法務委員会 第2号
- 発言数
- 314 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2002/03/19
会議録
○委員長(高野博師君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、警察庁長官官房長石川重明君、警察庁長官官房国際部長村上徳光君、警察庁生活安全局長黒澤正和君、警察庁刑事局長吉村博人君、警察庁警備局長漆間巌君、防衛庁長官官房審議官横山文博君、法務省民事局長房村精一君、法務省刑事局長古田佑紀君、法務省矯正局長鶴田六郎君、法務省保護局長横田尤孝君、法務省人権擁護局長吉戒修一君、法務省入国管理局長中尾巧君、外務省中東アフリカ局長安藤裕康君及び外務省中東アフリカ局アフリカ審議官小田野展丈君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高野博師君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(高野博師君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、法務行政の基本方針に関する件について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○市川一朗君 自由民主党の市川一朗でございます。 去る三月十四日の委員会で森山法務大臣の所信を拝聴いたしました。大変盛りだくさんの内容でございました。大臣御自身も所信表明で述べておられますように、提出法案を中心に述べたと言われておりましたけれども、それぞれに法案提出など非常に具体的な裏付けがございまして、所信表明として非常に内容の高いものだと私は高く評価いたしたいと思います。 最近、大変課題の多い法務行政に積極的に取り組んでおられます法務大臣の姿勢に対しまして大いなる敬意を表しながら、三点だけ質問させていただきますので、簡潔で結構でございますから、御答弁をお願いいたしたいと思います。 まず、商法の改正に関連した問題でございますが、今国会で会社法関連の法改正は一段落するようでございますが、実は私のところへ会社経営者の方々から、特にアメリカでの経験が豊富な元気な現役の経営者を中心といたしまして、政府はもっと日本の経営方式の優れた点を認めてほしいと、この点は法制審議会も含めまして、若干思い過ごしもあるかもしれませんが、いわゆるアメリカ方式を過剰評価する傾向があるのではないかという懸念を含めた意見が寄せられておりました。私もそれなりに勉強しておりましたが、そこでいわゆるエンロン事件なども発生いたしました。私もびっくりしたところでございます。 法務行政の中では、会社法関連はやや特異なといいますか、かなり特異な部分があると思うんですね。会社の実務との関連というのが深くあるわけでございますので。私は、もっと会社経営の実務者の意見が反映されるようにするとか、今後の法制審議会の在り方も含めまして検討の余地があるのではないかなというふうに思うわけでございますが、法務大臣のお考えをお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 法制度というものがそれぞれの国の実情を適正に、適切に反映したものでなければ十分に機能しない、またその実務を担当している方の意見を十分にお聞きしなければいけないということは当然でございまして、今回の商法改正につきましても、特定の国の制度が優れているからそれを見習おうというようなことで、それを前提にして行ったというわけではございません。 ただ、ビジネスの世界にかかわりの深い商法という問題につきましては、やはり日本の国のことだけではなくて、世界のほかの国々がどのような考え方、どのようなやり方でやっているかということを承知しなければいけないということも当然でございまして、今回提出いたしました商法改正の法案におきましては、委員会等設置会社の制度のように、アメリカの会社法制度を参考にして研究をし、その結果を生かしたというものもございます。 会社における監督と執行を分離した委員会等設置会社の制度につきましても、効率的で適正な会社の業務執行を実現するという視点から、大規模会社を対象とした選択的な会社の機関の制度として提案しているものでございまして、経済界の一部からも同様の制度を導入することの提言があったわけでございます。 また、委員会等設置会社のような監督と執行を分離した会社の機関の制度は、アメリカだけではなくて多くの先進諸国において一般的なものとなりつつありまして、今回の立案作業に当たりましてはアメリカ以外の先進諸国の制度も参考としているところでございます。
○市川一朗君 私の私見も入るわけでございますけれども、いわゆるグローバルスタンダード論といいますのは、アメリカの経済の世界戦略ではないかという指摘も若干あるわけでございますが、会社同士の国際レベルでの競争に日本企業がどう立ち向かっていくかといったような視点は極めて重要な観点であると私は思っているところでございます。 今の法務大臣の御答弁で基本的には納得したところでございますが、どうぞ今後、そういった点を参考にして、なお一層深みのある法制審議会も含めた法務行政を進めていただきたいとお願いする次第でございます。 それから、二点目でございますが、今国会提出予定法案、既に提出されているものもあるわけでございますが、その中にいわゆる人権の保護に直接かかわる幾つかの法案が出ております。これに対する反対意見がいろいろ表明されているわけでございまして、その内容につきましては具体の法案審議の機会に与野党を通じた意見開陳の中でいろいろ議論されると思いますけれども、私は何かちょっと共通のところに、私自身が感じ過ぎるのかもしれませんが、例えば触法精神障害者法案、これは無罪あるいは不起訴となって一度裁判から離れたものをもう一度改めて裁判手続を経るというような手続が若干入ります。 あるいは、人権法案につきまして、法務省という役所を偏見で見ちゃいけないんですが、名刺を交換しますと、やはり民事局といえども検事さんという方が来られますので、そういったようなこともいろいろあると思いますが、こういった改めて裁判手続を経ることにするということや、あるいは法務省中心の行政手続になるとそれが人権の問題にかかわる問題であるということにつきまして、そういったことを懸念した意見が多いように思われます。 私個人としては、近代法治国家の在り方として、裁判による決着が最も民主的でかつ公正であると思う者の一人でございますが、しかし司法の独特の雰囲気も災いしておりますでしょうか、日本ではいわゆる裁判アレルギー、あるいは裁判ざたにしたくないといったような裁判アレルギー、あるいは司法アレルギーが強いのではないかと思うわけでございます。 司法制度改革に積極的に取り組んでおられます森山法務大臣でございますが、そういった観点で、国民に親しまれる裁判、あるいは法務行政への積極的な取組をお願いしたいと思う次第でございますが、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 委員御指摘のように、日本人の間には裁判とか司法とかいうものが一般の国民とは別のところで、言わばお上のやることであって、国民はかかわるとすれば裁かれる方だというふうな思い込みがございます。それで、なるべく裁判なんかに近寄らない方がいいとか、そんなことしないで済む方が幸せだとかというふうな感覚があることは確かでございますけれども、しかし今のような時代になってまいりますと、先生おっしゃいますように、最終的な決着は裁判で行うということが最も合理的であり民主的であるというふうなこともまた理解されつつあるわけでございまして、そのためには、それが本当にそういうもので実を上げていくためには、今の、百何十年前に明治の先人方が一生懸命法治国家を作ろうということで考えてくださいました今の制度そのままでは問題があることは確かでございますので、もっと早くて身近で使いやすい司法制度に直していこうというのが司法制度改革のスローガンでございまして、今本部が立ち上がりまして、今日、先ほど推進計画も閣議で決定をいたしたわけでございますが、これから着々と進めていきたいというふうに考えております。 その司法制度改革の基になりました司法制度改革審議会の意見の中でも、国民の期待にこたえる司法制度の構築ということで、より利用しやすく、より分かりやすく、頼りがいのある司法にしようということをうたっていただいております。そのような趣旨で様々な提言をちょうだいしております。 私どもといたしましても、この意見の趣旨を十分踏まえまして、新しい事後チェック・救済型の社会にふさわしい、国民にとって身近で信頼される司法制度を構築するために司法制度改革の実現に全力を尽くしてまいりたいと思っております。
○市川一朗君 この問題は法務省やあるいは政府側にお聞きするのにはふさわしくない問題かなという感じもしてはいるわけでございます。私も大学時代に憲法の講義を習いましたときに、宮沢教授が一番強調した、丁寧に教えていただき、たしか試験問題にも出た中に、憲法第三十二条、国民はだれでも裁判所において裁判を受ける権利を有するという条項が基本的人権の中に入っているわけでございますが、どうも我々日本人は、裁判所において裁判を受ける権利があるという認識よりは、裁判所で裁判を受けさせられるという認識の方がまだ強いというところで、やはり歴史と伝統の違いが西欧諸国と日本とではあるのかなといったような感じもしておりながらの御質問をさせていただいた次第でございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。 それから三点目は、ちょっと地元で起きた事件に絡む点で恐縮でございますが、昨年、仙台市で偽造の婚姻届が出されました。何にも知らない者同士がいつか気付いたら戸籍上婚姻しているということが分かりました。これは、中古車販売とかそういった犯罪事件に絡んだ事件でございましたので犯人は逮捕されたわけでございますが、ところが実際、肝心の戸籍はバツ印が付いたんですね。したがって、もう戸籍は間違いだということは分かるんですが、実はバツ印が付いただけで、そこの部分は残っているんでございますね。どうも今の戸籍法上はそういうふうになるらしいんでございます。これは私ちょっと話を聞きまして、大変かわいそうだなというふうに思いました。 そもそも地元仙台市としては、そういうふうになることを防ぐためには、届出をしてきた人が本人であるかどうかを確認するというところに力をひとつ入れているようでございますが、そういった問題を果たして全国レベルでやれるのかどうかという部分、法務省としてもいろいろ御検討いただいているとは思いますが、なかなか難しい問題もあるのかなと思いますけれども、まず戸籍の問題に入る前に、こういったことが起きないための未然の防止策として、本人確認の手続を入れるというようなことはどの程度考えておられますか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(房村精一君) 先生御指摘のように、本人の知らない間に婚姻届であるとかあるいは養子縁組届がなされてしまうという事件が、数は少ないわけですが、時々発生いたします。これを防止するための方策としては、ただいま御指摘のように、婚姻届をする、あるいは養子縁組届をする人について本人であるかということを確認できれば確かに偽造の届けの防止にはなるだろうとは思っております。 ただ同時に、例えば婚姻届でいきますと年間八十万件、離婚届で大体二十七、八万件ございます。その他、戸籍全体でいきますと四百万件を超える届出がされておりますので、これを一件一件必ず本人確認をしなければならないということになりますと、窓口を担当しております市町村の負担というのもこれは相当なものになります。 それに比較しまして、ただいま申し上げたような偽造の届けというのは、もちろん非常にけしからぬわけですが、数は非常に少ない。そういうことを防止するためにどの程度の御負担を市町村にお願いするのか。さらに、本人確認が必要ということになりますと、届出をする本人の方々もそれなりの負担をお掛けすることになる。そういう点でいろいろ検討はしております。 おっしゃるように、戸籍に対する信頼を確保するためにも、あるいは偽造されて非常に迷惑を被ることを防止するためにも何らかの方策が必要ではないかと思っているわけですが、ただいま申し上げたようないろいろな問題があるものですから、なかなか名案が出てきていない状態にございますが、できるだけ今後検討をしていきたいという具合には考えております。
○市川一朗君 確かに、めったにない不届きな人によって起こされる事件ですから、それを全国津々浦々に本人確認手続を入れるということの難しさというのは、ちょっと余り質問しながら理解を示しちゃいけないのかもしれませんが、分からぬでもないなという感じはするわけですが、ひとつなお一段と知恵を出していただきますようにお願い申し上げたいと思います。 そして、戸籍の問題でございますが、大臣、やっぱり、私も見せていただいたんですが、ちょっとこれは気の毒だなと思いました。全く知らない者同士が婚姻して、犯人も逮捕されて、そしてそれは間違いだということが分かって抹消されたはずなのに、戸籍簿上はそこが全部書いたままでバツになって痕跡が残ってしまうわけですね。これがまた、これから結婚しなきゃならない若いお嬢さんたちが絡む事件なんでございます。 これは法律上の問題も含め、いろいろと工夫が必要になるかと思いますが、是非、大臣の政治的決断も含めてお取組をお願いしたいと思うのでございますが。
○国務大臣(森山眞弓君) 御指摘のとおり、偽造の届出によりまして戸籍の記載がされた場合には、その記載が訂正されても偽造の届出に基づく記載の痕跡は残るということになっております。これは、違法不当な改ざんを防止するためにすべての戸籍の記載の履歴を残す必要があるということなどによるものでございます。 しかし、戸籍が汚れるというようなことを嫌う国民感情というのは確かにございますし、それもまた無視できないものがございますので、偽造の届出によりまして戸籍の記載をされた方が戸籍の記載の原状回復を望む心情には十分に配慮しなければいけないというふうに思います。 そのため、現在、その方策といたしまして、偽造の戸籍を再製できるものとする具体的な方法、どうすればいいかということを、戸籍法の改正を含め、いろいろ検討をいたしているところでございます。
○市川一朗君 どうも大変ありがとうございました。どうぞひとつよろしくお願い申し上げます。
○佐々木知子君 自民党の佐々木知子でございます。おはようございます。 私は、今日は治安の悪化の問題、外国人犯罪問題、それから組織暴力団に絡む問題を中心に質問させていただきたいと思います。 実は、この八日に予算委員会で私は質問させていただいたんですけれども、持ち時間、私の質問時間はわずか二十分ということで、余り大したことは聞けなかったのですが、質疑時間中から私の事務所の電話は鳴りっ放しで、メールももう百件近く来ております。2ちゃんねるというサイトがあるということは私、承知しておりましたけれども、そこでいち早く、外国人犯罪を追及した佐々木知子という題名で、もう百件以上の書き込みがなされているということで、この反響の大きさに私自身、実は心からびっくりしているということなのです。 何がそんなに反響を呼んだのかというのは、実は治安の悪化を懸念している日本国民が今非常に多いと、そして外国人犯罪についても物すごく懸念している。そして、私はそれに関しまして、こういう密航者も多いような日本でかなり犯罪もやっている中国に対して、また武器輸出も疑念もあるのにかかわらず、年二千億円を超えるODAを拠出しているのはいかがなものかといったところにも、もう非常に感激した、もう感動したと、日本の政治家でこれを言ってくれた人はいなかったと、本当かどうか知りませんけれども、そのような乗りの激励がもう本当すごいのです。 もう私はそれを聞きまして、やはり一般国民の声というのはそういうところにあるのではないかなと、政治家はそれをやはり酌んでいかなければならないのではないかなというふうに思った次第です。 前、時間が足りなかったので詰めれなかった分をちょっとお聞きしたいというふうに思います。 まず、ピッキングが地方に拡散していることが問題だというふうにお答えになりましたが、それについて、現状と対策についてお答え願いたいと思います。これは警察になりますけれども。
○政府参考人(吉村博人君) 先生御指摘のとおり、近年、不法滞在の外国人を始めといたします来日外国人などによるピッキング用具を使用した空き巣でありますとか金庫破りでありますとか事務所荒らしなどの侵入盗事件が都市部を中心に多く発生をしているところであります。 それで、実はこの種のいわゆるピッキング用具を使用した空き巣ねらい等の統計は別途取っていなかったわけでありますが、平成十一年になりまして初めて、警察庁といたしましても一度数字的なものを把握をしてみようということで、東京とそれから首都圏、千葉、埼玉、神奈川と愛知について、平成十一年にこの五都県について統計を取りました。 そういたしますと、平成十一年が九千四百三十五件の発生認知であったわけであります。この同じ、この五都県の推移を申しますと、平成十一年が九千四百三十五件、それから平成十二年が二万二千八百六十ということでかなり増えている。昨年、平成十三年はこれが一万三千七百七十二件になった状況であります。 一方、これを、全国統計を取り始めたのが平成十二年からであります。平成十二年はピッキング用具使用による侵入盗事件は二万九千二百十一件でありました。ただいま申し上げましたが、十一年から十二年にかけて大幅に増えましたので、全国で数字を見ますと、今申しました二万九千二百十一件。十二年の八月になりまして、全国の警察に対しまして、特にこの種のピッキング盗を取り締まらなければならないということで、取締りとそれから防犯、両面からの緊急の取組を実は指示をしたわけでありまして、それが多少功を奏したのかもしれませんが、十三年中は全国の数字でこれが一万九千五百六十八でありますので、依然として多発はしておるわけでありますが、九千六百件余りの減少は見たということであります。 これの大きい減少要因は、警視庁管内におけるものでありまして、その部分が、その分の数があるいはほかの諸都市に波及しているのではないかということで多少数字を拾いますと、例えば大阪あるいは埼玉等が十二年と十三年統計を比べますと増えているという状況にありまして、これが地方、全国にも、多い少ないの差はありますけれども、増えるということで拡散と言われているのかもしれませんが。 私どもといたしましては、こういう現状を踏まえまして、取締りと防犯と両面あると思いますが、取締り面におきましては、取締りに当たる警察官を増やして被疑者の発見検挙を図るということで、都道府県警察相互間の連携を密にして今後ともやってまいりたい。一方、防犯面からは、いわゆるねらわれやすいアパートあるいはマンション、会社事務所というのはあるわけでありますので、その管理者に発生の実態等を伝えまして、どのようにすれば被害に遭わないで済むかという指導を積極的に今後とも行ってまいりますほか、いわゆるピッキングに強いかぎ、錠の普及促進を図るよう関係方面に働き掛けを行っているところでございます。
○佐々木知子君 私、この週末に新潟の長岡というところに行ってまいりました。御存じ、田中角栄さんの出身の、出身地でございますけれども、そこで話していましたら、随分もう空き巣に入られているということがもう間々あるそうでございます。田中角栄さんがおられたからでしょうけれども、随分いい道路が通っておりますので、ここは田舎ではないのだ、都市だと思えというふうに警察から言われているということでした。ただ、警察官が来られて、今凶悪犯罪が多いので、とてもじゃないけれどもここまで手が回らないんですよということもやはり言われたというようなことを言われておりました。 前回も、強盗の検挙率が実に五〇%を切ったということ、これはもう衝撃的な私は検挙率だというふうに思いますし、侵入盗の検挙率は実に三〇%を切ったと。これはもう三件に一件しか挙がらないということでございますから、これは、日本の治安というのはもう非常に体感として悪化しているということがこれは顕著に現れていると思います。これは、警察官の人数が足りないとか、もう凶悪犯罪が増えているので手が回らないとか、そういう問題では決してないので、本当に前向きに取り組んでいただきたいというふうに心から要望しておきます。 それから、来日外国人が日本の暴力団と組んで犯罪を犯しているという問題があるということを述べられました。 暴力団対策法、俗に言われていることですけれども、正確には暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、これが平成四年に施行されまして、ちょうど十年たったわけでございます。これについていろいろと新聞などでも書かれておりますけれども、これはちょっと変わった法律でして、指定暴力団というのを、ある程度の組織、ヒエラルキーがあって、その中でこういう犯罪を犯している前科者がどれだけ割合いるかということでまず指定暴力団というふうに認定をいたしまして、その中の暴力団員であればこうこうこうこう、こういうような要求行為はしてはいけませんよと。それに対してまず中止命令があって、それを聞かない場合に初めて刑罰が適用されるという法律で、これ、できるときにはもう随分、弁護士会だとかいろんな識者の間からも反対があったというふうに私も覚えているわけですけれども、まずこの法律は大体どこの法律を念頭に置いて作られたものでしょうか。ちょっとそれをお聞きいたします。
○政府参考人(吉村博人君) 委員御指摘のとおり、暴力団対策法ができまして今、十一年目に入っているわけでありますが、その当時の立法といたしましては、お答えにならないかもしれませんけれども、それまでいわゆる暴力団あるいは暴力団員という概念が法律上の概念としてはまだなかったわけであります。 それで、暴力団対策法につきましては、委員今御案内のとおりでありますけれども、直接的な団体規制をするわけではないということで、いわゆる刑罰法令に触れる真っ黒な部分についてはそれなりの手当てがこれまでもできたわけでありますけれども、グレーゾーンといいますか、恐喝までは至らないというようなものについてきちんと措置を取るようにしなきゃいかぬということでその行政命令を出せるようにしたという法律でありまして、恐らくこれは当時の諸外国の立法例を参照して作ったというよりかは、我が国で団体規制はなかなか正面から難しいという事情も当時はあったと思いますし、まずは暴力団員ということで堂々と町を歩いている人間に対してグレーゾーンの行為をやった場合にはやめなさいということが言えるということをもってその法律の中心部に据えたわけでありまして、この法律が結果として日本の社会におきまして暴力団員、暴力団排除活動につながっていったという意味では非常に意義が大きかったと思いますが、殊更モデルとした諸外国の法令があったとは承知をしておりません。
○佐々木知子君 そして、この暴力団対策法が施行されて実際に暴力団の数は減ったけれども、準構成員が増えているというふうにお聞きしています。つまり、正面切っての暴力団ではなくなったけれども、何らかのかかわりを持って、そして犯罪形態としてはいわゆるみかじめ料やショバ代というような伝統的な彼らの活動形態、つまり暴力団対策法に挙がっている十五種類でしたか、の行為そのものはしない代わりに、ちょっと潜行しているのではないかというふうに指摘があるんですが、これについてちょっと全般的にお答え願えますか。
○政府参考人(吉村博人君) 警察で現在、暴力団構成員と暴力団準構成員という概念を使っておりますが、暴力団準構成員とは、構成員ではないが暴力団と関係を持ちながらその組織の威力を背景として暴力的不法行為等を行う者、又は暴力団に資金や武器を供給するなどしてその組織の維持運営に協力し、若しくは関与する者をいうというふうに、私どもの方では位置付けておるわけであります。 それで、おっしゃられるとおり、平成四年、暴対法が施行になりました時点におきましては、構成員が五万六千六百人、準構成員が三万四千人でありましたので、いわゆる暴力団勢力と呼んでおりますが、その構成員数と準構成員数を合わせました数としましては九万六百人であったわけであります。これが昨年の数字を御紹介いたしますと、構成員が四万三千百人、準構成員が四万一千三百人、合わせて八万四千四百人ということでありますから、確かに準構成員の数が増えているという状況にはなっております。 なかなか暴力団構成員と認定できない者、意図的に看板を外している者等々があろうと思いますから、警察といたしましては、暴力団の周辺で、冒頭御紹介いたしましたように、各種の犯罪行為等を行う者が準構成員という整理でありますので、これらの者に対する取締りを今後とも推進もしてまいりたいというふうに思います。
○佐々木知子君 かつて、暴力団はこういう──今さっき済みません、十五種類と申し上げましたが十四種類ですから、訂正しておいてくださいませ。 こういうショバ代とか、みかじめ料とか、そういう彼らのシノギで生活をしていたのが取り締まられるようになったものですから、それまでは覚せい剤というのは実は御法度と言っている暴力団が随分本当は多いんですけれども、もう覚せい剤は随分もうかるものですし、これにもう大っぴらに手を出さざるを得なくなったということも一つ言われております。 それから、外国人と組んで犯罪をやる、ある意味ではビジネスかもしれませんけれども、そういうふうにやるようになった。民事介入暴力の問題も言われておりますし、ある意味では正当な会社のような形を作ってビジネスをやるというようなのも増えてきているやに伺っております。 だから、暴力団というものがかなり暴力団対策法によって締め付けをやったその効果として、ほかのところにいろいろと波及しているというふうに私は考えられるのではないかと思いますが、まず私、覚せい剤についてお聞きしたいんですけれども、覚せい剤というのは日本では製造されておりません、のはずです。ほとんどが外国から流れてくると。ほとんどが中国が多いというふうに聞いておりますけれども、中国及び北朝鮮が二大ルートではないかというふうに思いますが、この密輸実態についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(黒澤正和君) 日本の薬物、ほとんどが委員御指摘のとおり、覚せい剤でございます。 近時、覚せい剤の押収量が大変増えておるわけでございますけれども、去年は約四百キロほどの覚せい剤の押収でございますが、平成十二年は約一トン、平成十一年は何と約二トンの押収量でございますが、この大量押収、密輸、委員御指摘のとおり、日本で作っておる例はほとんどないと言っていいわけでございまして、外国からやってくるわけでございますけれども、今大きなルートとして、私ども事件検挙面から把握いたしておるわけでございますけれども、中国と北朝鮮ルートがほとんどでございます。 以上のような実態にございます。
○佐々木知子君 それで、検挙者というのは日本では残念ながら末端使用者というのがもうかなりの部分を占めてしまって、密輸している本体そのものは余り摘発というのはうまくいっているとは限らないわけですけれども、検挙者の中に占める暴力団員の割合というのは、これはどれぐらいおりますか。
○政府参考人(黒澤正和君) 約四割ぐらいでございます。
○佐々木知子君 それは、自己使用、それから所持、それから譲渡し、譲受け、そういうのに限った場合にはどういうふうになりますか、分けた場合には。
○政府参考人(黒澤正和君) ただいま具体的な数字は持ち合わせてございませんが、罪名としては使用が多いんでありますが、ただそれはあくまでも逮捕した罪名でございまして、実態として暴力団は密輸に深く関与し、そして国内の密売、特にイラン人が覚せい剤を街頭等で密売をいたしておりますけれども、そういった密売にも関与しておる実態にございまして、そういう意味では逮捕する罪名は使用が多いという傾向がございますけれども、実態としてはそのような密売、密輸にかかわっておる暴力団、そういった者も捕まえておるということでございます。 ただ、いかんせん、組織的に行われる事犯でございまして、突き上げと申しますか、上の方になかなか検挙が突き上がっていかないというのも実情でございます。
○佐々木知子君 イラン人が覚せい剤を扱っている。上野公園で暴力団にショバ代を払うんですか、それの見返りとしてというか関係ができたんで覚せい剤を手に入れて、小分けにして、パケにして青少年に売り出すようになったのが青少年などにも浸透するようになったきっかけだということも聞いたことはあるんですけれども、このイラン人が覚せい剤にかかわり出したと、少なくとも日本の警察がそういうことを把握し始めるようになったのはいつごろからですか。
○政府参考人(黒澤正和君) ただいま資料を持ち合わせておりませんので正確な年数はここで今申し上げることはできませんが、過去五、六年にわたってイラン人が大変密売において目立っておる、そういうことは言えようかと思います。
○佐々木知子君 実は、平成四年に検挙されたイラン人はたった一人です。それから、平成六年に八十五人になりまして、それから平成七年に百二十人、平成八年二百十八人、平成九年二百二十人ということで、やはり数年ぐらい前から目立って検挙者が増えるようになりました。 このイラン人と日本の暴力団が組んでいるということの実態については、どの程度把握されておられますか。
○政府参考人(黒澤正和君) 現在、密売人で外国人が検挙されます多く、一番多いのがイラン人でございまして、このイラン人は特に携帯電話等を利用いたしまして、例えば町中でお客を、お客になりそうな少年とかそういったものを物色する、あるいは買いたい者が口コミでその電話番号を知る。 なお、大変巧妙になっておりますのは、この携帯電話の番号等を知らせるのは、今申し上げましたように、町中で声を掛けて電話番号のメモを渡す、そして売り渡すイラン人はまた別の人間である。それから、隠しておる押収物、これは隠し場所が、例えば町中のごみ箱の下でありますとか、いろいろ巧妙に隠匿がなされておりまして、それも小分けをして隠してある。いろんなところから持ち出してきて、そしてお客と接触をし、そしてそれを売り渡すというようなことで、こういった売人のほとんどがイラン人という実態にございます。それが卸しているのが日本の暴力団と、このような実態にございます。
○佐々木知子君 今、第三次覚せい剤の乱用期というふうに認定されているわけですけれども、中学生や高校生にまで広がっていることが非常に深刻な問題だというふうにも言われております。その実態についてはいかがですか。
