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151回国会参議院2001/06/14

農林水産委員会 第17号

発言数
210
登壇者
10
会派数
5
開催日
2001/06/14

会議録

太田豊秋自由民主党・保守党

○委員長(太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る十二日、木俣佳丈君、小山峰男君及び堀利和君が委員を辞任され、その補欠として羽田雄一郎君、谷林正昭君及び小川勝也君が選任されました。  また、昨十三日、笠井亮君及び小川勝也君が委員を辞任され、その補欠として阿部幸代さん及び小川敏夫君が選任されました。     ─────────────

太田豊秋自由民主党・保守党

○委員長(太田豊秋君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

太田豊秋自由民主党・保守党

○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に谷林正昭君を指名いたします。     ─────────────

太田豊秋自由民主党・保守党

○委員長(太田豊秋君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  水産基本法案、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の一部を改正する法律案、漁業法等の一部を改正する法律案、以上三案の審査のため、本日の委員会に水産庁長官渡辺好明君及び財務省関税局長寺澤辰麿君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

太田豊秋自由民主党・保守党

○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

太田豊秋自由民主党・保守党

○委員長(太田豊秋君) 水産基本法案、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の一部を改正する法律案、漁業法等の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  三案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 おはようございます。自由民主党の森下博之でございます。  私は、水産基本法外二法案につきまして質疑をさせていただきます。  私ごとで恐縮でございますが、大臣、私の地元高知県は海洋県、水産県でございますので、農業等の問題についてよく大臣はお地元の北海道の例を引かれまして御答弁されておられるわけでありますが、私も若干地元の事例を御紹介しながらひとつ質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  まず、この水産基本法につきましては、平成八年から五年間という長い期間をかけて検討をされてきたやに承っておるところであります。いろんな困難な問題もあろうかと思いますが、この提案に至るまでの経過等につきまして、ひとつ簡明にお答えを賜りたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 水産基本政策の見直しの背景は二点ございます。  一つは、やはり資源状態が大変悪化をしてきているということでありますし、担い手が不足をしてきている、あるいは高齢化をしてきているという、そういった問題がございます。  それからもう一つは、国連海洋法条約が締結をされ、我が国について発効をいたしました。その後、日韓、日中の漁業協定も締結をされまして、危機的な状況と同時に、我が国の周辺水域の資源管理をする環境が整ったということが二つの背景として挙げられようと思います。  私どもは、そういった背景に立ちまして、平成九年にこの基本政策の検討を開始いたしまして、約二年かけまして有識者による検討を行ったところでございます。これを受けまして、平成十一年の八月に御報告をいただき、同年の十二月には水産基本政策の大綱、そしてこれを実施するためのプログラムを決定したところでございます。  今回、幾つかの法律案を提出いたしておりますけれども、これらはそういった基本政策、そしてプログラムに盛り込まれました事項を法制化しようとするものでございます。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 今回の政策見直しの最も基本的なものにつきましては、この基本法に示されました水産物の安定供給の確保と水産業の健全な発展ということであろうと思うわけであります。  そこで、現行の沿岸漁業等振興法のもとでの政策理念というものと比較をいたしまして、今回の基本理念というのはどういうふうに変わったのか、また、この新しい基本法によりまして我が国漁業の将来展望はどのように開かれていくのか。本当に漁業者が希望と夢を持って漁業に従事できるような新たな政策展開が求められておると思うわけでありますが、漁業者の方々も大いに期待をいたしておると思います。ひとつ大臣の御本心を、口幅ったい言い方ではございますが、大臣のみずからのお言葉でひとつその決意のほどを承りたいと思います。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 先生御案内のとおり、昭和三十八年に制定されました沿岸漁業等振興法は、他産業と比べて立ちおくれている沿岸漁業の発展と、またその従事者の地位の向上を図ることを目的としていたと思うのでございます。  これに対して、今次水産基本法は、今先生御指摘のとおり、国民生活全体の立場から水産業や漁村が我が国経済社会において果たすべき役割というものを明確にしていく、つまり、水産物の安定供給の確保、水産業の健全な発展ということを基本理念にしているわけでございます。  それで、私ども農林水産行政、常に今日まで問題意識として持たなきゃならないものは、国民の理解と協力、つまり国民合意の上で水産政策というものはかくあるべしという裏づけが漁業者にとって一番大事なことなんだろうと、かように思うわけでございます。  そういう意味では、今回の法律の理念というのは、漁業者を初め、水産業者、こういった関係者の自信と誇りというものにつながると確信しておりますし、国民に対しては、消費者だとか国民に目線をきちっと置いた上で、食生活の安全、安心ということをしっかり考えていくということを明示していくものでもあろうと思うんです。さらに、人と自然の共生ということが今日的なテーマだと思います。  そういう意味で、人間と自然、生産者と消費者、都市と漁村の共生ということにも結びつくべきものと、かように考えておりまして、自分の言葉で語れと、こう先生がお話しされましたので、私ども、農林水産業というものは非常に大事な存在感のあるものであって、それは国家とか国民とかというものの認知といいますか、認知というのは適切じゃないかもしれません、その考え方を国民がみんなバックアップしているんですよ、国民の合意の上で政策展開していくんですよというようなことの必要性に照らして非常に大事な法律だと、かように考えている次第でございます。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 次に、具体的な法案の内容についてお伺いをしたいわけでありますが、この基本法で、水産に関する施策の基本的な方針というのを水産基本計画ということで政府が策定をして公表するということになっておるようであります。その中で、これまでなかった自給率の目標という概念を挙げられておるわけでありますが、自給率の目標に関する規定を設けるということは、今後の水産政策の中で非常に重要なポイントであると思うわけであります。  この目標となる数値が示されるということは一つの指標になると思うわけでありますが、現時点でこの点、どういうふうにお考えになっておるのか、承りたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 今御指摘がありましたように、基本法が施行されますと、一番重要な柱である基本計画をつくらなければいけないと思っております。  基本計画の中では、生産者が越えなければならない課題、それから、消費者が果たしていくべき役割といったようなことを一つ一つ課題をきちんと整理しなければいけないわけですが、その中で、やはり水産物の安定供給と。しかも、安定供給の前提として、水産物の増大を目指しながら安定供給するということになっておりますので、そういうことのあらわれとして一番わかりやすいというのが自給率の目標だろうと思います。  ただ、自給率の目標が農産物の場合と違いますのは、ただ高ければいいということではないわけであります。高くした結果、その後、急速に下がるというようなことがあってはいけないわけでありまして、やはり持続的、安定的に供給が図られるというための目標として、我が国の周辺水域の資源状態、それからとり得る限度、そして供給できる数量、それと消費との兼ね合いというふうなことで、自給率の目標をこれから具体的に検討していきたいと思っております。  総体としての目標と、それから個別の魚種なりについてどのような目標を掲げるかといったようなことは、もう少し時間をいただきまして検討させていただきたいと思います。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 今、大臣の御答弁の中にも、この水産政策については国民の認知あるいは合意というのが必要であるというお話があったわけでありますが、私は、水産業というものが国民の中で十分理解をされておるかどうかということについては、いささか疑問を持つものであります。  実際、魚をとる苦労というようなものはなかなか国民の目に直接触れる機会は少ないわけでありますし、最近は調理済みのものが流通をいたしておるということが現実にあるわけでありますので、子供たちの中には切り身が海で泳いでいるんじゃないかというようなことで誤解をしておる、笑うに笑えないような実態もあるやに聞くわけであります。  したがいまして、水産基本計画の公表というものに当たっては、決して形式的に流れることがないように、消費者を念頭に置いた、国民の理解を得られる形での努力が必要かと思うわけであります。  大臣、重複する点もあろうかと思いますが、簡潔にお答えを賜りたいと思います。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 先ほども申し上げましたし、また今の先生お話しのとおり、水産政策というのは、国民的な議論を経た上で、国民合意の上で策定されることが非常に重要だと、かように思います。  特に、基本計画の中で定められる水産物の自給率の目標ということにつきましては、漁業者だけではなく、消費者が取り組むべき課題、例えば食生活のあり方ということについても明らかにした上で、消費者を含めた関係者が一体となってその向上を目指すものでなければならないと、かように思います。  水産政策審議会等にも消費者の参加を得て、消費者を念頭に置いた国民の理解を得ていくということが非常に大事だろうと、かように考えております。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 次に、我が国の水域内における海洋資源の管理についてお伺いをいたします。  基本法の目指す一つの柱といたしまして、水産物の安定供給の確保に関する施策、水産資源の保存・管理を中心に施策が講ぜられることになっておるわけであります。御案内のように、我が国は、本格的な二百海里時代への移行に伴いまして、資源状況というのは総じてよくないと言われておりますし、国内生産の減少、あるいは漁業経営というのは悪化をしておる状況下にあろうかと思うわけであります。この水産資源というのをいかに適切に管理をしていくかということは、当然のことながら我が国の水産政策の基本的な課題であると思うわけであります。  近年のTAC制度の導入や今回の海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の改正によって、新たなTAE制度ですか、が導入されたわけであります。この制度を導入された理由といいますか、また、この制度を運用いたしますと、私も素人ではありますが、漁業者に混乱を生ずるおそれはないのか。この制度によりますと、漁具とかあるいは漁期というものを制限するわけでありますので、漁業者の経営を圧迫するというような事態もあろうかと思うわけであります。この点、お伺いをいたします。

