財政金融委員会 第25号
- 発言数
- 139 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2002/07/18
会議録
○委員長(山下八洲夫君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る十一日、今泉昭君が委員を辞任され、その補欠として櫻井充君が選任されました。 また、昨十七日、櫻井充君及び入澤肇君が委員を辞任され、その補欠として簗瀬進君及び鶴保庸介君が選任されました。 ─────────────
○委員長(山下八洲夫君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に財務省国際局長溝口善兵衛君、厚生労働大臣官房審議官中村秀一君、厚生労働省職業安定局次長青木功君及び厚生労働省雇用均等・児童家庭局長岩田喜美枝さんを政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下八洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(山下八洲夫君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行総裁速水優君及び預金保険機構理事長松田昇君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下八洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(山下八洲夫君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○林芳正君 ありがとうございます。自由民主党の林でございます。今日は三十分ほどお時間をいただきましたので、両大臣並びに関係の皆様に私がふだん考えておるようなことをちょっと御質疑をしたいと、こういうふうに思っております。 まず、塩川大臣にお尋ねしたいんでございますが、今日は担当の溝口局長にもお見えいただいておりますので適宜御答弁をしていただければと思いますが、何日か前だったと思いますが、報道で拝見をいたしまして、今月初めにASEMの財務相会議というのがございまして、そこでアジアの通貨単位というものを創設するということなどを含めて提案をされたということを新聞で拝見いたしまして、大変意を強くしたわけでございます。 今、円相場、円・ドル、またユーロ、かなり急激に動いておりますし、すぐ前に、数年前に我々は通貨危機というものも経験をいたしまして、いろんな反省の中からいろんな対策を打ってきて、前宮澤大臣のときのチェンマイ協定を始め、こういうことがどういうふうにしたら制度的にリスクを軽減できるかということを一生懸命考えてきたわけでございまして、特に今、世界は三つの通貨圏と、こういうふうに言われておりますが、米ドル、そしてユーロというものの中で、今度は我が方はどうしていくかというときに、やはり何十年か前にヨーロッパの政治家が考えたことがユーロという形で結実をしておるというふうに思うわけでございまして、我々もそういう意味ではそろそろそういうことを考え始めてもいいんではないかというふうに私はかねてから思っておりまして、機会あるごとに場があれば主張してまいったわけでございます。 そこで、すぐに例えばアジアの域内でユーロといったものの単一通貨ができる、これは大変な夢物語でございまして、ユーロの長い歴史を見ても、そこに至る長い綿密な準備と、そして歴史的な変遷というものがあったわけでございまして、その一つの大きなものがECU、ヨーロッパ・カレンシー・ユニットということで、いわゆるニュメレールということで、計算の単位としてまずこういうものをやっていくと。 長いECUの歴史を経た後でそしてユーロになっていったというのがヨーロッパの先達の知恵であったわけでございまして、アジアとヨーロッパを比べて、宗教が違う、文化が違う、経済発展度が違うからまだ時期尚早だという一般的な御意見もあるわけですけれども、ヨーロッパも多分、何十年か前にこの議論を始めたときには、まだまだそんなことはできっこないということを政治のリーダーシップでもって始められた、その成果が何十年か後になった現在になってこういうふうに結実しておる、こういうふうに思うわけでございまして、そういったことを考えますと、大臣がこういう提言をされたということは、非常に私は歴史的にも大きな一歩ではないかと、こういうふうに思って新聞を拝見したわけでございますが、どういう御提言をされたのか、具体的に大臣又は局長から教えていただければと、こういうふうに思います。
○政府参考人(溝口善兵衛君) 御指摘のように、今月の五日、六日、コペンハーゲンにおきまして第四回のASEM財務大臣会合というのが開かれました。 このASEM財務大臣会合と申しますのは、四回目でございまして、アジアではASEANの七か国でございますね、それから日中韓、十か国が参加し、ヨーロッパはEUに参加しております十五か国、それからEC委員会が参加しているわけでございます。 その会合におきまして、御指摘のような案が提案されたわけでございます。実は、前回のASEMの会合が二〇〇一年、昨年、神戸でございました。神戸でございましたときに、日本の提案といたしまして、アジアでいろんな経済関係、相互依存関係が非常に強まっておる、そういう中でアジアでの協力をどう進めていくべきかということについて、研究者の方々から、民間の方々からいろいろ意見を聞いてみましょうという提案を我が方がしたわけでございます。それで、神戸で開催されたものでございますから、神戸プロジェクトというような名前をそれに付けたわけでございます。 十二か国のASEMの参加国の研究機関あるいはIMFとかADBといった国際機関が入りまして、レポートを十五ぐらいまとめたわけでございます。その中に、御指摘のようなアジア通貨単位というような提案も含まれているということでございます。 この提案は、言わばそういう研究機関がこれからアジアにおいて政府間でいろいろ議論する際の材料にしてもらおう、そういうものが議論を活発にする触媒のようなものになるだろうということでやっていただいて、今回発表したということでございます。 私どもは、こういういろいろな提案を基にいたしまして、アジアの国々とも中長期的な課題として具体的に議論をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○国務大臣(塩川正十郎君) 今、経過説明しましたように、目下研究の段階でございまして、まだ具体的な発言をするというところまで行っておりません。しかし、林さんおっしゃるように、現在のユーロも、元をただせば欧州石炭鉄鋼連盟のときからのいきさつがございまして、五十年経てやっとここへ来たと。我々もアジアの通貨危機、そしてまた、一方的にすべての通貨がドルで計算されるというところに、そこにやっぱり何となく今通貨不安というものがあるような感じがいたしまして、複数の基軸があってもいいじゃないかということが世界の一つの世論ともなっておりますし、そういう中にあって、研究してみようということで、先ほど溝口局長言っていますように、神戸で我々が発起いたしまして、目下研究段階に入っておるということでございます。
○林芳正君 ありがとうございました。 神戸プロジェクトということですから、是非この名前をずっと持ち続けた上で、今、大臣おっしゃったように、ヨーロッパも石炭、鉄から始まって五十年でございますから、最初から通貨の話を考えておったかどうかは別にして、今、正に大臣がおっしゃっていただいたように、ドルが基軸通貨で、ドルのシニオリティーというものが世界に及んでおって、アメリカの一つの大きな当然のことながら強みというのは為替の心配をしなくていいということがあるわけでございまして、これに対して、じゃヨーロッパはどうしていこうかということで、多分ドイツなどが中心になってこれをやっていったわけでございますから、我々もやはりそういう気持ちを持ってこの提言を生かしていっていただきたいと思うんですが。 今回この提言を、神戸プロジェクトの宿題を出したということで、同じように、やっぱりアジアの各国は、ドルがシニオリティーを持っておって何らかの為替のことを考えなければいけないという、まあ言わば共通の悩みを持っておられると思うんですが、この提言に対して何か参加各国、これはASEMはヨーロッパとアジアでございますから、アジアの方はそういう共通の悩みを持つものとして、また、ヨーロッパの方は先にやった先輩として何か反応があったかどうか、教えていただければと思います。
○政府参考人(溝口善兵衛君) 会合に至る前の段階で、大臣の代理レベルで何回か準備会合がございまして、既にそういうところで議論もなされているわけでございます。今回につきましても、私どもで説明しまして、ADBからもコメントもございましたけれども、全般に、アジアにおける地域金融協力の議論を活性化するのに、こういういろいろな提案が役に立つという雰囲気だったというふうに理解をいたしております。
○林芳正君 是非、これは私が何年か前にアジア各国の財政関係の方にお会いしに行ったときに、特に中央銀行の方に、外貨準備をもう少し円で持ってはいかがですかという話をいたしたことがあります。各国、様々な反応でしたけれども、円の国際化、またこれは我が方の輸出輸入をされている方にもいろいろお願いをしなければならないわけでございますが、そういったことを含めて、円の国際化ということをこの話と一緒にしてやっていっていただきたいと、こういうふうにお願いをしておきたいと思います。 時間も限られておりますので、この話はそれぐらいにいたしまして、次に柳澤大臣にお伺いしたいんでございますが、つい先週ぐらいだったと思いますが、「金融システムと行政の将来ビジョン」という非常にすばらしいレポートを出していただきまして、まだ全文の方は時間がなくてお読みをしておりませんが、サマリーを見せていただきまして大変感服をいたしました。 ここに書かれておることを今から具体的な政策に落としていただきたいと思うんですが、そのときに、間接金融から直接金融への転換というものが提唱されておりまして、正にそのとおりだと、こういうふうに思いますが、この間、実は委員長に連れられて東証へ視察に行ってまいりまして、そのときに東証の方にもお聞きをしたんですが、直接金融に行くときに、今の間接金融から直接個人の人が投資家になって株式市場へ戻ってきてもらう、これが大事だということでありまして、たしか二十年ぐらい前だったでしょうか、個人の保有が五八%もあったというのを見てびっくりしたんですが、ただ、そのときは全体のボリュームも少なかったということでしょうけれども。 私は、それは非常に大事なことで、それをやっていただかなければいけませんが、それと同時に、やはり機関投資家というものを育てていかなければいけないと。それは、証券市場というか、直接金融市場を厚みを増すということと、それからやはり新しいコーポレートガバナンスのためにも、個人の投資家で会社の財務諸表を全部見て経営にいろいろアドバイスをするというのはなかなか難しいと思いますけれども、機関投資家ということであればそれをプロフェッショナルにやっていただけるということでありますので、そういうことも考えていかなければならないんではないかと。 投資信託等もどんどん規制緩和されておりますので、そういうファンドのようなものも含めた機関投資家の育成というものの重要性について大臣はどうお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私ども、先週、日本型金融システムと行政の将来ビジョン懇話会から報告書を御提出いただきました。 一口に、今、林委員も間接金融から直接金融へということだろうと、こういうふうにおっしゃられたんですが、もうちょっとよく読んでいただきますと必ずしもそうなっていないのでございます。 それはどういうことかというと、要するにリスクというものを中心に考えましたので、間接金融の伝統的な形であるバンキングビジネス、これが言わば、産業銀行モデルという言葉を使っているわけですが、企業に貸していってその貸出債権をじっと持っている、こういうことでは、リスクを全部金融機関が持ってしまうと。そういうシステムというのは、最近のように日本が最前線の先進国になって、もう見本のない分野に産業も進出していかなきゃならない、あるいは発展途上国からどんどん追い掛けられているから伝統的な分野だってそう安泰ではない、リスクが大きい、こういうような客観情勢の中で、銀行がそういう伝統的な産業銀行モデルの下でずっとリスクを抱えているという体制は、これはなかなか持ちこたえられないだろうと、ここがリスクとの関係での問題意識なんですね。 では、どういうことをするかというと、これは二つに分かれるだろうと。やはり一つは、貸出債権をもっと流動化していく、証券化もその手法の一つなんですが、そういうことを考えてリスクの分散を図らなければとてもそれは持ちこたえられたものではないということでございます。もちろん、二つに分かれるもう一つの方は、これは債務者企業との間のリレーションシップ、これはもう非常に、経営者はどういう方だとか、資産の状況はどうだとかという、ここでよく議論になる中小企業の方々が中心なんですが、これはやっぱり生き残っていくだろう、このモデルというのはその局面では生き残っていくだろうと、大ざっぱに言うと大体そういうような考え方でリポートができ上がっているように私は受け止めているわけです。 そこで今、前者の方の市場型金融モデルにおいて、リスクを分散するために債権、資産を売っていく先というのはやっぱり機関投資家だろうと、こういうことなんです。必ずしもそれは転々流通するようなものばかりではないと、こういう考え方なのでございます。そういうときに、今正に林委員が御指摘になられたように、そういうものを受け止める投資家としては機関投資家が非常に大事なんですね。機関投資家も、そういうものをいろんなところから集めてきて、これは大数の法則か何かでリスクをやっぱりコントロールしていくということが必要なんで、そこはどうしても機関投資家の台頭というか、そういうものがもう不可欠の条件になってくると、こういう考え方で、正に結論のところは、今、林委員の御指摘になられたとおり、機関投資家の育成というか、そういうものが極めて大事だということになっておるわけでございます。その中にはもちろん、投資信託というように、更に自分の資産をまた今度証券化して個人の投資家に売っていくというのは、機関投資家も当然大きな役割を演ずるだろうと、こういうことなんでございます。 そこで、正に今御指摘のとおりだということが私の答弁なのでございますけれども、我々、これを一体どうやって実現していくかということを目指しまして、今やや我々の役所としてはかなり広範なヒアリングをして、証券市場改革というかあるいは資本市場改革というか、そういうものについてのもうちょっと構造的なアプローチをどう仕組んでいくかということを検討を始めようとしている段階でございまして、これから先もいろいろとまた当委員会の委員の先生方から御教示を賜りたいと、このように考えております。
○林芳正君 ありがとうございました。 正に、今からこの資本市場、市場型間接金融から資本市場と、この辺りをやっていただかなければならないわけでございまして、大臣御指摘のとおりだと思います。 そして私は、このサマリーの四ページにエンロンのことがちょっと書いてございまして、非常に注目というか、これはいいなと思ったのは、よく言われますのは、エンロンみたいなことが起こったから、もうアメリカの資本市場のシステムは駄目なんだと、あんなことを持ってきてもしようがないじゃないかと、そういう議論になりがちなんでございますが、むしろ私はもう、余り極端なことを言ってもあれですが、二、三周ぐらい後れていて、先に行っている人が転んだから余り速く走る必要はないんだと、こんなようなことでは駄目なんであって、やはり大きく揺るがした原因をつぶさに見るということを通じて、ここにあっておりますが、アメリカのシステムを否定するのでなく、官民挙げての改革のスピードに注目し、冷静に学ぶべきである、正にこのとおりだと、こういうふうに思うんでございます。 そういう意味では、エンロンの話よりもワールドコムの方が私は深刻だと思いますのは、エンロンのケースというのは、割と会計基準の細かいところのテクニカルな操作というものがあったわけでございまして、基準が本当にいいのかという問題もあったんですが、ワールドコムの方は、もう単純な基準をただごまかした、こういうことが発見できなかったという問題であったわけでございまして、むしろ、システムの問題よりもその運用、きちっと運営しているかという問題だったという意味で大きいんだと思うんですが。 そういう意味で、何となく証券・資本市場というものが、我が国では投資ではなくて投機だと。私もお仕えしておりました宮澤大臣に言われたのは、君が生まれたころに、銀行から証券へというスローガンがございましたよと、こういうふうに言われたことがあるんですが、毎回毎回そういうことが出て、なかなかこうならないというのは、やっぱり資本市場に対する皆さんの、機関投資家も含めた信頼性というものも非常に大事になってくるわけでございますし、また海外からもきちっと安心して投資をしてもらえるようにする、レジェンドなんかが付かないようにするということでございますけれども。 今後、そういった意味で、この資本市場のインフラ整備というものをどういうふうに進めていくお考えか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 林委員が御指摘になられたように、今回のリポートでも、今回アメリカで起こった不正経理、不正会計の事案について、今まで何かお手本のように言っていたアメリカも大体似たようなものじゃないか、やっぱりこういうことがあったんじゃないかというような考え方に立って、開き直りみたいな姿勢を取るのは絶対良くないということの御意見が非常に強く出されました。それが文章にもなっているかと思うわけでございますけれども、これは、そうは言いつつもなかなか難しい問題というのが私の実感でございます。 私なぞも、アメリカに行きますと、株主重視の経営というのはいつ実現されるんだというようなことをちょっと詰問みたいな調子で質問されるわけでございます。いや、それは日本でもそういう方向へもう変わってきているんだというようなことで話をするわけですけれども、今回の事件について、今言ったように会計基準的なところ、あるいは会計監査法人の在り方ということも一つ問題なんですが、その先にさらに、アメリカにおける、株主重視というよりも株価重視というようなこともあったという指摘も私ども聞いておるわけでございます。 日本でも最近は非常に株価というものに経営者どなたも敏感になっているというふうにお見受けしていますけれども、しかし、ストックオプションとかなんとかで、その株価を実現できたら全部自分のものにしちゃおうみたいな、そういう、昨日ですかおとついですか、グリーンスパン議長が言ったように、感染症的どん欲さというようなことを実行している人はないわけでございます。 我々は、やっぱりその辺のことも考えて、いいインセンティブを与え、また、株主を重視する経営でありながら、そこまで行かないような、そういうゆがんだ形にならないようなシステムを、これはやっぱり作っていかなきゃいけないということだろうと思います。 そのインフラは何かというのが御質問でございますけれども、やっぱりこれは、非常にプリミティブなところですけれども、公正な経理を行うということと、公正な経理を行っていることをしっかり確かめる、チェックする機関があるということが大事だというふうに思っております。 アメリカにおいては、このチェックする機関については、監査法人をチェックする機関を置くとか、あるいは監査法人について、利益相反になりそうなコンサルティング業務との分離を図るとかというようなこともいろいろ言われているようでございますけれども、これらのこともいろいろ念頭に置いて、今後、これは中長期的課題でございますが、考えてまいりたいと、こんなふうに思っておるところでございます。
○林芳正君 ありがとうございました。 正に、大臣がおっしゃっていただいたように、このインフラ整備の中で、公正な経理をする、これがもう中心であることは論をまたないわけでございまして、この会計基準をきちっと守ってやるということがまず第一でございますが、その会計基準そのものが、やはり時代、経済の変遷に対応して絶え間なく進化を続ける、これも非常に大事なことであろうと、こういうふうに思っておりまして、今はむしろ、アメリカのFASBよりも、国際会計基準委員会、IASBの方がだんだんだんだん力を付けてくる、こういうような状況であろうと思いますが。 その中で、私は今ちょっと新しいものとして面白いなと思っておりますのは、知的財産会計というものでございまして、例えば、コカコーラというものがございますが、これ、コカコーラじゃないブランドで同じ味のものを出してもなかなか売れないと。ソニーと同じようなものを作っても、ウオークマンを作っても、なかなかやっぱりソニーという名の付いたものを皆さん買うと。もっと言えば、例えばエルメスとかああいうものは、全く同じものを作ってデザインをしても、これはデザインをまねするということになるんでしょうが、やはりエルメスのものを皆さん買うと。こういう商標やのれんや、もう少しかちっとしたものであれば特許とか、そういうものはなかなか会計基準上は出てこないという問題があるわけでございます。 新しくどこかから、合併をしたり、ほかの会社から商標を買いましたというときは、その取得原価というのがあるわけですから比較的簡単な話かもしれませんけれども、自分のところで長年の努力によって蓄積されたとか、自分のところで研究開発をやった結果、特許を取ったという場合の知的財産の値段というものはなかなか付け難いものがあるわけでございますが、アメリカ等やIASBでも、この知的財産の会計というのを、我が方は今減損をやっておりますが、その次、また環境会計の次ぐらいに検討しておるということで、これはやはり出遅れてはならないなと、こういうふうに思うわけでおりまして、我が方としての、我が国としての対応につきまして、大臣の御見解あればお伺いしたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 林委員、大変な勉強家でございまして、非常に先端的なところにも御関心を払っていただいているということで、敬意を表しておきたいと、こう思います。 のれん代等の知的財産につきまして、今仰せになられたように、他から購入したものについては、これは取得価額を計上するということになっておるわけです。しかし、自らが長年の努力によって生み出したものについては、これは突然そういうものを計上するというわけにも、我々の常識的な会計処理でもなかなか難しいだろうというようなことで今までは非計上ということになっておったんですが、他から、第三者から取得したものについても、いつまでも取得価額でいいのかという問題が一つございます。 もう大昔の話で、相当時価にすれば減価しているんじゃないかというようなこともあって、やはり公正価額というか時価価額というか、そういうもので評価しなきゃならないというのが一方であるとともに、今御指摘のように、自らの生み出したものについてもやはり公正価額でもって計上していいではないかと、こういうことがありまして、この知的財産についての会計処理について、アメリカを言わば嚆矢として、そこで問題が提起されているというのは我々も承知をしているところでございます。 これは、今、林委員おっしゃられたように、国際会計基準の方にはそこまでまだ問題が移っているという状況にはないようでございますけれども、我々としてはアメリカの動向を注視して、少なくとも国際的な会計基準として採用されるような場合には、もうこれは迅速に対応できるような準備というか、そういうことをしておかなければならないテーマである、このように考えております。
