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154回国会衆議院2002/06/11

厚生労働委員会 第19号

発言数
135
登壇者
22
会派数
6
開催日
2002/06/11

会議録

森英介自由民主党

○森委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として、日本医師会副会長青柳俊君、健康保険組合連合会副会長下村健君、全国市長会国民健康保険対策特別委員会委員長・高知市長松尾徹人君、日本労働組合総連合会副事務局長村上忠行君、全国保険医団体連合会会長室生昇君、医療情報の公開・開示を求める市民の会事務局長勝村久司君、以上六名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人の皆様方に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  最初に、参考人の皆様方から御意見をそれぞれ十分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、発言する際は委員長の許可を受けることとなっております。  それでは、まず青柳参考人にお願いいたします。

青柳俊日本医師会副会長

○青柳参考人 まず初めに、この場で、今委員長からお話がありましたように、忌憚のない意見を述べる、そういう機会をいただきましたことを、委員長並びに委員の皆様方にお礼を申し上げたいと思います。  日本医師会は、平成九年来、医療構造改革の提案を機会あるごとに公表してまいりました。と同時に、節目節目でさらにその内容を進化させ、あるいは成熟化を続けてまいりました。  一方、昨年十一月の末に政府・与党が医療改革大綱をまとめられました。私どもは、この内容については、一〇〇%ではないにしても、非常に高く評価させていただきました。  その後、十二月の予算編成を前にして、制度改革の提案が明らかになってまいりました。しかし、本来的な制度改革の視点がどこか隅に追いやられた内容でございます。特に、平成十四年度あるいは十五年度の財源収支をどうするかという、そこに焦点が当てられた提案内容だった、私はそのように考えております。結果として、国民の負担、つまり保険料負担あるいは窓口負担、それをどう求めるかというところに集約された提案内容であった、実を言うと私はそのように考えております。  このような経過を踏まえまして、本日は、改正法案に関連して三つ焦点を当てて意見を述べさせていただきたいと思います。  まず第一点は、老人保健法の一部改正法案でございます。  今回の法案の中では、自己負担の完全定率化と、さらに自己負担限度額の引き上げという二つの項目が載せられております。  特に私どもが危惧しますのは、外来、つまり入院外において、現在、自己負担の定額制というものを採用している診療所。このケースといいますか、こういう例の場合に、実を言いますと、現在三千四百円の月額上限がありますけれども、法律改正によって、一般的な高齢者は月額一万二千円に上昇するわけであります。特に、この中でも、在宅で療養を続けられている方にとっては非常に大きな問題が起こるんじゃないかなと私は思います。介護保険制度との並びでもおわかりいただけますけれども、医療保険で一割負担、介護保険で一割負担、特に長期療養されている方々は、医療サービスと同時に介護サービスを受けている方が非常に多うございます。ここら辺が一つは大きな問題になるんだろうと思います。  お手元の資料の中に具体的な例を一、二御紹介をさせていただいております。第一例につきましては、資料一に、こういうケースの場合には現在の自己負担が約二・二倍になります。あるいは、資料二には、もう少し医療ニーズの高い方々に対しての医療保険給付というのは自己負担が約三・五倍になります。これにプラスして、介護保険サービスに対する一割の負担というものが課せられるということでございます。  資料三をごらんいただきたいと思います。  これは、総務省統計局が発表した平成十二年度の家計調査年報でございます。世帯主が六十歳以上の高齢者世帯のうち、半数以上、五六・二%が無職世帯となっております。これらの世帯におきまして、消費支出が可処分所得を平均で月額三万六千円ほど上回っているということもこの報告の中に見られます。つまり、こういう方々は、預貯金を取り崩しながらカバーして生活しているということが実態なんだろうと私は思います。  高齢者の方々、これは一般の方々に比べてリスクは非常に高い、病気になる率が高い。さらに、その病気も長期化するわけであります。したがいまして、一年を通じて負担しなければならない金額というのは相当の金額になるということも御理解いただきたいと思います。したがいまして、今回の法案の中で、これをどう、高齢者にとって温かい施策として実現するためにはというふうに考えますと、やはり先生方のお知恵を拝借する必要があるんだろう、私はそのように思っております。  もう一つ、高齢者の自己負担については問題がございます。これは、現在と違いまして、負担額の上限を超えた場合には、あらかじめ負担をして後で請求して還付を受ける、そういう仕組みが実を言うと今回の法律の中で想定されるわけであります。我々といいますか、現役世代の方々ならいざ知らず、非常に複雑な還付請求が待っているわけであります。高齢者の方々、代理人等々を活用するということもあると思いますけれども、果たしてすべての方々が還付を受けに保険者に向かうか。その流れは非常に低いんじゃないかな、私はそう危惧を実を言うといたしております。  そういたしますと、その部分、本来、保険給付という形で保険者が給付しなければならない部分は、保険者の不労所得、こう言うと非常に私としては言葉じりが問題だと思いますけれども、利益になるという流れが一部に出てくる可能性があるわけであります。ここら辺もぜひ先生方に十分御検討いただきたいな、そのように考えております。  第二点目、これは健康保険法の一部改正の問題でございます。幾つか申し上げたいと思いますけれども、時間制約がございますので、この中で一点だけ申し上げたいと思います。  私どもは、従来から、国あるいは社会保険庁の保険者としてのマネジメントの責任を果たしなさい、その上で保険料あるいは自己負担の割合をどうするかという議論をしてくださいという主張を続けてまいりました。しかし、どうも議論経過を見ますと、そこら辺がきちっと整理されないままに三割負担という導入が決まったように私は伺っております。私どもとしては、保険者の責任を果たすことが優先である。これが、国を含めて、国民に対して、やはり自分たちも痛みを感じているんだという姿勢を非常に強調できることなんではないでしょうか、私はそのように思っております。  もう一つは、社会経済が非常に不安定な状況の中で、一般の方、国民の方々は、健康に対する不安、病気になったときに対する不安ということを非常に強く現在感じていると思います。したがいまして、私どもとしては、むしろ経済社会情勢が不安定なときにこそ、社会保障のシステムをより高いレベルに構築するという考え方というのは重要じゃないかなと思っております。  そういう意味でいいますと、先進ヨーロッパ諸国は、むしろ保険料政策あるいは税金政策ということで社会保障あるいは医療保障を賄って、自己負担をできるだけ少なくするという方向にあると私どもは見ておりますけれども、むしろ現在の日本の考え方というのは逆でございます。これは国民の方々の不安を解消する何物でもない、そのように私どもは考えるわけであります。  したがいまして、国民の方々のコンセンサスを得る前に、やはりしなければならないことがたくさんあるんだろう、そういうことを一つ強調しておきたいと思います。  もう一つは、制度改正に関連して、診療報酬改定の問題がございます。この中で、余りたくさんは申し上げません、しかし私どもは、患者さんの負担をできるだけ軽減するという目的で、日本医師会、診療報酬改定マイナス二・七%と、大幅な引き下げをのみました。しかし、これが実際どう推移するのか、どういう動向になるのか、そこら辺に非常に危機感を持っております。私どもは今、大規模な調査を続行中でございます。これによっては提案をさせていただく機会があるんだろうと思っております。  もう一つは、診療報酬改定の中で、外国の不確かなデータをもとに導入された手術要件に関する基準というのがございます。これについても、私どもは、地域医療を崩壊させる以外の何物でもないということで、この問題についても非常に危機感を持って対応したい、そのように考えております。  最後になりました。余りネガティブなことだけを申し上げるわけにいきません。  今回、法案の附則の中で取り上げられました幾つかの抜本改革に向けた取り組み、これについては、私どもも全く共通認識を持っております。しかし、過去、私どもは非常に苦い経験を持っております。つまり、文章化されたものがいつ実現されるのか、どういう道筋で具体化されるのか、これは、過去数年間、私どもとしては非常に期待した部分でございますけれども、今回は、過去を振り返らず、前向きにということで、ぜひこの道筋なり方向性を、自民党を含めて政府関係者が決定していただきたい。  その中で、一つだけ最後に申し上げたいと思います。  一部の議論の中で、医療を弱肉強食型の市場原理体制に導こうという考え方、つまり、すべての分野においてアメリカンスタンダードがベストという考えのもとで議論や提案が、ごく一部でございますけれども、学者や企業経営者から発せられております。しかし、ここにおられる国民の代表である議員さんが、やはり方向性を間違わないで今後の医療制度改革を進めていただきたい、これを最後に申し述べまして、私の意見陳述を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。(拍手)

森英介自由民主党

○森委員長 どうもありがとうございました。  次に、下村参考人にお願いいたします。

下村健健康保険組合連合会副会長

○下村参考人 健保連の下村でございます。  きょうは、こういう機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。早速意見に入りたいと思います。  健保連といたしましては、現在、健康保険組合のみならず、医療保険財政が非常に厳しい状況に置かれているということは、くどくどと申し上げませんけれども、よく御存じのことと思います。健康保険組合も、この数年で百以上の組合が解散をいたしているというふうな状況でございます。また一方で、厚生年金基金なんかでも、解散でありますとか代行返上するというふうな動きが広まっておりまして、社会保険制度の将来に対して非常に危惧の念が強まっている、将来に対する不安感が大変強くなっているというふうに思うわけでございます。  少子高齢化が激しい勢いで進行する中で、こういうことでは、やはり現在の厳しい経済状況もあるわけですから、国民の不安感を大変増大させることになっているというふうに思っております。したがいまして、私どもとしては、そういう不安を解消するという見地に立って、医療保険制度全体の将来にわたる安定をぜひ実現する、そのような医療制度の改革の速やかな実現を望むというのが、基本的な態度でございます。  健康保険法につきましては、患者負担の問題等、現在の厳しい状況で、一般のサラリーマンにとりましても大変厳しいというふうな見方もございますけれども、我々は、やはり将来のために、現在の状況から抜け出すためには、こういったプロセスを通って改革に結びつけていくことが必要だというふうに考えております。したがいまして、現在提案されております健康保険法等の一部を改正する法律案につきましては、その速やかな成立を希望いたしております。  しかし、いろいろ問題が残っているわけでありまして、これだけで終わっては我々としても困るというふうに考えております。今回の改正に引き続いて、医療制度改革全体の速やかな実現をお願いしたい。これは、これまでも、国会におきましても、健康保険法の改正等の際に、絶えず抜本改革の速やかな実現ということが言われてきたわけでありますから、それを速やかに実現するようにお願いをいたしたいと思っております。  それで、改革、いろいろな項目が今回の改正法の中でも取り上げられておりますけれども、焦点になっておるといいますか一番最初に解決を要するのは、高齢者医療制度の問題だというふうに考えております。高齢者医療制度の形をはっきりさせてまいりませんと、そのほかの問題がいずれもこれによって影響を受けるわけですから、高齢者医療制度の問題の解決ということにまず手をつけるべきではないかというふうに思っております。  その場合に、今回の法案におきましても、七十五歳以上というところで一つの区切りが入っているわけでありますけれども、私どもは、七十五歳以上のところで特別な配慮をするということは考えられてもいいように思うわけであります。七十五歳のところで、後期高齢者という形で、それ以下の高齢者とは区別をして考えている面もあったわけですから、七十五歳以上の方に対する特別な配慮というのは考えられるというふうに思っておりますが、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、これからの高齢化社会の中で、高齢者に対する医療保障あるいは医療保険をどうするかということを考えているわけですから、高齢者医療制度という場合には、単に年齢だけではなくて、年金受給者という形で考えていただきたいというふうに思っております。  一般のサラリーマンにとりましては、定年制がありまして、老齢退職ということがあるわけですから、退職をして年金生活に入った以降の医療をどうするかという問題を中心に据えて高齢者医療制度の問題は議論をしていただいていいいんじゃないだろうか、こんなふうに考えております。  健保連の考え方は突き抜け型というふうに厚生労働省からはレッテルを張られているところがあるのですけれども、私どもは、こういうことを言いますので突き抜け型というふうに言われるわけですが、単なる突き抜け型ということではなかなか中身はわかりにくいのですけれども、年金をもらう世代に対する医療というものを中心に据えて考えてほしいと思っております。  したがって、七十五歳以上の問題ももちろんあるわけですけれども、七十四歳以下の年齢につきましても、その医療費をどうやって負担をするかという大きな問題があるということをぜひ考えていただきたい、このように考えております。  その場合に、高齢者は非常にリスクが多いので保険ではだめだという議論がございます。もちろん、公費をどの程度投入していくのかというのは大きな問題であります。その場合に、高齢者だけで負担をしていくということは当然難しいわけですから、若い世代あるいは現役世代の負担が必要になってくるということは私どもも十分理解しておりますけれども、現在の拠出金という形での負担はやめていただきたい、こんなふうに考えております。拠出金制度は、導入の際の国会における議論におきましても、税金か保険料か、その性格はあいまいなものだということが議論の中で明らかになっておりまして、それが現在までそのままの形で続いてきているというところに、現在の負担を困難にしている一つの大きな問題があるというふうに考えております。  そういった点を考慮して、高齢者医療制度の改革、新しい高齢者医療制度をつくるということに焦点を当ててこれからの改革を引き続き進めていただきたい、これが健康保険法の改正に合わせまして私どもとしてお願いをしていることでございます。  健保連は労使双方を基盤として成り立っている組織でありますから、今後も、経営者団体それから労働組合双方と議論をしていかなければならない立場であります。具体案はさらに私どもとして検討を続けてまいりたいと思いますが、以上のような点に焦点を当てて、これからの改革の推進ということを頭に置きまして、健康保険法の速やかな審議をぜひお願いするわけでございます。  よろしくお願いいたします。(拍手)

森英介自由民主党

○森委員長 どうもありがとうございました。  次に、松尾参考人にお願いいたします。

松尾徹人全国市長会国民健康保険対策特別委員会委員長/高知市長

○松尾参考人 全国市長会国民健康保険対策特別委員長を務めさせていただいております高知市長の松尾でございます。  本日は、国民健康保険の保険者の立場から意見を申し述べる機会を与えていただき、厚く御礼を申し上げます。  それでは、まず、国民健康保険の現状について簡単に申し述べさせていただきます。  御案内のとおり、国民健康保険制度は、国民皆保険を支える制度として、他の医療保険に属さない人をすべて受け入れる構造となっております。このため、近年の急速な少子高齢化の進展、就業構造の変化などによりまして、国民健康保険の加入者のほぼ半数が無職者であり、平均年齢は五十一・七歳、一世帯当たりの年間所得は百六十八万円、所得のない世帯が二四・一%とほぼ四分の一を占め、制度が発足した当初に比べますと、無職者、高齢者等の所得の低い方が著しく増加をしておるのが現状であります。  その結果、市町村国保は、被用者保険に比べて所得水準が低い中で、被用者保険とほぼ同じ保険料を納めなければならない現状になっておるわけでありまして、保険料の負担感は非常に重いものになっております。保険料収入の確保がそういったことでますます困難になるなど、極めて厳しい運営を余儀なくされておる状況であります。  国保の運営は、本来、保険料と国庫負担金により運営されるのが原則であるにもかかわりませず、多くの市町村においては、こうした事情から、やむを得ず行っている一般会計からの多額の繰り入れなどによりまして、ようやく運営されておるのが実態であります。しかしながら、地方財政は、御承知のように、ますます厳しさを増しておりまして、一般会計からの繰り入れももはや限界の状況になっております。  国保の構造的問題は、市町村の規模の大小にかかわらず生じるものでありまして、同じような問題や悩みを抱えているのが実情でございます。  このことは、単に国保保険者の統合といった国保サイドのみの対策では解決できないものでありまして、全国市長会は、全国町村会、国民健康保険中央会とともに、すべての国民を通ずる医療保険への一本化、これを直ちに実施することが困難であれば、当面、段階的ではありますけれども、医療保険財政の一本化を主張いたしておるところでございます。  さて、今回の健康保険法等の一部を改正する法律案でありますが、国保に関連する部分を中心に、若干意見を述べさせていただきます。  まず、保険給付の見直しについてでありますが、わかりやすく公平な給付を実現するため、各医療保険制度間の給付率を統一するという趣旨の改正でありますが、この給付率の統一という考え方自体は、私どもが従来から主張しております給付と負担の公平に合致するものと考えております。  次に、老人医療に関してでございます。  第一に、受給対象者の年齢引き上げでありますが、老人医療制度は、高齢者の医療費を国民全体、各医療保険で公平に負担するという調整の仕組みだと思います。対象年齢を七十歳から七十五歳に引き上げるということは、各医療保険制度間の財政調整の対象を狭めるものでありまして、制度上、高齢者を多く抱える国保といたしましては、現在以上に厳しい財政運営を強いられる可能性があります。老人医療制度の将来の姿が見えないまま対象年齢だけを引き上げるということに対しては、疑問を感ずるものでございます。  第二に、老人医療費の伸びを適正化するための指針についてでありますが、老人医療費の伸びが国民医療費を増嵩させる大きな要因となっていることは周知の事実でありまして、ある一定の指針を出すことは評価できるものと思っておりますが、高齢者だけではなくて、全体を通じて、健康対策強化も含め、医療費の伸びを抑え、適正化を図るということが不可欠であると思っております。  第三に、老人医療費拠出金の算定方法の見直しについてであります。具体的には、老人加入率の上限の撤廃あるいは退職者に係る拠出金を退職者医療制度で全額負担するといった内容についてでありますが、このことについては、当面の国保対策として従来から私どもが主張してきた問題でありますので、ぜひとも実現をしていただきたいと考えております。  次に、国民健康保険の財政基盤の強化に関するところでございますが、国保が市町村の一般会計からの多額の繰り入れで辛うじて運営されており、その財政運営が危機的状況であることなどから、医療保険制度が抜本的に改正されるまでの臨時的な措置としては、どうしても今回の改正は必要なところでありまして、国の責任と負担で確実にこのことを実行していただきたいと考えております。  また、私ども国保関係者が一番重要であると考えております附則に盛り込まれました医療保険制度の改革等についてであります。  法案には、将来にわたって医療保険制度の安定的運営を図るため、平成十四年度中に医療保険制度の体系のあり方等の基本方針を策定することが盛り込まれておりますが、これは、医療保険制度の一元化を将来の方向の有力な考え方とした昨年末の医療制度改革大綱に基づいているというふうに思っておりまして、この一元化の方向に沿った具体的な検討を早急に行い、平成十四年度中に基本方針を確実に策定することを期待いたしております。その場合には、私ども国保関係団体がかねてから主張しておりますすべての国民を通ずる医療保険制度への一本化の考え方を尊重することを強く望んでおります。  いろいろ申し上げましたが、医療制度、医療保険制度のあり方は、国民生活に直結する重大な問題であります。また、医療保険財政は、各制度とも逼迫し、崩壊状態にあります。  このような状況を踏まえ、今回の健康保険法等の一部を改正する法律案については、内容的には必ずしも十分なものとは言いがたい点もありますが、当面の対策として、国民健康保険の財政基盤の強化は直ちにこれを実施することが必要であり、速やかな成立を望むものであります。  御清聴ありがとうございました。以上でございます。(拍手)

森英介自由民主党

○森委員長 どうもありがとうございました。  次に、村上参考人にお願いいたします。

村上忠行日本労働組合総連合会副事務局長

○村上参考人 連合副事務局長の村上でございます。  お手元に私どもの資料が二つ届いておるかと思います。御参照をいただければと思います。  今回の健保法等の改正法案は、単なる患者、国民への大幅負担増による当面の財政対策でしかないと思っております。連合は、抜本改革が実施されないままでの今改正には絶対に反対であることをまず申し述べておきたいと思います。  九七年九月の大幅負担増は、二〇〇〇年度に医療・医療保険制度の抜本改革を行うことを前提に先行実施されたものでありました。当時の与党三党は、「抜本改革の実施は平成十二年度を目途とするが、可能なものからできる限り速やかに実施する。」ことを国民に公約したのでありました。  連合は、医療制度の抜本改革に向けた審議会等へ積極的に参画し、保険料を支払う側、医療を受ける患者の立場からその実現を強く求めてまいりました。  しかし、九七年から今日まで行われてきましたことは、改革先送り、国民への負担増であります。国民医療費が膨脹し、財政赤字が拡大した責任は、抜本改革を先送りし、小手先の財政つじつま合わせに終始してきた政府・与党にあると思っている次第でございます。今回の法改正はこのツケを国民に転嫁するものでしかなく、到底容認できるものではありません。  国民、患者への負担増は、景気の低迷をさらに長期化するばかりか、社会保障制度への信頼という点からも大きな問題があると思っております。  九七年の負担増は、景気低迷に拍車をかけた要因の一つとされています。現在、完全失業率は五・二%、デフレ経済のもとで、国民は雇用と生活、将来不安を高めています。今、このような大幅負担増は行うべきではありません。  また、社会保障制度への信頼という点からも大きな問題があります。そもそも医療保険制度とは、労働者など被保険者が病気などのリスクを支え合う短期保険として出発しています。その被保険者の医療費の増加で保険財政が赤字なら、負担増はやむを得ないかもしれません。しかし、昨今の保険財政赤字は、老人医療費拠出金などの増加によるものであります。保険者が支払う全拠出金が、保険料収入の四割を超えるに至っています。  今回の三割負担や大幅な保険料アップなどの負担増は、拠出金を賄うために行うものであり、一体だれのための保険かという不満が高まっております。老人医療を支えることを否定しているのではなく、支え方の仕組みに合理性、納得性が失われていると思っております。このことが、医療保険制度に対する不信の大きな要因となっています。  加えて、政管健保における違法な脱退、医療事故、医療費の不正請求など、さまざまな問題が山積しています。問題点の解決や抜本的な制度改革を先送りし、負担増を繰り返すのであれば、いよいよ社会保障制度全体の空洞化を招くことになります。  次に、今回の改正法案に対して幾つか御意見を申し上げます。  第一は、自己負担額を二割から三割へ引き上げることについてであります。  政府は、三割負担は公平であると述べています。公平な負担とは、自己負担だけではなく保険料負担とのトータルで考えるべきであります。負担だけ公平というのはおかしな論理であります。そもそも自己負担が三割というのは、保険制度と言えるのでしょうか。私どもは疑問を持っておる次第でございます。  連合は、三割負担が若人の薬剤一部負担金の廃止と引きかえであるのなら、薬剤費負担は残すべきであると考えております。薬剤に係るコスト意識の喚起、薬剤使用の適正化の効果があらわれていた制度を廃止する理由が全くわかりません。若人の薬剤費負担金の廃止によって生じる財源確保として三割引き上げがあるのなら、本末転倒だと考えております。  また、一九八四年に定率一割が導入されてから、二割への引き上げには十三年を要しています。わずか五年で三割に引き上げるとすれば、制度への不信が強まることは間違いありません。三割負担は行うべきではなく、撤回すべきと考えております。  厚生労働大臣は、大きな病気になるほど負担は軽くなる、自己負担については上限のついた三割が一つの限界であると述べました。これは、高額療養費制度の自己負担限度額を今後も引き上げないという前提でしか成り立ちません。しかし今後、限度額を引き上げれば、実効負担率は大きく変化します。大臣の説明は全く納得ができないのであります。  第二は、総報酬制導入、政管健保保険料引き上げについてであります。  連合は、総報酬制に関しましては、年間総収入での格差是正という観点からは反対ではありませんが、今回は、保険料引き上げだけを目的としており、到底納得はできないのであります。  そして、政管健保の保険料率は、総報酬制で現行の七・五%を八・二%に引き上げるとしている。これは約一割アップと、過去にない大変大幅な引き上げになるわけであります。保険料を支払う勤労者の生活が厳しい状況に置かれている中、到底納得できるものではなく、最も取りやすいところから取ろうとしているとしか思えません。負担増の前に、政管健保の一般医療給付費への国庫補助一三%を本則の一六・四%に戻すべきであります。  第三は、高齢者医療についてであります。  私どもは、老人医療費のみの抑制策ではなく、医療費の総額抑制策を導入すべきであると主張してまいりました。ところが、昨年九月の厚生労働省試案で、老人医療費の伸び率管理制度の導入が盛り込まれました。その後、具体的な内容が提示されるものと思っておりましたが、伸び率管理制度は政府・与党の医療制度改革大綱において後退し、今改正案では単なる指針での助言という全く骨抜きとなってしまいました。政府提案の老人医療費の抑制策は一体どうなったのでしょうか。  現行の老人保健制度を存続させた上での部分改正は、単なる改革の先送りでしかありません。老人保健制度の抜本改革が実現するまでは、小手先の改正など行うべきではないと考えております。改正案を撤回し、早急に、若人の五倍かかる老人医療費を欧米諸国並みの三倍程度に引き下げる具体策の実行と、新たな高齢者医療制度を創設すべきと考えております。  第四は、高額療養費制度における自己負担限度額の引き上げについてであります。  高額療養費制度は、二〇〇〇年秋の臨時国会で社会保険の原則を崩す制度改革が行われました。今回、限度額をさらに引き上げようとしております。実効負担率は、高額療養費の自己負担限度額の上限設定などによりましてどうにでも変化をいたします。上位所得者一%条項を廃止し本来の姿に戻し、限度額の改定は、政令ではなく法律で規定することを強く求めます。  第五に、附則について述べたいと思います。  政府は、抜本改革の内容は法の附則に盛り込んだと説明しています。しかし、実効性の担保が大臣の決意だけで実現できるとは思えません。附則の実効性が担保されないことは、九八年の国保法等の改正時の附則を政府みずからほごにしたことで実証済みであると思います。  さらに、この附則には医療提供体制の重要な改革課題が触れられていません。別途、厚生労働省が示した医療提供体制の改革スケジュールを見ますと、各課題の実施時期、実行スケジュール、完成時期が不明確であったり、時間がかかり過ぎていたり、我々からは抜本改革がいつ実現するのか全くわからないわけであります。  せめて、国民に約束してきた医療・医療保険制度の抜本改革の実現と負担増とをセットで示すのが、政府・与党の責任であるのではないのでしょうか。  国民が長期不況に苦しむ中にあって、経済状況を悪化させるような大幅負担増を行うべきではありません。最近発表されましたメディアの調査によりますと、大多数の国民が健保法改正に反対しております。政府が今行うべきことは、雇用対策の強化、医療保険制度を初めとする社会保障制度への信頼を確実なものとし、国民の生活不安を解消することであると思います。  連合は、改正法案の内容が明らかになってから、全国で、安心の医療制度への抜本改革を求め、負担増に反対する街頭宣伝行動や署名活動を展開してまいりました。署名は七百八十八万名を集約し、衆参両議長に提出したところであります。  私たちの声をぜひとも受けとめていただき、負担増ありきの健保法等の改正法案を廃案とし、医療・医療保険制度の抜本改革の断行を重ねて要望いたしまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

