財政金融委員会 第8号
- 発言数
- 224 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2002/03/28
会議録
○委員長(山下八洲夫君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 平成十四年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に金融庁総務企画局長原口恒和君、金融庁検査局長五味廣文君、総務省自治税務局長瀧野欣彌君、財務省主税局長大武健一郎君、財務省理財局長寺澤辰麿君、国税庁課税部長村上喜堂君及び中小企業庁次長小脇一朗君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下八洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(山下八洲夫君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行総裁速水優君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下八洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(山下八洲夫君) 平成十四年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○櫻井充君 おはようございます。 民主党・新緑風会の櫻井でございます。 ちょっとこれ通告していないんですが、基本的なそもそも論なのでちょっと教えていただきたいんですが、租税特別措置法の第一章の第一条に趣旨がございまして、その中に、「この法律は、当分の間、」とあります。「特例を設けることについて規定するものとする。」とあるんですが、この「当分の間」というのは一体どのぐらいの期間を指すものなんですか。
○政府参考人(大武健一郎君) お答えさせていただきます。 法律上、当分の間というのは、時限が定められておりませんので、そのまま言わば審議がありません場合にはずっと継続してしまうということはございます。
○櫻井充君 本来、税というのは公平、中立、簡素というんですか、これをもって、これを基本原則としているわけであって、この租税特別措置法というのは特例を設けるわけですから、ある一部の人たちが有利になってくるという点から考えてくると、その中立性というものは失われることになるんだろうと思うんです。そうすると、その中立性が失われるものが議論がなければいつまでも続いてくるというのは、基本的にはその税の大原則から外れてくるんじゃないかと思います。その点についていかがでしょうか。
○政府参考人(大武健一郎君) お答えさせていただきます。 正に先生の言われるとおりでございまして、今日にありましては、ほとんどの租税特別措置は具体的に二年とか三年とか、時限を更に別に付しているところでございます。
○櫻井充君 今日は実は、こういう政策税制を行ってどの程度効果があったのかということを質問させていただきたいと思ったんです。 ただ、そこの中で、平成十年とかの法人税制とかを調べてみますと、基本税率の引下げとかもこの租税特別措置法で扱われているわけですよ。基本税率の引下げということになってくれば、これは当分の間やってくるものではないんだろうと思うんです。こういうものを租税特別措置法で本当に扱っていいものなんでしょうか。
○政府参考人(大武健一郎君) 十一年度におきます所得税、法人税の改正は、租税特別措置法という形ではなくて、恒久的減税法という特別法を作らせていただいて、今次の景気状況に応じてということで改正をさせていただいたものだということでございます。
○櫻井充君 そうすると、これは、いただいた資料は、すべてが租税特別措置法の中に、この概要というのは全部が全部含まれているというわけではないということですね、そうすると。
○政府参考人(大武健一郎君) そのとおりかと存じます。
○櫻井充君 そうしますと、平成十四年度のストックオプションの税制の拡充というのがありまして、昨日、これはどうするんですかと聞いたら、年限を区切っているわけではないというお話だったんですよ。こういうものは、そうするとどういう扱いになるんですか。
○政府参考人(大武健一郎君) 今度の十四年度の改正に関しましては、そういう恒久的減税法のようなものはございませんので、正に現在御議論いただいております租税特別措置法等の一部改正法の中でやらさせていただいていると。この留保金課税の軽減というのも、基本的には、やはりこれからの正に抜本的に改正をさせて、議論をさせていただこうと思っております法人税と所得税の関係をどういうふうに調整するかというテーマでございますので、今、正に当面の改正として軽減をさせていただいているということで租税特別措置法に入れてある。 ただ、この辺りの改正につきましても、むしろ今後、抜本的にどういうふうに税制を組んでいくかということを今後検討して更に改正を考える、あるいは改正しないで元へ戻す、そういうことを含めて議論をさせていただこうと思っているために租税特別措置法で規定させていただいているということでございます。
○櫻井充君 そうすると、非常にまた大事になってくるのは、このものが効果があったかなかったかということを判断した上で、恒久的なものにするのかどうかということにするということになりますね。
○政府参考人(大武健一郎君) この留保金課税に関して申し上げますと、何でこのような課税が行われているかということにも実は絡みます。 実は、法人税の中小企業の税制で申し上げますと、いわゆる八百万円までは二二%という軽減税率である。それに対して個人の方でいうと、最高税率は三七%である。そこに、個人で経営形態を取るか、法人という形態を取るかで格差がどうしても残ってしまう。そうすると、ある意味でいうと、個人でやるよりも法人成りをするというような行為につながる可能性がある。そこで、やはり個人としてどういうふうな位置付けにするか、あるいはさらに、それを抱えておいて個人の所得にしないで会社に留保しておく方が課税が小さいということなものですから、この辺りを勘案してこの課税制度はできております。 ただ一方で、正に今回そうであるように、ベンチャー企業とかそういうところへの配慮をするという観点からこの軽減をした。 ただ、今後の改正において、所得税、法人税相互の在り方、さらには所得税における控除の在り方、そういうものを見直す中で、税率も相互にどういう在り方がいいかということを議論いたしますので、そういう中でこの扱いも更に検討されていく、そういうことなのだろうと思っております。ただ単にこの制度がどの程度の効果だけでは、多分この次の改正のときはなくて、そもそも所得税と法人税の税率なり課税ベースを考えて見直していくということに多分なっていくかと思います。
○櫻井充君 ですから、この政策減税が、政策税制と言った方がいいんでしょうか、政策税制がどの程度効果があったのかどうかとか、そういうことをきちんと検討しなければいけないということですよね。 昨日、いろいろ話をしている中で、必ずしもすべてが、例えば平成十年なら平成十年に行われた税制改正に対してどの程度効果があったのかということについてすべて調査されているわけではないんですよ。ここが非常に大きな問題でして、今の、一部こうやっておきますと、やっておいた上で、後で恒久的にするかどうかということの判断をしますと言いますが、きちんとした形での政策的な評価がされていない中でどうやってやっていくのかなという気がするんです。 これは恐らくシステム的な問題があって、つまりはこの税制の仕組みを作った人とその実行されたときの役人はもう部署が変わっているんですよ、二年間ずつですから、大体は。そういうことがあるから、自分が政策を作った、実行した、それがどういう効果があったのかということを判断する前に人事が変わってしまうからなかなか政策判定ができないんじゃないだろうかと、昨日私はそういうふうに感じたんですが、この辺についていかがお考えでしょうか。
○政府参考人(大武健一郎君) お答えさせていただきます。 当然、減税あるいは一時的なことのみならず、税制をどうあるべきかというのは、先ほど先生が言われたとおり、公平、中立、簡素という税制に関する大原則、これを踏まえながらどうあるべきかというのを議論させていただいております。したがいまして、今申された留保金課税はもとより、いわゆるローン減税その他、ローンじゃなくて住宅減税その他、それぞれできるだけその時点でどういう政策目的と効果とを見積もるかということで議論はさせていただいています。 ただ、現実の社会現象なものですから、現実にそれがどれだけの効果があったかというのはなかなか、実はそうしなかった場合とした場合との両方を言わば検証することが難しいものですから、結果としてはやったその行為しか実は実績として出てこないという限界があって、実は非常に苦慮しています。 例えばアメリカのレーガン税制、一期、二期のそれぞれの税制改正でどういう効果があったかということにつきましても、例えば、先般、レーガン減税やった主税局長がアメリカから来られてお話を聞きましたが、その方も全く同様の問題で苦労したというお話を聞いております。 我々もできるだけその効果というのを見積もりたいんですが、非常に難しいということは御理解いただきたいと存じます。
○櫻井充君 社会的実験ができないということは重々承知しています。しかし、データの積み重ねがないと、例えば何か救急的な処置が必要になったときには対応できないんだろうと思うんですよ。 例えば、今回のこういう経験したことのないデフレ経済の中でどういうことをやっていったらいいのかということは、ある程度いろんなものを、これまでやってきたものを勘案して政策的に出してこなければ、ただ単純に出せばいいという代物ではないんだろうと思うんですよ。ですから、今いろんな要因があるとおっしゃいました。いろんな要因は結構ですが、そのいろんな要因の中でどの程度効いているのか効いていないのかということを判断されるというか、それはきちんと検討されるということが必要なことなんだろうと思うんです。 どこまでやれたのか、やれないのかという話になれば別なんですよ。最初から、昨日の話ですと、いろんな要素がありますからそれはなかなか難しいんですよと、最初にそう答えが返ってくるわけですよ。だから、そこはおかしいんじゃないかと思うんです。いろんな要素があって、その中で減税がどうだったか。それから、減税というか、減税に限って言えば、減税を打つタイミングにもよるでしょうし、それから減税の幅にもよるんだろうと思うんですよ。そういうものをすべて勘案していかないと、幾らこういう形で政策的な税制を打ち出してきたとしても効果は上がらないんじゃないだろうかと、私はそう思っております。 ここは議論しても、ある部分仕方がないと思いますので、人事も含めて、是非その辺のことはきちんと考えていただきたいと思います。 それで、まず平成十年度の税制改正の中で、ここにこう書いてあるんですが、「企業や消費者の経済の先行きに対する不透明感を払拭し、わが国経済の回復基調を確実で力強いものとするために、」、残念ながら確実で力強いものに今なっていないと思いますが、「所得税・個人住民税あわせて二兆円規模の特別減税を実施します。」と。この目的のためにこの減税を行ったわけですが、当初の目的は達成されているんでしょうか。
○政府参考人(大武健一郎君) この十年度の税制改正をやりまして、これはあくまでも特別減税で二兆円規模やらさせていただきました。さらに、御存じのとおり、景気の更なる悪化ということで二兆円規模の減税をすると。その後、十一年度に恒久的な、先ほど先生の言われたトータル、地方税も入れると六兆六千億円の恒久的減税を実施する、そしてそれを現在も継続しているというのが今の実態でございます。 そういう意味では、この特別減税自体、力強いものにするために一時的に行った減税そのものの効果というのを更に構造的にしていこうということが今日の、その次の年の税制改正につながっているというのが今の状況かと思います。 ただ、他方で、この減税自体によって、例えば所得税については国民所得比で言うと四・三%という極めて他の国に比して低い負担率になってしまっているという状況から、果たしてどういう税制をこれから作らなきゃいけないかという、そういうねらいとしての景気対策ということと併せて、正に先生が言われた税の役割、公平、中立、簡素という辺りからもう一度基本的に見直そうというのが今の動きであると。 したがって、それなりでこの十年度は不十分だったかもしれませんが、十一年度の改正で極力税としての役割で努力はしてきたというふうに思っているわけでございます。
○櫻井充君 分かっている範囲で結構ですから、その効果を教えていただきたいんです。今は今後の、何というか、決意を聞いているわけではなくて、目的があって、そのために行った、それがどの程度の効果があったのかなかったのか。 それから、恒久的な減税を十一年度から行いました。ここにも書いてあるんですけれども、要するに「経済社会の構造的な変化」とか、「国際化の進展等に対応する」というようなことからもこういう恒久的な減税を行いましたと。これでどういうふうに変わったのかなんです。 例えば、先ほどの個人消費なら個人消費の点でいえば、個人消費は毎年毎年また落ちているわけですから、このような減税が本当に効いているのか効いていないのか、もしこれをやっていなければ更に落ちていると判断されているのか。その辺について御説明願えますか。
○政府参考人(大武健一郎君) 今、先生から御質問になられた点については、十一年度の年次経済報告、これは今日でいえば内閣府に当たるところの報告に出ております。 一部ちょっと読まさせていただきますと、「耐久消費財や住宅に対する支出が持ち直しの動きを示している要因としては、所得減税や住宅減税等の政策面の効果が果たしている役割も大きい。」とありまして、ちょっと飛ばしますが、「勤労者世帯では、九八年二月、六月、八月を中心に減税が行われたが、」、これが先ほど言われた二兆円というその減税。「特に二月と八月ないしその直後に可処分所得の高まりがみられ、その数ケ月後に消費が盛り上がりを示している。」というようなことで、短期的に効果があったことは年次報告書には十分記されているところであります。
○櫻井充君 短期的なものではなくて、こちらの恒久的な減税に関してはどうなんでしょうか。つまり、この減税分が結局は消費に回らないで貯蓄に回っているんじゃないだろうかという、そういう指摘もあるわけですが、この辺に関してはいかがお考えですか。
○政府参考人(大武健一郎君) その当時の状況で言うと、これも「九八年半ば以降、消費支出の前年比マイナス幅が縮小している。」ということで、可処分所得の高まりと併せてなっているということにはなっています。ただ、それが今日までどのような形で効果を果たしているかということは、我々としてまだ検証できていないところであります。 そういう意味でも、正にこの十一年度に行った恒久的減税を含めて、今後、税制としてどう言わば考えていくかということが求められているというふうに思っているわけでございます。
○櫻井充君 これはいつごろまで検討されるんでしょうか。これはかなり大きな問題なんだと思うんですよね。 つまり、財政再建をやっていかなきゃいけないということから考えてくると、本当に減税かというようなことになってくるのか、それとも、景気対策として個人消費を伸ばすために有効であると考えれば、そのまま継続することになるんでしょうし、その辺の判断はいつごろまでなされるんですか。
○政府参考人(大武健一郎君) 今日、総理から、正に税制の抜本改革の基本的な在り方を一応考え方として六月にまとめて、その中から、本来、来年度の税制改正なりでやるもの、これはむしろ活性化というような観点も踏まえたものを含めて、どういうものがあるかを検討しろという御指示をいただいているところでございます。 そういう意味では、これ自体が今後どういう在り方がいいか、望ましいかということもそうした中で検討していくべき課題だと思っているところでございます。
○櫻井充君 済みません。いつごろまでかと、そういう目安もないんでしょうか。時期的なものです。
○政府参考人(大武健一郎君) それは、やはり今申し上げたとおり、大きな税制の在り方を六月ごろまでに検討をさせていただいて、そしてその次の十五年度の税制改正のときにはこうしたものについての判断もしていく、どういう税がいいかを考えていくということになるのかと思っております。
○櫻井充君 どういう税がいいのかという点でいうと、所得の再分配機能というんですか、それは今ほとんど税が効いていなくて、社会保障の方で、社会保障の方が何倍でしたか、昨日数字を見せてもらったんですが、たしか六倍から八倍程度、その前後ぐらい、圧倒的に社会保障の方が再分配機能を持っているということになっているんだと。ですから、大きな方向性というのは、そうしてくると、再分配ではないとしてくると、この辺、どういう税制であるべきだとお考えなんですか。
○政府参考人(大武健一郎君) 正にそこが現在、政府で取り組んでおります構造的な税制改革の基本理念につながる部分だろうと存じます。正に今そこを議論しています。公平、中立、簡素と、この中立がある意味でいえば活性化とかそういうことでいくべきだという御議論もありますけれども、いずれにしましても、その理念上、税でどこまで公平という観点、これを貫いていくか。一方で正に簡素というものも重要でございますから、そうしたものを議論の中で決めていくということになると思っております。
○櫻井充君 現時点でどの辺まで議論されているか、その辺は分からないんでしょうか。
○政府参考人(大武健一郎君) 実は、ここは我々というよりは、税の骨格というのは人間生活あるいは社会生活そのものにかかわります。正に、先生が言われたように、社会保障の在り方、老後保障の見方というものにもつながってまいります。個人、家族、地域、国家、それぞれがどういう役割をするかということにもつながる基本理念を今、正に内閣府の下で、経済諮問会議の方でその概念を御議論いただいています。そういう基本理念を踏まえて、それじゃ税としてはどう受け取るか、社会保障制度はどうしていくかというような協調していくことになっていくというふうに思っております。
○櫻井充君 そうすると、まだ検討中で何も分かっていないということなんでしょうか。 それでは、十年度の土地・住宅税制についてお伺いしたいんですが、このときに土地税制としてここにこういう形で書いてあるんですが、「長期にわたる地価の下落、土地取引の状況などの土地をめぐる状況や現下の極めて厳しい経済情勢にかんがみ、地価税の課税停止、土地譲渡益課税の軽滅、買換え特例の拡充など思い切った措置を講じます。」と。思い切った措置だったんだそうですけれども、これでどの程度の効果があったのか教えていただけますか。
○政府参考人(大武健一郎君) 今の御質問でお答えしますと、これも当時のいわゆる土地白書なりいろいろ出ておりますところを申し上げますと、やはり、例えばこうした改正を行ったことによりまして、ある意味では、三大都市圏を中心とした土地取引件数というものが平成十年を底として、十年以降増加に転じているということにはなっております。 ただ、そもそもこれも土地というものが何で取引されるかという実は問題があって、地価の下落の中で果たしてどの程度土地を購入するかという問題があるかと思います。それから、他方で税制の方も、譲渡益課税なりそうしたものを軽くするということが、先ほど申した公平、中立、簡素という勤労所得とのバランスというのも考えなければならない。その辺を勘案しながらやはり決定していくと。その中で、十年度の改正というのは、御存じのとおり地価税というバブル期に作りました税を停止するということをやったものですから、正に税制としては、所得、消費、資産のバランスの上で作られた税を停止するという意味では抜本的な改正という意識で書いてあるのかと存じます。
○櫻井充君 これは、今おっしゃったとおり、バブル期に問題があったのでそのときの税制を引き下げたというだけなんですよね。つまり、バブル期以前に戻しただけでして、結果的には「拡充など思い切った措置を講じます。」の中には入ってこないんだろうと思うんですよ。あの当時の土地の上昇を抑えたりとか、そのためにこういう税制を掛けているわけであって、バブル期以前にただ戻しただけなんです。これで果たして政策税制として有効であると考えられるのか。その辺はいかがですか。
○政府参考人(大武健一郎君) 正に、先ほど先生が言われましたとおり、税はある意味でいえばある政策目的のためだけにあるものではないので、公平、中立、簡素といういわゆる税の基本理念に沿って、果たしてどこまでそれを軽減するのがいいかという議論をやはりしていかなければならないものだと思います。ある意味でいえば、税のバブル以前の状況にまず戻した、じゃそこから本当に更にどうするかというのは、そうした負担感、国民の公平感、そうしたものの中で全体として正にこれから検討するということかと思います。 ただ、土地みたいなものについて、果たしていわゆる地価の下落というものを税だけで止めるということが可能かどうかということにも実は掛かっているわけで、正に政策のツールと目的との関係をよく検討しながら、今言った税の公平や中立、簡素といったものとバランスを取りながら考えていく課題かと存じております。
○櫻井充君 公平、中立、簡素とおっしゃいますが、少なくとも租特の場合には特例を設けていくわけですよね。ですから、中立の部分から外れても仕方がありませんねというのが基本的な租特の考え方ではないんですか。違いますか。
○政府参考人(大武健一郎君) 正に、先生言われるとおり、極力、租税特別措置というのは我々税をつかさどる者からはなくしていきたいものだと思っています。ただ、そこは他方で、社会通念上といいますか、租税の原則というのは御存じのとおり企業会計なり税務会計の確定決算主義というのを取っておりますから、その決算の原則から、会計原則から外れるのは基本的に租税特別措置でやっているという面もありまして、その意味では、いわゆる中立性というのはすべて企業会計に沿ったから中立かどうかというような点ももちろんあるわけでございます。そういう意味では、もちろん簡素という観点もあって租税特別措置は見直しをしていきたいというふうに思っておりますけれども、その辺のバランスの中で決めていくものかと思っております。
○櫻井充君 私は、そうではなくて、こういうときには思い切った政策を打つべきなんだと思うんですよ。中立を外すのであったとすれば、ちょっと目をつぶるのであったとすれば、もっと極端な税制を組んでもいいと思うんです。つまり、そうでなければ効果があるかないかなんというのは分からないと思うからです。 例えば今回の、これは平成十四年度の租特の一部を改正する法律案の概要の中の「社会経済情勢の変化への対応」というところで土地・住宅税制があるわけです。登録免許税を今回は半分にするということなんですが、いっそのこと、これ、ゼロにしてみたらどうなんですか、こういうものを。ゼロにしてみて効果があるかないかということを計っていくことの方が大事じゃないかと思うんですが、その点についていかがですか。
○政府参考人(大武健一郎君) 登録免許税という流通税の在り方というのが基本的に検討課題にはなっております。ただ、他方で、御存じのとおり、土地というものについては消費税が掛かっていないという点もございます。そうした中で、言わば税負担として、いわゆる税というのは経済活動があるところから正にお払いをいただくということになるものですから、そこの議論を一体どういうふうに考えていくかということが求められているのだと思います。 そういう中ですが、やはりそれを、今、先生が言われたように、すべてその部分は廃止するということがそれが適当かどうかということになりますと、やっぱり今の税の議論の中では全体として偏りのない税体系を築くという、やはり所得、消費ではとらえられない税負担として着目するという意味で登録免許税というのは位置しているものですから、果たしてそれを全廃、少なくとも土地需要を喚起するためといってもそこはいかがかという議論もあるわけでございます。そこで今回、この租税特別措置法では半分と、今、先生は中途半端と言われましたけれども、半分にしているということなのかと思います。
○櫻井充君 だって、租特は特例を設けることを規定すると書いてあるわけであって、何もそこのところで中立だ公平だということを考える必要性はないんじゃないですか。 例えば、こういう土地が流動化して、その土地から生まれてくるものが、若しくはそこで企業が再生されたら、再生されたらとすれば、法人事業税がそこで発生してくるわけですよね。むしろそういうところで発生したところで、法人事業税を通常より例えば一%とか二%とかそういう企業から今度は多目に設定して払っていただくとか、そういう組合せは幾らでも考えられるんだと思うんですよ。 今回の措置見ていて、本当に小出しなんですよね。何でこんなにけちってやっているのか私は分からなくて、そこら辺が大臣、是非御答弁願いたいんですが、これはもう大きな話で、方向性で結構でございます。こういう租特なりなんなりという政策的な税制というのはもっと大胆に打つべきじゃないかと。そして、大胆に打って、こういう方向性を国はやっているんですよということは、それはもちろん税制だけではなくていろんな政策上見せる、国はこういう方針でいくんだ、正しく構造改革というのはそういうために今、小泉さんやっていらっしゃると思うんですよ。そこのところの構造改革をこうやるんだと決めれば、それに向けた税制はきちんとした形で何年間なら何年間と限ってもっと思い切ってやるべきだと思うんですよ。その辺に関して、大臣、どうお考えですか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 確かにもうおっしゃるように、私、櫻井さんの意見、賛成でございますね。 そこで、私は是非議会の方にもお願いしたいんですが、減税を一回やりますとそれは既得権になっちゃいまして、今度は戻ってこないんですね。そうすると減税、減税、減税と来て、かつおぶし削っていったらしまいになくなってしまうんですね。そこで、ちまちまちまちましたこと、これ役人の癖ですね。やっぱり主税局としては歳入を守ろうということをやるものだから、だから政治家の方では、確かに登録免許税なんかどんとやって、私はそう言っていたんですけれども、いやそれは半分ぐらい、四分の一ぐらいとかいうことになってくるんですね。結局、歳入の面を考えるということが一つ。 それからもう一つ、国会も理解を示していただいて、いったん減税するけれども、その代わりまたそれの対案を上げるということも理解してもらうということをすると。ですから、こういう租税特別措置法をやる場合は時限立法でやるということはきっちりする。こういう時限立法をやると同時に、この時限が済みましたらこれに代わる財源はこっちでもらいますよということを併記して、併記してやったらええと思うんですがね。そうすると、議会の方ではこれ必ず修正出てきますよ、こっちを削れと。 そこらが非常に難しいところでございまして、しかし、おっしゃる趣旨は私はもう全くそのとおりで、こんなちまちました、何か政策目標がはっきりしないようなことはこれからやっぱりやるわけにいかない。十五年度税制改正のときには、やっぱりちょっとしっかりした姿の見えるような改正もやっていきたいと思っております。
○櫻井充君 済みません、ちょっと素朴な疑問なんですが、大臣、これ、提案者ですよね。
○国務大臣(塩川正十郎君) そうなんです。提案者です。
○櫻井充君 大臣は、この税制の案に満足されていないんですか、じゃ。
○国務大臣(塩川正十郎君) いや、それは主張しておってもなかなか通らないんです。なかなかそれは通らないんです。それは役所の方は過去何十年という積み重ねがありますし、それじゃ財源どないしますかと言うんですね。 私は、そのときにも、例えば酒と発泡酒を上げたいと、こう言った。そしたら、上げる方にはもう物すごい反対ですからね。発泡酒とたばこを上げると言ったら、もう毎日のように議員が、各党の議員ですよ、何も自民党だけじゃございませんが、ワッショイワッショイで上げたらいかぬと。結局上げられなくなってしまった。そしたらどこでつじつまを合わすかといったら、やっぱり連結納税の付加税をそれじゃちょびっと二年間だけもらって、それでつじつまを合わそうか、結局そういうことになっちゃうんですね。 ですから、この問題については非常に理解をしてもらうのは難しいですけれども、しかし、そういうもういつまでも姿のはっきりしないものは、やっぱり櫻井さんおっしゃるように、きちっとした姿勢で明示すべきだと思っております。これはもう間違いないと思うんですね。
