法務委員会 第10号
- 発言数
- 80 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 2001/11/09
会議録
○保利委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、刑法の一部を改正する法律案及び刑事訴訟法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。 この際、お諮りいたします。 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官江崎芳雄君、警察庁交通局長坂東自朗君、法務省刑事局長古田佑紀君、矯正局長鶴田六郎君、国土交通省道路局次長峰久幸義君及び自動車交通局長洞駿君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○保利委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。瀬古由起子君。
○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。 刑法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。 この法律の第一の改正点は、悪質、危険な運転により人を死傷させた者に対する罰則を、現行法による業務上過失致死傷罪から、新設の危険運転致死傷罪を適用することで重罰化しようとするものです。ところが、この危険運転致死傷罪については、危険な自動車運転として挙げられている四項目の犯罪の構成要件が厳し過ぎて、適用できる交通犯罪が余りないのではないかという批判も出されております。厳罰化でありますから、構成要件を厳格にするということは当然の要請であると考えますけれども、余り絞り込んで適用が困難になるようでは立法の目的を達成できないのではないかと思います。 そこで、質問させていただきます。 なぜ今回、構成要件を厳しくしているのか。実際にこの構成要件でおおよそ適用されると考えられるケースは、最近の重く処罰された例でどれぐらいあるのかをお聞きしたいと思います。
○古田政府参考人 ただいま委員の御質問の中にもありましたとおり、今回の危険運転致死傷罪の新設は、いわば暴行に準ずるような、そういう危険な運転行為によって人を死傷させた行為を、これまでの業務上過失致死傷という枠組みではなくて傷害あるいは傷害致死に準じて処罰しよう、こういうことでございますので、そこはやはり、非常に自動車が多いこの時代に、犯罪の成立範囲というものがきちっとしていないと多数の国民の方々に非常に大きな影響が出る、そういうことでございまして、暴行あるいはこれに準ずるような、そういうふうな運転行為をした者に限定して新しい犯罪類型をつくるということを考えたものでございます。 そこで、これまでのいろいろな死傷事犯の実態などにも照らしまして、そういうふうな事故を起こす危険性が類型的に高く、行為の態様においても反社会性が強い運転行為、こういうものについて今回新しい処罰規定を設けることとしたものでございます。 これまでいろいろ悪質重大ということで問題になった事件で、どの程度がこの処罰規定によって処罰されることになるのかという点につきましては、実はこれまで処罰規定がないわけでございまして、そういう観点からの捜査が行われていないということもありまして、過去の事例についてその一つ一つを明確に、これは該当しこれは該当しないというようなことを申し上げるのは困難な面があるということは御理解いただきたいと存じますが、例えば泥酔運転で起こした事故とか、そういうものにつきましては、これはおおむね適用されることになるであろうと考えております。
○瀬古委員 アルコールの影響により正常な運転が困難な状態とは、お酒を飲んでいるだけでは適用されない。お酒の影響で正常な運転が困難だったということを立証しなければならないわけですね。現行犯や目撃者がある場合はともかく、ひき逃げや後日出頭では立証が大変困難になってまいります。 また、飲酒による危険運転で事故を起こした場合に、その場を離れて時間を稼ぐ、つまり、ひき逃げで飲酒運転の事実を隠して刑を軽くするということが出てくるわけですね。これは今まででもそういう面があるわけですけれども、今回の危険運転の重罰化ということで、さらに一層ひき逃げ犯がふえるという可能性はないのかどうか、その点いかがでしょうか。
○古田政府参考人 確かに事故直後の運転者の状況というのは非常に重要な要素で、それが大事だということは事実でございますけれども、一般的に申し上げまして、例えば非常な泥酔運転とかそういうようなことを念頭に置きますと、それまでにどの程度酒を飲んでいたのかとか、そのときの状況はどうだったのか、全く一人で飲んでいるというふうなこともそうはないわけでございますし、そういう本人の状況あるいは事故の態様、そういうふうなものを総合的に十分調べた上でその成否を考えるということになると思われるわけでございます。これは、委員の御指摘にもありましたとおり、この犯罪に特有な話ではなくて、しばしば起こることであるわけでございます。 ひき逃げを誘発することにならないかということでございますけれども、御案内のとおり、ひき逃げにつきましては、これはそれなりに重い刑も科せられておりますし、また一方で、こういう事故を起こしまして、きちっと自己の非を認めて親告をするということであれば、それは刑法上自首に当たるということもございまして、そういう考慮もなされる。そういうことから、こういうふうな処罰規定を設けたということが直ちにひき逃げを多発させるということにはならないと思いますし、また、仮にひき逃げみたいな場合があっても、それなりの捜査は尽くせるものと考えております。
○瀬古委員 無免許運転や無車検、それから無保険の暴走車、それから共同危険行為、暴走行為など、こういうものが、今回、危険運転から除外をされています。 これは社会的にも許されないものとして定着しております悪質運転の事例だと思うのですけれども、今回の危険運転致死傷罪から除外したのは一体どういうことでしょうか。
○古田政府参考人 本罪につきましては、先ほども申し上げましたとおり、現実に重大な事故発生の危険が類型的に高い行為という観点から犯罪の要件を決めているものでございます。 確かに無免許運転というのも悪質と言われておりますが、無免許運転にもいろいろなケースがあるわけで、更新忘れの免許等も含まれているわけでございまして、そういう意味で、無免許運転のすべてが類型的に危険と言うことは難しい面がある。 ただ、進行を制御する技量がない、そういうふうな本当に未熟な無免許運転、これは危険な行為でございますので、対象としているわけでございます。 また、無車検あるいは無保険につきましても、これは事故自体の原因に直接なるということに必ずしもならないわけで、そういうことから、危険な運転行為という面から見ると、そういうものを取り込むのはいかがなものかということでございます。 それから、いわゆる共同危険行為につきましては、実際にはその多くは迷惑な運転というようなケースが多いと思われる一方で、本当に悪質な割り込みでありますとかあおり、そういうことをやりますと、これは今回の第二項の危険な運転に当たるという場合があるわけでございます。
○瀬古委員 改正の第二点目なのですけれども、刑の裁量的免除の新設について、この立法の趣旨は、悪質犯罪の重罰化を行ったこと、免許所持者が多いので、過失による軽微な交通犯罪で多くの国民を前科者にすることは避けた方がよいとしているわけですね。 現実には、交通犯罪の場合、業務上過失致傷罪の起訴の割合は、この間、どうなってきているでしょうか。
○古田政府参考人 いわゆる交通業過と呼ばれるものの中で、その起訴率は、致死事件についてはおおむね六〇%から七〇%、一方、傷害事件についてはおおむね十数%程度という状況でございます。
○瀬古委員 起訴される交通事故における業務上過失致死傷の事件が、この間、実際には起訴率がずっと減ってきているわけですね。そういう意味では、重大な死亡事故の場合でも不起訴になる場合も出てきている。 なぜこの起訴率がどんどん下がってきているのでしょうか。その辺はどのように分析されていらっしゃるでしょうか。
○古田政府参考人 いわゆる業務上過失傷害の起訴率につきましては、これは先ほど委員のお言葉の中にもありましたけれども、軽傷事故が多く、被害者も処罰を望まない場合も相当数ある、そういうことで、過失の程度等が特に悪質でないものにつきましては起訴猶予としている、そういう事例が非常に多いということでございます。 一方、死亡事故につきましては、先ほど申し上げましたように、起訴率については六〇%から七〇%の間で推移しておりまして、特に下がっているとか、そういうことはないわけですが、死亡事故と申しましてもいろいろなケースがあるわけでございまして、被害者の方の側に過失があったケース、運転者には過失が問えないケース、こういうのもあるわけでございますし、あるいは、よくあることではありますけれども、運転者自身が死んでしまうという場合もあるわけでございます。それから、まれではあろうかと思いますけれども、本当の家族の間の事件とか、そういうことで、起訴すること自体が非常に、家族関係その他を考えると、適切を欠くというふうな場合もまれにはあろうかと思っております。
○瀬古委員 今回の刑の裁量的免除によって不起訴、起訴のあり方が変わってくるのでしょうか。不起訴はさらに多くなるということはないのでしょうか。
○古田政府参考人 今回の裁量的免除規定の趣旨は、先ほど委員御指摘のとおりでございますが、要するに、業務上過失傷害事件で傷害の軽いもののうち、被害者も処罰を望まないあるいは過失の程度も非常に低いものについて、全体として、単に傷害が軽いからということではなくて、情状が悪質とは言えない、むしろ積極的にいいといいますか、そういうような場合にはあえて刑の言い渡しをしないということを明らかにするという趣旨でございまして、現在も、そういうケースのほとんどは起訴猶予になっているわけでございます。 ただ、その起訴猶予の運用を考える上で、傷害が軽いということは前提条件といたしましても、情状を十分考慮してやるという、いわば基本的な指針というような働きを持つわけでございます。 そこで、これが起訴率にどういうふうに影響するかということでございますが、先ほど申し上げたことから、現在、ここに該当するであろうようなケースはおおむね不起訴になっている、起訴猶予になっていると思われ、この規定があるからといって直ちに起訴率に何らかの大きな変化が生ずることはない、不起訴がふえるというようなことはないと考えております。むしろ、情状によってもっときめ細かに判断をするということになろうかと思います。 〔委員長退席、奥谷委員長代理着席〕
○瀬古委員 刑の免除を決定することは国民に交通犯罪に対する軽視を一層流布するようなもので到底認めるわけにはいかないという被害者らの批判がございます。その点はどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。
