文教科学委員会 第10号
- 発言数
- 147 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2002/05/23
会議録
○委員長(橋本聖子君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。 政府参考人の出席要求に関する件につきましてお諮りいたします。 教育職員免許法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に文部科学省初等中等教育局長矢野重典君及び文部科学省高等教育局長工藤智規君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(橋本聖子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(橋本聖子君) 教育職員免許法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○有村治子君 おはようございます。自由民主党の有村治子でございます。 教育は未来への先行投資、大臣のこのお言葉に本当に多くの国民の方々が賛同され、共感され、私自身も非常にいい言葉だなと思いました。私自身は、やはり日本の教育が良くならなければ、日本が引き続き国際競争力を維持して心も物理的にも豊かな国であり続けるということは困難だと思います。 ですから、やはり私たちが一番大事にしなきゃいけないものというのは今の日本の子供たちだろうということ、この視点を大事にしたい。そして、日本の教育を良くするためには、先生方が安心して教育に専念して、先生方が教えやすい環境を整え、それが子供たちが生きていく力を養っていくための好奇心をそそるような教育を実現していただくための大事な大事な一歩だと思っております。 そのためには、教育が大事ということでは共通するわけですから、イデオロギーや支持思想が違ったとしても、賛同者を一人でも多くして、この改正がより多くの賛同を得られるようになっていただきたいと思う一人でございます。 その観点から今回の教育職員免許法の改正について幾つか質問をさせていただきたいと思います。 まず、他校種免許状による専科担任制度についてお伺いいたします。 専科指導のための複数の学校を兼務する場合、今までにはなかった学校間の移動時間あるいは掛け持ちで担当することになる授業の準備等も新たに発生することと思います。現場の先生にとってはオーバーワークになるのではという懸念があります。このような現場の懸念に対して、どう対処していくのが適切だとお考えになられるでしょうか。 また、兼務する授業こま数、最大でこの時間までだよ、あるいは移動時間、これ以上は移動時間に掛けないように配慮しますよというようなことでマックスを設ける、ある一定以上の上限を決めておくということも意味のあることだと思いますが、いかがでしょうか。
○副大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、兼務教員につきましては、当該教員にとって過度の負担にならないように、あるいは児童生徒の指導などに支障が生じないように、教育委員会ですとかあるいは校長が配慮するということ、これは大変重要なポイントだというふうに思っています。 したがって、実際の兼務に当たっては、教育委員会ですとかあるいは校長の判断によりまして、例えば学校間を移動するに当たっても、その近隣の学校において兼務がなされるというような配慮が行われるとか、あるいは校務の分担などが適切に行われるというようなことによって負担が掛からないように配慮をするということ、こうしたことを教育委員会あるいは校長の判断により行うということ、これは大変重要なことだと思っております。 そして、今、先生御指摘になられました上限を設けるということについてでありますが、これにつきましては、移動に掛かる時間ですとか、あるいはその勤務時間等、それから個々の教員、学校の状況等々の様々な状況は一様ではないわけであります。また、様々な教員の校務の負担の軽重につきましても、数値的に量るというのはなかなか難しいということでありますので、全国一律に上限を設けるということ、これは現実問題いかがかなというふうに考えております。 ですから、先ほど言いましたような、趣旨は大変重要だと思っておりますので、文部科学省としましても、まずこの制度の重要な意義を踏まえた運用がされるということ、これを周知徹底するということ、さらにはその辺の配慮をしっかりと指導していくということ、こういったことを努めていくということ、このことを重要に考えて進めていきたいと思っております。
○有村治子君 引き続きお伺いいたします。 小学校・中学校、中学校・高校というような他校種免許状による専科担任、受入れ側の学校の先生が既に検討されて取り組まれている一年間、この一年間どうやって教えよう、あるいは三年間、六年間のカリキュラムに沿って専科担任の教員もこの方針を理解してその一貫性を保つことができるよう何らかの配慮はなされているんでしょうか。学校間のカリキュラムの一貫性ということについてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(矢野重典君) 専科教員が学校に配置されました場合には、それぞれの学校段階における教科等の目標やねらい、あるいはそれぞれの学校の児童の発達段階等を踏まえることは当然に必要であるわけでございまして、このため教員間の連携を密にして指導に当たって、学校のカリキュラムの一貫性を保つこととしているわけでございます。その点、御指摘のとおりでございます。また、教員間の連携を密にして打合せの時間などが適切に設けられるように、その学校の校長が校務の分担を適切に整えるなどの配慮をすることが必要であるというふうに考えているところでございます。
○有村治子君 関連質問いたします。 この改正によれば、高校の教員が小学校の授業を担当するということも可能になると理解しています。発達段階が小学校と高校では随分と違います。この発達段階が違う児童生徒と接するための教員に対するフォローアップは何か計画されているんでしょうか、お答えいただければ幸いです。
○政府参考人(矢野重典君) 御指摘のとおり、小学校段階の児童に対する指導と中学校や高等学校段階に対する指導は、児童生徒の心身の発達段階から見て差があると考えられるわけでございまして、そういう意味で中学校や高等学校の教員が小学校段階の児童を指導するには十分な配慮が必要となるわけでございます。 今回の他校種免許状による専科担任制度の趣旨は、特定の教科に関して深い理解や専門性を有している教員が小学校において専科担任のできる道を開こうとするものでございまして、必要な免許状を持っておればだれでも教えることができるというものではなくて、実際は小学校で教える適性等について個々に判断される必要があろうかと考えております。 また、実際の指導に当たりましては、個々の児童についての情報交換や、例えば小学校の教員と中学校の教員が一緒になって指導に当たる期間、そういう期間を設けるなど、円滑な実施ができるような配慮も必要であろうかと考えておるところでございます。
○有村治子君 今日、私が質問させていただく視点はこだわりがありまして、現場で本当に汗をかいて子供の教育のために専念している先生方の御尽力、御努力に何とか報いるようなメッセージを出していきたいですし、そういう制度を文部科学省がリードして作っていただきたいという視点でお伺いさせていただいております。 ですから、異動があり、高校の先生が小学校で仕事をされても、実際にその小学校での業績がちゃんと評価されるように、その先生としての業績も引き続き見ていただきたいなと思っております。 次に、特別免許状についてお伺いさせていただきます。 特別免許状を受けた教員になった方々は、その専門職、例えばコンピューターによる情報処理ができるというような専門職としての知識や経験のほかに、新たに人に教えるという教員としての資質を磨くことも必要でありますし、また公務員として公共の利益、自分の業績がどう貢献するかどうかということを考えることも必要だと思っております。 そこで、今までに発行された特別免許状を持った方々が実際に教育現場に与えている貢献の具体例を御紹介いただきたいと思います。
○政府参考人(矢野重典君) 特別免許状を授与された社会人教員の成果の具体例としては幾つかあるわけでございますが、二つほど御紹介をさせていただきたいと思います。 一つは、電信会社において法務を担当した者が高等学校の公民の教科の特別免許状を取得いたしまして、公民の授業におきまして、これまでの民間企業等の勤務を通じて身に付けた法律に関する幅広い専門的知識と実務経験を生かした授業、あるいは具体的な事例に即した授業を行うことによりまして、生徒の興味・関心の深まりに大変効果を上げているといったようなこともございますし、また、その教員は学校運営の上で情報公開あるいは訴訟への対応など社会一般の見方を取り入れるよう提言するなど、学校全体の運営に大きな刺激を与えるといったようなこともございます。 また、二つ目の例でございますけれども、金融関係会社に勤務していた者が高等学校の商業の教科の特別免許状を取得いたしまして、商業の授業におきまして国際経済や商業英語について実践的な指導が可能となり、国際社会におけるビジネスについてより具体的な授業が展開されたということもございますし、また当該教員が進路指導部の進路指導担当としての、これまでの社会人としての経験を生かして生徒の進路指導にこれまでにないような効果を上げたといったようなケースがあるわけでございます。
○有村治子君 ありがとうございます。 今教えていただきました公民、商業、進学指導、今までにはない、学生たちが浮き浮きわくわくしてくれるような指導がなされていると思います。そして、そういう事例はどんどん増えていただきたいと私も思う一人ですが、ただ、特別免許状が、私が把握している例では、現在までにその特別免許状を取って教育の現場に立っていらっしゃる例が四十七例しかないと伺っております。この免許状の授与が少ない理由はどんなところにあるんでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 今御指摘ございましたように、特別免許状の授与件数は、昭和六十三年の制度創設以来、平成十三年度までの十三年間で延べ四十七件でございました。 特別免許状の授与が進まない理由でございますけれども、私どもなりに考えて幾つか理由があろうかと思っております。 一つは、児童生徒数の減少に伴いまして、これまで全体として教員の採用枠が縮小されてきたという採用状況を受けまして、そういう状況の中で、教育委員会は教員全体の年齢構成の関係から若い人を優先して採用する傾向があったということが一つの理由として考えられるかと思います。 また、このようなことから、特別免許状というのは、制度といたしまして、免許状が授与されるに当たりましては雇用あるいは採用されることが内定してから授与されるものでありますけれども、公立学校の教員採用の場合につきましては社会人特別枠選考というのがごく一部の都道府県教育委員会を除きまして実施されていない状況でございまして、そういう意味で、社会人に対して、特別免許状を授与される対象になるような社会人に対して教員採用の門戸が開かれていなかったということも理由の一つであろうかと思うわけでございます。 また、教育委員会の立場では、社会人活用ということになりますと特別非常勤講師制度というのがあるわけでございますので、授与要件が限定され手続の比較的煩雑な特別免許状制度の活用には、社会人活用というものは特別非常勤講師制度を活用すれば足りるということで、特別免許状制度には消極的であるといったようなことも理由の一つかなというふうに感ずるわけでございます。 また、特別免許状には有効期限がございますために、社会における雇用状況が流動化しているとはいえ、転職してわざわざあえて教員になろうとする人が一般的には少ないといったようなこと、そういったことが今日まで特別免許状制度の授与が積極的に進まなかった理由ではなかろうかというふうに考えているところでございます。
○有村治子君 今教えていただきたました点について、二つお伺いしたいと思います。 今の御説明によりますと、特別非常勤講師制度は本当に多く活用されている。その一方で、手続が煩雑な今回の特別免許状制度というのは、今まで、昭和六十三年から平成十三年まで四十七例しかない。そうすると、非常勤講師制度と特別免許状制度を別建てで並列して並べておく意味があるのかどうか、その意義について教えていただきたいと思います。 それからもう一つ、特別免許状を授与される教員が、今、理由の御説明をいただきましたが、若い新卒教員の代替のような、つまり特別免許状を持っている人というよりは若い人を優先させたい、そのような程度のものなのであれば、特別免許状を付与するという説得力がいま一つ欠けるんじゃないかと思います。やはり教育以外の現場で頑張ってきた人の、その人の資質、専門能力を生かすという本来の趣旨があるんであれば、特別免許状を持った方々が新卒、若い人たちの教員と同列で並べられるというのはちょっとそこで混乱が生じるんじゃないかなというふうに正直なところ思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子君) 今の御趣旨は誠にそうだと思います。 特別免許状といいますのは、優れた知識や技術を持っていて、しかもそれが経験に裏付けられた非常にしっかりした内容、内実を持つ方が学校に入っていただくと。新たに特別免許状を与えられて、学校に正規の教員の資格を持って常勤的に働くわけですね。したがいまして、特別非常勤講師のように授業の一部分を持つというような制度とは全く違うわけでございますし、それから、その人の経験をベースとしての授業でございますから、新採の方々の持っているようなまた別途の魅力というものとは別の内容のある授業が展開されるわけでございます。 私どもといたしましては、特別免許状の意義につきまして二つ考えておりまして、一つは学校教育が今非常に多様化をしているわけでございまして、そのために、一般社会で専門的な知識、技術などを身に付けた、そういう非常に貴重な経験を持った方を学校教育に参加していただくということによりまして、実際上あるいは経験に即した教育活動が期待できるわけでございます。そのことによって児童生徒が持っている様々な要求にこたえるということもできるわけでございます。それが一点です。 それからもう一つは、広く一般社会から教育に対して熱意を持つ優れた人を教育界に迎えることによりまして、学校における教育活動の活性化といいますか、教員の在り方自体についてもいろんな刺激を与えてくれると思うわけでございまして、その意味で教員組織の活性化を図るということができるというふうに考えているわけでございます。 その意味で、私は、特別免許状の制度はこれまでちょっと固く運用されてきたというふうに思っておりますが、今回の制度の緩和によりまして、できるだけ本当に優れた能力かつ経験を持つ人が学校に入ってきて、そして学校教育を活性化するために御尽力いただく、そういうきっかけになれば大変いいのではないかというふうに考えている次第でございます。
○有村治子君 分かりやすい御説明、本当にありがとうございます。 引き続き、教育現場から問題がある先生をどう教育現場に立っていただかなくするかというような点で、教育現場からの人事異動についてお伺いさせていただきたいと思います。 今回の、懲戒免職を受けた教員に関しては教職員免許を失効させるという今回の法改正について、懲戒免職によって免許の失効や取上げが不当に行われたりするのではという教育の現場の先生方の懸念も組合の方から複数私も聞いております。このような教員の懸念に対してどう対応することが適切でしょうか。免許取上げが不当だと感じられた場合、教職員がその判断を不服だと再検討を申し立てる手だてはあるのでしょうか。この点を明確にしておいた方がむしろ先生方が安心して、またPTAも安心して教育に打ち込め、むしろ本改正案の実効性を高めることができると思います。 先生方の懸念に対して文部科学省はどう考えられていらっしゃるでしょうか。
○副大臣(岸田文雄君) まず、免許状の失効につきましては、これは失効事由に該当した場合には自動的に免許状の効力が失われるというものでありますから聴聞や不服申立てに関する規定の適用は受けないわけですが、この失効の原因になった懲戒免職処分については人事委員会等に対し不服申立てを行うことが可能ということになっています。当然のことながら、取消し訴訟を提起すること、これも可能になっております。 また、免許状の取上げ処分につきましては、行政庁による不利益処分に該当することから、私立学校教員の解雇の場合における免許状取上げ処分については行政手続法の聴聞及び教育職員免許法の聴聞の方法の特例に関する規定、こうした規定の適用を受けるということになります。そして、こうした聴聞を経て行われた免許状取上げ処分につきましては、異議申立てはできないというのが手続であります。さらに、地方分権一括法により免許状の授与事務等が自治事務と整理されたということから、国は当該都道府県教育委員会の上級官庁ではなくなっておりますので、国に対し行政不服審査法に定める審査請求はできなくなっているというのが手続であります。取消し訴訟につきましては提起することが可能となっているということ、これは一緒でございます。 このような手続になっておりますが、この辺につきまして今度、通知や各種の会議の場を通じて都道府県教育委員会に対して周知を行うということ、これは是非図っていきたいというふうに思っております。
○有村治子君 ありがとうございます。 本当に問題のある先生だけが免許状を取り上げられる、あるいは失効されるということがしっかりと明確にされていれば、現場の先生方も安心して教育に取り組んでいただけると思います。ですから、今のコメントは非常に勇気付けられました。ありがとうございます。 次に、懲戒免職を受ける教員のほとんどは生徒などに対する教員のわいせつ行為による免職だと理解しております。わいせつ行為を行った人間の教職免許状を失効させることによって、大事な子供たちの教育の現場に引き続きそういう先生を立たせなくするというのは、むしろ子供たちの将来や権利を考えれば当然のことだと私は思っています。しかし、わいせつ行為など教員としての倫理を外れたあるまじき行動を取った教員以外で、もう一度先生として現場に立つことが適切だと思われた場合は先生方にセカンドチャンスを作ってあげるというのも意味のあることだと思います。 免職以外の懲戒処分を受けた教員が、二度と教師としての責務を逸脱した行為を行わずに、大幅な改善を実行して現場に戻るためには、どのようなフォローアップを図っていくのが適切だとお考えになられるでしょうか。
○副大臣(岸田文雄君) 御指摘の免職以外の懲戒処分を受けた教員についてでありますが、二度とそのような行為を繰り返すことがないように対応するということ、これは大変重要なことであります。 都道府県教育委員会等においては、この懲戒処分を受けた教員等に対して特別の研修を実施しているというところであります。また、懲戒処分の原因となった行為によっては、児童生徒への影響にかんがみ、懲戒処分を行うとともに他の学校や機関に転任させる等の措置が講じられているということ、現実にはそういった措置が講じられていることが多いというふうに考えております。 こうした各都道府県教育委員会等の対応について、懲戒処分を受けた教員に対し適切に対応するよう指導を、今までもしてきたところでありますが、今後ともこの指導の徹底に努めてまいりたいと考えております。
○有村治子君 私自身は、日本の教育の現場で非常に優秀な方々が、先生方が、現場で教育に対して実効力をまだまだ上げていらっしゃる先生がたくさんいらっしゃると思うのですが、残念ながら現在、テレビやマスコミを見ると問題のある先生だけがクローズアップしてしまって、またその方々のニュースを見ると実は過去にもそういう問題行動が指摘されて、二度目だった、三度目だったというようなことが少なくない。こういうマスコミの報道を見た保護者の方々から私自身に対して問題のある先生を教育の現場から外してほしいというようなおしかりとかコメントをいただくことは少なくありません。 そういうコメントを受けるたびに頑張っていらっしゃる先生に申し訳ないなというふうな気持ちに私自身がなるんですが、問題行動を起こした教員がどこの人事の段階で発生しているのか。人事の教員養成過程という採用段階で不適切な人を採用してしまったのか、あるいは教員になってからの引き続きの養成、育成がまずかったのか、あるいは人事評価がうまくいってなかったのか、あるいはその先生に適切な教育現場が与えられなかった、人事異動のところで問題があったのか、人事のどの段階で問題が生じているのか、それを把握するように是非努力していただいて、次の問題ある先生の防止につなげていただきたいなと思っております。 今、岸田副大臣からの答弁の中に都道府県の教育委員会というお言葉が出てまいりました。次に、教育委員会についてお伺いさせていただきたいと思います。 各都道府県、市町村の教育を実行する主体としての教育委員会の具体的な職務権限を例示していただきたいと思います。教育に対する全般というふうに私も理解しておりますが、例えば主な教育委員会の権限としてはどんなものがあるのか例示していただければ幸いです。
○政府参考人(矢野重典君) 改めて申し上げますと、教育委員会は教育行政の政治的中立性や安定性を確保するために地方公共団体の長、知事や市町村長から独立して設置される合議制の執行機関でございまして、地方公共団体の教育、文化、スポーツ等に関する事務を管理及び執行する、そういう権限を有しているわけでございます。 具体の事務として、教育、文化、スポーツ等と申し上げましたから更に具体的に申し上げますと、学校等の教育機関の設置やその管理運営、また教職員の人事、また更にはその研修、また校舎等の施設設備の整備、更には社会教育の事業の実施、文化、スポーツの振興といったようなことが教育委員会の具体的な事務としてあるわけでございます。 こうした実際の教育行政の執行に当たりましては、非常勤の教育委員が合議によりまして教育行政の基本的な方針や重要施策を決定をいたしまして、その決定に基づきまして教育行政の専門家である教育長が事務局を指揮監督をして、先ほど申し上げました教育、文化、スポーツ等の幅広い分野における教育行政の事務について責任ある教育の行政を展開しているということでございます。
○有村治子君 都道府県の行政から独立して教育委員会がある、そして教育の中立性や安定性を保っているというお話、大変、非常に大事なことだと思っております。 しかし、その一方で、都道府県知事の任命によって教育委員が任命されるということも事実です。教育委員会が引き続き教育に対して大事な意見を述べられるのは、どんどん発信、これからも引き続きどんどん発信していただきたいと思います。そして、教育委員が様々な職業を持った、また様々な年齢、男女も両方一生懸命メンバーが入られるというのは大事なことだと思いますが、教育に関する実に多くの権限を教育委員会が持っていらっしゃることを私もいま一度確認します。 本当に多くの権限を教育委員会にゆだねることが適正なのかどうか、教育の専門家としての教育委員の養成はどのようになされているのか、教えていただきたいと思います。