○政府参考人(黒澤正和君) 少年による覚せい剤の検挙面でございますけれども、昨年は九百四十六人少年の検挙、覚せい剤事犯で検挙いたしております。平成十二年が千百三十七人、平成十一年が九百九十六人でございまして、近時で多かったのは平成九年の千五百九十六人という数字になっておりまして、少年をめぐる薬物問題というのは深刻な問題と認識をいたしておるところでございます。
○佐々木知子君 何か大麻も最近は増えているというふうに伺っているんですけれども、そのように認識してよろしいでしょうか。
○政府参考人(黒澤正和君) 数字は今申し上げましたような状況でございまして、必ずしも子供が極端に増えているという状況にはございません。ただ、これはあくまでも検挙した少年の数でございまして、少年が実際にどのぐらい覚せい剤を使用しておるのか、その辺は必ずしも明らかではないわけでございます。 それと、やや、ややと申しますか大変と申しますか、懸念をいたしておりますのは、覚せい剤系統の薬物と大ざっぱに言えば言えるんですが、MDMAといった錠剤型の薬物、それからヤーバーといいまして、これはタイの方から来るんですが、これは覚せい剤、これまた錠剤型でございまして、錠剤型というのは大変使用しやすいわけでございますけれども、それが近時、大変増えておるという状況にございます。 また、覚せい剤ではございませんが、大麻でございますけれども、これの押収量が昨年は大変増えておりまして、少年がやはり増えておるということでございまして、少年の薬物問題、数字の面、覚せい剤の数字の面からは必ずしも増えておるという状況にはないわけでございますけれども、少年の覚せい剤問題というのは大変深刻な問題であると、かような認識でございます。
○佐々木知子君 予算委員会のときでも蛇頭についてお伺いしたわけですけれども、中国のブローカー、蛇頭と組んで、日本の暴力団が密航のビジネスに手を出しているという実態についてはどの程度把握しておられますか。
○政府参考人(吉村博人君) 先ほど来、委員お話しのとおり、暴力団の犯罪形態が少しずつ最近は変わりつつあるわけでありますが、その中で、外国人と暴力団とが連携して強窃盗をしたり、あるいは暴力団が関与する、今御指摘の密航事件が発生したり、あるいはまた外国人女性の不法入国や長期滞在を目的とする、いわゆる偽装結婚事件というような検挙も近時は見られるところであります。 集団密航事件なんですが、蛇頭と通称されておりますけれども、いわゆる密航請負組織と言えようかと思いますけれども、中国からの集団密航事件にこの種の密航請負組織が暗躍をしておりまして、中国本土における密航者の勧誘、引率あるいは搬送、そして日本における密航者の受入れ、かくまい、隠匿、そして仕事のあっせんまでを取り仕切っているという状況でありまして、私どもの掌握しているところでは、いわゆる暴力団、暴力団員がそのイニシアチブを取って密航請負組織を運営しているというよりかは、中国人が中心となった密航請負組織が何グループかあって、その手足となって働いている暴力団組員がいると。 その証左としては、毎年、暴力団員を集団密航に絡んで検挙している例もあるわけでありますが、いわゆる暴力団組員の肩書といいますか、どの組に所属しているのかということを見ますと区々でありまして、どの組が集団密航に組として肩入れをしているということではなくて、個人的に言わば暴力団組員が、虞犯性の高い人間としての暴力団組員が手足となって彼らのむしろ下で働いているという、分け前をもらっているという状況にあるのではないかというふうに推測をしております。
○佐々木知子君 続きまして、来日外国人犯罪がやはり地方に拡散しているということも問題点として指摘されました。 このうちの一つとして、山形県の鶴岡市で、資産家の母親と娘のうちに強盗が入って殺されたというような悲惨な事件などございましたけれども、ほかにどういうような事件が地方で起きているのか。外国人と組んで暴力団が強盗をやったりとか侵入盗をやったりとか、その他いろいろあるかも分かりませんけれども、どういうような特色があるかについてお述べいただきたいと思います。
○政府参考人(吉村博人君) 予算委員会で大臣が、山形県の鶴岡で強盗殺人事件が発生したということを御説明をされておりましたが、正確には鶴岡警察署の管内でありまして、山形県の羽黒町での事案でありました。 この例は、既に委員は御承知だと思いますけれども、平成十三年の四月に、山形県の羽黒町の民家に侵入して金品の強取を図ったと。その際に、そのうちの主婦を殺害するとともに、当時十六歳の長女にも傷害を加えたということでありまして、捜査の結果、山形県警察におきまして、極東会の暴力団員二名を含みます日本人四名と中国人三名を捕まえまして、今、中国人一人は現在、指名手配中ということであります。 事案は、日本人の関係者が借財に窮して何とか金を得たいということで、その羽黒町の当該被害者宅のことをよく、いわゆる資産家として承知をしている人間が犯行場所をそこと確定をいたしました上で、主犯格の暴力団組員と、その日本人というのは暴力団組員でありますが、これから依頼を受けた暴力団組員が面識のある中国人に実行犯役の中国人の手配を依頼したということで、これはどちらかというと、日本人の暴力団がイニシアチブを取って中国人の実行犯を手配をして犯行に及んだというケースでございました。 具体的に、それ以外にどのようなものがあるのかということのお尋ねでございますが、必ずしも今ちょっと手元に具体例としては持ち合わせておりませんが、いずれにせよ感覚の問題として、やはり暴力団員がいわゆる不良外国人と組んだ形で強窃盗を行っていると。例えば、高級自動車の窃盗につきましても、外国に輸出をしてもうけるという過程で、暴力団員と外国人が組んでいるというようなケースも、検挙例を見ると散見されるところでございます。
○佐々木知子君 随分様変わりしてきたなと思うのですが、実は私が検事時代はやくざも随分扱いましたけれども、窃盗というのは本当に恥ずかしい犯罪なんですね。とても数としても少ないはずですし、おれは仮にもやくざだ、窃盗なんかもうとんでもないという雰囲気がやはりあったはずなんです。もちろん、強姦というのももうとても恥ずかしいという犯罪で、これならいいけれどもこれなら悪いというように、ちゃんと犯罪の類型というのがその任侠道に生きる者としてはあったはずなんですけれども、それがもう今やどうやら何にもなくなったみたいで、お金がなくなったのが大変なことですので、何とかで稼がないとしようがないわけですから、何にでもこれは手を出していると。これはちょっと恐ろしいことになったなという感じを私は多々持っているものです。 今、不法残留者、一時期三十万人に近くなっていましたが、大分減りました。二十三万人を切ったというような、この前お答えをいただきました。密入国者が、密入国ですから、はっきりとは把握できないわけですけれども、まあ大体三万人だろうというようなお答えもいただきました。その中で、だから、地方にいろんな、拡散していると、そういう方たちが拡散しているということもお答えいただきましたけれども、やはり例えば、東京でいえば歌舞伎町のようなところというのは、そういう方たちがかなり集まっているのではないかというふうに思われるわけです。 それで、私が、中国語や韓国語が聞こえて、ここは日本でないみたいで怖いと言っている人が多いと、実際に多いんですけれども。そういう、ただ一件メールが参りまして、中国人や韓国人に対する差別であると。これがフランス語やイタリア語だったら怖いと思うかというようなことが来ておったのが一件あったわけですが、もちろんイタリア・マフィアが濶歩しているというふうに分かっていれば、イタリア語を聞けば非常に怖いだろうというふうに思うわけです。 歌舞伎町で起こる外国人犯罪というのは、私がかつて扱っていた限りでは、中国人が例えば中国人を殺すとか、そういうのが多かったんですが、その後どうも変容いたしまして、中国人が日本人を被害者にするとか、そういうのが増えているとかいうふうに聞いておりますけれども、歌舞伎町に限ってお答え願いたいと思いますが、外国人犯罪の数とか特色について、知っている限りでお答えください。
○政府参考人(吉村博人君) 委員の御指摘のとおりでありまして、ここで歌舞伎町という場合に、まず地区の定義付けから始めたいと思いますが、歌舞伎町の一丁目と二丁目と申しますのは、明治通りとそれから靖国通りとそれから職安通り、それから山手線に区画された部分の〇・三五平方キロぐらいのところでありますけれども、そこの歌舞伎町地区における昨年中の刑法犯の認知件数を見ますと千八百六十五件となっております。ちなみに、歌舞伎町地区は今申しましたように〇・三五平方キロでありますので、一平方キロに、単位面積に換算比較をいたしますと──失礼しました。 次に、来日外国人の関与状況でありますが、統計上、実は警察署管内の歌舞伎町地区でどれぐらいかというのは、検挙人員がデータとして出てまいりませんので、歌舞伎町を管轄をいたしております新宿警察署の数字でお答えをさせていただきたいと思いますが、新宿署で昨年中の来日外国人の検挙人員は百三十人であります。新宿署で検挙しました検挙人員全体の数字が千二百二十四人でありますから、千二百二十四分の来日外国人は百三十で、占める割合が一〇・六%となっております。警視庁全体で、東京都全体で見ますと、刑法犯の検挙人員に占める来日外国人の割合は四・二%であります。したがいまして、この一〇・六%と比較をいたしますと約二・五倍となっているところでございます。 個別の事件を見ましても、確かに、先ほどのお話ではございませんが、暴力団員と結託をして中国人が強盗殺人をやったり、あるいは中国人らによる中国エステ店に対する強盗致傷事件などを犯したりというような凶悪事件が発生をしているという状況にございます。
○佐々木知子君 昨年の夏、新宿歌舞伎町で悲惨なビル火災がございました。四十四人でしたか、亡くなられまして、その後も鋭意捜査続けられているはずですけれども、いまだに事故なのか、これは放火なのか失火なのか、どうやら分からないようでございますけれども、これはどういうふうにその後進展しているのか、お答えできる限りでお答え願います。
○政府参考人(吉村博人君) お尋ねの件につきましては、昨年の九月の一日午前零時五十八分ごろの発生で、先ほどの歌舞伎町一丁目の雑居ビルの中におきまして、ビルの三階付近から出火をしたということで、四十四名の方が亡くなって、三名が負傷したという事件であります。 警視庁におきまして、出火原因等を究明するために、現場検証はもちろんでありますが、関係者からの事情聴取あるいは現場資料の鑑定等を行ってまいりました。つい三月の十七日には、このビルと同様の内部を再現をいたしまして、建物を使って延焼実験も行ったということでございますので、所要の捜査を警視庁におきましては推進をしているところでありますが、今時点では、現在までのところ、まだ出火原因の特定には至っていないというところでございます。 今後とも、引き続きまして出火原因についての、失火、放火の両面での捜査を行いますとともに、いわゆるビル管理者等の刑事責任の有無を含めまして、所要の捜査を警視庁においては進めていくものというふうに承知をしております。
○佐々木知子君 これ、場所からしても暴力団員の関与、あるいは外国人の関与というのがあるかどうかは分かりませんけれども、鋭意調べられなければ実態は解明できないというふうに思うわけですけれども、歌舞伎町で例えば中国マフィアがどれだけいるとか、イランにもやはりそういう組織暴力団があります。そういう外国人の組織犯罪というものがどれだけいるのかとか、だれがそうなのか、そういうような把握というのは警察の方でできていますか。
○政府参考人(吉村博人君) 歌舞伎町ということになりますと、先ほど申しました新宿警察署あるいは警視庁ということになるわけでありますが、警視庁の組織犯罪対策ということで、暴力団あるいは不良来日外国人等々にかかわる事案を一元的に現在、プロジェクトチームを作って処理をしているところでありまして、今、私自身の手持ちはございませんけれども、その中で当然、その種の犯罪の捜査を一つの部門あるいは課にこだわることなくやるということと併せて、その彼らの実態がどうなっているのかということについても相当の、言わば警察活動を通じまして相当量の情報は収集をしているものと思います。
○佐々木知子君 私がなぜそういうことを伺っているのかといいますと、日本の組織暴力団は暴力団対策法によってある程度の締め付けがなされていると。要するに、大っぴらにひなたで活動できなくなった分、潜行しないといけなくなったと。そして、その反面、外国の組織犯罪であれば日本の法律で取り締まることは直ちにはできないわけですね、適用があるのは日本の指定暴力団だけですから。そうした場合に、日本の暴力団が小さくなっているその陰で外国の組織犯罪が力を伸ばすようなことがあっては、これは何のための法律なのかということになりかねないわけです。 日本の暴力団というのは、実は米国のマフィア、イタリアのマフィアなどと違って、ある意味では表の組織なんですよね。外国のマフィアというのはもう本当に裏社会のものであって、表には出てこないんですが、日本はある程度表社会であって、そこの事務所に行ったら、もうそこが事務所だって分かりますし、ずらっと、だれそれが組長で、ずらずらずらずらっと看板が出ておりまして、警察の方は、この人は暴力団員である、この人は準構成員である、ここのスナックはこの暴力団、何がしの女がやっているスナックであると、検事はここに立ち入ってはいけませんよとか、もう全部表に出ているわけなんですよね。だから、すごくそういう意味では把握しやすい。 ところが、これが裏にこもってきますと何だかよく分からない。だから、摘発するときに非常に困ってきているのではないかと、私はそれを懸念しているんです。大分、今余り分からなくなってきていると、最初ちょっとちらっとおっしゃいましたけれども、そういう懸念が今すごくあると思うんです。 外国人組織暴力団を日本ではもう取り締まるものがないので、どんどんどんどんこれ活動を広めていったら、日本は本当に治安悪くなります。今もう、そのうちに私は米国並みになるのではないかとある意味では恐れているんですけれども。この前の段階で止めなければならないんですが、この外国人組織暴力団の実態を把握して、それを取り締まる法律というのは必要なんじゃないんでしょうかね。困ってきてから考えるのではなくて、今の段階でどういうふうなお考えをお持ちなのか、ちょっとそれをお聞きしたいと思います。
○政府参考人(吉村博人君) 今、委員がおっしゃいましたけれども、なかなかいわゆる日本の暴力団員もひところとは違いましてなかなか、暴力団の組事務所にずらっとその名札を並べてという実態にはなくなっておりまして、その意味では日本の暴力団員自体がいわゆる、以前は組事務所の看板をでかでかと掲出をして、組幹部の、組員の名簿をオープンにしているという実態にあったわけですが、それが変容しつつあるということがまず挙げられようかと思います。 ただいまも申し上げましたが、いずれにせよ中国人、来日外国人が主体となって暴力団員と組む、あるいは暴力団員が主体となって不良外国人と組む、あるいは外国人だけが単独で不法行為を行うというような実態は現にあちこちで発生をしておるわけでありますが、まずもって私どもがやらなければならないと思っておりますのは、事案を早期に解明をして、刑事事件として発生をした場合に捕まえるということが第一であろうかと思いますし、その検挙活動を徹底することによって、なかなかそう簡単には日本でもいかないなというふうになってもらわなければ困るわけでありますので、まずは日本に妙な外国人が入国をしてもらわないようにするという意味では、入管当局なり税関なりと連携を深めなければならないと思いますし、また、先ほど来から話が出ておりますけれども、言葉の問題もありますし、なかなか日本のこれまでの捜査手法で彼らと接点を持って、どういう実態になっているのかということを簡単に教えてくれるとは限りません。まずもって先方の、彼らの組織実態といいますか、居住実態から含めて、まずこちらとしてある程度の基礎知識を持っておりませんと、たとえその事案が発生して逮捕状を得たとしても、当該人物の名前が本名なのか、それともそうでないのかということさえも分からないということになりますと犯人検挙にも至らないということになりますので、それは現場で一つ一つそのノウハウを蓄積をして、これからの日本人の犯罪捜査だけではなくて、来日外国人の犯罪捜査が十全に行われるようにしていかなければならないというふうに考えております。 今現在、彼らをターゲットにしたいわゆる法律というのを考えてはいかがなものかということのお尋ねかと思いますが、まずはただいま申し上げましたような各種の活動を通じて、いずれにしても特に凶悪犯にターゲットを当てて捕まえていくということからスタートすべきではないかというふうに考えております。
○佐々木知子君 是非努力していただきたいと思います。 時間の関係で、次参ります。 検挙者数が増えている。認知件数が増えている、検挙者数が増えている。それで、警察の留置場や拘置所、それから刑務所、それから入管収容施設、いろいろ施設がございますけれども、それがどれぐらい満杯なのか、まだ大丈夫なのか、ちょっと順番にお聞きしたいと思います。順番にお答え願えますか。
○政府参考人(石川重明君) 警察の留置場の関係についてお答え申し上げます。 平成十二年中でありますけれども、全国の警察で留置をいたしました延べ人員、これは毎日の被留置者数を三百六十五日足した言わば人・日が単位になっておりますが、この延べ人員は約四百三万人でございまして、男女別で申しますと、男性が約三百六十五万人、女性が約三十八万人となっております。また、このうちに少年約二十一万人を含んでいると、こういう状況でございます。外国人はこの四百三万人の中の約五十五万人・日ということでございます。平成十二年中のこの延べ人員、平成三年と比較をいたしますと約二倍ということになっておりまして、中でも女性が約二・六倍、外国人につきましては約五・二倍ということで増加しておる状況にございます。 どのぐらい一杯になっているのかと、こういうお話でございますが、平成十四年の二月一日現在で見ますと、全国の留置場の収容率、この収容率というのは、その日一日の収容可能人員に対する被留置者数の割合でありますが、これが、オールジャパンでございますから約六六%ということになってございます。ただ、六六%ということでまだ余裕があるのではないかと、こういうようにも思えるわけでございますが、実態は、少年を留置をする場合には原則として大人と別に留置をするということで一部屋占めてしまうということがありますし、また女性の被留置者、挙がった場合には当然のことながら男性と別に収容すると。それから、分散留置をして空いているところへ順次入れていく努力もするわけでございますが、余り遠隔地の留置場ということだと捜査にいろいろ手数が掛かってしまうと。そういったような問題がありまして、実態としては、特に都市部の警察の留置場というものはほぼ満杯に近い状況にあるんじゃないか、こういうふうに承知をいたしております。
○政府参考人(鶴田六郎君) それでは、拘置所及び刑務所等のいわゆる行刑施設の収容の状況について申し上げますと、収容人員は平成十年ごろから急激に増加が続いておりまして、本年二月末におきましては約六万五千五百人、収容率にいたしまして一〇一・二%となっております。特に、受刑者等の既決被収容者だけで見ますと収容率は一一〇・五%となっておりまして、このため、行刑施設の本所七十四所中五十六庁におきまして収容定員を超える過剰収容となっております。 また、被告人等の未決被収容者ですが、これは全国的な平均でいきますと七二・二%ではございますが、大都市圏、特に東京、大阪、福岡といったそういった大都市圏におきましては一〇〇%を超えるということで、過剰収容の状況になっております。
○政府参考人(中尾巧君) 入管の関係で御説明申し上げます。 入国管理局の収容施設の定員は、平成十三年度現在におきまして入国者収容所が千五百四十九人、地方入国管理局の収容場が八百六十九人で、合計二千四百十八人でございます。 施設の収容率につきましては、私どもの場合は摘発とか送還、あるいはその他関係機関の身柄の引受けなどの状況に非常に左右されまして、一定するものではなく日々変化するものでございます。 とりわけ、私どもの方で懸案になっておりますのは、首都圏を管轄する東京入国管理局の収容場についてでございます。ここの収容場につきましては平均的に九〇%以上の高収容率を誇っておりますので、実態的な体感温度としてはほぼ満室状態というふうな状況でございます。そういう関係で、東京入国管理局につきましては、査定当局の御理解を得まして、今月末には収容定員百五十人の収容施設が完成することになっております。また、平成十五年二月には東京入管局の新庁舎が完成いたしますので、収容定員が現在の四百五十人から八百人となる予定でございます。 今後とも、これらの施設を活用して対応していきたいと考えております。
○佐々木知子君 中尾局長にちょっとついでにお伺いしたいんですけれども、よく一般の方から聞かれるんですけれども、退去強制させるときの費用はだれが負担するんですか。
○政府参考人(中尾巧君) 大体、原則として自費で送還をしております。お金がないとかいろんな関係で送還困難な場合には国費送還ということでございます。国費送還の件数は、昨年、平成十三年度で五十から六十、今手元に資料ございませんが、大体五十から六十ぐらいで国費送還しておりますので、その他は原則として自費で帰っていただいております。 以上でございます。
○佐々木知子君 これは最後の質問になります。 司法制度改革ということが言われておりまして、論点は多岐にわたっておりますが、私はやはり人の気持ちを思いやれる法曹を作っていくことというのはかなり重要なことではないかというふうに思います。 最近、山口県光市の母子殺害事件で、少年が十八歳だからということを理由にしたのだと思いますけれども、一審、検察側が死刑求刑に対して無期懲役、控訴審におきましてもやはり無期懲役が維持されたというニュースが流れてまいりました。これにつきましても、一般の方からもよくメールで、これはひど過ぎるのではないかということをいただきます。私もそうだというふうに思います。 これは、事案を挙げると、御存じない方もいたらあれですけれども、強姦をしようと思って、二十三歳の主婦ですが、配管工を装ってこれ入ったわけですね。で、強姦をして、それから十一か月の赤ん坊を床にたたき付けて、あらかじめ用意していたひもで絞殺して、二人の遺体を押し入れに隠して、財布も奪って、指紋の付いている証拠品を処分したと。その後、ゲームセンターで遊んで、盗んだ財布に入っていた地域振興券で買物をし、友達の部屋に上がっていっていつものように雑談をしていたと、こういうような事案なんです。本当に血も涙もない、これが本当に人間のやることだろうかというふうな事件なのですが、これが十八歳だからということで私は無期懲役になっていいのだろうか。 このときに、被害者の遺族の御主人が自分は無力だということをインタビューで答えておられました。 近代法は、各市民からリンチ、個人で報復する権利というものを奪いました。国家でそれを取り上げた以上、国家はその個人の報復感情を満足するだけの私は刑罰を与える責務を負ったというふうに考えております。 この判決自体が云々ということは、これは司法の独立がございます、裁判官の独立がございますので、何とも申し上げることはできませんけれども、私は、被害者の感情、遺族の感情というものにどれだけ法曹の方が憂慮されておられるのか、本当に思いやりの念を持って裁判を扱っておられるのか、実は私も裁判に立ち会っていて随分疑義を感じたことがございました。被告人ももちろんそうですけれども、被害者にとっては、遺族にとっては、たった、多分人生で一度きりの経験なんです。それに対して、警察官もちろんそうですが、検事もそうです。裁判官が何を言うか、その一言によってどれだけ傷付けられて、そして一生ある意味では台なしにもされかねないということを、もっと私はこの任にある者としては考えていくべきだというふうに思っております。 裁判所にまずお伺いしたいと思います。 どういうふうに裁判官の教育をしているか。もちろん、初めから思いやりのないような人、人に対しての共感性のないような人を裁判官に任用しないのが一番だと言われればそれはそうなんですけれども、これから数も増えていきますでしょう、そんなに立派な方ばかりではなく、変な方も入ってくることでしょう。そういうような方に、オン・ザ・ジョブ・トレーニングというんですか、やはり教育はせざるを得ないだろう。どういうふうな教育をするのかということを考えておられるか、次に検察庁、法務省──済みません。じゃ法務省で終わります。二つのところからお答えを願いたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 裁判官が犯罪被害者や遺族の心情を理解できるような教育と申しますか、研修の機会を持つということは、委員御指摘のとおり非常に重要なことだと思っております。 御指摘のオン・ザ・ジョブ・トレーニングという、事件を通じてそういうものを学んでいくといいますか、そういうこともございますし、司法研修所におきましては刑事事件とか少年事件を担当する裁判官を対象といたします研究会いろいろやっておりますが、その研究会で犯罪被害者の心理あるいはその回復に関する講演、これは大学の先生などにお願いしておりますが、そのほかいろいろな研究会におきまして、被害者の保護のための新しい諸制度いろいろできておりますが、そういうものについて関係者からいろいろ話を聞く、運用上の諸問題について共同研究をするなどやっております。 今後もそういった機会をできるだけ多く持って、犯罪被害者の気持ち等、心情に対する理解を深めるという研修を行ってまいりたいと思っております。
○政府参考人(古田佑紀君) 委員御指摘のとおり、刑事事件につきましては、被害者の方々がどういう気持ちを持っているかと、こういうことについて十分理解をした上で処理をしなければならない。そういうことで、特に検察官の場合、これまでも被害者の方々からいろんなお話を聞くとか、そういうことに努めてきたわけでございますが、非常にたくさんの事件を処理する中で、時には言わばその辺がおろそかになることもないとは言えない、そういう問題も決してないわけではございませんので、委員御案内のように、検察官につきましては任官した直後から何回かに分けて様々な研修などを行っておりますが、そういう機会に被害者支援の仕事をしておられる方々あるいは被害者の遺族の方々などから直接に被害者のいろんなお気持ち等がどんなものかというふうなことを聞く機会を設けるなど様々な工夫を凝らして、その辺に遺漏がないようにしているところでございます。
○柏村武昭君 こんにちは。自由民主党の柏村武昭でございます。 本日は、先般、森山法務大臣よりお伺いいたしました御所信につきまして、幾つか質問をさせていただきます。 まず、大臣の御所信におきまして、第一に司法制度改革について所信を伺いました。 この問題につきましては、去年の十二月一日に司法制度改革推進本部が設置されまして、現在までのところ、関係者の皆さん方による並々ならぬ努力が重ねられまして、司法制度改革の具体化に向けた動きが着実に進展しているものと理解しております。司法制度改革に対する国民各層からの関心は極めて高く、また期待も大きいようです。関係当局におかれましては、国民のための司法を一日も早く実現させるために、なお一層の御尽力をお願いしたいと思います。 第二に、国民が安心して暮らせる社会の確保について御所信をお伺いしました。 経済不況と並んで、目下国民にとって一番の不安要因となっておりますのは治安状況の悪化ということでございます。犯罪の凶悪化、多発化に対する積極的な手だてを講じていくことには私も大いに賛意を表するものでございます。特に、去年、米国において発生いたしました同時多発テロ事件のような無差別大量殺りく型のテロ行為に対する積極果敢な対応については盤石の構えを持って臨むことができるよう、確固たる体制を作っていく必要があると考えます。このテロ対策の問題につきましても後ほど質問したいと思います。 また、行刑の分野におきまして、刑務所や拘置所における過剰収容の問題、先ほども出てまいりましたが、深刻な事態に立ち至っていることは既に委員の先生方御承知のとおりでございます。この私も昨年秋の法務委員会の視察行に参加いたしまして、その現状をしっかりと把握してまいりました。その結果、事態解決に向けた対策を一刻も早く講じていくことが必要であると痛感いたしました。そこで、この行刑の問題につきましても後ほど質問いたします。 第三に、人権擁護の問題について御所信を伺いました。 今国会に提出されます人権擁護法案につきましては一部から異論も出されておりまして、とりわけ報道機関の取材活動に大きな制約を加えてしまうことになるんじゃないかと、法案そのものを問題視する声まで聞こえてまいります。 私は、去年の夏に国会議員の仲間入りをいたしますまで三十年以上の長きにわたって放送の世界で活動してまいりました。そうした経験から考えてみますと、この人権擁護法案については、与党の国会議員の立場からだけではなくて、メディア人としての立場、それからも発言する義務、言ってみれば職業倫理があるんではないかと痛感しております。 この人権擁護法案につき、本日は質問のおしまいに、特にその運用上留意すべき点に触れながら質問をしたいと思います。 まず初めに、行刑施設の現状についてお伺いします。 去年、刑務所等の行刑施設では三十五年ぶりに過剰収容状態になったと聞いておりますが、先ほども質問がありましたが、今度は刑務所に絞って、全国の刑務所等の収容の実情についてお知らせください。
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。 三十五年ぶりに過剰収容になったものは、刑務所のほか、拘置所も含めての数字でございますが、特に受刑者につきましては、先ほど佐々木委員から御質問のところでお答えしたとおり、被収容者の収容率は一一〇・五%となっておりまして、行刑施設本所の七十四所中五十六庁において過剰収容となっているという状況でございます。
○柏村武昭君 ありがとうございました。 行刑施設における被収容者が増加した背景には近年とみに顕著となってきた犯罪の増加ということが挙げられると思いますが、これを個別的に見てみますと、外国人受刑者や女子受刑者、そして高齢の受刑者が増えているようですね。こうした被収容者の急増によって、収容施設においては一体どのような問題が生じてきているんでしょうか。この点についてお伺いしましょう。