○古田政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、単に傷害が軽いということでこの規定が働くということではございませんで、そこに刑の免除にふさわしいだけの、いいと言うと変ですけれども、そういう情状があるということが大前提でございますので、悪質な事件等については、たとえ傷害が軽くても当然処罰の対象になる。 そういうことで、全体としてそういう場合でなければ刑の免除というのは働かないわけでございますので、いわば事案に応じたきちっとした対応をされるということになるわけでございます。 被害者あるいはその遺族の方の中にそういう声があることは私も承知しておりますけれども、今申し上げた趣旨でございますので、御理解を得るように努めているところでございます。
○瀬古委員 刑の免除の前提になります適正な事故捜査への悪影響は出てこないだろうかという心配がございます。不起訴になると、どうせ不起訴になるんだからということで現場の調査意欲が低下する。今でも被害者の皆さんからしますと大変ずさんな調書づくりの実態がある。それが一層手抜きになるのじゃないかということを被害者の皆さんは大変心配されておられるわけですけれども、その点での心配はいかがでしょうか。これは警察庁にお聞きします。
○坂東政府参考人 お答えいたします。 交通事故による被害者の方の被害程度が軽いからといって捜査に手抜きがあるということは決してあってはならないことでございまして、警察といたしましては、被害程度がたとえ軽微な事故でございましても、その事故原因等を明らかにするために、初動捜査を初めとする所要の捜査を行う必要があるというふうに考えているところでございます。今回の刑法改正で免除規定が設けられたといたしましても、この基本的な姿勢に変わることはないというふうに我々は考えております。
○瀬古委員 今までもそれなりに頑張っていらっしゃるというのだけれども、実際には現在のやり方に大変ずさんなやり方があるということについて、具体的な内容はまた後でお話ししますけれども、出ているわけですね。そういう点では、もっと充実してもらいたいのに、実際に人がそこからいなくなってしまうということになると、ますます捜査が不十分になっていくのじゃないかという不安があるということを私は指摘したのですね。 法務省の説明文書を見ますと、免除規定の新設のメリットとして、免除相当事案について、捜査に関する事務処理を効率化する、その結果生じた余力を真に処罰すべき事案に振り向け、全体として交通事故の減少、撲滅に資する、このようにございます。 ですから、現在でも十分ならいいのですけれども、もっと充実してもらいたい。 確かに、事故の場合は何が重要か重要でないかという問題もございます。一見軽いように見えていても、それが大変重大な事故を誘発する、そういう深めなければならない事案もあると思うのですね。しかし、今回、これは免除規定になるなということでどんどん事務処理を効率化してしまって、そして人員体制でいうとそこは異動してしまうということになると、実質的な手抜きがもっと行われるのではないか。本来、必要なら、もっと充実したものを、ある意味では重大なところにももっと配置しなければならないし、そして、一定の事故が起きている、今不十分な窓口についてももっと充実しなければならないと思うのですが、そういう形での効率化ということになると、結局、不起訴、免除になるものはさらにずさんになっていくのじゃないかという不安があるわけですが、その点いかがでしょうか。 〔奥谷委員長代理退席、委員長着席〕
○坂東政府参考人 私どもは、例えば事故が発生した当初、その時点では被害が軽いといったような形の事件でも、事後においては診断の最終的な結果として重傷事故になるというふうな事例も結構ございますので、現場において、たとえ負傷程度が軽いといっても、そういった万が一重傷になるかもわからないということもにらみながら初動捜査ということをやっているところでございますので、今後とも、先生方から手抜きといった御指摘がないような形でしっかりと現場指導あるいは捜査管理というものをやっていきたい、このように考えております。
○瀬古委員 それは、現場の捜査をする警察官の皆さんの教育ももちろんあるかもしれませんが、それだけでは保障できない。やはりそういう体制もきちんと保障されなければそういう問題についても充実した内容になっていかないと思うのですが、この点は後でもう少し触れていきたいと思います。 縁故者の事故について聞きますけれども、財団法人交通事故総合分析センターの調査によりますと、時速二十キロ以下の低速度で発生する九歳以下の年少者の死亡事故の三件に一件は、縁故者、つまり、亡くなった子供の両親、祖父、母親の友人が加害者というのですね。この事故に一般的には悪質性が認められない場合が多いわけですけれども、この場合は、傷害が軽いとき、今回の改正では刑の免除の対象になるのかどうか、その点をお伺いします。
○古田政府参考人 もちろん死亡事故になった場合には免除の対象にはならないわけでございますが、傷害が幸い軽くてとどまった、かつ被害者が家族の場合、こういう場合に、一般的に申し上げますと、先ほどもちょっと申し上げたところではございますけれども、御本人も非常にショックを受けておる、そして将来の家族関係等に対する影響ということも考えますと、一般的な傾向としては、よほど悪質な重大な過失でない限りは現在でも起訴猶予の方向で考える場合が多いであろうと思うわけでございまして、そういう点からすれば、家族が受傷をしたというふうな事故の場合には刑の免除規定が働く余地が多いであろうというふうには考えます。
○瀬古委員 交通事故被害者も国民も、一致した願いは事故防止だと思うのですね。そこで、厳罰化で果たして事故をなくすことができるのかどうかという問題についてお伺いしたいと思うのです。 実際、昭和四十三年に刑法改正が行われました。そしてその後、昭和五十二年ごろまでに、交通事故発生件数、死傷者数とも大幅に減少しております。しかしその後、発生件数、死傷者数とも増勢に転じて、今日、最悪の事態になっているわけです。 厳罰化と事故防止の関係、これはどのように見られているのでしょうか。
○古田政府参考人 交通事故の防止につきましては、おっしゃるとおり、罰則を重くするということだけで問題が解決するわけではないと思っております。 御指摘の昭和四十三年の刑法改正後も、その後若干ふえて、それから減少に至っているというふうに私理解しておりますが、当時、例えば交通安全教育でありますとかその他のいろいろな交通安全確保のための施策などが相まってそういうことになっていったのだろうと思っているわけでございます。 ただ、そうは申しましても、今回御提案しておりますようなものにつきましては、先ほどから申し上げておりますとおり、要するに、暴行あるいはこれに準ずるような、故意と考えられるような危険な運転行為でございますので、これを過失ということではなくて、危険な運転行為について、これをあえてやるということに対するいわば抑止力、そういう面で考えますれば、そういう行為についての抑止効果というのは過失一般の場合よりはより大きくなるのではないかというふうに考えているわけです。
○瀬古委員 抑止効果があるということなんですけれども、しかし、本来、事故を防止する、それから悪質運転をできるだけ早期に発見してこういうものをなくしていくという点でいうと、もっともっと解決しなければならない前提条件があると私は思うんですね。やはり、事故、被害の具体的な分析というものが大変求められていると私は思います。そのために、実況見分調書の開示だとか開示にたえられる捜査、こういうものが今もっと真剣に追求されなきゃならないんじゃないかと私は思うんですね。 被害者団体がこの刑法改正について、一面、重罰化については賛意を表明されているんですけれども、同時に批判的な見解も持っておられる背景としては、やはり、交通事故捜査のあり方に強い不信がずっと続いている、しかしこれがほとんど改善されていない、不十分なまま推移してきているということにも一因があるんではないかというふうに私は思っています。 例えば、具体的な事例を申し上げますと、加害者の言い分は採用される、ところが被害者の場合、特に死亡した場合は、死人に口なしという形で、遺族には交通事故調査結果がまず開示されない、加害者側の言い分による一方的な供述により実況見分調書が作成されている場合が大変多いと言われています。被害者の側の意見を取り入れて訂正されるとか、あるいは再調査をするなどのことがほとんど行われていない。 さらに重要なことは、民事上の解決のために損害保険会社が、遺族がいろいろ疑問を持っている、こういうものを考慮しないで、警察の実況見分調書に従って過失相殺を押しつける。被害者の側でいうと、自分の身内が亡くなって大変動揺している。こういう時期にどんどん、あなたのところの方が悪いですよみたいなことで言ってくる。そういう意味で、保険会社が、ともかく被害者の過失が大きかったという形で今示談がどんどん進められている。特に死亡事故、被害者が亡くなった場合にはそういうケースがかなりあるということを遺族の皆さんが訴えられているわけですね。 日弁連の刑事法制委員会においてもこのように述べています。重罰化の声は理解できるけれども、業務上過失致死傷罪の事件をやっていて思うのは、過失犯であるがゆえの実況見分調書のずさんさである、そのための事実認定の難しさとその原因になっている警察の対処のまずさを放置したまま厳罰化が行われることは大変危険だ、このように指摘しています。 被害者が、被害者の過失が大きかったとされたことに対して、何とか事故の真実を知りたい、そして被害者の名誉を守りたい、こういう一心で警察の実況見分調書などの捜査書類に記載している事故の内容を覆す、あるいは訂正を要求するにはどうすればいいか、自分で証拠を集めるしかないという状態なんですね。そこで、警察にいろいろ教えてもらいたいと言っても、刑事裁判が終わるまでは何も教えられないという答えが返ってくるだけだと。 ある事例では、民事裁判を起こして、ようやく手に入れた調書を見ると、車やバイク、衣類など、物的証拠の保全や検証がほとんど行われていないことがわかって、事故現場に埋めたという被害者の遺品を掘り出して新たな事故に関する証拠を手に入れ、加害者側の供述のうそを明らかにしたことで、刑事裁判では、事故から二年後、加害者に執行猶予つきの有罪判決が下されて、民事裁判でも加害者に九割の過失を認める判決が確定したという事例もございます。 中には、遺族が、交通量の少ない早朝や深夜を選んで事故現場に通って、路面に残されたブレーキの跡を撮影して、自分たちで測量を行って図面を作成する。スクラップに回された加害者の車を買い取って、二台の事故車をつき合わせて、物理的な鑑定を専門家に依頼して、最終的には民事裁判で、加害者の車がセンターラインをオーバーしていたこと、しかも酒気帯び運転であったことを立証した。警察の初動捜査の結果や損保会社が判断した過失割合を覆して被害者の過失割合を一割にとどめたことは、遺族の精神的にも経済的にも本当にすさまじい努力があったということがうかがえるわけですね。 このような一方の当事者の言い分だけうのみにするような事故処理、それをもとに判断される過失割合、そして反論するすべを持たない被害者や遺族の問題というのを、私は、この刑法改正に当たっては、それを抜きにしては考えられないんじゃないかと思うんですね。そういう今までの、ある意味では被害者のせいに全部してしまう、特に死んだ場合はそういうやり方でやるということについて、もう並々ならぬ、全国各地でもうすさまじい苦労が行われているわけですね。 こういう点で、被害者の皆さんの交通事故捜査のあり方に対する強い不信、これにどうこたえるかということは、やはり同時に出していかなきゃならない問題ではないかと思うんですが、その点での見解を伺います。
