総務委員会 第3号
- 発言数
- 83 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2002/03/15
会議録
○委員長(田村公平君) ただいまから総務委員会を開会いたします。 地方自治法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 本日は、本法律案の審査に関し、参考人の方々から御意見を賜ることといたしております。 参考人の方々を御紹介いたします。 松江市長・島根県市長会会長松浦正敬君、弁護士・行政監視のあり方に関する研究会委員石津廣司君、日本弁護士連合会副会長高橋勲君、日本自治体労働組合総連合中央執行委員・政策運動局長田中章史君、以上の方々でございます。 この際、参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多忙中のところ、当委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。 皆様から忌憚のない御意見を承り、本案の審査に反映させてまいりたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。 本日の議事の進め方でございますが、まず参考人の皆様からそれぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。 なお、参考人の皆様及び質疑者の発言は着席のままで結構でございます。 それでは、最初に松浦参考人からお願いをいたします。松浦参考人。
○参考人(松浦正敬君) 松江市長の松浦でございます。 本日は、このような機会を設けていただきましたことを本当に厚く御礼申し上げたいと思います。地方自治法等の一部を改正する法律案に賛成の立場から意見陳述をさせていただきたいと存じます。 今回の法改正は、地方公共団体の首長や職員の個人責任に関する制度の基本は維持しつつ、分権時代にふさわしい住民監視制度の整備を図ろうとしているものと思います。改正事項のうち、私からは住民訴訟制度の見直しについて申し上げます。 住民訴訟制度の在り方は、首長や職員にとりまして直接のかかわりがある問題ではありますが、そのこととは別に、いわゆる四号訴訟を地方公共団体の機関を被告として損害賠償請求をするよう求める形に改めるという今回の改正は、地方公共団体の自律的責任の明確化と説明責任の強化という点で意味があると思われます。 現在、四号訴訟で争われている事例の多くは、団体としての政策判断や業務執行の是非が問われているものであり、本来の当事者は首長等の個人ではなく、地方公共団体そのものではないかと思われます。 ここで、全国市長会で都市における訴訟の状況を調査しておりますので、その中から四号訴訟関係の具体例を何件か紹介させていただきます。 清掃工場の建設は過大なごみ発生量の予測に基づくものであり不要な支出であるとして、工場建設に要した費用について市長に損害賠償を求めるもの。震災対策用貯水池を設ける必要はなく、そのために取得した土地は不必要な土地であり、その取得のために要した費用について市長等に損害賠償を求めるもの。市の財政状況が悪化し福祉関連費を大幅に削減したにもかかわらず、市民が必要としていない遊歩道を建設したとして市長に損害賠償を求めるもの。市民団体が主催する熱気球大会に対して行った補助金支出について公益性のない支出であるとして市長等に損害賠償を求めるもの。食肉センター設置に伴って漁業協同組合に漁業補償を行ったことは違法な支出であるとして市長に損害賠償を求めるものなどでありますが、このほかにも、第三セクターの処理、大学の誘致等々いろいろなケースが争われております。 これらは、議会の議決や審議会等での審議、行政内部での意思決定手続等、地方公共団体としての所定の手続を経た上で実施されております。したがって、これらの是非が争われた場合は、むしろ当該地方公共団体の執行機関として住民に対し考え方や経緯を積極的に明らかにする必要があります。言わば説明責任を果たす必要があります。 現実の審理の過程を考えましても、問題とされる政策決定等に関する文書や資料は当該地方公共団体の公文書であり、個人として所有している証拠や資料はありません。したがって、その廃棄物処理施設や道路の整備あるいは補助金の支出などを行うに至った経緯やその必要性に関する資料は、当該地方公共団体の執行機関が当事者として提出する方が審理を行う上での証拠や資料がより豊富となり、裁判官が事実に基づき的確に判断しやすくなると思います。 また、住民訴訟の結果は、例えば廃棄物処理施設の整備はこれからどうするのかなど、長や職員の個人の問題であるにとどまらず、団体における将来の行政運営や住民生活にも影響を与える場合が多いと考えられます。行政運営に対する住民の信頼にも影響します。この意味でも、単に原告と長や職員個人の間の問題とするのではなく、当該事業に責任のある地方公共団体が当事者の立場に立って充実した裁判を行うことが行政運営上も必要性が高いと思われます。 また、仮に裁判の結果として違法であるとされた場合、当該地方公共団体として個人に対し損害賠償を求めることになるのでしょうが、それだけでなく地方公共団体としてその結果を真摯に受け止め、そうしたことが当該地方公共団体において二度と起こることがないように適切な対策を講じなければならないと思います。 したがいまして、今回の改正は住民訴訟制度本来の目的にこれまで以上に沿うことになるのではないかと考えられます。 以上では、比較的大きな政策決定が争われる例を申し上げましたが、現実の四号訴訟では、広報紙への原爆の日の黙祷に関する記事の掲載、審議会にかかった案件に異議がある者が審議会への出席報酬の支払について損害賠償を求めた例、市長の就任のあいさつ状を送付したことが違法として損害賠償を求めた例とか、実にいろいろなことで首長や職員が訴えられております。 そして、裁判の結果は多くの場合被告側勝訴となっております。勝てば責任がないことが明らかであり、弁護士費用も地方公共団体が議会の議決を経た上で任意に負担できる制度もありますが、裁判が確定するまでの間の被告となった個人の負担は勤務時間中の対応ができないとか、訴訟関係の費用の負担をしなければならないとか、現実には大変であります。退職後も裁判をしなければなりませんし、被告本人が死亡すれば遺族が被告の立場を承継しなければなりません。しかも、冒頭から申し上げておりますように、ほとんどの場合、事案の内容は個人的なものではないのです。ただ、このことを強調いたしますと、いかにも大変だから助けてほしいということばかり申し上げているように聞こえそうですので遠慮しますが、大変なのは現実であります。 今回の改正案は、地方公共団体の執行機関を当事者としつつ、地方公共団体に損害を生じさせた疑いのあるものに対しても訴訟告知を義務付け判決の効力を及ぼすなどの措置により、長や職員の個人責任のみでなく当該地方公共団体の機関としての責任も正面から問えることとするものであります。住民は、言わば機関としての責任と個人としての責任とを同時に追及することができるものであります。これは冒頭から申し上げておりますように、充実した裁判にすることなどいろいろな面で望ましいと考えております。 また、これにより住民が訴訟により争う道が何ら狭められるわけではありませんし、むしろ今回の改正では、弁護士費用の問題などで住民にとってもプラスになる措置が取り入れられております。 一部の方は今回の改正案について、被害者同士を争わせるものであるということをおっしゃっているようですが、我々は住民から選挙で選ばれその信託を受けて行政活動を行っているものであります。住民の代表者としてその負託にこたえるべく常に最善を目指して日々の行政活動に取り組んでいますが、住民の皆様の間にはいろいろな意見があり、私たちと違う意見のお持ちの方もおられますが、でき得る限り理解を得られるよう努めているところであります。 住民訴訟はこうした現実を踏まえて制度化されているものであります。すなわち、行政による財務会計行為の適法性等に不満や疑念を抱いた住民が住民監査請求を行った上で、なお地方公共団体側がその住民の指摘や意見を受け入れず、結果としてその住民にとって満足のできる結果が得られなかった場合に住民訴訟が提起されるものであります。 なぜ、このようなことを改めて申し上げるかといえば、住民訴訟が提起された時点においては、住民の代表者である長や議会が法令に定められた手続に従って政策を決定し、その執行を行っている地方公共団体の判断と一住民の判断が相反している状態にあるのであり、被害者同士という関係には実態としてもなっていないということを明らかにしておきたいからであります。 しかしながら、地方公共団体としては、たとえ一住民による指摘や意見であろうと、そのような意見に対し真摯に説明責任を果たすことが住民自治の見地から望ましいこともまた明らかであります。今回の改正はこうした実態を踏まえつつ、地方公共団体の説明責任を強化するという要請にこたえているのではないかと考えております。 住民訴訟制度の改正について意見を申し上げさせていただきましたが、本法案にはこれ以外にも中核市の指定要件の緩和などの改正事項が盛り込まれており、いずれも改正を行うことが妥当と考えております。 以上のことから、今回の改正案につきましては十分御理解をいただき、できるだけ早期に成立させていただきますようお願い申し上げる次第であります。 ありがとうございました。
○委員長(田村公平君) どうも松浦参考人、ありがとうございました。 次に、石津参考人からお願いをいたします。石津参考人。
○参考人(石津廣司君) 本日は、参考人として意見を述べる機会を与えていただきまして、ありがとうございます。 私は、平成十一年に自治総合センターに設置されました行政監視のあり方に関する研究会に委員として参画いたしまして、住民訴訟制度の調査検討に携わりました。また、私は、訴訟代理人として住民訴訟に従前からかかわってまいりました。その経験を踏まえまして、住民訴訟に関する今回の地方自治法改正案に賛成の立場から意見を述べさせていただきます。 住民訴訟制度は、御承知のとおり、住民参政の一環といたしまして、違法な財務会計上の行為の予防、是正を裁判所に請求する権能を住民に与えまして、もって地方財務行政の適正な運用を確保することを目的とした制度と言われております。この住民訴訟制度は、近年、住民自治の高まりと申しますか、このことから活発に利用されるようになってきておりまして、地方公共団体の行財政運営の改善に寄与してきております。 このように住民訴訟制度は積極的に評価される制度ではございますが、住民訴訟、とりわけ四号請求訴訟につきましては解消すべき問題点も一面では生じてきております。その最も大きな点は、四号請求訴訟で争われる事項が拡大してきていることからくる問題でございます。 この制度が設けられた当初は、四号請求訴訟は、例えば長、職員が公金を横領したといった単純な言わば個人的不祥事を想定していたと言われております。ところが、現在、四号請求訴訟で争われておりますのは、このような単純な事件ではございません。むしろ、地方公共団体が組織として行った意思決定に基づく行為、これが多く争われております。例えば環境問題が住民訴訟で争われまして、財務会計上の行為自体というよりはその原因となった行政活動、これが環境法違反があるのかどうか、こういった点が主要な争点となる例もございます。 四号請求訴訟では財務会計上の行為が技術的な財務会計規定に違反しているかどうかだけが審理されるわけではございません。その原因となった行政活動に予算執行上、看過し得ない著しい不合理があるかどうか、この点も審理されることになっております。この行政活動の決定というのは、当然のことながら、地方公共団体が組織として決定した事項でございます。 このように、四号請求訴訟では地方公共団体の組織としての意思決定が広く争われるようになっているにもかかわらず、現行制度はそれにふさわしい制度にはなっておりません。 御承知のとおり、現行四号請求訴訟では、長、職員個人が被告になることになっております。長、職員は、地方公共団体が組織として決定した事項を職務として行っても四号請求訴訟では個人として被告になりまして、その応訴はすべて個人で行わなければなりません。長、職員個人といたしましては、争点とされた事項に関するすべての情報を保有しているわけではございませんし、ましてや、資料に至ってはすべて組織が保有して、個人としては保有していないにもかかわらずでございます。このため、例えば長、長個人が被告になりましても、必要な資料は情報公開手続で入手して裁判所に提出するという状況になっております。 一方、組織としての地方公共団体といたしましては、自らの意思決定が争われて、その意思決定の適否を最も十分に説明できる存在であるにもかかわらず、訴訟当事者として登場することはございません。したがって、その説明責任を問われることもないということになっております。 現行の四号請求訴訟の構造は、紛争の実態と乖離したものとなっておりますし、現在重視されております地方公共団体の説明責任という観点からも後れたものになっております。そして、このことから派生する問題といたしまして、行政担当者の萎縮効果という点も看過できない問題でございます。 職務として行った行為であっても、個人として被告にされ、個人として応訴しなければならないということになりますと、行政担当者は、住民訴訟になりそうな行為は、必要な行為であってもできるだけ避けるようになります。 現在、地方公共団体は、例えば第三セクターの問題など、早急に解決しなければならない問題を多数抱えております。行政担当者が萎縮して、問題の先送りが生ずるとすれば、地方公共団体、ひいては住民の損害は一層大きなものになるというふうに考えております。 以上述べました問題点を解消する仕組みとして、今回の改正案は非常に良い仕組みになっております。 従前、個人を被告とすることにしていた四号請求訴訟の被告を機関といたしまして、その訴訟で、まず地方公共団体が当該個人に対して損害賠償請求あるいは不当利得返還請求をすべきか否かをまず争われる、争わせるという仕組みにしております。 四号請求訴訟をこのような仕組みに変えることによりまして、争点となる事項について最も豊富な情報と資料を保有する地方公共団体が組織として訴訟当事者となりまして、これによって、裁判所の審理の充実を図ることができますし、また地方公共団体に説明責任を果たさせるということも可能になります。 さらに、このような仕組みに変える重要な効果といたしましては、その訴訟の経緯あるいはその訴訟で問題となった事項が何かと、こういった情報を組織が保有いたしまして、これを将来の財務行政の改善の資料として活用できるようになります。 四号請求訴訟では、原告住民側から様々な指摘が主張として出されるわけですが、その中には、違法とまでは言えなくても、改善すべき点として聞くべき指摘というものも当然あります。それは、被告勝訴で終わった事件でも同様でございます。 ところが、現行の四号請求訴訟では、個人対個人の訴訟ということになっておりますため、地方公共団体が組織として訴訟に関与することがありません。したがって、その貴重な情報を組織が保有して活用するということにはなっておりません。改正案では、機関が被告となりますので、そのようなこともなくなるわけでございます。 今回の改正案は、個人に対する損害賠償請求あるいは不当利得返還請求が争われる事案であっても、個人より機関を被告とする方がより適切であるという考え方に基づいておりますが、私は、同様の考え方は、原告となる住民側にもあると考えております。 と申しますのは、従前の裁判例を見てみますと、個人を被告とする四号請求訴訟を提起すると同時に、機関を被告といたしまして三号請求訴訟、つまり個人に対して損害賠償請求をしないことが違法であることの確認を求める訴訟でございますが、この訴訟を併合提起する例も出てきております。中には、四号請求訴訟を提起できるにもかかわらず、あえて三号請求訴訟を選択したという事件もございます。 このような事案では、原告住民自身が、個人を被告とするより機関を被告とする方が地方財務行政の適正確保の上でより適切と判断していたことは明らかでありまして、今回の改正案と同様の考え方に基づくものと思っております。 今回の改正案では、四号請求の被告を機関とすることに対応いたしまして、この訴訟が提起された場合には、損害賠償請求、不当利得返還請求の相手方となる個人に訴訟告知をすることにしております。 四号請求訴訟で機関側が敗訴いたしますと、地方公共団体が個人に対して損害賠償等の請求をいたします。これが任意に支払われない場合には支払請求訴訟を提起することになりますが、この訴訟告知によりまして、支払請求訴訟で紛争が蒸し返されないような仕組みにしているわけでございます。 このように、改正案では、四号請求訴訟が実質的にも損害回復のための手段として十分に機能するような仕組みになっております。 また、今回の改正案では、個人が四号請求訴訟の被告にはなりませんので、その限度で行政担当者の萎縮効果も解消することになります。 一方、今回の改正案では、住民訴訟で争える事項、損害賠償責任の要件については一切変更がありませんので、四号請求訴訟の違法抑制効果が減殺されることも全くありません。 このように、今回の改正案では、現行の四号請求訴訟が抱えていた問題点を地方財務行政の適正確保という機能を十分に維持しながら解消するものとなっておりまして、適切な仕組みになっておると考えております。 あわせて、今回の改正案では、そもそも違法な財務会計上の行為は事前に防止することが理想だという観点から、住民監査請求段階で監査委員による暫定的停止の勧告制度が導入され、また一号請求訴訟、つまり差止め請求訴訟の要件の緩和も図られることになっており、この点も評価されるべき改正であると考えております。 以上が私の意見でございます。
