財務金融委員会 第2号
- 発言数
- 196 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2001/09/21
会議録
○山口委員長 これより会議を開きます。 財政及び金融に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井啓一君。
○石井(啓)委員 おはようございます。公明党の石井啓一でございます。 まず、米国同時多発テロに関しまして質問申し上げたいと思いますが、冒頭、今回のテロで犠牲になられた方に心から哀悼の意を表したいと存じますし、また、けがをされた方、多くの関係者に心からお見舞いを申し上げたいと存じます。 さて、十九日の夜に発表されましたこのテロ事件への我が国の対応の一つといたしまして、「世界及び日本の経済システムに混乱が生じないよう、各国と協調し、状況の変化に対応し適切な措置を講じる」こういうふうにされております。これまでも、為替市場への介入あるいは日銀の流動性の供給、協調利下げ等行われてきたわけでありますけれども、今後どのように各国と協議し、協調していくのか、この点についてまずお伺いをいたしたいと存じます。
○塩川国務大臣 今回のテロ事件が発生いたしましてから、私たちも、為替並びに株価の動向及び経済一般の趨勢というものに非常に関心を持って見ておりました。直後におきましては、ニューヨーク等におきます市場は閉鎖されておりましたので、十分な情報はとれなかったのでございますけれども、直ちにその後出てまいりました現象といたしましては、ヨーロッパ並びに日本等において、株式等の相場において大体七%前後の株価下落がございましたですが、これに対しまして私たちは、一応その程度で落ちついたということについて一抹の、安心をしたのでございますけれども、しかし、ニューヨークが開きましてからどうなるかということを心配しておりましたが、ニューヨークにおきましてもその程度で大体推移したということで、私たちは注目をしながら監視をしておるところでございますけれども、これは一時的なショックのものであったか、あるいはこれが実勢を反映したものとして出ておるかということの判断はいろいろあろうと思うのでございますけれども、大体、弱い実勢のところにショックが走ったということも痛感されたものであろう、そう解釈をしておるところでございます。 なお、為替につきましては、現在、少し円高の傾向に走っておるような感じがいたしますので、十七日、十九日、二回に分けまして、私たちの方では適当な措置ということで介入をいたしたようなことでございますが、まだ現在におきましても、どうも円高の趨勢にあるような感じがいたしますので、これに対しまして我々非常な関心を持って、必要あれば介入もしていきたいと思っておるところであります。
○石井(啓)委員 続きまして、こちらは二十日の未明に発表されたG8の首脳共同声明の中で、「テロリストへの資金の流れを断ち切るための金融的措置及び制裁の行使の拡大」、こういうことがこの声明の中でうたわれているわけでありますけれども、これらの措置として今後具体的に想定される対策につきまして確認をいたしたいと存じます。
○塩川国務大臣 この件につきましては、国際協調等もございますし、私たちも外務省との緊密な連絡をとっております。そして、例えばテロ資金供与防止条約に則しまして、国内の措置、口座名義であるとか本人の確認、あるいは疑わしい取引の実態調査、並びに取引記録の調査実施等を準備いたしておりまして、これに対する国際的な呼びかけがなされておりますので、それに応じた外為上の措置については、現在どうするかということは検討中でございまして、できるだけ早く決定いたしたいと思っております。
○石井(啓)委員 当面できるテロ対策への我が国の対応としても重要な点だと思いますので、早急にまた御検討いただきたいと存じます。 あわせまして今回のテロ事件の我が国への影響でありますけれども、ニューヨークの株式市場が非常に急落しているということで我が国への影響も懸念されるところでありますが、今後米国の報復措置が具体的になされた場合、我が国に対する影響をどういうふうにお考えになっているのか、この点についてお伺いをいたしたいと存じます。
○塩川国務大臣 不確定なことでございますので明確なことは申し上げられないと思うのでございますが、我が国もこれに大きい影響を受けることは事実でございます。 その影響に対しまして我々一応用意して、心しておりますことは、米国の消費並びに投資マインドへの影響から我が国の輸出の状況が非常に大きい影響を受けてくるんではないかと思っておりますので、これに対する措置というものを考えていかなければいけないと思っております。また、原油価格の上昇等が起こり得るのではないかと思っておりますので、これに対する関心を高める。それからさらには、株価下落を通じまして実体経済への心理的なきつい影響が起こってくると思っておりますので、この点についても大いに関心を払うべきであると思っておりますし、また、復興に伴いますところの需要増ということ、これを事前調査するとか、あるいはなおこの面における新しい開拓をするとかいうことをいたしてまいりたいと思っております。 いずれにしても、この際にあらゆる、各省庁との連絡を緊密にいたしまして措置を講じていきたいと思っております。
○石井(啓)委員 今まで想定されなかった事態が生じたわけでございますので、我が国の対応として、まあ今補正予算等検討されているところでありますけれども、私どもやはり万全な措置を用意しておくということが重要かと思いますので、指摘をしておきたいと存じます。 続いて、証券市場の改革につきまして質問をさせていただきますが、昨日、与党三党の税制協議会におきまして、株式譲渡益課税等の証券税制の改正につきまして、この秋の臨時国会で法改正をすべくこの十月の初旬にも与党の税制協議会で成案を得るということが確認をされたわけでございます。その改正の中身についてはもうちょっと協議をしていくという段階でありますが、私ども、株式譲渡益課税について申し上げれば、申告分離への一本化の時期をなるべく前倒しした上で、税率を大幅に引き下げ、また譲渡損失の繰越控除制度を導入する、こういうことを主張しているわけでございます。 つきましては、財務大臣のこの秋の臨時国会での証券税制の法改正に対する御決意と、また、この改正の内容につきまして御見解があればお伺いをいたしたいと存じます。
○塩川国務大臣 お話しのように、十月の上旬に与党内において意見を取りまとめていただくということになっておりましたですが、若干スケジュールを早めていただくようなことも聞いております。 いずれにしても、十月の五、六日ごろには決定するということになっておりますが、政府税調の方におきましては、既に奥野小委員長のもとで取りまとめされました意見書が私らの方に来ておりまして、その中身で一番中心となりますのは、源泉方式をやめて申告税制一本にすべきであるという趣旨が貫かれておりました。これは今、与党三党に協議されておりまして、特に、公明党さんの非常に強い主張のございます申告制への移行というもの、政府税調もその方向にあるということは、私たちは一致した見解として見ております。 したがって、政府税調の方では一応報告書が提出されましたので、できるだけ早く与党内における意見を決めていただきたいと思っております。 幸いにして、与党内の議論を私が拝聴しておりますのに、売買に対するインセンティブを与えるよりも、むしろ、それと同時に、より以上に保有をしてもらう、株式を、証券をできるだけ個人が保有してもらう方向、それに対するインセンティブを厚くするという考え方が与党内に行われ、これが中心になっておるということも聞いておりまして、その方針に対しまして、私たちも結構だと思っております。 そういうことで、できるだけ早く与党内で決めていただいて、九月じゅうに、九月の末までに方向だけ決定して、十月じゅうにそのペーパーをまとめていただく、こういうスケジュールになっておるということも聞いておりまして、どうぞひとつ、お急ぎのほど、お願いいたしたいと思います。
○石井(啓)委員 私どももなるべく早くまとめさせていただきたいと存じますし、また、今大臣から、保有を重視するというお話がありました。これは、もう既に通常国会の改正で、長期保有については百万円の控除というのを設けておりますし、さらに私どもは、例えば税率についても、長期保有と短期保有と区別してもいいのではないかというような提案もさせていただいておりまして、そういった点もよく重視して、考えていきたいというふうに思っております。 この証券の市場改革というのは、間接金融から直接金融へという大きな流れの中で、いかに個人投資家に積極的に証券市場に参加をしていただくのか、こういうことが主要テーマなわけでございますけれども、そのためには、税制改正はもちろんのこと、それにとどまらず、今個人が証券市場になかなか参加しにくくなっている、そういう阻害要因を除いていかなければいけないわけであります。その最たるものが、証券市場に対する信頼性がなかなか薄いということでありまして、証券会社の営業姿勢を、より個人重視の方向に転換するように促していくということも重要だと思いますし、あるいは、何となくうさん臭いというイメージでやはり見られておりますから、市場に対する監視というのをもっと強化していく、こういった信頼性の向上というのが欠かせないと思います。また、個人投資家にとって手を出しやすい、そういう商品の開発ということも重要かと思います。 税制以外のこういった証券市場の改革への取り組みにつきまして、これは金融庁の方に確認をいたしたいと存じます。
○柳澤国務大臣 これまで間接金融中心であった我が国におきまして、今、国策上も大きなプライオリティーを持って取り組まなきゃならないような不良債権問題というようなものが課題になってきたというような状況から、やはりそこにはひずみが存在しているんではないか。余りにも日本の金融が間接金融に偏しておって、それがために、間接金融の仲介機関たる金融機関がほとんどのリスクを背負ってしまうような仕組みになっておって、これではやはりどんな機構もなかなかうまく回っていかないんじゃないか、こういう反省もあるわけでございます。 そういうようなことから、本当に、リスクの最終的な引き受け手としての個人投資家ということを中心として、直接金融というもののウエートをもっと増していく必要があるじゃないか、こういうことがこのところ各方面で論じられていること、先生御指摘のとおりでございます。そして、今塩川財務大臣お答えになられたように、その環境整備の一環として税制の問題が取り上げられるということで、私どもも大変喜んでいるわけでございますが、それが取り上げられればいいというものではないというふうにもまた考えております。 御指摘のように、それ以外にも、例えば仲介の機関である証券会社、あるいはそもそもその発行体である事業会社、こういうようなものも、もっともっと個人株主重視の姿勢に転換をお願いせざるを得ないというようなことを考えているわけでありまして、私どもといたしましては、先般の証券市場構造プログラムの中でそうした具体的な施策も掲示をさせていただいて、その掲げた政策をこれから実施に移していこうというふうに考えているところでございます。 いろいろな問題がありますので、一々細かく申し上げる時間はありませんけれども、まず第一に、証券会社につきましては、何といっても、いっときのあのビジネスモデルというのが崩壊しているわけですね。それがその後、証券会社、ブローカレッジのビジネスはどうやってやるんだというようなことについて、明確なビジネスモデルが失われたままにいるんではないか、我々、そのように考えまして、もっと新たな次元のもとでのビジネスモデルの構築をしなければいけないのではないか、そのことはまた、先ほど先生がおっしゃった、新しい魅力的な商品の開発にも密接に結びついていることだろう、このように思います。 それからまた、いろいろな行為規制の違反の事犯があるわけでございますが、こういったものもすべからく、できるだけ公開をしていこう。今までは、処分であるから、これは処分権限者と処分対象会社との間の関係だというようなことにとどまっていた向きがあったわけでございますが、こういうものをもっとどんどんオープンにして、あの会社はそういうことをやる会社だというようにわかる。あるいは、場合によっては自主規制機関において、いろいろなトラブルがあるわけでございます、消費者と会社側、供給者の間にいろいろのトラブルがあるわけでございますが、こういうトラブル例もできるだけ開示していこう。そうすると、私のところへ来たあの会社の人はこんなことを言って私に投資を誘ったけれども、あれはやはりちょっとおかしいんだねというようなことがその例からもわかるように、あなた、そんなこと言っちゃいけないんじゃないのというようなことで、消費者がちゃんと言えるようにしたい、そんなことを考えたりいたしております。 例でございますが、申し上げさせていただきました。
○石井(啓)委員 そういった環境整備、ぜひよろしくお願いをいたしたいと存じます。 続きまして、不良債権処理について伺いたいと思います。 まず、日経平均が一万円を割っております。さらに加えまして、この九月末の中間決算から本格的に時価会計が導入されるということが相まちまして、銀行の健全性が懸念をされているわけでありますけれども、仮に日経平均が九千円になったケースで、この九月末の銀行決算への影響、特に自己資本への影響がどうなるのか、この点についてまず御説明をいただきたいと存じます。
○柳澤国務大臣 株価の急落と申しますか下落が銀行の経営に与える影響、これは本当に無視せざるものがあることは、現在の金融機関の株式保有の状況からいって明らかでございます。 株価の水準いかんによりましては、まず配当による社外流出というものが制約されますし、また、この株価、有価証券の低落の程度によりましては、損益勘定のもとで減損処理をしなければいけないというようなことも予想されるわけでございます。 いずれにしましても、今御質問の自己資本比率への影響ということになりますと、私ども、シミュレーションというか仮の計算を、試算をいたしておるわけでございますけれども、この機械的な試算によりますと、今先生御指摘の株価の水準が主要行の自己資本比率に与える影響はマイナスの〇・七ポイント程度である、このように試算をしているところでございます。
○石井(啓)委員 ですから、株価低落自体では、平均的に見ると自己資本への影響は余り大きくないという御答弁かと思いますが、また、これは個別行によって随分事情が変わってくると思いますので、それについてはもう少し注視していきたいと思っていますけれども。 まず一つ、この株価低落自体が大きな意味での自己資本減少にはつながりそうにないということは一つ確認をさせていただきました。その上でもう少し論を進めますが、マイカルの事例に関連をいたしまして申し上げたいと思うんですけれども、まず、報道では、この法的整理に追い込まれたマイカルの債務者区分が大半の銀行で要注意先だった、こういうふうに報じられておりますが、この点について確認をさせていただきたいと思います。
○柳澤国務大臣 マイカルの直近の決算時、十三年二月期という時期になるわけでございますけれども、この時期においては債務超過ではなかった、あるいは社債の外部格付もトリプルBマイナスというようなレベルを維持していた。それから、いわゆる有利子負債の過大の問題については、新しい中期三カ年計画でもって資産の売却で有利子負債を減額するというようなことがございまして、そういった総合的なことを査定して、それが金融機関に、今先生おっしゃられたような、まさかすぐに今回のような事態が招来するということを想定しないような、そういう自己査定が行われていたというふうに考えておるわけでございます。 それがこういうふうな状況に至った理由は、六月に外部の格付会社が、この格付、先ほど申したトリプルBマイナスを一挙にシングルBマイナスというようなところに落としまして、それが取引業者に大きな影響をもたらして、手形サイトの短縮であるとか、あるいは手形ではなくて現金取引でなければというような、そういう取引条件に急速に転換をしていく中で資金繰りに非常に困惑した結果、今回のようなことが起こったということでありまして、財務状況、特に債務超過といったようなことがあってのことではない、資金繰り上のことであるというようなことで、我々、わかりやすい言葉で突然死というようなことを申し上げたんですけれども、そういうようなことが生じてしまったということでございます。
○石井(啓)委員 今回のマイカルの事例に見られますように、市場関係者は、要注意先というふうに分類されているけれども破綻の可能性が非常に高い企業が相当その要注意先の中に分類されているんじゃないか、経営不振で過剰債務を抱えて本当に苦しんでいる大企業が要注意先に査定されているのではないかという懸念が非常に強うございます。私も直接そういった話を伺ったことがございますけれども、私は、今回の事例を見ても、そういった疑念を持たれてもやむを得ないなというふうに思うんですね。 したがって、今後の不良債権処理の焦点というのは、これは、破綻懸念先以下の不良債権をオフバランス化する、これも確実にやっていくということは重要ですけれども、あわせて、現在要注意先に査定されているものの、今言いましたような大きな債務にあえいでいる、業績もなかなか振るわない、そういった中で株価が急落したりあるいは格付が下がったり、そういった大企業に対する債務者区分を適正化していくこと、それにあわせて引き当てを適正化していくこと、これが非常に重要である、こういうふうに考えるわけでありますが、きょうの朝刊の報道によりますと、今夕決められる改革先行プログラムの中には、特別検査なり、あるいは要注意先の業種や格付による引き当ての強化ということも盛り込まれるというふうに報じられているわけでありますが、この点についてお伺いをいたしたいと存じます。
○柳澤国務大臣 破綻懸念先に分類されるべき先の定義が検査マニュアルに載っかっておるわけですけれども、ここにもありますが、あえてこれを読むことを差し控えまして、要するに業況の不振ということと、やはり基本的には、債務超過ということが破綻懸念先に区分されることの割と中核的なファクターになっておるということでございます。 いろいろ私もここで言いわけをしようとは思わないんですけれども、マイカルの例は、業況は、業況そのもの、売り上げそのものについては割といいところもあったというようなことも現実に聞きますし、また、バランスシートの健全性ということに、健全性というかバランスシートのそのバランス、最終バランスというものも決して債務超過ではない、こういうようなことがあったようでございまして、その時点においては、外部格付機関の格付も、先ほど言ったような割と投資適格な企業であるというような、社債であるというようなことにもなっておったことからして、そのこと自体がいいかげんだということとは私は理解しておりませんで、委員各位にもその点は理解していただきたい、こう思うのです。 何が問題なのかというと、結局、その後ぱっと外部格付機関の格付が変わったようなときに、銀行の自己査定なりあるいは金融の検査なりがタイムラグがあり過ぎて追いついていけないということが非常に問題なのではないか、こういうように思いますし、また、先ほど先生が御指摘されたように、要注意先の引き当て計算の基礎になる行内の格付というものについて、どちらかというと市場の評価、外部の市場の評価というものがウエートが低い、こういうようなものを、もっと外部の格付の評価というものをウエートを高めて行内の格付をして、それに見合った引き当てをしていくということが非常に強く望まれる事態になっているんじゃないか、こんなふうに考えまして、私ども、今いろいろと検討させていただいておる次第でございます。 なお、先ほどの私の答弁で、最終の外部格付機関の格付がシングルBマイナスと申しましたけれども、シングルBプラスだったそうでございまして、訂正をさせていただきます。
○石井(啓)委員 もう時間が来ていますので最後の質問になりますが、先ほど、株価低落による自己資本の減少というのはそんなに平均的に見て心配しなくてもいい、九千円台でも主要行でマイナス〇・七ポイント程度だ、こういうお話がございましたけれども、検査を厳正化することによって査定が適正化される、それによって引き当てが非常にふえる、このことによって自己資本の減少、公的資本の注入ということがあり得るんではないか、こういう指摘がされておりますけれども、こういった事態が想定されるのかどうか、この点について最後確認いたしたいと思います。
○柳澤国務大臣 そういったことについて具体的な今すべての計算をしているわけではございませんけれども、例えば要注意先の上位二十社というところについて、これは引き当ての問題ではなくて、現在の引き当て、それから現在の担保によって保全されていない部分、いわゆる要注意先の信用部分、それが全損になってしまうというようなケースを仮定して計算をいたしておる作業があるわけでございますが、それでも自己資本比率は一〇%台の後半というようなことでございまして、ちょっと、全損というようなこと、かなり厳しい想定を置いての計算の結果でございます。
○石井(啓)委員 時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
○山口委員長 次に、長妻昭君。
○長妻委員 民主党の長妻昭でございます。 まず、米国で発生しました同時多発テロで被害に遭われた方、関係者の皆様方に心よりお見舞いを申し上げます。そして、政府におかれましても断固たる措置をとっていただきたいということをお願いを申し上げます。いずれにいたしましても、大変な危機でありまして、安全保障上も、もちろんこの委員会で審議します金融に関しましても、いろいろな意味で危機ですので、重大な決意を持って事に当たっていただきたいと思います。 先ほども質問がありましたが、マイカルの件をまず御質問させていただきますが、柳澤担当大臣にお聞きしますけれども、先ほど、六月にシングルBプラスということになったということでございますけれども、ちょうど金融庁がそのときに金融検査に第一勧銀、みずほグループに入られている、三月から六月までの間に金融検査に入られているわけなんですが、何かマイカルに関してきちんと指導をされたのかどうかというのを柳澤大臣にお伺いしたいと思います。
○柳澤国務大臣 先ほどもちょっと申したんですけれども、検査の仕組みは過去の決算の適正性を判断するということで、それを基準日というふうに称させていただいているわけですけれども、その基準日の決算の適正性を検査させていただいておりました。それは三月末の決算でございましたので、六月の今言った格付の変更といったようなものについては、いろいろ、検査の対象にもなっていない、こういう仕組みのもとにあるというわけでございますし、その仕組みのもとで検査が行われた、このように承知をしております。
○長妻委員 ちょっと、その仕組みということなんですけれども、非常に不十分であるというふうに思いますね。 といいますのは、六月に検査に入って、そのときは三月末時点の話だけを検査してくる、そういう仕組みになっているということでありますけれども、こういう、本当に不信の目でずっと前から見られているわけでありますので、機動的にその時点での指導というのも、それはやっちゃいけないということなんでしょうか。
○柳澤国務大臣 ここがなかなか、組織で一定のきちっとしたルールを定めますと、そのルールに従ってその組織は運行され、運用されていくということなのでございまして、要するにこれまでのところは、そうしたことについてはこれを避けるべきだ、あくまでそれを避けるべきだ、こういう原則のもとで制度が動いていたということでございます。
○長妻委員 これは、私は申し上げざるを得ないのは、やはり金融庁に、ここの期に及ぶと重大な責任があるんではないかというふうに、私は最近確信を本当にするようになっているんですが、このマイカルの例に限らず、例えば、平成十二年度上半期に法的整理に追い込まれた企業をさかのぼって見ますと、その七割以上がその一年前には正常あるいは要注意に分類されている。七割以上。そういうような実態がある。あるいは、大手銀行の取引先で破綻した企業の四〇%ぐらいは、破綻の半年前には要注意以上に分類をされている。 先ほど突然死というお話がありましたけれども、そうすると突然死だらけなんですね、今の状況というのは。これは金融庁がきちんと検査も含めて機能していないんじゃないか、こういう疑念というか、そういうことを、今の御答弁でも、六月に立ち入って三月末までのことはきちんと見るけれども、そんな、金融なんて一分一秒の間にいろいろ動いているわけでありまして、ずっとそういうことをやっていたというのは、私は今初めて聞いてびっくりいたしましたけれども、そういうことをずっと放置していて、これはやはり責任問題が出てくると思うんですが、大臣、どうですか。御自身の責任として。
○柳澤国務大臣 結局、昔の、大蔵省時代の検査というのは、私もそんなにつまびらかにその制度について承知しているわけではないし、実体験もしていないわけですけれども、検査の基準日というものを、検査に入ったときというような感じで適宜設定していけたということなのでございます。 ところが、今度、金融検査マニュアルというような、また新しい金融監督庁になって以後の検査の体制というのは事後チェック型、事前は自己査定、自己責任のもとにおける自己査定というものを尊重していこう、こういうことで、もう本当に事後チェック型、それから前向きには自己責任による自己査定でいこう、こういうシステムが決定をされた、確定をした、こういうことが経緯的にもあったわけでございます。 それを進めてまだ幾ばくもないんですけれども、このシステムの実行に当たっては、かなりリジッドにそのことを考えて実行してきた、こういうのが実態だということでございます。
○長妻委員 金融機関の自主性に任せるというようなお話だと思うんですが、これはもう、この期に及んで金融機関、特に大手銀行の自己査定を見ていますと、自主性に任せるというレベルを超えて、自分でもコントロールできなくなっている。つまり、きちんとした引き当てあるいは債務者区分をしてしまうと過少資本になってしまうというおそれが確実にあると思います。 そういうような中で、銀行自身がやはりそういう過少資本になるおそれというのがあるので、そのできる範囲内でしか処理をしていない。つまり、もう自分で自分のきちんとした処理をする原資がないためにできないという状況に陥っているというふうに考えますので、これは、金融庁といたしましてはもうそういうことはずっと前から御存じなはずでありますから、厳しく、もうこれは何度も、民主党といたしましても当委員会でも再三再四申し上げていることでありますので、ぜひその取り組みをしていただきたいということです。 そして、先ほども質問申し上げました、破綻に、法的整理に追い込まれた企業のうち七割以上が正常あるいは要注意に分類されている。あるいは、破綻した企業の四〇%超は、破綻半年前には要注意先以上にあった。突然死がいっぱい、これだけあるということに関しては、柳澤大臣、どういうようなお考えでございましょうか。