森英介自由民主党

○森委員長 どうもありがとうございました。  次に、室生参考人にお願いいたします。

室生昇全国保険医団体連合会会長

○室生参考人 全国保険医団体連合会の室生でございます。今回、この場所におきまして意見の陳述をさせていただく機会を与えていただきましたことを御礼申し上げます。  ただいま国会で審議されております健康保険法の一部を改正する法律案に対しまして、私は反対の意見を述べさせていただきます。  現在、政府・与党で進められております医療改革案、この方向は、根底から日本の国民の命と健康をより深刻なものに導いていくというものと考えております。  以下、それについて私の意見を述べさせていただきます。  本日、委員の先生方には資料が配付されておるはずでございますが、五ページ以降に図表等がございますので、それも参考にしていただければと思います。  第一に、労働者の健康の悪化の現実を踏まえていないという点がございます。  厚労省の平成九年労働者健康状況調査、資料一によりますと、五年間で「非常に健康である」は一一・二%から一〇・六%に減少し、「非常に不調」は一・七%から二・一%に増加しております。また、資料二に見るとおり、持病のある労働者は三一・五%で、平成四年より増加傾向を示しており、持病のある労働者の一人当たりの平均持病種類数も、一・二九七から一・三三三となり、増加傾向を示しています。資料の三及び四の、ふだんの仕事で身体の疲れがある、神経の疲れがあるという訴え率は前回調査より増加傾向で、特に「とても疲れる」が増加しています。  資料五に示すように、疲労に関する厚生省研究班が平成十一年に実施した調査結果によれば、半年以上も疲れが続く慢性疲労状況にある人は三六%に上り、そのうち一七%の人が生活に支障を来していると回答しています。  厚労省の二〇〇〇年定期健康診断調査結果では、資料六に示すとおり、異常所見があった人の割合は四四・五%に上っています。一九九〇年から十年間で倍増に近い伸びを示しております。労働者を初め国民の健康悪化は憂慮すべき状態になっております。  次に、健保三割負担による受診への影響について述べます。  慢性病の高血圧は、日本で現在約三千五百万人が罹患していると推定されております。日本能率協会総合研究所が昨年十二月に実施した三十五歳以上の高血圧患者を対象としたアンケート調査によりますと、医療費負担の増加で今後考慮することは、通院回数を減らすが三三%、通院をやめると回答した患者も三%おります。  自己負担の増加は、慢性病患者さんが治療をするに非常に困難な要因となります。九七年の健保二割負担によって、厚労省の九九年度患者調査でも、健保本人に該当する三十五歳から六十四歳は九六年に比べて一二・四%、三十五万人の減少となり、その三割が歯科の患者さんであります。九五年の外来受診率に比べて、九六年は上昇しておりますが、健保本人二割負担が行われた九七年から減少し、その傾向は現在も続く一方で、有訴者率は九五年と比べて増加しております。  第三に、早期発見、早期治療の日本の医療制度のよさを維持発展させる必要があります。  我が国の国民一人当たりの年間平均受診回数は二十一回です。主要国と比べて四倍になりますが、資料八に見るとおり、一回の受診当たりの医療費は主要国よりかなり低い金額であります。一人当たりの年間医療費は、日本が十四万七千円に対して、アメリカは三十二万八千六百円などでありまして、決して日本の医療費が高いということではありません。資料九に示すとおり、医療費に占める入院医療費の割合も、一九九七年の時点で日本は二九・八%で、フランスの四四・六%等と比べてかなり低い割合であります。  これらの状況は、アクセスがよい外来診療が早期発見、早期治療を促し、入院医療費を節減していると言えるのではないでありましょうか。  資料の十、十一をごらんいただきたい。富山地方鉄道健保組合の統計では、歯の健康度不良グループは、優良グループより総医療費で二倍、歯科医療費だけでは二十二・六倍も多くなっております。口腔保健の充実や早期発見、治療の重要性が、これによってよく示されております。  主要国の中で今でも重い患者負担をさらに重くし、外来受診のハードルを引き上げることは、疾病の重症化を招き、総医療費をかえって増加させるおそれがあります。負担増はやめるべきであります。  次に、一兆円を超す保険料の引き上げもやめていただきたい。  保険料引き上げの規模は、政管健保と組合健保を合わせて一兆円を超す数字になっていくものと思いますと、五月八日の衆議院厚生労働委員会で宮路厚生労働副大臣は答弁しておられます。一兆円を超える保険料の引き上げは、実質的な所得税と法人税の引き上げであり、法人税減税を掲げる小泉総理大臣の方針とも矛盾するものであります。  また、賞与から徴収している特別保険料には国は千分の二の補助を行っていますが、今回これを廃止して一般保険料に一本化することも見逃すことができません。  第五に、国民の財布を豊かにしてこそ、国も栄えるというものであります。長引く不況のもとで、一兆五千億円もの医療費負担の引き上げは、命と健康はもとより日本経済にも悪影響を及ぼします。  国民医療費に占める負担割合は、資料十三に示すように、国の負担が軽くなるのに比例して国民の負担は重くなっております。医療費の負担割合が五%、国から家計に移ったことになっております。  また、患者さんの実効負担率は、九八年で既に一五・四%で、資料十四に見るように、国際比較でも高くなっております。法案が実施されれば、平均で一八・三%、高齢者九・七%、サラリーマンなど一般の方々が二四・三%にまで上昇することが本委員会審議で明らかになっております。  国民から見て、本当の負担と給付の公平を論ずるには、支払った租税と社会保険料の総額のうち、社会保障給付としてどれだけ国民に還元されているかということも問われるべきであります。資料十五で主な国と比べますと、日本は低い還元率で、四一・六%で五割を切っております。  国民全体への還元をふやし、国民の財布を豊かにし、将来不安を解消することが、消費不況で深刻な日本経済の再生にも貢献する道であると考えております。  最後になりますが、現実の対応と未来の国民の健康を見通した対策の両面から、医療制度の国民的な議論をぜひお願いいたしたい。  国民の健康権、生存権、受療権を保障する立場から、日本の医療のよい点は伸ばし、問題点は改善する姿勢と実践が今こそ必要となっています。それなしに、一律に高齢者を金持ちとみなして過酷な負担を強いることや、給与引き下げを余儀なくされているサラリーマンの保険料を引き上げて三割負担にするということには反対いたします。  私どもは、医療の透明化と説明責任を軸に、医師、歯科医師と患者、国民との信頼関係の発展に向けて真摯に努力してきました。今後もその努力を続けますが、このことを申し述べて、私の意見の陳述とさせていただきます。  以上であります。(拍手)

森英介自由民主党

○森委員長 どうもありがとうございました。  次に、勝村参考人にお願いいたします。

勝村久司医療情報の公開・開示を求める市民の会事務局長

○勝村参考人 どうも本日は、私ども市民の立場からの意見陳述の機会をいただきまして、ありがとうございます。  私の方からは、医療保険の値上げ、患者負担の値上げの前に、医療費の中身が余りに不明瞭であるということと、もう一点は、実はこの医療保険制度と医療事故、医療不信との問題点は密接に関連しているんだということをお話しさせていただきたいと思います。  私は、十年ほど前に、陣痛促進剤の被害で一人目の子どもを亡くしました。それで、医療裁判を起こしました。三年前に大阪高裁で勝訴確定しましたが、そこに至る中には、カルテが改ざんされていた、裁判の中で主治医が事務が勝手にやったんだという言いわけをしましたが、カルテは改ざんされていたし、レセプトは、当時、厚生省の指導で患者本人に見せることはできないということで見せてもらうことができなかった。  全く、カルテもレセプトも、正しい情報がない中で裁判を闘わざるを得なかった、そういう状況の中で薬害、医療被害が繰り返されてきた。かつ、その中で医療費ばかりは患者の負担も含めどんどん増大してきた。そこをどう変えていくかというのが本当の意味での、医療保険に仕組まれた日本の医療保険制度、医療の改革ではないかと思っているわけです。  私たちは、陣痛促進剤で被害を受けたのでその問題にも取り組みましたけれども、その中で多くの薬害や医療被害の市民団体と知り合うようになりまして、みんなが共通に思ったことは、それぞれの薬害、医療被害の根底にあるのは、やはり医療費、お金の問題だ。つまり、医療の単価の問題だということで、みんなでレセプト開示、レセプトが当時開示されませんでしたから、レセプトが開示される運動をしよう。そういう意味で、多くの薬害、医療被害の市民団体のリーダーたちが横のつながりとしてつくったのが、この医療情報の公開・開示を求める市民の会というグループです。  したがって、私たちの会は、結成されたのは七年ほど前ですが、すぐにレセプト開示というものを、当時、厚生省の指導で、患者には一切見せてはいけない、見せられていなかったレセプト開示を求めて運動を始めました。  なぜレセプトが大事なのかということを、二点、お話しさせていただきたいと思います。  まず一点目は、架空請求を防ぐという意味があります。これは、非常に軽視されようという世論がつくられつつありますが、私たちの実感では非常にたくさんの架空請求が存在しています。一時、数年前、国会でも三割が架空請求じゃないか、十兆円近くが架空請求じゃないかという議論もあったようですけれども、そのときに、やはりだれもわからない、架空請求がどれぐらいか、本当にそんな医療を受けていないのに医療を受けたかのように請求されているものがどれだけかというのは、医療を受けた本人が見ないとわからないわけなんです。ところが、その医療を受けた本人にレセプトが見ることができないんですから、本当の実態はだれもわからないから、一切何のデータもないと思います。  ただ、例えば、つい最近の事例では、一つの開業の歯科医ですけれども、八カ月間で三億円を超える架空請求があったんじゃないかということで、監査に入った。一つの開業医です。国保だけで三億円を超えている。そういうふうなこともわかってきたということがあります。その一つの開業医の例で、それはたまたまのことなのかというと、これまで、数は少ないですけれども、毎年、厚生行政が入っている架空請求の指導の一覧などがようやく厚労省のホームページで載ってきていますけれども、そういうのを見ていると、普通の市民感覚で言えば、一体どれだけの架空請求というのがされているのかとやはり思わざるを得ないような状況があると思います。  そういう部分が、不必要な部分が非常に使われているかどうかということを放置したまま、お金が足りないんだ、支払ってくれということに普通の消費者感覚として納得がいくだろうか。その点を、ぜひ、まず考えていただきたいというのが、一点目です。  二点目、なぜレセプト開示が大事なのかの二点目ですが、レセプトには医療のそれぞれの単価が記されています。病院でもらった領収書、請求書には、詳しいものでも検査料幾ら、投薬量幾ら、処置料幾らということで、小計、すなわち合計しか書かれていませんが、レセプトにはすべて、検査だったら正式名称と数量と単価、薬剤に関しても、何という薬か正式名称があって、それを幾ら使ったから単価が幾らだから幾らということが全部書かれているわけです。そういう単価を知ることは、カルテ開示ではできなくて、レセプトにしか書いていないわけです。  単価を知るということがなぜ大事かといったら、その単価が実は医療の価値観を決めているからです。経済社会では単価というのはまさに価値であって、医療機関からすると、単価のない、つまり価値のないものは施そうとはしないわけです。  例えば陣痛促進剤の例を考えてみても、枚方市民病院の裁判の経過からわかることは、なぜ陣痛促進剤を必要がないのに全員に使っていたかというと、その方がもうかるからだと。つまり、それをしなければ赤字になる、赤字になってしまって病院が経営できなくなる。つまり、患者にとって何がいいかという観点だけで医療を行っていくと、病院は赤字になってしまう。それはなぜかというと、単価がおかしいからです。だから、国民が必要とする、国民がこれに価値があるという医療行為に対して単価がついていない。全然関係ない、国民がこんな医療嫌だと思っていることにすごい単価がついている。だから、不本意な医療というのがその中で起こってしまう。不本意な医療のきわみが医療事故だと僕は考えています。  だから、そういうものをなくしていくためには、単価を健全にしていかなきゃいけない、医療の価値である医療の単価を健全にしていかなければいけない。そのためには医療の単価を国民のニーズ、当たり前のこういう医療はうれしいですよというものに合わせていかなきゃいけない。そのためには、国民に単価をまず知らせないと、国民はその議論に入っていくことができないわけです。レセプトは見ることができなかったですから、国民は一切、どんな単価で、つまり、どんな価値観で医療がされているのかを知るすべがないわけです。  本当なら、夜間のお産でも多くの人が付き添ってくれて、非常に心温まるお産ができた、こういうのは本当にありがたい、たくさんのお金を支払いたい。ところが、そういうものに一切価値がつけられていない、単価がつけられていない。そういうお産をしている病院は赤字になってつぶれてしまう。陣痛促進剤をたくさん使って平日の昼間に無理やり誘導して、かつお産の時間も減らして、そうすると、子宮口はやわらかくなっていないから会陰切開としてはさみで切って、そういう、切れば切るほど、薬を使えば使うほどもうかる、そういう価値観になっていることが薬漬け、検査漬けの根源だということ。さらに、事故が起こって集中治療になってしまうと、ますますその病院に収入が入っていく。  そういう背景の中で、どれだけ現場のお医者さんたちに良心的になってくれと言っても、良心的になれば病院がつぶれるというジレンマの中での、もうぎりぎりの医療が日本で行われている。  そのために、その解決策は、まず、国民が単価を知っていくべきだ、そのためにレセプト開示が大事だということを訴えてきました。五年前にようやくレセプト開示が実現したんですが、それが、私たちの運動や、被害者としての運動で実現したんですが、ところが、まだ国民に全然レセプト開示が浸透していません。その理由は何かといったら、社会保険庁のつくったレセプト開示のマニュアルに問題があるからです。  それはどういうマニュアルになっているかというと、レセプトを開示するか否かは、お医者さん、医師の確認をする、医師が開示しない、そのレセプトは開示しないでくれと言ったものに関しては開示をしないということになっていますから、本当に患者にとって必要なレセプトが開示されない状況があって、開示が進んでいません。その理由は、レセプトを開示すると病名を知って、がんだとかの場合だと患者が不安がるからだというようなことが言われています。  しかし、それは全く論理としておかしいです。病名を知って患者が不安がるかもしれないということであれば、やはりすべての患者に、だから見せませんという方が納得いきます。ほとんどの人には見せるけれどもがんの人にだけは見せませんということが、本当にその人のケアになるんでしょうか。開示請求をした人の話です。開示請求をした人、見たいと言った人で、あなたにだけは見せられませんということが、その人のためになることでしょうか。ますます不安になるに違いありません。  つまり、見たいと言う人にはいかにきちんと見せていくか、そこが人間相手の仕事をしている、人として一番大事なところであって、一切見せないのではないんだったら、もう逆にすべての人に見せる、見せていくときにどう告知していくかを研さんしていく。それはそうでしかないのに、見せたくないものは見せないという状況が続いていることが一つの問題です。  また、社会保険庁のマニュアルでは、遺族の場合はもう本人が亡くなっていますから告知の問題はないと言いながら、レセプトを開示した後に、レセプト開示しましたよとこそっと伝えたりしている。  こういうふうな問題が、個人情報保護の観点から問題があるのじゃないかということを、例えば神奈川県の大磯町の個人情報保護審査会なども指摘していますが、自治体や健保組合、保険者である国保とかは、そういうふうなものをすることがなぜか怖いというようなことを言っていると。一体何が怖いのかということを考えます。  健康保険組合、保険者が赤字になっている理由は、僕はそもそも保険者に責任があるのではないかと思っています。厚労省などは、別に医師に確認しなくてもレセプトを被保険者に開示してもらっても法律上差し支えないですよと言っていますが、なぜかそれをようしない。もっときちんと、レセプト開示を請求したら普通にしていくようにしていってほしいというふうに思います。  では、最後に二点、極めて国が簡単にできることを二つお願いしたいと思います。  今言いました、まず保険者のレセプト開示のマニュアルですが、社会保険庁のレセプト開示マニュアルで、そういう意味ではレセプト開示を拒否する大義名分は一切ありませんから、レセプト開示は請求があれば速やかに、医師に確認をしたり、開示した後医師に連絡したりというようなことはせずに、速やかに被保険者のためにレセプトを開示してほしい。  もう一点は、まず国立病院の窓口でレセプト相当の詳しい明細書を見せていってほしい。このように明細を知っていることが、単価を知っていくことが、架空請求を防ぎ、医療の価値観を健全にしていく。そういうこともない中で、明細を一切見せようとしない中で、負担増ばかり強いるということに消費者は納得できるわけがないということをぜひわかっていただきたいということのお願いをしておきたいと思います。  どうもありがとうございました。(拍手)

森英介自由民主党

○森委員長 どうもありがとうございました。  以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。     —————————————

森英介自由民主党

○森委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹下亘君。

竹下亘自由民主党

○竹下委員 おはようございます。自由民主党の竹下亘でございます。  きょうは、参考人の皆さん方には、お忙しい中委員会においでをいただき、貴重な御意見をいただきましたこと、心から感謝を申し上げる次第でございます。  それでは、何点か質問をさせていただきますが、皆さん方の意見陳述を伺っておりまして私が感じましたことは、まさに少子高齢化社会、世界の中で極めて速いスピードで高齢化している中で医療制度がもがいている姿がそれぞれの皆さん方の意見の中にあらわれていたなということをしみじみと感じたわけでございます。  そういう中で、共通して皆さん方の頭の中にあったのは、国民の将来への不安の解消にどう取り組むかという問題であろうと思います。そして、その具体的な方法としては、今度の健康保険法の一部改正案の附則の中に書いてあります抜本改革の方向、これをぜひやれという、これもほぼ共通した皆さん方の意見ではなかったかなというふうに感じた次第でございます。  そこで、医師会の青柳さんにまずお伺いをさせていただきます。  老人の負担がふえるという不安、そのことが患者への影響が出るんではないかということもおっしゃっておりましたが、一方で、アメリカンスタンダード、つまり競争原理だけの導入には疑問があるというお考え方のようでございました。私も実はそう思っているんです。医療の世界に競争原理だけを導入するとおかしくなるなという思いがありますし。  と同時に、日本の医療制度は、国民の負担、患者の負担、そして税金、公費という三つの柱で財政的には成り立っておるわけでございます。今回、保険料が改定になりました。これから二年に一回、見直していこうという方向が法律の中に盛り込まれておりますが、こういったことも含めまして、特に保険料の改定の問題を中心にして、医療保険財政の面でどうお考えになるか、あるいはそういう観点からこの法律をどう評価されているか、まずお伺いをさせていただきます。

青柳俊日本医師会副会長

○青柳参考人 幾つか竹下議員のお話の中に共感する部分がございます。  まず、一つ申し上げておきたいのは、私どもは、医療の質による競争ということを全く否定はしてございません。問題なのは、市場経済というのは質と価格による競争ということでございますから、そういう点で、競争そのものを否定してはいないということだけをお話しさせていただきます。  もう一つは、私どもが既に二〇一五年あるいは二〇一六年、つまりグランドデザインを実を言うと公表いたしております。つまり、改革論議の先に何が見えるのか。つまり、ビジョンといいますかね、これがなければ、私は、国民の方々に説明責任を果たすことはできないんだろうと。改革、改革という議論があっても、その先にどんな姿があるのかということを見せなきゃならない。  その中で、私どもが推計しておりますのは、二〇一五年においては、少しの負担増はあったとしましても、医療保険財源としては十分やっていけるだろうという、実を言うとトータルの推計値を出しております。これは、現在の枠組みを大幅に変えることなくといいますか、財源構成を少し手直しするという形で二〇一五年、一六年は大体五十六兆、これは国民医療費、介護費合わせてでございますけれども、その範囲内でやっていけるんだろう、そういう推計値を出しております。

竹下亘自由民主党

○竹下委員 ありがとうございます。  確かに、おっしゃるように、医療の質の競争というのは、これからまさに日本の場合、最先端医療も含めてどんどんやっていっていただきたい。ただし、価格の競争で国民医療の質がおかしくなるということだけは、ぜひとも我々も一緒になって防いでいかなければならないことだと思っておるところでございます。  そして、欧米の諸国に比べまして、GNP比で見ますと、国民の医療費の負担というのは日本の場合は比較的低い水準にあるということが確かに今のところは言えます。しかも、その中で平均寿命、ずば抜けて世界一という健康社会あるいは長寿社会を日本がつくり上げておる。これは、国民皆保険制度に基づく少なくともこれまでの日本の医療システムは、世界の中では一番うまくいっていたということは言えるんではないかな。しかし、まだまだ改革をしなければならない余地はあるなということは感じておるところでございます。  ただ、その場合、いろいろ失敗をしておる、あるいはもがいておる諸外国の例に引っ張られるよりも、むしろ、日本独自の道、あるいは日本人の歴史観なり精神構造なりに合った医療制度の改革というのを進めていかなければならない。その原則にあるのが国民皆保険制度であり、まさに保険証を一枚持っていれば、どこへ行っても、どこでも診療を受けることができるというシステムでないかなと思うわけでございます。しかし、残念ながら、特に今回の政管健保の財政の問題でございますが、大変厳しい状況に陥っておることは委員の皆さん方も御承知のとおりでございます。  そこで、連合の村上さんにお話をお伺いいたしますが、抜本改革するまでは、三割負担、保険料の引き上げも含めて、国民負担を求めるべきではない、反対だ、こうおっしゃっておりました。感情の上でそれはわからぬわけではございませんが、では、その間どうやってつなぐんだ。単に税金、税金というのは国民の負担なんです、税金は天から降ってくるものじゃないんです。そこも含めて、どうすればいいのか。反対だというなら、どうすればいいのかということも含めてお話を伺えたらと思います。よろしくお願いをいたします。