○委員長(田村公平君) ありがとうございました。 次に、高橋参考人、よろしくお願いします。
○参考人(高橋勲君) 本日は、参考人としてお呼びいただきまして、感謝を申し上げます。日本弁護士連合会のこの問題の担当副会長という立場から意見を述べさせていただきたいと思います。 私ども日本弁護士連合会の意見は、資料の中に入っておると思いますが、昨年の五月九日、理事会決議ということで意見書を採択をさせていただきました。御承知のとおり、日本弁護士連合会はすべての弁護士が加入している強制加入団体でございます。住民のサイドに立った弁護士も、立って活動している弁護士も含め、また行政側の代理人の御経験のあられる先生方もすべて加入している団体でありまして、激しい議論をした結果、このような意見書で合意をして、理事会決議になったということでありますので、この意見書を中心としながら私の意見を申し上げさせていただきたいと思います。 まず、私は、この問題は大変重要な問題だと思いますので、この問題を考える基本的な視点といいますか観点といいますか、これを押さえておくことが大切だというふうに考えるものでございます。 まず、住民訴訟制度というのは国民の参政権の具体化の一つであるということであります。当然のことですけれども、こういった制度設計の是非あるいは改正の方向等を考える場合に、この法律にある基本的な理念といいますか、それをしっかりと押さえることが大切だと考えるからでございます。 私どもがこの住民訴訟の一つのリーディングケースとして考えております最高裁判決は、次のようなことを述べ、この住民訴訟の意義付けをしております。昭和五十三年の三月の判決でございますが、地方自治の本旨に、住民訴訟は、地方自治の本旨に基づく住民参政の一環として、住民に対しその予防又は是正を裁判所に請求する権能を与え、もって地方財政行政の適正な運営を確保することを目的としたものであるということですね。さらに、執行機関又は職員の財務会計上の行為又は怠る事実の適否ないしその是正の要否について地方公共団体の判断と住民の判断とが相反し対立する場合に、住民が自らの手により違法の防止又は是正を図ることができる点に制度の本来の意義があるということを明言しているわけであります。さらに、住民の有するこの訴権、訴える権利は、地方公共団体の構成員である住民全体の利益を保障するために法律によって特別に認められた参政権の一種である、言わば公益の代表者として地方財政行政の適正化を主張するものであると。 この評価ですね。つまり、この最高裁判例の考え方については、住民と地方公共団体とがどのような関係あるのかと、様々な論議を呼んだ判決ですけれども、大切なのは、これは住民の参政権の一種である、住民参加の理念がこういった制度に反映しているということを是非押さえていただきたいという具合に思います。 それから、もう一つ強調しておきたいのは、御案内のように、今、内閣総理大臣を本部長として司法制度改革の立法作業が進んでおるわけであります。間もなく先生方のところにいろんな法案が出てくると思いますけれども、この司法制度改革の最終意見が昨年六月に出されました。これは、二十一世紀の司法の在り方についての大変貴重な提言でございます。 その中で意見書が強調していますのは、国民の裁判を受ける権利を拡大していかなければならないということであります。さらに、市民参加の観点を強調しているというのも特徴の一つでしょう。例えば、裁判員制度という形で、裁判制度そのもの、裁判の運営そのものに市民が当事者として参加していく、そういった新しい制度設計などについても提言をされている。全体として言えることは、国民の裁判を受ける権利を本当に名実ともに充実をさせていく、このことを提案をしているということなんです。 この司法制度改革については様々な評価がございまして、例えば今、全体として進められている規制緩和を強める観点、これが大きな流れになっておるわけでありますが、その中で裁判制度の充実を訴える考え方、さらには、国民の側から国民の一人一人がより司法を身近なものにしたい、実際に紛争が起こった場合にしっかりと権利が守られるような、そういった裁判制度を充実してほしいという長い国民運動といいますか、そういった流れを背景とした国民的な要求がある。こういった様々な要求が合流して今の司法制度改革審議会の意見書になっているということなんですね。そういった流れもひとつこの審議の中で念頭に置いて御議論をいただきたいというふうに思っているところでございます。 それからもう一つは、四号訴訟が当面の問題ですけれども、この果たしてきている客観的な役割というんですか、これを歴史的にしっかりと客観的に検証する必要があるのではなかろうか。 御承知のとおり、八〇年代からこの四号訴訟を利用した住民訴訟が全国的に活発に提起をされています。これは、国民の自治意識というか、そういった意識の高揚を背景としながらも、やっぱり地方自治体財政の健全な運用という観点から見たら、見た場合に幾つか大きな問題もまた出てきているという、そういったものの反映だろうと思います。 率直に私言いますが、一部に、ごく一部に私の立場から見てもちょっと乱訴ぎみではないか、そういった事案が中にないわけではありません。私もそういったことは日常的にも接していないわけではない。ですが、全体としてこの四号訴訟が果たしてきた役割は、先ほど来の参考人の先生方も申されておりますけれども、大きな役割を果たしてきつつある。 私は、これはまだまだ定着をしていないと言わざるを得ないのです。判例などについてももっともっと積み重ねをする必要があるのではないか。一号から四号訴訟まであるんですけれども、これをどう組み合わせるかという、そういった意味では弁護士の努力も必要でしょう。そういった全体としての住民訴訟の役割を押さえた上で、更にどうあるべきかということを現行制度の中でもっともっと工夫することが可能ではないか。 また、裁判所の方も、判例の積み重ねの中で今様々な形で問題になっている問題についても裁判の運用の中で改革、改善することができる部分が私は多いように思います。そういう点では、まだもう少しこの判例の積み重ねなどをやっぱり客観的に評価をする時間的なゆとりも必要ではないだろうかと。今直ちにこれを、四号事件の制度設計を、訴訟の形態を大幅に変更する、言ってみれば根本的に変更するという形での改革が必要なんだろうかという点については重大な疑問を持つものでございます。そういった立場に立っての日弁連の意見であるということを御承知いただければと思います。 日弁連の考え方については、基本的にはこの意見書の中に譲りたいと思います。 一つは、ポイントだけ申し上げていきますが、第一の問題は、やはりこれは二段構造に変更するということでありますが、この二段構造の訴訟制度導入によって言ってみれば訴訟の蒸し返しを認めるという、そういった傾向が出るのではないかという危惧を持っているわけであります。訴訟の不経済をもたらすというそんな危惧はないだろうか、十分御検討をいただきたいというふうに思います。法的な不安定状態を長引かせて損害の回復や著しい遅延をもたらしてしまうという結果がないだろうか。 特に、第一次訴訟の結果、職員などに対して出された賠償命令に対して、その職員からその取消訴訟の提起ができる仕組みになっている。これも重視しなければなりません。第一段訴訟が確定をし、第二段訴訟を提起をした、ところがその第一段訴訟の結果に基づいて賠償命令が職員等に出された、相手方に出された、それに対して取消訴訟が提起することができるという、これが新しい制度設計の中に入っておるわけであります。その場合に、第二段訴訟は訴訟手続そのものを中止しなければならないという、そういった規定が含まれている。これをどう見るかということであります。 衆議院の議論の中の議事録等も拝見をいたしましたけれども、一段訴訟でじっくりと議論するのだから第二段訴訟はごく短時間で簡単に終わるんだ、だから全体として訴訟遅延にはつながらないという、そんな議論もありました。果たしてそうでしょうか。私が今申し上げました取消訴訟という行政訴訟も含めて考えますと、二段訴訟が三段訴訟になるという危険もないわけではない。そんなことは運営上あり得ないだろうという議論を前提とした法理論の議論は、制度設計の議論は私はできないだろうと。あらゆる可能性を見通した上で適切な制度設計がなされるべきだろうというふうに考えています。 それから、第二段訴訟の関係でいいますと、第一段訴訟が第二段訴訟を拘束する面は確かにあります。しかし、訴訟参加をして、行政が被告となって個人が訴訟参加をするという、これはできるわけでありますね。その場合に、例えば違法性、責任論、損害論、こういった点で自らの主張を展開することはできる。そうなった場合には、一段訴訟の結果あるいはその論理構築そのものが第二段訴訟の前提となるわけではない。改めて第二段訴訟で過失論や責任論、更には違法性論の展開がなされるならば、それは可能なわけであります。そういった点では、第二段訴訟はごく形式的な裁判だという前提は私は疑問が残るわけであります。 もう一点だけ申し上げますと、第二段訴訟において和解ということが可能かどうかということも論点の一つでしょう。第一段訴訟での和解、第一段訴訟の判決結果イコール和解の内容にならないケースがある。そういったことを住民の側から見たらどうなるんだろうかという辺りもやっぱり十分に論議をしておかなければならないだろうと。結果的には、私は住民訴訟が形骸化する方向に進むのではないかという点についての疑念を払拭することができません。 二番目は、住民訴訟の四号訴訟の中で、法律関係の相手方に対する法律関係不存在の確認請求や原状回復の請求、更には妨害排除請求が今の現行制度では認められているわけですが、これが全体として廃止をされたということでございます。 なぜこの制度が全面的に廃止されるかについては私は理解ができない。原状回復をする、例えば、公有地の払下げでこれは不当だという場合に、それはまだ相手方のところにあるのですから、それを直ちに行政に返還しなさい、原状回復を請求することを直接的に請求をするという、そのルートをなぜ廃止するのでしょうか。そういった点もやはり十分御議論をいただくことが必要ではなかろうか。 さらには、仮処分制度が活用できないということなどについても私ども日弁連の意見は指摘をさせていただいているところでございます。詳細は意見書にゆだねますけれども、最後に申し上げたいのは、冒頭に申し上げましたように、この二百四十二条の四号の四号訴訟というのは本当に本格的に活用されたのはこの十数年でございます。じっくりと検討をしていただきたい。市長さんたちが大変苦労しておられるという事実も私は知っています。 しかし、それは、例えば一例だけ申し上げるならば、損害論の算定にしても、それは裁判所が債務不履行もしくは不法行為責任の損害論の算定の中で、全体的な考察の中で適正な損害賠償額を定めることもできるのです。それもやはり判例の積み重ねの中で私は解消することが可能であるというふうに考えておりますので、皆様方の慎重な御検討をお願いをして、私の第一回目の意見陳述に代えたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ありがとうございました。
○委員長(田村公平君) どうもありがとうございました。 それでは最後に、田中参考人からお願いいたします。田中参考人。
○参考人(田中章史君) 日本自治体労働組合総連合、略称自治労連の田中と申します。 本日は、総務委員会に参考人としてこのような機会を設けていただきまして、感謝申し上げます。 初めに、レジュメなども用意してございますのでそれを見ていただけたらと思いますが、自治労連について一言紹介をさせていただきます。 私ども自治労連は、全国の地方自治体とその関連職場で働く約二十四万人で組織する労働組合です。私たちは、資本から独立すること、政党から独立をすること、一致する要求で行動を統一していこうということ、こうした労働組合の三原則に基づいて、自治体労働者の生活と権利を守ることと、地域住民の生活と権利を守り、地方自治を守り発展させることを統一して運動理念として運動を進めています。約六百の加盟組合がありまして、全国で運動を進めています。 昨年来、脱税の問題ですとか裏金問題を起こした自治労という組織とよく間違えられまして、誤解もされております。自治労とは全く別の組織、労働組合でございます。十二年前に自治労指導部が進めた特定の政党支持とか特定の運動理念の押し付けに対して、労働組合の原則に照らして容認できないとして、全国の自治体労働組合によって新たに結成した組織です。 私は、地方自治法等の一部を改正する法律案の合併協議会の設置に係る住民投票制度について、反対の立場から意見を陳述させていただきます。 レジュメの2にも触れてありますが、私は、合併協議会の設置に係る住民投票制度については、政府の市町村合併を強要する手段の法定化だというふうに思っています。いただいておりました資料の二百九十一ページにも全国町村議長会の昨年二月七日の決議が掲載されておりますが、ここでも「合併促進のため住民投票制度を導入する」という記述がございまして、私もそのように思っています。地方分権の理念や住民自治、民主主義とは相入れない問題であり、反対です。 その理由を幾つか述べます。 第一に、議会が合併協議会の設置を求める議案を否決した場合についてのみ住民投票を認めるという法案になっています。議会制民主主義にも反しておりますし、住民投票制度の精神もゆがめるものです。大変自己矛盾を起こしている法案ではないかと思います。 第二に、この資料もいただきましたが、第二十六次地方制度調査会の答申、これが法案提出の根拠になっておりますが、この答申にも反しています。この答申では、この地域に住む住民自身の意思を問う住民投票制度の導入を図ることが適当である、円滑な運用が図られるものとすることが適当であるとの答申でございまして、この法案がなぜこういう法案になったのかということでの信義を疑います。 