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154回国会参議院2002/04/11

法務委員会 第9号

発言数
234
登壇者
13
会派数
7
開催日
2002/04/11

会議録

高野博師公明党

○委員長(高野博師君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨十日、角田義一君が委員を辞任され、その補欠として今井澄君が選任されました。     ─────────────

高野博師公明党

○委員長(高野博師君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国際受刑者移送法案の審査のため、本日の委員会に法務省刑事局長古田佑紀君、法務省矯正局長鶴田六郎君、法務省入国管理局長中尾巧君及び外務大臣官房領事移住部長小野正昭君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高野博師公明党

○委員長(高野博師君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

高野博師公明党

○委員長(高野博師君) 国際受刑者移送法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 おはようございます。自民党の佐々木知子でございます。  まず、外国人受刑者の数、非常に増加しているというふうにちまたで言われておりますけれども、どういう状況にあるか、御説明願います。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  我が国で受刑している外国人受刑者の総数は、平成十三年度末で三千五百五十七人でありまして、平成四年末の収容人員が千三百四十八人であったことから、この十年間で約二・六倍に増加しております。  なお、永住者あるいは特別永住者、米軍関係者などを除きましたいわゆる来日外国人受刑者について付け加えますと、平成八年以前は統計がございませんので分かりませんが、平成九年末には千百三十二人であったのが十三年末には約二倍の二千四百六十人と増加しております。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 来日外国人に限ってのお話で結構なんですけれども、うちの国籍別の内訳をお願いいたします。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 国籍別で多いということですが、一番多いのはやはり中華人民共和国、二番目が大韓民国、その次がイラン、ブラジル、北朝鮮などということで、国籍数は六十三です。来日外国人も付け加えて申し上げますと、こちらの方では、やはり中華人民共和国が一番多く、イラン、ブラジルという状況で続いております。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 よくF級というふうに言われます、フォーリナースということだと思いますけれども、外国人であって日本人と異なる処遇を必要とする者というふうに理解しておりますが、F級の外国人が収容される施設というのは恐らく限られていると思うんですが、日本ではどこでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) ただいま御指摘になりましたF級、これは日本人と異なる処遇を必要とする外国人でありまして、現在二千三百十五人となっております。  このF級受刑者の収容施設は、男子につきましては、府中刑務所、大阪刑務所を始めといたしまして十七庁でございます。女子につきましては、栃木刑務所及び和歌山刑務所の二庁となっております。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 私が聞いたところによりますと、外国人受刑者が増え過ぎてF級収容施設だけでは賄えなくなり、日本語がかなり話せるとかそういうような状況にあれば、外国人でもF級と分類せずに普通の刑務所に入れるというような状況もあるというふうに聞いたんですが、そういうことございますか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  外国人の中にも日本語の理解力とかあるいは表現力が相応に身に付いているのもおりますし、また日本に住んだこともあるというようなことで、風俗習慣もそれほど日本人と異ならないという外国人いますので、そういう外国人受刑者については、F級というような形で特別の処遇上の配慮というのはしないで、一般の受刑者と同じように取り扱っているということはございます。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 やはり、外国人を処遇するとなりますと、日本人でもいろんな方がおられて分類処遇されているわけで、手間暇掛かるというのは分かるんですけれども、より以上に手間暇は掛かるだろう、現場の方々は大変だろうと推察するわけですけれども、例えば食事だとか言葉だとかたくさんあって、なかなかそんなに二分や三分ではしゃべれないとおっしゃるでしょうけれども、現場の苦労の一端などをお聞かせ願いたいと思います。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) ただいま御指摘いただきましたように、外国人受刑者の多くは、言葉の面で職員との意思疎通が容易ではございませんし、風俗習慣を異にし、食事、宗教等の面でも相応の配慮は必要となりますし、施設としてもその辺の負担は少なくないというふうに考えております。  具体的にどんなことがあるかということを現場の方から聞いたところでは、例えば、公務所の公文書というのは日本語で書かれているわけですけれども、F級の受刑者にその内容を理解させるというのは大変難しいという問題もありますし、また居室の関係でも、原則としてF級受刑者を独居というふうにしていますが、そのために日本人用の独居が慢性的に不足してくるとか、あるいは領置物、所持しているものが日本人の約三倍くらいの量になる。そういうことで、その保管の事務処理に大変苦慮するというような声も聞こえてきますし、そのほか、労役を、刑務作業を執行させる場合にその指導手続、そういうのに非常に時間を要するとか、そのほか、いろいろその対応には苦慮しているというようなお話は現場の方から聞いております。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 例えば、イスラム圏の人でしたら豚を食べない、ヒンズーの人であれば牛肉を食べないとか、食事の禁忌というんですか、食べれないものも随分あって、それを日本では配慮しているというようなこともございまして、非常に大変だというふうに伺っております。  そこで、本法案についてお聞きしたいんですけれども、そもそも受刑者移送制度というのはどのような制度なのか、概念的なものをお聞かせ願いたいと思います。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 受刑者移送制度というものは、外国に服役している受刑者に、外国人受刑者ですが、その改善更生及び社会復帰を促進するために、国際的な協力の下に、外国において自由刑の確定裁判を受けて受刑している者を、その外国、すなわち裁判国からその受刑者の本国、執行国ということになりますが、そこへ移送する、身柄の移送ということと、その後、その外国の確定裁判の執行の共助を行うものだというふうに考えておりまして、刑事に関する国際共助の一環を成すものというふうに理解しております。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 この受刑者ということですけれども、死刑確定囚は含まれていないというふうに理解しているんですが、それが外されている理由については、もう一度お答え願えますか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  今回、本受刑者移送制度を導入するに当たって、欧州評議会の受刑者移送条約というものに加入することを前提としておりますが、そこで条約上、刑とは何かということは、その一条におきまして、「裁判所が犯罪を理由として命ずる有期又は無期のあらゆる刑罰又は措置であって自由の剥奪を伴うもの」ということで、自由刑を対象としておりまして、死刑確定者は受刑者移送の対象とされておりませんので、この条約の国内担保法となる本法案におきましても死刑確定者を受入移送の対象とはしておりません。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 本来、刑罰権というのは一国の主権に属するものでありまして、当該国によって実現するのが原則であろうというふうに思います。  外国刑事判決の執行力を認めて内国で刑罰権を実施するということはあくまで例外のはずですけれども、今おっしゃったように、司法的な国際共助というような観点から認められるようになったということでございますけれども、国際的な沿革としては、まず、いかなる国において、どのような趣旨から受刑者移送が認められるようになったのか、お答え願えますか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 正確なことまで申し上げられませんけれども、やはりこの国際受刑者移送制度というのは戦後に登場したことでございまして、特に一九七〇年代に欧米諸国におきまして、行刑施設に収容されている外国人受刑者の増加といったことが問題になり、また一部の国では、他国に服役している自国民の保護といったようなことも取りざたされていると。そういった中で、これらの国の刑事当局者の間におきまして、外国で刑に服する受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰を促進するためには、やはり本人の母国に服役させる機会を与えることがいいのではないか、そういった理念がだんだん共有されてきたと、そういうことが背景になってこういった国際受刑者移送制度というものが認められるようになったと、そういうふうに理解しております。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 一つには、今おっしゃったように過剰拘禁を緩和するという目的があって、もう一つは人道的配慮、本国で改善更生をさせた方がいいのではないか、近親者とかの近くにおいて、というようなことだったというふうに考えておりますので、恐らくはヨーロッパとかそういうところから始まったんだろうというふうに思います。  受刑者移送の形態としては、二国間条約と多国間条約がございます。これは、受刑者移送に限らず、全般に条約について言えることでございますけれども、国際的に見て、受刑者移送に関しての条約はどんなふうな状況にあるか、お答え願えますか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 二国間条約といたしましては、一九七二年にデンマークとスペインとの間で締結されたのを始めといたしまして、フランスとアメリカ、カナダ等との間、アメリカとメキシコ、カナダ等との間、英国とエジプト等の間、タイとスペイン、ドイツ等の間でそれぞれ二国間条約が結ばれているというふうに承知しております。  一方、多国間条約の方ですが、これは今回、法案の前提となります欧州諸国を中心とする四十九か国が締約国になっております欧州評議会の受刑者移送条約、正式な名前は、刑を言い渡された者の移送に関する条約ということになりますが、そのほか、カナダ、チリ、メキシコ、パナマ、ベネズエラが締約国になっております米州機構受刑者移送条約があるというふうに承知しておりまして、最近では多国間条約の方が主流ではないかというような感じも受けております。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 我が国は、今回ようやく受刑者移送ということが取られるようになるわけですけれども、この受刑者移送制度については、これまでにどのように考えて、どのように取り組んできたのか、お答え願えますか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 受刑者移送制度につきましては、言語、習慣、生活様式、あるいは宗教の相違とか、あるいは親族との接触の欠如といったようなことから、外国人受刑者の受刑生活上の困難を除去する、そのことによりまして、その改善更生と円滑な社会復帰を促すという刑事政策的観点から見て有意義な制度でありますが、その一方で、受刑者移送を実施するためには、ある程度その諸外国との間で刑事司法上の共通性が必要であるというふうに考えてきたところでございます。  特に、近時、外国人受刑者が日本でも増加しておりますので、そういった外国人受刑者に新たな施策を実施することが重要な課題となってきたというようなことで、当局といたしましても、関係省庁とともに、諸外国の法制、その運用について調査しまして、その調査結果を踏まえまして、欧州評議会の条約に加入することを前提に、条約の実施に必要な国内法整備、そのための準備活動をこれまで続け、取り組んできたということでございます。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 先ほど来出ております欧州評議会の、正しくは、刑を言い渡された者の移送に関する条約、この条約の特色を述べていただけますか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  これは、欧州評議会作成のこの条約の解説書によりますと、本条約は、欧州評議会が一九七〇年に作成しました刑事の判決の国際的な効力に関する欧州条約というのがありますが、それとの比較において、次に申し上げる四点において特色があるというふうに言われております。  すなわち、まず一点目は、受刑者の迅速な移送を容易にするため、簡素な手続が規定されているということでございます。二番目に、裁判国のみならず、刑を言い渡された者の本国になります執行国からも移送の要請をすることができるというふうにされていること。三番目には、移送には受刑者本人の同意が必要とされていること。それから四番目には、被要請国には応諾義務がないという、その四点が特色というふうに言われております。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 本条約の締約国というのはどんな国になりますか、お答え願えますか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) この欧州評議会の条約、これは一九八三年に評議会で採択されまして、現在四十九か国がこれに加入しているわけですが、この加入国につきましては、欧州評議会加盟国の四十三か国のうち、イギリス、フランス、ドイツなどの四十か国がこの条約を締結しているほか、欧州評議会加盟国以外の国もこれに加入することができるという条約ですので、アメリカ、カナダ等、九か国の欧州評議会非加盟国がこれに加盟しておるというのが現状です。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 この欧州評議会の構成国は四十三か国、主にヨーロッパということで、ただ三か国が署名していないわけですよね。調べますと、署名のみで未批准の国が一か国、これがモルドバという国です。署名もしていない国が二か国ございまして、それがロシアとサンマリノという国になります。  ちょっと、モルドバとサンマリノにつきましては、実は地図を探さないとどこにあるのか私もよく分からないようなところなんですけれども、ロシアというのは非常に大きな国でありまして、また人口も多いですし、それなりに外国に受刑している人も多いだろうという国であります。ロシアン・マフィアというのも随分聞かれることでございますが、そのロシアが署名さえしていない。これはやっぱりゆゆしき問題ではないかということを考えるわけですが、恐らくお答えにはなりにくいのだろうということで、ロシアは多分、刑事司法制度がかなり違うので、今のところは批准とかそういうような手続には乗らないのではないかというふうに推察しておきます。  日本はアジアで最初の批准国ということだそうですけれども、この欧州評議会というのは、ヨーロッパだけれども、他の国にも締結することが開かれているというふうに考えていいわけですか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) そのとおりだというふうに理解しております。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 でも、恐らくは、欧州以外の国であってもいいけれども、同じような民主主義国家であるということが前提になっているだろうと思うわけです。例えば、共産主義だとか、いろんな意味で刑事司法制度が全く違うという国に関しては受刑者の移送ということを認めないのではないかというふうに思うわけですけれども、アジアで他に批准する動きというのはございますでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 現在のところ、アジア諸国でこの条約に加入してくる国はないわけですが、これはある程度感触みたいな話になって大変恐縮ですけれども、アジア地域の矯正行政に関する国際会議でアジア太平洋矯正局長等会議というのがございまして、この会議で受刑者移送の問題とかあるいは受刑者移送を視野に入れた国際的協力の問題について討議されたことがありまして、昨年、タイで開かれた第二十一回会議、ちょっと私は出席できませんで審議官に代わって出ていただいたわけですが、この議題の一つとして外国人処遇と受刑者移送が取り上げられまして、外国受刑者移送の導入につきましては、アジア地域の多くの国の出席者からは、各国でいろいろ温度差はあると思いますが、総じて申し上げれば、今後検討をしていくべき課題であると、そういった姿勢が示されております。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 日本でアジアの出身の外国人受刑者が今異常に増えているという事態を踏まえますと、他のアジア諸国にこの条約に加盟してくださいというふうに日本としては働き掛けるべきではないかというふうに思うわけですけれども、これからもそのようにされていかれるおつもりでしょうか。

森山眞弓自由民主党法務大臣

○国務大臣(森山眞弓君) 外国で受刑している者の改善更生及び円滑な社会復帰ということを促進する受刑者移送の刑事政策的な意義を考えますと、できる限り多くの国との間で受刑者移送を行うということが理想的だと思います。  我が国の刑務所に収容する外国人受刑者のうち、多くを占めるアジア諸国との間で受刑者移送を行うことも大変有意義だというふうに思っております。しかし、受刑者移送の本質が自由刑の執行に関する国際共助の一態様であるということにかんがみますと、受刑者移送を実施するためには、我が国と相手国との間の刑事司法制度にある程度の共通性があるということが必要でございまして、この点について留意する必要もございます。  法務省といたしましては、これらの事情も踏まえまして、欧州評議会の受刑者移送条約による受刑者移送の実績、成果などを見極めながら、外務省とも連絡を取りつつ、アジア諸国の受刑者の扱いについて検討を進めていきたいと思っております。  実は、先般、私、韓国へ参りまして、犯罪人引渡条約の署名をいたしてまいりました。そのときに懇談いたしました中で、韓国もこの問題に大変関心を持っておられまして、今後の課題として検討したいという話もございましたので、我が国もアジアの諸国との交換について関心を持って今後検討をしていきたいというふうに思っております。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 韓国は日本と刑法ないし刑事訴訟法、非常によく似た法制を取っておりますので、恐らく韓国がまず最初ぐらいから始めていただきたいなというふうに思っております。  海外で受刑している日本人受刑者の総数についてお答え願いたいと思います。うち、欧州評議会条約締約国で受刑している日本人の数についてもお答え願えますか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  海外で受刑している日本人の総数は、平成十三年一月一日現在で七十五人となっておりますけれども、そのうち、欧州評議会受刑者移送条約締結国で受刑している日本人の数は三十二人、その中ではアメリカで服役している者が一番多いということでございます。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 七十五人中、欧州評議会条約締約国で受刑は三十二人ということで、もしこれに条約締結して国内法が発効した場合には、このうちの何名かは日本に帰りたいというふうに恐らくなってくるんだろうというふうに思いますけれども、反対に、日本で受刑している外国人受刑者の数はもうお聞きいたしました。そのうち、欧州評議会条約締約国出身の受刑者数についてお答え願います。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 我が国で受刑している来日外国人総数は、先ほど申し上げたとおり、十三年末で二千四百六十二人となっておりますが、そのうち、欧州評議会受刑者移送条約の締結国の国籍を有する者の数は百三十二人となっております。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 約二千五百人中百三十二人ということで、この条約を締結したことによって日本で受刑している外国人の数がそれほど減るかといえば余り減らないだろうというふうに、ちょっと残念だなというふうに思うわけですけれども、そもそも圧倒的多数を占めているのは中国人ということで、これは冒頭にお答えがございました二千五百人中千人ちょっとはもう中国人である、半分近い数だというふうに聞いております。  欧州評議会条約というのはそもそも、私、今申し上げましたように、欧州諸国と同様の思想を有する欧州以外の民主主義国家にも署名を開放しているというような特色があるということでございますから、そもそも中国に対してこれを批准しろということを言うこと自体が無理なのではないかと。次いで多いと言われているイランにつきましても、これはイスラム国家であり、事情は同じではないかというふうに考えるわけです。  中国やイランが民主主義国家になって刑事司法制度も日本やヨーロッパとある程度共通のものになるのを待っていてはいつになるか私は分からないだろうというわけで、それは向こうの主権の問題ですから、日本がどうのこうの言ったところで恐らくは変わらないだろう。こうした国につきましては、多国間のこういう条約を、入るのではなくて二国間、バイの条約を締結するような努力というのはいかがでございましょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 受刑者移送制度の導入につきましては、さっきも話したとおり、多国間条約ではなくて二国間条約でそれを行っている国もあるわけですので、二国間条約を結ぶという選択肢もこれは十分考えられるとは思いますが、ただ、この受刑者移送制度を導入するには相手国との間で司法制度にある程度の共通性ということがどうしても必要になってまいります。この点を十分しっかり見極めなければ、仮に二国間条約ということをする場合でもこの点を十分見極めなければなりませんし、また一方で欧州評議会への加盟を前提とした受刑者移送制度ができております。それとの間でまたいろいろ差異ができるとかそういうことになった場合、果たしてそれが制度の目的を十分発揮できるのかどうかといったような問題もあるかと思います。  いずれにいたしましても、そういう問題も含めて、御指摘の点についても今後検討してまいりたいと考えております。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 この本条約の特色ということで最初お述べになりました中に、受刑者移送に受刑者本人の同意を必要とするということがございました。詰まるところ、これが特色だということは、受刑者本人の同意がない条約ということも当然考えられるということになるわけですね。  受刑者本人の同意が要るということになりますと、本人は選べるわけですよね。その執行国とそれから本国、どちらの方がよりいい処遇をしてくれるかということで、自分は受刑者移送に乗りたいか、それともそれを嫌だと言うかということは本人のやはり同意に任されているという状況になるわけです。  ということになりますと、日本の収容施設の状況ということ、これは悪いと言っている人もいます。規律正しくいつも行進をさせられたり刑務作業をさせられたりして、これはとんでもないという非難も一部では浴びているやに聞いておりますが、私が知る限りではこんなにいいところはない、もう帰りたくないと言っている発展途上国の出身者の方もこれは多うございます。  要するに、どこの国の出身で本国ではどういう生活をしていたかということにこれはよることになるわけでして、生活水準がかなり日本よりも悪いところから来ている人にとってみれば衣食住完備されて、おまけに医療付き、作業賞与金はそのまま持って帰れると。物価水準ははるかに日本より低いわけですから、私が聞いた話では、本国に帰って家を建てたというような者もございました。こういう人たちにとってみれば本国へ帰ったら拷問を受けるやもしれず、餓死させられるかもしれず、それはもう当然帰りたくないということになるだろうというふうに思うわけです。  これから二国間条約を締結するように私は努力していただきたいと思うわけですけれども、受刑者本人の同意というのはやはり必要不可欠なものだとお考えでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 受刑者移送というのは裁判国と執行国の間での合意で行い得るということですので、理論的には受刑者本人の同意が必ずなければいけないというものでもないかもしれませんが、一体何のために受刑者移送をするんだということになりますと、やはり刑罰の一つの目的であります受刑者の改善更生、円滑な社会復帰の促進ということがその目的となるわけで、そういった目的の観点から考えますと、やっぱり、移送に同意しない、そういう受刑者をその意思に反してまで移送して、そういう目的が十分実現するだろうか、そういうものが期待できるというのはなかなか難しいのではないかといったことを考えております。  また、仮に本人の同意がない場合に、出す方はいいでしょうけれども、受け入れる側の執行国はどういうふうに適切な収容の確保等矯正処遇を行えるんだろうかと、そういった点でもかなり問題があるような感じが今しております。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 それはおきまして、じゃ、法案の中身に入りたいと思いますけれども、受入移送と送出移送ということが、二つの観点があるわけですけれども、受入移送の実施には裁判所が関与する、送出移送の実施には裁判所を関与させることなく法務大臣が決定できるというふうに分かれておりますけれども、この理由についてお伺いいたします。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) ただいま御指摘になりましたように、受入移送の場合につきましては、その要件判断に裁判所、具体的には東京地方裁判所でございますが、そこの判断を要するという形で裁判所を関与させております。それに対して、送り出す場合の方は、その要件判断も含めましてすべて法務大臣が行うというふうな法制度にしております。  受入移送の場合ですと、確かに受刑者、外国では受刑者ということで拘禁されております。しかし、日本にとってみますと、移送によって初めて公権力による自由の剥奪ということが起こるわけですので、その点で、手続に慎重を期し、行政機関だけではなくて、公正独立な裁判所を関与させた方が立法政策として適当であろうということから、受入移送につきましては裁判所を関与させております。  他方、送出移送は、既に日本国で、本来の裁判で審理の過程で裁判所が判断して、有罪にし刑に処するという判断を既にしておりますので、そういう判断がなされた者を出して、執行国に対してその裁判の執行の共助を嘱託するに当たってはあえて裁判所の判断を関与する必要はないであろうと、そういった考えから今申し上げました制度とした次第です。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 いずれの場合も法務大臣が相当であるというふうに判断をするということになっているようでございますけれども、この判断の基準というものは、大臣、どのようなものでございましょうか。

