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154回国会参議院2002/07/08

政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会 第5号

発言数
84
登壇者
10
会派数
6
開催日
2002/07/08

会議録

沓掛哲男自由民主党・保守党

○委員長(沓掛哲男君) ただいまから政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る五日、藤井俊男君が委員を辞任され、その補欠として神本美恵子君が選任されました。     ─────────────

沓掛哲男自由民主党・保守党

○委員長(沓掛哲男君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案(衆第一六号)及び公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案(参第一七号)の審査のため、本日の委員会に参考人として筑波大学名誉教授・元最高検察庁検事土本武司君、政策研究大学院大学教授飯尾潤君及び日本大学法学部教授板倉宏君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

沓掛哲男自由民主党・保守党

○委員長(沓掛哲男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

沓掛哲男自由民主党・保守党

○委員長(沓掛哲男君) 公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案(衆第一六号)及び公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案(参第一七号)の両案を一括して議題とし、参考人から御意見を聴取いたします。  参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  参考人の方々から忌憚のない御意見を承りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  本日の議事の進め方でございますが、まず、参考人の方々からお一人十五分程度ずつ御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  それでは、最初に土本参考人からお願いいたします。

土本武司筑波大学名誉教授元最高検察庁検事

○参考人(土本武司君) 土本でございます。  私は、検察官として実務経験を持つ一学究の立場から意見を述べさせていただきます。  まずもって、この法律が制定されたのは平成十二年十一月でありますが、私はそのときも参議院の議院運営委員会に呼ばれまして参考人として意見を述べさせていただきましたが、施行されたのが昨年三月、まだ施行後一年四か月しかたっていません。この間にこの法律が適用されたのは地方政治レベルで一件あるのみでありまして、この事実を本法制定により一般予防の効果があったと見るか、本法がざる法であるから検挙が少なかったと見るか、にわかに断定することはできないのでありますが、大切なことは施行後一年そこそこでもう改正ということであります。一般的に言う朝令暮改的で法的安定性を害し、国民の立法府に対する信頼を低下させることにつながるのではないかという危惧感があるのであります。  野党案の附則二条によりますと、この今回審理されているこの法改正後も施行状況を見てまた検討を加え、必要な措置を講ずることとしておられるのでありますが、今から第二の改正を見込んでいるかのようでありまして、確かに、一般的には立法当時予測もされない事態がその後発生するということはあり得るわけではありますけれども、政治的公務員の自律規範的な法規が一年や二年で改正が繰り返されるようでは、立法のプロである国会の立法能力に疑問が投げ掛けられることになるのではないか。今回は十分慎重に審議をいたしまして、安易な改正に終わることのないようにする必要があろうかと思われます。  そこで、まず本罪のこの保護法益・法的特質と法改正の基本的スタンスについて述べさせていただきます。  刑法のあっせん収賄罪を含めました賄賂罪の保護法益は、ゲルマン法的な公務の純粋性か、ローマ法的な公務の不可買収性にあるとされておりますが、この罪、本罪、あっせん利得罪の保護法益は、野党も与党も政治的公務員の政治活動の廉潔性とこれに対する国民の信頼、要するに政治倫理の確保にあるとされているのであります。刑法の賄賂罪は、言ってみれば公務そのものの廉潔性を問題にし、これに対しまして本罪のそれは政治的公務員の廉潔性が主たる保護法益とされているのであります。  すなわち、本罪は政治的公務員の政治活動のルールを定め、そのルール違反に対しまして贈収賄罪よりも軽い刑を科すことにより、政治倫理の確保を図ろうとしているものであります。その意味で、本罪は贈収賄罪よりもやや形式犯的な要素があるものであり、公職選挙法あるいは政治資金規正法と同一基盤に立つものであろうかと思われます。  それだけに、このあっせん収賄罪とは構成要件的な類似性はあるものの、罪質が異なりますので、もし両罪が重なり合うような場合には、観念的競合という関係になり、吸収関係ないし法条競合関係には立たないものと理解いたします。  以上のような本罪の保護法益ないし法的特質をベースにいたしますと、本改正によりまして、改正につきましては、まず第一にその今申した法的性格と整合性のある条文作りをする必要があろうかと思われます。  第二に、本罪の構成要件はなるべくシンプルなものにし、使いやすく実効性の上がるものにすること、つまり、広く浅く網をかぶせられるようにすることが要請されるものと考えるのであります。  そこで、今回の法改正の審議の上で最も重要視されておりますところの犯罪の主体について、見解を述べます。  元々、本法のこの立案段階では、国会議員の自律、自浄機能の一環として本罪を創設しようとされたのであり、そのことから本罪の主体は国会議員に限られておりました。ところが、口を利いて口利き料を取るという悪弊は地方政治レベルにもあるという認識から、地方公共団体の議会の議員を、更に首長をも本罪の主体に入れることになったのであります。この段階では、これらの政治的公務員、つまり、公職選挙法により国民の選挙によってその地位を得た者であるという意味で、それなりに合理性のある絞り込み方であったかと思われます。  ところが、法案の審議中に、このあっせんをして利益を得るという点では同じ危険がある者として、公設秘書も加えられることになりました。この時点から、本罪は公選による公職にある者に対する規制から、あっせんをして利益を得る行為への、行為の規制に変化したのであります。すなわち、本法の力点が人から行為に変貌したのであります。  そして、今回は更に私設秘書も加え、更に野党案では一定の親族をも加えようとされているのであります。法の性格がかなり変わってきつつあると言わざるを得ません。しかしながら、必要性があるならば犯罪主体を無制限に拡張してよいというものではありません。おのずから立法目的に従った限界があるはずであります。  こういう観点から私なりの結論を先に述べますならば、秘書につきましては、国、地方を問わず、また公設、私設を問わず、犯罪主体に取り入れるべきであり、一方、親族はこれを取り入れないとするのが妥当だと考えます。  秘書について申し上げます。  秘書があっせんをして利益を得るという行為をしても、多くは議員などからの指示を受けて行うのでありましょうから、いわゆる身分なき者が身分犯に加功した場合の刑法六十五条の法理によって処理すれば足りるのであります。ところが、最近、秘書が議員の名前をちらつかせつつも、自ら主役となって違法行為に走る事例が見られるようになったことから、秘書も本罪の主体に取り込む必要性が生ずるに至ったのであります。  秘書を犯罪主体に取り込むことにつきましては、本罪の基本的構造を崩すことにはならないでありましょう。しかしながら、秘書を取り込むことにする以上、公設秘書と私設秘書を区別する理由はありません。なるほど、私設秘書は形式的には公務員ではありませんけれども、実態的には公設秘書と差異はないからであります。  この点につきまして、失礼でありますが、与党案では、議員秘書のあっせん利得罪の中核となるのは公設秘書であるが、地方議員には公設秘書がいないから私設秘書まで拡大すべきではないと言われているのであります。  しかし、これは論理矛盾ではないでしょうか。公設秘書と私設秘書とでは実態的に区別が付かないことを理由に私設秘書を処罰の対象に取り込んだ以上、地方の私設秘書を除外する理由はないのであります。公設秘書が存在する国の場合と存在しない地方の場合とで私設秘書の活動実態が異なってくるのであるなら格別でありますが、そんなことはない。むしろ、地方政治では公設秘書がいない分だけ私設秘書の活躍舞台が広い可能性があるのであります。しかも、与党案では秘書について犯罪構成要件の面でも刑罰の面でも全く同一にしておられるのでありますから、そこに差が出てきません。とにかく、公設と私設とで実態的に区別が付かないとしながら、公設秘書が存在するか否かによって私設の取扱いに区別を設けるのは論理矛盾であろうかと思われます。  次に、親族についてでありますが、野党案では一定の親族も犯罪主体に入れようとしておられます。しかし、一方で、その野党案でも私設秘書を、公職にある者に使用される者で公職にある者の政治活動を補佐するものと定義されまして、これに当たるものは親族でも私設秘書として取り扱うということになっております。  そもそも、本罪の犯罪主体の構成は次の二つの場合に限定されるべきであろうと思われます。一つは、国会議員、地方議員、首長、公設秘書、これは言わば形式的な身分で決まるものであります。二つ目が、公職にある者に使用され補佐するもの、これが実質的な基準で決まるものであります。本罪の立法趣旨からいたしますならば、この限度にとどめるべきであろうかと思われます。親族は、今申した二番目の類型に当たるものはそれを根拠に犯罪主体性があると言ってよいのでありますが、それにも当たらない親族、単に親族であることをもって可罰性ありとするのはその根拠が不十分であろうかと思われます。  なるほど、公職選挙法の連座制における違反行為者の中に親族が取り込まれているのでありますが、これは、選挙運動あるいは買収等の違反行為それ自体は何人でも犯し得る犯罪であるということ、それから連座制の制裁というのは立候補者の選挙運動員に対する選任・監督上の過失があることを前提としていることでありまして、連座制に親族が取り込まれていることをもって本罪にも親族を取り込むことの根拠にはなり得ないと考えるのであります。親族は、本人に使用され本人を補佐するという実質がある場合にのみ可罰性があるものと考えるのであります。  次に、それ以外の要件につきましてごく簡単に申し上げます。  請託につきましては、野党案では立証が困難であるからこれを削除すべきだとされているようであります。しかしながら、贈賄者と収賄者の二者構造である贈収賄罪におきまして、その賄賂は本来、収賄者側の職務の対価として授受されることのみによって成り立つ、請託というのは言わばプラスアルファの要素にすぎないのに対しまして、あっせん利得罪においてはあっせんを頼むということが請託でありまして、請託が必然的に伴うことが多かろうと思います。請託の伴わないあっせんも観念的には考えられなくはありませんが、極めてそれは希有なことであり、本罪からそういう場合を除外いたしましても抜け道を作ることにはならないだろうと思われます。  そこで、次に、同じく主観的要素として、「特定の者に利益を得させる目的」でありますが、私のように請託を要件として残すならば、二の特定の者に利益を得させる目的は必要ないとすべきであります。本罪を適用しやすくするためには、目的といった主観的要素を少なくすることが肝要であります。  次に、三の「あっせんの内容」を契約の締結と行政庁の処分に限定するという要件と、四の「権限に基づく影響力を行使して」という要件は、いずれも削除すべきものかと思われます。刑法のあっせん収賄罪に、職務上不正の行為をさせ、又は相当の行為をさせないことの要件が付されたために、このあっせん収賄罪はざる法、骨抜き法と批判されましたし、またこの罪を制定するときに、四の要件と類似の要件として、その地位を利用してという要件を入れようといたしましたが、結局、解釈運用上不適当ということで入れないことになった。言わば、この要件はいったん死んだわけであります。いったん死んだものを生き返らせるには、それなりの合理的理由がなければならないと考えます。  この二つの要件は、言わば二重の絞りを掛けたことを意味するわけでありますが、かかる絞りを掛けますと、シンプル、簡素化、広く、浅くという要請に反しまして、守れない法律に堕してしまう可能性があります。本罪は、顔を利かせて口利き料を取るということ一般を対象として規制するということに徹すべきであろうかと思われます。  次に、収受物でありますが、野党案では賄賂にすべきだということであります。しかし、この賄賂というのは本来、職務行為の対価としての利益でありまして、その職務というのは収賄公務員自身の職務を意味するのでありますし、それに本罪が職務の廉潔性よりも政治倫理の保持に主眼があるとするならば、なおさら賄賂の用語はふさわしくないのではないか。財産上の利益という概念でカバーできないものといえばせいぜい異性間の情交ぐらいであろうかと思いますが、あっせんによる利益としてはほとんど財産上の利益でカバーできるものと考えます。  要求と約束の要件につきましては、これは言葉だけで要求罪、約束罪が成立してしまう可能性があります。そういう言葉だけでありますと、敵方政治家を陥れるために本罪が悪用されるおそれがありますので、収受だけにするのが妥当であろうかと思われます。  第三者供与の要件につきましては、先ほど来申し上げているあっせん収賄罪の立法の際に、衆参両法務委員会におきまして、「将来第三者供賄の処罰について検討すべきである。」という附帯決議が付いているのにかかわらず、その後一向にそれが検討された嫌いがありません。もし第三者供賄を本罪に付けるとするならば、まずもってあっせん収賄罪の方こそ先に手を付けるべきであろうかと思われます。  最後に、刑罰についてでありますが、私のように、要件を緩やかにして広く浅く処罰できるようにする反面、刑はなるべく軽くした方がいいかと思われます。とりわけあっせん利得者につきましては、この懲役刑のほかに罰金刑を選択刑として定めておくのが適当かと思われます。  以上、行政への口利きこそ政治家の仕事だという日本の政治の常識を転換させることを目指して本改正作業が進められるべきものと考えるのであります。時間をオーバーして失礼しました。(拍手)