○柳澤国務大臣 実はその点は、最初に報道機関によって報道されたわけでございますけれども、その報道機関のとった資料というのは、健全化計画の中の資料をとって分析をした結果なのでございます。 健全化計画というのはどういうものであるかと申しますと、健全化計画で明らかにすべき事項というのは、決めたのは当時の金融再生委員会でありまして、特にそのくだりは、後で開示される議事録で明らかになるかどうかは知りませんけれども、実は私が提案をして、銀行の自己査定というものができるだけ厳しい実態を反映したものでなければいけない。今長妻委員がおっしゃられたような、別の思惑から逆算して不良債権の額が決められるようなことであってはならない。そういうことを私自身が考えてその様式を取り入れたというようないきさつが実はあるわけでございます。 ただ、私がそういうように単純に当時考えたことと違う面があるとしますと、実は要注意先とかその他、非常に弁解がましく聞いて、長妻委員を初め皆さんに非常にけしからぬというような気持ちの上での反応を呼び起こすだろうと思いますが、あえて申させていただきますと、私自身の少しこの様式は単純に過ぎたなと思っているものは、要注意先とか正常先というのは非常に金額が多いわけでございます。圧倒的に多い。それに比べて破綻先以下というのは、それでも金額が少ない。 ですから、そこから同じような破綻が起きますと、この破綻を破綻の中でどこから来たものかという出所を分子にして考えると、正常先、要注意先から来たものは非常に比率としては高く出るんですけれども、それぞれの破綻の出所とそれから破綻の金額を比べますと、実は正常先、要注意先においても、一定の破綻を想定して引当金を積んでいるわけですから、それと別にそんな大きな乖離が起こっているわけではない。つまり、予想された範囲内で起こっているということが言えちゃうというのも、私もつくった手前、そんなことじゃ困るなと思ったりしているんですが、事実としてそういうことがありますので、ちょっと申させていただいた次第でございます。
○長妻委員 それはちょっと詭弁だと思うんですね。 私も健全化計画を、もとの資料を見て、確かにいろいろばらばらですから、それは分類見ますけれども、やはりどう考えても債務者区分が甘いというところは確実にあるわけです。 これは、柳澤担当大臣も六月二十八日の朝日新聞朝刊で、記者の質問、「要注意先債権にも淘汰されるべき企業が入っていますが」という質問で、大臣は、「本当に要注意先でいいのかと思うものもある」こういうふうに言われているわけですね。 それで、実際にそういうものがあるわけですから、思うのであれば、すぐに何か特別検査でも含めて立ち入りをして、柳澤大臣が思う、要注意先で本当にいいのかと思うだけじゃなくて、緊急事態ですから、いろいろな意味ですぐに手当てを打っていただきたい。 その思うというのは、具体的にどの部分がどういうふうに思うんですか。
○柳澤国務大臣 突然の御質問で、私の朝日新聞での発言について、新聞と今先生おっしゃられましたね。新聞の方の記事について、私、あのくだりを読んだときに、自分の発言と、ちょっとそれをはしょられて、必ずしも真実を伝えてもらっていないなという若干の不満の気持ちが残りました。ですから、それそのものが私の真意というか、私の発言をあらわしていないように思います。 いずれにしても、しかし今の議論の、いろいろ長妻議員からも、今は緊急のときだからというふうに考えて、我々今度の一連の構造改革の工程表の中でいろいろな議論の上で一定の施策を打ち出させていただいておりますが、まだ政府部内の調整が済んでおりませんので、ここで明らかにするのは差し控えたい、このようにお答え申し上げます。
○長妻委員 ちょっと質問の角度を変えるんですが、そうすると、大臣、マイカルは要注意先でありましたけれども、これはこの分類で今も問題なかったと思われますか。
○柳澤国務大臣 三月三十一日を基準日とする、そのときの状況はどうかということを先ほど申しましたので、繰り返して申しませんけれども、これは、やはりまず一番のポイントは、債務超過かどうかというのが基本的な概念なんですね。 もちろん我々も、破綻懸念先というのは、債務超過というような、そういう財務状況がかなり悪化しているということのほかに、それでも運転資金、資金繰りで破綻懸念があるというのもやはり文字の本当の意味からいっても破綻懸念先に分類されるべきじゃないかという議論を、その根っこの議論に立ち返って今いろいろまた考えさせていただいているわけですが、当時、検査官が準拠している検査マニュアルそのものを読みますと、やはり破綻懸念先の中核、コアの観念は債務超過ということでありますので、やはり債務超過に落とすという区分をするとしたら、かなり別途に大きな事情があり、それがまた一つの庁の方針として出ている、あるいは局の方針として出ているということでなければなかなか困難であったんじゃないか、このように考えております。
○長妻委員 それでは、先ほど言われた基準日だけ、基準日というか、例えば六月に立ち入りに入ったときには三末の時点でのものしかというか、そこの時点で見るという今の仕組みがあるとすれば、それを変える、当然、査察、立ち入りに入った時点でのその時点のもきちんと見るという仕組みに変える、こういう御決断、お考えはないですか。
○柳澤国務大臣 まだ本当に確定したものではありませんけれども、そういうことではなくて、私どもとしては、非常に市場の評価が変わってきている、そういうようなものについて着目した検査、ですから、金融機関の検査というのは、あくまで金融機関を検査するものであって、その先の債務者の検査をするものではないわけでございますけれども、その先の債務者の外部格付機関の格付が非常に変わってきたとか、株価が非常に変わってきたという場合には、その債務者についてこの金融機関がどういう債務者区分をしているかということについて格別の関心を持って、私ども、金融機関の検査というと、金融機関が持っている債権を全体を見なきゃなりませんけれども、そうじゃなくて、この債務者について、貸出先についてどういう債務者区分をしているかということを検査させてもらうということをもうやらざるを得ないのではないかということを現在検討させていただいているところでございます。(長妻委員「基準日のみじゃなくて」と呼ぶ)はい。
○長妻委員 今の話も非常に驚きなんですけれども、債務者のところを余り見ないと。銀行検査というのは、だって、債務者区分が自己査定で出てきて、やはり検査官が、債務者がどういう状況にあるかをきちんと把握していなければ、それが見れないわけですから、今の発言もちょっと、今さらそんなのはもうとっくに当たり前にやっていると思ったのですけれども、非常にちょっとびっくりいたします。 もう一回、ちょっと明確な御答弁がなかったのですけれども、基準日、決算時以外のものに関しても、査察に入ったときに、その時点での指導も金融機関に言っていくということでよろしいのですね、今後は。
○柳澤国務大臣 なかなか難しい答弁になるのでございます。なぜ難しいかといいますと、要するに、今の行政というのは事後チェック型の行政である。これはもう何回もここでも恐らく議論されたことだろうと思うのです。あくまで自己責任による自己査定を尊重し、それを事後にチェックするのが行政である、これが大原則なんです。 ですから、私が先ほどそういうことを考えていますというのも、やや、もう臨時、異例、例外として考えるということでありまして、その上に、入ったときを基準日とする、あるいは入ったときの市場の格付というものを参酌してといっても、見ているのは直近の決算の適正性でございますから、今の長妻委員のおっしゃられることもちょっと、よくこちらとしてはうまく整理できない面もあることを御理解いただけるんじゃないかと思います。 私どもとしては、先ほど言ったのはそういう、さっきちょっと誤解が起こったようですが、債務者は当然見ていますけれども、債務者に検査に行くという仕組みでないということをちょっと強調させていただいたわけですが、あくまで行く先は金融機関の検査ということですが、それを債務者に着目してその債務者だけ見に行ってくる、こういうことをやるということを例外的にやろうということであって、基準日を、今ここの段階で入ったときにまた動かして、大蔵省時代のように、自己査定ではなくていわば事前指導というところに踏み込んでいくということについて、今ここでやはり私がイエスと言うことにはちょっとちゅうちょを、ちょっとどころじゃない、かなりちゅうちょを感じているということです。
○長妻委員 行政だから事後チェックというお話がありましたけれども、事後チェックにしたって、別に決算時だけの事後チェックじゃなくて、その都度その都度の銀行が自己査定したチェックをふやしていけばいいわけであります。 ですから、やはり今の御答弁をお伺いしておりますと、結局IMFが特別審査というのですかに日本に来る、柳澤大臣当初は抵抗されていたようなんですけれども、結局来るということで、非常に日本の国としても情けないといいますか、そういうところに調査されてしまうということもありますので、ぜひ事後チェック、行政だから事後チェックだからできないんだというようなお話だと、きょうの夕方発表される経済財政諮問会議では、多少、ほんの数歩というか半歩というか、前進だと私は思っているのですが、その部分では、格付の低いグループ、企業をグルーピングして、そこに引き当て率を高くする、同じ要注意だけれども引き当てを高くする、こういう措置を打ち出すようです。 しかし、今の金融庁の、柳澤大臣の答弁どおりの金融検査の体制であると、こういう措置を幾ら打ち出しても、半期ごとの基準日があって、そこの事後チェックですよということになりますと、機動的な査察、機動的な貸倒引当金を積んでいくというようなことが絵にかいたもちになっちゃいますので、これは言葉は悪いですけれども、私、この不良債権問題の抵抗勢力は、失礼ながら柳澤大臣じゃないかなと最近思い始めているんです。柳澤大臣がいろいろな意味で何かそういう、先ほどの基準日の論議も含めまして御答弁をされておりますので。 いずれにしましても、事後チェックでも、それはそうなんですよ、事後チェックですけれども、基準日、年二回ですよね、ある意味では、基準日というのは。そうしますと半期と本決算。そうじゃなくて、もっと頻度をふやしていって、それで機動的に指導をするということがないと、もうこれは……
○柳澤国務大臣 長妻委員は何もかもおわかりでおっしゃっているんだろうと私は思います。我々の行政が事後チェックになったというその大原則もおわかり、しかし、そこに、銀行検査に事後チェックを当てはめると非常にタイムラグが広くなって、特に現在のような経済情勢の変転のスピードが上がっているものと完全にいろいろの食い違いが顕在化してきたというこの状況にどう取り組むかということでございます。 まず、端的にお答えしますと、今度の私どもが提案をまさにしようとしている特別の検査、非常に市場の評価が変わってきた債務者に着目した特別の検査ということになりますと、そこに入った日が基準日ということになりますので、今度は基準日が、そういうものが割に頻度が高くなれば、基準日は非常に頻度が多くなって検査が行われるということになります。 それから、ちょっとIMFのことが出ましたので釈明させていただきますと、IMFのアセスメントと申しておりまして、これは金融システムの安定度の評価ということであって、個別の金融機関に何か日本の金融庁のかわりに検査に行くというような性質のものでは全然ございません。 それから、私自身がIMFの検査に対して抵抗しておったかのように申されますけれども、私は初めから、今度も行ったときに、私どもがIMFのアセスメントに対して前向きであるということを再確認しますと私わざわざ言ったんです。それは、ケーラーさんが私を訪ねて、こういう制度があるけれどもと言ったときにも、私はオープンですということを申し上げたんです。そのくらいですから、今度のことについても、私はそれを再確認しますという言葉をわざわざ言ったくらいなんです。 では、なぜ、何が問題かというと、結局金融庁のマンパワーと申しますものが、正直言って、もう本当に、私は、自分が責任のもとにおいていろいろ仕事をしてもらっている職員の健康状態を常におもんぱからなければならないような、非常にぎりぎりの状況で仕事をさせていただいておるということがあって、そこにまたIMFのものが、今ペイオフを控えていろいろさらにロードがかかるときに、同じようにまたIMFのロードがかかるということについては、やはりその責任の立場にある者としてそのことだけは事実として申し上げる、しかしこれは我々の先延ばしの理由ではありませんということまで申してきたところでございます。
○長妻委員 質問を変えますと、今RCCの機能強化の論議が出ておりますけれども、これは貸倒引当金を差し引いた実質簿価で買い取るという案も一つの案として今自民党筋から出ているようですが、実質簿価で買い取るというこの一点に関して、この点に関してだけ、大臣の御見解、いろいろな意見があっていいというのはそれはわかるんですけれども、いいか悪いか、御感想を。
○柳澤国務大臣 我々の協議の一部から出ている意見でございますので、私がここで、少なくとも私の意見ではないことは申し上げることができますけれども、論評をさせていただくというのはちょっと今の段階、不適切ではないか、このように思います。
○長妻委員 実質簿価で買い取るというのは、よく柳澤大臣が言われるモラルハザードを、まさにこれは公的資金の注入以上に起こす問題だと思いますので、厳にこの実質簿価の買い取りというのは慎んでいただきたいというのを申し入れます。 そして、もう一点、私的整理に関するガイドライン研究会ということで、片田さんを含めて経団連の方も御努力されて、ガイドラインができました。かなり厳しいガイドラインができました。ただ、建前上は、これは金融庁は関係なくて業界がつくった自主的なものだという建前でありますけれども、これは柳澤大臣から、今後金融機関はこれを守れというような御答弁をぜひいただければと思います。
○柳澤国務大臣 これは主として全銀協、それから、実際、経済界ということで経団連さんの方面の方々の代表者の方々が本当に真摯に御議論をしていただいて、専門家を含めてようやく合意に達したものだというふうに承知をいたしておりまして、今後とも、今先生御指摘の金融界も当然このラインに従って仕事をしてくださるものだ、このように考えております。
○長妻委員 当然金融界もこのラインに従って仕事をしてくださるものだという大臣からの御答弁がありましたので、金融界もやはりこの債権放棄のガイドラインを、私はある程度よくできていると思いますので、厳守をしていただきたいというふうに、私も政府にそういう意味でも見守っていただきたいということをお願い申し上げます。 そして、最後になりましたけれども、申し入れといたしましては、機動的に査察をするということが、検査をするということが決まったわけでありますから、きょうの夜の経済財政諮問会議でもそれが再確認されるようでありますから、基準日等々のこともありましょうけれども、その時点での、先ほど言われた形で指導をしていただきたい。 そしてもう一点といたしましては、私も再三再四この委員会で申し上げておりますように、一つ欠けている今の論議の視点といたしましては、不動産で担保保全されている、不動産の担保保全の最終処分見込み額、金融機関が査定をしているその最終処分見込み額というのが、市場というか実際の現場の価格より非常に高過ぎているというような事実や懸念、疑念があるわけでありますので、そこをきちっと、引き当てを積み増しというのもいいと思いますけれども、最終処分見込み額をもう一回精査して、権利がいろいろぐちゃぐちゃ不動産についていて、さっと売れるものがほとんどないわけでありますから、その最終処分見込み額のところを今後厳しく見ていただきたい、立入検査のときにも。それをお願い申し上げまして、一言だけ、では今のことで終わります。
○柳澤国務大臣 引き当てが適切に行われるかということは、自分自身で保全している部分が本当にそれだけの価値を有しているかということと密接な関連があるという御指摘、そのとおりだと思っております。 不動産、特に土地の担保の評価については、私どももかなり神経質になっておりまして、検査マニュアルの遵守を求めております。検査マニュアルでは、少なくとも半年の価格でもって、半年ごとに更改される、新しくされる価格で半年ごとに更改しなさい、こういうことになっているというのが実態でございます。 若干心配もあり、御批判もあったので、我が庁で、十三年三月期におきます大手行十六行、地域行を、大口先百先の不動産担保の評価額と売却実績額をサンプル調査いたしました。決して胸を張って申し上げるつもりはありませんけれども、このサンプル調査だけからいたしますと、実際の売却額の方がかなり多かったという、つまり、評価が割と保守的なものであったということが結果として出たことを御報告させていただきたいと思います。
○長妻委員 またサンプル調査の結果をぜひちょっと見せていただきたいと思います。 どうもありがとうございました。よろしくお願いします。 —————————————
○山口委員長 この際、お諮りいたします。 政府参考人として財務省大臣官房審議官木村幸俊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○山口委員長 次に、中塚一宏君。
○中塚委員 自由党の中塚でございます。 まず最初に、構造改革ということでスタートした小泉政権なんですけれども、五カ月近くたっても構造改革という割には余り何も変わっていなくて、失業率が上がって、株が下がって、景気が悪くなっているというところだけは変わったなというふうに思うのです。塩川財務大臣にお伺いをいたしますが、ちょっとテンポが余りにもゆっくりし過ぎているんじゃないかというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
○村上副大臣 委員の御指摘のように、構造改革はいろいろあると思うのですね。財政再建における構造改革、生産性、効率性を高めて国際競争力をつけるための経済における構造改革、そしてまた不良債権を処理しつつ、先ほど来お話がございました間接金融から直接金融へ持っていく金融の構造改革、そういういろいろなものが多岐にわたってあると私は思います。特にそういう問題を、景気だとか株価だとか為替だとか、そういうものをにらみながら、何とか順調に、なおかつ着実にやっていくという、三元三次方程式のような非常に複雑なものだと私ども考えております。 そういう面で、我々としましては、財政諮問会議を中心に、その問題における優先順位等を考えながら、できることからやっていこうということで、改革工程プログラムやそれに伴う先行改革プログラムを出して、着実に一歩ずつやっていきたいということで考えております。 そういうことでまた、そういうときに財政や税やいろいろなものを規制緩和も含めてやっていくためには、どうしても国会の御承認を得ることも多々あるわけでございますので、その点は、臨時国会が始まり次第どんどんやっていきたいと思いますので、委員の皆様方の御理解と、また御協力をいただけたらとお願いする次第であります。
○中塚委員 もちろん法律を通したり予算を通したりしなきゃいかぬのでしょうけれども、それだったら、閉会中審査は閉会中審査で結構なことですけれども、八月はほとんど国会も何も開いていなかったわけですよね。だから、そういったことを本当に本気でおやりになるというのであれば、その姿勢というのもきちんとあってしかるべきだと思うし、現実問題、ここまで景気が悪くなってしまっていて、悪くなっているから補正予算の議論も出てくるわけですが、実際五カ月の間に、では何もしなかったことの影響がないかといえば、実はそんなことはなくて、やはり何もしないから景気が悪くなっているのだというふうに私は思います。 次に、構造改革ということの中身の話に行く前にその手順なんですけれども、工程表とかいろいろなことを発表されているようですけれども、そこに至るまで、結局やはり今までと同じやり方になってしまっているのじゃないかなというふうに思うわけですね。 実際、例年どおり概算要求基準をつくるところから始まって、そこで各省に来年度の予算を要求させる。三十兆円以内という目標はあるにしても、その削減の方法を全部おのおのの役所に考えさせていく。そういった方法で、結局やはり出てくる案というのは最終的に同じになってしまうのじゃないかなというふうに思うのです。そこに政治のリーダーシップというかそういうのが全然見えないのですが、塩川大臣、いかがでございましょう。
○塩川国務大臣 予算の組み方というのは、ずっと長い習慣がございますし、また法律的にもいろいろ規制がございまして、従来のものと抜本的な改革ということはなかなかできにくい点もございます。 しかし、例年と比べまして、私は、相当に手法も変わってきたし、要するに予算の概算要求をする要求の仕方というものも違ってまいりましたし、また、めり張りのつき方、この点につきましても変わってきたと思っております。私は、中塚さんよりは大分政治経験が長いので、その間ずっと見てまいりますと、あなたがお感じになっておるものは変わっていないと思っておられるかもわからぬが、しかし私は、ずっと振り返ってみましたら相当変わってきていると思っております。 その一つは、重点項目を決めまして、それ以外の分野については、思い切って一〇%あるいはそれ以上のものを削減するということ、そして重点項目については一般の要求よりは上積みしていくというこの考え方、これは相当浸透してまいりまして、その要求が現在の概算要求の段階ではっきりと出てまいりましたし、重点項目について、積み増しをしていく分については九月いっぱいでその分を提出するということになって交渉するということになっておりますが、この分野におきましても、今交渉中でございますが、明確にその姿勢を出してきたと思っておりまして、私は、その点から見て、予算の組み方は相当改革はされてきた、こう思っております。
○中塚委員 確かに、塩川大臣のように御経歴が長い方から見ればすごく変わったようにお感じになるのかもわかりませんけれども、今いみじくもおっしゃったように、なかなかやりにくい、できにくいというお言葉もありましたが、それをやってこそ初めて構造改革なんだろうというふうに思うわけですね。 構造改革と言う以上はやはり仕組みを変えていかなきゃいけませんで、今までどおりの仕組みを残したまま、そしてまた、今までどおりのやり方、手順によってやっていくということで、本当に今までとは全然違うようなものができてくるのかなというふうにやはり思わざるを得ないわけです。そのことをやはりマーケットも感じているんだろうなというふうに思いますし、もっとドラスチックに取り組んでいかないとそういったサインも送ることができないんだろうというふうに私は思います。 今いろいろと例を挙げてというかおっしゃいましたけれども、私は、構造改革とはいうものの、やはり今一番の目的というのは財政赤字の削減ということになってしまっているのかなというふうに思うわけですね。確かに、それは財政赤字の削減というのはやらなきゃいかぬと思います。そんな無原則に国債を発行していいということには決してならないというふうに思いますけれども、ただ、政府サイド、財務省サイドから見て、財政赤字を削減することが第一義だということが、果たしてそれがではイコール構造改革なのかなというふうにも思うわけですね。 例えばですけれども、まあまだ確かに概算要求の段階ですので、これからどうなっていくかということは別にして、今の段階の大臣の御意見でも構わないんですけれども、社会保障について、医療費の話。今厚生労働省が考えていることというのは、老人医療の対象年齢を七十歳から七十五歳に引き上げるとか、あるいは健保の本人負担を二割から三割に上げるとか、あと今まで月給だけだったのをボーナスも入れるとか、何かそういった案がつくられて進行しているというふうに聞いておるわけですけれども、結局これにしても、社会保障のあり方ということ、仕組みを見直しているわけじゃないですよね。仕組みを見直していないから、結局、給付を切り下げるというのは、老人医療の対象年齢を引き上げるということですし、あと負担をふやす、本人負担をふやしたり、保険料の負担をふやしたりというやり方しかとれなくなっているんじゃないのかなというふうに思うわけですけれども、この社会保障の今厚生労働省から出ている案については大臣はどのようにお考えでしょう。 〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕
○塩川国務大臣 お話がございましたように、確かに社会保障の仕組みを思い切って、特に医療ですね、年金の問題あるいは介護保険の問題は一応横へ置いておいて医療についてのみ申し上げますと、相当私は改革したいと案を出しております。また、その点について主計官を通じて厚生労働省と交渉しておりますけれども、しかし、やはり相手は厚生労働省でございますから、なかなか言うことも聞いてくれないし、また医師会の方も強硬にやはり主張しておられまして、その間のすり合わせということはなかなかうまくまとまっていかない。 これは、それぞれの役所はやはりセクショナリズムで固まっていきますし、それを、おまえのところが言っているのはだめだ、こうするんだと、そういうことでは権限を侵してしまうし、なかなか難しいところがございますけれども、しかし、私の方で、まあ財務省というよりも私個人として言っておりますことは、相当向こうとの交渉の材料になっておる、向こうというのは厚生労働省となっておると思っております。 その考え方の基本を言いますと、やはり私は、医療全体の、保険としてやってまいりました医療水準をもう一回全般について見直してくれと。これはなかなか今一挙にできるものじゃございませんので、しかし、来年の四月に医療の抜本改革を出すというのでございますから、そこではぜひその考え方を反映してほしいと思うんです。 そもそも、現在の健康保険法だとかあるいは国民健康保険、こういう制度をつくってまいりましたときに、今日のこの高齢化社会というものを前提にしていなかったと思うんですね。そういうことと、それからもう一つは、医療がこれだけ進歩して人間の幸せを確保していくのに非常に大きい貢献をしてまいりましたが、その医療の進歩というものが、その当時、昭和三十六年ごろの皆保険をかけました当時と大分事情が違う。そうであるとするならば、医療保険のあり方全体もこの際やはり見直して考えてもらわなければ、国民にあらゆる保険を賄っていくということであったら、給付と負担の関係というものも、国民が理解してもらうならばそれは十分できるだろうが、国民の理解と、給付と負担との関係というものもしっかりとした認識をやはりとっていかなきゃいけないのではないか。 そういうことを私は申しておりまして、この際に医療水準を、保険によるところの保障、水準というものはいかがなものがいいのか。それを全額を保険でやっていけとおっしゃるならば、そうなればやはり負担の方も考えてもらわなきゃならないんじゃないか、この考え方を基本的に検討してほしい、こう言っております。 そうはいっても、これは一挙に解決する問題ではないので、さしずめ平成十四年度の予算に対してどうするのかという考えでございますけれども、これは当然増が起こってまいります分に対しましてある程度負担するということで、当然増をどの程度見るかということは見解が違っておりますけれども、大きく見るならば一兆八千億円と見るでありましょうし、少なく見ると一兆二、三千億円でとめられるであろうとか、いろいろな見解がございますけれども、とりあえず、国としては七千億円は当然増対策で見ていこうということで、概算要求の段階においてこれは話をしております。ですから、従来とはちょっと違うということは中塚さんも認識しておいていただきたいと思っております。 それでは、そのベースの中においてこれから医療費の中身をどう詰めていくかということでございますが、高齢者負担、高齢者医療の問題につきましても、私の方から言っておるのは、入院措置といったように最初は高くてだんだんと二、三カ月もたったら低くするよという制度をとっておりますが、これなんかも、私は素人だから余り詳しくは知りませんけれども、こういうふうなことをやっておったのでは老人医療もかさばっていくのは当然ではないかなと私は素人としては思います。ですから、これを厚生省の方に一回検討してくれということを問題として投げかけております。 それから、診療報酬の請求でございますけれども、二百五円、これで、これ以下はもう何ぼでもいいんだという何か制度になっておるようでございますけれども、これもまた素人として考えた場合、こういうのはやはりきちっとしてもらわぬと、保険を掛けておる方から見たら何か納得できないのじゃないか。 こういうふうなものをどうするのやということを問題として投げかけておるのでございますが、しかし、私らの言っておりますのは、これは政治家の立場から言っておることであって、行政的措置というか何というか、またごちゃごちゃ役人は意見を言いますからなかなか固まっていかないとは思いますけれども、そこは私は、政治家としての意思を反映していきたいと思っております。 〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕
○中塚委員 ぜひ、厚生労働省が言うことを聞いてくれないとおっしゃった部分についてお伺いしたいなと思いますけれども、きょうは時間がないので、また次回以降ということで。 今の高齢化社会を前提にしていなかったというお話は、全くそのとおりだと思うのですね。だから、そういったことを直していくのが構造改革ということになっていくはずですし、そこはぜひしっかりとやっていただくようにしなきゃいかぬというふうに思います。 それで、一つ簡単にお伺いしたいのですけれども、小泉内閣が発足したときに、景気回復が最優先で税の負担は上げないということをおっしゃっていた。塩川財務大臣もこの委員会で、税負担というのは引き上げないというふうにおっしゃっていたわけですが、保険料は、やはり税とは別で上げてもいいというふうにお考えですか。
○塩川国務大臣 私は、こういう際でございますから、こういう際というのは、景気が非常に悪いし消費が落ち込んでおる、そしてまた一方においては構造改革をやろうということ、お互いにまあ二律背反のようなことをこれから同時進行でやっていかなきゃならぬというときでございます。そういうときに税の負担を上げるということは、これは我々が構造改革を進めていこうということに対する理解がなかなかとってもらえないだろう。ですから、私たちも財政の仕組みで予算面で辛抱して削っていくから、そのかわりに国民の皆さんもまあまあ辛抱してほしいということでございまして、多少の負担の増は考えることはございましても、税によるところの増収を図って、それで財源の穴埋めをするというようなことは今のところ考えておりません。
○中塚委員 保険料はどうなんでしょう。保険料はいかがでしょう。
○塩川国務大臣 保険料も大きく改革をしていかないという方針であります。
○中塚委員 では、保険料の引き上げということについても大臣としてはしないべきであるというふうにお考えということですか。
○塩川国務大臣 多少の調整はしなきゃならぬだろうとは思っております。それはあるのです。しかし、それ以外のことは、保険の大幅な引き上げとか、そういうことは考えておりません。
○中塚委員 まだ決まっていない話だろうと思うので、今の御発言をぜひお忘れにならないで、しっかりと来年度の予算をつくるときに大臣の御持論をぶつけていただきたいというふうに思います。 それで、もう時間がほとんどないのですが、構造改革の一つということで、前々から課題になっていていろいろ先送りされていた税制の問題として、連結納税制度があるというふうに思います。片や、連結納税制度を実施すると大幅に減収になるんじゃないかというふうに言われているわけですけれども、これについてはいかがでしょうか。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。 連結制度につきましては、現在、政府税制調査会におきまして鋭意検討いただいているところでございます。委員よく御承知のとおり、企業グループを一つの法人であるかのようにとらえまして、グループ各社の所得と決算を通算して課税するということでございますために、必然的に税収減は生ずることでございます。ただ、御質問の具体的にどのぐらいになるのかという点につきましては、現在、試算作業中でございます。もう少しお時間をいただきたいと思います。
○中塚委員 では、大臣にちょっとお伺いしたいのですけれども、一つは、その連結納税制度をやるということがずっと先送りになっているわけですね。まず、連結納税制度を来年度の税制改正で実行するかどうかということを大臣のお考えとしてお伺いしたいのがまず一点なんですが、いかがでしょうか。
○塩川国務大臣 来年度の通常国会に法案を出す準備で現在進めております。これは、確かに税収減になります。相当な減になるだろうと思うております。しかし、損して得とれということがありますので、こういうことが、やはり改革していって、新しい芽を出していくということのために踏み切ってやっていこうということで財務省の意見は一致しております。
○中塚委員 そういうことで、税収減というのが予想されるというお話で、何か聞いている話では、できるだけ税収減にならないような連結納税制度を仕組もうとされているというふうな話も聞いたりするのですけれども、本当はことしやるべきだったのが会社分割なんかがあって一年先送りになったんですかね、だからそういう意味では、ぜひとも来年は実行していただかなきゃいかぬわけだと思います。 最後に大臣にお伺いしますが、連結納税制度を導入するときの税収減と、あと、内閣の方針である三十兆円以内に国債発行を抑制するという方針ですが、これはトレードオフのように見えるのですけれども、両立をさせるというふうにお考えですか。
○塩川国務大臣 両立させるとかなんとかそういうようなものではなくて、国債の発行額を三十兆で抑えて財政構造を変えるということは、これはもう政治の決定でございますので、行政との整合性をとるために政治の決定を変えるというようなことはいたしません。
○中塚委員 今の御発言だと、トレードオフではなくてちゃんとおやりになるという、両方ともおやりになるというふうにお聞きをいたしました。 終わります。
○山口委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。 過日の同時多発テロにおきまして、金融関係者を初め多数の犠牲者、被害者が生まれておりますが、心より哀悼の意を表し、そしてお見舞いを申し上げたいと思います。法と理性に基づいて解決するという国際的な世論の力を大きくして、そしてテロの根絶というその方向に向かって私たちも全力を尽くしてまいりたいというふうに思います。 さて、きょうは、骨太方針の不良債権の早期最終処理に関する問題について最初に質問したいと思います。 全銀協と経団連などで構成する研究会が公表した私的整理に関するガイドラインでは、条件を満たす企業が提出する再建計画について、債権放棄後三年以内に経営黒字化と債務超過の解消を明示し、また経営者の退任を原則とするなど、一部にはよそより厳しいと言われておる内容になったとも言われておりますが、一方、適用条件さえ満たせば二度目の債権放棄も事実上容認しているという、こういうことも言われておるところであります。 そこで、この債権放棄の対象になる企業について、ガイドラインの中では、過剰債務を抱え自力再建が困難、重要な事業部門で営業利益を計上していること、法的整理では事業価値を著しく毀損するなどの条件を満たす企業に限定をしています。また、QアンドAでは、数社以上の金融機関等債権者がいることを前提とする、大臣よく御承知のとおり、そういうことが明記されております。 そこで、一つは、中小企業は事実上債権放棄の適用対象にならないものだというふうに思われますが、この点についての大臣の考えを伺っておきたいと思います。
○柳澤国務大臣 今、先生がお挙げになられたような要件を備えた対象債務者を相手としまして、多数の金融機関等の債権者がかかわっている債権の整理につきまして、今回合意ができた、こういうことでございます。 もちろん、私、いきさつ的に、いろいろな中小企業との関係はどうなんだというようなことが論議されていたことも仄聞をいたしているわけですが、最終的には、これは、こういう要件に当てはまっていれば中小企業の方々を排除するものではない、こういうように合意が成ったというふうに承知をいたしております。
○吉井委員 条件に当てはまるものがあればというお話なんですが、実態として、当てはまるものはほとんど考えられないわけですね。それで、そこにはあえて触れる必要はないなどと議論をいろいろされたようですが、やはり中小企業については念頭になかったということが、私は一番、問題の一つではないかと。 ですから、ここでは金融庁もオブザーバー参加を研究会にしていらっしゃったわけですし、そういう議論の中で、きちんと中小企業についても債権放棄の対象にするということなのか、あるいは、実態として、事実上債権放棄の対象にならないということになっていく方向についてまとめていくのかとか、そこできちんとした発表の機会もあったと思うんですが、そういう立場は示されておりませんから、これは事実上中小企業というのは債権放棄の対象にはならない、そういう内容のものだということを言わざるを得ないというふうに思います。 次に……(発言する者あり)いやいや、決めつけだというので、じゃ逆に、中小企業についてきちんと債権放棄の対象にさせるんだ、その場合、この条件ではなかなかなりませんから、中小企業も対象になるようなことを考えてやるんだということであれば、きちんとそうおっしゃっていただいたら結構ですから。
○柳澤国務大臣 いきさつは、先生がちょっとお触れになったことと私の認識はそんなに変わっておりません。しかし、最終的には排除しなくていいじゃないかということになっているわけでありまして、私はそのように承知いたしておりまして、吉井委員はどういうことを中小企業者としてイメージをして、それを頭に浮かべて今のような結論を導き出されているか、議論をされているか、私は知りません。私は、こういうことも十分あり得るというふうに考えています。
○吉井委員 中小企業、九九%を超えるところが、この要件でやるならば事実上対象にはなってこないということになりますから、逆に言えば、中小企業も対象になるようにするとすれば、中小企業についてはこういう要件が必要なんだということを、こういう要件でいくから対象になるんだということをやはりきちっとしないと、それはならないということを指摘しておかざるを得ないと思います。 次に、整理回収機構による不良債権の買い取り条件を九月末までに見直すとの報道がなされておりますが、そして議論があるわけですが、現在の厳格な不良債権買い取り条件を緩和して銀行から高い値段で不良債権を買えるようにした場合、このときに、二次ロス、公的資金の損失が拡大という可能性が出てくると思いますが、この点についての大臣の考えというものを伺っておきたいと思います。
○柳澤国務大臣 現在、整理回収機構が金融機関の持つ破綻懸念先の債権を買い取っているわけでございますけれども、この価格については再生法五十三条で規定がございますし、また、これをめぐっての国会の審議におきまして提案者の方からこの条文の解説が行われている、こういうことでございます。したがって、現在、整理回収機構はその線に沿って買い取りを行っている、こういうことでございます。 ただ、整理回収機構が行っている現状はどういうものかといいますと、非常にこの点の解釈をリジッドにいたしまして、買う債権の一本一本についてロスが出ないようにということを念頭に置いてこの運用に当たっている、こういうことでございます。 しかし、例えばバルクセールというのがございますけれども、一銀行がバルクセールで何本かの債権を買い取りに出したときに、全体として収支が相償う、赤字が出ないということであれば、それも認められていいじゃないかというような話、つまり、バルクセールに出したものも一本一本考えてというようなことまで細分化してやる必要はないのではないか。あるいは、一回のバルクセール、どういうケースか、いろいろ多様かと思いますけれども、バルクセールが出た、それは、A行、B行、C行の債権を一つのバルクにして売りに出しているというような場合に、それを一括して値踏みをして買い取るということがあってはいけないのか等々、いろいろ、五十三条の運用についてももう少し弾力化できないところがないのかということについては、かねて私どもとしましても問題意識を持っておりました。その延長線上でさらに、もうちょっと、もうちょっと弾力化をしていくことができないかということの議論が現在行われているというのが現況でございます。
○吉井委員 そのバルクセールで外資が大きな利益を上げているとか、いろいろ念頭に置いてお考えなのかもしれませんが、ただ、今お話ありましたように、国会での議論の中でも、これを設けたというところには、公的資金の損失拡大を防ぐという大事な意味があったわけで、そうすると、買い取り条件の緩和というのは歯どめを外していくということになってきますから、公的資金の損失拡大に直結していくものになる、こういうことは大臣も考えていらっしゃるんじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
○柳澤国務大臣 現行法の規定及び提案者のその当時の御議論というものを考えますと、当然、二次ロスが出ない価格というのが、そのまとまりについては先ほど言ったようにいろいろなバリエーションがあり得るのではないかと我々は思っている。しかし、現在の運用はそうなっていなくて、一本一本についてリジッドに二次ロスが出ないかというものを考えてやっている、こういう状況なんですが、基本的に、今おっしゃられたとおり、現行法を前提にする限り、二次ロスが出ない価格というのが基本的な観念だと思います。
○吉井委員 けさの報道にもありましたが、そういう中でかなり買い取り条件を変えていく、歯どめを外すという議論もあるという中で、例えば、簿価まで引き上げを求める声もあるが工程表では価格決定方式の弾力化にという表現にとどめる、そういう動きを伝えておりますし、これまでから報道によれば、RCCが簿価で不良債権を銀行から買い取ることを検討されているということが伝えられております。こういうことになってきますと、銀行への公的資金贈与、日経金融なんかはこういう表現をとっておりましたが、そういうことにもなってくるわけです。 ですから、簿価で買い取りというのは、これまた行政の責任とか銀行の経営責任をあいまいにして国民負担だけふやしていくということにつながってくるものでありますから、私はこのやり方では国民の納得は得られないと思いますが、簿価で買い取るということはしないということをここで明言されるかどうか、この点、大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
○柳澤国務大臣 今、弾力化の手法というものをどうすべきか、関係者の間で熱心な御議論が行われているところでございますので、私がここで何かお約束を申し上げるというようなことは、私としては適切でないというように考えます。 以上です。
○吉井委員 これはおかしいと思うのですね。先ほどのお話からしてもそうですし、簿価で買い取るというやり方をやったら、これは本当に銀行への公的資金贈与という問題につながってくるわけですから、少なくとも金融担当の大臣としては、簿価で買い取るということはしないという考え方をやはりここで明言されるべきだと思うのですよ。
○柳澤国務大臣 二次ロスが生じた場合に、それを公的資金でもって将来いつの日か穴埋めする必要が出てくると思いますけれども、そういうことをすれば、私は、それは間接的に銀行に公的資金を注入したということになる、このように考えています。
○吉井委員 私は、簿価で買い取ることはしないということを明言されるということが、やはり銀行への公的資金の贈与ということになってくるわけですから、そこは担当大臣としてはきちんとおっしゃる必要があると思いますよ。
○柳澤国務大臣 今、この問題をめぐってかなり論議が熱心に行われておるところでございまして、景色としては、今先生がおっしゃったようなものを、そのものずばりみたいなことをおっしゃっている筋というか方は、私の目から見てもそんなに大きな形を、あるいは大きな影を落としているということはございませんが、いずれにせよ、私がここで何かこれについて決定的なことを申し上げる、先ほど言ったようなこと、それをやれば間接的に公的資金を金融機関に注入することになるということ以外に、それ以上に申し上げるのは適当でない、このように思っています。
○吉井委員 どこか別なところでいろいろな議論がある、それは議論は議論です。しかし、あなたは担当大臣なんです。担当大臣としては、そういうことはできない、これはやはりはっきり言わないと、それを担当大臣があいまいにするということでは、私は、本当に金融庁というものが役割を果たし得るのかどうか疑わしいということを言わざるを得ません。 次の問題に移ります。 銀行や大手ゼネコンなどには公的資金を注入しての応援とかあっても、しかし、中小企業はどうかとなりますと、今大変なんです。 IT大手十社の最近発表されたリストラ計画というのは、これは海外での削減分を除いて国内分だけでIT大手十社で六万七千百人、実際にはこれに下請関連中小企業のリストラが関係してきます。 これまでですと、大体、ITとか製造業関係では、最初の開発段階から、東の大田、塩川大臣もよく御存じの西の東大阪、二大基盤的技術の集積地が中心になって、非常に物づくりを支える基盤というものがあったわけです。しかし、その後、そこだけに限らないで地方にも進出していっておりますから、地方でもこういうIT関係の下請企業なんかもずっと進出したわけですね。 今、そこでどういう問題が起こっているか。例えば、山形県で、富士通の下請のA社。八月一日現在、一月の生産額二千二百万円が七百万円に落ち込んだ。三十七人の従業員のうち既に十二人解雇したが、現在二十五人もさらに人員削減に移っていっている。同じ富士通の下請のB社。十五人を八人に減らしたが、これ以上減ったら仕事を畳むしかない。NECの下請のC社。七月から仕事が半減。二十六人を八月二十日に二十人に減らしたが、非常に厳しい状態だ。 今までのそういう物づくりの中心地から違うところでもどんどん広がってきたわけですが、このほかにも、山形で見ても、TDKやスタンレーの下請会社が多数あって、IT、電機産業の中心企業は今すべて設備資金の返済が不可能に近いところへ追い込まれてきております。最終処理の追い打ちをかけたら生きていけなくなってくる。 電機大企業のリストラと海外移転の中で、雇用の問題だけじゃないのです。中小企業の経営も深刻な事態が今広がっております。これは東大阪ももちろんそうなんですが、景気回復の見通しがつくまで借入金の返済額の軽減とか元金返済の凍結をという要望が、中小業者の皆さんの間から非常にたくさん出されております。 最初に、これは金融担当大臣の方にまず伺っておきたいのですが、どういう対策を講じていこうとお考えか。今の問題ですね、これを最初に伺っておきたいと思うのです。
○柳澤国務大臣 私ども、不良債権の最終処理という言葉を使わせていただきますが、バランスシートからの切り離し、これに当たっては、いわゆる整理をしてしまう場合と再建をする場合とあるわけでございます。 そういう次元でのそういう区別があると同時に、言うまでもなく、大企業と中小企業との次元での対応の違いというものもあるわけでございますが、いずれにせよ、中小企業は大企業と異なるいろいろな特殊性を持っているということなどから、この実態を十分に踏まえて、きめ細かく、よく判断をしなければいけないということを申し上げているわけでございます。 地域の経済事情、特に、ITを構造不況ととらえるか循環的なものととらえるか、このあたりはこれから非常に難しい面かと思うのですが、私は、これはまたいろいろ政府の中で論じていただかなければ、金融担当大臣が決めるわけにもまいらないと思いますけれども、いずれにせよ、循環的な不況の中でたまたま経営が破綻に近いような状況になっているものを構造的なものと一緒にしてもしやるとすると、不況時にはこれはオーバーキルの状態になるのじゃないか、そういうことも念頭に十分ございます。 したがって、今のような、構造不況と循環不況とが同時に来ているのじゃないかというふうに私は思っているのですけれども、このときにはそういったことにも、地域経済というような言葉も使っておりますので、そのあたりのことをよく見て対処をしてもらいたい、こう思っております。 ただ、吉井委員、そういうふうにおっしゃると中小企業みんな甘くしてくれるのか、それはありませんからね。中小企業の人たちでも、本業のほかにバブル期などにいろいろなことに手を出されて非常に問題になっているところもあるわけでございまして、これらについては、我々できるだけ本業の企業価値があればこれを生かしたいと思っていますけれども、いずれにせよ、我々のこの作業の対象には十分なるというふうに申し上げておきます。
○吉井委員 時間が参りましたので締めくくらせていただきますが、バブル型の不動産とかそういう中小企業の話を今しているんじゃありませんで、やはり大事な物づくりのことを私は言っているんですが、八月十四日の日経になかなかのことを書いてあって、私、大事だと思ったんですが、「世界景気が回復に向かっても国内企業の輸出が伸びず、外需が日本の景気回復に結びつきにくくなる」「内需が回復しても輸入品に食われて」これは開発輸入が今ふえていますから、「国内生産の拡大につながらない可能性がある。」という指摘がありました。実際、今、産業を空洞化させている今日の産業政策を含めて、そこをしっかり考えていかないと、景気回復しても不良債権が健全債権に戻っていかないという問題とかさまざまな問題がありますから、これは不良債権の解決にもならない。 ですから、雇用対策は今ないというだけじゃなしに、個人消費を伸ばす緊急経済対策の中にそれがないということは塩川大臣も六月におっしゃったんですが、あわせて、やはり空洞化を食いとめていく、そういう産業政策というものをきちんと持っていかなかったならば、日本経済の立て直しというのはそんなに簡単にはいかない問題だ。その立て直しなしには、地域の経済だけじゃなくて自治体財政の問題だろう、国の財政の問題からも大変な問題ですから、東大阪でそういうことをよく御存じの塩川大臣に物づくりの面できちんとやっていくというその点だけ伺って、質問を終わりたいと思います。
○塩川国務大臣 東大阪のことを心配していただいて、ありがとうございます。 私もそこに住んでおりますので、非常に頭を痛めておりますけれども、しかし、これは確かに、日本の経済がよくなってきても中小企業の回復ということは非常に難しい、いろいろな問題を総合的に解決しなきゃならぬと私は思っておりますが、そのまず第一は、あなたが今おっしゃった最近におきます産業の空洞化といいますか、あの中身をしますと、大企業の問題より中小企業が深刻なんですね。 その一つの例として、最近、日本が輸入しております総額が約四十兆円、そのうち逆輸入が二〇%近くなってきておる。そうしますと、約八兆円近くが逆輸入なんですね。(吉井委員「開発輸入」と呼ぶ)開発輸入、これがほとんど中小企業とバッティングしてくる、こういうことになってきますので、そこをどうするかということを産業構造の問題として考えなきゃならぬと思っております。 そこらに中小企業の知恵をどう絞るか。いろいろなことがあると思います。中小企業が創造的な新しい分野に出ていくということもあるし、むしろ中小企業が、そういうこれから進んでいく発展途上国といいましょうか、いわゆる企業が移っていく、日本国内から出ていきます企業に積極的に関与していく方法をとるということもあると思っておりますので、これは大きい問題として鋭意努力し研究してまいりたいと思っております。
○吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
○山口委員長 時間がかなり経過をいたしております。質問者の方はできるだけ時間をお守りください。 次に、植田至紀君。
○植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。 過日のアメリカでの同時多発テロにかかわりまして、邦人の方々もたくさん犠牲になられておられるようでございます。すべての犠牲者、また行方不明者の皆様方、また御家族、関係者の皆様方に、まず哀悼の意、またお見舞いを申し上げたいと思います。 その上で、やはり国際社会全体として、そうしたテロというものを根絶していかなければならない。今回の事件についても、やはり厳しい法の裁きを受けさせていく、そういうことはやはり国際社会における既に共通認識であろうというふうに考えておるところでございます。 ただし、私ども社民党の立場からすれば、それはやはり国際法上にのっとって行わなければならないものだと考えておりますので、いわば、ある種やられたらやり返せ的な報復に間々日本が加担するというふうな方向については、私たちは反対の立場をとらせていただいておりますということをまず前提として申し上げておきたいと思います。 また、小泉総理が先日記者会見で発表されました我が国の措置についても、当日の昼間の委員会では検討中であると言っておきながら突然抜き打ち的に会見で発表しちゃうという、いわばこういう議会軽視も甚だしい、そうしたことについても我々はこの間強く抗議をしてきたところでございます。 そしてその上で、ここで小泉総理が発表された中身は七項目に及ぶわけでございますが、当然お金がかかる話でございます。仮にこれをやろうという場合、財務省さんとしてはどれぐらいの規模を想定されているのか。そしてまた、財政措置なり財源をどこに求めると考えておられるのかということを、簡単なことですけれども、まずお伺いしたいと思います。
○塩川国務大臣 これはせっかくの御心配でございますけれども、我々も全く同じように将来を気遣い、心配しておるんですけれども、まだ全くわからない、未定のことでございますので、ちょっと答弁を差し控えさせていただきます。
○植田委員 全く未定のことだとおっしゃいましたけれども、では、全く未定のまま、いや、実は私はもうそれを聞けば次の質問に移りたかったんですが、全く未定のまま総理はホワイトハウスに行って、こういうことでうちはやらせてもらいますと。 それはアメリカ側の方は協力してくれればありがたいとおっしゃるでしょうけれども、普通、私は少なくとも反戦主義者でございます、戦争は反対です。でも、こうしたことをするときは、当然、どれぐらいの戦費がかかるんやというようなことと兼ね合わせながら、大体どれぐらいのことができるのかというのを検討するのがごく普通のことだと思うんです。これはどんなことでもそうだと思う。例えば、社民党が福祉を充実せいというような政策を出したら必ず言われます、財源どこにあるんだ、そんな非現実的な主張をなされるからだめなんだとおっしゃられますよね。 だったら、これだって、全くわかりませんということであれば、それで、ええ、わかりましたというふうにはやはりちょっと引き下がりかねるのでございますが。
○塩川国務大臣 協力する措置、そういうものについては、総理から指示として出ておりますからわかっております。今お尋ねの金額、どのぐらいかということについては私は全くわからないということなんでございまして、それでは当面とります措置につきまして申し上げますと、ちょっと長いですけれども、これはちょっと丁寧に説明せにゃならぬのでお聞きおき願いたいと思うんです。 まず第一に、安保理事会決議の第千三百六十八号において国際平和及び安全に対する脅威と認められた本件テロに関連して措置をとる場合、米軍等に対して、医療、輸送・補給等の支援活動……(植田委員「そのペーパーはいただいております」と呼ぶ)ああ、それでは、わかっていただいているならそれでございまして。
○植田委員 だから、この七項目、いろいろ書いていますけれども、ここまで、それこそ詳しく御説明いただけるぐらい一応ありますよね。だから、それぞれとまでは申しませんが、全体どれぐらいの枠組みを考えておられるのかというと、全くわかりませんということやから、それはちょっと異なことですねというふうに私は申し上げたわけです。ほんまに全く真っ白だということは、これは単にこんなことをやってみたいなととりあえず思ってみただけのペーパーということになっちゃいますけれども、そういう理解を我々はしておいていいわけですか。