田中直紀自由民主党・保守党農林水産副大臣

○副大臣(田中直紀君) TAE制度の導入についての御質問だと思っております。  漁獲努力量管理制度ということで導入をさせていただくわけでありますが、委員御指摘のとおり、基本法十三条において、資源管理、保存の大切さをうたっております。今回、このTAE制度は、海洋生物資源保存管理法、いわゆるTAC制度の中で導入をするという形になっております。  TAC制度は、御存じのとおり、国連海洋法条約によりまして、二百海里内の資源を管理していくということが各国で導入をされたわけでありますが、御存じのとおり、資源が大変減少しておる。昭和五十九年には千二百万トンの漁獲量がありましたが、現在は六百六十万トンと、こういう数字になっておりますので、やはり日本海や太平洋を含めて、その海域の五から七魚種をまず、いわゆる漁獲量の推定の中で漁船の隻数あるいは出漁日数を決めて、そして漁業を営んでいただこうと、こういうことであります。これの大前提は、TAC制度で言われております、サンマも三十一万トン程度を目標にする、あるいはスケトウダラを三十六万トンぐらいにすると。  こういうことは、やはり漁獲量によって価格の維持というものも当然私はあると思っております。ですから、今委員が言われるように、漁業者に負担をかけるんじゃないかということでありますけれども、結果的には資源を管理する数量の漁獲量をある程度目標にすることによって魚価の安定も長期的に図っていけるということによりまして、最終的には継続的な、漁業、水産業にとっては当面、若干関係者の調整が必要かと思いますけれども、長期的な水産業の安定のために寄与するということでありますから、関係者の皆さん方、そしてまた経営者の皆さん方に知恵を出していただいて、そして取り組んでいただくことが大事ではないかというふうに理解をいたしております。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 ありがとうございます。  次に、我が国の水域外の海洋資源の管理についてお伺いをいたしたいわけであります。  我が国の周辺水域の海洋資源ばかりでなく、カツオとかマグロといった高度回遊魚種の資源管理も我が国の水産行政の中で大変重要な問題であろうかと思うわけであります。これらの魚種の資源管理というのは国際的な枠組みの中で行わなければならないことになっておるわけでありまして、今回の水産基本法におきましても、これらの適切な保存については、「水産資源の持続的な利用に関する国際機関その他の国際的な枠組みへの協力、」とされておるところであります。  そこで、国際的な枠組みの中でのこれらの資源の管理の実情はどうなっておるか、まずお伺いいたします。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 御指摘のとおり、基本法案の十四条には国際的枠組みへの協力を明記いたしました。それから、もちろん国際的な取り組みというのは、大もとは国連海洋法条約でありますが、それぞれの国際機関あるいは国際的取り決めとして、カツオ、マグロ類等の高度回遊性魚種については次のようなものがございます。  三つ例を挙げさせていただきたいんですが、まずICCAT、大西洋まぐろ類保存国際委員会、ここでは漁獲量の規制、統計証明制度、オブザーバー制度等に取り組んでおります。それから、IOTC、インド洋まぐろ類委員会、ここでは漁船の登録制度が機能をしております。そして、三つ目でありますが、IATTC、全米熱帯まぐろ類委員会では、特定水域における漁獲量の規制と、こういったことに取り組みまして、国際機関もしくは国際的枠組みとしての資源管理を行っているところでございます。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 これから国際舞台でのいろんな問題の協議に当たりましては、我が国は消費大国といいますか、また輸入大国であるわけでありますので、我が国の立場は買い手という強い立場にあると思うわけであります。したがいまして、今後の外国との交渉に当たりましては、やっぱりそういった立場を踏まえての交渉を、これ具体的な問題でなくて恐縮でありますが、ひとつ大臣の決意のほどをお聞かせください。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 御指摘のとおり、我が国はカツオ・マグロ類の輸入・消費大国でありまして、全世界の二割ぐらいを占めているわけでございます。特に、刺身としては市場を有する唯一の国であります。我が国の動向が、したがいまして、世界の生産や貿易に大きな影響を与えることは十分に認識している次第でありまして、我が国といたしましては、資源の保存管理措置に関する交渉に積極的に参加するとともに、合意された事項については、例えば遠洋マグロはえ縄漁業の二割減船になるように率先して実施しているのが実態でございます。  こうした中、特に近年、国際機関での規制を逃れるために、非加盟国等に船籍を移して無規制で漁業を行ういわゆる便宜置籍漁船や、国際機関に非加盟の国の操業が問題となっておりまして、カツオ・マグロ類の輸入・消費大国である我が国といたしましては、御案内のとおり、関係国と協調しつつ、このような問題解決に向け積極的に対応していかなきゃならない、かように決意をいたしている次第でございます。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 特に、カツオ、マグロにつきましては、最近、周辺の諸外国が大変生産活動が活発になりまして、我が国への輸出が行われているところであります。