○櫻井充君 今の話で大事な点は、発泡酒で増税される人と、それから例えば連結納税なら連結納税で優遇される人と違ってくるところが問題なんだろうと思うんですよ。つまり、中立性ということを考えてくると、ある時期はこの人たちに減税します、例えば登録免許税なら登録免許税を軽減します、その代わり事業がうまくいったときには、そのときには少し法人税を多めに払ってくださいねと。その同じ人たちのところで、あるときは優遇する、あるときは増税するというようなことがあると、全体として見たときに中立になるんだろうと思うんですよ。 ところが、今の議論ですと、増税する人たちと減税する人、される人たちとが違ってくるから、そこに中立性が生まれてこないんじゃないだろうか、そういう気がいたしますが、いかがですか。
○国務大臣(塩川正十郎君) それはもう正に国会なんですよね、そこが国会なんですよ。 どうしても声の大きい方に引っ張られていくということになってきますから、ですから増税反対の声が大きい。同時に減税の声も大きい。それじゃ、減税をやめとけという声は全然出てこないですからね、減税をやめとけという声は全然出てこないし、そこらが非常に難しいところで、役所のハンドリングというのはそこが難しいところなんです。 私は、もう本当、大臣としてはそういうことは、おっしゃるようなことはやりたいです、それは言っておるんですけれども、それはなかなか、そこは最後の段階になったら、それじゃ大臣として、税収は、税収というか財政の歳入はどうするんですかと切り込まれてくると、やっぱりそこで、ううん、そうだな、しばらくの間それじゃこれでいこうかとなっちゃうんですね。 そこらは非常に難しいところですが、これはお互いにやっぱり絶えずこういう話合いをしておいて、相互に議会の方とそれから行政の方との理解をしながらやっていくことがこれから必要だろうと思います。
○櫻井充君 何かいみじくも、大臣、小泉内閣は大胆に構造改革するんだとおっしゃっていた、しかしそれが、ひるまずとらわれずでしたか、全くできないということを今おっしゃっているような気がするんですけれども、その辺、いかがですか。
○国務大臣(塩川正十郎君) だって、随分と改革をやってきましたよ。だって、皆さん御存じないかも分からぬけれども、行政コストを見直すということが今の予算編成の中できつく出てきましたのは、これは本当に、これは三十兆を堅持したからなんですよ。この効果は何年か先には必ず出てきます。 さらに、十五年度におきましても、まだ行政コスト見直した、行政の、いや、財政の適正な使い方というものを一層進めていきます。これは国民が望んでおる無駄遣いをするなということのはしりで、入口でございますけれども、これはもう物すごく変わってきました。 それから、公共事業の在り方なんかにつきましても、コストを削減、十数%ちょっと削減したけれども、公共事業量そのものは余り変わっていないという、ここなんか構造的に見ましたら随分変わってきておるということでございまして、個々に見ますと随分と、ありゃこんなに変わったかなということを分かっていただくんだが、しかし、制度的なものとして大きく変わっていないものだから、だから構造改革は進んでいないと、こう言われますけれども、そういう個々のものを積み重ねていってまいりますと、やっぱりやり方は変わったなということははっきりと今度の予算、十四年度で出てきておることは認識していただけると思います。
○櫻井充君 どうもちょっと煙に巻かれているところがあるような気がするんですが、十三年度の補正予算、第二次補正予算案と、それから十四年度の予算案をセットにすると余り変わっていないんですよ。つまり、十三年度の第二次補正予算案で、ある程度公共事業の前倒しは行っているんです。ですから、十四年度だけ見てください、それはそうなんですとおっしゃいますが、若干違っているんじゃないか。 それと、是非大臣、そのように大胆にやはり税制を組んでいかれたいと構想されているんだとすれば、そこは大臣の強いリーダーシップで、是非、塩川案なるものを私はお示しいただきたいと思っております。 今回、ちょっと話違いますが、クロイツフェルト・ヤコブ病の私は超党派の議連の事務局長を務めて、坂口厚生大臣と何回もお話しさせていただきました。事務方の強い反対がある中であれの和解が成立したのは、坂口大臣が非常に強いリーダーシップを発揮されたからあの問題が私は解決したんだと思っております。こういう厳しい経済状況の中で、やはりだれかがリーダーシップを取っていかなければ変わっていかないんだと思うんですよ。それを担われているのが正しく大臣だと思っております。 そこの中でこれから非常に大事な位置を占められていくわけですから、是非大胆な、今のように、いろんな役人からこういうふうに言われたから結局この程度の案になってしまって自分は不満なんだというようなことではなくて、やはりこの国のこの方向性はこうなんだからここはちゃんとやってもらわなきゃいけないんだと、その代わり例えば、何回も言いますけれども、企業の収益が上がってきた時点ではこういう形で税収が増えていくんだから、おまえら財政に関しては心配するなと、役人を説き伏せるぐらいのことをやっていただかないと変わっていかないんじゃないかと、そう思っております。 ですから、改めて大臣に、そのような大胆な措置を取るべきだとお考えであれば、その御決意を改めて表明していただきたいと思いますが。
○国務大臣(塩川正十郎君) 十五年度税制改正に、まだ中身は全然分かりませんけれども、おっしゃるような私は趣旨を貫きたいと思っております。 要するに、こういうことでこっちは減税しますよ、その代わりに、これの措置が終わったら今度は増税しますよと、セットに出します。セットに出さないから、だから期限が来ても延長、延長、延長と、暫定がもう四十年暫定続いているやつたくさんありますからね。こういうことになってしまうんで、だからワンセットで、こっちは増税します、こっちは減税します、その代わりにこの部分は増税、こちらの増税で賄いますということをはっきり出しますから、今度は出しますから、そのときに、議会はもろ手を挙げて、文句言わぬと賛成してもらわなきゃなりません。
○櫻井充君 是非期待しておりますし、問題は議会に出てくる前の方が問題ですから、大臣、それは大臣の方がよく御存じだろうと思いますが、そこの前で負けないでいただきたいということをお願いしておきたいと思います。 済みません、あと、税制の中でちょっと考えていただきたいことがありまして、今回は中小企業の税の軽減というところで、試験研究費、開発費などが、ある収入金額に対する割合が三%を超える、つまり、ある程度研究しているところの企業に対しては優遇しますよというような措置なんだろうと思うんですが、もちろんこれ非常に大事なことだと思っておりまして、それだけではなくて、もっと全体に、企業が研究開発を促進するような、そういう税制を設けてくるべきではないのかという気がしているんです。 今、日本の製薬業界は確かに非常に利益を上げてきていますけれども、アメリカの大手一社の研究費と日本の製薬会社全体の研究費でどちらが多いかというと、アメリカの一社の方が多いわけです。これから何年か先になったときに、新規の薬剤というもの、新しい薬剤が出てこなければ利益を生まなくなるわけですから、そういう意味でいうと、企業の研究開発を促進していくような税制というものを考えていかなきゃいけないと思うんですが、その点についていかがですか。
○政府参考人(大武健一郎君) 今、先生が言われましたとおり、我々としても研究開発促進ということは重要だという認識でおりまして、御存じのとおり、各種の優遇措置を取らさせていただいているところでございます。 ただ、この研究開発費について一つ申し上げておきますと、現在、研究開発費支出を国内でするか海外でするかの実は制限が税制上できない。例えば、海外の研究者に支出してもこれの適用になるというような問題があります。 この辺りをどのように考えていくのか、いやそれは構わないんだと考えるのかどうか、そうしたような問題も当然あるかと思いますが、いずれにしましても、新世紀にふさわしい、望ましい、先ほど大臣が言われました、税制の中で大きくいろいろ議論をしていきたいと思っているところでございます。
○櫻井充君 日本の今後の産業を考えたときに、じゃ、どこがリーディングセクター、こういう言葉がふさわしいかどうか分かりませんけれども、私、やはり物つくりなんだろうと思うんですよ、この国は。アメリカも結局、調べてみると、物つくりをやることによって国力が上がっていったという本をこの間読みました。 そのことを考えてくると、金融とかそういう、大変申し訳ないんですが、ただ単純に金を動かして物を余り生まないようなものではなくて、きちんと物を作っていけるような、そういう部分に関して少し応援するような税制が必要なんじゃないだろうか、そういう気がしています。 それからもう一つ、医者の立場でちょっと今日は話をさせていただきたいのは、国立病院、公立病院というのはほとんど赤字なんですね。法人税とかそれから固定資産税、払っていないかと思いますが、民間の今医療機関の三〇%以上が赤字になってきています。それはもう医療の保険点数をもちろん変更していかなければいけないこともあるんですが、もう一つ、医療法人の法人税の在り方というのを一度考えていただけないのかなと思っています。 というのは、最初から利益を生んで配当しなければいけない株式会社の税率三〇%で、医療法人も三〇%なんですね。社会福祉法人は二二%ですから、社会の位置付けから考えると、私はその中間ぐらいのところにあるべきじゃないかというふうに考えているんです。 もちろん、個人の資産とそれからその医療法人の資産とをごっちゃにしているようなところに問題点はありますから、その部分の会計をきちんと明らかにした上で、そこの区別をきちんとした上で医療法人に掛けてくる、もちろん特例を認められて二二%にしているところもありますけれども、そうではなくて、全体的な引下げというのも必要じゃないかなという気がしていますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(大武健一郎君) お答えさせていただきます。 今、先生が言われましたとおり、医療法人自体は普通法人として扱われますけれども、やはりその財団とかあるいは持分の定めのない社団の医療法人のうち公益性の高いものは、御存じのとおり公益法人並み課税をさせていただいているということでございます。 その辺り、全体、言わばどういう在り方がいいかというのも、公益法人の課税の在り方、これはむしろ行政改革の方でも御議論になられているようでございますが、全体として議論していくべき課題かと存じているところでございます。
○櫻井充君 おっしゃるとおりでして、そこの税制全体を考えなきゃいけないと思っています。 その二二%の税制、優遇税制と言っていいのかどうか分かりませんが、ほとんどないと思います。今、病院全体の何%でしょうか、もし数字があれば、後でで結構です、これは後でで結構でございますので、通告しておりませんので、その数字を教えていただきたいと思いますが、ほとんどがたしか三〇%だったんじゃないだろうかという気がいたしております。 それでは、税の話はこのぐらいにしまして、金融のことについて少しお伺いさせていただきます。 どうも中小企業の方々から見てくると、大手の企業は債務免除などをされて、債務免除をされて救済されているけれども、中小企業というのはほとんど債務免除されない。で、もうほとんどどうぞつぶれていってくださいみたいなところがあると。 金融機関も正しくそうでして、大手の金融機関に対しては公的資金を注入して、まあ金融機関を救済しているのか、健全な借り手、預金者を保護しているのか、そこのところははっきりしませんけれども、中小の金融機関に関してはそのような形で、公的資金を注入する手だてはあるとはいいながら軒並み破綻しているという現状があります。 金融庁として、今後の大きな方向性として、今のように、大きな金融機関は破綻すると大変だから公的資金を注入してでも救済するけれども、言葉がちょっと違っていると怒られるかもしれませんが、中小の金融機関は破綻させていく、整理していく、そして大企業に関しては債務免除を認めて、債権放棄を認めて救済していくけれども、中小企業はある程度の倒産は仕方がないと、これが構造改革なんだというふうにお考えなんでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 一つの視点からのお話かと思いますけれども、我々の方も我々の方できちっとした法律に基づく観点というものを持っているということを御理解まず賜りたいと、このように思います。 大手金融機関に資本注入をしたのも、これももうここでちょうちょう言うことはないんですけれども、金融システムの安定化ということのために必要ということでございまして、この金融システムの安定化ということについては、今、委員がお話になられたような貸出し先の保護、預金者の保護ということがあったということでございます。 一方、中小金融に対してはそういうことはなかったではないかということで、中小金融というのはどの辺でとらまえるかということはございますが、仮に協同組織形態の金融機関ということであれば、一年延長をして、そして財務局等におきましてはこの資本注入の仕組みについても特別の説明会をやったりいたしたわけですけれども、結果においては、いろいろと話をしていくうちに、現在のところほぼ実績がないと、こういうようなことになったわけでございます。 しかし、中小金融機関については、別段、大企業と違ったことでやっているということではなくて、逆手を取るようで後でまた非常に御批判をいただいちゃうかもしれませんけれども、マニュアル等でも画一的な適用というようなことをやめて、よく中小は中小なりのことで趣旨が通ればしゃくし定規でぴたっとマニュアルが言っているとおりでなくてもよろしいというようなこともやっているわけでございます。 他方また、貸出し先の中小企業についても、これはもう何回も申し上げているように、やはり財務諸表と申しますか、そういう表面に表れた計数だけで判断しないで、やはりそれを、企業を支えている言わば奧の方についてもよく配慮をして総括的にとらまえていくようにということを申しておること、余り長話はやめますけれども、そういうようなことで、それぞれのところについて我々はきちっとした配慮をしているということのつもりでおるわけです。
○櫻井充君 大臣、最初に前提として法律の観点というお話をされました、法律。法律の観点からとお話しされました。そこが僕は根本的に違っていると思うんですよ。というのは、いや大事なことは、確かに法律がまず大事なことは間違いありません。しかし、それは現下の状況に合わせた法律を我々が作っていかなきゃいけないということなんだと思うんですよ。ですから、現行法があるからそれにのっとってやっているから仕方がないんだというのは、私はそれはおかしいと思っています。我々はハンセン病のときに立法不作為ということで問われているわけです。ですから、もし本当に法律の観点で問題があるとすれば、それを是正していくのは当然のことなんだろうと思うんです。 私がお伺いしたいのは、大きな方向性として、大きな方向性としてこれからどうしていくのかということなんです。例えば、個人企業を挙げて申し訳ございませんが、ダイエーを再建させるということになったようです。しかし、そのことが世界から不信感を招いているのは、私、これ事実なんだ、ある一方でいえばですよ、事実なんだろうと思います。ですから、大きな企業はつぶすと大変だからやはりつぶさないでいきましょうという方針でいって、結局二回も債権放棄を受けている企業もあります。そのことから考えてくると、要するに、先送りだけしていっているんじゃないだろうかと。抜本的な改革だとしてくれば、そういうところも必要があれば、本来であれば破綻させていかなきゃいけないだろう。その一方で、中小企業に関して言うと、全くそういう手だてが取られておりません。 今回、通告してあるんですが、数字が出てくるんでしょうか、出てこないんでしょうか、ちょっと分かりませんが、債権放棄を受けているのは、大企業がどのぐらいの額で、中小企業がどのぐらいの額なのか、この数字はあるんでしょうか。今日はないんですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 御質問に先立って事務方にそうした御要求があったことを私も聞いて知っておりますけれども、まだ現在、中小企業に対する債権放棄がどの程度行われているか、行われていることは我々もある程度認識しているわけですけれども、議会に一つの資料としてお出しするというような形でまとめ切れていないと、こういうことでございます。
○櫻井充君 分かりました。是非、後でその資料をいただきたいと思います。 そしてもう一つ、資金調達、済みません、だから、大きい方向性は結局はどうされるんですか、大臣。つまり、中小企業というのは大半が、資金調達の半分以上が間接金融に頼っているわけですよ。大企業は決してそうではありません。先日、円議員の方からもありましたけれども、中小企業の貸出しというのは四十数兆円ここ三年間ぐらいで減っているわけです。ですから、それだけ融資が減れば破綻してくるのも至極当然のことなんだろうと思うんです。この現状をそのままにされておくのか、それとももう少し貸し出せるところを探して貸し出してくださいと言っていくのか。そこで大きな違いがあるんだろうと思うんです。 それからもう一つは、今資産デフレが起こったりして企業が多額の借金を抱えていると。その多額の借金を返済するためにかなり四苦八苦しているところもあって、経営上は余り問題ないところもあるんだろうと思うんですよ。そういうようなところであったとすれば、ある部分、債権放棄を認めてあげれば企業として再生できていくところもあるんじゃないかと思っているんです。 そのようなところでの大きな方向性をどう考えていらっしゃるのか、その点について教えていただけないですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) ちょっと中小企業の貸出しについては、私どもはまず金融機関に対して、これは大手の金融機関も当然のことなんですけれども、収益を上げろということを言っております。収益を上げるためには、逆に中小企業というかリテールの分野こそ多分利益が上がる分野だろうと、こういうように周囲のいろんな条件からいって彼らも考えているわけでございます。そういうことで、幾つかお話を既にしたかと思うんですけれども、例えば無担保無保証で融資します、その代わり金利は少し余計にいただくということになりますというようなことで、もう今それを拍車を掛けてそのビジネスを展開しているところもある。 それからまた、もう中小企業の皆さん、融資の申出をしてから随分長く審査をされるというようなことも中小企業の貸出しが増大しない一つの要因だと言われておりますけれども、これらについても、ある税務の関係の団体ですけれども、非常に大きな経営指標を集積しておると。それとの見合いでもって、もう数量的にもある程度の信用力を判断していくと。それで迅速な融資の決定を行っていくというようないろんな工夫が既に見られておりまして、これらについては私どももそういうことをやっていることもよく知っているので、もっと更に新しい手法を開発して貸出しを伸ばしてくれということを率直に言って働き掛けているというのが現在の状況でございます。 そういうことですから、決して私ども、中小の貸出しについて何か消極的であることを、これは中小の貸出しそのものの重要性もさることでございますけれども、同時に金融機関の健全性のための収益力の向上という側面からもこの方に力を入れるべきだということを言っておるというのが実情でございます。 それから、それとまたちょっと違うようなことを言って大変恐縮なんですが、個別の企業の救済策がいかにあるべきかというのは、私は、基本的に民民の、民間企業の間の経営判断によるべきだというふうに考えておりまして、これに対してはいろんなお考えが対照的にあることは私も承知をいたしております。 しかし私は、自分が金融再生委員長としてやったこと、そのときにいろいろ直面した問題、こういうような経験、それからまた建前として私はやはり市場原理というものを尊重していくということを考えている人間でございますから、私は、企業をどういうふうな方向で救済させていくか、救済していくか、あるいは再生していくかというようなことについては、私は基本的に市場原理、民民の間の経営判断によるべきだという立場でございます。もちろん、その背後に私は言っていることは、再建計画なり経営改善計画を立てたときにいい加減なものであっては困るということは、これは背後でもって強く言っていることでございます。
○櫻井充君 民民の取引に口出しをしないと、これはそのとおりだと思うんです。じゃ、ただし何をやってもいいかということなんです、民民で。ある程度のルールは作るべきじゃないだろうか。そのルールがないから問題なんじゃないだろうかと思っているんですよ。 今までのやり方というのは、日本の政治全体のやり方というのは、入口のところでかなり規制をします。規制を掛けた後、あとはどうぞ何をやっても御自由ですよみたいなところがある。大学の入試と同じでして、大学に入ってしまえば、後はほとんどフリーパスで卒業できてしまう。アメリカはそうじゃなくて、こういうルールの中でこのぐらいの学力を付けないと卒業できませんよと、そういうその後のルールがあるんだと思うんです。 ですから、日本の場合には規制はあるけれどもいわゆる規則がないと私は考えていて、民民の取引だから我々はそれに口出しをしません、そのとおりなんです。ですが、少なくともこういう取引だけは最低守ってくださいねと。やれということじゃないんですよ。このことだけは最低限やってもらわなきゃいけないんだというルールを作るべきじゃないかと思っています。その点についていかがですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) おっしゃるとおりでございまして、例えば、私どもも、これはもう民間企業としては当然ですけれども、経済合理性を外れたようなことをやるなと、こういうことです。 例えば、債権放棄に当たっても、やはりその回収の極大化という経済合理性、これを実現できるようなものでなかったら、そんなものは意味はないですよということを言っている。それからまた、その企業の社会的な価値というか、もし倒れた場合の影響だとかというようなことについてもやはり正しい判断が行われなきゃならない。さらにまた、経営責任についても同様に厳しく考えていくべきであると。こういうような、その後に「等」という字がくっ付いているわけですけれども、そういったことを私どもとしてはかねて明らかにしているというところでございます。
○櫻井充君 大臣、これはある雑誌にこういう記事があったんですが、当社は国の政策に協力するためにあえて債務免除を要請することにしました、ついては御行にも損失を御負担いただきたいと企業側から言い出しているんです。それに対して、そんな身勝手な話がありますかと、おたくの社長は債務免除は倒産企業が要請するものだと言っていたじゃないですか、今日の話は聞かなかったことにしますよと。個別名ここに書いてあって、挙げてもいいんですけれども、こういう会話がなされている現実もあるというふうに報道されています。 このような事実があることを御存じですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 世の中の、広い世の中のことですからいろんなことがあるだろうと、こういうように思いますが、その一々を私が知っているというわけではございません。特にその事実については知りません。
○櫻井充君 もしこういう事実があったとしたら、これはやはり大問題ではないですか。これは一般論としてお伺いしておきますが、こういう考え方で安易に債権放棄を求めてくるとなると大問題ではないですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 当然、もう答えるまでもないことだというふうに存じます。 何というか、債権放棄についてもまた、ちょっとほかの面も申しますが、民事再生法等についても若干その濫用的なことがあるということを言われておりまして、この辺りのことについては私も関心を払っているということだけ申し添えさせていただきます。
○櫻井充君 それと、その中で手法としてもう一つは、デット・エクイティー・スワップというんですか、債務の株式化を求めていくと、そういうこともやられているそうなんです。 もちろん、別に債務の株式化というのは決して悪いものじゃないと思うんですよ。それは、企業が再生できるという可能性があればです。企業が再生できないとなったときに、金融機関側がそういう形で、これは民間にまだ売り払っているのか、自分のところで抱えているのかどうか分かりません。これを万が一民間に売るようなことになれば、債務の付け替えを行っているだけになるわけですよ。 ですから、このようなことを果たして今後、もちろん、ある企業の分に関しては、つまりは、どういう企業だったら認めてもいいけれども、そうでない、例えば破綻懸念先なら破綻懸念先に位置付けられるようなものに関しては駄目ですよとか、そういうルールというのは作っておかなきゃいけないんじゃないですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) まず、マイナスの方から言いますと、債権を株に振り替えれば、仮にその企業が破綻した場合、債権であれば何がしかの配当が来る可能性も持っているわけですけれども、株ということになればこれはもう一円の価値もない紙切れになってしまうと、こういうことでございますから、経済的な価値はもう言うまでもないところでございます。 しかし、そういうことを何でやるんだといいますと、片方で債権放棄なりなんなりいろんな救済を講じていた、あるいは講じようとしているというようなときに、単に一方的にそういうことで終わってしまうんではなくて、せっかくそこまでの犠牲を払ってやる、確かに債権の回収というのは極大化というかそれなりに確保されるということにしても、その企業が更に大きな伸びを示したときに、何も企業の再生あるいは成長というものに均てんできないんでは余りじゃないかというようなことでデット・エクイティー・スワップが行われるということがあろうと思います。もちろん、そのほかに当該の企業そのものの資本構成を強くするというようなこともあろうと思いますけれども、全体としてそういうものでございます。 問題は、結局、櫻井先生も御指摘になられたように、その企業の再建可能性なんです。あるいは、再建計画あるいは経営改善計画というものを立てた場合には、その計画の実現可能性なんです。これがまず確保されて、本当にその企業の株価が上がっていく、市場の評価が高まって上がっていくということがあった場合に初めてデット・エクイティー・スワップをやった言わばかいがあったということに私はなるんだろうと思っておりまして、だから基本は、先ほど来申しているように、経営改善計画あるいは再建計画というものの実現可能性、これを厳しく見なさいというのはまず大前提だということを申し上げたいと思います。
○櫻井充君 このことが、要するに新株と交換するものであって、事実上債務免除の代替手段として用いられているケースが目立ってきているという指摘もあるわけなんですよ。 ですから、こういう手段を使って、いや、アメリカにはこういう債権市場ありますよね、ですから、証券市場というんですか、そういうものはあるから、それはそれで絶対やるなと言っているわけではありません。絶対やるなと言っているわけじゃなくて、それを悪用している人たちもいますよねと、そういうことをこれから許しておいていいんでしょうかねと、その問題だけ提起させていただきたいと私は思っております。 それから、最後にマザーズのことについてお伺いさせていただきたいんですが、マザーズは今どうなっているのかというと、これは資料をいただいたんですけれども、公募の時点から比較すると時価総額で四〇%ぐらいまで下落しているんでしょうか、三十六社の合計でですね。そのためなのかどうかは分かりませんけれども、上場できない、退場してもらうというんですかこれは、上場廃止ですか、上場廃止をこれは勧告するというんですか、そういうことをやっていこうじゃないかという方針を決めてきているようなんですね。 そうすると、上場廃止せざるを得ないような企業は今のところはないと、ないんですが、このような規定を決めているということは、上場廃止せざるを得ない企業が恐らくこの中にあるんだろうと思うんです。だからこそこういう規定を設けてきているんだろうと思いますが、そうしてみると、このような企業を上場させてきている審査のところに元々の問題はないのかどうか、その点について、大臣、いかがお考えですか。