村上忠行日本労働組合総連合会副事務局長

○村上参考人 お答え申し上げます。  私どもは、三割負担と財政の関係というのは、ある意味でそんなに難しい問題じゃないと。  今、本則一六・四%の国庫負担率が一三%しか九二年以降払えていないんです。これを戻すことによって一千億近い金が出てまいります。さらに、政管健保で持っております社会保険病院、地域医療として必要ならば、それはそれで私は置いていったらいいと思うんですが、そこに年間三百億円を超える、ある意味で財政的には非常に厳しい政管健保が施設費を出している。必要ならば、ほかの公益的な病院と同じように、JAさんがお持ちになっております厚生連、こういうところもちゃんと国の補助が入っているわけですね、そういう形で維持されればよろしいのではないか。  そのほか、先ほど、患者の、市民の立場で言われました、いろいろな架空請求等々をなくしていく、さらには過剰な検査、それからさらには、非常に医療の進歩が激しいものですから高額の医療機械がやたら入って、これはアメリカ以上の比率で実は高額医療機械が入っている。これを有効的に使っていくことなど、幾らでも節減の努力はできると私は思っている。  別に、もう改革すべき課題は大体わかっているわけですから、やる気があれば、私は一年以内に結論は出せると思うんですね。そうすれば、その抜本改革と効率化と、我々はそこで足りない部分は、我々だって一円も出さないとは言っていないわけです。そういう順序を私は申し上げている。  特に、九七年のときに一割から二割にしましたし、保険料アップもやられました。そのときの約束が守られないまま今日まで来ている。さらに、介護保険制度導入のときもトータル負担増はありませんというお話でございました。ところが、それもトータルで丸々負担増になったわけです。お約束の二〇〇〇年度改正のときに、当時の厚生労働省は、できないものはできないんだということで、国民健康保険法の附則まで破って改革を先送りしたわけでございますから、我々としては、改革してくれなければとても信用できないじゃないですかと。また、しなければ、結局どんな医療保険制度ももたない、皆保険制度と言われてもこれはもたせようがないわけですから、そこをやはりお考えをいただければと思います。  以上です。

竹下亘自由民主党

○竹下委員 おっしゃる点は理解できる点も多々ございます。社会保険病院のあり方等々、いろいろな理解できる点はあるわけでございますが、特に、高齢者の医療制度をどうするかといったような問題。  私も、この委員会に所属をしておりまして、これまでも、いろいろな方の意見を聞いたり、委員会で真剣に議論をしてまいりました。しかし、なかなか、議論が煮詰まるどころか闘いになっていったり、あるいはそれぞれの立場での主張だけが目立つような状況になっていったり、医療保険制度をめぐる議論というのは今日までかなり真剣にやってきたつもりでございますが、先ほど参考人は、やろうと思えばできる、こうおっしゃいましたが、かなり真剣に議論して、みんな相当努力してきて、なおかつ議論がこんがらがったまま、残念ながらそういう状況にまだあるというのが私は実態ではないかなと感じておるような次第でございます。  しかし、おっしゃいますように、いろいろな改革を通じ、そして将来の姿を示すことによって国民の不安を解消していく、政治の方向としてはこの道をどうしても通っていかなければならない。苦しいけれども、厳しいけれども、この道を通ることによって、日本という世界に冠たる健康国家、長寿国家をさらにさらにすばらしいものにしていくような努力をしていかなければならないなと改めて感じておるようなところでございます。  もう時間も大分たってまいりました。それでは、室生さんにちょっとお伺いをいたします。  将来の考え方なんですが、お話を聞いておりますと、どちらかというと、税の負担をどんどん高めろというふうに伺えたんですが、そこは私の受け取り方が間違っておったのかな。あるいは、私が最初申し上げましたように、税といえどもまさに国民が負担しておるものでありまして、私は、国民皆保険制度、しかも保険料を負担する、そして受益者である患者が一部負担をする、その三割についての議論はまた一方であると思いますが、一部負担をするというこの健康保険法の、日本の制度の考え方は私は正しいと思うんですが、平均寿命世界一を達成しておるこの日本の医療制度に対しまして、財政負担のあり方についての考え方をもう一度お伺いさせていただけますか。

室生昇全国保険医団体連合会会長

○室生参考人 まず、税金というものはだれのためにあるべきかということでありますが、税金というものは、やはり日本の国が安全で、安心な生活ができるというために国民の皆さんに納めていただいて、それを国民の皆さんにいろいろな形で還元するというものだと私は思っております。  先ほども触れましたが、いわゆる国民の生活といいますと、それは主として、財政面でいいますと社会保障費という形であらわれてくるわけですけれども、それが、世界の先進諸国の中で還元が四一%というのは、いかに見ても非常に寂しいというふうに私は思っております。  それで、確かに、健康保険組合が赤字であるとか老人医療が大変であるというのは現実でありますが、今までの経過を見てみますと、例えば老人医療への国庫負担が四五%から三五%に削減されております。それから、国民健康保険に対しても四五%から三八・五%にかつて引き下げられた。あるいは、政府管掌の健康保険に対してもかつては一六・数%国庫支出しておりましたのが一二%に減った。こういうように、国の、このような国民の健康を保持するために必要な国庫負担をどんどん減らしてきておる。  では、日本がそれほど貧乏なのかといえば、決してそうじゃございませんで、お金があるところにはたまっておるというのが現実だろうというふうに私は思いますし、また、日本が大変な赤字を抱えておるといいますが、これが決して、社会保障を過剰にやったということによって起こった赤字ではない。むだな公共投資によって起こった赤字を国民が背負わされておるというのが原因でございますので、そういう意味で、社会保障への予算配分というものをもっと大きくする中で今のいろいろな諸問題は解決していく、私はそういう認識でございます。  以上であります。

竹下亘自由民主党

○竹下委員 むだな公共投資とおっしゃいましたが、そこは非常に認識が違うと私は思っております。  以上で終わります。

森英介自由民主党

○森委員長 次に、鍵田節哉君。

鍵田節哉民主党・無所属クラブ

○鍵田委員 民主党の鍵田でございます。  本日は、参考人の皆さんには大変貴重な御意見をちょうだいいたしまして、これからの審議に生かしていきたいというふうに思っておる次第でございます。  参考人の皆さんのお話しになられた内容につきましては、私たち民主党が今日までこの委員会の中で主張してまいりました内容につきまして、おおむね同じ方向を向いてお考えをいただいているんだなというふうに受けとめさせていただきました。  ただ、実は私、青柳副会長のお話をお聞きしておりまして、私たちと全く同じ視点で御議論をされておられるので、反対の立場で御意見を述べられているのかなと思わず錯覚をしたのか、そのとおりなのかというふうに一度お伺いをしたいな、こう思っておるのです。  本当に私たちが懸念をしておりましたように、何か本来の医療制度のあり方とか負担の問題が与えます、いわゆる患者でありますとかそれから被保険者の負担のあり方、これの影響が、今日の経済にも、また保険制度にも大きな影響を与える、こういう懸念を表明されましたし、今日までもいろいろな改革についての文書が出されておるけれども、それは単なる絵にかいたもちになっておって、全く実効が上がっておらないというふうなこともおっしゃられました。全く私もそのとおりであると思っておりますし、そういう方向で議論をさせていただいてまいりました。  先ほどもちょっと村上参考人がおっしゃいましたように、今回のこの法案の審議の中で、負担が多過ぎるとか負担がけしからぬとかという議論はほとんど出ておりません。要は、今まで何回も改革、改革という言葉だけを発しながら、全く今まで中身が見えてこない。そして、五年間も放置をされてきて、ここに至って、それじゃ改革の方針が明確になったのかといいますと、それらについては先送りしながら、また負担増だけを提案されておる。こういうことに我々はやはり懸念を表明してきたところでございます。  そういうことを考えてまいりますと、どうも医師会の考えておられることとそれから私たちが今日まで審議をしてきた方向と全く同じでございまして、医師会の皆さんもその他の保険者の皆さんも同じでありますが、どうも性善説に立っておられるのではないか。今回提案されたのだからやむを得ない、しかし早急に改革をしてほしいということをおっしゃっているように思うのですけれども、やはり私は、まだ若干の余裕があるのではなかろうか、それから、改革をまず先にやって、それから負担の問題について、その改革の内容によって負担のあり方を考えていこう、その方がやはり国民の皆さんの理解を得やすいというふうに、青柳副会長の御意見のように受け取ったわけでございますけれども、その辺につきまして、ひとつ御意見を伺いたいと思います。

青柳俊日本医師会副会長

○青柳参考人 簡単にお答えをさせていただきます。  私ども日本医師会は、臨床の現場といいますか、患者さんを直接診る現場からの意見というのはたくさん入ってまいります。これは、実際に医療を担当する者、あるいは医療機関を受診される患者さんである、あるいは患者さんの家族、そういうところからのいろいろな御意見というのは、当然のことながらこういう委員会に正確に伝えなければならない、そういう役割を私ども担っているわけであります。したがいまして、今回、きょうの私の意見陳述の中には、ネガティブな部分を少し強調した部分は確かにございます。  しかし、今回の法案の中で、従来から、社会保険としての保険料政策に立ち戻るべきだという主張をいたしております。これは、一つのあらわれとしては、総報酬制という形で保険料を徴収しようという提案がございます。これについては私どもはむしろ賛成でございます。  したがいまして、是は是、否は否、きょうの陳述の中身は、どちらかというと、臨床の現場から寄せられている意見をもとに、法案の中で、私どもとしてはできれば修正していただきたい、あるいは否定していただきたい、そういう部分を強調させていただいたということでございます。

鍵田節哉民主党・無所属クラブ

○鍵田委員 ありがとうございます。  実は私も、法案の審議につきまして、先ほどの竹下委員の方から、全く平行線でというふうな御意見でございましたが、決して私はそうではなしに、お互いに、これは国民のための医療制度、医療保険制度でもあるというふうにも思いますから、そういう意味では、お互いの立場を離れて、そして、何が国民のためになるのかということを真剣に考える場としてこの委員会での審議をしてきたつもりでございますが、残念ながら、今日の段階でそうなっておらないわけでございます。  そこで、健保連の方の下村副会長さんにお伺いをいたしたいと思いますが、先ほども、健康保険組合が老健の負担などによりまして大変財政が苦しい、そして解散する組合も多くなってきておる、こういうふうな実情についてのお話がございました。そういう意味では、保険者の立場から、今回の改正案について早急にひとつ成立をさせてほしいというような御意見があったのですが、しかし、多くの懸念を表明されたわけでございまして、今回の改正がこのままで国会を通過することが本当に保険者としての責務を果たせる、そういう法案になっておるというふうにお考えになっているのかどうか、その点についてお聞きをしたいと思います。

下村健健康保険組合連合会副会長

○下村参考人 私どもとしては、今回の法案については、確かに問題があると思っております。  それは、七割給付を一方で導入しながら、拠出金の方は手をつけないという形になっているということで、したがって、引き続き改革をぜひやっていただきたい。現在の苦しい状況からいえば、今回の改革をやって、それを将来の改革につなげていくというのが可能性のある唯一の選択ではなかろうかというふうに私どもとしては考えたということでございます。現在のまま放置されるということは、先ほど申し上げたような状況をなおさら悪化させることになるんじゃないかというふうに考えて、私どもとしてはそういう方針をとっているということでございまして、今回の法案だけですべて足りているということは全く考えておりません。  七割の問題については、患者負担の問題につきましては、七割給付あるいは三割負担と言われているような問題につきましては、いずれ避けがたいことではないかというふうに考える者が比較的多いわけです。私どもの中で議論をしますと、将来の改革の中でそういった給付水準にしていくということは避けがたいことかもしれないと。したがって、そういう点もあるんだけれども、しかし、全体の中でのその位置づけがはっきりしないままで、そこの部分だけ取り上げている、そこが問題だと思うんですけれども、したがって、後の構図をはっきりさせてほしいといういわば条件があるといえば、そういうことになるわけですけれども、そう考えております。  それから、患者負担の問題につきまして、私どもは、高齢者の負担については、これは払う方も全く同じような面があるわけですけれども、高齢者の方も、年金の問題が一方にあって、介護の負担の問題、保険料の問題があって、それから老人医療の問題があるわけですから、それはいずれも一人の老人が、その生活がどうなっていくかということですから、その三者の問題をあわせて考える必要がある。医療費の負担だけではないので、一方で手にする年金というものもあるし、介護の問題もある、こういう格好でございます。  それから、負担をする現役側にいたしましても、介護の負担もあれば、老人医療の負担もあれば、年金の負担もやっている、こういう格好ですから、三つあわせて本当は解決されるべき問題ではなかろうか。  そういう意味では、老人の一割とか現役の三割というふうな負担の問題は、いずれもそれだけ切り離して論ずることはできないんですけれども、現在の厳しい状況からすればこれはいずれは避けることができないというふうな考え方もありまして、私どもとしては、それを含めて、早く成立させていただいた方がいいんじゃないだろうかというふうに思っている、こんなことでございます。

鍵田節哉民主党・無所属クラブ

○鍵田委員 いずれ負担をしなくてはならないであろうということにつきましては、私も、いろいろな角度から検討し、そして改革をした結果としてなおかつ負担をしなくてはならないということにつきましては、これはみんなが納得ずくでやることでありますからいいと思うわけですけれども、平成九年のときに、不況から若干立ち直りかけたときに、この医療保険の負担、患者負担、さらに税金の制度の問題もありました。そういうことで患者に負担を強いたために、大変な不況になって、それが今日も、今なお日本の経済がなかなか立ち直れないという要因になっておるわけでございます。  そういう意味では、今回、抜本改革というものが全く手つかず、若干は小さいところでの改革はされてきたかもわかりませんが、本当の抜本的改革というふうなものはほとんどなされないままで今回負担がある。だから、財政状況から見たらやむを得ないということでは国民の皆さんは納得しないと思いますし、これがまた不況につながっていくんではなかろうかというふうにも思います。  時間も余りございません。あと、できれば青柳参考人も下村参考人からも村上参考人からも、それらにつきましてどのようなお考えを持っておられるのかお聞きをして、質問を終わりたいと思います。

青柳俊日本医師会副会長

○青柳参考人 私は正確に御質問内容をキャッチしたかどうかわかりませんけれども、私どもも数年前から改革の議論というのは進めてまいりました。  もちろん、いろいろの事情があるんだろうと思います。ただ、一つだけ申し上げたいのは、二年前には、高齢者医療制度の創設に関しては、それぞれの団体との話し合いの中で、相当いいレベルまで実を言うと調整が進んだという記憶を私は持っております。ところが、昨年一年間、全く違うところから数々の鉄砲玉が飛んでまいりまして、その改革論議が一年間全く空白のまま過ごされてしまった、そういう反省を私自身もいたしております。  したがいまして、私どもで、本筋は高齢者医療制度をどうつくっていくかというところに焦点を当てて、それを一つは打開策にして早急に改革の道を進めるべきだ、私はそういうふうに今考えております。

下村健健康保険組合連合会副会長

○下村参考人 先ほど、今回の問題で一番問題と感じていることはとおっしゃいましたけれども、それについて言えば、拠出金の負担を何とか少し軽減することはできないだろうかというのが私どもとしての一番の悩みでございます。その点を何とかしたい。  全体としての改革については、先ほど申し上げたところに尽きておりますけれども、やはり高齢者の問題というのはそういった総合的な角度が必要ではないだろうかというふうに思っているということをつけ加えさせていただきます。

村上忠行日本労働組合総連合会副事務局長

○村上参考人 私は、日本の場合、社会保障制度というのが何か財政主義で来過ぎているのではないか。やはり、社会保障って何なのということをきちっと理念を立てて、そこから社会保障制度の役割をきちっと決めていく、その中で社会的な分配を決めていく、こういう順番にしなきゃいかぬのが、どうも、経済成長の中で余力ができたから社会保障をつくってきた、そのツケが実は来てしまっている。  そこを、これからの高齢化社会の中で社会保障制度をどう再構築していくのか、ここが一番問われているんだろうと思うのです。その高齢化社会の中で一つの大きな柱が医療制度だ、ここを我々として、やはり社会保障制度に足る制度でなければ意味がない。  よくいろいろなところで話があるのですが、アメリカの例が出たりフランスの例が出たりするのです。アメリカは私的保険でやっている、フランスは社会保険だ。日本は社会保険でありますけれども、いわゆるそれに税が入っている日本独自のシステムです。  私は、この独自のシステムはいいと思っています。ただ、その場合に、税金が入るというのは、社会への再分配として税金が入っているんだと私は思いますから、ここがどうも手薄になる一方では、三者でのバランスというのはとれないだろう。  小泉総理が三方一両損とおっしゃいますけれども、あの三方の二方は私ども働く者ですね。被保険者で患者の立場です。一方はお医者さんかもしれません。政府はどこへ行ったのですか。今の社会保険制度というのは、その三者で成っている。そこがきちっと再構築されない、そこが一番私はおかしいと思っていますから、そういう中で、抜本改革を我々の納得のいく形でやっていただいて、なおかつそれで負担がふえるとすれば、私どもも検討するにやぶさかでない、こういうことでございます。

鍵田節哉民主党・無所属クラブ

○鍵田委員 ありがとうございました。

森英介自由民主党

○森委員長 次に、福島豊君。

福島豊公明党

○福島委員 参考人の皆様には、本日は、大変貴重な御意見をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございます。  改革、改革ということが言われるわけでございますが、医療制度の改革というのは二つあると私は思っています。一つは、現在三十一兆円の医療費、これを、できればその伸びというものを経済に見合ったようなものに緩和できないかという観点が一つ。もう一つは、どちらにしてもお金がかかるわけですから、それをどういうぐあいにみんなで負担をし合おうかという話だ。  ですから、何か、改革をすると負担がなくなるというような話をする方がおりますけれども、そういうことは大変国民の誤解を招く話だと私は思います。  そして、負担の仕方ということについて言えば、保険料か、窓口の負担か、税金か、この三つしかないわけです。どこかに政府という便利なものがあって、そこがお金を出してくれるというような話もないわけです。そこのところは冷静に私どもは考えた方がいい。  三割負担の問題、これは最後まで与党の中で大変な議論になりました。せんじ詰めて言うと、政管健保の財政ということと関連をして、保険料の引き上げをとるのか、それとも窓口での三割負担をお願いするのか、ここのところに収れんをしたんだと思います。  ただしかし、窓口負担をふやせば、患者さんの受診というものに対してブレーキがかかる。病気が余計悪くなるのではないか、病気になったときこそ負担というものは軽減されるべきだという意見が一つある。一方では、いや、そうではなくて、日本の経済状況がこういう状況の中で、賃金水準も下がっている、余りに保険料というものをふやすわけにいかないじゃないかと。  今までの改革の中でも、平成九年の改革は日本の経済に大変大きな負担を与えた。これも、一体何が与えたのかということはよくよく検証しなければいけないわけですが、この両論というのは両方とも私はやはり正しいのだろう、どちらか一方にはなかなか決めにくい話もあるんだろうと思います。  ただ、ここのところがある意味で一つの核心でございますので、参考人の先生方に、青柳参考人、そしてまた下村参考人、村上参考人にお尋ねをいたしたいと思います。

青柳俊日本医師会副会長

○青柳参考人 お答えをさせていただきます。  まず最初に、福島先生が述べられた三十一兆円という国民医療費、このレベルをどう評価するか。もうこれ以上高いレベルはだめよと言うのか、あるいは、そうじゃなくて、医療のアウトカムも含めて考えて、このレベルがまだ低いのかどうかという、そこら辺に一つは議論が……(福島委員「それは後でお聞きします」と呼ぶ)  それからもう一つは、医療費財源の負担割合、公費、保険料と窓口負担、そういう切り口がございます。先ほど、どなたかの議員さんがおっしゃったように、受益者負担という言葉がございます。私どもは、病気になりたくてなった人がその恩恵を受けるというふうには考えておりませんで、むしろ受難者負担、そういう位置づけで窓口負担を考えております。  したがいまして、そういう考えからいきますと、先ほど私申し上げましたように、本来の保険料政策に立ち戻るべきだ、それによってリスクを分散する、その上で受難者の方々が必要なときに医療が受けられるように、そういう基本的な考えに立って物事を整理していきたい、そのように私は考えております。

下村健健康保険組合連合会副会長

○下村参考人 おっしゃるように、患者負担と保険料とは見合いの問題だというふうに思っております。  平成九年のときに、先ほどお話が出ましたけれども、九兆円の国民負担増と言われて、うち二兆が医療保険による負担増だ、こんな話が出たわけであります。しかし、反面からいえば、二兆患者負担がふえた反面で、恐らくは二兆保険料負担の増がとどまったとか、何かそういうふうな効果があったはずで、医療保険の問題を議論する場合には、そっちの方との、恐らく二兆円の負担増だけではなくて保険料の負担軽減が起こったということもあわせて評価されるべきではなかったのかなと私はあのとき思ったのです。  ただいまの問題につきましても、保険料、税、患者負担、それぞれあるんですけれども、恐らく、やり方によって、それぞれに多少経済効果が違うんだと思うんですね。その辺は十分考えてみる必要があるのではなかろうか、私どもまだそこまで十分勉強できておりませんけれども、そのような感じがいたしております。今回の七割についても、保険料の問題と裏腹になっているという御指摘は全くそのとおりであるというふうに私どもも認識いたしております。  それから、医療費の問題がもう一つあるわけですけれども、医療費については、私どもは、現在の出来高払いの診療報酬制度のもとでは、なかなか高いか安いかという比較はできないわけです。現状は、医療機関ごとのレセプト一件当たりの単価で高い安いなんていうようなことを簡単に言ったりするんですけれども、実は、その一件の請求書に書かれている患者の病気の内容、したがって医療の内容が違うわけですから、単純なそういう比較だけで、あの医療機関は高い、この医療機関は安いというふうなことは比較ができるはずはないと思っております。  したがって、現在私どもが努力しているのは、疾病別の診療報酬体系に変えることはできないだろうかということで、患者の方も恐らく、そうなればもっとこの病気について、この病気のこのぐらいの重さであれば幾らということがわかりやすくなるので、診療報酬の高低とかいうふうなものが判断ができやすくなるだろう。そういうデータがそろえば、できやすくなるんではないか。その上で、中身が十分なものが含まれているかどうかというふうなことを見ていけば、医療の内容がもっとわかりやすくなっていくだろう。そういう過程を通じて、医療費そのもののむだな部分を排除していくことができるんじゃなかろうか。むだの議論、なかなか難しいんですけれども、非効率の部分は排除できるんではなかろうか、こんなふうに思っております。

村上忠行日本労働組合総連合会副事務局長

○村上参考人 お答え申し上げます。  余り保険料を上げるわけにはいかないとおっしゃいましたが、今回の約一割に及ぶ保険料アップというのは、我が保険のもとでは初めての大幅アップでございます。ここまで上げて、余り保険料を上げるわけにはいかないとおっしゃられると、私どもはどう考えていいのかわからないということを申し上げたい。  それから、改革すればすべてが下がると思っていません。やはり上がるものもあれば下がるものもあるだろう。ただ、先ほど下村さんがおっしゃったように、今の出来高払い制のもとでは、非常に問題が多過ぎる。私なんかは、EBMというのは早急に整えていって、日本の場合は、私は聞いた話ですから現場は見ていませんけれども、大学ごとに物事の、医療に対する、治療に対する考え方は違って、余りにばらばら過ぎる。だから、標準的な医療というものをやはり早期に整えなきゃいかぬ。そういう中で、包括定額化ということをしていく、そして技術料をちゃんとつけていく。どんなお医者さんでも同じというのは、私はおかしいと思っています。技術の高い人にはやはり高いものをつけていく、そういう姿が正しいんだろうと思っています。  もう一つは税との関係なんです。税との関係でいいますと、私どもの調査によりますと、先進国の中では、政府支出に占める社会保障費の割合というのは、日本が圧倒的に低いんです。アメリカよりも低いんですね。アメリカは私的保険でございますけれども、アメリカの政府支出に占める社会保障費の割合というのは日本より相当高い。だから、そういう中で、日本がこの高齢化社会の中で社会への再分配というものをどうしながらやっていくのか。  今の財政構造をそのまま固定化してしまえば福島先生がおっしゃるようなお話になるんでしょうと思いますが、私は、やはり財政構造を変えなきゃいかぬ、高齢化社会にふさわしいように財政構造を変えなきゃいかぬ、これが実はやられてこなかった、ここが最大の問題だと思っております。  やはり我々の懐は一つでございます。一生懸命働いて、懐は一つなんです。懐が二つも三つもあれば、出すところは幾らでもあるんです。我々、働いて、一生懸命家族を養い、なおかつ社会の維持発展のために税や社会保険料を払ってきているわけです。そこで、我々だけがすべて懐から出せと言われたときに、どうなっていくんでしょうか。  やはり、税の話でいけば、財政構造をきちっと高齢社会型に変えていく、この意思が求められているんだろうと思うんですよ。だから、そういう意味で、小泉総理が何か三割が抜本改革のあかしで、改革のあかしだと言われたりしている。それは私は到底納得できない。やはり、やるべきことは高齢社会対応型の財政構造に変えるということだけ私は申し上げておきたいと思います。  以上です。