沓掛哲男自由民主党・保守党

○委員長(沓掛哲男君) ありがとうございました。  次に、飯尾参考人からお願いいたします。

飯尾潤政策研究大学院大学教授

○参考人(飯尾潤君) 御紹介にあずかりました飯尾と申します。  他の両参考人と違いまして、私は法律の専門家ではございませんで、政治学を専攻いたしておりますので、政治学の観点からこの法案について御参考になるような意見を述べたいと思います。  と申しますのは、法律上の細かいことは極めて重要でありますが、今回のこの法律を改正されるに当たっては、提案理由にもありますように、一般の国民のしばしば言われますような政治不信に対して、政治家の方が皆自ら何かの対応をしようというものは与野党ともにあって出てきたものだと思いますので、それについてどのような論点があるのかということを申し述べたいと存じます。  まず初めに、そもそも今回のこの法律が例えば収賄ではなくてあっせん利得が出てきた背景にあるのは、これは御案内のとおりでございまして、政治家の活動の中にやはり口利きというものが非常に広く見られ、しかもそれが好ましくないものだとどうも思われているということについて、政治家の方も御認識になっているのではないかということであります。ところが、何が好ましくないのかということについて、法律、例えば今回の法案では問題になるところではないかと思うわけでありまして、まず最初にこの点についてお話をさせていただきたいと思います。  と申しますのは、実は、これはしばしば、マスコミでは政治と金がまたしばしば問題になってきた、だからこの法案が出てきたんだと言われます。そうなってきますと、これは政治と金の問題で、金をもらうのがよろしくない、政治の方がお金を受け取るのがよろしくないということであります。  ところが、実はこれは収賄罪の場合のように不正なお金というのと違って、これはどのような点で不正と思うかということについて今回の法律の問題になってくるわけでありまして、いわゆる正当な政治献金はこれに対象としないということはしばしば言われるわけでありますけれども、じゃ、国民一般のために仕事をしているからお金をもらう、これは結構でしょうと。じゃ、国民一般のためにお金をもらうから何かあっせんをするのかというと、国民一般のためのあっせんというのはあるのかと、どうもそれはないのではないかということになると、どの範囲、じゃ業界のレベルであればいいのか、産業のレベルであればいいのか、あるいは特定の人々、どれくらいの範囲であればいいのかというふうなことになってきますが、突き詰めて見れば、お金を受け取って何か政治家はするのだろうか、つまり政治活動がお金の対価としてなされるべきかどうか。  つまり、政治献金というのは無私の行為で、何らかの対価として政治献金をするのではなくてという、逆に言うと対価を得てお金を受け取るということはよろしくないのではないかということの論点、後で戻ってきますけれども、一つあるのではないかと思うわけでありまして、そこについて論点をずっと絞っていきますと、この種のあっせん収賄という、あっせん利得という問題についても、失礼いたしました、あっせん利得という問題についても対象についてやはり考えることができるのではないかと思うわけであります。  しかしながら、別の見方もございまして、なぜあっせん利得はよろしくないというかといいますと、あっせんそのものに実は問題があって、そして更にその上に、先ほど参考人から口利き政治をやめるという話がありましたが、この本法に係らないからといって、お金を受け取らなければ幾らでもあっせんをすべきかどうかという問題でございまして、これはまた別の問題ではないかと。口利きというのはどういうことかといいますと、例えば典型的に見られますのは、やはり行政処分でありますそういうことを特定の人から頼まれて、何とかしてくれと、例外的な処置をするとか、これは、しばしばこれしかし大変問題になりますのは、だれが考えても少しおかしいことを頼めと、こういうのはこれはもちろん論外でありますけれども、しかし、世の中に大変行政が画一的であるためにたまたま大変気の毒な目に遭う方があって、それは政治家の方に依頼をされる。それに従って、じゃ行政にお話をするのが正当かどうかという問題であります。  実はこの法律の対象には直接なっているのかどうか、ここは微妙なところでありますが、そのような場合をどう考えるのかというのは一つの論点でありまして、そういう、そのものまでも、しかしながら、そういうたまたま気の毒な方とおっしゃるけれども、たまたま政治家の方に頼んだ方だけが気の毒なところから逃れられて、そうでない方はそのまま放置されるというのがよろしいのか、あるいは法律、あるいは行政に欠陥があれば一般原則から直していくべきではないか、そうすると個別の口利きはよろしくないのではないか、こういう二つの見方ができるわけでありまして、どちらを取るかによりましても問題が広がってくるわけであります。  しかしながら、第一の論点、この二つ、どちらの側面を重視するかで問題は変わってくるにいたしましても、実は今回提案されております与党案にしても野党案にしましても、あっせん利得の法律で対象となるのは、私が今問題にいたしました行為の特に一部であります。それはもう当然のことでありまして、そういう非常に日常活動化しているものをすべて網を掛けていきなり禁止するということが望ましいかというと、それは望ましくないわけでありまして、刑事罰を科すからにはやはり甚だしくよろしくない。そういうものに限定されるからであって、こういう刑事罰を科する法律に限定性があるのは当然のことでありまして、口利き禁止法というのはなかなかできないだろうと思われるわけです。  ところが、これは立法される議員の先生にお願いしたいところでありますが、刑事法に該当しなければ何をやってもよろしいのかどうかということであります。つまり、もしも刑事法に該当しなければ、処罰されなければ何をしてもよいということになりますと、逆に言うと、好ましくない行為をなくそうと思うとすべて処罰しないといけないと、こういう難しい問題。しかしながら、そうやって構成要件を広げていって、非常に刑法上問題、刑事手続上問題になるような事態を生じせしめるのがよろしいのかどうか。やはりその問題でありまして、実は一般の有権者、国民からしますと、政治家の、この本法の目的ともしておられると思いますけれども、政治家の倫理が確立し、あるいは政治にかかわる方々の倫理が確立する方のことが問題でありまして、刑事罰が当たらなかったからよろしいというわけではなくて、やはりグレーゾーンは必ず残るとしても、グレーゾーンについて何か政治家の方がこれはやめますというふうなことをきちんとされるかどうかで実はこの立法についても違いが出てくる。つまり、先ほど、しばしば改正するのはいかがかと、いったん法律は制定されたわけでありますけれども、不十分だという声が恐らく有権者の方から寄せられたんじゃないかというふうに考えますけれども、法律を定めるだけでこのことが満足していただけるかというと、少しそれには限らないのではないかというふうに考えます。  そう考えますと、やはり政治責任はどのような形で明確にされるのかということになりますと、本法の審議において本法の条文について議論されるのは当然でありますけれども、実は好ましい政治活動とそうでないことについても議論され、好ましくないもののうちどこを禁止すべきかというタイプのことを、これは政治家御自身の問題でありますので、やはり広く国民に議論を喚起するというふうなことがあってもよろしいのではないかと思われます。  そう考えますと、実は好ましくない行為を減らすために、この処罰を科するというだけではなく、例えば行政と政治家との関係をどのように律するかという方向もございますし、あるいは実はあっせんをされても、される相手の行政官の方、行政組織の方の問題もございますので、行政省庁がどのような対応をすべきか、その規制のいかんによっては、実は政治家の方が口利きをしたくてもできない状況ということはできるかもしれないわけでありまして、そちらの方の検討もやはり観念的に、もちろん法律の種類が違いますから同じ委員会というわけにいかないかもしれませんが、やはり一般の国民の目に見える形で同時並行的に議論をされることが必要ではないか。その上で、法律は法律として、刑事法として適当なものを選ぶべきであろうというふうに考えるわけであります。  ただ、その次に、じゃ、このあっせん、口利きが問題となる理由、先ほど簡単に申しましたけれども、もう少し掘り下げて考えますと、やはり政治家の、あるいは国会議員、あるいはこの法律の場合地方の首長でありますが、選挙によって選ばれた政治公務員がどのような仕事をすべきかということについて、やはりきちんとした観念が立たないといけないのではないかと思われます。しばしば、口利きがなくなれば政治家の仕事がなくなるとおっしゃる方もいるやに伺いますけれども、実のところ、最初のお仕事は実は立法活動であったりしまして、これは正にこういうところで議論をして法律を作っていくという活動でありましょうし、あるいは議院内閣制を取っていけば与党の側は政府を構成して行政を監督するという仕事が出てきます。あるいは逆に野党の方はそうした行政に対する監視の仕事が特に中心的になってくると思われますけれども、こうしたあっせんあるいは口利きをした場合、その本来の職務がどうなるのかということは考えられないといけないわけであります。  しばしば、あっせん、口利きというのは問題になりますが、例えばこのようなことが考えられるのではないか。つまり、罪の方ではなくて、世の中で具合が悪いと考えられる事態としましては、例えばある省庁で特定の課がある法律を抱えていたと。これが自分たちとしては世の中にとって善いと思うから、これを国会で通してほしいと。そうすると、国会の先生方の賛成も得なければいけない。そうすると、このために、国会議員の方に賛成を得るために特定のサービス、まあ少し大目に見る程度のサービスをしようというインセンティブが働いても不思議でないわけであります。そうなってきまして、もしも政治家の仕事として、本来の仕事を、逆に言うと、これをてこにしてあっせん行為をすると。そういうことになってきますと、実は政治家の仕事自体が変質してくる可能性がありまして、取引として、法律を通す取引として何か別のものを得るということになりますと、やはりこれは金銭の授受以外の問題、やはり起こるというふうに考えまして、やはりそのあっせん、口利きには一定の制限がなければよろしくないのではないかということであります。  そういう点からいうと、もう一つ問題になりますのは、しばしば行政の中立性と言われますが、正にあっせんという行為が問題になるのは行政の中立性をやはり侵すからであろうかと思われます。  政治家の方は、行政的に中立的であるわけではなくて、選挙に通って選ばれるわけですから党派性があり、当然のこと、議会政治では当然のことでありますが、逆に言うと、行政の中立性と言われる場合には、行政立案、これは行政権は内閣にあると憲法上ありまして、内閣の構成員は国会議員が中心でございますから、内閣レベルの政策立案については行政的中立はないにしても、実は末端の行政活動の執行についてはやはり行政の中立性というのは重要であります。  ところが、議院内閣制を取っておりますと、そのトップのレベルで実は中立性がないということ、当然のことでありますけれども、民主主義を取れば大統領制でも何でも当然でありますが、トップのレベルでは中立性は確保できないわけでありまして、末端のレベルでの行政の中立性を確保するというのは非常に重要な仕事。しかも、これが侵されるということは実は政治的な競争も侵されると。与党の側の方がより行政と近いということでありますから、与党の方の口利きが重視されるとなると、実は選挙において与野党が対等の立場で競争するということがなくなりまして、実は民主主義の根底が問われる。そのためにやはり行政の中立性を確保する必要があり、また国会議員のあっせん行為が問題になってくるのである。これは、首長であっても次の選挙等考えると同じこと、地方の首長であっても同じことであります。  そう考えますと、実はいいことを世話するのはよろしくて、よろしくないことを世話するのはよくないというだけでは済まないのではないかということで、いいことである、もっともなことであっても、政治家が関与して直接行政機関に働き掛けることによって一定の政治的な意味が生じるということでありまして、それをやはり制限する必要があるのではないかと思うわけでありまして、政治家の方は、一般の方、どうも普通の国民が行政に文句を言うのも当然である、だから代表たる国会議員が文句を言うのも当然だという御説もございますけれども、逆に言うと、一般の有権者は、一般の国民は国会での議決権というようなものを持っておりませんので、逆に言うとてこにする権限がないわけでありまして、これは行政機関も自然に対応することができますが、実は選挙で選ばれた国会議員あるいは地方の首長、地方の議員という方々についてはやはりその権限があるだけにそういう問題では済まないということであります。  そう考えまして、最後になりまして法案の中身についてでありますけれども、今回、与党案も野党案も処罰対象を拡大をしていこうということであります。これについて意味が変わってくるということについてはございますけれども、実はそもそも元の法律でも公的、公設秘書を入れているという観点からしますと、国会議員というか、あるいは政治家の方が自分だけで身を律するのではなくて、自分の一部である方についても律していこうという、もうそういうお考えでありますので、そういう点では、先ほど申しました刑法の原則からいって、逆を言うと広げ過ぎて、何か選択的に選ばれるというのは大変難しい問題ですから、その点については取捨選択があり、ただ、一番重要なことは、対象となる政治家の皆さんがこのような行為を変えようという自己の行為を変えた結果としてこの法律に係る行為が減ってくるということでありますので、そういう点では、やはりできるだけ合意点を見付けると。これはよろしくないということを、法律でここまで改正にしたからもうあとはよろしいという態度を取られないということが非常に重要なことではないかというふうに考えるわけです。  そう考えますと、先ほどもございましたように、一年たったけれども実は一つしか検挙された例がない、これをどう見るかということでございます。  実は私の観点からしますと、これを実はもう少し詳しく検討されるべきではないか。つまり、好ましくない活動がどんどん罰せられればよろしいということなのか、実は好ましくない活動が実は本当になくなったのか、実は立法府でこれ議論されるときにどのような調査をされたのか、必ずしもこれまでの御議論では私も余り十分によく分かりません。実態調査というのは、実は国会議員の方はそんな具合の悪いことはしておりませんよと皆さんおっしゃるはずでありますが、そういうことを第三者のことで検討されたとか、何か調査をされたということは本当にあるのかどうか。  そういうその実態がよく分からないところにだんだん処罰を入れてくると。こうしますと、例えば政治資金の問題でも、しばしば言われますように、どんどん法律の方は厳しくなるけれども実態は違うということはどうも薄々有権者の方も分かっていて、政治不信がなかなか直らない。まあここにおられる方はそういう問題はないというふうにおっしゃるはずでありますけれども。しかし、ないものはないと言っておっただけではなかなかこの不信は直らないわけでありまして、実態調査をやはり自らされるということは非常に重要なことではないか。それでなくなったのか、あるいはもっと罰するべきなのか、使いにくくて、あるんだけれども処罰がされないのかということは、やはりきちんとされるべきではないかと思われます。  時間でございますが、もう一つ、こう考えますと、実は本法は、この委員会の御議論あるいは本会議の議決は非常に重要な問題でありますけれども、この法律の改正案で終わるものではなくて、政治家の皆さんが特に一般の国民に対して自らの行動を変えていく、もしも御不満、一般の有権者からは不満があるとして、それがまたもっともだと思われれば、それにふさわしい行動を取られることによって、法律改正だけではなくして、更に大きな効果が出るはずのものでありまして、逆に言うと、そのことがなければ、法律改正が出ても、たまたまどなたが引っ掛かるのだろうかという興味ばかりになり、政治不信はなかなか解消できないのではないかと思われまして、やや改正案を超えた問題もお話をいたしましたが、以上、意見を述べさせていただきました。(拍手)

