導入しておりまして、いわゆるコーポレートガバナンスの強化につきましては、制度としてはとりあえず国際的にも遜色のないものができているんじゃないだろうかという認識を持っております。  また、今、多分、先生がおっしゃった中に、当然経営者の能力と一緒に役員の責任というものがあるわけでございますけれども、これについては平成九年の商法改正がございまして、当時皆さん御案内のように総会屋の事件とかいろいろございました。そういう中で、例えば特別背任罪、これは七年から十年、それからまた罰金の方も三百万から一千万というふうになってきましたし、それからまた総会屋さんについての利益供与なんかも、例えば今までは六か月だったのが三年とか、罰金も三十万が三百万とかというようなことで、法定の刑の引上げなど、いわゆる商法上の罰則規定も全般的に強化を図ってまいりました。  ただ、おっしゃったとおり、経営というのは人でございます。特にトップの意思というものが当然そういう取締役会に反映しなきゃいけない。しかも、しかしその取締役会というのは、御承知のように会社の業務を執行する、そういう権限と一緒に、もう一つは会社の業務を監査する、チェックするという機能があるわけですね。ところが、やはり日本の場合には今までそのチェックの方が弱かったということで、これを今一生懸命やらさせていくことについては同じだと思っております。  そういう意味で、法務省としましては、今後コーポレートガバナンスとかいろいろ取り組みまして、これから商法改正、特に企業法ですか、これについては一生懸命研究をさせていただいて、御期待に沿うように頑張りたいと思っておるわけでございまして、どうかよろしくどうぞお願いいたします。

若林秀樹民主党・新緑風会

○若林秀樹君 総会屋、六か月が三年になったとか三十万が三百万、それでも同じやっぱり犯罪を犯すんですよね。この間、エンロンとかワールドコムの不正経理の問題なんかを見てみますと、アメリカではもう素早い対応で、罰金、禁錮刑を強化したということで、例えば有価証券報告書の虚偽記載だけで五年から二十年に禁錮、罰金、懲役が延びたんですね、これは上場している会社だけだというふうに思いますけれども。それがやはり、いち早いああいう対応になったということはどうなのかなと思いますが、必ずしもそれをまねするということじゃなくて、我が国の経済法の在り方をやっぱりもう一回見直すべきではないかという問題意識でございます。  続きまして、続いて政府の役割ということでちょっと一問飛ばさせていただいてお伺いしたいなと思います。  まず、大臣にお伺いしたいんですけれども、最近、中国で新しい指導体制ができたということで、胡錦濤総書記ですかを始め刷新されたということでございまして、ちょっと変わった質問なんですが、この全政治局員二十四人が全員、大学、専門学校卒と、なおかつ常務委員という、まあ本当の意味での指導部ですよね、その九人が全員理工系の出身の大学、大学院卒でありまして、さらにはみんなが国家公認のエンジニアの資格を持っていると。そういう人が九人、今回、指導部体制になったということで、一方、我が国の指導部体制を見ますと、別に理工系じゃなきゃいけないということを言っているわけじゃなくて、十七、八人ですか、見ますと、坂口大臣が、あえて言えば、まあ医師ですから本当の意味ではエンジニアじゃないんですけれども。  この差というのは、私はやっぱり国家運営においても差が出るんではないかというふうに思いますが、その辺、率直に御感想を述べていただければ。

平沼赳夫自由民主党経済産業大臣

○国務大臣(平沼赳夫君) 御指摘のように、政治局常務九人が全員理工系出身者。我が国の閣僚は理工系出身者が本当に少ないわけでございまして、小渕第二次改造内閣以降で調べてみましたところ、各内閣一名程度というのが実態でございます。  ただ、我が国が科学技術立国を目指すに当たって重要なことは、単に理工系出身者が閣内にいるか否かが問題ではないと、こういうふうに思っておりまして、理工系出身者、文科系出身者という区分を超えて、やっぱりイノベーション、これに対する深い認識と、それを社会の中で付加価値として具体化していく積極性を併せ持った人材を、閣僚を含め、そして各界に充実させていくということが私は重要だと思っておりますけれども、しかし、そういう意味で、確かに少ないということは事実でありますし、せっかく御指摘いただきましたので、ほかの国のそういう内閣を私も調べてみたいと、こういうふうに思っております。

若林秀樹民主党・新緑風会

○若林秀樹君 そういうことでございますので、今朝の三菱電機の社長も技術系、研究開発、それも基礎研究をやられた方が今度初めて社長になったということで、ある意味では、時代の流れというんでしょうか、そういう発想での考え方もやっぱり必要ではないかなというふうに思っています。  その関連で次の質問をお伺いしたいんですけれども、副大臣にお伺いしたいと思うんですが、中国というのは、我々の認識ですと世界の工場という感覚もあるんですけれども、一方、世界のハイテク立国を目指すという戦略を着実に打ちつつあるなという認識でございます。  一番典型的な例はいわゆるサイエンスパークでありまして、私もこの四月に行ったんですが、北京の北西部に広がる中関村というところでございまして、まあすごいなと。先端分野、いわゆる五分野だけで、今、ベンチャーがあの狭い中で、十キロ四方の中で一万社できているということで、去年だけで二千社ベンチャーができたと。ただのベンチャーじゃないんですよ、先端に認定した企業だけでということでございまして。それに対しての税制が、所得税が三年以内全部免除、四年目から三年間半額とか、研究開発に対する減税とか、様々な優遇政策を取っているということで、一方、あの辺は六十の大学、専門学校、三十万人の学生、三万人の学部卒業生、六千人の大学院生ということで、二百ぐらいの研究機関がもう既にできているということでございます。  そういう意味では、本来、私が思うのは、日本がこういうことをやっぱり先行してやるべきではないかなという感じがしているんですけれども、全くまねをする必要はないんですが、やっぱりこういう発想に基づいて、先を見据えて着実に手を打つ必要があるんじゃないかなというふうに思いますが、この辺についての認識についてちょっとお伺いしておきたいと思います。

西川太一郎保守党経済産業副大臣

○副大臣(西川太一郎君) 技術に立脚して我が国経済の再生を図るためには、委員御指摘のとおり、地域の特性を生かした研究開発拠点でございますとかハイテク産業の集積というものを進めていかなければならない、技術開発を通して高付加価値を持った新事業を次々と生み出していくということが焦眉の急であるというふうに当省といたしましても強く認識をいたしております。  そこで、平成十年に制定されました新事業創出促進法に基づきまして、高度技術に関する研究機関が相当数存在する地区、これを高度研究機能集積地区、こういうふうに位置付けまして、地域振興整備公団によりますサイエンスパークでありますとかインキュベーターの整備、こういうものを展開をすることによりまして新事業の創出の促進を図っております。  また、御案内の産業クラスター計画におきまして、ハイテク産業を含む将来有望な新産業分野を念頭に置きまして、全国十九のプロジェクトを打ち立てまして、四千社近い世界市場を目指す中堅中小企業、それから約二百の大学を含む産学官の広域的な人的ネットワークを形成いたしまして、これを支援をし、効果的、総合的にやっていきたいと、こう思っております。  さらに、今話題になっております構造改革特別区制度、特区制度でございますが、これにおきましても、地方自治体から様々な提案をいただきまして、地域の独自の新産業創出でございますとか産業集積を図ることを目的としたものとして努力をしていきたいと、こう考えております。  先生が見てこられた中国の実態、私も、厳密な数字は後ほどきちっとお届けしたいと思いますが、中国からアメリカに科学技術を学びに出ている青年の数が二千人、我が国からアメリカに出ている人の数は二百人と、こういう差があるというふうに聞いておりますし、またシリコンマウンテン、これはコロラドのボルダーあたりでございます。それからシリコンバレー、こういうところの企業のかなりの部分、中国人のマネジャーが働いているという事実も、私ども、これは大変重要なことだと思って、危機感を持って理解をしております。