○坂東政府参考人 委員御指摘のように、交通事故で被害者の方が亡くなられたといったような事故とか、あるいはその両当事者の言い分が食い違うような事故、こういった交通事故捜査につきましては、より慎重な捜査というものを進めているところでございまして、例えば、警察本部の交通部に交通事故捜査指導官というのを置きまして、そしてこの交通事故捜査官が現地入りし、指導するといったような形で、的確な事故原因の究明というものを図っているところでございます。今後とも、こういった体制というものを充実強化して、適正な捜査というものを行ってまいりたいというように考えております。
○瀬古委員 しっかりした体制をつくっていただくということが大事なんですけれども、今回のとりわけ情報の開示の問題というのは、私は大変重要だと思うんですね。 今回の刑法改正案とあわせまして刑事訴訟法等の改正が提案されております。現行刑事訴訟法では、捜査や裁判については照会規定があり、裁判では、被告人や弁護士も裁判所に請求して照会を求めることになっている。しかし、刑の執行に関しては規定がなく、これまで協力を得て執行しているけれども、よりスムーズに照会できるように改めるものにするという点で、私たちは賛成の立場です。 ところで、先ほどから指摘しているように、捜査書類の開示というものがあれば家族がこんなに苦労しなくても済むという問題があるわけですね。少なくとも現行の刑事訴訟法の運用で、交通事故という場合は大部分は過失によるもので、故意によるというのはそれこそ限定されるわけですから、そういう点では、交通事故再発防止というためにも、事故の真相を被害者に知らせるための開示の道、こういうものはもっと真剣に図れないかと思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。
○古田政府参考人 交通事故について、この原因がどういうことであったのか、これを明確にするということは非常に大事なことだというふうに考えているわけです。そのために、交通関係事件につきましても、いろいろな関係者の供述あるいは客観的に残された証拠、そういうようなものを検討して、それで何があったかということに迫っていくという捜査を現にしているわけでございます。 そこで、その場合にどういうふうにするのかという問題につながるかと思うわけですけれども、御理解いただきたいのは、捜査はかなり流動的なものでございまして、まずは関係者の方々がどういう話をそれぞれされるのか、そしてそれが客観的な状況と照らし合わせてどうなのかというようなことを徐々に積み重ねていってやらなければならないという場合も非常に多いわけでございます。 その過程でいろいろな捜査情報が開示されるということは、いろいろな影響が出て、将来、捜査を継続していく上、あるいはさらに進んで言えば公判等にも影響が出ることがしばしばあるわけでございまして、そういう点から、捜査段階の中での情報の開示ということについてはかなり難しい問題があるということを御理解いただきたいと思っております。 ただ、もちろん、それぞれ言い分が違っている、そしてそれがなかなか客観的な状況によっても決められないというふうな場合に、実際にどういう捜査をするかといいますと、相手の言い分というのはこういうことを言っているけれどもどうかというふうなことをそれぞれ確かめたり、実況見分上はこうなっているけれどもどうなのかということをお尋ねしていく、そういう形で最後には詰めをやっていくということでございまして、そういう過程の中で、今申し上げたような形での、いわばどういう状況かということを御理解いただくということと同時に、一方、証拠上明白な話とか、こういうものについては適宜捜査段階でも御説明を申し上げるというふうな配慮というのは重要であろうと考えております。 なお、そういうことでございまして、捜査段階につきましてはいろいろ慎重な配慮が必要ではございますが、起訴された事件については、これは公判記録の閲覧もしていただけるようになっておりますし、不起訴の場合でも、実況見分調書その他客観的な、ほかでは手に入らないような証拠、こういうものについては、損害賠償の請求その他ごもっともな理由があるときには、できるだけ閲覧していただくということで配慮をさせていただいているところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
○瀬古委員 情報の問題も、最初の初期的な捜査の段階で大変ずさんな問題があるので、いろいろな積み重ねというけれども、最初のときからもう狂っている、ある意味そういう問題なども随分指摘されているわけですね。 そして、今の事件の大半が不起訴になってしまう。そうすると、なかなか請求しても見せてもらえない、そういうような困難がやはり起きてくるわけです。そういう意味ではもっともっとこの点での開示についても真剣に私は取り組んでいただく必要があるというように思います。 特に交通に関しては先進国と言われている、例えばアメリカやドイツではどのような開示になっているかといいますと、一九九八年十月に、アメリカの交通事故捜査を取材するために、カリフォルニア州のロサンゼルスを訪問したジャーナリストが雑誌「世界」で明らかにしている記事がございます。 ロサンゼルス市警察の交通課の警察官は、日本では交通事故の調書を当事者に見せないことを聞いて、ザット・イズ・バッドと言って、もしアメリカの警察官がそんなことをしたら、全米じゅうの弁護士に訴えられて、首が回らなくなりますよ、アメリカでは、仕事中に書いたものはすべてパブリックインフォメーション、一般の市民の皆さんに見せるというのが大原則なんです、このように答えています。 もちろん、調書類というのはかなりプライベートなことまで書かれているので、だれにでもオープンするというわけにはいかないけれども、被害者の家族、事故車の所有者、担当の弁護士、保険会社なら、事故の当事者本人でなくてもいい。手続も簡単で、事故の当事者または関係者であることを証明するものを持って直接警察に出向いて、当時のお金で十三ドル払えば調書のコピーを手に入れることができる。また、警察署に直接行くことができない場合は、小切手か現金を送れば郵送でも受け付けてくれる。 さらに、被害者でも加害者でも、警察とかかわった人が、わかった、もうこれでいいよと言うまで、提供できるすべてのものを提供し、手伝ってあげられることはすべて手伝わなくてはならない。それが警察官の仕事であり、義務なんです。警察というのは、公共のサービスと情報を提供するところです。事故にかかわっている人に情報を伝えることは当たり前だと思っています、このように警察官が語っているわけですね。 さらに、ドイツにおきましては、一九九九年九月にフランクフルト警察とハンブルグ警察の二カ所で、調書に添付されている写真類の複写撮影なども簡単に許可されて、調書も必要な部分はすべてコピーをとってくれ、ここでもアメリカの取材のときと同じように質問をすると、日本では調書類を開示していないことは一様に首をかしげていたと。 ドイツの場合は日本とは逆で、刑事処分が決まるまでは調書を公開し、決まった後は非公開となります。刑事処分が決まる前に調書を開示しなければ何の意味もないでしょうと言っているわけですね。 ドイツでは、事故の調書類は弁護士を通せば無料で手に入れることができる。アメリカと異なるのは、コピーではなく、原本そのものを渡していることだ。調書を受け取った弁護士は、添付写真も含め、必要なページを自由にコピーすることができる。 もちろん私は、アメリカとドイツと制度が全然日本の場合は違いますから、同じことがやれるとは思いませんけれども、少なくとも、こういう被害者については、住民については、サービス、情報公開という点では学ぶべきことが大変多いのではないかというように思うのですね。 特に、交通事故というものの考え方なんですけれども、これを故意犯の犯罪と同じようにみなすと、どうしても秘密にしてしまうという問題がございます。これが情報開示ということの問題の解決を妨げている一因であるというふうに思うのですけれども、今後の交通事故の捜査及び情報公開というのはどうあるべきかということをきちんと私は検討すべきでないかというふうに思うのですね。 この点でぜひ大臣にお伺いしたいと思うのですけれども、捜査の情報というのは一体だれのものなのかが今問われている。警察で調べたものをなるべく極秘に、知らせないというのが日本特有の長年のしきたり、こういうことまで言われているのですけれども、やはり交通事故の問題については、どう交通事故をなくしていくかという観点からしても百八十度の転換をすべきだし、もっと被害者の心情に合った形で情報提供の改善というのが必要じゃないかと思うのですが、その点での大臣の御見解を伺いたいと思います。
○森山国務大臣 先生がアメリカやドイツの例も詳しく御紹介いただきまして、大変傾聴すべき点があるというふうに伺っておりました。 日本の場合は、先ほど刑事局長その他の関係者がるる御説明いたしましたようなことがございまして、捜査あるいは裁判の進行のプロセスに応じていろいろなやり方があると思います。非常に流動的であるということや、それからいろいろなことを積み重ねていくということでありますので、それもまたもっともなことでありますので、難しい面もいろいろあるとは思いますが、私が承知しているところでは、最近、特に交通事故の関係につきましては、被害者の方のお立場に十分配慮をして誠意のある対応をするべきであるという考えで努力していると聞いておりますし、そうするべきであるというふうに私も考えております。
○瀬古委員 ぜひ一層努力をしていただきたいし、情報開示の問題についてもさらに検討を加えていただきたいと思います。 もう一つ、交通事故捜査に対する強い不信の要因は、交通事故の捜査自体が極めて非科学的なことだという問題なんです。現場で医学的な知識のない警察官が事故処理をしてしまうには、やはり限界というものがあると思うのですね。アメリカでは、他殺、変死、自殺、事故死など、医師が立ち会えなかった人の死の現場には、検死官、コロナーというのが駆けつけて、そして医学的見地から死因を徹底して究明しているそうです。日本では、事故の衝突の衝撃で搭乗者が車の外にほうり出されると運転者が特定できないというケースもあるわけです。この場合、事故直後の被害者の身体の損傷、事故車の検証などがほとんど行われていなかったために、当事者は事故から数年を経ても真実の証明に大変苦労が強いられている、こういうケースもあるわけです。 しかし、アメリカにはこういうコロナーという制度があって、事故直後に専門的に検証を行うので、こういう苦労をするということが大変少ないというように言われております。 また、ドイツでは、事故の原因が道路の欠陥や交通施設の不備、自動車の欠陥によるものでなかったかどうかという視点からも厳しく検証が行われています。構造物等で欠陥の可能性があると考えられる場合は、警察は、それを管轄する役所、道路交通局、道路工事許可局などに速やかに報告しなければならない。これこそが次なる事故を未然に防ぐ重要な対策だと考えている。 日本の場合はどうかといいますと、道路行政にもかなり問題があるのではないかというようなケースでも当事者の過失だけが厳しく問われる、こういうことが、たまたまというか多々あるという場合もございます。 事故の本当の原因は何だったのかという点では、やはりそういう外国の徹底した追及の仕方というのも大いに学ぶ必要があるのではないかと思うんです。特に、警察と民間の交通事故鑑定人の間にドイツなどでは捜査の協力体制が確立されている。警察の手に負えない複雑な事故の場合は、交通事故の鑑定の専門家が事故直後の現場に急行して検証することができる。アメリカやドイツのように日本も専門家の協力を日常的に確保した調査のやり方というものもやはり検討すべきでないかと思うんですが、その点、警察庁、いかがでしょうか。
