外交防衛委員会 第8号
- 発言数
- 155 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2002/04/16
会議録
○委員長(武見敬三君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る十一日、伊達忠一君が委員を辞任され、その補欠として舛添要一君が選任されました。 また、昨日、齋藤勁君が委員を辞任され、その補欠として今泉昭君が選任されました。 ─────────────
○委員長(武見敬三君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 刑を言い渡された者の移送に関する条約の締結について承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に防衛庁防衛参事官西川徹矢君、法務省矯正局長鶴田六郎君、法務省入国管理局長中尾巧君、外務大臣官房審議官林景一君、外務大臣官房領事移住部長小野正昭君、外務省中東アフリカ局長安藤裕康君、厚生労働省医薬局食品保健部長尾嵜新平君、環境大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君及び環境省自然環境局長小林光君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(武見敬三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(武見敬三君) 刑を言い渡された者の移送に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。 本件の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○山本一太君 本件の条約についてはもちろん賛成の立場でありますが、二、三基礎的なことについて御質問させていただきたいと思います。 本日審議をされるこの条約、受刑者移送条約の正式名称は、刑を言い渡された者の移送に関する条約ということになっております。その内容は、外国、裁判が行われた裁判国において服役中の受刑者を、その受刑者の母国、この場合執行国ということになるわけですが、この母国において服役をさせるために移送する手続等について定めるということになっておりまして、これは八三年の三月にストラスブールで条約が作成をされ、二年後に、八五年に発効しているということです。 現在の締約国は四十九か国、ヨーロッパを中心とした四十九か国ということになっているというふうに伺っておりますが、まず最初に川口大臣にお聞きしたいと思いますが、今この時期に日本政府がこの条約に加盟をする意義がどういうものなのか、そしてこの条約が生まれてきた背景といいますか、どういう哲学があるのかということについて、まず大臣に御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) まず、背景の方から先に申し上げたいと思いますけれども、この受刑者移送条約は、欧州諸国におきまして、一九七〇年代に入りまして欧州の地域経済の発展や交通、通信の発達に伴いまして外国人の犯罪が増加をし、あるいは犯罪が国際化をしたということが背景となりまして、外国人受刑者の増加の問題に直面することになりました。欧州が直面することになったわけですが、その中で、その過程で、これらの欧州諸国の刑事当局間で、外国で刑に服する受刑者の社会復帰を促すためには母国で服役をさせる機会を与えるべきであるという理念が共有されるようになったということでございます。 次に、締結をする意義でございますけれども、この条約を我が国が締結することは、刑事法の分野における国際協力の発展に貢献をするとともに、海外において刑に服している邦人受刑者及び我が国において刑に服している外国人受刑者の数が増加をしてきている状況も踏まえまして、これらの者に母国において刑を、刑に服する機会を与えることを通じまして、これらの受刑者の改善、再生と円滑な社会復帰を促進するとの観点から極めて有意義だというふうに考えております。 また、我が国がこの条約に加入することにつきましては、昨年の二月七日にストラスブールで開催をされました欧州評議会閣僚理事会におきまして、我が国のこの条約への加入要請決定が行われました。この委員会から加入を要請する旨の書簡が届いております。したがいまして、この国会で御承認をいただくことが極めて時宜にかなったと考えております。 以上です。
○山本一太君 大変分かりやすい御説明をいただきましてありがとうございました。 大臣、私は昨晩この受刑者移送条約の内容をチェックしながら、学生時代に見た映画のことを思い出したんですけれども、アメリカにアラン・パーカーという監督がおります。人種差別問題を扱った「ミシシッピー・バーニング」とかいう社会派の作品も作っているんですが、マドンナを主役にした「エビータ」のような音楽を中心にした映画もできる非常に多彩な、私の大変好きな監督なんですが、そのアラン・パーカーが、たしか一九七八年だったと思いますが、「ミッドナイト・エクスプレス」という非常に有名な映画を監督をいたしました。 大臣、ごらんになったかどうか分かりませんが、これはどういうストーリーかといいますと、アメリカ人の青年、たしか主演が、忘れたな。それはどうでもいいです。済みません。このアメリカ人の青年が麻薬を密輸しようとする。たしか、ハシシか何かをチョコレート状の板にして、体にくっ付けてそれを密輸しようとしたところ、トルコの空港で逮捕されるということで、アンカラじゃなくてイスタンブールだと思ったんですけれども、イスタンブールの刑務所で服役するということになっていまして、これは実話に基づいた話だということでした。 彼が物すごい苦しみをなめながらそのイスタンブールの刑務所で過ごすと。たしか、映画の中でトルコ政府の裁判によって四年の刑期が確定をする。ところが、本当に苦しみながらこの四年間を過ごして、刑期終了の一か月前ぐらいに、ある事件で裁判のやり直しになって終身刑になってしまう、そこで彼は脱獄を決意するという。「ミッドナイト・エクスプレス」というのは囚人の間の脱獄を意味する隠語だったわけなんですけれども、結局、彼は母国に帰るということで、それが実話になって映画化されたということなんですが。 そのときに、どれだけその映画がトルコの国の刑務所あるいは囚人に対する扱いの現状を正確に反映していたかどうかというのは定かでありませんが、それにしても、看守の囚人に対する暴力とか、あるいは囚人同士のいざこざとか、賄賂が刑務所内で横行しているとか、そういうことが極めてリアルに描かれておりまして、私も学生だったんですけれども、こんなに国によって、政情によって、あるいは文化の違いによって囚人に対する扱いというものが違うものなのかと、刑務所の状況というものが違うものなのかということを痛感した覚えがあります。 多分、そのときにこういう条約があって要件を満たしていれば、四年という判決が果たしてアメリカ本土でどうなったかというのは分かりませんが、こういう悲劇はもしかしたらなかったかもしれないというふうに、昨日、この条約を見ながら映画を思い出して、そんなふうに思っておりました。 さっき大臣がおっしゃったように、この条約の趣旨というものが、いわゆる犯罪を犯した方に対してはそれ相応の罰を与えると、何というんでしょうか、応報罰とでも言うんでしょうか、そういうコンセプトでその刑法ができているとすれば、やはりむしろ犯罪というものは社会の責任でもあるので、できるだけこの受刑者の方々が社会復帰ができるような配慮からこういう流れになってきたというお話だったんだと思うんですけれども、その意味で、当然こういう条約は受刑者が移送されて不利になるようなことになってはいけないということが哲学としてあると思うんですけれども、そこら辺のところを担保する、つまりその受刑者が母国に服役をするということによってその受刑者の社会復帰みたいなものをスムーズにするということを担保するという点でお聞きをしたいんですが、改めてこの移送を認められる条件のようなものがあれば、それについて伺いたいと思います。
○副大臣(杉浦正健君) その点は、先生のおっしゃる点は十分に担保されていると、こういうふうに思っております。 まず第一に、この受刑者の同意を要すると、受刑者といいますか、同意するについては十分にその情報を与えて判断できるというふうにしなきゃならない。それから、一定の場合、例えば子供とかあるいは障害のある方のためには代理人、国の法律上の代理人ですね、例えば親権者とか後見人とか、そういう代理人の同意を要するということが規定されております。また、双方の国が、送り出す方、受ける方も同意しなきゃならないということになっておりまして、本人の意思、置かれている状況、双方の、送り出す方、受ける方が同意するということになっておりますので、その点の担保も大丈夫だと思います。 それから、受け入れる方の国が受け入れた結果、刑罰が重くなることがあってはならないという規定もございます。国によっては、例えばアメリカなんかは懲役なんか加算されて百年を超えるなんという刑もあるわけでございますが、日本へ、日本人が向こうでそういう刑を受けて仮に日本に移送されるという場合には、日本は二十年まで、懲役はですね、できないということになっておりますから、そういうケースが起こった場合には、送り出す方も受ける方も検討することになると思うんですが、重くすることはいけないという原則に立っております。 そういった点から、条約上十分な担保があるというふうに私どもは思っております。
○山本一太君 ありがとうございました。 映画の主演はブラッド・デイビスでした。今思い出しました。七八年のアカデミー賞の作品賞を取ったのは、たしかチミノ監督の「ディア・ハンター」だったと、一緒に見たのでよく覚えていまして、今思い出しました。このことを考えながら、もう一回いつか見てみたいというふうに思っています。 今、副大臣の方から御説明があって、服役中の受刑者にとって母国で服役させることがその受刑者の円滑な社会実施を促すことになるという、きちっとした条件が担保されているということは確認をさせていただいたんですけれども、ちょっと時間があれば少しデータもお聞きしたかったんですが、時間がないのでこちらの方で申し上げますが、実際に外国人受刑者で日本にいる方々、日本で服役をしている外国人受刑者の方々の出身国を見ますと、この条約に加盟している加盟国出身の受刑者というのは実は余りいないと。 ヨーロッパの、ヨーロッパ人で日本の刑務所で服役をしている人というのは極めて少ないということが分かりまして、何といっても多いのが中国、二千人をたしか超えていたと思います。あるいはイラン、それからたしかお隣の韓国もかなり人数が多かったと思うんですが、こうした国は残念ながらこの条約にほとんど加盟していないということを考えれば、こういう制度が実際に、こういう制度を実際に機能させるという観点からいうと、むしろ、この条約は条約として意味があるかもしれませんが、例えば日本と中国とか、あるいは日本とイランとか、二国間の条約によってこうした外国人受刑者の、何というんですか、円滑な社会復帰を可能にするためには二国間の条約にやはり進んでいくべきではないかという考え方もあるかと思うんですが、その点について政府がどういう方針を持っていらっしゃるのかというのをお聞きしたいと思います。
○副大臣(杉浦正健君) 先生のおっしゃるとおり、受刑者の社会復帰、更生ということを考えた場合には、場合によってはその国で、その受刑者の国でやった方がいいという理念を考えるとすれば、条約を締結していない国との間でやるとすれば二国間条約を結ぶしかございませんが、そのことは検討されてしかるべきだと思います。 まだ今まで我が国は、過去、外国人受刑者を移送した実績は全くございませんので、この条約を締結、国内法も整備しておりますが、によってどういう実績が出てくるか、そういう実績を踏まえながら、将来、先生のおっしゃるような方向で検討していくべきだというふうに考えております。
○山本一太君 ありがとうございました。終わります。
○佐藤道夫君 私から、最初に条約の問題につきまして外務省と法務省にお尋ねしたいと思います。 今、大体主要な点は山本委員が取り上げまして質疑をされたので、それの二番せんじというような感じにもなろうかと思いますけれども、最初に、これは大変国際刑事司法の充実の上からも、犯罪者の更生という意味からも大いに評価できる条約ではないのかと私はそう考えておりますが、いずれにいたしましても、発効してから二十数年、ほぼ二十年、今までずっと放任されてきたのはなぜなのかと。もっとこういうことについては積極的に外国と協議をして取り込んで、我が国でも制度化すべきではなかったのかと、私そう思っておりますけれども、何か加入できないような、締結できないようなやむを得ない事情もあったのでしょうか。その点、いかがでしょうか。
○副大臣(杉浦正健君) 先生の全くおっしゃるとおりなんでございますが、この条約の構造上、欧州評議会閣僚委員会からお招きをいただかないと入れないような構造になっておるものですから、お招きがなかったからといって手を抜いておったわけじゃございませんですけれども、実際問題としては、昨年の二月に欧州評議会閣僚委員会から我が国がこの条約に加入することについての要請があったと。それまではなかったということで動けなかったわけでございます。 それから、二月にやりながらなぜ一年以上遅れたのかという御指摘があろうかと思いますが、もう先生専門家でございますから釈迦に説法でございますが、国内法を整備しなきゃいけないということでその整備を法務省等、関係省庁と整備してもらいまして今国会に提案しておりますが、その結論が出たのを踏まえましてこの条約をお諮りすることになった次第でございます。
