法務委員会 第16号
- 発言数
- 74 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 2001/06/26
会議録
○委員長(日笠勝之君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る二十二日、直嶋正行君、久世公堯君、須藤良太郎君及び日出英輔君が委員を辞任され、その補欠として竹村泰子さん、尾辻秀久君、竹山裕君及び青木幹雄君が選任されました。 また、昨二十五日、魚住裕一郎君、福島瑞穂さん及び竹村泰子さんが委員を辞任され、その補欠として大森礼子さん、大渕絹子さん及び櫻井充君が選任されました。 ─────────────
○委員長(日笠勝之君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が三名欠員となっておりますが、本日はそのうち一名について補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(日笠勝之君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に久野恒一君を指名いたします。 ─────────────
○委員長(日笠勝之君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 民事訴訟法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に法務省民事局長山崎潮君及び法務省刑事局長古田佑紀君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(日笠勝之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(日笠勝之君) 民事訴訟法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○千葉景子君 おはようございます。民主党の千葉景子でございます。 きょうは、民事訴訟法の一部を改正する法律案に関しまして質問をさせていただきますが、これは既に衆議院の審議の中で修正等も施されまして、おおよその議論が尽くされたものも多いかと思います。しかし、まだ私の頭の中でもなかなか十分理解できない部分もございますので、限られた時間ではありますけれども、確認を含めて質問させていただきたいと思っております。 そこで、きょうは刑事事件関係書類の問題を中心に質問させていただきたいと思います。 そこで、まず冒頭に、民事訴訟における刑事事件記録の利用について、現行制度の実態と、それからそれに関する利用の実情のようなものをまず聞かせていただきたいというふうに思います。 私も、この審議に当たりましていろいろ自分なりに整理整とんはしてみたんですけれども、民事訴訟において刑事事件記録がどういう形で制度上利用が認められているかということを考えると、一つは起訴前の記録、それからその中に不起訴になった記録という部分がございます。それから、起訴になり公判手続が進んでいる、そういう状況にある記録、それから事件が終わり確定をいたしまして、その確定した記録についてと、いろいろな段階での制度があろうかというふうに思います。 例えば、刑事訴訟法では、起訴前の訴訟書類、起訴前というか公判開廷前は原則として公開が禁止になっているということがございます。ただ、公益上必要があるときはこの限りでないというただし書きがございますけれども、公判の開廷前はこういう制度が適用されるということになろうかと思いますし、公判中になりますとこれはなかなか難しい問題でございまして、犯罪被害者保護の関係で多少記録の閲覧等が可能になっているのかなというふうに思います。それから、今度は確定した記録になりますと、刑事確定訴訟記録法によりまして閲覧、謄写などが一定程度認められると。 こんなようなおおよその場合分けといいましょうか、そしてそれに対応する制度ということが現行法上は存在するのかなと思いますけれども、どうでしょうか、まずそのあたりの、現行の制度における刑事訴訟記録の扱いについてちょっとわかりやすく説明をいただければと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) とりあえず、私が承知しております範囲で、御質問の内容を整理してお答えしたいと存じます。 民事訴訟におきましては、刑事関係書類を書証として利用する手段といたしましては、民事訴訟の当事者が、検察官または刑事裁判所の許可を得て、刑事関係書類を謄写して提出する方法というのがまずございます。また、それとは別に、裁判所からの文書送付の嘱託に基づきまして、検察官または刑事裁判所から送付された刑事関係書類を民事訴訟の当事者が謄写して提出する方法と、およそ二つに分かれるかと思います。 その中で、まず検察官が保管する確定訴訟記録につきましては、刑事確定訴訟記録法第四条に基づきまして、原則として閲覧することができます。最近の統計では、民事訴訟での利用を目的とする閲覧請求は年間五千件以上に上りまして、そのほぼ全件が許可されております。また、運用上、謄写請求もほぼ全部が許可されております。 また、確定訴訟記録について文書送付の嘱託があった場合には、運用上、刑事確定訴訟記録法に基づく閲覧に準じ、原則としてこれに応ずる取り扱いがされております。近年の受理件数は年間千件前後でございまして、そのほとんどについて嘱託に応ずる取り扱いがされております。 次に、刑事裁判所が保管する確定前の訴訟記録につきましては、昨年十一月に施行されたいわゆる犯罪被害者保護法によりまして、第一回公判期日後であれば、被害者等が損害賠償請求をするために必要である場合などの正当な理由があって、かつ犯罪の性質や審理の状況等の事情を考慮いたしまして相当であると認められる場合には、被害者等に当該記録の閲覧または謄写をさせることができます。文書送付の嘱託があった場合にも、これに準じて刑事裁判所の判断により送付をすることができます。 さらに、不起訴となった事件の記録につきましては、刑事訴訟法第四十七条により非公開が原則とされていますが、そのただし書きによりまして、「公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない。」とされておりまして、特に交通事故の実況見分調書などにつきましては、従来から文書送付の嘱託や弁護士会からの照会などに応じて開示が行われてまいりました。 近年の運用の実態を見ますと、実況見分調書等の送付嘱託の件数は年間千件を超えまして、また弁護士会からの照会は七千件前後に及んでおりまして、その九割以上について嘱託、照会に応ずる取り扱いがされております。 さらに、平成十二年二月以降は、被害者等が民事訴訟等において、被害回復のため、損害賠償請求権その他の権利を行使するために必要と認められる場合には、関係者のプライバシーを侵害するおそれや捜査、公判へ支障を生ずるおそれがない限り、開示対象となる事件を交通事故に係る事件に限定することなく、また開示対象となる証拠も実況見分調書だけではなく、写真撮影報告書、検視調書等の客観的な証拠で、かつ代替性がないと認められるものに拡大する適用を行っているところでございます。
○千葉景子君 大変わかりやすく整理をして御説明いただきまして、ありがとうございます。 現行制度上は、今、大臣から御説明があったそういう制度になっておろうかというふうに思います。ただ、それらの制度はそれぞれいわば趣旨といいましょうか、それはあるわけでございまして、必ずしも民事訴訟において証拠収集のための制度というわけではない。ただ、今お話がございましたように、必要があればでき得る限り送付嘱託などに応じている、あるいは弁護士会照会などで明らかにしていくという方向はあるように思われます。 ただ、実際にそれが本当に、今九割方というようなお話もございますけれども、そうなんだろうかということを考えますと、これは日弁連の方で調査をされた実情と伺っておりますけれども、必ずしもそういうわけでもないということが示されております。特に、例えば労災関係の事件などですと、なかなか公開されていないという実情もあるようですし、それから基本的に公開がされなかった、送付嘱託などに応じられなかったというものが百件余りの中で不起訴記録ですと五十件余り、公判中の記録ですと二十件、そして確定記録でも二十九件、三十件近くという調査もございます。これがすべてとは私も申しませんけれども、必ずしも十分に刑事訴訟記録が活用されている、あるいは応じられていると言うわけにはいかないような気がいたします。 そういう意味では、どうなんでしょうか、やはり刑事事件の関係書類を民事訴訟のために使うことができる、民事訴訟の審理をするために、そして真実を発見するために活用することができるということを、先ほど御説明いただきましたそれぞれの個別の制度ではなくて、きちっとした形で制度化するということの必要性ということがあるのではないかというふうに思っています。 