このことが一面、魚価の低迷、自給率の低下というものの一因になっているとも思うわけであります。  確かに、良質なものが安い価格で食べられるということは、消費者にとっては大変結構なことだと思うわけであります。しかし、長期的に見ました場合に、漁業者が生産をやめるというような事態に相なったといたしますと、例えば私の高知県ではカツオの一本釣りという伝統漁法があるわけであります。こういったものが失われるというようなことが懸念もされるわけであります。一度そういったものが失われますと、二度と取り戻すことは私は不可能であろうと思うわけであります。  今回の水産基本法では、我が国の漁業生産の増大を図ることを基本として、これと輸入を適切に組み合わせていくと、こういうふうに書かれておるわけであります。私は、この世界の食文化の違いといいますか、まさに日本は魚を食べる文化でありますし、欧米は肉を食べる文化といいますか、これは単純な貿易上の問題というよりも、やはりこの文化の違いというのがいろんな国際的な紛争を惹起する原因になっておるんじゃないかとも考えるところであります。  この点ひとつ、そういった文化の違いということについても、日本としてやっぱり強くこれから主張していくという姿勢を持っていただきたいと思いますし、この点の御答弁は結構でございます。  次に、資源管理の強化に伴った補償措置という問題についてお伺いをいたしたいわけでありますが、二百海里体制の定着ということから国際的な操業規制が強化をされたわけであります。例えば、私の国なんかは非常に遠洋マグロの基地として栄えたところでありますが、減船を余儀なくされたという経過もあるわけであります。資源の持続的な利用という観点に立ちますと、減船や漁を休むといった措置を講ずることもやむを得ない状況もあろうかと思います。  今までは漁業者の自主的な取り組みを主に処理をされてきたと思うわけでありますが、このたびの水産基本法のもとでの新たな政策展開では、こうした対策をきちんと国の政策に位置づけて、漁業者が安心をして漁業管理に取り組み、安定的な漁業を営むことができるような具体的な施策を講ずる必要が私は今後あると思うわけでありますが、その点についてお伺いをいたします。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 今御指摘がありましたように、資源の状態を考えますと、資源回復のための計画をできるだけ早期につくり上げるという必要性が強いわけでございます。私たちは、今年度中にその作成に取り組んで、できれば十四年度から実施に移したいと思っております。  その中で、やはり御指摘がありましたように、減船、休漁という手法は一番資源回復に強いインパクトを与えるわけでありますので、この減船、休漁に伴う支援措置をどうするかということは最重要の課題でございます。もちろん、考え方によりますと、資源が回復をすればその時点で戻ってくるんだからというふうな考えもあろうかと思いますが、当面やはり大きな影響が生ずることが予想されますので、それに対して国として具体的にどういう措置をなし得るかということを詰めを急ぎたいと思っております。  いずれにいたしましても、十四年度からは資源回復計画をレールに乗せて実行する、そのためには国も支援をするということで臨みたいと思っております。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 次に、栽培漁業、養殖漁業についてお伺いをいたします。  世界全体的に見ましても、漁業生産の伸びは今後余り期待はできないと言われておるところであります。国民に水産物を安定的に供給をしていくというためには、栽培あるいは養殖といった事業の振興を一層図っていく必要があろうと思います。  一昨年成立をいたしました持続的養殖生産確保法によりまして、漁場の改善計画がつくられ、漁場の改善を図ってきたところであります。今回の基本法の中におきましても、環境との調和ということを言われておるわけでありますが、この現況についてお伺いをいたします。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 海面養殖というのは、日本の漁業生産において大変重要な位置を占めております。百二十万トンぐらいが養殖によって国民の食料として供給されているわけでありますが、海の力をやはりきちんと保持をして持続的に行っていくという観点から、御指摘の持続的養殖生産確保法、これが十一年の五月に実施をされまして、漁場改善計画の作成・認定と魚類防疫体制の整備というのが進んでおります。  現在のところ、認定漁場改善計画数は、魚類養殖を中心といたしまして、十県百四十漁協、それから魚類の予防に関する指導、助言を行う魚類防疫員八十四名が任命をされております。お地元の高知県でも八名が魚類防疫員に任命をされていると承知しております。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 私の地元のことで恐縮でありますが、本県、高知県の場合は海洋深層水をいろんな形で利用いたしておるわけでありますが、ヒラメの養殖であるとか種苗生産等を行っておるわけであります。一定の成果を上げております。  こうした都道府県の取り組みというのに対して、やっぱり良質な種苗の生産なり放流の効果を高めるために国として技術開発の役割を私は担っていかなくてはならないのではないかと思うわけでありますが、この今後の取り組みについてお伺いをいたします。