○坂東政府参考人 お答えいたします。 事故捜査、科学的な捜査を進めるべきではないかという御指摘でございますが、日本の警察におきましても、交通事故捜査に当たる捜査官、これに専門的な知識を習得させるために、自動車工学に関する研修等を実施しているところでございます。 それからまた、必要に応じましては、科学捜査研究所などにおきまして専門家による鑑定等を行っているというところでございます。 さらには、交差点内で交通事故が発生した場合には、事故発生前後の状況を自動的に記録する交通事故自動記録装置等の科学技術を活用した捜査支援システムというものの導入にも努めているところでございます。 今後とも、交通捜査員に対する教養の充実強化、それとともに捜査支援システムの拡充等によりまして、科学的な事故捜査の推進というものを図ってまいりたいと考えております。
○瀬古委員 この問題については、もっと十分研究もしていただきたいというように思います。 では、昨年の交通事故の死者数は九千六十六人、これは事故発生から二十四時間以内に亡くなった数なんですが、二日目以降は、三十日以内だと一万四百三人に上ります。負傷者数は、昨年、重傷者、軽傷者合わせて百十五万。日本人のおよそ百人に一人は年一回交通事故で何らかのけがをするという事態になっています。 厳罰化では事故防止に役立つものではないことは、過去の刑法の厳罰化によっても事故が減っていないということで見ればはっきりしています。 総務庁が昨年、二〇〇〇年三月に、現在の交通安全対策を前提にした十年後の交通事故死者数の予測を立てています。平成二十二年には、少なくとも九千二百六十一名、多くて一万二千四百五十五人が死亡する、こういう想定がされているんですね。何とこれから十年間で十万人が命を失う、こういう計算がされているわけですよ。五百人乗りのジャンボのジェット機でいうと、大体二百機が墜落するのと同じぐらいですね。こういう状態で分析されている。 私は、真剣な対策がやはり必要だと思うんですね。交通事故の抜本的な対策、今までどのような対策が講じられて、その反省というのは一体何でしょうか。何であとまだ十万人死ななきゃならないなどという想定がされているのでしょうか。
○江崎政府参考人 近年の交通事故の状況でございますけれども、今委員から御指摘がございましたように、平成十二年で九千六十六人の方が亡くなっている。また、事故件数でございますとか負傷者数、これは大幅に増加をしているという状況でございます。 このような状況を踏まえまして、政府といたしましては、本年の三月でございますが、第七次の交通安全基本計画というものを策定してございます。平成十三年度から十七年度までを計画期間とする、政府としての総合的な交通安全計画でございます。 この中で、高齢者の交通安全対策の推進、シートベルト及びチャイルドシート着用の徹底、安全かつ円滑な道路交通環境の整備、交通安全教育の推進、さらには車両の安全性の確保といった諸般の施策を講じているというところでございます。 今後ともこれらの施策を強力に推進をしてまいりたい、かように考えてございます。
○瀬古委員 それだけやっても十万人の死者が出る、こういう御計算でしょう。私は、やはりもっと抜本的な対応が必要だと思うんですよ。 例えば、今、自動車保有台数がどんどんふえている。この問題についても、ふえるのと同時にやはり事故が発生しているわけですよ。では、その自動車の保有台数をどう減らしていくのか。どれぐらい減らして、そして公共交通機関をどういうふうに充実させていくのかという総合的な取り組みもなきゃ、個々の対応だけではもう、これだけの、十万人からが十年間で亡くなるなどという対策は講じられないと思うんですね。この辺、今お話を聞いていても余り今までの延長線上の域を出ていない、もっと抜本的な取り組みが必要だというように私は思います。 それから、もう少し具体的な事例をもっと分析すべきだと私は思うんです。例えば、最近の事故の特徴はどうなっているか、高齢者の死者がうんとふえているという問題ですね。高齢者の場合に、どういうところで亡くなっているか。横断時でたくさんの方が亡くなっている。要するに交差点ですね。こういうものについての信号の改善、こういうものも一気にやらなきゃならないのですね。こういう分析も必要です。 今私たちは、歩車分離というか、歩行者と車を分離するという分離式の信号をぜひもっと急いでつくってもらいたいと言っているんですが、ようやく百カ所の予算化をして、これからどう普及するかというところで、とてもおくれているんですね。今、全体的には十七万六千基の信号があるのに、ちょろちょろっと、まだ全体の分離式は千五百しかないですね。こういう問題についてももっとメスを入れなきゃならないし、そして、交通安全施設の問題も、本当にこの間ほとんどふえていないわけですね。交通安全施設の整備費についての予算もふえていない。こういう抜本的な予算措置も含めて考えていかなきゃならぬ。こういう一つ一つの検討をぜひ私はやっていただきたいと思います。時間がございませんので、この問題についてはぜひ今後抜本的な対応をお願いしたいというように要望しておきます。 最後に、国土交通省に来ていただいたのでお聞きしたいのですけれども、運送の規制緩和の問題についてお聞きしたいと思うんです。 今、物流二法の施行で、規制緩和によって、安い運賃、料金競争というのがあって、労働者の労働条件はとても悪くなっています。業界である日本物流団体連合会安全対策委員会が昨年三月、「物流業における規制緩和の影響と安全輸送に関する調査」報告書の分析で、規制緩和が安全面への影響にとって重大な問題になっているということを告発しております。 その内容は、参入規制の緩和によって競争が激化しており、アンケート調査の結果では、車両の代替期間の延長や点検整備費用の削減が行われているが、これらの対策は車両の安全運行面で従来どおりのレベルが維持されるかどうかについて懸念されると述べております。 また、昨年からことしにかけて、国土交通省、警察庁、労働局などが荷主関係団体に対して、交通労働災害や過積載の違反などに対する要請も行っている。このままいったら大変な事態になるということで、規制緩和の問題についても改めて見直さなければならないのではないかというふうに指摘されているわけですけれども、その点、国土交通省、いかがでしょうか。
○洞政府参考人 お答え申し上げます。 トラック輸送の安全確保を図るということは極めて重要な行政課題であると私ども認識しております。 このため、いわゆるトラック法というのがございますけれども、そこに基づきまして、会社を挙げて安全対策に取り組むような体制というものを構築するということで運行管理者制度というのがあるのですけれども、そういったものの充実強化をこれまで図ってきましたし、また、私どもとしても随時監査等を行って厳正な処分というのをこれまで行ってきています。 しかしながら、今御指摘のとおり、規制緩和だけではございませんが、規制緩和というよりも、先ほどの先生の御報告書の中にもございましたが、今、物流革新という中で、そしてまた昨今の景気の状況もございまして、競争が非常に激しくなっているという状況は事実でございますけれども、そういうものと関連するかどうかは別としまして、事業用トラックの事故というのは依然として後を絶たないということ、しかもトラックとの被害というのは甚大である、問題であるという認識のもとに、この夏にさらに安全対策というのを強化して、重大な事故を引き起こした運転者あるいは運行管理者等々に対する指導あるいは教育等々を義務づけるとか、あるいは労働時間の遵守等々についてきちっと告示で定める等々、対策を打ち出してきておりますし、また、トラックの特に高速道路の事故等はスピードの出し過ぎによる事故というのが非常に多いわけでございますから、二年後の秋には、大型トラックについては九十キロ以上のスピードが出ないようなスピードリミッターの設置というものを義務づけることとしております。さらに、重点的な監査というものをこれまで以上に効率的に行うことによりまして、全体としてトラック輸送の安全確保の徹底というものを図っていきたいというふうに考えております。
○瀬古委員 今言われたように、事業者や運転手にもっと教育をやる、スピードを出すなというのはわかるけれども、今業界の要望は、今回の規制緩和で一層激しく運賃や料金競争でスピードを出さざるを得ない、そうでないと会社がつぶれてしまう、こういう状況が声として出されているわけですね。ですから、事業者をどうするかという問題はありますけれども、根本的には規制緩和そのものもやはり見直さなければ、これからどんどん交通事故がふえていくということになりますから、そういう点では、今回の刑罰の強化というのも出されていますけれども、こういう根本的なものをきちんと改善しなければ悲惨な事故をなくすということができないと私は思うのですね。 そういう点でも、ぜひ、今後の信号や交通安全施設の整備、交通機関の規制緩和中止などに切りかえて、交通事故対策に万全を期すべきだ、このことを主張して、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○保利委員長 次に、植田至紀君。