○林芳正君 終わります。
○峰崎直樹君 今日は、日銀総裁、本当にお忙しいところありがとうございました。また、竹中大臣にもお越しいただきまして、ありがとうございました。 最初に、やはり今一番国民の中で心配になっている景気の問題について若干お伺いをしたいと思っているわけであります。 先週、実は月例経済報告も発表になって、日本経済について、先月がたしか底入れという、そして七月は一部に持ち直しというふうに、ある意味では非常にどんどん良くなってくるというようなそんな印象を受けているんですが、本当に日本経済は底入れをしたんだろうかと。かつて、現在の尾身沖縄担当大臣が、桜の咲くころには良くなりますよとか言って、桜が咲いても全然良くならなかった。要するに、経済企画庁の経済見通しというのはどうも当たらないものじゃないかと、大本営発表みたいなものじゃないかと、こういうある意味ではやゆされたときがあったわけですけれども、本当に日本経済、底入れをしたと、持ち直していると、昨今の株価の低迷状況とかあるいは円高が急速に進んでいるという中で本当に大丈夫かなと。 これは後で竹中経済財政担当大臣にお伺いしたいんですが、たしか一—三月の統計を見ても、実は伸びているのは輸出が伸びていると。それと在庫調整とか個人消費が多少堅調だったとかあるんでしょうけれども。そうすると、とにかく今は輸出が好調で、しかもそれはアジアに向けて主要に伸びていると。アジアはきっとそれはアメリカに対する輸出が伸びているんだろうと思いますが、そうすると、このアジアに対する輸出あるいはアメリカに対する輸出、これが円高によって相殺をされていくことになると、唯一の景気の牽引車と思われていた日本経済のある意味ではエンジンが、どうもこれはおかしくなっているんじゃないかなと、そうすると日本経済はこれから先相当やはり深刻な問題を我々にもたらすのではないかなと、こういうふうに思うんですが、その辺り、竹中大臣、どのように考えておりますでしょうか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 景気判断の問題でございますが、まず、委員の御指摘の中で、旧の企画庁を含めてその見通しは大丈夫なのかという御指摘がありましたが、まず、この景気の判断というのは、見通しの問題ではなくて現状の認識である、現状の判断であるということを是非御承知賜りたいというふうに思うわけでありますが、その上で、現状の判断はこうであって、将来に対するリスク要因はどうであるかということをきっちりと分けて私ども理解をし発表させていただいているつもりであります。 〔委員長退席、理事円より子君着席〕 まず現状については、これは企業部門を中心に、やはり在庫の調整、生産の一部の持ち直し等々、循環的に見てみますと底入れから持ち直しへの動きというのは明瞭に出ているというふうに判断をしております。 ただし、峰崎委員御指摘のように、正に今後についてのリスク要因というのはこれは確かにあるわけで、その中心になるのは外需であるというふうに私自身も認識をしております。一—三月期のGDP一・四%増のうち、外需によるものが〇・七%、内需によるものが〇・七%、内需もしたがってそこそこ在庫の循環を受けて出てきているということでありますが、この内需も外需に刺激されている分が少なからずあるというふうにも思います。 為替レートの問題、この御指摘も一つのリスク要因であろうというふうに思います。ただこれも、リスク要因ではあるんですけれども、これが直ちに日本の経済に対して直接的に大きな影響を及ぼすかというと、これを余りに過大に評価すべきでもないという点もあろうかと思います。それは、タイムラグの問題があるということと、名目の為替レートは確かに大きく変化しておりますが、名目レートのほどには実質の為替レート、さらには貿易相手国で加重平均した実効為替レートは大きく変化していないという点もございます。 そうした点も踏まえて、しかしさはさりながら、アメリカの経済を中心に海外部門の変化要因というのをリスクファクターとして十分に認識をして、現状の経済が更に良くなるような運営を是非ともしたいというふうに思っているところでございます。
○峰崎直樹君 後で実効為替レート、私も名目の為替レートしか見ておりませんが、どのように変わったのか教えていただきたいと思うんですが。 その前に、金融のかじ取りをやっている日銀の総裁もどのように今の日本経済の現況を見ておられるのか。先日、短観を発表されましたけれども、私どもも注意深く見ているつもりですが、地方にいますと、特に私、北海道ですが、例えば塩川大臣のおられる大阪とか、あるいは沖縄とか、やっぱり非常に深刻な中小企業の皆さん方の叫びを私たちも聞くわけですし、失業率も非常に高うございます。日銀総裁、そういう意味でどのように見ておられるか、まず認識からお尋ねしたいと思います。
○参考人(速水優君) 日本銀行は、現在の経済情勢につきまして、国内需要は依然弱いものの、輸出や生産面の明るさが増して、企業の収益や業況感も改善するなど、全体としてほぼ下げ止まっているというふうに六月の月報でも発表いたしております。 具体的に申しますと、輸出の方は大幅に増加して、生産もはっきりと持ち直しております。企業収益も回復に転じつつあると見られます。先日公表しました短観でも、企業の業況感の改善が確認されております。家計部門を見ますと、所定外の労働時間とか新規の求人など、限界的な部分で雇用改善の動きが続いております。ただし、企業の人件費削減姿勢は根強くて、雇用者所得は明確な減少が続いているようでございます。このように、輸出、生産面などで明るい動きが見られます一方、国内需要は依然弱くて、家計の雇用・所得環境も引き続き厳しいという基本的な認識につきましては、政府と日銀とで大きくは異なっていないというふうに思っております。 いろいろこれから、ここのアメリカの株価、あるいはドル安というものが産業界にも影響を与えてくると思いますけれども、私は、今のところ方向としては、循環的に、九〇年代に入って九六年前後、それから九九年から二〇〇〇年に掛けて、四半期で見ると四%で伸びているんですね。それがすぐ落っこってしまうというのは、やっぱり日本の経済自体、構造的に弱いところがあるわけで、民間の需要が企業家の面での設備投資、あるいは消費者の面での、家計の面での消費、そういうものが常にクリエートにフレッシュに動いていってそういう構造の改革が実現されていかない限り、今度は三度目の循環的な上昇ですけれども、上昇とまで行くかどうか。 底を打っているわけで、これから良くなっていくわけですけれども、今こそ構造改革を実現させて、私どもの方でもどんどん流しております流動性というものが、そういう民間需要の増加につながっていくということが必要だと思います。 地方でも中小企業等非常にお困りのところがあるというお話でございますけれども、取引先金融機関ともよく話し合って、これから勝ち抜いていける、サバイブできる、あるいは勝っていける企業というものを作り出していっていただきたいものだと思います。そうすれば必ず成功するというふうに思います。
○峰崎直樹君 今、総裁、何か構造的弱点があるんではないかと、こうおっしゃられたんですね。 何度か私どもも聞いているんですが、改めて、小泉内閣は構造改革を進めるということで、それが一つの大きな、構造改革なくして成長なしと、こうおっしゃっているんですが、総裁から見られて、いわゆる構造的弱点と言われているものは何であり、それは改革が進み始めているのか、あるいは手が付いていないのか、その辺りはもう一度日銀総裁の立場で御指摘いただければと思いますが。
○参考人(速水優君) 構造改革で一番よく言われますのは、やはり金融機関の不良貸出しがまだかなり大きく残っているということが一つあります。このことによって金融機関もどちらかというと、前向きに貸出しを増やしていくということよりも、これまでは不良貸出しを消していくということでいろいろ、どちらかというと後ろ向きに経営を進めてきたというようなことが、よく言われる銀行が持つべき仲介機能が発揮できなかったということが挙げられると思います。 そのほかに、過去十年、東西の冷戦が終わって世界が一つのマーケットになるんだ、東西南北で競争し合っていくんだと言っているときに、日本の方は、バブルの崩壊の過程でどうも景気が良くないんで、国内を中心に赤字国債を出して公共投資をどんどん進めていった、金利をどんどん下げていって〇・五、ついにはゼロ%近くまで持っていったようなことで、外から見るとやはり日本の競争力というのが落ちている。そういうところは、税制それから規制、さらには、活性化といったような政治の面でもっともっと、今、小泉内閣がやっておられる構造改革の道を進めていってもらいたい。 総理もよく言われる改革なくして成長なしというのは、私も全くそのとおりだというふうに思っております。こういう構造改革を進めながら、金融面からも支援をしますし、世界の共通のマーケットの中で土俵の上に立って負けないような企業になっていかない限り、これは成長ができないものだというふうに思っております。 構造改革については、そのほかにも、公的なもの、民間がやれるもので公的な部門がそこにあって民間と争っているといったようなこととか、民間がもっと手を伸ばして競争原理で動けるところへ、そういう雰囲気にまだなっていない、立場になっていないといったようなこととか、そういうことを早く一つ一つ実現していくことが大切だと思っております。諮問会議などでもそういう議論が随分進んできております。そういうものを一つ一つ進めていくことを期待したいというふうに思っております。
○峰崎直樹君 先ほど総裁が言われた金融機関の不良債権の問題、これは依然として構造問題だ、さらに税制や規制の問題を更に後押ししなきゃいかぬと、こうおっしゃっていたわけですけれども。 さて、金融機関、要するに金融危機というのは、昨日の党首討論でも我が党の鳩山代表と小泉首相の間の論争を聞いておりましたけれども、三月危機とか二月危機とかいろいろ言われたけれども、危機は起きなかったじゃないかということで、何かもうこれで大丈夫なんだというような印象を受けるんですが、どうもこの間ずっと私ども見ていて、株価対策というふうに申し上げていいんでしょうか、いわゆる空売り規制をやって株価がある程度持ち直しをしてきたと。 これが実は、いつの間にか日本の経済、金融危機というものの不安感を何か押しとどめたような感じがあるんですが、私はやはりまだこの金融危機というのは根本的には直っていないんじゃないのかなというふうに思えてならないわけでありまして、我々、またこれ今、日本の株式市場も下落し始めてきている。そしてアメリカの株価の問題も、先ほどエンロンの問題を始めとして国際的な資金の動きも含めて大きく変わってきている。そうした中で、先ほど竹中大臣がおっしゃった、非常にリスク要因が大きいと。そうすると、日本経済の唯一のエンジン役であるところの輸出が非常に落ちてくると、また実体経済も今度落ち込むかもしれない。そうすると、これがまた連鎖反応的に金融危機へと株価の低落になって出てくる。 こういう意味で、金融危機というのは本当に去ったんだろうかなというふうに私どもは思っているんですが、この点、日銀総裁は、日本の金融危機はもう去った、もうペイオフも来年四月から完全実施するんだからある意味では安心してよろしいと、こういうことでよろしいんでしょうか。
○参考人(速水優君) 金融機関はやはり、先ほども申しましたように、不良債権処理を含めた種々の問題がまだ完全には解決しておりません。努力は傾けておりますけれども、我が国の金融システムに対する内外の見方というのは、引き続きかなり厳しいものがあるということは、私どもよく海外へ行っても言われますし、国内でも、本当に預金者が安心して金融機関を信頼して預けているかどうかということになりますと、まだまだそういうところに不安は残ると思います。 その最大の原因は、言うまでもなく不良債権問題でありまして、金融機関はこうした課題に更に積極的に取り組んで、内外のマーケットや預金者などから信認回復に努める努力が必要だと思います。 三月の危機、六月の危機と言われましたけれども、幸いにして三月は、空売りの禁止、引締めなどがあったりしたようなこともあって、三月末は結構株価は高くなりました。六月末も、アメリカの後を受けてかなり株価は高くなりました。そういうようなこともあって、私どもも十分な資金を三月、六月出しておりますが、やはり私の感じでは、日本の金融機関、大きな銀行も地方の銀行も似たようなところがあるかもしれませんが、どちらかというと、やはり従来は御承知のように株の含み益が日本の銀行の内部的なバッファーになっておりまして、それで不良貸出しを償却していけるというようなことがあったわけでございます。それがここへ来て、株が時価評価され下がっていくということで、むしろ含み損になってくると。 そういうことになりますと、これからも、今一〇%台で保っております大銀行の自己資本につきましても、これを下がっていく可能性は十分あるわけでございまして、そういうことを考えますと、やはり不良貸出しを早く少なくしていくことがまず第一の課題ではないかというふうに思っております。 ペイオフ解除は早過ぎるとかいろいろ御意見が出ておるようでございますけれども、まあ八か月先のことでもございますし、その議論よりも前に、今何をなすべきかということ、日本の銀行が一刻も早くそうやって自分たちの内部を堅実にして、しかも新しい貸出しをどんどん進めて、それによって収益を増やしていくことをどのくらいここ数か月の間に実現していけるか、そのために必要なことは何なのかというようなことを考えるのが私どもの当面の課題ではないかというふうに思っております。
○峰崎直樹君 そこで、柳澤金融担当大臣にお聞きしたいんですが、我々かねてから、今、日銀総裁おっしゃった、不良債権問題の処理を急ごうと。それを含めて、日本のやはり金融機関というものの持っている体質が非常に脆弱だということを指摘をしてまいりました。来年四月からのペイオフの更に延期をするべきだというような意見も出ているわけですが、改めて、そういう意味でも金融危機というのは大丈夫だと、こういうふうに今、日銀総裁はそれを急ぐべきだということをおっしゃられているだけなんですが、この点はもう、国民の皆さんに向かって大丈夫だと、こういう理解でよろしいんでしょうか。改めて決意をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 昨日も総理がそういうことをおっしゃったわけですが、ほら何月危機が来るぞというようなことをあおるというようなことはいかがなものだろうかということをおっしゃったんだろうというふうに私はお聞きいたしました。私どももそのように考えておりまして、要するに問題がある、これをどのように解決していくかと、このスケジュールはきちっとこうですよと、そういうスケジュールを明らかにしてそれを解決しようということで前進していると、こういうことで現状あるわけでございまして、今金融危機だったら、じゃ百二条はどうするかというようなことは、これは検討しなきゃならぬわけですが、そういう事態ではないわけです。 私は、もう内外のいろんな見方がどうのこうのということを余りあげつらうのはどうかと。我々が最もウエルインフォームドというか、よく知っている立場でありますから、内外の人がどうのこうの言うよりも自分がどう考えているかの方が私は大事だと思うんですが、徐々にそれでもマーケットにおけるアナリストさんとかなんとかというような人たちの話のトーンも私は随分変わってきているんじゃないかというように思います。だからどうこう言っているわけじゃないんですよ。我々は我々が一番情報を持っているというふうに言っていますから、そんなことはあげつらうつもりはないんですが、少なくともそういう感じがいたしておりまして、ですから、余り要路の人が不安をあおるようなことはやっぱり言うべきではない。問題は、そういう公表しているスケジュールに従ってきっちりした実行が行われているかどうかということだろうと私は考えておりまして、我々は、公表したスケジュールに沿ってこれを着々と実現させていくということに我々の使命があると、このように考えているということでございます。
○峰崎直樹君 あれはいつごろでしたでしょうか、国際機関であるIMFが日本の金融機関に検査に入って、たしか昨年の秋だったと思うんですが、つまり、国際的に見て、やはり日本の金融機関に対する、非常に不安視されていますねと。絶えずやはりそういう問題があったときに、IMFが検査に入るということについて、これを受け入れるということになったわけですけれども、それはいつごろ入られるんでしょうか。先ほど日銀総裁も、国際的にもいろいろ指摘されていますねと、こうおっしゃっていますので、そういったIMF検査がいつどのような形で入ってくるのか、もし分かれば教えていただきたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) IMFはどういうことを言っているかというと、街のアナリストの皆さんはこういうことをおっしゃっている、それに対して金融庁当局はこういうことを言っているということを大体紹介しているというのがIMFリポートの基調でございます。IMFは別段何か考えるというようなことは、基本的にマクロエコノミストの集団でございますので、個別の金融行政にわたるようなことについては現在までのところで何か言っているということはないのでございます。 したがって、IMFの検査とおっしゃいましたけれども、これは評価でございまして、通貨危機、それからそれに伴う金融危機というのが起こって、IMFのレコメンデーションでいろいろやったけれども、うまくいったところもあれば、うまくいかないところもあったと、そこでIMFとしても、それぞれのそういう各国の金融システムがどうなっているんだ、あるいはどういうところに問題があるとすればあるんだというようなことを評価してそれで危機に備えておこうと、こういうことで、G7か何かでこれが決まって始まったわけでございますけれども、そういうことをやっておるということでございます。 別に、日本にも行きますと、こういうことを言われたので、ドイツ、イギリスやっていますのでそろそろ日本も受け入れるかと。ただ、ペイオフの問題があるので、そのことは頭に置いてくださいということでそういうスケジュールになっておるわけでございます。 実は、本年の六月にIMFのミッションが来日して評価作業は開始されております。それで、IMFのFSAP第一次ミッションは、まず金融政策の透明性に関する国際基準の遵守状況を評価するということで、日本銀行において作業をされた。それからまた同時に、財務省において公的債務管理の手法についての評価作業を行うということになっておりまして、金融セクターについても今後の評価に向けてどういう検討作業のスケジュールにしようかというようなことを御協議いただいたというふうに私は報告を受けておるわけでございます。したがって、この秋ぐらいから金融セクターについても、その他のセクターもまだ引き続いて評価されるかと思うんですけれども、いずれにしてもそういうスケジュールで進んでいくと、こういうことでございます。 なお、ちょっと私、ドイツもやったのでと先ほど言ったわけですが、ドイツは二〇〇三年から始まるということであるようでございます。先進国で私ども連絡というかよく聞いておりますのは、イギリスの状況をよく聞かせていただいております。
○峰崎直樹君 金融のところでたしか前回質問したときに、大手行、まあ大手行だけではないんですが、自己資本、特に資本の内容に非常に不十分性があるねと。これは日銀総裁も、そこはかねて、税効果会計とか公的資金投入しているということで、ティア1と言われているところの内実が極めて弱体だねと、こういう話をしたと思うんですが、そこで、一点だけちょっとこれ確認のために聞いてみたいんですが、税効果会計というのは五年間要するに効果がありますと、こういうことなんですが、実際上これは、その銀行が利益を上げて、将来的に利益をずっと上げ続ければいわゆる税金の払い過ぎについて単年度で返してもらえると、こういうことなんですが、もしこれは利益が上がらなかった場合は、実は落としていかなきゃいけない、つまりティア1から落としていかなきゃいけないという、そういう性格のものだと思うんですが、そういう事実というのはそうなのかということと、現実にこのいわゆる税効果会計が入ってまだそんなに時間がたっているわけではないんですが、いわゆる利益が上がらなくて結果的に、税効果会計としてティア1に計上していたものを落とした結果はあるのかどうか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 税効果会計を計上するに当たっては、今、峰崎委員が御指摘になられたように、つまり、現在の赤字というか、そういう状況が一時的なものであるということがまず大事なんですね。だから、不良債権の処理が大きな固まりでどんと落ちるというようなことは一時的な現象だという認定がまずあるわけですね。そうすると、将来の利益の展望というのはこうですねということが会計士のチェックを受けながら行われると、こういうことでございます。 そういうことでございますが、そこは、一時的なことを含めて、将来の利益の展望がこのぐらいの水準じゃないかということを外部の監査法人にチェックされて減額されたところは、これは個別なことは申し上げられないわけで、私自身もうろ覚えなんで申し上げる準備もないんですけれども、そういうところはもちろんもう出てきているわけでございます。
○峰崎直樹君 もう事実、そういうもので出て、いわゆる落としてしまったという事例もあるということでございますか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 減額です。
○峰崎直樹君 減額したということもあるということですね。はい、分かりました。 またこの金融問題について引き続きお聞きしたいと思っておるんですが、そこで、デフレの問題についてちょっとお伺いしたいと思うんです。 つまり、金融危機というのは、銀行側の方々によくお話を聞くと、いわゆる不良債権の問題というのは、バブルによる不良債権というよりも、むしろ最近では、いわゆるデフレが進行して結果的に様々な問題が、弊害が出てきている。だからデフレをやはり止めなきゃどうにもならないんだ、こういう議論をよく聞くわけであります。 この二〇〇二年の六月二十一日の経済財政諮問会議の経済財政運営と構造改革に関する基本方針ですね、いわゆる第二次の骨太方針と言われているものですが、読んでみて、デフレというものに対する危機感というんですか、そういうものが余り感ぜられなくなってきているわけですね。 そこで、まず日銀総裁からお話を聞いた方がよろしいんでしょうか。 日銀も、ゼロ金利というのは、消費者物価が安定的にゼロ以上にならなきゃ駄目だと、こういうお話だったんですが、ある意味では、物価というものは、今一体デフレ状態というものを脱しているのか、脱しつつあるのか。日銀の行っておられる金融政策、こういったものは着実に効果を上げているんでしょうか、それとも効果は上がっていないんでしょうかね。 先日も、たしか中島さんが質問されているときに、インフレターゲットの問題だとかいろいろ出てきておりますけれども、やや、もう何年たちますかね、このゼロ金利、いわゆる量的なものに転換をしてですね。それは本当に効果が上がっているのかどうかですね。この辺りまず日銀総裁から、現実のデフレーションというものは一体どうなっているのか、そこをお聞きしてみたいと思うんですが。