○佐藤道夫君 率直に申し上げまして、いささか官僚的な答弁だなという感じがいたしました。お招きがなかったから入らなかったんだと。正しく日本の外務省の体質そのままではないのかという感じもいたしまして、この条約というのはもう締結のころから注目されていまして、学者たちも皆これは立派なものだと、これに日本も速やかに加入しようと、そういうふうな説も述べておられましたので、当然のこととして、外務省とすれば、この条約の中心となったイギリス、フランス、ドイツなどに、日本も是非加入したいんだと、どうすればいいのかと、要請を早くしてほしいと。それこそあり余る機密費を使って食事会でもやりまして、そこで向こうに、説得をする、協議をする、そういうことで一歩一歩前進していくと。そういうことが全然行われていなかった。何もないからほうっておいたら、この一月か何か二月に来たものだから入ることにしたと。少しくちょっとどうかなと。 大臣、これいかがでしょうか。事務局の説明を聞いて、私と同じような疑問を持たれて、どうして今までほうっておいたんですかと、こう聞かれたと思いますけれども、それなりに納得されましたか。今後の、いろんな外交の一つの私これ試金石にもなる問題だと思うんです。やるべきことは積極的にやると、当たり前のことですから、余計なことをするななんというような政治家がいるとは思えませんので、そういう点いかがなんでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) 委員がおっしゃられることにつきましては、私も同じ疑問を持ちまして、どういうことかということは聞きました。その聞いた返事は今、杉浦副大臣からお話を申し上げたようなことでした。
○佐藤道夫君 まあ、大臣が納得されたら仕方がありません。これでこの点の質疑は打ち切りますけれども。 それから、外国の場合にはもう主要国を中心として十何年来の運用実績を持っておるわけですけれども、それにつきまして、大変立派だと、成功していると、これだけ犯罪者が更生したんだと、そういう成功点は置いておきまして、やっぱり運用上こういう問題がある、こういう点に反省すべきだとか、そういう点を外国に問い合わせておるんだろうと思います。それを受け止めて日本は日本としてあるべき姿を考えていくと、こういうことになろうかと思いますが、どういう問題が指摘されておりましょうか。どうぞ。
○政府参考人(小野正昭君) お答え申し上げます。 運用上の問題につきましての御質問でございますけれども、この条約への加入を検討するに際しましては、主要な締約国の政府がこの条約に基づく移送についてどのように評価し、問題があったかということも調査したわけでございます。 その結果でございますが、移送の効果につきましては総じて高く評価されているということでございます。 具体的な例を申し上げますと、まず英国は、この制度は受刑者の改善更生や家族との関係等で非常に好ましいという評価をしております。この条約に基づく移送は特段問題なく行われてきているという評価でございます。またドイツも、これまでの運用を通じて条約の目的とする効果を上げてきていると同じく評価しております。さらにカナダにつきましても、特に運用上の問題点はないというふうに回答してきておりまして、また同国政府によれば、受入移送を行った受刑者の八八%はその後犯罪を犯していないということも言ってきております。 他方、移送を行うために必要な受刑者の意思確認、それから判決等の関連文書の翻訳、相手国の国内法制に関する調査等につきましては、事務量というのは相当なものがございまして、場合によってはかなりの時間を要しているという点は指摘されてきているところでございます。 以上でございます。
○佐藤道夫君 日本の場合を中心にしてお尋ねしたいと思いますけれども、今、日本にいる外国人の受刑者はおおよそ何人なのか。それから、海外、国外にいる日本人の刑の受刑者、これがほぼ何人ぐらいなのか。正確な数字は必要ありませんので、大体で結構です。どうぞ。
○政府参考人(小野正昭君) 我が国の国内で服役している外国人受刑者は、二〇〇一年十二月末現在の速報値でございますが、三千五百五十七人でございまして、このうちこの条約の締約国の国籍を有する者は百五十二人でございます。 それから、海外で服役している邦人の受刑者、これは二〇〇二年一月一日現在でございますが、八十六人でございまして、この条約の締約国において服役している邦人受刑者は三十四人でございます。
○佐藤道夫君 これは法務省かと思いますけれども、それら受刑者、外国人の場合と日本人の場合に、こういう制度が今度生まれるよということを話して、一体君たち希望するかねと、こういう、これぐらいの調査はしておるんだろうと思いますけれども、いかがなんでしょうか。一切そんなものは希望しないという受刑者もおりましょうし、一日も早く帰してもらいたいという人もおるだろうし、大体どれぐらいの割合になっていますか。どちらでも結構です。
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。 平成十二年の十一月に法務省の法務総合研究所におきまして、いわゆるF級受刑者、日本人と異なる処遇を必要とする外国人受刑者のことをそのように称しているわけですけれども、このF級受刑者を収容する九施設におきましてF級受刑者を対象に実態調査をいたしました。 その結果でお答えさせていただきたいと思いますが、この結果では、母国での受刑希望の有無を聞いたところ、約四割の受刑者が母国での受刑を希望しておりまして、特に欧米諸国の受刑者はその七割近くがそれを希望しているということで、私が府中刑務所等の現場から聞いた話でも、欧米諸国の受刑者はこの受刑者移送制度に対する関心が非常に強いというふうに聞いております。
○佐藤道夫君 海外にいる日本人の場合はどうなんですか。それも尋ねていましたけれども。
○政府参考人(鶴田六郎君) 海外にいる受刑者の希望の有無については、私ども法務省の方では調査しておりませんので、ちょっとお答えできません。
○佐藤道夫君 そんなに膨大な数でもありません、百名以下ですか。それから、家族なんかも大変心配して日本政府に相談に来たりすることもあるんだろうと思いますけれども、こういうことも大変大切なことだと思うのですよね。是非とも調査をしてもらいたいと、こういう感じがいたします。 それから、これに関連して、帰国を希望する受刑者はまず原則として送り返すというふうな運用状況になっておるんでしょうか。その点いかがでしょうか。これもどちらかで結構ですから。
○政府参考人(鶴田六郎君) これは、この制度が施行された場合の取扱いということでお答えさせていただきたいと思います。 今回の受刑者移送では、海外にいる日本人受刑者を我が国で受け入れるいわゆる受入移送と、我が国で受刑している外国人受刑者をその母国に移送するという送出移送という二つがあるわけですが、それぞれに移送をする必要な要件を定めた上で、最終的には、受入移送を受け入れるのかあるいは送出移送を行うのかということは、法務大臣が関係する事情を総合的に判断して決めるという仕組みになっておりまして、希望すれば必ず受け入れるとかあるいは送り出すということを決めるわけじゃありませんで、個々の事案ごとに判断していくということにしております。
○佐藤道夫君 日本政府として何か分かりやすい基準を設ける、線を引くということを考えておられるのかどうなのか。例えば、全く同じような状況にあるAとB、国籍も同じと、こういたしまして、Aについては帰国を認めると、Bについては認めないと。これ、Bの立場に立つと、なぜ希望しているのにかかわらず、おれは駄目なんだと、あれはオーケーなんだと、こういう疑問を持つでありましょう。法の下の平等に反するのではないかと、こういう意見だって出てくるかもしれませんよ。日本国憲法は、当然のことですけれども、外国人にも適用があるわけですからね。 ですから、何か分かりやすい基準を設けて運用の指針とすると、そういうところまで踏み込んで考えておられるかどうか、その点はいかがですか。
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。 先ほど述べました相当性の判断につきましては個々の事案ごとに判断するわけですけれども、ただいま御指摘いただきましたように、同様のケースを、同様な事情を有するのに法務大臣の相当性判断にばらつきがあるというのもいかがかと思われます。法案成立後は、いろいろ国会も含めて御指摘された点も参考にしながら、相当性の判断に関する具体的な運用指針を策定いたしまして、できる限り統一的な運用に努めてまいりたいと考えております。
○佐藤道夫君 せっかくの新しい、しかも大変に期待されている制度ですから、どうか運用にばらつきがないように法務省としてもしっかり運用に当たってもらいたいと、こういうふうに考えています。 それから、私、これは被害者の、犯罪の被害者の立場も十分考慮すべきではないのかと、こう考えているわけですよ。例えば、最愛の妻を殺された、あるいはこれまた子供を二人も三人も殺された、そして犯人は外国人で、現在、日本の刑務所で服役中である。これにつきまして、判決で有罪になったらもうこれでおしまいだと考えるような被害者というのはいないわけで、家族というのはいないわけでして、やっぱりじっと日本の刑務所がどういう処遇をしているのか、本人たちは一体どんな気持ちで刑務所に入っているのか、そういうことを折あらば法務省矯正局に照会をして、矯正局も可能な限り答えているんだと思います。 そんなことおまえたちに関係がない、答える筋合いではないなんて、そんな役人的なことは言っているとは思えませんので、そういうふうに被害者も十分な関心を持って運用状況、刑の執行状況を見ておる。それがある日突然のように、今度送り返しましたよと言われたら、被害者の立場として一体どう思うんだろうかと。何だと、うちの子供を殺しておきながら、犯人たちはのうのうともう送り返されて、恐らく向こうじゃ楽をして遊んでいるんだろうと、そうとしか思えないと、一体日本の刑務当局は我々の気持ちを理解しているんだろうかと、そういう疑問が出てくることも当然だと思いますけれどもね。 何かそういうことを一つの制度化をする、もちろん被害者の意見に従う必要はありませんけれども、被害者の意見に十分耳を傾けて送り返すか返さないかを決めましたよと、こういう姿勢が私、大切なんだろうと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。 御指摘、御質問は特に送出移送の場合の相当性の判断に関係することだろうと思います。送出移送につきましても、この受刑者移送制度の趣旨は外国に受刑する受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰の促進にあるわけですが、送出移送の場合は、我が国の裁判所が言い渡した懲役又は禁錮の刑の執行を外国に共助嘱託するものですから、やはりその我が国の刑の持つ応報機能とかあるいは抑止効果というものが損なわれてはやはりならないということに留意しなければいけないと考えておりまして、ただいま御指摘のありました被害者感情も、こういった相当性の判断におきまして当然考慮されるべき重要な一つと考えております。 今のところ、事件記録等からこれを推し量るというようなことが多いのではないかと思いますが、事案によっては更に被害者の意見を調査することもあろうかと考えておりまして、いずれにいたしましても個々の事案ごとに適切に対応していきたいと考えております。
○佐藤道夫君 私からも本席をかりまして、くれぐれも被害者の家族の気持ちというのに逆らうことのないように、できるだけ尊重してやってもらいたいと、こういうことを本席をかりて要望しておきます。 それから、先ほど山本委員の質疑にも出てきましたけれども、中国それから韓国、タイ、イラン、それからブラジル、この数か国でほとんど日本の刑務所にいる外国人の大半を占めていると、こう言ってもいいわけなんですね。これらの国は遺憾ながら今回の条約には入っていないと。 例えば、お隣の韓国なんかはどういう理由でいまだもって加盟していないのか、それを外務省か法務省、ちょっと説明してください。
○政府参考人(小野正昭君) 先生御指摘のとおり、我が国の来日外国人受刑者のうち韓国人は百四十四人でございます。これらの者を母国である韓国において服役させるために移送するということは、これらの受刑者の改善更生と円滑な社会復帰を促進する観点から望ましいと考えているところでございます。 他方で、我が国にはこれまで外国人受刑者の移送に係る実績はございません。今般、この条約の締結に伴い、我が国においても刑の執行の分野における司法共助の体制が整備されるということもございまして、今後の受刑者移送の実績、成果等を見極めながら、韓国人等の外国人受刑者の扱いについても検討していきたいというふうに考えております。 なお、韓国政府におきましても、本件犯罪人引渡し、失礼、受刑者移送条約につきまして検討中というふうに承知しております。
○佐藤道夫君 もう少し韓国側の姿勢について具体的に説明してくれませんか。検討中と、何か役人答弁みたいなことはおっしゃらないで、韓国はこういう点、こういう点、こういう点を踏まえてこういう問題について現在協議して、日本側も積極的にいろんな意見を述べて、できたら一緒に加盟しようというぐらいのアプローチをしているんだとか、そういうふうな軟らかい、優しい言葉でちょっともう一回御返事をお願いしましょう。
○政府参考人(小野正昭君) 日ごろ我々、在京の韓国大使館それからソウルの大使館を通じまして、両国間においてこの犯罪人引渡し条約のみならず受刑者移送条約等につきましても意見交換をしてきているところでございまして、韓国政府につきましては、この受刑者移送条約につきまして日本政府がどういう対応をしているのかということについても強い関心を示してきているところでございます。 引き続き、韓国政府は、恐らく政府部内でこの受刑者移送条約についての方向性といいましょうか見通しについて、今後明らかにしていくだろうというふうに承知しております。
○佐藤道夫君 簡単で結構ですけれども、韓国自体、近い将来、今年中ぐらいにでもいいんですけれども、この条約に、締結する見通しはあるんでしょうか、どうですか、その点。
○政府参考人(小野正昭君) 申し上げます。 現在、韓国の法務部におきまして受刑者移送法を作成中というふうに承知しております。同法が制定された後に二国間条約及び多国間条約への加入を検討するということでございまして、具体的な時期等については承知しておりません。
○佐藤道夫君 それから、日本の外国人受刑者で多いのはブラジルとそれからイランですね。イランは、御承知のとおり、あの上野の山に行きますともうイラン人で一杯で、ペルシャ語が飛び交っているというような状況でありまして、あのうちの相当部分がまた受刑もしている。このイランとかブラジルなんかがこの条約に加入する見通しはあるんでしょうか、ないんでしょうか。その点いかがですか。