○政府参考人(鶴田六郎君) 受刑者の総数は、平成十三年度十二月末で約五万三千三百でありますけれども、この内訳で先ほど御指摘がありました外国人受刑者、これはいわゆる永住者あるいは特別永住者といった在留資格あるいは米軍関係者といった者を除きました来日外国人も含めた日本国籍を有しないすべての外国人ということで申し上げますと、三千六百人、それから女子受刑者も三千、失礼しました、外国人受刑者は三千三百でございます。女子受刑者が三千六百人、六十歳以上の高齢受刑者は五千二百人となっております。 これを過去の関係で見ますと、受刑者の総数が十年前と比べまして一四一%増でありますけれども、御指摘の外国人受刑者は二四八%、女子受刑者は一七三%、それから高齢受刑者は二五九%ということで、かなり著しい増加が見られます。 そういった刑務所における収容者の増加ということでどういう問題が生じているかということに関しましてお答えいたしますと、やはり被収容者の生活の中心場所である居室とかあるいは工場のスペース等が不足してまいります。それから、食料費といいますか、被収容者の生活関連費用を確保する必要がありますし、また収容人員の増加に伴いまして職員一人当たりの業務量の負担も増大している状況でございます。 このため、居室の定員を超えて被収容者を収容したり、あるいは集会所とかあるいは倉庫等を改修しまして居室、工場等に転用するなどとすることをしておりますが、更に財政当局等の理解を得て居室等を増築するといったことを進め、こういった状況に対応しておりますけれども、率直に言って、なかなかこの急激な収容増に追い付かない面もございます。このままの状況が続きますと更に収容者の生活空間が非常に狭くなりまして、ストレスや不満が増大しますと規律違反の増大とか、増加とかあるいは重大事故というようなことも懸念されるという状況でございます。
○柏村武昭君 今のお答えを聞きますと、これは矯正の意味を持たなくなってくるんではないかと大変心配することもあります。ありがとうございました。 森山大臣は御所信におきまして、国民が安全に安心して暮らせる社会が求められていると述べておられますね。急激な過剰収容状態に直面している矯正行政の分野において今後どのような対応をお取りになる考えであるか、お伺いしたいと思います。
○副大臣(横内正明君) 私から御答弁を申し上げます。 ただいま局長から御説明をいたしましたように、収容者の大変な増加の状況に対応いたしまして可能な限りの収容増対策を講じているところでございます。いろいろな応急措置もあるわけでありますけれども、同時に平成十三年度の一次の補正予算、それから二次の補正予算、更には十四年度予算を通じまして居室の増築、増改築を進めておりまして、大体その三つの予算によって五千人程度の収容者の増加が図れるような対応は取っているところでございます。 しかしながら、今後も更に収容者の増加が見込まれるという状況でございますので、いろんな施策を講じまして、引き続き矯正行政全体にわたりまして人的・物的体制の充実強化を図っていかなければならないというふうに考えております。
○柏村武昭君 ありがとうございました。 さて次は、テロ対策について質問をしたいと思います。 去年の米国において発生した同時多発テロ事件以降、我が国におきましてもいわゆるテロ対策に関する法整備が急ピッチで進んでおりまして、今国会にもテロ関係の資金供与を処罰する法案が提出される予定と承知いたしております。 そこで、テロリズムのための資金供与に対する最近の国際的な取組の状況についてお尋ねいたします。
○政府参考人(古田佑紀君) お尋ねの件につきましては、平成十一年十二月に国際連合におきましていわゆるテロ資金供与防止条約が採択されていたわけでございますが、御指摘の米国での同時多発テロ事件以降、特にテロ資金対策の強化が国際的な課題として緊急を要するものと考えられるに至ってまいりました。そのような動きとして、昨年の九月二十日にG8首脳声明等におきましてテロ資金供与防止条約の早期締結が求められ、更に九月二十八日には国連安保理決議千三百七十三号でテロ行為への資金提供等の犯罪化、その他の措置が求められたわけでございます。そのほかにも金融活動作業部会、これは犯罪資金のコントロールということについて主に対応している国際的なフォーラムでございますが、こういうところにおきましても様々な対策が議論されているという状況でございます。 各国におきましても、昨年の同時多発テロ以来、テロ資金供与防止条約の締結の動きが加速されまして、昨年の時点ではごくわずかの国しか締結しておりませんでしたが、現在、二十三か国が締結されるに至っており、この条約は二十二か国が締結したときから三十日後に発効するということになっておりますので、間もなく発効という、こういう状況になっているわけでございます。 こういう状況も踏まえて、今国会でテロ資金の供与の防止の、供与の処罰に関連する法案その他を提出して御審議をいただくことにしているということでございます。よろしくお願いいたします。
○柏村武昭君 ありがとうございました。 まあテロ対策には国際的な協力は不可欠でございますので、万全の対応をよろしくお願いします。 次に、テロ集団による実力行使への対応についてお伺いしたいと思います。 今後、我が国においても民間旅客機を利用したテロ行為に襲われる可能性が皆無とは言えないと思います。また、北朝鮮の仕業と目される不審船の我が国沿岸への出入りも最近特に気になります。こうしたテロ行為や侵略行為に対しては、まず事前に水際で食い止めることが肝要であると確信いたします。 そこで、このような未然防止対策について警察当局はどのような対策を講じておられるのか、お聞かせください。
○政府参考人(漆間巌君) お答えいたします。 委員御指摘のとおり、テロにつきましては、これを未然に防止することが何よりも重要であると考えておりまして、警察におきましては、テロリストを国内に入れない、拠点を作らせない、テロ行為を起こさせないとの観点から、各国治安機関との情報交換等によりましてテロ関連情報の収集に努めるとともに、関係機関との連携強化、不審者の動向監視、ハイジャック防止や重要施設の警備等、総合的な対策を現在実施しておるところであります。 今後とも情報収集を一層強化するとともに、体制の整備や装備資機材の更なる充実に努めてテロ事案の未然防止に全力を尽くしてまいります。
○柏村武昭君 ありがとうございました。 次に、残念ながらも未然防止対策が功を奏することなく、その結果、テロ行為が遂行されてしまった場合、正にこれが緊急事態でありますが、例えばどこかの飛行場から民間のセスナ機が爆弾を積んで私どもが住んでいる議員宿舎へ突入してくることも十分考えられますし、こうしたことも冗談でなく今は考えなくてはいけない世の中になってきたんではないかと思っております。そのときは正に警察の力だけでは対応できないんじゃないかと、そういう状況に陥ることが容易に想像できます。その場合、最終的には自衛隊の出動を求めることになると考えますが、こうした状況に直面した場合、警察と自衛隊は果たしてしっかり即応できるのか。警察と自衛隊はうまく連携することができるのか。法制上並びに実務上の双方の観点に配慮しながらお答え願います。まず警察庁から、そして防衛庁からお答えを願います。よろしく。
○政府参考人(漆間巌君) まず、一般的にテロのような緊急事態が発生した場合につきましては、警察が国内の治安維持について第一義的な責任を有しておりますので、まず警察によって対処するということになろうと思います。その場合には、防衛庁、自衛隊とは平素から、情報の交換や施設の利用、技術的事項に係る助言等によって恒常的に緊密な連携を図っているところでありまして、必要に応じて、装備資機材の貸与や、警察部隊がほかのところに輸送する場合の支援等の要請をするなどしまして、防衛庁、自衛隊と十分な連携を図って事態に対応したいと考えておりますし、またテロ等の緊急事態の発生に際しまして、一般の警察力をもっては治安維持ができないというような事態になった場合には、自衛隊に治安出動が下令されることになっております。 治安出動につきましては、防衛庁と国家公安委員会の間で締結されました治安出動の際における治安の維持に関する協定第四条で、自衛隊と警察の相互連携、相互連絡、協力、調整について定めておりまして、治安出動が予想される場合、自衛隊と警察は、相互に連絡員を派遣するなどの方法によりまして、治安情報等に関し、相互に緊密に連絡するという仕組みができております。
○政府参考人(横山文博君) お答えいたします。 今、警察庁の方から御答弁願ったところとちょっと若干重複するところがあるかと思いますが、御答弁さしていただきます。 まず、テロ行為等の不測の事態に際しましては、警察機関が第一義的に対処し、一般の警察力でもってしては治安を維持することが不可能又は著しく困難と認められる場合におきまして、自衛隊は自衛隊法にのっとりまして治安出動又は海上警備行動により対処することとなっております。 まず、治安出動の場合でございますが、今、警察庁から答弁ございましたように、治安出動が発令、下令されましたときの警察との連携の枠組みは双方で協定が作られておりまして、自衛隊と警察は、平素からは情報交換を通じて連携するとともに、治安出動が下令されてからは、その事態が生起する段階から、連絡員の相互派遣などの方法により連絡を緊密化するとともに、重要施設の警備、あるいは治安を侵害する勢力の鎮圧に対しまして、対処方針や任務分担を協議の上定めることにしております。 また、治安出動の下令に際しまして、自衛隊が迅速に事態に対処し得るよう、昨年十月の自衛隊法改正によりまして、治安出動下令前におきまして、武器を携行した自衛隊の部隊が情報収集を行うことができる措置をしたところでございまして、事態の迅速な把握に努めることにしているところであります。 さらに、同様の自衛隊法改正によりまして、自衛隊の施設又は在日米軍施設・区域におきましてテロ行為が行われるおそれがあり、かつ、その被害を防止するため特別の必要がある場合に、治安出動が下令されない場合であっても、自衛隊がこれらの施設を警護し得るよう、警護出動という規定を新たに設けたところであります。 この警護出動につきましては、昨年十二月、この実施要領の作成の資とするために、在日米軍キャンプ座間等におきまして、監視や車両巡察といった活動につきまして、人員を実際に配置し、確認検証を実施し、現在、即応態勢の整備に努めているところでございます。 一方、不審船対処につきましては、これも警察機関たる海上保安庁が第一義的に対処、海上保安庁では対処することが不可能又は著しく困難と認める場合には、自衛隊法八十二条の海上警備行動により、海上保安庁と連携しつつ対処することが基本的な考え方でございますが、具体的な連携につきましては、海上保安庁との間で共同対処マニュアルというものを作っておりまして、海警行動が発令されていない段階から、海上自衛隊は海上保安庁の要請に応じ、可能な協力を実施することとしております。 先般の九州南西海域での不審船事案におきましても、かかる一応考え方に基づき、海上保安庁への一報、事後の対象船舶の位置情報の通報など、対処したところではございますけれども、今後とも、先般の事案に係る検証作業を現在実施しておりまして、それらも踏まえて関係省庁で連携し、適切な対処に努めてまいりたいと考えておるところであります。 以上でございます。
○柏村武昭君 どうもありがとうございました。 いずれにしても、転ばぬ先のつえでございまして、事件が起きてから治安出動にならないように、ひとつ私たちの安全を保障してもらいたい。警察庁、防衛庁によろしくお願いしたいと思います。 次は、人権擁護法案について質問いたします。 本日最初に申し上げましたとおり、私は昭和四十一年以来今日に至るまでのおよそ三十五年間にわたって、ラジオ、テレビの世界におきまして、ただひたすらまっしぐらにテレビ人生を送ってまいりました。とりわけ、平成の時代に入りましてからは、地元の広島のテレビ局からお茶の間に向けて、日本を伝え、そして世界を伝えてまいりました。 ニュースキャスターとして、毎日毎日、毎晩、二千回を超える生放送を体験してきたことは誠に得難い体験であったと、経験であったとともに、メディアというものに対する確固たる認識を築き上げていくための大きな礎となっております。それゆえに、不遜ながらも、メディアに最も理解の深い国会議員であると自負いたしておりますが、そうした経緯もありまして、本日は、国会議員としての立場からというだけではなくて、メディア人としての立場からも質問をしたいと思います。 まず、この人権擁護法案の立法趣旨につきましては、現行の人権擁護制度を抜本的に改革し、独立行政委員会である人権委員会の下に、人権侵害による被害の実効的な救済と人権啓発の推進を図るということであると理解しておりますが、この立法趣旨自体には私は何ら異論を差し挟む余地はないものと考えております。しかしながら、最近、全国各地で人権擁護法案に反対する研究会やシンポジウムが頻繁に開催されていると聞きます。なぜそれほどまでに問題になっているのか。そして、なぜそれほどまでに執拗に反対する人たちがいるのか。 ここで考えられますのは、法の目的や立法趣旨が合理的であるのにもかかわらず、その運用に際してはまだ、いまだ解決されていない幾つかの問題点が存在する。そのために一部から強い反発を受けているんではないか、そのように思われてならないのであります。 そこで、人権擁護法案に関して、私なりの解釈に立って問題点を指摘しながら具体的に質問します。 まず、人権委員会が独立行政委員会として設置されていることにつきましては、独立性を担保することが果たして救済の中立公平性を帰結するものかどうか。そして、制度的な手当てをしておけば、おのずとすばらしい救済なり解決なりが図られるものかどうか、若干疑問に思うところでございます。 また、人権委員会の事務局は現在の法務省人権擁護局を発展的に解消したものでありますし、地方事務所に至っては各地方の法務局がその任に当たるということで、そもそも独立性そのものについても怪しいのではないか、そういう考え方にも耳を傾けなければなりません。 ここで、人権委員会の独立性とその意義に関し、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 御指摘のように、大変、最近、この人権法案が新しく提案されるということになりまして、世間の関心が高まっております。中には、心配するという方もおいでになりまして、おっしゃるようないろんな話合い、議論が行われているということも承知しております。 しかし、人権委員会の独立性に関するお話でございますが、新しい人権擁護制度を担う人権委員会は、いわゆる独立行政委員会、三条委員会と俗に申しますが、その独立行政委員会といたしまして設置するということが従来とは非常に違ったところでございまして、その構成と運営に関して高い独立性を確保するということができると思いますし、また委員会を補佐するものとして、固有の事務局とその地方事務室をも、事務所をも新設するということにいたしております。 また、人権委員会の委員長及び委員は、両議院の同意を得まして内閣総理大臣が任命するということになっておりまして、このような手続を経て任命される中立公平な委員長及びその委員が独立して、抜本的に整備された人権救済手続を適正に運用していくということを通じまして、実効的な人権救済が図られるものと考えております。
○柏村武昭君 ありがとうございました。 次に、人権委員会には報道の実情によく通じた委員が任命されるのか。もし、仮にそうでないとすれば、人権委員会は報道機関による人権侵害について適正な判断ができないんじゃないか、こうした心配もありますが、その点につき当局にお伺いしたいと思います。
○政府参考人(吉戒修一君) お答え申し上げます。 人権擁護法案によりますと、人権委員会の委員長及び委員の任命につきましては、法案の九条で、「人格が高潔で人権に関して高い識見を有する者であって、法律又は社会に関する学識経験のあるもののうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」と、このように規定されております。 この法案は人権侵害一般を幅広く救済の対象としておりますけれども、その中でも特別救済の対象といたします人権課題を見ますと、人種、信条、性別、社会的身分あるいは障害、その他の理由による社会生活の各分野における差別や各種の虐待等広範にわたっております。したがいまして、こういうふうな個別の人権課題ごとにその専門家を委員長又は委員に選任することは実際上困難でございます。しかしながら、各種の人権課題に理解のある者を選任すべきことは誠に委員御指摘のとおりでございます。 したがいまして、これは法案成立後の話でございますけれども、具体的な委員の選任の際には、報道機関による人権侵害につきましても適正な判断ができる方かどうかを十分に考慮されるものというふうに考えております。
○柏村武昭君 ありがとうございました。 あるエピソードがありまして、お話しいたします。これは、ストーカー規制法と人権擁護法案との関係について、その類似法を、類似性を指摘する声なんです。新聞社やテレビ局といった報道関係で活躍している後輩諸君と会いますと、一度ならず二度三度と、こんな愚痴ともぼやきとも取れる言葉を口にします。彼らは、私たちはストーカーと同類なんですかねと自嘲ぎみにこぼしております。 今ここで、法案の第四十二条を見てみますと、その四号におきまして、報道機関による人権侵害に当たる行為として幾つかの行為を特別に規定しているのは分かりますが、ここで問題とされている取材行為というものには、例えば犯罪の被害者等が報道機関からの取材を拒んでいるのにもかかわらず、付きまとったり待ち伏せをしたり、また電話やファクスの送信を頻繁に行うことなどがあります。これらの行為は、後輩記者諸君が言うとおり、いわゆるストーカー規制法の第二条において禁じられる行為類型とほとんど同じであると思います。 確かに、犯罪被害者を報道機関による過剰な取材攻勢から守り、その二次的被害を未然に防ぐということは極めて大事なことであると思います。しかし、そうであったとしても、そのために通常のごく一般的な取材活動がやりにくくなるのはたまらない、しかもストーカーという犯罪者と同一視されることはなおさら耐えることはできない、多くの報道記者たちはそのように考えているのではないかと思います。 そこでお伺いしたいんですが、この人権擁護法案は報道機関性悪説に立っているのではないか、その点につき当局にお伺いしたいと思います。
○政府参考人(吉戒修一君) 今御指摘の点でございますけれども、この点非常に重大な問題でございまして、誤解のないようにちょっと丁寧に御説明させていただきたいと思います。 まず、この法案は、委員御指摘の報道機関性悪説に立つものでは決してございません。犯罪被害者等に対するプライバシー侵害など非常に深刻な報道被害の実情を踏まえまして、極めて限定した場面につきまして救済を図ろうとするものでございます。 このことは、法案の中を見ますと、例えば重大な人権侵害でございます虐待というのがございますが、これにつきましては、その主体として、この法案の同じく四十二条の一項三号ロあるいはハにおきまして、社会福祉施設、医療施設、学校等を掲記しておりますけれども、そうだからといいましてこれらの施設を悪者扱いにするというものでは決してございません。 なお、今、委員御指摘のとおり、過剰な取材の客観的な行為類型を定める法案の四十二条一項四号ロの規定でございますが、これがストーカー行為の行為類型の一部と同様のものになっておりますのは御指摘のとおりでございます。しかしながら、これは過剰で被害者の生活の平穏を著しく害する取材に当たる行為を厳密に規定した結果でございまして、何ら取材活動一般をストーカー行為と同列に扱うものではございません。 もとより、ストーカー規制法も、付きまとい、待ち伏せ等の行為が直ちにストーカー行為に当たるというふうにしているわけではございませんで、これは条文を見ますと、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的でこれらの行為、付きまとい、待ち伏せ等の行為でございますが、これもまた身体の安全等が害される不安を覚えさせるような方法によるものに限定されておりますけれども、こういうふうな行為を反復することをストーカー行為として禁止するものでございまして、目的による限定がございます。 他方、この法案の過剰取材につきましては、特定の者を犯罪被害者等として取材するに当たり、「その者が取材を拒んでいるにもかかわらず、」という一層の限定が加えられているところでございます。 以上でございます。
○柏村武昭君 本法案の立法趣旨に合理性があるのは当然といたしましても、先ほど指摘いたしましたとおり、本法案におきましては、報道機関による人権侵害を特別救済の対象としております。そして、その行為類型を細かく規定いたしております。それらの行為は一見明白のようでありますが、実際のところはそうではない。つまり、良い取材活動と悪い取材活動の境界線がはっきりしない。その結果、本来妥当であり、適法とされるような取材活動までもが現場にあって手控えられてしまう。つまり、記者なり報道機関なりが取材を進めていく上で精神的に萎縮してしまうことにはならないであろうか、そういう悩ましい状況が容易に出てくる心配があります。 報道機関の取材活動というものは、最終的には受け手としての国民の知る権利に奉仕するものであります。そして、そのことは、取材活動というものが憲法二十一条に定める言論、表現の自由の一環として何よりも尊重されなければならない、そういうことを意味するものと考えます。それゆえに、取材活動を万が一にも萎縮されるおそれのある規制はできる限り取るべきではないし、もし最低限の規制を行う場合であっても、そうした心配や不安を残さないような方法で行う必要があるのではないかと思います。法務当局におかれましては、この点につき十分な理解とともに最大限の配慮をしていただきますよう要請いたしておきます。 ここで報道機関による人権侵害を特別救済の対象とすることにより、国民の知る権利にこたえるための熱心な取材あるいは粘り強い報道といったものに結果としてブレーキが掛けられるのではないか。法務当局にお伺いしたいと思います。
○政府参考人(吉戒修一君) お答え申し上げます。 報道機関による一定の人権侵害、これは、特別救済の対象にいたしましたのは、犯罪の被害を受けた方々に対します報道によるプライバシー侵害と過剰な取材の問題が、これ、社会的に非常に深刻な問題になっているということ、それから犯罪の被害者等の方が多くの場合に泣き寝入りをせざるを得ないという非常に弱い立場にあること、こういうことに基づくものでございます。 そこで、本法案によります報道機関による人権侵害の特別救済手続でございますが、これらの類型の行為で名誉や生活の平穏を著しく侵害するものに限定し、しかも報道機関による自主的取組を尊重いたし、また調査の方法は専ら任意の調査によりまして、さらにその上での取るべき措置といたしましては、拘束力のない勧告等の手法により被害者の救済を図ろうとするものでございまして、委員御指摘のような熱心な取材あるいは粘り強い報道、そういうものを何ら抑制するものではないというふうに考えております。
○柏村武昭君 次に、人権委員会とBRO、すなわち、BROというのは、私が今、手に持っておりますが、これでございます。(資料を示す)放送と人権等権利に関する委員会機構、この関係について質問します。 BROというのは、委員の先生方は皆さん御承知のとおり、松本サリン事件などの報道被害の反省をその大きなきっかけとして、放送による人権侵害を救済することを目的として一九九七年に設立された民間の機関であります。財源はNHKと日本民間放送連盟加盟各社が拠出しておりまして、言わば放送界の自主的な紛争処理機関と言えます。 さらに、もう少し詳しく申し上げますと、BROにはBRCというものがございまして、これは放送と人権、権利に関する委員会と申しまして、正にこのBRCこそが実質的な苦情処理機関であり、紛争解決機関であります。我々は、そうした放送界の自主的な機関を持っている、それが機能を発揮している、その事実をまずここで指摘いたしておきたいと思います。 もちろん、報道機関の中には、放送各社のほかにも新聞やそのほかのメディアが数多くありまして、業界ごとに紛争処理機関を設けていないところもあろうと存じますが、しかし、例えば新聞の場合ですと、各社ごとにそうした機関を設けている例が多いと聞きます。そうした報道の側の自主的な取組というものがあるということをこの際しっかりと指摘いたしておきます。 BROの話ですが、日本におけるいわゆる報道被害の状況を知るために、昨年の四月から今年の二月までにBROに寄せられた苦情処理の概要について申し上げますと、電話や手紙、ファクスなどによって対応した総件数は二千四百五十七件。そのうち、放送に関するもの千百二十三件、その残りは心因性によるもの、つまり精神的に不安定な人たちからの苦情でありまして、結局のところ、苦情総数の半分以上が放送にかかわりのないものであったそうです。 次に、放送に関する苦情のうち、重大な人権侵害事案と考えられる審理関連に該当するものは実質的に三十二件あったということです。この三十二件というのが最近十か月間に紛争化した放送による人権侵害事件の件数です。もちろん、表に出ない数字があるということには注意が必要ですが、去年の六月には日弁連が、全国三十八の弁護士会を通じて報道被害一斉相談というものを一週間やったそうですが、このときは全体で七十九件の相談があって、内訳は、重複を含めて新聞三十八件、テレビ三十六件、雑誌が十三件だったそうです。 こういった苦情処理の実績を見ますと、現在までの報道機関による自主的な苦情処理あるいは紛争処理への取組には誠に注目すべき点があると高く評価したいと思います。 ところが、人権委員会におきましても報道による人権侵害を救済するということになりますと、同じような紛争処理機関が競合してしまう、屋上屋を架す事態になると思います。私といたしましては、報道の特殊性や専門性に配慮するためにも、報道機関の自主的な紛争解決への取組を尊重していくべきではないかと強く考えるところであります。 ここで質問しますが、放送においては、放送と人権等権利に関する委員会機構による自主的な取組が進められていますが、人権救済に当たってもこれを優先していくべきではないでしょうか。この点につきまして法務当局に伺います。
○政府参考人(吉戒修一君) 委員御指摘のとおり、BRO、放送に関する自主取組の機関でございますけれども、それ以外にも新聞各社におきまして、この近年、社内におきまして自主規制、自主紛争解決機関というものが逐次整備されているということは承知いたしております。そこで、委員御指摘のとおり、表現の自由あるいは報道の自由の保障の観点からも、こういうふうな報道機関による自主的な取組を尊重する必要があるというふうに考えております。 そこで、人権擁護法案の四十二条の二項を見ますと、「報道機関等の報道又は取材の自由その他の表現の自由の保障に十分に配慮するとともに、報道機関等による自主的な解決に向けた取組を尊重しなければならない。」、かような規定が置かれているところでございます。したがいまして、法案成立後の人権救済制度の運用におきましては、例えば委員御指摘のようなBROにおきまして苦情処理手続が既に進行している場合、そういう場合には当然ながら当該手続を優先する、運用するということが十分に想定されるというところでございます。
○柏村武昭君 ありがとうございました。 これまで申し上げましたように、この人権擁護法案につきましては、その目的と手段の間に重大な問題があるんじゃないかと一部から強い異論が出ておりますとともに、私自身のメディアにおける経験からいたしましても若干の心配がある。とりわけ、この問題は国民の知る権利にもかかわる重大な内容でありますだけに、当局におかれましては、立法段階から施行段階に至るまで、慎重の上にも慎重さを持って対応していただきたい、そのことをここに強く要望いたしておきます。 おしまいに、この人権擁護法案により大きく様変わりする人権擁護行政の展望と今後の課題について、法務大臣にお伺いしておきましょう。
○国務大臣(森山眞弓君) 人権擁護法案は、人権擁護行政の担い手として新たに独立行政委員会として人権委員会を設置するとともに、人権救済手続を実効的なものに整備するなど、人権の世紀と言われる二十一世紀におきまして、真に国民一人一人の人権が尊重される社会を実現するために、人権擁護制度を抜本的に改革するものであるというふうに考えております。 もとより、このような制度改革がいわば人権尊重社会の実現に向けた第一歩にすぎません。もちろん、これがすべてではございません。今後とも引き続き、新たな人権課題への対応や救済制度の点検、更には国民意識の啓発、その他様々な努力が不断に必要であると考えております。
○柏村武昭君 どうもありがとうございました。 本日は、森山法務大臣の御所信に対しまして三点の質問をさせてもらいました。法務省並びに関係当局におかれましては、新時代にふさわしい法体系の整備に今後とも万全の対応をされまして、国民各層からの大いなる期待にこたえていかれるようしっかりと努力を続けていただきたいと思います。 そろそろお昼でございます。私の質問を終わらせてもらいます。 どうもありがとうございました。
○委員長(高野博師君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十六分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(高野博師君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、法務行政の基本方針に関する件について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○角田義一君 民主党・新緑の角田義一でございます。 過般、大臣から大変格調の高い所信表明を聞きまして、非常に力強く感じました。大いに頑張っていただかなきゃならぬことがたくさんありますので、よろしくお願いをいたしたいと思いますが、まず司法制度改革ということが一番大きな柱の一つでございます。 そこで、幾つか問題点はありますけれども、私は法曹養成の問題にちょっと限って幾つかお尋ねをいたしたいと思います。 改めてその司法制度改革の推進の審議会の議事録といいましょうか答申を読みまして、そこで「司法制度を支える法曹の在り方」、その中で「法曹人口の拡大」という項目がありまして、その一番最後のところにこう書いてあるんですね。「実際に社会の様々な分野で活躍する法曹の数は社会の要請に基づいて市場原理によって決定されるものであり、新司法試験の合格者数を年間三千人とすることは、あくまで「計画的にできるだけ早期に」達成すべき目標であって、上限を意味するものではないことに留意する必要がある。」と、こう書いてございまして、私はこの文章を見てびっくり仰天いたしました。 私は、法曹人口というのは市場原理によって決定されるようなものではないと保守派でございますから思っていますから、私も法曹の端くれでございますけれども、私は市場原理によって数が決められて今日あるというふうには思っておりません。この審議会の中で法曹の人口というものが市場原理に基づいて決めると、決まるようなことが書いてある。これはどういう哲学でこんなことを書いたんでしょうかな。これ、大臣、どう思いますか、失礼ですけれども。
