外交防衛委員会 第25号
- 発言数
- 153 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2002/07/11
会議録
○委員長(武見敬三君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、佐藤道夫君が委員を辞任され、その補欠として岩本司君が選任されました。 ─────────────
○委員長(武見敬三君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 外交、防衛等に関する調査のうち、瀋陽総領事館事件及び難民問題に関する件について、本日の委員会に内閣官房内閣参事官井上進君、法務省民事局長房村精一君、法務省入国管理局長中尾巧君、外務大臣官房長北島信一君、外務省総合外交政策局国際社会協力部長高橋恒一君、外務省アジア大洋州局長田中均君、外務省北米局長藤崎一郎君及び厚生労働大臣官房審議官三沢孝君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(武見敬三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(武見敬三君) 外交、防衛等に関する調査のうち、瀋陽総領事館事件及び難民問題に関する件を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言願います。
○泉信也君 台風一過の今朝の青空のように外務省の暗雲が一日も早く晴れますように祈りまして、質問をさせていただきます。 瀋陽の総領事館の問題につきましては、事件発生後、十日の日に外務大臣が中国の大使を呼ばれまして、五名の引渡しと中国の陳謝、そして再発防止の強い申入れをされましたことを私どもは高く評価をいたしております。さらに、参議院の本会議で同意の存在を、中国が主張します同意の存在を否定した上で、冷静かつ毅然と対処するという御報告をいただきました。私は、この時点までは、外務大臣の姿勢を貫いてほしい、きっと問題が解決するだろうというふうに期待しておったわけでございます。 そこで、まず三つの中国側への日本政府の申入れ、今申し上げましたように五名の引渡し、陳謝、再発防止という三点について、その後の状況をお伺いしたいわけです。 そのうちの五名の引渡しについては、残念ながら日本の関与は拒否されたまま第三国経由で韓国に引き渡されてしまったということは事実であると思います。再発防止については、さきの外相会談で新しい領事条約の話、あるいはこの七月四日に出ました外務省のペーパーでも対応策が練られておりますので、それはまたいずれ議論をさせていただきたいと思いますが、中国の謝罪の問題についてはその後どんな状況であるかをまずお話しいただけますか。
○国務大臣(川口順子君) 委員の御質問の三点につきましては、まずその五人を国外に出す、北朝鮮に送り返さないということにつきましては委員が先ほどおっしゃったような対応を中国側が取ったわけでございまして、この点については、我が国が主張していたことを中国が配慮をしてそういう対応措置を取ったというふうに考えております。 それから、再発防止については委員が先ほどおっしゃったとおりでございまして、六月十九日に中国の外務大臣と会談をした中で、外交当局間で領事条約の締結も含めて、の可能性も含めて議論をこれからしていこうということになっております。 それで、陳謝の点でございますけれども、私がバンコクで唐家セン外交部長とお会いをいたしましたときに、この件についての事実関係、不可侵の侵害があったということについて、双方の立場は違うけれども我が国の立場には全く変化はない、これについては強い意見が国内にもあるということを言っております。私どもの立場は不可侵があったということでございまして、中国への陳謝要求を取り下げるということでは全くないわけでございます。 いずれにしても、唐家セン外務大臣との、外交部長との間では、この件については、両国の関係の大局を踏まえながら冷静に対処をしていこうということでは合意をしているということでございます。繰り返しますが、陳謝を取り下げるということは、全くそういうことではありません。
○泉信也君 陳謝についてはなおこれからの交渉事だというふうにおっしゃいますけれども、新聞紙上等では、既に外務省はあきらめたのではないか、事実上対応していないのではないか、こういうことが言われております。事務次官をトップとするこの対策本部の開催状況を見ましても、そうした差し迫った課題に対して積極的に解決するという姿勢が私には実は見えないんです。火の収まるのを待っておる、日中友好の大義にかまけて実は交渉を先延ばししておられるのではないか、私はそういうふうに思えてなりません。 そこで、ちょっと余分なことをお尋ねしたかったことで、一言だけ申し上げておきますが、五名の方が韓国に渡ったことは日本の姿勢に配慮してというふうに大臣おっしゃいましたね。このことは五月二十二日の外務省の文書の中にも書いてありまして、私は外務省の方に意見を申し上げさせていただきました。何をもって中国が日本に配慮したと言うのか。真夜中に通達をしたことでもって日本に配慮したとおっしゃるのかどうかということをお尋ねをしました。 私は、中国は国際法、国内法、人道上の観点から中国独自の判断でこの問題を処理したんだということを明快に言っておりまして、何で中国が日本に配慮したと大臣が今日現在までそんなことをおっしゃるのか、非常に私は不思議なんですね。この文章を書くことが日本の中国政策あるいはこの問題の解決にどのような意味があると思って、今回の中国側の決定に当たってはかかる我が国の立場が配慮されたものであるというようなことを書かれたのか、私はよく分からない。どういうお考えでございますか。
○国務大臣(川口順子君) この件については、我が国は、今、委員がおっしゃったような国際法上、人道上、特に五人を国外に出すということについては、人道上の立場から出すことが重要だということをずっと、これは発生以来中国側には言ってきたわけでございます。事前に日本側には中国から連絡があったということはその一つだと私は考えています。それから、中国が身柄を押さえているケースで明快な形で第三国に出国を認めたというのはこれが初めてのケースでございます。 同じことを中国の立場としては、当然にこれは中国の判断だと言うということはあり得ると思いますけれども、我が国の判断といたしましては、これは我が国がずっと主張をしてきたことに対して中国が配慮をしたということだと考えております。
○泉信也君 この問題は深くは追いませんけれども、この表現はあくまで国内向けの表現であって、外交政策上は何の意味もないと私は思っております。 そこで、次に、中国の謝罪の件について、こういうことが話題になっているかどうかだけ教えていただきたいんですが、ウィーン条約の三十一条では、領事館の長もしくは指名した者というふうに書いてあるわけですね。総領事は実は領事館の中には不在でしたけれども、本当に副領事というような人たちが総領事の命を受けて対中国と交渉したのかどうか。そして、そのことが中国との交渉の中で話題になっておるのかどうかを教えていただけますか。
○国務大臣(川口順子君) この点についての中国の立場といいますのは、そもそも同意があったということを言っているわけでございます。それで、我が方の立場としては同意がなかったということでございまして、そして、これについて我が方の立場としては、現場にいた副領事については総領事の指名を受けていなかった、中国側に官憲が総領事館敷地内に立ち入る際の同意を与える立場にはなかったということでございます。 私は、今、中国側と日本側のこのやり取りについて細かいことをちょっと記憶にしておりませんので、委員の御質問のことがどういう形で中国側との間で展開をされたかということについては、ちょっと今この場ではすぐに申し上げられないということでございます。
○泉信也君 立場でなかった者が交渉をした、あるいは中国側が了解を取ったというのは誠に空論になると思うんですね。ですから、そういうことをきちっと中国側に言って、了解を取ったことにはならないではないかというような理詰めの議論も是非していただきたい。 これは、実際どうなされておられるのか細かいことは今この場でおっしゃるのは難しい点もあると思いますので、交渉の際にもう一度考えていただきたいということだけを申し上げまして次のところに移らせていただきますが、この日本総領事館での問題が起きた後、韓国大使館での同様の事例が起きました。その処理の際に、中国と韓国との合意事項で中国は遺憾の意を表明をしておるわけですが、このことを大臣はどういうふうに評価をしておられるのか。日本の場合は全く無視されておる、あえて言いますと。しかし、韓国の場合には遺憾の意を表明したということは大臣としてどういうふうに思っておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) これについても、ちょっと今、手元に文書がないので具体的なことを再現できないんですけれども、ということで少し抽象的なお話をさせていただきますが、中国は遺憾の意を表した、韓国も遺憾の意を表した、具体的にどういう言い方をしたか、ちょっと今、手元に資料がないので申し上げられなくて恐縮でございますが、それで、これについて双方が何に対して遺憾の意を表したか、表し合ったかということについては若干不分明であるという形でこれが収束をされたということを聞いております。ちなみに、この中国と韓国の双方の遺憾の表明は、口頭で行われて文書にはなっていないということでございます。発表の記録、役所に行けばありますけれども、ちょっと今、そこのところは手持ちにございません。
○泉信也君 明快な質問通告をしていなかったということで、これ以上は申し上げませんが、しかし、口頭であれ何であれ、遺憾の意を表明したというこの事実を日本政府は、日本の外務省がどう分析するか、これからの交渉事にどう生かしていくかということは、当然私は考えていただかなきゃならない、また考えていただいておるはずだというふうに思ったものですからお尋ねをいたしたわけでございます。 それで、七月四日にちょうだいいたしました外務省の「瀋陽総領事館事件の問題点」というこの文書について、そして処分の事柄についてお尋ねをいたしたいと思います。 恐らく、この処分をなさるに当たりましては、どういう理由でやるか、あるいはどんなタイミングでやるか、いろいろ御苦労があったことと思います。随分時間がたったなという思いも私は正直思っておるわけですが、この処分を行うに至った事由と申しますか、対象というか、何で、何ゆえに、何に対する処分をなさったのか、お聞かせをいただきたいと思います。先日の委員会で、若干質疑の中で大臣はお答えいただいたことは承知いたしておりますが、もう一度お願いいたします。
○国務大臣(川口順子君) この処分をそのタイミングでやったという、まず、ことについてですけれども、私は、事件が発生をいたしまして、五月の十三日だったかと思いますけれども、報告書を発表をしました段階で、たしかそのときだったと思いますが、処分をどう考えるかというふうに聞かれまして、この事件についてある程度ある段階に来た段階で総括をして、問題の総括をして、問題の精査をして、再発防止策を考える過程で処分を考えますということを申し上げておりました。その後の展開を経て処分を発表する段階に来たと、そういうことでございます。再発防止策について中国側と話をしましょうという合意ができたということも、その一つの判断の材料でございました。 それで、判断の、それぞれの判断の理由でございますけれども、これについて少し細かくなってしまいますけれども御説明をさせていただきたいと思います。
○泉信也君 済みません、細かいことは結構でございますので……
○国務大臣(川口順子君) はい。それでは、はい……
○泉信也君 恐縮ですが、何の部分について処分をしたのか。先ほど来お尋ねしましたその謝罪等についてはまだ問題が残ったままだと思いますので、どういう事柄に対して今回の人事の処分をなされたのか。
○国務大臣(川口順子君) 非常に大ざっぱに申し上げますと、在瀋陽総領事館の岡崎総領事ですけれども、国家公務員法上の懲戒減給でございます。そして、帰朝命令を出しました。岡崎総領事につきましては、館内の体制の整備を十分に行っていなかった、これは指揮命令系統、協力体制、警備対策等でございますけれども、整備を十分に行っていなかったこと、それから事件の当時に館員に対して適切で明確な指示を与えなかったことなどでございます。それに対する公館長としての責任を問うたということでございます。 それから、在瀋陽総領事館の西山首席領事、休暇を取っていたわけですが、次席として休暇を切り上げて直ちに帰任しなかったことの責任……
○泉信也君 細かいことは結構でございます。
○国務大臣(川口順子君) はい。岡崎総領事については、そういう公館長としての責任です。 それから、中国大使館につきましては、これは大使館は直接に指揮命令系統の関係には総領事館とはないということでございますが、聞かれて助言を与える立場であったということでして、総領事館関係者に対して適時適切な助言を与えなかったことということでございます。 それから、本省につきましては、本省の対応、これは部署によって違いますけれども、が十分でなかったということでして、私を含め事務次官、官房長、アジア局長、中国課長、北東アジア課長にそれぞれ内規で処分をいたしました。
○泉信也君 もう少し私の方から細かくお尋ねいたしますが、瀋陽総領事館の(1)の危機意識のところに「対応策を講じておくことが望ましかった。」という表現がございます。それから、危機管理体制の黒丸の二のところにも、「迅速に帰任することが望ましかった。」、こういう表現がありますが、大臣の認識は望ましかったという程度の御認識でいらっしゃいますか。
○国務大臣(川口順子君) 私の認識は、べきであったということでございまして、実はこれはそういうふうに思っていて、直してもらおうと思って、ちょっと時間がぎりぎりのところでこれを私言いそびれてこの文章が、幾つかのところは「べきであった。」と変えてもらったんですけれども、残っちゃったところがあったという意味で、これは私が十分に全部についてきちんと、時間的にちょっと制約があってできなかったということでございます。
○泉信也君 今のお答えをお聞きして大変安心いたしました。 それで、在中国大使館について、指揮命令系統は本省との間にしかないんだ、総領事館とのことは、そういうふうに従来からも聞かせていただいておりましたけれども、昨日の衆議院の委員会で、内部告発の文書に基づいてでございますのでどこまで本当か分かりませんが、大臣が、中国大使が総領事にある指示をしたということをお認めになったようですが、それは事実だったわけですか。
○国務大臣(川口順子君) この点については、総括をして再発防止を講ずるという過程で問題の、問題点の精査を再度いたしました。そして、この問題点について、これが先ほど委員がおっしゃった文章であるわけでして、これはそういう形でまとめたということでございます。 それで、その中で、阿南大使について再度精査をいたしました中で、これは処分事由として挙げておりますけれども、阿南大使が高橋公使を通じまして、岡崎総領事に対して事件の発生の翌日に改めて大連に向かってほしいという意向を伝えたということが分かりまして、これについては結果として適切さを欠いていたと考えられるので、これは処分の事由に挙げております。 この点については、翌日に大連に中国の、たしか副首相だったと思いますけれども、そういう人がおいでになるということになっていたようでございまして、日本側としてしかるべき人間が対応すべきだったという判断がございまして、それで戻るようにという指示につながったということのようですが、結果としては適切さを欠いていたと考えたわけでございます。
