法務委員会 第10号
- 発言数
- 277 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2001/11/27
会議録
○委員長(高野博師君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 刑法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本日は、本案の審査のため、お手元に配付の名簿のとおり、三名の参考人から御意見を伺います。 御出席いただいております参考人は、被害者遺族井上郁美君、京都学園大学法学部教授川本哲郎君及び弁護士笠井治君でございます。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。 参考人の皆様方から忌憚のない御意見をお聞かせいただきまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 議事の進め方でございますが、まず井上参考人、川本参考人、笠井参考人の順に、お一人十五分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、念のため申し添えますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いしたいと存じます。 なお、参考人の方の意見陳述及び答弁とも、着席のままで結構でございます。 それでは、井上参考人からお願いいたします。井上参考人。
○参考人(井上郁美君) 井上郁美と申します。 私は、一九九九年、平成十一年十一月二十八日に、東名高速道路を運転中に酒酔い運転の大型トラックに追突されて、後部座席で眠っていました長女奏子、当時三歳七カ月、次女周子、当時一歳十一カ月を亡くしました。法律には全くの素人ながら、多くの遺族と同様に現行法にさまざまな疑問を感じ、法改正の実現を待ち望んでいた者として、またそのための署名活動に取り組んできました者として、意見をきょうは述べさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。 事故の態様はたくさん報道されておりますので皆様もう御存じかと思いますが、簡単に述べさせていただきますと、加害者は高知県出身の運送会社に勤務する者で、三十数年間大型車を職業として運転しているプロのドライバーでした。事故の真相が明らかになるにつれ、前日、フェリーの中で酒の瓶を持ち込んで飲んでいたばかりではなく、当日の昼食休憩の際にウイスキーと缶チューハイを大量に飲み、その後わずか一時間の仮眠休憩の後に再びハンドルを握り、東名高速用賀料金所の手前で減速中だった私たちの乗用車に、蛇行運転を三十分も繰り返したあげくに追突したということを後から聞かされました。 プロの運転手として信じられない飲酒運転という行為を犯したこともさることながら、そのような事件であったのにもかかわらず、すべての交通事故は過失という言葉で処されてしまうこと、さらに何人死なせてしまっても現行法のもとでは最高で懲役五年までにしか処されないということ、そのようなことに大きな疑問を抱きました。 裁判が始まりましたが、検察は目いっぱいの求刑をしますというふうにおっしゃってくれましたが、結局、道交法、酒酔い運転との併合は加味されず、求刑五年、それに対して裁判所はさらに一年減刑する懲役四年という判決を下しました。異例の控訴となりましたが、それも覆ることはありませんでした。 一審判決が出ましたころ、神奈川県座間市で大学生二人が、酒気帯び、スピード違反、無免許、無保険の暴走車によって即死するという痛ましい事故があり、その大学生のうちの片方、鈴木零君の母親である、造形作家でいらっしゃる鈴木共子さんという方が、今の刑法は交通事故で亡くなった者の命の重みを反映していないというふうに考えられ、法改正を訴えるための署名活動を始められたということを聞きました。 まさに、私たちが思っていたとおりのことを鈴木共子さんは一足早く始めてくださったのです。私たちも、夫・保孝が再入院、再手術を果たした後の九月から本格的にその署名運動に参加しました。悪質な事故で最愛の家族を亡くされたたくさんの遺族の方に署名活動を通じて出会いました。 街頭署名も全国で計六回にわたって行いました。東京、JR町田駅前、クリスマスイブの千葉駅前、雨の降る大阪梅田駅阪神百貨店デパート前、それから動物園や美術館に遊びに来た家族連れ、カップルなどをつかまえた上野公園前、夏祭りに向かう浜松駅前、東北の遺族とともに最後の街頭署名を行った盛岡での繁華街の中での街頭署名。その街頭署名を通じて私たちは、広く一般市民の人たちも、私たちもおかしいと思う、業務上過失致死傷罪というのが、何人、人を死なせても、どんなに悪質でも最高で懲役五年にしか処せないというのは余りにも軽過ぎるんじゃないか、私たちの大切な家族を守るためにも鈴木さん、井上さん、遺族の皆さん、頑張ってくださいという励ましの声をたくさんちょうだいいたしました。 集まった署名は合計で三十七万四千三百三十九名、これを四回に分けて歴代三人の法務大臣に提出させていただきました。多くの遺族とともにそれぞれの大切な家族の遺影を胸に掲げて、それぞれの言葉で何年も何年も思っていたこと、訴えたかったことを、法務大臣にじきじきに訴えさせていただきました。 法務大臣は私たちと一種キャッチボールのようなことをしてくださったと思います。署名を出す都度、その都度、手土産を持たせてくださいました。最初の法務大臣、当時の保岡法務大臣は、厳罰化の方向で検討する、そして諸外国に調査団を派遣するということを約束してくださいました。その後も調査が行われ、警察庁、法務省との合同の意見交換会も行われ、その席でも被害者遺族などが呼ばれました。被害者の声に法務省や警察庁などの国の機関が耳を傾けてくださっているんだなというふうに感じました。 異例の早さで今回の改正が実現したその背後には、ただならぬ法務省や警察庁の方々の御努力があったと私たちも感じています。そのことに感謝しつつ、そして本当に被害者はもはや蚊帳の外には置かれていないということを感じながら、あえて今回の法改正に当たって幾つかの問題点、それから今後に当たっての課題を指摘させていただけたらと思います。 一番の問題は、悪質な交通事犯とあたかも対をなすかのように、軽微な業過に対する刑の免除規定が今回の法改正にセットで盛り込まれていることです。これは、私たちの署名活動では国民の皆様にお願いしてきたことには含まれていませんでした。そして、多くの遺族の誤解を残念ながら招いてしまったのですが、悪質な業過に対して、悪質でない、いわゆる単純な過失によって人を死亡させてしまったような事故がこの規定に該当してしまうのではないかという大きな大きな不安を遺族の間で生んでしまったことが非常に残念でなりません。 私たちは、今回もこの法改正に当たっての審議を傍聴してまいりまして、第二項がなぜ盛り込まれたかということを徐々に理解しつつありますが、その一つの理由としては、警察が単純、軽傷な事故にかなりのマンパワーを割いているという実情に照らし合わせて、それを本来はもっと深刻な事故、重大な事故に振り分けたいと、そういうふうなことを理由として掲げられていたと思います。それが本当であれば、確かに死亡事故は目撃者がいなかったり、被害者が亡くなっていて加害者だけの証言しか得られなかったり困難な捜査となりますので、そちらの方にどうかたくさんの捜査力をつぎ込んでいただけたらと願ってやみません。 軽微な傷害というふうにこの第二項では言われていますが、私たちが疑問に思うのは、この軽微な傷害をどのように定義づけるかということです。夫・保孝の場合ですと、東名高速道路で車が炎上しましたので、背中、腹部にかけてやけどを負いました。すぐに入院を余儀なくされ、四度の手術を受け、医者にも、加療何カ月、いえ、予測はできませんが何カ月は必要でしょう。そして、リハビリは数年単位、年単位で必要でしょうというふうに言われました。 しかし、警察の方からは、二週間たたずして、診断書を見込みでも結構ですから出してくださいというふうに言われました。医者が、本当に見込みですというふうに断りながら書いたのは全治二カ月、結局、保孝は三カ月半最初の入院をしました。その後もさらに一カ月半再入院。やけどの治療というのは、結局完治するということはございません。一生入院、手術を繰り返しながらふぐあいが出てきたらそれを徐々に治していく、リハビリは本当に一生続くような、そういうけがというふうになっています。 やけどのような重傷なけがもそうですが、軽傷なけがと言われています、例えばむち打ち症のようなものでも、最初は軽度だというふうに見られてしまったとしましても、一生むち打ち症でやはり悩み続ける被害者の方もいらっしゃいます。そのようないろいろなケースがありながら、診断書をとにかく早く出してくださいと警察署から言われてしまうのが実情です。どのように後々事情が変わってきた場合に対処できるかということをぜひ検討していただければというふうに思っています。 それから、三つ目の疑問点としましては、被害者に対する処罰感情を考慮してという言葉が書かれておりましたが、被害者の処罰感情、非常に複雑でございます。一回目に思ったこと、一週間後に思ったこと、かなり変わることもあります。しかし、被害者が加害者に対する処罰感情をどういうふうに考えるか、どのように正確にとらえるかというのは、どうしても加害者に対する、加害者についての真相を知らなければ、もっとはっきり具体的に言いますと、加害者がどのような前科があるのか、交通事犯に関しては交通関連の前科があるのかないのか、少なくともそのぐらいは明らかにされなければ加害者に対する正しい正確な処罰感情というものも出てきません。 きょうも傍聴にいらっしゃっていますが、浜松からいらっしゃっています御遺族の方は、御子息を前科十三犯の方に奪われました。その前科については何一つ言われることもなく、初公判で初めてその加害者がそれほどまでにたくさんの前科があったということを知りました。それほどの前科があったというのであれば私の加害者に対する処罰感情は全く異なるものであったというふうにおっしゃっていました。全くそのとおりだと思います。せめて、被害者やその遺族に対しては必要な情報開示をお願いしたいと思っております。 軽微な、軽傷な事故の場合の免除規定についてはそれぐらいまでとしまして、悪質な方についてですが、今回の規定、非常に思い切った法改正を法務省の方も考えてくださったと、私たちは正直申し上げまして拍手を送りたいと思っております。外国でも懲役十年まで、あるいはそれ以下の場合が見られますのに、今回は懲役十五年まで認められる、そのような法改正になったこと、これによって検察あるいは裁判官の裁量の幅がぐんと広がったというふうに感じております。 その中で、類型としてとらえられた中で、私たちが悪質ではないかと通常は思えるようなものが今回は含まれていないというふうに感じました。 一つは、無免許、免許停止状態、免許取り消しの状態であえて車のハンドルを握って事故を起こしてしまったこと。これに対して法務省の法制課長様からも事前に説明を受けましたが、免許を持っていないということ自体が危険運転に直結しないという理由をおっしゃっておりました。確かに技術は、そういう無免許の方でも運転をする技術は有していらっしゃるかもしれませんが、免許を停止させられている、取り消されているということは心の問題ではないかと思います。要するに、車のハンドルを握る資格がその時点ではない、車のハンドルを握ってはいけない、事故を起こしやすい性格の方、そのような方にそういう処罰が与えられているのではないでしょうか。 あえて今回、危険運転致死傷罪に無免許運転が外されてしまったことが少し残念です。今後もぜひ無免許運転、無免許で危険運転を犯し、そして人を死傷させてしまった方にも処罰が、この罪が適用されるように御検討いただければと思います。 もう一つ、大きな遺族の間で問題となっておりますのはひき逃げの問題です。 ひき逃げは、確かに普通の人が事故を起こして怖くなって逃げたという、そういう心情がわからなくもありませんが、多くの場合は、飲酒していたことを隠すために逃げるということが多々見られます。そのような場合に、逃げて二、三日後に出頭したときには飲酒や酒気帯びの証拠が見つからなく、立証されることもなく、結局、起訴のときの罪名はひき逃げの道交法違反の方だけ、酒気帯びや酒酔い運転は数えられなくなってしまいます。逃げ得というようなことがないように、ぜひひき逃げもこの罪名の対象に入れられるように、含まれるようにしていただけたらと思います。 ここで、このような規定ができた後のことについて二つほど提言させていただけたらと思います。 今回、あえてアルコール、薬物の影響によって正常な運転をできなくなった者に対して、危険な運転を犯し人を死傷させた場合の罪を設けているのであれば、そのように処罰された者に対しては、通常の交通刑務所での通常の矯正プログラムに加えて、やはりアルコール、薬物の影響を正しく理解してもらい、多くの方は恐らくアルコール依存症、薬物依存症になりかかっている方、しかもその自覚のない方が多いのではないかと思います。アルコホリック・アノニマスのようにいろいろなプログラムが、例えばアメリカの裁判所では、民間の団体と連携しながら、そのような受刑者、処罰を受けた者に対して、そういうプログラムを必ず受けることというふうに裁判官によって命じられたりしています。日本でも早く、アルコール、薬物の影響で飲酒運転を犯してしまった者、そのような人たちに対して再犯を起こさせないためにも、そのようなプログラムをぜひ受けるように、そういうプログラムにしていただけたらと思います。 もう一つ、最後に提言させていただきたいのは、最近、飲酒検問が行われてもなかなか検挙率が上がっておりません。酒酔い運転でひっかかる人は少なくなっていても、酒気帯び運転の基準値、〇・二五ミリグラム未満で、明らかにお酒は飲んでいる、本人もお酒を飲んでいたというふうに供述しているのにもかかわらず、酒気帯び運転の基準値に満たないために無罪放免で、気をつけて運転して帰ってくださいねというふうに警察官も残念そうに帰してしまう、そういうふうな場合が十年前に比べてかなりふえているというグラフが先日も報道されていました。 これも欧米では既に取り組まれていることなんですが、やはり事故を起こす前にそういう、酒を一滴も飲んではいけないという教えを受けているはずの者がお酒を飲んで運転しているのであれば、せめて違反で、事故を起こす前に違反で罰せられるように、酒気帯び運転の基準値の引き下げをぜひ検討していただけたらと思います。 今回の法改正は、本当に三十七万人の署名によって、法律は国会にいらっしゃる先生方や法務省のお役人の方々だけでできるんではないんだ、みんなの声で、みんなが声を上げれば法改正が実現するんだ、しかもこんなに早く国の基本法である刑法が改まるんだということを初めて教えていただけたような気がします。私も恥ずかしながら、初めて国会中継にこれほどまでにまじめにまじめに、毎日毎日見るようになりました。皆さんも本当にそのように思って、私たちに毎日毎日励ましの声を送ってくださいました。心より、今回の法改正が一日も早く成立し、施行されることを願っております。 どうもありがとうございました。
○委員長(高野博師君) ありがとうございました。 次に、川本参考人にお願いいたします。川本参考人。
○参考人(川本哲郎君) 京都学園大学の川本でございます。 私の専門は刑法と犯罪学・刑事政策でございます。大学院の修士論文で交通犯罪者の処遇を取り上げまして以来、交通犯罪の問題には関心を抱いてまいりました。また、五年前にイギリスに一年間留学して以降はイギリスとの比較研究にも関心を持っております。そのような見地から、きょうは若干の所感を述べさせていただきます。 まず、結論から申し上げますと、今回の改正には基本的に賛成でございます。これは、国際的な刑事政策の潮流でもありますが、刑事政策の二極分化、バイファーケーション・イン・ピーナル・ポリシーというものに沿った改正であろうと考えております。 二極分化と申しますのは、刑事政策の原則であります、重かるべきは重く、軽かるべきは軽くというのを、重かるべきはさらに重く、軽かるべきはさらに軽くと、そういうことでございまして、具体的に言えば、重大な犯罪を犯した者には長期の拘禁刑を科す、軽微な犯罪を犯した者には社会内処遇を科すということになろうかと思います。今回の改正案の二百八条の二の一、二項は前者、二百十一条の二項が後者ということになると思います。 次に、二百八条の二の危険運転致死傷罪の新設につきましては、今の井上参考人の述べられたところからも十分おわかりいただけると思いますが、被害者の方々からの要望が大きな力となっております。戦後、発展してきました被害者学という学問の貢献もございます。 現在の被害者学は、被害者支援ということに重点を置いておりまして、近年さまざまな調査研究が行われており、それが刑事手続における被害者保護とか、あるいは犯罪被害者等給付金支給法あるいは少年法の改正として結実しましたことは御存じのとおりでございます。それまでは犯罪被害者ないしその遺族の声はほとんど聞かれることがなかったわけですが、最近になってようやく事態が変化してきたということです。 刑事司法のシステム自体が、被害者の方々の意見によって決定されるわけではない、専ら被害者の要望によって決定されるわけではないのは言うまでもないことなのですが、従来、ほとんど被害者の方の声というのは反映されてこなかった、それがようやく反映されるようになったというふうにとらえていただきたいと思います。したがって、被害者の方の要望がようやく聞かれるようになったのでバランスがとれてきたというのが現状だろうというふうに私は認識しております。 次に、この法案に対して基本的に賛成というふうに申しましたが、問題がないわけではございません。 それについて以下に申し述べますと、レジュメの方にも書いてございますが、まず第一に構成要件の問題がございます。つまり、危険運転に該当するものとしないものとが明確に区別できるかということでございます。 二百八条の二の一、二ですが、そこに箇条書きにいたしましたが、「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で」、「その進行を制御することが困難な高速度で、」とか、あるいは「その進行を制御する技能を有しないで」というような表現になっております。簡単に言いますと、最初が飲酒、スピード違反、未熟な運転、そして次が信号無視などの危険な運転ということになろうかと思いますが、これでもっていわゆる危険運転をすべてカバーできているのか、あるいは逆に、これでは危険運転と言えないものまでがここに入ってくるのではないかということが問題になろうかと思います。 外国の方に目を転じますと、イギリスでは一九九一年に道路交通法の改正で危険運転罪が設けられたわけですが、そこでは、危険というのは、運転が資格のある注意深い運転者として期待されるものからかけ離れていること、そして資格のある注意深い運転者にとって自己の運転が危険であることが明白なことというような定義がございます。また、飲酒運転につきましても、飲酒の上、不注意な運転によってという限定がつけられております。 というふうに、日本の規定とイギリスの規定は違うわけですが、実際に挙げられているものを見ますと、無謀運転と危険運転というようなものが大体重なってくるということで、私の個人的な意見としてはもう少し幅を持たせてもよかったのかなという気がいたしますが、どうも御議論の過程ではやはり限定して余り広がり過ぎないようにしようという意図が明確にあったようでして、また、これは初めてこういう犯罪が規定されるわけですので、スタートとしては謙抑的な形でいいのではないかと思っております。 そしてまた、先ほど申し上げたように、大体イギリスと日本でも同じような運転行為が処罰されるというふうになっておりますので、そういうところはいわゆる解釈で賄えるというのでいけるのではないか、基本的に賛成というのはそういう意味でございます。 第二に、刑罰の問題がございます。 傷害の場合は十年以下の懲役と、刑法二百四条の傷害罪と同じなわけですが、二百四条の場合は三十万円以下の罰金もしくは科料を選択できるのに対して、本条の場合にはそのような規定がないということが大きな違いです。 また、人を死亡させました場合は、我が国の有期の懲役刑の上限が十五年、この犯罪に対する刑罰が一年以上ということですから一年以上十五年以下ということになります。刑法二百五条の傷害致死罪に対する刑罰が二年以上の有期懲役となっているのに比べますと、二百八条の二は下限が一年になっておりますので、そういう意味では刑法二百五条の傷害致死罪よりも法定刑の幅は広いということになります。 いずれにしましても、かなり重い刑罰が規定されているわけです。 ここでもイギリスの例を出しますと、イギリスでも、危険運転致死罪の刑期を無期刑に引き上げてはどうかとか、あるいは十四年ぐらいにしてはどうかというような議論があったわけですが、現在のところは刑を引き上げるということは考えられていないようです。これは、ある調査研究で五年以上の拘禁刑が科されている事例は非常に少ないということが明らかになったからです。 そういたしますと、我が国でも懲役刑の上限は十五年でなくてもよいのではないかということが考えられるわけですが、ここのところは、大は小を兼ねるという形ですので、そんなに大きな問題ではないのかなという気がしております。 それと、それに関連して、交通犯罪に対して全体に刑が重くなるのではないかとか、あるいは重い刑罰を科せられるのでひき逃げがふえるのではないかとか、そういうような危惧が表明されているわけですが、これについては次のように考えております。 つまり、今回の改正は極めて悪質な交通犯罪者に対する刑罰が軽過ぎるということを根拠にしているものですので、運用の実際を見てみないとわかりませんが、殺人に対してもそれほど重い刑罰が科されているわけではないという現状を見ましたら、交通犯罪についてだけ刑罰が極端に重くなるということは考えられないだろうと私は個人的に思っています。 イギリスの例を見てみましても、今回の刑法の二百八条の二によって処罰されて、しかも五年を超える懲役刑を科される例はそれほど多くならないのではないかと。もちろん、そうは申しましても、危険運転自体の実数が非常に多いわけですから絶対数はそれほど少なくならないという可能性もあるわけですが、それが交通犯罪全体に占める割合というのはそれほど高くないだろうということでございます。 となると、こういうような規定は必要ないのではないかということになるわけですが、もちろんそうではありません。現在の法規定は、業務上過失致死罪の上は殺人罪ですから、その間にかなりのギャップ、溝があるわけです。今回の改正は、その溝を埋めるということに尽きるんだろうと思っております。 また、ひき逃げの増加につきましても、この場合も恐らくそれほど増加することはないだろうと。大抵のひき逃げは、パニック状態になって引き起こされる、あるいは先ほど井上参考人が述べられましたように、飲酒運転の発覚を恐れて逃げるというようなタイプのものが多いわけですので、刑罰が重いからひき逃げがふえるということはそれほど多くはないだろうと思っております。 そうしますと、刑罰の犯罪抑止効果は今度は逆にないのではないかという疑問も出てくるわけですけれども、そうではないわけでして、ここは、ドライバー全体に対して危険運転は重罰を科される悪質な犯罪であるというメッセージが送られるわけですから、いわゆる刑の一般予防効果は期待できるんだろう、つまり危険運転全体としては減少するだろうと思っています。 第三に、二百十一条の二項につきましては、最初に申し上げましたように、刑事政策の二極分化に従うもので、これも基本的に賛成でございます。 なお、傷害が軽いときは情状によってその刑を免除することができるとされていますので、これは、傷害が軽い場合にすべて刑の免除となるわけではないというのは当然でありまして、傷害が軽い場合でも情状によって刑の免除とならなければ、もとに戻って十年以下の懲役ということになるわけですから、もちろん裁判所の運用次第ということになるわけですが、私は、この規定によって大量の刑の免除というものが出てくるものではないだろうというふうに思っております。つまり、先ほど申し上げたように、溝を埋めるということですので、裁判所の方としてはオプションがふえる、選択肢がふえるというふうに考えていただきたいということでございます。 その次ですが、問題はさらにこの法案の成立後にあろうかと思います。つまり、今後の課題でございまして、そこには、レジュメの方に「矯正処遇」と「交通安全教育」と「クルマ社会の在り方」というのを挙げております。 最初は、矯正処遇の問題です。 我が国では、四十年前から交通犯罪者に対しては、いわゆる集禁処遇、交通刑務所での処遇というのを実施しています。これは世界に例を見ないもので、それ相応の効果も上がっているわけですが、最近は対象者も減少しておりまして、矯正教育の問題も指摘されております。ただし、集禁処遇につきましては交通犯罪者全員が集禁処遇を受けているわけではございません。一定の条件がついておりますので、今回のように危険運転罪で長期の懲役刑を受けるという受刑者が交通刑務所に行くかどうかというのははっきりいたしませんが、行かない場合というのも考えられるということです。 いずれにしましても、五年を超えるような長期刑の受刑者にどのような矯正処遇を施すのかということが重要な課題になろうかと思います。 ここでもまたイギリスの例で恐縮ですが、最近の研究ですと、そういう交通犯罪者の長期の受刑者と一般の犯罪者の間にはそれほど差はないのではないか、だから特に別に処遇する必要はないのではないかというような研究も出ておりますし、また、我が国の交通刑務所のモデルとなったベルギーですが、これも四十年ぐらい前にそういうことをしていたわけですが、そこはもっと早い段階で、結局のところ悪質な交通犯罪者は一般の犯罪者と変わるところがないということを理由に廃止しているということですので、交通犯罪者の集禁処遇の対象者の調査研究というのは結構行われているんですが、悪質な交通犯罪者全体についての調査研究というのはそれほど行われていないわけでして、今後、やはり悪質な交通犯罪者がどのような性格であるのかとか、どのような環境で育ったのかというようなことを十分研究する必要があるだろうと思っております。 第二は、交通教育でございます。 これは犯罪の予防でして、犯罪を犯した者に厳しい刑罰を科すというのは応報ですが、当然ですが、受刑者が犯罪を繰り返さないように教育するというのも刑罰の重要な役割でございます。 飲酒運転を例にとりますと、先ほども井上参考人の方から述べられましたように、我が国の一般の風潮では飲酒運転に対して寛容過ぎるのではないか、その要因の一つに、やはり飲酒運転防止についての教育が不十分なのではないかと思っております。さらに、飲酒運転だけでなく、広く交通事故防止のための教育を推進することというのがこれからの重要な課題になろうかと思います。 私の京都学園大学では、総合講座というので「交通問題を考える」というのを三年前からやっているんですけれども、そこでは、本学の教員が私のように犯罪学の立場から交通犯罪を解説するとか民法の立場からとか、そういうもの以外に、自動車教習所の先生から保険会社の方から、さらには警察の方、保護観察官の方とか、いろんな方に来ていただいて話をしていただいているんですが、その中で一番大きなインパクトがありますのは子たちを亡くされたお母さんのお話です。これはほとんどほかの大学ではやっていないと思いますが、静まり返ります。お母さん、非常につらい気持ちをこらえて話していただくわけですけれども、そのときに学生は、やはり被害者の方の生の声を聞いて交通事故の恐ろしさがよくわかったというふうに言うわけでして、やはり教育の重要性というのはそこからもうかがえることだろうと思います。 最後の大きな課題ですが、交通システムの問題でございます。 自動車というのは極めて便利な乗り物でして、愛好家も多いわけですが、結局のところ、現在では事故防止というのは運転者にかかってくる。走る凶器に変わるわけですね。そうしますと、今のような車の使い方には無理があるのではないかということです。つまり、貧困な交通政策のもとで不十分な道路環境で十分な教育も受けないで……
