法務委員会 第14号
- 発言数
- 189 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2001/06/19
会議録
○委員長(日笠勝之君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る十五日、本岡昭次君及び野間赳君が委員を辞任され、その補欠として角田義一君及び吉川芳男君が選任されました。 また、本日、竹村泰子さんが委員を辞任され、その補欠として藁科滿治君が選任されました。 ─────────────
○委員長(日笠勝之君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(日笠勝之君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に久野恒一君を指名いたします。 ─────────────
○委員長(日笠勝之君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 商法等の一部を改正する等の法律案及び商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の審査のため、本日の委員会に金融庁証券取引等監視委員会事務局長五味廣文君及び法務省民事局長山崎潮君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(日笠勝之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(日笠勝之君) 商法等の一部を改正する等の法律案及び商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案を一括して議題といたします。 両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○佐々木知子君 今回、提案されております商法等の一部を改正する等の法律案等につきまして、自民党を代表して質問させていただきます。 景気の現状でございますが、先日、竹中経済財政担当大臣が関係閣僚会議に提出された六月の月例経済報告によりますと、悪化しつつあるとの見方が示されております。個別項目を見ますと、個人消費はおおむね横ばいの状態が続いているとしながらも足元では弱い動きが見られる、企業の設備投資につきましては頭打ちとの見方でございます。つまり、我が国の景気は後退期に入った可能性もあり、景気回復のためにいかなる措置をとるべきか、その検討を急ぎ、とるべき方策については政治主導で迅速に対応する必要があると考えておるものでございます。 景気回復には、我が国の企業が業績、収益力を回復し、その一層の強化を図ることが不可欠であります。もちろん、まずは各企業におきましてその競争力の強化、経営の効率性の向上等の実現に向けた自主的な努力を行う必要があり、現に大層な努力がされていることとは思いますが、ひとり企業の努力に任せるのではなく、政府、与党が一体となっての支援が必要と考えるものです。その一つとして、企業の活動において現に障害となっている、また今後障害となり得る法制上の規制を速やかに取り除く必要性があり、今回提出されている商法改正法案も規制緩和の点から評価すべきものと考えております。 そこで、質問に移りますが、まず最初に、提案者は金庫株を解禁することにどのような意義があるとお考えなのか、御教示ください。
○衆議院議員(金子一義君) 既に佐々木先生がすべておっしゃっていただいた言葉がそのまま私たちの回答になるのでありますけれども、平成九年以降、会社が分割をする、合併をする等々、企業の再編を行って、そしてまさに国際的な土壌の上で企業の競争力を高めてもらう、そのことがどんどんいろいろな産業界で既に起こり始めております。 ただ、現在の商法の中では、そういうものが行われます場合に新たに新株を発行して行うということをやらざるを得ない。そういう状況になりますと、さなきだに過剰な株式というのが存在をしておりますし、同時に新たな新株発行によって配当負担が企業に生ずるといったようなことが出てくる。むしろ、資源、これは人も土地もでありますけれども、自己株といういわば一つの資産を有効に使ってもらって、今、先生がまさに御指摘いただいたような企業の競争力をつけてもらう。そのために、今回、いわゆる金庫株の解禁を提案させていただいているところであります。
○佐々木知子君 この後のお答えの中でまたさらにおっしゃっていただけるかと思いますけれども、改正法案は取得目的のいかんにかかわらず自己株式の取得を認めております。となりますと、経営者の判断によって取得した自己株式を適切かつ柔軟に活用することが可能になって経営の選択肢が広がり、規制緩和の効果は大きいかと思われます。 この点について一点確認したいのですけれども、これは、自己株式取得の授権をする株主総会において取得目的を定めることを禁止するという趣旨でしょうか。株主から経営の委任を受けた取締役としては、株主に対して一定の説明責任を負うのではないかと考えておるものですが。
○衆議院議員(漆原良夫君) 御指摘のとおり、改正法案は、会社が自己株式の取得に関して株主総会の授権決議を経るに当たって取得目的を定めることを要求するものではございません。しかし、これは株主総会において取得の目的を任意に定めることまでも禁止する趣旨ではございませんで、したがって株主総会において取得の目的を定めて決議した場合には、取締役は合理的な理由がない限り、その決議に従った自己株式の利用をすべきことになると考えられます。 また、株主総会において自己株式の取得目的を定めない場合であっても取締役は株主に対する説明責任を負うものであって、自己株式取得の授権を得るに当たって自己株式を取得すべき理由を株主に説明することは当然であるというふうに考えております。
○佐々木知子君 ここで、非常に基本的な事項で、商法概説書なりコンメンタールを読めばすぐわかることなんですけれども、現行商法二百十条というのは自己株式の取得を原則として禁止しております。この理由を法務当局にいま一度御確認いたします。
○政府参考人(山崎潮君) お答えいたします。 商法が原則的に自己株式の取得を禁止しているという理由は、大きく分けて四つあるというふうに言われております。 一つは、資本維持の原則との関係でございまして、自己株式を有償取得するということは実質的には株主に財産を払い戻す結果と同じだということになるわけでございまして、そういう関係で、財産が減っていく、会社の債権者を害するおそれがあるじゃないかという点が一つでございます。 それから二番目は、仮に会社が恣意的にある特定の者から高い値段で自己株式を買い入れる、あるいは特定の者に安い値段で売るということになると、株主間の平等が保てるのかという問題が一つございます。 それから三番目の問題といたしまして、自己株式はこれは議決権を行使することができませんので、株式を大量に取得することによって議決の関係の数のバランスがいろいろ変化を生ずるわけでございます。その関係では、一部の者の支配力を強めるとかあるいは特定の者に譲渡することによってそちらの発言力が強くなるとか、そういう問題もございまして、支配の公正の問題だということが三番目でございます。 四番目は、やり方によっては相場操縦の問題につながる、あるいはインサイダー取引が行われるおそれもあるというような、この四つが原則的に禁止する理由だというふうに言われております。
○佐々木知子君 ありがとうございました。 今述べられた各、四つの弊害につきましては改正法案におきましても当然対処しなければならないと考えるものですが、これから順次、改正法案でそれらの対応策がどうされているのか、確認していきたいと思います。 まず、最初に挙げられた弊害、資本充実・維持の原則が害されるおそれにつきましてはどうでしょうか。
○衆議院議員(漆原良夫君) 自己株式の取得に際しては、その取得によって株主に支払われる財産が会社の資本や法定準備金に及ぶときは会社債権者の最終的な引き当て財産となるべき会社の資本等が実質的に株主に払い戻されるということになりまして、会社の資本充実・維持を害するおそれがあるとの指摘がなされております。そのため改正法案においては、自己株式の取得により会社の資本充実、資本維持を害することがないように自己株式の取得総額に関する規制を設けておるところでございます。 すなわち、会社が自己株式の取得のために定時総会で授権を得るべき取得価額の総額は原則として配当可能利益の範囲内でなければならない、例外的にその範囲を超える場合には、その定時総会で資本または法定準備金の減少に関する決議をしなければならないとしているところでございます。 したがって、自己株式の取得によって資本充実・維持の原則が害されることにはならないというふうに考えておるところでございます。
○佐々木知子君 その規制ですけれども、現行法におけるものと比較して異なる点はあるのでしょうか。
○衆議院議員(漆原良夫君) 現行法上、ストックオプションとして付与する場合及び消却をする場合には自己株式の取得ができるというふうにされております。これらの場合においても、自己株式の取得総額は配当可能利益の範囲内でなければならないとする規制が設けられておりまして、この点におきましては、改正法案と現行法とでは異なるところではなくて、その規定ぶりもほぼ同じだというふうに考えております。 また、改正法案は、自己株式の取得の授権をする株主総会において資本または法定準備金の減少に関する決議を行った場合には、減少した額についても取得財源に含めることができるとしておりますが、この点についても、現行の株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律、これは消却特例法と言われておりますが、この法律で資本準備金を自己株式取得の財源にすることを認めておるところでありまして、この取得財源に関する規制は現行法とほぼ同一、同様というふうに考えておるところでございます。
○佐々木知子君 改正法案において法定準備金の減少手続を新たに創設するということでございますけれども、法定準備金というのは債権者保護の観点から会社に積み立てることが義務づけられているものでございます。 その減少手続を設けるということは、資本充実・維持の観点から問題はないのでしょうか、お伺いいたします。
○衆議院議員(谷口隆義君) 先生がおっしゃるとおり、今回この法定準備金の減少手続を創設したところでございます。 現行法におきましては、資本の減少手続は規定されておるわけでございますが、資本準備金また利益準備金、合計額、法定準備金の減少手続は規定されていないところでございました。そういうふうな状況の中で、一九八〇年ぐらいから各企業はエクイティーファイナンスをどんどんやるようになったわけでございます。時価発行した場合に、二分の一を下回らない範囲でこれを資本準備金に繰り入れ、またこの配当を行う場合に資本の四分の一になるまで毎期十分の一を積み立てる、このような状況になっておるわけでございます。 企業の状況を見ておりますと、例えば国際的な企業でございますが、ソニーであるとかトヨタ自動車は資本金を上回る資本準備金が積み上がっておるわけでございます。そういう状況の中でこの資本準備金を取り崩す方法は、欠損のてん補、また資本の組み入れの方法以外にはないわけでございまして、そういう状況を見たときに、また実態的に見ますと、この法定準備金、資本準備金を資本に組み入れて、その資本に組み入れたものを資本減少手続するといったことはこの法定準備金の減少手続を認めていることにもなるわけで、従来から立法上問題があると、このように言われておったわけでございます。今回、そういうことも踏まえまして法定準備金の減少手続を創設いたしたところでございます。 今、先生おっしゃったように、まさに商法の根本でございます資本充実の原則を害してはならないわけで、債権者保護の立場から、今回、株主総会の決議を経た上でこれを官報に公告し、また知れたる債権者に通知をすることによって債権者保護の手続を要件といたしておるわけで、そういう意味におきまして資本充実の原則を害することはなく、債権者保護の立場に十分立っていると、こういうような認識におるところでございます。
