法務委員会 第11号
- 発言数
- 239 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2002/11/22
会議録
○佐藤(剛)委員長代理 これより会議を開きます。 委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。 内閣提出、会社更生法案及び会社更生法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。 この際、お諮りいたします。 両案審査のため、本日、政府参考人として法務省民事局長房村精一君、刑事局長樋渡利秋君、矯正局長中井憲治君及び厚生労働省大臣官房審議官青木豊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤(剛)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○佐藤(剛)委員長代理 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所事務総局千葉民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤(剛)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○佐藤(剛)委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤島正之君。
○藤島委員 自由党の藤島正之でございます。 法案の内容に入る前に、二点ほど法務大臣の見解を伺っておきたいと思います。 まず、検挙率のことについて、犯罪白書で、閣議了解されたわけですけれども、戦後初の一割台まで下がってきたということで、一九・八%ですか、大変な悪い数字になってきているわけですけれども、この点について法務大臣の見解といいますか、御認識をまずお伺いしたいと思います。
○森山国務大臣 平成十三年における我が国の犯罪動向につきましては、御指摘のように検挙率の低下が続いておりまして、戦後最低を更新したことに加えまして、刑法犯の認知件数が六年連続で戦後最高を記録したこと、また、交通犯罪や窃盗に加えまして強盗や傷害等が増加いたしまして、国民の身近な生活の中で発生する犯罪がふえてきたということもございまして、行刑施設における受刑者の収容率が一〇〇%を超えて、たしか今月の十五日現在では一六%オーバーというような状況になっておりまして、大変な過剰収容となっているということなどの特徴がございます。 犯罪の認知件数が急増する一方で検挙率が著しく低下している。これは実は、警察も一生懸命に努力していただきまして、件数もまた犯罪検挙者数もふえているのでございますけれども、その母数となる犯罪そのものが多いものですから率が低下しているということでございますが、国民の生活の安全を確保するという観点から見過ごせない問題でございまして、今後とも犯罪動向の推移に注意しつつ、適切な対策をとっていかなければいけないと考えております。
○藤島委員 やはり治安の安定というのは一番大事なことなんだろうと思うんですけれども、今お話のありましたように、母数が何しろふえているということが、検挙数が上がっても上がっても母数がふえているということで検挙率はどうしても下がっていくということなので、今の社会風潮と相まって非常にゆゆしき問題だなという感じはしますけれども、いずれにしても、我が国は先進国の中では一番安全な国だと言われていたわけですね。これがこういうふうに下がってきたのは、大変心配、憂えるべきことだろうと私は思っているわけです。 ところで、この白書の作成の際に数字が間違っておって、我が国は先進国中最悪だと。ドイツ、フランス、英国、それから米国の次ということで一たん表ざたに出て、それが、いや、実は統計の見間違いでした、こういうことなんです。どうも単純な見間違いのようなんですけれども、これはことし急にこういうのをつくったわけじゃなくて、例年のものがずっとあってこういう数字を見るわけなんで、私も現役役人時代よく経験があるんですが、念には念を入れてその経緯を見ながらやっていくので、こんなもの間違えるわけないんですね。もう子供の仕事みたいなことで間違えておる。 ただ、これは大変国民に与える印象というんですか、それは非常に悪いんですよね。先進国で最悪だ、こう言っている。いや、私も正直なところ、アメリカより悪いとは到底思えないわけですよね。それを、国民に大変誤ったメッセージを与えたということは大変罪深いものがあると私は思うんですが、ここで、法務大臣のおわびといいますか見解といいますか、それを伺っておきたいと思います。
○森山国務大臣 おっしゃるとおり、大変単純なミスをしてしまいまして、そのような結果を招いたことはまことに申しわけなく思っております。もう弁解の余地はございませんで、国民の皆様、そして関係者の方々に御迷惑をかけましたことを深くおわび申し上げたいと存じます。 誤りの内容は、御指摘のように、アメリカの検挙率を取り違えましたもので、二〇〇〇年の我が国の検挙率が、ドイツ、フランス、イギリスばかりでなくアメリカをも下回って、先進五カ国中最下位であったというようなことであったんですけれども、正しくはアメリカを上回って五カ国中四位でございましたので、その点を誤解のないよう、改めておわびとともに御報告申し上げたいと存じます。 ありがとうございました。
○藤島委員 今大臣からお話ありましたので、この件はこれで終わります。 もう一つ、今度、前回もいろいろ議論になりましたけれども、名古屋刑務所の受刑者に対する事件、これも本当に事件になっているわけですけれども、小さい記事だったんですが木曜日の記事に、神戸刑務所の関係で、神戸刑務所に覚せい剤取締法違反などの罪で服役していた男が刑務官から暴行を受けたとして兵庫県弁護士会に人権救済を申し立てた、弁護士会はこの刑務官と刑務所長に対し人権侵害行為の再発防止を求める警告を出したということなんです。 こういうのがまた出るということは、全国的に、刑務所のあり方、刑務官のあり方といいますか、それは前回の質疑でも大分ありましたように、これはなかなか単純じゃない側面を持っていますよね。やはり暴力的な受刑者もおるので、それを押さえるには大変なことなので、その難しい問題もあるんですけれども、かといって、人権の救済を申し立てるほどのものであってはいけない。 これが全国的に刑務所に蔓延しているとは思いませんけれども、そういうことであるとこれはまたゆゆしきことだろうと思うんですが、この件について、具体的に、神戸刑務所についてはどういうふうに把握しておるのか、あるいは現在どうやっているのか、あるいは、全国的な刑務所のこういったことについて何か調査をしているのか、あるいは法務大臣としてどういうふうな考えを持っているのか、この二点をお伺いしたいと思います。
○森山国務大臣 神戸の件につきましては、ことし十一月二十日、つい先日でございますが、兵庫県の弁護士会から神戸刑務所等に対しまして、平成十二年の六月二十六日、今から二年余り前でございますが、刑務官が受刑者に暴行したとして、今後このような人権侵害行為のないように警告するという趣旨の書面が渡されたという報告を受けております。 この警告書で指摘された事案につきましては、別途当該受刑者から神戸地方検察庁の明石支部に告訴がなされまして、この支部では、所要の捜査を遂げた上で、平成十二年十二月二十八日、犯罪の嫌疑はないとして不起訴処分にしたという報告が上がってきておりますが、今回、改めて弁護士会からの警告がございましたので、警告書の内容を精査いたしまして、適切に対応していきたいというふうに考えております。 それから、全国の刑務所についてどうかというお話でございますが、名古屋の件もございましたし、私どもも全国的にどういう状況になっているかということは非常に心配でございましたので、名古屋の件について具体的な調査を、捜査の邪魔にならない範囲で一生懸命内部的にもやっておりますし、さらに、ほかの受刑施設におきましてもそのような問題がないかどうか、今調査をしているところでございます。 また、あらゆる矯正関係の会議が毎週のように行われておりますが、その機会に、決してそのようなことが起こらないように十分注意するようにということを重ねて、たびたび注意をいたしまして、再発の防止に努めているところでございます。
○藤島委員 法務省の大きな仕事の一つというのはやはり人権擁護の観点もあるわけなので、余りこういうのがありますとそっちの方の信頼性まで失いかねない、法務行政全般に対する信頼も揺らぎかねない。というのは、密室の中の話ですので、国民になかなかわからない話なので、こういうのが余りあちこちに出ると本当に法務行政そのものの信頼を失いかねないということで、調査もし、適切に処置するということなので、その適切に処置するということを一応信頼して、しっかりやっていただきたいと思います。 それでは、会社更生法案についての質疑に移りたいと思いますが、技術的な問題にわたるところも多いものですから、その際は参考人の方の答弁でも結構でございます。 まず第一に、私は、現在経済界は非常にボーダーレス化が進んでいる、こう思っておりまして、日本だけが独自にいかない。そういう時代にあって、やはりこういう経済関係の法制についても、我が国だけの特別な法律、こういうことはいかがかという感じがしまして、やはり世界の中のこういう法制の流れ、そういったものを十分見ながら考えていかなきゃいかぬ、こう思うわけであります。 そういう意味から、諸外国の倒産法制といいますか、会社更生を含めた、そういった法制の流れみたいなものを法務省としてどういうふうに把握して認識されているか。
○房村政府参考人 御指摘のように、今回の会社更生法の改正をするに際しましても、諸外国の動向がどうなっているかというようなことも含めて調査をいたしまして立案をしたわけでございます。 その諸外国の状況でございますが、やはり近年の社会経済構造の変化に対応いたしまして倒産法制を見直すということは世界的な潮流になっております。 主要国についてごく概略を申し上げますと、この我が会社更生法が母法といたしましたアメリカ合衆国でございますが、これは、一八九八年に制定されました非常に古い倒産法制を、一九七八年に新連邦倒産法制ということで全面的に改めまして、その後も一九八四年、八六年、九四年という改正をしております。さらに、九七年には、全国破産法調査委員会が新連邦倒産法の再検討に関する報告書というものを策定いたしまして、現在も継続的な議論が行われております。 やはりこれは、非常に急速に社会構造が変化するのに対応いたしまして、いかにして適切に企業の再建を図っていくか、また、その中で債権者の活動分野をどうするか、債務者の保護をどうするか、こういうようなことをいろいろ検討して、このような改正がなされているところであります。 また、イギリスにつきましても、一九七〇年代に経済が非常に停滞いたしまして、倒産件数がふえました。それを受けまして、一九八六年に新倒産法を制定しまして、債務者の個人、法人の別によって別々の法律になっていたものを一本化した、こういう状況にございます。 それから、ドイツにおきましては、これは、一八七七年の破産法、それから一九三五年の和議法という非常に古い法律が維持されておりまして、法的倒産処理が機能不全に陥っているというような指摘もあったところです。これを受けて、一九七八年に倒産法委員会が設置されて、十五年余りの議論を経まして九四年に新倒産法が制定され、九九年から施行されております。 それから、フランスでは、一九八四年、八五年に企業倒産法制、それから八九年には個人倒産法制、それぞれ整備されております。 そういうことで、主要国いずれも、七〇年代以降、倒産法制について全面的な見直しをして、時代の流れに合わせているという状況にございます。
○藤島委員 今の説明にありましたように、各国ともほぼ全面的な改正を近年やっているという意味で、今回の改正は本当に全面改正ということで、そういう流れに乗っているかなという感じはしているわけです。 こういった法律は、今後を考えるにやはり透明かつ公正でなければいけない、こういうふうに私は思うわけですけれども、この会社更生手続の基本的な流れ、これはどういうふうになっておるか、お伺いします。
○房村政府参考人 会社更生手続の基本的な流れでございますが、まず第一段階は、裁判所に対して更生手続開始の申し立てをするというところから始まります。そういたしますと、裁判所は、開始の要件があるかどうかということを審査するわけでございますけれども、その間に会社の財産が散逸しては困りますので、保全管理命令等の各種の財産保全の措置を講じます。その措置を講じた上で審理をいたしまして、要件が整っていれば更生手続の開始の決定をいたします。 開始の決定をすると同時に、管財人を選任いたします。そうしますと、更生会社の事業の経営権、それから財産の管理権、これはすべて管財人に移ります。管財人は、その権限に基づきまして、更生会社の事業を継続しつつ、その財産状況を調査、そして会社財産の確保の措置、こういったものを講じます。一方、債権者から債権あるいは担保権の届け出をしていただきまして、その調査、確定の手続も同時に行います。 そのようなことによって、会社の財産がどれだけあるかということ、それから会社に対する債権、担保権、こういったものがどれだけあるかということが明確になりますので、更生管財人としては、それを踏まえまして、会社をどう立て直すかという更生計画を作成いたします。 更生計画の内容としては、権利を変更するということが主眼になりますが、この更生計画が提出されますと、裁判所はそれを更生債権者あるいは株主等の利害関係人の決議に付する、こういうことになります。そこで法定多数の同意が得られれば可決をされまして、その上でさらに裁判所として、その更生計画が公平公正であるかとか、そういう法律に定める認可要件を満たしているかどうかをチェックした上で、それを満たしていれば認可をいたします。そうしますと、更生計画の内容に従って関係者の権利が変更されて、以後はその変更された内容に従って計画を実施していく。その計画に定められた債務が全部弁済される、あるいは確実に弁済されるという段階になると手続が終結する、こういう流れになります。
○藤島委員 今の流れ、手続は、アメリカの連邦倒産法との関係は大体どんな感じになっておりますか。
○房村政府参考人 アメリカ連邦倒産法第十一章に倒産関係の手続が規定されておりますが、これはいずれも裁判上の再建型の倒産処理手続ということで、内容としては、債務の繰り延べとか減免、こういった権利変更をする条項であるとか、財産の譲渡あるいは合併に関する条項というような再建計画案をつくりまして、債権者等に諮って法定多数の同意が得られ、かつ裁判所の認可が得られるとその計画が成立するという、基本構造においてはほとんど同一でございます。
○藤島委員 それでは、順次もう少し内容に入りますけれども、株式会社についてなんですが、第一条に「窮境にある株式会社について、」その手続ということになっているんですけれども、この「窮境にある株式会社」というのはどういうものを意味しているのか。
○房村政府参考人 これは、開始要件としても窮境にある株式会社が申し立てるとなっておりますが、具体的に申し上げますと、破産の原因となる事実が生ずるおそれがある、破産の原因となる事実というのは支払い不能あるいは債務超過でございますが、それが生ずるおそれがある状態であるとか、それから、弁済期にある債務を弁済することとするとその事業の継続に著しい支障を来すおそれがある、払うためにはどうしても営業用の資産や何かを売却しなきゃいかぬということで営業が続けられなくなる、そういうような場合を考えておりますが、その二つがこの「窮境にある株式会社」の状態でございます。
○藤島委員 私は、株式会社だけに限定する必要はないんじゃないか、いわゆる再建型としてもうちょっと範囲を広くしていいんじゃないかと。今、「窮境にある」という言葉の内容は説明がありましたけれども、同類の、経済的にやはり窮境にある、この会社更生法は大規模なものを想定しているわけですけれども、大規模なほかのいろいろな法人がありますね。学校法人にしても、最近ちょっと危ないのは医療法人なんかもありますけれども、ああいうのはあえて排除されているわけですね、株式会社ということで。これは、どういう考えで株式会社に限定し、こういう大規模なものを排除したのか、御説明いただきます。
○房村政府参考人 会社を更生する場合に非常に大きな問題となりますのは、株主の地位をどうするか、あるいは株式の資本構成、これをどうするかということが更生計画の中身の一つ大きな内容となっております。それから、会社の組織をどうするか、合併であるとか会社分割であるとか、組織改編を更生計画の内容として定められます。 そういったものが会社更生計画の非常に大きな内容をなしているわけでございますが、御指摘の法人、学校法人であるとか医療法人というものは株式会社と違いまして、株式あるいは持ち分という観念がございません。それから、組織再編の組織のあり方にいたしましても、株式会社とは相当大きく異なっております。 そうしますと、更生法の考え方をそういう法人に適用する場合には、その特性に応じた特別な扱いを絶えずしていかなければならない、そういうことになりますので、そういった各種法人についての特殊な扱いをすべて更生法の中で決めるということになりますと、更生法自体が非常に膨大で、かつ複雑なものになってしまう。そういうことから、会社更生法は、最もその典型例である株式会社について規定をしておりまして、仮にその他の法人で同種の手続を求めるという場合には、その特性に応じた特別法を制定するという形でやる方が合理的ではないか、こう考えているわけでございます。
○藤島委員 今の説明は説明で理解できるんですけれども、そうしますと、今のような医療法人だとか学校法人とか、そういったケース、これは特別法でやるという方が合理的だという説明なんですけれども、これはやる気がおありなんでしょうか、どうですか、法務大臣。
○房村政府参考人 その点につきましては、例えば学校法人を所管する省庁が別途ございますので、その特性を踏まえて再建手続をどうするかというところはそちらで御検討いただければ、法務省として必要な協力はしてまいる、こういうことになろうかと思います。
○藤島委員 株式会社じゃないんですけれども、個別に一つずつじゃなくて、通則法的な共通の枠組みというか手続の基本みたいなもの、こういうものを定める方が合理的じゃないかと思うんです。一個一個となると、なかなかこれは大変だと思うんですよ。その点についてどういうふうに考えますか。
○房村政府参考人 御指摘のように、確かに共通の部分をまとめるということは一つのお考えだと思うんですが、例えば医療法人と学校法人では、更生を考えるときに当然違った問題、特に医療法人については相当の特殊性があろうかと思います。やはり再建ということになりますと、その法人の活動を維持しつつ債権者等の満足を図るという意味で、当該法人の活動、行動の特殊性がそのまま手続にもあらわれてくることになろうかと思います。 そういうぐあいに考えますと、共通の部分も相当多いとは思いますが、異なる部分も相当多いものですから、なかなか難しいのではないかなというのが実感でございます。
○藤島委員 資本関係は株式という制度じゃない。そういう点は別かもしれませんけれども、ふだんの生活といいますか、企業体といいますか経営体の活動としては同じですよね。ですから今、株式会社の参入を認めたらどうかという議論が出てきているわけでしょう。ですから、その点を考えると共通じゃないんですか。
○房村政府参考人 おっしゃるように、共通の部分が相当あることは事実でございます。ですから、例えば、今御指摘の会社更生法については大規模の株式会社の再編を大きな内容としているものですから別途ということを申し上げておりますが、さらに一般法である民事再生法、これにつきましては、特に株式会社に限定をせずに、各種法人も利用できるということにはなっております。
○藤島委員 でしょう。だから、民事再生法ではそうなっているんだから、逆に言うと、今すぐというわけじゃないけれども、やはり何か束ねた形で通則的なのを考えるべきだ、こう私は思うんですが、今の議論を聞いて、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○森山国務大臣 先生の御意見、御指摘も大変うなずけるところがあると思いますが、やはりまた、法人のタイプによって全く違う面もございますので、それらをすべて総括した一つの法律にするというのは、非常に膨大な、また複雑な作業が必要で、時間もかかってしまうだろうと思いますので、今できるところからやるということがいいのではないかと思っております。
○藤島委員 今できるところからやる、それはそれで結構ですけれども、ということは、私のような考え方も一つだという含みを持っているというふうに伺っておきます。 それで、今民事再生法の話が出ましたので、会社更生法と民事再生法との関係なんですが、最近の利用件数はそれぞれどのぐらいになっているのか、またちょっと変化しているようにも見受けられるんですが、この点について大臣はどういうふうな認識を持たれているのか。
○森山国務大臣 まず会社更生事件でございますが、平成十年は八十八件、平成十一年は三十七件でございましたが、民事再生法が施行された平成十二年におきましては二十五件と減少いたしました。しかし、翌平成十三年には四十七件、ことし十四年の九月までで八十六件と、その利用件数が増加傾向を示しております。 次に、民事再生の事件でございますが、民事再生法が施行された平成十二年は六百六十二件、翌年十三年は千百十件の利用がございました。ことしも一カ月平均で約百件近く利用されておりまして、大変利用率が高いと申しましょうか、活発に施行されております。 このように民事再生手続は大変活発に利用されておりまして、中小企業等の再建に役に立っているというふうに考えております。 なお、民事再生手続は上場企業等の大企業の再建に利用されることもありまして、これは立法当時予想していなかったのではないかとの御指摘を受けることがございます。 最近、大企業が一たんは民事再生手続を利用しながら、結局は会社更生手続に移行せざるを得ないというようなケースがふえておりますように、大企業の抜本的な再建のためには、通常は会社更生手続が利用されまして、民事再生手続の利用は例外的なものにとどまっているというふうに考えております。
○藤島委員 今御説明の中で、民事再生法のねらいは、中小企業で膨大な利害関係者がいないようなものを簡便に、迅速にやろうという発想だったんですが、その点、当初のねらいを超えて、かなり大規模なところまで行った。これはちょっと予想外だったんですが、今の最後の部分のように、またやはり再生法の方に行くのは中小が多くなって、大きいのは、先ほどの数字にもありましたようにまた会社更生法ということなんですけれども、その両者のすみ分けですね、これはどういうふうに考えればいいのか。 旧法との関係は別にしまして、今度の新しい会社更生法が成立した場合のねらいの部分と、民事再生法の役割分担というかすみ分けというのですかね、これはどういうふうに考えているんですか。
○房村政府参考人 特色を簡単に申し上げますと、民事再生法というのは、御指摘のように、簡易迅速な手続ということが特色でございますし、会社更生法の方はより強力な法的な手続で包括的に株式会社の再建をしていく、こういうことでございます。 もう少し具体的に申し上げますと、会社更生法の場合には、対象は株式会社に限定されておりますが、担保権つきの債権あるいは優先権のある債権、こういうものも取り込みますし、株主の権利も取り込みます。それからまた、株式会社の組織再編計画、こういったものも全部取り込んで、株式会社をめぐるすべての権利関係を更生計画により変更する、こういう非常に強力な手続になっております。その分、手続もどうしても複雑になりますし、時間もかかる、こういう特色がございます。 これに対しまして民事再生法は、そういった担保権つきの債権であるとか優先債権あるいは株主の権利、こういうものはすべて手続の外に置いておりますし、会社の再編行為も原則として手続の外で行う、そのかわり簡易迅速にできるという特色がございます。そういうことから、必然的に、大きな株式会社で担保権者であるとかそういう者が非常に多数いる、そういうところについてはなかなか再生法は利用しにくい、これは今後も変わらないと思います。 今回の会社更生法のねらいは、まさにそういう大規模な会社に、再生法と同じとは言わないまでも、再生法の特色である迅速さ、あるいは使い勝手のよさ、こういうものをできるだけ取り込もう、こうしたところでございますので、今後においても、基本的には、大規模な会社はやはり会社更生法で、中小規模であれば民事再生法ということになるのではないかと思っております。
○藤島委員 今回の改正される法律の内容というか、手続等との関係で今のようなすみ分けが必然的に出てくる、こういうことだろうと思うんです。 ところで、現場では経費の問題が結構問題になるんですよ。意外と高くつくんでどうしようかというような話が出るんですが、この点についてはどういうふうに認識していますか。
○房村政府参考人 今申し上げましたように、会社更生法の場合は大規模な会社が利用することが多い。そういたしますと、必然的に関係者も多数になりますので、その手続、例えば呼び出しを一つするにしても費用が非常にかかります。そういう意味では、会社更生法の方がどうしても費用がかかるということは、これはもうやむを得ないと思われます。 ただ、今回、大分手続等を簡素化いたしましたので、従前に比べれば、そういう費用の負担は多少は軽減できるのではないかと思っております。
○藤島委員 民事再生法でも結構金がかかるんですよね。倒産しそうになって、もう本当に金がないにもかかわらず大変金がかかるんですけれども、そこについてはどういうふうに認識していますか。
○房村政府参考人 会社更生法に比べますと比較的低廉だとはいえ、やはり、民事再生法を利用するための予納金、そういったものが相当かかります。これは御指摘のとおりですが、しかし、どうしても、これは企業の再生をするという企業のための手続ですので、基本的には、その費用は受益を受ける当該申し立てをしたところが負担をしていただくというのが原則だろうと思います。 できるだけ手続等を簡素化することによって費用負担の軽減を図るという努力は私どももしておりますし、また、運用に当たる裁判所もしているとは思いますが、一定程度の費用はかからざるを得ないという実情にございます。
○藤島委員 せっかくやろうと思っても、お金がなくてやれなくて、そのまま破産して倒産していってしまうというようなものはないようにせないかぬので、そのためにも手続の簡素化はどうしても必要だろうという感じはするんですけれども、いずれにしても、金のかからないような方向を、これは裁判所もそうなんですけれども、指導してもらう必要があるんじゃないかな。これは現場の人の声なんですよ、かなり強い声なんですね。それをきちっとしていただくようにお願いをしておきたいと思います。 ところで、全面改正になるわけですけれども、現行の会社更生手続に非常に時間がかかっているというのが非常に大きなネックなんですが、そこの要因といいますか、それはどこにあったというふうにお考えですか。