若林秀樹民主党・新緑風会

○若林秀樹君 似たようなことはやっているんですが、やっぱりあそこまでの徹底した選択と集中、ダイナミズムというのは、私はちょっとまだまだ日本にはないんじゃないかなというふうに思いました。  今もお話がありましたけれども、やっぱりシリコンバレー等が発展したのは、世界から優秀な人材をどれだけ集められるかということに限っているんですね。アメリカといえども、そういういろんな人材をいろんなところからやっぱり求めていると。  そういう意味では、我が国日本でも、やっぱりアジアのこれからを目指したいという人が日本に来て、ベンチャーを起こしたり勉強したり、そういういろんな優秀な人をやっぱり引き付けられるかというのが一つ大きなかぎじゃないかと。そういう意味では、私は、我が国の開放性というんでしょうか、まだまだやっぱり改善しなきゃいけない点が私は多いと思います。  清華大学へ私もちょっと行って学生と話をしたら、完全に目はアメリカへ行っていまして、もう完全にパッシングなんですよ。アメリカから帰ったら中国でそういうベンチャーを起こすということになりましたから。もっとやっぱり外国人が住みやすい町、英語の問題、様々な風土の問題も含めて、やっぱりもっともっと来てもらうような雰囲気づくりが必要じゃないかなという感じはしているところでございますので、もし御意見があれば簡単にいただければと思います。

平沼赳夫自由民主党経済産業大臣

○国務大臣(平沼赳夫君) 御指摘のとおり、日本は高コスト構造でして、非常に、例えば空港の使用料一つ取ってもまだまだ国際的には高い水準にあります。また、エネルギーコストも非常に高いと。  そういうこともありますし、また外国の研究者が来るに当たっては、必ずしも居住環境がより良く整備されているわけじゃございませんし、例えば町一つ取っても、日本語の表示ばかりで外国人にとっては非常に、それから子弟の教育についても、その受入れ機関というものが非常に乏しいと、そういったところは非常に大きな問題点だと思っています。  この辺の問題点については、経済産業省といたしましても、これを何とかしなければならないと、こういう形で、これは国として、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二におきましても、対内直接投資をどうやって増やすか、それから頭脳流入というものをどうやって拡大するか、それから戦略的分野の技術者の入国だとか就労ですとか勉学、研修、居住、こういったところに関する環境の改善を含めて、平成十四年度中にその具体案をまとめると、こういうことで、今、非常に大車輪でやっているところでございまして、こういったところをしっかりやらないと、本当にこの厳しい国際環境の中で日本が取り残されると。  今、清華大学の学生が日本はパッシングと、こういう形ですから、そうじゃない環境を早急に作るということが非常に私は大切なことだ。やっぱり国の主要な目標として取り組んでいく必要がある。その中で、一つは特区なんかも非常に私は大きな意味があると思っておりますので、こういったところにも力を入れていかなけりゃいけないと、こう思っております。

若林秀樹民主党・新緑風会

○若林秀樹君 大変力強い御決意、ありがとうございました。  時間も大分少なくなりましたので少し飛ばさせていただきたいと思いますが、弁理士の訴訟代理権の拡大についてお伺いしたいなと思っています。  今年の通常国会でも弁理士法の改正がありまして、附帯決議等で今後の弁理士の訴訟代理の在り方について更に検討するというようなお話がありましたので、これまでの弁理士の役割、実績をどう評価し、今後、弁理士の訴訟代理権の範囲等の見直しについてどんなふうに今考えておられるか、お伺いしたいと思います。

太田信一郎特許庁長官

○政府参考人(太田信一郎君) お答え申し上げます。  知的財産を戦略的に創造、保護、活用することで富を生み出す、正に知的財産立国を国の目標としているところでございます。このための方策として、知的財産の事業化あるいは取引活動、さらには紛争解決を支援する知的財産専門サービス、その質的、量的な拡充を図ることが大変重要になっております。そして、その中核的な担い手として、知的財産に関する専門技術的な知見を有する弁理士の方々にこれまで以上に活躍していただくことが重要だというふうに考えているところでございます。  こうした方向に沿いまして、平成十二年の弁理士法の全面改正及び平成十四年の改正によって弁理士の活動範囲を、裁判外の紛争処理業務、ADRの追加、知的財産取引契約の仲介、代理、相談業務の明確化、それから特許権等侵害訴訟における訴訟代理権の付与等、大幅に拡充するとともに、弁理士試験制度の改革も行いまして弁理士人口の拡大と資質の向上に努めているところでございます。  この中で、御質問の、十四年の弁理士法改正では、弁理士に信頼性の高い能力担保措置を講じた上で特許権等の侵害訴訟代理権を付与することといたしました。この規定に基づきまして、日本弁理士会は特許権等侵害訴訟代理業務に係る研修を平成十五年五月に開始し、九月中には終了する見込みであると聞いております。その後、国が侵害訴訟代理業務試験を行い、この試験に合格した弁理士は特許権等の侵害訴訟代理業務を行うことができることとなります。  平成十四年改正弁理士法成立時の本委員会の附帯決議におきましては、「今後の弁理士制度の在り方については、多様化、複雑化及び総合化する知的財産権をめぐる内外の動向及び利用者からの要請等を踏まえて、訴訟受任の在り方や訴訟代理業務の範囲などについて引き続き検討する」旨の決議がなされております。  当省といたしましては、本附帯決議の趣旨を十分に踏まえまして、平成十六年以降、弁理士が特許権等侵害訴訟業務を開始した後に、弁理士の侵害訴訟への関与の実績を十分見極めつつ、知的財産関連訴訟をめぐる環境及び利用者からの要請等も勘案し、必要に応じて関係省庁とともに制度の在り方を含めて検討を行ってまいりたいと考えておるところでございます。

若林秀樹民主党・新緑風会

○若林秀樹君 ありがとうございました。  職務発明関係で五問、質問させていただきたいんですが、ちょっと時間がありませんので問題意識だけ申し上げたいと思いますけれども、いわゆる特許法の三十五条の問題でありまして、いろんな方面からいろんな意見が出ているというのはもちろん知っているつもりでございます。  我が国はやはり契約社会ではありませんから、単純に契約で済むような私は問題じゃないなという感じがしております。一方、相当な対価を支払うということに対しては何らかの形で、対価を支払うということは形を変えやっぱり必要ではないかなというふうに思っておりますから、今、アメリカ型がいいのかドイツ型がいいのか、新しい新ドイツ方式というような議論もありまして、いろいろ意見が出ておりますけれども、また場を改めてお伺いしたいなというふうに思っているところでございます。  じゃ、最後に著作権の問題でございまして、権利処理の問題についてお伺いしたいと思います。  映像コンテンツ、とりわけ映画とかテレビ等において著作権者が結構幅広く複雑になっている、そのことが逆に流通を妨げているんではないか、特にアメリカとの比較においてそういう状況が指摘されているわけで、今後ますますデジタル化されるコンテンツの流通ということを考え、その流通を重視したルール作りというのはやっぱり必要ではないかなというふうに思いますが、それの対応策についてどんなふうに検討されるか、文化庁にお伺いしたいなと思います。