○佐々木知子君 ありがとうございました。 改正法案を見ますと、会社が自己株式を取得するためには定時株主総会の授権決議が必要であるとされていますが、この趣旨をお教えください。
○衆議院議員(漆原良夫君) 先ほど申しましたように、自己株式の取得は株主に対する会社財産の実質的な払い戻しであるというふうに考えられます。また、取得財源が原則として配当可能利益の範囲内とされているところから、利益処分的な性質の行為であるというふうに考えております。 そのため、現行法において利益処分の内容を決定することが定時総会の権限事項にされているとのバランスの上から、改正法におきましても自己株式の取得のためには定時総会の決議を経なければならないというふうにしたところでございます。
○佐々木知子君 続きまして、自己株式取得の弊害の二番目に挙げられた株主平等を害するおそれでございますけれども、改正法案はこれについてどのような措置を講じているのでしょうか、お伺いいたします。
○衆議院議員(漆原良夫君) 自己株式の取得に際しましては、会社が恣意的に一部の株主から株式を買い受けることによりまして株主平等の原則が害されるおそれがあると指摘されております。 改正法案においては、この弊害を防止するために、市場価格のない株式の場合と市場価格のある株式の場合との双方について適切な措置を講じております。 まず第一に、市場価格のない株式についてでございますが、会社は特定の株主から買い受ける相対取引によって取得せざるを得ないことになりますが、売り主、取得する株式の数及び取得価額の総額について株主総会の特別決議による承認を経なければならないことにしております。さらに、売り主以外の株主に対して自己を売り主に追加することを請求する権利を与えております。これによって、すべての株主についてみずからが保有する株式を売却し得る機会を与えるというふうにしているところでございます。 次に、市場価格のある株式については、会社は原則として市場における取引または公開買い付けの方法によって買い受けることになりますので、すべての株主に売却の機会が保障されております。また、市場価格のない株式の取得と同様の手続を経れば相対取引により取得することも認めているところでございます。
○佐々木知子君 続きまして、三番目に挙げられた公正な会社支配の確保という観点からは改正法案はどのような措置を設けているのでしょうか、お伺いいたします。
○衆議院議員(漆原良夫君) 自己株式の取得に関しましては、会社が恣意的に特定の者に自己株式を売却することによってその者の持ち株比率を高めることが可能になりまして、公正な会社支配が害されるおそれがあると指摘されております。 改正法案におきましては、この弊害を防止するために、会社が自己株式を売却処分する場合においては新株発行の場合と同様の手続を経なければならないことにしております。 すなわち、会社は処分すべき株式の数、株式の処分価額等について取締役会の決議を経る等の法定の手続を経て自己株式を処分することになります。特に、会社が著しく有利な価額で自己株式を処分しようとする場合には株主総会の特別決議による承認を経なければならないことにしてあります。また、株主に差しとめ請求権を認めることにしておりますため、会社が著しく不公正な方法で自己株式の処分を行った場合には、株主はその処分の差しとめを請求することができるというふうにしているところでございます。
○佐々木知子君 ありがとうございました。 さて、四番目ですが、株価操作やインサイダー取引といった不公正取引の弊害というものがかねてより指摘されてきたところでございまして、衆議院での審議におきましても、いかにしてこの弊害を防止するかの点について議論が集中したと伺っております。実際、この防止策は極めて重要な論点になろうかと思います。 この点に関しまして、与党の証券市場等活性化対策プロジェクトチームにおきまして、我が国の株式市場の公正性、健全性が損なわれることのないよう証券取引規制について万全の措置を講じることとされ、今回提出された商法改正法案の関連整備法の中で証券取引法の改正を行っているというふうに承知しております。 そこでまず、相場操縦の防止についてお尋ねいたしたいのですが、昨今の株価低迷の中にありまして、会社経営者にとりましては自社の株価動向が大きな関心事であることは当然でありますが、もとより、今回の金庫株解禁が株価対策を目的として行われるものであってはならないのもまた当然のことかというふうに思います。その点は提案者の皆様からも再三御説明していただいているところと承知しておりますが、世の中には自己株式の取引を利用して不正に株価をつり上げようという誘惑に駆られる人もいるのではないかというふうに考えるわけですが、こうした株価操作、相場操縦を防ぐためにどのような手だてを講じておられるのか、お伺いしたいと思います。
○衆議院議員(小池百合子君) 今、御指摘のように、自社株の株価のつり上げなどをねらいました意図的な株価操作、相場操縦、これをいかにして防止するかということで、これまでの証券取引全般を対象といたしました相場操縦禁止規定、これは御指摘のように証券取引法の百五十九条になるわけでございますけれども、今回のこの金庫株解禁によりまして、自己株式の取得または処分の際に一定の要件を遵守すべき旨を定めます規定を新設いたしました。百六十二条の二となっております。 今申し上げました遵守すべき要件でございますけれども、具体的な内容といたしましては、相場操縦とされるおそれの少ない取引態様を類型化いたしまして、内閣府令で定めることといたしております。
○佐々木知子君 具体的な要件は内閣府令で定めるということでございますし、今後検討がなされるものと思いますけれども、現時点ではどのような内容を規定することを考えておられるのか、御教示ください。
○衆議院議員(小池百合子君) これは内閣府令でございますが、具体的にはアメリカにそれに参考になる例がございます。セーフ・ハーバー・ルールと申しまして、SECの規則の中の一つでございますが、四つございまして、利用する証券会社の数、買い付けを行う時間、そしてその価格、さらにはその数量、この四点に至るわけでございます。 海外のこういった例、そして日本の現状等々を参考といたしまして、これから取引の実態を踏まえて決定をしていくものと承知いたしております。
○佐々木知子君 ありがとうございました。 相場操縦と並んでインサイダー取引の弊害というのがあります。すなわち、自己株式の売買を行う会社自身あるいはその決定を行う経営者は自社の株価に影響を与えるような会社の経営に関する内部情報を最も早く知り得る立場にあるわけですが、金庫株を解禁いたしますと、会社がこうした内部情報を利用して自己株式の売買を行うことによって不正に利益を得ることが可能とならないか、この対策は非常に重要な点だと思いますが、これについてお伺いいたします。
○衆議院議員(小池百合子君) 証券取引法の方では、会社関係者などが会社の業務に関します重要事実、これを知った場合には、それが公表された後でなければその会社の株式の売買をしてはならないという、いわゆるインサイダー取引規制を定めているところでございますけれども、また一方で、会社自身につきましても両罰規定によりましてインサイダー取引規制の対象となっております。 今回の商法改正でございますけれども、金庫株の解禁に伴って、商法改正で新たに認められます自己株式の取得・処分に係る決定を重要事実ということで追加させていただきます。発行会社、会社関係者はこの決定が公表された後でなければその会社の株式が売買できないというふうに定めてまいります。 また、発行会社でございますけれども、自己株式の取得・処分に係る決定だけではなく、会社の重要事実をすべて公表した後でなければ自己株式の売買を行うことができないということで、今いろいろと御心配いただいておりますインサイダー、さまざまな取引規制によりまして発行会社による自己株式の取引の公正性そして透明性が確保されるものというふうに考えております。
○佐々木知子君 今回は基本的な事項についてお伺いさせていただいたということで、次回の委員会で時間がありますればさらに個別的な質問をさせていただくことといたしまして、本日はこれで終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○小川敏夫君 民主党の小川敏夫です。 私ども民主党はこの法案に反対の立場ですので、そうした立場から質問をさせていただきます。 この法案ですが、政府の緊急経済対策とは何か関連があるんでしょうか。
○衆議院議員(相沢英之君) 御案内かと思いますが、緊急経済対策特命委員会というものを我が自由民主党に設置いたしまして、それは対象としては、ちょっと時間的には先後いたしますが、一つは不良債権の整理の促進、それからもう一つは土地の流動化対策を含む都市再生の促進、それに証券市場活性化対策ということになっておりました。この三つのテーマにつきましては、自民党だけではなくて公明党、保守党という与党三党の間におきましても、これに関しての言うなればプロジェクトチームを組みまして検討を行ったわけであります。 その証券等活性化対策に関するプロジェクトチームの議題といたしましてはいろいろございました。その中に、重要な柱となっておりましたのがこの金庫株の解禁、あるいは証券の取引単位の引き下げ、それから銀行の保有株式を自己資本以下に減らす。また、これに関連いたしまして、金融機関保有証券取得機構の創設という問題でございました。 それから同時に、やはり日本は特に個人の金融資産において占める証券投資の比率が極めて低い。たしか五%前後ということでありまして、投資信託を含めても七%ぐらい。これはアメリカの二一%、そしてイギリスの一七%、ドイツの一三%に比べましても甚だ低い。千四百兆円と言われる個人の金融資産を極力、証券市場に誘致して、証券市場の活性化を通じて企業の活性化を図る、特にベンチャー企業の促進等についてはこれが極めて有効である、こういったようなことからいたしまして、証券市場の活性化対策についてはいろいろな手だてを考えたわけでございます。 ちょっと長くなって恐縮でございましたが、その中の重要な柱の一つが、繰り返しますけれども、金庫株の解禁等であったわけであります。
○小川敏夫君 経済対策の一環であるとお答えいただければよかったので、非常に丁寧に御答弁いただきましてありがとうございます。 市場の活性化ということですけれども、市場に与える影響力、効果なんですけれども、この金庫株というものが、法案を提出されて恐らくこのままでは数の関係で成立するんでしょうという見込みになっても株式市場は全く反応していないんで、最近はむしろ弱い、下落場面が来ていると思うんですが、実際、言われるほどに株式市場に与える市場活性化の効果というものはあるんでしょうか。 少なくとも、自分の会社の株を会社が買うというだけであって、一般投資家が株を買う道を開くわけじゃないんで、余りその効果はないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○衆議院議員(金子一義君) 御指摘のとおり、直接的な株式市場への影響というものについては、我々も今回の目的に照らしましたらば少し違うだろうと思っているんです。と申しますのは、佐々木先生の御質問にお答えさせていただいたとおり、やはり長期的に日本の企業がいろんな分野でいろいろな形態で国際競争力をつけよう、企業競争力をつけようという今進展が行われている。それに対して、この金庫株というものが、そうでなければ新株発行という新たな負担によって行われるものを自社株を使えるということであります。 つまり、産業再編がいろいろな形で行われていく、その結果として競争力が高まってくる、そのことが初めて株価の上昇につながってくるものだと思っておりまして、まさにそういう方向でこれを提案させていただいたところであります。