○泉信也君 そうしますと、この表現上のことにこだわるわけではありませんけれども、「指揮命令関係は本省と総領事館との間にあるものの、」という表現は、正確に言えば正しいんですけれども、この問題の処理の過程においては、事実、大使が指令を出しておられるという意味では、この文言は実は誤解を招くおそれがあると私は思います。これが、どういう形でこの文言を入れて後、処分の内容に反映させたかということは私には分かりませんけれども、問題であるということだけ指摘をしておきます。 それから三番目、外務本省についての文章を読みますと、「よりきめ細かな方法で問題意識を高めるべきだった。」、一般論として外務本省の責任を指摘しておられるようですけれども、この問題に限っての責任の在り方論についてはなぜお触れにならなかったのか。いかがでございますか。
○国務大臣(川口順子君) 今のにお答えする前に、先ほどの点で、大連の件についても、指示ではなかったということをちょっと念のために申し上げておきたいということでございます。 それから、今のことでございますけれども、正にここに書いてあることに尽きるわけでございまして、いろいろな意見が、いろんな事件が、駆け込みが起こったわけでございまして、それについては北京の大使館も本省もそれなりの問題意識は当然持っていたわけでございます。それで、その対処の方針なりそういったことのやり取りもあった上で、よりきめ細かな方法で問題意識を高めるということを更にやっておくべきであったと、そういう趣旨でございます。
○泉信也君 そういう外務本省の責任の問われ方は、一般論としては私はあると思います。しかし、事態が、こういう事態が発生して、本省からの指示が不徹底であったとか時間的にも大変遅れたというような事柄から考えますと、こういう一般論で外務本省の責任をあいまいにするということは私は許されないんではないかというふうに思うんですね。北京での類似事件発生後、問題意識を高めるべきだったというのは、もう一般論的な話ではないんじゃないでしょうか、外務本省の責任というのは。 そこで、時間が余りありませんので次に移らしていただきますが、今申し上げましたようなこの処分の内容、在り方、責任の在り方論の上に立っての処分を考えてみますと、大変甘いんではないか。大臣は、いや、重いと言う人もあるといって佐藤委員にちょっと嫌みを言われておられましたけれども、私は、この処分が重いなどと言う方がいらっしゃるとすれば、全く事の重大さを認識していない方だというふうに思うわけであります。 そこで、今回の外務省の処分、大臣がなさった処分は、国家公務員法違反というのは岡崎総領事だけでございますが、その他は外務省の内規によって処分をなさった。国家公務員法と内規による処分との、その考え方の基本的なよりどころというのはどういうところでございましょうか。
○国務大臣(川口順子君) この国家公務員法上の処分にするか内規で処分をするか、だれを国家公務員法上でするか、だれを内規にするかということについては、私も大分考えました。その結果として、私の判断として、今御提示を申し上げたような、そういった処分にしたということでございます。 それで、その理由でございますけれども、まず国家公務員法上の幾つかの、国家公務員法上で処分をするときの幾つかの基準というのがございまして、それの一つに、職務上の義務に違反をし、又は職務を怠った場合、これは処分をすることができるということが書かれています。それで、何がそこに該当、だれのやったことがそこに該当するかという考え方であるわけですけれども、岡崎総領事については、先ほど申し上げたような、日ごろからの情報収集や館内の体制整備、緊急事態に備えた対応策を講じておくべきというところをこれを怠っていたということでございまして、国家公務員法上の懲戒処分としたということでございます。 ほかの人のやったことにつきまして、職務上の義務に違反し、義務に違反し、又は職務を怠った場合ということに当たるかどうかということについて、これが問題のかぎであるわけですけれども、例えば休暇を切り上げなかった人の場合、あるいは助言を適切に行わなかった場合等々につきまして、職務を怠ったという判断ができるかどうか。私は、職務を怠ったということではなくて、責任を持って職務の遂行に当たらなかった、これは内規の処分の一つの要素になっているわけですけれども、こちらの場合であるというふうに判断をしたということでございます。国家公務員法上の懲戒処分の対象となるような職務上の義務違反や職務怠慢があったとは言えないということでございます。これにつきましては、人事院の国家公務員法上の懲戒処分に当たるということの例がたくさんございます。そういった例、先例に踏まえてそういう判断をしたということでございます。
○泉信也君 その判断が私はやはりおかしいというふうに思うんですね。というのは、現場に適切な指示をしなかったというのは、当然、本省は適切な、適時適切な指示をするという職務を持っておると思うんですね。それを一時間もほっておくというようなことが本当に怠ったことにならないのか。あるいは、二名の北朝鮮の方を連れ出す状況をしっかりと副領事として押さえる、駄目だということを、引きとどめるという、物理的にでも引きとどめるということが本来の職務ではないか、私はそう思うんです。それをやらずにおいて、職務を怠ったとは言えないというその判断が私はおかしいというふうに思います。 それで、今、人事院の懲戒処分のことをおっしゃいましたけれども、酒酔い運転あるいは酒気帯び運転、これは事故を起こしていなくても免職、停職、減給、そういう重い処分を科すことができるようになっているんですね。それは御存じでしょうか。 そういう事柄に比べまして、今回の国威を懸けたそういう問題の処理に当たって、職務を怠ったとは思えないというのは、私にはどうしても甘過ぎるとしか思えないんです。
○国務大臣(川口順子君) まず、法令違反がこの件についてはなかったということでございます。 委員が今おっしゃった酔っ払い運転とか酒気帯び運転とか、あるいは外務省でも例がございましたけれども買春行為があったとか、そういうことについては、これは法令違反であって、国家公務員法上の処分、この人事院が出している懲戒処分の指針ではこれは明快な処分に該当する行為であるということです。 それから、先ほど委員がおっしゃった、指揮命令系統にある本省が正しい指示をしなかったということについて言いますと、これは一時間ということではございませんで、瀋陽総領事館から本省に連絡が入った後、会議をしまして、それで指示をすべく連絡をしたところ、電話が、これは携帯電話がお話し中であった等でつながらなかったということで、指示を与えることができたときには連行された後であったということで、本省としてこの国家公務員法上に言う職務の義務に違反又は職務を怠った場合には該当しないというのが私の判断でございました。
○泉信也君 指示をしたけれども電話が通じなかったというようなことは、これは緊急時にそんなこと言っておれますか。何とかして意思を伝えるというのが私は責務だと思うんですね。これは終わったことですから、よろしいと思います。 ここで、私としては、防衛庁の処分が行われた。これは自衛隊法でなされたわけですが、例えば防衛事務次官は二〇%二か月、それから官房長は一〇%二か月というふうに厳しい処分をなさっておられるわけです。にもかかわらず、外相は自主返納、しかも一か月。こういうのは、事例を参考にしたとおっしゃいますけれども、どれほど重くこの案件を受け止められたか、あるいは受け止めなかったかということの証左ではないか、私はそう思うんです。 大臣にお願いをこれからもう一度申し上げておきたいと思いますのは、あるいはお考えを聞かせていただきたいのは、不可侵権の侵害に対する謝罪がない、いつまでたってもないと。日本は主張していく。結論が出ない。そういう事態があってはなりませんけれども、あったときには再度関係者を処分なさるお考えでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) 私どもとしては、そして私としては、先ほど申しましたように、この件についてウィーン領事条約上の公館の不可侵が侵害をされた、に定められている公館の不可侵が侵害をされたという立場については全く変わりはないわけでございまして、合意がなかったということはあくまでも毅然としてこれは主張していくということだと思います。 それで、処分ということについて言いますと、瀋陽事件について、これは処分でございまして、一つのことについて二度処分をしないということでございます。したがいまして、今の時点で処分をいたしましたので、これについて再度処分をし直すということについては、全く不可能ではないかもしれませんけれども、私の理解では通常はないというふうに考えております。
○泉信也君 大臣のお答えは大方予想されたとおりのお答えでございました。しかし、これで瀋陽総領事館の問題が終わったということに私はならない、強く申し上げておきたいわけです。 そこで大臣にお聞きしたいのは、大臣がいろんなことを考える、なさる中で、総理へ辞表を出そうと、そういう選択肢はなかったんでしょうか。大臣自身が、この問題の大きさのことを考えると、総理に自分の辞表を出そうというような選択肢をお考えになったことはありませんでしたでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) この件について私は、国会で御質問等をいろいろいただきましたけれども、私が申し上げたのは、外務大臣として私がすべきことというのは問題の解決であり、再発防止であり、そういったことにきちんとやるということが外務大臣としての第一の責任であると考えるということを当時申し上げておりまして、その考えは変わっておりません。
○泉信也君 常に、後始末をする、再発防止に努めるというのは、それぞれの組織の長がやるべきことであり、口にすることであると私は思っております。 しかし、これほどまで国民が嫌な思いをした事件というのはそうたくさんはなかったと思うんですね。そのことを政府としてどう国民に納得していただくか。パフォーマンスじゃありません。しかし、仮に選択肢の中にそういうものがあったとすれば、外務省の職員もきっと大臣の意を体して緊張した仕事をしてくれるでしょうし、国民も大臣に対して拍手をし、しっかりやってくださいという期待を、私は応援をしたと思うんですね。中国始め諸外国に対しても、日本の人道上の考え方を強く訴える機会にもなり得たんではないか。しかし、そういうお考えでなかったということであれば、それはそれで結構でございます。ただ、先ほど来繰り返していただいておりますように、事件の処理に、中国の謝罪を絶対求めてほしい、そのために全力を挙げて取り組んでいただきたい、こう思います。 話題を変えまして、防衛庁長官、一つだけお尋ねをいたしますが、防衛庁の省昇格問題については田村委員からも御質問がありましたし、長官も所信表明の中で述べていただきました。会期末も近づいてまいりまして、私もこの法案を是非成立させてほしいというふうに思っておりますが、何しろまだ衆議院側にあるものですから手足が出せません。 ところで、防衛庁としては具体的に、例えばOBの方々に署名運動をお願いするとか、あるいは地方自治体にこの案件に対して決議をしていただくというような、そういう具体的な何か仕事をなさっておられるんでしょうか、簡単にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(中谷元君) この問題につきましては、昨年の六月に、百五十一通常国会におきまして防衛庁の設置法案が、自由民主党、また無所属の国会議員の方々からの賛同者を得て保守党から議員提案をされまして、現在、継続審議となっております。 政府の立場といたしましては、平成九年の十二月に出された行革会議の最終報告において「政治の場で議論すべき課題」とされておりまして、正に国会においてこの結論を出していただきたいと考えております。 防衛庁といたしましては特にお願いはしておりませんが、OBの方々、また父兄会の方々などが自発的に防衛庁の省昇格にということに熱心に取り組んでいただいておりまして、国民の方々に対して御理解と支持をいただけるような、そういう活動をしていただいております。 また、防衛庁といたしましては、阪神大震災や不審船等の事案を踏まえまして、自衛隊の活動というものは以前に増して大きくなっておりますし、PKOや国際テロの面でも国際的にも世界平和への貢献が求められておりまして、国政において防衛の重要性が増大している中にありまして、一省設けるということは内外に対して国の姿勢を示すことになりまして、重要なことだと認識しております。
○泉信也君 外務大臣にお尋ねいたしますが、この件について、先日、この場で大臣は個人の意見としてお答えをなさいました。外務大臣としてどういうお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) 外務大臣としての意見ということでございますと、国防、我が国の防衛の基本問題について、これは目まぐるしく変化をする国際情勢を踏まえながら、国会を始めとする政治の場で真剣に議論をすべき課題であるということでございます。
○泉信也君 もう時間がありませんが、外務大臣として外交政策をつかさどる上から、防衛庁がそのままでいいのかどうか、そうした見識を持って閣議等で御発言をいただきたい、私はそのようにお願いして質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○海野徹君 おはようございます。民主党・新緑風会の海野徹であります。 外務大臣にお伺いしたいわけなんですが、今回の瀋陽事件、これは脱北者の保護という人道上の問題、ヒューマニズムの問題と、中国武装警察、警官の総領事館内立入りという不可侵権の侵害の問題、この二つが重要な問題があるわけなんで、本質的には人道と主権の問題だと思います。 こういう問題というのは今まで、ある意味では、戦後と言ってよろしいんでしょうかね、我々日本人というのは、ある意味では枠組みを論ずることが下手であったでしょうし、それをある意味では、その必要性もなかった。そんな延長線上で国家観とか国益ということに対する真摯な議論が私はなされる機会がなかったんではないか、そういうところへ起きてしまったということを歴史的に感ずるわけなんですが。 今回の事件、いろいろ今、泉委員からお話がありましたが、処分が終わったということでこの事件がこれでよしということにはならない、これからの問題の方が極めて重大であろうなと。対中外交のスタンスというか、姿勢が根本的に問い直されていることでもあると思いますし、謝罪の、これからの交渉をもってしても、外務大臣の責任は極めて重大だと、その成否にかかっているなというふうに私は思います。 その中で、個々に質問をさせていただきたいと思いますが、人道問題、これまず最優先というような表現をしたから、結局もうほかの問題はどうでもいいよということで中国側に取られたかもしれませんが、人道問題ということで、五月の二十三日、フィリピン・マニラから、瀋陽の日本総領事館からの中国警察に強制連行された五人というのはフィリピンを経由して韓国に入った。人道上の処置としては、要するに韓国に行けたことは、まあ本人たちが韓国へ行くよりもアメリカに行きたいとかなんとかというような話も報道からあるわけなんですが、よかったわけなんですが、非常に嫌な感じ、後味の悪さが残ってしまったわけですね。これはもう国民全体に蔓延しているんじゃないかと思います。 先月の六月二十五日に外務省は五人からいろんな事情を聞かれたと思います。それは、外務大臣としてこれからのいろんな政策的な決定をする上でのいろんな情報、あるいは今後、姿勢を、対策をどう取るかということの中で大変に重要な貴重な情報が得られるのであろうということで事情を聞かれたと思うんですが、全くその内容が明らかにされていないわけなんですね。 その辺のこと、外務大臣としてどのような目的を持って指示されて、どういうような内容で五人の方々からどんな貴重な情報がもたらされたのか、それがどういうような形でこれから政策とか対策に反映させていかれるのか、その点について御答弁、できる範囲内で御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) 委員がおっしゃられましたように、六月の二十五日に瀋陽総領事館に駆け込んだ五名との面談を行いました。これは韓国政府に要請を、関係者の五名の人定事項等を確認をするということで、そういう目的でしていまして、それが実現をしたということでございます。 この面談で、この五名についての人定に関する聞き取りを行って、この五名が北朝鮮の出身者であるということを確認をいたしました。ただ、それ以上の具体的な内容につきましては、これは本人のプライバシーの問題と、それから韓国政府の要請もございまして、明らかにするということについては差し控えさせていただきたいと思います。 外交の場で常に、国民に情報を公開するということと、こういった正に外交上の要請、広い意味での国益につながる話だと思いますけれども、との二つのバランスというのは常に難しいと私は感じておりますけれども、この件につきましては、本人のプライバシー、韓国政府の要請等の観点で、これ以上の具体的なことについては控えさせていただきたいと思います。