銭谷眞美文化庁次長

○政府参考人(銭谷眞美君) 映像コンテンツの流通についてお尋ねがございましたけれども、御指摘ございましたように、映像コンテンツ等に関しましては権利処理が複雑ということが言われているわけでございます。ただ、劇場用の映画とテレビの放送番組とでは若干事情が異なっております。  まず、劇場用映画について申し上げますと、例えば「男はつらいよ」シリーズなどというのは繰り返しテレビで放送されたりビデオ化などもされているわけでございますが、いわゆる二次利用まで劇場用映画の制作会社が当初から想定をした契約を行っていると。したがって、劇場用映画につきましては、テレビ放送とかビデオ化といった二次利用が現実に十分行われている状況にございます。  一方、テレビの放送番組につきましては、放送番組の制作者、テレビ局とか番組プロダクションになるわけでございますけれども、この制作者が、一般に一回ないし二回の放送のみを対象とする契約をこれまでずっと行ってきた経緯がございます。その結果、再放送とかビデオ化といったことが必ずしも円滑に行われていない、甚だしい場合には放送番組の制作時に、関係する権利者のリストすら十分に整理されていないという状況も見られるわけでございます。このことは、放送番組の制作者の代表も加わって審議検討が行われました文化審議会の著作権分科会の放送小委員会の報告でも指摘をされているところでございます。  私どもといたしましては、こういった状況を改善するために、まず放送番組の制作の時点で関係するすべての権利者とその権利の二次利用における働き方に関する情報を整理をしておくという必要がございますので、現在、文化庁、総務省、経済産業省の三省庁が連携をいたしまして、放送番組を対象にそのような情報を整理する仕組みの在り方を検討しているところでございます。  私どもといたしましては、こういった事業を通じましてコンテンツの円滑な流通が促進されるよう、契約システムの構築等を積極的に支援してまいりたいと考えている次第でございます。

若林秀樹民主党・新緑風会

○若林秀樹君 時間が参りましたので。  今の著作権の問題等も含めまして、解決すべき課題は多いんじゃないかなと。平沼プランで四分野というのはありますけれども、一方、もう一つあえて付け加えてほしいなと思うのは、やっぱりジャパニーズ・アミューズメントというんでしょうか、ゲームソフトとかアニメとか、そういう分野で結構やっぱり日本の競争力はあると思いますので、四プラス一ぐらいの感じで是非、知的財産権の推進に向けて力強いお取組をお願いしまして、質問を終わらさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

松あきら公明党

○松あきら君 公明党の松あきらでございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  午前中の質疑で、参考人の先生お三人、とてもすばらしい、本当に正に示唆に富むお話でございました。もう中でも小柴先生の様々なお話を、私はいろんな意味で感動したという思いでございます。  その中で、私が研究者の人材育成ということを申しましたら、先生は、私はいつも若い者に二点話しているんだということで、国民の皆様の血税で夢を追わせていただいているんだから、ゆめゆめ、かりそめにも無駄遣いはするな、業者の言い値で払っちゃいけない、値切れとおっしゃっているそうでございます。  それから、いつかは自分の手で実現したい、あるいは解明したいという研究の卵を幾つか抱いていなさいと。そして、いろんな方の研究発表等をチェックをしながら、ああ、これは駄目だったな、ああ、これも駄目か、ああ、でもこれはもしかしたらかえる、自分の手で研究をかえせるかもしれない、こういうふうになるんだということもおっしゃいました。  また、例えばすぐに役に立つ技術等に、そういった科学というものに支援等が集中しがちだけれども、そういったすぐに役立つ技術だけに集中されないで、もっともっと基礎的な科学も大事にしてほしい。実はこれが、先ほどちょっと若林先生もおっしゃいましたけれども、十年先、二十年先、あるいはもっと先に大きな成果を生む要素となるんだという、こういうお話もしていただきまして、正に今の子供たちの理科離れという話の中で、今の総体的に子供から若者まで、これは教えられて、そして理解をすると、そうするとテストなどでいい成績を取れるということなんですけれども、じゃ実は大学を出て大学院あるいは企業へお勤めするとなるとどういうものを求められるかというと、それまでと違ったタイプの能力を求められる。だから、教えてもらったことをそのままただ理解するだけでは駄目だということで、正に自分で考え、自分で調べて、自分で働き掛ける、これが大事だということで、私は本当にその教育というものがすべての基本であるということをつくづくと感じた次第でございます。  まだまだたくさんいろんなお話がありまして、ともかく今日は夢をいただいたなと。研究というものは音楽と同じでやってみないと分からないんだと。やってみて、それで百年ぐらいたって役に立つか立たないか、これも分からないという、こんなお話でございまして、正に力を得たというところもありますし、また私はこの前の委員会で頭脳流出による人材の空洞化の懸念、これもちょっと質問をさせていただきましたら、そうですねと、アメリカなどは非常にそういった学者にかなり報酬がいいと。ですから、日本の大学などは、国立大学などは九十幾つあってみんなもう一流も三流もというか、先生、もう一流の人と、そうじゃないどうしようもないのもいるんだとおっしゃって、そういうみんな同じ、一律にその報酬というのがあるからこういうわけにはいかなくて外国に出て行っちゃう人もいるけれども、でも心配しなくていいと思いますよと。いいやつは外国から見てもああいいなと思われるわけで、そういう人は引っ張られて出て行けばいいんだと。でも、日本もまたいい人がいるなと思ったら外国から引っ張ればいいし、また仮にそういうすばらしい人が出ていっても、不思議と若い人が育つと、後から。絶対出てくるんだと。なぜならば、そういった方がいなくなると、若い人が自分に責任を持たされて、責任感が出てくると変わってくる、すばらしくなるから、知的なものに対してはフリーであっていいと、余りぎちぎち締め付けない方がいいんじゃないでしょうかというようなお話もいただきまして、それも大変に、そうでありましょうかということで、参考にさせていただいたわけでございます。  ところで、そんなことを話していますと二十分があっという間にたってしまいますので、質問に入らせていただきたいと思います。  もうお一人のノーベル賞受賞の田中さんは、発明や発見を製品に結び付けるには着眼力を育てること、技術をビジネスにするには技術だけでは駄目で、その技術の有効性を説明する人、製品を売る人など様々な人のチームワークが重要だ。これは野間口社長もおっしゃっておられました。米国では既に技術の種を発掘して育てるシステムができているけれども、日本には余りないともおっしゃっているそうでございます。  京大と大手企業五社とが産学共同プロジェクト、包括的産学融合アライアンスを本年八月にスタートをさせました。企業研究者と大学の研究者の問題意識の違いに着目をしまして、企業にとって将来実用化につながる成果が出なければ意味がないという、こういう問題意識と、大学側の、少し見方を変えれば実用化に結び付く題材は大学の中にもたくさんありますよと、この認識を融合させようとするものでございまして、これまで象牙の塔に眠っておりました宝の山を発掘して、産業競争力の源泉を掘り起こそうとする試みとも言えると思います。  その宝の山を発掘する有効な技術移転機関でありますTLOでございますけれども、その活動を積極的に推進する必要があると思いますけれども、しかし実際見てみますと、この四年半前にできたTLOでございますけれども、平成十四年四月現在で我が国の承認TLOは、工学系、農学系学部を置く国公立は百十四大学ありまして、私立は百七、合計二百二十一大学があるんですけれども、その国立大学などで二十二、私立大学学内組織で五の、合計二十七機関しかTLOが設立されていないのが現状なんですね。  こうしたTLOが余り進んでいない状況、その原因はどこにあるのか、またその宝の山の発掘推進を今後どのように進められようとしておられるのか、お伺いしたいと思います。