○小川敏夫君 そうすると、市場の取引の活性化というのは、何か非常に二次的、三次的な効果で、主たる目的は企業再編というような御趣旨のようにちょっとお伺いしたんですが、ちょっとその点のことについてお尋ねしますけれども、会社合併によって被吸収会社に対して吸収会社が株を被吸収会社の株主に与える際に新株を発行しなければならないと、そういうことにはなっておりますけれども、仮にそのことが理由であれば、今の現行法の中で自己株式の取得は禁止しているけれども、許容している部分が何項目かあるわけです。
○衆議院議員(金子一義君) 何ですか。
○小川敏夫君 いや、自己株式は今の商法は、現行制度は原則禁止していますけれども、それを何点か認めておるわけですね。ですから、その認めている中に、会社合併に伴い被吸収会社の株主に株券を交付するに当たって自己株式を取得することを認めればそれで足りるんで、それを超えてすべて一律に解禁してしまうということにはならないと思うんですが、どうなんでしょうか。
○衆議院議員(金子一義君) 先生御指摘のような意見もございました。 ただ、今回の改正というものは一つ一つの目的、今、既に御指摘のように、限定列挙で認めている、特定目的で、消却、ストックオプション云々というのができている、それに追加すればというのが御指摘のポイントだと思いますけれども、今回の商法の改正というのはそういう一つ一つの項目について認めていくというものをがらっと変えてしまいまして、先ほど来御質問があったように、これを禁止していた理由を他の手段によってきちっと手当てできるならば経営者の懐の中でいろいろな経営戦略を使って、経営戦略を認めて、そして企業競争力をつけてもらう方法を私たち提案者としては今回選択をした。 したがいまして、今、先生の御指摘の御意見はあったのも事実でありますけれども、それにはくみしない、こういう形で御提案をさせていただいたところであります。
○小川敏夫君 一律に解禁して手当てをすればいいということですけれども、じゃ完全な手当てがされているのかどうか、あるいはできるのかどうか。この後の議論になるんですけれども、一律に解禁することの弊害があるんじゃないか。じゃ、そこの議論を先にしようかな。 自己株式の取得の問題ですけれども、今回の改正ですと特に制限がされていないわけですね、取得も売却も。そうすると、理屈からいきますと、会社が自分の会社の株式……
○衆議院議員(金子一義君) 売却の方は制限されております。
○委員長(日笠勝之君) ちょっと待って、質問を聞いてください。
○衆議院議員(金子一義君) 失礼しました。
○小川敏夫君 それは手続的な問題でしょう。私は本質的な問題を言っているわけで、ですから取得の目的、売却の目的に関して特に制限はされていないわけですね、手続的なルールは決めてありますけれども。 そうしますと、結論からいいますと、会社が自分の会社の株を投資目的で購入してそれで運用利益を上げるということができるわけですね。
○委員長(日笠勝之君) どなたが答弁されますか。──小川君、じゃもう一度質問をお願いします。
○小川敏夫君 質問は同じなんですけれども、要するに取得する目的が制限されていないわけですよ。ですから、投資目的で取得したってよろしいわけでしょうと聞いているわけです。その点だけまず確認しておきます。
○衆議院議員(金子一義君) 取得、買いまして、そしてそれを売却するという方法については、新株の発行手続に準じてという御指摘のとおり手続的な手当てはしております。その結果として利益が出る場合もあり得るということはそのとおりであります。
○小川敏夫君 いや、手続のことは筋違いな話なんで、まず自己株式を取得するということについてお尋ねしているわけです。 会社が自分の会社の株を投資運用の目的で購入することもよろしいわけですね。
○衆議院議員(金子一義君) 目的を定めておりませんから、そういう投資も可能であります。
○小川敏夫君 ですから、そこは私、先ほど佐々木委員が指摘された自己株式取得についての四つの問題点、古典的な議論がありましたけれども、そうした議論よりももっともっと非常に大きな問題、そんなことをしていいのかという考えがあるんですよ。投資目的で取得すると、それで上がったら売却すれば利益が出るわけですね、当然のことながら。 ただ、売却するに関しては手続の規定はありますよ。だけれども、手続にのっとれば売却できるわけです。ですから、会社が自分の会社の株を買ってそれでもうけを上げて、もうけを上げるということはこれは要するにできるわけですね。 それで、次にもう一つ聞きますが、会社がそれで上げた利益、これはどういうふうに処理するんですか。特別利益として配当してもいいんですか。これは会社の利益になるわけですか。
○衆議院議員(谷口隆義君) 現行は、先生御存じのとおり、日本公認会計士協会の指針にも書いておりますが、営業外収益に上げるということになっておりますが、今後、金庫株の法案が施行された後も公正なる会計慣行によってなされるということになると思いますが、基本的には同じような形、特別損益もしくは営業外損益ということになるんだろうというふうに思います。
○小川敏夫君 だから、答弁を結論からまとめますと、要するに会社は自分の会社の株を投資目的で買って利益を上げてそれを利益計上してもいいと、したがって配当してもいいと、こういうことになるわけですね。
○衆議院議員(金子一義君) 取得するときの手続論ですべてを申し上げるわけでありませんが、株主総会の決議をとるわけでありますので、そのときに、もしくはその事後的に株主総会でどういう説明をしていくか、その説明の責任というものは取締役会に当然ある、そういう範囲であれば取得目的を問わずということで今回提案をしております。
○小川敏夫君 私が抱いて指摘している問題点とちょっとずれた話なんですけれども、私は、要するに株主の利益が害されるんじゃないかという点で質問をしているんじゃないんです。会社が自分の会社の株で投資運用するということ、すなわちそれは証券市場で会社が自分の会社の株を買ってきて、それで証券市場でまた売却するというのがこれが基本ですよね。特別な手続によっては特定のということがありますけれども、原則はやはり証券市場で購入して証券市場で売却するというのがこれは原則ですよ。ということは、会社が買うとすれば会社に売る一般投資家がいるわけですよ。会社が売却するときには証券市場で買う一般投資家がいるわけですよ。 そういう本来、公正でなければならない証券取引のルールにおよそもとるような結果になりはしないか、私はそういう観点から聞いておるんですが、いかがでしょうか。
○衆議院議員(谷口隆義君) そういう観点から先ほどの佐々木先生の質問に答弁があったわけでございますが、インサイダー取引、また相場操縦が行われないような改正を行い、またディスクロージャーの観点から自己株券の買い付け状況を説明し、今三カ月に一遍提出を求めておるわけですが、これを一カ月に一遍提出をしてもらう、こういうことを考えておるわけでございます。また、証券取引等監視委員会の体制を強化し、そのような取引が行われないような体制をつくる、こういうことをもって一般投資家の保護をやっていこう、こういうことでございます。 それと、済みません、先ほどの先生に対する答弁でございますが、実は金庫株が今回施行されて売却益はどうなるんだということでございましたが、実は今この金庫株自体が損益取引なのか資本取引なのかというところがまだ方向が確定いたしておらないところがございまして、先ほども申し上げましたように、公正なる会計慣行にゆだねるということになるわけでございますが、資本取引ということになりますと、営業外損益また特別損益に計上されるということはないということになるわけでございます。
○小川敏夫君 いろいろ聞きたい質問が次から次に点々と出てきちゃうんで、順を追ってまた聞きます。 原点に返りますけれども、では、提案者の皆様は今回の基本的な理念で会社が自分の会社の株式を証券市場で投資運用しても構わない、要するにこういうふうにお考えなんですね。
○衆議院議員(金子一義君) 企業が人、土地、現金もしくは株、こういったような稼働資産というもの、これを経営戦略の上で幅広くいろいろな形で活用し、その結果として競争力を強化していくということについては、今回、私たち提案者はそれを認めていく、積極的に活用してもらうと。しかし一方で、先ほど御指摘ありましたような不公平、不公正というものを損なわない手当てをする。そして同時に、インサイダーですとか、こういったようなものについてもより一段厳しくしていくというのが考え方であります。
○小川敏夫君 インサイダーの議論、あるいはインサイダーに当たるかどうかの議論はまたこれも順を追って後から詳しく質問をさせていただきますけれども、基本的には証券市場で売買する、取引するというのは、やはり公正であり公平でなくちゃいけない。しかし、会社というのは、自分の会社のことは一番知っている人間ですよ。一方、会社以外の一般投資家はどんなに情報開示されようと、あるいは本人がどれだけ努力しようと会社が、自分自身が持っている情報には到底追いつかないわけですよ。これは比較にならないわけです。しかし、それが証券市場の本来、公正であるべき場において、決定的な情報の差がある人がそこであたかも対等であるかのような形で取引する、これはやはり理念の根本が間違っているんじゃないでしょうか。どうですか、そこのところは。
○衆議院議員(谷口隆義君) 先ほど申し上げましたように、インサイダー取引につきましては重要事実に今回、自己株の取得、処分についてつけ加えられたわけでございます。これらについては、発表の後でなければ会社関係者、会社の役員、また会社従業員、また当該発行会社、両罰規定でございますから、これらについては厳しく罰せられる、こういうような規定を設けておるわけでございます。
○小川敏夫君 ただ、インサイダーという会社の重要事実に限定されているだけですよ、今のインサイダーの規制の話は。だけれども、インサイダーに当たるかどうかということとは別に、インサイダーにならない重要事実でなくてももちろん非常に会社の将来性に影響を与える事実はあるでしょうし、あるいはインサイダーになるような重要事実という個々具体的な事実ではなくて、今後、将来、会社が伸びるのか、よくなるのか、そういう一番的確な判断ができるのは会社自身であるわけです。やはり、決定的に会社と投資家との間の情報量は、どんなに技術的に工夫を凝らしたって同じになるわけがないじゃないですか。どうですか、そこのところは。
○衆議院議員(谷口隆義君) 会社が自己株を取得する際には定時株主総会の承認が必要なわけでございます。この定時株主総会で取得する株式の種類、総数、取得価額を承認してもらう、こういうような手続をやって取得するわけでございまして、先生のおっしゃるような危惧はないものと考えておるところでございます。
○小川敏夫君 およそ筋違いの答弁だと思います。企業が自分の会社の株で投資して利益を上げて配当すれば株主はうれしいんですから。 私が言っているのは、株主の利益を損なうかと言っているんじゃないんですよ。証券市場の公正を害さないか、公正な証券市場を信用して入ってくる一般投資家の保護に欠けないかと言っているわけです。株式の保護のことを言っているんじゃないんですよ。定時株主総会の決議、それは株主の利害ならそれでいいかもしれませんけれども、逆に株主は今言ったようにどんな方法であっても会社がもうければうれしいんだといって賛成の方に働くんじゃないですか。私は、モラルがそこでなくなって単に目先の利益に走ってしまう、株主も会社もと。そのことによって証券市場の公正が害され、一般投資家の保護に欠けるという観点から質問しているんです。もう一度改めて答弁してください。
