P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
151回国会参議院2001/06/19

農林水産委員会 第19号

発言数
216
登壇者
19
会派数
7
開催日
2001/06/19

会議録

太田豊秋自由民主党・保守党

○委員長(太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る十五日、久野恒一君、海老原義彦君及び千葉景子さんが委員を辞任され、その補欠として大野つや子さん、国井正幸君及び羽田雄一郎君が選任されました。  また、昨十八日、山下善彦君、森山裕君、野間赳君及び大野つや子さんが委員を辞任され、その補欠として金田勝年君、井上吉夫君、岩永浩美君及び佐藤昭郎君が選任されました。     ─────────────

太田豊秋自由民主党・保守党

○委員長(太田豊秋君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  水産基本法案、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の一部を改正する法律案、漁業法等の一部を改正する法律案、以上三案の審査のため、本日の委員会に農林水産大臣官房長田原文夫君、農林水産省総合食料局長西藤久三君、同生産局長小林芳雄君、同農村振興局長木下寛之君、農林水産技術会議事務局長小林新一君、水産庁長官渡辺好明君、文部科学大臣官房審議官玉井日出夫君、文部科学省研究振興局長遠藤昭雄君、厚生労働省健康局長篠崎英夫君及び同医薬局食品保健部長尾嵜新平君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

太田豊秋自由民主党・保守党

○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

太田豊秋自由民主党・保守党

○委員長(太田豊秋君) 水産基本法案、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の一部を改正する法律案、漁業法等の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

岸宏一自由民主党・保守党

○岸宏一君 おはようございます。自民党の岸でございます。  今国会の我が農林水産委員会、重要な法案がメジロ押しでございます。  この水産基本法につきましては、衆議院では二十四時間の審議を経て全会一致でこちらに回ってきたというふうに聞いておりますが、さらに我が農水委員会でも大変慎重な審議を重ねつつありまして、いよいよきょうでこの法律の質疑については終局すると、こういうところまで参ったわけでございます。  その間、議論を聞いておりまして、また同時に参考人の意見などをお聞きいたしまして、この水産基本法の重要性なり、あるいはこの基本理念についてどうするかとか、さまざまな問題点が浮き彫りにされたと言ってもいいかと思います。と同時に、また、参考人の皆さんの御意見を聞きますと、非常に切実な生の声というんでしょうか、現場の声を聞くことができまして、非常に強い印象を実は受けたわけでございます。  その中から、特に皆さん共通してお話しになりましたことは、この水産基本法は平成十一年の八月の水産基本政策検討会の報告、さらに十二月の水産基本政策大綱、水産基本政策プログラム、こういったものをもとに日本の水産に関係する大勢の関係者の皆さんや団体の皆さんの意見を収れんしながらこの立派な法案をつくるに至った経過については、おおむね皆さんから、農林省側の努力、こういったものについて理解があったというふうに感じた次第でございます。  さて、そういう中で、特に、皆さん、問題点としてどんなものを挙げたかということをいろいろメモしてみたわけでございますけれども、やはり今の漁業の実態というものが非常に困難に直面していると。魚の収穫量が下がる、値段が下がる、あるいは後継者が不足している、それから国際問題、安全操業に係る国際的な問題などなどがあって決して楽観できない、そういう情勢下にあると。そういう問題点を、この基本法が今後どのような形で具体的な政策を打ち出し、それらの困難を克服していくか、また、していっていただきたいかといった点が皆さん共通して強調された点であったように私は考えておるわけでございます。  そこで、これは副大臣からお答えいただきたいわけでございますけれども、一つは有限の資源の持続的利用に係る基本的な課題、これをどう解決していくか、また資源の回復計画というものが非常に重要なかぎとなるというふうに思うわけであります。それからさらに、資源の積極的な培養というんですか、要するにただ単に漁獲量を減らすということのみではなくて、もっと一歩進んで、つくっていくという、そういう方法、こういったものを推進していかなきゃならぬという強い思いが感じられたわけでございます。  まず第一に、ただいまの点について、今後この法律が成立いたしました後、どのように具体的な政策を展開しようとなされているのかという問題ですね、これをひとつお答え願いたいと思います。  それからついでに、その際、内水面というものもこれはあるわけでございます。  実は、私は山形県の出身でございまして、どうしても海じゃなくて、私は山国の生まれなものですから、内水面漁業ということがいつも頭から離れないわけでございまして、特に山形県は最上川という川が流れておりまして、その川の本流、支流にかかわらず、アユとかさまざまな魚が人々を楽しませ、また暮らしの糧としているということもございます。田中副大臣の地元は新潟でございますから、新潟では何かニシキゴイで大分もうけているという話も聞いておりますので、そういう点で内水面漁業が果たす役割も決して小さくないと思うんですね。そういう点も含めて、ただいまの問題点についてのお答えをちょうだいしたい。  それから、全部並べて申し上げますので、まとめてお答え願いたいと思うんです。  それと、参考人の御意見で非常に大きな問題点として挙げられておりましたのは、担い手の問題でございました。担い手の確保ということが大変である、高齢化しつつある、こういうことがすべての方々から指摘されたように記憶しております。  これは、農業基本法の議論でも大いに出たわけでございますが、非常に似たような問題点ではあろうかと思います。しかし、話を聞きますというと、農業面よりももっと何か異業種からの新たな参入があると、沿岸漁業を中心ということでございましょうけれども。そういう問題も、今後法律ができました後に、恐らくは具体的な施策をどんどんと展開していかなきゃならぬ、こういうふうにも思うわけでございます。  それから、もう一つ感じましたことは、法律の第四条にもございましたけれども、「国は、」「基本理念に関する国民の理解を深めるよう努めなければならない。」と。国民と水産、漁業とのかかわり、これをより一層緊密にすることによってさまざまな問題を解決できるというふうに読み取らなければいけないし、また、私たちはそのようなことを念頭に置いて今後の水産政策を展開していく必要がある。  これも、農業問題でも同じようなことが言えますけれども、私の同僚の森下議員も質問しておりましたが、どうも農業よりも漁業、水産にかかわる国民的理解というのは低いのではないか。もっとも、これは漁業に携わる方々の人数が少ないということもあるわけでございましょうけれども、こういう面から見ましても、多面的機能をアピールするにしましても、理解していただくにいたしましても、都市と漁村の交流を進めるということも書いておりますけれども、そういうものを進める上でも、どうしても国民に水産基本法の精神、水産が我が国における大きな地位を占める意味合いを今後積極的に進めていかなきゃならない、こういうふうな気持ちもするわけでございます。  どうぞ、こういう点を含めて副大臣から、あるいは政務官、水産庁長官、それぞれ分担されてひとつお答えを願いたいと思います。

田中直紀自由民主党・保守党農林水産副大臣

○副大臣(田中直紀君) 武部大臣が午後から出席ということで、私、そしてまた大臣政務官、水産庁長官からお答えをさせていただきたいと思います。  岸先生からの多岐にわたる御質問でありますので、それぞれお話を申し上げたいと思いますが、基本法あるいは関連法の制定に伴いまして具体的な施策はいかに行われるか。参考人の皆さん方の現場の声も伺いまして、大変困難な水産環境にある、早急に施策を講じるべきだと、こういう真剣なお話も私は委員として拝聴させていただいたわけでございます。  御存じのとおり、水産基本法第二条におきましては、水産物の安定供給の確保を図る、また第三条におきまして、水産業の健全なる発展をするということで理念をうたっておるところでございます。四条から八条におきましては、国あるいは地方自治体の責務を述べられておりますし、また水産業者の皆さん方の努力、あるいは消費者の皆さん方の役割というものも基本法の中にうたわれておるわけでありますから、国民的な課題として早急に対策を講じるということになるわけでございます。  したがいまして、委員から御指摘のあります、資源の管理をして守り育てる漁業の推進を図っていく、あるいは意欲と能力を持つ担い手の育成確保、そしてまた消費者ニーズに即した水産物の供給体制の整備を図っていく、あるいは漁港、漁場等の水産基盤の一体的な整備、さらに都市と漁村の交流の促進等、具体的な施策を、国としても、あるいは地方自治体の皆さん方にも御協力をいただいてしっかりとした方針を、基本計画を提示させていただいて、農業でも食料自給率の向上というものが果たされるわけでありますが、その中にあっても水産物の自給率の向上も大切な課題でありますので、漁業生産量の目標を提示いたしまして、各般にわたって関係者の皆さん方に御協力、御努力をいただこうという手はずになっておることを御理解いただきたいと思います。  その中で、資源管理が大変重要であるという御指摘でございます。  今回、漁業法あるいは海洋資源管理法、いわゆるTAC法におきまして資源管理の枠組みが整いますので、したがいまして、関連法案も含めて、基本法と相まってしっかりした資源管理をしていきたいというふうに思いますし、漁業者の皆さん方にも御協力をいただきまして、TAC法に加えて、いわゆる漁獲努力目標といいますか、操業の態様だとか操業日数の問題も含めて御協力をいただき、また御相談をいただいてしっかりした資源の管理を、TAEという新しい制度も設けたわけでありますから、多くの魚種が資源管理の対象としてしっかりとした魚価の安定を図りながら操業ができるような、そういう対応をしていきたいと思っております。  また、栽培漁業についてのお話がございました。  つくり育てる漁業は大変重要な分野でございまして、国といたしましても栽培センター、試験場をしっかりと確立をいたしまして、新たな栽培漁業の可能性を切り開いていただいて、そして地域の皆さん方にも放流をしていただきながら、水産業の発展の一助にしていただければありがたいと思っております。  それから、内水面のお話がございました。  六百六十万トンのうち、生産量といたしましては十三万四千トンの水産業としての貢献があるわけでありますが、漁業のみならず、地域のレクリエーション等を通じたいわゆる都市との交流ということで地域の活性化に大変貢献をいたしておりますし、また自然環境の保全に寄与するわけでありますので、大変重要な役割を果たしておるというふうに認識をいたしております。したがいまして、内水面の漁業振興におきましても、基本法の十六条で、国は環境との調和を配慮しながら増殖、養殖の推進を図っていく、こういう分野の中で内水面の漁業も地域の活性化のために果たしていく役割は非常に大きいわけでありますので、力を入れていきたいと思っております。  最近、生態系、ビオトープというような分野の研究が大変進んでおるわけでありまして、水産業におきましても環境との調和というものが大変重要であるというふうにうたわれております。したがいまして、私は、内水面のいわゆる対策の中にやはり進めて、生態系の研究をして、そしてまた、いわゆる水産業全体の中の、いかに環境との調和を図っていくかというような分野をこの分野で手がけながら広範囲に活用ができるような、そういう体制を私自身は組んでいくべきではないかというふうに思っておりますし、そういう面では、身近な皆さん方に楽しんでいただくようなこともあるわけでありますので、しっかりと漁業者とあるいは遊漁者の皆さん方とのすみ分けといいますか、共存共栄の環境をつくり出すのがこれからの重要なことではないかというふうに認識をいたしております。  それから、担い手の確保でございます。  統計上からいいますと、いわゆる収入は一般のレベルに比べてそんなに低くない、そういう面では九割あるいは九割五分の収入が得られてきておるわけでありますが、しかし、大変そういう面では安定した収入というものが若い方々にとかく不安なものになる。あるいは、漁業を営む、実際にやるということになりますと、いろいろな技術があるわけでありますから、後継者になられる方々にしっかりやはり後押しをしていくということが大事ではないかと思っておりますし、さらなる多くの皆さん方が漁業を初め水産業に携わっていただくという環境をしっかりとつくっていきたい、こういうふうに思っています。  最後になりますけれども、あと、大臣政務官あるいは水産庁長官からも補足をしていただきたいと思いますが、とかく水産業と国民の理解という問題がございます。  私は、食料・農業・農村基本法の対応の中で消費者の皆さん方にいろいろと御意見を伺いまして、私も私的諮問機関ということでこれからの食料及び農業、農村に対する消費者の御意見を伺ったわけでありまして、最近、原産地表示等の、そういう面では特産品というものが非常に浸透してきておるという中で、やはり若い方々が食及び農業、漁業に対する触れ合いが非常に少ない。やはり、小中学校において総合学習が始まるわけでありますから、この伝統ある第一次産業に大いに若いときから、子供のときから触れてもらう、そしてその認識を深めてもらうということが大きな課題ではないか。食農教育を小中学生のその課題の中にしっかりと織り込んでいただいて、そして、国民の食料として大事である水産業が我が国の伝統の産業として地域に根差していかなければいけない状況であるということを、さらなる認識を深めてもらうということが重要ではないかというふうに思っております。  大体網羅したと思いますが、大臣政務官と長官に補足をしていただきます。  ありがとうございました。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 副大臣から大要を申し上げましたけれども、周知徹底のところだけ大事な視点を二点補足させていただきたいと思います。  一つは、水産政策というのは非常に現場に近いところでの政策でありますので、これから周知徹底をするときに、浜の隅々にまで人を派遣し、あるいは情報を出して浸透させるということが大事だろうと思います。  それから二点目は、今回の基本法の中で消費者の役割というのを位置づけさせていただきました。自給率の目標もそうでありますけれども、食生活を健康的なものに持っていくという点がございますので、消費者に対するやはり啓蒙といいますか周知徹底というのは大事なことでありますので、これは水産基本政策大綱をつくりましたときにもやりましたけれども、消費者の方、消費者団体の方にも出向いていくなり、お集まりをいただいて、消費と生産の両面から基本政策、基本法が大事なものであるということを十分に認識をしていただきたい、そういうふうに考えております。

国井正幸自由民主党・保守党農林水産大臣政務官

○大臣政務官(国井正幸君) はい、(「栃木県、海がないんだよ」と呼ぶ者あり)海がない県から選出をされております。  ついこの間、私も実は我が地元を回らせていただきました。その中で、内水面漁業の関係でございますが、内水面というと私どもの地元なんかでは一つはアユがございまして、アユも養殖をして河川に放流をして多くの釣り人に楽しんでいただいておる、また郷土料理としてそれが食卓をにぎわせておる、こういう状況にもあります。また、ちょっと山地の方へ参りますと、河川を一定期間、一定区間借り上げまして、そこにイワナやヤマメ、マスなどを放流して、またこれは都市生活者を山村に呼び込む、こういうふうなことで、まさに都市と山村の交流、あるいはここでは都市と漁村の交流というものがうたわれているわけでありますが、内水面においてもそういう面では非常に国民の英気を養う、そういう面では非常に役立っているというふうに思っております。  そういう意味で、これからも、どうしても委員おっしゃるように漁業というと海ということに目が向きがちだというふうに思いますが、もちろん海は海の政策をきちっとやっていくことが重要でありますが、内水面漁業においても一層の環境保全に努めながら活性化を図って、都市とそれこそ山村の交流などにもこの内水面漁業を役立てていければなお一層よろしいんではないか、このように思っています。

岸宏一自由民主党・保守党

○岸宏一君 副大臣、政務官、長官、大変御丁寧な御答弁をいただきまして、ありがとうございます。  ちょっと水産庁長官にお伺いしますが、これから基本計画をつくると、それからさまざまな法律の制定なり改正なりということもスケジュールにのってこようかと思いますが、これらについてどのように長官として考えておられるか、ちょっとお聞かせください。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) まずは、基本法に基づいて基本計画を制定しなければならないわけであります。自給率の目標もその中に掲げたいと思っておりますけれども、これは十三年度中、来年の三月までには水産政策審議会の御意見を賜って策定をし、十四年度からの計画にしたいと思っておりますし、それと同時に、いわゆる資源回復計画、これを同時並行的に走らせなければなりませんので、それらにつきましても十三年度中に策定をいたしたいと思っております。  実は、資源回復計画の方が非常に難しくて、これに伴って減船とか休漁という事態が起こってまいりますので、この夏の概算要求までの間にいろいろなことを予算上の問題、施策上の問題としてやらなければいけないというふうに思っております。かなりピッチを上げてやりませんと間に合わないという状況でございます。  それから、残された課題が相当ございます。例えて申し上げますと、今、代表例は経営安定対策ですが、共済制度の問題、それから漁業協同組合の事業、組織の問題、信用事業の問題、そういったものをこれから十四年度にかけて俎上にのせ制度化をする、あるいは施策として出していかなければならないと思っておりますし、それ以外に、基本法の中に書きました漁業者以外の採捕、遊漁者も含めましてそういったもの、外来魚の問題等々が、この漁業本体の問題とは別に、詰めていかなければならない重要な問題と認識をしているところでございます。

岸宏一自由民主党・保守党

○岸宏一君 いずれにいたしましても、この水産基本法ができるという意義というのは我が国にとって非常に大きなものがあろうと思います。どうぞ、この水産基本法がしっかりと水産関係者の中に根づくばかりではなくて、国民の多くの皆さんから理解され国民生活の中に溶け込んでいくように、副大臣以下皆様方の今後一層の御努力を心からお願い申し上げ、日本の水産業の一層の発展を祈りまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。

渡辺孝男公明党

○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。  水産関連の三法の質疑に入る前に、緊急なテーマとしましてプリオン病、いわゆる狂牛病に関連しまして質問をさせていただきたいと思います。  スイスの製薬メーカーがプリオン病の感染原因と考えられている異常プリオンを少量のサンプルから短時間で検出する方法を開発したと、本年六月十四日の英国の科学雑誌ネーチャーに発表したと言われております。これに関連して、農林水産省、厚生労働省、そして文部科学省に質問をいたします。  では最初に、このネーチャーに発表されました研究の成果の応用によりまして、狂牛病にかかった羊や牛などから摘出された感染性の臓器が不法に材料として利用され、あるいは混入された食品あるいは飼料、肥料、医薬品、化粧品などがあった場合に、これらから異常プリオンを検出することが可能になってくるのかどうか、その可能性について文部科学省、農林水産省、厚生労働省にお伺いをいたします。

遠藤昭雄文部科学省研究振興局長

○政府参考人(遠藤昭雄君) お答えします。  プリオン病につきましては、我が国におきましても基礎的な研究を積み重ねておるところでございます。  今回のネーチャー誌に発表された新しい検出方法でございますが、これにつきましては、これまでよりも極めて少量のサンプルで検出できるとか、あるいは短時間で判定できるといった点で見るべき点があるというふうに考えておりますが、ただ、その実用性につきましては未知数であるというのが専門家の見方であるというふうに承知をしております。  また、先生御指摘の飼料とか肥料等につきまして今回の検出方法が適用できるのかという点につきましては、専門家にも伺いましたが、全くの未知数であるというふうに聞いておりまして、これを実用化するにはさらに感度で一けた、二けた以上の感度向上が必要であるというふうに承知をしております。

小林新一農林水産技術会議事務局長

○政府参考人(小林新一君) ネーチャー誌によりますと、発表されました方法は感度が高く、BSEに感染した牛の患部からのごくわずかのサンプルで異常プリオンを検出できるとのことでございます。これは一つの可能性を示すものであるというふうに思っております。  いずれにいたしましても、その方法の有効性なり実用性については確認することが必要でありまして、現在、独立行政法人農業技術研究機構の動物衛生研究所におきましてそのための試験を始めたところでございます。  なお、仮にこの方法の実用性が確認されたといたしました場合に、飼料や肥料に異常プリオンが混入している場合を考えますと、一般には牛の患部に存在している場合に比べましてごく微量でありますので、検出というのは技術的に困難ではないかというふうに考えますが、いずれにいたしましても、その点も含めまして鋭意検討したいというふうに考えております。

尾嵜新平厚生労働省医薬局食品保健部長

○政府参考人(尾嵜新平君) 御指摘の検査方法につきましては、今、両省の方からお答えがございましたような内容でございますが、厚生労働省としましても、この検査方法については、将来的には発症前の動物組織や体液から異常プリオンを検出できる検査方法の確立に向けた新しい可能性を示す検査方法というふうに認識しておりまして、今後この研究の進捗を注視していきたいというふうに考えております。

渡辺孝男公明党

○渡辺孝男君 今のに関連するんですけれども、もしこの研究成果がかなり有用だというようなことがわかってまいりました場合に、このプリオン病の研究に応用していただいて、研究をさらに進めてもらいたい、そのように思うわけであります。食品の検査あるいは検疫体制にこういう診断法が応用できればすばらしいというふうに私は思っておりますけれども、その点に関しまして厚生労働省そして農林水産省のお考えをお聞きしたいと思います。  日本には今のところ狂牛病の発症はないわけでありまして、外国からの輸入、外国からの侵入を防ぐということがメーンになるんじゃないかな、そのように思うわけでありまして、質問をさせていただきました。

尾嵜新平厚生労働省医薬局食品保健部長

○政府参考人(尾嵜新平君) 現在、先生御承知のとおり、欧州等からの牛肉等の輸入につきましては、狂牛病の我が国への侵入防止策をより確実なものとするために、本年二月十五日より食品衛生法に基づきまして輸入の禁止措置を講じておるところでございます。こういった状況で、狂牛病発生国からの牛肉等は輸入されておらないというのは御理解をいただいているというふうに思っておりますが、今後、輸入時に今御指摘のような試験検査の導入を検討するということになる際には、その段階で国際的にも確立された検査方法というものについて検討した上で対応するというふうに考えておるところでございます。

小林芳雄農林水産省生産局長

○政府参考人(小林芳雄君) 動物検疫の方でも、水際それから国内サーベイランスということで、この狂牛病の対策を一生懸命進めておりますが、今のお話のようなそういった新しい技術で早期発見が可能となることは、これは非常にそういった検疫上も有用でございますので、今後もこういった開発動向を見ながら、採用される際にはきちんと採用するということで臨んでいきたいと思っております。

渡辺孝男公明党

○渡辺孝男君 法律を守っていれば、あるいは検疫がきちんとしていれば入ってこないのが普通でありますけれども、アウトローといいますか、法律の定めに従わないような形で輸入といいますか、我が国に入ってくる場合もありますので、こういう検出方法があれば、非常に怪しいものといいますか、そういうものの検出にも役に立つんじゃないかなと思いますので、こういう研究をさらに進めてもらいたい、そのように思います。  次に、これは厚生労働省とそれから農林水産省にお伺いしますけれども、このような研究は、現在、人の病気として大きな社会的問題となっております新型クロイツフェルト・ヤコブ病の診断やあるいは狂牛病患畜の診断、特に潜伏期間中の診断に非常に有効だというふうに思われますけれども、このような診断法の開発等に今後どのような形で取り組んでいくのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。

篠崎英夫厚生労働省健康局長

○政府参考人(篠崎英夫君) 先ほどの研究成果につきましてでございますが、微量の異常プリオンを試験管内において短期間で増幅して検出する方法を確立しているというような研究成果でございましたので、クロイツフェルト・ヤコブ病の診断方法を確立する上でも有効なものであるというふうに認識をいたしております。  今後、厚生労働省といたしましても、当該研究を十分に踏まえまして、クロイツフェルト・ヤコブ病の早期診断方法の研究を推進してまいりたいと考えております。

小林新一農林水産技術会議事務局長

○政府参考人(小林新一君) BSEにつきましては、独立行政法人の農業技術研究機構の動物衛生研究所におきまして、今年度から早期診断法の開発ということで鋭意取り組んでおるところでございます。  その方法の考え方といいますか、一言で申しますと、抗原抗体反応を利用するものでございまして、開発に当たりましては、英国などの海外の研究機関の協力も得て実施しております。  お話しのネーチャー誌に報告されたこの検出法につきましては、先ほど申し上げましたとおり、その有効性なり実用性につきまして確認のための試験を始めたところでございますが、そうした結果も踏まえまして、BSEの早期診断法の研究開発に積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。