○政府参考人(矢野重典君) 教育委員会制度は、いわゆるレーマン、素人というふうに日本語で訳しますけれども、レーマンコントロールの理念の下に、必ずしも教育の専門家ではないけれども、教育、学術、文化に関し識見を有する教育委員がそれぞれの知識や経験を生かして合議を行うことによって、教育行政の基本方針あるいは重要施策を決定するというふうにされているわけでございます。 このように教育委員というのは極めて重要な職務を担っているわけでございますけれども、そうした重要な職務を担う教育委員の選任に当たりましては、まずは地方公共団体の長が教育行政に深い関心と熱意を有して教育委員にふさわしい人材を発案し、そして議会において委員としての適格性等を審議して同意を与えるという一連のプロセスの中で適切に選任されるということが、まずは重要であるわけでございます。まずは必要であろうと思うわけでございます。 また、教育委員が教育行政の運営に関し適切な判断を行うためには、当面する教育行政の課題等に関する理解と知識を有することも必要であるわけでございまして、このためにそれぞれの教育委員会におきましては、教育委員に対する研修あるいは教育課題等についての情報提供、さらには教育委員による教育施設等への視察、また地域住民との懇談会の開催などが行われているわけでございます。 我が省といたしましては、これまでも、教育委員への適材の確保、教育委員、特に新任の教育委員に対する研修の一層の充実、さらには教育施設等への視察などについて通知等による指導を行っているところでございますし、また私ども自らも、全国の新任教育委員を対象にいたしまして教育行政全般についての理解を深めるための研修会を毎年文部科学省の主催で開催をしていると。こうした取組を行ってきているところでございまして、今後ともこうした取組を通じ、教育委員にふさわしい人材の確保と同時に、委員御指摘ございましたような、教育委員としての能力の向上という意味での研修の充実などについて一層の指導等に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○有村治子君 ありがとうございます。 充実した研修など、特に新人の教育委員に対してのフォローがあるということを伺って、私も安心しますし、勇気付けられます。 教育委員は非常勤だと私は理解しておりまして、今、矢野局長からも必ずしも教育の専門家ではないというふうなコメントをいただきましたが、その一方で、どの教科書を使って教えるのかというような、どれを私たちのベストな教科書、教材とするというようなことを決める権限もお持ちの教育委員会です。 これは私のコメントではないですが、教育委員会が名誉職化し半ば形骸化しているという指摘をする人も残念ながら少なくありません。これは非常に残念なことだと私も思っています。だとすれば、私は今手元に正確な数値を持っておりませんが、市町村の教育委員会の平均年齢は六十三、そして都道府県は六十五歳だったと私は理解しておりますけれども、教育委員会の現状を踏まえて、もし改善できるような余地があるとお考えになられるのであれば、是非その点もお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) 地方の教育行政を担う役割を持つ教育委員会というのは本当に大事だと思います。これは戦後、日本の教育改革の中である種の非常に高い理想の下に作られた政治的中立性とレーマンコントロールということを実現するための制度であると思っております。 しかし、現在いろんな課題が教育について起こってきておりまして、それらについて的確に対応していただくというためには、委員御指摘のように、決して教育委員会が名誉職化したり形骸化したりしてはいけないというふうに思うわけでございます。 実質的に非常に望まれる運営をしていただくためには、まずは構成員をどうするかという点が非常に大事なポイントでございます。それから二番目には、どのような運営を実際にやっていくべきなのであるかというようなこと。それから三番目には、教育委員がどのような的確な地域の教育に関する情報を収集し、またそれをきちんと分析して、自分自らの意見を形成していくかというようなことについても考えていかなくてはならないと思うわけでございます。 まず、構成員の問題でございますけれども、教育委員につきましては地方の名士といった人物が選任される傾向があるというふうなことも指摘されてまいったわけでございますが、文部科学省といたしましては、これまでも、そういうことではなくて、教育行政に深い関心と熱意を有する教育委員にふさわしい人材を確保すること、それから、比較的年齢の若い人あるいは女性の登用に留意すること、あるいは、局長からも説明しましたように、きちんと研修をすることなどの、いろんな手だてをこれまでも蓄積してまいったわけでございますけれども、昨年、御記憶と思いますけれども、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正を行いました。これにおきまして、教育委員の任命に当たって年齢、性別、職業などに著しい隔たりが生じないよう配慮するようにということで、そのことを明記するとともに、保護者も含まれるよう努めるようにというふうに改正をしたわけでございます。そのようなことから、最近、委員の中での女性委員の割合も増えておりますし、平均年齢につきましても、少しずつでございますが、若返りつつあるという現状にございます。 私どもといたしまして、こういう教育委員をきちんと選任していただくということのほかに、運営上の問題といたしましては、普通行われている定例会のほかに臨時会を開催をしたり、これは緊急事態が発生したようなときについては定例会のみならずきちんとした臨時会を催すこと、あるいは少しインフォーマルに委員協議会のような方式も活用してもらうなどによりまして、委員会の運営を活性化してもらうというようなことが大変大事ではないかと思っております。 それから、会議におきまして、形式的な会議ということではなくて、活発な委員の議論も誘発するような、そういう運営が必要ではないかと思っております。 また、きちんとした情報を持ってもらい、いい、しっかりした御意見をいただくためには、教育委員の視察でありますとかあるいは研修でありますとか、あるいはいろんな教育課題についての情報提供というふうなことも、事務局がしっかりとこれらの教育委員に対していろんなチャンスを作ることによって、そういう知見を更に広げていただくというふうな努力も必要ではないかと思います。 今申し上げましたようないろんな方法を十分に駆使をして、教育委員会がそのあるべき姿というものをきちんと維持してもらいたいというふうに、私どもも努力してまいりたいと考えております。
○有村治子君 ありがとうございます。 注意してくださっている点を教えていただいて、私も勇気付けられました。 教育委員に地元の名士がなられるということに対しては、その地域性をしっかりと把握して、またその地域の変遷というのも理解されている方が教育委員に入られるということを私は何ら悪いことではないと思っています。むしろ、歓迎すべきことだと思っています。ですから、そういう名士の方々が入られ、かつ、私自身も、平均年齢が六十三と六十五だったと思っておりますが、年齢が高いということも必ずしも悪いことじゃないと思っております。むしろ、先人の知恵というものを私たち若い世代に伝えていただくという意味では、引き続き入っていただきたいなと思います。 その一方で、若い人も入れるような門戸を開くとおっしゃった大臣のお言葉は勇気付けられます。是非、男性と女性比率をどうするかというよりも、優秀な人を選んでいったら男性と女性の比率がだんだん同じになってきたというような社会になっていければいいなというふうに思っております。(「混ぜ御飯みたいにね。賛成」と呼ぶ者あり)はい、ありがとうございます。 引き続き、教職員の人事考課、評価制度についてお伺いしたいと思います。 どこの業種にいらしても、あるいはどの段階の人生の成長段階であっても、成長のためには評価しなければ進歩がないというふうに言われます。私自身は、評価というのは必ずしも気持ちいいものではないですが、現在の居場所を確かめて、過去からどれだけ進んできたのか、あるいはあるべき姿、行くべき道というのがあるとすれば、どこまでステップを踏んできたのか、これからどういうステップを踏まなきゃいけないのかということを考える上では、現在の居場所を確かめる道標だと思っております。 そこでお伺いしたいんですが、文科省は、東京都の教員評価のための人事考課制度、導入されたと伺っておりますが、この東京都が導入した教員の人事考課制度についてどのような認識を持っていらっしゃいますでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 教員の勤務の評価につきましては、文部科学省では、それぞれの教育委員会等に対しまして、勤務評定を適切に実施するとともに、その評定結果を人事管理上活用するようにということで指導をいたしてきているところでございます。 御指摘の東京都の教育委員会におきましては、平成十二年度からでございますが、自己評価、自己申告とそれに基づく業績評価ということを二つの柱とする、言わば能力開発型の人事考課制度を導入しているところでございまして、私どもといたしましては、教員の意欲や能力の適正な評価に資する大変大事な取組であるというふうに認識をいたしているところでございます。
○有村治子君 ありがとうございます。 東京都がこういうリーダーシップを取られたということに私自身も敬意を持っております。このポイントが、人事異動につなげるというものを主眼にしたものではなくて、能力開発、教員の資質を更に高めていくためにこの道標というか評価、現在の居場所を確かめるという人事考課制度は非常にいいものだと思っております。 しかし、今月の読売新聞で報道がなされたところなんですが、平成十二年四月から導入した人事考課、その実況についてアンケートに答えた公立校長の約四分の一の先生方が、この人事考課制度によっても教員の意欲は高まっていないと考えており、その傾向は教員の年齢が上がるほど高く、評価されることへの抵抗感が高い傾向となっていたという報道がなされています。 このアンケート、教員に対するアンケートを実施した浦野東大教授は、教員の評価は必要とした上で、本人に評価結果を開示していないという問題を指摘しました。 教育ならではの特殊性、例えば教育を施してもすぐにその教育に対する業績というか結果が出てこないというような、教育という仕事、職務ならではの特殊性があると思います。その特殊性を考慮した上で、教員の人事考課にはどのような点に配慮して進めるべきなのか。東京都以外にも評価制度を導入していらっしゃるところがあると思いますが、その現状を踏まえて、現場のノウハウから文部科学省が把握していらっしゃるノウハウをお教えいただきたいと思います。人事評価の制度に当たって注意すべき点はどのようにお考えでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 我が省では、教員評価に関して新しい取組を行っている都道府県教育委員会から適宜その実態やノウハウ等の把握に努めているところでございます。 そういう状況の中で、大変申し訳ございませんけれども、私どもが特に注目する取組といたしましては、まずは東京都の取組というふうに考えられるわけでございます。 そういう意味で、東京都の人事考課制度につきましてその内容を考えますと、人事考課制度の内容を考えますと、従来の勤務評定制度と大きく東京都の場合は三つの点で異なるというふうに考えられるわけでございます。 一つは、自己申告を実施することによって評価が評価者と被評価者というような双方向になるといったようなことがあるわけでございますし、また、評価のやり方として、教頭が第一次評価者として加わり、評価に当たっては主任の意見も参考にすることで複数の目による客観的、公正な評価が可能となるといったようなこと、さらには、従来の絶対評価に加えて相対評価を行うこと、こういった点が従来の勤務評定制度とは異なる点でございまして、そういう意味で、私どもも、そうした点について特に注目をいたしているところでございます。 そこで、そうした状況、そうした各県の評価の取組等を踏まえて、人事評価を実施する際にどのような点に配慮すべきかということでございますけれども、一般的には、人事評価に当たりましては、まずは職員の勤務の実績が正しく評価される、適正な評価がなされるということがまずは肝要であろうかと思うわけでございますし、そしてその上に、その結果が人事管理上、特にこれは処遇面だと思いますが、処遇面も含めて人事管理上に適切に活用されるということ、その二つのことを通じて職員の士気を高め、校務能率を増進するといったようなことが期待できるのではないかと思うわけでございまして、そういう意味で、今申し上げたような点が人事評価を行う場合のポイントでなかろうかというふうに考えるわけでございます。
○有村治子君 ありがとうございます。 先日、私がある教職員の先生方の組合が取られたアンケートを拝見させていただきましたときに、多くの先生方がこの教職員の業績評価について積極的な、むしろ歓迎すべき、頑張った人が評価されるというのは歓迎すべきだという動きを打ち出されたのに、正直なところ新鮮な感動を覚えました。 そのときになるほどと思ったのは、日ごろの努力はやはり教頭や校長、自分の管理者から評価してほしい、評価するのが適切だというようなコメントがある一方、問題がある先生方は同僚の方から評価するのが適切だというような意見も多かったので、やはりそういう人事評価のノウハウというのは引き続き文科省が調査を掛け続けていただきたいなと思います。特に、東京都が、確かに最初から完璧なものというのはないので、フロンティアを切り開かれたその勇気は私も高く敬意を持って、また評価しています。 評価の客観性や公平性を確保するため、だれが評価するのかというのは非常に大事な問題になってくると思います。自己申告、そして第三者評価、それから自分の上司である管理職の職務としての考課、いろんな視点を交えて、何をするにはだれが評価すべきなのかというようなこともノウハウを蓄えて、是非信憑性のある調査を実施して、活用できる形で公表をしていただきたいと思います。その際、人材育成に主眼を置いた人事評価システムであるというようなことを是非前面にお伝えいただければ幸いだと思います。 関連しますが、授業評価についての報道もなされていました。 授業の改善が目的で、これは業績あるいは報酬にリンクするものではないということを明確に打ち出した上で、例えば先生方の声の大きさ、黒板の使い方、先生の熱意、授業の進め方等、項目別に評価されている学校がある、そして、良いところ悪いところというのではなくて、良いところと改善すべきところを学生が記入して、その内容は公表しませんが、一学期の終わりに生徒からのフィードバックを受けて、二学期の最初に各教師が生徒からの指摘や要望を明らかにして、私は今学期からこの点を改善しますというような点を公表して説明するという動きがあるという報道を見ました。私自身は、すごく先生にとってもいいことなんじゃないかなと思いました。 実際に、先生からは、生徒たちの声によってやる気が出た、今年の評価は楽しみだ、評価する側から評価される側になるのはつらいが、授業に対する緊張感が生まれ、内容の充実につながっているという先生方のコメント。そして学生からは、授業に積極的に参加できるようになった、そして、言っても変わらない先生もいるけれども、先生との距離が近くなって変えてくれる先生もいる、先生との距離が近くなったような気がするというようなコメントも出ていたということを聞いて、私自身も、やはりフェア、公平な先生に対する評価制度というのは、そろそろ真剣に導入を考えていってもいい時期に来ているのかなというような感触を持ちました。是非ノウハウを蓄えていただきたいと思います。 関連ですが、優秀教員の表彰制度についてお伺いいたします。 民間の企業では、頑張った人が報われる実効性の高い人事システムを構築するという観点から、個々人の勤務状況、あるいは部や課、グループ、事業部の業績と昇進、昇給など、人事的な処遇を当然のようにリンクさせる動きが外資系のみならず伝統的な日本の企業においても浸透しています。このリンクがうまくいっている企業では、どういう基準でどういう結果を出した人にどう報いていくのか、これらについて明確な基準を設けて、このルールについては、社員、組織構成員全員に明確にコミュニケーションを取っている企業がうまくいっていると私は理解しています。 そこで、学習指導や生徒活動に努め、日々地道な活動、教育活動に専念されているまじめな先生方の貢献に対して、しっかりとこれを認識して、このような努力に対して積極的に感謝と応援のメッセージを送るべきだと私は考えております。 授業に対する教員の努力が人事・給与面でもちゃんと評価される、反映される仕組みづくりとして、平成十四年度予算案に優秀な教員の表彰制度に関する調査研究という新規項目が入っています。教育活動に多大な貢献をされた方々にどう報いていくのか、現時点での構想をお伝えください。
○政府参考人(矢野重典君) 御指摘のように、学校教育の成否はその直接の担い手である教員に負うところが大きく、教員の意欲や努力が適正に評価されることが大変大事であるわけでございます。 このため、我が省では、各都道府県教育委員会等に対しまして、勤務評定を適切に実施するとともに、その評定結果を特別昇給等の処遇に反映させるなど、人事管理上活用するよう指導をいたしてきているところでございます。特に、努力を積み重ね顕著な効果を上げている優秀な教員については、その努力や意欲が報われる体制づくりをする、作ることが重要というふうに考えているところでございます。 このために、本年度、十四年度、優秀な教員を表彰するとともに、それに連動した給与上の措置を実施するための調査研究事業、優秀な教員の表彰制度等に関する調査研究と銘打った事業でございますけれども、この事業をすべての都道府県、指定都市において実施をしていただいているところでございます。 我が省といたしましては、それぞれの教育委員会に対しまして、この調査研究も活用しながら優秀な教員を対象とした表彰制度、表彰のシステムが整備されますとともに、このような教員に対して給与上の措置が講じられるような、そういうシステムが整えられるよう検討をしていただくように、そして検討し、具体にそうしたシステムを構築していただくように促してまいりたいと考えているところでございます。 なお、このような給与上の措置以外にも様々な形で報いることは当然可能であるわけでございまして、その点につきましては、それぞれの教育委員会において優秀な教員の希望等も参考にしながら種々工夫を講じていただくことを期待をいたしたいと考えているところでございます。
○有村治子君 優秀な教員の努力に対して、その努力に報いるということは非常に大事なことだと思います。しかし、教員を個人として表彰する、あるいは給与につなげていくということになれば、やはり現場の先生方みんなが協力して日本の教育に責任を持っていくというところにある意味では亀裂が生じる段階が生じてしまうということも考えられます。 そこでお伺いしたいんですが、学校ごとに、例えば、あそこはちょっと問題のある学校だと言われ続けた学校が著しく改善をした、その改善が著しかった学校に対して学校ごとに表彰をする、あるいは学校じゃなくて、四つの学校あるいは郡なり市町村なりの全部の地域に対して、その改善が著しかったところに地域に対して自由に使えるような研究改善資金を落とす、あるいはPTA奨励資金などを落とすということで、チームワークをして、教員が一生懸命チームワークをやって教育を高めているよというようなことに対する、集団に対するインセンティブを設けるというようなことを考えられたことはありますでしょうか。教育に取り組まれた主体を個人だけではなくて集合体として認知、そして感謝する方法を考えられたことはありますでしょうか。
○大臣政務官(池坊保子君) 今、委員が御指摘のように、教員が一人ずつ資質向上を図ることも大切ですが、その集合体としての学校が地域社会の中で、あるいは保護者にとって、生徒たちにとってどれだけ評価されるということは大変に大切なことと思っております。 そのような観点から、文部科学省といたしましては、学校評価の実施を推進することとし、本年の四月一日に施行されました小学校設置基準等において、学校は教育活動その他の学校運営の状況について自己評価を行い、その結果を公表するよう努めるとすることを明記いたしました。 また、学校評価の定着を図るため、本年度から都道府県、指定都市において学校や地域の状況に応じた学校評価の具体的な方策について実践研究を行い、その成果の普及を図ることといたしております。 こうした学校評価はただ評価するだけではいけないので、その評価に基づきまして学校運営の改善を図るということが最も重要なことだと思っております。各教育委員会においては、評価の結果、課題が明らかになった学校については、その至らないところ等を客観的に認識しながら、改善を図るための支援を行う必要があると思います。また、成果が上がった学校に対しては、関係教職員の人事評価等も踏まえながら、学校の取組を一層推進し、他の学校にも普及を図るための適切な支援策を工夫してほしいというふうに考えております。 また、本年度から実施する実践研究においても、必要に応じてこうした教育委員会の支援の在り方について研究するよう進めております。 今後とも、学校評価を通じた教育活動の推進にそれぞれ努めていきたいと思っております。
○有村治子君 問題行動を起こす先生方、あるいは問題があると思われる学校の改善ということに努力されるとともに、非常に頑張っている学校あるいは教師を表彰して認知していくということを引き続きやっていただけるというのは本当に有り難いと思います。 この表彰制度についても、どのような基準でモデル教員を選ぶのか、あるいはモデル地区を選ぶのか、その測定基準もこの制度を、先生がおっしゃってくださった制度を作られる初期の段階から精査して、基準も公表の上、公平、フェアな制度を引き続き作るようベストを尽くしていただきたいと存じます。 続きまして、教員の研修制度についてお伺いします。 先ほど矢野局長から同様のコメントがありましたが、熱心な教員、高い実績を上げている先生方に対して、その努力に対して報いる方法というのは、例えば一時金だったり昇給、給料が上がる、期末・勤勉手当、それから昇級、グレードが上がる、人事異動、表彰、いろいろなものがあります。必ずしも金銭的なもので報いる、もちろんそれも大事ですが、それだけではないという声も聞きます。人事面で優秀な先生方がどういうことに魅力を感じているのか、現在文科省が把握していらっしゃるポイントをお教えくださいませ。
○副大臣(岸田文雄君) 一人一人の教員がどのような事柄に教員としてのやりがいを感じているのか、その魅力を感じているのかということについては、一概に申し上げること、これは大変難しいと考えております。例えば、個別の場面において一人一人の子供たちがどんな反応をしたかということに魅力を感じるということもあるでしょうし、あるいは一つの指導においてどのような成果が上がったかというこの成果について魅力ややりがいを感じるというようなこともあるかと思いますし、あるいは児童生徒との人間関係の醸成に魅力を感じるというようなこともあるかと存じます。 こうした事柄、大変一人一人の教員において、状況において異なっているというふうに思っておりますので一概に申し上げることは難しいと思っておりますし、その辺につきまして、文部科学省として系統立って把握しているというようなことはしていないというのが現状でございます。
○有村治子君 率直にお教えいただきましてありがとうございました。 民間企業でも……(「民間と学校は違う」と呼ぶ者あり)学校は違います。確かにそうです、そう思います。 ただ、私が特に強く感じるのは、現場で頑張っている職員、教職員、今回の場合は教職員ですが、その方々が実際にどういうことに魅力を感じているのか、その方に報いる適正な、どこにお金を掛ければいいのかということを把握することは、教育のセンターにいらっしゃる文科省としても大事なことだと思っております。 そこで、特に、民間企業と言った途端にコメントをいただいたんですけれども、民間企業の中で優秀な人というのは、必ずしも目先のお給料がいいから悪いからということで自分の就職する会社を決めるんではなくて、この会社はどれだけ自分の能力を高めてくれるのかどうかという基準で会社を選ぶ重要な基準にしている。特に優秀な人に限ってはそういう傾向が強いというようなことが指摘されています。私も同様なことを思います。 今回、質問をさせていただくに関して、実際に教員の先生方とお話をさせていただく機会を得ました。その方々からも、どういうふうな人事面で何を求めていらっしゃいますかということを聞いたときに、やはり優秀な努力している先生には更に優秀になるための研修の機会を設けていただきたいというようなコメントが多かったのには私自身率直にびっくりしましたし、また勇気付けられました。そして、研修の機会を作ること、また教員の先生方が実際に有益だな、これは授業に使えるなと実感できるような魅力のある研修プログラムを充実させることが重要だと思っております。 しかし、お話を伺うところによると、研修のための出張回数は平均されて、前回はあなたが行ったから今回は私が行かせていただきます、そして次回はこの人がまだ行っていないからどうぞというような、どうしてもやはり平均されて、平均的な出張回数にされ、順送りになっているというふうに聞きました。 平均的に能力を、人材開発の機会を上げていくというのも大事なことだと思います。しかし、熱心な先生方の業績に対する対価として彼らにプラスアルファの研修を受けていただくための門戸を開くためにはどうすればいいんでしょうか。
○大臣政務官(池坊保子君) 意欲ある教員に多様な研修機会を与えることは大変有意義なことと思っております。 例えば、意欲ある教員が一定期間現場を離れて自分が研究したいという課題に対して大学院等で学ぶということは、その専門性の向上を図る上から大変教員の意欲、資質、能力にとってプラスになることでございますし、またそれが教えられる子供たちにもいい意味で跳ね返ってくることだというふうに思っております。 現在は各都道府県教育委員会において、教員を大学院などに一年あるいは二年程度の長期間派遣いたします長期派遣研修制度というのがございます。平成十三年度は千七百二十二名の人たちがこれを活用いたしております。また、平成十三年度からは、教員が自らの研究課題に基づいて大学院で勉強することができる期間休業することを可能とする制度である大学院修学休業制度というのが実施されております。そして、平成十四年度には三百五十人の人がこれを活用いたしております。 このような活用をすることによって意欲ある教員がどんどん出てくることを願っておりますので、このような機会の提供に努めていきたいと思っております。
○有村治子君 ありがとうございます。機会の提供に関してまたお伺いさせていただきます。 特に教員の年齢によって、あるいはその教員の年数によって先生方が欲していらっしゃるこの部分の能力を、自分の能力を高めたいなと思われる領域や分野が違ってくるようでございます。 例えば、需要が多いのが、勤続十年ぐらいの先生方は、単に学級を教えるということだけではなくて、例えばカウンセリングや教育相談ができるような研修、そして学級のみならず学年経営、学校経営、指導力、マネジメント能力を高める研修をもっと設けていただきたい。講演とか座学など受動的な参加が多い研修の中でどうやってこういう現場のニーズに即した研修を変化を付けていこうと考えていらっしゃるのか、教育委員会が用意される研修に対して文科省はどういう指導をされているのか、お教えいただきたいと思います。