○衆議院議員(谷口隆義君) 今申し上げましたように、インサイダー取引の規制と相場操縦の規制もございます。ですから、先生おっしゃるのは、会社が恣意的に相場をつり上げるといったようなことがあるのではないか、こういうことなんだろうというように思うわけでございますが、これは先ほど小池提案者の方からも答弁をいたしましたように、今回、アメリカにおけるセーフ・ハーバー・ルールを参考にした規定、内閣府令で出すわけでございますが、これは百六十二条の二でございますが、それに該当しないような、例えばそれ以外の仮装取引、通謀取引等がございましたら、現行の証券取引法百五十九条の総括的または通則的な法律で、これは刑事罰でございますが、これで罰するというような二段構えの対応になっておるわけでございます。
○小川敏夫君 私の質問の趣旨が相場操縦のことなんだろうとお決めいただいて御答弁いただいたようですけれども、私は相場操縦のことは言っておりません。取引の持っている情報量が決定的に違う、それでは市場の公正が欠けるのではないかと。ですから、インサイダーの保護ということで確かに言われております。だけれども、幾らインサイダーの保護、重要な事実の情報公開を徹底したって、会社が、自分自身が持っている情報の百を持っている人と、幾ら事実を情報公開した、あるいはインサイダーの規制を設けてある一定以上のことについては禁止するという規定を設けても、それは百にはならないわけですよ。私はそういう基本的な理念のことを聞いておるわけです。 それで、私はまた一番最初の質問に戻りますよ。それで、今回、商法の改正で自己株式の取得の禁止を、規制緩和があるから制限を全部取っ払っちゃったわけですよね。私の質問は、いや全部制限を取っ払ってしまえばやっぱり弊害があるんじゃないですかと。だから、提案者がおっしゃられるように、会社の合併に伴って被吸収会社の株主に株券を交付するという必要性があるんだったら、そういう必要性のあるものについてきちんと認めていけばいいんじゃないですかと聞いておるわけです。そういう観点から聞いておるわけです。 ですから、どうなんでしょう、どうもすっきりとしないんですが、基本的な思想において、会社が自分の会社の株を証券市場で投資運用してもうけを出すということが、これは証券市場の公正を害し、一般投資家の保護に欠ける、あるいは欠けるおそれがあるというお考えは、どうでしょう、提案者の方はお持ちじゃないんでしょうか。
○衆議院議員(谷口隆義君) ですから、それは先ほど金子提案者の方からも答弁がありましたように、一般投資家にそういう迷惑をかけないがためにインサイダー取引、相場操縦、またディスクロージャーの厳格な適用を求めておるわけでございます。 一方、我が国の経済界の中で、従来、先生おっしゃるように、現行は限定された場合にのみこの自己株式取得ができると、消却をする場合だとかストックオプションの場合だとか合併でたまたま自己株を取得したと、こういうような場合に限定されておるわけでございますが、この自己株を先ほどもおっしゃった合併をした場合に被合併会社の株主に対して割り当てると、自分の持っている株を割り当てる、こういう代用自己株であるとか、売却も含めて、企業が一つの企業戦略として経営の多角化といいますか、多様な選択肢が行い得るような状況をつくる必要があると、こういう観点から今回このような法案をつくったわけでございまして、ですから原則自由化になったわけでございますから、その状況の中で、全く私も先生と同じような考え方を持っておって、やはりそういうインサイダー、相場操縦が行い得るような可能性が高まるわけでございますから、そのあたりをチェックできるようなシステムを並行してつくっていかなきゃいかぬということでそのような対応にしたわけでございます。
○小川敏夫君 先ほどいろいろ問題が三つ四つ一気に広がっちゃったので、またそのうちの一つについて聞きますけれども、会社が投資目的で購入することができると、それについて売却すれば、当然買うときと売却するときの価格が違えば利益が出るか損失が出るかということになる。その株式の売却に伴う損益について、答弁がちょっと二転したようですけれども、自己株式の売却に伴う損益の処理について、この会計の処理のあり方についてお願いします。
○衆議院議員(谷口隆義君) 会計の処理は現行は資産の部に計上されております、自己株式は。これは従来から財産の払い戻し的な性格があるということで批判があったわけでございまして、それは一時的に取得するものだからとか数量が少ないからということで許容されていた部分があるんだろうというふうに思いますが、今回、自由化ということでございますので、この法的性格をかんがみますと、資本の控除科目にすることが妥当だというようなことで思っておるわけでございます。これは具体的には法務省令のいわゆる計算書類規則等で規定をされるということになるんだろうというふうに思いますが、まずそういうような方向になるんだろうというふうに思います。 売却損益につきましては、先ほども申し上げましたように、この自己株式の売却が資本取引なのか損益取引なのか、こういうところで処理が若干変わるところがございますので、それは会計慣行にゆだねようということでございまして、当初、私が申し上げた答弁を変更させたようなところはそういうことでございます。
○小川敏夫君 その自己株式の処分に係る損益について租税上の扱いはどうなるんですか。
○衆議院議員(谷口隆義君) ですから、損益取引の場合にはこれは課税の問題が出てまいります。資本取引の場合、先生御存じのように、先ほどもおっしゃったように、例えば合併差益だとか減資差益だとか、こういうものは元来、課税の対象になっておらないわけでございます。これはいわゆる資本取引と言われるものでございますから。この取引行為そのものが資本取引なのか損益取引なのかというような観点でこの課税の問題が分かれてくるだろうというように考えております。
○小川敏夫君 それで、分かれてくるだろうということで、要するにまだ決まっていないということですね。これから決めるということですね。
○衆議院議員(谷口隆義君) 売却につきましては、来年の四月一日からでございますので、今現在決まっておらないということでございます。
○小川敏夫君 だから、ここは非常に重要なことだと思うんですよ。私が基本的に今言ったように、会社が自分の会社の株式で投資運用してそれを利益として計上して配当原資とするなんということはとても許せないと思っているわけです。しかし、それを認めるかどうかはこれから決めるというんじゃ、これは決めてから法律を出してもらいたいと私は思うんです。非常に大事なところなんですよ、ここのところは。私は、この自己株式の最大の問題点のところだと思うんですが。 これは全くどっちになるのか現段階で予想もつかない、あるいはもう方向性はしかれていて、ただ実際に法律なり省令なりができていないというだけなのか、どっちなんですか。
○衆議院議員(谷口隆義君) ですから、その課税の問題につきましてはまだ全く方向が決まっておりません。 それと、先ほど先生がおっしゃったように、資本準備金の中で合併差益だとか減資差益だとかあるわけでございます。これは配当可能利益の計算上一つの要因になるわけでございまして、ですから課税の問題と配当利益の算出の問題とは若干レベルの違う問題だというようなことになってくると思います。
○小川敏夫君 今、先生から御指摘いただいた、資本勘定にすれば、それは利益が出たら準備金ということになるんでしょうね、これは資本の増資じゃないんだから。そうすると、この商法改正、今までできなかった利益準備金、資本準備金を取り崩して配当することが可能な改正も入っていますね。だから、資本勘定に一たんしたって、それをまた取り崩して配当してしまうことは別の条項の二百八十九条の改正と一緒に考えれば要するにできるということですね。
○衆議院議員(谷口隆義君) そもそも会社に基本的に置いておかなきゃいかぬ金額、資本株、資本がありますね。その考え方の相違なんだろうというように思うわけです。 従来は資本準備金と利益準備金の四分の一を資本に準ずるものとして会社の中で積み立てておったわけでございますが、今回、法定準備金として利益準備金、資本準備金の合計額の四分の一を積み立てればいいというような形の法改正が行われたわけでございます。それは、おっしゃるように、その積み立てなきゃいかぬ部分以外は配当可能利益に回すことが可能でございますから、それは配当可能利益として算出、その部分をやることは可能だというように思っております。
○小川敏夫君 だから、この自己株式を売却した損益に関してそれが損益勘定であれば直ちに配当できると。しかし、資本勘定にしても、一たん準備金に入れても二百八十九条の改正によって準備金を取り崩して配当することができるんだから、ワンクッション置くだけで、いずれにしたって会社が自分の会社の株を投資運用で買って利益が出た分はこれは配当できると、こういうことになるわけですね。
○衆議院議員(谷口隆義君) 利益がすべて配当に回るものと、先ほど申し上げておりますように、法定準備金のうち四分の一は資本に準ずるものということで、この改正法案におきましても積み立てなきゃいかぬわけでございますから、そのあたりの相違があるということでございます。
○小川敏夫君 ただ、その積み立てなければいけない準備金のところに達していればもうよろしいわけですね。
○衆議院議員(谷口隆義君) ちょっと今、質問の要旨がはっきりわからなかったんですが、ただ単に通常の損益取引の結果上がってきたいわゆる剰余金のところに入っている部分と、資本取引の結果積み上げられた部分とのその違いがあるということでございます。
○小川敏夫君 資本取引にするのか損益勘定にするのか決まっていないというので非常に議論しにくいんですが、損が出た場合、損益ならこれは損失として計上すればいいんですけれども、資本勘定にしてこれで損失が出た場合にはこれはよろしいんでしょうか、大分資本充実が害されるように思うんですが。
○衆議院議員(谷口隆義君) 損が出た場合には、それはさっきから申し上げておりますように、その取引の形態によっては若干対応が変わるんだろうと思います。これは公正なる会計慣行にゆだねるということを申し上げたわけでございますが、先生のおっしゃるのは、資本の部に資本がまずあって、控除科目として自己資本を計上するのが妥当だと、このように言っておられるわけでございまして、その結果、資本充実の原則というか、その資本に食い込むようなことがあれば、これは充実の原則を侵害しておるということになるんだろうと思いますが、そういう前提がないということでは何ら問題はないというように私は考えております。
○小川敏夫君 いやいや、そういうことがあり得るんじゃないかと思って、法律の問題ですから。 じゃ、具体的に、最近でも一株二十万円を超えるような株をつけた会社があれよあれよと二千円になってしまったような株もあるわけです。一株二十万円の時代に、発行株数の一割まで購入できるわけですから、限度いっぱい二十万円で買って資本取引に置いておいた。二千円になって売っちゃった。そうしたら、資本の十倍どころの損じゃないですよね。だから、資本金の金額以上の、資本が全部吹っ飛んじゃうような損失だって出ることもあるわけですよ。そうしたら、資本がなくなっちゃうんじゃないんですか、資本勘定に入れたら。
○衆議院議員(谷口隆義君) その場合には、要するに資本を割り込むというような場合には、当然、取締役の責任の問題が出てくるんだろうというように思うわけでございまして、資本充実を害するということになります。 しかし、まず先生のおっしゃるような合理的経済行為が行えるのかどうか。例えば、二十万で買った株をかなり低い価格で売却する、それで売却損を出すといった行為が一体どういう目的を持ってなされるのか私には理解できないわけでございますが、そういうことがあるんだろうというふうに思います。