渡辺孝男公明党

○渡辺孝男君 厚生労働省にお伺いします。  狂牛病の異常プリオンが食品に入ってきた場合に、それを食した人がプリオン病になる可能性が否定できないということでありまして、狂牛病が多く発生しました英国等あるいはヨーロッパで長く住まれておられて生活をされていたという方は献血の場合の対象としないというふうになっておるわけであります。  それもやはり、万が一プリオン病が血液を介して、輸血を介して患者さんに、患者さんといいますか血液を使用する方にうつってしまっては困るという、大事をとってそういう処置をしているわけでありますけれども、これからこういう簡便な検査法が実現した場合に、自分も長く英国にとか滞在していて心配だというような場合に、こういう検査法が開発されれば、まず安心のために受けてみたい、そういう方も出てくるんじゃないかな、そのように思うわけでありますけれども。  そういう場合に、保険適用が可能になったり、あるいは何らかの、そういう国内での二次感染を万一の場合防ぐというような意味で気軽に受けられるような体制というのがあった方がいい、何らかの助成があればそういう不安を持っている方々も検査が受けやすいんじゃないかなというふうに思うわけでありますけれども、この点に関しましてどういうお考えを持っていらっしゃるでしょうか。

篠崎英夫厚生労働省健康局長

○政府参考人(篠崎英夫君) 今後、クロイツフェルト・ヤコブ病の今申し上げたような早期診断法が確立いたしましたら、その時点において検査体制についても検討してまいりたいと考えております。

渡辺孝男公明党

○渡辺孝男君 保険適用とかなんかは、その後の話になるかと思いますけれども、万一病気が起こってからでは大変だということで、そういう診断法ができれば、希望者には使いやすいような形で助成等を考えていただければ幸いと思います。  もう一つ、これは文部科学省にお聞きしたいんですけれども、プリオン病、いわゆる狂牛病の病原体と目される異常プリオンというものは、種を超えて伝播する、感染が起こる可能性が指摘されているわけでありますけれども、魚類も一応中枢神経系がありますので、こういうものにうつることがあるのかどうか、脳のプリオンたんぱくを持っていなければうつらないということになると思うんですが、その点はいかがでしょうか。

遠藤昭雄文部科学省研究振興局長

○政府参考人(遠藤昭雄君) お答えします。  プリオンにつきましては、哺乳類、鳥類、魚類、こういった間では全く異なるたんぱく質であることが知られております。これまで羊から牛、あるいは牛から人についてプリオン病の伝染性が知られておりますが、魚類と哺乳類の間の伝染性についての研究とかあるいは実態の報告といったものは、私ども、現時点では承知をしておりません。  なお、このプリオン病につきましては、文部科学省といたしましても、戦略的基礎研究推進事業とかあるいは科学研究費補助金というものなどによりまして、こうしたことの研究によって科学的な知見をもう少し積み重ねていくことがまずは重要ではないかというふうに考えているところでございます。

渡辺孝男公明党

○渡辺孝男君 まだまだプリオン病は非常になぞの病気でございまして、いろいろこれが実際に人に多く感染していくというようなことになれば大変なことになりますので、そういうものを防ぐためにも研究というものをきちんと推進していただきたいと思います。  それでは、本題の水産関連の三法について質問をさせていただきます。  文部科学省及び厚生労働省、どうもありがとうございました。結構でございます。  では、水産基本法及び海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の一部を改正する法律案並びに漁業法等の一部を改正する法律案に関連しまして質問をさせていただきます。  六月十一日に我が国に国連食糧農業機関、FAOのディウフ事務局長がおいでになりまして、小泉総理と会談をされた。そのときに小泉総理は、人口・食料問題に積極的に取り組む考えを示し、低い食料自給率を高める責任があるというように発言されたと新聞に載っていたわけでありますけれども、もう少しこの会談内容につきましてお伺いできればと思います。そしてまた、水産資源の管理や水産物の自給率に関しての話があったならば、その点も御紹介をいただきたいと思います。  田中副大臣、よろしくお願いします。

田中直紀自由民主党・保守党農林水産副大臣

○副大臣(田中直紀君) 六月十一日にディウフ事務局長、FAOの事務局長の方の訪問を受けまして、総理との会談が行われました。  ことしの十一月に、五年ごとに行われております世界食糧サミットの会合の重要性ということのお話がございまして、小泉総理にぜひ出席をしてもらいたいという要請がございました。我が国がFAOに果たすべき役割も大変大きいわけでございますし、また日本が農業問題についてあるいは輸入という側面からも大変果たすべき役割がございますので、出席をして世界に向かってメッセージを出してもらいたい、こういう強い要請がございまして、小泉総理も大変そういう面では真剣に受けとめておるという状況であったと聞いております。  また、その中で、第一のFAOの目的でございますけれども、貧困国のいわゆる栄養不足人口、世界で八億人と言われておりますが、二〇一五年には四億人に削減をしようという大きな目標を掲げておるわけでございまして、大変そういう面では重要な役割を担っておりますが、近年諸外国の援助も減少してきておる、こういう状況でございますのでその目標がなかなか思わしくない、こういう状況もあって大変危機感を持っておられるというお話でございました。  その中で、若干つけ加えさせていただきますと、貧困国がアフリカに多いわけでありますが、いわゆる水の管理能力を持つ農地というものが非常に少ないという御指摘がありました。あるいは小規模の技術移転でもいいわけでありますが、そういう技術移転をして自立していくという方向に行くべきではないかというお話もありました。それから、農業部門への援助もODA援助の減少の中で減少してきておるということを心配されておったようでございます。紛争の問題、当然影響があるわけでありますが、そのような四点の問題がございました。  小泉総理からは、世界の食料問題については大変大事であるという認識を発言されまして、我が国も食料の自給率の向上というものをしていかなければいけないという事態でありますけれども、諸外国との関係については、しっかりと喜ばれる援助として何ができるかということを検討しながら対策を講じていきたいという御発言があったというふうに伺っております。

渡辺孝男公明党

○渡辺孝男君 今のお話ですと、水産関係のお話はなかったようなことでありますが。

田中直紀自由民主党・保守党農林水産副大臣

○副大臣(田中直紀君) 済みません。もう一つだけありました。水産関係のお話がありました。  いわゆる技術移転の中で、これはどういうことわざなんでしょうか、言葉なんでしょうか、魚を与えるより魚の釣り方を教えるべきだという言葉があるということで、技術協力の中でやはり南南協力もございますが、そういう精神を持って技術協力をしてもらうということが大事ではないか、こういう話がありまして、そういう面では、この言葉について小泉総理も食料問題の要諦ではないかということの認識を持っております。

渡辺孝男公明党

○渡辺孝男君 この水産基本法の第二条では、「水産資源の持続的な利用を確保しつつ、我が国の漁業生産の増大を図ることを基本とし、これと輸入とを適切に組み合わせて行われなければならない。」、そのように述べられておりまして、自給率の向上を目指しているわけであります。  しかし、水産資源の持続的な利用を確保するためには水産資源の管理を強化しなければならない、そういう状況でありまして、今回の海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の一部を改正する法律案では、漁獲量の総量管理制度、TACに加えまして、漁獲努力量の総量管理制度を新たに創設するということになったわけでございます。  また、輸入のセーフガードに関しましても、なかなか日本だけの都合で発動できる状況にはなくて、やはり相手国との関係も重視しながら発動ということになると思うんですけれども、大変このように難しい状況の中で水産関係の食料自給率を高めていかなければならない、また資源も管理していかなければならないということでありますけれども、今回の水産関係の三法案改正を踏まえまして、我が国の漁業生産の増大と輸入との適切な組み合わせをどのように図っていく方針なのか、お伺いをしたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 先般の参考人の意見陳述の中でも触れられていた点でありますけれども、日本の二百海里というのは四百五十万平方キロということで世界第六位であります。そして、三大漁場の一つと言われておりますので、これをうまく使っていけば相当程度の自給率向上というのは可能だというのが私どもの考えでもございます。  ただ、この場合、当面、自給率の向上を目の前で実現するのではなくて、やはり五年、十年といった期間で望ましいところに持っていくというのが大事なんだろうと思います。TAC制度とTAE制度を組み合わせて当面は休漁や減船によって資源の管理をする、保存をするけれども、いずれそれが私どもの方に漁獲物となって戻ってこれる、しかもそれが持続的に行われるというふうなことが可能になるわけでございます。そういう状況の中で、今回の法律の中に「漁業生産の増大を図ることを基本とし、」ということに触れさせていただいたわけでございます。  ですから、これから基本計画の中で自給率の目標を掲げますが、当然のことながら生産の面では資源の適切な保存・管理、それから生育環境の保全、改善、海外漁場の維持開発、そして担い手の確保と経営の安定化ということが出てまいりますし、消費の面では、水産物の栄養特性等についての知識普及、さらには供給、消費の状況等に関する情報提供、生産と消費両々相まって自給率の向上は図られるというふうに考えております。

渡辺孝男公明党

○渡辺孝男君 水産資源の適切な管理というのが非常に重要でありまして、今回の水産基本法の第十三条の第一項では、資源管理の目標を、最大持続生産量を実現することができる水準に水産資源を維持または回復させる、この最大持続生産量に基づき漁獲量並びに漁獲努力量が決定されることになる、そのように述べられているわけでありますけれども、最大持続生産量の合理的、客観的な算出方法、そしてまたそれが本当に正しいのか、正しかったのかどうか検証する方法についてお伺いをしたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 御指摘のありました最大持続生産量、MSYでありますけれども、もちろんモデルとしては、余剰生産量モデルであるとか加入量当たり漁獲量モデル、さらには再生産モデルというのがありまして、この余剰生産量モデルによれば、自然の増加量のみを漁獲することによってMSYをずっと続けることができる、こういうことになるわけでありますが、実情は、MSYを把握するのは容易ではありません。もちろん、私どもはこれは、幾つかの繰り返しをしながら、往復をしながらやっていく話だろうと思っております。  大体の話は、漁獲量とか親子関係の科学的情報、こういったもので長期的にこれを集積いたしますと把握できるわけですが、実際にそれでは資源管理、TACなりTAEを設定して、その結果どれだけの漁獲があり、調査によってどれだけの資源が残っているかというふうなことを確認しながらフィードバックをして、最終的には資源の状態の変化をうまくモデルに乗せた上で、この最大持続生産量、MSYの実現を図るというプロセスを経ていくのではないかと思います。

渡辺孝男公明党

○渡辺孝男君 なかなか難しい計算になるんじゃないかと。常に、計算値が正しいかどうか、実態に合わせながら検証することが必要でありますので、いろいろこれからもより正しい数値を出していただいて、それを基準にさまざまな目標値を決めていけるようにしていただきたいと思います。  時間の関係上、一部質問を省きますけれども、水産基本法の第十三条第二項では、漁獲量及び漁獲努力量の管理その他の「施策が漁業経営に著しい影響を及ぼす場合において必要があると認めるときは、これを緩和するために必要な施策を講ずるものとする。」、なかなかわかりにくいんですけれども、緩和する措置があるわけでありますけれども、「漁業経営に著しい影響」とはどのようなことを想定し、また、その場合に必要な措置というのはどういうことを行うことを念頭に入れているのか、その点に関してお伺いをしたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 先ほど触れさせていただいたんですが、資源回復計画は年度内につくり上げて、そして十四年度からレールに乗せたい、こう思っております。そういう中で一番資源管理の方法として効き目のあるのは、減船なり休漁ということであります。もちろん、中長期的に見ますと、減船なり休漁によって資源が回復し、やがてはそれをふやした形でとることができるわけでありますけれども、当面は減船、休漁によって収入が減るわけでありますので、その減船、休漁による収入の補てんをどうするか、喪失する収入と言った方がいいかもしれません。このことについてやはり経営安定措置をこれから大至急仕組まなければならないということでございます。  もちろん、これまでも減船というのは幾つかパターンがあって、減船・共補償というふうなプロセスができておりますけれども、今回のようにTAEの制度で、しかも漁法横断的になりますと、一部残存する方々にのみ直接的にすぐに共補償をするというふうな制度だけで間に合うのかどうかという点がございますから、それらをこれから至急詰めたいと思っております。

渡辺孝男公明党

○渡辺孝男君 今のお話に関連して一つ質問したいんですけれども、先日、北海道の羅臼の漁港、それから根室の漁港に行ってまいりましたときに、これはただ単に日本国内の漁業の資源を守るというだけとはまた違った観点で外国との交渉があるわけでありますけれども、平成十二年度、昨年の日ロ地先沖合漁業交渉で今年のマダラ漁獲割り当て量が前年の八割も削減されてしまったということで大変経営的に困っておられるということでありまして、漁民の方々からは、マダラの資源回復のためにも、ロシアから大型のトロール船が来て資源を枯渇させているんじゃないかというような不安がありまして、そういう大型のトロール漁船の操業停止を求めていくように政府として取り組んでほしいというような要望が出されているわけでありますけれども、この点に関しまして農林水産省はどのようにお考えでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) マダラの問題と、それからロシアの大型トロールの問題と、この二つ御指摘があったわけであります。  マダラの問題につきましては、御指摘がありましたように、前年比一挙に八割減ということでありますので、当該地域の漁業者にとっては大変な打撃となっております。かなり高いレベルで、例えば森前総理からプーチンさんにということで、枠の追加ができないか、もう一度資源の状態について両国で話し合おうというふうなことを申し入れをしたわけでありますけれども、なかなか相手方はかたいというふうな状況にございます。さらなる配分はできないということでございますので、私どもは割り当て量の見直しにつきまして引き続き努力は続けますが、同時に、この大幅の漁獲割り当ての減少に伴う打撃を緩和するための各種の施策を今後、もう本当に時間は残されておりませんので、減船の枠組みを使ってやらなければならないというふうに思っております。  それから大型トロールの問題は、これは大変ゆゆしい問題でありまして、日本の非常に小型の船の前で、船といいますか刺し網の前でロシアの大型トロールが大量に底を引いていくというふうな形で、これは沿岸漁民にとっては死活問題であるという点から、強い抗議を申し入れております。ただ、やはり領土問題等も絡みまして、抗議に対する反応は鈍い。しかし、これからもしっかりとそうしたことを続けて、できるだけその地域ですみ分けができるようなことを最大限努力しなければならないというふうに思っております。

渡辺孝男公明党

○渡辺孝男君 ただ単に直近の国益云々というよりも、やはり資源の管理というのはお互いの国にとっても大事なことでございますので、資源管理という面で交渉をよくしていただいて、軒並みとってしまうというのじゃなくて、やはり資源を持続的に利用できるような形で交渉していただければと思います。  先ほどお話ししましたけれども、減船対策に伴う枠組みでいろいろ支援をしていくというようなお話がありましたけれども、直の漁業関係者ではなくて関連産業、例えばマダラに関係する食品あるいは運送業等も関連の産業がございますけれども、こういう方々も大変な打撃を受けているわけでありまして、これらに対する支援というのはどういうものが予定されているのか、あるいはもう実施されているのか、その点お伺いしたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) この問題は、当然のことながらその魚種によって形成をされていた地域の産業に対する影響もございます。それから労働者、雇用されている方々の問題もございます。そういう点から、先ごろ十五日に、国内対策のうち雇用対策といたしまして、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法に基づく政令指定が、地域指定でありますけれども、行われたところでございますし、中小企業庁あるいは厚生労働省とも、影響が緩和されるような対策につきまして、話し合いを続けているところでございます。

渡辺孝男公明党

○渡辺孝男君 そういう減船に伴って影響を受ける関連の業種の雇用対策に十分取り組んでいただきたいと思います。  次の質問に移らせていただきます。ワカメのセーフガードについて質問をさせていただきたいと思います。  我が国のワカメの養殖業は、三陸の海岸、特に岩手、宮城県が経営体数で全国の約五割強を占め、就業者数で八割を占めているということでありまして、最近の輸入ワカメ増加により経営が圧迫されておりまして、セーフガードに係る調査開始の要請が生産者の方々から求められておりまして、農林水産大臣も去る三月十四日に、関係大臣、財務それから経済産業大臣に調査開始の要請をされているわけでありますけれども、ワカメのセーフガード発動に関しての現在の検討状況はどのようになっているのか、お伺いをしたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) もちろん政府としてセーフガードのための調査開始を要請しているわけでございますので、その点につきましては財務大臣、経済産業大臣に対して申し入れをいたしましたから、関係三省間でどういう理屈立てでセーフガードの発動に至れるかということの論理の詰めを行っております。  それから、これと並行いたしまして、民間レベルで全漁連と中国側の民間団体との協議が行われてまいりました。先週、北京におきまして、日中両国のワカメ養殖業が持続的に発展をして消費者に安定的に供給をしていくことの重要性について双方の意見の一致が見られたところであると聞いております。かなりの進展と私どもも受けとめております。  このような民間での良好な話し合いが行われたことも踏まえながら、今後なお私どもといたしましては、しっかり監視をし、関連する情報を総合的に判断しながらセーフガードについては適切な対応を考えていきたいと思っております。

渡辺孝男公明党

○渡辺孝男君 現在、そういう輸入ワカメによりましてワカメの養殖業の経営者の方々は大変苦労されているわけでありますけれども、これに対する支援策としてはどのようなことが行われているのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) ワカメ養殖経営体、全国で七千三百でありますけれども、非常に小さいということで、一経営体当たりの取扱量が十一トン、百九十七万円ということでありますから、これはやはり何としても生産の効率化を図るための協業化への取り組み、それからコストを下げていくための省力化、自動化システムの開発への支援というのが大事だろうと思っております。御案内のとおり、ほとんど手作業というふうな実態でありますので、こういったことを踏まえまして、各種の資本装備の高度化、経営の安定化を図るための制度資金を措置しているところでございます。  また、共済制度につきましても、特定養殖共済による補てんが可能となっておりますので、加入の促進に努めてまいりたいと考えます。

渡辺孝男公明党

○渡辺孝男君 セーフガードを発動するという場合に当たっては、国内の産業の競争力強化のための構造改革が前提となるわけでありますけれども、今回のワカメの関係でありますと、今後、養殖業の経営体の競争力強化のために政府としてどのような予算をとり、どういう施策を行っていくのか、その点お伺いしたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) ただいま、これまでの取り組みをお伝えいたしましたけれども、申し上げましたように、ほとんどが小規模零細ということでありますし、手作業ということもございますので、まだまだ効率化の余地はございます。そういう点を踏まえまして、構造調整政策、競争力強化対策として、さらなる協業化の推進による生産体制の再編や作業の省力化、自動化という点につき、補助事業の活用等も含めてこの夏の概算要求あるいは来年度の予算に向けて内部で検討しているところでありますが、この問題は何よりも、地元の業界団体や経営者の方々がどういうものを要望するかということをきちんと受けとめて反映させることが大事でありますので、担当の課長などを現地に派遣いたしまして要望を聴取しているところでございます。

渡辺孝男公明党

○渡辺孝男君 いろいろ共同でやるような技術の開発、省力化等を行って、外国に太刀打ちできるような、そしてまた良質なワカメを日本の国でとれるようにしていくということが一番大事なんではないかなと思いますので、そういう支援のための施策を十分行っていただきたいと思います。  では、次の質問に入らせていただきます。  水産基本政策大綱では、実効ある水産資源の管理を進めるためには、やはり外国漁船や密漁の取り締まりを強化することが大事だということでありまして、関連省庁との連携と役割分担のもとで新海洋秩序に対応した外国漁船等の取り締まり体制の整備の充実を図りつつ、漁業管理制度の見直しの中で罰則の強化等の措置を検討し、結論を得るというようなことが述べられておるわけであります。  そこで、密漁の件で質問をさせていただきたいと思います。せっかく皆さんが資源管理をしようという努力をされているのに、密漁でその資源が失われてしまうのでは大変残念なことと思いますので、密漁の現状、検挙件数、それと最近ちょっと問題になっております暴力団絡みの悪質な、かつ組織的な密漁、そういうものが行われているのかどうか、どれくらいそういうことがあるのかどうか、その実態についてお伺いしたいと思います。それからまた、そのような悪質な密漁に対しての取り締まり体制の強化についてもお伺いをしたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 資源管理を進めていく上で、密漁の取り締まりというのが大事なことは言うをまちません。よく浜で聞く資源管理ができない言いわけとして、外国の漁船が来る、密漁がある、隣の浜が協力しない、この三つをよく言うわけでありますけれども、外国との関係でいえば、日中、日韓協定もできました。そして、密漁もしっかり取り締まれば、全体として資源管理をしていこうという機運も高まるわけであります。  十一年の沿岸での違反件数は千百三十四件、前年に比べて十七件の減となっております。取り締まりは、水産庁や都道府県だけではなくて、海上保安庁、それから陸上における所持、販売の禁止というふうな漁業調整規則なりをつけますと警察も協力をしてくれますし、それに毎日浜にいらっしゃる漁業協同組合の方々、この連係プレーが大事なんだろうと思います。  三陸沿岸では、平成四年からアワビの密漁撲滅連絡協議会というものを設けまして、県の境目を越えても追跡をし、取り締まりをする、陸上に行っても取り締まりができるというふうな体制をとっているところでございます。こういったことを有効に使いまして密漁対策の実効を上げる、さらに私どもといたしましても、レーダーであるとか監視船であるとか、そういった点についての助成もいたしたいと思っております。  なお、暴力団が関与したと言われる大規模な密漁事件は、検挙件数自身は年間数件ということで少ないんですが、十二年では北海道の十勝沖で二トンのケガニを無許可で漁獲をしたケース、これで暴力団員ら九人が検挙をされております。それから、四月には宮城県で体長九センチ未満のアワビを所持していたということで、その背後に密漁の実行指揮に関与していた暴力団員を含む十三人が検挙をされたという事例がございますが、なかなか巧妙になってきておりまして、相当現場と海上保安庁あるいは警察との連係プレーがうまくいきませんと、こういったことを撲滅することができない。  さらには、こういったことに使われる高速漁船といったようなものについて、この改造を手伝うような造船会社等については、むしろ積極的にこういうことに関与したということで名前を挙げて社会的な圧力をかけていくというふうな工夫も必要だろうと思っております。

渡辺孝男公明党

○渡辺孝男君 摘発された件数というのは氷山の一角ではないかと思いますけれども、まじめに漁業に取り組んでいる方にとっては、アワビとかケガニとか大変高価な資源が失われてしまうということは大変困ったことでありますので、今後とも取り締まりの方を強化してほしいと思います。  漁民の方々からは、少し罰則が甘過ぎるんじゃないか、罰則を強化してほしいというような要望があるわけですけれども、この点はどのように検討がされているんでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 非常に量刑のバランスという問題がありまして、この種の罰条にはこの種の罰金というふうなことで、これは俗に言う、変な言い方なんですけれども、物価スライドというふうな組み立てになっております。そういうことで、漁業法の五十八年の改正で罰金額をそれまでの十倍に引き上げたわけでありますが、その後変化がないためにこの分野では罰金の引き上げという点での強化はできない状況になっております。  ただ、先ほど申し上げましたように、悪質な密漁事件の中には改造した高速船を使用するケースがございますので、現在、衆議院の方に漁船法の改正を参議院で御了承いただきまして回しておりますが、この中で大幅な罰金強化、つまり違法改造等の罰金を三万円から百万円に引き上げたというふうな状況にございます。

渡辺孝男公明党

○渡辺孝男君 こういう密漁等がやはり行われなくなるようにいろんな方々との連携、現場の方々もありますし、警察もあるでしょうし、連携を強めまして極力押さえられるようにしていただきたいと思います。  時間もなくなってまいりましたので、先ほど田中副大臣の方から、若手の、新規の水産関係の就業者というものが足りなくなってきているので、こういうものに、多くの人に、関心のある人に参入していただく、そういうことが大事だということと、水産業の現場を見ていただいて、都市部の方々あるいは水産業と日ごろ接しておられない方々に現場を見ていただいて、その大事さといいますか、重要性を認識していただくことがこういう水産業の発展のためによい環境づくりになるんじゃないかと私は思うわけでありますけれども、こういう水産業関係での子供さんたちの体験学習とか修学のためのシステムとか、そういうものがどのようになっているのか、また、これからこういうものを推進していこうということをお考えになっているのかどうか、その点お伺いをしたいと思います。