○参考人(速水優君) 物価の動きにつきましては、ここに来て一つの変化としては、卸売物価というのはこの二月からほとんど横ばいになっております。前年比では一%前後のマイナスでございますけれども、消費者物価の方はまだ少しずつ下がっております。前年比ではやはり一%前後の下がり方だと。 〔理事円より子君退席、委員長着席〕 消費者物価の方も、需給ギャップといった面で物価が、需要が少なくて物価が下がっていくという面もまだ多少あると思いますけれども、私ども分析してみますと、下がっている要因は、かなり輸入関係の下がり方、輸入関係で輸入の製品が下がる、またそれに対抗する国内の同業の人たちも下げていかざるを得ない、そういった輸入関連の下がり方というのがまだ続いております。そういうようなこともあって、消費者物価の方はまだ引き続き下がっております。 しかし、前年比で見ればどちらも一%前後ということでございますから、まだもう少し下がっていくかもしれませんけれども、デフレ克服に向けた私どもの断固たる決意、金融緩和措置というのはかなり効果を上げてきていると思います。すなわち、金利面ではやや長めの短期金利までがほぼゼロに低下しておりますし、マネタリーベース、私どもの方から出ております金と、それから当座預金の残高、前年比で二割台の大幅な伸びを示しております。 今後とも、金融市場の安定確保と緩和効果の浸透に向けて、私どもとしてはなし得る最大限の努力を中央銀行として続けていく方針でございます。 ただ、先ほども申し上げましたように、ただ金を出しただけでは需要はむしろ増えていかないんであって、デフレを克服していく上では、やはり金融システム面や経済・産業面での構造改革などを通じて、家計や企業、金融機関の前向きな活動といったようなものが引き出されて、民間需要が動き出して初めて、そういった私どもの資金供給も効果をもたらしてくるものであるということを付け加えさせていただきます。
○峰崎直樹君 経済財政担当大臣の竹中さんの方は、この第二次骨太方針を読んで、先ほど冒頭申し上げましたように、どうもデフレに対する危機感というものの認識というのがちょっと弱いんじゃないかと、こんなイメージを抱いているんですが、その点について、それは意識していると、こういうところに、実は我々は骨太方針の中にもちゃんと明記していますよと、こういった点、是非お聞きしたいと思うんですが。
○国務大臣(竹中平蔵君) 約二年の集中調整期間においてデフレの克服というのは最大の一つのテーマであるというふうに引き続き認識しておりますので、骨太第二弾の取りまとめに当たりましてもその点については非常に強く意識をしたつもりでございます。 日銀総裁御指摘のように、卸売物価に関しては短期的には下げ止まっているという状況が見られますけれども、私たち決してそれは安心をしておりませんで、消費者物価指数や、特にGDPデフレーターですね、それの低下傾向は引き続き続いていると厳しく認識をしています。 それに対応してデフレ克服のためにどのような対策を取るかということについてでありますけれども、これは骨太第二弾で改めて枠組みは書いておりませんが、これはもう第一次骨太、「改革と展望」、経済財政白書、引き続き我々が考えておりますことは、この価格の低下傾向を生み出しているのはやっぱり複数の要因があると。その根底にあるのは、やはり経済を何といっても活性化させなければいけないということでありますから、であるからこそ経済活性化戦略、税制においても経済の活性化を重視するということで、骨太の第二弾に経済の活性化というのを前面に押し出させていただいている。それが経済全体の需要を高める、それがデフレ克服の基本であるということであろうと思っております。 一方でしかし、デフレというのはマネタリーな現象でありますから、これは今御議論くださったように、やはりある程度マネーサプライが安定して増えていくような状況をどうしても作っていただきたい。日銀はベースマネーを二〇%強、場合によっては三〇%前年比増やしている。しかし、マネーサプライは三・五%ぐらいしか増えない、銀行貸出しは減っていくと。この状況をやはり何とか克服していきたいというふうには当然のことながら考えるわけであります。 そのためには、ちょっとこれは極端な議論になりますけれども、日銀がベースマネーを二〇%じゃなくて四〇%増やせばマネーサプライはその部分増えるじゃないかという議論もあり得るわけです。しかし、そういうことをするとまた別な弊害が出てくるということで、これは日銀だけにそういうことを求めるのはいかがなものかというふうにも私も思います。 一方でしかし、ベースマネーの増加がマネーサプライの増加に結び付かないということに関しては、これはやはり銀行の金融仲介機能が著しく低下しているということで、これは先ほどから御議論されているように、これは粛々とやはり不良債権の処理を進めていただく。その合わせ業でマネーサプライが安定的に増えていくというような状況を作り出すというのが基本的な考え方でありまして、これは引き続き今回の骨太第二弾の中でもその考え方を示したつもりでございます。
○峰崎直樹君 今、経済が活性化すればデフレの克服になってくると、こういうお話だったんですが、もう大体GDPデフレーターを見るとやや七年から八年近く下がっていますですね。 そうすると、その間、一九九五年から六年だったでしょうか三・四%とかかなり高い成長を記録したことがございます。それから九九年から二〇〇〇年に掛けても比較的高めだった。そうすると、経済成長がある程度高めに上がったらいわゆるデフレーションがストップする、あるいは鈍化する、そして、また経済が活性化が弱まればまたデフレが深化する、そういうトレンドというのは見られなかったんじゃないんですか。 そういう意味では、私は、経済の活性化をすればデフレは克服できますと、マネタリーな現象ですから、もう一つ別の要因もあるんだろうと思うんですが、そういう意味、過去の日本の一九九〇年代のあの時代を振り返ってみても、短いながらも景気循環があったわけですから、その間におけるデフレと経済成長、経済の活性化との関係は竹中大臣おっしゃったような形には展開しなかったんじゃないかというふうに思うんですが、そこはどういうふうに考えておられますか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 大変重要なポイントだと思うのでありますが、でありますので、私はあえて経済の活性化というふうに申し上げたわけで、需要の拡大というふうには申し上げなかったわけであります。需要が拡大したことはありました。価格が下がる要因の一つとして需給ギャップというのはあったと思います。しかし、私たちの認識は、需給ギャップの存在が価格を下げている要因というのはそれほど大きなものではないというふうに認識をしている。 実は何かというと、価格を下げているもう一つの本質的な問題として、現在のデフレーションは要素価格デフレーションという色彩を持っているということであろうかと思います。要素価格デフレーション、端的に言うならば、世界の中で実は日本と中国及び中国に比較的関連の深い地域においてこのデフレの状況が進行しているということであります。様々な問題はグローバルな環境で見られるわけですけれども、そのデフレが進行している地域というのは地域的に限定されているわけですね。 これはやはり要素価格、これは資本、特に労働でありますけれども、要素価格が、生産要素の価格が下がっていく、それによってデフレがなかなか止まらないという非常に厄介な要因を今回のデフレは私は抱えているのではないかと思います。だからこそ、WPI、CPIよりもGDPデフレーターの方が早く下がり始めているわけですね。GDPデフレーターというのは、御承知のように物の値段に加えて要素価格が入ってまいりますので、であるならば、どうかというと、例えば中国の安い労働力価格に直接影響されないようなより高い付加価値、技術体系を持った経済に移行していくということが伴っていなければ、単なる需要拡大ではこれは克服できないということを意味しているのだと思います。 そういう意味も込めて、単なる需要拡大ではなくて、経済活性化ということが必要だというふうな認識を持っているわけであります。
○峰崎直樹君 日銀総裁、もうちょっと、もう一問ありますので、ちょっと後でまた質問したい。お許しいただきたいと存じます。 そうすると、要素価格の問題でいえば、世界各国、ある意味では、ドイツであれアメリカであれ、安い中国から、安い東欧圏からの商品が入ってくるわけです。そうすると、世界各国は、確かにかつてのようなインフレが非常に高いということはなくても、やはり今のところ物価上昇というのは二、三%あるいは四、五%行っているところもございますね。そうすると、日本だけがなぜデフレになっているのよということの説明は、どうも要素価格のデフレというものがなぜ日本では激しく利いて世界各国は利かないのかねと、こういうところに実はなかなか我々の疑問が次々広がっていくんですが、この点はどのようにお考えなんでしょうか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 正にその点が、先ほど申し上げましたように、経済活性化を必要としているという要因だと思います。 ちょっと物事をあえて分かりやすくするために単純化して申し上げますけれども、価格競争をしているところでは、中国の要素価格の低下というのがもろ影響を受けると。しかし、価格競争ではない、全くの差別化されたプロダクツ、サービスを生み出しているところでは、要素価格の低下の中国の影響をそれほど受けなくて済むはずであると。恐らく、端的に言えば、アメリカ経済は、安いものは確かに買っているんだけれども、それとは別の付加価値を生み出すような体系を持ちつつあるということが、日本に比べて中国の要素価格の影響をそれほどアメリカは受けていないという大きな理由であろうかと思います。 しかしそれだけではなくて、もう一つやはり地域的な要因で、日本の生産基盤が中国ないし東南アジアと非常に強くインテグレートされていて、その中で日本自身の生産システムを持ってしまっているという点もあろうかと思います。この点は、いずれにしてもまだ仮説的な議論でありますので、今後、より専門家による検証が必要かと思われますが、今申し上げたようなやはり認識をある程度持ってこのデフレ問題に当たる必要があるのではないかなというふうに考えているところであります。
○峰崎直樹君 過去十年近く振り返ってみて、ちょうど、あれはいつだったか、一九九五年の五月だったでしょうか、四月だったでしょうか、一ドルが七十九円七十五銭という、とにかく超円高になったときがございます。あれ以降、ばたばたと日銀の金利が下がってくる、公定歩合を下げていく。いろいろ金融政策も含めて相当進めていったんですが、どうもやはりあの超円高の局面から日本の企業というものが東南アジアあるいは中国へ進出していくテンポが非常に速まってきていると。 その意味で、今のちょうど、これデフレの問題とちょっと離れるんですが、アメリカが今エンロンあるいはワールドコムの崩壊で今株価が下がってきていると同時に、資金の循環が非常に、かつての四千億ドル近い実は経常収支の赤字をファイナンスしていた仕組みがどうもEUの方に資金が還流しているとか、そういうふうに様々な大きな変化の中で逆にドル安というのが一方的に進んでいると。そうすると、今の時期、実は大変重要なのは、もしかしたら為替レートの問題が非常に重要なんでないかな。 私ども民主党は、為替レートというものについて、むしろ円安を一時的にせよそれを志向した方がいいんではないかということを実は提起をしてきた政党でございます。緊急経済対策をやったんですが、その意味で、今進行しているアメリカのドル安の問題について、一体これはどんな対応が打てるのかなということについて、いわゆる為替の動きについて、日銀総裁それから塩川大臣、たしかASEMで七月四日の日にコペンハーゲンかどこかで発言されて急速に円高が進んだんですが、その塩川大臣の口利きがしたという意味よりもっと大きな資金循環の流れが変わってきているんだろうと思いますが、その点、これからの為替に対する動きについて、日銀総裁とそれから塩川大臣に御質問して、日銀総裁はこれで質問を終わりたいと思いますので、お帰りになって結構でございます。
○参考人(速水優君) それでは、ごく簡単に言わせていただきます。 今のドル安というのは、円高でなくてむしろドルの全面安なんですね。その背景には、アメリカで多少企業の会計の不正事件があったり、あるいは中東情勢等の不安があったり、先行きの企業収益、本当にもうかるのかどうか、いま一つはっきり読めないといったようなことで株も下がり、ドルも下がるという面があるんですが、非常に大きな流れとして申し上げたいのは、やはり今や経常収支の赤字が四%以上になっているということですね、GDPの。日本は逆に三%以上の黒字です。これはもうアメリカはずっと続いているんですけれども、ここへ来て更に高く大きくなってきた。 もう一つは、財政がまた赤字になったんですね。一九九八年に財政の黒字になって、これで双子の赤字は終わったとクリントンのときに言っておったわけですけれども、これがまた財政が赤字になって、十数兆円赤字だと聞いておりますけれども、双子の赤字がここで始まったということは、アメリカにとっては、かつての七〇年あるいは八〇年代、ドルが弱くて困ったときにあった情勢がまた再び戻ってきているということです。 アメリカは、御承知のように、海外でドルを持っている人といいますか、対外債務超過ですね、アメリカは。ドル債務を持っているのが二兆ドルを超えているわけですから、海外でドルを持っている外人というのが二兆ドルぐらい持っているわけですね。そういう人たちはやっぱりドルが下がるとなれば売る。ほかのものに売って替えていこうと動き出すのは当たり前のことで、普通の流れだと思うんですね。そういう流れとして今のドル安が起こっているということを頭の中に入れておく必要があると思います。円との関係だけで動いているわけではありません。 そういうことがあることが一つと、しかしこれとても、当面ユーロを買ったり円を買ったりしている動きがあると思いますけれども、ユーロについても最初のスタートの一対一にドルとの関係では戻ってきております。円についても百十六円前後というところまで来ているわけで、今ほかに通貨を買うといっても、これという、かつてのようにドルあり、マルクあり、スイス・フランあり、そういった状況と違いますから、そうほかの通貨に替えていくということはいつまでも続くものではないんではないかと私は考えております。 そういう意味では、この辺のところで、もう少し様子を見ていれば情勢が少し変わるかなという感じすらしております。 そういう状態でございますのに、日本の方は内外価格差というのがもうずっとあったんです、戦後。これが、特に一九九〇年代、グローバリゼーションが始まり、内外の壁が破れて市場が一つになって、で、日本の方が自由化してもっと海外からも入れ外へも出ていくということであればよかったんですけれども、規制の撤廃・緩和が非常に遅れているといったようなこともあって、ここへ来てようやく自由化が進んできているんだと思います。 そういう意味で、外からどんどん安い物が入ってきて日本の物価を下げているという面が大きいことはこれは否定できません。そのことは消費者にとっては決してマイナスではないと思います。そういうようなことを考えていただきたいと。今、デフレであることには間違いないかもしれませんけれども、物価の下落というのは、需要さえうまく、民間の需要が出てくるように構造の改革がなされていきさえすれば、かなり景気は改革に伴って成長が進んでいくというふうに私どもは考えております。 私どもの資金の供給、流動性の供給というのも、そういうものを助けて、サポートして、お役に立つことができるというふうに考えております。 以上でございます。
○委員長(山下八洲夫君) 速水参考人におきましては、御退席いただいて結構でございます。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は、ロンドンで発言いたしましたことが非常に誤解を生んでいるような感じもいたしますけれども、しかしあれは、あの当時の状況としては私は一つの判断であったと自分でも思っておるのでございますけれども。 ASEMの会議に出ましても、どこの国も為替の問題については非常な関心を持っておりました。要するに、一つの意見として見ますと、今、ドルを中心にして各国の為替が動いてきておるという認識では一致しまして、特に英国等の政策関係者によりますと、今アメリカは非常にまずい状態になっておる、経済そのものが。これは、証券なりあるいは株が全部見直される、トリプル安になるんではないかという懸念が走っておると。そこにヨーロッパの方は、ユーロはこの際に強くなってきて、念願であったところの一対一、パラレルの状態ができた、これで実はヨーロッパもいいんだと、こういうことを言っておりますので、ヨーロッパはもう当然円安へ向けての一つのコードを持っておったということも私は肯定できるんではないかなと思ったりしております。 また一方、ポンドの関係を聞きましたら、ポンドが非常に強い。これは、大体うちの方はアメリカへ行っておった資金が返ってきたんだよというような表現をしておりまして、そういうところから見まして、先ほど速水総裁が言っておりますように、世界的にドル安の傾向が進んできておると。そのあふりを受けてしまったということなんですが、私はその当時に、そのときに、これは相当突っ込まれた円高になりやせぬかという心配が実はございます。それはもうずっと日本を出発する前からその心配はしておりましたので、そういう事態にならぬように食い止めていかないかぬということを思ってそれを言ったようなことなんであります。
○峰崎直樹君 ちょっと今の関連して、あるエコノミストから資料をいただいたんですが、そのとき日本のいわゆる貯蓄が、民間の貯蓄と公的部門の貯蓄と分けて、どのぐらい増えていったのかと。そうすると、民間は銀行だとか保険会社だとかいろいろ貯蓄増えているんですけれども、しかし圧倒的に増えているのは郵貯、簡保、それから年金のいわゆる資金でございました。 そのうち、たしかこの十年ぐらいの数字でございまして、今日実は数字持ってくればよかったんですけれども、民間部門でこの十年ぐらいに、いわゆる純増はおおよそ約九十兆弱だと思います。そのうちの半分ぐらいは外国に向かっているんですよね、その貯蓄の半分は。そして、公的ないわゆる年金の資金の貯蓄だとか、それから郵貯、簡保、これは三百兆強あったかと思いますが、このうち外国に向かった、つまり外国に投資した、外国の債券買ったりする比率はもう一〇%以下なんです。圧倒的に国債や、もちろん地方債もそうなんでしょうけれども、そっちに向かっていたわけですけれども。 ある意味では日本が恒常的にいわゆる貯蓄過剰になっていて、それが実は外国に持っているものが向かわないというところが非常に一つの大きいポイントなのかなと。向かうとき、これ外国に向かうときに、民間の保険会社の方々に八〇年代に随分、プラザ合意のときに、アメリカの財務省証券買いなさいということを随分言って損させてきた経過があるから、なかなかもうあつものに懲りてなますを吹いているような感じのところもあるんですが。 今、そういう意味で言うと、公的な金融のありようが改革をされなきゃいかぬというのは、私も少し肥大化し過ぎていると感ずるんですけれども、今あるそういうものをどういうふうに運用していくかというときに、これは対外的な債券投資とか証券投資とか、そういうものをより活性化させていかないと、どうも日本の円高というのはなかなか簡単に止まらないのかなと。その際に、ポートフォリオを組むときに、今圧倒的に日本はアメリカとだけやはりやっているのかなと。そうすると、EUだとか新しくできていますが、そういったところについてもっと、日本のせっかくの貯蓄ですが、これが日本で国債買ったりしたって、もう一%強しか長期国債で回らないわけですから、ほとんど付くか付かないわけですよ。 そうすると、そういうところにより多角的にやっていかないとなかなかこれはうまくいかないのかなというふうに思っているんですが、そういった点、財務大臣、日銀というよりもこれもういわゆる為替の問題は財務大臣が専権事項でございましょうか、これからのそういう為替政策、及び日本のいわゆる公的貯蓄をどう活用していくかというときに当たって何らかの考え方をお持ちなのかどうか、この辺りもし意見があればお願いします。
○国務大臣(塩川正十郎君) これは今私がいろんなことを言うとかえってまた相場がごちゃごちゃごちゃごちゃ、ふて腐れてしまうので困るんですけれども、今御質問の中で一つ有力な指摘されたことがやっぱりございました。 それは、やはり日本の余剰貯金がドル債の方に向かっていっておるということはこれは事実でございまして、それは一つの顕著な例として出ております。それは、例えば二〇〇一年、二〇〇二年に掛けまして、ほかの国は少しずつドル債を減らしておるんですけれども、日本はどんと増えておるんですね。ここらが一つ日本とアメリカとの関係、ドルの関係を考えるべきものだろうと思っております。 それから、ほかの国を見ますと、特にヨーロッパなんかは貿易の残がドル債券で持っておるのが大体四〇%ならないんじゃないかと聞いておるんです。あとはいろんな通貨で持っておりますが、ユーロなりの決済をやっておりますが、日本は六〇%以上がドル決済になっておるというところですね。もっと行っているかも分からぬと思うんですが。 私は、先ほど林先生の質問に答えましたですね、神戸合意でひとつ研究しようというような。ああいうのはやっぱり私らとしては本当は希望しておることでございまして、またこれ変なことを言うたというとまた怒られるかも分かりませんけれども、私は、日本の貿易ももっと円決済の方法を、もっとお互いが心得て、自然にそっちの方へ誘導してくれたら大分違うんだろうなと思ったりしておりますが、これはあれやから、今ちょっと言うとまたおかしゅうなりますので、政策として言うているんじゃないですよ、これだけは誤解しないでほしいんですが。それは決してそんなん言っているんじゃないんですが、私はそんな感じも持っておるんです。 ですから、要するに、峰崎さんおっしゃるように、ドルに余り傾注しておるということは決していいことではない、もっと多様化を図るべきであると。そういう政策をやっぱり民間との話合いの中で進めていきたいと、こう思ったりしております。