田中直紀自由民主党・保守党農林水産副大臣

○副大臣(田中直紀君) 国といたしましては、国営で十六カ所の栽培漁業センターで基礎技術の開発を行っておるところでございますし、予算といたしましては五十億の予算を確保して対策を講じておるところでございます。各都道府県で応用の技術を開発していただきまして、種苗の量産を積極的に行っていただくということで努力をしてきておりますし、高知県におきましてもヒラメの深層水を活用した栽培漁業に積極的に取り組んでいただいておるということであります。  したがいまして、資源の管理に加えて、基本法十六条で大いに栽培漁業をして国民の食生活に寄与していこうということがうたわれておりますので、さらなる対策を講じていきたいと思っております。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 次に、基本法の一つの理念であります水産業の健全な発展というのに関連をしてお伺いをいたします。  今回のこの基本法におきましては、水産業の健全な発展という基本理念を実現するために、効率的かつ安定的な漁業経営が育成されなければならないとなっておるわけであります。この政策の具体化といたしまして、農林水産省におかれては、平成十三年度の予算で新規として中核的漁業者協業体育成事業を計画されておるわけであります。  現在、この制度がどの程度活用されておるのか、今少しお話もございましたが、認定された中核的漁業者協業体にはどのような支援策が講じられようとしておるのか、承りたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 中核的といい、それから協業体といい、そういうふうな言葉を使っているわけであります。二十七万人の就業者、十五万の経営体しかありません。言ってみると零細な経営であるということであります。しかも海面は共同で利用するということでありますので、できるだけ共同の作業にして、そしてリーダーシップをとっていくというふうな経営改善の取り組みを自分たちでやっていくということが重要であります。  こういう状況の中で、創造的な取り組みに対しては、ハード面だけではなくてソフト面でも支援をしていこうということで、複合化をする、多様化をする、合理化をする、あるいは高付加価値化をとるというふうな取り組みがあちこちで見られておりまして、そういう方々に対しましては、沿岸漁業改善資金において融資対象を、例えば協業でやれば十トンの小型漁船から二十トンまで見るというふうな方向、あるいは貸付限度額につきましても、無利子資金で従来二千万円のものを五千万円にするというふうな支援策をとっているところでございます。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 次に、産地市場の整備についてお伺いをいたします。  本法の二十五条におきまして、「水産加工業及び水産流通業の健全な発展」が定められておるところであります。特に、産地市場の機能強化が重要な課題となっております。  国産水産物の大部分はこの産地市場を経由しているわけでありますが、産地市場というのが非常に零細なために集出荷量を十分確保できない、また価格形成力が弱いということもあるわけであります。水産物の流通コストの削減を図りながら、定量あるいは定規格等の量販店からの要求の高まりに対応できる体制を整備する必要もあろうかと思うわけであります。統合を初めとする産地市場の機能強化を当然促進していかなければならないわけであります。  これらの取り組みにつきまして、政府はどのような支援策を推進しようとしておるのか、お伺いをいたします。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 今御指摘がありましたように、産地市場は水産物流通の拠点であることは言うをまたないところであります。約二兆円近い水揚げを、現在、九百八十五の産地市場でさばいているわけでありますけれども、その取扱高が十億円未満のものがおよそ四分の三というふうな実情でございます。  ことしの三月三十日に、水産物産地市場の統合及び経営合理化に関する方針ということで国の方針をお示しいたしました。背景の事情として、需要が変わる、供給も変わる、消費者、住民の期待も変わってきている、食生活が多様化をしてきている、情報化が進展をしてきている、物流の状況も変化をしてきていると、こういった実態を踏まえまして、地域水産物の付加価値の向上、効率的な供給・流通体制の強化、そして市況等を電子ネットワークで交換する、そういった新しい流通取引のシステムの導入・機器の整備、それから産地市場の統合等を通じて合理化を図り、量販店とも円滑に取引をしていくといった点につきまして施策の展開を図ることにいたしております。例えば、施設整備等につきましては、産地機能の強化のために十数億円の資金を投じたいということで進めているところでございます。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 次に、漁村の総合的な振興ということについてお伺いをしたいわけであります。  水産基本法三十条には、「国は、水産業の振興その他漁村の総合的な振興に関する施策を計画的に推進する」ということがうたわれておるわけであります。特に、漁村におきましては、例えば下水道の普及率一つをとりましても、非常に都市あるいは周辺都市と比べましても漁村の生活環境は劣悪な状態にあろうかと思うわけであります。  沿振法のもとでは、それぞれの関係の省庁が、道路にいたしましても上下水道にいたしましても公園緑地にいたしましても、漁村の生活環境の整備を図ってきたわけでありますが、この新たな水産政策で漁村を計画的に推進するということをうたっておるわけでありますが、雑駁な質問で、大臣、恐縮でございますが、魅力のある漁村、こういうことになりますと、ひとつ、どういうイメージが大臣にわかれるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) このたびの経済財政諮問会議におきましても、いろいろ先生方から数多くの御意見を寄せていただきまして、私もその場で主張いたしましたのは、これからは人と自然との共生社会を目指すんだと。  私も、先般、私案として食料安定供給と美しい国づくりということに向けての考え方を明らかにしたわけでございますけれども、一言で言いますと、新しい漁村のイメージというのは、漁村そのものの生活基盤を近代的に整備していくということは言うまでもありませんけれども、同時に、都市と漁村というものはこれは夫婦別姓みたいなものではないかと。これは衆議院の民主党の鮫島さんから、別姓じゃなくて同姓にすべきだと、こう言われたんですけれども、言ってみれば都市と漁村というのは一体だと、もう共生、対流の関係にあるというふうに今とらえているわけでございまして、都市の人々というのは、従来は、おいしい水、きれいな空気、新鮮な魚、美しい自然というものはなかなか持ち得ないものと、不可能と、こういうふうに思っていたと思うのでありますけれども、昨今、交通インフラが非常に整備されてまいりました。さらに、私は、通信インフラというものを整備するというのは不可欠だと、こう思います。交通インフラが整備され、通信インフラが都市と同様の条件で整備されれば、都市と農村漁村を行ったり来たりする、二重生活を享受できるというふうに、このようにとらえることができるのじゃないか、かように思います。  したがいまして、今先生御指摘のように、漁村の整備については、そこに住んでいる人々だけの願いだけではなくて、都市に住んでいる人々の美しいふるさとというものに対するあこがれに対してもこたえられるものということになれば、共通の社会基盤というものはきちっと整備されるべきだろうと思うんですね。  そういう意味で、農山漁村の新たなる可能性と、私がこう申し上げましたのは、都市と漁村双方の住民が豊かさを享受し、相互に融合、共生、対流を生み出していくということが可能になる、これこそがいわゆる魅力ある漁村づくりであろうと、かように考えて、そういった方向で努力していきたい、かように考えておるわけでございます。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 大臣、ありがとうございました。  都市と漁村の関係ということについての大臣のお言葉をいただいたわけでありますが、非常に都市と漁村というものの交流が頻繁に行われることが今後大事であろうかと思うわけであります。  その中で、遊漁船という問題がこの基本法の中でも取り上げられておるわけでありますが、今後、水産資源の保護あるいは管理という面からも遊漁者も参加をしていただくということが必要になってこようかと思いますし、漁業者と遊漁者とのトラブルといいますか、そういったことも起こっておる状況もあるようでございますが、今後、水産政策の中で、遊漁者との関係について基本的にどのように整理をしていくかということについてのお考えを承りたいと思います。