○房村政府参考人 現在の会社更生手続に相当時間がかかっておりますが、その要因は種々のものが複合的に関連しております。一般的に言いますと、現行の手続が厳格に過ぎ、柔軟性に欠ける点がある、こういうところにあったのではないかと思います。 具体的には、例えば、まず開始要件につきましては、現在、更生の見込みという経営的判断を要するような事柄について、裁判所が相当突っ込んだ審理をして判断をしております。そのために相当時間がかかっております。また、更生計画案の提出について法律上特に期限が法定されておりませんので、それで延びているとか、あるいは、更生計画案の可決要件が厳格に過ぎる、そのことから管財人として更生債権者など関係人を説得するのに非常に時間がかかる、こんな指摘もございます。 その他もろもろありますが、今言ったようなことが代表的な要因かと思っております。
○藤島委員 一番大きなのは、やはり時間がかかり過ぎていたということが大きな問題だろうと思うんですね。二年も三年もかかっているというんじゃどうしようもないので、それなら生きるか死ぬか早くはっきりさせてくれというようなところがあるわけなので、そういう意味では、私は、今回の改正自体は非常に歓迎すべき方向だろうというふうに評価はしておるわけです。 ところで、今回、申し立てが、全国どこからでも東京地裁と大阪地裁に可能になりました。この件について最高裁の方に聞きたいんですけれども、集中した場合に本当に能力があるのかどうか、現実にはどれぐらいの能力を持っているのか、お尋ねしたいと思います。——来てない。それじゃ、法務省の方でも結構です。どういうふうに聞いているか、それは当然相談しながらやっているでしょうから。
○房村政府参考人 今回、東京と大阪に全国どこからでも競合管轄を認めた趣旨は、東京と大阪が会社更生法に関する専門部を用意しておりまして、非常に熟達した裁判官あるいは書記官等がいる、そこを全国どこからでも利用することができれば、事件が非常に早く処理できるのではという観点から始めたものでございます。 これを受けて、裁判所においても今まで以上に各専門部の充実強化を図っていくということは聞いておりますので、この法案が施行されて、東京、大阪に事件が集中して処理がおくれてしまうというような心配はないと思っております。
○藤島委員 これは本当に裁判所の方の努力いかんにかかる。せっかくこれをやったはいいけれども、現実にやってみたらもういっぱいになっちゃって、とても対応し切らぬと。逆に言うと、これは専門的な難しいもので、各地方でやれる弁護士も余りいないんですね。それで裁判所でもそれは大変だ、そういうのがあって、結局、どうしても本店のある東京とか大阪に集中する、そういう便宜を図っているということなんだろうと思うんですけれども、現実に裁判所の方がパンクしちゃうことのないようにはせないかぬなと思います。これは法務省に聞いてもしようがないんですけれども。 ところで、ここの二カ所にこういうふうにすることによって、何か不都合といったようなものがないのかどうか。東京に本店があって東京でやる分には構わないんですけれども、例えば地方に本店があるところが東京にやったとしますと、例えば労働組合だとかいろいろな関係者が地方に本拠、拠点があるわけですね。そういうのが一々東京へ来ないかぬとか、そういう面で不便が生ずる。その申し立てをする人は、東京がそれは便利かもわかりませんけれども、利害関係人に非常に不便が生ずるといったようなことが起こり得るんじゃないかと思うんですが、そこはどう認識していますか。
○房村政府参考人 御指摘のように、全国どこからでも東京あるいは大阪に申し立てられるということになりますと、本社が地方にある場合に、関係人が東京、大阪まで出てこなければならないという負担がふえる可能性はあります。 ただ、今回、そういうことも考えまして、例えば、従来、債権の調査につきましては関係人集会というのを必ず開いて、その集会の場で債権調査、確定を行っておりました。これを書面で意見を出して行うという方法に改めました。 そのほか、例えば決議の関係人集会につきましても、従来は関係人集会を開いてそこに集まって決議をするということでございましたが、今回は、書面決議あるいは書面投票、こういった方法も裁判所が採用できるようにいたしまして、そういった地方にいる方々の負担をできるだけ軽減するような措置を各所で講じております。 これによって負担は相当軽くなるのではないかと思っておりますし、万一、東京、大阪に来たことによって非常に遅滞が生ずるとか、あるいは損害が生ずるというおそれがあれば、これは本来の管轄裁判所に移送をすることができる、こういう規定も置いておりますので、そういったものの運用をあわせれば、御心配のような負担が重くなるということは相当程度防げるのではないか、こう考えております。
○藤島委員 今、労働組合の例をあれしたんですけれども、緩和はされていますけれども、書面審査とかそういう点でやれるということなんですけれども、それだけで十分とは言えない部分もあると思うんですね。やはり直接行かないかぬ。そういう点の不都合みたいなものはあり得ると思うんです。その点はどういうふうにするのか。
○房村政府参考人 労働組合との関係でございますが、管財人が選任されて、管財人がその企業経営権を掌握いたしますと、労働組合との関係では管財人が使用者の立場に立ちます。御指摘のような、地方に本社があって、東京、大阪に申し立てがなされたという場合に、労使関係の問題あるいは企業の経営に関する問題、これを本社のところで管財人の意向に従って処理する人が常駐しなければ絶対更生は進みませんので、管財人みずからもしくは管財人代理がその本社のあるところに必ず置かれることになると思います。 したがいまして、労働組合としては、通常の労働関係については、使用者との交渉その他は管財人もしくは管財人代理と行うことができますし、そういう意味では問題は生じないのではないか、こう考えております。
○藤島委員 確かに管財人代理を活用することである程度はカバーできるのかもわかりませんけれども、しかし、この辺はやってみないことには、うまくいかない部分も出るかもわかりませんですね。 それでは次なんですが、手続の迅速化と先ほど来何回か出ているんですけれども、現在の可決要件といいますか、いろいろな要件がありますけれども、現在のはなぜ不適切だったのか。要件の緩和についてちょっと御説明いただきたいと思います。
○房村政府参考人 可決要件が非常に厳格で、その説得等に非常に時間がかかるというのは、管財人を経験した方々が一様に指摘をしているところでございます。 なぜそうかといいますと、実は、この更生計画の可決要件を例えば三分の二と定めた場合に、その三分の二の母数になるのは総議決権でございます。したがって、通常の可決要件というのは、例えば集会なら集会に出席して投票をした人を母数にしてその賛否が問われるわけでございますが、更生計画の可決要件は、母数が総議決権数でございますので、棄権をした人もすべて反対にカウントされてしまう。ともかく、そういう意味では非常にハードルが高くなっております。そういう点で、諸外国と比べても日本の可決要件は非常に厳しいのではないか。 そういう観点もあって、今回見直す際には諸外国のことも検討いたしまして、その結果、やはり日本の現在の可決要件は少し厳し過ぎるということから、三分の二であったものは二分の一に、それから五分の四は四分の三、四分の三は三分の二と、従来に比べてそれぞれ一段階ずつ緩和したというのが今回の改正内容でございます。
○藤島委員 確かに現場では、今おっしゃったように、債権総数、総金額、これを母数に持っていると本当に大変なんですよね。連絡するとか何かから始まって、確かに、会場に集まった人の総数を母数とするというのとは随分違うので、現場でやるとき、私も相談を受けたことがあるんです。どのぐらいどうなるのかとなかなか読み切れなくて、最後に債権者総会の結果まで見ないとわからない。というのは、完全にクリアするぐらいの数字がはっきりわかっていればいいんですけれども、ぎりぎりまであやふやなケースもありまして、そうすると、終わってみないと実際わからないといったようなケースまであるんですね。そういう意味では、すっきりした方がいいと私は従来から思っていたんです。 ところで、今おっしゃったように、三分の二が二分の一、それから担保つき債権については五分の四が四分の三となったんですが、この二分の一と四分の三という今度新しく変えるその数字の根拠、これは余り明確な根拠はあるかどうかわかりませんけれども、こういう数字にしたからには、どういう考え方でこういう数字にしたというのは一応あるんだろうと思うので、そこを御説明願います。
○房村政府参考人 例えばドイツの例を見ますと、計画案を可決するには、投票した債権者の頭数の過半数で、かつ議決権総額の過半を超える債権者が計画案に同意した、こうなっておりますので、これをそのまま日本に持ってくれば、まさに二分の一になりますので、アメリカと比較しても日本の総議決権の三分の二というのはいかにも高いものですから、やはり二分の一が適切、少なくとも二分の一より下げるわけにはまいりませんので、そういうことで、二分の一ということにいたしました。 三分の二の方につきましては、担保権つき債権については、やはり無担保のものに比べればその担保権の価値を把握しておりますので、その変更にはより慎重な手続が要るということで、無担保債権より高くなるのは当然だろうと思われるわけでございます。 ただ、現行の四分の三がどうか、あるいは五分の四がどうかということになりますと、やはりこれは無担保債権が三分の二だということを踏まえて、当然それより厳格なということで、四分の三あるいは五分の四という数字が決められたということもございますので、無担保について二分の一まで緩和するということであれば、やはり担保つき債権についてもそれなりの緩和を図るべきではないかということから、それぞれ一ランクずつ下げるという考え方。 アメリカでも、これは投票された議決権総額の三分の二というような定め方をしておりますし、三分の二という数字もそれなりに、商法の特別決議も三分の二でございますし、特別決議の数としては、そういう意味では比較的受け入れやすい数字ではないか、こう考えております。
○藤島委員 数字としては、確かにいい数字かなという感じはしていますけれどもね。 それから、手続の迅速化がうたいものなので、その中のもう一つ、更生計画案の提出、これを開始後一年以内にということを義務づけておりますね、今度は。これは従来と比べてどうだったのか。それから、なぜ一年にしたのか。それと、この問題については、百八十四条には、特別の事情があるときは伸長できる、こうなっていますが、その特別の事情というのはどういうことをイメージしているのか。 この三点ですね。従来と、今回の一年の点と、特別の事情、これについて。また、特別の事情を本当に何回もやっていったら、これはどうなっちゃうのかという気もするんですが、それを含めれば四点、ちょっとお尋ねします。
○房村政府参考人 従来は、裁判所が定める期間ということで、法律には何の定めもございませんでした。裁判所としては、運用上は一年程度を基本的な期間としていたようでございますが、実際には、やはり伸長をされることが多くて、平均いたしますと二年近くかかっていたということが実情のようでございます。そういう実情を踏まえまして、これを短縮するにはやはり法律に原則を明示すべきだということで、一年ということを法律に書くことといたしました。 ただ、一律に一年というわけにもまいりませんので、御指摘のような特別の事情がある場合にはこれを伸ばせるということにいたしまして、その特別の事情としては、例えば、関係する更生債権者等が非常に多い、その調査、確定に非常に時間がかかるとか、あるいは経済変動が非常に急激に起きて、改めてまた見直さないといけないというような場合もございますでしょうから、そういった事情があるときに伸ばすということを認めるわけでございます。 これが余り何回も伸ばされてしまってはという御懸念はまことにそのとおりでございまして、これは、法律上は何も書いてございませんが、裁判所の規則で何回までということは定められるのではないか。これは、類似の規定が再生法の再生規則に二回までということが定められておりますので、この会社更生についても同種の規則が置かれるものと考えております。
○藤島委員 余り伸ばし伸ばししてもいかぬので、やはりそこはきちっと整理しないといけないという感じはしております。 それから、迅速化の問題ですけれども、終結時期を早期化するということになっているわけですけれども、この点について御説明願います。
○房村政府参考人 現行の会社更生法でも、更生計画が遂行されたとき、または計画が遂行されることが確実であると認めるに至ったときに終結させる、こうなっております。 ただ、運用の実情としては、この確実であると認めるという点について非常に慎重に判断がなされておりまして、ほとんど最終弁済期の直前にならないと終結しないという実情にあるように聞いております。 一方、会社更生手続に服している間は、やはり裁判所の監督下に置かれ、更生会社ということになりますので、会社の信用にもかかわります。そういう意味では、実質的に立ち直った会社については、できるだけ早くこの更生会社手続から解き放ちまして、一般の株式会社として活動していただくということが望ましい、こういうぐあいに考えまして、従来の例から見まして、遂行の確実性が見込まれる数字を法律に書いて、それを原則とするということにしたものでございます。 従来の例から見ましても、計画で定めた債務の三分の二が滞りなく弁済されれば、残りの三分の一はまず確実に弁済することができるということで、この三分の二で原則として終結する。ただ、この場合にも、三分の二を弁済してもなお危ぶまれるような場合には、裁判所は当然終結しないこともできますので、そのことによって全体としての手続の早期化を図りたい、こう考えております。
○藤島委員 今、二百三十九条の二号のところですね。 これは終結決定の要件なんですが、「裁判所は、管財人の申立てにより又は職権で、更生手続終結の決定をしなければならない。」こうなっているんですよね。そうすると、今のお話だと、三分の二以上の弁済がされたときにおいては残り三分の一は多分大丈夫だろうという推定のもとだ、こういうふうな話なんですが、この条文との関係で今の答弁はちょっと違うような感じがするんですが、そこはどうなんですか。
○房村政府参考人 終結決定をしなければならない、こう書いてあるわけでございますが、二号に「三分の二以上の額の弁済がされた時において、当該更生計画に不履行が生じていない場合。ただし、裁判所が、当該更生計画が遂行されないおそれがあると認めたときは、この限りでない。」ということで、怪しいときはやはりやらなくていい、こういうことを言っているわけです。
○藤島委員 それから、更生債権等の調査及び確定の手続を簡易かつ迅速に行うための見直しというんですか、そういうあれがあるんですけれども、それはどういうことにしているんですか。
○房村政府参考人 従来、更生債権の調査、確定というのは、届け出をしていただきまして、関係人集会を開いてそこでやっておりました。それを、関係人集会の手続を任意的なものにして、調査、確定は原則として書面で行う、こういうことにしております。 それからさらに、争いが起きたときに、査定の手続を導入いたしまして、裁判所の決定でできるようにする。こういうようなことで、債権の調査、確定の手続全体の簡素化、迅速化を図っているということでございます。
○藤島委員 もう一つ、大きな今回の特色として、二十五条ですか、包括的禁止命令の導入がありますね。これについてはどういう考え方で入れたのか。これはまた、問題が逆にある部分もあると思うんですけれども、それは大丈夫なのか。民事再生法との関係ですね。民事再生法にはこれはあるんですね。今回入れた考え方ですね。
○房村政府参考人 会社更生の申し立てがなされまして、その後自由に会社財産に対して強制執行がなされてしまいますと、営業の維持も難しくなる。そういうことから、個別的に強制執行を停止するという制度が従来からあったわけでございます。 ただ、例えば、債権者が非常に多くて、非常に強制執行が多数なされることが予想されるような場合に、一つ一つ対応していたのでは到底間に合わない、こういう場合も考えられますので、民事再生法でこの包括的禁止命令を入れておりますので、それに倣いまして、今回会社更生においてもこの包括的禁止命令というものを入れるということとしたわけでございます。 ただ、同時に、御指摘のように、非常に強力な制度でございますので、その乱用の防止策も考えなければいけない。こういうことから、要件として、個別の中止の命令によっては更生手続の目的を十分に達成することができないおそれがあると認めるべき特別の事情があるとき、こういう限定を付しております。 さらに、一律に禁止することによる弊害を避けるために、あらかじめ一定の類型の債権についてはこの禁止命令から除く、こういうような措置もとれる、そして発令した後も個別の解除の制度も設ける、このようなことによって乱用あるいは弊害は防げるのではないか、こう考えております。
○藤島委員 管財人がやるわけじゃなく、裁判所がやるので、その点は大丈夫なんだろうなという感じはしております。 それから、弁済期限の上限を二十年から十五年に短縮しておりますね。これはどういう考え方でこうしたのか。これは二百三十三条の関係でしょうか。
○房村政府参考人 現行法では、御指摘のように、弁済計画の期限を上限二十年としております。 しかしながら、現代の経済社会の変化のスピードが非常に速い、こういうことを考えますと、この二十年という期間はいかにも長い、こういう指摘がございました。それから、弁済計画を含む更生計画の遂行可能性を判断するときに、二十年先の事情まで含めてこの遂行可能性を的確に判断できるか、こういう問題もございます。そういった指摘がかねてからあったものですから、民事再生法では十年ということにいたしました。そのことによってやはり計画のスピードアップが図られているという結果が出ておりますので、そういうことを踏まえて、この二十年を短縮するということにしたものです。 ただ、再生法の十年と違う十五年にしたという点は、更生計画ですと、再生法と違いまして、担保権つきの債権というようなものも取り込みますので、やはり十年と余り短縮してしまいますと再建が非常に難しくなる場合もあるだろうということから、十五年という上限にいたしました。
○藤島委員 まだ幾つか質問したい事項もあるんですが、時間になりましたので、きょうはこれで終わりたいと思います。
○佐藤(剛)委員長代理 次に、中林よし子君。
○中林委員 日本共産党の中林よし子でございます。 企業の倒産というのは、本当に大変なことだというふうに思います。倒産した途端に債権者が会社に押しかけてきて金目のものをとっていく、労働者は何の保障もなくほうり出され、まさに無政府状態と言ってもいい状況が起こります。 会社更生法の役割というのは、同じ倒産であっても、裁判所の強い監督下、倒産の混乱をできるだけ防いで会社の再建を図り、その中で労働者の雇用をできるだけ守るという役割を果たしているというふうに思うんですけれども、大臣の御見解をお伺いします。
○森山国務大臣 御指摘のとおり、会社更生法は、裁判所の監督のもと、債権者を初めとするすべての利害関係人の権利を適切に調整しつつ、倒産状態に陥った企業のうち再建の価値があるものに再建のチャンスを与えていくものだと考えております。
○中林委員 今度の改正で導入される手続外の営業譲渡によって、会社の切り売りが行われて、倒産した会社の再建に役立たないだけでなく、労働者の雇用と権利が不当に侵害される事態が私は生じかねないんじゃないかというふうに思います。大臣も今、私がこういう役割をということで肯定していただいたわけですけれども、これまで会社更生法が会社再建だとかあるいは労働者保護に果たしてきた役割、これが今回の改正によって骨抜きにされたらいけないというふうに思うわけですね。だから、ここのところが一番大きな問題ではないかというふうに思います。 先ほどから民事再生法の話も随分出てきておるわけですけれども、今回の改正案と同様の制度が、二〇〇〇年に導入された民事再生法下で手続を進めている問題、これをちょっと具体的な例で取り上げてみたいというふうに思います。 これは、千葉県我孫子市にある日立精機の問題なんですけれども、しにせの工作機械メーカーで、ことしの八月十九日に民事再生手続申し立てを行っております。この日立精機は、九月に事実上すべての営業を奈良県の工作メーカー森精機に営業譲渡をしています。事実上、会社ごと森精機に売り渡したわけです。会社ごと森精機に売り渡したのですから、労働者の雇用、これもすべて継承した、このように私どもは当然思うんですけれども、森精機は営業譲渡に当たって雇用は不継続ということにしたために、実際には営業譲渡に際して九百人の従業員全員解雇ということになりました。事実上すべての営業を譲り受けた森精機が、全員を本来ならば雇用しなければならないということなんですけれども、再就職希望者はそのうち六百十名いましたが、これに全員と面接して、実際は四百二十人しか再雇用しておりません。だから、解雇された九百人の半分以下しか雇用しなかったわけですね。再雇用を希望した人の三分の二にしかならないということで、しかも、どういう人が雇用されなかったかというと、五十歳以上でリーダークラスでない人だとか、あるいは五十五歳以上のほとんどの人だとか、転勤できない人、たとえ若くても事務職の人、これらの人々は再雇用されない。こういう事態になっておって、森精機にとっては極めて都合のよいつまみ食いをしたという実態がございますが、大臣はこういう実態をどのようにお考えでしょうか。
○森山国務大臣 会社更生法におきまして、営業譲渡が行われる際に、労働組合との協議あるいは労働契約の継承などについては、会社更生手続には限らず、企業組織の再編に伴っての労使関係に生ずる一般的な問題ではないかと思います。したがって、会社更生法案におきましては、御指摘のような労働組合との協議や労働契約の承継について特段の規定は設けておりませんが、企業組織再編に伴う労働関係上の諸問題が存在することは十分法務省の方でも認識しておりまして、また厚生労働省においても研究会が設けられておりまして、その結果が取りまとめられたと伺っております。 法務省としましても、厚生労働省等の関係省庁と十分に連絡をとって適切に対処していきたいというふうに思います。
○中林委員 民事再生法のもとで今行われている問題を具体的な事例として申し上げました。 したがって、民事再生法でも裁判所がかかわってくるということで、私が最初大臣に申し上げたのは、会社更生法そのものが、企業だけではなく、しかもその企業が再生のチャンスを十分与えられるようなものになるだけではなくして、そこで働いている労働者、その人たちもやはり保護される、そういう中身を持っているということ、大臣もそこは否定されなかったわけですからね。 それで、今回の会社更生法の改正が、もうその先を進んでいる民事再生法、それに手法だとかそういうものは横並びになっていくわけですので、民事再生法のもとで労働者がこういう実態になっているということをお話を申し上げたんですね。仕事の中身は全く変わらないという状況の中で、譲渡をされたときに、労働の雇用だけは別だよというようなこういうやり方で、譲り受けた、森精機といいますけれども、そこにとっては極めて都合のいいところだけ受けていく、譲渡される、こういう事態について大臣の認識をお伺いしたわけです。
○森山国務大臣 民事再生法におきましても、さまざまな場面で労働組合等からの意見聴取が行われるということになっております。これは、再生債務者であります企業の事業の維持継続を図るためには、その企業の従業員や労働組合の協力が得られなければならないということでありますし、また、従業員や労働組合は一般にその企業の内部事情に通じておりまして、重要な情報を持っているということでもあるからでございます。 したがって、民事再生手続に関して労働組合が裁判所に対して述べた意見は、裁判所が民事再生手続に関する裁判等をするに当たっての重要な資料の一つとして尊重されるということが予定されておりまして、裁判所においてもそのような趣旨を踏まえた適切な運用がなされているものと考えております。
○中林委員 この法務委員会で大臣の御答弁いろいろ聞いて、私は、率直な御感想なども本当は聞かせていただきたいというふうに思うんですね。 それで、退職者の、前働いていた九百人の半分以下しか採用していないし、希望者の三分の二にとどまっている。では、その森精機の方はそれで目いっぱいだったのかというと、決してそうじゃなくて、新たに新採用として五十人雇い入れているわけですよ。だから、本来ならば、譲渡しているわけですから、雇用関係もきっちり譲渡すべきだというふうに私は重ねて申し上げておきたいというふうに思います。 今、労働者の意見が裁判所に反映されているというふうに言われたんですけれども、しかし、裁判所は労働組合だとか債権者の意見を聴取した後に営業譲渡を許可することになっているんですが、日立精機の例では、九月二十日に意見聴取、翌二十一日には認可されているんです。だから、ここが極めて形式的なものになっているんじゃないか。しかも裁判所では、意見聴取は、賛成か反対かどちらか、これを聞くのが目的であって、それ以外の、雇用継続の問題、雇用労働条件の問題、こういうことは目的にないと言われているわけですね。裁判所が言っているわけですよ。私はあると思うんですけれども、裁判所はそういうことを言っている。 それから、労働者と使用者の関係でも相当問題があります。営業譲渡とそれに伴う全員解雇、森精機による四百五十人の再雇用と労働組合に会社が提案したのが九月十日なんです。日立精機と森精機との間の営業譲渡契約が結ばれた後なんですね。このとき、日立精機は再雇用後の労働条件も示さず、再雇用の保証もないまま裁判所による意見聴取が行われ、二十日までの決断を求めました。労働者としては、これがもし破談になれば、破産、全員解雇、これを迫られるわけですから、もう一つのことしか裁判所に言えない、こういう状況になっていて、これで、今大臣が言われたように、労働者の意見が反映されたというふうにお考えなんでしょうか。
○森山国務大臣 今御指摘の個別のケースについて、私、詳細を承知しておりませんので、何ともお答えの申しようがないような気がいたします。大変残念でございますが、個別具体的なケースにつきましては、ここではコメントを差し控えさせていただきたいと存じます。
○中林委員 かなり具体的に私は申し上げたつもりでございますので、こういう事例が私はこの日立と森精機との間だけではないだろうというふうに思いますので、裁判所が一体どういう役割を果たしているのか、形式的になっていないのか、とにかく法的な手続上、裁判所は意見を聞かなければならなくなっているので、労働者からイエスかノーか、それだけ聞くということにならないように、ぜひ実情をつかんでいただきたいというふうに思います。 営業譲渡における労働契約継承の問題、これは昨年の会社分割制度の際にも大変大きな問題となりました。法制化は現在までされておりません。このまま会社更生法に民事再生法と同様な手続外営業譲渡を導入した場合には、日立精機の例と同様に、労働者の権利が極めてないがしろにされるおそれが高いというふうに思います。今からでも遅くないから、このような制度を導入するなら、手続外営業譲渡に伴う労働者保護制度の導入、これを当然検討すべきではないかというふうに思うんですけれども、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○森山国務大臣 会社更生法案におきましては、更生計画によらない営業譲渡によりまして利害関係人の利益が不当に害されることがないように、裁判所の許可を必要とするとともに、裁判所が許可をする場合には債権者のみならず労働組合等の意見を聴取しなければならないとしております。 このように、会社更生法案におきましては、営業譲渡の適正を担保するために、会社更生手続の枠内で可能な限りの手当てを講じて労働者の雇用についても配慮をしているところでございます。