○塩川国務大臣 これは全くやってみたいというんじゃございませんで、やっていくということでございますから、そのとおりに、誤解ないようにお願いいたします。
○植田委員 だから、それを誤解なく受けとめれば、やると言いながら幾らかかるかわからないということでは、一体負担するのはだれなんかというたら我々なわけですから、今はもう、この議論をするために、きょう用意したのはこのほかにも質問はありますが、少なくとも予算的な、また財源上の裏づけもないまま政府が突然こういうことを発表されたということが事実であるということだけ確認させていただきたいと思います。 次に移りますけれども、私なりの問題意識から、需要喚起型の構造改革の必要性、そういう問題意識で幾つか質問させていただきます。ひょっとしたら経済財政担当大臣に伺うのが一番適切かというような中身もあろうかと思いますが、それは財政当局の御認識ということでお伺いさせていただければと思います。 まず、繰り返すまでもなく、今の長期低迷、厳しい経済状況であるわけですが、GDPも四月から六月期で実質三・二パー、名目で一〇・三パーという過去最大の落ち込み、失業率も五%を超えているという状況の中で、こうした長期低迷の原因というものは、やはり基本的には、構造的な需要不足にあるだろうというふうにまず基本的な認識を持っておきたいなと思うわけです。失業率の上昇の動向であるとか、設備の稼働率等々考えれば、日本経済の大きさ、GDPは、いわば潜在供給能力ではなく需要によってやはり決まってきたんじゃないのかな、そういうところでまず現状認識をさせていただきたいなと思うんですが、そういうふうに認識しておいてよろしいでしょうか。
○塩川国務大臣 現象としてはそういう格好で出ておりますが、私はちょっと、今おっしゃったことに逆らうようで申しわけございませんが、今日本の経済で一番問題は、すべて供給過剰だ。この問題が、裏から見たら需要不足ということでございましょうけれども、供給過剰が日本の経済の中で構造的に解決しなきゃならぬ最大の問題だろうと思っております。
○植田委員 裏表は、私も、逆らうようだと言われれば身もふたもないわけですが、そういう御認識なんですねと。 ただ、需要不足を否定されるわけじゃないわけですよね、別に。需要不足を否定されるわけじゃないのですから、構造的な需要不足が長期低迷の原因だということも否定されるわけではないわけですよね。 そういう理解に立てば、当然、なぜかといいますと、市場に資金はじゃぶじゃぶあるとおっしゃられている方もいらっしゃるわけですが、午後いらっしゃるようですが、少なくとも、需要が落ち込んでいるから、お金を借りて投下することもできないわけですね。ですから、需要をふやす政策が必要だというところは、基本的に枠組みとして間違っていないと思うのです。 ただし、土建国家とやゆされるような、いわば土木、建設、箱物などに偏重した公共事業を中心に需要拡大政策をとってきたという点は、やはり何らの効果をもたらさなかったという点ではそれは間違いだろう。かといって、じゃ、需要拡大による景気回復というのは全く有効性を失ってしまって、サプライサイドの視点に立った構造改革だったらいいのかということにはならないだろうと思うわけです。少なくとも、需要拡大というふうに立てたときに、従来型の公共事業しか見出せないというところに問題があるんじゃないのかなと。 そういう意味で、GDPの六〇パーを占める個人消費を高める、国民生活を再建する、そのための公共投資ということが家計を改善するというふうに立てる発想というのは、ごく素直だと私は思います。それが需要拡大につながるというふうに考えるわけですが、その点はいかがですか。
○塩川国務大臣 それはおっしゃるとおりでして、従来の公共事業のあり方は、要するに大型の公共事業に集中しておったように私は思います。 公共事業の中には二つあると私は思うのです。人を中心にした公共事業と、物を使うことを中心にした公共事業とあると思うのですが、従来型の公共事業というのは、どうも補正予算に出てまいりましたのは、物をどんどん使う、そういう公共事業の方に動く。それはなぜかといったら、計画があって、長期計画に乗っかった前倒しで支給しておりましたから、そうなる。今回は、そうではなくして細かい公共事業、つまり、人を使う公共事業に重点を置くということでやっておりますので、おっしゃるように、植田さんの言うような需要がこれから出てくる、こう思うておりますので、安心していただきたい。
○植田委員 余り、ちょっとまだ安心できないのですが。 といいますのは、実はきょうも、きのう理事懇に出まして、突然、あした質疑だ、質問に立てということで、大慌てで、何をテーマにしようかなと思ったときに、実は、恐らく共産党の先生方よくお読みの「経済」というのを読ませていただいていまして、そこである先生が小泉改革にかかわって、結構、結論部分まではなかなか首肯できないのですが、小泉批判としてはなかなか的確だなと思いながら読んでいた中で、幾つかこの方が資料として出されてきたものをちょっと取り寄せてみたんです。 といいますのは、七月二十四日に経済産業省の産業構造審議会新成長政策部会というのが中間取りまとめというのを出されているようで、恐らく、こういうレッテル張りはよくないのですが、共産党系と言われる経済学者も、健全な景気回復論だと、えらいこれは評価されているようでございます。 そこで、ここで、この取りまとめの中で、日本経済の停滞の原因についてはもうはっきりと、本質的原因は需要不足にあるということで、じゃ、どうするべきか。家計消費を活性化することこそが日本経済活性化のかぎであるというふうにおっしゃっておられるわけです。 また、この雑誌を読んでいたら、住友生命の民間シンクタンク、住友生命総合研究所も、このレポートは、当研究所では、小泉改革を強力に後押しするという立場から、小泉改革には景気回復を明確な目標とする構造改革というのが欠けている、そういう視点に立って、景気回復を明確な目標とする構造改革をするためには、公共事業偏重、いわゆる従来型の公共事業から社会保障重視に根本的に財政構造を改革していく、そして国民の抱える不安感を払拭し、景気回復を図るべきというふうにおっしゃって、どちらも大体同一の、子細に読めばいろいろとあるかもしれませんけれども、問題意識は大体そういうところだと思うのです。 私も、この点についてはほぼ認識としては一致するわけですが、この二つ、今簡単に紹介させていただきましたけれども、御見解はいかがでございますでしょうか。
○村上副大臣 植田委員の御紹介なさったのはどなたの先生の御意見かわかりませんが、私自身はこう考えております。 今、三つ日本は大きな津波が来たと思います。一つは、やはり経済のボーダーレス化、グローバル化で、端的に言えば物、金、人、犯罪までが国境を越えて動いたのですが、その一番の大きな象徴は何かというと、中国、ロシアを含む十億人以上の人たちが資本主義経済に参入してきた、労働力で。それが、ユニクロ化現象や、それからタオルのセーフガードや、例のシイタケ、ネギとか、畳イグサの問題が起こっている。 それから二番目には、先ほど来各委員から御質問があります不良債権であります。バブルの崩壊による不良債権が起こった。そして、資産デフレと信用収縮がとまらない。 そして三番目に、その不良債権の処理と景気対策のために、思い切り財政を出動した。そのために、非ケインズ効果が起こって、国民が将来に不安を抱いて、たんす預金に象徴されるように消費に向かった。その三つの複合的要素が重なっていることに対して、やはり的確に一つ一つ対応していかざるを得ないんじゃないか。 それに、先ほど申し上げたように、小泉さんが申し上げている構造改革というのは、そういう中で、不良債権の処理をしつつ、間接金融から直接金融への金融の構造改革、そして先ほど来申し上げている財政再建のための構造改革、そしてまた実際の、これが一番経済の原動力ですが、やはり欧米に比べて大部分の企業が六三%しか生産性がないということは、配当もつかなければ株価も上がらないわけでありますから、そういう面で生産性や効率性を高めて、やはりグローバルな、株価の評価ができるような、そういう競争力を持った企業に持っていく。そういうものを複合的に、それぞれ着実にやっていかなきゃいけない。 そのためには、それぞれの問題をきちっと詰めながらやっていくためには、どうしても国民や皆さん方の御理解を得てやらざるを得ないということが一番重要なことじゃないか、そういうふうに我々は考えております。
○植田委員 三位一体のお話でございますが、今、大体御説明いただいたようですが、私が申し上げたのは、ここで述べられている、本質的原因は需要不足であるということ、その一点なんです。そのことで結構ですから。
○村上副大臣 それは、実は、皆さん御承知のように、国民の総資産が千四百兆円と言っておられるのですが、実は、その三分の二が六十歳以上が持たれているのですね。そのうち四分の三以上が五十歳以上が持たれている。 それで、植田委員が御指摘されるところなんですが、実は、調べてみますと三十、四十歳代の消費は落ち込んでいないのですね。問題は、その持っている人たちが、どういう例えばニーズやサービスを欲しがっているのか、要求しているのか。そういうことをやはり喚起していくことが重要じゃないかな。 例えば、医療、年金についても、これ以上のいい介護や医療については、規制緩和を行うことによってそういうサービスができるようなシチュエーションをつくっていく。そしてまた、年配の人たちがどういういやし系グッズを欲しているのか、それをやはり各企業がきちっと研究していく。 それからもう一つ私自身考えますのは、若い人の住宅ローンを含めてあれなんですが、例えば六十を超えた人たちでも、やはり新しい家をつくりたいとか家をリニューアルしたいという、いろいろあると思うんですね。また、そういう年配の方たちは、やはりつくれば、我々世代と違って家具も調度品も立派なものを調達なさると思うんですね。そういう面におけるインセンティブをするために税をそういうものに持っていったり、そういうこともやはり複合的に考えていく必要があると私は思うんです。 そういう面で、先ほど来植田委員が御指摘のように、ただ、植田委員にも再質問させていただきたいんですが、今植田委員自身が欲しいものは何かあるんでしょうか。そこら辺がやはり今一番大きな問題じゃないかな、私はそういうふうに考えております。
○植田委員 私が今一番欲しいのは子供でございます。 それはおいておき、確かに今村上副大臣おっしゃったようなところ、例えば、僕は結構おもしろいなと思って読んでいて、幾つか恐らくそういうメニューなんかもあると思うんですよ。実は、この個別のメニューについて聞いてくれるなといって、よそでつくったものですからとおっしゃったんですが、恐らくそういうことも入ってくるだろうと思うんですが、要は、ニーズに新しい技術というものがかち合うことによって潜在的な需要をどう引き出していくか、そういう問題意識は、副大臣おっしゃった、今私も本当に同じ問題意識を持っています。 そういう意味で、例えば、NPOであるとかそうした民間のさまざまなものを積極的に活用していく、これはアメリカの先進的な事例もあるわけでございますし、そういう意味での需要とイノベーションの好循環というものをつくっていく上での財政措置、税制上の措置というものをやはりこれから講ずることを考えていくべきなんじゃないのかな、そこにやはりポイントがあるんじゃないかなと思っているんです。それは否定されないですよね。今のお話がまさにそういう話だったと思うんです。 ただ、やはり私から言わせてもらうと、今、構造改革のメニュー、一言で言えば、金融機関の直接償却を進めて、経営悪化企業はとりあえず倒産させるということに尽きちゃうと思うんですよ。それはやはりサプライサイドの視点に立った構造改革論だと思います。でも、その人たちが常々おっしゃるのは、そうしたら労働生産性の低いところが結局圧縮されて、社会的な労働生産性が上昇するんだとおっしゃっていますよね。それは上昇するんですか。そこが私は大きな疑問なんです。それは、そういうふうに認識されているんでしょうか。
○村上副大臣 これは委員も御承知のように、私の地元はタオルでありまして、まさにセーフガードの問題等で揺れ動いているのですが、本当に、そのタオルを例に出させていただきますと、やはり経済の移行というのは、終戦直後からずっといろいろ起こってきたわけですね、石炭業から繊維業、繊維業から造船業といって。やはりその中で生産性を高めて競争力があるものが残ってきたわけで、やはり一番我々も地元の問題とオーバーラップして苦しむのは、将来性があるところをどんどんやれというのは非常にいいんですが、このままこれをずっとやっておいて、将来性のない分野に正直言って資本と人材をくぎづけにしていることが果たして勧められるべきことかどうかというのは、やはり非常に難しい点があるんですね。それだったら、そういう資本と人材があるとするならば、やはり将来性のある分野に移行するようにお助けをしてあげるということも一つの考え方じゃないかな。 そこら辺は、やはり非常に、今の経営者の世代がどういう世代であるのか、年格好であるのかとか、資本力が幾らであるのかとか、個々的に見た場合に一概には言えないのですが、そういうことを、歴史の趨勢というか経済の流れはこうであるから、皆さん方がこういう方向で対応するのがいいんじゃないかということを正直に言うのも、やはり政治の一つの責任じゃないかなというふうに感じております。
○植田委員 社会的な労働生産性がほんまに上昇するんですかということを私、今のこういう論旨に立って、そういう論説がありますが、上昇するんですかと。 いや、恐らく現場に行けば、それこそ大変な状況というのはいろいろあると思います。本質的に需要が不足しているということを何度もしつこく言っていたのは、社会的な総需要が足りない、そういう状況の中で、当然、倒産をすれば失業者がふえるわけで、過剰な労働力が出てくるわけです。それを吸収するところがどこにもなくなって、非自発的な失業がどんどんふえてしまう。そうなれば、労働の生産性というものはむしろますます悪化するじゃないですかということを私は申し上げたかったわけなんです。 そこは、私はそういう理解をしますが、そのことについてはどうですか。
○山口委員長 時間が経過しておりますので、早目にお願いします。
○村上副大臣 そういう御意見もあると思うんですが、そういうものは、要するにワークシェアリングを含めて、給与の問題、それから電気代、電話代、それからまた流通、そういういろいろなコストをやはりどういうふうにスリム化して競争力をつけるかということを考えて、その全体の考えの中で賃金をどうするかという政策も、やはりトータル的にもうはっきり考える時期に来たんじゃないかな、そういうふうに私は考えております。
○植田委員 御意見はわかりました。 ちょっと質問を幾つか残したのですが、御迷惑をかけると申しわけございませんので、時間が参りましたので、これで終わります。
○山口委員長 午後一時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時四十七分休憩 ————◇————— 午後一時二十二分開議
○山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際、米国において発生をした同時多発テロ事件は、数多くのとうとい人命を奪う、極めて卑劣かつ許しがたい行為であります。 ここに、犠牲となられた方々に哀悼の意を表するとともに、被害者の方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。 事件の犠牲となられた方々の御冥福を祈り、黙祷をささげたいと存じます。 御起立をお願いいたします。——黙祷。 〔総員起立、黙祷〕
○山口委員長 黙祷を終わります。御着席ください。 ————◇—————
○山口委員長 金融に関する件について調査を進めます。 ただいま参考人として日本銀行総裁速水優君、同副総裁山口泰君、同理事黒田巖君、同理事増渕稔君及び同理事小池光一君が出席をしております。 去る六月五日、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づき、国会に提出をされました通貨及び金融の調節に関する報告書につきまして、概要の説明を求めます。日本銀行総裁速水優君。
○速水参考人 日本銀行は、本年六月、平成十二年度下期の通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出させていただきました。今回このような形で日本銀行の金融政策運営について説明する機会をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。 日本銀行は、物価の継続的な下落を防止し、持続的な経済成長の基盤を整備するという断固たる決意を持って、内外の中央銀行の歴史に例を見ない思い切った金融緩和措置を機動的に講じてまいりました。また、先般の米国における同時多発テロ事件の発生後は、資金決済の円滑と金融市場の安定を確保するために、市場に極めて大量の資金を供給いたしますなど、迅速な対応に努めてまいりました。 そこで本席では、まず私から、最近の内外経済情勢や金融政策運営につきまして申し述べさせていただきたいと思います。 内外経済情勢と八月の追加緩和措置から始めたいと思いますが、日本経済の動向を見ますと、昨年秋以降の世界的なIT関連分野の調整や、これを背景とします海外経済の急激な減速を受けまして、輸出が大きく落ち込み、また、国内生産も大幅な減少を見ることになりました。 海外経済の方は、その後も減速傾向を一段と強めてまいりました。すなわち、米国や東アジアでの経済の調整がさらに深まる中で、欧州でも景気の減速が次第に明確となってまいりました。こうしたもとで、日本の輸出や生産は大幅な減少を続け、企業の収益や設備投資も減少に転じてまいりました。さらに最近では、このような企業部門の調整の影響が雇用・所得面にも広がり始めるなど、経済の情勢は厳しさを増してきております。この間、物価は、需要の落ち込みに加え、技術革新や流通合理化、安値輸入品流入の影響などもあって、下落傾向を続けております。 こうした経済情勢の悪化に対して、日本銀行は三月に、コールレートという金利にかわって、日銀当座預金という資金の量を金融調節の主たる操作目標として、その上で、この残高を、それまでの四兆円程度から五兆円程度に増額するという、思い切った金融緩和に踏み切りました。さらに、この新しい金融調節の枠組みを消費者物価の上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで続けることを決めました。 さらに八月には、この新しい枠組みのもとで、金融面から景気回復を支援する力をさらに強化するために、日銀当座預金残高を六兆円程度に増額するとともに、大量の資金供給を円滑に行うため、必要に応じて長期国債の買い入れを増額いたしました。 その後、今月の十一日には、米国において、同時多発テロという大変衝撃的な、また痛ましい事件が起こりました。 事件の発生後、日本銀行は直ちに危機対策本部を設置するとともに、東京の金融市場が開く前に、私が談話を発表し、資金決済の円滑と金融市場の安定確保に万全を期すという断固たる姿勢を明らかにしました。その上で日本銀行は、翌十二日朝、世界に最初に開かれる東京の市場で、流動性需要の増加に対応して、二兆円という大量の資金供給を機動的に実施しました。これで日銀当座預金残高は八兆円を上回る水準にまで引き上がったわけでございます。 その後、内外の金融市場を見ますと、日本銀行を初めとする主要中央銀行による潤沢な資金供給や、市場参加者による適切な対応の結果、これまでのところは、取引や決済面での大きな混乱は回避されております。 しかし、今回の事件が、内外の金融・資本市場や、ひいては実体経済活動にどのような影響を与えていくのか、引き続き細心の注意を持って見守っていく必要があると思います。また、今後、万が一にも資金決済の円滑さや金融市場の安定性が損なわれるような事態になりますと、これまでの思い切った金融緩和措置の効果浸透にも支障を来すおそれがあります。 こうした情勢にかんがみて、日本銀行は、今週、九月十八日に開催されました定例の金融政策決定会合におきまして、議長であります私の提案により、当初十八、十九日の二日間とされておりました日程を一日に短縮して、速やかに金融政策運営の方針を決定することといたしました。その上で、金融市場の安定を確保するとともに、金融緩和のより強力な効果浸透を図る観点から、次の三つの措置を決定いたしました。 第一に、当面、日銀当座預金残高について、具体的な目標金額を特定せず、市場が必要とする資金を機動的にかつ潤沢に供給していくことといたしました。 第二に、公定歩合の引き下げを実施いたしました。現在、公定歩合は、本年三月に導入したロンバート型貸付制度、すなわち、担保など一定の条件を満たせば、金融機関が日本銀行から自動的に貸し出しを受けられるという制度の適用金利となっているわけでございます。これを今回〇・一五%引き下げまして、〇・一%といたしました。 第三に、九月中間期末に向けました臨時措置として、ロンバート型貸付制度の利用の上限日数を引き上げることといたしました。 このように日本銀行は、本年入り後、世界的な経済情勢の悪化や米国におけるテロ事件の発生といった困難な局面の中で、機動的かつ弾力的な金融政策運営に全力を挙げて努めてまいりました。 仮に、日本銀行は物価の下落を放置しているといった見方があるとすれば、それは全くの誤解です。この点は、ぜひとも御理解いただきたいと思います。 しかし、日本銀行が金融市場に対して資金を文字どおりじゃぶじゃぶに供給しても、そうした金融緩和の効果が金融機関行動や実体経済活動になかなか伝わっていかないのが現状でございます。このような状況のもとでは、物価の下落傾向を金融緩和だけで食いとめていくことは難しいと言わざるを得ません。 金融緩和の効果が十分に発揮され、日本経済が安定的かつ持続的な成長軌道に復帰するためには、現在の極めて緩和的な金融環境を活用するような前向きの経済活動を促して、民間需要を喚起することが不可欠だと思います。そのためには、不良債権の処理により金融システムの機能を回復させることや、税制面での措置などを通じて資本市場の機能を高めていくこと、さらには、民間需要を効果的に引き出していく方向で財政支出の内容を見直していくことなどが重要かと思います。とりわけ、不良債権問題、裏から見れば企業の過剰債務の問題が解決しない状況のもとでは、日本銀行による思い切った金融緩和は効果を発揮しにくいと申してよいかと思います。 日本銀行は、物価の継続的な下落を防止するとともに、不良債権処理に伴う問題への対応も含め、日本経済の安定的かつ持続的な成長の基盤を整備するために、今後とも中央銀行としてなし得る最大限の努力をしていく決意でございます。同時に、金融システム面や経済、産業面での構造改革への取り組みがたゆまず進められていくことを強く期待している次第でございます。 御清聴ありがとうございました。
○山口委員長 これにて概要の説明は終了いたしました。 —————————————
○山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木淑夫君。
○鈴木(淑)委員 自由党の鈴木淑夫でございます。きょうは、速水総裁以下日本銀行の関係役員の皆様、まことに御苦労さまでございます。 こういう形で半期報告を、当現在財務金融委員会、以前大蔵委員会で審査する形が定着してまいりましたことは大変喜ばしいことだと思っております。これからもひとつよろしく御協力のほどをお願い申し上げます。 ただいま米国における同時多発テロの犠牲者に哀悼の意を表する黙祷をささげたところでありますが、私ども財務金融委員会の山口委員長、それから私自身を含めまして与野党の理事の皆さん方、実は、あの事件が発生するちょうど一週間前の火曜日にあの場におりまして、ニューヨーク連銀や証券取引所を訪問しておりました。また、日程はちょうどあの事件が発生する二日前の日曜日に向こうを立つことになっておりまして、日程どおり帰ってきた人は大丈夫だったのですが、伊藤理事など、その後御自分の日程で滞在された方は帰れなくなるというようなことになって、一同大いに心配をしておりました。与野党を超えて心配しておりましたが、無事お帰りいただきました。 しかし、それにつけても、あの現場を見てきた直後のことでございますし、あのビルに多くの日本の金融関係者もおります。多数の犠牲者が出ましたことについて本当に残念に思い、深く哀悼の意を表するとともに、テロを憎む気持ち、改めて確認をさせていただきたいと思います。 さて、本論に入りたいと思います。 今、日本銀行のあり方について、本当の基本的な問題が一つ、少なくとも一つ提起されておると思います。それは、ずばり名前を言いますが、竹中経済財政担当大臣がいろいろな場所で、中央銀行の独立性あるいは金融政策の独立性というのは、金融政策の手段の独立性というのは各国共通しているが、金融政策の目標は政府が決めているところもある、日本の場合は、目的、手段ともに新日銀法のもとで政策委員会が決定する、それに対して政府は意見を言ったり議決延期を請求することはできるけれども、決定には参加できないという形になっているが、これでいいのかという問題提起をしております。 速水総裁、この際、日本銀行として、目的についても独立性を持つ、このあり方について率直な御見解を伺いたい。大臣が疑問を呈しているからといって御遠慮されずに、思ったとおりのことをここで述べていただきたいと思います。
○速水参考人 お答えいたします。 物価の安定を達成しますためには中央銀行に高い独立性が与えられることは望ましいという考え方は、御承知のように、過去の歴史から得られた重要な教訓だと思います。 実際、FRBにしても欧州中央銀行、ECBにしましても、先進各国の中央銀行制度を見ますと、金融政策の大きな目的や理念は法律で定めた上で、その達成のための政策運営は独立した中央銀行にゆだねるという仕組みが一般的になっていると思います。 我が国の場合もこれは同様でございまして、日本銀行法第二条に、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、それを理念とするというふうに目的が、目標がはっきり書かれております。これは、法律でこういうふうに決められておるわけでございまして、そのもとで金融政策運営の独立性が確保されているものと理解しております。 金融政策の独立性につきましては以上のような整理ができますが、御指摘の議論は、手段の独立性と目的の独立性という議論の形をとっておりますけれども、実は、いわゆるインフレターゲティングの導入を念頭に置かれた御意見ではないかというふうに思います。仮に、そうしたインフレターゲティングの議論が、高目のインフレ率の目標を設定してその実現のためにあらゆる政策手段を動員すべきであるという議論であるとすれば、日本銀行としては、そうした政策をとるつもりは全くございません。