特に、近時いろいろな訴訟事件がございますけれども、どうしても刑事事件の関係書類がないと実態がわかりにくい、しかも民事訴訟における原告などの立場になる一般市民にとってはなかなか証拠書類あるいは証拠を収集するというのは難しい部分がございます。 例えば、株主代表訴訟で役員の贈収賄事件とかあるいは総会屋への利益供与、背任行為などを立証して株主としての権利を行使しようというような場合、あるいは住民訴訟などで談合の実態などを明らかにして住民の権利を守っていこう、こういうような訴訟。また、これはよくしばしば指摘をされますけれども、交通事故の場合、あるいは欠陥商品のようなものによって被害を受けてそれを損害賠償で解決しようという事例。先ほど言いましたように労災問題などもございますし、これもいろいろと近時にぎわせましたけれども、薬害事件等ですね、これもなかなか専門的な分野に市民が証拠を求めるというのは難しい。 刑事事件でそれが審理をされておれば、そこで捜査機関がきちっと収集したものというのが非常に大きな役割を果たすということになろうかというふうに思います。少年事件などにも同じような問題が存在をしておりますけれども。 こういう事件、そして特に近時、問題が大変増加をしているというような状況を考えますと、この刑事事件関係書類に関するきちっとした民事訴訟に提出をさせることのできる制度、いわゆる提出命令制度というものを設ける必要があるのではないかというふうに私は思うんですけれども、その点について、どうでしょうか。 大臣には先ほど現行の制度を説明いただきまして、かなりそれによって訴訟が進んでいるというのは、私もあることは承知をしておりますけれども、本当にそれだけで十分なんだろうかという気がいたします。その点、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 確かに、民事訴訟におきましても犯罪被害者が損害賠償を求める場合などには刑事関係書類を証拠として利用するという必要があることはそのとおりだと思います。 しかし、刑事関係書類というのは、国家刑罰権の実現を目的といたしまして、刑事訴訟における実体的真実の解明という公益の追求のために強制処分を含む強力な権限を行使いたしまして、その性質上、関係者の名誉とかプライバシーにも深く立ち入って作成されるということが普通でございます。 そこで、刑事関係書類につきましては、関係者の利益保護、捜査の秘密及び刑事裁判の適正の確保などの利益と、これを開示することによって図られる公益とを調整するという観点から、刑事訴訟法等において開示の要件、方法などについて独自の規律を設けまして、弊害が生じない範囲においてその開示を認めるということになっております。 このため、民事訴訟法の文書提出命令によりまして刑事訴訟法等が認める範囲を超えて刑事訴訟記録等が開示されるものといたしますと、関係者の名誉、プライバシーなどの利益に重大な侵害を及ぼしたり、将来の捜査、公判に対して悪影響を与えたりするなどの弊害が生ずるおそれがございます。 また、民事訴訟において刑事関係書類を利用する方法といたしましては、先ほどお答えいたしましたように、従来から民事訴訟の当事者が許可を得て刑事関係書類を謄写したものを提出する方法と、文書送付嘱託に基づき送付された刑事関係書類を謄写いたしまして提出する方法とが認められておりまして、実際にもこれらの方法によりまして刑事関係書類は民事訴訟の証拠としてかなり広く利用されております。 ですから、刑事関係書類につきましては文書提出命令制度における一般義務として文書提出義務の対象とする必要はなく、また適当でもないと考えられます。
○千葉景子君 今、大臣から御説明をいただきました。その中で、やっぱり何点か問題点があるのではないかというふうに思います。 というのは、先ほど私も申し上げましたけれども、それぞれ閲覧、謄写の制度、公開をする制度というのが現行設けられております。しかし、それがどういう趣旨に基づいて認められているのかということを考えますと、例えば犯罪被害者の保護というようなこと、これはあくまでもその犯罪被害者を救済するというために特殊に設けられているという部分もございます。 それから、確定記録の閲覧、謄写などは、ある意味では刑事手続の公正さみたいなものを確定後、一般市民にもチェックの目が届くというような、これはそういう意味合いがあろうかというふうに思います。そういう意味では、必ずしも民事訴訟においての刑事記録の扱いということを直接目的としているわけではないということが言えると思いますし、やはり必ずしもそれらの制度だけですべてが賄われるというものでもない、それがちょっと一点ございます。 それから、大臣もおっしゃいましたように、確かに刑事事件記録は、捜査の秘密とかあるいは捜査の適正、それから個々に非常にプライバシーにかかわるものがたくさん含まれている、それを保護していくということ、これは否定できない部分だというふうに思うんです。 ただ、触れられましたそれと民事事件の真実の発見、そして適正な民事事件の解決、これも大事なことなわけでして、その調整のためにというお話でした。まさに、私はそのとおりなんだと思うんです。民事事件の解決も、これも大変公益性の高いものです。それのために刑事事件の証拠を活用するということも公益的に要請される問題であろうというふうに思いますし、その一方、プライバシーであるとかあるいは捜査上の適正ということも、これも公益的に要請された課題である。まさに、これをどう調整するかということなんですね。 だとすれば、今回のように一律に非公開といいますか、そうすることではなくて、それを一つ一つ個別に判断する。片方のプライバシーと、そして民事訴訟における真実発見あるいは民事訴訟の適切な解決ということと、相当類型として違うものがあるし、実態も違うだろう。そういうものを個別判断できるような形で制度、そして法律を構成することができないのだろうかというふうに思います。 大臣も民事事件での刑事関係書類の必要性というのはやっぱりお認めいただいているわけですし、そうなりますと、今回の法案は一律除外という格好になっているんですね。そこを個別吟味できるような法律立て、こういうことをなぜ考えられなかったんだろうかと、こういうふうに思います。個別判断という仕組みにできなかった、あるいはしなかった理由というものはどういうところにあるでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) 先ほど大臣の方から御答弁申し上げましたけれども、もともと、この法律の仕組みでございますけれども、民事事件で使う必要性ということは当然認めているわけでございますけれども、その仕切りを刑事手続にゆだねるという形でございます。 この法律案につきましては、平成十年に国会の方に提出させていただきまして、一たん廃案になって出し直したわけでございますが、その間に、やはり刑事手続の方で民事のこと等も考えながらいろいろな法律で閲覧、謄写できる範囲を広げております。また、通達等で運用上広げるという形でそちらの手続にゆだねて、そちらの方を広げていくという手法をとっているわけでございます。それが前提にございます。 それじゃ、なぜこの法案において、二百二十条のいわゆる一般の公務秘密文書でございますか、そこに入れて個別の判断をしないのか、この点についてお答え申し上げます。 個別の事件でそれぞれ判断をしていくということになりますと、やはり事件ごとにプライバシーの問題あるいは捜査の秘密の問題、個性が全部違ってまいるわけでございます。そうしますと、提出を求められたという場合に、そこの監督官庁と、あるいは裁判所も入りますけれども、そういうところはその個別の事情を述べなきゃいかぬということになるわけでございますが、これは余り詳しく述べますと、捜査の秘密、プライバシーにかかわってしまいまして、事案によってはそう突っ込んだ意見を出すことができないというものもあるわけでございます。そういう状況の中で、裁判所の文書提出命令の判断を仰ぐということになった場合に、やはり不十分であるというような事態が生じ得るのではないかということの危惧が一つございます。 それからもう一つは、最終的に裁判所が判断をするということでございますけれども、ある捜査書類の中、捜査書類は膨大にございますから、その中でAという文書を提出してほしいというふうに言った場合に、例えばAの文書だけを見て、あるいはそれだけを判断して、インカメラ手続がございますから見ることも可能でございますけれども、それで、これはプライバシーに影響がないか、あるいは捜査上の今後の問題として支障がないかということを判断するということが極めて困難であろう。捜査書類全部を見るということならば判断できるかもしれませんけれども、一つの書類を見て全体を判断することが可能かどうか、こういう点にも問題があるということを考えまして、刑事訴訟手続等の要件あるいは開示の範囲、そういうものにゆだねるというふうにしたわけでございます。