○政府参考人(小野正昭君) 御指摘のとおり、イラン人、ブラジル人がかなり受刑者のうちの多数を占めているわけでございます。これらの国に対しまして欧州評議会閣僚委員会から加入の招請が行われているというふうには承知しておりません。それから、近日中にこういう招請が行われるという情報にも接していないわけでございます。 ただ、これらの国におきましても、その受刑者をその母国において服役させるために移送することは、この改善更生という視点から望ましいというふうには考えているわけでございますが、今般、この条約の締結に伴った経験、それから体制が今後整備されていくという中において、今後これらの国との取扱いについても検討していくことが適当ではないかというふうに考えております。
○佐藤道夫君 中国もそれなりに頑張っておりまして、日本の受刑者中、日本にいる外国人受刑者中の相当部分を占めている。特にまたそのうちの相当部分を台湾が占めているということでして、台湾の場合にはこれ何ら方法がないんでしょうか。 私、中国政府と交渉をして、是非ともこの条約に入ってもらうと、あなたの国から来て日本で間違いを犯した者は送り返してやるからよくよく更生のために頑張ってほしい、ついでに我が国は今台湾の問題でちょっと困っているんだと。台湾もどういう形か知らないけれども、この条約に包括してルートを開くと、そういうことを考えてくれないかと。 これは日中友好とかなんとかそういう難しい問題じゃなくして、極めて基本的な人道問題でもあろうかとこう思うものですから、中国政府に遠慮なくそういうことを話し合って、そんなことは聞く耳持たぬと言われても、それはそれらしく粘って、向こうの人にも考えてもらう当たり前のことではないかとこう思っていますけれども、どうですか、見通しは。台湾を含めた中国との見通しはどういうことになりますか。
○副大臣(杉浦正健君) 正直申しまして、現状のところ、見通しは立っておりません。
○佐藤道夫君 何といいますか、余り木で鼻くくらないで、努力をいたしますとか、それにはこういう問題が私としても把握しておりますので、なるべく事務当局を叱咤激励してそういう方向で頑張っていきたいと思うとか、何かそれらしい、政治家らしい言葉をちょっと述べていただければ有り難いと思いますよ。
○副大臣(杉浦正健君) 大変申し訳ありませんでした。 台湾問題については非常にデリケートな問題があることは先生御案内のとおりでございますが、先生の御意向をしかと体させていただきまして、今後いろいろと、非常に難しいですけれども、そういう御意向があることはしっかり受け止めさせていただきたいと思います。
○佐藤道夫君 私、中国とまず折衝をすること、その過程で、台湾についてもこういう問題があって日本はそれなりに苦慮しているんですよ、この点を考えてもらえないかということで中国に問題をぶつけていくと、そういうことを提案しているんですけれども、台湾だけの話をしているわけじゃないのでありまして、ちょっと何か誤解があるようですから、もう一度お願いします。
○副大臣(杉浦正健君) 先ほどからお答え申し上げておりますとおり、中国ともし行うとすれば、二国間条約の締結が必要になると思います。 再三お答えしておりますように、受刑者をそれぞれの母国で服役するということは、理念として、改善あるいは更生、社会復帰を促進するという見地から理念として大変大事なことでございますので、何回も御答弁しておりますとおり、我が国の実績を踏まえながら、将来、中国との間も考えていくべき問題だというふうに思っております。
○佐藤道夫君 分かりました。私も御努力の成果を期待を込めて見守っていきたいと、こう思っております。 それから、韓国の関係ですけれども、今、国会に二国間の犯罪者引渡し条約が提案されておるわけでありまして、これ全く同じような問題と言ってもいいわけですからね。犯罪者の引渡しをお互いやり合うと。同時に、受刑者をどうするかと。当然こういう問題も、この二国間条約を提議して議論をするさなかで、お互いに問題を提起してこれについても議論をしているのではないかと思いますけれども、いずれにしても日韓の間のこの移送者問題、受刑者の移送問題についてはなるべく早く二国間条約を作ってほしいと、こう思いますので、最後に大臣、ちょっとこの点、お願いします。
○国務大臣(川口順子君) 今まで副大臣がお話をさせていただいてきましたように、我が国は外国人受刑者の移送についての実績が全くないわけでございます。 今回、この条約の締結に伴いまして、我が国においても刑の執行の分野で司法共助の体制が整備をされることになりますので、今後の受刑者の移送の実績、成果等を見極めまして、二国間でやるということについては検討をしていくということが適当だと考えております。
○佐藤道夫君 この条約問題の最後に、私のいささかの体験談も披瀝しておきたいと思いますけれども、大分前のことですけれども、私、ある研究をまとめる必要がありまして、アメリカに在住しておって犯罪を犯して、有罪の判決を受けてアメリカの刑務所に相当期間服役したと、そういう人たちを何人か集めて話を聞いたことがあるんですよ。 異口同音に、いや、大変つらかったと。言うまでもなく、第一に言葉。アメリカの在住期間が相当数あるんですけれども、全然刑務所に入ったら言葉は通じないと。もう何を言っているのか分からない。看守もまた居丈高にスラングのような言葉でがんがんどなり散らして、それが、そのとおり動かない、言うことを聞かないとすぐ殴られたりもする、大変だったと。それから、食事ですね。これもアメリカの食事に慣れているつもりではあっても、やっぱり本当に泣きの涙でようやく無理やり押し込んだような状態だったと。生きていくために仕方がないと思って、我慢に我慢を重ねて食べたと。 それから、最後に彼らが異口同音に言っていたことは、ホモセクシュアルというのかね、男色関係なんですね。あれ、日本人と違ってアメリカ人は大変ああいうことに関心があるようで、特に日本人はアメリカ人に言わせると色が白いと。白いかどうか分かりませんけれども、色が白い。それから毛が少ないんだと。それから肌が柔らかいと。ですから、彼らから見れば、もうアメリカの女性よりも日本人の方があるいは女らしいとでもいうのかどうか知らないけれども、いずれにしろ、大変そういう要求を迫られる。これを断ると殴られる、け飛ばされる、もう生きた心地がしないと。そういう本当に苦労の連続であったと。そして、相当期間服役して、もう二度とこんなところには絶対来ないと。人生でこれほどの苦しみ、地獄さながら、もう嫌だということで、それが刑務所を出た後で自分の本当の意味での心の支えになっておりましたよと。それから、刑務所の中でそういうつらい思いをともにした人と友人関係ができて、今でもそれは付き合っておって、お互いに支え合って事業を助け合って頑張ってきたんですよと。心の友と言ってもいいと思うと。 そのころにやはりこういう話が出ていましたから、執行を、出身国に送り返すという話も出ているが、この点についてはどう思うかと。彼らはううんといって考えておりまして、余り受刑者に対して甘い取扱いをするのはプラスかマイナスか分かりませんよとはっきり言っていました。自分たちはそういう本当に針の山を登るという気持ちを持って頑張りに頑張り抜いて出所後更生をして、そして今こうやって社会的に有益な、それなりに有益な人間になったつもりでいると。余り甘やかすことは得策ではありません、そういうふうに思いますよと言っていました。 これは物の見方ですから、ただ犯罪者の更生を図る、ああ結構なことだと、そういうことの陰に、今のその長期間アメリカの刑務所で受刑をして、そして考えた人たちのそういう気持ちもあるということも、法務省、外務省、考えてもらえればと思います。送り返して幸せにしてやろうと、そういうことですべてが終わるということでもないということですね。 それから、日本の刑務所に受刑中の囚人たちに会って、外国の囚人たちに会って話を聞いたことがあります。彼らは、いや、率直に言うとここは天国ですよと。東南アジアとかブラジルとか来た人たちですけれども、アメリカ人でない。いや、食事もおいしいです、大変腹一杯食べていますよと。慣れてしまえばこんなの何でもない、看守も非常に紳士的で優しい、一生いてもいいぐらいですよと、まあ半ば冗談ですけれども、そういう外国人受刑者もいるということ。 この条約、それからこれに基づく法律を運用していく上で、それなりの参考にしてもらえればと、こういう感じもします。私のいささかの体験でした。 条約の関係は以上で終わりまして、一般の外交問題について外務省と防衛庁にお伺いしたい。法務省、結構ですよ。 今、何といっても外交問題、イスラエルとパレスチナですか、イスラエルとパレスチナの問題で、これはアメリカがそれなりに努力をしてアラファト議長がテロ非難声明を出すと。一歩二歩、いや十歩も百歩も前進したんだと、こういう考えもあろうかと思います。イスラエルも若干、二、三か所から兵を引いてもいいんだというふうな声明を何か昨日辺り出したと。しかし、もちろん全面的な撤退をする気なんかさらさらないでしょう。 私、その報道を見ておりまして、思わずおやっと、こう思ったのは、アメリカの世論調査の結果が報道されておりました。アメリカ国民に報道機関が尋ねたその結果ですね、御承知と思いますけれども。あれは信用できないと、イスラエルの首相だれだっけ、(「シャロン」と呼ぶ者あり)シャロン、あれは信頼できないと、これが六十何%を占めている。アメリカ国民の世論調査ですよ。それから、何よりも紛争を解決するためにはイスラエルは即刻撤退すべきだと、あのヨルダン川西岸あるいはガザ地区から、これがこれまた同じように六十何%を占めているわけですよ。 アメリカ国民が一体になってブッシュ頑張れ、イスラエル、アラブをやっつけろと、こう言っているわけじゃ決してないんでありまして、むしろ日本人よりも冷静に客観的に事実関係を見てそういう意見を出しているのかなと、こういう感じもしたんですけれども、この世論調査の結果について、外務大臣と防衛庁長官、コメントをいただければと思いますが。
○国務大臣(川口順子君) 私は、アメリカの国民というのは非常に全体としてバランスのある考え方をし、判断をしている国民であるというふうに思っておりまして、そういうことがその数字に出ているのではないかという印象を持ちます。 ただ、おっしゃった数字につきましては、私は自分自身でその報道は見ておりませんので、そういうことが事実であるならばということで申し上げさせていただきます。
○国務大臣(中谷元君) 私は、米国民も中東の安定を望んでおり、九三年のオスロ合意に基づく両国の、パレスチナの国家も承認をし、共存関係にあるべきであって、今のような状況についてはこの九三年当時の時点に戻っていくべきだという声が強いのではないかというふうに思っております。
○佐藤道夫君 私、日本としてやるべきことがあるのではないかとこの前お尋ねいたしまして、どうもはかばかしい返事はなかったように記憶しておりますけれども、こういうアメリカ国民の世論調査の結果も受け止めまして、もう少し小泉さんが積極的にこの問題に日本として介入していくと。ブッシュ大統領に日本の首相としての意思を伝達する。是非とも頑張って、まずもってあの地区に平和が招来するように、殺し合いはもうやめましょうと。多少時間は掛かるけれども、お互い話合いでいくべきではないのかと。それについては、アメリカも大変だろうが、本当に頑張ってほしいと。そういうことを外務大臣、防衛庁長官として総理に進言いたしまして、小泉さんにもう一肌も二肌も、丸裸になってもいいと思いますけれども、頑張ってもらいたいと。 何か、海南島に行ってタウンミーティングか何かに参加して、大変うれしそうな顔をしてといって帰ってきましたけれども、それから自転車を乗り回してにやにやしていると、それがテレビで大きく報道されておりましたけれども、ああいうことでも忙しいとは思いますけれども、ああいうことの合間を縫って、やっぱりパレスチナ・イスラエル問題を取り上げて、日本国として、日本は五年前まではイスラエルにもODAの援助をしていたということですから、それなりの発言権はなお留保されているんだと私は思います。何も遠慮することはない。小泉首相がシャロン首相に会ってきちっとした申入れをすることも一つの方法だろうと思います。 結論的に言いますと、あのヨルダン川西岸とガザ地区というのはイスラエルが不法占拠しているわけですから、これまたこの前も言いましたけれども、日本国土がどこかの国に不法占拠されていると。日本の若者が、もう相手は武力を持っている、じゃどうしようかと、じゃ自爆テロだと、そういうことで突入していく。これは当たり前だと、私、言ってもいいと思うんですよ。 今、パレスチナでは女性の自爆テロが何人か見え出してきていると。あれは職業的なテロリストではないと思いますよ、彼女たちは。あれが当たり前のことなんですよ。それを武力でもって弾圧してしまって、おとなしくしていろと、少しでも暴れたら武力を差し向けるぞと。もうこんな時代でないことは確かだと思うので、本当に真剣に問題を取り上げまして、閣議でも恐らく毎日のようにこういう議論がされていると思いますので、その際に、あなた方がきちっとした意見を申し述べて、小泉さんに一肌も二肌も、丸裸になる必要はないんですけれども、乗り出してもらうということは考える余地がないんでしょうか。いかがでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) 委員がおっしゃっていらっしゃいますように、このイスラエル、パレスチナの地域における状況というのは誠に憂慮すべき状況だと私も思います。 小泉総理もそういう観点から、例えば三月二十二日には、アラブの首脳会議があったときですけれども、我が国の立場を書簡でお出しになっていらっしゃるわけでございまして、この我が国の立場というのは、イスラエルに対しては自治区からの即時の撤退ということを言ってきているわけでございますし、アラファト、パレスチナ自治政府に対しましては過激派テロの取締りということも言ってきているわけで、停戦、そして和平へということを働き掛けているわけでございます。 