○政府参考人(原口恒和君) 今、御指摘になりました上場の基準については、現在東証の方でその要綱案を発表してパブリックコメントにかけているという状況でございます。 一方で、上場廃止となるような企業が仮に今後出てきた場合にそれは問題ではないかという御指摘でございますが、東証マザーズ自体は、新たな産業の育成が我が国の経済の再生のために喫緊の課題になっているという状況を踏まえて、新興企業に対して成長過程のより早い段階から証券市場を通じた資金調達の機会を提供するということによって企業の成長を支援する、あるいは投資者に成長企業への投資機会を提供するというような目的で平成十一年十一月に創設をされたわけでございます。 もちろん、こういう市場でございますから、上場審査においては、マザーズが成長可能性のある新興企業を対象とする市場であることに留意しながら、企業内容やリスク情報等の開示が適切に行われる必要があるということは当然でございます。 ただ一方で、こうした新興企業の特性として、ビジネスモデルが所期の期待に達しないような場合が生ずる、その結果として上場廃止の対象とした方がいい事態が生ずることも、もちろん望ましいことではないと思いますが、一面ではそういう市場の性格から見てやむを得ない場合もあるということで、そういうことも踏まえて、さらに、市場全体の信頼性の維持向上の観点からも、そういう市場の評価が得られなくなった企業については早期の退出を求めることが適当だということで、そういう見直しを行うこととしたというふうに承知をしております。
○櫻井充君 新興企業に対しての援助としてこういうことをやることは全然悪くないんです。その趣旨は全く問題ないわけですよ。 しかし、上場数が三十六あって、公開時点と比較したときに株価が上昇したのはわずか九つしかないと、残りの四分の三は皆下落しているわけですよ。直接金融に移行してくれ、直接金融に移行してくれと言っても、こういうようなことだけを見せ付けられれば、もう怖くて直接金融になど移行できないんだろうと思うんです。 そしてもう一つ言えば、新しくマザーズは起こったとはいったって、ナスダック・ジャパンも実はマザーズより後れて開業しているわけです。しかし、今の時価総額はたしかナスダック・ジャパンの方が上なんだろうと思うんですよ。つまりは、こういうマザーズ自体の信用を失ってるから投資家が逃げていっているという現実も私はあるんじゃないかと思いますが、その点についていかがお考えですか。
○政府参考人(原口恒和君) 東証マザーズの新規上場銘柄数なり時価総額が他の二市場に比べて減少傾向にあるということは、御指摘のとおりだと思います。 この要因について東証では、特にマザーズの創設時におきまして主としてIT関連企業の上場が主であったわけですが、いわゆるネットバブルの崩壊を受けて、これは他の市場も含めてこれらの企業の株価が急落をしている、それから一部の上場会社と反社会的勢力とのかかわりといったような問題が、された事例が起きたということで、市場に対するイメージが他の市場に比べても低下したというふうに分析をしております。 そういう反省の上に立って今回の上場基準の見直しを行うこととしたというふうに聞いておりますし、いずれにいたしましても、当局としても、このマザーズの市場が今回の改正を予定しております審査基準の適正な運営、運用、あるいはその他もろもろの市場の活性化策と相まって適切に向上していくということを期待しているわけでございます。
○櫻井充君 マザーズの理事長なりなんなりの責任というのは問われないんですか。先ほど反社会的なという話がありました。これが一番最初に上場された企業ですよね。ですから、そういうことがあったとすれば、これは投資家が、株価が下落するというのは、それはあくまで投資家の責任だと言われてしまえばそこまでですけれども、しかし、そういう企業だということがある程度言われていたわけです、あの企業は。それなのにもかかわらず割と強引に、幾つかのたしか証券会社が手を引いたはずなんですけれども、そこの中で強引に上場させて開業していっているわけです。その意味では、東証マザーズの問われる責任というのは私はすごく大きいんだと思うんですよ。 前もお話ししましたが、このパンフレットを見ると、「マザーズには、」と一番最初に何て書いてあるかというと、「今後の成長、拡大が期待される事業や新たな技術・発想に基づく事業を行う高い成長可能性を秘めた企業が上場されます。」と書いてあるんですよ。一番最後の行のところに、「上場会社が公表する各種の開示資料をよくご検討の上、ご自身の判断でご投資ください。」と。危険がありますよという言い方をこれでしているんでしょうけれども、果たしてこの情報が、こういう書き方が情報の対称性と言えるのかどうか。このパンフレットだって私は怪しいと思っているんですよ。 こういうことをやっている理事長とか、その人たちの本来は責任が問われるべきだと考えますが、その点についていかがですか。
○政府参考人(原口恒和君) いろいろなさっき申し上げたような事例があったことは事実でございますが、それについては東証の方でその後いろいろな、反社会的勢力との関係がない旨の上場会社からの確認書を求める等の対策を講じていると承知をしております。 また、御指摘の今パンフレットにつきましても、もとより投資家に対して取引所にかかわる情報を分かりやすく適切に提供することが重要であるという趣旨にかんがみ、今回の制度改正を行うに際してその趣旨を徹底するとともに、そのパンフレットの表現についても御指摘の点を踏まえて改善をしたいというふうに申しているということでございます。
○櫻井充君 答弁になっていないので追加させてもらいますけれども、私は、責任があるんじゃないか、理事長なりなんなりに責任があるんじゃないかと聞いているんですよ。責任は全くないんですか。それをちゃんと答弁してくださいよ。
○政府参考人(原口恒和君) いろいろ取引所に関する事項については、もちろん最終的な責任というのは理事長なり、現在は社長という形で判断していく、において判断されるべきものと思いますが、今申し上げたのは、そういう問題の所在にかんがみ、そういう対策を講じられているということも一つの責任を果たす一つの手段と申しますか、そういうことを御紹介したということで御理解をいただきたいと思います。
○委員長(山下八洲夫君) 浜田卓二郎君。 〔櫻井充君「えっ、答弁になっていないですよ、今の。答弁になっていませんよ。ちゃんと責任あるのかないのか、ちゃんと言ってくださいよ。答弁になっていませんよ、とにかく」と述ぶ〕
○委員長(山下八洲夫君) ちょっと速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(山下八洲夫君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 当然そうしたことについて払うべき注意が払われていないということであれば責任があるということで答弁があったということでございます。そして、その責任の果たし方として、今言ったような是正の措置を講じていると、こういうことでございます。
○櫻井充君 分かりました。 はい、ありがとうございます。
○浜田卓二郎君 本日の議題は租税特別措置法改正案等でありますが、先般の財務大臣の所信に対する一般質疑の中でこの問題についてはいささか触れましたので、今日は金融について御質問させていただきたいと思います。 ただ、先般も申し上げましたけれども、小泉改革路線の中で、私は、経済に対する目配りをしっかりしてくださいということはずっと言い続けておりましたが、デフレ対策までは踏み込まれた。もう一歩景気拡大に思い切って踏み込んでいただきたい。 先ほども御指摘がありましたけれども、租税特別措置という手段を使うのであれば、やはり効果的に思い切りというのは私も賛成でございまして、先般、証券取引について一つだけ御提案を申し上げましたけれども、そういう面も含めてひとつ大いに、少し、少し明るさが出てきた感じを私も受けております。これを本物にするための施策というのはこれからが本番だと思いますので、ひとつ切れ味のいい財務大臣のお考え、やり方でひとつ切り込んでいっていただきたいと期待を申し上げたいと思います。 さて、柳澤金融担当大臣に幾つかお伺いをしていきたいと思いますが、御通告申し上げた順序と少し変えまして、先に中小金融機関に対する金融検査の在り方等について御質問をしたいと思います。 以前に、この金融検査マニュアルができた当初ですか、金融特で一度質疑をさせていただきまして、大変よくできているマニュアルであるということを申し上げた記憶がありまして、読んでみると実によくできているんですね。こう書いてありますよね。金融業の本質というのはリスクテークであるということもちゃんと書いてあるわけでありまして、私は、今の日本の金融システムの中でこのリスクテークということがほとんど行われていないというのが最大の問題だというふうに思っているものですから、妙な言い方ですけれども、マニュアルどおりやれというのは妙な言い方ですけれども、なぜこういう金融検査マニュアルがあるのに金融の実態がそうなっているかということは考える必要があると思うんですね。 私、こういうことも聞いております。今の銀行の中の人事評価システムといいますか、その基準というのが、リスクテークをして利益を上げたということよりも、むしろ用心深くやって不良債権発生の率が少なかったという方が評価されるという、そういうシステムになってしまっているということなんですね。 別にその人事までさかのぼらなくても、私どもいろいろな御相談にあずかるわけで、政治家は口利きはいけないというふうに言われておりますけれども、やむにやまれぬ気持ちでいろいろな御相談に乗っております。その際に一番感ずることは、やっぱりもう担保でカバーされているか、もう保全が大丈夫かだけでありまして、どんなに口を酸っぱくして事業の将来性を説き、経営者が情熱を傾けてその説明をしてもなかなか道が開けないという現実でありまして、そういう背景に、今申し上げたような金融機関の人事評価システムまで含めたパフォーマンスといいますか、そういうものがあるんじゃないか。 じゃ、その背景は何かというときに、やっぱりこの金融検査の在り方、もちろん不良債権処理を急がなきゃいけない、そのために特別検査も含めて金融検査を強化しなきゃいけない。それは、その必要性は当然あるからやっておられるわけですけれども、その勢いがどうしても現場においては、窮屈な基準の当てはめとか、そういう画一的な処理とかいうことになって──金融検査官というのは怖いんですよ。かつて私は税務署長をやって、愛される税務署なんて言っていましたけれども、税務署は愛されっこない。調査官が行くと、これはもう相手は本当に構えて敵対するわけでありまして、今、金融検査官が行くと、銀行はもう硬直するぐらい緊張して、うっかりするとこれはもう破綻まで行っちゃうわけですから。 そういうことが、私は、だれがどうだということじゃなくて、不良債権の処理の中で一生懸命おやりになるということが、副作用としてそういうことをもたらしている、それが金融の本質であるリスクテークというものをほとんどなくしちゃっているんじゃないか、そういう気がするものですから、これは別に御答弁をいただくわけではなくて、ひとつ金融検査に当たられる、金融機関の在り方をしっかり見ておられる金融担当大臣として御認識をいただいて、末端まで指導を徹底していただきたい。リスクテークですよ、やっぱり。それを自信を持ってやれるバンキングじゃなければ、また金融システムじゃなければ日本の経済は浮かばれないという気がするものですから、それを申し上げるわけであります。 さて、今度は質問ですけれども、同じ金融検査マニュアルの中で、中小企業、零細企業に、特に零細企業については大変配慮ある書き方があるんですね。つまり、例えば当該企業の財務状況がそう良くなくても社長の資質を見てやれとか、それはまあ社長が資産を別に持っていればというのが主たるところかもしれませんけれども、あるいは技術力とか、あるいは、何といいますか、そういう企業家としての資質とか、そういうものを見てやれというのは入っているんですね、ちゃんと。 それから、先ほど経営改善計画の話が出ましたけれども、零細企業には経営改善計画はなくてもいいんだと。それは無理ですよ。おやじさんとそのせがれさんと奥さんがやっているのも企業です。そして、そういう企業の相談に乗りながら、そのおやじさんの情熱とか技術力とか、そういうものを評価しながらずっと付き合ってきたのが町の信用組合であり信用金庫なんであって、そこのところが硬直しちゃったら、私は本当に死んじゃうという気がするんですね。この前、私は県の話を取り上げて、製造業の下請をこのまま見殺しにするのかと申し上げましたけれども、やっぱり下支えをしているそういう企業をどうやったら生かしていくかという観点も金融検査の中で私は必要だと思うんですね。 そこで、自分の演説ばかりしていてもしようがありませんから、ちょっと具体的に、私も今日言おうと思って幾つか金融機関の実例をヒアリングしてきたんですよ。それをちょっと、これはまあ大臣じゃなくてもいいんですけれども、こういう実態についてどう思うかをまず答弁していただきたいんですが。 例えば割賦金額の減額をする。月々三十万円返すよって約束をしていたのが、何とか、今売上げが落ちているから、もう少しで回復するから、十五万円にしてくれというような話、これはよくあるんですね。ところが、もうあっという間に、例えば三十万円を十五万円にしてくれという話で、分かった分かったと言ってやっていると、金融検査ではもう全く一〇〇%、何というんですか、要管理先か何か知りませんけれども、引き当てを積まされるんだそうですよ。これはもうそうなんだそうですよ。 それからもう一つは、返済期日をちょっとでも延長してくれと。私、これ、今大事なことだと思うんですよ。一番いい金融対策が、この間もちょっと申し上げましたけれども、期限を、景気が少し上向き始めているんだから、一年ぐらい延ばしてやるのが私は一番の金融対策だというふうに思うんですよ。ところが、延長を頼んで、それを認めてあげたら、これももう全く要管理だそうですよ。それで引き当て積まされる。 それから、最終一括返済というのがありまして、月々返しているけれども、返す予定だったけれども、この状況だからまとめて返すよという話も、これは虫がいいといえば虫がいいのかもしれませんけれども、でも景気動向であり得ると思うんですね。いろいろ大企業のように長期計画があったり、それを管理するところがあったりじゃなくて、おやじさんが自分の判断でやっているというようなところはあり得ると思うんですよ。ところが、もうそれは形式的には一切駄目だそうです。一切駄目だって言っていましたね。 それから、これはちょっとひどいと思うんだけれども、十年前に契約更改をしたんだそうですよ。十年前ですよ。それで、その後の十年間はきちっきちっきちっと利息も元金もちゃんと入っている。ところが、検査官が見て、これ、契約更改したじゃないかと。それで、アウトだというんです。アウトだという意味は、要するに引き当てを積まされたということなんですね。 それから、もう一つだけ申し上げます。 かつては、保証協会の保証付きの債権というのは、これは検査対象外だったんですね。ところが、特別枠というのはもうやめになったでしょう。やめになった途端に、信用保証協会の保証が付いていても、その根っこの期限を例えば一年延長してやる、この延長までは保証協会は認めてくれるんだそうですよ、今は。ところが、これを、保証協会の保証が付いているんだから引き当てで積まなくてもいいじゃないかということを主張しても、支店長が主張しても駄目だということで、この例ではやっぱり引き当てを積まされたというんですね。 ちょっと幾つか申し上げて、それぞれ片一方からだけの話ですからあれですけれども、ちょっとこれの具体的な事案についての感想を聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 最後の例でございますけれども、信用保証協会の保証の期限の延長があった場合に、それを要管理にするかどうかということについては、これはよく事情を聞いて具体の判断として要管理にしないということはあり得るということは既に政策の一つとして発表しているところでございます。 ただ、自動的にということになりますと、これはまたいろいろ問題が生ずると。つまり、マーケット等にも余りいい影響を与えないということで、一応きちっとその段階でもう一度判断をさせていただくということですが、その心は、これは要管理扱いにはしないという了解の下での政策ということに解していただいて差し支えないと、このように思います。 その他のことについては、私も、大変いろいろ思いはあるのでしょうけれども、やはりこれは条件緩和、条件変更のうちの特に条件緩和という債権に区分されまして、条件緩和は要管理の一つの形態であるという認識で処理をしてもらわないと、これは金融機関の健全性の上で困る、こういうことになります。 それで、どうなるかということについては、それは金融機関の判断で、結局それはコストが上がるわけですね。このコストが上がるものを自分で吸収するか、なかなかそういうことにならなければ、じゃそれについては何がしかの利息の面でお互いで合意をするところを話し合ってみるかというようなことにゆだねられているということでございます。
○浜田卓二郎君 例えば、今申し上げた例の一つで、十年前に契約更改をした、その後十年間ちゃんと元本も利息も払ってきたと。それをたまたま検査官が見て、十年前これ変えているじゃないかと。それで、機械的に引き当て積めと。これは例えばですよ、例えば。 だから、柳澤さん、担当大臣がそういうふうに比較的弾力的にお考えになっていても、やっぱり末端で、というのは第一線で、しかも、後でも時間があればやりますけれども、検査官が必ずしもたっぷり数がおられるわけじゃない。全国で千人ぐらいということですけれども。ですから、短期間でやっていかなきゃいけない。だから、どうしても切捨て御免みたいな面も私は出てくる可能性もあると思うんですね。そうなると、それはもう、一つの検査の中の一つの話にすぎないけれども、一つ一つの企業というのはもう生き死にが懸かっているわけですから、これは私は相当実態を見ていただく必要があるということを申し上げたいんですね。 それで、私は、聞いた範囲ですから物すごく目の子の話ですけれども、金融検査が入ると、それだけで、ちっちゃな金融機関ですよ、自己資本比率が二%ぐらい減っちゃうんだと言うんですよね。それで、彼らの実感からすれば、不良債権が増えた増えたと言うけれども、要するに貸出しの七%ぐらいが不良債権だと世に言われているし、そういうデータになっているんだろうけれども、彼らの実感、彼らと余り一般化してもいけませんけれども、数人の実務家の実感として私が得た感触というのは、七%なんてないよと。我々が実態でちゃんとずっと長い間付き合ってきて、この企業は大丈夫だと思っているからやっているんだ、そういうものをちゃんと見てくれれば、七%なんかない、半分以下だというのが彼らの感想でありました。そのこともちょっと申し上げておきたいと思います。 それで、もう一つ質問ですけれども、大変いい御決定をされているわけでありまして、「早急に取り組むべきデフレ対応策」で、今年の二月二十七日に決定された中の項目に「貸し渋り対策等」というのがありますね。この中に、今私が言ったようなことが書いてあるわけですよ。「金融検査マニュアルの機械的・画一的な運用の防止を図るため、検査官に対する指導・訓練、」と。もう一つ、「検査の適正性をチェックする立入中の「検査モニター」、」、モニターまでやろうという話になっていますね。それから、「併せて、」、次の、今具体的ないろいろなケースを申し上げましたけれども、この「債務者の経営実態の把握の向上に資するため、中小・零細企業等の債務者区分の判断について、金融検査マニュアルの具体的な運用例を作成し、公表する。」というのが書いてあります。 大変いいことだと思うんですけれども、これは今、その準備状況、あるいはもうやっておられるのかどうか、そこを伺いたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 金融検査マニュアルの機械的な、画一的な適用というのは、これは避けなきゃいけないということはマニュアル自身に書いてあるわけでございまして、それを、先ほど来浜田委員がおっしゃるように、第一線、末端まで徹底しなきゃいけないということのために、ここにありますように幾つかの施策を講じているわけでございます。 一つは、何よりも事前における研修、訓練ということでございまして、これは実際にどうやってやっているのかと聞きますと、言わば、何というか、模擬訓練、模擬の検査をやらせてみて、それはもうちょっとおかしいとかということで、模擬訓練まで含めた事前の研修を行っている。 それから第二番目に、検査中にモニターするということは、やっぱり検査官が行って、それに対応するのはそれぞれの、場合によっては支店長であったりあるいは本店のそうした内部監査等をやった人間が対応するんでしょうけれども、そういう、それが第一線の者がやっているときに実際の経営者に会うということ、これは幹部がですね。そうして、うちの検査官、今入っていますけれども、どんな状況だとお聞きですかということで、これも私もすごいことをやっているなとも思うんですけれども。そういうことで、ですから、よく言われるように、机をたたいて威圧的な態度を取るとかということは、これはもうあり得ないと。そういう、どんどん言えるわけです、やっていますよということが言えるというようなことを現実にもう実施していると。 それから最後に、意見申出制度といって、どう考えても我々は検査官の主張は納得できないというようなことがあったら、それは申し出てくださいということを言っておるわけです。なお、申出というのは、また次に来たときまた厳しい扱いに、必要以上に厳しい扱いになるので遠慮するというようなことのないようにするために実は立入り中のモニターをやっているというようなことを私報告を受けておりまして、そういうことで現実にもうこれは進行中であるということでございます。 それから、第二番目の具体的な運用例でございますけれども、これは今、鋭意取りまとめ中ということでございまして、取りまとめましたらまたそれにパブリックコメントを付するということでございますけれども、付した上で、正式の具体例集というような形で、これを一つの、何と申しますか、マニュアルのマニュアルというか、そういうようなことで実際の適用にさせるということになるんだろうと、このように私認識をいたしております。
○浜田卓二郎君 大いにやっていただきたいんです。 それで、もうこれで最後に、この問題はこれで最後にしますが、さっき大臣は、条件緩和債権はやっぱり駄目だと、駄目というか、要管理になるということでしょうか。しかしそれは、このマニュアルの本当の精神からいえば、そうであっても、経営改善計画とか何かこう立ててきっちりきっちりやっていけるような企業形態でもないし、お互いにこれはもう、熊さん、八さんじゃありませんけれども、やっぱり中小金融機関というのはしょっちゅう町場でお得意さんを訪ねたりしながら交流をして、おやじさんの人柄を理解したり、このおやじさんならやっていけるなということで信用したりするわけですから、三十万が十五万になった、あるいは三十万が二十万になった、それだけで、駄目だよ、引き当てを積めよという話は、これはやっぱり考えた方がいいと私は思いますね。 そういうことも含めて、ひとつ具体例、できるだけ詳細に手取り足取りで、こういうのはいいんだというようなやつをひとつ作成をしていただきたい。お願いをしておきます。 問題を変えまして、先ほどの質疑でもちょっと出ておりましたけれども、ダイエーの再建問題ですね。これは、私自身も考えて、どっちがいいのかというのは、これは迷うんですね、やっぱり。経済の構造改革というのはやはり、生産性の低い分野をどうやってその生産性を高めるか、更に言えば、撤退してもらうところは撤退して、その部分をどうより生産性の高い方にシフトさせていくか、そういうことをやることによって資金の効率的な流れというものを再生していこうというのが私は構造改革だというふうに思っていますから、ダイエーには失礼ですけれども、非常に微妙なケースだと思うんですね。 しかし、分かりますよ。そこをもしつぶしちゃったら大変な波及効果もあるわけでしょうから、単なる政治責任とかそういう問題じゃなくて、経済実態に及ぼす影響を考えれば迷いますよね。 正直言って、私もどっちの処理がいいのか迷っている一人でありますけれども、こういう論評があるんですね。いろんな人が議論していますけれども、ダイエーに結局その債権放棄とかいろいろさせて産業再生法を適用したと。これに柳澤大臣も同意されたと。同意されたのかどうか知りませんけれども、つまりこういう処理があることによって、この不良債権処理の路線というのが、言わばソフトランディング方式の路線を選択したんだと。それは言わば小泉改革の中における不良債権処理の破綻である、失敗であるという論評があるわけですよ。 それも、そう言いたくなる気持ちも私も分からぬではない気がするんですね。やっぱり迷うわけですけれども、そうなんですか。これについての柳澤大臣のお考えをちょっと聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) ダイエー問題について、個別の処理について言及、コメントを直接するというのはやっぱり避けるべきだろうと、こう思いますので、それは避けさせていただくことにして、一般論でどういうふうに考えているかということでございます。 ちょっと釈迦に説法かもしれませんけれども、この今度の不良債権問題の処理に当たって、もう国が直接銀行を管理しろと。資本注入でもしてウエートを高めて管理する、あるいは場合によってはもう国有化してしまうということで、国の官僚が直接にその貸出し先の企業を弁別してどんどん処理を進めていくと、こういう方式も世上提案をいろいろの方がなさっている、これも私承知をいたしております。 そういうものに対して私の考え方は、そういうことをすることは余り芳しくないと。日本の国の金融産業は大したことがない、物づくりの方が大事だと、それもまた一つの観点からすればそれはそのとおりですけれども、私は、基本的に、もし日本のメガバンク等がそういうようなことになったら、これは奇怪な資本主義だろうと。幾ら短期間であろうと、私は、そんなものが本当に合理性を持って成功すると私は思わない。 もちろん、いろいろ国によって、お隣の国等でそういうことをやったんじゃないかというような論評もございますけれども、それはその経済の歴史、経緯というものがあるだろうと思うんです。やっぱり日本の経済というのは百二十年ぐらいもう、以上ですか、資本主義経済で回してきたというようなことであれば、私は、やっぱりこの仕組みを最大限生かす形で不良債権の処理も行うべきだろうと、こういうように思っておりまして、それで私は、できる限り国の介入、直接介入というものは少なくした形でやりたいということでございます。 したがいまして、その金融機関と貸出し先との間についても、やっぱりこれは個別の経営判断、両者の個別の経営判断であろう、こういうように思っております。その個別の経営判断の中で法的な処理をする、あるいは破産法を適用しちゃう、あるいは会社更生法でいく、あるいは民事再生法でいく、いろいろあるだろうと思うんですね。それからまた私的な整理でいく、その私的な整理のうちのもうガイドラインをぴっしり適用して、すべての主たる多数の債権者について基本的に平等原則でプロラタでもって負担をしていくということもあると。しかし、そこまではやっぱりしないで、重立ったところだけで話が付くところだけでいこうよと、こういうような合意だって選択としてあり得ますね。 そういういろいろなことをどれを選択するかは、これは言わば経営判断、つまりいろんな四囲の状況をその経営者、両当事者の経営者が判断をして、それで最終の判断をするということでありまして、我々の今取っている路線の中でも、やっぱりいきなり破産法適用したというのはあるかないか、ちょっと私、有名企業ではないと思っておりますけれども、やっぱり会社更生法適用する、あるわけですね。そういうものがありながら片方こういう選択をする、私的な整理の選択をするというのがあったということであって、それは、我々が言えることは、本当にその経営改善計画というものが、何と申しますか、中身の濃い実現可能性のあるものでなければ駄目なんだよということをもうさんざっぱらわきから言っておる、こういうことでございます。ただ、わきで、例えば経済産業省さんなども、他人事でなくいろいろ考えてアドバイスをしてくれるということは、これはあり得るわけでありまして、そういういろいろな方の意見を聞いたりして当事者がこういう判断をしたというふうに私は受け止めているということでございます。
