法務委員会 第8号
- 発言数
- 163 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2001/05/29
会議録
○委員長(日笠勝之君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨二十八日、魚住裕一郎君及び角田義一君が委員を辞任され、その補欠として荒木清寛君及び高嶋良充君が選任されました。 ─────────────
○委員長(日笠勝之君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 刑法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に警察庁刑事局長五十嵐忠行君、警察庁警備局長漆間巌君、警察庁情報通信局長秋山征司君、金融庁総務企画局参事官田口義明君、法務大臣官房訟務総括審議官都築弘君、法務省刑事局長古田佑紀君、法務省人権擁護局長吉戒修一君、法務省入国管理局長中尾巧君及び経済産業大臣官房商務流通審議官杉山秀二君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(日笠勝之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(日笠勝之君) 刑法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○石渡清元君 自民党の石渡でございます。 刑法の一部を改正する法律案、これはいわゆるカード関係の罰則規定等々を国際標準に合わせる、こういうことも含めてのことでございますが、特に昨年あたりから偽造カードの犯罪が非常に急増をしております。 そこでまず、この法制についてお伺いをいたしますけれども、この刑法一部改正案を見ますと、処罰規定はあるんですけれども、一方では処罰されない犯罪形態もあるようでありますけれども、犯罪類型のうち、現行刑法の処罰規定はどのような形になっているのか、お伺いをいたします。
○政府参考人(古田佑紀君) いわゆる不正なクレジットカード等につきまして、これの偽造、そういうふうな問題で現行刑法上処罰が可能なことは、そういうカードをつくること、それからそれを使うこと、この二つは処罰が可能でございます。 しかしながら、例えば偽造あるいは変造したカードを持っている、そういう行為だけでは現在処罰の対象にはなっておりません。また、そういう不正なカードをつくるためにどうしても必要な電磁情報、こういうようなものをこっそりとっていく、そういうふうな行為、あるいはそれを人に譲り渡したりするような行為は現行法上処罰ができない状態でございます。
○石渡清元君 カード関係、これは非常に国際的になっておりますので、先進諸国の処罰規定との整合について御説明をお願いします。
○政府参考人(古田佑紀君) 主要先進国について申し上げますと、一九八〇年代以降、クレジットカードの偽造等に関する罰則が徐々に整備されてきております。 これは、国によっていろんな形態があるので、なかなか詳細を申し上げておりますと細かくなってしまいますが、概略を申し上げると、どのような国でありましても、クレジットカード、それからいわゆるデビットカードが対象となっているということは大体共通しております。そしてまた、犯罪とされている類型については、各国ともに偽造あるいはそれを使うというふうなことのほか、その譲り渡しや所持などの罰則が定められており、偽造カードを所持する行為を実質的に処罰ができないのは、現時点では我が国だけとなっております。それから、先ほど申し上げました不正カードをつくるために必要な電磁情報をとるような行為、これについても処罰しているという国が少なくない状態でございます。 なお、法定刑について申し上げますと、偽造あるいはこれを使うというふうなことにつきましては、どの国も大体十年以下の拘禁刑としている国が多いようでございます。 今回御提案申し上げております刑法の一部改正法は、こういうふうな各国のいろんな罰則の状況も調べまして、これと比べまして十分網羅的なものを用意したというふうに考えております。
○石渡清元君 答弁は簡潔で結構です。というのは、かなり資料を調査室からもいただいておりますので。 今、なぜ先進諸国のことを聞いたかと申しますと、結局、偽造カードの関係というのは、処罰がないのは日本だけなんですか。それを今回改正しようとすれば、なぜ今までこのままになっていたのか、おくれた理由を含めてお伺いをいたします。
○政府参考人(古田佑紀君) 先ほども申し上げましたとおり、不正なカードをつくり出すとか、これを使うという行為は日本でも処罰が可能であるわけでございます。ただ、いろんなカードの使用状況とかそういうことからして、そういう不正なカードを持っていることとか、あるいはそういう不正なカードをつくり出すためのいろんな準備行為、こういうふうなことについて日本の場合、犯罪化されていなかったということで、その点を今回手当てするということでございます。 これは、先ほど申し上げましたとおり、一九八〇年代からほかの国でも徐々に法制が整備されてきて、ドイツでは一九九八年にある程度の整備をしたと。そういうことで、各国の偽造カードの使用状況とか、そういうものに応じて整備をしてきて、日本もここ数年それが必要な状態になるに至ったと、そういうことでございます。
○石渡清元君 それでは、もう少し具体的にお伺いをいたしますが、偽造カードをつくったり譲り渡したり、そういうのに比べて所持の罰則が軽い、あるいはカード情報の不正取得等の罰則規定が軽い、この軽い理由というのはどこにあるんでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 不正なカード等を所持しております行為というのは、これはいわばカードを使うための前段階の行為ということになるわけで、実際にその不正なカードの本当の意味での危険性が発揮されるのは使う状態でございます。そういうことから、その使う前の前段階の行為である所持につきましては、これは実際に使うとかつくり出す行為より軽くすることが適当であろうと考えられたものです。 それから、準備行為はさらにその前の行為でございますので、これも、一般的に準備罪というのは軽い刑を定めているのが通常でございますから、その辺のバランスを考慮して、より軽くしたということでございます。
○石渡清元君 なぜ聞いたかといいますと、電磁的記録、それは不正に作出されたものであるかどうかということは肉眼じゃなかなか難しいんじゃないか。この難しいものを、例えば警察だと思うんだけれども、警察としてはどういうふうに判断をしていくのか。私は、偽造かどうかというのを判定するところがポイントになると思うんですけれども、それは警察庁が都道府県に何かいろいろ機材も入れたとかいうんですが、偽造かどうかの判定がきちっとされなければ幾ら法整備をしたところで実効が上がらないわけなんですが、その辺のところはどういうふうに考えていますか。警察庁。
○政府参考人(秋山征司君) 偽造クレジットカード解析システムというものをつくりますが、この偽造クレジットカード解析システムは主に三つの機能を持っております。 当該クレジットカードが偽造であるかどうかを判定する機能、そして過去に押収されたカードの中に新たに偽造と判定されたクレジットカードと類似のものがないかどうかを分析する機能、さらにスキマーと呼ばれる磁気情報読み取り装置を解析し、他人のクレジットカードの情報を読み込んでいないかどうかを判定する機能、この三つの機能を備えております。 このシステムは、警察庁の中央装置と都道府県警察本部に置かれる端末装置から構成されておりまして、偽造の疑いがある場合、当該端末装置を用いて解析を行うことになります。
○石渡清元君 カードもいろいろ発達、進んできておりまして、デビットカードがどのように保護されるのか、あるいは量販店のポイントカード、これもややカードの一つの類型かと思いますけれども、その保護というのは対象になっているのかどうか、その説明をお願いいたします。
○政府参考人(古田佑紀君) デビットカードにつきましては、この改正案の百六十三条の二の第一項後段の預貯金の引き出し用カードということで、その対象となることになります。 次に、ポイントカードにつきましては、ポイントカードというのは買った場合のいわばおまけの割引の得点を蓄積するカードということでございまして、その蓄積されたポイントの範囲内で顧客が代金の割引を受けられる、そういうふうなものでございますから、これは対価の支払いに用いられるものではございません。そういう意味で、本改正案におきます代金または料金の支払い用カードには当たらない、したがって対象にはならないということになると考えております。
○石渡清元君 わかりました。 それでは、いわゆる支払い用カードの犯罪に対する国際的な取り締まりの協調体制について、具体的に各国とどういう形で進めておられるのか。
○政府参考人(古田佑紀君) いわゆるクレジットカード等の不正な行為につきましては、これは国際的に分業されることもしばしばございまして、そういう観点から、国際会議等で、これについて各国が共同して、なるべく法制も統一されたものにしていろんな協力を進めていこうというふうな、そういう合意などができている状態でございまして、それに従って今後そういうような国際的な事案については十分対応してまいりたいと考えております。
○石渡清元君 国際犯罪というのは、なかなか相手も巧妙になってきていまして、分担して悪いことをするというんですか、カードをまず盗み取る、入手する係、それからそれを使って買う、買い物をする係、その物を金にかえる係、分担してそういう犯罪をし、そこで日本人が適当に使われているケースというのはよく聞く例なんですけれども、今までの取り締まりの中で、この法改正で対処できるのかどうか、その辺のところはどうでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 今、委員御指摘のようなことを考慮いたしまして、今回の改正案では、いろんな行為につきまして、日本国外で行われた行為についても日本国の刑法で処罰ができるというようにしてございます。 しかし、それを実際に処罰できるかどうかということは、犯人あるいは証拠を的確に集められるか、つかまえられるかというふうな問題にも関係するわけでございまして、そういう点につきましては、国際的な捜査協力その他を活用して対応してまいりたいと考えております。
○石渡清元君 結局、要は偽造をどう防止するかということになっていくと思いますけれども、幾ら法を改正して刑罰を強くしても、具体的にそういうことをさせないようにしなきゃいけませんので、偽造防止システムの具体的な内容あるいは運用状況はどうなっているのか。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 答弁いたします。 クレジット犯罪を防止するためには、やはりクレジットカードが簡単につくられて、しかもそれを後で取り締まるということ、その前段階でそもそもクレジットカードがつくれないようにすると。ICカードとかそういう形で、非常に高度な科学技術を使ってカードの偽造を防止するということを進めていくということが非常に大事ではないかというふうに考えております。
○石渡清元君 今ありましたけれども、カードのIC化はかなり偽造を防ぐのに効果があるようでございまして、経済産業省にお伺いをいたしますけれども、これからどんどん発達するカードについて将来どういう方向に進んでいくのか、防止策を含めながらお願いします。