第三に、地方分権改革の理念から見て重大な問題点があるとも指摘をせざるを得ません。地方分権を推進する立場から改正をされました改正地方自治法では国の配慮義務を明記をしています。そこに資料、法文も失礼ながら掲載をさせていただきましたが、国が地方公共団体に関する法令を制定したり、解釈、運用する場合には、地方自治の本旨に基づいて、かつ国と地方公共団体の適切な役割を踏まえて行うことを地方自治法二条十一項及び十二項で規定をしています。総務省や国は、地方自治法に反する法律改正案を提案しているのではないかというふうに思います。 したがって、地方自治の本旨や、第二十六次地方制度調査会の答申を踏まえますと、住民に十分な情報を提供した上で合併そのものの是非を問う住民投票制度とすべきではないでしょうか。私は、合併の是非を住民に問う住民投票制度に修正すべきであると考えます。 資料として、レジュメの後ろの方に全国で進められております合併の是非を問う住民投票条例の制定状況を添付をさせていただきました。今後更にこうした動きは進むだろうと感じています。町の将来はその町の主権者である住民が自らの意思で決定をする、これは地方自治と住民自治を考える際の基本中の基本です。住民の自己決定権として保障すべきではないでしょうか。 皆さんも御承知のように、昨年、埼玉県上尾市では、合併推進の人たちの直接請求によってさいたま市との合併の是非を問う住民投票条例が成立し、二〇〇一年七月二十六日投票で投票が行われています。私どもに参加をします自治労連上尾市職員労働組合の委員長が、私たちの季刊「自治労連」、資料にお渡ししてありますが、この住民投票について投稿しております。お手元の資料の三十九ページをごらんいただけたら幸いでございます。 投票率が六四・四八%、合併賛成四一・七%、合併反対五八・三%という結果でした。市長選挙の投票率が四〇%台、衆参同時選挙で五三%、同時に行われました参議院選挙の県内平均投票率が五二%で、どの投票率を比較しましても住民投票の投票率が非常に高くなっていることに注目をしてほしいと思います。自らの町の将来に直接かかわることで市民が変わった、住民投票で豊かな議論ができたなど、住民主権を豊かに発展させていることが紹介をされています。上尾では、条例が制定されてから市民の中で大きな変化が起きたと言われています。条例制定前はなかなかチラシの受取も弱かったようですが、条例が制定されて以降、町の将来を市民が変わる、変えるんだという、決めるんだということで様々な媒体を通じての市民的な討論が巻き起こって、この高い投票率になったのではないかと思います。 政府は、自主的というまくら言葉を付けながら強制的な合併推進を進めています。この法改正も合併推進の手段です。国民、住民を信頼していないのではないか。この労働組合でも、議論をしながら最終的にこの町の将来を決めるのは住民だという当たり前の原則に気が付きました。法案を修正をし、合併の是非を問う住民投票制度にしてほしいと思います。 また、改正案のように、合併協議会の設置段階で住民投票を実施すべきではありません。全国各地で、合併そのものの是非を論じるのだからと署名を集めて、これが成立するとあたかも住民が合併そのものに賛成しているかのように扱われて、合併協議会が設置をされた後は情報が住民に公開されないという問題が起こっています。入口での投票は合併促進をねらったものになる危険性を持っています。 静岡市では住民投票条例の直接請求は退けられましたが、ここでは合併協議会の在り方が問われました。合併協議会の設置を求める住民発議を積極的に進められた市民の中でも、法定協議会が合併の是非を議論すると説明をされていた、しかし法定協議会が設置された後には合併の情報は市民に見えなくなった、こういう議論があります。こうした人々の中からも、合併の是非を問う住民投票を行うべきだとの署名運動が始まったと言われています。 資料に、朝日新聞の静岡・清水合併の世論調査の結果を資料として添付をしておりますので、ごらんいただきたいと思います。合併協議会や行政は十分に情報を、住民に情報を十分説明をしたのかという問いに、八九%が十分でないと答えています。こうした点も見直すべきですが、昨年、総務省が配付をしました合併マニュアルでは、合併を自由に議論できる法定協議会を設置していただきたくと、法定協さえ設置すれば万事うまくいくという立場が露骨に出されているのではないかというふうに読ませていただきました。 レジュメの3です。市町村合併問題に対する私たちの立場と各市の状況について書いてあります。私たち自治体に働く職員で構成する自治体労働組合は、住民の暮らしの向上と地方自治の発展を自らの賃金や労働条件の改善の取組と同じように、場合によってはそれ以上に重視をしています。合併問題につきましても、地方自治が発展するのかどうか、「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本と」するという地方自治法第一条二項に定めてありますが、この理念が豊かに発展するのかどうかを試金石にしています。 私たちは、資料にも入れさせていただきましたが、一九九七年三月に地方自治憲章案を発表しました。この憲章案では、人が生まれ育って住み、営んでいるこの地域でこそ、基本的人権が保障されなければならない、これが憲法の国民主権と地方自治の原則的関係であって、自治体の役割は、すべての住民が生涯住み続けることができる場と条件を確保することだというふうにしています。 私たちは、こうした立場で全国各地で首長アンケート、自治体キャラバンによる首長さんたちとの懇談、実態調査、各種シンポジウムなどを精力的に今行っています。この中から聞こえてくる自治体関係者の声は悲鳴に近いものがあります。財政的な締め付けと合併の上からの押し付けの中で、地域や自治体が破壊されます。一方で、小規模自治体の中から豊かな実践が進められていることも分かりました。農林漁業地域を豊かに発展させることなくして日本の将来はない、そうした声も広がってきています。 今、地域で起きていることの事態は、市町村合併の強要では地域や自治、国土を破壊することになるんではないかということです。首長さんたちに会うと、本音としてはできることなら合併はしたくない、するも地獄だ、しなくても地獄だ、そういう声も聞かれます。 また、地方交付税の削減と合併特例債というあめとむちによって財政問題のモラルハザードも起きています。小規模自治体があるのは当然と考える視点がないことで、広大な面積を要する農林漁業地域を軽視する国の政策になっているのではないか、これでいいのかという声が広がっています。財政力は人口が少ないことが直接的な原因ではありません。産業政策の問題が指摘もされています。 また、現実の政策力量を見ますと、小規模自治体が大変豊かな実践を進めています。私たちも現地調査などを行いながら資料として出させていただきましたが、小さくとも元気な自治体づくりの提言素案を今作成し、全国の皆さんへの討論を呼び掛けています。 国土の保全、農林漁業の振興、財政危機の打開は地方自治の拡充と発展に負うところが大きいと思います。町村会が昨年七月に発表しました「二十一世紀の日本にとって、農山村が、なぜ大切なのか」は、全国の町村長さんの率直な思いではないでしょうか。小規模自治体や農林漁業地域の声をもっと酌み取った政策が求められるのではないかと思います。 レジュメ4には要望を書きました。住民投票制度や地方交付税制度をゆがめ、地方自治の否定につながる強制的な合併に歯止めを掛けてほしいということでございます。最初に触れましたように、この法律案では住民投票制度の理念や議会制民主主義をもゆがめています。また、合併特例債など合併特例法が定めている優遇策は、この間様々なところで問題になっています地方交付税制度のゆがみを更に拡大するものとなっています。 地方自治法は、合併だけでなく廃置分合を定めています。合併だけを選択肢とする合併特例法そのものが問題ではないでしょうか。国会の立場で合併の強要をやめ、地方分権にふさわしく税財源の移譲と地方交付税制度の改善充実を是非進めていただきたいと思います。 最後になりますが、住民訴訟制度について触れさせていただきます。 結論的には、様々な意見を更に聞く場を作るなど審議を尽くしてほしいということでございます。国民の参政権を保障するというのが現行制度の精神だと受け止めています。これに水を差す改定ではないかと考えます。 職員の立場からは、業務命令によって行った仕事が訴訟の対象になることなど複雑な問題がありまして、現場では大変議論が伯仲をしています。したがって、国家賠償法の規定などを参考にした重過失の場合のみに限定するなど現行法の枠の中での改正にとどめることを求めたいと思います。 私たち地方公務員は、憲法と地方公務員法に基づいて、職務の宣誓に関する条例によって、憲法擁護、尊重義務と、公務を民主的にかつ能率的に運営することを宣誓をしています。宣誓に見られますように、公務員の職務は主権者である国民との関係で民主的で効率的でなければなりません。しかし、今リストラの強要などの中で、医療過誤などに見られますようなサービス低下も起こってきています。 現在、公務員制度改革大綱が閣議決定をされ、制度改革の議論が進められておりますが、公務員が意見を表明する権利や、瑕疵ある命令に対する拒否する権利、参加権を明文化すべきであると考えます。 以上で私の陳述を終わります。御清聴どうもありがとうございました。
○委員長(田村公平君) ありがとうございました。 以上で参考人の意見陳述は終わりました。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○谷川秀善君 おはようございます。自由民主党の谷川秀善でございます。 参考人の皆様方には、大変お忙しい中、本日委員会にお出ましをいただき、ただいまは貴重な御意見をお伺いをいたしました。心から御礼を申し上げる次第であります。 時間の制約もございますので、いろいろとお伺いいたしたいこともございますが、重点的に絞ってお伺いをいたしたいと思います。 まず、住民訴訟の在り方を変えるという問題でございますが、この問題は賛否両論があり、それぞれに私は一理があるように思われますが、本来、この制度は間接民主主義、代表民主主義を補完するために設けられたものであると私は考えております。 ところが、地方自治体におきまして、十数年来、非常に情報公開が進んだために、ここ十年でこの住民訴訟の件数が大変増えてきたわけです。一九九四年には八十九件であったものが九八年では二百六十一件と、実に三倍に増えているわけです。九八年度までの五年間を考えますと八百七十八件であります。そのうち八割近い六百八十七件が損害賠償請求であります。しかも、自治体の長や職員個人が訴えられるケースが大変多くなっておりまして、この訴訟件数の約半分を占めているわけであります。 もちろん、住民訴訟が提示をされる場合には、事前に住民監査請求を得る仕組みになっておりまして、監査委員からも住民の請求には理由がないとの判断を通常受けているわけであります。したがって、訴えられる側からしますと、法に基づいて適法に執行した事案が後になって不当だとか不法だとか言われて責任を取らされたんではたまったものじゃないという思いが残るということをしばしば聞くわけでありますが、それも至極もっともなことではないかというふうに私は考えております。 私も長年地方自治体に勤めておりましたから、同僚なり先輩が具体的に訴えられて大変苦しんでおる、いわゆる弁護士訴訟から何から全部自分で持たにゃいかぬ、私も相当カンパをさせていただいた経験もありますので、これは大変だなというふうに思っております。 今の制度では機関としての自治体の顔が見えないというふうに私はかねがね考えておるわけであります。だから、少なくとも第一義的には機関としての自治体が説明責任を果たすべきだというふうに思っておりますが、石津参考人もそういうお考えを今お伺いをいたしましたが、その点につきまして、もう一度どうお考えになっておられますか、お伺いをいたしたいと思います。石津参考人、よろしくお願いします。
○参考人(石津廣司君) 私は、主として被告側の代理人として住民訴訟に関与してきておるわけでございますが、四号請求訴訟の被告代理人を務める際に最もやっぱり強く感じます問題点は、先ほどもちょっと触れましたけれども、地方公共団体の組織としての意思決定が争われているにもかかわらず、どうして個人を被告にしなければならないのかという点でございます。 この争点となる事項は、当然のことながら地方公共団体が組織で、組織的なシステムで決定していくわけでございますから、長といえどもすべての情報を事細かく保有しているというわけでは当然ないわけです。しかも、この四号請求訴訟になりますと、訴訟係属中に例えば長なら長が亡くなられますと、遺族が訴訟承継することになります。現実にそういう例はあります。そうしますと、遺族はもちろんのこと何の情報も持っていないわけでございまして、本来的に地方公共団体の意思決定が争われているならば、その直接の当事者というのは本来地方公共団体の組織そのものだと私は考えております。 裁判一般に言えることなんですが、特に住民訴訟のような公益訴訟は、裁判所に適正な判断をしてもらわなきゃいかぬ、そのためにはやはり審理を充実していかなきゃいかぬということだろうと思います。そのためには、やはり最も豊富な情報と資料を持っている組織自体が訴訟当事者になっていくということが最も適切なんだろうと私は考えております。 以上でございます。
○谷川秀善君 どうもありがとうございます。 そこで、今回の改正案では、談合したのではないかと疑われた企業を直接訴えられなくなることは問題ではないかとか、地方公共団体の執行機関等を被告とする第四号訴訟では違法行為に対する是正効果や抑止効果がなくなるという意見もあるようでございますが、この点につきまして石津参考人はどうお考えでございましょうか。
○参考人(石津廣司君) まず談合事件でございますが、確かに従前、地方公共団体が談合事件で損害賠償請求等を企業に対してしないで、住民が代わって住民訴訟で責任追及したという例は確かにございます。 これはただ、いろいろ背景がございまして、必ずしもすべてが地方公共団体としてできることをやらなかったというわけではもちろんないんですけれども、ただ、客観的に談合があったということが明確であって、しかも損害額も立証できるという状況で地方公共団体がそれを是正もしないで放置しているということになれば確かに問題だろうと思います。 ただ、その場合にはむしろ地方公共団体がなぜその是正措置をしないのかという説明をまず組織に求めるべきだろうと思います。そういう場面こそ地方公共団体が組織としての説明責任を果たさなきゃいかぬわけでございまして、最終的に損害の回復というのはもちろん重要ですけれども、損害が何か回復すればいいというわけではありませんで、将来の適正な財務行政の確保のためにも、そこで組織としての説明責任も併せて問うということが非常に重要なんだろうと。今度の改正案では正にそれができることになるわけでございまして、そういった談合の例を考えてみましても、今回の改正というのは非常に適切だろうと思っております。 それから、違法の抑制効果ということでございますが、今回の改正では全く住民訴訟で争える事項を限定するということになっておりません。賠償責任の要件についても全く変更がないわけでございまして、現行どおり、場合によっては長、職員個人が億単位の賠償を命じられることも制度上はそのままになっているわけでして、違法の抑制効果がなくなるなんということは全くないと私は考えております。 以上です。