○浜田卓二郎君 個別企業の話ですから答えにくいというのはよく分かります。 ちょっと質問変えまして、最後の質問ですけれども、やっぱり不良債権処理がうまくいくには、私がずっと強調してきているのは、やっぱり実体経済が良くなって企業の収益性が向上しなきゃ、リストラだけで企業の収益性を向上させて不良債権処理をなんというのは無理ですよ。やっぱり実体経済が改善して、企業の収益性が回復するというのを大前提に置いてほしいと、それを一つ言ってきました。もう一つはやっぱり今の論点でして、やっぱり不良債権の処理を通じて、結果的というか誘導効果というか、これはやっぱり産業構造がより効率的な分野にシフトしていくというその後押しの、あるいはそのきっかけを作る作業でもあるわけですよね。 ですから、今申し上げたことは、不良債権処理が本当の意味の産業構造の改善、経済の構造改革につなげる、つなぐと、そういう意識は、あるいはそういう政策意図はお持ちですかということを聞いて、質問を終わります。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私はその辺りをかなり意識しています、正直言って。私は、産業構造の転換というもので最も強力に具体的にやれるのは金融機関だと思っています。ですから、それを我々はさっき言ったように実現可能性というようなことでサポートしているという考え方でございます。
○山本保君 あと残りました時間、NPOの税の優遇に絞ってお聞きしたいと思いますので、柳澤大臣は結構でございます。 最初に、塩川大臣にお聞きいたします。 今回のこの租税特措法の改正に伴ってNPOについても改善、改正をしていただけるということに伺っておりますけれども、まず、その前提として、こういう公益若しくは地域の中で他の方のために尽くしていると、こういう団体に対する寄附金に対する優遇の税制をもっと拡大、拡充していくべきではないかと思うんです。 これは、やっぱりお任せ、間接支援というか、こういう税金を出して補助金にするというものから、直接、自分で直接支援すると、こういう金融とも似ているかなと思うんですが、こういう形なんですね。ですから、助け合いの精神とかそういうものが出てくることだとか、それから新しい事業が展開して雇用が増えるということもありますけれども、財政面でいえば正に補助金と見合いになるわけですから、決してこれを優遇すれば税収が減るので困るということはないはずなんですよ。 ですから、正に今日の、先ほどまでにも話があったように、正に両方でうまくできるはずなんですから、もっと広げていくべきだと思いますけれども、大臣、いかがでございましょう。
○国務大臣(塩川正十郎君) 寄附金税制について一般論で申しましたら、寄附金税制の制度としては割とよくできておるんですけれども、要するに運用ですね、運用の面で余り厳し過ぎるということを私も直観しておりまして、そこをもう少しどうか緩和できないだろうかと思うんですが。 それと同時に、NPOとかそれから公益増進法人とか、それを運営する人がやっぱりそこの公共精神というものをしっかりと持っていてもらわぬと、KSDのような例がございましたですね、あんなことをやられると、ああいうのはみんな、国民はあれと同じように見ていますからね。 ですから、やっぱり税当局の方もきちっとやらないかぬという、そういう使命感にこだわってしまうと思うたりするんです。ですから、やっぱりその当事者の信頼がまず大事だろうと思っております。同時に、実態調査をもっと私、素直にやっぱり税務当局もすべきだと思うんですが、何かアリの出口を探すぐらい細こう調べますね、あれは難しいことだと思うんですが。 それで、しかしまた、このNPO自身に関しましては、もう少し運用の実態を見て、改善すべきところがあるならばしてみたいと思うております。
○山本保君 三年前にこの法律を作りますときに私もやらせていただいて、当時はまだまだ税制の優遇などというのは必要ないという意見の方が多かったんですけれども、おかげさまで動き出しまして、やはりこれが一番大事だというところで、去年の十月ですか、こういう認定NPOという、もう一ランク税金を安くできるということですから、不公平にならないようにというものができたと。で、やっと、大臣、しかもこれからもっと広げていこうという決意をいただきましたので大変心強く思いますけれども、ちょっとここで国税庁にお聞きします。 十月から始まった認定NPO法人、現在どんな状況でございましょうか。
○政府参考人(村上喜堂君) お答えいたします。 今御指摘のとおり、認定NPO法人制度は昨年十月一日から施行になっておりますが、本年二月までの間、五か月経過したわけでございますけれども、申請が十件出ております。そのうち、既に国税庁長官の認定を受けたNPO法人は三件となっております。 以上であります。
○山本保君 たしか六千とか七千という全体では法人がもう今認証されて動いている中で十件しかないと。短い期間だからということもありますけれども、しかし、やはり大臣も先ほど言われたように、余りにも厳し過ぎるんじゃないかなという気がするので、ちょっとそれについて少し具体的に見てみたいと思いますけれども。 まず、今回の税制改正、十四年度の改正で、これについて与党の方で私どもも議論させていただいて、そして認定要件の緩和について予定していると聞いております。副大臣、この辺はどんな、これは副大臣じゃないですかね、ごめんなさい、主税局長ですか、大臣でよろしいですか、副大臣、お願いいたします。
○副大臣(尾辻秀久君) 二点、簡単に申し上げます。 一点は、みなし寄附金制度のそのものに対する……
○政府参考人(大武健一郎君) お答えさせていただきます。 十四年度の税制改正におきましては、認定NPO法人制度の認定要件のうち、パブリックサポートテストにつきまして、NPO法人の役員、社員がその当該法人の活動を支持して寄附する場合に、その寄附金についても寄附金総額に算入できるということで、要件緩和を図らせていただこうと思っているところでございます。
○山本保君 それ一点だけがやっと認めていただいたかなと思っておるんですけれども、先ほど尾辻大臣の方からもちょっとお話がありました、団体からも要望されておりますのは、公益法人にありますみなし寄附金制度でございます。この辺については、たしか与党の申合せといいますか、そういう検討事項として入ったと思っているんですけれども、これの見通しはいかがでございましょう。じゃ、副大臣、お願いいたします。
○副大臣(尾辻秀久君) ただいまの御質問だと思いまして、勘違いいたしまして失礼をばいたしました。 ただいまの御質問でございますが、先ほど半分申し上げましたように、二点、まず簡単に申し上げます。一点はみなし寄附金制度そのものに対する御議論がいろいろあるということであります。それから、昨年の十月一日に始まったばかりでございますから、認定NPO法人制度そのものの歴史が浅い、こういうことでございます。 そこで、今お話しいただきましたように、公明党を含めて与党三党、おまとめをいただいております平成十四年度税制改正大綱におきまして、「認定NPO法人に係るみなし寄附金制度の導入については、今後、認定NPO法人の実態等を見極めた上で早期に検討する。」とございますので、私どももそのようにさせていただきたいと考えております。
○山本保君 これはこれから検討ですから、ここでは余り立ち入って片方のある方向を言うことはないかとは思うんですけれども、みなし寄附金というのは、御存じのように、収益事業を行った場合に、それは本来の事業に当然使われるべきものだと。実態がいろいろありますから、これをあるパーセントで認めて課税から外すという制度でございますね。 今、尾辻副大臣からもおっしゃいましたように、私もちょっと見ましたら、確かに一般の公益法人の場合、収益事業については規定が法律上はないんですね、監督のところにあるだけです。しかし、NPO法では、この辺作るときに大分言いましたように、NPO法人については勝手にやれるんじゃなくて、収益事業は当該事業に資するためと、ものだけ認めるというふうにはっきり書いてあるわけですから、公益法人よりも言うなら条件が厳しいわけですよ。であるのに、公益法人の方は認めていてNPO法人は認めていないというのは、これはやはりちょっとおかしな状態だと思います。 ですから、当然、いわゆる公益性という、言葉自体も古いと思うんですが、役所が認める公益性では駄目だと思いますけれども、インターネットなどでやはり、最近聞きますとインターネットで広げていく。私なども音痴ですから駄目なんですが、お聞きすると、やはり結構ウオッチャーという方がいて、結構細かく見ておるようでございます。ですから、例えば、今法律上は、NPO法上はインターネットは書いてありませんけれども、やはり全体の流れの中でこういうものも導入して、そしてみんなでチェックしていこうと、こういうものを担保にしながらこの制度を入れていっていただきたいなというふうにちょっと思っております。お願いをしておきます。 次に、もう少し別の今度観点ですが、その認定要件の中で、これも団体から言われているんです、一市区町村だけで活動していると、そのパーセントが大きければですが、これは国税を安くするといいますか、非課税の対象にしないんだというふうに聞いているんですね。これも変な話ではないかと思うんですけれども、この辺いかがでしょう。
○副大臣(尾辻秀久君) 今お話しのとおりに、認定NPO法人に認定されますと税制上の特典がございます。ただ、その税が国税でございますので、どうしても国税の支援を受けると、こういうことから申し上げますと、ある程度広範性が必要であると、私どもはそのように考えておるところでございます。
○山本保君 今日は時間がないので深く議論はできませんが、私はちょっとおかしいと思うんですよ。それは、例えば日本が連邦制みたいで、明らかにその地域だけでやっているものはそこの財源でやりなさいよという国だったら、その理屈は通ると思うんですよ。そうじゃないわけですね。実際、その一地域でやっていようが交付税が出ていたり、国の税金が行っているわけですよ。 であるならば、何も、その活動がその地域でやっているからそれは国税にしないんだと、元々県内でということで最初に考えているわけです。しかも、これは実態を見ますと、例えば、一町でやっていては駄目だというその町自体が市なんかよりよっぽど大きな町なんというのは一杯あるわけですね。その中で頑張っているのに、それじゃ駄目なんだよ、よそへ行きなさいと。首都圏なんか考えてみますと、すぐに隣の県や市へ行けるわけですからそんなに問題ないんですけれども、これはもっと実態に合った形で考えていただきたいという気がするんですが、尾辻副大臣、どうでしょう。
○副大臣(尾辻秀久君) NPO法人が地域に根差した活動を行う法人が多いということは私どもも理解をいたしておるところでございます。 したがいまして、今の制度は一番小さな単位の市町村を単位にして、幾つかの複数の単位で活動してくださいということをお願いいたしておるところでございますが、今、先ほど申し上げましたように始まったばかりの制度でございますから、今後検討をさせていただきたい、こういうふうに考えます。
○山本保君 積極的に検討をしていただけるというふうに理解しておきます。 それで、時間のこともあるのでパブリックサポートテストについてはちょっと置きまして、ここで、今の税のことで気になっておりますのは、私どもも実は、最初にこういう案を作っておるときに、地方税についても当然同じ考え方で、寄附者に対する税優遇があっていいんではないかと考えているんですけれども、地方税については、これは時間がないのでまとめてお聞きしますけれども、いわゆる所得税と似ている個人住民税ですか、これについて寄附金控除の対象となっているのは、お聞きしますと、地方公共団体と日本赤十字と共同募金会だけに限られているんだと、それ以外では駄目なんだというふうになっておるようです。 これはどう考えても私納得できないんですけれども、この辺について御説明と、どうお考えなのか、お願いいたします。
○政府参考人(瀧野欣彌君) 個人住民税の寄附金控除についてのお尋ねでございます。 ただいま御指摘ございましたとおり、個人住民税の寄附金控除につきましては、所得税と比較いたしますと極めて限定された対象になっておるわけでございます。これは、個人住民税という税金が、そもそも地域社会への会費としてできるだけ多くの住民の方に負担を分かち合ってもらうという性格の税でございますので、極力政策的な控除を設けてきていないということが一点ございます。また、個人住民税の寄附金控除につきましては、やはり控除を行う地方公共団体と寄附金によります地方公共団体の受益、これの対応関係というものが必要になるということもございます。 したがいまして、個人住民税におきましては、寄附金控除の対象となる団体の範囲の拡大というようなことにつきましては、所得税と同じようにしていくということはなかなか難しいんじゃないかなというふうに考えておるところでございます。
○山本保君 局長にちょっとこの辺は考えていただきたいというか、また大臣にもお願いしたいと思っているんですが、今の話を伺っていまして、この一連のお話の中で全く矛盾した話だという気がするんですね。片方、国税の方は地域ですから駄目ですよと、こう言っておきながら、今度こちらの地方税の方では地域なんで駄目なんて、何を言っているんだか、全然おかしな話ですね。 元々、さっき最初に塩川大臣がおっしゃったように、この制度自体は正にこれから広げていって、新しいタイプの活動、事業を広げていこうという意味があるわけですよ。そのときに地域だから駄目だというのではおかしいし、またもう一つ言えば、地方公共団体と、その団体の悪口を言うわけじゃないんですが、日赤と共募、共同募金、正に役所じゃないですか。役所に寄附したらいいんだというこれは発想ですよ、これ。これじゃ、元々全然認めていないんですというなら、まだ今おっしゃったとおりで分かるんですよ。役所の言うことを聞くといったら申し訳ないんだけれども、役所だったら元々税金でやればいいじゃないですか。だから、そんな説明にならない実態じゃないかなと、ちょっと厳しめで申し訳ありませんけれども、そんな気がするんです。 ですから、ここは是非今度、大臣もおっしゃったように来年度の改正に向けてまた検討していただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。
○委員長(山下八洲夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午後零時五分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(山下八洲夫君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。 平成十四年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。 法案の質問に入る前に、午前中、浜田委員からもございましたけれども、今大変焦眉の課題になっています中小企業への融資、地域金融の問題について質問させていただきたいと思います。 最初に、経済産業省おいでいただいていますけれども、この間の中小企業融資の現状がどうなっているか、簡単に御報告いただきたいと思います。
○政府参考人(小脇一朗君) お答え申し上げます。 最近の中小企業に対します民間金融機関の貸出し姿勢についてでございますけれども、平成十年ごろの未曾有の信用収縮の時期ほどではございませんが、昨年に入りましてから再び厳しくなってきておりまして、特に昨年の秋以降、景況全体が悪化を続ける中、厳しさを増しておると、このように認識をいたしております。 具体的には、私ども中小企業庁で実施しております中小企業への貸出し実態調査によりますと、金融機関の貸出し姿勢が厳しくなったとする中小企業の割合が、平成十年十月には三五%でございましたけれども、その後急速に改善をいたしまして、一昨年九月には一九・四%まで低下をいたしました。しかし、その後再び上昇に転じまして、本年二月、直近時点でございますけれども、二四・六%にまで達しているという状況でございます。 こうした中、私どもその状況をよりつぶさに把握をするというために、本年一月から二月に掛けまして、全国二十五の道府県に私も含めまして中小企業庁の部課長が分担をして出張をいたしまして、地域の金融機関あるいは中小企業の生の声を聞いてまいったところでございます。 本調査におきましても、長期にわたる業況不況から、多くの中小企業の資金繰りが極めて厳しくなってきておりまして、また金融機関の選別融資も激化をして、一部の業況の良い企業には各金融機関とも激しい貸出し競争を行っている一方で、多くの業況の悪い企業に対しましては反復融資の拒絶が増加していると、こういった状況を把握しているところでございます。 こうした厳しい状況認識を踏まえまして、先般のデフレ対応策におきましては中小企業金融に関する緊急の対応策を取りまとめたところでございまして、今後とも、やる気と潜在力のある中小企業が連鎖的な破綻に追い込まれることのないよう、金融面でのセーフティーネット対策に万全を期してまいりたい、このように考えております。
○大門実紀史君 今御報告いただいた中の、二十五都道府県のヒアリングですか、この中で、後で御質問さしていただきますが、金融検査マニュアルについて、かなりあれがあるために融資が厳しくなっているという声も寄せられたというふうに、これは経済産業委員会で、そういう質問に対して、平沼大臣もそういう声があったと、非常に具体的に平沼大臣はおっしゃっているんですけれども、BIS規制、そういうものを信金、信組、地域の金融機関に適用することそのものがやっぱり、大臣がおっしゃっているわけですが、おかしいと。それは中小企業の皆さんに大変な思いをさしているということは事実だというふうに大臣もおっしゃっていますが、中小企業庁として、このマニュアル問題、マニュアルのために、午前中、浜田委員からございましたけれども、マニュアルのために貸すに貸せない状況が起きているということについて、経済産業省、中小企業庁としてどういうふうに対応されるおつもりですか。
○政府参考人(小脇一朗君) お答えを申し上げます。 合理的な内容の検査マニュアルに基づきまして金融検査が厳正に行われるということは、金融システムの健全性を保つために重要なことと考えております。 ただ、実際の検査に当たりまして、中小零細企業向けの貸出し債権を査定する場合には、その企業の販売力あるいは成長性あるいは代表者の収入、資産等といった各中小企業の特性に十分配慮することが必要となるところでございまして、検査マニュアルにもそうした趣旨の中小零細企業への配慮規定が盛り込まれているというふうに承知をいたしております。 先ほど御答弁申し上げました、私どもこの一、二月に行いました地域金融機関に関しますヒアリング調査でございますけれども、そこにおきましても、金融検査マニュアルの中小企業向け配慮規定の趣旨が必ずしも検査の末端まで十分に浸透しておらず、中小企業金融の実態に合っていない事例が見られると、こういった指摘がございました。また他方では、金融検査を受ける金融機関の側に、検査内容に対します習熟、あるいは資料の整備、説明の適切さ等の点で問題があるケースもあると、こういった指摘もあったところでございます。 こうした現場からの指摘も踏まえまして、今般のデフレ対応策の中で金融庁におかれては中小零細企業等の債務者区分の判断につきましてマニュアルの具体的な運用例を作成、公表するといった措置が取られるということになっていると存じているところでございます。 この具体的な運用例の作成、公表に関しましては、かねてより私ども経済産業省から金融庁に対しまして要請をいたしていた点でございまして、当省といたしましては、今後も中小企業金融の円滑化を図ると、そういう観点からこうした取組に重大な関心を持って注視をし、必要に応じ金融庁に対しましても意見を述べてまいりたい、このように考えているところでございます。
○大門実紀史君 どうもありがとうございました。 私ども日本共産党の調査でも、各地方の商工会議所の会頭の皆さんや中小企業団体の方々も、今のマニュアルがあるためにどうしても信金、信組や地方銀行が貸すに貸せない状況に追いやられているという話をたくさん聞いてまいりました。これは前にも申し上げたと思います。 全国信用金庫組合の中央協会の会長の田附さんももう直近でそういう発言をされておりますし、信用協会会長、全国の信用協会会長の長野さんも、今、特に信金、信組の段階では貸し渋りじゃなくてマニュアルのために貸したくても貸せないといいますか、貸した途端にマニュアルで不良債権に分類される、だから貸せなくなっているんだという話をされているところです。 実際、数字の面で見ましても、信金、信組の貸出し状況でいきますとかなり落ち込んでいます。例えば信金の貸出しでいきますと、これは今年一月ですけれども、前年比でマイナス三・一六%、二十七か月連続マイナスになっていますし、信組の場合は三十六か月連続マイナスということで、やはりこのマニュアル、もちろんその前の検査プラスこのマニュアルどおりやれというふうなことで貸すに貸せない状況が地域金融の中で今実際起きているというようなことが、先ほど言われましたけれども、経済産業省、中小企業庁にはそういう声も多く寄せられているということだと思います。 柳澤大臣にお伺いしたいんですけれども、金融庁として、こういう状況に陥っている地域金融ですね、このまま放置すると、たとえこのペイオフの後でも大変なことになると思うんですが、金融庁として、中小企業金融あるいは地域金融というものを、こんな状況、袋小路に今入っていると思うんですけれども、どういうふうに今後なされようと考えているのか、ちょっとお考えをお伺いしたいと思いますけれども。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 午前中の御質問にもお答えいたしましたように、金融機関が中小企業の方々に対して融資をするということは、金融機関の側にとっても大事な分野だというふうに実は認識をしております。 ところがそれが、今言われたようなことがあるということにつきましては、私ども、資産の査定というのは信用リスクに応じて適切にやる、それでなければ健全性が確保できないということは、これはちょっと譲れないところで正直ございます。 ただ、その信用リスクというものを計るときに、中小企業の方々の特殊性、先ほど中小企業庁の方も言っておられましたけれども、そういうことを本当によく勘案するということは、これは必要だし、またそういうふうにしなければならないということでございまして、それを今後とも徹底させていくことが大事だと、このように考えております。
○大門実紀史君 今後ともとおっしゃいましたけれども、実際、マニュアルには随所に、その実態をよく見てと書かれていますよね。それにもかかわらず、これだけ、本当にもう私思うんですけれども、金融庁だけが今の検査のマニュアルでいいんだと、あとの人たちは何とか見直してくれと、何とか考えてくれという声が本当にもう全国で沸き起こっているというふうに私感じておりますけれども、なぜこれだけそうしたら批判が起きているんでしょうか、マニュアルに対して。どういうふうにとらえておられますか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは結局、検査マニュアルというものが制定されたのは九九年七月でございます。平成十一年の七月ということでございまして、そういうマニュアルをもって検査をするということ、まあまだそう日がたっていないという背景が一つあろうと思いますし、それからまた信用組合におきましては、これまでは都道府県の検査であったということ、それが国の検査になったというようなことも若干影響があるんではないかと、このように思います。 いずれにしても、新しいシステムの下に置かれているということも、若干いろいろな言葉遣いだとかなんとかということも変わってきているはずでしょうから、そういったようなことが一つ制度的な背景としてある。 それから第二番目には、やはり景況の問題があると思います。景況が良ければそういうシステムが変わってもまあそれほどの、何と申しますか、不連続感というものを持たないですっと自然に吸収されていったようなことも、たまたまそういうものが適用される時期が非常に経済的に厳しい時期に当たっているというその両面から、やはりそうした声が挙がる背景があるんではないかと、このように考えます。
○大門実紀史君 そうしますと、マニュアルの中に書いてあります実態を配慮するという部分は、率直に申し上げて、十分に行われてきたというふうにお考えですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今のお話は、金融庁検査になり、またマニュアル検査になって以降でございます。そういうお話だというふうに受け止めさせていただいてお話ししますと、私の立場から、いや必ずしもそこがとなかなか言いにくいところですが、率直に言って、財務局の検査が多いわけですね。そうすると、財務局の金融検査、これは部門は昔からありましたけれども、まあ何と申しますか、若い人たちが入る、あるいは定員増があるということで、新人も来るといったようなことで不慣れな面というものがあったであろうということは、私としては想像しているところでございます。
○大門実紀史君 そうすると、今度のデフレ対策に、そういう実態配慮の部分をきちっとやっていこうといいますか、その訓練、模擬検査ですかね、研修とかですかね、そういうのをやらなければいけないというのは、率直に言って今まで、少なくともこの平成十一年の後の検査でその実態配慮が十分行われていなかったからわざわざデフレ対策に入れられたということじゃないんですか。先ほどの中小企業庁の経過からいっても、実態がちゃんと配慮されていないという声が多いので、経済産業省としては金融庁にちゃんと実態配慮してほしいというのがあってデフレ対策に入れられたということは、今までやっぱり配慮されてなかったということにならないでしょうかね。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 結局、運用の問題でございます。じゃ、一刀両断に、配慮されていなかったということを私がもしここで言うという根拠も実はないんですね。つまり、みんな硬い話ばっかり、厳しいことばっかり、運用面での配慮というものが記されているにもかかわらず、それらを無視して行っていたというようなことを言い切るという状況では私はないと思います。 しかし、私自身も、実は私、同級生に、個人的なことを申して恐縮ですが、大蔵省の金融検査をやっていた人間がおりまして、今はもう卒業してOBですけれども、当然。高校時代の実は同級生なんですが、まあ私の極めて親しい人間ですが、そういう友人からも、最近の検査について何か聞いているかいというような話は私も率直に言って聞いたところです。 だから、やっぱりちょっとまだ、最近やっぱり人が増えているというようなこともあって未熟な者もいるというようなことは聞くぞというようなことで、アドバイスというか、そういう彼の見方というか、そういうものも聞いておりますので、その点は私自身も注意を払っていかなきゃいかぬ点だと、こういうふうに思ったことなんですが、じゃ、そういうことだから全般的にそうだったかということは、到底私として言えないところでございまして、これはやっぱり個別に、制度、制度というか、施策としてはよくそれを徹底するようにやるということでございますけれども、だからといって、今、大門委員が言うように、みんな徹底してなかったんだというふうに思わないとおかしいじゃないかというところまでは、私はそんなことは到底言えないということでございます。
○大門実紀史君 信金、信組が破綻に追い込まれた問題は我が党ずっと取り上げてまいりまして、大臣、恐らく都市銀行のことで頭一杯で、信金、信組の方は現場の方の話を直接余り御存じないんだと思いますけれども、かなり実態配慮ということが否定されているのを指摘してきたつもりです、具体的に。 船橋信金などでは、この前も言いましたけれども、セーフ・ハーバー・ルール、これは全く否定されてしまうというようなことが起きていますから、そういう破綻したところには象徴的に現れていますけれども、午前中浜田委員からもありましたとおり、破綻していないところもすぱっと二%ぐらい、金融庁の検査でいろんなものを否定されて、自己査定を否定されて自己資本比率が落ちてしまうというケースも多々あるわけなんですね。 今日、せっかく五味検査局長が来られておりますのでお聞きしたいと思うんですけれども、大臣言われましたけれども、現場では、私見ている限り相当、実態配慮どころか、いろんなものが否定されています。否定されています。これはどこの指示でされたのか。地域金融機関、特に信金、信組の整理統廃合、これは具体的にどこが、金融庁のどの部署で、どこが仕切って、統括して、そういう自己査定なんかも危なっかしいんだと、ひどい例一杯あるわけですけれども、そういうかなり現場の検査官が自信持って否定できるような指示をどこが出されてきたのか。五味検査局長が一番御存じだと思いますので、ちょっと伺いたいと思います。