○委員長(高野博師君) 参考人、時間ですのでおまとめください。
○参考人(川本哲郎君) はい。 問題があるのではないかということです。さらに、刑務所に入っても十分な教育を受けられないというのは深刻なことであろうと。 それで、まとめですが、先ほど申し上げたように、今回の刑法改正というのは溝を埋めるもので、基本的には賛成です。しかし、刑罰を重くしたからといって問題はすべて解決するわけではない。今回の改正を契機として、ぜひ交通問題全体を視野に入れた犯罪者対策をお願いしたいということでございます。 以上です。
○委員長(高野博師君) ありがとうございました。 次に、笠井参考人にお願いいたします。笠井参考人。
○参考人(笠井治君) 弁護士の笠井でございます。 弁護士歴といたしましては二十七年になろうとしておりますが、このような委員会において意見陳述の機会を与えられたことを大変光栄に思っております。 私、弁護士だけをやっておりまして、きっすいの弁護士ということになりますが、担当している職務、事件としましては、他の弁護士の皆さん方に比べますと刑事事件を比較的多くやってきたということが言えるかと思います。しかしながら、弁護士だけに、交通事故に関しましては加害者側も被害者側も代理し、または弁護しているのが私の実態であります。近時、とりわけ死亡事故の被害者側代理人を受任する機会が多くなったことは事実であります。 体験的に言いますと、とりわけ死亡事故に関しましては、先ほども井上参考人のお話にもありましたが、死人に口なしということがございます。そうした事件、すなわち重大事件でとりわけ争いのある事件に関しましては捜査をきちょうめんにやってほしいというのが率直な感想であります。これは、被害者側からだけではなく、加害者側からも言えることだというふうに考えております。 本日は、弁護士として被害者側の代理をすることも当然あり、したがって被害者側に対する配慮を念頭に置きながら、できる範囲で加害者の刑事事件弁護の立場から今回の刑法改正案をどのように見るのかについて意見を述べたいというふうに思います。 お手元にありますが、「意見要旨」とありますけれども、これは羊頭狗肉、名ばかりでありまして目次であります。申しわけございません。 次の「危険運転致死傷罪新設の背景と立法事実」でございますが、これはさきのお二人の参考人の意見とまことに同じ意見でございまして、直接には、東名高速で起きました二児の焼死事件を契機としまして悪質・危険運転行為の重罰化を求める声が高まってまいりました。 高速道路で取り締まりがないために、長距離トラックの運転手が飲酒をしているのは常態である、これが重大な結果を招いているというマスコミ報道もございます。これには、平成元年からの統計資料を見ましても、死亡・重傷事故が激増、倍増と言ってもいいかと思いますが、していることや、その原因として悪質・危険な運転行為のあることが指摘されていることなどによって十分な理由があるように思われます。 したがって、酩酊するなどの危険な運転行為の結果、多数の人命を奪ったり重篤な傷害を負わせるなどの事案に対して、行為の違法性に対する評価が厳しくなり、世論が強い処罰感情を持つことはよく理解できます。これを単に不注意な運転行為の結果、傷害または死亡結果を生じさせた業務上過失としてとらえることは当を得ないと考えられます。このような危険運転行為により重大な被害を生じた場合は重く罰しようとする動機はよく理解できるところでありまして、本罪の新設には基本的に賛成であります。 しかし、このような正当な処罰感情が被害者の報復願望に流れないためにどうするのかと。危険運転致死傷罪の新設がこのような悪質・危険運転行為による死傷事故を実効的に防ぐこと、すなわち危険運転行為を抑止し、あるいは抑止効果を持つということでなくてはならないと考えます。 言うまでもありませんが、刑罰が抑止効果、予防効果を持つためには、その定められた犯罪が規範として明確に定められていなくてはなりません。したがって、規範を命じられる行為者、この場合は加害者になるかと思いますが、にとって犯罪構成要件が当然に明確なものでなくてはなりません。 また、刑の免除規定につきましても、軽微事案の刑を情状により免除することは捜査にめり張りをつけ、重点を重大事案に注がせるという意味で、本改正の二点目でありますが、賛成であります。ただし、この点につきましては、現状を前提にいたしますと、民事賠償の立証責任、立証行為をどうするのかということとかかわりがあるかと思っております。 さて、悪質・危険運転行為による死傷事故あるいは交通事故の防止、抑止ということを考えてみますと、先ほどの川本先生の陳述にもございましたけれども、車は今日の社会にとって必需品であり、交通事故をゼロにすることはできないわけであります。よく指摘されますとおり、もちろん刑事罰は万能薬ではありません。これのみで対応し切れると考えることは基本的には誤りでありましょう。道路交通行政、交通政策はもとよりのこと、車の性能の向上などなどの問題が複雑に絡まり合って総合的な政策が要求されているということだと思います。 先ほどの御指摘にもありましたとおり、交通教育、それから免許取得の段階での教習所における訓練、それから免許取得後の訓練ということも当然に考えられなければなりませんし、その他効果的な政策としては、危険運転行為者について免許取得の欠格期間を延長するなどということも考慮され得ると思います。 本法案の危険運転致死傷罪、二百八条の二につきまして述べます。 再三の御指摘がありましたとおり、これはかなりの重罰であります。傷害罪と比較した場合に、これは死亡結果をもたらしていない、負傷させたという場合、罰金刑がないというところに特徴があります。傷害致死罪と比べますと、下限が一年ということで傷害致死罪よりは軽くなっております。 構成要件がここで明確であるかということであります。これは一方で、取り締まりまたは捜査に当たる警察の問題でもあるし、加害行為者の問題でもある、あるいは弁護の問題でもあるということであります。警察的な立場になりますと、運用しやすい構成要件になっているかどうかということが問題でありましょう。否認した者が許され、自白した者だけが処罰されると。あるいは弁護的な立場で言いますと、捜査において強引に自白の獲得が行われるということでは困る。そういう構造になっているかなっていないのかということでありましょう。 二百八条の二によりますと、さまざまに記述されている要件がございます。それら要件によって構成される行為の外延が客観的に明確かどうかという問題についていえば、記述の仕方としましては、主観的要件と見えるものが二百八条の二の二項の「人又は車の通行を妨害する目的」、ここに主観的要件があります。それから、二項の後段になりましょうか、「赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視」と主観的な態度で出てきております。それ以外につきましては、その記述といたしましては、できるだけ客観的記述に努めようとしているというふうに私には思えます。 例えば、「正常な運転が困難な状態」、これは一項でありますが、とは道路及び交通の状況、運転車両の性能などに応じた運転操作を行うことが現実に困難である状態と説明されております。この客観的状態については、酩酊運転、暴走運転、あおり、赤信号無視は外部から目撃者がいる場合は目撃できる。そういう意味で、正常な運転が困難な状態かどうかはかなりの程度第三者的に、かつ客観的に確定できるというふうに考えられます。もっとも、目撃者がいないという場合で死亡事故という場合には困った問題が起こるかもしれませんが、現場に残されたさまざまな客観的証拠の積み重ねによってある程度の推認は可能になるであろうと思います。 この場合に、先ほどの川本先生の御指摘にもございましたが、重罰化によって逃げてしまった方が得という現象が起きるかどうかという問題であります。しかし、先ほどの御指摘にもありましたとおり、一般的な予防効果というのはやはりこの規定の新設によってあるだろうということが考えられます。これはあくまでそれぞれの立場における想像、推測ということになりましょう。しかしながら、私としてはこの新設によって一般予防効果は当然あるだろうというふうに考えますし、その意味から危険運転行為が減少していくだろうというふうに思っております。 このように、構成要件はある程度、かなりの程度に明確、客観化されているというふうに言えると思いますが、その行為の範囲、外延自体だけではなく、問題はそれが故意行為の認識対象であるということであります。 さきに述べました「正常な運転が困難な状態」について、目撃者がいることによってその状態を明らかにし、これをもって行為者の認識も推認するということができるでありましょうが、故意行為でありますから、行為者にとってその認識が必要であります。行為者が正常な運転が自分が困難かどうかということを認識するということが故意ということになります。その点でいいますと、最も多い類型であると考えられますアルコールの影響によって正常な運転が困難な状態で運転するという場合、酔っぱらっているほど正常な運転が困難であることについての認識を欠く可能性があります。そうすると、その認識の立証はどうなるのか、あるいはどうするのかということが起きてきます。これは今後の運用に任せられていくであろうと思いますが、実際、ぐでんぐでんに酔っぱらう程度に、ハンドルが握れないほどに、あるいはアクセルとブレーキがわからないほどに酔っぱらってしまうということからするならば、その外形的な走行状態を見ればその本人自身も当然認識があるというふうに通常は考えられるところでありますから、その辺のところの心配というのはそれほど大きくないのかもしれません。 また、主観的な認識の問題とは異なりますが、構成要件の評価的要素としては、進行制御不能ないし困難という文言がございます。その進行を制御することが困難な高速度ということであります。これは客観的な制御不能でなくてはならない、制御困難でなくてはならないとされておりますけれども、法制審議会の刑事法部会におきましては、例えば住宅街においてある程度の速度で進行した場合に急な飛び出しに応じられないという場合は、その進行を制御することが困難な高速度ということになるのかならないのかという論点が出されました。これがつまり回避可能性を含むかという議論であります。しかし、置かれた状況に照らしてみて進行制御可能か困難かという議論になると、限りなく業務上過失に近くなっていくということになります。本条の解釈としては、そのような回避可能性を含まないということで確立していっていきたい、かつ立案当局の御説明もそうであったと思いますので、そのような解釈を期待していきたいというふうに思っております。 しかしながら、この「進行を制御することが困難な」という部分に関しましては、道路状況や車両の性能に応じて進行制御が困難となるような速度というふうにも説明されておりまして、そういたしますと、道路状況や車両の性能との相対的な関係において制御が可能かどうかという、そういうまた問題が起きます。これは、各事案それぞれによって、高速道路を通る場合と、例えば三十キロ指定の住宅街を通るという場合それぞれに違うわけですし、道路の狭隘さもまた違うわけですし、車両の性能もまた違うという状況の中で、一定程度の相対化、規範化ということはやむを得ないところであろうと思いますので、この点につきましても運用と判例の集積の問題でもあろうかと考えております。 二百八条の二につきましては、先ほど述べましたとおり、法定刑に罰金刑、これは負傷の場合ですね、ないわけです。極めて軽い一週間程度の傷害についてもこれは罰金ではない、懲役である、こういうことになりますね。つまり、略式ではなくて正式裁判の法廷に行かなければならぬということになる。また、被告人の職が公務員であれば自動失職になるということもあり得るわけであります。訴追裁量等を含む運用の問題でありますけれども、したがって起訴猶予ということになるということも十分考えられるところでありますけれども、この点についても今後の問題に残されているのではないかと思います。 反面、こうした悪質・危険運転行為に対して、軽いけがを負わせたとしてもやはりそれは罰金で済ませるわけにはいかぬのだと、罰金というのは刑罰の感銘力を失わせるのではないかという観点から罰金刑を置かなかったということも一つの見識であろうかとは思います。 さらに、悪質・危険運転行為を網羅していないのではないかという批判もありますが、これに対してどう考えるかといいますと、無免許、ひき逃げなど、確かに悪質であります。だが、現行法で対応できるものだというふうに考えます。 本罪は、基本行為を傷害行為あるいは暴行行為に等しい危険性を持った行為として絞り、抽出したものと考えれば矛盾はないように思えます。その意味では、各類型はございますが、各類型の本罪に当たる基本行為の危険性は、同様な程度にまで達しているものだけが処罰されるということで運用されなくてはならないということになります。 なお、その基本行為に関しては正確に、その要件は異なりますけれども、道交法に例えば飲酒運転に関しては三年以下、改正後でございますけれども、三年以下、麻薬等の影響による運転に関しても三年以下、無免許は一年以下、共同危険行為二年以下、信号無視三月以下と、こういうふうになっておりまして、その基本行為の重さにでこぼこがあることも事実でありますので、その結果としての二百八条の二に投影された場合にどうなるかということについて、かなり抽出されたものが必要ではないかというふうに考えます。 最後に、刑の免除について、二百十一条の二項でありますけれども……
○委員長(高野博師君) そろそろ時間ですのでおまとめください。
○参考人(笠井治君) はい、わかりました。 ひき逃げ等の重大悪質事案でずさんな捜査が行われることになるかという点でありますけれども、この点に関しましては、昭和五十年の特例書式、捜査のやり方ですね、それから六十二年の検察庁の処理方針の見直し、平成四年に至りましては簡約特例書式、それからその改正は平成十年、三週間以内の傷害ということにまで広がってきましたけれども、それ以外、それらのものにつきましては簡略な書式でもって捜査が遂げられるということでありました。 しかし、それでもなお交通事故捜査に大変な労力が必要とされております。一律に軽微事案について簡略化するのは確かに問題であって、その意味で訴追裁量あるいは刑の免除に相当するということを反映した裁量権の行使ということが必要であろうかと思いますが、実際上つぶさに現場の状況を私は知りませんけれども、この交通事故というものが民事損害賠償に投影された場合に、損害賠償請求というのに我々が着手するというのは非常に時間がかかるところであります。これは、捜査がおくれているということにも一因があるのではないかというふうに考えております。 非犯罪化するということも当然に考えられるわけでありますけれども、先ほど言いましたとおり、民事賠償を考慮いたしますとやはり交通事故に適切な捜査または調査が必要なことは言うまでもないというふうに考えます。 最後でありますが、この二百十一条二項の冒頭に「自動車を運転して」とありますけれども、今般の改正案は自動車を運転した場合にのみ刑の免除の特例ということがうたわれておるわけであります。それに限定したことが妥当かという問題は確かにあります。一般的に傷害が……(「済みません、ルールを守っていただけませんか」と呼ぶ者あり)はい、わかりました。その点の問題があることを指摘して、終わらせていただきます。
○委員長(高野博師君) ありがとうございました。 以上で参考人の意見陳述は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○佐々木知子君 自民党の佐々木知子でございます。 きょうは、三人の参考人の方々、本当に貴重な意見をありがとうございました。 私は、三年前に国会議員になる前は十五年間検事をやっていました。その関係で本当に悲惨な、これが過失で扱われていいはずがないというような重大な交通事犯を何件も扱いましたので、特に井上参考人の言われていることはよくわかるつもりでございます。本当に痛ましい事故で、何とお悔やみ申し上げていいのか、言葉もございません。 井上参考人に三点お伺いしたいんですが、最初に言ってしまいますとお答えしにくいと思いますので、一つずつお伺いいたします。 被害者として加害者の謝罪の言葉をいつどのような形で受けられたのか、決してもちろん満足はしておられないと思いますけれども、それについて御意見をお伺い願えますか。
○参考人(井上郁美君) 私たちの加害者は非常に謝罪がおくれまして、法廷が始まってからたしか三回目ぐらいの公判でもまだ謝罪の手紙一通すらこちらの方には送られてこないという状況でした。待たされて待たされてやっと来た謝罪は余り心のこもったものとは言えなかったんですが、一つ気になったのは、気が狂ったような行為を犯してしまって済みませんと。あたかもその日一日だけ気が狂っていたかのような、そういう記述があったことが非常に気になりました。 私たちの加害者は、もう十数年にわたって飲酒運転を繰り返していたという常習的なところこそが気が狂っていたのではないかと私たちは思うんですが、結局、自分の何が悪かったのかということを正しく理解していないまま刑務所に入っているのではないかというふうに危惧しています。
○佐々木知子君 ありがとうございました。 二点目ですけれども、刑事司法の中で警察、それから検察庁、恐らくは裁判所でも陳述をなさったのではないかと思いますが、被害者として扱われるという中で御不満の点、気づいた点がおありになれば、先ほど加害者の例えば前科なども知らせてもらえればということをおっしゃっていましたけれども、そのような御意見を伺わせていただけたらと思います。
○参考人(井上郁美君) いわゆる犯罪の被害者に比べて交通事故の被害者は余りメディアから被害を受けるとか、そういうふうなことはないんですが、あえて言えば、やはり被害者全般に対する一般の方々の認識、気持ちが我々の要望しているものと微妙に食い違うということがございます。 説明がちょっと難しいんですが、例えば私は加害者に一刻も早く会いたい、加害者の会社、加害者の雇用主、そういうふうな人たち、一つでもいいから手がかりが欲しい、どのような人だったのか、どんな性格で、執務の態度は真面目だったのかどうだったのか、たまたま今回本当にひどいことを起こしてしまったのかと。もう手がかりが少しでも欲しいというようなときに、やはり私を気遣ってか、余り加害者と会うのはよくないんじゃないか、加害者の会社の人といきなり会うのはよくないんじゃないか、弁護士さんを一応連れてきて態勢を整えてからの方がいいんじゃないかと、そのような気遣いをされました。 やはり、被害者本人、遺族本人がどのようなことを要望しているかというのを最優先に考えて、検察官であれ、裁判官であれ、あるいは警察であれ、病院関係者であれ、葬儀会社の方であれ、被害者、遺族の気持ちをまず優先していただけたらと思っております。
○佐々木知子君 ありがとうございました。 先ほど川本参考人の方からの御意見もございましたけれども、子供たちを亡くしたお母さんの話というのが一番胸に詰まると。被害者、遺族の方の中でも一番立ち直りが遅いというか、一番ショックを受けるのが子供を亡くした母親であるということはよく知られたことなんですけれども、この事故の後に心理的なサポートというような、そういうようなことも受けておられますでしょうか。
○参考人(井上郁美君) 私は、多くの遺族がそうするように、書店や図書館に行って狂ったように事故関係の本を探しました。本当にわずかな数しか置かれていないんですが、その中でやはり後ろの巻末資料として被害者支援にかかわっている団体などの連絡先が載っておりまして、そこから被害者支援都民センターというところを知りました。その当時はたしか東京医科歯科大学の犯罪被害者相談室という名前だったと思います。 ちょうど被害者支援都民センターとして改まったばかりの時期でして、思い切って一本電話をかけてみました。本当にその一本目の電話をかけるのが被害者や遺族にとっては大変つらいもので、なかなか言葉でもうまく説明できない。ところが、事情をぽつぽつと話をしますと、ぜひいらしてください、面談を無料でいたしますと。カウンセラーの、心療カウンセリングのプロの方がいらっしゃいまして、別に、特にアドバイスをされるというものではないんですが、繰り返し繰り返し自分の気持ちを吐き出させてもらう、それを定期的に行う。私の場合は二週間に一度だったんですが、そういうカウンセリングを継続的に行わせていただく。あるいは、その被害者支援都民センターに集まられたほかの遺族の方々とともに、自助グループの中で繰り返し繰り返し自分のつらい気持ちや怒りや悲しみを話し合うということで少しずつ傷がいえてきているような気がいたしております。
○佐々木知子君 ありがとうございました。 続きまして、川本参考人にお伺いしたいんですけれども、被害者対策、保護ではイギリスが先進国である。それから、アメリカなども非常に盛んで、日本がおくればせながらそれについてきた。そして、三本の基本的に柱があって、まず一本目は損害の回復と経済的支援、金銭的な問題である。その点に関しては日本は限られた分野ではありますが、犯罪被害者給付金などの制度もあります。二本目が刑事司法手続内での地位の向上ということで、三つ目が心理的なサポート、トラウマとかいろいろございますから、医学的なサポートが必要ということで言われているわけですけれども、被害者保護の先進国であるイギリスに比べて日本がおくればせながらついてきたとはいえ、まだこういうところが足りないというか、こういうところを向上させたらいいとかいうことについて御意見をお聞かせ願いたいと思います。
○参考人(川本哲郎君) イギリスの方でも、端的に言いますと自助グループですかね、日本でも最近はそういう被害者遺族の方とかが会を結成して頑張っておられるわけですが、やはりイギリスの方がそこのところはもっと規模が大きいという気がいたしております。 あともう一つは、研究面でも交通事故の被害者の方に対する心理的な援助の時期とか、そういうものに対する研究も行われている。その点は参考になろうかと思います。 以上です。
○佐々木知子君 短いですけれども、これで結構でございます。
○江田五月君 きょうは参考人の皆さん、本当にありがとうございます。とりわけ井上参考人、本当につらい思いをまた思い出させるという場だったかと思いますが、よく来ていただきました。また、きょうは傍聴人の皆さん方もお集まりで、こういう機会に皆交通事故の問題を考えていただいて、本当にありがたいと思っております。 私は民主党ですが、民主党としても被害者の皆さん方やいろんな皆さんの声を聞いて、ことしの四月でしたか法案を提出して、しかしそれは衆議院の方で多数の理解を得られず否決になって、そして今回の内閣提出の法案になったというので、ここまでこぎつけていただいたという大変お褒めの言葉をいただいたんですが、私どもはもっと早くできたんじゃないかという、そういう反省も実はしているわけです。 それで、井上さんに伺いたいんですが、今回の法律で、これでもなお本当に被害者の皆さんの思いをしっかり私たち受けとめているのかどうかというのを常に自問自答しているんですが、先ほどのお話でも、何人殺しても五年以下という業務上過失致死、これは軽過ぎるという、つまり業務上過失致死傷罪の法定刑をもっと引き上げなさいよという、そういう御主張が一つあるんだろうと思うんですね。もう一つは、これはどうも事故なんという話じゃないよと、こんなひどい運転していて、もうその運転自体がとんでもない、社会に許されない。まして、それで死傷の結果が生じたんだから、これは過失の交通事故なんというものじゃないものをつくりなさいよという声。 その二つは、よくよく考えて見ると別のことなんですが、今回はその後者の方で対応したんですが、交通事故の法定刑をもっと引き上げてくださいというその思いにもこたえられているでしょうか。
○参考人(井上郁美君) そうですね、私たちが署名活動を行ってまいりましたのは、必ずしも悪質な交通事故の被害者や遺族に限らず、いわゆる単純な過失によって家族を亡くされた方、遺族の方々も快く協力してくださった方がたくさんいらっしゃいます。 皆さんに共通しているのは、今の交通事犯の量刑はとにかく軽過ぎるということで、悪質な交通事犯でもせいぜい懲役一年六カ月、二年いけばいい方と、一人亡くなった場合ですね、そのような状況でありまして、実は私たちのように懲役四年、十分重いじゃないかというような声でさえ聞かれました。 一方で、単純な過失によって一回目の事故、死傷事故を起こした方に対しては、大概執行猶予がついてしまう。下手すれば略式起訴、罰金二十万円で、人の命の重みが本当に現行法で反映されているのかという声も多々聞かれました。確かに、今回の法改正は危険運転致死傷罪という極めて限定された悪質な交通事犯に対するものを取り上げて、そちらを暴行罪に準じた形で取り上げてくださったと。 ただ、その一方で、交通事故に対しての認識というのは確実にこの一年間で変わってきたと思うんですね。皆さん、交通事故に関係のない一般の人たちでも、ああ今の現行法はそんなに軽いのか、その現行法の最高五年というのでさえめったやたらに出る刑ではなくて、ほとんどの人が一日も交通刑務所に行くことはないのかということを、そういう現実を初めて知ってくださった。そういう意味では、交通事故に対して今、物すごく機運が高まっている時期だと思うんです。 ですから、私たちは今回の法改正はまず第一歩だと思っています。これから悪質でないものに対しても、やはり量刑の問題については引き続き法務省や警察庁、それから国会の先生方とともに改正していただけないかというふうにこれからも継続的に協力をお願いしたいというふうに思っています。
○江田五月君 川本参考人、笠井参考人にも同じ質問に答えていただきたいと思います。 全体に業務上過失致死傷の法定刑を引き上げるという対応の仕方と、危険運転で致死傷というのを特別にとらえて対処するというやり方と、一長一短あると思うんですが、業過の場合に運転行為の危険性それから結果の重大性、その両方で量刑が決まって、運転行為がいかに悪質であっても結果が軽ければ、それは従来ならばそれは量刑は軽くなりますよね。あるいは罰金で済まされるかもしれない。運転行為自体はそれほど悪質でなくても結果が極めて悪質となれば、これは量刑としては重くなる。今回はそういう構造ではない。この対処の仕方についての御意見というのはいかがでしょう、川本さん。
○参考人(川本哲郎君) 江田先生も御存じのとおり、業務上過失致死傷の規定というのはちょっと変わったものでございまして、私もそれを随分前に研究したことがあるんですけれども、ドイツから持ってきたものです。ドイツはそれを廃止しておりますので、今、日本の規定は珍しいものだろうと思いますし、さらにその後で重過失の規定も設けております。 さらに、業過は圧倒的に交通事故が多いわけですけれども、それ以外のものも業務上過失の中に入ってくるということですから、私個人としましては、業過を引き上げるというのも一つの方法だろうとは思いますけれども、今現在問題になっているのは先ほど先生も御指摘のとおり無謀運転、つまり未必の故意の認定はどうもこれはイギリスでも日本でも難しいようでして、いかに無謀な運転をしていてもこれはやっぱり行為の認定はなかなかできない。そうなれば、それに限りなく近いものについて別の犯罪類型を設けて対処するというのは一つの方法なのかなというふうに考えております。
○参考人(笠井治君) 私も、交通事故に関しまして、これを業務上過失というふうにとらえること自体の構成の問題があろうかと思いますけれども、それはともかくといたしまして、本罪のように、基本行為そのものの処罰はありませんけれども、故意行為としてとらえてそういう行為をやっちゃいかぬのだというところに主眼を置いた規定を設けることの方にやはり犯罪抑止という意味で、危険行為の抑止という意味で意義があるのではないかというふうに考えています。