○国務大臣(森山眞弓君) 司法制度改革審議会の意見でございますので、私から詳細に間違いなくお答えできるかどうかわかりませんが、これを読ませていただいた私の感じといたしましては、要するに今法的な需要が非常に大きくなりつつある、それに合わせて大幅な増加を必要とするという趣旨のことを言われたのであろうというふうに思います。 確かに従来に比べますと、物事を法律的にあるいは裁判によって解決しなければならないということが増えているということは感じられますので、そのことに対して、一方において法曹の数が少なくてはそれを処理することができなくて、よく言われます裁判が遅いというような結果になっているのではないか。そういう懸念からそのような言葉が出てきたのではないかというふうに思いますが、そのような社会の需要に照らしまして、平成二十二年ごろには達成すべき目標として司法試験の合格者を年間三千人程度とすることがいいのではないか、それを目指すべきではないかということをおっしゃっているんだと思います。 もちろん、国民の権利利益を保護する観点から申しますと、法曹人口を増加させるに当たりましても、実力といいますか内容を充実させなければいけませんし、量を増やせば質が低下するというようなことでは困るというふうに思いますので、今度の司法制度改革におきましても、法曹の量的な増加だけではなくてその質的な充実を図るということにも力点を置いていただいておりまして、そのような観点から、法科大学院を中核とする新たな法曹養成制度を整備するというふうにおっしゃっているのだと思います。
○角田義一君 この問題だけ議論したって一時間ぐらい掛かっちゃうんだろうと思うんですけれども、私はこの答申のこの文章というのは絶対容認できないですね。こんなことでやられたのではたまらないと思っているんです。 山崎さん、あなたも優秀な法曹であるけれども、あなた、自分が市場原理によって数が決められて今日あると思っていますか、どうですか。答えてください。
○政府参考人(山崎潮君) ただいま大臣から御答弁ございましたけれども、この市場原理という意味が法的需要、そういう意味で私もとらえておりまして、その需要があればそれは増やしていかざるを得ない、国民が望んでいるわけでございますので。そういう意味で、ここは市場原理と、文言はそうなっておりますけれども、内容的には法的需要だというふうに理解をしております。
○角田義一君 これね、もうくどいこと言いませんけれども、私は、本当であればこれは審議会でこの文章切るべきなんですよ。社会的な要請に基づいて決まるとか、そういうのなら分かるんです。市場原理といったら金もうけだからね、はっきり言えば。それで強い者が勝つ、弱い者に勝つ、それは資本主義の原理ですよ。資本主義の原理でなじむものとなじまないものが世の中にあるんだ。そういうことがはっきり分からないようでは、これは大変なことだと私は思っているんです。それ以上、今日は言わない。僕は、この文章は絶対賛成できないし、納得できない文章だということをはっきり申し上げておきますし、法曹制度をいろいろこれからやっていくときに市場原理だけでやれる、市場原理でやるというのは間違いだということだけはっきり申し上げておきたいと思います。 次に、この法科大学院、要するにロースクールというふうに言われていますが、法科大学院というものを改めて法曹の養成の中核にした理由というのはどこにあるんでしょうか。私が言いたいのは、今までの司法研修制度というのは相当高く評価されるべき私は制度だと思っておりますし、それなりの効果を上げてきて、立派な法曹を私は数は少ないかもしれないけれども世の中に送ってきたというふうに思っているんですね。それじゃなくて、この法科大学院というものを法曹の中核にする理由というか、本質的な問題提起は一体どこにあるのかということを次にお聞きしたい。
○国務大臣(森山眞弓君) 確かに、今までの法曹の養成制度、例えば司法試験とか司法修習制度とか、そういうものが非常に大きな役割を果たしてきて、角田先生始め立派な法曹を生んでまいったということは私も承知しております。 しかし、先生が受験なさった、あるいは勉強なさっていたころと今大分様子が変わってきたようでございまして、何と申しますか、要するに大学における法律、法学教育が現在は法律の実務との乖離が甚だしいというふうなことを指摘されておりますほか、現在の司法試験の受験者の様子を見ますと、受験技術優先というようなことが傾向として大変顕著だということが心配されているわけでございまして、このようなことが更に募っていきますと、これからの法曹、日本の法曹の質について問題があるのではないかということが懸念されているわけでございます。 このようなことから、今後、二十一世紀の司法を支えるための人的基盤の整備といたしまして、質、量ともに豊かな法曹を養成するということには大きな工夫が必要だということから、法科大学院を中核として、法学教育、司法試験、司法修習を有機的に連携させたプロセスとしての法曹養成制度を新たに整備するということが必要だというふうにおっしゃっているのだと思います。
○角田義一君 そこで、法科大学院というのを二〇〇四年四月に発足をさせるということになりますと、あと二年もうないわけですね、切っているわけです。これは大変いろいろな問題があるんですが、法整備の面からいうと、これは山崎さん、技術的なことだから答えていただいてもいいと思うんですけれども、どういう法律をどういうふうに整備するんですか、必要最小限度のものとして。どういうふうに法務省考えているの。
○政府参考人(山崎潮君) 法科大学院の位置付けでございますけれども、これは高度専門職業人である法曹の養成に特化した新しいタイプの大学院ということでございます。 そういう関係から、その大学院の課程の位置付けあるいは学位等につきましては学校教育法の改正をする必要があるという点が第一点でございます。これに伴いまして司法試験の在り方というものも変わってまいるわけでございますので、司法試験法の改正をいたしまして、試験科目、方法等を定める必要がございます。 それから、さらにこの意見書によりますと、法科大学院における教育水準の維持向上のために実施される第三者評価というものもあるわけでございますが、この関係は、その評価の結果と司法試験がどういうふうに密接に関連してくるかという点、まだ議論が十分に熟しておりませんけれども、その関係いかんによっては運用で行われる可能性もございますし、あるいは法的な措置を講ぜざるを得ないことも生じてまいります。そういう関係で、ここはまだどういう関係になるかが定まっておりませんけれども、必要であれば法令で定めるということになります。 この法令の可能性といたしまして、まだ具体的ではございませんけれども、三つ可能性はございます。一つは学校教育法でございます。一つは司法試験法でございます。あるいは両者を統合したような別の法律ということもございます。まだ今のところ決まっていないという状況でございます。 いずれにしましても、この関係では平成十六年の四月から生徒を入れるということになりますので、その準備期間も考えますと、この秋に臨時国会が開かれればそこに提出をさせていただきたいと考えております。
○角田義一君 限られた時間ですから、あと二つだけちょっと聞いておきますけれども、この審議会の答申なんかを読んでみますと、将来的には三千人にする、そしてその法科大学院を出た者の七、八割が合格するようにしたいという目標を掲げていますね。そうすると、逆算すると四千人ぐらいの定数があって、その七、八割が合格すると。しかし、現実には今三万人の人が司法試験を受けているわけですよ、三万人の人が。それが四千人に絞り込まれると。要するに、法科大学院だけの人たちだけになってしまうのか。それとも、法科大学院を出なくても、司法試験を受ける道が閉ざされてはいけないと私は思っているんですけれども、そうかといって、その閉ざされていない人たちが一杯ばあっと来れば今度は法科大学院を作った意味もなくなるということで、その辺のバランスというか、非常に難しいものが私はあると思うんですよ。 しかし、それは法律制度を今、四月の発足するまでにある程度決着を見なきゃならぬでしょう。この辺はどう考えているんですか。大臣にしていただければ有り難いんですが。
○国務大臣(森山眞弓君) 御指摘のように、そして今、山崎事務局長がお答えしましたように、これからその内容について検討をするということで、今のところ残念ながらはっきりした方向ということは私から申し上げることはできない状況でございますが、おっしゃいますように、せっかく法科大学院というものを作りまして、その内容もレベルの高い充実したものにして、その大半が、六、七割の人が司法試験に合格するような内容のものとして教育をしていきたいという考えでございますので、その内容をしっかりとさせるということがまず第一でございますし、かといって、その法科大学院に行かなければ受けられないというのも余りにも閉鎖的でありますので、そういう機会がなくても実力がある方が法曹界に出てきていただけるという道も必要である、その兼ね合いが大変難しいと。おっしゃったとおりでございまして、その点については具体的にこれから推進本部の中でこれから議論をスタートしていただく。急いでいただかなければならないんですが、今鋭意進めていただいておりますので、その成果を待ちたいというふうに思います。
○角田義一君 それともう一つ、この法科大学院は普通、原則三年だと言われているんですね、修業年限三年と。そして、どのくらいのお金が掛かるかというと、いろいろ試算があるようですが、大体年間百五十万から二百万ぐらい授業料等で掛かるんじゃないかと言われております。それにその学生の生活費もあるということになりますと、こんなことを言うとちょっと語弊がありますが、あえて言いますと、お医者さんのせがれはかなり親が力があって裕福な、要するに言いたいことは、裕福な子弟、裕福な家庭の子弟しかこの法科大学院で学べないのではないかという懸念を私は率直に持っているんです。そうなると、広く国民の中から優秀な人材を集めようとすればそれなりの奨学資金制度というのは今の制度とはまた全然違うシステムを考えてやらなきゃいけないんじゃないかと。生活費まで含めて貸付けをするとか、そういうかなり思い切った発想に立った制度的な保障をしてやらないと、これはおかしなものになるという心配が私はあります。 となれば、それの法律もやっぱりある程度作るということも私は必要じゃないかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃいますように、経済的な力のある親の子供でなければ入れないというようなことはもう誠に不公平なことで、そんなことがあってはならないと思います。 法科大学院については、公平で開放された、多様な人々を受け入れるという必要があると思いますので、資力が十分でない者が経済的な理由で入学することができないなんということがないように、奨学金等の各種の支援制度を十分に整備、活用するということが必要になると思われますので、今後関係の機関と連携しながら所要の検討を行ってまいりたいと思います。 既存の制度を大いに活用させていただくことも含め、今後関係機関と連携しながら、様々な観点から検討を進めたいというふうに考えております。
○角田義一君 法科大学の問題を中心にしまして、法曹養成については、恐らく秋の臨時国会で関連の法案が出るということになりますと、そこでまた議論させていただきますが、なるべく早く、いろいろ問題点はもう出ているわけで、詰めなきゃならぬ問題ももう問題点としては指摘されているわけですね。したがって、その本部とすれば、そこのところをなるべく早く詰めていただくと同時に、国民から広く意見を聞いて、間違いのないような対応をしていただきたいということをお願いをしておきます。 それから次に、施設、受入れ関係施設の過剰収容の問題についてお尋ねいたしますが、やはり私も現場へ行った方がいいだろうと思いまして、過半、府中刑務所につい先週行かしていただきまして、見てまいりました。まあ現場は大変なものですな。大変な御苦労をしております。 府中刑務所の実情をまずちょっと簡単に御報告いただきましょうか。定数がどのくらいで、今どのくらいの人間がオーバーになっているのか、入っているのか、まずそこから聞いてみましょうか。
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。 委員が御視察いたしました府中刑務所でございますが、収容定員は二千五百九十八人でございます。 その収容人員ですけれども、平成十二年ころから急に増えてまいりまして、十二年の年末に収容定員を超えまして、その後も増加を続けまして、昨日の三月十八日になりますが、二千九百五十一人、収容率でいきますと一一三・六%でございます。
○角田義一君 これはパーセンテージで言われてもいいんですが、まあ人間ですから数でいくのが一番いいと思うんですけれども。 まず、独居房、独居房ですな、昔で言う独居房、これ一人で本来いるところなんです。そこへ二人入れているわけですよ。これは深刻な問題が起きていますわな。こういう公の場で言うのもいかがかと思うんだけれども、独居房のおトイレというのは全然目隠しも何もないんです、何もないんです。一人だからそれで我慢しろというわけであるんでしょう。そうすると、二人入るわけです。自然が呼んだって出るものも出ないですよ、あれじゃ、本当に。私はそう思ったよ、こんなところへ二人も入れてさ。これは深刻ですよ、入っている者にしてみれば。 それで、しかもあそこは精神的なあるいは肉体的なハンディキャップを負っている人が収容者の半分ですわ。いろいろ雑居に入れないような人がいろんなハンディがあって一人で入れている。そして、そこへもう一人入れるんだけれども、その相棒が難しい、相棒を選ぶのが、これは。ハンディを負った人を二人入れたんじゃまたこれ大変なことになるから、ハンディのない人を入れようとすれば、気が合わないとか言って、もう背中合わせに寝ているわけですよ。三日はもつけれども、朝はけんかですよ。そういう深刻な問題がある。 それから、六人部屋へ行ってみた。七人入れているんです。真ん中一つ、一人入れているんだけれども、全部あれ足でけ飛ばされるような状態で入っている。時間がないから、本当に時間があるともっといろいろ話しするんだけれども。 まず、その食べ物、食堂、それからおふろ、水、それから服、加古川の刑務所で服を作っているけれども間に合わない、間に合わない、服が。どうしたかというと、しようがないからあの刑務所の中の裁縫している工場で適当な布を買ってきて、それで作って間に合わせて着せているという状況でしょう。だから、数が多くなったらお医者さんも診る回数も少なくなる。もう深刻な状態は一杯あるわけですね。 それで、偉い人に聞いたら、何があなた方、今一番必要としているかと言ったら、それは施設の拡充と、それから人間を増やしてくれと。当然だと思うんですな。ところが、府中刑務所というのは、もうあそこは一杯で、都市計画のあれがあって建てられない、建てられないんですね。せめて人間を増やしてくれと、こう言っているわけですよ。 この例えば府中刑務所、どのくらいの人間が必要だというふうに現場が言っているか分かりますか、局長。
○政府参考人(鶴田六郎君) 先生が御視察したときの府中刑務所の職員からは、これはある程度概要的なものとして申し上げたというふうに聞いておりますけれども、三十人から四十人くらいというようなことを申し上げたというような報告を受けております。
○角田義一君 最低でも三十人は欲しいというんですよ、三十人は欲しいと。それは看守さんで三十人。それから、総務関係でも仕事は増えるんですから、それも若干欲しいと言っているんだけれども。なぜ欲しいかというと、もう看守さんが、看守さん自身がもう休みを取れない。四週八休という制度があるけれども、それが守れない。それから、連休のときなんか休めない。それはそうでしょう、人間が入っているんですからな。片っ方休んじゃうわけにいかないんですから、これは。これはもう深刻な状態になっているわけ。 それで、いいですか、時間がないからまた結論だけ言うけれども、今度の法務省の予算見ると、一面では増員しているわけですね、看守さん増員がある。しかし、一面では定数減やっているでしょう。差引きしたら幾らになると。差引きしたら、結論だけ言うけれども、二十五人しか増えないんですよ、数字のマジックで。片っ方で百八十何人も増えることを言っているけれども、片っ方でまた百何人も減らされているから、実増は二十五人しか増えないんですよ。だから、二十五人を、仮に、増やした二十五人を全部府中刑務所へ入れたら、ほかの刑務所だって全部過剰収容やっているんですから、そこだってみんな人間欲しいわけですよね。全然そこは満たされないことになるでしょう。 僕は、これ収容あふれたって、いろいろ社会的な要因があると思うんだけれども、しかし現実にこれだけの人間が増えちゃって、しかも看守さんを始め人間が欲しい。これは、刑務所が崩壊したら、これは社会国家秩序の一番最後のところが崩壊するんですから、これは大臣、小泉さんのところへ行って、聖域なき構造改革なんて、あの人、偉そうなこと言っているけれども、それはそれでいいが、現実問題としてこれだけ職員がいなかったら社会国家秩序おかしくなりますよ、二十五人ぐらいの増員じゃどうにもならない、このことを直談判してやらなかったら、これ現場は大変だし、社会秩序おかしくなりますよ、と思うんです。これは、ひとつ腕っ節の強いところを見せて頑張ってもらわないとどうにもならぬというのが私が行ってきた感じなんですよ。どうですか。 それから、政務次官も、これは男性だけれども、助けるんだから、しっかり頑張らなきゃ駄目だよ。そうでしょう。二人から意見聞きたいですな。副大臣。
○副大臣(横内正明君) 平成十四年度の予算の過程におきましても、特にこの行刑施設の人員増については法務省の中でも重点的な課題として一生懸命取り組んでまいりました。かなりの業績、実績を上げたと思っておるんですけれども、先生おっしゃるように、定数削減があるものですから、実員の増としてはわずかなものということでございますけれども、例年に比べれば相当な実績を上げたというふうに思っております。しかし、決して十分だとは思っておりませんで、今後も相当なこの収容人員の増加が予想されますので、今後もそういった定数増については一生懸命努力をしていきたいというふうに思っております。
○角田義一君 大臣、どうですか。
○国務大臣(森山眞弓君) 実は、小泉総理大臣も、また塩川財務大臣それから片山総務大臣、いずれもこの人員増に関係のある責任の閣僚の皆様に大変御理解をいただきまして、いろいろと私どもが陳情申し上げることを聞いていただいております。しかし、にわかに何倍にもするというわけにもいかないという現在の事情でございますので、ただいま副大臣から御報告申し上げたように、プラスをしてはいただきましたが、まだまだ十分ではございませんので、今後とも先生方の御支援をいただきまして頑張りたいと思っております。
○角田義一君 私は、宗男さんみたいなえげつないことはできないけれども、これは超党派で応援団を作ってやらないと、現実問題として私は現場が容易でないと思うし、これはよほど、本当にあなた方お二人、選挙で選ばれたのは三人しかいませんからな、法務省は。ほかは全部、どんなエリートであろうが学歴が優秀で試験通っていようが、選挙という試練は経てないんだから。お三人が試練を経ているんですから、選挙の。大所高所に立って頑張ってもらって、これは本当に深刻だということを省全体がそう思ってもらわなきゃ私はいけないと思っているんです。これは皆さんでもう与野党関係なく応援してやらないと、社会秩序そのものが根底から崩れるというおそれがありますので、大いにひとつ頑張っていただきたいというふうに思います。 いずれどこかでまた、まだ予算通っていないけれども、補正が出るかもしれないけれども、そのときには、人間が増えているような補正を出してもらわなかったら、私はもう、ちょっと黙っていませんから、是非ひとつ頑張っていただきたいと思います。 それから、時間がありますので次に移りたいと思いますが、この過剰収容の問題が背景にあるというふうにも言われているんですが、最近、少年院ですな、美保学園で不祥事が起きたようですね。教官が集団で、収容されている少年に対して暴行を加えたというようなことで、私は、あってはならぬ事件が起きたというふうに思って、非常にこれは残念に思っているんですが、その経過とそれから今後の対応について簡単に御報告願いたい、御報告してください。
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。 美保学園ですけれども、これは鳥取の米子市にある初等中等少年院送致を受けた少年を、収容施設でありますが、昨年の八月から本年一月までの間に九名の職員が二十数名の被収容者に対し頭部をたたくなどしたという事案が発生したことが今年の一月に発覚いたしました。広島矯正管区において事実関係を調査するとともに、鳥取地方検察庁に通報いたしまして、現在、検察庁で調査が行われているところでございます。 事実関係につきましては、検察庁の捜査を待たなければならない点があると思いますが、内部の調査したところでは、被害少年には、幸いですけれども、けがはなかったというふうに聞いております。
○角田義一君 新聞報道と大分違うじゃないか。新聞報道はどれだけ正しいか分からぬけれども、新聞報道では、あんた、鼓膜が破れたって書いてあるよ。かなりの傷害じゃないですか、鼓膜が破れたということになれば。これは、スコップで殴ったとか竹刀で殴ったとか話になっている。もうちょっとしっかりしてよ。新聞がそれだけ報道しているのに局長がそんなことじゃどうしようもないじゃないか。そんなことじゃ駄目だよ。
○政府参考人(鶴田六郎君) 当時、一部の新聞に鼓膜が破れるというような報道がなされておりますけれども、その後の他社の取材がありましたときには、私どもの調査した範囲で、暴行という遺憾なことを行ったことは確かですけれども、幸い被害少年につきましては傷害がなかったということで、その取材におきましてもそれを説明いたしまして、その後の新聞報道ではそういうような取扱いになっているというふうに承知しております。
○角田義一君 いずれにしても、相手は収容者です、収容者ですよね。そして、全然力関係が違うんですよ、立場が。こっちは管理をし権力を持ち、場合によったら竹刀も持っておるわけだよ。それで、向こうは、それは少年だから、今体でっかいかもしれないけれども、やはりそれは教育を受ける立場ですよね。そういう意味では、一種の密室の中でこれは起きたわけでしょう。これは一番いけないことですね。陰湿ですよ。 こういうことはやっぱりあってはいけないことなんですね。法務省、おまえもかと、こうなっちゃうんですよ。えらいことだよ。そういう認識持っている、局長。どうなの、あなた、そこら辺の、まずあなたの認識を聞きたいよ。
○政府参考人(鶴田六郎君) 委員御指摘のとおり、少年院において矯正教育に携わる者は、法律の定めるところに従いまして適正に職務を行うべきものであることは言うまでもないところですので、今回のような暴行に及ぶというようなことがありましたことは、これはあってはならないものだと重く受け止めております。
○角田義一君 いずれにしても、それは検察庁は検察庁のお立場があっていろいろ調べると思いますが、しかし内部できちっと調査をして、やった人にはちょっと酷かもしれないけれども、やっぱりけじめはしっかり付けてもらって、そして二度とそういうことがやっぱり起きないようにきっちりやってもらいませんと。これは私は、法務省というのは、警察はこのごろ悪いことばっかりするんで信用を失っているんだけれども、最後のとりでは法務省だと思っているから、その法務省がそんなことになったんじゃ、これ、どうしようもないよ、日本、おかしくなっちゃう、本当に。ということをはっきり、これは庶民の気持ちですよ、ばちっと言っておきますからな。もう二度とあったらこれはえらいことだよということだけ申し上げておきたいと思っているんです。 そこで、例えば今のような内部で起きたこういう不祥事、これをどういうふうに救済するかというふうな問題、人権擁護法というのが今度できてきた。その人権擁護法の中でいろいろ大きな問題があるんですが、それはいずれ参議院先議で来ますから、細かいことはそこで、その場でまたお尋ねをしますが、幾つか大事なことだけ聞いておきたいと思うんですね。 私は、この法案を見まして非常に奇異に感じたのは、いろいろな今までの運動の経過の中で、それは言葉として表現するのはいかがかと思うかもしれぬけれども、現実にある部落差別という問題があるわけです、現実に、非常に深刻な問題として。そして、その部落差別を受けた者が人権侵害をされるというケースはまだ後を絶たないわけですね。ところが、この条文、どこを見ても部落差別のブという字もないですよ。これはどういうわけなんでしょうかな、ちょっと説明してくれませんか。
○政府参考人(吉戒修一君) お答え申し上げます。 実は、先生も御存じのとおり、元々、新しい人権救済制度の検討でございますが、これは平成八年五月の地対協の意見具申に基づいております。その中で新しい人権救済制度の確立という提言がございまして、それを踏まえて人権擁護推進審議会が設立され、その中で答申が出され、その答申を踏まえて今回の法案に至ったわけでございます。 この法案でございますけれども、その三条をごらんになりますと、社会的身分を含む人種等の属性を理由とする社会生活の領域における不当な差別的取扱いや不当な差別的言動、さらにはこれらの不当な差別的取扱いを助長、誘発する一定の行為などを明確に三条において禁止いたしております。 したがいまして、この法案は、社会的身分による差別の一つでございます部落差別、これも明確に禁止しているところであると承知しております。
○角田義一君 あのね、明確に禁止してあるんなら明確に法に書いて差し支えないと私は思うんですよ、これは。これは意見だから、それはまた本番になったらやりますけれども、質問しますけれども。大きなそれは柱なんですよね、部落差別によって人権が侵害された者をどう救済するかというのがこの法案の中の一つの大きな、運動がずっとあって、やってきた成果としてこの法案があるわけですから、そこのところを私はもっとはっきりさせた方がいいということをこの際意見として申し上げておきます。 それからもう一つ。言葉じりをつかまえて申し訳ないんだけれども、大臣の所信表明の中に、これを法務省に置くと書いてあるんです。法務省の下に置くと書かない。下はないんです。法務省に置くと書いてあるんです。私はじっと見ていて、これはえらいことを言っているなと思ったんです。これは本腹が出たなと私は思ったんだよ。ある意味では本腹が出たなと。この独立機関を法務省の下に置くわけですけれども、一番大きな問題になっているのは本当に独立をしているかと、法務省から。 一つだけ例を挙げましょうか。 中央に委員会ができて、それから地方にもできる。地方というのは、東京、高裁、全国で高裁管内八か所ですよね。しかし、現実には各地域で起こるわけだから、その地域にその人権委員会みたいのを作ってくれという要望はあります。それはちょっとこっちへおきます。こっちへおきますが、一番末端は、例えば群馬でいえば前橋地方法務局の人権擁護課に、二、三人しかいないんだけれども、その人は、いいですか、法務省の身分のままいろいろの救済の申立てとかそういう対応をするわけです、法務省の職員のまま。 少なくとも私は、その中央にできた人権擁護委員会の一番の末端までの職員が少なくとも法務省から縁を切ってその委員会に移らない限り、これは独立したよなんてきれい事言ったって、保障されませんよ、これは。だから、今の私は法務省の立場というか、それは百歩分かったと言ったとしてもですよ、いいですか、百歩分かったと言ったとしても、現実に委任をしちゃって、一番末端は前橋地方法務局の法務局の職員が、法務局の職員のままいろいろ受け答えをしたり対応したりするって、それで独立機関と言えますか。 これは、やっぱり少なくともその辺のことはちゃんとけじめを付けてもらわぬと、これは独立性に対して非常に疑問が出ているわけだから、これは私は深刻に受け止めて、独立性なら独立性というのを確保しなきゃいけないんじゃないかというふうに思うんですが、ひとつ見解を承っておきたい。
○政府参考人(吉戒修一君) お答え申し上げます。 まず、人権委員会の独立性の点でございますが、これは、先生御承知のとおり、いわゆる三条委員会として設置されます。委員長及び委員の任命方法、これは国会の同意を経て内閣総理大臣が任命すると。それから、身分保障、職権行使の独立性の保障などの規定がございまして、その職権の行使に当たりましては、内閣や所轄の大臣などからの影響を受けることがないよう高度の独立性を確保することとされております。 このことを踏まえまして、人権委員会は、国民の権利擁護を図ることをその任務といたしますとともに、人権救済手続に関する職務の遂行のための法律的な専門性を有する職員を擁し、人権救済に対する専門的な知識、経験の蓄積を有する法務省に置くことが適当であると考えておるわけでございます。 今、委員がもう一つ御指摘ございました組織の中の末端のところでございますけれども、これは中央に人権委員会がございまして、その下に中央の事務局がございます。そして、八ブロックに地方事務所を置きます。この地方事務所も実際に人権救済の手続を行います。東京の場合には東京法務局の人権擁護部が東京地方事務所になりまして、そこが東京管内の事件を行います。(「前橋は」と呼ぶ者あり) 前橋につきましては、前橋地方法務局の人権擁護課に事務委任をするということでございますが、ちょっとそこで御説明したいんですけれども、地方法務局長に地方事務所の事務を委任することを予定しておりますけれども、地方法務局長は、委任を受けるいわゆる人権救済事務につきましては人権委員会の指揮監督を受けることとされております。その上、公権力による人権侵害に関する調査など、特に強く中立公正さが要求される事務につきましては、地方法務局ではなくて、人権委員会の事務局の地方機関として設置いたします先ほど申し上げました地方事務所、地方事務所が主導的にその事件につきまして関与することを予定しております。したがいまして、独立性の確保につきましては欠けるところがないというふうに考えております。