森山眞弓自由民主党法務大臣

○国務大臣(森山眞弓君) 今までお話がありましたように、受刑者の移送というのは、外国で服役する受刑者をその母国に移送することによってその改善更生及び円滑な社会復帰を促進することを目的とするということでございます。  ですから、相当性の判断に当たりましては、受刑者移送制度の趣旨が生かされるように十分配慮する必要があるというふうに思います。  外国で服役している日本人受刑者の受入移送の場合には、その者の家族関係とか生活歴など、対象受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰の促進に関係する諸般の事情のほかに、受入移送をせずに、刑法第五条を適用して我が国が自ら処罰すべき犯罪かどうか等についても考慮し、個々具体的事案ごとに受入移送が相当かどうかを判断するということが必要であると考えます。  一方、我が国で服役している外国人受刑者の送出移送の場合には、その者の改善更生や社会復帰の促進と同時に、他方で、我が国の裁判所が言い渡した刑罰の持つ応報機能や抑止効果が損なわれるようなことがないように留意しなければならないと思います。そこで、受刑者移送の目的や刑罰の機能等がより良く発揮されるように、関係する諸事情を総合的に勘案いたしまして、個々具体的事案ごとに送出移送が相当かどうかを判断するということが肝要であろうと思います。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 移送の要請があってから審査請求をする、及び決定をする、で、移送が現実に行われると。それまで要する期間というのはどれぐらいだというふうに考えられますか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  裁判国から受入移送の要請があった場合には、法務大臣が裁判国から送付された書類等によりまして、法案の五条に規定しております要件に該当するか否か、それからまた、かつ要請に応ずることが相当であるかどうかといったことを判断することとなっておりますけれども、個々の事案ごとに要請に応ずることが相当であるかどうかの判断に要する期間というのはやはりいろいろ異なるわけでございまして、移送の要請から、東京地方裁判所に対する審査請求、またその決定を経て、最終的に移送の当否を判断するまでに要する期間というものは、今の段階では一概にちょっと申し上げられないということでございます。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 日本にこの条約締約国の出身で受刑している人が百三十二人いて、海外に反対から考えて三十二人日本人がいるということで、そういう方々にこういうことを、こういう条約を締結して実施されますよ、だからあなたは移送に乗れますよということを周知徹底していかないといけないというのも、それも結構大変なことだというふうに考えておりますが、外国刑が有期の場合は最長二十年まで、少年の場合は十五年というふうになっておりますというのは理解できるわけですけれども、外国刑が無期であるときという場合、いわゆる終身刑というような無期刑もございます。そういう場合は、これはどういうふうに考えているのでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  法案にあります共助刑の期間を定めるに当たりまして、その関係の規定が法案十七条一項一号にあるわけですが、ここに「外国刑が無期であるとき」というのはお尋ねの終身刑も当然含まれます。  ただし、その執行につきましては、無期刑に関する我が国の刑罰法令に基づいて行われると、そういうことになりますので、裁判国が言い渡した終身刑が仮出獄がないものであったとしても、その共助刑につきましては我が国の本来の無期刑と同様に仮出獄を許可することは可能であるというふうに考えておりまして、そういう取扱いにつきましては、この条約上も受入移送後の刑の執行はすべて執行国の法令によるというふうにしておりますので、条約上も許容されているというふうに理解しております。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 外国刑が有期で、もしかして五十年ということになっても、日本の国内法で考えた場合に二十年まで、少年の場合は十五年というふうに、国内法に従って制限されると。無期刑も、仮釈放は例えば二十年、三十年まで認めないということがあったとしても、日本の法律に従って十年たてば仮釈放の対象になるというふうに考えていいのだろうというふうに理解いたします。  条約を見ますと、刑期が半年以上残っていることというのが条件になっているようですけれども、本法案でこれが外されている理由についてお聞きいたします。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 確かに、今御指摘のとおり、条約上はそういう規定がございます。  条約は、残刑期が極端に短い場合には移送目的の達成が非常に困難であるということと費用対効果の観点から、移送の要請があったときを基準に六か月の残刑期があることを要件と掲げておりまして、条約の第三条1cというところにそれが定められているわけですが、他方で、裁判国、執行国双方が適当だというふうに認める場合には、残刑期が短い場合であっても移送を認めているというのが同じ第三条の2というところに規定されておりますので、結局のところ、この残刑期六というのは絶対的な制限事由という、制限事由というふうには条約上も規定されておりませんので、結局、相当性の判断でその辺を勘案すれば十分足りるのではないかということで、あえてその点は移送の、受入移送の制限事由という形では規定しなかったと、こういうことでございます。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 先ほど少し私が触れましたけれども、国際人権規約委員会から我が国の受刑者処遇の問題点、幾つか指摘されているようでございます。どういうことを指摘されているのか、そして日本はそれに対してどのような釈明なり抗議というのを行っているのか、それについてお答え願います。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  平成十年の十月に国連規約人権委員会において審査がなされまして、そこでは日本の行刑に対して、所内行動規則とか懲罰の使用が厳し過ぎる、あるいは懲罰の決定するための公平かつ公開手続が欠けているのではないかといったような点が指摘されたわけですけれども、私どもとしては、我が国の刑務所の処遇に、B規約に違反するとかあるいはそういうものではなくて、適合するものであるというようなことでその審査の席でるる説明したところでございます。  今、委員会の指摘された事項については、それに関連して一部、一層の改善を図った案件はあるものの、委員会の指摘を見ますと、我が国の刑務所の処遇について必ずしも理解が十分で、不十分な点もあるように見受けられます。例えば、委員会の指摘する所内行動規則、懲罰の運用等については、やはりいずれも拘禁目的を達成する、被収容者の安全を確保するために必要かつ合理的なものでありまして、過酷とされているようなものではないというふうに考えております。  ただ、こういう見解に対して、我が国に対しては法的拘束力があるという性質のものではありませんので、当局において特に釈明とか抗議というようなことは行っておりません。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 ヨーロッパでは一般に刑罰というものは自由を束縛するものであるというだけに考えているところが多いようなんですね。日本で勤労させるということはけしからぬということをよく言われたり私もいたしました。ただ、それに対して私は、日本人は元々勤勉なのであって、悪いことをして入った者が中で労働せずにずっと昼寝ができるというようなそんなことは許されない、被害者がいるということも考えてもらわないといけないということをお答えすると、割と納得していただけたようでございます。それは、要するに文化というものが違うわけですから、一概に向こうの観念で言われても、日本でそのまま受容できるものではないということなんですね。  収容処遇というのは国民の税金で賄われるものであります、当たり前といえば当たり前かもしれませんが。国の構成員であれば、それは真人間にして元の村に返すという意味で矯正処遇をすべきなわけですけれども、これが外国人ということになりますと、仮釈放であっても満期釈放であっても、出た後は強制送還をすると。国の構成員ではなくなるわけですから、それに対してあえて税金を使って日本の刑務所で収容処遇をする意味がないのではないかと、こういうことを言う人もいます。実は、私もそう思っている一人なんですけれども。  だから、直ちに、刑が確定したら執行することなく送り出すという方策も取られてしかるべきではないかということも考えるわけですが、これについていかがでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  送出移送を実施する時期をどうするかということのお尋ねではないかと思うわけですけれども、送出移送の場合、送出受刑者が母国で服役することによります改善更生及び円滑な社会復帰の促進という観点とともに、先ほど大臣の方からも御答弁がございましたけれども、我が国の刑罰執行責任についても十分配慮する必要があるわけでありまして、比較的早期に送出移送するのが適当な事案もあるかもしれませんが、余り早期に送出移送を実施することは、送出移送犯罪の重大性とかあるいは被害者感情等の観点から適当でないと考えられる場合もあると思われます。したがいまして、個々の事案ごとに最も適切な時期を見定めて送出移送を実施するのが肝要ではないかというふうに考えております。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 外国人受刑者の刑務作業についてお伺いしたいんですけれども、刑務作業の説明をするのがいろいろな言葉が必要なので大変だということを冒頭の方でおっしゃいましたけれども、どういう作業を実施させているのか。恐らく、日本人とはちょっと違うのではないかというふうにも考えるわけですが、それについてお答え願えますか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 刑務作業は、入所時の調査等を参考にいたしまして、処遇上あるいは作業上、保安上、医療上等の観点から検討した結果、それを課しているわけですけれども、外国人受刑者についても基本的には同じ考えで取り扱っております。  ただ、今御指摘がありましたように、言語の問題等がありますので、複雑な作業手順を説明する必要がある作業とか、あるいは印刷の校正作業のように日本語が分かることが前提となる作業というものにつきましては、これに従事させることは困難であるということで、それ以外の刑務作業に適宜就かせているというのが現状でございます。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 好況のときは刑務所で作業させるものというのがたくさんあっていいんですけれども、不況になって普通の日本国民でもなかなか職にあり付けないというような状態になってきますと、刑務作業に回すようなものが余り見付からないということで、随分、矯正の現場の方たちは苦労しているということを聞いたことがございます。刑務作業がなければ、もし作業がなければ、みんな暇を持て余して、ついにけんかを始めたりとか、規律を保つのもなかなか難しいんだということもよく聞こえてまいります。現場の方というのは本当に苦労されているんだろうと私は思うわけで、外国人が増えれば、またその国籍も増えれば増えるほど大変なことになるだろうと思っております。  作業賞与金の額というのは、日本人と外国人を比べた場合に、作業が同じである限りは同じだというふうに考えてよろしいわけですか。ちなみに、額もお聞きしたいのですが。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 基本的には日本人受刑者と外国人受刑者で同じでありまして、額は月平均して、受刑者の等級によって違いがありますが、平均すると約四千円ということでございます。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 これは、日本人の場合もそうなんですけれども、被害弁償が全くなされないというケースが間々ございます。外国人の場合にはどちらかというと日本人よりもそういうケースが多いだろうというふうに想像するわけですけれども、作業賞与金から支払わせるというような措置というのは取られていないのでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 作業賞与金を犯罪被害者に対する賠償に充てるということについては、受刑者の方からそういう願い出があった場合には、情状等も考えますが、一定の範囲で釈放時に支給する作業賞与金の中から在所中に送金することはあります。昨年度でも百以上を超える件数がありまして、外国人の中には二名ほどそういう措置を願い出た者があったというふうに承知しております。

佐々木知子自由民主党・保守党

○佐々木知子君 自発性を待っていては恐らくそういうことはほとんど起こらないだろうと思うわけで、説得しないといけないだろうと思うわけですけれども、私がこういうことをお聞きしているのは、被害者にとってみれば被害弁償を全くなされない、そして送出移送ではもういなくなってしまう、そういうことでは被害感情というのは満足されないだろうというふうに思うからです。  こういうことに関しまして最近関心がおありの方が多いようで、私のところにもよくメールなどが入るわけですけれども、こういうことを、面白いことを書いてきたのもございます。  日本がODAで供与をしている国だったら、その被害額をODAの供与額から削ればいいんじゃないかとか、ODAの供与をしていない国であれば、日本にあるそこの国の、財産があるかどうか分かりませんけれども、それを押さえるとか、それぐらいやるべきではないかというような意見も来ております、法律的には非常にそれは難しいことだとは思いますけれども。  そういう国民感情もあるということを付言いたしまして、早めではございますけれども、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

千葉景子民主党・新緑風会

○千葉景子君 民主党・新緑風会の千葉景子でございます。  今日は受刑者移送法についての質疑でございますけれども、ちょっとその前に一点質問をさせていただきたいと思います。それは、いわゆる民法の改正問題でございます。  この民法改正、選択的夫婦別姓制度を中心といたしました民法改正、私ども野党の議員提案という形でこの参議院にも民法改正案を提案をさせていただいております。これを具体的に審議をさせていただくという事態にはなかなかならないのでございますけれども、どうやら少し動きといいましょうか、が出てきているやにも伺っております。  ちょうど、先般、三月十九日だったでしょうか、浜四津委員が大臣に、なかなか膠着状態だけれども、何か、どうやったら動いてくるかというようなことをお尋ねしまして、大臣も、何とかこの国会に出せるような知恵を絞って何とかなりそうだと前向きなお答えもあったように私も記憶いたしております。  期待をしながらいたところでございますけれども、報道によりますと、昨日でしょうか、法務省の方で自民党さんの方の法務部会の方に民法改正案、選択的といいましょうか、夫婦別姓をどう扱うかということを含めた骨子を御説明になったやに伺っております。  これは報道でございますので、私が申し上げるのも何か大変僣越でございますけれども、部会ではつかみ合いになったというような報道もあったり、大変な論戦になったという報道等もされておりまして、活発に御議論をいただくというのは結構なことだというふうには思うんですけれども、是非、その活発な議論を通じながら少し前向きな道筋が見えてくればというふうに思ったりいたします。  そこで、ちょっとお尋ねをさせていただきたいと思うんですが、今回お示しになった骨子というのは、言わば原則が同姓制度、そして例外的に別氏制度を認めるという位置付けと伺っているところでもございます。並列的に同姓でも別姓でも選択できるということに比べますと若干ニュアンスが違うというふうに私は受け止めているところでもございます。ただ、一つのやはり打開策というんでしょうか、あるいはこれを前進させる一つの知恵なのかなという感じもいたしますけれども。  これまでなかなか法務省の方から御提起をされ得なかった状況がございますが、ここへ来まして、この原則例外という形での骨子ではございますけれども、自民党の方に御説明をされて、ということは、この方向でいこうかという御決意をなさったといいますか、それはこの時点でどういう意味があったのでしょうか。何か、ああ、これならいけそうだという見込みが付かれたのかなと大変そうも思ったり、しかしその報道などを拝見いたしますと、いやいや、まだまだ相当困難な道のりかなと思ったりいたしますけれども。  大臣、この時期にこういうものをおまとめになられて自民党、与党の方にもお示しになったということの意味と、それから、大臣のやはり思いでもおありだと思いますけれども、今後の見通しなどについてどんなふうにお考えになっておられるのか。是非、私は大臣に本当にリードしていただいて、この国会ででも成果が出るように期待をいたしている一人でございますけれども、大臣の御認識を、御見解をまず伺わせていただきたいと思います。

森山眞弓自由民主党法務大臣

○国務大臣(森山眞弓君) 大変御心配をいただいておりまして恐縮に存じますが、この問題はかなりもう長い間、法制審議会の答申をいただいてからも既に六年たっておりまして、その前の検討を加えますと十年以上の多くの方の検討の結果、いろいろな案が出てきたところでございます。  法制審議会ではいわゆる選択的夫婦別姓という内容のものを御提示いただいたんでございますが、これが十分理解をしていただくのに難しい点があったり、特に自民党の法務部会その他におきまして非常にいろんな議論が出てまいりまして難しい状態になったこともあったわけでございます。  これは、このまま何が何でもあの案でなければならないと言っていたのでは進みようがないというふうに考えまして、部会の中でもいろんな御提案がございました。もっとこういうふうに考えたらいいんじゃないか、あるいはこういうアプローチはないかとかいうような御提案がございまして、それらのお考えを参考にさせていただきながら、審議会の答申ということも踏まえつつ、例外的な場合ということで、そういう意味を強くした内容にしてみたらどうかというふうにだんだんお話がまとまる感じであったものですから、それでは法務省、その例外的ということでまとめられるならば案を書いてみてほしいというふうに言われまして、書いてみて、それを御提示申し上げたというのが昨日の段階でございます。  ですから、あの案ですんなりといくという見通しが立ったというわけではございませんで、自民党の部会の皆さんの御参考までに、現段階で皆さんの御意見を参考にしつつ考えられるものはこんなものでございますということをお示ししたわけでございますが、かねてから大変いろいろな議論のあった非常に関心の高い問題でございますので、その案を中心にして更にまた甲論乙駁があったというわけでございます。  ですから、両方ともに余り自分の主張を硬直的にいつまでもこだわっておりますと一向に前へ進まないという状況はまだまだ心配されるわけでございますので、私といたしましては、もう少し工夫する余地はないだろうかということも考えなければならないというふうに思っているところでございますが、御存じのように、この問題は、国民の価値観が大変多様化してきて、特に女性の生活が変わってきておりますので、百数十年前に決められた夫婦同姓を強制するという今のやり方という中にははまらないと、それでは非常に困るという人が、数がそうたくさんではないけれども、その人にとっては非常に深刻な問題を提起しているわけでございまして、そういう人たちにとってうまいぴったり合った方法はないかというのが問題でございます。それを、いつまでも両方がこだわっておりまして互いに張り合っているだけでありますと、困っている人たちがいつまでたっても解決されない。その結果、法律上の結婚はともかく事実婚でいこうということになって、現実に事実婚が増えてくる兆しが大変今多く見えております。  そうなりますと、それはそれでもいいという割り切り方もあるかもしれませんが、そういうことになった場合に被害を受けるというか困るのは女性と子供であるというのが現実でございまして、私は、妻とか母とかという立場が法律的に守られるということも重要だし、また子供の地位も安定するということも重要であると。  そういうことを考えますと、事実婚が増えればそれはそれでいいじゃないかとは言っていられないというふうに思いますし、結婚という非常に人間にとって大切なイベントですね、そのことが、イベントではなくて一生続くことでありますから大変重要な課題でありますが、それが法律的にカバーされて、法秩序がその面でもできるだけ維持されるようにするべきだと。それが国民の全体のためであり、特に女性や子供のためにその法律的な保護を徹底するゆえんであるというふうに今思っておりますので、いろいろな考え方、おありでしょうけれども、更にお互いに話合いを進めて、何とか困る人たちの選択の余地が幾らかでも、少しでも増えていくようにする道を探したいというふうに考えているところでございます。

千葉景子民主党・新緑風会

○千葉景子君 ありがとうございます。  本当に、法務省の方で大臣のリードの下に一つの案を示されたということは、これはやっぱり重いことだというふうに思っております。私たちも、並列的な選択制を提起はさせていただいておりますけれども、是非やっぱり法務省がここまでいよいよ一歩を踏み出されたということをそれぞれが重く受け止めながら、そして今これを期待し待っている多くの皆さんのニーズにこたえていくことができるようにできたらと私も思い、今の大臣のお話を伺わせていただいておりました。是非、また引き続きリーダーシップを発揮していただきたいと、期待をさせていただくところでございます。  それでは、本題の方に入らせていただきたいというふうに思いますが、先ほど、既に佐々木委員の方からも様々な御質疑がありました。私も共通する部分等もございます。できるだけそれを避け、少し観点がまた異なるかもしれませんので、多少重複いたしましたらお許しをいただきたいというふうに思います。  この受刑者移送、これはもう既にこれもお話がありましたけれども、外国で刑に服している者を本国で引き続いて刑罰を執行しようということでございますので、やっぱりそれぞれの国で刑罰に対する考え方とか、その刑罰法規のシステム、処罰のシステムが全く懸け離れているという状態では、なかなかこの制度というのを適用するのは難しいんだろうというふうに思います。やはり、一定の共通性みたいなものがあればこそこの制度が実効性を持つのではないかというふうに思います。  その意味で、少し刑罰そのものについて、どんなふうにそれぞれ各国がなっているかということを教えていただきたいというふうに思っているところです。  我が国の刑罰の制度は、これもこんなところで言うのも釈迦に説法といいましょうか、あれですけれども、基本的には死刑、そして懲役、禁錮、罰金、拘留、科料と、こういう刑罰の種類がございます。懲役、禁錮はそれぞれ無期、有期という形で種類がございますけれども、こういう刑罰の種類ということになります。懲役、禁錮は、有期の場合には一月以上十五年以下と、これが重さでございますし、拘留の場合は一日以上三十日未満と、こういうことになっております。加重する場合にどこまでいくかというと、懲役、禁錮で有期で加重して二十年という加重がされるということになるわけですけれども。  さて、こういう日本の刑罰の体系と、これに対して、この条約、今回この条約に基づいて受刑者移送というのがなされるわけですので、この条約締結国で一体どんな刑罰体系になっているのか。特に、今回の法案内容そして条約内容は自由刑ということになりますので、そこを中心にお伺いをしたいというふうに思いますけれども、特徴的な締約国での刑罰のシステム、これについて御説明をいただきたいと思います。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  私どもで調査した範囲ですので、完全に把握できているかどうか分かりませんけれども、お尋ねの趣旨に沿って御説明させていただきます。  主要国五か国ということで絞らせていただきまして、まず自由刑の刑期、これは一個の拘禁刑の場合ということで見てみますと、まずアメリカの連邦ですが、仮釈放のない終身刑及び有期刑となっております。イギリスは無期刑及び有期刑、フランスですが、無期刑及び三十年以下の有期刑、ドイツが無期刑及び十五年以下の有期刑、イタリアが無期刑及び二十四年以下の有期刑と、そういうふうになっております。  複数の犯罪があった場合の処理の仕方ということですが、フランスのように最も重い刑の法定刑の範囲で科刑するという国もございますし、ドイツのように最も重い刑を基礎といたしまして、他の短い刑の刑期の範囲内で加重の幅を決めて科刑するといった立場の国もあります。ただ、後者の場合であっても、一定の上限を超えられないという制限が置かれると。この点は日本と似ているわけですけれども、そういう国がありまして、ドイツではそれが十五年、イタリアでは三十年が上限というふうになっております。  なお、もう少しあれいたしますと、刑務作業の関係で申し上げますと、これら主要国のうちでは、フランスが作業を義務付けていないほかは、他の国では刑法あるいは行刑法令によって作業が義務付けられております。ただ、それが刑の内容として義務付けられるかどうかまでは正確にはちょっと申し上げられませんが、いずれにしても刑法あるいは行刑法によって作業が義務付けられておるということです。  大体以上が自由刑の中身というか、概要についての説明でございます。