○政府参考人(五味廣文君) 検査は、主任検査官と申す者を任命をいたしまして、これがチームを率いて行います。その検査の眼目となりますのは、金融機関のリスク管理体制あるいは内部管理体制についての検証を行うということでありまして、この検査を行う際に、何らかの予断を持って、結果をあらかじめ決めて行うというようなことは一切しておりません。また、そうした指示はだれからも出ておりません。
○大門実紀史君 今、検査局長、指示出していないということですので、この問題、あしたの金融特で引き続き信金・信組破綻問題をやらせていただきますので、追及したいと思います。 先ほどのお話に戻りますけれども、じゃデフレ対策で、先ほど御質問ありましたけれども、その実態配慮のところをやっていくと。先ほどちょっと聞いていてよく分からないんですけれども、御答弁がよく分からなかったんですが、模擬検査とおっしゃいましたっけね、研修ですか、研修の中身のことですかね。これはいつごろからやられておられたんですか。今回のデフレ対策で初めてやられるんですか。
○政府参考人(五味廣文君) 新任の検査官に対します研修あるいは経験の浅い検査官に対します研修は、当然のことながら以前より行われておりますし、また、経験を積んだ検査官に対しましては、そのレベルに合わせた研修というのを別途行っているということで、これまでも行ってきておりました。 新人に対する研修といたしましては、これまではいわゆる座学と言われる形での研修、プラス、ケーススタディーと申しまして、グループで特定のケースを扱いまして、そこに教官的な、教官となるような立場の者が入る、あるいは入らない場合であれば、そのグループだけで議論をして論拠を詰めて、その結論を研修の素材としてみんなで議論をしてみるというようなことを行っていたわけでございますが、今回、これに加えまして、新任の検査官につきまして模擬査定研修といったものを始めてみました。これは本庁で最初にやりまして、これは私の記憶では二月の八日だったと思いますが、行っております。 これは、したがいまして、デフレ対応策を受けて始めたということではなくて、その前から、より有効な研修ということをいろいろ模索をしております中で出てきたアイデアでございまして、その段階で始めたものでございます。
○大門実紀史君 そうすると、この間かなり評判の悪い検査官の事例がたくさん出てきて、本当にあったんですけど、机たたいてとか、入ってくるなり、おまえのところなんか正常先あるわけないと言って信用金庫に入ってきた検査官いるわけですけれども、そういうことを改善するためではないわけですね。それとも、今まであれですか、そういう机たたくようなことを模擬検査で研修されていたんですか。
○政府参考人(五味廣文君) 特定の金融機関の検査に関して、机をたたき、おまえのところには正常先などないと言ったという御質疑が国会でございましたので、調べてみました。そうした事実は私どもの調査の範囲では把握できませんでした。 次に、研修におきましては、当然のことでございますが、特に模擬査定研修では、中小企業あるいは零細な個人事業者等の実際の実例を使いまして、もちろん債務者名は消してありますが、そうした資料を基にして、新人の検査官が検査官の役をやり、ベテランの検査官が金融機関の支店長、すなわちその案件の説明役を演ずるという、一種のロールプレーで行われているものであります。 その過程で検証されますのは、検査官が正しい着眼を持って中小企業あるいは零細事業者の資産の査定というものをその事例にふさわしい形で行っているかどうか、特に、機械的、画一的な査定を行っていないかどうかといったことを、実際に査定をやらせてみながら、支店長役として様々な反論も行いながら検証をし、それを事後的に検証する、プラス、当然のことでございますが、検査態度といったようなものも問題があることがあれば指摘をされます。 非常に二月の八日というのは狭い部屋でやりまして暑かったんですけれども、みんな上着は脱いでいたんですが、支店長役をやっていた検査官のうちの一人が上着を脱がずに一生懸命汗をふきながら説明をしておりまして、私、現場に行って、なぜ上着を脱がないのかと、こう申しましたところ、検査官殿が上着を取ってよいとおっしゃらないのですと、こういうことで、その検査官慌てて失礼しましたと言った、こんなケースもありましたけれども、検査態度といったようなものについてもこの研修では重視をいたしております。
○大門実紀史君 だから、今お聞きしたように、非常に硬直的な模擬をやっていらっしゃるんですよね、上着一枚も脱げないような。中小企業のおやじさん相手にそんな検査官送り込むからそうなるんですよ、分からないんですよ。 私は、そういうことはほとんど役に立たないなと思います。なぜかといいますと、後でマニュアルそのものの問題申し上げますけど、結局こういうことなんですね。このマニュアルにかなり細かくいろいろ決められております、この中には。この中に非常に細かく決められているのに、実態見て判断しなさいよと言ったって、これは限界あるし、私、無理だと思うんです、そもそもこの仕組みそのものが。マニュアルで細かいところまで決めておいて、あとは実態見なさいなんて、できっこないと思うんですよね。やっぱり実態に合ったものに、細かく書くんだったらですよ、する必要があるというふうに思いますので、このマニュアルそのものの問題点といいますか、矛盾について質問していきたいというふうに思うんですけれども、私、時間の関係で全部お話しできるかどうかあるんですが、そもそも何だろうと、このマニュアルというのは。調べてまいりました。 そもそも、国際金融危機があって、銀行の健全性をきちっとして、リスク管理をきちっとして銀行の体力をきちっと保持して、そういう投機マネーに負けないようにというようなことの出発点と、バーゼルの銀行監督委員会等々から示したいろんな基準があって、それでそういう流れでいろいろやってきたという、流れはそういうことだと思うんです。 ただ、なぜ日本だけこんなに批判が起きているのかなということで、外国の例を幾つか調べて、まだ全部正直言って調べ切っておりませんが、例えば健全性のグローバルスタンダードの本家でありますアメリカなんかがどうなっているのかということで調べてきましたけれども、かなり違うんですね、日本と。私なんかよりも五味さんの方がもちろんお詳しいと思うんで、ちょっとむしろ聞きたいんですけれども、日本は信用組合まで金融庁の監督下にわざわざ移して、一本ですよね。金融庁一本ですけれども、アメリカの金融機関の監督体制というのはどういうふうになっていますか。
○政府参考人(五味廣文君) 米国におきましては、州法銀行と国法銀行という大きな免許の根拠の違いがございまして、国法銀行として設立をされたものにつきましてはOCC、これは財務省の下にある機関でございますが、このOCCが監督検査を行うということ、それから州法銀行につきましては、各州の銀行当局及びその銀行がフェデラル・リザーブ・システムに加入している場合にはFRBがこれをチェックをするということ、それから持ち株会社につきましては、これはFRBの方がチェックをすると、大まかに申しますとこういったようなことになっておりますが、さらに、中小金融機関につきまして独自の監督機関というものが連邦に置かれているというように聞いております。
○大門実紀史君 ありがとうございます。 それぞれマニュアルも別個に作っていると思うんですけれども、そういうことでよろしいですか。
○政府参考人(五味廣文君) 監督に必要なマニュアルというものは各機関が持っておるというふうに聞いております。私、実際に見たことがあるものは、申し訳ございません、FRBのものとそれからOCCのものでございます。あと、それぞれマニュアルは持っておりますが、その基幹となります債権分類でございますとか引き当てでございますとか、こうした基幹となります基準部分につきましては、連邦の金融機関検査評議会と訳しておりますが、フェデラル・フィナンシャル・インスティチューション・ザ・エグザミネーション・カウンシル、ここで合意をいたしました共通基準がそれぞれ使われているというふうに聞いております。
○大門実紀史君 私はOCCの二つマニュアル手に入れまして、ラージバンクとコミュニティーバンク、ここにありますけれども、なぜ別々にそれぞれマニュアルを作っているというふうに金融庁は理解されていますか。
○政府参考人(五味廣文君) 実は、なぜかというところは、申し訳ございません、私、存じません。 このFRBにおきましては、金融機関による違いというのはありませんで、全体が一本のマニュアルということで行われているということでありまして、OCCにつきましては、定義を定めてラージバンクスとコミュニティーバンクということでこれを分けておると。分けておりますけれども、この内容を見ますと、共通部分というのは当然共通でありまして、先ほど申しましたように、引き当てでございますとかあるいは債権分類でございますとか、こういったところは先ほどの共通基準が別途ハンドブックとして出ておりまして、このバンクスーパービジョンの二種類のものがあるというのは、実は共通編でバンクスーパービジョンプロセスというのがありまして、この共通編に基づいて定義を定めて、ラージバンクスとコミュニティーバンクスを分けてチェックを入れるということで、内容を見ますと、そうした基準面のお話ではなくて、監督を行っていく上で、大きな銀行、ここではたしかラージバンクというのは一億ドルだったと思いますが、十億ドルですか、十億ドルの資産ということで分けておったと思いますが、監督をするプロセスについて、このラージバンクについては、中身を見ますとプロセスがかなり詳細、濃密に記載をされている、基準の話はなくてプロセスの話であるということで、コミュニティーバンクにつきましては、監督のフレキシビリティーというものを生かすという観点から、非常にラージバンクに比べますと簡略化された記述で行われているということで、また、各リスクのチェックの内容を見ましても、いわゆるミニマムスタンダードとしてチェック項目が要求されているものというのはラージバンクのものには数多く載っておりまして、これも私どものマニュアルもそれは載っておりますけれども、スモールバンクスの方はその辺は簡略化をされていると。 こんなやり方ですので、恐らくその監督理由といいますのは、FRBの方がそうなっていないのでちょっと私も混乱しているんですけれども、監督の何かやはりプロセスというところから、非常にリスクエクスポージャーの大きい銀行をチェックする場合と、それはそれほどでもない場合ということで、基本的に違うというお考えがあるのではないか。 端的に言うと、ラージバンクスの方は、あれですね、コンソリデーテットベースで、コンソリデートベースで見なさいというのが基本になっていまして、コミュニティーバンクスの方はそうなっていないということですから、多分それはやはり銀行のリスクプロファイルが非常に複雑化してきている中でのリスク管理チェックというところで、プロセスを分けて書いた方が効率的なチェックができるという発想ではないのかと、こう思います。
○大門実紀史君 そうすると私の方が五味さんよりも詳しいか分かりませんけれども、調べてみますとこういうことなんですね。もちろんOCCしか私、分かりませんけれども、私は正直申し上げて中身違うんじゃないかと思ったんですね。コミュニティーバンクですから、地域銀行とラージバンクですね。中身違うと思ったら、ほとんど変わりません。おっしゃったとおり、詳しく記載されている等との違いで。 そうすると、どういうことなのかというふうに考えますと、どうも日本の金融検査マニュアルと違いまして、基本的な、哲学という言い方していますけれども、基本的な考え方をそれぞれの銀行に合ったように、そのクレジットリスク、信用リスクの取り方の考え方をそれぞれに合ったように書いていますけれども、基本は同じだというふうに私も分かりました。 何が日本と違うのかといいますと、日本の金融検査マニュアルですね、例えば三か月延滞すると要注意だとか、赤字が続くと要注意だとか要管理だとか、そういう詳しい、非常に、最終的に判断するそういう細かい中身まで書かれているのが日本の金融検査マニュアルで、アメリカの方はそれぞれの銀行に合ったマニュアルを作って、銀行に合った考え方でやりなさいと。もちろん基本は同じですけれども、リスク管理の区分も同じですけれども、そういうふうに分かれていると。 つまり、どう言いますかね、アメリカのマニュアルというのは、これはアメリカの銀行の歴史も読みましたけれども、相当みんな裁量性、裁量に任せてやってきたと。いろいろあって、早期是正措置を入れるときに余り裁量を認め過ぎて、一遍、預金保険公社法ですかね、それで裁量性を認めない働きをやったけれども、また反発があってまた認めるというふうに歴史があるわけですけれども、いずれにせよ、かなりそれぞれの裁量性を認めている、基本的な考え方としてですね。そういうものになっていると。ところが日本の方は、実態判断とか書いてありますけれども、基準の中に、マニュアルの中に、もうこれは要管理とかこれは要注意というのがびしっともうはまりこんでいると。この違いが非常に大きいということが分かりました。 つまり、アメリカの方は、これをマニュアル、プラス、調べてみますと検査計画というのを別に作っているようです。原文まだ手に入っておりませんけれども。つまり、それぞれの銀行に応じて、検査計画の中で、更に債務者区分のところはそれぞれ違うやり方でやっているということのようです。ところが、日本の場合はもう非常に全国これ一つで、大銀行から信用組合、信用金庫まで、ちょっと赤字なら何々、延滞したら何々と、非常に細かく個々で決められていると。だから無理が生じているんではないかというふうに思います。 つまり、アメリカの方は、現場のところはプラス検査計画のところでかなり柔軟なといいますか、実態に応じたことがきちっとやれるようになっているというふうに思いますが、その辺、もしどなたか調べておられたらお願いします。
○政府参考人(五味廣文君) その検査計画というのを私は実は見たことがないんでございますが、聞いた話ですけれども、引き当て率が、例えば先ほどのスタンダードでいいますと、サブスタンダードの区分に入っているもので一五%というようなことが書いてありますが、これはアッパーリミットでなければローワーリミットでもないということも併せて書いてあるわけでございますね。その実態を見て判断をするものであるということで。 聞いた話ですが、その際にこの一五%というものを機械的に適用しないために、その時々の経済情勢ですとか、あるいはその銀行が持っている貸付けのポートフォリオですね、どんな業態に貸しているのかとか、どんなプロジェクトに貸しているのか、そのプロジェクトの属しているセクターの将来性はどうなのかとか、あるいは、経済の状況が落ちているときにそのセクターにどういう影響が出るかとか、こういったようなことを、たしかその都度、いろいろ検査に出る際に議論をして、一五%が機械的適用にならないようにしつつ、あとは、いろんな議論を踏まえてその検査官が判定をしていくといったようなことを聞いたことがございます。 私どもですと、検査に出る前にその検査の実施のための指針というものをそれぞれ話合いをしまして、このマニュアルに書いてあるとおりでは当然いけないわけですが、ある方向性を持って、どこを重点にどういった考え方でチェックをしたらいいかということをやってまいりますので、あるいは何かそれに似たものがあるのかどうか、ちょっと公表されたものとして私は、というか、公表されていないものであってもちょっと見たことがありません。 あとは、マニュアルで、先ほどおっしゃいました赤字の先、あるいは要管理先といいますか、延滞が三か月というようなお話ですね、こうした延滞先についての考え方と申しますのは、公認会計士協会が作っております会計の方の原則、こちらの実務指針ではっきりと定義がされましたものでございまして、こうしたものを受けて、日本のマニュアルはこれを採用をしチェックを入れているということでありまして、アメリカはアメリカのやり方があるんでございましょうけれども、私ども、公認会計士協会の実務指針というものをベースにして引き当ての準備作業というのを行うというのは、これは合理的なことであるし、分かりやすいことであろうと思っております。
○大門実紀史君 要するに、日本は、アメリカで言うマニュアルプラスルーチンワークといいますか、作業マニュアルもこれ一冊で兼ねていると。私、分かりやすく言えば、アメリカと比べてみると。アメリカは、マニュアル、プラスそれぞれに金融機関に応じた検査計画があると。その中に恐らくいろいろ、こういう場合は要注意、こういう場合は、向こうは言い方は違いますが、要管理とか、向こうは三区分、基本的に三区分みたいですけれども、それに分けることが決められているというふうに全体像、体系を理解するわけです。 その点でいきますと、このマニュアルについて冒頭申し上げましたとおりいろんな批判が起きているというのは、つまりそこではないかと思うんですね。ここで、すべてこの一冊の中に作業マニュアル的なもの、さっき言った三か月、いろいろ基準があるんだとおっしゃいましたけれども、それそのものがやっぱり都市銀行の場合と地域金融機関の場合と違うわけですから、それが公認会計士か何かが良ければいいというわけじゃなくて、実態に合わせてやるべきだと思うんですよね。そこがこのマニュアルの一番の欠陥だと。 ですから、これをこのままにして一体幾ら実態判断といっても、私はやっぱり無理があると。つまり、こういうものを出すんなら、基本的な考え方、リスクの取り方の基本的な考え方にやっぱりアメリカのように押さえ、そこに押さえて、それだけ示して、あとはやっぱり金融機関ごとの別途の債務者区分の、もちろん引き当て率は同じでいいと思いますけれども、その区分に分ける前の分け方のところで、別のマニュアル、作業マニュアル的なものを作らないと解決しないというふうに思います。今、その検査計画については資料を取り寄せ中ですので、またはっきりしましたら御質問をしていきたいというふうに思います。 税制の方に入らせていただきます。柳澤大臣、結構です。どうもありがとうございました。
○委員長(山下八洲夫君) 金融庁、中小企業庁、離席結構でございます。
○大門実紀史君 時間が少なくなりましたけれども、幾つか税制に関して質問をしたいと思います。 一昨日、この財政金融委員会で自民党の清水委員が、選挙のないうちに消費税上げたらどうだという、大変率直なといいますか、是非テレビで放映してほしかったなと思いますけれども、そういう御意見ありましたけれども、これは自民党あるいは与党の考えでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) これは清水さん自身の個人の意見だと思います。
○大門実紀史君 分かりました。 ちょっと絞って、時間の関係で一つだけ御質問したいと思います。 今、課税最低限の引下げ問題がございますけれども、引き下げるという話がよく出るわけですが、このときによく使われるのが、政府の方で宣伝されるのが、四分の一が、就業者の四分の一が税金を納めていないという話をよくされるわけですが、この根拠を簡潔に、時間がありませんので、説明していただけますか。
○政府参考人(大武健一郎君) お答えをさせていただきます。 現在、統計を取ってまいりますと、十二年分で申しますと、全日本人のいわゆる十五歳以上の人口が一億八百三十六万人、そのうち、いわゆる労働力人口として六千七百六十六万人、うち、平成十二年でございますが、失業者除いた就業者数、六千四百四十六万人。それに対して、他方、給与所得者並びにいわゆる納税者数全体を取ってまいりますと四千七百七十三万人ということになりますので、それを差っ引きいたしますと、非納税者が千六百七十三万人、すなわち、就労者のうちの約四分の一が非納税者になっているのではないかと、こういうことでございます。
○大門実紀史君 私、調べてみましたら、大変それトリッキーな数字だと思うんです。大体その就業者は、調査期間の間に、毎月末の一週間ですけれども、一時間以上勤務した者という定義なんですよね。なおかつ家族従事者の場合は、無給であっても家族従業者の場合は入ってしまうと。そういう計算で四分の一しか納税していないというようなのは、大変何かためにする議論ではないかと。 こちらで、私の方で計算してみますと、もう少し正確な数字として、民間サラリーマン、常用の雇用者、四千五十六万になりますけれども、それに占める納税者数が三千八百七十八万ですから、九五・六%。この場合、税金を納めていないという人は四・四%です。これに公務員も含めて雇用者全体五千三百三十一万人で見ても、税金を納めていないと言われる人は一六%ぐらいにしかならないんですけれども、私が申し上げた方が正確な数字ではございませんか。
○政府参考人(大武健一郎君) 取り方がいろいろあるのかとは存じますけれども、現在の就労形態というのは、今、常雇用と申されましたが、短期雇用も多数増えておりますし、あるいはまた、雇用という形態を取らないようないろんな種々の就労形態があるかと思います。 そういう意味では、母数に何を取るかという問題でございますが、やはり労働力人口から取っていくというのが母数の取り方の一つではないのかなというふうに思いまして、我々はその統計を取っているということでございます。ましてや、今の給与所得者だけで限っておられますけれども、もちろん自営業者等も別におありになるだろうと存じます。
○大門実紀史君 そうでしょうかね。私が言った方が現実に近いんじゃないですか、働いて税金を納めるということでいきますと。皆さんが取られている数字だと、本当に税金、どれぐらい働いた人がこの対象になっているのか、そういうところが非常に不明確だし、非常に数字を大きくするためにはその方がいいかも分かりませんけれども、実態に合っていないんじゃないかというふうに思いますので、もう一度再考してもらいたいというふうに思います。 最後に、塩川大臣にお伺いいたしますけれども、今、税調と経済財政諮問会議で税制の抜本改革の論議が進められているということですが、これは減税先行ということになっていますけれども、二〇〇二年、二〇〇三年は減税先行ということでお話しされているようですが、二〇〇四年から二〇〇六年に掛けてということになりますと、この後半の方はどういうふうな抜本改革を目指すということになるんでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) まだ減税先行ということは決めたものではございませんで、ある一部の方はそう言っている人もありますけれども、それはやっぱり減税が経済刺激に大きい作用をもたらすということを優先的に考えておるんだと思っております。 先ほど午前中の櫻井さんの御質問でございましたでしょうか、あのときにも私は答えましたように、これからの減税はこういうことで減税いたしますけれども、そのバランスシート上から考えると、後年度においてこういう増税をさせてもらって、それでバランスを取るようにいたしたいということを明確に意思表示をして、それを法律案にして私は提出する方が国民の方も安心感を持ってくれるのではないかと。余り減税減税続きましたら、国民、気持ち悪う思いますからね。ですから、そういうことをきちっとしておく方が私はいいと。 そういう意味において、減税先行という考え方は、一部では取り方によったらそういう取る人もあるかも分かりませんが、私はあくまでもバランスを取った上で減税の仕方を考えていくということを申したいと、こういうことでございます。
○大門実紀史君 ただ、もう時間があれですけれども、それじゃ一問だけお伺いします。 結局、二〇〇六年までの五年間の道筋で、例えば中期展望なども考えておられるわけですけれども、減税先行でないとするとちょっとあれなんですが、その景気刺激も含めて減税先行ということになりますと、プライマリーバランスを改善するということと併せると、どうしても二〇〇四年からはかなりの大増税をやらないと帳じりが合わないんじゃないかというふうに推測されるわけですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 大増税ということじゃなくても、私はバランスシート上からいってプライマリーバランスは取れると思っておりますが、しかし二〇一〇年というのは、いずれにしましても、現在のような状況で進行しますと非常にしんどいということは事実でございまして、二〇一〇年にどうしてもプライマリーバランスを取るということになりましたら、かなりな増税は必要であろうと思っております。 しかし、そういうことが日本の経済にとっていいのかどうかということも考えなきゃなりませんので、私たち、一応目標は二〇一〇年、そうでないと財政の秩序が立ちませんので、そこに置いて努力をするということは当然でございますが、そのためにむしろ角を矯めて牛を殺してしまうというようなことになってはいけませんので、そのプライマリーバランスを取るについては十分な慎重な姿勢で臨んでいきたいと思っております。 ですから、大増税によってそのプライマリーバランスを取るというような考え方は持っておりません。それよりも、むしろまだまだ歳出面において見直すべき点がたくさんございます。私は、平成十五年度予算においても更に一層の財政、一般会計の財政支出のいわゆる適正な評価、行政評価をして、それへの切り込みをすべきものは切り込んでいくし、伸ばすものは伸ばしていくという、この節を厳しくやっていきたいと思っておりまして、そういう面から財政上の負担を余り国民に掛けないようにしたいと思っております。
○平野達男君 国改連絡会の平野です。 今日は、先に、前のNTT売却益の利用に関する法律の改正のときの議論を、ちょっとしり切れトンボに終わりましたので、財務大臣との間でちょっと整理を付けたいというふうに思います。 あのときは、二次補正の意味合いということでお尋ねをしたというふうに思っています。 今の経済状況はデフレという状況にありまして、このデフレの見方をどのように見るかというのはいろんな見方がありますけれども、あのとき私が申し上げたのは、やっぱり需要と供給の間に物すごいギャップがある、供給が需要を非常に上回っている、デフレギャップという言葉がございましたけれども、そのデフレギャップがあるんだというようなことを申し上げました。しかも、そして、二次補正のときには、デフレスパイラルの入口にある、デフレから一歩進んでの先のデフレスパイラルの入口にあるんだということで、その阻止のための二次補正だという、そんな趣旨ではなかったかと思います。 その二次補正につきましては、今までは構造改革ということで中心に進んできたんですが、構造改革、構造改革で進んできた一方で、やっぱりデフレギャップなりがあって需要がどんどん落ちてきている。その需要の落ち込みを一時的に防ぐために追加財政、あの場合は公共事業中心だったわけですけれども、それを発動したんですねということを確認したかったわけです。 それは、もう一度この場で御確認しますが、そういう理解でよろしいでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) あの節に、私は、デフレスパイラルにはなっていないと、しかし、このままほっておくとデフレは更に進行していくので、その進行を止める意味において抑制的な措置を講じたい、そのためには公共事業でない、いや、従来の公共事業でない公共事業を重点に第二次補正予算を組んだんだと、こういう具合に言いまして、そのことが需要創出に非常に大きい役割をしてくれるであろうと。それはGDPに対してどの程度ですかということであったんで、私はたしかあのときは一・二%ぐらいのことの効果はあると思うと、そういうふうにお話ししたと思っておりますが、その考え方は変わりございません。