福島豊公明党

○福島委員 医療費の問題については後ほどというふうに申しましたが、お答えいただきまして、青柳参考人には再度ちょっとお聞きをしたいと思っております。  今の御発言に一言私は申し上げたいんですが、健全な財政でしたらそういうことは言えると思うんです。毎年毎年三十兆円を超える借金をしなければ予算が組めない、そういう国の話ではないと私は思っています。  ですから、今後この財政のあり方をどう変えていくのか。その中で、おのずと社会保障にかかわる費用のシェアというのは伸びていくと思います。それは、その財政の、今の極めて赤字体質の財政から転換をしていく中で、おのずと変えていく、そういう時間感覚のものではないかなというふうに私は思っているわけです。  そして、先ほど、医療費の問題、下村参考人また村上参考人にるる御指摘をいただきました。いろいろな委員が今までも指摘しておりますけれども、決して日本の医療費というのは高いものではない、GDPに占める比率というのは決して高くないという指摘が一方ではございます。ただ、その中で、やはり効率化をしなければいけない部分もあるだろうという指摘も多々あります。診療報酬のあり方というものも見直していかなければいけない。それは、それぞれにいろいろな取り組みがなされてきたということであろうというふうに思っております。  今回の法案の検討の中で、伸び率管理という話もありました。私は、これは極めて乱暴な話だなというふうに、当初から一貫して主張してまいりました。またしても財政制度審議会では、この伸び率の適正化、これを強力にやらなきゃいけないというようなことを申しておりますけれども、確かに医療費というのはそれで抑えられるんでしょうが、しかしながら大変な副作用を医療の現場にもたらすんだろうと私は思っています。ですから、そこのところはよくよく考えていただかなければいけないと私は思っています。  この医療費の問題について、先ほど青柳参考人には後ほどというふうに申しましたけれども、医療費の水準というのは本来いかにあるべきかということについての医師会としての考え方、そしてまた、伸び率管理というものについて、医師会も反対をずっとされてまいりましたけれども、なぜこの制度に問題があるのかということについてお考えをお聞きしたいと思います。

青柳俊日本医師会副会長

○青柳参考人 二つの論点でお答えをさせていただきます。  国民医療費水準というお話でございまして、なかなか日本だけで水準をぴたっと言い当てるというのは難しゅうございます。したがいまして、当然他国、特に先進諸国との相対比較ということに私はなるんだろうと。OECDのデータというものを参考にしますと、非常にまだ日本の国民医療費自体、これはプラスアルファといいますか、自由診療等々分を含めた数値でございますけれども、まだまだ低い。換算しますと、現在も大体十兆円ぐらいは規模としては低い、そういう比較データがございます。  もちろん、高ければいいというものではございませんで、やはりそれに伴う医療の効率性あるいはその国の健康水準等々が立派な数値を上げなければ、高ければいいという話にはならないのでありますけれども、WHOの数値を見ましても、ほぼトップの位置ということで評価をされているわけであります。  したがいまして、私どもは、この両面からいっても、何とか今の水準をさらに少しプラスしていかなければ問題が起こる可能性があるんじゃないかと。もちろん、現在の国民皆保険制度、それからアクセスのよさ、公平性がある、あるいは平等性がある、そういう、日本に非常に本来世界に類を見ないような仕組みがございますから、これをどう維持するかということも私は非常に大事な点だ、そのように思っております。  もう一つは、乱暴な話と言われました伸び率管理の話でございます。  これは、いろいろな視点から私どもとしては反論を続けてまいりました。幸いといいますか、私どもの主張といいますか問題意識を皆さんお持ちいただいて、法律の中には書き込まれなかったということに対しては、私ども非常に評価をさせていただきたい。  この問題については幾つか論点がございます。特に、今回、昨年末に提案された中には、二年後に罰則をかけますよ、ペナルティーをかけますよというところが、非常に私どもは大きな問題として異議を唱えたといういきさつがございます。その辺については、私どもとしては、結果論でありますけれども評価をさせていただきたいと思います。

福島豊公明党

○福島委員 ありがとうございました。

森英介自由民主党

○森委員長 次に、佐藤公治君。

佐藤公治自由党

○佐藤(公)委員 自由党の佐藤公治でございます。本日は、参考人の皆さん方には、お忙しい中、当委員会に来ていただきましたことを心より感謝を申し上げたいと思います。また、私もふなれなもので、失礼がございましたらお許しを願えたらありがたいと思います。  私、十五分という持ち時間、参考人の皆さん方に個々に聞くことというのができない少ない時間でございます。ちょっと皆さん方のお話を聞かせていただきまして、ちょうど松尾市長と村上さんのところで一つの軸があるのかなと。こちらが賛成派、こちらが反対派というふうに私は見える部分がございました。  今回のこの改正案というもの、お話を聞く限り、推し進めるべき、通すべきというお話もいただきました。また、反対すべきというお話も聞きましたが、私、もう一度だけ確認をさせていただきたいと思います。効率よくさせていただきますので、失礼があったらお許し願えたらありがたいんですが。  賛成か反対か、これは私たちも先々採決をして決めていくことにもなりますけれども、賛成、反対、絶対賛成だと思う方、これ。次は、賛成だけれどもしかしいろいろと問題点がある、しかもとりあえず今回は通しておくべきだろうという賛成。もう一つは、やはりそれと同じような反対な気持ち、今はすべきじゃない、しかしこれは先々いろいろと考えていくべきだ。絶対に今回に関してはこれは反対だ。四つの選択肢があったとします。これで皆さん方の確認だけをもう一回させていただければありがたいと思いますけれども。  絶対今回これを押し通すべきだというふうに思われる方、手を挙げてみていただけますでしょうか。——いらっしゃいませんか。  では、とりあえず、問題はいろいろとある、しかし、これは何とか今回は通しておかなきゃいけないとお思いになる方、手を挙げていただけますでしょうか。——ありがとうございました。  いろいろと、今回はこれは通すべきじゃない、しかし、先々いろいろなことがあるが、とりあえず今回は通すべきじゃないという感覚を持たれている方。——わかりました。  絶対これは阻止すべき、これは反対すべきじゃないかというふうに思われる方、手を挙げてみてください。——ありがとうございます。  これで基本的な価値観のすり合わせができたと思います。(発言する者あり)同数でございますので、これはやはり議論を続けていかなきゃいけないのかなと思いますけれども。  ところで、最初にお聞きしたいのは、青柳副会長。副会長にお伺いしたいんですけれども、どうも、私の周り、いろいろなところでもヒアリングをして、医師会の皆さん方、いろいろな意見を聞かせていただきました。どうしても、私は、医師会の方々とお会いすると、今回の改正に関しては反対をするような意見が多く聞こえてきます。  きょう、副会長は、医師会という団体の幹部ということで来られていると思いますけれども、私が歩いてお医者さん、医師会の方々とお話しする中、本音と建前ということがあるのかもしれません、しかし、今回は反対を希望する、表明をしている、もしくは、今回の改正というのはすべきではないという意見が多くあると思うんですが、どうも、医師会の最終決定と会員の皆さん方のお気持ち、会員の方がもしかしたら反対意見の方が多いようにも思えるんですけれども、その辺が私自身よくわかりません。そこら辺を簡単に、端的に御説明を願えればありがたいと思いますが、いかがでしょうか。

青柳俊日本医師会副会長

○青柳参考人 まず第一に、ゼロサムゲームの手を挙げさせられまして、私は戸惑っております。  先ほど申し上げましたように、是は是、非は非、ただ、先生がおっしゃるように、基本的なスタンスとして反対される会員も中にはございます。私ども、今十五万を超える医師会員を抱えております。したがいまして、いろいろな御意見をお持ちになるんだろうと、それはおっしゃるとおりでございます。  ただ、私ども日本医師会として、昨年来いろいろ検討を重ねてまいりました。したがいまして、きょう陳述した中には、できればこれは修正してほしい、あるいはそれに対する特別な考え方を仕組んでほしいという要望はさせていただきました。  しかし、基本的なスタンスは、先ほど申し上げましたように、問題はあるんだけれどもこの法律は成立させるべきだろうという、そこで私は手を挙げさせていただいたということでございます。先ほど、陳述の中に問題点は指摘してございますので、後でお読みいただければと思います。

佐藤公治自由党

○佐藤(公)委員 私が思うことは、この厚生労働委員会でこの健保法の議論をしている中で、細かいことの前提、その前の段階で九七年の改正時、抜本改革をやるやる、だからとりあえず二割上げさせてくれ、こういうことで話が進んで、とりあえず通った。また同じようなことで、その約束を守っていただけない、それもせずして、またこの次はお金が足りなくなったから三割にさせてくれと。これは余りにも虫のいい話ではないか。こういう筋論の話。まずやるのであれば、やはり抜本改革をきちんと提示し、そして進めるべき。そこが、私は、細かいところに入る前の議論として今一生懸命話し合っていることが一点。  そして、私たちは、先ほどから青写真とか将来のビジョンというお話をされておりますけれども、小泉内閣そしてこの社会保障制度、国のあるべき姿に青写真、ビジョンというものがよくわからない、見えない、こういうような思いがあります。今回通されるというふうにお三名方おっしゃられましたけれども、やはり改革という名に私はふさわしくないと思いますけれども、改革をしていくのであれば、将来がどんなビジョンであり、日本をつくり、そして社会保障制度をつくっていくのか、これが今の内閣、そして総理に私がきちんとあるようには見えないんです。  青柳副会長、申しわけございません、集中して質問させていただきますけれども、もしも青柳副会長が、今回通すべきだというふうにおっしゃられたんですけれども、果たして小泉総理と今の内閣に今後の日本のあるべき姿、青写真、ビジョン、そして、社会保障制度に関しての青写真、ビジョン、医療に関しての青写真やビジョンがあるというふうにお思いでしょうか。また、私はわかっているというふうにおっしゃられるのか。副会長、いかがでしょうか。

青柳俊日本医師会副会長

○青柳参考人 私は、大げさな内容の質問にお答えできる立場にはございません。しかし、私どもは常日ごろ申し上げておりますけれども、これからの医療に関しての将来構想といいますかビジョン、デザイン、これは積極的に私どもとしては提案をしていきたい、もう既に提案しております。これをぜひこの場で、あるいは別の場でも結構でございますけれども、ビジョン、デザインとして取り上げていただきたい、そのように考えております。  できれば、これは、この厚生労働委員会だけではなくて、官邸にもぜひ我々の考え方を示していきたいな、そのように考えております。

佐藤公治自由党

○佐藤(公)委員 医師会の皆さん方のビジョンというか報告書も私どもも前にいただきました。そして、お話も聞かせていただきました。それはそれで一つのビジョンとしてあり得る、全体像、いろいろなところが、大きい小さいはあるにしても。私が聞きたいことは、そのビジョンと小泉さんが持っているビジョンというのは一緒なのかどうか、こういうことなんですね。  なぜ僕はこういうことをお話しするかというと、やはり改革という名にふさわしくないと思いますけれども、改革をするに際しては、やはり、目的とか目標とかビジョンがきちんとあった上で改革をしなくては、そういうものがなくて改革をしていったらば、結果的にでき上がったものは大変に変なものになってしまう可能性があり得る、ここをすごく心配しております。  小泉総理が持たれているビジョンや青写真、将来の日本のあるべき姿からつながった社会保障制度とか医療というものが、果たして、副会長、医師会の皆さん方の掲げているビジョンと同じようなものを持っているのか、もしくはそのすり合わせ、同じであるのであればどこが同じか、また、違うのかというのが教えていただけたらありがたいと思います。  あと、副会長、なかったらなかったで、ないと言ってください。ないで結構ですので。わからないでも結構です。

青柳俊日本医師会副会長

○青柳参考人 できれば、ひざを交えて数時間お話をした中で、ビジョンはあるかどうかというのを判断させていただきたいと私は思っております。

佐藤公治自由党

○佐藤(公)委員 数時間ひざを突き合わせてというのは、それは小泉総理とということでしょうか。

青柳俊日本医師会副会長

○青柳参考人 今のお尋ねは、私どものグランドデザイン、あるいはビジョンとどこが違うのか、あるいは小泉総理が持っているかいないかというお尋ねでございましたので、私は、もし許されるのであれば、それを確認するためにも小泉総理と数時間ひざを交えてお話をしたい、そのようにお答えをさせていただきました。

佐藤公治自由党

○佐藤(公)委員 話をしてもないと思いますので、時間のむだになってしまうというふうに私は思います。  でも、副会長、私が思いますことは、三方一両損じゃないんですけれども、どことどこがどこじゃなくて、財政破綻、将来の社会保障制度、医療というものはだれが見たって大問題になっている、これを本当に、私は、どの立場で、利害関係、既得権益というものの突っ張り合いではなくて、やはり全体が本当に抜本的に議論していかなきゃいけない部分だと思います。これは、まさに聖域なき構造改革であり、聖域なき三方、両方とも、そして政府も政治家も当然です、意識改革していかなきゃいけないものだと思います。  そういう意味で、やはり、今副会長がおっしゃられた、まさに将来のビジョンというものを、今からひざを突き合わせてこれからというのであれば、それだったらば、今回は、僕は、先送りをしてそこをきちっとやってからやはり推し進めるというのが筋なんじゃないかというふうに思います。  ただ、本当に、僕は副会長を変に攻撃するつもりできょう話をしているのではなくて、僕らの将来のために是々非々でやはり主張していただけたらありがたい。そして、会員の皆さん方も、今の状況じゃ納得できない、こういうようなお話もたくさん聞かれます。どうか、その辺を酌んでいただいて、時間は余りないとは思いますけれども、今からでも意見を変えていただければ変えていただくことをお願いしたいかと思います。  最後になりますけれども、村上副事務局長にお尋ねをさせていただきます。  先ほどのお話を聞いていて、まさに筋論、抜本改革というもののお話があったわけでございますけれども、小泉総理も、前回できなかった理由ということにおいて、政治的意思がなかった、もしくはしがらみやいろいろなものに足を引っ張られてできなかった、政権の枠組みが変わった、いろいろとあったからできなかったと言っておりますけれども、なぜ今までこの抜本改革はやはりできなかったんでしょうか。そして、これからも余りできるとも僕は思えないんですけれども、今の現状のままでいったら。なぜ抜本改革ができなかった、もしくはできない理由と言えるのか、簡単に一つ挙げられるのであればお願いしたいかと思います。

村上忠行日本労働組合総連合会副事務局長

○村上参考人 お答えいたします。  冒頭のところでも申し上げましたけれども、やはり、政府・与党にその意思が足りなかった、これに尽きると思います。やる気がなかったということだろうと思います。

佐藤公治自由党

○佐藤(公)委員 同じ質問でございます。青柳副会長、なぜやはり今までできなかったんでしょうか。私は本当に、私自身は本当に、政治家がだらしない、もっと政治家がきちっとすべきだというふうに思う部分があります。それはいろいろなしがらみ、既得権益、利害関係あるかと思います。やはり政治家、特に九〇%以上は私は与党に責任があると思いますが、どこが問題になってやはり今までできなかったのでしょうか。いかがでしょうか、副会長。

青柳俊日本医師会副会長

○青柳参考人 私どもは平成九年からいろいろ提案をさせていただき、その中でも、例えば一つの例をとりましょうか、高齢者医療制度というものについて、実をいいますと、私ども日本医師会は高齢者医療制度の創設ということに関しては基本的には利害団体でも何でもございません。ただ、問題なのは、各団体、組織が、いろいろな御意見をお持ちでございます。では、その調整をどうするかという、私は、ピリオドがあったんだと思いますけれども、その調整に関して、例えば政府・与党が積極的に取り組まなかったという面は私は否定できないんじゃないかな、そのように思っております。

佐藤公治自由党

○佐藤(公)委員 ありがとうございました。  本当に、きょうは、お忙しい中、参考人の皆さん方には時間をいただきましたことを改めて心から感謝を申し上げ、私の質問を終わります。ありがとうございました。

森英介自由民主党

○森委員長 次に、瀬古由起子君。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。  まず最初に、青柳参考人にお伺いしたいと思います。  今、青柳参考人から、この法案に対する基本的スタンスは賛成という立場をおっしゃられました。しかし、私も現場で聞かせていただきますと、実際には大変現場の先生たちは危機感を持っておられます。それは、医療機関としてもうこれでやっていけるか、そういう切実な声と同時に、患者さんにとって大変今回ひどい負担を押しつける、こういうものがあるというお声でございます。  それで、私は、今回のこの法案の中身で大変重要だと思っているのは、診療報酬の問題があると思うんですね。これは医療内容を左右するものです。改定の内容を見ますと、長期入院患者に対して社会的入院を理由に患者負担を強いる、通院できない患者への歯科の訪問診療を大幅に制限する、それから、先ほど先生も言われましたように、これは地域医療を崩壊させるんだと言われたんですが、最低手術件数を定めて診療報酬の満額給付を制限するなど、医療現場や医学的根拠を無視して、今、こういう医療のあり方が大きく変更されようとしているという問題があると思うんです。  この点は、私は、直ちに、こういうやり方、診療報酬については再改定が必要だという声がいっぱい蔓延していると思うんですけれども、先生としてはどのように、医師会としてどのようにお考えでしょうか。

青柳俊日本医師会副会長

○青柳参考人 直接的な関係はございませんけれども、少なくとも制度改正に間接的に絡む診療報酬の引き下げということで、議員御質問されたんだろうと思います。  私どももこれは中医協の中で、実を言いますと、支払い者側とそれから診療側という形で、今回診療報酬改定の中身を答申したといういきさつがございます。ただ、問題なのは、大幅な二・七%という診療報酬の引き下げという中で、どう患者さんを含めて医療機関に大きな影響が出ないかということの対応をいろいろとったわけであります。その結果としては、先ほど御指摘のとおり、幾つか非常に問題のある部分が私はあるんだろうと思っております。  これにつきましては、例えば長期療養者、百八十日以上は特定療養費化されて自己負担がふえるというお話がたしかあったと思いますが、できるだけ医療ニーズをお持ちで、なおかつ長期療養が必要な方を対象に適用を拡大する、現在厚生大臣が定める九の状態像がございますから、それに加えて、私は、拡大をして何とか問題が起きないように、患者さんにとって迷惑がかからない、患者さんにとって問題が起きないようなそういう形で物事を整理していきたい。それ以外の問題も、これは実際に問題があるという認識が成り立つんであれば、私どもとしては今後それについては意見を述べていきたい、そのように考えております。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 大いに意見を述べていただきたいというように思うんですが、同じくお医者さんの団体であります全国保険医団体連合会の室生参考人にお伺いしたいと思うんです。  今回の医療の改悪問題では、高齢者は一割負担の徹底、一定所得者は二割負担になります。外来の負担上限額は、月一万二千円、低所得でも八千円に引き上げられる。限度額を超えた場合は、一割負担の金額を一たん窓口で立てかえるという償還払いの仕組みが導入されようとしています。高齢者にとっては過酷な負担を私は余儀なくされると思うんです。  室生参考人は、地元であの有名なきんさん、ぎんさんの双子のきょうだい、とりわけ妹のぎんさんの主治医として高齢者の医療に携わっていらっしゃった経験をお持ちだと思うんですけれども、高齢者の実態についてぜひ御紹介いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

室生昇全国保険医団体連合会会長

○室生参考人 多くの高齢者の方は、ほとんど年金生活、それからまた独居生活の方もかなりおみえになります。そういう点で私ども、私、名古屋の出身でございますが、愛知県あるいは名古屋市のそういう方たちの御高齢の方のお声を聞きますと、今の、以前は高齢者、負担がなかったんですけれども、少なくとも三千円なり五千円なりの限度額、こういうものがあるために、外来も安心して、一回の医療費が八百円ないし八百五十円ということですから、千円札を持っていけば何とかなるということですが、一割負担ということになりますと、これは一体どれぐらいかかるのか全く見当がつかないという場合が多いわけですから、そういう点での不安があるということです。  実際に、私どもが、町であるいは診察室でお聞きしますと、どうなるんだ、今後、先生どのようになりますかということはよく聞きまして、実際に私が診ておった患者さんでも、一割負担ということで制限がなくなってきますと、これ以上かかれなくなる。あるいは奥さんが御主人を見てみえる七十歳から八十歳代の御高齢の方ですと、通院ならまだいいけれども、今後入院ということになれば一体どうなるんだ、そういう不安に駆られておるというお答えは聞いています。  私は、先日から東京に来ておりますが、東京荒川区の実例ですと、八十二歳の御主人、それから奥さんが七十六歳の御夫婦でございますが、夫は肺気腫を患っておられます。ベットの横には、二十四時間片時も離せない酸素濃縮装置が置かれておりまして、チューブを通じて鼻に酸素が送られておるという状況でありまして、五月分の医療費は週一回、月四回の訪問診療なので三千四百円でありますが、十月からは一割負担が徹底されるということになりますと、この場合には、その酸素濃縮装置あるいは携帯用の酸素ボンベの費用も含めて、三・三倍の月に一万二千二百二十円という負担になるということであります。  この御主人は、二年前に食道がんが見つかって大学病院で胃の全摘手術を行って、術後も月一回は大学病院にかかっておられますが、昨年の春には肺炎で入院されている。また、その年末、去年の暮れも一月間肺炎で入院されておりました。  このようなことを繰り返しておみえになるわけですが、奥さんのおっしゃるには、今のところは安定しておって、また負担も月々三千四百円ということで済んでおりますが、今後容体が悪くなるとかあるいは肺炎なんかにかかるとかいうことになったり、あるいは一割負担になって、それが、上限が上がりますし、上がった上に今度は還元給付ということになりますから、とにかく払わなければならないということになってくれば、もはや病院にはかかれない、病院には入院できないという状況に置かれるということで、非常に不安であるというふうにおっしゃっておられます。  私はぎんさんを診ておりましたが、ぎんさんは非常に元気な方で、皆さん方もテレビでごらんになったようですが、百五歳あたりからやはり年には勝てないといいますか、心不全と呼吸不全がありまして、在宅酸素療法もやっておりましたし、入院も反復されましたが、やはり、今までですと若干の負担で済んだということになりますが、ぎんさんのお宅は比較的しっかりしたお宅ですが、だけれども、お孫さんが事業をやってみえますけれども、この事業も今大変な状況に追われておりますから、必ずしも今後について今までのようにいくかどうか、これはまだわからないというふうに私は思っておりますし、介護してみえた方は、七十七歳の御高齢の五女の方が介護してみえまして、この方も介護疲れでしばしば横になるということがございまして、ショートステイを利用しておみえになりましたが、やはりショートステイなんかの費用も、これはほかの例でございますが、ぎんさんは介護度三度でございましたが、介護度五度になりますとそれだけ介護費の負担も多くなるということで、介護度が上がれば、上がってその枠は、介護の枠はふえるんですが、実際には一割負担が上がるものですから、十分利用できないということをおっしゃっておる御老人もおみえになりました。  それから、瀬古先生の時間を使って申しわけございませんが、先ほど竹下先生の御質問で、私は答えるときにむだな公共投資と申しまして、公共投資全体を否定したわけではございませんので、その辺を御理解いただきたいと思いますし、むだな公共投資といいますと、例えば私の近くの長良川の河口堰の問題あるいは諫早湾、こういう問題がございましたものですから、そのことを申し上げたわけでございます。  それから、財源問題につきましては、国費の方で十分面倒を見ていただくということでございますが、あわせて、今の薬剤の問題、これも大きいのでございまして、日本の新薬は非常に高いということでございます。我々医療担当者も、できるだけそういう点では患者さんたちの負担にならないということもあり、あるいはむだな医療費をなくすという面でも、薬剤の使い方に今後注意をしてやっていきたいと思いますし、また、保険薬の価格の設定についても、政府もきちっとした対応をしていただきたいと思います。  以上でございます。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 村上参考人にお伺いしたいと思うんですが、九七年の医療の改悪のときに負担増で二兆円ですが、わずか五年しかたっていないのにまた三割増の押しつけだということで、今国民の大きな怒りが広がっております。  そこで、今回、保険料の引き上げということで、総報酬制という形で、ボーナスにも負担がかかるということになります。そういう意味では、かなり負担増が労働者の生活、そして景気の回復にも水を差すということが考えられるんじゃないかと思うんですが、その点いかがでしょうか。