○谷川秀善君 どうもありがとうございます。 官官接待や入札の談合の問題、不当な経理の是正など、様々な面で私はこの住民訴訟はそれなりに役割を果たしてきたと思っておるわけでございますが、近年、どうも訴訟権の濫用ではないかと思われる面も出てきているのではないかと私は思っております。そしてまた、その質についてもいろいろ問題があるのではないかと思います。 〔委員長退席、理事景山俊太郎君着席〕 住民訴訟というのは、元々公金支出のルールに違反した行為を是正するということに眼目があったと私は考えておるんですが、最近はこの肝心のところが拡大解釈をされているように思われます。例えば、自治体の環境政策に問題があるとか公共投資に無駄が多いなどと主張をして、公金支出の前提である政策判断の是非を裁判で問うものが増えてきているように思われてならないのであります。 これは、個人よりも機関の問題でありまして、参考人の中で個人責任を問われる可能性が一番多いのは松江の市長さんの松浦参考人だと思うんですが、今回の改正につきましてどうお考えでございましょうか。
○参考人(松浦正敬君) 今回の改正につきまして、先ほど申し上げましたとおり、私、賛成をしたいと思っております。これは、やはり先ほど谷川委員の方からもおっしゃいましたように、いろいろな支出行為ということがありますけれども、それの前提として、それは地方公共団体の中でいろんな組織的にいろいろ判断をしたり、あるいは議会での議決をもらったり、あるいはその前提として審議会でいろいろ議論をしたり、そういう一連の手続を経て決定されたものに基づいた支出と、こういうことになっているわけでございます。 ところが、その住民訴訟あるいは住民監査請求ということになりますと、個人というものがその矢面に立たなきゃいけないと、これは非常に割り切れない思いがするわけでございます。できるだけ自分たちの正当性というものを主張したいわけですけれども、その場合に、やはり一番そういった証拠だとか資料だとかそういったものが提出できるというのは、やはりそれは地方公共団体そのものだと思います。それが、個人が矢面に立たされて自らそういった負担を強いられるということでは、そうした事実関係というものがきちっと明らかにできないというおそれがあると思うんですね。 そういう意味からいいましても、今回のこの法律改正というのは大変意義のあることではないかというふうに思っております。
○谷川秀善君 ありがとうございました。 大体、現在の住民訴訟の当事者、いわゆる被告人になっている側は、見ていますと本当に仕事も手に付かないんですよ。個人として訴えられていますから、本当にいろんな防御措置を、個人で資料を集め、全部やらなきゃいかぬわけですね。しかも、そのほとんどの人は現在職を持っているわけですね。だから、その訴えられた当時の場所におればいいですよ。何度か転勤をしたり、いろいろなことがあるわけですね。首長さんもほかの仕事がたくさんあるわけですけれども、それにしょっちゅう掛かり切らにゃいかぬ。経済的なものもさることながら、精神的に私は大変な苦労をされておられるのを目の当たりに見ておりますので、それもまたこれ期間が長いんですね。なかなか結審に至らない。 そうすると、ほとんどその時点で、その人たちは公務員として本来やるべき仕事ができなくなっているというのが現状ではなかろうかというふうに思いますので、今非常に貴重な御意見を賜りましてありがとうございます。 ところで、地方分権、地方主権という流れの中で、基礎的自治体である市町村の在り方が今大変大きく問題になっているわけです。これは、市町村合併問題についてもただいま参考人の皆さん方からいろいろな御意見を賜りました。議論百出であります。合併せずとも必要な部分は一部事務組合でやればいいじゃないか、今もやっているじゃないかと、こういう意見があるわけでございますが、松浦参考人が首長をされておられます松江市でも八束郡の市町村と松江地区行政組合を設置をされまして、消防などの事務を共同されているようであります。ほかにもたくさんこの一部事務組合でいろいろなことを共同でやっている市町村がたくさんあるわけですが、一般的に申しまして、市町村合併と事務組合でやるのとどちらが行政目的を達成しやすいか、その点につきまして松浦参考人にお伺いをいたします。
○参考人(松浦正敬君) 結論から申し上げますと、それは合併をして一つの団体になって仕事をやっていくという方が、ずっとそれは効率性もありますし、優れていると思います。 組合の場合は、それぞれの構成市町村を代表しましてその議員さんが出てきて、そこでいろいろ議論をするわけですが、やはり本来は、その組合が管轄しております地域全体の立場に立っていろいろ議論をしなければいけないわけですけれども、やはり往々にして、それぞれの出身母体であるところの市町村の利害というものをそこに持ち込んでいくということになります。私の経験からいいましても、例えば消防の支署を、これから大変財政的にも困難になってくるということで、支署の統廃合ということをやろうとしたわけですが、これの結局結論が出るまでに約一年半を掛けてやっております。しかも、それは議会で議論をしてもなかなか結論が出ないということで、第三者機関のようなものを設けまして、そういったところで議論をしていただいて、そこの結論を基にしまして結論を出したということでございまして、大変こうした利害が対立するということが多いものですから結論が出てくるのに大変今時間が掛かる、こういうことでございます。 それに対しまして、そうしたところが一つの団体になりますと、首長は一人ですし、一つの収入でもって事業の優先度合いというようなことも判断できるわけでございますので、非常に効率的にできるし、やはり全体を見渡していろんな事業ができるのじゃないかというふうに思っておりまして、どちらがいいかと言われれば、それはもう一も二もなく合併が一番いいだろうというふうに思っております。
○谷川秀善君 ありがとうございます。 いろいろまだお伺いいたしたいところもございますが、皆さん方の、御参考人さんの意見を十分拝聴しながら審議を進めてまいりたいというふうに思っております。どうもありがとうございました。 委員長、終わります。
○高嶋良充君 今日は早朝から、参考人の皆さん、大変御苦労さまでございます。 貴重な御意見を拝聴いたしまして今後の審議に生かしていきたいというふうに思っておりますが、私は、現在の四号訴訟にも問題点があるのである程度の改正は必要ではあるというふうに考えているわけでありますけれども、しかし一方で、政府案についても、四号訴訟で今日まで評価されてきた部分、とりわけ住民チェック機能が後退するのではないかというふうな危惧も持っているわけであります。それらについて参考人の皆様方から御教示をいただきたいというふうに思っております。 まず、松浦参考人と石津参考人の御両名に御意見をお聞かせをいただきたいんですが、今申し上げました住民のチェック機能が後退するのではないかという部分であります。 先ほども若干出ていましたけれども、住民訴訟のこの目的というのは、誤った地方行政を正すということが本来の目的だろうというふうに思っていまして、そういう意味では、地方自治体の場合の行政を正していくという住民の側からこれはやっぱり評価すべきであるし、そういう機能は後退をさせてはならないというふうに思うんですが、今回の改正によって後退するのではないかという危惧があるんですが、いかがでしょうか。 それともう一点。談合企業を提訴する場合に、自治体も被告とならなければならないという、そういう矛盾があるのではないかというふうに言われているんですけれども、その二点について御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(松浦正敬君) チェック機能が低下するのではないかという、どういう意味なのか私もちょっとよく分かりませんが、今回のいわゆる制度改正というのは、そうした住民の権限を制限するとかそういうふうなものではないと思っております。先ほども申し上げましたように、やはり不正が行われているとかそうしたことがあった場合には、それは例えば裁判においてそれを明らかにするということがやはりチェック機能ということになると思います。 そういう意味では、やはり個人が受けて立つというよりも、やはり機関として、地方公共団体としてそうしたものをきちっと説明をしていくということの方が、そういった事実関係を明らかにし、そして今後の施策へ、あるいは不正防止へ反映していくことがより可能になってくるんではないかというふうに思っております。 それから、談合につきましては、先ほど石津参考人の方からもお話がありましたように、今回は、要するに機関として、あるいは地方公共団体としてそうした損失ということについてきちっとした対応をしていないということについての被告という形になろうかと思います。そういう意味では、地方公共団体がその被告の立場に立つということは何らおかしいことではないんじゃないかというふうに思っております。
○参考人(石津廣司君) まず、行政を正すと申しますか、チェック機能の点でございますが、私も、住民訴訟制度のこのチェック機能を減少させるというのは大変問題だと思います。それ自体は私も同意見です。ただ、今回の改正案がそういう効果をもたらすかといえば、私はそう考えておりません。 行政へのチェック機能というのは、私は二つの面があると思います。一つは、まず、損害を回復するという面と、それから、将来にわたって同種の行為が起こらないように、要するに将来にわたっての是正効果と申しますか、その二つの面があるんだろうと思います。 まず、損害の回復機能につきましては、今回の改正案につきましても、最終的には責任のある個人あるいは企業に対して損害は回復させてもらうこと、そういうのは別に変更ございません。 それからチェック機能、将来にわたってのチェック機能ということになりますと、これは先ほども申し上げましたように、個人を相手にしてもこれは仕方がないわけでございまして、むしろ地方公共団体が組織としてその問題となる行為からどんな反省点を将来に向かって改善していくのかという、これはむしろ組織的な対応が必要なわけでして、今回の改正案はむしろそれに沿うものだろうと思うんです。 それから、談合の問題なんですが、確かに御指摘のとおり、議論の中には、談合の場合には談合企業を被告にすればいいじゃないかという議論は確かにあります。ありますが、これも最終的な損害回復というのは談合企業自身に負ってもらうということは今回の改正でも全く変わりないわけでございまして、しかも、今後、談合が先ほど申し上げたように明確であって、損害賠償請求を当然できるにもかかわらずしないとすれば、むしろそれは行政側に問題があるわけでございまして、そこも正さなきゃいかぬということだろうと思います。 そういう意味で、ある意味で両面と申しますか、両面の機能を今回のこの改正案は持つんだろうと私は考えております。
○高嶋良充君 高橋参考人にお伺いをいたしますが、住民訴訟の九割が政策判断を争っているという、そういう統計になっているんですけれども、そのことから派生してきている問題が、地方公共団体が団体の意思として決定した政策、あるいは議会の議決、承認を得た案件、こういうものまでも首長や職員に責任を求めているというのがこの現在の四号訴訟なんですけれども、その辺のやっぱり問題点というのは私としてはあるんではないかなというふうに思っています。 〔理事景山俊太郎君退席、委員長着席〕 それと、とりわけ首長の場合は、市長選を争われて市長になられた部分でも、その以前の市長がやられた事案、決定の問題等々も、本来かかわっていないのに被告となるという場合も出てきておるわけですけれども、それらの問題点についてはどのようにお考えでしょうか。
○参考人(高橋勲君) 御指摘のように、政策判断と全く離れた財務会計行為というのはないのかもしれません。ですが、今、四号訴訟で取り上げられている多くの訴訟の中で、政策判断それ自体のみが審判の対象、裁判の対象といいますか、違法性、その部分だけが裁判で争われているというケースは多くはないと思います。やはり、これは政策判断と実際に首長さんあるいは職員の方々が行った財務会計処理、これが総合判断の中でそれが違法性のレベルにあるのかどうかということを司法の場で判断をするという形になっているわけですね。 そういった点では、例えば議会の承認というのがどのような役割を果たすのかということでありますが、私は一般論として、議会の承認があったから違法性は阻却されると単純には考えていないわけですね。そういった点で、やっぱり議会の中で、どのような審議経過の中でその政策が決定をされ、そして例えば予算が可決されたのかどうか、どういった政策的な論議の中でその政策が決定され予算が決定されたのか、そういった審議の経過、そしてそれを受けての、例えば首長さんなどの、市長さんのその財務会計の行為が会計原則に合っているのかどうかというそこを総合的に審判をするというシステムになっていると思うんですね。それほど私は財務会計の最終責任者としての市長さんなどの責任は重いというふうに思っているわけです。 それから、もう一つは、確かに今の現行制度では個人の責任を追及するスタイルになっています。では、その政策判断について十分な説明責任を果たすべきだという先ほど来の議論がありますけれども、それは今のシステムの中でできないんだろうか。それは十分できる制度があるわけですね。それは、一つは訴訟参加という制度の活用でございます。 その前提として更に言えば、説明責任というのは被告になって初めて果たすことができるのではないというふうに常々考えているのです。情報公開の時代ですし、その地域で大きな話題となった、あるいは問題になっている事項があるならば、それは訴訟いかんにかかわらず十分に住民に対して説明を果たす、これが今の二十一世紀の地方自治体の在り方ではないでしょうか。被告になったらむしろ説明責任を果たすことができる、そういった考え方は私はなかなか納得することができないということを付け加えておきたいと思うのです。 それから、違法性の承継といいましょうか、それは確かに難しい問題が残るでしょう。しかしそれも、先ほどのように、前の市長の時代に決定された政策判断の経過と同時に、それをうのみにするのではなく、やはり現在の会計、財務会計の責任者としての判断が具体的に加わって支出行為あるいは財務会計行為があるわけですから、その総合判断の中で私は市長の責任があるのかないのかということが判断されるのだろうというふうに思っています。 先ほどちょっと冒頭の発言の中で言いましたけれども、私は今の判例の動向について全面的に賛成しているものではありません。そういった一連の全体の経過の中で、違法性のレベルやあるいは責任の範囲だとか責任の程度だとか、そういったものを総合判断の中で、適正な損害の回復についての賠償命令という、そういった在り方が模索されてもいいのではないかという具合に考えているところでございます。
○高嶋良充君 高橋参考人、もう一点今のことに関連して、私どもの民主党としては、この議会の承認を得て団体として行った政策判断、一応まあ正当な政策判断と、こういう位置付けをした場合では、これは四号訴訟の対象から外すべきではないかという、そういう考え方に立っているんですけれども、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
○参考人(高橋勲君) 衆議院の議事録等の中で民主党さんが修正案を出されているということを拝見をいたしました。「議会の議決を経て行つた政策上の決定に基づく次に掲げる行為」ということで、幾つかの類型を挙げられまして、例えば、売買、賃貸その他の契約で、相手方、内容等の正当なものの締結ということ。あるいは財政援助の関係では正当な理由に基づく。さらには正当な公金の支出、正当性の要件を加味するという形ですね。 これは確かに、一つの立法スタイルとしてはあり得ることかもしれません。ですが、先ほど違法性の判断の中で、総合的な判断が本来働くべきだというふうに私何度も申し上げているのは、実は議会の議決があったのかなかったのか、その議決の審議過程がどうだったのかという議論、それから正当であったのかどうか、具体的な財務会計行為が。今、民主党さんが修正案出されているこういった条文で書かれているような正当な公金、正当な締結、正当な理由に基づく財政援助、こういったものは、私は、違法性の判断の中で本来加味されて、判決が出されるべきだと思っていますが、更にこれを制度の中に取り入れるというのは一つの方法かなとは思っています。