田中直紀自由民主党・保守党農林水産副大臣

○副大臣(田中直紀君) 先生御指摘のとおり、漁業におきましての担い手の育成というものは最重要課題であるというふうに思っております。  経営改善の取り組みを推進いたしまして、育成すべき経営体の役割を担えるように、コスト削減のための協業化あるいは高付加価値化等によりまして漁業者の所得の安定と向上を図るということがまず第一ではないかと思っております。また、漁業者になります新規就業者の受け皿をしっかりしていくということでございますが、平成十三年度からは青年漁業者を中心とした意欲的なグループが行う漁業経営改善のための創造的な取り組みについて、ハード、ソフト面からの支援をいたしております。また、新規参入を促進する観点から、求人求職情報の提供や乗組員の資質向上のための研修の充実を図っていくということで対処をいたしております。  そして、御指摘のように、都市と漁村との共生、特に武部大臣は、やはり漁村、農村の重要性というものは都市との対流によって認識をされる、こういうことでございますので、漁村環境を創造するために、文部科学省と連携をして漁村での体験学習を促進するということでございます。子どもたちの海・水産業とのふれあい推進プロジェクトあるいはフィッシャリーナの水産物の直販店等、国民の余暇活動に対応した施設の整備、そしてまた漁村環境や海岸環境の形成などの良好な親水空間の整備、そういうものを行いながら、多くの皆さん方に触れ合っていただく、特に若者に触れ合っていただきながら水産業の重要性というものを認識してもらおうということで取り組んでおるところでございます。

渡辺孝男公明党

○渡辺孝男君 ありがとうございました。

太田豊秋自由民主党・保守党

○委員長(太田豊秋君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時二十三分休憩      ─────・─────    午後一時二分開会

太田豊秋自由民主党・保守党

○委員長(太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、羽田雄一郎君が委員を辞任され、その補欠として本田良一君が選任されました。     ─────────────

太田豊秋自由民主党・保守党

○委員長(太田豊秋君) 休憩前に引き続き、水産基本法案、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の一部を改正する法律案、漁業法等の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

小川勝也民主党・新緑風会

○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。  北海道生まれの北海道育ちでありまして、北海道は日本の食料基地を目指す、こんなキャッチフレーズを持って頑張っているところでありますが、北海道出身の農林水産大臣が誕生いたしまして、おくればせながら祝意を表させていただきたいと思います。  そんな中で、今、委員会に来る前にちょうどニュースに大臣が映っておられまして、これはセーフガード発動をめぐる中国の報復措置にどう対応するのかという点だったと思います。私も、ネギ、シイタケ、イグサ、最初の三品目をセーフガードするに当たって、農林水産省の対応にいら立ちを覚えながら、北海道の農業者とともに、早く発動してくれ、こう陳情に伺ったわけでありますけれども、実はそのとおり、暫定ではありましたけれどもセーフガードが発動されても、心の中がすっきりいたしませんでした。このまま、ネギは何とかセーフガードがかかったけれども、それも期限がついている。今の国際的な日本の円の力とかあるいは為替相場というのか、あるいは生産費を考えたときに、日本で食料を生産するよりも海外で生産した方が極めてコストが安くつく、そんなことで本当に私たちの国の食料というのはいいのだろうか、セーフガードという措置はあるけれども根本的な解決になっておらない、こんなことを思っておりました。そのやさきに報復措置、この報道がなされまして、大変複雑、そして非常に難しい問題あるいは世の中になったなというふうに思っています。  まず、このセーフガードの報復措置に対しまして、大臣はどういうふうに受けとめておられるのか、御所見をお伺いしたいと思います。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 現在、外交ルートを通じて事実関係を確認しているところでございます。いまだ確認はできておりません。しかし、中国はWTO未加盟国でありますが、私どもは、セーフガード協定上、暫定措置に対する対抗措置は講ずることができない、こういうふうに理解しております。  我が国がセーフガード協定にのっとって発動している暫定措置に対して、今回中国が対抗措置を決定したとすれば、これは極めて遺憾である、かように申し上げざるを得ません。今後、政府部内で協議の上、対応を検討してまいりたい、かように存じております。

小川勝也民主党・新緑風会

○小川勝也君 大変難しい時代になったなというふうに申し上げたとおりでありますが、時に、日本の製造業が海外に、さまざまな拠点に移転をして、いろんな分野の製品が外国でつくられております。たまたま百円ショップなどというところへ行きますと、こんなものが百円で買えるのか、日本でつくれるわけがない、こんな思いがいたします。ましてや、農産物そして水産物を含めて、そんな時代になりました。  私は、二十一世紀はまさに世界が食料危機を迎える世紀だと思っています。そんな中で、やはり農産物、特に議題となっております水産物、水産資源からの食料もその重要なファクターをなしている部分だと思いますが、この食料危機に私たちの国がどういった形で食料を自給していくのか、そして食料自給率を高めていくのか、そのことに対する大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 健康で充実した生活の基礎となるのは、これは食料でございまして、この食料を国民に安定的に供給していくということは国家の基本的な責務だ、私はかように考えております。  先生御案内のとおり、現在、地球上の人口は六十一億でありまして、今世紀半ばには九十億を超えるという次第でございます。しかも、今日、一年間に五百万ヘクタール以上の砂漠化現象が起こっているわけでございます。これは一分間で日比谷公園の半分が砂漠化するということに等しいわけでございまして、異常なことだと受けとめざるを得ません。かような中で、耕地面積がふえているわけでもありませんで、今現在、八億人の民が飢餓や栄養失調に苦しんでいるということを考えますときに、先生御指摘のとおり、中長期的には世界の食料の需給は必ずや逼迫するだろうということが言われているわけでございます。  また同時に、我が国におきまして、基本法に基づきまして食料の自給率、中長期的には五〇%、この十年間で四五%にしようというような目標を立てて今取り組んでいるわけでありますけれども、これだけでも十分じゃありませんで、やっぱり輸出国との協力関係ということも食料の安全保障上、これはもう不可欠でございます。そういうことを考えますと、食料の自給の問題も、我が国だけがひとりよがりで自給を声高に叫ぶということではなしに、やはり世界の環境がどうなっていくのか、その中で食生活がこれからどうなっていくのかということも視野に入れながら食料の自給の問題を考えていかなければなりません。  例えば、中国を初めとする現在の食料輸出国も、生活水準が上がっていけば、水産物の例でいいますと、かつて日本に輸出していたものが、中国における生活水準の向上によって、高級水産物を中国で消費するということで中国からの輸出がストップしてしまったという、そういう現状もあります。我々もかつて肉などは食べませんでした。しかし、魚から肉へという、そういう魚肉たんぱく資源から肉に移ってきているということを考えますと、十数億の民を抱えている中国が将来ともに食料輸出国という、そういうふうに我々が安易にみなしていていいのかということを考えますと、先生御指摘のように、国内における農業を初めとする自給率についてはしっかりした考え方のもとに政策を展開していかなきゃならぬ、かように考えている次第でございます。

小川勝也民主党・新緑風会

○小川勝也君 御答弁のとおりだろうというふうに思います。日本がたくさんの食料を輸入しているのも実際の現実でありますし、水産物もたくさんの国からたくさんの量を輸入しています。日本が水産物の自給一〇〇%を目指すといっても、これは空回りをするだけであります。かといって、何でもかんでも市場原理のままで安いものを食卓に並べればいいというものではないと思います。水産物の自給と輸入のバランスというのが大事だろうというふうに思います。どういった考えでその辺を組み合わせ、組み立てを考えたらいいのか、大臣にお伺いしたいと思います。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 我が国の水産物の自給率はかつて一〇〇%を超えていた時代があります。しかし、平成十一年には五五%にまで低下してきているというのが実態でございまして、二百海里時代になりまして、我が国は約四百五十万平方キロメートルに及ぶ世界で第六位の排他的経済水域を有しているわけでありますから、この漁場の資源を適切に管理し持続的に利用していけば、国民の需要に応じた水産物の安定供給は相当程度可能と考えている次第でございます。  このような国内の自給率の現状と、将来の世界の水産物需給が不安定な要素を有していることを踏まえ、水産基本法においては、国民に対する水産物供給のあり方について、我が国の漁業生産の増大を図ることを基本としながらも、自給率の向上を目指し、我が国の水産業による生産では需要を満たすことのできないものについては輸入を確保していく、この組み合わせにより国民に対する水産物の安定供給を確保するとの方針で臨みたい、かようなことを明らかにしているわけでございます。

小川勝也民主党・新緑風会

○小川勝也君 といったことで、農産物も水産物もある一定の目標や哲学を持って自給をしていかなければならない。  例えば、この国会の議論を都市対地方とか都市対農村という議論にすることは、これは極めて不毛な議論だろうというふうに私は考えておりますが、例えば食料を生産する地域はおおむね都市ではない農村であったり漁村であったりするわけであります。とりたててほかに産業もなく、農業と公共事業、漁業と農業、あるいは漁業と公共事業、こういったところが私のふるさと北海道には非常に多いわけであります。  そんな中で、小泉総理が総理になられて小泉政権が誕生した後、地方交付税を削減するとか、あるいは、これは直接関係ないとは思いますけれども、道路特定財源を見直すとか、さまざまな投資を都市に集中させたいとか、あるいはその前からいろいろと進んでおりました地域の地方自治体のあり方、これを何とか国の目標とする数値に近づけるように押しつけに近い形で合併させたいような、そんなニュアンスが聞こえてまいります。  こんなことに関して地方の人たちは大変不安を隠し切れない状況になっているんだと思います。せっかく与えられている食料を生産するという崇高な理念のもとに何とかこの仕事を続けたい、そして、もし自分の子供がその仕事を継ぎたいと言ったら誇りを持ってバトンタッチさせたい、こう思っている人が多いと思います。しかしながら、余りにも経済的な理論とかあるいは優先性とか、そういう合理的な部分だけを追求して、都市だけに光を当てるような政治になってしまうのではないかという不安で、言われるところの第一次産業も大変将来にとって明るくない産業になりつつあると思います。  そんな意味でいいますと、大臣のさまざまな御発言は私の方まで届いておりますけれども、改めて、小泉政権が私は多分地方軽視ではないか、こういうふうに言いたいわけでありますけれども、御反論あるいは御所見があったらお述べいただきたいと思います。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 道路特定財源の問題でありますとか地方交付税の問題は、私も閣僚懇談会その他、総理が出席する会合に同席させていただいて総理の話を伺っているのでありますが、どうも一部マスコミ報道の歪曲化したそういう議論というものが色濃く出ているように思えてなりません。  小泉総理は、聖域なき構造改革ということでゼロベースですべてを見直す、こう言っているわけでございます。道路特定財源についても、これを一般財源化するというような、そういう単純化したような話でありませんで、道路特定財源をもっとほかのものにいろいろ使いたい、こういう話でありますので、私は総理に対して同調して、それは町づくりにお使いになるのがいいですよと、こういうお話をしているわけでございます。  つまり、経済財政諮問会議におきましても骨太の方針というものを今立案中でございます。これが今後のガイドラインになると言っても過言でないと思いますが、この中でも、地方の個性ある活性化や町づくりということが重点課題として位置づけられているわけでありまして、なおかつ循環型社会の実現や食料自給率の向上に向けて農林水産業の構造改革に取り組む、こういうことも明確に位置づけられているわけでございます。さらには、ヒューマンセキュリティーという、そういう項目もありまして、これは防災とか水源涵養、食料の確保、環境という問題が含まれるわけでありますが、決して小泉内閣が地方軽視あるいは一次産業軽視ということではないということをあえて私から申し上げたいと思うのでございますが、今先生御案内のとおり、農業の分野におきましても、新しい基本法に基づきまして、食料自給率の向上に向けて二十二年度までに四五%達成ということを目標に、今後の意欲と能力のある農業経営体というものをどう育てていくかということで努力中であることを御理解いただきたいと思います。  また、林業や水産、森林・林業基本法、また当委員会で御審議いただいております水産基本法ということも、我が農林水産省はまさに構造改革を先取りしてこの一、二年取り組んでいるということを自負していい、かように思っておりまして、ぜひ今国会におきましても基本法の早期成立をよろしくお願いいたしたいというふうに思います。よろしくお願いします。

小川勝也民主党・新緑風会

○小川勝也君 例えば、この水産という水産業をしっかり守り発展させるという理念がこの基本法に盛り込まれていたとしても、地域社会あるいはコミュニティーというのがないと産業として成立しないわけであります。  その産業、生活、コミュニティー、これが大事だと思うわけでありますけれども、私も北海道だけでありますけれども、いろんな地域にお邪魔をさせていただきました。大部分が過疎の市町村であります。かつては人口が何人いたのに今は何人だ、とりわけもっとひどいのは、この学校はかつて何クラスだったのに、ことしの卒業生は何人だ、こんな話を本当に、つらいと言ってはおかしな表現になりますけれども、ああ、というふうにうなりながら聞いているわけであります。  農村よりもその数が減っているのが漁村であります。村に一つしかない小学校のその年の小学校六年生の卒業生がたった八人、大変びっくりしたわけであります。多分その村は高齢化率も高いでありましょう。そして、後継者がいないと子供がふえないので、それは今話したように学校の卒業生もふえない。そうしますと、コミュニティーとして将来を展望したときにどうなってしまうのかという不安感が余計に大きくなってくるんだと思います。そして、ましてや、せっかくこのいい基本法を一緒に審議しているわけでありますけれども、その地域やコミュニティーや地方さえ、この部分が今根底から脅かされるということになりますと、大変せつない話になってくるんだろうというふうに思います。  漁業の振興は後で質問させていただくとして、まず高齢化、過疎化が進行している漁村についてどういう施策をこれからやっていくつもりなのか、お話をお伺いしたいと思います。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 先日も青森と岩手のタウンミーティングに私も出席したのでありますが、今先生御指摘のようなそのままの御意見がございました。  私は思いますに、漁村集落あるいは農村集落そのものが、お話のような過疎化、高齢化ということでその機能が危うくなっているというのが実態だろう、こう思います。したがって、このまま漁村集落、農村集落を維持するということについてはなかなか将来的には難しくなってくるのではないのかな、かように思いまして、それだけにその地域における新たなるコミュニティーづくり、村づくりといいますか町づくりということに力を入れていかなきゃならないと思います。  その際には、ただおいしい水、きれいな空気、美しい自然、新鮮な食べ物だけではだめなので、やはり生活環境もきちっと整った、下水道も完備した、とりわけIT時代になってまいりますと情報通信インフラというものもきちっと整備された、そういうナショナルミニマムといいますか、いつでもどこでもだれでもが同一条件下で生活できる単位としてのコミュニティーづくりということが非常に大事ではないのかなと。  これは、都市居住者の皆さん方も、美しい自然、おいしい水、安全な食べ物あるいはきれいな空気を求めているわけでありますから、そういった人たちにも提供できる、都市からも農山漁村にアクセスしたいという願望が、そしてそれが可能な、農山漁村もそこから若者がウイークエンドには都市の魅力にアクセスできる、そういう都市と農山漁村が共生、対流できる間柄としての新しい村づくりといいますかコミュニティーづくりというものをこれは国の基本政策として展開していく必要があるのではないかと。  その上に立って市町村合併だとか道州制ということを考えないと、一単位でそこで何でも用が足りるという、そういう生活水準といいますか、それをつくることが私は不可欠だ、かように考えている次第でございます。

小川勝也民主党・新緑風会

○小川勝也君 せっかくの機会でありますので、今、特に北海道の漁業者の中でとりわけ直面した課題を持っている人たちから、自分たちのこの苦しい現状を何とか大臣に伝えてくれというメッセージをいただいてまいりました。大臣は北海道の御出身であって、私以上に御理解をいただいていると思いますので、項目だけ挙げて、何かいい対処方法がないのか、その未来に向けての御発言をいただければと思っています。  昆布のIQの問題、これは大変多くの漁協そして漁業関係者から訴えがありました。そして、日本海側の漁協ではトドの被害、これは漁網が大変にやられてたまらぬ、こういう話であります。この昆布のIQの問題とトド被害、これについて何かいい方法はないのか、御発言をお願いしたいと思います。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 昆布につきましては、多数の零細な漁業者によって生産されているという実情、実態がありまして、無秩序な輸入により国内の漁業生産、需給及び地域社会の維持に悪影響が生じないよういわゆる輸入割り当て、IQ制度の対象としているわけでございます。  しかし、現在、主要国では我が国のみがこの制度を維持しているわけでありまして、各国から輸入割り当ての撤廃が要求されている厳しい状況にあることは御案内のとおりと思いますが、今後とも輸入割り当て制度が果たしている役割、機能というものが維持されるように我が国としては強く主張してまいりたい、かように考えております。  また、トドの被害に対しましては、先般もこの委員会でもいろいろ御議論がございました。定置網に対する強化網の導入、トドの駆除事業に対する助成及び刺し網の強化技術の開発の調査、研究を実施し、トドによる漁業被害防止に努めてきているところでありますが、被害が発生した場合の対策ということについては、漁網被害については農林漁業金融公庫の農林漁業施設資金、漁業近代化資金等を融通することができるということになっておりますけれども、これが頻繁にということであれば、再生産に対する意欲喪失ということにも相なるわけでございます。特に、トドによる被害で漁業収入が減少して経営が著しく困難になっている沿岸漁業者の経営再建費等については、農林漁業金融公庫の沿岸漁業経営安定資金を融通することが可能になっておりますし、さらに漁業共済制度においても、かかる被害を原因とする年間漁獲金額の減少に対して漁獲共済による補てんが可能になっているところでございまして、これらの措置により被害を受けた漁業者の経営安定を極力図ってまいりたい、かように考えている次第でございます。

小川勝也民主党・新緑風会

○小川勝也君 いろんな取り組みをなされているんだと思いますが、私も世界各国を行ったわけではありませんけれども、多分食生活の中で、食文化という点で昆布をその根幹に置いている国というのは日本のほかそんなに、たくさんの国がないんだろうというふうに思います。そういう意味でいいますと、日本人の心というのか魂みたいなものがありますので、この辺は特別な御主張をいただければというふうに思ってございます。  そしてまた、トドの被害についても、トドの習性だとかいろんなことを考えてもみたんですけれども、いろんな案が浮かんでは消えしたんですけれども、具体的には特効薬はないというのが漁業関係者の話の多分まとめだろうというふうに思います。何とか、漁網被害に遭った後、また購入する際、今、制度融資などもあるようでありますけれども、利子補給であるとか利子の減免だとか、今以上にその議題に上げていただいて御検討いただければありがたい、こんなメッセージも承ってまいりましたので、これはこの機会に要望させていただいておきます。  そして、目を覆うような状況にあるのが、先ほども若干議題になっておりましたマダラの漁獲割り当て量の削減の問題であります。まさに、羅臼港そして根室港、この漁業の持つ経済波及効果がいかに大きかったのかというのを今改めて痛感させられる現状でございます。ましてやこの羅臼というところは、大臣のふるさとから私たちの国で最もすばらしい知床を越えた反対側にある場所であります。さまざまな対策をいろいろお考えいただいていると思いますけれども、もう地域壊滅に本当に近いような被害であります。これは被害というわけではありません、トドの被害ではありませんので、人為的な交渉の結果、出てきたものであります。何とか取り得る最大限の対策を講じていただきたいと思います。御決意のほどをお願いします。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 昨年十二月の日ロ地先沖合漁業交渉の結果、御指摘のようにマダラの漁獲割り当て量が大量に削減されたところでありまして、このため、マダラの漁獲割り当て量の早期見直しに向けて、三月二十五日の日ロ首脳会談において森前総理より、本件を含めいろいろな問題を取り上げ、プーチン大統領に対してその解決申し入れをいたしたわけでありますが、これを受けて四月五日まで開催されたサケ・マス交渉の機会を利用して協議が行われましたが、ロシア側はマダラ資源状況の悪化等を理由にさらなる配分は困難という姿勢に終始したところでありますことは、御案内のとおりでございます。  このような状況にあることから、マダラ漁獲割り当て量の見直しに向け引き続き努力することとしておりますが、国内対策については、漁業離職者への雇用対策として国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法に基づく政令指定が十五日に行われたところであります。先般も関係者が農林水産省に大勢おいでになりまして、私も厳しい窮状を聞かされました。  胸の痛みというものは言語に絶しますが、今後、関係漁業者への具体的な影響などを踏まえまして、北海道庁等とも協力しつつ適切な対処をしてまいりたい、かように存じます。

小川勝也民主党・新緑風会

○小川勝也君 さて、この伝統ある漁業でありますけれども、いた魚、いる魚をとるという時代から、何とかその資源を減らさない、あるいは壊滅させないように調整をしながらとる、そしてさまざまな場面でふやす努力をする、あるいは育てる、こういった形に大きく転換が図られてまいりました。今後もその形態が非常に重要だろうというふうに思っています。  漁業の経営ということに関していっても、いわゆる北海道でいうとホタテ、昆布、こういうところの養殖のところが極めて安定している。あるいはウニやアワビ、こういったところは当たり外れがありますけれども結構いい収入になる。専門的な分野はわかりませんけれども、今こういう分野に養殖の技術が伸びているんだ、今度はこれが養殖できるようになるんだ、こういう分野があったらお聞かせいただきたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 今御指摘のように、養殖の中で主力はブリであり、マダイであり、ホタテでありますけれども、やはり消費者のニーズというのは非常に多様化をしておりますので、新しい分野も開拓する必要があります。幾つか候補があるわけでありますけれども、新規の候補生としては、北海道ですとマツカワ、それから青森、秋田ですとクロソイ、それから福井のキジハタ、こういうところが、まだまだ緒についたばかりでありますけれども、これから先、養殖として可能性がかなりあると思っております。

小川勝也民主党・新緑風会

○小川勝也君 これは口で言うのは簡単だと思うんですけれども、大変な話だと思います。  根室の方でカニを養殖するのに成功したという、これは技術的な部分だけでありますけれども、ニュースを見ました。御承知のとおり、カニとかエビというのは、生まれたときの姿が大変考えられないような姿をしておりますし、どういうふうに生活をして大きくなってきたのかというのは、生態系としては非常にわからない部分が多いんだろうというふうに思ってございます。  例えば、今、サケ・マスなんというのが漁業の主力をなしていますけれども、サケの採卵をして、ふ化場というのはたくさんありますけれども、これも今のサケの漁獲高まで来るためにはどれだけの費用を使ったか、こう想像するわけでありますけれども、それに比べていろんな魚種ごとの現在の資源状況がどうであるか、この資源調査が必ずしも充実していないという現場の声を聞いてまいりました。この資源調査というのが、どのぐらいの資源量が泳いでいるのかというのを漁師さんの漁獲から調査している、こういった話も聞いております。  どういった技術的なことでどれぐらいの費用がかかるのかというのは私にはわかりませんけれども、やはりこの資源管理型の漁業が未来型であるとするならば、きっちり必要なところに調査経費等は割いていくべきだろうというふうに思います。この分野での御所見をお伺いしたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) ここ十年ほど、日本の周辺水域の資源状態についてはかなりの魚種、系群について調査をいたしております。魚種でいいますと四十種、八十系群、それからマグロとかサケ、マスなど、これは国際的な資源管理のもとに置かれておりますので、調査も実施しております。その資源調査の中には、水産庁の調査船を出すというやり方もありますし、先生が御指摘になったように漁業者から個別の情報を地域ごとに聞くようなやり方も行っております。  いずれにしても、この分野というのは、これからTACに加えてTAEを採用するわけでありますので、充実をすることが必要であります。水産関係の研究所が独立行政法人になりまして、水産総合研究センターという形で約八百人体制で発足をいたしました。かなり柔軟に人や研究先を動かすことができますので、そういったことも考えながら県の試験場やそれから大学とも連携をして進めたいと思っております。  今、資源調査関係では決して少なくないお金、約四十億をいろいろな形で資源調査に投じておりますので、こういったお金の有効利用も図りたいと思っております。