○中林委員 結局、今回の改正案は、民事再生法の手法が一層強化されていく、そういうものだけ取り入れて、そこでも問題になっている労働者保護規制、ここについては拒否をしたままに残されているというふうに思うんですね。 それで、パブリックコメントとして、これはことしの三月一日から三十一日まで求められているわけですが、労働者側から随分、事前の協議だとか労働者の保護規制、こういうものをやってほしいという意見が寄せられているというふうに思うんですね。だから、少なくとも、この問題は後で木島議員の方がきっちりおやりになる予定でございますので、これ以上は言いませんけれども、労働者の保護もちゃんとやるんだと大臣はおっしゃっているけれども、現実はそうなっていないので、そのためのやはり特別なものが盛り込まれなければならないということを申し上げておきたいというふうに思います。 それで、確認したいんですけれども、日立精機の問題で、民事再生法では、給与、退職金などは一般優先権として随時弁済されるものだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。 〔佐藤(剛)委員長代理退席、園田委員長代理着席〕
○房村政府参考人 御指摘のように、民事再生手続におきましては、給与、退職金等の労働債権は一般優先債権ということになりますので、随時弁済を受けることができるということでございます。
○中林委員 日立精機は既に全員が解雇され、退職金が当然支払われることになっているわけです。ところが、日立精機は、監督委員からの指示で、すべての債権額が確定しなければ支払えない、確定後に減額の提案をするつもりだ、このように述べております。原資がないからすべては支払えないというならわかるんですけれども、租税債権に次ぐ優先債権である労働債権の支払い停止、これを監督委員が指示しているというのは大問題だというふうに思うんです。このようなことがあってはならないというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○房村政府参考人 具体的事件については、詳細を承知しておりませんし、コメントは差し控えますが、一般論として言えば、先ほど申し上げましたとおり、給与債権、退職金債権というのは一般優先債権で、民事再生手続においては随時弁済を受けることができるということになっております。
○中林委員 現実問題として起きているということですので、もう民事再生手続に入っているところですから、ぜひよく調べて、そういうことがないように指導していただきたい。その点もう一度お願いします。
○房村政府参考人 具体的な事件につきまして私どもから何かということはありませんが、私どもとしても、今申し上げたような民事再生手続の中での給与債権、退職金債権という労働債権の扱いについて、これは今まで以上に周知を図りたいと思いますし、関係者の理解を求める努力は続けていきたい、こう考えております。
○中林委員 結局そういうことに、具体的な事例はということになるので、労働者保護の法規制ということが何らかの形で盛り込まれる必要性がこういう事態でもあるということを重ねて申し上げておきたいと思います。 もう一つ、中小企業の問題について触れたいと思います。 この数年全国各地で、そごう、長崎屋、寿屋、マイカルなど大型ショッピングセンターの倒産が相次いでいます。倒産に伴ってさまざまな問題が起きているんですが、ショッピングセンターに入居している中小テナントの皆さんは、ショッピングセンターの売り上げ減少など大変な状況の中でおります。深刻なのは、敷金、保証金が倒産に伴って返ってこない、返ってきても大変少額になる、こういう問題なんです。 ここで、昨年倒産して現在更生手続中のマイカルの問題、これを取り上げたいと思います。 マイカルは、昨年九月十四日に民事再生適用を申請しましたが、従前の経営陣がそのまま居座ったことに批判が集中して、結局、経営陣が退陣して、十一月二十二日に会社更生法の申請に変わったということになっております。現在、マイカルに入居しているテナントの総数、それから、倒産後閉鎖した店舗に入居しているテナントの数、それぞれどのくらいでしょうか。
○房村政府参考人 マイカルの関係に入っていたテナントの総数について、ただいま判明しておりますのは、マイカルの店舗のうち十九の店舗が閉鎖されているということと、これらの閉鎖店舗に入っていたテナントのうち、賃貸借契約を締結していたものは四百六十九軒であった、こういうことを経済産業省がマイカルの更生管財人から聴取したということを聞いております。
○中林委員 これはきのう、質問通告でお聞きしますのでぜひと言ったんですが、経済産業省で調べておりますから、全部の店舗数は四千七百店舗ですね。それで、今言われたように、四百六十九店舗が閉鎖ということになっているというふうに思うんですね。結局、物すごく数が多い。四千七百店舗が敷金、保証金払っているわけですね。これ、総額が四百億円にもなり、一店舗当たりでは数百万円から数千万円になる。この巨額の資金が倒産に伴って返還が凍結され、最終的には大幅にカットされると言われております。 閉鎖される店舗では、一方的に店を追い出されたが何の補償もない。だから、別のところでそれこそ店を出そうと思っても保証金も返ってこないということで、資金がとても困難で、もうにっちもさっちもいかなくなった、こういう深刻な声も聞いております。 敷金をめぐってなぜこんなことが起きるのか。大変不思議な、まあ通常考えれば、それは返してもらえるよという話だと思うんですね。私たちが通常不動産を借りるときはそうなっているわけですから。家主に預け入れるお金、これは当然返ってくるのが社会的な常識だというふうに思うんですけれども、大臣、このマイカルの、お店とすれば敷金に当たる保証金という形で預け入れたと思っているものが返ってこない、この点についてどのようにお思いでしょうか。
○森山国務大臣 御指摘の敷金とか保証金とかいうものの中には、ビルを建設しようとする者が、テナントとしての出店を希望する人から建築資金の一部を借り受けるとともに、ビルが完成した場合にはその特定部分を賃借することの保証を与えるという目的で授受される、いわゆる建設協力金と呼ばれるものがあるようでございます。そしてさらに、このほかに、保証金として授受される金銭の中には、敷金に類似した性格のものもあり、さらにはその双方の性格を有するというものもあるようでございます。このように、保証金とか敷金とか呼ばれるものには性質の異なる種々のものがございまして、その法的性質を一義的に確定することは大変難しいのでございます。 御指摘のマイカルの各店舗における保証金につきましても、契約締結の時期や地域によりましてその内容が異なっているようでございまして、その法的性格がどのようなものであるのかは明らかではございませんが、いずれにしても、法的に優先的地位が認められる債権に当たる可能性は少ないのではないかと思われます。 企業が倒産状態に陥りますと、企業を取り巻くさまざまな債権者の方々に重大な影響が及びまして、多額の保証金を差し入れたテナントの方々も相当の被害をこうむるわけでございまして、その事情は察するに余りあるところでございます。しかし、保証金債権が法的に優先的地位が認められない性格のものであるということになりますと、現行の会社更生法上は、取引債権者の方々や無担保の貸し金債権を持っている方々などと同様に一般の更生債権者として扱われるということになるのではないかと思います。
○中林委員 大臣のそういう答弁だからテナントに入っていらっしゃる店主の方々が大変困っていて、どうすればいいんだろう、何とか救える道はないのでしょうかという形で私どもに相談を持ちかけられている。 だから、私も最初聞いたときに、そのテナントに入るときのいわば敷金に値する保証金だ、だからそれはそれで預託されていて、当然、倒産後あるいはマイカルのショッピングセンターから出なければならないときなどは返してもらって、次の店舗展開をしていくときの原資にするというのが当然のことだろうというふうに思うんですけれども、ケース・バイ・ケースで、そういう敷金的なものもあるし、建設協力金的なものもあるし、それぞれがまちまちなんですよということで、そこへテナントに入っていらっしゃる方が、数千万円から数百万円まで、全く戻ってこないということになれば、これはもうマイカルが倒産しただけでも大打撃、その上にもうこれでおしまいかという状況になると思うんですね。 確実に返ってくるお金だからこそ、マイカルの例でも、銀行も差し入れる敷金を担保に資金を融通して、調達してテナントに入った、こういうお店もあります。ところが、倒産すればどうなるか。例えば静岡の中堅スーパー、ヤオハン、ここでは三%しか返ってこなかった。一昨年倒産した長崎屋は一%強しか返っていないということなんですね。倒産の場合であっても抵当権などの担保つき債権は、ヤオハンでは九割、長崎屋の例では一〇〇%返済されている。敷金は担保なのにほかの担保つき債権に比べて本当にスズメの涙ほどしか返ってこないということでは、余りにも無慈悲なことになってくるんじゃないかというふうに思うんですね。 この点で、実は、経済産業省の研究会というのはやはり法的整備がなされなければならないということも指摘をしておるんですけれども、大臣どうですか。 〔園田委員長代理退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕
○森山国務大臣 今お話しのように、マイカルの倒産によって困窮していらっしゃるテナントの方々には大変お気の毒な状態で、同情すべき事情だということは十分わかっておりますけれども、先ほど述べましたとおり、保証金と申しましてもその実態がさまざまでございまして、契約内容がいろいろであるということでございます。また、現在、今おっしゃいました経済産業省におきまして、問題点の分析と実務のあり方を含む幅広い観点からの検討が行われているということを聞いております。この検討の結果や保証金の慣行の推移を踏まえまして、法務省といたしましても、どのような法的な問題がありますか検討していきたいと思っております。
○中林委員 検討いただくということですので、ぜひやっていただきたいんです。 この問題は、敷金が金銭担保であるにもかかわらず、貸し主に預けた後は貸し主の財産に紛れ込んで、敷金が貸し主の財産と区別できないという状況に原因があるんじゃないかというふうに思うんですね。この点では、ドイツが一九八二年に行った改正が参考になると思うんですけれども、ドイツの民法は、賃貸借において金銭担保を提供したときは、その金銭を債権者の財産から区別して預金して預託する、こういうことが義務づけられております。これがすべてだとは思わないし、そのとおり日本もやれというんではないけれども、一つの参考にはなるのではないかというふうに思いますので、ぜひ、経済産業省だけに任せるのではなくして、法務省としてもそういう法整備を研究していただくことを重ねて要望申し上げまして、質問を終わります。
○佐藤(剛)委員長代理 次に、木島日出夫君。
○木島委員 会社更生法の全面改正についてお聞きをいたします。 最初に法務大臣にお聞きしますが、法務大臣は、十月二十九日、当委員会の所信表明におきまして、会社更生法改正の目的についてこう述べております。現在の経済情勢のもとで苦境にある大規模な株式会社の早期の更生を実現し、多数の関連会社が破綻に至ることを防ぎ、雇用の確保を図ることができる上、喫緊の課題である不良債権処理の環境を整備することができるものと考えている、このような言葉であります。 そこでお聞きしますが、今回の会社更生法の改正がどのような点で不良債権処理の環境を整備することになるのか、今回の会社更生法の全面改正と不良債権処理とはどんな関係があると認識しているのか、基本認識をお聞きします。
○森山国務大臣 会社更生手続を初めとする法的倒産処理の手続は、私的整理、不良債権の売却と並んで、金融機関の有する不良債権を直接処理する手段の一つとされております。また、会社更生手続は、倒産状態に陥った大企業のうち再建の価値があるものを選別しましてその再建を図ることによりまして、企業の解体、清算を防止する手続でございまして、雇用の維持及び取引先企業の連鎖倒産の防止など、不良債権処理に伴って生ずる社会経済的損失の軽減にも寄与する手段であると考えます。 平成十三年十月から十四年九月までの一年間の主な会社更生事件における更生会社の負債総額を見ますと、その合計額が四兆円を超えておりまして、その半額以上が金融機関の不良債権であると考えられます。 したがいまして、会社更生手続はこれまでも不良債権の処理に重要な役割を果たしてきておりますが、今回の改正によりまして手続の迅速化及び合理化が図られて使い勝手が向上すれば、より一層大きな役割を果たすものと考えております。
○木島委員 要するに、金融機関が早く不良債権を直接償却、切り捨てていきたい、その環境をつくろうというために今回の会社更生法の改正が持ち出された、それも一つの大きな理由だと考えざるを得ません。 金融機関というのは本来、最大限、ぎりぎりのところまで企業に対する融資をつないで企業を生かす、ぎりぎりまで頑張るのが金融機関の責務だと思うのですが、今、残念ながら、小泉内閣が進めている不良債権の早期処理の加速化、これはそういう金融機関の基本的な責務を放てきするものだと思わざるを得ません。この会社更生法の全面改正がそれを促進するようなことになっては断じてならぬと思います。 次に、会社更生計画認可前の営業譲渡制度が新たに創設される、今回の会社更生法全面改正の一つの大きな問題であると思いますので、その問題について質問いたします。 法務大臣に聞きます。 今回の会社更生法改正の旗印は三つです。手続の迅速化、手続の合理化、再建手法の強化であります。その再建手法の強化の柱の一つが、新たに持ち込まれようとしている更生計画認可前の営業譲渡の制度の創設であります。第四十六条であります。現行会社更生法は、営業譲渡は更生計画の中でしか認められません。現行第二百十一条二項、二百十七条であろうと思います。 法務省民事局長に聞きますが、現行会社更生法が営業譲渡を更生計画の中でしか認めていない、今度の改正法案のように前段階では認めていないのはどのような理由からでしょうか。
○房村政府参考人 現行の会社更生法におきましては営業譲渡は更生計画の任意的記載事項とされております。したがいまして、更生計画によって行うことができることは明らかであります。 ただ、逆に、更生計画によらない営業譲渡については何らの規定も存在しないために、その可否については見解が分かれております。 否定する見解としては、営業譲渡は、事業の再建の基本的な枠組みを決定するとともに、債権者等の利害にかかわる重大な行為であるから、債権者等の多数意思によって成立する更生計画によらなければ行うことができない、こういう考え方がございます。 また一方、裁判所の許可によって行うことができる会社財産の処分、これは現行法の規定にございますが、ここにおける財産には会社の営業も含まれるということで、計画外であっても裁判所の許可を得れば営業譲渡をすることができるとする考え方もございました。 そこで、今回の会社更生法においては、更生計画によらない営業譲渡について新たな手続を設けることによりまして、解釈上の対立を明文をもって解決したというものでございます。
○木島委員 そういうことですね。いろいろ説がある、それは法律がきっちり書かれてないからだと。 しかし、営業の譲渡というのは単なる会社財産の処分じゃないわけです。機械、設備、そこで働く労働者、全体としての営業が譲渡されてしまうことを意味するわけでありますね。ですから、これはもう質問はいたしませんが、現行会社更生法は大変厳格な手続を定めているんじゃないか。例えば、営業の全部が譲渡されてしまう、重要な一部が譲渡されてしまう、そうすると、譲渡してしまった後に残った会社更生申し立て中の会社はもぬけの殻になります。そして、その会社が会社更生しようと思ったら、いわゆる清算型の更生計画しか書けません。再建型の更生計画と清算型の更生計画と二つありますが、重要な財産を営業譲渡してしまったら、もう清算型の更生計画しか書けません。 現行法はどういう仕組みになっているんでしょうか。百九十一条の更生計画、清算を内容とする計画案は、議決権を有する更生担保権者の全員の同意が必要だ、株主の過半数の同意が必要だ、非常に厳格なんですね。会社がつぶれるということですから、そういう厳格な更生計画認可の要件をしたためているわけであります。そのぐらいに営業譲渡というのは大問題だと思うわけであります。 前置きはそのぐらいにして、それでは法務大臣に聞きます。 今回、現行のこうした厳格な仕組みを変えて、更生計画認可前営業譲渡を認める立法理由は何でしょうか。これは大事です。法務大臣、きちんと答えてください。
○森山国務大臣 企業が倒産した場合には、その営業を譲渡することによりまして、譲渡先において事業の再建を図りながら債権者等に対する弁済率を向上させることができる場合が少なくございません。しかし、その反面で、必要性や相当性を欠く営業譲渡がされるときには、結果的に事業は継続されないで、また債権者等の利益が損なわれるということにもなります。そこで、会社更生法案におきましては、更生手続開始後その終了までの間は、更生会社の営業の全部または重要な一部の譲渡は原則として更生計画によって行うものとしておりまして、これを更生債権者等の利害関係人の法定多数の意思にゆだねております。 しかしながら、営業譲渡における営業の価値は、企業が倒産状態に陥ったことが公表されますと急速に劣化するのが通常でございまして、営業譲渡を専ら更生計画によってのみ行うということにいたしますと、その時機を逸して、かえって利害関係人の利益を損なう場合があると考えられます。 そこで、会社更生法案におきましては、更生計画の認可前に、更生計画によらない営業譲渡を認めることとしながら、営業譲渡によって利害関係人の利益を不当に害することがないように、裁判所の許可を要件とするとともに、裁判所が許可する際には債権者及び労働組合等の意見を聴取しなければならないとする制度をつくったものでございます。
○木島委員 営業譲渡というのは非常に重大だから原則は更生計画によってのみ行う、ただし例外もあるから、今回例外を法定化したんだという答弁ですね。 会社更生法改正法案第四十六条二項は、その例外を規定していると思うのです。こういう文言があります。「裁判所は、当該譲渡が」、営業譲渡です、「当該譲渡が当該更生会社の事業の更生のために必要であると認める場合に限り、許可をすることができる。」と明文をもって規定されます。どんな場合なんでしょうか。 いいですか。営業の全部譲渡や重要な一部の譲渡が行われれば、残された方の当該申請中の更生会社は、営業の基本的な実体がなくなる、言葉は悪いけれども、もぬけの殻になるんじゃないでしょうか。そういう残された方の、譲り渡した方の更生会社の事業の更生のために必要だ、そんなことはどんな場合が想定されるんでしょうか。この法の想定していることを答弁ください。
○房村政府参考人 基本的には、更生計画前の営業譲渡を認めたというのは、営業の劣化が非常に速い、それに対応するためということでございますので、ここで更生会社の事業の更生のために必要である場合というのは、更生計画によらずに早期に営業譲渡を行う必要があるのかどうか、また、営業譲渡の対価を初めとする譲渡契約の内容が相当であるかどうか、こういうことを勘案いたしまして、最終的にその営業譲渡が事業の更生という手続の目的を達成するために必要不可欠であるかどうかということを意味しているわけでございます。
○木島委員 答えになってないんじゃないでしょうか。 いいですか。更生の開始決定の申請をした、裁判所が更生開始決定をした、そして更生手続が始まってきた、しかし、例外的な場合に当たるというので、営業の全部譲渡あるいは重要な部分の譲渡を認めようというんでしょう。そうしたら、当該会社は、製造会社にしろ、流通、大商店にしろ商社にしろ、もぬけの殻になっちゃうじゃないですか。営業譲渡して売って、売却代金が入ってきて、それをばらまくだけじゃないですか。結局は清算型の更生計画しかつくれない。それでもいいんだという考え方なんですか、法務省は。
○房村政府参考人 会社更生法で事業の更生と言っておりますのは、当該会社の法人格を残すかどうかということではなくて、現に行われている事業がその事業体として存続するかどうかということを考えているわけでございますので、まさに会社更生計画の内容として例えば営業譲渡等が含まれているのは、問題となっている事業が、営業譲渡あるいは合併あるいはその他企業再編のいろいろな形式をとっても、ともかくその事業として存続をするということが社会的に意味があるということから考えているわけでございますから、その営業の全部を譲渡して法人そのものは清算をするという場合であっても、事業は更生される。 その事業が解体されてばらばらになって、事業としても存在をやめてしまうというのがまさに事業の廃止でありまして、会社更生法はそういう意味の法人の存続を考えるということではなくて、事業の更生を考えるということでございます。
○木島委員 だけれども、営業の全部譲渡してしまったら、その譲渡は譲り受け会社の方では存続するかもしらぬけれども、会社更生申請した当該更生会社の事業の更生にはならぬでしょう。法律案を見てください。四十六条の第二項は、「裁判所は、当該譲渡が当該更生会社の事業の更生のために必要であると認める場合に限り、許可をすることができる」というのですから、答弁になっていないですよね。
○房村政府参考人 今御指摘のように、営業譲渡をされた場合には譲り受け会社でその事業が存続するのではないかと。まさにそれが事業の更生なんです。 ですから、ここで「更生会社の事業の更生」と言っているのは、更生会社をそのままにして事業を更生するということではなくて、現在更生会社に属している事業、それを何らかの形で存続させます、その一手段として営業譲渡も含まれますというのは、これは従来からの会社更生法の基本的な考え方でございます。
○木島委員 そういう考えですか。 それでは、次に移ります。 営業譲渡と雇用契約の問題であります。前段で中林委員から具体例を挙げて現状をお話ししました。まず法務省に聞きます。 更生開始決定後、その手続中の更生会社が営業の全部または重要な一部の譲渡をした場合、そこで働く労働者の雇用契約は譲り受け会社に承継されるんでしょうか。この会社更生法改正法案では、その問題はどう位置づけているんでしょうか。簡潔に答弁願います。
○房村政府参考人 営業譲渡がなされた場合に、そこで雇用されていた労働者の労働契約、労働関係がどうなるかというのは、会社更生法特有の問題ではなくて、営業譲渡一般の問題であろうと考えられます。その点については、裁判例、学説、さまざまな見解が分かれております。 ただ、どの見解に立っても、営業譲渡に伴って承継される雇用関係の対象から合理的な理由もなく特定の使用人を排除することが原則として許されないとする結論をとることについては差異はないと考えております。
○木島委員 営業譲渡一般の問題だから本会社更生法案には触れていないということでありますが、私は、それは大変無責任ではないかと思います。営業譲渡一般についての雇用契約承継に関する法律は、我が国にはありません。関連する法律は民法六百二十五条一つだけであります。現実には、営業譲渡されたときに、労働者が承諾していないにもかかわらずどんどんと解雇されている。先ほどの日立精機の例もその一つであります。解雇が乱発されています。 このような状況のもとで、法務大臣、労働者の雇用を不安定にする営業譲渡を安易にする、容易にするということですね、今回。そういう会社更生法の改正を行おうとしているんですから、私は、少なくとも改正法の中に、あるいは関連労働契約承継法のような法律をあわせつくって、労働者の雇用を守るのが当然ではないかと思うんです。 商法改正、会社分割法のときにそれをやりました。厚生労働委員会での審議になりましたが、会社分割時における雇用の承継に関する法律をつくりましたよ。あわせつくりましたよ。この重要な営業譲渡の容易、安易化の法律が今度の会社更生法の全面改正の中に潜り込んできたんですから、当然、雇用を守るための法制をきちっとあわせ出すべきだったんじゃないですか。森山法務大臣、どうでしょうか。
○森山国務大臣 御指摘のとおり、営業譲渡が行われる際の労働契約の承継につきましては、会社更生手続に限らない、企業組織の再編に伴って労使関係に生ずる一般的な問題であるというふうに考えられます。そして、営業譲渡に伴う労働関係上の諸問題が存在するということは法務省としてもよく承知しております。 また、この件につきましては、特に労働関係法規を所管しております厚生労働省におきまして研究会が設けられまして、その結果が取りまとめられたというふうに聞いております。 法務省といたしましても、厚生労働省を初め関係省庁と十分に連絡をとりながら、適切に対処してまいりたいと考えております。
○木島委員 厚生労働省をお呼びしております。 営業譲渡における労働者の雇用契約は承継されるのか。現行法はどうなのか。学説いろいろある、判例いろいろあると民事局長から答弁がありましたが、厚生労働省はどのような立場に立っているのでしょうか。御説明願います。
○青木政府参考人 営業譲渡についての学説、判例、いろいろあるわけでありますけれども、労働省で、今大臣からもお話がありましたが、研究会を設けて研究をしていただきました。 学説についても種々別れております。整理をしていただきまして、その中でも学説のうち、営業譲渡における労働契約というのは特定承継で、承継する場合には個別の労働者の同意が必要だという考え方が主流になっているというふうに分析をされております。 営業譲渡を行う際に労働者の労働契約を譲り受け会社へ承継させるには、民法六百二十五条一項の規定に基づいて、労働者の同意を得た上で行うことが必要だというふうに思っております。
○木島委員 余り中身を詳しく説明してくれませんが、はっきり言いまして三説並立しているんでしょう。営業譲渡が行われたときに、その会社の労働者の雇用契約が譲り受け会社に承継するかどうかについては三つの学説がきちっと並立している。 一つは当然承継説です。労働者の雇用は当然に承継する。二つは原則承継説です。原則的には承継するんだと。そして三つ目には原則非承継説です。その原則非承継説が、いわゆる今答弁にあった特定承継なんだからという理屈であります。それが主流だとおっしゃいました。 確かに、ことしの八月二十二日に、企業組織再編に伴う労働関係上の諸問題に関する研究会報告が発表されました。これは、会社分割法、商法改正、そしてこれに伴う労働者の雇用の承継に関する法律が、それぞれ衆参両院の、当法務委員会と厚生労働委員会で審議されたときに、すべての委員会で四回、附帯決議が行われておるわけですね。 衆参両院の法務委員会の附帯決議では、「企業の再編成に伴う労働契約の承継に関連して必要となる労働者の保護方策に関しては、立法上の措置を含め、その対応の在り方について更に検討すること。」 また、衆参両院の厚生労働委員会の附帯決議はもっと厳しいです。「合併・営業譲渡をはじめ企業組織の再編に伴う労働者の保護に関する諸問題については、学識経験者を中心とする検討の場を設け、速やかに結論を得た後、立法上の措置を含めその対応の在り方について十分に検討を深めること。」 この附帯決議に沿って、確かに厚生労働省のもとに、さっき答弁の研究会が設置され、そしてことしの八月二十二日に報告書が出された。しかし、その報告書は、私から指摘しますと、新たな立法は必要ないという結論ですよ。まことに私は不満な報告なんです。 しかも、言っておるように、営業譲渡が行われたときの労働者の雇用の承継に関しては非承継説が主流だなんという勝手な、三つ並立してあるにもかかわらず非承継説が主流だなんという、自分に都合のいいところだけつまみ食いして結論づけておる。私は本当にけしからぬ研究会だと思うんです。 では、厚生労働省にもっと聞きましょう。 この問題については大変意見が分裂しました。この研究会が労働側にヒアリングしたら、これは当然継承するような法律にしてほしい、雇用が継承するような仕組みをつくってほしい、そういう考え方に立ってほしい、経営側からヒアリングしたら、そんなの必要ないと、当然分裂しました。国際法もこの研究会は勉強しました。EU既得権指令は原則承継する、しかし、アメリカの法制は承継しない、大きく分裂した。まさに日本の社会において大問題なんですね。 この研究会報告は、その分裂した考え方のうち、日本の国内の意見では経営の方にくみする、そして、国際社会の法制度ではアメリカの方にくみする、そういう一方の側に偏したところだけをつまみ食いして結論づけたそういう報告書ではないでしょうか、厚生労働省。