○鈴木(淑)委員 私事にわたるようで恐縮でございますが、私は実は、「日本の金融政策」という題の書物を岩波新書の形で九〇年代の初めに出しております。それで、その本の中で、率直に言って、戦後、日本銀行は二度大きな失敗をしたということを書いてあります。当時、私、日本銀行の理事をやめた後で、野村総合研究所の理事長でしたから、率直に書きました。 二度の失敗というのは、昭和四十七、八年、一九七二、三年の過剰流動性に基づく大インフレーションの発生、その後石油危機が発生して、今度は大スタグフレーションに突入して初めてマイナス成長を記録するわけですね。その次は、言うまでもなく、八〇年代後半のバブル発生、そしてその崩壊に伴ってまたマイナス成長に陥っているわけです。 この二つの失敗がなぜ起きたかということについて、さまざまな背景がある。それを分析すると同時に、共通していることの一つの点として、あのとき政府が日本銀行に、最初の過剰流動性インフレのときは、戦後初めての円の切り上げの直後、これ以上円切り上げ圧力がかからないように、黒字がますます拡大しないように、つまり、円高阻止を目標として金融政策を運営しろという圧力がはっきりかかってきました。私は内部にいて知っております。それから、過剰流動性のときは、同じことですが、プラザ合意の後のパリのルーブル合意で、これ以上ドル安が進まないように協力しようという国際協定がありまして、これに基づいて、政府がやはり日本銀行に対して、ドル安阻止を目標にして金融政策を運営しろという圧力を加えてきました。これも私は内部におりましたから承知をしております。 当時は旧日銀法でございますから、政府は政策の指示権を持っていました。また、政府は気に入らなければ総裁の首を切ることができました。つまり、私は岩波新書の中で、この政策指示権とそれから総裁の首切り権を政府が持っている、こんな中央銀行法は先進国にないよ、これがバックにあるから日本銀行は、口では独立性と言っても、金融政策の目標について政府から押しつけられた場合に抵抗できないんだ、少なくともこの二点を改正する日銀法の改正を早くやらなきゃいけないということを岩波新書の中ではっきり書きました。 その後、総理の諮問機関の形で、有識者が集まって日銀法の改正を議論し、幸いにして私のこの二点は取り入れられまして、今の新日銀法では政策指示権はなくなりました。総裁の地位は国会における承認事項になりましたので、国会の意思を無視して勝手に政府が首切りをするということはできないという形で保障をされているのであります。 こういう歴史をひもとくならば、私は、金融政策の目的を、今、法律で定められている以上に具体的に、例えば、インフレ率プラス二、三%なんということで日本銀行に押しつけるということは危険千万だというふうに考えております。 一部のアングロサクソン系の国で、国会の決議に基づいてインフレ率を三%にしろとかいうようなことを決めているケースはありますが、これは大インフレの真っ最中に、ここまで下げてくれよという形の要請で、それを中央銀行が受け入れるという形の例はありますけれども、逆に、インフレ率をここまで上げろというような形の目的を押しつけるということは、過去において、円高阻止とかドル安阻止とかいう形の目的を押しつけることによって、大インフレあるいはバブルの発生と崩壊という大失敗を犯したのと同じような危険を含んでいると思います。 先ほど総裁は、インフレ目標導入に反対、こうおっしゃいましたが、今の点からいっても、法律に定められている目的をもっと具体的に、インフレ率プラス二、三%などという形で政府が押しつけてくることの危険性ということについて私の考えを申し述べましたが、総裁のお考えを確認させていただきたいと思います。
○速水参考人 インフレターゲティングにつきましては、我々の考え方は変わっておりません。すなわち、高目のインフレ率を目標に設定して、その実現のためにあらゆる政策手段を動員する、先ほど鈴木委員のおっしゃった円高防止のためにやったときに調整インフレという言葉が使われたのを私も今でも覚えております。こういった調整インフレ政策というものは、とるつもりは全くございません。 一方で、金融政策運営の透明性を高める手段としてインフレターゲティングという、これは我々としても一つの検討課題であるというふうに位置づけておりますが、次に申し上げるような観点から、現時点ではこれを採用することは適当でないと考えております。 一つは、金融政策というのは、あくまで金融機関や金融市場を通じて経済主体の行動に間接的に影響を与えるものであると思います。現在、日本銀行は金融市場に対して文字どおりじゃぶじゃぶの資金を供給しているんですが、さまざまな構造問題が残存するもとで、そうした金融緩和の効果が経済になかなか波及していかない状況が続いております。このような状況のもとで仮にターゲットを設定いたしましても、それを金融政策だけで達成しにくい、していくことは非常に難しいことだというふうに思います。 もう一つは、現在、需要の弱さに加えまして、技術革新とか規制緩和とか流通合理化、輸入と、さまざまな要因で物価に複雑な影響を及ぼしている状況の中で、ある程度の期間にわたって妥当性を持つ目標値を設定するということはなかなか難しいことではないかというふうに判断いたしております。 これが理由でございます。
○鈴木(淑)委員 プラスのインフレ目標導入についてのはっきりした反対の御意見を伺いまして、私も大変うれしく思います。 総裁おっしゃいますように、今の物価下落は、根本的には需要が弱いためであり、そして、その需要停滞のさらに基本的な背景としては、構造改革を先送りしてきているために、民間経済に元気が出ない。財政政策で刺激しても、一時的には経済拡張しますが、持続性がない。それは構造改革をしてこなかったことに伴う民間経済の弱さだというふうに思っておりますので、冒頭の総裁の御意見の最後の部分、四ページの最後の部分にありますように、不良債権の処理と税制面の措置、民間需要を効果的に引き出すような財政支出等々が基本だという御意見は全くそのとおりだなというふうに思っております。 それともう一つ、今デフレで苦しんでおられる経営者は大勢いらっしゃるために大変言いにくいところでありますが、しかし、経営革新に自信を持っている、例えばユニクロとかあるいは吉野家の牛どんでもいいんですが、品質を下げないで価格を下げることに成功して大発展をしている企業の経営者たちは、異口同音に今は改革の時代だと。流通の合理化、経営の革新、開発輸入の工夫等々で、消費者に喜ばれるような高い質を維持したままの価格引き下げがあちこちで起きております。全部がそうだとは言いません。需要の停滞に基づく物価下落が相当あるということは認めますが、中にはそういうものもありますから、今速水総裁がおっしゃいましたように、今の物価下落というのはそんな単純なものではない。そういうときに、プラスのインフレ目標を設定して、それを日本銀行に守れと押しつけることは、大変危険千万だと思います。 これは、総裁でなくて副総裁あるいは御担当の理事でもいいのですが、まず第一に、インフレ目標を設定して、今六兆円あるいは時に八兆円ぐらい積んでいる日銀当座預金のアイドルバランス、これをどんどんふやしていったからといって、私は、さっき言ったさまざまの対策を講じない限り、需要が出てくるとは思わないのですね。 ただ、唯一可能性があるのは、投機だと思っております。政府はインフレ目標設定を言っておる。これは、さっき総裁がおっしゃいましたように、大インフレを起こしたときの昭和四十八年の調整インフレ論と質は同じです。そういうのを聞いて、そしてまた、日本銀行はとうとう押しつけられちゃって、それを受け入れちゃったというような事態に仮になりますと、やはり今のような供給超過のもとでも、希少性のある商品というのは探せばあるわけですね。希少金属、あるいは金のような貴金属もそうですが、そういったもので投機というのは十分起こり得る。また、地価はまだ弱いのですが、特定の土地で、地価が突如上がり出すような投機も起こり得るわけです。ですから、万一投機が起きてきた場合、大変に私は危険なことになるというふうに思うんです。 そこでお尋ねしますが、あれだけ六兆円とか八兆円とかアイドルバランスをじゃぶじゃぶ積んでおいたときに、投機が出てきたら、非常に心配じゃありませんか。日本銀行はその点、どういうふうに考えておられますか。
○山口参考人 日本銀行は、金融市場の中が文字どおりじゃぶじゃぶと形容されるような大量の資金供給を継続しております。 ただ、経済情勢全般に、鈴木委員も御指摘のような大変厳しい状況にございます。加えて、金融システムが機能不全の状態にございまして、残念ながら、日本銀行が供給している資金が金融システムの外側にどんどん流れ出していくというような状態には至っておりません。そういう状況でございますから、現在、御指摘のような投機的な動きを心配しなければいけない状態ではないというふうに考えております。 ただ、経済の中にございます流動性の水準といったものを観察してみますと、やはり歴史的に見ましても、経済活動の状態に比べまして流動性の水準がかなり高くなっているということは事実だと存じます。一たん景気が回復に向かい始めるというような局面になりますと、経済の中に大量に存在している流動性がどういう動き方をするかということは、これは将来の問題でございますけれども、頭の中に入れておかなければいけないと思っております。 また、そこへ参ります以前の段階におきましても、もしこれから世界経済が全体として一種の戦争モードということになっていきますと、そういう雰囲気の中でどういうようなことが世界の市場の中で起きてくることになるのか、それもこれまで以上に気を引き締めて見ていかなければいけないのではないかというふうに思っております。そういう若干長期的な流れも頭に置きながら、できるだけ経済の持続的な健全な発展に資することができるような政策運営を心がけてまいりたいと思っております。
○鈴木(淑)委員 私の方から指摘したいと思っていたことを山口副総裁が一つ言われたので安心をいたしましたが、この同時多発テロの後、どういう軍事情勢が世界で展開されるか、正確に予見することは不可能ではありますが、しかし心配であります。そういうときに、さっき私が言いましたような戦略物資、その中で希少性のあるもので投機が起きるということは十分考えられることです。 それからもう一つは、山口副総裁言われましたように、これは割といいケースですが、やっとのことで景気が自律的に回復し始めた、そういう気配が出たというときは、やはり我先にと物価上昇あるいは地価、株価の上昇を見越して投機的な動きが出るということは十分考えられる。この場合の投機は、別に悪いという意味ではなくて、経済の中での合理的な行動としての投機が当然出てくると思うのです。そのときに、今のようなじゃぶじゃぶな状態でおりますと、日銀として心配しておられるとは思いますが、私は幾つかのことを懸念しているのです。 一つは、今、当座預金に積んであるアイドルバランス、六兆円とか八兆円とかいうのを吸収するのは簡単にできる。これは売りオペで急遽吸収すればいいのですが、それをやっても、さっき山口副総裁が言われた企業や金融機関の流動性ポジションというのはすぐには落とすことができない。過去の大インフレのときも、バブル発生のときも、あの企業や金融機関の過剰流動性を吸収するのには相当時間がかかっています。半年ではきかないですね。今度もそういう状態になっていますので、これを吸収するためにはかなり急激な引き締めをせざるを得ないでしょうね。しかし、これがまた危険千万なことでありまして、あのバブルを崩壊させたときのような急激な引き締めをするというのは危険千万なことであります。 まず第一に私が心配しておりますのは、そんなむちゃなことをしたら、そのときは金利が急騰すると思うんですね。そうすれば長期国債の暴落が起こります。株価の下落の比ではないと思います、金融機関がこうむるキャピタルロスは。時価会計ですから、これがすぐに表面化してくる。九月の決算からはっきりと時価会計でいくわけですから、すぐに表面化してくる、これが一つ大変恐ろしいことだなというふうに考えております。ですから、これだけ長いこと超金融緩和をやった後には急激な引き締めはできない、やると金融システムが混乱するおそれがあるということなんですね。だから、逆に言うと、急激な引き締めをしなきゃいけないような状況にならないように、今から気をつけろということだと私は考えています。 以上二点、つまり、金融機関や企業の段階の流動性を吸収するというのは、そう短期間ではできませんよ、短期間でやろうと思って急激に締めたら金利が暴騰しますから、大変な国債の値下がりに伴うキャピタルロスを金融機関が計上しなきゃいけなくなりますよ、だから急激な引き締めをしなきゃいけないような状況には持っていかないようにしなきゃいけないのだ。それを考えると、今の過剰流動性は相当心配ですね。 その点について、どういうふうに考えておられますか。
○山口参考人 まず冒頭に申し上げるべきことは、現在はまだ経済の中の需給ギャップが非常に大きくございまして、さらに残念ながら、それが拡大方向に動いているという状況でございますから、何とかしてこの流れを食いとめ、できれば逆転できるような政策を一生懸命工夫していかなければいけない、そういうふうに思っております。 そう申し上げた上で、鈴木先生御指摘の将来あり得べき問題ということについて、簡単に一、二申し上げたいと存じます。 一つは、急激な引き締めをせねばいけなくなるような事態を未然に回避すべきであるという御提言だと思いますが、それはそのとおりだと存じます。将来もし景気回復の展望が非常に明確になってくるというようなことになった場合の話でございますけれども、それはできるだけ経済の中の流れを的確に見きわめ、それにおくれないような政策を、先見性を持って打っていく、これが第一だろうと思います。 それからもう一つ御指摘になられました、もし将来金利が大幅に上昇するというようなことになった場合、金融機関のバランスシートその他に与えるかなり大きな副作用の御指摘があったと思います。それも、短い間に急激な金利上昇ということになりますと、さまざまな副作用が心配されます。恐らく景気回復が着実に進行する展望が出てきた場合には、もう少し金融機関の借り入れに対する資金需要がふえてくるとか、あるいは株価も上昇に転ずるとか、金融機関のバランスシートにとってはそれを補強するような幾つかの動きも出てくるかと存じます。したがいまして、債券保有に伴うキャピタルロスというのは、そういうさまざまな総合的な現象の中の一つとして考え、その位置づけということをとらえていく必要があるというふうに思っております。 いずれにしましても、これは将来の問題でございますが、潜在的にそういうことは一たん景気回復の展望が明確になってきた場合にはあり得る問題であろうというふうに、これも頭の中にしっかり入れておきたいと思っております。
○鈴木(淑)委員 最初に申し上げましたように、私ども、米国、カナダを訪問いたしました。ワシントンの連邦準備制度理事会、それからニューヨーク連銀、両方参りました。そこで彼らがはっきり言っていたことの一つは、いわゆるひもの理論ですね。ひもで引っ張ることはできるが、ひもで押すことはできない。ケインズの言うリクイディティートラップの状況に日本は今落ちている。幾らひもを押したって金利が下がらない、アイドルバランスが積もっていくだけだという状況であることはよくわかっているとアメリカの当局は言っておりました。 時間でございますので、最後に日本銀行の皆さんに要望しておきたいことは、そういう世界的にも認められている理屈を、あいつまた同じことを言っていると言われても、繰り返し繰り返し主張すること。そして、インフレ目標導入という衣を着た調整インフレ論に対して果敢に反論すること。そして、万一インフレが起きたときに大変な損害を受けるのは国民一般である、そのこともしっかりと主張して、国民の支持を取りつけること。ぜひ勇気を持って、今一番難しいときですが、これを貫いていただきたい、このことを要望して、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○山口委員長 次に、中川正春君。
○中川(正)委員 民主党の中川正春でございます。 先ほど皆さんと一緒に黙祷をささげさせていただきましたが、このテロという問題について、改めて犠牲者の御冥福をお祈り申し上げたいというふうに思います。同時に、先ほどもちょっとお話が出ましたが、ここで世界のそれこそセントラルバンクが中心になって、このテロに負けることがあってはならない、経済というものを混乱させない、これがもう一つの重要なテロ対策、民主主義が挑戦されたときに私たちが改めて力を合わせて頑張っていく、その流れをつくり出していくということ、これがいかに大切かということであろうかと思うのです。 その上に立って、先ほどもお話が出ましたが、初期行動、初期施策というのはそれなりに安定したものになった。これからいよいよ軍事モードになってきて、しかもブッシュさんのもとではこれはかなり長期化をするであろうという前提の中で、戦争の準備が進んでおります。となると、この経済運営も、そういう前提、そういうモードの中で私たちが体制を切りかえていく、つくり上げていくということ、これが一番大切なことになってくるんだろうと思うのです。 そんな前提に立って、一つは、国際的にこの問題を今どういう状況の中で議論をしているかということ。それからもう一つは、国内的には、この状況の変化によって日銀のこれまでの政策の立場、これが、ここにも多少は触れてありますが、もっと根本的なところで私は相当深く掘り込んで、国民にメッセージを出す必要があるんじゃないか、こんなふうに思っております。その上に立って、改めて日銀政策の心づもりといいますか、そこのところを聞かせていただきたいというふうに思います。
○速水参考人 先ほども申しましたが、日本銀行は、米国におけるテロ事件発生後、直ちに危機対策本部というのを真夜中でしたけれども設置いたしまして、金融機関の業務遂行とか資金決済に及ぼす影響とかアメリカでの資金決済、ドル決済、邦銀の資金のリクイディティーといったようなことの中から情報を集め始めまして、海外の中央銀行とも密接な情報交換を行い、私どもの海外事務所とも連絡をとりながら、十二日の朝になって市場を開く、その前に御承知のようにG7が共同声明を出しまして、日本銀行でも総裁談話ということで私どものできる限りのことをやって、決済の安定性、流動性の十分な供給ということを決心、決意を固めまして、市場の開くのを待ったわけですが、やはりかなり需要がふえてきているということで、金利が上がっていく可能性があるということでございましたので、東京が一番先駆けて十二日の市場が開かれたわけですけれども、九時三分にまず一兆円の手形買いオペをやりました。そのときにも〇・一一%といったような、大きな外銀、邦銀あたりから手形の売却の申し出が出てきているといったようなことで、これはなかなか大変だということでさらに一兆円加えまして、二兆円の資金供給を朝のうちにやりました。それは非常にタイミングもよかったし、金利も資金量もおおむね十分であったというふうに思っております。 それによりまして、大体落ちついてここまで来ておるわけでございますが、今後どうしていくかということで、今週の政策決定会合におきまして、金融市場の安定を確保するとともに、金融緩和のより強力な効果浸透を図るという措置を決定した次第でございます。この措置は、国際的な協調行動の必要性ということも十分意識して、公定歩合の引き下げも含めた三つの措置をとったわけでございます。 日本銀行としましては、今後とも、海外の中央銀行とも協力しながら、資金決済の円滑と金融市場の安定が損なわれないように細心の注意をもって見守っていきたいと思っております。そして、必要に応じて機動的な対応をしていく所存でございます。
○中川(正)委員 国際的には、今回のテロの資金というものが金融市場の中で確保された可能性がある、その中で、各国、協力をしながらその調査に入ろうじゃないかというような話もあり、これは直接日銀に、どんな形でそれが貢献できるのかということ、これもあろうかと思いますし、それからもう一つは、ドルのこれからの変動ですね。これに対してどのような決意を持って臨もうとしていくのか。 これは、本来はこれはもう財務省管轄なんでしょうが、実際のところは戦略の中で協力し合いながら支えていくということであろうかと思うんです。そういう意味で、それぞれ政策当事者の考え方、決意というのを具体的にお話しいただきたいというふうに思います。
○速水参考人 これからアメリカでどういうことになっていくかわかりませんけれども、幸い、ちょうど一週間、ニューヨークの株式市場が閉鎖になりまして、今週になって開かれましたわけで、思ったとおりの株の下落があったわけですけれども、私は、結果としては、一週間休んでいる間にやはりいろいろな政治的、社会的、経済的な動きが始まって、証券の市場なども、あのまま続けていてどかんと価格が下がって、世界じゅうの証券市場が大きな影響を同時に受けるというよりは、比較的穏やかに動き始めたというふうに考えております。 これからまた何が起こってくるか全くわかりません。そういうものに備えて、私どもが十八日に決めました六兆円を上回って、今、きょうあたり八兆、九兆というふうに当座預金残高はふえておりますけれども、これはやはり、資金の供給と同時に、金融市場の方でもあるいは金融機関の方でも、期末を控えて先行きに対する資金の不安といったようなものもあって出てきているものだと思いますけれども、このままいけば、この九月の期末はそれほど大きな騒ぎなくして越せるんじゃないかという見通しがついてきているように思います。 もちろん、アメリカの出方がこれからどういうものが出てくるかわかりませんし、世界のどこで何が起こるかわからない状況でございますけれども、そういうものに備えて資金が幾らでも出せるという、決定会合で政策の決定をいたし、そしてまた、特定の銀行が資金のショートで破綻に陥る可能性があるといったような場合には、今度引き下げました公定歩合〇・一%で、ロンバート貸し出し、担保さえあれば、日本銀行に駆け込んでくれれば資金を出せるという制度にもいたしましたので、当面のところはこれで乗り越えていけるというふうに思っております。 それから先の政策につきましては今ここで申し上げることも難しいと思いますし、よくよく情勢を見、各国の中央銀行とも連携をとりながら、対応を素早くやっていきたいというふうに思っております。 為替の方でもいろいろなことが起こるだろうと思います。ここまで強いということで来ましたアメリカの経済とドルというものが情勢を変えてきているわけですから、いろいろなことが起こっていくことは自然の成り行きだというふうに思います。そういうものにうまく対応していくことをしてまいりたい、努力してまいりたいというふうに思っております。
○中川(正)委員 そういう状況を踏まえて、次に具体的な政策論議を、先ほどは鈴木委員の方は大分アカデミックにやっていただきましたけれども、私の方は、どちらかというと、国民のサイドから見ていてどうも理解できないところがある、もう一つ中央銀行として役割が十分に果たせていないんじゃないかという今の批判にのっとって、それはこういうことなんだ、あるいはこんなつもりでやっているんだというもし弁明があれば、その皆さん方の説明責任を引き出す、そういう意義からも素朴な質問をやっていきたいというふうに思っています。 ずっと過去振り返って考えていくと、先ほどから、日本銀行の目標というのは物価なんだ、物価の安定なんだ、こういうふうなことを何回も何回も言われましたが、しかし、国民が今一番懸念しているのは、景気と、それから銀行がつぶれるんじゃないかという金融不安と、それが世界の環境の中で、戦争が始まってきた、こういうことの中で、こうした問題に対してどうなんだということですね。 それを政治の分野、国会では議論し、是か非かという話を片方議論しているときに、もう片方で、いや、物価なんだ、物価を安定させていくということが私たちの使命なんだ、こういうことだけで日銀の役割が説明し切れるかということ。そこに一つのギャップといいますか、認識のギャップみたいなものがあって、だから、日銀を独立させておいても役に立たないじゃないか、我々と目標を一にした中でひとつ頑張っていくべきじゃないかという、もう一つの過去にあった議論というのが出てくるということだと思うんですね。 だから、そこのところは、もし独立性を言うのであれば、今の国民の懸念をしている問題、それに真っすぐに説明がぽっと入るような、そういういわゆる政策の打ち出し方ということ、これがもう一つ必要なんだろうというふうに思うんですね。 その上に立って、具体的にやっていることというのは、それは、それにこたえている部分があるんですよね。例えば、これは二つ問題がある。それは、金融不安の問題に対してどうこたえるか、それからもう一つは、景気というもの、もう一つは、構造改革を進めていく上でそれを下支えしていくような金融政策、これは景気ということにも通じてくる、この二つを区別して私は考えていく必要があるんだろうというふうに思うんですね。 さっきお話の出ました、八兆円以上、もう幾らでもいいよ、銀行の日銀内の預金を積み上げなさいよ、だからじゃぶじゃぶですよという話であるとか、あるいはロンバート型の貸し付けであるとかという、この辺に出てきた話というのは、基本的には、金融不安に対するいわば保証といいますか、安心材料ですよと。まさかのときに、以前にあったような形で、山一や三洋やというふうな形で資金ショートで破綻に追い込まれるということはこれでありませんよという、そこのところだと思うんですよ。 ところが、これがもう一つ、さっきの下支え、景気に対してどうかということになると、さっき皆さんの答えの中からも出ていたように、これは幾らその辺でじゃぶじゃぶにしてもその先が進まないんだと。本当の意味で量的緩和、いわゆるそれぞれの企業が本当に必要な資金として使えるような状況になっていない、これは各銀行がリスクをとらないということ。 こんなことも含めて、皆さんの説明では、借り手がないんだからしようがないでしょうというような、さっきもマネーが、いわゆる為替が動いていく、そのしようがない状況に対してどう対応していくかということだけだ、そういうスタンスがありましたけれども、実際はそうじゃなくて、私たちの身近でいくと、借りたいけれども担保の価値が下がってきて、いろいろな意味で売り上げも下がってくる、商売はうまくいっているんだけれども貸しはがしされるんですよという話があふれているんですよ。そこのところへ向いて、しようがないでしょうと言ってしまったら、これは景気対策にならない、そういう矛盾が見えているように思うんですね。 そんな前提に立って、この金融不安への対応、まずこれから行きたいと思うんですが、これは、現在の状況で大体政府が目標としている、不良債権を早期に直接償却ができて、構造改革が進んで、次のレベルへ向いて日本の経済が持っていけるような金融体質にこの政策だけでいけるのかどうか、ここのところはどういうふうに見ておられますか。