外務大臣のレベルで、そういった観点から我が国の態度をいかに表明してきているかということについては、ほぼ連日に近い状態で電話で話をしたり談話を出したりということを私はやってきておりますので、ここで、たくさんございますので繰り返しませんけれども、一番最近の時点で言いますと、先週の木曜日にソラナEU上級代表と電話で会談をし、それから同じ日に在京のリオール・イスラエル大使とお話をし、そこでは、先ほど申し上げたイスラエルの即時撤退ということもお話をしております。それから十二日におきましては、金曜日ですけれども、G8の議長国の議長であるカナダのグラハム外相と電話で話をしまして、この問題についてG8として取り上げる必要があるのではないかと思うという観点からお話をさせていただきました。他方、茂田前イスラエル大使が、彼も正に今現地にいて、毎日イスラエル及びパレスチナの閣僚級の人たち、あるいはジニ・アメリカの特使と会って話をしているわけでございまして、こうした努力を通じて我が国の態度を表明をしてきております。 現在、アメリカのパウエル国務長官がイスラエルとパレスチナの両者間の仲介を行っているわけでございます。この長官の努力が実を結ぶということが現在最も重要なことになってきているわけでございまして、国際社会はこのパウエル国務長官の動きを見守りながら支持、支援をするという姿勢を取っているわけでございます。 〔委員長退席、理事吉村剛太郎君着席〕 私も十一日木曜日に、パウエル国務長官のミッションを支持して、当事者に対してパウエル国務長官に協力を、最大限の協力をするということを求める談話を出させていただきました。EU、ロシア、それから国連の事務総長もこのパウエル国務長官のミッションを強く支持するという旨の表明をいたしておりますし、昨日の十五日にルクセンブルグで欧州の閣僚理事会、外務大臣の理事会が開かれまして、ここでパレスチナの情勢が討議をされましたけれども、会議の終了後、議長国であるスペインの外務大臣のピケ外務大臣が、EUとして現在進行中のパウエル国務長官の外交努力を全面的に支持をし、この動きを注視をする、見るという意味ですね、注視をするということを言っていらっしゃいました。 我が国としては、これまでやってきたような働き掛け、これを引き続き鋭意続けるということが大事だと考えております。更に他の国々と協調して、パウエル国務長官の努力が実を結ぶように最大限の支援をするということが大事でございまして、そのほかにどのようなやり方でどのようなタイミングで何をするのが一番我が国として国際社会に貢献をできるのかということについて建設的に考えていきたいと考えております。
○国務大臣(中谷元君) アメリカのそういった努力に加えて、国際世論とか、また各国の取組というものもこれの解決に向けた大変大きな要素であるというふうに思います。特に日本の政府の主張とか働き掛けというものは、両国に対しても強い影響力があると思っておりますので、今後とも、双方に対して外交ルートを通じてこの事態の解決に向けて政府としても働き掛けるべきだというふうに思います。
○佐藤道夫君 これは一に掛かってイスラエルの態度いかんにあると、こう言ってもいいわけですから、シャロン首相にいろんな意味での圧力を掛けて反省を求めていくということだろうと思うんですよ。国連の場で議論をするも良し、マスコミを、報道機関を使うも良し。 いずれにいたしましても、イスラエルの態度が今のようにもうかたくなに、頑固で、彼は、シャロン首相というのは右翼でしたから、右翼の政治家でしたから、一徹なところがあるんでしょう、そこでなかなか退かない。この機会におよそヨルダン川西岸ぐらいは全部、全面的にイスラエルに編入してしまうぐらいの気持ちを持っているのかもしれませんけれども、彼にどうやれば反省を求めることができるのか。これ、世界じゅうの政治家が集まって本当に協議をして、そしてやるべきことをやっていくということを希望しておきたいと思うんですよ。 この問題について、貢献、多大の貢献をすれば私、ノーベル平和賞は本当に楽々もらえるんだろうと。是非、小泉さんに言っておいてくださいよ、国会でこういう意見がありましたので首相もノーベル平和賞を目指して頑張るべきですよと。私の意見としてお伝えになってもいいと思うんですけれども。当たり前のことですから、こんなことをこの平和な日本の首相がやるということは。大いに叱咤激励してください。 それから、ついでに防衛庁長官にお伺いいたしますけれども、これもこの前お聞きしましたけれども、キューバに連れていったアフガニスタンの捕虜を裁判にかけていると。これは捕虜のジュネーブ条約に反するじゃないかと言って、あれはテロリストだというようなことを言っていますよね。これは、しかし戦争を始めるときはこれはテロではないと、昨年九月、ブッシュさんがはっきり言っていました。これはテロではない、戦争だと。そして、アフガンに攻め込んで捕まえたやつをこれはテロリストだと、こう言っている。何か全然理屈が合っていないんですよね。一体どっちなんですかと。テロなのか戦争なのかはっきりしてくださいよということを言いたくもなるわけですけれども。 それはそれとして、今までに何人かについてもう判決が言い渡されていると思いますけれども、我が国としてもそれなりの関心を抱いてどういう判決になっているのか、何名に対してどういう判決が下されているのかちょっと教えてもらいたいということで、情報を入手していると思いますので、差し支えない限りちょっと説明してください。
○国務大臣(中谷元君) テロなのか戦争なのかということにつきましては、当初、大統領は新たな戦争とは言いましたけれども、その後テロ集団であるというふうに言い方を変えた高官もおります。タリバンというのはアフガニスタンの政府の兵士であって、アルカイーダというのはテロリスト集団であるということで、従来からの国際法の中では、米国政府の見解としては、タリバンの抑留者はジュネーブ条約の捕虜には当たらないが、同条約の適用を受けるとしており、このジュネーブ条約の原則に従って抑留者を引き続き人道的に扱うというふうに理解をいたしております。 裁判につきましてはいまだ行われていないという状況で、今の段階では面接、尋問、本人の確認、今後のテロ等を防止するための情報収集等が行われているというふうに承知をいたしております。 なお、タリバン兵の一人にアメリカ人がいるようでございますが、これはアメリカの国内法に基づく裁判が可能であるというふうに思います。
○佐藤道夫君 テロなら、これも何度も言われていることですけれども、犯罪者ですから、裁く法律があって、日本で言えば刑法や刑事訴訟法というのがあって、それに従って何日間勾留しておいて何日以内に判決を言い渡して、言い渡した判決に対しては控訴ができるできない、いろんな法律があるわけです。法律なければ刑罰なしと昔から言われているように、そういう法律は一体何を適用しているんでしょうかねと、こういう質問も当然しておると思うんですよね。 防衛庁の周辺にも法律専門家が一杯いるわけですから、そういう人たちが折に触れて、あれは何の法律適用しているのかねと。ちょっと聞いてみますよと。うん、聞いてみてくれと。これは当然の、昼飯でも食べながらやっているような議論でもあるわけですけれども、それも当然照会しておりますね。大事なことですよ、アメリカが文明国かどうかということを世界じゅうが今見守っているわけですから。ギリシャ・ローマ時代じゃあるまいし、古代中国じゃあるまいし、連れてきてすぐ打ち首にするなんということが許されるわけはないんですからね。 その点、これは、ちょっとしかし難しいな、外務大臣、お願いしましょうか。
○国務大臣(川口順子君) 今の点でございますけれども、まず、我が国としては、抑留者が国際法を踏まえて人道的に扱われるということが大事だと考えております。米国政府は、この点について、国際法を踏まえて抑留者を人道的に待遇をするということを繰り返し表明をしているということと理解をいたしております。 〔理事吉村剛太郎君退席、委員長着席〕 我が国もこの観点から、アメリカ政府に対しては本件に高い関心を持っているということは伝えております。
○佐藤道夫君 アメリカ人というのは大変善良な民族であることは私も認めるんですけれども、要するに、悪いやつらを征伐するのに何の遠慮が要るかと。日本に原爆を落としたのだってその発想ですよね。ドイツには落とさなくて日本に落としたんですよね。異民族で乱暴なやつはこれは人間とは思っていないんですよね。ですから、これぐらいのことはやっても当然だ、これで世界の平和が来るんだと。しかし、目的が正しければ何をやってもいいなんというばかなことは、あほなことはないわけですから、やっぱりきちっと言うべきことを言っていく、それが正しい国際間の常識ではないのかと。 アメリカの国民だって、ちょっとイスラエルは行き過ぎだぞ、一体何をやっているんだと。イスラエルがもし撤退しなければ、一切その軍事支援も経済支援もするな、そういう何か世論調査ではっきりそこまで言い切っているのが圧倒的に多いんだと、こういうふうに報道されていました。 いずれにいたしましても、アメリカ国民ですらそう考えている時代であるということを有力閣僚のあなた方としてもきちっと頭に入れて、折に触れてこういう議論をしてもらえればと思います。 ついでに、京都議定書の問題を取り上げますけれども、これもよく分からないんですね。クリントン大統領のときは非常に協調的であって、それで、その線でまとめていこうと。地球温暖化を防止するために、もうこれはぎりぎり最後の線だと。ところが、ブッシュさんになったら途端に、アメリカの経済が今ちょっと問題がある、経済の再建が先だと。そんなに、有毒ガスを減らす、大騒ぎをするなということで離脱の意向を示して、今やほとんど離脱し掛けている。これだって地球温暖化を一体どう考えているんですかと。 去年の夏は物すごい暑さでした。その暑さがまだ尾を引いておって、桜はどこでも二週間ぐらい早く咲いて、花見をやろうと思ったら、もう葉っぱしか見えないと。何だこれは、葉、花見じゃなくて葉見だななんて、こう冗談を言っている人もいましたけれども。あれだって私、地球温暖化だろうと思うんですよね。もうだれかがどこかで警鐘を鳴らす必要があるわけで、そうでないと十年先、二十年先の人類がどうなるんだろうか、そこまで考えて、やるべきことは、やれることはやっていくと。これもやはり私、日本の総理大臣である小泉さんの責任だと思うんですよ。 我々のこういう言葉、私が言っているだけじゃなくて日本のマスコミ全部が言っているわけですから、そういうことに耳を傾けて、なるほどと。日本のマスコミは、あるいは日本の有識者はこういうことを言っている、それを是非ブッシュさんにお伝えしようと。そして、やるべきことをやるのが日本の総理大臣だろうと思うんです。自転車に乗って転んだりしているのはだれでもできるわけですけれども。 いずれにしても、もう少し小泉さんにもしっかりやるべきことをやってもらいたいと、こう思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。この京都議定書の取扱い、何か具体的な方策をお持ちでしょうか、アメリカを呼び戻すために、ということです。
○国務大臣(川口順子君) 京都議定書は私が環境大臣でありましたときにかなり深くかかわった問題でございます。温室効果ガスの排出量が非常に増えていくということで、京都議定書というのはこの問題に国際的に取り組む第一歩であるわけでございまして、そういう意味で、これができるだけ早く発効をするということが大事だと私は考えております。 米国ですけれども、この地球温暖化の問題というのは、地球上の大気はすべての国が共有をしているわけでございますから、すべての国が温暖化抑制のために取り組むということが大事だと私は考えています。米国は、この点につきまして二月の十四日に、京都議定書は支持しないけれども、気候変動の長期的な課題に立ち向かうために米国として新たなアプローチを取るのだということで発表をいたしております。 今後、我が国は今、日米ハイレベル協議というものを米国との間で持っておりまして、三つのテーマについて、市場メカニズムの活用、温暖化抑制のための市場メカニズムの活用、それから発展途上国の問題、それから温暖化に対応するための技術開発の問題、この三つをテーマに話をしているわけでございまして、ついせんだってこの会合が東京で開かれたわけでございますけれども、こういった日米ハイレベルの場あるいは日米の外務大臣の話の機会、それからこの週末にカナダでG8の環境大臣会合が開かれておりますけれども、そこの場でもこの問題は話し合われたと私は承知をいたしておりまして、様々な機会を通じまして、米国が一層取組を強化し、米国を含むすべての国が、発展途上国も含みすべての国が共通のルールで温暖化問題に対応していくということが可能になるように最大限の努力をしていきたいと考えております。
○佐藤道夫君 京都議定書の線には戻らないがほかの道でいろいろ検討していこう、相談していこうというのはちょっとおかしいと思いますよ。世界が今一致して京都議定書、まあカナダとかロシアとか、まだ未決定の国もありますけれども、大体あの方向に沿って頑張っていこう、協議をしていこう、協力をしていこうという時代に、何か別の線を考えているというのはいかにもおかしいと思うんだけれども、まあいずれにいたしましても、アメリカに対して、アメリカが中心とこう言ってもいいわけですから、この地球温暖化防止のために世界じゅうが集まって協議をしていこう、相談をしていこうと、けんかをしているわけじゃないんですから、そういうことで説得し仲間に入ってもらうという線で頑張ってもらいたいと思います。 最後に、全然別な問題ですけれども、中国に対するODAの問題ですね。政治的にもいろいろ問題になっているようですけれども、ちょっと私は単純明快に分からないことがあるものですから、教えてもらいたい。 中国に対するODAは年間千六百億円ぐらい、そのうち八百億ぐらいが何と何と発展途上国に中国からやられている。その金が行っているかどうかは別としまして、中国は発展途上国、モンゴルだとかベトナムだとかミャンマーだとか、パキスタンなんかにもやっている。アフリカの国々にもやっておる。合計八百億なんですね。 これ絶対おかしいでしょう。人から金をもらう、やっぱり貧しいからもらっているわけでしょう。その貧しい人が、何だおまえはおれより苦しそうだな、おまえに分けてやるわと、こんなことが許されるわけないでしょう。自分の生活をもらった金で、充てて十分に立て直していく、もし余ったら、これはお返しします、要りませんと言って、金を持ってきた人にお返しすればいいわけで、あるいはまた、自分以上にあそこに困っている人がいるから、その金はあちらに回してやってください、分かったよと、こう言って日本がそういう国々に援助をするならまだ分かるけれども、日本から金をもらっている立場の中国がそんなことできるんだろうか。 中国の儒教精神から見て、これは一体どう理解すればいいんだろう。よく孔孟の教え、孔子さん、孟子さんの教えに従いましてと、孔孟の教え、こういう伝統的な道義観念からこんなことが許されるんだろうか。何よりもかによりも金をやっている人の責任だってあるでしょう。毎年そういうことをやっているわけですから、もうこれからは私の方で直接差し上げることにしますから、この分はODAから差っ引かさせてもらいますよと一言言えばそれで済む話なんですよね。これどう考えておるんでしょうか、日本政府は。孔子、孟子なんて昔のもう連中だと、だれがそんなことに従っていられるかとせせら笑っているとしか思えない。どうなんでしょうか、これ。