○青木政府参考人 この研究会では、今御指摘のございましたように、附帯決議等を踏まえまして、学識経験者に研究をお願いし、それぞれ専門の立場からいろいろ議論、調査をしていただきまして得た結論でございます。 その中で、今お話ございましたように、結論的には、法的措置を講ずることは適当ではないというような結論になっておりますが、一方で、報告においても、円滑に企業組織再編が行われるためには、企業が判例法理を含めた現行の法的枠組みを踏まえて、労働関係に配慮しつつ対応するとともに、労使間で十分な情報提供が行われることが必要であるという提言もしております。さらに、企業組織再編に当たっては、企業が講ずべき措置あるいは配慮すべき事項等に関する指針を策定して、その周知を図ることが必要だという提言をされているところであります。 私どもとしては、この提言を踏まえまして、この指針の策定に向けて、労使、学識の方々から成る新たな研究会を設けて、検討を進めていきたいと思っておるところでございます。
○木島委員 この問題は大変難しい重要な問題で、日本の裁判例も分裂しておる。最高裁をお呼びしておりますから、お聞きします。 私の承知しているところによりますと、当然承継説に立つ大変有名な判例としては、時期が早いものとしては、東京地裁の昭和二十五年七月六日の済生会中央病院事件、また近間では、昭和五十九年十月三日の神戸地裁伊丹支部の宝塚映像事件がある。残念ながら、そうではなくて、包括合意説とも言っていますが、原則承継説に立つ裁判例としては、大阪高裁、昭和三十八年三月二十六日の播磨鉄工解雇事件がある。そして、私は不満ですが、非承継説、具体的合意説に立つものとしては、岡山地裁の昭和三十年一月二十九日の両備バス不採用事件がある。昔から三つに分裂しておる。これが今日も続いている。 最高裁、判例解説は要らぬですが、こういう三つの立場に立った判例が今もあるということを御紹介いただけませんか。
○千葉最高裁判所長官代理者 具体的な判決がどの立場に立ってされたかどうかという点は、判決の評価に関するものでございますので、その点については、そういう観点からの御説明は控えさせていただきたいと思いますが、あらかじめ委員から御指摘いただきました三つの裁判例がございますので、御紹介いたします。 一つ目は、横浜地方裁判所、昭和五十六年二月二十四日の全労済事件です。これは、営業譲渡の場合は雇用契約関係も当然に譲渡されるものと考えるのが相当であるとして、労働者の承諾を要することなく雇用契約関係が移転されるという判示をしたものでございます。 二つ目は、名古屋地方裁判所の平成四年九月九日の判決、これはよみうり事件ということでございますが、これは、営業譲渡においては、特段の事情のない限り、営業譲渡の当事者間に雇用契約上の雇い主たる地位を包括的に移転させる旨の合意が存在すると推認すべきであり、この合意は労働者の個別の承諾がなくても当然に効力を生ずる、こういう判示でございます。 三つ目は、大阪地方裁判所、平成十一年十二月八日のタジマヤ事件の判決、これは、営業譲渡がなされたからといって、譲渡人とその従業員との雇用契約が当然に譲り受け人に承継されるというものではない、こういう判示をしたもの、以上でございます。
○木島委員 裁判の独立がありますから、評釈を求めるものではありません。また、個別的な裁判というのは、いろいろな具体的な事情や背景が審理されて、その結論としてなされるわけでありますから、状況によっては違う結論も出るんでしょう。 しかし、考え方としては、今なお日本の裁判所、司法部は、営業譲渡における雇用契約の承継に関しては三つの考え方に立って、いろいろな裁判においても鼎立しているという状況じゃないんでしょうか。 そこで、改めて研究会報告書についてお聞きしますが、先ほど厚生労働省からも答弁がありましたように、確かにこの研究報告書は、最後のところで、立法化は必要ないがと言った上で、こういうことで締めくくっているんですよ。「本研究会は、営業譲渡に際しては、譲渡会社の努力と譲受会社の理解によって、できる限り、譲渡部門の労働者の雇用の確保が図られるべきであると考える。」 こんなことができないから、まさに法律をつくって、EUのような既得権指令など、きっちり日本でも労働者保護法制をつくって、そういう認識に立った日本の法文化をつくることこそが求められているんじゃないか。そういう法律が確立すれば、営業譲渡をする方もされる方も、基本的には労働者は雇用を承継するんだという物の考えに立った上で交渉が成り立つ。労働者の雇用に関しても、そういう考えで経営者は経営をすることになるんじゃないでしょうか。 法務大臣、最後に、もう時間ですから、そういう労働者の雇用をしっかり守るという法文化こそが今必要じゃないんでしょうか。今回そういうことが全くこの会社更生法の全面改正から脱落したというのはいかぬじゃないでしょうか。最後に所見を求めて、質問を終わります。
○森山国務大臣 御指摘のさまざまな附帯決議に基づきまして、先ほど厚生労働省からも答弁がございましたような研究会が設けられまして、その研究会ではさまざまな権威ある方々が意見を交換されて、いろいろな情報を集められた上で議論をされ、まとめられた結果なのではないかというふうに私も感じます。 ですから、法務省といたしましても、研究会の結果を踏まえまして、今後も改めて厚生労働省等との意見交換をし、協力して、適切に対処してまいりたいというふうに思っております。
○木島委員 終わります。
○佐藤(剛)委員長代理 次に、植田至紀君。
○植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。 今回の法案につきましては、その方向性なりなんなりというのは、実は私は前向きに考えておる。これが恐らく一時間後過去形になるやもしれませんが。といいますのは、実際、今回の法案が、やれ、さも小泉構造改革の一つの花飾りみたいな政策というよりは、もともと会社更生法のありようというものがずっと検討を続けられてきた経緯があるわけでございます。 その意味で、提案理由説明の中で、「現行法の規律する更生手続に対しては、手続開始の申し立てから手続終結に至る各段階の手続が厳格に過ぎ、更生計画の成立に時間がかかり過ぎるとの批判や、企業再建のための手法をより一層整備すべきであるとの指摘等がされて」いた。少なくとも、その指摘に対して、今回の法案でそれにこたえようという点においては、それはそれで一つの考え方であり、また前向きに私としては受けとめたいとは思っています。 手続の迅速化、また合理化、再建手法の強化というのは、その意味においては理解はいたしますが、雇用労働条件の確保であるとか倒産前の未払い賃金等の確保といった局面で、実際、更生手続上、どのような処遇を受けるかということは、実際働いている労働者にとってみれば、当該企業に身を置く一人一人の従業員にとってみれば、これは死活問題ですということなので、そうした問題意識を持ちながらお伺いをしていきたいと思うわけです。きょうは、法案に直接かかわるわけではありませんが、法案にかかわって関連はするわけですけれども、厚生労働省さんにお越しいただいておりますので、冒頭何点か青木審議官の方にお伺いしたいというふうに思っております。 まず、私が今厚生労働省さんに幾つか教えていただきたいのは、請負・委任就労形態の労働者の賃金等、労働債権の保護にかかわってということでございます。 今日では、こうした請負的な、また委任的な就労形態の就労者というのは、必ずしも一人親方的な建設分野だけではなくて、例えば証券会社等の外務員であるとか生保の勧誘員であるとか、ガス、電気、NHKの集金の方とか、いろいろな方々がいらっしゃるわけでございます。 非常にこうした就労形態が多様化していく中で、二〇〇〇年の十二月十三日に旧労働省で研究会の報告書が出されているわけですけれども、幾つかかぶる部分もあるかとは思うんですけれども、ここで労働債権の保護が必要な理由としてどうした要件を挙げられたのか、改めておさらいをさせていただけますでしょうか。
○青木政府参考人 労働債権について特別の保護を与えるという理由については、五点ほどあると思います。 第一点は、労働者は生計を賃金に頼っているため企業倒産により大きな影響を受ける。 二点目は、労働者は交渉力が乏しいということから、約定担保を設定してあらかじめ債権の履行確保を図るということは期待できない。 三点目は、企業倒産の場合には、労働者から見ると使用者というのは唯一の債務者ということになりますから、使用者が支払い不能の場合には、他の金銭債権者などよりも生活維持あるいは生活の継続という点でははるかに不安定な状態に置かれる。 四点目は、労働者は企業の財産形成とか企業倒産後における企業財産の維持に貢献をしている。 五点目は、労働者は他の債権者に比べまして企業を取り巻く経営環境や経理状況の情報を得ることは困難ということでありまして、そうした情報を得る機会、能力の差が不利に働きがちだ、こういうことだというふうに考えております。
○植田委員 次に、今は債権の保護が必要な理由ということを申し上げたわけですが、今度は、保護される労働者の概念にかかわってですけれども、冒頭申し上げましたように、こうした就労形態が非常に多様化してきている状況の中で、現行でも、私もちょっと一夜漬けで勉強させてもらいましたけれども、例えば労基法九条であるとか労働組合法三条、それぞれ労働者の定義が、微妙に書きっぷりが違っていますね。それぞれの法に基づいて労働者というのが発生するのではなくて、労働者が存在するからそれをどういうふうに定義づけるかということだろうと思います。 少なくとも、こうした就労形態が多様化する中で、今どの法律で書かれている労働者概念が一番定義として広いのか、御教示いただければそれも教えてもらいたいのですけれども、そうした就労形態の多様化という現状、実態に合わせて、改めて労働者の概念規定というものを再整理するというか、見直すというか、広くそれを定義づけるということでの検討をする必要性というものを私は感じておるわけなんですけれども、その点についてはどのような御見解をお持ちでございますでしょうか。
○青木政府参考人 確かに、委員今御指摘になりましたように、同じ労働者という言葉を用いていても、その定義の仕方、あるいは実際に対象となる範囲が異なっているわけであります。しかし、これは、いろいろな法律の中でそれぞれの法律の目的に対応してそれぞれ規定しているというふうに理解しているところであります。 したがって、今の現行法体系の中で粛々といろいろな法律の適用をしているということだと思っております。
○植田委員 いや、事前の話でもそんな話でしたから大体想像はつくのですけれども、要するに、私の問題意識は理解していただいているだろうとは思っております。ですから、本来、存在する労働者がどういうありようで存在するかが前提にあって労働三法というのは打ち立てられなければならないのであって、労働三法、例えば労働組合法や労働基準法があって、その定義に基づいて労働者というものが実体化するわけではないのですから、それは私の言っていること別に全然間違っていませんでしょう。だから、その説明はわかるんですが、要するに、そうしたかかる法律ができた当時の労働者のありようと現状が多様化しているじゃないですか、それに見合ったやはり定義づけというものが必要だろうなという、その問題意識だけでも一応理解しておいていただきたいというふうに思います。 といいますのは、実際、使用者企業の利益確保のためにそうした就労形態をとらされている労務提供者については、企業の破綻であるとか、他の企業責任で労賃未払い問題が生じたとき、一般債権者と同列の扱いがなされて、いわば括弧つきの労働者と言っておきましょうか、労働者並みの保護は受けることができない、これは明らかに不公平だというふうに私は思います。 その意味で、こうした括弧つきの労働者に準じる請負・委任的就労形態の者についても、少なくともそういう場合においても労働契約の場合と同様の労賃保護がされてしかるべきではないだろうかと私は考えておるんですけれども、御見解はいかがでしょうか。
○青木政府参考人 確かに、就労形態が非常に多様化する中で、さまざまな働き方が出ていることはおっしゃるとおりだと思います。今現在、請負契約というのは典型契約で、労働契約とは法律上全く異なる性格を持つということで、直接に請負代金債権を労働債権、賃金債権と同列に論じることはできないということであろうかと思います。 しかし、例えば、形式上は請負のような形をとっておりましても、その実態において使用従属関係が認められるようなときは、現行法でも当該請負人というのは労働基準法上の労働者というふうに考えられますので、このような場合における労働債権、賃金債権についても労働債権として保護されるべきものと考えております。
○植田委員 場合によっては保護されるだろうということですけれども、実際、現状で労基法上の労働者も使用者の都合で言ってみれば請負的、委任的な、そういう就労形態に切りかえられている状況は現実にあるわけですよね。 その意味で、労賃保護が同様にされてしかるべきではないかというふうに問いかければそういうお答えなんであるとするならば、少なくともこれから、そうした請負的な就労者の労賃等の労働債権の保護の必要性については高まっている、そのことについて何らかの手当てをしなければならないのではないか、検討しなければならないんじゃないかなという問題意識はお持ちでしょうか。
○青木政府参考人 今おっしゃいましたように、労働債権として保護すべきものについてはきちんとやはり保護されるべきということだろうと思います。 それで、今御指摘のような請負名義といいますか、といったものだけでなく、労働債権一般につきましては、現在法制審議会で、民法に規定する一般先取特権により保護されている労働債権の見直しが行われているところであります。こういった点においても、厚生労働省としては、労働債権保護の観点から適切に対応してまいりたいというふうに思っております。 具体的な場といたしましても、労働基準法二十四条に基づいて、賃金の支払いが事業主の義務ということになっておりますので、この二十四条に基づく監督指導を現在も行っているところでありますけれども、引き続き適切に指導を行いたいと思いますし、また、労働者自身がなかなか自分自身の労働債権確保についての基本的な考え方も知らないというようなこともありますので、都道府県労働局や監督署においても相談に当たりますし、また、パンフレット等を作成して情報の提供なども行っているところでございます。引き続きそういったことはやっていきたいというふうに思っております。
○植田委員 わかりましたけれども、私の場合、私は議員をやっていて法律の専門家じゃないというのも恥ずかしいんですが、労働債権とは何ぞやというところから私は今質問しているわけじゃないんですね。要するに、今現実にいる請負・委任的な就労者をどう保護するのやというところから、私はそういう入り口から問題意識を持って御質問させていただいているわけです。 というのは、そうした保護というものが、現実に国際的な潮流にそういう問題意識がなっているじゃないかということで、次に、国際的な動向にかかわって、引き続き厚労省さんにお伺いしたいんです。 四年前、九八年に、ILO、国際労働機関の総会で、契約労働、請負労働の保護に関する審議が行われたそうでございますね。この保護対象に請負・委任的な就労者というのが含まれていたらしいんですけれども、その保護項目の一つには労賃の確保があったと。この点については実際は条約としては流産したようなんですが、それを条約化するという方向について、EUの諸国やアメリカの政府代表は、まあいいんじゃないのかというふうな意向だったと聞いておりますが、日本の政府側の代表はオーストラリアやニュージーランドの政府代表やまた世界各国の経営者の代表などと結果的には反対されたというふうに伺っておるわけです。 私の知る範囲での事実関係に誤認があればそれを正していただいても結構ですので、このときの経緯、日本政府が九八年のこの総会においての契約労働、請負労働の保護に関する審議の中でいかなる立場をおとりになられたのかについて御説明いただけますでしょうか。
○青木政府参考人 一九九八年の第八十六回のILO総会で、今お話がございましたように、雇用契約によらない契約労働者の保護に関する条約及び勧告に向けた審議がなされました。第二次討議ということで、前の年からの一次討議に続いての最終的な討議ということでありました。 その中では、論点となりましたのは対象となる契約労働の定義でございますが、それについて政府側それから使用者側から疑義が出されまして、採決というようなことで賛成、反対ということではありませんでしたけれども、結局、審議最終日までに意見の一致が見られなかったということでございます。その結果、条約、勧告として採決する段階に至らなかったということと承知しております。
○植田委員 そのときの日本政府のお立場についてお願いします。
○青木政府参考人 日本政府としては、契約労働者の新たなジャンルを定めるということについて十分に議論が深まっていないという立場でありました。
○植田委員 賛成、反対というようなことではなくて、議論が深まっていないということですから、かかる問題については九八年段階では時期尚早だろうと判断されたということだろうというふうに思います。ただし、少なくともこうした国際舞台で、請負・委任的就労者をどう保護していくかということが常に問題提起がなされている。いつまでも日本政府としても、そのことについて、まだまだ時期尚早だとか、いろいろな議論が煮詰まっていないとかいうふうにおっしゃるのかもしれませんが、もう既に四年たっていますので、やはりかなり深くこの課題についても研究されただろうと思います。されたでしょうね。されてないなら、やってませんとおっしゃっていただいたらいいわけです。 そのことに加えまして、今後もこの場所でこの問題が議論される可能性はあるだろうというふうに推察いたしますから、現段階ではどうした対応方をするのかという点について、これは厚労省さんのお立場としてお答えのできる範囲で結構でございますので、厚労省さんなりの問題意識なり見解をお述べいただければと思います。
○青木政府参考人 この問題につきましては、来年のILO総会の場で再び審議されるという予定になってございます。八十六回のILO総会の二次討議のときには、新しい契約労働者という概念ということで、現行法で保護されている人たちについてかえって契約労働者の保護に欠ける面があるのではないかという懸念も持っていたところであります。 来年の審議に当たっては、我が国の現行法制などを踏まえ、労働者の保護を図っていくという観点から議論を進めていきたいというふうに思っております。
○植田委員 それ以上おっしゃってくださいと言っても無理なんでしょう。筒いっぱいのことをもうちょっと言ってほしいんですが、せいぜい検討して、迫ってきますので、四年前とゆめゆめ同じ対応方にならないようにお願いしたいというふうに思います。 厚労省さんの方は以上ですので、退席していただいて結構でございます。ありがとうございました。 では、きょうは、本当でしたら大臣にもたくさんの質問を用意してお伺いしたいところなんですけれども、房村民事局長一本できょうは講義を受けようかと思っておりますので、ちょっとゆっくりとしておいていただければと思います。 まず、今回の法律での用語にかかわりましてですが、やはりそれなりに法律を現代的な事情に合わせて、改正というよりは新たな新法という装いで会社更生法案が出てくるわけですけれども、やはりそれだったら使用者というのは前時代的な呼称ではないか。労働者からしてみれば、そういうふうに言われちゃうとやはり気分的に、おいらの社会的地位をおとしめられているんちゃうかというふうな話も、とりわけ中小の方からなんかよく伺うわけですけれども、実際、他の商法や民法でもこうした時代がかった用語はたくさんあるかと思います。でっちとか番頭とかですね。 これから、二十一世紀もう一度日本語を大切にするということで、専務を大番頭と呼んで、中番頭は常務や、平の取締の人が番頭やというふうにでも、別に私はそれはそれでおちゃめでかわいらしいとは思いますが、実際やはり時代錯誤だろうと思いますので、この種の用語を含めた改正の検討については今いかがでございますでしょうか。
○房村政府参考人 御指摘のように、民法、商法いずれも片仮名、文語文、用いられている言葉も相当古い言葉もございます。 法務省としても、これを国民一般にわかりやすくということで、全面的に現代化をするということを考えまして検討を進めているところでございます。 最近、立法作業が非常にたくさんあるものですからなかなか進まない面もあるのですが、できるだけ早く私どもとしては民法、商法については現代化をしたい、こう考えております。
○植田委員 導入はそれぐらいにいたしまして。 実際、この間の事業・産業再編のために行われた一連の立法作業の中で一番新しいのが会社分割法制創設のための商法改正、おととしだったと思いますが、ここでは労働者を「労働者」と表現している、附則の第五条でそういうふうに書いているわけです。 とするなら、今回の法案でも「使用人」ではなくて労働者と明記されるべきだったのではなかろうかというふうに思うわけですが、その点はいかがですか。
○房村政府参考人 使用人という言葉が古いかどうかというのはいろいろなお考えもあろうかと思いますが、今回、この法案で「使用人」という言葉を使っておりますのは、使用人の給料請求権、これをこの更生手続の中で優遇するという観点から用いているわけでございます。 この背景となっておりますのは、商法の二百九十五条におきまして、使用人として先取特権を持っている、こういうことがありますので、それを受けて会社更生手続において給料請求権を保護するという形になっておりますので、そのつながりをあらわすためにはやはり商法で用いられております「使用人」という言葉をこの法律で用いることが適当である、こういう考え方から「使用人」という言葉を用いております。
○植田委員 要は、実体法としての商法に使用人という概念を前提としているので手続法の会社更生法でもそうなっているんですよと。それはわかるんですよ。 わかるんですが、ただ、最初、私なりの問題意識を含めて、厚労省さんに、とりわけやはりこれから改めて労働者の概念について考え直していく必要があるんじゃないのかと思うわけですよということを先ほども申し上げてきたので、お聞きだったと思うのですけれども、実際、直接の雇用契約を持つ典型的な、いわば正規労働者だけに限定しないで労働者という言い方がありますから、あえて労働者性というふうに申し上げるならば、労働者性を持つような、例えば建設分野の職人さん、一人親方の方々、いらっしゃるわけですね。きょうも何か日比谷で集会があるようで、私は参考人質疑で行けないのですけれども。 そうした状況で、今、非正規の労働者も含めて、やはり幅広く労働者をとらえようということはだれも否定なさらないと思うのです。 とするならば、この使用人という言葉をそのまま使っておった場合、ここは感覚的なものやったら感覚的なものやと指摘していただければいいんですが、労働者の概念が殊さらに狭く解釈されて、やはりこれら非正規の労働者の労働債権が保護されない場合が出てくる懸念というものを私抱くわけですけれども、もしそれを払拭していただけるような答弁がいただけるならば、お願いいたします。
○房村政府参考人 もちろん、使用人ということを使った場合に、その典型は、雇用契約で使われている者でございます。 ただ、使用人という言葉を用いております商法の解釈としても、この使用人は、契約の法的な形式、これにとらわれずにその実質で判断すべきである、形式的に請負契約あるいは委任契約という契約形式をとったらそれでこの使用人に当たらなくなるということはない、実質を見まして、その実質に対応して実質的な雇用関係にあると考えられればこの使用人に当たると解釈すべきであるというのが通常の考え方でございます。 御指摘のようなさまざまな形のものは、その実質に応じてこの使用人に含まれるということでございますので、使用人という言葉を使ったから狭くなるという御懸念はないと思います。
○植田委員 要は、それぞれのケースごとに、労務提供の実態に応じてそれは判断されるので、それは非正規とされる方の中でもかかってくるのもあるし、場合によってはかからぬこともあるだろうというふうにおっしゃるわけですね。 だから、私の話、最初へ戻るわけですよ。改めて労働者とは何ぞやということを再定義して、まず網をかぶせるべきじゃないのかな、要するにその上でやっていかなきゃならないというのが最初の問題意識やったわけです。 今のお話、現状においてはそうだろうと思います。ただ、個々の事案で判断する以前に、改めて労働者の定義をもう一度考え直しませんかと、さっきメッセージを発したのはそこなんです。そこは御理解いただけると思うんですが、それはその辺にしておきます。 そこで、労働債権の保護について次にお伺いするわけですけれども、実際、今回の新たな会社更生法の内容では、労働関係にかかわる事項が、現行制度と比較した場合、民事再生法と同水準の六項目と、民事再生法にはない四項目が盛り込まれている。これは、労働組合の更生手続への関与という点においては一部改善されたというふうに私は理解します。その努力は多としたいと思うわけです。もちろんそれについても注文はあるわけですけれども、前進面ではあろうとは私は評価します。 しかし、労働債権については、むしろ権利が縮小された部分があると言わざるを得ない部分もございますので、お伺いしたいわけです。 要は、社内預金のことでございますが、使用人の預かり金の返還請求権、これは従来は全額が共益債権だったのに、今回は退職手当と同様の水準に切り縮められたわけでございますが、この点の理由と考え方、教えてもらえますでしょうか。