○江田五月君 そうしますと、次の問題なんですが、故意行為と危険運転というものを一定の、これ単に危険運転は罰するとやったんじゃちょっとどこまで広がるかわからないんで、そこで具体的にアルコールの影響とかスピードの関係とか信号の関係とかいろいろとらえて類型化して、こんなむちゃな、しかもそれを殊さらやっているということは、それ自体がもう社会的には許されない行為ですよと。そして、その結果、死傷が起きた場合というので、その死傷の死は重大ですが、傷害の方は、その傷害の程度がどうであれ、傷害の結果が起きれば、そこに過失がなくても、傷害、死傷の結果が起きるということには過失を問わずに、故意行為だけをとらえて、結果が起きればそれで処罰するという規定にしたんですけれども。 そうすると、初めの、今の基本行為という故意の行為、危険運転、そのことだけをとらえて、そのこと自体でもう処罰をすると、そういうふうにしておけば、例えば井上さんのケースで、料金所ですかね、そこでもいろいろあったようですよね。その段階でもうこれは犯罪だというので、飲酒運転でも捕らえることはできたんですが、しかしそれにしても、ぷっと吹くとかいうのは何もなかったでしょうから。だけど、あのような状況のもとで、もうふらついてどうにもならないという。そうすると、もし危険運転をそのまま犯罪にしておけば、そこで捕らえることもできたんだと。 犯罪の結果が生じてから手を下すよりも、もう結果が生じることが極めて高い蓋然性で予測されるようなものは未然に防止するというのも重要なことなので、危険運転罪というものをつくってはどうかという気もするんですが、これはちょっと専門的な話にもなりますけれども、もし井上参考人、お考えがあればお聞かせください。
○参考人(井上郁美君) 確かに、料金所の問題は、私たちの加害者は料金所で職員に呼びとめられて、あなたは足元がふらついているんじゃないですかというふうに言われたのにもかかわらず、大丈夫です、風邪を引いただけです、薬を飲んだから大丈夫ですというふうに振り切って、そのまままたハンドルを握り締めて事故を起こしたという、そういうかなり故意に近いことをしているわけです。 私たちの目から見ると、問題はどこにあるかといいますと、結局、公団の職員は警察とは違って、どれほど限りなくクロに近いというふうに思っても自分たちにはその人を逮捕する権限もなければ引きとめておくこともできないという、そういうふうな言いわけで逃れられてしまっているところに問題があるんじゃないかなというふうに思います。現に、この加害者は一一〇番通報もされておりましたが、結局、警察は見つけることもできませんでした。 そこら辺は警察のパトカー、ハイウエーパトカーの体制の脆弱なところも露見しているのではないかなと思いますが、やはり一般のドライバーが高速道路で、仮に私たちの事故のように事前に蛇行運転しているトラックを見かけたときにだれに通報するかというと、結局、料金所の職員ではないかなと思います。その職員が何も権限を持っていないというところがちょっと問題があるのではないかなというふうに感じています。
○江田五月君 川本参考人、笠井参考人にも伺いたいんですが、ちょっと時間の関係で、もう一つ井上参考人に。 衆議院の方で被害者の皆さんから免除の規定について強い懸念が表明されましたが、これはもちろん運用が、変に運用されたらそれは大変で、軽いものはより軽く、重いものはより重くという、そういうめり張りのきいた運用ならば免除の規定はそれはそれでだんだん理解は広がっていると、こういうふうに伺っていいんですか。
○参考人(井上郁美君) 江田先生のおっしゃるとおりで、多少やはり誤解を招いてしまっているところがあると思うんですが、めり張りといいますものの悪質であるものを一方で規定して、それ以外のものがすべて軽微なというふうに誤解されてしまっているところが大きいのではないかなと。その誤解は今徐々に解けつつありますし、またこれが運用されていきましたら、実際問題、二百十一条の第二項が適用されるのは、死亡事故はもともと、そもそも該当しないというところで、じゃ、遺族が余り感情的になることも必要ないのではないかというふうになっていくと思っております。
○江田五月君 これはきょうの午後もまだ質疑があるし、十分確かめておきたいと思いますが、例えば示談ができても、示談ができてもなお被害者の皆さんがこれは処罰をしてほしいと、自分は示談のために言ってるんじゃないと。今もお話しのような、例えば交通事故の前科、前歴などを見たら、示談としてはいいけれども、処罰は、これはしてほしいというような場合には免除にならないというあたりのことは確認をしておきたいと思っております。 川本参考人、笠井参考人、先ほどの危険運転罪自体、つまり基本行為を可罰的行為にするという知恵は私はあるんではないかと思いますが、いかがですか、お二人。
○参考人(川本哲郎君) 十分考えられるとは思うんですが、ただ危険運転自体となりますと数が多いということと、取り締まりが非常に困難だろうということと、さらにそれに対する刑罰もそれほど重くはならないということが考えられます。 そうしますと、先ほど申し上げたように、危険運転罪を設けて、それに対する重い処罰を科すことによって危険運転自体が減少する、一般予防効果ですね、そちらをねらうというのも一つの手だろうというふうに考えております。 さらには、重罰化というものは、いきなり引き上げるというわけにもまいりませんので、まずこういう形で設けてその様子を見て、さらに厳罰化が必要であればそちらの方向に行くでしょうし、そうでなければ後退するということもまずファーストステップとしてとらえたらいいのかなと私は思っております。
○参考人(笠井治君) 私も全く同感であります。 危険運転行為に関しましては、本罪で問題になっているほどの危険ということではなくて、道交法にさまざまなカタログがございます。それを重刑化、重罰化するということを御質問者はおっしゃっているのかとも──そうではございませんか。
○江田五月君 違います。
○参考人(笠井治君) 危険運転行為について、その行為自体をとらえて重くするということになりますと、やはり問題としては捜査上の問題でそれをとらえることができるのかどうなのかという、そこら辺の外延の難しさがあるのではないかというふうに考えられます。
○江田五月君 結果的加重犯の構成ですから、だから、例えば共犯の問題などどういうふうに整理をするかとか、いろいろ刑法上、なかなか服は着ても何か身にぴったりつかないというような感じがどうもするので、そんなことを言ってみたわけです。 終わります。
○日笠勝之君 公明党の日笠勝之でございます。 きょうは、三人の参考人の方々には貴重な意見陳述ありがとうございました。 中でも、井上参考人におかれましては、ちょうど二年前ですね、ちょうど二年前の痛ましい事故、幼い子供さんを失われたということにつきましても心からお悔やみを申し上げます。きょうは、本当に勇を奮って参考人として意見陳述をいただきました。重ねて御礼を申し上げたいと思います。 さて、井上参考人の事故の裁判所の判決の中に、被告にのみ他と比較して重い刑罰をもって臨むとすれば、その処罰が公平性を損なうおそれがあるということで五年の求刑で八掛けの四年というふうになったと今報道されておるわけでございます。この判決について、今現在どういうふうにお考えなのか。 と申しますのは、俗に言う報道被害、名誉毀損などで五十万とか三十万ぐらいが名誉毀損の損害賠償の金額でございましたが、近年はいわゆる人権ということの問題で相当この名誉毀損における損害賠償金が上がっておりますね。百万が五百万、今一千万と言われております。そういうことから見れば、もう少しこの裁判所の判決も、五年掛ける八掛けの四年というのではなくて、もう少し踏み込んでもらいたかったなというふうな御感想をお持ちなのかどうか、お聞かせ願えればと思います。
○参考人(井上郁美君) 事故に遭ってから、いわゆる悪質な交通事故の量刑の相場でさえ、懲役三年でも極めて重い方だと。この場合は、私たちの場合は、死亡者が二人出ましたので、四年でも精いっぱいやったんじゃないかというような言葉も弁護士の先生方からいただきました。 そうしますと、結局、この日本でこの時代に事故に遭ってしまったのがそもそも不運だったのかなというような、そういう議論になってきてしまうのではないかと。外国では、同じような事故をプロの運転手が、このような悪質な態様の事故を起こして、人を二人、幼い子供を二人死なせた場合には、懲役三十年、四十年、ざらに出ております。それがなぜ懲役五年、懲役四年という、そのような低いレベルで争わないといけないのか。懲役五年の求刑、目いっぱいの判決でさえ、全然私たちにとっては不満であるのに、なぜそのような加害者に対してまで情状酌量を認めて一年も減らさないといけないのかと。 それはいまだに非常に残念でなりませんし、これが今後五年後、十年後には、ああ悪質な交通事犯の量刑の相場はそんなに低かったのかと驚かれるような状態になっていればというふうに思っています。
○日笠勝之君 一方、御主人は大変なやけど、火傷、一生涯リハビリもとおっしゃっておられました。 今回の法改正でいきますと、もちろん危険運転によって人を負傷させた場合は十年以下の懲役ということになっておるわけです。これは重くなったというふうに言う方もいらっしゃいますが、しかしながら負傷の程度ですよね。骨折程度で一カ月、二カ月ぐらいで治るものもあれば、そうではなくて、今、全国に四カ所、療護センターというのがありまして、交通事故によって収容されておられる治療所、治療するところでございますが、この療護センターの入院要件というのは、自力移動が不可能であるとか、自力摂食、食べることですね、不可能であるとか、いわゆるふん尿失禁状態であるとか、眼球は辛うじて物を追うこともあるが認識は不可能、声を出しても意味のある発言は全く不可能、単純な命令には応ずることもあるが、それ以上の意思の疎通は不可能という方々が入っておられる。まあ植物状態患者という方々でございます。 こういうふうな方々が、悪質な運転による事故を起こして、二人、三人、極端には四人もこういうふうな方が事故によって被害に遭われても、こうなったとしても、十年以下なんですよね。何となくやりきれないなという、御主人も一生涯これからリハビリをしなきゃいけない、十年以下というこの上限がいかがかなという気もするんですが、井上参考人はどのようにお考えでしょうか。
○参考人(井上郁美君) 確かに、私の主人も再手術を何度も何度も受けないといけないであろうと。それは時期を見計らいながら、今、一応仮に仕事には戻っておりますが、やはり週に三、四回はリハビリのために仕事を抜け出して、二時間、三時間、通院しないといけないという状態が今後も続くというふうに予想されています。そういう意味では、非常に職場にも迷惑をかけるものでありますし、本人にとっても負担でありますし、また家族にとっても負担です。 やけどで、幸いそれ以上深刻な後遺症は残りませんでしたが、私の知り合いで、遺族の方で、広島できょう刑事裁判で意見陳述をされるという方がいらっしゃいました。重度な後遺障害者の御主人を持たれた方でしたが、結局、遺族ではない、まだ被害者は生きていらっしゃるということで意見陳述が直前になって却下されました。いかに、重度後遺障害者と死亡者の間が紙一重であるのにもかかわらず、そこの差が非常に大きいかということを、私も、ついきのうの連絡だったんですが、そのようなことを聞かされて愕然といたしました。 やはり、車の性能が最近、昨今非常によくなっておりますので、死亡者はわずかながらずつ減ってはいるかもしれませんが、そのかわりに重度後遺障害者がふえています。そのような人たちに対しては、本当に亡くなった人の遺族以上に大変な思いがあるのではないかと。日常の生活が本当に困難である、元気な、介護に当たられている方ですが、家から出るのでさえ大変であるというふうなことをたくさん聞かされています。そのような人たちにはやはり特別な対応が必要なのではないかというふうに感じています。
○日笠勝之君 次に、川本参考人にお伺いしたいんですが、今回、オートバイ等の二輪車は除外をされておるわけですね。ところが、二輪車でもハーレーダビッドソンのような相当大きな車もありますし、サイドカーをつければこれはもう普通の四輪車と言ってもいいかもしれませんですね。そういう意味では、二輪車を除いたということについてはどのようにお考えでしょうか。
○参考人(川本哲郎君) 確かに、それは二輪車によるものでもかなり悪質な事故があるということは予想されるわけですけれども、数の上ではそれほど多くはないということと、先ほど申し上げたように、我が国の場合、非常に危険運転に対する刑罰は軽かったと思います。 今回引き上げられたわけですけれども、これを極端な厳罰化というふうにして、少しでも危険な運転をどんどん処罰していくんだとか、あるいは非常に悪質なものはもっと重い刑罰を科すんだというような極端な動きというのはやはり避けざるを得ないんだろうと思います。そうしたら、二輪車についても、まず、ここで入れるのではなくて、今後の動向をにらんで考えていくというのが妥当なのかなと私は思っております。
○日笠勝之君 次にお伺いしたいのは、危険運転というものが四類型に今回定義をされておりますね。しかし、本当にこの四類型だけが危険運転で重罰化の対象になるのかなという、若干私も疑念を持っております。今後の推移を見ながらということになるんでしょうが、できれば、例えば、先ほど井上参考人もおっしゃっておられましたが、無免許とか免許停止とかひき逃げもというようなお話もございましたが、それ以外にも例えば不正改造車、それから過積載などで、これはもうカーブが曲がり切れずにそういう事故を起こして死傷に至らすとか、雪道だろうと坂道だろうと過積載ならそういうことは当然想定されます。プロのドライバーですからね。しかし、そういうものも入っていないし、それから逆走というやつですね、一方通行とか高速道路を逆走していくようなのも入っておりませんね。 そういう意味では、四類型、とりあえずスタートだからまあこの辺かなと、それから少しずつ直せばいいということだと思いますけれども、井上参考人、どうでしょうか、四類型以外にでも私が申し上げたようなものも当然入るべきだろうと、こう思われますか。あわせて、笠井参考人にも同じ質問をお答え願いたいと思います。
○参考人(井上郁美君) 私が自分自身の事故を通して思いましたのは、職業運転手が私たち普通乗用車の免許証とは違う免許証を持って、車を運転することを自分の生活のためにやっているのであれば、当然プロとしての認識は全く別格のもの、もう格段に上じゃないといけないというふうに思ったんです。 そういう意味では、過積載など、職業運転手が犯してはならない違反、そういうふうな違反に対してはより厳しく罰していただけないかというふうに思っています。
○参考人(笠井治君) おっしゃるところがあるかと思います。 ただ、過積載につきましては、この資料にもございますけれども、場合によってその進行を制御することが困難な高速度で進行するということもあり得ようかと。つまり、これに当たる場合もあり得るだろうと。それから、逆走の場合も、二項の「人又は車の通行を妨害する目的で、」云々という条項に当たる場合もあり得ようと。それから、不正改造車につきましては、さまざまな改造行為がありまして、不正というところにキーワードがあるのかもしれませんけれども、改造一般を視野に入れた場合にいきなりこれを入れていいのかと。まず、ファーストステップという趣旨で今回の改正ではないかと考えております。
○日笠勝之君 最後にお伺いをしたいと思います。川本参考人に最後のお尋ねでございますが、飲酒運転という、飲酒運転だけですよ、事故を起こさない、ただ飲酒運転で交通取り締まりなんかで捕まりますね。先日も秋田の方で罰金五万円、一カ月の免停という、道交法違反でそういうふうになったわけですが、ある公務員の方ですね。ところが、免職になったんですよ、免職。 それは、秋田県においては懲戒規定の中に、飲酒運転は戒告、減給、停職に免職を入れたんですね、免職を。だから、事故を起こさないで飲酒運転しただけで免職なんです。これが今、秋田県の全市町村の半分ぐらいがそういう規定を入れたということで、飲酒運転の検挙率が秋田県では二・一%から一%、公務員による飲酒運転の検挙率が下がったんですね。 高知県でもやっておりますね、御存じのとおり。高知県でも四年間で五名の方が免職です。ある方なんかは二千五百万円の退職金をもらう寸前で免職になったということですが。 私は、これは国家公務員も、特に国家公務員こそまさに、同じところに住んでいて国家公務員は訓戒、戒告と減給、地方公務員は免職まで行っちゃう。同じ地域に住んでいる公務員でも地方公務員と国家公務員で違うということもありますし、ぜひこれは国家公務員の懲戒規定、人事院でございますけれども、飲酒運転に対する懲戒の標準に免職まで入れるというふうなことも、まさにこれ予防の一つのことにもなるかと思いますし、まず公務員こそが率先垂範して法律を守るのは当たり前のことでございますから、そういうこともいかがかと思いますが、お二人に最後に、簡単で結構でございます、井上さんと川本さんにお聞きしたいと思います。
○参考人(井上郁美君) 私たちも千葉県知事になられました堂本暁子さんとこのたびの県議会で、やはり千葉県でもそのような免職規定を入れられないかというふうに、秋田県でも現に行われていますというふうに、私たちもそういう新聞記事を拝見しまして、堂本知事様も非常に意欲的に交通問題に取り組まれていらっしゃいますので、そういうふうなことを交通安全条例としてまず入れていこうと。 やはり、いきなり国家公務員にまで上げるのはやや難しいのか、対象者が多いのか、ちょっと私は詳しいことはわかりませんが、まず意欲的な県、市町村レベルからそういうことをどんどんやっていただいて、それが効果的に効果を上げるようであれば他の市町村や県も追随していくのではないかというふうに感じています。
○参考人(川本哲郎君) 一つは、やはりこれは今後の課題であろうと思います。 制裁のバランスと申しますか、結局、交通事故を起こした場合に、刑事罰と民事の損害賠償とさらには行政処分の免許停止、取り消しがばらばらにかかるわけでして、そうなると、片方で非常に重い処罰を受けたという方と意外と軽かったという不平等、アンバランスが生じてきますので、そのあたりの調整というのは今後の課題であろうと。 あともう一つ、飲酒運転の撲滅。これはもう絶対必要なことだと思っておりますけれども、刑罰の強化というのも一つの方法であるけれども、私は、やはりその前に教育、つまり飲酒運転がどれほど危険であるのかということの教育をもっとやはり徹底させるべきであろうし、また社会の風潮ですね、車で飲みに行くのは普通だみたいな感じがあります。そういうところも並行して直していかなければいけないだろうと思っております。
○日笠勝之君 終わります。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。 きょうは、三人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。 井上参考人が、みんなの声で法は変えることができるんだと、役人や国会議員だけではないんだということを述べられました。そして、国会中継などもよく見るようになったということを言われました。 私もまだ国会に籍を置いて三カ月にしかならないわけですが、今いろんな政治不信が叫ばれる中で、その言葉を本当に初心としてみずからのものとしていきたいということをお話を聞きながら思いました。 その上で、まず井上参考人に質問をさせていただきますが、大変つらい思いをされながら裁判も行われたわけですが、その中で、先ほども御主人に早く診断書を出してくれというお話であるとか、それから処罰感情の面でも情報開示が大変おくれているというふうなことも述べられましたが、事件から裁判を行われる過程の中で、被害者の立場からそういう問題でもっと改善をすべきことが多々あるかと思うんですが、その点、幾つかお話をいただきたいと思います。
○参考人(井上郁美君) やはり、一番疑問に思いますのは、加害者と被害者の直接の接触が余りにも少な過ぎるのではないか。加害者に関する情報が私たちには、公判になってからほんの冒頭陳述で読み上げられるわずかなもの、あるいは本人が証言するわずかなことを手がかりに想像していくしかないというようなことが非常につらい気持ちになります。ほかの方々でもなかなか加害者の、どのような環境に育ったのか、どうしてそういう事故を起こしてしまったのかという一番知りたいことが全然明らかにされないというのが一番の問題ではないか。 実況見分調書や図面の開示というのも確かに大事なんです。それも客観的な証拠として非常に大事なんですが、実は、被害者遺族の方が一番知りたがっているのは、どうして自分の大切な家族が亡くならないといけなかったのか、どうしてそのような事故が起きてしまったのかということのまず第一義的な原因者である加害者についての情報をなるべく多く、決してプライバシーの問題を軽く見てくださいというふうには言いませんが、ある程度それは例えば守秘義務契約を守らせていただくとか、そのような条件のもとでせめて必要最小限のものを被害者や遺族には開示していただけないかというふうに思っております。
○井上哲士君 笠井参考人にお伺いをいたします。 冒頭で、死人に口なし、捜査をきちょうめんにしていただきたいということを述べられました。加害者、被害者両方の弁護を続けてこられた上でのお言葉かと思うんですが、実際に捜査の不十分さで大変困難などを来した例など、その弁護活動の中でおありになったら御紹介いただきたいのと、必要最小限ここは押さえるべきだと、今の捜査活動などについての改善の御意見がありましたらお願いをしたいと思います。
○参考人(笠井治君) 今御紹介する事例は、弁護というよりも、死亡事故の被害者の代理人という立場でかかわった事案について申し上げます。 この事案というのは、見通しのよい広い道路でトラックの運転手が主婦をはねた。その主婦が自転車に乗っていたかどうかというところも問題にはなるんですけれども、点滅信号の赤信号の場面を横断したのかということが問題になったケースであります。 警察捜査によりますと、信号の点滅間隔等を調べまして、被害者は赤信号で渡った、被害者側が赤信号で渡った可能性が非常に高いという結論を引き出したわけですけれども、しかし実際に現場に行きますと、その前にボタンを押して待ち切れずに渡ってしまう横断者がいる、その後に青くなって、横断するということがあったりしまして、そこら辺の捜査官の想像力というだけではなくて、やはり忙しさの余りいろんなことを考えることができないということの捜査の不十分というようなことがあり得るんじゃないかというふうに思った事案がございます。 それから、もう一つは何でございましたか。
○井上哲士君 今のそういう警察の捜査活動などで改善をすべき点、これだけは最低限押さえるべきだということが落ちたりしていることがないかと思うんですが、その点いかがかという点です。
○参考人(笠井治君) 必ずしも的確にお答えできないんですが、これは事実関係そのものにつきましては本当に客観的に目撃状況とか現場の痕跡とかさまざまなことによって知るしかないんですが、被害者像というのをよくよく確かめていただきたいというところがあります。
○井上哲士君 川本参考人にお伺いをいたします。 重罰化というのは万能薬ではないんだということも繰り返しお話がありました。参考人の「京都学園法学」の論文も読ませていただいたんですが、この中でイギリスとの比較をいろんな形でされていらっしゃいます。特に、先ほど来、安全教育が大変重要だという指摘がありました。イギリスの場合に、違反者講習とか、それから保護観察の段階でも交通安全教育が活発に行われているということがこの中でも述べられておりますけれども、その辺のイギリスの状況と、そして日本の交通安全講習で改善をすべきとお考えの点をお話しいただきたいと思います。
○参考人(川本哲郎君) 五年前にイギリスに一年間いまして、それでいろんなものを見てきたわけですが、やはりイギリスの方がそういうところはきめ細かにやっているんじゃないかという気がいたしております。日本でもされているわけですけれども、もう少し踏み込んだ講習をされてもいいのかなと、その保護観察の段階とかですね。 あるいは、日本でもだんだん改善はされていまして、現在、免許の停止者に対する社会奉仕処分とかそういうものも導入されていますので、今後に期待したいわけですけれども、そういう教育活動を十分に行ってほしいということでございます。
○井上哲士君 それから、イギリスの場合の交通犯罪者に対する刑罰についても述べられているかと思うんですが、いわゆる社会奉仕命令という制度が導入をされていると書かれておりましたが、この詳しい中身と、そして日本でこれを導入する点についての御意見をお願いします。
○参考人(川本哲郎君) イギリスでは社会奉仕命令という形で刑罰の一つとして科しているわけですが、日本ではそういう処分はございません。イギリスも三十年ぐらい前からそういう処分を導入して、今では協力する会社とかそういうところも非常に多くなっているわけですが、日本はそういう取り組みが一切なかったと。 ちょっとこれは距離がありますので、私個人としてはそういう、刑事制裁の多様化といいまして、軽い犯罪を犯した人にいろんなオプションを用意するのがいいと思っておりますけれども、なかなかこれは一朝一夕ではできることではございませんので、今提案してもすぐに実現する可能性は低いのかなという気はいたしておりますが、将来の課題としては非常に重要だろう。 ただ、日本でも、少年院での老人ホームの慰問とか、先ほど申し上げたような免許の停止者に対する、これは極めて短時間ですけれども、そういう交通安全にかかわるようなボランティアをしてもらうというのは二、三年前に導入されたわけですので、今後、やはりそういう取り組みが広がっていくことを期待したいと思っております。
○井上哲士君 もう一点、川本参考人にお伺いしますが、やはりイギリスの刑罰として運転免許剥奪というのが行われているということも論文で書かれておりましたが、この内容と効果、それから日本で導入するとすれば、その功罪あたりについてお話をお願いします。
○参考人(川本哲郎君) これも、我が国とイギリスの大きな違いは、やはり運転資格の剥奪が刑事罰であるということです。先ほど申し上げたように、我が国の場合の運転資格の剥奪は、これは行政処分ですので、そこが非常に大きな違いだろうということです。 私個人としてはもう随分以前から、運転資格の剥奪を刑事罰として取り入れて運用してはどうかと。実際に運転者の方も、免許の剥奪というのは非常に威嚇効果があると。免許の剥奪と罰金を比べても、威嚇効果というのはむしろ運転資格の剥奪の方が大きいかもわからないという結果も出ておりますので、それは検討に値するのではないかと思っておりますし、さらに一つつけ加えますと、イギリスではいろんな提案が出てくるわけですけれども、車両の使用禁止とか、そういうような処分というのもあり得るわけでして、つまり自分の自宅のガレージに車を置いている場合でもチェーンとかをつけて運転させないようにする、そういうようなことも考えられるので、もう少し、私個人としたら、制裁の幅を広げるというか、多様性というのを考えていただきたいと思っております。
○井上哲士君 再び井上参考人にお伺いしますが、今、川本参考人からも交通安全教育のことが述べられましたけれども、この法改正されるであろうことを受けまして、交通安全教育の面で強化、改善をすべき方向についてお考えがありましたらお願いをします。