○植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀でございます。 今回の刑法改正にかかわりましては、私どもも賛成という立場でございますので、基本的に、そういう意味では中身、内実を補強するという観点で何点かお伺いをさせていただきたいと思っております。ただ、私自身、立法動機等々幾つかお伺いしたいこともあったのですが、今回の法案はかなり長い審議時間が保証されておりまして、できるだけ重複は避けながら、私の問題解説を入れながら幾つかお伺いしたいと思っております。 ただ、その前に、質問の中身に入る前に、やはりこういう案件にかかわってくると、いわゆるテクニカルな、法案の技術的な話等々もさることながら、やはりこうした今回の刑法改正にさまざまな形で思いを寄せておられる方々の思い、心情というものをこういう場でも共有化していきたい。これは法律の中身に直接かかわる話ではないだろうけれども、やはり人を守っていくというのが法律である限りにおいて、そういうこともこういう場で共有化していきたいなという思いもございまして、たまさか実際の当事者の方からメッセージをいただきました。 「刑法改正の審議に寄せて」ということで、千葉市にお住まいの井上保孝さん、郁美さん御夫妻から、やや長いわけですけれども、こういうことを御紹介するということも、ひとつ審議の中で意義もあるだろうということでちょっと御紹介をさせていただきまして、その中身をお聞きいただきまして、法務大臣の思いなり、また御見解なり御決意なりというものを聞かせていただければと思います。お二人からいただいたものでございますが、 私達は一昨年十一月に、東名高速道路上で飲酒運転の大型トラックに追突され、後部座席にいた三歳七カ月と一歳十一カ月の二人の娘を焼死させられました。同乗の井上保孝も大やけどを負い、計五回の手術を受け、退院したものの現在もリハビリに通っています。 この事故の加害者は、十数年も前から飲酒運転を常習とし、この日も高速道路上で昼食時にウイスキーと缶入り焼酎を大量に飲んでわずか一時間の仮眠を取っただけでハンドルを握った挙句の事故でした。その加害者が逮捕され、起訴された罪状は業務上過失致死傷罪と道交法違反(酒酔い運転)でした。私達が大いに疑問に思ったのは、高速道路上で昼間に大量の酒を飲んで運転して事故を起こすのがなぜ「過失」なのかと言う事と、これほど悪質なのになぜ業過の法定刑がたった「五年」なのかと言う事でした。にもかかわらず、検察庁の求刑五年に対して地裁の判断は、被告人にも情状を認めて、さらに一年刑を軽くした懲役四年の実刑判決でした。量刑が軽すぎるとのかどで、検察は異例の控訴に踏み切ったものの、この判決は、結局、高裁でもくつがえりませんでした。高裁の判決文で、裁判長は、「もし国民感情の中に、交通事犯の量刑が軽いという意見があるとすれば、それは立法で検討すべきである」という異例の所感を述べました。司法の自らの判断については何ら変えようとせずに、量刑が軽いのは立法の責任と、責任をたらいまわしするこの言葉に私たちはさらに傷つきました。 ちょうど私たちの事件の一審判決が下りる直前の昨年四月、神奈川県座間市で、友人と歩道を歩いていた大学生二人が、後ろから百キロを越える速度で走ってきた無免許、無保険、無車検の車に撥ね飛ばされて二人とも即死するという事件がありました。そして、その事件で、大学に入学したばかりの一人息子を亡くした母親が、今の法律は命の重みを反映していないと法改正を訴えて立ちあがった事を知りました。造形作家の鈴木共子さんでした。私達は、鈴木さんと共同して、「悪質な交通事犯には厳罰を」と法改正を訴えて署名活動を本格化させ、街頭署名も行い、広く一般の人々にも呼びかけました。その後、署名活動は、だんだんと熱を帯び、賛同する仲間も増えていきました。東京の町田を皮切りに、千葉、大阪、上野、浜松、長崎、盛岡と、同じように悪質な交通事故で最愛の家族を亡くした人たちが大勢、街頭署名に参加しました。最後までこの運動のための組織は結成しませんでしたが、本当に悔しい思いをされている遺族が個人個人の意志で協力してくれました。各々が、切々と、今の法が悪質な交通事犯に対しては甘すぎる、軽すぎることを広く訴え、声を挙げていったことで、遺族でない何万名もの方にも署名運動に協力いただき、国の基本法をも変える大きなうねりとなっていったのです。 私達の東名高速での事故を知っている一般の人は多く、「あれほど悪質な事故の加害者でもたった四年の懲役刑にしか処せられないという、今の法律はおかしい」という私たちの意見に同意して泣きながら署名をしてくれた人がたくさんいました。また、無関心に通り過ぎようとしている人たちに、私達があの東名事故の被害者である事をマイクで話し掛けると、「あぁ、あの事故の…」と思い出して、わざわざ戻ってきて、「私もずいぶんとあの判決に腹が立って何か私なりに意思表示ができないかとずーと思っていた」と言って署名してくれた上に、何枚も署名用紙を持ち帰ってくださった方もいました。 このようにして、先月末までに合計三十七万四千三百三十九名の署名が国内外から集まりました。これらは、歴代の法務大臣に四回にわたって届けさせていただきました。その都度、大臣からは、前向きな対応を示していただきました。保岡前々法務大臣は、「厳罰化の方向で検討する。そのために諸外国に調査団を派遣する。」と、また、高村前法務大臣は、「法務省で、刑法改正の意見交換会を開き、法制審を経た上でできるだけ早く国会に法案を提出する。」と約束してくださいました。森山法務大臣にも、二回に分けて合計十一万を超える署名を届けさせていただき、「秋の臨時国会で成立を目指す」と、しっかりと私達の思いを受け止めてくださりました。署名を提出しながら、交通事故の被害者遺族の思いを歴代の法務大臣に伝えさせていただくことで、法務省と遺族がキャッチボールをしながら今回の法案提出にこぎつけたものと思っております。署名を初めて法務大臣に提出してからちょうど一年で、今、こうして厳罰化を実現する法案が審議されている事に対し、法務省を始めとする関係者の並々ならないご努力に心より感謝し、署名を寄せていただいた三十七万余の賛同者を代表してお礼を申し上げたいと思います。 さて、この法案について、異論を差し挟んでいる遺族もいると聞き及びました。そのおもな主張が、二百十一条の二項として付加されている内容に対してであるとのことです。私達自身も、この項目は、署名活動で訴えてきた事に含まれてはいないことなので、戸惑ってはいます。しかし、森山法務大臣が、私達からの最後の署名簿を受け取ってくださった先月下旬に、はっきりと、「これは、怪我の程度が軽く、被害者も起訴を望んでいない等のある一定の要件がそろった事案に限定される。」と言明されました。私達もその言葉を信じ、実際の運用を見守る事が大事だと考えています。 私達が訴えてきた事に対して、これほどまでに早く、行政が、また立法が動いてくれたことに改めて深い感謝の念をあらわしたいと思います。法案が通ってからも、その運用について、遺族の一人としてまた一国民として、今後ともこの法律によって悪質交通事犯の厳罰化が図られる事とともに、悪質な違反および事故が抑止されるという効果を見守り続けたいと思います。今は本法案の一刻も早い成立と施行を願ってやみません。 以上ですが、大臣、いかがでございますでしょうか。
○森山国務大臣 まず最初に、井上御夫妻を初め、痛ましい交通事故によって大事な御家族を亡くされました遺族の皆様に、その御心中察するに余りあるものがございまして、心からお悔やみ申し上げますとともに、その御努力と熱意に敬意を表する次第でございます。 皆様が署名運動を開始されてから約一年ということでございます。その間に、全国から三十七万人という多くの人々の賛同を得て署名が集められ、歴代の法務大臣がこれを受け取ってまいりました。 私自身も、その第三回目と四回目を受け取らせていただきまして、御遺族の方々からそのたびにいろいろなお言葉も伺わせていただきました。かわいい子供さんの写真、あるいは、これからという青年の写真、家族の大黒柱である方々の写真なども、署名をお持ちになった皆さんがそれぞれ胸に抱えておいでになりまして、その御様子を拝見して、本当に胸が痛み、何とかしなければいけないという気持ちがますます募ったわけでございます。 そのような御意見や御要望を踏まえまして、法務省でも一生懸命に馬力をかけましてこの新しい法案の提案ということになったわけでございまして、これが早期に成立し施行できることを心から願っているところでございます。 法務省といたしましては、被害者、御遺族の心情に十分配慮しながら、従来にも増してよりきめ細やかな捜査がなされるよう、この法律案の趣旨を捜査現場に周知するように努めますなど、交通事犯を少しでも減らすことができますように努力してまいりたいと思います。
○植田委員 ありがとうございました。 では、幾つか法案にかかわりましてお伺いをしていきたいと思います。大臣におかれましては、今の御決意で、特に遺族の皆様方、当事者の方にまずまなざしを据えた、そうした今後の対応方をお願いしたいなというふうに思っております。 では、まず交通事故の現状、また事犯の構成にかかわって何点かお伺いしたいわけですが、被害者の方々を含めましておっしゃられるのは、最初は軽い交通事犯だったけれども実際何度もやっておられる方々がいるじゃないか、もし水際でとめられたらそういう悪質な事犯に至らなかったのじゃないか。初犯というよりは、何度もそうした交通事犯を重ねているような方が重大な事故を起こしたりするわけでございます。 そういう意味で、従前不起訴処分になった者のうち、再度交通事故を起こしたときに死亡事故であった者の数というものが実際にわかるかどうか。もしそれは統計がないということであれば、実際それに近い形での事実関係のデータがわかればありがたいわけですけれども、その点、これは刑事局長にお伺いする方がいいかと思いますけれども、いかがでございますでしょうか。
○古田政府参考人 交通事故を起こして不起訴になった者の一般的な再犯率の統計は残念ながら持ち合わせはございませんが、今回の法案を検討するに当たりまして、当局におきまして、平成十年ないし十二年に自動車運転による業務上過失致死傷罪により三年以上、これは現時点では相当重い刑になるわけですが、その懲役または禁錮の実刑判決が言い渡された者につきまして、その前科あるいは前歴を調査いたしました。 そういたしますと、この中には、過去に自動車運転で死亡事故を起こした人はおりませんでした。一方、傷害事故を起こした人はおりますけれども、これはすべて起訴されております。不起訴になった者は一人もおりません。 こういうことからいたしますと、非常に限られた数ではございますけれども、少なくとも私どもが把握している自動車運転による重大な死傷事故を起こした者の多くにつきまして、過去に交通事故を起こして不起訴になったために安易になったとか、もっと難しい言葉で言えば、規範意識が緩んでしまったとかということは必ずしも言えないようなことではないかと思っております。
○植田委員 次に、これは交通刑務所にかかわってきますので矯正局長さんにお願いしたいと思うのですけれども、死亡事故を起こして交通刑務所に服役した者のうち、また再度事故を起こしてしまう、そういう数、割合というものはどうなんだろうかということでございます。その点についてはいかがでしょうか。
○鶴田政府参考人 お答えいたします。 御質問の人数については、直接の統計がございませんので正確な数字をもってお答えできませんが、ただ、平成十二年中に刑務所等の行刑施設に入所した新受刑者につきまして、これを罪名別に分けた統計がございます。 これによりますと、業務上過失致死傷罪により入所した者は合計七百三名であります。恐らくそのほとんどは交通事故を起こして懲役または禁錮に処せられて服役するに至ったものと考えられますが、この七百三名のうち、前回も同じ罪、業務上過失致死傷罪で服役した者は十名でございまして、比率にしますと一・四%となっておりまして、同様のことを過去十年さかのぼりますと、その比率は大体一%ないし三%という数字になっております。
○植田委員 今のデータというのは、あくまで、割合的には必ずしも高くないというか、低いということを示す直接のデータではないけれども、その参考にはなるという理解でいいかということでございます。 あともう一点だけ。交通刑務所でのカリキュラム等々の改定等というものについてはどうなっていますでしょうか。