○平野達男君 竹中大臣も、本予算の審議のときにも、さきの二次補正で一時的に需要の創出のための予算を編成しましたよというようなことを発言されておりましたので、その点、塩川大臣と認識はやっぱり同じだというふうに思います。 あのときに申し上げたかったのは、じゃ、デフレスパイラルというのは、デフレのスパイラルという状況じゃないんだけれども、やっぱりデフレスパイラルの入口という状況ですから、これはやっぱりそれを、入口に立っているという認識でしたから、これはやっぱり深刻に考えなくちゃならないだろうと。 そこで、需要の、ある程度の需要の落ち込みに歯止めを掛けるときに、なぜNTT株の売却の二・五兆円をぽんと充てて、そして財源の規模を検討することなくNTTの売却益の二・五兆円を補正予算にしてしまったんでしょうかと。それは、本当にデフレスパイラルの入口に立っているということに対する危機意識というのが本当にどこまであるのかということを確認したかったですし、それから、需要の落ち込みということを本当に防ぐということであれば、やっぱりしかるべきマクロ的な考え方があって二次補正予算の規模というのは決めてしかるべきではないのかということを申し上げたかったというのがあのときの議論の方向でありました、途中でしり切れトンボになりましたけれども。 としますと、そのときの議論はここで取りあえず終結させていただきますけれども、今、一時的に株価も持ち直していますし、ある程度明るい先行きの材料というのはやっぱり見えてきているというふうにも言われています。ただ、その一方で、先般新聞情報にもありましたけれども、地価の下落が全然止まっていない。資産デフレはどんどんどんどん継続している。それから今、金融庁が銀行の特別検査やっていますし、その結果がどうなるか分かりませんけれども、新聞情報によると、もっともっと引当金を積まなくちゃならないというような状況もあるみたいですが、こういった状況次第ではデフレが一層加速する方向も、可能性もこれは否定できないだろうと思うんです。 そうしますと、今の、さきの二次補正の考え方からいきますと、本予算成立しましたけれども、これからの景気状況を見ると、あの考え方を踏襲すると、経済状況次第ではいつでも追加財政の可能性はあるというふうに理解してよろしいんでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) まだ、昨日十四年度予算、成立させていただいたところでもございまして、まだ新年度に入っておりませんので、とやかくまだこれを申す段階じゃないと思っておりますけれども。 私は、十四年度全体を見まして、経済はかなり早い時期から活性化していくんではないかと思っております。それは楽観的だとおっしゃるかも分かりませんけれども、しかし、ずっと過去の統計を見ましたら、相当にもうリストラは、これ以上進めてもかえって企業の活動を阻害するほどリストラはやってまいりました。そうすると、これから何に企業が活動を向けていくかということは、私は設備投資だと思うんです。 設備投資が過去二年間にわたりましてずっと連続して落ち込んでまいりましたし、特に昨年の秋以降、設備投資の落ち込みが激しい。これで私は今年からはやりたい。 そこで、企業自体がその新しい設備投資を受けるための社内体制を整えなければならない。それは一つは人事面であったろうと思うし、それからその企業が業種転換をしていくその分野の模索というものも必要であったろうと思いますが、そういう関係のものが、企業の再生ですね、これはかなり進んできたように思っております。 したがって、それが今年の六月、夏ごろから以降積極的に展開されていくんではないか、そう思っておりますので、したがって、そういう見通しをひとつ持っておる中で二次補正どうのこうのということは、私はまだ考える必要もないし、そこが結論でございますね。必要でないし、それよりもむしろ、第一次、第二次補正予算やりました十三年度、この補正予算をやりましたその資金が有効に支出されておるかどうかということ、これを見極めていくことが一つと、それと連動して十四年度予算の配分と執行を早期に実施していくように、むしろこちらから予算の執行をけつたたいていくということの方が大事だと思っております。
○平野達男君 確かに今、企業は過剰債務ということで、業務純益を上げたとしてももう借金に金を回さなくちゃならないということで、設備投資が落ちているということはそのとおりだと思います。あと、一方でそのデータを、いろんなデータを見ますと、かなりの会社で過剰債務というのはどんどん減ってきているということで、これから設備投資に向かうかもしれないという確かに可能性あります。 ただ、今私がお聞きしたいのは、そういった現状分析は確かに塩川大臣のおっしゃるとおりかもしれませんけれども、考え方の問題として、二次補正の中で今まで構造改革一本としてサプライサイドの、事実、構造改革、構造改革で一本やってきて、押してきて、需要が落ち込みましたからということで財政発動したわけです、二次補正でですね。これからの状況の中で万が一、考え方の整理として、今二次補正をやるかやらないかというようなことをお聞きしているんじゃないんです。今の、これからの財政運営の方向として、需要が落ち込んだ場合にはやっぱり財政発動あり得るということで、二次補正、私、先ほどのお話を整理すると、一歩踏み出しているわけですから、これから十四年度予算を執行する段階で経済状況がだんだんだんだん悪くなっていけば、これは、そのある時点の中でこれは必要だというふうに判断すれば、追加財政十分あり得るんですかという考え方をお聞きしているんです。今の段階で二次補正やりますかやらないかという問題じゃなくて、ポリシーです。
○国務大臣(塩川正十郎君) むしろ、そういうことをお尋ねになるならば、予想されない仮想のものに対してはお答えできませんと言わざるを得ないんですが、私はそうではなしに、まだ財政の、補正予算を考える前に、財政の執行の面でまだやっていけると思っております。
○平野達男君 予想されないというよりも、私は、今回の二次補正の中で本当に大きな変更があったというのは、構造改革ということが、要するに供給サイドの方のいろんな構造改革を進めることによって景気回復をしますよということで一本押してきた。他方、小泉総理も言っているんですけれども、構造改革の効果が出るには時間が掛かると言っているわけです。予算委員会で何にも効果が出ないんじゃないんですかと言われたのを、まだ一年ですよと、あのサッチャーだって何年掛かったじゃないですかということを言っているわけです。 その中で、今の塩川財務大臣の中では、一応景気は明るい材料が見えてきたという分析はされているわけですが、他方で、これからの財政運営のときに、本当に万が一、デフレギャップがまだまだ拡大する方向に走って、それでそのときに別な対策、新たな対策、追加対策を打ち出さなくちゃならないというような状況に陥ったときには、二次補正の例を踏まえれば、やっぱり追加財政需要というのはあるんですかということをお聞きしているんですが、答えはやっぱり同じでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) よくマスコミなんかで上と下抜いて真ん中だけ取りますからね。ですから、ここで下手に答えますと、あ、第二次補正を認めたとなってしまいますので、ですからあくまでも……(発言する者あり)そういうことでしょう。ですから、これはまだ不明のことはお答えできぬということを言わざるを得ないということなんです。
○平野達男君 じゃ、もう一つそこで言うとすれば、いずれ二次補正の中で私は、今日竹中大臣いませんからあれなんですが、もう骨太の方針も、何といいますか、骨粗鬆症にかかったんじゃないかというような感じで、最近はぼろぼろになっているんじゃないかという感じがするんですが、あの中に言っていなかった、需要サイドの刺激策というのは一つも言っていないんですね。あれを二次補正の中で二兆五千億というのを追加発動しまして、私は方針の中に大きな転換があったというふうに思っています。 だから、今回、構造改革と併せて必要があれば追加財政需要はやるよということについては一歩踏み出しましたし、そういった考え方でやってきましたし、私は、二次補正自体は、考え方自体は実は個人的には余り反対ではなかったんですけれども、そういった方針なら方針だということでやっぱりしっかり言ってもいいんじゃないかなということを根底に持っていますからこういう議論をしているということであります。 そこで、次の質問に移りますけれども、恐らくもう三十兆円枠どうのこうのということは、平成十四年度予算はほとんど成立しましたのでもうほとんど議論になることないと思うんですが、もう一度この三十兆円枠の堅持ということについての財務大臣の考え方をちょっとお尋ねしておきたいと思います。 政治的決断というふうに言っておりましたけれども、私なりに、この三十兆円の国債発行枠をたがをはめたということについては、三つか四つぐらいあるのかなというふうに思いました。 一つは、国の借金を増やさないんだと、余計な借金は作らないんだということで、要するに三十兆円枠をはめることによって国の借金を増やさないと言ってきたんですけれども、これは残念ながら、先ほどのNTT株の売却益を使ったり、今日の、今回の公債特例法の改正に見るように、実際上はもう国の借金は作っているということで、これは事実上意味がなかったんじゃないかなというふうに感じがします。 それから、それに掛けておいて歳出にある程度のたがをはめますから、歳出の規模を見直すというふうなことも財務大臣はおっしゃっていましたけれども、これは歳出の規模を、どういう予算を組むか、最適な予算を組むというのは毎年度毎年度毎年度の予算の中でやっていまして、三十兆円枠を設定しようが何しようがこれはもう関係ない話で、常に、平成十一年度予算であろうが十二年度予算であろうが、いい予算を組むということでこれはやってきたはずだと思います。ですから、これはもう三十兆円枠とは余り関係ないと。 それから、三番目の財政発動の規模を抑えるということに行くわけですけれども、このやり方としてもう一つあるのは、やっぱりシーリングというものがありました。このシーリングということで、今まではどちらかというと規模を抑えるときに歳入の視点を当てるんじゃなくて歳出の方に視点を当ててきたんですが、ここで新たに歳入の視点を当てて財政の規律を保つのは多少意味があるのかなという感じがしないでもなかったです。 それから、あと四番目の問題として、国債市場の影響というのがあるかもしれません。今、国債の発行残高が三百八十五兆円だそうですけれども、これ以上の国債の発行をやったら国債の暴落を招くというようなことをおっしゃる方もおられるんですが、それもあるかもしれません。 ちょっと今四つのことを言いましたけれども、政治的決断という意味合いを財務大臣はもうちょっと解剖してちょっと説明していただきたいと思うんですが。
○国務大臣(塩川正十郎君) 今、平野教授の財政分析論を拝聴いたしました。なかなかうまく分析しておられるなと思いますが。 私は、その三十兆円が、十三年度、十四年度続けてまいりまして、十五年度もこのマインドは続けていきたいと思っておりますし、また続けていくべきだと思っております。そして、そのことからくるところの財政上のしわ寄せといいましょうか、在り方ということについては、これはいかような方法も取れると思っておりますが、そこは流動的に処理できる問題だと思っておりまして、それこそ財政責任者の言わば知恵と腕の出しどころだと、こう思うておりますが。 けれども、経済のスケールが大きくなっていくに違いないと、また大きくしなければならぬのでありまして、GDPそのものを大きくしていくということ、そういうことに伴いますところの財政の仕組みというものはまた別な考え方が出てくるだろうと思っております。それはやっぱり今年の、十四年度の夏以降の経済の実勢の展開によって合わせていくべきだと思っておりまして、現在としては、十五年度におきましても三十兆円の枠組みを堅持しながら、財政を機動的に、そして有機的に編成していきたいと、こう思っております。
○平野達男君 どうも教授の指名いただきまして、ありがとうございました。 この三十兆円枠について、発行枠の堅持についてああだこうだと言っていたのは、私はこれについては反対の立場から言ってきたつもりなんですが、やっぱり先ほどの、構造改革を進めているときには、構造改革というのはデフレ圧力でなりますと、デフレ圧力で作用するときに、需要がどんと落ち込んだときに何でやるんだろうかと、これはもう即効性のあるものでやらなくちゃならないだろうと、そうするとやっぱり機動的に財政発動してしかるべきじゃないかと、そういった考え方があるにもかかわらず何で三十兆円枠をはめるんですかと、これは自ら自分の首を絞めるような話じゃないですかというような考え方を根底に持っていたものですから、これはおかしいじゃないですかというスタンスで言ってきたつもりであります。 今の御説明で政治決断の意味というのは分かったような分からなかったような感じだったんですが、いずれ、これを貫き通して、平成十四年度予算間もなく成立して、この法案が成立しますと執行されるわけですから、塩川大臣の意地を通したということになるかと思います。 それで、国債市場の今度は話ですけれども、今、先ほどの四番目の中で国債市場への影響というのはあるのかもしれないということで申し上げましたけれども、三百八十五兆円、対GDP比で約八〇%の非常に諸外国に比べると高い率になっているようです。ちなみに、地方の借金あるいは国債によらない国の借金等々を入れると六百七十五兆円でしょうか、対GDP比でいくと一三五%という本当に高い率になっているんですが。 今、非常に言われているのは、これだけの国債が新規を含めてあるいは借換えも含めて市場に出回っているときに、国債が暴落したら大変なことになると。利払いもあるし市場金利にも連動しますし、そういったことが言われていますし、小説までなったようでして、あれが何か結構有名、話題になっているようですが。その一方で、国債というのはやっぱり売り急ぎさえしなければ大丈夫だと。日本の場合は日本人が多く所有しているし、まだまだ国債の人気はあるよと、売手がいれば買手もあるということで、そんなに心配する必要もないよというような二つの見方があるようです。 塩川財務大臣が、いや、ここは暴落するおそれがありますよと言えば大騒ぎになると思うんですが、そういう答えは多分ないと思うんですけれども、今後の、国債の今後の事態、暴落説に対してどのような見解を持っておられるでしょうか。
○副大臣(尾辻秀久君) 今、お話しいただきましたように、今日の高い貯蓄率など考えますと、国債金利の急上昇、すなわち国債価格の暴落は現実的でないという見方が大方だと見ますし、私どももそのように考えております。ですから、暴落はないということでございます。
○平野達男君 そういうふうになるべきでしょうね。 それで、過去において、私、あるところからちょっと資料をいただいたんですけれども、昭和五十年代に六・一%国債というのが瞬時的に今より一二・三%、一二%ぐらいまで上がったという、国債の価格が暴落したときがございました。このときの背景をちょっと教えていただきたいんですが。
○政府参考人(寺澤辰麿君) お答えいたします。 昭和五十三年の四月から五十四年の二月に掛けまして、六・一%のクーポンの十年債、いわゆる六・一国債が発行されました。これが昭和五十五年一月から六月に掛けまして急落し、急騰したということがお尋ねの点だと存じますが、それを御説明する前に、まず、当時の発行市場、流通市場が現在の発行市場と全く制度的にも運用面でも違っておりますので、まずその点を簡単に御説明させていただきますと、発行市場に関しましては、当時は発行額の八割から九割が十年債という状況でございました。 年限構成が十年債に非常に偏っていたということが一つございます。これが現在では短期、中期、長期、超長期とバランスを取って発行しておりますので、五十四年ですと八八・四%が十年債であるということで、大きく違っているというのが一つでございます。それから、発行方式でございますが、全額固定シェアによるシ団引受けでございます。現在では六割相当が価格競争入札、四割が固定シェアというふうになっております。それから、条件の決定方式ですが、シ団と協議をしてクーポンレートを決めるということでございます。現在では、競争入札により実現した価格競争の募入平均価格で発行するということですから、市場の実勢でクーポンを決めて、かつ入札によって決まった価格で引き受けてもらうというような形で、非常に市場実勢に即応した発行になっているというのが大きな発行市場の違いでございます。 また、流通市場につきましては、当時は発行後一年間経過するまでは売却はできないというような、そういう条件がございました。現在ではそれはございません。等々、また、現在では国債先物市場等が市場が発達しておりまして、ヘッジもできるというように、市場の制度面、運用面が全く違っているということを前提に要因を説明させていただきます。 まず、五十五年の初めといいますと、いわゆる第二次石油ショックがございまして、物価上昇懸念が非常に高まったということがございます。五たびにわたります公定歩合の引上げがございまして、五十五年三月には公定歩合は九%まで引き上げられました。また、円安の進行があったということを背景として長期金利が上昇したということでございます。 その後、四月中旬以降に米国経済の失速によりますアメリカの金利の急低下がございまして、また、円高への反転による物価の落ち着きが出てきた、さらには、市中発行額の減少等を盛り込みました国債管理政策の実施をいたしまして、こうしたことを背景に長期金利は低下をしたということで、この間、五十五年の一月から六月に掛けまして大きく国債価格が変動したというふうに承知をしております。
○平野達男君 今、御答弁を聞いた限りではちょっとすとんと落ちなかったんですが、後でよく議事録ちょっと読ませていただきますけれども、いずれにせよ、そういった一時、瞬時的に暴落するような経過が過去にあった。それからあともう一つは、先ほどの小説の話出ましたけれども、世の中ではどうも暴落、暴落ということであおる人もいると、それを。それからあと、外国に何だか、ムーディーズだか何だか知りませんが、格付会社がいて格付をどんどん落としている。そういった中で、いわゆる風評といいますか、そういったものが非常にやっぱり恐ろしい作用をもたらすということも当然考えなくちゃならないと思うんです。 その中での国債の乱売、要するに暴落を防ぐ手段というものがあるのかどうかということなんですが、これは一般論としてお聞きします。
○副大臣(尾辻秀久君) 三点申し上げたいと存じます。 一点目です。財政構造改革に積極的に取り組むことにより、財政の規律を確保し、国債の信認を維持すること、これが一点目でございます。 二点目に、国債の発行に当たっては、市場のニーズを踏まえた年限構成の策定、市場実勢を反映した発行条件の設定、個人向け国債の導入等を通じた保有者層の多様化、市場との緊密な対話を行う、これが二点目でございます。 それから三点目に、買入れ消却の実施により今後の国債発行額の平準化を図るなど、適正な債務管理を図ること、こうしたことに努めてまいりたいと存じております。
○平野達男君 そういう形で本当に、国債を持っている人に対する、そのマインドに訴えるかどうかというのはちょっと非常に疑問ですね。 ちなみに、私もよく分からないというか、物の本によりますと、今の状況というのはアメリカの大恐慌時代に例えていろいろ論評する人がいますけれども、あの時代、アメリカというのは対GDP一六〇%ぐらいの国債残高を抱えておった、だけれども国債の暴落は起きなかったというようなことが言われています。 あのときに何があったのかというのは、私はよく分かりませんが、時価会計を一時的にやめるとか何かいろんな措置を取ったようですけれども、そういったことを踏まえてのこれを、こんなことをあります、やりますということは、とても今政府の立場としては言えないと思うんですが、当然、頭のトレーニングはふだんからやっぱり、やっていると思いますけれども、やっておく必要があるんじゃないかなということであります。 時間がなくなってきましたので最後の質問になるかと思いますが、先ほど減税の話が出ました。先ほど財務大臣のお話では、減税をするに当たっては、何年後かには必ず、税収中立といいますか、バランスを取るために増税を念頭に置くよというようなことも必要じゃないかという話がありましたけれども、一方で、小泉さんあるいは小泉内閣が言っているのは、官から民だと言っておりますね。 それで、減税のもう一つの話というのは、効果というのは、資金を民間に置いて、資金を民間に活用してくださいという意味もあると思います。官から民へという流れからいきますと、これはもう恒久減税をやる、その代わり国の歳出は大幅にカットしますと。借金は当然、国債等は返さにゃいかぬですけれども。 そういった、いわゆるこれからは景気の回復は民需主導と言っているわけですから、その流れからいきますと、実は減税こそが本当の大きな流れであって、しかも、二、三年後にはまた増税しますよと言っているような状況にはならないんじゃないかと思うんですが、そこは塩川財務大臣、どのようにお考えになりますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) それは先ほど申しましたように、二〇一〇年、プライマリーバランスが黒字に転換するまでの間はそうせざるを得ないということを私は言っておるんであって、永久に減税を止めてバランスでやるということは、これは余り能がなさ過ぎると思うんです。そうじゃございません。 経済のスケールが変わるに伴って、財政の在り方、スケールも変わってくることは当然でございますが、取りあえずプライマリーバランスが平衡化していく、いわゆる黒字に転換していくということは、やはり日本の長い将来の発展を考えた場合、基礎的な条件だと思いますので、それをするまでの間はやっぱり減税、増税のバランスを取っていかざるを得ないではないかと。このバランスを崩してしまって財政の質の健全化は図れないと思いますし、ですから、減税先行といっても、減税先行するように見えるけれども、その分はいずれはつじつまを増税で合わせてもらわなきゃ駄目なんだよ、そういう意味においての減税先行でなければならぬと、私は。 だから、減税先行はあえて私は否定していませんよ。していませんけれども、それによって財政のバランスが崩れてしまうようなことをしてしまってはいかぬ。それじゃそのバランスは、いつまで増税と減税のバランスを取っていくのかということは、さっき言っています二〇一〇年のプライマリーバランスのめどが立つというところまでやらざるを得ない、こういうことなんです。
○平野達男君 私が申し上げたかったことは、プライマリーバランスを取るためのもう一つの手段としては歳出をカットすればいいわけですから、考え方とすれば。だから、減税をして税収を上げるというのは、国の歳出はそんなに変えないという前提に立っておられますよね。そうじゃなくて、官から民へという前提に立てば、資金はどんどんどんどん民間用に残すんだということであれば、減税先行というよりは、減税をすることによってこれからは国の歳出を減らしますよという道もあるんではないですかということを言いたかったんですが、ここら辺はまた、時間になりましたので、また機会を改めまして議論をさせていただきたいと思います。
○大渕絹子君 高度の税制論が闘わされておりまして、ちょっともったいないなと、もう少し聞きたいなという思いでございますけれども、代わらせていただきます。 毎年、予算が通過をいたしますと、この租税特別措置法の改正がもうずっと長い間続けられておりますけれども、租税、税はできるだけ分かりやすくということで、この特別措置というのはできるだけない方が簡素で分かりやすいと私は常々思っております。そして、附帯決議の中にも、整理合理化を行いというような趣旨も踏まえながらずっと議論をされ続けてきているわけですけれども、今回のこの十四年度の税制改正において、税収の増減というのはどんなことになるのかというのを答えていただきたいと思います。
○政府参考人(大武健一郎君) ただいま御質問にございました十四年度税制改正全体による増減収というトータルで申しますと、平年度ベースで三百七十億円の減税でございます。 内訳を申しますと、あと、連結納税による増減収につきましてトータルで申し上げますと、全体では増減収、これに企業関係租特の改正の増減収を合わせますと、その分も勘案いたしまして、トータルでそちらの分が百九十億円の減税ということになっているかと存じます。
○大渕絹子君 そのほか、中小企業の投資促進税制の延長による減収額なども多くあるのではありませんか。
○政府参考人(大武健一郎君) 中小企業投資促進税制につきましては、これ延長なものですから、いわゆる増減税ということでは、当方が公表させていただいている資料では外書きに書かしていただいておりますが、平年度ベースで千五百七十億円の減税を行っているところでございます。
○大渕絹子君 その整理合理化を行っているかどうかという点についてはいかがでございますか。
○政府参考人(大武健一郎君) お答えさせていただきます。 いわゆる企業関係租税特別措置の改正ということにおきましては、平年度ベースで百九十億円の増収を図らしていただいています。それ以外に、これは連結納税の財源として入れさしていただいておりますけれども、いわゆる退職給与引当金制度の廃止ですとか、その他、受取配当の益金不算入等によりまして四千億円強の増税、増収も図らしていただいているところでございます。
○大渕絹子君 今までずっとこの税制の流れの中で税収比率というのが、かつて高度成長期時代には八〇%台を超えているという状況があったわけですけれども、近年は五〇%に低下をしているというふうに、こう言われていますけれども、この税収比率の推移について具体的な数値を表して述べていただきたいと思います。
○政府参考人(大武健一郎君) いわゆる租税収入全体でございましょうか、比率と申しますのは。
○大渕絹子君 そうです。
○政府参考人(大武健一郎君) はい。今現在で申し上げますと、今現在におきます所得税、法人税、消費税の全体で申し上げますと、これがトータルでは一般会計税収四十六兆八千でございますが、現在は三十六兆八千億がこの三税収入でもたらされているところでございます。 それから、あと、一般会計税収が歳出に占める税収ということで申し上げますと、今御質問がございました八〇%台というのは、平成二年八六・八%というのが税収の一番大きいウエートのときでございまして、現在はこれが五七・六%、十四年度予算ベースではその数字になっているところでございます。
○大渕絹子君 それに伴って国債の依存度というのが非常に高まってきているということは危惧するところでございます。 消費税の増税後の税制改革の点検と評価というのをきちっとやっていく必要があるというふうに思うのですけれども、この消費税導入後、所得税減税を段階的に行ってきて、平成十一年度には十兆円もの減税規模、大変大幅な減税が行われてきておりました。今までのこの在り方についての点検というのをきちっとしておかないと、先ほど大臣が言いましたように、減税するときには増税をセットに出さないと駄目なんだというようなことになっていくというふうに思うので、さっきの大臣の答弁からすると、今までのやり方には少し問題があるんじゃないかというふうに私は受け止めたんですけれども、その評価についてどういうふうに考えておられるか、聞かせてください。
○国務大臣(塩川正十郎君) 今まではちょっと甘かったなと思うております。これからはちょっときちっとした、何もきつくする必要はないんで、財政の秩序も保つためにはきちっとした方法で減税、増税を考えていくべきだと思っております。
○大渕絹子君 副大臣から答弁を求めていなかった、ここは。いいですか──打合せのときはそうでなかったように思いますが、済みません。 それでは、先ほども課税最低限が日本は高いんだという論理があって、それを下げていかなければならないというようなことを財務大臣も度々おっしゃっていますけれども、課税最低限、日本は本当に高いのかどうかというようなことが新聞にも出ておりました。日本総合研究所の研究によって、国民所得を考慮した、国民所得を考慮した課税最低限を国際比較をしてみると、これは日本はその水準はそんなに高くないのではないかということが新聞にも出ているんですね。 これは、所得水準で見た場合は、日本は確かにドイツやフランスやイギリスあるいはアメリカを超えて非常に高い。課税最低限の高い金額、金額ベースに見ればそうなりますけれども、国民所得を考慮した場合はフランスやドイツよりも低くなると。イギリスやアメリカよりは高いけれどもフランスやドイツよりも低くなるんだという、こういう研究発表が出ていますけれども、これに対してどのようにお考えになるか、聞かしていただきたいと思います。
○政府参考人(大武健一郎君) お答えさしていただきます。 多分、その研究所の比較は購買力平価の取り方でやった研究かと存じます。ただ、購買力平価自体は実はかなり、どういう品目で取るかとか、いわゆるウエート付けの水準がまちまちだとかいうことで、取り方によってかなり大きく左右するものかと存じます。 ただ、いずれにしても、この課税最低限の問題というのは、今御質問のございましたとおり、本来は国民所得に占める所得課税のウエートというのがやはり一番これはレートに関係のない比較なんだろうと存じますが、日本の場合には、これが所得税の場合四・三%、アメリカが一一・七、英国が一三・九、フランスでも一一・二というようなことでございまして、いずれにしても、かなり低い水準にあることはもう間違いがない、負担水準が。 その中で、課税最低限自体は、やはり最初に幾らがあるというよりは、やはり基本は、課税最低限というのが各種のいろんな配偶者控除とか基礎控除とか、そうした控除の積み重ねでございまして、それぞれの控除についてやはり広く国民が負担するという観点で、やはり社会経済状況の中でその在り方を、どういう控除がいいか、そういうことも含めて見直して、その結果、課税最低限をどうしていくかというような議論をしていくことが必要なのではないだろうか、そう思っているところでございます。