○参考人(井上郁美君) もはや、子供たちだけに対して交通安全教育を施す時代はもう終わっていると思うんです。私たちの事故の場合でもそうでしたが、近年はやはり大人が悪意を持って重大なルール違反をしてしまったあげくに重大な結果を引き起こす、死傷事故に至っているという、そういうケースが多くなっているのではないかと。何十年も車の運転をしているがゆえに生じてしまった、そういう甘い認識、そういうふうなものに対して、単に五年に一度、三年に一度の運転免許の更新の際のビデオを三十分見る、そのような教育では全然不十分ではないかと思うんです。 やはり、つらいことではありますが、例えば私たち被害者や遺族の話を直接、そういう重大な事故を起こした人たちに対して直接話をさせて、真摯に聞いていただくとか、あるいは、やはりいろいろな痛みを伴った処罰がなければ今後も、たとえ受刑した後再びハンドルを握ったとしても、やはり交通事故というものを甘く見続けてしまうんではないか、再犯をしてしまうのではないかというおそれがぬぐえません。
○井上哲士君 ありがとうございました。 終わります。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。 きょうは本当に来ていただいてありがとうございます。 まず初めに、井上参考人にお聞きをいたします。 情報公開、被害者、被害者の遺族に対する情報公開と、それから刑務所の中における矯正のプログラムについてなど御提言があったんですが、私は、精神的なカウンセリング、例えば被害者、遺族の人に対する精神的なカウンセリングなどはやはりほとんど実は手つかずではないかというふうに思っているんですが、そういう点について御意見をお聞かせください。
○参考人(井上郁美君) 被害者支援は最近大分聞きなれる言葉になってきましたが、まだまだ確かに日本では立ちおくれています。せいぜい全国で二十三の民間の被害者支援団体があるんですが、それも急激にこの二、三年でふえたんですが、やはり精いっぱいのところで、いのちの電話相談、平日の限られた時間、あるいは曜日も、限られた曜日に鳴った電話での相談を受ける、個別の面談というのは要予約であるという、そういうふうなのがまず精いっぱいで、とてもとても諸外国のように、二十四時間体制でいつでもどこでもこの番号に電話すればすぐに、四十分以内にまずボランティアが駆けつけますというような体制には、マンパワーの絶対的な不足がありまして、至っていません。 実は、被害者や遺族が一番精神的に不安定になるのはその時間外の時間でして、夕方五時以降、深夜、夜、全然眠れない日が続くとか、そういうふうなつらい時間帯が一番電話相談が必要なのではないかというふうに思うんですが、その時間帯はまず電話相談を受け付けてくださるような団体がないというのが実情です。 一つ、代替案といいますか、移行措置としましては、近年、メールが発達してきて、皆さん、メールアドレスを持ってこられるようになっておりますので、深夜でも別に構いません、メールは時間を問いませんので、メールでの相談の受け付けをせめて各地での被害者支援団体がしていただけたら、それでも大分救われる。わざわざ限られた場所にしかない団体に足を運ばなくても、メールでしたらどこでもいつでもできるものですので、そういうふうな相談も拡充していただけないかというふうに思っています。
○福島瑞穂君 私も、知り合いが子供のときに父親、お父さんが交通事故で亡くなってしまって、その後いわゆる母子家庭でお母さんが苦労されたという話をよく聞いたりしているんです。 よく街頭などにあしながおじさん基金で、特に最近は交通遺児のあしながおじさん基金などをやっているのですが、もちろんみんなの募金ということも重要だけれども、もう少し交通遺児やいろんな人に対するシステムあるいは制度などが充実すべきではないかと思うのですが、多くの被害者の方と接していらして、こういうことはどうだろうかとか、例えばこういう点は不足している、こういう点はもらえるのだけれどもこういう点は全くもらえていないと、何か御提言ありましたら聞かせてください。
○参考人(井上郁美君) 確かに、変な言い方ですが、私たちは子供を亡くして、じゃすぐに経済的に貧窮するとかそういうふうな状況には至っていませんが、やはり一家の大黒柱を亡くしてしまわれた方というのはもう翌日から、例えば専業主婦の方でいらっしゃって幼い子供を二人、三人抱えていらっしゃる方であれば、本当に翌日からもう経済的にもどうしようというような状況に陥ってしまうというのが私たちの知り合いにも何人もいらっしゃいます。 なかなかこのような経済状況のもとでは再就職というのも困難で、再就職してもそれがなかなか続かない。一つには、やはりそのような遺族に対する職場の理解というのがまだまだ不十分なのではないかと。例えば、接客をするような仕事につかれましても、やはり事故のことが常に頭から離れず、ちょっとぼおっとしてしまうような時間ができてしまったり、なかなか集中できなかったり、そういうのは事故が起きてから二年、三年では当たり前のようにいつそのようなことに襲われるかわからないんです。 私は幸い事故前からもう会社員をしておりましたので、すぐに職場に戻りましても、そのような集中できない状態になっても周りの人が割と比較的温かい目で見てくださって本当に助かりましたが、契約社員や派遣社員あるいはパートタイマーの方々に対しては、余りそういう目では、穏便な目では見ていただけないのではないかと思います。 一つには、そのような遺族の方というのは簡単に立ち直れるものではない、簡単に普通のそれ以前の状況に戻れるわけでもない、なかなか集中できないときもあるけれども、それは長い目で見てくださいというふうに、これは一般のあらゆる社会、あらゆる職業の方にお願いしたいなと思っております。
○福島瑞穂君 次に、笠井参考人にお聞きをします。 酒気帯びと酒酔いとそれから本罪の関係なんですが、現場で目撃証人がいるかどうかとか、いろんなことが本罪の成立については、危険運転致死傷罪の成立については重要になると思います。 例えば、危険運転致死傷罪であることがばれないように、ひき逃げをして逃げてしまって次の日に例えば出頭すれば飲酒の事実というのがなかなかわかりにくいとか、どうしても本人の自白や証言に頼るということも出てくると思うのですが、そういう例えば自白偏重のおそれはないかとか、あるいは目撃証人も何もない場合にどうやってこの認定をするのかというふうな点は弁護士としてきっと思われると思うのですが、その点について思っていらっしゃることを教えてください。
○参考人(笠井治君) 先ほども述べたところでありますけれども、重罰化することによって逃げ得ということが起きないかということでありますけれども、一般予防効果ということを先ほどはお話ししたんですが、現状でもひき逃げと酒酔い運転の法定刑を比べますとひき逃げの方が重いんですよね。だから、軽いのを逃げて重くなるという、そういうこともありますから、一概に重罰化がひき逃げを助長するとまでは言えないということも言えるのではないかというふうに思います。 事実関係につきましては、確かに全く証拠がないということになりますと、この本条の危険運転罪に当たらずに業過の方に行ってしまうということがあり得るとは思いますね。
○福島瑞穂君 例えば、自白偏重のおそれなどは出てこないでしょうか。つまり、本人の供述にかなり頼ってしまう、時間がたてばたつほど、という点などについてはいかがでしょうか。
○参考人(笠井治君) 本条はアルコールのパーセンテージ、帯びている度合いを数字化しているわけではないので、自白を得るということによっても認定が不可能ではないように思いますけれども、アルコールの保有について、これによって酔って云々ということを自白だけで認定するということは実際上の運用としてあり得ないのではないかというふうに思っています。
○福島瑞穂君 井上参考人にお聞きをします。 冒頭に、裁量的免除の規定のことについて、審議を聞きながら少しは理解できるようにはなったとはおっしゃったんですが、衆議院の参考人の方も若干これについては疑問をおっしゃっていらっしゃいます。 例えば、軽微な事故に対してきちんと捜査が行われるのだろうかとか、被害者に対して起訴猶予処分を納得させるために利用されてしまうこともあるのではないかという懸念を私は持っているのですが、その裁量的免除の規定について思っていらっしゃることをもう少し話していただけますか。
○参考人(井上郁美君) 確かに、理想的にはすべての事故についてきちっと捜査されて、捜査は当然もうこの法改正が実現、成立してももちろんそうなんですが、その後にすべての事故について書類がきちっとしたためられているというのが理想なんですが、私たちも再三警察のマンパワーが足りない足りないと言っておりますが、やはりそれがすぐには改善されるとは思われないんです。 そういう意味では、確かに捜査は当然のことながら、捜査はもちろん手抜きをしてほしくない、ただその後に事務的な書類作成に大変な労力をとられているというのも現実であるということを何度も何度も聞かされてきましたので、確かにそういうもので本当に書類、ペーパーワークのために本当は現場に行ってほしい警察官が事務所の中にいるというのであれば、必要最小限のペーパーワークに、軽微な傷害の事故、しかも情状がよい事故という条件に限ってそういうふうな対応をして、限られたマンパワーを有効に使っていただけたらという効果を私はぜひ実現してもらいたい、そういうような効果であれば期待したいというふうに思っています。 遺族の中には確かに、捜査意欲がやはりそうはいっても低下するのではないか、どうせ起訴されないのであればというふうな結果を見越して警察官の怠慢を招くのではないかというふうな危惧をおっしゃる方も確かにいらっしゃいます。それはやはり理想とそれから現実に対して、じゃ理想に現実が追いつかない場合にはどうすればいいかというふうなこと、問題になると思うんですが、やはりそれは警察の方にもっと激励を送らないといけないのかな、エールの声を送らないといけないのではないかというふうに思っています。
○福島瑞穂君 川本参考人にお聞きをします。 この委員会の中でも議論があったんですが、この危険運転致死傷罪は、基本犯は処罰をしないで致死傷という結果が発生して初めて処罰されるという法律です、御存じのとおり。ですから、暴行、傷害、傷害致死などとは全然構成が違って、基本行為については処罰をしないのだけれども致死傷が発生したら処罰するという初めての犯罪であるということで、その点について法律家の立場から、例えばこういう点は気をつけた方がいいんじゃないか、こういう点はどうだろうかということがありましたら教えてください。
○参考人(川本哲郎君) そうですね、一つは、これも法制審議会等で御議論になっていたわけですけれども、結果的加重犯の場合、その加重結果について過失を要しないというのが裁判所の立場ですので、それはやはり変わらないだろうと思います。要は、やはり運用の問題なのかなという認識でございます。 基本行為につきましては、これは道路交通法違反で処罰される場合もあるわけです。それがある程度を超えると、非常に悪質な場合で致死傷という結果を伴えばこういう類型になるということですので、そこらは今後の運用をぜひ見守りたいと思っております。
○福島瑞穂君 私はあと時間が二分ぐらい残りましたので、井上参考人に、例えば警察の方の対応はもっとこうしてほしいとかということがありましたら言ってください。 それからもう一つ、実はやはり刑事の手続と民事の手続は全然別ですけれども、保険に入っていない方がいらっしゃるとか、民事の賠償がその後病気を抱えて物すごく時間がかかるというのは、交通事故で裁判などの保険金請求して、例えば私なども経験をしたことなんですが、多くの被害者や遺族の方と出会っていらして警察に対してこういうことをもっと要望したいということを再度、それから二つ目は、民事賠償との関係などで、何か御提言がありましたら教えてください。
○参考人(井上郁美君) まず、民事の方からなんですが、私たちは民事に臨むということもまだ始めていないんですね。といいますのは、刑事裁判が非常に長引きましたので、しかもその刑事裁判記録が私たちが閲覧可能になるまでにさらに七カ月要したという、ちょっと異例な事故であったので全国の地検に参考として見せてくれということで全国各地を回っていたそうなんですが、まずその民事を始めるためには、一にも二にも刑事裁判記録を見せていただかないと闘うことを始めることさえできないというような中で、非常に事実を知る時期が余りにも遅い、事故が起きてから一年半たってからやっといろいろな証拠書類や供述書などを拝見できたという、そういうふうな状態にあります。確かに、私たちの事故は特例かもしれませんが、そのようなことがあります。刑事裁判記録の開示というのは本当に遺族にとっては大事なものなので、裁判が終わり次第速やかにそれが開示されるようになればというふうに思っています。 民事になかなか手がつかないといいますか、始める気力をかき立てるのに非常に今苦労をしているんですが、なぜかといいますと、やはり多くの遺族の方、私たちより三年、四年、五年前に事故に遭われた方でもいまだに民事裁判で闘われている方がいらっしゃいます。二カ月に一回の公判、ひどいときは三カ月もあいてしまう。それがもうほんの十五分で終わってしまう、書類の交換で終わってしまうかもしれないのに、そのためにわざわざ毎回毎回遠い裁判所まで仕事を休んで足を運ばないといけないというふうなことで、それが何度も何度も、困難な事件になってきますと鑑定人なども交えて五年、六年民事裁判にかかったと、そのように言われる、そのようなケースもまれではありません。 やはり、裁判の迅速性というのをもっと諸外国並みに速めていただけないか。刑事裁判についてもそうなんですが、民事は特にそのような傾向が顕著ではないかと思いますので、それが本当に遺族にとっては負担になっています。皆さん、仕事を持っていたり、家庭の都合をつけて裁判所に足を運ばないといけないという事情を考えたら、もっと集中的に審議していただけないかというふうに思っています。
○委員長(高野博師君) 時間です。
○福島瑞穂君 どうもありがとうございました。
○平野貞夫君 自由党の平野と申します。 最初に、井上参考人に反省を込めたおわびをしておきたいんですが、私は十年間、この参議院法務委員会の委員として務めておるわけですが、今回改正される危険運転致死罪のようなものをもうちょっと早く制定しておけば恐らく井上さんの御家族のような悲惨なものは防止できたんじゃないかということを非常に残念に、我々の政治の責任をまずおわびしておきます。 それからもう一つは、私、実は高知県の生まれでして、事故が起こったときにこれはと思って非常にショックでございました。それで、御承知のように、高知県というところはお酒というものに対してほかの県と違った一種のルーズな寛容性を持っております。私自身もそうでございまして、私は昭和三十六年に免許証を取りまして一回書きかえをやったんですが、切りかえをやったんですが、これは危ないと思いまして、二度目はもう切りかえはせずに、もう一生車の運転はしないと、むしろお酒の方をとった方がいいということで、実は非常に高知県における飲酒運転の状態は問題があるという自覚をしております。 そこで、この刑法の改正について私を覚せいさせていただいたのは、神奈川県の鈴木さんという方からファクスをいただきまして、何やっているんだということで、私も江田先生なんかの御指導をいただきながらこの問題については積極的に対応してきたんですが、率直に言いまして、私、お聞きしたいのは、飲酒運転で事故を起こすとかあるいはチェックで摘発された人間には、もう免許剥奪というような仕組みでもつくらなければ私は根絶できないんじゃないかという厳しい、自分の反省も込めまして持っておるんですが、そのことについて御意見をお伺いしたいのですが、あるいはいろいろな活動をなさっている中でそういう御意見はなかったかどうかということも含めてお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(井上郁美君) 大変丁寧なおわびの言葉、反省の言葉をいただいたんですが、まずそちらの方から申しますと、確かに私たちも大変お世話になっております大久保恵美子さんという方が十一年前に飲酒ひき逃げの事故で御子息を亡くされまして、その方が本当に今日かなり日本の被害者支援を引っ張ってこられたような方なんですが、その方いわく、十年前は犯罪、いわゆる殺人で亡くなる、殺人の遺族でさえあるいは被害者でさえ、権利というものあるいは遺族に対する配慮というものは一切もう議論の俎上にも上がらなかったと。そのような人たちの権利でさえままならないのに、幾ら飲酒運転は殺人だ、幾ら飲酒運転は犯罪だというふうに訴えてもなかなかそこまで一足飛びには人々に耳を傾けてもらえなかったと。 それが十年という歳月をかけて、殺人、被害者や遺族に対する人権の問題、被害者支援の問題というものが少しずつ少しずつ世の中に取り上げられるようになってきて、ここまで来てやっと私たちが当初から本当は言いたかった飲酒運転というのは立派な犯罪なんだ、殺人なんだというふうなことが、井上さん、鈴木さんたちの運動で、世の中の人の認識が高まって、やっと法律の改正が、十年越しの私たちの夢が実現したんだというふうにおっしゃってくださったんですね。ですから、十年前、声がなかったわけではないんですが、なかなか物事には順序があったという、そういう現実だったのかなというふうに思っております。 おっしゃっていることは、飲酒運転は本当に、飲酒運転の車という凶器を振り回す殺人と何ら変わらないと私たちは思っております。たまたま凶器がみんなが持っている車であったというだけであって、これがナイフを振り回したというのであれば、一人殺しても二人殺してももっともっと重い刑に処されているのが今の刑法ではないかと思うんですが、そんなのよりもっともっと本当は殺傷能力が高いトンの単位の鉄の塊を持ってそれを振り回しているのに、いや飲酒運転はまだ過失だというふうな認識しかなかったというのが非常に残念です。 ですから、今回の法改正で、飲酒運転はやはり普通の単純過失とは全然違うんだと。飲酒ということをあえて行為でやっているという認識がドライバーたちの間に高まれば、あえて免許の剥奪まで行かなくても、その一歩手前で、事故を起こす手前でやめてもらえばというふうに思います。 それともう一つは、やはりどうしても悪いとわかっていてそれでもお酒をやめられない人たちという別のもう一つのグループの人たちというのは、かなりの割合でやはりアルコール依存症の様を呈しているのではないかというふうに思います。その人たちにはやはりアルコールの害について正しい知識を持っていただかないと、なかなかそうはいってもやめられない。むしろ、私たちの加害者のように、お酒をやめなさいともうさんざん周りの人からも言われている、医師からも言われておりますのに、かえって悪質になって人に見えないところで飲酒をして運転をするというふうなことになってしまう、そしてあげくの果てには事故を起こしてしまうということに結びつきかねません。やはり、そういう根本的な病気なのですから、そんなに恥ずかしいものではなくて、いろんな階層、いろんな職位の人がアルコール依存症にはなってしまうものなので、その害について正しい知識を持って、必ず治療してからハンドルを握れるようになっていただきたいと思っています。
○平野貞夫君 川本参考人に教えていただきたいんですが、日本の車行政といいますか、あるいは自動車から発生する犯罪にかかわるいろんな諸問題と英国との比較ということになると思いますが、私は、日本の車社会は自動車の人間化あるいは人間の物体化という行政、社会がずっと続いているんじゃないかと思っています。 一つは、昭和五十年、六十年ごろ警察庁が募集した全国の標語に、飛び出すな車は急にとまらないという標語が随分全国にあったんですが、これほど人間をばかにした標語はないんです。よく国家の警察がこんな標語を採用したと思って僕は怒り心頭だったんですが、逆なんですね。気をつけろ子供は急に飛び出すぞというのが人間社会じゃないかと思うんです。ひっくり返っていると思うんです。 それから、最近では、免許証を持っているのが人間であって、免許証を持っていない人間は何か人間扱いしてくれないんですね。印鑑証明書をもらいに行っても、最近、ことしから国会議員は身分証明書ができたんですけれども、国会議員には身分証明書がなかったんですね。ですから、ちょっと意地悪な区役所の窓口なんかへ行きますと免許証、免許証ないと言ったら、保険証じゃだめじゃないかと、保険証じゃ証明にならぬと、写真がないと言って、日本の行政自身がもう車を持つことが前提ということでシステムができている。私は車嫌いですから、もっともタクシーなんかに乗りますけれども、車に乗らぬわけじゃないですけれども、やっぱり車中心の社会というのは私はいろんな意味でよくないという意見なんです。 余り言うとちょっと自動車メーカーに悪いですから、僕はこれ以上言いませんですが、いろいろやはり日本の資本構成とか資本主義のあり方そのものの、僕は車というものにやっぱりプラスもあったしガンもあったと思っていますが、その辺、イギリスの社会との比較をちょっと教えていただければありがたいんですが。
○参考人(川本哲郎君) 基本的に、イギリスでも飲酒をして運転する人というのはかなりいますので、そういうところでは日本と変わらないと、あるいは日本よりも場合によっては悪いかもわからないという気はいたしております。 ただ、一般に、もうこれは私の感覚ですけれども、一年間運転していた感覚では、マナーはやっぱり日本よりはすぐれていると。それは、欧米自体がそういう感じがいたします。それともう一つは、やはり先ほどから述べましたように、以前からかなり飲酒運転致死傷なんかを重く処罰しているわけでして、結構その悪質な交通事犯に対しては重い刑罰を今まで科していますので、そこが日本との違いだろうと思います。 それで、あと先ほどのところですが、運転資格の終身剥奪、これもイギリスでは刑罰として運転免許を終身で剥奪するというのがありますし、期間としても十年とかそういう長期のものも設けております。そこも違いだろうと思いますが、そうしますと、無免許運転がふえるのではないかとか、あるいは先ほど先生御指摘のように、車社会ですから、免許を持っていないということに対する反発とかそういうのが考えられるわけでして、私の主張は、先ほど先生言われたように、やはりそれを支えるその交通体系ですね、免許を持っていなかったら、これは実際に東京とか京都、大阪、都市部はいいですけれども、地方の方に行きましたら、車がなかったら移動できないというふうな交通体系になってしまっているわけですね、今鉄道は廃止されていますし。そうなりますと、もう車には乗りたくないけれども乗らざるを得ないと。そういうものを変えるようなサポートをしていかないと、結局、免許は取り上げるわ、隠れて運転するわというのでは改善にはつながらないと、こういうふうに思っております。
○平野貞夫君 終わります。
○柏村武昭君 参考人の皆さん、こんにちは。無所属の柏村武昭でございます。 本日は、刑法改正法に関連いたしまして質問をさせていただきたいと思います。 私は、前回の法務委員会におきまして、主に悪質交通死傷事犯の重罰化に関連した論点を中心に、再発防止と被害者対策の二点について特に力を入れて質問をさせてもらいました。とりわけ、今回の改正の大きなきっかけともなりました東名高速道路飲酒追突事故について大きく時間を割いたのでありますが、本日はその痛ましい事故の被害者でもある井上さんが御出席でございます。今ここに、事故で亡くなられた二人のお子様に対し深く哀悼の意を表しますとともに、恐縮ながら二、三お伺いしたいと思います。 私は、あの事故の第一報に接したときにちょうど広島のテレビ局で社会情報番組のキャスターをやっておりまして、ニュースを伝える立場にいた者として何ともやり切れない思いというものを今でも鮮烈に記憶しております。一人の不届きなドライバーの軽率な振る舞いが幸せに満ちあふれていた家庭、それを突然崩壊させ、後に残されました御遺族にはかり知れない悲しみを与えてしまったということについて、ふんまんやる方ない怒りを覚えました。その気持ちは今になっても全く変わるものではありません。 その後、この事件が一つの大きなきっかけとなって、悪質な交通事犯に対しては厳重に処罰を行うべきであるという国民的な合意、共感が生まれたものと理解しておりますが、この事故の詳細につきましては、既に前回の委員会におきまして私は法務・検察当局より詳しく聞きました。このような事故が二度と起きないように、また不幸にも起きてしまった場合には、どのようにして被害者や御遺族の方々に温かい手を差し伸べ、力になっていくことができるのか、改めて考えさせられました。 今回の刑法改正案、つまり重罰化が、悪質な交通死傷事犯の被害者や御遺族の立場からごらんになって果たしていかがなものなんだろう、改正法案の内容に対する評価みたいなものについて、率直なところを井上さんに聞きたいんですが、どうですか、評価は。
○参考人(井上郁美君) 正直申しまして、私たちは今回の法改正、そうはいっても国の基本法である刑法がそう簡単には改正されないであろう、まず時間的に非常に長く、十年は覚悟しないといけないものであるかもしれないという気持ちは持っていました。それがわずか、初めて保岡法務大臣に署名簿を提出してから本当にちょうど一年でここまでこぎつけられたというのには正直申しまして驚きを感じています。 そして、その中身的なものなんですが、アメリカでは確かに幾つかの州で一人死なせた場合に懲役十五年まで、三人死なせたら四十五年と、そういうふうな単純な計算でやっているような厳しい州もありますが、一方でもっと優しい州もあると、イギリスでは懲役十年までだと、そういうふうな例を聞きかじっておりましたので、日本ではまあせいぜい今回のは、今までが懲役五年までであったから、懲役十年まで上げられたらいい方かなというふうに思っておりましたら、有期懲役、すなわち懲役十五年まで上限が引き上げられたと。 これは直ちにその求刑やあるいは判決がそこまで引き上げられるということにはなりませんが、やはり神奈川県座間市の鈴木零君、丹野一平君が亡くなられた事故でもありましたように、裁判官自身も今の法律の限界を感じながら判決を出していると。五年六カ月の目いっぱいの求刑、その求刑どおりの五年六カ月の判決をもってしても、やはりこの加害者に対しては量刑が軽過ぎるという気持ちを抱きながら裁判官が判決文を読み上げられていたということにもあらわれておりますように、あくまでも今回の法改正はその上限を引き上げたと、裁判官あるいは検察のその裁量の幅を広げていただいたということであって、とびきり悪質なものに対してまで天井が低いがために相当な刑罰を言い渡せないという状況をなくしてほしいという私たちの気持ちは、この法改正をもってかなえていただけたというふうに感じています。
○柏村武昭君 今回は厳罰化になったわけですが、実際に悪質な犯罪をこの厳罰化で防止できるかというさめた見方も一部にありますが、今回の刑法改正も厳罰化によって多発する悪徳交通傷害事犯を抑止できるという考え方を前提とするものだと思うんですが、この点については井上さん、どうですか。
○参考人(井上郁美君) 前回、この業務上過失致死傷罪が改正されたのが、ちょうど私が生まれた昭和四十三年になっています。それぐらい昔になってしまうと。ただその後に、わずか、そのときには禁錮三年から懲役五年に引き上げられた、二年引き上げられたというだけで、交通事故の件数が激減した、死亡者数も激減したと。今回はどこまで引き上げられるのかわかりませんでしたが、やはり一般予防効果、抑止力というものには相当な期待を持っております。 ただ、その中でも、どこまでいっても、法律が幾ら改正されても、何度も何度も懲りずに無免許で、あるいは本当に酒を飲んででも罪を犯し続けてしまう、そういう悪徳なドライバーは確かにゼロにはならないと思っております。現に、私たちの遺族の中でも、この加害者に対しては、たとえ懲役十年が言い渡されても十五年が言い渡されても、でも刑務所から出てきたら、無免許でやっぱりまた車のハンドルを握って暴走運転をして平気でまた人を殺してしまうかもしれないと。本音を言いましたら、そういう人たちには一生涯刑務所から出てきていただきたくないんですが、そういうわけにもいきませんので。 その限られた人間に対してどうやっていくかというのは、本当に刑務所の中でどこまで矯正教育ができるかというふうなことにもかかっているのではないかと思います。 今までの矯正の教育、今回傍聴しておりまして、やはり刑務所も満杯になってきておりますので、安全を図るため、危険防止をやるので精一杯である、なかなかそんな矯正まで行かないというふうに聞かされました。そういうふうな状態はぜひぜひ改善していただきたい。やはり、交通事犯とはいえど、悪質なドライバーに対する矯正プログラムというのは生半可なものでは済まないのではないかというふうに思っています。