○政府参考人(杉山秀二君) ただいま先生から御指摘ございましたように、偽造クレジット犯罪対策といたしましてICカード化というのが最も効果的な方法だというふうに考えておりまして、私ども、従来からクレジット業界に対しましてICカード化を積極的に進めるようにという要請、指導を行ってまいりました。 クレジット業界は、昨年の十一月にICカード対応のための端末機の仕様を固めておりまして、現在それに基づきまして具体的な開発あるいは運用の細目というものを詰めているところでございます。現在、もう既に一部、部分的にICカード化の導入が行われたところもございますが、本格的な移行というのが二〇〇三年度に始まるという予定になっております。 私どもといたしましても、先生御指摘のとおり、クレジットカードのIC化というものの重要性に十分かんがみまして、その積極的な推進というものを引き続き指導してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○石渡清元君 カード自体のセキュリティー、IC化というのもこれも大事かと思いますけれども、これはカード利用者、業者、捜査機関一体となって取り組まないとなかなか、ということは、カード利用者というのはただ自分が使えればいいということで、それほど事故とかそれに対する認識というのは余り持っていないんですね。 結局、カード業界が保険で損害を払うというような、加盟店もただ物が売れればいい、代金さえ入ればいいという割合簡単な考え方で、偽造だとか犯罪に対する感覚というのは非常に少ないような感じで、その辺のリスク負担をしっかり持たせて連携をとっていかないとこの効果が上がらないと思うんです。 カードシステムの弱点をついたかなり巧妙な手口の犯罪でありますので、この辺のところはカード業界にも経済産業省からの徹底した指導なり取り締まり等の連携を密にしませんと、どうしても大したことないということで警察にも言わない、警察は手口がわからない、そういう傾向になりますので、その徹底をぜひお願いしたいと思います。 もう一度、カードのセキュリティーを言いますけれども、サインとかあるいは顔写真入りがいいんじゃないかとかいろいろ言われていますけれども、結局、偽造されない一番ベストの方策というのはIC化ですか。もう一度お伺いします。
○政府参考人(杉山秀二君) 対策の効果の実を上げるためにはIC化を進めるということ、それから今、先生がおっしゃいましたように、カード会社あるいは加盟店、利用者、それから捜査当局、これらが一体となって対策の構築を進めるという、この二点が重要ではないかというふうに考えております。
○石渡清元君 それでは、最後に大臣にお伺いします。 刑法改正で一応制度面には比較的広い範囲で網がかかった、こういうことになりますけれども、かなりこれは国際犯罪になっておりますので、国際的な組織的な支払いカード犯罪と戦うために、利用でき得る十分な法執行支援が必要だと思いますし、改正が成った後でも関係機関にぜひ徹底をしていただき、当初の目的が達成できるように、まず大臣の総括的な御所見をお伺いいたします。
○国務大臣(森山眞弓君) 今回の法改正は、支払い用カードを構成する電磁的記録の不正作出、所持等の行為に対する罰則を整備することによりまして、現金や小切手にかわる支払い決済手段として国民の間に広く普及しております支払い用カードに対する社会的信頼を確保しようとするものでございます。 この法改正は、国民の日常的な経済活動の安全性を確保するためのいわば基盤整備として不可欠なものでございまして、それと同時に、今後急速に発展、普及することが予想されるITを活用したさまざまな支払い決済システムの安全性及び信頼性の基盤を確立するものとしても重要であると考えております。 私といたしましては、この問題の重要性、緊急性にかんがみまして、できる限り早くこの法整備を実現させる必要があると考えております。十分に御審議いただきまして一日も早く成立させていただきたいと考えておりますが、本法成立後は、捜査当局におきましても、この種犯罪に対しまして、今回の改正によって整備される罰則を適切に活用して厳正に対処してもらいたいと考えております。
○石渡清元君 終わります。
○江田五月君 おはようございます。 きょうの議題である刑法の一部を改正する法律案、つまり支払い用カード電磁的記録に関する罪、これを創設するというものについて、これは私ども民主党・新緑風会としても賛成の法案でございます。きょうは四十五分、時間をいただいておりますので、この刑法改正も質疑をいたしますが、後半ではハンセン病訴訟についての内閣総理大臣談話と政府声明についての質問をさせていただきたいと思っております。 まず、このカード犯罪についての刑法改正案ですが、これは今、石渡理事からも御質問ございましたが、保護法益ということになるとどういうことになりますか。
○政府参考人(古田佑紀君) クレジットカード等が現在、有価証券あるいは通貨に準ずるような支払い手段としての社会的機能を持っているわけでございまして、そういう支払い手段としてのクレジットカード等に対するその社会的信用というのが保護法益であると考えております。
○江田五月君 クレジットカードに対する社会的信頼、つまり、もう少しそれを社会的信頼というのを細かく言うと、クレジットカードの真正、真正というのは偽造されていない、作成名義者がちゃんと作成しているものだと、これが保護法益ということになりますか。
○政府参考人(古田佑紀君) 具体的なところまで申し上げますと、要するにクレジットカードが真正なものであるということに対する信頼ということでございます。
○江田五月君 そこで、この百六十三条の二から五までいろんな概念が入り組んでおりまして、ぱっと見たんじゃなかなかわかりにくいことになっておると思うんですが、なぜこうなるのか。 つまり、百六十三条の二の一項と二項、この規定は、二項の方は「前項の電磁的記録」という「前項の」で何を読み込むかですが、恐らく一項と二項はともにカードと一体となった電磁的記録、これが犯罪のいわば対象ですね。それから、同条の、つまり百六十三条の二の三項と百六十三条の三、これは電磁的記録というよりもカードそのもの。さらに、百六十三条の四、これは有形物ではない情報そのもの、これがそれぞれ対象となっていると。もっとも百六十三条の四の三項は「器械又は原料」ですから、これはもう有形物。 こういうふうにそれぞれ違っていると、こう理解していいんですか。よければ、なぜそういうふうに違えているのか、これを御説明ください。
○政府参考人(古田佑紀君) まず、百六十三条の二の第一項が、これが電磁的記録を中心に構成されておりますのは、この種のカードが今や電磁的記録部分が不可欠の要素として、それによっていろんな財産上の事務処理が迅速的確に行われることを確保するというところに至っているわけでございまして、こういうふうなクレジットカード等の信用性を確保する上で最もポイントになります点が、それを構成している電磁的記録をターゲットとするいろんな不正行為を、これをきちっと犯罪化するということにあるという考えから、一項につきましては、これは特に不正作出ということでございますので、そのターゲットである電磁的記録を中心に構成されているわけでございます。 その一方で、三項の譲り渡しにつきましては、これは当然、カードと一体となった状態での行為ということとなりますから、不正に作出されたそういう電磁的記録が載っているカード、それを譲り渡すということが一般的な類型でございますので、そういう形で構成されたということでございます。 そのほか、情報とかそういうものも、一種無形のものも譲り渡し等について含む場合もございますが、これは委員御案内のとおり電磁情報ですべて記録されているわけで、それの伝達、譲渡の手段というのは、もちろんフロッピー等の媒体で行われることもありますし、あるいは電子メールとかそういうふうな情報ということで送られる場合もある。そういうふうなことをいろいろ考えまして、こういう表現にしたということでございます。
○江田五月君 なかなか頭がこんがらかってよくわからないんですが、行為の態様としては、典型的な場合でいえば、例えばクレジットカードを使って買い物をするお店がある、そのクレジットカードの読み取り機器か何かにチップとか何かを仕掛けて、そしてぱっと読み取ったときに、そこにある電磁的記録をこちらへとっちゃうと。これが百六十三条の四の情報の取得、そしてそれの提供とか保管とかと。 だから、ここは、読み取って取得をする、あるいはそれをどこかへ渡す、あるいは保管しておく、その電磁的記録そのもの、これがこの犯罪の目的物というか対象になると。今度、それを持ってきてカードにそれを移す、そして不正作出する。だから、その不正作出されるときの対象というのは電磁的記録そのものだけれども、しかし電磁的記録がカードに化体されることによっていろいろ使われる形になるので、カードと一体になった不正電磁的記録と、不正作出というのはそういうものだというふうに規定される。 さらに、そのカードを貸したり輸入したりあるいは所持したりというので、そこは今度はカードでとらえて、実際の行為が、目に見える行為が犯罪の形として規定されると。 そんな理解で、ちょっとどうも頭が余り働かなくて、自分なりにずっと今の動きを考えてみたんですが、そんなふうに考えていいんですか。
○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘のとおりでございます。 やはり、電磁的情報という無形のものもかなり念頭に置いた規定にならざるを得ないということでこういうふうなことになったということを御理解いただきたいと思います。
○江田五月君 難しい類型であることはよくわかりますが、それでも、司法制度改革審議会でもわかりやすい法律にしようなんて言っているわけですから、素人がすっと読んでもそれなりに頭へ入る書き方をいろいろ工夫する必要があろうかと思います。 さて、もうちょっと条文に即して。 百六十三条の四、これは同条の二の不正作出罪の準備に着目して、準備罪として規定をされておる。そして、この準備罪と百六十三条の五を見ますと、今度は百六十三条の二の不正作出の未遂罪が処罰をされるということになっている。そうすると、準備罪の既遂と不正作出の実行の着手と、それはどういう関係になりますか。準備罪が成立した時点で、もう同条二の方の実行の着手はあったことになるのか、まだないのか。じゃ、あるとすれば、不正作出の方の実行の着手というのはどんなことを考えておられるのか。
○政府参考人(古田佑紀君) 百六十三条の四の準備罪は、これは例えば先ほど委員が御指摘になった電磁情報をとるという行為で、CATの中にICチップを埋め込んでそこに情報をため込むと、その時点で準備罪としては既遂になるわけでございます。 ところで、その不正作出の方は、これは実行の着手は、現にそういうふうにして取得した情報をカードと一体となっておりますストライク部分にいわば記録していくという作業になっていくわけでございます。したがいまして、その間には当然違いがあるわけで、準備罪が既遂になったからといって直ちに不正作出の実行の着手があるわけではございません。
○江田五月君 次に、ちょっと実態の問題について伺いますが、今月発表されたカード犯罪総合対策委員会報告書によりますと、これはクレジットカード業界の調査ということですが、平成十二年のカード不正使用被害額というのは三百八億円ですね。そのうち、偽造カードによる被害と思われるものは全体の四五・四%の百四十億円。 一方、警察庁の資料によりますと、同じく平成十二年、クレジットカード犯罪の検挙した事案の被害額、これが五億八千万円余りで、この被害がすべて偽造カードによるものだと仮にしても、被害額から見た検挙率はわずかに四・二%。検挙件数ということで見たら、偽造カードの構成比は二三・四%ですから、実際には被害額から見た検挙率というのは一%に満たないのかもしれないという、そんな感じになるんですかね。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 警察庁で把握しているクレジットカード犯罪の平成十二年の認知件数でございますけれども、これは三千六百二十二件、検挙件数は二千八百三十三件、警察に届け出のあった被害額は五億八千五百十八万円という状況にあります。また、社団法人日本クレジット産業協会の調べによる平成十二年のクレジットカードの不正使用に係る被害額でございますけれども、三百八億七千万円、うち百四十億二千万円が偽造カードに係るものであると承知しております。 それで、この日本クレジット産業協会の調べによる被害額のうち、偽造カードに係るものに対する警察の届け出のあった被害額、これは割合を百分比で占めますと大体四・二%になるわけですが、警察で把握している被害額というのは検挙ではございませんで、警察に被害届が出されたクレジットカード犯罪に係るものに限られておりまして、しかも偽造カードの不正使用に係るもの以外に盗んだカードの不正使用等に係るものも含むという状況にありますことから、警察で検挙したクレジットカード犯罪のうち偽造カードに係るものの被害額の総額ということになりますと、その割合はさらに低くなるという状況にあります。 いずれにいたしましても、警察で検挙した事件に係る被害額の総額というのは、日本クレジット産業協会の調べによる被害額のうちに占める割合は非常に低いものとなっているという状況でございます。