田中直紀自由民主党・保守党農林水産副大臣

○副大臣(田中直紀君) 遊漁者の件につきましては、水産基本法案において、第十三条の第一項におきまして、水産資源の適切な保存及び管理の施策について遊漁も含めていくと、こういう位置づけをいたしております。また、第六条の第二項で協力義務をうたっておりまして、遊漁者の皆さん方におきましても水産施策への御協力をいただくということで位置づけておるわけでありますし、釣りをされる方々、釣り船で楽しまれるわけでありますけれども、遊漁船業の法というものがございますが、適切な運営を図っていただくということになっております。  漁業者と遊漁者の関係につきましては、いろいろ遊漁に関する規制やマナーの啓発普及活動というようなことも行っておりますが、やはり地域の実態に応じた遊漁のモデル的な管理手法を導入したい、策定をしたいということで今検討をいたしておりますが、関係者の皆さん方あるいは漁業者、遊漁者の皆さん方の御意向を伺いながら、トラブルのないようにやっていければということで今検討をしておる段階でございます。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 次に、系統組織のことについてお伺いをしたいわけでありますが、この水産基本法の中でも国、都道府県等の責務あるいは役割というものについての規定があるわけでありますが、この中で、国は水産に関する団体の効率的な再編整備について必要な施策を講ずるものとしておるわけであります。  漁業協同組合というのは、漁業者の当然のことながら協同組織でありますし、漁業地域の発展に大きな貢献をしてきたわけであります。しかしながら、総じて農協等と比べましても経営基盤が脆弱でありまして、合併によってスケールメリットを発揮していかないかぬということであろうかと思うわけであります。  しかし、農協等の組織とも若干、よって立ついろんな経過があるわけでありますので、広域的な合併ということにつきましてもなかなか難しい問題があろうかと思うわけであります。政府としましては、この合併を進めていくに当たりまして、非常にきめ細かい地域の実情に応じた指導なり支援をしていく必要があろうかと私は思うわけであります。  この点についてお伺いいたします。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 今御指摘がありましたように、団体の再編整備というのは重要かつ急がれる課題であります。  ところで、漁協でありますけれども、農協に比べまして、今御指摘がありましたように、組合員の数あるいは信用事業、購買事業等でも十分の一以下の規模という実情でございます。促進法に基づきまして合併計画を立てているんですが、平成九年度末の千八百九十六漁協を平成十四年度末には六百五十五とする目標でありますけれども、現状は漁協の数が千七百七十二ということで、進捗率一〇%というふうな状況でございます。  御指摘の中にありましたけれども、農協と一番違う点といいますと、これはやはり漁業権の管理という問題が漁協の場合にはついているわけでございます、もちろん漁協間の財務・経営格差という、そういう問題もございますけれども。  その点につきましては、実は今回の漁業法等の一部改正の中で、漁業権を変更したりするときには地元の漁業者の同意を必要とするというふうに制度を変えていただきたいと思っておりますし、漁業権管理の中で部会制度というのも導入をして、地元の意向が漁協の合併統合の中でも生きていけるというふうな方向を打ち出しております。いわば障害を一つ一つ取り除くというふうなことを制度的にもやっておりますし、支援策の面でも認定漁協というふうな制度をつくりまして財政支援をしているところでございますので、今後、漁協の再編整備が急速に進みますよう、また力を入れていきたいと考えております。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 武部大臣、恐縮でございますが、便宜置籍船の問題につきまして若干、既にお触れをいただいたわけでありますが、この点再度お伺いをさせていただきたいわけであります。  本法の十四条で、排他的経済水域等以外の水域における水産資源の適切な保存及び管理について、国が必要な施策を講ずると定めておるわけであります。これに関連しての便宜船の問題であります。  御案内のように、数年前に、FAOですか、国際行動計画において、マグロが世界的に過剰漁獲能力の状態にあって、二〇ないし三〇%の減船が必要だという勧告が出されたわけであります。御案内のように、日本もそれを受けまして百三十隻以上の減船を行ったところであります。  しかしながら一方で、台湾の漁業者などが国際的な漁業管理条約に入っていない国に船籍を移して無制限に魚をとっておると、主要国の漁獲量の一割を超える状態にあるとも言われているところであります。このような現状を放置するといたしますと、我が国が多くの漁業者の犠牲のもとに行ってきた減船あるいは資源の保護の取り組みということが水泡に帰することになると思うわけであります。この便宜置籍船のほとんどが台湾の漁業者の所有の船であり、この半数以上が日本のマグロ船主が輸出をいたしました中古船と言われております。関係国の減船と便宜置籍船の廃絶なくして資源の保護はできないと思うわけであります。  この点について、再度、恐縮でございますが、ひとつ大臣の御決意を最後に承りまして、私の質問を終わらせていただきます。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 便宜置籍船等の廃絶に向けてのお考え、全く同感でありまして、私ども、地域漁業管理機関を通じた積極的な取り組みが必要だと、かように気持ちを新たにしている次第でございます。  台湾等のお話もございましたので、細かい点は水産庁長官に答弁させます。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) ICCATの調査でも、三百二隻の便宜置籍船があるという調査がございます。既にICCATの機構を通じまして、資源管理措置を損なう漁業活動をする国からの輸入は禁止ということで、私どもも輸入貿易管理令に基づく輸入禁止措置を講じているところであります。  先生から御指摘がありました、経営者の大部分は台湾資本ではないかという点につきましては、日本と台湾の間で協議を行いまして、歩みは緩やかではありますが一つの方向に踏み出しております。ことしの二月に、まず第一点として、二〇〇三年末までに日本起源の便宜置籍船、先生がおっしゃいました日本起源の便宜置籍船、これは六十二隻をスクラップを行います。それから、二〇〇五年末までに台湾起源の便宜置籍船六十七隻につきましては、台湾籍にきちんと戻すということについて合意が結ばれたと承知をいたしております。  これが確実に実施をされるよう応援をしているところでもございますし、また、便宜置籍船のリストができておりますので、こういった便宜置籍船のリストに掲載をされている漁船の漁獲物の取引の自粛をするという方向で、輸入に際しましては過去の前歴をきちんと調べ上げて報告をさせるというふうな方向を打ち出したところでございます。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 民主党・新緑風会の谷林正昭でございます。  きょうは、携わっておる人たちにすれば本当に歴史的な水産基本法の審議がいよいよ始まったということでございますが、小泉総理は、参議院選挙が終わっても内閣は改造しない、解散もしない、こういうことを明言されております。