村上忠行日本労働組合総連合会副事務局長

○村上参考人 お答え申し上げます。  最初にも申し上げましたが、私どもは総報酬制の導入そのものには反対はしません。これは、ボーナスという面を考えますと、やはり中小企業の方が少なくて、大企業の方が多いんですね。そういう意味からいきますと、総収入にかけていくということは公平だと思っておりますから。そういうことで、総報酬制そのものには反対していないということでございます。  ただ、今回は、とにかく一〇%に及ぶ負担増、九七年のときは一割から二割で、保険料率は月の報酬で千分の八十二が千分の八十五、これだけ上がった。それで二兆円ですね。ところが、今回、一〇%に及ぶ保険料アップ、さらに二割から三割の負担増、それから家族の入院時の負担増もついてきます。これで厚生省試算では一兆五千億、こういう試算をしておりますが、私どもからするとその試算はちょっと信じがたいなということで、私どもなりに今独自の試算を積み重ねてきておりますけれども、最後の精査段階へ入っておりますが、五年間、平成十八年までを見てみますと、平均して二兆円を超えることは明らかであります。  私ども労働組合としても、この長期不況の中で、先ほど福島先生から財政赤字どうするんだと言われましたけれども、私ども労働者は一生懸命働いてきた。働いてきたけれども、政治や政策がおかしいからなかなか日本の経済が立ち直らない。経済が立ち直れば、財政赤字も減ることは確かなんですね。  そういう中で、私どもは、労働者は、私ども労働組合の力の至らなさもございますけれども、ここ四年、いわゆる実質賃金は減り続けております。恐らく、今度の春闘結果を見ても、五年続くことは残念ながら認めざるを得ない。そういう中でそれだけふやすということが国民経済的に本当にいいのか。また、それでなくても苦しんでいる、政管健保というのは中小企業の方々が多く入っている保険でございますから、余計に所得の低いところにいろいろな意味で負担がかかってくる。  それからさらに、先ほど来出ていますように、我々はトータルで物事を見なきゃいかぬと思っています。いわゆる老後生活を考えますと、年金と医療と介護、これの給付と負担の関係はどうあるべきか、ここをセットで見ていかないと老後生活は成り立ちませんし、また、我々現役の世代も、賃金と負担と給付、ここのところをセットでやはり見ていただかないといかぬだろう。  ところが、どうも、縦割り行政の弊害というんでしょうか、それが社会保障の部分ではございまして、医療は医療、年金は年金、介護は介護、こういうところで勝手に動いてしまう。そういうことでは私ども困るということで、トータルの姿をどうするのかということを七年も前から厚生労働省へ求めてきたんですけれども、なかなかそれが出てこない。これは残念であります。  以上です。

瀬古由起子日本共産党

○瀬古委員 時間が参りました。あと参考人の方々、きょうおいでいただいたんですが、残念ながらできないのをお許しいただきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございます。

森英介自由民主党

○森委員長 次に、阿部知子君。

阿部知子社会民主党・市民連合

○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。  参考人の皆様には、長時間大変に御苦労さまでございます。私で最後の質問ですので、よろしくお願いいたします。  私は、きょう、各参考人、非常に内容の濃いお話をお教えいただきまして、大変参考にも勉強にもなりました。わけても、最後にお話のありました勝村参考人、一つには大変にお若いということ、そしてもう一つには、医療の主役は間違いなく患者であるという当たり前のことを、これは消費者という言葉で言いかえてもいいですけれども、こうした医療問題の論議の出発点、根幹になる部分を、御自身の経験、そして具体的にはレセプトの開示という行動を通して実践されているという意味で、冒頭、勝村参考人にお伺いしたいと思います。  私は、今とりわけこういう問題を論じますときに、若い年齢層、特に四十歳以下、勝村さんは四十一になったかなと思いますが、若い層が大体は今国民健康保険にも入らないなどなど、大変に、社会保障のこれからを論ずるときに、机上の空論になってしまうような日本の現状というのがあると思うのです。  そこで、やはり当事者性を持ってもらう。自分も医療にかかったら、実はこれくらいの分が保険で支払われていて、自分はこれくらいを払っているのだ、当たり前のこの意識を喚起するためにも、レセプトの開示というのはとても大事だと思うのです。でも、レセプト開示と言われても、一体どうすることなの、何から始めるの、何することなのということが実はまだそんなに共通言語ではないと思うのです。  そこで、恐縮ですが、レセプト開示というのは何をすることなのか、ちょっと簡単にもう一度おさらいをしてください。

勝村久司医療情報の公開・開示を求める市民の会事務局長

○勝村参考人 私たちが病院で医療を受けたら、窓口で支払うときには請求の明細書がありますが、それは、詳しいものでも、投薬料幾ら、検査料幾らの小計しかない。非常に詳しく書いた、薬剤名も検査名も処置名も、すべての正式名称が記載されて、単価、数量もすべて記載されている、病名ももちろん記載されているそのレセプトというものは、私たちが加入している健康保険組合なり国保なりという保険者の方に送られている。  保険制度が始まった当初は、患者の自己負担分がゼロであったこともあったのかと思いますが、だから患者本人には、お金を支払わないから明細は見せない。ところが、保険者からお金をもらう、請求するときには、こういう明細だからお金を下さいという、そういうお金のやりとりのためのものがレセプト。ところが、今はもう一割、二割、三割と患者が支払っているにもかかわらず、病院窓口では、お金を支払う際には明細は見せてもらえない。明細は保険者にだけ送ります。保険者は明細をそのまま支払っているということです。  では、私たちが加入している保険者なんですから、私たちが保険者へ行って、医療機関から送られてきている明細を見せてくださいと言ったら見せてもらえるものかなと思っていたんですが、それを厚生省は、長い間、患者本人には見せてはいけないと指導して、法的根拠はなかったのですが指導していて、保険者たちもそれの言うなりになっていたという状況があったわけです。  今はレセプト開示請求が、五年前、小泉厚生大臣のときに、子供が死んで親にもレセプトが見せられないなんというのは憤慨にたえないと国会で当時の小泉厚生大臣が答弁をして、レセプト開示が実現しました。しかし、いまだに、私たちが保険者にレセプト開示請求をして、見せてくださいと言っても、保険者は弱腰で、主治医に見せてもいいですかと確認をして、そのレセプトは見せないでくれと言ったものに関しては見せないという実態がある。それを実は、社会保険庁がそういうふうにしなさいという指導を法的根拠がないのにしている。  また、社会保険庁のマニュアルにも問題がありますが、その言いなりになっている保険者にも問題がある。被保険者は見せてくださいと言っている、主治医は見せないでくださいと言っている。だけれども、本来それは、お金を支払っている者に、どんな内容なのかをなぜ見せてくれないのか。実際に、見せないところというのは、後で監査や個別指導が入って、多額の架空請求が発覚しているということが今はパターンになっているわけです。  そういう、中身を全く国民に見せないで、先ほど賛成か反対か手を挙げるように言われたんですけれども、そもそも中身がわからない、中身を見せないのにどうして国民が議論に参加できるだろうかというふうに思っています。  レセプト開示というのは、本来、保険者に行けば、被保険者であることが確認されればすぐ開示されるべきものだし、そもそも三割も自己負担分を支払うのですから、病院窓口で自己負担分を支払う際にもそういう詳しい明細書を見せていただいて、請求に間違いがないかとか、またはどういう価値観に基づくどういう単価がついて医療がなされているのかということを市民に、患者に知らせてほしい、その上で医療制度、医療保険制度の改革の議論に参加させてほしい、そういう思いです。

阿部知子社会民主党・市民連合

○阿部委員 ごく一般に暮らす人たちにとって、レセプト開示というのを、自分のかかっているお医者さんに、私のレシート、私の例えば何が何円、何が何円をくださいねと言うことかと思っていらっしゃる方が実は九割九分だと思うんです。それで、お医者さんにそういうことを言いづらい。何であんたそんなことを私に聞くの、私が不正なことをやっているとでも思っているのとお医者さんが言うんじゃないか、思うんじゃないかと。本当に、市民レベルになると、レセプト開示ということ自身がどういう手続でやるのかも全然行き渡っていないと思うんです。  この点に関して、村上さんにお伺いいたしますが、連合としてレセプト開示をみんなで運動として取り組もうとやっておられると思うのですが、やってみられてどの辺に問題があるか、あるいはどこまで進んだか、お教えくださいますか。

村上忠行日本労働組合総連合会副事務局長

○村上参考人 お答え申し上げます。  私どもは、レセプト及びカルテの開示を法律で義務づけるべきだ、こういう立場であることを申し上げておきたいと思います。  私どもは、昔は医療費の通知運動から実は取り組みました。二十数年前になりますけれども、この医療費の通知運動でも相当な行政の抵抗等々もございました。私どもは四年ぐらい前から、領収書下さい運動というのをやっております。この領収書には、ある意味で医療明細がわかる領収書を下さいということで、連合組合員七百数十万名全員に実は持っていただいております。そこから我々のところにいろいろなお話がございまして、非常に憤慨をしたということが多うございます。阿部先生がおっしゃったように、私たちが信用できないのですかとか、何のために必要なんですかと。私どもにしてみれば、やはりお金を払う以上、領収書をもらうのは当たり前の世界じゃないか、それも明細がわからなければ領収書にならないではないか、こういうふうに思っておりますけれども、なかなか、診療家の人にはなぜですかということは言われます。  私も時々お医者さんに行きますけれども、とにかくくれるのはせいぜいレシートでございまして、先生、ちょっと明細が要るんですがとこういうものを出しますと、何ですかこれはということでよく驚かれるわけでありますが、やはりそういうことが診療側の中で努力をされるということで、実はこの法定化が見送られたのですね。だから、私は、医師会さん側の自己努力ということがどこまで来ているのか。私どもの運動の結果でいきますと、まだ変化はあらわれていない、非常に抵抗が強いということでございますし、私ども組合員からは非常にいろいろな不満が寄せられているということでございます。  以上でございます。

阿部知子社会民主党・市民連合

○阿部委員 国民の医療費の将来がどうなるかということを本当に論じる大もとが、やはり一人一人の国民が幾ら自分に医療がかかっているかということを知ることでもあると思います。  きょうは時間の関係で、本来はこの後、青柳参考人にもお伺いしたかったのですが——違いますよね、よかった。今、間違った紙が来ましたので、失礼いたしました。では、伺わせていただきます。  一点目は、やはり医師会の皆様のこのレセプト開示に対するお取り組みの件。私自身も医者ですから、確かに不正請求とか言われますと何をこのくそと思いますが、そうじゃなくて、患者さんにも、いかに今の健康保険制度が保険としてお金をカバーし、自己負担を幾らお支払いしていただいているのか、明朗会計にすることは医療を担う者にとってとても意味があると思っておりますので、その点が一点。  そして、時間の関係で続けて二問失礼いたしますが、きょう各委員から今回の法案の医師会の公式見解やいかにということで質疑がございましたが、私がちょうだいしております日医ニュースの中に、四月二十三日に記者会見をなさって、本法案には反対であるという見解を説明されたと。きょうお伺いいたしますと、修正を求めていくのだというお話でございましたので、特に高齢者の患者負担の定率化、そして被用者保険三割導入に関して修正を求めていくことが明らかにされたということで繰り返し述べられておりますので、この修正を求めてこられた経緯と、今どこまで到達して、あとどこを押せば修正されるのか、この点についてお願いいたします。

青柳俊日本医師会副会長

○青柳参考人 二つの御質問があったと思います。  阿部議員もドクターだというお話を聞きました。日本医師会は数年前から情報開示という大きなくくりの中で、私どもは各医療機関、ドクターが積極的に患者さんに説明責任を果たすべきだ、そういうスタンスのもとに運動を今推進しているところでございます。  この中には、おっしゃるレセプトの問題、それだけじゃなくてカルテ開示の問題、あるいは診療情報全般にわたる問題、これは現在三年目に入りましたか、私は相当進んできているんだろうと思います。現在十分だと私は思っておりませんので、これは今後とも推し進めていきたい、そのように考えております。  それからもう一つは、これは今、消費者といいますか患者さん側からの意識改革というものがございました。私どもは、それだけじゃなくて、やはり医療担当者としての意識改革、これがなければ、ある意味では説明責任を果たすという役割は担えないのじゃないかなと。先生、恐らくお気づきでしょう。意識改革というのは、言うことは非常にたやすうございます。しかし、それを実際に実行するには、やはり少しは時の流れというものも私は必要なんだろうと。しかし、そうは言っていられませんので、推進をしていくということには変わりはございません。  もう一つの問題は、これは今回の健康保険法一部改正法案に対しての私どもの考え方を述べろと。  これは先ほど来申し上げておりますように、すべてを否定するわけではございません。しかし、先ほど議員が申された二つのポイントについては十分配慮してくださいよということで、私どもとしては、きょうあえてそれを指摘材料として挙げていた。問題は、附則に盛られている抜本改革に向けて、これは非常に私どもは高く評価をさせていただいております。したがって、これが実行に移されるような、そういう道筋を早くにまとめていただきたいという期待は持っていることをお伝えさせていただきたいと思います。  以上でございます。

阿部知子社会民主党・市民連合

○阿部委員 きょう、青柳参考人からちょうだいいたしました資料の五にございますように、いわゆる家計負担、保険料プラス自己負担は、ここには書いてございませんが、今回の改定で五割に及ぶというふうになってまいります。ぜひとも、国民の体力という意味においても、そして医師という職業が国民に近く、患者さんに近く接しておる中から、これはきつかろう、無理であろう、これ以上はすべきでないという臨界点を超えていると私は思いますので、なおなお、当然、修正を求めていくというのをこの場で詰めるものではないという御指摘がありましたが、私は、医師という職業が本当に患者のサイドに立って何をなすべきかという観点からお考えを推し進めていただけますようにお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。

森英介自由民主党

○森委員長 これにて本案についての参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人の皆様方におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時九分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議

森英介自由民主党

○森委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出、健康増進法案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として、日本栄養士会顧問小林修平君、岡山大学名誉教授青山英康君、立命館大学客員教授篠崎次男君、以上三名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人の皆様方に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  最初に、参考人の皆様方から御意見をそれぞれ十分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、発言する際は委員長の許可を受けることとなっております。  それでは、まず小林参考人にお願いいたします。

小林修平日本栄養士会顧問

○小林参考人 小林でございます。  ただいま御検討中の健康増進法をめぐり、このような意見陳述の機会を与えていただきまして、まことに心より感謝申し上げる次第でございます。  私自身は、過去二十年にわたり、国立健康・栄養研究所におきまして、健康、栄養の科学と行政、政策との接点での研究業務に従事してまいり、現在は、栄養士、管理栄養士の教育に携わる傍ら、日本栄養士会の顧問として栄養士、管理栄養士の学術的面での支援を行っている立場でございます。日本栄養士会は、約五万六千名の栄養士、管理栄養士が加入しております。管理栄養士の資質向上のための活動はもとより、国民の栄養面の改善に向けた調査研究や普及啓発事業等を実施しておるわけでございます。本日はそのような立場から意見陳述をさせていただきたい、このように存じております。  さて、我が国は、過去の栄養欠乏時代に、その欠乏によります障害が大きな国民保健の課題であった時代、国の栄養政策はその克服に大きな役割を果たしてまいりました。特に、昭和二十七年に制定されました栄養改善法は、国民栄養調査を初めとする諸栄養施策の持続的発展、維持をしていく上で大きな役割を果たしたわけでございます。その後の経済発展の助けもあり、食糧が豊かになったこともありまして、また医療技術の進展もありまして、事実上、古典的な栄養欠乏障害は見られなくなりましたとともに、栄養欠乏を背景としました結核などの疾患の激減に成功したのはよく知られたとおりでございます。  こういった経過につきましては、私自身、WHOを初め国際的な専門家の会議等に出席しまして、諸外国専門家より高く評価されていることをしばしば耳にしたものでございます。そのようなわけで、このような法制の重要性を深く認識している次第でございます。  その後、昭和四十年ごろより、新たな栄養・健康問題としまして、当時成人病、現在では生活習慣病と呼ばれるようになりました、そういった疾病が大きく浮き上がってまいりました。  言うまでもなく、このような新しい形の疾病では、いわゆる一次予防策、すなわち生活習慣の改善によります肥満、高血圧、糖尿病のような疾病のリスク軽減が必須の課題であります。この点、従来の栄養改善施策とは全く異なった対応が求められるところであります。それ以後、それに基づいて国が打ち出されました食生活指針あるいは食生活ガイドライン等で栄養改善を進める方式が採用されまして、かなりの効果を発揮してまいり、脳卒中死亡率等の低減に大きく寄与したこともよく知られているとおりでございます。  しかし、二十一世紀を迎え、言うまでもなく高齢社会に伴います新たな栄養・健康問題としましていろいろ出てまいりましたが、特に糖尿病の問題は極めて深刻であることが明らかになりました。これに対しては、飛躍的な健康・栄養対策が求められることになったわけでございます。これまでの栄養改善法の枠組みを超えた大変難しい問題ということになります。  これらの新しい健康・栄養対策を有効化するポイントとしまして、我々研究者の間でよく話題になったことでございますが、私自身は従来より次のような三点がポイントであるというふうに考えております。  第一は、主体性という問題であります。国とか社会が枠組みをつくってそのとおりやればうまくいくということでは、この問題は解決できない。やはり国民一人一人が主体性を持って、個人個人が自分の特性に合った健康づくりをしていただかないと、この問題は非常に難しい問題だろう、解決しにくい問題だろうということはよく知られているとおりでございます。  二番目に、個別性という問題です。個人個人がそれぞれ、いろいろな環境なりあるいは体質なりで特質を持っております。体質では、肥満しやすい人としにくい人がある、糖尿病になりやすい人、なりにくい人があることはよく知られているとおりであります。こういった個別性あるいは個人個人の特性とともに、高齢者の特性、成長期の特性等に対応した方法でも対策を立てなければならないということでございます。  そして三番目に、総合性という問題であります。これは、単に栄養士というだけではなくて、医師、看護師、その他医療関連プロフェッショナルの総合的な力を合わせて多面的にその問題に当たらなければならない。  この三つがございます。この三つに基づいて、私どもは保健戦略を再構築しなければならないということを主張してまいりました。  これは一部既に政策として、健康日本21という形で具体化されつつあるわけでございまして、現在既に実施の段階に入っておりますが、私どもも、栄養士、管理栄養士等をめぐりまして、技術面、教育面でそのような再構築を現在強力に進めているところであります。これを支援し、かつ継続的に保障するための法的枠組みというものが強く必要とされ、叫ばれるゆえんであります。  まとめますと、国民の健康にかかわる食の問題、現在いろいろ解決しなければならない、克服しなければならない課題があります。食塩のとり過ぎとか、あるいは脂肪のとり過ぎ、運動不足、ストレス等々難しい問題がいろいろございますし、一方、若者の間で、栄養の偏り、特に朝食を欠食したり、あるいは誤ったダイエットで新たな健康問題を生んでいるような実情がございます。また、高齢化と疾病構造の変化によりまして、がん、心臓病、脳卒中、糖尿病などの生活習慣病対策が非常に大きな急務となっておるのは御存じのとおりであります。それには、疾病の早期発見、早期治療に加えて、日々の生活習慣を見直し、病気にならないように健康づくりを進めることが重要であります。  このような現状を踏まえまして、今回の健康増進法については、速やかな成立を切に期待しておるわけでございます。  簡単に三点にまとめますと、第一点は、健康づくりに初めて正面から法的な基盤、根拠を与える法律であるということであります。今、全国の市町村で健康日本21の取り組み、具体的計画を立てているところでございますが、よくやっている市町村もあれば、なかなか取り組みにくいところもあるわけでございまして、法律的支援があると大変強力な支援になるということでございます。  また、第二点は、地域や職域、学校などのさまざまな場で行われています健診に共通した基盤を与えるということでございます。共通した基盤は、病気の発見の機会を高める、病気にならない健康づくりのために非常に重要なことでございまして、生活習慣病を解析し、系統的に把握することの基盤でございます。我々の専門の分野でも非常に強調されるところでございます。  三点目は、医師、保健師、管理栄養士などのさまざまな職種が共同してチームを組んでその問題に取り組むという体制の保障でございます。そういった形で国民のニーズが高い健康問題に対して取り組んでいくために、この法律の制定は必須であるというふうに私は考えております。  若干、栄養士という立場からは、栄養という言葉が法律からなくなっていくのは悲しいなというところがないわけではございませんが、しかし、新たな大きな枠組みの中で栄養士はそれなりの重要な役割を果たしていくということで、今張り切っているところでございます。  そういうわけで、健康増進法の早期成立に向けて、委員会の先生方の御理解と御尽力を重ねてお願いしまして、陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

森英介自由民主党

○森委員長 どうもありがとうございました。  次に、青山参考人にお願いいたします。

青山英康岡山大学名誉教授

○青山参考人 岡山大学の青山でございます。  昭和三十四年に医学部を卒業して以後、衛生学、公衆衛生学、予防医学を専攻して、最後の二十年間、教授をいたしました。学術会議として、地域医学、医学教育の担当をしたこともございますし、全国の医科系大学の衛生学、公衆衛生学の教授の代表も務めさせていただきました。そういう立場で健康増進法案を見させていただいた後の意見、つたない意見を述べさせていただいて、御参考になればと思います。  まず最初に、二十世紀後半の地球レベルの保健、医療、福祉に重大な影響を与えたWHO憲章というのがございます。WHO憲章は、健康の概念とともに基本的人権としての健康権を国際的に確認し、同時に、各国政府は国民の健康に責任をとるということを国際的に確認し合ったもので、これに基づいて、各国でいわゆる医療受診を社会的に保障するという医療保障、医療保険制度が確立されていったわけで、我が国も昭和三十六年に国民皆保険制度が発足しております。  しかし、また同時に、保健医療要求というのは無限に拡大します。これは、科学技術が進歩する、また長生きができるようになれば、どんどん要求は膨らんでくるわけですが、それに対応する社会的資源の方は有限ですので、その間のギャップが出てきます。そういった中で、各国は効果的な保健事業を展開して医療費の伸びを抑制しようという考え方が出てきて、これがプライマリーケアだとかヘルスプロモーションという考え方だと思うわけです。そういった立場で各国ともヘルシーピープル政策というのが取り組まれてきたわけです。  時期を同じくして、我が国でも、国民健康づくり十カ年計画、第一次、第二次、第三次と続けられきたわけですけれども、各国が二〇〇〇年を目標にして取り組んできたことから考えれば、我が国は二〇〇〇年から健康日本21が発足したわけで、私から言わせていただければ、おくればせながらやっと法制度がつくられるのかなという気持ちでいます。  特に、我が国の場合は、国際的に例を見ない急速な少子高齢社会を迎えているわけで、そういった意味では、早急にこういった法整備をしていく必要があるだろうと思いますけれども、問題は、法律ができれば済むわけではなくて、法律を基盤にしてどのように行政が努力していくのかということになるだろうと思います。  社会的資源が有限であるのに対して、保健医療要求はさらに拡大していくという中で、まず、財源の問題を考えますと、財源をふやすにはどうすればいいのかというのは、私は、生活者に最も身近な地域とか、生活者に最も身近な職場の発想が生かされるという意味で、各保険者、国民健康保険、また職域保険もそうですが、そういった医療保険の保険者が、そういった生活者の、職場の、地域の人たち、また働く人たちのアイデアを吸い上げられる、そういう機能が強化されることを期待したいと思います。保健、この場合はヘルスですが、ヘルス事業を効果的に進めることによって、どういうふうに無限に拡大する医療費の抑制をするのかというのが、一つのアイデアとして求められているのだろうと思います。  二番目に、人材の問題です。  これも、ただ人数をふやせばいいというだけではなくて、どういうふうに質の転換、質の高い人材を養成していくのか。これはやはり行政の責任が大きいだろうというふうに思います。  今、国民の健康を取り巻く状況は大きく変わっています。結核が国民病とか亡国病と言われた時代とは全く異なって、いわゆる生活習慣病というものが主要な死因を占めるようになりました。敵が変わったわけです。健康の脅威となる敵が変わったわけですから、当然それに対する作戦も変えなきゃいけない。専門職の発想の転換を促し、専門職が専門機能を十分に発揮できるような、そういう体制とともに、専門職の質的な向上。こういう点では、この法律を根拠に大きく行政努力が進むことを期待したいと思います。  もう一つ、最後に、施設の問題です。  この施設も、箱物をつくればいいというものではなくて、せっかく我が国には保健所というのがあります。この保健所が、単に今までの伝染病対策としての取り締まり行政の拠点ではなくて、保健と医療と福祉のあらゆる専門職を結集する専門技術センターとして、地域保健のみならず、職域保健、また学校保健という実施者が、計画策定に当たって活用できる技術と知識、専門的な技術と専門的な知識を提供できるような、日常的な調査研究活動ができる、そういう保健所の活用を、私はこの法律でもって大きく発展することを期待したいと思います。  結論的には、これまでのように保健と医療がばらばらではなくて、保健と医療と福祉が包括的なケアとして展開される、また、地域とか職域とか学校とかという行政の縦割りで分かれていたケアの体制の、包括的な、総合的な発展を、この法律を基盤にして行政努力が大きく進むことを期待したいと思います。  以上で私の意見を終わります。(拍手)