○高嶋良充君 松浦参考人と田中参考人にお伺いをします。 私も自治体の出身でございますので、皆さん方もそうだと、松浦さんは市長ですけれども。 そこで、この四号訴訟のもう一つの、現在の四号訴訟のもう一つの問題点として、思い切った政策判断というか、住民のニーズに応じた政策判断がもし間違っていたら訴訟されるということで、なかなか首長さんはもちろんですけれども、職員もできないんではないかと。逆に、政策判断で萎縮するんではないかということなり、そのことがまた自治体の職員の事なかれ主義につながってきているんではないかというようなことも言われているわけですけれども、これらについては、実際現場で担当されていて、そういう実態も含めて御意見がありましたらお伺いしたいと思いますが、松浦参考人の方から。
○参考人(松浦正敬君) 私も具体的な事例としましてそういったケースにお目に掛かったということはまだないわけでございますけれども、やはりいろいろ市長とそれから部下というような形でいろいろ議論しながら政策判断をやっていくといった場合に、そういうふうな住民監査請求なり訴訟なりというようなものが起こされる可能性があるとか、そういうふうなことは当然ある程度念頭に置きながらその政策決定をやっていくということになると思います。 したがいまして、いろんな政策判断をしていく上において、こうした住民監査請求、住民訴訟というものは大きな影響力を与えていくということは事実だと思います。そのことが、ある面では職員の萎縮なり判断の萎縮ということにつながっていくということはあるとは思います。 それよりも、私が一つ申し述べたいのは、この制度そのものが、先ほどから申し上げておりますように、訴訟が例えば職員個人という者が受けて立つということになっておりまして、むしろそういった職員の不安感だとか、そういったものを悪用して外部の人たちが自分のいろいろな意思を貫こうとしたときに、例えば何かきちっとやらないと住民訴訟を起こすぞとか、そういうふうな形で公務の公正性みたいなものに影響を与えていくということがあるというふうに私どもは聞いております。 したがいまして、こういった個人が矢面に立つような制度というのはやはり好ましくないというふうに思っているところでございます。
○参考人(田中章史君) 訴訟があるから仕事に積極的な政策提起ができないということではないと思います。 私たち、先ほども宣誓書の問題なども触れましたが、自治体に働いている公務員として、特に住民を主権者として住民サービスの向上を図るという、これは民間の仕事とは全く違う職務を担っているわけですから、とりわけ政策を判断していく場合に、その地域の実態や住民の暮らしの状況や住民のニーズなどについて積極的に把握をし、そして住民とともに仕事を考えていくというのが今の時代の公務員の姿ではないかというふうに思っておりまして、そういう点では、訴訟制度があるから、何かあったら訴えられるから仕事をちゅうちょしようということではなくて、逆にそういう職務だからこそ行政法務を進めるとか研修制度を充実するとか、そういうことでより積極的に仕事を、住民の立場に立って公正で民主的な行政運営をしていくということが求められているんではないかというふうに思いまして、そういう立場で私どもは現場で頑張っているということを御理解いただきたいと思います。
○高嶋良充君 ありがとうございました。 終わります。
○木庭健太郎君 公明党の木庭健太郎でございます。 今日は、参考人の皆様、貴重な御意見を本当にありがとうございます。 今回のこの地方自治法の一部改正、特に住民訴訟の問題では、今もずっと一番の論点になっているのは四号訴訟の問題、これが一番の論点になって、我々も審議を重ねているわけでございますけれども、今もお話をお聞きしていると、松浦参考人、言わば自治体の立場から、首長の立場から御意見をお聞きしていますと、どうしても今の住民訴訟の、この四号訴訟の在り方、個人が矢面に立つという在り方について、やはり改正すべきだという強い現場の意見が出されていると思うのであります。実際、先ほどから御指摘があっているように、住民訴訟でいろんな問題が、最近は環境の問題始め、政策判断の問題も出ました。 その意味では、今回のこの改正というのは、もちろん団体、自治体が問われるわけですけれども、訴訟参加という意味では個人も問われる部分も残っているということであって、ある意味では私はこれは一歩前進の改正ではなかろうかと、このように思うんですけれども、高橋参考人に、そういう現場の実態を踏まえ、これまでの住民訴訟の在り方を踏まえて実態を見てくると、やはりその判例を待つという御意見もございました。積み重ねが大事だというところもあるんですけれども、そこまで踏み込まざるを得ないような状況も今出てきているんじゃ、住民訴訟の在り方そのものからきているんじゃないかなという気も現実にはするんですけれども、そこをもう一度御意見を承っておきたいと思うんです。
○参考人(高橋勲君) 現場で町長さんたちが、市長さんたちが本当に様々心労も含めて御苦労されているのは私は分かるという、理解できるということは先ほど申し上げました。ですが、その御苦労を分かりつつも、やはり地方自治体の長という方々、あるいは財務会計の責任の衝に当たっておられる職員の方々の責任というのはやっぱり重いものだなと、そこはやっぱりもう一つ押さえる必要があるだろうというふうに私は思っています。 そして、この制度は、先ほど来、制度設計は変わるにしても、最終的には個人の責任を追及をし、追及というか、において地方自治体が被った損害をてん補するという、その制度の目的は変わらないんだということを何度もおっしゃっておられます。そうなんです。ならば、そういった目的を達するために何で遠回りの手続をあえてしなけりゃならないのですかと。それは直接的な解決のために今の制度を維持して、そして運用の中で解決することができるのではないですかということを私は申し上げたいのです。 じゃ、個人の責任を追及する余り政策判断あるいは地方自治体の責任が陰に隠れてしまうのではないかという、そういう点については、先ほどちょっと申し上げましたけれども、補助参加制度を今の制度の中でもお使いいただいたらいいのではないですかと、積極的にということをあえて申し上げたいのですね。 今日、参考資料で配付されているかもしれませんが、面白いデータがこの参考資料の中に入っておりますのでちょっと引用させていただきたいと思いますけれども、この参考資料の十三年の十一月版なんですが、その百十二ページに、団体による訴訟参加の状況のデータが入っておりますね。これは私は面白い、面白いというのは興味半分でなくて、なかなか貴重な問題提起をしているデータかなというふうに思っておるんです。 ごらんいただきますと、例えば、団体として訴訟参加を行う意思がないため訴訟参加していないというのが七六・四%。とても多いですね、これは。都道府県レベルでいうと八三%、市町村レベルで七四・二%が訴訟参加を行う意思がない。では、今の制度の中で行政事件訴訟法二十三条の参加が認められないのか。参加認められるんです。しかし、にもかかわらずこのようなパーセントの団体が、地方自治体が参加をしていない。逆に、団体として参加しているケースが二三・二%、やっぱり二割強。少ないですね。 これをどう読むかということですが、この二三%、二割強のパーセントの物語っているのは、私は、あるいは政策判断も含めた論争が法廷である場合には、それは団体として、地方自治体として参加しているんだろうという具合に思うわけですね。被告にならなくとも、訴訟に参加する中で準当事者として説明責任を果たし、積極的に資料を出すなら出す、そこでの論争に参加することができるわけですね。私は、こういった制度の活用というようなことも十分考えていかなければならない、それを抜きにして直ちに制度設計を変えるという、今のルートを変えてしまうという、そこまでは私は時期が来ていないのではないかというふうに考えています。
○木庭健太郎君 そのとおりなんですけれども、逆を返せば、今回改正する意味というのはここからも私は逆にきているんじゃないかなと。なかなかこれ、訴訟参加の問題、被告側の訴訟参加の問題というのが少ないという点から考えると、やはりこれからの在り方として、それを主体に置くということも一つの方法ではないかなと私は逆にこれは見ましたけれども、御意見は御意見として伺わさせていただきたいと思います。 そこで、石津参考人に次はちょっとお伺いしたいんですけれども、四号訴訟の問題について、本来地方公共団体が有する請求権を、住民が団体に代わって請求する、いわゆる代位請求として住民が長や職員等の財務会計上の違法行為の責任を追及するものというのがこれまでの在り方なんですけれども、改正によりますと、今システムが変わるわけですから、団体と住民を争わせることになるんだと、これは言わば被害者同士を争わせることになるんじゃないかというような一面御指摘も、いろんな場面でこれもなされておりました。この点について、石津参考人、どのような御意見をお持ちか、お尋ねをしておきたいと思うんです。
○参考人(石津廣司君) 御指摘のとおり、今回の改正案につきましては、言わば被害者同士を敵対関係に置くといいますか、対立関係に置くことになっておかしいではないかという議論がなされております。こういった批判は、私は住民訴訟制度を誤解されているんではないかと思っております。 住民訴訟というのは、元々、地方公共団体と住民との判断が対立する場合に提起されるという本質的な性格を持っておるわけでございます。地方公共団体としては、違法な財務会計上の行為がない、あるいは是正の必要がないと判断して、これに対して住民、これは一人の住民でもいいわけですが、いや、そうじゃないと、こういう違った判断をされるときに初めて住民訴訟が提起されるわけでして、元々この住民訴訟が提起される場面では地方公共団体と住民とは相対立している関係にあるわけです。これは最高裁の判決も正にそのとおり指摘しておりまして、先ほどお話が出た昭和五十三年の最高裁判決も正にそう言っております。住民は地方公共団体と同じ立場で訴訟を提起するわけではないということも言っておるわけです。 そういう本質を持っているわけでございますから、被害者同士を対立させるというのは、これは制度本来からいえばおかしな議論だろうと私は思っております。
○木庭健太郎君 もう一点、先ほど高橋参考人が今回の改正での問題点として指摘をいただいた問題がございます。 それは何かと申しますと、従来、この四号訴訟では一回である意味では訴訟というものが終わる形のものが、言わば執行機関に対して責任追及を求める訴訟、そしてその後、長や個人に対して追及する訴訟ということで二回行うことになるわけでございます。もちろん、二回やるわけですから、これによって、一つの問題点は、この紛争が長期化するんではなかろうかという問題点が一点指摘をされております。さらにもう一点、この二回の判決矛盾が起こるんではないかというような懸念する意見ももちろん出されているわけでございます。 これに対して、国も、そんなことはないんだ、先ほどいろんな御意見もあっているようですけれども、そういう点も指摘もされているんですけれども、こういう訴訟を担当される弁護士という立場から、こういう今回の改正の言わば一番の、二回やるという問題点についてどのように石津参考人お考えか、この点について御意見を伺っておきたいと思います。
○参考人(石津廣司君) 確かに今回の改正案では、制度設計としては、一段目の訴訟としての四号請求訴訟と二段目の訴訟としての支払請求訴訟というのを制度的には確かに予定されております。そういう意味では、先ほど高橋参考人がおっしゃったように遠回りじゃないかという議論が出てくるんだろうと思うんですが、これ実は、この一段目の訴訟が起こされますと、今度の制度改正案に基づきますと、被告となった機関は、不当利得返還請求あるいは損害賠償請求の相手方となる個人に対して訴訟告知をすることになっています。この訴訟告知というのは、民事訴訟法上の参加的効力と言われるものを被告知者に及ぼす制度でございまして、機関側がこの訴訟で敗訴いたしますと、二段目の訴訟が起こされましても、そこでは実際、一段目の訴訟で出された判決内容を覆せなくなると申しますか、それと矛盾した判断ができなくなるという元々システムになっておるわけです。 ですから、一見遠回りというふうに思われるかもしれませんが、この訴訟告知制度によりまして、二段目の訴訟というのが実際問題としてどれだけ必要になるかという問題もあるんだろうと思います。この一段目の訴訟で機関が被告になりますと、二段目の訴訟で個人が争いましても実際勝訴できないわけでございまして、そんな無駄なことが本当に現実に起こるのかどうかということだろうと思います。 ただ、理屈上ではもちろん起こり得るわけですが、仮に起こりましても、それは先ほどの参加的効力によりまして早期に二段目の訴訟が終結いたしますので、いろいろな反対論の方がおっしゃっているほど遠回りになるものでは私はないと思っています。仮にそれでも遠回りじゃないかとおっしゃれば、それはもうやむを得ないことだと私は思っております。 この遠回りをするというのは、何も個人を保護するために遠回りをしようとするわけではございません。この住民訴訟制度というのは、先ほど来皆さんがおっしゃっているように、代表民主制を補完する極めて重要な民主的な手続なわけでして、民主的な手続を運営する以上、一定の社会的なコストの負担というのはこれはやむを得ないわけでございまして、最終的に適正な地方財務行政の確保の上で必要であるんならば、それは遠回りであってもやらざるを得ないし、それはやる必要性があるんだろうと思います。 以上でございます。
○木庭健太郎君 最後に、ちょっと松浦参考人に市町村合併の問題。これ、国があめとむちなんだと言う人もいれば、片山総務大臣は一生懸命、そんなことはしていないんだと、住民の意向を聞きながらやっているんだと、こうおっしゃっている。 現職の市長として、そういった合併問題についての一般論でも結構でございます、御意見を伺っておきたいのと、今回、住民投票制度も、ある意味では協議会、初めてこれは導入されるわけでございますけれども、これについても御意見があれば松浦参考人から伺って、私の質疑を終わりたいと思います。