○副大臣(杉浦正健君) 先生が御指摘なさったとおり、中国のODAについて様々な批判がございます。その一つに、中国がODAをやっておるんじゃないかという御批判がございます。この点については、私どもは、透明性を高めるように、中国の第三国援助については透明性を向上させるように努力しておりますし、対中国経済協力計画、昨年秋策定いたしましたが、そこにおいても必要性を指摘しているところでございます。 先生御指摘、八百億円と申されましたが、一つは中国の公開資料、政府公開資料に基づく二〇〇〇年の対外援助実績が出ております。それは金額は出ておりませんが、援助対象国が、九十六の国と国際機関に実施、プラント援助、物資援助等でございますが、我が国が、一方、我が国独自で外務省において調査いたしましたところによりますと、二〇〇〇年の対外援助実績でございますが、約四・七五億ドルの協力を実施ないしは実施に合意しているという調査結果になっております。 対象地域は、アジアとアフリカへの支援が目立っておりまして、アジアで十四か国、実績約二億八千万ドル。内容は、医療器材、医薬品供与、小学校建設、橋梁建設等々でございます。アフリカが多うございまして、対象国三十か国、カメルーン、ギニア、ジンバブエ等でございまして、約一億六千万ドル。スポーツ施設……
○佐藤道夫君 早くしてくださいよ。
○副大臣(杉浦正健君) はい。ただ、この中には、ODAに該当しない商業性の高いものも含まれているものでございまして、透明性が低うございますので、はっきりとは言えませんが、私どもが考えるODAとしてどれぐらいの規模になるかははっきりいたしておりません。 以上でございます。
○委員長(武見敬三君) 時間が超過しておりますので、次の質問者に移ります。
○山口那津男君 公明党の山口那津男です。 まず初めに、法務省の入管局長にお伺いいたします。 我が国で刑の執行を終了した外国人はすべて国外退去、その後すべて国外退去ということになるのでしょうか。捕まえてみたら密入国だったとかあるいはオーバーステイであったとかという、在留資格を有しないという人もいるでしょうし、また在留資格を持っていたとしても、その内容によっては退去になるという人もいるのではないかと思います。この点について、お答えいただきたいと思います。
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。 我が国で刑の執行を終了した外国人のうちに、密入国とか、委員御指摘のオーバーステイ等の不法残留者のように、そもそも在留資格のない者につきましては、原則として退去強制されることになります。 同じく、刑の執行を終了した外国人で在留資格を有している者につきましては、当該刑の内容によって違いがありまして、在留資格がありましても、例えば覚せい剤取締法違反の規定に違反して有罪の判決を受けた者とか、無期又は一年を超える懲役若しくは禁錮の実刑に処せられた者など、入管法二十四条に規定いたします退去強制事由に該当する者については原則として我が国から退去強制されることになりますが、これらに該当しない者につきましては、退去を強制されることがないということで、その後すべての者が退去強制になるということにはなっておりません。 以上でございます。
○山口那津男君 密入国やオーバーステイの罪そのものだけで逮捕されたんであれば、これはもう直ちに退去させられると思うんです。刑の執行を終わった者であっても、今お答えのように、かなりの部分は退去という結果になるわけであります。 そうしますと、いずれ退去になるのであれば、わざわざ日本の税金を使ってそれらの者を受刑させる必要はないのではないかと、こういう意見の人もいるかもしれません。また、我が国で裁判をやらずに、そういう人は国外へ出して二度と日本に再入国させないようにすればいいんだと、こういう意見を言う人もいるかもしれません。さらにまた、仮に受刑させたとしても、こういう人たちの社会復帰ということを考えた場合に、日本で受刑させることにどれだけの意味があるのかと、こういうことを言う人もいるかもしれません。 そこで、我が国で処罰し、受刑をさせる意味というのが、いずれ国外退去になる人に、こういうことをする意味がどこにあるのかということをお述べいただきたいと思います。
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。 刑罰は、犯罪に対する応報であるとともに、当該犯罪者及びその他の者に対する犯罪の抑止、予防の機能を果たすものでありまして、刑の執行に当たりましては、受刑者の改善更生の観点も重要であるわけですが、我が国におきましてやっぱり犯罪を犯した者である以上、最終的には退去強制になるという者でありましても、その犯状に応じて我が国で処罰、受刑させることは当然ではないかというふうに考えております。
○山口那津男君 受入れ国、いわゆる執行国、ここで刑を継続してやるといういわゆる継続主義を取る国と、それからまた、その国なりの考え方に従って刑を転換して行う、執行する、こういう転換主義を取る国と、それぞれあると思います。また、いずれかを選択できるという国もあるだろうと思います。 そういう継続主義、転換主義あるいはその選択主義と、この状況がどうなっているかということ、そしてまた、転換主義を取る国が、我が国の法制やその運用と著しく異なっているようなことがあった場合にはなかなか運用上難しいんじゃないかという気もするわけでありますが、この条約締結に当たって、その転換主義を取る国の法制やその運用についてどのような見識を持っているのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(小野正昭君) 現在判明しているところでございますが、米国、英国、フランス等、主要な締約国の多くは刑の執行の継続の手続を取るとしているわけでございます。それから、刑の転換の手続を取る締約国は、例えばオーストリア、コスタリカ、ポーランド等、少数というふうになっております。それから、先生御指摘の両方の手続を取る国につきましても、エストニア、オランダ、トリニダードトバゴ等、これも比較的少数というふうに承知しておりますが、刑の転換の手続を適用する場合、執行国は犯罪事実に照らして改めて量刑判断を行い得るものということになっておりますが、他方において、裁判国の判決に現れた事実認定に拘束されるということになっておりまして、事実認定につきまして執行国が裁判国の判決を再評価し、修正することは認められていないということでございます。 したがって、刑の転換の手続を適用する場合であっても、執行国は完全な裁量が認められているというわけではございません。裁判国で言い渡された刑の執行の共助を行うという条約の本来の趣旨に沿って運用を行っているというふうに承知しております。また、送出移送するに当たりましては、我が国の刑の執行が実質的に担保されることについても留意すべきであることから、送出移送により著しく刑期が短縮されることがないように、執行国における刑の決定に関する法制及びその運用の実情等を踏まえながら、送出移送の実施前に執行国と十分に協議を重ねた上で送出移送が相当かどうかを慎重に判断するものというふうに承知しております。
○山口那津男君 法務省の矯正局長にお伺いしますが、その説明があった転換主義を取る国において、制度の枠組みは今御説明のとおりだったと思います。しかし、運用を実際にするに当たって、個別の案件について処罰や量刑の趣旨が果たして損なわれるようなことがないのかどうか、この点について、送出移送する場合の、法務省としてどのような運用をするつもりか、この点のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。 先ほどもお答えいたしましたけれども、送出移送の場合には、改善更生、円滑な社会復帰という観点と同時に、我が国の刑罰の応援機能、抑止機能、そういったものについても配慮しなければなりません。 したがいまして、その刑罰の実効性が確保される面も考慮しなければならないわけですけれども、刑の転換が行われてその結果著しく刑期が短縮されるようなことになる、こういった問題につきましては、先ほど外務省の方からもお答えがありましたけれども、法務省といたしましても、執行国が他の締約国との間で既にその実績がある場合には、そういった実績がどうなっているのかとか、あるいは執行国の法令がどうなっているのか、そういったものを調査しまして、必要に応じまして、送出移送の実施前に執行国と十分協議を重ねた上で、送出移送の相当性の判断につきまして慎重に検討していくという考えでおります。
○山口那津男君 いわゆる政治犯あるいは思想的確信犯などの場合には、国家の体制を揺るがす、あるいは法体系そのものを認めない、様々な考え方を持っているわけでありまして、こういう受刑者に対しては、送り出しをするにしても、また受け入れて執行するにしても、非常に慎重な考慮が必要ではないかと思うわけであります。 しかし、本条約においては、これらの受刑者に対して特に例外にするとか除外するとかということはしていないわけですね。この点はどういう考え方になっているんでしょうか。
○政府参考人(鶴田六郎君) ただいま御指摘にありましたように、一般に、例えば逃亡犯罪人引渡しの制度のような国際司法共助の制度においては、政治犯不引渡しの原則というようなものが取られております。その趣旨は、政治逃亡者に対する庇護とか、あるいは他国の国内の政治的紛争に巻き込まれることの回避のためだというふうに一般的には理解されておるところでございます。 今回の国際受刑者移送法案を立案するに当たりまして、受入移送、送出移送、いずれにつきましても、移送犯罪が政治犯罪である場合をこれを制限事由とはしておりません。 その理由について申し上げますと、まず、受入移送につきましては、受刑者の改善更生、円滑な社会復帰を促進することを目的といたしまして、新たに刑罰を科すという、あるいは新たに処罰するというよりも、既に確定した外国の判決の執行の共助を行うものでありまして、しかも本人の同意の下に裁判国との合意により実施するという性格のものでありまして、本人の意思に反してまで強制的に引渡しがなされるとか行うというものではありませんので、受入移送によりまして裁判国の政治的紛争の一方に加担したと評価されるようなおそれはないのではないかと。 また、送出移送も、同様に、あくまでもう既に確定された刑の執行の共助を嘱託するというものですから、受入移送の場合と同様のことが言えるのではないかと。 そういうことと、その他、条約上も政治犯罪を移送の制限とはしておりませんし、ほとんどの各国の法制もそういった制限を設けていないというようなことを考慮いたしまして、政治犯罪を一律に移送の対象外というふうには法案上はしておりません。
○山口那津男君 仮に、我が国への受入れ執行を希望していると、それで本人が希望しかつ送り出し国も同意しているという場合、我が国の判断として、国内に同調者がいて日本で受刑した場合に様々な連携を取っていろんな悪影響を及ぼすおそれがある、こういうことも考えられ得ると思うんですね。そうしたものはどうやって配慮していくんでしょうか。
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。 受入移送で、例えば受刑者がテロ組織等の犯罪組織に加入している、それで移送に同意する目的が専ら組織の構成員との連絡を図って我が国で犯罪を誘発するとか助長するというような、そういうおそれのあるような、またそういう目的だけで受入移送を希望しているという場合には、これは受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰の促進という制度の目的にはそぐわないと認められるわけでありまして、そういった場合には、法務大臣の相当性の判断におきましてそのような受入移送は実施しないということもあろうと、そういうふうなこともあると考えております。
○山口那津男君 本条約の未締結国で我が国における受刑者がかなり多い国、先ほども指摘されておりました中国、ブラジル、韓国等、こういう国々に今後、本条約の趣旨を実現するためにどのように取り組んでいかれるおつもりかということを外務大臣にお尋ねしたいと思うんです。 それで、法務委員会におきまして、法務大臣は、多数を占めるアジア諸国等との間で受刑者移送を行うことも意義があると考えておりますと、こう御答弁されています。そして、我が国と相手国との間の刑事司法制度にある程度の共通性が存在することも必要ですと。その上で、受刑者移送の実績、成果等も見極めつつ、外務省とも連携を取りながらこれらの国々の受刑者の扱いについて検討を進めたいと考えておりますと、このような御答弁をされていらっしゃいます。 しかしまた、国内法を運用する立場からは、やはり未締結国と個別の交渉をするというわけにもいかない。やはり何らかの条約、本条約の締結を促すとか、場合によっては二国間でそういう条約を結ぶとか、あるいはその制度の共通性ということを確保するためにはこの刑事司法制度における様々な支援を行うとか、いろいろ考えられると思います。外務省として具体的にどのように取り組んでいかれるか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) 多国間条約で行うのか二国間条約で行うのか、いろいろな考え方はあると思いますけれども、まずこの条約との関係で言いますと、まず欧州評議会から加盟の申請が必要でございますので、それが多国間条約でやるという場合には前提になるかと思います。 それで、それが難しいような状況、あるいはそれがしばらくそういう状況が見えないような状況でどう考えるかということでございますが、二国間条約ということで考えた場合に、我が国は、今まで全く受刑者の移送の経験あるいは実績がないわけでございます。今般、この条約を締結いたしまして、それと並んで我が国の刑の執行の分野における司法共助の整備がなされる、その体制整備が行われるということでございますので、今後の受刑者の移送につきましては、今後の実績やその成果を見極めながら中国等の外国人受刑者について検討をしていくということが適当だというふうに考えております。 そういう意味で、法務大臣がおっしゃったと今御紹介のありました考え方と同じような考え方を外務省としても持っているわけでございます。