○峰崎直樹君 景気の問題その他もうそろそろ終わらなきゃいけないんですが、一点だけ柳澤金融担当大臣に、事前にちょっとお話をしていなかったんで、もしかしたら感想だけお聞きしたいと思っているんですが、実は、ポール・ボルカーという人、ボルカーさんですね。前の連邦準備制度理事会の理事長で、私も九五年にアメリカへ行ったときにお会いしたことがあるんですが、ボルカーさんが六月二十五日にアメリカの会計監査システムについて講演された議事録をちょっと見たんです。私は、担当が昔の大蔵省だからきっと財務大臣かなと思ったけれども、これ今、こういう会計制度の問題は金融庁へ移っているということなので、ちょっと事前に言うのを忘れたんですが、エンロン問題についてこういうふうに語っているんですよ、「米国のルールは万能か」というところなんですが。 エンロンの崩壊は、今日、基準を制定する者が直面する高度な問題を示しています。デリバティブやオプションやその他の新しい金融商品の理解できない複雑さのことです。ある役人から、デリバティブやオプションに関する米国の財務会計基準審議会の基準や会計原則は六百五十ページ以上あり、誰も全ては理解していないと聞きました。独自に定義する実質ベース収益、客観的な市場がない場合の「公正価格」の微妙さ、株価に基づく支払いや証券発行専門体の適切な取り扱いなど、新聞の読者ならよく知っている問題ばかりです。 これは、実はボルカーさんというのは国際会計基準委員会の理事長をなさっているんだということで、非常にこの分野は随分議論されているらしいんですが、こういう実態を見ると、エンロン問題だとか、先ほども林委員の方からの質問の中で、本当に複雑化していって、前回のたしか例の連結納税のとき、こんな分厚い資料を見せられて、とてもこんなもの我々分からないままに議論してますねということを言ったんですが、会計基準の問題についても、こういうふうにして、普通、役人も実は全部分かりませんよとおっしゃっているぐらい複雑なものが登場してきていると。これらについて何らかの会計基準といいますか、そういったことに対してこれから国際的にもそういう調和が進むんだろうと思うんですが、何らかの御見解、エンロン問題などを含めてあればお聞きしたいと思っております。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今の御質問に対して、事務方を含めて専門的に検討した結果でないものですから感想みたいなことになるわけですけれども、先ほど林委員の御質問にもありましたワールドコムの問題も、私は、あれは非常に、何というか、ある意味で、そういう高度なものではないんですが、会計基準としてはかなり本質的な問題を含んだ問題だと思っております。 他方、エンロンの方は、今委員が御指摘になられたように、非常に複雑な、もちろん、SPCを作った、あそこから、連結から外すというような辺りは、私はそんなに難しいことじゃないだろうと思うんですが、そこに不良化した投資を動かしていく、その技術はやっぱり相当高度な技術もお使いになられたというふうに聞いておるわけでございます。 そこで、本当に正にボルカーさんの言うとおりでございまして、一つは、会計基準そのものをどうするかという問題、これは本質的な問題であるわけですが、今の例えばBISのもうちょっとプリミティブな話でも、だんだんだんだん複雑になっていって、議論に参加していても何が何だか分からなくなっているというようなことがありまして、ところが、そういったことについては、若干手柄話をさせていただくんですが、我が方代表が非常に分かりやすい表を配ったらようやく分かったというような調子で議論が進んでいるというようなこともありまして、この辺りのことはボルカーさんが委員長になられてやられるわけですけれども、私どももそういった意味で積極的に参加していかなきゃいけないと、このように思っております。 ただ、我が国の金融機関はどうやってやっているかというと、これはもうバリュー・アト・リスクというようなことで、そうした商品を扱っている場合には、必ず取締役会とかそういうような権威ある経営者の集団にそういう分かりやすい形で報告するということになっておるということでございます。 付け加えて言いますと、もう本当にお手上げだと、銀行監督の立場からいっても。そこで常駐制というのが出てきているというふうに私は聞いておるんです。それで、商品を開発してそれを実際に売り出す、そのときに、どういう商品なんだということをその場でもう聞くと、場合によっては商品を企画しているところに常駐している検査官が議論を傍聴させてもらうというようなこともやってキャッチアップを図って、しっかりしたレギュレーションとしっかりしたインスペクションをすると、こういうことで努力をしているというような話を聞かされておりますが、我々の方もいずれそういうことを本当に具体の日程の上にのせなきゃならないことが十分あり得るだろうと、このように考えております。 ちょっと答弁にならないかもしれませんが、以上申し上げます。
○峰崎直樹君 ありがとうございました。 本当に会計基準の問題等、またいろいろと質疑させていただきたいと思うんです。 そこで、これはもう端的にお聞きしたいと思うんですが、財務大臣、補正予算を組むという考え方は、秋の臨時国会、まだやるともやらないとも言っていませんが、毎年のように多分秋になれば臨時国会が開かれ、そして補正予算が組まれるというのが今までの常だったんですけれども、補正予算を組む考え方というのはおありなんでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 今のところ全くございません。
○峰崎直樹君 来年度の予算編成に当たって、経済財政諮問会議等で随分議論されているようなんですが、昨日たしか議論があったというふうに聞いておりますが、来年度の予算編成において概算要求基準をもうそろそろ作らなきゃいかぬと思うんですが、この点で来年度はこういうことに戦略を置くんだよと、こういう予算要求における戦略というものはどんなところに置かれる考え方なのか。 これはむしろ、経済財政諮問会議で昨日議論があったようですが、竹中大臣、先ほどのデフレの問題だとか、構造改革の問題だとか、いろいろ出てくると思うんですが、例の五兆円削減して去年は二兆円付けたとか、いろいろ手法をやられていましたけれども、何らかの総理大臣のリーダーシップということを指摘されていたんですが、今の財政の問題を含めて、プライマリー黒字を将来達成するとかということは、これは中期的にはあるんでしょうけれども、どんな来年度は考え方をお持ちなのか。特に減税という問題をよく議論があるんですけれども、歳出をカットしたものは減税に回せと、前回も実は大臣とやって、変幻自在でいくんだということで、随分私もむちゃな議論だなと思ったんですが、そこら辺、どんなお考えを持っていますか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 昨日の経済財政諮問会議で、予算編成のプロセスに入っていくに当たって諮問会議はどのような役割を果たすべきかというようなことについて議論をいたしました。 結論から申し上げますと、昨日の議論では、今、峰崎委員が御質問になったようなことを総括的に踏まえて、予算の全体像について急いで議論をして取りまとめようではないかということが一つの合意としてなされたということであります。したがって、個々にどのような重点を置くのかとか、どういったマクロ戦略かということのある意味で答えは、その予算の全体像の議論の中で今後示すべき問題であろうかというふうに考えております。 ただ、概略だけ、一つだけ申し上げておきますと、今年一月の「改革と展望」の中でマクロ的な姿を示しております。これは、経済の活性化を実現する、しかし同時に財政の健全化を実現する、その両立を図るその狭い道を歩むんだということを議論しつつ、かつ、政府の在り方に関しては、極めて無駄を省いて効率化をしていかなければいけない。そうした考え方は、これまでの「改革と展望」、さらには第二骨太の中でも明記されているわけでありまして、そういった大枠の中で、更に具体的にどのような重点的な、マクロ的なフレームの中で、重点的フレームの中で、さらには先ほど御指摘いただいたような活性化、税制の財源をどのように考えるかということをトータルに、その予算の全体像の取りまとめの中でこれから議論をしていくという段階であります。
○峰崎直樹君 財務大臣は、担当大臣として、来年度概算要求基準もうそろそろ設定されるんでしょうけれども、何か目玉みたいなものがあるんでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私どもの方で、要するに財政のいわゆる規律を保っていくという、決して抑制じゃございません、規律を保つということでやっておりますが、そのためには原則として、省内で話しておりますことは、一つは、できるだけ十五年度も歳出は抑制するということで歳入とのバランスをきちっとやっぱり維持していくという考え。 それから二番目。歳出の中で、ただ削減ばかりじゃなくて重点分野に対する増額、そして行政効率の悪いところは思い切って削減するというめり張りを付けるということが一つ。 それからもう一つは、できるだけ歳入の活性化を図るために、企業のいわば増収が図れるような経済の活性化を図るための税制改正を積極的に予算に活用するということ等でございまして、現在、先ほど竹中大臣の言葉のように、まだ具体的なものはまとまっておりませんけれども、まず経済財政諮問会議でも十分にその方針について議論し、決定したいと思っております。
○峰崎直樹君 ちょっと、これは塩川大臣にお聞きするよりも竹中大臣に質問した方がいいんでしょうかね。 富田さんという野村総研の、国債増発を防ぐというときにおもしろい表があったんですよ。何の表かというと、大蔵大臣の権限が強いところと弱いところがあって、大蔵大臣の権限の強いところは財政再建が非常にうまくいく、大蔵大臣の権限が弱いところというのは実は財政再建がなかなかうまくいかないと。 実は、今日はこれはそういう大きな制度改革という議論じゃないんですが、先ほど総理大臣のリーダーシップというときに、もちろん、総理大臣自身が全体の内閣の長としてやらなきゃいけない任命権者としてあるんですけれども、たしかイギリスでも、総理大臣とそれから大蔵大臣というのは、この二人である意味では実際上財政予算を決めていく。 それで、あとは省庁の大臣がその大枠の中でどう議論するというように、実はある意味では、財政の規律を与えていくとさっきおっしゃったんですが、これは今のような仕組みの中で財政の規律を与えていくといっても、たくさん族議員がいるわけですよね。族議員という表現は良くないんですが、利益が密接な関係、あるいは影響を受けている議員もたくさんおりますから、そういうところとのやり取りで、いつも最終的にはめり張りの利かない予算になってしまって、その配分にしても何かおかしくなっていくと。 そういう意味で、総理大臣のリーダーシップを図っていくというのは、とりもなおさず、予算編成をする財務大臣の権限が、ある意味ではそこで予算の総体を決める、そしてあとは、配分はそれぞれの大臣にそのような細かいところは任せていくとか、そういう形へと展開しないと、どうも日本の財政規律を高めていくというのは、そういう日本の今の予算決定の中における権限の問題というか、そういったところに何かまだ弱点があるような気がしてならないんですが。 これは、塩川大臣は担当大臣ですから御意見をお伺いするのが一番いいのかもしれませんが、お二人、もし意見があれば、感想でもよろしゅうございますのでお聞きしたいと思います。
○国務大臣(塩川正十郎君) そういうのは非常に望ましい姿だと思いますけれども、しかし、現在制度が変わりまして、要するに内閣府が中心となって総理大臣の権限を強化し、内閣府が中心となって経済の基本方針を決める。その経済の基本方針の中に一番骨となるのは予算であるということで、したがいまして予算の基本方針はやっぱり経済財政会議で決まります。それを受けて、先ほどおっしゃるように配分をどうするかということは財務省の仕事になってきます。 そこで、今回の十五年度のやり方の一つの特徴といたしましては、重点配分をするところは内閣のいわゆる七分野ということでやっておりますけれども、それよりも各省の大臣のイニシアチブにおいて重点をきちっと決めてこいと。そして、それを中心にしてめり張りを、各省の言うめり張りを取り入れていこう、こういう手法を取りまして、まず概算要求を見てみようというところでございまして、概算要求でその姿が出てこないということになりましたら、十月、十一月に十分に協議して、制度的な改正が必要なものはそれに着手していくようにするし、予算措置でできるもの等でございましたら強力な指導を取っていきたい、こう思っております。
○国務大臣(竹中平蔵君) 峰崎委員の御指摘は、正に予算編成プロセスにおいて、そのガバナンスをどのように発揮できるような仕組みを作るのかということなのだと思います。 これは、各国の政治・経済システムの差によって、各国それぞれに幾つかの自由な工夫をしていると思うんですが、ガバナンス、これは御指摘のように、やはり総理と財務大臣のリーダーシップというのは大変重要でありまして、経済財政諮問会議というのはその総理のリーダーシップを支える一つの役割を果たすということなのだと思います。でありますから、そこにさらに財務大臣にも当然のことながらメンバーとしてお入りいただいて、有機的に総理のリーダーシップが発揮できるような仕組みを作ろうとしているわけであります。 昨年、立ち上がってもうすぐに、政権が立ち上がってすぐに予算編成プロセスに入っていきました。今回、諮問会議というものができてから二回目の予算編成プロセスになるわけでありますが、昨年の反省も踏まえて、総理のリーダーシップが発揮できるような形の運営を少しずつやるような形を整えていきたいと思っているところであります。 それが、その一つが先ほど申し上げた予算の全体像というのをまず議論して取りまとめようではないかというふうに昨日なったわけでありまして、是非とも総理のリーダーシップが発揮できて、予算編成においてガバナンスが発揮されるようなシステムにしていきたいと思っているところであります。
○峰崎直樹君 去年は、七月の参議院選挙が終わって、もう圧倒的な人気の下であれだけのことがやられたんだと思いますが、今年はもう相当支持率が下がっていますので、本当に予算編成大丈夫かななんて、こちらの方がもうちょっと心配しているところなんですけれども。 さて、金融問題にちょっと触れさせていただきたいと思いますが、実は例の新生銀行の、あおぞら銀行もそうですが、ちょっと固有名詞挙げて恐縮ですが、来年三月三十一日に瑕疵担保特約が新生銀行は、そして、その半年後にまたあおぞら銀行が瑕疵担保条項、期限切れを迎えるわけですけれども、しかも、ちょっと私、これは事実かどうか、またあれば教えていただきたいんですが、来年、新生銀行が株式を上場される、公開をされるという、こういうお話を聞いております。当然、アメリカ系のリップルウッド・ホールディングスですから、当然のことながら高株価経営というところへ持っていこうとして相当やはり厳しい取立てが行われるんではないか、こういうふうに言われているわけであります。 新生銀行の融資に対する姿勢について、今までもこの国会の場で、例えば中小企業に対する貸し出しが非常に少ないんじゃないかというようなことも議論いたしました。そういう意味で、この融資政策というものがどうも変化をしてきて、つまり厳しくなってやしないかなという声を聞くのでありますが、この点、一体どんな状況になってきているのか。金融担当大臣の方にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 新生銀行の解除権の対象期限は来年二月末まででございますので、その点、ちょっとまず申し上げておきます。 それで、融資態度ということでございますけれども、基本的に私どもとしては、これはもう各行の経営判断ということで考えております。ただし、おっしゃられるように公的資金を注入してある銀行については、これはもう別の政府との約束というか、健全化計画という形で出ておりますので、したがって、これはもうその計画ができるできないという最後のところは我々としてもこれはやむを得ないこともあろうかと思うんですが、しかし姿勢というか、体制的にどうも、例えば中小企業金融に対して積極的でないというようなことであれば、そういう体制を作るようにということを指導すると、こういうことはやらせていただいておるわけです。その結果だったと思うんですが、新生銀行は物すごい勢いで今度は計画達成の努力をして、現実にそれを若干上回るほどの実績を上げるというようなこともあったかと承知をいたしております。 そのほか、全体として経営健全化計画には信用供与の円滑化に努めるということをうたっておりますので、この点がしっかり実現されるかどうかというのは、中小企業のみならず他の面についても私どもフォローをしていっているということでございます。 したがって、そういう中で今、格別、今委員の指摘するような話というものが私のところまで上ってきているというようなことは現在のところございません。
○峰崎直樹君 ちょっと預金保険機構の理事長さんお見えになっていただいていると思うんですが、最近、瑕疵担保物件の買取り要請、これが新生銀行、あるいはあおぞら銀行もそうでしょうけれども、そういう対立する物件というんですかね、意見が擦れ違って、これは瑕疵担保で取ってくれ、いや取れませんと、こういう案件というのは増えているんでしょうか。それとも、それほど大きな違いはないということなんでしょうか。その辺りはどんな状況になっているか。これはちょっと事前に余り質問していなかったので、正確なところを、もし後で分かればでいいんですが、教えていただきたいと思います。
○参考人(松田昇君) 御指摘の瑕疵担保の解除権の行使につきましては、基本的に同意をしました件数というのは発表できるわけでございますし、資料も既にお渡ししているかと思いますけれども、不同意を全く私どもが、新生銀行ないしあおぞら銀行が持ってきたものにつきまして、瑕疵担保の条件に合わないと、これは合いませんということでお返しした部分、取りあえず不同意でお返しをすると、その事例もたくさんあるわけでございますけれども、それは現にまだ生きている企業の問題ですし、その経営権は新生銀行に戻っておりますので、私の口からは幾らあったということは申し上げにくいんですが、相当数あることはあります。
○峰崎直樹君 件数は後でもし分かれば、幾らあったかというのは、細かい固有のものは結構でございますので、後でまた教えていただきたいと思うんですが。 その場合、契約でいえば、たしか会計事務所か何かでお互いに協議するということがあるんですが、そういう事例もあるんでしょうか。
○参考人(松田昇君) やり方としまして、解除権の行使がありますと、私どもが厳正に審査をすると。で、条件が合えば同意ということを通知して、その引渡しを受けると。 こういうことでございますが、中には、私どもが不同意にして、この条件は合っていない、瑕疵担保の条件に合っていないということでお返しをするということをします。そうしますと、向こうでもう一度審査をしまして、新生銀行ないしあおぞら銀行でもう一度、私どもが出した不同意の通知につきまして、賛成するか、例えば反対であれば、もう一回審査をしてくれということでもう一度連絡が上がります。そこで、誠実協議と言っているんですが、それから両者間での協議をいろいろやりまして、それでなおかつ、契約書によれば、独立した第三会計事務所でどうしても意見が合わなければやる、場合によっては裁判所で決着を付けると、こういうように契約書になっているんですが、今のところは第三の会計事務所まで行った事例はありません。
○峰崎直樹君 ちょっと新生銀行の絡み、あるいは瑕疵担保条項を持っているところの、あおぞら銀行もそうなんでしょうけれども、不良債権で、メーン銀行、自分がメーンじゃないと。ついては、私どもはこれについてはもう貸すわけにいきませんと言って、実は渋々メーンがそのあれを引き取るという形で、通常メーン寄せと、こう言われているんですが。 そういうときに、実はこの新生銀行に引当金を積んでいる分が丸々得するんじゃないのかと、こういうふうな意見があって、これは何ぼ何でもちょっと余りにも虫がよ過ぎやしないかねと、こういう意見があるんですが、これは、いや、純粋の商行為だというふうに言われるのか。この辺り、担当大臣、どんな考えを持っていらっしゃるのかお聞きしたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 純粋な商行為であることは、これはもう言うをまたないわけですけれども、現実問題、どういう力が働くかということを考えますときに、メーンがそれを買い取って再建計画というようなものを立てていくということになりますと、メーンにしても、そんなものを簿価で買って再建計画ができるわけがないわけでございまして、メーンがそういうのに応じるというのは、あるいは場合によってメーンの方からそういうことを頼むというようなことを、別に瑕疵担保の問題ではなくてあり得るわけでございますけれども、それは、再建計画というものを一つの意思でもってしっかり立てるという、責任持って立てるという場合には余り債権者が多数でない方が話がうまくいくということもあって、そういうことが現実に行われているというふうに私ども現状を認識しているわけですが。 いずれにせよ、根本は再建計画が本当に実現可能性を持って立てられるかということが非常に大きな力として働いておりますので、今、峰崎委員が指摘されたような、何というか、非常にイージーにえらく利益が上がるような取引が行われているというふうには受け止めておりません。
○峰崎直樹君 いずれにせよ、新生銀行にせよ、あおぞら銀行にせよ瑕疵担保特約という、これは我々からすれば、何でそんなものを付けたのかなと、もっと長い時間掛けて国有化をしながらグッドとバッドを分けていけば良かったのになと、そんな思いは持っておりますから、その点は恐らく柳澤大臣とは意見は対立するんだろうと思いますが。 しかしいずれにせよ、そういう条項を結んだ。しかし、これは明らかに公的に税を投入している銀行ですから、この点、先ほど申し上げましたような、ある意味では契約をした資金需要や借換えに応ずるといったような、去年も八月に森金融庁長官が新生銀行に申入れしておりますね。これから来年二月に向けてあるいは株式公開をすると。これは事実かどうか私もまだ確かめているんじゃないんですが、新聞紙上その他を見るとそういう動きがあるようですから、そうなると非常に取立てが、ある意味では我々から見てリーズナブルじゃないんじゃないかというようなものが出る危険性がありますので、この点はしっかり金融監督当局としても監視をしていただきたいというふうに思っているところでございます。 最後になりますけれども、今日は本当は総務大臣、税の問題を全く触れられなかったんで、何か来ていただいて大変恐縮しておりますが、もう時間ありませんので最後になりますが、RCCの機能を、整理回収に加えて企業再生機能と、こうなっているんですが、これは順調に今進んでいるんでしょうか。また、実績というものが上がっているのかということですね。 中小企業の中には、ここに行っちゃうともう次の銀行から融資受けられなくなっちゃうということで、DIPファイナンスとかそういう別のものも準備されていますけれども、非常に抵抗もまた強いやに聞いておるんですけれども、その辺りどんな状況になっているのかお聞きして、また、もし更に問題点があるとすれば、どんな点が改革しなきゃいけないのか、ちょっと教えていただければと思います。
○参考人(松田昇君) 御指摘のRCCにおける企業再生の問題でございますけれども、昨年来の骨太方針その他の施策の方針、それから本年一月に施行されました金融再生法の改正を踏まえまして、それを踏まえましてRCCでは、従来はやはり整理回収は先生御指摘のとおり一本柱といいますか、一本看板といいますか、そういうものであったわけでございますが、整理回収と並んで再生も主要な柱にするということから、昨年十一月に企業再生本部というものを作りました。全国に、拠点において再生可能性のある債務者企業の再生に積極的に取り組むと、こういう体制を作っておるところでございます。 また、その再生について合理性あるいは客観性を保つために本年一月に企業再生検討委員会というものを設置いたしまして、これは外部の専門家の方々をたくさん入っていただいているわけでございますが、その御意見を伺いながら、更に企業再生の可否についての検討、そういうものも行い、企業再生には前向きに取り組んでいるところでございます。 預金保険機構、RCCともに、それぞれの研修その他、会議等の場合を通じまして、社員にも回収のほかに企業再生マインドが必要だという、再生マインドの向上あるいはスキルの向上、そういうものに努めているのが現状でございます。 実績でございますが、これまで、企業再生本部を設置いたしましてから本年の六月までに十四件の債務者企業について企業再生の手続を実施いたしました。それ以外に、現在、部内にそれぞれ手持ちに持っている案件の中から、約百三十件の債務者企業につきまして、その案件について再生の可能性を現在検討しているというところでございます。 今後とも、経済合理性を踏まえながら、債務者企業ごとの実態に応じた再生可能性を早期に見極めて、再生の可能性のある債務者企業につきましては極力再生に努めていく方針でございますし、預保としてもその指導に当たると、こういう気持ちでございます。