○参考人(松浦正敬君) 合併の問題でございますけれども、総務省の統計によりますと、今二千団体以上の団体がいろんな意味で合併協議会だとかあるいは研究会だとか、そういった形で今参加をして合併についていろいろ議論していると、そういうふうな今段階になっているというふうに聞いております。私どもも、今いろいろな将来構想というふうなことを研究会で作りまして、それを各市町村の住民の皆さん方にいろいろ話をしております。 そういたしますと、今住民の皆さん方の反応というのは、合併の一般論はもういいと、したがって、合併した場合には、例えば水道料金はどうなるのだとか、福祉のいろんなサービスというのはどうなるのかと、いろいろ格差があるものですから、そういったものについて早く知らせてほしいという意見が非常に多いわけでございます。そうしますと、もう今、住民説明会ということをこれ以上やっても、住民の皆さん方には合併につきましてこれ以上判断をする材料を提供できないという状況はあります。したがいまして、やはりこれからは、法定協議会でございますけれども、そういったところへ是非進んでいくべきだろうと。 しかし、法定協議会を作ったからといってそこがすぐに合併ということではなくて、もちろんその中でいろいろな議論も闘わせて、最終的には合併に持っていく、あるいは合併が嫌だというところについてはそこから脱落していくということがあってしかるべきだと思いますが。言わば、法定協議会というものに対してのアレルギーということはもうそろそろ卒業してもいいんじゃないかというふうに思っております。 それからもう一つは、県の役割、都道府県の役割ということでございます。 そういうふうな形で住民もいろいろな判断材料を求めておりますので、県としてどういうふうに合併というものに対して考えているかと。特に、具体的なこの地域についてパターンというようなものを示しながら県はやっているわけでございますので、県はどういうふうにこの地域を整備をしようとしているのかということについての、自分の言葉でやはり語る必要があるんじゃないかと。それは、何も県が介入をするとかということではなくて、やはり住民に対して、この地域を合併することについて該当の市町村の考え方と、それからそこを包括する県の考え方というものが両方出てくるということによって、やはり判断材料というのが豊富になってくるということになるのではないかと思います。 それから、私たちが住民にいろいろ説明していくときに一番戸惑いますのは、十七年三月というものがどれほど固定的なものなのかということが、なかなか思い切った発言ができないというところがありますし、さらにまた十七年の四月以降というのはどういうふうな状況になっていくのか、そういったところの姿というのをもう少し国なり県なりの方で情報提供をやっていただくということが大変大事なんではないかというふうに思っております。 それから、住民投票制度というのが、今回この住民発議の補完的なもの、補完的なというのはおかしいかもしれませんが、合併協議会の設置の手続の中で入れられたということにつきましては、これは、従来から言われておりました住民発議制度の欠陥ということを補うという意味で、それとまた、いきなり住民投票制度というものを合併のイエスかノーかということに適用していくということについては、まだまだいろんな情報提供の仕方とか、そういったことにおいて問題があると思いますので、まずはこうしたところからスタートしていくということが適当ではないかというふうに思っております。
○木庭健太郎君 終わります。
○松岡滿壽男君 国会改革連絡会の松岡滿壽男です。参考人の皆様方、大変御苦労さまでございます。 私はまず、参考人の皆様方から、日韓高速船の判決の問題でございますけれども、私、地元ですし、被告の市長さんもよく私は存じておる。地元での新聞の取扱い方、こういうものも読んでおるわけでありまして、裁量権の逸脱があったということでありますけれども、事業を着手した市長さんとまた違うわけですよね。それで、しかもそのときの状況から見て、早く処理しなきゃいかぬ、ますます市民に対する損害が拡大するという前提があったわけでして、御本人も自治省出身の方ですから、その辺の状況は分かりながらもやった、決断したと。しかも、議会が一応、議会で承認をされているということでありまして、この判決自体については、法律論だけでの判断じゃないかという見方もあるわけでありますが、この一審、二審の判決を参考人の方々、全部熟知をもちろんしておられると思うんですけれども、どのようにそれぞれ受け止めておられるのか、まず冒頭にお伺いさせていただきたいというふうに思うんですが。
○委員長(田村公平君) 松浦参考人から全員ということでしょうか。
○松岡滿壽男君 はい。
○委員長(田村公平君) 松浦参考人。
○参考人(松浦正敬君) 私もまだ判決そのものを熟知しているわけではございませんので申し上げられませんけれども、ただこれは大変な問題だなということが率直な感想でございます。 したがって、やはりできるだけ裁判の中でこの事実関係というのが、やはり今回のこの改正のような形で地方公共団体がきちっと参加をするというか、説明をして事実を明らかにしていくということがやっぱり必要になってくるだろうというふうに思っているところでございます。
○参考人(石津廣司君) 御承知のとおり、この事件は一審では約八億の賠償命令が出されたわけですが、控訴審になりますと約三億。具体的には、二回の補助金の支出が御承知のとおりありまして、一審段階では両方の補助金支出が違法、控訴審では一方の補助金支出は適法という判断が勝ったわけでございます。 この事件、私は判決文しか読んでおりませんので詳しい経過は承知しておりませんが、実はこの一審の判決が出たときに、これは正に公共団体関係者にとっては衝撃的な事件だったわけですね。というのは、なぜそうだったかといいますと、この事件は正に政策判断そのものの適否が争われた事案なわけでございます。補助金でございますから、公益上の必要性があるかどうか、これがもう主要な争点になるわけでして、何が公益に合致するかという判断はもう政策判断そのものだったんです。それが違法と判断されて、しかも巨額な賠償ということで衝撃を受けました。私も衝撃を受けました。 どういう意味で衝撃を受けたかというと、金額はもちろんそうなんですが、この公益判断といいますか、何が公益に合致するかの判断というのはそれぞれの立場によっていろいろあり得るんだろうと思います。何が絶対的に正しくて何が絶対的に間違っているというのはあり得ない世界の問題だろうと思いますが、それが裁判所によって違法だと判断された。もちろん違法と判断したのが間違いだと私は言っているわけではありませんでして、そういうことがあり得るんだということがはっきりしたわけです。 しかも今回、今回と申しますか、控訴審の判決では、これ片方の補助金支出は適法と判断されたわけでございまして、裁判所も一審と二審では公益性判断がやはり違っておるわけです。そうしますと、政策判断をして財務会計上の行為を行う担当者としては、一体何を基準に今後判断していけばいいのかということが分からなくなってきております。 先ほど、参考人の方の中には、住民訴訟が起こされるからといって、別に萎縮効果がないとおっしゃるんですが、裁判所の判決でもいろいろな判断が分かれている事項について自信を持って本当に判断できるんだろうか。場合によっては億単位の賠償を命じられるということになりますと、これはもう萎縮効果が生ずるのは、これ当然だろうと私は思っております。議論される方の中には、長は住民から選ばれたんだから、そんな住民訴訟を恐れるべきではないし、自信を持ってやるべきだということをおっしゃる方がいらっしゃるんで、それは私は心構えとしてはそのとおりだろうと思います。 ただ、現実問題として、明確な違法、適法の判断基準というのはないわけでございまして、特に政策判断の世界はそうでございます。そういう世界で巨額な賠償を命じられる事件があり得るということは、これはいかに選挙で選ばれた長といえども、判断をちゅうちょせざる場面というのは出てくるんだろうと思います。この事件の判決が正しいかどうかはまたいろいろ議論があるわけでして、そのことの当否は私は申し上げるつもりはないんですが、その効果としては重大な影響があるということだけは間違いないと思っております。
○参考人(高橋勲君) この山口地裁の判決が一つの住民訴訟制度の見直しの論議のきっかけになったといいましょうか、それ自体はそのとおりだと思いますね。ですが私は、これがきっかけとなったことはそうなんだけれども、直ちにそれが今の制度設計の大幅な根本的な変更につながるとは思っていないというのは先ほど申し上げました。 それから、このケースは下関市が補助参加をしていますね。そして、結論的には経営が事実上破綻していた第三セクターに対する補助金交付が、地方自治法の二百三十二条の二でしたか、違反するかどうかというのが争点になったわけですね。この判決、一審判決、たまたま手元にあったんですが、今おっしゃった二つのこと、議会の、予算が議会の議決を経ているということ、それから前任者から引き継いだということ、そういったことも含めて判決は次のように言っているんですね。これが全部いいとは、この判決を評価をするつもりはありませんが。 本件補助金の交付については、下関市議会の議決を得て行ったこと等の経緯があることも事実であると。しかし、議会への議案の提出や予算の調整及び執行等の権限を与えられている普通地方公共団体の長に対しては、一方で、これらの権限を適正に行使せしめるため、たとい、自ら担任する事務のうち前任者を引き継いだものがあったとしても、それをそのまま受容する必要性はいささかもないと。とりわけ、当該事務が、住民の税金をもって充てられる事項については、本件でも問題とされる公益性の有無につき十分に検討し、これのないことが判明したときは、直ちに、自らの判断で、その執行ないし推進を回避すべく、相当な措置を講ずべきことが義務付けられているものと解される。 私は、総論としてはこの論旨はやっぱり維持しなけりゃならない。やはり、これは地方自治体の在り方の根本的な問題提起だろうと思うんです。この考え方は私は支持します。 だけど、先ほどの損害論のところについては、二審判決で一審の八億数千万がいろいろな分析の中で結論としては減額されているという、そのことはあるんですが、その辺の厳密なやっぱり検討はしなきゃならないというのは先ほど私申し上げました。 それは、やっぱり損害論というのは、地方自治体、仮に違法だという前提で、地方自治体が現実に受けた損害と賠償を命ずる損害額が必ずイコールであるというふうに限らないというふうに考えるからです。それはなぜならば、裁判で賠償を命ずる損害の算定の際には、幾ら自治体が被ったかという事実は重要な事項ですが、それに加えて、違法性のレベルはどうなんだ、責任論はどうだ、過失のレベルはどうなんだという辺り、それから因果関係の問題も含めて、そういったものも含めた損害の算定というのはあり得るのではないかというふうに感想は持っています。 この裁判にかかわったのは、かかわっている代理人等、よく知っている人なんですが、いろいろと苦労されながら現に進めておられるようですけれどもね。一つの問題提起なんですが、直ちにこれが今回の制度設計につながらないのではないかなという思いは今でも私は持っていますけれどもね。
○松岡滿壽男君 ありがとうございました。
○参考人(田中章史君) 私ども自治労連としましても、第三セクターの在り方の問題、それから行政と第三セクターの関係、公共事業の問題などで実はシンポジウムなどをやった経過がございまして、こういう問題があったということは存じ上げているんですが、御質問の内容が判例を読んでどう感じたかという御質問ですので、私は、判例も読んでおりませんし、専門家でもございませんので、これで私は終わりにさせていただきたいと思います。
○松岡滿壽男君 済みません、どうも。 高橋参考人、先ほど政策判断について説明責任の問題を述べられたんですけれども、情報公開をすべきであると、ただ、その政策判断その他については、議会での議論をきちっとしておるし、広報その他を通じてそれぞれやっておるはずなんですよね。それ以上の例えば情報公開とか住民への政策判断についての説明というのはどういう方法が考えられるんでしょうか。
○参考人(高橋勲君) 私は、正にそういう意味では先生と立場はというか、意見が似ているんですよ。つまり、説明責任を果たす機会が今回の改正によって増えるという考え、御主張が多いでしょう。本当にそうなんだろうか。 今、先生がおっしゃったとおり、正に議会の中で全面的にその政策判断をする場合に、資料を明らかにする、全部明らかになっていない部分もあると思うんですね。それはやっぱり全面的に明らかにすべきやと思う。 それから、広報を通じて市民に知らせるということをおっしゃいました。それから、情報公開制度をフルに活用するということもおっしゃいました。正にそうなんです。そこで徹底してやることが大事なんで、被告になることと、なることによって説明責任が果たせる機会が改めて拡大するということには僕はならないだろうというふうに思うんです。 むしろ、私や友人たちの体験によると、情報公開の問題、全国的にいろいろ取り組まれていますが、その中でどうなんでしょう、ペーパーの中に黒塗りが依然として多いじゃないですか。それが裁判の中で、この黒塗りはおかしいじゃないかということで判決が出されたりしているケースがありますね。そういう点では、まだやっぱり日本は、情報公開の点からいうたら、世界的に見たらそれほど先進国とは言えない。 そういった点で、やっぱり個人情報の保護の問題、国会にかかっていますけれども、それはもうプライバシーを守りながら本当に全面的に公開していく、特にこういった環境の問題だとか国民生活、市民生活に大きく影響するような政策の立案、審議の段階ではそれは必要だろうというふうに私は思いますね。
○松岡滿壽男君 ありがとうございました。 石津参考人、この「論点」で住民訴訟の問題と類似する株主代表訴訟の問題を取り上げておられるんですね。株主代表訴訟においても会社の説明責任を強化することを目途に議論が行われているということですが、かなり民間会社の方がむしろ情報公開については、今度もまたいろいろ様々な事件ありましたけれども、随分かなりオープンになってきていると思うんですね。行政の方がある面では情報の開示が遅れておる、非常に不透明であると。 中央におきましても、政と官との役割の問題とか、今回、例の宗男疑惑から、外務省においては政治家とのやり取りのメモについてこれを公表すると、これはやはりかなりの情報公開につながると思いますし、この前から一連の現職の徳島県知事の逮捕とか、三人の現職の市長の逮捕とか、そういうのを見ていますと、どうも議会でのチェック機能が低下しているといいましょうか、総与党化の中でですね。 それと、やっぱり緊張感、倫理観の低下と。どうしたら緊張が与えられるのかと。そういう点では確かに今回の高速艇のやつにつきましては大変な緊張が走ったわけでして、地元も初めてこんなことがあったのかということが新聞とかマスコミを通じて明らかになると。 市民も考える機会を与えられたということですけれども、現在の株主訴訟と住民訴訟との比較をして、官と民でのそういう意識ですね、情報公開とかその他のレベル、そういうものについてのお考えがございましたら、お聞かせをいただきたいと思います。
○参考人(石津廣司君) 民に比べて官の方は情報公開が進んでいないじゃないかという御趣旨だろうと思うんですが、これは確かにそういう御指摘の面が全くないわけではないと私も思います。 ただ、これは是非御理解いただきたいのは、行政の保有する情報というのは、様々な情報がやはりあるわけでございまして、その中には当然公開していかなきゃならないものもあれば、例えば第三者のプライバシー情報を始めとして、これはどうしても出せないものもやはりあることは認めざるを得ないんだろうと思います。国の情報公開法でも不開示条項というのは設けられておりますし、公共団体の情報公開条例も同然、同様でございます。 ただ、少なくとも公共団体の職員の方の意識としましては、もちろん情報公開条例で開示請求があった場合全部公開するということはもちろんされていないわけですけれども、基本的にはもう行政の保有する情報は最終的には外に出ていくんだということは前提として、もう意識としてはかなり進んできているんじゃないかと私は思っております。国の方はまだ情報公開法ができたばかりですので、果たしてどこまで意識が進んでいらっしゃるのか私はよく分かりませんが、地方公共団体はそうです。いろいろな紆余曲折はあるにしましても、情報公開条例の運用の歴史は国に比べて格段に長いわけでございますから、そういう意味では進んできているんじゃないかと思います。 個々の情報が最終的に出るかどうかはもちろん別なんですが、意識としてはそうなっていると私は思っておりますが。