○海野徹君 それでは、これからの、ある意味では北朝鮮政策に対する今までの要するに政策を遂行する上で、ある意味ではいいのか、あるいはそれを変更することが、にとって資する情報があったのか、その点だけでも教えていただけますか。
○国務大臣(川口順子君) より一般的に、今回の事件があったということで、今後変わっていく部分とそれから変わらない部分というのは二つ両方それぞれあると私は思います。 それで、北朝鮮への政策ということでいいますと、これは国交正常化が行われていない関係にある国でございまして、人道上の問題、安全保障上の問題もあるということでございますが、これについて、今までずっと我が国が取ってきた政策については変更をするということではなくて、我が国の基本的な考え方、粘り強く北朝鮮と話をしていって、その上で米国、韓国と連携をしながらこれをやっていってという一連の御説明を申し上げている考え方に変更はないということでございます。 変更があった部分、あるいは変更をすべき部分、あるいはそのための検討が今行われている部分としては、難民問題、亡命問題への対応の部分であると私は思います。この点について、昨日、官房長官がたしか予算委員会でおっしゃっていらっしゃいましたけれども、政府の各府省にこれは関係が、多くの府省に関係がある問題でございますので、まとめてどういうような対応をするかということの検討をしているということでございまして、外務省としては人道上、それから人権の観点からこれに関与をしていきたいと思っております。 それから、北朝鮮のこの問題につきましては、先ほど米国や韓国と連携してというふうに言いましたけれども、その連携を引き続きしていくといいますか、より強めるといいますか、こういった問題についても既に話し合っておりますし、更にUNHCR等に話をしていくということも必要だという意識は、日本もそうですけれども、ほかの国も持っているということでございまして、この辺りについての政策の考え方ということには影響があったということだと思います。
○海野徹君 それでは一点だけ、こういう話をしたかどうかを教えていただきたいんですが、数度の人道支援ということで食糧援助をやっております。それが要するに彼らにどのような形で届けられていたのか、そういう点での確認ということはしたんですか、しなかったんですか。
○政府参考人(田中均君) 二つございますけれども、一つは、この五名の人々との関係ということでございますが、当然、私ども人定事項の確認の中で、あるいはどうしてこういうことになったのかという経緯の中で、一般的な北朝鮮の事情ということも含めて聴取をしているわけでございますが、ただ、具体的にこれらの人々がこういうことを言っていたということを外に出すことが、やっぱり本人の安全とかそういう観点から見ても問題があろうと、そういうことで、先ほど大臣が答弁されましたように、韓国政府の要請、本人のプライバシー等の観点から具体的な中身は御勘弁をいただきたいということでございます。 それからもう一つ、食糧支援につきましては、これは食糧支援のためのモニタリングミッションというのは日本も送っております。その報告もされておりますけれども、そういう食糧支援というのが一応行くべきところには行っているというのがモニタリングミッションの結果の報告であったというふうに考えております。
○海野徹君 確かに、モニタリングによる報告によると、効果的でないというようなことは報告されていないわけなんですが、いろいろ文書なんかが、あるいはドイツの医師なんかの書物によると、どうもそれは実態と違っているんではないかなということがあるものですからね、直接聞けるんだったらやはり聞いていただきたかったなという思いがするわけなんですが。 また、脱北者として国外に出ている人たちというのは、またある程度ちょっと層が限られていることもある、それも考えられるわけですから、またそれが本当の意味で人道支援による食糧援助の対象者の中でもどういう位置なのかということもまたそれなりに分析してみる必要があるかなと思いましたが、若干その点だけでもお答えいただければという思いがありましたが、やむを得ないと思います。 次の質問をさせていただきますが、アメリカが上院で決議してすぐ中国は対応をしたわけなんです。中国との要するに対応の仕方といえば、やはり力の外交というもの、私は対中政策の中で必要ではないかなと。力の外交となると、日本の場合は何があるか。これは歴史的な経緯もあるかもしれませんが、ある意味では中国に対するカードの一つとしてODAがある、これも力の外交の一つだろうなというふうに思います。 この中国に対する対中ODAの問題、かねてからいろんな議論があるわけなんですが、今回の交渉過程の中で、カードとしてODAの削減、凍結ということはお使いになろうというような御意思はございませんですか。
○政府参考人(田中均君) 今の瀋陽問題との関係で、中国に五名の身柄の引渡しを求める、その間、身柄引渡しを求めるということは、同時に韓国、第三国に出すということが人道上最も望ましい解決であるという観点から中国とは協議をし、これは非常に真剣な協議をしたわけでございまして、委員は今、上院の決議云々ということを言われましたけれども、これは外務大臣自身も諸外国とも非常に静かな形で働き掛けをし、国際的に、その五名を国外に出すということが、国際的な世論を作るという過程で日本としても相当働き掛けを行ったということも事実だと思います。 ただ、我々がODAをやっているから、したがってそこをどうすべきだというようなむつけき形でODAを材料にするということはありません。ありませんでした。 ただ、同時に、やはり日中の関係が非常に大きな相互依存関係がある、それが日本も中国も利する、そういう大きな日中関係の中で問題の処理をしていかなければいけないわけで、当然のことながら、日本にはODAであるとか投資であるとか貿易であるとか、そういう意味で対中関係上の一つのてこを持っていることは間違いがないことだと思います。ただ、それを表面的に出して外交をするかどうかというのは別の問題だと思います。
○海野徹君 その五人の身柄引渡しということというよりも、私がお伺いしたかったのは、これからの対中政策の中で、外交政策の中で、やはり余りにもタイミング良くアメリカの決議と、要するに第三国経由で韓国へのというものが余りにもタイミングが良すぎるんですね。やはり何らかのそこには中国側の意図があるわけです。 そういうことを考えて、そこから透けて見えるものが、やはり力による外交ってあるんではないかと私は考えるわけなんです。その力による外交の中の、今後、謝罪を要求する過程でODAの問題というのはカードとして使えませんですかということを質問させていただいたんです。 今後、ODAの問題というのは、非常に日本は、全体のODAの約半分近く、四五%ぐらいですか、対中ODAに使っているわけなんですね。だけれども、中国自身がもう既に貧しい国でもありませんし、いろんな意味でインフラを整備するだけの力を持っている国でありますし、我々がODA大綱にいろいろ、要するに四つほど基準を設けているわけなんですが、それと合致させてくると、必ずしもODAの対象国になり得るんだろうかという疑問があるわけなんですね。 アジアとかアフリカの友好国へも中国は約五億五千七百万ドル、こういうような対外援助をやっている。いろんな情報によると、非常に、軍事費の増大というのは、それはもう統計的に出ているわけなんですが、いろんな国からの、ある国から武器を買って、その軍事技術をまた別のところへ要するに売ったり、あるいは提供しているというようなことを考えると、どう考えてもこの中国のODAの問題というのはやはりゼロから見直す必要があるんではないかなという思いがあるんですが、その辺、外務大臣、どうなんですかね。もっと、要するにシビアにやはり対中ODAは考え直すときに来ているんではないかと。
○国務大臣(川口順子君) 今、委員がおっしゃった中には幾つかの点があると思いますけれども、まず、力の外交というものがどれぐらいの効果を持つかどうか。 これは二つの考え方があって、力の外交をやる場合もあれば、そうでない場合もある。そういうことをする国もあれば、そうでない国もある。現実問題、例えば北朝鮮との関係で、韓国は太陽政策ということをやって、包容政策というのをやっておりますけれども、そういうことをやる韓国国内でも、それをサポートする人たちとそうでない、両方あるわけでございまして、それは考え方としては、常にそれぞれの状況で力の外交をやるかそうでないかというのは選択肢としてあると思います。 古い話になれば、ヒットラーがチェコに入ったときに、あそこで宥和政策をやったことがどうであったかということは、ずっとそれ以降、欧米で尾を引いている問題であると思います。 それから、今の状況で力の政策をやるべきかどうか。委員おっしゃったように、日本として確かにODAというのは影響力を行使することができるツールの一つであるということは言えるだろうと思いますけれども、それを今、中国に対してやることがふさわしいかどうかということは、これは先ほど局長が言ったように別の問題で、私としては、今の状況でODAというツールを中国に対して使うというのは適切ではないだろうと私は思っています。 それからさらに、その上で別な問題として、中国に対しての今のODAのやり方が適切かどうかという別なこれはまた視点からの問題の整理があると思います。 これにつきましては、我が国としては、現在、今全体として、中国の援助の需要、それからその中国の経済社会の状況、日中関係等を総合的に勘案してODAの大綱にのっとって援助をやっているということでございます。現実問題としては、平成十三年度の対中円借款につきましては、これは、平成十二年度の実績と比較しますと、金額にして約二五%減ということになっているというのが実情でございます。 これは、どうしてそういうふうになったかということでございますけれども、政府は、昨年十月に対中国経済協力計画というものを策定をいたしまして、今、中国のODAについてはこの計画に基づいて実施をしているわけでございまして、ここで十月にその計画を策定したということの背景としては、我が国の厳しい経済財政事情、中国における開発課題の変化等がある、それから、国内の様々な意見が背景としてあるわけです。 中国が第三国の援助をしているということについては、政府としては、ここの部分について不透明な部分が多いものですから、透明性を高めるようにということを累次求めてきております。先ほど申し上げました計画、対中国の経済協力計画の中でも、こういった点について透明性を向上させるように中国に働き掛ける必要があるということが指摘をされているということでございます。 それから、軍事援助につきましても、この点についてやはり余り明確でないところがあると思います。これについても、中国に対して透明性の向上を働き掛けるということで動いているわけでございます。 いずれにしても、今の中国の援助の考え方に対する、経済協力の考え方というのは、この昨年の十月に作られた計画にのっとって行われているということでございます。
○海野徹君 いろんな学者がこの対中ODAについて失敗だったというような要するに報告も出ておりますよね。そういうものをやっぱり真摯に受け取る必要が我々あるんではないかなというふうに思います。 財政事情が非常に厳しいということもありますし、もう決して中国というのは貧しい国ではありませんし、もう少しODA大綱にきちっと評価する中で、それこそ総合的にもう一度検討し直していただきたいな、政策評価をしていただきたいなということは要望しておきます。また別な機会に、個々の問題でお話をさせていただく機会があればと思っております。 それから、次の問題ですが、瀋陽の総領事館のことで浮かび上がってきたのが、在外公館の業務能力というんですか、在外公館の在り方というのが一つ出てきたんではないかなというふうに感ずるわけなんですが、特に、中国で最近いろんな、在外公館として多分それは対応してきたんだろうなと思いながらもいかがなものかと思われるのが、やはり中国における日系企業の労働争議が非常に多くなっている。その労働争議が欧米の企業に比べると余りにも突出しているし、それが、賃金の問題も多いんですが、必ずしもその問題を管理者側と中国人労働者の問題で解決するというよりも、中国労働者側に警察までがある意味ではサポーター役で入っていってしまって、かなり紛争を激化しているという事例もよく聞くんですよね。 こういうことも、ある意味では、情報としてどうやって収集されているのかなと。それに対して、日系企業にそれをまた流して対策を取るようにしているのか、あるいは、中国政府あるいは中国の何らかの機関と、それを要するに改善するためのやり取りしているのかなというと非常に疑問に思うわけなんですが、また、対中セーフガードの問題のときも農水省が前面に出てやっているわけです。となると、それぞれ農水省とかあるいは経済産業省とか、そういうものがどんどんどんどん二国間あるいは多国間で主導して交渉しているとなると、一体外務省というのは、じゃ何をやるのかなというようなものもありますし、あるいは、いろいろ話をそれぞれ在外公館勤務経験者にいろいろ聞いてみますと、最大公約数の返事として返ってくるのが、電報を作るのに精一杯でそれが自分たちの外交官の職員の仕事だろうというような形、ある意味では錯覚しているようなところがあるんですよね。 それも、しかも公にされた情報なんかで、それで電報を作ってそれで本省に送っていると。じゃ本省の、外務省の人間はそうなんですが、ほかから出向してくる人たちはどうするかというと、例えば経済産業省とか農水省だったら、もうEメールとかファクスで必要な情報は全部送っているというような実態があるとなると、本当に儀典とか儀礼みたいなことだけやっていれば、在外公館というのはそれだけやっていればいいのかなというような話も言わざるを得ないような状況になってしまうんですね。 ましてや、この間の瀋陽総領事館のようなああいう対応を見ていると、本当に何をやっているのかという気持ちになってくるわけなんですが、在外公館の組織改革、あるいは在外公館の要するに在り方という問題で基本的に改善を加えるあるいは抜本的な見直しをするという問題が今回の事件で浮かび上がってきたんではないかなという印象を持つんですが、その点、大臣、どうお考えですか。
○国務大臣(川口順子君) ちょっと、事実関係の御質問がありましたので、その部分だけ先に局長からお答えをします。
○政府参考人(田中均君) 委員御指摘の中で、私の方から是非事実関係としてお答えをさせていただきたい点がございます。 一つは、日系企業の各種の問題。これは、当然のことながら事案の種類によって違うと思いますけれども、大使館は常に日本企業ないし日系企業で、当然、その相手国政府との関係でルールの問題で問題があるという場合には、事情をよくお伺いして大使館として適切な措置を取っている。少なくとも、それが不十分であれば今後は更にそれを強化していくというのが基本的な方針であるということでございます。 それから、対中セーフガードの問題について委員から御議論がございましたけれども、あのときに実務的な交渉を担当したのは私自身でございますし、それは、関係省庁、農水省、経済産業省、財務省ということで一つのチームを組んで常にいろんな、もちろん経済産業省は経済産業省の立場がございますし、農水省は農水省の立場がある。 ただ、要するに中国に対して一番重要な問題というのは、中国は一体なんですね。ですから、できるだけ我々としても日本政府が一体となって中国と交渉するというのが中国との関係では非常に重要なことだし、役所が違うことを言いながらやっていくということは、中国との交渉にとって非常に大きなマイナスであると。それは政府の中で関係省庁もよく御理解をされていると思います。 ですから、そういう意味で、対中セーフガードについて関係省庁が独自にというようなことを言っておられるとすれば、それは私は違うというふうに思います。