○千葉景子君 先ほど、前提として刑事事件記録については刑事の制度あるいは刑事訴訟法にゆだねるというのが根底にあるというお話がございました。 しかし一方、やっぱり民事訴訟というのも刑事と同時に独立して存在しているわけで、そこでの真実の発見そして民事訴訟を適切に遂行するという要請はこちらの反対側にはあるわけですよね。そういうことを考えると、単に刑事にゆだねればいいというものではないというふうに思います。 それから、今、なかなか一つの個別の資料だけをもって必要性の判断等をするのは難しいというお話だったんですけれども、本当にそうだろうかという感じがいたします。 というのは、例えば、先ほど触れていただきましたが、公務秘密文書、これについては別に一律非公開、不開示となっているわけではないわけですよね。この中には、例えば外交にかかわる大変重要な文書みたいなものも含まれることになります、当然のことながら。こういうものについてでもやはり今回の民事訴訟法の一部を改正する法律案では個別の判断をインカメラで行えるということになっているわけですよね。 今お話があったように、難しいといえば外交文書等の方がもっともっと難しい問題というのはあるんじゃないかというふうに思いますし、それからプライバシー等の問題も、やはりそれがゆえにインカメラ手続でその必要性などを判断する。一般に公開して判断をするというわけではないわけでして、そういう意味では、今幾つか確かに理由は説明をいただきましたけれども、それ一つ一つ、必ずしもだからといって刑事事件関係書類を提出命令の一律除外にしなければ、到底今おっしゃった理由が全うできないというわけではないと思うんです。もしそうだとすれば、今申し上げたような公務秘密文書のようなものは、そちらも、逆に言えば個別判断などにゆだねて本当に大丈夫なんだろうか、むしろそういうことも言えるのではないかというふうに思うんです。 そういう意味では、再度お聞きをしてもまた同じお答えが繰り返されるということになるのかもしれませんけれども、改めて、一律除外をしてしまったということは、今冒頭から御説明があったように、民事訴訟において刑事事件関係書類の活用の必要性はあると。その開示なども、民事事件に使うという意味でも徐々に広げられてきているという流れから考えますといかにも逆行している。そして、これじゃ民事事件の裁判官はそういう判断すらすることができないのか、そういう能力もないのかと極端に言えば言っているようなそんな感じもするわけでして、改めてこの刑事事件関係書類の一律除外ということについて本当に問題はないのか、あるいは今後、問題を残してしまったとお感じにはならないか。民事局長、いかがですか。
○政府参考人(山崎潮君) 繰り返しになるかもしれませんけれども、先ほど私が申し上げたのは、制度として刑事手続にゆだねるということでございますけれども、その中でやはり刑事の方の秘密にしなければならない、プライバシーを守らなきゃいかぬという要請と開示しなければならないという要請、これは民事にも必要だということを前提に徐々に徐々にそちらで広げているわけでございまして、そういう意味では情報を開示するという流れにマッチしているというふうに私は理解をしております。 それで、現在こういう形で御提案をさせていただいているわけでございますけれども、では今後どういうことになるのかという御質問でございます。 現在、私どもはこれで大部分の場合は対応できると。じゃ、具体的にどういう場合に本当に対応できないのか。確かに、拒否された例もいろいろあるようでございます。その中を一つ一つ全部分析していって、どういう場合に本当に必要になるのかということがなかなか具体的に御指摘をいただく場面がなく、また非常に抽象的でございまして、そういう点、我々としてももちろん法案を検討して提出させていただく場合、本当に世の中に支障があるという場面があればそれはやはり改正をせざるを得ない、手当てをせざるを得ないというのは法律を担当する担当者の考え方でございます。 現時点におきましては、この仕切りで大部分の場合は対応できるだろうというふうに考えておりまして、また今後その運用等いろいろ経まして、本当に支障があるというのが具体的に出てくるという状況であればそれはそれとして考えざるを得ないというふうに私どもは理解をしております。
○千葉景子君 わかりました。 そうなりますと、今回、一律除外というような形にはなっているけれども、例えば具体的にこういう支障があるというようなことを、じゃ、改めて問題が生じてきたとかあるいはそういう指摘がなされている、あるいはそういう調査をなさってまたさらに問題に対応していくということになるのかなというふうに思います。ぜひこれは、今申し上げてきたことの具体例などを私どももさらに提起させていただき、今後のまたさらなる議論を怠りなく進めていただきたいというふうに思うわけです。 ちょっと、先ほどインカメラの話を伺わせていただいたんですけれども、ついでといってはなんですが、お聞きをしておきたいというふうに思うんですけれども、公務秘密文書についてもインカメラ手続によってその公開の是非が判断をされるんですけれども、これはどうも私もわからないんですが、インカメラ手続で判断するのは一体何を判断するということになるのでしょうか。ちょっとそこらを、要するにその書類の内容なんでしょうか、それとも相当性判断ですね、非公開にすべしということの相当性の判断の部分を審査するのか、その書類自体の内容の方を審査するのか、そのインカメラ手続の流れといいましょうか、仕組みのところをちょっと説明いただけないでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) インカメラ手続は、当事者の主張ではなかなか判断し切れないという場合に裁判所が現物を見て判断をするということでございますが、実質的には公共の利益を害し、または公務の遂行に著しい支障を与えるかどうかという要件の判断でございまして、その前提といたしまして、そこで述べていることは形式的な秘密ではなくて実質的な秘密である、実質秘であるというふうに言われているわけでございまして、まず前提としては、本当に主張するようなものが記載されているかどうかというチェックの問題と、その記載されているものが実質的な秘密に当たるのかどうかというところ、これを最終的に判断する上の手段である、こういうふうに理解をしているわけでございます。
○千葉景子君 要するに、裁判所が判断するのは相当の理由があるかどうかを判断するんですか、それとも監督官庁の出されている意見が相当であることを認めるに足りない場合に限って、ちょっと私の説明も変なんですけれども、要するに相当性があるか否かを判断するということですか。
○政府参考人(山崎潮君) 基本的には、監督官庁の意見を基礎づけるべき文書中の記載の存否がまずございます。それから内容もあります。そういう点の争いがあるという場合に、裁判所がこれらの点について心証を形成することはできないということで最終的な判断ができない、言っていることが相当であるか判断できないという場合、その前提で見るというのがこの制度の趣旨でございます。 究極的には、最終的な主張が正しいかどうか、これにつながっていくわけですけれども、その前提となるものについて、見て判断をするということになるわけでございます。
○千葉景子君 どうもここのところがいま一つはっきりわからないんですよね。要するに、除外事由になるのかどうか、その実態的な、実質的な判断をする前にまず監督官庁の意見がちゃんとそろっているか、あるいは理由としてちゃんと成り立っているかという、相当な理由かどうかというところをまず第一段階で判断し、それがない場合には実質的にそれが除外事由に当たるかどうかを判断すると。こういう二段階といいますか、そういうふうになるんですかね。
○政府参考人(山崎潮君) 今、委員御指摘の点は、外交とか防衛の高度の秘密を要するもの、これにつきましては第一次的に国にその理由を言わせて、その理由が合理性があるかどうかというその理由のところで判断をしてしまう、こういうやり方をしまして、最終的に国等の主張していることが正しければそこで却下と、そうかどうかがなかなか判断できないという場合に例えばインカメラを使って判断していくという構造、この場合を多分言われているんだろうと思いますが、必ずしもそういうものだけではなくて、通常の公務秘密文書に関しましてはそういう判断構造をとっておりませんので、それは事実の存否とか、まずそこから入っていくということになろうかと思います。 委員御指摘の高度の秘密のものにつきましては、今、委員が言われましたとおりの判断過程を通るのではないかというふうに理解をしております。