小川勝也民主党・新緑風会

○小川勝也君 さて、今回の法案の中にも環境の分野がいろいろ盛り込まれています。この海洋環境を維持していくということは非常に大事なことだと思います。  この質問を考えた後でありますけれども、きのう、たまたまテレビを見ておりましたら、知床の海に潜る、こういう番組が放送されておりました。この地域はいわゆる流氷が来る地域でありまして、流氷が栄養を運んでくる、その地域の海洋に物すごい、かえがたい恩恵を運んでくる、そういう映像を見させていただきました。  そして、その直前であったと思いますけれども、あの「沈黙の春」という作品を書かれたレイチェル・カーソンさんの特集をしている番組、ところどころでありますが見させていただきました。彼女が警告したのは、特に農薬などを使って、それが圃場から川を経て海に流れてきている、それがさまざまな動物、生物に、昆虫を含めて影響を与えているということであります。  まさに二十一世紀、私たちのこの海というのは、さまざまな恩恵を与えてくれるところであります。今以上に大切にしていかなければならないと思います。  さて、いい環境の中で魚は育つわけでありますけれども、とりわけ前浜から沿岸にかけて近い距離には藻場とか魚礁とか、いわゆる魚が卵を産みつけたり、魚が育つ環境があったりしています。これがいろんな影響によって、一つは多分河川からの流入あるいは護岸の工事あるいは大型船の漁法のやり方による海底の環境破壊、さらには森林からの栄養がうまく海に届かないような状況にもなっている、こういうさまざまな要因が挙げられると思います。  やはり、水産を論じるときには海洋環境をマクロで論じる必要があろうかと思います。森林に栄養があって、そしてその栄養を河川が運んでくれる、そして海を汚さない、あるいは海の中にあります海底の森林というんでしょうか藻場というんでしょうか、こういったことも守り育てる必要があると思います。この分野に対しましての大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 水産基本法第十七条におきましては、水産動植物の生育環境の保全及び改善を図るため、水質の保全等に必要な施策を講ずる、かように規定しているところでございます。  このような観点から、具体的には、先生御指摘のように、水産生物の生息、生育の場として重要な藻場、干潟の再生・造成や魚礁の造成、漁業者が山に木を植える活動を支援するため、国土交通省、林野庁と連携しつつ、漁民の森づくり活動の推進、また赤潮、油濁等の漁場環境モニタリング等を進めていこうとしているところでございまして、私どもは、森と海は命のふるさと、こう申し上げているところでございますが、今後、海洋環境の一層の復活、維持、保全を推進するために、ただいま申し上げましたような施策の展開に力を入れてまいりたいと思います。

小川勝也民主党・新緑風会

○小川勝也君 この分野にはより一層の御配慮をしていただきたいと思います。  そしてまた、さまざまな護岸工事というんですか、国土を侵食から守るためにコンクリートの壁をつくるわけでありますけれども、これほどさまざま工夫をして、沖合にちょっと行ったところにそのさまざまなものを埋めることによって波の力を弱める働きがある、これを人工リーフとか魚礁的リーフとか言うんだと思いますけれども、こういったものも、例えば国土の保全だけではなくて魚礁をつくるという二つの目的が一度に達成されるわけであります。これは、新しい時代になりまして、一月六日から新省庁の体制にもなりましたけれども、この辺は省庁の垣根を越えて今以上に連携を深めてやっていただきたいと思います。  そしてまた、今大臣からお答えがありました、漁業者が森林に注目をして魚つき林を植林する、こんな話もいろいろ美談として伺っているわけでありますけれども、例えば民有林であれば当然その話はいい話であります。しかし、国有林は今のままでいいのかというふうに私は考えるべきだと思います。  たまたま先ほど国土交通省との連携という話がありました。河川のことあるいは港湾との連携は国土交通省と連携をとらなければいけない、しかし水産と森林というのは言うまでもない、武部大臣が二つの総責任者であります。今まで以上に、漁業の立場から水産の立場から、森にしっかり予算をつけていい森にしなきゃいけないんだということを逆に、自分から自分に言うのはおかしな話でありますけれども、もっと色濃く反映させていくべきだというふうに思っています。  今まさに、森林の持つ多面的機能はこの水産基本法が成立した後議論することになるやに聞いておりますけれども、せっかくの機会でありますので、そのさわりの一言だけいただいておきます。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 先生御案内のとおり、今後、漁港整備、海岸保全事業も含めまして、私どもは環境を修復、創造する施設づくりということを重点に自然共生型の公共事業、こういうふうに申し上げましょうか、そういうような努力をしてまいりたい、かように存じますし、先ほど申し上げましたように、森と海は命のふるさと、かように申し上げました。先生がお話しのとおり、河川というものはそれをつなぐ大きな道筋かもしれませんし、森と海が夫婦、恋人であれば、河川は仲人さんかなという感じもするわけでありますけれども、森や川、海を通じた幅広い環境保全の取り組みを推進していく必要性はお話しのとおりだと、全く同感であります。  ただ、ここで私ども御理解をお願いしなきゃならないのは、農林水産業の仕事が、けさほどの衆議院における農林水産委員会においても、農林水産省は食料自給率向上、それだけやってくれればいいんじゃないかというような御意見が先生と同じ党の仲間の議員さんからございまして、私も大分ちょうちょうはっしやってまいりましたが、やはり国民の理解と協力、国民の合意ということが農林水産業のいわゆる新たなる可能性といいますか、我々が目指すところの人と自然との共生、循環型社会の構築ということについては不可欠だということを申し上げたいと思いますし、今後とも、藻場、干潟の造成と連携した森林整備、魚つき保安林の計画的な指定、漁業者が河川整備等とも連携して行う植樹活動。  先般、有明に行ってまいりましたけれども、ダムのつくり方も水量だけじゃだめだと言うんですね。やはり砂れきが流れてきて、また一つの流速があって自然の魚礁というのができるんだということですから、その辺のところも考えをいたしていかなきゃならない、かように思います。  今後とも、関係省庁と積極的に連携いたしまして、水産動植物の生育環境の保全の重要性について理解の促進を図るとともに、保全の実施についても最大限努力してまいりたいと思いますので、御支援をお願いしたいと思います。

小川勝也民主党・新緑風会

○小川勝也君 食料の増産、自給率の向上だけに特化してくれれば一番いいわけでありますけれども、そういうわけにはいかないと思いますので、できる範囲で応援をさせていただく予定であります。  さて、これは内水面というか生態系の話なのでありますけれども、外来種が在来魚種を駆逐するという話題が深刻な議題になっています。多分、ブラックバスとかブラウントラウトの問題だろうというふうに思っています。私の知らないところもほかにあるかもしれませんけれども、この分野でどういう対策をしている、こういう対策をしたいというお話があればお伺いしておきたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 非常に難しい問題であります。もちろん、外来魚の種類によってレベルが違います。ブラックバスのようなものはやはり密放流を防止するように漁業調整規則を整えるというやり方があります。それから、啓発活動をしたり、場合によると水産庁で持っております駆除のための予算を使うというやり方もございます。ところが、一定地域にはブラックバスを対象とした漁業の許可というのがもう既にでき上がってしまうところもございますので、これから先どういうふうにしてその調整をするかというのは、やはり関係者が知恵を絞らなきゃいけないと思っております。  それから、先生御指摘になったブラウントラウトについては、まだ調整規則をつくるところまで来ておりません。ただ、北海道庁はそろそろ、これの害が懸念をされるということで、調整規則をつくる、あるいはこれについての生息数を減らしていくような、そういうことに着手をされておりますので、間もなくブラウントラウトについても対応ができる、そう思います。

小川勝也民主党・新緑風会

○小川勝也君 いろんな立場の方がいて、今おっしゃられたように大変難しい問題だろうというふうに思いますけれども、なるべくそういう場所は拡散しないように知恵を絞っていただければというふうに思っています。  それと関係する話題でありますが、エビの輸入でありますけれども、エビの輸入は国力のバロメーターだという、そんな説がございます。日本もバブル期まではアメリカ合衆国を抑えてエビの輸入が世界一だったそうでありますけれども、今は首座をアメリカ合衆国に譲っているという話があります。  各国にエビを輸出する、外貨を稼ぐために途上国でさまざまな形で環境破壊が行われているというふうに聞いています。そして、田んぼをエビの養殖場にしたために塩害で被害汚染地域がふえたり、あるいは環境の視点から非常に重視されているマングローブの林が減ったりという、これは私たちの国ではありませんけれども、大変切実な話題があります。これにはどういうお考えを持っておられるのか、お伺いをしたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 御指摘のとおりでありまして、かつて一九九六年には世界のエビの貿易量の二五%を日本が輸入しておりました。現在は二〇%というふうな状況ですが、それにしてもエビは日本が非常にたくさんのものを輸入しているという状況です。  そういう中で、エビの立地もかつての台湾、中国から東南アジアへと、これは環境問題、特に水のくみ上げ過ぎということで移ってきたわけです。今は東南アジアのマングローブの林に何らかの影響を与えながら輸入をしているというふうな状況でございますので、こういう輸出国の環境に対して大きな負荷を与えるという輸入はやはりこれからはできるだけ控えなきゃいけないというふうに私ども思っておりまして、東南アジアの漁業関係の開発機構でSEAFDECというのがございます。日本がイニシアチブをとっておりますけれども、そういう中で、マングローブ林を破壊しないような、壊さないようなエビ養殖のあり方を経済協力の形でやっておりますし、それから林野庁の協力ではむしろもう少し踏み込んでマングローブ林を再生するような計画、ここまでやっております。  エビの輸入というのは日本人の食生活上重要なことではありますが、そういった輸出国の環境を破壊しないような配慮をこれからも気をつけていきたいと思っております。

小川勝也民主党・新緑風会

○小川勝也君 これは当然国内のことでも当てはまるわけでありますけれども、経済効率優先、そして豊かになる、便利になるために環境を破壊してきた歴史であります。もう気づいていることも、わかっていることもたくさんありますので、これ以上の環境破壊はなるべく、あるいは進めないという気持ちが必要だろうというふうに思います。  さて、水産業でありますけれども、かつて三海里、十二海里のときは、漁業というのはむしろドメスチックな議題であったというふうに思います。しかし、いろんな地域でいろんな話を聞いてみますと、九州は九州で、沖縄は沖縄で、北海道は北海道でこの漁業がいろいろな面で国際問題であります。当然、私たちの国の近く、多くは韓国、中国、ロシアということになろうというふうに思います。先ほど大臣にお話を申し上げました、あるいは御決意を伺ったマダラの問題もその中の一環であります。私たちの国だけで私たちの国の漁業や水産資源、そして水産物からどう食料を供給するかという未来を語れない、こういう状況がこれからずっと続くんだろうというふうに思います。  というふうに考えますと、やはり国際的な立場で日本の漁業をどうとらえるかというのが水産業の未来に向けての柱だと思います。そういった面で、哲学的なお話で結構でございます。どういう気持ちで二十一世紀に、未来に向かわれようとしているのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 国連海洋法条約の発効や周辺水域での資源の悪化を踏まえて、ロシア、韓国、中国との間で操業条件について毎年協議をしているところでございます。ロシアについては、双方の水域の資源状況について両国の科学者間による情報交換を行っておりますし、韓国、中国については、新協定の適切な実施と暫定水域等の資源管理体制の早期確立が必要だ、かように考えているところでございます。  今後とも、水産資源の適切な保存と管理が図られるよう、こうした隣接する国々との協力を積極的に行ってまいりたい、かように存じます。