○国務大臣(川口順子君) 委員がおっしゃった在外公館がどうあるべきかという問題意識は私も持っておりまして、委員が今おっしゃったことが、どうすれば在外公館をもっと強化して、そしていい外交ができるかということにつながるような、そういう問題意識であると私は思って、伺わせていただきましたけれども、今、私は、就任二月にしてから外務省の改革ということをずっと言っておりまして、変える会でも、それから省内にある職員の人たちの改革の会でもそういったことを問題意識に置いて議論はなされているわけでございます。外でも様々な方がいろいろおっしゃっていただいていますので、少し問題意識をみんなでシェアをして、それでどういう外務省の在り方がいいかということを考えるということは必要だと思っています。 外務省がなくてもいいんではないかという、極論すればそういう意見ですけれども、私は全然そういうことではないと思っています。やはり、例えば、じゃ、タマネギの皮をむいていって何が外務省として重要かということを考えましたときに、残るものが儀典だけかというと決してそうではない。例えば、安全保障の問題、政治の問題、それから、今、田中局長が言いましたような、それぞれの省というのはそれぞれの持っている所管のところの意見あるいは所管のところの行政を代表して意見を言うということでございまして、日本国全体としては、日本全体のところをまとめて国益として何を考えるかという作業が必要で、更にそれを外国との関係で主張していくという役割が必要であると思います。それをやるのが外務省だと思っています。 それで、じゃ、それを外務省がやるべきである、それが今非常にいい状況で行われているかということでいえば、そうでない部分は残念ながらあると思います。そういったことを外務省の改革あるいは外務省の職員の人たちの意識の変化を通じて良くしていこうというのがこの改革の動きであるわけです。Eメールというふうにおっしゃいましたけれども、Eメールは便利でございますけれども、情報の秘密を守るという意味では適切ではないということもございます。 それから、もちろん情報を取る面で各省が自分の持っている、私もかつてある省から外務省に出向してアメリカの大使館で公使をしておりましたけれども、ある問題について、その省が持っている情報、あるいはそこの省で仕事をしたことによって得た、身に付いた知見というものが情報を取る上で役に立つということはもちろんあるわけでして、それぞれの省の人が大勢、大使館や公館に出ているということは意味があると思います。ただ、それはやはり外務省として一つに統括をされた形で日本国の国益を代表する形で反映、発言をされ、そしてフィードバックもされなければいけないと私は思います。 ですから、改革という意味で、どうやったら在外公館と本省の問題意識を一緒にすることができるかとか、在外公館の職員の仕事に対する問題意識なり危機意識なりをどれぐらい高めることができるかといった、どういう組織にも存在する課題に対応するということは必要だと思いますけれども、そういうことによって在外公館の役割をもっと強化をしていく必要があると、そういうことだと思います。
○海野徹君 私は、外務省必要だと思っています、もちろん。それで、むしろアメリカのような形で、要するに副大統領格が外務大臣やるべきだろうなと。財政とか経済というよりも外交とか安全保障が一番国にとって大事なことなんですよね。そういった意味では、パウエル国務大臣のように、あのクラスぐらいまで外務省を持っていく必要があるんで、そのぐらいの要するに能力がある、力のある省になっていただきたいなという思いがあるんです。 ただ、今やっているのが、例えば公になっている情報をそのまま電報にして、それで要するに暗号化してというような旧来型のことをやっている。毎日二本も三本もそういう電報を作らされているというのを職員に聞きますと、むしろそういう情報なんかより、それで、じゃ出てきた、要するに送られたものが何かと。すべてマル秘とか取扱注意なんてなっているんですが、ほとんど見てみたらマル秘でもない、取扱注意でもないような情報なんですね。 むしろ、だから、情報の量と質の問題もあるんですが、分析力を高めることが必要じゃないかなということを私は思いますから、まあ変える会もありますし、これから我々も御意見申し上げたいなと思うんですが、外務省がさらに、今じゃなくて本当の意味での力を持った省としていくことを私は要するに望みながら今質問させていただいていることだけは理解していただきたい。 田中局長ね、外務省、田中局長が中心になってやったという話なんですが、外務省にもお願いしたんですけれども、資料出てこないんですよね。農水省は、何月何日だれがどういう交渉をしました、相手はどこだ、場所はどこだというのは全部出てくるんですよ。その中で、あなたがどこにいたのか、突き合わせれば分かる話なんですけれどもね。そういうものが非常に、そういうものも、じゃマル秘なんですかね。一生懸命やっているんだったら一生懸命やっているんで、私どもは要するにそういう資料を要求するわけですよ。在外公館の能力に疑義があるなと、じゃ実際はどういうことをやっているんだろうかと。だったら、そういう担当省庁が、所管官庁が直接交渉をやるとしたら、外務省がその中でどの部分で力を発揮しているのか、見たいなと思って資料要求しても出てこないんですよ。 それで、今のような御質問をさせていただいたんですけれどもね。何か感想あります。
○政府参考人(田中均君) 済みません。私、個別な案件について言っておられるのか、セーフガードについて言っておられるとすれば、少なくともセーフガードの交渉というのは政府が一体となってやりましたし、いろんな協議というのは常に関係省庁の中で私を議長役として関係省庁の局長と一緒に中国と交渉をしたということなので、当然そういう資料要求をしていただければ私どもは出しますし、関係省庁からも同じものが出てくるはずだというふうに思います。
○海野徹君 それは、資料要求はしてあったんですが、出てこないという事実だけ伝えておきます。 次に、処分の問題なんですが、これは先ほどまた別の委員からもお話がありましたが、非常にやはり甘いというのがこれはもう全体的な印象なんだろうなと。我々もそう思います。総理も、人の見方によって軽いとか重いとか両方あるだろうと述べているようですが、一般国民の中で重いという、重い処分であるというようなことを考えている人は私はだれもいないと思う。私はだれもいないと思う。 こうした身内に甘いんではないかという一般国民の考えに対して、外務大臣、どういうようなお考えを持っていらっしゃいます。
○国務大臣(川口順子君) 何回か申し上げましたように、これについては軽いとおっしゃる方もいらっしゃいましたし、重いとおっしゃる方もいらっしゃいました。私は適正だと思っております。 そして、これについては先ほど、もし必要でしたらもう一度申し上げますけれども、様々な考え方を整理をいたしまして、そして再度精査をした問題点を踏まえて処分をしたということでございます。
○海野徹君 身内に甘いな、あるいはこれは処分は軽いなという要するに印象を与えた直接的なもの、最大の要因は何かというと、やはり阿南大使の発言なんですね。この発言なんですよ。 これは、先ほど外務大臣、要するに処分はどういうふうな処分をされたのかということで、それは国家公務員法上の要するに基準で、その基準の中でどこが該当するかということで処分されたという話があった。その中で、日ごろという言葉が出てきたんですが、阿南大使は、関係者によると、大使に行く前に同じような、中国あるいは北朝鮮政策、対中政策について、やはり彼があのような発言するに類似した発言をしょっちゅうしていたというんですね。だから、日ごろやっぱりそういう考えがあるからああいうところへ出ていってしまうのではないかなと。 しかも、私どもの同僚が昨日、文書によって、阿南大使がこういうような命令を下したから岡崎総領事はそれに従ったというような文書が出てきたということで質問されていると思うんですが、その文書を私も読みました。どう考えても、先ほど何か大臣は、最初、指示という言葉を使って、いや指示ではなかったと言っていますが、どう考えても相談をして、指示というか命令を受けて岡崎総領事は大連に向かったとしか考えられないんですね。外交官として第一線に出ている人が、やはりそれなりの国益を考えたとき、事の重要性を考えたとき、大連に向かうんだろうかと我々は素朴な疑問を思うんですよ。やはり、この要するに告発文書をどう考えても私はある意味では信憑性が極めて高いんではないかなと。外から見る印象からしても、あるいは日ごろ発言内容を聞いていてもやはりその信憑性は高いなという思いが私はするんです。 そういうことを背景に考えると、やはりどうしてこういうような処分の違いが出てくるのか。しかも、それが報道によれば、多分こういうような処分になるだろうと最初から報道されたんですね、この事件直後から。それと同じような要するに処分になっているんです。 その点、外務大臣、いま一度御答弁いただきたいなと思います。
○国務大臣(川口順子君) 阿南発言と一番最初におっしゃられた発言というのは、恐らく脱北者が入ってきた場合にどうするかということの発言に関してではないかと思いますけれども、後ほどで、後ほど大連に戻るということについても触れられましたので、ちょっと両方おっしゃっているのかどちらかかよく分かりませんが、まず、脱北者が入ってきた場合にどういうふうに言うかという発言、これについては再三再四申し上げておりますけれども、阿南大使のそのときの発言は、脱北者は中国へ不法入国している者が多いけれども、いったん館内に入った以上は人道的な見地からこれを保護し、第三国への移動等適切に対処する必要があると。他方で、大使館としては、昨年来、昨年秋以来、テロに対処するという観点から警戒を一層厳重にすべきことは当然であって、不審者が大使館敷地に許可なく侵入しようとする場合には規則どおり大使館の門外で事情聴取するようにすべきであると、そういう趣旨の発言であったわけです。 発言はそういうことであって、その次に、それが、この大使の発言が今回の瀋陽総領事館の事件に影響を与えたかどうかということでございます。私どもの判断は、この発言は影響を与えていないということでございまして、したがってこの発言と今回の処分というのは間に線を引いております。 それから、大連について、大使の意を受けて高橋公使が岡崎総領事に対して事件発生の翌日に改めて大連に向かってほしいという意向を伝えたということについては、結果として適切さを欠いていたというふうに考えて、これは処分の対象にしています。 これにつきましては、様々な、大連に向かってほしいと言ったという理由はあり得ると思います。中国の政府の偉い人が大連に行くということになっていて、日本大使館として対応することが必要であった。そして、まず何よりも、日本から御遺族の方がいらっしゃって、大使館の立場でそれに対応する必要がある。これは、もうこういう大変に不幸で悲惨な事件で飛行機事故がございましたから、そういうことをしなければいけないということもございました。それから、この瀋陽総領事館事件の処理が北京に移ってきているという判断もございました。外交部は北京にありますので、現地の対応ではなくてと。そういう様々な判断があって、大使館、大使は高橋公使を通じて伝えたということでございますが、これは結果として適切さを欠いていたと判断をいたしました。そして、これについては処分の対象にしております。 この事件の処分をめぐって報道機関が様々なことを報道していたと事実はありますけれども、私どもは、報道機関がいかなる報道をしようと、それは私どもの考え方、そして人事院の考え方、内規についての先例、そういったことをきちんと整理をした上で処分をしたということでございまして、この処分は私は適切であったと考えております。
○海野徹君 今、私が言ったのは、要するに日ごろ阿南さんはこれに類似するような発言をまず日ごろしていたということが、事実がある。要するに追い返せと言った事実がある。ある意味では、この文書の、告発の文書によると、要するに瀋陽にいるよりも大連に戻るべきだと命令したと、こういうことがある。あるいは、阿南発言によって、非常に、それから中国がある意味では同意があったんではないかと言い出したと。そういうようないろんなタイミングを考えると、いろんな要因を考えると、私は、国民が一般的に今度の処分を見て、やっぱり身内に甘いんだな、それでノンキャリには厳しくして要するにキャリアを救うんだなというような印象を持ってしまうんではないかということを私は申し上げたんですね。 大臣は昨日もお聞きになっているかもしれませんが、とにかくあれ、今、総領事は瀋陽にいない方がよい、大連に戻るべきだと命令したとか、岡崎総領事は一度大連から瀋陽に戻った後、阿南大使に電話をしてこの事件の処理について指示を仰いだところ、阿南大使はそういう命令をしたと。今回のような重大な政治的事件の処理については、総領事一人では判断できないし、まず大使の指示を仰ぐのが当然である、そのとき大使は、領事が現場にいない方が事件をうやむやのうちに収拾でき、本省に報告しないで済むと考えたんだろうなんというようなことが、告発文が来ているわけなんですね。その後、阿南大使は要するに、北京大使の、公使は阿南大使の命令を受けて岡崎総領事に対して電話をして、阿南大使の指示で大連に戻ったということを決して口外するな、それが総領事の身のためであると口止めしたというようなことも書いてあるわけなんですよ。 これが全くのフィクションであるとは、どうも要するに日ごろの発言からしていると思えないということがあるものですから、私はそれと、今までの一連の外務省の不祥事、ほとんどノンキャリを切って本省や大使館の組織を守るというような、要するにそういう印象を我々持っているものですから、今回も組織防衛に終始する外務省の姿を見て、また国民の信頼を失うことではないんだろうかなという懸念を私は持ちますし、それがある意味では国民の要するに懸念というのは極めて率直なものだろうなと思うんですが、その点については、外務大臣、いかに思いますか。
○政府参考人(北島信一君) 委員が御説明されました内部告発文書なるもの、私、今、手元に持っておりませんが、お許しを得て一つ事実関係を申し上げさせていただきたいと思います。 その文書を私も見たことがございます。その上で、現地に確認しましたが、委員が言われました、阿南大使が岡崎大使に電話をして瀋陽にいるよりもむしろ大連に行ってほしい云々、そういう電話をしたという事実はございません。その点をちょっと申し上げさせていただきたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) ノンキャリの人に重いのではないかということをおっしゃられたわけでございますけれども、私は、この処分については、先ほど申しましたように、事実関係を再び精査をして、その上でその問題点を把握して、それにのっとって、国家公務員法上の規定あるいは内規を踏まえて処分をしたということでして、すべての処分に対しては、そこでこの方がキャリアであるかキャリアでないかということについて、一切そこについては判断を入れていないわけです。ノンキャリだから重くするとかキャリアだから重くするとか、そういう発想はしておりませんが、この処分の考え方として、全体として、上の責任ある立場にいる人間について、同じ組織の中の下の人より重くしているという考え方は取っております。 それから、ということで、ある処分をある事件についてしたときに、一般にもういろいろなことを周りでおっしゃることは、もうこれは当然だと思います。それで、それなりのおっしゃる方のそれぞれの考え方あるいは事実関係の把握、いろいろなことがあってそういうことをおっしゃっていらっしゃるわけでして、私は、すべての意見に対して謙虚に耳は傾けたいと思いますけれども、私としては、先ほど申しましたような問題点の精査を行って、国家公務員法、内規その他に照らし合わせて、それからその先例等も調べて、人事院の指針も見て、その上で適切に判断をしたと考えております。