○柏村武昭君 私も厳罰化にはおおむね賛意を表するものでありますが、先ほどからいろいろ委員が精神的な支援とか経済的な支援を言っておりますが、経済的な支援で井上参考人から先ほどお答えがありました。 刑事裁判のいわゆる記録の開示の後、民事に移るという、これは、川本参考人、イギリスなんかでもそういうことになるわけですか。
○参考人(川本哲郎君) その点については私、余り詳しく調べておりません。 ただ、イギリスの場合、先ほども出ておりましたけれども、ビクティムサポートという被害者支援、それは日本よりもかなり先行していますし、規模、範囲、そういうものはかなり大きいので、そういうところはかなり役に立っているんだろうと思います。
○柏村武昭君 井上参考人にお聞きしたいんですが、あの痛ましい事故、恐らく何十回、何百回思われたと思うんですが、あのときにこうしていれば、あのときにこうしてくれていればという憤りがいっぱいあると思うんです。これが非常にこれから事故を未然に防ぐために大事だと思うんですが、どういうことを訴えたいですか。
○参考人(井上郁美君) 事故はいろいろなミスが何重にも何重にも重なってしまったということがあるんですが、やはりそういう今回の私たちが遭遇してしまった事故の一歩手前で事故が起きなかったということがたくさんあったのではないかと、ほかにも。 具体的に申しますと、やはり運送会社というプロの運転手、それが何年も飲酒運転をしていたというのにその周りの人は気がつかなかった、そういう散漫な管理状況にあったと。これは特に小さな会社でもございませんし、高知県の立派な運送会社なんですが、そういうところの管理の体制が非常に甘かったということ。それについての反省の弁はいただいているんですが、やはり結局は、今の刑法の考え方と同じようにドライバーの責任というところに押しつけられてしまっているような気がするんです。もう少し、もし従業員が飲酒のような悪質な事故を起こして人を死傷させた場合には、その管理者にも重い処罰が下るように、そのような改善をと思っています。 それから、先ほど笠井参考人でしたか、高速道路上での飲酒というのが、確かに検問が少ないために、この私たちの事故がこれだけ報道で取り上げられてもいまだに、つい先週も報道でありましたが、夜な夜な宴会をしているドライバーたちという、そういう非常に衝撃的な映像が流れていました。やはり、減っていないんだなと。私たちの加害者が飲んでいた同じ海老名サービスエリアで相変わらず飲んでいるトラックのドライバーが多いということに非常にショックを覚えました。 高速道路では確かに酒類は売られていないんですが、持ち込みが可能であって、そのトラックの中まで見ることができないのであれば、やはりそういうこと自身も何か処罰の対象にできるのではないか、高速道路そのものに酒類を持ち込んではいけないのだと。 実際にアメリカのカリフォルニア州では、ある年齢未満のドライバーに対して、たとえ封をあけていなくても車内に酒のたぐいを持ち込んでいたらそれ自身が違反になるという、そういうふうな処罰の仕方もありますし、やはり事故を未然に防ぐということでは、どのようにしたら飲酒運転を防げるかというところにもっと重点を置いていただきたいと思っています。
○柏村武昭君 前回の法務委員会でも私はそのことを強く警察当局、そのほか法務省にもお願いしたんですが、厳罰化と同時にそういう未然に防ぐ方法、これを真剣に考えないとやはり同じことではないかと思うんです。 我々も交通安全についてしっかり認識を深めていかなくてはいけない、そういう意味で井上さんに最後にお伺いしたいんですが、被害者そして御遺族としてのお立場からごらんになって、法務・検察及び警察当局の犯罪被害者に対する対応、取り組み方について、捜査、裁判、そして判決の確定に至るすべての段階において、どうでしょう、忌憚のない御意見をお聞かせください。また、被害者対策全般についても意見を聞かせてもらえればありがたいんですが。
○参考人(井上郁美君) 私は、事故に遭った当日から、ふだん耳なれない被害者だとか加害者という言葉、普通の一般の生活をしていればまず耳にすることのない言葉、あるいはテレビの中でだけ聞いていた言葉を聞かされるようになりました。まさか自分が当事者になるとは思いませんでした。警察や検察の方、裁判官の方にとっては日常的に被害者の方、加害者の方に接していらっしゃるかもしれませんけれども、私たちにとっては何もかも初めての体験です。事情聴取に来てくださいと言われることも、あるいは裁判所に傍聴に行くことも、弁護士の方々と相談、話をさせていただくことも、すべて今までの日常生活にはみじんも入ってくる余地のなかったことを体験させられます。 そういう意味では、警察の方にまず「事故に遭われた方へ」という小さいパンフレットなどをいただくんですが、何よりも大切なのは、その体験をされた被害者の方、遺族の方から具体的なアドバイスをなるべく早い時期にいただくことではないかというふうな気がします。 例えば、供述調書を、幾ら私たちが検察官あるいは警察官に向かって供述をしても、その供述調書を読み上げられて、はいそれで結構です、サインをしますというふうになったらそのコピーさえいただけません。私も後からコピーを当然いただけるものと思っておりましたが、そういうふうな仕組みではありません、そういう制度ではありませんので済みませんというふうに言われて、それで家に帰ってから思い起こせる限りのものを起こしてみましたが、なぜそのような、自分が証言したものにもかかわらず、コピーの一枚さえくれないのだろうというふうなことが疑問に思えてなりませんでした。 制度が改善されないのであれば、せめて、そういう説明を先にいただく、そういうふうなことになるんだということを先に教えていただく、それが警察の方の口からはいただけないのであれば、被害者や遺族の方が隣に座っていらして、今から供述することは、あなたがもし一部分でも納得できないものがあれば最後にサインをしなくてもいいんですというような非常に具体的なアドバイスをいただけたら、どれだけ多くの被害者や遺族の方が精神的にも非常に楽になって、なおかつその後の捜査や裁判の際にも自分に不利にならないようなことになるかと思うと、今から思えば、そのような体制が今後整っていけばもっともっと楽になるのではないかというふうに思っています。
○柏村武昭君 きょうは本当に悲しみを乗り越えたすばらしい御答弁、ありがとうございました。 参考人の先生方、ありがとうございました。私たちも、これから被害者や御遺族の心情に配慮しながら的確な対応をしていくための施策についてしっかり勉強していきたいと思います。 ありがとうございました。
○委員長(高野博師君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、大変お忙しいところ貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。当委員会を代表して厚く御礼申し上げます。(拍手) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。 正午休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(高野博師君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 刑法の一部を改正する法律案及び刑事訴訟法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に警察庁交通局長坂東自朗君、総務大臣官房審議官高部正男君、総務大臣官房審議官田村政志君、法務省刑事局長古田佑紀君、法務省入国管理局長中尾巧君、国税庁課税部長村上喜堂君、厚生労働省医政局長篠崎英夫君及び社会保険庁運営部長冨岡悟君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高野博師君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(高野博師君) 刑法の一部を改正する法律案及び刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○角田義一君 私どもの副大臣の江田議員が総括的な質問をされますので、私は前座でございますから、おおらかにやりたいと思います。 まず、法務大臣が大臣に就任されてちょうど半年ぐらいの時間がたったと思います。大臣は、私が申し上げるまでもなく、文部大臣あるいは環境庁長官、さらには官房長官という立派な御経歴を持っておられるわけで、我々の大先達でございますが、法務大臣におなりになりまして、法務省というのはどんな役所だというお感じを持っておられるか、あるいは大分自分が就任したときとイメージが違うとか、あるいは、こういうふうに法務省をしていきたいとかというお感じがあると思うんですね、半年おたちになりましたので。率直にお答えいただければありがたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 半年間の間にいろんなことがございまして、私が法務省の中に入る前は法務省というところは静かな落ちついたところかと思っていましたけれども、半年の間に本当に毎日のようにいろいろなことが起こりまして、こんなに大変な難しい忙しいところかということを改めて痛感しております。 私は、その中でも素人でございまして、法務省の仕事というのは御存じのように非常に専門的なことも多くございますし、また法務委員会の先生方も、角田先生を初め専門家がたくさんいらっしゃいまして、非常に勉強することがたくさんございまして毎日大わらわでございますが、法務省というところは、難しいことではありますけれども、実は国民の生活にとって非常に深くかかわりのある基本的なことを決めていく、それを実行していくという大変重大な責任を持っているわけでございますので、国民の多くの方にもっと知っていただいて、もっと親しんでいただいて、それこそ国民参加の法務行政というようなことがもっとできればいいなというふうに思っておりまして、私のような素人はむしろそういうためには役に立つのかなというふうに思っているところでございます。 職員の皆さんは、非常にその専門的な知識、情報を積極的に私に提供していただきまして大変勉強を手伝っていただいておりますし、その仕事柄、当然とはいえ、大変まじめなきちょうめんなきちんとした方が大変多くて、また個人的には非常にさばけた方もたくさんおられまして、おかげさまで楽しくやらせていただいております。
○角田義一君 結構なことでございます。 私も法務省にお世話になったことが一年ほどございますんですが、今、大臣がお話しのとおり、役所の性格上あるいはやむを得ない面もあると思いますが、幹部は皆、いうところの司法試験をパスした判事さん、検事さんが全部その中枢を占めておられるという、ある意味で特異な役所ではあると思いますね。ただ、私も前田法務大臣にお仕えをし、ここにいる陣内先輩も大臣をお務めになっていますけれども、選挙の試練を経ておるという者は、大臣と副大臣と、今ここに政務官がおられますけれども、法務省に三人しかおらない。 私は、選挙の試練を経ているということは大変大事なことだと思っておりまして、最終的にはやはり選挙の試練を経た者が大所高所に立って指導すればいいんではないかというふうに思っておりますが、いかがですか。
○国務大臣(森山眞弓君) 確かに、おっしゃるとおり選挙の経験を経たということは大変なことでございまして、それだけ民意を直接肌で感じて今日あるわけでございますので、そのようなことを生かして、一方、選挙の経験はないけれども専門的な知識がたくさんあるという人たちと協力して、よい仕事をしていくということが非常に重要だと思います。 私も、おっしゃいますような特別な立場をいただいているわけですので、それを十分に生かして務めを果たしたいというふうに思っています。
○角田義一君 それで、どうしても事柄の性格上、法務省というのはややもすると閉鎖的に陥りやすいこともあると思うんですね。いかにして開かれた法務省にするかというのはやっぱり最大の私は課題ではないかというふうに思っておるわけで、そういったキャリアの方々なりと民間とのおつき合いなり、民間に出すとかというようなことで常にやはり国民の生の声を吸収するという一つのシステムというようなものもつくっていく必要があるのじゃないかというふうに思うんですが、その辺は何か具体的に大臣になって取り組まれておられますか。
○国務大臣(森山眞弓君) その点は、私も外におりましたときには考えてもいませんでしたほど大変オープンにしていこうという努力をかねてしてこられたようでございまして、だんだんそれが具体的な計画に結びつきつつあるように私、思います。 職員の間で、検察官や裁判官の経験のある有資格者、司法試験を受かった人々が、勉強は確かにできるでしょうけれども世間のことを知らないとよく言われるわけですが、そういう弊害がないように、民間のさまざまな職種を可能であればしばらくでも経験をして、そして自分の幅を広げる、見聞を広めるということが必要だということは痛感しているようでございまして、そのための努力をいろいろとやられているように私、感じております。
○角田義一君 それともう一つ、私がかねてから気になっているのは、局長クラスは皆判事さん、検事さん、入国管理はちょっと外務省から来ていただいているようでありますが、例えば矯正局長さん、この人も大体検察官がなるんですけれども、私は、矯正の現場で大変御苦労されている立派な方もおるわけでございますね、そういう現場で苦労された方がやっぱり最後は矯正局長に、上り詰めていくと言ってはおかしいですけれども、上っていただいて、そして指導をしていくということも大事だと。 これは人事のことでありますから、最終的には大臣がきちっと腹をくくってよしということになればできることなんで、これは思い切って森山大臣のときに、現場で頑張ってきた人が矯正局長になったと。昔はあったんですね。五十年ぐらい前はあったそうですが、このごろ全然ない。その辺はやっぱり現場の人たちを勇気づける意味からも英断を持って考えていただいた方がいいと思いますけれども、いかがですか。
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃいますようなそういう傾向があるということは私も否定はいたしませんが、最近、そのようなことをできるだけなくしていこうということで一般事務官の方を登用するということも逐次行われているように思われます。 今、矯正局の話をされましたけれども、矯正局長は確かに検事出身でございますが、矯正局におきます三人の課長、または矯正局にかかわる官房審議官二人、その両者を合わせまして、七人中五人の幹部は検察官でも裁判官でもない普通の事務官の方がやっているというのが現在の矯正局の実情でございまして、おっしゃいますように、特に矯正局につきましては現場の方々の苦労が非常に大きいわけですし、その力によって仕事が進んでいるということはもちろん申すまでもございません。そういう人たちが意欲を持って一生懸命に仕事に従事してもらえるように、あらゆる面で気を配っていかなければいけないと思っております。
○角田義一君 それともう一つ、私、もう六年たっていますから今は直っていると思いますが、外国人の不法入国者に対する処遇の問題でありまして、当時、六年前はベトナム難民が大挙押し寄せてきまして、その処遇に大変法務省としては苦慮いたしたわけでありますが、今日、牛久あるいは関西、さらには大村というような立派な施設ができ上がっております。ただ、当時、収容者に対する人権侵害の事件等が頻繁に起こりまして、場合によると国際問題になりかねないような事態もありまして、私も大変憂慮いたしたわけでありますが、特にこの不法入国をしており管理センターに入っておる人たちの人権をやっぱりきちっと守らなきゃいけないという命題は今日なお私は生きていると思っておるんですが、その辺の教育なりはどういうふうにされておりましょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 先生には大変この点、かねて御心配をいただいておりまして、特に大村の収容所等については具体的にいろいろと御尽力いただいたという話を漏れ承っております。いろいろありがとうございます。 おっしゃいますようなことがあってはいけませんので、その後大変厳しく研修等も、特にその問題について研修するように努力しておりまして、幸い今のところそのような具体的な事件があるということはございません。ありがとうございます。
○角田義一君 私はかねてから、収容者の中にはいろいろな人がいるわけでありますが、将来、例えば国に帰ってその国のリーダーになるという人だってそれはあり得るわけなんで、滞在している間に、別に厚遇する必要はないけれども、ひどい目に遭ったというのではなくて、やっぱり非常に手厚い処遇があったということは私は非常に大事だというふうに思っておるんです。 それともう一つは、税金で結局お世話しているわけでありますから、滞在中に少しでも日本をやっぱり理解してもらうんだということも私は大事だというふうに思っておりまして、例えば日本語教育なんかも、それは強制するわけにはいきませんけれども、希望者にはシステムとして、日本語教育はちゃんと収容している間に覚えてもらって、日本を理解してもらって、国に帰って役に立ってもらうぐらいの幅のある行政をやったらいいんじゃないかというふうに常々思っているんですけれども、どうもまだ、きのうお聞きしたところによるとその辺のシステムはまだできていないようなのでちょっとおくれているんじゃないかなと思いますが、大臣、どうですか。
○国務大臣(森山眞弓君) 入国管理センターの場合は、不法滞在あるいは不法入国の方々に入っていただいて、しばらく、何日か何週間かいていただいて、そして出ていただくというための場所でございますので、一人一人に条件が違いまして、長くいらっしゃる方もあるし、もう二、三日でお出になる方もある、あるいはいろんな種類の方がいらっしゃいますので、日本語について関心のある人、全くそういうことに興味のない人、あるいは知っていても大変よく知っている人と全く知らない人、いろんな種類の方がおられるわけですので、なかなかそこでシステム的に日本語教育をやるというのはなかなか難しゅうございます。 しかし、日本にせっかく何かの御縁でしばらくの間でもおいでになって日本の空気を吸っていただくわけですので、関心を持っていただき、できれば好意を持っていただくようにしなければいけないということはおっしゃるとおりでございます。入管の中における待遇がもとで日本を嫌いになるというようなことがないように、十分人権を尊重しつつ処遇していかなければいけませんし、ただ日本語をシステム的にというのはちょっと実際には難しいのではないかなというのでまだ始まっていないというのが現状でございます。
○角田義一君 きょうあすということじゃありませんけれども、前からそういう問題はあったわけで、ちょっとお考えいただければなというふうに思っております。 それではちょっと本論の方に入らせていただきますが、今度、御案内のとおり、危険運転致死傷罪というのができるわけでありますが、いろいろな業過の中で非常に悪質な重大な犯罪というのは、この法律ができるできないにかかわらず、かつても存在していたわけであります。しかし、それが今までは全部過失という類型で処理をされてきたわけでありますが、今度は故意犯になるわけでありますね。うんと粗っぽい言い方をすれば、過失というのは、上州の言葉で言えばぼっとということになるのかな、そして故意犯ですからわざとということになるんでしょう、うんとわかりやすく言えばですね。 それで、過失犯でずっと処理してきたわけでありますが、今回の法律を新しくつくるには、先ほど、きょうの参考人のお話も、非常に感動すべきお話を先ほど聞いておりましたけれども、そういった国民の方々の非常に地道な運動によってそれができたということは紛れもない事実であり、我々立法に携わる者とすれば、ある意味ではこれが本当の民主主義の真価だというふうに思うと同時に、我々の怠慢も責められているような気もいたすわけであります。 私がお聞きしたいのは、これは刑事局長で結構でありますけれども、今まで過失でずっとやってきたんだけれども、どだい過失でやり切れなかったんじゃないかと。現場だってやはりこれは過失でなくて故意犯で、故意犯という犯罪があれば故意犯で処理をすべきでなかったのかというような空気なりそういうものは、長いこと現場で業過をやっておるわけでありますから、こういう住民運動なりが起きる前にそれなりのあれがあってもよかったんではないかなというふうに私は率直に今思うわけであります。無理をしてとは言いませんけれども、みんな過失犯で押し込めてきたこと自体問題があったんじゃないかと。そこへ法務当局が、そこのところを早く気づいて、そういう国民の皆さんの運動が起こる前にやっぱり手を打つべきではなかったのかなという気が率直に私はするんですけれども、いかがでございますか。
○政府参考人(古田佑紀君) もっと早くいわば実態に即した法制を整えるべきではなかったかという、こういう御指摘だろうと思うわけですが、委員御案内のとおり、現在の交通事故の処理につきましては、昭和四十三年に業務上過失致死傷罪の法定刑が引き上げられましたときに、いわゆる当時、交通三悪と呼ばれていた酒酔いあるいは非常に顕著なスピード違反、無免許、こういう悪質、重大な事件に対処するためと、そういうようなことで法定刑が引き上げられたわけでございます。 その後、実はずっとその趣旨を体しまして現場で運用がされていた。もちろん現場で、人の死の結果という観点からだけ見れば過失犯ということにはなるわけですけれども、全体として大変危険な運転ではないか、こういうのが本当に過失犯でいいのかという疑問はそれはそれとしてなかったとは申しませんけれども、やはりそういうふうな認識が大きく変わってきた社会状況は最近急激に顕著になってきたということだろうと思うんです。 そういうことを踏まえまして、今、この車社会の中で、ほとんどの人が車を運転している状況のもと、新しい犯罪類型をつくるというのは、大変国民生活に深いかかわりもあるということから、早く解決をしなければならないと同時に、そういう慎重な配慮も必要があると。そこで、実態調査あるいは外国の法制あるいは関係者の御意見を伺う、そういうことをいたしまして、法制審議会の審議を経て今回御提案に至ったと、こういう次第でございますので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
○角田義一君 御理解はそれなりにちゃんとするんですが、私が思うのは、じゃ、この法律ができて二十日後あたりにこれは施行されるんでしょう。そうすると、急に故意犯ができるわけないじゃないですか。その時点から故意犯がばっと発生するということはないわけでしょう、実態問題として。実務に相当影響が私は出ると思うんですね。私は、今度は故意犯ができると、故意となると、これは過失犯、故意でもそうですけれども、非常に例えばこの構成要件に対する認識をどこまで求めるのかとか、非常に供述が、検察官が供述をとる能力というかとり方というか、それにうんと影響してくると思うんですね。現実問題としては、きょうから法律ができたから、じゃ、きょうから故意犯でいこうかというわけにはいかないんじゃないですか。その辺どうですか。
○政府参考人(古田佑紀君) もちろん、故意犯ということで構成する以上、認識の問題とかそういうのは当然捜査をしなければならない事項になるわけですが、何と申しましても、やはり客観的にどういう状況で事故が起きたのかというのは基礎になることは事実だろうと思います。 それに対して本人の認識はどうであったかと、こういうふうなことが問題になっていくわけですが、先ほども申し上げましたとおり、この故意犯という構成というのは死の結果に対する、あるいは傷害の結果に対する故意犯ということではなくて、それを引き起こすこととなるような運転行為、それの危険性についての故意、そういう危険な運転をあえてするというところにポイントがあるわけでございますので、そこの時点では、例えば酒酔い運転にいたしましても、あるいはあおりとか、そういうようなことにつきましても、これは現在でもそのことについては故意の行為として実際は捜査はされていると、そういう関係になると思うわけです。 したがいまして、刑が重いということもあって、もちろん、より慎重な捜査、的確な捜査が求められるわけですが、いずれにしましても今回の危険運転致死傷罪の新設の趣旨を踏まえて、的確な捜査を行うものと考えております。
○角田義一君 それでは、ちょっと二つほど聞きますけれども、例えばこの構成要件の中に正常な運転が困難な状態というのが構成要件になっていますけれども、これはどういうことなんでしょうか。どこまで認識をするんですか、しなきゃいけないんですか。被疑者なり被告人は何を求められていますか。
○政府参考人(古田佑紀君) 正常な運転が困難な状態と申しますのは、要するに車両の走行をコントロールすることが困難な状態ということでございまして、具体的には、例えば酒酔いの場合を例に挙げますと、蛇行運転をしているとか、あるいは前方がしばしばかすんで見えなくなるとか、あるいは時々居眠りをすると、こういうふうな客観的な事情というのがポイントになるわけでございます。 そこで、こういうふうな車両の走行のコントロールが困難であるような客観的な事情を認識していれば、それは故意としては十分で、本人自身が評価として正常な運転が困難かどうかということまで、何と申しますか、認識をしているというまでの必要はないと考えております。
○角田義一君 そうすると、これはちょっと余り細かいことで申しわけないんだけれども、今あなたがおっしゃったような客観的な事実の認識で一応実務とすれば処理をしていくということで、そこで故意犯を捕らえてしまうというふうに理解してよろしいですね。
○政府参考人(古田佑紀君) 正常な運転ができない、困難な状態と申しますのは、これはあくまで法的評価の問題になるわけでございまして、その法的評価が合理性をもって行える客観的な事実の認識が故意としては必要で、またそれで足りると考えているということでございます。
○角田義一君 それから、刑の免除の規定がございまして、これが先ほどの参考人からもいろいろな御指摘がありました。 これはちょっと基本的なことで聞きますけれども、刑の免除というのは、今の刑事訴訟法の建前からいいますと、判決によって刑の免除という宣告があるんですわね、ちょっとそこを確認したいと思いますけれども。
○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘のとおりでございます。
○角田義一君 有罪判決で、有罪を認定して刑の免除をするということになりますわね。 そうすると、被告人とすれば結局、裁判にかけられ、起訴されて弁護士さんもちゃんとお願いをして、そして裁判にかけられて最終的には刑の免除ということもあり得るわけでしょう。
○政府参考人(古田佑紀君) 委員、実際の刑事手続の運用の実情は十分御承知の上での御質問と思いますが、あえて申し上げれば、刑の免除の規定が適用されることが通常予測されるような事件については、実際問題としては起訴猶予ということで不起訴になっているわけでございます。 ただ、もちろん例外的な何らかの事情、捜査段階ではわからなかった事情などによって起訴した事案で、そういうような場合も今御指摘のような、裁判所でこの規定が使われるということも、それはもちろんあり得るということでございます。