○房村政府参考人 御指摘のように、今回、更生会社の使用人の預かり金の返還請求権について、共益債権とする範囲を縮小しております。 この理由でございますが、現在、一般に更生会社の使用人の預かり金として考えられているものは社内預金でございます。要するに、労働者が会社に預金をする。ですから、債権の性質としては通常の貸し金請求権でございます。そういう意味では、労働債権が労働契約等から、労働関係から生じた債権であるという考え方でまいりますと、いわゆる労働債権には含まれないわけでございます。ところが、現在の会社更生法は、これを共益債権としているわけです。 これは、現行の会社更生法が制定された昭和二十七年当時、炭鉱のような市街地から非常に離れたところで働いている労働者が給料を受け取ります、受け取って、次に町に出て金融機関に預けるまでの間会社にその保管を委託した、こういうことが現実にあったわけでございます。これは、実際給料をそのまま会社に保管を委託しているようなものですから、これは保護しないといかぬだろうということで、全額共益債権としたという経緯と承知しております。 そういう点が、その後非常に変化いたしまして、いわゆる受け取った給料を一時的に預けておくというようなものから、ほとんど貯蓄性の社内預金というものに変わってきた。貯蓄性の社内預金であると、法的性質としては、先ほど申し上げましたとおり、通常の貸し金請求権にすぎません。実体法上、労働債権であれば民法、商法等で先取特権が認められて、通常の債権に優先するという地位が与えられているわけでございますが、貸し金請求権ですと、そういうことはないわけでございます。 そういう点からしますと、労働債権について、会社更生法ではそれを優遇して共益債権としておりますが、その保護の度合いの高い退職金についても退職前六カ月分もしくは三分の一、こういうような一定範囲に制約しているわけでございます。そういう性質のない預かり金を無制限に共益債権とするというのは、やはり理論的に合理性を欠くのではないか、こういうことでございます。 そういうことから、今回、この預かり金については、退職金と同じ範囲に共益債権とする範囲を縮小するという改正をお願いしているわけでございます。
○植田委員 ここは恐らく、議論の前段、法案策定に至る議論の中で、とりわけ労働組合の代表の方々も強く要望をされたところだろうとは承知しております。だって、今より後退するわけですから。しかし、今の、とりわけ後段の、法的な合理性を欠くという点で渋々のまざるを得なかったということも、理解はしています。 しかし、もう一点、社内預金のいわば性格がかつての状況とは変わってきているというふうにおっしゃるわけですが、では、社内預金を保護する必要性が低下したというふうにお考えなんでしょうか。ここは法律的な話はわかっています、わかっていて聞いているんですが、社内預金を保護する必要性はもはやなくなったか、必要だと考えておられるか、そこはもう一度確認します。
○房村政府参考人 社内預金の全体的な額であるとか占める比重であるとかというものは、世の中の変化に伴っていろいろ変わってきてはおりますが、やはり労働者がその会社を信頼して預けている社内預金について一定の保護を与える必要はあるという考えに立っておりますから、今回も共益債権の扱いは、縮小はしておりますが、維持しているわけでございます。
○植田委員 実際、今回会社更生法が適用される企業というのは一部上場等の大企業が多いわけで、最近、社内預金というそんな制度も意味が薄れてきているのは事実ですけれども、やはり大企業ではそういうものは結構あるわけですよね。そういうことも考えた場合、法律上何らかの工夫を加えて従前の取り扱い方を継続することは、全く不可能なんですか。何らかの形で工夫を加える。だって、これまで、会社更生法でずっと続いてきたわけでしょう。そういう工夫は一切できなかったんですか。
○房村政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、債権の性質だけで申し上げると一般更生債権になってしまう。それを、今申し上げたような従来の経緯も踏まえ、労働者の立場も考えて、その保護も図りたい、こういう工夫が今回の改正内容でございます。
○植田委員 工夫が加えられたので後退で済んだと。そこで大きくうなずかないでくださいよ。ここは、理屈の上ではわかるんだけれども、体がついてこぬ部分だということでございます。これ以上、そこはお伺いいたしませんが。 さて、次に、先ほども議論がありましたところですが、四十六条の二項で、更生計画認可以前に会社資産、事業の営業譲渡を許可することができるということになっているわけです。そうなれば当然ながら、私だって思いますよ、会社の値打ちのある事業なり資産が早期に営業譲渡をされて、残った会社は早晩破産、清算という可能性はやはり高くなってくるだろうというのが、これは、素人考えでもそういうふうに思いますね。 そうなれば、現在、共益債権として保護される範囲以外の退職金というのが、破産または清算によって支払われなくなるおそれも生じてくるだろうと思うわけですが、その点について、早晩起こってくるであろうそうした問題を考えたときに、やはり退職金については、まず原則としてその全額を共益債権とする。そういう原則を明確にして、その上で支払い方については労使協議を行うんだということにやはりしないといかぬのと違うだろうかと思うんですが、その点、ちょっと御見解をお願いいたします。
○房村政府参考人 退職金の扱いについて申し上げますと、更生手続が開始された後会社の都合で退職をする、この場合には、退職金は全額共益債権になります。問題は、会社更生手続の開始前の退職の場合の退職金でございます。これは、もちろん、実体法上は先取特権等の優先権はございます。ただ、その保護を厚くするという観点から、先ほど申し上げたような六カ月分または三分の一という範囲を共益債権にしているわけです。 そもそも、更生手続における共益債権というのは、名前からも明らかなように、全関係者にとって利益になる債権、手続費用とか、あるいは更生手続開始後の会社維持にかかる費用とか、そういう関係者全員にとって利益になるものを優先しようということから、担保権つきの債権にも優先して弁済ができる、こういう扱いをしているわけでございます。開始後の給料債権とかあるいは退職金債権というのは、まさにそういう意味で会社の事業維持のために必要ということですから、これは全額共益債権になるわけです。 ただ、既に発生してしまっている債権については、労働債権としての保護はもちろん重要ですが、手続との関係でいいますと、全関係者の利益になる債権とは言いがたい。したがって、性質上、当然に共益債権になるものではありません。それを、労働者保護の観点、あるいは会社更生を成功させるためには労働者が安心して働けるようにというような政策的観点も加味いたしまして、共益債権にしているわけでございます。これを全額共益債権にするというのは、そういう意味の実体上の権利関係とのバランスを考えますと、非常に困難だと思います。 通常の実体上の権利関係でいいますと、労働債権は優遇はされておりますが、例えば担保権には負けるわけです。ところが、共益債権になりますと担保権にも勝ってしまう。あるいは、通常の債権で最も優先する国税債権にも勝ってしまうわけです。そういうことを考えると、全額を共益債権というのはやはり考え方として無理がある、こういうことだろうと思っております。
○植田委員 手続開始後のものは今御説明されたとおりだろうということなんですが、認可以前の段階で、さまざまグレーゾーンになっているわけですよね。例えば、実際、退職金は、日本にとってみれば生涯給料の一部というふうにも、いわば賃金の後払いという性格を持っているわけですから、また、私は退職金はもうもらっちゃいましたので今度は出ませんが、実際はそれが生活設計にとっても重要な、その意味での労働者にとって退職金への依存度は高いわけですね。 だから、今のお話はお話でわかるんだけれども、そうした実態を勘案した工夫というものが加えられないのかと。困難だとおっしゃったんですから、困難だけれども、できるのかできないのか。できないのなら、できないというふうに言っていただいて結構です。その辺は事前に説明も受けているので、私なりににわか勉強で承知しているつもりなんですが、要するに、実態に即して、法を曲げよとは言いませんが、工夫を加える余地が全くないのかどうか、それぐらいはお答えいただけると思います。
○房村政府参考人 労働債権をどう扱うかということは、更生手続にとっても非常に大きな意味がありますので、今回も当然労働債権の扱いも含めて検討いたしたわけでございますが、この点については、変更することは相当でないという結論で、従来どおりの扱いを維持しておりますので、なかなか工夫というのは難しいと考えております。
○植田委員 要するに、政策判断としてそういう判断をしましたからできませんと。だから、私の言っているような政策判断もあり得るわけですよね。あり得るでしょうね。だから、ここは、残念ながら満額回答はいただけないところはわかっていますけれども、要するに政策判断がそうでしたという以上、以下ではないということでございますね。 次に、先ほど厚労省さんにもお伺いしましたけれども、労働債権保護の国際的な潮流を見ても、百七十三号条約、百八十号勧告を既に採択をしているわけでございます。そして、この百七十三号条約では、この労働債権の保護にかかわって、国内法令は、労働者債権に、他の大部分の優先的債権、特に国家及び社会保障制度より高い順位の優先権を与えるものとすると書いていますね、八条一項。こういう定めがあります。 また、日本での三年前の民事再生法のときの附帯決議を見てみますと、「倒産手続における賃金債権・退職金債権・社内預金債権を含めた労働債権、担保付債権、租税債権、公課債権等の各種の債権の優先順位について、更に諸外国の法令等を勘案するなど検討をし、所要の見直しを行うこと。」と九九年の十二月の民事再生法案に対する附帯決議に書いていますし、また、破産法等いわゆる倒産法の改正に当たっては、労働債権について、特に再生手続から破産手続に移行した場合にその優先権が維持されるようにするなど、特別の配慮をすることというふうな文言も衆議院の附帯決議にありますし、参議院でもほぼ同様の決議が民事再生法のときになされているわけです。 では、諸外国の法令等を当然勘案してんのやということでいろいろと御研究をなさっておられると思いますが、まず、お調べになったと思うので、欧米等の労働債権の保護の優先順位というのはどうなっているんでしょうか。
○房村政府参考人 まず、アメリカでございますが、これは四千ドルの範囲内で、申し立て受理日または営業廃止日のいずれか遅い方の日の前九十日分、これを管財費用等に次ぐ第三順位の債権、こうしております。管財費用等は日本でいえば共益債権ですので、それに次ぐ順位ということになろうかと思います。 それから、ドイツでございますが、ドイツの旧破産法では、手続開始前六カ月の俸給債権は財団債権とするということで、一年分は第一順位の破産債権ということになります。それから、これが改正されまして、九九年の一月から施行されております新倒産法ではこの優先権の制度を廃止いたしまして、労働債権の保護は公的機関による立てかえ払い制度による、こうしております。 それから次に、フランスでございますが、労働債権から生ずる債権は、最後の六十日間分の給料債権に相当する額、かつ定められた上限額を超えない範囲で先取特権が認められまして、この部分については、管理人は手続開始の判決の宣告から十日以内に裁判官の命令に基づいて支払わなければならない、こうしております。
○植田委員 いろいろとありがとうございます。 さて、そうした事例も研究もされ、また、この間、今申し上げました九九年の民事再生法でありますとか九六年の民事執行法の改正等々での論議というものが、では、どんな形でこの法案には反映されているのでございますでしょうか。
○房村政府参考人 先ほども申し上げましたように、労働債権の保護についての会社更生法の扱いについては、今回、原則としてそのまま維持するということになっておりますが、破産法の検討をあわせて現在進めております。 そして、労働債権保護というのは、実体上の各債権の優先度とも密接に関連いたしますので、破産法の検討の中で、ただいま申し上げたような諸外国の取り扱いも含めて、労働債権の扱いをどうするかということを現在検討しているところでございます。
○植田委員 それは来年以降ですね。来年というか来春の通常国会以降ということで、それはそのときにまたということですが、いずれにしても、優先する労働債権の額を拡大するという問題については、これは九六年、民事執行法の改正のときに、法務省の山崎潮さんという方、今も別途の審議で、きょうはいらっしゃいませんが、その方が、「その優劣関係、これを今定めているわけでございます」、これは九六年当時のこの法案の改正ですが、「この中で、その額をもっと拡大すべきである、あるいは他の債権との序列をもう一度考え直すべきであるというような御意見が従前からございまして、我々もその点は十分承知をしておりますし、この問題が非常に重要な問題であるということは認識をしております。」と。 極めて重要な問題であるということでございますから、これが六年前、平成八年六月十一日の衆議院法務委員会でございますけれども、それからもう既に六年たっております。六年たって、まだ非常に重要な問題と認識しているだけでありませんよね。どうされていますか。
○房村政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、現在、破産法についての検討を進めておりまして、その中で労働債権の扱いも検討しているところでございますが、この破産法等の見直しに関する中間試案をことしの十月に公表いたしました。 この中では、破産宣告前の未払い給料債権について、破産宣告前の一定期間内に生じたものを財団債権とする、また退職手当の請求権についても一定の範囲について財団債権とする、こういうことを具体的な検討事項として提案をいたしまして、広く一般の意見を求めているところでございます。
○植田委員 そこで、私の方からも一般の意見としてお伺いをするわけでございますが、これはなぜできないか。もしできないのであれば、そのできない理由を言っていただければいいし、検討の対象であるかないかという言い方でも結構なんですが、少なくとも、退職金の全額、共済制度の積立金、協定済み一時金、未請求の時間外割り増し賃金等々の労働債権についてやはり全額共益債権とすべきだという、パブコメを出せと言われれば、一市民として、一労働者として、私はそういうパブリックコメントを出したいと思いますけれども、どうでしょうか。
○房村政府参考人 破産法の検討過程で、さまざまな意見を踏まえて、一応試案としては、先ほども申し上げたような一定範囲に限ったものを財団債権とするという案をお出ししているわけでございますが、これはあくまで中間試案でありまして、最終的にどうするかということは、まさにただいま御指摘いただいたような御意見も踏まえて、さらに法制審議会において審議をいたしまして、最終的な結論を得たいと考えております。
○植田委員 踏まえていただければありがたいのでございますけれども、大いに期待しておりますので、よろしくお願いいたします。 次に、時間も迫ってまいりましたし、また先ほど木島先生の方でかなり詳細に学説等も紹介されながら御質問があったいわゆる営業譲渡と労働契約の承継についてというところで、私も、専門家というよりはちょっとできの悪いロースクールの生徒だと思って御答弁いただければありがたいわけでございます。 冗談抜きに、房村局長の話はいつもかみ砕いて明確でよくわかるという、本当にもう役人稼業をやめてロースクールの先生になってもいいんじゃないかというふうにも思うぐらいで、その点については非常にいつも感謝しております。 そういう前振りはさておいて、労働組合の連合が、営業譲渡を行う場合に原則として労働者抜きの営業譲渡はできへんようにすべき、そして、譲渡先に配属される労働者については本人の同意を要するものとすべきという意見書を提出もされておるし、また、法制審の場でもそういう趣旨の御発言をなされたということを伺っておりますけれども、結果的にはその意見は採用されなかったということでございますが、その理由は那辺にあるんでしょうか。
○房村政府参考人 まず第一に、営業譲渡のときに、その営業に従事している労働者の契約関係をどうするかということは、営業譲渡一般の問題であるということが第一でございます。したがいまして、会社更生法の中で行われる営業譲渡についてのみ規定を設けるというのは、これは多分相当でないだろう。 次に、営業譲渡一般について、それではどのようなことを考えるかというときに、譲渡の対象となる営業に従事していた労働者の保護ということは当然問題になります。 ただ、我が国の法体系におきましては、営業譲渡について規律しております商法、このような私法とそれから労働法というのは一般的に役割が違う。商法を考えますと、これは会社組織のあり方等について基本的な事項を定めるものでございます。労働者の保護については、組織の再編に伴う場合も含めまして、社会政策的理念に基づく労働関係法規によって手当てがされる、これが現在の我が国の法体系でございます。 このような観点から、労働関係法規を所管する厚生労働省において、企業組織の再編に伴う労働関係の諸問題は検討をされたということでございます。
○植田委員 一言でかいつまんで言えば、要するに、今申し上げたような話というのは更生手続固有のものじゃないよ、だからないんですよ、だからちょっとあかんかったんですよという話なんです。 ただ、今回の法案のモデルと言えるかどうかわかりませんが、民事再生手続の実態を見ていると、民事再生法の立法過程では、民事再生手続に基づくような人員整理はないというふうにされていたけれども、実態はどうかというと、決してそうではない実態が現実にあるわけですよね。 だから、今回も、ではこの法案で、これがまた恐らく聞いてもそれは杞憂でございますとおっしゃるのかもしれませんけれども、更生計画に基づく、労使協議によらない整理解雇というものが乱用されるおそれはありやなしや、どうでしょうか。
○房村政府参考人 更生計画は、直接的に労働契約を変更するものではございません。したがいまして、更生計画に定めたから解雇が可能になる、こういう関係には立ちません。 更生会社につきましては、管財人が使用者として営業を見ておるわけでございますが、そういう意味で、労使関係は、従来どおりの労使関係が使用者を管財人とする形で維持されておりますので、更生会社において整理解雇を行おうとすれば、一般の会社における整理解雇と同様の法理が適用されます。したがいまして、更生会社であるから整理解雇が法律上容易になる、こういうことはございません。
○植田委員 わかりますよ。わかりますけれども、そもそもが営業譲渡一般の問題ということから始まっているわけですけれども、ここは詳細はもう既に木島先生がやっておられますので、私は一点だけお伺いして終わりたいと思うんです。 少なくとも、今のお話、私が伺っておっても、では、会社更生法の中に労働契約継承権の規定を設けてはならない、それはあかんのだという理由ではないですよね。 そこは、私はちょっと教えてほしいです。少なくとも、労働者の雇用を不安定にする危険はこの営業譲渡を容易にするということでやはり発生し得ることは、これは想定されるわけですよ。それならば、当該法規の中にそうしたものを、例えば原則として譲渡に当たって雇用を継続すべきということを法案に明確に書き込むことが、この会社更生法案において立法技術上何か不都合が生じているのか。もしそうだったら、その辺、教えていただけますか。
○房村政府参考人 これは、法律をどう理解するかということだろうと思いますが、基本的に我が国では、私人間の権利義務関係を規律する私法の分野と、それから社会政策的な目的に基づいて規制を加える例えば労働法というような分野というのは、おのずからそれぞれ違う原理に基づいて法律ができ上がっている。こういうことから、それぞれの法律の性質に応じた規定をその法律の中に置くというのが一般的な理解でございます。 そういう考え方からしますと、先ほど来申し上げておりますように、会社更生法の中に、会社更生法の中で営業譲渡をやったときの労働者保護の規定を置くというのは、従来の法律の考え方からすると相当ではないだろうというぐあいには考えております。
○植田委員 だから、なじまぬというわけですね。でも、もう厚労省は帰しましたけれども、実際この問題をガイドラインで済まそうとしているわけですやんか。私、それ自体けしからぬことやと思っています。 ただ、政策判断として、少なくとも私は、最初から申し上げております、要するに、幅広い意味での労働者を今回の法案で、やはり迅速化、再建手続の強化、合理化、そうしたことはいいんだ、しかし、それと合わせ鏡のように、労働者の保護を徹底的にやらなきゃだめでしょう、セーフティーネットを張らなきゃだめでしょうという発想から政策判断をするとするならば、ここの当該法規に今言った文言を入れるのは、別に判断としてそれは間違った判断とは言えませんよね。そういう判断もあるんでしょう。
○房村政府参考人 御指摘の政策判断の当否については、私の立場から、意見を申し述べる立場ではございませんが、法律というのは、おっしゃるように、政策判断に基づいてつくられるわけでございます。労働政策に関する政策判断に基づいて労働関係法規ができる、私人間の権利義務関係をどう調整するかという政策判断に基づいて私法ができる。 国のあり方として、そういう私人間の権利義務関係の調整を所管するのは法務省であり、労働者の保護というような労働関係の政策判断をするのは厚生労働省、こういう国の役割分担がありますので、法律をつくるときに、それぞれが自分の政策判断の一貫性を保てるように、その政策判断に必要な法律はその分野でつくる、こういう形になっているのが、先ほど来法体系が分かれていると、そういうことでございます。
○植田委員 いや、だから、それはよくわかります。要するに、厚労省さんがちゃんとやればいいだけの話やから、それは。それをガイドラインで済ませて、それで澄ましてはる、澄ましてそれで黙ってはる法務省さんに私は非常に歯がゆい思いをしているということでございまして、前向きやと言うているのに、何か反対してくれと房村さんから陳情を受けているような、要請を受けているような、そういう感じもいたしました。 時間がちょっとありますけれども、ちょうど切りがいいので、風聞によれば、もう一度質疑にたっぷり時間をいただけるような話も聞いておりますので、きょうはちょっと早目に終わります。
○佐藤(剛)委員長代理 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時三十九分休憩 ————◇————— 午後一時三十四分開議
○佐藤(剛)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 内閣提出、会社更生法案及び会社更生法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。 本日は、両案審査のため、参考人として、駿河台大学学長竹下守夫君、東京ガス株式会社総務部法務室長綿引達郎君、JAM副書記長小山正樹君、以上三名の方々に御出席いただいております。 この際、参考人各位に委員会を代表して一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用の中、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、竹下参考人、綿引参考人、小山参考人の順に、それぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。 なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願いいたします。 それでは、まず竹下参考人にお願いいたします。
○竹下参考人 御紹介いただきました竹下でございます。 法制審議会会長及び同倒産法部会長をお引き受けしております関係で、そのような立場から、現在当委員会で御審議中の会社更生法案につき、意見を述べさせていただきたいと思います。 意見を申し上げる順序といたしましては、まず、倒産法制の全面的見直し作業と今回の会社更生法案との関係並びに新会社更生法制定の意義についてまず申し上げ、それから、新法における改正の目標とその目標を達成するための手段として定められている幾つかの事項について、重要な点に焦点を絞り御意見を申し上げたいと思います。 まず、倒産法制の全面的見直し作業は、御案内のとおり、平成八年十月の法務大臣の諮問に基づきまして開始されたものでございまして、法制審議会におきましては倒産法部会を設置し、鋭意改革に取り組んでまいりました。平成十一年には、御案内のとおり民事再生法、十二年には、個人債務者更生手続のための民事再生法の一部改正法、さらに同年、国際倒産に対応するための外国倒産処理手続の承認援助に関する法律をそれぞれ要綱の形で決定をし、法案として国会に提出して、それぞれ法律として制定していただいたところでございます。 今回の会社更生法案は、いわばそういった全面的な倒産法制の見直しの第四弾として出てきたものでございまして、この後、現在も引き続き、最終的な段階として、破産法制の全面的な見直し及び倒産実体法の改正のための審議をいたしているところでございます。 今、なぜそのように倒産法制の全面的な見直しが必要になったかと申しますと、かつて企業の倒産は、一国の経済秩序から見ますならば、偶発的に生ずる本来あるべからざる異物だというふうに考えられてまいりました。倒産は誤った経営の結果であり、倒産した企業は速やかに解体清算してノーマルな取引秩序を回復させるというのが倒産法制の役割と観念されておりました。 しかし、現在では、倒産は、自由競争を基本といたします市場経済のもとにおいて必然的に生ずる競争市場での敗者の運命というふうに申し上げることができると思います。ここでは、倒産法制は、敗者がそれに従って市場から退場する透明なかつ公正なルールであるべきであるというふうに考えられております。そして、それは、一たん敗者となっても、復活の可能性を有する者には再挑戦の機会を与え、また、終局的退場を余儀なくされる場合でも、社会的に価値のある事業を可及的に生かす方途を用意すべきものと考えられるに至っております。このような社会経済的な機能の変化に応ずるように、倒産法全体の見直しが進められているところでございます。 特に会社更生法は、いわゆる再建型、つまり企業の立て直しのための倒産手続法といたしまして、一たん競争市場における敗者となった会社にその事業の維持更生の機会を与える手続を定めるものであります。それは、企業の事業の解体、清算を避けるという意味で、事業それ自体にとってのセーフティーネットであると同時に、事業が維持更生されることによって職場を確保される労働者にとってのセーフティーネットでもあるわけでございます。その意味で、新しい会社更生法案は、現在の日本経済の状況にあっては緊急に法律として制定されるべき重要な立法課題だというふうに申し上げることができると思います。 次に、その会社更生法案の改正の主要な目標と、その目標を達成するための主な制度について概略を申し上げたいと思います。 ただ、個々の制度は、いろいろな目的に奉仕をいたしますし、多様な機能を有するものでございますので、必ずしも一つの目標にだけ奉仕するというわけではございませんが、ここでは便宜、私なりの考え方に従って整理をさせていただきたいと思います。 改正の目標としては、ここでは主要なものを六点申し上げたいと思います。 まず第一点は、手続の迅速化ということでございまして、現在、倒産手続も迅速性を要求されるということは今さら申す必要もございません。 そのために、会社更生法案では、更生計画案、つまり企業の再建案を提出すべき時期を開始決定から一年以内というふうに定めております。現在は開始決定から認可決定まで平均して二十六・四カ月かかっている、つまり二年を超えているわけでございますけれども、これを可及的速やかにするために一年というふうに提出時期を制限しております。また、更生計画における弁済期間も、これまでは二十年でございましたが、十五年に短縮をするということをいたしております。 また、手続迅速化のために、更生計画案の決議につきましても、これまでのように必ず債権者等が集会をして投票するという方法ばかりではなくて、書面決議、あるいは集会で本来投票すべき場合であっても一部の債権者等は書面投票をするということを認めることにいたしております。 