そういう意味では、私は昨年からこの農水委員会に所属をさせていただきましたが、玉沢大臣、谷大臣、谷津大臣、そして武部大臣と、もう目まぐるしくかわりました。先日もだれかおっしゃったと思いますが、そういう意味では、小泉総理が改造しないということでありますから、ぜひ大臣は腰を落ちつけてこの歴史的な水産基本法についてしっかり議論をしていただきたいと思います、させていただきたいと思いますし、その方向性を示していただきたいというふうに思います。  まず、この基本法でありますが、理念法と思います。この法律をつくるに当たりまして相当長い時間議論をされてまいりました。  私、焦点を当てさせていただきたいのは、この基本理念の実現に向けて、水産事業、漁業に携わる人たちの非常に大きな努力が今後必要であるのではないか、あるいは消費者である国民の皆さんの理解が大切ではないか、そのように思いますので、これまでの法案作成に当たりまして、そういう方々の意見がどう反映されているのか、法案に。そしてまた、これから具体的な施策を進めるに当たってどう取り入れていくのか、意見を反映していくのか。そこらあたりの基本的な考えを大臣のお口から、ずっとやっていただくという、仮定でなくて、頼りにしておりますので、よろしくお願いします。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 谷林先生の御激励に感謝いたしますとともに、さらに意欲を持って頑張りたいと思いますので、今後の御鞭撻、御支援をお願いいたしたいと思います。  ただいま先生御指摘の、水産基本法というものが国民全体の十分な理解と合意のもとに推進されていかなきゃならないということは、言うまでもないことでございます。  このような考え方に立ちまして、水産基本法案の提出に至るまでの検討の各段階におきまして、水産基本政策検討会の議論への国民各界各層を代表する有識者が参加いたしました。また、水産基本政策大綱の策定過程における漁業関係者、消費者を初めとする関係者の皆様の御意見も聞かせていただきました。そして、大綱、プログラムの内容につきましては、現場での説明会や消費者団体との意見交換というものを実施して進めてまいりました。また、新たな水産政策の考え方について、水産庁のホームページへの掲載等を通じた国民への情報提供ということにも取り組んでまいりました。  こういう努力を通じて、できるだけ幅広く国民の理解と協力ということを大前提に水産基本法というものは国会に提出されることと相なったわけでございます。  このもとに、水産政策というものが生産現場や国民の毎日の生活に密接に関連したものである、このため、水産基本法を国会で御可決いただいた後には、その制定の趣旨、内容につきまして、あらゆる機会をとらえて広く国民に対する説明を行ってまいりたいと考えます。国民の理解と支持を得た新たな水産政策の推進に万全を期してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 ぜひ腰を落ちつけて、まさに骨太の水産施策を出していただきたい。大臣がいつもおっしゃるように、構造改革、水産も構造改革、農業も構造改革、まさに水産の構造改革を強いリーダーシップで行っていただきたいというふうに思います。  それでは、具体的な施策について少しお尋ねをしていきたいと思います。  まず、基本計画を立てるに当たり、あるいはこれから施策をつくるに当たり、一番肝心なのは、日本周辺にどれだけの資源があるのか、これを把握することが一番大きなポイントだというふうに思いますので、今、水産庁として、あるいは産業として、漁業として世界の海に出ていっておりますが、二百海里内にどれだけの資源があると把握されておるのか、お聞かせいただきたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) TACにつきましてはかなりの資源量の推定ができますので、その数字を申し上げたいと思います。それから、消費の方は、これは生産と輸入で、しかも魚粉等の非食用の消費もございますので数字がちょっと合わないかもしれませんが、まず主要魚種の主要系群の資源量、十二年の推定では、サンマが百六万トン、国産と輸入量を足してサンマは今消費量が十五万トン。それから、スケトウダラの資源量が百六十一万トン、大体タラ類については七十七万トンの消費がございます。それから、マアジが四十二万トン、これに対してアジ類の消費が三十三万トン。マイワシの資源量の推定が五十六万トン、イワシ類の消費が輸入も含めて二百六十三万トン。サバは、マサバが八十二万トンの資源、ゴマサバが七十二万トンの資源に対しまして、サバ類の消費が五十六万トン。イカは、スルメイカの資源量が二百四十五万トンと推定をされますが、現在、消費量が六十五万トン。カニにつきましては、TACが決まっておりまして、ズワイガニが資源量一万トン、輸入も含めた消費量がカニ類で十八万トン。そういう状況でございます。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 輸入量も含めて消費の方がはるかに上回っている魚種もございますが、総じて私は、この日本の二百海里内にはまだ資源が豊富にあるというふうに認識をいたしました。  しかし、問題は、それを一気にとってしまうと、これはもう一気にいなくなってしまう。卵を産んで、その卵が次の卵を産むまでは相当、三年、五年かかる魚もおると思います、イカあたりはすぐ産むそうですが。そういうようなことを考えますと、やはりこれからは計画的な資源の保護、管理というものも大事になってくるのではないかなというふうに思います。  そこで、いろいろな計画がこれから出されてくると思いますが、まずこの基本計画、いつ、どこで、だれがつくって、いつまでに発表されるのか、これをお聞かせいただきたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) この法律が成立をいたしますと、基本計画の策定に取りかかるわけでありますが、水産政策審議会を設置していただくことになっております。ここに諮りまして決定をいたしますが、中期の目標として定めますので、ぜひ十三年度中には審議を終えて公表ができるような運びにいたしたいと思っております。これは政府として、「政府は、」というふうになっておりますので、最終的には閣議決定という手続をとることになると思います。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 いわゆる今年度中に目安が出るというふうに理解をさせていただきます。  そこで、今度、より具体的に質問させていただきますが、今ほど、最初にお尋ねしましたように、資源はそれなりに潤沢にあるということを理解したわけでございますが、問題は、先ほど言いましたように、漁法によって根こそぎ資源が失われる可能性も出てくるというふうに思いますので、この資源の悪化と漁法との関連。私は、別にこういう漁法を排除するという意味ではないんです。例えの例で言わせていただきますが、沖合底びき網あるいはまき網漁業、こういう漁法がちょっと心配だなという方もおいでになります。そこらあたりを少しお聞かせいただきたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) TAEを設けますときには、あるいは資源回復計画を立てますときには、漁法横断的にその方角を定めることになると思います。ですから、そういう中で、もちろんどういう漁法の船が何隻いつごろ出るというふうなことになりますし、また逆の意味で、いつの時期には出させない、その時期には稚魚がいる、産卵の場所であるといったことで地域や期間の制限もするということになると思います。  