○大臣政務官(池坊保子君) 教員の研修については、初任者研修の創設を始めとして、国や教育委員会で様々な体系化や内容の充実に努めてまいりました。 例えば、平成十一年十二月の教育職員養成審議会第三次答申を踏まえまして、初任者研修については、校内研修の内容を個々の初任者の経験や力量に応じたものにすること、あるいは教職経験者研修については、教員のニーズや学校の課題等に応じて多様な選択ができるようにするよう、様々な今日的な観点から、内容、方法の見直しを図ることなどを各教育委員会に促しているところでございます。ただ講義をしてそれを受けるということではなくて、個々のやっぱり地方によっても違うと思いますし、またそれぞれの教員によっても違うと思いますので、そのニーズにこたえるというような研修のやり方をいたしております。教員の自主的・体系的研修活動の奨励、支援の観点から、国公立学校の現職教員が自らの、先ほど申し上げましたように、長期間勉強することができるような制度をいたしております。 また、今皆様方に御審議いただいております十年経験者研修制度を創設するための教育公務員特例法の一部を改正する法律案、これは正しくそれぞれの教員に合った資質向上を図っているところでございます。 それぞれの人間、教員が持っているいいところ、また適性に応じた研修で、それを大規模でなくて少人数学級などをしながらそれに実施してまいりたいと思っております。
○有村治子君 ありがとうございます。 今話題に出ました少人数クラスの経営ということについて引き続きお伺いしたいと思います。 受益者である子供たちにとってよりきめ細やかな指導を実現してあげるためには、例えば習熟度別、例えばチームティーチングなどの指導をすることが説得力を持つ一つのやり方だと私は思っております。習熟度別クラスの編制、あるいはチームティーチングによるクラスの運営などによりそれぞれの理解度や進度に応じて教育方法をきめ細やかにしていくことは、一人一人の児童生徒に対応した教育に近づくものとして、慎重な導入をすれば歓迎できるものだと私は思っております。 しかし、多様性を学ぶ上でも多くの友達やクラスメートに囲まれて、ある意味でもまれながら、緊張したり緩和したりしながら社会生活を経験することが必要。かつ、一人一人の習熟を深めていくためには集団の中できめ細やかな学習を実現するということも大事。集団の中で社会生活を営む訓練の場としてのクラスと各科目の内容を学習していくという学習としての機能、この双方の目標や機能をクラスが達成していくために文科省ではどう対処すべきだとお考えでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子君) 子供にとりまして学校生活というのは生活の大部分を占めている非常に重要な学びの場でございます。学ぶだけではなくて、今、委員御指摘のように、友人たちとあるいは異年齢の児童生徒との交流を深める場としても学校というのは大変大事だと思っております。 まず、学びの場としての学校の機能を十分に達成していくために、これまでは一つのクラスで学習も生活も一体であったと思うわけでございますけれども、これからの時代、子供たちがそれぞれの能力、適性に応じながら力を発揮していくという面も考えますと、すべてあらゆる科目で同じ集団で学ぶというのではなくて、科目によっては少人数授業などを可能にして、ゆっくり学ぶ子は繰り返し教える、あるいは伸びる子はどんどん伸ばしていく、そういったような習熟度別の学級指導というのは大変大事な時代に入ってまいっていると思います。 そのようなことも考えまして、我が省といたしましては、いろんな政策を打っているわけでございますが、特に今進めております第七次の公立義務教育諸学校の教職員定数の改善計画におきまして、そういった少人数指導も可能にするような定数配置にも心掛けております。また、社会人を受け入れる学校いきいきプランの活用など様々な形で、今、委員御指摘のように、学校の機能、つづめて言えば二つの機能が十全に達成されるように行政としても大いに支援をしていきたいと考えております。
○有村治子君 私の質問時間は最後になりました。 誤解のないように、私、自分の言葉を選ばなきゃいけないんですが、民間がこうやっているから教育現場がこうあるべきだということは一言も申し上げていないつもりでございます。しかし、こんな不況の中で頑張っている民間企業の人事システムの中で評価できる、実際に活用してうまくいっている公平なシステムがあれば、その精神を学ぶことは大事なことだと思っております。 そういう意味で、もちろん教育の成果はすぐには出てこないというような教育の特殊性もしっかりと勘案した上で、本当により多くの教育の先生方、現場に立つ先生方やPTA、あるいは保護者、あるいは文科省に属する方々からも、一人でも多くの方々が賛同されるような人事、そして現場で頑張っていらっしゃる先生方の評価というのが実現されるよう、私も本当に願っております。 本当にいろいろどうもありがとうございました。最後になりましたが、現場で一生懸命仕事をされていらっしゃる先生方に敬意をいま一度申し上げて、私の質問を完了させていただきます。 ありがとうございました。
○神本美恵子君 おはようございます。民主党・新緑風会の神本美恵子でございます。 私は、質問に先立ちまして、ここは文教委員会ですので一言申し上げたいんですが、去る四月十五日に急逝されました故横山英一中教審委員のことについてでございます。 本当に横山先生は誠実に誠実に、学校現場を歩き回りながら、学校現場の教職員の声を聞きながら、中教審委員として、入院される直前まで総会に出席されて、ほとんど欠席もなかったというふうに二、三日前の新聞にも報道されておりましたけれども、その横山先生の今日たまたましのぶ会がございますので、ここで先生に対する哀悼の意を、私は教育界の先輩として哀悼の意を表させていただきたいと思います。 私の質問も、そういった先輩の横山先生の本当に残念な御遺志があると思いますので、その遺志を受け継いでいく決意で今日の質問に立たせていただきたいと思います。もしよければ、後で大臣からも一言いただけたらと思います。 さて、質問に入らせていただきますが、法案に関する質問の前に、私は、月曜日の本会議でこの法案に対する代表質問をさせていただきました。その場で塩川財務大臣が答弁されたその内容が、政府の一員の立場としての発言としてはどうしても納得できない部分がございました。その大臣答弁というのは当然政府の公式見解であると思いますので、ここには塩川大臣がいらっしゃらないんですけれども、内閣の一員として、その発言に対し文部科学省としてどのように考えられるのかということを最初にお尋ねしたいと思います。 あの質疑の中で、教育は未来への先行投資であるという考え方を、私は所見を問うたんですけれども、それに対して塩川財務大臣は、予算上の措置について答弁をなさいました。ところが、その途中に突然、コウモトさんにお願いしたいとして、教職員である皆さん方がもっと学校を大事に、そして広く使っていただきたい、空き教室がらがらじゃないですか、そんなことじゃ駄目だというふうに、正に私の方を向かれて叱責、というふうに私は受け止めました、されたのです。 これについて幾つか私は言いたいんですけれども、第一に、私はコウモトではなくカミモトであるということです。それから第二に、私は、元教員ではありますけれども、今は教職員ではなく民主党・新緑風会の一議員でありますし、そこを代表しての質問をした議員でございます。それから第三に、学校を大切に使っていないとか開放していないというような事実が万が一あるとすれば、その点については私たち民主党・新緑風会もきちんとやっていかなければいけないというふうに考えておりますので、そのことについてはこれからも努力していかなければいけませんし、文部科学省御自身がそのように努力していらっしゃることも私も承知しております。 大臣も御存じのように、休日はもとより、運動場や体育館の一般開放に、もちろん学校事故などが起きないように、あるいは備品等の管理などの心配から、その安全管理とかそういった面もいろんな工夫をしながら、各学校現場も市町村教育委員会も連携して地域への学校開放を進めているところなんですね。文科省の審議会で「地域の風がいきかう学校」という答申が出されましたとき、このキャッチフレーズは大変すばらしいなと私も共感したところでございます。 こうした今の現状と塩川大臣の発言の、私は大変なずれがあると思うんですけれども、文部行政のトップとして、また同じ内閣の一員として、この大臣発言について遠山大臣の御感想といいますか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) まず初めに、故横山氏の急逝の報に接しましたときは、私も大変驚きましたし、大変残念に思ったところでございます。 横山氏はいろんな意味で戦後の日本教育にかかわってこられましたけれども、特に最終段階におきまして中教審委員とされて非常にしっかりした御意見をきちんと開陳されたりいたしまして、私どもとしても大変そういう御活動に敬意を表してまいったところでございまして、その報に接しまして直ちに私としても冥福の意を表したところでございますし、その気持ちは今も変わらないところでございます。 さて、御質問の件でございますけれども、去る五月二十日の参議院本会議におきまして、神本委員からの御質問に対しては私も丁寧にお答えしたつもりでございます。あれが私どもの見解でございます。 財務大臣が教育関係の予算につきましてのお答えの途中でおっしゃいましたことでございますが、今、一部分を神本議員お読み上げになりましたけれども、実はその前に、自分たちとしては、教育関係、特に義務教育関係につきましては特別な配慮をしているし、そして今非常に難しい財政状況の中で義務教育関係の文教施設についてはその削減の率が非常に少ないということで、誠意を持ってお答えになったと思っております。 恐らく財務大臣の頭の中には、どこかの学校における何かの例が頭にありまして、学校における開放が十分ではないのではないか、これだけ自分たちとしては国費を費やしていろいろ施設について整備を図ってきている、しかしその学校の豊かな施設が十分に使われていないという実態もあるのではないかという、そういう御気分を背景にしておっしゃったのではないかと思うわけでございます。 今日では、必ずしもそういう学校が支配的ではなくて、一般的には、神本議員がおっしゃいますように、かなりの学校において学校開放についても積極的であると思っております。学校教育上支障のない限り、社会教育その他公共のために利用させることができるといたしまして、私どもとしても、我が省としても、学校施設の開放についての自治体の取組を支援しているところでございます。 また、余裕教室につきましては、その有効活用を図って、地域に開かれた学校づくりに資する観点から、財産処分手続の簡素化でありますとか、各種の広報活動を行いますなどによりまして、自治体における積極的な活用を促しているところでございます。 私どもの調査の結果では、学校開放を実施している小中高等学校合わせますと八九・四%でございます。しかし、実施していない学校も一〇・六%あるわけでございます。それから、施設別の開放状況につきましては、これはそれぞれいろんな使い方をされておりますけれども、社会の一般の市民が使う形での学校開放という角度から見ますとまだまだ十分でないというふうに言われてもやむを得ないようなデータもあるわけでございます。 したがいまして、私といたしましては、塩川財務大臣のお話を聞きながら、それは自分たちとしてはやるべき予算面のことはしっかりやると、しかし学校は十分に活用してほしいという趣旨でおっしゃったものだと考えているところでございます。
○神本美恵子君 横山委員に対してはありがとうございます。 確かに、塩川大臣の発言は、その背景には御自分の経験がおありだなというふうには感じたんですけれども、そのことをもって政府の大臣として本会議での御答弁にああいう言い方をされるということにつきましては、私はやっぱり学校開放に関する認識が非常に事実誤認があるのではないかというふうに思いましたので、これについては議運の方でも今協議がなされているところでもありますからそちらに任せるとしましても、文科省として是非、内閣全体に、今、文部科学省が学校開放あるいは地域に生きる学校づくりに向けてどのような取組をしているのかと、今、大臣が御答弁なさったようなことを是非もっともっとアピールをしていただきたいなということを私はあの本会議の答弁を聞きまして感じたところでございます。 次の質問ですが、これも本会議での答弁についてもう一つ確認したいなということがありますので御質問したいと思います。 それは、公立学校施設の耐震診断について御質問いたしました。本会議で私は、教育は未来への先行投資、あるいは学校の老朽化問題は本当に重要な課題であり、早急な改修、耐震診断が必要であるということを指摘させていただきました。これに対し、遠山大臣からも、本当にそのとおりだという御答弁いただいたと思います。そして、耐震化については自治体に指導しているところであり、その支援として、緊急性の高い校舎の耐震補強事業については国庫補助率のかさ上げ措置を講じているというふうな前向きな答弁をいただきました。また、片山大臣も塩川大臣もこの件については非常に耐震性の強化は重要だというふうにおっしゃいましたので、政府としての一致した見解だというふうに私は理解をいたしました。 しかし、現に改修、改築あるいは耐震診断を受けて補強工事が必要だというふうに判別できたところへの施策をおっしゃったのではないかと思うんですね。つまり、耐震診断をして初めて、例えばAの学校はまだしばらくは大丈夫、Bの学校は今すぐもう改築しないとあるいは耐震補強しないと、もし今地震が起きたら倒壊のおそれがあるというふうなことは診断をして初めて分かるわけですよね、どの学校が緊急性が高いということが決まるのではないかというふうに思います。 私が一番聞きたかったのは、耐震診断を受けていない学校が七万三千棟もあるということが、これは新聞報道で消防庁の調査結果がなされていたんですけれども、この七万三千棟の校舎、体育館というのは危険性の判別すらできていない今現状であるということですよね。ということは、これは緊急性の高いところにはかさ上げ措置を講じているという、その施策に引っ掛かっていない、その施策がそこには施されていないということだと思うんですけれども、その認識についてお聞きしたいと思います。 この七万三千棟に危険性があるのかないのかをまず早急に診断をして、そしてその結果を子供や地域住民の方たちにもきちんと広報して、それは不安をあおるというようなことでなかなかやれないということはあるかもしれませんけれども、実態を知って、そしてそれへの対策、子供の安全を守るためにどうしたらいいのか、地域の防災拠点として学校をきちんと整えるにはどうしたらいいかというようなことを考えることこそやるべきではないかということを私は一番お聞きしたかったので、その点について御答弁をお願いします。
○政府参考人(矢野重典君) 少し実務的な内容にわたりますものですから、私の方からまず御説明申し上げたいと思います。 先日の参議院本会議におきまして、大臣の方からかさ上げ措置の対象になっている緊急性の高い校舎というお話を申し上げましたが、これは、地震防災対策特別法に基づきまして地震防災緊急事業五か年計画に組み込まれております非木造校舎の耐震補強事業について、従来の一般的な三分の一の補助率から二分の一のかさ上げにされているということを申し上げたわけでございます。 先ほどお話がございましたけれども、消防庁の調査で約三分の一しか調査されていないという状況の中で、調査の対象になっていないものはそのかさ上げの対象になっていないのではないかと、こういうお話でございましたけれども、この緊急事業五か年計画に盛り込んでおります事業は、基本的には、昭和五十六年以前の旧耐震基準で建築された建物について、それぞれの設置者である市町村あるいは都道府県の判断に基づきまして耐震補強が必要であるという、そういう判断で計画の中に盛り込まれたものが基本的にはかさ上げの対象として措置されるということになるわけでございますので、対象になっていない、調査されていないものが即、調査というのは耐震診断とかという正確なきちんとした調査のことだと思いますけれども、そういう調査によらなくても、昭和五十六年以前に建築された一定の築数を経過した建物につきましては一般的な判断として大筋の判断ができるわけでございますから、そういうものが緊急五か年計画に入っておりますれば、これはかさ上げの対象になるわけでございます。それが一つございます。 それから、私どもといたしましては、一つのポイントといたしましては、そういう三分の一ぐらいしか調査されていないという実態を踏まえまして、昨年の五月でございますけれども、各都道府県に対しまして通知を出して、老朽施設の耐震診断又は耐力度調査、特に昭和五十六年以前に建築された建物でございますが、そういうものにつきまして耐震診断又は耐力度調査を行いまして、そしてその結果に基づいて補強、改築等、適切な措置を取るようにということを指導をいたしてまいっているところでございます。
○神本美恵子君 昭和五十六年、一九八一年以前のものについてというふうにおっしゃいましたけれども、その新聞の報道では、消防庁のデータは、八一年以前にある一定規模の公立小中高校の校舎、体育館、約十万五千四百棟を調査したということなんですね。それで、そのうち約七万三千棟が危険性の判別すらできない状況に放置されているというふうに報道されておりましたので、そのことについては是非とも、もう本当に緊急性の高い課題として早急な措置を取っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 先日も沖縄の事故のことをお話ししましたけれども、言いたくないんですが、だれか子供が死ぬとかそういう事故でも起きないと本当にやらないのかというような学校現場の声もございますので、是非とも取り組んでいただきたいというふうに御要望いたします。 さて、法案について入らせていただきますけれども、まず第一に、この教育職員免許法の改正についてでございますが、教員免許状の取上げに関して御質問いたしたいと思います。 教員免許状の取上げにつきましては、現行規定では、現職、実際学校で教鞭を執っていらっしゃる方、あるいは免許状は持っているけれども教職に就いていないという、その区別なく、免許状を有する者が、法令の規定に故意に違反し、又は教育職員たるにふさわしくない行為があって、その情状が重いと認められるときは、授与権者はその免許状を取り上げることができるというふうになっていると思います。その上で、現職者に関しては、懲戒免職の処分を受け、その情状が重いと認められるときに限るとなっております。現行法は、これだけではなく、失効、すなわちすべて取上げの規定を置いて、例えば禁錮以上の刑に処せられる者は教員免許状は失効となるというふうにしております。 今回の改正案では、まず公務員である教員が懲戒免職を受ければすべて免許状を失効させるというふうになっております。また、私立学校の教員の場合は、公務員と公平にするということから、懲戒免職の事由に相当する事由により解雇されたと認められるときに免許取上げというようなことが提案されておりますが、これは私学における解雇をもってすなわち免許状の取上げとするのではなくて、公務員の懲戒免職と相当する事由による解雇と限定するためのものであるというふうに理解しております。ただ、さらに、非現職の場合、今教職に就いていない場合でも、法令に故意に違反し、又は教育職員にふさわしくない非行があり、その情状が重いと認められるときは取り上げるというふうにしております。 つまり、今回のこの改正の趣旨は、教職への信頼性を確保する、そのために取られる措置だというふうに考えますけれども、その点についてお伺いします。
○政府参考人(矢野重典君) 免許状の取上げ措置の強化についてお話がございました。 改めて、公立学校の教員、それから私立学校の教員、それから教職に就いていない免許状保有者についての取扱い及びその考え方につきまして御説明申し上げたいと思います。 今回の改正では、御指摘のとおり、これは教員に対する信頼を確保すると、そういう観点に立ちまして、国立又は公立の学校の教員が懲戒免職の処分を受けた場合を免許状の失効事由として規定することといたしたところでございます。これに伴いまして、私立学校の教員につきましても、免許状の取扱いの公平性を図ると、そういう観点から適用関係を明確にすることが必要となったところでございまして、これにつきましては、お話がございましたけれども、国立又は公立の学校の教員の場合は、国家公務員法あるいは地方公務員法の規定に基づく懲戒免職処分という客観的事実をもって失効扱いとすることが可能であるわけでございますけれども、私立学校教員の場合は、その解雇の事由が使用者でございます学校法人の就業規則等によりまして様々でございます。様々になっていると、そういう実態を踏まえまして、国立又は公立の学校の教員の場合における懲戒免職の事由に相当する事由によって解雇されたと都道府県教育委員会が認められたときに限ってその免許状を取り上げなきゃならないこととしたわけでございます。これは、正に公立の教員の懲戒免職の強化をしたことに伴ってその公平性を、私立学校の実態に合わせて、実情に合わせて確保するという、そういう観点で取ることといたした措置でございます。 また、教職に就いていない免許状保有者につきましては、非違行為等がなされますときには免許状を取り上げることができるわけでございますけれども、教職に就いていない免許状保有者の非違行為が、そのことが直ちに教員に対する信頼性を失わせるということにはならないということを考慮いたしまして、その免許状、教職に就いていない者の免許状の取上げにつきましては、従来どおり取り上げることができるということで、都道府県教育委員会の裁量にゆだねることといたしたところでございます。
○神本美恵子君 私は、やはり今教職に就いていないということで、教職への社会的な信頼性が確保されないというふうにおっしゃいましたけれども、免許制度ということから考えれば、やはり教職の免許を交付するわけです、授与するわけですから、国公私立で働いている教員であろうと、今教職に就いていなくてもいずれ就くかもしれないというような非現職の間に取扱いの差異を設けるのではなくて、公平公正な適用にするべきだというふうに私は考えます。そのことが、やはりこの教育職員に対する要請、あるいはそれによって免許を交付するということの社会的な信頼性確保につながるのではないかというふうに考えますが、その点については再度お伺いしますけれども。
○政府参考人(矢野重典君) 委員のおっしゃっている御趣旨は私ども十分理解をいたすところでございますけれども、今回は、先ほど申し上げましたように、ちょっと理屈っぽい話で恐縮でございますが、教員免許状に対する信頼ということではなくて、今日、教員が残念ながら不祥事等を起こすといったような事態が生じ、それに対する処分がなされ、にもかかわらず、現実におきましては、制度上免許状の取上げをすることができるという規定にもかかわらず、実際にはなかなか懲戒免職がなされた場合でもそういう処分がなされていないと、そういう実態があるわけでございまして、そういう実態を考えまして、私どもそうした、現在、実際の教職に携わっている教員に対する信頼を確保するという観点で、免許状の面におきましても、その取扱いについて強化を図ることとしたわけでございます。それが今回の改正の背景といいますか趣旨でございます。ねらいでございます。 そういう流れの中で、そういう状況の中で、教職に就いていない免許状保有者の扱いをどうするかということについて当然考えなければならなかったのでございますが、今、神本委員のような御指摘もあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、免許状ということではなくて、教員に対する信頼を確保するということに重点を置いて考えましたときに、直ちに、免許状保有者の非違行為等が直ちに教員に対する信頼を損なうということにならないという、そういう事態もあるということを考えまして、従来どおり、現在どおり、その扱いについては都道府県教育委員会の裁量にゆだねて、様々な個々のケースに即して判断をして取り上げることができるというふうな扱いにいたしたということでございますので、御理解をいただければ幸いでございます。
○神本美恵子君 なかなか意見が一致できないようなお話になってきておりますけれども、あくまで教員に対する社会の信頼性確保という、その狭い枠ではなくて、教職というものに対する社会の信頼性を確保するという観点からこの改正が行われているというふうに私は理解をしたいというふうに思いますので、今後の運用、適用についてはそういうふうにしていただくことを要望したいと思います。 それから、次に移りますが、教員の身分に関する処分は、私立学校の場合は懲戒免職制度ではなくて解雇制度になっていると思います。様々な理由によって解雇というような事案が起きておりますので、それは紛争事案となることも少なくないというふうに思っております。そのことから、今回の改正では行政手続法を踏まえて聴聞規定を置くというふうにされていることについては、大変妥当なことだというふうに思います。 これを、公務員、地方公務員、国公立の教員の場合で見れば、様々な懲戒処分があり、その正当性については、例えばその懲戒処分に不服、疑義があるときには人事委員会などに提訴をする、そして争うということが可能であると思いますが、その懲戒免職処分がそういったところで不当というふうに判断されれば、当然、免許状の失効という措置は取り消されるものと考えてよいのでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 免許状の取上げの根拠となった、理由となった懲戒免職処分そのものが取り消されるということになりますれば、その免許状の取上げに根拠を失うことになるわけでございますから、当然のことながら免許状の取上げということはむしろ無効になると、失効されるということになるわけでございます。