○江田五月君 今回のこのカード犯罪が、カードの不正使用が、不正作出、使用、これが犯罪ということに規定されますとどのくらい検挙率というのが上がるか、なかなか難しい話なんですが、例えば今、業界の調べの三百八億、不正使用の被害額があって、そのうちの百四十億が偽造カードだと。そうすると四五・四%ですね。一方で、検挙件数から見たら、二千八百三十三件のうち六百六十件が偽造カードだと。そうするとこれは二三・四%だと。 したがって、これができれば、この法律ができれば、この二千八百三十三の検挙中、偽造カードによるものが二三・四から四五・四に上がるというぐらいにはならなきゃいけないんでしょうか、どうなんでしょうか。そういう数字の比較というのは成り立たないんですか、成り立つんですか。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 非常に難しい質問で答えにくいんですが、御案内のように、刑法の一部を改正する法律にあっては、従来対処することが困難であった偽造カード作成のためのスキミング行為とか、あるいは偽造カードを所持する、この行為自体が犯罪となるということで取り締まりが可能になるというふうに認識しております。 今回の法改正で、先ほど先生言われました、検挙率がどれぐらい上がるかということなんですが、これは非常にいろんな要素がありまして簡単にはいかないというような感じがいたします。 例えば、認知自体も、全体からいいますと認知がどれぐらいだという、要するに偽造被害の、偽造カードの使用自体の被害額が減ってくれば、それは全体に当然影響するわけでありまして、例えばそこのところが、ICカードでだんだん被害が減ってくるというようなこともありますし、また、こういう法律をつくったときに、要するに業界のインフラですね、インフラがどれぐらい整備されるか、あるいはどれくらい被害届が出されるかというようなこと、いろんな要素を加味しないとわかりませんので、その辺は答弁は非常に難しいわけであります。 警察庁といたしましては、都道府県警察に対しまして必要な指導教養を徹底いたしまして、この法律が施行になれば、この法律を積極的に活用してカード犯罪に適切に対処してまいりたい、このように考えております。
○江田五月君 数字というのはなかなか、前提に何を入れるかで変わってきますし、こういうものを犯罪だと規定して、その取り締まりの体制をつくることによってまた前提が変わるでしょうから、確かに難しいと思いますが、いずれにせよ頑張っていただきたいと思います。 そこで、法務大臣に伺いたいんですが、世の中がどんどん変わっていって、こういう支払い用カード電磁記録に関する罪なんというのは、昔、刑法をつくるときにはこれはもう到底想像もつかなかった。今はカードというものにちゃんと記録される。そういう電磁的記録に着目して、したがってカードですから、実際動いているのが目に見えるわけですが、犯罪の類型としてはもっと進む可能性がある。 報告書の二十二ページ、二十三ページにも書いてありますが、インターネット上でのクレジットカードがかかわる犯罪には今後どう対処するのか、あるいはカードがかかわらないインターネットや携帯電話などのモバイル端末の不正利用、これも将来想定されるわけで、細かな技術的なことは結構ですから、ひとつそういうものに対してどう今後対処されるか、今回そこまでいかなかったことの理由も含めて、法務大臣からお答えください。
○国務大臣(森山眞弓君) 確かに、刑法制定当時は想像もつかなかったようなことが次々に起こりまして、今回も改正をお願いしているわけでございますが、インターネットを用いた商取引における代金決済システムにおいては、本人に成り済まして商取引行為に直接及びますと、通常、詐欺あるいは電子計算機使用詐欺等によって対応が可能でございます。 今回の法改正は、現段階においてあえてそのような行為の前段階的な行為を広く一般的に処罰するまでの必要性は今のところ乏しいかということでこのようになっているわけでございますが、これからITはもう日進月歩、次々と、今も想像つかないようなことが、あした、あさって起こるかもしれません。そのような新しい事態に対しては、また適切に対応していかなければならないと思っております。
○江田五月君 十分そこも視野に入れて対処していただきたいと、これは強く要望しておきます。 さて、次に、ハンセン病訴訟について伺います。 法務大臣にも、何度も患者の皆さんあるいは我々、お願いをいたしまして、生の声も聞いていただきました。法務大臣にもよく御理解をいただいて、政府として小泉総理の決断で控訴断念となったと。本当にこれはもう心からお礼を申し上げなきゃならぬと、敬意を心から表させていただいております。 実は、私の選挙区には長島愛生園と邑久光明園という二つの国立ハンセン病療養所がございます。二十四年前、国会議員になったときから私は一貫してこのハンセン病問題と取り組んでまいりました。この問題は私の政治活動の原点といいますか、ライフワークでもあるわけで、そうしたこともあって、ことし四月五日に超党派の国会議員百一名、今はもう百九十名ぐらいになっているかと思うんですが、によって設立されたハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会の会長も、半分祭り上げられてですが、務めております。 五月十一日、熊本地裁の画期的な判決、政府の行政責任、国会の立法不作為責任、これが厳しく指弾をされました。私なんかはこの問題に長くかかわって、らい予防法の存在、それのひどさ、これもよく知っていたわけで、最も重い立法不作為責任を問われている。政府声明などを見ますと、国会議員には故意はないと。私なんか、あるいは故意があったかもしれないなどと思って、故意があったら責任を問われる、過失だったら責任を問われないというのも変だなと思ったりするわけですが、いずれにしても深く反省して、元患者の皆さん、あるいは今の患者の皆さんもおられますが、本当に心からおわびを申し上げます。 それだけに、小泉総理の控訴をしないという今回の決断は本当にありがたい、感動をしたと言ってもいいかと思います。この上は、もう一刻も早く元患者及び患者の皆さんへの政府と国会の、政府の方は小泉総理が総理大臣談話で行われましたが、国会の謝罪、あるいは人権と名誉の回復、差別と偏見の除去、十分な賠償と生活の保障と福祉の増進。既に亡くなられた方々、どうしますか、こんな本当に牛乳瓶の小さいような骨つぼに入った遺骨が、各園の慰霊塔の裏に恐らく二万三千幾つあるんですね。この皆さん、ふるさとへ帰れないので、亡くなって煙にならなきゃふるさとへ帰れない、煙だけは帰れて遺骨は帰れない。そんな状態をどう一体なくしていくのか、解決していくのか、大変な課題ですが、みんなで汗を流し、知恵を絞り、最終解決をしなきゃならぬ。そのため必要不可欠な国会の決議が、どうも今、自民党の執行部の皆さんの執拗な抵抗でまだ実現の見通しが立っていない。こういうことで、本当に残念だと思っております。 まず、それは前提ですけれども、これは本当に急がないと。実は、私、一九八二年に参議院の本会議で、今の二つの園がある長島というところに橋をかけましょうと、長島架橋というんですが、これを主張したんです。私は、前回、六年間参議院におりまして、小会派だったものですから、本会議の演壇に立てたのはその一回だけで、わずか十分だけ。その中で、その長島架橋のことを言ったんですが、そのときに長島にいる患者の皆さんは千七百人ぐらいだった。今は千人ぐらいになっているんですね。この間七百人ぐらい減ってきて、平均年齢今七十四歳を超えているわけですから、これからどんどんお亡くなりになるわけですから、そのことも考えたら急がなきゃならぬと思っております。 さてそこで、五月二十五日の政府声明なんですが、控訴断念という極めて異例の判断をしたと、こういう控訴断念という言い方をされています。 ところが、同じ日の総理大臣談話、これも閣議決定をされているものだそうですが、あえて控訴を行わない旨の決定をしたと。断念という表現はありません。この点に関して、小泉総理は、本当は実は控訴をしたかったんだけれども断の念と、残念ながら念を断じたと、諸般の事情から控訴をあきらめるという意味、そういう意味の控訴断念という言葉を実はあえて使わずに、この際、積極的に控訴をせずに、この問題の早期かつ全面的な解決を目指していくという、そういう意欲のあらわれ、意思のあらわれ、これが小泉総理の談話では断念という言葉が使われない、使っていない、そういう意味なのだと、こういうことを論ずる方もおられます。田原総一朗さんがテレビとかあるいは週刊誌でもそんなことを書いておられますが、私もそう思いたいんですが、小泉総理の真意はどうであるか、きのう総理のお考えを聞いてきてくださるようにお願いしておいたと思いますが、上野官房副長官、いかがですか。
○内閣官房副長官(上野公成君) まず、今回の判決の評価でございますけれども、この判決につきましては、ハンセン病問題の重要性を改めて国民に明らかにし、その解決を促した点において高く評価できるものだというふうに考えております。 しかしながら、同じこの判決の中に、国政のあり方にかかわる幾つかの重大な法律上の問題点があります。本来であれば、政府としては控訴の手続をとって、これらの問題について上級審の判断を仰ぐことをせざるを得ない、こういうところでございます。 しかし、この訴訟につきましては、この熊本のほかに、熊本でもまだほかにも幾つかあると思いますけれども、東京それから岡山などで多数の訴訟が提起されております。また、訴訟を全然起こしておられない患者、元患者の方が数千人おられるということでございますし、患者さんそれから元患者さんは相当既に高齢になっておりますので、こういったことを総合的に考えますと、できるだけ早期に全面的解決を図るということが最も必要なことであるという判断をいたしまして、本判決には国家賠償法、民法の解釈の根幹に係る問題点があることを明らかにした政府声明を発表した上で控訴は行わないということにしたところでございます。 小泉総理の談話の中には、「控訴は行わず、」ということでございますけれども、その前に「政府の立場を明らかにする政府声明を発表し、本判決についての控訴は行わず、」と、こういうことでございます。 その政府声明の中には、これは問題点を政府声明で明らかにするということが趣旨でございますので、こちらの方は「控訴断念」と。本来は問題があるわけですけれども、非常に大きな大局的な見地に立ってそういう決断を行ったと、それがそういう言葉になっているわけでございまして、そういう両方の違いについて御理解をいただきたいと思います。
○江田五月君 詳細な答弁をいただきましたが、どうもよくわかりません。 小泉総理の総理大臣談話は、ずばっずばっと書いていっているんですね。そして、何段かの言葉の後に、今回の判決はいろいろ問題はあるがというのが出てくるわけで、判決の中の、やれ、あそこがどうだ、ここがどうだ、曲がった、ゆがんだとかいうのは、まあ小泉総理の言葉で言えば些事構うべからずで、そして大局というのは、やっぱりこういう判決が出て国民に物すごい訴える力があって、私も長く裁判というのは見てきましたが、これほど国民にアピールの力の強い、これほど国民からうわっと感動を持って迎えられた判決を今まで見たことがないですね。 ですから、これは判決を下すというのも一つの国家を動かしていく営みですから、そのときの理由の小さな、法律があっち向いた、こっち向いたということよりも、この判決が持っているそういうアピール力というものを大切にしながらこの問題を最終解決していこうという、そういう意欲のあらわれだと、それはなぜそう言えないんですか。 短く。
○内閣官房副長官(上野公成君) 総理の談話の方では、今、江田委員が御指摘のとおりでございますけれども、しかしこの問題点をそのままにしておくということは、今後いろいろなところで問題が残るんじゃないかということで、政府声明というものを発表することによってこの判決を確定させたということでございますので、御理解いただきたいと思っています。
○江田五月君 私が言いたいのは、総理のそういう気持ちを大切に皆さんしようと思うなら、政府声明で断念という、何かいじましい、そういう言い方をするなということを言いたいわけです。まあいいです。 それで、この政府声明の位置づけなんですが、政府声明では確かに、まあ断念という言葉にあらわれる気持ちなのかどうか、「国家賠償法、民法の解釈の根幹にかかわる法律上の問題点があることを当事者である政府の立場として明らかにする」と、こう書いてあるので、「当事者である政府」という「当事者」というのは、これは民事訴訟をやっているわけですから、原告と被告という当事者がいる、その被告という訴訟の一方当事者としての政府の立場だと、そういう理解、そういう意味でこの「当事者」という言葉は書いているんですよね。