○鶴田政府参考人 お答えいたします。 交通受刑者というのは、先ほど申し上げた、交通事故を起こして実刑に処せられた者のほか、道交法違反でやはり実刑に処せられた者も含まれるわけでありますけれども、そういうことで新たに入所したというのは昨年で約二千四百人くらいおります。 これらのうちで、特に交通事故を起こした関係者につきましては、その特性が類似するところもありますし、総じて遵法精神とかあるいは責任観念に欠けるところがありますので、これらの受刑者につきましては、できる限り指定された一定の刑務所に収容いたしまして、問題性に即した処遇を行っております。そこでは、交通犯罪に対する道義的な反省を促し、交通法規を守って、人命を尊重し、安全第一を信条とする社会人を育成することを目的といたしまして、交通安全教育等を徹底して行っておるところでございます。 具体的にどんなことをやっているかということを申し上げますと、例えば、みずからの犯罪に正面から向き合わせるための面接指導、法令等の基礎知識の習得のための講義、人命尊重の精神や交通安全意識を養うグループ討議、被害者について十分な知識と理解を持っておられる外部の協力者による指導等、そういったことで指導しておるところでございます。
○植田委員 わかりました。わからないことがあれば、またそれは個別に取り寄せたいと思います。 そこで、この間何度か話題になっております免除規定等々の法の運用にかかわってお伺いしたいわけですけれども、この二百十一条の二項が入っていることについては、参考人の質疑でもいろいろな議論があったところでございますし、また、実際の被害者の方々、遺族の方々でもさまざまな受けとめ方があるところだと思います。例えば、今御紹介させていただいた方からすれば、法務大臣のお言葉を信じながら見守っていきたい、そういう思いが井上さんから吐露されておられますし、一方、参考人の質疑の中では、これはやはり削除をしていただきたいというような話もあったわけです。 ただ、いずれにいたしましても、当事者の方々がこういう免除規定を求めていたわけではないということは事実でしょうし、ある種の戸惑いを持って受けとめられていることも事実だろうと思います。そういう意味では、この免除規定にかかわる不安というものについては、これは削除すべきであるとか、見守るべきであるとか、いろいろなお立場はあるにせよ、やはり不安はあるだろうというふうには思います。 そこで、この免除規定をここでこしらえる、その必然性なり意味合いというものは那辺にあるのかということについて、まずお伺いをさせていただきたいと思います。
○古田政府参考人 この裁量的な免除規定を設けることといたしたいという理由は、御案内のとおり、今、自動車が広く普及しておりまして、いわば国民の足にもなっているわけで、日常生活上不可欠のものになっている。したがいまして、自動車の運転に従事する国民の皆様は非常に多いわけで、その過程で、ごくわずかな不注意で事故を起こしてしまうというようなことも、これは現実にしばしば起こる状況になっているわけでございます。 そういう状況の中で、実際、軽いけがの場合には、全体を見ても到底悪質とは言えないような事故も多数あるわけで、本人も十分反省している、あるいは被害者の方も特に処罰を望んでいないというケースが実は相当程度たくさんあるわけでございます。特に交通事故の場合は、保険の関係でありますとか、あるいは事故の申告義務が課せられているということから、非常に軽いケースまですべて把握されることになるわけで、そういうものにつきまして、原則としてはすべて処罰するんだということ、そういうような形にしておくというのはいかがなものか。その情状に照らして刑の言い渡しを要しないというものも少なくない、そういう実態があるということを踏まえまして、刑法上もそういう取り扱いをするということを明示するということ、これが一つの理由でございます。 それと、それによりまして、一方で、先ほどから申し上げておりますとおり、軽傷の事案でありましても、これは情状次第、つまり、単にけがが軽いから免除するとか、そういうことではなくて、情状がいいものについてのみ免除が可能だということを明らかにすることによりまして、事案の実態に即した事件処理に関する基本的な指針を示すということもあるわけです。 そういうようなことから、明らかに処罰をする必要がないと認められる事案におきましては、例えば、捜査書類の作成の簡略化、効率化など捜査の効率化を図って、きちっと対応しなければならない、いろいろこれまでも御指摘があったような事件についてもなお一層きちっと対応できる、そういういわば捜査の全体の充実を図っていく。そういうことによって、全体として交通事犯の減少、撲滅を図ることに資するようにしたい、これがこの免除規定の趣旨でございます。
○植田委員 この免除規定について、私も先日、参考人質疑でもちょっとお伺いしたわけでございます。参考人の方にお伺いしたのは、実際、この免除規定を設けることによって、今でも不起訴率は高いのにますます不起訴がふえるんじゃないかという素朴な疑問というものがあるけれども、実際、この免除規定というものでは、今も御説明ありましたけれども、情状ということを判断していこうと思ったらかなり厳しい縛りであると。そうなってくると、今まで以上にそうした事犯について厳密に検討しなければならないということであるとするならば、むしろ、起訴率というものがこの免除規定を設けることによってふえるというケースが出てくるんじゃないでしょうかということを、明治大学の法学の先生、ちょっと名前は忘れましたけれども、参考人の方にお伺いしたところ、今まで、被害者の主観からすれば、泣き寝入りでありますとか、納得いかないけれどもとりあえずこらえてきたという事例があるのであれば、そうした問題が情状ということでかなり厳しくチェックされることで、場合によっては起訴率が上がっていくというケースもあるんじゃないだろうかという参考人のお答えでもあったわけです。私も、そういうことなのかというふうには思うんですが、そうした御意見にかかわっては、法務省さんとしてはどんなお考えをお持ちでしょうか。
○古田政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、情状について、被害者の方の処罰感情とか、こういうふうなものをやはり的確に把握してやらなければならない。そういうことが必要で、傷害が軽いというだけではこの規定は働かない、そういうことでございます。 そういうことで、現時点でも、この刑の免除規定が働きそうなものについては、おおむね不起訴にはなっているんだろうと思うんです。それ以外の部分について、御指摘のように、よりきめ細かないわば情状の確認をするということから、一面では確かに起訴率がややふえる場面もあろうかと思いますが、またその一方で、情状をきっちり把握することによりまして、今までと実は同じような、やはり不起訴になるというケースももちろんあるわけで、率直に申し上げまして、そう大きく起訴率に影響することはないんではないかな、極端に上がる、あるいはもちろん下がるというようなこともないのではないかと思っております。
○植田委員 この免除規定にかかわって、例えば、捜査に関してのスリム化を図っちゃう。どっちにしたって、警察の側からすれば交通事犯を処理するのが一番多いわけですから、それの迅速化、効率化を図るというところで、免除規定を設けちゃうことによって、今までよりもますます、被害者の心情からすれば納得のいかないような形での処理がされてしまうんじゃないかという御意見があるということは御承知されているかと思うわけです。 もちろん、行政そのもの、一般論として、事務処理を効率化するというのは、非効率より効率的な方がいいのは当たり前のことなんですけれども、むしろ免除規定というものができるということによって、これは法務省さん、警察庁さん、どちらにもお伺いしますが、あってもなくてもきちんとやってきたというふうにおっしゃるのはわかりますけれども、少なくとも免除規定で、それこそ今るる局長が御説明されたような、言ってみれば今までなかった縛りがかかる以上は、より厳密に捜査にかかわってチェックをしていかなければ、調査しなければならないということになるだろうというふうに私は理解するわけです。 ゆめゆめ、捜査にかかわってそれ自体をスリム化しちゃうということではなしに、今まさに、刑事局長御説明の話を素直に理解するならば、むしろ、今までより以上に厳密にこうした交通事犯に向き合わなければならないということになるのかというふうに私は理解するわけですが、その点は、法務省さん、警察庁さん、双方にちょっとお伺いしておきたいと思います。
○古田政府参考人 先ほども申し上げましたように、やはり的確に情状を把握するということが必要になるわけでございます。 その前に、一般的な前提問題として、交通事故が起きたときに、やはり事故原因はどういうものであるのか、これは、そこをしっかり把握するということはいかなる場合でも必要なわけでございまして、その点について、当然ながら従来同様きちっとやらなければならないということではありますが、その場合に、交通事故の数が非常に多いものですから、軽くて、本当に被害者の方も処罰を望んでいないようなものについて、事故原因のしっかりした究明ということを超えて、いろいろな捜査書類の作成とかそういうことについての負担などはできるだけいわば軽減して、そしてそれによって、事故原因の究明それから本当に処罰が必要な事件の捜査により注ぐことができるようにしたい、こういうことでございます。 〔委員長退席、奥谷委員長代理着席〕
○坂東政府参考人 交通事故捜査の第一次的な現場を預かる私ども警察の姿勢につきましても、今法務省の刑事局長の方から答弁があったとおりでございまして、我々警察におきましても、交通事故があれば、負傷者のけがの程度等にかかわりなく、現場における実況見分を初めとする所要の捜査というものを的確に行っているところでございまして、刑の免除という規定が設けられたといたしましても、こうした交通事故捜査そのものには変わることはない、被害者感情に配意しながら的確な交通事故捜査というものを進めてまいる所存でございます。
○植田委員 大体これはそういう御答弁だろうなと想定しておるんですが、ただ、刑の免除規定ができることで、現状での捜査のあり方にかかわって、それがここで事実であるかどうかということじゃなしに、幾つか指摘があるということは、そういう指摘がある事実は御認識いただいていると思うんです。例えば、現状でも目撃者への事情聴取を怠っているという事例があるよという指摘をされている、指摘があるということは事実だろうと思います。また、この刑の免除で、被害者が処罰を望まないという規定があるわけですけれども、警察、検察によって調書が捏造されたじゃないかというふうな指摘があったことは、過去、事実としてあったと思います。捏造したと言っていませんよ。もしそういう事実があったとしたら、この委員会で、もうそれだけで一時間ぐらいやらぬといかぬような話になりますから。そういう意見なり指摘があったという事実。 要するに、お巡りさんとしてはちゃんとやっているつもりでも、実際の当事者からすれば、いろいろな不信なり不満なりというものがいろいろな形でやはりぶつけられているということは、恐らくそういう事実があるということは受けとめておられるだろうと思うわけです。そういう意味では、これから捜査の公正性、公平性というものをしっかりと担保していくためにも、被害者側の感情に配慮したやはり対応方というものが必要になってくるだろうと思いますし、また、免除規定が設けられたということで、実際、現場の警察官の士気がそれで落ちるようなことがあってはだめだろうというふうにも思いますから、今後、これを契機になお一層現場での捜査に対して、今までもそうしてきたとおっしゃるだろうと思いますけれども、これまで以上にふんどしを締めてかかっていただきたいと思うわけです。 その点についての御決意なり御見解なりということと、あと、実際これは情報の公開にかかわるさまざまな話になってくると思いますけれども、被害者の感情に配慮するのであれば、調書の写し等を被害者に渡す必要、また閲覧させる必要等もあるんじゃないかなと私なぞは思っておるんですけれども、その点についても御見解をお伺いしたいと思います。