○山口那津男君 終わります。
○小泉親司君 まず、受刑者移送条約について質問をいたします。 今回の条約は、先ほど同僚委員からも指摘されたように、八三年の締結から二十年間たなざらし状態に置かれてきたわけでありますが、この間、政府は、アメリカ政府の要求で日米受刑者移送条約、いわゆる二国間条約の締結の交渉を進めてきたと思います。新聞報道によりますと、小渕内閣では、フォーリー駐日米大使がその締結を要請して、日米間の交渉で実質的に合意されたというふうに報道されております。その際、陣内法務大臣は、今回の移送条約について、日本と法制度がかなり異なり、現段階で加盟するのは難しいという見解を示しておられる。 実際に日米間の移送条約ではどのようなアメリカの要求があって、どのような点が交渉されてきたのですか。少なくとも九九年までは今回の条約は批准が難しいと言われてきたわけですが、今回なぜこのような移送条約を批准するように、言わば変わったわけですが、変わったというのはなぜなのか、この点をまずお聞きしたいと思います。
○政府参考人(小野正昭君) 先生御指摘の一九九九年五月の報道は私どもも承知しているところでございます。 この記事によりますと、駐日米国大使と当時の法務大臣との間である種の合意がなされたという記事になっているわけでございますが、当方といたしましては、日米間の受刑者移送に関する二国間条約の締結に向けて日米当局による合意がなされたというふうには承知しておりません。 それから、我が国がこの条約に加入することにつきまして、米国のみならず幾つかの国から様々な機会に打診等があったことは事実でございます。 政府といたしましては、昨年二月に欧州評議会閣僚委員会より我が国の加入につきまして要請がなされたことも踏まえまして、刑事法の分野における国際協力の発展に貢献し、受刑者の改善更生を促進するという観点から、多数国間条約であるこの条約に加入することが適当であるというふうに考えまして、今般、国会の御承認を求めることとした次第でございます。
○小泉親司君 先ほどからも話がありますが、日本の今回の批准はアジア地域では初めてだと。 法務省の資料によると、外国人受刑者の主な国籍は、中国人が千六十五人、イランが三百二十五人、ブラジル百九十四人、韓国百四十四人、フィリピン九十八人、ベトナム八十八人、タイ六十八人と、アジアが圧倒的であります。締約国のうち、今度は締約国を比べると、イギリスが三十四人、アメリカ二十七人、ドイツ十四人、オランダ、カナダが九人などといった状況でありますが、そうなってくると、この焦点は、締約国のイギリスやアメリカというところに焦点が当たるということなんですか。 それと併せて、例えば米国の場合ですと、日本の場合は特に基地犯罪があるわけですが、アメリカ二十七人、今、締約国のうち日本に受刑されているということでありますが、このうち駐留米軍人による犯罪の受刑者というのはどのくらいおられるんですか。
○政府参考人(小野正昭君) 二つ御質問があったというふうに思いますが、御指摘のとおり、我が国の外国人受刑者のうち多数を占めるのは、中国人、イラン人などアジア諸国出身者でございます。これらの者を母国において服役させるために移送することは、これらの外国人受刑者の改善更生、社会復帰を促進するという観点から望ましいというふうに考えているところでございますが、他方におきまして、我が国におきましては、これまで外国人受刑者の移送に係る実績はないわけでございます。今般、この条約の締結に伴いまして、その司法共助の体制が整備されるということで、その成果を見つつ、今後、中国人、イラン人等の外国人受刑者の取扱いについて検討することが適当というふうに考えてきているところでございます。 それから、在日米軍関係者の人数でございますが、現在のところ十三人というふうに承知しております。
○小泉親司君 アメリカ二十七人のうち十三人なんですか。
○政府参考人(小野正昭君) いえ、米国籍の、来日外国人である米国籍所有者は二十七人というふうに承知しております。そのうち、それから、外国人永住者等を含めた総数で申し上げますと、米国人は四十五名ということで、その内数として在日米軍関係者十三名ということでございます。
○小泉親司君 だから、ということは、法務省の資料のアメリカ二十七人とは別に、基地犯罪の駐留米軍人による犯罪の受刑者が存在するということになるわけですね。 そうすると、例えば条約の第十条では刑の執行の継続ということを定めていますが、これは刑の内容を自国の刑に合わせると、簡単に言うとそういう規定だと。法務省矯正研究所の有田千枝さんという教官が書かれた「受刑者移送条約の現在」という論文によりますと、移送された受刑者は釈放日を決定するための連邦仮釈放委員会の特別聴聞を受ける、このとき、委員会は裁判国の裁判所の有罪判決と認定された犯罪の基本的事実を受け入れるが、それを連邦の量刑基準に当てはめて刑期を決定するんだと。 つまり、例えば、また、所内労働を義務付けている刑期がある場合はその分を考慮に入れて刑期を決めるということになると、例えば米兵が飲酒運転による無法な事故で刑罰を受ける、それから少女暴行事件のような大変ひどい事件を受ける、そういう軍人が本国に移送されることによって刑の軽減が受けられるようになるというようなことにも、この条約というのはつながるおそれがあるんじゃないんでしょうか。
○政府参考人(林景一君) 御指摘のアメリカの場合の執行、要するに日本から送り出してアメリカがそれを受け入れるという形の場合でございますけれども、アメリカの、先ほど来ちょっと議論が出ておりましたけれども、外国判決の執行を継続するというのが大原則でございます。ただ、それを継続するに当たって、どういう形でその量刑を図るかということにつきましては、今御指摘のございましたように、連邦の量刑ガイドラインというものを当てはめる、その中に拘禁期間と監督者保護期間とを決定すると、それを合算した形のものとなりまして、それがその外国で受けた判決を超えることはできない。これは、加重できないという条約の趣旨からそうなっております。 そういう意味で、理論的な可能性としては日本で科された刑期よりも軽くなるという可能性というのはあるわけでございますけれども、少なくともこの条約の趣旨といいますのは、裁判国において科された制裁より重いものとしてはならないという前提のもとで執行国の法令によってきちっと規律されるということが定められておりまして、執行国サイド、この場合アメリカでございますが、恣意的にその刑を軽くするということは想定しておりません。 送出移送をするに当たりましては、我が国の、先ほどもちょっと御説明がございましたが、我が国の刑の執行というものが実質的に担保されるということについて留意すべきだということで、送出移送の結果として著しく刑期が短縮されるというようなことがないように、執行国におけます刑の決定に関する法制及びその運用の実情を踏まえながら、送出移送の実施前に執行国と十分に協議を重ねた上で、送出移送の決定が相当かどうかということを法務大臣において慎重に判断されるものだというふうに承知しております。
○小泉親司君 いろいろ言われましたが、刑が軽くなることがあり得るということなようでありますが、日本の場合というのは、特に在日米軍基地が大変多く存在して基地犯罪が続出しているという点では他の国と比べても大変特殊な問題があると思います。特に私どもは、米軍人の受刑者が日本の刑務所で大変優遇されているというような事実も指摘してまいりました。 この移送条約によって、特に日米地位協定では米軍人が海外で他国の法令の適用、特に重い法令を受けるのは認められないという立場を非常に強く取ってきた。その点では、やはりこの移送条約によって米軍人が本国に移送されることによって刑を、罪を軽減されるというようなことが起こると、大変やはり日本の主権ともかかわる大変重大な問題が私は生じてくるというふうに思いますが、その点についての心配とか不安はないのか、この点、最後に外務大臣にお尋ねをしたいというふうに思います。
○国務大臣(川口順子君) この点については、まず、アメリカの米軍関係者につきましてもこの条約についての移送の対象となり得るということでございます。これは、アメリカが条約の締約国でありますから、当然そういうことになるわけでございます。 それで、個々の事案におきまして、我が国が米軍関係者の受刑者を移送するか否かという判断を行うに当たりましては、この移送が社会的な更生、社会復帰に資するものと考えられるかどうか、それから、移送後に想定されます執行国の処遇その他特段の考慮を要する事項があるかといったことを総合的に考慮をして個別の事案ごとに判断をすることになります。
○小泉親司君 先ほどもいろいろ同僚委員からもいろんな問題点が指摘されておりますが、この点について、私は、この条約の運用、執行に当たっては大変慎重に対応する必要があるということを申し上げて、次にパレスチナ問題について質問させていただきます。 パレスチナ問題は大変深刻な様相を呈しておりまして、参議院でもこの解決のための国会決議が行われたことは周知のことであります。 国連の決議は、まず第一に、両当事者に即時撤退の停戦を行うことを呼び掛ける、イスラエル軍に対してパレスチナ人の都市から撤退するよう呼び掛けると、このことを明記しております。 四月十一日の外務大臣の談話の中では、国連安保理決議の一四〇二の実施を働き掛けるということを前提にして、パウエル国務長官のミッションを歓迎するというふうに述べられている。先ほどの答弁でも大変期待をしているということを言われているわけですが、なかなかこのパウエル長官の努力も成功していない。 外務大臣は、この点について、どういう点が今障害になっているのかという点を聞いておられるんですか。
○国務大臣(川口順子君) パウエル国務長官は非常に難しいミッションを献身的に行っていらっしゃると私は考えております。 様々、歴史的にも、それから今までの経緯からいっても非常に複雑な問題であると思いますので、何か一点、この点が引っ掛かって難しいということではなくて、やはりそのもつれた糸の解きほぐしが難しいということで、そもそも問題が非常に難しい。その中でパウエル国務長官は懸命に努力をなさっていらっしゃるというふうに私は考えております。
○小泉親司君 私は昨日、アメリカの調停がなぜ成功しないのか、中東問題に大変詳しい寺島三井物産戦略研究所長が何と言っていたかといいますと、イスラエルは今、アメリカのテロに対する戦争という論理でやっているので、イスラエルにこの点を突かれるとアメリカは何にも言えなくなってしまうんだ、だからこの問題というのはなかなかアメリカ自体がこの交渉において成功しないというところを大変指摘をしておられる。 確かに、シャロン・イスラエル首相は、昨年の十二月三日の演説でも、アメリカが国際テロに対して全力を挙げて戦争しているように、我々もそうするんだ、今日まで使ってきたあらゆる力や決意や手段で、そして我々が使えるすべての手段を使ってそうするんだと、こういうふうに述べておられる。つまり、テロに対しては戦争だという論理でこの間の対応をしているところが非常に重大な問題だというふうに思いますが、外務大臣はこれは当然だというふうにお考えなんですか。このシャロン首相の見解には同意されておられるんですか。
○国務大臣(川口順子君) 我が国といたしましては、イスラエルに対してはパレスチナ自治区からの即時撤退及び、その中に入っていますけれども、国連安保理の決議一四〇二の実施についてイスラエルに働き掛けているわけでございます。
○小泉親司君 ちょっと私の質問に答えていただいていないようですが、つまりシャロン氏はテロに対しては戦争だと、こういう論理を取っている。特に、先ほども御紹介しましたように、中東の専門家たちは、テロに対して戦争だという論理を認めてしまうともう実際に出口がなくなっちゃうんだと。テロを根絶するまで戦争を続けるとシャロン氏は言っているわけで、そうなると出口がなくなっちゃうじゃないかと。この点の論理をどういうふうに考えるかというのは大変重要な問題だということを指摘しているわけで、その点について外務大臣はどういう見解をお持ちなのかというふうにお聞きしているんです。
○国務大臣(川口順子君) イスラエルに対しましては、アメリカも国連決議一四〇二の実施を働き掛けるということで言っているわけでございまして、イスラエルの論理を認めて、イスラエルの今やっていることが正しいと言っているわけでは全くないわけでございます。 この問題については、その数々の今までの決議の積み重ねがありまして、それに基づいて行動をするようにということをイスラエルに働き掛けているというのがアメリカのポジションでありますので、その寺島さんの御指摘について、それだけでイスラエルを、要するにアメリカがイスラエルに何も言えなくなってしまうということではなくて、正に一四〇二に従うようにということをアメリカは働き掛けているということです。
○小泉親司君 いや、私たちは、このテロという問題についてはいかなる政治的、宗教的、思想的理由があるとしても絶対に認められないという立場を私たちはこれまでも表明してきておりますが、イスラエルの事問題について言えば、私も三年前にイスラエルを訪問いたしましたけれども、テロという問題は大変今深刻な問題になっている。しかし、それに対して戦争をやるという手段を取っているのは、このシャロン氏が非常に強くこの政策を取っているわけです。だから、この問題については、私はこれはこの問題については避けて通ることができないという問題だというふうに思うんですよ。 その点で、今、外務大臣が言われているのはアメリカの問題をコメントされておるだけの話で、外務大臣として、テロに対しては戦争だという論理は、そういう論理を外務大臣はお認めになるんですかということを、外務大臣の所信としてお聞きしているんです。