○内閣官房副長官(上野公成君) 訴訟の一方の当事者である、そういう立場からでございます。
○江田五月君 私は、だから訴訟をやって、その訴訟の立場、国が訴えられたわけですから、訴えられた当事者である国を代表して法務大臣が訴訟行為をやられる。それは訴訟ですから、裁判所に受け入れられることもある、受け入れられないこともある。それでもいろんな主張をして、そのための立証活動をされる。そういう立場で言っていること、それはやっぱり法務大臣がおやりになることであって、政府という、閣議決定をするというのは、確かに国が訴えられているその被告の立場ではあるけれども、もっとやっぱり大きな、閣議決定というものは、そういう国民の中でいろんな国家機関があれこれ動いていることをもう少し超えて大きく、政府、閣議、閣僚、内閣、これは考えていただきたいのに、なぜ一体こういう、単に訴訟の一方当事者が、こう言いたいんです、次にまた立法不作為とか除斥期間とかが話題になるような、論点になるような訴訟があったら国はこんなことを言うんです、その立場だけは留保しておきますなんということを、こんなことをなぜ一体政府声明にしてしまったのか。 これはどちらに伺うか、副長官の方ですかね。
○内閣官房副長官(上野公成君) 江田委員御承知のように、政府声明というものは法的な拘束力はないわけでありますけれども、やはりこれは閣議において全閣僚の合意で決定されているものでありますから、全閣僚でこういう形で問題のあるところを声明という形にしたと。法的な拘束力はありませんけれども、これは余り、何回かしか、ほんの二、三回しか出したことはありませんので、大変政府としては重い意思表明であるというふうに思っております。
○江田五月君 全閣僚に徹底といったって、別に政府声明で、政府声明というのは国民に対してメッセージを発するわけでしょう。しかも、訴訟における国を代表する立場にいる人は法務大臣ですから、法務大臣が一人わかっておればいいんで、法務大臣声明ならまだわかるけれども、何で政府声明までするのか。何かよっぽど判決がどうも嫌でたまらない、判決のあの力を何とか減殺しておきたいと、そんな往生際の悪い気持ちがこんなところへあらわれたのかなと、未練がましいなと思ったりしますが、そんなことはないんですか。もう本当に、これはこういう論点がありますよということを言っているだけで、それ以上の趣旨ではないんでしょうね。
○内閣官房副長官(上野公成君) こういう問題点があるということを言っているだけで、今おっしゃったとおりでありまして、これはこれから全面的な解決に向かって政府として最大限努力していくのは当然でありますし、これは患者さんと厚生労働省の方で話し合いももうすぐ始まると思いますので、そういうことじゃなくて、非常に前向きであるということを御理解いただきたいと思います。
○江田五月君 ぜひそうお願いします。未練などないんだと、往生際はいいんだということで頑張ってください。 政府声明で幾つかの問題があるんだということですが、二つ挙げていらっしゃるんですが、問題点としては、これは法務大臣あるいは訟務の関係ですかね、幾つ問題点があるんですか。
○政府参考人(都築弘君) お答えいたします。 本件につきましては、立法の不作為の問題、それから厚生大臣の法的責任の問題、それから除斥、そして損害の認定、このあたりが大きな問題点と承知しております。
○江田五月君 四つ、当事者として被告として訴訟の中で言うとするならば今の四つがあるけれども、あとの二つは、この事件に特有の論点だからあえていろいろ言わずに、今の立法不作為関係と除斥期間の問題、これはほかの事件でもいろいろ出てくるだろうからここへ挙げられたと、そういうふうな説明を聞いたんですが、それでよろしいですか。
○政府参考人(都築弘君) 先生御指摘の二点の問題につきましては、事実認定にもかかわる問題でございますので、法的な問題ということで立法不作為の問題と除斥の問題を提示したわけでございます。
○江田五月君 どんどん行きます。 二十五日の政府声明ですが、前日、官房長官が談話を発表していらっしゃる。その中では、司法が国会議員の活動をここまで言うのは三権分立の趣旨に反するというような言い方があったけれども、翌日の政府声明ではその言い方が消えましたね。もし三権分立に反すると、裁判所が国会についてそんなことを言うのは三権分立に反するというなら、私は、じゃ政府が国会のことについて、国会の見解も聞かずにいろいろありがたくも言ってくれることはこれも三権分立に反するんじゃないかと言いたくなったんですが、まあ政府声明の方で消えましたから、それは飛ばしましょう。 最高裁判例に反するというんですが、最高裁の判決は、ある一定の場合という、つまり憲法に一義的に違反しているのを、あえてそれに反するような立法をするごとき容易に想定しがたいような例外的な場合と、こういう書き方になっていて、つまり「ごとき」の前は例示ですよね。例示があって「ごとき」があって一般則がある。ところが、政府声明はその例示のところだけ取り出して限ると。一般則の方はいわば無視して、そしてこの判決が一般則の方に当たると、もう本当に委曲を尽くして書いてあるのにわざわざ最高裁判例を狭く限って、そしてその一般則の方に当たると言っているものを狭く限ったところよりはみ出しているから判例違反だと、こういう論理になっていると私は思います。 これは被告の主張とは違うかもしれませんが、原告だったらそういう主張をされるでしょう。したがって、政府声明は単に被告だったらこう言いたいということを言っただけだということですから、今、私が言ったようなそういう論理もあると。もし政府が、今度原告の立場に立って言うときにはそういう論理も展開できると、そう思われませんか。
○政府参考人(都築弘君) 今御指摘のように、その点についてはいろんな見解があるわけでございますので、本来ならば上訴審の判断を仰ぐべきものではないかと考えたわけでございます。 ところで、今の御指摘の点でございますが、やはりこれは国会と司法との関係、つまり国会議員の立法不作為についてどのような場合に法的義務があるのかという問題でございますので、その判決に掲示してあります部分は非常に意義のあるものと当事者としては考えております。
○江田五月君 これは、最高裁の判決はたしか選挙の関係のことでしたですよね。ですから、もともと選挙の関係のことはかなり国会に裁量権があって、定数の格差だって、あれほど開いていたって、最高裁は国会、それはよろしいというような、そういう大変国会に高い裁量権が認められているケースについての判断であって、本件は、らい予防法という大変な人権侵害立法がずっと残っていたということについての国会の裁量権のことですから、おのずと、もとになっている事案自体も違うということだと思います。 それからもう一つ、除斥期間の関係ですが、政府声明では、判決は民法の規定に反すると、こう言い切っているけれども、これもやっぱり当事者としての主張であって、不法行為における損害、あるいは不法行為のとき、これはいつなのかというのはいろんな議論がありますね。この判決は、らい予防法というものがあって、それによって患者、元患者の皆さんがらい予防法に基づく患者という地位に置かれて、そしてそのらい予防法というものがつくり出した社会的な偏見、差別の中に置かれていたと。そのことが損害で、その損害というのは、ずっとらい予防法が続いている間ずっと起こって、そして、らい予防法が廃止されたときになって初めて損害の全体像がわかるから、しかもその損害というのは日々発生するというよりも、むしろそういう地位に置かれたということだから、らい予防法が廃止されたときが不法行為が終わったときで、そこからもし除斥期間にしても時効にしても始まるなら始まると考えるというそういう判決でして、それもそれで、被告が防御するときに言いたい言い方はあるかもしれないけれども、また別にそういう論理もあると、これもよろしいですよね、そういう論理もあるんだということは。だから、もし国が逆の立場に立って、そういう主張をした方が国に有利のときには国はそういう主張をするだろうと。だろうまでは言えないかもしれませんが、そういう理解でよろしいですよね。
○政府参考人(都築弘君) 御指摘のように、いろんな考えがあると思います。ただ、従来の判例あるいは裁判例からいいますと、継続的不法行為における不法行為のときというのは、やはり今御指摘にありましたように、日々発生すると、このように解するべきではないかと考えております。
○江田五月君 そこで、法務大臣、控訴断念という、断念という言葉というか、控訴しないという法務省内部の意思決定をされたときに、これは二十四日の持ち回りでしょうかね、緊急閣議の前でしょうかね、前かどうかということと、それからそのときには当然、厚生労働省と国会と、これはもう意見を聞いているわけですから、その意見に対する回答、照会に対する回答、これは文書で来ていると思うんですが、文書で来ているかどうか、その二点。
○国務大臣(森山眞弓君) 控訴しないということは、五月二十三日の夕方、官邸で厚生労働大臣の御意見を伺い、また総理の御判断をいただきまして、そのときに決めたものでございます。厚生労働省からの今おっしゃった控訴できない旨の回報書というか、答えですが、それは二十四日に文書で受領いたしました。 それから、法務省といたしまして、法務大臣の控訴はしないということの決裁は五月二十五日に行いました。それから、衆議院事務局からは、五月十七日に回答はしないという旨の事務連絡がございまして、また参議院の事務局からは、五月十八日に回答を留保するという決定があったと事務連絡がございました。 そのような経緯で最終的な結論に至ったわけでございます。
○江田五月君 そうすると、今の中で、文書として厚生労働省の文書、五月二十四日のものですか、それからあと国会、衆参五月十七、十八日あたりの、これは文書をお出しいただけますか。
○国務大臣(森山眞弓君) はい。いただいた文書でございますので、そのコピーはお目にかけられるかと存じますが。
○江田五月君 じゃ、後でひとつよろしくお願いします。 それから、最後の質問ですが、法務大臣に伺います。 まだ岡山地裁と東京地裁、もちろん熊本地裁でも裁判が残っておりますが、もう大きな方向で一歩踏み出したわけですから、訴訟をずっと続けていくという、そういう必要もないかと思います。しかし、これは話し合いをしてみなければ、やっぱりちゃんとした最終解決にならずに訴訟をやらなきゃいけないということになるかもしれませんが、願わくは、訴訟を続けて訴訟でそういうところの最後の解決まで行かなきゃいけないなんということのないようにひとつ、これはぜひ御努力をお願いしたいんですが、それでもまだ多少、もう日程が決まったところがあって訴訟が若干行われるかと思うんですが、そういうときに、ひとつぜひ内閣総理大臣談話を踏まえて、「政府として深く反省し、率直におわびを申し上げるとともに、多くの苦しみと無念の中で亡くなられた方々に哀悼の念をささげる」という、そういう心でもって残った訴訟にぜひ取り組んでいただきたい。間違っても今後の裁判の中で原告や証人の皆さんの心を傷つけるようなことのないようにしていただきたいと思いますが、大臣、この点はお約束いただけるでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 総理大臣談話の趣旨を踏まえた訴訟対応がされると考えます。 具体的な対応につきましては、立法作業その他の諸施策の進行も踏まえまして検討してまいりたいと思います。
○江田五月君 終わります。