さらに、これまでの手続で多くの時間を要しておりました債権者等の権利の届け出、調査、確定手続を簡易化いたしております。届け出られた債権につきましては、原則的に、管財人がそれぞれの債権の届け出どおり認めるかどうかという認否書というものを出しまして、一定の期間これを縦覧に付し、債権者等はそれを見て、他の債権者の届け出に対して異議を述べ、あるいは管財人の認否の結果について異議を述べるということにして調査をすることにいたしております。また、異議が出た場合の権利の存否の確定の手段も、これまでは常に訴訟によっておりましたけれども、今回は査定という簡略な方法で裁判所が判断をし、それに異論のある場合にのみ訴訟によって確定をするということにいたしております。 改正の目標の第二は、企業再建手続としての実効化でございます。 これまでの会社更生法もそれなりに機能を発揮してまいりましたけれども、会社更生法の持つ意味が、先ほど申しましたように大きく変わってまいりましたので、より実効的な手続にする必要があるということになるわけでございます。 そのための手段といたしまして、一つは管轄規定の柔軟化。なるべく実効的にできるように、例えば親子会社であれば、その両方の会社について一つの裁判所で更生手続を始めることができる。あるいは、商法特例法上の連結会社相互についても同様の手当てをする。さらに、営業所が全国に展開され、債権者等も全国に散在しているというような事件につきましては、東京地裁または大阪地裁でも更生手続ができるようにするということにいたしております。 それからまた、計画前の営業譲渡というものを民事再生法と同様に認めることにしております。会社の全営業または重要な一部を譲渡するのは、更生計画によりまして債権者等の多数の同意を得て行うのが原則でございますけれども、更生会社の事業の更生のため必要な場合には裁判所の許可によって営業譲渡を可能とするということにいたしております。しかし、その場合に、更生債権者、更生担保権者、労働組合等の意見を必ず聴取するということにいたしております。 それから、三番目の改正目標は、手続利用の容易化ということでありまして、容易に会社あるいは債権者等が手続を利用するようにするための方策を講じております。手続の利用を容易にするということは、それだけ、企業が経営的に破綻しかかった場合に早期に手続を申し立てることを促すという意味を持っております。 そのための手段といたしましては、手続開始条件の緩和ということがまず一つ挙げられます。これまでは、御承知のように更生の見込みがあるということが要件とされてまいりましたけれども、これはかなり困難な経営判断を必要とするために手続がなかなか開始できないという問題点を含んでおりました。これを、更生計画案の作成もしくは可決の見込み、または更生計画の認可の見込みがないことが明らかな場合には開始決定をしないという形に改めて、早期に手続を開始できるようにしているわけでございます。 さらにまた、手続の申し立てがおくれる一つの重要な理由は、従来の経営者が会社更生手続の開始と同時にその地位を失うという点にあったということも指摘されております。そこで、会社の経営の破綻に責任のない取締役等につきましては管財人に選任をするということにいたしまして、従来どおり経営に関与することができるような道を開いております。 なお、そのほか、更生計画案の可決の要件を緩和することにいたしております。 改正の目標の第四は、手続の透明化でございます。 現在の我が国におきましては、あらゆる面で物事を処理する場合の透明性の要求ということが言われております。これまでともすると、裁判所と管財人との間で更生手続を進める、一般の債権者、株主等には必ずしも事情が明らかでないというような批判がございました。そこで、事件関係文書を原則的に利害関係人は閲覧、謄写できるということにいたしました。また、財産状況報告集会というものを原則的に開くことにいたしまして、関係人等に会社の財産状況等を管財人から報告するということにいたしております。 改正の目標の第五は、多数関係人への対応でございます。 昨今では、社債を発行している会社が倒産に陥るというような例も決してまれではございません。そのような場合には、社債権者という多数の債権者が登場するわけでございまして、この者にどのようにして権利を行使させたらいいかということがこれまで未解決になっていたわけでございますけれども、それについてもはっきりした道筋をつけるということにいたしましたし、また、債権者が多数いるという場合には、代理委員という制度がもともと予定されていたのでございますけれども、これが必ずしも十分に利用されておりませんでしたので、これを合理化して、裁判所から代理委員の選任を勧告する、あるいはさらに進んでは、職権で選任をするというような道を開きました。 最後に、六番目でございますけれども、関係人の地位の見直しということをいたしております。 関係人が手続上有するいろいろな発言権その他の関与のあり方というものを改めたわけでありまして、その代表的な例といたしましては、労働組合など労働者を代表する者の手続関与を強化したということを挙げることができると思います。 その中でも最も大きく変わりましたのは、開始申し立てについての意見聴取というものを原則化した。また、先ほど申しました計画によらない営業譲渡については、組合等の意見を必要的に聴取するというようなことが定められているわけでございます。 以上のような内容を持ちます今回の会社更生法案は、従来の会社更生法の面目を一新し、現在の日本社会にふさわしい、迅速かつ公正でより実効的な再建型倒産手続を定めるものであります。また、現下の我が国経済にとって重要なセーフティーネットとしての意義を有するものであることは先ほど申し上げたとおりでございます。そこで、可及的速やかに御審議を賜り、法律として御制定くださるように望みたいと思います。 以上をもちまして私の意見陳述を終えることにします。どうもありがとうございました。(拍手)
○佐藤(剛)委員長代理 ありがとうございました。 次に、綿引参考人にお願いいたします。
○綿引参考人 日本経団連で経済法規委員会の企画部会の委員を務めております東京ガスの法務室長の綿引でございます。本日は、会社更生法案及び同法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案につきまして、意見表明の機会を与えていただきましてまことにありがとうございます。 日本経団連では、グローバルな企業間競争の激化、産業構造の転換、デフレ経済の長期化など、我が国経済環境の大きな変化に対応しまして、我が国企業を取り巻く法制を機動的に改正することを求めてまいりました。こうした事情を踏まえ、法制審議会倒産法部会がハードなスケジュールの中で熱心に審議を進めまして、この部会委員の一人として、まことにありがたく、また満足に思っている次第でございます。 本日は、本法案に賛成する立場から、経済界にとっての本法案の意義について御説明いたします。 御承知のとおり、今回の会社更生法の改正は平成八年より着手されまして、平成十一年の民事再生法の制定、平成十二年の国際倒産法制の整備、個人再生手続の整備に続く倒産法全体の抜本改正の中の一つに位置づけられております。 お手元の資料の二ページにございますように、経済界にとってこの倒産法制の抜本改正は三つの意義がございます。 第一に、不良債権処理の加速化でございます。デフレ経済の長期化は我が国経済に大きな影を落としており、わけてもデフレの大きな要因の一つである資産価値の下落は深刻でございます。平成二年時点で二千四百五十五兆円あった土地の総価額は、平成十二年には千五百三十五兆円と実に九百二十兆円も下落しております。経営の悪化した企業は、価値の下落した資産を抱えて苦しい状況にございます。また、資金を供給する側にとっても、経済再生の足かせとなる不良債権処理を加速化することは避けられない選択となります。 こうした中で、企業の倒産は件数も規模も戦後有数の水準にまで増大しており、東京商工リサーチの調べによりますと、先月の企業倒産の件数は千七百三十件、十月としては戦後五番目の記録でありまして、負債二兆四十八億七百万円というのは、戦後二番目の記録となっております。こうした事態に対応するため、一刻も早く不良債権の処理を完了し、デフレの根を断つ法制の整備は焦眉の急でございます。 第二が、事業の早期再生でございます。特に、大企業におきましては、競争力のある事業を残し、足かせとなっている事業を整理する、事業の優劣の切り分けが迅速に行われることが連鎖倒産を防ぎ、雇用を守りながら企業を再生していくというかぎでございます。一たん倒産すれば再建が容易でないことから、法的整理をちゅうちょしまして、ぎりぎりまで傷口を広げ倒産するようでは社会的に大きな影響がございます。傷の浅いうちに再生を図ることのできるような法制を整備することが必要でございます。 第三が、産業再生の促進でございます。生き残った競争力ある事業に資金を集中することができれば、我が国の産業の再生が促進されるわけでございます。 さて、それではこうした三つの意義を持つ倒産法制の整備でございますが、資料の三ページにございますように、平成十二年四月に民事再生法が施行されて以来、同法の活用が爆発的にふえております。もともと民事再生法は、使い勝手が悪いと批判のあった和議法のかわりに、中小企業の再生を念頭に置いた法制として整備されましたが、その法制の柔軟さが評価されまして、立法当初は想定されなかったような大企業も民事再生法の活用を模索する事態となっております。 しかしながら、資料の四ページにございますように、大企業の場合は債権者の数が多く、また債権債務が多額でふくそうしておりまして、債務者の自主性を尊重し、裁判所の関与の少ない民事再生法ではその活用に限界がございます。そこで、民事再生法の長所を取り入れながら、大企業の多様な関係者のさまざまな利害を裁判所と管財人の監督のもとで調整する新しい会社更生法が必要になるわけでございます。 では、具体的に現行の会社更生法のどこに問題があるかというのをごらんいただきますと、資料の五ページにございますが、第一に手続に時間がかかることでございます。 経済産業省が一昨年、帝国データバンクに調査委託したデータによりますと、会社更生法は申し立てから開始決定までに平均三・九カ月、さらに手続開始から更生計画を認可決定するまでに平均二十六・四カ月、二年二カ月余りの期間を要しております。このスピードの時代にこれだけの期間が経過しては債務者のとらの子の資産も陳腐化してしまいます。同じ再建型の手続である民事再生法は約六カ月で認可決定されるわけですから、大企業といえども、民事再生法で何とかならないかと考えるのは無理からぬことと存じます。 第二の課題は、手続に手間がかかることでございます。現在の会社更生法では債権者の意見を集約する手段が乏しく、例えば、関係人集会で小口の社債権者が更生計画に意見を反映させるのは非常に困難なものがございます。民事再生法のような債権者委員会制度、書面投票制度、さらには社債権者の手続参加規定の整備等が必要でございます。 第三の課題は、再建上の手段に制約があるということでございます。 手続開始前の更生債権者による強制執行等は個別に中止する必要がある。それから、企業再建のために送り込まれた取締役も、着任して会社更生法を申し立てますと、退陣を余儀なくされております。会社更生法には、これら三つの課題を解決することが求められているわけでございます。 今回の改正会社更生法案では、まず第一の課題、手続に時間がかかるということでございますが、資料の六ページにございますように、民事再生法の規定を参考に、手続の迅速化を図るための措置がさまざまに講じられております。 従来の会社更生法は、更生の見込みを手続開始の要件としていたために、裁判所が、申し立てがなされた段階で経営的な判断をしなければならず、慎重になり、時間がかかっておりました。また、更生計画案の可決要件も、一般債権額の三分の二以上、担保つき債権額の五分の四以上と相当高い水準にありまして、狭き門となっております。 今回の法案は、入り口は広げ、迅速に手続を進めることにより、資産の劣化、陳腐化を防ぎ、一刻も早く傷口をふさいでスピーディーに事業の再生を行うことを可能とするようなものとなっているものと評価できると存じます。 第二に、手続に手間がかかるということでございます。 資料七ページにございますように、今回の法案では、さまざまな手続の合理化が図られております。全国どこにある株式会社でも、会社更生事件に対する専門的な処理体制が整った東京地裁や大阪地裁に申し立てることができますし、裁判所に提出された事件関係文書等の開示の制度も整備され、債権者がこれら文書にアクセスできるようにしております。書面投票の制度も取り入れ、債権者、債務者双方の利便性を向上しております。 第三に、再建上の手続に制約があることであります。 資料の八ページにございますように、今回の法案では、再建手法の充実強化が図られております。強制執行等を包括的に禁止する包括禁止命令や、抵当権など担保権を広く対象とする担保権消滅制度の導入など、強力な権限により多様な関係者の調整を行い、貴重な資産を保全することのできる制度が導入されております。また、経営責任のない取締役等を管財人として選任することや、裁判所の許可のもとで計画認可前の営業譲渡を認めるなど、再建に向けて、迅速な判断による迅速な処分を可能とする措置を講じております。 このように、この法案は現在の会社更生法の抱える課題を克服するさまざまな工夫が講じられており、高く評価できると存じます。 しかし、倒産法制の改正はこれで終わりではございません。資料九ページにお示ししましたように、現在、法制審議会では、来年春の通常国会での法案提出を目指しまして、倒産法制と密接に関係する担保・執行法制の見直しに関する改正に向けた議論が進められております。また、来年秋の国会への上程を目指して、破産法、倒産実体法の改正に向けた論議が進められまして、現在、パブリックコメントを行っております。さらには、商法の会社整理、特別清算規定の見直しに向けた議論も進んでおります。こうした意味でも、ぜひ本法案を今国会で着実に成立させ、引き続いての改正に早期に取り組んでいただきたいと存じます。 さらに、倒産法制全体を有機的に機能させるためには、一度申し立てた手続を途中で他の手続に円滑に切りかえることができるよう、倒産法制間の連携を図る措置も必要でございます。また、償却等を円滑に進めるためには税制上の手当てを行う必要があろうかと存じます。 さまざまに申し上げましたが、本法案の早期成立を希望いたしますとともに、引き続き倒産法制の抜本改正につきまして先生方のお力添えを賜りますよう、よろしくお願いいたします。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○佐藤(剛)委員長代理 ありがとうございました。 次に、小山参考人にお願いいたします。
○小山参考人 私は、JAM副書記長の小山でございます。JAMといっても一体何なんだというふうにお思いになる方がいらっしゃるかと思いますけれども、JAMは機械金属産業の分野の産業別労働組合でございまして、組合員数が約四十三万人、単組数が約二千単組で構成をしている組織であります。比較的中小企業の分野で多く組織をしておりますが、最近有名なのはノーベル賞をとられた島津製作所、田中耕一さんはJAMの組合員であったわけであります。そういう意味でJAMをお見知りおきいただければというふうに思います。 私たちの組織の中でも、今、倒産が大変急増しております。法的整理による倒産の件数は、一昨年は五件だったのですが、昨年は十五件でありました。そしてことしは、一月からきょうまでに既に二十四件発生をしております。この二十四件の内訳を見ますと、民事再生が十二件、会社更生が一件、そして破産が十件、特別清算が一件というふうになっておりまして、民事再生が多いというのが特徴とともに、もう一つは、中小の破産が最近になってここ数カ月の間に急増をしているというのが実態であります。 そこで、ここの倒産で起こっている最大の問題は二つございます。 第一は、雇用の問題であります。 企業の清算型の法律であります破産法あるいは特別清算の場合などは、そこで働いていた労働者は全員解雇になっております。また、企業再建型の民事再生や、また会社更生法におきましても、雇用が確保できないというケースが多くなってきております。 二つ目は、労働債権、退職金の問題であります。 退職を余儀なくされた場合に退職金が確保できない、つまり、約束された退職金を手にすることができないまま職場を去らざるを得ないという問題であります。 このような現実の中で、労働者の雇用と権利の確保のために取り組んでいる労働組合の立場から、ここでは会社更生法改正案につきまして私の意見を述べさせていただくわけであります。 民事再生法が施行されて以降、本来会社更生法を使うべき大企業でも民事再生を使っていまして、会社更生手続を申し立てる事例が極端に少ないというのが今日の実態であります。 私は、現行の会社更生法は、裁判所が管財人を選任し、厳格に手続が行われるので、我々労働組合の立場から見ますと、会社更生法というのは大変安心感が持てるなという実感を持っております。今回の会社更生法の改正によって更生手続が迅速化され、更生法がより活用されるようになるということになるなれば、それは評価をしたいというふうに思います。しかし、会社更生法が持っていたよさ、つまり、管財人のもとで厳格な手続がなされ、労働者が安心感を持って企業の再建に邁進するというよさを捨て去るようなことになってしまってはならないというふうに思っております。 そこで、会社更生法を初めとする法的整理の中で、今現実に起こっている問題点について申し上げたいというふうに思います。 一つは、営業譲渡の問題であります。 最近の倒産処理の特徴として、営業譲渡が非常に多く使われております。民事再生手続ではもちろんですけれども、会社更生手続の中でも既に営業譲渡は多く使われて、実際に行われているわけであります。 問題は、営業譲渡に伴って、そこで働く労働者の雇用が継続されないという事例が多い、そして、労働者の権利が脅かされているということであります。 最近の事例では、民事再生の事件なんですけれども、営業譲渡契約に雇用は引き継がないことを明示していたり、対象事業の労働者の半分しか雇用しないと限定して営業譲渡契約を結んでいたりする事例が大半であります。また、譲渡先への雇用の継続に当たっては、譲渡先による面接などによって譲渡先企業が労働者を選別をするというやり方が多くなっているわけであります。そして、譲渡元企業は清算をされる。譲渡先へ行けなかった労働者は解雇されるということが起こっているということであります。 結局、労働者の雇用や労働条件は譲渡先企業の裁量にゆだねられ、労働者には譲渡先企業へ転籍しないということを選ぶ権利しかないわけであります。これは民法の六百二十五条の規定による唯一の営業譲渡をめぐっての権利だろうというふうに思います。また、譲渡先企業が、譲渡元企業の労働組合からの団交申し入れが仮にあったとしたら、団交に応じる義務があるのかどうか、このことは明確にはなっておりません。私はあると思いますが、必ずしも、学説なり含めて、そうは明確にはなっておりません。 営業譲渡について、会社分割と同様に、労働契約承継を義務づけるべきだと私は考えております。また、営業譲渡に当たっては、譲渡される事業の労働組合もしくは労働者代表と譲渡元企業、そして譲渡先企業、三者が協議をして、合意の上で、営業譲渡とそれに伴う労働契約の承継について決定しなければならないというような法律での義務づけというのが今求められているんではないかというふうに思います。 さて、この会社更生法の改正案では、民事再生法と同じように、更生計画によらず裁判所の許可で営業譲渡ができるとし、その場合、裁判所は労働組合等の意見を聞かなければならないとあります。営業譲渡に関する労働者の権利が明確でない今の実態の中で、裁判所が労働組合等の意見を聞く、つまり意見を聞きおくというだけで、結局、形式的な手続だけに終わってしまうのではないかという懸念があります。ぜひ、そうした点については中身のある明確なものを規定していただきたいというふうに思うわけであります。 二つ目の問題点、これは労働債権の問題であります。 最近の倒産事例で、退職を余儀なくされた場合に、退職金など労働債権が一〇〇%確保できるというケースはごくまれであります。六〇%しか確保できなかったり、あるいは四〇%しか確保できないという極めて厳しい実態にあるわけであります。適格退職年金制度などで企業外に保全をしている退職金原資が、実は、もう既に希望退職募集などをそれ以前にやって使い果たしているというようなのが今倒産する企業の実態であります。ですから、外部での保全が十分でないまま倒産を迎えるというのが多くの実態であるということであります。そして、わずかばかりの売掛金などが国税当局や社会保険事務所に先に押さえられてしまって、とれるものがなくなっている。とにかく、税金や社会保険料の債権が労働債権に優先しているということが大問題であるというふうに思います。早く是正されることをお願いしたいというふうに思います。 三つ目は、裁判管轄の問題についてであります。 改正法では、東京地裁と大阪地裁に全国どこからでも申し立てができるというふうになっております。しかし、遠隔地の従業員や小零細企業の債権者は、文書の閲覧や裁判所に上申するなどの場合、わざわざ東京や大阪まで出向かなければならないことになります。それでは金銭的に余裕がない債権者や労働者には大きな負担になるわけでありまして、同等な権利が行使できなくなると心配をされるわけであります。 また、会社更生では、労働組合と管財人との日常的な協議や団体交渉が多くなるわけでありますが、遠隔地の裁判所の管轄で本当に十分監督が行き届き、また管財人ができるだけ多く職場にいていただくようなことができるのかどうなのか、ぜひそうした実務的な配慮が明確にされるようにお願いをしたいというふうに思います。 最後に、四つ目の問題として、社内預金などの預かり金の問題について申し上げたいと思います。 現行法では、使用人からの預かり金は全額を共益債権にするとなっております。改正法案では大きく限定をするということになっておりまして、この改正によって、私は労働者にとっては大きな不利益が生じるのではないかと心配をしております。 なぜならば、現に倒産したある企業で、社内預金で八百万を預金をしていて、生涯の蓄財としていた労働者の方がいた、また、子供の大学進学資金として三百万を預金をしていて、それを当てにしていた、そういう労働者がたくさんいる例がございました。こうした場合に、共益債権となる範囲が限定をされると、これら労働者とその家族の生活に多大な影響をもたらすことになるわけであります。そもそも、労働債権と預かり金とでは全く性格が異なるものであります。社内預金など預かり金は、労働者が既に賃金として支払いを受け、労働者が所有する金銭であり、それを一時的に会社に預けているものであります。 しかし、確かに、社内預金が数百万に及ぶということは、今日の社会情勢から見ても、私も決して適切なことだとは思いません。とすれば、むしろ労働基準法などの法律において社内預金の最高額を限定するなどの規制をすべきではないでしょうか。 もう一つ、社内預金等預かり金の問題で問題がございます。それは、社内預金と社内預金以外の預かり金と合算をされて共益債権の範囲が限定されるということになりますと、ここでまた大きな不利益が起こってくるんではないかということを心配するわけであります。社内預金以外の預かり金として考えられるものは、例えば共済会のお金であります。 ある例でありますけれども、共済会で何億円かの資金を持っていまして、実はその資金で組合員の生活保障の融資をしていた。それが会社が倒産したことによってストップをしてしまって、その融資すら本当に必要なときできなかったというような例もございます。 こうした共済会のお金だとかあるいは旅行の積み立てだとか、もう一つ、これも預かり金に入るのかどうか、天引きした労働組合の組合費、あるいは天引きをした一般の生命保険だとか自動車保険の保険料、これが会社の中にまだ残っていて、そのまま労働組合やあるいは保険屋さんに渡っていないという場合、こうしたお金も社内預金と合算をされて限定されてしまうのかどうか、ちょっとその辺が疑問でございますので、ぜひ解明をしていただきたいというふうに思います。 最後に、私は、この法律の中で、私は法律の専門家じゃないものですから、率直に申し上げたいんですが、日本の法律というのは何でいまだに使用人という言葉を使っているのかなというのが、一般の労働者の立場からいうと大変不可解でありますし、また何となく不快感を覚えるんですけれども、専門家の方はそうではないのかもしれませんが、それは私の感情でございます。 今、幾つかの問題点を、今のことはともかくとして、申し上げましたけれども、これらの問題点がぜひこの国会における審議を通じまして明らかに解明をされて、そして、たとえ倒産下にあっても労働者が安心をして企業の再建に向けて本当に一生懸命仕事ができる、そういうような制度をぜひつくり上げていただくことをお願いし、期待し、私の意見陳述とさせていただきます。 どうもありがとうございました。(拍手)
○佐藤(剛)委員長代理 ありがとうございました。 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。 —————————————
○佐藤(剛)委員長代理 これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下村博文君。
○下村委員 きょうは、三人の参考人の方々、ありがとうございました。持ち時間が質疑応答を含めて十五分と短いですが、お聞きしたいというふうに思います。 まず、竹下参考人にお聞きしたいと思うんですが、法制審の担当部会の部会長でもいらっしゃるということで、まさに当事者でございます。 今、小山参考人から労働組合等の労働関係の問題で問題提起されましたが、今回の会社更生法、全体的な流れとしては、まさに竹下参考人もおっしゃっておりましたが、この時期に必要な、タイムリーな法改正であるというふうに思いますし、これが労働者にとってもセーフティーネットである、まさにそのような会社更生法であるべきであるというふうに思いますし、また、既存の会社ではなくて事業にとってのセーフティーネットであるということで、早い立て直しをするということが我が国において社会全体に求められているというふうに思います。 その中で、これは綿引参考人からも、資料の九ページで「破産法・倒産実体法の改正」ということで、「今後の課題」ということで問題提起をされておりましたし、また竹下参考人も触れられておりましたが、実は、この会社更生法はかなり大きな企業が対象の法律になるかと思いますが、身近に、我々の立場から、地域の中に、やはり破産法を早く改正してほしいという要請、要望が物すごくございます。 私自身、あしなが育英会というところの理事をしておりまして、ここは自殺遺児とか、最近本が出て、この間党首討論でもこの本のことが野党の党首から例として出されておりましたが、中小零細企業の経営者が、個人連帯保証等、まさに大企業と違ってすべてを担保としてとられて再起不能になってしまう、このことによって自殺に追い込められていくという例が毎年かなりふえておりまして、もう三万件を超えているんですね。 あわせて、担当の部会長でもあるということなものですから、このテーマをよしとしたお立場で御説明されていますから、その後の話で、ちょっとせっつくようですが御質問をしたいんですけれども、できるだけ早く破産法の法改正の準備をして、そして、企業だけでなく個人も含めて再起できる、再チャレンジができる、そういう社会をつくっていくことが我が国にとって大変に求められているというふうに思うんですが、今、破産法において、この会社更生法論議が終わった後、どんな議論がされ、またどんな改正点というのを竹下参考人個人のお立場を含めてお考えになっているか、そちらの方からお聞きしたいと思います。