○国務大臣(川口順子君) アメリカはパレスチナに対しては、これはアメリカだけが言っているわけじゃなくて日本もほかの国も全部言っているわけですけれども、民間人、一般人を殺傷するようなテロ、自爆テロというのは即時やめるようにということをパレスチナサイドには言っているわけですね。その一方で、イスラエルに対してはパレスチナ自治区からすぐに撤退をするということを言っているわけでして、これは日本のそれぞれポジションでもあるわけです。したがって、この問題につきましては、今イスラエルが、これはパウエル長官もおっしゃったと私は記憶をしておりますけれども、イスラエルが今やっていることは正に問題の解決には全然資さないんだということを言っているわけでして、私も同じ考えを持っております。 これについては粘り強く働き掛けていくということで、パウエル国務長官も献身的に努力をなさっていらっしゃいますし、ほかの国々もこのパウエル長官の努力を支援するべく最大限の支援をしようということで動いているわけです。
○小泉親司君 先ほど御紹介しましたように、シャロン首相はこれまでもあらゆるところでいわゆるテロを根絶するまで戦争は続けるんだと言っておられるわけですよ。 そうなってくると、一体、じゃ外務大臣は、今の御答弁だとすると、どこに出口をお求めになるんですか。我々は国会決議でも、まずイスラエル軍が即時撤退せよというところを非常に強く要求したわけで、停戦の合意とイスラエル軍の即時撤退を要求しているわけで、その点については当然のこととして外務大臣もこの点は強く主張されるということなんですか。
○国務大臣(川口順子君) イスラエルに対しては、これも再三再四申し上げておりますけれども、パレスチナ自治区からの即時撤兵、撤退を行い、停戦をし、そして和平のプロセスに行くということが大事であるということを言っておりますし、またパレスチナに対しては民間人を殺傷するような自爆テロ、過激派のテロは即時やめるようにということを働き掛けているわけでして、こういったその両方への努力を粘り強く続けていくことが大事だと考えています。
○小泉親司君 アナン国連事務総長は、今年三月の初めのコメントで、イスラエルの占領の継続は大変違法行為だというふうに明確に指摘している。特に、別の中東の専門家は、この政策を変えさせることがパレスチナ人にテロをやめさせる唯一の道ではなかろうかという点を強調されている。 先ほども紹介しましたが、私も三年前イスラエルに行きましてヨルダン川西岸に行ってきましたが、大変入植地が増加していて、つまりイスラエルの人々が入植して、実際に自治区がどんどんどんどん切り縮められていると。だから、実際に多くのパレスチナ人が、こんな自治区と言いながら実質はイスラエルがバックアップしてどんどんこの入植地を広げちゃっているじゃないかと。だから、こんなことは事実上、占領と同じくなっちゃうじゃないかということを大変強く怒りを持っておられるわけですね。そこの中で今回の攻撃というのはパレスチナ人の怒りを更に増幅させたと。 その点では、このテロについては当然のこととして私たちが断固たる姿勢を、臨む必要があるが、何が、一番初めにやはり第一義的にやることは、私は、国会決議に沿って改めてイスラエルの即時撤退を求めるべきでありますし、特に占領地からの撤退も含めてイスラエルとパレスチナ人の平和共存の関係をしっかりと取るような、そういう方向のものを、まず第一歩を私は踏み出すべきじゃないかというふうに、その点を強く要求すべきだと思いますが、外務大臣、その点を再度御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) このパレスチナとイスラエルの問題というのは、様々な要素を含んだ非常に複雑な問題であるというふうに認識をしております。 したがいまして、これを解決するためには、今、委員がおっしゃった入植地の問題もございますし、エルサレムの問題もありますし、パレスチナの難民の問題もありますし、それから委員がおっしゃった安全保障の措置の問題もあるわけですし、それから領土の問題もあるわけでございますけれども、今の時点で、イスラエルに対してはパレスチナ自治区からの即時の撤退を要求をするということと、パレスチナに対しては過激なテロをやめる、一般人を殺傷するようなテロをやめるということの両方を粘り強く働き掛けるということが大事だと考えます。
○小泉親司君 次に、ミサイル防衛問題について、防衛庁長官がおられるので、少しお尋ねさせていただきます。 ワシントン・ポストでは、国防長官の諮問機関国防科学技術委員会のシュナイダー委員長の言明として、この前私も取り上げましたが、迎撃ミサイルに核弾頭の使用を検討するという研究をラムズフェルド長官が指示したというふうに報じました。これは私は日本のミサイル防衛研究にもかかわる重大問題だというふうに思います。 防衛庁長官は、この問題をアメリカからどのように聞いておられるのか、まず初めにお尋ねいたします。
○国務大臣(中谷元君) まだ米国からはこの件についてはお話は来ておりません。 委員の御指摘される報道によりまして、シュナイダー国防科学委員長の発言としてレシーブ・エンカレッジメントという、前向きの検討というようなことを委員長の発言として承っておりますが、米国政府としてはこのようなことをやるというふうなことを政府としては承ったわけではございません。
○小泉親司君 このミサイル防衛の問題は私もこの前の委員会でも取り上げましたが、例えば相手国のミサイルを初期段階で破壊する事実上の攻撃ミサイルになっちゃっているという問題、それからアメリカの本国の防衛まで防衛対象にされているという、日本にとっては集団的自衛権にもかかわる問題、こういうやはりアメリカのミサイル防衛構想というのは明らかに私は変貌してきているというふうに思います。その点で私はこういう迎撃ミサイルの研究は、日米研究はやめるべきだということを主張してまいりましたが、今回特にこの迎撃ミサイルに核装備をするという研究を指示したというのは大変重大な問題だというふうに思います。 防衛庁長官は、政府ではそういうことは聞いていないと言っておられますが、政府としてこういう問題が存在するのかしないのか、最低この事実関係だけ私はアメリカ政府にただすべきだというふうに思いますが、この点、防衛庁長官、いかがでございますか。
○国務大臣(中谷元君) 現時点までのミサイル防衛のプログラム管理については承知をしておりますが、これに関する何らのプログラムも予算化において変化をするというふうに聞いておりませんし、当然、研究開発、配備についての何らの決定変更もなされていないというふうに認識をいたしております。
○小泉親司君 事実関係については、ただす考えはないんですか。
○国務大臣(中谷元君) 現在、日本で共同研究、技術研究を行っているシステムというのはそのような核を前提としたものではございませんので、この件については我が国としても支障なく行えるものだというふうに思っております。
○小泉親司君 いや、私、日本の研究の部分だけを言っているんじゃなくて、全体像としてそういうことがあり得るということになれば、その一部を負うわけですから、最低これは事実関係を私ただすべきだと。これは、別にどっかの新聞が暴露した話じゃなくて、シュナイダーといういわゆる国防総省の諮問機関の委員長が言明している話なんですから、その点はしっかりただすべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(中谷元君) 機会があれば伺ってみますけれども、米政府として仮に正式のアイデアというふうになれば日本にも話があろうかというふうに思っております。
○小泉親司君 最後にもう一問だけ、PCBの問題についてお尋ねをいたします。 この前の委員会でPCBの問題を取り上げまして、今日、委員のお手元に外務省のPCB問題についてのこの二年間の報告が出されました。しかし、この中身というのは二年間外務省が何にもしてこなかったと。私、この前も申し上げましたが、私が五月に取り上げて七月に、二〇〇〇年の五月に取り上げて七月に外務省の報告が出たと。その以降、外務省は何にもアメリカに対して具体的な対応を取ってこないと。アメリカに、米軍に何で物が言えないのか、私は大変、甚だ疑問であります。 その点で、環境大臣もおやりになられました川口外務大臣がアメリカに対してどのように除去の計画があるのか、即刻具体的な処置を講ずるようにすべきだという点を外務大臣として直接私は働き掛けるべきだというふうに思いますが、その点、外務大臣にお聞きしたいと思います。
○委員長(武見敬三君) ちょうど時間が参りましたので、次の質疑者に移ります。
○田村秀昭君 外務大臣にお尋ねいたします。 外務省は一連の不祥事によって、が起きて改革をするんだって言っておられますが、何を改革するんですか。
○国務大臣(川口順子君) 外務省に対して失われた国民の信頼が取り戻せるように、ということは、外交に対して失われた国民の信頼を取り戻すために必要なすべてのことを可能な限り行いたいと思っております。
○田村秀昭君 国民の信頼を取り戻すことは必要ですけれども、どういう改革、いろんなことを同時にやるんですか。ちょっと、外務大臣は今、外務大臣の職にあられて、外務省を眺めて、所掌されて、何が一番問題だと、どこを直さなきゃいけないんだと。そんなたくさん幾つも幾つもないと僕は思うんですけれどもね。どこが一番問題だというふうにお考えですか。
○国務大臣(川口順子君) 残念ながら、やるべきことは私はたくさんあると思っております。一番、これについて私は前に十の改革ということで出させていただきましたけれども、まず、これちょっと順番が何がより重要だという順番を付けるのは難しいわけですけれども、この間来ずっと御指摘をいただいている、外務省と特定の議員の方々との、方との社会通念を、社会通念から見て異例な関係、これについては再度そういったことが起こらないというような組織になることが大事だと私は考えております。そういった観点で考えるべきことというのは幾つか、幾つもあると思っております。 また、すべての要素が相互に関係がありますので、何をやったらこれが何に資するということできれいに分類をするということは難しいと思っておりますけれども、人事の面でより適材適所で仕事ができるようにしていくということも、最終的にはさっき申し上げた点にもつながっていく大事な点であると思います。 私は、民間企業におりましたので、顧客満足ということは非常に大事な考え方だと思っておりますけれども、その意味で、これもその外務省の全体の物の考え方、意識の改革ということにつながっていくわけですけれども、発想を変えていく、何のために外交をやるのか、だれのために外交をやるのか、何を守るために外交をやるのかといったことについて顧客満足の観点から見直すということも大事だろうと思います。 そういったことを行うためにも、幾つかの相互に関連するような手段というのがあると考えております。
○田村秀昭君 防衛庁長官もおられますけれども、防衛庁も数年前に一連の不祥事というのがあったんですね。それでいろんな改革をやってみた、いろんな考えられる改変もやってみたと。だけれども、結局何にもしないというムードが漂うわけですね。何かいろんなことをすると何か言われるから何にもしない方がいいやというような、防衛庁何にもしないと言っているわけじゃないですけれども、活気がなくなるんですね。 それで、私は今、世界の利益になることが日本の国益につながる時代に突入した現在、世界の利益になるということが専門的に一番分かっているのは外務省なんですね。その人たちが若干の不祥事があったからといって、もうここに並べた十の改革全部おやりになるつもりかどうか知らないけれども、何かセールス、何かのセールスみたいなポイントを並べているだけで、本当に外務省がしなきゃいけないことというのはこの十の、そういうふうになった方がいいかもしれませんけれども、結局世界の利益につながることを日本がしなきゃいけない、そういう時代に突入して、その専門家である外務省の人たちが活力がなくなることを非常に私は、日本の国益として世界の利益にもつながる、そういう重大な時期に入っている時期だけに、非常に外務省が活力がなくなることが危惧しているんですよ。 そういう点を大臣はどのような認識を持ち、かつ指導していかれるおつもりなのか、お伺いしたい。そのポイントだけでいいですから、幾つも幾つも言われなくても。
○国務大臣(川口順子君) 外務省の活力がなくなることがあるとしたら、それは私は問題であると思います。それは改革によって新たな活力が生まれるということだと思います。変える会ということで、これは外部の有識者の方の会ですけれども、同時並行的に、今外務省の中で変わる会というのが中の職員の中で出てきております。正にここに見られるように、外務省は活力を持って改革を行い、改革を行って更に活力を持つという方向に動いていくのではないかと考えております。
○田村秀昭君 ちょっとよく分からないんですけれども、もう一回、変える会を、の何ですか、ちょっと。
○国務大臣(川口順子君) 短くと思いましたものですから非常にはしょって申しましたけれども、変える会というのは外務省を改革するために外部の方にお願いをして外から見ていただいているということでございまして、具体的に案を提示していただくということで進んでいるわけですけれども、改革を行っていくときに大事なことは、中にいる人間が改革が必要だと考え、自ら改革を行っていくということであると思います。これは委員が先ほどおっしゃった活力との関係でいいますと、正に活力があるからこそ中から改革をしていこうという声が出てくるわけでございます。 で、その一端として、その具体的な例として一つ申し上げたのが変わる会ということでして、これは、変える会は外から変える会でございますけれども、変わる会は外務省の職員が中から変わる会、自ら変わるんだということで変わる会ということでやっているわけでございまして、これは正に一番望ましい改革の在り方だと私は思っています。そういう動きが外務省の中に存在をするということを例示として御紹介を申し上げたということです。