○角田義一君 あとはもう江田大臣に私の方は譲りますけれども、少なくとも私は、これは最低の独立性を確保する上での必要条件です。今言ったように、地方法務局長がその人権擁護の親分から指導を受けるとかいったって、それは身分はこの局長さんは法務省の役人じゃないですか。二重構造だよ、そうなったら、そこは。全然、独立性というのはすっきりしてませんよ。だから、少なくとも独立性、くどいようだけれども、独立性を確保できているんだと言うなら、それは制度的に、システム的にできてなきゃいけないんですよ。そうしたら、それは末端までやらなきゃ意味がないんですよね。 そうすると、これは恐らく法案が出てきたときにどういうふうに法案を修正したらいいかという問題に私はなってくると思うけれども、今のままの、現状のままこの人権擁護法案を我々民主党はそっくり、はあ、ごもっとも、結構な法案ですとは言えませんからな、はっきり言っておきますけれども。言えませんから。 これは、是非これは与党の皆さんの御理解もいただかなきゃならぬと思うけれども、どこをどういうふうに修正して、一番いい方法で衆議院に送るかと、良識の府ですからな、参議院は。よく協力していただいて、よく相談して、私は、いいのを衆議院に送った方がいいと私は思っているので、これからこの法案が出てくればそれは議論になると思いますが、幾つか問題点はありますけれども、少なくとも今日は独立性一本に絞ってお尋ねしましたが、大臣、そういう問題があるということを是非認識していただきましてこれからの審議に当たっていただきたいと思いますので、よろしくお願いをして、そちらへ移ります。どうぞ。 ありがとうございました。
○江田五月君 角田委員に続いて森山法務大臣に質問いたします。 今の人権擁護法案、これもまだまだ詳しく質問したいところですが、私どもは、この法案、このままではいけないと、是非、良識の府として参議院からスタートするわけですから、与党の皆さんの御理解もいただき、よりいいものにして衆議院の方に送りたいと思っております。これは今後の議論です。 それともう一つ、角田委員の質疑に──矯正局長は帰っちゃったか、矯正局長。質問通告していません。じゃ、大臣に申し上げておきます、質問じゃなくて。 少年院で暴行事件が起きたと。本当にあってはならぬこと。しかし、これはあってはならぬといって、そういう暴行事件を起こした少年院の法務教官か、彼を責める前に、我々自身が、大臣も副大臣も、そして法務省の皆さんも本当に反省しなきゃいかぬ、私たちも含めて。 もう声が聞こえてきているんですよ。少年院の中で、とにかく人手が足りないと。本当に、少年院というのは道を迷った少年、これに本当に矯正教育を行うのが一番の仕事なんです。しかし、その教科教育活動、そこへ手が回らないというんですね。 少年院に入っている少年ですから、そんなに穏やかな気持ちの優しい、良くできた少年じゃないでしょう。だから、それは荒くれもいますよ。その荒くれに対して保安、秩序維持、これをやるだけで手一杯で、それさえもうできなくて、自分自身の精神の安定も維持することさえ難しくなるような状況があるんだというのが、声が聞こえてきているんです、我々のところに。 それについて私どもがちゃんとしたことができていないという、これは是非ひとつ、関連ですから、角田さんの質疑に関連して私も申し上げておきます。お願いでございます。 さて、司法制度改革について今の質疑の関連でもう少し伺いますが、昨日の予算委員会で小泉首相にも質問したんですけれども、三月七日に司法制度改革推進本部の顧問会議が開かれて、翌日の毎日新聞、毎日新聞と言っちゃいましたが、小泉さんは司法制度改革に熱心でないという、識者から批判続出という、そういう記事が出ました。 私がそれを質問しようと思ったら、ぱっと推進本部の事務局の方が飛んでこられまして、あの記事は顧問の人が現実に言っていない発言が幾つかあって、誤報というか正確な記事じゃないんだと。そのことは新聞社の方も認めておって、近々対応を取るというようなことだったと思いますが、私も最近間違った記事で非常に迷惑したこともあるんですが、訂正してもらうというのは非常に困難です。 しかし、この場合は、これは小泉総理にも申し上げたんですが、小泉首相のそのときの答弁は、いや、まあ、総理大臣というのは一言言えばああだこうだといろいろ言われて、これが総理というものの宿命でとか、そんなことないんです。 ないと言うのはなぜかというと、あの顧問会議はリアルタイム公開ですから、新聞記者の皆さんが全部来ているわけですから、そこへ集まった皆さんが何を言っているかというのはみんながもう知っているわけですから、したがって記事が間違いというのは直ちに分かる、明らかに分かる、透明性が高いということで。これは私ども参議院の法務委員会、胸を張っていいと。この委員会でリアルタイム公開というのを附帯決議で付けたわけですからね。それが行われているということのおかげだと司法制度改革推進本部の事務方の皆さんもおっしゃっていたし、私どももそうだったのかなと思っておりますが。 さて、森山法務大臣、当然、あなたはこの推進本部の副本部長として七日の顧問会議におられましたよね。小泉総理は何と言われたか、顧問の皆さんはどういうことを言われたか、別に細かくでなくて結構ですから、大綱をお教えください。
○国務大臣(森山眞弓君) 確かに、顧問会議に私も出席させていただきまして、ずっと傍聴させていただいておりました。 最初に、スケジュールの関係もあったと思いますけれども、顧問の皆さん方からお一人ずつ司法制度改革に関するそれぞれのお考えをお述べいただきまして、その最初の部分が全部終わるまで、あるいはそれよりももうちょっと後まで総理はずっと同席しておられまして、その意見をお聞きになっておりました。 いつもとちょっとそのプログラムの作り方が違いましたのは、恐らく総理が途中でお忙しくてお立ちにならなければならないことが多いものですから、せっかく顧問の先生方が何か御意見をおっしゃろうと思ってもそのときには総理がいらっしゃらないということがあってはいけないということで、最初に顧問の先生方の御意見の開陳というのがあったんだと思います。そういうことを見て新聞の方々がさっきおっしゃったような記事をお書きになったのかもしれませんが、実際にはそういうことではなくて、顧問の方々の御意見を、一人一人の御意見を直接伺おうという総理の姿勢でそのようなプログラムになったんだと私はそのとき理解いたしました。 それぞれに、例えばこの司法制度改革をして、例えば裁判を早くする、あるいは法曹を充実させるということになれば、裁判官とか検察官とか弁護士さんとかの数を増やさなければいけない。そうすると、それだけ人件費その他の財政的な負担も増えますが、その覚悟をちゃんとしているのでしょうかというような御意見が二、三の方から出ましたし、そのほかいろいろと非常に具体的な率直な御意見が全員から出していただきまして、総理のお耳にもそれが直接届いたということは非常に効果的であったというふうに私は思っております。
○江田五月君 そして同時に、それぞれの委員の声が直接本部長に、総理大臣に届く、同時にそうやってやり取りをしていることが直接国民に届く、これが極めて重要なことだと思っておりますが、その点の認識はいかがですか。
○国務大臣(森山眞弓君) そのとおりでございまして、その最初のときから終わるまでずっと新聞記者さんも傍聴しておりましたし、その議事録は直ちに公開されるということでございまして、国民の皆様に全部そのいきさつ、やり取り、御意見、すぐに分かるような仕組みになっているということは大変いいことだと思っております。
○江田五月君 そのリアルタイム公開ですが、せっかくそうして、総理もそうした場で皆さんの意見も聞き、それが国民にすぐ伝わっていき、国民とのある種の対話の中で司法制度改革が進んでいくという、そういう画期的なプロセスが進んでいるのに、どうも一部不十分な点があると聞いております。 検討会十のうち五つ、リアルタイム公開ではあるが会議録で発言者の名前を伏せるという、非常に残念ですね、どの検討会がそうなのかよくこれから見ていきたいと思いますが、発言者名の公開に反対をしているのはどうも裁判所サイドから出てきた委員だというので私も肩身が狭くて甚だ困っておるんですが、それは事実ですか。五つが名前を伏せるということになっているというのは事実ですか。
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおり、結果的にそのようになっていると私も聞いておりますが、それぞれの検討会のそれぞれの委員の方に御相談というか御意見を伺いまして、全く個人の名前から発言内容まで全部公開してもいいというふうにそれぞれの検討会でお決めになったところはおっしゃるような一〇〇%のリアルタイム公開ですが、自分個人の名前は出さないで議事の内容だけ知らせるようにしてほしいというふうにお決めいただいたところは、そうでなく名前だけは伏せられているという状況でございまして、その結果がたまたま半分ずつになったということでございます。
○江田五月君 もうリアルタイム公開しているわけですから、だれがどういう発言をしたというのは分かっているわけですから、それを何か後で文書にするときだけは名前は隠してなんて、そんな、何ていうんですかね、こういうのを、けつの穴が小さいというような言い方はしちゃいけませんかね、今日は何かそういう話がよく……。それじゃ駄目ですよ、やっぱりね。自分の発言にちゃんと自信を持って司法制度改革に取り組める人が出てきていただかないといけないと思います。是非これは副本部長にリーダーシップを発揮していただきたいと思いますが。 でき上がった会議録に、どうせだれが何を言ったかは分かっているわけですから、ですからそこへ第三者が、例えばマスコミなりどなたでもいいですが、そういう人が個人名を入れて事務局作成以外の会議録を作成したってこれは別にルール違反にはなりませんよね。
○政府参考人(山崎潮君) それは特段禁じられていないということになろうかと思います。
○江田五月君 確認しておきます。 顧問会議というのは、審議会報告がちゃんと尊重されているかどうか、これを言わば監督する機関だというように聞いておりますが、しかし現実には審議会メンバーとしては佐藤幸治会長しか顧問会議に入っていないので、先日、中坊公平さんにお会いする機会があったんですが、司法制度改革について随分心配をしておられまして、総理とか法務大臣、審議会メンバー、前のですよ、今の顧問会議じゃない、前の審議会メンバーの方々の御意見を聞く会など、せめて一年に二、三回でも開いたらどうかと、こう思いますが、いかがですか。
○国務大臣(森山眞弓君) 大変長い間、しかも忙しく審議に御参加いただいて非常に貴重な御意見をちょうだいしました審議会のメンバーの方々には、佐藤先生以外にも大変御関心を持っていただいている方が多いかと思います。 折に触れていろいろお話は申し上げていると思いますが、そのような御希望があるんでございましたら検討させていただきたいと思います。
○江田五月君 あるんでございましたらもいいですが、是非こうなっていますよと、せっかく苦労いただいたんですから。二年間、本当にもうあの会議の数だけ見ても大変な御苦労だったわけだし、今も例えば中坊さんなんか心配しておられるので、是非とも、こうなっていますが、ほかからいろんな意見もお聞きになるでしょうが、どうでしょうか、聞かせてくださいと、そういう姿勢があった方がいいと思います。 さて、今日、司法制度改革推進計画が今朝の閣議決定になったということですが、まだよく中を見ていないんですが、一部、弁護士報酬の敗訴者負担制度の取扱いでございますが、これは書いてあるんですけれども、元々の意見書には「一律に導入することなく、」という文言が入っていた。ところが、その一律導入でなくという文言が消えている。 これは何ですか、何か敗訴者負担を審議会報告と意見とは違ったようなものを作ろうという、そういう隠れた意図があるんですか。
○政府参考人(山崎潮君) 特段の意図はございませんで、審議会の意見と同じ、同趣旨であるというふうに我々理解しております。
○江田五月君 今日は余り細かく入れません。確認だけしておきます。 「司法の行政に対するチェック機能の強化」というところ、これは審議会の意見の方も時間がなくて、これは大切なことだからというそれだけで、あとはもう推進本部の方に投げているというところもありますが、三行ほどしか書いていないんですね。行政裁判の関係、今回の司法制度改革の最重要課題の一つだと私は思っておるんですが、どうも従来、日本の司法というのは行政訴訟について非常に消極的な傾向が強かった。これが抜本的に改革されるのか、それともお化粧直しにすぎないことになるのか。 「「法の支配」の基本理念の下に、」というんですが、「遅くとも本部設置期限までに、所要の措置を講ずる。」と。何だか何をしようというのかさっぱり分からぬことが書いてありますが、何をどうするつもりか。大方針、森山法務大臣の明確な、しかし大きな、短い大方針をひとつ聞かせてください。
○国務大臣(森山眞弓君) 司法制度改革審議会の意見におきましても、今、先生おっしゃいましたように、大変これが重要な課題であるということを言及していただいております。私どもも、当然御指摘の司法の行政に対するチェック機能の強化ということは重要な課題だと認識しております。 行政事件訴訟法の見直しを含めた行政に対する司法審査の在り方に関しましては、この意見においても述べられているように、法の支配の基本理念の下に、司法及び行政の役割を見据えた総合的、多角的な検討を進め、遅くとも本部設置期限までに所要の措置を講じてまいりたいと思います。
○江田五月君 私ども民主党も「行政訴訟改革について」ということで審議会の審査の過程で御意見を申し上げております。是非前向きに検討していただきたいと思います。 さて、実は私は、参議院における民主党・新緑風会という会派の疑惑解明プロジェクトチームというチームがありまして、その座長をやっておるんですが、若干この関係について伺います。 先般、自民党を離党された鈴木宗男衆議院議員の関係ですが、私設秘書のジョン・ムウェテ・ムルアカという人がおられますが、この人の現在の本邦在留資格、これは何ですか。
○政府参考人(中尾巧君) 永住ということになっております。
○江田五月君 済みません。その永住資格の申請の日とそしてこの許可の日、これをお知らせください。
○政府参考人(中尾巧君) お答えを申し上げます。 ただ、これは極めて個人のプライバシーにかかわる問題でありますが、本件につきまして差し支えない範囲で今回の事態をかんがみて限定的に申し上げさせていただきたいと思います。 委員お尋ねのムルアカ氏につきましての永住許可申請は平成十三年の八月になされておりまして、平成十三年の十月に許可になっております。
○江田五月君 八月と十月、この永住という在留資格の前の在留資格がありますよね。これは何でしたかね。
○政府参考人(中尾巧君) 日本人の配偶者等ということでございます。
○江田五月君 「等」というのは、何かその資格が「等」というのが付いているというだけで、本当は、本当はといいますか、配偶者等の中の何になるかというと配偶者という理解でいいですか。
○政府参考人(中尾巧君) 在留資格の名称自体はそれぞれ分かれておりまして、名称自体が配偶者等と、こういうふうな枠組みになっております。あとは御案内のとおりで配偶者という実態があると、こういうことでございます。
○江田五月君 この申請の時点と認定の許可の時点、日をお教えください。
○政府参考人(中尾巧君) 日本人配偶者等の変更許可でございます。変更許可の申請は平成十三年の五月にありまして、許可も五月ということであります。この間、審査期間をお聞きだろうと思いますのであえて申し上げますが、八日間でございます。
○江田五月君 テレビの報道などで、これがいやに短いじゃないかと、テレビがどこまで正しいかどうか、小錦はどうとか、相撲取りの、ほかの相撲取りはどうとか、小錦の場合は帰化ですから一律に比べるわけにいかないと思いますが、そういうようなことも言われましたが。 この配偶者等への変更、それから永住、こうした手続の過程で政治家の介入といいますか関与といいますか、それはありましたか、ありませんか。あった関係について、メモがあるかないか、あればお出しいただけるかどうか、お答えください。
○政府参考人(中尾巧君) ムルアカ氏の日本人配偶者等への変更許可及び永住許可につきましては、政治家等の要請その他は一切ございません。 なお、先ほど委員御指摘のありました短い云々のお話でございますが、具体的……
○江田五月君 聞いていない。聞いていない。
○政府参考人(中尾巧君) よろしいですか。
○江田五月君 永住者の在留許可、その証印というんですか、証明する判こ、証印、これはどこに押してありますか。
○政府参考人(中尾巧君) これは、証印は、一般論で申し上げますと、旅券をお持ちの方は旅券に押すことになっておりまして、旅券のお持ちでない方については在留資格証明書に証印を押してそれを証印ということで交付する、代わりに交付すると、こういうことになっております。
○江田五月君 彼の場合はどうですか。
○政府参考人(中尾巧君) 旅券が、所持をしておりますので、旅券に押してあるはずでございます。
○江田五月君 その旅券はどういう旅券ですか。
○政府参考人(中尾巧君) 当該旅券の種別につきましては私どもの方では正確に把握をしているところではございませんが、種別につきましては把握をしているわけじゃありませんが、先般、外務省から、ムルアカ氏のために作成されたとされる外交旅券は偽造文書であることが判明した旨のコンゴ民主共和国政府の口上書の写しをいただいておりますので、それを見る限りでは、現時点では一応その旅券は外交旅券だろうとは思われます。
○江田五月君 外務副大臣、お見えいただいておりますが、その今の口上書に係る、口上書が言及しているムルアカ氏の外交旅券、これが偽造だということ、これは今外務省はそう認定されているんだと思いますが、その経過について簡単に御報告ください。
○政府参考人(小田野展丈君) お答え申し上げます。 外務省で三月四日に発表いたしました報告書の中におきまして、同人の持っている旅券の種類について現在調査中であるというふうに報告いたしました。その中では、ムルアカ氏が現在使用していると思われる旅券の旅券番号に記載されているアルファベットは、通常、コンゴ民主共和国では外交旅券のみに使用されているものである。したがって、同人が所持している旅券は外交文書であるものと推測されるが、上記のとおり、同国政府から確認は得られていない。これが三月四日の時点でございました。 その後、引き続き先方政府に督促しておりました。そうしましたところ、コンゴ民主共和国外務・国際協力省より我が方の現地の大使館に対しまして、三月八日付けの口上書をもちまして、ムルアカ氏のために作成されたとされる外交旅券が偽造文書であることが判明した旨の通報がありました。 それですので、外務省は先般、これが偽造であるという通報があったということを発表した次第でございます。
○江田五月君 それで、通報があったと。そうすると、それはもう外務省としてはこれは偽造だという認識でよろしいんですか。
○政府参考人(小田野展丈君) お答え申し上げます。 今の口上書の中には、コンゴ民主共和国政府がこの旅券が偽造文書であると判断した具体的な理由その他の詳細について言及がございませんでした。それですので、先方政府に対しましてその理由につき確認しているところでございますが、これに対しての返事はまだ接到しておりません。
○江田五月君 法務省としてはこれどうですか、偽造というふうに、その旅券が本来、本来その旅券を発行する国がこれは偽造だと言っているわけですが、偽造の外交旅券で本邦で活動しているそういう人間がいるということは、これは法務省的には関心を持たなきゃならぬ事案だと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(中尾巧君) 基本的には、私どもの入管で扱っている業務の関係から申し上げれば、在留資格と旅券とは必ずしもリンクするものではございません。当該在留資格というものは、当該国、それぞれの国で活動できる資格の問題でありまして、旅券というものはある国からある国へ渡航するための旅券でございます。したがいまして、その偽造旅券云々で直ちに、理屈の上では在留の方には直ちに影響するものではございません。
○江田五月君 直ちに影響しない。しかし、やっぱり偽造の旅券で我が国で活動していると。 森山大臣、たしか所信の中で、外国人の出入国の関係のことなど、厳しくというか適切にきっちりやるとおっしゃっていましたよね、うそじゃないですよね、当然。そうすると、これは今のようなことについては無関心ではいられないと思いますが、ちょっとおいておいて。 じゃ伺いますが、ムルアカさんという人はかなり出たり入ったりをしていると思うんですが、今現在は多分日本にいるんだろうと思いますが、今いるのはいつ入ってきたのですか。
○政府参考人(中尾巧君) 個人の出入国歴につきましては、これはプライバシーの関係もありますので具体的な日時等は申し上げることは差しおきたいと思いますが、少なくとも本年の一月にムウェテ・ムルアカ氏の名義での入国歴がございます。
○江田五月君 本年一月にムルアカ氏名義での入国歴があると。名ですから多分本人ですよね、普通に考えれば。そのときのパスポートは、もし今の外務省が発表されたように偽造パスポートだとしたら、これは入国は適法ですか。
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。 当該旅券が、仮に偽造旅券で、入国の際の旅券が偽造旅券であるということになりますれば、有効な旅券を所持しないで本邦で不法入国したということになりますので、これは一般論で申し上げれば不法入国ということになろうかと思います。
○江田五月君 一般論はそうですが、特殊論はどうですか。 今、外務省の方からは、本国コンゴ民主共和国はこれは偽造であるという通報があったと、そのことを報告をした。さて、どういう経過でどう偽造であるかというのは調査中だと。そこまではいいです。それで、その調査の結果、一般論で不法入国になるものが、その調査の結果によって具体的にも不法入国になるんじゃありませんか。出入国管理及び難民認定法違反ということになるんじゃありませんか。
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。 私どもの方の調査も踏まえ、外務省にお願いしている調査の結果も踏まえ、委員御指摘のとおり、それが偽造旅券ということが判明し、かつ、その旅券に基づいて入国したということが間違いないということになりますと、入国管理法に違反して不法入国ということになろうかと思います。
○江田五月君 やはり、外国人問題、今、私は厳しくするばかりが能じゃないと思いますよ。思いますけれども、いろんな事案が、気になることが起きているのも確かでして、こういうものが現に目の前にあるので、いやあれは国会議員の秘書だからということだったら、それは世の中通らないことになります。そこは、今まだ正に進行中のことですからそれ以上は詰めませんが、法務大臣、ちょっと御感想だけ伺っておきます。
○国務大臣(森山眞弓君) 今、いろいろと御説明申し上げましたように、これから調べなければいけないことがありますし、まだ判明しないことがたくさんありますけれども、法律を犯して日本に入ってきたということがはっきりいたしますれば、それはしかるべき処置を取るべきだと思います。
○江田五月君 一九九九年二月、鈴木宗男議員からの要請で、外務省から法務省に対してムルアカ氏の在留資格についての相談があったということですが、だれがだれに相談したのか、法務省。
○政府参考人(中尾巧君) 一九九九年の二月に、当時の外務省中東アフリカ局長から当時の入国管理局長に対して相談があったというふうに承知しております。
○江田五月君 当時の入管局長、だれですか。
○政府参考人(中尾巧君) 竹中入管局長で、現トルコ大使でございます。
○江田五月君 法務省から外務省に出向してトルコ大使をやっているんですか。
○政府参考人(中尾巧君) 外務省から法務省に出向されて、入国管理局長に就任され、その後、外務省に戻られて、現在、トルコ大使をしておられると、こういうことでございます。
○江田五月君 外務省人脈。 天江局長の現職は。これは外務省かな。
○政府参考人(小田野展丈君) 現在はシリア大使をされております。
○江田五月君 中東アフリカ関係のオンパレードですね。法務省のそこまで外務省が出っ張ってきていた。今はそうじゃない、ないんです。それは御安心ください。ですけれども、当時はそういうことだったわけですよ。何だこれはと、こう言いたいわけです。 そこで、外務省の方に伺いますが、今年の一月二十四日の夜、松岡利勝議員の宴席に、当時の小町官房長、重家中東アフリカ局長が出席をした。だれがだれに何の目的でこういう出席を依頼したのか、答えてください。
○政府参考人(安藤裕康君) 一月二十四日、重家、当時の中東アフリカ局長と当時の小町官房長は、松岡利勝議員とチュニジア臨時代理大使との夕食会に急遽招かれて出席したというふうに承知しております。
○江田五月君 急遽招かれて出席して、そしてそこに今度夜十一時過ぎに鈴木宗男議員も来て、そんなに長くずっと、松岡利勝さんが呼んだからというので官房長や局長がいなきゃいけない、そういう関係にあったというふうに理解していいんですか。
○政府参考人(安藤裕康君) 当該会合では、在京シリア大使館が賃借権を有していると主張しております建物を競落いたしました民間会社が、東京地方裁判所の引渡命令に基づいて、平成十三年十二月十九日、この建物の引渡しを受けました件について、先方の求めに応じまして、その経緯及び事実関係を説明したというふうに報告を受けております。
○江田五月君 その関係は、何か記録、メモ、何かあるんですか。
○政府参考人(安藤裕康君) この会合、夕食会についての記録はないというふうに承知しております。
○江田五月君 いろいろ言い方あるでしょうが、この日がどういうときであったか、鈴木宗男さんが当時どういう状況にあったか、そういう場所に鈴木宗男さんが来て一体何をしたか。李下に冠を正さずというと、これほど冠を正したことはないような気がしますね。 松岡議員は外務省に非常に強い影響力を持っているようですが、私が予算委員会で要求した資料、鈴木宗男議員が会長を務める十六のアフリカ関係の議員連盟、そのリストを出してくれとお願いをしたら出していただきました。もちろん、これは外務省が把握をした当時の人のリストということなんですが、それを、アフリカ関係ごとに人の名前が書いてあるものを、人の名前ごとにずっと並べてみますとある種の構図が浮かび上がってきて、その議員連盟すべてに参加している委員が十五人、そのうち二人の議員が三つの議連で幹事長、事務局長とペアになってずっと役職に就いておる、これが松岡利勝議員と下地幹郎議員のその二人と。どうも、田中眞紀子さんの言う鈴木的な人とか予備軍とかいうのはまずはこの二人のことではないかなと、ちょっと私も勘ぐり深いもんですから、小川さんに負けずに、そんなふうに思ったりいたしますが。──いやいや、今のは冗談で。 この二人について、これまで外務省にどのような関与があったか、この二人、つまり松岡さんと下地さん、外務省にどのような関与があったか、それについてメモがあるかどうか、これを調査して報告していただきたいと思いますが、副大臣、いかがですか。
○副大臣(植竹繁雄君) 外務省は、今、委員お尋ねのアフリカ関係の十六の友好議員連盟の活動すべてを把握しておるわけではございませんが、その議員連盟から提出されましたリストの中に、今言われました松岡、下地両議員の名前が、コンゴ共和国を含めまして、鈴木宗男会長の下に幾つかの役職をしておるということはそこに記載されております。 なお、委員お尋ねの、外務省にこのアフリカに関して両議員からの働きがあったかどうかということにつきましては、その点ははっきり認識はしておりません。したがって、その調査ということは特段に必要はないと考えます。
○江田五月君 認識していないといったって、松岡さんの宴席に官房長、局長が呼ばれて夜十一時過ぎまで、夜半まで引っ張られるというようなそういうような関係があるわけですから、そこはひとつ是非調査をしてほしいと思っております。これは委員長、後ほど理事会で協議をしてください。 森山法務大臣、ひとつ、こういう政治家の関与、こうしたものが今問題になっていて、私どももいろいろお願いを申し上げたりしますから関与がいけないと一概に言っているわけじゃないんですが、メモを作る、情報公開する、そうした方向が今の小泉内閣の方向となっているやに伺うんで、是非そうした方向で御努力をお願いしたいと思います。 以上で終わります。
○浜四津敏子君 公明党の浜四津でございます。 まず、大臣所信で述べられました法務行政に関する当面の重要施策のうち、人権擁護についてお伺いいたします。 フランスのストラスブールに本部を置く欧州評議会という国際機関があります。これは欧州など四十三か国が参加する会議で、民主主義と人権の擁護機関として一九四七年に設立されたものでございます。特に、人権分野で欧州諸国の政策の牽引役を果たしてきた大変権威ある人権擁護機関でございます。日本も一九九六年にアメリカ、カナダ、メキシコとともにオブザーバー参加を認められております。政府としても、このオブザーバーとしての参加資格を日本の対欧州外交の重要な足場ととらえて参加してきたと理解しております。 そこで、大臣にお伺いいたします。 この欧州評議会へのオブザーバー参加資格付与は日本にとってどのような意味があり、この参加をどう評価しておられるのかをお伺いいたします。
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおり、大変権威のある欧州評議会の、しかも人権に関する協議機関でございますので、非常に重要な場所だというふうに考えております。 アメリカ、カナダに次いで日本もオブザーバー国となっておりますのは、これによって我が国が欧州評議会の閣僚委員会及びその下部組織へ原則として参加できるということになっておりまして、この評議会の様々な分野での活動について意見を述べる、あるいは意見を交換するという双方にとって意義のあるものだというふうに考えております。