○千葉景子君 わかりました。 こういう高度の秘密にかかわるようなものについては相当性の判断をし、それから内容の判断をすると。これだけ厳格な手続といいましょうか、インカメラ方式をとりながら、こういう段階を踏んで、監督官庁の意見も十分に尊重するという格好になっているわけですよね。 こういう構造までつくってあるんですから、また戻りますけれども、刑事事件関係書類だって、やっぱりそれなりに刑事の方の意見も尊重し、そして刑事裁判所の方の意見も十分に尊重しながら、しかし個別にちゃんと判断できるというそういう仕組みを私はつくることは可能だったんじゃないかという感じがしてしようがありません。これは、先ほどからどうやら水かけ論になってしまうようなので、私はそういう意見を持っているということを改めて、このインカメラ手続の公務秘密文書などについての流れを考えますとより一層感ずるところですので、指摘をしておきたいというふうに思っています。 さて、この法案ですが、法制審議会においてさまざまな議論がされてまいりましたが、特に法制審の中でも附帯要望事項というのが付されて答申がされているんですね。この附帯要望事項のようなものは一体この法律を策定するに当たってどういうふうに生かされたりあるいはこの法案の中に反映されたりしているんでしょうか。ちょっとその点についてお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(山崎潮君) ただいま委員御指摘のとおり、確かに附帯要望事項というのがつけられております。それは二つございまして、一つは、この民事訴訟法の法律案を立案するに当たっては、いわゆる行政情報公開法でございますけれども、それとの整合性に留意することというのが一つございます。それからもう一つは、この法律案が成立し施行された後においても、各種刑事手続等はございますけれども、その運用が変更されることのないように要望をすると。この二つが付されたわけでございます。 その第一の点でございますけれども、これにつきましては、両法案はほぼ同じ時期に国会に提出されたわけでございます。そういう関係から、両者の整合性をとるということで努力をしております。 ただいまの刑事事件関係の記録でございますけれども、これはいわゆる情報公開法におきましても整備法をもちまして刑事訴訟法の五十三条の二という条文を新たに設けまして、刑事関係書類につきましてはいわゆる情報公開法の適用を除外するという形で、その適用の除外の意味は、やはり刑事手続の仕切りに従うと、こういうことから外しているわけでございますけれども、それとこちらの考え方というのは共通をしております。 それから、例えば二百二十条の四号のニというところに括弧書きで「組織的に」、これは自己使用文書でございますけれども、それは組織的に用いるものについては除外をしますよと。これは情報公開法と民事訴訟法、共通の仕切りでございまして、そういう形でその整合性を図っていったということで実行はしているということでございます。 それから、運用等につきましては、むしろ拡大傾向にございまして、従来の運用を変えていないということは自信を持って申し上げられるというところでございます。
○千葉景子君 附帯事項、確かに情報公開制度との整合性ということを求めております。私も、情報公開法の審議のときもいろいろと考えさせていただいたんですけれども、確かに情報公開法は、一般の国民に対して行政の情報等をきちっと開示する、行政の説明義務をきちっと尽くす、こういうことにもかかわっているわけですね。ただ、それと訴訟においてみずから権利を確保するという問題とはやっぱり場面が違うだろうと思うんです。 それで、整合性をとるというのは、要するに両方の制度を同じ形にするという意味が本当に整合性なのか、情報公開法は市民の知る権利あるいは行政情報をきちっと開示して国民主権を全うするという問題であって、それと訴訟上の権利保護のようなものは趣旨も違う、その置かれている土台も違う、そういうところをきちっと両方踏まえてそれぞれの制度を考えよと、そういう意味で、情報公開制度では刑事事件の記録についてはさわりませんけれども、ほかの制度の中できちっと位置づけなさいというのが、ある意味で整合性なのではないかというふうに思うんです。だから、情報公開制度で除外をされました、だから民事訴訟制度でも除外をしますと、これで整合性がとれたというのは、ちょっとこれはいかにも形式的な考え方ではないかなというふうに思ったりいたします。 ただ、そういう形でこの附帯要望事項というのが整理をされたということはわかりましたけれども、ちょっと趣旨が、そういうことを求められていたのかなと、こういう感じもいたしますが、お答え自体はそういうことだということで受けとめておきたいというふうに思います。 さて、この法律の中には、ほかにも、先ほど触れましたけれども、公務秘密文書の問題、それから自己使用文書の問題等があるんですけれども、もう一つ私は非常に難しい問題に立証の問題があると思うんですね。 これはいわゆる証拠の内容、証拠自体の問題ではないので立証責任という概念は当てはまらないと思うんですが、やはり民事訴訟で記録の提出を求め、それが必要だという側が結局は立証の負担といいましょうか、やっぱり請求側が明らかにしなければいけないという仕組みであることはそのとおりですよね。そういう仕組み、求める側が立証を尽くさなければいけないということになりますね。
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、おっしゃられるとおり、申し立てる側が、特に四号を今度新しく加えましたので、四号の場合には、イロハニホの除外事由には当たらない文書であるということを主張していただくということになります。 これはなぜそういうふうにしたかということでございますけれども、文書を一般義務化して広げたわけでございます。そういう関係から、場合によっては、常にこれに当たるということで、主張をするということで弊害が生じないようにということからそうなっているわけでございますが、現実問題としては、今度、求められた側はその文書に当たるということをきちっと言わないと最終的にはなかなか認めてもらえないという点もございまして、相手方の主張、立証というんですか、これに相当なウエートがかかるということで、申し立てる側がそれほど過酷な責任を負うと、立証責任と言えるかどうかわかりませんけれども、そういうものを負うということにはならないだろうというふうに私どもは理解をしております。
○千葉景子君 実際には今、局長がおっしゃったようなことになるんだろうと思うんですね。求められた側が、むしろこれは公開できないものだと言うための立証をむしろ実際にはするということになるんだと思うんですが、だとすれば、むしろやっぱり求める側は、おおよその場合にはごく一般的な国民だということを考えますと、この法律の立て方自体として、やっぱり立証の負担、立証責任的なものですけれども、それを拒む側と言うと変ですけれども、そちらに負わせるような法律の構造ができなかったのかなというふうに思うんです。 実際には請求側がそんなに過大な負担はしないんだということであるならば、法律の仕組み上、立証責任を転換したような法律の仕組みを考えるということも一つだったんじゃないかなというふうに思うんです。だから、例外の例外みたいにちょっと逆転してしまっているんですけれども、例えば一号から三号とは別建てにして、請求された側が立証をしなければいけない、そういう法律の構造をつくることはできなかったんだろうかというふうに思います。 ただ、今お話がございましたように、実質的には立証の負担というのがそんなに大きいものではないんだということではありますので、ぜひそこは請求側が過大な負担にならないような実質的な取り扱いというものを頭に置いていただきたいというふうに思います。 時間がなくなってきましたのでちょっと今後のことを聞かせていただきたいんですけれども、衆議院の方で修正が施されまして、三年後の再検討ということになりました。この再検討をするに当たって、どんな手順で行っていくのかということをちょっとお聞きしておきたいというふうに思うんです。 どうなんでしょうか。これまでも検討する場合には法制審などにかけて検討がされてきたというのが通常の形でございますけれども、今回のこの三年後の再検討に当たっては、やはりそういう従来と同じように法制審などで十分な議論をしていくということになるのでしょうか。 その点について、今後の手順をちょっとお聞かせいただきたいというふうに思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 御指摘の附則第三項の趣旨を踏まえまして、今後とも刑事手続関係の開示制度による刑事事件関係書類等の民事訴訟における利用状況を見守っていきまして、文書提出命令制度のさらなる改善を図る必要があると認められる場合には、法律施行後三年をめどとして所要の見直しを行っていくべきであると考えております。 その見直しに当たりましては、衆議院における附帯決議を踏まえまして、法制審議会などの公の開かれた場において調査審議を行いまして、国民の意見が十分に反映されますような措置を講じていきたいというふうに考えております。
○千葉景子君 ぜひそのような議論を尽くしていただきたいというふうに思いますし、やはり日常、訴訟にかかわっている弁護士などの意見、弁護士会等の意見などが十分反映されるような、そういう手だてもしていただきたいというふうに思いますし、それから前回の附帯決議で、司法判断を尊重するということでこの議論を進めていくということになっているわけでございますので、そういう意味で、今後、再検討に当たっても、司法の判断というもの、司法判断の機会を奪うようなことがなきような取り扱いをしていただきたいというふうに思いますけれども、その点、ちょっと改めて確認の意味で、大臣の今後の御決意、御所見を聞かせておいていただきたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 御趣旨を踏まえまして、広く多くの方の御意見を伺って決めていきたいというふうに思います。