森英介自由民主党

○森委員長 どうもありがとうございました。  次に、篠崎参考人にお願いいたします。

篠崎次男立命館大学客員教授

○篠崎参考人 私は、日本生活協同組合連合会で長い間医療生協を担当して、地域の住民の保健活動の企画や運営に携わってきておりました。その立場から、健康増進法案に対する意見を述べたいと思います。  ふえ続ける医療費を国民の健康水準の改善で適正化するということに役立つ健康増進法かと思いまして、期待を持って読ませていただきましたけれども、残念ながら、幾つかの疑問を感じております。きょうは時間がないので、疑問点だけに絞って、幾つか意見を述べさせていただきます。  第一が、国民の自発的な健康づくりを応援する環境整備の問題です。  第二条は国民の責務について示してありますけれども、国民一人一人が自主的に健康というものは考えるものであり、増進に努めるということは当然ですが、問題は、国民が自主的に健康づくりに取り組むに当たっての前提条件、それをどういうふうに整備するか。この点では、第三条で幾つか国の役割について触れておりますけれども、ここで示した事柄を具体的に実現していくための予算の問題ですとか、あるいは体制の問題ですとか、そういうことについての裏づけがあるのかどうか、ここが不明確のように思いました。  なぜこれにこだわるかといいますと、今、市町村で起きている公衆衛生に関する状況について幾つか申し上げて、私の疑問の根拠としたいと思うのです。  例えば、五つのがん検診について、これは予算が数年前に地方交付税化されました。ここから、健康診断が予防活動に大きな役割を果たしてきているわけですけれども、市町村によって徐々に後退が始まっているのではないかな、こんなふうに思います。  健康予算も、国の補助というのは大幅に削られております。それから、各種の保健事業が市町村に移管されております。このもの自体はいいことなのですけれども、予算や人的体制の裏づけがないということから、事実上、自治体では、公衆衛生活動が縮小してきているんじゃないかなと思います。  この先のことを考えますと、例えば北九州市では、福祉事務所のケースワーカーの数を減らして、保健師がケースワーカーの役割を果たすというようなところまで保健師の一般業務の兼務化も進んでおります。  こういうような現状の是正をまず第一にやるべきであって、それはやはり国の責務だろう、こんなふうに思っております。  それから、第二の問題点は、医療保険者と健康増進事業者についてであります。  六条では健康増進事業者の定義をしておりますけれども、それによると、各医療保険の保険者と学校保健法、母子保健法、労働安全衛生法、老人保健法、その他政令で定めるものを事業者というということで、この事業者が健康診査、保健活動等を推進することになってきております。公衆衛生の社会保険化といいますか、そういう現象につながらないか心配であります。さらに、自治体の保健活動は、学校保健法、老人保健法など限定されたものになっていくのでしょうか、この点についても危惧の念を抱きます。  それから、第三の問題点は、健康づくりの内容です。  七条にその基本方針が示されておりますけれども、それは、食生活、運動、休養、飲酒、喫煙、歯の健康その他の生活習慣に関する事項の整理であります。これらは個人の生活習慣を正す上で非常に大事な課題であろうと思いますが、こういう個人の生活習慣だけに絞り込んだ健康増進活動というのには一定の限界があるのではないか、こんなふうに思っております。  さらに、九条では、健康診査の実施について、健康増進事業者がそれを行うとしてありますけれども、現在進められている健康日本21運動における健康診査の内容から推測しますと、健診内容も大幅に限定したものにカットされていくんじゃないかなと思います。現在、地域保健の主要な内容が健康診断に偏り過ぎているという弊害を是正する必要はありますけれども、健康診断を極端に後退させないか、その点が心配であります。  喫煙問題については、これを契機に、本格的な、たばこから遠ざかる生活の実現へ発展していくことを期待したいと思います。  それから、この増進法で一番大きな問題を感じるのは、商品に依存する健康づくりに偏っていくのではないかという問題であります。  最近、健康食品や健康補助食品なるものが国民の人気を得て、広く普及し始めております。健康保険の三割本人負担などが実現すると、この需要は一層ふえるのではないかと言われております。内容は、よいものも、効果のないものも、あるいは、もしかしたらば有害が心配されるものなど、いろいろだろうと言われております。健康増進法でどこまで、この商品の認定を行うことを通じて改善されるのか、これは疑問に思います。  日本では、食品衛生法か、医薬品つまり薬事法かということになっておりますけれども、健康食品はこのいずれにも該当せず、しかも業者は、特定の効果を期待して購入してもらうようコマーシャルなどでも働きかけております。今回の健康増進法の特別用途表示食品等も、製造業者の期待がかなり込められているのではないかな、これは私の推測でありますけれども、そんなことを思うわけであります。必要であれば、この種の商品の独自の法制度を検討される、健康増進法のようなこととはやはり切り離す。そうでない限り、何かこれらの商品に依存した健康づくりに流れていかないか、この点が心配されます。  最後に、健康づくり計画についてですが、市町村は努力目標になっております。むしろ住民参加を保障して、住民の要望や決意まで含めた住民参加で市町村の健康づくり計画をつくり上げていく、それを都道府県なり国なりで集大成したものを我が国の健康づくり計画にしていくべきではないかな、この辺がどうなるか、少し心配であります。  これで最後ですが、一九八三年に、当時の厚生省は、二十一世紀の我が国の医療のあるべき姿を「今後の医療政策」という形で提示しました。そこで、感染症などの病気を外からのもの、生活習慣病を、当時はまだこの言葉がありませんでしたので慢性疾患という言葉を使っておりましたけれども、内からのものと規定しました。その結果、内からの病気に対する予防努力の不足の結果としての病気は自己責任でという方向が示されてきたと思います。  生活習慣病といえども、外からの要因が大きな影響を与えていることはだれもが認識しているのではないでしょうか。こういう病気の認識の是正も含めて、国会でもっと掘り下げた議論をこの法案についてはしていただきたい、これが率直な私のお願いであります。  以上です。(拍手)

森英介自由民主党

○森委員長 どうもありがとうございました。  以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。     —————————————

森英介自由民主党

○森委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野田聖子君。

野田聖子自由民主党

○野田(聖)委員 自由民主党の野田聖子でございます。  本日は、参考人の皆様方には、お忙しい中のお出まし、ありがとうございました。  健康増進法案についての参考人の御意見を聞かせていただきました。質問をさせていただくに当たりまして、まず、自分の思いというのを申し上げたいと思います。  健康増進法案のこの参考資料をいただきまして、読みました。文句のつけどころがないというか、極めて当たり前のことを目的の中に語っており、何人とも病気になりたいと思っていませんし、不健康でありたいと願っているわけではないから、当然国がそういう国民をサポートして、一人でも多く、具体的に言えば生活習慣病にならないように、または高齢者になっても病気に負けない元気な老人になれるようにという願いが込められていることで、正直、否定のしようがないというか、当たり前過ぎていて質問もつくりづらいなというのが率直な気持ちであります。  ただ、評価できることといえば、遅いという御発言もありましたけれども、大概国会で出てくる法律というのは後追い業務みたいなことが多くて、何か出来事が起きたら、今後の防止のためにとか、二度とそういうことがないようにということでさまざまな法律ができる中、これはいわゆる予防ということで、前もってそういうものを未然に防いでいこうという前向きな意識のあらわれを感じさせる法律なのかなとも少し感銘を受けているところです。  とはいえ、現実、私たちが暮らすこの社会では、既に健康ブーム大流行ではなかろうかと思っています。  今お話がありました健康食品とか補助食品なんというのは、そこいらじゅうで当たり前のように売っておりますし、例えば私の場合も、いろいろな方との出会いがありまして、差し入れなんかをいただくわけです。かつてはドリンク剤が多かったんですが、最近では例えば、これを飲むと二日酔いにならないよとか、肝臓が強くなるよといったような錠剤から、この委員会でも何人かの方が少子化の問題についてお話がありましたけれども、私も一応当事者の一人でありまして、御親切な方からは、これを飲むと子供ができやすいとか、子供をつくるに丈夫な体になるといういろいろな錠剤をたくさんいただいて、これを全部あわせ飲んでいいんだろうかと不安を感じながらも、やはり今、国民にとって健康というのは非常に身近だし、手に入りやすいものになっているということを日々実感させていただいています。  さらに、メーカーというか企業においても、随分商品のつくり方というか市場を変えてきているなということを実感していることがあるんです。  例えば、サントリーという飲料メーカーがあります。もちろんサントリーというのは、ワインからビールから、最近ヒットしているのはダイエットというビールなんだそうです。普通のビールよりもカロリーが二分の一ということで、女性が随分消費をして売り切れが続出だという話を聞きましたけれども、そういうアルコール飲料を主につくっておられるメーカです。  最近、そこの社長とお話ししたときにも、これから先々、少子高齢化の中、また、国民のニーズというのが随分嗜好が移り変わる中、やはり健康というのは大変なキーワードになってくる、それに合わせた商品づくりをしなければならないということで、健康食品に随分資本を投下しまして、いろいろな商品をつくっているということを聞きました。  最近のヒット作というのは、セサミンというタブレットというか錠剤でありまして、お酒を飲む前にこれを飲むと酔わないという、かなりありがたいものらしくて、サントリーにしてみると、それを飲みながら飲んでいただくとビールの方の需要も伸びるから、相乗効果があっていいのかなとも考えたわけですが。  そういうこともありまして、健康増進法、もう既に一般社会の中では健康であることは一つのブームでありますし、そのためにさまざまな商品開発が行われている。  とはいえ、この法律ができた目的というのは、しかし引き返って、今現在三十一兆円と言われる医療費、これも大変な金額になっていて、これから背負う人のことを考えると、これはどうにかしなきゃならない、削減していかなきゃいけないという中で、その予防的な健康増進を打つことによってこれを減らしていこうじゃないか、そういう趣旨ではあろうかと思います。  しかし、そこで問題なんですけれども、では、まず法律ができました、いろいろな計画ができました。その担保というか、先ほども財源の話がありましたけれども、ただ法律をつくるだけだったらだれでもできることなんです。法律ができたことによって現実にやはりわかりやすく、動きやすく、使いやすく、そして効果があらわれてこなきゃならない。そのための費用というのも当然かかってくると思うし、この法律ができることによって、滞っていたさまざまな出来事がクリアされるということも担保、保証されなければならないと思います。  そういう中で、二つ質問させていただきます。  まず小林参考人にお尋ねしたいと思います。  ここには「国民の責務」の中で、生涯にわたってみんな国民は努めなきゃいけないよということがあるわけで、生涯というのは当然、高齢者だけではなく、生まれてから亡くなるまでの生涯をおっしゃっているわけですが、その中で、やはり一番重要なのは子供時代ではなかろうかと思います。  小中高、それぞれ学校で給食が出たりするわけですけれども、そういう子供時代にどういうものを一生懸命栄養をとるべきか、こういうものはなるべくとらない方がいいんじゃないかということをやはり学んでほしいなという思いがあるんですが、反面、その努力をしている学校栄養士という方々がいます。  この方たちが長年にわたって私ども国会に対して陳情をされていることが、今現在、学校栄養士という方は学校の職員にしかすぎない。皆さんの願いというのは、職員という立場から、教諭、先生という立場できちっと教壇の上から子供たちに対して栄養を教えたい。そういう長年の夢を持ち続けていらしており、毎年、三百六十五日、その活動をしておられるわけです。  この法律によって、これができることによって、健康増進を国が進めるという新たな定義ができた中で、この学校栄養士会の皆さんのその夢は実現されることになるでしょうか、お尋ねしたいと思います。

小林修平日本栄養士会顧問

○小林参考人 ただいまの野田議員の御指摘は大変重要なことでございまして、私も、子供たちの健康づくりというのは、この中で大変重要な課題であるというふうに思います。学校栄養士もぜひ活躍をしたいというふうに思っております。  この条文との関係、私は法制の専門ではございませんが、この法律の背景に基づきまして、例えば第七条の三項にありますが、あらかじめ関係行政機関との協議ということがうたわれております。文部科学省に対して、健康増進法の精神にのっとってその辺の協議を進めていただくとか、あるいは、十八条の二号にありますように、指導助言という部分を十分に生かしつつ、ぜひ学校栄養士の方に配慮を進めていっていただくというような形での活用といいますか、この利用ということ。私はまだ素人でございますので条文を拝見してそのように考えるわけでございますが、そういう方向で当面はいくんじゃないかな、こういうふうに期待しております。  以上です。

野田聖子自由民主党

○野田(聖)委員 それでは、先ほど財源について御指摘がありました青山参考人にお尋ねしたいと思います。  実は、法律というのはいろいろな形があると思うんです。強制的な罰則規定を伴う法律もあれば、いわゆる道徳的というか、こうした方がいいよと、一つのアピール的な法律というのがあるわけですね。  かつて福祉関係の法律で、公共機関、公共施設に関するバリアフリー法というのがありまして、要は、公共施設とか公共交通機関においては障害者や高齢者のためにバリアフリーの施設をつくってくださいねという要請的な、努力してくださいというような法律ができたわけです。みんなそれができたことをすごく喜んで期待していたんですけれども、現実は、お金がないということでなかなかバリアフリーが進まなかった、期待どおり進まなかったという、そういう苦い経験が随分あります。  こればかりでなく、やはり法律ができたから何か変わるんじゃないかと多くの国民が期待するんですけれども、結果、それはタイトルだけで何も変わらない。そういうがっかり感というのを随分経験してきた国民が多いわけですね。  そういう中で、今回健康増進法という法律ができて一歩前進なのかもしれませんけれども、これらを進めていくために、三十一兆円ある医療費を、例えば半分、十五兆円にする目標を立てて、その減らした分、これだけを減らすから、それを減らすためにはこれだけの健康に関する先行投資、何億か何兆円になるかわかりませんけれども、これを使うことによって十五兆円分の減が出るとか、そういう割と実質的というかわかりやすい提案をしていかないと、せっかく法律ができてもなかなか十二分に地域社会または個人生活に浸透していかないんじゃないか。そういう財源がないから、テーマはできたけれども、とにかくできる限りやってくれということでは、せっかくの努力が報われないのではないかと思うんですが、それについてどういうようなお考えをお持ちでしょうか。

青山英康岡山大学名誉教授

○青山参考人 お答えします。  まず、三十兆円の医療費が高いか安いかというのは、私は、国際的な比較の仕方によって高いと言う人と、対GDP比でいえば低いと言う人もおるわけですけれども、その問題ではなくて、例えば一万円の医療費を、五百円の予防費で一万円の医療費を抑えることができるとすれば、九千九百円払ってもこれは得だ、百円おつりが来るわけですね。そういう発想が今求められているんじゃないかというのが国際的な動向だろうと思うのです。  だから、私は、今の医療費抑制というよりも、効果的な保健事業を展開すれば、無限に増大する医療費を抑えることができるんじゃないか。  平成十年度から、地域保健法というのができまして、各市町村が実施主体で地域保健の計画を立てるということになりました。私も正直言って、十年度以後の各市町村の状況を見ますと、これは経済格差というよりも知恵格差ではないだろうかというふうにさえ感じます。  例えば、今先生がおっしゃった健康食品の問題なんかでも、粗食をもって美徳となす食べるものがない時代には、健康にいい食品とか健康に悪い食品という知恵をたくさん持った者が健康な生活を送ることができました。今、食べるものがあふれている飽食の時代ですから、こういう時代に、この食品は健康にいいなんという食品があるはずがないと思うのですね。また、どんなに悪い食品でも、食品である限りは、例えば発がん性物質を一回食べたら翌日にがんが出るわけではない。そういう、全く状況が変わってきた中で、どういう今日の健康状態に合った効果的な保健事業を展開するかという知恵が求められているのだろう。  私は、そういう意味で、保険者が効果的な保健事業を展開して増大する医療費を抑制する、そういう知恵を出すことが必要ですし、その知恵を出すために、医師だとかまた歯科医師だとか、保健師だとか栄養士だとかという専門職をどう十分活用するのかということが、この法律でもって大きく展開されればいいんではないかなという期待を持っているわけです。

野田聖子自由民主党

○野田(聖)委員 私も正直、飽食というか、余りにたくさんの食べ物に恵まれ過ぎた結果、不安を感じている一人だと思います。特に国会議員というのは、非常に運動不足になりますし、また、健康体でなければやはり発想も乏しくなるという不安感を常に抱えながら、健康でありたいという気持ちは恐らくこの委員会の皆さんすべてひとしく同じだろうと思います。  この健康増進法が、ただ単に看板ができたのではなく、これによってやはり自分たちの不安が解消できるような知恵をいろいろな人が出せるように、形となっていくような今後の取り組みを先生方の御指導で期待していきたいと思っています。  質問を終わります。ありがとうございました。

森英介自由民主党

○森委員長 次に、五島正規君。

五島正規民主党・無所属クラブ

○五島委員 民主党の五島でございます。  本日は、参考人の三人の先生方、本当に御苦労さまでございます。  先生方のお話を聞かせていただきまして、また私自身も、この健康増進法という法律、この法律が一体何を目的としてどういうふうな役に立つのだろうかという視点で見ますと、私は基本的に余り役に立たないのではないかと思いながらも、同時に、この法律が現状よりも状況を悪くするのかどうかといえばそうでもないなということで、健康保険法という大変な法案の審議を抱えている中では、頭を冷やすのにはいい法案だなという感じはいたしております。  そこで、先生方にお伺いしたいと思いますが、健康増進法、今回のは栄養改善法の焼き直しのような気がするわけですが、やはり健康増進法という以上は、我が国の抱えている健康上の問題、それは何なのかというところから整備をしていかなければいけないのだろうというふうに思います。  十三年前ですか、オタワ宣言が出されまして、ヘルスプロモーションという概念が明確に打ち出され、そして健康21というのもその流れの中でつくられたものだろうというふうに思っております。このオタワ宣言で出された内容というものを我が国の状況でとらえ直して考えてみますと、非常に教えられるところが多いというふうに思っています。  一つは、かつて日本の公衆衛生というのは、やはり伝染病対策というところに大きな課題を持っていた。あわせて、いわゆる栄養改善、体力の向上というところに大きな目的を持って健康問題が論じられてきた。そして、今回産業保健も包括化するというわけですが、産業現場を見ていきますと、やはり労災の防止あるいは職業病の防止というところが産業衛生にとっては大きな課題であったというふうに思っています。  こうした伝染病の防止あるいは労災事故、職業病の防止というふうな健康目標を掲げる限りにおいては、これはいずれにしても、行政あるいは企業、そうしたトップがそれに対してどのように対応していくのかということが主要な改善への大きな課題であっただろう。そして、それはそれなりに結果的に成功したんだと考えています。  ただ、疾病の構造が生活習慣病というふうに移ってまいりました。その中における健康増進というのはどういうふうに我が国の中で組織づくられていかなければいけないのか。それを進めていける、政策策定まで参加していける地域あるいは職域の健康組織はどういうものなんだろうかと考えてまいりますと、実はこういう法律ではなくて、既存のさまざまなところを変えていかないと本当の健康増進にならないのではないかと私には思えます。  例えば、わかりやすい例をとりますと、職域の中において生活習慣病を持っている。その生活習慣病を持っている人たちが、その職場の中において、病状を悪化させることなく、きちっとコントロールされながら正常者として職域の中で就労ができる。そういうことができるように、安全衛生委員会がそういうふうなものの議論をしていける。そういう状況になれば、まさにこの健康増進法が目的とする、あるいはオタワ宣言が目的とするようなことが達成できる。だけれども、現状においては、健康情報がそういう形で出てしまうと、下手するとリストラの材料にされてしまうという状況。だから、そうした生活習慣病の問題を職域の安全衛生委員会において議論するということができない、またしていないという状況の中で、本当に健康増進というものができるんだろうか。  そういうふうな疑問を持ちながら見てみますと、どうも今の大きな課題にはこの問題は答えていないのではないかという感じを私はするわけでございますが、非常に限られた時間で、私がたくさんしゃべりましたので時間がありません、青山先生と篠崎先生からちょっとお答えをいただきたいと思います。

青山英康岡山大学名誉教授

○青山参考人 今先生がおっしゃったこと、私も同じように疑問を持っているだけに、法律ができればいいのではなくて、この法律を踏み台にしてどれだけ大きく行政努力が発展するものかというのを期待申し上げるお話をさせていただきました。  ただ、国民健康づくり十カ年計画の第一次のときに、生涯を通じて自分の健康は自分で守れと言いました。これは、そのこと自体は正しいし、国民の皆さんがおっしゃることは正しいと思うのですけれども、私自身医師の立場で、患者さんに自分の健康は自分で守れと言うのは無責任な感じがするわけですね。  どうすれば自分の健康を守れるのかという知恵も技術も提供していない。保健指導といえば、酒飲むな、たばこ吸うな、ごちそう食うな、一日一万歩歩けと、到底できっこないことを言って、そして、それができないからと言うと、君は治す気があるのかという形で怒ればそれで済むというような保健指導が間違いではなかっただろうか。やはり、その人その人の生活の中で役に立つ知恵と、生涯にわたって楽しく実践できる技術を専門職が提供してこなかったということに問題があるんじゃないだろうかというふうに思うわけです。  さらには、もう一つ、例えばWHOの健康寿命でもそうですが、健康寿命というのは、これは、寝たきりといわゆる痴呆になったら生きている価値がないというのであろうか。私は、これは差別だと思います。  私に言わせれば、健康というのは、今先生がおっしゃったように、一日八時間はしっかり働けて、一日八時間はしっかり人生を楽しめて、一日八時間の熟睡がある、そういう三、八、二十四時間が健康な生活であって、検査の結果異常があるから病気を持っているとか、人間年をとればたくさん病気を持っているんだというような考え方が間違いじゃないだろうか。  そういう新しい観点に立ったヘルス事業が進められる、そのきっかけになってほしいと思うんですけれども、そういう表現が現在の健康増進法にあるのかというと、まだ私が今申し上げたような健康観なんというのも決して普及していないわけですから、私の力不足という意味で、現在の健康増進法には書かれていないと思いますが、次の改正のときにはぜひ先生の納得のいける表現の法改正が進められることを、逆にお願いを申し上げたいと思います。     〔委員長退席、鴨下委員長代理着席〕