○浜四津敏子君 この欧州評議会の支援の下、昨年六月にフランスで第一回死刑廃止世界会議が開催されました。日本政府もオブザーバーとして参加いたしまして、死刑についての意見書を会議場で配付したと聞いております。その意見書は、要約しますと、死刑は国内問題であり、世論と国内犯罪状況によって判断されるべきであるという内容のものと伝えられております。 ところで、この欧州会議参加国四十三か国はすべて死刑廃止が参加の条件となっておりますから、すべて死刑は廃止されております。また、国連加盟国百八十九か国のうち死刑廃止若しくは死刑凍結の国は百五か国に上っていると理解しております。いわゆる先進国の中で死刑を存置している国はアメリカと日本だけとなりました。アメリカでも既に十三州は廃止しております。 この二〇〇一年六月の欧州評議会総会において、日本とアメリカに死刑廃止を求める報告書というものが提出され採択されました。その決議の内容の一部は次のようなものでございます。 両オブザーバー国、すなわち日本とアメリカにおいて死刑廃止を妨げている様々な障害、例えば世論の高い支持などがあることを承知している。しかし、ヨーロッパ各国での経験が示しているように、こうした障害は乗り越えることができ、また乗り越えなければならないと。 途中省略させていただきますが、よって、会議は、日本とアメリカに以下のことを要求する。一、遅滞なく死刑執行を停止し、死刑廃止に必要な段階的措置を取ること。二、死刑の順番待ち現象を緩和するという観点から、直ちに死刑囚監房の状況を改善すること。そして、それに加えまして、こう決議をいたしました。二〇〇三年一月一日までに著しい改善が見られない場合には、日本及びアメリカのオブザーバー資格を停止する、こういう旨の決議をいたしました。必ずしもすぐに死刑を廃止せよと言っているのではなくて、段階的措置をと、こう言っております。 こうした前向きの措置は決して不可能ではないというふうに考えております。ともかく何らかの改善が見られなければ日本はオブザーバー参加資格を失う、こういう最後通告でございます。この最後通告に対して大臣はどのように対応されるのか、お伺いいたします。
○国務大臣(森山眞弓君) 昨年、欧州評議会の議員会議におきまして御指摘のような決議が採択されたことは聞いておりまして、承知しております。 死刑制度の存廃の問題につきましては、基本的にはそれぞれの国におきまして、その国の国民感情とか犯罪の情勢とか刑事政策の在り方、文化的、社会的条件などを踏まえて慎重に検討し、独自に決定するべきものだと考えております。 我が国におきましては、国民世論の動向や、凶悪重大犯罪が少なくならない、むしろ多発している状況を考えますと、刑事責任が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に死刑を科すことはやむを得ないというふうに私も考えております。死刑制度を廃止することは今適当ではないというふうに思っております。 また、国民世論の動向、仮に死刑の執行が停止された後再開されたなどのようなことが起こりますと、かえって非人道的な結果になりかねないのではないかというふうにも思いますし、死刑の執行を停止することも適当ではないのではないかというふうに思うわけでございます。 死刑制度との関連で欧州評議会での我が国のオブザーバー資格が問題とされるとすれば、それは双方にとって残念なことであるというふうに思います。 今後とも、欧州評議会の様々な活動に協力し、友好関係を保ちながら、死刑制度をめぐる論議に関しては、我が国の実情、考え方について理解を得られるよう努力していきたいと考えております。
○浜四津敏子君 昨日、釧路地裁帯広支部で三児殺傷事件の被告人に対して死刑判決がありました。また、本日、宇都宮地裁におきまして宝石店放火殺人事件でやはり死刑判決がありました。 また、先般、三月十四日には、広島高裁で一つの判決がなされました。それは、一九九九年、山口県光市で生後十一か月の乳児と若い母親が殺害されるという大変残虐非道な事件が起きたものでございます。この被告人は当時、犯行当時満十八歳と三十日、少年法に言う少年に当たりますけれども、少年法五十一条によりまして死刑判決を言い渡すこともできた事案でございました。一審の山口地裁では、裁判官は、様々な事情につき、熟慮に熟慮を重ねた結果、苦渋の決断として無期懲役を言い渡しました。そして、それに対して先日、三月十四日、二審の広島高裁も原審を支持いたしまして無期懲役を言い渡しました。何の落ち度もない妻と子を突然殺されたと。被害者の木村さん、法廷での意見陳述で、被告人に死刑判決が下り、反省し慟哭することを願っていると訴えました。 私も、ある日突然、平和で平穏で幸せな家庭が何の理由もなく壊されていく、こういう結果の余りの深刻さ、また重大さ、そして犯行の悪質性、残虐性を見ますと、世論が死刑を望むのも一定の理解ができるところでございます。ましてや、被害者の方が極刑を望まれるのは当然といえば当然のことであるというふうにも思います。 しかし一方で、本当に死刑で被害者感情はいやされるのかという問題もございます。あるこれは被害者の方、弟を殺された被害者の方の話を記事で読んだことがありますが、それによれば、被告人は死刑となった、しかし死刑で得られるものはなく、生きて謝罪と償いをさせたいと、こういう内容でございました。 また、アメリカで七歳の娘を殺された母親、マリエッタ・イエーガーさんといいますが、来日の際に講演したものを読みました。そこにはこうありました。死刑というのは死刑を科そうと思っている人たちが望んでいるようなことをしてくれません。私が会ったことのある人たちの中に復讐を遂げる機会を得た人もいます。自分の愛する者の命を奪った人間が処刑されたのです。すべてが終わってみてその人たちが気付いたことは、自分たちが取り残され、うつろで満足を得られず、満たされていないということでした。死刑が行われればもたらされると希望していたことは起きなかったのです。死刑は心のいやし、そして新たな命をもたらしませんと、こういう話がありました。この問題についても、各国での様々な経験に学びながら真剣に考えなければいけないと思っております。 ところで、法務省に一点お伺いいたしますが、現在の無期懲役刑の受刑者の平均服役期間はどのくらいになっておりますでしょうか。
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。 平成十二年中に仮釈放となりました無期懲役受刑者は七名おりますが、その平均服役期間は二十一年二月となっております。
○浜四津敏子君 一部まれなケースを除きますと、ほとんどが社会に再復帰しているということを示していると思います。 先ほどの欧州評議会で議論されたことにも見られますように、死刑廃止というのは、現実に世界の潮流になってきておりますが、日本では国民的な議論は十分になされておりません。これにつきまして、本当に死刑が必要なのか、死刑で本当に被害者感情がいやされるのか、また死刑をなくすと凶悪な犯罪が増えるのか、死刑に犯罪抑止効果があるのか、こういった観点からの真剣な議論がなされなければいけないと思っております。 法務大臣が署名される死刑執行命令書の原案は法務省の刑事局が作成すると伺っておりますが、その刑事局に配属されたある検察官の方の言葉を読んだことがあります。それは、自分たちは法律に従って手続を進めるだけである、国際的な死刑廃止の潮流は分かるけれども、決めるのは国会であると、こういうふうに述べたと伺っております。 ともかく議論をし、そして検討し、何らかの改善を図りたいと私は希望をしております。改善の一方法として、死刑と無期との格差を埋める方策を提言させていただきたいと思っております。 現在、死刑が必要だという人の中には、現行法上死刑に次ぐ重い刑罰である無期懲役では余りに軽過ぎる、その現状では死刑存置せざるを得ないという意見も多いわけでございます。現行の無期刑は、十年間服役すれば仮出獄できることになっております。仮出獄は、刑務所長の申請に基づきまして、地方更生保護委員会が改悛の情があるか否か、具体的には悔悟の情、あるいは更生の意欲、再犯のおそれ、及び社会の感情を総合的に判断して相当と認められるときに仮出獄を許すものとされております。仮出獄後は、保護観察に付せられますけれども、何事もなく無事に経過すれば生涯を社会で過ごすことができると、こういうことになっております。 すなわち、現行の無期刑は、実質において、十年以上の有期懲役という結果となっておりまして、死刑に次ぐ重罪として本来あるべき無期刑とは実態は乖離していると言わざるを得ません。すなわち、現在の無期刑は、生命を存続させることを前提とする、また高い蓋然性を持って社会復帰があり得る刑でございます。これに対して死刑は、生命を絶つという内容の刑でございます。しかも、我が国では死刑の執行猶予や執行停止、あるいは恩赦を除きまして減刑ということもありませんので、社会復帰は始めから全く予定されていない刑でございます。したがって、死刑と現行の無期懲役というのは、本質的、決定的な差があるわけでございます。隣接した刑であるにもかかわらず、実質的には天と地ほどの乖離がある、ここに一番の問題があると思っております。 しかも、死刑になる事案と無期懲役になる事案とでは、言わば紙一重のケースが多いというのが現状でございます。一審、二審あるいは上告審の間で、死刑判決、無期判決の判断が揺れ動くこともまれではございません。現場の裁判官の苦悩は多くの判決文からもにじみ出ております。 例えば、先ほどお話しいたしました光市の母子殺人事件、これは一審、二審無期懲役でございました。また、いわゆるこの判決の中でもいかに裁判官が苦渋の決断をしたかという内容が出てまいります。また、いわゆる永山事件、これは十九歳の被告人が合計四人の命を奪うという事件でございましたが、原審は無期、最高裁で破棄差戻しとなって死刑となりました。また、甲府の信用金庫OL殺人事件でも、一審、二審無期懲役でございますが、この判決の中に、極刑も十分に考慮に値する、しかし熟慮の結果、無期を言い渡すと、こういう判決文が判決の中で述べられております。また、これは最高裁の平成十一年十一月二十九日判決でございますが、顔見知りの主婦宅を訪問して現金を強取し、強姦の上殺害する、こういう事件につきまして一審が死刑、二審が無期、最高裁が上告棄却となって無期、こういうことになりました。つまり、同じ事案につきまして死刑にしてもおかしくない、しかし無期懲役でも著しく正義に反するということはできない、こういう判決の内容でございました。 最後に、これは二〇〇〇年の九月十八日、横浜地裁で言い渡された判決でございますが、るる死刑にするか無期にするかという考慮を重ねた結果、最後にこういう部分が判決に出てまいります。なお付言するに、同じ無期懲役刑に処せられる事犯にもその罪責の重さのほどには相当な幅が存するところ、本件は限りなく死刑に近い領域に属するものと言うべきである、また現在、死刑に代わる刑罰として、あるいはこれと併存させて仮出獄の認められない無期懲役刑の制度化が論議されているが、仮にその制度が実現したならば、本件の被告人に対してはその無期懲役刑に処するのが相当と思料されるという大変異例の判決が出されました。 私どもも、このともかくも無期刑と死刑との間の天と地ほどもある乖離を何とか埋める施策として幾つか中間的な刑を検討してまいりました。それは、与党のプロジェクトチームでも検討したり、あるいは議連でも検討したりしておりましたが、例えば絶対的終身刑、仮出獄を認めない絶対的終身刑につきましては、またこれもある意味で問題がある。あるいは、裁判官が判決の際に仮出獄条件の最低服役期間を例えば二十年、三十年、四十年といったようにいずれかを言い渡す、こういう考えも提起されましたが、これは本来行政機関のなすべき仮出獄につきまして司法が介入するという問題点がある。 あるいは、イギリスの終身タリフ制度に似たような終身刑制度はどうかというような議論もありましたけれども、これについても様々な問題点が指摘されたりしておりまして、私は個人としては、これは死刑と無期の間に新たな刑として特別無期刑というものを設けて、特別無期刑は二十年又は三十年以上服役しなければ仮出獄を認めない、こういう刑を刑法総則に規定した上で、死刑が規定されている条文に死刑との選択刑として規定してはどうかというふうに考えております。これは個人としての提言でございますので、大臣には御感想だけお伺いできればと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 死刑の問題については非常にいろいろな先生方が御心配をいただいて、研究していただいているということに心から敬意を表したいと思いますが、今の浜四津先生の大変具体的な御研究、そして御提案、傾聴に値するべきものだと思います。 死刑と無期刑につきまして、現行の法制や運用に照らしましてその間に大きな格差があるのではないかという指摘が一般にありますことはよく承知しております。この問題につきましては、無期刑の在り方だけではなくて有期刑の在り方も関係してまいりますし、そのほかの各罰条の法定刑の定め方なども併せて検討するべき全体的な大きな問題になると思います。 法務省におきましては、現在、我が国における刑罰体系全体の在り方に関しまして、諸外国の立法例や運用も参考にしながら調査研究を行っているところでございます。その中で無期刑を含む自由刑の在り方についても検討したいと考えております。
○浜四津敏子君 次に、戸籍制度の信頼性確保についてお伺いいたします。 法務大臣、御自身の戸籍謄本を一番最近で見られたのはいつごろでしょうか。それはお答えいただかなくても結構ですが、恐らくよほどのことがない限り、普通は五年、十年見なくて当たり前、こういう状況だろうと思います。 実は、先般御相談をいただいた事例があります。これは東京に住んでおられる七十代の女性の方ですが、平成十年に夫を亡くした、子供がいないので独り暮らしであった、不動産等の財産を持っておられる方でございます。夫死亡後三年たって遺族年金の手続上、戸籍謄本が必要となって取り寄せてみましたら、そこには驚くべきことに全く覚えのない養子縁組の手続の記載があったと。びっくりして弁護士に相談し、裁判を起こし、判決をもらって戸籍を訂正してもらったということでございます。仮に、戸籍謄本を取らずに知らないままこの女性が亡くなったとすれば、その財産、不動産も預貯金も全部その見知らぬ男性のものになったところでございました。 本人が知らない間にこうした養子縁組とか婚姻とか離婚とか、こうした身分創設的な行為が行われるというケースが全国で多発しているということが伝えられております。戸籍の信頼性を揺るがすゆゆしき事態だと思っております。 なぜこんなことができるのかといえば、それは届出に際して本人確認が不要と、戸籍法の二十七条は「届出は、書面又は口頭でこれをすることができる。」と、こう定めてあります。書類さえ調えば受理される制度ですから第三者でもできる、こういう制度になっております。 仙台市では、昨年十月からこうした身分変更にかかわる創設的な届出につきましては窓口で本人確認の事務を開始したと伺っております。また、札幌でも昨年十二月から実施しているというふうに聞いております。その本人確認の方法は、届出の持参者に運転免許証あるいはパスポートなど公的機関発行の写真入りの身分証明書を提示させる、それがない、あるいはできない、拒否の場合は届出の名義人に郵送で通知する、こういう方法を取っております。 この届出の際の本人確認制度など、何らかの防止策を検討すべきではないかと考えておりますが、検討の御意向があるかどうか、お伺いいたします。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、本人が知らない間に婚姻であるとかあるいは養子縁組の届出がなされてしまうという事件が、戸籍の届出件数全体と比べれば少数ではありますが、そういうものが起きていることはそのとおりでございます。また、その原因が、基本的に届出書の記載が間違いなければ特段の本人確認の手続を要しないという現在の扱いにあるということも御指摘のとおりだろうと思っております。 ただ、真実性を確保するための本人確認ということを窓口に義務付けるということになりますと、これまた様々な問題がございます。婚姻届で大体八十万件、離婚は二十七万件というようなことで、年間百数十万件の身分関係の届出がされておりますし、戸籍全体でいきますと四百万件を超す届出がございます。このような届出をするときにその都度、本人確認をするということになりますと、届出をする国民にとっても相当の負担でありますし、また事務処理を扱う窓口にとっても相当の負担増となるわけでございます。 ただ、そうはいいましても、確かに知らない間に勝手に婚姻をさせられてしまうというようなことで、当事者が被る不利益というものも計り知れぬものがございますし、またこういう事態を放置すれば戸籍制度全体に対する信頼にも影響するということもございますので、現在、私どもも何か適切な方策がないか、正に悩みながら検討を続けているところでございます。仙台市等いろいろな試みをしているところもあるようでございますので、そういったところの経験も伺いながら更に検討を続けたいと考えております。
○浜四津敏子君 婚姻や離婚やあるいは養子縁組といった、こうした創設的な身分創設行為というのは、国民にとっては一生そう何度もあることではありません。ですから、その手続のときに本人確認の手続を求めるということがそれほど国民にとって負担だというふうには思えないわけでございます。また、手続を簡便にするというのは確かにサービスの一つではありますけれども、しかし他方で、安全性、権利保護というものも行政にとっては最も大事な守るべき法益であろうというふうに思いますので、是非とも実効性のある防止策を早急に御検討いただければと思います。 また、こうした件では、被害者にとりましては正に通り魔的な事件に遭ったようなものでございまして、ある日突然、ともかく知らないうちに自分が結婚していた、あるいは離婚していた、あるいは養子縁組していたということになりますと、それを、その記載を消すためには自分で、大体は自分ではできませんので、弁護士に依頼して弁護費用を払って、裁判の費用を払って判決を得て、そして判決によって訂正すると、こういう、お金も掛かり時間も掛かり手数も掛かる手続を自らの負担でしなければいけないと、こういうことになっております。 それに加えまして、こうした被害者にとって記録上、戸籍上その記載が全部残ってしまうと。例えば、結婚した覚えがないのに結婚と、こういう記載がなされますと、それを消すためには、一度結婚したという、それが判決によって記載が訂正された、その経過が全部戸籍に残るわけでございます。これも被害者の方々にとっては大変精神的な苦痛になっていると言われております。 こうした被害者の方々の戸籍の再製、つまりその訂正の跡を残さないきれいな形で戸籍を再製できるという制度を実現するべきだと思っておりますが、法務省の御見解をお伺いいたします。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、現在の戸籍の取扱いでは、偽造に基づく記載であっても、これを抹消した経過が分かるようにそのまま抹消した痕跡が残る形で戸籍の記載がなされるようになっております。 ただ、実際に、そういう戸籍がいわゆる汚れたという状態でそれを嫌う国民感情というものも無視できないものがありますので、私どもとしても、そういう全く責任のない状態で戸籍を汚された方の戸籍を言わば元に戻す、そういう再製という手続を取れるように何とか方法がないかということで現在も検討を進めております。戸籍法の改正も含めまして、できるだけ早急に結論を得たいと思っております。
○浜四津敏子君 次に、子の養育費の支払確保の制度についてお伺いいたします。 子が親に養育されるというのは子の権利でありまして、それを裏返しで親の義務ということでございます。子どもの権利条約の七条でも、子は父母によって養育される権利を有すると、こういうふうに規定をされております。また、民法八百七十七条一項で親にとっては当然養育の義務があるわけでございます。しかし、実際には子が十分に養育されていないケースも多いわけでございます。殊に、離婚の増加とともに母子家庭が増えておりまして、今は九十五万世帯を超える母子家庭があると、こう言われております。 その中で、子のいる夫婦の離婚のうち、母が子を引き取って親権を行使するケースが約八割と言われております。こうした母子家庭の平均年収は約二百三十万円で、一般世帯の平均年収の約三分の一という低い水準にとどまっております。さらに、離婚後、母が子を引き取り養育している例で、父親が子の養育費を支払っている例は全体の約二割にすぎないと報告されております。あとの八割は父親が養育費を払っていないという実情にあります。つまり、養育の義務はあるのに履行していない現状がありますが、その原因の一つとして指摘されているのが、養育費確保の手続の煩雑さ、また使い勝手の悪さが指摘されているわけでございます。 現行の養育、扶養の支払を強制的に求める手続というのは、家事審判法の九条乙類八号、この扶養に関する処分によりまして、家事審判規則九十四条から九十八条で四十九条の規定を準用しております。つまり、金銭の支払等の給付を裁判所は命ずることができると、こういうことになっております。大体、父親が子に対して月、養育費月何万円払えと、こういう月額で決定されるケースが多いわけでございます。その執行は小刻みに債務名義が確定した範囲で順次執行せざるを得ないと、こういう大変煩雑な使いづらい手続になっておりまして、それであるがゆえにあきらめているというケースも多いわけでございます。 確実な養育費の支払を確保するために、こうした低額で、定期的に少額の債務の履行確保のための実効性ある簡易で利便性の高い具体的な制度を考えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、養育費など少額の定期給付についてこの強制執行が非常に煩雑であるという問題があるのは事実でございます。現在、法務省におきまして施行法制度につきましても検討を進めておりますが、その中でもこの少額定期給付請求権に基づく強制執行についてどのような改善を図るかということが問題点として取り上げられております。 その請求をする立場から申しますと、弁済権が到来していない分も含めて一括して強制執行の申立てができればこれは便利になるわけでございますが、しかし同時に、支払う側の債務者の有する期限の利益というものも考慮しなければならないわけでございます。そのようなことから、両者の利益調整を行うべく新しい仕組みを現在検討しているところでございます。 できるだけ早い機会にただいまの委員の御指摘を踏まえた新しい制度を考えてまいりたいという具合に考えております。
○浜四津敏子君 今御検討されておられるその新しい制度導入のための法案は、いつごろ成案を得て提出される予定になっておりますでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 現在、平成十五年、来年の次期通常国会に法案を提出することを目指して作業を進めております。
○浜四津敏子君 次に、難民認定制度についてお伺いいたします。 一九五一年に国連で採択されました国連難民条約に日本は一九八一年に加入しております。UNHCR、国連難民高等弁務官事務所によれば、一九九〇年から一九九九年の十年間で日本以外の先進七か国の難民認定申請者数は、最高がドイツの百八十七万九千六百人、最低でもイタリアの八万五千五百人となっております。これに対して日本は、同期間にこの申請者数はわずか千九十九人と正しくけた違いでございます。また、同じ期間における難民認定数につきましても、ドイツが十五万六千七百人、カナダ十三万一千八百人、アメリカ八万二千三百人、最低でもイタリアの五千人となっておりますが、これも日本は同期間にわずか四十四人でございます。 保護や滞在許可を求めて来る難民に対しまして日本政府のガードが非常に固いという批判が国際的にも存在しているわけでございます。日本は国連機関などの難民支援活動には世界トップの資金援助を決定していながら、他方で難民の受入れが先進諸国の中でも極端に少ないために、何でも金で解決しようとする日本という大変不本意な批判を受けております。 日本は難民認定申請者数も認定数もこれほど、なぜこれほど極端に少ないのか。よく原因として指摘されるのが、一つには手続が厳し過ぎると。難民であることの立証責任を厳しく難民に課しているとか、あるいはいわゆる六十日ルールなど手続が厳し過ぎることと、そもそも難民認定業務に携わる難民調査官の数が絶対的に不足していて対応し切れないという点が指摘されております。 こうした実情及び原因につきまして、法務大臣のお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 難民の申請とか認定の数が日本がよその国に比べて非常に少ないということはよく指摘されることでございます。 我が国におきましては、その地理的なあるいは文化的な背景が難民の出身国と大変かかわりが乏しいといいますか歴史的に少ないということや、言葉の違いなどのほか、我が国が難民の出身地域とは非常に離れた遠隔地にあるというようなこと、我が国への交通手段が海か空に限られているなどのことから、欧州諸国に比べてまず認定の申請自体が非常に少ないことでございまして、それが一番の大きな原因でございますが、しかしながら難民認定率、つまり認定数と認定率と不認定数の和で見ますと、平成十二年における我が国の認定率は約一四%となっておりまして、これはイギリスの一二%、ドイツの一五%、オランダの七%、スウェーデンの二%などと比較いたしましても、決して低いものではございません。 現に、UNHCRによりましても、我が国の約一四%という難民認定率についてUNHCR及び国際的な基準によっても満足のいくレベルに達しているというふうに評価されております。 なお、平成十三年に難民と認定された者と認定されなかったものの人道的観点から特に在留を認められた者の合計は九十三人で、いわゆる実質的に庇護をした者の割合は約二七%となっております。 ちなみに申し上げますと、欧州諸国の認定の状況でございますが、UNHCRの統計によりますと、平成十二年、イギリスの場合は認定は一万百八十五件と非常に多いんでございますけれども、不認定の方も七万一千八百八十五件ということで大変けた違いに多うございます。ドイツの場合は、認定が一万千四百四十六人、不認定が六万三千四百三十七人、オランダの場合は、認定千八百八人、不認定二万二千八百二十四人、スウェーデンの場合、認定四百八十人、不認定二万六百五十八人ということでございまして、認定率で申せば日本もそんなに恥ずかしい状況ではないということを念のために申し上げておきます。
○浜四津敏子君 先ほど指摘させていただきました難民認定手続の問題点について何点かお話しさせていただきます。 UNHCRの世界難民白書では、日本の難民認定手続においては難民に並外れた高水準の立証が求められると報告されております。難民認定では申請者が迫害から逃れてきたということを自ら立証しなければならないと、こういうことになっておりますが、命懸けで逃げてきた難民にはそういう証拠を十分に持っている状況にはないということが多いわけでございます。 UNHCRの難民認定基準によれば、申請者に立証責任があるのが原則ではあるけれども、しかし立証できない者もあると。こうした場合に申請者の説明が信憑性を有すると思われるときは、反対の十分な理由がない限り、申請人は灰色の利益を与えられるべきであると、こういういわゆる灰色の利益論が示されておりますが、日本は余りに厳格な立証を求めて、この灰色の利益を申請者に与えていないのではないかという疑問が一点あります。 また、日本の難民認定手続は、出入国管理及び難民認定法第六十一条の二第二項で、「申請は、その者が本邦に上陸した日から六十日以内に行わなければならない。ただし、やむを得ない事情があるときは、この限りでない。」と、こういういわゆる六十日ルールが規定されておりまして、この六十日ルールが厳しく運用されているというふうに言われております。一方、UNHCRの認定基準によれば、申請の期限を過ぎたことだけを理由に不認定にしてはならないと定められておりまして、この基準にも外れているのではないかという疑問があります。 この手続上の問題点、二点について法務省にお伺いいたします。
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。 委員御指摘のUNHCRのガイドラインというものについてでございますが、多分この立証責任に言及した文書といたしましては、UNHCR発行の難民認定基準ハンドブックがありますので、それに基づいての御質問だろうと思います。また、申請期限制限に言及したものとして、UNHCR執行委員会結論第十五号、庇護国のない難民という章があるわけでありますが、これが御質問のガイドラインだろうと理解してお答え申し上げたいと思います。 まず、UNHCRのハンドブックによりますと、申請を提出する者に立証責任があるのが一般の法原則であるということを明記しております。我が国の入管法でも、難民該当性の立証責任は委員御案内のとおり申請者側にあるわけでありますが、これは一定の便宜を受けようとする者はそのような便宜を享受し得る立場にあることを自ら立証しなければならないという一般原則に基づいたものでありますし、加えまして、難民該当性に関連する事実は外国で生じていることが多いわけであります。したがいまして、そのような事実は国の関係よりも当事者の方がよりその事実を証明しやすい立場にあるということによるものと理解されているところであります。 また、昭和五十四年のUNHCR執行委員会結論第十五号によりますと、申請した期間等によって庇護申請の審査の対象から除外すべきでないとされておることは委員御指摘のとおりでございますが、いわゆる迫害から逃れて他国に保護を求める者につきましては、上陸後速やかにその旨を申し出るのが通常であります。また、難民となる事情が生じてから長期間経過した後に難民認定の申請がなされると、その事実の把握が極めて困難となりますし、適正な難民認定ができなくなるおそれがあります。そういった事情等を踏まえまして、我が国の入管法でも六十一条の二第二項において、六十日という法定申請期限を設けているところでございます。この六十日という申請期限は我が国の地理的、社会的実情から見ましても、私どもに出頭して申請するには十分な期間ではないか、合理性もあるものと私どもの方で考えております。 ただし、六十日の申請期間を経過している場合でありましても、それがやむを得ない事情があるという場合には、経過しておってもよいとされておるわけでございまして、このようなやむを得ない事情があるかどうかについては、私どもの方で慎重に判断しておりまして、当該申請者の迫害に係る申立てについても十分吟味するように指導を徹底しているところでございます。 また、このUNHCRの委員会の結論十五号にはいわゆる法的拘束力がありませんので、このような制限期間は諸外国においても採用されている例がございます。例えば、アメリカにおきましては到着後一年以内に、ベルギーにおきましては不法入国者の場合、入国から八勤務日以内に、スペインにおきましては不法入国者の場合は入国後一か月以内に申請しなければならないということにされているところでございます。