坂田東一文部科学大臣官房審議官

○政府参考人(坂田東一君) 今、先生お尋ねの、まずTLOでございますけれども、確かに現在二十七機関を承認してございます。TLOの設立は基本的には、まず第一に、大学が熱心に熱意を持ってそういうものを作りたいということがまず基本でございますが、併せて大学の周辺にございます産業界も一緒にそういうものを作ろうという動きが出てまいりませんと、なかなか前に進まないところがございます。二十七のTLOにつきましては、そのような環境が整ってそういう具合になってきたものという具合に考えております。  現在もTLOを設立する動きはほかにもございますので、これから私どもといたしましてはTLOの設置に向けて、設立に向けましてなお努力をしたいと思っておりますが、TLOは二十七ではございますけれども、例えばその中の香川県にございます株式会社テクノネットワーク四国、こういったところでは十二の国公私立大学と提携をしてございます。したがいまして、一つのTLOが必ずしも一つの大学に対応するということではございません。したがいまして、例えば国立大学、現在九十七ございますけれども、そのうちの四十七がTLOと連携、提携をいたしまして、現在技術移転の活動をしているところでございます。  それから、先生おっしゃいましたとおり、大学における基礎的な研究成果を産業化に結び付けていく大変大事な課題であると思っておりまして、TLOはその中核に位置しているものでございますけれども、私どもとしてTLOの支援、具体的な支援といたしましては、例えばでございますけれども、国立大学教官のTLOへの役員兼業の承認でございますとか、あるいはTLOの事務所が国立大学の施設を使って活動ができる、無償でございますけれども、そういったサポートもしてございます。  そのようなことで、これは一例でございますが、TLOが出願をいたしました特許の累積数で見ますと、昨年の三月時点では八百九十八件でございましたが、一年後の今年の三月には二千四十三件ということで、二・三倍に拡大してございます。このように、TLOの活動自体は比較的順調に進んでいるのではないかと思っております。  京都大学の例もおっしゃいましたけれども、京都大学だけではなくて、同様の取組が東京大学、東京工業大学、慶応大学等々で行われておりますし、これらのところでは、恐らく先生御案内だと思いますが、副学長を中心に全学的な体制を取って進めております。  今後とも、私ども文部科学省といたしましては、このような大学の活動を最大限サポートいたしますし、TLOも引き続きその活動が充実し、また数も増えてまいりますようにできる限りのことをしてまいりたいと、このように思っております。

松あきら公明党

○松あきら君 こういったいい推進は是非どんどんと進めていっていただきたいというふうに思います。  ロンドン大学インペリアルカレッジでは、約五年間で会社を五十三社生み出しました。また、オックスフォード大学は、これ一九九八年から今までですから四、五年の間ですね、約三十社を創業いたしました。大学による投資資金の回収は、まず株式上場で回収を目指して、上場困難な場合は会社を売却する、そのためには大学はプロ経営者の招聘もいとわない、こういうふうにも言っております。  インペリアルカレッジでは、今年五月、製薬会社に起業会社を売却して四百万ポンドの株式利益を得たとも伝えられているわけでございます。大学が回収した資金を新たな起業に投資をする好環境も生まれつつあるというわけでございます。私は、この間申し上げました中国の中関村、あるいはまたアメリカのオックスフォード大学のみならず、世界の先進国ではこういったことがどんどん進んでいるわけですね。  平沼大臣は御自身の平沼プランで、大学発ベンチャー千社構想を発表されまして、これはすばらしい、全くそうだということで、内閣としての政策としてこの大学発ベンチャー千社構想が決定されたわけでございますけれども、TLO等のインキュベーション事業は、企業への技術提供を仲介するだけでなくて、大学内から企業に対して、事業計画あるいは経営陣の選定から出資まで会社を全面支援することや、また技術の商業化を請け負うことも目指すべきではないでしょうか。  また、イギリスのユニバーシティー・チャレンジ・ファンドのように、大学の研究成果の商業化を目的に、例えば政府主導で基金を設立して、TLO等による企業支援を国としてサポートしたらどうかなんということも思うわけでございます。  実は、森総理のときに、子供たちの健全育成のためにひもの付かないお金を出してくださいとお願いをいたしまして、当時の総理枠から百億円出していただきまして、子どもゆめ基金というのができまして、これが非常に有効に使われて、皆さんに喜んでいただいているんですね。こういう起業家支援の構想も進めていただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。

平沼赳夫自由民主党経済産業大臣

○国務大臣(平沼赳夫君) 大学発ベンチャーの企業数を見ますと、昨年の十二月時点では二百六十三社でございました。本年の八月時点でこれが四百二十四社になりまして、大幅に伸びているところです。  先生御指摘のように、大学発ベンチャーの更なる創出拡大のためには、大学からの技術移転や産学共同研究の推進だけではなくて、大学発ベンチャーに対する経営等の専門家の派遣が不可欠だと、このように思っています。  このような観点に立ちまして、当省は、本年度から技術は一流であっても、経営等においては専門知識やノウハウに欠けがちな大学発ベンチャーを起業する大学研究者に対しまして、TLO等を通じた経営、法務、財務等の専門家の派遣を支援をしているところでございます。今後も関係府省と連絡をして、この大学発一千社計画の達成のために総合的な推進をしていきたいと、こう思っております。  また、ファンドというお話でございましたけれども、この大学発のベンチャーの起業支援のためには、研究開発や経営面での支援に加えまして、金融面での支援というのがやっぱり必要だと、このように私認識しております。現在、大学発ベンチャーを含むベンチャー企業への投資を目的としました中小企業等投資事業有限責任組合に対する中小企業総合事業団からの出資は、平成十一年度の制度創立以来、十七ファンド、約百二十五億円に達しておりまして、当該ファンドから延べ三百三十の創業・ベンチャー企業、これに出資を行っております。  この中には、大学が保有する技術シーズを基に事業化を行う大学発ベンチャーを支援する投資ファンドの三組合も含まれておりまして、またこの臨時国会におきまして御審議をしていただいて可決をしていただきました挑戦支援法には、この大学発ベンチャーを念頭に、有限会社でございますとか企業組合に投資ファンドの投資対象を拡大するものでございまして、投資ファンドへの投資枠の拡大と併せて、私どもとしては、今後、大学発ベンチャーへの資金供給を更に発展させていかなきゃならないと思っております。  森内閣のときのお話が出ました。そういうことも将来の検討課題として我々は検討していかなきゃいけないと、こう思っております。

松あきら公明党

○松あきら君 ありがとうございます。是非よろしくお願い申し上げます。  今、やはり学生さん、若い方ですね、それから女性、こういう方たちが企業を起こしたい、でも資金調達がうまくいかない。しかし、そのアイデアを生かして起業することを可能とするような支援をやっぱりしてあげれば、それが新しい起業と結び付く、こういう支援が必要なのではないかというふうに思います。  また、その新しいアイデアがあっても、また起業をしようとしても、その若さであるいは女のくせにと、まだ残念ながら、そういう家族であったり周りであったり、そういう、何というんですかね、起業するということに対して社会的な評価が低いような気もするわけでございます。それを克服するための施策もこれ併せて必要じゃないかと思いますけれども、御答弁をよろしくお願いいたします。