○峰崎直樹君 ありがとうございました。終わります。
○委員長(山下八洲夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午後零時一分休憩 ─────・───── 午後一時一分開会
○委員長(山下八洲夫君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。 この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、簗瀬進君が委員を辞任され、その補欠として今泉昭君が選任されました。 ─────────────
○委員長(山下八洲夫君) 休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○山本保君 公明党の山本保です。 今日は初めて法律審査でない自由な時間をいただきましたので、先ほど峰崎委員の方から質問の最後の辺に来年度予算についてのお話がありまして、ちょうどそれを私もお聞きしようと思っておりました。ねらい等々についてはもう財務大臣、竹中大臣からお話があったので、ちょうどその辺は省略をさせていただいて、すぐに話に入らせていただきます。 私の今回の質問の意図といいますのは、小さな政府ということがよく言われるわけでして、また競争・市場原理ということを言われるわけですが、私のように、福祉などをやってまいりましたし、そういう目から見たときに、確かに競争は必要だと思うんですが、その競争を成り立たせるためにも、万が一のときのセーフティーネット、そして、あのアメリカでヘッドスタート計画というのが以前あったように、既に学校教育等で相当の差を付けられている中小企業と大企業との間の是正というか、そこにきちんと条件整備しておかずに競争をやったときに、結果なんというのは明らかなことであって、正に、競争原理を否定するつもりはないんですが、競争を公正に成り立たせ、そしてその競争が引き出すものを得るためにもきちんとした、大きなというか、力強い財政というんですか、また力強い政府、機構というものが必要だという気がしているものですから、その立場から御質問をさせていただこうと思っております。 最初に、まず来年度の予算編成について、実は、六月三日ですか、財政制度等審議会財政制度分科会から「平成十五年度予算編成の基本的考え方について」というものが出ております。これは財務大臣の諮問機関だと思いますけれども、ここにも既に、考え方、来年こうあるべしということが書いてあるわけですね。もちろんこれは財務大臣の意見ですから、今日お話ありましたように、今予算を決めるのは、昨年から経済財政諮問会議で基本的な方向付けをするんだと、午前中御答弁があったとおりであります。 まず、竹中大臣にお聞きしたいんですけれども、ここに出てきたようなこういう考え方というものは、どのような扱いをされるものでしょうか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 委員御指摘のとおり、六月の三日に財政制度等審議会の分科会から建議がございました。実は、たまたまですけれども、その同じ六月三日に経済財政諮問会議を開いておりまして、その諮問会議の場で塩川大臣からこの資料の御提出をいただいて、若干の御説明をいただいております。 これがどのように諮問会議の中で議論されていったかということでありますが、そうした機会を経て先般発表しました「基本方針二〇〇二」の取りまとめ、この中で、基本的には、改革の断行でありますとか財政規律の堅持、効率化の推進、これはもう内容的には全く軌を一にするものでありますので、その財政審での議論を反映する、受け止める形でこの「基本方針二〇〇二」が作られたというふうにお考えいただきたいと思います。
○山本保君 塩川大臣、ちょっとここに質問としては最終的に外してあったかもしれませんのですが、こういうものをこの七月の時点、六月の時点で方針を決めるということは何か、この前、神野直彦先生といろいろ勉強しましたら、昭和二十八年のころまではそういう方針があったけれども、それ以後は出していなかったと。私も役所におりましたときに、こういうのというのはもう予算編成直前ぐらいに出てきたと思うんですね。今年初めてこういう形で審議会出された。この意図というのは、うがった見方をすると、昨年、財務大臣の主導ではなくて、正に総理大臣のリーダーシップ、イコール竹中大臣のリーダーシップでまとめられてしまったので、これは今年はちょっと強めに早く意見を出していこうと、こういうお考えなんでしょうかね。
○副大臣(尾辻秀久君) 御指摘のとおりに、六月三日に財政制度等審議会財政制度分科会から財務大臣に対しまして、平成十五年度予算編成の基本的考え方について建議が行われました。この背景は何だと、こういう御質問でございますけれども、これは竹中大臣からもお答えございましたけれども、ちょうどその時期に経済財政諮問会議もこの十五年度予算の方向性について御議論ございましたし、いろいろ御議論のあるところでございましたから、財政審としての基本的な考え方を示すことによって広く国民各層の議論に資する、こういうことがあったと承知をいたしております。そのことは大変意義深いものがあったと私どもは考えておるところでございます。
○山本保君 ありがとうございます。国民の応援を得て意見を生かしていこうということだと思います。 また、審議会の意見ではありますけれども、通例として、これは財務省の意見であろうというふうに思いまして、以後、質問をさせていただきますけれども。 それで、その前に一つ。実は神野教授から一つ御示唆をいただいたんですね。それは、正に税というのは、調査をしましても、税を払いたくないというのではない、有効な使われ方がされているかどうかということを国民が一番問題にしているという話がありました。そのときに、これはちょっと今日お回ししてもいいんですが、用意はしなかったんですが、神野教授は、スウェーデンの例だと思うんですけれども、下に税とか社会保障の保険料が書いてありまして、上にこれは年齢です、ゼロ歳から。どんなサービスが受けられるかと。大体こういうものをきちんと国としては示して、それも、できればこれを所得階層別ぐらいにして、自分の税が、どれぐらい払っているけれどもどれぐらいサービスが受けられるかということを明示すべきではないかというふうにこの前ありました。 私、実は役所におりますときに、いやいや、そういえば先生、これは我が方で作った覚えがありますよということで、そして調べてもらいましたら、これは平成十一年の厚生白書でございますけれども、ここにカラー版でほとんど同じ考え方のものがございます。(資料を示す) 私、財務省の担当の方にお聞きしましたら、どうも財務省ではこういうのは作っていないということらしいんですけれども、この表自体も実は年齢だけの表でして、所得階層別というようなものではありません。 私は、まず国民の皆様に、自分たちの負担というのがどのように、また自分たちを守るように使われているのかということをもっと明確にしなければ、税を上げるとか上げないとか、その議論の前にすべきことではないかなと思うわけですけれども、どうお考えでしょうか。
○副大臣(尾辻秀久君) 私も、先生のお話しのとおりだ、こういうふうに考えます。税金の使い道につきましては、国民に分かりやすく示すことが非常に重要なことでございます。先ほどお示しいただいた表といいますか、図といいますか、これを私も見せていただきまして、本当にいいものができていると思いました。できるだけこういうものを作って国民の皆さんに説明をする、これはもう、繰り返し申し上げますが、大変重要なことだと、こういうふうに思っております。 ただ、現在、財務省におきましては御指摘のような図を作成しておりませんけれども、今後、分かりやすい情報の提供には努めたいと考えておりまして、財務省の政策評価の一環といたしましては、受益と負担における地域間、所得階層間の分布状況の分析などの財政の受益と負担に関する研究を学識経験者の皆さんに委託してもおりますので、まだ残念ながら報告書の策定、公表の時期は決まっておりませんけれども、そうした努力を続けていきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
○山本保君 ありがとうございます。是非分かりやすい情報をまず出していただきまして、税はただ取られるというものではないということについて、きちんとした意思、その意味を、意義付けをしていただければと思います。 それでは次に、この「予算編成の基本的考え方について」という中から、各論でちょっと気になったところが何点かあるので、こういう委員会でやっていいのかどうか迷ったんですが、しかし予算委員会というのはほとんど終わった後になりますし、スキャンダル追及の場になっているようでございますし、この委員会しかないんじゃないかなと思いましたので、あえて自分の得意な先ほど申し上げたセーフティーネットと教育ということについて、ちょっと考え方を整理してお聞きしたいと思います。 最初に、医療問題が出ておりますが、これは、この表現をいろいろ見ていきますと、基本的に言えば、やはり少子高齢化というのは経済の伸びを大きく上回って給付と負担が増大していくというまず前提に立っておりまして、そのゆえに効率的な、はっきり言えば安上がり的な、効果は下げずに値段は下げるようなサービス提供をするのだというのがこれ全体の、竹中先生も同じだと思うんですが、今の政府の考え方がそういう考え方だと思うんですね。 しかしながら、これは私、今まで本会議、委員会などでも何度も言っておるんですけれども、例えば今審議されています健康増進法というような形で、いかに国民が元気になっていくのかということを数量目標を持ちながら今仕事をしているはずですのに、そういう考え方が全く入っていないと思うわけです。この辺については、私、もっとこういうお年寄りが増え、病気が増えるという前提ではないものを示さなければならない、それを基にして推計値、また目標値を決めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(中村秀一君) 厚生労働省の医療担当の審議官の中村でございます。 ただいま医療費推計についてのお尋ねがございましたので、若干御説明をさせていただきたいと存じます。 この春に新しい人口推計に基づきまして社会保障の給付と負担の見通しを出しておりますが、その中で医療費の長期推計をさせていただいております。基本的には、山本先生御承知のとおり、将来推計につきましては、過去五年間の医療費の伸びの実績がございます。これは一人当たりの医療費の伸びの実績でございますが、一般、現行制度で申しますと、六十九歳以下の方の伸び率が二・一%、それから七十歳以上、老人医療費と申しておりますが、その伸び率、医療費の伸び率は三・二%、この傾向が続くものといたしまして、二〇一〇年、二〇二五年の医療費の推計をいたしております。例えば、二〇二五年の場合には、給付費でございますが、六十兆円になると、こういう推計をいたしております。 その際、御指摘のように、ただいま健康増進法を提出させていただいておりますが、病気を減らす、健康づくりを進める、そういった効果を見込むべきではないかと、こういうことがございます。 我々も医療費の増加要因などについていろいろ分析、研究はさせていただいておるわけでございますけれども、残念ながら今のところ、将来こういう、もちろん我々といたしまして、疾病予防、健康づくりということが医療費の伸びの鈍化あるいは伸びの適正化に効果が上がることを願ってはいるものでございますけれども、計数的に医療費の適正化の効果が、しかも健康増進法なり予防措置によってどれだけ見込まれるかということが困難でありますことから、残念ながら今回の医療費推計ではそういったものは加味しておらず、過去五年間の伸び率が将来も続くものとして、もちろん、人口構成の変化、高齢化が進むといったこと、それから制度の加入者、七十歳以上の老人医療制度、保険制度の加入者が増えると、そういったことを見込んで医療費推計をさせていただいているところでございます。
○山本保君 余り時間がありませんので、本当はここでその議論をしたいんですが、今日はもう行いませんけれども、財務大臣今お聞き、また竹中大臣も聞いていただいて有り難いんですが、正にこれまでの、はっきり言えば、ほとんどそちらに重視してこなかった値を基にして伸びをやっているわけですね。 介護にしましても、医療にしましても、今正に全然新しい制度を導入して、そしていかに国民、またお年寄りが元気になっていくかということを目標にしております。しかも、介護の場合はそうでもないですが、医療についていえば、今、審議官言われましたけれども、謙遜されたんでしょうが、腎臓病、高血圧等々についてどれだけ減らすかというような数値目標をはっきり書かれておるわけですから、そのための医療費がどれだけ減るかということを推計することはそんなに難しくないと私は思います。是非これは省内でもきちんとそれを出していただかないと、今後の予算編成といいますか、今後の財政問題を論ずるときの基本が違っているということではまずいのではないかなと思いましたので、指摘をさせていただきます。 次に、たばこについて、この前大臣にも、塩川大臣にも申し上げたことですが、たばこ税を医療費などに入れたらどうだということを申し上げたら、まあいい考えですねとたしかおっしゃったんですけれども、いろいろ調べましたら、フランスでは既にやはりたばこの税金を社会保障や医療の方に使っているんですね。これは担当の方からお聞きしてもいいんですが、時間がないので。ですから、これ是非考えていただければいいし、これは昨日ちょっと議員同士で冗談で話していましたが、お酒の税も考えてみますと、お酒というのは、お酒は健康に悪いですけれども、もっと言えば酒が家庭を破壊するなんということが多いわけでありまして、お酒の税金もこれはやはり社会保障の方に入れるとか、さっき言いましたように、つまり税と負担と給付というものがきちんとするということも大事じゃないかなということで申し上げておるんです。この辺は大臣いかがでございましょう。
○副大臣(尾辻秀久君) たばこの税を目的税といいますか、あるいは特定財源といいますか、そういったふうにしたらどうかと。特に医療分野へというような、医療分野への特定財源にでもということでお答え申し上げますと、ちょっと否定的にお答えせざるを得なくなるんでありますけれども。 たばこ税収を医療分野の国庫負担に充当すべきとの御意見につきましては、一つには受益と負担の関係をどうとらえるか、また、新たな特定財源を創設することについてどう考えるか。また二番目に、今後医療費の増大が見込まれる中で国庫負担を賄っていく仕組みをどうしていくべきかといった点も含め、幅広い観点からの検討が必要と考えます。
○山本保君 これは思い付きのように申し上げましたが、先ほど言いましたように、国民の側にとって税金というのが何に使われているのかということを明確にするという考え方からいえば、どういう形を取るかは別としまして、この考え方もどうだろうかということで提案させていただきました。 次に、少子化についての体制、対応についてでございます。 これまでいろいろな形での控除制度というのがあって、なおかつ、大変少額ですけれども児童手当制度というのがあると。児童手当制度は、御存じのように社会保険料の一部というような形で、事業主負担が基本になっておりますけれども、税は入れておりませんね、基本的には入っていない。やはり、少子化対応とするときに、子育てが本当に負担にならないように、また喜びと感じられるようにするために、例えば年少扶養控除でありますとか特定扶養控除でありますとか、僕はここに書かなかったですが配偶者控除とか、二年ほど前に実は自分で積算を厚生省の担当の方と相談したものがありまして、その当時ですと、年少扶養控除で大体千九百万人で一・四兆円、国税、地方税合わせて。特定扶養控除ですと〇・七兆、配偶者控除で〇・八兆、合計約三兆円というお金があるんですけれども、こういう形で税でおまけするというよりは、これを児童手当の方にきちんと出して、それによって所得の再分配も行われますし、より子育てに苦労している方にきちんと子育てを応援するという体制を作るということが必要じゃないかなと思っております。 今後、こういうことはこれからの議論になっていくと思っておりますけれども、児童手当制度についてどのような組替えをしていったらいいのかについてお聞きしたいと思います。これはじゃ、局長お願いします。
○政府参考人(岩田喜美枝君) 少子化が急速に進展しておりますので、これに対しまして的確に、そして迅速に対応しなければいけないというふうに考えております。 政府といたしましては、関係省庁協力しながら、新エンゼルプランなどに基づいてこれまでも取り組んでまいってまいりました。しかしながら、昨今この少子化がますます進行しているという状況になっておりまして、そのことから先般、小泉総理から御指示がございまして、子育てしやすい環境はどうあるべきかなど、少子化の流れを変えるための実効性のある対策を幅広く検討するようにという、こういう御指示をいただいております。 厚生労働省としては、少子化社会を考える懇談会を開催いたしまして、ここで、幅広い分野におきます少子化対策の在り方、特に子育て支援の在り方などについて検討をいただいております。また一方では、税制改革について政府の税制調査会や経済財政諮問会議において諸控除の在り方なども含めて検討がなされているというふうに承知をいたしております。 今後、先生の御質問に対して直接的なお答えにならないのが大変恐縮でございますが、こういった各方面で今議論が進行いたしておりますので、その議論の動向を見ながら考えないといけないというふうに思っておりますが、子育ては、喜びでありますし、生きがいでありますが、同時に大変精神的な負担、時間的な負担、そして経済的な負担を伴うものであるというふうに思います。そういうようなことを念頭に置いて、広く社会全体で子育て家庭をどういうふうに支援していくべきかといったような観点から検討してまいりたいというふうに考えております。
○山本保君 これについても議論はこれからなんですが、財務大臣、実はここで私一つ言いたかったことは、先ほど言ったことです。つまり、税で応援するということも、いただいたお金で、現金、まあこの場合はサービスで応援するということも実は同じことなんですが、どうも私、国会に入りましてから、特に与党になりましてから感じていますのは、税調というのがあって、これは十二月になって突然開かれて話が進むと。本当にそのときに税の在り方と、これから予算ということで各事業を見直すことがうまく合っているのかどうかということをもう前から感じておるんです。 審議会にしましても、例えば、今回のこの予算編成につきましても税のことは全然書いてありませんよね。だから、この辺をもう少し総合的に仕事をしていくことが必要ではないかなと思いましたのでお聞きしたんですが、特にお言葉は結構でございますが、先に進ませていただきます。 次に、年金制度なんですね。これも年金制度全般を今日問題にする気はないんですが、実はこれも神野教授から面白い示唆をいただいたものでちょっと御紹介しますと、スウェーデンの例を基にしてイタリアがそれを入れましたら、年金制度が良くなったというんじゃなくて、財政的に大変良くなった、そういう制度だったと。これは余り簡単なんで、もう恥ずかしいんで、ちょっとだけこれは先生からいただいた。 つまり、日本のように基礎年金というのがあって、その上に働いている人だけが所得比例があるというんじゃなくて、働いていない人もすべて所得保障にしてしまいまして、ただし、ある程度からでは生活できませんので、その足らなかったところだけ、しかも傾斜しながらその分を税で足していくと。このやり方をやると、結局、所得を申告すればするだけ将来の年金が増えるので、いわゆる所得隠しというようなことがなくなったというふうに、いろんなもっとほかにも効果はあると思うんですけれども、一つの効果として、税との関係でいえばこういう、税をきちんと払ってもらうときに年金制度との連携というか、こういうのも必要じゃないかなと思いましたので、担当の方にお聞きすると聞いておりますが、何か御意見いただけますでしょうか。
○副大臣(尾辻秀久君) 今お話しの、イタリアにおきます年金財政を立て直すために、年金の支給開始年齢の引上げ等を行いますとともに、スウェーデンの改革と同様に、給付額の抑制、保険料逃れの防止等の観点から、保険料納付額と給付額との間に相関性を持たせる改革、概念上の確定拠出型の導入が行われたと承知をいたしております。 最初、私この説明聞きましたときに積立方式にしたのかなと実は思ったんですが、どうも積立方式でもない。今、言葉で申し上げるとちょっと分かりづらいんですが、独特の方式を作ったようでございます。そのように承知をいたしております。 そこで、我が国の次の年金改革におきましては、世代間、世代内の公平給付と負担のバランスを図りつつ、将来にわたり持続可能な制度を再構築する必要があると考えており、その際、諸外国における改革の取組も参考にしながら検討したい、こういうふうに考えておるところでございます。
○山本保君 そういうふうにやっていただきたいんですが、私など、こういう分野に入ってきてなるほどと思いましたのは、確かに、被用者、サラリーマンだけが確かに今年収に応じて年金が増えるという体制になっていますが、このやり方のユニークなところは、サラリーマンでなくてもすべてそうしてしまうという考え方ですね。一遍にこんな制度大改正できるのかといいましたら、二十年、二十分の一ずつ進めていくとかいろんなテクニックはあるようでございますので、つまり、年金問題これからやるときに、税の問題ということも絡めて、先ほどから言っているのと同じ趣旨でございます、一緒になって議論をしていった方がいいだろうということで申し上げました。 次に、ちょっと時間がないので先へ進ませていただきますが、そこで、問題分けてありますけれども、一緒にお聞きしますけれども、その次に今度雇用問題なんですね。 私、ちょっとこれは、今まで自分もやってまいりまして気になっていたところがあったらやっぱりまた出てきたんです。つまり、簡単に言えば、自発的失業者という人はそんなに困ってないんだから、自発的失業者に対する応援は、言うならもっと削って、非自発的なかわいそうな方にもっと応援を特化すべきだということがこの方針に書いてあるわけですよ。そういう整理の仕方を簡単にさせてもらいます。 これは私、おかしいということを前々から言っているわけです。つまり、そうなれば、ただ単に会社人間で自分の行く先も考えずに会社にぼっといて、突然倒産したからかわいそうだからやってあげる。あらかじめ自分の生き方なり状況を見て、どんどん自分で努力していく人には何も応援がないということになってしまうので、これは正に古い形の失業対策的な古い福祉といいますか、かわいそうだから税金助けてあげようという、そういう考え方だからこうなってくるんだと思うんです。 問題は、今かわいそうな状態にあるかどうかということよりは、その失業された方がいかに今度は仕事を自分で生み出したり、又は就職ができるかということの努力、例えばNPO型の運動をするとか、又は社会事業、小規模のいわゆる事業組合というのがありますね、協同組合の。事業協同組合という形で二、三人からずっとこう仕事ができる、特例的な商業法人として認められているわけですから仕事ができるわけです。いろんな形でやっていくということに応援をしていくのが大事だと思っているわけですよ。 どうも旧労働省の感覚というのは、その失業対策と、例えば能力開発とか、それからもっと言えば経済産業省の今度創業支援とか、全然ばらばらなんじゃないかという気がしてしようがないんです、前から。これで出てきたのがまたぞろ、非自発的な人にはサービスは、応援はしなくていいというような論調じゃないかという気がしてしようがないんですけれども、これはどのように考えたらいいでしょう。