○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。 今の世の中は大変便利なカード社会になっておりますけれども、その一方でカードをめぐる犯罪もふえている。特に、偽造カードによる被害が急増しているわけですね。最近発表されましたカード犯罪総合対策検討委員会報告書でも偽造カードへの対応を急ぐことがうたわれておりますが、これは当然のことだと思います。 そこで、今回の法改正の条文でどういうことを指して犯罪とするのか、先ほどもわかりやすくというお話がありましたけれども、何をすれば処罰されるのか、それを明確にする必要があると思います。 そこで、まずお伺いしたいのですが、現行の法律では、「電磁的記録不正作出及び供用」、第百六十一条の二では「人の事務処理を誤らせる目的」というふうに目的というところがなっているわけですが、今回、この百六十三条の二の一項、これは全般にかかわっているわけですが、「人の財産上の事務処理を誤らせる目的」ということで、「財産上の」ということがはっきり書き加えられているわけですが、この意義は何か、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(古田佑紀君) ただいま御指摘の点につきましては、一般的な電磁的記録の不正作出につきましては広範囲に人の事務処理を誤らしめるということになっておりますが、今回の場合はクレジットカードあるいはプリペイドカード等が持っております支払い機能の保護ということに着目した法整備でございまして、そうなりますと、その事務処理と申しますのは、これはおのずと財産上の債権債務関係の決済とか、そういうふうな事務処理を誤らしめる目的ということを明確にすることが適当だということから、今回は「財産上の」という言葉を付記したわけでございます。 これはそう例があるとは思いませんけれども、例えばクレジットカードを身分証明書がわりに使うというふうな場面というようなものがあれば、これは財産上の事務処理とは言えないわけでございまして、そういう例は非常にまれとは思いますけれども、そういうふうなものは除外される。しかし、いずれにせよクレジットカードとしてのいろんな支払いのための機能を発揮させる目的、そういうことでこの加重類型をつくる、そういうことでございます。
○林紀子君 それに続きまして、「クレジットカードその他の代金又は料金の支払用のカードを構成するものを不正に作った者は、」というふうになっていると思いますが、この「作った」という、その作るという対象は何なのかということもお聞きしておきたいと思います。
○政府参考人(古田佑紀君) ここで目に見える形にはなかなかなりにくいわけですけれども、例えばクレジットカードで申し上げますれば、その裏に磁気ストライプがあるわけでございますが、そこに権限なく、あるいは権限を乱用してある一定の情報を記録させるということが不正に作るということになるわけでございます。
○林紀子君 次に、百六十三条の三、所持罪についてお伺いしたいと思います。 これは法制審でもかなり論議をされた問題だと聞いておりますが、この所持罪、行為としては単純に持っているというだけになるわけですね。にせ札の場合などは持っていてもこれは処罰の対象にはならないということですね。また、アメリカなどではカードを持っていても枚数何枚以上を持っていた場合は罪になるというふうになっているということも聞いておりますけれども、今回の改正では、一枚でも偽造のカードを所持していればそれは処罰の対象になるということですね。 この罪を設けた意味というのはどういうものか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘のとおり、現在、偽造文書等を所持しておりましても犯罪とはされていないわけですが、今回、このクレジットカード等についてこれを犯罪化するということにした理由は、御案内のとおり、クレジットカードにせよプリペイドカードにせよ繰り返して使われるわけでございます。通貨、お金なんかの場合には、これは一回使ってしまえばそこでその人はもう使えなくなるということにはなりますが、クレジットカードなどは同じ人が何度も反復して使用が可能と。そういう意味で、やはりこういうふうな形態の支払いの手段と申しますか、こういうものについてはそれによって危険が発生する可能性が高い、そういうことで通貨あるいは有価証券とは別に所持罪をつくるということにしたわけでございます。 また、実際問題といたしましても、不正なカードを使うまで待たなければ犯罪として検挙できないということになりますと、証拠物としての押収とかそういうことも困難になるわけでございまして、そういうことから、例えば大量のプリペイドカードを所持している、あるいは他人名義のカードを所持している、そういうふうなことが発覚した段階で状況に応じて検挙ができるというふうなことにすることがやはりこの種犯罪の防止のために必要であるということもございます。
○林紀子君 今、大量のカードを所持していた場合というふうにお答えくださいましたけれども、そうしますと、一枚というのは対象にはならないわけなんですか。
○政府参考人(古田佑紀君) 大量のカードを所持していたと申しますのは、よくテレホンカードなどでそういうケースが過去ございましたので、一つの例として申し上げたわけです。 しかし、クレジットカードなどは別に一枚でもこれは何度も使用されますし、金額も大きくなる。そこで、ここでは所持している枚数に限定はつけておりません。ですから、犯罪としては一枚の所持でも成立するということになります。
○林紀子君 先ほども引用いたしましたカード犯罪総合対策検討委員会報告書というのにはこういうことを言っているわけですね。「例えば、偽造カード所持罪が法制化されれば、偽造カードの使用前に加盟店内で不審な挙動が見られる場合、」、こういうようなことも「従来の法律では対応できなかった行為にも適用できるケースがあると思われる。」というふうに期待を込めて書いているわけですけれども、確かにそういう意味ではお答えにもありましたように、持っているということで使う前にそれを差し押さえられることができるし、それを罪とすることができるというのはわかりましたけれども、逆に国民の立場からいいますと、何か不審な挙動だと見られた場合、もしもしなどということで、あなた、カードはどうですかなんて、そんなふうな場面というのが今後起こるんじゃないかということもあるんですが、その辺はどうでしょうか。 それからまた、今お話のありましたプリペイドカードですね、それは例えば安いからといってお金を出して買ったけれども、実はそれは偽造カードだったと。だけれども、買ったときにはそれが偽造カードだというのは買う本人は知らなかったということもあり得ると思うわけですね。しかし、そのプリペイドカードなどでもやはり所持をしているということで、今大量にということがあったので、その辺が歯どめになるのかどうかはわかりませんが、そういうところの、持っている人が即その事情ということは考えないで所持罪だというような、そういうおそれはないのかどうかというのをお聞きしたいと思います。
○政府参考人(古田佑紀君) ごく通常の場面を考えてみますと、こういう偽造のクレジットカードなどを使っていろんな不正行為をする場合には他人名義になっている場合が非常に多いわけでございます。したがいまして、一枚のカードでありましても、他人名義のカードを持っている、そういうふうなことになりますと、どういう事情でそういうものを持っているのか、そういうような点をいろいろ確かめながら実際には対応していくということになろうかと思います。 もちろん、お店の中でそのカードを使って買おうとしたとか、そこら辺までいけばこれはもう使うということで、それでもう犯罪になるわけですが、その前の段階では、そのカードが他人名義であるか、あるいはカードとして外観上おかしなところはないかとか、その入手経路はどういうものかとか、そういうことを慎重に判断しながら対応するということになるわけでございます。 また、プリペイドカードについてのお尋ねもございましたけれども、プリペイドカードは、御案内のとおり、使用度数に応じて穴があいていく仕組みになっておりまして、これは実際に使うときは穴は関係なくて後ろの磁気面だけの問題になるわけで、実際に変造されたプリペイドカードなどは結構穴があいた状態のものが多いわけです。そうなりますと、そういうところからやはり疑問といいますか、不審が生ずるという場合もあるわけで、もちろん全く知らないで買ったというケースもあろうかと思いますけれども、そういうときにはどうもその穴と残度数の表示が合わないとかそういうことがたまたま気がついたと。気がついた後も使うつもりで持っておられれば、やはりこれはこの犯罪に当たるということにはなるわけでございます。
○林紀子君 今回の改正は、偽造カードをつくること、使うこと、渡すこと、そして持っていること、情報を得ることなどの準備も含めて、いずれも先ほどお聞きいたしました人の財産上の事務処理を誤らせる目的でと、この目的を持って実行する行為というのが処罰の対象になるんだと思います。 この目的を明確にするということが大前提だというふうに思うわけですが、この目的というのをどのように明確にするのか、立証するのか、その辺は大変大きな問題だと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘のとおり、目的と申しますのは、本人の考えというか主観ということでございます。したがいまして、それが直接というのは本人がどう供述するかとかそういうふうなことによることも多いと思いますが、例えばクレジットカードを持っている状態とか、先ほど申し上げましたどういう理由で入手したか、これは実際の事件でよくあることですけれども、だれかに頼まれて買いに行かせられるとかいろんなケースがあるわけですが、そういうふうな入手経路、それからもちろんクレジットカード自体が必ずしも外観上完全なものでない場合もないわけではないということでありまして、いずれにいたしましても、本人あるいは関係者の供述のほか、そういう客観的ないろんな状況等を総合的に判断するということになると思います。 この問題は、現在、文書でも行使の目的というのがございますが、それを判断するのと基本的には同じということになろうかと思います。
○林紀子君 そういういろいろな証拠で立証するというのがあるけれども、やはりそれは本人が使う目的だったんだろうという自供というところにかなり大きくかかってくるんじゃないかと思うわけです。偽造とわかっていたんだろう、それを使う目的でつくったんだろうとかというような形で詰められて自白を強いられた、情況証拠というのは十分でないけれども自白のみで立件と、そういうようなことはないですね。
○政府参考人(古田佑紀君) ひとつ御理解いただきたいのは、プリペイドカードにいたしましてもクレジットカードにいたしましても、それで物を買ったり何か支払いをするというふうに使うのが通常なわけでございまして、それ以外の目的というのがむしろ本来は例外的な場合になるわけでございます。 ただ、もちろん例外的な理由で何かたまたま持っていたということもあり得ないわけではないわけでございまして、そういう点も含めて、先ほども申し上げましたとおり、いろんな角度から十分慎重に判断をして、その目的というのは認定するということでございます。
○林紀子君 それでは、この問題について大臣にもお伺いしたいんですが、例えば東京地裁八王子支部では、クレジットカードを不正使用したとされた事件というのを今まで扱って、不正なカードであると認識したことを客観的に裏づける情況証拠がないということで無罪になったという判例があるということなんですね。 この判決では、「取調官からのいわば理詰めの尋問を受けて真意に反して犯意を認めさせられたという弁解もあながちためにするものとはいえない内実を有する」、「不正カードの認識について自白を取ることに急であり過ぎ、前記の本件の基本的構図を崩すに足りる立証捜査が尽くされていない」と、こういう形で捜査のあり方を批判しているわけです。 自白偏重の捜査のあり方というのは、この問題だけではなくて、今までもいろいろ問題が指摘されているわけですけれども、自白のみに頼らず、やはり証拠を積み重ねて捜査を尽くすと、これが非常に重要だと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 今、判決の内容をおっしゃいましたし、また先生も言われましたとおり、自白ももちろん重要ではございましょうが、それだけではなくて、証拠を積み上げて捜査をしていくということが非常に重要だというのは当然のことだと思います。
○林紀子君 自白偏重ということで今までも冤罪をいろいろ生んでいるわけですので、自白偏重ということは絶対に許せないというふうに思うわけです。 以上の論点のほか、法制審では、所持罪、今お聞きしたわけですが、そのほかにも議論された点があると思いますので、簡潔で結構ですが、どういう問題点があったのかをお答えいただきたいと思います。