千葉景子民主党・新緑風会

○千葉景子君 まあ、違うといえば違うし、共通性があるといえばあるというところかなと思うんですけれども。  アメリカなどは、よく言われますように、刑の加重をされますと何十年、極端に言うと百年とかいう刑期があるなどと言われることがあるんですけれども、これはそういうことなのでしょうか。それとも、計算上はそうなるけれども、執行行刑上はどう違っているのでしょうか。その辺はちょっと確認をしたいんですけれども。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  御指摘のとおり、アメリカでは極めて長い拘禁刑が言い渡されるケースもありますが、私の知るところでは、恐らく複数の事件を、あるいは刑を執行する場合にそういったような面が考えられると思います。  この場合に複数の刑をどう執行するかという問題がありまして、一つの刑に継ぎ足して順次全部執行すると、これは、日本はそういうやり方を取っていますが。そのほかに、裁判所の判断によりまして同時に執行する。例えば二十年、三十年、五十年というのが三つあったとすると、これを足しますと百になるわけですけれども、そのうちの一番長い、先ほどの例でいえば五十年ということで、それまで服役すればそれですべて刑の執行を終えたことになるという、言わば同時に執行が行われるという法制もあるようでございますので、一概に、百年とかそういう長期になったからその期間全部服役しなければならないとまでは言えないのではないかというふうに理解しております。

千葉景子民主党・新緑風会

○千葉景子君 なかなか、刑の執行の在り方というのがそれぞれの国によっても異なる部分もあり、やっぱりそれを片方の国がそれをつないで行刑をするというのにはいろいろ難しい面とか工夫しなければならないところがきっと出てくるんだろうなというふうに思ったりいたします。  今、刑務作業の有無についても触れていただきました。さらに、例えば日本で仮釈放の制度がございます。この仮釈放とかあるいはそれに類する制度、早期に満期を待たずして釈放するというような制度については各国どんな状況になっているでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お尋ねになりました早期に釈放する制度でございますが、これも先ほどの主要五か国で見てみますと、アメリカには善時制度というのがございます。要するに、受刑者の行状の良さに応じまして一年の服役について最高五十四日分の範囲で刑期を短縮すると、そういう制度を採用しているほか、他の国では仮釈放制度が設けられておりまして、どの程度の期間があれば仮釈放が許されるかといったいわゆる仮釈放が許される期間につきましては、刑期の二分の一とかあるいは三分の二の経過後にそれが許される、認められるというのがその他の国の大体概要でございます。

千葉景子民主党・新緑風会

○千葉景子君 今、ほぼほとんどの国、まあアメリカはちょっとやり方が違うようですけれども、早期に釈放するたぐいの制度はどこもどうも持っているようにも伺えるわけですけれども、ただ、その短縮の仕方は大分違うと、刑期の何分の一というその基準も違いますしね。そういう各国のそれぞれの状況があるのだということが分かろうかというふうに思います。  こういう中で、この機会ですのでちょっと伺わせていただきたいというふうに思いますけれども、どこも、無期刑的なもの、あるいは終身刑のような刑を持っている国もございます。我が国でこの無期懲役受刑者というのは実際にはどのくらいの長期になっているんでしょうか。一番今長くてどのくらいの受刑期間になっているのか。そして、仮釈放もかなり多いと思うんですけれども、その比率なども分かれば、ちょっとこれ、事前に細かくお尋ねしていなかったかとは思うんですけれども。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  無期懲役受刑者の収容人員が平成十三年度末で千九十七名ですが、このうちで最も長く服役している者は、今年の二月末ということで見てみますと、五十二年十月ということが一番長いものでございます。  なお、無期刑の仮釈放、今ちょっと手元にありませんが、昨年は恐らく七人程度が仮釈が認められたというふうに聞いております。その服役期間というか、仮釈が許されるまでの服役期間は約二十一年くらいではなかったかというふうに思います。

千葉景子民主党・新緑風会

○千葉景子君 一番長くなっている受刑者で五十二年ですか、本当に長い受刑期間ということになりますけれども、片や仮釈放になるのが、二十年ぐらいで仮釈放になるということもかなりケースが多いわけで、この日本の刑罰の中でも無期懲役刑の在り方みたいなのもひとつ論議になってくるのかなという感じがいたします。  最近、この刑罰制度を見直したらどうかという議論がございます。全体というよりは、一つやっぱり皆さんが議論を始めているのは死刑制度とそれから無期刑、これの間が余りにも広過ぎるんではないかと。まあ、死刑については賛否両論ございます、私自身は否定的な論者ではありますけれども。  これは、今日はそんな細かくお聞きするつもりはありませんけれども、ただ、やはりこの死刑という極限の刑と、それから今の無期刑の仮釈放で二十年ぐらいで釈放されるという、五十二年という長い期間の場合もありますけれども、どうもその間が余りにも空いているのではないかと。だから何となく、被害者の側から見ても一般の市民感覚から見ても、急に死刑になるか、あるいは非常に釈放される時期も早い無期刑になるか、どっちかで、何か釈然としないという意見も多々見受けられるところでもございます。  そこで、ちょっとお聞きをさせていただきますけれども、今、各国で死刑を廃止している国、それから存置をしている国がございます。この廃止をしている国で一番死刑以外で重い刑というのはどういう刑を科しているんでしょうか。

古田佑紀法務省刑事局長

○政府参考人(古田佑紀君) いわゆる死刑廃止国におきます刑罰の上限は、これは各国によって実は様々でございます。したがいまして、そのすべてを承知しているわけではございませんが、例えばイギリス、ドイツ、フランス、イタリアについて申し上げますと、一定の期間拘禁を執行した後、仮出獄、仮釈放を許す無期刑を上限としております。それから、刑罰の上限について、仮出獄ができない、を許さない、いわゆる絶対的な終身刑でございますが、これを採用している国としてオランダ等があると承知しております。また、いわゆる無期ではなくて、最高刑が有期であるという国もあり、例えばスペインでは最高刑が三十年の懲役というふうになっていると承知しております。

千葉景子民主党・新緑風会

○千葉景子君 死刑を廃止をしている国では、やはりそれに代わるような、多少刑期が長い、あるいは仮釈放などがない終身的な刑を採用しているというようなケースも多いように思われます。  先ほど申し上げましたように、我が国では死刑制度を存置をしているということになりますけれども、それに対しての廃止論もあり、あるいは存置論もある。なかなか議論が十分にされていきにくい一つの理由に、やっぱり死刑とその無期懲役との落差の大きさですね。だから、死刑を廃止したらもうどんどん釈放されてしまうんじゃないかという片方の論になりますし、今度は今の無期だけでは、じゃ重い刑は少し軽過ぎるのではないかということにもなりますし、なかなか議論が進まない。  我が国で、現状、死刑を存続させているという理由というのは一体どんなところにあるんでしょうか。

古田佑紀法務省刑事局長

○政府参考人(古田佑紀君) 死刑の問題につきましては、委員御指摘のとおり、様々な御意見があるわけでございますが、やはり基本的には国民がどのように考えるかということにあろうかと思うわけでございます。そういう点から申し上げますと、国民世論の多数が、やはり大変悪質、凶悪な重大事件、こういうものについては死刑もやむを得ないと考えていると思われるわけでございまして、一方、犯罪の現実を見ましても、多数の者を殺害する事件でありますとか、誘拐の上殺人する、殺人を犯す事件などの凶悪・重大犯罪が、これが起きているところでございます。  こういう状況を踏まえますと、やはり罪責が非常に重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては死刑を科することということにしておくことはやむを得ないというふうに考えているところでございます。

千葉景子民主党・新緑風会

○千葉景子君 重い犯罪に対して、やっぱりそれだけの重い罰を科するのはやむを得ないというところかもしれません。ただ、この死刑制度につきましては、本当に論議が賛否、本当に両極に分かれてなされるような状況でございます。多分、この国会の中でも議論をさせていただくと、やっぱり賛否両論、平行線をたどるような議論になってしまうのではないかという感もいたします。これはもう党派を問いませんで、国会にございます死刑廃止を目指す議員連盟は亀井静香先生が会長をなさっているということでもございますし、これは本当に、そういう議論、なかなか難しいというふうに思います。  ただ、やっぱりその前提として、先ほど言いましたように、余りにも死刑というものとその次の刑がちょっと離れている。だから、なかなか廃止といっても皆さん、それじゃもう余りにも軽くなっちゃうだろうというふうに思いがちですし、その辺のことを考えますと、先ほど、死刑を廃止をしている国々では終身刑的な刑罰を持っている国もかなり多いというふうに承りますので、そういう意味で、やっぱりこの仮釈放がない終身刑的な刑罰というものを考えてみる私は一つ意味はあるのではないかというふうに思っております。  特に、私は、この刑罰の問題、今議論する必要があろうかというふうに思うのは、司法制度改革が進んでおります。その中に、司法に対する国民参加ということが大きなテーマとしてうたわれておりまして、これからやっぱり裁判の場に国民が参加をし、そして一つの犯罪なりに対してやっぱり市民がいかにみんなでそれに対して対面していくか、対峙していくか、そして責任を持ってどういう処罰を、あるいは社会的制裁を加えるべきかという論議に加わっていくことになるわけですね。  そうなりますと、やっぱりこの刑罰の在り方、そして一番重い刑として命を奪うという刑を存続させておくことが本当によいのかどうか、あるいは、じゃ、それに代わるものがないのかどうか。人を裁くというときに、一体どういうことなのかという論議をやっぱりこれはかなり国民的なオープンな形でしてもいいのではないか、むしろする必要があるんじゃないかというふうに考えたりしているところでもございます。  そういう意味で、この終身刑的な刑の在り方といいますか是非、こういうものなどについて、この法務委員会も含めて積極的な議論等、あるいは導入の是非などについて検討してみてはいかがかなというふうに思いますけれども、大臣、いかがなものでしょうか。

森山眞弓自由民主党法務大臣

○国務大臣(森山眞弓君) 御指摘のような問題についていろいろな議論があるということはよく承知しております。この問題につきましては、無期刑の在り方だけではなくて、有期刑の在り方もその関連で勉強してみなければいけませんし、それぞれの各罰条の法定刑の定め方なども考慮していかなければいけないと思いますし、今おっしゃいました仮釈放のない無期刑ということについても、これは一生拘禁されることによって受刑者の人格が完全に破壊されるというような問題も聞いておりますし、刑事政策上むしろ非常に問題が多いというお話も聞いているわけでございます。  外国の例を見ましても、今いろんな例をお出しになりましたし、また刑事局長からも申し上げましたが、この仮釈放のない無期刑というのは、これを採用している国はアメリカ合衆国の連邦及び一部の州など、比較的少数にとどまっておりまして、過去、採用したものも廃止するものもあるということでございまして、必ずしも世界的に非常に普及しているというわけでもないようでございます。  したがいまして、この仮釈放のない無期刑につきましては、刑罰の在り方に対する種々の議論を参考にしながら総合的に考えまして、様々な観点から慎重な検討を要すると思っております。

千葉景子民主党・新緑風会

○千葉景子君 刑罰の在り方というのは本当に難しい問題だというふうに思います。ただ、今、大臣もおっしゃいましたように、終身というのはむしろ社会に復帰することすべてを奪うわけですから、そういう意味で極めてある意味では非常に過酷な刑だということが指摘されているのは私も承知をさせていただいております。ただ、そうなりますと、逆に本当に死刑というのは正に命を奪う刑でございますので、更に過酷といいますか、非常に極限的な刑ということになろうかというふうに思います。  そういう意味で、これに正しい答えなどというのはなかなか出るものではありませんけれども、先ほど言いましたように、やっぱり全体的に刑の在り方みたいなものは、諸外国の実態もいろいろ違うように、やっぱり日本の社会の中でも時代、それから国際的な社会との関係ということも含めまして議論をしていったらどうだろうかというふうに思います。  先ほど言ったように、やっぱりだれも知らないんですよね、国民も余り刑罰ということについて。そういうことでは、これからやっぱり司法の市民参加とかあるいは司法の改革への不断の取組にそごを来すということにもなりかねません。  よく言われますように、日本では死刑の執行などは絞首刑で行われるわけですけれども、そういうこともなかなか一般には周知はされていない。私は、是非そういう意味では、執行がどういうところで行われているんだろうか、こういうことも、私自身も拝見したこともないですし、だれも、本当にほとんどの人が知らない、こういうこともあり、できればこの委員会などで議論をしていただいて、刑の執行をする刑場等をやっぱり視察をして、どういう実態なのかということを知ることも大事なんではないかというふうに思っておりますので、いずれまた委員長にその辺も御議論の場を作っていただければ有り難いというふうに思っております。  さて、刑罰もこのように各国の状況も違いますし、施設でのやはり処遇の実態も違うだろうというふうに思います。これは先ほど佐々木委員からも御質問がございまして、私もいろいろ感じているところでもございます。  そこで、お尋ねをさせていただきますけれども、今の矯正施設ですね、日本の、の問題点、幾つかあろうかというふうに思います。それは、多分外国人の受刑者にもいろんな問題として、より強化といいますか、される部分だというふうに思うんですけれども。  以前から指摘をされております、今、矯正施設の過剰収容、これが非常に問題になっております。これは受刑者も、そしてそれを処遇する職員の皆さんにとってももうこれは大変な事態になっているわけです。この間もちょっと物の何かで私も拝見いたしましたけれども、一つの部屋にたくさん今収容せざるを得ないということで、例えば朝の起床時刻、その後はそこに設置をされているトイレが本当に列を成すような、そんな状態を起こしているとか、それからやっぱり大勢が処遇をされるということになりますので、そこでのトラブルとかも増える、そういうことも指摘をされております。  こういう点について、その中に外国人の受刑者が更に存在をしているとなると、そこでの本当にトラブルとかあるいは問題が多々生じてくるんではないかと思いますけれども、この過剰収容によって起こっている問題点、外国人の収容者に対する問題点も含めてどんなことが起こっているのか、それにどう対応を今取っておられるのか。ちょっとそこを聞かせていただきたいと思います。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  ただいま御指摘のように、行刑施設、これは拘置所、刑務所を含む施設でございますけれども、一〇〇%を超える過剰収容になっておりまして、特に刑務所につきましては一一〇%を超えるという状況でございます。  過剰収容になりますと、まず最初に生活の場所というのですか、居室とか工場、そのスペースが非常に不足してまいります。それから、あと食費とか、そういった被収容者の生活関連経費も確保する必要に迫られるという問題があります。  こういう状況ですので、先ほど御指摘がありましたように、居室は定員を超えて被収容者を収容するということはどこの施設でも行っておりますが、そのほか、集会場、倉庫等を改修して居室や工場に転用するとか、また財政当局の理解も得まして居室棟というのを増築する、そういうようなことで今この収容増に対応しているということでございます。  今申し上げたのは収容確保という面ですけれども、じゃ施設内での受刑者の処遇の方はどうなんだろうかといいますと、やはりこの生活空間が狭まるということになれば、当然のことながらストレス、不満というものは増えてまいります。そうするとどうなるかといいますと、やはり規律違反がどうしても多くなってきますので、そのための懲罰という問題も出てきますし、それが更に高じますと、逃走あるいは職員暴行、けんかといったような事故の発生も懸念されるということでございます。  外国人受刑者は、そういう状況の中で、特に日本語が理解力が必ずしも十分でなかったり表現力が不十分であると。そういったために、刑務作業を科す上でも、いろいろ指導してもなかなか細かいところまで通じないというような問題もあります。  各施設ではできる限り、意思疎通ということが一番重要ですので、その困難を克服するために、職員の語学研修を実施するとか、あるいは民間の方のボランティアの方に御協力を得るとか、あるいは大使館の御協力を得るというようなことで、通訳、翻訳等の関係機関の、通訳、翻訳等の面でそういった関係機関の協力を得て意思疎通を図るように今努力しているというのが現状でございます。

千葉景子民主党・新緑風会

○千葉景子君 これはイタチごっこのようになっても困るわけなんですけれども、もう増える、施設を増やすなりしていく、で、また増え、犯罪が増えていくという繰り返しでは本当に残念なことで、でき得れば施設を増築しなくても、逆に定員よりも少なくなっていくということになることを私たちもむしろ望むわけですけれども、今そういう状況にないとすると、本当に意思疎通をどうやって取っていくかとか、あるいは、特に外国人の収容者の場合には言葉の障壁等でより一層トラブルになりやすいというようなこともあろうかというふうに思います。  そうなると、やっぱりその言葉の障壁についてどういうふうに対処するかと。通訳人をできるだけ確保するとか、あるいは職員の方々に言葉をできるだけ習得していただくということになりますけれども、これもなかなか新しい言葉を習得するというのも大変なことですので、通訳者などをできるだけ確保したりして対応するということになろうかというふうに思うんです。  どうなんでしょうか。今、その通訳のできる人、通訳者等の確保はどんなふうになされているのか。それぞれの部署でこれは大変な問題になっていると思うんです。  今日はその意味で、検察庁での通訳人の確保がどんなふうになっているのか。それからその次は、今度は裁判ということになるわけですので、裁判関係で通訳人はきちっと確保されているのか。それから、矯正施設での通訳者の確保はどんなふうになっているのか。特に、受刑施設、矯正施設の場合には、裁判などですと、一定のその裁判という手続のところを通訳人が通訳をするということになりますけれども、矯正施設などの場合ですと、日常がその言葉と言葉での意思疎通になるわけですよね。そうすると、一定の、ここからここまでの手続について通訳者がいれば足りるというばかりではなくて、本当に日常いろんな場面場面で必要になってくるというようなこともあろうかというふうに思うんですが、そんなところをどう対処をされているのか。  まず、通訳者の確保の点についてお聞きをした上で、その矯正施設での対応方、どんなふうにされているかを聞かせていただきたいと思います。

古田佑紀法務省刑事局長

○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘のように、通訳人の確保というのは大変大事な問題でございまして、検察庁におきましては、外国人の取調べの際に必要な通訳につきまして各地方検察庁で必要な言語及び人数を確保をしていると承知しております。少数言語の通訳人確保につきましては、これは最高検察庁におきまして全国の地方検察庁に登録している通訳人データベースを作成して、必要な場合に各庁相互間で通訳人を相互できるような体制を整えていると承知しております。