○政府参考人(青木功君) 雇用対策における自発的失業者、非自発的失業者それぞれに対する対応の問題でありますけれども、今のような厳しい雇用失業情勢がございまして、また産業構造もどんどん変わっていくという中では、個人が自分でチャレンジするという意味で転職をされる方、それから企業がリストラクチャリングをするということで離職を余儀なくされる方、様々な方々がおられます。そこで私ども、その自発、非自発を問わず、そういった方々が離職をし、あるいは離職しそうになった場合には、できる限り失業を経ない、あるいは失業を仮にしたとしても短く済むというふうな対策をやるべきだと思っております。 特に、転職をしようとする、自分で再挑戦しようとする方々につきましても、この方々に対してできるだけ、できれば今お仕事をしながらでも、新しい雇用のための情報だとか、あるいはそういったものに就くためにどんな資格や能力が要るかといった情報を提供したり、あるいはハローワークでも、都市部を中心でございますが、夜間であるとか週末も開庁いたしまして対応をしております。 また、民間の労働力需給調整機関につきましても、様々な規制改革を行いながら、そういった方々がチャンスを得やすいような仕組みを設けております。また、能力開発につきましても、教育訓練給付といった形で、これも在職中の方が御自分で勉強された場合に雇用保険の方から応援をするというふうな仕組みも取っておるところでございまして、それぞれのチャレンジの仕方に対応したサポートがどういうふうにできるかという観点から整理をしておりますし、またこれからも勉強をしてまいりたいと思います。 また、新たに開業をしたり、先ほどおっしゃいましたような共同で事業を起こすといった方々につきましても、そういった方々の御相談をする体制を経済産業省、中小企業対策の方と協力しながら進めております。 また、雇用保険制度のかかわりにつきましては、現在私どもも関係審議会において勉強をしている最中でございますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
○山本保君 雇用保険制度改正という考え方が今出てきて、その中身が出てきているようですので、今おっしゃったように、真に応援の必要な方に応援をすべきなんでありまして、それを自発か非自発かということで先に区切るということがおかしいと思っているわけです。この中にも「支援の必要性の低い自発的失業者への給付を大幅に縮減し、」と書いてあるわけです。おかしいわけです。支援の必要性の低い失業者へでよろしいわけで、どうして「支援の必要性の低い自発的」と書かなくちゃいけないのかということを問題にしているわけです。 財務省、今日は時間がありませんので指摘だけにしておきますが、ここはもう一度見直していただきたいと思っております。 最後に、五分だけありますので、今度は教育の問題について、今日は文部科学省には来ていただかないようにしましたので財務省からお答えいただければと思うんですけれども、この考え方の中に、受益者負担主義というのが最初にぼんと出てくるんですね、教育について。 もちろん、教育とか大学を出るとかそういうこと、それから職業訓練を受けてということになれば、これが受益者負担主義である、これの十ページですね、当然それは分かるんですが、さて、じゃ義務教育という段階があって、憲法には、国民は子女に普通教育を受けさせる義務を負う、その義務教育は無償とすると憲法にこう書いてあるわけですよ。この辺の考え方はここに全然出てこないわけですが、おかしいじゃないでしょうか。 私は、自由な競争社会への参加の機会の平等ということをするためにも、まず、受益者負担という考え方とともに、特に基礎的な教育については国が全面的に責任を負うということをはっきりすべきだと思うわけですけれども、財務省、いかがでございましょう。
○副大臣(尾辻秀久君) 義務教育に関しましては、申し上げるまでもないことでありますけれども、教育基本法におきまして「国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。」とされておるところでございますけれども、授業料以外の義務教育に関連する費用や義務教育以外の教育に関する費用につきましては、その時々の社会経済情勢を踏まえつつ、税金でどこまで負担し、受益者負担をどこまで求めるのかについて十分な議論を行っていく必要があると考えてございます。
○山本保君 この辺は憲法とか教育基本法の議論でいつもされるところではありますが、憲法を見る限り、私立学校へ行った場合には払わないとは書いてないわけでして、国民に普通教育を受けさせる義務を与え、その普通教育を無償とすると言っているわけですから、ここにはどこにも私立学校は駄目だとは書いてないわけです。 もちろん、現状として、日本の私立学校というところがまだ一部のお金持ちの方が行かれるということを前提として考えれば納得できることですよ。しかし、それは学校体制自体の問題でありまして、今後、公立学校、国立大学ですら言うならどんどん今度は行政法人という形にしていこうというときに、私学は駄目だと。今、尾辻副大臣、読まれましたけれども、それが文部科学省の伝統的解釈ですけれども、憲法とは違う解釈を持ってきていると言ってもいいと私は思っております。 もう少し細かく、じゃお聞きしますが、今のように私学というのはだから非常に重要な意味を持っているんですが、全体的に抑制だなという感じがするんですね。これは、教育の自由を保障するためにも、私学、私立学校というものにもっと、公立学校とアンバランスということは是正すべきだと思いますけれども、この辺はどうでしょうか。
○副大臣(尾辻秀久君) 今お話しのとおりに、財務省としてお答えいたしますと型どおりのお答えになってしまいますことはお許しいただきたいと存じます。 そこでお答え申し上げます。 高校以下の私学助成につきましては、国と地方の役割分担の見直しを進める地方行財政改革全体の観点を踏まえつつ、その在り方について検討をしていく必要があると考えております。
○山本保君 問題提起をさせていただきますので、じゃお聞きいただきたいんですが、そうしますと、小学校からは無償なんですね。幼稚園は無償じゃないんですよね。もちろん、幼稚園というのは、家庭の中で親が子供を育てるという保育というような面が入っておりますから、全部が全部必要だとは思いません。しかし、この発想、今までの法律の発想は、ある箱物を造りまして、そこへ行っているかどうかということで分けていたわけですよ。そうじゃなくて、本当に子供に必要な能力を付けさせる、又は感情面を支える、こういうことをするためにも、幼児教育分野についても当然無償という部分があっていいのではないかというふうにも考えます。これは御返事は最後にいただくことにしまして、特に幼児教育、この場合は保育との問題がすごく大きな問題になってきます。前から申し上げているんですが、バウチャー制度という形で現物給付をきちんとするというのが必要だと思っております。 もう一つだけ、この中で気になりましたのは教科書無償制度であります。 私は、教科書無償制度が全面的にいいとは個人的には思っておりません。ああいう制度のおかげで、まず採択が親や本人とは全く無関係に県単位で選ばれたり、又は、その価格が非常に低く抑えられているせいでしょうか、どの教科書もどの教科書もほとんど薄っぺらで余り内容がなくて、実際、無償だって、お金のある方はどんどんもっと立派な参考書を使っているんじゃ、何のための教科書無償だと思いますよ。 ですから、そういうことを直していくということが大事なんですが、無償制度というものをなくしてしまうという考え方は全然反対じゃないかと思うんですよ。ところがそれがここに書いてあるわけですね。これは私としては、今の制度を直していくという方向はともかくとして、無償でなくするというのは、教育という、しかもこの場合、国民が基本的にみんな持って、そして自由な競争社会ということを考えても、そのために必要な力を付けることに、そこからもう差を付けていったんではどうして競争ができますかと、こういうことですから、当然これは考え直していただきたいと思います。 それで、もっと言えば、特に今退職をされた方などの能力開発、能力アップという問題に関しても、もっと奨学金制度の対象としてきちんと付けたり、また場合によっては無償の部分も作ったりするという形で、今のように中学校の成績が一生を決めるというような全く人間をばかにしたような制度を早く変えていかなくちゃいけないと私は思っておりますが。 いろいろ申し上げましたけれども、時間が来ましたので、できましたら、塩川大臣、何かこれに対してのコメントをいただきたいと思います。
○国務大臣(塩川正十郎君) 大体、財政審の答申というのは以前から、本当は設立いたしましたのは庶民の感覚から財政の、特に予算の問題を見るということだったんですけれども、だんだんと財政審とか分科会とか、役人がペーパー書くようになっちゃった。それで、そこがもう大体私はちょっとおかしいなと思うておるんですが。だからもう一度、これメンバー見たら分かりまっしゃろ、大体一般の人が多いんですよね。ところが、原文を書いてくるのはお役人だからこんなものになっちゃうんですね。おっしゃるようなセンスをもっとやっぱり生かしていくべきだと、私はそう、実は答申をもらうときに出ましてそう思うておったんです。 今いろいろございましたけれども、要するに負担と給付の中で、その負担というのは受益者本位でやるということ、これを徹底したらやっぱりいけませんね。それは、余りこれを徹底するなら、それやったら株式会社になってしまう。国家じゃなくなって、政治じゃなくなって株式会社になってしまう。ですから、その程度は大事だと思いますけれども、そうならば一回真剣に税とそれから公的負担との案分を考えてもらいたいと思うんですね。 かねてここで、今井さんですかね、今井先生、民主党の。健康保険の保険料の話がありました。これは税で負担せいというのか、保険料で負担せいというのか、ここらがやっぱり根本の問題だと思うんですね。それと同じように、要するに公的サービスを平等に受けようとするならば、受益者負担の原則じゃ通らぬということになってきましょうししますので、そんな問題はひとつ国会でしっかりと議論してください。役人に答え出せというんじゃなしに、わしらでこう考えているということをひとつ出していただいたら、我々も十分に勉強させていただきたいと思っています。
○山本保君 ありがとうございました。
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。 最初に竹中大臣に、景気、特に消費の動向についてお聞きしたいというふうに思います。 午前中に景気の問題ありましたけれども、要するに、先行きがまだまだ見えない最大の原因は総需要がやっぱり低迷していると、特に消費のところが、消費低迷の問題だというふうに思います。月例経済報告でも消費は横ばいということですし、五月の家計調査を見ましても実収入も消費支出も前年同月比でマイナスになっているということで、依然、消費については予断を許さない事態にあるというふうに思います。 そこで端的にお聞きしたいんですが、竹中大臣としては、今の個人消費、家計消費が改善しない具体的な理由はどういうふうにとらえておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(竹中平蔵君) 消費は言うまでもなく総需要の中で最も非常に大きなウエートを占めるわけで、その動向が経済を規定するわけですから、我々も大変大きな注目を常に払っているわけであります。 しかし一方で、消費の統計というのはなかなか把握しづらいものがありまして、家計消費、有力でありますけれども、これは家計簿を付けているところだけでありますから、そういった統計の把握の問題等々もあって、実態の把握は難しい。更に加えて言うと、その消費を決める要因は何かというと、これは非常に複雑多岐であると。 でも、あえて委員のお尋ねでありますので消費低迷の最大の要因は何だろうかということを考えると、これはやはり将来の所得に対する期待所得、それに対してなかなかまだ消費者は明るい展望が持てないでいると、そういうことになるのではないかと思います。自分の会社がこのグローバルな競争の中でどのぐらいちゃんとやっていけるのか、ひいてそれは自分自身がどのように所得を稼いでいけるのか、その生涯所得を念頭に今の生活水準を恐らく人々は決めるということになると思いますので、消費水準を決めるということになると思いますので、そういった点を将来に明るい展望が開けるような形で経済のシステムそのものをやはりしっかりとさせていくということが消費活性化の何といっても基本であるというふうに認識をしております。
○大門実紀史君 私もおっしゃるとおりだというふうに思います。一つは将来不安、後でちょっとその部分で御質問させていただきたいと思いますが、言われました期待所得の低下と、もう一つは、直接的にはやっぱり可処分所得が低下、実際しているわけなんですけれども、そのことも非常に直接的に消費を抑えている原因になっているというふうに思うんです。 それで、資料を配らせていただきましたけれども、もちろん、先ほど大臣言われたとおりに、統計上の問題で消費を把握するのは確かに難しい部分がありますが、そうはいっても、今ある政府が出している統計の中で物を考えるしかないわけですから、資料1のところに、これは総務省の家計調査年報を数年間まとめてみました。 この特徴がかなり、これは九六年から二〇〇一年ですが、九六年以前とかなり違う傾向を示しておりますので少し御説明したいと思うんですが、実収入は、比べますと約五%減少している。可処分所得もやはり約五%ぐらい減少しています。その中で、税と社会保険料、これもやはり五%ぐらいトータルでは減少しています。 中身でいきますと、当然実収入が減少しているわけですから、減税もありましたけれども、直接税負担としては一六・五六%もこの数年間で減少しています。ただ、社会保険料負担の方は独自に七%近く上がっているんです。通常、実収入が減れば社会保険料負担額も減少するはずなんですけれども、不況で各保険財政の収入が減ったということで保険料引上げがやられてきましたので、こういう中でも社会保険料負担が独自に上昇していると。結局、そのために可処分所得が減少しているというふうな、そういう構図になっています。 一方で、保険医療費、これは九七年の自己負担増が大きいわけですけれども、これは一一・四%も上昇ということで、こういうことを原因にして、消費支出がやはり四・七五%減少ということに大きな影響を与えているんではないかというふうに思います。 申し上げたいのは、九六年以前の数字、ちょっと細かくなるので載っけておりませんが、その以前と九六年、つまり九七年の例の九兆円の負担増と言われましたけれども、それ以降とかなり家計の中のいろんな可処分所得が減少する要因が変わっているという特異な状況に、九六年以降、九七年を挟んでなっているというのが調べてみて分かりました。 ところが、この間、厚生労働委員会あるいは昨日の党首討論でも議論になっておりますけれども、いわゆる医療保険の改定だけで一・五兆円の負担増、それに更に雇用保険料、あと介護保険、更に年金の物価スライド凍結ということで、昨日、我が党の志位委員長が数字的にはお示ししましたけれども、もちろん全部決まった、確定しているわけではありませんが、どう見ても三兆円前後の社会保障関係で負担増になるというふうなことです。 私は九日の日に厚生労働委員会に質問で立ちまして、この負担増が来年の景気に、消費にどういう影響を与えるのかということを坂口大臣に質問をいたしました。あるいは昨日は、先ほど言いました志位委員長が小泉総理に、三兆円の負担増が来年どういう消費に影響を与えるか、景気に与えるかという質問をいたしましたけれども、坂口大臣も小泉総理もそのことにはまともにお答えにならないで、なぜ今回負担増をお願いしているかと、その必要性と理由ばかり述べられて、結局かみ合わなかったんですけれども。 是非、竹中大臣は経済全体を見るお立場ですから、私の質問の意味をお分かりだと思いますが、ちょっと置いておいて、なぜ今回の負担増か置いておいて、これが消費にどういうふうな影響を与えるかということではどういうふうにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(竹中平蔵君) 委員、非常に多くの重要なことを御指摘になりましたので、申し上げたいこと多々あるのでありますが、直接のお尋ねはこれがどのように消費に影響を与えるであろうかということでありますので、恐らく短期的な影響ないしは直接的な影響と間接的な影響、そういうものを議論しなきゃいけないと思います。 それと、その影響を何と比較すべきかということなんですけれども、これを行わなかった場合に何が起こるかということとの比較も本来は行わなければいけないのだと思います。 結論から言うと、こういう直接的な数字に対して、今申し上げたような結果を全部数字で出すというのは技術的に大変困難であります。唯一、比較的簡単に行えるのは、これの直接的な影響ということでありますが、これは、この分、可処分所得に対して直接的な影響があって、短期的に消費がマイナスの影響を受けるというようなことは、これはもう私自身も否定するつもりはありません。それによる影響というのは私たちも中期の経済試算の中で当然のことながら考えております。 〔委員長退席、理事円より子君着席〕 これは、ここに挙げておられる、この間、志位委員長がやられた数字そのものの精査は別途やらせていただく必要があると思いますが、数兆円ないしは二兆とか、医療費の負担だけで多分一・五兆円ぐらいだと思いますが、一・五兆円に関して言うならば、これはGDP比の〇・三%ぐらいでありますから、これの分に乗数が掛かった分に対してのマイナス効果が当然のことながら起こるということは覚悟しなければいけないと思います。 ただ、この際に是非二点申し上げておきたいのでありますが、じゃそれをやらなかった場合に何も影響はないかというと、そうではないということだと思います。負担を増やさなかった場合に、それを保険料でカバーしたらやはり同じようなマイナスの影響が出るわけだし、財政の悪化をほうっておいたら、これは直接短期ではないけれども間違いなく間接長期に更に深刻な影響が起こるということも必要だと思いますし、その意味では、比較考量するに当たってはもう少しきちっとした議論をしなければいけないということがやはり基本的なポイントだと思います。 もう一つのポイントは、これはこの委員会でも何度かお話をさせていただきましたが、日本は既に持続可能ではないほどの大きな公的な部門の赤字を持っておりまして、これはやはり、「改革と展望」で示したように、やっぱり十年程度で減らしていかなければいけないんだと。平均しますと、GDP比〇・四%から〇・五%ぐらいのお金を公的な部門が吸い上げて公的な部門を健全化していくということは、これはどうしてもやらなければいけないことだと思います。平均値で年〇・四とか〇・五ということは、景気が比較的上向くときには、それより更にお金を吸い上げるということを当然やらなきゃいけない。一%近くやらなきゃいけないのかもしれません。それはやっぱりマスト、やらなければいけないということだと思います。 その中で、今申し上げたように、例えば一・五兆円というのは〇・三でありますから、その中で吸収し得る範囲というふうに考えて、これは耐えなければいけない。その分、別途活性化のための、経済活性化のための税制の改革でありますとか、特区を含む活性化戦略を併用することによって民需でその分を出して、公的な若干のマイナスを補っていくような運営を、マクロ経済の運営をしていこうとしているのだと、そのように御承知をいただきたいと思います。
○大門実紀史君 大体前半の方は私の認識と大臣の認識一致するわけなんですけれども、直接的な影響はやっぱりマイナスで出ると思うんです。 その間接的な部分ですけれども、制度的に持続可能なものになるかどうかというところなんですが、私は厚生労働委員会で実際に質問したんですけれども、実は今回の案というのは取りあえず負担増というのが大きくて、それによって、例えば医療保険なんかも、抜本的にこういう見通しが付くんだという案ではないというのは実は政府も認めておられるところがございまして、間接的な比較検討はもちろん必要ですが、今回どうも負担増だけお願いするというところが、自民党の、与党の皆さんからもかなり批判が出ているところです。 もう一つは、ほかの活性化戦略との関係といいますか、経済全体の活性化との関係、また御質問したいと思いますけれども、取りあえず負担増と消費との関係ですが、おっしゃったとおり、私、かなりのマイナス面が短期的には出てくるのではないかと。これが心配なのは、竹中大臣と一度予算委員会で御議論させていただきましたけれども、消費がこれ以上本当に底割れしてしまったらデフレスパイラルの危険性もないことはないというふうな、これ以上底割れしたら非常に怖いところに落ち込むというところがあると思うんですよね。そうならないかどうか、やっぱり心配をしているわけです。 その点で塩川大臣にちょっとお聞きしたいんですが、まだ具体的にはなっていないようですが、来年予定されております減税も、企業減税はあるんですが、個人には、上がっているメニューは割と増税が多いんですよね。 財務省にお聞きして、来年どれぐらい個人の部分で負担増になるのかというふうにお聞きしましたら、総理が御指示があって、来年度改正の主な事項の中に入っておりますのは配偶者特別控除、特定扶養控除等の人的控除の見直しの部分ですと。これだけだと一兆円ぐらいですかねというお話を聞いたんですけれども。そのほかにも例えば消費税の免税点の制度の見直しがありますが、これは個人業者にも影響するわけですから、個人負担が増える部分が、先ほど申し上げました社会保障の部分だけじゃなくて、この税金の部分でも、税制改正との関係でも出てくるというふうに思うんです。 幾ら来年増税、個人の部分の増税で負担増になるかという数字はまだ出ていないと思いますけれども、その辺を、今一方で出ている社会保障の負担増と来年の増税による負担増と、このバランスということを政府全体としてどういうふうに今お考えになっているか、塩川大臣のお考えを聞きたいと思います。
○国務大臣(塩川正十郎君) 申すまでもなく、来年は社会保障費の当然増というのは相当増えてくるということですね。これの財源手当てというものをどこで求めるかということが実は私たちの一番大きい関心なんでございまして、そのためには、こういう人的控除といいましょうか、そういうところの、広く薄くの薄くはできたんだから、広くの方を少しカバーさせてもらいたいと。また、消費税の免税点についても、益税の不公平がもう世間的な大きい声になっておりますので、これを是正するということ等をやって、それで当然増の財源はある程度こういうところで賄っていきたいと。 そういう感覚的な、数字はまだつかんでおりませんのでなにしますけれども、そういうふうに実は思っておりまして、私は、この人的控除とかそういうようなものを、直ちにそれを、何というのか、それ以外の、個人の受益に関すること以外の面に余り使いたくないと。個人のやっぱり受益と関係のある、そういう分野にこれを振り向けていきたいというのが、これは私の考えです。