○副大臣(横内正明君) 私から御答弁をさせていただきます。 この刑法改正につきましては、平成十二年に法制審議会に諮問を行いまして、刑事法部会で専門的な検討審議をいたしまして、同年十二月十八日に改正案の要綱、答申をいただいたわけでありますけれども、その専門的な観点から非常に多くの議論がなされました。 例えば、キャッシュカードの取り扱いの問題がございまして、キャッシュカードをこの法の規制の対象にしていくかどうかという議論がございましたけれども、実態として大部分のキャッシュカードがデビットカードとして支払い決済機能を有しているという実情を踏まえて、クレジットカードなどと同様に、キャッシュカードについてもこの法律の対象とするということにいたしました。 また、偽造カードの所持罪の問題、先ほど先生から御指摘がございました。この問題についてもかなりの議論が行われましたが、結論的に、犯罪取り締まりの実効性を確保するために、この所持の段階でこれを処罰する必要があるということで所持罪を設けたわけでございます。 また、カード情報の不正取得を罪とするかどうかという議論がございました。いわゆるスキミング行為ということによってカード情報を不正に読み取ることが行われるわけでございますけれども、それを罪とするかどうかという議論があったわけでございますが、結論的には、これは今回のお願いをしている法律で電磁的記録の不正作出というのを犯罪としているわけですけれども、それの準備行為ということで罪とする、準備罪というのを設けるということで理解が一致をしております。 いろいろな議論がなされましたけれども、最終的に、総会におきましては全会一致で改正案の要綱が取りまとめられたということでございます。
○林紀子君 それでは、次にちょっと視点を変えまして、被害者の救済という観点からお聞きしたいと思います。 金融庁に来ていただいていると思いますけれども、不正使用された場合、被害の負担をだれがするのかというのは非常に大きい問題だと思うわけですね。クレジットカードについては、カード会社がその損害を保険というような形も活用して負担をしている。しかし、じゃキャッシュカードはどうかということなんですが、例えば財布ごと盗まれてしまった、そして免許証などから暗証番号が推定されて、そのキャッシュカードを使われて現金が引き出された、そういう場合は損害は銀行で負担をするのでしょうか。
○政府参考人(田口義明君) お答えいたします。 キャッシュカードが盗難に遭いまして現金が引き出された場合の銀行の責任についてでございますが、この点につきましては、約款に相当いたしますカード規定というのがございまして、その中の免責条項に規定されております。 これによりますと、預金者から銀行に対して盗難あるいは紛失の届けが出される前に生じました損害につきましては、真正なキャッシュカードが使用され、かつ正しい暗証番号が入力されていた場合には、この免責条項によりまして銀行は免責されることになっております。 また、この点は判例におきましても、銀行による暗証番号の管理が不十分であったといったような特段の事情がない限り、認められているものでございます。
○林紀子君 その約款といいますのも細かい字で書いてありまして、なかなかそれを全部読み通して、全部理解してというふうにはなっていないというのが状況だと思いますし、外国の例も見てほしいと思うわけです。 例えば、アメリカでは立法で、いわゆる五十ドルルールというのがあるということです。預金者の過失の有無を問わず、預金者は原則として事故につき銀行に通知する以前の五十ドル以下の損失しか負担しないと。また、イギリスでは銀行界による自主規制ルールで、顧客の損失負担を事故を通知する以前の五十ポンドまで、こういう対応をとっているということなんですね。 こうしたルールを確立している背景を見ますと、暗証番号の管理というのはかなり困難なことなのではないか、そしてこれを個人の責任に負わせるということも非常に難しいんじゃないかというふうに思うわけです。暗証番号は、入力時に盗み見されるという可能性もあるわけですし、そうしますと暗証番号が偽造されやすいということもあるわけですし、それだけに依存して、暗証番号はもう預金者の、顧客の責任だよということに全部かぶせてしまうというのは無理があるのじゃないかと思いますので、こういった外国の事例なども研究して今後対策を考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(田口義明君) お答えいたします。 キャッシュカードの盗難被害者の保護あるいは不正使用の防止のための対応でございますが、各金融機関におきましては、預金者の被害につきまして一定の限度額の範囲で補償する保険に入るなどの対応がとられてきております。 また、カードの暗証番号の取り扱いの問題でございますが、この点につきましてはまさにカードを取り扱う上で極めて重要な問題でございますので、預金者に対しても十分その重要性を認識して取り扱われるように、カードと同じところに暗証番号がわかるような取り扱いをしないようにといったような注意喚起等の広報活動も行われております。また、全銀協におきましてもICキャッシュカードの標準仕様といったようなものを制定いたしまして、セキュリティー等にすぐれたICカードの普及への取り組みも行われているところでございます。 金融庁といたしましても、こうした各金融機関や業界団体の取り組みが一層進められますよう、十分注視しているところでございます。
○林紀子君 暗証番号というのは、確かに誕生日やそれから電話番号などは使わないで注意しろということはかなり呼びかけられていますよね。しかし、暗証番号を設定してもそれを自分が忘れてしまってはどうにもならないということで、自分自身も覚えやすい、そういうものを設定しようとなると、どうしても今言ったような電話番号だったり誕生日だったりというようなことになりやすいんだと思うわけですね。 金融庁の金融トラブル連絡調整協議会の座長も務めていらっしゃる東京大学教授の岩原紳作さんという方が論文で諸外国の事例、今紹介したようなことも紹介しながら、各国における立法、自主規制ルール、約款に倣って、我が国においても消費者EFT取引については無権限取引につき損失負担の制限を消費者たる預金者に認めるべきではなかろうかということをおっしゃっておりますし、カードや暗証番号の管理や設定を厳格に行うことを消費者に要求することは困難が伴うということも指摘しておりますので、ICカードというお話もありましたが、新しいものがいろいろ研究されますと、またそれを追いかけてそれを何とか破っていく、そういうような偽造の技術というのもまた考え出される、イタチごっこというか追いかけっこというか、そういうことにもなっていくと思いますので、これは消費者を守る、預金者を守るということから、今のような対策というのは今後も引き続きぜひ検討していただきたいと思いますが、お答えいただきまして、終わりにいたします。
○政府参考人(田口義明君) 先生御指摘の暗証番号の管理の問題、大変重要な問題でもございます。したがいまして、広報等に引き続き努めていくということが大事ではないかというふうに考えております。 また、銀行におきましても、この暗証番号の取り扱い、忘れてしまったといったような場合の変更ができる体制をとる。ただ、その際に悪用をされないように厳格な管理のもとで暗証番号の変更をするというような対応もとられておりますので、金融庁といたしましては、そうした取り組みを十分注視してまいりまして、さらに促してまいりたいと考えております。
○林紀子君 暗証番号の注意喚起、呼びかけというのはひとつ大事なことだと思いますが、金融庁としてはそれをもっと進めて、やはり先ほど御紹介いたしました五十ドルルールというようなものも日本でもぜひ適用していく、そのことをお考えいただきたいということを重ねて申し上げまして、終わります。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。 きょうは、刑法改正については二点お聞きをいたします。 まず第一に、量販店等で使用されているいわゆるポイントカードなどは本改正案の対象に含まれるのでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) いわゆるポイントカードは、これは商品等を購入した場合にそれに応じて割引を将来するという、そういう得点を蓄積する、そういう性質のカードと考えられるわけです。 そういたしますと、ポイントカードで蓄積されたポイントと申しますのは、その範囲内で割引を受けられるということで、代金自体が下がっていくわけでございます。したがいまして、それを使うということは対価の支払いということにはならないわけでございます。したがいまして、本改正案では、支払い用カードは代金または料金の支払い用カードということになっておりますので、ポイントカードは支払い用のカードに当たらない、だから対象にならないということでございます。
○福島瑞穂君 わかりました。ポイントカードはたくさん持っている人もいると思うので、よくわかりました。 それで、次に、法定刑についてちょっとお聞きします。 偽造カード関係の処罰類型のうち、所持についてのみ他の処罰類型より刑罰が軽くなっている理由は何でしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 不正なカード、これは使用するときにもちろんその本来の危険が発生するわけでございまして、所持というのはいわば使用の前段階の行為ということから、それ自体ではまだ直接には不正カードの持っている危険というのが表に出ていないと。そういうことから法定刑を、使用あるいは不正に実際につくり出して危険をこの世の中に生じさせた、そういう行為に比べて軽くしていると、そういうことでございます。
○福島瑞穂君 ただいまから三点、人種差別あるいはその人権上の問題についてお聞きをしたいと思います。 ことしは何の年かといいますと、国連が決めた人種主義、人種差別、排外主義及び不寛容に反対し、力を合わせて行動する国際年です。同じテーマで国連主催会議が八月、南アフリカのダーバンで開催をされるという人種差別を撤廃する年がことしです。 ところで、例えば今、牛久市の法務省東日本入国管理センターに収容されているクルド人男性、トルコ国籍の四人が難民認定などを求めてハンガーストライキをしているというふうに聞いております。 一人のアリさんは、アリという名前の方なんですが、三月末からハンガーストライキに既に入っているということで、体重が二十キロあるいは三十キロぐらいも減っているというふうにも言われておりますが、現在どういう状況でしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。 委員お尋ねの件でございますが、四名というお話でございますけれども、被収容者三名が四月二十日から官給食を摂取しないという状態が続いておるということでございます。 具体的にアリさんというお話でございましたけれども、私どもの方では、委員お話しのような、体重が落ちたとかそういう状況は承知しておりません。健康上、特に問題があるという話は聞いていないというふうに承知しております。
○福島瑞穂君 四月末から三人がハンガーストライキということで、ハンガーストライキをやって体重が減らないということはないと思うんですが、どういう状況でしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) 体重が減ったというふうに、そのままだというふうに申し上げているわけではない。健康状態として特に問題がないというふうに承知していると、こういうことでございます。
○福島瑞穂君 済みません、体重は減っていないのでしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) その点については、申しわけございませんが、体重のところまで承知しておりませんので、またその辺のところは調査いたしまして、どういうふうな体重になっているのか、委員の方にお答え申し上げたいと思いますが、今、私はその辺のところは承知しておりませんので、申しわけございません。
○福島瑞穂君 三月末からハンガーストライキに入っている人はいないのでしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) 私どもは四月二十日だと聞いております。 ただ、もともと五人がいわゆるハンストという、官給食をとらないというような状態だったものが、現時点では三名ということでございます。残りの二名につきましては既にそういう状態ではないと聞いておりますので、その者については、日時についてはちょっと今、私は承知しておりませんが、現状はそういうことでございます。
○福島瑞穂君 四月末からハンガーストライキに入っているということで、非常に今どういう状態なのか心配をしています。 ところで、難民認定についてなのですが、今、難民認定の状況というのはどうなっているのでしょうか。これは一般論で結構です。