○大渕絹子君 そもそも税金というのはやっぱり応能負担が原則でございまして、高額所得者が税率が高いから税負担、日本において税負担が非常に高いパーセンテージを占めているというような議論の中で、課税最低限をもう少し低くして、もう少し広く薄く取っていかなければならないという論理の展開というのは一面正しそうに見えますけれども、応能負担の原則からいけば、そこはもっと慎重に考えていかなければならないと思っていますけれども、小泉構造改革の中でも、課税最低限度の引下げと同時に高額所得者の税率を引き下げていくという、この私たちが主張する応能負担の原則とは懸け離れていく税制改革をしようということが本当に今はっきりと見えておりまして、私は非常に心配をしているわけでございます。 課税最低限のところで、所得税は支払わなくても、消費税の導入のときの議論にもあったわけですけれども、消費税も支払っておりますし、あるいは年金とか、年金の中からでも一〇%の課税というようなことは行われておるわけでございますし、利子課税もしっかりと取られるというところでございまして、この所得税を払わなくても済む方たちでも国の税金はきちっと負担をしているということを考慮していただければ、課税最低限の引下げ論がそう性急に行われていいとは私は思わないのですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) それはおっしゃられるように、国民は何かの名目で税金を払ってもらっている。これはやはり国民であり市民である以上は、それはそういうものは負担が掛かってきていると思っております。しかし、事、所得税に関しまして見ました場合、やはり度重なる特別措置とかあるいは控除額の引上げ等によりまして非常にアンバランスになってきておることは、これは事実でございまして、その点は冷静に見ていただいて、負担にならないような税制というものはないわけでございますので、多少の負担は見ていただくと。 そして一方において、負担の増から来るところの犠牲の分は、他の行政面において、例えば福祉、社会保障対策であるとか、あるいは教育対策であるとか、そういう他の面においてこれをカバーしていって平衡化していくということが必要だろうと思っております。
○大渕絹子君 介護保険税もそれから健康保険税も払っているわけですよね、国民が。だから、そういうところも総合勘案をしながら、その課税最低限の論議はしていかなきゃならないんじゃないかなというふうに思っていますので、是非慎重にお願いをしたいと思います。 さて、東京都が導入を決めました外形標準課税なんですけれども、東京地裁で、これは銀行税は地方税法の七十二条十九項に違反をしているという判決が出されましたけれども、率直にこの判決に対して大臣はどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は、この外形標準課税が出ましたとき、ちょうどその時分は自民党の税制調査会の副会長もやっておりましたので、この問題に参画いたしました。そのときにいろんなやっぱり問題点がございまして、そこで、地方税全体の増額を図ることがやっぱり一番適切ではないかと。ですから、特殊な課税特権を生かして自治体がやるということは非常に問題があるということは一般論として申し上げておったんです。 その後、政府は、十二年の十二月でございましたでしょうか、十二年二月ですかね、この扱いについては慎重を期すべきだと、こう言いましたので、私はやっぱり政府と私たちの考えは一致しておるなという感じがしております。 この法定外課税ですね、法定外課税の課税については、やはりその地方の特性を生かした、いわゆる他には波及しないような方法で、負担の軽いものでやるべきであって、大きい犠牲を払うものはちょっと不向きだなという感じがしておりました。
○大渕絹子君 総務省に来ていただいておりますけれども、私自身は、地方財源が非常に減少していく中で地方独自の財源をどう確保するかというのは、その地方地方の自治体にある一定程度の裁量が任されていいというふうに思っているんですね。その地方の財源確保の裁量が任されなければ、地方が分権を進めていこうとかあるいは地方独自の政策を進めていこうとかしてもなかなかそれは難しい状況にあるわけで、地方分権というか、地方自治を進めようとすればするほど、地方財源のところに踏み込んでいかなければならないというふうに思っているわけですけれども。 今回は、この判決によりますと、七十二条十九項の中では、法人の行う電気供給業あるいはガス供給業、生命保険業及び損害保険業以外の法人又は個人の行う事業に対する事業税の課税標準については、事業の情況に応じ、所得及び清算所得によらないで、いわゆる外形課税を導入してもいいと、こうなっているんですね。 ここの地方税法の七十二条十九項の中に、損害保険業の後に銀行業という一項目を付け加えれば、外形標準課税の対象にしても何ら違法なことにはならないわけですけれども、東京都が条例を作っていくというこの段階のときに、総務省としては東京都側とかなりすり合わせを行ってきているというふうに思いますが、今回この判決を受けて、そういう対応をしてこなかったことについてどのように反省されているのか。あるいは自分たちの取ってきたことに、それはいや全く間違いなかったと、こう思っていらっしゃるのか。ちょっと聞かせてください、どういうふうに思っていらっしゃるのか。
○政府参考人(瀧野欣彌君) 今回の東京都の銀行税の関係についてお答えいたしたいと思います。 東京都の銀行税につきましては、ただいま財務大臣からもお話がございましたが、私ども、平成十二年二月に閣議にも口頭了解という形でまとめていただいたのでございますけれども、幾つか最初から問題点があるなというふうに考えておったところでございます。 一つには、資金量五兆円以上の銀行に対してのみ外形標準課税を課すという点が一つでございます。それから、地方税法におきましては、外形標準課税についてただいまお示しされました条文がございまして、その関係についてやはり整理する必要があるだろうなということでございます。それから、東京都の場合、案によりますと、東京都以外の税財源が現在の地方財政制度の中で減るという反射的な効果がございますものですから、そういう他の団体に対する影響がございます。それから、現在、私どもの方で政府税制調査会を中心にいたしまして、幅広い業種を対象に薄く広く負担を求める外形標準課税というものを検討しておるわけでございますので、それとこの東京都の銀行税との関係はいかがなものになるのかという点もございます。またさらには、政府として進めております金融安定化に対するいろいろな事業、こういったものとの関連ももちろんあるわけでございまして、我々は、やはり慎重な対応が必要なのではないかなということで東京都とお話合いをしてきたわけでございます。 ただ、御指摘のように、地方財源の充実ということが必要であるということは私たちも同じ立場でございまして、今回判決が出ましたけれども、まだ今後控訴をされるということでございますので、今回の銀行税につきましてまだ帰趨がはっきりしたわけではございませんが、私どもといたしましては、こういう現在の状況も踏まえ、地方分権のためにも地方税源を充実するという立場から、さらに全業種につきまして広く薄く課税するという外形標準課税について、更に取組を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○大渕絹子君 今そういう答弁ができるなら、そのときにしっかりと東京都の職員と総務省、当時は自治省ですね、自治省の税務担当、税務局でしっかりと打合わせをして、法改正をしっかりとやって条例を作るということができたんじゃないかと思うんですね。 今度の判決例の中に、東京都の職員の怠慢について厳しく指摘をしているわけなんですね。この条例の制定に関与をした職員は、法律の事業の性状というものの意味をよく理解をしないで知事とか都議会議員に説明をしたと。だから、議会で賛成が多数になってこれが導入が決まったんだというような判決文になっていますけれども。 当時、この条例を作って東京都がこれを導入しなければならないという財政事情にあったということは総務省もよく御存じであったと思いますし、東京都民も圧倒的な支持をし石原知事を誕生させて、そして外形標準課税についても都民のもうほとんどがもろ手を挙げて賛成をしてきて、東京都民の了解は得られている条例であったということから考えますと、今、民意をどうしたら政治の場所に取り込んでいくかということが今最も求められている時期ですけれども、東京都民が賛成をしておるのに、東京都が導入をしたのに、国の法律によってそれができないというこの状況というのは、やっぱり私たちはこの国会の責任において早急に法改正をしていかなきゃならないと思いますけれども、先ほどのように、慎重に検討しますなんというのじゃ駄目ですよ。直ちに改正するということをどうぞ答弁いただきたいと思います。大臣言っていただけますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) それは先生、ちょっと議論が行き過ぎておるんです。といいますのは、東京都の都民の皆さん方、そして多くの方々はこの税に対して条例を作ることに賛成しておられました。しかし、全国から見ましたら、これは不公平だという声が、反対の声が圧倒的に強かったんです。私たちはそれを、その声も同様に聞いて、同じような見方で聞いておりました。 そこで、非常に大きい誤解がありましたのは、さっきおっしゃいました、どこどこどこどこどこどこどこ以外のところは外形課税を掛けてもいいんだと、こうなっていますね。どこどこどこどこどこどこというのは全部公益企業なんです。つまり、余りもうけて利益出したらいかぬぞという会社なんです。その会社は余り利益出さないで、その代わりに、事業税が取れないから薄い事業税相当額を平等に掛けていくと、こういう制度になっておるんです。ですから、企業体が違うという認識、ここがやっぱり一般にはなかなか説明が分かりにくかったんです。私はそこを勉強しまして分かったんです。 それからもう一つは、先ほど総務省の局長が言っていますように、東京都はできるんです。大阪はこれやってももうからぬのです。法案出しましたけれども、地方交付税等を引いてしまったらちょびっとしかないんです。だから、そういう他の市町村、例えば名古屋でやったらマイナスになっちゃうんです。そういうことがあるものだから、一般で普遍的な概念でこれは解釈できないなということがあったということなんです。
○大渕絹子君 それは判決文の中にも出ておりますので理解をしているつもりなんですが、東京都が自主財源をどうやったら捻出できるかという中で、この裁量の範囲内、辛うじて入れることができるような範囲内なのかなということで導入条例を作ったということだろうと思うんですけれども、そこが本当に当時から駄目であったならば、駄目だ、駄目なんだと言ったと言うんですけれども、それならば、そこを何とか作られていけるような法改正、あるいは省令でも政令でもちょっとそこを救うことができる一文を入れることはできたはずなんですよ、その本文をいじらなくても。じゃ、特にそういう状況において必要と認める、必要があるところにおいてはというような文言で入れることだってできる。法律は本当にあいまいに書くことが可能なわけですので、そうした裁量をして地方の声にこたえていく。 東京都は日本の首都ですよ。その首都が決めたことが拒否される、国会の法令によって違法だと断ぜられるようなことはなかなかやっぱり難しい、よくないと私は思っています。もちろん、法治国家ですから、法律に違反をしたものはどこであろうとそれは違法だと罰せられるというのは、これは当たり前のことでありますので、そこがそうならないようにする配慮というのが地方の声に耳を傾けた税制の在り方を議論するときには大事だということを重ねて申し上げさせていただきまして、時間ですか、もう少しありますね、済みません、申し上げさせていただきたいと思います。 そして、それでは最後ですけれども、税制論議が非常に華やかでございます。諮問会議と政府税調が、活性化を図っていくべきか、経済の活性化を中心にすべきか、あるいは税収を高めていく方向に持っていくべきかというようなことで議論がされておりまして、対立点がちょっと明らかになってきつつあるということなんですね。 経済活性化の効果を求めていくには、経済諮問会議は前向き。経済浮揚策としても考えてほしい、経済が活性化し雇用も増えれば税収も増えるというような意見が委員の中から多く発言をされていますし、政府税制調査会の方では、経済活性化効果については懐疑的であるということを、税制改正を進めていくときに、過去に大規模な減税をしてきたが、効果は限定的だった、現在大規模な減税は考えにくいというようなことを政府税調の方の委員は、会長さんはおっしゃっています。 それから、念頭にあるメニューとして、諮問会議の方は、住宅取得資金に係る贈与税の非課税枠の拡大とか、あるいは研究開発など企業の設備投資優遇税制、あるいは所得税などの課税範囲拡大、さっき議論がありましたところですね。あるいは所得税の税率の引下げというようなものを主張しますし、政府税調の方は、短期的に具体策がない、決め手になるものが不足をしている、あるいは租税特別措置法の整理をきちっとして、要らなくなったものはもう廃止をするというようなことを積極的に進めた方がいいというような考え方。あるいは所得税などの、ここは一緒ですね、課税範囲の拡大と税率を下げると、ここは中長期的なメニューは同じということですね。 あとは改革の意義なんですけれども、創意工夫やリスク負担が報われる税制の構築、あるいは個人のレベルで、人を重視する社会、経済社会を実現するようにしようというのが諮問会議の御意見ですし、政府税調の方は、公平、中立、簡素な税制を構築をし、課税ベースの拡大による税の空洞化を解消したいと、こういうふうに、お互いの論点の比較をして分かりやすく並べるとこういう状況になるんですけれども。 塩川財務大臣自身は、この二つの議論、どちらがいいとか悪いとかという話ではないと思いますけれども、私は、塩川財務大臣がこれから日本の、さっきの平野先生との議論とも近くなると思いますけれども、これから日本の税制の改革の方向というのはどんなふうにしていったらいいのかというようなことを考えていられるのか、教えていただきたいというふうに思います。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は税のやっぱり原則を離れたらいかぬと思うんです。その原則は何かといったら、要するに、税が持っておりますところの所得の再配分ということがございますね。それで、公平を期すということと、それから時代に合った税制でなければならぬということ、そういうことをわきまえると同時に、税制を通じての経済政策ということが非常にこれ重要なことでございますので、日本が今目指しておる方向は、新しい技術革新の下における新しい経済構造の改革に向かっておるわけですね。だから、その方向に適した税制というものをやっぱり構築していくべきではないかと、こういうことを考えておりまして、今いろいろおっしゃいました。そのように各機関ごとに、政府が取っております機関ごとに意見がもう非常に百家争鳴で出ておりますから、これをどこでまとめていくかという司令塔が必要になってくる。(発言する者あり)そうです。その司令塔。一つはこういうことを私たちは仕組んでおります。 基本的な、税に対する基本的な考え方、そしてどういうふうな方向に変えていくのかという改革の方向、これは経済財政諮問会議で決めてほしいと、これこそ骨太で決めてほしいと。そして、それを現在実行しております税制との整合性を取ってどのようにこれを法律化していくかということは、これは財務省の主税局がやっていく仕事でございまして、そして、それに対しまして第三者的な、いわゆる国民の立場からこれをどのように批判し、どういうふうにここに加減乗除を加えていくかということは党の税制調査会あるいは国会の任務であると。そういう私たちは割り振りを考えてこれからの税制を進めていきたいと、こういう考えであります。
○大渕絹子君 ありがとうございました。 そこのところ、将来を、日本の産業構造、さっき民業を活発化させていって国の財政出動というか予算の額を小規模にしていくことが変わっていく原点にというふうに見据えていくと、その遠いところを見た改革論議が必要じゃないかというふうに思うのですけれども、目先のことにとらわれ過ぎないで、是非、将来展望をしっかりと見据えてやっていただきたいことをお願いして終わります。 ありがとうございました。
○椎名素夫君 今日のやり取りを拝聴しておりまして、それから、最近いろんな議論がございますが、そういうものを眺めていてまた急に思い出した話なんですが、せんだってブッシュ大統領が来ましたときに、いろんな配慮から表立った経済関係の閣僚などは来なかったという。これはいろんな意味があるんでしょうが、しかし、付いてきた経済の顧問みたいな人はいて、この人はそんな表立って官職に就いているわけでもないんですが、随分発言力のある人のようです。 これが、この人が日本のある雑誌でインタビューをやりまして、日本の経済についてどう思うか。そうしたら、どうなんでしょうか、小泉内閣の改革というのはどう思うかとか、それに対して抵抗派というのがあってどうのこうのというような質問をして、そうしたらその人は、あれなんですね、余り情緒的な人ではなくて、日本は嫌いでもないし日本を愛するわけでもないという立場からのコメントなんですけれどもね。今、改革が必要だと言って、できれば改革をやってもらいたいというのが今の行政府の立場。そうすると、改革、構造改革できるのかできないのかという、こっちが勝つかこっちが負けるかというような話で、改革が成功しないと後はすぐに坂道を転げ落ちるようなシナリオが、この二つのどっちを取るかというようなことで日本では議論しておられるようだけれども、私の見るところでは第三のシナリオがあると言うんですね。 これが恐ろしい話なんで、緩やかな幸せな衰退というのがあるんだそうです。その人は、そういうようなものをオーストリア化と呼んでいると。オーストリアという国は、昔、ハプスブルク王家の、もうそこらじゅう征服して偉かった国ですが、あれが駄目になってから後は、もう小ぶりでいこうやということであきらめちまって、何ら世界の主役でも何でもなくなったと。緩やかに緩やかに衰退を続けていまだに幸せに皆暮らしていると。ああいうシナリオあるよと、こういう話で、私は、思い付かないことを言われたなと思ったんです。 その裏付けとしては、一体、国債の値段がどんと下がってもう全部駄目になっちまうかとか、あるいは金持ちの人たちがみんな資本投資で、みんな日本のお金根こそぎそこへ行っちまうよとかいう、そういうことというのは起こんないんじゃないかと。オーストリー流、緩やかに緩やかに衰退をして、まあ当分の間ハッピーに暮らせるというシナリオあるよということなんですね。 まあそれでやってきたわけです、この十年。失われたと言うけれども、本当に何もかも失ったわけでもないようにみんな感じていると。 私もよく分からないんですが、しかし、そのときに一体日本というのはどういうふうに扱われるか。既にその入口に掛かっているんだけれども、問題にされなくなると。確かに、ずうたいは大きいけれども、経済が世界経済に与える影響というのは趨勢であって、そろそろこんなことをもう少しやっていると、何かおかしくなってもみんな困らぬと。それから、良くなるといっても大したことないだろうから、それも脅威とも感じないということになって、大変に世界の中ではマージナルな存在になって、しかし、この島にいる限りは皆さんお幸せじゃないですかと、こういう話なんですね。 それで、私は余りそういうのは良くないと思うんですが、そこで、小泉内閣がとにかくもう今改革やらなきゃならぬとおっしゃって力んでおられる。私も、小泉内閣はということでなしに、日本の改革というのはやった方がいいと思っているんですが、結局こういう、ほっとくと緩やかな幸せな衰退というのは拒否しようというのが結局、大臣も含めた今の内閣の覚悟というか、姿勢であるというふうに考えていいんでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) いや、椎名先生のおっしゃる静かないわゆる改革というか、衰退というのですね。それはそう私も、今お話を聞いておって、要するに、今までどっちかいったら高姿勢で取ってきましたわね。戦後五十数年の間、日本はとにかく背伸びをして高姿勢で、とにかく追い付け追い越せ、そして追い越してきた途端に世界がグローバリゼーションに入ってきたというところで、さてそこでどうするかというところが今の姿勢だと思っております。 そこで、まあ緩やかな衰退という考え方というよりも、今の水準がこれでいいのかどうかということ、これはやっぱり絶えず見直していかなきゃならぬと思っております。ですから、現在、経済の中でも物価がやっぱりずっと、十年も前から比べましたら大体一二、三%名目で下がっておりますね。これは下がっておるんだけれども、この水準でもしすべてがバランス取っていくならばそれなりの経済の規模になると思うんですが、しかし一方、人件費は依然として高い。物価が、一般物価がより非常に低いと。このアンバランスが、競争力がなくなって、それで空洞化が起こってきておると。そういうこと、いろいろ弊害が出てきておりますから、やっぱり徐々に、例えば昔のような言わば居丈高になって高度経済成長を追うという、そういう必要は私は考えておらないですけれども、しかし、安定したやっぱり成長というもの、繁栄というものを目指すためにはやっぱりもう少し努力しなきゃならぬと思っております。 ですから、それには何が必要かといったら、やっぱりこの新しい時代、つまり東西冷戦後、世界の技術はころっと変わってしまいまして、今までの半導体中心だった技術がデジタルに変わってまいりましたし、そういうものに合わせていく、産業構造を合わせていく努力はやっぱりしていかざるを得ないんではないかと。そこに私たちは構造改革ということで努力しておるというところでございます。
○椎名素夫君 そういう、もうほっといても、いろいろ気働きで、競争力はそこそこ頑張ろうというようなことも計算に入れてのこれ話なんですね。ただ、もう一つそれに付け加わって言えることは、最近、バブルの形成と崩壊でけがしたね、これはやっぱり治しておかないと後引くよ、これは後になればなるほどけがを治すコストというのは高くなるということだけは覚えておいた方がいいねと、こういう話が付け加わるんですね。 ですから、そういうようなことを仕分して考えてみると、まあある程度急ぐということが必要であるし、それからもう一つは、やっぱりハッピーにみんなで衰退していくにしても、国民の間で自分だけが損しているというような気分がなくなるぐらいのことはやっておかないと、緩やかだけで、幸せなというのがなくなってしまうということになるおそれがあるのではないかという気がするわけです。そういう、どのぐらいのことかよく分かりませんけれども、とにかく税制も抜本改正をやるということで六月に向けて議論していらっしゃるというお話なんですが。 最近読んだ論文なんですが、猪木武徳という人がいて、この人は、日本の森林ですね、山、あれが駄目になって、それでみんなどうしていいか分からぬというのを眺めて、結局、視野が短期的になってきてしまっているんじゃないか。材木を大いに作って、それが四十年、五十年たてば売れるだろうと思って大いに植林したけれども、だんだん環境が変わっちゃって、四十年、五十年たったら、材木みんな輸入して、その値段に負けるから売れもしないし、それどころか、だから、そういうふうな一年一年のもうけ、短期的な視野から見ていくと、もうやるだけ損だということでほったらかしてある。 それから、何かよく分かりませんけれども、五十年ぐらいたつと、あの花粉というのが物すごく大量に出るような樹齢に達するんだそうですね。そんなような副産物までできちゃった。それから、山が荒れてその保水力がどうのこうの、ああいう針葉樹ばかり植えちゃってというようなことで、今どうしていいか分からぬと。国が持っている山はまあ何とかなるかもしれないけれども、民有林が多いですから。 こういうことを眺めていると、やっぱりどうもどこにおいても、日本の各界各分野において視野の短期化というのが進んでいるんじゃないかと。それを敷衍して、経済の運営とか政策とかいうところでも同じことが起こっているんじゃないかということを言っておりまして、誠に私もっともだという気がするわけです。 もう一つ付け加えれば、視野の狭さという、セクショナリズムなんかからくるやつですね、あると思うんですが、その病に税制の論議なんかも陥ってしまうと、思い付きみたいなことがうわっと出てきて、何でも言える世界ですから、示しが付かなくなっちゃう。 今は決してノーマルな状況じゃない、日本の経済の状況ですね。アブノーマルなところで、これだこれだ、うわっとこうやりますと、今までもそうですが、日本の税制なんかを見ていると、一体ばんそうこうばかり張っちゃって、その元はだるまなのかきれいなお人形なのか分からぬというようなことになっちゃう。そこのところを、やっぱり長期的な視野とそれから広い視野できちっとやるということが抜本改革ということなんだろうと思うんです。そういう、それを是非頭に置いてこの議論はやっていただかないといかぬなと思っているわけです。 僕が聞きたいところですが、余り時間もありませんから、それで先に進みますけれども、何より困ることが、個人も企業も、あるいは今回の東京都の銀行税の例でも、あるいはほかのところでもみんなそうですけれども、何か自分ばかりが損をしているという感じがいわゆるタックスペイヤーの中にみなぎっているという国だと思うんです、私は。 ですから、増税なんて話になった途端に大騒ぎになる。自分のところはもう払い過ぎるぐらい払っているんだとみんな思っているし、それから地方と中央との関係でいえば、分権分権ということで、地域のことは地域で決めると言うけれども、一体、税金の集め方、配り方というのはそんなことと関係ない仕組みになっているじゃないかという気分があって、それを端的に表して、そして少なくとも、都民がやれやれと言ったのが銀行税ですね。 あの先行き、どうなるか分かりません。控訴なすって、しかも最高裁まで持っていって、その間徴収し続けて、それで駄目だと言われたら、一体東京都に、あの財政に空く穴というのは、これは青島知事というのは駄目だったとか言うけれども、それどころじゃないよという話になりかねないというようなことを見ると、余り勝手なことをやらない方がいいんじゃないかと、手がかじかむ。 そうすると、最近、こういうことがありますね。やっぱり地方分権をきちっとやるためには、市町村の力が弱過ぎるからどんどん合併させろと。合併のメリットというようなことで後々までの財政支援みたいなのが出ておりますが、それを見ると、今の交付税ですね、その上に乗っかって、これを特別交付税などでここの部分はいろいろ面倒見てやるよというような話が、相当重要な幹として入っております。 そうすると、この税制の抜本改正をやるということと、何か二、三十年先まで予定したような話と、どう整合性が出てくるのか分からないようなところがある。そういうことも全部まとめて考えなきゃいけないと私などは思うわけであります。 もう一つ、もっと私、そこで、この抜本改正をやるに当たって、それができた形というものが、しばらくは少なくとも変わらない日本の税体系の基本的な骨組みというのはどういうものであるか。それから、やっぱり必要はあるでしょうから、その時々の政策税制のような時限的なようなものはどういうものであるか。 それには、先ほど大臣のおっしゃったように、ここで減税したら後はこうなりますよというのをはっきりするというようなことは大変いいことだと思うんですが、それから、どうしても需要に足りないからこれだけは借金というような形を、タックスペイヤーが個人の段階でもあるいは企業の段階でも地方の段階でも、はっきり見えるようなことをどうやって意識させるか。これをきちっとやらないとうまくいかないんじゃないかと思うわけです。結局、そして、その中で自分が負担するのはこの分だよという全体像の中での自分の負担ということ、それからそれに対する見返りというものが全体としてどうなっているか、損か得かというような話が分かるようにしなきゃいけない。 そういうことをやるためには、一つの方法はやっぱり申告税制だろうと思うんですが、申告税制を是非やれというような話じゃなしに、そういうタックスペイヤーの意識をきちっと確立するということ、そのために大いに努力するということを是非目標の中に入れていただきたいと思うわけです。 実際に私の経験ですが、消費税を入れましたときに、当時の大蔵省、一生懸命やって、とにかく分かってもらおうというので、しかし人手が足りないから地域の税務署の人を派遣したんですね。ところが、税務署の職員というのは小さい机で対で話すことしかやったことがない。三十人、四十人の前で立って、言わば一通りスピーチをやらなきゃいけないというと、緊張しちゃってしどろもどろになった。質問をされたときに即答しない。