小川勝也民主党・新緑風会

○小川勝也君 大変いい質問をずっと続けてまいりましたので、最後、ちくっといきたいんですけれども。  いろんな話を伺ってくる中で、大変いい流れで水産基本法ができているけれども、これは大きく組織されている漁業者団体、漁業者組合の意向が色濃く反映されている、それはそれで反対するわけではないけれども、我々一漁民のことをもっと考えてほしい、こんな声がいろんなところで聞かれました。  経済効率は悪いかもしれないけれども、前浜の漁業とか沿岸漁業、これは私たちの歴史もありますし、あるいは漁法のノウハウの伝承という問題もあるでしょう。そして、安心、安定の供給という、そんなメリットもあるでしょう。今回の水産基本法が大きな漁法に偏り過ぎだという、そんな漁民の声にこたえるべく、大臣の前浜・沿岸漁民に対するメッセージを最後にお伺いしたいと思います。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 私もオホーツクの潮風を受けて育った男でありますし、私の親友には沿岸漁民がたくさんおります。さような意味で、先生の御指摘はまことに重要だと思っておりまして、沿岸漁業は我が国の漁業生産量の約四割、漁業生産額の五割以上を占める重要な役割も果たしておりますし、沿岸漁業の振興を図ることの重要性は今後もいささかも変わりません。  基本法案におきましても、沿岸漁業の振興を念頭に、増養殖の推進など数多くの政策の方向づけを考えているわけでありますし、森林・林業基本法でも示され、また食料・農業・農村基本法にも示されておりますような、いわゆる多面的機能というようなことについても、当然、漁業の分野でも我々は色濃くそのことを意識して今後の政策を運営していかなくちゃならぬ、かように考えております。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 民主党の谷林正昭でございます。  小川先輩が大変いい質問を立て続けにやりましたので、後はちょっとやりにくくなりましたけれども、少し我慢して答えていただきたいというふうに思います。  まず初めに、先日、参考人の皆さんにいろんなお話を聞かせていただきました。この水産基本法に対する期待感、そして心配事も実は幾つか出てまいりました。とりわけ私が心に感じたのは、全漁連の会長さんがおっしゃいました、これまでいろんな法律で資源管理、いろんな話で出てきた、自分たちはできるだけ協力をしてきた、しかし、なかなかそれがうまくいっていなかった、お互いに共倒れになるような、悪く言えば競争がもっと発展をしてけんかになる、そういうようなことにまでなったということから考えて、今度の水産基本法は、とりわけ二百海里時代にあって法案整備がされる、そこにぜひ自分たちも心して魂を入れたいが、法案を審議する立場、そしてまた行政の立場、いろんな魂の入れ方があろうかと思いますが、まず行政としてぜひ魂を入れてもらいたいと。  その魂というものが盛んに私の心に残りましたので、大臣、現場で一生懸命頑張っておいでになる方々にこたえる魂を少しお話ししていただきたいというふうに思います。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 私も、先ほど来申し上げておりますように、浜の生活、浜の実態ということをよく承知しているつもりです。ここで頑張っている漁師の方々というのは、単に漁をしてこれを売って、そして収入を得て生活するためにやっているんじゃないという、そういう誇りがあるんですね。海の男の誇りというのはそういうものがあります。  そういう意味では、水産基本法は今後の政策の理念や基本政策の方向づけを行うものでありますけれども、その指針としてしっかり魂を入れていくということは、やはり一にかかって国民の理解と支持ということ、あるいは国民の合意というものに基づく国民参画型の政策を推進していくということが大事ではないか、かように思います。  具体的施策をこうした理念に沿って順次実行に移していくことが必要でありまして、同時に、これから都市の人々の一つのレクリエーションの一環としてプレジャーボートなど、浜に出て楽しむということは結構なことだと思いますけれども、そういった方々にも漁業を営む者の魂というものを知ってもらうように、共通の魂といいますか、同じような心意気といいますか、そういうものを持ってもらうということが大事だと思います。  同時に、これは我が国のひとりよがりな考え方や政策であってはならない。先ほども御議論がありましたけれども、WTO等の国際会議等の場においても、資源管理を基本として我が国の新たな政策の枠組みについてしっかり紹介をし、理解を求め、世界の水産大国として一層の国際貢献に努めていくという、そういった各般の対策が必要ではないのかなと、かような考え方に立ちまして積極的に政策展開を行ってまいりたい、かように存じます。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 今、大臣がお答えになりましたこと、まさにそのとおりだと思いますし、それを本当に実践していくというのが、そしてしっかりしたまさに骨太の政策を出していくということが大切だというふうに思います。  そこで、今ほどプレジャーボートの話も出てまいりました。基本である資源管理、そういったときに、ますますこれからはレジャー的に海に出る、また、そういうことも進めていくということになろうかと思いますが、遊漁者の資源管理、ここが非常に少ないんじゃないかというようなことも言う人がおいでになりますが、いや、そうじゃない、遊漁者の方々の資源に対する認識が薄い、こういう観点でお話しされる方もおいでになります。  ルールづくりだとか、あるいは行政の強力な指導といいますか、方針を示すといいますか、そういうものが必要かと私は思いますが、いかがでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 遊漁者といいますか、非漁業者による魚の採捕、これは無視できない量になってきております。幾つかの魚種でいえば、地域によっては漁業者の漁獲を超えるというふうなこともありますので、当然資源管理には参加をしてもらわなければならないというふうに思っております。基本法の中でも、「水産資源の適切な保存及び管理」という第十三条一項がありますが、これはもう当然遊漁も含めることを念頭に置いております。  それから、六条二項では、特に遊漁者を想定いたしまして、水産動植物の採捕者の水産施策への協力義務というのを規定いたしております。目下やっておりますのは、海面利用調整のための協議会を各都道府県ごとに設けまして、漁業者と遊漁者、それから海洋レクリエーションの方、そして学識経験者に参加をしていただいて、ルールをつくる、マナーをつくるということをやっております。  今後は、資源管理型漁業が本格的にスタートをいたしますので、この調整の場に漁業者だけではなくて遊漁者の代表も参画をしていただいて、そして、どの魚種をどういうやり方でどれだけとるというふうな合意にこぎつけてもらうということを考えております。  いずれにしても、非漁業者による採捕、漁獲の問題は、これから先も、この水産基本法を受けまして、制度問題も含めて検討を深めていく必要があろうと思います。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 私も大事な問題だというふうに思いますので、今ほど長官おっしゃいましたように、国民の理解、非漁業者の理解、そして協力をしていただく、これが大変重要だというふうに思います。  三点目に移りますが、これも参考人の方から、ああ、そんなことになっているのかというふうなことが聞かれました。それは長崎県の県漁連の会長さんがおっしゃいました。二百海里内にあります鳥島というところで、簡単に言いますと、米軍の演習によって立ち木などがみんな枯れてしまって、もともと無人島でありますけれども、非常に危惧するような状況になっている。  まずお聞きしたいのは、この鳥島近海の漁場としての活用、今どのようになされているのか、お聞かせいただきたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 鳥島の問題は、日本と韓国との漁業交渉の中で、測定のポイントとして大きく浮かび上がってきた基点でございます。  この鳥島の周辺では、近隣の男女群島とともに、アマダイのはえ縄漁業、それから一本釣り漁業、ひき縄漁業、こういったものの好漁場になっておりまして、島原半島や五島列島の漁業者の方々がこの漁場を利用いたしております。また、その近隣では、まき網や底びきも行われております。  それから、鳥島そのものには共同漁業権は設定をされておりませんけれども、男女群島ではトコブシ漁業、刺し網漁業などが行われているというふうに承知をいたしております。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 漁場としては大事な場所だというような認識だというふうに思います。そういう意味では私は、こんな言い方をしたら失礼かもわかりませんが、ある日突然韓国語の灯台が建ったり、そういうような心配があるのではないかなと思います。したがいまして、ちょっと問題あるかもわかりませんが、竹島の問題もある、よく似た環境に知らず知らずのうちになっていくような気もいたします。そういうことを防ぐ意味では、まさにこの水産基本法でうたっております多面的機能、国境の監視、そういうものの重要なポイントになる地点ではないかなというふうに思いますので、この鳥島が果たす役割というものを私は重要視するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 日本には六千五百ぐらい離島があります。そのうち六千四百は無人島です。ただ、無人島ではありますが、先ほど申し上げましたように、漁業者が定住していないからといっても豊かな漁場であることがケースとしてございます。それから、先ほど申し上げましたように、外国との二百海里の線を引くときの基線になる、そういう主権を主張するよりどころにもなります。それから、その付近で漁業者の方々が漁業をやっていることで、おっしゃられたような密入国とか国境監視の機能があるわけでございますので、そういった点につきましても重要な役割と位置づけ、評価をして、これからどんな施策を講ずることができるか、また、その点について国民一般にどういうPRができるかということを検討していきたいと思います。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 私は非常に重要な問題だというふうに思いますので、この法案が成立した時点で、無人島だとかそういうところの点検みたいなことも漁業という立場からやるべきだというふうに指摘をさせていただきます。  次に、技術的な話になりますが、広域漁業調整委員会というのが設定をされます。この調整委員会の具体的役割、私はいろんなところを見させていただきましたけれども、この果たす役割がはっきりしないような気がいたします。例えば、資源管理を目的としてこの委員会が開かれるのか、あるいは漁業調整のためにこういう委員会が開かれるのか、そういうことを考えたときに、委員会の果たす役割をはっきりしておくべきというふうに思いますが、いかがでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) やはり大もとは資源管理だと思いますけれども、資源管理の中に、ある種の漁業調整が含まれるということも想定しております。例えば、まき網と沿岸の釣り漁業とか、それから底びきと沿岸の釣り漁業というふうなものの調整は、こういう広域の漁業調整委員会でやることが望ましいと思っております。  といいますのは、これまでは県の単位を越えない調整委員会でございますので、地先の資源を管理するという点では適しておりました。もちろん、これも当初は漁業調整から始まりまして、現在は資源管理が主力になっているわけであります。他の県に属する漁業については調整ができませんし、それから、大臣管理漁業と知事管理漁業のいずれもが利用するような水産資源の調整というのが十分に行えないということがこれまで問題として出てまいりましたので、本格的に資源管理をするに際しまして、国の常設機関として、それぞれ関係をする県ごとの海区漁業調整委員会の代表、あるいは関係漁業者の代表、学識経験者の参加をいただきまして広域の漁業調整委員会を設けて、都道府県の区域を越えて広域的に分布回遊する水産資源の管理に的確に対応しようということでございます。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 そういう今の答弁からいきますと、非常に漁業に携わっている人たちからすれば重要な委員会になる、またそういう役割を果たすところになっていくというふうに私も理解をさせていただきましたが、先日の参考人の御意見の中には、ぜひ県漁連のリーダーが意見を言える場にしてもらいたい、あるいは沿岸の代表が意見を言える場にしてもらいたい、あるいは単なる調整だけには終わってもらいたくない、これからは私たちも資源管理というものに協力をする、そういう腹構えで臨むとしたら単なる漁業調整だけに終わってもらいたくない、こういうような要望が出ておりましたので、要望させていただきたいと思います。  一方では、資源管理と漁業調整をやるということになれば、そこにはしっかりした資源調査あるいは具体的な裏づけ、こういうものがあってこそ初めて機能する委員会だというふうに指摘もされました。したがいまして、一般論的に言えば、本当にそれだけの魚がそこにいるのか、泳いであらくのか、泳いであらくというのは富山弁ですが、動いてあらくのか。そういうことを考えますと、しっかりした資源調査が前提になるというふうに思いますので、そこらあたりはいかがでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 当然のことながら、やはりこれからきちんとした資源管理をするためには科学的根拠を持ってやるということが大事であります。もちろん根拠には、徹底的に最終的な資源の状態がはっきりわかるというものから、傾向としてはわかるけれども最終的な正確なところまではわからないというのまで、ちょっと幅はありますけれども、いずれにしても、基本法の中できちんと資源調査をやるということが位置づけをされております。  先ほどもお話し申し上げたんですが、独立行政法人になった総合センター、八百人体制でありますけれども、これをフルに活用いたしまして資源管理に向けた調査研究を十分にやっていく、またその過程で漁業者の方々から十分に情報もいただくということにさせていただきたいと存じます。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 先ほど長官の答弁の中で、四十億ぐらいが調査関連予算だというふうにお話をされましたが、一つは資源回復計画作成推進事業、これで二億二千万、あるいは調整委員会の機能強化推進事業、これが三千七百万、あるいは周辺水域の資源調査等推進対策について十七億九千万、具体的に私のちらっと見た限りではこれだけが計上されておるというふうに思います。  今、私の方からお願いしたいのは、これを水産庁のセクション、セクションでばらばらに企画を立て、予算執行して調査をしていくというようなことになれば非常に問題があるのではないか、法律というものが新しくなってみんなが期待をするということになれば、やっぱり一貫した総合的に関連づけて実施するべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。    〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) すべてのことは、結局、資源をどう回復していくかということに帰結するわけでありますので、それらに向けて総合的な使い方ができますよう、また、するように措置をしたいと考えております。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 一つ具体的にお尋ねいたしますが、今、資源回復対策対象魚というのは何種類ぐらいありまして、その回復計画というのは作成されているでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 何回かお話し申し上げたんですが、対象資源としては、資源の悪化の傾向が見られてその管理の強化が必要とされる資源、増減が激しいなどの理由によって正確な資源量まではいかないけれども、傾向としては悪化の傾向にあるというものをTAEに持っていこうと思っておりますが、日本海西のカレイ類あるいは瀬戸内のサワラ、こういったものを対象として選びたいと思っております。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 大事な水産基本法の質疑でございますので、参考人の方々の意見を少し訴えさせていただきますけれども、今、漁連あるいは漁業協同組合統合ということもありますし、いろんな努力をされておりますが、一つは、IT化へ向けて非常に努力をされて、情報の一日も早い、少しでも早い収集なども含めてIT化に向けて推進事業がされております。  これについて、水産庁として、農林水産省としてこういうものを後押しするというものが関連予算としてついているのかどうか、十三年度。十四年度はこれからどういうふうに企画をしていくのか、もしあれば聞かせていただきたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 率直に申し上げて、IT化は非常に進んでいるとは言いがたい状況にあります。まだ始まったばかりでありまして、平成十三年度から十四年度にかけて産地電子情報ネットワーク化事業というふうな形で一億五千万ほどの予算をつけておりまして、これで水産物の流通の迅速化、効率化に資するということで、産地ごとの水揚げ情報を電子ネットワークで交換をして取引できるような事業であるとか、それからコンピューターネットワークを介した電子データの交換、これは流通の関係であります。それから、食品の品質・安全性等に関する情報をデータベース化して消費者が自由に検索が可能になるような安全・安心情報提供高度化事業というふうなこともやっているわけでありますが、まだまだこれからIT化を流通、加工にとどまらず、漁獲、出荷の段階、あるいは浜の方々が消費者と結びつくというところまで進めるべき時代に来ていると思います。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 なかなか取り入れにくい分野かとは思いますけれども、入れれば非常に役立つ分野だというふうに思いますので、ぜひ後押しをお願いしたいというふうに思います。  次に、流通関係でお尋ねをいたしますが、これまた参考人の方々が一番おっしゃったのは、流通コストといいますか、難しいことはわからぬけれども、浜値から消費者に渡るときに大体四倍から五倍になっている。よくこの場でも話がされた部分でございますけれども、この対策を何とかとってくれ、そうしないと日本でとれた魚は高いということでなかなかお客さんに買ってもらえないというようなことなども出てまいりまして、流通の改革という対策をもう一度お聞かせいただきたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) コストを下げて競争力を高めるという側面でいえば、やはり流通の合理化というのが必要だろうと思っています。流通の形、需要の形が変わってきておりますので、今までどおりの産地市場の配置と数でいいかというふうな問題もありますので、産地市場の統合というふうな点もございます。  しかし、もう一方で、今先生がまさに四倍から五倍とおっしゃったように、一の浜値が四とか五になるまでのプロセスを産地サイドがつかむということでコストの削減なりあるいは付加価値の向上ということがあるわけです。それをむしろ積極的に先ほどのIT化の問題も含めてやってもらうようなことを考えたらどうか。もちろん、全部が全部産地直結になるわけじゃありませんけれども、漁協だとか生産者がみずから共同出荷をするとか、消費者と結びつくという形で、そこの付加価値部分を自分らのところに落としていくというふうな方向を推奨したいと考えているところでございます。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 私は運送会社出身でございまして、生の鮮魚を冷凍車でトロ箱に三杯か四杯つけて、そして走ると五万円ぐらいかかるんですね。だけれども、付加価値をつけるためにとにかく速く走る。それを無理してやっているというのが実は現状だというふうに思います。そういうことなども考えていくべきではないかなというふうに私は思いますけれども、今はやむにやまれずそういうようなやり方でやっている。五百キロぐらいを十トン車で運ぶんですから非常にむだがあると私は思いますけれども、売る側にしたら、少しでも高く売れるところへ早く運ぶというようなことで今やっているというふうに思います。そういう実態だということも触れさせていただきます。  先ほども輸入の話が出ました。私もどうしても納得、合点がいきません。それはどういうことかといいましたら、施策について合点がいかないということじゃないんです。頑張っている方々がどうしてというような気持ちになって、私もそういう気持ちになるんですが、これまで私は輸入品の位置づけはこういうふうに思っているんですね。  生産者の方々が何とか消費拡大をしたいということで一生懸命キャンペーンをしたり宣伝をしたり、出向いていって売り込んだり、そういうことなどをやりながら努力をされます。そして一定の成果が出て、ああ、あそこのワカメがおいしい、あそこの煮干しはおいしいとか、いろんなことでそういうふうに評価が出て、テレビでも取り上げられたりそういうことになります。そうしたら、急にブームが起きましてそこの商品がブームになる。  ところが、そこの商品がブームになってそこの商品が拡大すればいいんですけれども、紛れ込んでそこでだれかがそれに、どう言ったらいいですか、紛らわしいものを輸入して安く紛らわしてそこの商品に持っていく。これが現実に言えば一番悔しいやり方ではないか、生産者にとったら。まさにそこで、悪貨が良貨を駆逐するという言葉がありますけれども、いい品物がだめになっていってしまう、そしてやる気がなくなってしまう、これが一方での実態じゃないかなというふうに私は思います。  そういう意味では、JAS法だとかそういうことでまた法律もできましたけれども、県漁連の会長さんに聞きました、全漁連の会長さんに聞きました、そういうものに対抗する手段を何か考えておいでになりますかと。そうしたら、全漁連の会長さんは、これは非常に難しい問題だけれども、何とかブランド化を目指したり、とれた魚はその浜によって味が違うんだということを消費者の皆さんにわかってもらおうと思ってこれまでも努力してきたし、これからも努力をしていきたい、こういうふうにおっしゃいました。私は感動しました。まさにそういう気持ちが今の、先ほど大臣がおっしゃいました、海の男の誇りを支えているというふうに思います。  そこで、いろいろあろうかと思いますけれども、輸入製品、もっともっとセーフガード、私は先日も言いましたけれども、セーフガードにすぐ行くというのは問題があると思います。しかし、それまで行く間にいろんな知恵を出しながら秩序というものをしっかり守れるような市場にしなきゃならぬというふうに思いますが、もう一度、この考えについてお聞かせをいただきたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 輸入品が輸入品であるということを明確にして消費をされるのであるならば、それはそれで消費者にとってきちんと選択の機会を与えたことになります。ですから、むしろ逆に言いますと、先生、先ほどJAS制度の話をされましたが、去年の七月から生鮮水産物についてはすべて原産地を表示することになっています。四月からは順次、加工水産物についても表示をすることになっています。  そういうものを前面に出しながら、おっしゃられたようなブランド化、関アジ、関サバとは言いませんけれども、千葉県産の江戸前アナゴとか、そういうふうにして努力の結果を結実させるということだろうと思いますが、その際に、やはり個別の漁協なり生産者ではどうしても限界があることがあります。そのときにはやはり漁協が手を組んで、例えば北海道でいえば漁連という組織があるわけですから、漁連の何々というふうな形で売り込んでいくという、マーケティングのところはどうしても個別の生産者なり漁協では無理があるところをやはり組織が補っていくというふうなことが大事であろうというふうに思います。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 ぜひ国内産品というものに消費者が手が出るような、そういう施策が私は必要ではないかなというふうに思います。  例えば、今長官おっしゃいましたけれども、ベトナム産のエビはベトナム産のエビと書いてあります、スーパーにも、裏を見れば書いてあります、産地が。問題は、それを加工して刺身盛り合わせということになると、アフリカのタコとかベトナムのエビとか、どこどこのイカとかマグロとか、全部輸入品ですけれども、輸入品とは書けないんですね。その辺はどうですか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) それぞれ表示をするようにはなっておりますが、もう少し実態を調べさせてください、もう少し実態を。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 全部きれいに刺身にして、それを盛り合わせて、これはエビだけならどこどこの産と書いてあるんです。ところが、盛り合わせなものですから、エビが二匹とかタコが三切れとかイカが五切れとか、そういう盛り合わせになって八百円とか売ってあるんですね。それはもう輸入品と書いてないんです。ところが、全部輸入品だと私は思っております、地物産と書いてありません。  そういうようなこともありまして、そういう消費者が地物産なのか輸入品なのかわからないというのが一つのポイントだと思いますし、先ほど言いましたように、浜によって味が違うという、そういう人たちの誇りを少しでも尊重してあげるような施策が大事ではないかなというふうに思います。  次に、漁労の安全、事故防止、そして万が一の場合の保険制度、共済制度といいますか、こういうものについて少しお尋ねをしてみたいというふうに思います。  若い人たち、担い手、そういう方々のポイントは、収入と安全というものだというふうに私は思います。一方の安全というものについて、施策として考えるもの、これまでもやってきましたし、これからもやっていくというふうに思いますけれども、より具体的な実態と施策についてお聞かせいただきたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 御指摘がありましたように、海上での漁業労働に対する危険度が非常に高いということで、海難事故の中でも漁船の場合には非常に事故が高い状況にございます。また、職場環境が悪いということで若い人がなかなか来ないという面もございます。    〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕  今回の水産基本法案の中では、漁労の安全の確保、漁業従事者の労働環境の整備について明確に規定をいたしました。  現在やっております対策としては、漁労の安全を確保するために、事故防止に関する啓発活動あるいは救命胴衣の着用の向上等につきまして必要な研修、啓発をやっているところであります。  また、日本と中国、日本と韓国の漁業協定が締結をされましたので、これに伴いまして、その中で救命胴衣の支給に対する補助というのも実施をいたしております。  なお、漁労に伴う事故につきましては、漁協の共済事業として、乗組員厚生共済が実施をされております。事故による死亡、後遺障害、事故により生じた障害による入院、通院、休業等につきまして共済金の支払いが行われております。平成十二年度の被共済者は二十二万七千人、契約金額は一兆六千億、共済金支払い額は二十三億三千万と、相当数の漁業者に活用されているという実情にございます。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 二十二万人が加入しているということは、ほとんど入っているというようなことになるんですね、人数からいくと。ところが、共済金にすれば支払い額が少ないということはいいことだというふうに思いますが、二十三億と今おっしゃいましたか、二千三百億と言われましたか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 二十三億です。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 二十三億ですね。私は、そういう安全に対する関心も、そういう制度をしっかりつくることによって、一方では増してくるというふうに思います。  次に移らせていただきますが、どうしても私は、どれだけ勉強させていただいても難しくてわからないのが、TACの問題とTAE制度のかみ合わせの問題です。  もちろん、制度としては全然違う話なものですから、かみ合わないということはわかるんですが、海にいる魚は、おれはTAEの部分だとか、おれはTACの部分だとかということをわからないと思うんですね。そういうようなことを考えたときに、まず、TACの魚種、今七種類でございますが、これの見直しというようなことがあるのかないのか。一種、二種いろいろあるんですが、これを少しお聞かせいただきたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) TACの対象魚種は、結局のところ、最終的なアウトプット、漁獲可能量を決めるわけですので、かなり正確な科学的知見が蓄積をされていることが要求されます。そして、国民生活との関係で採捕量が多いとか消費量が多いという条件がありますし、緊急に資源の保存あるいは管理を行わなければならない、それから、外国漁船と競合しているというふうなものについてはTACの指定をするわけであります。きめ細かな管理というふうに申し上げたらいいと思います。  その一方で、TAEの方は、先ほど説明いたしましたが、トレンドとして悪化の傾向があるということははっきりしている、しかし、正確な資源量自身はなかなか推定が困難だと。しかも、その資源が増減が激しいというふうなものにつきましてはTACになじまないということでございますので、インプットの方の出漁日数であるとか隻数であるとか、それをコントロールすることによって資源の維持管理をしようということでありますが、今おっしゃいましたように、境目の問題について言いますと、TAEからTACに移行することは今後の課題として知見の蓄積なり資源の状況なりであり得ると思います。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 TACとTAE制度の問題ですが、TACはTACの魚種なんです、大体泳ぎ回っていく魚なんです。今のTAE制度で考えられておるのは、いわゆる根魚といいますか底魚といいますか、そういうようなものが考えられているのではないかなというふうに私自身で勝手に今思っているものですから、そうなったときに、これがレクチャーのとき何回聞いても私もよくわからなかったんですけれども、どこでだれが制度を知らしめて、要はどれだけとれたかということをもちろんチェックしていかなきゃなりませんし、一定のところで、これでもう漁労はやめてくださいよという指示も出さなきゃならないし、そういうことになってきたときに、TACとTAE、二つの制度をひっくるめて見ていかなかったら資源の管理というものもできないというふうに思うものですから、このTACとTAEの組み合わせ、これを広域調整委員会でやるのか、あるいは各漁連でやるのか、各県の漁連でやるのか、どこでやるのかということをまずお聞かせいただきたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 結論の方から申しまして、まき網であるとか底びきであるとか、一つの魚種を固めてとるといってもほかの魚種も入ってきちゃうことがありますから、最終的にはTACの数量の積み上げの中に漁法横断的なものがカウントされるという事態は起こってくると思います、あり得ると思います。  それは、漁業者からの漁獲の報告というものをとりますけれども、同時に、漁業者の報告だけではなくて、市場における水揚げ、出荷の状況というのをクロスチェックといいますか、そういうふうな形で突き合わせるということになろうかと思います。  いずれにしても、この話は、水産審議会の意見を聞きながら、関係漁協の操業の実態を踏まえて、どういうふうに持っていくか、広域漁業調整委員会の事項にもなるわけでありますので、今後具体的なやり方について検討したいと思っております。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 今、広域調整委員会の事項ということになるとおっしゃいましたか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) ちょっと言葉をはしょりましたけれども、まず最初に資源回復計画を定めます。そのときには調整委員会の議を経なければなりませんので、そういう意味でございます。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 そうなんですか。  資源回復計画の作成は国がやる、そのときに広域委員会の意見を聞く、あるいは都道府県知事の意見を聞く。そして、関係団体、関連関係漁業団体の間で作成をする、そのときは漁業者や協議会の意見を聞く、そこまではこの図でわかるんですね。  ところが、その後がわからないんですよ。さっき、長官、広域調整委員会という言葉も使われましたし、チェックはクロスチェックでやるというふうに言われましたが、配分だとかそういうのはどこでやるんですか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 先ほどの中でちょっと申し上げましたけれども、配分自身は水産政策審議会、これの議を経てやるわけでございます。ですから、TAEの配分の問題と回復計画の問題と両方から来て、実行と管理というものができ上がるというふうにお考えいただけたらと思うんですが。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 大事なところなんですね。いつ、何月何日から何月何日まで出漁していくということを決めるんですから、非常に重要なところだと思いますし、それに合わせて漁業者の皆さんは準備をしなきゃならない、あるいは加工者の皆さんは揚がってきたとき、どれだけの魚を加工するかというような、そういう後の準備もしなきゃならない。そういうようなことになりますと、長官、私がわからないということは国民の皆さんがわからないというふうに思いますし、関係者の皆さんもきょうおいでになっているというふうに思いますので、非常に難しいところだと思いますが、もう一度わかりやすく言ってください、済みません。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 先生のお手元に私の持っているのと同じ図があると思うんですが、資源回復計画の作成に係る枠組みというのが回復計画の方でして、そして左側に、実施に係る枠組みというのがございますね。ちょっと皆さんのお手元にないので申しわけないんですが、実施の方が言ってみればTAEという、具体的なインプットを定める実施のレベルと。その関係者、広域漁業調整委員会の意見を聞き、また都道府県知事の意見を聞き、漁業者全体と協議をして資源回復計画というのを国が定めます、作成します。  それに基づいて今度は具体的にそれをどういうふうに、例えば漁法横断的にブレークダウンするか、それから国の管理する部分と都道府県の管理する部分があります、漁法によって知事許可であったり大臣許可でございますから。それを実施計画という形で資源保存管理法というプロセスに移るわけでございます。ですから、二つの、漁業法の世界と資源保存管理法の世界を、その作成から実施というところでつなぐということになります。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 もう少し後で、私、また勉強させていただきます。  時間が来ましたので、最後になりますが、これは通告してありませんけれども、大臣に所感をお願いしたいと思います。  先日、参考人の皆さんからいろいろ現場の声を聞かせていただきました。物すごくこの法案に対する期待が大きい、先ほども冒頭申し上げました。  そしてまた、一方では、先ほど大臣がおっしゃいましたように、海の誇りというものもにじませて、収入は少なくてもいいけれども、毎日海に出られるということが自分の誇りだという方もおいでになりました。そういう思いを持ちながら、後継、担い手というものも入ってきてもらいたい、こういう話も実は聞いたところでございます。  そういう意味では、二十一世紀の食料というもののうち、水産が担う役割は非常に私は大きいと思いますし、新しい制度の中で、二百海里制度という中で、持続的に漁業、水産というものが発展をしていく。そのためには、漁村というものもしっかり、先ほど小川委員も言いましたけれども、漁村の発展、活性化、こういうものも非常に大事になっていくというふうに思います。  改めて、大臣、この基本法、そして新しい資源管理法、それから漁業法、こういう法律ができて、前回も言いましたけれども、歴史的な法改正の中で、大臣の決意をもう一度、くどいようでありますけれども、お聞かせいただきたいと思います。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 水産物の安定供給と水産業の健全な発展を期するということが水産基本法の理念でありますけれども、一言で水産物の安定供給とか水産業の発展と言いましても、今日的な課題というのはさまざまな背景というものを考えていかなければならないと思います。  先ほども申し上げましたが、その一つは、これは日本における水産物の自給率というものを、四百五十万平方キロメートルの排他的経済水域の中でできるだけ資源を育て、資源を守り、そして資源に見合った操業秩序の確立ということに努力していくということは言うまでもありませんが、同時に、今回の法律の背景には、国際社会において地球温暖化というそういう問題がある中で、水産物の足らざるところは外国に求めるわけでありますけれども、その際にも、日本のエゴ、日本国民の独善的な考えじゃなくて、やはりこの自然生態系ということも重んじた中で、輸入のことも配慮していかなきゃならないというようなことも含まれていると思いますし、同時に、先ほど来お話ありますように、海の男の誇りといいますか、むしろ最近は男よりも女性の方の非常に大きな負担の中で漁村というものが成り立っているわけでございます。  我々も、浜の生活を知っている者としては、やはり国民の皆さん方に水産業とか漁業経営とか、あるいは漁村集落のあり方ということについて理解と支持を得られるような、そういうことが農林水産省としては大事だと、こう思っておりまして、そういう努力を前提に、この期待の大きい基本法を初めとする水産三法の運用ということに努めてまいりたいと、かように考えている次第でございます。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 ありがとうございました。  終わります。

笠井亮日本共産党

○笠井亮君 日本共産党の笠井亮です。  先日の参考人質疑で全漁連の植村会長が、水産基本法を制定させることによって漁業、漁村の多面的な機能が維持されて、自然な環境づくり、漁村づくりを進めることが必要だということで意見を述べておられました。諫早湾や東京湾の三番瀬を初め、干潟の保存、保全を求める声というのは、漁業者の皆さんはもちろんですけれども、今、国民的な広がりを見せていると思います。私も干潟をいろいろ調査もしてまいりました。  そこで、水産基本法のこの法案では、第二条の基本理念で環境との調和をうたって、そして先ほど十六条、十七条という話がありましたが、そういう規定もある。  まず初めに、大臣に、改めて、こうした規定がなぜ重要なのかという基本認識について伺っておきたいと思います。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) これまでにもいろいろ御議論がありましたように、人間活動による自然環境への負荷が非常に大きくなっているということが昨今問題になっているわけです。  私ども、自然の恵みに感謝する気持ち、自然の脅威を恐れる謙虚な気持ちということが非常に大事だということを常々申し上げておりますが、海の自然環境に大きく依存している水産業ということを考えますと、環境と密接な関係を有する産業でありますだけに、このことは非常に重要だと、かような認識をしているわけでございます。  本法案におきましても、海洋環境の保全等が水産政策にとって最も重要な課題であるとの認識のもとに、環境との調和に配慮した水産動植物の増殖及び養殖の推進を図るべきということを十六条で規定しているわけでありますし、水産動植物の生育環境の保全及び改善を図るべきことを十七条で規定しているわけでございます。このような観点から、生態系にも配慮した責任ある栽培漁業の推進に努めるとともに、持続的養殖生産確保法に基づく漁場改善計画の作成及びその実践の推進が必要と考えているわけでございます。  海における環境対策、陸域における環境対策、それぞれ相まって重要なことであるという認識のもとに、今後とも関係省庁とも連携を図りつつ、水産動植物の生育環境の保全及び改善について必要かつ適正な対策を推進してまいりたい、かように考えている次第でございます。

笠井亮日本共産党

○笠井亮君 そこで、水産庁に伺いますけれども、全国で干潟、藻場の減少が問題になっておりますけれども、一九六〇年以降ということで見ましたら、どれぐらいの減少になっているかという現状ですね、減少がどれぐらいになっているかということについて報告をいただきたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 手元にありますのが、これは環境省の調査であります。平成三年に行われまして、現存面積が藻場で二十万一千ヘクタール、干潟で五万一千ヘクタールとされております。これは昭和五十三年と比較しておりまして、藻場が六千ヘクタール、三%、干潟が四千ヘクタール、七%程度減少しているという調査がございます。  データがもう平成三年ということなので、水産庁自身も平成十二年度から三カ年計画で実態調査をすることにしております。

笠井亮日本共産党

○笠井亮君 今、七八年以前の統計ということが数字としてはなかったわけですけれども、そして減少率が七%程度という話もありましたが、実際には、ここに例えば「三河湾」という本がありますけれども、この中でも、海洋生物環境研究所の調査結果によりますと、一九四五年から先ほど報告があった七八年までの間、だから報告があった以前の問題ですけれども、その間に全国で三五%もの干潟が失われているという数字があります。それから、三河湾研究会ということで研究者の皆さんの調査でも、例えば愛知県、三重県をとりますと、一九四五年から七五年にかけて、ともに半分ぐらいの干潟が消失されたというふうに言われているわけであります。そういう意味では、歴史的に見て危機的な実態だからこそ、今回の法案に先立っても、大綱でも藻場、干潟の維持、保全等を重視して位置づけたんだというふうに私、思うんです。  そこで、まず私、伺いたいんですが、干潟、藻場などが、数字は先ほども言ったような数字があります。それ以前、私申し上げたわけですが、なぜ消滅、減少したのかという原因について説明いただきたいんですが、いかがでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 藻場、干潟の消滅理由でありますけれども、藻場でいいますと、埋め立て等直接の改変で二八%、海況変化で一六%、いそ焼けで一五%。干潟の方は、埋め立てで四二%、しゅんせつで一一%、干拓で二%、あとは不明とその他という状況になっております。

笠井亮日本共産党

○笠井亮君 開発行為というのがやっぱり大きな原因になっているというのは間違いないと思うんです。  そこで、私、この際、ひとつ伊勢湾の木曽川河口の国営の木曽岬干拓事業について伺っておきたいと思うんですけれども、本年三月に国の直轄事業であった木曽岬、これは正確に言えば砂州というふうになると思うんですが、この干拓事業が事業開始から三十五年目ということで、正式に中止されるということで、干拓によってでき上がった土地が三重県そして愛知県に譲渡されるということで、農地としてではなく、野外体験だとか、それから農業体験だとか、さらには運動公園などとして利用されることになったというふうに承知しております。  そこで、まず伺いたいんですが、この国営木曽岬の干拓事業の中止に伴う特別会計借入の返済などの国の負担は二百八十三億円と、そして干拓地の売却の価格というのは、三重県、愛知県、道路公団の三者に対して合計で百四十六億六千五百万円というふうになっていると思うんです。差し引き百三十六億円というお金がむだになっていると。これは相当広大な地域で、東京ドーム大体九十五個分の地域の干拓ということでやられたけれども、農業のために使用するはずだったものが、結局差し引きで百三十六億円全くむだになったと。そして、この干拓によって、もともとはアサリやノリができていた漁場ですから、それがつぶされていると。  農水省はこの責任についてどのように考えていらっしゃいますか。