○千葉景子君 終わります。
○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。 昨年の犯罪被害者保護法によりまして、犯罪被害者に対し、刑事公判記録の閲覧、謄写が認められました。それまでは、大切な人を失ったり自分自身が重大な障害を負っていても刑事裁判の蚊帳の外に置かれていた被害者にとりましては、これは一つの前進だと思います。しかし、これは起訴された場合のことで、加害者が不起訴となった場合は基本的に不起訴記録が開示されないために情報に十分アクセスできないという事態は依然として続いているわけです。 そして、この問題で法務省は、昨年二月から三月にかけまして、「被害者等に対する不起訴記録の開示について」という通知を出されましたね。この内容は、個別具体的に勘案して弾力的運用を行う。また、「客観的証拠で、かつ、代替性がないと認められるもの」としておりますけれども、基本的には不起訴記録を犯罪被害者に開示していく、そういう方向で拡大をしていくものだというふうに理解してよろしいでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘のとおり、不起訴記録につきましてもさまざまな内容を含むもので、その中には民事的な損害賠償請求権の行使など、後からは手に入らないようなものも間違いなくあるわけでございます。したがいまして、そういうものについては開示をするという方向で拡大してきたものでございます。
○林紀子君 これからも拡大していく方向だというふうに理解をさせていただいてよろしいのでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) ただいま申し上げましたとおり、なかなか後では入手しにくい、入手ができないような客観的な証拠、こういうものにつきましてはその必要性が非常に大きいということからこれを開示するという方法でございますけれども、それを超えまして不起訴記録を広範囲に開示するということになりますと、中には非常に個人のプライバシーにかかわるようなものもございますし、あるいは率直に申し上げまして信用性がないようなものも、これは入らざるを得ないという特徴を持っております。 そういうことから、それを拡大することについては非常に慎重な検討が必要であると考えております。
○林紀子君 通知には、「供述調書等については、供述人が死亡するなどして代替性がないと認められる場合を除き、閲覧又は謄写を認めるべきではない。」というふうにありますけれども、現状では不起訴記録のうち実況見分調書などは開示されておりますけれども、供述調書などはほとんど出されていないという状況だと思います。しかし、犯罪被害者の権利回復にとっては供述調書も非常に重要です。不起訴で刑事記録全体が出ないための不都合というのはいろいろな場面で起きていると思います。 私も弁護士さんに聞きましたけれども、例えば強姦事件で不起訴になった場合、被害者が民事訴訟を起こしてセクハラで損害賠償請求をしたいと思っても、被疑者の供述調書がとれない。仮に、被疑者が供述で強姦というのは否認していてもセクハラの事実はあったと認めている場合でも、その供述というのは出されない。また、被害者が死亡した場合などは関係者の供述調書が出されないことが事実の究明を非常に困難にしていると思います。しかも、事件直後には反省して供述しながら、時間がたって不起訴になった後には供述を変えて賠償を免れようとする場合も少なくないということも聞いております。 権利を侵害された人の権利回復を困難にしているというのは非常に不合理だと思います。やはり、不起訴記録を原則開示という形で御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 民事訴訟におきましてももちろん当事者尋問あるいは証人尋問という形でいろいろ明らかにしていくという手段は用意されているわけでございます。したがいまして、先ほど代替性等の有無ということを申し上げましたのは、そういう観点からの問題であるというふうに御理解をいただきたいと思います。 今御指摘の、不起訴記録についてさらに供述調書も含めて開示の範囲を拡大すべきではないかという点につきましては、先ほども申し上げましたとおり、不起訴記録の性格上、個人のプライバシーあるいは将来の捜査、公判その他に非常に大きな影響を及ぼす場合がございますので、やはり慎重に検討せざるを得ないと考えております。
○林紀子君 慎重にということは確かにあると思いますけれども、しかしそれは個々の場合に一つ一つ見ていっていただきたいということも思うわけです。一般にプライバシーの侵害や捜査の支障になるということでそれはだめということにしないでほしいという思いを持っております。犯罪被害者の側に立った情報開示というのを検討する必要があるんだと思うわけです。 民事訴訟の法廷での証言で代替可能ということが言われておりますけれども、しかし民事訴訟を起こすかどうか、それを含めて被害者に判断材料というのが必要であり、そのために開示が必要だというふうに思うわけです。 一昨年、京都の日野小学校で起こりました小学生殺害事件で、被疑者が警察官の任意同行を振り切って自殺し、不起訴になったという事案があります。 被害者の両親は、全く見知らぬ人物に突然子供を殺された、一体何が起きたのか、どうしてこんなことになったのか、それを知りたい、その一心。もしこれがわからなければ、この余りに理不尽な事態から自分自身も立ち直れないというふうに言っているわけですね。被疑者が一体どのような家庭で育ったのか、何が彼を犯行に走らせたのか、遺族が知りたいという思いは当然ではないかというふうに思うわけです。 しかし、犯罪被害者が個人で情報を収集するのは本当に難しい至難のわざだと思うわけです。この場合も関係者にいろいろお話を両親は聞きに行ったんだけれども、相手は警察に全部話してあるから警察の方で聞いてくれと言われて話をしてくれなかった。代替性ということはここでは通用しないんじゃないかというふうに思うわけです。 大臣にお聞きしたいんですが、今申し上げた京都の日野小学校の例というのは一つの例ですけれども、こういうことというのはまだほかにもいろいろあると思うわけです。ですから、犯罪被害者の立場に立って、不起訴の場合の刑事記録の開示というのも個別の事例に即して丁寧に判断していく、そしてどうしてもここがポイントだというようなときには供述調書についても必要な開示を行っていくべきではないかと思いますけれども、御所見はいかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 不起訴記録は、公判廷で取り調べられたものではございませんし、公にされてはいないものでございます。不起訴記録中の供述調書には、プライバシーに深くかかわるものもございますし、裏づけのない供述などもまじっているわけでございまして、これを開示いたしますと、関係者の名誉等の侵害や将来の刑事事件の一般の捜査、公判への支障を生ずるおそれが考えられますので、これを全部全面的に開示するということは適当ではないというふうに思いますし、御指摘の京都の事件につきましても、そのような点を考慮した結果、不起訴記録の一部のみをお示ししたのだと承知しております。
○林紀子君 ですから、私は全面的に直ちに開示をしろというふうに言っているわけではなくて、それぞれの個別の事案に即して、それはきちんと丁寧に考えながら、しかしどうしてもこれが代替性もないし、これがないと本当に自分の方が訴えをするか民事訴訟を起こすかどうかということにも踏み切れないし、そしてまた心の傷というのもいつまでも残ってしまう、そういうときに丁寧にそれを一つ一つの事例で考えていってほしいということを言っているんですが、その辺ではいかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 一般論といたしましては先ほど私が申し上げたとおりでございまして、一つ一つのケースにつきましても、その原則をもとにして、そして判断されるべきものではないかというふうに考えます。