○神本美恵子君 さらに、法の適用は公平かつ公正でなければなりませんのでお尋ねをしたいんですけれども、今申しましたように、公務員である教員の懲戒免職には様々な事由がありますし、また、その適用は現状では任命権者によって異なっています。例えば飲酒運転をした場合、直ちにそれが懲戒免職というふうになっている県もあれば、二回目まではいいだろうとか、三回重ねた場合に懲戒免職とするというような県など、自治体によって対応は様々に今、現状なっていると思います。 こうなると、免許状取上げの事由に各任命権者ごとに差異が生じてくることになるのではないか。この差異が存在することに対して文部科学省としてはどのようにお考えになっているのか、お尋ねしたいと思います。
○政府参考人(矢野重典君) 国立又は公立の学校の教員の懲戒免職処分につきましては、国家公務員法あるいは地方公務員法に基づきまして、法令違反があった場合、また職務上の義務違反又は職務怠慢があった場合、更には全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合、このいずれかに該当する場合に任命権者の判断によって懲戒免職処分がなされるわけでございます。実際に免職を含めましてどの程度の懲戒処分とするかは、これは教員の任命権者でございますそれぞれの都道府県あるいは指定都市教育委員会の裁量にゆだねられているわけでございまして、具体的な処分につきましては、その権限と責任において判断されるべき事項でございます。 したがいまして、委員御指摘のように、基本的には、処分の在り方につきましてはその人事権者である都道府県等の教育委員会の裁量にゆだねられているわけでございますから、結果として、今お話がございましたように、県によってその処分の在り方等に、あるいは処分の基準等について違いがあるわけでございます、現実にあるわけでございます。そうでありますけれども、そういう違いがあるわけでございますけれども、これにつきまして、基本的に任命権者の裁量にゆだねられている懲戒処分につきまして、さりとて、それを全国的な統一基準を設定して全国同じような形の処分ということは、それは、そもそものこういう公務員法上の一つの処分としては私どもは適当ではないというふうに考えるわけでございます。 したがって、結果として処分に違いがあり、結果として免許状の取上げについての都道府県についての違いが出てくるということは、今申し上げたような制度の状況の中では、その点に限って見ればやむを得ないというふうに考えるわけでございます。 しかし、もとよりのことでございますけれども、任命権者の裁量権が濫用されるようなことがあってはならないわけでございまして、そのような場合につきましては、国として必要に応じ、きちんとした指導を行うということは当然やらなきゃならないというふうに考えるわけでございます。
○神本美恵子君 私、今最後に局長がおっしゃった任命権者によって恣意的に裁量権の濫用や逸脱が行われるのではないかというような懸念もございましてそういう御質問をさせていただいたんですけれども、あくまで公平公正が確保されるように、そのことの周知徹底を是非とも図っていただきたいということをお願いしたいと思います。 それから、この免許状取上げの強化ということに関しましては、非常に受け取り方によっては、教職への社会的な信頼性が今非常に低下しているというような実態、実情の中でそこを上げたいというのはわかるんですけれども、それは本当に、例えばわいせつ行為で懲戒免職処分になったという事例がここ二、三年急に増えてきております。それは、社会的にやはり、例えばセクシュアルハラスメントや性暴力に関する社会的な認識が高まってきたというようなこともありまして、教職員だけがそういう、何といいますか、資質が低下しているというような風潮についてはそのまま受け止めることはできないと思います。 もちろん、わいせつ行為や暴力事件、殺傷事件、許すことはできない、そういうことには毅然とした対応をしなければいけないと思うんですけれども、全体として、教職への信頼性を確保するというような観点から、日本の教職への信頼性、あるいは指導力、教員の指導の力量といいますか、それは世界的にどのような水準にあるというふうに文部科学省はお考えになっているのか、ちょっとお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(矢野重典君) 突然のお尋ねでございましてあれでございますけれども、きちんとしたデータなりあるいは資料を基にお話をする用意がないわけでございますが、基本的には私は日本の教員の資質及び能力というのは世界のトップクラスにあると、そういうふうに考えているところでございます。
○神本美恵子君 そういった中での本当に許されない一部の行為を起こさせないためにこの免許状取上げの強化というような改正が行われているというふうに認識をしたいと思います。 二つ目に、学校種間の連携、接続を円滑にするという点に関して質問したいと思います。 子供の育ちに関する共通の認識を持つために、例えば幼稚園、小学校、中、高というふうにそれぞれが共通の認識を持つということは大切なことでありますので、学校種間の連携、接続を推進していく、円滑に推進していくという立場から幾つかの点を御質問したいと思います。 中学校の教員が小学校の専科教員として、あるいは高校の教員が小学校、中学校の授業を担当できるというふうにする今回の改正案の趣旨は、あくまで学校種間の交流、連携、接続を円滑にするための免許状の弾力化であるというふうに私は考えております。このことは、子供に対してだけではなくて、教員自身についても大変メリットは大きいんではないかと思います。 ただ、これが、例えば小学校に教員が不足しているからといって中学校や高校から人を回すというような安易な人事異動上の手段として使われたり、あるいは安易に兼務発令をして、中学校から小学校に兼務発令する、行かせるというようなものであってはならないというふうに考えますが、これについてはいかがでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 今回の他校種免許状によります専科担任の拡充の趣旨は、改めて申し上げますと、それぞれの学校段階間の連携の促進ということ、そして、小学校における専門性の高い教科指導の充実といったことをねらいとするものでございまして、単に校種を超える兼務発令、あるいは単なるそういう意味での、委員がお話ございましたような、人事異動の手段としてそういうことを行うものでは、そういうことを目的とするものではないわけでございます。 また、少し先走ったお話になるかもしれませんが、答弁になるかもしれませんが、兼務教員につきましては、これは当該教員にとりまして過度の負担にならないように、また、児童生徒の指導などに支障が生ずることのないように、教育委員会や校長が校務の分担を適切に整えるなどのそういう配慮をすることが必要であろうかというふうに考えているところでございます。
○神本美恵子君 それで、学校種間の連携、交流によって子供たちの学びを縦にとらえるという点でこの改正の趣旨は十分に理解できるのですけれども、一つけげんに思うことがあるんですが、それは衆議院での本法案の審議の際の答弁も読ませていただきましたけれども、まず中学校から小学校、あるいは高校から中学、小学校というふうに片側通行のみの制度の弾力化になっているのではないか。小学校から中学校へ、中学校から高校へというもう一方の方向ですね、たしか中教審でも双方向の教員間の交流というようなことが提言されていると思うんですけれども、それが作られていないのではないかということが一つです。それからもう一つは、双方向でない理由として、教科教育の専門性の高さの活用が挙げられているということです。 カリキュラムの実施具合と効果について、お互いの側の教員が共通の認識を持つ、あるいは連続したカリキュラムへの子供の学びに対する理解など、双方向であることが非常に重要だと思いますが、なぜ片側通行になっているのか、また、高校や中学の非常に教科に対する専門性が高ければそれでいいというのか、その件についてお尋ねをしたいと思います。
○副大臣(岸田文雄君) 今回のこの改正の趣旨ですが、特定の教科に関して深い理解や専門性を有し、多様な教授技術を備えている教員が小学校等において専科担任ができる道を開くというのがこの趣旨であります。ですから、全教科担任を原則とする小学校教員が教科担任制を取る中学校等で指導を行うということ、これを想定していないということになるわけです。 ただ、しかしながら、今回の改正で、隣接校種の免許状の取得を促進する制度を新たに設けるということにしておりますので、小学校教員が中学校免許状を取得することによって双方向の交流は進む可能性はあるというふうに思っています。 そして、その現状を、平成十年学校教員統計調査という調査によりますと、現職小学校教員のうち、中学校免許状保有者は六三・〇%ということになっています。これに対しまして、中学校教員のうち、小学校教員の保有者、これは二八・〇%ということになっています。その免許状保有状況からしますと、小学校教員が中学校に行く道はある程度開かれている、相当程度開かれているというふうにも考えております。 要は、先ほど申しました趣旨、それから現状、中学校教員のうち小学校免許状保有者二八・〇%という大変低い状況にあるということ、この二つのことを考えますときに、今回の改正によって中学、高校等の教員が小学校等において専科担任ができる道を開くということ、この意味は大変大きいというふうに思っています。 今回の改正の中で、その免許状の取得等の制度も含めて全体を考えたならば、更には現状を考えたならば、全体においてこの相互交流というのは進んでいくというふうに考えております。
○神本美恵子君 小学校の教員から中学校に行くということの道は既にもう開かれていると。中学校から小学校へという、高校、中学からというのが免許取得状況から見て狭いので今回弾力化して広くするというふうなお話だったと思いますけれども、私自身、小学校の教員をした経験がございます。中学校の免許も持っておりますけれども、実際には中学校に行きませんでした。 中学校の先生が小学校に来るときに、確かに教科の専門性が高いということで、子供の学びに大きなインセンティブを与えるという効果は、私も実際、友人がたまたま研修で、公開授業でうちの学校に来たときに、ちょっとうちの教室に寄ってということで、美術の先生に寄ってもらいました。そして、子供たちがちょうど図工の時間でしたので、中学校の美術の先生よと紹介をして、その先生が幾つかのことを子供の絵に助言をすると、私が授業をするのと全然違う。やっぱりすごい子供たちにとっては新鮮でもあるし、いい授業をちょっとの、本当に十五分ぐらいでしたけれども、していただきました。 そういう点から、教科の専門性の高い人が小学校に来るということは非常に私も重要であるというふうに思いますけれども、小学校の今、教科担任ではなくて学級担任制を取っている、その学級担任としての専門性といいますか、その重要性をどのように認識されているのかということが、今回の弾力化では必要単位を軽減してというふうになっておりますので疑問に思ったところでございます。 副大臣、最後におっしゃったように、相互交流によって、私は、免許制度そのものの総合化ということをこれから是非検討していただきたいなというふうに思います。教科の専門性の高さと同じ程度、同等に、小学校の教員から見れば、子供に対する理解や子供の成長を教科ごとに見るのではなく、教科ごとに学習の進度を見るだけではなくて、成長丸ごとを見ていくという、何といいますか、小学校担任の一番の専門性は私はそこにあるというふうに思っております。そのことの重要性も是非考えながら、今後の免許制度の総合化ということを考えていただきたいというふうに思っております。 そこで、双方向の交流を進めていくためには、是非とも教育実践と連携して考えていかれることが不可欠であると思います。ですから、先ほども言いましたけれども、安易な人事異動上の手段として使われるのではないということをもう一度念を押させていただきたいということと、その双方向の交流を進めていくためには幾つかの条件整備的な課題があるというふうに考えております。 例えば、幼稚園と小学校が双方向に交流ができるというふうに考えますと、なかなか処遇の違いがありますとか、そこには大きなやっぱりギャップがあると思います。また、小中学校から高校へということについては、義務制と高校とは、何といいますか、教員給与表の違いがございますので、処遇が下がるというようなこともありますし、それから、持ち時間数の相違など様々な点が隘路になるというふうに思われますけれども、当面、教員免許状制度の弾力化を進めようということですが、こういった様々な隘路に関しても条件整備面の是正を図ることが必要だと思いますけれども、そのことの検討についてお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(矢野重典君) 幼稚園から高等学校段階までを含めた一貫指導の推進あるいは各学校段階間の連携の強化のためには、指導に当たる教員が隣接学校種におきましても指導できる、そうした資質能力を身に付けますとともに、学校種を超えた教員の連携、交流が大変大事であろうかと思います。 このような観点から、今回、教育職員免許法の一部を改正して、他校種免許状による専科担任の拡充を御提言申し上げますとともに、隣接校種免許状の取得の促進といったようなことも併せて法案の中に盛り込んでいるわけでございます。 そこで、御指摘の学校種を超えた人事交流につきましては、基本的には現行制度におきましても対応は可能と考えているわけでございますけれども、今、先ほど委員が給与体系の問題でございますとか、勤務時間の問題、あるいは身分の問題等々の問題があるのではないかという御指摘がございました。そういう意味で、私どもといたしましては、学校各段階の連携をより円滑にし、またそれを更に強化していく上で必要な、先ほど御指摘のような問題も含めまして、必要な方策あるいは課題につきましては、今後、検討を進めてまいりたいと、かように考えているところでございます。
○神本美恵子君 ありがとうございます。是非、検討を進めていただきたいというふうに思います。 ところで、その連携の困難性ということでは、とりわけ就学前とそれから小学校というところに問題があるのではないかと思います。これは、最近ちょっと下火になったように思いますが、社会的に取り上げられるのは下火になったと思いますが、小一プロブレムと言われますように、小学校に、一年生に入学してからの子供たちの学級崩壊という言葉で言われるような、大きなステップを上がっていく子供たちから見れば、幼稚園と小学校の連携というのはとりわけ重要ではないかというふうに私は思っております。 ところが、今回の改正案も幼小中高の連携の必要性が高まっているというふうにされているのですけれども、一方で、現状としては私立幼稚園の、現在、非常に私立幼稚園が多い、それゆえに教員の処遇が、それゆえにと言っては悪いですけれども、教員の処遇の悪さ、あるいは三十歳未満でほとんどが退職していくというような現状の私立幼稚園の問題があると思います。公立幼稚園の場合は、まず数が少ないですし、市町村職員の身分となっております。ゆえに行政職俸給表が適用されている例が少なくないなどの大きな問題を抱えていると思います。 幼小の連携を進めていくという観点から、文科省はこういった問題を重視して今後の方向性を見いだすべきではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 幼稚園におきましては、幼稚園教育が小学校以降の生活や学習の基盤になることに配慮いたしまして、幼児期にふさわしい生活を通してその基盤を培っているところでございます。幼稚園児がスムーズに小学校生活に移行する上で、幼稚園と小学校の教員が共通の子供理解を持って相互の連携教育を深めることは大変大事なことであるわけでございます。 現在、我が省におきましては、幼稚園と小学校の連携に関する総合的な方策を開発するための実践研究を実施をいたしているところでございまして、その中で人事交流の前提となる免許状の併有、すなわち幼稚園の免許状と小学校の免許状といった意味での併有でございますが、併有の促進ということも課題の一つとして取り組んでいるところでございます。 今回の教育職員免許法における隣接校種の免許状取得促進のための改正は、そういう意味では、幼稚園教員、小学校教員の免許状の取得を通じて校種間の相互理解を進め、双方の教員が幼小を連続的にとらえた指導を行う意味で、また人事交流を進める上でも有効であろうかと考えております。 それぞれの教育委員会におきましては、実践研究の成果等も生かし、法改正の趣旨に沿った積極的な取組が行われることを期待しているところでございます。また、教員の合同研修あるいは児童生徒の交流活動を促進をいたしますなど、今後とも総合的に幼稚園と小学校の連携を促進してまいりたいと考えているわけでございます。 そこで、今こういう基本的な考え方の下で申し上げたような施策を進めているわけでございますが、具体的な問題につきましては、その交流等についての身分の取扱いあるいは給与の問題等々、具体的な、交流を進める上で具体的な問題があることは御指摘のとおりでございますので、そうしたことにつきましては、先ほど申し上げましたように、より連携、具体的な交流を円滑たらしめるための対応策として、そういうことも含めて今後検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
○神本美恵子君 ありがとうございます。 最後に、特別免許状の要件緩和ということとかかわって、学校で働いている様々な専門的職種の方々の専門性の向上についてお聞きしたいと思います。 特別免許状の授与要件の緩和ということですけれども、これは優れた知識や技能を有する社会人を教職として教育現場に導き入れる、そのために授与要件を緩和するというふうになっております。もちろん、豊かな社会経験を有する様々な人たちが子供たちに教えるということは、子供の学びを豊かにする機会として大変有効な、重要なことではないかと思います、有村委員の御質問で例示もされましたけれども。ですから、社会人の活用促進というその意義については大変賛成でございます。 しかし、この特別免許状は、大学での教員養成カリキュラムを取得しなくても授与されるものであります。この制度の活用によって、これまでの教員の養成が大学における養成を原則とするというふうになっていますけれども、その制度の根幹が揺らぐことになってはいけないというふうに私は強く感じるものでございます。 今回の授与要件の緩和を含めて、この特別免許状制度はあくまで例外的な措置として運用していく、この点について確認も含めてお伺いしたいと思います。
○副大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、現行の教員免許制度、大学における教員養成やあるいは開放制というものを原則にしているわけであります。 その大学における教員養成が原則になっている趣旨、これは教職の専門性を身に付ける上で、最高学府である大学において、他の社会に出る人々と共通の教養の上に教員として必要な専門的な知識、経験を習得させることが適当ということで考えられたものであります。また、開放制につきましては、一般大学においても免許状の取得を可能とするということであります。 一方、この特別免許状制度でありますが、先ほども議論の中に出てまいりましたが、実際に即した教育活動が期待できるとともに、児童生徒の多様な要求にも応じることができるというような意義、さらには、広く一般社会から教育に熱意を持つ優れた人材を教育界に迎え入れることにより教員組織を活性化することができるというようなことを目的とした一種の特例的な制度であります。 ですから、今回の改正によっても、現行免許制度における大学における教員養成あるいは開放制、こうした原則は変わるものではないと考えております。
○神本美恵子君 ありがとうございました。 やはり教員養成の在り方も含めて、これまでの教員養成の、大学における養成を原則とする、あるいは開放制という、この二つの原則で戦後ずっとやってこられた日本の教員養成の制度が、先ほど局長の御答弁もいただきましたが、日本の教育の水準、あるいは教職に対する社会的な信頼性というものの水準は世界的にも高く評価されている、そのことの根拠に、根拠といいますか、背景にこれがあると思います。 そういう意味で、是非、この特別免許状制度は、新しい風を入れる、あるいは教職員組織に刺激を与えるというような意味での特例措置であって、あくまでこの原則は崩さないということを是非御要望しておきたいと思います。 さて、教養審は三次にわたる答申を出しまして、中教審は、今後における地方教育行政の在り方の中で様々な専門的職種についても触れております。この様々な職種の人たちで作られている学校というところは、個性豊かな教職員が共同して学校を作り出していくということを教養審の中でもその重要性を指摘しているところでございます。学校にいる教員以外の、例えば学校事務職員でありますとか養護教員、養護教員は教員ですけれども、学校栄養士あるいは図書館司書というような様々な職種、専門的職種の方たちの研修の重要性も教養審では、今、中教審になりましたけれども、中教審の中で指摘されているところでございます。 学校というのは、様々な専門的職種も含めて、その教職員の共同で作られていくものである、そのために職員会議にもすべての教職員を参加させるべきというふうにもされておりますが、この考え方に変更はないか、そういうふうにとらえていいのかということをまずお伺いしたいと思います。
○政府参考人(矢野重典君) 学校運営の在り方といたしましては、これは校長のリーダーシップの下、それぞれの専門性を持った教職員が一致協力をして学校運営に積極的に参加をし運営していくということが基本的に大事なことであると思っております。
○神本美恵子君 そこで、そういう様々な専門的な職種の方々の研修といいますか、専門性向上ということについてはどのように進められているのか。これは現状、これらの職種は置き去りにされているのではないか、専門性向上といった点からですね。 例えば文科省の担当もそれぞれの職種の対応として課がまちまちであって、学校の組織構造として検討されていないのではないかというふうに思っております。したがって、これからの学校教育の役割や組織構造の在り方などを総合的に、様々な専門的職種の位置付けや専門性の向上策ということについて文科省として総合的に検討をしていくことが必要だと思いますけれども、それへの対応についてもお伺いしたいと思います。
○政府参考人(矢野重典君) 先ほど申し上げましたように、学校にあっては専門性を異にする教職員一人一人がそれぞれの専門性を最大限に発揮しながら一致協力して学校運営をしていくことが必要であるわけでございます。そういう意味では、例えばでございますけれども、近年、食に関する指導の充実あるいは学校裁量権限の拡大等に適切に対応するためには、学校栄養職員でございますとか学校事務職員等の教職員がその専門性を向上させることが強く求められているわけでございます。 このため、私どもといたしましては、一つには、それぞれの教育委員会に対しまして、これらの教職員の専門性を高め、学校運営への積極的な参画を促す観点から、その研修内容の充実に努めるように指導をしてまいっているところでございます。と同時に、国自らといたしましても、独立行政法人教員研修センターにおきまして、指導的役割を果たします様々な職種の教職員に対する研修を実施をいたしているところでございまして、私どもとしては、今後ともこうした施策を通じまして、教員のみならず、すべての学校教職員の資質、能力の向上に一層努力してまいりたいと考えているところでございます。
○神本美恵子君 ありがとうございます。是非とも充実を図っていただきたいというふうに思います。 ただ、教職員の専門性の向上という点につきましては、いわゆる免許制度や研修制度だけでは達成されるものではないというふうに私は思います。いわゆる教師教育ということから考えれば、養成の段階から、また採用されて初任者の段階、そしてそれから現職としての実践を積み重ねていく中でキャリアを向上させるというその段階に関連性と一貫性がなければならないのではないかというふうに思っております。 アメリカの例を幾つか聞かせていただいたんですけれども、その中では、教育行政とそれから大学とそれから学校が共同しながら教員養成のカリキュラムや初任者研修のプログラム、あるいは専門性の向上のための現職研修プログラムというようなことを開発しているというような例も聞いております。 私自身の経験から考えても、学校を十年ほど勤めますと、何といいますか、いろんなことに慣れてきますし分かってきます。いったん学校を離れて学校の外に出てみたいというふうなことをどこかの時期で感じたことがございます。中学校の免許は私は二種ですけれども音楽を持っておりますので、その専門性ももっと高めたい、それから大学にもう一度行って勉強したいというようなことも感じたことがございます。それからまた、社会的に新たな、例えば人権に関する認識でありますとかジェンダーに関する認識でありますとか、そういう社会的な新たな課題にも挑戦してみたいというふうに思ったことも、そういった時期もございます。 ですから、そういう現場で直接今教職に就いている先生方の現場のニーズというかウオンツといいますか、それにどうこたえていくか。そのためには、アメリカで取られているような、例えば大学や教育行政と現実の学校が連携してやっていくというようなそういう研修の在り方、あるいは専門性の向上策としてそういうことを検討していくことが重要ではないかと思いますけれども、これについて御見解をお願いします。