木下寛之農林水産省農村振興局長

○政府参考人(木下寛之君) 委員御指摘のとおり、木曽岬干拓事業につきましては、昭和四十一年度に着工をし、平成元年度にほぼ完成を見たところでございます。ただ、その際に、愛知県それから三重県、両県の県境問題ということがございまして、この県境問題の解決に今日まで時間がかかったということでございますけれども、その間、干拓を取り巻く社会経済情勢が大きく変化をし、干拓地の土地利用に関する期待が高まったという点でございます。  農林省といたしましては、このような状況の中で、まさに両県に設置いたしました検討委員会の中で、社会経済状況が大きく変化する中で、農業的土地利用から都市的利用への転換を図ることが適当との報告が取りまとめられたところでございます。このような報告を受けまして、私ども農林水産省といたしましても、干拓地を速やかに有効活用するという観点から、両県の意向を尊重いたしまして、干拓地の用途を都市的利用に転換することが適当であるということで、今回の決定に至ったものでございます。

笠井亮日本共産党

○笠井亮君 いろいろ言われましたけれども、百三十六億円はもう全くむだになっているわけです。しかも、有効利用と言われましたけれども、現地の地元の方々は、近くに駅もない、それからインターからもかなりあるわけです。そして、実際に利益の益もないということで、一体だれが使うんだろうということを言われているわけでありますが、私、今伺っていて、なぜこのような問題が起こったのか、こうなってしまったのかという問題の所在と、やっぱり反省をはっきりさせる必要があるというふうに思います。  農水省は、干拓地の農地利用の中止には社会情勢の変化ということで今も言われましたけれども、じゃ、どのような変化があったというふうに認識されているんですか。

木下寛之農林水産省農村振興局長

○政府参考人(木下寛之君) 平成元年度に工事が概成をしたわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、県境の画定に時間を要する中で、一つは干拓地周辺におきます都市化が進展をしたこと、第二点目は第二名神高速道路がこの干拓地を直進するということで、干拓地を取り巻く状況が大きく変化をしたというふうに認識をいたしております。  このような情勢の中で、三重、愛知両県は、先ほど申しましたように、土地利用検討委員会の中で農業的土地利用から都市的土地利用に転換を図ることとしたところでございます。

笠井亮日本共産党

○笠井亮君 今、都市化の問題とともに道路の問題も言われましたけれども、私、社会情勢の変化といったときに、二つの問題をやっぱり無視できないと思うんです。一つは、事業の長期化に伴う分譲土地価格の上昇、それからもう一つは、農産品価格の下落を初めとする農政の失敗という問題だと思うんですが、これは決算委員会でもこの木曽岬の問題はたびたび取り上げてきたと思うんです。  そこで、会計検査院にお越しいただいていると思うので伺いたいんですが、一九八九年度の決算報告で、干拓地における農業経営の可能性についてどのように指摘をされておりましたか。

有川博会計検査院事務総局第四局長

○説明員(有川博君) 今御指摘いただきました平成元年度の会計検査院の検査報告におきまして、農林水産省に対しまして改善の意見を表示いたしましたけれども、その中で、農業経営の可能性につきましては次のように述べております。  愛知県と三重県の県境部で実施されました本事業は、平成二年の検査時におきましても、干拓地の土地利用計画が定められないまま更地で放置され、事業効果が発現していない事態が継続している。その結果、事業の長期化に伴い、事業費や借入金及びその金利が増嵩しており、地元負担金も高額なものとなっていて、干拓地での農業経営が困難な状況となってきていることが判明した。そこで、農林水産省においては、今後に策定される計画において、周辺の農業事情を考慮して、営農の可能性について十分検討するとともに、干拓地の立地条件や将来の農業情勢等を総合的に勘案し、干拓地の利用について多角的に検討する要がある旨、記述したところであります。

笠井亮日本共産党

○笠井亮君 十一年前のことであります。  実際、木曽岬干拓事業の当初計画では、工期は八年、そして工費は二十七億七千五百万円ということであったわけですけれども、それが最終的に工期は三十四年、そして工費は百六十一億円というふうになっている。工期が四倍以上、工費に至っては五・八倍ということになっております。つまり、土地の価格も五・八倍になったということだと思うんです。これだけやっぱり土地価格が上がれば、農業をやっても成り立つわけがないと。  工事がおくれて工費が高騰した理由について、先ほどもありました。愛知県、三重県両県の県境の画定、ちょうど間にありますから、その問題がおくれたためだということでありますけれども、じゃ、そういう問題に対して農水省がどういう対応をしたかということが問題やっぱりあると思うんですよ。  会計検査院にさらに伺いたいんですが、一九八九年度の決算検査の中で、県境の画定に係る農水省の対応についてどのように述べられておりますか。

有川博会計検査院事務総局第四局長

○説明員(有川博君) 同じくその平成元年度決算検査報告で、県境画定に関する問題につきましては、次のとおり記述しております。  本事業におきまして造成した土地は、平成二年の検査時におきましても愛知、三重両県におきまして交渉が行われないまま経過しており、この間、農林水産省においても有効な対策が講じられておらず、県境が画定されないままとなっている。そこで、農林水産省において早急に県境を画定するよう関係機関に対し強く要請し、その解決を図る要がある旨、記述したところであります。

笠井亮日本共産党

○笠井亮君 有効な対策を講じていないということをもう既に十年前に指摘されて、結局のところ、ややこしい問題というふうにおっしゃるんだと思うんだけれども、それを先送りして事業を進めてきて、そしてこういう結果になったと。  私は、事業先にありきで、必要性については、ある意味ではほとんど無視されてやられてきたというふうに批判されても仕方がないと思うんですけれども、どのようにお考えになりますか。

木下寛之農林水産省農村振興局長

○政府参考人(木下寛之君) 委員御指摘のとおり、昭和四十一年に着工し、平成元年までかかったということで、その間の予定をしていた事業期間あるいは工費が相当延びているという点につきましては、私ども、今後とも国営事業を実施するに際し、予定どおりの工期あるいは事業費を守っていくということは非常に重要なことだというふうに認識をいたしております。  いずれにいたしましても、先ほどございましたけれども、私ども、会計検査院から指摘を受けたことに沿いましていろいろな各段階の努力を行ったところでございますけれども、結果として県境画定に相当程度の期間がかかったということは否めない事実だろうというふうに考えております。

笠井亮日本共産党

○笠井亮君 結果としてということを後から言って済む話じゃなくて、やっぱりこれ国民の税金の使い方の問題で、その結果がこういうことになっているということでありますので。しかも、今度、有効利用に向けては、造成に向けて、今度は県の段階のことになりますけれども、巨額の費用の負担が大きな課題になって、そしてこれが本当に有効に使えるのかというのがまだ依然として見えてきていないという現実があるわけですね。  干拓地の本格的な事業が着手されないまま放置されているうちに、しかも現地では百五十種類以上の野鳥が生息しているということも言われております。日本野鳥の会の三重県支部などは、今言われているようなキャンプ場などをつくるんじゃなくて、そういう計画をやめて、自然復元のモデルにするような要望も出している。それから、三重県の鳥羽市の海の博物館などからは、これ以上多額な費用をかけて造成するよりも、海に戻すと。つまり、干拓じゃなくて海拓という、そういう提案もあるというふうに伺っております。  当初計画から工期、工費とも大幅に増加して、当初は必要だったとしても結局むだなものになってしまうという公共事業の問題点といいますか、この事業にも如実にあらわれていると思うんです。この問題は公共事業の見直しで中止ということになりましたけれども、結局はツケが国民に回ってくるということであります。  そこで、今伺ってきたことに関連して大臣の見解を伺っておきたいと思うんですが、こういう問題がというのは、やっぱり農水省関係でいうとまだまだきちっと見直してやっていかなきゃいけない問題がいっぱいあると思うんです。  例えば、私は、昨年の春の当院予算委員会でも徳島の吉野川流域の農地の防災事業の問題について取り上げて伺いましたけれども、同様に、もちろん海だけじゃなくて、こういう問題で農水省がかかわっている公共事業で環境との関係も含めてきちっとやっぱり見直していくということがあると思うんです。今からでも、むだな事業は削減して、本当に必要な事業のみにしていくということでやっていくということが必要だし、私は、そういうことをやることが今、先ほど冒頭に伺いましたけれども、現にある干潟や藻場を守っていくということにもつながっていくという点での総点検と見直しが必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) これまでにたしか九十六事業の見直しを行いまして、事業費で恐らく二千億円余の削減ということになっているはずでございます。たまたま当時、私は党の政調会の公共事業の見直し担当のメンバーでありまして、我々もこのことを指摘しまして、この際、今までかけた費用、税金のむだ遣いといえばむだ遣いかもしれないけれども、だからといっていつまでもちゅうちょしていて、どうすべきかということにためらっておってはならないというようなことで、強く政府側にも指摘いたしまして、今申し上げましたような見直しが行われているわけでございますが、なおさらに今後、もっと勇断を持ってやるべきことはやらなきゃだめだと。積極的に重点的に進めなきゃならぬものは、これは急いでやるべきでありましょうし、この事業についても、余りにも時間がかかるということが当初の計画と実際との間に乖離が生じてきているわけでありますので、そういう努力は必要だろうと思います。

笠井亮日本共産党

○笠井亮君 勇断を振るうという意味では、私ども諫早湾の問題も取り上げてきておりますけれども、やはり今大臣言われたことでしっかりと見直し、そして総点検、むだはやっぱりやめていくということでやっていただきたいというふうに思います。  次に、そういう上に立ちまして、漁場環境保全を具体的にどう進めていくかということで伺っていきたいと思います。  会計検査院、もう結構ですから。どうもありがとうございました。  干潟、藻場は魚介類や鳥などの生息地域であります。また、水質浄化機能を持っていて、干潟に生息する魚介類というのは有機汚濁物を除去して干潟を耕す役割を持っていると。藻場は、アマモが生い茂って、そして稚魚の絶好のえさ場となったり、あるいは大型生物から逃げていくという場、魚の揺りかごとも言われているわけであります。  私、最近、興味深くいろいろ話を伺っているところで、愛知県の一色干潟の持つ役割、浄化機能あるいは効果についてということで、一九八〇年代に、当時の水産庁の東海区の水産研究所、今は中央でなっているようでありますけれども、そこが愛知県の水産試験場や地元大学と五年間にわたって調査をされたと。そして、その結果、干潟のやっぱり大事な役割について結果を出されていると思うんですけれども、概略どのような結果が出ているか、端的に御報告をいただきたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 一九八二年から一九八六年にかけまして、愛知県一色干潟の浄化能力に関する調査をいたしました。物質収支と生物作用ということであります。  この調査結果では、陸域から流入をした栄養物質は、干潟の生態系を通じて最終的に大型の海藻、それからアサリやゴカイなどの大型の底生生物に蓄積をされまして、一部が漁業によって取り上げられるということが明らかにされております。  数字を具体的に申し上げますと、この干潟に一日に流入する窒素一・四トンは、そのうち〇・九トンが生物生産によって水中から除去をされ、細菌の作用によって〇・九トンが浄化をされると見積もられております。また、炭素や燐につきましても、こうした大型海藻や底生生物に蓄積されたものが漁業によって取り上げられるということによりまして除去をされると考えております。  こうした作用によって栄養物質が減少することで、この湾における赤潮や貧酸素水塊の発生が抑制をされているということがこの報告書で推定をされております。

笠井亮日本共産党

○笠井亮君 そういう干潟というのが大事な役割だということが改めて調査結果でも出ているというふうに思うんですけれども、そうした役割を十二分に発揮する上で今後やっぱりとるべき対応というんですか、大きく言って私は二つあると思うんですね。  一つは、干潟、藻場が実際に減ってきているという中で、現存する干潟、藻場の環境悪化が進んで機能が低下しているという事態をどう取り戻して、やっぱりこの干潟を守るかという面だと思うんです。もう一つは、開発行為ということが冒頭にもありましたけれども、もうこれ以上消滅させない、減らさない、そのものを、物理的に、ということをきちっとやるということと、それから消滅、減少した干潟あるいは藻場そのものを、やっぱりこれも物理的に回復、造成する、こういう、大きく言うと、今ある干潟をきちっと機能するようにすると。もう一つは、これ以上減らさないで、物理的にやっぱり回復あるいは復元すると、造成するということで、今後この問題でいうと、対策あるいは研究というのは、大きな柱でいえばこの二つをきちっとやるということが必要じゃないかというふうに思うんですけれども、その点はそういうことでよろしいですよね。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 御指摘のとおりであります。  そういう観点から、水産公共事業におきましても、環境の積極的な修復ないしは創造ということで、藻場、干潟の造成も行っているところであります。

笠井亮日本共産党

○笠井亮君 そうしますと、今、やっていますという話もあったんですが、具体的にそれぞれについて伺っていきたいと思うんです。  まず、第一の柱の方の問題なんですけれども、今ある、現存する干潟、藻場をきちっとやっぱり環境破壊から守っていくという点でのことでありますけれども、例えば、私、何度か先ほど申し上げました愛知県の三河湾とその周辺も行きまして、そして漁民や農民の方、あるいは環境問題に取り組んでいる専門家の方、あるいは試験場の方々にも話を伺ってまいりました。  それで、実際にはあの地域でも、本当に豊かな干潟、藻場ということであるわけですけれども、極めて深刻な現状になっているというふうに伺いました。愛知県の資料を見ますと、三河湾の漁獲量というのが、一九八〇年の八万六千七百六十四トンから、九〇年が五万七千二十七トンで、さらに九九年には四万三千四百八十トンということで、二十年間に半減しているという実態があると思うんですけれども、水産庁は、この三河湾の場合を例にとりますと、水質汚濁だとか環境汚染の現状というのをどのように認識されておられますか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) この三河湾の地域では、環境省といいますか環境庁が暫定目標値を水質基準、環境基準として持っておりまして、それへの当てはめの状況をお話しすれば実情がおわかりになるだろうと思います。  県の公表では、平成十一年度の海域環境基準の適合状況、達成状況と言ってもよろしいですが、COD、つまり化学的酸素要求量では、七定点のうち四定点が達成しておりますので、五七%。全窒素、Nで見ますと、三定点中二定点ですから六七%が達成。全燐、Pですが、三定点のすべてが未達成という状況でございまして、水質の状況は悪化の方向にあると認識をいたしております。  今後、水質汚濁防止法に基づく総量規制が強化をされる予定と聞いております。既に中央環境審議会からもそうした指摘がございますので、農林水産省としても、関係府省と連携をしながら水質改善対策に取り組んでまいる所存であります。

笠井亮日本共産党

○笠井亮君 悪化の方向だということで、いろんな指標が挙げられました。  そこで、そのうちの、私ちょっと提起をさせていただきたい問題ということで、お手元の資料をごらんいただきたいと思うんですけれども、「愛知県における赤潮・苦潮の発生状況」ということでグラフを出させていただきました。これは一九九六年の愛知県水産試験場の報告書からのもので、赤潮の発生延べ日数の変動、それから苦潮の発生状況を示しております。  それで、上にあります、伊勢湾はこれは三河湾じゃないんですが、知多湾、渥美湾というのが要するに三河湾でありまして、三河湾のうちの西側が知多湾、そして東側の部分が渥美湾ということになるわけでありますが、渥美湾でいえば百日以上が赤潮の発生ということで、長期化が進んでいると。それから、苦潮の方もやっぱり発生件数がふえているという状況が下でごらんいただければおわかりだと思うんです。  こうした状況が発生しやすいというのは、河川及び伊勢湾からの栄養物質、窒素、燐などが流入すること、それから地形的にあそこは特に閉鎖性が強いために海水の循環が悪いためだというふうに言われております。特に、酸素がなくなって苦潮が発生すると底層の海洋生物がなかなか生きていけない。底層の貝だとかあるいはカレイなどを見ますと、やっぱり機敏に動いてほかに行くというふうにいきませんので。  という結果として、有数のアサリの産地であるこの湾が二〇〇〇年には約一万トンということで、八九年の半分に漁獲量が減っている。それから、アサリから規制値以上の貝毒が検出されるということが問題になったりしました。カレイの方も、八〇年の千六百五十五トンから一九九九年の千百八十トンへと三〇%も落ち込んでいるということで、こうやって落ち込んでくると一層、とれないということで、漁業行為をしないことによって、また耕すこともされないので、一層汚れてくる。そうなると、貝類などの底層海洋生物の持つ浄化機能が発揮されないで、干潟そのものの役割もやっぱりそういう意味では失われるということに、損なわれるということになってくるというふうに思うんです。  そこで、生態系を維持するという点で、さまざまな要素がもちろんあると思うんですけれども、いわゆるこういう状況の中で生まれる、底層ですね、干潟といってもそんなに深いわけじゃないですからあれなんで、すぐやっぱりそういう影響が出るわけですが、底層の貧酸素化の問題が起こらないようにしていくというのも、これは重要な要素じゃないかと思うんですけれども、その点についてはどのように認識されているでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 先ほど申し上げた東海区水研の調査でも、そういった干潟が一定の機能を果たして貧酸素水塊の発生を抑制しているというふうなこともございますので、それは大変に重要なことだろうと思います。  特にこの流域では、矢作川の例をとりますと、干潟の保存にとどまらず、上流部の長野県の源流部に至るまで、植林をするとかあるいは川の掃除をするとか、陸域からの負荷を防止するような活動が矢作川の水域の協議会の手によってやられております。やられておりながら、なおかつ今日、環境基準になかなか合わないという状況でありますので、今後もう少しいろいろな手だてをしなければならない状況にあることは御指摘のとおりであります。

笠井亮日本共産党

○笠井亮君 そうしますと、内湾を清浄化するための水質基準、先ほど、海水のCOD、化学的酸素要求量だとか、それからDOということで溶存酸素量の基準ということがあって、それに照らしていろいろ調べているというお話があったんですが、貧酸素化する、要するに酸素がなくなる状況になるというのは、特に底層だとか、それから海水の下の土壌も関係があるというふうに言われるわけですけれども、こういう干潟などの底層における貧酸素化というんですか、それがどのようになっているかということについても、やはりこれは調査対象にして、そういうことについても独自に調べていくということも、全体をやっぱり把握する上では大事な問題になっているんじゃないかと思うんですけれども、その点についてはどういうふうになっているでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 現在、愛知県におきまして、その干潟との関係も含めて調査研究がなされております。私どももできる限りの協力をいたしたいと思っております。  閉鎖性水域というのは、とかく汚れを一手に引き受けると。したがって、一番効果的な手は陸域からの負荷を極力抑えるということであります。それから、事業を実施するに当たりましても、環境のことを十分に考えるということで、例えば東京湾の場合でも、かつての海底の砂利の採掘が青潮の発生原因になっているというふうなことも指摘をされているところでありますので、今後開発事業を進めるに当たっては、やはり環境との調和ということを十分に念頭に置くべきであるというふうに思います。

笠井亮日本共産党

○笠井亮君 そういう調査についてもあるいは研究についても大いに、支援ということを言われましたので、やっていただきたいというふうに思うんです。  私、もう一つの問題、先ほど申し上げた現存する干潟、藻場などをきちっとやっぱり環境破壊から守っていくという点と同時に、これ以上の開発行為による物理的な消滅をさせない、そして復元あるいは造成するという問題について伺っておきたいと思うんです。    〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕  干潟、藻場の役割というのは先ほども重要だということが言われて、それはもうもちろんなんですが、今ある一部だけを残してもだめだというのが専門家に伺っても共通して出されている意見であります。つまり、干潟の周辺が悪化して酸素がなくなって苦潮が発生すると、影響が干潟にも及んできて、そして水生生物が死んでしまって、残っている干潟もやっぱりだめになってしまうと。だから、干潟の浄化力、効果を考えると、そういう意味では、今ある干潟を残すとともに、新たに造成するということもあわせてきちっとやっていくというか、この面を本当に手当てしないといけないというふうに意見としても出されているわけであります。もちろん、その前提として、一方で造成するということをやりながら、もう一方でどんどん消滅させることじゃいけませんから、消滅をとめながらどうやっぱり造成し復元するかということが全体として求められているというふうに思うんです。  そこで、実際にそれをどういうふうに手当てするかということで、予算というか、それとの関係で伺っていきたいというふうに思うんですが、先ほど八〇年代の水産研究所の調査結果なども御報告いただいたわけですけれども、それに基づいて、例えば愛知でも県漁連とそれから愛知県の沿岸漁業の振興研究会というところが提言を出しております。それは「愛知県の漁場環境修復策としての干潟・浅場の造成について」ということで、これは一九九七年、平成九年八月というので出されていて、私はなるほどというふうに思ったんですが、干潟の役割というか、そしてこれを本当に大事にしていくということがいわば費用対効果という点でも非常に、これはもうなかなか自然の力はすごいというふうに感じたわけです。  若干述べてみたいと思うんですが、三河湾北部にある一色干潟、先ほど報告いただきましたが、ここは一級河川で矢作川の河口に発達した干潟でありますが、約一千ヘクタールの広さがある。そして、浄化機能というのを見てみますと、一日の最大処理水量で約七・八トン、計画処理人口で十万人ということで、処理対象面積が二十五・三平方キロメートル程度の下水処理施設に相当すると。これも相当なやっぱり干潟自身が処理機能を持っているというのを改めて私も知ることができました。  これだけの処理施設の建設費といいますと、この調査があった当時で百二十二億一千万円、維持管理費が毎年五億七千万円というふうに試算されておりまして、下水道施設として必要な用地費などを含めると総額八百七十八億二千万円に相当する事業費になる。また、一色干潟の漁業生産高、水揚げ量というのがアサリ生産などで年間五十億円。つまり浄化機能と生産機能を合わせると、一色干潟の価値というのは一千三百億円になる。仮にこの干潟と同程度の干潟を造成するとすれば、必要な経費は試算で七十七億九千万円。干潟の造成費は下水道施設建設費の十一分の一の費用でおさまるというふうにされております。    〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕  しかも、下水道施設は維持管理の費用が要りますけれども、干潟の場合は、それをつくれば逆にそこで魚がとれる、貝がとれるということで漁獲等による収益が見込まれる。だから、プラスマイナスすると、干潟を守って、そしてこれを造成するというのがもうすごいやっぱり経済的にも効果が抜群だと、もう本当に自然の力というのを感じさせられたわけであります。だから、こういうのは大いに、消滅を防ぐとともに、やる必要があるというのが、私、改めてこういう文書を見ていて感じたことであります。  そこで伺いたいんですけれども、国の干潟、藻場造成の予算あるいは研究予算と体制というのは現在どのようになっているかということなんです。いかがでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 本年度予算について申し上げますと、水産資源の維持回復と持続的利用、海洋環境、生態系の保全に資する藻場、干潟の造成等を行うという目的で、資源生息環境改善対策というものがございます。これは百六十億円を水産公共で重点投資することにいたしております。  それから、研究体制では、北海道から九州までの海域ごとに六つの水産研究所の中で、工学的な観点から約二十名の研究者がこの種の研究に従事をしておりまして、それに必要な研究予算をつけているというところでございます。

笠井亮日本共産党

○笠井亮君 造成のために約百六十億円というふうに言われましたけれども、これ百六十億円かけて大体どれぐらいの面積造成できるんですか。要するにどのぐらいの面積の造成をするという予算なんですか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 今、資源生息環境改善対策ということでくくって百六十億とお話をしましたが、この中には、既存の干潟で堆積物を除去したり、しゅんせつによって干潟の機能回復を行われる事業も含まれているわけでございますが、非常にラフな計算で申し上げますと、過去の沿岸漁場整備計画の中の都道府県の調査の原単位を使いますと、この百六十億、事業費ベースですと三百二十億ですから、これを全部干潟の造成ということに投入しますと約一千ヘクタールの干潟がつくられるということに、これはもう仮定の上に仮定を重ねていますが、そういうことになります。