○林紀子君 先ほど、せっかく今回の「被害者等に対する不起訴記録の開示について」という通知を出していただいて、それが一つ適用されることによって救われる部分もあるわけですから、一般原則はこうですということでぜひ切り捨てるということのないようにお願いをしたいと思いますし、京都の日野小学校の事案といいますのは、警察が被疑者を任意同行する際に自殺させてしまったという捜査上の重大な問題もあるわけですから、これはぜひ積極的に今後も対応していっていただきたいということを要望しておきたいと思います。 そして次に、今回の法案の問題ですけれども、先ほど来お話がありますが、二百二十条四号ホで刑事記録が文書提出命令から除外されている問題について私もお聞きしたいと思います。 今まで議論していて感じていることですけれども、刑事記録については出すも出さないもすべて検察の判断だけにゆだねられている、そういうことが一番問題だというふうに思うわけです。今までは、どうしても民事訴訟の中で刑事記録を出してほしいと思いましたら文書提出命令の申し立てをする、そして裁判所が判断するということができたんだと思うわけです。 ところが、今回の法案で二百二十条四号ホというものが書き加えられましたので、そういうことができなくなってしまうんじゃありませんか。改正ということではなくて改悪ということになってしまうと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) ただいま委員の御指摘、しばしばそういう指摘がされるわけでございますが、実はこれは平成八年に新民事訴訟法を制定させていただいたわけですが、そのときは私文書の問題でございましたけれども、それの場合にもいろいろ議論になりました。 私ども、もともとこの考え方は、二百二十条のところに一号から三号まで事由がまず掲げてありまして、新しく今度四号を加えた、こういうことになります。一号から三号につきましては、従来、片仮名で書いてありましたものを平仮名に変えた、口語化したというだけで内容は全く変わっておりません。それで、今回、この法律をつくったときに、四号は新しく加えるけれども、一号から三号につきましては全く従来の解釈と同じであるということで国会でも説明させていただきましたし、現に新民事訴訟法も施行されておりますけれども、その解釈で運用されているというふうに理解をしておりまして、これができたからといって従来の解釈に影響を与えるということはないということで、従来、この一号から三号で文書提出の命令がされていたというものについてはまた命令がされる可能性があるというふうに理解をしております。
○林紀子君 そうしますと、影響はないんだ、変わらないんだというお話なんですけれども、これは衆議院でも例を引いて御質問いたしましたけれども、昭和六十二年七月十七日に東京高等裁判所が刑事事件の不起訴記録に提出命令を出しておりますけれども、これは現行の民訴法のどの規定で出されたのか。そして、刑事記録が一律除外されたことでこれが今度は申し立てられないということにはならないのか、その辺をお聞きしたいと思います。
○政府参考人(山崎潮君) 今御指摘いただきました決定でございますけれども、これにつきましては、私どもが公刊物から知る範囲内では、二百二十条一号の関係で当事者が引用した文書ということで採用されているというふうに理解をしております。一号で採用されるというのは事例としてはちょっと珍しいのではないかと私ども考えております。 ほかにも幾つか決定例がございまして、通常は三号の文書、三号の後段の方で、当事者間の法律関係に関して作成された文書ということで、この解釈で文書提出命令を行っているという例がございます。この点につきましては、典型的には三号でございますけれども、当事者がそれは三号の文書に当たるということを申し立てて、裁判所も法律関係文書であるということを認めれば提出される可能性があるということで、四号で言われれば、四号は除外になっておりますからこれはだめだ、こういうことになるわけでございます。
○林紀子君 そこのところが御説明を受けてもなかなかわかりづらいところなんですけれども、今までこれを、提出命令を出されたものはもう門前で初めから刑事記録だということで排除されるというものじゃないというふうに今お聞きをいたしました。 しかし、この六十二年七月十七日に出た東京高裁の事例というのは、警察の違法な捜査を理由とする国家賠償請求において不起訴処分になった被疑事件の参考人調書に文書提出命令が認められたというふうに聞いております。警察は違法捜査が明らかになるのを嫌がって送検もしなかった、文書も任意には出さなかったというものなわけですね。今回の法案で二百二十条四号ホが盛り込まれましても、こうした刑事記録が二百二十条一号から三号と判断されれば今後も文書提出命令は出されるということなんですねというのをもう一度確認させていただきたいと思います。
○政府参考人(山崎潮君) 当事者が二百二十条の一号から三号という主張をして、その判断が認められれば提出される可能性があるということでございまして、それぞれ事件は個性がございまして、この決定でこういう態様のものが認められたからといってすべてがそうだというふうになるかどうかは個別の判断でございます。確かに、四号を理由にして申し立てれば、それは却下されるということになろうかと思います。
○林紀子君 民事訴訟においてどの文書を開示しまたは開示しないのかということは、やはり最終的には裁判官に判断をゆだねるべき問題だというふうに思うわけです。公文書についても提出を一般義務化するという観点で今度の新しい民訴法というのは出されたものだと思いますけれども、一号から三号は影響を受けない、刑事記録についても提出命令が出せるというふうに今まで御答弁いただいているわけですけれども、一番わかりやすくてすっきりするのは、やはりこの四号のホというのはもう要らない、削除する、そういうことなんじゃないかというふうに思うわけです。ぜひそこのところをきちんとお考えいただきたいということを申し上げて、次の問題をお聞きしたいと思います。 これも先ほど同僚委員から触れられましたが、情報公開法との関連です。これも大臣にお聞きしたいと思いますが、情報公開法と考え方を同じにする、整合性を持たせるということで今回のこの四号ホというのも入れられているということなんですけれども、情報公開法で刑事記録が一律に除外されているというのももちろん問題だと思うわけですけれども、今回の民事訴訟法では、文書提出命令制度というのは個別具体的な民事裁判の審理のために証拠としての文書の提出、それが必要だということなわけですね。ですから、一般にだれでも公開を求められる情報公開法よりもっと広く提出をされなければこの制度というのは生きてこないんじゃないか。ですから、この情報公開法と整合性を持って同じようなものにしたからそれでいいというのはやはり全然問題のレベルが違う問題ではないかと思って、どうしても納得できないのですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 刑事記録は、国家刑罰権の実現を目的といたしまして、刑事訴訟における実体的真実の解明という公益を追求するために、強制処分を含む強力な権限を行使いたしまして、関係者の名誉やプライバシーに深く立ち入って作成されるものでございますから、刑事訴訟法等が、関係者の利益保護、捜査の秘密及び刑事裁判の適正の確保等と開示により図られる公益等との調整を考慮した上で、開示の要件、方法等について独自の規律をしております。 今回の改正法案に第二百二十条第四号ホが設けられておりますのは、民事訴訟において刑事訴訟法等によって開示が認められる範囲を超えて刑事記録の提出が命じられることになりますと、関係者の名誉、プライバシー等に対して重大な侵害が及ぶおそれや、捜査や公判の適正が確保されないおそれなどがありますことから、刑事記録の開示、不開示を刑事訴訟法等の規律にゆだねるという趣旨でございます。 また、いわゆる行政情報公開法に基づく行政文書開示制度におきましても刑事記録の開示によって同様の弊害が生ずるおそれがありますので、その開示、不開示を刑事訴訟法等の規律にゆだねる趣旨で刑事記録をその対象から除外しているわけでございます。 御指摘のとおり、行政情報公開法に基づく行政文書開示制度と文書提出命令制度とは、その目的、手続等の点において相当異なっておりますが、ただいま申し上げましたような刑事記録の開示による弊害を避けるべき要請の点では変わるところがございません。その意味で、行政情報公開法で刑事記録を一律除外していることとの整合性も十分根拠になるのではないかと考えております。
○林紀子君 両方が整合性があるということで根拠になるというお話ですけれども、しかしどうしてもそれを同じに考えることはできないというふうに思うわけです。 情報公開法というのは、一般国民の立場で情報を請求する、広く国民に開かれている問題だと思います。しかし、民事訴訟法の文書提出命令というのは、自分が裁判の当事者として裁判を受ける権利、真実の発見、こういった権利の実現のために文書提出を求めているわけですから、これは違いがあって当然なんじゃないかと思うわけです。同じなのはやっぱりおかしいというふうに思うわけです。最も関係の深い、最も切実な問題意識を持っております日弁連もこれはバランスを欠いているということを言っておりますし、またマスコミもこれは法務省のお手盛りだというふうな批判もしているわけです。 こういう法務省の姿勢というのは、情報公開を進める方向性と真っ向から矛盾するわけですし、世論の批判も避けられない。やはり、この二百二十条の四号ホというところはもう一度考え直さなければいけない、削除をするべきではないかということを強く申し上げまして、私の質問を終わります。