○大門実紀史君 どこに使っていくかというのももちろん大事なことだと思いますが、取りあえず負担増の部分で今日はお聞きしているわけですけれども。 金額を幾らというふうに私も全部確定していないところで申し上げるのはあれですが、少なくとも、合わせると、社会保障の方と合わせると四兆から五兆の規模ぐらいの、これは来年の四月に一遍なのか、来年の十月に来るのかというふうなことはありますけれども、来年一年で見ると相当の、このままですよ、財務省と厚生労働省がそれぞればらばらにといいますか、それぞれ自分のところのことで負担増となると、国民の財布というのは一つですから、負担を受ける方は一つですから、来年一年で見ると、このままいけば数兆円規模ぐらいの負担増が掛かる。実際そういうメニューを今出されていると思うんです。 これは、九七年のときがそうだったんですが、あのときも、医療改定の方と特別減税の廃止、消費税の増税、決められた時期がばらばらですし、それぞれ縦割りで、大蔵省と厚生省が考えてばらばらに、しかも時間差で決めて、かぶった時期がほぼ半年ぐらいで国民にかぶってしまったと。これを繰り返さないことが、二の舞になってはいけないと。そうなると、竹中大臣も心配されていたように、消費が本当に九七年と同じようにまたがくんと落ちる、こういうことは決してあってはいけないと。もしそうなったら、先ほど言われましたけれども、財政赤字の問題から各保険財政から、すべてもう元も子もないといいますか、景気が更に落ち込んだら本当にパンクしてしまうわけですよね、悪循環に陥ってしまうわけですよね。そういう点では、そういう九七年の事態は避けるべきだというふうに思っているんです。 その辺はまだ先ほどのお話でもはっきりしていない部分はあると思いますが、諮問会議といいますか政府全体で、そういう負担増の大枠の数字が出てきて、それが景気に、消費にどういう影響を与えて、マクロ的に与えて、それがまた税収を落ち込ませるわけですから、そういう全体を見た提案をされていくべきだというふうに思いますが、これから案がまとまっていって数字がはっきりしていく上で、その辺はこれからの運営としてどうお考えですか。
○国務大臣(竹中平蔵君) 御指摘のように、財政のバランスとマクロ経済の整合性を考えていくのが諮問会議の重要な役割であろうと思いますので、正に、ちょっと午前中の議論でも申し上げた予算の全体像の議論の中で、そういう議論を踏まえて、更にそれをより正確な数字として、年末に掛けて「改革と展望」の議論の中でやっていくという姿勢でおります。 ちょっと、幾つか事実関係だけまず指摘をさせていただきたいんですが、まず、経済全体の動きに比べて民間消費が特に低い伸びであったという事実はないと。これは、経済全体が低迷する中で、消費もそれに合わせてきたというふうに考えるべきであろうというのが第一点で、例えば、特に九八年とか二〇〇一年はマイナス成長で、GDPはマイナス成長であったわけですけれども、民間消費はプラスであったというような年もあります。 だから、民間消費が極端に落ち込んできたというようなことでは必ずしもないという事実の点を申し上げた上で、ちょっと今の大門委員の指摘に対しては二点申し上げたいと思います。 重要な点は、政府のネットのバランスがどのようになるのかということがまず第一のポイントだと思います。 九七年の例を御指摘になりましたが、これはネットでおおよそ九兆円、九兆円ですからGDPの二%近くという大きな吸い上げであった。これはそれで非常に大きなものであったと思います。今回は、例えば今、税制改革の中で一部負担増が出るのではないかというふうな御指摘もありましたけれども、税収中立で考えるならば、負担が増えるところがもしあれば、減るところが必ずあるわけですから、それはネットの負担増ではないはずであると。これはやはりネットとグロスを分けて、ネットでどのぐらいかということを議論しなければいけない。結果を言うと、ネットで見るとそんなに大きくはならないはずであると、負担増がですね。これが第一のポイント。 〔理事円より子君退席、委員長着席〕 もう一つは、今回の議論の中で中心になるのは、先ほど申し上げましたように、ある程度、財政健全化の中ではある程度財政が後ろへ下がるということは、これはもう甘受せざるを得ないのであるから、その分、民間、民需がこれを補うようなシステムを、政策を取っていくということが重要なポイントなわけです。したがって、同時に民需がどのようになっていくかと。それは公需であろうと民需であろうと、それは国民の懐に入るという意味では全く同じなわけでありますから、そこの効果もやはり同時に議論していかないと、ともすれば一方的な議論になる懸念があると。 この二点を是非申し上げた上で、先ほど申し上げましたように、御指摘のような点も踏まえて予算の全体像を議論して、「改革と展望」の年末の見直しの中でマクロのバランスをしっかりと議論していきたいというふうに思います。
○大門実紀史君 九七年の評価について、私は、経済企画庁が出されました当時の「回顧と展望」そのままの御意見を申し上げておりますし、当時の橋本元総理大臣自身が、やっぱり自分のあのときのことをということで、総裁選なんかでも、やっぱり今の消費の落ち込みの大きな、もちろんネットの問題とか直接GDPに幾らというのはありますけれども、後で申し上げますが、将来不安の問題も含めてかなり影響があったということをお認めになっている上で、今日御質問させてもらっているわけです。 それと、あのときの九兆円と今の、まあ数兆円になるかどうかですけれども、でいくと、そんなに大きな数字にならないとおっしゃいますけれども、私は、もう経済状況がここまで、先ほど家計消費の問題、家計の消費の状況からいけば相当の大きなインパクトになるというふうに思っております。 それを全体の民間の需要の回復で補うという議論は、竹中大臣とは何度もしてまいりましたけれども、私は、今の政府の施策では、資料3に付けておりましたけれども、企業利益が上がっても、失業率、給与はずっと下がりっぱなしと。竹中大臣が言われておりました、企業利益が上がればいずれは所得が伸びるんだというふうにはなってきておりませんので、今日はこの議論、また予算委員会でもやりたいと思いますが、ずっと竹中大臣とやっておりますので、そういうところで安心できるとは私は思っていないということだけ申し上げたいと思います。 それでもう一つの、先ほどもお話が出ました期待所得、つまり将来不安の話でお聞きをしたいと思うんですが、この間、各シンクタンクが大変ショッキングなレポートを出しております。 第一生命の研究所のレポート、四月に出ましたけれども、九五年当時の国民の将来不安水準を一とすると、直近における不安水準は九・八、実に十倍になっていると。九五年から二〇〇一年までの累積のGDPの押し下げ寄与は二・六%、金額で七・四兆円も将来不安が消費を押し下げている、景気を押し下げているというのが出ております。 六月の末にはみずほがまた同じようなレポートを出しておりまして、これは直近の、今年の一—三月期で調査、推計したものですけれども、将来不安が個人消費を四・二兆円下押ししているというふうなレポートを出しています。この点では、先ほど私申し上げました可処分所得の問題と、大臣冒頭言われました期待所得といいますか、将来不安を改善しない限り何とも消費は持ち上がらないというふうに思うんですけれども、大臣は将来不安を取り除くためには何が必要とお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと御紹介をいただきました各機関の数字は、通告もいただいておりませんでしたので、ちょっと私自身把握をしておりませんのですが、一般的に考えまして、将来不安のその不安を構成する要因は何かと。これまた実は心理的な問題も含めて非常に難しいものがあろうかと思います。しかし、あえて様々な不安に関するアンケート調査等々、うろ覚えに基づいて申し上げるならば、やっぱり人々は今後雇用機会が十分に確保されていくかどうかということに関してかなり関心を抱いているというのはそのとおりであろうかと思います。 実は、活性化のための減税というふうに申し上げる中で、結局のところ、企業の税負担を下げて企業の活動を活発にせしめることによって、雇用機会がより十分確保されるようになるということを私は大変期待をしているわけであります。 さらには、将来の年金に対する不安、将来の財政破綻に基づく増税に対する不安等々も常に三位とか四位とかの上位を占めていたというふうに思います。その意味では、やはり財政を着実に健全化していくこと。しかし、そのときブレーキを強く踏み過ぎるといけないというのは、これは大門委員御指摘のような認識は私たちも十分持っておりますので、先ほど申し上げましたように、GDP比平均で〇・五とか、そのぐらいの基準に考えていくというような経済運営のシナリオになっていくわけでございます。 いずれにしても、やはり将来の所得稼得能力、これは企業の稼得能力を高めて、併せて人間力を高めることによって個人の稼得能力を高めると。結果的にそれは正しく経済の供給力を強化する、サプライサイドを強化するということに、いつものお話になるわけでありますが、そうすることこそが不安を解消する最大の要因である。同時に、その中で財政・金融等々の制度を持続可能なものにしていくということが併せて求められているということだと思っております。
○大門実紀史君 私は、将来不安の問題もずっといろいろいろんなレポート、アンケートを調べてみたんです。ちょっとリアルな話で、リアルなことで申し上げますと、厚生省が、例えば社会保障に対する不安というのは結構大きい比重があるんですけれども、調査されているんですけれども、これは複数回答なんですけれども、一番多いのは、将来確実に給付を受けられるかどうか分からない。二番目が、税、社会保険料が引き上げられて負担が重くなるから。三つ目が、給付水準も下げられて自己負担も重くなってくるからと。これが上位を占めているんです。 つまり、将来の将来像が見えないから不安じゃなくて、改悪されることに対する不安というのが実は上位を占めていまして、よく政府の方で言われる、将来像が見えないから、将来像さえ見えたら、貯蓄に幾ら回して消費に幾ら回してというふうに消費も出てくるんだというふうな、つまり、将来像が見えないというところは実は六番目に確かにあるんですけれども、今申し上げましたとおり、社会保障制度でいえば改悪されることが不安だというのが厚生労働省の調査で出ています。 もう一つは、先ほど言いました第一生命経済研究所のレポートで、大臣言われたとおり、将来不安というのは期待所得の低下だと。期待所得の低下というのは、具体的に更に言いますと、実収入が減少する、あるいは具体的には可処分所得が減少する、このことへの不安ですよね。期待所得の低下というのは、今で言いましたら、あるいは会社が倒産する、リストラに遭う、賃金が下げられるというふうな不安、あるいは年金が思いどおり入ってこないんじゃないかという不安ですよね、期待所得の不安。さらに可処分所得でいえば、増税とか負担が増えることによって差引き可処分所得が減るわけですから、そういうものが来るとやっぱり期待所得が減ると。具体的にリアルに言えばそういうことじゃないかというふうに思うんですね。 そういう点でいきますと、この間の、今厚生労働委員会で出されている案もそうですけれども、社会保障が、とにかくもう先も見えないで、とにかく負担増だけみたいなところが、与党の皆さんもあそこで指摘していますが、そういうものが出てくるし、増税だけがメニューで上がってくる。だから、何といいますか、不安だけ、むしろこの厚生省と第一生命経済研究所のレポートで言わせてもらえれば、改悪の不安だけあおっている。更に将来不安が増す方向での今の政府の提案になっているんではないかと私は思うんです。 大事なことは、将来不安を解消するのは、こういう政府のレポートとかシンクタンクの方で見ますと、少なくとも今より改悪されない、今より改悪されないんだと、これがはっきりしない限り不安というのは募るばかりではないかというふうに私はいろいろ読んで思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(竹中平蔵君) これは心理的なものも含んでおりますから、大変難しい問題ではあると思いますが、基本的に恐らく、そういう複数回答のアンケート調査を読むときには、やはり幾つかの留意点が私は必要なのかなというふうに思います。 常識的に考えて、現実問題として保険の財政等々極めて悪いわけですね。極めて悪いということが問題なんだと思います。極めて悪いという事実を非常に漠然とした形で人々は十分に認識しているから、だからこれが将来負担が重くなるのではないだろうかというようなことになるわけで、基本的に悪いという状況を全部きっちりと立て直せるという体系を明示する、その上でしかるべき負担の形を明示していくということが重要なわけで、正に構造改革というのはそういうことを時間は掛かるけれどもやっていこうということなのだと認識をしております。 これで、今回の改革だけですべてが明示されるかどうかという点についてはいろいろ御議論があるかもしれませんが、これはやはり改革に向けての一歩であるという認識の下で制度設計がなされていると、これは厚生労働省の方でそのようになされているというふうに私自身は認識をしておりますので、その意味では、事実はこれはもう厳しいわけでありますから、これを踏まえて、解決の方向に向かっているという形を明示的に示していくことこそが今の時点では極めて重要ではないかなと思っております。
○大門実紀史君 私はそうは思わないんですね。 ですから、先ほどから申し上げているのは、消費がなぜ落ち込んで、消費が回復しない限り日本経済がどうしても上向かないという状況で、違うメッセージがどんどん出ていると。つまり、今日は詳しく触れませんけれども、我が党もいろんなもの、財源論、対案を示しておりますけれども、要するに、とりあえずの負担増をお願いすると、これで更に景気が悪くなって、税収も落ち込んで、各保険財政も悪くなるという悪循環になっていると。ですから、負担増ではなくて、厚生労働委員会では自民党の皆さんも、今回の三割負担はやめて国庫負担でやればいいじゃないか、それぐらいの財政やりくりできるじゃないかと与党の方もおっしゃっているぐらいですから、そういうことを今やらないとこの消費の状況で大変なことになると、来年。それは元も子もないことになってしまうということを御指摘しているわけです。 今もお話出ましたけれども、どうしても竹中大臣と議論するとこの資料3の話になるんですけれども、要するに民需、企業全体が頑張って利益を上げればすべて良くなっていくんだということをいつも議論になるんですが、この資料3で、これは二〇〇〇年まででそうはなっていないというグラフです。これはまた機会があれば議論したいと思いますが、どういうふうに説明されますか。企業利益は上がっているけれども失業率は高まって所得は増えていないと。いわゆる竹中大臣のセーの法則だとこうならないはずだと思うんですが。
○国務大臣(竹中平蔵君) 一言で申し上げれば、それはどのぐらいのタイムスパンで調整を考えているかということに尽きるのだと思います。企業の利潤が増えればすべてうまくいくというようなことは言った覚えはないのでありますが、やはり、より長期の資本と労働のバランスというのを我々は念頭に置かなければいけないのだと思います。 八〇年代を通しておおむね日本の労働分配率は六〇%ぐらいであったと思います。しかし、バブルが崩壊して経済が疲弊する中で、実は当初、九〇年代の前半特に何が起こったかというと、給与水準を下げないで企業の利潤がどんどんどんどん減っていきました。その結果、九〇年代の初頭から半ば、後半に掛けて労働分配率は六〇%から七〇%に一気に高まった。こんな短期間で労働分配率が一〇%も高まった国などというのは世界じゅう探してもありません。その結果、しかし正に企業のサプライサイドが疲弊して、今日のような非常に停滞感の重い経済になってしまっているということなのだと思います。 今、企業が収益が短期的に落ち込んでこれが短期的に回復しておりますけれども、労働分配率の修正と資本分配率の見直し、修正というのは、私はやっぱり中期的に少し時間を掛けて進んでいかざるを得ない問題なのだというふうに思うわけであります。 委員の表は、これは九六年からの表でありますけれども、八〇年等々からの労働分配率、労働分配率の裏返しは資本分配率でありますけれども、そういった観点から、分配率の修正という非常に中期のトレンドの中で今御指摘のような問題も議論をしていただく必要があるのではないかなというふうに思います。
○大門実紀史君 じゃ、御意見だけ申し上げて終わります。 八〇年代の高度成長のときと九〇年代の低成長のときと、それは労働分配率の在り方が変わるのは当然です。私は、低成長下で労働分配率が上がるのは、利益の上がりが落ちていけば自然に賃金同じでも分配率は高まってしまうわけですから、問題は、総需要が低迷しているから、それで売上げが落ちて利益が落ちて分配率が高まるということはあるわけですから。この間、また下がっていますよね、分配率ね。 ですから、いろんな話をされますけれども、根本的にはちょっと今の構造改革では景気は良くならないんではないかと度々指摘させてもらっていますが、そのことを指摘して私の質問を終わります。
○大渕絹子君 今日は、塩川財務大臣に私と厚生労働省とのやり取りを聞いていただいて、来年度予算編成に当たりまして児童扶養手当の見直し、更なる見直しを是非やっていただきたいという観点で質問させていただきますので、恐れ入りますが、聞いていていただきたいというふうに思います。 実は、今週の日曜日ですけれども、新潟県では第四十四回の母子寡婦福祉大会というのが行われました。私も招かれてそこに参りまして、しかし、今年ほど気持ちが重たい気持ちで参加した会はないんですよね。 なぜ重たいかといいますと、今年の八月から児童扶養手当が大幅に改正をされる。予算措置で変えるということで、法案で変えたわけではないのですけれども、所得制限を予算措置で変えることができるという状況の中で大幅な削減になっているという状況がありまして、そのことを、母子家庭のお母さんたちが集まっている大会ですからもう全部御存じの方たちでございまして、政治家としてそれは強い非難をいただくということになるわけでございまして、なぜこんなことが行われるのかというのを私は不思議でなりません。 これほど少子化時代になって子供たちが社会全体で大切に育てられなければならない時代ですのに、一番弱いところの母子家庭に扶養手当として支給されていた部分を大幅にカットしてくるという、正に小泉さんの構造改革あるいは財政改革は一番弱い者を直撃しているんではないかと、こんな思いが強くいたしまして、その会場で、役員の方たちもそうですけれども、全体の空気の中で政治家に対して非常に非難のまなざしを受けてきたところでございます。 そこで、厚生労働省にお聞きをいたしますけれども、八月から母子家庭の児童扶養手当が大幅に改正をされましたけれども、その目的についてまずお聞きをいたします。
○政府参考人(岩田喜美枝君) 母子家庭対策についてですが、厚生労働省におきましては、母子家庭をめぐる近年の様々な状況の変化がございますので、そういう状況の変化に的確に対応しつつ、何よりも母子家庭のお母さんたちが自立をする、そのことを支援するということが大事であるというふうに考えております。 そういうことから、母子家庭の母親の就業支援、そして、子供さんを育てながらの就業ですから育児に対する支援、別れた夫からの養育費を確実に確保するというそういう対策、そして国による児童扶養手当などによる経済的な支援、それらを総合的に講じまして母子家庭の自立を促進する、そういう方向で母子家庭対策を展開をしていきたいというふうに考えているわけでございます。そして、この通常国会に母子寡婦福祉法の改正など関係法案の改正案を提案させていただいているところでございます。 今、先生が御指摘の今年の八月からの児童扶養手当制度の改正は政令改正で行うということでございまして、具体的に申し上げますと、母子家庭のお母さんたちにお支払いする児童扶養手当の額についてですが、就労による収入が増えるにつれて少しずつ手当額も逓減をして、働くことによって得られる収入と手当額を総合した総収入ですが、総収入が常になだらかに確実に増大するという、そういう形になるような設計にしたいということで今回改正をいたしたものでございます。 就労による自立促進ということを児童扶養手当制度の枠組みの中にもそれをビルトインするという、そういう趣旨の改正でございます。
○大渕絹子君 自立支援と言えば誠に聞こえはいいわけですけれども、現実的に、今現在支給をされている母子家庭の児童扶養手当で、それでは八月からの改正で増額になるところが何%、減額になるところが何%、変わらないのが何%、これを教えてください。
○政府参考人(岩田喜美枝君) 今のお尋ねでございますが、収入、これはお子さん一人で給与所得者のケースについてでございますが、収入ベースですと、百三十万未満ですと児童扶養手当は全額お支払いをし、それを超えますと、三百六十五万円未満までの間、徐々にその額を逓減し、最後は一万円というのが一番小さい額でございますが、そういう制度改正をすることといたしております。 その結果、従来と比べまして金額が変わらない、従来どおり全額の児童扶養手当をもらわれる方が五一%強でございます。逆に、従来よりも減額になるという方が四六%、そして増額になる方は、少数でございますが、三%程度という見込みでございます。
○大渕絹子君 その増額になる三%というのは、三百万円から所得制限を三百六十五万円に切り上げたことによって、このところの切り上げた部分のところが増額になるだけだというふうに私は思っています。ですので、実際には大幅な切捨て、減額になる人たちが四六%もあるということで、非常な切捨てになるというふうに、今御答弁をいただいたとおりだというふうに思いますね。 それでは、母親の収入の調査結果を知らせていただきたいと思います。百三十万円未満までが満額の支払者になるわけですけれども、百万円未満の人たちあるいは二百万円、三百万円、五百万円というぐらいの区切りの中で、全体の構成でその母子家庭の母親の収入は一体どんなところにあるのかということを教えてください。
○政府参考人(岩田喜美枝君) 今、先生がお示しになられました収入区分とは違った形でのお答えになって恐縮でございますが、厚生労働省では五年に一回、全国母子世帯等調査というのを行っております。直近の数字が平成十年の調査結果でございまして、調査対象は九年の母子世帯の収入状況でございます。 これを第一・四分位、第二・四分位、第三・四分位として見てまいりますと、第一・四分位、これは、所得の低い方からの分布で見た場合に、低い方から四分の一に当たる方が年収が百十八万円、第二・四分位、これは中央値でございますが、これが百九十四万円、第三・四分位、これは下から四分の三の分布に当たる方でございますが、ここが二百九十一万円という、こういう収入の分布になっております。