○竹下参考人 ただいま、会社更生法案の審議が一段落した後といいますか、それはそれといたしまして、今後、法制審議会の倒産法部会では、破産法の改正に向けてどのような作業日程あるいは作業の内容を計画しているのかという御質問でございました。 日程の点からまず申し上げますと、現在、破産法改正要綱試案というものが一般に公開をされておりまして、パブリックコメントの手続に付しているところでございます。これは、今月の二十九日までに御意見を寄せていただくということになっております。その後、寄せられた意見を踏まえまして、来年の夏前、一応七月というふうに考えておりますが、七月までに倒産法部会としての審議を終え、改正要綱案というものを策定したいと考えております。その後は、恐らく夏明け、九月早々に法制審議会の総会において改正要綱を決定し、秋の臨時国会に提出できるように作業を進めてまいる、そういう予定でおります。 それから、内容の点についてでございますが、これは二つに分けまして、破産手続それ自体をどうするかということでございまして、この点につきましては、倒産法一般の問題、今回の会社更生法と同じことでございまして、やはり手続を迅速化する必要がある。それからまた、この場合には企業の再建と違いますので、その実効的な再建手続ということは問題になりませんが、債権者の間で公正、平等な配当が行われなければならないということになりますので、その点の制度設計を現在より以上にすぐれたものにするということを検討いたしております。 それからもう一つ重要なのは、倒産実体法というふうに呼ばれる分野でございまして、これは、これまでの倒産法部会の審議で、民事再生法それから今回の会社更生法と審議を重ねてまいったわけでございますけれども、これらの法律案でもいずれも問題になる点でございます。 しかし、倒産法制全体を見通した上ででないと、なかなか関係人間の実体関係をどのように改めたらよいかということの判断がつきかねる面がございますために、これまで、この倒産実体法と呼ばれる分野、要するに、債権者のやった不公正な手続を取り消すとか、あるいは一部の債権者が自分の持っている債権で相殺をするとか、あるいは債権者相互間の優先劣後の順位をどうするかというような問題になるわけでございますが、この点は破産法の改正とあわせてやるということで、いわば留保をつけたままで改正作業が進んできたわけでございます。そこで、現在では、そういった民事再生や会社更生の場合をも見据えながら、倒産実体法のあり方について議論をしているところでございます。 その中でも、とりわけ優先劣後の関係というのは重要な問題でございまして、先ほどから問題になっております労働者の債権、労働債権等でございますが、こういうものも、現在は一応一般の債権者よりは優先的な地位が認められておりますけれども、租税債権等、その他破産法上のいわゆる財団債権と呼ばれている最先順位の権利よりはおくれております。そこで、労働債権の一部については、会社更生と全く同じでいいかどうかという問題はございますけれども、やはり一定範囲で最先順位の優先権を認めることにしようというようなことも議論しているところでございます。 以上です。
○下村委員 ありがとうございます。 一応、三人の方にそれぞれ質問をしたいと思っておりますので、できるだけ手短にお願いいたします。 綿引参考人は、九ページ、「今後の課題」の中で、所要の税制措置ということ、これに対応する必要があるのではないかということで問題提起されておりまして、今、自民党の中でも税制調査会で来年度の税制議論をしている真っ最中でございますが、これに関連して特に綿引参考人の方から、新たな法改正、またほかの体系的な倒産法関係とか全部含めての中で、我が国の会社の再生のために具体的にどういう税制改正が一番求められるか、どういう御要望があるか、ちょっと簡単にお話ししていただければと思います。
○綿引参考人 会社関係の税制に関しましては、私それほど知見があるわけではございませんけれども、会社の連結税制、連結会社の税制について、早く完全な形でやっていただきたいということは考えております。 あと、倒産法に関しましては、例えば私的整理ガイドラインの対象になるようなものはきちんと償却できるというようなことになっておりましたけれども、こういうような感じの償却がきちんと円滑にできるような税制が進めばいいなと考えております。 以上でございます。
○下村委員 今、連結決算については付加税ですね。これを廃止すべきだということが党内の中でも議論として出ております。 最後に、小山参考人にお聞きしたいと思うんですが、いずれにしても、これから裁判所が、労働組合の意見の反映としても大変重要になってくると思うんですね。最後に問題提起の中で、使用人ですか、今司法制度改革をしていまして、これからあらゆる我が国の法律も、商法、民法含めて今の現代言葉にふさわしい改正も議論されてくると思いますし、つい最近では法科大学院制度の法律ができまして、新たな司法の中で対応できる人材を養成していこうということが今求められております。この法律ができることによって、裁判所に対して具体的な要望とか要請とか、もしございましたら、お話しいただければと思います。
○小山参考人 今回の法改正の中で、更生手続に労働組合の関与が多く盛り込まれているということについては前向きに評価をしているところであります。その場合、裁判所が形式的に意見を聞くのではなくて、実質的にそこでの労使の合意だとか、あるいは先ほど営業譲渡のことも申し上げましたけれども、そういうことを含めて、労働者が納得をしてその手続が進められていくということをきちっと把握していただくということが最も重要ではないかというふうに思っております。 そういうことが何らかの形で担保されないと、聞けばいいということで終わらせてしまってはいけないということを先ほど申し上げたんですが、ぜひそうした点について確実な処理をお願いしたいというふうに思っております。
○下村委員 ありがとうございました。終わります。
○佐藤(剛)委員長代理 次に、鍵田節哉君。
○鍵田委員 民主党の鍵田でございます。 本日は、大変お忙しいところをお出ましいただきまして、貴重な御意見をちょうだいいたしました。ありがとうございます。 竹下参考人や綿引参考人からは、この会社更生法の有用性といいますか、そういう観点から御意見をちょうだいいたしました。 私も、幾つかの会社更生法での企業再建にかかわった経験もございまして、そういうことから、今回の改正が、従来の更生法よりも大変スピーディーに物事が進められる、さらには竹下参考人のお言葉にもありましたように、これは産業にとりましても、また労働者にとりましてもセーフティーネットになるということのお言葉をいただきました。 私も、どちらかというと、この法案が非常に前向きな法案であって、大変時宜に適した法案ではないかというふうには思っておりますが、やはりまだ幾つかの懸念材料がございます。そういうことで、今現実に更生法を申請されてどういうことが職場の中で起こっておるのかということにつきまして、できれば、短い時間でございますので、実際にその現場で労働者にかかわる問題点をとらえておられます小山参考人に重点的にちょっとお時間をいただきたいなと思っておりますので、御了承いただきたいというふうに思います。 特にそういう意味で、今回の改正案につきましては、私自身も一定の評価をしておるわけでございますけれども、先日来、大型の倒産が相次ぎまして、特に新潟鉄工などでも社内預金が支払えるのかどうかというふうな問題が起こったり、非常にいろいろな問題が出てきておるわけでございますけれども、実際の現場においてどういうことが起こっておるのか、どういう問題が特に更生会社において話題になっておるのかということにつきまして、若干、その経験から、小山参考人の方からお聞かせをいただきたいというふうに思います。
○小山参考人 更生法の、現場で起こっている点での御質問をいただきました。 申し立てが行われて一番最初は、労働組合に限らず、従業員全体がまさにパニック状態になるわけでありまして、そうした中で、やはり当面の仕事が本当に継続できるのかどうかというのが一番の心配事であります。 更生法の場合は、比較的規模の大きい企業で行われますし、管財人が入ってきちっと管理されていきますから、賃金の遅配とかという例は余りない、私の最近の経験ではそういうふうな実態であります。 ただ、心配なのは、これからの仕事が一体どうなるのかというのが一番大きいわけでありまして、先ほど先生が例示されました新潟鉄工の例を見ても、私どもの組織に所属しているわけでありますけれども、営業譲渡という形で雇用の場を見つけていくということになったわけであります。本体はいずれ清算するということで、更生計画案が裁判所に提出されてまだ認可決定が出ていない段階ですから、余り具体的なことはここでは申し上げられないわけでありますが、ただ、そういう職場がどうつながっていくのか、雇用が本当に守られるのか、それが労働者にとっての一番の心配事であります。そのときに、先ほど申し上げた営業譲渡という中で、必ずしも全員の雇用が守られないということ、そこでの労働者の選別ということが実際には起こらざるを得ないだろうということであります。 もう一つの問題は、退職金などを含めた労働債権の問題でありまして、更生会社の中でも、事実上そうした資金が十分ないということで、退職を余儀なくされてもきちっと払えないということであります。先ほどの新潟鉄工の例でいいますと、管財人の方から、実際にそうした財源がもうないということを前提にしまして、退職金規程の変更を労使で決めざるを得なかったという実態もございます。 その他、更生法に限らず、退職金が確保できないというのが大変深刻な問題になっているということでございます。 以上です。
○鍵田委員 ありがとうございます。 では、現実にいろいろな事案が起こっておりまして、その中で労働債権をどのように確保されてきているのか。先ほども六〇%も確保できたらいいところだというふうにおっしゃったんですが、事実私もそういう経験をしておりまして、一割、二割でも泣き寝入りしているような事例もたくさんあるわけでございます。 そういう中で、営業譲渡などによって、ある程度そういう不採算部分を切り離したりというふうな事案もたくさん起こってきておるわけでございますけれども、こういう場合に、どういう法整備が働いている人の立場から見て必要だと思っておられるのか、そして、その債権確保などがしやすいような、そういうことも含めた法整備につきまして、どのようにお考えになっているのかということをお聞きしたいです。
○小山参考人 最初に、労働債権の確保という問題でいきますと、今現実にはそこの企業がどれだけ外部に保全をしているか。適格退職年金制度を持っている企業が一番多いんですけれども、中小の場合は中退共の制度などでこれは非常に安心なんですけれども、実際にどれだけ保全されているかというのを、現実まず我々が行ったときに調べてみるわけでありますが、半分も保全されているなんというのは万々歳でありまして、実際は一割とかというようなことが大変多いわけであります。 そうすると、保全をどれだけ義務づけていくのかというのが一つの課題かと思いますけれども、もう一つは、こういう言い方がいいかどうかわかりませんけれども、逆に、先ほど申し上げた租税債権だとか社会保険料の債権などで横から持っていかれてしまうという現実がございます。 そうすると、非常に少ない財源の中で何とか労働者にと思っていたものが持っていかれてしまうということ、このことについては、とにかくILOの百七十三号条約等でもあるわけでありますので、ぜひきちっとした法整備を行っていただきたいと思いますし、そのためには国税徴収法の改正が当然必要だろうというふうに思いますし、そうした改正を含めて、ぜひお願いをしたいというふうに思います。 それから、営業譲渡の問題では、結局、これはコンサルタントの方なんかが言っているんですけれども、営業譲渡のいいところは何かといったら、譲渡される事業を特定できる、そして雇用する数も特定できる、そういう契約を結べば済むという意味で非常にメリットがあるというふうな言われ方をしております。 しかし、逆に労働者の側から見ると、自分たちがつくり上げてきた事業であり、あるいはその仕事の技術であるわけでありますし、当然そこからつくられた特許もあるはずであります。そうしたものが事業主とそして営業譲渡先との営業譲渡契約によってすべて決められてしまって、あとは何人行けるかという話にしかならない、そういう実態。そこではやはり労働者が関与するという場面が法的にきちっと保障されていないということでありますので、一番重要なことは、そうした労働者代表あるいは労働組合の関与がきちっとできるということですね。 もう一つは、労働契約の承継ということを、会社分割のときは明確に承継法を別途つくりまして労働契約の承継を規定しているわけでありますけれども、営業譲渡については、労働契約の承継については何ら明確な規定がないわけであります。その労働契約の承継についての整備もぜひお願いをしたいということであります。
○鍵田委員 労働契約の承継法につきましては、前の改定のときに附帯決議などがついておりまして、それに基づいて研究会などで議論されたようでありますが、今のところそれは必要はないということで、指針でというふうなことが出ておるようですが、まだその指針もいつごろどういうふうになるかということが明確になっておりませんから、その辺をまた厚生労働省と質疑で明らかにしていきたいというふうに思うのです。 最後にもう一つ、労働債権の確保の問題で、先ほど竹下参考人の方からも、公租公課といいますか、税よりも優先するような、というところまではおっしゃらなかったのかもわかりませんが、百七十三号条約もあることでございますので、それらを参考に、優先順位といいますか、そういうものをぜひとも議論していただきたいというふうに思いますが、それにつきまして、ひとつ一人ずつ、それぞれの立場で御議論いただいておりますので、お答えをいただければと思います。
○竹下参考人 それでは、時間の制約もございますようですので、簡単に申し上げます。 会社更生につきましては、これまで現在の我が国の倒産法制の中では最も労働者の権利の保護を厚くしているというふうに申し上げることができるかと思います。 一番問題は破産でございまして、先ほども申しましたように、破産は企業の解体、清算という場面でございますので、そこで一体労働者の権利がどのぐらいに保護されるかというのが重要な問題になるかと思います。 現在私どもは、一方では租税債権との優先劣後の関係では、租税債権も一定の部分については必ずしも財団債権ではないというような取り扱いにする方向で検討しておりますし、逆に労働債権につきましては、先ほど申しましたとおり、一定の範囲で財団債権に格上げをするという方向で検討をしているところでございます。どの範囲でというのは今後検討をしながら詰める、そういう状況でございます。
○綿引参考人 労働債権につきましては、先ほどちょっと今後の課題で申し上げました担保・執行法制の改正の方で、一般先取特権の範囲で労働債権の分を、民法と商法の差があるというのを商法並みにしようという話が一つと、それから、今法制審議会の破産法改正の審議が行われているわけですが、この中でも、一般優先債権から財団債権として租税債権並みにするという原案ができまして、これがパブリックコメントに付されておりますので、私どももこれについてどういうような対応をするかということを審議中でございます。結果がどうなるかはちょっとまだ取りまとめ中でございますので、そんな状態でございます。 以上でございます。
○小山参考人 労働債権について、やはりそこで生活をしていく、そして家族がそれで食べていかなければならないということであります。ぜひとも、租税債権あるいは社会保険料などの債権に限らず、さらに優先する設定の仕方ということがあってもいいのではないかというふうに思っております。ぜひそうした労働債権の優先順位について早急に改めていただくことをお願いしたいと思います。
○鍵田委員 どうもありがとうございました。
○佐藤(剛)委員長代理 次に、石井啓一君。
○石井(啓)委員 公明党の石井啓一でございます。 参考人の先生方、大変きょうは御苦労さまでございます。 会社更生法につきましては、私どもも、企業の再建、事業の再建という意味で大変強力な武器を備えている、ただし、これまではなかなか手続に時間がかかる、手間がかかるということで敬遠されてきたということで、今回の改正案は、手続の迅速化、合理化、また再建手法の強化を盛り込んだということで、高く評価をしているところでございます。その上で幾つか確認をさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。 まず、竹下参考人にお伺いをいたしたいと存じますが、更生計画案の可決要件の緩和でございます。これは更生計画の早期成立を図るために可決要件を緩和したというふうに承知をしているわけでございますが、一方で、債権者の権利が十分保護されるのかという批判もございます。この点についてどのような御見解をお持ちなのか、お伺いをいたしたいと存じます。
○竹下参考人 更生計画案の可決要件につきましては、今委員から御指摘のございましたように、いわば一段階ずつ緩和をするという方策をとっております。具体的には法案で御存じのとおりでございます。 確かに、可決要件を緩和いたしますと、それで、反対であった、反対の意見の債権者の言い分が通らないという面があるわけでございますけれども、しかし、緩和をいたしましてもなお、一般の更生債権について言えば二分の一の多数の同意が必要であるということになりますし、それから更生担保権につきましては、減免以外の場合には三分の二、減免の場合には四分の三という要件が要求されております。そこで、これは多数の債権者と少数の者とのいわばバランスの問題ということになりますが、可決要件を多くすると、結局少数の者の意見によって計画案の可決が阻害されるということになるわけでございます。 御承知のように、民事再生法の場合には、これを大幅にこれまでの和議から緩和いたしました。その結果を見ますと、必ずしもそれによって弊害が生じているというようなことが認められません。したがって、そういう事実をも踏まえて、会社更生の場合も、これまでは少数者の保護ということにかなりの重点を置いてきたんだけれども、それはやはり全体から見れば一部の者の意見でございますので、大勢の方に重点を置いて可決要件を緩和し、なるべく会社の更生をしやすくしよう、こういう趣旨でございます。
○石井(啓)委員 続いて、竹下参考人にお伺いいたしたいと思います。 今度、弁済期間の上限を下げた件でございますが、二十年を十五年に下げました。これについては二通りの意見がありまして、一つは、十五年でもまだ長いんじゃないか、やはり企業再生はもっと早くやるべきだということで、そういう意見がございます。片や、やはり二十年の方が更生計画をつくるに当たっての自由度は高いということで、十五年については、短過ぎると長過ぎるという両方相反する意見があるわけでございますけれども、この点についての御見解をお伺いいたしたいと存じます。
○竹下参考人 御指摘のように、これまでは最長の弁済期間二十年ということであったのを、今回十五年に短縮しようということでございます。 確かに、現在の我が国の経済のスピードから申しますと、十五年でも長過ぎるという御意見が出てくるのはまことにごもっともかと思います。私どもも一時、これを十年に短縮してはどうかというようなことも考えてみたわけでございます。しかし、会社更生の対象となる会社にはいろいろなものが考えられますので、法律で最長期間を十年ということに限ってしまいますと、他方から、現在もその改正案についても御批判があるというふうに御指摘のあったように、それでは余りに計画案作成についての自由度が減ってしまうではないかというので、十年というのはあきらめまして十五年にしたわけでございます。 他方、二十年、そういう御意見もあるということは私どもも承知しておりましたけれども、これはやはり今の我が国の経済の状況にはそぐわないのではないか。むしろ最近では、民事再生などでは、計画案で何年というふうに決めても、いわゆるスポンサーが資金を出して一挙に弁済をしてしまうというような事例が多くなってきているというようなことでございますので、やはり十五年あたりがそのぎりぎりの最長限度であろう、そう考えた次第でございます。
○石井(啓)委員 ありがとうございます。 続きまして、綿引参考人、小山参考人、お二方にお伺いいたしたいと思います。 今回の会社更生法の改正案におきます労働組合の関与という点でございますが、労働組合側からは、今回の改正案については営業譲渡における組合との協議が認められていない、こういった御批判もございますけれども、一方で、更生手続開始決定前の組合からの意見聴取等、民事再生法にない労働組合の関与が盛り込まれているところも事実でございまして、私は、総体的に評価しますと、今回の改正案は労働組合の関与に十分配慮した中身になっているのではないかというふうに思うわけでございますが、この点、全体的に評価してどうかということで、御意見をお伺いしたいと存じます。
○綿引参考人 企業につきまして倒産手続が開始された場合には、その企業で働く従業者や従業員にとって、組織された労働組合、これは手続の帰趨に重大な利害関係を持つことになるわけです。特に、再建型の手続である会社更生法の活用ということを考えると、労働者の協力なくしては会社の再建は成らないという感じがありますので、労働組合に対して、従業員に対して十分に配慮することが求められていると考えております。 今回の法案では、民事再生法に倣った部分と、それにさらにつけ加えて、裁判所が更生手続開始の申し立てについて決定する前には労働組合から意見を聞かなきゃならないとか、それから管財人の選任について労働組合等が書面で意見を述べることができるということが定められまして、労働組合等の立場は従来に比べて格段に尊重されていると一応評価しております。 以上でございます。
○小山参考人 先ほどの陳述の中でも申し上げましたけれども、先ほど竹下先生のお話にもありましたが、会社更生法というのは、私どもにとっては一番安心できる法律であります。というのは、労働組合の関与の規定が明確にあること、そして裁判所から選任をされた管財人が厳格に処理をしていくということ、そういうことでいきますと、総体的に会社更生法というのは、私ども、そして今回の改正の中での労働組合の関与については評価をしているところであります。 ただし、先ほど申し上げたとおり、すべてそれでよしと言えるかというと、実は大きな落とし穴があるのではないかということが、先ほど申し上げた営業譲渡の問題でございます。
○石井(啓)委員 それでは時間があれですので、最後に。 今回、会社更生法を使いやすくするための改正ということでございますが、参考人の先生方、この改正でどの程度活用されるようになるのか、そういう想定をされていらっしゃるのか。きょうの綿引参考人の資料でも、今会社更生法が大体四%か五%ぐらいですね、民事再生法と比べますと。それをどの程度活用割合がふえてくるというふうにお考えなのか、一言ずつ最後お答えをいただけたらと思います。
○竹下参考人 先ほどの点で、恐縮でございますが、ちょっと補足をさせていただきたいと思います。 弁済期間でございますけれども、法案でも十五年が原則でございますが、特別の事情がある場合には二十年まで延ばせるということになっておりますので、先ほどその点の説明を落としましたので、補足をさせていただきたいと思います。 新しい会社更生法ができた場合の利用の予測でございますが、これは大変難しいことでございますけれども、私どもといたしましては、少なくとも現在の倍ぐらいといいますか、上場会社ぐらいは原則的にこの手続を使って更生を図ってもらいたいというふうに考えております。 以上でございます。
○綿引参考人 現行の会社更生法がかなり評価できる、いわゆるメリットの方が、処理の信頼性ということが一番大きいわけです。それから、担保権等を取り込む面で手続の透明性とかわかりやすいという点を挙げる向きが多いと思います。これに民事再生法の特徴である迅速性等が加わりますので、非常に使いやすいものになるなというふうに考えてはおります。 ただ、例えば、債権者申し立ての事件で債権者と債務者が鋭く対立しているとか、それから株主の間で意見が激しく分かれているとか、担保権者が極めて強く対立的な姿勢をとっている、こういうようなものは民事再生法には向いておりませんので、こういうものは中規模の会社であっても会社更生法を選ぶのじゃないか、そういうふうに考えております。 以上でございます。
○小山参考人 本来、会社更生法がもっと使われるべきであったと思いますが、民事再生法ができた瞬間から随分民事再生法を大企業まで使うようになってきた、その最大の理由は何かというと、経営者がそのまま残れるからではないかというふうに思っております。 ですから、これからこの会社更生法がどれだけ使われるか、これだけよくなるわけですから、使っていただくためには、経営者の皆さんがきちっとモラルを持った対応をしていただくことが一番だろうというふうに思います。
○石井(啓)委員 ありがとうございました。
○佐藤(剛)委員長代理 次に、藤島正之君。
○藤島委員 自由党の藤島正之でございます。 私も、今回の会社更生法案は方向としても内容としても非常に立派なものだなという感じはしておりますけれども、二、三の点についてお尋ねしてみたいと思います。 まず、竹下参考人にお尋ねしますけれども、海外のこの制度と比べまして、今回の法案は大体どういうふうな評価をしていらっしゃいますか。海外に比べても百点に近いのだ、このような自信をお持ちなのかどうか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○竹下参考人 ちょっと聞き漏らしたのですが、要するに外国の制度と比べてということでございますね。 これは、委員もう既に御承知のように、これまでは、我が国で新しい法律をつくるという場合に、外国の法律を参考にするということが多かったわけでございます。明治の昔はほとんど引き写しのようなこともございました。しかし、現代はそういう時代でございませんので、それぞれの国、社会あるいは経済の実勢に応じた法律をそれぞれが考えなきゃいけないという時代でございます。 先進諸国におきましても、ここ十年から十五年の間にいろいろ倒産法の改正をいたしております。中には、窓口を一本化して、清算型、再建型は手続が始まった後で考えるというような法制をとったところもございます。しかし、必ずしもそれが成功しているとは限らないようでございまして、そういう意味では、私どもとしましては、今回の会社更生法は、このまま英語に訳して、海外の研究者あるいは実務家の批判にさらしても十分それに耐え得るものというふうに考えております。
○藤島委員 今回の案につきまして、十分なのかどうか、あるいは積み残しが何かなかったのかどうか、この点についていかがでしょう。
○竹下参考人 お答え申し上げます。 私どもといたしましては、中間試案を公表し、パブリックコメント等をいただいてやりましたものでございますから、現段階でできることは一応全部盛り込んだというつもりでおります。
○藤島委員 今回は株式会社に限定されているわけです。ほかの大型法人については今回外れているわけですが、これについては将来何か考えるのか、あるいはもうそれはそれで要らないのだということなのか、その辺、どういうふうにお考えでしょう。