高市早苗自由民主党経済産業副大臣

○副大臣(高市早苗君) 確かに、すばらしいアイデアを持っていらっしゃってそれで事業を立ち上げようとされる若い方や女性が一番先に行き当たる壁はまず資金だと思います。創業に当たって、これはもう男女、若い方、お年の方関係なく資金調達が一番のハードルだったと、アンケート調査でもそうなっているんですが、今国会で成立させていただいた中小企業挑戦支援法におきまして、株式会社の場合には一千万円以上とか有限会社の場合には三百万円以上という資本金を有することを義務付けているもの、この最低資本金規制について特例的な措置を講じることになりましたので、まず取っ掛かりに、資本金は十分じゃなくても五年以内に要件を満たすということで、それなりの会社の形態を立ち上げるということは可能になります。  しかし、最初に立ち上げるときに多少のお金も必要ですが、これもまた、もう大臣から既に答弁もございましたけれども、その投資対象の拡大などを通じまして、できるだけ、今までの株式投資に加えて、また別の形で中小企業が営む事業から生ずる収益の分配を受けるための投資というような道も開かれてまいりますので、以前に比べますと、新たにビジネスを立ち上げるときの環境というのは良くなっていくんだろうと思います。  しかしながら、ビジネスを始める人の社会的な評価が外国ほど高くないというのもまた事実だと思います。これは民間の国際団体の調査なんですが、起業家が社会的に評価されていると回答する国民の割合がアメリカで九〇%を超えるんだけれども、日本では一〇%以下という結果も出ておりますので、事業を始める人が尊敬されるやはり社会的な空気というのを作っていくことは大切だと思います。  ですから、先生先ほどから御指摘いただきましたいろんな教育事業、アントレプレナー教育ですね、我が省に関しましては起業家教育事業という形で、これからも、若いうちからビジネスを起こす人にあこがれてまたその後を追っていく、自分を鍛えていく、そんなことを子供さんたちが考えるような事業に取り組んでまいりたいと思います。

松あきら公明党

○松あきら君 ありがとうございます。  知的財産が具体的にどのような形で第三条に規定される国民経済の発展や豊かな文化の創造に寄与するとお考えなのか、最後に大臣にお伺いをして、質問を終わります。

平沼赳夫自由民主党経済産業大臣

○国務大臣(平沼赳夫君) お答えさせていただきます。  我が国産業の国際競争力を強化をいたしまして、活力ある経済社会を実現する、そのためには優れた発明でございますとかデザイン、あるいはブランド、コンテンツ、そういった知的財産の創造及びその効果的な活用による付加価値の創出を基軸に据えていくことが必要だと思っております。そのためには、付加価値の高い知的財産を生み出す仕組みを整えまして、国内及び海外におきまして知的財産の迅速かつ適正な保護を図ること、そしてその知的財産が流通をいたしまして社会全体で広く活用されることによりまして、再投資が行われた新たな知的財産を創造する力が生まれてくる、こういった知的創造サイクルを構築する、このことが大切だと思っております。  したがいまして、お願いをいたしております本法案に基づき、内閣に設置されます知的財産戦略本部が中心となって関係府省と緊密な連携の下に政府一体となって知的財産政策を推進することを通じまして、このような知的創造サイクルが好循環をしていく、そういうことを一層発展させることによって国民経済の健全な発展、こういったものに資していきたいと、このように思っているところでございます。

松あきら公明党

○松あきら君 ありがとうございました。

西山登紀子日本共産党

○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。  午前中、三人の参考人の方々から、とても示唆に富んだ御意見をいただきました。とりわけ、今、各委員がおっしゃっておられますけれども、ノーベル物理学賞を受賞されました小柴昌俊先生のお話は大変心洗われるお話でございました。  私たち各委員の質問に、まず「はい」というふうにお返事をなさって後、少々毒舌も含めたユーモラスなお答えで優しくお答えいただきました。温かいお人柄と信念を感じ取れたとても有意義な参考人の質疑でございました。  本来ならば、それをきちっと、やはり大臣も含めた政府側も、そしてまた委員もきちっと勉強して審議なりに生かすべきでありますけれども、残念ながら、今日採択というようなことに運ばれておりますので、少々、午前中私が受け止めた点についても御紹介をさせていただきたいと思うんです。  小柴先生は、まずこの法案について目的に触れながら、自分は特許ということを考えたことがないというようなことを言われまして、学問というものが人類にどう貢献し、国民にどんな喜びを寄与するかということがその国の文明の程度を推し量るものだというような御発言がございました。すぐ産業的利益に結び付かなくても、十年、二十年の見通しを持つことが日本の企業にとっても必要なことではないかと。今回、今までも文化勲章など受章してきましたけれども、ノーベル賞の受賞によって国民が基礎科学研究を大きく支援してくださる声が大きくなったということを強く感じていると。将来の失敗も見越して、研究者のアイデアに思いやりのある国の支援を強く求められたわけでございます。また、大学のありようや研究者の在り方について私も質問をいたしましたが、どんな状況、プロジェクトでも自分の考えをきちっと貫くことができる、そういう力を持っていることが大切だと強調されまして、昨今、科学技術の振興ということが言われるんだけれども、役に立つ技術のための科学と見られていることについての懸念もまた示されたわけでございます。  ということで、質問に入りたいと思います。  十九条の二項に関連して質問したいと思います。  日本において製造業の九九・六%は中小企業でございます。日本の産業の技術を支えているのが中小企業ということなんですが、この法案をずっと見ましても、中小企業が果たして視野に入っているとはなかなか思えません。といいますのも、中小企業という言葉が出てくるのは十九条の二項です。やっと出てきても、あくまでも前項の施策を講ずるに当たっての環境整備を補うという位置付けでございまして、中身も「個人による創業及び事業意欲のある中小企業による新事業の開拓に対する特別の配慮がなされなければならない。」というものでございます。知的財産権を広げたと言いながらも、物づくりを支えている中小企業を大企業の環境づくりに従属させるという法案であって、私は本末転倒ではないかと思いますが、その点についてのお考えをお聞きします。

平沼赳夫自由民主党経済産業大臣

○国務大臣(平沼赳夫君) 本法案で、確かに御指摘のように、中小企業という言葉が直接出てくるのは十九条二項のみであります。私どもとしては、そのことをもって本法案が大企業による知的財産の活用を中心にしているということにはならないと考えております。  例えば、一つは新事業創出のための知的財産の有効活用の促進、これは十九条の一項であります。また、大学等の研究成果の事業者への移転、これは十三条でございます。また、知財データベースの事業者への提供、二十条と。こういった本法案に規定する事業者のための諸施策というのは、我が国の経済の活性化の観点から、大企業であるか中小企業であるかを問わず、あらゆる事業者が対象となり得るものだと、このように思っております。その上で、特に第十九条二項において中小企業に対して国が特別の配慮をすべき旨を明確に規定しているところでございます。  このように、我が国産業の国際競争力の強化と持続的な発展のために意欲ある中小企業が重要な地位を占めるということは、本法案を策定する上でも私どもは十分認識をしてきた、こういうふうに私どもは理解、そしてお願いをしているところでございます。

西山登紀子日本共産党

○西山登紀子君 日本の特許の出願の八〇%はやはり大企業でございます。それから、休眠の特許なんかも七割というようなことなんですが、やはり大企業が非常に力を持っているということは事実でございます。  午前中の審議でも、松尾参考人に私も中小企業の技術や知的財産やその権利が侵されている事例を扱われたことはあるかと聞きましたら、あると。下請だとかいう企業が親企業に物が言えないような状況もあるということもお話しになったわけです。  そこでお伺いしますけれども、この法案に盛り込んだと言われる特別な配慮ということなんですけれども、配慮すべき問題につきまして三点、お伺いをいたします。  まず、大臣にお伺いするんですけれども、大企業の横暴の一つの例としてですが、私も国民生活・経済に関する調査会で大田区の社団法人大田工業連合会の会長をなさっている小倉さんから直接委員会でお話を聞く機会がありました。金型について、中小企業としては試作の段階で親企業に出しますと、図面の提出や承認図の提出ということが要求されまして、その図面を出しますとそれで中国や台湾で物を作られてしまう、二度とその注文はないと、何とかしてほしいと訴えられまして、これは当委員会でも緒方議員が質問で取り上げまして、大臣も善処方約束をされましたので、この問題についてどのように今進んでいるかということを、まず大臣にお伺いをしたいと思います。