沓掛哲男自由民主党・保守党

○委員長(沓掛哲男君) ありがとうございました。  次に、板倉参考人からお願いいたします。

板倉宏日本大学法学部教授

○参考人(板倉宏君) レジュメを御高覧いただきたいと思います。  まず、与党案が第二条の罪の主体に私設秘書を追加したということは妥当であると思います。この秘書の定義も明確でありまして、構成要件の明確性は保たれていると思います。  しかし、元秘書や地方議員と首長の秘書、それから配偶者、父母、子供、兄弟姉妹が主体とされていないのは不十分であると思います。元秘書というのは、野党案にもなかったかと思いますが、これはやはりあっせんをするときに秘書でないことにして、やってからまた秘書に戻るとか、そういうことによってこの適用を免れるということを防がなければならないというふうに考えているわけです。  いろいろ問題点がありますので、次に移りますが。  それから、あっせんの対象となる行為を現行法や与党案のように売買、賃貸、請負その他の契約や特定の者に対する行政庁の処分に関する職務上の行為に限定するというのは、これは狭過ぎるのではないかと思うわけです。  これですと、特定の者のためにする予算措置だとか公共事業等の箇所付けだとか、税制上の特別措置だとか、あるいは補助金交付要綱を制定するとか、そういったことが対象にならなくなってしまいますもので、非常に狭過ぎるというふうに考えております。やはり野党案のように職務に関する行為というふうにするのがよいと思います。  次に、現行法や与党案のように請託を要件とするということは、わざわざ要件とするということはやはり妥当でないと思います。  やはり請託は、密室で以心伝心に行われる場合が多いわけでしょうから、立証が極めて困難であると。この請託をやはり要件にしますと、このあっせん利得罪で立件するということがかなり難しくなるんではないかと思います。ですから、このような要件は削除すべきだというふうに思います。  それから次に、現行法や与党案のように権限に基づく影響力の行使といったことを要件とするということも妥当でないと思います。  議員、国会議員の場合は、国等の契約や行政処分については権限がないわけですから、非常な大物議員でいろいろ顔が利く人が、しかし大臣とかそうではない人ですね、公共事業の入札に特定の建設会社を入れるように口利きをしたと、よく最近報道されているような事例ですね、そういった場合にもこれは本罪は適用できないということになってしまうのではないかと思うわけです。ですから、野党案のように、このような要件は削除すべきであるというふうに考えております。  次に、現行法や与党案のように、報酬を財産上の利益と、現行法ももちろんそうですが、財産上の利益というふうにするのも妥当ではないと思うんです。  これは、財産上という文言は削除して、単に利益とするとした方がよいというふうに考えております。財産上の利益としますと、選挙条項などだけでなくて、選挙運動の際の労務の提供だとかいろいろな情報や地位の提供、そういったことが含まれないということになってしまいます。これでは具合が悪いので、やはり刑法上の賄賂概念と同様に、人の需要や欲望を満たすに足りる一切のもの、これらを含むということにすべきだというふうに考えております。  しかし、ただ野党案のように賄賂と、この辺は罪質をどういうふうに見るかということにかかわってくるんですが、賄賂という言葉を使いますと、公務員の刑法の、日本の刑法上の賄賂罪というのは、公務員が職を汚すと、涜職罪というふうに考えているわけですから、ところがこのあっせん利得罪というのは、刑法の賄賂罪では処罰できないもの、もう少し広い行為をとらえようとしているというふうに考えております。  それから、やはり私は野党案のように、配偶者だとか父母だとか子供、兄弟姉妹、こういった者も主体にすべきだというふうに考えておりますけれども、さらに公務員でない私設秘書ですね、これは与党案でももちろん主体にしているわけですが、やはりこれは公務員ではないわけですから、そうしますとやはり公務員という言葉は避けた方がよいと、公務員の涜職罪である刑法上の賄賂罪と同質のもののように受け取られるからなんです。  ただ、特に、公務員でない私設秘書などが主体となる場合に賄賂という言葉は避けた方がよい。しかし、言葉は、賄賂という言葉は私は避けた方がいいと思いますけれども、概念内容は、刑法の賄賂罪におけるのと同じように、一切の利益と、人の需要や欲望を満たすに足りる一切のものを含むということにしないと、いろいろ選挙のときに一生懸命やってくれなんというのはみんな助かって、適用を免れることになってしまいますから、それでは具合が悪いように思います。  次に、現行法や与党案は収受だけを処罰するということにしています。しかし、これはやはり、刑法の賄賂罪は要求だけでなくて約束、失礼、収受だけでなくて要求、約束も処罰しているわけです。それとやはり要求罪、約束罪というものを処罰するようにすべきだと思います。収受のみに限定するという必要はないと。そういうふうにしたからといって処罰の範囲を非常に広げるとかいうようなことにはならないと思います。  次に、現行法や与党案には第三者供与を処罰する規定がないわけですね。刑法のあっせん収賄罪についても長年言われていたんですが、いまだにないんですが、その第三者供与を処罰する規定がないわけですけれども、やはり野党案のように第三者供与を処罰する規定を追加すべきだと思います。やっぱり政党の支部、政治資金管理団体、政党の支部というのは相当たくさんあるようでありますけれども、そういったものが受皿になって本罪の適用を免れるということを防止しなければならないからなんです。いろいろ、第三者と共謀していたようなときは、また共同正犯だとかいろいろなことは考えられ、また観念的には考えられますけれども、実際上共同実行の意思があるということを立証するというのはかなり難しい問題でありますものですから、やはり第三者供与を処罰する規定を追加しておかなければならないように思います。  全体的な印象でありますけれども、与党案、これはあっせん、先ほど申し上げましたように、私設秘書を主体にしたということは、一歩前進までもいかなくて、十分の一歩ぐらいは前進しているように思います。しかし、たくさん抜け道、四方八方に抜け道があるわけなんですね。これは現行法もそうなんですが、だからこそやはり施行されてからあっせん収賄罪の方も国会議員レベルでは三件ぐらいだったですかね、しかもまだ、有罪が確定したものは今のところ、一件は最高裁になっていますが、まだ確定はしておりません。  ところが、あっせん利得罪の方も和歌山、地方の市会議員レベルが一件立件されていると、まだ判決があるわけじゃありませんが。恐らくはこういうことをしている人は全国的にはこれは多分国民は相当いるのではないかなというふうに、こういうことが行われているのはたった一件というようなことはないと思うんですね。これはやはり現行法がいろいろな抜け道があるということで、非常に適用するのが難しいからだと思うんです。和歌山のケースもたまたま適用できる件が見付かったというような感じじゃないかなというふうに思っているわけなんです。  ですから、やはりあっせん利得を防止すると、これは口利きによる利得を防止、利得行為を防止するということについて実効性のあるものにするためには、やはり基本的には野党案のようなものにしていかなければならないというふうに考えております。  ただ、先ほども申し上げましたが、賄賂という言葉は避けて、財産上の利益というのを賄賂という言葉にするのではなくて、ただ利益というふうにすると。財産上は取っ払われなければ具合が悪いというふうに考えております。  若干時間も余りましたが、以上で私の意見を述べさせていただきました。どうもありがとうございます。(拍手)

沓掛哲男自由民主党・保守党

○委員長(沓掛哲男君) ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  なお、参考人にお願い申し上げます。  御発言の際は、その都度委員長の許可を得ることになっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。  それでは質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

森元恒雄自由民主党・保守党

○森元恒雄君 自民党の森元恒雄でございます。  三人の参考人の先生方、今日は本当にお忙しい中、ありがとうございました。  これから私の方で幾つか御質問させていただきたいと思いますが、まず初めに、先ほども土本参考人の方からお話ございましたように、この本法の法が施行されましてわずか一年余りで改正をしようという動きに今回なってきた。そのこと自体、なぜ、その背景を考えますと、今日、一部の政治家のいろんな行為が国民の政治家あるいは政治に対する不信を招いておる、それがこの大きな原因になっているということにつきまして、私どもも、国会に籍を置く一人として改めて自らの襟を正していかなければいけないなということを、決意を新たにしておるところでございますし、法律の立法措置として処罰でもって手当てをするべきところがあれば、それは先ほど、朝令暮改、立法者としての責任どうかという御意見もございましたけれども、やはりその時代時代の国民の多くの方々の要請にこたえるということも立法府の責任ではないかなと、こんなふうに考えます。与野党、今、二法案審議中でございますけれども、そういう問題に積極的に対応しているということに対して私は大きな意義があるんではないかというふうに初めに申し上げたいと思います。  このあっせん利得処罰の関係でございますけれども、しかし、これも先ほど飯尾参考人からお話ございましたように、政治家というものは一体どういう役目を担っているのか、そしてまたどういう役割を果たしていくべきなのか、こういうことを考えましたときに、この刑法、処罰、罰則ということであるべき姿を担保するというのはやっぱり最後の最後の手段であろうというふうに私も思うわけでございまして、まずその前に、やはり政治家自らの倫理というものを確立すべきでありますし、またこのような事態がなぜ引き起こされてくるのかということについての根本的な原因、政治のルール、政治と官のルール、政治とお金のルールというものについても広く見直す必要があるんではないか、そういう前提に立ってお聞きしたいと思います。  そういうふうに考えますと、やっぱり政治というのは、何が何でも少しでも疑わしければ罰してがんじがらめに手足を縛ればいいというものではないんではないかなと私は思うわけでございまして、政治家が国民の請託を受けて、この国、この国民のために何が必要かということを自由濶達に議論をして、政策を立案し、実行していくということこそ大事だ、そこに支障が生ずるようなことは、これは極力避けていくべきであるというふうに考えるわけでございます。  そうしたふうに考えましたときに、先ほどお二人の参考人から御意見いただきました中で、まず共通しておる御意見についてお聞きしたいと思いますが、それは、このあっせんの内容を契約あるいは行政処分に限るのは必ずしも適当でないんじゃないかという点、あるいは権限に基づく影響力を行使してという要件はむしろ削除した方がいいんじゃないかと、これはお二人の先生に共通しておった点かと思いますが、この点について私どもは、そうしますと、広く日常の政治活動に対する制約が掛かってきて本来の立法活動あるいは予算編成活動が十分にできないんじゃないかと、こういうふうに心配するわけでございますが、改めてこの点について土本参考人及び板倉参考人にお聞きをしたいと思います。