○松岡滿壽男君 松江の市長さん、先週、私、予算委員会で小泉さんに、そういう首長さん方の相次ぐ汚職、犯罪ですね、誠に残念で、タイは頭から腐ると、身の方はやりきれませんよという話を申し上げたんですけれども、私も昔、市長をやっていまして、おたくの大先輩の斉藤さんが市長の時代なんですけれども、どうもやはり同じ立場、出身から見てやりきれない思いがしておるんですが。 やっぱり公の立場の方というのは、常に人に見張られているという緊張感があるということと、やっぱり倫理観ですよね、それが基本だと思うんだけれども、こういう問題はどうやったら何とか、何年も続いているでしょう。茨城県の知事と宮城県の知事が逮捕されたのは平成五年ですよ。ロッキードとかリクルートとか全然その反省がなく、生かされないと、そういうことが。 これ、やはり現職の市長さんから見られて、どのように受け止められておられるのか、どうしたらそういう国民や市民の期待にこたえられるようになるのか、それをちょっとお聞かせいただけませんか、最後に。
○参考人(松浦正敬君) 私もまだ市長になりまして二年たっておりませんので、大先輩であります松岡委員のおっしゃいますことに対しまして具体的にきちっと答えるということは大変難しいと思いますけれども、やはり緊張感を持ちながら仕事をやっていくということが何よりも大事だろうと。そのためにはやっぱり自分でいろんなことを考えてやっていかないと、いつの間にか、例えばいろんな、周りから作られたいろんな結論だとかそういったものをうのみにするとか、そういうふうなことをやっていきますと、いつの間にか自分の意図とは全く違ったようなところへ仕事が進んでいくとか、そういうふうなことというのはあるんではないかというふうに思っております。 そういう意味で、やっぱり自分の価値判断といいますか、そうしたものをいつまでも持ち続けて、そして職員に対してもそういうような指示をきちっと出していく、そういうふうなことが一番必要なのかなと思いながら、私もまだまだ新米でございますけれども、そういうふうな仕事の仕方をやろうかというふうに思っているところでございます。
○松岡滿壽男君 ありがとうございました。
○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。四名の参考人の皆様、大変御苦労さまでございます。 我が党は、今回の代位訴訟、四号訴訟の問題について、住民と自治体を原告と被告という敵対関係に位置付けるなど住民訴訟にブレーキを掛ける改正内容であって、住民が自治体の行財政運営の違法をただす手段であり、住民の参政措置の一環として導入された住民訴訟制度の機能を根本から奪うものだという立場で反対をしております。 まず、高橋参考人にお伺いしたいんですけれども、資料に日弁連の意見書を付けていただいております。 六十ページの一の後段に、今回の改正案が「「法律関係不存在確認請求」、「原状回復請求」、「妨害排除請求」を廃止している。」という問題点を指摘されておりますけれども、恐縮ですけれども、少し時間の関係で分かりやすく、しかも端的に御説明いただけますでしょうか。
○参考人(高橋勲君) 先ほどちょっと申し上げたところではありますけれども、今御指摘のように、財務会計行為の相手方に対する法律関係不存在確認の請求、原状回復請求、妨害排除請求が廃止されていると、私はこれは問題だということを御指摘申し上げました。 それは、具体的に申し上げますとこういうことなんです。例えば、具体的なケースでいうと払下げ、土地を、公有地の払下げがあったとする、問題が起こったとします。その当不当は最終的には司法判断を仰ぐことになるけれども、その払下げが違法だとした場合ですね、違法かどうか争われている、違法だとした場合に、それが払下げの相手方のところにまだある段階で、まだあるわけですよね。 AならAという業者のところに払下げがあった。そこに移転を、所有権の移転がされた、あるいは占有が移転された。だけれども、そこにまだある。まだある。工事がまだ着工していないというふうな場合に、それを直接住民の、住民参加のこの制度を、現行制度を活用して直接それを市に返しなさい、なぜならばそれは違法だからだという、この制度自体を何で消す必要があるのかということなんですね。 今回の改正が通ってしまうと、結局は二段階、二段目の訴訟で損害賠償の請求を自治体がその業者に対してやらなきゃいけない。要するに、こういった払下げのようなものについては原状回復の措置じゃなくて、結局、後で損害賠償を払わせればいいだろう、金銭解決すればいいだろうという、そういった考え方が導入されようとしていることについて、現場の住民のサイドに立っていろいろとやっている弁護士としては、これはどうもおかしいというふうに私どもは問題提起しているわけです。 それが、そこまで、例えば土地の問題について、払下げの土地の問題を言ったんだけれども、払下げ手続をまだやっていない、まだ市のところにある。それについては一号、二号請求でそれを差し止めるということはできますわね。渡してはならないよという、所有権移転登記しないようにさせるという。 だけれども、その場合に保全処分が、制度を活用できない。結局は、やっちゃったらどんどん払下げの行為が進んでいっちゃうと、それを止めるすべがなくなってしまう。そうすると、本来の趣旨である自治体の財産をしっかりと守ろうと、その責任者に回復させ、てん補させようというその制度の趣旨が没却されやしないか。それまでなくするのは納得できない、こういうことです。
○宮本岳志君 なるほど、よく分かりました。 六十一ページには問題点の第二として、なれ合い訴訟の危険についての指摘もございます。少しこのことについて御説明いただけますか。
○参考人(高橋勲君) これは議論があるところですが、二段訴訟には住民が法的に参加する道がありません。ありません。ですから、二段訴訟の審理の中で、その審理がどうなるかについては議論がありますけれども、和解で解決するということはあり得ると考えています。 もちろん、和解する場合にはその議会の承認が必要でしょう。しかし、それは先ほど来出ているような、これほど多くの損害を払わせるのはかわいそうじゃないか、気の毒じゃないかという議論も含めて、第一段訴訟で認容された金額とは無関係に解決してしまうということがあり得る。 そうなると、例えばの話です、法律というのは例えばの話を積み重ねながら制度設計しなきゃいかぬということですが、例えば第一段訴訟で、義務付け訴訟ですから、義務付けられた金額を大幅に下回るような和解をした場合に、今度は住民サイドから見てそれはおかしいじゃないかと、その和解の仕方はということで、もう一回監査請求からやり直すという、そういったことにもなりかねないのではないかということを私は指摘をして、表現は別として、なれ合い的なというふうな表現をちょっと使わせていただいたんですが、そういったことも今度の訴訟の場合、そういうちょっと問題が残るよという御指摘でございます。
○宮本岳志君 昨年の九月十三日ですね、私の手元に司法改革フォーラムの第八次提言というものが届きました。これは、会長は旭リサーチセンターの鈴木さん、副会長は森ビル社長の森さん、それからオリックス会長の宮内さんや経団連の方も加わっておられます。 この住民訴訟の見直し案を廃案にとする提言を見せていただくと、我が国でようやく根付き始めた草の根民主主義を一挙に後退させるものだという指摘。そして、結論は、国会は国権の最高機関として、見識に照らし、責任を持って確実に廃案とすべきであると、こういう提言なんですけれども、内容を読ませていただくと、先ほどの高橋先生の、また日弁連の御意見に驚くほどぴったりと一致したような中身になっておりますけれども、先生、この提言は御存じでしたでしょうか。そして、もし御存じでしたら、どのようなふうに受け止められましたでしょうか。
○参考人(高橋勲君) 今、先生から御指摘されて、ああ確かにそうだ、あったなというふうに記憶を呼び戻しました。と申し上げますのは、簡単に言いますが、司法改革問題が今、日弁連挙げての大問題でございまして、経団連の方々や日経連の方々とも意見交換をしております。 この司法改革フォーラム、たしか鈴木さんが会長さんでしたか。
○宮本岳志君 はい。
○参考人(高橋勲君) 宮内さんは規制改革、規制緩和の問題などでも非常にリーダー的な役割を果たしておられる方々と、日弁連の意見の方が早かったんですけれども、この問題については、あれ、これはえらい似ているなということで話題にしたことを覚えています。 それは結局、司法改革フォーラムの方々の司法制度改革に関する意見は、先ほど冒頭に私言いましたように、やっぱりいろんな矛盾が出るだろうと、規制緩和していくこの社会に。そういう場合には司法解決がやっぱり大事だと、司法的解決が。その場合に、裁判を受ける権利を実質的に保障していこうじゃないか。そのために弁護士も増やそうとかいろいろ議論あるでしょう。そういった立場から今回の問題について見た場合に、どうも住民の裁判を受ける権利の制限というか、そっちにつながるのではないかという、そういう大局的な判断に立った意見書だというふうに記憶しています。 私も、そういう意味では、日弁連とこの方々との意見がこんなにぴったりというか、一致するというのはちょっと余り体験がないので印象に残っているものでありますので、十分参考にすべき意見だというふうに考えています。 以上です。
○宮本岳志君 ありがとうございます。 続きまして、田中参考人にお伺いをいたします。 政府は、自主的な合併と言いながら強力に推進すると、大変矛盾した言い方をするわけですけれども、今日御紹介いただいた市町村合併に関するアンケートを見ても、町長さん、村長さん等の苦悩がにじみ出ているというふうに思っております。 それで、合併を進めると自治体が効率化するという議論もあるんですけれども、自治体に働く労働組合の皆さん、自治体の職員だから反対するのは当然だと、こういうふうに見られることも多いのかもしれませんけれども、合併ということが進みますと、じゃ一体何が効率化するのかと。現実に地域住民の皆さんのところでどのような結果が今進められようとしているかということについて、現場でおられる皆さん、是非御意見、現実を語っていただきたいと思います。
○参考人(田中章史君) 合併推進論のもう一つの、二つの側面があると思うんですが、広域化をするという側面と市場化をするという、今の規制緩和の流れの中で自治体業務を市場に任せていくという流れがセットになって市町村合併問題が進んでいるんではないかというふうに私たち受け止めていまして、その際に、その効率性という議論が、いわゆる経済的な効率性のみが強調されていくんではないか。そこがやはりこの合併問題の効率性の議論の際に極めて重要な点ではないかというふうに思っています。 具体的に合併が進んでいきますと、この間幾つかの調査もしたわけですが、いわゆる町役場があったところが出張所になり、そこが一年もたたない間に支所になり、具体的に言いますと、例えば九十人ほどの職員が町役場や村役場にいたとします。これが、出張所になって二十人ぐらいになって、最終的には支所としていわゆる十分の一ぐらいに減っているというのがどこの合併の例を引きましても実態として現れてきていまして、いわゆる市町村の場合に、特に住民の暮らしを支える組織として住民が、やはりマンパワーが基本的な役割として重要だと思うんですが、このマンパワーが効率性の名前の下に削減をされていってしまうと。その結果、財政的には効率的な、交付税なども国から出さなくて済むような、そういう財政効率だけが強調されていくというのが現状ではないかというふうに思います。 私ども、労働組合ですから、何かすぐ反対というふうに言われるんですが、実は身内の中でもこんな強制合併もっと反対で旗振れという声もあるんですが、自治体労働組合としましては、町の主権者である住民が町の在り方を決めるんだ。これは、先ほど上尾の例でお話を申し上げましたけれども、上尾の労働組合も、最初、住民投票の問題、戸惑いました。しかし、最終的にやはりその町の在り方を決めるのは住民だということで、住民投票制度を活用して、本当に我が町の在り方を議論をしよう。この場合には、財政効率の問題もそうですし、サービスの問題がどうなるのか、マンパワーがどうなっていくのか、そういう問題も含めてこの町の将来をどうしていくのかという視点で、またとりわけ自治体とはそもそも何なのかと。住民の暮らしを守る基礎的組織だということを前提にした議論として発展をさせてきたというのが私どもの取組でございます。
○宮本岳志君 ありがとうございます。 私どもも、先ほど田中参考人が述べられたように、この合併協議会の設置という初期の段階で住民投票を導入する、しかも一方的な設置のみの導入ということじゃなくて、合併そのものの可否を問うその住民投票を行うべきであると、そういう修正案も準備をさせていただいております。 上尾の例などを読ませていただいても、このやっぱり合併の可否を問う住民投票ということであれば随分市民の中での議論が活性化したと、こういうことも聞いておるわけですけれども、少しその辺のところを端的にお話しいただけますでしょうか。
○参考人(田中章史君) 私どもの「季刊自治労連」というのを資料の袋に入れさせていただきましたが、その中に、三十九ページから上尾の渡辺委員長が住民投票についての記述をしておりまして、是非後で参考にしていただけたらと思いますが、極めて特徴的だったのは、条例そのものは合併推進を進めるJCの皆さんですとか地元の商店の社長さんですとか商店主の方々が中心で進めたわけですけれども、この議論の進め方として、賛成派と反対派ということで対立するんではなくて、我が町をどうするのかということが本当に問われているんだと。 その立場で、ジョイントの、四十ページの下の方にも、条例が成立してからは推進派のあげおの未来・反対ジョイントミーティングを二回やったと、およそ八百人が参加をしたと。この運営についても、賛成派と反対派の代表が十五分ずつ意見表明をして一時間のディベートを行ったと。その討論についても、賛成の人も反対の人も疑問に思っている人も平等に討論ができるようにしようという取扱いを市民サイドで進めたというところが極めて重要なところでございまして、ここが、その後インターネットやホームページを使った、様々な媒体を使って市民的な議論に発展をしていった。 ここが上尾の教訓でありましたし、特にやはり入口での投票ではなくて、合併の是非を問う投票ということでは、正にその新市計画も作り、将来像も言って議論をした上で最終的に住民の信を問うということを、議会の議決として条例という手続を進めたというところが、住民が本当に、投票率に現れていますように、積極的にこの討論に参加をし、議論を発展させてきたということではないかというふうに思っています。
○宮本岳志君 我が党は、修正案の中で、代位訴訟の廃止に関する改正についてもこれを削除する修正案を準備をしております。 仕組みは、現状を維持したまま、職員は、その上司から違法な行為をすることの要求を受けたときは、その理由を明らかにし、当該上司に該当行為をすることができない旨の意見を表示しなければならない。職員が意見の表示をしたにもかかわらずこれを上司がやらせた場合には、その要求した上司が責めを負うというふうに同時に付け加えさせていただきました。 これは、最後に高橋参考人それから田中参考人の両方にお伺いしたいんですが、私どものこの修正案の立場、つまり代位訴訟の廃止はきっぱり削除するという修正案の立場についての参考人の御意見ということと、特に田中参考人には、今日御紹介いただいた「自治体労働者の権利宣言」という案の中で「自治体労働者は、首長・上司などの職務命令に対し、その内容に重大な瑕疵がある場合、及び職務命令の遂行が自治体労働者と住民の基本的人権を侵害するおそれがあるとき、これを拒否する権利を有する。」と、こう高らかに宣言されている労働組合の立場として、是非この代位訴訟についても我が党改正案についての参考人の御意見をお伺いしたいと思います。お二人にお願いいたします。