○速水参考人 先ほどから説明させていただいておるわけですけれども、私どもは、いわゆる資金の供給だけは、日銀から、過去五年をとりましても毎年八%アップぐらいの日銀供給の金が出ているわけで、それが必ずしも金融機関の預金、マネタリーベースが八%で、それに対してマネーサプライ、金融機関のベースでは三・三%ぐらい。それがまた貸し出しになりますとマイナス〇・四、ふえていない。 それが実体経済にどう流れていくかということになりますと、実体経済は、御承知のように、過去五年でも平均一%前後といったようなことで、物価の方は、CPIはほとんど横ばいでございますけれども、金を出してもなかなか民間の企業や家計に入っていかない、流れていかないというのがこれまでの私どもの経験からはっきりしてきた事態でございます。 それは、やはり金融機関の仲介業務といったようなものがうまく働いていないということは確かにあると思います。その基本に、根本にありますのが、なぜかといいますと、やはり不良債権が非常に多くて、それを償却していく、減らしていくことに精いっぱいであって、なかなか新しい借り手を見つけ、あるいは企業を育てていくといったところまで届いていかないというのが現状であると思います。 そういう意味で、先生のおっしゃるように、今どこから手をつければいいのかということを言われますれば、やはり先般の小泉政権のこれからの骨太の方針の中に出ておりましたように、まず金融機関の不良貸し出しを減らしていくということを手がけなければいけないと思っております。その方につきましては、民間の金融機関、まあ、かなり前回公的資金も入っておりますし、今そんなに資金が足りないというわけではないのですけれども、やはりまだ不良債権をなくしていくだけの十分の準備と時間とが、ややこれまでむだに過ぎてきたといったようなことがあると思います。 今度の、今、きょうあたりの諮問会議、これからまた開かれるわけですけれども、いよいよ動き始めるところまで来ていると思いますので、具体的な手が一つ一つ打たれていくことと思いますけれども、そういう場合に私どもが何かお手伝いすることがあるならば、私どものできるだけの下支えといいますか、構造改革の資金の面からのお手伝いをさせていただきたいというふうに思っております。 最初におっしゃったように、日本銀行の職務は何なのかということでございますけれども、これは、新日銀法の中にはっきり書いてございますように、日本銀行は、我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行うことを目的とするんだ、日本銀行は、前項に規定するもののほかに、銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑な確保を図って、信用秩序の維持に資することを目的とするんだ。その場合の理念は、日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とするんだ、方向はここにはっきり書かれております。それを私ども常に頭の中に置きながら、そのときそのとき必要なこと、やるべきことをやってまいりたい、またやってまいったというふうに思っております。
○中川(正)委員 恐らく、日本銀行でさえも平時のときの政策手段というものと、それからいわゆる危機管理、緊急事態のときの政策手段というのはおのずと違うんだろうというふうに思うんですよ。どうも今の状況でいくと、政府サイド、特に私なんかも含めて、これから全体としては日本も危機管理の体制にひとつスタンスを改めなきゃいけないんじゃないかということ。 これは、一番もとの認識、さっきも、午前中に議論が出ていましたが、不良債権がどれほどあるのかということ。これはエコノミストの見解とそれから金融庁の見解が真っ向から違っていまして、三十二兆円、四十二兆円というそんな金額を片方、金融庁が主張することに対して、いや実際は六十兆円あるいは百二十兆円で、具体的なところは、最近のマイカルであるとかそごうであるとかというような、そういうところを具体的に見たときにはそうでしょう。全く健全ですよと言っていたものがある日突然ひっくり返る、そんな状況で中身が信じられますか、こういう議論にもなってくる。どっちかというと、客観的に見ていても、どう見ても日本の経済というのは、金融庁が公式に言っているような状況ではなくて、もっと緊迫した危機管理の状況に入っていくということではなかろうか、そんな認識がある。 それに今回のアメリカの状況、景気が恐らく長期間停滞するであろう、そういう前提。こんなことが含まれてくるんですよ。そうなると、さっきのような、いわゆる平時用の話だけではおさまってこないんだろうということがもう一つ前提としてありまして、だから竹中さんみたいに、日銀も一緒になってそれに対応してほしいんだというような、そんな議論が出てくるんだろう。 私は、さっきの速水総裁のようなスタンスよりも、本当に期待するのは、そのメッセージを主体的に日銀の方から発するということが必要なんだと思うんです。政府のサイドから、こう協力してくれとか、こう言われているから、それに対してできることはという、それは精神的に、気持ちの上で昔の話なんですよ。そうじゃなくて、日銀として、この経済状況をどう見ていて、金融の今の危機感というのをどう反映しているかという、そのメッセージを出さないといけないということなんです。それがこの報告書の中にも、それぞれの中にも出てきていないということに対する私自身のいら立ちでもあるんですよ。本当にそれでいいのかということですね。そこなんです。 その上に立って、政策手段というのは、とはいっても限られているじゃないかということもあるかと思うんですね。ところが、限られているというのは平時のときに限られているだけであって、緊急事態といいますか、危機管理状況になったら何でもありになってくる可能性があるわけですね。 そこで、ちょっとここで整理していきたいのは、緊急事態になってもここはだめだよというところと、いや、ここまでは私たちもあり得べきこととして、今すぐということじゃなくて、将来あり得べきこととして考えているんだというようなところ、そこのところをひとつあらかじめ聞かせておいていただきたいというふうに思うんです。 その中身というのは、これまでさまざま議論が出ています。今やっている、物価のゼロ%までは今の量的緩和をずっと続けていきますよという話から始まって、さっき議論になっていましたインフレターゲット論、それから、国債は今もう買っていますけれども、外債からあるいは社債から債券を新規に買っていきながら量的緩和をやっていったらどうかという話であるとか、特に国債の場合は、今マーケットから買っていますけれども、新規国債の引き受け、これまでやって初めて量的緩和なんだ、今マーケットから買っているものは、つけかえるだけで具体的な量はふえないんだというふうな議論に対して、将来こういう可能性があるのかどうかとかいうような、これまでのさまざまな議論がありますね。これを体系化して、これから入っていく経済状況の中で、どこまでのことを議論していこうとしているのか、ここのところをこの機会に説明していただきたいというふうに思います。
○速水参考人 先ほど来申しておりますように、私どもは、資金は金融市場がじゃぶじゃぶになるところまで出しておるわけでございまして、それが本当に生かされてくるためにはやはり金融政策だけではだめだということは、ここ二、三年の経験ではっきりしてきておるわけでございまして、私どもとしては、やはり金融システム面、経済産業面での構造改革への取り組みがまず進められていく、緩和的な金融環境を活用できるような前向きの経済活動が出てくることを強く期待しておるわけでございます。そういうものが出てきて初めて、金融の方も出した金が生かされてくるということになっていくんだということで、今の小泉政権のこれからの構造改革、あるいは金融庁等が一生懸命動き始めております不良貸し出しをなるたけ早く減らしていく手の打ち方というものに注目しながら、どういうお手伝いができるか、そのときそのとき決めていくしかないというふうに思っております。 先ほどおっしゃいました項目の中で、インフレターゲットにつきましては、先刻お答えいたしましたように、私どもとしては、金融政策運営の透明性を高める手段としてのインフレターゲティングというものについては一つの検討課題と位置づけておりますけれども、今これを採用することは適当でないというふうに考えております。 それは、金融政策というのはあくまで金融機関や金融市場を通じて経済主体の行動に間接的に影響を与えるものであるということ、現在日本銀行は金融市場に対して文字どおりじゃぶじゃぶの資金を供給しているので、さまざまな構造問題が残存するもとで、そうした金融緩和の効果が経済になかなか波及していかない状況が続いている、その状況のもとで、仮にターゲットを設定しても、それを金融政策だけで達成していくことは難しいということと、需要の弱さに加えて物価が、技術革新とか規制緩和とか流通合理化とか輸入品とかそういうもので、さまざまな要因が物価に複雑な影響を及ぼしていて、先がなかなか読みにくい、そういった中で、妥当性を持った目標値を設定することは難しいということで、これは今私どものとるべき政策であるとは思っておりません。 それから、もう一つおっしゃいました、CPや社債をもっと持ったらどうか。これは、私どもは担保としてはたくさんとっております。しかし、社債とかCPというのは、市場を通じた企業の資金調達の環境としては金利が低くなっておりますし、投資家の信用リスクテークの姿勢が強まっておることを背景にして、地合いとしては市場は大きくなってきております。CPでももう二十兆、四割弱残高は伸びておりますし、社債でも五、六十兆、両方足せば九十兆ぐらいのマーケットになっております。そういうものを、今まだ一般のじゃぶじゃぶの資金市場の中で十分消化されておるわけでございまして、私どもがそれを買うほどの事態にはまだ至っていないというふうに判断しております。直接買い入れを行うというようなことを今考える必要はないというふうに思っております。 先行きの政策対応につきましては、先ほど申し上げました日本銀行の理念に照らして、なすべきことはやる、してはならないことはしない、この柔軟さと同時に頑固さを持って対応してまいりたい。やはり資金を供給するのは私どもの責任でございますけれども、それがどういう効果を持ち、どういう影響を一般庶民に与えていくかということも含めて、常に考えて慎重に手を打つ必要があるというふうに思っております。 テロの問題につきましては、当面は打つべき手を打ったというふうに思っております。それから、今、為替の方についても財務省がいろいろ手を打っておられます。こういうことをしばらく続けて、アメリカの経済の動きや政治的な今後の推移をよく見ながら次の手を考えていけばよいというふうに考えております。
○中川(正)委員 最近、「プリンシズ・オブ・ジ・エン」というんですか、ヴェルナーさんの書いた本がちょっと話題になっていまして、あちこちで専門家に読まれているようであります。いわゆる日銀謀略論というやつなんですけれども、私は、日銀が意図的に、構造改革を起こすために、前川レポートを実現させるために現在のようないわゆるマネタリーの政策をとっているというところまではくみはしませんが、しかし、その中に非常に示唆に富んだというか、なるほどなと思わせる論理構成があるんです。 それは、一つは、過去に行われたというのは皆さん言われる窓口指導ですね。バブルにずっと展開をしていったときに何がその基本になっていたかというと、表面的には金利とかそれから為替とか、そういうものが論じられたけれども、実際に効果をなしたのは窓口指導なんです。その中で、日銀がいわゆる資本のアロケーションをやって、これは本当にマネタリストの基本的な考え方だと思うんですが、量的に引っ張り出した。それが基本的には一般の物資に流れないで株と土地へ向いて投機的に流れたということ。これは、そのときの窓口規制、窓口指導というものが有効に効いてバブルが起こった。 ところが、その後、それが崩壊して、ではふたをあけてみたらどうかといったら、もう窓口指導しませんよ、そうじゃなくてやはり金利ですよとゼロ金利政策をやる。金融市場が危ないですよということで預金の積み上げをやる。日銀の中に積み上げてじゃぶじゃぶにしてリスクを回避する。しかし、それは基本的には、全体の経済の中の量をふやすということとは全く関係のないところで動かしているだけであって、実際の経済を本当に底上げしようということになれば、信用創造をする、各市中銀行がそこで信用創造をするという行動に向かっていかないことには、これはどれだけじゃぶじゃぶにしてもうまくいかないんだと。 その信用創造をするということの是非、できるかできないかというときに、日銀は今どうやって説明しているかというと、それは構造改革が先でしょう、それをやって、借り手が借りたいと言わなければ貸すことはできないでしょうということを言っているわけですが、これが本当に正しいのかどうかというと、私は実感として、自分の実感として、そうじゃない。そうじゃなくて、借り手はいっぱいいるんだ、いるんだけれども、そのもとの担保の、いわゆる土地の資産価値が下がり、株が下がりしている。その中でシュリンクしている。そのシュリンクをしている状況と不良債権と相まって金融庁ががんがん上からたたくわけだから、これはリスクテークはできないですね、だからそこで信用創造ができないですねという、この構造に本気になってメスを入れない、それがわかっているのに入れない。さっきからわかっているんですよね、それができない。わかっているのにそこに何で手を入れないんだ、それは、日銀の謀略なんだ、あえて構造改革が終わるまで、これは景気を回復させないでおこうという日銀の謀略なんだ、こういう理論構成なんです、紹介をすれば。 これは、その謀略論はともかくとして、どうも過去にも同じような繰り返しをやってきた。インフレで、それからバブルで、ぐっとそれへ向いて誘導していくときには、それを窓口指導なりなんなりという形でどんどんマネーの量をふやしてきたということ。ところが、実際にふやさなければならないときにはそうやってしり込みをしてしまって物価の安定というような話でぱっと逃げてしまったら、これは国民としてはたまったものじゃありませんね。もしそういう形で市中にマネーがふえないとすれば、それをやはり無責任に借り手がいないんだということじゃなくて、そこをもう一つ掘り下げて、そこへ向いて政策を突っ込んでいく手だてが日銀にも要るんじゃないですかという、ここのところが一つの論点でもあろうかというふうに思うんです、これまでの議論をずっと聞いてきて。それを何とかしろよということを私たちも言いたいし、政府の方も言いたいんだろうというふうに思うんですね。 これに対して、さっきのような議論じゃなくて、もうちょっと違った切り口で、日銀としてできることはあるんだという話が欲しいんだけれども、どうですか。
○山口参考人 御指摘のとおり、民間金融機関の信用創造活動が非常に弱くなっておりまして、日銀が金融市場の中に資金をだぶだぶに供給いたしましても、その外におっしゃるような信用創造の手が伸びていかないというのはそのとおりだと思います。 金融機関の貸し出しというのは、それに対する需要と供給と、やはり両方の要因があって決まるというふうに考えております。したがいまして、資金需要が弱いというのは全体の話の一つでございまして、もう一方に、金融機関の信用創造能力そのものが弱くなっているということがあると思います。したがいまして、一方では資金需要ができるだけ伸びてくるような環境を整える、これは一つは景気対策だと思いますし、もう一つはやはり構造調整を促進するということだと思います。この二つの政策の成果が上がってくるにつれて、金融機関に対する借り入れ需要がふえ始めるということが起こると思いますし、その背後には、新しい企業活動なり新しい消費者マーケットの変化というのがあるんだろうというふうに考えます。 もう一方の、今度は資金の供給側について考えますと、これが金融システム問題ということになりまして、現下の最大の問題は、不良資産問題の処理をいかにスピードアップするかということではないかと思います。 したがいまして、政策は決して一つだけ考えればいいということではなくて、総合的にできるだけの手を打っていくということにならざるを得ないと思います。前者の景気対策ということで申しますと、金融政策といたしましては、私どもが直接コントロールできるような金利はほぼゼロにまで下げてまいりまして、その上で、金融市場に対して一種の過剰流動性を供給し続けているという状態でございます。ここまで参りますと、私どもがさらに自分の手のうちでできることということははて何があるだろうかというふうに非常に深刻に考え込んでいるというのが現状でございます。できるだけ知恵は出してまいりたいと思っております。 もう一方の金融システム対策ということになりますと、ここで日銀ができることは、基本的には流動性の供給ということでございます。これは、マーケット全体に対する流動性の供給ということだけではございませんで、必要があれば、いわゆる最後の貸し手といたしまして、個別の金融機関に対する流動性の供給ということも行いますし、現にこれまでもそういうことを行ってまいりました。その最も端的な例が、いわゆる特融ということになります。 今後、このような最後の貸し手としての機能というのを発揮せざるを得ないような場面が来ないことを願っておりますけれども、これは状況によりけりでございまして、機動的に対応するということに尽きると思っております。
○中川(正)委員 ややこしいことを考えずに、そこに金があるからということで単純に日銀にこれしてくれと頼めるとすれば、もう本当に、国民のサイドから見たら、あれだけ不良債権の処理をしようという形で今それぞれが乗り出してきている。それに対して、これ以上国債発行、いわゆる公的資金というものを前提にしながら資本の積み増しをしていくということに対して、柳澤さんはあんなに抵抗している、いわゆる、政治的にも説明が難しい、公正にいけるかどうかというふうなリスクもある等々、いろいろ問題はあるんでしょう。それらに対して、どうですか、この際日銀が資本提供をしていただいたら世の中丸くおさまるんじゃないですか、こういう議論が当然一つは出てくるんだろうというふうに思いますよね。それが一つのいわゆる信用創造をしていく後ろ盾になって危機管理にもなるということですね。 具体的には、いろいろなものを担保にとって金をもう既に貸しているじゃないか、金を貸しているのと資本を出していくのとどう違うんだと。これも恐らくは答えていかなければならないことなんだろうというふうに思うんですけれども、そこの整理、日銀としてどうするのかということ、これは一つははっきりさせてもらう方がいいだろうというふうに思います。 それからもう一つは、装置としてもう一つ問題になっているのは、いわゆる資産デフレ、これは、普通の物価が下がっているよりも資産デフレが非常に大きな形で起こっているということが金融収縮に結びついている、これは株と土地ですよね。これも何回もみんな指摘されている。 だから、今政府に対して、例えば株の買い取り機構とかなんとかというようなプレッシャーがあって、今度法律を出してこよう、こうしているわけですよね。そういう片方プレッシャーがあるわけですから、当然、国民サイドから見たら、そこに金があるんだから、どうですか、日銀の方が、株価対策と土地の対策、これは直接マーケットにそれを出していくということじゃなくて、マーケットのいわゆる自由性というか公正性というか、そういうものを担保しながら日銀がそういう政策を考えていくということもあっていいでしょう、こういう意見ももう具体的に出てきているわけですけれども、あると思うんですよね。それに対してどうなのかということですね。 まず具体的に、この二つの整理はどうなっているんですか。
○山口参考人 まず、日本銀行がどういう資産を買えるかということは、日銀法の中に明確に定められておりまして、通常は、法第三十三条というところで、商業手形から始まる資産が限定列挙されております。こういうふうに日本銀行が買える資産というものを制約しているということは、恐らく日銀の資産というのは、大きく考えてこれは国民全体の資産であるということではないかと思います。したがいまして、それは基本的に健全な資産でなければいけないという観念が基本にあるというふうに思います。 中川委員御指摘の、日銀がみずから、流動性ではなくて資本注入をしてはどうかというような考えが世の中にあるとおっしゃいました。それから、資産デフレ対策として、値下がりの甚だしい資産そのものを買い入れてはどうかというようなアイデアも世にあるとおっしゃいましたけれども、この二つは、今申し上げました日銀法との関連で論じますと、共通項がございまして、日銀のバランスシートを非常に大きなリスクにさらしてしまうということが許されるのかどうか、あるいは適当な政策なのかどうかという問題に結局はなるのではないかと思います。私どもは、適当な政策とは考えないという立場をとっております。
○中川(正)委員 それが健全なんだろうと思うんです、健全という意味からいえば。恐らくそういう答えを私も期待していたんですよ。 しかし、それは平常時でありまして、戦後のいろいろな歴史をひもといて、日銀の状況、いわゆるセントラルバンクとしてのいろいろな手だてを見ていると、緊急対策に入ってきたら結局は何でもありなんだ。日銀は、この日本の経済が健全であって日銀が健全なんですよ。 バランスシートだけ見ていると、自分のとりでを守りたくなる。だけれども、ここまで来たら、日本全体のバランスシートを日銀がしっかり責任を持って健全化していくんだというその観点に立たないと、どうも周りを説得できないんじゃないかな。そこのところも指摘をしておきたいんですが、もう一つの、国民が納得しない、周りが納得しない原点なんだというふうに思うんです。 だから、それは別に直接買い取らなくてもいい、あるいは直接出資しなくてもいいから、日銀としては、今の状況の中で、マネタリーの、金というものでこんなふうな工夫はできますよということをもっと知恵を出してやはり説明すべきだというふうに思うんですよ。さっきのようなことを言ったって、自分のところが危なくなるから国民はほっておいていいんですかという話になりますよね。だから、その説明ではだめなんだというふうに思うんです。そこのところを改めて指摘しておきたいというふうに思います。 それから、最後に為替の問題に入っていきたいというふうに思うんですが、これは今、ドル買いを不胎化しないということで継続をしておっていただくようですが、大体どの辺が、今の日本の経済の中で、先般の議論の中でもお話が出ていましたが、日本の国内の空洞化という問題、構造的に開発輸入というのがもう主体的になって物がつくれないという状況、この構造的なものも踏まえて、いわゆる輸出促進をするための景気対策ということ以上に、この構造的な部分も含めて、大体どの辺の為替レートというのが日本のこれからの経済構造の中で望ましいものなのかという見解をお持ちなのか。これは、そこへ持っていくということじゃなくて、日本の経済の構造を今の状況というのを踏まえた上でどう考えられているかということをお答えいただきたいと思います。 〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕
○速水参考人 為替相場というのはやはり市場が決めるものでございますので、この間のアメリカでの集団同時テロ事件でドルに対して不安が生じたことは確かだと思います。そういうこともあって、ここへ来て円がかなり強くなっておるわけでしょうけれども、どの水準がいいかということは、これはちょっと私は数字を口で言うわけにはいきません。やはり日本の経済を反映した状況の中で市場が決めていくということで、これまでもそれでやってこれたわけでございます。 こういった予想外のことが海外で起こって、為替が非常に大きく動いて、そのことによって貿易がやりにくくなるというような場合には、先般来財務省が始めましたように、適切な介入ということも必要だと思います。しかし、どの水準がいいかということになりますと、これは非常に難しいと言わざるを得ません。 ただ、日本が今、特に日米関係などを考えるときに言えますことは、日本の経常収支というのは一九八〇年来ずっと黒字でございまして、今でもGDPの二%ぐらいの黒字を保っております。反対に、アメリカの方はGDPの四%を超える経常収支の赤字であります。対外債権、債務の超過という点になりますと、日本は債権超過が一兆一千億ドル、約百五十兆円の対外債権を持っておるわけで、いろいろな形の対外債権がありますけれども、外貨準備ももちろん含めてですが、そういうものでかなりの利回りが入ってきている。一方、アメリカの方は二兆ドルを超える債務超過であるということ、これはやはり基軸の通貨としては非常に心配しておられるところだろうというふうに思います。そういった大きな流れを、また背後にある状況というものを考えて、そのときそのときの相場の対策についても手を打っていくべきであるというふうに思います。 不胎化か非不胎化かという問題につきましても、やはり今、きのうあたり九兆円近く資金が、日本銀行の預金が積み上がっておりますけれども、そういうものの中にももちろんドル買いの介入でまかれた円が入っていることは当然のことでございまして、非常に大きな残高があり、かつ大きな流れの中でどれがどれというのは非常に難しいですけれども、分けることは難しいですけれども、そういうドル買いの見返りの円資金についても十分資金の供給に役立たせていくという考え方で私どもは臨んでいきたいと思っております。
○中川(正)委員 時間が来てしまいましたのでこの辺で質疑を終わっていきますが、お願いしたいのは、少しこの経済の状況の受けとめ方にしては、この今の現状に対しては、余りにも平常時と変わらないような説明、それから余りはっきりさせない、自分の立場を考えていく、批判を怖がり過ぎるということ、そんなような形で物事が進んでいってはならないんだというふうに思うんですよ。 そこのところが私は今日銀が一番腹を決めていただきたいところでありますし、日銀の事情で説明するんじゃなくて、国民が今政策として何を求めているのかということに対して素直に答えていく、そういう説明の仕方とそういう政策の出し方。自分はこれだけしかできないんだというふうな形で説明を続けていくことに対して、この辺でもう方向転換をしていただきたい。結論としてはこのことを申し上げたかった。そんな気持ちでおりますので、どうぞひとつ、恐らく危機管理という形にこれから入っていくんだろうと思うので、そのときの議論の腹づもりをしっかりとしていただきますようにお願いを申し上げまして、議論を終わっていきたいというふうに思います。 ありがとうございました。
○佐藤(剛)委員長代理 次に、佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。 日銀はことしに入りまして、主なものだけでも二月、三月、八月、九月と、連続して金融緩和政策を追加的に決めてこられました。この間、公定歩合は〇・五%から〇・一%、この九カ月の間に五分の一であります。〇・一%というのは、もうこれ以上下げられないぐらいの低い水準だと思うわけです。日銀の当座預金残高の目標も繰り返し引き上げられております。これは、景気後退を抑える、あるいは市場の動揺を防止するということがねらいだと思いますけれども、同時に、私は、重視しなければならないのは、その副作用の面、マイナス面もよく見て対応するということが大事だろうと思うんですね。 そういう点で、例えば報告書を拝見いたしますと、九ページのところで「消費者心理は十二年度末にかけてやや慎重化した」というふうに書かれております。この点は、ことしに入りましてより一層慎重になっているというふうに思うんです。 今回、公定歩合がさらに引き下げられましたけれども、これが庶民の預金金利にどのようにはね返るのか、その影響というのをどのように見ておられるか。ことしに入って何回か下げられましたが、ことしに入って実施されたその影響全体としてもどのようにとらえられているか。最初にこの点についてお聞きをしたいと思います。
○速水参考人 確かに長期間低金利で、家計の預貯金を持っておられる方々には非常に長い間我慢していただいているということは言えようかと思います。ただ、物価が比較的、インフレのときと違いますから、元本の減価というのは起こっておりません。そういう意味では、庶民からの声というのは、確かに金利はいつ上がるのかという御懸念が多いんだと思いますけれども、金利収入に依存しておられる家計では大変厳しい状況におられることは私どもも十分わかっているつもりでございます。 ただ、金融緩和のもとで企業活動が活発化して、そして賃金や雇用環境が改善していくようになれば、最終的には家計にも好影響が及ぶということが期待されるわけでございまして、そういうことを私どもは実現したいと思って、今この低金利で金融調節をやっている、資金の供給緩和をやっているということを御理解いただきたいと思います。 これまでのところ、日本銀行の思い切った金融緩和が経済活動の活発化にはまだつながっていないということは認めざるを得ません。金融緩和の恩恵が家計にもたらされるためにも、金融システム面で、また経済産業面の構造改革というものが着実に進んで、金融緩和の効果が十分発揮されていくような環境を整備していくことが最も緊急に重要なことではないかというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 今おっしゃったように、この金融緩和政策によって企業活動が活性化し、それが家計にはね返るということを期待されているということでありますが、問題は、先ほど来も議論がありましたが、この金融緩和を進めていっても、実態的には、銀行から先、末端までなかなか融資がふえていない、貸し出しがふえていない、こういうのが実態ではないかと思うんですね。 まず、事実関係をお聞きいたしたいと思うんですが、国内銀行の貸出残高の総額ですけれども、一九九七年の三月を起点にして、ことしの六月、一番新しい数字だと思いますが、この間に貸出残高は何兆円減りましたでしょうか。比率にして何%のマイナスになっているでしょうか。担当の理事の方で結構ですが、お答えいただきたいと思います。