土本武司筑波大学名誉教授元最高検察庁検事

○参考人(土本武司君) 自由濶達な議論、民主主義社会においてもちろん必要であります。ただ、この自由濶達な議論ではなくて、口を利いて口利き料を取るというところが我が国に古くからある政治腐敗を生む大きな原因となっているので、これを規制しようというものでありましょう。  もとより、この法律のねらいからしますと、恐らく一番理想的なのは、やがて将来、この法律を廃止するという議論が国会でなされるのが最も理想的なことであろう。しかし、今日までの日本の実態からするならば、こういう法規制をしなければならない。また、プロセスとしては、法律による他律規制をするということが非常に効果的であるというのは、イギリスにおける例の腐敗行為防止法、目の玉飛び出るような重い厳しい法律が作られたことによって、あの世界に冠たる民主主義の選挙制度が確立されたということによっても立証されているんではないかと思う。  そうしますと、こういう法律はその意味で存在価値はあるわけですが、作るとするならば、なるべく広く浅く、ちゃんと適用がしやすいように立法することが重要であり、今御指摘の契約の締結、行政処分、行政庁の処分、それから権限に基づく影響力を行使してというような要件が入りますと、今申したような本法の立法目的に沿わないことになるのではないかと思っております。

板倉宏日本大学法学部教授

○参考人(板倉宏君) 特定の者のためにやはり口利きをして、その見返りに利益を得なければいいわけなんで、ですから、こういう法律ができて、そして野党案のようなものにしたとしても自由な政治活動が妨げられるとは思えないわけですね。住民のためにやったということであれば何も問題はないわけですし、特定の者のための利益のためにいろいろ口利きをして、そしてその見返りに利益を得るということが問題であるわけですから、野党案のようなものにしたからといって自由な政治活動が妨げられるというふうには私は到底思えないわけです。

森元恒雄自由民主党・保守党

○森元恒雄君 先ほどの板倉参考人は、あっせん行為の対象として、例えば予算で補助金を計上するとかあるいは租税特別措置という制度を作るとか、そういうようなものも対象になるようなお話でございましたけれども、そうしますと、およそそういうことと関係のないその他の政治活動というのは一体何があるんだろうかなと、こういうふうに思うわけですね。  そういうふうに考えていきますと、私が先ほど申し上げましたように、我々の、政治家の日常のすべての活動が対象になってしまう。それで、その見返りとしての口利き料をもらわなければいいじゃないかという御意見かと思いますが、しかし、この口利き料というものは、余りいい表現ではございませんが、いわゆる政治献金も、そこに実態問題として対価性があれば、その名目は何であれ対象になるという解釈になると思いますので、そうしますと、すべての活動がこのあっせん利得の処罰の対象になり得るということになりまして、それこそ自由闊達に物が言えなくなるというおそれがあるんじゃないかなと私はこう思うんですが、その点について再度、板倉参考人から御意見いただければと思います。

板倉宏日本大学法学部教授

○参考人(板倉宏君) 特定の住民のためとか何々のためというんじゃなくて、特定の人の、特定の者の利益を図るために例えばそこへ予算を付けてやるようにする、そしてその見返りに利益を得るということはやってはならないことだろうと私は思います。  そういう活動は元々政治活動としてもすべきでないことだと思いますから、こういった野党案のような法律、そういうものを実現したからといって、ちゃんと正当な政治活動が阻害されるというふうには私は到底考えられないわけです。

森元恒雄自由民主党・保守党

○森元恒雄君 そこの点は、私どもはやっぱり補助金にしましても租税特別措置等にしましても、やはり制度としてあるいは予算としてというような場合には特定化されていないんですけれども、実際に運用していくときには個人あるいは個々の団体ということになってくるわけで、先ほどの先生のお話は、その前段階でも対象になり得るやのようなお話であったように私は受け取りましたので改めてお聞きしたわけでございますが、そうしますと、予算計上あるいはそういう法制度を作る段階は対象に当然ならない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。

板倉宏日本大学法学部教授

○参考人(板倉宏君) 要するに、それは特定の者のためにするものでなければ対象にならないというふうに考えております。

森元恒雄自由民主党・保守党

○森元恒雄君 それでは次、土本参考人にもう一点お聞きしたいと思いますが、先ほどの御意見の中で、この私設秘書について与党案は国会議員の私設秘書だけを対象にしているけれども地方議員についても同様な扱いをすべきではないかと、こういう御意見だったかと思います。  私どもは、やはり今回のあっせん利得法は、そもそもは公務員であります公設秘書がベースであって、それとの関係で、やはり国民から、第三者から見て外見上その区別がなかなか付きづらい私設秘書についても問題がいろいろ起こってきたということから対象に加えるべきじゃないかと、こう判断をしておるわけでございまして、地方議員には御案内のとおり公設秘書というものが現時点では設けられておりませんので、そのベース、基本になる公設秘書がいない地方公務員について私設秘書を対象にするのはいかがかというのが私どもの考え方でございますけれども、こういう考え方について再度、先生の御意見をお聞かせいただきたいと思います。

土本武司筑波大学名誉教授元最高検察庁検事

○参考人(土本武司君) 公設秘書をベースにして考えているんだという御趣旨である。しかし、そのことからどうして公設秘書の存在しない私設秘書については論外にするということになるかが私には理解できないのでありまして、元々発想の発端が、せっかく二年前にできた法律では公設秘書だけにしたのに今度わざわざ改正のための審議をなさって私設を入れることにした理由は、公設と私設とは実態的には区別が付かないんだと。現に、私設であってもこの種のあっせん利得罪で捕捉しなきゃならないような不祥事件が起きているという事実認識に立って今度この審議がなされているんだろうと思います。  そうすると、地方の方は公設がいないから私設も国のレベルとは違ってこういう危険は発生しないんだというなら、それは確かにおっしゃるとおりでありますけれども、この公設と私設は区別が付かないんだという前提に立って、それで公設がいなきゃ私設も対象にしなくてもいいというのは理屈が合わぬのじゃないかと思うのであります。

森元恒雄自由民主党・保守党

○森元恒雄君 最後に、飯尾参考人にお聞きしたいと思いますが、先ほどは、今回の法案を離れまして、広く政治の在り方あるいは政治責任の取り方について御意見をいただいたわけでございますが、その中でいま少し分かりにくかったのは、いわゆる対価をもらわなければあっせん、口利きは何をやってもいいのかと、必ずしもそうでないだろうと、一定の制限があるはずではないかというお話ございましたが、この一定の制限というのは先生のお考えではどういうものかということについてお聞きしたいと思います。

飯尾潤政策研究大学院大学教授

○参考人(飯尾潤君) 技術的には実は簡単なことではないと思っておりますが、逆に言うと、行政の側の組織の体系をやはり変えないといけないのではないかということを考えますと、やはり元々政治家と行政官が普通に接触するという事態がよろしいのかどうかということはやはり問われなくてはいけなくて、その関係についてやはり明確化するということがないと出発点にはならなくて、その上で、その実態が明らかになった上で改善策を考えていくということで、何かあるだろうと想像されているけれども、どのような実態があるかは必ずしも一般の国民に明らかでないという状態の中では、どのように直していくべきかということについての判断ができかねるということではないかというふうに考えております。

森元恒雄自由民主党・保守党

○森元恒雄君 ちょっともう一点だけお聞きしたいと思いますが、先ほどそれの続きで、いわゆる行政の中立性についてお話ございました。  内閣は、国会議員が大臣、副大臣、政務官、主要閣僚部分を占めておるわけですから、当然政治的な判断でもって行動をするということであります。しかし、先生のおっしゃる末端の公務員はあくまで中立であるべきだと。私は、このつながりが実際問題としてなかなか、そう口で言うのは、そういう面もあるかなと思いますが、実態を踏まえた場合、そんなにうまく、こっちは中立でないけれどもこちらは中立だよと、そういくものかどうか。非常に頭の中で自分なりの考え方がすっきりしないんですけれども、御示唆いただける部分があればお答えいただきたいと思います。

飯尾潤政策研究大学院大学教授

○参考人(飯尾潤君) お話しのとおりでありまして、実は観念的には分けられることがあっても実態上融合が見られるというのは世界各国共通の現象ではございますが、ただ比較をいたしますと、日本の場合は政策立案と政策執行が行政の、省庁の内部で極めて融合をしているというところに大きな特徴がございまして、やはり口利き等を誘発しやすい行政構造になっているんではないかと考えますが、やはり将来的には官僚も立案部門と執行部門に少し分離していくというふうな行政組織上の工夫あるいは国家公務員法上の工夫というのがいずれ必要になってくるんではないかというふうに考えております。

森元恒雄自由民主党・保守党

○森元恒雄君 終わります。

山下八洲夫民主党・新緑風会

○山下八洲夫君 民主党・新緑風会の山下八洲夫です。  今日は御多忙のところ、大変ありがとうございます。貴重な時間でございますから簡潔な質問になろうかと思いますが、自戒を込めまして、率直に申し上げまして、このような法律案を議論をするとかあるいはまたこのような法律を制定しないといけない、大変私自身も残念に思う次第でございます。特に、政治と金で相当国民が信頼を失っているというところから、自らがやはり律していかないといけないということで、このような法律案をやはり議論し、また成立させていかなくてはいけないという立場に逆に政治家が追い詰められているんだろうなというふうにも思っております。  そういう中で、二点ばかりそれぞれまたお尋ねさせていただきたいと思いますが、一昨年の秋にそれこそ公設秘書を対象にしたあっせん行為の利得等の処罰に関するこの法律案が成立をしまして一年半しかまだたっていないのに、また改正をしなくてはいけないということで、先ほど土本先生は朝令暮改的な改正だと、大いに反省すべきだというような御意見をいただきました。  当時、私たち野党は、少なくとも私設秘書はこの対象にすべきだということを強く要求し、また議論もし、あるいは修正案も提出をさせていただいたわけです。  そのとき、与党の皆さん方、異口同音に申しておりましたのは、要するに公設秘書は政治公務員だ、だから私設秘書を一律に処罰の対象にはすべきではない、そしてこの法律案は百点満点だと盛んにおっしゃっていたんです。だが実際、一年半たちましたら、それを大きくまた変更しなくてはいけない、改正しなくてはいけないというふうに与党自身が追い詰められたんだなと、一方ではそのように思うんです。  今日は後ろに提出者の筆頭の保利先生が傍聴に見えていらっしゃいますので、私は正直言ってうれしく思っております。今日、昼間、前回の筆頭の提出者でございました亀井久興先生にたまたま偶然出会いまして、何で今回、前回の提出者を総入替えしたんですか、なぜあなたは提出者にならなかったんですかと冗談を言いました。山下さん、本音を言って恥ずかしいよというようなことをおっしゃっていましたから、野党の意見も聞きながら、与党の皆さんもできれば修正には大いに応じていただきたいなというふうに思います。  その上に立ちまして、前回成立をした法律案に対して、板倉先生のコメント、細かく申し上げませんが、四分の一程度前進をしたと、このようなコメントがございますし、そして土本先生のコメントには五十点以下と論評していらっしゃるんですね。ちょっと首をかしげていらっしゃいますのでもうちょっと具体的に申し上げますと、土本先生は、ちょうど二〇〇〇年になりますが、十一月の十日、衆議院で成立したときです。これ、日経に出ているんですけれども、法案は犯罪の主体から私設秘書を外すなど構成要件を厳格にし過ぎており、政治倫理を高めるという立法趣旨に照らせば、骨抜きになっている。それから、後ろの方に、公選法の拡大連座制のように秘書の定義をきちんと規定し、犯罪主体に私設秘書も入れるべきだ云々と書いてありまして、最後の方に五十点以下だというようなコメントをなさっているんです。  そして、今申し上げましたように、板倉先生は四分の一程度の前進だと。今日、板倉先生の参考人意見陳述を伺っておりましたら、十分の一の前進だということで、四分の一、今回かなり私たち野党案を含めて、もう少しは評価できるのかなと思ったりしたんですが、もっともっと後退しているんですが、その辺についてそれぞれ御意見賜れればと思います。