いずれにいたしましても、自分の前浜だけではなくて、かなり広域に調整をするというシステムを今回の漁業法等の改正やあるいはいわゆるTAC法の改正でやらせていただきますので、そういった手法を活用したいと思っております。  なお、底びきやまき網ができるだけ資源に優しい漁法を目指すようにということで、私どもも水産研究・技術開発戦略の中で、資源の回復と持続的利用ということを掲げましてやっております。その網目の問題などもさることながら、網を締めていくときの魚の逃がし方とか、どの層を引くかとか、そういったことも含めて今までいろいろ技術的なこともやっておりますし、漁業調整の中で、言ってみると選択的漁法といったようなことを開発してまいりましたので、今後もこういった資源回復に向けた計画の中でどの種の漁法にどれだけのTAEを出していくかというふうなことを検討し、調整したいと思っております。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 よくわかりました。  そのためには、法律もまた別の法律で少しやっていくという意味でございますので、もう一つ、これはテレビで得た知識でございまして、私がそのまま目で見たわけでもございませんし、なんですが、鯨が非常に最近ふえている。問題は、その鯨が捕食する、いわゆる魚を食べるんですね。その食べる魚が年間に、鯨と人間を比較したら、人間の五、六倍食べるということをテレビで言っておりました。そういうものが今後資源の悪化に影響があるのかないのか、そういうことも含めて、鯨の資源への影響。  あるテレビを見ておりましたら、北海道のもっと北の方へ鯨が十頭か二十頭でニシンを追い込んで、そこにいるニシンを全部食べてしまうという、そういうようなテレビも見ました。そこのあたりはどうでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 鯨といいますと、専ら南氷洋の鯨ということでオキアミを食べているのではないかという感じが今まで一般には知られていたわけでありますけれども、実は北太平洋で私たちがもちろんIWCの枠組みの中で調査をいたしました結果、それ以外の魚、イワシであるとかスケトウダラであるとかイカであるとか、そういうものを大量に食しているということもわかってまいりました。人間も同じでありますけれども、鯨も食物連鎖の一番上におります。ですから、鯨の部分を排除した状態で資源管理をしようということになりますと、それは資源管理の実効性を損なうというふうに私ども思います。  これは、今数字のお尋ねがございましたが、世界に生息をしている八十種の鯨類の中で食性が判明している三十七種、これの年間の食物消費量を計算いたしますと、二億五千万トンから四億四千万トン、海面全体で世界の漁獲量が九千万トンでありますから、規模からいいますと三倍から五倍食べているというふうな状況でございます。  ことし三月にFAOの水産委員会で、鯨類が漁業に与える影響について調査を行うということになりました。私たちは、資源管理、漁業管理を行う上で、海洋生態系あるいは食物連鎖の頂点に位置する鯨の状況の調査と今後の対応を考えるということは、非常に重要な事項であると考えております。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 実は私もそういうふうに思います。調査はしっかりやるべきだというふうに思いました。あとの議論はまた別の角度でやらなければならないというふうに思いますが、ぜひ調査をやるということについては怠りなくやっていただきたいというふうに思います。    〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕  先ほどの質問ともつながるんですが、網からの逃がし方を研究しているというふうな答弁もございましたが、私も、そういう漁法の研究については今後ますます重要になるし、早めなければならないというふうに思いますので、この漁法の研究の促進について少しお尋ねしたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、平成十二年の六月に水産研究・技術開発戦略というものを策定いたしまして、その重点課題として水産資源の回復と持続的利用等を掲げたところでございます。  この中で、今先生が御指摘になりました幼稚魚、小型魚、これの混獲を避ける技術の開発が重要ということの位置づけをされまして、底びき網における選択的漁法の開発、あるいは現在行っておりますのは、まき網漁業における幼稚魚などの混獲を防止する技術を研究しているところでございます。これは最終的には漁業者の経営の問題とも関係をいたしますので、こういう言葉が適切かどうかわかりませんが、産官学連携を図って現場のニーズに即応しながら資源保護に資する漁法の研究というのを進めていきたいと考えております。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 私はぜひそういうものを早く研究して、実践といいますか実用化していくというのは今一番強く求められているんではないかと思いますし、そういうところには、こんな言い方をしたら失礼ですが、どんどん予算をつぎ込んで研究を促進するべきだというふうに思います。  次に、法律の中では、輸入を適切に組み合わせる、こういうところがございます。私は輸入というものも大事だというふうに思いますが、消費者、生産者、こういう方々がともに納得できる秩序というものをしっかり計画を立てて方針を出すべきだというふうに思います。秩序が壊れてからセーフガードだとか、そういうような話は非常に貿易摩擦等にも影響してくるというふうに思いますので、事前にやはり秩序というものをしっかり見きわめるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 法律の中では、適切に組み合わせるという、「適切」という言葉が使ってありますが、その前段として、「水産資源の持続的な利用を確保しつつ、我が国の漁業生産の増大を図ることを基本とし、」と書いてございます。  何回か説明させていただいたんですが、日本の四百五十万平方キロという二百海里水域は、世界でも六番目という大きなものでございますし、世界三大漁場の一つでもあります。まだまだ上手に使えば生産は増大することが可能であります。そこでとれたものをまた国民の方々に承知の上で食べていただく、これがまた食生活の上で健康をもたらすんだというふうな、消費者の利益にもつながるということを十分PRさせていただいて、その上で、我が国の水産業による生産では需要を満たすことができないものを輸入するというのが基本原則であるということを周知徹底したいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、今回の水産基本法の中に輸入の調整の措置といいますか、そういったものをきちんと入れさせていただきますので、必要な折にはそういったものを発動するということにいたしたいと考えております。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 これはちょっと余談になりますが、こんな席で余談というのはまずいのかもわかりませんが、きのうレクチャーに来ていただいたときに、回転ずしというのは農林水産業にとってはいいんじゃないかと、米をそのまま丸ごと食べますから、上には魚が乗っている。だから、これがどんどん普及すれば非常に水産業としてはいいんじゃないかというふうに言いましたら、いや、先生、あれは輸入が少し多いんですよというふうに言われました。