大野市太郎最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) それでは、裁判所の実情を御紹介させていただきます。  裁判所におきましても外国人事件は大変増えてきておりまして、通訳を要する事件が年々増加しているという状況にあります。地方裁判所におきまして通翻訳人が付された被告人の数は、平成元年には六百八十九人と、その年に判決をしたいわゆる終局人員のうちの一・三%という程度にすぎなかったんです。その後急増いたしまして、平成六年には五千三百三十一人、終局人員中一〇・七%ということで二けたになりました。平成九年には、今までのうちの最高の人数ですが、七千二百十九人ということで一二・六%を占めるようになりました。もっとも、平成十年から若干減り始めましたが、平成十二年は六千二百八十一人、終局人員のうちの九・二%の被告人について通訳人、翻訳人が付されたという状況にあります。  裁判所では、このような事件の急増に伴いまして、各国の大使館、それから大学、語学学校などの協力を得、また広報による公募などを通じまして通訳人の確保に努めてまいりました。その後、結果、平成二年は通訳人の候補者が二十七言語で、延べですが、四百十四人という状況でありましたが、平成十二年度には四十二言語で二千七百三人、平成十三年には四十四言語で三千三十七人まで増加しております。しかしながら、我が国でその言語を理解する者の数が少ないいわゆる少数言語につきましては、まだ通訳人候補者が一けたというようなものも相当数ありますし、一人しかいないというような状況もありまして、今後ともその確保とその能力向上に努めてまいりたいというふうに考えております。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  矯正施設では日常生活があるわけですので、特に意思疎通を図るということは非常に大事ですので、通訳人とか翻訳の確保に努めているところでございますけれども、特に必要なのは、先ほども御質問に出ましたけれども、F級受刑者ということで、これを収容している施設、中心的な施設は府中刑務所と大阪刑務所にあります。こういうところでは国際対策室というものを設置しまして、両施設に外国語を解する職員を配置するというような手だてを講じておりますが、そのほか、一般の職員でもある程度簡単なことは受刑者の母国語でやれるように、対話集というものを作るなり、また生活、所内生活の手引みたいなものというか、しおりみたいなものについてはある程度その外国人受刑者用のものを作るというようなことで努力しているところでありますけれども、これからもまた外国人受刑者は増えてまいりますので、民間の方々にも御協力いただくなりして、通訳あるいは翻訳をしていただく人の確保に努力していきたいというふうに考えております。

千葉景子民主党・新緑風会

○千葉景子君 御説明いただき、一定の資料いただいておりますが、本当に少数言語になりますと、一応確保されているのが一人とかいうことになりますと、本当にこっちの施設と違う施設などとなると本当に通訳者の人も東奔西走といいますか、大変な業務になろうと思いますし、施設の方もその確保でなかなか十分に意思疎通ができにくいということにもなりかねません。それがいろいろなまた摩擦につながるというふうなことになってもあれですので、大変なことですけれども、努力をしていただくと言うしかないのかなという感じがいたしております。  でき得れば本当に犯罪が減るということが一番よろしいとは思いますけれども、そうはなかなか簡単にいきませんので、これも努力を更に続けていただきたいというふうに思います。  この行刑施設の中で、先ほど各国の比較もさせていただきましたけれども、刑務作業ですね、これがやっぱりどうされているかということは、一つ私も大変関心を持っているところでもございます。  ただ、この刑務作業、もう既にさっきお答えなども出ておりますので、ちょっと別な観点から聞かせていただきますけれども、これはそれに対する賞与金が月に、月額平均四千円という話でした。まあ、これは決して労働の対価という位置付けではありませんので、たくさん賞与金を高額にすればいいというふうに私も思うものではありません。  ただ、大きく物事を考えますと、この行刑施設から社会復帰をする、社会復帰をしてできるだけ再犯などを防ぎ、先ほどの過剰収容なような状況ができれば解消できると、こういう循環になった方がいいわけですよね。今それがどうも逆な状況で、受刑矯正施設を出る、前回、更生保護施設に関連する法案の審議もさせていただきましたけれども、一定期間そういうところで助走期間を付けて社会に復帰をする、ただ、なかなか手元に十分な資金もない、仕事にも就けない、それによってまた再犯に走る、また矯正施設へ戻ってくる、過剰、定員オーバーになっていくと。こういうちょっと今流れがあるように思うんです。  そういうことを考えますと、決して労働の対価というわけにはいきませんけれども、例えばこの賞与金などについても、一定の今後の社会復帰をした際のまず生活の基盤づくりになる程度の何かそういう賞与金の在り方というのは考えられないのだろうか、それのためには今度は税金をそれに多額につぎ込むということもなかなか理解がしにくい、得られにくいというところであるとすれば、やっぱり刑務作業でいろんな製品が作られたりあるいは生産が行われている、こういうものを何か生かして収入源を少し、できるだけ得るようにする、こんなことも工夫をしていく必要があるのではないかと思ったりいたしますが、その点など、刑務作業の在り方、賞与金の在り方などについてどうでしょうか。少し改善をしてみよう、あるいは工夫はしているんだけれども、こんな点で大変だというふうなところありましたら、御説明をいただきたいと思います。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 刑務作業、刑務作業における作業賞与金ということでございますけれども、これは、刑法に定める懲役刑の内容そのものである刑務作業を奨励し、かつ釈放時における当座の生活維持や就職準備等のための更生資金ということで役立たせるためのものでございまして、刑事政策の一環として支給されている性格のものでございますが、この作業賞与金については、その額をどういうふうに設定したらいいのかというようなことも一つ問題になろうかと思います。この点については、今申し上げました作業賞与金の性質等に照らしながら、国民感情等の諸条件を考慮して決定されるべきものではないかと、その観点から適正な維持にこれまでも努めてきたところですけれども、そういった考え方で対応すべきものかなというふうに考えております。  また、刑務作業で得た製品を、いろいろ矯正展とか販売展、即売会というようなことで開催して、いろいろ販売促進に努力しておりまして、そこでの売上げが原則として国庫に入るということになりますけれども、それを作業賞与金の方に回すかどうかということになりますと、なかなかいろいろな面で難しい問題があるのかなという感じを持っております。

千葉景子民主党・新緑風会

○千葉景子君 現在のシステムは私も知っています。直接、刑務作業で売り出した、その得たものが直接、賞与金になるわけではありません。国庫に納まって、賞与金はまた別な位置付けで供与されているということですから、それは分かるんですけれども、やっぱり少しいろんな形で工夫をする、あるいは制度の在り方を見直してみるという余地はあると思うんですよ。それは結構です。  それとちょっと関係をいたしますけれども、先ほどもお話があったように、この日本の場合に、国内で受刑をし、そして社会に復帰をするという場合ですと、これは日本の国内ですから分かりやすいんですけれども、これ移送するということになりますと、例えば、やはりどういう刑務作業といっても、今度帰国した本国で多少なりとも生かされるような、そういうことを考える必要もあるでしょうし、その賞与金の在り方などもどう位置付けたらいいのかということもあろうかというふうに思うんですね。  そういうことで、刑務作業と、それからそれと延長線上にあるんですけれども、やっぱり社会復帰した際の職業訓練というんでしょうか、出たときに何か身に付けて更生の道を歩く、再犯などに走るようなことがないように手だてをしていくということも必要だというふうに思います。そんなところをどういうふうに今されているのか。そして、外国人の受刑者などについては、これも既に触れてはいただいておりますけれども、やっぱり本国に戻るということを踏まえてどういう対処をされているのか、お聞きをしたいというふうに思います。  これも、前回の更生施設等のお話などもお聞きをしますと、なかなかやっぱり仕事がない、しかも身に付いた技術等もなかなか乏しいと。こういう中で、どうしてもまた自分で自立の道が切り開くことができなくて再犯というふうなことも多々あるということも聞いております。こういうことを考えると、矯正施設というのは決して職業訓練所じゃありませんので、それだけを目標にするということではありませんけれども、やっぱり再犯を防ぎ、そして受刑者の数をできるだけ抑制し、抑止を目指していく、それがひいては社会的なコスト、財政的な負担減にもある意味ではつながっていくということを考えると、この辺りもいろいろ工夫をする必要があるのではないか。  外国人の受刑者に対する対応の仕方と併せてお答えをいただきたいと思います。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  受刑者に対しましては、懲役刑の場合ですと刑務作業というものを科していくわけですけれども、ただいま委員が御指摘になりましたように、この刑務作業を科すという、それを通じて、その中で職業上の技術あるいは勤労意欲といいますか、そういうものを身に付けさせるという意味での職業訓練というのは、社会復帰を図る上で非常に重要だというふうに考えております。  この受刑者に対する職業訓練を一般的に申し上げますと、職業に必要な技能を習得させ、又はその技能を向上させることを目的としてかなりの範囲で実施しております。職業訓練として実施する種目につきましては、できる限り社会の労働需要が高い職種に対応したものにすべきだというふうに考えておりまして、こういった観点から、現在、受刑者職業訓練として、例えば訪問介護員の資格を取得できるような介護サービス科とか、コンピューター技術者養成のための情報処理科とか、あるいは自動車整備士の資格を取得できる自動車整備科など五十七種目を実施しておりまして、また釈放された後、やはり資格を取っているか取っていないかで大分違うものですから、できる限り職業訓練をやった後で公の資格や免許を取得するようにと、そういった考えで今指導しているところでありまして、この点は、今後も時代の要請に合った多様な訓練種目の導入を図って、その充実を図っていきたいというふうに考えております。  ただ、外国人受刑者の場合はどうかということになりますと、先ほど佐々木委員の方から御質問がありましたけれども、日本語が余りよくできないということになりますと、職業訓練ということでも非常に限られてくるところが出てきますし、そもそも社会復帰理念といった場合の社会復帰する場所が日本でない、外国だということになりますと、一体どういう職業訓練を行った方がいいだろうかといったようなものが、大変難しい問題があり、そういったことを考えてきますと、やはり本国で、移送して受刑させた方がいいのではないかというような、結論的にはそこに導かれるようなことがありまして、今回の受刑者移送制度を導入するといった一つの動機には今申し上げたような点があるということで、お答えとさせていただきたいと思います。

千葉景子民主党・新緑風会

○千葉景子君 これはそのとおりだと思うんですね。なかなか復帰するところが、日本であれば対応の仕方もあろうかというふうに思うんですけれども、復帰するのが外国、その者の本国ということになると、なかなかそれに即応した、それで、それに十分適応できるような対応、訓練を我が国の矯正施設でやるというのも、これ限界があるのかなという感じもいたします。  こういうことも背景にありながら、今回の法案も条約締結もあろうかというふうに思うんですけれども、これも触れられたところですけれども、本人の同意というのがこの送り出し、受入れの条件になっていますよね。この本人の同意を得るために、あるいは本人の申出みたいなものが契機になるのかもしれませんけれども、こういう制度があるということをどういうふうに受刑者に周知をするのでしょうか。これも、その周知の仕方、内容、どんなことになるのか教えていただきたいというふうに思うんです。  というのは、例えば日本では刑務作業をこういう形でやっています、あなたの本国に帰ると、刑務作業はあるけれども、こんな違った形でやっています、だから向こうの方がより社会復帰やあなたに適応しそうですよというところまで周知をするものなのか。逆に今度は、刑務作業が仮にない国であるとすれば、じゃ、やっぱりそちらに早く戻った方が楽かなということにもつながりかねない。その逆もあると思うんですね、非常に厳しい処遇のシステムを持っていると。そういうことになると、そういうこともきちっと知らせると、やっぱりここの日本で処遇を受けておこうと、こういうことも選択の中に出てこようかというふうに思いますし、あるいは仮釈放の、先ほどお聞きをいたしましたけれども、制度、これも年数とかあるいはシステムが必ずしも同じでは、全く同じではありません。早期釈放の制度はどこにもあるようではございますけれども、その年数とか基準などが違っている。  こういうようなもろもろを受刑者に示すというようなことまでされるのでしょうか。それとも、本国で受刑できるよと、そういうことだけを周知をするというようなことになるんでしょうか。その辺はどういう手続になるか教えてください。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 受刑者移送制度の受刑者に対する告知ということでいろいろ御質問がありましたので、その一つ一つについてお答えいたしますが、まず申出が移送手続の端緒になるかというのはそのとおり、受刑者から移送に関する申出があれば、それをきっかけとして裁判国又は執行国が移送の要請をすることがあるわけでございまして、そういった意味では申出はこの制度の端緒、受刑者移送の端緒となります。  それで、受入移送と送出移送という二つの種類がありますが、その場合、条約の内容あるいは制度の内容を受刑者にどうやって周知させるかといったことが問題になります。  受入移送の場合は、条約の第四条に、「裁判国は、刑を言い渡された者であってこの条約の適用を受けることのできるすべてのものに対し、この条約の内容を通知する。」というふうに規定しておりまして、条約上、裁判国が告知の義務を有しているわけであります。裁判国がこの条約上の義務を履行としてこれを誠実に行うということになりますので、受入移送の場合は、日本人受刑者の場合は外国にいるということになりますので、恐らく裁判国である外国がこの条約に基づいて誠実な告知をするであろうというふうに思われます。  では、送出移送の場合は、今度は裁判国であるのは我が国になりますので、送出移送の犯罪に係る裁判が確定した時点で、受刑者が収容されている監獄の長が受刑者に対して、これは欧州評議会が作成しているモデル告知書というものがございます。それに基づきまして作成された条約告知書、これはその受刑者の母国語に翻訳されたものがありますので、それを作成しまして、それを交付した上でその内容を説明すると、そういうふうなことを予定しております。裁判が確定した時点で受刑者が収監されていない場合には、その後収監された時点で同様の告知手続を取るというふうにしております。  その送出移送の場合、受刑者に周知させる内容をどの範囲にするかというのも御指摘のとおり一つの問題でございます。先ほどもお答えいたしましたように、欧州評議会が作成しておりますモデル告知書に基づいて作成された条約告知書を交付した上で、その内容を予定することになっておりますが、この条約告知書の内容というのはかなり詳細になっておりまして、条約の内容がほとんど網羅されているような状況ではございますけれども、今、先生の方からお尋ねのあった執行国での、つまり送り出した後の執行国での刑務作業の有無や仮釈放の制度と、こういった問題はどうするかということで、我々が把握している範囲内では概略説明することはできますが、やはり執行国の刑罰法令の詳細ということになりますと、できる限り、領事館の方もおられますし、同意の確認を得るとき面接する機会もございますので、そういった過程で本人と面会して、できる限り執行国におけるそういった刑務作業の状況とか仮釈放制度がどういうふうになっているかというのは説明した方がよりいいのではないかというふうに考えておりまして、基本的にはそのような考え方で制度の告知を図っていきたいというふうに考えております。

千葉景子民主党・新緑風会

○千葉景子君 分かりました。要するに、この条約の中身というだけで、条約そのものの説明というだけではなくて、実際に受けるであろう処遇の内容とかいうことにまで一応告知をする、あるいは十分な説明をした方がいいのではないかと考えておられるということですね。  それは、この法律が求めていることなんでしょうか。それとも、そうではないけれども、その方がこの制度を運用するに当たって良いのではないかという行政的な、何というんでしょうね、配慮というか、そういうことなのでしょうか。そこはどういう位置付けになるんですか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  条約上の義務といたしましては、先ほど申し上げました条約の内容、これを各受刑者に、裁判国において告知するということで、すればよいということですので、条約上の義務としてはそれで足りるかというふうに考えておりますが、どの程度までという具体的にまでまだ詰めて考えておりませんけれども、ある程度の法律、帰る先の法制度がどうなっているかということについては、概要については同意を得るときに説明することになるでしょうし、またその国の領事館の方もまた面接して同意の確認を得るということになりますので、そういった過程でより詳しい説明がなされる、そういう運用がなされてよいのではないかというふうに考えております。  このことは、また逆に日本人受刑者が外国にいる場合どうだという場合にも、日本に帰ってからどうなるんでしょうかと、共助刑の刑期あるいはそういうものはどうなるんでしょうかというのは当然関心を持つことですので、条約上の義務としてそこまで要求はされておりませんけれども、そういったことについては、その概要や仮釈放制度がどうなっているかというようなことについては、外国で日本の領事館を通じて同意の確認を得るときとか、必要に応じてこちらから職員が行って同意の確認をするという場合もありますが、そういった機会をとらえて説明した方がいいのではないかというふうに考えております。

千葉景子民主党・新緑風会

○千葉景子君 これも先ほどの御質問でも触れておられたところですけれども、今のような、条約そのものではない、処遇の内容等にかかわること、それの両国の違いとか、そういうことは、例えば法務大臣が相当性を判断するに当たって配慮される条件といいますか、要素になるんでしょうか。  例えば、日本では刑務作業を科している、しかし送り出そうとする国の方はそういうものがない、これは刑としての一体性といいますか共通性にちょっと欠けるからやっぱり相当でないと、こういうような判断などがなされる可能性はあるのでしょうか。あるいは、仮釈放とかそれの制度が非常に大きく違っている、それによって刑のやっぱり執行が非常に差異が生じてくる、こういうようなことなどは、最終的に御本人が、よし、是非そっちがいいということがあろうかもしれませんけれども、大臣としての、いや、これはやっぱり相当性に欠けるんだというような判断に影響を及ぼしたりするんでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 送出移送する場合の相当性判断につきましては、先ほど佐々木委員の御質問のときに大臣の方から基本的な考え方を御答弁したと思いますが、やはりこの受刑者移送の目的でございます改善更生と社会復帰の促進を図るということと同時に、また日本の刑罰執行責任ということにも配慮しなければなりませんが、そのほか、今御指摘があったとおり、これはあくまで日本の裁判所が言い渡した懲役又は禁錮の刑の執行を、外国に執行の共助を嘱託するというかお願いするという制度でございますので、お願いしたはいいけれども、日本の刑罰の執行がないがしろにされるというようなことがあっては、これはこの制度にそぐわなくなってまいりますので、ある程度、移送した、送出移送した後、執行国において仮釈放とかあるいは恩赦というのがどういうふうになされるのかというのは、その法制度も含めて十分検討しまして、送り出した途端すぐ釈放されちゃったとかいうような事態がないように、もしそれが予想されるような場合は、当然これは相当性の判断で十分配慮していかなければならないと思います。  この点について、先ほど欧米諸国の仮釈放の制度等を申し上げましたけれども、総じて日本よりも、仮釈放が許されるのにどのぐらい服役期間を要するかという期間が、日本は有期刑の場合三分の一ですが、二分の一とか、それが三分の二とかいうかなり長く設定されているようですので、すぐ仮釈放になるというような事態は余り想定されないというふうに考えておりますが、いずれにしても、そういうことは当然、相当性の判断のときに考慮することになるというふうに考えております。  また、刑務作業の場合につきましても、今、日本では刑の内容としてやっておりますけれども、その目的はやはり本人の改善更生、社会復帰のための措置ですので、恐らく外国においても、刑の内容としてではなく、矯正処遇の一手段として刑務作業という方法が取られているところが多いわけですし、またそれがない場合でも、他の改善更生のためのプログラムとか、そういうものも用意されているというのであれば、そういったところに送ることについて、この制度の目的の面から見て特に問題があるというふうには考えておりませんということでございます。

千葉景子民主党・新緑風会

○千葉景子君 日本の刑の執行を嘱託するという趣旨にやっぱり合致するといいましょうか、それを大きく損なうような場合には、やっぱりその相当性の判断ということに影響があるというふうに受け止めさせていただきたいと思います。  最後になりますけれども、もうこれも先ほど大臣からお答えがありました。重ねてで恐縮でございますけれども、やっぱりこれ、制度が十分に活用されるためには、今、受刑者の多くを占める中国あるいはアジアの諸国が、やっぱり同じ共通な刑罰制度、あるいはこの条約なりへの加盟等がありませんと、数からいきますと本当に限られた数の適用しか今の現状では難しいのかなという感じがいたします。  そういうことを考えると、その辺の今後の課題ということになろうかというふうに思いますけれども、そのアジア諸国などにやっぱり法整備とかあるいはこの条約の締結などを促すようなそういう活動も、この制度を日本が批准する以上、やっぱりそれを確たるものにしていくという役目もあると思うんですが、その点についての大臣としてのお考えをお聞きして、終わりたいと思っております。

森山眞弓自由民主党法務大臣

○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃいますように、今、日本の刑務所等に収容されている受刑者、外国人受刑者の中にはアジアの人々がかなりの多数を占めております。しかし、一方において条約締結国の人々も、少しではありますが、おりますので、まずこの条約を私、日本の方が締結する、そのために必要な法整備を行うということによりまして、その取っ掛かりをまず作っていきたいというふうに思います。  アジア諸国の間でも、この条約に加入しているものはまだもちろんございませんけれども、昨年、タイで開催されました第二十一回アジア太平洋矯正局長等の会議におきましても、議題の一つとしてこのような問題が取り上げられておりまして、関心はかなり高いというふうに思います。  先ほども申し上げましたが、つい先日訪ねました韓国においても非常に関心を持っておられて、近い将来検討する課題にしたいというお話がございまして、日本の場合も、当然、アジアにおいて比較的法律制度の近い韓国辺りが一番最初の課題であるかなというふうに思っておりまして、それにしましても、まず日本がこのような制度を整えまして始めるということからスタートしたいというふうに思っているわけでございます。  アジア諸国の動向も今後とも注目しながら、欧州評議会の受刑者移送条約による受刑者移送の実績や成果なども見極めながら、外務省とも相談して、アジア諸国との関係についても検討を進めていきたいと思っております。