板倉宏日本大学法学部教授

○参考人(板倉宏君) 前のときは四分の一ぐらいと。これは適用を免れられる抜け道がたくさん作られている、しかし作らないよりはもちろんいいわけですから、その点で四分の一、ちょっとは前進したと。  今回は、現行法と比べて私設秘書を加えたことですけれども、総理大臣のはどこか新聞では一歩前進とか言っておられたようですが、しかし一歩前進とまでもちょっと、これができたからといって、実際上、これに引っ掛かってくる人はそんなにはいないように思うわけです。ですから、せいぜい、せいぜいというか、厳しく言うと、やっぱり十分の一歩前進ぐらいだというふうに考えているわけです。やはり、野党案のようにしないと実効性は上がらないというように考えております。

土本武司筑波大学名誉教授元最高検察庁検事

○参考人(土本武司君) 朝令暮改的という言葉を使いました点はいささか出過ぎた表現でありまして、その点、表現の仕方について反省をいたしております。  二年前の立法当時も、また今日もそうでありますが、このあっせん利得罪の構成要件からしますと、これはどうしても刑法のあっせん収賄罪との対比において考えなければいけないと思うのであります。  そこで、そのあっせん収賄罪が昭和三十三年、難産の上でようやく立法されたのにかかわらず、その後たった一件か二件、ゼネコン汚職ともう一件ですか、適用事例があっただけである。それは、何といっても極めて厳しい要件、職務上不正な行為をさせ、相当なことをさせないということがあっせんの内容にならなければあの罪は成立しないということであろうかと思うのであります。  そうすると、今回は、今回はといいますか、あっせん利得罪は、これはそれとは違って、正に、賄賂罪とは違って、公職の公務員、政治的公務員の姿勢を正す、行動規範としてのルールを作るという内容のものでありましょうから、それを作る以上は、それが広く浅く適用できるようにしておかないと立法の目的が達しないということから、それが基本となって意見を申し上げている次第であります。  そこで、今回、立法のときも私設秘書を入れるべきだという意見がありましたし、私もその点を強調したわけであり、今回それが実ろうとしているという点では正に前進であろうかと思います。  他方、ほかの要件はまだそのまま残すんだと言われる部分が前進ではないというふうに言わざるを得ない。少なくとも五十点以上にはなろうかと思いますけれども、そんなところでございます。

山下八洲夫民主党・新緑風会

○山下八洲夫君 土本参考人にお尋ねしたいと思いますが、野党案には構成の要件の中に父母、配偶者、子及び兄弟姉妹、このような親族が含まれております。土本参考人は、先ほど、なるべくシンプルで簡素化、そして広く薄く、このようなことが合理性があるよと。同時に、親族は入れるべきではないと、このような御開陳がございました。シンプル、簡素化、広く浅くというときには、私は一方では含まれてくるんではないかな、含んでもおかしくないんではないかな、このように理解もするわけでございます。  なぜ、あえて親族を外すべきかということについて御開陳いただきたいと思います。  と申しますのは、親族の中にも、特に妻なんかはもう一心同体ですよね、正直申しまして。私も、私の妻は地元でほとんど自宅におりまして、外に出て、日ごろ政治活動はしておりませんけれども、それでもきっと、私の支持者に対してはかなり政治的な影響力は持っていると思うんです。一つ間違えれば、私はいつも東京にいますから、私以上に地元の人とはしょっちゅう接していますから、秘書でも何でもないんですけれども、政治的な影響力を持っていると思うんですね。  そして、あの人はこういうことをおっしゃっていましたよということを、頼まれたとも言わなくて、例えばどこどこのAさんがこういうことをおっしゃっていましたよ、お父さんと、こう言えば、かなり政治的影響力を受けるんじゃないかと思ったりするわけですが、その辺についてどのように御判断をされているか、お願いしたいと思います。

土本武司筑波大学名誉教授元最高検察庁検事

○参考人(土本武司君) 親族につきましては、確かに社会の実態として議員さんの親族であることをもって頼まれ事をするということがあり得るでありましょうね。しかし、親族が親族であるがゆえに、親族であること自体である種の権威を持つのではなくして、背後に国会議員なり地方の議員なりが存在すればこそであろうかと思われます。親族が頼まれ事をしても、それについてあっせんをして謝礼を取るというのは、それは、その親族は背後にいる国会議員に伝えてその国会議員の指示の下で動いた場合ではなかろうかと思われる。それならば、既にあるこの共謀共同正犯理論あるいは身分犯に対する身分なき者の加功という理論によって処罰することが可能になってくるわけである。あえて親族を独立した犯罪主体として位置付けることの合理性がどこにあるかをむしろ伺いたいんですね。  なぜかといいますと、国会議員と地方議員、首長、これらは先ほど申したように公職選挙法、選挙によって選ばれてその地位が得られているわけである。秘書についてはそういうものはないけれども、公設秘書、私設秘書ともに実態において正にこういう違法な行為がなされる可能性が社会の実態として存在する。特に、公設秘書については、国会法で公務員としての身分が法律上位置付けられている。そうすると、それと実態的に変わらない秘書までを取り込むということは合理性があろうと思うんですよね。  それで、親族においても、あの要件、使用され、それから補佐するという実質がある者はそちらの方でやればいいことである。つまり、親族を入れるというとそういう実態を伴わない親族まで入っちゃう、それはいささか行き過ぎではないかという思いをしているわけであります。

山下八洲夫民主党・新緑風会

○山下八洲夫君 父母を始め、野党案にも親族の範囲も明確にしてございますし、その意味では比較的厳格にさせていただいているというふうに思っております。  この議論はもうこれで、もう時間がございませんので置きたいと思いますが、それこそ飯尾参考人には本当に将来に向けての多くの問題提起をしていただきまして、ありがとうございました。時間がなくて質問することができず、大変恐縮に存じております。  また、板倉参考人には野党案より部分的には大変またより厳しいような提案をいただきまして、特に感謝申している次第でございます。  ただ、先ほどから出ておりましたように、権限に基づく影響力の行使については、土本参考人も板倉参考人もこれはやっぱり削除すべきだというようなことでございますし、私たちもこれぐらいはどんなことがあっても削除していくべきだというふうに判断しておりますので、これから皆様の貴重な御意見を参考にしながら、また修正に向かって頑張っていきたいと思います。  どうも本日はありがとうございました。

山本保公明党

○山本保君 公明党の山本保です。  今日は、三人の参考人の先生方、ありがとうございました。時間が短いものですから、順にお聞きしていきますと、お聞きできないことになるかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。  最初に、土本参考人に、順に内容についてお聞きしておきたいんですが、最初に地方議員の私設秘書についてでございます。  私も、この前、与党内でやっておりますときなどに、こういうことは入れてもいいんじゃないか、その論理をどういうふうに考えたらいいのかなと思っておりましたら、今日、先ほど公務員という人にかかわる行為という問題から、人ということから行為というふうに変わってきたんだと、大変分かりやすい御説明いただきまして、なるほどというふうに私も全く同感でございますが、そこでひとつ、これはちょっと政治的な話でございますけれども、先生にもし参考までにと思っておりますのは、こういうことを出しますと、実際上地方議員には給料の出るような公設の秘書制度がないのにかかわらず、こういうことで縛るということになりますと、まずその前に地方議員さんにもちゃんとした秘書制度を作るべきではないかと、こういうことを先にせずして先に縛る方をするというのはこれはどうなんだと、こういう話が出まして、私も、なるほどそれは論理というよりも正に政治的な状況ということからいったらそれが先なのか、若しくはそういうことをまず理解していただかないことには、地方議員にまで広げるというのはまだ難しいのかなというような気もするわけですけれども、先生、この辺いかがでございましょう。

土本武司筑波大学名誉教授元最高検察庁検事

○参考人(土本武司君) 地方議員に公設秘書の制度を設けるべきかということになりますと、果たして市町村のような小さなところまで付けていいかという問題がありますが、ある限度において設けることは必要になってこようかと思います。  ただし、現在ここで問題となっている私設秘書を入れるかどうか、そしてその私設秘書は地方政治レベルにおける私設秘書も入れるかどうかという問題とは必ずしも結び付かないんではないか。つまり、公設秘書制度を作ることが前提となって初めて地方レベルの私設秘書を処罰できることになるんだということにはならないだろうと思います。  私設秘書を国レベル、地方レベル問わず処罰すべき犯罪主体にすべきだという理由は先ほど申し上げたとおりであります。

山本保公明党

○山本保君 確かに、財政の問題もありますし、正にこれは政治としての課題であるという気がいたしております。  次に、先ほども問題になりました。今度は親族についてなんですけれども、私も、先生のおっしゃいますように、一般的な親族を入れるというのは難しいなという気がするんですが、ただ、この条文の中で「使用され」という言葉がございますね。これを見ますと、先ほど奥さんという話が出たわけですが、奥さんを使用しているのかというように、やはり私なども何か召使的に使っている、何か女性べっ視じゃないかとかいうような気がするわけですね。この「使用される」という言葉はそういう意味なものなのかどうか。先生がおっしゃるように、事実上「補佐する」の方はよく分かるんですけれども、「使用され」という概念が一般的な使い方としては、親族などは使用しているんではないということになるんじゃないかという気もするんですが、これは他の法律なり、又はこの法理論としてはどういうふうに考えればよろしいんでしょうか。

土本武司筑波大学名誉教授元最高検察庁検事

○参考人(土本武司君) 親族、とりわけ妻、妻としての配偶者ということがベースとなって「使用され」という言葉を用いますと、これは誠にけしからぬ表現だということになろうかと思うんですが、ここで言う「使用され」というのは、政治的公務員である議員なら議員に政治行為について使用されるという言葉であろうかと思います。使役動詞になっているところが人間を物のように扱う表現ではないかという嫌いがないわけではありませんが、そういう意味ではほかの法令でもあり得るわけでございますので、特段問題はないかと思います。  だから、むしろ「補佐する」という補佐という言葉だけにしてしまうか、「使用され」を外してしまうかということも考えられなくはないんですが、やはりある程度の絞り込みをするという意味では、一定の雇用関係があるとか、それに類する形態を含めるという意味で「使用され」というものは存在意義があるんではないかと思います。

山本保公明党

○山本保君 使用と補佐というのが、あるいはというようなことでなっておりますと分かりやすいんですが、今、先生おっしゃいましたように、監督若しくは何かの関係を持ってという意味を表すんだということになれば、このことはもう少しきちんと分かりやすく説明をして理解していただく必要があるなという気がいたしました。  次に、また先生にお聞きします。請託要件でございます。これは一般的に今日、他の先生からもお話があったと思いますが、密室内で行われるとか、この要件を立証するのは大変困難であるというふうなお話を聞くわけですが、先生は現場でもこの辺については携わってこられたというふうにお聞きしておりますけれども、先生はこの場合、あっせんの場合は頼むことが中心なのでということで、特に問題はないでしょうというお話でした。この辺はいかがでございましょう。もう少し詳しく教えていただけますか。

土本武司筑波大学名誉教授元最高検察庁検事

○参考人(土本武司君) 失礼しました。  確かに、刑法の賄賂罪におきましても、単純収賄と受託収賄とでは後者が前者の半分ぐらいしかないというようなことからしますと、請託の立証が難しいんだということが言えそうでありますが、私はその立証の難易という点に着目するのではなくて、請託というものが持っている通常の一般の贈収賄罪と、この本件のようなあっせん利得罪、あっせん収賄罪といったあっせんを中身、構成要件内容とする犯罪類型とにおける位置付けの違いを問題にしているわけであります。  前者の場合には、正に職務に関して賄賂、利益が授受されればそれで犯罪は成立する。そうすると、そこに請託があるかどうかは言わばプラスアルファのもので、刑の加重事由になっていると。ところが、あっせんというものを構成要件内容にした犯罪類型ということになりますと、頼まれもしないのにあっせんをしてやる、ないことはないでしょうね。頼まれもしないのにあっせん的行為をしてあげて、それで、やってからある者が自分にとって都合がいいというので、ありがとうございますと言って一定の報酬を出すということ、全くなくはないんでしょうけれども、国会議員などが自発的にあっせんをして事後的に報酬を取得したといたしましても、いかがでしょう、その違法性はかなり薄いものとしてとらえていいんではないか。異論があろうかと思いますが、そういうとらえ方をしていますので、ほとんどこのあっせんを内容とする犯罪類型ではもう請託が付くのはむしろ当然であろうかというのが前提にあるものですから、そのようにしました。