○竹下参考人 株式会社あるいは株式会社以外でも、金融機関等につきましては会社更生の特例法がございますので、それで対応ができているというふうに申し上げることができるかと思います。 有限会社につきましては、会社更生法の対象にするということも考えられないことはないと思いますけれども、民事再生法ができましたので、民事再生法で十分対応できるのではないかというふうに考えるわけでございます。
○藤島委員 私の質問したかったのは、学校法人とか医療法人とか、ああいうので大型な法人がございますけれども、かつては倒れるようなことはなかったのでしょうけれども、最近、ああいうものが非常に経営が危なくなってきている、そんなものもあるものですから、そういう法人はどうでしょうかということなんです。
○竹下参考人 どうも御質問の趣旨を十分理解しないで、失礼いたしました。 私ども、ただいまお挙げになりましたような法人につきましても実は民事再生法で対処できるというふうに考えて、民事再生法をつくりましたときにはそういう法人も視野に入れてつくったつもりでございます。 ですから、もし実際に学校法人なり医療法人なりそういう法人に当てはめてみて民事再生法に不十分なところがあるということであれば、民事再生法の改正で対処したいというふうに思います。
○藤島委員 この点、午前中の質疑で、法務省の方は、株式会社は一般的に今回あれして、ほかのそういう法人には特殊性があるので個別法で対応する方向で考えたいというような答弁もあったものですから、ちょっと参考人の意見を確認してみたかったわけであります。 それから、今度の制度は、裁判所が関与することは関与するんですけれども、その規律のあり方が従来よりやわらかくなっているわけですけれども、制度の乱用の問題ですね、いろいろな角度から。それについてはどういうふうにお考えでしょうか。
○竹下参考人 これにつきましては、昔から会社更生制度の乱用ということが言われていたわけでございますけれども、それに対する対策といたしましては、既に現行法で、保全処分が出た後は任意に取り下げができないというような仕組みが設けられておりまして、それを引き継いでおります。それ以外に、いろいろな場合、形の乱用ということがあり得るかもしれませんけれども、その点は裁判所並びに管財人等の協力によって防げるものと考えております。 例えば、先ほども冒頭に申し上げましたように、事件記録の閲覧というのを、手続の透明化のために広く認めることにいたしておりますけれども、一部の債権者がそれを悪用いたしまして、自分の権利だけを確保するというようなことも予想されないわけではございません。そのために、一定の場合には閲覧を制限するというような措置を設けたりいたしているところでございます。
○藤島委員 綿引参考人にお尋ねします。 先ほど御説明ありましたけれども、今回の法案は、御説明によれば、いいばっかしみたいな説明に受け取られたんですけれども、制度ですから、どんな制度でもいい面もあれば悪い面もあるんですから、お立場から見まして、やはりこういう点が若干問題として残るというような点があれば、お教えいただきたいと思います。
○綿引参考人 今回の法改正で残された課題といいますか、残った問題というのは何かという御質問だと思うんですが、ちょっと個人的に考えますのは、再建に乗り出した企業の運転資金を供給する仕組みというのを、倒産法以外の手当てで整備するというのもありますけれども、アメリカではスーパープライオリティーを持った融資があるというようなことも聞いていますので、そういうのも一つはあるかなという感じが一つ。 あと大きな問題としては、倒産法制全体を改正して、制度相互間の連携を図る。民事再生を申し立てたけれども、うまくいかないで会社更生手続に移行するとか、それから、会社更生法のもとで更生計画を立案したものの、何らかの理由で計画がうまくいかなくて破産手続に移行したということ等の場合、そういうことが結構あるんで、今回の民事再生法や会社更生法の手続というのは、入り口の広い、手続の開始しやすいものに変えたわけですから、途中で別の手続に移行する可能性が非常に高まったと考えております。 ですから、こういうことは制度上のマイナスというよりも選択肢の拡大でありまして、一たん進行した手続がもし挫折したら別の手続を一からやり直す、こういうような合理的手続として移行措置が残っているかなと考えております。 以上でございます。
○藤島委員 それじゃ、最後に小山参考人にお伺いします。 労働者に対するセーフティーネットという面はあるということなんですが、特に、五つぐらい御指摘になった中で、やはり営業譲渡の問題ですね。やはり、再生できる部分とできない部分を切って、できる部分を再生していくというか営業譲渡していくというのはこれからかなり行われると思うんですけれども、その際の、やはり労働者がついていけるかどうかという点で、運用面でどうやるかによって相当違いが出てくるような感じがするんですが、その点の不安は、今の制度でいいとお考えですか。先ほど、若干不安があるというようなお考えでしたけれども、その点、もう一度教えてください。
○小山参考人 営業譲渡そのものについては否定するつもりはございません。今日の経済状況の中では必要なことだろうというふうに思います。その場合、そこで働いていた労働者、あるいはその代表者、労働組合との合意形成がきちっとされているのか、されていないのかというのが一つの問題。二つ目は、そこで労働契約がどこまで承継されるのか。本来でしたらば、会社分割法と同じように、そこに従事していた者は全員というようになるべきだというふうに私は思っておりますが、そうした整備がぜひ必要だというふうに考えております。
○藤島委員 そうすると、今のままでは不十分で、その制度について、この法律の中でやるか、別途何か措置をとるかということを要望しているということですか。
○小山参考人 はい。会社更生法の中でできる部分とできない部分があろうかと思います。また別途、労働法の中で整備すべき点はぜひ整備していただきたいというふうに思います。
○藤島委員 終わります。ありがとうございました。
○佐藤(剛)委員長代理 次に、木島日出夫君。
○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。 三人の参考人の先生方、大変貴重な御意見、ありがとうございました。 私は、この会社更生法の全面改正法案に大変大きな感慨を持って審議に臨んでいるわけであります。それは、私は長野で弁護士をしているんですが、今から二十八年前、地元の裁判所から委嘱をされまして、小さな婦人服や子供服をつくっている縫製会社、従業員は多いときで百二十名でしたが、会社更生管財人として、労働者の皆さんと十五年間、本当に悪戦苦闘をしてまいりました。立ち上がり資金がないときには、本当はやってはいけないんでしょうが、私個人の財産も担保に入れて銀行から借財をして回していく、そういう経験もしているわけでございます。そんな経験を持っておりますが、きょうは三人の参考人の先生に、ポイントだけ質問をさせていただきたいと思います。 まず竹下先生に御質問いたしますが、二つ質問したいと思うんです。 一つは、今度の改正法で一番大きな違いは営業譲渡であります。現行法は、会社更生計画の中に盛り込むことしか認めていられなかった、いろいろ解釈はあるようですが、基本的にはそういう状況だった。それが今度は、更生計画開始決定後、計画認可前の営業譲渡が認められた。営業譲渡が行われたときに、労働者の雇用が譲り受け会社に承継するかどうかが大問題であります。 私、午前中、この問題について集中して質疑をいたしましたが、もう御案内のように、日本の判例も日本の学説も大きく三つに割れております。当然承継説、原則承継説、原則非承継説、いろいろな難しい問題があります。そして、会社分割法とともに労働契約承継法が一昨年の国会でできたときに、附帯決議が衆参両院の法務委員会と厚生労働委員会でありまして、営業譲渡についても労働者保護法制が必要ではないかどうかしっかり検討せいという附帯決議をつくりまして、そして厚生労働省のもとで研究会が開かれ、ことしの八月に意見書が出ました。現行、日本では、それは必要ないという結論でございました。大変残念な結論だったと思うんです。 先ほど小山参考人からもるる現状が述べられました。営業譲渡が頻繁に行われ、そこで労働者が次々と解雇されている、乱用されているんじゃないかということを思うと、会社分割法のときに労働者の権利承継法をつくったわけですから、雇用承継法をつくったわけですから、今回会社更生法の改正をやり、現行法では基本的に認められなかった営業譲渡を前倒しで認めるような法制をつくろうとしているんですから、抱き合わせで、雇用承継に関する権利法、保護法はやはり必要だったんじゃないかと思っているんですが、その点についていかがでしょうか。端的なお考えを聞かせていただきたいと思います。
○竹下参考人 木島議員は、会社更生管財人の御経験もおありになるということで、御事情、それから会社更生法の手続的な構造等、十分御理解の上での御質問だというふうに思います。 営業譲渡の場合に、労働者がその譲り受け先に引き継がれるかどうかという問題は、民事再生法のときにも問題になった大変重要な問題であるのはもう御指摘のとおりでございます。とりわけ、更生計画によらないで裁判所の許可、その前提といたしましては、更生債権者、更生担保権者それから労働組合の意見を聞いた上でということでございますけれども、裁判所の許可で更生計画前に営業譲渡ができるということになりましたので、一層問題が厳しくなってきたということだと存じます。 ただ、この営業譲渡に際しまして、労働者の雇用契約が譲り受け先に引き継がれるかどうかというのは、もう御承知のように一般問題でございまして、本来であれば商法、あるいは、おっしゃるような契約承継法等、特別法で手当てをしていただくべき問題でございます。会社更生法の中で営業譲渡をするときだけの特殊な問題というわけにはまいらないものでございますので、会社更生法で対処をするのはなかなか難しいと申し上げざるを得ないわけでございます。そういう特別な法律あるいは商法等による立法的な解決がなされない限りは、御指摘のありました、現在、残念ながら判例、学説等分かれておりますけれども、そういう解釈に頼らざるを得ないということだというふうに考えております。 私自身も、こういう重要な問題が不安定な状況のままでいるということは決して好ましいことではないというふうに思いますけれども、会社更生法の中で対処をするということは困難ではないかというふうに考えております。
○木島委員 私も、会社更生法の中で対処をしろという立場、必ずしもそうじゃないんです。商法改正で企業分割法制をつくったときに、雇用承継に関する法律を別法でつくって、厚生労働委員会で審議したという経過があるわけですからね。政府としてそういうものをもう一つ出すべきではなかったか。先生は法制審の会長さんですから、また厚生労働省とは違うんでしょうけれども、そう考えておると。 二つ目でありますが、今度の会社更生法で現行法ともう一つ大きく違うのは、旧取締役陣の中から管財人になれるということであります。これもいろいろ解釈が分かれたところでありますが、現実の運用では、旧取締役陣は一切管財人になれなかった。 ことしの五月十三日の朝日新聞の社説にはこうあります。「中小企業では、社長を追い出したら再建などおぼつかないところも少なくないだろう。しかし、ゼネコンや流通などの大企業までが民事再生法に走っているのは、経営陣の居座りが狙いではないか、との指摘があることは見過ごせない。」モラルハザードになりやせぬかと。 やはり、旧経営陣は、損害賠償責任等はなくても、会社を破綻させてしまったという責務があるんですから、旧経営陣を管財人に任命できるような道を開くことはよくないんではないか、倫理上もよくないんじゃないかと思うんですが、竹下さんの端的な御意見をお願いします。
○竹下参考人 御指摘のような、モラルハザードが生ずる危険があるというのはそのとおりだと思います。 ただ、一方で、企業の経営が破綻をいたしますと、関連会社、あるいは従来ですといわゆるメーンバンクというようなところから新しい経営陣が送り込まれまして、その経営陣が経営の立て直しをするという例も間々見られることは御承知のとおりでございます。このような場合には、そのためにその企業に入り、そして企業の破綻については責任がないという者でございますので、そういう者に管財人の職務を遂行させる道を設けることも必要ではないかというふうに考えたわけでございます。 したがって、この法案でも、監督委員、あるいは場合によっては調査委員の調査の結果、責任追及の可能性がないという者に限って管財人に任命することもできるということにいたしておりますし、管財人の選任につきましては、その後の関係人集会で関係人の意見を聞くということになっております。それからまた、労働組合の意見も聞くことになっており、財産状況報告集会が開かれない場合には書面で意見を述べてもらうということになっておりますので、事後的にではございますけれども、そういう是正措置というものも用意されておりますので、私といたしましては、決して乱用的な運用というものは行われないのではないかと考えているところでございますし、また、そう期待したいと思うわけでございます。
○木島委員 先生おっしゃるような厳格な運用がなされればいいんですが、法律のつくり方が若干広いんじゃないかということを懸念していることだけ申し上げておきたいと思います。 綿引参考人にお聞きします。 先ほどの陳述の中で、今回の倒産法抜本改正の意義の第一に、不良債権処理の加速化を挙げられました。デフレ経済の長期化による倒産件数、規模の増大への対応と。私は、逆に、不良債権処理の加速化が行われることこそが、生きるべき企業までがつぶされる、デフレが加速され、中小企業の倒産や大量の雇用喪失につながるのではないかと懸念をしておるんですが、そういう懸念はないんでしょうか。
○綿引参考人 先生の御意見の趣旨を取り違えているかもしれませんけれども、法的整理というのは不良債権の処理の一つの道と私は考えておるわけです。ですから、この法律で別に加速するわけじゃなくて、特に、事業の早期再生というようなことで、早目に事業の優劣の切り分けが迅速に行われて、そういうことによって連鎖倒産を防ぎ、雇用を守りながら事業が再生できるということですから、傷の浅いうちに再生を図るというようなことですので、不良債権処理の加速化という、手段の、一つの道ではありますけれども、これが加速化を助長するというようなことはないかと考えております。
○木島委員 論争はやめますが、午前中の質疑で法務大臣が、不良債権処理の基盤をつくるんだということを言われるわけですね。ですから、そういう基盤づくりで不良債権処理が加速化するとなったら、かえって私はデフレが促進するんじゃないかということを心配しているということを申し上げておきたいと思います。 時間が余りありませんが、小山参考人に一点だけお聞きします。 営業譲渡の場合の労働組合からの裁判官の意見聴取等々、意見聴取の場面がたくさんあります。しかし、民事再生法の運用などを聞いておりますと、労働組合から意見を聴取した翌日に営業譲渡等の許可が下される。労働組合の意見がまともに裁判官によって聞かれていないんじゃないかというようなことを感じているわけでありますが、今、参考人の経験しているようなことで、もうちょっと意見聴取の手続等、あるいはもうちょっと労働組合、労働者の意見がこれらの手続にしっかり反映できる担保が必要ではないかという意見が強いんですが、これに関して御意見をお聞かせ願いたいと思うんです。
○小山参考人 先ほども陳述の中で申し上げましたけれども、裁判所が聞きおくというだけの手続にあの意見聴取が使われてしまったら何の意味もないことだろうというふうに思っております。実際に、労働組合、労働者の代表が納得をし、そしてその上で更生に向けて進んでいくという道筋がきちっとつけられていかない限り、形式だけの意見聴取に終わらせない方法をぜひ立法過程の中で明確にしていただきたいというふうに思います。
○木島委員 どうもありがとうございました。終わります。
○佐藤(剛)委員長代理 次に、植田至紀君。
○植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀でございます。 本日は、それぞれ三参考人の方々、御多忙のところ貴重な御意見をお伺いする機会をいただきまして、まずもって御礼申し上げます。 では、限られた時間の中で幾つかお伺いをしたいと思いますが、まず竹下参考人、そして綿引参考人、お二方にそれぞれのお立場で御教示なりまた御見解をお伺いしたいわけですけれども、私自身は、本来、企業再建手続のあり方というのが幾つか併存しているというのは望ましくない、好ましくないというふうに考えております、その正否はともかくといたしましても。要するに、併存している限り、実際マイカルのようないわば手続選択の誤りが起こってきて、結局はその後の企業再建に障害になる。マイカルの場合は、民事再生法を選択して、そしてそれで立ち行かなくなると会社更生法に言ってみれば切りかえた。そしてこれは、単にどっちが使い勝手がよかったかというよりは、この選択をどちらにするかという問題が、言ってみれば社長の解任を伴うような、そうした問題にもなってきているというふうに思います。 その意味において、民事再生法については大会社が選択するということは法律上否定しがたいわけですから、それは選択するのは自由なわけですけれども、いずれ近い将来、この民事再生法、会社更生法、両方を統合しながら一本化を図っていくというふうな方向なりなんなりというものがやはり展望されてくるんじゃないだろうかというふうに思うわけですけれども、その点について御意見をまずお伺いしたいと思います。
○竹下参考人 ただいま御指摘の点は、同じ再建型倒産手続でありながら、民事再生法と今回の会社更生法という二本立てを認めるのは好ましくないのではないか、将来の方向としては一本化すべきではないかという御趣旨であったと思います。 しかし、既に御承知のように、民事再生法と会社更生法では、その手続の構造に大きく違いがございます。民事再生法の方は、いわゆるDIP型というので、原則的には従来の経営者が経営を続けるということ、これに対しまして会社更生法の方は管理型が原則でございまして、裁判所の選任した管財人が資産の管理、事業の運営を担うということになっております。 それから、手続に参加する関係人の範囲にも大きな違いがございまして、御案内のとおり、民事再生法は一般債権者のみでございますけれども、会社更生では、そのほかに担保権者、それから租税債権者、労働債権者のように優先権を有する債権者、さらには株主も参加をする、そういう仕組みになってございます。そのために、これだけ大勢の関係人を手続に参加させながら企業の再建を図るということを可能にするものでありますので、大会社、上場企業等が再建をするときにはこの会社更生の方が望ましいと考えられているわけでございます。 しかし、御指摘のように一本化するということも確かに理論的にはあり得る考え方でございまして、私どもも、倒産法全体の見直しのある段階でそのようなことを考えないではございませんでした。しかし、ただいまのような性格の違い、それからまた対象とする企業の違い等を考えてみると、どうしても選択的に二つの手続を用意した方がよろしいのではないか。その場合に、御指摘のように、そうなると選択を誤った場合あるいは乱用的に一方の手続が選択をされた場合にどうするかという問題が起こってくるわけでございますが、その点につきましては、実は私どもは、そういう場合には一たん始まった手続をほかの手続に移行する、そういう道筋をつけるということを初めから考えていたわけでございます。 ただ、この移行の問題は、先ほど綿引参考人からも御指摘がございましたが、重要な問題でございますけれども、一体どういう形で移行できるのか、一方の先行する手続である程度やった手続的な効果を後の手続にどのように引き継がせたらいいのか、あるいはどの段階まで移行が認められるかというようなことは、それぞれの手続が完成してみないと見通しがつきませんために、実はこの点の手当てがおくれているわけでございます。 現在、先ほど来申しておりますように、破産法の全面的な見直しをしているところでございまして、それと並行して、実は内々事務当局には、破産法もできた上でどのようにこの移行の関係の問題を解決するかということの検討をさせているところでございます。 以上でございます。
○綿引参考人 現行法上重要な再建型手続としては民事再生法と会社更生法があるわけですが、これらの法手続を一本化して、例えば一つの法律の中にオプションを設けるというような考えは確かに考えられるところだと思うんです。確かに、一本化しますと、申し立て時点における最適な手続を選択するという負担がなくなるということで、申し立ての便宜の面では一本化することは非常に望ましいんじゃないかということを考えます。 他方、手続の予測可能性の点からは、別個の手続が用意されていることにもメリットがあるんじゃないかという気がしております。あと、民事再生法が、一昨年の施行以来、昨年も千百十件という非常に利用実績が大きいんで、既に実務でも定着してきているというようなことを考えますと、今回は一本化せず、将来的課題とするのがいいんじゃないかと私は考えております。 ただ、先ほど来申し上げていますように、複数の手続が併存することで弊害が生じるんじゃないかという観点から、移行措置の要否とか要件とか、そういうのは考えなきゃいけないなと考えております。 以上でございます。
○植田委員 引き続いて、これは綿引参考人の方に簡単にお伺いしたいわけです。 先ほども話題になっておりましたけれども、更生計画における更生債権等の弁済期間が計画認可の決定から十五年を超えることができないというふうにあるわけです。いろいろなお立場はあろうかと思うんですけれども、とりわけ更生会社の依存度の高い中小企業の場合、更生債権の弁済が長くなるとやはり経営を維持できない、そういう可能性が高いという意見はやはりあったわけでございます。その意味では、民事再生法の水準十年というのが至当ではないのかなと私は思っておるんですけれども、綿引参考人はどんな印象を持っておられるでしょうか。
○綿引参考人 弁済計画の期間に関しましては、今の会社更生法の二十年というのは余りにも長いという意見で、私も法制審議会の中で十二年というのはどうかというようなことを申し上げたぐらいで、今の経済のスピードから考えると十五年でもちょっと長いかなという感じはしたんですが、これはいろいろな意見が経団連の中でもありましたので、結局のところ、民事再生法は一般債権者だけを調整するのに比べて、会社更生法は、担保権者や優先度のある債権者、みんな取り入れてやっていますから、余り短くすると計画がきちんとうまくつくれないというようなこともございますので、原案の十五年ということに同意したわけでございます。ですから、個人的には、もうちょっと短くてもいいんじゃないかなと思うことはございます。 以上でございます。
○植田委員 時間ももう五分前となってきましたので、小山参考人に何点かお伺いしたいわけです。 私は午前中質疑もさせていただいたんですけれども、私自身、今回の法案に対しましては、その趣旨、方向性、手続を簡素化するなり合理化する、また再建手続を強化する、そうした意図自体は否定するものではない。現下の企業を取り巻く状況を見たときにそれ自体を全否定するつもりはないけれども、当然、それぞれの働いておられる労働者にとっては死活問題になってくるわけだけれども、今回出ている法案の中でその点についての担保がないじゃないか、そういう立場で質疑をさせていただきました。 先ほど小山参考人がおっしゃっていたこととかなり重なる部分でやりとりをさせていただいたわけですが、その際に、幾つかお伺いしたいわけですけれども、とりわけ、JAMさんといえば金属機械とゼンキンが合併して今や四十三万の大単産ではありますけれども、島津製作所もありますけれども、実際、小さい、中小のそうした単組をたくさん抱えておられまして、やはり今回の会社更生法案は、労働組合の中でも非常に切実に感じておられるところはあるなというふうに思うわけなんです。 ここで、私自身、今、どんどん労働者の新たな概念というか定義づけが広がっているんじゃないかと。そういう中で、とりわけ請負・委任的就労形態をとっている労働者について、企業の破綻、またその他の企業責任において労賃未払いの問題が生じたときに、今までのような、一般債権者と同列の扱いになっている、これはやはり不公平だと私は思っておりますが、その点についてはいかがかという点と、当然、こうした就労形態の労働者についても、いわゆる労働契約の場合と同様の労賃保護が本来されるべきではないか、こういう問題意識を持っております。 この二点について、小山参考人の御見解を端的にお聞かせいただければと思います。
○小山参考人 先生の御指摘のとおり、実質的に、そこで得る収入で生活をしているという意味では労働者と何ら変わらないわけでありますので、当然保護されるべきだろうというふうに思います。そうした措置が進められることを私も望んでいるところであります。
○植田委員 では、もう一点だけ小山参考人にお伺いいたしますが、これは先ほどのお話でもおっしゃっておられたことで、そこはちょっとかぶるわけですが、いわゆる管轄裁判所の東京、大阪中心主義ということです。 もしJAMの傘下の組合でそういう問題が起こったときは、恐らく体制も組めて適切にできると思うんですけれども、実際、上部団体に加入してへんような労組の場合は、私がここでるる述べなくても釈迦に説法なので省きますけれども、この対応ではきついだろうというのが共通認識だろうと思います。 来週、その点についてはちょっと伺おうと思うんですけれども、金沢の三善工業の事例なんというのは、幸い、そういう意味では置かれていた環境がよかったので、大体退職金の七割ぐらいまでは何とか取ることができたということですけれども、実際、現場でそうした困った事態がある以上、ここのところの配慮といっても現実こうなっている以上、もうこの部分は今は削除してもいいのではないかと私自身ははっきり思っております。書面による陳述も可能だとか言いますけれども、やはりさまざまな交渉なりなんなりでかなり行き来することは確かですので、これについては削除した方が私はいいんじゃないかと。いずれ法曹人口もふえてくるわけですし、いつまでも東京と大阪でしか対処できないということもないわけですけれども、少なくとも、置かれている立場を考えた場合、そういうふうに私はもうはっきり思っているわけです。なかなかそこはどこまで踏み込めるかわかりませんけれども、本音のところを聞かせていただければと思います。
○小山参考人 実は、審議会の中で、パブリックコメントの中で私がその点についても書いたわけですけれども、実際上、東京、大阪以外の管轄の問題についてはそれなりの合理性があると思うんです、親会社だとか連結だとか。ところが、東京、大阪、なぜそれだけというのは、裁判所側の合理性はあるかもしれませんけれども、そこで働いている人やあるいはそこでの債権者からは何ら合理性がないというふうに私は思っております。
○植田委員 合理性がないということでございますので、これはなくてもいいんだろうという御意見として承っておきます。 本日は、本当に長時間ありがとうございました。以上で終わります。
○佐藤(剛)委員長代理 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。 次回は、来る二十六日火曜日午前九時十五分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時四十六分散会