千葉景子民主党・新緑風会

○千葉景子君 ありがとうございました。

高野博師公明党

○委員長(高野博師君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時十九分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会

高野博師公明党

○委員長(高野博師君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国際受刑者移送法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

浜四津敏子公明党

○浜四津敏子君 公明党の浜四津でございます。  それでは、質問させていただきます。  今回の国際受刑者移送法案は、欧州評議会の刑を言い渡された者の移送に関する条約に基づく法案でございます。この条約につきましては、既に一九八五年に発効いたしまして、欧米各国、アメリカ、カナダなど四十九か国が批准しております。犯罪のグローバル化がますます進む状況にありまして、その現実に即した必要な対応を定めた条約と考えておりますが、今回ようやく日本も批准を決めたわけでございます。  一九八五年の条約発効以来、既に十七年が経過しておりますが、なぜ欧米諸国に比べまして日本は十七年も批准が遅れたのか、その理由をお伺いいたします。また、今回ようやく批准に至ったわけですけれども、その批准に至った要因についてもお答え願えればと思います。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  我が国においては、この条約が採択された一九八五年以降、しばらくはこの条約の締約国を母国とする外国人受刑者が余り多くありませんでした。少ないと言った方がいいかもしれません。それから、受刑者移送というのは、これは非常に新しい制度でありまして、これを実施するためにはある程度の諸外国との刑事法制上の共通性が必要であるわけですが、その調査検討にかなりの時間を要したといったようなこともあります。こういったような理由から、この条約に加入することをしていなかったものであります。  しかし、最近、外国人受刑者も大変急増してまいりました。それと軌を一にして、欧米諸国からもこの条約に加入してはどうかというような要請もありました。昨年二月には、欧州評議会閣僚委員会から、我が国がこの条約に加入することについての要請もなされました。そういうことから、刑事法分野における国際協力の発展に貢献するという観点からこの条約に加入することといたしまして、国内実施法として本法案を立案した次第でございます。

浜四津敏子公明党

○浜四津敏子君 本法案は非常に技術的な法案でございまして、その解釈につきまして、実務に携わる方々にとってあいまいさが残らないように何点か確認をさせていただきたいと思います。既にこれまでになされた質疑と重なり合う点もございますけれども、再度確認させていただきます。  まず第一条、「目的」のところでございますが、この中で、「この法律は、外国において外国刑の確定裁判を受けその執行として拘禁されている日本国民等及び日本国において懲役又は禁錮の確定裁判を受けその執行として拘禁されている外国人について、国際的な協力の下に、その本国において当該確定裁判の執行の共助をすることにより、その改善更生及び円滑な社会復帰を促進することの重要性にかんがみ、」とありますが、この法案を実施することによりまして、どういう点で受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰の促進が現実化するのかについてお伺いいたします。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  外国で受刑する者は、言語、習慣、生活様式あるいは宗教等の相違から、外国での矯正処遇には適応するのが難しい場合があります。また、親族、家族といった者との接触も容易ではありませんので、社会復帰後の生活環境の調整が十分できないということもあります。また、仮釈放後も退去強制となることがあるために施設内処遇から社会内処遇への移行もでき難いと、こういうような事情もございまして、受刑生活上に種々の困難があるわけです。  このような状況にある外国人受刑者をその本国に移送して刑の執行を受けさせることにすれば、これらの困難な状況が除去、緩和されることになりますので、それだけその改善更生及び円滑な社会復帰が促進されることになるであろう、そういうふうに考える次第です。

浜四津敏子公明党

○浜四津敏子君 現在、我が国の刑務所で服役している来日外国人で多いのはどの国籍の者か、その国名と人数を多い順に十か国挙げていただけますでしょうか。また、それらの国々が刑を言い渡された者の移送に関する条約に加入しているか否かを明らかにしていただきたいと思います。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 平成十三年末の来日外国人受刑者ということで申し上げますと二千四百六十人となっておりますが、国籍別に多い順に申しますと、中国一千六十五人、次がイラン三百二十五人、三番目がブラジル百九十四人、四番目が韓国百四十四人、次がフィリピン九十八人、その次がベトナム八十八人、続いてタイ六十人、ペルー五十五人、台湾四十人、マレーシア三十九人となっております。  これらの十か国は、いずれも欧州評議会条約には未加入の国でございます。

浜四津敏子公明党

○浜四津敏子君 これも何度か指摘されておりますように、今回、日本がこの条約に加入いたしまして、本法案を成立、施行することといたしましても、在日外国人受刑者の本国の多くがこの条約に未加入のままでは実効性が極めて乏しいことになります。  これらの未批准の国々は、受刑者移送についてどのような考えを持っているのか、またこの条約に加入する動きがあるのか、殊にまた先日、大臣、訪韓されましたが、そのときの協議の中で、韓国の加入への姿勢等も含めて、これらの国々についてお知らせいただければと思います。また、日本としてその加入に向けてこれらの国々に働き掛けるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) まず、私の方から条約未加入国が受刑者移送にどのように考えているかというお尋ねについてお答えさせていただきますが、アジア諸国以外の国についてはどういう考えを持っているかちょっと承知しておりませんが、アジア諸国につきましては、アジア地域の矯正行政に関する国際会議でありますアジア太平洋矯正局長等会議におきまして受刑者移送の問題等々が討議されたことがあります。  特に、昨年、タイで開かれた二十一回会議でも、議題の一つとして外国人処遇と受刑者移送が取り上げられておりますけれども、受刑者移送制度の導入につきましては、既にタイでは、欧州評議会の条約には加盟しておりませんけれども、アメリカ等との間で受刑者移送を行っております。その他のアジアの諸国の多くの出席者からは、今後検討していくべき問題であるという姿勢が示されているところでございます。

森山眞弓自由民主党法務大臣

○国務大臣(森山眞弓君) 先日、韓国を訪問いたしまして、犯罪人引渡条約に署名をいたしてまいりました。  そのときの向こうの法務長官との会談の中で、いろいろの話題が出ました中で特にこの問題についても多大の関心を韓国側も示しておられまして、次の課題としてお互いに検討していこうということになったところでございます。

浜四津敏子公明党

○浜四津敏子君 今回、この法案が成立して施行された場合、その対象となる外国で服役している日本人等受刑者は何人と想定しておられますでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  海外で受刑している日本人受刑者の総数は、平成十三年一月現在、七十五人となっておりますが、そのうち条約締結国である国で受刑している日本人の総数は三十二人でございます。

浜四津敏子公明党

○浜四津敏子君 それでは次に、法案の第五条について伺います。  この第五条は、「受入移送は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、これをすることができる。」となっておりまして、受入移送ができない場合を列挙しております。  まず、その一号では、「受入受刑者の同意がないとき。」とありますが、この「同意」というのは受刑者移送条約三条1のdで規定している移送の条件にある者と同じと考えていいのかどうか。その場合、受刑者に同意の意思能力がない場合あるいは不十分と考えられる場合に、条約によれば、受刑者の法律上の代理人が移送に同意していること、つまり法律上の代理人の同意があればいいということになるわけですけれども、この法案ではどのように考えていけばよろしいでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 法案の五条一号は、ただいま御指摘がありましたとおり、条約三条1dが受刑者自身が受刑者移送に同意していることを要件として定めていることを受けた規定でございます。  条約三条1dにおいては、受刑者本人の同意のほか、代理人による同意についても規定しておりますが、この代理人による同意は条約上必ず設けることを義務付けられているというものではありませんので、本法案においては受刑者の法律上の代理人に関する規定に対応する規定は設けておりません。これは、受入移送はやはり当該受入受刑者に一身専属的な性質の措置であることや、また受入移送に同意するか否かの判断は、我が国に移送されて我が国の法令により外国刑にかかわる確定裁判の執行の共助を受けることを承諾するというものですから、さほど高度な判断能力を要する事柄ではないと、そういったことを考慮いたしまして、あえて代理人による同意制度を設ける必要がないというふうに考えたものでございます。

浜四津敏子公明党

○浜四津敏子君 この受刑者の同意の法的性格について伺いますが、受刑者は移送についての同意、不同意を述べることができるだけで、言わば希望の表明というだけで、積極的に移送を求める権利という権利性を与えられているのかどうか、お伺いいたします。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  条約は受入受刑者に受入移送を求める権利があるとはしておりませんで、法案においても、受入受刑者に受入移送を求める権利があるということにはしておりません。その理由は、受刑者移送は受刑者の既存の不利益状態と申しますか、裁判国での受刑状態を更に増大させ、新たな不利益を課すといったものというより、改善更生と円滑な社会復帰を促進するために、刑事政策上、合目的な判断に依拠した措置でありまして、本来、裁判国及び執行国の裁量にゆだねられるべきものであるというふうに考えたからでございます。  したがいまして、移送には受刑者本人の同意は要しますけれども、受刑者に自分がどこの国で刑の執行を受けるかということを自由に選択できるものではなくて、移送を請求する権利があるというふうにはしておらないところでございます。

浜四津敏子公明党

○浜四津敏子君 同じく法案五条の二号に移りますが、二号では、受入受刑者が十四歳に満たないときは受入移送ができないものとされております。条約にはこの年齢制限はないと解釈しておりますが、法案で十四歳未満の者を受入受刑者から除外した理由はどこにあるのか。  外国によっては十四歳未満でも刑務所に服役させる法制度を取るところも考えられるところでございますが、その場合、特にこうした年少者につきましては家族の元に、母国の元に移送すべきではないかと考えます。日本側の受入れとしては、これは厚生労働省の児童支援施設ということになるかと思いますが、十四歳未満についてもこれは受入れの対象とするべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  御指摘いただいたとおり、この要件は条約上の要請に基づくものではございませんで、むしろ我が国の刑事法秩序との整合性というものを考えた要件でございます。  昨年四月に施行されました改正少年法におきまして、刑事処分可能年齢が十六歳以上から刑事責任年齢に一致させまして十四歳以上に引き下げられましたけれども、それでも十四歳未満の者が刑に科せられることはないわけであります。そうなりますと、そういった者が監獄に拘置されるということは我が国ではあり得ないということになりますので、受入移送の場合であっても、十四歳未満の者を監獄に送致することは我が国の法制上適当ではないのではないか。そういうことから、これを受入移送の制限要件としたわけでございます。

浜四津敏子公明党

○浜四津敏子君 同じく同条三号では、「受入移送犯罪に係る行為が日本国内において行われたとした場合において、その行為が日本国の法令によれば禁錮以上の刑が定められている罪に当たるものでないとき。」と規定されておりますが、この趣旨について説明願いたいと思います。また、同号で受入移送を禁錮以上の刑が定められた罪に当たる場合に限定している理由がどこにあるのかをお伺いいたします。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  法案の五条三号ですが、一口に申しまして、これはいわゆる双罰性を要件にしたということでございまして、条約の三条1項eというのに移送の要件として、刑を命ぜられることの理由となった作為又は不作為が、執行国の法令により犯罪を構成すること又は執行国の領域において行われたとした場合に犯罪を構成することと、そういうふうになっておりまして、いわゆる双罰性があることを規定しておりますので、法案においてもこの双罰性を受入移送の要件としたものであります。  こういった双罰性を必要とするという趣旨ですけれども、およそ我が国において犯罪が犯罪とされていないような、そういう行為を基礎として幾ら外国で有罪とされたとしても、そういう行為を基礎として受入受刑者を監獄に拘置するというのはやはり相当ではないであろうと。その上、そういう場合には、矯正処遇の面においても我が国で全く犯罪とならない行為をした受刑者に対して果たしてどのような矯正処遇がなし得るのかといったような問題もありまして、適当ではないというふうに考えたからでございます。  また、この双罰性について更に限定を加えて、禁錮以上の刑が定められた罪に当たる場合に限定しておりますのも御指摘のとおりであります。  これは、我が国において罰金とか科料など、およそ自由刑の対象にならないような犯罪について移送を実施するということになりますと、これもやはり我が国の監獄に受入受刑者を拘置することは公権力の行使の在り方としてやはり適当ではないだろうと。したがいまして、禁錮以上ということで、少なくともそこの以上の刑において双罰性が認められる場合に限定したと、こういうことでございます。

浜四津敏子公明党

○浜四津敏子君 同じく法案五条四号には、「受入移送犯罪に係る事件が日本国の裁判所に係属するとき、又はその事件について、日本国の裁判所において言い渡された無罪の裁判が確定したとき、日本国の裁判所において禁錮以上の刑に処せられその刑の全部若しくは一部の執行を受けたとき若しくはその刑の全部の執行を受けないこととなっていないとき。」と定めてありますが、この要件の趣旨について説明いただきたいと思います。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) この五条四号の要件でございますが、受入移送犯罪に係る事件が我が国の裁判所に係属し、又は既に判決が出ている場合に関する制限規定でございます。  いろいろなものが書かれておりますが、その趣旨というのは、一口で申し上げますと、受入移送による外国の判決の執行の共助におきまして、受入受刑者が同一の事実について我が国の公権力による二度の拘禁を強いられることとなる場合又はそのような場合が生ずる場合に、これを類型的に取り上げて制限事由としたものであります。  また、受入移送犯罪について、我が国でもう無罪判決になっている、しかもそれが確定している場合も受入移送の制限事由としていますが、これは同一事実について二度の拘禁を強いられるという状況は生じませんけれども、我が国で裁判所が無罪と、こういった犯罪について、受入移送とはいえ、たとえ仮に、たとえ外国でそれについて有罪ということで刑が下ったとしても、そういう者を我が国の公権力を行使して受け入れて刑務所に拘置するというのはやはり妥当ではないというところから、これも制限事由として規定したものでございます。

浜四津敏子公明党

○浜四津敏子君 次に、受刑者移送条約の三条1cでは、「移送の要請があった時に、当該者が刑に服する期間として少なくとも六箇月の期間が残っていること又は刑の期間が定められていないこと。」とありまして、これらが移送の条件とされておりますが、本法案ではこの点が受入移送の条件として定められておりません。その理由はどこにあるんでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  御指摘のとおり、条約は、残刑期が極端に短い場合には移送目的の達成が困難であること、また費用対効果の観点から、移送の要請があったときを基準に六か月の残刑期があることを要件に掲げております。これは条約の三条、条約第三条1cに規定されておるところでありますが、それと同時に、条約の三条の2には、裁判国、執行国双方が適当と認める場合には残刑期が短い場合であっても移送を認めることができるというふうに書いておりまして、この残刑期は絶対的な制限事由というふうには条約上なっておりませんので、この点は法務大臣の相当性の判断にゆだねることにすれば足りるであろうということから、あえて制限規定として規定しなかったものでございます。

浜四津敏子公明党

○浜四津敏子君 裁判国から受入移送の要請がある場合の具体的な手続の流れはどのようになるのか、簡潔に御説明願います。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 裁判国から受入移送の要請があった場合、まず最初に、法務大臣は、裁判国から送付された書類によりまして法案第五条の要件に該当しないか否か、かつ要請に応ずることが相当であるかということをまず判断いたします。  次に、要件に該当し、相当と認めた場合につきましては、原則といたしまして、裁判所に、駐在する大使、公使、領事官等に委任して、対象となる日本人受刑者の同意を確認させることといたします。  その次は、その受刑者が移送に同意するということでその旨の書面が到着いたしますと、法務大臣としては、東京地方検察庁検事正に対しまして関係書類を送付して、受入移送ができるかどうかの審査請求を東京地方裁判所にするように命じます。  そして、裁判所において、移送ができると、そういう旨の決定があったときは、その後特段の事情変更がないかどうかを考慮した上で、その締約国に移送の要請に応ずる旨の回答をするとともに、東京地方検察庁検事正に対しまして受入移送を命ずるという流れになっていくと思います。  なお、受入移送を命じたときには、その受刑者にその旨を通知するということにしております。

浜四津敏子公明党

○浜四津敏子君 法案第七条及び第十二条には法務大臣の相当性の判断が出てまいります。七条では、受入移送の要請があった場合にその要請に応ずることが相当と認めるとき、また十二条では、要請がない場合でも相当であると認めるときはと、こうなっておりますが、この法務大臣の相当性判断の要素及び基準がどういうところにあるのか、お答え願います。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 共助刑の執行方法に関するお尋ねでありますけれども、これをだれがするかというのは、裁判所とかそういう特定の機関ではなく、この法律によって自動的に定まるようにして、そういうふうな形にしております。  その内容は、まず共助の刑の執行方法に関しましては、法案第十六条におきまして、受入移送犯罪に係る確定裁判で言い渡された外国刑の性質に応じまして、懲役に相当する刑であるときは懲役刑、禁錮に相当するときは禁錮刑とそれぞれの刑の執行と同様に行いまして、したがいまして受入受刑者も懲役受刑者又は禁錮受刑者と同様に取り扱われることになるわけです。  共助刑の期間につきましては、法案十七条において、外国刑が無期の場合には無期とし、有期の場合は二十年を超える場合には二十年を限度として執行することとしておりまして、ただ、受入受刑者が二十歳に満たないときは、外国刑の言渡しを受けた場合は十五年を限度とすることとしておるわけでございます。  御質問の趣旨を取り違えて、大変恐縮でございます。  相当性の判断についてのお尋ねですが、この点については午前中、大臣の方から御答弁になったとおりでございまして、受刑者移送の趣旨が生かされるように十分配慮する必要があろうと思います。  まず、外国で服役している日本人受刑者の受入移送の場合は、その者の家族関係、生活歴等、対象受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰の促進に関係する諸般の事情等を勘案いたしまして、個別具体的な事案ごとに受入移送が相当かどうかを判断することになります。  一方、我が国で服役している外国人受刑者の送出移送の場合には、その者の改善更生や社会復帰の促進と同時に、他方で、我が国の裁判所が言い渡しました刑罰の持つ応報機能や抑止効果が損なわれないようにすることが、損なわれるようなことがないよう留意していかなければなりませんので、受刑者移送の目的や刑罰の機能がより良く発揮されるよう、関係する諸事情を総合的に判断して個別具体的に受入移送が相当かどうか判断するということになります。

浜四津敏子公明党

○浜四津敏子君 十七条の一項二号イには、外国刑が二十年を超える刑の場合、共助刑の期間を二十年としております。これは、現行法上有期刑の上限が二十年であるからということだろうと思いますが、例えばアメリカ等で言い渡される懲役あるいは禁錮に当たる刑が百年とか二百年という刑の場合については、それも二十年とするのか、それともそれは本来の趣旨は終身刑というように解釈をして無期とするのか、その線引き、あるいは区分というのはどの辺りになるのか、お答え願います。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 外国において有期の刑を言い渡されている場合は、これは何年の刑であったとしても無期とはせず二十年を限度として共助刑を執行することといたしておりますので、共助刑の刑期間はそういう場合、無期にはなりません。  したがいまして、お尋ねのような線引きというものはないわけでございます。

浜四津敏子公明党

○浜四津敏子君 それでは次に、送出移送についてお伺いいたします。  二十八条では、送出移送ができない場合を列挙しております。一号は同意がないとき、二号はいわゆる双罰性の要件でございます。この一号、二号は受入移送の要件と同じなわけですけれども、その他の要件、三号から六号につきましては、これは送出移送についてはより厳しいことになっておりますが、これらについてなぜ必要なのか、説明していただきたいと思います。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 三号の要件についてまず申し上げますが、ちょっと技術的な細かなことになって大変恐縮ですが、刑事訴訟法の第三百五十条の請求というのは、併合罪について処断された者がその一部について大赦を受けた場合に大赦の対象となっていない事件については改めて刑を定めることが必要になっておりますが、そのための請求手続でございます。  それから、そういったケースを、三百五十条の請求とか又は上訴権回復又は再審の請求若しくは非常上告といった手続が日本の裁判所に係属しているときには、我が国の懲役又は禁錮の刑が変動し又はその執行が不可能となる可能性がありますので、そのような可能性のある場合、そういう段階で執行共助を嘱託するというか送出移送をいたしますと執行共助を嘱託する裁判の内容が変わるおそれがありますので、そういうのがはっきりした段階まで送出移送はしないようにしようということでございます。  第四号の要件です。これは、送出移送犯罪につきまして特赦等の手続が取られている場合には、特赦等によりやはりこれから送り出ししようという裁判の言渡しが場合によってはなかったことになったりその内容が変更される可能性がありますので、このような状態で送出移送するのはやはり適当でない、その辺の取扱いが決まった後に送出移送をすべきであるということからそういう要件を四号に定めたものでございます。  第五号の要件でございますが、送出移送犯罪に係る確定裁判において、執行共助の嘱託をしようとする懲役又は禁錮のほかに罰金刑が併科されている場合がないわけではありません。この場合、この罰金等の執行を終えてから送出移送を実施しなければ罰金の裁判が執行不能となるおそれがございますので、そういうことに配慮した要件でございます。  第六号の要件の方ですが、送出移送者につきましては、送出移送犯罪以外に余罪がある、その余罪について裁判が係属している、又は既に余罪について確定裁判が言い渡されているが執行がまだ未了だといった場合には、送出移送を実施してしまいますと係属中の裁判が受けられなくなったり、又は余罪に係る確定裁判の執行ができなくなると、そういうおそれがありますので、そのような点を考慮いたしまして第六号の要件を制限事由として規定したと、こういうことでございます。