○浜四津敏子君 それでは次に、日本においては難民申請に対して不認定になった場合になぜ不認定になったのか、その理由の開示がなされていない。申請者本人に理由の開示がなされていない状況にあるようでございますが、欧州各国では認定、不認定の理由を示しており、その文書が数十ページにも及ぶ例があると伝えられております。やはり、なぜ自分は難民認定したのに、あるいは立証したのに不認定になったのかという理由の開示というのは必要ではないでしょうか。御検討いただけないでしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。 難民不認定処分をするときには、理由を付した書面をもって申請者に対して告知しておるわけでありますが、一般的に、処分通知の理由付記に当たりましてどの程度の記載をすべきか、処分の性質と、理由付記を命じた各法律の趣旨、目的に照らして、これを決定すべきものとされているところでございます。 難民認定申請につきましては、自分が難民であるかどうかという事実の有無は申請者本人が最もよく知っているところでありますので、難民であることの立証責任は申請者が負うということでされておるところであります。したがいまして、申請者が難民であることを立証できないときは、その旨の理由告知を申請者、その旨の理由付記をすれば申請者本人にとりましては、入管法の要求いたします理由付記として足りるものと私どもの方では考えておるところでございます。
○浜四津敏子君 さらに、審査の在り方についてお伺いいたします。 認定の妥当性あるいは正確性、公正性、客観性を高めるために難民調査官の専門性を更に高めることも必要だと考えております。先ほどもお話ししましたが、この難民調査官の絶対数が不足しているという状況にあるようでございますので、これは是非とも早急に改善を図らなくてはいけないと思っておりますが、ともかく専門性を更に高める方法という取組も必要であろうと思っております。 さらに、調査官は世界各地の複雑な難民事情を正確につかまなければならないと、こう言われておりますが、ほかの国では独立した審査機関を設けたり、あるいは審査に第三者の専門家を加えたりしている国もあります。 日本では、法務省が全権を担う形で審査をされておりまして、認定に不服の場合には異議の申出をなすことができますけれども、それも同じ組織だけで再審査する仕組みになっております。やはり、そこにはどうしても公正さなどについて疑問が残ってもやむを得ないのではないかと思っております。この際、独立性を有する組織、第三者機関のような組織を設置することも検討されてはいかがでしょうか。お伺いいたします。
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。 担当官が国際情勢や現地情勢等を十分に理解していないという御批判があることは、私どもはそれはそれなりに承知しておるところでございます。したがいまして、難民認定調査官は、難民調査官は、申請者の出身国の政治、宗教、文化等、当該国の国情を十分理解するとともに、日々刻々変化する国際情勢や出身国の国内情勢に関する専門的な知識、情報を収集することは極めて必要なことだろうと考えております。 私どもにおきましても、難民認定業務に従事する者に対して必要な研修を定期的に実施しておるところでございますし、難民認定の国際機関、先ほど来申し上げているUNHCR等が主催する研修会議等にも私どもの職員を参加させ、あるいは国際機関との意見交換等も積極的に行うなどいたしまして、その能力の向上に努めておるところであります。今後とも、そういう研修等の充実に一層努力したいと考えております。 また、委員御指摘の難民不認定に対する異議の申立て、不服申立て制度につきまして、同じ組織で再審査する仕組みになっている点についての御批判についてでございますが、この点につきましては、諸外国に種々の難民認定制度がございます。どの国のものが一番ベターかどうか種々検討をしなけりゃならないところでございますけれども、例えば、ドイツにおきましては不服申立ての制度そのものが認められていない国もございますし、アメリカや韓国におきましては我が国と同様に同一の機関で不服申立てを受けて審査しているところもございます。 我が国の場合は、議員御案内のとおりの第三者機関というものはございませんが、私どもの行政上の手続とは別に、広くあらゆる機会、あらゆる内容につきまして裁判所の判断を仰ぐことができるようなシステムになっております。そういった面から見ますと、委員御指摘の客観性や透明性はその意味で確保されているものと私どもの方で考えておるところでございます。
○浜四津敏子君 制度の上ではそうですが、司法的な救済手続というのはお金も掛かり時間も掛かるということでございますので、そうした手続とは別に、やはりもっと早急に透明性の高い、また公正性の確保される在り方というのも検討されていいのではないかと思っております。ともかく、手続上の問題あるいは審査の在り方など、幾つか問題点が指摘されておりますので、是非とも改善を図っていただきたいと思います。 もう一つ、それに加えまして、日本では難民認定申請者に対する衣食住とかあるいは医療面でのいわゆる人道的配慮が不十分だという指摘があります。先般、日本で拘束中のアフガン難民が自殺を図ったケースが伝えられましたが、こうした実態を調査された上で人道的な配慮が十分に行われるべきと考えておりますが、大臣の御所感をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 収容された人々を人道的に扱うべきだというのは基本的にはおっしゃるとおりでございまして、ただ、最近報道されました幾つかの出来事につきましては、必ずしも報道のとおりというわけではございませんで、実態をよく調査いたしましたところ、非常に一部のことを過大に伝えられて、物によっては事実ではないものもあったようでございます。 いずれにいたしましても、問題が起こりませんように細心の注意を払って今後とも努力していきたいと思います。
○浜四津敏子君 それでは、夫婦別姓の制度について簡単にお伺いいたします。 これはもう既に議論は尽くされておりますが、選択的夫婦別姓の制度、あるいは例外的夫婦別姓許容制など、いろいろな案が検討されてまいりました。残念ながら現在は硬直状態にありますが、この夫婦別姓の制度につきまして、私どもも現状を何とか打破したいと、こう思っておりますが、どう取り組まれるか、どう打破されるおつもりか、法務大臣に是非お伺いしたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるように、かなり長い時間を掛けて今日までいろいろなところで議論していただきましたが、まだこれというはっきりした解決策が出ていないのは私も残念に思っております。 しかし、幸いにして、自民党でも、またほかの党派でもいろいろと議論がまた活発化してまいりまして、近いうちに何とかそのめどが立つのではないかという期待を持ちながら今見詰めているところでございますが、法務省といたしましては、これはそれぞれの人の多様な価値観や人生観、あるいは女性の社会進出や少子化、その他の最近の様々な現象にこたえていかなければいけない重要な課題だというふうに思っております。 そういうような変化に付いていけない今までのやり方がそのままでありましては、結局、事実婚を選ぶという方が増えてきてしまう。それはそれで選ぶ方の自由ではあるんですけれども、しかしそれでは夫婦というものが法的に安定した状態を得ることはできないと考えますと、その方々御自身、あるいは子供さんたちのことを考えますと、やっぱりこのまま放置しておくことはできないというふうに思いますので、できるだけ早く成案を得るべく今鋭意努力しているところでございます。
○浜四津敏子君 是非、私どもも力を合わせてこれを何らかの形で進めたいと思っております。 最後に、捜査段階からの公的弁護制度の導入についてお伺いいたします。 司法制度改革審議会の最終報告書では、この制度の導入が提言されております。適正手続及び被疑者の権利保護という観点から、早急に被疑者段階からの国選弁護人制度を確立する必要があると考えております。現在、弁護士会が独自の取組として当番弁護士制度を実現しております。しかしながら、この当番弁護士制度は大変な赤字に悩まされております。この制度を利用する件数は年々増えておりまして、増えるに従って費用も増え、そして赤字が重なる一方と、こういう状況にあるわけでございます。このまま弁護士のボランティアに任せておくということはできない問題であろうと思っております。 被疑者段階からの国選弁護人制度を早急に確立し、被疑者の権利保護を図るべきと考えておりますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 御指摘のとおり、司法制度改革審議会におきましてこのような問題が指摘されまして、被疑者に対する公的弁護制度を導入するべきであるという御意見をいただいております。この御意見を踏まえまして、必要な検討を行った上で、平成十六年、通常国会に所要の法案を提出したいというふうに考えております。
○浜四津敏子君 ありがとうございました。 以上で終わらせていただきます。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。 まず、薬害ヤコブ訴訟の和解の問題について一点お聞きをいたします。 東京、大津の両地裁から和解案が出されました。手術の時期にかかわりなく患者全員に国の責任を認め、損害金を支払うと。八七年の六月以前は国に一切責任なしとしていた厚生労働省の官僚側の抵抗を明確に否定をした和解案だと思います。既に、厚生労働大臣からこの和解案の受入れが表明をされております。 ただ、やはり被害者家族の願いは謝罪の言葉、そして二度と薬害を生まないという対策の確立です。和解の確認書の中ですべての被害者に対する責任とこの謝罪の趣旨を明記をしていただきたい、厚生労働大臣からもその意を表明してほしい、これが被害者家族の気持ちです。二十五日に調印とされておりますけれども、こういう被害者の願いがきちんとそこに盛り込まれるように法務大臣としての積極的な役割を果たしていただきたいと思いますが、御所見をまずお願いします。
○国務大臣(森山眞弓君) 二月二十二日に示されました東京、大津両地裁からの和解案につきましては、今月一日に国として受入れを表明したところでございます。裁判所の和解案にあります謝罪の措置につきましては継続協議事項として挙げられているところでございまして、現在、裁判所において協議をしているところでございますので、具体的な協議内容につきましては事柄の性質上、お答えを今日は差し控えさせていただきたいと思います。和解成立までには更に協議が必要でございますが、早期解決に向けまして一層努力したいと思っております。
○井上哲士君 本当に患者及びその家族の熱い願いでありますので、是非よろしくお願いをいたします。 大臣は、所信の中で、矯正施設の充実強化と人権擁護について述べられました。関連いたしまして、東京原宿駅近くに六百人収容の大規模留置場を建設するという東京都の計画についてお尋ねをいたします。 昨年十月にこの問題が明らかになって以来、大変大きな問題になっております。計画予定地は日本社会事業大学の跡地で、都心の一等地であります。都が取得する際に地元との協議がありまして、九六年の二月に区長名で、この場所については緑のオープンスペースを確保して、環境にも商業のにぎわいにも配慮した施設にしてほしいと、こういう六項目の要求も出ております。 これに対して東京都の財務局長名で区長に対し、本件土地については、今後利用計画策定に当たり、渋谷区及び区が集約した地元住民等の意見要望について取り入れるよう関係局に伝えるとともに、誠意を持って対応してまいりますという旨の回答書も出ております。 ところが、この回答も全くほごにする形で一方的に計画が出されましたので、関係の地元の皆さんが大変怒りを持っておられます。地元住民が反対する会を結成をいたしまして、一か月間で五万人、実に区民の四分の一に当たる署名を集めておられます。昨年十二月十日に開かれたこの反対の区民の会の総決起集会には、渋谷区長、地元選出の東京都議、そして区議会のすべての会派の代表、渋谷区の百六の町会連合会の代表、同じく五十八の商店会連合会の代表、小中学校のPTA連合会の代表などそろって参加をされております。渋谷区議会は、十一月の九日にこれも全会派一致で計画の白紙撤回を求める意見書を上げているわけであります。大変異常な事態だと私は思うんですね。 矯正局に聞きますと、こういうパンフも作られて、大変拘置所などを建設する場合には町とともにということで地元との合意ということを大切にされていると思うんですが、この点、こういう施設に当たって法務省としては地元の合意をどうしているのか、いかがでしょうか。
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。 矯正施設は全国で三百近くありまして、それぞれ老朽度等に応じて順次整備を続けておるわけですけれども、その整備に当たってはやはりできる限り付近住民の合意が得られるように努力しておるところでございます。
○井上哲士君 地元との合意というのは本当に当然のことだと思うんです。 警察庁、お聞きしますが、過去、全国留置場の建設等に当たって地元の議会が反対の決議をしているという下で建設をしたという例がありますか。
○政府参考人(石川重明君) 通常、留置場は警察署に付設する、あるいは警察本部等の施設の一部として設置をしているわけでございますけれども、その中の留置施設そのものを取り上げて地元議会が反対をしたという例は承知をいたしておりません。
○井上哲士君 こういうことから見ましても、今、この原宿の巨大留置場建設の地元無視のやり方というのは大変異常だと私は思います。 知事は、地元エゴだということを反対住民について暴言を言われましたが、手続がひどいだけじゃなくて中身も非常に問題だと私は思うんです。現在、原宿警察署の留置場の定員は何人になっていますか。
○政府参考人(石川重明君) 現在、十四名であります。
○井上哲士君 それでは、これまで東京都内で最大の留置場はどこで、その定員は何人ですか。
○政府参考人(石川重明君) 警視庁管内でございますが、いわゆる本部留置場と各警察署ごとの留置場がございますけれども、本部留置場では菊屋橋の分室でございまして、定員数は百二名であります。それから、警察署の留置場では新宿警察署の留置場の定員規模が一番多うございまして、定員数は百一名となっております。
○井上哲士君 現在の原宿の定員で比べますと四十三倍でありますし、警視庁のこれまでの施設と比べましても実に六倍というけた違いの巨大な留置場になるわけであります。これが地元に何をもたらすのかということを地元住民の方は大変心配をされております。 私も現地を見てまいりましたけれども、原宿でありますから、若者もたくさん集う大変おしゃれな商店街のど真ん中、明治通りに面した一等地であります。そして、この予定地にすぐ隣接をして原宿外苑中学校がある。さらに、横には東郷幼稚園や区立中央図書館があるという文教地区でありますし、一歩入れば大変閑静な住宅地であります。 原宿署管内の被疑者が四十三倍に増えるわけはありませんから、こういう大きな施設が造られますと、ほとんど留置される被疑者は管轄外の地域からの人となると思います。現場や証拠がある所轄署で捜査をしようと思いますと、連日この被疑者を押送する必要が出てまいります。収容者のうち、実際捜査中の者は四割程度だと思うんですが、それにしましても毎日二百五十人の押送をするということになりますと、この明治通りに押送車両が毎日行き来をする、大変異様な光景になるのではないかという、地元の皆さんは、商店街のイメージのことも含めまして、また文教地域だということで大変心配をされているわけであります。 こういう地域への環境の悪化という問題についてはどのようにお考えでしょうか。
○政府参考人(石川重明君) ただいま委員二百五十人ぐらいが一日に押送されるのじゃないかと、こういうお話でございますが、過去の統計では収容人員に対して一日の護送人員は一割強でございまして、仮に六百人規模の留置施設とした場合には一日平均七十人弱ぐらいになるのではないか、これは推計でございますが、そういう状況でございます。 そういたしますと、今、集中護送ということをやっておりまして、大型の護送車、これは定員三十人程度でございますので、この二、三台が毎日行き来をすると、こういうようなことだろうというふうに思っております。このほかにも接見に弁護人がお見えになるとか、そういったようなことはもちろんあろうと思いますが、押送の人数とその影響といった点では今申し上げたようなことになるわけだろうと思います。
○井上哲士君 押送せずにこの新しい原宿署で、内で捜査をするということになりますと、ここに今度は逆に大挙、毎日他署の警察署の警察官が来るということになりますし、当然、施設上の取調べ室でありますとか作る必要があります。そうしますと、これは原宿署の附属施設と言えるのかと。むしろ、ひさしを貸して母屋を取られるという話がありますが、原宿署に留置場を作るんではなくて、巨大留置場に原宿署がくっ付くんじゃないかと、こういう状況に私、なろうかと思うんです。 こういう例を見ない施設が管理上どうかということもありますし、大体警察は、この間、警察署評議会などの設置も提言されるなど、言わば地域と歩むという方向を打ち出されていると思うんですね。そういうことからいいましても、これは逆行する方向ではないかということも指摘をしておきたいと思います。 さらに問題なのは、この留置場、巨大留置場計画が、冤罪の温床と言われて人権侵害として国際的にも厳しい批判がされている代用監獄を拡充し、固定化をすることにあると思います。本来、留置場は最長七十二時間の留置の期間だけ身柄を拘束する施設でありまして、それ以降、裁判所の勾留決定以降は本来、拘置所に身柄を移すべきものであります。勾留以降も警察の留置所に拘禁するというのは言わば代用にすぎないというのが本来のことだと思うんですね。 国際人権規約委員会の第四回日本政府報告書に対する審査に基づく最終見解でも厳しく指摘をしております。委員会は、取調べはしない警察の部署によるとはいえ代用監獄が分離した権限の管理下にないことに懸念を有する、このことは規約第九条及び第十四条に定められている被拘禁者の権利が侵害される可能性を大きくしかねないと、委員会は第三回政府報告書の審査時の勧告を再度表明をし、代用監獄制度を規約の要請をすべて満たすものにするよう勧告をする。三回目で勧告したのにちっとも良くなっていないじゃないかという、こういう勧告もされているわけであります。 大臣は、国連のこの勧告に対してどういうふうに受け止めをされているんでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 今おっしゃいましたような勧告が国連の人権委員会の方から出されているということは承知しております。しかし、いわゆる代用監獄におきます被疑者の勾留につきましては、十分な司法的コントロールがなされております上、被勾留者の保護のための担保措置が既に十分に講ぜられていると思いますし、代用監獄が警察と分離された当局の管理下にないことについての懸念は当たらないと考えております。 もとより、代用監獄に勾留中の被疑者の取調べなどにつきまして、任意性を疑われたり、あるいは不当に人権防御権を侵害したとの非難を受けることがないように十分の注意をするべきことは当然でございまして、関係機関においても引き続き努力するべきものと考えております。
○井上哲士君 担保されていると言われましたけれども、警察署の内部で部門が分かれているといっても捜査部門と身柄拘束の部門のトップは結局同じだということも国連の委員会では批判の声も出ているわけであります。 むしろ、この現状がどんどん悪くなっているということを私、問題にしたいんですが、警視庁内に留置をされている者のうち、勾留前、それから勾留後、起訴後、それぞれ延べ何人になりますか。平成四年と平成十三年についてそれぞれお願いをします。
○政府参考人(石川重明君) 今、手元に平成十三年中の数字がございますのでそれで御答弁申し上げますが、延べ人員で見た場合に、被逮捕者、これは警察の身柄でございますが、五万三千二百十四名、それから勾留被疑者、これが三十万百五十七名、勾留被告人、これは五十五万三千四百七十五名、その他千八百六十二名と、こういうことになっております。
○井上哲士君 驚くべき数字だと思うんですね。本来、勾留前の人を留置をする施設でありますが、その分はわずか、今の数でいいますと五・八%であります。そして、勾留後起訴前が三三%。この起訴後の被告人が、何と今の数でいいますと六一%になるわけですね。私ども平成四年の数もいただいておりますけれども、当時は、この起訴後被告人の数が四二%だったのが年々増えて六一%になっているわけです。 ですから、現実にはこういう国連等の指摘があるにもかかわらず、その起訴後の被告人がここまで増えているというこの現状、数字について、大臣はどうお考えでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) いわゆる代用監獄におきまして勾留されている者につきましては、その者を起訴して捜査が終了した場合には、原則として拘置所で受入れ可能な限り速やかに拘置所への移監手続を行っているところでございます。また、速やかに移監手続を終えるように拘置所の拡充にも努めたいというふうに考えております。
○井上哲士君 いや、速やかに移監をされていないからこういう事態になって、実に六一%が起訴後被告人ということになっているんです。 一九九五年の当委員会でも、当時の前田法務大臣は、法制審の答申でも将来、できる限り拘置所又は拘置支所の増設及び収容能力を増強して、被勾留者を留置施設に収容する例を漸次少なくしていくことが示されておりまして、これに対して今後ともできる限りの努力を続けてまいりたいと、こういう答弁をされているんです。ところが、できる限りの努力どころか、実際には年々これが増えていっているという、こういう状況です。 この結果、一体どうなっているのかと。留置期間の平均日数は全国と警視庁ではそれぞれどうなっていますか。お答えください。
○政府参考人(石川重明君) 平成十二年の数字で申し上げますが、全国一人当たりの留置期間の平均は二十五・四日、警視庁の場合はこれが三十五・九日となっております。さらに、その平成十三年、警視庁の数字が出ておりますが、この平均は三十六・三日というふうに、やや長期化しているということでございます。
○井上哲士君 本来は三日間しか留置をしない施設に二十三日間留置しているのは問題だということが国際的にも批判をされているわけであります。しかし、今ありましたように、全国的に見ても留置期間が二十五日、警視庁管内ではこれを大幅に上回る三十六日という数であります。これは本当に異常だと思うんですね。 警察庁、お聞きしますが、東京で留置場を増やしたからといってこの長期留置というものが解消されるんでしょうか。
○政府参考人(石川重明君) 留置場を増やして長期留置を解消するというよりも、捜査をして逮捕する被疑者が増えてきているというのが、今後ともそういう趨勢が続くだろう、そういう観点で留置場施設の拡充が必要だと。これは警視庁に限りません、全国的でございますが、それが私どもの今見ておる考え方でございます。
○井上哲士君 しかし、先ほど私、数を出してもらいましたけれども、実際には留置施設の中でその起訴後の数がどんどんどんどん増えて実に六割になっていると。本来、留置所に入るべきでない、もう出ているべき人がたくさんいるというのが今の留置所が一杯になっている私は一番の問題だと思うんですね。流れていっていないんです。ですから、川でいいますと、流れていく下流のところで行けないわけですから、上を広くするんじゃなくて、ネックとなっているやはり必要な拘置所とか、そして刑務所を増強してこの問題を解決をするというのが私は必要だと思うんですね。 今、東京拘置所の増改築が進んでいると思いますけれども、完成の時期、それから定員は何人増えることになっていますか。
○政府参考人(鶴田六郎君) 東京拘置所の改築工事につきましては、平成八年度から着手しておりまして、完成は平成十七年の予定でございます。 この改築によりまして、収容定員は約八百四十名増の三千名となる予定でございます。
○井上哲士君 現在、計画中の留置施設が六百ということでありますから、この新留置場の定数を大幅に上回る拘置所の建設が今進められているわけでありますから、現在、先ほどありましたように、起訴後でも入っているような人たちを順次移送をするということによって、新たなこういう大規模の留置場を増やす必要はもうなくなってきているんではないでしょうか。どうでしょうか。
○政府参考人(石川重明君) 今、法務省から御答弁がございましたように、東京拘置所が平成十八年までに改修をされて、収容定員が八百人以上増加をするわけでございますが、というふうに伺っておるわけでありますが、一方で被留置者、私どもの留置場で収容いたします被留置者も今後とも増加を続けていくだろうというふうに見込まれるわけでございまして、東京拘置所の拡充が行われる年におきましてその状況がどうなっているのかといったものを考えたときに、やはり相当現在の警視庁が保有しておる留置場の収容できる定員数では足りないと、こういう計算になるわけでございまして、特に警視庁は、適正処遇をきちっと行うという観点から、適正な被留置者の規模を定数のおおむね八割程度として設定をするとか、そういったような考え方をしておるわけでございまして、更に被留置者の数が警察署の留置場によって偏りがある、例えば都市部とそうでないところといったようなことでございまして、トータルとして警視庁の留置場に相当の不足数が出るだろう、留置可能人員に相当の不足数が出るだろうというふうに予測されるわけであります。 そうしたことで、東京拘置所の建て替えが完了したとしても、先ほど申しましたように留置場拡充の必要性というものはなお存すると、こういう考え方でございます。
○井上哲士君 法務省は、当然拘置所の増強についての定数問題なども警視庁と協議をされているかと思うんですが、東京都警視庁から更に拘置所の定員を増やしてほしいという要望は来ておるんですか。
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。 東京拘置所の収容に関しましては、警視庁あるいは東京拘置所、また検察庁等含めていろいろ協議しておるところでございまして、警視庁側からは、できる限り東京拘置所の方へ身柄を移監さしてほしいという要望は承っておりますし、また改築工事の早期完成ということも聞いております。 ただ、今、ただいまお尋ねの、現在工事中の改築によりまして、定員増では足りない旨の要望というところまではまだ承っておりません。
○井上哲士君 ですから、一番肝心の、このネックになっている拘置所の増強などは要望せずに、留置場の拡充で代用監獄を言わば固定化をしていくというこのやり方は絶対間違っていると思います。これは、地方自治体の問題ではありませんで、やはり日本の人権行政、刑事司法全体が問われておりますし、国際社会が注目をしている人権問題だと思うんです。 今、人権侵害の典型として、片仮名でダイヨウカンゴクというのが国際語にもなるというふうに言われていることがありますが、今年十月には国連に第五回目の報告書を提出することになっていると思うんです。二度にわたってこの国際人権委員会から厳しい勧告を受けながら、代用監獄の縮小、廃止ではなくて、逆に六百もの新しいものを首都東京、国際都市に造る、こういう報告を出すということは本当に世界に恥ずべきことだと思うんですね。 この問題で、やはり法務省がしっかり拘置所、刑務所等の拡充をして、こういう逆行する巨大留置場を造るべきでない、そういう点で法務大臣の積極的な役割を果たしていただきたいと思いますが、御所見をお願いをいたします。
○国務大臣(森山眞弓君) 今まで御説明申し上げましたように、法務省の矯正局関係の施設におきましても、できるだけ早く必要な数を整えなければいけないということで一生懸命に努力しております。やはり、一つのしっかりした施設を造りますのには時間が掛かるのはやむを得ないことでございまして、それをできるだけ早くするようにということは、特に昨年来の二回にわたる補正予算、またこの十四年度の予算につきまして特別な配慮をお願いして、今、私も一生懸命に努力しているところでございますが、そのような努力の結果、少しでも早くきちんとした施設を完備したいというふうに思っております。
○平野貞夫君 昨日、鈴木宗男氏を衆参の有志議員が東京地検に告発しております。当委員会の小川先生もその一人でございますが、現時点でどのような取扱いになっているでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) ちょっと遅くなりまして申し訳ございませんでした。 ただいまお尋ねの告発の件につきましては、三月十八日、五名の国会議員の方から東京地方検察庁に対しまして、衆議院予算委員会における証言に偽証の疑いがあるということで、鈴木宗男衆議院議員を議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律六条一項の偽証罪により告発する旨の告発状が提出され、東京地方検察庁におきまして同日これを受理したものと承知しております。 この告発は、刑事訴訟法二百三十九条一項に基づく告発であるものと承知しております。
○平野貞夫君 議院証言法では、訴訟条件といいますか、として当該委員会、たしか三分の二の議決での告発というのが必要だという規定があるんですが、この種の手続、私は個別の問題をやるつもりはございませんから、手続論をお聞きしたいんですが、この種の告発というのはだれでもできるんですか。