○古田政府参考人 まず第一点につきましては、やはりおっしゃるとおり、交通事故に遭われた方、被害者、それからその事故の状況、非常に数は多いということからいろいろな問題が生じているわけでございますけれども、やはりその個別の事件に応じてきっちりした対応というのが必要であるし、今後それをさらに充実させていかなければならないと考えております。 それから次に、調書のお話でございますが、御案内のとおり、調書を作成する場合には、作成した後、それを読んで聞いていただく、あるいは見ていただく、そういうことで内容の確認をしながらやっているわけでございます。 一方、こういう調書等が、特に捜査の過程でこれが外に出るということになりますと、先ほど申し上げたことでもありますが、いろいろと、その後の捜査とかいずれある公判等についての影響というのも、しばしばこれ問題になることもございますので、どうもそこはやはり慎重に考えざるを得ない。ただ、不起訴記録の閲覧、あるいは、起訴された場合の公判記録の閲覧については、可能な限りで対応をさせていただくようにしたいと考えているということでございます。 〔奥谷委員長代理退席、委員長着席〕
○坂東政府参考人 私ども警察におきましても、先ほども御答弁申しましたように、交通事故に遭われた方々の被害の程度にかかわりなく、適正な捜査を進めていきたい。 原則、こういった事故捜査というものは警察署の交通捜査担当者が行っているわけでございますけれども、やはり組織としてこういう事故捜査というものの管理をしっかり行うように行っていきたいというふうに考えております。 それからまた、交通事故被害者につきましては、被害者感情というものもおもんぱかりまして、交通事故被害者に対する対策というものも強化しているところでございますので、こういった被害者対策についてもより一層充実強化するように各都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。
○植田委員 ありがとうございました。 次に、これも参考人の質疑のときにもちょっとお伺いしたのですが、現状におけるいわゆる免許取得制度、教習制度のあり方等々、また、免許の更新の際もうちょっと厳密にしたらいいんじゃないか、そういうことでございますが、参考人の方も、現状の免許取得制度、教習制度はかなり不備があるというふうな御見解を示されていたように思います。そのときにも例として私も出したのですが、私も学生時代に自動車の免許を取ったのですが、大学の周りにいろいろな自動車教習所がありますが、評判のいい教習所、評判の悪い教習所があるわけですが、評判のいい教習所というのは、おおむね事故率が高いという評判の高い教習所なんですね。なぜかといいますと、要するに、そういう教習所の方がさっさと免許をくれる、取れる、少々未熟でもすぐくれる。要するに、それは我々もアルバイトしながら教習所のあれを払うわけですから、何遍も滑っていたら何ぼなっとお金がかかってしまうので、そういう教習所の方が実は学生たちには受けがよかった。でも、これは大きな問題でございまして、実際に事故率の高い教習所に人気が集まっているようなことだったら、これはゆゆしきことだろうと思うわけでございます。 そういう意味で、私も十数年前に免許を取ったわけですが、そうした卒業者の事故発生率が高いような教習所に対してはやはりきっちりと、おかしいのと違うかと指導をするとか、事故を起こした者の教習所まで把握したりということも私は必要なんじゃないだろうかというふうにも思いますし、また教習の内容、実際の技術指導の中身についても、参考人の方は、ブレーキの踏み方にかかわっても、ゆっくりブレーキを踏めとしか指導しないというような、具体的におっしゃっておられましたけれども、少なくとも、そうした現行の教習制度、免許取得制度にはかなり大きな問題があるんじゃないかなと私思います。その点、現状の問題点と、この間、その辺、どんな形で改善がされているのかという点。 それともう一つ。自分自身の例で言いますと、私は今優良ドライバーで、ゴールドカードでございます。なぜかといいますと、特に国会議員の選挙に出るあたり、二年ぐらい前から、ほとんど自分では運転しなくなったわけですね。というのは、やはりちょっとでもまずいことになったらまずいということで、運転しなくなりました。でも、私自身、運転の技術は余り得手ではございませんで、スズキのカルタスというツードアの、国会議員の方は余り乗らない小さい車に乗っているんです。それでも車庫入れに失敗して後ろがばこんとへこんでいる。それでも、免許の更新のときには優良ドライバーなんですよ。これはやはりおかしいのと違うかと思います。 それにまた、学生時代にスピード違反で罰金を取られて、東京に来てから免許の更新のときに、そんなのとうに忘れていますから、新宿の警察署に行ったら、あんた、ちょっとここやったらあかん、東陽町に行ってくれと。免許センターに行きますよね。そこで半日ほどビデオを見たら帰されて、それで更新ということになるわけです。 現状、事故とかそういうことを起こしてなくて、真っ白であれば、それこそ、警察署に行って、はい、では今手続をしていますからその間二十分ほどこのビデオを見ておいてくださいと言うて、病院の受付みたいなところでビデオを見たら終わりなんですよ。やはり免許の更新のとき、これは笑い事じゃなくて、もうちょっときちっと、一日ぐらい講習なり、もう一回技術指導、運転技術を見るなりして、更新についてももうちょっと考えた方がいいんじゃないのかなということも私思っております。 要するに、車がある以上事故は不可避なわけですから、それをできるだけ未然に防止する手だてというものをいろいろなところで網を張っておかなければならない。そうなると、教習、要するに免許を取る段階、取ってからの更新のところで、その都度その都度チェックするということが必要なんじゃないかと思うわけですけれども、その二点についての御見解をお伺いしたいと思います。
○坂東政府参考人 新しく運転免許を取られようという方は、大半が委員御指摘のような形で、指定自動車教習所に行って教習を受けられているということでございますから、やはり一つは、そういった意味での教習内容というものを高めるということ、それから、教習所の指導水準というか、そういうものを高めるということが非常に肝要なことだと我々は思っております。 そういう意味で、この教習の内容についてでございますけれども、適宜見直しを行ってまいってきたところでございまして、例えば、現在におきましては、運転シミュレーターを用いた危険予測訓練とか、あるいは高速道路教習等の実践的な教習というものを導入しているところでございます。 それから、教習所の教習レベルというものの水準を図るために、教習所の職員に対しまして、おおむね一年に一回、約十時間前後の教習指導員講習というものを行っているところでございまして、その中では、教授の方法とか技量の見きわめの方法等の講習を行っているというところでございます。 それからまた、教習所を卒業した者の取得後一年間の事故率というものを公表するようにしているところでございまして、新しく免許を取ろうという方々に対しての情報提供というものを図っているところでございます。 それから、ペーパードライバーでございますけれども、実は、当然ながら、運転しているかしていないかということは私ども数字としては把握していないところでございますけれども、ただ、どうしても、更新を受けようとする者の中にはそういう人がいることは、これは間違いない。先生のようにペーパードライバーの方がいらっしゃることは間違いないと思いますけれども……(植田委員「違います」と呼ぶ)そうではございませんか、失礼しました。ただ、ペーパードライバーかどうかということを更新を受ける際に選別するということは大変難しいことではないかと思います。そういう意味では、ペーパードライバーであろうとなかろうとやはり一律的に扱わざるを得ないのじゃないかということでございます。 それで、ペーパードライバーの方が再度本格的に運転しようとする場合のために、実際にこういった自動車教習所においていろいろな、再度自分自身自発的に再教育を受けるというような方がいらっしゃるようでございますから、こういった再教育を受けられるような環境整備というものをより図っていきたいというように考えております。 それから、更新時講習というものについてのお尋ねでございますが、さきの通常国会におきまして道路交通法の改正が行われました。そこで、更新時における交通安全教育の機能というものを強化するために、現在、更新時講習というものは二区分でございましたけれども、これを三区分に改めまして、そして、運転者の属性に応じてよりきめ細かく更新時講習が行われるようにしていくこととしているところでございます。 さらには、高齢者に対しましても、高齢者の事故防止等を図るために、高齢者講習の対象年齢というものを引き下げまして七十歳以上というふうにしたところでございまして、こういった形で、適宜高齢者講習につきましても見直しを図ってきたところでございます。
○植田委員 何でこういう取得制度やまた更新のこととかを私がお伺いしたかといいますと、今回の法改正で、いわゆる悪質な交通事犯に対しての罰則の強化、重罰化が図られるということがすなわちこうした事犯、事故が減る、犯罪抑止効果ということについてはやはりなかなか、それだけでは犯罪を抑止することにならないだろう。むしろ、もう一度日本の車社会、交通システムということを入り口から出口まで一通り見直していく一つの機会にすべきじゃないだろうかという問題意識であったわけでございます。そういう意味では、教習なり更新なりというところである程度網をかけないことには、交通事故そのものはやはり車がある以上避けることはできないということは、残念ながら事実でございます。それをどれだけ水際で最小限に抑えるかという意味で、まずその入り口のところを何とかもうちょっと工夫を加えるべきじゃないかというふうに思ったからでございます。 それで、国土交通省さんにわざわざお越しいただきましたのは、やはりそういう交通システム全般にかかわる問題にかかわってはそっちに聞いてください、ちょっと法務省で答えるような話でも、警察でもちょっとこれは難しおすということやったんで、二点ばかりお伺いするんですが、現在、交通五カ年計画というものがあるようですけれども、その進捗状況がどうかということ。そしてまた、どの程度それが成果が見込まれるかということ。そしてまた、この五カ年計画の中で、例えば電信柱を埋設する等々が盛り込まれているんだけれども、車優先の道路整備に重点が置かれているんじゃないか、もっと歩行者側に立った環境づくりというものをすべきじゃないか、そういう指摘もあるんですけれども、その点についてはどうなのか。その点、まずお伺いできますでしょうか。