○政府参考人(中尾巧君) 委員お尋ねの御趣旨がちょっと私の方で理解できないところで、まことに申しわけございませんけれども、難民認定の全体の状況をお尋ねなのか、この今、委員のおっしゃっている方の話……
○福島瑞穂君 いや、一般的な。
○政府参考人(中尾巧君) 一般的なことでございますか。 難民認定につきましては、昭和五十七年からそういう制度を取り入れて対応しているところでございますが、最近の難民申請の数は年々ふえておりますけれども、難民認定のされる数も徐々にはふえておる状況でございます。 ただ、不認定になった場合でも、特別在留許可等を与えて実質的に在留資格を与えるケースがございますので、トータルで見ますと、従前に比べまして、そういう形で人道的な配慮で在留許可を与える者、あるいは難民認定を受ける者の数が最近はふえておる、こういうような状況でございます。
○福島瑞穂君 いや、まだまだ少ないというふうに人種差別撤廃委員会からは言われておりますが。 次に、クルド人の難民認定がどうなっているかについてお聞かせください。
○政府参考人(中尾巧君) 従来から、私どもの方で、特定の者からの難民認定の申請とか在留特別許可の可否については、それぞれのプライバシーにかかわる問題でありますし、難民という申請をされていることでございますので、それぞれの方の生命、身体の安全の確保等々の関係から公表しておりませんけれども、一般論で申し上げますと、申請者が難民条約及びその議定書に定める難民の定義に該当すれば難民として認定している状況でございますし、退去強制手続の中で、難民認定上の難民でないというような場合にありましても、その国の事情等々、諸般の事情を個別に判断いたしまして、人道上の観点から在留特別許可を与えるケースもございます。
○福島瑞穂君 私が知りたかったのは、例えば難民認定を申請される人は、ビルマの人であったりクルド人であったりいろんな人がいるわけです。クルド人に関しては、例えば民族迫害的なものがトルコの中で行われているとも言われております。その関係で、日本の法務省がクルド人について難民認定をする際に考慮していること、考えていること、それを教えてください。
○政府参考人(中尾巧君) その点でございますけれども、個々の国情、それぞれの民族、それぞれの事情がございますので、そういう点を個別に判断して対応しているということで御理解願いたいと思います。
○福島瑞穂君 質問通告でクルド人の難民認定についてということで申し上げているんですが、つまりクルド人の人たちの例えば民族迫害という問題があったとしたら、難民認定をする際に、個々のケースでありながらクルド人という問題というのも出てくると思うのですが、法務省はそれをどう判断していらっしゃるんでしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) 基本的に、今、委員お話しのクルド人という特定の者だから、一般抽象的にどうだという判断は私どもはしていない状況でございます。 トルコ国内でのそれぞれどういう状況で難民条約上の言う迫害のおそれとか、個々のトルコ国内でのいろいろな事情等を個別に判断して対応している、こういうことでございます。
○福島瑞穂君 具体的にどういうふうに判断していらっしゃるんでしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) これは個別の案件でございますので、その個別の案件に応じて、個々の方々の迫害されるおそれという、そういう観点で申し立てる内容について個別に判断する、こういうことでございます。
○福島瑞穂君 クルド人をどう考えているかについて、要するに個々の人たちによって濃淡やいろいろあることはわかります。しかし、民族迫害という問題は、個々の人がどういうのかと関係なく、ある民族に属しているということで迫害を受けるわけですから、その点についてはどうですか。
○政府参考人(中尾巧君) 私どもの方で、トルコ国内の実情等々については、いろんな書物あるいはいろんな関係機関等を通じまして、いろいろ情報収集して国内の事情を勘案していることは間違いないところでございます。 したがいまして、トルコの中のクルド人の実情については私どもは私どもなりに把握しているところでございます。例えば、PKKというクルディスタン労働党等々のそういうものに対するトルコ政府の対応等々も含めまして、そういういろんな情報を含めてそれなりに対応しているということで御理解願いたいと思います。
○福島瑞穂君 どういうふうに判断していらっしゃるかがちょっとわからないんですよね。 今までクルド人の難民認定を認められた人は何人いますか。
○政府参考人(中尾巧君) この問題につきましても、従来からどの国のどういう方が難民認定を受けたかということは、私どもの方は先ほど申し上げた事情から公表していないのが実情でございます。 先ほど申し上げたように、特定の国の方がどういう数で難民認定されるかということを公表することによって、その方々の生命の安全あるいはプライバシー等にかかわり、それぞれの関係で影響を持つということでございますので、従来から公表は差し控えているのが実情でございます。
○福島瑞穂君 大臣、珍妙なる答弁が出まして、難民認定に際して国名が明らかにできないと。もし、クルド人というのが差し支えがあるならトルコ人でも結構です。どういう人たちがどれぐらい、例えば去年でも結構です、難民認定されたか明らかにできないということそのものは、日本は難民認定の制度が入管法上あるわけですから、全く不可解です。 どうしてその国籍を言えないんでしょうか。大臣、どうですか。
○政府参考人(中尾巧君) これは従来から国籍、例えば我が国で非常に数の少ない場合、そうするとその国籍を言うことによって基本的にその者がそういう形で難民認定されたということが明らかになるおそれがございます。そのことによって、そのことが本国に連絡されるおそれももちろんございます。 そういうことで、個々の国籍等については申し上げておりませんけれども、難民認定のトータルの数については、毎年どのぐらいの申請が、例えば平成十二年で申し上げますと、申請数が二百十六の申請があったとか、それに対して認定が二十二が認定をしたとか、そういう形のことは私どもの方で公表しております。その限りでお許し願いたいと思います。
○福島瑞穂君 インドシナ難民の人が何人いたとかいう統計を見たことがあるんですが、いつから公表しないんでしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) これは従来から公表していないと承知しております。
○福島瑞穂君 ちょっと貴重な時間がもったいないのですが、難民認定の個人の名前を言えとか、どういう事情でというふうなことを聞いているわけではないんです。国名、その人が所属していた国籍すら明らかにできない。ここの国会の中で、クルド人の難民認定、トルコの国籍で結構ですが、私たちにわからない、ゼロなのか、十なのか、二十なのか、それすらわからない、三なのかもわからないということそのものが、私たちが難民認定が適正に行われているかどうかを判断する根拠すらないわけですね。答えてください。
○政府参考人(中尾巧君) 先ほど申し上げたとおりでございますが、委員御指摘の理由も私自身理解できなくないわけであります。もちろん、その数の多さ、少なさの問題等がございまして、従来からそういう取り扱いをやってきたわけでございますけれども、委員御指摘の国籍の点について明らかにすべきかどうかということについては、ちょっとお時間いただいて検討させていただきたいと思います。
○福島瑞穂君 今検討したいということだったので、ここでストップしないで検討してください。難民の国籍すら明らかにしないということは、やっぱり非常に秘密主義でおかしいというふうに思いますので、ぜひ検討をお願いいたします。 次に、仮放免の運用基準の現状について教えてください。
○政府参考人(中尾巧君) 退去強制手続につきましては、収容して行うことが基本的に原則でございます。 委員お尋ねの仮放免の関係でございますけれども、これはあくまでも一般論ということで申し上げざるを得ないわけでありますけれども、被収容者の情状とか、それぞれの仮放免を請求される理由とかあるいは資産等々、個々の具体的な事情を総合的に判断した上で許可、不許可というものを決定するようにしているわけでございますし、これらの事情は基本的には個々の案件ごとに異なるため、仮放免の可否について一般的な基準というものを設けていないのが実情でございます。
○福島瑞穂君 ぜひその基準をもう少し明らかにしていただきたいのです。 さっきから私も言っているアリ・アイユルディスさんは、入管での収容が二年三カ月、逮捕時から計算すると三年二カ月、オーバーステイに対する刑罰は最長三年の懲役ですから、はるかに長い拘束となっていると。確かに、本人をすぐ本国に帰すというのもなかなか難しいでしょうが、外国人の収容施設での収容の期間が例えば三年近くなるとかいうことそのものが非常に長いと思うのですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) 私どもといたしましても、収容場も限られておりますし、できるだけ収容期間を短くして、退去強制になった者については速やかにそれぞれのところへ送還するということをしたいわけでございますが、いろいろな事情でその辺のところができない方も出てまいります。そういう関係上、二年を超える収容者も当然出てくるのが実情でございます。 一概にその辺の期間について、何年がどうのこうのというものでもございませんので、その点、御理解をお願いしたいと思います。
○福島瑞穂君 拘束が長期になった者への配慮を法務省はどのようにしていらっしゃるでしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) 具体的な配慮ということでございますけれども、それぞれの事情に合わせて配慮していると私どもの方で言わざるを得ないとは思います。具体的にどうだという話になりますと、ちょっとここでお答えするのは、私の方でそれだけの御用意はございません。
○福島瑞穂君 難民認定手続と退去強制手続は本来別物ですけれども、難民認定をするとむしろ退去強制させられるとか、あるいは仮放免になって一カ月に一遍出頭すると、そこで退去強制の手続に入られてしまうと。どうも難民認定の手続と退去強制が連携をして、むしろ悪く作用しているのではないか、運用されているのではないかというふうにも言われていますが、この点はどうなのでしょうか。
○政府参考人(中尾巧君) 委員御指摘の関係でございますけれども、難民認定の申請と退去強制手続というのは別個独立のものでございまして、退去強制事由に該当する者が難民認定申請しておることが判明した場合は、当然二つの手続を並行して行わざるを得ないということでございます。 ただ、難民認定申請中の者が仮放免されている場合を委員の方で想定されているものと思われますけれども、やはりその者が、出頭時に難民認定申請の例えば不認定の処分の結果の通知を行い、あわせて同時に退去強制令書の執行ということはままあり得ることでございます。基本的には退去強制手続というのは身柄を収容した上でやるというふうになっておりますので、二つの手続を速やかにドッキングさせるということは実務的にあり得る話で、私どもとしては実務上特に問題はない、こういうふうに考えておるところでございます。
○福島瑞穂君 でも、速やかにドッキングされる結果、難民認定の申請をすると、自分を明らかにするわけですから、退去強制手続に入るとなれば非常にリスクが大きいわけですよね。言って退去強制手続になるかもしれないし、だけれども難民の認定の申請もしたいと。速やかにドッキングさせることが権利の救済を非常に阻んでいる面もあるということを申し上げたいと思います。 大臣、きょうは難民の認定の話や、外国人の収容施設でのことをちょっとお尋ねしたのですが、大臣としての御意見はいかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 今、局長からるる御説明申し上げましたとおり、現在、大変入管体制、いろいろな問題がございますが、できる限りの努力をいたしまして、適法に、人権を尊重しつつ業務が行われているというふうに思います。 いろいろ御指摘の点でまた検討し改善していくべきものもあると思いますので、それらを今後検討して努力していきたいというふうに考えます。