○小川敏夫君 理解できない、いやいや、これは客観的事実だからね。光通信という株が一株二十五万ぐらいまで行ったんじゃないですか。それが二千円になってしまったですよね。 一株二十五万円のときに、その資本の発行済み株数の一〇%を二十五万円で買って、それで資本勘定に入れておく。二千円になってしまって、その一〇%の株を売った。そうしたら、資本金を超える損失が出ちゃうんじゃないですか。
○衆議院議員(谷口隆義君) 資本金を超えるような損失が出るというのは、ちょっと私、おっしゃっている事例をもうちょっと詳しくおっしゃっていただいたらわかるんですが、ちょっと理解ができないところがあるわけでございますが。
○小川敏夫君 じゃ、五十円の株がありますよね。しかし、時価一万円だとしますよ。その時価一万円の株で、発行済み株数が、計算上一万株にしておきましょうか、そうすると一割まで買えるわけですよね、この自己株式の取得の株制限は。一割じゃないんですか。
○衆議院議員(谷口隆義君) これは一割じゃなくて、その取得財源は配当可能利益と法定準備金の範囲内でございますから、一割ではありません。
○小川敏夫君 ああそう、一割という数量的制限はないんですか。じゃ、なくて結構ですけれども……
○衆議院議員(谷口隆義君) 数量的制限はなくて、財源規制はあるわけです。ですから、その配当可能利益とその法定準備金の範囲内で取得ができるわけでございます。
○小川敏夫君 だから、資本勘定よりも純資産が上回っていれば、配当可能利益が大きい会社なら、大きいときに買うことができるわけですよね。 じゃ、わかりやすいように計算しますと、五十円の株が、じゃ一億株にしましょう、資本金五十億円ですよ。そうすると、一千万株を一万円で買ったとしますよね。そうすると一千億円ですか、一千億円をとりあえず資本勘定にするわけですね。しかし、その株がまた五十円に戻ってしまったと、一千億円が五十円に戻ってしまったと、五千万になっちゃったと。そうすると、九百九十九億五千万円の損失が出ちゃうわけですよ、資本金五十億円の会社が。それを資本勘定にしたら、資本金なんか全部なくなっちゃうじゃないですか。
○衆議院議員(金子一義君) ちょっと議論が錯綜しているようなんですけれども、そもそも取得した株式にはもともと資産性はありませんので、資産勘定じゃありませんので、今おっしゃったように、自己株式がその後株価が低下したからといって資産が減少するということはバランス上ないんです、資本勘定ですから。そこのところをちょっと混同されておられるんじゃないかと思います。
○小川敏夫君 自分の方で理解していなくて人を混同していると言うのは大変失礼な話ですね。 いいですか、持っているときのことを言っているんじゃないですよ。処分をしたときのことで、損失が出た場合のことを聞いているわけですよ。持っているときの状態のことを聞いているんじゃないですよ。処分をしたときに損失が出たときのことについて聞いているわけですよ。損失が出たときに、まだそれを資本勘定にするのか損益勘定にするのか決まっていないというわけですよね。決まっていないから両方の議論をしなくちゃいけないからややこしいんだけれども。 じゃ、その出た損失を資本勘定にした場合、資本金を超えるような損失が出ちゃった場合、資本勘定はどうなっちゃうんですかと聞いているわけです。
○衆議院議員(谷口隆義君) その説明の意味がちょっとよくわからないんですが、先ほども申し上げましたように、取引そのものが損益取引と資本取引があると、資本取引ということで資本準備金にその分が計上されたと、それがかなり大きく損失を生じたといった場合のことをおっしゃっていらっしゃるわけでございますか。その説明がちょっと、非常に申しわけないんですが、もうちょっと詳しく教えていただけるとありがたいんですが。
○小川敏夫君 ちょっと時間の関係で非常に中途半端に終わりそうなんですけれども、また次の委員会で議論をします。 じゃ、基本的なことだけ聞いておきますけれども、損失が出た場合、資本勘定にするということは、要するに資本をどういうふうにするということですか。その基本的なことをちょっと説明してください。
○衆議院議員(谷口隆義君) さっきも申し上げましたように、損益取引になるのか資本取引になるのか、公正なる会計慣行にゆだねるということになるわけでございまして、その方向が出ておりませんので、答弁のしようがないわけですが。
○小川敏夫君 いや、だから、私が言っているのは、そんな大事なことが決まっていないのに何でこんな法案を出してくるんだと言っているわけで、決めてから出してほしいんだよね。 ただ、損益勘定にするか資本勘定にするか決まっていないというわけでしょう。でも、いずれにしたってどっちかなんですよ。だから、両方のことについて私は聞いているわけですよ。損益勘定なら別に特別損失で処理しちゃえばいいわけですよね。じゃ、資本勘定にした場合に損が出た場合はどうするんですか、特に資本金を上回るような損が出ちゃった場合に資本勘定はどうするんですか、どういうふうにそれを会計処理上するんですかと。簡単ですよ。資本準備金を削るのか資本金を削るのか、別の何か新しい項目を、マイナス勘定をつけてほっぽらかしにしておくか、そういうことを聞いているわけですよ。
○衆議院議員(谷口隆義君) それは、例えば大幅な損が出るといった場合に、私、資本勘定、損益勘定とは言っていないんですが、資本取引と損益取引で取引そのものが、そういう形態を分けたときに、それがいずれにしても大幅な損が出たといった場合は、その結果、資本に食い込むというような事態になればこれは資本充実の原則を害することになるわけでございますから、経理処理どうこうということもあるんでしょうが、一方で取締役の責任も追及されることになるというように考えるわけでございます。
○小川敏夫君 どうも、株が下がったら取締役の責任が生じるというのもちょっと理論的におかしいと思うんですよね、結果的に下がったということなら。 それは別にして、じゃ次の議論のためにここだけ確認しておきますけれども、損益を、特に損失が出た場合に、それを資本取引にするということは、要するに資本をどういうふうにするということですか、会計処理。そのことだけちょっと答えてください。それを踏まえてまた次に議論しますから。
○衆議院議員(谷口隆義君) 資本取引ということになりますと、一つは、さっきも私、申し上げたのは、課税の対象になるのは基本的には税制で損益取引が対象になっておりますから、課税をされるかどうかという観点ではこの二つは対応が違います。 それで、損益取引になるということになりますと、その分は当該会計期間中の損益になるわけでございますから、剰余金の部でこの分が計上されると。また、資本取引ということになりますと、これは資本準備金という形のところで計上されるという、計上の形態も変わってくるんだろうというように思うわけでございます。
○小川敏夫君 資本準備金に計上するということですね。それを踏まえて次回、ちょっときょうは大変消化不良なんですが、時間が来ましたので、また次回にさせていただきます。
○橋本敦君 次に、私からまた質問をさせていただきますが、今回の商法改正というのは、私は、非常に重要な商法の根本原則を変革する問題だと、こう思います。 言うまでもありませんけれども、明治三十二年に商法が制定された当時は、いわゆる金庫株は絶対的禁止と言ってもいい厳しい禁止のもとにありまして、消却以外には認めないというのが貫かれておりました。そういう点から見ますと、今回の金庫株の全面的な解禁ということでの改正というのは商法の根本原則の変革でありますから、本来ならば法制審議会の議を経るというのが私は当然の筋道だろうと思うんです。 法制審は、言うまでもありませんが、法務大臣の諮問機関として、民法、刑法、その他重要な法律事項について、法務大臣の諮問に応じて識者その他が諮問に答えて答申をするという手続で、これはいわゆる重要な法律の国民的な基盤をしっかり意見として踏まえた上で進めるという意味で非常に重要な機関だと、私はこう思っております。 ですから、今回のようなこういう根本的な改革については当然、法制審の審議を経るのが通常のあるべき姿だというのは私は否定できないと思うんですが、法制審の所管をしておられる法務省として、民事局長、どうお考えですか。
○政府参考人(山崎潮君) ただいまの御指摘でございますが、今回この法案の中に入っている大きな項目、三つほどございますけれども、この項目、自己株の取得の問題、それから一株の単位の問題、それから単位株式をどうするかという問題がございます。 これにつきましては、現在、法務省で、商法の全面改正ということで法制審で検討をしております。その検討の項目の中に入ってございます。それは事実でございます。私どもといたしましては、この秋にもし臨時国会が開かれるならある部分、それから全面的には来年の通常国会に提出する予定でいたことは間違いございません。 今回、本年の一月でございますが、与党三党におきまして経済構造改革ということから議論が始まりまして、政府全体といたしましてもこれに協力してまいるという方針が決定されたわけでございます。 私ども、事務方としてそのお手伝いをさせていただきましたし、最終的にこの案はこれでいいのかどうかということ、法制審議会そのものにかけたわけではございませんけれども、法制審議会の有力な委員の方々の一応意見をお聞きいたしました。そのお聞きした結論として、大枠でこれでいいということで、特段強い反対もなかったということで、それが事実だということを申し上げさせていただきたいと思います。
○橋本敦君 今、重立った方の意見を聞いたというのは、法制審のメンバーの学者、識者の意見という意味ですか。
○政府参考人(山崎潮君) 法制審議会のメンバーの方、その学者の方等の意見を聞いております。
○橋本敦君 それは全く個別的に聞いたということですから、正式の法制審の審議あるいは諮問に答えるという、そういう正常なルールでないことは明らかですよね。 この問題は今回に限らない。一九九七年に同じように議員立法で出されて、そして商法の一部改正、これによって自己株式取得が大きく変化をしていくきっかけがここでつくられたわけですね。そのとき法制審の審議にかけなかったということについて、我が国の商法学界、江頭東大教授を初め何と二百三十三人の商法学者の方が連名で厳しい意見を出されていることは、民事局長、御記憶ありますか。
○政府参考人(山崎潮君) 記憶にございます。
○橋本敦君 そこで、二百三十三名もの我が国の商法学界の重立った学者が言っておられるのは、こう言っていますよ。「法案は、自民党と一部の経済界の関係者が協議しそれに法務省・大蔵省等の一部官庁が協力する形で作成され、」、先ほどお話しのように、今回もそれに近いことをやった。「法案の内容は、これら関係者以外に一般に開示されることはなく、ようやく国会提出の数日前に新聞にその骨子が報道されたに過ぎない。こうした立法のプロセスは、これまでの商法の改正が、法務大臣の諮問機関である法制審議会のイニシアティブの下に、大学、弁護士会、中小企業団体等を含む経済団体等に対する問題点公表、試案公表、意見照会等が行われた後、その結果を踏まえた法制審議会の審議を経るというオープンな過程を経て行われて来たのに比較すると、不透明・秘密主義的な印象を禁じ得ない。」、こう言って憂慮されておるんですよね。 今回も全くこのような状況が、こういうような厳しい指摘にもかかわらず行われたということで、私は、そもそも出発点からまさに本当にあるべきルールを犯しているというように思わざるを得ない。 法制審は法務大臣の重要な諮問機関でありますから、この点について法務大臣はいかがお考えでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 商法のような基本的な法律について改正をいたします場合には、御指摘のように、可能な限り法制審議会の審議を経ることが望ましいということはおっしゃるとおりだと思います。 しかし、会社をめぐる最近の社会経済情勢が非常に目まぐるしく変動しておりまして、会社に関する規律を設けている商法に対しましては社会経済情勢の変動に適合した法制度とするように迅速な見直しが求められるということもまた一つございまして、特に緊急性を要する見直しにつきましては議員立法によって行っていただくことも一つの立法のあり方ではないかと思います。