○政府参考人(矢野重典君) 正にそれは御指摘のとおりでございまして、職務研修とは別に、そういう自主的、主体的な研修の意義、大変大きいものがあろうかと思うわけでございます。 委員が御自分の経験も踏まえてお話しになりましたけれども、そうした意欲、自主的、主体的な研修をしたいという意欲を持った人のために、正に、一昨年でございますが、当国会で教育公務員特例法の改正をしていただきまして、無給ではございますけれども、そういう自主的な研修をしたい人のために大学院修学休業制度というものをほかの公務員にない特別の制度としてお認めをいただいたわけでございまして、その結果、十三年度に最初の、十三年度からスタートしたわけでございますが、十三年度、大学院に入った人、それからこの四月に入った人、合わせて全国で三百五十名の方が、正に無給で、無給ではありますけれども、更に自らの資質、能力を向上させたいという、そういう正にボランタリーなお心掛けで大学院で勉強していただいているわけでございますので、私どもとしてはそうした取組、そうした各人の、教員の主体的、自主的な取組を今後とも様々な形で支援をしてまいりたいと思うわけでございます。
○神本美恵子君 もう時間がなくなってきましたけれども、是非とも、そういう、自らこういうふうに自分の専門性を高めたい、指導力を高めたいというようなことを支援していく方策として免許状の今回の制度の改革、それから研修制度の改革についてもそういうふうに考えていただきたいんですけれども。 私自身も、先ほど言いましたような願いがありながら、なかなかそれが果たせなかった。それは、学校現場におりますと、例えば勤務時間の在り方や、たくさんの校務分掌といったものも抱えておりますし、それから、後輩が入ってくれば後輩の指導といいますか、ともに研修し合うというような、様々な問題が学校現場にはございます。少なくとも教員が子供たちと十分にかかわりながら、かかわりを通して、あるいは外の風を受けながら自分の専門性、指導力を向上していくということについては、是非とも、学校現場での日々の格闘といいますか苦労といいますか、そのことに思いを致しながら施策、支援を考えていただきたいということを思っております。 よく教員は社会を知らないというふうに言われます。世間知らずだというふうに言われますけれども、私の経験から言いますと、まあそういう面も確かにあると思います。しかし、学級の子供たちは社会の縮図です。こう言えば分かっていただけると思いますけれども、一クラスに三十人から四十人の子供たちがいると、一人一人の子供たちは、例えば親御さんがリストラに遭ったり離婚をして別居したり、あるいは被差別部落の出身であったりアイヌの出身であったりというような、様々な、本当に社会の縮図として教室に子供たちは来ております。その子供たちと教職員は日々付き合って、その成長に寄り添っていっているわけですから、世間を知らないというようなことで専門性を高めよというような、そういった意味の専門性の確保あるいは指導力の向上といったようなことについては是非とも認識を改めていただきたいなということを私は自分自身が学校現場におりました立場として最後に言わせていただきたいと思います。 日々学校現場で苦闘しているそういう現場教職員の声にも是非とも耳を傾けていただきながら、それから、これからの日本はどうあるべきか、次の世代を担う子供たちに何を伝えどんな力を付けていったらいいのかということを、本当に一人一人の教職員は日々呻吟しながらやっているということも考えていただきたいというふうに思います。 最後に、これは確認になると思いますけれども、この今回の教育職員免許法の一部改正は、あくまで教職への信頼を確保するために、免許更新制ではなくて、免許法の一部改正によって社会の信頼性確保、専門性の向上といった、それから学校間の交流を促進するという、そういった趣旨で行われるということというふうに私は理解したいと思うんですけれども、それでよろしいのかどうか、最後に大臣からお願いしたいと思います。
○副大臣(岸田文雄君) 免許更新制の可能性についてでありますが、中教審の審議におきましてその導入について検討は進めたところ、慎重にならざるを得ないという一応の結論をいただいたところであります。 理由としまして、免許状授与時に適格性を全体として判断していないことから、更新時に適格性を量ることは制度上取り得ないこと、あるいは適格性判断のための客観的メルクマールの確立が困難であること、さらには、更新時における適格性判断のためのメルクマールが適格性を欠く公務員に対する処分である分限制度に類似するため、まずは分限制度を有効に機能させていくことが不可欠であるということ、あるいは一定の能力を公証をするという免許制度の性格上、非現職者を除外することや受講者の能力に応じて研修内容に差異を設けることが困難なこと、こうしたことが理由として挙げられているわけであります。 こうしたことからこの導入につきましては慎重にならざるを得ない、こうした結論をいただいている次第でございます。
○神本美恵子君 どうもありがとうございました。
○委員長(橋本聖子君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時二十二分休憩 ─────・───── 午後一時三十分開会
○委員長(橋本聖子君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。 休憩前に引き続きまして、教育職員免許法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○山本香苗君 公明党の山本香苗です。 法案の審議に入る前に、ちょっと審議とはかかわりはございませんけれども、岸田副大臣、アフガン出張大変御苦労さまでございました。昨日の晩お帰りになったところだとお伺いしましたけれども、まず、そのちょっと御感想と今回の成果についてお伺いしたいと思うんですが、よろしくお願いいたします。
○副大臣(岸田文雄君) 五月十九日から二十一日まで三日間にわたりまして、アフガン、カブールに滞在いたしました。そして、昨日の夜帰ってまいりました。その間、アフガニスタン暫定行政機構カルザイ議長、アミン教育大臣あるいはマフドゥム情報・文化大臣、こうした方々とお会いをし、併せて初等教育学校ですとかあるいは教員養成学校、更にはカブール大学等視察をしてまいりました。 当方からは、遠山大臣が既に提案をさせていただいております教員養成支援ですとかあるいは学校募金プロジェクトですとか、こうした支援につきましてフォローアップ状況を説明させていただきますとともに、高等教育分野における支援の新たな提案としまして、カブール大学と東京農工大学の大学間協力ですとか、あるいは来年からの留学生受入れについて提案をさせていただきました。先方からは、こうした提案を是非進めてもらいたいという積極的な回答をいただきました。 先ほど申しましたように、先方のいろいろな関係者とお会いしたのですが、その中で、特にカルザイ議長とお会いした際に日本の教育協力に大変感謝しているという旨の発言がありまして、教育について特に強い熱意を持っているということ、予想以上であったなというふうに思っております。未来の担い手であります子供たちの交流を進めるということにつきましても大変強い関心を示しておられたこと、印象に残っております。 なお、今回は我々文部科学省の関係者と併せて、東京農工大学それからお茶の水女子大学の関係者も同行いたしました。こうした関係者、カブール大学との連携ですとか教員養成につきまして具体的な中身の話合いを行ったということも今回の一つの成果ではなかったかなというふうに思っています。 今回の訪問で改めてアフガニスタンの現状に触れ、また関係者の熱意に触れ、支援の思いを強くいたしました。特に、日本の支援に関しましてアミン教育大臣もあるいはカルザイ議長も再三繰り返していたんですが、教育分野における日本の支援、これはほかの国々とは違うんだということを盛んに強調されておられました。周りの国々あるいは他の国々、それぞれいろいろな歴史的な経緯とかあるいは政治的ないろいろな思惑とかが絡んでいるわけですが、日本の場合はそうした思惑がない、日本の教育支援に大変強く期待するということを関係者が再三繰り返していたこと、このことが強く印象に残っております。 また、避難民が急速に国に戻っているようでもありますし、また来月にはロヤ・ジルガと言われる国民大会議が行われまして、今の暫定政権が移行政権に移っていくというようなことで、アフガニスタンの国の状況も大変なスピードで変化しているようであります。 この辺りもしっかり国内関係者に伝えまして、我々文部科学省の中にありますプロジェクトチームあるいは様々なこうした支援機関ともしっかりと連絡を取りながら、今後の支援を進めていきたいというふうに思っています。
○山本香苗君 ありがとうございます。 本当に顔の見える支援ができる唯一の分野ではないかなと思っておりますので、どんどんやっていただきたいと思うんですが、早速質問の方に、本題の方に入らせていただきます。 衆議院の委員会の方でのこの法案審議の際に大臣は、新学習指導要領に見られます新しい時代にふさわしい教育が展開されていくような大きな変わり目におきまして、教員が正に学校教育をしっかりしていくことについてのかぎを握っているとおっしゃいました。また、教育はもう教員の力量に掛かっているともおっしゃいまして、本当に教員がしっかりとその力を発揮していただいていい教育を展開していただくというのが本当に大事だと思っておりますと御発言されていらっしゃいます。 私も全く同感であります。そのとおりだと思いますが、しかし、大臣も御承知のとおり、教員の方々というのは大変多忙を窮めていらっしゃいます。教師の仕事は多様で、授業以外にもやらなくちゃいけないことが多過ぎる、教育という仕事はどこまでやっても切りがない、まじめな教師ほど幾らやっても切りがないという多忙感に追われるといった指摘もございます。そうした精神的なゆとりのない教師に、大臣から教員がかぎを握っているだとか教員の力量に掛かっているという御発言がありますと、その期待は、実際の現場の教師との間に大きなずれがあるんじゃないかなと思います。 他方、こうした意見とは別に、教師受難の時代と受け取るのは誤っている、同じ公務員でも県庁や市役所の役人は市民の厳しい目にさらされながら仕事をしているじゃないか、教師以外の公務員だって忙しいんだ、忙しいなんて教師だけが言っていられないんだという意見もございます。 この二つの意見、大臣はどう受け止めになられますでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子君) 私も、教員は、本当に大多数の教員は真剣に教育活動に力を注いでいただいていると思います。それゆえにこそ、日本の学校教育は、いろいろな問題点を抱えているとはいえ、しっかりした成果を上げてきていると考えております。 教員が忙しい、いや、別の公務員も忙しい、誠に日本人は本当に忙しい毎日を送っているわけでございまして、例えばこの国会で開会中は、我が省の職員は、多くの若い人たちも午前三時、四時まで起きているわけでございまして、是非ともこの機会に質問は早めに出していただきたいと思うところでございますけれども、本当に霞が関のみならず、それぞれのところで大変忙しくといいますか、それぞれが力を尽くして勤務に励んでいることによって、日本がいろんな問題を抱えながらしっかりとした歩みを続けていると思っております。 教員は一体どうかということは、私は学校の運営の仕方、それから教員個人の情熱とか、あるいはそれこそ力量によりまして随分忙しさの違いもあるのではないかと考えます。その意味では、一般的に教員はどうかというのはなかなか難しいと思いますが、ただ教育という大変手ごたえのある、言わば、私、人間の職業の中でも大変もう心を込めてやるに値する職業の一つだと思っておりますけれども、それにその使命を十分に発揮されようとされますと本当に大変だと思います。それは勤務時間の内外を問わず、心を込めてやっておられる方もいると思います。しかし、そうでもない方も結構いるという現状もございまして、その辺を踏まえながら、私は、学校の全体の運営を取り仕切る校長なり教頭なり教務主任といった、そういう幹部の人たちがきちんとその辺をわきまえた上で、仕事の役割分担なり学校の運営の在り方について常に目を行き届かせてやってもらいたいものだと思っているところでございます。
○山本香苗君 本当に学校全体を取り締まるそういった校長先生とかそういう人がしっかりしていただきたいという大臣のお声、また大臣が学校の先生の実態というのを把握していらっしゃるということがまず教員の方々にとっては一つの救いになるんじゃないかなと思うんですが、実際、本当に、今、大臣がおっしゃられたように、多忙感にさいなまれながらも一生懸命真剣に取り組んでいらっしゃる先生がいらっしゃる一方で、満足に仕事をこなさなくてもやっていけると思っている意欲のない先生もいらっしゃる、それでも通用してしまうというのが教育、教員の社会だという指摘もございます。 このままの状況が続きますと、情熱を持って教育に真剣に取り組む先生が教育現場を去らざるを得なくなって、そうでない先生たちによって学校教育が行われてしまうようなことにもなりかねないんじゃないかなと思いますが、こうした事態を防ぐために、学校任せ、先生任せにしない、地域や保護者に開かれた学校を実現して、学校サポーターを学校外にも作ることが必要だと思っております。 既に学校評議会制というものがスタートしておりますが、これに加えまして、我が党は、学校がどういう教育をしているのか保護者とか地域住民に知ってもらって教育をみんなで支え合っていくような、学校情報公開制度というものが必要だと以前から創設を求めております。 この制度についての文部科学省の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) 御指摘のように、学校が保護者でありますとか地域住民の信頼にこたえて家庭や地域と連携協力をしていきますためには、学校運営の状況につきまして積極的に情報を提供し、開かれた学校づくりをしていくということは大変大事であると考えております。 文部科学省といたしましても、学校としての責任を果たすべしという観点から、幾つか制度を作っているわけでございます。その一つが、御指摘ありましたように、平成十二年の四月から、保護者や地域住民などを学校評議員として委嘱をし学校運営の状況について説明して意見を聞く学校評議員制度を導入しておりますが、このたび、四月一日に施行いたしました小学校設置基準、これは文部科学省令でございますが、これなどにおきまして、学校は教育活動その他の学校運営の状況について保護者などに対し積極的に情報を提供するものとするということで、こういう情報提供を義務付けたところでございます。 こういうことによりまして、これまでになかった学校がその活動について必要な情報を地域に出していくということがこれから各地で実施されていく段階に入ると思います。
○山本香苗君 今でも、学校の先生が手作りで、例えば定期的な学校便りとか学校通信なんかを作ってくださっているわけなんで、学校の情報というのは提供されてはいるんですけれども、答申の中にもございましたとおり、学校として伝えたい情報だけじゃなくて、やっぱり学校として伝えなくちゃいけない、不利なものもあるかもしれないんですが、そうしたものをきちんと伝えていけるような、情報提供していけるような、情報提供の拡充、充実というものを図っていただきたいと思っております。 先日、ちょっと「教育の論点」という本を読んでおりまして、そこで「なぜ、今「ゆとり教育」なのか」というテーマで寺脇審議官がお書きになったものをちょっと読ませていただきまして興味を持ちました。 そこに書いてありましたのは、「さまざまな方法によって学校と教師を公明な基準で評価し、さらにその評価結果をインターネット等を通じて公開してゆかねばなりません。 校長や教育委員会が密室で決める恣意的な評価ではなく、公正でオープンな評価方式によって学校や教師の優劣を明らかにし、その上で、生徒たちには学校を選ぶ自由を与え、また教師として不適格な者は教育の現場から排除してゆくのです。」と書かれていらっしゃいました。 私はこれを読んでおっしゃるとおりと思ったわけなんですが、このような学校及び教員の評価システムというのは実現されるのでしょうか。
○副大臣(岸田文雄君) 学校が教育活動など学校運営の状況につきまして評価を行ってその結果を明らかにするということ、これは大変重要なことだというふうに思っています。そして、明らかにすると同時に、それに基づいて改善を図るというようなシステムを作っていくということ、大変重要だと認識しております。先生御指摘のとおりであります。 ですから、今、大臣からも申し上げましたように、小学校設置基準等において学校が自己評価の実施と結果の公表に努めることを明記したわけですが、この評価結果を活用して課題が明らかになった場合、改善を図るというようなシステムを作るということ、これは教育委員会においてこうしたことを支援していくということが大変重要だと認識しております。 そして、文部科学省においては、本年度から学校の評価システムの確立に関する調査研究という研究において、評価結果を活用した学校運営の改善の在り方について研究していただくということをお願いしております。 こうした研究を通じましても、御指摘のように、様々な評価をどのような形で明らかにしていくのか、そして、明らかになったそうした結果をどのように改善につなげていくのか、こうしたシステムが作られていくよう努力をしていかなければいけないというふうに思っております。
○山本香苗君 今研究されているところだということですけれども、もう既にやっていらっしゃる学校で、滋賀県のある中学校で、各学期に一回、生徒全員や保護者に対して学校、教師に対するアンケートを行っているとお伺いしまして、こうしたアンケートが一部の教師を排除するようなものになっちゃいけないと、午前中にもそういった答弁、いろんなことお話ありましたけれども、生徒の好き嫌いが教師の指導力評価にすり替わったりしないように、この学校では、質問の主語を例えば学校とか教師という形で大きなくくりにして、個々の先生に対する批評にならないように配慮したアンケートを行っているそうです。このアンケート結果が広く公表されておりまして、PTAだけでなく、本当に広くいろんなところに発表されていまして、教師の方々の、厳しいですけれども、意識改革になったというふうにお伺いしております。 確かに、これまで公立学校、そこに勤める先生方というのは、本当にある程度、競争とかというものから全く無縁の存在というふうにも言えるかもしれないんですが、この体質を急激に変えよう、何か新しいことを始めよう、かなりの抵抗があると思いますけれども、自己点検も確かに今始まったばかりで有意義なものだと思うんですが、是非ともこうしたほかの、自己点検だけではなくて、ほかの評価システムの導入というものも研究していただき、またしっかりとやっていただきたいと思います。 開かれた学校という点でもう一つ付け加えたいんですが、日常的に授業を公開することが非常に有効じゃないかというふうな話が答申の中にも載っておりましたけれども、学校に授業参観日というものを特別に設定するんじゃなくて、いつでも保護者や地域の住民、また同僚の先生方が行き来できるような、見に来れるような、そうしたことをやっている学校というのは実際どれぐらいあるんでしょうか。それを把握していたらお教えいただきたいと思います。 また、私の地元でありますが、関西の方では池田小学校の事件がありましたので、セキュリティーといった面でこうしたことをするとまずいんちゃうかなと思ってためらってしまうようなところもあるかもしれないんですけれども、そういった自治体に対してどういった形で推進していかれるのか、御意見をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(矢野重典君) 開かれた学校づくりを進めるための方策として様々なものがあるわけでございますけれども、御指摘のように、近年、特定の日に限って授業を公開するといった従来の授業参観日的なそういう形式だけではなくて、例えば特定の一週間はいつでも学校を訪問して児童生徒の活動を参観できるといったような取組も広がってきているところでございます。 こうした取組は、それぞれの教育委員会、学校の判断で実施されているわけでございまして、我が省として個々の状況をトータルに把握しているわけではございませんけれども、例えば広島県のケースでございますけれども、広島県教育委員会の提唱によりまして、県下の公立の小、中、高、特殊教育諸学校、全部で九百九十五校あるそうでございますが、すべてにおいて「「学校へ行こう」週間」というそういう週間を設定いたしまして授業参観を実施して、一週間で実に三十二万人の来校者があったといったようなケースがあるというふうに聞いているわけでございます。 そういうケースもあるわけでございますけれども、開かれた学校づくりを今後どのようにして進めていくかということでございますけれども、おっしゃいますように、正に学校が保護者や地域住民の信頼にこたえて家庭や地域と連携協力していくためには開かれた学校づくりということが大変大事であるわけでございまして、このため、既に御紹介申し上げてございますけれども、学校評議員制度の導入でございますとか、あるいは、これも先ほど大臣からお話し申し上げましたけれども、学校の自己評価と評価結果の公表をすることを努力義務化するといったような制度も作っているところでございまして、併せて学校の情報を積極的に提供するということも同じ制度において義務化をいたしたところでございます。こうした制度改正を行ってきているところでございます。 我が省といたしましては、今後ともそうした新しく導入した制度を定着化させますとともに、教育委員会や学校の主体的な取組を促し、国としても促して、より開かれた学校づくりを今後とも進めてまいりたいと考えるものでございます。
○山本香苗君 ありがとうございました。 もう一つ、教育現場における問題として、先生がどんどん高年齢化しているという話をお伺いしました。もちろん、経験豊かな、豊富な先生の存在というものは非常に欠かせないものですし、熱意のある先生も多いことだと存じ上げております。ただ、ベテランの先生が多数派を占めて、同じ世代の教頭先生、校長先生が注意ができなかったり、熱意ある若手の先生の意見が少数のためつぶされてしまうといった実態もあるとお伺いいたしました。 そこで、ちょっと数字的なことをお伺いしたいんですが、近年の教員採用数の増減、またそのうちの新卒の教員の採用率はどれぐらいでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 公立の小中高等学校、それから特殊教育諸学校も含めてでございますけれども、過去三年間で見てみますと、教員の採用数は、平成十一年度一万一千七百八十七人、平成十二年度一万一千二十一人、平成十三年度一万二千六百六人でございまして、その対前年度増減数は、平成十一年度で見ますと前年度に比べて二千三百九十一人の減でございますし、また平成十二年度は前年度比といたしましては七百六十六人の減でございます。そして、平成十三年度でございますが、昨年度になりまして、これは前年度と比べて一千五百八十五人の増に転じたわけでございまして、平成十三年度において平成元年度以来の増加となったわけでございます。 また、その採用者に占めます新規学卒者の割合でございますが、平成十一年度では三〇・一%、平成十二年度では二六・三%、そして平成十三年度には二五・四%となっておりまして、これは年々減少しているという傾向にございます。
○山本香苗君 今の数字からいたしますと、大体、新卒の方、四人に一人ぐらいということですけれども、そうして年々若い人が減っていって、この数字からすると、ベテラン教師の高年齢化というのが進んで、学校の先生の年齢の構成というのが逆ピラミッド型になっているんではないでしょうか。これは倒産した会社の構成と似通っているといった指摘もございます。こういった新陳代謝がない組織からは変革に向けたエネルギーは生まれないといった声も聞かれます。 せっかく遠山大臣を始め文部科学省が新しい時代に対応した教育改革を進めようとされていらっしゃるのに、現場にその改革のエネルギーを見いだせない現状、この現状をどう受け止めていらっしゃいますでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 教員の平均年齢を見てみますと、例えば小学校について見ますと、平成四年度は三十九・六歳でございましたが、これが平成七年度は四十・五歳、そして平成十年度におきましては四十一・八歳となっておりまして、御指摘のように高年齢化が進んでいるという状況にあるわけでございます。 こういう状況の中で学校の運営を考えますと、やはりある程度、基本的には学校運営に望ましい年齢構成を考えますと、それぞれの年齢構成がバランスよく存在して、それでもって学校全体が構成されているというのが学校の組織としての在り方から見れば大変望ましいわけでございますが、おっしゃいますように、全体の高齢化が進む中で、学校一つ一つの単位を見ましても、組織として見れば高齢化が進んでいる、高年齢の教員の占める割合が高くなっているという状況にあるわけでございます。そういう中で、これは教員採用の、あるいは教員採用を含めた人事管理システムということがこれから大変大きな課題になると思うわけでございます。 そういう意味で、教員採用を担当いたします人事責任者においては、そうした今後の児童生徒の、子供の推移を踏まえながら、教員の採用につきましては、何をおいても計画的な採用をして、今申し上げたようなできる限りバランスの取れた年齢構成の組織体になるような運営をしていくということがまず何よりも必要であろうかと思うわけでございますが、同時に、現状においてはそういう構成であるわけでございますので、そういう中でそこはやはり学校長を中心にしながら、それぞれの校務分掌をきちんと整えながら、組織全体としてできる限り活性化を図れるようないろんな工夫をしていただくことが必要であろうかと思うわけでございます。