笠井亮日本共産党

○笠井亮君 全部やればそうなるだろうということで、実際はそういうふうに、それだけの、一千ヘクタールもできないわけですね、これはもうほかのものをいろいろやるということになると。  私は、もっともっとこの分野は予算もかけてやるという必要があると思うんです。実際にやっぱり漁業に携わっている方あるいは研究者の方に伺いますと、今なら再生が可能だというぎりぎりの段階じゃないかというのが皆さんの実感で、消滅面積と比べても、今言われたように、全部使えば百六十億で一千ヘクタールと言われるけれども、そんなに使うというのはとても行っていないわけですから、こんなテンポでは実際には間尺に合わないということになってしまうと思うんです。  ことし水産予算全体を見ますと、三千五百二十三億九百万円ですか、うち公共事業が二千四百三十九億六千九百万円というふうに承知しておりますけれども、水産予算全体の七割が公共事業に占められているわけですが、干潟、藻場造成費百六十億円というと、わずか六・五%ということになるわけですね。  総務庁が昨年公表した漁港に関する行政監察というのも私伺いましたけれども、これを見ますと、調査した二十四道県百五十九の港のうち、十四の港で計二十二施設が整備目的の用途に全く利用されていないか利用率が極めて低いというふうな指摘があります。先日の基本法の参考人質疑でも、加瀬東大教授が、漁港整備事業はもっと抑制的であるべきだという御意見を述べられておりました。  そこで、大臣に、これ予算の大きな使い道の問題なんですが、干潟、藻場というのが重要だということを先ほど来御答弁でもいただきましたし、造成も必要だというふうにおっしゃるわけですので、今こそ水産公共事業予算の使い方をこれまた抜本的に見直して、投資効果の上でも先ほど抜群にこれはあるというふうに申し上げましたけれども、干潟、藻場造成費を増額する、それから研究予算と体制についても拡充をするということが求められていると思うんですけれども、それについてはいかがでしょうか。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 今までの漁港整備予算あるいは沿岸漁場整備開発事業、こういったことについて、私どもの身近なところでは、環境を修復したり環境を改善したりするために、本来そういった公共事業費というのが柱立ててあればかなりの部分できたんだろうと思うんです。  ところが、事業費が小さいんですね。一つの事業についてもマキシマムが非常に小さいということなので、結果的に漁港予算でやるのが一番いいというようなケースもあるわけでありまして、例えば私のサロマ湖で流氷が流入して施設が全滅になったわけです。これをどうするかということをいろんな識者の皆さん方にも相談してやったところ、やっぱりアイスブームという流氷流入防止施設、これをつくるのが一番だと。これは数十億かかる。そんな事業を沿岸漁場整備開発事業ではとてもできない。じゃ、どうするかということで、具体的にそこを漁港区域に指定しまして漁港予算でやったんですね。今おかげで、これが機能して、流氷が入らないようになりました。  ですから、私は、公共事業の見直しということは紛れもなく必要でありまして、必要な事業に必要な予算をきちっとつけていく。公共事業についても、今先生が御指摘のような藻場でありますとか干潟の造成とか。私はよく漁師の人たちに言われるのは、山に費やすぐらいの金を海に使ってみたらどれだけ経済効果があるかわからないぞというような話も聞く次第でありまして、そういう意味でも、今後環境を修復したり創造したりする公共事業、施設づくりということに重点を置いていかなければならないと思います。  今、一つ悩ましい問題は、ちょうど今の時点で見直しをするということになりましたら、事業でもストップしなきゃいけませんね。事業をストップすると決めたら、ストップしたままでいいのかというと、そうではないんですよ。そのアフターケアというものが当然必要なんですね。それは放置しておくわけにいかない、そのための費用もかかる。その上に、環境を重視した自然再生型の公共事業といいますか、環境修復、造成型の公共事業、有明海においても、今先生のお話にありましたが三河湾においても、いろいろと要請が多くなってくるということになれば、これは従来のように機能重視の公共事業と違いますから、環境に配慮した公共事業といいますとコストは相当かかってくる、このところが非常に私としては大きな悩みです。  国民の皆さん方からすれば、やめればそれで済むと思っている。しかし、実際には現場ではそうではない。やめた後のアフターケアをどうするか、フォローをどうするかということに加えて、新しい手法で環境に配慮したそういった事業をやっていかなきゃならぬということになりますと、構造改革というとすぐ予算の削減と、こういきますけれども、私は今のような時期、大きく転換していかなきゃならぬという時期は、アフターケアと同時に新しい手法でやっていくという両方に着手していかなきゃならぬということになりますと、非常に予算面でも従来よりも増しまして必要になってくるわけでございまして、この辺のところもぜひ御理解いただきたいと思います。  いずれにいたしましても、人と自然が共生する豊かな沿岸域環境を創造するということが極めて重要でありまして、そういう努力をしてまいりたいと思いますので、御協力をお願いしたいと思います。

笠井亮日本共産党

○笠井亮君 これから再生するという前提としては、ですから私、最初の方で申し上げた問題もかかわってくるわけですけれども、やっぱりこれ以上消滅させるようなことをまず食いとめないといけないということと絡んでくるわけですね。それでもやっぱり今やめればまだ間に合うし、これ以上のむだにもならないという部分、そういう面もあると思うんです。  先ほど、一色の方での水産研究所での調査の結果ということで、私も興味深い研究員の方のレポートを拝見しまして、ここで、「埋め立てなどで干潟を喪失することは、干潟の生物を喪失することであり、干潟の持つ浄化機能と生産機能を失うばかりでない。一度失われた生命は戻らないが、干潟も一度失われれば、現在知られている機能が失われるだけでなく、まだ知られざる機能を解明する機会も永久に失われてしまうことになる。進化の上では、生物とくに陸上生物の起源は渚にあったと考えられている。その重要な場のひとつである干潟の重要性を、人間生存の大きな視点から認識したいものである。」というふうに書いてありましたけれども、私、こういう観点、やっぱり本当に今大事かなというふうに思います。  最後に、一言大臣に伺いたいんですけれども、大事だということは先ほど来大臣もおっしゃっているんですが、開発行為による干潟、藻場の減少に歯どめをかけて造成を積極的に図る上で本格的な造成・保全計画というのをやっぱり策定すべきじゃないかというふうに思うんですけれども、最後に、大臣のこの問題に対する決意も込めて御答弁いただきたいんですが、どうでしょうか。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 議員立法で漁港漁場整備法を御審議願うことになっておりますが、いずれ基本計画をつくりますので、その時点で検討させていただきたいと思います。

笠井亮日本共産党

○笠井亮君 ありがとうございました。  終わります。

谷本巍社会民主党・護憲連合

○谷本巍君 初めに、大臣に漁業と水産の連携とコスト削減問題について伺いたいと存じます。  昨年改正されました食品流通構造改善法は、食品の製造業者などと農林漁業者などの安定取引ができるよう、施設づくり等について支援の措置を講じていくというふうに言っております。その点、現状どんなふうになってきているか承りたいことと、それからもう一つは、輸入物との対抗上からも流通コストの削減が求められております。漁業、水産業、連携を含め、コスト削減にどう取り組んでいくかについての見解を承りたい。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 具体の問題については水産庁長官に答弁させたいと思いますが、私どもも前々から、生産者といいますか漁業者と加工業者、流通業者というものがタッグを組むべきだ、連携をすべきだということを主張してまいりました。しかし、漁業者にしてみれば、そういう意識に欠ける面があったと思います。したがいまして、水産物流通・加工施設にしても、この施設はおれたちのものだということで、施設ができれば自分たちだけ有利になる、そのことによって加工業者や流通業者に対する競争力がついた、こういう意識を持っていたと思うんです。  ところが、特に今日的には、流通の面では一定量を安定的に供給しなきゃならないというようなことになりますと、そこの産地で当然加工業者や流通業者と連携しないと、いわゆるその地域のブランド化といいますか、これはもう消費地で相手にされないというような、そういう実態がふえてまいりまして、以後、これは水産庁の予算で水産物流通・加工施設をつくる。水産加工業者は中小企業者がほとんどですから、こういった水産加工業者が自分で保冷庫だとか保管庫だとかなかなか持ち得ない。それを、漁組などが主体になってやっているそういった事業、あるいは地方が主体になって過疎債を使ってやっている事業、そういったところを利用してやっていますね。  そのことによって一定量の流通が安定的に行われるということになりまして、その地域の海産物についての付加価値も上がりましたし、また消費地における信頼度も増してきたというようなことで、随分、昨今、今先生御指摘のような問題について前進してきているんじゃないかと。これをさらに拡大していくということが大事だ、かように認識しております。そのことによって、消費者に対してもより新鮮なコストの安い水産物の供給ということも可能になっていくんじゃないか、かように考えている次第でございます。

谷本巍社会民主党・護憲連合

○谷本巍君 さて、そこでもう一つ、この際伺っておきたいのは、中間経費削減の具体策としてこれまでも産地統合ということが強調されてまいりました。これは大変重要な意味を持っております。しかし、他方では、ITを取り入れて、水揚げされた魚をどこに運ぶか決める状態も進んでおります。ということは、IT主導型の価格形成、つまりネット上の価格形成になっていく可能性というのも出てきたのではないのかと。となると、市場は価格形成の場ではなくなって、そして単なる物流の拠点化となっていく可能性がありはしないかといったような指摘等々が出ておりますが、この点どうお考えになっておるでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 確かに、物流の拠点になると同時に情報の拠点になる、そういう可能性も私は大いにあると思います。  これはちょっと農産物の例で随分昔のケースですけれども、お話をいたしますと、長野経済連がとったレタスであるとかキャベツを、その日どこの市場に運ぶのかというのを大きな市場からすべて駐在員から電話をもらいまして、トラックはそのまま走らせているけれども、途中で名古屋へ行く、大阪へ行く、東京へ行くというふうに、一番有利に自分の地域の品物を評価してくれるところに運ぶというふうなイニシアチブを自分で持っておりました。  今、先生がおっしゃったIT化というのは、例えば漁船が漁獲を上げたときに、リアルタイムで産地市場の情報が入れば、どこに卸したら自分が一番有利に売れるか、これは逆の意味で言えば、産地市場同士が競争するということにもつながりますが、そういうふうなことに、IT化が生産者にとっても利益をもたらす方向に働く可能性を持っていると私は思います。

谷本巍社会民主党・護憲連合

○谷本巍君 そこで、長官、もう一つ伺いたいのは、市場での競りによる価格形成というのは、価格決定の方法としては私はすぐれた公平性を持っていると思います。IT化で場外取引が促進されて市場が空洞化されていくというような状況にしてしまっていくのか、それともIT化で市場機能を効率化し、公平性を備えた市場のあり方を守っていくのか、ここのところがこれから先の将来展望の問題として非常に重要だと思うんです。そこの点についてはどうお考えになっておりますか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 先ほどもちょっと触れたんですが、市場が物理的な建物として荷さばきの場であるということ以外に、評価であったり金融であったりサービスであったり情報であったり、いろいろな機能を持っているわけですね。その中で今一番大事なことは、評価の機能をどう果たしていくか。これは別に場があって人がいなくても、インターネットその他でそういう機能を果たせるケースもあるわけでございます。  いずれにしても、どこかに価格のよりどころを求めなければ、ユーザーもサプライヤーも生きていけないわけです。そのときのよりどころをどこにするかというと、やはり公平、公開の場ということで、それがバーチャルであるのか物理的な場であるのかは別といたしまして、市場というものが今後とも存在意義を持っていくというふうに私どもは考えております。

谷本巍社会民主党・護憲連合

○谷本巍君 存在意義を持っていくと同時に、そこを大事にしていくというお考えですね。  次に伺いたいのは、ITの活用と地域の特徴を生かしたやり方をどうしていくかということについて伺いたいと存じます。  流通のあり方というのは、前にも申し上げたような記憶がありますが、量販店の進出でもって一定の時間、一定の数量、一定の品質、一定の価格が求められるようになってきました。そうなってきますというと、大量在庫を持つ輸入の方が有利になっていくというような状況が現実問題として生まれてきております。しかし、その反面、魚の消費の多様化が進みました。高度化が進んでおります。日本の魚というのは、とれるところで種類も違うし味も違う、そういう特徴を持っているわけでありますから、その特徴というのをどう生かすかということがこれから先、私は重要になってきていると思います。  そこで申し上げたいのは、ITを使い、多種多様な水揚げ可能な特徴を生かして、特定の顧客との直接取引を行うという方法、こういうものを拡大していくといったことが考えられるのではないのかというふうに思います。つまり、ITというのをこういう面にこそ活用されて、産地市場活性化に結びつくのではないか、こう考えるんだが、どうお考えでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) もちろん、輸入品との競合ということを考えますと、太いパイプ、一定の価格での流通というのは、片方走らなければいけないと思います。そういう点につきましては、先ほど申し上げた電子ネットワークあるいは電子決済というふうな仕組みだろうと思うんですが、もう片方でやはり多様な特徴のある産品を消費地、消費者に届けるという意味でのインターネットの活用等がこれからは重要視されてくると思うんです。  実は、この四月二十八日に初版が発刊されました「北のさかな産直ガイド二〇〇一」という、北海道の五十七漁協の共同のPRというか、生鮮品から加工品あるいは交流に至るまでのデータがあるんですが、その中でやはり特徴的なのは、インターネットによって注文オーケーだという漁協が二十一ございまして、これはパーセンテージでいいますと約三七%です。つまり、産地サイドもこれまでのような宅急便オーケー、郵便局オーケーからインターネットのところにまで既に事態は進み始めているということだろうと思います。

谷本巍社会民主党・護憲連合

○谷本巍君 次に、大臣に魚食文化と漁村振興問題について伺いたいと存じます。  先ほども申し上げましたように、日本の沿岸漁業というのは、地域によってとれる魚も違うし、味も違うし、食べ方も違うという状況の中で、それぞれの地域文化、魚の文化というのをつくり上げてまいりました。国際化の時代の中で、この特徴というのは日本漁業が生きていく上での重要な武器になっていくのではないのかと私は判断します。  ところが、日本の魚の流通を見てみますというと、いいものは大消費地に集中していく、そして地元はいいものがなかなか手に入らぬという場合が少なくありません。フランスで見てみますというと、一般の競りの前に地元の魚屋さんが買うという習慣が確立されている地域もあると伺っております。  魚の地域文化を生かすには、それに見合った流通のあり方というのが追求されていくべきではないかと思うのだが、この点、大臣、どうお考えでしょうか。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 非常に難しい問題だと思います、正直申し上げて。  食文化に限らず、やっぱり生活文化ということもあると思うんです。私は、そういう意味では、一時バブル期に体験したことは、銀座で、これから小樽にすし食いに行こうという話を聞いて唖然としたことがあるんです。やはり小樽で食べるすしが一番という、そういう思いがあって、小樽まで行くには飛行機に乗って大変な金をかけて行かなきゃならない。しかし、食文化に対するこだわりというのは、人間生きている限りそういう欲求、願望というのはあるんだろうと、こう思うんです。  したがいまして、これからIT革命によって世界じゅうのものが日本の至るところに流通していくということになっていくんだろうと思いますし、個々人が自分の求めるものをどこからか求められるというような便利な世の中になっていくんだろうと思いますが、しかし、一方において、だからこそ地産地消といいますか、そういうような町づくり、村づくり、都市と農山漁村との一体的な共生、対流というようなことを今後志向していかなきゃならないのではないか。  食足りて礼節を知るということがありますけれども、その先は何なんだと言ったら、私は、礼節の上はやっぱり文化ではないのかなと、こう思いまして、どっこい、それぞれの地元では一時的には確かに流通革命がIT化によってさらに飛躍的に拡大していくだろうと思いますけれども、その先を見れば、また地産地消といいますか、町づくりそのもの、あるいは食文化に限らず生活文化というようなことも視野に入れた新しい生き方というものを国民は求めてくるんじゃないのか。別な言葉で言えば、二重生活といいますか、都市の魅力、田舎の魅力、それを今までは片方しか享受できなかったけれども、人が移動することによって、それに足るだけの交通インフラが整備されてまいりました。  もう一つ、IT、今先生御指摘のような情報インフラが農山漁村にもきちっと完璧に整備されれば、人が移動することによって両方の食の文化といいますか、両方の文化を享受できる、そういう時代になるんじゃないかと思いまして、むしろ農林水産省としてはそういうことも視野に入れて努力していく必要がある、かように考えます。

谷本巍社会民主党・護憲連合

○谷本巍君 それで長官、先ほどお答えいただいたお答えと今の大臣がお話しになった話と関連させてもうちょっと伺いたいことがあるんです。  それは、産地市場の統合と食文化の形成との関連問題として、やっぱり小さなところをつぶしていくんじゃなくて、大きいところと小さいところがネットを結んで共存できるようにしていく工夫というのがどうもこれから先大事になっていくのかなという気がいたします。そういう工夫がないと、小さいところはつぶされていって、地域特性も一緒になくされてしまうという状況が生ずる可能性がある。その点はどうお考えでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 産地市場統合の考え方というのは、かつては、カツオの例で言いますと、三月の沖縄沖から始まってずっと上昇してくる。その過程でえさを仕入れたり換金をしないと次のあれにならないので、市場が拠点ごとにあるというふうなあれだったわけですけれども、やはり漁業者も変わってきたし供給も変わってきたし需要も変わってきたので、ある需要に合わせて産地市場の配置なり規模というのは変わらなきゃいけないと思うんです。その際、ドラスチックにどんと大きくするということを考えているのではなくて、三つが二つぐらいになるような感じで、地域の特性を失わずに、しかも力がつくという方向を目指したいと思っているんです。

谷本巍社会民主党・護憲連合

○谷本巍君 それから、これもちょっと質問通告しておりませんけれども伺いたいと思いますのは、先日の参考人からの意見聴取の中で、浜によって味も違うという話が出てまいりまして、浜の表示ということを考えることができないかといった問題提起が参考人の間から出てまいりました。  長官、この辺のところはどんなふうにお考えになっておりますか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 私は大いにやるべきだと思います。もちろん、関サバ、関アジという話もありますし、先ほど申し上げた千葉の江戸前アナゴというふうなのもあると思います。  さっきも申し上げたんですが、表示はそういうふうに特徴があるものとしても、マーケティングの力というのは小さな漁協なり生産者では知れています。ですから、それを助けるようなシステムを漁協同士が組んで、この漁協のチームの中に多様な地域特産物がその地域の名前を、冠をかして存在していく、それが消費者に性が知れた品物として渡るというふうなのがやはり国産品としての特徴を生かせる販売ではないかと思うわけであります。

谷本巍社会民主党・護憲連合

○谷本巍君 次に、大臣に加工と販売の問題について伺いたいと存じます。  これは兵庫県の伊保漁協の場合でありますが、出荷しても安値にしかならぬグチを練り製品として開発をし、利益を出すところまでこぎつけたというんです。そして、これを契機にして加工工場をつくり、販売まで手がけるようにしてきたという話であります。  漁業、漁村の活性化をしていくのには、やっぱり魚をとっただけじゃなくて、地場で加工できるような工夫というのがあってしかるべきではないか。そうしますと、新しい仕事も出てきますし、地域経済の活性化につながっていきます。特に加工問題が出てきますというと、漁家だけじゃなくて漁家以外の皆さんとの協力関係が出てきますから、やっぱり地域社会の活性化になっていきます。そういう意味で、この種の問題というのは私は重視していくべきではないかと思うんですが、大臣、どうお考えでしょうか。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 水産加工の問題については、私、北海道ですけれども、北海道でも随分違います。ここまでやっているかというところもありまして、例えば今、紋別市で非常に有力な事業として頑張っているのが、ホタテの貝を磨いてそれを送ると。これは食べるんじゃないんですけれども、それを高級レストランに送っているというのが、そういう本当に廃棄物にも等しいものを生かしてやっているという、そういうものを私は目の当たりにしているわけなんです。  例えば網走と紋別を比較しましたら、はるかに紋別は各種の加工をやっていますね、同じオホーツク海沿岸で。どうしてこうなったのかなというと、二百海里時代に北洋漁業も大打撃を受けまして、紋別は数多い水産加工場が本当に危機に瀕して全滅に近い状態に追い込まれたんです。しかし、これが政府のさまざまな支援によってまた立ち上がって、結果的には今まで、とって一次加工してそのまま送るというものから、二次、三次加工をやれば生きていけるという知恵だと思いますので、先生御指摘のことは非常に重要ではないのかなと。そういう新しいビジネスの種が農山漁村には数多く潜んでいると、これを引き出すのがまた我々の一つの大きな役割だろう、かように認識しております。

谷本巍社会民主党・護憲連合

○谷本巍君 次に、質問通告少々飛びますが、今度の基本法案の三十二条が言う「水産業及び漁村の有する水産物の供給の機能以外の多面にわたる機能」というのは、具体的には何を指してのことでしょうか、長官。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) これは、平成十一年度の漁業白書で初めて多面的機能というのを掲載させていただきました。水産物の供給以外の多面にわたる機能というのが正確な用語でありますが、水産業を営み漁村に暮らす方々の活動を通じて発揮される機能でありまして、健全なレクリエーションの場の提供、沿岸域の環境保全や海難救助への貢献、防災、国境監視、伝統文化の伝承などなどでございます。

谷本巍社会民主党・護憲連合

○谷本巍君 そうしますと、その多面的な機能というのは漁民が漁村に住んでいるからこの多面的機能というのが発揮されていく、こう言うことができますね。  そこで伺いたいのは、漁業と漁村の持続に向けて一定の施策というのがあってしかるべきではないかと思うのです。ですから、繰り返して申し上げますが、多面的機能というのを掲げられたと、それは当然のこととして政策化されてしかるべきだろうというふうに思うんですが、その点どうでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 三十二条は衆議院における修正によりまして、ちょっと省略いたしますが、「多面にわたる機能が将来にわたって適切かつ十分に発揮されるようにするため、必要な施策を講ずるものとする」と書かれております。私たちは、この条文に沿いまして、今後多面的機能に関する施策を具体化していきたいと考えております。

谷本巍社会民主党・護憲連合

○谷本巍君 次に、大臣に魚つき林と、農業と林業等々の提携問題で伺います。  死語となっておりました魚つき林というのが、最近になって見事に復活したというのが私の印象であります。林野庁で見てみますというと、海岸林を中心に整備してまいりましたが、最近は山間部まで広げようという計画がありますという話を伺ったことがございます。また、同じ林野庁が間伐材で魚礁をつくる取り組みを始めているという話も伺いました。これなどは、海中に設置された間伐材がえさになる虫を育て、その空間が産卵場所になっていくということでありますから、漁業と林業ともによくなるという試みではないかと思います。  農林一体の取り組み、これまでの質問者もその点を強調しておりますが、私も同じように、この際、強調しておきたいと思うのです。何か御所見がございましたら。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 私どもは、森と海は命のふるさとと、こう申しておりますし、また昨今、森と海は恋人、川はそれをつなぐ仲人と、こういうような話もあるわけでございますけれども、特に北海道に限らず、昨今、漁業者が山に木を植える運動をやっております。このことは、非常に二十一世紀の新しい生き方ということを象徴している、かように思いまして、これは森と海をつなぐ流域にもそういった努力を私はさらに拡大していくべきでないか、かように思いまして、間伐材を用いた魚礁の施策等に対する助成を農林水産省が行っているわけでありますけれども、こういった努力に対してさらなる施策の充実を期してまいりたいと、かように存じます。