○海野徹君 ある意味では、先ほど言いましたように、要するに組織防衛で守られたのはある意味では阿南大使一人かなという印象を持つわけなんですけれどもね。 適切な助言を与えなかった責任があるとして今回大使は処分されたわけなんですが、これは一般論で考えると、余りにも、これも要するにまた軽過ぎるんだなと。確かに、組織上、北京の日本大使館には瀋陽の領事館の監督責任はない、そういうことが要するに理由だと思うんですが、これはやはり内側だけの議論であって、一般国民には通用しないんじゃないかなという思いがあるわけなんです。 先ほど言った、大使館に入ってくれば不審者とみなして追い出せというような発言をしたということを、これも要するに不問にしているということも、これはやっぱりいわゆるいろんな意味で罪状深いチャイナスクールと言われる、それの一人となれば、彼に対する責任の重さというのは、私は処分の、またそれに応じての重さというのはあってしかるべきではないかなと思うんですが、これから謝罪を求めて引き続き毅然たる態度で外務大臣は今後交渉されるわけですよね。その中で、じゃ、彼はどういうような役割を担っていくんですか。
○国務大臣(川口順子君) 阿南大使ですか。
○海野徹君 ええ。
○国務大臣(川口順子君) その前にちょっと、もう一度繰り返しになりますけれども、ある処分をしたときに、私は、組織の長としては、その処分が公平であって適切であるということが大事でございまして、先ほど言いましたように、外で、世論、国民の方々の御意見、これは委員もおっしゃるように非常に重要な、大事な声だと思いますけれども、そして耳を傾ける、謙虚に耳を傾けるつもりはいつでも持っておりますけれども、ある組織の判断というのは、それに影響をされることなく、組織の処分のルールに基づいて処分をしなければ私はその組織はもたないと思っておりますので、そういう意味で私は適切に判断をしたということでございます。 それから、その阿南大使の今後の役割でございますけれども、これは当然に一国の大使でございますから、この件も含めて日中関係に対応するときの日本の出先の長として、もう全面的に日中外交をやっていただく立場ということでございます。
○海野徹君 毅然とした態度で謝罪を要求していくべきであるし、要求していくという、外務大臣、ずっとお話しされているわけですから、その毅然とした態度ができているかどうか、非常に私は疑問なんです。今回の処分というのは事件の決着を意味するものでは全くないと、当然、引き続きこれは要するに謝罪を要求していくべきだなと、あくまでも処分というのは国内の問題だけだろうなというふうに思っております。 しかしながら、ウィーン条約違反に関する協議の見通しは全く立っていないんではないかという印象を私ども受けるわけなんです。毅然とした態度で要求はしていくといっても、見通しは立っていないんじゃないかなというような印象があるわけなんですが。 この瀋陽の事件、私冒頭でもお話ししましたように、対中政策を根本的に、対中政策の姿勢を根本的に見直さなければならない時期に来ているのかなという思いがあるものですから、この事件をやっぱり絶対に風化させてはいけないという思いがあるんです。 外務大臣、今後毅然とした態度で要求していくという、要するに文言だけではなくて、具体的にどのレベルで、いつまでにどういうような交渉を行っていくのか、その辺の具体化が、具体的なものがおありになれば、最後の質問としてお答えいただきたいなと思っています。
○国務大臣(川口順子君) この件については、委員がよく御案内のように、我が国としては領事館の不可侵が侵害をされたということを毅然と中国側に伝えているわけですし、中国側としては不可侵の侵害については同意があったという立場を同様に毅然として伝えて、我が方に言ってきているということでございます。双方の立場が全く正反対のところにあるというのが現状でございます。 中国との関係については、今後とも日中間の大局を踏まえて冷静に対応していこうということで双方合意をいたしておりますので、その線で双方で協議を続けていきたいと、話し合っていきたいと考えております。
○海野徹君 冒頭、私がお話をさせていただきました今回の事件というのは、本質的には人道と主権の問題だと思います。主権というのは要するに国の存立が問われる原理原則の問題ですから、これは両方どっちも引くに引けない問題だと思うんです。我々としては、とにかく外務大臣を応援させていただきますし、とにかく絶対毅然たる態度で謝罪を要求して、謝罪されるまで要するに粘り強い交渉をしていただきたいなと。それが外務大臣の私は最大の仕事なのだということをお願い申し上げて、またある意味での御期待申し上げながら質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○遠山清彦君 公明党の遠山でございます。 まず、外務大臣にお聞きをしたいと思いますけれども、瀋陽の事件に関しまして本日もるるお話があるわけでありますが、先日外務省がこの瀋陽の事件を受けて、処分と同時に改善策をペーパーにまとめて発表をいたしました。そのペーパーでは、総領事館、瀋陽の総領事館及び本省の危機管理体制の問題が指摘をされております。 私は、この危機管理、英語ではクライシスマネジメントとかリスクマネジメントとか言われまして、欧米ではかなり民間でもあるいは政府機関でも進んでいるわけでありますけれども、この危機管理に関しては二つ重要なポイントがあるというふうに思っております。 一つは、起こり得る危機の予測とその予防への準備、行動、それからもう一つは危機が実際に発生した際の迅速なかつ適切な対応ですね、この二つがいわゆる危機管理というものに非常に重要ではないかというふうに思います。 これを前提に外務省が今回示しました改善策を見ますと、在外公館の現場レベルでの対応能力向上という意味での措置は含まれているというふうに思いますので、これはこれでしっかりと実施をしていただきたいとまず思います。 他方、本省レベルにおいてですね、今後の検討課題ということでありますけれども、危機管理官というものを創設することを検討するということが挙げられているわけでございます。これに関して私まずお聞きしたいのが、危機管理官の役割というのはどのようなものを想定をされているのか。併せて、この場合の、この危機管理官の危機というのは、今回瀋陽で起こった亡命者や庇護申請者が突然在外公館に駆け込んでくるという意味での危機のことしか想定していないのか、つまり狭い意味での危機なのか、あるいは危機管理官と言った場合に、テロなども含めたもっと幅広い危機というものに対応するような立場のポストを考えているのか、それも併せてお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) 委員が正に、この危機管理官についてどういう観点から検討しなければいけないかという問題点を今正におっしゃっていただいたと思いますが、外務省としては、この危機管理官の在り方それから危機管理体制の強化の方策については現在検討中でございます。 現在検討中でございますが、まずその対象とする危機の範囲ということについて言いますと、今回のような駆け込みに限らないで、より広く、大規模なテロ事件ですとか、それから邦人保護の問題、各国や国際機関との情報収集等の連携の問題、そういった様々な問題を、すなわち省全体としての取組が必要で、それから官邸を始めとする関係方面との連絡調整が必要な緊急事態ということで広く考えています。 そして、そのときの危機管理官の役割、これも今、中で検討を始めたところですけれども、全体の、何と言ったらいいんでしょうか、おへそといいますか、そういう役割を果たすということだと思います。大臣、次官に情報を上げて指示を仰ぐということ、それから省全体の対応の調整、指揮を行う、それから情報を集中的に持つといったようなこと、それは具体的な何か起こったときの対応の仕方としてのその人の役割ですけれども、それから日常ベースで、委員のおっしゃった、予測、準備、行動というふうにおっしゃられたわけですが、その段階での政策の企画立案といったようなこともこの人の果たすべき役割の一つだと考えております。
○遠山清彦君 大臣の今おっしゃった方向で実現していただければいいと思うんですが、今検討中ということで、外務省の組織の機構の細かいところに私は口を差し挟む権限もないというふうに思いますけれども、ただ、このペーパーでちょっと気になったのが、この危機管理官、「危機管理体制の整備」というところで、「本省においては総合外交政策局を中心とした危機管理体制を強化する。」というお話が書かれていたわけなんですね。 ただ、政策論ということであれば総政局でもいいのかなというふうに私思いますが、組織的危機管理体制ということであれば、やはり先ほど外務大臣もおっしゃったように、例えば国際情報局から分析された様々な情報を入手をして分析をしなければいけない、あるいは大臣と相談をしながら在外公館に適宜適切な危機管理情報というものを提供しなきゃいけないということを考えれば、やはり大臣官房、今日官房長も来られていますが、官房直属で危機管理室みたいな、ちょっと危機管理官一名だけを置くということではなくて、少なくとも室みたいな形で体制を整えるという方向性の方がいいんではないかというふうに個人的には思っておりますが、少々差し出がましい越権的なお話ですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) いろいろ、そういった御提言をいただくことは非常に有り難いと思っております。 今、外務省の設置法上でこの危機管理という仕事が総合政策局にあるということでございますので、これを今やっていくという過程で総合政策局ということで考えているということでございます。 考え方としては、委員がおっしゃるように、いろいろなこれについては考え方があり得ると思います。例えば、総合政策局というのは、本来、中長期的に外務省の政策を考えるという仕事もしているわけですので、そういったことと危機管理を両方一つの局でやることが本来的にはそれがいいかどうかという問題意識もあり得ると思います。そういうことの延長線上には、例えば官房でやるというのはどうだろうかという意見もあり得ると思います。 そういった問題意識も持ちつつ、これは、こういったことをやるためには法律の改正も必要になってくるということでございますので、取りあえず、取りあえずといいますか、緊急に対応の評価をしなければいけないという観点から総合政策局で考えているということです。
○遠山清彦君 分かりました。 続きまして、警備面での改善策について少々お伺いをしたいと思います。 同じペーパーの中で、警備対策官及び警備専門員の拡充を図るということが明記をされているわけでありますけれども、これは全世界ということなんですけれども、在外公館全体で現状を、それぞれ何名ぐらいいてどれぐらい増強をする意向なのか、ちょっと教えていただけますでしょうか。
○政府参考人(北島信一君) 在外公館警備に当たる日本人要員であります警備対策官と警備専門員でございますけれども、平成十四年度末で、警備対策官は二百三十四名、それから警備専門員は二十名となっております。 これを、でき得れば今後五年間で警備対策官と警備専門員につき、合わせて百名程度増員を実現していきたいというふうに希望しております。
○遠山清彦君 分かりました。 それで、これから増員をされていくということでありますけれども、この警備要員、今回の瀋陽の事件が起こったからあえて言うわけではありませんけれども、やはり今後いろいろな、先ほどテロのこともちょっと言及がありましたけれども、いろんな面を含めて、今まで以上に気を引き締めて、今まで以上にある意味難しい問題への対応ということが迫られる可能性が高まっていると私認識をしているわけでありますけれども、この警備要員への研修の内容、当然、語学とか国際条約などの基礎知識というのは当然だと私は思っておりますけれども、外務省の責任として、こういった警備要員への研修は従来どう行っていて、また今後、もしこういう点改善したいということがあれば併せてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(北島信一君) 派遣前の研修でございますけれども、警備に関する企画立案に当たるなど、在外公館警備の中心となる警備対策官でございますけれども、これにつきましては語学、それから専門分野の講義、任国の治安情勢、それからケーススタディー、それから実習、そういった方面におきまして約八週間にわたっての研修を実施しています。 それから、警備専門員につきましては、警備対策官の補佐ということでございますけれども、警備関係の講義、それから任国の治安情勢、実習等を中心に十日程度の研修を実施しているわけです。 今後の研修の強化についてのお尋ねでございますけれども、ウィーン条約等に関する研修ですね、こういった分野を特に格段に強化していきたいというふうに思っております。
○遠山清彦君 分かりました。 次に、日本の難民政策の見直しについて関連の質問を幾つかしたいと思います。 先日、公明党は、十項目にわたる具体的な政策見直し提言を取りまとめまして、発表いたしました。外務大臣を始め、福田官房長官、あるいは森山法務大臣にも直接御説明をさせていただいたところでありますけれども、今日はまず、この提言の中で厚生労働省にかかわる部分もありますので、ちょっとお伺いをしたいと思います。 難民申請中の者やあるいは認定された条約難民も生活のために日本で就労せざるを得ない場合が多いと言われておりますけれども、このような人々に対する就労あっせんを厚生労働省所管であるハローワーク等で行っているのかどうか、その現状についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(三沢孝君) 条約上の難民として認定された方で日本で就労を希望される方々につきましては、我が国の制度上、制度的に見た場合には、日本人の求職者、日本人で仕事を探されている方々と差別することなく、同様に全国のハローワークにおいて職業相談や職業紹介を行うということになっております。 ただ、難民の方々、これ外国人であるものですから当然のことであるんですけれども、日本語能力が必ずしも十分でないという方々が多いと思われます。そういうことから、この点につきましては難民も含めた外国人労働者対策としてこれまで講じてきている対策によって対応を図ることとしております。 具体的に申し上げますと、全国八十一か所のハローワークに外国人雇用サービスコーナーというものを設置いたしまして、通訳、英語、スペイン語、ポルトガル語、中国語等でございますけれども、介した職業相談や職業紹介を行うこととしています。 ただ、日本の労働市場において必ずしも十分な数がいないといいますか、少数の言語を話される方々につきましては、難民の方々も含め十分に対応できない場合もあるんじゃないかなと、こう懸念しているところでございます。
○遠山清彦君 今、審議官の方からお話ありましたけれども、一つは外国人労働者に対応する窓口で対応するということで、五つぐらい主要な言語で、外国語で通訳を置いて対応しているというお話なんですが、確かに難民、条約難民の方、人数は当然少ないわけでありますけれども、言語は非常にマイナーな言語をしゃべられる方が多いということで、私はこの改善策として、これはもう七月八日付けの読売新聞の一面等にも出て、就労あっせんの業務の改善ということを内々に政府が決めているなんという報道もあるわけでありますけれども、私、NPOや国際機関あるいは在日外国人コミュニティー組織と連携を是非厚生労働省取って、例えばマイナーな言語しかできない難民の方、しかし難民ですから権利はしっかりもう条約難民としてあるわけですから、そういう方々に例えば通訳を手配するのにハローワークだけではもう全然手配できないと、しかしNPOとかそういうところと連携することでそういった面の手当てが、きめ細かい手助けができるんではないかと私は思うんですが、それについての御見解、どうでしょうか。