○山本香苗君 本当は大臣か副大臣に答えていただきたかったなという質問だったんですが。 我が党は、優れた教員の発掘と育成こそ教育改革の要諦であるという認識の下、本来、教員免許の更新制の導入というものを提案しておりましたが、今回の法改正ではこれが見送られたと。報道では見送りというふうに書いてあるわけなんですけれども、この理由と、実際、見送りということは、先にまた検討されるという見通しのことなのか、報道でありますので、文部科学省の御見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(矢野重典君) 御指摘の教員免許更新制の問題でございますけれども、平成十二年の十二月に教育改革国民会議の報告におきまして教員免許更新制の可能性の検討ということが提言されたわけでございまして、それを踏まえまして、平成十三年の四月に中央教育審議会におきまして免許更新制の可能性について検討をするようにという諮問がなされたわけでございます。 そこで、中央教育審議会の審議におきましては、この免許更新制につきまして、一つは教員の適格性の確保という観点、そしてもう一つは教員の専門性の向上という観点、この二つの観点から免許更新制の可能性について検討がなされたわけでございまして、結論といたしましては、平成十四年の二月の答申におきまして、その導入については、現時点における制度上の制約などに加え、その政策的有効性についても十分検討を進めたところ、導入にはなお慎重にならざるを得ないという一応の結論をいただいたわけでございます。 その理由でございますけれども、まず適格性の確保と、そういう観点からの検討でございますが、それにつきましては、免許状授与時に適格性を全体として判断していないわけでございます。適格性を全体として判断するんではなくて、必要な単位数の修得をもって免許が授与されるという、そういう制度であるわけでございますから、更新のときに適格性を判断する、適格性を見るということは現行の免許更新制度上大変難しい、取り得ないというのが中教審の一つの判断でございました。 それからもう一つの専門性を向上するという観点からの検討でございますけれども、専門性を向上するための研修を課す場合には、これは免許制度の性格が一定の能力、免許というのは一定の能力を公証するという、そういう免許制度の性格があるわけでございます。その性格に照らして考えますと、免許状を有して現に教職に就いている人と免許状を有しているけれども教職に従事していない人がいるわけでございます。現実には実際の教職に従事していない数、人が大変多いわけでございますけれども、そうした人をこの更新制から除外するというのは難しいということ。それから、専門性の向上という観点で研修を行う場合に、一定の研修を行って更新をするということを想定するわけでございますが、その研修の在り方として、受講者の能力に応じて研修内容に差異を設けて研修をするということは更新制の条件としての研修としては難しい、先ほど申し上げました一定の能力を公証するという免許制度の性格上それは難しい、研修の在り方として差異を設けるというのは難しいといったような判断がなされたわけでございます。そういう意味で、専門性向上という政策目的のための有効な政策には更新制とはなり得ないと、こういう判断で先ほど申し上げたような形でなお慎重にならざるを得ないという一応の結論がなされたわけでございます。 しかしながら、その一方で、長くなって恐縮でございますけれども、教員の適格性の確保、それから専門性の向上という観点、その事柄に関連いたしまして、その具体的な方策として、免許状の失効及び取上げ措置の強化や、現在教育公務員の改正として御提言申し上げております教職十年経験者研修の構築が提言されたところでございます。 なお、中教審答申におきまして更新制の導入につきましては必ずしも全く否定しているわけではございませんで、今後、科学技術や社会の急速な変化等に伴いまして我が国の資格制度全体についての見直しが行われるような状況が生じた場合には、再度、教員免許の更新制を検討することもあり得ることとなされているところでございます。
○山本香苗君 今回の法改正で中学校、高校の教員免許を持つ人が担当の教科を小学校で教えられるということで、学校の活性化につながるし、また先生自体も子供の発達過程を追っていくことができて大変有意義な制度だと思うんですが、不安な点が午前中の質疑の中でも述べられておりまして、既に御指摘された兼務といった場合でございますけれども、先日の本会議でも今日の午前中の大臣の御答弁によりますと、やはり小中学校の先生が大変だけれども、現場に配慮を求めていく、御指導していくといったお話だったんですが、実際、現場にそうしなさいと言ってもなかなかそれができない場合もあるんじゃないか、そうしたものを制度的に担保するようなことをしないといけないんじゃないか、そうしないと本来の業務がおろそかになってしまうんじゃないかと思うんですが、この点についてどうお考えでしょうか。
○副大臣(岸田文雄君) 今回の他校種免許状による専科担任の拡充の趣旨は、一つは各学校段階間の連携の促進、そしてまた小学校における専門性の高い教科指導の充実を図る、こういった辺りを目的としているわけですが、その際に、御指摘のように過度な負担にならないよう、あるいは指導などに支障が生じないようにしなければいけない大変重要なことだと認識しております。そして、御指摘のように教育委員会あるいは校長が校務の分担を適切に整えるなどの配慮をすることが必要であります。 それを担保するような何か仕組みを考える必要がないかという御質問だったかと思いますが、まずは各任命権者において専科担任制度の積極的な意義を十分踏まえた運用がされるということ、これを徹底することが重要だというふうに思っております。ですから、この制度の趣旨を各都道府県教育委員会等に周知徹底すること、そして校務の分担を適切に整えるなどの配慮を含めてこうした指導をするよう努めていく、こういった辺り、文部科学省としてしっかりとやっていかなければいけない、そういったことによって御心配のようなことが生じないように配慮していきたいというふうに思っています。
○山本香苗君 危惧しているようなことがないよう、よろしくお願いいたします。 また、兼務するからといって別段給与が上がったりするわけではございません。九七年から国家公務員については特別昇給、勤勉手当の制度改正が行われておりますけれども、地方自治体採用の教員についても教科指導力に優れて勤務成績が優秀、例えば兼務をして自らなげうって仕事をしているとか、そういったところを評価して特別昇給とかそういったものの処遇面での何らかの措置を行うということについてはどうお考えでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 今公務員について特別昇給や勤勉手当の特別措置というお話がございましたけれども、実は私ども、午前中にも紹介申し上げましたけれども、教員の評価とそれに応じた処遇がより適切になされるように、現在すべての都道府県教育委員会におきまして優秀な教員を表彰いたしますとともに、それに連動した給与上の措置を実施するための調査研究事業を行っていただいているところでございます。 私どもといたしましては、そういう調査研究を活用しながら、各都道府県が優秀な教員を対象とした表彰制度が整備されますとともに、このような教員に先ほどお話がございました特別昇給等の処遇がなされるようなシステムをすべての都道府県において構築していただくよう検討を促しているところでございます。 御指摘の兼務する教員についてでございますが、兼務を行っていることをもって直ちに優秀な教員といったような形の評価ということにはなされるものではございませんけれども、兼務を行っていることや、あるいは兼務した学校における勤務の状況を踏まえてしかるべき適切な評価が行われるはずのものと考えるものでございます。
○山本香苗君 兼務イコールというわけではなくて、そういった点も加味していただいてということでありますが、もちろん、午前中の御答弁にもございましたけれども、別にこうしたことをやるから先生たち頑張るというわけではないと。これは一つの手段ということで御質問させていただいたわけなんですが、次に免許状の失効及び取上げに係る措置の強化ということについてお伺いいたします。 午前中もお話ございました。各自治体によって懲戒免職にする基準が異なってくるんじゃないかといったお話がございまして、その点が危惧されているというふうなお話があったわけなんですが、特にわいせつ行為についてちょっと調べてみますと、結構各自治体違った対応をしているんだなということが分かりまして、表にしてみますとなぜか西高東低になっていたわけなんですけれども、各都道府県の教育長を前に大臣御自身が原則としてわいせつ行為に対しては懲戒免職だよということをおっしゃっていらっしゃるとお伺いいたしましたが、本当にこうしたこときちんと、上の方だけじゃなくて現場まできちんと徹底するような形で、教師のわいせつ行為は懲戒免職だというような御指導をしっかりと行っていただきたいと思うんですが、大臣の御意見をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) 教員による児童生徒に対するわいせつ行為などの不祥事といいますものは、これはもう本当に許せないものでございまして、それは教員に対する信頼を失わせますし、当該児童生徒に対する影響というものは本当に深刻なものだと思います。そして、そのことが学校教育全体に対する信頼を損なうものでございます。 文部科学省では、児童生徒に対するわいせつ行為等につきましては、教員として絶対に許されないことであることから、原則としてこのような行為を行った教員は懲戒免職にするなど懲戒処分の厳正な適用について都道府県の教育委員会等を指導しているところでございます。 具体的には、昨年九月の都道府県教育委員長・教育長会議等の諸会議におきまして、全都道府県教育委員会に対して指導を行いましたほか、昨年十月から十二月に掛けましては、すべての都道府県・指定都市教育委員会に対し個別に指導の徹底を図ったところでございます。 今後とも、このような指導を重ねることによりまして、こういう不祥事の根絶に努めたいと思うところでございます。
○山本香苗君 ありがとうございました。 本当にこうしたことを現場まできちんと徹底するということが非常に大事だなというふうに感じているわけなんです。そうしないと掛け声だけで終わってしまうというようなこともあり得るなと。本当に教育改革は教員改革からだと言われております。今回の法改正が本当に教員の方々にとって、また子供たちにとって、社会全体にとっていいものになりますよう、よろしくお願いいたします。 ありがとうございました。 ─────────────
○委員長(橋本聖子君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、扇千景君が委員を辞任され、その補欠として泉信也君が選任されました。 ─────────────
○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。 まず、大臣にお伺いしたいのですが、今回の免許法改正案は、習熟度に応じた少人数指導への対応と、こういうことを考えているのが一つのポイントなのかなと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子君) 今回の、他校種の免許状によって、それを持つ人が小学校等に行って授業をすることができるようにするという改正の趣旨は、これは、一つには各学校段階間の連携の促進を図るということでございますし、それからもう一つは小学校におけます専門性の高い教科指導を充実するということを目的としているものでございます。したがいまして、主たる目的としては、習熟度に応じた少人数指導につながるものではないと言えるわけでございます。 しかしながら、今回の法改正によりまして、例えば小学校におきます高学年の算数や理科などの授業におきまして習熟度に応じた少人数の指導を行います場合に、中学校あるいは高等学校の免許状を有しますその教科についての専門性の高い教員がそのクラスに入ってきて教えるというふうなことが可能になるわけでございまして、各学校においてこのような少人数指導をするときにそういう人たちの力を活用するということももちろんあり得るわけでございますし、それはそれで大変意味のあることだと考えているところでございます。
○林紀子君 そうしますと、習熟度に応じた少人数指導というのと直接は連動しないというふうにおっしゃったと思うんですけれども、二月に発表されました中教審答申では、「本年度から実施されている教職員定数改善計画により習熟度に応じた少人数指導を支援しているが、こうした場面での専門性の高い教員の確保も早急に対応すべき課題である。」というふうに言われておりまして、その専門性の高い教員の確保ということが、今、大臣がおっしゃいました、免許がなくても中学校、高校から小学生へ教えに行くことができるという形に結び付いたんだろうというふうに思ったわけです。 この習熟度別授業といいますのは、大変私は問題があると思うわけですね。これは本会議でも御紹介をいたしましたけれども、この習熟度別授業が始まっている学校の中では、学力が低いクラスだというふうに言われているクラスの子供たちに対して、本会議ではこんな生な言葉は言わなかったんですけれども、あほ学級なんという言葉が使われているということなんですね。 しかも、文部科学省が考えている習熟度別授業というのは、本音のところは、これも何回もこの委員会の場でも出てまいりましたが、教課審の元会長である三浦朱門氏が、できぬ子はできぬままで結構、伸びる子だけに労力を注いでいくと、こういうことを言った、そこのところでぴったり結び付いているんじゃないかと、そういう心配があるわけなんですね。 ですから、私は、直接は関係ないんだというふうにおっしゃいましたので、今回のこの法律、通っても、一律に習熟度別授業という形で全国にこれをやりなさいと押し付けるべきではないというふうに思うんですけれども、いかがでしょう。
○国務大臣(遠山敦子君) 先ほどの私の答弁は、今回の免許法の改正そのものの主たる目的について御説明したわけでございます。 それとは別に、やはりこれからの教育の在り方を考えますと、すべての児童生徒を全く同じように扱って、授業の在り方も全く同じようにというようなこれまでの行き方から一歩出て、やはり基礎・基本を大事にしながら、一人一人がそれぞれの能力、適性に応じて考える力を身に付け、あるいは行動する力を身に付けという、そういう新たな段階に入ろうとしているわけでございまして、そのことから考えますと、これは基礎・基本をしっかり身に付けるという段階におきましても、これに時間の掛かる子もございます。あるいは、これについては速やかに理解することができて、更に伸びていくような子供もいるわけでございます。そういった子供の持つそれぞれの能力、適性等に応じてきちんとしたきめ細かい教育をやっていこうというのが新たな教育改革のねらいの一つであるわけでございます。そのことから考えますと、これは、習熟度別指導というものは非常に大事な段階に入ってくるわけでございまして、これはやめるべしとかそういうようなことではなくて、私は様々な工夫を凝らしながら習熟度別指導というものをしっかりと根付かせていく段階だと思います。 その指導の在り方によりましては、何らかの今おっしゃったようなこともあり得るのかもしれませんが、逆に言えば、この習熟度別の指導によりまして非常に効果を上げている、そういう例も私どもは常に耳にするわけでございます。そういう少人数指導というふうなことをやったり、あるいはチームティーチングというものをやったり、あるいは社会人の登用などによりまして複数の目で子供たちを見るのと同時に、一人一人の本当に伸びる力を伸ばし、あるいはゆっくりと学んでいくという子供たちに対してもそれに応じたような教育をしていく、それは一人一人の子供たちが本当に将来自分の力を伸ばしていくために非常に大事だと思っておりますので、私は、習熟度別学習ということについての重要性については、これはいささかも後退させることはできないというふうに考えております。
○林紀子君 私も、すべての子供たちにきちんと学力を付けるということは物すごく大事なことだというふうに思うわけですね。現在も先生たちは現場でそのためにいろいろな工夫をして、努力をしているわけですよね。 だけれども、今、大臣のおっしゃったのは、それが習熟度別授業だという、その一つの形になってしまうということだと思うんですね。もっともっと現場でいろいろな先生が、例えば、これも私は本会議で御紹介をいたしましたけれども、グループ学習をしたり、到達度別の学習をしたり、個別指導と集団指導を組み合わせた、そういうようないろいろな工夫を行っている、それをもっと自由に認めるべきじゃないんですか。そういうことを励ましていくことこそが大事で、もう一律に習熟度別授業じゃなくちゃ駄目だというのは絶対おかしいと思うんですね。 しかも、この習熟度別授業というのは、こういう形で固定化をしてしまうんじゃないですか。そうしたら、ますますあほ学級などと言って、子供たちに強制を強いる、競争を強いる、そして選別をし差別をしていく、こういうことになるんじゃないですか。 私は、そういう意味で、一律に押し付けるということは絶対やるべきではないと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子君) もちろん、実際に少人数指導を行います場合に、どのような教科あるいは学年を対象として行うか、あるいは習熟度やあるいは興味・関心などに応じたグループを編成するなど、いろんなやり方があると思います。それは、それぞれの学校の状況、それから児童生徒の状況に応じて、それぞれの学校において工夫をしていく、そういうことであろうと思います。ですから、習熟度別学習というものが大事だということを強調したわけでございまして、それは何とか学級、何とか学級というふうに固定してやるというのは私も反対でございます。 つまり、習熟度別の指導におきましては、できるだけそれらの地域の実情、学校の実情に合わせるということ、そして、その学校の実態に合わせて、優れたいろんな手段を用いながらやると。それから、できれば子供たちの自らの意見も参考にしながら、あるときはこの学級に行き、ある程度まで自分が分かったと思えば次の段階に行くとか。特に大事なことは、グループを固定化しないこと、そして子供たちの意見も聞きながら、できるだけ、できるだけ聞きながらやっていく、そのようなことは基本的に大事なことだと思っておりまして、したがいまして、今ちょっと答弁の趣旨とは違った方向で結論付けられましたけれども、そういう趣旨ではなくて、いろいろな工夫をしていただきたい。しかし、一人一人の子供たちの力に応じたしっかりした指導をやっていくという意味で習熟度別学習というのが大事だということにおいて、そういう意味であるということを申したいと思います。
○林紀子君 改めて御答弁いただきまして分かりました。習熟度別授業というのが、一律に押し付けるものではない、いろいろな工夫を、それこそ現場の先生たちがやっているようなところを励ましていくということだというふうに受け取りました。 それでは次に、少人数指導のための加配に関連してお聞きしたいと思います。 週五日制で土曜日は休みになったわけですけれども、しかし少人数加配を受けるためにということでこれまで以上に授業時間が増えている先生が出ている、そういうことなんですね。 今お手元に表をお配りいたしましたけれども、これを見ていただくとよく分かると思うんですけれども、具体的にはこれは埼玉県のある学校、五年一組の担当の先生の時間割表なんですが、昨年の平成十三年度では、上の表ですけれども、太枠に囲まれている音楽、理科、理科、理科、ここのところは専科の先生が担当してくれていたので、それ以外の授業を受け持って一週間で二十六時間だった。平成十四年度、今年度になりまして学校週五日制が始まったわけですけれども、今度は、今まで先生の、この先生の空いていた音楽、理科、理科、理科、そこはなくなりまして、TTに入ることになったということで、火曜日、水曜日、木曜日、金曜日とTTの時間、たくさん入っているわけですね。そうしますと、今度は担当の授業時間数は全部で二十八時間になったと、こういう例なわけなんですね。 そこでちょっとお伺いしたいんですけれども、今公立の小学校教諭の持ち時間数というのは平均何時間ということになっておりますでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 今年度の教諭の授業の持ち時間数の実態は把握していないわけでございますけれども、今年度から、先ほどお話がございましたように、完全学校五日制及び新しい学習指導要領に基づきます授業時数が減少いたしますことによりまして、標準法に基づいて配当される教員定数を基にして算定された持ち時間で見ますると、例えば十二学級の学校で見ますと、標準法では教員数が十四人配当されるわけでございますが、その十四人の標準的な小学校では、少人数指導等による持ち時間数の増がない場合にはということを前提にいたしますけれども、教員一人当たりの週持ち時間数は、道徳や特別活動、道徳と特別活動を含めまして、現在の、つまり、失礼しました、前の指導要領の下でのことでございますけれども、道徳と特別活動を含めますと二十三・七時間あったわけでございますが、これが今年度からですと、今申し上げましたように少人数指導による持ち時間数が増えないという前提で見ますると、一・七時間減りまして二十二時間になるだろうというふうに想定されるところでございます。
○林紀子君 済みません。今というふうにお聞きしたので厳密にお答えくださったんだと思うんですけれども、直近の平成十年度の学校教員統計調査報告書というものを見ますと、二十一・七時間というふうに今私も拝見いたしましたが、局長のお話では今は二十二時間ぐらいになるだろうということですね。それと比べましても、前年度の平成十三年度でも、この五年一組の先生は二十六時間だったわけですから随分多いわけですね。今度は、今年度は更にそれが二十八時間ということになって更に増えている。これは非常に平均から比べても多い先生ではあるとは思うんですけれども。 そこで、文科省の方にお聞きしたいんですけれども、少人数指導の加配を受けるためには、教員一人当たりの授業時間数は今までよりも増やさなければならないというような指導というのを各県になさっているんでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) そのことにつきましては一度衆議院の方でも御質問がございまして、私どもが今年度の各県の計画を聴取いたしますときに、その質問表の作り方の中に、言わば加配の、少人数による加配を受けるためには、現在の持ち時間よりも増やさなきゃならないというような、そういうふうに誤解を受けるようなそういう質問表になっていたものでございますから、それは指摘を受けまして、そうではないということを改めて全国の教育委員会に御説明申し上げたわけでございまして、要は、加配を受ける条件として、現在よりも持ち時間数を増やさなきゃならないという条件にはなっておりません。
○林紀子君 増やさなければいけないということにはなっていないということなんですけれども、今お示しをいたしましたこの埼玉県の例では、既に現実に二時間増えているわけですね。そして、少人数加配の先生が来て、ここではTTという形でやっているということだと思うんです。 しかし、先生たちにこれまで以上に授業を詰め込んで本当に質の高い授業ができるのかどうか。今これ大変混乱をしているわけですけれども、次々といろいろなところからいろいろな声が上がっておりまして、全部は到底御紹介し切れませんけれども、現実にこういう二時間増えているこの埼玉県ですけれども、ほかの先生ですけれども、今年は物すごい現場になっている、少人数指導の担当になり、週これでは二十七時間の持ち時間数になった。一年生三クラスに少人数指導で入っているが、子供の名前を覚えられない。担任であれば分からないところを休み時間に見てあげられるけれども、ごめんねと言って次のクラスに行かなければ次のクラスが遅れてしまう。子供と仲良くなって、子供も先生を好きになって学習が成立するのに、そうした土台づくりができない。少人数学級にした方がもっと効果が上がるとこの先生はおっしゃっているわけですし、また広島県でもお話を聞きましたけれども、国語科を担任している、これは中学一年生を受け持っている先生ですけれども、三クラスの学年主任で担任でもあると。そして、三クラスを四展開の授業ということにしているんだけれども、国語の授業は同時一斉展開なので自分のクラスにしか授業が出られない。それも、クラスの四分の三の子供しか授業を教えられない。保護者からも不公平だと心配の声が上がっている。この先生は十八時間授業を受け持っている。運営委員会などの定例会議もあり、他学年の授業準備、教材研究は一体いつできるのでしょうか。学年主任という立場にあり、生徒指導も大変な状況が想定できますというふうに声が上がってきているわけですね。こういう声に耳を傾けない、そういう状況では教育というのは進まないんじゃないかと思うわけですね。 先ほど矢野局長は、受取方が間違っていたというか、各県に通知を出したものが、それが誤ってというんでしょうか、誤った通知を出したので誤って受け取られたのか、その辺はよく分からないんですけれども、そういうことで訂正をしたというふうにおっしゃいましたよね。各県に対して、昨年度と比べて持ち時間を増やすという趣旨ではないというふうに訂正をなさったんですね。それはいかがですか。
○政府参考人(矢野重典君) 今年度の授業計画を調査いたします質問表、計画表の設計の中に今申し上げたように持ち時間数を増やさないと新たな定数を受けられないよというふうに誤解されるようなそういう設計の項目があったものでございますから、この計画の趣旨はそういうことではないということを改めて説明したわけでございまして、質問表、質問表というか、計画自体を訂正するということではなくて、これはそういう趣旨ではないというふうなことを改めてきちんと説明したわけでございます。