山本保公明党

○山本保君 それでは次に、「権限に基づく影響力」ということに関して、土本先生はこれは不要なのではないかというたしか御意見をいただいたと思っておりますが、私などは、例えば職務権限に基づいてというような書き方をしますと、これは非常に厳密な対応といいますか、立証といいますか、ことになってきまして、質問をしたかとかしないかということになると思うわけですし、その委員会に属しているかとか部会に入っているかということになるかもしれませんが、権限に基づく影響力というような表現になりますと、国会議員であること、例えばその地域選出の国会議員であることというようなことは当然何をしても影響力ということで、恣意的な判断になってはいかぬのかしれませんけれども、ちょっと職務権限ということとは違うのでありますから、これを入れておきませんと全く関係のないところで知らないうちにということになってもどうかという気もするんですが、この辺はどう考えたらよろしいでしょう。

土本武司筑波大学名誉教授元最高検察庁検事

○参考人(土本武司君) 議員さんがほかの官庁の公務員に対して持っている影響力のあるなし、あるいはその程度というのは正に千差万別だろうと思われますですね。つまり、その影響力というのは必ずしもその人が持っている権限に基づくものだけではないわけでして、それこそ大物の顔といったものが影響力になってくるわけでありますので、本来あるその権限に基づく影響力と、本来ない、ないといいますか、権限に基づくものでない影響力とがどうやって区別するのか。それに、議員さんの中にも弁護士や会計士などの身分を持っていらっしゃる方もいらっしゃる。そういう場合に、そういう兼職の立場で、ある官庁と交渉するということもあり得るんではないか。受けた側の方は、受けた側というか、それを使おうとする側、贈賄者側ですね、それはそういう混然一体となった議員さんというものを想定して頼む、あっせんを受ける側の方も混然一体となったもので受けるということになってくるのではないか。  いずれにいたしましても、これは非常に、この要件の中でもし立証が難しいのは何かと問われれば、私は請託よりもこれこそが一番事実認定の上で立証の難しい困難の伴う要件ではないかと思うんですね。現に、先ほどもちょっと触れましたが、あっせん収賄罪、昭和三十三年、制定のときに、その地位を利用してという要件を入れるか入れないかで相当に議論がありまして、結局はこれは不明確な概念であり、解釈適用上大変支障を来すおそれありということで外されたと承っているわけであり、同じ問題はここにもあるんではないかと思うのであります。

山本保公明党

○山本保君 もう一つ土本先生にお聞きしたいんですが、その第三者供与についてはあっせん収賄罪においてもまだ実現していないではないかという、そういう言い方でお話をされて、ちょっとこの意図をつかみかねているわけでありますが、先生は本来こういうものはもっと厳しくすべきであるというお考えだというふうに考えてよろしいでしょうか。この辺、もう少し補足をお願いいたします。

土本武司筑波大学名誉教授元最高検察庁検事

○参考人(土本武司君) 逃げたつもりでいたんですが、ばれてしまいました。よくお聞きになっておられたようでありますが、立法の順序としては、先ほど述べたとおり、あっせん収賄罪の方の第三者供与の規定を早急に検討すべきかと思います。それじゃ、本件自体についてはどうかということになりますと、これは必要性ありと考えます。板倉先生の御意見と同じであります。

山本保公明党

○山本保君 飯尾先生、ちょっとお願いいたしますが、ちょっとこれ、最後におっしゃったことで、少し、これこそ哲学論になってしまうのかもしれません、先生のお考えをお聞きしたいんです。  つまり、政治家として、こういう法律ができた、例えば、これは権限に基づいていないからいいんだとか、又はこれは金銭上の利益でないからこれはいいんだというふうなことではいけないんだという政治家としての姿勢が問題だということをおっしゃいました。  ただ一方、片方では法律をやはり作っていって、法治主義ですか、というのがあり、正にそういう仕事をしていると考えるわけですが、この道徳主義と言ったらいいのか、こういう考え方と、先生のおっしゃったことと、この法律を定めていくということと、どのような関係にあるというふうに理解したらいいのか、お教えいただきたいと思いますが。

飯尾潤政策研究大学院大学教授

○参考人(飯尾潤君) 御質問のとおりのことがございまして、やはり難しい問題があるわけでございますが、やはりこれは法律は政治家の方、これは地方議員の方とかはここにおられませんけれども、やはり政治家の代表として自ら身を律するというふうな覚悟を示された上は、例えば、先ほど来、与野党案では様々なこの法律の要件をめぐって幾らかの対立あるように承りましたけれども、逆に言うと、要件を広くしない、狭くしてよいという側が、の与党の方がやはり身を律せられるということになればやはり国民は納得するわけでありますけれども、その逆であるとなかなかこの法律の趣旨は理解されないということでありまして、そういうことを期待しております。  それともう一点、先ほど来問題になりました権限に基づく影響力云々のことでございますけれども、お話を伺っておりますと、今のところ、これを御提案の先生方、これは特にこの当該する、犯罪の対象となる相手方を制約するものではないという御主張でございます。そうすると、できるだけこれは権限に基づく影響力の行使というのは広く解するんだという、そういう立法趣旨を明らかにされるということが大変重要ではないかというふうに考えております。  そういう点からいいますと、先ほどの萎縮効果でございますが、やはりある程度の萎縮効果というのはあるべきではないかと。やはりグレーゾーンであれば少し抑えるというふうな効果があった方がよろしいというふうに考えております。  以上であります。

山本保公明党

○山本保君 ありがとうございました。時間が参りました。

池田幹幸日本共産党

○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。  今日は、参考人の御三方、本当に貴重な時間、ありがとうございます。  早速伺わせていただきたいんですが、この法律、二年前に成立いたしました。そのときも私この場でいろいろ質問もさせていただいたんですが、要するにこの法律は、政治公務員が特定の利益を得させる目的を持ってあっせん行為をする、その対価として利益を得る、こんなことはあっちゃいけないんだ、もう非常に簡単な法律なんですね。そんなことをやったやつは処罰されるんだよと。それでもって政治の信頼を回復していこうという、そういうことなんですから、それを本当に実効性のあるものにしなければ本当に意味がなくなると。もう目的は本当にシンプルなんですから。そうすると、このシンプルな目的を達成できるような形での構成要件なんかもきちんとしたものにしていかなければならない。こういった議論が二年前もありました。引き続きそれをやらざるを得ない状況に今なっているわけなんですが、問題は、政官財癒着と言われるこういった実態、こういったことがある中でこの問題をどうやるのかということですから、もらう方も悪いし、出す方も悪いんですが、特に私たち政治献金というのを非常に問題にしているんですけれども、そういったことがやられている中でこれをどう実行していくかという非常に重要な問題があります。  そこで、先ほど土本参考人もありましたが、シンプルで実効性がある、広く薄くという、こういったものにしていかなければいかぬというお話がありました。結局二年前にはいろいろな何といいますか障害を設けて実効性のないものにしていったということが問題だったと思うんですね。要するに、この目的、阻害すると言っていいと思うんですけれども、先ほど来問題になっている権限に基づく影響力の行使であるとかあるいは請託であるとか、あるいは処分やあるいは契約といったところに限定するとか、いろいろな障害が設けられました。しかも、かつ論議としてあったのは、こういった法律を作ると政治家の自由な政治活動を抑制することにならないのかといったような議論までありました。結局簡単なことで、口利いて金もらっちゃいけないと。また、お金出して、お世話になったからといってお礼を持っていっちゃいけないよと、こういうことなんですから。何としてもこの実効性を確保していこう、そういう点で様々のこういった要件はできるだけ全部なくしていくというのが本来のこの法律制定の目的だと思うんですね。  改めてそのことを伺うんですが、先ほど土本参考人おっしゃった朝令暮改的な改正を繰り返してはならぬというのは正にそのとおりで、今回与党案、もしですよ、もし与党案のままで終わったとすると、正に朝令暮改的改正をすぐまたやらなければいけなくなるという状況じゃないかと私は思うんです。  そういった意味も含めまして、そういった社会情勢にあるんじゃないかという点については飯尾参考人に、それから構成要件については、土本参考人、板倉参考人の御意見をお伺いしたいと思います。

飯尾潤政策研究大学院大学教授

○参考人(飯尾潤君) 御質問でございますので。将来のことについては必ずしも私も承知はしておらないわけでありますが、私の意見といたしましては、ちょっと、もしも今回の改正であっても、政治家の皆さんが行動をある程度変えられる、やはり実効性のあることをされれば、それはそれでまた一般の有権者は満足するのかなと思われます。逆に言うと、将来朝令暮改的な改正が必要だということの状態、これはこのまま何も、法律は通ったけれども、まあこれはこれでよろしいということで、政治活動についての考え方が変わらなかった場合にはそのようなことも起こり得るというのが私の意見でございまして、これはやはり政治家の方あるいは政治家の周りにおられる方の行動原理が変わってくるかどうかということが非常に大きいのではないかという御指摘をさせていただきまして、正直なところ、私は法律の専門家ではございませんので、この細かな条項の与党案、野党案どちらが有効かということについての知識はございませんので、そのような意見を持っております。

土本武司筑波大学名誉教授元最高検察庁検事

○参考人(土本武司君) 口を利いて金をもらうことをしてはいけない、口を利いてもらってお礼を持っていってはいけない、そういうシンプルな精神に基づいてシンプルな構成要件を作るべきだ、全くそのとおりであろうかと思われます。  私設秘書を犯罪主体に入れる方向での改正は妥当であろうこと、その理由は先ほど申したとおりでありますが、現在ある要件の中で、やはりこの権限に基づく影響力を行使してという要件は、非常にこういう事件が起きた場合の捜査及び公判における立証上大きな支障となってまいりますし、これを付けなければこの法律が良くないというものではない、むしろ外した方がこの法律の目的を達せようと思いますので、私としては、ほかの点もありますけれども、少なくもこの点だけは削除されることが望ましいと考えます。

板倉宏日本大学法学部教授

○参考人(板倉宏君) 口利きをして利益を得てはいけないというこのシンプルな目的を達成するために、やっぱり構成要件の方もやたらいろんなものを付け加えるのでなくてシンプルなものにしていかなければならないという、その点は全く同感でございます。  犯罪の構成要件としては、私は野党案に行為主体に元秘書も加えると、そして、これはそのときだけ秘書でなくしてやるという人が出てくると具合が悪いというふうに考えているわけです。  あとは、やはり賄賂という言葉は、これは中身は賄賂、概念内容は同じなんですが、いろいろ問題が投げ掛けられてしまうので、私設秘書などを主体にしますから、利益ということにする、単に「財産上」を取っ払って利益にするということであります。

土本武司筑波大学名誉教授元最高検察庁検事

○参考人(土本武司君) 私も前に言おうとしましたが、賄賂という用語は、これは避けるべきであると思います。

池田幹幸日本共産党

○池田幹幸君 土本参考人に伺いたいんですが、請託の件なんですが、確かに請託を、あっせんを依頼するわけだから、もうそのとき、そのときに既に請託しているんじゃないかという、そのような意味だと伺ったんですが、しかし考えてみますと、今度のこの法律は要するに、口利きして金もらっては、対価をもらっちゃいけないと、こういうことなんですから、あっせんを依頼し、あるいは対価を支払う者ですね、対価を支払う者にとって期待した結果が得られようが得られまいが、あっせんをして金をもらうことそのこと自身が問題になるわけですから、結果はどうでもいいんですよね。とすると、そういったことから考えますと、やっぱり請託も構成要件に加える必要は更々ないんじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょう。

土本武司筑波大学名誉教授元最高検察庁検事

○参考人(土本武司君) どこまでもシンプルな構成要件にしようというねらいの下の御意見かと存じますが、請託を伴わないあっせん行為があって、後から金を、謝礼、報酬をもらうというのはまず現実にあり得るんでしょうかですね。という問題意識と、仮にそれがあっても、そういうのが本罪の意図としている立法目的に阻害要素になる、そういうものを認めるとですね、ということも多くはないんではないかと思いまして、請託というのが普通の贈収賄罪なら職務に関すること以外の何か付け足しがあるわけですけれども、あっせんなものですから、あっせんを頼めばもう請託があるということになるんじゃないかということでありまして、その辺が私にも踏み切れないものですから。(発言する者あり)