○峰久政府参考人 御指摘の交通安全対策に関します七カ年計画、特定交通安全施設等整備事業七カ年計画というふうになっておりまして、これで、今、都道府県公安委員会との連携をとりつつ、幹線道路での事故多発地点の交差点改良でありますとかあるいは歩道の設置を集中的にやっておりますし、それから、住居系地区などにおきましては、歩行者の安全確保のためのコミュニティーゾーンの形成事業でありますとかあるいは歩行者空間のバリアフリー化等、こういう施策を積極的に推進しているところでございます。 御指摘のありました進捗の率でございますけれども、道路管理者分としましては七カ年で二兆四千八百億という事業費になっておりますけれども、これがあと一年残っておりますけれども、平成十三年度末で約八六%ぐらいの進捗率という形になっております。 これで、交通事故の死亡者で見ますと、平成八年から始まっておりますけれども、九千九百四十二人から、これは二年間残しての話でございますが、平成十二年では九千六十六人と減少しております。ただ、近年はやはり高齢者の死者数なんかは増加しております。あるいは、交通事故自体が非常に多いということで、負傷者数が多いということでございまして、その辺の状況は非常に厳しいということです。 歩行者優先的な、車優先から、そういう考え方を取り込むべきということについては御指摘のとおりだと思っております。
○植田委員 もう一点、これも確かに、きのうレクをやったときに、それは法務省さん、警察庁さんに言うてもせんない話やったんですが、自動車の性能にかかわっての話なんですが、この間、もちろんどんどん技術が進歩する中で、ドライバーにとっては安全な自動車がどんどんできてきたと思います。 そういう意味では、ドライバーにしてみれば、少々ぶち当たっても大丈夫だよ、そういう安全性の高い自動車の技術というものがこの間は進捗しているだろうと思うわけですけれども、ドライバーを助ける工夫だけではなくて、やはり対人被害を軽減するような、そういう技術開発というものも推進していく必要があるんじゃないのかなというふうに思っておりまして、これは実際はそれぞれの業界がやることでしょうけれども、そういうことについてどういう問題提起をお役所としてなさっておられるのか。また、やっていないとすれば、そうしたことをこれからやはり推進していく必要があるんじゃないかというふうにも思うわけです。 環境に優しい車というのは最近国会でもよく見かけますけれども、もう一つ、人にも優しい車という観点で、そうした技術開発についてどういうふうなお考えをお持ちかということについても御教示いただけますでしょうか。
○峰久政府参考人 車両の安全対策の観点からでございますけれども、これは、衝突安全基準の整備等の車両の安全基準の拡充あるいは強化、それからITを活用した先進安全自動車の開発、ITSの方でございますが、それの開発普及、あるいはリコール制度の充実などの車両安全対策の強化、こういうことを図るとともに、自動車運送事業者の監査や運行管理者制度の充実を図るなどの事業用自動車の安全対策の強化に努めております。また、努めてまいりたいと思います。
○植田委員 あと、最後になるんですが、内閣府さんにもお願いをしております。教育、啓発ということになると内閣府になるんだということだそうなので。 特に、交通事故、交通安全についての啓発活動というものをやっていかないことには、要するに、いろいろなことで水際でそうした交通事犯をとめていく、それは免許を取る段階、更新の段階、そういうところ、そしてまた、実際、交通システム、環境、また車自体の性能にかかわる部分、そしてまた、我々に対するいわゆる不断な啓発活動の充実、そういうことがきっちり一体になってやらないことには、法律をただ改正したというだけで事犯が減るということにはなかなかつながらないということで、今までどんな啓発が行われてきたのか。 そしてまた、交通事故の悲惨さということは十分伝えられていると思うわけですけれども、特に逆に事故を起こした側の悲惨さというものも、これは、加害者の側になったとき、よく言う一生を棒に振るわけですし、また、家族を含めてもうそれこそ大変な状況に、田畑を売り払わな賠償できへんとかいうこともあるわけですし、実際会社をやめてとか退職金を前借りするとかいろいろあるわけですけれども、少なくともそうした責任からは逃れられないんだということを含めて啓発をしていかないことには、意外とドライバーの方々は、私も含めてでしょうけれども、そういうことにかかわって無自覚な場合が多かろうと思うんです。だから、そういう加害責任というものがどれだけみずからの人生また周辺にとって大きな影響を及ぼすのかということを、その都度その都度ボタンを押しておくという必要があるかと思うわけですけれども、そうした観点からも啓発が必要だろうというふうに思うわけです。 その点について、内閣府さんの方の御見解なり今後の啓発の方向性なり、どうなっているのかということについてお願いできますでしょうか。
○江崎政府参考人 委員御指摘の交通安全の啓発活動、大変重要な事項でございます。 第七次の交通安全基本計画におきましてもそのような位置づけをしておりまして、これに基づきまして、各省ともそれぞれ、分野分野でいろいろな御尽力をされているというところでございます。 内閣府といたしましても、春と秋に全国交通安全運動、いろいろな地方自治体等の協力を得まして、きめの細かい、かつ広がりのある運動をしてございます。こういう場でも交通安全に関するさまざまな活動をしておりますので、今後とも引き続き力を入れてまいりたいと考えております。 それからもう一点、交通事故を起こしますと、委員御指摘のとおり、被害者はもちろんでございますけれども、加害者につきましても、物心ともども大きな被害をこうむるということでございます。こちらの面につきましても、こういったさまざまな啓発活動の中で積極的に取り組んでまいりたい、このように考えてございます。
○植田委員 ありがとうございました。 今わざわざ内閣府さんまた国交省さんにもお伺いいたしましたのは、何度も申し上げましたけれども、今回のこの法改正、私ども賛成でございますけれども、この社会の中からそうした交通事犯を全体として減らしていくというときに、重罰化だけでは抑止力にはなかなかなり得ないだろうと。 もっと総合的な今の交通システム全体の中で何と何をやらなきゃならないのかといったとき、私なりには、もちろん重罰化ということも必要な一つの課題だろうと思いますけれども、交通システムの中でも、まず教習、そして更新、そして道路の整備等を含めたものが実際歩行者等に配慮されて行われているかどうか、また自動車の技術開発、そして啓発、こうしたことが本当に三位一体、四位一体になって行われる、また各省間でのそういう連携もこれからとっていただきたいなと。突然、啓発になると、いや、私らわかりませんねん、内閣府ですねんということに、それはそれぞれつかさつかさはあるかと思いますけれども、こうした法改正を契機に、引き続きその辺のところについても、総合的に交通システムを見直していくという観点からも、施策を進めていただきたいというふうに思っております。 以上で終わります。
○保利委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○保利委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 まず、内閣提出、刑法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○保利委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○保利委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、田村憲久君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。平岡秀夫君。
○平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。 刑法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。 一 本法の運用に当たっては、危険運転致死傷罪の対象が不当に拡大され、濫用されることのないよう、その構成要件の内容等も含め、関係機関に対する周知徹底に努めること。 二 本法が四輪以上の自動車の運転者を対象としていることについては、今後の事故の実態を踏まえ、自動二輪車の運転者をも本法の対象とする必要性がないかを引き続き検討すること。 三 刑の裁量的免除規定については、軽傷事犯の取扱いに際し、被害者の感情に適切な考慮を払うこととし、今後における実務の運用をみながら、引き続き検討を行うこと。 四 交通事犯の被害者等に対する情報提供など被害者保護策について、更なる充実に努めること。 五 悪質かつ危険な運転行為を行った者について、運転免許にかかる欠格期間の在り方等を含め更に幅広く検討を進めること。 六 危険運転致死傷罪に該当しない交通事犯一般についても、本改正の趣旨を踏まえ、事案の悪質性、危険性等の情状に応じた厳正かつ的確な処断が行われるよう努めること。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○保利委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 田村憲久君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○保利委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。森山法務大臣。
○森山国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。 —————————————
○保利委員長 次に、内閣提出、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○保利委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○保利委員長 次に、内閣提出、裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 趣旨の説明を聴取いたします。森山法務大臣。 ————————————— 裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○森山国務大臣 裁判官の育児休業に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、最近における我が国の社会経済情勢にかんがみ、子を養育する裁判官の継続的勤務を促進し、裁判事務等の一層の円滑な運営等に資するため、裁判官の育児休業の対象となる子の年齢を、現行の一歳未満から三歳未満に引き上げるとともに、所要の経過措置を定めるものであります。 以上が、この法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願い申し上げます。
○保利委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時三十五分散会