○林紀子君 説明をしたとおっしゃいますけれども、それはきちんと文書で出してくださったんですか。
○政府参考人(矢野重典君) 会議を招集いたしまして、会議の席におきまして口頭で説明をいたしましたが、その際に、更に念のためにということで、口頭で説明したメモを念のために各関係者に資料としてお渡しをいたしてございます。
○林紀子君 何だか資料などと大変ややこしくしているわけですが、それをきちんと出していただくのが一番いいんじゃないかと思うんですね。 といいますのは、昨年度に比べて持ち時間を増やすものじゃないというふうに口頭でメモを含めて説明をしたと。しかし、その後でまだ依然としてこの埼玉の例のように二時間増やされているんですよ。二十六時間だったものが二十八時間になっているわけですから。これは埼玉だけじゃないんです。全国で、だから大変だと、もう時間割が組めないという、本当に悲鳴のような声が上がっているわけなんですからね。ここのところをもう一度きちんと全国的にどうなっているかというのを、誤解を生むような文書を出しちゃったわけですから、きちんと文部科学省の方がまず実態を調べて、そして、これはもう増やさなくていいんですよ、昨年より増やさなくていいんですよということを懇切丁寧に、分かるような文書でもってきちんと通知をしていただくということが非常に今大事じゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 私ども、先ほど経緯を申し上げましたけれども、その趣旨を会議を開き説明をし、そして念のためにその説明の内容をメモという形で各都道府県にきちんとお渡ししたわけでございまして、私どもの理解としては、この私どもの趣旨が全都道府県に正確に受け止められているというふうに理解をいたしておりますけれども、委員があえておっしゃるものでございますから、私どもとしては念のためにその辺のところはチェックいたします。
○林紀子君 新学習指導要領になって、五日制になって、総合学習の時間もできてと、それだけでも大変なのに、そういうような誤解を生むようなものが出回ったために更に大混乱をしているという状況なので、じゃ、是非そのことはきちんと調べて、そしてもう一度今おっしゃったような対策を取っていただきたいということを本当にお願いいたします。これは、本当に先生が大変だということは、結局子供たちも大変なわけですよね。そういうことで、そのことはくれぐれもお願いしたいと思います。 そして、更に問題なのは、持ち時間を昨年度より増やさないというところまではいいんですけれども、じゃ、その後に続くのは、少人数授業のための加配計画は同時に昨年度より減らさないと、そういうことも意味しているんじゃないですか。またまたそこが大変なところなんですよね。週五日になって土曜日分の授業というのはなくなったわけですけれども、しかし、教師の週当たりの授業時数は減らさないということを前提に少人数指導を行おうとしている。 考えてみましたら、今までの土曜日分の二時間というふうに計算をしているようですけれども、その二時間分を五日間の授業の中で全部やりなさい、使いなさいというわけですから、一週五日間の授業数というのは今までより過密になるのは当たり前ですね。隔週六日でやっていたものを五日間の中で全部やってしまいなさい、授業時間それだけ持ちなさいということになるから、授業時間は過密になるのは当たり前なんですよ。 だけれども、増やさないということを強調していただくのは結構なんですが、減らさないということまで言うというのが、これまたもう一つこの混乱に拍車を掛けているということではないかというふうに思うわけなんですが、その辺はいかがですか。
○政府参考人(矢野重典君) 昨年新しい定数改善計画をスタートいたしましたが、その新しい定数改善計画を標準法の改正という形で国会に御提案し御審議を煩わしたわけでございますけれども、その際に、新しい定数改善計画の基本的な考え方としては、大変財政の厳しい中で五か年で二万六千九百人の定数増を図るということをお願いしたわけでございますが、その前提として、私どもは、完全学校週五日制になっても教員の一人当たりの持ち時間数は減らさないということを前提にして、それだけきちんと頑張ります、だから、これだけの大変な財政負担を伴うものでございますけれども是非国民の御理解をいただきたいという形で標準法の改正を提案し、またそれに新しい定数改善計画を盛り込んだことを御提案し、御理解を賜るべく御説明申し上げたわけでございます。 そういう意味で、教員も学校五日制になったわけでございますけれども、週二時間減をそのままほかの時間というんでしょうか、言わば何もしない時間ということに使うのではなくて、持ち時間としては現行どおり、現在どおりそれを維持しながら、なお引き続き少人数指導等のきめ細かな指導に尽力をしていただくということが必要であるわけでございまして、そのことはやはり社会的にも、教育界を離れた社会的にもそれくらいのことはやはり教員に求められるものだということで、私どもはその責任を果たすべく、こういう今申し上げたような基本的な考え方をベースに計画を作ったということでございますので、そのことについては是非御理解をいただきたく思います。
○林紀子君 そこがやっぱり現場の実態と違っているところなんじゃないかと思うんです。 というのは、今、局長それこそ、私揚げ足取るつもりはないんですけれども、何もしない時間ということではなくとおっしゃったわけですね、その空いている時間のところを。しかし、以前に比べましても、先ほども申し上げましたけれども、総合学習の時間もある、選択授業もある、教師に求められている授業の内容というのも本当に多岐にわたっているわけです。生活面でも、以前と比べましても不登校とか勉強嫌いとか落ち着かない子供というのが多くなっているわけです。 ですから、こういう状況の中で、授業だけに全部全力投球、自分たちの持っている時間を全部そこに投入しちゃうということがもうできない状況になっているんではないですか。こういうことに対処していく、今申し上げたようなことに対処していく、そういう時間も前よりずっと必要になっているんだと思うんです。校務分掌もあるし、ホームルームや給食などの生活指導の時間もあるし、授業のための教材研究や、また少人数学級、TTになれば余計に打合せの時間というのも必要なわけですね、協力をしながらやらなくちゃいけないわけですから。そういうふうに考えますと、一週間の時間の中に何もしない時間じゃない空き時間というのがどうしても必要なんだというふうに思うんです。 お聞きしたいんですけれども、文部科学省は、じゃ授業を準備するための時間、いろいろありますけれども、それ一つだけ取ってみてもどれくらいの時間が必要か、例えば一時間の授業、四十五分一こまの授業をするためにどれくらいの準備時間が必要というふうにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 教員が授業を行う際にどれくらいの準備を必要とするかということについてのお尋ねでございますが、担当する教科の内容などによって違いがあると思われるわけでございますが、一つの参考になりますのは、昭和三十三年のいわゆる標準法制定当時における教職員定数を算定するに当たりまして、一時間の授業につきましては一時間程度は授業の準備が必要ではないかというふうに考えていたところでございまして、それをベースに昭和三十三年の標準法制定当時の教職員定数を算定したという経緯がございますが、その考え方につきましては、少なくとも教職員定数を積算する場合においては、現在においてもこれくらいな時間が必要ではないかというふうに考えております。
○林紀子君 一時間につき一時間というふうにおっしゃったわけですね。三十三年当時のことをお話しになりましたが、私もずっと過去を振り返ってみましたら、一九七八年、昭和五十三年の参議院の文教委員会ですね、その当時は、そのときでも、当時の諸澤初等中等局長が今と同じように一時間に一時間は必要だろうというふうにおっしゃっているわけですから、これは通念上、大体常識的な線なのかなというふうに思うわけですね。 そうしますと、先ほど御提示いたしました二十六時間とか、今年度になって二十八時間とか、そういう先生というのはどうなるんですか。一時間に一時間、授業のための準備だけでもそんな時間だったらはみ出してしまうじゃないですか。二十六時間の場合だって二倍にしたら五十二時間ですね。五十二時間とか五十四時間なんですよね。そういうことになったら、もう先生は残業といいますか、はみ出して準備するのが当たり前、うちに帰って準備するのが当たり前、そんな話になってしまうわけですから、先ほどおっしゃった二十一・七時間というそれだって多いわけですから、そこのところをもっと減らしていくということを考えなければいけないというふうに思うわけです。 ですから、先ほど、少人数授業ということをやるために、TTをやるために隔週六日のときに持っていた時間というのは減らさないというのが、それこそ世間一般から見ても当然だみたいなことを局長はおっしゃいましたけれども、絶対そうじゃないということが今の御答弁からも明らかではないかというふうに思っております。 そして次に、時間がなくなりましたので、学校間兼務のことについてお伺いしたいと思います。 この学校間兼務というのも、今までもいろいろお話がありましたが、なかなか大変なわけですね。ここでは、例えば学校間兼務、既にもう行っている自治体があるんですけれども、一、二時間目が兼務授業だと本務校の朝礼には欠席になってしまう、三、四時間目に兼務授業に行ったらお昼に戻るのが、昼食に戻るのが一仕事だ、五、六時間目が兼務になったら、担任の場合ホームルームや部活には間に合わない、朝の部分で兼務をしても昼の部分で兼務をしても午後の部で兼務をしても、みんな支障が出てくるという状況なんですね。 お聞きしたいんですが、これは大臣にお聞きをしたいと思いますけれども、本会議でも申し上げましたけれども、中学校三年生の担任さえも兼務に駆り出されているという状況が既に兼務を行っている都市ではあるということを御紹介をいたしました。担任が学校にいないと、子供は相談しようと思ったときにその相談ができない、ましてや進路進学の悩みを持つ中学三年生などということになったらなおさら大変なわけですね。 ですから、この兼務について何か配慮が要るんじゃないか、担保が必要なんじゃないかということは何人もの同僚委員からお話がありましたけれども、せめて担任というのは兼務には出さないと、そういうことぐらいきちんとしておく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子君) 確かに、学級担任というのはなかなか大事な役割を持っているものでございます。小学校におきましては、学級におきますすべての教科、それから道徳の指導、生徒指導、学級経営などをするわけでございますし、中学校においては、道徳、特別活動の指導、生徒指導、学級経営を行うわけでございます。 今、中学校のお話でございましたけれども、一般に、教員を他の学校に行ってもらって兼務をさせるというような場合には、過度の負担とならないようにするというのは当然の配慮だと思います。特にクラス担任は、そのクラスの子供たちの指導に支障が生じることのないように十分配慮する必要があるわけでございまして、そういう兼務を認める、あるいは兼務についてお願いするというような場合には、そういう面も十分配慮してもらえればいいと思います。 ただ、学級担任といっても、クラスのサイズでありますとかあるいはその人の能力などを総合的に勘案いたしますと、学級担任はすべて駄目というようなことを全国一律に我が方で申し上げるようなことではなくて、兼務を決める場合には、それぞれの地域の実情あるいは学級経営の在り方などを勘案してなされるべきだと考えております。しかし、確かに十分そうした面を配慮をして兼務については実施してもらうべきだと考えております。
○林紀子君 一律には言えないけれども、担任というのはやっぱり配慮の一つの大きな指標になるということだと思いますけれども。 それからもう一つですけれども、これも本会議で大臣がお答えくださったんですけれども、中学校や高等学校の教員を小学校の専科担任に任用するときは、各教育委員会において、当該教員の小学校で教える適性あるいは専門性等について個々に十分判断した上で任用することが必要だというふうにおっしゃったと思います。 そうしますと、これは当然な話なんですけれども、本人の希望についてというのも、この個々に十分判断するという、適性ということも含めまして考慮をするということになると思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子君) 制度上で申しますと、公立学校の教員というのは地方公務員でございまして、転任とか兼務などの人事につきましては、任命権者が、適正な人事配置等の観点から、その権限と責任に基づいて行うというものでございます。 しかしながら、学校種を異にする人事異動の場合には、一般的には通常の人事異動以上に配慮が必要だと思うわけでございまして、校長による面接あるいは身上調書の提出などを通じて教員の希望などが参考、あくまでも参考ではございますが、聞くということは大切ではないかと思うわけでございます。 学校間兼務の場合にも、通例は転任、兼任両方あるわけでございますが、これらの場合におきましても、通常の人事異動以上に本人の希望が参考にされていくべきものと考えております。
○林紀子君 最後に、もう時間なくなりましたが、一言。 少人数授業の問題について今までお話をいろいろしてまいりましたけれども、少人数で授業をするということはもちろん私たちもいいことだと思うんですけれども、もっといいのは、やはり生活集団全体を見る少人数学級なんじゃないかと思うんですね。 これは、埼玉県の志木市に行ってもお話を聞いてまいりましたけれども、二十五人学級を取り組んで、全体を把握しやすくなった、一人一人に目が行き届くようになった、つまずいている子を発見できるようになった、一人一人に声を掛ける回数が増え児童が理解しやすくなった。いろいろ利点を挙げているわけですけれども、その結論として、志木市の教育委員会では、学習指導上の小グループ分けよりも生活集団そのものの少人数学級体制の方が有効である、教育にとって有効であるというふうに言っているわけなんですね。 ですから、今後本当にもっときちんと予算も付けて少人数学級の体制、もう既にやっているところに文部科学省も大いに学んでいただいて、そちらの方向に大きく足を踏み出していただきたいと、このことを申し上げまして、私の質問を終わります。
○山本正和君 午前中来、すばらしい有村先生に始まった女性の先生方の質問を聞いておりまして、大変勉強させていただきました。最後は男性でありますが、男性といってもちょっと七十五歳になる年でございますので、その辺は御理解のほどをいただきたいと思います。 今日は、本題に入る前に、実は、前々回だったと思うんですけれども、大学教育の問題に絡みまして質問したこと、最初にちょっと四、五分だけ文部省の見解を伺いたいと思います。 大学教育の中で特に今医療が大変複雑また多様化、更にはもっと新しい病気なんかが出まして難しくなってきておりますが、医療過誤の問題、それからまた薬の問題、大変な状況にあります。そんなことで、この前は薬の専門家養成、薬学教育のことがちょっとこのままでいいんかというような話を質問したことがございました。その後、そうしたら、文部省も加わった様々な懇談会があるんですけれども、そういうふうな議論も経まして、そして日本薬学会が薬学教育モデルカリキュラムというものができたと。それも私も見せてもらったんですけれども、なるほどこんなにたくさん勉強せぬといかぬのかと、こう思いましたし、私自身が一九四九年の国家試験を受けた当時を思い起こしまして、随分大変な時代になったなと思ったんですが。 そういう意味でいくと、諸外国が既に五年制若しくは六年制、修士課程ぐらいまでのところまで、薬剤師の資格を与えるについての基礎学歴も含めたことがどんどん進んでいくと。そうすると、我が国も今のように四年制のままで果たしてこれだけ進んでいく医療の問題に対応できるんだろうかというようなことも思ったりいたしまして、今日はそういう意味で、そうしたら文部省の方も、実はそういう様々な団体と関係なしに教育という観点から主体的に様々な議論をしておられると、またこれについては特にコアカリキュラムが必要じゃないかというような観点から議論しておられるように聞いたものですから、その辺の展望を、そしてできましたら、四年制のままではいかぬのではないかということについてはおおむね文部省の方でも御議論していただいているようですけれども、ひとつこれは今後私の気持ちとしてはしっかり取り組んでいただきたいというようなことを思うんですけれども、その辺についての見解を最初に、わざわざ教育局長、高等局長、忙しいところを来てもらいましたので、御返答を賜りたいと思います。
○政府参考人(工藤智規君) 薬学教育、薬剤師養成の件につきましては、かねがね山本先生からも御心配をお掛けし、御指導を賜っているところでございますが、私どもの省のほかに厚生労働省、それから大学関係者、薬剤師等の関係者、相集いまして、かねがねいろいろな検討をしているところでございます。 大方の方向としましては、社会的なニーズを受け、かつ薬剤師になられる方の資質の向上のために現状を更に改善する必要があるのではないかという方向ではあるのでございますが、欧米の養成体制と比較いたしましても一層の充実が課題となっているわけでございます。 ただ、問題は、ただ年限を延長すれば済むという話じゃございませんで、先ほど御指摘ございました日本薬学会の方からのカリキュラムの案などの御提案などもございましたが、それを見ますと、それを全部やりますと六年、七年でも済まないぐらいたくさんのカリキュラムが網羅してございまして、これからの薬剤師養成あるいは薬学教育の充実の方向として幾つか大事な点だけ申し上げますと、一つはカリキュラムがどうあるべきなのか。日本薬学会の御提案もあるわけでございますけれども、ミニマムエッセンシャルとしてどこをどう押さえて、あと選択など幅広い資質のためにどういうカリキュラムを用意すればいいのかなどを含めまして、カリキュラムの精選、体系化といいますか、コアカリキュラムといいますか、そういう方向での御検討を今大学の関係者など御一緒になりながら御検討を賜っているところでございます。 それからもう一つは、欧米の例にも、かねがね指摘いただいていますように、優れた薬剤師養成のために現場での実習教育というのが必須とされてございます。ただ、日本の現状を見ますと、国公私の大学で一月の実習というのが精一杯でございまして、しかもそれもすべての大学が必ずしもやり切れていない。先生御承知のようなイギリスとかアメリカの実習体制は大体、年限はもう少し日本より多いのでございますけれども、一年ぐらいの実習体制でございます。そうしますと、薬学生が現場においでになる病院や薬局などでの受入れ体制をどう整備するかというのが課題でございまして、そこは関係方面の方々の御理解と御協力も必要とされているところでございます。 それから、それに関連しましてもう一つは、現在、薬剤師法では薬剤師以外の方々は調剤をすることに制限がございます。病院、薬局などで実習に参りましても単なるお邪魔虫ということでは受皿もなかなか整備されないわけでございまして、実際、現場でのお手伝いをしながら、かつ現場に余り御負担掛けない形で実習教育ができる体制づくりというのも必要とされてございます。 それやこれやのいろいろな課題について、関係方面それぞれ力を合わせて、問題解決をどうすればできるのか検討していこうじゃないかというのが今の状況でございます。 そういう中で、じゃこれからの方向としてでございますが、更に充実が必要であろうというのが大方の方向なのでございますけれども、充実の方向としましても、今の四年の学部教育を六年制にするというのは一つの案ではございますが、それだけではございませんで、今薬学部卒業者の進路というのも多様でございまして、必ずしも薬剤師になられる方ばかりではない現実がございます。そうしますと、一律に六年制にするのがいいのかどうか、あるいは四年プラスの修士課程二年という道を講ずるのもあるのではないか。 さらには、私どもの関係の審議会で今御審議中でございますけれども、高度の専門職業人のためにいわゆるプロフェッショナルスクールといいますか、専門職大学院というのを新たに整備していこうじゃないかという御提案を今御審議いただいてございますが、その中で既にございますのは、例えばビジネススクールでございますとか、近々国会でも御審議を賜る予定にしてございますけれども、いわゆるロースクールをどう整備していくかという問題もありますし、医療関係では一部の大学関係者にも早い機会にメディカルスクールを整備すべきという検討も進められているところでございます。 そうしますと、単に四プラス二という形じゃなくて、先駆けて薬剤師としてのプロフェッションを充実するためにプロフェッショナルスクールとしての大学院レベルの高度の養成課程を整備するという選択肢もないわけじゃないなどを含めまして、いろいろな選択肢の可能性を更に関係の方々と御相談しながら、かつそのための条件整備といいますか、いろいろ指摘されております課題、問題点を一つずつ克服しながら条件整備を進めていく必要があろうかというふうな状況でございます。
○山本正和君 大変御苦労が多いかと思いますが、しかし今のお話聞いていますと、いろいろな角度から真剣な検討をしておられると、こういうことですので。 ただ、国際的に見て、四年というのはもうほとんどおらぬと、OECD加盟国の中でね。そういうふうな実態がありますので、文部省の責任で日本の薬学教育は世界に比して恥ずかしくないよという体制を作るために、ひとつ局長、先頭に立って頑張っていただきますように、これは要望にとどめておきたいと思います。 そこで、本題に戻りまして、本日の免許法の問題で質問をしてまいりたいと思うんですが、実はこの免許法というのは、先生に免許を与える、免許状を付与するということは一体どこがやっているんだろうと、こう見てみたら、アメリカは国じゃないんですよね、アメリカは。ところが、ヨーロッパはほとんど国が教員の免許を与えている。そして日本は、明治維新までは先生の免許状なんてなかったんですね。そして、いわゆる文部卿という制度ができて、それからいろいろ始まって、国家が責任を持って子供たちの教育に対して国挙げて取り組もうというふうになってきたという経過がある。 その中で一生懸命考えて作ったのが戦前の師範学校、高等師範学校の制度であって、それを卒業しなければ免状は渡さなかったんです。師範学校を卒業しなければ小学校あるいは高等小学校の訓導の資格は与えないんですよ。そして、中学校、女学校、いわゆる中等学校ですね、これは高等師範学校を卒業しなければ本来いけない。しかし、足りないから文部省が指定して、指定学校を卒業した者若しくは許可学校を卒業して検定を受けた者に対して免許状を与えたんですよ。というのは、教員というものの責任と、それからまたその重みというものを非常に重視した政策の中で、明治以来、我が国は先進国に追い付くために懸命な努力をしたわけです。 ですから、ちょっと今日は、ひょっとしたら皆さん笑うかもしれぬけれども、ちょっと持ってきたんですが、これね、昔の、例えば算数、私らのときは算術だったんですけれどもね、これは私よりももうちょっと若い人ですよ、六十七、八の人かな、もうちょっと上かな、ぐらいが習ったのが算数なんですね、小学校算数、これね。(資料を示す) ところが、皆さんできますか、これ、本当の話が。「内法デ、縦モ横モ四寸、深サ六寸ノ箱ノ中ニ、円柱形ノ缶ガチヤウドハイツテヰル。箱ト缶トノスキマノ体積ハ、箱ノ容積ノ約何%ニ当ルカ。」と。これをしかし子供に考えさせるんですよ、一生懸命。そうすると、考えさせるということのためにはどうしたらいいかということを先生が考えるんだ、今度は。 ですから、例えば教育心理だとか教育原理だとかいうのは、発達段階において子供にはどういう考え方が生まれるかということも勉強しなきゃいけない。ですから、師範学校というのは大変な教育を受けるんですよ。しかも、少なくともオルガンが弾けなきゃいけない。どんな音痴でもオルガンが弾けなきゃいけないんですよ、先生というのは。そういう中で教員の免許を与えてきたわけです。 中学校の教員といったら、もう大変ですよ、これ。私はここへちょっと持ってきたけれども、昔を思い出して、代数です。(資料を示す)これを知っておるのは有馬先生と仲道先生の二人ぐらいですね、代数。これは恐らく新制大学、新制の教育を受けた人はできませんよ、これ、義務教育でやっていたら。それぐらい難問奇問があるんだ、難問奇問ですよ。そういう教育をしておりますから、我々は、中学校の先生で恩師というのはもう偉い人だと思ったんです、とにかく。それは、陰であだ名付けたりわあっと言ったりしますよ。しかし、先生をばかにするなんというのは我々ようしなかった。 しかし、小学校でもそれじゃみんな訓導かというと、そうじゃないんですよ。例えば一番東京のど真ん中の永田町小学校の歴史を見てみると、訓導は半分しかいない。あとは代用教員ですよ。それで、訓導というのは、熟練した大工さんが日当一円五十銭です。そのときに四十五円もらったんです。今、熟練した大工さんは三万円は少なくてもあるんでございましょう。九十万円の、初任給ですよ、比較すればの話ですよ、実際は別にしてね。それぐらい先生というものを重んじたんです。先生になるのは大変だった。だから、正直言って、学校にお父さん、お母さん呼び付けられて、あなたのところの子供何しているんですかと、こういってしかられたら、済みません、先生といって親が謝った。今はもう反対ですよ。親が来てね、先生、あなた何しておると怒りおる。