平沼赳夫自由民主党経済産業大臣

○国務大臣(平沼赳夫君) 御指摘のように、近時、我が国の金型技術というのが金型の顧客を通じまして、その図面を介して外国に意図せずして流出するケースというのが指摘されております。これが我が国製造業の競争力低下につながるのではないかと非常に懸念をされているところでございます。  国といたしましては、この基本法案の第十九条と同様の認識の下に、本年七月十二日付けで、一つは金型図面等に含まれる知的財産の管理保護、それから契約内容の明確化、それから三つ目は取引の公正化等を柱とした「金型図面や金型加工データの意図せざる流出の防止に関する指針」を金型の事業者、これは例えば日本金型工業会、あるいは日本自動車工業会、あるいは日本自動車部品工業会、あるいは電子情報技術産業協会、こういったところにしっかりと発出をした、こういったところでございます。  同指針発出後は、両業界に対する同指針の遵守を促すべく、同指針の説明会をこれまで計四回開催をしております。  今後につきましても、私どもといたしましては、この業界に対する金型図面等の取引実態に関する定期的な遵守の状況点検、そして金型業界に対する知的財産取引法制セミナー等を通じた知識の普及啓蒙、こういうことを行うことによりまして、同指針の実効性の確保に十分配慮をしてまいりたいと、このように思っております。

西山登紀子日本共産党

○西山登紀子君 是非御努力をお願いしたいと思います。  次に、それに関連して、特別な配慮という点で二点、長官にお伺いをいたします。  中小企業の知的財産に関する実態調査報告書というのがありますが、そこにも大企業とのトラブルが挙げられております。知的財産を守り活用というのであれば、こうした現状に早急に対応することが求められていると思うんですが、その解決に当たって、この調査の中で中小企業の立場に立ってくれる協力的、公的支援機関を求める声が上げられているんですけれども、これについてはどうかと。  それからもう一点、九九年の三月に私もこの当委員会で質問いたしましたが、中小企業や学生さん、それから研究者、発明に意欲のある女性の会というのがございますが、そういう方々からの要望の中で、資金力に乏しい人への特許料の減免制度、これが必要じゃないかということを質問させていただきましたけれども、どうなっているでしょうか。

太田信一郎特許庁長官

○政府参考人(太田信一郎君) お答え申し上げます。  特許関連でいろんなトラブルあるいは困ったことをいろいろ抱えている中小企業に対応する公的支援の件について御質問がございましたが、私どもの所管でございます独立行政法人の工業所有権総合情報館から中小企業の特許ライセンス契約締結を支援する特許流通アドバイザーを全国に派遣いたしまして、特許取引契約を行う際の専門コンサルタント等の紹介、あっせん、企業における資金調達等の支援を行っているところでございます。平成十三年度には企業の知的財産、技術開発担当のOBを中心に九十九名を派遣いたしまして、成約件数が千四百七十八件に上っております。  また、発明の実施に対するアドバイス等、中小企業における知的財産の有効な活用を図るため、全国各地域において社団法人発明協会が個別発明相談会を四十七都道府県でやっております。平成十三年度には二千五百四十二回の開催をして中小企業の相談に当たっているところでございます。  続きまして、中小企業等に対する減免でございますが、中小企業や学生、主婦などの個人の出願に対する料金の減免を可能とする措置としては、平成十二年一月より、特許法に基づき資力に乏しい個人及び法人に対して審査請求料及び一年目から三年目の特許料について減免措置を講じております。この減免措置の要件としては、法人の場合は資本金及び設立からの年度等、個人の場合は所得税非課税等の資力要件が定められており、御指摘の中小企業や学生あるいは主婦などの個人につきましては相当多数の方が減免の対象となり得るものと考えております。  また、産業技術力の強化の観点から、研究開発型の中小企業につきましては、平成十二年四月より、産業技術力強化法の規定に基づきまして審査請求料及び一年目から三年目までの特許料の二分の一を軽減する措置を講じております。こうした一連の措置によりまして、御指摘の法案十九条第二項の特別の配慮が図られているものと考えておるところでございます。

西山登紀子日本共産党

○西山登紀子君 その点では一層の努力を要望して、次に移りたいと思います。  次は少し内容を変えまして、日本映画の振興についてお聞きします。  この法案の第二条第一項では、知的財産とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他、人間の活動により生み出されるものというふうに知的財産の定義が広がっているわけですが、映画も知的財産であると思いますし、同条第二項で言う知的財産権の対象になると思うんですが、確認をしたいと思います。

平井敏文内閣官房内閣審議官

○政府参考人(平井敏文君) お答えいたします。  この法律で御指摘のとおり、知的財産には著作物を含むと定義しております。したがいまして、知的財産には劇場用映画、テレビ映画、ビデオなどの映画の著作物を含みます。また、第二項であります著作権、知的財産権も、著作権という意味では映画の著作物として対象になるわけでございます。

西山登紀子日本共産党

○西山登紀子君 そこで、心配になりますのが、二十一日の質疑でも私も取り上げましたけれども、この法案の理念との関係でございます。この法案の目的、理念というのは、主として我が国の産業の国際競争力の強化のためということで、言わば産業支援に特化した基本法であると私は思います。日本映画など芸術文化の知的財産がこうした観点からのみ施策の推進が行われるならば、ゆがみを生じないか大変危惧されるところでございます。芸術や文化の創造活動はやはり憲法上の創造の自由などがきちっと保障されるべきだと思いますが、大臣のお考えを伺います。

高市早苗自由民主党経済産業副大臣

○副大臣(高市早苗君) 先生御指摘のとおり、憲法二十一条で表現の自由というものが保障されておりますので、これを担保した上でやはりこの映画の創造活動の促進というのは行われなければいけません。これは言うまでもないことでございます。  この法案の趣旨、目的は、映画について申し上げますと、映画という人間の著作物を知的財産権としてきちっと保護することによりまして、著作者の創作意欲を高めてより良い映画を生み出す環境整備を図ろうとするものでございますので、その表現の自由を侵害するというよりは、その映画の創作・表現活動を支援するのが法案の目的でございます。  それでまた、映画の中で興行的に成功しそうなものとか成功しそうにないものとか、いわゆる強いもの、弱いもので扱いに差を付けることはございませんので、この競争力を促進しようという理念はございますが、映画というものはもうひとしく知的財産として保護するということで区別を付けずに守っていこうというのが法案の趣旨でございます。

西山登紀子日本共産党

○西山登紀子君 時間がなくなってきましたので先を急ぎますが、昨年成立いたしました文化芸術振興基本法は、第九条で映画に対する支援も位置付けて、芸術文化活動を支援する国の責務を明確にいたしました。文化庁が四月に設置した映画振興に関する懇談会の提案の中では、製作本数は減少傾向になっていて、撮影所の閉鎖など、我が国文化から映画が消える日も遠くはないと言われていると述べるなど、大変危機的な状況がございますので、決定的な公的支援が今必要だと思います。  大臣にお伺いいたしますけれども、この基本法で、先ほど若干お話しになったかもしれませんが、映画の創造あるいはこの保護推進に関する施策が、どのような、だれの責任でその適切な施策や推進が確保されていくのかというのが一点と、具体的にお伺いしたいんですが、九九年の三月の十五日、私もこの経済・産業委員会で日本映画の危機を救うという点での提案をさせていただいたことがございます。  第一は、税の優遇措置です。これは映画の資金出資者の出したお金を所得税とか法人税などの優遇措置をして減免していくというのが第一。それから第二は、映画を作るときにお金を借りやすくしてほしいという完成保証の要求でございます。当時、与謝野通産大臣は、「我が国映画産業発展のため、適切な施策の検討、実施に当たり、」「関係業界や有識者の方々の御意見や御要望も参考にさせていただきたい」と答弁されているんですけれども、その点、どのように平沼大臣はお考えなのかということが一つ。  それから三点目ですけれども、いい映画を作れば多くの人々が見ていただけるし、もちろん外国にもどんどん映画が出ていく、おのずとその競争力というものが付いていくというふうに思いますが、そのためにこそいい映画を作らなければなりません。制作への支援だとか撮影所とか、それから映画館、鑑賞、それから人材育成と社会保障、著作権など、フィルムセンターの充実なども含めまして、総合的な公的支援が強く求められているところです。ヨーロッパ並みに予算も増やして、文部科学省、他省とも連携を図って、総合的な日本映画の振興策、これを何よりも求められているところですが、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