○政府参考人(三沢孝君) 先生御指摘のとおり、難民の方々、日本で仕事を探されるという場合には言葉の問題もあります。言葉の問題のほかに生活環境とか文化環境も違っていると。そういうことで、日本人の求職者とは非常に異なる難しい状況にあることは確かだと思います。 こういうふうな現状を考えた場合、こういう難民の方々に就労をあっせんする際に、確かに先生御指摘のように、各種のいろんな支援を行っている民間団体、NPOも含めますけれども、そういう団体との連携を図っていくと、非常に大切なことではないかと思っています。したがって、私どもとしては、このような団体から要請があれば、ハローワークとしても雇用関係の情報の提供を始めといたしまして難民の方々の就労促進について積極的に対応していきたいと、こう考えています。 ハローワークの職員の研修というのも非常に大きな課題となっているということであります。公明党の提案の中にも職員研修の話が出ております。私どもも、外国人の労働者に対する職業紹介をやっている職員に対する専門的な研修をこれまでも定期的にやってきております。五日間ほどですけれどもやってきております。そういう中で、今まで必ずしも難民という問題がウエートを持ってやってきておらなかったわけでございますけれども、難民という問題も含めながら今後こういう研修もやっていきたいと、こう考えているわけでございます。
○遠山清彦君 大変前向きなお話、ありがとうございます。是非その方向で強化していただきたいと思います。 続きまして、上野副長官、本日はありがとうございます。 内閣官房にお聞きしたい最初の質問は、我々は、従来政府が条約難民とは別枠でインドシナ難民とその家族に対して行っている総合的な定住支援などを条約難民まで拡大すべきであるということを主張させていただいているわけであります。しかし、このインドシナ難民支援自体がもう二十年以上経過をしておりまして、現在の支援プログラム自体の存続が問われているということを私も承知をいたしております。 先ほど言及いたしました七月八日付けの読売新聞の記事では、二〇〇五年度にはこのインドシナ難民に対する現行の支援措置は終了するといったことも報じられているわけでありますけれども、この点、本当でしょうか。副長官、お願いします。
○内閣官房副長官(上野公成君) この問題につきましては、以前にこの委員会で遠山委員から御指摘を受けまして、今、総合的な難民支援体制の構築につきまして内閣官房の方で必要な調査を行いつつ、幅広い視点から検討している最中でございます。その中で定住インドネシア難民についても検討したいというふうに思っておりまして、二〇〇五年に終了するというようなことが決まっているという事実はございません。
○遠山清彦君 今、決まっている、決まっていない……
○内閣官房副長官(上野公成君) そういう形で二〇〇五年には終了するということが決まっている事実はございませんと。今、全体の中で調整して、そのこと、インドネシア難民のことも含めてこれから検討していきたいというふうに思っております。
○遠山清彦君 分かりました。どうも済みません。分かりました。 私は今のお答えで安心をしまして、というのは、先月、私、この品川の国際救援センターを現地に参りまして視察をして、現地でスタッフと意見交換をしてきたんですが、インドシナ難民も実は条約難民とは共通あるいは別種の問題を抱えているということをよく私も理解することができました。 例えば、共通の問題としては、インドシナ難民も条約難民も日本に定住した後に職場であるとか地域住民のコミュニティーと若干トラブルを抱えるケースがありまして、相談する窓口というのは今後もどうしても必要だと。私が聞いたスタッフの意見によれば、インドシナ難民とその家族は一万人もう既に日本に定住をしているわけですけれども、大体そのうちの三割、三千名ぐらいの方々が定期的にこのセンターに相談の電話を掛けてきているということなんですね。そういう意味では、インドシナ難民に対する支援もいきなり打ち切るのではなくて、やっぱり今後何らかの形で継続していく必要性があるんではないかというふうに思っております。 次に、もう時間もちょっとなくなってきたので、法務省にお伺いしたいと思うんですが、このインドシナ難民が条約難民と異なる問題を抱えていると私は思っております。 それ具体的に申し上げますと、このインドシナ難民というのは、条約難民じゃありませんので、法的な地位が大変に不安定だというふうに言われております。条約難民は難民に認定されれば難民認定書といういわゆるパスポートと同じ効力を持ったものがあって海外渡航ができるわけでありますけれども、このインドシナ難民の場合には、条約難民でありませんので、なかなか海外に行く際に制約が強いと。再入国許可書を持っていったとしても、ビザが取れない国がありまして、そうすると、例えばインドシナ難民が日本の会社に勤めておりますと、社員旅行に、海外行けないという問題がございます。 それから、もう一つ具体的に問題点として私が聞いてきたのは、インドシナ難民の両親が日本に入国して定住許可を受けた後に生まれた子供が無国籍状態に置かれてしまっているということも聞いてまいりました。また、このインドシナ難民が日本に定住した後に結婚を日本でしようとした際に、条約難民の場合には居住地の婚姻法、つまり日本の婚姻法に基づいて手続ができるんですが、インドシナ難民の場合は本国、カンボジアとかベトナムとかラオスですね、本国法の婚姻手続によらなきゃいけないということで、なかなか日本で結婚手続ができないといったような問題があるということなんですけれども、インドシナ難民に関しては、難民条約によるのではなくて、日本政府の人道的、政治的判断で受け入れられた人々でありますけれども、私は彼らを、一万人もいるわけでして、このようにちょっと法的に非常に不安定な位置に置くということは問題ではないかと感じているんですけれども、法務省の見解を聞きたいと思います。
○政府参考人(中尾巧君) まず、私の方から。 委員御指摘のとおり、インドシナ難民につきましては条約難民のような難民旅行証明書は発給されていないことは事実でございます。しかしながら、我が国に定住いたしますインドシナ難民の中には旅券を所持している者もおりますので、旅券を所持している者につきましては海外渡航等についてはほかの者と同様のことでございますので、何らの差はなかろうかと思います。 また、旅券を所持していない方もおられますが、その方につきましても、先ほどもお話に出ました再入国許可証の申請をすれば交付をする取扱いになっているところでございます。もちろん、再入国許可証は旅券に代わるものではありませんけれども、諸外国におきましては有効な渡航文書と同様に取り扱われているものと私どもとしては承知しております。したがいまして、私どもといたしましては、再入国許可証であることのみを理由といたしまして外国政府から入国査証の発給を拒否されるというような例はないというふうに承知しておるところでございます。
○政府参考人(房村精一君) 私の方から、インドシナ難民が日本に入国した後に生まれた子供の国籍の関係と婚姻の関係について、若干御説明をさせていただきます。 日本の国籍法では、父母両系血統主義と申しまして、父親又は母親のいずれかが日本人であれば日本の国籍を取得するという考えを取っておりまして、日本で生まれたからという、出生地が日本であるから国籍を与えるという考え方は原則的に取っておりませんので、難民の方々、いずれにしても日本国籍を持っていない他の国の方々、インドシナの国籍を持っている方々ということになりますので、日本の国籍法では日本に入国後に出生した子供に日本国籍を与えるということにはなっておりません。 それから、婚姻につきましては、御指摘のように、難民認定を受けた難民の方は日本の婚姻の要件を満たしていれば婚姻ができる、日本の民法に従って婚姻ができるということになりますが、そうでない方々については、これは、日本の法令という、どこの国の法律に基づいて婚姻の要件を決めるかという一般的な法律が日本で制定されておりますが、その法令では、婚姻についてはそれぞれのその人の本国法に基づいて要件を定めると、こうなっておりますので、難民認定を受けた難民の方以外の方については、一般の外国人と同様に本国法に基づいて婚姻要件が判断されるということになりますので、そういう意味では難民認定を受けた方と違いが出てきているということでございます。
○遠山清彦君 それは分かっているんで聞いていたんですけれどもね。要は、確かに理論としてはそうなんですが、現状は、インドシナ難民の人たちというのは、日本に出てくるときにはインドシナの、今私が申し上げた三国の政府の合法出国に対する合意を得て、UNHCRと連携した上で日本が政治的に受け入れるということで来ているわけですね。 ところが、こっちに来てから、ぶっちゃけた話、本国の方は、自分たちの国を捨てて日本に行ったというような感覚を向こうで持たれる方もあって、現実に日本に住んでから結婚とかいろんなときに、向こうの役所に書類出してくれとか、何か証明書を出してくれと、なかなかこれ、現場は、現状はなかなか困難であるというようなことがあるわけで、法務省としてはなかなかそれは法理論上そうだからということで変えられないとは思うんですが、ただ、これ、上野副長官、やはり日本政府の責任で受け入れて、人数も一万人ということですから、今後も条約難民に対する手当てと同時に、このインドシナ難民、少なくとも一万人の方々は今後、日本で定住あるいは永住していく方が多いと思いますので、ここに対する支援もしっかりと考えていっていただきたいというふうに思います。 もう時間もないので、最後にちょっと意見を一つ言わせていただきたい点は、今後、条約難民とそれからこのインドシナ難民と両者含めて、新しい総合的な日本政府としての難民支援策ということを検討されていくんだろうと、今日のお話からも私そういう印象を受けておりまして、大変に心強く思っておりますし、私も後押しをしっかりしていきたいと思いますが、ただ、条約難民とインドシナ難民、それぞれバックグラウンドも違いますし、入国の経過とかも違いますので、一律した硬直した対応ではなくて、非常に柔軟性のある対応策というものを考えていかなければいけないんではないかという点を主張させていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) ちょっと済みません、十秒だけ。訂正が入りまして。 済みません、一つだけ、さっき間違ったことを言いましたので訂正をさせていただきたいと思いますが、設置法の改正が必要だと申しましたけれども、設置法ではなくて、政令の、組織令の改正が必要だというふうに訂正をさせていただきます。
○小泉親司君 瀋陽の総領事館事件の問題について質問をいたします。 外務大臣は、七月四日に瀋陽問題で関係者の処分を発表されました。今、処分の軽重の問題が議論されておりますけれども、私は、この問題では、この問題の事件の何が問題だったのか、外務省がこの問題にどのように接近しようとしたのか、その事実解明がしっかりと図られて再発防止が十分に行われるという見地からこの処分が行われているのかどうなのか、この点が私一番大事な問題だというふうに思います。処分をすればそれで済むという問題じゃありませんので、その見地から幾つか私は外務大臣にお尋ねしたいと思います。 まずお尋ねしたいのは、外務大臣はこの問題で給与の二〇%自主返納をすると、一か月間。まず、大臣にお聞きしますが、あなたはどのような責任を問われて一か月の二〇%の自主返納をされるんでございますか。
○国務大臣(川口順子君) これにつきましては、私は外務省を所管をしている大臣でございますので、外務省としてのこの件に対応、この件の対応に問題があったということについての所管大臣としての責任だということです。
○小泉親司君 どんな問題なんですか。
○国務大臣(川口順子君) これは、今回、事件につきまして改めて問題点の精査をしたわけでございます。そして、その中で問題点を書かせていただいておりますが、一つは危機意識の問題でございます。それから危機管理体制の問題、そして三番目に警備上の問題と、そういうことでございます。
○小泉親司君 田中アジア大洋州局長がおられますが、あなたは給与の一〇%、一か月間自主返納ということになっておりますが、どんな責任を問われたと御認識されておりますか。
○政府参考人(田中均君) 私の責任は、今、大臣が言われたこととほとんど同じでございますけれども、私は所管局長として、今出てきているいろんな問題点、すなわちこの脱北者問題全般についての危機意識の欠如であるとか、それから危機管理における種々の問題点、こういうことについて所管局長として対応に問題があったということで私自身の責任を感じております。
○小泉親司君 北島官房長は、同じではありますが、どんな責任があったと御認識されておりますか。
○政府参考人(北島信一君) 私の場合は、外務省として本件対応に問題があったわけですけれども、特に警備、通信等のインフラ面の不備につきまして、大臣官房の責任者としての責任ということでございます。
○小泉親司君 私は、危機意識云々と言われておりますが、事件と今回の処分がどういうふうな関係にあるのかちょっとよく分からない。例えば、外務大臣は、三月十四日にスペイン大使館に北朝鮮難民、言葉はあれですが、外務省がよく使っておる言葉では脱北者と言っておられますけれども、この方が二十五名が駆け込んだ事件を受けて対処ぶりを作ったということを記者会見で発表された。私も事件の直後にこの対処ぶりというのはどういう内容なのかと外務大臣にお聞きしましたが、外務大臣はこれは内容は公表しないということですから、内容を私、詳細に分からない。 しかし、今度の処分で、この外務省の対処ぶり、これに照らして問題があったという方はどなたで、どういうふうな責任を問われたんですか。いらっしゃるんですか、そういう方は。
○政府参考人(北島信一君) 危機意識の問題ということでございます。 今般、瀋陽総領事館事件を外務大臣として総括されると。総括の後、処分を検討するということを言われてきたわけですけれども、外務大臣官房に監察査察官がおります。監察査察官が事件を精査するということでヒアリング等を行ったわけです。その結果出てきた、指摘された問題点の非常に大きな部分として、危機意識の問題があったと。すなわち、在瀋陽総領事館においてこのような緊急事態に対する危機意識が希薄であったということだったわけですけれども、北朝鮮との国境に近い瀋陽では一種の緊張状態にあったと。こうした状況に対する慣れが生じていたとはいえ、三月に御指摘の北京での類似の事件が発生していたわけですから、この点については本省も責任があるわけですけれども、在瀋陽総領事館において対応策を講じておくことが望ましかったと、そういうふうに判断したわけです。
○小泉親司君 いや、私が言いたいのは、危機意識と、意識の問題とおっしゃるけれども、少なくとも外務省は、瀋陽周辺が一種の緊張状態にあったということは、あなた方の報告書でも書いてありますし、そのためにいわゆる対処ぶりを作った。つまり、意識の問題じゃなくて、外務省としての一定の方針を作った。その方針に基づいてそれは、その方針は現実には適切でなかったというふうにお考えなのかどうなのか。その点での責任を問われた方というのはおられるんですかということをお聞きしているんです。
○国務大臣(川口順子君) 内規で処分をいたしましたことの理由というのは、責任を持って職務の遂行に当たらなかったということでございまして、これは、岡崎総領事は国家公務員法でございますけれども、ほかにつきましては、全員が責任を持って職務の遂行に当たらなかったということで考えているわけでございます。 これの職務の、責任を持って職務の遂行に当たらなかったということの直接的な原因と間接的な要因と二つあると思いますけれども、いずれにしても、この職務の遂行に責任を持って当たらなかった、責任を持って職務の遂行に当たらなかったという場合ということの中に、お話をしたその対処ぶりがきちんと行われなかったということも含まれていると御解釈をいただきたいと思います。
○小泉親司君 いや、ですから私お聞きしているのは、対処ぶりがうまくなかったと、今、外務大臣おっしゃったけれども、そのことで問われた方はいらっしゃるんですかとお聞きしているんですよ。