慎重を期する人たちですから、それはちょっと今すぐ答えられないから調べてきますと。そういう会に参加した民間の人がみんな、ほとんどの人が言っていましたけれども、税務署の人も分からないようなものを押し付けるのかという声が非常に強かった。 ですから、こういう辺りはよっぽど慎重にお考えにならなきゃいけない。システムを決めるだけじゃなしに、それをどうやって理解させるかということも併せて考えていただきたいと思うわけです。 それから、余り時間がなくなってしまいましたけれども、私が小渕総理のときにいたしました代表質問があるんですが、そこで土地税制の問題を申しました。結局、昭和三十年代に始まる話ですが、簡単に言っちまえば、日本の税制、それで、本来の固定資産税の税率ということから外れて非常に低い水準で推移したために、いわゆる土地本位制が起こって、その究極がバブル。バブル最盛期の四年間で大変な資産形成の計算になったわけですよね。土地資産の増加分というのが千百三十兆円になって、これは当時のアメリカの国土の三倍近いものになった。 ところが、この四年間にGNP、当時はGNP、総額が千五百兆。この千五百兆から上がった税金が約二〇%、三百十兆円。千百三十兆円だけ資産はとにかく増えた分に対しての税収というのは八兆五千億しかなかった。もしもこれをGNPで稼いで千百三十兆円普通の経済活動で積み上げるというのは、逆算すると、この四年間で実際には、千五百兆円のGNPが五千六百兆円所得がないとそれだけの税収は上がらないという話で、ここのところで、それを基礎とした日本の経済全体、マーケットが物すごいひずみを作ってしまったという話をいたしました。 これは、税金で得をした損したというだけでなしに、いろんな要素が重なりましたけれども、当時の日本の会社は、大変楽々とただ同然のエクイティーファイナンスができて、それで国際市場に出ていった、あるいは外国の土地や会社をうんと買ったとかいうことで、相当信用にかかわることが当時行われた。 崩れましたから、損した損したという話がバブル崩壊後は横行いたしましたので、そこでの利得というのはどこかへ吹っ飛んじまいましたし、それはそれでいいのかもしれませんが、今まだ日本の土地価格というのは下落を続けている。しかし、ゼロになるわけはないので、どこかで止まるでしょう。止まったときに、今は土地の価格というものは利用価値で決まるべきものだというようなことを言っているけれども、底を打ったときに、またこれ資産だという意識が出てきたらどうなるかというと、このばかばかしい話が繰り返されない保証はないと思うんですね。 ちょっと元気になったかというと、本当に東京の中でも物すごい大きなビルがたくさん建って、後楽園の何倍とかやっていますでしょう。これ、下手するとミニバブル。また、そういう資産の話だけでなしに、都市再生とかいうことで大いに奨励したじゃないかと、政府は。だけれども、やってみたら空室ばかりで困っちゃった、どうしてくれるというような話で、また何とかしてやるかというので、自民党の電話帳なんかを通じて特例を設けるとかなんとかいうことになると、再び同じ道をたどることになるんじゃないかと。 これは昭和三十年から始まった話で、これを完全にアンワインドする、巻き戻すというのは難しいともちろん思います。思いますけれども、そういうことも頭に入れた上で、この非常に重要な日本の証券市場まで、株にまでかかわるようなマーケットを長年にわたってゆがめて、そしてバブルになった。この教訓というのは是非是非頭に置いてやっていただかなければいけない。 大臣がおっしゃったように、必ず回復すると思うんです。このまま日本の経済沈没するわけじゃない。そのときにも通用するような骨組みというのを作るんだということをお考えになって税制論議を是非政府でやっていただきたいと思います。いかがでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) お話が多岐にわたっておりましたので、簡単に私の考え方を申し上げます。 先生の恐らく話の中にありますのは、税制改正なんというのはやっぱり長期の展望を持ったものを入れておかなきゃ駄目だ、短期のものだけやったらいかぬということでございまして、もちろんそうでございまして、ところが、最近は即効性をとにかく要求しますので、なかなかその整合性が難しいことでございますけれども、ただ、私たちは、それがためにポピュリズムなそういう改正はしたくないと、これは心得として持っておるつもりであります。 でございますから、これが本当に構造改革に資するものであるなということを重点に税制改正をやっていきたいということ、それから、自分だけが損していると思わすような税制は駄目だということで、これは正に公平、平等の原則というものを貫いていかなきゃならぬということでございまして、しかも長期に耐えるものということで、私たちもそれは十分心得ていきたいと思うんですが。 私は、税制が大切だというよりも、さっきは山の話をしておられましたが、私は、北朝鮮とそれから今の大韓民国、韓国と比べてどこが違うかと。終戦当時、全部坊主山だったんです、朝鮮半島は全部坊主山だった。ところが、南はセマウル運動で、五十年も前ですね、朴政権のときには植林しましたね。あの植林が潤いを持って国力が増強した。片方は、北鮮の方は全部、全然坊主のままになっていると。ここの違いだろうと思っておりまして、ですから、山を大切にというか、山を植えるということで、税制、税の在り方というものが非常に国の将来に影響することを心得ておりますので、それは十分心得てやっていきたいと思っております。 そして、簡素にするということ、分かりやすい税制にするということ、そしてバブルの歴史を繰り返してはいかぬと、これはもう私ども十分心得てやっていきたいと思っております。 ありがとうございました。
○椎名素夫君 それで、大事なことは、今、大渕委員の方からもありましたけれども、この司令塔の話ですね。これをきちっと整理していただかないと、それこそ百家争鳴をそのままほっておいて落ち着くところに落ち着くよという話じゃないと思うんです、私は。それをやっていると、それこそハッピーな緩やかな衰退にさえならないということは、是非是非整理を付けていただきたいと思います。 ありがとうございました。 ─────────────
○委員長(山下八洲夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、坂野重信君及び清水達雄君が委員を辞任され、その補欠として有村治子さん及び西銘順志郎君が選任されました。 ─────────────
○委員長(山下八洲夫君) 他に御発言もないようですから、平成十四年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案の両案に対する質疑は終局したものと認めます。 これより両案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○大塚耕平君 私は、民主党・新緑風会を代表して、本委員会に付託された平成十四年度における公債の発行の特例等に関する法律案、租税特別措置法等の一部を改正する法律案に反対する立場から討論を行います。 まず、公債発行特例法について、反対する理由を二点申し述べます。 第一に、平成十四年度当初予算編成に当たり、真に必要性があり、経済効果のあるものに限定した歳出計画を組成し、その上で想定される歳入が不足するならば、公債発行の特例を設けることもやむを得ないものと考えます。 しかしながら、歳出計画の事業別シェアや省庁別シェアを見ても、そうした工夫の跡は見られず、さらには、外務省本省予算の中に北方四島支援委員会の拠出金が計上されたままになっているといった、個々の細目ごとの問題点も多岐にわたっています。かかる歳出を賄うために公債発行特例法を立法することは、理にかなわないものと言わざるを得ません。財務省の見識が疑われる提案だと考えます。 第二に、歳入面において、本案が、会計操作あるいは隠れ借金を助長する内容となっている点です。 国債発行残高が急増する中、表面上の発行残高を増加させるよりも、会計上の処理によって歳入を捻出することも予算編成上の一つの知恵であることは認めます。しかしながら、本委員会の政府答弁では、現下の経済状況で、特例公債を発行するよりも会計操作を行う方がなぜ相対的に有効なのかということが、論理的に全く説明されませんでした。したがって、本案に含まれている会計操作は、日本国債の信用度が低下している中で、その信用度を更に低下させる可能性の高い隠れ借金と言わざるを得ないと考えます。 なお、こうした対応は、小泉首相が論拠が不明確なまま、いたずらに国債三十兆円枠にこだわった結果と言えます。 次に、租税特別措置法改正案に反対する理由を申し述べます。 小泉首相は、構造改革なくして景気回復なしと述べていますが、現代国家は租税国家であることから、税制は政治・経済そのものであり、税制改革なくして構造改革なしと言えます。小泉首相は、構造改革断行を公約に掲げて、何と三度目の自民党総裁選に臨んだわけですから、当然、税制改革の骨格やその方向性は、自分自身の構想として既に十分に温めていたはずだと考えるのが至極当然のことであります。しかしながら、現実には、税制の抜本改革と称して、今年に入って事務方に作業をスタートさせ、六月には税制改革大綱を提示するという、相変わらずの他人任せの姿勢を示しています。 このため、現下の経済環境や社会情勢の変化に応じて、本来、今回の改正案に盛り込むべき内容が加味されていません。例えば、中小企業関係税制や企業・証券税制の改革は小幅かつパッチワーク的な内容にとどまっているほか、ローン利子控除、NPO支援税制の拡充といった、時代に適合した適時適切な施策も盛り込まれていません。 このため、本法案には一部理解できるところもないではありませんが、構造改革を標榜する首相自身の論理的かつ首尾一貫した考え方が全くかいま見られず、税制全体のゆがみを助長する面があることから、総論として本法案には賛成することができません。 以上、二法案に反対であることを申し述べて、私の討論を終わらせていただきます。
○池田幹幸君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の歳入関連二法案に対し、反対討論を行います。 まず、二〇〇二年度における財政運営のための公債発行の特例等に関する法律案についてであります。 反対理由の第一は、本法案による赤字国債の発行は、そもそも歴代の自民党政府の経済・財政政策の失政から生じたものであり、しかも、国民本位の財政改革の方向ではなく、従来型の自民党政治を続けるための発行になっているからです。 第二は、小泉内閣は国債発行三十兆円枠を守ったなどと言っていますが、二〇〇一年度第二次補正予算と合わせて約六兆五千億円もの隠れ借金を会計操作でごまかすものにすぎません。しかも、来年度以降の国債発行に歯止めが掛かっておらず、財政再建には全くつながらないものです。 小泉内閣は、こうした国債発行三十兆円を宣伝する一方で、無駄な公共事業や軍事費、大銀行支援などを温存し、国民には一層痛みを押し付ける財政運営を行っており、到底認めることができません。 次に、租税特別措置法等の一部改正案についてであります。 反対理由の第一は、高齢者マル優の廃止が盛り込まれている点です。高齢者の医療、年金制度が次々と改悪されている中で、頼みの綱を断ち切る高齢者いじめの増税は認めることができません。 第二に、証券業界の要望にこたえた上場株式等の譲渡益課税の申告不要制度の創設、一部企業の役員等のみを優遇するストックオプション税制の拡充など、高額所得者や一部企業を優遇する制度の創設などが含まれていることです。 第三に、本法案には、愛知万博への出展費用や新幹線鉄道大規模改修に対する準備金制度の創設など、大企業のための大型減税が盛り込まれていることです。 なお、本法案には、阪神・淡路大震災の被害者対策の延長、福祉、環境対策などへの税制措置、中小法人の交際費等の損金不算入制度、障害者対応設備等の特別償却制度の延長、ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の非課税措置創設など賛成できる部分も含まれていますが、前述のように重要な改悪が含まれているため、本法全体としては反対するものです。 以上、歳入関連二法案に対する反対討論を終わります。
○平野達男君 国改連絡会の平野達男です。 私は、ただいま議題となっている二法案に反対の討論を行います。以下、反対の理由を申し述べます。 公債特例法案に関してであります。 まず、外国為替特別会計から一千五百億円を一般会計に繰入れをする特別措置は、本来平成十五年度予算に充てるべき財源を平成十四年度においてつまみ食い、先食いしてしまおうという行儀の悪い措置であります。形だけの三十兆円枠の堅持を優先させるための後年度への負担の転嫁であり、事実上の隠れ借金を作ることにほかなりません。 次に、国債整理基金特別会計法の適用の特例等についてであります。 平成十七年度までに返済しなければならない交付税に関連した国の借金一・一兆円を、ここで国債と同じ六十年償還の借金に変えてしまおうという措置であります。ここでも、形だけの三十兆円を堅持するため、返すべき借金の支払を先送りし、二千九百七十億円の財源を浮かせることをやっています。やはり、結果として、後年度への負担転嫁、事実上の隠れ借金を作る措置にほかなりません。 塩川財務大臣は、国債発行額を三十兆円に抑え、財政の規律、特に節度を確保したと再三にわたって言っています。しかしながら、安易に財源を本来の目的と違うものに流用する、あるいは償還すべきものを繰延べするといった禁じ手を使い、一方で国民に分かりにくい借金を使って財源を生み出すことと、財政の規律、節度を守ることとは到底両立しません。 租税特別措置法等の一部を改正する法律案につきましては、小手先の改正案を寄せ集めたものであり、現下の経済状況を踏まえれば、税制改正の思想もない、内容についても極めて不十分なものであります。政府は、抜本的な税制見直しを行うと言っていますが、そうであれば、今回の改正案は先送りし、総合的な税制改正として打ち出すべきであります。 以上の理由によって、二法案に反対することを述べ、討論といたします。
○委員長(山下八洲夫君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより順次採決に入ります。 まず、平成十四年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案について採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(山下八洲夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、租税特別措置法等の一部を改正する法律案について採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(山下八洲夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、円さんから発言を求められておりますので、これを許します。円より子さん。
○円より子君 私は、ただいま可決されました租税特別措置法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)、社会民主党・護憲連合及び各派に属しない議員椎名素夫君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 租税特別措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。 一 中長期的な財政構造健全化の必要性にかんがみ、今後の経済動向にも留意しつつ、歳出の重点化・選別化に努めるとともに、税制に対する国民の理解と信頼、税負担の公平性を確保する観点から、課税の在り方についての抜本的見直し等を行い、社会経済構造の変化に対応した税制の確立に努めること。 一 租税特別措置については、その政策課題の緊急性、効果の有無、手段としての妥当性、利用の実態等を十分吟味し、今後とも徹底した整理合理化を推進すること。 一 急速に進展する経済取引の国際化・複雑化及び電子化等に見られる納税環境の変化、更には滞納整理事務等を始めとする事務量の増大にかんがみ、今後とも国税職員の処遇の改善、定員の確保を行うとともに、機構の充実、職場環境の整備及び事務に関する一層の機械化促進に特段の努力を払うこと。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(山下八洲夫君) ただいま円さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(山下八洲夫君) 全会一致と認めます。よって、円さん提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、塩川財務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。塩川財務大臣。
○国務大臣(塩川正十郎君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って十分配意してまいりたいと存じます。 ありがとうございました。
○委員長(山下八洲夫君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下八洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(山下八洲夫君) 次に、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案に対する質疑は既に終局いたしておりますので、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○池田幹幸君 私は、日本共産党を代表して、関税定率法及び関税暫定措置法の一部改正案に対して反対の討論を行います。 反対の理由は、加工再輸入減税制度対象品目にニット製品を追加することにより、輸入の急増、国内産業の空洞化に拍車を掛け、国内ニット産業に深刻な影響を与えるからです。 国内のニット業界は、今日、実に八五%以上が輸入製品で占められる事態となっており、正に存亡の危機に瀕しています。ニット製品の国内生産量は一九九〇年から二〇〇〇年の間に実に半減しており、本制度の対象にニット製品を加えることは、輸入の急増と産業空洞化、そしてニット産業の一層の衰退を招くことは必至です。 今回の改正は、輸出能力のある一定規模のニット生地業者にとっては事業展開の可能性という一面も指摘されますが、大半を占める国内ニット関連中小零細業者にはその可能性は極めて少なく、倒産など、より深刻な打撃を被ることになり、反対です。 なお、精製塩の基本関税率の引上げ、沖縄型特定免税店制度の延長と拡充、少額輸入貨物の簡易税率引下げ、また、中国、シンガポールとの緊急関税措置導入等は賛成できますが、本法案全体としては反対するものであります。
○委員長(山下八洲夫君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(山下八洲夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、円さんから発言を求められておりますので、これを許します。円より子さん。
○円より子君 私は、ただいま可決されました関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)、社会民主党・護憲連合及び各派に属しない議員椎名素夫君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。 一 関税率の改正に当たっては、我が国の貿易をめぐる諸情勢を踏まえ、国民経済的な視点から国内産業、特に農林水産業及び中小企業に及ぼす影響を十分に配慮しつつ、調和ある対外経済関係の強化及び国民生活の安定・向上に寄与するよう努めること。 なお、関税の執行に当たっては、より一層適正・公平な課税の確保に努めること。 一 急速な高度情報化の進展により、経済取引の国際化及び電子商取引等の拡大が進む状況にかんがみ、税関の執行体制の整備及び事務の一層の情報化・機械化の促進に特段の努力を払うこと。 一 最近における国際化の進展等に伴い税関業務が増大し、複雑化する中で、その適正かつ迅速な処理の重要性に加え、麻薬・覚せい剤を始め、銃砲、知的財産権侵害物品、ワシントン条約該当物品等の水際における取締りの強化に対する国際的・社会的要請が高まっていることにかんがみ、税関業務の特殊性を考慮し、税関職員の定員確保はもとより、その処遇改善及び機構、職場環境の充実等に特段の努力を払うこと。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(山下八洲夫君) ただいま円さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(山下八洲夫君) 全会一致と認めます。よって、円さん提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、塩川財務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。塩川財務大臣。
○国務大臣(塩川正十郎君) ただいま御決議のございました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って十分配意してまいりたいと存じます。 ありがとうございました。
○委員長(山下八洲夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下八洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(山下八洲夫君) 次に、財政及び金融等に関する調査を議題とし、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件について、日本銀行から説明を聴取いたします。速水日本銀行総裁。
○参考人(速水優君) 日本銀行は、昨年の十二月に、平成十三年度上期の通貨及び金融の調節に関する報告書、いわゆる半年期報と言っておりますが、これを国会に提出いたしました。今回、日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただきまして、厚く御礼申し上げます。 本日は、前回の十月に本席で説明いたしました以降の状況を中心にして、最近の経済・金融情勢に関する認識や金融政策運営の考え方について申し述べさせていただきたいと思います。 まず、日本経済の動向について御説明申し上げます。 我が国の景気は、一昨年秋以降、世界的なIT関連分野の調整や、それに伴う輸出、生産の大幅な落ち込みを背景にして悪化を続けてまいりました。昨年後半に掛けましては、こうした企業部門の調整が雇用、所得の減少を通じて個人消費に及ぶなど、次第に広範化してまいりました。 さらに、昨年九月の米国同時多発テロ事件の発生に伴いまして、経済の先行きに対する不透明感が高まり、世界的に同時減速の傾向が強まったことも、我が国の景気情勢を一層厳しくする一因となりました。 この間、物価面を見ますと、製品輸入の拡大や流通合理化など供給面の要因が引き続き押し下げ要因として働いていることに加えまして、景気が悪化傾向をたどる中で、国内需給バランス面からも低下圧力が強まりました。このために、我が国の物価は依然としてマイナス基調が続いております。 このように、景気は引き続き悪化傾向にありますが、このところ、景気の下げ止まりを展望し得るプラスの動きも見られ始めております。 まず、本年に入りまして、米国を始めとする海外経済の回復に向けた動きがはっきりしてきており、これを受けて我が国の輸出も下げ止まりつつあります。国内におきましても、在庫調整が一段と進んでおります。生産の減少テンポはかなり緩やかになってきているように思います。このような情勢を踏まえますと、今後、輸出や在庫面での下押し圧力が弱まるにつれて、景気の悪化テンポは次第に和らいでいくものと見られます。 このように、短期的な景気循環という面からは明るい材料が見られ始めている中で、このところ、日本銀行がとりわけ注意を払ってきておりますのは、金融資本市場の動向であります。 すなわち、昨年秋以降の相次ぐ大手企業破綻などをきっかけに、株価は、本年二月初めにバブル後の最安値を更新するなど、神経質な展開をたどりました。民間銀行や投資家は信用リスクを取ることに対して引き続き慎重であり、信用力の低い企業、とりわけ中小企業では資金調達環境が徐々に厳しさを増してきていると思います。 また、四月からのペイオフ解禁を控えて、我が国の金融機関に対する内外の市場参加者の見方は依然として厳しい状況が続いております。銀行株価は、一時に比べますと幾分反発したとはいえ、依然低迷しておりますほか、銀行の発行している債券の対国債スプレッドも拡大してきております。こうした中で、二月後半には、短期金融市場においても、期末越えのターム物金利が強含むといった動きも見られました。 こうした動きが行き過ぎて、健全な企業の資金調達が厳しくなったり、金融市場が大きく不安定化すると、実体経済や物価を更に下押しするおそれがあります。このため、当面、金融面の動きには細心の注意を払っていく必要があると思います。 日本銀行は、昨年三月、コールレートがほぼゼロに達して、オーソドックスな金融政策による緩和余地がなくなった中で、日銀当座預金という資金の量を目標とする金融政策運営の枠組みを採用いたしました。それ以来、こうした新しい政策の枠組みの下で、内外の中央銀行の歴史に例を見ない思い切った金融緩和を継続してきております。 この結果、日銀当座預金の残高は、一年前の四兆円程度から、最近では、期末を迎えているとは申せ、二十兆円程度に、五倍近くに増加してきております。また、こうした大量の資金供給を円滑に行う観点から、長期国債の買入れも増額してきており、一年前の年四・八兆円ペースから、この三月には年十二兆円のペースとなっております。 このほか、金融緩和の効果が企業金融の面でも浸透することを期待して、資金供給手段や担保面でも工夫を凝らしてまいっております。昨年十二月には、CP現先オペの積極活用とか資産担保CPの適格担保化といったようなことを決定いたしました。また、昨年九月と本年二月には、金融機関の資金繰りに対する安心感を確保するために、ロンバート型貸付制度において、公定歩合の適用期間を拡大するなど、弾力的な運用にも心掛けてまいりました。 このような日本銀行の金融緩和政策は、金融市場においては強力な効果を発揮しております。金利は、一年物国債金利まで〇・〇〇一%と、ほぼゼロにまで低下しております。マネタリーベースの前年比は三〇%近くまで高まっております。これは第一次石油ショック、七四年ですか、当時以来の高い伸びとなっております。この間、年度末を控えた金融市場動向や株価、長期金利の動きなどから見て、金融資本市場は全般に落ち着きを取り戻しつつあるように思われます。 このように、日本銀行の金融緩和は、金融市場の安定を確保することを通じて景気の底割れを防ぐという点で、大きな役割を果たしてまいりました。 しかしながら、日本経済が様々な構造問題を抱える下で、金融緩和の効果が企業や家計の経済活動を十分活発化させるには至っていないのも事実であります。金融緩和がその効果を十分に発揮し、景気の本格的な回復を実現していくためには、税制改革、規制の緩和・撤廃等により経済・産業面での構造改革を進めて、民間需要を引き出していくことが不可欠だと思います。同時に、不良債権処理を通じて金融システムの強化、安定を図ることが極めて重要であります。こうしたプロセスは、短期的には痛みを伴うものでありますが、長い目で見て、民需主導の成長を実現し、日本経済がデフレから脱却するためには、避けて通ることはできないと思います。 終わりに、日本銀行としましては、今後とも、デフレ脱却に向けて、潤沢な資金供給を通じて市場の安定と緩和効果の浸透に全力を挙げていくこと、また、最後の貸手としてシステミックリスクの顕現化を回避することの両面において、中央銀行としてなし得る最大限の努力を続けてまいる方針でございます。同時に、ただいま申し上げましたように、日本経済の持続的な成長の基盤を整えるために、各方面における構造改革への取組が粘り強く進められることを強く期待しております。 以上で私からの説明は終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○委員長(山下八洲夫君) 以上で説明の聴取は終わりました。 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十九分散会