○大渕絹子君 私の方の資料では、百万円未満の人が全体構成の大体一一%、それから百万円から二百万円分布が三〇・六%、ここのところが今一番打撃を受けるところですよね、百三十万円から上の人たちが減額をされるわけですから、そういう状況ですね。それから二百万から三百万で二一・九%、それから三百万から五百万円までの方が一七・九%、五百万円以上の人が七・六%、全く収入がなく生活保護等の対象になっていられるのかどうか分かりませんけれども、回答がないというのが一一%ぐらいになっているという状況でございまして、この統計分布から見ても、今回の厚生省の改悪は低額の収入しか得られない家庭により多くのしわ寄せが来るというふうに思います。 先ほど、今度は一万円収入が余計になると十七円ですか、減額になるんですね、百九十幾らでしたかな。総所得が百三十万円から一万円多くなる、百三十一万円の収入になると、その一万円増えたがために母子扶養手当が削られるんですよ。そして二百万円まで行くと、何と、今支給が四万二千三百円が一人当たりの全額の支給なんですけれども、その二百万円を稼いでいる人たちは今よりも一万一千九百円減額されるんです。 今度の厚生省の案は、お母さんの収入が上がれば上がるほど児童扶養手当は低くなっていくわけで、毎年昇給を楽しみに働いているお母さんたちは、昇給されればされるほど児童扶養手当が減額されるという全く情けない制度になっているんですけれども、このことに対して厚生省はどうお答えになりますか。
○政府参考人(岩田喜美枝君) 改正の前の現在の児童扶養手当制度は、やはり所得に応じて手当額が決まっておりますが、これが二段階でございます。全部支給と一部支給ということで、全部支給の場合には月額で四万二千円強、一部支給の場合は二万八千円程度だったというふうに思いますが、二段階という、大変階段が大きいわけですね。ですから、ある所得を超えるか超えないかでもらえる手当の額が、そのある所得を超えた途端に激減するということがございますので、今の制度のままですと、就労によって得られる収入が増えると手当額も含めたトータルの総収入では逆に減少するという逆転現象というのが起こるという、そういう仕組みになっております。 そういうことで、働こうと、そして収入を増やそうという意欲をその境目のところでは減殺してしまうという、そういう仕組みになっておりますので、そういうことがないように、先生の今の例ですと、例えば年収が一万円増えると手当は年収に換算して二千円程度減額させていただいて、そしてその所得、総収入トータルでは八千円増えるという、こういう形の、大変大ざっぱな御説明でございますが、そういう仕組みにさせていただいております。
○大渕絹子君 そうなんですよ。一万円給料が増えると二千円減らされて八千円、総収入で八千円だけしか増えたことにならないんです。こんなばかなことはないじゃないですかと私は思うんですね。 それでは厚生労働省に聞きますけれども、今、母子世帯数が非常に多くなっていますよね。結婚してもなかなか添い遂げることができない。多様化しているわけですから離婚をする方、離婚を選択する方も非常に多くなっていますけれども、ここ近年、直近五年ぐらいにですけれども、母子家庭の増加率というのはどんなふうになっていて、今、全国でどのくらいの世帯数があるのか、実数で答えてください。
○政府参考人(岩田喜美枝君) これも、厚生労働省が五年に一度実施しております全国母子世帯等調査によりますと、直近が十年の調査ですけれども、母子世帯の数は九十五万四千九百世帯でありました。その前の調査が平成五年の調査ですけれども、七十八万九千九百世帯ということで、五年間で二割の増加になっております。そして、この九十五万四千九百世帯のうち、離婚によって母子家庭になった方が約七割いらっしゃいます。 一方、離婚件数は毎年把握できますけれども、この離婚件数の直近の数字は十三年でございますが、これが約二十九万件、その一年間に離婚した件数が約二十九万件で過去最高になっております。 そして、離婚の際に、かつては夫の方が子供を引き取るということが普通であった時代もありましたけれども、今は妻の方が子供を引き取る、その児童の親権を行使するというのが多くなっておりまして、こういう方が八割となっております。 こういうことを背景といたしまして、離婚が増えている、そして離婚すれば多くの場合はお母さんの方が子供を引き取るという、こういう状況にございますので、これが近年の母子世帯の増加の背景にあるというふうに思っております。
○大渕絹子君 その背景を踏まえて、大臣、こうして増えるから、もうお金を払っていけばなかなか財政が困難になるということでこういう改悪が堂々となされるわけなんですよ。そうすると幾ら、女性が子供を引き取るというのはごく自然の成り行きだろうと私は思いますので、そういうことができるためにこの母子扶養手当というのがあって、これまではかなりの支援の力になってきたというふうに思うのですけれども、こうして改悪をされ続けていきますと、なかなかそういうことがこれから先は難しくなってくるという状況にあるというふうに思うんですね。 ですから、私自身は、子供というのは、せっかく生まれてきた子供というのは社会全体で育てていかなければならないという責務があると思います。そういう中で、お母さんと子供で生活をする人たちにとって本当に最低限度の生活は、最低限度は保障していると、百三十万円にあと五十万ですから大体百八十万円ぐらいは母子家庭に行くのだから大丈夫ということはあるかもしれませんけれども、より良い生活を求めたり、あるいは子供たちをより学歴の高い学校に行かせてあげたいというように思う場合には、貯金もしていかなければ全然間に合わないわけですけれども、そうしたことが可能になるように母子扶養手当というのはより充実をしていかなければならないと思うにもかかわらず、今回のようなこうした四六%もの人たちが減額になるという厳しい状況に追いやられているということに私はもう本当に遺憾だと、政治がないというふうに思うわけです。 じゃ、厚生労働省はこの減額になった家庭に対してどのような手当てをするんですか。今まで満額もらえてようやく生活ができていた家庭に、今度は八月分からですが、十二月からの支給ですよね、支給額は。そうしますと、そこは生活できない状況になるんじゃありませんか。そのことに対してどのような支援をするんですか。
○政府参考人(岩田喜美枝君) 今回の児童扶養手当制度の見直しによりまして、手当額が実際に減額になった方で生活にお困りの方が出た場合のことを、そういった方に対してどうするかというお尋ねでございますが、母子福祉資金貸付制度というのがございまして、それを今回拡充をするということで対応させていただきたいというふうに思っております。減額となった方々に対しまして、無利子で借りやすく、そして返済しやすい特例児童扶養資金を創設をするということにいたしております。 そして、直接のお尋ねでなくて恐縮なんですが、先ほど改正法案を国会に提出させていただいているというふうに申し上げましたし、また十五年度予算要求でも要求をさせていただきたいと思っているわけですが、この手当の減額だけではございませんで、いかに就業支援をするか、子育て支援をするか、そちらの方にむしろ資源をシフトして自立支援の方を力を入れて従前以上に頑張りたいと、そういうことで、トータルで見て母子家庭のお母さんたちの生活の安定と自立の促進を図りたいというふうに考えているところでございます。
○大渕絹子君 働きたくても、普通の家庭の奥様でも働く場所というのは誠に少ないわけですよね、今の失業率が高まっている状況の中で。就労支援といっても、なかなか厚生労働省が思うような形で手厚く手当てができていないと。現場に行ってみれば分かりますけれども、本当にお母さんたちは苦労をしているということをまず分かっていただきたいと思います。 そして、貸付金の話ですけれども、貸付金で過去に借りてしまっていて、返せなくなってしまっている母子家庭というのがもうたくさんあるんですよね。その上に更に、じゃ減額された部分貸しますよ、無利子だから借りてくださいと言って、福祉大会に来ていたお母様たちの中からも、借りるといったって借りられないんだよね、返す当てないんだものということなんですよ。そんなところへ幾ら増やしていただいても利用できないという、全く利用できない。 建前と表向きだけは何となく整合性がそろったような形で自立支援なんだと。もう働く就労先の紹介もするし、職業訓練の実費についても費用負担をしてあげましょうと。お金足りなかったら無利子だから借りてください、どうぞと、こう言っていて、大丈夫なんだというふうに見えていますけれども、実際には全くそうでなくて、今までもらえていた四万二千三百円の児童手当のお金が大幅に減らされる家庭が出てくるということだけはこれは現実でございます。 塩川大臣、こんなことが予算措置だけで行われたんですよ、今年。だから、来年の十五年度の予算編成のときに、これは少なくとも元に戻していただかなきゃいけない。さっき、断層が二段階になっていて、その断層のところで今度は就労の意欲がなくなるようなことをおっしゃっていますけれども、その断層のところは二百四万なんですよ、差のところがね。今度は百三十万円のところで段が切られちゃっているんですよ。こんなばかな話はないんです。是非ここは考えていただいて、社会全体で、少子化時代で、本当に優しく政治の力で子育てをしていくという思いを込めて今日私は取り上げていますので、塩川大臣の前向きな御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(塩川正十郎君) これは聞きまして、実はもうびっくりしているような数字なんですが、私の周辺にはそういう母子家庭というのは余りないものですから実情を知らなかったんですけれども、今聞きまして、五年間で母子家庭が二割増えている、二〇%増えると、これはえらい急激な話なんですね。しかも、一年間で二十九万件なる母子家庭、離婚が増えているというの、これ。これはやっぱり社会全体の問題があるんだと思いますよ。 ですから、これは給付の問題だけでこれは解決できるものじゃないと思いますよ。しかも、これは要するに、母子手当というのは一種のセーフティーネットとしてやっているものですから、やっぱりセーフティーネットであるとするならば、自立をしていけばそれだけのネットはやっぱり薄く、利用の度は薄くするというのもこれはやっぱり社会に対する常識だろうと私は思います。 おっしゃることはよく分かりますけれども、そうならば、就労の努力をしないという人は、これは現状維持若しくは増えるかも分からぬと、こうなってしまいますし、そこらの問題はやっぱり一回社会問題として、これ予算の問題じゃないと思います、社会的な……
○大渕絹子君 予算の問題ですよ。
○国務大臣(塩川正十郎君) いやいや、私は、予算だけの問題で片付くものじゃない、どんどん増えていったら、これどうするんだ、そう思いますよ。 ですから、これは社会の風潮の問題等もいろいろあるし、こういうようなことも考えて、予算だけじゃなくて、一回これは社会学者とも、いろんな方と相談して考えてみます。
○大渕絹子君 それは大臣、予算の問題なんですよ。いや、予算額を削らないでやっていただきたいですよ。それはもう是非是非、そんな風潮の問題だとかじゃないですよ。皆仕事を探していますし、それはより向上心を求めながら母親たちは真剣に頑張っているのに、こんな冷たい政治はないと思います。
○国務大臣(塩川正十郎君) 何でこんなに離婚増えるんでしょう。そこはやっぱり社会の問題として見てもらわないと。こんなに、私は自分の周辺にいないから余り知らないですけれども、どんどんこんなにえらい増えておると、僕は本当、数字見てびっくりしたんですよ、これ。
○委員長(山下八洲夫君) もう時間でございますので、最後にしてください。
○大渕絹子君 済みません、もう終わります。 離婚をするのはいろいろな事情があって離婚をされるわけで、その離婚をした後、母子家庭になったその状態からこれが適用されるわけですから、離婚が多いことと母子扶養手当が減らされることとは全く私は違うというふうに思いますので、是非是非温かい政治をお願い申し上げます。 終わります。(拍手)
○椎名素夫君 今日は一般質疑でありますので、少し最近、自分でも頭の整理が付かないことについて伺いたいと思っております。
○委員長(山下八洲夫君) 御静粛にお願いします。
○椎名素夫君 今度、補正予算やるかどうかとか、あるいは税制の改正をどうするかというのが非常に大きな問題になっておりますね。それがどうのこうのというんじゃなくて、財政の構造というか、それから税制、両方にまたがるいろんな仕組みについて、考えれば考えるほどよく分からないことが出てきましたので、ちょっと教えていただきたいんですが。 先週、衆議院から回ってきて参議院通過いたしましたけれども、離島振興法というのが通りました。あれは、そもそもの最初は昭和二十八年、私に即して言えば、私の父が初めて選挙に出て落ちたという、もう昔々の話なんですね。それが時限立法なんですが、延長して、延長して、延長して、来年の三月には期限が切れる、だから延ばそうということになっている。これは何も離島振興法だけの問題じゃありませんので、ある地域を指定して、そしてあなた方は特別だからいろいろと面倒を見ようという趣旨の、地域を指定して特別扱いをいろんなことでしましょうと。例えば補助金の負担率を少し低くするとか、普通の規則よりも。あるいは税金の面でも、何かこういうことをやればその控除を大きくしてあげようとか、免税とかいろんなことがあります。これみんな善意から始まっていることだと思うんですね。 もう数え上げたら切りがないと思うんですが、例えば離島だけじゃなくて半島というのもありますし、それからもちろん有名な過疎法というのがありますし、水源地域対策、電源立地をやったところはどうするこうする。こういうのを並べていくと、余り大物で忘れちゃうんですが、例えば北海道というのは、これやっぱり特別扱い。北海道開発庁まで作って、道庁と二本立てでやるというようなことになっている。沖縄ももちろんそうであります。 それから、それでずっと見ていくと、要するに、ある地域を指定をしてそこで特典を与えるというような精神でできた法律というのはたくさんあって、一時はリゾート法なんというのもあった。まだもちろんあるわけで、それによって恩典はまだ被り続けている場合もあるようです。それから、テクノポリスなんというのもあるし。 こう考えていくと、それぞれの地域、その指定されたところの人は、私のところは特別扱いをしてもらっていると、こう思って、またその管轄するお役所も、この法律があるからあんたのところに予算を持ってこられるんだよと言い、それから国会議員もそんなことを言ってやっているようですが、考えてみると、日本全体でこういう地域の指定から外れているところはないんじゃないかと思うんですね、一坪も。そうすると、一体これどういう意味があるのかということを考えますと、本当に分からなくなるんで、いっそのこと全部やめてしまって、日本振興法ということにでもしちまっても同じことじゃないかという気がするわけです。 これで大変忙しくなって、もちろん中央のお役人も忙しいでしょうけれども、地方の県庁だとか市町村の役所の人たちは、何かお金をもらうのにどれが当てはまるだろうかというのをもう一生懸命勉強して、先ほど何かの話で六百九十ページとかいう話がありましたが、それどころじゃない。もう万巻の書を読み、苦心しているというような、ある意味では大変な無駄遣いがこの結果生じてしまっているという気がするわけです。それがみんな既得権になっちゃっている。 ですから、大きなまとめた話で、予算を今年はどうしよう、来年はどうしようというような話がありますけれども、その中にそういう構造がずっと全部埋め込まれているために、しかもやめるわけにはいかない。 インターネットのウエブをずっと引いてみますと、例えばその離島振興法にしても中山間地の何とかにしても、一つ一つ項目を引っ張り出すと、それこそ二千、三千出てくる。何が書いてあるかというと、大体、期限が来たときに是非延長してくれというのが全国から、都道府県から市町村から出てくるというような話になっていて、これじゃ忙しいなと思うんですね。 先ほど言いましたように、どうもよく考えてみると、まだ十分調べておりませんけれども、一坪といえどもそういう地域から外れているところはないというふうに私思うんですが、こういうことが、単にその事柄だけでなしに、あるいはその地域だけでなしに、心理的に、特例を認めたものが昭和二十八年から例えばずっと続いてくると、これはもう特例じゃないんですね。 ですから、表の法律はともかくとして、それから派生したものが既に日本の憲法にも近いものになっちまっている。それが、細かいところをずっと見ていくと、財政の予算を決めるところでも、末端のところの細かいところにずっとここに忍び込んでいる。そういう構造になっているというのが私のどうも感じなんですが、こういう状態について、大臣、どう思われるかということをまず伺いたいと思うんです。
○国務大臣(塩川正十郎君) 今おっしゃることが実際は一番国と地方との在り方についての問題点になっておりまして、私もおっしゃることはもうそのとおりでございまして、私の現におります大阪の地域なんか二重に指定地域が掛かっておるから、どっちがほんまなんだという、そういうこともございます。いわゆる商業団地の地域指定が掛かっておって、そして市街地再開発法の指定が掛かっておってと、何か二重、三重に掛かっておるようなところで何をやったらいいんだとなっています。 そこで、政府もこれは一回整理せにゃいかぬということになりまして、まず第一に都市再生法というのがありまして、都市再生本部ができました。これを一つのきっかけにして、新産・工特とかいうような指定がございますね、それから離島振興とありますね、そういうのを一応整理していこうということの準備に掛かっておりました。そして、それをやっていくのに、そのことと併せて、国と地方との役割分担と同時に財源の配分をしていく。そして、地方はもう一度そういうふうな規制を見直してしまって、取っ払ってしまって、地方独自の計画を作らすようにしようではないかという、このことを発想いたしまして、その具体的な作業に取り掛かってきておるところなんです。その一つとして、財源配分から入れというやり方があるし、分権から入れというやり方もありますので、そこらは総務省を中心にしてまとめていって、それを国土省と話合いしていきたいと。 御指摘されたところは、もう正に一番問題点であるということを私からも報告しておきたいと思います。
○椎名素夫君 今お示しいただいた方向というのは、誠にもうそのとおりであると思うんですね。分権、それから財源の配分、それから役割分担というのは。それを本当に早くやれば、こんなものほとんど要らなくなってしまうんじゃないかと。 例えば、東京大都市で、都市で集めた税金をよそにみんなやっちまうのは悔しいというふうな話をしていますが、離島振興法というのはまたこれ東京都でも利用しているんですね、島がありますから。もう複雑怪奇で、とにかく一か所に立ってみると、自分のところは過疎で中山間地で何とかで何とかでというような話で、何か一体、元の原則というのは、言わばばんそうこうを張り付けてしまったために見えなくなっちゃっている。是非ともこれは、作業に掛かっていただいているというのは心強い限りですが、そういうことはもうやめるということをどこかでおっしゃらないと、これ、止まりませんですよ。是非お願いをいたします。 ついでにというか、それと同じようなことが税制にもあるんだろうと思います。 この間から、今はまだ解決着いていないかと思いますが、税の三原則の中の真ん中のところは、中立であるかあるいは活性化であるかというふうなことで、大いにその原則の哲学が違うというふうなことを言っている。だけれども、考えてみるとこれにも特例があって、租税特別措置法というのがあって、それで通則から外れたことをとにかく積み重ねてやっているわけですね。幾つあるか知りませんが、大分整理したとおっしゃるけれども、本当にどれだけになっているのか、いろいろ読んでみたけれども分からない。分からないけれどもたくさんあります。 今、大変に日本の経済が危機で、これは経済構造を変えていかなきゃいかぬというわけで、しかしそれのためにもこのデフレみたいなことはどこかで止めなきゃいけない、景気を良くしなきゃもう話が始まらないということで、幾つか税の議論をなさるところはお持ちのようですが、そこで全体を見通したその骨組みみたいなものを作ろうという努力をしておられる。しかし、これはある意味では、私は日本はこのままつぶれるということはないと思いますので、少したって正常なところに戻ったときに、本当にどういうような税制にするかという一つのビジョンというものがなきゃいかぬのでしょうね。 そうすると、そのときに、やっぱり活性化なんて話じゃないと思うんですね。これは、日本は市場主義で経済を運営するとしたら、やっぱり中立というのはそのときには非常に重要な原則になる。しかし、今この状態で中立中立と言っていると大変に硬直しちゃってどうにもならぬという声が非常に大きいから、財政諮問委員会ですか、あそこでも、何とかの減税やれとか、こういう特別措置をやってくれとかいう話が出てくる。しかしそれは、さっきの地域指定と同じように、一回入れてしまうと居座るものだから、通則に対する特別措置じゃなくて、通則そのものになって居座ってしまうおそれがあるということをまじめな方はお考えになるために、中立だと、もうあくまでも、そんな税制を活性化とか景気対策に使うなんてもってのほかだというような議論になっちゃう。 ですから、これ二つを概念としてきちっと分離してお考えになるということはできないものかと思うんですね。やっぱり、特例という言葉にはどういうことがあるかというと、あくまでも原則があって、それから外れる特別の例だということの、ニュアンスとしては臨時特別。したがって、あるところである効果が上がったらやめるというものだと思うんです。そうでなかったら、みんな租税の通則を全部改正してしまうのと同じことですから。ですから、どうもその二つの間の区別をしないで一緒くたにして議論しておられるので、理念の違いとか皆さんがおっしゃるようなことが出てきているんじゃないかという気がするんですね。そこを少し整理していただけないか。どれがどうだかそんな分からなくなっちゃう。例えば、景気が直ればこれはもうやめる。しかし、今は危急の場合であるからこの特別措置は設けるけれども、デフレ脱却のための目的でこれはやりますとか、あるいは景気回復のための目的でやる。ですから、その進歩の度合いをどこかにターゲットを設けて、ここまで来たらやめますとか。 何となしにこの時限立法というのは、さっきも申し上げたようなことで永遠に生き続けますので、それが分からないと、ばんそうこうを張った中身は観音様なのかお釈迦様なのか全然わけが分からぬと。日本の税制ってどうなっているんだというと、何かばんそうこうを張ったようなものがどんと置かれる。それから予算というのはどう作るんだと、これもまたばんそうこうを張ってある。そこのところはその下地が見えるような形に説明をなされるように整理していただきたい。これは是非お願いをしたいと思いますが、御感想があれば、これでおしまいにいたします。
○国務大臣(塩川正十郎君) それは一番中心的な政治のテーマに今なっております。もう、要するに一度特別措置法とか特例法通りましたら、それは既定の権利になっちゃいますので、そこの整理は果敢にやっていかなきゃならぬと思っておりますが、それにはやっぱり、官僚中心主義のこの行政、そしてそれを反映してきた規制だとか予算とかいう、そこから脱却して、是非ひとつ政治主導に戻していきたいと、こういうことが一つ根本にございますのと、それからもう一つは、やっぱり大きい目標をどこに置くかということです、冒頭言われましたが。目標は私たちは小さい政府なんですけれども、本音はやっぱりだんだんだんだんと大きい政府になってきているということは、そこらがより一層複雑にしてきていると思っておりますが、御指摘ありましたことは一つの大きいテーマとして絶えず考えていきたいと思っております。
○椎名素夫君 ありがとうございました。
○委員長(山下八洲夫君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後二時五十七分散会