○橋本敦君 私は、議員立法がすべていけないと言うつもりは全くありませんし、今回、議員立法で出されたことが、そのこと自体が手続的に違法だとか無効だとか、そういうことを言うつもりはありませんが、本来あるべき姿としては、これは私は法制審にかけるべき重要な事案だということが基本的なルールだということを申し上げているわけです。今、大臣もおっしゃったけれども、経済事情の変化、緊急性、いろいろあるでしょう。 提案者にお伺いしますが、今回の場合、我が国商法学界の学者の私が紹介をした厳しい指摘が前回既にあった、そういう見解を表明されたという、そういうことにもかかわらず、法制審の審議にかけないで、現に法制審でそういった事項について議論している最中ですよ。それを取り上げたような形で今回、議員立法で出されたということについての具体的理由は何ですか。
○衆議院議員(金子一義君) 与党でこの法案の検討を進めさせていただく過程で、法務省にも、法制審のメンバーの先生方、十分に意見を聞いていただく、ヒアリングも行っていただくということをやってもらうことを要請いたしまして、具体的に部会長等々、法制審の先生方からも御意見をちょうだいした。そして、法制審のメンバーの先生方からの意見もそれなりに取り入れた。具体的には、例えば売却のときには新株発行手続に準ずるといったような御意見も出されて、今度の法制にそれも取り入れさせていただいた。そういう手続を法務省は精いっぱいとっていただいたということは伺っております。 それともう一つ、なぜそれほど急ぐのかということでございますけれども、先ほど来お話が出ておりますとおり、非常に今、企業再編というものが速いペースで進んでいる。そして、これは株主総会の決議で手続をとっていただくという必要がありますものですから、これがおくれることによって、うっかりすると決算期もしくは株主総会、これが十二月もしくは三月総会というようなことになりますと、向こう一年間全く対応ができないという意味で、企業のそういういろいろな動きに対応して一刻も早く法案化をしていきたいというふうに我々提案者が考えたところであります。
○橋本敦君 今お話しになった前段の話であれば、法制審は要らないことになっちゃいますよ。法務省に頼んで適切に意見を聞いてもらったと。法制審にしっかり審議にかけるということはルールとして大事なんですから、そういうことは、今あなたがおっしゃったように、急いでやるという経済事情があったということならば、それ自体が一つの問題になるわけですよ。そのことは早くからそういう議論はあったわけですよ。 例えば、経団連は、二〇〇〇年十月十七日に発表した「商法改正への提言」という意見の中で明確に、「将来の環境変化に備えるなど経営の選択肢を拡大するため、目的を限定しない自己株式の取得と保有(いわゆる金庫株)を容認すべきである。」という意見を早く出していますよね。それから、経済同友会も同じく二〇〇一年、ことしの一月十六日に発表した「「株価対策」についての意見」ということの中で同じように「自社株の取得・保有を自由化する。」、このことを主張していますよね。 だから、緊急経済対策の一環としてこういう財界の意見を入れておやりになったというプロセスはよくわかるんだが、そういう財界の意見は結構緊急性があるということで入れながら、商法の根本原則に関するこの問題について法制審で既に、議論が全然なされていないなら別ですが、一定の議論がなされようとしているときに適当に意見を聞いただけでこれを議員立法で法案化するというのは、私はどう考えても法制審を軽視するというそういうそしりは免れない重要な問題だと思いますよ。 次の問題に移りますが、先ほど指摘した商法原則の大転換の問題であります。 先ほど民事局長は、金庫株解禁に関して問題点を四点挙げられました。記録を見ますと、九七年の改正のときにも、当時の法務省の濱崎民事局長は自己株取得規制の理由があるとして次のように言っておられますね。まず、「会社の資本の充実を害し、会社債権者の利益を害するおそれがある、あるいは会社の資産の健全性を害するおそれがある。また、取得の方法、その対価のいかんによっては特定の株主を優遇する結果となって、株主平等の原則に反するおそれがある。会社経営者の会社支配を維持する目的に利用されるおそれがある。取締役等の会社関係者が株価操作、インサイダー取引を行って一般投資家を害するおそれがある。そういうおそれがあるということ」を指摘して答弁されている。これは、民事局長、先ほど答弁なさったあなたの御認識と変わりはないと伺ってよろしいですね。
○政府参考人(山崎潮君) 基本的には発想は同じでございます。
○橋本敦君 この原則は本当に大事な原則でしょう。そして、この原則の一つ一つ、四つというふうに分解されましたが、総合的に金庫株取得ということがまさに資本主義そのものの会社のあり方とルールを根本的に害するおそれがあるという非常に大きな問題として出されているわけですよ。 この問題について、佐々木委員の質問に答えて、提案者の方は一つ一つ、こういうふうにブロックガードがある、こういうふうにやります、省令をつくりますということで、その弊害を除去するというそういう方向でお話がありました。これは後で私も具体的に伺っていきます。しかし、大事なことは、個々の問題でのそういった規制をやるというそういうことを超えて、商法が生まれたときから根本原則として金庫株を全面禁止してきたということが、今お話ししたようなおそれがあるということを総合的に考えて、個別一つ一つとらまえるんじゃなくて、総合的に考えて大原則としてきたのが我が国会社法、商法のあり方だったわけでしょう。 そのことがなぜ大事かということについて、例えば名古屋大学の小林教授は「法学教室」の中でこう指摘されております。今言ったそれぞれの、四つの原則なら四つでいいです、それぞれに対する規制が侵されるということがなされるような場合に、どれが違法でどれが違法でないか、そしてそれぞれの違法が生じた場合に実際上その立証が具体的にできるのか。とてもじゃないが、大変な困難を伴うと。例えば、アメリカのSEC職員は全国で何人いますか。日本よりはるかに多くの人数、何千人という職員がいて担当者諸君もやっていますが、大変なことでしょう。だから、そういった問題を考えて、個別的な規制ということを超えて、一般予防的な見地からこういう原則を守ることがルールとして大事だということを指摘されているんですが、私は全くこの原則とはそういうものだと思う。 だから、個別一つ一つこういうガードがありますからということじゃなくて、こういう大事な原則は大事な原則として一般予防的にきちっと守っていくということを商法が貫いてきたことがまさにルールとして大事だったんだと思うんですが、そういう考え方が大事だということについて、民事局長、どうお考えですか。
○政府参考人(山崎潮君) 基本的には、先ほど私は四つの点を申し上げましたけれども、そこがポイントでございます。 いろいろなルールをつくる場合に、その四つのポイント、それに対する手当てがきちっと行われるということであれば、それはそれとして一つの政策であるということでございまして、守るべき点と手当てするべき点、それが見合っていればいいということになろうかと思います。
○橋本敦君 後でまた個別の具体的な問題について聞きながら、私の意見も申し上げていきましょう。 しかし、大事なことは、要するに社会の一般的、予防的、そういうルールとして確立されてきた長年の慣行を今度全面解禁するということがいかに重大な問題か、それが我が国の会社のあり方、資本主義的ルールのあり方としていいのかということが問われる重大問題だということを重ねて言っておきたいと思います。 そこで、まず資本充実の原則の問題なんですが、そもそも資本充実の原則というのは何であるかといえば、言うまでもありませんけれども、株主、社員が間接有限に責任を負うにすぎない株式会社あるいは有限会社、ここでは会社債権者にとって会社財産が唯一の担保ですから、商法では会社財産を確保するという一定の資本額を決め、それに相当する財産の保有を原則としてきちっとやらせるということを商法の基本的な考え方、あり方として進めてきたわけですね。これは当然のことですね。 ですから、今、私が指摘した小林教授はこういう言い方をされています。「株式会社は物的会社の典型であり、会社債権者の拠り所となるのは会社資産に限られている。したがって、会社債権者保護のためには会社財産の充実を図ることが必要不可欠である。」と。これは当然のことですね。 そこで、自己株式の取得ということは一体どういうことかと考えてみますと、これは資本または配当利益、法定準備金を財源として自己株式の有償取得を行うことですから、実質的には株主に対する出資の払い戻し、これと同じ結果が生ずる。だから、そういう意味では資本維持の原則に根本的に反するんじゃないかという意見がありますよね。 これについて、提案者あるいは民事局長はどうお考えですか、出資の払い戻しと同じじゃないかという意見について。
○衆議院議員(谷口隆義君) 今、先生おっしゃるように、これは株主に会社財産を払い戻すという実質的な意味合いがあるものと考えておるわけでございまして、ですからこの資本充実の原則の観点から一定の規制を設ける必要があると。そこで、この改正案におきましては、自己株式の取得価額の総額を原則として配当可能利益の範囲内に限定するというようなことで、この資本の維持が図られるように配慮をいたしておるところでございます。
○橋本敦君 原則として配当利益の範囲内とおっしゃるが、それは原則でしょう。資本準備金も使っていいんですね、どうですか。
○衆議院議員(谷口隆義君) 法定準備金も配当原資の中に入るわけでございます。
○橋本敦君 ですから、そういう方向へ順次動いてきたということがまさに資本維持の原則に着実に反対し、これを侵す方向に来ているということを私は言っているんですよ。これはあなたも否定されないところでありますね。 それで、このようにみずからの資本を食いつぶして自社株買いを、目的も制限しない、数量も特段の制限もないということで、経営者に思いのまま認めるということになりますと、どう考えてもこれは資本充実の原則を侵害するというおそれはなくならないじゃありませんか、どうチェックしても。どうですか、提案者。
○衆議院議員(谷口隆義君) そのために、株主総会の決議を経た後、官報に公告をなし、また知れたる債権者にこの通知を行うことによって債権者の保護を、この保護手続と申しますか、これを考えておるわけでございます。 ですから、この資本充実の原則の、まさに先生がおっしゃったような根本のところの債権者保護の立場に十分配慮した対応となっておるわけでございます。
○橋本敦君 今おっしゃった株主総会の決議も、これは特別決議でやらなきゃならぬのですか、普通の決議でいいんですか。
○衆議院議員(谷口隆義君) 普通決議でございます。