沓掛哲男自由民主党・保守党

○委員長(沓掛哲男君) 委員長に求めて、挙手してやってください。

池田幹幸日本共産党

○池田幹幸君 応援がありまして、私もそれ、今感じておったんです。  そういたしますと、ほとんどもう、あっせんを受けたということが、あっせんにこたえて、あっせんをしたということですね、ということが請託を意味しているのであれば、逆に言えば請託要件の成立がないというふうになってしまうと思うんですね。だから、にもかかわらず、請託があったかなかったかということを立証しなければならぬと。請託があったということを立証しなければならぬというのは、大変な余分な労力をそこに持ち込む、垣根を持ち込むということになるんじゃないかなと私はちょっと思います。これについては結構です。  続いて、もう一つ伺いたいのは、私、この間のここの場でも問題にしたんですけれども、第三者供与です。これについては土本参考人も板倉参考人も是非入れるべきだというふうにおっしゃったので、そのことについてはそれで結構なんですが、飯尾参考人に伺いたいと思うんです。  これは、今の政治実態からしまして、金を払うのが、対価としてその場へ金を持っていったら払うということがばれちゃうから、後で政党支部に政治献金という形で入れようと、形を変えて、そういうことにすると。ここで第三者供与を処罰の対象にしないということになりますと、それはもう公然とやられることになってしまうわけですね。それは政治献金と。それから、対価か政治献金かということになると、もうその立証は大変難しくなる。そうすると、せっかく作ったシンプルを目的とする法律が働かなくなるという、正にそういう政治実態に今あるんじゃないか。  大体、自民党の政党支部というのはもう既に七千ぐらいできているということなんですけれども、そういう財布があっちこっちにでき上がっちゃうということになるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

飯尾潤政策研究大学院大学教授

○参考人(飯尾潤君) やはり、御質問のようなことがあり得るとすれば問題であろうかと思われます。  そういうことが、もしもそのような例えば政党支部というものが実質上隠れみのになるということであれば、その必要があれば第三者供与は対象にすべきかと存じますが、例えば、もしも第三者供与の対象としなくても、実質上支部長を務めておられて管理下にあるということが要件になるのであれば、そのように解釈されるべきでありまして、今お話しのところを、実質上そちらに行ってしまうということであれば、そちらの双方の法文としてはそれをカバーするように改正すべきかと思います。  以上です。

池田幹幸日本共産党

○池田幹幸君 板倉参考人に伺いたいんですが、非常に野党案に対してもかなり厳しい御意見をいただいて、もっとシンプルにしろという御意見だったかというふうに思うんですね。  それで、その点で、今のような政党支部の問題もありまして、第三者供与、これは法律を御専門としてやっておられて、私たちはそういう実態にあると。自民党の政党支部はイコール支部長である政治家の、政治公務員が全部支配しているというふうな実態にないということは承知しています。だからこそ、だからこそ政治献金という形で抜け道になってしまう、逆に。そういうおそれがあるんだというふうに見ているんですけれども、その点、いかがでしょうか。

板倉宏日本大学法学部教授

○参考人(板倉宏君) 正に私もそのように考えているわけです。  こういったやはり幾らでも隠れみのを作れてしまうということになると、あっせん利得防止ということの実効性がほとんどなくなってしまうのではないかと思いますので、あっせん収賄の方にもまだありませんけれども、こちらの方にも第三者供与を処罰する規定を是非設けなきゃいけないというふうに考えております。

池田幹幸日本共産党

○池田幹幸君 どうも今日は本当にお三方、ありがとうございました。  終わります。

広野ただし国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○広野ただし君 自由党・無所属の会、国会連絡会の広野ただしです。  参考人の皆さんには、本当にすばらしい、いい御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。幾つかまだ分からない点もございますので、お話を聞かせていただきたいと思います。  政治と金をめぐる問題は、今まである意味では飛び飛びに国会で問題になったわけですが、今国会ほどたくさんの議員、加藤紘一先生そしてまた鈴木宗男さん、そしてまた参議院では参議院元議長の井上裕さん、たくさんの皆さんが問題になって国民の政治不信というものが本当に極に達していると。ですから、政治家がいろんなことを、政策立案等を言いましても、非常にうさん臭い、もっと身ぎれいになってこいと、こういうようなことを言われかねないような事態に立ち至っております。  私たちは、このあっせん利得処罰法だけでそのことが解消されるとは一つも思っておりません。実際問題、例えば地方分権を徹底的にやって地方で物事が決められるようになる、あるいは先ほどもお話しありましたが、政と官との関係、やっぱり公務員というのは、憲法でありますように、特定の者に利する者ではなくてちゃんとした中立性を持たなきゃいけない、こういうことですから、政治家と官僚との接触制限等を含めたこと、そういうことがいろいろと問題になると思いますし、公務員倫理法ですとか政治資金規正法、公選法の問題、いろんなものがトータルで成って初めて政治とお金の問題というものがきっちりしてくるんだと、こういうふうに思っておりますが、何しろ今回、新しい言葉で口利きビジネスというような、そういうことまで言われるような実態に立ち至っているわけですから、それをしっかりと正すためにもやっぱり、私たち、野党の立場ではありますが、厳しいものを作っていかなきゃいけないと、こういうふうに思っているわけです。  そういう中で、例えば野党案のようにすると自由な政治活動を拘束しかねない、だから、そういうことになってはいけないんでもっと緩めるべきだというような論がございます。板倉参考人は厳しいものをと、こういうような形でおっしゃっておったわけですが、飯尾参考人には、そこのところを、何か自由な政治活動を本当に縛ってしまうのだろうかという点についてお伺いさせていただきたいと思います。

飯尾潤政策研究大学院大学教授

○参考人(飯尾潤君) その点については、実のところは必ずしも、私の意見から申しますと、必ずしも実態が明らかでないのでそこも明らかではないのではないかというふうに考えるわけでございまして、そこで、その実態が必ずしも共有されていない、一般の国民も含めましてこうであるということが分からない、どのような口利きをしておられるのかはっきり分からない中では萎縮効果があるかどうかもちょっと分からない。  そうしますと、私、実は萎縮効果はある程度ある方がよろしいのではないかというふうに考えておるわけですけれども、一番心配します事態は、法律は立派にできたのだけれども、実はなかなかこれは適用されないと、だれもそのようなことが行為を縛るとは思っていないと。どこかある条項が原因になってそれが使えないということもあるでしょうし、それはたまたますべて余りに普通の現象であると、それをすべて検挙するということは実際問題として難しいかもしれません。  そういう点からは、実態を明らかにした上で、少しどれぐらい厳しくしていくのかということの議論があった方がよろしいのではないかというふうな御提案をしたわけでありまして、私は、先ほどの参考人の御意見にございましたが、朝令暮改というのは必ずしもよろしくないことではないのではないかと。やはり、これは程度の問題でありまして、政治活動にはグレーゾーンが必ずございますので、その状況に応じて、厳しくなれば、やはりそれはこれではできませんと正々堂々とおっしゃってまた改正されればよろしいし、これでは足らないということであればもう少し厳しくされるということを常に調整されるべきだというふうに私自身は考えておりまして、そのように申した次第でございます。

広野ただし国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○広野ただし君 板倉参考人は、首長あるいは地方議員の私設秘書も含めて対象にすべきだと、こうおっしゃっておられるわけですが、土本参考人、また飯尾参考人に、その点どのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。首長と地方議員の私設秘書も含めて対象にすべきだと、こういうふうに私たちもそう思っておるんですが、その点どのようにお考えか。

土本武司筑波大学名誉教授元最高検察庁検事

○参考人(土本武司君) 地方政治レベルにおける議員さんたちの秘書も、私設秘書も本罪の犯罪主体に組み入れるべきであろうと思います。それは、既に現行法上、公設秘書が入っているわけであるが、その後、実態として私設秘書の不祥事が次々に起きているという事実関係にかんがみて、今回、私設秘書を入れるべきだという議論になったわけであります。これを国、国政レベルの議員さんたちの秘書について両方入れるべきだというなら、地方に入れるのはもう当然のことではないかと思います。  そういう論理で、それで、ただし、地方には公設がたまたまいなかったと考えればいいわけでありまして、公設も私設も入れると決まれば、私設が入るのはもう当然だということでありますね。もし将来、先ほどお話が出ましたように、地方でも公設制度ができる場合になれば、またその公設、私設両方とも含まれる。そのときになって慌てて私設を、地方も私設を入れるなんというのはむしろ拙劣ではないかと思います。

広野ただし国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○広野ただし君 今の点で、ですから、私設秘書がいようがいまいが、公設秘書がいようがいまいが、また、そういう意味でも、地方議員の私設秘書的な、議員の実質補佐をする人がおれば、やはり対象にすべきだと、こういうことでございますね。  じゃ、続きまして、飯尾先生、お願いします。

飯尾潤政策研究大学院大学教授

○参考人(飯尾潤君) 私の意見もほかの参考人の方とほぼ同じでございまして、もしも、このあっせんという行為について、国会議員あるいは政治家本人だけを問題にするということであればともかく、それと一体として活動される秘書の方を入れるということであれば、これはその実態としてやはり同じように考えるべきではないかというふうに考えますが、これも先ほどお話を申し上げたとおりでありまして、これをやってみて、実はまだ足らないということになればお加えになればよろしい。  それから、実は一体となっていないのに処罰される例があり得るという問題が具体的に出れば、それをまた改正されればよろしいと思いますが、ただ、今のところ、与党案、野党案ともに、一体となって活動をする秘書について問題にされるわけでありますので、特に先ほどお話の出ました地方が分権をした場合、より地方の重要性、具体的な政策の多い地方のあっせんというのは問題になるわけでございますので、そういう点で余り国と区別する必要はないのではないかというふうに考えております。

広野ただし国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○広野ただし君 それでは、三人の参考人とも、国と首長あるいは地方議員との間に差を設ける必要はないんで、私設秘書も含めて対象にすべきだと、こういうふうにお伺いしていいですね。はい、じゃ分かりました。  続きまして、もう一つ。今度の例えば加藤紘一さん、あるいは鈴木宗男さん、あるいは井上元議長の場合にも、元秘書といいますか、元秘書というのは非常にある意味で暗躍をしておられるという点があるわけですが、この元秘書と私設秘書といいますか、そういう実質補佐的なことをやっておられるそこのところの区別がなかなか難しいんですが、板倉参考人、その点はどのように考えたらよろしゅうございますか。

板倉宏日本大学法学部教授

○参考人(板倉宏君) そうですね、秘書であった者というふうに考えているわけです。だから、そういった意味で、元秘書も含めるべきだと私は考えているわけです。

広野ただし国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○広野ただし君 じゃ、土本、飯尾両参考人にも、その点について伺います。

土本武司筑波大学名誉教授元最高検察庁検事

○参考人(土本武司君) 元秘書をどこまで広げましょう。それこそ、制限がありませんと、十年前、十五年前の秘書も、元に入ってまいります。  やや概念的に不明確なものになる可能性があり、しかし、一方で、当罰性がある。当罰性と申すのは、処罰する価値があることは確かでございますが、ただ、それの場合、実態としてどうでしょうか。元秘書が活躍する場面というのは、そこに全く、背後にいる大先生が動かないということがむしろ考えにくいわけで、その背後にいる先生と正に共謀共同正犯の形で事が進められるのではないか。  そうなってくると、その背後にある者との意思連絡、つまりは共謀の成否について、それを白日の下に暴き出す捜査官の方の捜査努力が問題となってくるんではないかと思います。

広野ただし国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○広野ただし君 飯尾先生。

飯尾潤政策研究大学院大学教授

○参考人(飯尾潤君) その点でございますが、やはり元秘書というのは、それ自体としては、今回、秘書ということの連続で考えるのであれば、やはりこれ、何か元というのは実態としてもう関係が切れてしまったということで、まあ肩書的には外れているけれども実態的につながっているというのは、これはまた秘書の定義によるかというふうに思いますが、元秘書を入れるということになりますと、もう少し範囲を全体的に広げなければいけないわけでありまして、逆に言うと、それは、国会議員とか首長、地方議員に関係するかどうかにかかわらず、また別の類型ということになりますので、ちょっとかなり範囲が広くなるんじゃないかという。順番としては、またもう少し後の順番ではないかというふうに私自身は考えております。

広野ただし国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○広野ただし君 与党案の中で「その権限に基づく影響力を行使して」というところの文言を、野党では削除をしてということを言っておるわけなんですが、板倉参考人はそれは削除していいと。ちょっと先ほどもお聞きしましたので、同僚委員がお聞きしていますんで大体明らかになってきておるんですが。  土本参考人、飯尾参考人も、この文言は削除した方がいいと、こういうふうに受け止めてよろしゅうございますか。