篠崎次男立命館大学客員教授

○篠崎参考人 先生のお尋ねに、二つの点にわたって私の意見を述べたいと思います。  一つは、冒頭に先生が指摘されたオタワ憲章ですけれども、都市化した生活のもとでの健康づくりというのは都市丸ごと健康にしていかなければいけないという視点から、それまでの個人を対象にした健康づくりについて、もう少し、自然環境から労働から日々の日常生活まで丸ごと健康にしていくという視点を、特に自治体を軸にして展開するようにこれは呼びかけたものだろうと思います。その視点で健康増進法を見ますと、やはり個人に焦点が当たっているような気がしてなりません。この点はぜひ改善していただかないとと思っております。  それから、既存のいろいろな保健活動その他について変えなければいけないことがあるのではないか。この点に関して、青山先生も先ほど、生活習慣病の予防やコントロールに対する技能や知識の提供という点で、専門家の努力が不足していたんじゃなかろうかという意味合いの御発言がありました。その点との絡みで申し上げますと、自治体で保健師が中心に取り組んでおります保健活動には、共通して幾つかの問題点を感じます。  一つは、健康観というものをほとんどどこの保健講座でも語っておりません。健康とはどうあるべきか、どう考えなければいけないか。  それから二つ目に、生活習慣病を予防するための具体的な知識や技能の提供というのはほとんどありません。病気の話、その次に、あとは運動の方にいってしまう。現在では、尿チェックにしても、それから食塩のチェックにしても、あるいは血圧も自分ではかれるようになってきている。そういうような状況の中で、具体的に生活習慣や生活習慣病をチェックする技能、知識を広く家庭に普及していく、この点で不足があるのではないかなと思います。  健康診断について言えば、経年受診を重視するという風潮がほとんどないように思っております。  それから、学校の保健事業と社会教育の保健事業、これが、教育委員会等と保健センター、福祉部との間の連携が不十分だということで、つながっておりません。そんなことも町ぐるみの健康づくり活動に一つの弊害をなしているのではないかな、こんなふうに思っております。  これらの改善というのは非常に今後大事になってくるのではないかな、そんな思いを持っております。  以上です。

五島正規民主党・無所属クラブ

○五島委員 ありがとうございました。  いま一つお伺いしたいわけでございますが、先ほどもさまざまな健診の話も出ておりました。今日、健康というのは、私も申し上げましたが、多く、何らかの生活習慣病あるいはそれによるところの医学上の正常でない状態を持ちながらも、社会的には健康人として活躍しておられる人がふえています。この方々をいかにしていわゆる病人の状態にしてしまわないか、これが大事な問題でございます。  そのための社会的資源は、我が国には、医師にしても、保健師にしても、看護師にしても、栄養士にしても、十分なぐらいそろっています。ただ、そのことが現実にはできていないところに、長寿社会にはなったものの、まだ健康社会とは言えない状態があるのだろうと思います。  今回、医療費が非常にたくさん要る、あるいは健保組合や政管健保の財政が厳しくなるということで、例えば政管の成人病検診、対前年度比八〇%で、二〇%削るというふうな話が出されています。本当に健康診断をやることが意味がないのならゼロにしてしまえばいい。問題は、健康診断をやっておきながら、そのデータをきちっと生かして、そして継続的な健康管理をすることによって医療費全体のより効率的な使い方にできるはずのものをしなかったのであれば、これは私は政管健保の責任だと思うのですね。削減するのではなくて、そういうことをやはりきちっとやらしていくということが大事なんだろう。  何か、やっていることが、一方で健康増進といいながら、では、現実的な健康増進、現状の中において何をどうすればより効率的に健康社会をつくっていけるかということが非常にちぐはぐしていると思うわけなんですが、そのあたりについて、時間がありませんので、青山先生、代表してお答えいただきたいと思います。

青山英康岡山大学名誉教授

○青山参考人 御指摘のとおりだと思いますが、健診が異常を発見し、いわゆる早期発見、早期治療というのは、これは感染源対策だったと思うのですね。感染源を排除するために、感染源を早期発見して早期治療という、患者の人権も無視してまで隔離していくという形だったのですけれども、現在の生活習慣病は感染源になり得ないわけだし、発見しても一生治らない病気だったりするわけで、私がもし住民だったら、よう治さぬ病気を何で見つけてくれるんだと言って居直りたい気持ちでおるわけですが、それだけに、やはり今御指摘のとおり、健診で異常を見つけるよりも指導だというふうに思います。この指導が徹底されるように、どういうふうに健診計画を立てるのかということになるのだろうと思います。  そういった意味で、老人保健法のヘルス事業、第三次、第四次で個別指導、個別健診というのが入れられておりますし、これはそれを活用してもらえばと思いますし、職場の労働安全衛生も、専ら健診結果の指導ばかりやっておりますけれども、そうではなくて、まさに先生が御指摘のように、生活指導ができる体制をこの法律をきっかけにつくられていくのかどうか、先生方がぜひ行政サービスの内容を今後とも見守っていただければというふうに思います。よろしくお願いをします。

五島正規民主党・無所属クラブ

○五島委員 どうもありがとうございました。終わります。

鴨下一郎自由民主党

○鴨下委員長代理 次に、江田康幸君。

江田康幸公明党

○江田委員 公明党の江田康幸でございます。  本日は、参考人の先生方、お忙しい中、貴重な御意見をお伺いできまして、ありがとうございます。  今、医療の抜本改革が叫ばれておりますが、その医療制度の改革と同時に、先ほどから何度も出ていますように、少子高齢化が進む中で、いかにして医療また介護にかからないで健康でいられるか、元気でおれるか、これが増大する医療費を抑制する一つの大きなかぎになるということは言えるかと思います。  これまでは、そういう早期発見、早期治療、先ほども申されておりましたが、これに重点が置かれてきましたけれども、今、生活習慣病の問題が非常に大きな問題となっておりますが、こういう病気にかかる前からの生活習慣を変えることが何よりも重要となってきていると思います。治療中心の医学から、この予防医学へのシフト、これをやっていくことが、今後の医療改革のかぎを握ると我々も考えております。  このような中で、健康増進法案が法制化へ向けて審議されるに至ったことのその意義というのは非常に大きいものがあると私は高く評価しております。  例えば、これまで健康づくりは大切だと言われながらも、健康日本21の根拠は旧厚生省の通知のみでございます。保健所や市町村保健センターなどの第一線で健康づくりにかかわる者は、行財政環境の厳しい中で、法律の後ろ盾がないまま奮闘せざるを得ない、そういう状況かと思います。健康づくりは、やはり国を挙げてその支援に取り組むべき重要課題であると私は思っております。  また、健康づくりのそのかぎとなるのは、住民に身近な市町村であるかと思います。しかし、現在、健康づくりに関する計画を定めている市町村数は全体のわずか四%でございます。この法案では、地方公共団体が策定する地方健康増進計画について定められておりまして、地域の実情に合った健康づくりの運動を全国に広げる契機となる。  そのように、私は、先ほどの五島先生の御意見とは違って、この健康増進法案はそういう国民の健康増進を大きく広げていく、二十一世紀スタート時点では非常に大きな意味がある法案だと考えております。  そこで、先生方に幾つか御質問をさせていただきたいと思っております。  五島先生の御質問とも多少関与してきますが、一点目は、先般この委員会の中で、私は健康診査の事後指導の重要性を指摘させていただきました、先ほどの話とダブりますが。この健康増進法案におけるその対応について厚生労働大臣に質問しましたところ、大臣から、法案の中の「健康診査の実施等に関する指針」の中で規定していく旨の御答弁をいただきました。  すなわち、先ほどもありましたように、健診の後、きちんと指導する機関が少なくて、検査のやりっ放しというのが大きな問題になっておりますし、私もそのときに熊本県の例を示しまして、事後指導をきちんとしているところはやはり医療費が削減されている、また保険料を下げることができた市町村もございました。このような意味から質問をさせていただいて、そのようなことを、事後指導の重要性を、事後指導の具体的なところを指針の中で盛り込むと厚生労働大臣に答弁していただいたわけでございます。  小林先生にお聞きいたします。小林先生は、栄養指導、栄養相談、これについて御見識をお持ちと思いますけれども、健康診査の事後指導につきましてどのようなことを具体的に指針に盛り込んだらよいとお考えになるか、また、その先進的な事例があったら教えていただけませんでしょうか。

小林修平日本栄養士会顧問

○小林参考人 大変重要な点を御指摘いただいたと思います。  確かに、先ほどもちょっと触れられましたように、健康診査をした後でやりっ放し、運動しなさい、栄養に気をつけてというようなだけの指導をするという事例はいろいろ多々ございまして、医者の側は大変批判を受けているわけでございますけれども、健康診査に当たりましては、診査を終わった後で、その後でもちろん具体的に懇切な生活上の指導といいますか勧告を与えるのはもちろんでございますけれども、多くのプロフェッショナル、例えば、多少手前みそになりますが栄養士、管理栄養士等のところに適切に御照会いただきまして、また、栄養士、管理栄養士の側としては、そのための受け口をきちんと設けるという形が適切ではないかと思っております。  日本栄養士会でも、栄養ケア・ステーションという構想がございまして、専門の栄養士が適切な地域にケア・ステーションをつくりまして、そこでいつでもそういった相談を受け付けて、事後のケア等の評価等もできたら行いたいという形で、今具体的に計画中でございます。全国に六カ所ほどとりあえず設けるという計画があるというふうに聞いております。そのような形での進め方というのがよろしいんじゃないか、ぜひそういう形で指針に盛り込んでいただければと思っております。     〔鴨下委員長代理退席、委員長着席〕

江田康幸公明党

○江田委員 ありがとうございました。  もう少し時間がございますので、青山参考人にもう一つ、私がこだわる質問でございますが、それをさせていただきます。  現行の健康診査は、客観的に見える検査数値というのも、検査機器、機械ですね、機械とか試薬ごとにばらつきがあるのが普通でございます。さらに、異常か正常か、それを判断する基準値というのは、検査機関がそれぞれ学会の指標や独自のデータに基づいて決められている、そういう状況にあるかと思います。すなわち、統一性がない。そういう基準値の統一性の問題、今後これに対応していかなければならないと思っております。  今般の健康増進法案は、現在、母子保健法、それから学校保健法、労働安全衛生法、医療保険各法、それから老人保健法等々、さまざまな制度に基づいてばらばらに行われている健康診査につきまして、生涯を通じた健康づくりの実現を図ることを目的として各制度に共通の指針を厚生労働大臣が定める規定を設けておりますが、公衆衛生の専門家としてこれをどのように評価されておられるか、また、どのような指針の内容とすべきか、その件について教えていただきたいと思います。

青山英康岡山大学名誉教授

○青山参考人 二つに分けてみたいと思うんですけれども、第一点は、正常値というのは何だろうかということになるわけですね。  よく、人間ドックなんかの値を持ってきて、これ先生どうなんでしょうかと。例えば、私いつもこういう返事をするんですけれども、では、十人十色みんな顔が違うときに、どの顔が正常な顔でしょうかというと、異常だという人はいらっしゃらないと思う。いろいろそれぞれ個性を持っているのが正常値だろう。  そういうふうに考えてみると、その正常値というのがまず問題で、我々医師が持っている正常値というのは医学部の学生なんですね。そうすると、それを五十歳代の人に当てはめて狂っていたって当たり前だろうというふうに思うし、正常値というものの考え方が大事だろうと思うんです。  そのためには、ではどうするかというと、今の検査そのものが異常を発見するという形になりますから正常値との違いが問題になるわけですけれども、例えば、これからの生活習慣病における健診の場合は、異常か正常かじゃなくて、経過を見る。いわゆる加齢、年とともに上がってくる値と、病気のために急激に上がる、この違いを見定めようと思ったら、先ほど五島先生もおっしゃっていたように、経過を見るという指針がどうしても必要になってくるんだろう。異常か正常かじゃないだろう。  それに関連して、今の先生の御質問の二番目に入るわけですけれども、精度管理というのは非常に大切になってきます。特に今日、保健所だとかそういう公的な機関から離れて、民間に健診をさせる以上は、この精度管理というのは、少なくとも行政の努力としてきちっとしていく、そういう体制を持っていかないと、これはもう、一つ試薬が変わっても値は変わってくるわけですから、その意味での精度管理の点で行政はこれから重要な役割を果たさなきゃならないんじゃないかと思います。  以上です。

江田康幸公明党

○江田委員 生涯を通じて健康管理をしていく、そのもう基本中の基本となるのは、この基準値を、精度的にも、また、こういう各法ごとにばらばらで行われているのを統一して行う。そうすれば、自分が職場をかわっても、また、生まれて、三歳児健診から幼児健診、そして学校健診、それから職場域健診、そして老人、そういう生涯を通じてその基準値がそのまますべて見られる。そうすれば、私の体が、我々の体が、健康に向かっているのか、それともそうではない方向に向かっているのかがはっきりとわかってくる。  そういう意味では、私は、この健康増進法案に、地域、職場、学校などさまざまな場で行われている健診に共通した指針を定めるということも盛り込んだということは非常に大きな意義があると思っております。  最後の質問ができるかどうかですけれども、そういうような点を含めまして、小林先生に最後にお聞きいたしますが、本法案の評価を一言、どのようになされておるのか、最後にお聞きいたします。

小林修平日本栄養士会顧問

○小林参考人 それでは、簡単に。  本法案の基本的な方向として、先ほども申し上げましたように、私はぜひ早期に実現していただきたいというふうに思っております。それは、先ほども、私どもが今の新しい健康問題に立ち向かうための三つのポイントというのを申し上げましたが、その三つのポイントを法律の形で具現したものと我々は受けとめておりまして、それが理由でございます。

江田康幸公明党

○江田委員 もう少し時間がございますので、青山先生も、篠崎先生も、よろしくお願いいたします。

青山英康岡山大学名誉教授

○青山参考人 先ほども申し上げましたけれども、諸外国は、ヘルス・フォー・オール・バイ・ジ・イヤー・ツー・サウザンド、二〇〇〇年に向けてヘルシーピープル政策に取り組んできたわけですね。その意味では、我が国は二〇〇〇年から出発ですから、二十年おくれているわけで、私はこれは早急に成立していただきたいと思いますけれども、ただ法律ができたからだけでは、この運用の行政努力が十分振るえるように逆に国会議員の先生方も御関心を持ち続けていただければと思います。

篠崎次男立命館大学客員教授

○篠崎参考人 私は、残念ながら賛成しかねます。  先ほどから申し上げているように、都市化した生活のもとでは、個人に限定された健康づくりには限界があると思っております。この法案は個人の努力に的を絞り込んでいる、そこのところが賛成しかねる一つの理由であります。  二つ目に、市町村レベルでの公衆衛生体制が徐々に後退している中で、個人の健康づくりへの環境をつくるための公的責任の一層の明確化が必要ではないかな、そんなふうに感じております。  どうも申しわけありません。

江田康幸公明党

○江田委員 時間でございます。参考人の先生方、ありがとうございました。

森英介自由民主党

○森委員長 次に、佐藤公治君。

佐藤公治自由党

○佐藤(公)委員 自由党の佐藤公治でございます。  本日は、参考人の方々には、お忙しい中、当委員会に来ていただきましたことを本当に心より感謝を申し上げたいと思います。  私は、この健康増進法をずっと見させていただいて、私の前の委員の方々からも話がありましたが、非常に当たり前であり、立派なことであり、今さらというところもたくさんある部分もあると思います。これは突き詰めていくと、悪い方向で考えると、何か規制をというよりも、私自身の生活を全く国が管理していく。晩酌は二本まで、三本飲んだら罰金だ、こういうことに突き詰めていくとなっていくのかなという気もする。  そこまではともかくとしまして、でも私が思うことは、これを考えれば考えるほど、今少子化とか高齢化とか、本当に民族が滅びるということまで言われている、それに匹敵するぐらい実は大変な問題なんじゃないかというふうに考えるところもございます。今、もう一方では健康保険法が改正ということで議論されておりますが、なぜかそれにくっつけたようなことでの今回の法の提出というのは、何か不謹慎な、失礼なような気がする。そんな思いもしながらこの法案を見させていただいております。  ところで、本当にそれだけ重たいというか、国として考えていかなきゃいけない健康増進、健康ということであるのであれば、私は、この法律だけではなくて、まさに聖域なき構造改革と言われている、構造を変えていかなくては、本当に運用されていく、または国民の意識というものが変わっていくことがないんではないか、そういう思いを持っております。  そこで、青山先生にお聞きしたいんですけれども、先ほど先生がお話しされていることは、すごく私自身同感、共感、共鳴するところがある。こういう法律をつくったからといって、これがそのままできる、やっていけるか、これからの運用が問題だというところになりますけれども、少子化とか高齢化、そしてもう一本、こういう健康を保っていく。まさに私は、健康増進法というよりも、自己責任健康法みたいな、自己責任をきちんとみんなが意識を持ってやっていく、こういう社会であり国家であり国民にしていかなければいけないと思いますけれども、そういう部分を踏まえて多少青山先生より御意見をいただければありがたいと思いますが、いかがでしょうか。

青山英康岡山大学名誉教授

○青山参考人 先ほどから何度も申し上げているんですけれども、基本的には、自分の健康を自分で守れというのは、国民の皆さん方がおっしゃる、また私たち医師として、患者さんがおっしゃることは正しいと思うんです。ただ、我々が、医師が患者に対して、また厚生労働大臣が国民に向かって自分の健康を自分で守れと言うのは、私はとんでもない責任逃れだというふうに思う。  国民一人一人が自分の健康を自分で守ろうと思ったときに、守るために必要な知恵は十分提供されているのか。あれすなこれすな、ああせいこうせいじゃなくて、必要な知恵が提供されているのだろうか。それから、実践しようにもできないような、平均寿命が延びている中で、酒も飲まず、たばこも吸わず、ごちそうも食わず、雨の日も風の日も一万歩歩いていたら、僕は本当に人生長くなったなと思うだろうと思うので、そんな、あれすなこれすな、ああせいこうせいではない、楽しく実践できる知恵と技術をどうして提供しないんだろうか。  先ほどの食品の問題なんかでも、あれがいい、これがいい、あれがいけないというのではなくて、例えば、豊富な材料を使えば当然塩分なんか減るわけですね。塩分を減らせと言うまでもなく、おかずの種類をふやしましょうと言えば、塩っ辛いおかずに塩っ辛いおかず、そんな献立にするはずがないわけですよ、そうすると塩分は減るわけです。そういう楽しい、実践できる知恵を提供できるのかどうか。そういう点での専門職の発想の転換と同時に、今までとは違った健康増進法にならなきゃいけないだろう。  ですから、法律よりも、今後の法律の運用の中身の問題で、ぜひ私は、健康増進というのはどういうものなのかということを国会議員の先生方が監視をしていただくことがとても、だからこれはきっかけとして非常に重要だろう。先ほどの五島先生のあれじゃないですけれども、つぶす必要はない、あったらすぐに役に立つかといったらあれかもしれないけれども、要らぬということじゃないので、これを前進の踏み台にできないかなと。その辺の期待で遅過ぎたというふうな表現を使わせていただきましたけれども、よろしゅうございますでしょうか。

佐藤公治自由党

○佐藤(公)委員 ありがとうございます。  まさに私自身、この法案を見させていただいて、可もなく不可もなくというところで、ではそういう法律を果たしてつくっていいのだろうかなという気もするのも事実です。可もなく不可もなくという形であるのであれば、安直につくるより、やはりもう一回基本的なことを考えてやっていくというのもあり得るのかなという思いも今はしておりますが、結果はどうなるかわかりません。  それで、小林顧問にこの次にお尋ねしたいんですけれども、小林顧問のお話を聞いていると、まさに今、本当に時代の流れ、社会環境の流れ、違いがいろいろと出てくるわけです。小林顧問だけじゃなく、青山先生も篠崎先生もそうかもしれませんけれども、こういったことをやっていくに際して、私などつくづく感じることは、縦割り行政の弊害というものがたくさん出てきているはずなんです。  例えば農林水産省と厚生労働省。表示の問題、保持期限とか賞味期限、また製造年月日、こういったあらわし方が、縦割り行政の中で、極論からいえば厚生労働省の中でも縦割りの部分で、あれは違う部局、これはこっちだということで大変にやりにくい部分があるというふうに私は感じます。  極論からいうと、こういったことを今ずっと話をして突き詰めていけば、これは環境問題でもあり、文部科学の教育の問題でもあり、また、地方自治体でいったら総務の問題でもある。まさに縦割り行政を横軸で切った、本当に大事な基本方針ということで考えていかなきゃいけない。  この縦割り行政の弊害について、時間が余りありませんけれども、小林顧問、青山先生、篠崎さん、二、三分ずつ順次お答え願えればありがたいと思います。

小林修平日本栄養士会顧問

○小林参考人 縦割り行政についてどういうふうに考えるかということでございますが、私どもは、栄養でもって、食でもって健康を図るというものと、例えば食の安全という問題は、表裏一体のものであるというような考え方を従来から持っておりまして、このたび、安全性を軸に、食品安全ということで横のつながりができたということを私は非常に喜んでいる立場でございます。  この法案の特徴は、市町村レベルでその具体的計画を立てるというところが非常に重要かと思います。市町村レベルまで下がってきますと、いろいろ従来のいきさつがあってやりにくかった相互の連携というものがより密着に、また、その地域の特徴を利用した形で、その地域の特性にのっとった形で展開することがより可能になるというふうに私は考えておりまして、そういう意味で、この、地方と国とそれから個人という三者にそれぞれ何をやるべきかということを示した点は、非常に新しい点じゃないかというふうに受けとめております。  以上でございます。

青山英康岡山大学名誉教授

○青山参考人 二年前に定年退職しまして、国家公務員の枠から外れてこんなに気持ちがいいものだなと思ったことはないわけですけれども、本当に、行政の縦割りで、学校と地域とそれから職場というのはばらばらになっているんですね、御指摘のとおり。これをどうつなげていくのかということ。  厚生省と労働省の合併に際しても、最初から、健診については、健診項目のすり合わせというのは話題になりながら、いまだにこんな状況ですから、私のこの法案に対するおくればせながらの期待というのは、逆に、今回は厚生労働大臣が各省庁との協議の上で進めるということで、今度はこの法律をきっかけにそういうすり合わせが本当に進むんだろうなという期待を込めて先ほどから言わせていただいているので、ですから、法律の文章よりは、今後の行政努力に大いに期待したい。  先生もおっしゃったように、僕は、本当にこの縦割りはどうにもならぬなという感じがいたしております。

篠崎次男立命館大学客員教授

○篠崎参考人 私は、具体的な事柄で縦割り行政の問題点を指摘したいと思います。  例えば、市町村で保健講座というのは三種類ぐらいやられております。消費者センターで、賢い消費者を育てるための自主サークルづくりで健康のテーマがたくさん取り上げられております。それから、公民館で、学習サークルの中でも健康や病気の課題がたくさん出ております。同時に、保健センターで、保健師が企画する保健講座が開かれております。  これは全部ばらばらです。教育委員会と商工課か何かと、それから保健課、これが統一できておりません。したがって、どんなに住民が健康づくりを学んだとしてもそれが町づくりにつながっていかない、こんなところが一つ大きな問題じゃないか。それは、やはり国、都道府県の縦割りが下に貫かれている、そんなふうに思っております。  それから、保健センター内部でも、例えば、今ではウロペーパーによる尿チェックなんというのはだれでもできるわけですけれども、臨床検査技師がいる保健センターでは、保健婦がその中身を指導することができておりません。栄養士のいる保健センターでは、栄養のバランスチェックなどを保健師が教えることができておりません。栄養士や臨床検査技師は保健教育のために配置されているわけではありませんから、結局、栄養士や臨床検査技師がいるところでは、家庭が健康になっていくための技能の習得という点については大層おくれをとっているのではないかな、こんなふうに思います。  ですから、現実にちぐはぐな行政を市町村からやはり正していく、それで都道府県は余り市町村にやかましいことは言わない、こういうことが健康づくりにおいては必要ではないかと思っております。  以上です。