○政府参考人(古田佑紀君) 同じ告発という言葉が使われているために今若干混乱があると思いますけれども、議院証言法の偽証罪につきましては、これは議会の告発が訴訟条件となるということが最高裁判例で定まっております。したがいまして、公訴を提起するとか、そういう場合には、これは議会の告発が必要になるということになるわけでございます。 ただ一方、刑事訴訟法上の告発は、これは捜査機関に対しまして捜査の発動を促す申立てということでございまして、このこと自体は特に制限は置かれていないと。したがいまして、今回、東京地方検察庁において受理したものは刑事訴訟法に基づく告発というふうに承知しているということでございます。
○平野貞夫君 報道も若干混乱があるようでございますので、そうすると、昨日の告発は訴訟条件を伴うその種の告発でなくて刑事訴訟法に基づく告発だということだと思いますが、昨日の告発もやっぱり捜査の対象になるわけでございますね。捜査は始まるわけですね。
○政府参考人(古田佑紀君) 一般的に申し上げまして、捜査権の発動を促す告発がある場合に、犯罪の嫌疑があるかどうかを確かめるということも含めて捜査というのが行われるということになるわけでございます。
○平野貞夫君 その場合に、強制捜査もその方法になりますか。
○政府参考人(古田佑紀君) これも一般論ということで御理解いただきたいわけでございますが、訴訟条件として告発が要求されている、あるいは告訴が要求されている、こういう事案につきまして、訴訟条件となるような告訴、告発がない場合、強制捜査がどこまでできるか。これは訴訟条件が満たされる見込みがないような場合に、一般的には強制捜査というのは適当でない場合が多いだろうと思うわけです。 ただ、いろいろ罪証隠滅のおそれとか逃亡とか、非常に差し迫った事情があって、なおかつ具体的な嫌疑が認められるという場合には、例外的にそういうことも全く許されないわけではないということであろうと承知しております。
○平野貞夫君 分かりました。例外的に強制捜査も状況によってはあり得るというふうに理解いたします。 さて、捜査の結果、検察側が偽証であるという心証を得た場合どうなるかという問題が出てくると思いますが、常識的に考えますと、当該委員会に三分の二の議決による告発をしてくれということを要請するというように常識論として私なんかは考えるんですが、そういうことは、別に鈴木宗男さんの問題じゃないですよ、一般論として当該委員会に要請されますか。
○政府参考人(古田佑紀君) 議院証言法におきます告発は、議会の方におきまして虚偽の証言と認めた場合ということが要件になっておりまして、議会の方でそういうふうにお認めになるかどうかということに帰するものと考えております。
○平野貞夫君 そうすると、全く国会に任せっきりということでございますね、その判断は。
○政府参考人(古田佑紀君) 国会の御判断を尊重するということでございます。
○平野貞夫君 国会が判断するには材料が要るんですが、その材料は法務省として国会に提供しますか。
○政府参考人(古田佑紀君) 一般的に申し上げまして、捜査の内容にわたることについて、これを御報告申し上げるということはいろいろ慎重に考えなければならない問題がございますが、捜査の資料そのものというよりも国会の御判断に役に立つようなもの、これで捜査上支障がない、そういうことについて御協力を申し上げるということはあり得ることかと思います。
○平野貞夫君 ロッキード事件のときには、たしかこれ偽証罪が幾つかあったわけですが、法務省から非公式に告発の手続を取ってくれという要請があったと私は記憶しております。 法務省側はどういう認識でしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) ちょっと私そのときの事情を詳しくは承知しておりませんが、当時、一つのポイントといたしまして、議会における証言が行われる前に検察当局の方におきまして事件に関しいろんな捜査が先行していたことがございます。そういうような諸般の事情があったものと考えます。
○平野貞夫君 分かりました。捜査に障害のない形でのコミュニケーションというか情報、そういったものはあるだろうというふうに私の方で一般論として理解いたします。 先にちょっと確認なんですが、先ほど刑事局長、今回の告発を刑訴法の二百三十九条ということ、そう聞いたんだけれども、それでよろしゅうございますか。
○政府参考人(古田佑紀君) そのように承知しております。
○平野貞夫君 恐縮ですけれども、二百三十九条には一項と二項があるんですが、二項のどっちの中に入っていますかね。一項は「何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。」、二項は「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」、要件が二つあるんですが、どっちですか。
○政府参考人(古田佑紀君) 若干言葉が足りませんでしたが、一項の方と考えております。
○平野貞夫君 分かりました。 そうしますと、私、二項の「官吏又は公吏」ですか、これは例えばあの場合、衆議院の予算委員長なりあるいは予算委員のメンバーだったら、この二項に当たるんでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 「官吏又は公吏」という大変古い言葉が使われておりますが、この官吏と申しますのは、従来いわゆる国家公務員と、公吏というのは地方公務員というふうに理解されておりまして、国会議員の方の場合に、そういう国家公務員とかそれにはこれまでのところ、その範囲には入らないというふうに理解されていたと承知しております。
○平野貞夫君 それでは、外務大臣の場合はこれは当てはまりますか。
○政府参考人(古田佑紀君) 外務大臣、これは特別職の国家公務員になると考えられますので、官吏という言葉にぴたっと当たるかどうかは別といたしまして、現行の国家公務員の職制を考えますと国家公務員に当たると考えます。
○平野貞夫君 そうしますと、告発した二つの要件以外にもいろいろ問題があると思いますが、外務大臣は衆参の予算委員会とか関係委員会で、無限定の秘密資料を公開して徹底的に鈴木問題等の解明に当たるという答弁を何度も繰り返しておるんですが、一般論として、あそこの鈴木さんの証言が偽証であるというポイントが出てくるときには、これは外務大臣は告発をしなければならないという義務が生じていると思うんですが、そういう理解をしてよろしゅうございますか。
○政府参考人(古田佑紀君) 個別の案件をどうも前提としてのお尋ねになってしまうもので、非常にお答えしにくいというか、答弁を差し控えるべきポイントも幾つか出てくるとは思いますけれども、大変、本当に一般論としてお聞き取りいただければ、議会における証言の場合には、先ほど申し上げましたように、まず議院証言法上、議会が虚偽と認めた場合に告発をするという特別の条文が置かれているわけでございまして、こういう特別の条文があることから、議院の、院の自律権というのが十分尊重されなければならないと考えております。
○平野貞夫君 失礼しました。余り固有名詞や固有の委員会の名前出したから問題だったんですが。 Aという委員会でBという人が証言したと、そう言えば一般論になりますから。そして、Cという大臣がそのBという人の証言に対して、自分の職務上、これは偽証であるというようなことをお感じになる、あるいは明確にそういうものが表されるということになりますと、これは告発の、Cという大臣は告発の義務が生ずるという規定だというふうに考えてよろしゅうございますか。
○政府参考人(古田佑紀君) 先ほども申し上げましたとおり、議院証言法上、告発の特別の手続が定められているわけでございまして、その趣旨は、やはり院の自律権、自律性、国会の自律性を尊重するということにあろうかと考えているわけでございます。そういうことからいたしますと、やはり議院の方、院の方でその告発をされるかどうかということの方が、特別の手続が定められていることからして優先するものではないかというふうに考えております。
○平野貞夫君 私はそうは思いませんですがね。この二百三十九条の一項が原則であって、それの特別法的なものが議院証言法、もう一つ特別的なやり方がこの二項の官吏等の義務じゃないかと思うんですが、私の考え方間違いでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) いろんなお考え方はあろうとは存じますけれども、刑事訴訟法上の告発につきましては、これは一般的な告発を規定しているわけでございます。したがいまして、別な法律である特別な犯罪について特別の手続が定められております場合にはそちらの方が、やはりその特別の手続が定められた趣旨からして、そちらの手続の方が尊重されるべきものと考えております。
○平野貞夫君 尊重されるべきであると考えているという気持ちは分かるんですが、これの解釈権はどこにあるんですかね。だれが持っていますか、この判断権といいますか、今この二人で議論している。
○政府参考人(古田佑紀君) 刑事訴訟法の一般的な解釈権限ということになりますと、大変これは難しい問題で、最終的には裁判所で判断されるべきことも多いわけでございますが、あくまで、刑事訴訟法を所管している立場として法務当局の考え方を申し上げれば、先ほど申し上げましたように、特別の告発手続が定められているということからすれば、その趣旨が尊重され、優先されるということになると考えているということでございます。
○平野貞夫君 しつこいようなんですが、これ手続論で申し上げますが、仮にCという大臣がこの二百三十九条の二項の手続で東京地検に告発した場合に、それは受理されますかね。受理しますか。
○政府参考人(古田佑紀君) 仮定の問題になりまして、大変お答えするのが適当かどうか疑問を感じるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、官吏、公吏というその職責からする一般的な告発義務をこの刑事訴訟法二百三十九条二項は定めたものでございます。ほかにも実はいろいろな告発の手続というのはございまして、例えば税法関係とかこういうのもあるわけでございますし、あるいは独禁法違反とかこういうものもあるわけでございます。 こういうような告発手続というのは、やはりそれの特殊性に応じた特別の告発手続が定められているわけでございまして、そういう意味では一般的な告発ということではなくて、そちらの手続の方が優先的に考えられると、そういうものであろうと考えているということでございます。
○平野貞夫君 ちょっとこの議論は残しておきます。私は、ただいまの答弁を納得しないということで、今日のところは終わっておきます。 なお、恐縮でございます。ムルアカ氏の偽造パスポート等の問題については、江田五月先生が今日お尋ねしているようでございますし、それから明日も委嘱審査があるということでございますので、残りの質問は、今日予定したものは、恐縮でございますけれども、今日はやりませんので、これで終わらせていただきたいと思います。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。 まず初めに、難民問題についてお聞きをいたします。 去年、九月十一日、同時多発テロ攻撃以後、日本の入管は、難民としての庇護を求める多くのアフガニスタン人の上陸を拒否していると言われていますが、これは事実でしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げますが、そのような事実はないものと承知しております。
○福島瑞穂君 十月三日の日にアフガニスタンの人、九人の身柄拘束を行いました。九人は来日し、難民申請中、十代から四十代の男性ですが、十月三日になぜ九人の身柄拘束をしたのでしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。 委員御案内のとおり、この難民申請手続と退去強制手続というのは別個、独立の手続でございます。従来から、難民認定手続が行われている場合でありましても、不法滞在者等、事案によりましては退去強制手続がこれと並行して取られているところでございます。 この者らにつきましては、東京地方裁判所の二つの部におきまして、これらの者の収容に関して、収容の是非について判断が二つに分かれて、その後、私どもの収容を適法とする主張と、相手方の収容すべきでないという主張が相入れなかったわけでありますけれども、最終的には東京高等裁判所におきまして、私どもの収容が適法であるという主張が認められて、いったんは全員収容したと、こういう経緯でございます。
○福島瑞穂君 現在はどういう状況でしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) この九名のうち一名につきましては、本年二月二十日に大阪府の生野警察署で逮捕され、その後起訴されているものと承知しているところであります。 残りの八名のうち六名につきましては、収容部分を含めた退去強制令書の執行停止の決定が裁判所によってなされましたので、その決定に従いまして身柄の収容を解いておるところでございますが、この決定に対しては、私どもの方から即時抗告して、現在、東京高等裁判所の判断を仰いでいるところでございます。
○福島瑞穂君 確かに、その入管の手続と難民認定の手続は別なのですが、むしろそのことが問題ではないかというふうに思います。 難民認定中に身柄拘束され収容される、場合によっては強制退去される。極端に言えば、別の手続ですから、難民認定の結論が出ないまま本国に強制送還されると、入管法違反で、ということも起こり得るわけですが、この二段階について批判の強いところですが、大臣、例えばこのことについて今後法律上検討すべきかどうか、感想をお願いいたします。
○国務大臣(森山眞弓君) 今の具体的な事件ではなくて一般的に申し上げますと、今の御指摘のような問題は、現在の難民認定法に基づいて適正に処理をされ、裁判所の判断も仰ぎながら妥当な方向へ進んでいるというふうに私は思っておりますので、今直ちに法律改正その他のことは考えておりません。
○福島瑞穂君 問題なのは、難民認定取消し訴訟をやっている最中であったとしても入管上強制退去が可能であるという、そこだと思います。入管局長、いかがでしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。 従来から、これは並行して手続を進めているということは申し上げているとおりであります。もちろん、難民認定中の者について退去強制手続が先に進行して退去強制令書が発付されておりましても直ちにそれを送還という手続まで進めないのが実務上の取扱いでありまして、いわんや訴訟が係属中のケースが非常に多いわけでありますし、そういう関係で、直ちに委員の御指摘のような関係で送還される場合というのは現実の問題ではございません。また、実務上、裁判所の場合でも送還部分についてのみの執行停止というのが実務上行われておるんだと承知しておるところでございます。
○福島瑞穂君 三月一日、東京地裁は退去強制令書執行停止の決定を出しました。この決定は、憲法上の問題も生じかねない重大な人権侵害という判断を示したものですが、私は、この裁判所の決定を是非、入管は尊重していただきたいというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) 先ほど申し上げたように、この決定につきましては種々法的な問題点もございますし、東京高等裁判所に即時抗告しているところでございます。あくまでも第一審の一つの判断だというふうに認識しております。
○福島瑞穂君 このアフガニスタンの人たちは、非常にある意味で翻弄されたという気はするんですね。九月十一日にテロが勃発した、その後、十月三日に身柄を拘束された、そして裁判所の判断も分かれる、あるいは釈放され、また拘束され、また決定が出てというように、この間に非常に目まぐるしく判断も変わったりしております。 私は、聞いたところによると、この身柄の拘束中にアフガニスタンのテロとの関係で取調べを受けたと。どうも身柄の拘束を受けたのはそういう取調べやあるいは情報収集が目的だったのではないかとも聞いているのですが、その点はいかがでしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。 私どもの方としては、委員御指摘のようなそういう情報収集等の目的は一切なかったものと承知しております。
○福島瑞穂君 現在、入管施設に十四名が収容中ということでよろしいでしょうか。あるいは今在宅中のもので合計何人いるでしょうか。──十四名が現在、入管施設に収容中というふうに聞いているのですが、それでよろしいでしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) 委員御質問のは、多分アフガニスタン人についてどうかと、こういうお話だろうと思います。 現在収容中のアフガニスタン人、これは退去強制手続にのっとっておるわけでありますが、それで収容しているのが二十名でございます。これは東日本センターに十五名、西日本センターに五名と、こういうことでございます。
○福島瑞穂君 UNHCRが二月二十一日付けで、現在、日本で拘禁されているアフガニスタン人の放免を求め、三月十一日には世界教会協議会、アジアキリスト教協議会が日本で拘禁されているアフガニスタン人庇護希望者の放免を求め、また三月十三日はアムネスティ・インターナショナルが日本で拘禁されているアフガニスタン人の放免と退去強制令書の取消しを求める緊急行動要請をしました。にもかかわらず拘禁を続けることは日本の人権尊重主義に反しないかという点についてはいかがでしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) 委員御案内の決議とか勧告とか要請等が出されておることは私どもも承知しておるところでございます。 これは、あくまでも私どもの方の入管法の規定に従って適正にやっているところでございます。入管法そのものが、難民認定中の者であっても退去強制手続にのせられるということは手続上もそういうことが明記されているところでございます。したがいまして、それぞれの不法入国、不法滞在ということで、本来は我が国から退去強制されるべき者であることは間違いないわけでありますので、その限りで、難民として不認定された者については、あとに残るのはそういう不法入国、不法滞在、オーバーステイも含めた不法滞在者としての立場ということでございますので、したがいましてそれらの者については入管法上の退去強制事由に該当するわけでありますので、やはり法に従ってそれらの者はしかるべきところにしかるべき方法で送還するのが本則だろうというふうに考えておるところでございます。
○福島瑞穂君 しかるべきところに送還するというのは、いつごろ、どのようにされるおつもりでしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) これは、それぞれの送還されるべき送還国というものにつきましては入管法五十三条に所定の定めがございます。原則として、当該外国人の国籍国又は市民権の属する国ということにされております。しかし、これはあくまでも原則でございまして、当人が希望した場合、あるいはそういうところに送還ができない場合には、本人の希望するところ、あるいは現に前回居住しているところに送還することができるわけであります。 一般論で申し上げれば、仮にアフガニスタンという国籍の者でも、その以前に住んでいたところはパキスタンということであって、本人がパキスタンに帰りたいということで送還を希望すれば、すぐにでもパキスタンに帰すための渡航関係の手続に入ることができると、こういうことでございます。
○福島瑞穂君 入管法五十二条六項は、「送還することができないことが明らかになつたとき」という特別放免の制度はありますし、当然ですが、仮放免の制度などもあります。現在、空爆も続いており、この例えば特別放免、仮放免をもっと使うということは考えられないのでしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) 特別放免という規定はございますけれども、これは明らかに送還不可能だというような、明らかなという文言があるものと承知しております。 現時点の国際情勢等々を見てみますと、当初はUNHCR等の国際機関の方としても、単に私どもの方にいるアフガニスタンの避難民を含めまして、全世界に点在して避難しておる避難民の帰還計画というものが今年の春をめどに進められるというふうな情勢にありましたけれども、これも夏ぐらいになるという話もございます。したがいまして、それらの情勢を見ながらそれに対して私どもの方で対応したいというふうに考えておるところでございます。
○福島瑞穂君 仮放免のことを申し上げたのは、先ほども出ましたが、自殺未遂が出ているということで、自殺未遂は何人、何回起きているんでしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。 この自殺未遂という表現が必ずしも適切かどうかという問題はございまして、いろんな事情で、デモンストレーションというような形で、いわゆる自損行為をやる場合もございます。したがいまして、今のところで私どもの方で把握しているところで申し上げれば、昨年の十月以降、東日本センターに収容されておるアフガニスタン人について、いわゆる自損行為を行った者は現時点で八人あると承知しております。
○福島瑞穂君 八人という数は本当に多いと思うのですが、自殺未遂と言うか自損行為と言うのかは別にして、例えば精神科医による診察は受けているのでしょうか。その結果はどうなんでしょうか。すぐ病院に運ばれたんでしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) この自損行為を行ったアフガニスタン人については、いずれも私どもの方で迅速に適切な対応をしているものと承知しております。 その東日本センターには医師、看護婦が常駐をしておりますし、不在のときには外部の医者に搬送いたしまして、所要の処置を講じているところでありますし、その症状に合わせて適切な処置を取られているものと承知しております。また、東日本センターについてはカウンセリングも併せて行うような形を取っておりまして、月に六回ぐらいの割合で必要な者は必要な状況に応じましてカウンセリングを行っているところであります。 これらの者についても本人の希望というものもございまして、そのカウンセリングを受ける、あるいはそういう精神の関係の治療を受ける者について、希望する者についてはその希望に従ってやっておりますし、人によっては嫌だという方もおられますので、その辺はそういうことを踏まえて適切に対応しているものと承知しております。
○福島瑞穂君 常駐ということは二十四時間常駐でしょうか。私が聞いたところは、自殺行為が図られたときに医師がいなかったということを聞きました。あるいは、すぐ病院、外部の病院に運ばれたわけではないと聞いたのですが、そこはどうなんでしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) これは、事件がそれぞれ、私の記憶では三回ぐらいの日にわたっていると思いますので、若干正確ではありませんけれども、たまたま医師の不在、これは週四日の診察になっていますので、不在日はたしか水曜日が不在だというふうに聞いておりますので、それ以外はおりますので、たまたまそういう自損行為が行われたときが不在だったという場合があったやに聞いておりますし、そういうふうな場合でも外部の方に連絡を取ってしかるべく対応をしていると、こういうふうに聞いております。
○福島瑞穂君 済みません。不在の日があるということは常駐ではないと思うので、極力、人数がたくさんですので、常駐体制を取ってくださるように、あるいは自損行為、自殺未遂、言葉の問題はどっちであれ、そういうことが起きることが問題で、是非対応をしっかりしていただきたいと思います。 今日二つのことを申し上げたいのですが、一つは、例えばアフガニスタンの問題に関して、オーストラリアは難民認定率九三%、カナダは八九%、デンマークは八一%と言われています。当然ですが、日本の難民認定率はアフガニスタン人に関しても低いですし、全体の数は極端に少ないと。最近ようやく、一人、一人だったのが二けた台にようやくなったかという段階で、一つは、日本が難民に対して支援をするということであれば、やはりこの難民を受け入れるという積極的な政策を法務省が取っていただきたいというふうに考えます。その点について、法務大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 先ほどもそのような御質問がございまして、お答え申し上げたのでございますが、日本の場合は、難民の申請というのが非常にまず少ないわけでございます。ほかの諸国、特にヨーロッパ諸国などでは大変数はたくさんございまして、それに対して、それぞれの国の事情によるとは思いますけれども、絶対数は確かに日本よりもたくさん認定されることが多いわけでございますが、申請者に対する認定の数、すなわち認定率から申しますと、日本は決してほかの国に比べて少ないわけではございません。 日本はやっぱり難民の発生する国々から距離的にも非常に遠いし、社会的、文化的にも違いますし、まず言葉が違います。そのようなことで、申請をする人が非常に少ないというのは成り行きだと思いますけれども、日本で難民を申請した人に対する対応ぶりは決してよその国に比べて少ないとは思いませんが、これからも公平な適正な処置をしていきたいというふうに思います。
○福島瑞穂君 日本でなぜ難民申請する人が少ないかといえば、難民の認定率が、なかなか認められない。あるいは難民をやはり受け入れる社会では残念ながら全くないということが分かられているということもあると思います。ですから、日本が難民を受け入れる政策を取ればそれはまた変わっていくわけで、それは日本が世界の中で生きていこうとするためには一つの責務の一つだというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) これから好むと好まざるとにかかわらず国際化は更に進んでいくと思いますし、そういう中で、人間同士の交流も多くなっていくのは当然だと思います。その中には難民として申請をしたいという方が今よりは増えていくだろうということも想像できますが、一方において法務省という立場は、国の中の安心して暮らせる治安の良い国というものをつくっていくということも重要な任務でございますので、日本の国の立場、日本の国民の生活ということを考えながら、一方において国際的にも理解いただけるような方策を取っていかなければいけない。当然、今までよりは国際的に開かれた、より多くの方々を受け入れ、またこちらからも出ていくというようなことは増えていくに違いないと思いますけれども、そういう中で、今申し上げたようなことを踏まえながら、適切に対処していかなければいけないと思います。
○福島瑞穂君 是非、難民政策の転換をお願いいたします。 先ほどもありましたけれども、やはり難民の担当者の数も少ないし、専門官という育成も、難民調査官といったものも必要だと思います。現在、難民認定に当たっている職員は何人いらっしゃるんでしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) ちょっと手持ちに資料はございませんけれども、いわゆる難民調査官で、その専従業務をやっているのが七名だったと承知しております。 ただ、それの関係で、それを補助しながら難民認定の調査をしているのが七十から八十ぐらいにトータルでなるんじゃないかというふうに考えております。
○福島瑞穂君 是非、スタッフの人員の増加や充実をよろしくお願いします。特に法務大臣には、難民政策、これから是非頑張ってくださるように要望したいと思います。 では次に、刑務所の問題について御質問したいと思います。 無期懲役刑の人の仮釈放の人数が物すごく減っているということが分かりました。よく無期懲役の人はすぐ出れるというふうに一般的に思われている面もありますが、全然そうではなく、平成三年、一九九一年は三十三人だったのがずんずん減ってきて、十二年には六人というふうに減っています。現在、平成九年の時点での受刑者中の無期刑受刑者は九百三十八人、千人ですから、千人の中で仮釈放、仮出獄が認められる人は六人というのは非常に少ないというふうに思っています。 これは全体の無期刑の数は年々増えている、仮釈放の人数はぐんぐん減っていると。無期懲役の中では六人しか年間に釈放されていないという、この数字の動向はこれでよろしいでしょうか。
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。 ちょっと私どもの方の統計は矯正でやっている統計ですので、若干違いがあるかもしれませんが、それに基づいて無期受刑者の仮釈放の比率というのを申し上げますと、平成二年中に仮釈放になりました無期懲役受刑者は十四名、その年の無期受刑者の年末収容人員の比率でこれを見ますと約一・六%であります。 十年後はどうか。十年後の平成十二年を見ますと、仮釈放になった者が七名、その年の無期懲役受刑者の年末収容人員との比率でいくと約〇・七%というふうになっております。その間、凸凹がありますが、比率としては下がっているということです。
○福島瑞穂君 今答えていただいたように、例えば平成二年だと一・六%というように、実は、先ほど特別無期刑という概念を、終身刑を導入したらどうかという意見もありました。私自身は、実はもう既に無期懲役になると出れないという状況になっているのではないかというふうに思っています。 これには検察庁が無期懲役者の仮釈放について新たな通達を出していて、この無期懲役の中に仮釈放の認められない特別の類型を作っていると言われています。この通達を出してくれということを申し上げたんですが、前文だけで、あと真っ黒けというか、あといただけなかったんですが、是非この通達を出していただきたいんですが、いかがでしょうか。今まで何度も資料要求して出てないんで、今日要求したいと思うんですが。
○政府参考人(鶴田六郎君) お尋ねの資料については、検察関係のものだと思います。今、私、矯正の立場におりますので、そのことにつきましてはちょっとお答えできないので、お許しいただきたいと思います。
○委員長(高野博師君) 時間です。
○福島瑞穂君 はい。明日、まだこの続きについて質問いたします。
○委員長(高野博師君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時二十二分散会