土本武司筑波大学名誉教授元最高検察庁検事

○参考人(土本武司君) もし削除をすべきものがあるとすれば、そこの部分が最も強く削除されなければいけないと思います。

飯尾潤政策研究大学院大学教授

○参考人(飯尾潤君) この点について、法律の専門家でない私にとっては判断は留保しておりますけれども、ほかの方が削除すべきだとおっしゃっている理由については賛成でございます。  ですので、この解釈の中身が広げられるんであれば、それも結構だというふうに考えております。

広野ただし国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○広野ただし君 それともう一つ、第三者供賄の処罰規定を明記するといいますか、ここの点で、先ほどもありましたように、政党支部等に対する献金が実質収賄というような場合があって、今度の鈴木宗男さんの場合もそういう色彩が非常に濃いわけでありますけれども。この点について、土本参考人、ちょっとそこのところ、先ほど、そういうことですということでおっしゃいましたので、明記をすべきだということでよろしゅうございますか。また、飯尾参考人にも、そこの点伺いたいと思います。

土本武司筑波大学名誉教授元最高検察庁検事

○参考人(土本武司君) 先生がおっしゃる実質収賄論も確かに成り立ちましょうけれども、全然別法人になっていたりした場合に、果たしてその収賄、収賄といいますか、報酬を受ける議員との同一性があるかどうかというのが問題となる場合はやっぱり予想されるわけであります。そうすると、やはりこの第三者供賄の規定というのは必要になってこようと思います。  ただ、立法の順序としまして、くどいようですが、刑法の方を先に手をお付けくださるのが妥当かと考えます。

飯尾潤政策研究大学院大学教授

○参考人(飯尾潤君) この点についても、具体的な法文の効果について必ずしも判断する能力を持ち合わせませんが、議事録等を拝見しますと、この点について、実は実質的に政党支部などについては与野党ともに問題であるとお話しになっているわけですので、この点で同じく第三者供与を問題にするとされるか、そうでなくとも実質的に支配下にある者は本法の対象になるとされるか、それについては解釈を統一されるべきではないかというふうに考えております。

広野ただし国会改革連絡会(自由党・無所属の会)

○広野ただし君 どうもありがとうございました。

又市征治社会民主党・護憲連合

○又市征治君 社民党の又市でございます。  大変お忙しい中御出席をいただきまして、ありがとうございます。  先ほど来からお聞かせをいただきながら、御三方とも、国会議員あるいは地方議員及び首長の公設並びに私設秘書をこの罪の主体に加えるべきであるとか、あるいは「権限に基づく影響力を行使して」ということは削除すべきであるとか、大変多くの点で専門的な立場から一致の見解を述べていただいていることについて、大変意義のある今日は参考人質疑だろうと、こう思います。  そこで、相当論点も整理をされてまいりましたので何点かに絞ってお話をお聞きをしたいと思いますが、先ほど来から出ています、今回の我々の野党案と与党案の大きな争点の一つに親族を含めるかどうか、こういうことで、ここのところはちょっと参考人の皆さんの御意見も違っている面もおありのようです。野党案に対する与党側の反論は、親族だというだけで秘書と同じ職分があるとみなすことは、その人の正常な経済活動まで不可能にさせるから職業選択の自由に反するといったような趣旨のようでありますけれども。  そこで、土本先生にまず先にお伺いをして、後ほどまた両先生にもお伺いしたいと思いますが、土本先生のお書きになったものの中に「政治浄化には強力な法的規制だけが有効だ」と題する、一九九二年、ちょっと十年前ですが、中央公論にお書きになっているのを見させていただきました。これは全体として汚職全般について述べられたものですけれども、その一部で、国会議員というより候補者としての選挙違反についても厳しくすべきだ、特に連座制をきちんとやれ、こういうふうにお書きになっておったと思います。  その部分で「連座制を実効あらしめるために、」とありまして、その第二点に「当選無効事由になる違反者の人的範囲を拡大することです。」と、こう明快に述べておられます。つまり、「これまでの改正により、」「この」、「この」というのはつまり連座制のという、「この範囲は」云々とあって「候補者の家族にまで拡大されてきています。」と。  これは選挙運動の話ですけれども、先生の全体の論調からしますと、国会議員となった後の親族のあっせん収賄についても同様のことが言えるのではないかというふうに思うんですが、この点いかがでしょうか。  そして、ここが大変問題になってくるわけですが、現実の例を見ますと、先般のこの委員会でも私、取り上げたんですけれども、極めて著名で有名な国会議員の弟がその議員の選挙区内の自治体を舞台にコンサルタント業を行っておって、公共事業を落札させて成功報酬を得ている。幾ら本人が全くの経済活動なんだと、こうおっしゃっても、周りは、つまり業者も、また自治体の側も、あの先生の弟だからと、こういうことで事実は動いているわけですね。選挙運動については厳しくなって親族を連座させるようになった、こういう点からすれば、このあっせん利得についても親族を視野に入れることは必要なんだと思うんです。  親族と規定をしても、その中であっせん収賄事案に係る者が対象となるわけですから、個人の自由を必ずしも侵すことにならないんだろうと、こう思うんですけれども、この点について御三方の御意見をお伺いしたいと思います。

土本武司筑波大学名誉教授元最高検察庁検事

○参考人(土本武司君) ここは、連座制とあっせん利得罪との違いを私としては考えざるを得ないわけであります。  連座というのは、正に我が国の選挙を公明なものにする大きな効力を発揮いたしておりますね。範囲が拡大されたことから、事実、公明選挙の実が上がっていると言っていいと思い、したがって中央公論に書いた時点において言ったこと、それ自体は私は説を変える気持ちはありません。  ただ、なるほど、連座制の違反行為者に親族が取り込まれているわけでありますけれども、選挙運動というもの、それから、したがって買収などの選挙違反というものは、これ、だれでも、何人でも犯し得る正に非身分犯なんですよね。それがまず前提になっているわけであるということ。  それから、あるいは異論があるかもしれませんが、私は、連座制の効果として、国政、地方双方ともに選挙によって選ばれる人に対しては大変大きな効果があるということは、その議員にとっては大変痛い処分ですね。刑事処罰を受けるよりも、むしろこの連座制によって当選無効となり、将来の被選挙権が剥奪されるというのは政治家として致命的な効果にもなってくるわけですが、そういう強い制裁があるということは、それは刑罰でないにしても、それが他人の、自分の派だといっても、自分以外の者の違反行為によってそういう大変厳しい効果が議員に掛かってくるということを考えますと、ベースには立候補者の選挙運動者、親族を含めた選挙運動者に対する監督上の不行き届き、過失があるんだということが前提になっているのではなかろうかと思うんですね。  ですから、それを言えば、したがって当選無効訴訟の場において連座の効果を受けそうになる、その危険にさらされた議員は、自分は十分に監督したんだということの反証が成功すれば、この連座の制裁を受けない場合も理論上はあり得る、現実にはほとんどそれはないと思いますけれども、理論上はあり得るんだと。いずれにしても、理論構成として、そういう立候補者の選挙運動員に対する監督上の過失が前提となって決められているんではないかと思うんですね。  それらを考えると、こちらの、あっせん利得罪における利得を受ける者、つまり収賄の立場になる者が親族であるということをもって直ちにその身分を取得するというのはどうも抵抗感があるわけでして、親族であってもせめて使用され補佐するという実態を持っている者なら、これをその犯罪主体とするところに合理性があるんじゃないかと思うものですから、ということであります。

飯尾潤政策研究大学院大学教授

○参考人(飯尾潤君) この問題についても確たる意見は持ち合わせておりませんけれども、しかし、先ほどもお話をしました政治学者からの国民の不信という点からお答えをいたしますと、確かに何か先ほど例に挙げられた例ですと問題があるだろうと思われます。  しかしながら、まずやはり重要なのは政治家御本人がやはり態度を改められるということで、この場合はあっせん行為をする主体が広げられるということでありますけれども、たくさんやっていると国民が思っている国会議員の方あるいは首長さん、地方議員の方が余りこの類型に当たらないのに、どうも家族の方ばかりが次に当たって数が増えるというのは、やはり順番としてはちょっとどうかなと思っておりまして、主体の拡大よりももう少し要件の方が問題ではないかと思っておりますので、やや消極的な印象を持っております。

板倉宏日本大学法学部教授

○参考人(板倉宏君) 親族ですね、配偶者とか父母とか子供とか、これ、形の上では秘書でないとしても、秘書と同様に実質的に政治公務員と密接な関係にあることは間違いないと思うんですね。そして、しかもこれ、構成要件としてもちゃんと配偶者とか父母とか、そういうふうに書いてあるわけですから、明確性を害するということはないわけです。またそして、配偶者とかそういった人がこのようなことをやりさえしなければ処罰されないわけですから、こういった行為、この罪の主体に配偶者とか父母とか子供とか、私は更に元秘書なんかも入れたいと言っているわけですので、そういうことでございます。

又市征治社会民主党・護憲連合

○又市征治君 それじゃ、第三者供賄の問題についてと、政党支部の問題についてお伺いをしたいと思うんです。  まず、板倉先生にお伺いをいたしますけれども、先生も二〇〇〇年十一月の衆議院の参考人でお話しになった中で、今日もちょっとだけ短い時間でしたが、第三者供賄の点挙げられております。これは言うまでもなく、二年前から我々の野党案に入っておりまして、与党案には入っていないわけですけれども、その点、再度お願いをするわけですが、板倉先生は、一九五八年に国会議員のあっせん収賄罪ができたけれども、今までに起訴が二件だけあって有罪は一つもないと。それは政党支部などの抜け道があるからだという御趣旨でおっしゃっていたんだと、こう思います。  なお、別途、我々野党はこの法案と並行して政治資金規正法の改正の法整備の方、進めていますけれども、政党支部の数の規制という案、この中で今進めていまして、先ほども他の委員から話が出ましたように、大変な多くの政党支部があったり、じゃ、小選挙区に一つでは多過ぎるかな、抜け道になるんではないか、都道府県に一つではどうかとか、様々、今野党の中でも論議をしておるところであります。  そこで、法案を少しはみ出すわけですけれども、政党支部ということについてもお考えをお聞かせをいただきたいと、こう思います。  もっとも、政党の支部は第三者供賄の一つの窓口にすぎない、こんなふうに思うわけですが、やはり第三者全般の規制が必要だと思いますけれども、せっかくの機会ですから板倉先生と土本先生にお伺いをしたいと思います。

板倉宏日本大学法学部教授

○参考人(板倉宏君) あっせん収賄の方にも第三者供与を処罰する規定がないわけでございますね。今まで、一人の方は国会議員で、一審は一回有罪判決あったんですが、お亡くなりになったために確定はしていないと。今まで、ですから、起訴例は今回の件を含めて四件ぐらいだと思いますが、私、まだ確定したものは一件もないと。  これはやっぱり、あっせん収賄の規定には、さっき言った請託だとかいろんな要件があることもありますけれども、第三者供賄を処罰する規定がないということも一つの理由であろうかと思うわけです。ですから、こういった抜け道になっているということは実態としてあるように思いますもので、そういった政党支部とか政治資金管理団体などが、ですから、これはやはり第三者供与を処罰する規定を、これは是非置くべきだというふうに考えております。

土本武司筑波大学名誉教授元最高検察庁検事

○参考人(土本武司君) 第三者供賄の規定は設けるべきかと思います。  ただ、立法の順序として、あっせん収賄罪における第三者供賄の規定の立法と少なくとも同時になされるべきであろうかと思います。そうしませんと、第三者供賄行為というのは、あっせん収賄罪のほかの要件が、あっせん収賄罪についてのほかの要件が整っていましても、刑法は適用、あっせん収賄、第三者にあっせんを供与したという場合に刑法の規定は適用できない。ところが、こちらの方が、先にこの規定ができておりますと、あっせん利得罪の方は適用できるということになる。  だから、要件が重なれば、こちらの要件にも合致し、あっせん収賄罪にも合致しているというときには、こちらでもって第三者供賄のケースを有罪とすることができるわけでありますが、そうでないと駄目だという妙な事態が出てくる可能性が出てまいりますので、少なくとも同時立法が必要であろうかと考えます。

又市征治社会民主党・護憲連合

○又市征治君 終わります。ありがとうございました。

沓掛哲男自由民主党・保守党

○委員長(沓掛哲男君) 以上で参考人の方々に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々に一言御礼のごあいさつを申し上げます。  本日は、長時間にわたり大変貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十六分散会

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