浜四津敏子公明党

○浜四津敏子君 日本で服役している外国人受刑者から送出移送の申出があった場合の手続の流れがどうなるのかを簡潔に御説明いただきます。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  先ほどは受入移送ですが、今度は送出移送の場合の手続の流れについて御説明したいと思いますが、外国人受刑者から送出移送の申出がありました場合、まず最初に、法務大臣が受入移送ができる場合に該当するかどうか、具体的に申し上げますと、法案二十八条各号のいずれにも該当しないということをまず判断しまして、かつ送出移送することが相当であると、そういうふうに認めた場合には執行国に対しまして送出移送の要請をすることとなります。これは、法案第三十三条第一項に定められているところであります。  その次の段階は、執行国からその要請に応じますよといった通知が戻ってまいりましたときには、この段階で送出移送を決定いたします、法案第三十四条一項でございますが。そして、送出受刑者を引き渡す必要がありますので、在監する監獄の長に対して引渡しを命ずるということにいたします。これも三十四条二項に規定されているところであります。  その後の措置は、引渡命令は引渡状を発して行われることになりまして、法務大臣は引渡状を発するとともに外務大臣に対しまして受領許可状というのを送付いたしまして、この受領許可状を受領した外務大臣がこれを執行国に送付いたします。  引渡しの交付を受けた監獄の長は、執行国の官憲から、先ほど申し上げました受領許可状が示されて送出移送者の引渡しを求められると、これに応じて送出受刑者を引き渡すと、そういう流れということになります。  送出移送の引渡しを受けた後は、執行国の官憲が速やかに送出受刑者を執行国に護送することということになります。

浜四津敏子公明党

○浜四津敏子君 法案二十九条では告知の手続が定められております。これによりますと、監獄の長が、「在監する締約国の国民等に対して言い渡された懲役又は禁錮の裁判が確定したときは、速やかに、その者に対し条約に定める事項のうち重要なものを告知しなければならない。」とあります。  いつ、どういう形で、何を告知するのか、「条約に定める事項のうち重要なもの」というのは具体的にどういう事項を指しているのかをお答えいただきます。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お尋ねの条約内容の告知ですが、送出移送犯罪に係る裁判が確定した時点で、送出受刑者が収容されている監獄の長がその受刑者に対しまして、欧州評議会が作成しておりますモデル告知書に基づいて作成される条約告知書、これはその受刑者の母国語に翻訳されたものになるわけですが、それを付した上でその内容を説明する予定でございます。  また、法案二十九条に規定します重要事項というのはどういうものかというお尋ねですが、これは、条約第四条によりまして、受刑者に告知すべき条約の内容として、先ほど申し上げましたモデル告知書に盛り込まれている事項、それから国際受刑者移送法に規定される重要事項を考えております。  具体的に申しますと、一つは移送の対象となる受刑者の範囲。二番目には受刑者移送の要件。これは、条約だけではなく国際受刑者移送法上の要件も含むことはもとよりです。それから三番目に、移送後の執行共助の方法。それから四番目に、裁判国及び執行国両方が恩赦の権限を有しているということ。五番目に、再審は裁判国に対してのみ申し立てること。それから六番目に、受刑者移送について希望を表明できると、そういったことを重要な事項として告知する予定にしております。

浜四津敏子公明党

○浜四津敏子君 この法案では、我が国で服役している外国人受刑者に対する告知についてのみ規定しているわけですけれども、外国で服役している日本人等受刑者に対する告知はどのようにするのか、いつ、だれが、何を告知するのかをお伺いいたします。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) この点については、欧州評議会の受刑者移送条約第四条に、「裁判国は、刑を言い渡された者であってこの条約の適用を受けることのできるすべてのものに対し、この条約の内容を通知する。」と、こう定めておりますから、この条約上、裁判国に告知の義務があるということになります。  したがいまして、法案の二十九条では、送出移送する場合の外国人受刑者に対しまして、この条約上の告知の部分を担保するため監獄の長に対して告知義務を課すこととしておりますけれども、一方、裁判国に服役している日本人受刑者に対しましては、裁判国において同様に条約の義務の履行として条約内容が、内容の告知が誠実になされるであろうと。これは条約上の義務ですので、そのように信頼して構わないであろうというふうに思います。  しかし、なお必要がもしあれば、適宜の方法で、同意の確認の際等において、失礼しました、必要に応じて適宜の方法により我が国から告知するというようなことも今後ちょっと検討してみたいとは考えております。

浜四津敏子公明党

○浜四津敏子君 最後に、法案とは離れますが、サッカーワールドカップについてお伺いいたします。  森山法務大臣も、先日、韓国を訪問されまして、フーリガン対策等についても協議されたことと思います。  かつて経験したことのない大勢の外国人が短期間に我が国を訪れるということになります。国土交通省の試算によりますと、大会期間中とその前後に入国する観客、また大会関係者は四十二、三万人に達する見通しだということでございます。しかも、例年でも六月には三十八万人前後の外国人が入国しておりますから、このまま推移いたしますと大会期間中の一か月間に約八十万人の方々が我が国に来日することも十分に予想されるところでございます。  全国各地の地方空港の体制も含めまして、大挙して入国される方々を受け入れる体制が万全なのかどうかについてお伺いいたします。

中尾巧法務省入国管理局長

○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、大会期間中は通常時と比べまして大幅な出入国者の増加が見込まれるところでございます。  私どもといたしましては、大会期間中、出入国者数の増加が見込まれます成田空港、関西空港等の主要な大空港はもとより、地方空港も含めまして相当数の入国審査官を応援派遣するべく所要のシミュレーションを取って今準備をしているところでございます。四月末には、国土交通省から最終的な一般観客の需要予測が出ますので、それで最終的な詰めを行いまして、万全の出入国審査体制の構築を図りたいと考えております。  あわせまして、本大会に乗じまして入国を試みようとするテロリスト、フーリガン等を水際で確実に阻止することは重要な課題でございますので、この関係も併せて所要の処置を講ずることとしているところでございます。

浜四津敏子公明党

○浜四津敏子君 法務大臣は、先日、韓国を訪問されまして、韓国政府との間でこのサッカーワールドカップ成功に向けての話合いをされたことと思いますが、どのような話合いをされたのかをお伺いしますとともに、このワールドカップは国際親善、友好のための最大規模のイベントでございますし、また前例のない二か国にまたがる日韓共催という方式で開催されますが、日韓両国民の願いと友好促進の観点からいたしましても、無事故で大成功を期待しているところでございます。  法務大臣の御決意をお伺いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

森山眞弓自由民主党法務大臣

○国務大臣(森山眞弓君) 先日、韓国へ参りまして、条約署名のほかに、特にこのワールドカップを控えまして両国の関係する様々なことについて相談をしてまいりました。  先ほど、入国管理局長が申し上げましたような入国に関する手続の円滑化、そしてさらにその混雑に紛れて入り込んでくる可能性のあるテロリストとかフーリガン、そういうものに対する情報交換やそれに対する対策について最終的な打合せ、協議ができましたことは大変成果があったと思っております。  おっしゃいますように、このワールドカップは初めての試みといたしまして日韓両国で開催される、またこの地域でやりますことも初めてでございますので、いろんな面で注目されております。この歴史的な国際的サッカー競技会が安全かつ円滑に成功裏に終わりますように法務省としても全力を挙げて取り組んでまいりたいと思いますし、この機会に日韓両国の交流が更に深まって、その関係が一層発展しますようにと願っているところでございます。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  国際的な協力の下で受刑者を本国に移送して刑の執行を共助することにより、その改善更生及び円滑な社会復帰を促進するという法案の目的については私どもも賛成であります。  受刑者移送が始まりますと、各国の受刑者環境の実情、格差というのが非常に明白になってまいります。午前中もありましたけれども、国際人権規約委員会も日本の刑務所の中の規則を過酷だということで改善も求めております。私語、わき見をしないとかいろいろあるわけですが、私も府中刑務所の刑務所規則をいただきました。「これに違反すると懲罰処分を受けることがあります。」と書いてありますが、例えば、「許可なく定められた方法以外の方法で衣類を洗濯し、又は身体を洗ってはならない。」等々、余りにも細かく、また軍隊的な規定があるんではないかと。そして、監獄法施行規則によって、家族との面会にも立会いがあったり、手紙が親族に限られて、回数も制限されているとか、こういう点での改善の声も非常に強いわけですが、この法ができるに当たり、こうした受刑者の人権、国際的な水準で改めて見直していくということが求められていると思うんですが、いかがでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 受刑者の施設内におけるいろいろな規制、特に所内規則というものは、受刑者に対しまして適切な処遇を行いまして、その改善更生、社会復帰に資すると同時に、やはり集団生活の安全を確保するために必要かつ合理的なものであるわけではございまして、それが過酷とかあるいは人権侵害とされるようなものではないというふうに考えております。  当局といたしましても、従来から受刑者人権、受刑者の人権には十分配慮をしておりまして、その処遇をより一層充実するため所要の改善措置も講じてきているところでありますので、今後とも改めるべき点があればこれを改善していきたいというふうに考えております。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 国際的な水準での見直しということを改めて求めておきたいと思います。  全体を改善をしていくことは必要でありますが、しかし道理のない特別扱いというのはするべきでないと私は思うんです。  公務外で犯罪を行ったアメリカ兵が入る日本では唯一の刑務所が横須賀刑務所であります。この中で、アメリカ兵受刑者と日本人受刑者が非常に待遇が違うという問題についてお聞きをいたします。  これは、九七年に我が党の緒方議員がただしまして、当時の下稲葉法務大臣は、るるお伺いいたしまして感ずることもたくさんございますと、実態をよく調査いたしまして善処するように努力いたしますと、こういう答弁をされております。  その後、例えばアメリカ兵の就寝時間は十時だが日本人は九時だとか、アメリカ兵は毎日シャワーが浴びれるけれども日本人は週二回のふろだとか、この辺は一定の改善がされたということをお聞きをいたしました。  暖房がどうかというのを改めて聞くんですが、米兵の房には冬の間は暖房があるけれども日本の受刑者にはないと。しかも、この米兵のボイラー夫は日本人受刑者がやっているという問題がありますが、この点はどういうふうに改善をされたでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 御指摘のとおり、平成九年にそういった御指摘を受けまして、横須賀刑務所における暖房につきましては、当時、米軍関係受刑者の舎房のみにスチーム暖房が行われていたわけでありますけれども、平成十年以降、日本人受刑者の舎房前に、の廊下にストーブを設置するなどして採暖の措置を講ずるということで、その取扱いに著しい差異がないように、差別がないように改善しております。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 部屋を暖めるために廊下にストーブを置く人というのはいないわけで、廊下にストーブを置いたからといって改善がされたということには私、ちっともならないと思うんですね。  最大の問題として指摘したのは食事の問題でした。これ受刑者の最大の楽しみなんですが、これが非常に大きな格差があると。  当時、直接、基地のメニューも見ておるわけですが、アメリカ兵は毎日ステーキなどの肉が出ると。フルーツ、ケーキ、それから三食ごとにコーヒーと牛乳が付くと、こうなんですね。日本人受刑者の場合はステーキなどもちろん出ませんし、甘いものというのは祝日しか出ないわけですね。フルーツは十日に一遍と。なぜこういう、刑務所内で米兵のメニューが、格差があるのかと。これ基本的に基地内の軍務に就いている米兵の食事とメニューを基本的に同じにしていると、そのために米軍当局から補充食料の提供がされておるというお話でありましたけれども、この点の改善はどうなったでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) ただいま御指摘のありました米軍から米軍関係受刑者への補充食料の問題につきましては、品目、数量の段階的縮小を図り、最終的には廃止する方向で米国側に申し入れているところでございますが、いまだ結論を見るには至っておりません。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 これ指摘して五年間ですが、協議はしているけれども、実態は何も変わっていないという御答弁だったと思うんです。  この刑務所内の処遇というのは監獄法で定められていると思いますが、こういう暖房とか食事の特別待遇というのは監獄法のどこに根拠があるんでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  暖房の方については、特に明文の根拠規定はありませんが、この補充食料については、米軍当局から米軍関係者に差し入れられたと、差し入れということで、監獄法五十三条に規定する差し入れというふうな取扱いをしておりまして、受刑者に対する物の差し入れについては、刑務所長が個々の事案ごとに差し入れ物の性質、差し入れを許すことのできる、差し入れを許すことによる拘禁目的に及ぼす影響等諸般の事情を考慮しましてその許否を決するところでありますけれども、本件についても、横須賀刑務所長は、そういった事情を考慮いたしまして、その裁量により差し入れを許可してきたものと承知しております。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 差し入れといってもいわゆる間食とかではないわけですね。全く別メニューの食事がされているわけです。  じゃ、日本人受刑者でこのような形で別メニュー食事が出されているというような例がありますか、差し入れによって。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 日本人受刑者の場合は、御指摘のとおり、通常の場合、食料の差し入れは認められておりません。ただ、米軍関係受刑者の場合は、日米地位協定の実施に関する合意の趣旨や、米軍関係受刑者の食習慣といったようなものを考慮して、横須賀刑務所長の裁量により認めてきたものと承知しております。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 ですから、これ日本人には認められていないわけですから、全くやっぱり特別扱いなわけですね。アメリカ人の習慣と言いますが、やられているのはアメリカ兵の受刑者だけなわけですから、二重の意味で私、特別待遇になっていると思うんです。これは本当に道理がないと思うんですね。  暖房のボイラーをやっている日本人受刑者は、残業をして寒い中で自分でたいて、自分の部屋に帰ったら暖房がないと、ここは一体、日本なのかアメリカなのかと、こういう感想も言われていたというのをお聞きをいたしましたけれども、これは本当、道理ないと思うんです。  沖縄では、昨年、北谷町での米兵による婦女暴行事件の際に、身柄引渡しをめぐって大きな怒りの声が上がって、地位協定の改定を求める声も広がりました。米兵が刑務所に入っても、こういう罪を罪とも思わないと私は思うんで、そういう特別待遇をされていると知ったら、沖縄の皆さんはどう思うんだろうかということも思うんです。  やはり、公正な司法への信頼という点からいいましても、処遇の改善というのは、いや、外国人の習慣の違いを考慮することは当然なんです。そうであれば、平等で改善すべきであって、こういう米軍人の受刑者だけの特別扱いというのは私はもうやめるべきだと思うんですが、大臣、御見解いかがでしょうか。

森山眞弓自由民主党法務大臣

○国務大臣(森山眞弓君) 先ほど矯正局長も申し上げましたように、米軍当局によって米軍関係受刑者に対する補充食料の提供というこのやり方は最終的には廃止することが望ましいと私も考えます。  しかし、何十年にもわたって続けられている取扱いでございますので、にわかに簡単にというわけにはまいりませんけれども、今後とも鋭意米国側との折衝を続けまして、適切に対処していきたいと思います。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 是非、早いうちでの改善をお願いしたいと思います。  この移送条約の批准に当たっては、いわゆる自国民の保護ということから、アメリカからの要求が非常に強かったということも報道をされております。ただ、今のような、日本での罪を罪と思わないような取扱いを米軍自身が求めてきたということを見ますと、この受刑者の改善更生という趣旨と違う運用がされるんじゃないかと、アメリカとの関係で。そういう懸念を私は思うんです。  米兵の受刑者の移送、送出移送については、法務大臣が相当性を判断して決めると法案ではなっているわけですが、こういう米兵の受刑者の移送などは、例えば県民感情であるとか被害者の皆さんの感情であるとか、こういうことはどういうふうな考慮をされるのか、大臣からお願いします。

森山眞弓自由民主党法務大臣

○国務大臣(森山眞弓君) 我が国で服役しております外国人受刑者の送出移送の場合には、その者の改善更生や社会復帰の促進という目的と同時に、他方で、我が国の裁判所が言い渡した刑罰の持つ応報機能や抑止効果が損なわれないように留意しなければならないと考えております。  おっしゃるように、被害者の感情とか国民的な感覚というものも大変重要だと思います。受刑者移送の目的や刑罰の機能等がより良く発揮されますように、御指摘のような被害者感情や社会感情など、関係する様々な事情を総合的に考えまして、個々具体的に送出移送が相当かどうかは判断するということになろうと思います。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 特に、沖縄県民の皆さん見ておりますので、是非お願いをしたいと思います。  次に、外国で服役をしている日本人の受刑者についてお聞きをいたします。  外国旅行する人も年々増えまして、海外での受刑者も十年間で倍ぐらいになっているかと思います。その中には冤罪を主張されている方もいらっしゃるわけです。  その一つとしてメルボルン事件というのがあります。これは、九二年に日本人の観光客の一団がオーストラリアでヘロインの密輸疑惑で逮捕されて、現在服役中であります。そして、九八年に、国際人権規約委員会に個人通報制度を使って日本人としては初めて通報をした、こういう事件であります。これが通報したときのこの冊子であります。(資料を示す)  一行は、オーストラリアに入る前にマレーシアに立ち寄りました。そのときにスーツケースを盗まれます。現地のガイドが、スーツケースが見付かった、しかしこれずたずたになっていると言って新しいのを用意してくれるんですね。ところが、そのスーツケースが二重底になっていて、その中にヘロインが隠されていたと。そのままオーストラリアに入ったときに空港で捕まって、男性四人、女性一人が、全く自分たちは身の覚えがないんだと無罪を主張してきましたけれども、結局、有罪判決を受けました。上告をしましたけれども、懲役十五年から二十年の刑が確定をしております。これ現在、服役中でもう十年になります。女性の方はただ一人、女子刑務所に入っておりまして、言葉も通じない、環境も違う、ストレスやショックで時に呼吸困難のひどい発作を起こしたり、自殺未遂もされたという状況があります。  事件の経過を私も大阪へ行って弁護団の方からいろいろお聞きもしたわけですけれども、やっぱり現地の大使館の最初の対応がこれで十分だったんだろうかということを思うわけです。こういう日本人が外国で犯罪の被疑者にされたときに、外務省としてどういうふうに対応をするのか。その規定はどういうふうになっているんでしょうか。

小野正昭外務大臣官房領事移住部長

○政府参考人(小野正昭君) お答え申し上げます。  一般的に、在外公館におきまして邦人が逮捕、拘禁されたという事実を知った場合には、直ちに現地官憲に対しまして事実関係の確認をいたしまして、それで当該邦人に対しましては面会等を行いまして本人の希望を聴取するということを行っております。例えば、弁護人ですとか通訳が必要になるということがございますので、その紹介ですとか、あるいは家族等関係者への連絡、それから差し入れなどをしてきているわけでございます。また、当局による取扱いの状況ですとか、あるいは健康状況、それを調査するということも行っておりまして、邦人保護の観点から様々な配慮を行ってきているところでございます。  先生御指摘のメルボルンの本件事件につきましても、邦人が逮捕された直後から、それから取調べの間も含めまして数次にわたって何度も面会を実施してきております。それから、弁護士の雇用等につきましても助言する等、可能な限りの支援を行ってきた経緯があるわけでございます。  それから、改善すべき点等があるんではないかという御指摘がございました。私どもも、もちろん執務提要と申しますか指針というものを我々各在外公館持っておりまして、それに基づきましてしかるべき対応をするわけでございますが、個々のケースは様々でございまして、そのケースごとにまた必要に応じて本省から指示を出して、その対応に遺漏なきを期すということでやってきているわけでございます。  今後ともこの点につきましては、個々の事件の状況に照らしまして、被疑者の立場に立って一層きめの細かな対応に努めていきたいというふうに考えている所存でございます。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 直ちに連絡を取るということなんですが、実はもう一件、外国で冤罪を訴えているのに、フィリピンで死刑判決を、やはりこれ麻薬の関係で受けておられる名古屋の会社員がいらっしゃいますが、この人の場合も、報道によりますと、逮捕直後に大使館に三回電話をしたけれども、コレクトコールを理由に断られたと。大使館職員が接見したのは逮捕から半年以上も後で、既に一審判決は下りていたと、こういうこともあるんです。  何というんでしょうか、やはり問題になっているところには対応の問題が私はあったと思うんですね。しかも、通り一遍の照会とかでは駄目だと思うんです。このメルボルン事件の人たちも、自分たちは逮捕されたという認識がそもそもないわけですね。運び屋に使われて、言わば参考にいろいろ話を聞かれていると思っているわけです。ですから、わざわざ領事館と接触を取ったり弁護人を雇うという必要性も感じていなかったと。ある程度捜査が終わったら自由が戻るんだと信じていたと言われております。ですから、言葉も分からない、司法制度も違う、文化も違うところで、自分たちの置かれている状況がどういうことなのかということまでかなり踏み込んだ対応を現地がする必要があると思うんですね。  特に重要なのは通訳でありまして、この事件の場合、空港での取調べは旅行会社のツアーのガイドがしているわけですね。その後も非常に不十分な供述調書が出ておりまして、例えばリーガルエードという無料で法律扶助を受けられる制度がありますが、こういうこともきちんとは説明されていないわけですね。裁判についても、通訳人の一人が、検察官と弁護士、証人がともに英語で話す場合でも通訳は一人しか付けられず、やり取りの速さに追い付けなくて要約せざるを得なかったと、こういうことを言われております。本人たちも、審理されている内容について翻訳されるのは一部だけで、まるで雲をつかむような裁判だったと、こういうことをこういう本の中でも言われております。  この個人通報に当たっては、日本の司法通訳人協会の長尾ひろみ会長が中立の立場で協力をされていますが、通訳人がその気になれば裁判を動かすことができるということもある新聞で言われております。  日本国内の外国人受刑者の通訳の話も審議で出ましたけれども、外国での通訳を付けるのは確かに当該国の責任でありますけれども、現実にはいろんな不十分さがあって、日本人がこういう目に遭っているということになりますと、やはり在外邦人の保護の観点から、信頼できる通訳を紹介をしたりする体制が非常に大事だと思うんです。  OECD各国とかオーストラリアのいわゆる法廷通訳人の制度、そういう通訳人をしっかり日本の大使館がリストとして紹介できるように持っているのかどうか、この点どうでしょうか。