○角田義一君 これは、軽微な事案については刑の免除があるということなんだけれども、現実問題として、いいですか、現実問題として、軽微な事件で起訴されて刑の免除というような判決が出るということはないんじゃないんですか、あり得ないんじゃないんですか、現実問題として。
○政府参考人(古田佑紀君) 先ほども申し上げたとおりで、極めてまれな例であろうと、全くないとは申しませんけれども、それは極めてまれなことになるであろうと思っております。
○角田義一君 軽微な事件で判決が刑の免除になるようなものを起訴するということは、昔、公訴権の乱用というような議論も随分あったんだけれども、そこまで言うかどうかはともかくとして、そういうことを検察官がやりますか。私、やらないんじゃないかと思うんだね。そうなると、いいですか、やらないんじゃないかと思うと、何でこの刑の免除というような規定をここに仰々しく置かにゃいかぬかというのがどうも理解できない。
○政府参考人(古田佑紀君) 先ほども申し上げましたとおり、捜査段階では何らかの事情で判明しなかった事情、あるいはその後に生じた事情というようなものもあり得るということで、それも非常に例外的とは思いますけれども、もちろんそういう意味では免除規定が裁判所で適用されることもあり得ないわけではないということを申し上げたわけです。 今回、免除規定を設けました趣旨は、一つは、交通事故というのが、事故の申告義務もありますし、また保険の関係もありますので、軽微な事故でもみんな把握される、そういう軽微な事故について、原則として刑法上は刑の言い渡しをするものだということにしておくこと自体、それがいかがなものかという問題と、もう一点は、実際の捜査処理に当たりまして、こういうふうな規定を設けることによりまして、傷害が軽い場合でかつ情状が問題がないときと、そういう前提でございますけれども、そういうときに捜査の処理の上での一つの考え方の指針を示して、それによって実際の捜査手続、例えば捜査書類の合理化とか、そういうふうな捜査の合理化に資することによりまして、より本当に処罰に値するようなそういうふうな事件について捜査のいわばエネルギーをもっと集中的に注ぐ、全体として交通事犯の取り締まりに資すると、そういうことを目的としているということでございます。
○角田義一君 もう江田先生来たからもうすぐバトンタッチしますけれども、やっぱり事件処理の根本的なあり方というのは、そこに軽いとか重いとかといういろいろな評価もあるんだが、大事なことは、被害者にとっては、当事者にとってはすべて重大な事件なんですよ、これは。ここがわからないと事件処理というのはできないんです。 私も弁護士を三十年やっておりますが、今はほとんど実務は全くやっていませんけれども、事件に取り組む心得とすると、その当事者にとっては軽いとか重いとかというんじゃなくて、当事者にとってはすべて深刻な事態なんです。そこがわからないといけない。本人にとってはまことに重大な一生に一遍。どんな軽い交通事故であっても、それは非常に深刻な問題なんですよ。そこをわからないで、そこのところを基本的に理解をしないで、これは軽微だとかこれは重いとかというふうに勝手に決められて、いいかげんとは言いませんよ、いいかげんとは言いませんが、適当にやられたんではこれは困る。 しかも、私が心配しているのは、この法案ができたことによって適当に、適当になんというと余り、ちょっと言葉悪いな、もっと、例えば捜査当局がこれはもう軽微な事件だからといって事件処理がないがしろになるようなことになると、これはいけない。それはやっぱり避けなきゃいかぬ。 私が言いたいのは、どんな事件でも当事者にとっては非常に重大な事故なんだ、事件なんだと。したがって、親切丁寧にいろいろ対応しなくちゃならないんだというのを、きょうは警察も来ておるようだけれども、警察、答弁しなくてもいいから、刑事局長がかわりに答弁すればいいから。そういう基本的な心得というものを持って事件に対応してもらわないと私はいけないんじゃないかと、本当の国民の、民衆の理解の得られる事件処理できませんよ。そこはどうですか。それで私、質問終わるから、もう時間だから。
○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘の趣旨は大変よく理解できるところでございますが、実態を申し上げますと、被害者の方も特に処罰を望んでいないと、そういうふうな事件というのもこれは非常にたくさんあるわけでございます。したがいまして、そこら辺の事情というのをやはりきちっとそれはおっしゃるとおり調べた上で、その上で判断をするということで、運用は十分留意してまいりたいと考えております。
○江田五月君 私も、ただいまの刑法改正案についてもさらに前回に引き続いて質問をさせていただきますが、その前に緊急の事件が起きていますので、そのことについて伺います。 例のアフガニスタン人の難民申請の関係です。 これは、本邦に在留しているアフガニスタン人九人が難民認定の申請をされた。その九人について強制退去手続がとられて収容令書が執行された。その収容令書に対して取り消し訴訟が起こされて、そのうちの四人については収容令書の執行停止が却下されて、即時抗告がなされて、即時抗告が棄却された。残りの五人については収容令書に対する執行停止が認められて、即時抗告中であると、こういうことだったですよね、たしか。そして、きのう、法務省は難民不認定という結論を出して、その告知の段階に入っておるということだと思いますが、それをざっと法務大臣、事実関係をまずお伺いします。
○国務大臣(森山眞弓君) 今、おっしゃいました件につきましては、おっしゃったとおりでございます。
○江田五月君 難民不認定の判断というものについてはどういうことですか。
○国務大臣(森山眞弓君) 九人のうち、まず四人の人につきましては、十一月二十七日に、難民に認定を申請をされてはおりましたけれども、その理由がないということを裁決いたしました。これを受けまして、昨日、東京入国管理局におきまして退去強制令書が発付されて執行されたと承知しております。
○江田五月君 中身については、この申請をしている者の言い分もあろうし、出入国管理を担当している皆さんの方にもいろんな言い分があると思いますが、そこの中身について細かく質問する時間的な余裕がないので簡単にしますが、アフガニスタン及びパキスタンの情勢について、これは難民認定、不認定の際にはもちろん考慮をされたんでしょうが、どういう証拠に基づいてどういう情勢についての事実認定をされたのか。
○国務大臣(森山眞弓君) ただいまちょっと申し上げたことで言い直しをしたいと思いますが、認定、理由がないということで裁決いたしましたのが二十七日です。そして、入国管理局において退去強制令書が発付されたのはきょうでございます。失礼いたしました。 アフガニスタンの件についてというお話でございますが、アフガニスタンの状況ということもございますけれども、その本人がそれぞれにどのような事情であるかということを一人一人丁寧に聞きまして、その結果、難民として認定する理由がないということになったわけでございまして、そういう状況でございますので、アフガニスタンの情勢がどうかということももちろん全く関係ないわけではございませんが、それよりはそれぞれ本人の状況でございます。
○江田五月君 申請者の代理人がいろいろ証拠を提出したいということを言っていて、そしてそれには若干の時間的な準備も必要だということのようですが、そういう代理人からの証拠提出、これは受理をされましたか。その証拠の検討はされましたか。
○国務大臣(森山眞弓君) お持ちいただいたものは全部受け付けさせていただいて、検討させていただいたと聞いております。
○江田五月君 十分な時間的な余裕もなくてそんなにやいのやいの言われても、そう簡単には準備できないというようにも聞いておるんですが、そのあたりはさらに適切な運営をお願いするとして、まず難民認定申請について、これは手続の代理人選任権、代理人を選任して代理人によっていろんな主張をしたり証拠を出したりすると、このことは認めてよろしいんでしょう。
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。 難民申請につきましては、基本的には本人申請ということになっておりまして、申請そのものについては代理人の申請というものは法的には認められてはおりません。ただし、その認定に対しての異議の申し出その他の関係につきましては、これは訴訟、代理人として弁護人がその異議の申し出等はできることになっております。
○江田五月君 ここはやっぱり一つ議論でして、法律上、代理人選任権が明定されていないからといって、いろいろな法律行為、行政行為なんかについて資格を持った代理人を選ぶ権利というものは法律で明定されていなければないのかどうか、これはやっぱり重要な議論ですよ。 私は、やはり近代法の大原則というのは、そういうときに資格のある代理人によって自分の権利、利益は擁護される、自分の言いたいことは言える、そういうことはやはり守られなきゃいけないんじゃないかと思いますが、もし認めていないとしたら、日本語を解さず、あるいは資力のない申請者がみずから本国についての情報を収集したり、提出したり、説明をすることは困難ですよね。自分自身のことについて、やはり特に日本というところへ遠く遠隔の地から、言葉も全く違う、生活実情、社会の実情も全然違う、そういう人の権利が十分保全されるためには、今の認められていないはいないとしても、代理人によるそういう行動というものは十分に保障して扱う実務の扱いにしておられるんではないかと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(中尾巧君) 今、先生がおっしゃったような形で、当該難民の申請をする者が個々にそういう資格のある弁護人等々を選任されて個別に各種資料を収集されることについては別に禁じるものはございませんし、実際のところ、いろんな形で収集されることはあろうかと思います。ただし、そういって収集されたものを当該難民申請を行う者が、それがみずからのものとして私どもの方に提出すべきものか、あるいはそういうことで申請の資料として提出すべきかどうかということは、当該御本人が考えた上で私どもの方に直接提出していただく、そういう形で運用しておるところでございます。
○江田五月君 その扱いについていいかどうかは、これは後ほどまた議論をしたいと思いますが、現在収容されていない五名、これは、難民申請についての決定の告知のために呼び出しをしたら、出頭せずに代理人が出頭したというように聞いておりますが、それはそれでいいですか。
○政府参考人(中尾巧君) 代理人の弁護士さんが十一月二十六日に私どもの方に来られたことは承知しております。 私どもの方で告知するのは直接本人に告知するということで、五人の方には当日来ていただきたいということで来てもらうことになっておったわけですが、お越しにならなかったわけであります。ですから、再度来ていただくということで出頭を求めて、来ていただければ告知する、難民の認定に関する私どもの方の決定の内容を告知すると、こういう形になろうかと思います。
○江田五月君 私は、そこはやはり一つ重要なところで、代理人が来ているわけですから、だから難民認定手続におけるそういう申請者の行動、代理人をよこして本人が来ない、だからといってこの退去強制の手続でその人たちがそのことを理由に不利益に扱われるというのはおかしいんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(中尾巧君) 当日、十一月の二十一日に本人が私どもの方に出頭しなかった理由については、これから直接どういうことであったかどうかを確認することとしておりますので、現時点でその不出頭理由が何であるか私どもの方ではわからないわけでありますので、それが退去強制手続の中で情状等で影響を及ぼすものと言えるかどうかということは、今の段階で御返答できるものではないと、こういうふうに考えるところでございます。
○江田五月君 だけど、皆さんのお考えは東京地裁の民事第二部の執行停止の決定の考え方とは違って、退去強制手続と難民認定手続とは全く別の手続であるという、同地裁民事第二部の決定の根拠となっている、論拠となっている論理ですよね。今、出頭しているしていないという話は難民認定手続に関することですから、直ちに言えないじゃなくて、退去強制手続についてはそのことは影響ないと、こういうことになるんじゃないですか、皆さんの議論からすると。民事三部の議論だったらちょっと違うかもしれませんが。
○政府参考人(中尾巧君) これは若干誤解があったら申しわけございませんけれども、要は、今収容中だった者が裁判所の執行停止の決定で身柄を解くという、こういうことになったわけの五人についてでございますので、その者が、もちろん難民認定手続と退去強制手続は別に進行しておりますけれども、仮に十一月二十六日に出頭しなかった理由が、どこかに逃げちゃって、あるいは不法にどこかへ出国したり、これは極端な例でございますが、所在が不明になっておるがゆえに難民申請の告知の当日に出頭しなかったということが後々判明したということになりましたら、それ自体は退去強制手続の中でも考慮されることだろうとは思いますし、もちろん難民認定のもう既に手続が一応終了して告知する段階になっておりますので、これは、そのこと自体は難民認定手続とは関係のない話と、こういうことになろうかと思います。
○江田五月君 私は、難民認定手続について、出頭しなかったことが退去強制手続に影響を及ぼすかと聞いたんで、難民認定手続において出頭しなかったその原因となっている事実がこちらに、退去強制手続に影響を及ぼすかどうかを聞いたんじゃないんですよ。頭をクリアにして聞いてください。
○政府参考人(中尾巧君) 委員御指摘のとおりだと思います。私の方で事実をとらえてというふうに認識した上でお答えしたと、こういうことでございます。
○江田五月君 仮に、難民不認定の決定を告知したとしても、退去強制手続の収容令書についての執行停止、この決定に影響があるはずはないんで、したがってこれはすぐに身柄を収容ということにはならない、そのことだけでは。一方で、身柄が収容されている者については難民不認定決定が告知をされていて、そして、きょうですか、退去強制令書の発付ということになったと。しかし、恐らく難民不認定決定に対する取り消し訴訟は起こされるでしょうし、また今、そもそも強制退去手続に対して収容令書の取り消し訴訟が起こされているわけで、これは、だからすぐにもうアフガニスタンに送り返すということになるものではないと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(中尾巧君) 退去強制令書が発付されますと、そのときに決定されました送還先に送還するということになっておりますし、速やかに送還する、仮に速やかに送還できないときには送還のことが可能になるときまで収容すると、こういうことでございますので、送還先の事情その他、送還のできる条件が整わなければ直ちに送還するということにはならないというふうに思います。
○江田五月君 本件の場合に難民に当たるかどうかは確かに私もいろんな側面があるだろうなという気はしますが、しかしいずれにしても、これはあれですか、退去強制、強制送還する先というのはアフガニスタンですか。
○政府参考人(中尾巧君) 退去強制先、つまり送還先につきましては、入管法の所定の……
○江田五月君 アフガニスタンかどうか。
○政府参考人(中尾巧君) 本件については、それに従ってアフガニスタンということで退去強制令書が発付されたと承知しております。
○江田五月君 アフガニスタンのどこですか。
○政府参考人(中尾巧君) アフガニスタンのどこという御質問のようですが、アフガニスタンという国として、あるところと、こういうことでございます。
○江田五月君 アフガニスタンがどこかというのはわかっているんですが、アフガニスタンといったっていっぱいあるんです。しかも今、いっぱいあるというのは、アフガニスタンは一つだけど、その中に場所はいっぱいあるんで、しかも今アフガニスタン、まあ外務大臣に聞けばよくわかるかもしれませんけど、それは強制送還するのにカブールに送還するのか、カンダハルなのかどこなのか、タリバンのところなのか北部同盟のところなのか、全然違うんじゃないんですか。それをどこへ、じゃ送還されるつもりですか。
○政府参考人(中尾巧君) ですから、今、委員がおっしゃったとおり、アフガニスタン情勢というものを私どもの方で見きわめた上での話でありますので、具体的にそういう、委員がおっしゃるような状況下では送還される状況が整っていないと、こういうことでございます。
○江田五月君 やはり、それ以上詰めませんが、実情をよくお調べになったり、あるいはその当事者の意見を十分聞いたりしながら、形式的に進めればよろしいんだということではなくて、やはりやらなきゃいけないと。今回のケースは、この個別のケースは別として、我が国の難民認定が余りにも厳格で難民条約の締結国として受け入れ実績が異常なほど少ない。こういうことでは、これは国際社会の中で名誉ある地位を占めるわけにはいかないと。 森山法務大臣、もっと積極的に難民受け入れをすべきだと、本件の事件とは別に、と思いますが、いかがですか。
○国務大臣(森山眞弓君) 難民を受け入れることは嫌だと言っているわけではございませんで、本当に必要な、あるいは条件の整った難民の方が申請していただければ受け入れたいというふうに思っております。 なかなか、御存じのように、日本の場合は、今までの地理的、歴史的な経緯等で、難民として日本に難民認定してもらいたいと申請される方が今まで非常に少なかったということが第一の原因でございますので、申請があればいつでも積極的に審査をし、条件がかなえば受け入れるということは当然でございます。
○江田五月君 国際社会が一致して二十一世紀の国際秩序をしっかりしたものに仕上げていこうというときで、そのために、どのくらい必要かよくわかりませんが、自衛隊も出そうというわけですから、出す方だけでなくて入れる方もひとつ積極的にやって、日本というのが国際社会の中で存在感のあるそういう国になっていかなきゃと思います。 それはそれとして、先日に引き続いて刑法改正を質問します。 危険運転致死傷罪については、まだ聞きたいこともありますが、時間の関係できょうは免除の規定を質問します。 衆議院の参考人質疑でも、被害者の方を代表して井手参考人が免除の規定の削除を強く主張された。きょうは井上郁美参考人が、免除の規定が一方であって、他方で危険運転致死傷罪があって、危険運転致死傷罪でなければ普通の業務上過失致死傷はもう全部免除の対象になるような、そういう理解がぱっと広がって、そしてこれは大変だということだったけれども、よく聞いて、だんだん何をお考えかはわかってきたというようなお話でした。 やっぱり、十分な議論が必要なんだなということを痛感したんですが、そこで免除の規定が適用されるような事例をもう少し明らかにしていただきたいと思うんですが、まず軽い、これはどの程度なら軽いか。傷跡が残っていたり、あるいはもっと進んで後遺障害が残ったりというような場合は、これは当然軽いということにはならないと思いますが、いかがですか。
○副大臣(横内正明君) 傷害が軽いかどうかというのは、加療期間だけではなくて傷害の種類とか内容とか、そういうものを総合的に判断をして社会通念で決めるということになると思います。 したがいまして、加療期間だけで決められるわけではございませんけれども、この一つの目安として申し上げますと、打撲傷とか捻挫なんかの場合には、大体加療期間は二ないし三週間程度にとどまるものが多いようでございまして、およそこの程度のものであれば傷害が軽いときに当たる場合が多いというふうに考えております。
○江田五月君 打撲とか捻挫とかというのは、まあ私もよくわかりませんけれども、傷跡も全然残らない、ある程度の時間がたてばすっかり、見ても何もないという、そういう傷害ということだと思いますが、それはそれでいいですか。
○副大臣(横内正明君) おっしゃるとおりだと思います。
○江田五月君 次に、加療二、三週間ということですが、加療というのは、やっぱり医者へ行かなきゃいけない、あるいは自分で湿布の張りかえするのも加療ですかね、少なくともほっておいて時間が薬だという、その最後の時間が薬だというところは加療に入らないんだろうと思いますが、そうすると、二、三週間もずっと湿布の張りかえしなきゃならぬ捻挫、打撲、結構重いなという感じがしますが、そうですかね、もうちょっと短くなりませんか。
○政府参考人(古田佑紀君) 確かに、加療期間というのはどういうふうに考えるか、これはいろんなケースがあるわけでございまして、実際にお医者さんに行く回数ということで申し上げますと、三回ぐらいということもあるわけですが、結局それが、例えば一週間置きに来てくださいというようなケースもこれよくあるわけです。 したがいまして、通常、加療という言葉で考えておりますのは、その間、例えば捻挫あるいは打撲であれば湿布薬を張っておくとか、そういうことが必要だとお医者さんの方で考えている、そういうような期間ということになろうかと思います。 ですから、もちろんその後、そういうふうなけがであれば、逆にその後、もう湿布とかそういうことをしなくてもいいですよというときには実はほとんど治っているということであろうかと思われるわけです。
○江田五月君 この辺は、そこで一日違ったらどうかというような議論をしてもしようがないので、大体今のやりとりのニュアンスでわかっていただくしかないかと思いますが、要するにそういう本当に軽い傷害の場合と。 次に、「情状により、」ということを伺います。 例えば、保険請求や何かの関係で完全に示談も成立して、そのことについてはもう後くされ何もない、きれいにそういう関係は済んで、しかし被害者が、私はこの事故については加害者の処罰は求めるんだと。示談については完全に成立して何ももう問題は起きないんだけれども、加害者の処罰は求めるんだと、こう言っている場合は、これは免除の適用はありますか、ありませんか。
○副大臣(横内正明君) 被害者が処罰をしてもらいたいと、そういうふうに明確に意思表示をしている場合ということでございますけれども、免除規定が適用されるかどうかは、被害者の処罰意思のほかに、事故の態様とか過失の程度、内容、被害の状況、慰謝の措置、改悛の情等のすべての状況を、情状を総合的に考慮して決められるものでございますけれども、被害者の処罰意思というのは免除規定の要件である「情状により、」というものを検討する際において重要な判断要素になるものと考えております。
○江田五月君 そこで、被害者の処罰を求める意思というのは、単に被害者が自分勝手に言っているというよりも、事故についてはけがも小さかったし、大した過失じゃないし、示談も全部できているし、しかしその加害者のそれまでの交通事故歴、違反歴を見ると、これはちょっと、私のケースはいいけれども、免除ということではいかぬと、私としてはやっぱり処罰をしてもらいたいと思うと、そういう場合もあるわけですよ。 したがって、きょうの午前中の井上参考人の御意見は、やはり加害者のそういう犯歴等の情報は、免除規定の適用に当たっては被害者に十分情報を開示されるべきだという、そういう意見があったんですが、これはいかがですか。
○政府参考人(古田佑紀君) 情報開示と申しますか、むしろ交通関係のそういう前科、前歴の有無あるいはその回数、こういうのは刑の免除規定、刑の免除が相当かどうかということを考える上で非常に重要な要素となっていくと思っております。 したがいまして、これまで何度も相当重大な違反をやっている、あるいは過去にもかなりの不注意等で事故を起こしているとか、そういう前科前歴、こういうふうなものの存在が認められるようなときには、一般的に申し上げて、ここで言う「情状により、」には該当しないことになるだろうと考えております。
○江田五月君 私が聞いているのは、被害者が、この加害者については刑の免除をしてやってほしいと、そういうことを言うような、あるいは言うか言わないかを判断してもらうような場合に、加害者の犯歴情報は被害者には開示をされてはいかがですか、そういう扱いにしてはどうですかということを聞いているんです。
○政府参考人(古田佑紀君) そういう御指摘ではございますけれども、これはやはり前科前歴をどの程度ほかの人に開示するかということは本人のプライバシー等とも、相当考えてやらなければならないことで、慎重に考えなければならない問題だと考えております。 そこで、そこをちょっと飛ばして、先ほど申し上げましたように、一般的に免除規定が適用されるという前提としては、そういう前科前歴関係、こういうのも十分考慮されるということを申し上げたわけです。
○江田五月君 適切な処理をお願いします。もうそれ以上詰めませんが、幾ら被害者が加害者からいろいろ言われて免除してやってくださいと言ったとしても、それは、被害者には伝えていないけれども加害者に重大な交通犯歴があるというような場合には、それはやっぱり困る、そのまま免除相当だといって起訴猶予にするのは、ということを指摘しておきます。 被害者の免除の意思表示、これはやはり書面で、例えば調書であるとかあるいは示談書であるとか、そういうところによってはっきりと認められなきゃならぬと思いますが、それもちょっと飛ばして、これで起訴猶予に法的根拠が与えられるということになって、従来も交通事故をすべて起訴するんじゃなくて一定の事故については起訴猶予にしておったと、したがって実際の裁定主文の違いというのが、例えば従来よりも公訴提起が少なくなって起訴猶予が多くなるとか、そういうことではないというように伺っているんですが、それはそれでいいですか。
○政府参考人(古田佑紀君) そのように考えております。
○江田五月君 そうすると、何のために免除規定を設けるのかがよくわからぬのですが、めり張りつけるということですから。めり張りつけるということは、しかし捜査がおろそかになるということであってはいけない。めり張りですから、やっぱり捜査はきっちりやるということでなきゃならぬと思いますが、当然だと思いますが、いかがですか。これは検察庁担当の法務省と警察と両方。
○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘のとおり、きっちりやらなければならないと考えております。
○政府参考人(坂東自朗君) 警察サイドにおきましても、御指摘のとおりでございますので、そういった方向で都道府県警察を、仮に免除規定ができたとしても指導していきたいと、このように考えております。
○江田五月君 ですから、例えば実況見分はしっかりとやる、そのときの見取り図はちゃんとつくっておくと、だけど、それを方眼紙などに定規を使ってぴっとかくようなその書類の作成のところは、免除相当で起訴猶予にするような事案であれば、そこは実況見分のときのいろんなメモ書きでもってかえることができるとか、そういうような扱いだろうと思いますが、これはこれからいろいろお決めになるんでしょうが、よく協議の上、間違いのない決め方をしてほしいと。写真を撮っても、その写真をちゃんと写真撮影報告書に全部仕上げるというところまでやると大変だけれども、しかし写真を撮るのをおろそかにして、しかも写真が何かあっちへ行ったこっちへ行ったになったりするようなことのないように、これはちゃんとやっていただきたいと。 家裁の送致は、これは家裁では、免除という家庭裁判所の決定はないわけですが、免除相当だからというような送致意見をつけられないと思いますが、どうなりますか。
○副大臣(横内正明君) 御指摘のとおり、家庭裁判所の少年保護事件につきましては、刑の言い渡しは行われませんので、刑の免除が言い渡されることはないということでございます。