平沼赳夫自由民主党経済産業大臣

○国務大臣(平沼赳夫君) 非常に今衰退をして元気のないこの映画産業、これを守り立てていくためにはどこが責任を持って、そして推進をしていくかと。これはやっぱり今の御質問の中にもありましたけれども、関係する当省を含めて、関係府省というものがやっぱりしっかりとした連携を取って、そして問題意識を持って取り組んでいくと、このことに私は尽きると思っております。  それから、いわゆる完成保証制度、これについて与謝野・当時の通商産業大臣から適切な施策について検討したいとの答弁があって、どのような検討だと、こういうことでございますけれども、完成保証制度につきましても、日本映画製作者協会の提言を受けまして、これを参考にさせていただきたいと与謝野大臣が答弁されていると私ども認識しております。  完成保証制度については、導入拡大が期待されたものの、日本では映画の流通ルートが限られたままの状態が続いておりまして、米国と比べ映画制作費が小さいため、外部資金に対する需要が乏しくて、映画産業における導入事例は極めて限られたものとなっております。一方、近年、シネマコンプレックスの普及等、様々な要因によりまして映画産業の構造変化が進んできております。このような映画産業の構造変化に伴う流通ルートの多様化、拡大により、映画への投資に対する適切なリターンが得られる環境が整えば、外部資金導入に対する需要が増え、完成保証制度が活用される条件が整うものと見込んでおります。  当省といたしましても、映画産業の発展のため、信託業法等の見直しによる資金調達手段の拡大などを通じまして、現在の構造変化が円滑に進むように支援していかなければならないと、こう思っております。  また、ヨーロッパの例をお引きになられまして、総合的な支援策を文部科学省などとの関係省庁として講ずるべきではないかと、こういうことでございますけれども、この映画産業の振興を図るために、プロデューサー人材育成の在り方の検討を行っているほか、映画制作への投資促進や地域における映画上映環境の整備など、映画産業全体の活性化に向けて多面的な支援を行っているところでございます。  昨年、文化芸術振興基本法が制定されまして、映画を含めた文化芸術活動の振興に関する基本的な方針を定めることとなっておりますけれども、引き続き文部科学省を含めて政府全体として総合的な支援策を講ずるべく私どもとしては議論を進めていかなければならないと、このように思っております。

西山登紀子日本共産党

○西山登紀子君 終わります。

広野ただし国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○広野ただし君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の広野ただしです。しんがりのしんがりということでございますので、ただ知財基本法、各省にまたがる大事なことでございます。先日は厚生労働省、薬の問題をさせていただきましたが、今日はクローン技術、組み換え技術のことでお話をさせて、伺いたいと思います。  クローン技術あるいは遺伝子組み換え技術は、これは日本の農業を知恵のある、知恵を生かす農業にしていき続けるといいますか、特にこれからの人口問題、環境問題に対応して非常に重要な知的財産だと、こういうふうに思っておるわけなんですが、この種苗法で審査体制というのをやっておりますが、大体六十人ぐらいだということなんですね。そういうことで、果たしてたくさんこれから出てくる種苗法関係審査が、審査期間が長くなってしまうんじゃなかろうかという心配が一つございます。  それともう一つ、何でもいい面と悪い面があるわけで、ここのところが食の安全と非常に絡んで、やはり我々もクローン技術の肉を食べるとか、あるいは遺伝子組み換えの食品を食べるということになると何となく不安があるわけでありますが、そこのところを払拭するような食の安全審査体制というものはしっかりしていなきゃいけない、こういうふうに思うわけであります。  したがいまして、そのことについて農林水産省、そしてまた厚生労働省にお伺いをしたいと思います。

太田豊秋自由民主党・保守党農林水産副大臣

○副大臣(太田豊秋君) 農林省にかかわる種苗法の関係でございますが、確かに先生が今御指摘のように新しい品種改良、そういったことの中では、平成九年では四・一年間、そして十三年では三・八年間というふうな長い時間が掛かっておることも事実でございます。  これは御承知のように、区別性の問題、そしてまた均一性の問題と安定性の問題、こういったことの三つの視点で、それぞれ新たな新しい種苗開発に向けては、いつの時点にどういう種を植えても同じような均一なものが取れてくるということの確認がされない限りは、なかなかその種苗法の中で登録をすることができないということになってきておりますが、しかし、こういった中でも審査員の増員をいたしますと同時に、今度は電子化とか、こういったことによって出願者に不利益にならないような形で時間の短縮をしていきたいと、こういうふうに今進めておるところでございまして、大体、農林省の政策評価におきましては、平成十七年にはこれを三年に目標として今進めておるところでございます。  ちなみに、ただ審査期間中においても育成者の権利保護がなされなければならないわけでありますので、そういった意味では、平成十年に種苗法改正いたしまして、出願の公表から登録までの間の出願品種等の種苗の増殖などの利用行為に対しましては、書面による警告が要件とした上で、登録が成り立ちましたら、成立いたしましたときには、その後におきまして、今度は損害賠償補償金を、損害賠償、登録後に補償金を請求することができるというふうな形で仮保護の制度を導入したところでございまして、審査期間の短縮と併せまして育成者の権利保護に努めてまいりたいと、このように考えております。

渡辺具能自由民主党厚生労働大臣政務官

○大臣政務官(渡辺具能君) 委員御指摘のとおり、クローン牛あるいは遺伝子組み換え食品は今後増大をするだろうというふうに思っておりまして、その安全性の確認については大変重要な新しい課題だというふうに思っております。  そこで、厚生労働省といたしましては、これらの新しい技術に関する最新の科学的知見を集めまして、その安全性の評価に努めておるところでございます。  具体的には、まず遺伝子組み換え食品につきましては、平成十三年四月から食品衛生法上の義務にいたしまして、申請に基づきまして厚生労働大臣の諮問機関であります薬事・食品衛生審議会におきましてその安全性を確認しているところでございます。  それから、クローン牛の安全性につきましては、平成十一年度から厚生労働省自ら予算を準備いたしまして、厚生労働省自らが研究を行いまして、その安全性の確認を行っているところでございますけれども、現在までのところこの安全性に対する懸念は見いだされていないという状況でございますが、更に情報を収集いたしまして安全性の裏付けを重ねてまいりたい、このように考えております。  こういった食品の安全性に関する国民に対する情報の提供でございますけれども、ホームページとか遺伝子組み換え食品に関する、あるいはクローン牛に関するパンフレット等を準備いたしまして、これを関係機関あるいは国民に広く配布しているところでございます。  こういうふうに、厚生労働省といたしましては、引き続き農林水産省とも連携いたしまして、こういった新しい技術によります新しい食品の安全性確認については、重大性にかんがみましてその安全確保に努めてまいりたい、このように考えております。