佐藤公治自由党

○佐藤(公)委員 大変貴重な御意見、ありがとうございます。私も皆さん方と全く同感でございます。  その縦割りをなくすことから本来始めていかなきゃいけないんですけれども、なかなかいい法律であってもその縦割りのために機能していかない、またむだがある、不効率ということになっていることが多くあると思います。この辺、私たちもまた、委員会の中でも議論して、できる限り前向きに取り組んでいきたいというふうに思いますが、先ほど青山先生がおっしゃいました調整ということがなかなか当てにならない、これが現実かなという気がいたします。  最後に一問、済みませんが、篠崎先生にお尋ねしたいんです。  現行、健康食品に関する単独の法律というものがなく、食品衛生法とか栄養改善法とか薬事法によって成っている。私も、まさに情報が混乱をする、この健康食品というのに関しては非常に今社会全体が混乱をしている部分というのがあると思いますけれども、こういう部分に新たな法律をつくるというような御発言がさっきあったかと思うんです。  もう時間がないんですけれども、この健康食品に関する単独の法律、まず、この基本はどういうものを考えて法律をつくるべきなんだろうかと思うんですが、その辺、もしもお答えになれれば、お考えがあればお願いします。

篠崎次男立命館大学客員教授

○篠崎参考人 私は、健康増進法という中でその健康商品その他を認定すると、そこに依存した健康づくりになりがちではないかという点で、健康増進法からはそれを取り外すべきだという考え方を先ほどは示しました。薬事法だと厳し過ぎる、食品衛生法だと健康づくりが強調されない、そういう企業の思惑を反映しての、これは私の推測ですから誤っていたらおわびして訂正しますが、健康増進法というものであれば、むしろ増進法の中からこの条項は除去すべきではないかな、そんなふうに思っております。どうしても法的につくりたければ、特別の法律でもって対処する方が望ましいということです。  中身については、私はそれをつくることを必要だとは思っておりませんので、そこまでにさせておいていただきます。

佐藤公治自由党

○佐藤(公)委員 どうもありがとうございました。参考人の皆さん方、本当に心より感謝を申し上げます。  以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

森英介自由民主党

○森委員長 次に、小沢和秋君。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 参考人の皆さん方には、本当に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。  まず、青山先生にお尋ねしたいと思うんです。  先ほど伺っておりますと、先生は公衆衛生を専攻してこられたということでありますので、そういう立場から生活習慣病のことでもう少し御意見をいただきたいと思うんです。  先ほど来のお話の中では、今、飽食の時代になっているということからこの生活習慣病が広がっているというようなお話もあったんですけれども、私は、今これだけ不況が長期で深刻化しているという状況の中で見ておりますと、決してそんな、飽食、満ち足り過ぎている人たちだけが生活習慣病になっているんじゃないというふうに思うんです。  実際、働いている人たちなどを見ておりますと、これなどは糖尿病の前兆じゃないかと思うような、うんと太ったり運動不足の状態などに置かれているんですけれども、職場の労働条件を聞いてみると、IT化が進んでじっと座ったままで長時間仕事をしなきゃいかぬ、定時になっても帰られないで夜中まで残業しなきゃいかぬで、運動不足だとかなんとか言うけれども、とても運動する時間もないと。こういうような状況などが日本人の男性をみんな太らせて、そして糖尿病などが広がるという原因にもなっているんじゃないだろうかというふうに私は思うんです。  その辺について、先生の御意見をもう少しいただきたいと思うんですが。

青山英康岡山大学名誉教授

○青山参考人 飽食の時代と言ったのは、すべての国民が飽食の生活をしているということを申し上げたわけでなくて、粗食をもって美徳となす食べるものがない時代は、食生活指導というのは、これが健康にいい食品、これが健康に悪い食品という知恵を保健指導として与えることが非常に大切でした。だけれども、今地球上で、食材に関しては本当に豊かに囲まれているわけです。そういう中での食生活指導は、健康食品なんというものを出して、どんなにすばらしい健康食品でもそれだけで健康になる食品なんてありっこないわけですね。そういった意味では、できるだけ食材を幅広くとりましょうという食生活指導をしなければならないだろう。これは状況の変化です。  また、食べたら使えばいいわけですけれども、今、汗水流して働く職場というのはどんどん少なくなっているわけです。ずっと機械を眺めていなきゃならないのは、当然運動不足になるだろうと思います。そうすると、飽食の時代に、食べてそして使わなければ、肥満が起こるのは当然なんです。この肥満は、決して、すばらしい肥満でも食べ過ぎた肥満でもないわけです。  また、血液の検査でトータルコレステロール、高脂血症なんて言われていますけれども、コレステロールというのは、毎日ビフテキを六百グラムずつ食っても上がりますけれども、毎日インスタントラーメンを食い続けても、これは味が動物性脂肪ですから、同じように上がります。そうすると、検査結果で、コレステロールの値だけを見て肉を食いなさんなという指導は誤りなわけですね。そうすると、やはり生活習慣、生活様式を見定めた生活指導が必要になってくるというわけで、飽食の時代にみんなが栄養が満ち足りているということではない。逆に、飽食の時代に自分の好きなものだけ食べるための偏食による栄養障害も出てきております。  そういうことで、私は、飽食の時代というのは、飽食の時代と粗食をもって美徳となすという時代とでは食生活指導のあり方をやはり変えなきゃいけないというときに、我々専門職も含めて、変えられていないところが問題だということを御指摘させていただいたわけです。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 重ねて青山先生にお尋ねします。  食生活をそういうふうに改善するということももちろん重要でしょうけれども、私、特に今申し上げたかったのは、職場の労働条件などが変化をして、今先生もちょっとおっしゃいましたけれども、じっと座ったきりだ、そして長時間働かされて運動する時間もない、こういうような社会的な背景というのが生活習慣病をこれだけ広げる上で大きな要素になっているんじゃないかというふうに私は思うんですが、その点、いかがでしょう。

青山英康岡山大学名誉教授

○青山参考人 おっしゃるとおりで、今、職場の労働態様というのは大きく変わってきています。みんなは機械化、自動化によって楽になったと言うんですけれども、決して楽になったわけでなくて、一日八時間の労働時間には、これは労働強度の時代から労働密度の時代と私は言っているんですけれども、密度は逆に高まっているわけですね。そういった意味で、そういう労働態様の変化が生活習慣病をもたらしているとすれば、生活習慣病に対する指導、生活指導というのは、検査の結果だけではなくて、そういう生活実態を見定めた指導をしなければならないということになるんじゃないかと思います。  そういった意味で、今、老人保健法の第三次計画、第四次計画で、個別健診、個別指導、またヘルスアセスメントというような言葉で個別性を重視しなければならないという方向が出されているわけですけれども、まだその普及は決してはかばかしくないというのは今日の先生の御指摘のとおりだと思います。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 次に、篠崎先生にお尋ねしたいと思うんです。  今申し上げたような生活習慣病の社会的な背景があるとすれば、国民に本当に健康に過ごしてもらうためには、職場の労働条件とか社会的な環境などを改善していく、そういう意味でも国の責任というのは非常に大きいのじゃないかと私は思うんですが、今回のこの健康増進法案というのは、まずとにかく生活習慣などをよくして本人が健康を守るために取り組め、国はその応援をするぞ、こういうような位置づけになっているんですね。  私は、国民の健康を増進していくためには、国の責任こそまず第一に押し出さなければいけないのじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

篠崎次男立命館大学客員教授

○篠崎参考人 先ほど青山先生が、健康というのは人権の重要な一部であるという指摘をされましたけれども、その立場からいっても、健康づくりそれ自体は国民が自主的に行うものですけれども、その前提づくり、健康づくりの環境整備というのはやはり国や自治体の公的責任だろう。とりわけ、国の責任は重いだろうというように私は思っております。その点については、この健康増進法の中ではほとんど触れられていないのではないかというふうに思います。  まず、国の責任としましては、今の健康状況をやはり科学的に正確に整理をして、今ここで話題になっております労働や生活習慣まで含めて、健康状況の社会的な背景をきっちりと整理をして課題を提示していただく必要があるだろうと思います。  それから、具体的に保健行政を進める市町村の公衆衛生体制をやはり手厚くしていくための努力が必要であろうというふうに思います。  それから三つ目に、やはり住民が参加して意見を述べ、要望を出し、同時に住民の役割を自覚できるような、そういう意味での住民参加型の健康づくり計画策定のための保障を国がきちんとやるべきではないかな、そんなふうに思っております。  それから、若干それとの関連でつけ加えますと、医療保険者が健康増進事業者ということになった場合、小沢先生が先ほどから気になさっております労働の現場での健康環境が悪化するという問題について、どこまで医療保険者がその問題を取り出して整理をしてその解決のために奮闘できるか、この点についても疑問を感じます。  そういう意味でも、職場の労働環境衛生の問題についても、医療保険者に転嫁するのではなくて、やはり国の責任をもっと鮮明に打ち出さねばいけないのではないか、このように考えております。  以上です。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 引き続いて篠崎先生にお尋ねしますが、今言われましたように、国の責任が非常に重要であるにもかかわらず、今回の法律では、いわば国はお手伝いをしますよという立場。しかも、実際の国の公衆衛生行政、その姿勢というのを見ておりますというと、後退ぎみじゃないかというふうに私も感じるわけであります。  先ほど先生のお話の中で、私の住んでおります北九州市の保健所の話などもちょっと出たようであります。保健所をつぶして福祉事務所などと統合して、保健福祉センターというようにしてしまう。しかも、どうも今度はそれもつぶして、何か、まちづくり推進部とかいうようなところにそれを吸収してしまう。こういうような形でどんどんそれを縮小するような動きが非常に強いんです。  全国的にもこういうような公衆衛生行政の後退傾向があるんじゃないかと思うんですが、先生、非常にいろいろなところの状況を御存じじゃないかと思うんですけれども、そういう傾向が全体としてあるということじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。

篠崎次男立命館大学客員教授

○篠崎参考人 残念ながら、小沢先生が言われるような状況がかなり広がっているというふうに私は理解をしております。  まず、市町村段階で、保健と福祉の連携。これ自体は住民要求としては非常に大事な視点でありますけれども、保健と福祉の連携というかけ声のもとに、保健業務が福祉業務に吸収される形での連携が強まっているのではないかな、こんなふうに思います。そうすると、保健福祉課の上司は大体一般事務職になりまして、保健師その他の公衆衛生専門家の業務の把握や指導について劣るところがある、ともすると予算統制だけに走りがちだ、こういう点で、非常に多くの市町村の現場の保健師たちが戸惑いを今見せ始めているのではないかなと思います。  それから、市町村でもやはり仕事の効率化ということが進められておりまして、職員の欠員補充がなかなか難しくなっております。そのときに、保健師は一般業務を兼務できるけれども、一般業務は保健師を兼務できない、こういうような言い方のもとで、保健師に一般業務の兼務化がかなり広がり始めているんじゃないかなと思います。それで保健師本来の仕事が滞ると、それはやはり民間委託ですとかあるいは仕事の縮小、こんなような形で、全体的に、非常に緩やかですけれども、市町村の公衆衛生体制の後退というのが今始まっているのではないかな、こんなふうに思います。  それから、大都市なんかでは健診予算をカットされる。そうすると、健診の数が少なくなりますから臨床検査技師が要らなくなるとか、あるいは保健師の一般業務の比率がふえるとか、こんなようなことも含めて、非常に緩慢な形ですけれども、着実に公衆衛生体制の後退が今進み始めている。これは非常に危険なことではないかな、そんなふうに思っております。  それからもう一つ、先ほど、少子化の問題で、子育てという問題がかなり諸先生方から出されておりましたけれども、日本の子育て政策の中で一番不足しているのは、妊娠から出産、そしてゼロ歳児の育児、ここの部分での子育て支援環境がほとんど整っていない。これは本来、保健センターなり保健師の仕事として位置づけられるのではないかな、こう思います。現在の母子保健行政ではそういった中身もほとんどフォローできておりませんので、かなり国民の公衆衛生にかかわる分野の後退というのは気になることであります。  以上です。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 青山先生にもう一言お尋ねをしたいと思うんです。  いわゆる受動喫煙問題というのを今度の法案の中に盛っております。私どもも、本人にもそして周辺にも害を与える喫煙という習慣を啓蒙などによって日本の社会からなくしていきたいものだと思うんですけれども、その一歩として、今度の場合、分煙、公共の場での分煙を進めるという方向が出ているんですけれども、私は、これは努力義務じゃなくて、もっと踏み込んでほしかったなと思うんです。先生など、その辺で御意見があれば、もう少し聞かせていただきたいと思います。  以上です。

青山英康岡山大学名誉教授

○青山参考人 私は、この条文を見て、非常に巧みに入ったなというふうに感じたんです。  というのは、このたばこの問題というのは、嫌煙家が愛煙家を敵に回す闘いでは絶対に進まないと思うんですね。私は兵庫県の健康づくりの標語をつくったんですけれども、これは、たばこを吸う人吸わない人の思いやりとしてたばこゼロというスローガンをつくったんですけれども、やはり思いやりでたばこゼロを出さないと、憎しみに沸いてたばこをやめろという運動は、私は絶対に成功しない。  その意味では、パッシブスモーク、受動喫煙をこういうふうな形で入れたというのは、非常に役人にしては知恵があるなという感じを私はしております。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 どうも貴重な御意見をありがとうございました。

森英介自由民主党

○森委員長 次に、中川智子君。

中川智子社会民主党・市民連合

○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。  きょうは、本当にお忙しい中、ありがとうございます。  今の小沢先生の質問の後でちょっとやりにくいんですが、私はお酒も好きですし、たばこも好きですし、本当に何しろストレスが一番、病は気からと申しますので、ストレスをなくすためには他人の迷惑などはどうでもいいとは思いませんけれども、やはり自分が大事というところで生きている人間なんですけれども、そういう点からいいましても、今回のこの増進法は、自己責任というか、国にそこまでお手伝いしていただかなくても死ぬときは死ぬし、やはり今の世の中、八十、九十まで生きても、長寿がイコール幸せだというふうには何か思えない。なるべく子供に負担かけないで、ああ、お母さん、いいときに逝ってくれたわというような人生を送りたいというのが私の希望ですので、非常に居心地の悪い法案でございまして、何か質問するのもやりにくいというのがあるんです。  まず最初に青山参考人にお伺いしたいんですが、一番ちょっと気に食わないのは、この二条のところで「国民の責務」というふうにあるわけなんですね。  国民が健康な生活を送ることができるようにするのは国の責務。国民の責務とすることは、自己責任、本当に自分自身で自分の体、健康は守っていこうと思っている人にとっては余計なお世話ということがあるんですが、かなり踏み込んで「国民の責務」というふうに書いてあります。国民には健康である権利はありますが、健康である義務というのはないと思うんですが、何かこの二条に対しての青山先生の、「国民の責務」ということに対しては、国の責務だけでいいんじゃないかという私の主張に対しての御意見をちょうだいしたいと思います。

青山英康岡山大学名誉教授

○青山参考人 私も、国民一人一人の責任を問う前に国の責任を問いたいと思いますけれども、やはり、国民一人一人が自分の健康を自分で守ろうとしたときに、守るために必要な体制、環境整備を国の責任で行うという論理の展開だろうと思うんですね。  私、戦後の職場の健康管理のことを考えてみますと、労働基準法時代は使用者責任だけでした。労働者は権利でした。自分の、ここを直せ、ああせいと言えば、それに基づいて使用者は、働く人をもって危険な業務、有害な業務につけてはならないというその責任で果たしていたわけです。  昭和四十七年に労働安全衛生法ができました。労働安全衛生法では、事安全衛生は労使対等の責任ということになりました。労使が対等の責任を持つという体制になって、その統計の数値がおかしいと言えばもうこれは終わっちゃいますけれども、一応、労働安全衛生法が制定されて以後、労働災害の発生率は三分の一に減っておりますね。  そういった意味からいえば、国の責任ということを明確にするためには、やはり国民一人一人が責任を持つよという、その上に立って、国民の基本的人権としての健康権の要求に対して国は責任をとるという形になるのではないだろうかというふうに私は思います。

中川智子社会民主党・市民連合

○中川(智)委員 いや、何かこの法案で心配しますのは、たばこを吸う、なるべくやめなさいと言っているのに肺がんになっちゃった、ではあなたは保険適用しませんなんていう時代が来るのではないかというものを、非常に想像力が豊かなものですから、ちょっと考えてしまうんですが。  続いて、青山参考人に健康診断の問題でちょっと伺いたいと思います。  私は、地域で、三歳児健診で、言葉がおくれているとかちょっと動きがほかの子よりもおくれている感じがするという診断で、あなたはちょっとこういう教室に行きなさいとレッテルを張られまして、そして、子供は非常にうれしそうに来るんですが、親の方は、三歳児健診で、この子は知恵おくれじゃないか、何か障害を持っているんじゃないかということですごいプレッシャーで、ノイローゼになってしまう人もいますし、泣きながら、この子のことが心配でと。でも結局、一年ぐらい私はそこでは保母としてかかわっていたんですけれども、一緒に遊んでいますと、全く関係なかった。むしろ健康診断で変にレッテルをつけられて行かされますと、行政の方はよかれと思ってやっていても、御本人、家族にとっては深刻だという現場にいました。  今回のこの法案の中で、就学時健診、そして乳幼児健診で、ある意味では異常、正常という形で振り分けて、結局、栄養調査はきっちりと目的外使用というのを禁止しているんですが、この健康診断についてはそこがあいまいでございます。目的外使用の規定はないんですね。  これが障害差別につながらないかどうかということを、青山先生とそして篠崎先生に、続けて同じ質問でお伺いしたいと思います。

青山英康岡山大学名誉教授

○青山参考人 御指摘のとおりで、だから先ほど申し上げたんですけれども、果たして正常な人というのはどんな人なんだろうかと思うんですね。  私、医師の免許証をもらって、最初にいわゆるスラムと言われるところの診療所に勤めたことがあるんですけれども、いわゆる三歳児健診で発達状況を見るときに、あなたの子供さんは積み木を三つ積めますかというのがあるんですね。すると、お母さんも考えているし、子供も……。ああ、この人は三つ積めない子供だなということで、これは発達遅滞ということになるんですね。その人の家には積み木は二つしかないわけですから、二つしかない家で三つ積むということは、これはできないわけですね。だけれども、これでもう十点中何点という形で障害児にされちゃう。  だから、先ほどから何度も申し上げていますように、健診というのは、正常値があってそれからどれだけ外れているかではなくて、その人の加齢、年とともにどういうふうに、去年からことし、どう変わっていくのかという、それを正確に記録し、残していこうということが大切なわけで、これからはデータを、例えば私、職場の健診なんかに申し上げているんですけれども、五年間、健康診断結果のデータを保存しろと言っている。五十六歳、七歳、八歳、九歳、六十歳で定年という、そんなデータをもらうよりは、三十五歳、四十歳、四十五歳、五十歳、五十五歳、六十歳のデータをもらった方が、退職後の健康管理に非常に役に立つと思うんですね。  そういった意味で、考え方も変えなきゃいけないし、健診によって、特に今の肝機能検査なんというのは、肝臓というのはサイレントオーガン、検査結果がなかなか出ないのが肝機能ですね、そうすると、あれでGOTとGPTを見て、ああ、まだ正常だ、飲んでもいいということですねという。お酒を勧める検査結果なんかどうでもいいじゃないかというような気がします。だから、検査の値を正常、異常で分けるという考え方。  年をとったらたくさん病気を持っているんじゃなくて、たくさん病気を持っている年寄りは死んでいると思うんです。病気がないから生きていると何で考えられないんだろうかというふうに考えてみると、やはり検査データというのは経過を追うんだ、そういう指針が今度出されてこなきゃならないんじゃないかなというふうに私は考えます。

篠崎次男立命館大学客員教授

○篠崎参考人 子供をめぐる健診問題で私が一番気になるのは、この法律でも母子保健については市町村の事業ということになっておりますけれども、多くの市町村で、子供の節目健診については自分たちの体制で具体化することができないで、民間委託、多くの場合に医師会委託というのが進められております。そうすると、医師会の臨床専門の小児科の先生方は精いっぱい御努力はなさっておりますけれども、発達診断やなんかについてどこまでフォローできるだろうか、そういう心配も率直に言ってあります。  それから、多くの市町村が、発達診断その他の中で課題が見つかった子供たちを、専門の機関なり専門家と連携をとってきちんとフォローしていく、そういう体制もかなり弱くなっているんではないかな、こういう感じがしてなりません。ですから、私が母子保健法で一番心配するのはそういう点であります。  当然、先生が危惧されている点についても十分注意していかなければいけないだろう、こんなふうに思っております。

中川智子社会民主党・市民連合

○中川(智)委員 小林参考人にお伺いします。  やはり、栄養をどれぐらいとったらという指針というのは、栄養が非常に不良だったときとか、そういうときは目安として大事だと思うんですが、それよりも前に、食の安全。今、食に対する安心感というのが失墜しておりますし、本当にこういうことにお金をかけていくんだったらば、薬害を起こさないようにもっと頑張れとか、BSEの問題なんか発生させるなという、水際でもっと頑張ってほしいと思うんです。  栄養士のお立場として、食の安全がここまで失墜している状況の中で、今回のこの栄養指導というのを、例えば牛肉を食べられなくなっちゃって、牛肉、どれぐらいたんぱく質がとかというふうになりますと、食べられなかったら大変というのがありますが、今の食の安心が地に落ちているという状況に対して、一言コメントをいただきたいんですが。

小林修平日本栄養士会顧問

○小林参考人 先生のおっしゃるとおり、安全という問題は最優先する課題だということは私も全く同感でございます。今起きている問題に関して緊急に手を打つということが大事なことはもちろんでございますが、もう一つ、国として考えなければならないことは、永続性を必要とする、継続性を必要とする対策をどのようにして担保するかという問題じゃないかと思うんです。  特に、生活習慣病の問題は、御存じのとおり、知らぬ間に体の中で変化が起こって、いざ発症したときには手おくれだ、あるいは非常に高い金がかかる、あるいは非常に苦痛を伴う処置をしなきゃならぬ、そういう特性を持っておりますから、この問題は永続性を担保しないと意味がない。それをきちんと担保するのは、やはり国がやって、こういう体制を、枠組みをつくっておかないとそれがなかなか保障されないということでございますから、私の考えは、もちろん安全性優先ということはよくわかりますが、同時に、このことを忘れてはいけないというのは国がしっかり担保するべき問題だと思います。

中川智子社会民主党・市民連合

○中川(智)委員 それでは最後に、もう一度篠崎参考人にお伺いしたいんです。  やはり先ほどの陳述の中でも、自治体へのいろいろな形の負担、財政負担やさまざまな問題での御心配がございましたが、この法案の中で、予算とかその体制に対してどう財政的な援助をしていくかというのが、なかなか、読み込んでもあいまいな部分がございますが、今、健康日本21ということで自治体が既にやっていますけれども、現状での、地域でのこの法律に対しての期待と不安というところで、もう一言お伺いできたらと思います。

篠崎次男立命館大学客員教授

○篠崎参考人 大都市以外では健康日本21運動が一定進み始めておりますけれども、率直に言いまして、せいぜい、半年で一つの市町村あるいは保健センターで二十人か三十人ぐらいの人々をピックアップして個別指導をやっているにすぎません。ですから、これでいきますと、いつ健康な社会が来るんだろうかということが少し気がかりであります。  先ほどから財源問題や社会資源の問題が出されておりましたけれども、私は、最大の健康づくりの社会資源というのは地域住民だと思っております。地域住民をどのように変えていくか。あるいは、家庭の保健力といいますか、健やかに生活していく力といいますか、この保健力を豊かにしていくためにどういう施策が必要であろうかと。余りお金をかけずにその辺のところをもう少し絞り込んで、生活習慣病の予防やコントロールに本当に役立つ知識と技能を広める、そこにやはり徹するべきではないかなと思います。  そういう点では、ことしの厚生省予算の中に、健康づくり自主サークルに対する補助金が一定予算として計上されておりますけれども、あの行方は、しっかりと住民自身が使いこなせるような形にしていく、そういうふうな意味で注目していきたいな、こんなふうに思っております。もう少し住民参加ということを正面に据えた増進法にならないだろうか、これが最終的な私の意見であります。

中川智子社会民主党・市民連合

○中川(智)委員 どうも本当にありがとうございました。

森英介自由民主党

○森委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人の皆様方におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  次回は、明十二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十二分散会

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