○橋本敦君 私から続いてお伺いいたしますが、前回の民事訴訟法の改正に当たっては、平成八年六月十八日、当参議院の法務委員会におきまして大変重要な附帯決議が行われております。 同様の趣旨は衆議院でも附帯決議が行われたんですが、この参議院の附帯決議の第二項によりますと、政府に対して、国会としてこうしていただくのが当然だということで正式に要請をしているわけですね。つまり、「附則第二十七条の検討に当たっては、公務秘密文書に関して、その秘密の要件、判断権及び審理方式について、司法権を尊重する立場から検討を加えるべきである。」、こう書かれております。 ここで言う司法権を尊重する立場から検討を加えるべきだということを政府に強く要請したというのは、国会としてこの問題について非常に重要な見解を政府に対して表明したことになりますが、この決議に対して当時の長尾法務大臣は、「ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。」と発言をされました。これは当然の発言だと思います。 そこで、この趣旨を踏まえ適切に対処して今回の改正法案ができたのかどうかということが問題になってくるわけですが、私はこの問題では、今問題になっております二百二十条の第四号のホ、これについては一律に提出義務の除外ですから、司法のまさに判断を尊重するということから、頭から除外しているし、インカメラの適用も除外するということですから、実質的には司法の判断も尊重されていないということになるわけですね。 だから、そういう意味で、今回の改正案の二百二十条の第四号ホについては、国会の立場から附帯決議に反するのではありませんかということを厳しく政府に問わねばならぬ、国会としての責務のある問題だというように私は考えているわけです。 そういうことで質問するわけですが、この決議について、私は残念ながら、今回の法案はその決議を尊重していない、むしろ決議に反すると言わざるを得ないと思うんですが、大臣の御見解はいかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 決議の趣旨を尊重いたしまして検討を加えたわけでございますが、改正案の第二百二十条第四号のホで刑事記録などを除外文書としておりますのは、民事訴訟におきましても刑事訴訟記録等の開示、不開示については刑事訴訟法等の刑事司法手続における開示制度にゆだねるという趣旨でございまして、これは司法権の尊重という観点に立って検討を加えても刑事記録等の特殊性に基づいて特別の取り扱いをすべきであるとの結論に至ったためでございます。 したがって、この特別の取り扱いをもって、公務秘密文書全般の取り扱いについて司法権を尊重する立場からの検討を求める附帯決議第二項に反することにはならないと考えます。
○橋本敦君 そこのところは見解が全く違いますね。私どもは、司法権を尊重するというこの立場に立って検討を加えるべきだという附帯決議を尊重するならば、司法権を頭から尊重しない一律除外、インカメラも適用しないということは成り立ち得ないはずだと思うんです。 だから、そうした理由について、あれこれおっしゃる理由をこれは多くの質問の中でも答弁を聞いていますから、二百二十条の四号ホを入れた趣旨について改めて聞くつもりはありません。どういう理由であろうと、結論的には国会の重要な附帯決議に実質的にも形式的にも反するという、そういう状態であるということは私はこれは否めない問題ではないか。 そういう意味で、私は大臣の見解を伺ったんですが、大臣としては、一律に除外をする、インカメラも適用しない、ここまでやってなおこの附帯決議に反しないと本当に言えるんでしょうか。もう一遍御答弁いただきたい。
○国務大臣(森山眞弓君) 先ほど申し上げたとおりでございます。
○橋本敦君 その点の意見は全く一致しませんが、国会の附帯決議で示されたこの重要な問題について、私は政府としてはもっと真剣に考えるべきだと思うし、今後、三年間をめどに制度のあり方について検討を加えて、刑事事件関係書類等についても必要な措置を講ずるということになっておりますから、この問題については附帯決議の趣旨もしっかり踏まえた上で検討されるべきであると思いますが、将来の課題としていかがですか。
○国務大臣(森山眞弓君) 御指摘の点は受けとめさせていただきまして、さらに勉強していきたいと思います。
○橋本敦君 もう一つ附帯決議には重要な点がございまして、附帯決議の第四項でございますが、ここでは、「政府は、前二項の検討に当たっては、その経過を広く開示し、国民の意見が十分反映されるように格段の配慮をすべきである。」、こう決議をしております。 国民の意見が十分反映されるように格段の配慮が今回の法改正に当たってなされたのかどうかということを私は附帯決議を守る立場から検討してみる必要があると思うんですが、その点でいいますと、この改正案の作成の手続においても内容においても国民の意見が十分に反映されたとは言いがたいというふうに思わざるを得ないと思っております。 例えば、国民の意見という点でいえば、最もこの問題で当事者的立場にあって専門的、実務的な立場から意見が言えるのは日本弁護士連合会であるんですが、日弁連はこの問題については明確に反対をしているところです。その意見は入れられていない。 では、一般国民の意見はどうかということになりますが、一つの例をお示しいたしますと、朝日新聞の主張でございますが、平成十三年一月十八日付ですが、次のように述べております。「刑事事件の記録が提出義務から一律に除外されている点には、大きな疑念が残る。」、こうはっきり言っているわけですね。「法務省などの言い分はこうだ。」として、法務省はこれまで可能な範囲で開示してきたと、こう言っている、実際の運用もそういうことで支障はないと言っていると。 「だが、」として、次のように言っております。「だが、刑事記録を活用したいのは、犯罪被害者だけではない。談合や違法な公金支出を追及する住民訴訟や、犯罪によって会社に損害を与えた経営陣の責任を問う株主代表訴訟など、様々な局面が想定される。 捜査の秘密やプライバシーへの配慮など、刑事記録については慎重な配慮が求められるのは理解できる。だが、それが直ちに「一律除外」に結び付くわけではあるまい。 こうしたゆがみを正すこともまた、この国会に課せられた重大な使命である。」と、こう述べているんです。私は、これは国民の声として一つの大事な声だと思うんですよ。 だから、日弁連の意見やこういう国民の声を、本当に附帯決議が言うように国民の意見が十分反映されたような格段の配慮をこの改正案はしたのかということになりますと、格段の配慮どころか、こういう意見は無視されている。そういう意味では、この附帯決議を尊重されたというようには私は思えないんですが、大臣はどうお考えでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 御指摘の刑事訴訟関係書類等を提出義務の除外文書とする点につきましては、法制審議会民事訴訟法部会におきまして、この点を含む資料が最初に示された平成十年一月二十三日開催の文書提出命令制度小委員会におきましてはもとより、同月三十日開催の同小委員会、同年二月六日開催の民事訴訟法部会及び同月二十日開催の法制審議会総会などにおきまして、中心的な審議事項の一つとしてさまざまな観点から意見が述べられまして、活発な議論が交わされたと聞いております。 このような議論を経まして、法制審議会の総会で採決が行われました結果、賛成多数で、一般義務としての文書提出義務の範囲から刑事訴訟関係書類等を除外する旨の項目を含む民事訴訟法の一部を改正する法律案要綱が決定されまして、法務大臣に答申をされたのでございます。 刑事訴訟関係書類等を除外文書とする第二百二十条第四号ホの規定はこの要綱の趣旨に沿って立案されたものでございまして、改正案作成の手続、内容、いずれにつきましても国民の意見が十分反映されているものと考えております。
○橋本敦君 この点でも大臣の見解と私どもの見解は実質的に大きく食い違っているわけですね。 法制審の手続は、それはとられましたよ。しかし、この問題が一律除外として出てきたというのは、初めからあったわけじゃなくて、終わりに近づいて出されてきたという経過もあります。それから、おっしゃったように、法制審で十分に尊重するということで日弁連の意見を入れてなされたかといいますと、それは多数決で決まったわけですから、これは排除されているわけですね。一般的に、マスコミに私、指摘しましたが、こういう意見もある。こういう意見を慎重に検討したということは、残念ながら私は今回の改正案の提出については欠けていたと言わざるを得ない。 そういうことを本当にやっていただきませんと、国会が附帯決議で、「国民の意見が十分反映されるように格段の配慮をすべきである。」、格段の配慮とまで言って附帯決議をしているその格段の配慮を本当にやったかどうかということについては、政府として政治責任を持って国会に対応していただかないと困るわけでしょう。そういう意味での格段の配慮をしたということには、私は十分さがないということを言わざるを得ないということを申し上げておきたいと思います。 そこで、この法案は、今後、施行後三年を目途として、改めて改正後の実施状況その他を検討した上で、刑事事件関係書類等の利用状況も勘案して、そしてこの公文書について制度的に検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講ずるということになりました。したがって、議論はこれからまだ続きますから、私どもとしては大いに意見を述べ、国会でも論議し、国民にも意見を述べさせていただくという機会もあるでしょう。 そこで、大臣に確認的にお伺いしたいんですが、三年後の見直しということ、必要な措置を講ずるということ、それに当たっては、法制審の審議で積極的に慎重に議論をするということと、この法制審の機会を通じても広範な国民の意見を必要な範囲で十分に組み入れるというようにすることと、それから衆参で平成八年に行われた重要な国会附帯決議について、特に司法権の尊重という問題についてもきちっと議論をしていただく、こういう方向でやっていただきたいということを強く要望しておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 附則第三項に基づく文書提出命令制度の検討につきましては、「政府は、附則第三項の検討を加えるにあたっては、その審議の経過を広く開示し、国民の意見が十分反映されるよう格段の配慮をすべきである。」という衆議院法務委員会の附帯決議を踏まえまして、法制審議会において調査審議を行い、国民の意見も十分に反映されるような措置を講じてまいりたいと考えております。