○国務大臣(川口順子君) 申し上げましたように、国家公務員法上で処分をされた岡崎総領事以外につきましては、この内規の責任を持って職務の遂行に当たらなかったというふうになっているわけです。
○小泉親司君 いや、ちょっと意味がよく分かりませんが、つまり対処ぶりという中身がよく分からないので、実際にその対処ぶりに、ということは、今回の事件というのは、対処ぶりに対しては従わなかったんだという判断なんですね。
○国務大臣(川口順子君) 責任を持って職務の遂行に当たらなかった場合という場合に、直接的な理由、間接的な理由というのがそれぞれあると思います。 今回の場合、直接的な理由としてそれぞれ、より直接的な問題について、これはプレスにも説明をさせていただきましたけれども、そこで、直接的な理由ではないけれども、職務の遂行に当たらなかった場合により広く多くのことが含まれるわけでして、そういったことに含まれているということです。
○小泉親司君 外務省の事件直後の調査結果では、事件の発生中に外務省本省から積極的な指示はなかったと私たちは理解をしております。唯一、五月十三日の調査結果では、その指示があったのは、事件の発生中ですよ、あったのは、総領事から、本省担当者は取りあえず国際法上の問題点を指摘しつつ、追って連絡する旨述べたというだけで、その査証担当副領事は本省関係者から更なる指示があるまで現状を維持せよとの指示を受けたというふうにあると。 本省の対応というのは、私はこの点では対応が適切であったかどうかというのは非常に疑問を持つところでありますけれども、こういう本省の関係者というのは、今回この点は問題だったというふうには指摘されておるわけですか。
○政府参考人(田中均君) 委員の御指摘の点、すべて一つの筋があると思うんですけれども、要するに危機意識の欠如というのは、私どもは、スペインの大使館の事件があったときに、ああいう種類のことについてどういう対処をすべきかという基本的な考え方、こういうものを関係公館に伝達をしていたということであります。 それで、実は、これは結果的に見ればそうですけれども、現実から見ればその基本的な考え方自体、瀋陽で起こったような事件について、すべて逐一この場合にはこうする、この場合にはああするというようなものではあり得ないわけであります。ですから、そういう意味からいけば、現場の状況というのはいろいろ変わっていく、その中で危機意識を持ってきちんとした判断ができたかどうかということなわけであります。 それで、本省にいたしましても、正に同時に我々がテレビを見て、このときはこうするというような指示をできるわけがないわけで、基本的な事実関係に基づいて、当初は国際法上の問題がある、ただこういうときに、指示というのは、まず現状を維持しろと。その中で、本省として、具体的にどういうところに問題点があってどういう行動を取るべきかということについての指示をするのは、それは本省の責務だと思います。ですから、そういう観点から私どもは、現場に対しては抗議をしろということと、身柄を戻せという指示を少なくとも本省の中で決めたわけでございます。 それが正に国際電話の発信機のいろんな不幸な要因が重なったんだと思います。現場で持っていた国際電話、携帯電話について発信機能がなかった、したがって中国の大使館に電話をしていた等々の事情があって連絡がつながらなかったということもございました。 ですから、そういう意味で、外務省としての対応の問題点というのは、そういう全体の中でそれをもう一度精査をして、だれがどういう責任を持っていたのかということについて判断がされたものだというふうに考えます。
○小泉親司君 私は、事件の発生中に、いわゆる脱北者と言われる方が提示した手紙を調査報告に記述しなかったという問題がありました。私は、これは外務省がこの事実を隠ぺいしたということを指摘をいたしましたけれども、外務省が、私は、この問題を重大だというふうに認識していたのかどうなのかと、このことを私は問われる問題だったというふうに思います。 それでは、この堀之内中国課長が記載しなくていいんだという指示を出したというのは、この事件のときにも私、答弁でお聞きしましたが、それではこの手紙を受け取らなかったという問題、この点については、中国課長が受けた訓戒の中にはこの問題というのは含まれておるんですか、ないんですか。
○国務大臣(川口順子君) この点については、堀之内中国課長の訓戒の処分の理由として、事実関係の欠落をめぐって混乱を招いたということで、これは入っております。それから、馬木副領事は厳重注意ということですが、この理由の一つとしても、返却をしたことについては適切な行動ではなかったということを言っているわけです。 ちなみに、この手紙がここに、あの調査報告書、五月十三日の調査報告書につきましては、これは同意があったかどうかということをめぐっての調査報告書であったということでございます。
○小泉親司君 私、どうもその事実関係の究明という点で、一体この処分が適切なのかどうなのかという点をただしてきましたけれども、ちょっとよく私は、この問題について外務省が十分に接近しているかどうかというのは非常に私疑問でありますが、時間の関係で、もう一つのいわゆる日本の難民政策の問題について少しお尋ねしたいことがありますので、その点に移らさせていただきたいと思います。 日本が難民対策では世界からも大きく懸け離れた閉鎖社会だということは今回の事件でも私はっきりしたんじゃないかというふうに思います。 法務省の資料では、日本の難民認定の受入れ状況を見ますと、八二年からの二十年間で、申請者数は二千五百三十二人、認定者は二百九十人ということでありました。昨年一年間で取りますと、過去二番目に多い申請者で、申請者数三百五十三名、認定者数二十六名でありました。 そこでちょっとお尋ねしたいんですが、例えばG7の諸国では、申請者がどのぐらいで認定者はどのくらいなのか、この点をお聞きしたいと思います。
○政府参考人(中尾巧君) これは、UNHCRの資料に基づきまして一応御説明申し上げたいんですが、二〇〇〇年、平成十二年でございますが、イギリスが、申請が七万五千六百八十件でございます。認定が一万百八十五でございます。ドイツは、申請が十一万七千六百四十八人でありまして、認定が一万一千四百四十六人であります。それからオーストラリアでありますが、申請が一万九千四百四で、認定が四千九百九十五であります。オランダが、申請が四万三千八百九十五で認定者が千八百八であります。フランスはちょっと、申請が三万八千五百八十八ですが、認定関係は資料はございません。 ただ、UNHCRの資料でありますので、それぞれの国の条約難民とそれ以外の難民のカテゴリーを持っておりますので、それの合わせての申請ということになりますので、直ちにその辺のところの整合性の比較は難しいかと思いますので、申し添えます。
○小泉親司君 確かに、その申請者の概念、定義といいますか、それが若干違うということは十分に承知した上でお聞きしているんですが、そこで外務大臣にお尋ねしますが、今法務省からお話がありましたように、日本の申請者となると、すべての国が日本の二十年間の申請者の二十倍、一番多いところで二十倍あるんですね。 何でこういうふうに申請者の実態というのが非常に、申請者が非常に少ないということについては外務大臣はどういう認識をお持ちなんでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) 私は、この問題を直接に分析をしたことがありませんので、個人的な印象を述べるということしかできませんけれども、そういうことでよろしければ、感想としては、日本が海に囲まれた国であるということが一つあると思います。それから、日本が、アメリカのように人種のサラダボウルと言われるような国とは異なって、比較的いろいろな国籍の人が余り混ざり合っていない社会であるということについての国外の認識もあると思います。
○小泉親司君 外務省の瀋陽事件を踏まえた改善策というものが発表されております。この改善策を見ますと、非常に特徴的なのは、「亡命希望者等への対応」というのと、それから「脱北者への対処方法」といって、言わば脱北者と亡命希望者等というふうに分けて一つは説明されておられる。この点で、亡命希望者への対応の点では、全在外公館について、「庇護を求める者が来館した場合の対応を指示した。」というふうに書かれてあります。「脱北者への対処方法」では、「改めて詳細な対応振りを指示した。」というふうにされております。亡命希望者への対応の中では、「可能な限り実践的なものとした。」というふうに書いておりますが、この中身というのはどういうことなのか。例えば、今回の瀋陽事件のようないわゆる駆け込みの問題にも対応しようとしているのか。 それから、脱北者への対処方法の問題では、いわゆるスペイン大使館の事件直後に一回対処ぶりを出した。続いて、瀋陽事件の直後にも二回目の対処ぶりを出した。今度改めて詳細な対処ぶりを出したわけで、三回にわたって出しているわけですね。マニュアルを次々と変えているわけです。ということは、そのマニュアルというのはどういうふうに変えたのか。 全部具体的には、一番初めの問題が明らかにならないわけですから、よく分からないので、その特徴的に変えたところというのは一体何なのか、そこだけお聞きをしたいというふうに思います。
○政府参考人(田中均君) 実は、脱北者の問題というのは、これはどこの国の大使館、総領事館もそうでございますが、非常に難しい問題で、なおかつ、いろんなケースが増えてきているということであります。すなわち、門が開けてあってそこに駆け込んだケースというのはスペインのケースでありましたし、それ以外に、壁を乗り越えていくのが普通であります。それから、最近の例では、大使館だけではなくて、雑居ビルにある総領事館に入ってきている例もあります。 私どもの基本的な対処方針というのは正に、館内に入ったときに、人道的な見地から、人定をきちんとし、関係国との関係その他も含めて、ケース・バイ・ケースできちんと処理をしようというのが基本的な方針なわけであります。 ただ、状況がいろいろ変わってきている。瀋陽の事件というのは一つの非常に大きな我々にとっての反省材料でありましたし、それに基づいて、より詳細に、門の外であったときにはどういう考え方で対処をするのか、それから、静かにコンタクトといいますか、連絡があったときにはどうするのかと、そういう従来は想定されていなかったようなことが次々と起こっていくわけで、それに対して基本的な考え方をより詳細に詰めていった。これまた中国の中でも総領事館が置かれている状況が違うわけです。どういう場所にあるかということもございますし、ですから、それはそれぞれの総領事館に合ったものでなければいけないということもあります。 ですから、平たく申し上げれば、私どもとして、脱北者に対して人道的な対応ができるように、情勢の変化を見極めながら、より詳細な対処ぶりについて関係の総領事館、大使館とも相談の上に対処ぶりを作っているというふうに御理解をいただきたいと思います。
○小泉親司君 もう少し細かくこの点についてはお聞きしたかったんですが、時間がないので、時間が限られておるので、どうしても一つだけお聞きしたいことがあるので、その点ちょっとお聞きしたいというふうに思いますが。 国際法のこの点での難民の庇護申請について、難民認定を受けることができるかというような点での議論がありまして、この論文の中で、いわゆる不可侵権の問題も絡みまして、外務大臣がこれまでの通説を述べられている在外公館の敷地は派遣国の領域であるとは言えないというふうな前提に立ちまして、庇護申請の受理を領域内で行うと国内法で定めている国々の在外公館では原則的には庇護申請を受理することはできないと解することができると。また、国際法上、在外公館は個人に庇護を与える義務を持たないとされるということを記した上で、しかし実際には各国の在外公館が庇護申請を保護した事例は少なくないと。例えばラテンアメリカの一部、一部のラテンアメリカ諸国では、外交的庇護に関するカラカス条約を採択している。その他、大使館又は領事館において庇護申請を行うとしている例がスペインやスイスやオーストラリアで見られているというふうな指摘の論文があります。 この点については、日本政府としては、在外公館で庇護申請を受け付けるというふうな見解については、政府としてはどういう見解をお持ちなんですか。その点をお聞きしたいというふうに思います。
○政府参考人(田中均君) 国際法上の現在の考え方として、在外公館においてその公館の所属する国の官憲から逃れようとする者を庇護する一般国際法上の権利が確立しているとは認められていないということが一つあります。したがって、大使館員が、我々があなた方のことを庇護してあげますよということで大使館の中に招き入れたり、そういう形での庇護の考え方が確立しているわけではないということだと思います。 ただ、同時に、大使館並びに総領事館というのは不可侵権を持つわけでありまして、その中で大使館の中に入ってきた人をどういうふうに扱うかというのは、不可侵権の結果としてそれぞれの国の考え方があるということであります。ですから、脱北者に限って申し上げれば、これは、ほぼほかの大使館、総領事館も同じだと思いますけれども、人道的な取扱いをするということだと思います。 それから、一般的に申し上げて、例えば米国のようなところは在外の事務所で少なくともその申請を受け付けるということはやっているようでございますし、イギリスとかフランスというのは在外公館での難民認定の申請そのものを行っていない、ほかの国、豪州なんかは永住申請ということで受け付ける例もあるということでございますし、それは国によって扱いが違うということはそのとおりだと思います。
○小泉親司君 一言だけ、申し訳ありません。 警備面での改善策について、私は、先日の委員会で、何か自国要員の派遣ということで何か自衛隊の派遣も検討しているというふうなお答えでありましたが、私たちは、この難民政策の見直しがあいまいなままにこういう形でどんどん自衛隊の海外へのまたの派遣を進めるというのは問題であるということを指摘して、終わらせていただきたいと思います。
○田村秀昭君 泉委員始め同僚議員が質疑されましたのと重複するかもしれませんが、私は、外務省、外交官に最も必要な資質は使命感と気骨だというふうに思っています。気概を持っているかどうか、使命感に徹しているかどうか。 〔委員長退席、理事吉村剛太郎君着席〕 そういうのが今回の事件では欠如しているんではないかというふうに私は思っていますけれども、外務大臣はどのようにお考えですか。
○国務大臣(川口順子君) 委員がおっしゃったように、使命感を持って仕事をするということは、外務省に限らずすべての組織で、官であれ民であれ、私は必要なことだと思っています。そして、外務省にも、使命感という意味では、使命感を持って仕事をしている職員がほとんどであると私は思っております。 ただ、今度の事件のときに、幾つか問題の精査を、再精査をしたときに問題点として挙げさせていただきましたけれども、危機意識あるいは警備上の問題、あるいは危機管理体制の問題ということで問題があったということは事実でございまして、これについては改善策を提示をして、それをこれから検討あるいは実施をしていくということで考えています。
○田村秀昭君 外務大臣は危機意識が欠落していたとおっしゃっているんですが、外務省とか防衛庁というのは元々危機意識が根底にないとできない仕事だと私は思うんですが、それが希薄だということは、話にならないということを言っているんじゃないですか。どうですか。
○国務大臣(川口順子君) これは本当におっしゃるとおりでして、危機意識が希薄であった、分からないでもないということではあるかと思いますけれども、危機が非常に日常性を帯びるということによって希薄になってきたということは非常に問題があったと私は思っています。
○田村秀昭君 次に、外務大臣は五人の人たちを韓国に中国側が移送したのは我が国に十分配慮した結果だとおっしゃっておられるようですが、私はとんでもない話だと。配慮しているのは外務省とか、そういう人たちは配慮ばかりしているんじゃないかと思いますが、中国は中国の国益を考えて行動していると私は思うんですね。日本側に入っていった人を、日本側に入っていっても駄目だよと、自分の方で来た人間はちゃんと韓国に送り返すよということを行動で示しているわけですから、そういう意味で、この五人が韓国に行ったのは日本に配慮しているなんというのはとんでもない話で、考え違いだというふうに私は思いますけれども、いかがですか。