こんなばかなことで、本当は僕は一番心配しておるんですけれどもね。 そうしたら、免許状を云々というものだから、そうするとこれは先生の値打ちをもっと良くするんだろうと思って実は楽しみにしておったんですよ。そうしたら、何と、今度の免許法の改正で私が一番心配したのは、特別免許状というものを広げますと。今までは、特別免許状というのは、簡単に言いますと特別な技能、例えば英語のよくしゃべれる人に会話を教えてもらうとか、あるいは先ほど午前中に局長から御説明があった、社会的にいろいろなことを知っている人が進学指導するとか進路指導するとか、そういう非常に有用なところで使おうということで生まれたんだろうと私は思っているんです、元々はね。ところが、どうもこれ、法律を読んでみると、その先生たちが普通の先生と変わらぬように何でもやれる、学校の中で。校長にもなれるんですよ、これね、たしかこのままで行ったらね。それで、びっくりしたんですよ。 そうすると、教育心理とか教育原理とか、あるいは教育哲学、少なくとも学校の現場の教員になった者は、ほとんどは少なくともペスタロッチの、エミールぐらい読んでいると思うんですよ。ところが、それじゃ世の中の人は、それは教養で読む人いますよ。しかし、自分が教職として子供を教えなきゃいけない立場からそういうものを読むかと。教育哲学勉強しますかと。哲学なきところに教育ないんですよ、本当から言えば。 そういう中で、この特別免許状で、一体これはどういうふうになるんだろうかとちょっと心配したんですけれども、それはともかくとして、冒頭に実は副大臣と大臣から、教育の専門性と先生とは何かということについての御見解をまず承っておきたいと思うんですが、どうでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子君) かつての名教員でいらっしゃいましたと思います先生からの御質問でございまして、大変答えにくいんでございますけれども、私は、学校教育を担っている教員の使命というものは誠に重かつ大といいますか、それは、一つには教える内容についての専門性が十分確保されていなければならないのと同時に、特に義務教育諸学校段階の教員につきましては子供の人格形成にもかかわるということでございまして、もちろん高校もそうでございますが、私はその意味で非常に総合的な人間としての力というものも大事ではないかと思うわけでございます。 その意味で、専門性につきましては、これは長い日本の教員養成の歴史におきまして様々な工夫が重ねられて、教員養成大学、あるいは教員養成を主たる目的とする学部でありますとか、様々な制度が整えられて、そして、そこにおいてきちんとしたカリキュラムを修了した人たちを対象とする免許状が与えられてきたということで、私は、日本の教員の専門性の確保という面におきましては、それなりに内容のある教員を得るべく制度として確立してまいったと思っております。 ただ、今日では時代が非常に変化が激しゅうございまして、単に基礎的な知識、技術だけではなかなか今日の、これからの社会を生き抜く子供たちに基礎的な知識、技術さえ与えられないようにもなっておりますし、いろんな意味で、学校、大学におきます教員養成のためのカリキュラムを修了した人たちだけでは十分に今日の学校教育に要求される内容が教えられないというような場合もあるわけでございます。 そのような二つのことから専門性の更に深化、それからもう一つは幅広い経験ないし知見に基づく人間性豊かな教員の存在の必要性といったような総合的な角度から、単にこれは既存の免許状、免許を受けるための教育を受けた人たちだけではなくて、より広い角度から、しかしそれはもちろん内容の充実した人でなくてはいけないわけでございますけれども、そういう人をきちんと選び、そして任命権者において責任を持って選考した上で特別の免許状を与えていくという、こういう制度の活用も大変重要な時代になってまいってきているのではないかと思います。
○山本正和君 大臣は本当に戦争中のあの一番激しい中で教育を受けられておられますから、だから教育というものについてのお考え方もいろんな日本の苦難を越えてきた時代を顧みながら議論されると思うんですね。 しかし、私一番心配で仕方ないのは、いわゆるアメリカ式の合理主義と言ったらいいのか競争主義と言ったらいいのか、物すごい勢いで今流されてきている、特にテレビも含めて。そうすると、子供たちの間にはそういう大変なその渦の中で、じゃどこで学んだらいいの、どこで本当に人間形成したらいいのといえば、私は学校だろうと思うんですよ。そして、その学校で本当にきちんと子供たちと向き合えることのできるのが先生だろうと思うんですね。そうすると、その先生というものの値打ちを本当は文部省というのは高めるように高めるように、そしてそういうこの国を背負う教員が一番安心して相談できるのが文部省なんだと。また文部省は日本の国の未来を見据えながら、そんな、極端なことを言ったら、ほかの省庁よりは一つ次元の違う段階で国家像を考えているすばらしい省庁であってほしいと私は思うんですよね。そういうことからいって、この免許検定には問題があっても、これをやるについての思想というか、そういうものを持った格好での提案が是非あっていただきたいというふうに私は思うんですね。 そういう意味で、ちょっとこれは、私は、実はもう亡くなったんですけれども、小学校の担任の先生に、しまいには茨城県の田舎の教育長で亡くなったんですが、この人が、おまえ覚えているかといって言われて、小学校の。そうしたら、その小学校の教科書探したら、ないんですよね、残念なことに文部省にもね。私らのはないんだ。私らよりもちょっと後の連中の教科書はあるんですよ。初等科国語というんですけれどもね。これはひょっとしたら昭和五年ぐらいから生まれた人の後の教科書だ。 しかし、それでも私が習ったのと同じのがあって、そこへ、いろはにほへとの話が出てきた。だから、子供はみんな、いろはにほへとと言ったらみんな覚えていますよね。ちりぬるをわかよたれそつねならむうゐのおくやま何とか、んまで知っておるでしょう。それは、我々が小学校のときには、色はにほへど散りぬるを、わがよたれぞ常ならむというそういう言葉として、しかも釈迦が苦労して苦労して仏の道を悟ろうとしていく中で教わった言葉なんだと。釈迦が成仏するに当たって、一番しまいの有為の奥山まで行くわけなんです。そして、もう分からぬもので飛び込んで死のうとしたときに、今まで羅刹の顔をした人が救いに来て、そして釈迦はそれで命が救われてお釈迦様になったと、こういう話。小学校の六年の教科書にそれが出ているんです。 そのときに先生はどういうことを教えるかといったら、人生の話を、人生の、人間の話をするんですよ、人の話をね。そういうことがずっとあったんだ。先生というのは、そういうことができるのが先生なんです。そんなね、ちょっと世の中にとって都合がいいからこうやったら早う会話ができるなんて、そんなことじゃないんです、先生というのは、実際は。 だから、そういう意味で私は、そうかといってこの実は法案に賛成なものだから、賛成しようと思ったらどうしようと思って考えてみたのは、この特別免許状というのが、したがって、本来の教師の、教師になろうという人、いろんな話があります、今、先生、月給が安いとか忙しいとか。それでも私は言いますよ。教員になったら子供がかわいくて仕方ないんですよ。私は今でも、十六年前に国会議員になっちゃったけれども、今でも教え子が寄ってきて一杯飲もうとやるんだ。こんなすばらしい職業ないんですよ、先生というのは。ほとんどの教師は先生になりたいと思っていた。 日教組というのは大騒動したもので、しかられるけれども、あれでも日教組は本当はそんなおかしなイデオロギー論争をしようとして作ったんじゃないんですよ。戦争に負けたときに占領軍の命令で作ったんだ、あれ。その中でいろんなことありますよ。だけど私は思う、先生というのはそうなんだと。だからそういう立場に立ってひとつこの免許法の改定についても考えていただきたいんですけれども、特にお願いしたいのは、先生になろうと思って一生懸命やってなった者と世の中でいろいろやった人と、それで、その人も先生になってもいいですよ。なるのならば同じように教育心理だとか教育原理だとか教育哲学だとか、そういうものもきちんと勉強して、そうしたら同じように校長先生になってください。こんな特別免許状だけで、ちょっと器用だからといって担任してもらったり校長してもらったら私は困るんですよ。 そういうだから特別免許状を持った人の扱いはどうするんですか。要するに、先生にこれからなろうとする若い人たち、若い子供たち、また現場の教師を激励するような法律改正なら私は大賛成だけれども、その人たちが何かショックを受けて、おれたち学校でじっとおるやつは役に立たぬのかいな、でもしか先生か、だからよそから偉い人を連れてきて学ぶんかと。こんなことじゃ学校は私はもたぬと思うんですよ。その人たちはその人たちで立派ですよ。社会的体験もあって立派な教養もある。それでいいと思うんです。こんなこと言ったらおかしいけれども、例えば大学の教授に小学校の教員と同じように教えよと言ったって無理ですよ。しかし、無理だけれども、大学の教授というその中での経験というものは子供に自然に移るんですよ、つまらぬこと言わぬでも。それはすばらしいことだ。 しかし、ここに書いてあるこれは何ですか、これ。少なくとも今までは学士の称号を有する者と書いたやつが消えちゃった、これ。消しちゃった。そしてしかも、この特別免許状の本来の趣旨からいったらこういうものだというものが何か一緒になってしまっているというような感じがしてならないんですよね。それじゃ、今、正直言って忙しいけれども、うちへ持って帰って答案を一生懸命付けて、授業の準備して、朝早く行ってクラブ活動の世話して、汗まみれになって働いておる教師たくさんおるんですよ。そういう教師たちは一体どう思いますか、これで。おれは教師に生涯懸けるんだというような人たちの希望を持つような免許法の改正だということであってほしいんです。 だから、この免許法改正に当たっては、教師の専門性というものを何よりも大事にしますよ、さらに現場の教師に対する激励を強くしますよというような気持ちを持ってこの改正法が出たんだと、こういう観点を今日の場で大臣から明らかにしていただいたら大変みんな、現場が勇気付けられると思うが、どうでしょうか。
○副大臣(岸田文雄君) 先ほど大臣の方から教職の専門性につきまして総合的なものだというお話をさせていただきましたが、専門性というもの、教師としての使命感ですとかあるいは教育的な愛情を含めた人間性ですとか、あるいは教科に対する専門的な知識ですとか、さらには教育技術、そして先生が御指摘になられました幅広い教養、こんなものが総合して専門性というふうに、そういうもの全体を総合性ととらえなければいけないと認識しております。 こうしたものを維持するために、午前中の質疑の中でもお答えをさせていただきましたが、この教員免許制度というもの、大学における教員養成とそして開放性という二つの原則をしっかり守っていかなければいけないというふうに思っております。あくまでもこの特別免許状制度というのは一種の特例的な制度であるというふうに認識しております。 もっとも、特別免許状においても、あらかじめ学識経験者等から意見聴取が課せられておりますし、その必要な知識、技能、あるいは識見等につきましてもしっかりと審査するものでありますから、こうした特別免許制度においてもこうした先ほど申しましたような専門性は重要だと思っておりますが、やはり原則は、先ほど申しました大学における教員養成、開放制、こうした原則に基づくしっかりとした専門性を大切にしなければいけないという考え方には変わりはないというふうに思っております。
○山本正和君 その副大臣のおっしゃることも、確かにそういうふうな気持ちでお作りになったんだろうと思うんでよく分かるんですが、私が心配するのは、確かにそれは、商社にあって、それで外国にも行って英語がぺらぺらしゃべれる、あるいは外国生活もあるという人が英語を教えたら、なるほど中学校や高等学校の子供は、ああよく分かる、物すごくいいとなるかもしれないと思うんですよ。それを私は否定していないんですよ。 しかし、ここで私が心配するのは、全くこれはもう歯止めがないんですよ。要するにだれでもなれるんですよ、この法律だけ見たら、法律だけ見たらね。要するに、こういう人であってほしいというイメージがあるのかないのかというのが一つ。 それからもう一つあるのは、もしその人が、特別免許状を持っている人が教師になって、教員になってずっと教師を続けようとするのならば、少なくとも教育心理学や教育原理やそういうものは勉強してほしいと私は思うんです、哲学を。そういうものを取った挙げ句に何をやってもらってもいいと思うんですよ。それを、そんなこと何にも取らぬでいいようになっている、これを見たら。 その二つの問題が心配で、これを見てこれでいいのかなと思ったんだけれども、そこはいかがですか。
○政府参考人(矢野重典君) 少し実務的なことを私の方から申し上げたいと思います。 これは、正に御指摘のとおりでございまして、特別免許状によって採用された者は、教科指導の面では社会における実務経験を生かした、そういう従来の、従来というんでしょうか、一般の教員とは違ったある意味での魅力ある教育指導ということが期待できるわけでございますけれども、そうかといって、他の教員と同様に、直ちに教科指導以外の例えば学級担任でありますとか生徒指導を任せるかどうかということになりますと、そのキャリア等を考えますれば、その適性等について十分配慮しながら特別免許状を有する教員についての活用は考えなきゃならないと思うわけでございます。 その一方で、先生御指摘のように、この特別免許状を持って採用された教員につきましては、一般の教員が修得するような、例えば基礎的な科目である憲法を学んでいないとか、あるいは教職科目としての心理学を学んでいないとかというふうな、そういうことがあるわけでございますので、それにつきましては、私ども、これはかねてからの一つの方針でございますけれども、学校におけるそういう教員についての研修ということを促すということ、同時にまた、特別免許状を有する者について専修免許状の、大学院レベルの免許状でございます専修免許状の取得ということがあるわけでございますが、専修免許状を取得することを促すことを通じて一般の教員が修得している基礎的な科目あるいは教職の科目ということを修得するように、そういうふうな対応をこれまでもやってきておりますけれども、引き続きそういう方向での指導をしてまいりたいと思っております。
○国務大臣(遠山敦子君) 今のに更に補足いたしまして、これは何ら制限なく採用するということではございませんで、既に既存の法律の中にきちっと書かれているわけでございますけれども、特別免許状を授与する際にはいろいろな手続を経ることになっております。 社会人を任用又は雇用しようとする側から推薦を受けて、その推薦に基づいて都道府県の教育委員会が行います教育職員検定というものを受けるわけでございます。そこにおきましては、担当する教科の専門的な知識、技能、それから教員の職務を行うに必要な熱意と識見などを審査して授与するわけでございまして、その資質と専門性が担保されているわけでございます。ただ、これが余りにもリジッドに行われることによってほとんど活用されていないということで、今回、少し弾力化しようというわけでございます。 そして、都道府県教育委員会は、検定により合否の判断をするときは、あらかじめ学識経験者からの意見聴取が課せられているわけでございまして、その意味で、先生のおっしゃるような何のあれもなく、ただ経験があるというだけでこの特別免許状を授与するという考えではないということを付け加えさせていただきます。
○山本正和君 大臣も、それから文部省全体としても、教員になるのにそんないい加減な者がなったらいかぬというお気持ちは変わらぬと思うんですけれども、正直言いまして、これは田舎の話ですよ、田舎のとんでもない、ちょっと変わったところで考えてみてくださいね。おい、おれ、うちには金もあるし別に仕事せぬでも収入あるから、最後に先生でもしてひとつ子供たちと一緒にやってみたいよと。この人が仮に田舎の有力者であったとする。なかなか有力者ですから識見もあるかもしれない。その人が、おれ、教員になりたいからと、こう言ってきたと。そうしたら、これなれるんですよね、今のこのままでいけば。その人を排除できないんですよ、極端なことを言ったら。 だけれども、私はそういうことはないだろうと思う。ないように文部省は指導してくれるだろうと思うんです、そんなことはあり得ないように。それよりも、むしろ、ここでいう特別免許状を出すというのは例えばこういうことを予想していますというイメージだけでも文部省が示していただくということがなかったら、これは大変なことになるんじゃないかと思いますので。これは法律以降の問題だと思いますから、法律以降の問題として文部省としては十分に対応していただきたいというふうに思うんですね。 それから、あわせて、今度は、先生方にお配りしました、中島章夫さんという人のアメリカ出張報告というのをお配りいたしました。 これは、前の、昔の文部省の審議官、昔でもないけれども、そんな昔でもないけれども、十五、六年前ですかね、文部省の審議官。遠山大臣よりも先輩になるのかな、そうですよね。その人がアメリカへ行って、要するに先生というものについて、どういうふうな資格あるいは勉強、更には資質の向上をやるかということについて調査して書いてきてもらった文書なんです。今、桜美林大学の客員教授をしておられるんだけれども、一生懸命ですよ、この人。中曽根大臣のときにはまだおったかな。 この人がいろいろ言っているんですけれども、カリフォルニアというところは特にアメリカでは州としてもほかの州よりは教育熱心ですよ。学校、例えばもう中学校は、教員はほとんどみんなマスターです。修士でなければ中学校の教員になれぬぐらいにね。また、アメリカ全体としても、今、大体マスターでなければ教師になれぬというような状況になりつつあるんですね。どんどん変わっているわけです。 要するに、教員の資質を高めなければこの国は駄目になるということを、これはだれだったかな、あれは。今の大統領、クリントンが言ったんですか、ブッシュが言ったんですかな。言って、教育を再興と。小泉さんも教育改革と言ったけれども、そんな、教員を修士にせいなんて言わぬですよね。アメリカはもうみんなで、先生というのは少なくとも修士ぐらいにしたらどうだというぐらいに議論が始まっておるんです。要するに、自分たちの子供を教える先生が立派にならなけりゃ駄目なんですよね、世の中、この国は。自分たちの国を支える子供たちのための教師というものをもっと資質を高めよう、国全体で力を持ってやっていこうじゃないかというのが流れだろうと思うんです。そういう意味でこれは先生方にお配りしたんですけれども。 だから、私が思うのは、文部省はもっと本当に自信を持って、二十一世紀を背負う省庁は文部省なんだというあれを持って、ひとつ大胆な教育改革と言ったらおかしいけれども、それをあちらこちらから聞くんじゃなしに、文部省の、私は、役所で頑張っている若い職員の皆さん、すてきなのがたくさんおると思うんですよ。こんなのを作る人もおるんだけれども、もっと現職も、今は一番すばらしいスタッフですよね。文部省で一番苦労した人が大臣になって、先輩の大臣がここ文教委員会に二人もおられるんですから。こんないい環境ないんだから、それは教員の資質向上ということについて、あっ、ここにもおる、三人おるんです。だから、それは何とかひとつ頑張っていただいて、この免許法改定に伴って教員の資質向上ということを省内でがちっと決めて、そしてこの委員会でそれはフリー討論でもいいから、フリートーキングでもいいからどんどん説明していただいて、そして、それこそ二十一世紀の日本を支えるプロジェクトということでもいいですから、頑張っていただきたいというふうに私は思うんですが、いかがでしょうか。 最後に御感想を聞かせていただいて、終わりたいと思いますが。
○国務大臣(遠山敦子君) 御激励をいただきまして、ありがとうございます。 私はいつも省員に語るときにはこういうことを言っているんでございますけれども、我が省の担当するのは、教育のみならず、科学技術、文化、スポーツ、いずれにしても国民が未来に希望を持とうとすればすべて我が省にかかわるものでございます。幸いにして私どもはそういう非常にいい仕事を与えられているので、ここで心して、これからの新しい世紀を担う子供たちのため、また国民のために頑張ろうということで言っているわけでございますが、教育は人なりと、何といいますか、スローガンのように言っているだけではなくて、先生の御注意というものを十分にかみしめながら、今後、また力を尽くしてまいりたいと思います。 ありがとうございます。
○委員長(橋本聖子君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○畑野君枝君 私は、日本共産党を代表して、教育職員免許法の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。 反対の理由は、第一に、派遣先の免許状を持たないまま、中学・高校教員を小学校などへ派遣するなど、教職の専門性の原則を大きく崩すからです。学校教育においては、教師の果たすべき役割が決定的です。教師には、教科についての高い専門性と、子供、青年の発達についての専門的知識が不可欠です。これをすべての教員に求めているのが現在の教育職員免許制度です。今回の法改正は、この原則を崩すものです。 第二に、そのような中学・高校教員の小学校などへの出向は、複数の学校を兼任することを可能とすることによって、教員に過重な負担を押し付けるとともに、子供たちの教育も困難にするからです。命縮める出向授業、専科教師にレンタル制などの批判が上がっています。先生に相談したいとき学校に先生がいない、ホームルームの時間なのに担任の先生がいないなど、安易な学校間兼務は、先生たちの負担が増えるだけでなく、学級経営も困難にします。とりわけ子供たちへの悪影響が危惧されます。 第三に、今回の法改正は、学力差を固定しかねない習熟度別授業を、他校種の教員の力をかりて行うことに道を開くからです。できぬ者はできぬままで結構という言葉どおりの教育となれば、教育基本法の言う「人格の完成」どころか、その破壊につながります。そうした習熟度別学習を常態化させれば、人間同士が協力し合い人間性をはぐくむという教育の大切な営みが破壊されます。 今やるべきことは、極端に門戸が閉ざされている新卒者を大量に採用して、専科教員の充実、少人数授業、少人数学級のための十分な人員配置をすべきであり、国の責任で三十人以下学級の実現に踏み出すことです。 第四に、特別免許状の要件緩和を進めて社会人教員を拡大し、教職の専門性を大きく崩すことや、免許状取上げの範囲を拡大し、教職員への管理統制を強化するものだからです。 以上、この法案は、教職の専門性を軽視し、教育の場における管理統制につながるものであり、法案に反対することを述べて、私の討論といたします。
○委員長(橋本聖子君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 教育職員免許法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(橋本聖子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、小林元君から発言を求められておりますので、これを許します。小林元君。
○小林元君 私は、ただいま可決されました教育職員免許法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党及び国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 教育職員免許法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府及び関係者は、教員の資質の保持と向上を目的とする教員免許制度の重要性にかんがみ、次の事項について特段の配慮をすべきである。 一、特別免許状制度の活用促進に当たっては、大学における教員養成の原則を堅持して適切に運用すること。 二、免許状の失効及び取上げの措置については、不利益処分の重大性にかんがみ、公平・公正を確保するよう、厳格な適用を行うこと。 三、学校種間の連携・接続の改善に当たっては、そのための条件整備に一層努めること。 四、教員免許状の総合化については、今後の学校教育の役割、教職の専門性の向上等の観点を踏まえ、中長期的な展望をもって検討を進めること。 五、特殊教育諸学校における教員の当該校種免許状の保有率が低い現状を踏まえ、免許状の円滑な取得のための環境整備等により、その保有率の向上に努めること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いします。
○委員長(橋本聖子君) ただいま小林君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(橋本聖子君) 多数と認めます。よって、小林君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、遠山文部科学大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。遠山文部科学大臣。
○国務大臣(遠山敦子君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。 ありがとうございました。
○委員長(橋本聖子君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(橋本聖子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十八分散会