○橋本敦君 普通決議だから、特別決議じゃないから、厳格に規制的な措置が、株主の利益、会社債権者の利益を守ってやれるかというと、やっぱり心配はあるんですよ。 さらに、次の問題に移りますけれども、株価ということを考えてみましょう。 先ほど、小川委員からも大事な指摘がありました。株価は、会社の営業成績や資産状況によって左右され、市場の動向によって左右される、そういうものですね。会社の業績が不振のときには自己株式の価格の下落、これは当然起こってきますよ。また、不景気のときにも起こってくるでしょう。そうすると、会社は、業績不振のときにそういう株価下落が起こる、その業績不振のときに今度は自己株式の保有しているその価格が下落する、そういう意味で、不況のときに会社は二重の損失をこうむることになるというおそれが出てくるんですよね。どうですか、間違いないでしょう。
○衆議院議員(漆原良夫君) その点に関しましては、本改正案では自己株式について資産性を認めないことにしております。したがって、保有する自己株式の株価が下落した場合であっても、会社の資産が減少したり、また損失をこうむるという事態にはならないというふうに考えております。
○橋本敦君 今、そういうふうにおっしゃったけれども、資産の健全性の維持という観点から見て、自己株式を資産として貸借対照表に計上する、こういうことは、計上はそれ自体やるわけですか。
○衆議院議員(谷口隆義君) 現行はそういう対応になっておりますが、この改正案におきましては、財産の払い戻し的な性格もございますので、資本の控除科目とするのが妥当だというように考えております。 それと、済みません、先ほど、先生への答弁でございますが、普通決議と申し上げましたが、資本の減少手続につきましては特別決議ですね。また、準備金の減少手続、また債権者保護の決議におきましては普通決議と、こういうことでございますので。
○橋本敦君 細かい説明はわかりましたが、私の指摘したこと自体の問題については基本的に私は変わらないと思いますから、結構ですよ。 それで、今ちょっと話がそれたので横へ行っちゃったんですが、先ほどちょっと聞き漏らしたんですが、貸借対照表に計上するというんですか、しないというんですか。もう一遍ちょっと教えてくれませんか。
○衆議院議員(谷口隆義君) 貸借対照表の資産の部に現行は計上されておるわけでございますが、改正法におきましては、財産の払い戻し的性格をかんがみまして、資本の控除科目という形の対応になるわけでございます。
○橋本敦君 そういうふうにしたのは、今おっしゃったけれども、具体的にどういうメリットがあるんですか、変えたのは。
○衆議院議員(谷口隆義君) メリットと申しますか、従来が貸借対照表の資産の部に計上しておった、現行はそういう対応になっておるわけでございますが、それがそもそも財産の払い戻し的性格があるにもかかわらず批判があったわけでございます。それは、基本的には今は限定的に取得が認められておる状況でございますので、取得数も少なくて相当の期間に消却をするなり処分をするということになっておりますので、そういう状況で容認されておったと。これを、法的性格等々をかんがみますと資本の控除科目とすることが妥当だということで、この改正法におきましてはそのような対応をとったわけでございます。
○橋本敦君 そうすると、今、私が指摘をした株価の大変な値下がりという事態について、会社資産としてはどこでどう判断するんですか、貸借対照表には今度は出てこないわけでしょう。どういうようにディスクローズされて、一般債権者なり投資家はどこで判断すればいいんですか。
○衆議院議員(谷口隆義君) 具体的には、貸借対照表の資本の部のところに、資本金と、その下に法定準備金がございまして、その他の剰余金がございます。その下に、ちょうど控除する形で、差し引くという形の表示で出てまいるわけでございます。
○橋本敦君 どこに書こうとも、株価の大きな下落によって、それ自体、資産的価値が減るわけですから。だから、そういう損失を会社が受けるということについて、これは受けないという保証はないわけですからね。 だから、私が指摘しているように、会社としては、不況の中での営業不振というそこから出る損失と、それから株価の下落という損失と二つこうむってくる。しかも、自社株をたくさん持っていれば、まさにみずからの会社の株式の下落によって会社全体の資産が一層落ちていくと、こういうことですから、会社債権者に対して、株主に対して、一体責任が持てるんですかと聞いているんですよ、こういうことをやって。
○衆議院議員(谷口隆義君) そういうこともかんがみまして、債権者保護の手続を十分な体制をとりながらやっておると。先ほども申し上げましたこの取得に関しまして、官報またはその知れたる債権者に対しまして通知を行っているということでございます。
○橋本敦君 それは極めて十分でないんですよ。 時間が参りましたから、続きは次の機会に譲って、きょうはこれで終わります。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。 なぜこの金庫株という制度を設けるのか、ちょっとよくわからないんですね。株価の下落に対して、経済界は株式の持ち合い解消の受け皿として会社が自己株式を買い取って金庫株にすることができるよう求めている、こういう理解でよろしいですか。
○衆議院議員(金子一義君) 御指摘のありましたように、株価対策、株式需給対策という観点からの要請というのも全くないわけではありません。 しかし、持ち合いの受け皿、こういう需給、株式市場というのはしょせんは会社の将来性、企業の将来性ということでありますものですから、非常に短期的にそれが意味があったとしても決して長続きするわけでもありませんし、それによって市場が活性化されるわけではないと思っております。 むしろ、先ほど来御説明申し上げておりますように、いろいろな企業の合併も分割もあれば形態がありますけれども、そういうことによってその企業の競争力がつける、そのことが株式市場には好影響を与える、そういう観点から我々は提案しておりますし、いろいろな御要請はありますけれども、私たちの取り上げ方はそういう位置づけであります。
○福島瑞穂君 いろいろ要請がありますがとはどんな要請ですか。
○衆議院議員(金子一義君) 今申し上げたような株価対策というようなことでの直接的な話はございませんけれども、それに近い要請があったことも事実でありますけれども、余り我々はそれに意味がないだろうと思っております。
○福島瑞穂君 立法者は株価対策を考えなかったということですが、株価対策の要請があったということですね。 御存じのとおり、二〇〇二年三月の決算から持ち合い株は時価評価されることになると。そのためにいろんな企業が今、持ち合い株を放出していると。そのために株価が下落しているとも言われています。そのこともあり、受け皿として金庫株が出てきたと言われていますが、それでよろしいですか。
○衆議院議員(谷口隆義君) 今、先生おっしゃったように、金庫株と現行の持ち合い株の構造との関係は必ずしも明確ではないというように私は考えております。 今回のこの金庫株の解禁の目的は、先ほど金子提案者の方からもありましたように、企業の財務戦略の機動性、柔軟性を高めて企業の組織再編等の企業経営の選択肢をふやすというところに目的があるわけで、我が国企業の競争力を高めるという意味合いで今回のこの金庫株の解禁というようなことになったわけでございます。
○福島瑞穂君 今回の金庫株は緊急経済対策の一環ということでよろしいでしょうか。済みません、一言で結構です。
○衆議院議員(相沢英之君) その中の一つの項目でございます。
○福島瑞穂君 しかし、すぐ効果が出るものなのでしょうか。
○衆議院議員(相沢英之君) これだけで効果が出るとは思っていません。
○福島瑞穂君 じゃ、何のためにやるんでしょうか。
○衆議院議員(相沢英之君) これだけではと申し上げたのであります。
○福島瑞穂君 先ほどからずっと資本充実の原則についての質問が相次いでおります。私もその点が一番懸念を感じているところで、先ほど貸借対照表上どう書くかということの質問がありました。 もう一度確認をさせてください。資本金のところと、それでさっき控除とおっしゃいましたよね。ということは、控除をする前の資本金のところにはこの金庫株は計上されているんですか。
○衆議院議員(谷口隆義君) 金庫株は計上されておらないわけでございます。ですから、金庫株、自己株を取得した段階で、現行は資産の部に計上されておりますが、これを資本から減じるという形態になるわけでございます。
○福島瑞穂君 ちょっと、控除のところに書くということは、私よくわからないので教えていただきたいんですが、資本引く控除じゃないですか。控除のところに書くんですか。そうすると、資本の部は控除される前のが書いてあるのか、控除された後のが書いてあるのか。それを教えてください。
○衆議院議員(谷口隆義君) 資本の部と申しますが、資本金は控除される前の金額が書いてあるわけでございます。
○福島瑞穂君 そうしますと、投資家は資本金の部分だけを見て、控除のところを注目して見なければというか、企業は普通、資本が幾らかというので出てきますよね。ですから、細かくきちっと貸借対照表上を物すごく見なければ、控除というところに注意をしなければ、金庫株がどれぐらいあるかということがわからないんじゃないですか。
○衆議院議員(谷口隆義君) それは、様式もここにございますけれども、見ればすぐにわかるような様式になっております。
○福島瑞穂君 それならむしろ、資本の中に入れてというよりも、こういうややこしい仕方をしない方がいいんじゃないですか。 例えば、アメリカのデラウエア州やニューヨーク州の会社法は金庫株を認めているけれども、貸借対照表に金庫株を計上することは認めていないと。そうしますと、控除じゃなくて、そもそも資本の中に入れるべきではないんじゃないですか。
○衆議院議員(谷口隆義君) デラウエア州のその様式も、私どもが言っておるような様式になっておるはずでございます。
○福島瑞穂君 金庫株を売ったときの売却金は会計上どのようになるのか、もう一回教えてください。
○衆議院議員(谷口隆義君) 売却につきましては、先ほどの答弁のように公正なる会計慣行にゆだねるということでございまして、現行は、現行の自己資本の売却益、損益につきましては営業外損益に計上することが妥当だと日本公認会計士協会の指針があるわけでございます。今後、その改正法案につきましては公正なる会計慣行にゆだねるという形になるわけでございます。
○福島瑞穂君 ちょっと話が戻って申しわけないんですが、金庫株を解禁してどれだけ経済が本当によくなるのか、非常に疑問を持っているんです。先ほども話がありました。日本は個人投資家が非常に少ない、個人で株を買ったりする人たちが割合からいってもとても少ないわけです。しかし、日本は一方で個人金融資産が千四百兆円あると言われています。つまり、みんなはお金を持ったり貯金を持ったりしているけれども、株に手を出すということをやらないわけですね。なぜ一般の人が株に手を出さないか。株の中身、株市場が極めて不透明でディスクロージャーが不足しているからだというふうに言われております。 持ち合い解消で透明性が高まれば、株価が下落をしたとしても透明性が高まれば、個人投資家の人たち、個人がもっと株を買うようになって、むしろ経済は長期的スパンで見ればよくなるというふうに考えますが、いかがですか。
○衆議院議員(相沢英之君) 何で株がこういうような状態になっているかということについては、これはいろいろ複雑な原因があろうかと思います。 長く申し上げるとおしかりをこうむりますから簡単に申しますと、やっぱり一つは、株価が大変に低迷をし、今の状況では、つまりこれは日本経済全体の成り行きがいろいろ言われているわけでありますけれども、どうも余り上がりそうにない、したがって投資しても利益が得られないということが一つあろうかと思います。それから、過去においてバブルがはじけましたときに相当高い株を買わされた。例えば、NTTの株が暴落したことなんかも一つは響いているかと思います。 それから、もう一つは証券税制です。やっぱり個人の株式譲渡益に対する課税におきまして、これは諸外国との関連もありますけれども、日本は必ずしも有利でない、預貯金に比べても非常にその点は不利な取り扱いになっている等々の理由が、これはいろいろ重なっていると思っております。