小野正昭外務大臣官房領事移住部長

○政府参考人(小野正昭君) 法廷通訳制度でございますが、豪州も含めまして西側先進国の多くの国におきましては法廷通訳制度が存在しているわけでございますが、こうした制度を有する多くの国におきましては法廷通訳のリストというものは実は一般的には公開されておりません。そういうのが実情でございますけれども、我が邦在外公館におきましては、可能な限りこうした通訳の情報を入手する努力をしておりまして、当該邦人の求めに応じまして紹介等を行ってきているわけでございます。  なお、御指摘のメルボルン事件での事件の通訳の質に問題はなかったのかという御下問でございますが、本件事件におきましては裁判所側が法廷での通訳を選定したという事情がございます。  それから、総領事館員は主要な裁判には立ち会って傍聴をしているわけでございますが、通訳につきましては実はイヤホンを通じて行われてきたという事情がございまして、館員を含め傍聴者は、当該通訳の部分については十分その適否を判断することができなかったという事情があったというふうに承知しております。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 ですから、そういう、これ裁判のやり方も違うわけですから、現実には裁判の場所に行っていてもこの通訳がきちんと行われていないということが結果としては見過ごされて残っているわけですね。  現地で支援をしている皆さんからは、事件当初の海外における日本国政府の対応のお粗末さに唖然としたと、こういうような批判の声なども出されておるわけです。  やっぱり今後、海外でこういう不幸にも事件に巻き込まれる人も増えていくと思うんですね。ですから、在外邦人の保護という観点から、一層きめ細かく、しかも迅速な踏み込んだ措置が求められていると思うんですが、今後の強化方向について再度お願いします。

小野正昭外務大臣官房領事移住部長

○政府参考人(小野正昭君) 先生御指摘のように、近年、世界的に事件、事故に巻き込まれる邦人の援護件数というのは増えておりまして、本年一月現在で未決、既決、合わせて邦人拘禁者数百六十名に上がっているわけでございます。  こうした被拘禁者に対する援護につきましては、これ繰り返しになりますけれども、先生御指摘のように、初動が大切だというふうに我々も認識しております。今後とも、個々の事件の状況に照らしまして、被疑者の立場に立ってより一層きめ細かな対応をしていきたいと。特に、御指摘のように、言葉が不自由な邦人の場合には、やはり必要に応じて、弁護士等と打合せを通じて、滞在国の法令等、それから被告人に認められている権利等については当該邦人にきちっと説明していく等の措置を講じていきたいというふうに感じております。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 是非、一層の強化をお願いをしたいと思います。  この事件が注目されるようになったのは、最初にも言いましたように、国連への個人通報を日本人として初めて行ったということからです。当初、日本ではほとんど知られていない事件でありましたけれども、現地で支援活動をしている日本人から伝わって、判決から四年たってやっと弁護団ができまして、今、連名で釈放などを求めていらっしゃいます。こういうパンフも作っていらっしゃいます。個人通報の中では、捜査段階や公判段階を通じてオーストラリアの通訳体制や運用に問題があったということも指摘をしているわけです。受刑者の方々は、とにかく無実を晴らしたい、たとえ恩赦が認められても残って無罪を証明したいと、そこまで言われているようなことがあります。やはり、こういう世論を広げていくという点で、非常にこの個人通報制度が大きな私は力を発揮している一つの例だと思うんですね。  私どもは個人通報制度を国際的に確立している人権保護の基準として批准を求めてきたわけでありますけれども、法務省は検討検討ということを繰り返してこられました。受刑者移送についても、かつては刑罰権は国の主権の一部で裁判国で実現するのが原則だということで消極的だったと思うんですが、今度こうやって踏み出したわけですから、いろんな意味での人権の国際水準を満たすという点で、この個人通報制度の批准に踏み出すべきではないかと思うんですが、大臣の御所見をお願いします。

森山眞弓自由民主党法務大臣

○国務大臣(森山眞弓君) 条約の批准ということになりますと、それは外務省の所管ということになるわけでございますが、それを前提として私なりのお答えを申し上げますと、今、委員が御指摘になりました国際人権B規約第一選択議定書において、いわゆる個人通報制度が規定されているわけでございます。  この個人通報制度につきましては、おっしゃるような意味があるとは思いますけれども、他方で、司法権の独立を含め司法制度との関連で問題が生ずるおそれもあるのではないかという懸念があるわけでございますが、いずれにせよ、この条約の実施の効果的な担保を図るという趣旨から注目すべき制度であろうと思っております。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 勧告は政府に行われるわけなので、司法権の侵害にはならないということを言っておきたいと思います。  人権宣言が五十年のときに、ある新聞の社説でこの問題について、この条約に加わった場合の戸惑いや若干の混乱よりも、条約を拒むことによって国際的な人権基準や世界の潮流から取り残されることこそ恐れるべきだと、こういう指摘もされております。人権感覚を研ぎ、社会や法制のありようを考えていく上で大いに意味のある制度であると、こういう指摘もあるわけで、是非前向きにこれを取り入れていくという点で改めて求めまして、質問を終わります。

平野貞夫国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○平野貞夫君 私は、刑事法規の全くの素人でございます。それから、受刑の体験もございません。したがいまして、今朝から法務委員の先生方の質問でほとんど聞こうと思っていたことを問われまして、これから私がお尋ねすることは場違いで失礼なお尋ねがあるかも分かりませんが、御容赦願います。  最初に確認をしておきたいんですが、送り出しにせよ受入れにせよ、手続のスタートは受刑者の申出から始まるということと理解してよろしゅうございますか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 通常の場合はそういうことになるかと思います。

平野貞夫国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○平野貞夫君 この受刑者の申出というのは、法的性格はどういうものですか。権利なんですか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  これは、権利ということではなくて、条約上は関心の表明という言葉で表されているとおり、そういう性格の……

平野貞夫国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○平野貞夫君 関心の表明。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 関心の。

平野貞夫国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○平野貞夫君 どんな字を書くんですか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 関心があるないという、希望の表明というのも訳し方でいいかどうかはちょっと分かりませんが、そういう性質のものだというふうに御理解いただきたいと思います。

平野貞夫国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○平野貞夫君 受入移送の場合、法務大臣、それから東京地検ですか、それから東京地裁というところで手続がそれぞれ取られるわけですが、東京地裁が却下、いわゆる審査の結果、それを了解しない場合、その希望の表明をした人は例えば東京高等裁判所に救済の申立てをすることはできますか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  東京地裁の判決で、これは受入移送要件に該当しないというふうに決定がなされた場合には、その決定というのは司法の判断ですので、それに法務大臣も拘束されますので、その場合には不服申立てというものもできないということになっております。  それは、今申し上げましたように、権利がそもそもないという、権利性がないということと、それから、できないということになりますと、もう従来の外国における服役状態に何ら変化がないわけでありますので、そういったものでいいますと、そういった地位の変動というものがありませんので、不服申立てという制度の性格上、それはそれで完結すると。  再度もしやりたいということになれば、もう一度希望の申立てをして、裁判所で指摘されたようなことに反論できる資料を整えて、もう一度、希望の表明と言うとおかしいですが、申出をして、新たに手続をまた踏めば足りるのではないかと、そういうことでございます。

平野貞夫国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○平野貞夫君 司法の中に入ったら、やっぱり憲法で言う再審制度というのは機能するんじゃないですか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 一般的に、刑罰を処するとかというような裁判の場合には、そういった一審、二審、上告審ということがありますが、今回の制度につきましては、裁判所を関与させた理由というのは、一つには、外国で確かに受刑というそれ自体自由を拘束されている状態にあるわけですが、それは外国でそういうふうになっているわけで、移送する場面においては新たに、日本国にとりましては新たにその人の自由を制約するということがありますので、慎重を期して、できる限り公平、あるいは独立した機関の関与を入れた方が手続として適正ではないだろうかと、そういった判断に基づいて行っているわけであります。  したがって、元々の送出移送を申し出るというのは、本人がどこの国で受刑するしないというのは、そもそも権利がないことでございますし、移送の要件に該当しない、そういうふうに判断された場合にはその地位の変動をも全然来さないという先ほど申したような理由がありますので、それでその裁判所の判断に不服申立てするという制度を設けなかったと、こういうことです。

平野貞夫国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○平野貞夫君 もう一回申出しろという方法があるということでしたが、じゃ、この問題については一事不再理というのは機能しないということでしょうね。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) その判断された時点において、関係証拠あるいは関係資料を外国から入手して、そういう資料の下で裁判所が判断したということになりますので、その判断資料にその後新たな事情が判明したとか、そういうことになりますと話はちょっとまた別になりますが、同じような資料ということになりますと、そういった司法判断が尊重されるべきではないかと考えております。

平野貞夫国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○平野貞夫君 先ほど井上先生のお話にもありましたように、やっぱり外国では様々な状況が違いますから冤罪ということだって結構あると思います。  それから、仮に東京地裁の決定が最終決定だと言うんだったら、その文面をやっぱり法文の中に書いておくのが私は筋じゃないかという主張をしたいわけなんです。しかし、元々賛成しますからね、これには。それ以上言いませんが。  受刑者の権利といいますか、この間、大臣に受刑者にも基本的人権はあるんだというお話を伺っておるんですが、ちょっと角度を変えて質問しますが、政府が、法務大臣が出しているこの人権擁護法案、この中には、人権侵害による被害を受け、又は受けるおそれがあるときは、人権委員会に対して申出することができると、何人もと。これは、受刑者もできるわけですね。

森山眞弓自由民主党法務大臣

○国務大臣(森山眞弓君) 先日申し上げましたとおり、受刑者も人権がございますので、できます。

平野貞夫国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○平野貞夫君 となりますと、受入れの申出のことについてはちょっと言いません、これ以上。  甚だ失礼でございますが、法務大臣の周辺の縄張なり、地検の縄張なり、あるいは裁判所の地裁の縄張に、この人権侵害による行為が仮に起こった場合、この人はこの法律が制定されれば、人権委員会に人権侵害だということを申出することができますね。

森山眞弓自由民主党法務大臣

○国務大臣(森山眞弓君) そういうことは起こりにくいと思いますが、もし万一あれば、できます。

平野貞夫国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○平野貞夫君 何だか人権擁護法案の審議みたいになって申し訳ないですけれども、この人権委員会というのは法務省の外局でしょう、法務省の外局でしょう、この案は。東京地裁で決定したものに対して、裁判所で決定したものに対して法務省の外局で今度は形を変えて審査するということになるんでしょう。これは私、人権擁護法案の構成が極めておかしいと思う。そういう意味でもこれは独立の機関にしておかなきゃ駄目ですよ。法務省の外局じゃ駄目ですよ。これは意見を申し上げます。そういうことを、大きな問題があるということを指摘しておくんですがね。  実は、国際受刑者移送法案の審議ですが、これに関連してちょっと申し上げたいことがあるが、実は今日夕方から、日本弁護士連合会の主催でこの人権擁護法案のシンポジウムがありまして、江田先生始め我々呼ばれております。自民党の方と公明党の方は断ったそうなんですが。そこで、実はこれは受刑者の問題と関連がありますから、重要な、私は素人ですが、先ほど指摘した問題なんかやっぱり大きいと思うんですよ。そこで、案内状によりますと、それぞれの党の状況あるいは国会の状況を報告せよということになっているんですよ。七分ぐらい各党、話をすることになっていますが。  そこで、森山法務大臣の腹を聞かせていただきたいんです。失礼しました。女性に腹を聞かせてというのは失礼で、本音を聞かせていただきたいんですが、この法案は一回撤回して、もう一回やり直したら、作り直したらどうですか。いかがでございますか。

森山眞弓自由民主党法務大臣

○国務大臣(森山眞弓君) 人権擁護法案は、人権擁護推進審議会の答申に基づきまして、現行の人権擁護制度を抜本的に改革して、独立性の高い人権委員会の下で人権侵害の実効的な救済と人権啓発の推進を図るというものでございます。この法案は、人権の世紀と言われる二十一世紀におきまして、人権尊重社会を実現するために是非とも必要な法案だと考えておりますので、どうぞ慎重に御審議をくださいまして、できるだけ早く成立させていただきたいと考えております。

平野貞夫国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○平野貞夫君 大臣としてはそういうことでしょうけれども、やっぱり僕は致命的な問題点があると思いますので、国会が修正するということになったら、これはもう大臣も異論はありませんわね。

森山眞弓自由民主党法務大臣

○国務大臣(森山眞弓君) 御審議の経過でいろいろな御意見が出るということは私も想像しておりますし、法務当局といたしましてもできるだけ準備をいたしまして御理解をいただくように努力する予定でございますが、おっしゃるような事態に、もし国会の中でお決めいただければ、それは大変大事なことで、尊重しなければいけないと思います。

平野貞夫国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○平野貞夫君 私は十年近く、何か知らぬけれども、法務委員ばかりやっているんですけれども、法務省の出した法案に反対したことは一回もないんですよ。かなりな協力者、野党になったり与党になったりすることは何回もありますけれども。  そこで、このままだとこれはかなり、やっぱり論を張るだけじゃどうも済まぬような、それから私の親友の公明党の先輩にこの感想を聞いたら、修正というようなことでどうでしょうかと言ったら、いや、もう一回出直した方がいいという、かなりそういう、与党の中にもそういう意見があることを承知しております。しかし、これ以上言いますとシンポジウムになりますので、この話は終わります。  あと一つ、受入れでも送り出しでも両方かかわると思いますが、移送した受刑者と恩赦の関係はどうなるんですか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  この条約上、恩赦につきましては、裁判国も執行国もそれぞれの国でそういう措置を取れるというふうになっておりますが、本法案におきましては、受入移送した日本人の受刑者につきましては、その基になった判決というのはこれは外国の司法権の裁量による判決なわけです。日本には恩赦法というのがあるわけですけれども、この恩赦というのは司法権を行政権で修正するという性格なものですから、この受入移送した者の基礎となる裁判というのは日本の裁判ではないわけですので、恩赦をそのまま適用することはできないだろうと。  じゃ、そのままほっておいていいかということになりますと、まずいものですから、法案の二十五条に恩赦に相当する制度を創設しております。この場合、恩赦については、大赦、特赦ということで裁判のそれ自体を無効とするようなことは、これは外国の裁判をそうすることはできませんので、刑の執行の場面でそれを免除するとか減軽するという形にいたしまして、中央更生保護委員会の申立てに基づいて法務大臣が決定するという仕組みで恩赦的な措置を設けております。

平野貞夫国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○平野貞夫君 はい、分かりました。素直なときには素直に分かりますので。  今朝から日本の刑務所がいいか外国の刑務所がいいかという話が大分出ていたんですが、昨年十二月の朝日新聞の記事に、「日本の刑務所は、作業中は私語もわき目もだめ、従わなければ懲罰、と管理が極めて厳しい。自国での受刑を望む外国人は多くても、帰国して服役することを選ぶ日本人は少ないのではないか」ということをコメントしている弁護士さんがいるんですけれどもね。  この条約の対象の国というのがほとんどヨーロッパでしょう、今のところ。途上国は少ないという中で、どっちかというと、やはり外国でそういう先進国の刑務所で受刑している人、日本人はこういう意識じゃないかと思うんですが、この点についてはどういう言い分ですか、局長。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えさせていただきますが、御指摘のとおり、日本では刑務作業をしているときには不要な私語は禁止しております。これは、そういうことでわき目もしたりしますと、作業が危険な作業もあるわけで、そういうことでけがをするようなこともある、そういったようなこと等を配慮をしたということです。  全体的には、日本の場合とヨーロッパの場合とを比べてみますと、私自身は直接見てはおりませんが、視察した者のあれですと、やはり日本の方が規律が厳しいと。いろいろな面で自由は制約されておりまして、ヨーロッパ、アメリカの方がその点は自由だということになりますが、反面、私どもの立場から申しますと、それだけ規律が守られているということは、所内の安全は非常にしっかりしていると。したがって、保安事故、逃走、そういうものは外国では時として起きますが、私ども全然起きないとは申し上げませんが、そういう面で安全性は十分確保されているという点で違いがあるというふうに考えております。

平野貞夫国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○平野貞夫君 いずれにせよ、こういう法、条約を、遅きに失したとも言えますが、批准して法律を作ると。それだけ国際化というのが進んでいるわけですが、問題は、やっぱり明治時代にできていた監獄法をいつまでも片仮名のまま、しかも考えようによっては差別用語を一杯並べてこの二十一世紀に生かしておくというところに、私は非常に今後この国際受刑者移送条約を上手に機能させる弊害だと思うんですよ。  だから、かつて監獄法の抜本改正については政府もいろんな御意見があったんですが、現時点でどうですか、この監獄法の抜本改革。新しいやっぱり仕組みにするということについて、法務大臣の御見解をお聞きしたいんですが。

森山眞弓自由民主党法務大臣

○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるように、監獄法というのは明治四十一年に制定されたものでございまして、その内容、形式ともに時代に適合しなくなっております。ですから、同法を改正する必要性というのはかなり前から意識されておりまして、昭和五十七年の四月、昭和六十二年の四月及び平成三年の四月の三度にわたりまして国会に提出させていただきましたが、いずれも衆議院の解散によって廃案となってしまいまして、現在に至っているわけでございます。  現在も同法を改正する必要性が決してなくなったわけではございませんので、関係各位の御理解を得ながら引き続き検討を進めてまいりたいと思っております。

平野貞夫国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○平野貞夫君 これ以上聞くとちょっとぼろ出ますので、これで終わります。

福島瑞穂社会民主党・護憲連合

○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。  まず、移送に際して法務大臣の相当性の判断の基準なんですが、本人が、受刑者本人が移送を希望し、なおかつ条件が整っているのに、相当ではないという判断が生ずることはないでしょうか。もしそうなら、それはどういう場合でしょうか。教えてください。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お尋ねは受入移送のケースということで、受入移送につきましては法案五条に挙げた要件に該当して、かつ相当性が認められる場合に受入移送を行うわけでありますが、お尋ねのように要件を満たしながら相当でないとされる場合というのはどういう場合でしょうと。  今、考えられるのは、例えば日本国籍を有すると、一応当該受刑者が日本国籍は有するものの、ほとんど生活の本拠地がその外国であって、家族もその外国に住んでいて、我が国とのつながり、結び付きが余りないと。本人は希望はしているんですけれども、実態を調べてみたらそういう場合というような場合も一つ考えられると思います。それから、裁判の個々の刑が物すごく軽過ぎると、そういった場合、我が国としても刑法五条を適用して、自ら処罰すべき場合があるというふうに考えた場合も受入移送は拒否するというような、いずれもやや例外的かもしれませんけれども、そういった事情が、今、不相当とされる場合として考えられると思います。