広野ただし国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○広野ただし君 日本の農業を生かすためにも、まあこの技術というのは発展段階の技術ですからいろんな意味で大事なことなんですが、国民に不安、あるいは国民の安全を守るような、しっかりと体制の中で進めていっていただきたい、このように思います。  それともう一つ、気象庁さん、気象予報、これは地球の温暖化ですとか、今この日本でもヒートアイランド現象、集中豪雨ですとか集中の豪雪ですとか、いろんなことが起こって都市型の災害が起こると、こういうことだってあります。そして、アメリカでは竜巻の予測ができますとこれは大変なものになるわけですが、実際、気象予想は物すごく大変なことだと思います。スーパーコンピューターを使って、しかも人工衛星も使って、この大変なハイテク技術なんですが、ここのところの知的財産というのはもうひとつ何か確立されているのかどうか、こういう点につきまして、国土交通省さん、お答えいただきたいと思います。

高木陽介公明党国土交通大臣政務官

○大臣政務官(高木陽介君) ただいま委員の方から気象予測の技術の権利主張についてお尋ねがございました。  実は、平沼大臣も気象業務を支援する会という通称気象議連の会長をやっておられまして、支援をしていただいている次第なんでございますけれども、気象庁といたしましても、今御指摘がございましたような局地的な災害等をもたらす気象現象の監視に万全を尽くしておりますし、また今、スーパーコンピューターなどによって数値予報のモデル開発等、気象予測技術の向上に取り組んでおりますけれども、今後とも更にそれを充実しなければいけないと考えております。  その上で、御指摘の予測技術の権利の問題に関しましては、気象庁においてはこれまで計算プログラムの著作権を適切に管理するなど知的財産権の確保につきましては配慮してまいりました。その上で、途上国等の気象災害の脆弱性にかんがみて、途上国への技術移転には適切に推進できるよう配慮することが重要と考えておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

広野ただし国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○広野ただし君 知的財産は、非常にそういう面で、国民生活にあまねく利益をもたらす、あるいは文化の振興等、いろいろといいところが一杯ございますけれども、やはり国民生活を守る、安全、安心の観点をやはり忘れてはいけないんではないかと、こう思いますので、最後に平沼大臣に締めの答弁をお願いしたいと思います。

平沼赳夫自由民主党経済産業大臣

○国務大臣(平沼赳夫君) 御指摘のように、生命科学等新分野の成果に関する知的財産の保護強化、そしてその実社会への導入に際しては、御指摘のように、生命倫理との関係等、様々な問題がございまして、政府一体となって取り組む必要があると思っております。  こうした観点から、新技術分野の知的財産の在り方については総合科学技術会議などでも議論が行われておりまして、このような議論の成果をさきの知的財産戦略大綱の中で位置付けているところでございます。  今後、この基本法の下で、知的財産戦略本部が知的財産推進計画を策定しましてこれを推進していくことになりますけれども、御指摘のこの課題につきましても、引き続き総合科学技術会議等、関係府省と緊密な連携を取ってしっかりと取り組んでいきたいと、このように思っております。

広野ただし国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○広野ただし君 ありがとうございます。終わります。     ─────────────

田浦直自由民主党・保守党

○委員長(田浦直君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、片山虎之助君が委員を辞任され、その補欠として愛知治郎君が選任されました。     ─────────────

田浦直自由民主党・保守党

○委員長(田浦直君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

西山登紀子日本共産党

○西山登紀子君 私は、日本共産党を代表して、知的財産基本法案に反対する立場から討論を行います。  反対理由を述べる前に、本日午前、ノーベル賞を受賞された小柴参考人ほか二人の方々から示唆に富む御発言と有意義な意見交換が行われました。それを十分生かさず、今、法案の採決を急ぐことは、議会制民主主義にもとるものであることも申し上げておきます。  反対理由の第一は、知的財産の規定を広げてはいますが、産業競争力強化、企業化、営利目的に特化し、その創造、保護、活用は、財界の強い要求を内容とし、国民の権利、国民生活をないがしろにしたものであり、基本法の名に値しないからです。  反対理由の第二は、大学の自治、学問の自由を脅かすおそれがあるからです。  第七条で、意図的に基本理念の文言が外されたように、この法案は憲法の学問の自由が侵される危険性を示唆する重大な問題を含んでいます。質問で指摘したように、大学等の学術研究が、基礎研究や国民の幸せに寄与する本来の自由な研究の拡充でなく、国や地方の計画が押し付けられ、目先の市場化、実用化に特化し、健全な発展を阻害されるからです。  反対理由の第三は、本法案には産業競争力強化の核となる物づくり基盤技術と知的財産の担い手である中小企業の位置付け、その支援の観点が欠落しているからです。金型図面の海外流出事件に見られるような、圧倒的に優位な地位を乱用しての多国籍大企業による中小企業の権利侵害の実態にメスを入れ、我が国産業競争力の基盤の危機的状況を打開する方策こそ求められます。  反対理由の第四は、本法案は、国民財産の大企業への無償譲渡である日本版バイ・ドール制度の適用拡大、研究者の地位を不安定にする大学等における任期制の導入など、戦略大綱を実施するものとなります。日本版バイ・ドール制度をすべての委託研究に適用を拡大すれば、研究を産業支援の方向に加速することは、アメリカ型産業連携策の例からも明らかです。  以上、問題点を指摘して、反対討論といたします。

田浦直自由民主党・保守党

○委員長(田浦直君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  知的財産基本法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

田浦直自由民主党・保守党

○委員長(田浦直君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、平田健二君から発言を求められておりますので、これを許します。平田健二君。

平田健二民主党・新緑風会

○平田健二君 私は、ただいま可決されました知的財産基本法案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     知的財産基本法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 「知的財産立国」実現に向けた知的財産戦略を具体化する推進計画を早急に策定するとともに、本法により内閣に設置される知的財産戦略本部がその実現に向けた諸施策を一体的かつ集中的に推進できるよう体制整備を行うこと。    この場合において、知的財産関連産業の健全な発展を図るため、その育成及び振興に努めること。  二 知的財産の創造が、人間の精神活動によるものであることにかんがみ、著作者・発明者を含む知的創造者個人について企業との実質的な公平が図られるよう施策を検討すること。  三 特許権等の的確かつ迅速な権利付与を実現するため、特許庁審査官の大幅な増員、外部調査機関の整備・拡充、外部人材の活用等を含めた審査体制の整備強化に最大限努めるとともに、出願人のトータルとしての経済的負担が権利化手続の障害とならないよう配慮すること。  四 知的財産の的確かつ迅速な保護が図られるよう、地方裁判所や高等裁判所における知的財産に係る訴訟を専門的に処理するための体制の一層の強化、侵害訴訟業務などの実績を踏まえての訴訟代理権の更なる拡大の検討を含めた弁理士の積極的活用等訴訟手続の充実を図るとともに、裁判外紛争処理制度の充実により、地域の利便性にも配慮した的確かつ迅速な知的財産の保護ができる環境の整備に努めること。  五 知的財産に係る人材育成については、「知的財産のための専門職大学院」構想の関連において、弁理士をはじめ知的財産に関する専門的知識を有する人材の確保、養成及び資質の向上のために早急に具体的検討を行うこと。  六 海外における知的財産権の侵害によって我が国産業が甚大な損害を被っている現状にかんがみ、知的財産制度の普及・拡充や模倣品・海賊版対策に我が国がアジア地域において中心的な役割を担うよう積極的に取り組むとともに、製造国等に対する直接または国際機関を通じた働きかけを行うこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ各委員の御賛同をお願い申し上げます。

田浦直自由民主党・保守党

○委員長(田浦直君) ただいま平田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

田浦直自由民主党・保守党

○委員長(田浦直君) 多数と認めます。よって、平田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、平沼経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。平沼経済産業大臣。

平沼赳夫自由民主党経済産業大臣

○国務大臣(平沼赳夫君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。  ありがとうございました。

田浦直自由民主党・保守党

○委員長(田浦直君) なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田浦直自由民主党・保守党

○委員長(田浦直君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十九分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