○橋本敦君 一言、大臣、しつこいようで申しわけありませんが、今の御答弁の中で、国民の意見を十分に反映されるよう努力していただくことはわかりましたが、附帯決議で言っております、この問題での司法権を尊重する、司法権の判断を尊重するという附帯決議も改めてやっぱり受けとめて議論をしていただくという姿勢でやっていただきたいということはいかがですか。その点がちょっと抜けていたように思いますので。
○国務大臣(森山眞弓君) 御趣旨をよく体しまして検討してまいります。
○橋本敦君 終わります。
○委員長(日笠勝之君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。 本案の修正について橋本敦君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。橋本敦君。
○橋本敦君 民事訴訟法の一部を改正する法律案に対しまして、日本共産党並びに社会民主党・護憲連合を代表して、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されている案文のとおりであります。 これより、その趣旨について御説明申し上げます。 今回の内閣提出の民事訴訟法の一部を改正する法律案は、公文書提出命令の規定を整備するものでありますが、刑事訴訟記録及び少年保護事件記録等について、捜査への影響や関係者のプライバシーを理由に、提出義務を一律に除外し、インカメラ手続も適用しないことは、合理的理由がなく、当事者の権利実現と裁判における真実発見のために容認できないものであります。 そのほか、秘密公文書の提出義務の除外事由、高度の秘密公文書の扱い、公務員が保管、所持する書類、特にノート、メモ類、こういったものの扱いは、いずれも提出義務の範囲を大きく制約するものとなっております。 民事訴訟の審理を充実させるためには、公文書提出命令の拡充が求められておりまして、そのために提出したのが本修正案であります。 修正案の内容は、一、刑事訴訟書類及び少年保護事件記録等に関する提出義務の一律除外を削除すること、二、秘密公文書に関する提出義務の除外事由から、「公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの」の文言を削除して、「公共の重大な利益を害することが明らかなもの」だけを除外の対象とすること、三、国防・外交文書、犯罪・捜査文書の特別扱いをやめ、一般公文書と同等の扱いとすること、四、公務員または公務員であった者が保持する文書は、ノート、メモ類等も提出義務の除外の対象にはしないものとすること、五、公文書の場合において提出除外事由に該当する旨の立証責任が文書保持者側にあることを明示することであります。 委員各位の御賛同をお願いいたしまして、趣旨の説明を終わらせていただきます。
○委員長(日笠勝之君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○林紀子君 私は、日本共産党を代表して、日本共産党及び社会民主党・護憲連合提出の修正案に賛成し、内閣提出、民事訴訟法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。 本改正法案は、五年前の民訴法全面改正の審議において、公文書の文書提出命令が不当に制限されているとして、与党提案による全面削除という異例な修正を受け、改めて提出されたものですが、相変わらず、公文書は基本的には出したくないという制約的な姿勢が示されています。 第一に、刑事訴訟書類、少年保護事件記録を、インカメラ手続にゆだねることなく、全面排除している点です。 これまで、プライバシー保護のために閲覧禁止とされていた刑事確定記録でも、正当な理由があれば閲覧できるとした事例や、不起訴事件の参考人調書の提出命令が認められた裁判例もあります。こうした文書提出命令の流れを逆行させようとすることは到底認められません。とりわけ交通事故、労災、薬害、公害などの損害賠償請求事件では刑事記録の必要性は極めて高く、また会社役員に対する株主代表訴訟における贈収賄、総会屋への利益供与、背任などの追及や官官接待の不正をただす住民訴訟などにおいても、事件の真実の解明と当事者の権利の実現のためには刑事事件の証拠文書などは欠かせないものです。 第二に、秘密公文書の除外規定に「公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの」としていますが、これまでの判例を後退させるものであり、改悪と言わざるを得ません。 行政当局が文書を出したくないと思えば、いつでも自己の主観的判断で「公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれ」を理由に拒絶できるとなれば、現状よりさらに提出拒絶を広げるおそれが大きいことになります。 さらに、国防・外交、犯罪・捜査に関するいわゆる高度の秘密公文書を特別扱いとすれば、裁判所がインカメラの手続さえとらずに、官庁の主張をうのみにして、文書提出が閉ざされる危険が極めて大きいこと、また公務員の保管、所持するメモ、ノート類を私的文書として除外していることも、いずれも重大な欠陥と言わざるを得ません。 日本共産党は、社会民主党・護憲連合と共同して修正案を提出しておりますが、民事訴訟の審理を充実したものとするためには公文書提出命令の拡充こそが求められており、修正案の採択を強く求めるとともに、本改正案には反対するものです。 以上で私の討論を終わります。
○委員長(日笠勝之君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより民事訴訟法の一部を改正する法律案の採決に入ります。 まず、橋本君提出の修正案の採決を行います。 本修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(日笠勝之君) 少数と認めます。よって、橋本君提出の修正案は否決されました。 それでは、次に、原案全部の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(日笠勝之君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、江田五月君から発言を求められておりますので、これを許します。江田五月君。
○江田五月君 私は、ただいま可決されました民事訴訟法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党及び自由党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 民事訴訟法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、附則第三項の検討に当たっては、民事訴訟における公文書の利用の一層の充実を図る観点から行い、特に刑事事件関係書類等については、捜査、公判及び裁判確定の各段階ごとに異なる文書開示制度の趣旨を念頭に置きつつ、民事訴訟における証拠としての必要性に配慮した制度となるよう検討すべきである。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(日笠勝之君) ただいま江田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(日笠勝之君) 全会一致と認めます。よって、江田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、森山法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。森山法務大臣。
○国務大臣(森山眞弓君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
○委員長(日笠勝之君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(日笠勝之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時四十五分散会