福島瑞穂社会民主党・護憲連合

○福島瑞穂君 本人が移送を希望していて条件が整っているのに相当でない場合について今ありました。  ただ、もし本人が希望をしていて条件が整っていれば、その相当性の判断については、やはりそれを認めない場合というのは極めて例外的にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 受入移送の場合は、対象になるのは外国にいる日本人で、日本が、自分の国へ帰りたいということですので、そのお気持ちというか希望は十分尊重しなければなりませんけれども、ただ、この制度の趣旨というものが改善更生及び社会復帰の促進ということにありますので、それが全然果たせないというような場合は、そういうような例がある場合にはやはり不相当とせざるを得ないケースもあるということだけ御理解いただきたいと思います。

福島瑞穂社会民主党・護憲連合

○福島瑞穂君 受刑者本人が移送を希望して条件が整っている場合は、是非、相当ではないという判断が少ないように要望したいと思います。  今ふと思ったんですが、例えば在日韓国・朝鮮の人やあるいはブラジルなどの二世、三世、四世といった人たち、つまり国籍上は外国人なんだけれども、日本国籍ではないけれども、親の世代から含めて日本で暮らして日本の学校を出たり、文化も日本、文化というか日本の中で暮らしてきた人が多いと思うんですが、その人たちの取扱いというのはどうなるのでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  受入移送の対象者は日本国籍を有するという者と、もう一つ、特別永住者につきましては歴史的経緯から日本に住んでいるということが認められておりますので、特別永住者についてはこれを受入れの対象として、法案でいけば二条にそういう形で定義しております。

福島瑞穂社会民主党・護憲連合

○福島瑞穂君 翻訳者、通訳者というのが重要な位置を占めると思うんですが、翻訳者、通訳者の確保はどうするのか。また、現状での問題点にはどのようなものがあるのでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お尋ねの場合は恐らく送出移送の場面を想定されておられると思いますけれども、日本で受刑している外国人受刑者に対して送出移送する場合には同意を確認しなきゃなりません。その場合には、当然、事柄の性質上、通訳を介して任意の同意を得るように努めなきゃなりませんので、こういう場合にはしっかりとした通訳人を付けさせるということにいたします。  そのほか、同意の確認に当たっては執行国の方もそれを確認することができると条約上なっておりますので、我が国だけではなく、執行国の領事の方々がまた面接いたしまして、そういった条約の内容の説明とか同意の確認というものを正に母国でするという、二重の形でその点を確かめることにしておりますので、そう問題が起きることは少ないのではないかというふうに考えております。

福島瑞穂社会民主党・護憲連合

○福島瑞穂君 服役中の外国人受刑者に対する制度の具体的な周知方法なんですが、本人がこの法律のことを知って、国際受刑者移送法というのがあると知って申し出るという場合は簡単なんですが、外国人一般がこの法律について知ることはなかなか難しいかもしれません。そうしますと、現在、日本で服役中の外国人受刑者に対する制度の具体的な周知方法については、現在どのように考えていらっしゃるのでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 送出移送の場合には、その送出移送の対象になっております犯罪に係る裁判が確定した時点で、その受刑者が収容されている監獄の長がその受刑者に対しまして、欧州評議会が作成しておりますモデル告知書に基づいて作成した条約告知書、これはその受刑者の母国語に翻訳されたものですが、それを交付いたしましてその内容を説明することにいたしております。  また、裁判が確定した事件で受刑者が収監されていないという場合もあるかもしれませんが、これは、その後、収監された時点で監獄の長により同様の手続を取ることとしております。

福島瑞穂社会民主党・護憲連合

○福島瑞穂君 今、アメリカにいる日本人受刑者からNGOや弁護士のところに対して、例えば日本で受刑したいんだけれども、日本の刑務所はどのような処遇になっているか、賃金はどうなっているのか、面接交渉はどうなっているのかという問い合わせが来ています。また逆に、日本にいる外国人受刑者の属する大使館などから弁護士やまたNGOなどに対して、どういう手続を取ればいいのかという問い合わせがやはり来ております。  つまり、今、外国にいる日本人受刑者の中でも、だれだって母国に帰りたいし、母国語が使えるところで受刑する方がたやすいと思うんですが、他方、その給料、日本の刑務所で払われる報賞金と外国で払われる賃金というのは違いますし、全然レートというか価値が違いますし、あるいは面接交渉なども日本は極めて、家族と弁護士しか会えませんし、いろんな待遇面で違いがあります。  ですから、世界にはいろんな刑務所がありますけれども、先ほど井上委員の方からもありましたけれども、日本が国際受刑者移送法を採用するに当たっては、むしろ外国にいる日本人受刑者が喜んで帰ってくるような日本の刑務所の処遇の状況を作っていく、日本の処遇の状況をやっぱり改善していくという、国際水準に合わせていくことがとてつもなく必要であるというふうに考えるのですが、いかがでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  刑務所における処遇のやり方というものにつきまして、これまでもいろいろと改めるべきものは改めるというか、もちろんその場合には国際的な動きというようなものも視野に入れながらやってまいりましたので、今後ともそういうような態度で不断の努力を続けていくべきものだというふうに考えております。

福島瑞穂社会民主党・護憲連合

○福島瑞穂君 是非よろしくお願いします。  特に、この法律、条約はヨーロッパ評議会がやっておりますので、私も余り外国の刑務所は見学をしたことがないんですが、幾つか見学をすると、例えば開放刑務所であるとか、制服ではなく私服の貸与が認められている、あるいは面会をするときに応接室のような非常に、そばに人が立っていなくて面会ができるとか、あるいは食堂もカフェテリア方式でできるとか、あるいは仕事についてもフレックスタイム制であるとか、いろんな刑務所がありますけれども、外国で非常に日本語が通じなくて不便で嫌だと思っていたとしても、日本の刑務所、日本に帰ろうというふうになかなか思わない人たちも多いんではないかと。  ですから、この国際受刑者移送法がもし成立した場合には、逆に、先ほど、ちょっと繰り返しになりますが、井上委員からもあったように、ヨーロッパというか外国、ヨーロッパ評議会、せめて外国の標準とやはり合うような日本の刑務所の処遇の改善、特に医療や賃金の面に関して是非向上していただけるようによろしくお願いいたします。  例えば、先ほども井上委員からありましたが、アメリカ人が受刑している横須賀の刑務所であれば、毎日シャワーが浴びれるし、お肉とかいろんな差し入れも可能であると。日本だとそういうことは、日本人はできていないわけですから、悪い方にそろえるのではなく、良い方にそろえる方向で是非よろしくお願い申し上げます。  次に、その刑務所の処遇ということで言いますと、済みません、もう一つ言います。  受刑者引渡しの際に、刑の執行方法について日本が刑の執行継続の立場を採用した理由について教えてください。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  受入移送した場合に、その対象となる外国刑をどういうふうに取り扱っていくかということについては大変難しい問題がございます。  条約におきましては二つの方法を定めておりまして、条約十条に、今御指摘がありました刑の執行継続という手続を決めております。  これは文字どおり、外国の刑をできる限りそのまま継続するということですが、ただ、その手続につきましても、執行国が自国の刑罰法令に照らして裁判国の刑をある程度自国の法律に適用するよう変容できるということになっておりますので、できる限り外国の裁判で定まった刑に近い形で受入れした方がこの受刑者移送の趣旨がより発揮されるのではないかといったことを考慮いたしまして、こういった、刑の転換ではなくて刑の執行継続という考え方を取って法案を作ったと、こういうことでございます。

福島瑞穂社会民主党・護憲連合

○福島瑞穂君 刑務所の処遇のことについてもう少しお聞きをいたします。  日本弁護士連合会は、一月十七日に法務大臣に対して、申立人免田栄さんによる死刑再審無罪者に対して年金支給を求める人権救済申立て事件について次のように勧告をしております。「長期服役囚に対して、社会復帰後更生する際に生活を安定させるための年金支給が不可欠であることを踏まえ、国民年金制度への加入の重要性を教示し、保険料免除制度についても合わせて周知徹底するよう勧告する。」。それから、同じように日本弁護士連合会は厚生労働大臣に対して、「かつて死刑判決を受け、再審で無罪判決が確定した冤罪被害者が、国民年金を受給できるよう早急に必要な措置を講じられたい。」と勧告をしております。  きちっと周知徹底がされ、保険料免除制度についてきちっとされればいいんですが、その制度を知らなくて無年金になっていることからこのような申立てがされているのですが、このような勧告を踏まえて、法務省としては年金制度、刑務所を出た後、無年金にならないようなことについて、現在どういう工夫をしていらっしゃるか、徹底していらっしゃるか、教えてください。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 受刑者の年金問題については、ただいまの弁護士会の勧告の以前からもいろいろ取り上げられておりましたので、現在では、受刑者が受刑を開始する時期に指導を行いますが、そういう場合に公的年金制度の項目を設けて情報提供を行うこととしているほか、釈放時期が近づいた際にも同様な指導をしております。  そのほか、受刑者の居房には生活の心得といった冊子を備え付けておりますけれども、ここにも国民年金制度についての説明を追加記載するというような取扱いにしておるところでございます。

福島瑞穂社会民主党・護憲連合

○福島瑞穂君 外国、海外の受刑者のことなんですが、これは、オランダ保護観察所では、例えば海外の受刑者のサポートをしている。それはどういうことかといいますと、オランダの保護観察所は、海外で受刑者の、オランダ人受刑者のサポートをしていると。海外で受刑中のオランダ人は全部で二千五百人で、十七名が日本で受刑中であると。で、受刑者の援助を行っている。例えば、外国での服役には問題が多いのでボランティアがケアをする必要があるとか、例えばすべての刑務所にオランダ人のボランティアスタッフが入るわけではないので、例えばボリビアでは刑務所を訪問すること自体が危険なために入ることができない。日本でも、刑務所で受刑者に面会できるわけではないので大使館を通じて日本の法務省に面会についての要望を出している。日本におけるオランダ人受刑者の問題は言語の点にあるなどとあります。私は、このレポートを読んで面白いと思ったのは、オランダの保護観察所が自国の海外受刑者についてのサポートをやっているということです。  日本でも、先ほどから質問がありますが、日本人で海外で受刑している人に対するサポートはまだまだ非常に不足をしていると思いますが、そのような点について、ほかの委員の方からも質問がありましたが、実践的な取組やお考えがあったら教えてください。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) ちょっと突然の御質問であれでございますけれども、外国にいる日本人受刑者ということになりますと、その保護とかそういう問題はむしろ領事関係の事務として取り扱うべき話ではないかなという感じがします。日本のこの刑務あるいは矯正がそこまで職責権限が及ぶかということについては、ちょっと違うんではないかなという感じを持っています。

福島瑞穂社会民主党・護憲連合

○福島瑞穂君 ただ、日本人で海外で受刑している人たちの問題はどうしても見落とされがちだと思うので、是非、目配り、あるいは今後何か対策が取れないか考えてみてください。検討を是非よろしくお願いします。  矯正施設における公共図書館のサービスの現状なんですが、図書館が、もう少し公共図書館と刑務所がリンクをすれば、刑務所が、もう少し受刑者が本を借りることができるというふうに思っております。これは「図書館が変わる」という本の中にあることなんですが、「矯正施設の被収容者は、公共図書館のサービスを最も必要としている状況下に置かれているにもかかわらず、公共図書館のサービスから最も疎外されている人々である。なぜなら、矯正施設当局が動いてくれない限り、彼らには公共図書館にアクセスするすべがないからである。」と。もう少し図書館の方からも主体的に働き掛けをしたらどうかというふうに本の中に書いてあるんですが、公共図書館と今、刑務所との関係はどのようになっているんでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。  公共図書館との提携につきましては、これは各施設施設でそれぞれ判断しているところでありまして、中には近隣の公共図書館の理解を得て定期的に一定数の図書を借り入れている施設もあるというふうに承知しております。

福島瑞穂社会民主党・護憲連合

○福島瑞穂君 是非、公共図書館と刑務所との連携を積極的にしてくださるようによろしくお願い申し上げます。  二〇〇一年三月十九日の毎日新聞に、「受刑者労役安過ぎる」という記事が載っております。月額約四千円であると。それで、法務省が、受刑者が作業賞与金を被害者にどのくらい送金しているかを初めて調査をしたと。九九年のデータでは、全国の刑務所で百七十二人が賞与金を被害者に送金をしている。六十三人が被害者に直接送り、残りが家族を通じ送っていたという記事があります。  つまり、非常に少ないお金の中から百七十二人は被害者に対して刑務所からお金を送っていると。もう少し受刑者の賃金を引き上げて、また被害者へ送金できるシステムを作れば、受刑者の中には少額でも被害者にきちっとお金を送りたいというふうに思う人も出てくると思います。そうしますと、被害者の人も、頑張ってお金を送ってくれているということは、随分、被害感情というのを和らげる手段になると思います。そういう意味では、是非、法務省は、今不況下で大変だと思うんですが、受刑者賃金の引上げあるいは被害者へ送金できるシステムの整備などをやっていただきたいのですが、いかがでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お尋ねの作業賞与金というのは、刑法で定める懲役刑の内容そのものであります刑務作業を奨励し、かつ釈放時における当座の生活維持や就職準備等の更生資金として役立たせるために、刑事政策の一環として支給されているというもので、ただいま賃金と言われましたけれども、賃金という性格のものではないというふうに理解しております。  そういった作業賞与金の性質ということに照らしますと、やはりその額というものは、国民感情等の諸条件も考慮して決定されるべきものでありまして、その意味で適正な水準にこれまでもいろいろ努めてまいりましたけれども、国民感情が納得いくようなものである必要があるというふうに私は考えております。

福島瑞穂社会民主党・護憲連合

○福島瑞穂君 ただ、イギリスでは、例えばイギリスの受刑者の平均賃金は週十二から十五ポンド、二千百円から二千六百二十五円。これは、賞与金と言うか賃金と言うかは別として、日本の受刑者の平均作業賞与金が月四千円ぐらいというのはやはり余りに安過ぎると思います。是非、この点の取組を重ね重ねお願いしたいと思います。  現在、過剰拘禁が問題になっていますが、被拘禁者数に比した職員数の不足から見られる、職員数の増加と矯正予算の増加の必要性があると思います。過剰拘禁により現場職員の労働条件は悪化していますし、休日労働も増えていると考えられます。人員の抜本的増加が不可欠だと考えますが、いかがでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたしますが、被収容者の増加に伴いまして当然、業務量が増えてきますし、受刑者も、高齢者、また今問題になっている外国人受刑者というような処遇に特別な配慮を要する被収容者も増えております。それだけ業務量が増加していると。  そういった中で、職員の週休日が完全に確保できない。また、職員の年次休暇取得数は、一般の公務員がたしか十一日か二日ですけれども、六日程度しか取れていないと。込んでいるところは、もっとひどいところは二、三日しか取れていないというようなことで、大変そういう状況にあることでありますので、職員の待遇改善のために私どもとしてもその要員及び予算の確保に今後とも努めてまいりたいというふうに考えております。

福島瑞穂社会民主党・護憲連合

○福島瑞穂君 刑務官の人の休日の取得や年次有給休暇の取得率が大変低く、労働が過重になっているという話を聞きますので、これは、国会も努力すべきだとは思いますが、是非よろしくお願いします。  一つは過剰拘禁に伴う過重労働ということもあるのですが、施設内業務における例えば信書の細かな検閲や面会立会いなども過重労働の中に入っているのではないか。つまり、例えば刑務所では新聞は一紙を回覧しているわけですが、どうして一つの新聞しかできないのかと聞いたところ、検閲するのに大変だからというのも聞くんですね。あるいは信書については、すべて手紙については検閲をしておりますから、その手間暇も物すごく掛かると。それから、家族に会うときも全部面会に立会いを付けてすべて書き取っているわけですから、それの負担というのも非常にあると思います。  ですから、私は、必要なチェックは必要だろうけれども、もう少し、例えば個人的なカウンセリングだとかケアだとか自立支援だとかそういうところにもっとエネルギーを割くべきであって、再犯防止のために、細かなチェックや、もしかして従来、慣行とされてきたことで省けるものは、省けるところは省いたらどうかというふうに考えています。その辺の見直しなどはどうなっているのでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) ただいま御指摘がありました受刑者の信書の検閲あるいは面会時の職員の立会いということですが、これ自体、監獄法令に基づいている業務でございまして、いずれも不法な物品の授受、あるいは刑務所の規律、秩序を害するような行為や逃走その他の収容目的を阻害する行為を防止するという必要から行うべきとされている業務ですので、決してこれをないがしろにはできない部分もあるわけです。  ただ、いろいろな行刑施設で行っている業務運営につきましては、できる限り無駄を省くというか、効率的、合理的な業務の遂行をするということは、これは常に考えていかなければならないことだと思っております。

福島瑞穂社会民主党・護憲連合

○福島瑞穂君 刑務官の人権保障についてお聞きをします。  刑務官の人には団結権もなく、さっきもおっしゃったように、年次有給休暇の取得率や、様々な点ではかなり取りにくかったりしているのですが、刑務官の人権保障についてはどうお考えでしょうか。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) ちょっとお尋ねの趣旨が分かりにくいんですが、当然、刑務官も人権を保障されるべきものであると、こう考えております。

福島瑞穂社会民主党・護憲連合

○福島瑞穂君 いや、ごめんなさい、もちろん刑務官には人権保障がされるべきではあるのですが、労働条件等がやはりどんどんどんどん過重になっているとかという話も聞きますし、そういう点では、では逆に要望を申し上げます。  今、過剰拘禁状態の中での刑務官の過重労働なども問題になっていますし、受刑者の権利も重要ですが、刑務官の働く権利も重要であると。刑務官の人たちのあるいはストレスなども相当強いというふうにも思っています。そういう意味では、刑務官の人たちの働きやすい職場づくりなどについて決意をお願いします。

鶴田六郎法務省矯正局長

○政府参考人(鶴田六郎君) 率直なところ、各行刑施設におきましては、過剰収容の中で、非常に地味で目立たない仕事ではございますけれども、収容確保と改善更生という刑務官の職務を一生懸命、日夜地道な努力を続けておりまして、年休の取得等も先ほど申しましたように十分取れない中で頑張っているわけですので、私どもとしては、そういう人たちの努力が報われるように、先ほども申しましたけれども、要員の確保あるいは予算の確保に最大限の努力を重ねて、そういった待遇の改善に資するように努力してまいりたいと考えております。

福島瑞穂社会民主党・護憲連合

○福島瑞穂君 出所後の身元保証は更生保護会で確実に行われているのでしょうか。完全に行われていない場合、新たに保証人協会などを作る必要性はないのでしょうか。

森山眞弓自由民主党法務大臣

○国務大臣(森山眞弓君) 刑務所から出所する者につきましては、保護観察所が環境調整、保護観察あるいは更生緊急保護などを行っておりまして、その中で本人が家族や友人、知人などの元に帰れるようにあっせん調整に努めておりますほか、本人が自分で例えばアパートを借りようというような場合などには、家族や友人、知人等に対して身元保証人になるように働き掛けるということも行っております。更生保護施設においては、本人に宿所や食事を提供するなどの保護を行っておりますけれども、通常、身元保証などは行っておりません。  身元保証のための協会を設立すべきではないかというお話かと思いますが、当面は、先ほど申しました環境調整、保護観察あるいは更生緊急保護の措置を更に充実させるということをやりますとともに、更生保護施設における保護の充実を図るということが先決であるというふうに思っております。

福島瑞穂社会民主党・護憲連合

○福島瑞穂君 時間ですので、終わります。

高野博師公明党

○委員長(高野博師君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  国際受刑者移送法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

高野博師公明党

○委員長(高野博師君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、千葉景子君から発言を求められておりますので、これを許します。千葉景子君。

千葉景子民主党・新緑風会

○千葉景子君 私は、ただいま可決されました国際受刑者移送法案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     国際受刑者移送法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。  一 外国で服役している受刑者のための国際受刑者移送制度が、受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰の促進に資することにかんがみ、アジア諸国等に本制度の導入を働き掛けるとともに、諸外国の刑事法制の調査、法整備支援の拡充に努めること。  二 本制度の運用に当たっては、受刑者に対し、制度の趣旨、移送後の法的効果等の周知を図るとともに、移送の際には、受刑者本人の意思を十分確認、尊重すること。  三 外国人受刑者の国籍の多様化に対応し、その処遇に遺憾なきを期するため、必要な言語の通訳人を確保、養成するための所要の措置を講ずること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

高野博師公明党

○委員長(高野博師君) ただいま千葉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

高野博師公明党

○委員長(高野博師君) 全会一致と認めます。よって、千葉君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、森山法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。森山法務大臣。

森山眞弓自由民主党法務大臣

○国務大臣(森山眞弓君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その御趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

高野博師公明党

○委員長(高野博師君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高野博師公明党

○委員長(高野博師君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十八分散会

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