○江田五月君 ないので、しかし事案としては、年齢問題を詐称すると裁量的免除相当の事案というのは少年事件の場合でもあると。その場合は恐らく不処分とか不開始とかというような意見をつけるということになるんでしょうね。まあ結構です。 次、交通安全対策のことをちょっと伺いたいんですが、時間の関係上ちょっと先に行って、刑事訴訟法の方を伺います。 今回の改正の背景となった実態、未済徴収金額の現状とか、あるいは自由刑、財産刑ごとの遁刑者の実情など、これは一応資料をいただいておるんですが、きのうの私への説明ですと、ことしの一月から三カ月間調査をして、約二万六千件の照会に対して四百件弱の回答拒否があったとのことですが、この回答拒否の公務所または公私の団体ごとの件数、これを明らかにしてください。
○政府参考人(古田佑紀君) この照会状況につきましては、地方公共団体について照会したものが全部で一万二千六百件ほどに上りますが、そのうち二百五十八件が照会に対して回答を拒否されております。これが一番多いんですけれども、そのほか、電話会社に対しまして二千二百件ほどの照会をしたところ、五十三件の回答が拒否されております。あと職業安定所で、これは二百五十六件照会のうち十六件が回答が拒否され、税事務所で百件の照会で二十八件。その他、一々細かく団体名は申し上げませんけれども、約四千五百六十件中二十二件が回答を拒否された例がございます。トータルでいいますと三百七十七件、これは自由刑もひっくるめてですが、回答が拒否された例がございます。
○江田五月君 三カ月でざっと二万六千件程度の照会に対して三百七十七件、拒否をされておるということですが、今回のこういう規定ができれば根拠規定があるわけだからその拒否される例が少なくなるであろうということですが、地方公共団体、これはもう大部分が回答してくれている。ここの部分については根拠規定ができたということが働くような気がいたします。金融機関はすべて回答してくれているので、これはいいと。電話会社、これが若干ありますが、ここにも影響あるでしょうか。病院、陸運事務所、法務局、公共職業安定所、これも若干ありますが、規定が働くでしょうかね。 税の関係。税の関係については、この規定があると照会に応じてもらえるようになると。税事務所と書いて、百件中二十八件が拒否ですが、この二十八件がゼロになると、こう法務省の方はお考えですか。
○政府参考人(古田佑紀君) 法律に基づく照会でございますので基本的には御回答をいただけるものと考えておりますが、一方で、委員御案内のとおり、税その他高度の守秘義務が課せられている事項があるわけでございまして、そういう点については、裁判の執行という公益と守秘義務によって守られるべき利益との判断で、物によってはやはり守秘義務の方が優先すると判断される場合もあり得ると思います。しかし、かなりの部分は照会によって御回答がいただけるものと考えております。
○江田五月君 これは、この法案の立案過程では財務省の方とは法務省は協議はされておるんですか。
○政府参考人(古田佑紀君) 政府が提案する場合にはすべて各府省庁と協議をいたすと、こういうことになっております。 なお、この照会も、結局内容に応じていろんな場合がございますので、それについて事細かに具体的な例までということになりますと、これはなかなか難しいというところもございまして、そういう細かい協議はいたしておりません。
○江田五月君 国税庁はお見えですよね。国税庁の方は、こういう規定ができれば、従来はどうも秘密の関係で出しておらないということですが、こういう規定ができればこれは照会に応ずることになるんですか。
○政府参考人(村上喜堂君) お答えいたします。 御案内のとおり、国税職員には所得税法あるいは法人税法といった国家公務員法よりも重い守秘義務が課せられております。 したがいまして、刑事訴訟法に基づき裁判所等から資料の提供を求められた場合におきましても、国税当局といたしましては、これは今、法務省お答えになりましたように、比較考量の問題ではありますが、やはり守秘義務に抵触する場合には原則として資料の提供はできないものと考えております。
○江田五月君 その他というのがあって、自由刑三十六、徴収金四千五百二十八、そのうち徴収金について二十二件回答拒否に遭ったと。そのうちの例えばこれは社会保険事務所、四件照会して四件拒否されたということのようですが、社会保険庁は、これはこういう規定ができれば回答をされますか。
○政府参考人(冨岡悟君) 年金受給者に関しますデータにつきましては、受給金額、老齢年金であるか障害年金であるのか遺族年金であるのかといった種別、それから内縁、障害といったことを含む家族や扶養関係等を含むものでありまして、極めてプライバシーとしての性格が強い個人情報でございます。 そういうことから、このような個人情報の御照会につきましては、御本人の同意が得られている場合のほかは、法令の規定上提供の必要性が高いと認められます場合は提供いたしております。 具体的には、例を挙げますと、提供が義務となっている場合、これは刑事訴訟法九十九条二項、国会法百四条に基づくこういったものでございます。それから、罰則が規定されている場合、国税徴収法百四十一条、こういった場合には提供を行っているところでございます。
○江田五月君 提供を行っているところでございますという最後の締めくくりですが、しかしそうでない場合に、これは罰則の規定もありませんので、むしろ社会保険庁は出さないという運用を変えないというそういうことのように理解をするんですが、あと地方税のこともあるんですけれども、ちょっと時間の方がなくなったので、地方税についてはお出しいただいているケースもあるようですので、これは妥当な運用にしていただきたいと思いますが、どうもこう見ると、何かこの規定があると根拠ができるから今までと違ってどんどん出てくる、そうでもなかなかないねという感じがするんですが、住民票なんかはちゃんと出てくるようになるから、そのあたりでひとつしっかりした実務の運用にしていただきたいと思います。 最後に、交通安全対策なんですが、例の分離信号ですね、これは一体どういうふうにお考えになっていますか。
○政府参考人(坂東自朗君) 歩行者と車両の通行を時間的に分離するいわゆる歩車分離信号というものは、車両の円滑な通行に影響を与える可能性はありますけれども、歩行者の安全確保のための有力な手段の一つと私どもは認識しております。したがいまして、警察庁では交通状況あるいは地域住民の要望等を勘案して、全国で百交差点を抽出して歩車分離信号のモデル運用を行うということとしたところでございます。
○江田五月君 前方の信号が赤で、そして矢印、青の矢印で示すと。これで例えば左折の車とその車がこれまで来たと同じ方向に渡っていく歩行者とが分離されるという、そういう信号が仮にある。前方赤です。青い矢印、真っ正面だけはついているけれども、右、左のものはついていない。これは赤信号だから、これを殊さら無視して左折をすると、その他の要件を満たせばですが、危険運転になりますね、法務省。
○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘のとおりです。
○江田五月君 やはり、そのあたりですね、あの矢印の青信号、結構誤解するようなケースもあったりですので、ひとつそういうものを矢印の青、しかし丸の分は、電灯ついているのは赤、これをそのまま法律を誤解して左折、ばっと行っちゃったらそれは法律の誤解であって、事実についてはちゃんとした認識があるんだから、危険運転になるよと、こういうことはちゃんと周知徹底させていただきたいと思います。 そのほかいろいろ伺いたいことがありましたが、ちょうど時間になりましたので、終わります。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。 まず最初に、刑訴法の改正に関連して質問をいたします。 今回の法案は、法制審の検討小委員会を受けて出されたと承知しておりますが、この検討結果報告の中でも、特に法人に対する高額罰金の徴収に困難を来しているという指摘があります。今度の法案審議の中でも、衆議院の御答弁では、法人に対する高額な罰金がふえているにもかかわらず法人の資産が十分ではなくて徴収が難しくなっているという、同じ指摘の答弁があるわけです。 法人に対するこういう罰金の主な罪名が何になっているのか、そして未済徴収金額のうち法人向けというのはどれだけの割合を占めているんでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 罰金の徴収未済金額全体について、法人、個人別の内訳あるいは罪名別の内訳の統計はちょっと手元にございませんが、東京地検の例で申し上げますと、本庁で平成十二年度におきます罰金の未済金額が全体で約十六億一千万でございます。そのうち、罪名別で一番多いのは法人税法違反、これが約十一億円で六八・三%に上ります。その次が所得税法違反の約三億円で一八・六%と、金額からするとそういうことになっております。
○井上哲士君 この十六億というのは個人も法人も合わせての金額ですか。
○政府参考人(古田佑紀君) 法人税法違反という罪名となっておりますので、それが言い渡されたものが個人あるいは法人いずれかというところまでは、申しわけありませんが、ちょっと今数字はございません。
○井上哲士君 そうすると、東京地検だけでも全体の未済徴収金額のうちの法人向けの割合というのは把握されていないんでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 法人だけという形では、申しわけありませんけれども、数字は持ち合わせておりません。
○井上哲士君 この法制審の検討結果報告でも、労役場留置のない法人に対する罰金のうちに将来の執行を担保するための保全手続が必要ではないかという議論も行われております。一方、これについては随分反対の声もありまして結論が出されていないわけですが、今度の法案でもこの分野には踏み込めていないわけで、今後、法人からのこういう高額罰金の徴収、引き上げるというためにどういう方策が検討をされているんでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘のとおり、法人に対する罰金は、法人の資産、これがないと徴収は非常に困難な状態でございまして、現実問題としては、実務的にはその法人の関係者等を説得して少しずつでも何とか納めるようにということでやっていることが多いわけでございますが、これを制度的にどういうふうにしていけば一番いいのかと。これについては、ただいま委員の方からも御指摘がありましたとおり、かつて法制審議会の財産刑検討小委員会でいろんな議論があったわけですが、やはりいきなり保全とか調査とかそういう手続を入れるということは、罰金の性格からしていかがなものかという意見もあり結論が出ない状態だったわけです。しかしながら、やはり刑罰が執行されないということは、刑に対する感銘力といいますか、そういうものを減殺させるもとともなりますので、現在、刑罪関係の基本法制、刑事関係の基本法制の整備の一環としてどういうふうな方法が考えられるか検討を続けているという状況でございます。
○井上哲士君 大変高額な罰金もあり、しかもいわゆる資産隠しなども含めて罰金を逃れようとする者、やっぱり悪質なものについてしっかり徴収をするということは大変重要なわけで、ぜひ検討を深めていただきたいと思うんです。 それから、けさの参考人質疑の中でもイギリスの例なども出たんですが、この労役場留置にかわるものとして社会奉仕命令制度の導入なども検討が進められていると思うんですが、その経過や今後の展望というところではどうでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 確かに、社会奉仕命令がほかの国で採用されている例もありまして、これにつきましてもいろんな角度から検討をしてまいったわけですけれども、さきの財産刑問題小委員会では、これについても検討しなければならない問題が多いということで結論を得られるには至っておりません。 ただ、その後も、例えばイギリスなどでどうなっているか、社会奉仕活動が受け入れられる体制というのはどういうものか、あるいは社会状況としてそういう社会奉仕命令が果たして可能か、それに違反した場合に、じゃ、どういうふうにしていわば矯正というか実効性を上げていくのかと、そういうふうな問題を中心に検討を行ってきている、研究及び検討を行ってきているわけでございます。 刑罰体系のいろんなところでの見直しということも今後必要になると考えておりまして、そういうものの一環として、さらに必要な調査あるいは検討を進めたいと考えております。
○井上哲士君 けさの参考人の質疑でも厳罰化というのは特効薬でないんだということが繰り返し言われておりました。やはり、一番の目的である交通事故、その犠牲者を減らすという点で、安全教育、道路交通環境の整備、被害者医療体制の充実、被害者の救済制度など、あらゆる段階での手を尽くすということが私は大変大事だと思います。 第七次交通安全基本計画が政府から出されているわけですが、これを見ましても、平成十二年は死者が九千六十六人と六年ぶりに増加をする、そして減らす目標自身が平成十七年で八千四百六十六人ということでありますから、目標を達成したとしても大変多くの死者が毎年出る、しかもこれ自体が大変な取り組みが必要だということになっていると思うんです。 そこで、それぞれの分野での対策について質問をするんですが、まず運転手への安全教育という問題です。 平成十二年度版の交通安全白書を見ておりますと、指定自動車教習所の教育内容では、「安全運転に必要な技能と知識はもとより社会的責任を身に付けた健全な交通社会人としての運転者を養成する」と、こういうこととしているだけでありましたが、先ほどのあの基本計画を読みますと、「遺族の悲しみを始めとする交通事故の悲惨さの理解を深める教育等を行う」というふうに、遺族の悲しみへの理解ということを非常に踏み込んで言われている。これは私は大変大事なことだと思うんです。 この問題が、今回の重罰化という刑法の改正に伴って、実際の教習所、それから更新のときの教育内容にどのように反映をされるのか。それから一方では、先ほど来議論になりますように、刑の免除という規定が入ったことが、いわば軽微なものについては大したことないんだというモラルハザードを起こすんじゃないかという指摘がいろんな方面からされております。この点でのやはり運転手への教育内容というのはどういうふうに具体化をされていっているのか、その点をお伺いします。
○政府参考人(坂東自朗君) 交通事故に遭われた御遺族の方々の悲しみなどを運転者に対してどのように教育をしているのかというお尋ねでございますが、委員御指摘のような形でいろんな機会でそういった教育を施しているところでございまして、例えば停止処分者講習というのがございます。運転免許の停止処分を受けた者の方が受ける講習でございますが、そういった停止処分者講習におきまして、被害者の方やあるいは御遺族の方を講師とするような講習を行っているところでございます。さらにまた、自動車教習所での教習とか、あるいは更新時講習におきましても、交通事故の被害者の御遺族の姿を映すビデオとか、あるいは被害者の手記等を教材に用いるなど、被害者の心情についての理解を運転者に広く広めるように配慮しているところでございます。 もう一つのお尋ね、刑の免除規定が設けられるということになりますと運転者のモラルハザードといったものを起こすんじゃないかと、そういったことのないようにどのような教育を行っているかというようなお尋ねでございますが、当然ながら交通事故を起こした場合におきましては、加害者はその責任として、刑事事件だけではなくて、例えば先ほど申しましたように運転免許上の行政処分といったものの結果、責任も問われますし、あるいは損害賠償といった民事上の責任も負うということになりますので、こうした交通事故の加害者になった場合の種々の刑事上の責任、あるいは行政上の責任、あるいは民事上の責任、そういった種々の責任について自動車教習所での教習とか、あるいは更新時講習の場においても十分に教育をして交通事故の防止を図ることが重要であるというように認識しておりますので、今後ともそういった教育に努めてまいりたいというふうに考えております。 なお、警察といたしましては、軽微な交通事故の場合であっても、その行為に基づいた行政処分につきましてはこれまでと同様、将来における道路交通上の危険を防止するために的確に行うべきものと、このように考えておりまして、この点につきましてもいろんな講習の場、あるいは教習の場で強調してまいりたい、このように考えております。
○井上哲士君 この点は遺族の方なども大変心配をされていることでありますので、今後具体的な教育内容等については詰められていくんだと思うんですが、ぜひこの点徹底をお願いしたいと思います。 次に、事故を起こさない道路交通環境の整備の問題です。 交通事故全体の死傷者に占める歩行者、自転車、二輪車、この死傷者の合計の数と割合は幾らなのか、そして割合は欧米各国と比較してどうなのか、お答え願います。
○政府参考人(坂東自朗君) お答えいたします。 昨年、平成十二年中の交通事故の死傷者数は百十六万人余ということになっておりまして、この中で歩行者の占める割合は八%でございます。そして、自転車の占める割合は一五%でございます。それからさらに、原動機付自転車を含むいわゆる二輪車の割合は一六%ということになっております。 これを欧米と比較してどうかというお尋ねでございますが、交通事故の三十日以内の死者数のデータしか持っておりませんので、このデータで比較してみますと、交通事故死者数全体に占める歩行者の割合は、我が国が二九%であるのに対しまして、アメリカでは一三%、それからイギリスでは二六%、ドイツでは一三%という形になっております。それから、死者数全体に占める自転車の割合でございますけれども、日本では一三%であるのに対しまして、アメリカでは二%、イギリスでは五%、ドイツでは九%。それから、死者数全体に占める二輪車の割合でございますが、日本では一七%であるのに対しまして、アメリカでは六%、イギリスでは一六%、ドイツでは約一五%ということになっております。
○井上哲士君 歩行者、自転車、二輪車を合計しますと日本がかなり高くなっているわけなんですが、この理由はどういうふうにお考えでしょうか。
○政府参考人(坂東自朗君) そういった、どういう理由かということでございますけれども、当然ながら道路交通事情というものは各国によってさまざまでございますので、一概にこれが一つの理由であるということはなかなか断定することは困難であるということはぜひ御理解いただきたいと思いますけれども、ただ我が国の道路交通環境の特徴といたしましては、一つは、歩行者とか自転車と同一平面上を通行している自動車交通が多いということが言えると思います。さらには、地形上の制約もございまして、幹線道路が都市の中心部に配置されているといったようなこと、さらには市街地区域における自動車交通量が欧米と比較いたしますと過密であるといったようなことが挙げられます。こうしたことから、歩行中あるいは自転車乗車中の死者の占める割合が比較的高くなっている一因ではないか、このように考えられるところでございます。
○井上哲士君 今三つ理由を挙げられましたけれども、いずれもいわば人の命よりも車の運行優先という流れの中のものだと思うんですね。大変交通弱者にとって住みにくい都市づくり、町づくりになっていることのあらわれだと思うんです。 特に、同一平面上を車と人が行き交うということが言われましたけれども、その点で、先ほども御質問がありましたけれども、私からも歩行者の分離信号の問題についてお聞きをいたします。 今回の重罰化も御家族を失った遺族の方の運動が大きな力を発揮したわけですが、この歩車分離信号でもさまざまな運動があります。横断歩道を青信号で渡っていた息子さんを左折してきた大型トラックにひかれて亡くした長谷智喜さんという方がこの運動の中心になられております。私も本を読ませていただきましたけれども、息子さんの遺品のランドセルをあけますと、息子さんが自分で書いたなぞなぞのカードが入っていて、その質問が、信号はなぜあるのか、自分で書いた答えが、信号がないと交通事故に遭うからと。こういう遺品が入っていたのを見られて、本当に交通信号を守って歩いていた息子がなぜ命を奪われなくてはならないのか、こういう憤りからずっと運動をされております。人間がミスを犯す生き物である以上、人と車が交差をする、この構造をなくすことが必要だ、息子の死は構造死だということを言われております。 その本を読んでおりますと、かつて警察庁はマスコミの取材の中で、分離信号は歩行者と車両がお互いを尊重し互いに注意し合う現在の交通ルールの考え方になじまない、こういうお答えをされているようでありますが、今日もこういう考え方をまさか持っていらっしゃるとは思わないわけでありますが、分離信号についての今日の認識についてお伺いをします。
○政府参考人(坂東自朗君) 歩行者と車両の通行を時間的に分離するいわゆる歩車分離信号というものにつきましては、先ほども御答弁させていただきましたけれども、車両の円滑な通行に影響を与える可能性はございますけれども、歩行者の安全確保のための有力な手法の一つと、このように認識しているところでございます。
○井上哲士君 交通ルールの考え方になじまないというのから、有力な手法の一つということで考え方を前進させられたということは大変私は大事だと思っております。 これは、やはり現実に行われている分離信号の効果が非常に上がっていることだと思うんですね。私が住んでおります京都でも、この十月から京都駅前の四カ所の分離信号を試験運用しております。地域住民やバスやタクシーの運転手の方へのアンケートもとっておりますけれども、おおむね好評でありまして、進められております。 その上で、先ほどもありましたけれども、全国百カ所のモデル事業計画、九月に発表されておりますけれども、もう少し詳細について御報告をお願いします。
○政府参考人(坂東自朗君) 委員御指摘のように、警察庁では、当然ながら、歩車分離信号を導入するという場合におきましても、交通状況とかあるいは道路状況とか、そういったものを十分に勘案しなければいけませんので、警察庁では今般、交通状況、あるいは地域住民の要望、あるいは道路状況等を勘案して、全国で百交差点というものを抽出して歩車分離信号のモデル運用を行うということとしたところでございます。 このモデル運用期間中は、広く一般の方々から御意見等を聴取いたしまして、設置効果を定量的に分析、評価することとしているところでございます。
○井上哲士君 このモデル事業について、報道した新聞の中では、車の流れよりも歩行者の安全を優先する点で交通行政の大転換だと、こういう評価をしたマスコミもありましたけれども、大変期待が大きいわけです。 六月の内閣委員会でも我が党議員が質問をしておるんですが、その中で全国的な実態調査と対策ということを求めたわけでありますが、警察庁の御答弁は、都道府県の公安委員会による総合的判断だということが繰り返されました。今回、警察庁としてこういうモデル事業に乗り出したということは、もちろん最終決定は都道府県の公安委員会ということになるんでしょうが、警察庁として何らかのガイドラインなどをこの事業の結果によって打ち出して、警察庁のイニシアチブで全国的推進を図るんだと、こういう立場でよろしいですね。
○政府参考人(坂東自朗君) 警察庁ではこのモデル運用というのを通じまして、歩車分離信号機の設置方針というものを、先ほど申しましたように、いろんな方から御意見等を聴取しながら、あるいは効果分析等を行いながらこの歩車分離信号の設置方針等を取りまとめまして、今後の交通安全施設の整備に活用してまいる所存でございます。
○井上哲士君 典型的ないろんな危険な交差点は抽出をできるわけですから、こういう場合にはこうやったら効果的だとか、これはぜひ警察庁としてしっかりガイドラインをつくって広げていただきたいと思うんですね。 その中で、先ほど挙げました長谷さんの子供の事故の場合も、必ずしも通行者の多い交差点ではありませんでした。逆に、一日の横断者は少ないけれども、砂利を運ぶトラックが走っている。いつもいないからということで、運転手がいわば悪なれで、ほとんど見ずに左折をして巻き込まれるという事故でありました。 ですから、事業の対象としては、いわゆる交通量が多いところだけではなくて、そういう大型車の通行状況とか、通学路になっているかとか、過去の事故の状況とか、こういうことも総合的に見て対象とすべきだと思うんですが、その上で、例えば長谷さんの場合は押しボタン式の分離信号という提案もされているわけですね。そういうさまざまな形態も含めて、そういう通行量の少ないところも必要なところには設置をしていくという方向でよろしいでしょうか。
○政府参考人(坂東自朗君) ただいま御答弁申しましたように、警察庁では設置方針というものを取りまとめたいというふうに考えておりますが、具体的に歩車分離信号を導入するというのは委員御指摘のように都道府県警察というものが決定するところでございますので、都道府県警察におきましては、やはり現場の具体的な交通状況とか、あるいは地域住民あるいは関係行政機関等の意見、要望といったものを総合的に勘案した上で、歩車分離信号を設置するかどうかの適否について判断することになろうかと思いますが、具体的に申しますと、やはり一つは歩行者や右左折車両の事故が多く発生しているような交差点とか、あるいは通学路が付近に存在する交差点とか、あるいは歩行者等が多く歩車分離をした方が交通の円滑に資すると考えられる交差点等が考えられるのではないかと思います。
○井上哲士君 長谷さんの事故があったところにもまだそういう信号は多くの署名がありながらついていないわけでありまして、ぜひ推進をしていただきたいと思います。 それで、現在、全国でわずか千五百基ということなんですが、このモデル事業が発表されたときのマスコミの報道では、将来的にはできる限りすべての交差点に歩車分離信号を導入したいと、こういう警察庁のコメントも出ておりますが、こういう立場で推進をしていくということで再度確認をしたいんですが、どうでしょうか。
○政府参考人(坂東自朗君) ただいまも御説明いたしましたとおり、最終的には都道府県公安委員会が判断して設置するかどうかというのを決めていくというところになろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても今回のモデル運用等も勘案しながら、最終的にはいろんな方々の御意見等も聞きながら、総合的にその設置の可否あるいは適否というものを判断していくということになろうかと思います。
○井上哲士君 できる限り必要なところにつけていくという、その立場は大丈夫ですね。
○政府参考人(坂東自朗君) 冒頭に御答弁申しましたように、歩車分離信号というものは、歩行者の観点から見ればこれは歩行者の安全確保というものに非常に大きな効果があるということを我々承知していますけれども、やはりトータルしての全体の交通量というものをどのような形で流していくのかということも考えなきゃいけませんので、やはり具体的な信号交差点で、歩車分離信号としてつけた方が全体として交通の安全なり円滑というものを確保できるかどうかといったものを最終的には各都道府県公安委員会が判断をして設置していくということになろうかと思います。 繰り返しで恐縮ですが、そういう基本的なスタンスでございます。
○井上哲士君 もちろん、全部の交差点を分離にしろなんということはだれも言わないわけで、よく状況を見ながら、本当に期待されている事業でありますから、積極的に推進をしていただきたいと思います。 こういう道路安全環境を整備しても、不幸にして事故が起こるという場合があります。そういう点では非常に緊急医療体制の充実が必要なわけですが、この基本計画の中でドクターヘリのことが強調をされております。 厚労省にも来ていただいておりますが、ことしの三月まで試行的事業を行っていらっしゃいますが、その治療実績というのはどういうことだったでしょうか。