○福島瑞穂君 株を買っても上がらないだろうというふうに一般の人が思っているというのは、そのとおりだと思うんです。 しかし、ちょっともう一度、くどくて済みませんけれども、普通の人がなぜ株を買わないか。やっぱり株の不透明性だとか、株式市場において一体どうなるのかよくわからない、不安もいっぱいというところが実は大きいというふうに思っています。 持ち合い解消をやるというのは私は非常にいいことだと思うんですね、自由市場になるわけですから。ところが、自己株取得というのはある種の規制なわけですよね。自由に市場に出回るというよりは、自己株で控除の対象となるようなものを計上していくと。こうしますとインサイダー取引の可能性も出てきます。非常に高くなるわけですし、株の市場をより不透明にすると。聖域なき構造改革とむしろ反する傾向になるのではないかという点についてはいかがですか。
○衆議院議員(相沢英之君) おっしゃるように、持ち合い解消もこれは非常に大事なことだということで、株式市場の活性化対策を検討しました際も、これも一つの有力な検討項目になったのでございます。 ただ、持ち合い株解消に伴って発生し得る譲渡益課税に対する課税の取り扱いその他の問題がありまして、これはいずれ少し時間をかけて検討しようということにしたのでありまして、これは問題としてはなくなっているわけじゃありません。バブル時代のエクイティーファイナンスの異常な過多ということがありまして、いわゆる株が多過ぎるということが一般に言われております。ですから、そういう面からいいますと、今の持ち合い株解消も一つの方法でありますけれども、同時に市場に出ているところの株を少なくするということもこれは一つの手段になる。 そういう意味におきましては、この金庫株の解禁によりまして、従来、消却並びにストックオプションだけに限られておった自社株の取得を自由にするということも、そういう意味においては効果があろうかというふうに期待をしております。
○福島瑞穂君 出回っている株が大きいと何が問題なんでしょうか。
○衆議院議員(相沢英之君) これは、株も需給の関係がございますから、市場に出て流通している株が多ければ、当然これは株価に対しては影響を持ってくると。ですから、それが少なくなれば当然株価も上がってくると。早い話が、そういうことで自社株を消却するなんというのははっきりしておりますけれども、そうすれば一株当たりの利益も大きくなるというようなことは当然、株価に影響を持ってくると思います。
○福島瑞穂君 いや、今のはよくわからないんですね。それはもうごまかしというかイメージだけの問題ではないかと。つまり、流通している株、要するに株価掛ける流通している株式で決まるわけですから、株の数を少なくすれば一株当たりの株価が上がると言われても、実際は同じことじゃないですか。
○衆議院議員(相沢英之君) 私のちょっと説明が足らなかったかもしれませんが、発行している株式の総数について申し上げているんじゃないんです。東証上場の株、総体が四百何十兆と、これは日々動くと言われていますが、実際に東証で流通している、売り買いされている株というのはその何分の一かと。ですから、市場において流通していない、いわゆる安定株主が持っているような株は除いて考えれば、やっぱり流通している株に対する需給というものが株価を左右するということはあり得ると、そういうふうに思っています。
○福島瑞穂君 流通している、一般の人が買える一般の株式が多いことは悪いことではないじゃないですか。つまり、金庫株はある意味で一般市場に流通する株を少なくする、要するに統制を強化する、管理された株をふやすことになるということでよろしいですか。
○衆議院議員(相沢英之君) 別に、金庫株を解禁したからといって流通を制限するということじゃないんで、自社株を買えるようになったということでありまして、そういう意味においては市場に流通している株は減りますね。ですから、その減った分だけは反射的に株価の上昇ということも考え得るということで申し上げておるんです。
○福島瑞穂君 やっぱり何か非常に変だと思うんです。さっきから、株価の操作を考えているのではない、株価を上げてくれという財界の要求、経済界の要求にこたえたものではないと言いながら、流通している株式の数が減るから反射的に上がるというふうにおっしゃっているわけですよね。私自身は、そういう形で株価を上げるのは、済みません、邪道ではないかというふうにも思うんですが、いかがですか。
○衆議院議員(相沢英之君) 先ほどから金子提案者が答弁申し上げましたように、株価を引き上げることを目的としてやっているものではありませんけれども、この金庫株の解禁に伴って自社株の取得が促進されることによって株価に対する影響もある、株の上昇もあり得る、そういう意味において株式市場に対する影響もある、そういうことを申し上げておるんです。
○福島瑞穂君 もう一度、済みません。なぜ反射的に株価が上がるか、ちょっと説明してください。
○衆議院議員(相沢英之君) それは、先ほども申し上げましたが、やはり市場に流通しているところの株が、自由に動く株が自社株の取得によりまして減ってくるということも当然、株価の上昇につながってくる、需給の関係ですから、つながってくるというふうに思っております。
○福島瑞穂君 ちょっと、先ほども私が申し上げているように、一般の人も株を買えるという、流通市場が広がる方が私は個人的にはいいと思うんです。自社株、金庫株という形で会社がとってしまうと、市場に流通する株の数がおっしゃるとおり減るわけです。そして、むしろ透明性が非常に低くなってしまうわけですから、長い目で経済政策、聖域なき構造改革、透明性を高め、できるだけ自由市場原理でやるんだという立場に立てば、金庫株はそれに反するのではないですか、明らかに。一般の人が手を出せる流通市場がおっしゃるとおり狭くなってしまうわけですから。どうですか。
○衆議院議員(相沢英之君) 繰り返しになって恐縮ですけれども、やっぱり株価というものも株に対する需要と供給の関係が一つ大きな要素になりますから、買いたいと思ったって、供給する株が減ればやっぱり上がるんじゃないでしょうか。その供給サイドにおいて、自社株というものによって、言うなれば株が安定的な箇所にしまい込まれるというと変ですけれども、そういうことになれば当然、供給サイドが縮小する、そのことは需給の関係からいえば株価の上昇になってくるというふうに私は思っていますが。
○福島瑞穂君 それでしたら、こんなややこしい金庫株なんかをやらないで、トヨタ自動車がやったように、自己株を、自社株を引き取って減資をすればいいわけじゃないですか。そうすればいいと思いますが、いかがですか。
○衆議院議員(相沢英之君) それは前からできるようになっていまして、御案内のとおり、自社株の消却またはストックオプションでもって取得することはできるようになっています。 ただ、そういう制限つきのものでなくて、もっと自由に自社株を取得できるようにすべきだということの経済界の要請もこれあり、また、これは先ほどもちょっと申し上げたかと思いますけれども、本来、法務省も、これは秋の臨時国会において商法改正の一環として提出することを考えておった重要な項目であったわけであります。でありますので、そう考え方において無理があるというふうには我々は思っておりません。
○福島瑞穂君 資本充実の考え方からすれば、例えば今まで会社がやっているように、自己株式を、自社株を引き取って減資をすればいいわけですよね。金庫株は減資をしませんよね、再度確認しますが。
○衆議院議員(相沢英之君) それは、金庫株の解禁によって引き取った自社株については今度は用途を限定しておりませんから、もちろんそれを消却に回すことも可能です。回せます。
○福島瑞穂君 ちょっと初歩的な質問で済みませんが、金庫株にすることによって減資はしないんですよね。
○衆議院議員(相沢英之君) 買ったときにはそういうことではありません。別に目的を決めないで買えるというのが今回の改正の趣旨であります。 ただ、その買った自社株をどのようにするかということについては、消却に充当する、ストックオプションに回す、あるいは他の用途にすると、そのことは可能なわけです。ですから、消却ももちろん一つのアイテムになるわけです。
○福島瑞穂君 その点がやはり金庫株の問題だと思うんです。自社株を取得した場合には減資をすると。しかし、金庫株の場合は、一たん引き取った後どうするかというときの問題が起きますけれども、金庫株にする段階では減資をしなくても済むわけです。そうしますと、そこがやっぱり問題で、それは資本充実の原則に反すると考えますが、いかがですか。
○衆議院議員(谷口隆義君) 現行も自己株の消却が認められておるわけでございますが、これは資本の減少とはまた別の概念といいますか、方法でございまして、資本の減少は資本の減少、自己株式の消却は自己株式の消却と、こういうように切り離されたものでございます。
○福島瑞穂君 いや、資本充実の原則との関係で、現状で行われている自己株式の取り戻しと、それから金庫株の場合についてお聞きをしているんですが。
○衆議院議員(谷口隆義君) 取得に際しましては、定時株主総会で取得財源の範囲内で取得することについての承認をとるわけでございますし、債権者保護の立場も十分配慮した上の対応でございますので、問題ないというように考えております。
○福島瑞穂君 いや、株主総会の決議は手続的な問題で、承認を得るかどうかという問題です。 私の今の質問は、現行法で自社株についてやっていることではないように今度、金庫株はするわけですから、資本充実の原則からどうかということをお聞きしているんです。
○政府参考人(山崎潮君) 現行法は、自社株の取得に関してストックオプション目的とか、消却目的とか、目的を決めております。この法案では目的は決めておりません。 ただ、現行法でもこの法案でも、それは配当可能利益の範囲内で行うということ、この点は変わっていないということで、この点で資本充実の原則の問題はクリアできると、こういうふうに考えられているのではないかと私どもは理解をしております。
○福島瑞穂君 資本充実の原則とは、それに見合う資本がきちっとあるかどうかという問題です。配当可能利益というのはどの限度で配当できるかどうかという問題で、問題にしているレベルが違うと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(山崎潮君) 自己株式を取得いたしましても資本の額は全く変わらないので、資本をいじるわけではないということでございますので、資本の問題とはちょっと切り離されるということでございます。 現行法ではこの自己株式が資産の部に計上されているということになるわけですが、この法案では資産の部じゃなくて資本の部ということで、その資本の部のどういう扱いをするかはまだ決まっておりませんけれども、その資本の部として考え方が変わって計上するというだけでございまして、資本額は変わるわけではない、これは変わるんだったら別途、資本減資の手続をする、こういうことになろうかと思います。
○福島瑞穂君 ちょっと堂々めぐりで済みませんが、問題意識とすれば、金庫株がやはり資本充実の原則に反するのではないか、要するに資本の部に計上するわけですから。ただ、金庫株の場合には要するに空で、一見ふえたように見えながらそうではない面も出てくるわけですから、そこを聞いています。 あと、インサイダー取引などについてお聞きをしたかったんですが、時間が来たので次回お聞きしたいと思います。
○委員長(日笠勝之君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時五分散会