○増渕参考人 私からお答えをいたします。 九七年三月末の国内銀行貸出残高は、四百八十兆七千億円でございます。二〇〇一年、ことしの六月末には、これが四百四十一兆八千億円になってございます。したがいまして、この間の変化幅は三十九兆円の減少、変化率で見ますと八・一%の減少ということになります。
○佐々木(憲)委員 大変な落ち込み方であります。約四十兆近くこの間の貸し出しが減少しているわけであります。 総裁にお聞きしますけれども、どうしてこういう落ち込みになったのか、その原因をどのように把握されているか、お聞きをしたいと思います。
○速水参考人 銀行の貸し出しがふえないというのは、やはり、借り入れの需要がないということと、銀行が不良貸し出しをたくさん持っていて、その方に気を引かれてリスクの多い貸し出しには手を出していかないというようなことがあるんだろうと思います。 この点は、やはり民間需要が、民間が主導して経済が、いろいろな投資が行われ、場合によってはリスキーなものもあるかもしれませんけれども、構造の改革をしていくためにはやはりクリエーティブなデストラクション、創造的な破壊というものが必要なんだということをシュンペーターなどが言っているとおりでございまして、まさにそういう空気になっていけば銀行の貸し出しもおのずからふえていくというふうに期待しておるわけでございます。 今の政権のこの構造改革の動きというものに私どもとしては非常な期待を持って、金融面からも下支えしていきたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 今、二つの問題をおっしゃったんですね。 一つは、資金需要がそれだけないと。いわばこの間の景気が非常に後退しているということを意味していると思いますが。もう一つは、不良債権を抱えているのでリスクの多い貸し出しに手を出さないとおっしゃいました。 そこで、問題は、構造改革を進めるとこれが解決していくというふうにおっしゃいましたが、私は短期的には構造改革というのは逆の作用を及ぼすというふうに思っておりますので、その議論についてはまた別にしたいと思いますが、そこでもう少し分析的に、今、押しなべて、全体として資金需要が、貸し出しが減っている、そして平均的に四十兆円マイナスになっているというふうにおっしゃいましたが、企業規模別にその動向を見ていくと一体どういうことになるのか、この点を教えていただきたいんです。 統計上、継続性を考慮しますと、大企業という分類があります。それから、中堅と中小企業、二つ合わせまして、二つのそれぞれの数字をお答えいただきたいんですが、この間、それぞれどのようになっていますでしょうか。
○増渕参考人 先ほど申し上げましたのと同じ時点について申し上げますと、まず大企業向けの国内銀行の貸し出しは、九七年三月末で残高九十五兆七千億円でございます。これが、二〇〇一年六月末には百三兆六千億円となっております。したがいまして、この間に七兆九千億円の増加、八・二%の増加ということになります。 それに対しまして、中堅・中小企業向けにつきましては、九七年三月末の貸出残高は三百八十五兆円、二〇〇一年六月末は三百三十八兆二千億円でございます。したがいまして、この間に中堅・中小企業向けは四十六兆八千億円の減少、一二・二%の減少ということになります。
○佐々木(憲)委員 今、数字が言われましたけれども、全体として貸し出しの総額は減っている。その全体として減っている中で、大企業向けは増加しているわけです。約八兆円、増加しております。中小企業向けは四十六・八兆円の大幅なマイナスになっている。大変大きな乖離が見えるわけですね。つまり、中堅・中小企業向け貸し出しが極端に減っていることが全体の資金需要の低迷の原因になっているということがこの数字から言えると思うんです。 そこで、総裁にお聞きしますけれども、大企業と比べて中小企業の場合は、これは需要がないというのは、資金繰りが楽だから借りなくて済んでいるのか、それとも、資金繰りが苦しいにもかかわらずなかなか借りることができない、こういうことなのか。その辺、どのように見ておられますか。
○増渕参考人 私から申し上げさせていただきたいと思います。 この点につきましても、資金需要と、それから銀行、金融機関サイドの事情と両方あると思います。経済全体が低迷する中で、先行きの事業展開に伴う資金需要がなかなか出てこない、それが中堅・中小企業でより強くそういう事情が働いているという面もあろうかと思います。他方で、金融機関サイドでは、なかなかリスクをとれない、不良債権問題が大きいという情勢の中でリスクをとりにくい、そういう一般的な情勢がございます。 個別の企業によってはそうは言えないわけですが、一般論としては、信用リスクは、どちらかというと規模の小さい企業について大きいというふうに判断する金融機関が多いのではないかと思います。そういう信用リスクの判断が銀行の貸し出し態度に反映いたしまして、中堅・中小向けには貸し出しがなかなか出ていかないといいますか、むしろ、資金需要が弱いということとも相まちまして、貸し出しが減るような情勢がある、そういうことではないかと思います。
○佐々木(憲)委員 その点が大変重要なポイントだというふうに思うんですね。ですから、金融機関の側の貸し出し姿勢、これをどう是正していくかということが、政策的課題としては大変重要な問題として浮かび上がってくると思うんです。 日銀のこの報告書にもありますが、最近の統計を見せていただきますと、平成十三年六月時点で、企業規模別に分類した企業の資金繰り判断というのがありますね。これは、楽であるという判断から苦しいという判断を引いて出した数字なんですけれども、この点は大企業と中堅企業、中小企業、三つに分類されていると思いますが、この数字は六月ではどういうふうになっていますでしょうか。
○増渕参考人 私どもの六月の短観の調査結果でございますが、アンケート先の企業のうち、資金繰りが楽であると答えた先の構成比から苦しいと答えた先の構成比を引いて算出されます資金繰り判断のDIでございます。企業規模別に見ますと、大企業がプラス一二、中堅企業はマイナス三、中小企業はマイナス一三となっております。
○佐々木(憲)委員 結局、企業の規模が小さければ小さいほど資金繰りが苦しい、大企業の場合には資金繰りが楽である、これが現状をあらわす数字だろうというふうに思うのですね。つまり、借りたいけれども中小企業の場合には融資を受けられない、ここを改善するというのが大事なことだと思うのです。 金融庁は銀行に対して、経営健全化計画をつくらせて中小企業に対する融資をふやす、そういう指導をしてきておりますが、不況で経営が思わしくない中小企業の場合でも、やはり将来性をよく見て融資をするというのが本来の金融の役割、銀行の役割だというふうに思います。担保がある、ない、そこだけで判断するのではなく、その企業の将来性あるいは技術の特徴、経営者の能力、こういうところに着目して、今のようなこの不況の時代にどう中小企業を支えてそこを発展させていくか、これは日本経済全体にとっては大変大きな下支えになっていくわけであります。 ですから、先ほど来の議論もありますが、銀行が何をやるべきなのか、銀行がやらなければならない課題は何かということを考える場合に、ネックになっている中小企業に対する融資の姿勢をどう改善していくか、ここが大事だと思うのです。 つまり、日銀から銀行に対してはじゃぶじゃぶ、大変な融資の緩和というのが行われている、金融緩和が行われている。しかし、そこから先に行かないのは、大企業に対して貸し出しがふえているけれども中小企業に対してふえていない。中小企業というのは、全体としていいますと、中堅、中小企業は貸し出し全体の三分の二ぐらいを占めていると思うのですね。ですから、そこのところでしっかりと金融の機能が働かないということに問題があるというふうに思います。 そこで、銀行の貸し出し態度でありますが、この報告書でも、三十四ページに主要銀行の貸し出し運営スタンスというのが表になって出ております。これが現在どうなっているか。昨年の七—九月期の統計があります。最近の数字ではことしの四—六月期がもう出ていると思いますが、企業規模別に見て、大企業向け、中堅企業向け、中小企業向けと三つに分類をいたしますと、企業規模別の伸びの傾向はどのようになっているのか、数字を示していただきたいと思います。
○増渕参考人 私どもで行っております主要銀行に対する貸し出しアンケート調査結果によりますと、貸し出しを積極化させた先の構成比から慎重化させた先の構成比を引くという形で算出いたしております貸し出し運営スタンスのDIというものがございます。これを昨年の七—九月と本年の四—六月の変化ということで申し上げますと、大企業向けは昨年七—九月がプラス六、本年四—六月がプラス一三ということで増加いたしております。一方、中堅企業向けはプラス二九からプラス二〇へと減少、中小企業向けもプラス四二からプラス二八へと減少という数字になってございます。
○佐々木(憲)委員 今の数字にも明らかなように、大企業向けに対しては貸し出し運営スタンスは大変改善されているわけです。ところが、中堅企業向けについては非常に渋くなっている。中小企業向けに対しては極端に減少している、極端にいわば貸し渋りという事態がある。これはもう我々たくさん訴えを聞いております。 そうしますと、銀行のこういう姿勢の変化、これは私は大変重大だと思うのですけれども、銀行から先に行かない、その行かないという場合に何が原因かというと、銀行の貸し出しスタンスが中小企業向けに特に厳しくなっている、ここに大きな原因があるというふうに、今の統計でもはっきりしたと思うのですね。 これはどのようにすれば改善ができるのか。銀行の姿勢そのものを改善しなければならぬというふうに私は思うのですけれども、総裁、どういうふうにお感じですか。
○速水参考人 今、銀行は収益をふやすことに非常に精力を注いでいると思うのです。収益をふやすという場合には、いい取引先をつかまえて貸し出しをふやしていくか、あるいはリストラをやるか、不良債権の償却なり引き当てを積んで、将来に向かっていい環境をつくっていくということだと思うのです。 幾ら中小企業であっても、いいところにはやはり貸し出し、銀行あるいは公的金融機関も含めてでしょうけれども、地方の銀行あるいは信用金庫、信用組合といったようなところが貸出先を探して、いいところには非常に集中している、競争が激しいということも聞いております。そういうふうに、中小企業といえども競争力、将来への明るい見通しの持てる企業に対しては、貸し出しはほっておいても回っていくのではないかというふうに思うのです。 そういうような点を考えますと、一つは、難しい、先延ばししてもどうも先行き見通しが暗いというところに対しては、やはり金融機関としては、ただ見捨てるだけでなくて、どうすれば生き返れるのか、生き延びていけるのかといったような指導性を持っていくことが必要ではないかというふうに私は思っております。それは、大銀行の支店であろうと地方銀行であろうと中小の金融機関であろうと同じことだと思うのですけれども、そういうことをやっていかない限り、日本の中小企業というのは、数も非常に多いし大切な存在であることは確かでございますが、このままでいけば、グローバライゼーションの波の中で競争力のないものが生き続けていくというのは難しいわけで、競争力をつけるべく金融機関が指導していくということが必要ではないかと思います。 もう一つ、庶民に対してですけれども、これからもう少し大きな流れとして必要だと思いますのは、日本の庶民、家計の金融資産というのは、御承知のように、千四百兆あっても、そのうち七百五十兆ぐらいが預貯金になっているわけで、直接投資というのは一三%ぐらいしかない。それは、国債や債券を入れても、株式を入れてもそういう状況になっているわけで、その辺のところは、金融機関や証券会社が一緒になって、もう少し、ファンドといったようなものでもいい、仲介機能を果たしながら家計に遊んでいる資金を、遊んでいると言ったら怒られますけれども、積み上げてある資金を生かしていくような使い方をしていくことが大切ではないか。 来年ペイオフが解禁になりますけれども、預金者としても、やはりあるリスクを持って自分の金融資産を運用しようとしているときでございますから、そういうときに、銀行の選別が起こると同時に、また、多少リスキーでも利回りのいいものに投資をし、運用していきたいと。日本の今まで偏った、そういった間接金融方式というものを少し直接金融を加えてシフトさせていくようなことを、税制の面を初め、全体としてそういう流れに変えていく必要がある。 このことは、みんながこのごろ言い始めて、動き始めているところだと思いますけれども、そういう過程の中で、いい企業に対してはいい投資家がついてくるというような形になっていけば、ベンチャーであっても投資家は必ず先を見て貸していくようになっていくんじゃないか。そういったことをやるのが、今まさに金融の構造改革の一つの面ではないかというふうに私も思いますし、多くの方が、そういう方向で今何をやるべきなのかということを見ておられるんじゃないかというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 今総裁がおっしゃいましたが、銀行の貸し出し姿勢として、中小企業に対して、ただ見捨てるというのじゃなくて、競争力をつけるために、どうしたら生き返らせることができるか、そういう角度から指導性を発揮していただきたいというふうにおっしゃる、私も大変そのとおりだというふうに思います。 ところが、現実には、不良債権処理だとかあるいはこの不況の中で、なかなかリスクをとらない。ともかくもうけの上がるところに資金をどんどんシフトさせて、いわば選別的な切り捨てが行われているというのが実態だと思います。その点、ぜひよく見て指導をしていただければというふうに思います。 それから、家計の一千四百兆のお話がありましたが、私は、この資金がどう動くかというのは二つ大きな要因があると思う。一つは、将来の安心が各家庭で感じられるような状態。社会保障の問題、老後の問題あるいはリストラの問題、こういう点で安心感が生まれなければ、これはなかなか預金をおろして別な投資に回そう、あるいは買い物をしようというふうにならない。もう一点は、例えば株式にしろ何にしろ、市場そのものの信頼性が回復しないと、これはそっちに回っていかないというふうに思います。ところが、現実にはそれはなかなかそうなっていない、ここのところがやはり問題だろうというふうに思うのですね。 最後に、総裁は六月十九日の記者会見で大変おもしろいことをおっしゃったのですね。肥料や日当たりが悪ければ幾ら水をかけても植物は育たない、むしろ勢いを失ってしまうというふうにおっしゃいました。この意味するところは、じゃぶじゃぶ資金供給しても、実体経済がよくなければ、あるいは景気回復のための政策が適切に打たれなければ逆効果なんだ、こういうふうにおっしゃったというふうに思うのですが、大体そんなような意味でおっしゃったのでしょうか。
○速水参考人 おっしゃるように、幾ら水をかけても、やはりほかの面で、日が照らなかったり面倒見が悪かったりすれば成長していかないわけでございますから、育てていくためには、水をかけるだけでなくて、やはりそれこそ構造改革、その他税制の面とかいったようなことも含めて、育つような環境をつくっていくことが必要ではないかというふうに思います。その点は御指摘のとおりでございます。
○佐々木(憲)委員 やはりそういう点で大事なのは、金融政策というのは一定の範囲が限定されているわけでありまして、やはり全体の実体経済の活性化、とりわけその中でも、私は、家計消費、個人消費というのが非常に大事だと思っておりますが、それを活性化させるかどうかというのは、これは金融の仕事というよりも、むしろ国の政策であると思うのですね。 そういう点で、私は、日銀の仕事というよりも、政府がこの点に全力を挙げるべきだ。特に、不良債権処理をともかく短期間で一気にやるなんて、こうやりますと、むしろ銀行の貸し出し姿勢がもっと悪くなって中小企業がばたばたつぶれる、こういう状況が生まれてしまうのですから、私は、その辺も根本的に見直すべきだという意見を持っております。 政府・与党の中では、そういう政策を棚に上げて、何か日銀がうまくやれば全体が景気がよくなるかのような話もありますが、そう簡単ではない。やはり全体として政策そのものを、国の政策全体を転換する、とりわけ中小企業と国民生活、ここに焦点を当てた政策への転換というのが大変重要だというふうに思います。 その点を申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○佐藤(剛)委員長代理 次に、阿部知子君。
○阿部委員 社会民主党の阿部知子です。 思い起こせば、およそ一年前、この場で速水日銀総裁に私がゼロ金利政策の解除のことで質問をさせていただいたのが、初めてのこの委員会での私の質問でした。それから約一年たちまして、ゼロ金利政策は解除され、そして、引き続いて三月からは、いわゆる金利による操作ではなくて量的緩和策をもって、主に物価の下落を押しとどめるため、デフレスパイラルに陥らせないための政策ということを日銀がとってこられたというふうに表明を受けておりますが、果たして、きょう私がこの委員会でずっと皆さん方の質問を拝聴し、並びにこの四月、五月、六月、七月と物価の上昇率を振り返ってみましても、いずれも、四月、五月がマイナス〇・七%、六月、七月がマイナス〇・八%、こういう数値を見ますと、この量的緩和策も含めて、事実として、今、日銀サイドで一生懸命とっておられる政策が当初の目的に達していないというふうに考えてよろしいものかどうか。そして、もしそう考えてよろしいのであれば、これは何人かの委員も聞かれましたので、再度の確認、追認になりますが、速水総裁の総括の視点をお伺いしたい。まず第一点です。
○速水参考人 消費者物価がここへ来て下がり続けているといいますか、前年比マイナスが少し大きくなってきているということ、これは、需要面の要因と供給面の要因、二つ、両方が複雑に絡んでいるように思います。 供給サイドの要因として、例えばパソコンなど多くの商品において、近年の技術革新によって品質向上という形で実質的な値下がりが実現してきていることは一つでございましょう。また、経済のグローバル化を背景にして、アジアなどから安値の輸入品が流入して、それが安く売られている。国内の競合商品も、価格を下げざるを得ないような状態になって下げていっているといったようなことが挙げられると思います。しかし、最近の物価下落につきましては、需要不足を背景とした、需要と供給のギャップの拡大という影響が大きくなってきているようにも思います。 このように、現在の物価下落の背景にはさまざまな要因が寄与しているわけであって、それに加えて、先ほどから問題になっておりました不良債権問題など、経済が構造的な問題を抱えるもとで、金融緩和の効果が実体経済や物価になかなか及んでいかない状況が続いているというのが現状ではないでしょうか。したがいまして、現段階でCPI前年比がゼロ以上となる時期を見通すということは、極めて難しいというのが実感でございます。 デフレを防止して物価の安定を確保していきますためには、経済の構造改革を通じて民間の需要を引き出していくことが極めて重要だと思います。構造改革に向けた具体的な取り組みが進んでいけば、これと日本銀行による思い切った金融緩和とが相まって、デフレ対策としても大きな力を発揮していくものだというふうに思っております。
○阿部委員 実は、ただいまのような御見解は、既に三月の段階で速水総裁が記者会見場でおっしゃられたことですね。このときは、量的緩和を導入するに当たっての会見でございましたが、不良債権問題の解決を初め、金融システム面や産業経済面での構造改革の進展が不可欠の条件だということを、同じような論調でおっしゃられておるわけです。そして、六カ月またたちまして、そしてきょうの四時半からは、また財政諮問会議等々で政府の皆さんと意見交換をなさる。 これの両方の意見を聞いております国民にとりましては、日銀サイドは、とにかく構造改革が先だ、あるいは需要と供給のミスマッチ、この問題を何とかせねば、幾ら金融政策で打っても何の効果もない、じゃぶじゃぶ効果はないというふうにおっしゃいますし、逆に政府筋は、特に竹中大臣等々の発言をとれば、まだまだ金融政策が足りぬ、例えば、先ほど来問題になっているインフレターゲティング論が急浮上している中でもあります。 私も、一人の国民として、あるいは国民の声を代表する者として一番伺いたいのは、これまで同じような平行線をたどったお互いの主張、実は一年前から同じことを言い合っていて、何ら解決もせぬまま、この一年間、景気は全く浮上せず、かてて加えてこの間の世界経済の不安定さが増してくる中にございます。一体、これまでの政府との話し合い、最も論点となったところ、あるいは論点として詰めていくべきところが何であるとお考えであるのか。特に、きょうこれから会合に臨まれるに当たっての速水総裁のお考えをお教えください。
○速水参考人 昨年の八月にゼロ金利を解除いたしまして、そのときは、九九年二月にゼロ金利政策をとらざるを得なかったときに比べますと、経済も企業もかなり上向いて、明るくなっておったわけでございます。なるたけ早い時期に、金融市場も、金融自体も、金利機能というものも正常化していかなければいけないということを、私はいつも頭の底に考えておるわけでございます。 それで、ゼロ金利を解除いたしましたけれども、十二月になって、ITの供給超過、特にアメリカを中心に供給が超過して経済の減速が始まっているという事態が起こりまして、アメリカも、十一月にはFOMCという金利を決める委員会でインフレバイアスだとまだ言っていたのが、十二月を越え、年を越して、これは供給超過で大変だということで慌てて金利を下げ始めて、世界全体がそれにフォローしてここまで来たところへ、またテロ事件といったようなものが起こってきたといったようなことで、こういうことがそれこそ歴史なんであって、今後も何が起こっていくかわからないということかと思いますが、日本経済の流れについて申しますと、やはりアメリカが供給超過で経済減速が起こって、私どもの輸出が減り、生産が減り、設備投資が減り、それが家計に響いてきたというのがこの八月、九月までの推移であったかと思います。 そういう中で、今度またああいった思わぬ予想もできない事件が起こって、それに対応すべく、緊急の措置として二兆円の手形の買いオペをやりまして、急遽資金を供出し、引き続いて、今週の決定会合におきまして、六兆円と言っていた当座預金の目標値を、六兆円を超えて、六兆円を上回る金額で資金を供給していくということに切りかえると同時に、公定歩合も〇・二五%を〇・一%まで引き下げるということをいたし、また、九月の期末を控えて、企業が資金のショートを起こし破綻に陥るようなことのないように、特別の貸付制度、取引先が担保を持ってきさえすれば公定歩合で貸しますよという特別の貸付制度を、期末を越えてやれるように期間を少し延ばしました。 そういったことをやってここまで来たわけでございますが、日本銀行は、中央銀行として、情勢の推移を見ながら、変化を見ながら、最大限の努力を重ねてきたつもりでございます。 政府は政府で、構造改革、これがなければ景気もよくならないし、日本経済は立っていけなくなってしまうというような危機感を持って、構造改革の具体案、特にきょうあたりから、工程表というのをつくって順番をみんなで議論して決めていこうというところまで来ておるわけでございまして、もっと早くできないのかと言われれば確かにそういう感じがしないでもございませんけれども、いろいろ政府にも事情がおありのことだと思います。 そういうふうに、政府の動きに対して、私どもとしても、できる限り下支えを金融サイドからしていきたいというふうに考えながら、ここまで政策を運営してきたつもりでございます。むしろ、日銀の金融ベース、過去五年間で八%お金を出しております。特にことしになってから、構造改革が近く実現していきそうだ、そうすれば金融が生きていくだろうというふうに思って、むしろ先んじるような形で、三月、八月と量的緩和を強化してきた次第でございまして、そういう意味では、大体、政府とは話がそんなに、いろいろ議論はあるかもしれませんし、コンプレーンはおありかもしれませんけれども、我々としては、中央銀行として、こういう際にはここまでやるべきだ、あるいはこれ以上はやれないということを議論で決めて、決定会合で政策を打ち出してきたつもりでございます。 少し長くなりました。
○阿部委員 そうした今の速水総裁の、御尽力にもかかわらずとあえて言わせていただこうと思いますが、やはり、国民サイドから見れば一向に事態が好転しない中で、アメリカでのテロを初め世界経済が動揺をさらに深める中で、いわゆる当座預金残高も現在九兆円と、この六兆円を超すという指標を設けられた後は、超せば幾らでも青天井であるのか。それとも、例えば二〇〇〇年問題の場合はいっとき二十四兆まで上がったものと思いますが、二〇〇〇年問題というのは時期の限られた問題でありました。ところが、現在アメリカが開始しようとしている、まあ報復戦争と呼ばれるもので、もしも、先ほどどなたかの言葉でございましたが、世界経済が戦争モードに入ったとする場合、終わりが見えない、先が見えない、目安が立たない経済状況も当然予測されます。 そこで、速水総裁に改めてお伺いいたしますが、この六兆円超の、超という、込められた超すということの意味と、逆に、青天井ないしは指標を定めて量的緩和を行われるお考えなのか。これは実は国民にとっては大変に不安なことでもあります。先ほど来、政府と日銀は、お互いにちゃんと論議を闘わせてきたけれどもよくなってはいない。お父さんとお母さんがけんかをして、その結果、子供が一番先行きの見えない状態に置かれているようにも、あえて卑近に例えれば言えるような状態かと思います。 今、国民の安定という意味では、個人消費の問題もございますでしょうし、先ほど来の実体経済もございますでしょうが、やはり一番、先行きが見えない、指標の見えないものについて、お金の流れが自分たちの知らないところでどんどんどんどん起こるのではないかということも、極めて国民にとって財布のひもをかたくする要因に、これを簡単に心理要因というふうに総称してございますが、単に心理要因と軽々に言われるようなことではなくて、やはり世界経済もあるいは平和も脅かされている中での国民の不安だと思います。 そこで、再度繰り返しですが、この六兆円を超すという当座預金の残高目標、これには、ある程度の青天井並びに指標、何を指標としてこの残高を決めていかれるのか、その点についてお考えを総裁からお願いいたします。 〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕
○速水参考人 六兆円は、八月に一応六兆円というのを決めたわけでございますが、その後、米国のテロ事件発生に伴う流動性需要の高まりという緊急事態に対応して、今週の決定会合では、当面、市場が必要とする資金を機動的かつ潤沢に供給していこうということで、六兆円以上ということを決めたわけでございます。その際、内外の不安定な金融経済情勢にかんがみまして、あらかじめ具体的な目標金額を特定しないことが適当だという判断をいたしました。 六兆円を上回ることを目標とするといった表現にしたわけでございますが、先行きの当座預金残高を正確に見通すということは非常に難しいことでございまして、現在のように不安定な情勢を背景にして高い流動性需要が出てくる場合には、八兆円あるいは九兆円といったような金額が当座預金に積まれることが出てくる可能性は十分ありますし、既にもう出ております。そういった不安定な情勢が緩和して流動性の需要が減少していくことになりますれば、ごく最近のような高水準の当座預金残高を維持できるかどうか、むしろ逆に、そのことは先行きの一つの懸念になっていくというふうに思います。 そういう情勢で、今週、そういった、今青天井とおっしゃいましたけれども、当面、青天井という形で今後の情勢の推移を見ていきたいと思っております。
○阿部委員 青天井で推移を見るという言葉は、国民から聞きますと、私がそういう言葉を使いましたから総裁が繰り返されたこととは思いますが、やはりかなり不安感の大きなものだと思います。 もちろん、第二次大戦後、世界戦争という形では何もそうした動きはなかったわけですから、今新たに起ころうとしている米国による報復、これを正義の戦いと米国は呼んで突入しようとしておられますが、そうした中で起こってくる経済の動向も、実は、我が国も含めて世界じゅうが経験したことのない、この五十数年間にない新たな事態だと思います。 そうした中で金融の安定、経済の安定をしっかりさせておくということが、実は、武力にまさる、そして本当の意味の平和の下支えで、非常に大事な方策と思いますが、では、日本がとる金融政策が国民に知らされるまでの期間、日銀はいわゆる新日銀法の二十条の一項で、速やかに政策の決定を国民に公表するという方針をとられて、現在のところ、いろいろな政策決定後、次回の会合を待って公表されますので、約一カ月半の間を置いて国民には政策決定、論議の内容が知らされております。 私は、たまたまこの夏、厚生労働委員会の視察でイギリスに参りましたときに、駐英大使から、イギリスでの中央銀行の政策決定が二週間で国民に明らかにされているということを伺いました。 ここで、私はまず速水総裁に、もしも、これからもしかして青天井でやらざるを得ないかもしれない、その場その場で臨機応変の処置をとらざるを得ないとすれば、そのことを、そのことに至る経緯を国民がより早く知るべきではないか、知る権利があるとも思いますので、現在、お考えとして、日銀の政策決定並びに論議の公表期間をさらにスピードアップすることについての御見解をお教えくださいませ。
○速水参考人 日本銀行としましても、議事要旨をできるだけ早期に公表するよう努めております。現在おおむね一カ月後をめどにして公表しておるわけでございます。 ただ、そもそも中央銀行の説明責任の一環としまして議事要旨の公表が求められているという点を踏まえますれば、その内容に正確を期し、政策決定に至る経緯やその過程で出された意見を公正に記述することが何よりも重要であります。そのためには現在程度の作成期間をいただく必要があるというふうに考えております。 現在議事要旨を公表しております中央銀行は、主要国では米国、英国、日本ぐらいでございますが、私どもの議事要旨は、その分量や内容をごらんいただければおわかりいただけると思いますが、これら中央銀行に比べまして全く遜色のない、むしろ相当に充実したものになっていると自負しております。 また、公表までの時間の長さを見ますと、米国FRBは約一カ月半をかけております。バンク・オブ・イングランドは約二週間後の公表となっております。私どもの公表スケジュールが格別遅いというわけではないのではないか。この点もあわせて御理解賜りたいと思います。
○阿部委員 私のただいまの御質問の趣旨は、世界経済の動きが非常に急である、風雲急を告げていると言っても過言ではないと思います。その認識をやはり日銀も持っていただきたい。 そして、私がせんだって事務サイドにお伺いいたしましたところ、日本文と英文の両方を作成する、そしてその内容に誤りなきを期すために現在一カ月半を要しておられるとのお返事でございました。 私ども、まず国民といたしましては、せめて自分たちの国のことを日本語文で先に公表し、しかるべく後に翻訳等々の作業が伴って、それに、現在日銀の職員の方たちが日夜を問わず御苦労されていることはよく存じております。ただし、何度も申し上げますが、本当に未曾有の事態に立ち至っている世界の経済の中で、やはり国民の合意、同意、不安を取り去ることが一番、経済の安定にとっても、そして金融のシステムのこれからの国民的な合意のためにも必要と思いますので、再度その点につきまして、例えば事務方として、どれくらいの期限、期間であれば現実に私の今申しました日本語部分だけでも可能であるのか、前向きな御答弁をお願いします。 そうでないと、日本銀行というのは、ただでも行動が遅いと言われ、批判されかねない存在に今マスメディア市場ではなっております。私は必ずしもそうは思いませんが、やはりやれるところは前向きに努力するという姿勢を見せていただかないと、国民に対しての日銀の存在というのはやはり極めて影の薄いものとなりますので、事務サイドから最後に一点だけ、日本語文だけの場合どのくらい期間短縮が可能かについてお伺い申し上げて、終わらせていただきます。
○速水参考人 決定会合で決定をいたしましたときには、特に政策の変更をいたしましたときには、その後直ちに私が記者会見で詳しい説明をいたしております。十八日も、七時ごろ会議が終わりまして、七時四十五分から記者会見をして、約一時間近く詳しく説明をさせていただきましたし、ステートメントも出させていただきました。決定内容そのものにつきましては、当日中にこうして詳しく公表しております。 ただ、九人の委員の方々が御議論され、おっしゃったことをやはり一人がまとめて出すという場合に、これは、御本人のおっしゃったこと、あるいは議論が間違っていないかどうかというのはやはり確認をしてもらう必要がございますし、そういう手間を考えますと、それぐらいの時間を置いて出すのが、後々まで残る記録でありますだけに、必要であると思っております。 記者会見で当日のことは説明をしまして、それが翌朝の新聞に、ごらんになったように大きく出ておるわけでございます。その辺の状況はお考えいただきたいと思います。何も英訳に時間がかかっているわけではございません。英訳もほとんど同日に出ております。
○阿部委員 日銀法の二十条の中に、次回の会合での承認を得てという一項があるのは存じておりますので、であれば、そこの部分をもう少し迅速化できまいかというのが私の質問の趣旨ではございました。次回、また継続してお尋ね申し上げます。 ありがとうございました。
○山口委員長 次に、山本幸三君。
○山本(幸)委員 自由民主党の山本幸三です。 私は一年前、ゼロ金利解除などとばかなことはやめろと主張して、そんなことをやれば必ず株は下がって景気が腰折れすると言っておりましたが、速水総裁は、いや、デフレ懸念は払拭されたんだと強弁して断行いたしまして、その結果が今日の状況であります。 そういうことを含めて、日本銀行の政策というのはおかしい、しかもいつも手おくれ、小出しで、何をやっておるかわけがわからぬという問題意識を持っておりまして、これでは日本銀行の本来の使命を果たすことができないと思うので、私は、あるいは仲間と、海外の例とかを見て、物価安定目標を持ってもらって、そして金融政策をやってもらうのが一番いいと考えて、党内で日銀法改正研究会というものを立ち上げたわけであります。それに対して総裁が我々を侮辱するような発言をされまして、そんなことを言うのなら公開討論に出てきてじっくり議論しようじゃないかということを申し入れたわけでありますが、逃げられました。それは国会で答弁しているからということでありますので、きょうはぜひ逃げないで、ちゃんと答えていただきたいというように思うわけであります。 そのときに総裁が弁明されたのは、自分が批判したのはインフレ目標政策ではない、批判したのは調整インフレ政策であるということで弁明をされました。それでは、調整インフレ政策とは何なのか、きちんと定義してください。
○速水参考人 山本先生には、いつもいろいろ忌憚のないアドバイスや御意見を賜って、感謝いたしております。 調整インフレの定義とは何かという御質問かと思いますが、調整インフレ政策というのは、私どもは、高目のインフレ率の目標を設定して、その目標の実現のためにあらゆる手段を動員する方法と考えております。 これに対して、海外の一部の中央銀行で採用されておりますインフレターゲティングというのは、物価安定の目標を数値で示した上で先行きの物価や経済成長率の見通しを公表して、何らかの事情によりその目標を達成することが困難であったり、あるいは適当でないと判断する場合には、その理由を説明する仕組みを整備するというものであると思います。その意味で、インフレターゲティングとは、基本的には金融政策運営の透明性を高める手段であるに違いないと思います。 したがいまして、両者の違いを考える上で、目標が何%以上なら、あるいはこうした手段を使えと、使えば調整インフレ政策になるんだと機械的に割り切ることは適当でないと思います。両者の違いは、つまるところ、経済の健全な発展と整合的な、持続的な物価の安定を目指すのか、それとも、副作用やリスクに目をつぶってどんな手段を使ってでも物価を上げようとするのかということではないかと思います。 将来の成長期待や生産性を高める努力がないまま物価を上げようとすることは、経済の健全な発展という観点からして極めて危険な方法であり、日本銀行としてそうした政策をとるつもりはございません。
○山本(幸)委員 全然定義になっていない。ぐずぐずインフレターゲット政策はこうだという説明をされましたが、調整インフレは、高目のインフレ率を目指して、そしてそのためにはあらゆる手段を動員するものだ、これは非常に危険だという価値判断まで入れて言われた。この高目のインフレ率というのは何%ですか。
○速水参考人 それは別に数字では決まっていないと思います。 先ほども、七〇年代でしたか、八〇年代ですか、調整インフレという言葉が日本で随分はやったことを私もきのうのことのように覚えております。このときはやはり、円高を回避していくために国内の物価を上げていった方がいいといったようなことからそういう言葉が出たのだと思います。クルーグマンという方が三、四年前においでになって、やはりこれと同じような趣旨のことをおっしゃったことを私も記憶しております。 そういうことでいえば、今イギリスなどで採用されている二%とかいったようなことでなくて、もっと高い率を言っておられるのではないかと推測いたします。
○山本(幸)委員 あなたは、調整インフレはいけないと言って、それはばかな政策だと言って、はっきり切って捨てたのですよ。そのときに、その対象になっているものが、何を批判したかというのをしっかり定義できないで、そんな議論ができるのですか。これは大変危険だ、これはばかな政策だと。物事の、経済の議論というのは、きちっとした定義から始まるのですよ。定義もしないで議論なんかできない。定義しないでいれば、人によって何だって含み得るのだ。その結果、調整インフレに、ある新聞なんかは、調整インフレとインフレターゲット、あなたが説明したようなインフレターゲットはもう同じようなものだというようなことまで書かれている。そういう議論を惹起するようなことでは、生産的な論議にならない。 それで、今、二%ぐらいだったらまあいいかもしれないと言われた。では、何%以上が高目の成長率で、それからもう一つ、ありとあらゆる手段を使っちゃいかぬということですから、どういう手段が日本銀行として認められて、どういう手段がいけないと思っておられるのか。きちっとそれを定義してください。
○山口参考人 私からお答えさせていただきます。 後者の、どういう手段なら認められ、どういう手段は認められないかということにつきましては、先ほどもちょっと御質問がありましたのでお答えを申し上げましたけれども、現在、日本銀行法の中で、日本銀行が買い入れることが認められている資産というのが日銀法三十三条の中で列挙されております。私の解釈では、それは健全な資産ということを一つの共通項に持っているものではないかと思いますので、例えば、時々世上言われておりますような不良資産を日本銀行が買い上げるというようなことは、政策の手段としては是認されないのではないかというふうに思います。一例を申し上げました。
○山本(幸)委員 では、手段として認められるのは、日銀法三十三条に書いているやつは手段として認められる、それ以外は認められない。まあ今、一応はそうですね。 では、もう一つ。高目の成長率というのは何%ですか。
○山口参考人 高目の成長率についての御質問ですか。(山本(幸)委員「失礼、高目のインフレ率」と呼ぶ)インフレ率の方でございますか。これは、総裁が先ほどお答えを申し上げましたけれども、何%までなら是認され、何%以上なら是認されないというくっきりとした一線を描くことは、なかなか難しいと思います。 一つには、そういう一線を設けて、そこまでなら許されるというような政策を仮にとった場合、現実にインフレ率に弾みがつき、そういう一線に到達した場合にそこで食いとめるということがなかなか難しいという、一つの歴史的な経験が踏まえられているというふうに思います。 それから、国によってインフレの経験というのは、それぞれの長い歴史的な経験というのがございまして、恐らく国民がこの程度までならというふうに是認する限界というのも違うのではないかというふうにも思っております。
○山本(幸)委員 今、最後におっしゃったように、私は人によっていろいろ違うと思うのですよ。違うと思うのだけれども、日本銀行総裁が調整インフレ政策はばかな政策だと言ったのだから、あなたにはこの対象となったものをきちっと定義する責任があるのですよ。 これは人によって違うから、そういうつまらぬことで決めつけられると議論が進まないよと、そうであれば、日本銀行総裁は、何%以上が調整インフレだと、これはきちっとしなくてもいいよ、少しぐらい幅があってもいいのだけれども、それが対象がなければ批判しちゃいけないのですよ。でも批判したのでしょう、ばかな政策だと。何%ですか。
○速水参考人 両者の違いを考える上で、目標が何%以上なら、あるいはこうした手段を使えば調整インフレ政策になるといったような機械的に割り切ることは、これは適当でないと思います。 両者の違いは、つまるところ、経済の健全な発展と整合的な、持続的な物価の安定とを目指すのか、それとも、副作用やリスクに目をつぶって、どんな手段でも使って物価を上げようとするというのか、ここにあるのじゃないかというふうに思います。
○山本(幸)委員 定義になっていないというのですよ。 経済の成長とか整合的じゃないようなやつはだめだと思う、副作用やそういうリスクに目を向けないのはおかしいと思うと。では、それはどういうインフレ率を考えたらそういうことになるのだという判断がなければおかしいじゃないですか。それは定義できないのですか。どっちなんですか。
○山口参考人 恐縮ですが、私から再度お答えをさせていただきます。 日本銀行の政策委員会が、昨年かなり時間をかけまして物価の安定という状態を数字でもって定義できるかどうかという議論をいたしました。そのときの私どもの理解では、現在のように構造変化がかなり急速に進んでいると思われるような時期には、数字でもって明確に物価の安定ということを定義づけることは極めて難しいという判断がございました。 これは一例を申し上げたわけですけれども、実際の例を見てみましても、例えば昨年中も、消費者物価は前年比若干の下落という状態になりましたけれども、そういう物価情勢のもとでも企業収益は顕著な改善を示す、賃金は安定傾向をたどる、それから経済成長もプラスになるというようなことが起きました。ところが、ことし、外的環境ががらっと変わってきますと、似たような物価の変動のもとで、経済情勢そのものも大きく変わってきたというようなことがございます。 そういうことをとりましても、単一の数字でもって物価の安定を定義する、これは言ってみれば許容できる物価の安定の議論につながっていくと思いますけれども、そういうことがいかに難しいかということを御理解いただけるのではないかと思います。
○山本(幸)委員 要するに、日本銀行総裁は調整インフレはばかな政策だと批判したのだけれども、自分の批判した対象が何なのかわかっていない。何を批判したのかわかっていないで、ばかな政策と言い続けているのですよ。そういうことでしょう。もうちょっと時間を上げるから、今度しっかり定義してきてください。 もう一つ、最近日本銀行はまたおもしろいことを言い出している。資金をじゃぶじゃぶ供給していますと。じゃぶじゃぶの定義。
○山口参考人 金融市場の中では、短期の金利がほぼ軒並みゼロになるというような超緩和の状態が実現してきております。じゃぶじゃぶということをもって、これも量的に幾らあればじゃぶじゃぶというような一線を画すことはできませんけれども、短期金利がほぼ全面的にゼロに張りつくという状態、それから金融機関自身が、これ以上の流動性の供給をされても、それに対してはなかなか需要が追いついてこないような状態、それがとりもなおさず金利ほぼゼロというところに反映されているわけですが、そういう状態をわかりやすく説明する言葉として用いております。
○山本(幸)委員 短期の金利が全面的にゼロになるような状況、これは名目金利ですね。実質金利は高いですよ、デフレだから。あなた方は、では実質金利のことは全然気にしないで、デフレがどんどん進んでいるという状況には関係しないで、短期の金利が全面的にゼロになっていれば、ああ、もうじゃぶじゃぶでいいんだ、そういうことを言っているのですか。 さっきもお話があったように、金融機関からお金なんて外に出ていないじゃないですか。じゃぶじゃぶというのは、資金市場でじゃぶじゃぶと言っているだけであって、実体経済にないですよね。その短期金利がどうのこうのというのは、そんなものはあなた方が勝手に決めた基準であって、私は日本銀行法を読む限りは、基準は物価がどうなるかですよ。物価の安定が日本銀行の使命でしょう。物価の安定というのは、別に四、五%のインフレなんて言いませんよ、昔に戻してくれと。九四年ぐらいのレベルでもいいや、少なくともデフレをなくしてもとに戻してほしい、デフレをなくしてほしい。それが日本銀行の使命であり、それが基準であるべきじゃないのですか。それからいえば、デフレの状況が続いているというのは、私の定義からいえばじゃぶじゃぶじゃありませんよ。 あなた方の話を聞いていると、一九三〇年代のアメリカの恐慌とそっくりだね。三〇年代アメリカの、よく経済学者が議論する、名目GDPに対してお金の多い、マーシャルのkがすごく上がっちゃった、これはじゃぶじゃぶだといって、金融をそれ以上緩めなかったのだね。そして恐慌になっちゃった。 恐慌状態になっている、私は日本経済は今恐慌に入りつつあると思っているのだ。恐慌になりつつある、デフレがどんどん進んでいるというデフレスパイラルの状況の中で、何がじゃぶじゃぶなんですか。物価が全然安定していないじゃないですか。それは、あなた方の思考が、過去の日銀的な感覚と、こういう恐慌の教訓を全然学ぼうとしない立場における単なる表現であって、しかし日本銀行法を読む限りは、物価の安定という点からいえば、その最終目標を達成していない以上はじゃぶじゃぶでも何でもありませんよ。 もし銀行が不良債権で困っているのなら、それをどうするかというのを日本銀行総裁は考えるべきじゃないですか。そういう異常事態の中で、どうしたら使命を果たせるのかと。自分たちはこれだけ出しているから後は知ったことじゃないという感覚でいいのですか。恐慌に陥るという危機感は全然ないのですか。 じゃぶじゃぶというのも、さっきの調整インフレというのも、さっき話があったように相対的議論。だけれども、日本銀行が責任を持って、総裁がそういう発言をする以上は、きちんと定義してもらわなきゃ困るのだ。これはいずれ、さっきの調整インフレと高目のインフレ率、それからじゃぶじゃぶの定義について、私が言ったことを含めてきちっと再定義し直してもらいたい。 次に、山口さんにお聞きしますが、あなた、調整インフレのときに、三十三条で認められる手段はまあいいと。これはそうでしょうな。しかし、それ以上はだめだと言われましたね。では、四十三条はどういう意味を持っているのですか。四十三条は、財務大臣が認可すれば何でもできるのですよ。
○山口参考人 四十三条の第一項の後段の方には、「ただし、この法律に規定する日本銀行の目的達成上必要がある場合において、財務大臣及び内閣総理大臣の認可を受けたときは、この限りでない。」と規定しております。
○山本(幸)委員 だから、財務大臣の認可を受ければ何でも売買できますね。それは恐らく異常事態になったときでしょう。私は、今日の日本経済は恐慌に入りつつある、しかも不良債権問題で銀行機能がちっとも機能しない、異常事態だと思いますよ。そう思いませんか。そうしたら、財務大臣と相談して、日本銀行として、物価の安定、デフレを解消するために、そういう不良債権を持って銀行がシステム不全に陥っているときにはどうしたらいいかということを考えてやるべきじゃないのですか。
○山口参考人 二つのことをお答え申し上げたいと思います。 第一は、日本銀行が先ほどじゃぶじゃぶという表現で申し上げた状態、これは、金融市場の中における流動性の状態と、それと裏腹にある低金利の状態を指しております。先ほど来の御議論にもございますように、残念ながら、金融システムから金融システムの外側にある企業、個人のところに、信用供与、金の流れというのが順調になっていないという状態が続いております。 それに対して、日本銀行として何が追加的にできるのかという問題を提起しておられるのだろうというふうに理解いたしますけれども、金融システムの問題を流動性対策のみで解決するということは、これはしょせん困難だというふうに思います。 私どもが例えば法三十三条によって健全資産の買い入れに通常の業務を限定されているということは、もう少し広く考えますと、日本銀行のなし得る仕事の範囲というのが基本的には流動性の供給であるというふうに定義づけられているということであろうと思います。 そういう範囲を超えまして、金融機関のバランスシート問題そのものに日銀のオペレーションでもって対処していく、バランスシートの改善を図っていくということが、果たして、この法律を仮に使いましても適切と認められるのかどうかというようなことにつきましては、私はかなり慎重な検討を要するように思います。これが申し上げたい第一点でございます。 それから、山本委員の御指摘の中でもう一つ、第二点、物価の問題を、物価が下落傾向をたどっているときに、その状態のもとで流動性が幾ら潤沢に供給されても、それはじゃぶじゃぶとは言えないという御指摘がございました。これは、現下の情勢の中で、物価の下落を金融政策だけでとめることができるのかどうかという問題を提起されたのだろうと思います。 私どもは、短期的には、というのは金融政策の効果が及ぶ射程距離というような時間的な観念で今一応申し上げておきますけれども、そういう短期的な時間の幅の中では、物価は、需給ギャップを初めとして、例えば輸入物価、例えば構造変化、輸入物価ということは為替の影響をそこに含むわけですけれども、あるいは原油価格の突然の変化といったことも含めていいと思いますけれども、そういうもろもろの影響を受けて物価の動きというのが決まってくるというふうに考えております。 したがいまして、金融政策だけではなくて、もっと需要供給全般に働きかけるような総合的な施策が必要ではないかというふうに思っております。
○山本(幸)委員 最初のバランスシート問題、日本銀行がやれというのは私も賛成しません。そんなことをやれとは決して申しません、不良債権問題、買い取るとか。私は、やるなら、それはあくまでも市場ができている資産でやるべきだというように思いますから、その心配は要りません。 それから二番目は、それはそうかもしれない、いろいろな要素があるかもしれませんね。しかし、輸入物価、ユニクロなんというのは相対価格の話であって、経済全体の、一般物価水準をどうするかというのは、それは日本銀行の大きな責任ですよ。その中で、物価の観点からすれば、全然じゃぶじゃぶじゃないんだから、もっと出せば為替レートだって円安になりますよ、もっといい効果が出る。 それで、個別の需要、供給の話をしているんじゃないんだから、総需要と総供給の話をしているんだから、総需要曲線、お金の量を出せば総需要曲線は上にシフトするなんて経済学の教科書に書いてあるじゃないですか。最大の需要拡大策ですよ、金融政策は。だから、そういう意味で、物価が安定、少なくともデフレがなくなるという方向にするまで、足りないじゃぶじゃぶだ、これは。もっとやらなければ、日本経済は確実に恐慌に陥りますよ。 僕は、小泉さんの構造改革は大事だと思うけれども、デフレ下で構造改革をやって恐慌に陥ったのが過去の歴史じゃないですか。デフレをとめなきゃ。それは政府とも本当に政策協調は要るけれども、しかし、今与えられた条件と、限られた時間的な制約と、不良債権処理が一瞬にしてできますか、そんなこと。そうであれば、デフレが続く限りは不良債権はどんどんふえるんだから、日本銀行は、その機能が不全だということを前提にして、おれができることをやりますと。そう言わないと、日本銀行は平成恐慌をもたらした最大の元凶者といって将来歴史に悲しい名を残すことになりますよ。 恐慌に対して、そんな心配はない、恐慌のときにインフレの心配はしなくてもいいんだからと、ピントがずれているけれども、あなた方は恐慌になりつつあるという認識はないんですか。
○山口参考人 まず、はっきり申し上げたいと思いますけれども、日本銀行も、経済のデフレ的な傾向を阻止したいというふうに考え、そのように努力しているということでは人後に落ちないつもりであります。だからこそ、私どもは、現在のような政策を、消費者物価の上昇率が最低でもゼロになるまでは継続するというようなかなり強いコミットメントを発しているつもりでございます。 その上ででございますけれども、それだったらもうちょっと総需要がふえるような金融政策をとってはどうかという御指摘がございました。 それに対して申し上げたいわけですけれども、金融政策でもって総需要を刺激するためには、やはり金利がさらに低下するというようなことが基本的に必要ではないかというふうに思います。現在の日本の金融の状況というのは、残念ながら、金融システムが御指摘のような問題を抱えております上に、いわゆる教科書的に言う流動性のわなというのに近い状態に陥っているのではないかと思います。 そういう次第でございますから、私どもは、金融政策だけでもってできることにはかなり限界があるというようなことを申しておるわけでございますが、なお引き続き、そういう限界の中でどういうことをできるのかということは懸命に考え続けてまいりたいと思っております。
○山本(幸)委員 最後に一言。 いや、全く危機意識が足りない。大変な事態になりつつあるという問題意識をもっともっと持ってもらいたい。それから、金融政策だけでといいますが、消費者物価をゼロにするのに、我々の持っているシミュレーションでは、マネタリーベースを、今八%、九%ぐらいだけれども、これを一五%伸ばしても二年かかりますよ、ゼロにするのに。そういう状況だと私は認識している。もっと危機感を持ってしっかりやってもらいたい。 終わります。
○山口委員長 以上で質疑は終了いたしました。 参考人におかれましては、長時間大変御苦労さまでございました。 本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十六分散会