○政府参考人(篠崎英夫君) 一年半の試行事業の結果でございますが、推定死亡者が、ドクターヘリを使った場合は、使わなかった場合に比べて二百四十三名から百三十名に、百十三名の減少が推計される、また障害ありと推定された者が百三十三名から七十九名に、五十四名の減少が推計されるというようなことでございまして、ドクターヘリの導入により顕著な効果が上がったことが検証されたと考えております。
○井上哲士君 確実に命が救われているという、非常にいい結果だと思うんです。 この試行を受けて、促進のための現状と方向についてはどうなっているでしょうか。
○政府参考人(篠崎英夫君) 十一年度、十二年度の試行を受けまして十三年度、つまり本年度でございますが、岡山、静岡、福岡、千葉、愛知等の五県においてドクターヘリの導入をすることといたしておりまして、将来的には都道府県事業として三十カ所程度の配備を目指したいと考えておるところでございます。
○井上哲士君 諸外国では大変大きな成果を上げておりますし、まず三十カ所ということでありますけれども、さらに広げながら、そして消防等のいろんな救急の体制との連携をとりながら、この点での取り組みの強化をお願いしたいと思います。 最後に、冒頭にも言いましたように、厳罰化だけでは事故というのはなくならないわけでありまして、今回の刑法改正とあわせまして、交通安全施策を総合的に進めて交通事故を減らしていく、遺族の悲しみを二度と起こらないようにしていく、そういう点での大臣の決意をお願いいたします。
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおり、交通事故の減少、撲滅のためには罰則の整備だけでは十分ではございません。もちろん、交通に関する行政上の規制、制裁を初め、道路及び交通安全施設の整備、交通安全教育、その他各種の行政的施策の充実を図るということが必要でございまして、国、地方公共団体の関係機関等が一体となって交通安全の諸施策を総合的に、かつ強力に推進しなければならないと考えております。 今回の法改正は、悪質かつ危険な運転行為による死傷事犯に対し、それにふさわしい重い処罰を可能とするために危険運転致死傷罪を新設するとともに、自動車運転による業務上過失傷害事犯につき、軽傷の場合には情状により刑を免除できることとし、もって事案の実態に即した処罰と科刑を実現しようとするものであり、悪質、危険な運転行為を行う者に対する一般的な予防効果が期待できるなど、全体として交通事犯の減少、撲滅に資するものと考えております。 そこで、この法律案が成立、施行された暁には、今回の改正法を的確に運用することによりまして、交通安全に関する行政上の諸施策と相まちまして、交通事故及びその被害ができる限り少なくなるように努めてまいりたいと考えます。
○福島瑞穂君 社会民主党の福島瑞穂です。 刑法、刑訴法の改正の前に二点、質問通告していないんですが、お聞きをしたいと思います。 一つ目は、民法改正で、この点は本当に悲願という感じなんですが、御存じ衆議院には、民主、社民、共産と、それから公明党がそれぞれ議員立法として提出をしております。参議院は、民主、社民、共産があわせて議員立法で提出をしております。法務省が閣議決定を経た閣法として提出されることをタウンミーティングやいろんなときにも明らかになっていますが、若い人たちは特に望んでおります。森山法務大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 何回も申し上げておりますとおり、私個人としてはぜひ実現したいと考え続けておりますが、内閣として提出するというためにはいろんな条件を整えなければいけませんので、今も鋭意努力しているところでございますが、まだちょっと最後のところがクリアできておりません。もう臨時国会は残り少のうございますけれども、最後まで希望を捨てないで頑張っていきたいと思っております。
○福島瑞穂君 ぜひ頑張ってください。福田官房長官を初め優しい男性がたくさんいらっしゃいますので、女性と若い人に優しい男性も大変多いですから、ぜひよろしくお願い申し上げます。 二点目に、アフガン人の難民の問題です。 先ほど江田委員の方からも質問がありました。この法務委員会、ほかの委員会でもこの点は質問が出たところですが、タリバン政権に迫害されたとして少数民族ハザラ族の人たちが、アフガン国籍の人たち九人が法務省に難民認定をし、難民認定が認められなくて九人が収容され、その後執行停止が認められた人と認められていない人と分かれたと。現在、強制退去令が出ているというふうに江田委員の質問に答えられたんですが、現在そのことでよろしいでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 四人のその通告ができた方々に対しては強制退去命令が発せられております。残りの五人の方々は指定の日においでいただけなかったものですから、改めて出てきていただきまして決定された内容を通告するという予定になっております。
○福島瑞穂君 難民の地位に関する条約三十三条は、「締約国は、難民を、いかなる方法によつても、人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見のためにその生命又は自由が脅威にさらされるおそれのある領域の国境へ追放し又は送還してはならない。」となっています。もちろん、これは難民に対してですが、今回、アフガニスタン国籍で難民認定をした人たちは、強制退去されるとするとアフガニスタンに強制送還される危険性が自分の国籍国ですから大変強いのですが、そうしますと、今空爆がどうなるか、地上戦もあるアフガニスタンへ強制退去されることになるので、きのうその五人については判断が出るということだったんですが、くれぐれも強制退去令書を発付し、アフガニスタンへ送還されないように強く改めて要望したいと思います。 では、本題の刑法、刑訴法の改正についてお聞きをいたします。 午前中、参考人の中で、井上参考人の方から、刑務所における中できちっと受刑者に対してもっとプログラムを充実させてほしいという要望がありました。特に、アルコール・薬物依存症の人に対して、そうならないようにきちっと矯正処遇をしてほしいという要望がありました。現在、交通刑務所、一般刑務所のそれぞれにおいて薬物・アルコール依存症の人に対してどのようなプログラムが組まれているか教えてください。
○副大臣(横内正明君) 一般刑務所、交通刑務所におきましてアルコールないしは薬物依存症の受刑者のためにどのような更生プログラムが用意されているかという御質問でございます。 まず、薬物依存症の受刑者に関しましては覚せい剤乱用防止教育を実施しておりまして、具体的には講義とか、あるいはグループ討議、あるいは視聴覚教材を活用した講義というようなことをやっております。また、民間のリハビリ施設のNPO的なそういう方々なんかにも部外指導者として来ていただいて協力を得ている施設もあるというふうに聞いております。 アルコール依存症の受刑者に関しましては酒害教育を実施しているわけでございますけれども、この場合にも、先ほど申し上げましたようなグループ討議とか視聴覚教材を使った講義のほかに、部外から断酒会とかそういったアルコール依存症からの回復を目指すいろんな自助グループがありますけれども、そういうところの会員の協力もいただいて更生教育をしているという状況でございます。
○福島瑞穂君 実効性は上がっているんでしょうか。どういうふうに認識されていらっしゃるでしょうか。
○副大臣(横内正明君) 具体的な効果についてのデータの数字はないわけでございますけれども、いろいろと工夫をしながら改善をして、いろいろなプログラムを組んでやってきておりまして、今のこういった更生教育、我々としては非常に効果が上がっているというふうに思っております。
○福島瑞穂君 NPOの援助も受けて刑務所が努力をしているということはNGOのグループから逆に聞いてはいるんですが、今は一般刑務所、交通刑務所と同じく話してくださったんですが、例えばアルコール依存症、薬物依存症の人でどうしても乗るときにお酒をついつい飲んでしまうということもあると思うんですね。交通刑務所において特に工夫していらっしゃることというのはあるのでしょうか。
○副大臣(横内正明君) アルコール依存者を含めた交通事犯の受刑者に関しましては、交通犯罪に関する道義的な反省を積極的に促して、人命を尊重し安全第一を旨とするような人間になっていくということを目的として交通安全教育を行っているわけでございます。その際、特にアルコールによる悪癖を持っている対象者についてはグルーピングをいたしまして教育を施しているところでございます。 具体的な教育の内容につきましては、先ほど申し上げましたグループ討議とか、あるいは視聴覚教材による講義とか、あるいは外部のNGOの方、NPOの方の協力をいただくとか、そういうやり方をしているということでございまして、交通刑務所においても、アルコール依存者に対してはそれをグルーピングした更生教育を行っているということでございます。
○福島瑞穂君 細かく質問通告をしなかったのでもし今難しければ結構ですが、例えばどれぐらいの比重でアルコール依存、薬物依存からの脱却についてはプログラムをやっていらっしゃるんでしょうか。例えば、一カ月に一遍ぐらいとか、一週間に一遍ぐらいとか、入って一年に一遍ぐらいやるとか、どれぐらいの比重でやっていらっしゃるんでしょうか。もし今わからなければ結構ですが、もしわかるようでしたら教えてください。
○副大臣(横内正明君) 今、データを持ち合わせておりません。ケース・バイ・ケースで対応していると思いますけれども、また調べまして、後日、先生に御報告、御説明をさせていただきます。
○福島瑞穂君 どうもありがとうございます。 刑務所の処遇、更生プログラムも今どんどん変わって発展していっているところなので、被害者の人たち、あるいは、加害者という言い方は変ですが、受刑者本人にとっても必要なプログラムだと思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。 では次に、交通事犯の被害者などに対する情報提供は具体的にどのようなものに今後なるのでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 非常に一般的なお尋ねですので、どこにポイントを当ててお答えしたらいいか、あるいは御満足のいく答えにはならないかもしれませんが、御案内のとおり、検察庁におきましては、すべていかなる罪種でありましても被害者のおられる犯罪につきましては被害者通知制度を設けておりますし、また随時お問い合わせ等にも対応ができるように被害者支援員制度などを各庁で備えているところでございます。 したがいまして、そういうものを御利用いただいてお尋ね、あるいは前もっての御依頼があれば事件の処理、それから例えば起訴した場合にはその結果、あるいは公判がいつかとか、そういうことについての情報提供をするということになっております。
○福島瑞穂君 午前中の参考人質疑の中でも出てきたのですが、精神的なケアの問題、例えば十月十三日に施行になりました配偶者に対する暴力防止法、いわゆるドメスティック・バイオレンス防止法では、被害者のケアが重要視されていますし、加害者の更生についても調査研究の対象になっています。 被害者のケアなど被害者保護策は具体的にどのようなものがあるのでしょうか。あるいはどのようなものになるのでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 検察庁におきましては、先ほど申し上げました被害者支援員、こういう者がいろんな御相談等にあずかって、その中で実質的にはカウンセリング的なことになる場合もありますでしょうし、また本格的なカウンセリングが必要だということになりますれば、それは被害者保護団体その他のネットワーク、あるいは関係諸機関等を御紹介するなり連絡をする、そしてそこでそういうようなことが受けられるように便宜を図ると、そういうふうなことを現在もやっており、今後もそれを充実させていくことになると考えております。
○福島瑞穂君 ぜひ精神的ケアの面で充実をよろしくお願いします。また具体的なことなどをぜひぜひ教えてください。 次に、裁量的免除について、ほかの方からも質問が出ているのですが、前回、質問通告して残っておりますので、済みません、ちょっとダブるところがありますが、質問させてください。 刑の裁量的免除の規定があるのですが、刑の免除は一般的に刑法の中に規定があります。ですから、犯罪一般ではなく本条のみに刑の免除を定める理由が実は本当に合理性があるのかどうかというふうに思うわけですが、刑の免除の規定が刑法にあるわけですから。この点についてはいかがでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 刑法典におきましては、刑の免除は犯罪によってその個別の事情に応じて特定の犯罪について設けられているものと理解しております。ただ、刑事訴訟法上、起訴猶予ということはこれはすべての犯罪について行うことができますので、そういう意味では軽微な交通事故について起訴猶予による弾力的な処分をこれまでも行ってきているわけでございます。 ただ、今回、刑のこういう裁量的免除規定を置くという御提案を申し上げている趣旨は、実際の交通事故の非常に多くが軽い傷害で被害者の方も処罰を望んでいないというふうなケースも多く、また特に重大な交通違反も伴わない、そういうふうな実態が現実問題としてはあるわけでございます。 そういう中で、交通事故は非常にいわば把握される率が高い。そういうことにかんがみまして、ほかの場合であればいわば日常的に見逃されるようなケースでも把握される、そういうものについて原則としてすべて刑の言い渡しをするということにしておくということ自体がいささか刑法のあり方としていかがなものかという問題のほかに、そういう処罰価値がほとんどないようなそういう事案につきまして、捜査書類の作成の合理化、その他の捜査の合理化を図り、全体として真にきちっと捜査をして処罰すべき事案に対して捜査のリソースを集中させることができるようにしたいと、そういうふうな考えで御提案を申し上げているということでございます。
○福島瑞穂君 ただ、今、刑事局長おっしゃったように起訴猶予処分があるわけですから、軽微な事件で被害者も別に起訴を例えばそんなには望んでいない、傷害も軽く起訴にするには当たらない場合は起訴猶予処分というのがあるわけですし、一般的にも例えば窃盗などで特に起訴をする必要がないとして起訴猶予処分になることもほかの犯罪でもあるわけですから、起訴猶予処分をきちんと使うことによって、軽微な事件で被害者感情も余りないケースを起訴するということから免れることができるわけですね。あえて刑の裁量的免除を置いた理由がやっぱり実はよくわからないのですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 一つは、単に傷害が軽いということだけで一般的に起訴猶予とかそういうことにするということではなくて、やはり情状が問題がない、積極的にいいといいますか、そういうことの指針というのを、こういう非常に多い、捕捉率が非常に高い犯罪についてはその辺をはっきりさせておくということにも意味があるだろうと考えているということと、先ほど申し上げましたように、刑の免除に相当するようなそういうのが類型的には幾つかあると思いますけれども、そういうものにつきましては実際の捜査、特に捜査書類とか送致のあり方、こういうものについてできるだけの合理化を図るということの基本にもなると、そういうことからこういう規定を設けるということにしたものでございます。
○福島瑞穂君 ちょっとしつこくて申しわけないんですが、起訴猶予をすれば、きちっと定型化をしてこういうケースは起訴猶予にするというふうにしてしまえば、わざわざその後、刑の免除という規定を設けなくてもいいわけで、別に裁量的免除の規定があるので定型的、一律的捜査の合理化を図るということとは連結をしないと思うのですが、なぜこれだけ出てくるのかがやっぱりわからないので、済みません。
○政府参考人(古田佑紀君) もちろん、ある程度の類型化というのは起訴猶予の場合でも可能ではあるわけですけれども、御案内のとおりいろんな形態の事故がありますので、すべてをそれを類型化するということは実際問題としてはこれは非常に難しい面があります。 それともう一つは、先ほどから申し上げていますように、一律に傷害の結果が軽いということで起訴猶予にするということではございませんで、やはりそこは被害者の方の処罰意思あるいは過失の内容、その他のさまざまな事情を考慮して刑を言い渡すというような必要が本当にこれはないというふうな判断をするということでございますので、そこらあたりの、本当にそういう処罰に値しないものについてはやはり刑の言い渡しを必ずしも必要としないんだということを明らかにしておくと、そういう意味があるわけです。 それが捜査の合理化に今どう役立つのかということではありますが、これは先ほどから申し上げておりますとおり、現実問題として今の状況を、かなり捜査書類あるいは送致書類の合理化はしておりますけれども、これをさらに一歩進めるということも必要な場面があるように考えておりまして、そういうことからも、ただ単に一般的な起訴猶予という刑事訴訟法上の権限のみによるのではなくて、実体法上の根拠というのをそれに与えるということも必要なことではないかと考えているということでございます。
○福島瑞穂君 被害者感情というのも極めて重要ですが、例えば軽微な事故であるのに被害者が断固として処罰を望んだ場合の取り扱いはどうなるのでしょうか。同じ程度の事故で重大な過失もないにもかかわらず、被害者感情で処罰が分かれてしまうということにはならないでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 確かに、被害者の方の中にはさまざまな方もいらっしゃると思います。端的に申し上げますと、その処罰を求めるそういうお気持ちはそれなりの合理性がもちろんやはりあるということが通常だろうと思いますので、そういうことをよく考えるということでございます。 したがいまして、めったにあることではないと思いますけれども、例えば個人的に恨みが別にあるのでとか、あるいは事故のいろんな状況について非常に大きな思い違いをしておられるとか、そういうことで、そういうお気持ちを持つについて合理性が欠けるような場合、こういうような場合には、やはりどんなに処罰してほしいというお気持ちが強くても、それは全体の公平の中で検察官において適切に処理をするということになると考えております。
○福島瑞穂君 道交法の改正により、酒気帯び運転の罰金が五万円以下が三十万円になりました。払えない人が増加しているのではないかとも思いますが、多くの事件を定型処理をしていて、現行法、四、五万の求刑です。改正法では上限ぎりぎりに今後なるのでしょうか、この辺の見通しについてはどうお考えでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) もちろん、法定刑につきましては、その範囲で事案に応じて適切に考えていくということになるわけでございまして、特に罰金刑の場合につきましてはその上限を十分考慮して、それに応じた求刑あるいは量刑が行われていくものと考えております。
○福島瑞穂君 先ほど、刑務所の中における矯正プログラムについてお聞きをしました。もしありましたら教えてください。悪質交通事犯が社会復帰する際のフォローアップ体制などは現在あるのでしょうか。何か受刑者が出所するときのフォローアップ体制やそのようなものは、今の時点でわかりましたら教えてください。
○政府参考人(古田佑紀君) 私も全部詳しく知っているわけではございませんけれども、例えば仮出獄になりますれば、これは保護観察ということになりますし、それから満期の場合でも、これは交通受刑者の場合、余り例はそう多くはないかもしれませんが、住所が不安定とかそういうことになりますと、更生保護会とかそういうようないろんなものがございます。 そういうことで、やはり一番現在のシステムで大きいのは仮出獄になった場合の保護観察ではないかと思っております。
○福島瑞穂君 どうもありがとうございます。 刑法、刑訴法の改正だけではなくて、交通事犯などもありますので、受刑者の矯正プログラムと悪質交通事犯の人が社会復帰する際のフォローアップ体制などについても、今後も何かきめ細やかな、もし研修などがありましたら、ぜひ工夫をしていただきたいということを要望として述べさせていただきます。 午前中の参考人質疑でも若干出ましたが、あるいは前回のこの質疑の中でも出てきましたが、危険運転致死傷罪が、処罰しなくてもいい者を入れないように、処罰しなくちゃいけない者を取り除かせないように、新しい犯罪ですから、きちっとされるべきだということが午前中の参考人質疑の中でも出てきたと思います。 危険運転致死傷罪は、非常にやはり本犯は処罰されない、致死傷が生じると結果的加重犯的に処罰をされるという全く新しい犯罪ですから、これが乱用されないように立法者としては防止策をどのように考えているか、教えてください。
○政府参考人(古田佑紀君) これも非常に常識的なことしか申し上げられませんけれども、やはり何と申しましても、実際に捜査処理に当たる現場の検察官あるいはその他の捜査官にこの法律の趣旨を徹底するということが第一だと考えております。その趣旨に従って適切な捜査を行うということがもちろんポイントでございまして、そのためのいろんな工夫とかそういうことを今後積み重ねていく。 おっしゃるように、これが安易に拡大されて、いわゆる悪質、危険とまでは言えない、反社会性の低いようなものにまで拡大されるということがないように運用上十分注意をしてまいりたいと考えております。
○福島瑞穂君 刑法、刑事訴訟法が改正された後に、この新しい犯罪に関して一般のドライバーに対する啓発、啓蒙などはどのように考えていらっしゃるでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 一般ドライバーの方に対する啓発、啓蒙、これを具体的に法務省としてどうするかということはなかなか難しい問題があろうかと思いますが、例えば自動車教習所その他でこういうことについてもきちっと教えていただく。あるいは、いろんな報道、それから広報誌などを通じて今回こういう犯罪が新設されるというふうなことについての広報に努める、そういうことを考えていきたいと思っております。
○政府参考人(坂東自朗君) 運転免許を持っている方は、委員御案内のように、何年かごとに更新という機会がございますが、こういった機会に、例えば道交法の改正とかあるいは道路交通に関係の深い、例えば今回のような刑法改正といったものにつきまして、更新時講習等の機会を利用してそのドライバーに教育を、教育というか指導というか、そういうものをしているところでございますので、今回もそういった形でやっていきたいと考えております。
○福島瑞穂君 ぜひ頑張ってください。 今回、刑法、刑事訴訟法の改正、特に刑法の改正によって交通事故が本当に減るようにということをぜひお願いして、私の質問を終わります。
○委員長(高野博師君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。 ─────────────
○委員長(高野博師君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、片山虎之助君が委員を辞任され、その補欠として有村治子君が選任されました。 ─────────────
○委員長(高野博師君) これより両案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに両案の採決に入ります。 まず、刑法の一部を改正する法律案の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(高野博師君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、千葉景子君から発言を求められておりますので、これを許します。千葉景子君。
○千葉景子君 私は、ただいま可決されました刑法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合及び自由党の各派並びに各派に属しない議員柏村武昭君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 刑法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。 一 危険運転致死傷罪の創設が、悪質・危険な運転を行った者に対する罰則強化であることにかんがみ、その運用に当たっては、濫用されることのないよう留意するとともに、同罪に該当しない交通事犯一般についても事案の悪質性、危険性等の情状に応じた適切な処断が行われるよう努めること。 二 本法が四輪以上の自動車の運転者に対象を限定していることについては、自動二輪車による事故の実態を踏まえて、その運転者をも本法の対象とする必要性につき引き続き検討すること。 三 刑の裁量的免除規定については、事件の取扱いに際し、被害者の感情に適切な配慮を払うとともに、軽傷事犯についても適正な捜査の遂行に遺憾なきを期すること。 四 交通事犯の被害者等に対する情報提供、精神的ケアなど被害者保護策について、更なる充実に努めること。 五 悪質・危険な運転行為を行った者について、運転免許にかかる欠格期間の在り方等を含め更に幅広く検討を進めること。 六 飲酒運転等の悪質・危険な運転が引き起こす結果の重大さ、悲惨さにかんがみ、これらの運転が許されないことについて国民の意識の一層の向上を図り、事故の未然防止に努めること。 七 本改正と併せて交通事故防止対策の観点から、道路交通環境の整備、交通安全教育の徹底等交通安全施策を一層強力に推進すること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(高野博師君) ただいま千葉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(高野博師君) 全会一致と認めます。よって、千葉君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、森山法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。森山法務大臣。
○国務大臣(森山眞弓君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
○委員長(高野博師君) 次に、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(高野博師君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高野博師君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(高野博師君) 裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 政府から趣旨説明を聴取いたします。森山法務大臣。
○国務大臣(森山眞弓君) 裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、最近における我が国の社会経済情勢にかんがみ、子を養育する裁判官の継続的勤務を促進し、裁判事務等の一層の円滑な運営等に資するため、裁判官の育児休業の対象となる子の年齢を、現行の一歳未満から三歳未満に引き上げるとともに、所要の経過措置を定めるものであります。 以上がこの法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。
○委員長(高野博師君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十分散会