○国務大臣(川口順子君) この五人が北朝鮮に送られることなく国外に、中国の国外に出国をするということが大事だということは我が国から中国に対して再三再四伝えてきているわけでございます。そしてまた、この国外への退去、国外に出すということが決まりました段階で、日本に対しては北京大使館に通報があったということでございます。そして、こうしたことは、中国側が身柄を持っている事件で国外に退出をさせた、中国側が明らかに身柄を持っているということが明らかになっていた事件で国外に退出をさせたということについては、これが初めてであるということです。そういったことから、私どもは、我が方の主張に対して中国側が配慮を示したというふうに考えているわけです。 中国側がこれをどういう言い方で説明するかということについては、これは中国の問題であると考えます。
○田村秀昭君 私は、中国が日本に配慮したとは考えておりません。どこの国でも国益を優先してやっている話なので、そういうふうにお考えになるのは、私は自分よがりの考え方じゃないかというふうに思います。 日本外交を、中国、対中の日本外交を考えてみますと、やはり一般的に日本の国益よりも中国の立場に迎合しているというふうに考えざるを得ません。今回の瀋陽の事件についてもそういうことが言えるんじゃないかと思います。 それで、中国が国際法上認められた総領事館の不可侵権を侵害したという重大な事実について、うやむやにすることなく中国側に謝罪要求をされているようですが、今どういうふうになっているんですか。謝罪していないですね、中国は。
○国務大臣(川口順子君) この件につきましては、この事件が発生をした直後に現地当局に対しまして抗議を行うとともに、外交レベルで、外交ルートを通じまして中国側に抗議をいたしました。その後も、事務次官、阿南中国大使、私といった形で累次申入れを行いまして、我が国の立場を毅然として主張したわけでございます。 その後、六月十九日に私と中国の唐家セン外交部長との会談がバンコクでございまして、そこで私から、この件をめぐる事実関係については双方の立場は異なるとした上で、特に、中国側によって我が国総領事館の不可侵が侵害されたことにつきましては、この点についての我が方の立場には変化はない、我が国の国内にも強い意見が存在をしていて、この点は中国側も是非認識をしてほしいということを述べたわけです。 これに対しまして唐家セン外交部長からは、中国側の従来の立場、すなわち中国側としては合意があったと考えるという立場が改めて示されたわけでございますが、他方で、双方、両国は、日中関係の大局を踏まえて、この件については冷静に対処をしていくことが重要であるということは確認をいたしまして、そして領事条約、協定の締結の可能性も含めて、再発防止のために何ができるかということを外交当局間で協議をしていこうということで一致をしたということでございます。 〔理事吉村剛太郎君退席、委員長着席〕 我が国として、中国側によって我が国の総領事館の不可侵が侵害をされたことについての主張を毅然として貫いていくということに全く変わりはないわけです。
○田村秀昭君 そうすると、不可侵、総領事館の不可侵権を侵害したということについては中国側に強く謝罪を要求しているというふうに受け取っていいんですね。
○国務大臣(川口順子君) これを取り下げたということは全くありません。
○田村秀昭君 時間も余りありませんけれども、処分についてお尋ねします。 事件が発生してから、これ五月八日だと思うんですが、二か月近くたっていて処分をされたと、七月四日ですからね。非常に遅いんじゃないですか、処分というのは。何でこんな二か月近くも掛かるんですか。
○国務大臣(川口順子君) これにつきましては、私は、事件の後の、合意がなかったということについての報告書を五月十三日に出させていただきましたけれども、その段階で新聞記者の方の質問がございまして、それに対して、この件についてある段階まで来たところで全体を総括をして再発防止策をきちんと考える、その過程で処分も考えていくということをお話をいたしました。 そして、この六月十九日における唐家セン外務大臣との会合等も一つの要素でございますけれども、その後の進展を踏まえて、総括をして再発防止策を検討したという中で処分を発表したということでございます。
○田村秀昭君 私は、非常に遅い処分だと思うんですね。時間が掛かり過ぎる。やったことははっきりしているんだから、全世界がテレビで見ているわけですから、非常に遅い。こういう信賞必罰というのを、処罰は時期を逸するとぼけちゃう。 それで、国家公務員法上の処分は岡崎総領事のみで、あとは全部外務省の内規に基づく処分というのはどういうわけですか。何で岡崎総領事のみが国家公務員法上の処分で、あとは国家公務員じゃないんですか。
○国務大臣(川口順子君) これにつきましては、まず今回の事件については、岡崎総領事も含めまして法令違反に当たる行為及び上司の明示的な職務命令に違反をした行為があったということは認められなかったということが一つございます。 それで、国家公務員法の第八十二条におきまして、一項第二号ですけれども、職務上の義務に違反又は職務を怠った場合というのがございます。これによりまして岡崎総領事は処分をしたということでございますが、岡崎総領事については、日ごろから情報収集や館内の体制整備等の緊急事態に備えた対策を講じておくべきであったところを、これを怠っていたということで国家公務員法上の懲戒処分にしたわけでございます。 それから、その他の関係者につきましては、国家公務員法上の懲戒処分の対象となるような職務上の義務違反や職務怠慢があったということまでは言えないということですので、内規処分のうち、責任を持って職務の遂行に当たらなかった場合ということで処分をいたしました。そして、この処分を行うに当たっては、人事院の定める懲戒処分の指針や国家公務員法や外務省規則に基づく処分の先例、これらを参照の上、決定をしたわけでございます。
○田村秀昭君 私は、外交官に、先ほども申しましたけれども、最も必要な資質は使命感と気概だと。それが欠如しているんだから、そういう外交官に対しては、これは国民が求めるものですから、それを欠如していたということですから、重大な処分をすべきだと私は思っております。 外務大臣の御所見を求めて質問を終わります。
○国務大臣(川口順子君) 国家公務員の処分につきましては、法令やそれからその組織の内部の規則、そして人事院規則、人事院の定める懲戒処分の指針等を踏まえて適切に行われる必要があると私は考えております。
○大田昌秀君 私がお伺いしたかったことはもうほとんどほかの議員、ほかの委員から御質問が出ておりますので、重複する点もあるかと思いますが、そこは御理解をいただきたいと思います。 まず、外務省はこれまで瀋陽総領事館事件につきまして調査をなさったり、また中国政府といろいろと交渉なさってこられたわけでございますが、基本的に、これまでの調査の結果あるいは政府折衝の結果、今回の事件の基本的な問題点というのは要約すればどういう点に尽きるとお考えでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) これは、処分を発表しましたときに問題点として述べさせていただいたとおりでございまして、大きく三点あると思います。 まず、危機意識の問題、それから二番目に危機管理体制の問題、そして三番目に警備上の問題、そういったことが問題点であると思います。
○大田昌秀君 これは、実はこれを改めてお伺いしたのは、本事件の根底には、政府の亡命者に対する政策とかあるいは難民政策がきちっとしていない点に本質的な問題があるということもよく指摘されるわけですが、その点についてはいかがお考えですか。
○国務大臣(川口順子君) この問題の背景として、そういった問題があると私は考えます。
○大田昌秀君 去る五月八日に、本事件の発生直前に北京の在中国日本大使館で行われた定例会議で、阿南大使が訓示したと言われておりますが、その訓示の内容につきまして、五月二十三日付けの読売新聞は、北京大使館の複数の職員は、確かに追い払えと言ったと証言したと報じております。また、五月二十二日付けの毎日新聞の記事には、同大使館の警備担当者が、公館への駆け込み事件が起きればビデオに撮られている可能性があると報告したことに対して、阿南大使は、ビデオに撮られても構わない、追い返せと命じたと報じておりますけれども、外務省はこの阿南大使のそのときの正確な発言について御確認をなさっておられますか。
○政府参考人(田中均君) 阿南大使の発言は、五月の八日に館内会議で、館内で警備担当者から専ら警備の強化ということについての報告があった、それに対して大使が発言をしたということでございますが、大使の発言は以下のとおりでございます。 脱北者は中国へ不法入国している者が多いが、いったん館内に入った以上は、人道的見地からこれを保護し、第三国への移動等、適切に対処する必要がある。他方、大使館としては、昨秋来、テロに対処するという観点からも警戒を一層厳重にすべきことは当然であり、不審者が大使館敷地に許可なく侵入しようとする場合には侵入を阻止し、規則どおり、大使館門外で事情を聴取するようにすべきであるということでございます。
○大田昌秀君 そうしますと、今の新聞社の報道というものと違うわけですが、その後、新聞社に対して何らかの対応策をお取りになったでしょうか。
○政府参考人(田中均君) 大使館もそうでございますし、私どももそうでございますが、阿南大使が行った発言はこういうことであったということについてはいろんな機会をとらえて述べておる次第でございます。
○大田昌秀君 去る五月十一日付けの毎日新聞によりますと、今年に入って朝鮮民主主義人民共和国から脱出して韓国へ入国した者の数は公表されているだけで三百人を突破し、韓国では今年中に千人を超え、大きな国際問題に発展するのではと憂慮する声が出ていると報じられています。 北朝鮮からの脱出者の急増の背景を外務省はどのように御理解なさっておられますか、認識なさっていますか。
○政府参考人(田中均君) いわゆる北朝鮮から韓国への亡命者並びに北朝鮮と中国の国境を越えて中国に入る人たちが特に九五年ごろから増えているのは事実であろうというふうに思います。私どもは、この最大の原因というのは、北朝鮮の国内の困難な経済状況、特にエネルギーの不足、冬の期間においては暖を取るものがない、それから食糧についても十分な食糧がない、こういう事情から外へ出る人が増えているということであろうかというふうに考えております。 ただ、韓国への亡命者につきましては、それぞれ様々なケースがあるということでございますし、私ども、必ずしも北朝鮮の国内の事情を十分把握できているわけではない、北朝鮮の国内ではいろいろ不透明なことが起こっているということもあるかというふうに思います。
○大田昌秀君 先ほども御質問がありましたので一応省きますが、例えば、日本への申請の、亡命の申請の件数とか、そういうことはもう先ほど質問がありましたけれども、もし将来、このような亡命やあるいは難民関係の人々の我が国への入国希望というものが増大するようなことになりますと、外務省はそれに対してどのような政策をお取りになるおつもりですか。
○政府参考人(高橋恒一君) 難民やいわゆる亡命者の対応につきましては、瀋陽総領事館事件を受けまして、現在、内閣官房を中心といたしまして協議を行っておりまして、中長期的な検討を要するものからすぐに実施できるものまでございます。幅広い問題につきまして、今整理して検討を進めておるところでございます。 今の委員から御指摘ございました中長期的に、現時点では我が国はいろいろな事情によりまして、他の欧米諸国と比べますと難民の受入れ数が非常に少ないわけでございますけれども、これが増えてくるような状況が出てくるというようなときにどうするのかということでございますけれども、やはりそういう難民の受入れの中長期的な大きな課題と申しますのは、これは難民とか亡命者、いわゆる亡命者の受入れということだけで処理できるものでは到底ございませんで、これは言語、文化、宗教、習慣等の異なる人々とどのようにともに暮らしていくかというような我が国の社会の在り方そのものにかかわる問題を内包しているわけでございますし、それから御案内のように、欧米におきまして難民をたくさん受け入れてきている国と申しますのは、例えばアメリカにいたしましても、カナダにしましても、豪州にしましても、伝統的な移民国家でございます。 世界の各地から大量の外国人を元々受け入れている、そういう社会ができていたわけでございますし、それから移民国家ではない欧州の大陸国家におきましても、一九六〇年代の後半から、経済的な理由によりまして、世界各地から大量のいわゆる労働力として外国人を受け入れてきているわけでございまして、そういう経済問題、労働問題等のかかわりもあるわけでございまして、やはりそういう全体的な大きな広がりのある問題を検討しなくちゃいけないわけでございますので、この問題、こういう問題につきましては、今後とも内閣を中心にいたしまして検討を進めるとともに、国民の皆様の御意見も伺いながら、幅広い視点から真剣に議論を重ねていきたいというふうに考えております。
○大田昌秀君 恐縮ですが、法務省がおられましたら、今の点について簡潔にお答えいただけたら有り難いと思います。
○政府参考人(中尾巧君) 基本的には、先ほど高橋部長のお話のラインだろうと思いますし、この問題につきましては政府全体として考えていかなきゃならない問題だろうと思います。 社会の構造をどうするかという在り方と同時に、最近の欧州の動きを見てますと、財政的な圧迫で社会的コストの問題をどう解決するかということ、いろいろ従来の難民政策、移民政策の在り方について、人権国と言われているイギリスも始めその他の諸国においてもそういうことが議論されているところでありますので、そういったことも踏まえて考えざるを得ない問題だとは思っております。 ただ、私どもといたしましては、難民認定制度を所管する省といたしましては、その現在あります国際的な取決めであります難民条約等にのっとりまして、やはり入管法所定の難民に当たるかどうかということで適正に難民認定制度を運用せざるを得ないというふうに考えておりますが、ただ、最近の関係で申し上げますと、難民として該当しないものにつきましても、人道的観点から必要と認められる場合には本邦での在留を認めるというような取扱いを進めているところでございますので、そういった関係で今後とも対応したいというふうに思っております。
○大田昌秀君 最後の質問になりますが、元中国大使の中江要介氏が去る六月八日付けの朝日新聞、「私の視点」欄で今回の瀋陽事件について見解を述べておられます。 その中で、同氏は、「一般に政治亡命や経済難民に対する日本人の、従って日本政府の態度が未整理であることは方々で指摘されているが、本件に限って言えば、日本の公館が「駆け込み寺」となることの是非よりも、朝鮮民主主義人民共和国という隣国が亡命者や難民の続出する国情から速やかに脱却できるよう、同国の改革・開放に積極的に協力するという外交を推進することの緊急性をここで認識すべきではないか。」という趣旨のことを述べておられますが、外務大臣、いかがでございますか。
○国務大臣(川口順子君) この問題のさかのぼっていった一番根本のところには、北朝鮮の社会、経済、政治の状況はどうかということがあるということではございますけれども、何が一番大事であるかということではなくて、今、委員がおっしゃられたような出てきた問題点について、すべてについて整理をし、検討をするということが大事だと思います。 北朝鮮についての政府の政策としては、従来どおり、アメリカ、韓国等と連携を取りながら、我が国が持っている安全保障上の問題、人道上の問題について対話をし、働き掛けていくということに変更はないということでございます。
○大田昌秀君 ありがとうございました。終わります。
○委員長(武見敬三君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時一分散会