谷本巍社会民主党・護憲連合

○谷本巍君 ありがとうございました。  次に、長官に伺います。  環境問題については、これまでいろいろ質問がございました。もう一つの問題として、工場排水とか生活排水とか有害廃棄物ですね、これを発生源とする環境汚染対策、これももう一つの海を再生させていく上での不可欠的な課題なのではないかと思います。河川環境それから海洋環境に対する負荷軽減に向けての取り組みの現状と、これからどうされていくか、その辺のところについて簡潔に御答弁いただきたい。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 私は、海は水の最終到着点ということで、いわば陸域からの負荷を一手に引き受けている、そういう存在であろうと思います。とりわけ内湾のような閉鎖性水域においてはその可能性が非常に高い。したがって、水産サイドからもっと上流部に向けて、陸域に向けて意見を言わなければいけないと思っております。  現在、水質汚濁防止法、これは環境省中心でありますが、汚濁負荷量の総量規制というふうなことも行われておりますし、地域によっては瀬戸内法のようなことで、より強化された体制が組まれております。数字の面からだけ見れば徐々によくなっているというふうなこともうかがわれないわけではないんですが、依然としてやっぱりレベルは相当富栄養化の状況にございます。  私どもといたしましては、こういった状況でございますので、我々自身も海を汚さないようにすると同時に、環境省を中心に国土交通省等々にもきちんと意見を伝えていくと、そして実行してもらうということをやりたいと思っております。

谷本巍社会民主党・護憲連合

○谷本巍君 最後に、クリーンエネルギー問題について伺います。  アイスランドの場合で見てみますというと、全エネルギーの三分の二が氷河の解ける水、それから活火山利用の水力と地熱で賄われていると聞きます。このアイスランドで輸送エネルギーを再生可能な資源に変えるため、水素を全漁業船の動力源とするためのプロジェクトが発足をしたという話も耳にいたします。  日本の場合はアイスランドのような水力、地熱条件というのはないが、バイオマスエネルギーの活用という点ではかなりの可能性というのがあるのではないかと思います。水産分野での環境との共生を目標にしたエネルギー開発への取り組み、どんな現状であり、この先どうしていこうとしておられるか伺いたい。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 新エネルギーの基本方針というのがありまして、九七年一・七%の新エネルギーを二〇一〇年には三・一%まで引き上げるという計画もございます。  漁港等々では風力とか太陽光というのがその可能性として取り上げられておりまして、これは言ってみると自然エネルギーなんですが、ここへの助成も検討の対象にしておりますが、今おっしゃられたバイオマスということになりますと、漁港で発生するいわゆる廃棄物が果たしてそういう量としてまとまって一定の品質でそこに生かせるかどうかという点で、なかなかクリアをしなきゃならない問題がございます。今後の検討課題だろうと考えております。

谷本巍社会民主党・護憲連合

○谷本巍君 ありがとうございます。

岩本荘太無所属の会

○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。本日最後の質問になろうかと思います。よろしくお願いいたしたいと思っております。    〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕  私は漁業者ではないんですが、漁業者とのつき合いは大変長くて多いものでございまして、その間にいろいろ学ばさせていただきまして、そういうバックグラウンドから何点か質問をいたしたいと思いますが、けさも県内の漁業者がお見えになりまして、要するに魚価が安くて困るというようなことを切実に訴えられました。安いといっても、魚の消費も多いでしょうし、そんないっぱいとれるんですかと言ったら、どうもその辺がよくわからない。大変難しい問題なんだろうと思うんですけれども、魚価の問題一つをとっても。  また、よく最近、漁業者離れ、後継者離れが盛んにあるということも言われておりますが、私なりの勝手な解釈をしますと、昔はどちらかといったら遠洋漁業が主といいますか、遠洋漁業に重点が置かれていた。これは若い人が行って、それからだんだん近海から沿岸と、年とともに移ってきて、それを商売の面から見ると、遠洋というのは、これは危険も伴うかもしれませんけれども、一獲千金というか、そういうものにつながったような気がいたします。事実、私のところでもイカ御殿といいますか、イカ漁で御殿をつくったというような、そういう集落もございますし、全国にもそういうところはいっぱいあるんでしょうけれども、そういうものが国際的な規制からだんだんできなくなってきた。したがって、だんだん岸辺に近づいてきて、そのためにいわゆる漁業というものの魅力が少しなくなってきたのかなというような感じもするわけでございます。  それと同時に、こういう世の中だんだん安定してきますと、今までみたいに余り危険を冒しても金をもうけなくてもいいというような人もふえてきたというような感じもいたしますし、大変これからの漁業、漁業というのは本当に議論いろいろ出ていると思いますけれども、食料の面からももう本当に大事なものでありますので、この漁業というものをしっかり振興するということは私も大変大事だと思っておりますが、なかなか難しい問題があるというふうな理解でおります。  私、実は、前回の委員会並びに参考人からの聴取、事情がございまして欠席しておりまして、きょうも出たり入ったりしておりまして、質問が重複するかもしれませんけれども、その辺はひとつ御勘弁をいただきたいと思います。  今度の基本法といいますか、いわゆる資源管理漁業を確かなものにするということだろうと思いますが、これは言うなれば今までもう既に進めてきた道ですね。それをはっきり明文化するというか基本法に載せるということだろうと思います。私自身にしてみれば、言い方は失礼かもしれませんが、何を今さらという感がなきにしもあらずというのが正直な印象でございます。  しかし、そういうものを基本理念としてこれからは振興を図らなければいけないと思っております。ただ、そのためには、今までの漁業のあり方あるいはこれからのあり方、いろんな面でいろいろ問題がある、問題というか解決していかなきゃいけない課題がいろいろあるという認識を持っております。  まず、漁業をやっておられる方のお気持ちといいますか、漁業というのは、私なりの解釈ですと、ほかの産業なんかに比べて非常に待ちの要素が多い。自分から積極的になかなか攻められない。物をつくるのであれば何か自分で設計図をつくってやれるんですけれども、魚探で探ってやるという随分積極的な面はありますけれども、それも見つからなければどうしようもないわけですね。見つかるまで待つというような感じで、そういうような性格があると思うんですね。  そうしますと、漁業者の方というのは、私いろいろお話ししていますと、漁群が見つかるともうとり尽くすというのが、これが本当の気持ちだろうと思うんです。それは私はわからないでもないんですね。もうどこにいるかわからないものを自分が見つけたというときのその気持ちというのは、これはもうどこまでとってもという気もあると思うんですね。そういうお気持ちの方がやっておられる。  それと同時に、いわゆる魚探に始まって、そういう漁法といいますか、漁業の技術というのもどんどん進んできていると思うんです。そういうものと資源を管理していくというところの一つの接点といいますか、どういうふうに考えていかなきゃいけないかということなんですが、まずその辺からちょっとお話を聞かせていただきたいと思っております。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 我が国周辺資源の多くが悪化している、こういうふうに言われているわけでありますが、その要因としては、沿岸域の開発等に伴い水産資源の繁殖、保育の場の減少、つまり漁場環境が悪化したこともあると思います。また、漁船の大型化や漁労機器の高性能化等の漁獲能力の向上や過剰な漁獲競争の結果、資源に対する漁獲圧力が必要以上に過大となったということも大きいと思います。  私は、それに加えて、鯨が人の三倍も五倍も魚を食べているというようなことも自然生態系を壊している一つではないかと、こう言われておりますし、なるほどなと、かように思うのでございますが、いずれにいたしましても今後の資源管理の方向としては、技術の進歩による漁獲能力の変化等も十分に勘案して、資源の状況に応じた適正なレベルの漁獲量や漁獲努力量を設定して総量を管理する手法の導入、関係漁業者の資源管理に関する意識の向上を図ることが大事だと、かように思います。  いずれにいたしましても、特に四百五十万平方キロメートルという広大な排他的経済水域における資源をふやし、資源を守り、資源に見合った操業を行っていく、漁業を行っていくということが基本になるのだろうと思います。そういう意味では、今回の立法というのは、海洋生物資源管理保存法の改正というのは非常に意味があると、かように考えております。

岩本荘太無所属の会

○岩本荘太君 くどいんですけれども、要するに資源管理というのは、とるな、とっちゃいかぬ、この時期はとらないで残そうということだろうと思うんですよね。しかし、先ほど言いましたように、漁業をやっている方はとりたいというのが昔からの気持ちだろうと思うんですね。そこの接点というのが僕は非常に難しいんじゃないかな。  先ほど、長官の御答弁聞いていましたら、例えば減船や休漁やというようなお話をされておりました。これ以外に、よく網目を広くして小さいのをとらぬとか、とっても流すとかと、いろいろあると思うんですけれども、そういうふうなことはわかるんですけれども、例えば休漁にしても、私の認識なんかでは、これは極端に言いますと、これは休漁じゃないですけれども、しけでほかの人が行かないときにとった方が、これは魚価がばっと上がるわけですよ。そういうことをやろうという気持ちも漁業者にあると思うんです。  これは何も漁業者に限らないで、農業そのものにしても、これは大体自分ところだけが豊作でほかのところのは不作になると、これは夢でそう思っているのが普通だろうと思うんですね。だから、そういう気持ちと、その資源を守るという、資源を守って末永くやろうという気持ちと、その辺の接点というのを何らかの格好で醸成していかなきゃいかぬというか、その辺が大事だろうと思うんですけれども、実務者としての長官の御意見をちょっと聞かせてください。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 資源が持続して、そして、とれたものが高く売れるというのがあると協力すると思うんですね。近くの例で言いますと、横浜市漁協柴支所、これは二日出て一日休むというローテーションになっています。それから、香川県でしたか、庵治漁協も同じように協定を結んでそういうふうに休漁日を決めて、その日に出漁した人は次回出漁の許可を出さないというぐらい組合の中できちっと決めています。サクラエビの場合には今度はプール計算なんというのもありますけれども、そういうふうにして資源を管理すれば、持続的に漁業がやれて、しかももうかるというインセンティブがあると協力ができて、しかも休漁日がありますから、若者が入ってくる、こういうことになるので、確かに接点はなかなか難しいんですが、みんなが参加をして徹底的に話し合うというところから始まるんだろうと思います。    〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕

岩本荘太無所属の会

○岩本荘太君 ぜひ、そうあっていただきたいと思う次第でございます。  それと、もう一つ、漁業者のお気持ちと違う面で、資源管理をする、自分らが幾ら資源管理をしても、海というのはつながっているわけですよね、外国と。そんな中で、外国の船も近づけるわけですよね。したがって、例えば私のところではズワイガニの資源管理のために、これは十一月の第二週ぐらいから二月ぐらいまでしか漁期がないんですね。いわゆるこれは松葉ガニ、越前ガニと同じ種類ですから、ほかの方も同じだろうと思うんですけれども、そういうところによく外国船の違法操業というのが見受けられるというんですね。これでは幾ら資源管理をしても、そっちが勝手にとってしまうと、これはもう全然資源管理の意味がなくなってきちゃう。  この辺で、そういう外国の違法操業といいますか、そういうようなものに対して、農林省ではどういうふうに把握されておられて、どのように対処されておられるのか、しようとしておられるのか、その取り締まりの実態等も含めて少しお話をしてください。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 先ほども触れたんですが、資源管理をやれない理由というのが三つあって、一つは隣の浜が協力しない、二つ目は密漁がある、三つ目は外国船が来てとっちゃうという、それを一つ一つつぶさなきゃいけないということで始まったわけです。  外国漁船の違法操業というのは、日韓、日中のケースを見ますと、かつては二百海里の適用がありませんでしたし、それから取り締まりが旗国主義と沿岸国主義でちょっと違っていましたので件数はストレートに比較はできませんが、通称言われていたのが、しばらく前までは大体二千件ぐらい違反がある、確認されたものだけでも二百ぐらいあると。こういう実態なんですけれども、今日、協定締結以後の状況を見ますと、これは外国漁船の拿捕数でいきますと、ことしは六月十八日現在で二十二隻、これは昨年の数字は四十八隻ということになっております。

岩本荘太無所属の会

○岩本荘太君 ということは、大分減ってきているというふうに理解してよろしいわけですね。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) やはり沿岸国主義になりましてからかなり強制的にやれますので、そういう点では違反操業は相当程度減っているというふうに認識しております。

岩本荘太無所属の会

○岩本荘太君 国際的な関係ですから、日本の国だけでできない、なかなか難しい問題だと思いますが、その辺も資源管理漁業を進めるにはぜひしっかりとやっていただきたいと思っております。  それと、これは違法操業とは直接関係ないんですけれども、違法操業かもしらぬと言う人もおるんですけれども、いわゆる外国船が違法操業すれすれのようなところで水産物をとってきて、それを日本の港に直接おろすと、商社がそれを恐らく全部購入して、そういうことをやっているんじゃないかというようなうわさもあるんですが、もしこういうことがあるとすれば、こういうことは合法的なことなんですか、その辺をちょっと教えてください。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 今、先生は外国船という言葉をお使いになりましたが、外国漁船と外国船では取り扱いが違います。  外国漁船ですと、いわゆる外規法という法律がございまして、農林水産大臣の許可なく外国漁船が漁獲した漁獲物等を我が国の港へ陸揚げすることは禁止をされております。したがいまして、許可を受けずに入ってまいりますと法律違反と。  ただ、漁労設備を有しない船舶は、これはいわゆる運搬船という取り扱いを受けておりまして、基本的には外規法の対象外ということでございます。

岩本荘太無所属の会

○岩本荘太君 私もそこまで、実際に行きませんでしたので、どんなぐあいになっているのか。  船といっても漁船と運搬船の境がどうなのかという、いろいろ難しい問題があると思いますけれども、事実、そういうものが入ってきて、そこの漁業者の生活を脅かしているといいますか、所得を非常に脅かしているという事実はあるようでございまして、その辺は、やっぱりこれは国ばかりでない、これから気をつけなきゃいけない問題であろうかと思っております。そういうことに非常に困っている声を聞きますので、この辺、ひとつ問題意識としてお持ちいただけたらというふうに思っております。  それで、そういうことと関係して、近くから入ってきますから、これは一般船舶にしろ、近くから現実に荷物が入ってくるわけですね。そうしますと、そのときの産地表示といいますか、当然地元の人は自分のところの産地表示といいますか、そういうもので売っているわけですけれども、そういうものを外国船で運べば同じ産地ということはあり得ないだろうと思うんですけれども、その辺は何か規制するというか、表示についての取り締まりというのが必要なんじゃないかなと。先ほどもどなたかの質問であったような気がいたしますけれども。  農産物については、いろいろと最近産地表示が徹底してきているように思いますけれども、水産物なんかについては、この辺はどんなふうなお考えで今どんなふうにされているのか、教えていただきたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) JAS法の改正によりまして表示が変わったわけでありますけれども、生鮮水産物につきましては平成十二年七月から表示が義務づけをされまして、原産地の表示をすることになっております。  したがって、今話題になりましたズワイガニのケースですと、日本漁船が金沢沖でズワイガニを漁獲しますと、名称ズワイガニ、原産地金沢沖、こういうことになります。それから、北朝鮮が漁獲をして金沢港に水揚げいたしますと、名称ズワイガニ、原産地北朝鮮と。こういうことが義務づけられておりまして、これに違反しました場合には、所要のプロセスを経て最終的には罰則の適用というところまで行くことになっております。

岩本荘太無所属の会

○岩本荘太君 今、お聞きして、疑問というか、ちょっと一点だけわいてきたんですけれども、違反というのは、魚をとった方と売る方、両方あると思うんですけれども、売る方についても違反の対象として農林省が取り締まれるわけですか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 販売されるものにつきですから、販売業者が表示を義務づけられているわけでございます。

岩本荘太無所属の会

○岩本荘太君 くどいようですけれども、それは農林省所管の取り締まりということで理解してよろしいですか。──わかりました。  それで次に、資源管理漁業の一つの大きな柱でもあります栽培漁業についてお聞きしたいと思います。  当然、水産物をふやさなきゃいかぬ、ふやすことが必要だと思いますが、海というのも、私なんかが見ましても、無限に栽培漁業とか養殖とかをやれば生産高が上がるというものでもないような気がいたします。  私の経験でも、ある魚種については非常にいい結果が出たけれども、そうでないものには全然効果がなかったというようなものもあるわけでございまして、その辺、海は生みの母であるけれども余り過信しちゃいけないというふうに思っておるわけですが、その辺の質問に入る前に、まず世界的に見て水産物の消費動向というのは今どうなのか、あるいはそれと同時に、日本の方もどうなのか、もしおわかりになったらちょっと教えていただきたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 消費の動向でございましょうか。  世界全体で、昭和四十年、一九六五年には三千万トンぐらいでありました。一九八〇年、昭和五十五年で五千万トン。現在、平成十年、一九九八年で九千万トンということで、次第次第に増加の傾向で推移をしております。  世界の全人口の八割は開発途上国にあるわけでございますので、経済成長に伴いまして食生活の水準が向上します。したがって、これらの地域では魚介類の消費がふえるということが予想されます。現に中国では、この十年間に一人当たりの魚介類消費量が四倍に増加をしたという報告がございます。こういう動向から考えますと、いずれ世界の水産物需給は逼迫をするということも予想されるわけでございます。FAOが公表いたしました二〇一〇年における世界の水産物需給見通しでは、最悪の場合、五千万トンショートするというふうなことを言っております。  日本の場合には、おおむね八百万トン水準で横ばいという状況でございます。

岩本荘太無所属の会

○岩本荘太君 なかなか有望な食料だと思いますが、それだけまた水産資源の開発ということも考えなきゃいけないんだと思います。  私の経験で、例えば深海にも水産資源があるんですね。二千メーターぐらい潜れる船で潜るとそこにあるらしいんですけれども、これは通告しておりませんから別に質問しませんけれども、ところが、そういうところにあっても、じゃ、それをどうやってとるのかというと、なかなかとりにくいというような問題もございます。  そういうのは、したがって、資源としてあるけれどもなかなか開発できないということなんでしょうけれども、今のお話で五千万トンもショートするような状況であれば、何らかの格好で、いわゆる栽培漁業によって増産していかなきゃいけないと思うんですが、その開発の可能性といいますか限界といいますか、これは本来、参考人の方がお見えになったときに聞かなきゃいけない問題だったと思うんですけれども、きょうしか時間がございませんので、長官の方でその辺、いわゆる五千万トンのショートなどという寂しい話でなくて、何か開発の可能性があるのかどうか、その辺のお話を聞かせてください。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) これもFAOのレビューからの数字でありますけれども、今私たちが食べている魚というのは非常に限られた種です。ですから、これを広げることで可能性が一つある。それから、加工技術を高めることで食べられるようになるということもございます。FAOの九七年のレビューでは、現況八千数百万トンの漁獲を、開発余地を含めまして年間一億トンぐらいまでの水揚げが可能になるんじゃないかというふうに言っております。  私たちの方でも、南太平洋やインド洋のカツオであるとか北太平洋のアカイカ、中部太平洋の東部におけるアメリカオオアカイカといったような沖合性の水産資源に開発の可能性があると考えておりまして、調査を進めているところでございます。

岩本荘太無所属の会

○岩本荘太君 これも通告していない質問なんですけれども、おわかりになったら教えていただきたいんですけれども、今お聞きしていて、やっぱり資源がどれだけ増産されるかと同時に、むだをどれだけなくせるかということも一つ大きな資源の確保につながるんだと思うんです。これは水産庁のお仕事かどうかわからないんですけれども、何かその辺、長官、お話ございましたらお聞かせ願いたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) むだというのを加工技術上でのむだというふうに見るのか、それとも食生活におけるむだと見るのかによります。  食生活におけるむだという点で言えば、農林水産省の調査でも、結婚式の披露宴では約二五%が廃棄されている、宴会では一〇%ぐらいが廃棄されているというふうなことがございますので、できるだけそういうものを減らすことによって、人間の胃袋に入るわけでありますので、そういう余地はあると思います。  また、加工の段階でも、頭とか目玉とかそういうところから有用な健康補助食品といったものもとれる可能性があるわけでありますので、利用の仕方はまだまだいろいろ余地があるというのが私の考えであります。

岩本荘太無所属の会

○岩本荘太君 それは水産庁がおやりになるのかどこがやるのかわかりませんけれども、そういう動きというのも一つ大事なあれじゃないかなと。魚を扱っている水産庁の方でも、そういうところにもぜひ目を光らせてもらいたいなと思っております。  それともう一つ、栽培じゃなくて養殖ですけれども、一時、養殖がいわゆる水質問題につながったことがあったと思います。最近それは余り聞かないような感じもするんですけれども、この辺は現状どうなっているんですか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) やはり依然として養殖が海の力の限界を超えて行われているという事例がございます。そういう状況を踏まえまして、平成十一年の五月には持続的養殖生産確保法という法律を実施させていただいて、現在、漁場の改善計画の作成に努めているところであります。  現況、十県の百四十漁協でその計画が認定をされまして、適正な収容量、つまり海の力に見合った養殖量、それから、えさの投与のあり方について指導をし実施に移しているところでございます。

岩本荘太無所属の会

○岩本荘太君 増産できても地球の環境が悪くなって生活できないと困りますので、この辺の御指導もよろしくお願いしたいと思います。  最後に、これ通告はしていなかったんですけれども、大臣にちょっと質問させていただきたいんですが、先ほど、海と森は恋人同士とか、質問の中でも魚つき林の話とかいろいろ出ておりまして、私もそういう面から非常に大事な問題だと思うんです。  もう一つ、農林省の所管として農地海岸があるんですね。水産庁とは関係ないかもしれませんが、農地海岸があって、私が見た限りでは、一般海岸がありますね。一般海岸は確かに人命にもかかわるような、住宅地が近いですから、相当頑丈なものでなければいけないと私は思います。ただ、農地海岸となりますと、考え方をぐるっと変えて、そんな人命とは関係ない、農地を守るための海岸だと思いますので。  としますと、そこによく見かけるのは、そこを一般海岸と同じようにコンクリートで遮断しちゃっているんですね。あれは非常に僕は農林省の事業として不自然な感じがいたしまして、むしろそれは少し農地が減っちゃったら減ってもいいじゃないかというのもおかしいですけれども、減反している時代でもありますし、全く減っちゃいけませんけれども、そういうところの森と海との関係といいますか、海岸の農地と海との関係をもう少し優しいつなぎ方をするというのがやっぱり漁業にも大きな意味があるような感じがいたします。  私は、一つやったことがあるんですけれども、なかなかそういうのが普及しないんですが、その辺について大臣、もしよければ御所見をいただければ、それをもってPRしたいと思いますので、ひとつ御所見をお願いいたしたいと思います。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 海岸保全事業というのは、私、個人的に非常におくれていると思います、他の公共事業から比べて。私は、海岸保全事業、農地海岸も含めてですけれども、こういうふうにやったらいいだろうというのは、何も海岸沿いに防波堤をつくる必要が必ずしもないのではないか。むしろ、場所によりますが、魚礁を多少海岸から、百メートルあるいは五十メートルぐらいかもしれませんね、そのぐらいの範囲に沈めて波を殺せばいいだけですから、波を抑え静穏度が増してくればそこが自然の養殖場にもなっていきますし、そのことによって海岸も守れると。  ですから、陸地と海というものの関係も、お互いの幸せということを考慮に入れた保全事業というもののあり方というものを私なりに構想を以前から持っていまして、宣伝していただけるということでございますから、一度先生のところに、そのことで一生懸命情熱を傾けている北海道の方がおりますので、その資料をお届けしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

岩本荘太無所属の会

○岩本荘太君 ありがとうございました。大臣のお考えに私も賛成でございます。  ただ一つ、魚礁をやるのは水産庁ですよね。それで、海岸をやるのは恐らく農村振興局ですか、省内の縦割りといいますか、そのために本当にうまくいくかという心配がございます。大臣なら両方所掌しておられますからいいと思うんですけれども、長官も両方やっておられますから大体おわかりになると思うんですけれども、その辺も踏まえてよろしく農水省の方もやっていただきたいということを希望しまして、一分ぐらい残りましたが、以上で私の質問を終わります。  ありがとうございました。

太田豊秋自由民主党・保守党

○委員長(太田豊秋君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものと認め、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十九分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