○福島瑞穂君 先ほど検討してくださるという部分もありましたので、今後また、現にハンスト中の人のことも含めて、仮放免の制度や難民認定制度についてこちらもいろいろお伺いしたい、改善を求めたいというふうに思います。 それで、五月八日付の産経新聞に、「日本よ」ということで、石原慎太郎都知事が原稿を書いています。衆議院の法務委員会でも問題になったのですが、かなり数字の上でも事実誤認があるようにも思います。例えば、「現に東京で最大の、重犯者用の府中刑務所は収容人員の限界は二千六百人だがすでに満杯で、服役中の外国人犯人数は五百人、内、中国人犯罪者は二百九人である。」とあります。 府中刑務所は外国人専用の刑務所だと思いますが、府中刑務所に収容されている外国人の割合はどれぐらいなのでしょうか。
○大臣政務官(中川義雄君) 府中刑務所は外国人専用ではありません。外国人も入っている刑務所であります。 現状を申し上げますと、平成十三年四月末現在で、外国人には二通りございまして、永住外国人とそれから来日外国人がおりまして、その全部を合わせますと全国で三千三百六十八人、府中には五百十九人で一五・四%であります。そのうち、先ほど言った日本人とは区別しなければならない、言葉だとか食生活だとか、そういう方々が全国では二千七十三人、府中刑務所では四百六十七人、二二・五%となっております。
○福島瑞穂君 つまり、東日本の場合は府中刑務所、西日本の場合は大阪刑務所に外国人受刑者の多くが収容されるわけですから、当然、府中刑務所は外国人の比率が高くなります。そのことを全く知らない人は、この記事を読むと、刑務所の中における外国人の比率がすごく高いのだと非常に誤解をしてしまうと思います。 また、問題なのは、「過日、知事として初めて警視庁を視察した時いろいろ印象的なものを目にさせられた」と。その中で、「被害者の割り出しのための死体修復技術の成果」なんですが、ここでこういうふうにあります。「捜査の過程でこの被害者が多分日本人ならざる外国人、おそらく中国人だろうことは推測がついていたという。その訳は、何だろうと日本人ならこうした手口の犯行はしないものですと。やがて犯人も挙がったが推測通り中国人犯罪者同士の報復のためだったそうな。しかしこうした民族的DNAを表示するような犯罪が蔓延することでやがて日本社会全体の資質が変えられていく恐れが無しとはしまい。」となっています。 つまり、だれが犯人か被害者かわからない段階で、これはこういう手口だから被害者も中国人、加害者も中国人だろうということを、この書き方によれば、警察庁側が言っているかのような、「という。」というふうな書き方になっています。 つまり、私がきょう申し上げたいのは、石原慎太郎さん自身の人種差別発言、その背後にある、中にある人種差別的な意識が人種差別撤廃条約から見てどうかという問題と、石原さんがなぜそういう発言をするかというもとに、警察庁が、話し方とか、警察庁自身の持っている、もしかしたら人種差別的な考え方を反映しておっしゃっているんじゃないかという、そのことを申し上げたいと思います。 きょうは、ちょっと時間になってしまいましたので、人種差別撤廃条約を日本が批准し、ことしは人種差別撤廃の国連の年です。その面から、今後この点の改善、ぜひよろしくお願いしたいと思います。 以上です。
○平野貞夫君 刑法の改正案、今回のものにつきましては、情報化社会の犯罪防止のために大変大事なことだと思いますので、ぜひひとつ早期施行を要望しておきます。この件に関しては要望だけにしたいと思います。 そこで、この問題に大きい意味で関係のあるハンセン病判決、控訴断念問題について、ちょっと時間をおかりしまして、再度、法務大臣とそれから法務省当局にお尋ねしたいんです。 法務大臣は二十五日の閣議後の記者会見で、控訴断念は国全体の高度な政治判断だったということをおっしゃったという報道があったんですが、事実でしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 一々の言葉を覚えておりませんが、そのような趣旨のことを申したかもしれません。
○平野貞夫君 これは行政本来の当然の判断というふうに考えられませんか。
○国務大臣(森山眞弓君) この件は、たびたびお答え申し上げておりますように、法律上は重要な問題が幾つかあるわけでございまして、本来ならばといいますか、法律上のことだけ申せば、控訴の手続をとって上級審の判断を仰がなければならないという考え方もあるわけでございます。 しかし、長年の間、元患者の方々が強いられてきました幾多の苦痛、人権じゅうりんの状況などを、お話を伺い、またいろいろと資料などを勉強いたしまして、その事情を考慮しまして、厚生労働大臣ともいろいろ協議をし、最終的には小泉総理の御決断によりまして極めて異例な判断としてあのような決定をしたと、そのようなことを申し上げたのでございます。
○平野貞夫君 そうしますと、控訴断念の法的正当性はないんですか。
○国務大臣(森山眞弓君) 法律上の問題点は残りましたけれども、政府としての最終的決定は当然、総理の御判断によるわけでございますので、それで正当な決定であるというふうに思います。
○平野貞夫君 それは行政の長としての、行政としての判断でしょう。
○国務大臣(森山眞弓君) そのとおりだと思います。
○平野貞夫君 認めていただいてありがとうございます。 といいますのは、これは基本的人権なんというものよりもうちょっと大きい人間の生存権あるいは人間の尊厳の問題なんです。これは政治判断とか超法規的判断とか恩義とかというもので判断されるようなものじゃないですよ。それは中世や古代の社会ならともかく、これは制度で補償されなきゃならぬ問題だと僕は思うんですよ。それを異例の判断だったとか、あるいは上級審の判断を仰ぐこととせざるを得ない問題だったとかといって総理談話で出すということは、自分のやったことを矛盾しているということを言うことでしょう。私は非常にここが問題だと思うんですよ。 尊敬する法務大臣の前で余りしつこいことを言いたくないんですが、日本人のやっぱり法意識の問題だと思うんですよ。当然でしょう。このことが政治的英断で処理されたりしていたら大変なことだと思うんですよ、これは。野蛮国ですよ。私はそれを言いたいと思います。 そこで、政府声明をつくるのに恐らく参加されたと思う都築審議官にお尋ねしますが、こういうのがありますね、政府声明の中に。「本判決は、故意がない国会議員の不作為に対して、法的責任を広く認めており」、「司法が法令の違憲審査権を超えて国会議員の活動を過度に制約する」ものと、だから法的問題があると、こう言っておるわけですが、国会議員の不作為に故意がなかったかあったかということはどう証明したんですか。
○政府参考人(都築弘君) 本判決におきましては、過失によるという認定になっております。
○平野貞夫君 いや、判決のことを言っているわけじゃないです。政府声明の中に「故意がない国会議員の不作為に対して、」云々という言葉がありますね、そのことを聞いているんです。
○政府参考人(都築弘君) ここで故意と申し上げているのは、六十年の判例が判示しておりますように、「憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて立法を行う」、このくだりをわかりやすくと申しますか、平たく申し上げたのが故意にということでございます。
○平野貞夫君 らい予防法を廃止しなかったこと、あるいは強制隔離する部分の規定をそのままにしていたということは、いわゆる国会としては、国会議員としては故意があったんですよ。その故意はどういう故意かといいますと、私は、これは自分が勝手につくった理屈なんですが、意図的な無関心という故意なんですよ。 それは、私は衆議院の事務局にいて、何度も不必要な法律の改廃、それから存在してはいけない法律の改廃をやるべきだということは、私は政治家に何度も言ったし、政治もそういう動き、特に佐藤内閣の行政改革のときにはそれをしようとしたんですよ。怠っていたんですよ、やっぱり。というのは、これは法務省のせいじゃないですけれども、それは高度成長、バブルとかいうようなものによって生きていた我々の責任なんですよ。だから、私はこの政府声明は非常にいかぬと思います。 それからもう一つ、「司法が法令の違憲審査権を超えて国会議員の活動を過度に制約する」ものという言葉が政府声明にありますが、これは国会の活動に対する政府の干渉じゃないですか。いかがですか。
○政府参考人(都築弘君) ここで申し上げているのは国家賠償法一条の適用の有無でございまして、国会における立法権限について申し上げているのではございません。
○平野貞夫君 余り長いことやるとあれなんですが。 そういう国家賠償の問題でも何でもいいですよ。要するに、大きなことでも小さいことでもいいんですが、問題は、司法権が国会に対して、きっちりとこういうことはおかしい、こういうことは違憲だということを今まで遠慮していたからと、こういうことに問題があると思うんですよ。大体、行政の人も司法の人も、表づらは国会をあるいは国会議員をこわもてして、さわらぬ神にたたりなしのような発想でもって、腹の中では何を考えているかわからぬようなことがずっとここ五十年続いてきたわけですよ。 この熊本のハンセン病判決は、しかっと言ったということです。ある意味でやっぱり司法と立法も緊張感を持たなきゃいかぬ。そのために僕は画期的な判決だと思っておるわけなんですが、政府声明がこういうふうにこの判決にけちをつけるということは私は非常にいかぬと思っております。 そこで、最後にしますが、私は、法務大臣にお願いしてもこれは無理かと思いますが、少なくとも小泉総理がコメントした「極めて異例の判断」という言葉と、首相談話の「上級審の判断を仰ぐこととせざるを得ない」という部分については取り消すべきだと思うんですよ。これは、これこそハンセン病患者、いろいろ悩まれた、あるいは元患者、家族に対する冒涜だと私は思っておりますということを申し上げて、終わります。
○委員長(日笠勝之君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 刑法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(日笠勝之君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(日笠勝之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(日笠勝之君) 弁護士法の一部を改正する法律案を議題といたします。 政府から趣旨説明を聴取いたします。森山法務大臣。
○国務大臣(森山眞弓君) 弁護士法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、弁護士を社員とし、弁護士業務を行うことを目的とする法人を設立することを可能にするためのものであり、弁護士業務の基盤を拡大強化することにより、複雑多様化する法律事務に的確に対応し、国民の利便性の一層の向上を図ることを目的とするものであります。 以下、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。 まず第一に、この法人の社員は弁護士に限るものとし、設立の方式については、準則主義によるものとしております。なお、その名称中には、弁護士法人という文字を使用しなければならないこととしております。 第二に、法人の業務範囲については、基本的に自然人たる弁護士と同様のものとしております。 第三に、法人の業務については、原則として全社員が業務執行権限及び代表権限を有するものとしておりますが、特定の事件について、法人が業務を担当する社員を指定した場合には、その社員のみが当該事件についての業務執行権限及び代表権限を有するものとしております。 第四に、弁護士法人がその債務を完済できない場合には、原則として全社員が無限連帯責任を負うこととしておりますが、特定の事件について指定がされた場合には、その事件に関し依頼者に対して負担することとなった弁護士法人の債務については、指定を受けた社員のみが無限連帯責任を負うものとしております。 第五に、弁護士法人は、従たる事務所を設けることができるものとしております。 第六に、弁護士法人は、弁護士と同様、弁護士会及び日本弁護士連合会の会員になるものとし、その指導監督を受けるものとしております。その他、所要の規定の整備を行っております。 以上がこの法律案を提案いたしました理由及びその概要であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○委員長(日笠勝之君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十一分散会