○参考人(高橋勲君) 代位訴訟制度の全面廃止について削除ということについては、先ほど来、日弁連の考え方と一致しているわけでございますが、職務命令に対する一般職員のお断りする権利といいましょうか、それなどはこれは考慮に値するのかなというふうに考えています。 つまり、この制度の目的というのは、地方公共団体の財務会計の明瞭化というか、それは是正をしていくという、それが根本なんだけれども、それはやっぱり一般職員の方々の義務そして権限と首長さんなどとのこれは違いがはっきりありますから、やむなく職務命令に従わざるを得ないにもかかわらずという方々がたくさんいるので、それはどうかなという世論もあると思いますので、その辺の制度設計は少し考えてみる必要があるのかなと。現実の場合は過失のレベル論でしんしゃくはできると思いますけれども、それを更に制度に高めていくという検討は必要かなと思います。
○参考人(田中章史君) 修正案についての見解ということにつきましては、自治労連として公式に見解を表明することはちょっとできません。 ただ、私ども労働組合の中に弁護団という組織がございまして、この弁護団の中で代位訴訟問題についての議論をした経過がございます。 ただ、残念なことに、先ほど来からも様々な御意見がございますように、私ども弁護士の間でも基本的な一致点が、法案に対する見解が統一できませんで、先ほど意見陳述させてもらいましたように、国民の参政権の保障というその制度の精神をゆがめるという点では問題だということは明確になっておりまして、そういう点だけ申し上げて、どのようにすればいいのかというようなことについては意見は差し控えたいというふうに思います。 同時に、職務命令の問題につきましては、先ほど来からお話ししましたように、瑕疵ある命令に対しての拒否権、それから公務員の意見表明権、これは非常に今大事ではないか。 とりわけ、公務員制度改革大綱ができていますし、特に地方自治体のところでは業績評価ですとか成績主義とかという賃金と職務の在り方の問題についてリンクされた制度が強制的に導入されていまして、物が言えない、気が付いたことも発言できないという職場環境も残念ながら作られてきています。 よく市役所など、町役場などの雪印化だということなども指摘をされているわけですが、雪印事件などのようなことを自治体の中で起こさないためにも、意見を表明したり問題があることについてはきちんと意見を述べる。これは憲法の規定、地方公務員法の規定から見ても当然認められるべきではないかというふうに思っていまして、そこは是非進めていただきたいというふうに思います。
○宮本岳志君 ありがとうございました。
○又市征治君 参考人の皆さん、急な日程にもかかわらず、早朝からありがとうございました。 各委員からの質問も一巡をいたしまして、最後になりますけれども、主に住民訴訟問題に集中をしておりますので、私の方からは、市町村合併問題に絞って自治体の第一線で御奮闘されております松浦さん、田中さんに御意見をお聞かせいただきたいと思います。 松浦さんのいただいた資料、「市町村合併をめぐって」というのがございますけれども、これは参考人が八年前に当時自治省の振興課長の肩書で私見というふうにお断りになってお書きになったものでありますけれども、読ませていただきました。 最低規模能力という観点から合併必要論のA説と反対のB説に整理をされておりまして、B説だと、「現在の市町村は、それぞれ地域の実態に応じてそれなりに一定の必要十分な役割を果たしている」とあります。 私、富山県の出身でございますけれども、小規模な市町村も多いわけですけれども、それらがそれぞれ豊かな個性を持って歴史的にコミュニティーを形作って、また行政担当者もユニークな行政を展開しているわけでありますけれども、その意味で松浦参考人のいわゆるB説に共鳴するところが非常に多い、こんなふうに思っております。 また、参考人は、ある市町村の規模能力では処理できない事務があるとすれば、広域行政なり府県で補完をすればよいとも述べられております。つまり、合併そのものが打ち出の小づちではないというふうにおっしゃっているんだろうと思います。 その後八年たたれて、今、松江の市長になって頑張っておられますけれども、今のこのB説では、それぞれの市町村に合併問題は任せておけばいいんで、むしろ国や都道府県は合併をそういう意味で進めるべきではないというふうにあるわけでありまして、国や県からの強要に対しては批判的に述べておられたわけですけれども、八年たたれて今市長の立場でございますから、そういう観点からお聞きをいたしますが、これは田中さんにも後で同じことをお聞きしたいと思いますが、現在、総務省が強力に進めている平成の大合併の進め方、つまり、先ほども出ましたけれども、様々な優遇措置だとか、あるいは交付税での格差付けといいますか、ペナルティーとも言われますが、こうしたまず合併ありきの今日の推進の仕方、このことについて率直に現場から見られて御感想をそれぞれお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(松浦正敬君) ちょっと私、どんなそれは論文だったかよく……
○又市征治君 「市町村合併をめぐって」という。
○参考人(松浦正敬君) ああ、そうですか。ちょっと全然記憶がもう薄れてしまいまして、全然もうあれでございますけれども。 やはり今、又市委員の方からおっしゃいましたように、合併というのはやはりその地域の将来を決めていくという大変大きな問題でございますので、やっぱりそれはそこに住んでいる人たち、あるいはその関係の市町村がみんな納得しながらやっていかないとこれはうまくいかないということだろうと思います。したがいまして、自主合併ということが基本になっていくということになるわけでございますけれども。 したがって、それを進めていく上でいろいろなやはり考え方というのはあるわけでございますので、例えば国の場合は全くこの市町村の合併ということに対して門外漢であるというわけにはいかないと。これはもちろん国家の基本構造といったことにもやはりかかわり合いを持つわけでございますので、一定の考え方、立場に立ってやはり合併ということを推進していくとか、そういうことはあり得るだろうと思います。 それから、県の場合も、先ほどから申し上げておりますように、大変大きく市町村合併が進んでいくということになりますと県の在り方そのものも変わってくるわけでございますので、当然県としてもこの問題に対しては大変関心を持ってどうするかということを考えていかなきゃいけないということだろうと思います。 ただ、いずれにしても、いろんな今の社会情勢等々を考えていくと、やっぱり合併というのは不可避ではないかというふうに私は思っております。したがって、そうした合併をできるだけスムーズに進めていくということがこれからはやはり必要になってくるだろうというふうに思っております。もちろん関係の市町村の合意を得ながら、あるいは住民の皆さん方の合意を得ながらやっていくということが何よりも必要だろうと思っております。
○参考人(田中章史君) 私ども、この間、合併問題を全国各地でシンポジウムを開催するなどしていろんな議論をしてきました。自治体の首長さんにも参加をいただきましたし、議員の方々にも参加をいただいていますが、一つやはり問題になりますのは、期限を区切って財政的なあめとむちで強制的に進めるということについて、自治体の首長さん、とりわけ町村の首長さんたちからはこのやり方はどうしても納得できないという声が強く出されています。 実は、山本文男全国町村会長さんが福岡の方でシンポジウムをやられたときの資料をいただいておりまして、この町村会長も、強制、強要するのはやめてほしい、合併は町村にとっては最大の事務事項、案件である、だから市民の皆さんたちが自律的に合併することが良いのか悪いのかを判断して行うものだ、だから押し付けないでくださいというのが町村長大会での決議だと。先生方が祝辞の中では自主的に合併をやらなければならないと大原則は言われるけれども、と言いながら後が来るわけで、この部分に対してはそういうふうにやらないでほしいと申し上げているんだというふうに言われております。これがあるいは今の町村長の皆さん方の率直な思いではないかというふうに思っています。
○又市征治君 松浦さんの方からは今の進め方の問題についてはお答えがなかった、立場上そうかなと思いながらお聞きをいたしましたが。 二つ目の問題ですが、このたびの法案の中身、特に住民が合併協議会の設置を発議をしたけれども議会がこれを否決したときは六分の一以上の住民の連署による請求があれば住民投票に付すことができ、この投票で過半数の賛成があれば議会が合併協議会の設置を議決をしたものとみなすと、こういうことになっておるのが今回の合併特例法の改正の中身であります。 これはもう憲法九十三条に規定をされている議会制度、代表制民主主義、この原則を覆すんではないかということもございますし、またこの合併協議会設置反対の、逆に合併協議会反対のじゃ住民の発議があった場合に、これを議会が否決した場合はこれは保障されないということになっているわけで、極めて一方向で、合併推進のみの御都合主義ではないかという批判がこれは自治体の首長さん方からも相当あるわけでありまして、このことについて率直に、こうしたありよう、松浦さんも元々はこのことも御専門のことだったと思うんですけれども、それぞれ松浦さん、田中さんからお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(松浦正敬君) 先ほどもちょっと意見でも言わせていただいておりますけれども、やはり今、全国の過半数の自治体がいろんな形で研究会あるいは協議会というようなものを組んで合併というものを取り組んでいる、そういう事態になっているということをやはり我々は認識しておかなきゃいけないと思います。 そういう意味で、そういう中で住民発議という制度を考えてみた場合、これは平成七年のときにこの住民発議という制度を入れたわけでございますけれども、やはり実際にこれを発動、発動といいますか、実施をしてみた場合に、どうしてもそれは複数の関係の自治体が絡んでくるということで、一つでもそれが否決をするということになってしまうと全体が全部駄目になってしまうというようなことでは、やはり発議制度そのものの意義というものが薄れてしまうんじゃないかというような議論というのはその後いろいろあったというふうに承知をしております。したがって、それをどういうふうな形で補てんをしていくかというふうなことを事務当局の方でも多分いろいろ考えられたと思います。 一方、住民投票というものは、住民参加ということで今の間接民主制というものを補完していく一つの重要なものだというふうな位置付けがあって、じゃどういうふうなものにこういった住民投票を適用していくかというようなことで、もう一方においてそういう議論があったと思います。 そういう中で、今回、住民発議と住民投票といいますか、それが結合されたという形になっているわけでございまして、やはり一つの住民投票制度というものをこれから根付かせていく一つの試みとしてこの住民投票制度というのは非常に意味のあることではないかというふうに思っております。
○参考人(田中章史君) 先ほども申し上げましたが、資料の中で、四十五ページから第二十六次地方制度調査会の答申が掲載されておりまして、四十六ページの中段以降、住民投票制度の問題について記述がございます。 私、これ読んでみまして、住民投票については代表民主制の補完的な制度として構築できないか検討を行ったけれども、非常にいろいろ議論があって結論が出なかったと。しかし、市町村合併については、地方公共団体の存立そのもののにかかわる重要な問題であること、地域に限定された課題であることから、その地域に住む住民自身の意思を問う住民投票制度の導入を図ることが適当であるという答申をされています。 この趣旨からしますと、今回の法案につきましては、先ほど議員もおっしゃられましたように、全く論外な代議制度、議会が否決したものを住民が覆すという、そういうことにもなりますし、住民投票の在り方はいろいろな議論があるかと思いますが、そういうことはあってはいけないだろうというふうに思っています。自主的な合併を進めるという点でいえば、住民がどう判断するかということが、主権者である住民がどう判断するかということが結論でございますから、そういう点では、地方制度調査会の答申から見ても、今回の法案については瑕疵ある法案ではないかというふうに私は思っています。
○又市征治君 ありがとうございました。 それじゃ、改めて法律の専門家であります石津さん、あるいは高橋さんにお尋ねしたいと思うんですが、今の問題お聞きになっておられまして、議会で否決をした、住民発議が今度はやられて六分の一以上の連署がありました、議決していないものを議決したというふうにみなすという、こういう問題、国民感情からいっても納得できないという、こういうこともあるわけでありますけれども、この点、法律の専門家としてはどんなふうに御見解をお持ちでしょうか。
○参考人(石津廣司君) 大変難しい問題をいただきまして、答えられるかどうか何とも分かりませんが、この住民投票制度の問題は従前から議論があるわけでございまして、我が国の自治法制といいますか、憲法体制といいますか、代表民主制が原則になっているというのはこれは間違いないわけです。 ただ、それに対する補完制度として、どの範囲で直接民主制の一環としての住民投票を認めていくかというのは前から確かに議論があるわけでございます。その中でも、例えば議会と長が対立している重要な事項とか、あるいは地方公共団体の存立に関するような事項というのは住民投票を導入していいじゃないかという議論があったというところまで私も承知している。 そういう意味で、立法の条文が、先ほどのお話ですと議決していないものをみなすというのはおかしいじゃないかというのは分からないではないんですが、基本的に法令の趣旨というのは、代表民主制の補完としての住民投票制度というものをそこで生かしていこうという趣旨だろうと思います。 ですから、そういう意味では、法律的に言ってこの住民投票制度というのはある程度限定的に運用されるべきなんだろうと私も思っておりますが、そういう場面ではおかしくはないのかなという思いでおります。
○参考人(高橋勲君) 住民投票制度というのは、やはり住民が地方行政、自らの住んでいる町づくり、町の在り方について直接意見を表明して、それを反映させていくという点では大変進んだ民主主義の制度だろうというふうに常々考えています。また、日本国憲法の中で地方自治の原則が基本原理として私は位置付けられていると思いますので、その精神の一つの具現化したものかなというふうに考えておりますので、それを何らかの形で制度設計ができればなというふうに常々考えておりました。 ですが、その議決していないものについて住民投票の結果によって議決したものとみなすところをどういうふうに制度設計するのか、ちょっと十分条文等も分析して検討しておりませんが、一つの選択肢には入れられるのかなという程度でございまして、総論的には、本当にそのようなことが法律の中に取り入れられることを願いつつ、具体的な制度設計などについては、ちょっと意見をこれ以上進めるには検討が不十分かと思います。お許しください。
○又市征治君 ありがとうございました。今後の審議の参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。 終わります。
○委員長(田村公平君) 以上で参考人の方々に対する質疑は終了いたしました。 参考人の皆様におかれましては、本日、貴重な御意見を賜り、誠にありがとうございました。当委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手) 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時四十一分散会