○田村秀昭君 今おっしゃったのは外部の変える会ですか。何かよく分からないけれども、そういう外部の人の意見を聞くということですね、それはね。それで、部内に変える会というのができたんですか。ちょっとその辺よくどっちがどっちだか分からないから。
○国務大臣(川口順子君) 変える会というのは外部の委員の方によって構成されている会でして、外務省をどのように改革をしていくかということについて具体的にタイムスケジュールといいますか、その工程表も含めた形で案を出し、外務省にこれをやってほしいということを言い、外務省はこれをやっていくということであって、それが本当にそういう形で進んでいるかどうかということも変える会の皆さんにチェックをその後もしていただくということで作っている会です。 他方で、変わる会というのは、中の人間が自ら変わるんだということで改革案を考えて、できることからどんどんやっていく。それこそ、変える会の結論、報告を待つことなく、できることからやっていくということで自ら動いているというのが変わる会であり、中から変わる動きを変わる会でやっているということです。
○田村秀昭君 その内部の変わる会ですか、それはもう発足しているんですか。
○国務大臣(川口順子君) これは非常に自発的にできてきた動きでございまして、正式に会合を、何月何日の時点でだれを長としてスタートしますという形で組織の幹部が押し付けた、押し付けたという言葉は悪いですが、そういう会合ではなくて、いろいろな人たちが中で変えようということで自発的に作り始めてきている会合だということで、既に動いています。
○田村秀昭君 その内部の改革をしようという会は幹部の人がみんなで会を作ってやろうと、そういう会なんですか、ちょっと外務大臣のおっしゃっていることがよく分からないんで。外部の人は、外部からの提言というのは意見ですね、こういうふうにしたらいいだろうという、それはどこでもそういう外務大臣の諮問機関としておやりになるけれども、部内のその変わる会というのは、具体的に言うといつから始まって、もう既にいろいろなことを着手しておられる、そういうことですか。
○国務大臣(川口順子君) そういうことでして、部内、省内の様々な人たち、中心は課長補佐クラスであるようですけれども、自発的にそういう会が始まって、今動いているということでして、これをやりなさいと言ってやった、やらせたという性格のものではないと、そういうことです。
○田村秀昭君 ちょうど、もういいです。三分遅れていると言うから、元へ戻しますから。
○委員長(武見敬三君) 御協力、ありがとうございました。では、次に進みます。
○大田昌秀君 外務省にお伺いします。 この受刑者移送条約が現在提起されようとする背景には、過去十年間に、外国人の、我が国における外国人の犯罪と受刑者の増加ということが指摘されておりますが、先ほども似たような質問がございましたけれども、改めて確認したいと思います。 過去十年ほどで、我が国における外国人による犯罪の数と受刑者の数の増加の実態について教えてください。 それと、その国籍は一体何か国ぐらいにまたがっているかということも教えてください。
○政府参考人(鶴田六郎君) それでは、我が国の刑務所で受刑している外国人受刑者については法務省の方が把握しておりますので、そちらの面について、私の方からお答えさしていただきたいと思いますが、外国人受刑者という場合には三千人くらい全部でいるわけですが、そのうち、来日外国人、いわゆる特別永住者とか永住者あるいは米軍関係者を除いた者につきましては二千四百六十人であります。 そして、そのうち一番多いのは、正確な数がちょっと申し上げられませんが、約半数近くが中国人になっておりまして、約三百がイラン人、それからブラジル、そういった形で続いております。 そして、今回の条約に締結している欧州の、欧州評議会の受刑者移送条約に締結している国の国籍の者は、来日外国人としては百三十二人で、そのほか米軍関係者を入れますと百、失礼いたしました、百四十何人かになると思います。
○大田昌秀君 今、どこの国の人が多いという御説明ありましたが、全体的に国籍は何か国ぐらいにまたがっているんですか。
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えします。 六十三か国です。
○大田昌秀君 六十三か国。 九九年五月四日付けの日本経済新聞によりますと、本条約の締結について、米国側は、日本の刑務所では米国人受刑者の人権問題に発展するケースもあるので、母国で矯正する方がいいとの考え方に立って本条約の締結を提起したと報ぜられています。つまり、我が国の現行監獄法に対して不満の意を表明していると見られるわけですが。 日弁連も、ヨーロッパ受刑者移送条約への加盟を契機に、国際的な人権準則に適合した監獄法改正の実現を目指したいという趣旨のことを発表しておりますけれども、受刑者の処遇についての改善策というのは十分に整備されているわけですか。
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。 当局におきましては、従来から、現行監獄法の下で、受刑者の人権にも配慮しつつ、その処遇を一層充実するためにいろいろと改善措置を常に考え、講じてきておるところでございます。
○大田昌秀君 監獄法は改正されたわけですか。
○政府参考人(鶴田六郎君) お尋ねの監獄法に関しましては、御存じのとおり、昭和、失礼しました、明治四十一年に制定されたものでありますので、その内容も形式も、時代に適合しなくなってきておる、そういうことから、かなり、失礼いたしました、昭和五十八年、六十二年、平成三年と三回にわたりまして監獄法を改正して刑事施設法案というのを国会に提出したんですが、衆議院の解散等ということで廃案になっておりまして、現在もこの改正を、必要性があるということを考えておりまして、今後とも関係各位の御理解を得ながら更に引き続き検討を進めたいというふうに考えております。
○大田昌秀君 いま一つ教えてください。 日米間で懸案となっておりました捜査・司法共助条約というのは締結されておりますか。
○政府参考人(林景一君) お尋ねの条約につきましては、まだ交渉が続いておりまして、まだ締結には至っておりません。
○大田昌秀君 先ほどの御答弁の中で、在日米軍で犯罪を犯して判決を下されたのが米本国へ移送されたときに、その刑が軽くなるということもあり得るという趣旨の御答弁があったと思いますけれども、それは間違いございませんか。
○政府参考人(林景一君) 先ほど申しましたとおり、アメリカにつきましては、刑の執行につきましては継続ということを大原則にしております。 ただ、全体として当てはめを行う、アメリカにおきます量刑を量るに当たりましてはアメリカの量刑ガイドラインを当てはめるわけでございますけれども、その際に加重してはならないという条約の原則が掛かりますことから、理論的に申し上げますと、同じになるか、あるいは軽くなるかということが理論的にはあるということを先ほど申し上げたわけでございます。
○大田昌秀君 それでは、アメリカにおいて日本人が犯罪を犯してそして受刑者となった場合、日本本国に移送された場合に、日本本国においてもアメリカと同じように、原則は原則としてですが、実際的に刑が軽くなるということも起こり得るわけですか。つまり、アメリカ側が刑が軽くなるということがあり得るとすれば、それと平等に日本においても軽くなるということもあり得るわけですか。
○政府参考人(林景一君) 済みません。若干誤解を与えたかもしれませんですけれども、基本的には刑の執行については、継続するという場合はそのままその刑を受け入れるというのが大原則でございます。 ただ、その国の法制によりましては若干の調整をすることが認められておるというわけでございまして、例えば、これは法務当局の方からお答えするのが適当かもしれませんが、我が国の場合ですと有期刑については最長二十年というのが法制上の原則になっておりますもので、それ以上の形での有期刑を受け入れることはできないということになります。 したがって、例えば三十年ということでアメリカで刑罰が科されております場合、我が国にもし受け入れることになりますれば最長二十年ということで受け入れざるを得ないといった意味におきまして、今御指摘のようなことが起こり得るということでございます。
○大田昌秀君 若干重複するところもあると思いますが、もう一度教えてください。 米国の場合、御承知のように連邦法と州法があって必ずしも一致しないわけですが、連邦裁判所が移送を決定した場合に、州法とちぐはぐになった場合にどういうことになるわけですか。
○政府参考人(林景一君) 連邦裁判所とおっしゃったのはちょっとあれでございますけれども、いずれにしましても、本条約の下では、条約に基づいて移送することができるための条件というのは、の一つとして、裁判国と執行国とが、もちろん受刑者本人と併せて移送に同意しているということが必要でございます。 ただ、米国に限りませず連邦制を採用している国というのが締約国の中にあるわけでございますが、そういう国との間で移送をどうするかということになります場合には、特に連邦法に基づいて服役しているのではなくて州法に基づいて服役している受刑者を移送するに当たりましては、連邦政府と州政府との間で国内調整を経た結果として連邦政府から移送についての同意の有無の通報がなされるという形になります。そういう意味で、連邦と州の間での調整というものが前提になるわけでございます。 アメリカの場合についても、基本的には同様でございます。
○大田昌秀君 法律の問題から一般質問にさせていただきますけれども、去る四月十二日付けの沖縄の地元の新聞は、航空自衛隊恩納分屯地内の旧汚水処理施設から大量のPCBが検出されたと報じておりますが、その内容について具体的に御説明いただけますか。
○政府参考人(西川徹矢君) 防衛庁におきまして、昨年度、自衛隊の施設におきますPCBを使用している備付け型の機器類、これの設置並びに使用の状況等につきまして調査を行いました。 その調査過程におきまして、長年使用されておらず、そして過去の使用履歴等が明確でない工作物という形で、実は本件の航空自衛隊恩納分屯基地、これの旧汚水処理施設というものが浮かんでまいりまして、この中に汚泥が堆積しているということも分かりました。 そこで、過去、先生も御案内のとおり、平成八年にこの近所の恩納通信所、旧米軍の、ここで同じような汚水処理槽の中から汚泥がありまして、これからPCBが出たと、こういう事例もございましたので、当方といたしましては、これは慎重を期して、当該旧汚水処理施設、これの汚泥につきましてもサンプリング調査を実施したところでございます。 この結果、いわゆる所在します七か所について調査いたしましたが、二か所からはPCBが出ない、しかし残りの五か所からは濃度が〇・〇〇〇六ないし〇・〇三七ミリグラム・パー・リットルという形での、こういう範囲でのPCBが出てきたと、こういう経緯でございます。
○大田昌秀君 その量と、在沖米軍基地での何に使用されたわけですか。
○政府参考人(西川徹矢君) これは、実は相当昔のもの、すなわち昭和の四十八年にこちらへ、防衛庁へ引渡しを受けたものでございまして、約昭和五十年ごろからはほとんど当方としても使っておりませんで、過去の履歴等についてはちょっと今のところなかなか分からないというのが実情でございます。
○大田昌秀君 今、PCBが五か所から出たとおっしゃったわけなんですが、一体これをどうしようと、どのような処理をしようと、どういうふうに貯蔵して、住民に対してどういうふうな保護措置を講じようとお考えですか。
○政府参考人(西川徹矢君) これは、PCBを含みます汚泥につきましては、このPCBが検出されました汚水処理施設から早急にまず取り出す、除去すると、そして除去したものにつきまして、産廃物、失礼しました、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則というのがございますが、これの第八条の十三に規定されております特別管理産業廃棄物保管基準、こういう基準に準じた保管を行うということでございまして、もう少し具体的に申しますと、これらの汚泥物が外部に流出ないしは揮発する、こういうことのないように、PCB含有の汚泥をドラム缶の中に詰め込みまして、そして上から密閉すると、そうした上で保管施設、いわゆる建物みたいなものでございますが、そういうところに保管すると、こういうことを現在予定しております。 なお、具体的な今後の実際的な保管方法については、地元の自治体等といろいろ調整をしながらその保管の万全を期してまいりたいと、こういうふうに思っております。
○委員長(武見敬三君) では、時間でございます。 ─────────────
○委員長(武見敬三君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、福島啓史郎君が委員を辞任され、その補欠として西銘順志郎君が選任されました。 ─────────────
○委員長(武見敬三君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 刑を言い渡された者の移送に関する条約の締結について承認を求めるの件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(武見敬三君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 なお、本件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(武見敬三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(武見敬三君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 外交、防衛等に関する調査のうち、外務省改革に関する件について、来る四月二十六日、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(武見敬三君) 御異議ないと認めます。 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(武見敬三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十一分散会