問題はそこなんですね、私の言う秩序というのは。  お客さんはやはり、すしというものにあこがれながら少しでもおいしく安く食べたい。ところが、一般のすし屋へ行くと一人一万五千円ぐらいかかってしまう。これではたまったもんじゃないということで、回転ずしがばっと人気が出ている、一般のレストランのような思いで出ている。そうなってくると、私はそういうものも国民のニーズだとかそういうことが大事ではないかなというふうに思ったものですから、そういう質問をさせていただきました。  次に入らせていただきますが、ことし富山県の目玉商品でありますホタルイカが不漁でした。平年の三八%しかとれなかった。昨年と比べても半分しかとれなかった。非常にホタルイカの量が下がってきております。原因はわかりません。どこで生まれて何で富山湾へ入ってくるのかということもなかなかわからないというようなことなども聞いておりますが、これはひとえに、ホタルイカだけではなくて、その年によって魚種、好不漁が非常に大きい。それが水産業に携わる人たちの収入の不安定というものにもつながっているし、消費者の皆さんの食べたいのになかなか口に入らないというような不満にもなってきているというふうなことも思います。  私、今ここで質問をしたいのは、そういう好不漁が多い原因というものをやはり解明する必要があるんではないか、そして、そこには予報あるいは予防、そういうものが大事ではないかというふうに思いますし、研究を推進するべきではないかと思います。  例えば、エルニーニョ現象で水温が上がる、そうしたら魚の回遊がどうなる、どういう影響があるかとか、あるいは赤潮の発生、こういうことなども含めて漁況に与える影響というものを少しでも早く察知して予防、予報、そして被害を少なくする、こういう研究を早めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 漁況、海況をしっかりと調べて、できるならば正確な予測を出すというのは漁業者にとってみれば本当に福音であります。  私自身も思い出すんですが、昭和四十七、八年、一九七〇年代の初めからペルーの例のエルニーニョ現象でアンチョビがひところ一千万トン以上とれていたのが十万トン台に落ちたことがあります。その結果、魚粉の値段が暴騰しまして、日本の畜産にも大きな影響を与えたということもございました。そのときはよく状況が解明をされていなかった。しかし、これは数年に一度起こる現象であるということだけはつかめたわけでございます。  日本でもやはり黒潮の蛇行という問題、これはカツオやマグロに、随分漁業に影響がございます。それから、赤潮ですと内湾のノリであったり、それから養殖魚に大変な影響を与えます。  こういう状況でございますので、水産庁では水産研究・技術開発戦略という中で、現在、独立行政法人になっております水産総合研究センターと連携をいたしまして、エルニーニョや黒潮等の海洋環境変動に係る予測技術の開発を進めておりますし、過去にもこのセンター、独立行政法人になる前の遠洋水産研究所ではエルニーニョの研究を文部省等と一緒になって研究し、クロマグロに与える影響というふうなことを調査したこともございます。    〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕  内湾の赤潮の問題につきましては、むしろ県の水産試験場や大学との連携、こういうことで技術開発あるいは調査に取り組んでいるところでありますが、今後ともその分野につきましては相当力を入れることが重要ではないかなと思います。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 長官も力を入れたいという思いでございますし、ぜひ力を入れていただきたいと思いますし、これは大臣のバックアップが必要だと、非力な長官では無理だと思いますので、大臣の剛腕でもってひとつよろしくお願いをいたします。  次に、私、せっかくとった魚が市場に出回らないというのは非常に悲しいことだと思います。鮮度がすぐ落ちる魚だとか、非常に味はいいんだけれども量が少ないとか、私の言いたいのは、いわゆる地魚、こういうものが市場に出回らないというのは非常に不幸だし、もったいないというふうに思いますし、一方では、それに関係する人たちが非常に努力をして少しずつ地道に市場開拓をして頑張っておいでになる。そういう漁協もありますし、加工の研究をしておいしい加工商品をつくっているところもございます。  私の言いたいのは、そういう地魚が少しでも市場に出回るような、そういう加工、流通に向けて後押しを水産庁としてできないものか、そういうふうに思います。そうしたら、少しでも漁業関係者の収入がふえるということにもなりますし、せっかくとった魚をみんなに食べてもらうということで喜んでもらうということになると思いますので、その辺の後押し、施策についていかがでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) やはり、いいものが消費者の手にうまく伝わっていないという面があるのは間違いないところだろうと思うんですね。  最近、東京でも江戸前という言葉が少し復活をしてきて、東京湾のアナゴとかシャコとかタコとか、そういうものが随分おすし屋さんや家庭の食卓にも上るようになりました。言ってみると、地魚がフードマイルズを短くするという中で消費者にもう一回評価をされてきているんだろうと思います。基本法の中でも加工、流通の面を強化するというふうに書いてあります。加工で付加価値をつけるということもありますし、それから販売力をつける、ブランド化をする、さらには都市の方々が漁村地域に来たときに供給をするというようなやり方があると思うんですね。  先生のお近くでも、たしか能登半島では非常に朝市が盛んですし、その朝市がホテルの中に引っ越してきて毎日行われているというふうなこともございます。非常に売れ行きがいいと、私は自分で行ってみて感じました。こういう話については、やはりPRが一番大事なんですけれども、さらに融資等の面で、そういう自助努力で販売力をつけていく、付加価値を上げるということに対しては大いに支援をしたいと思います。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 ぜひよろしくお願いをいたします。  富山県では、ちなみにゲンゲという魚がおります。多分御存じないと思います。物すごく深海にいまして、ぬるぬるの魚ですが、これがまたおいしいんです。もうそれが今、東京あたりにも出回っております。びっくりしました。これ加工して干したものが、ちょっとあぶって酒のつまみに最高なんです。大臣、一遍また御賞味いただきたいと思います。  ちょっと余談になりましたが、そういう意味でも私は、そういう後押しも大事ですし、先ほども出ましたが、各県にある水産試験場あるいは国の機関である研究所、そういうものの充実というものも大事ですし、対応する漁協といいますか、その地域で頑張っておいでになる漁協の皆さん、そういうところとの連携をとりながらの水産研究機関の充実というものが、この後、大事になってくると思いますが、いかがでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 資源の保存あるいは管理という点では、やはり科学的根拠を持って進めなければいけないと私どもは考えております。科学的根拠のためにはやはり調査と研究が重要でありますので、基本法案の中にも調査研究の充実という項目をわざわざ規定をさせていただきました。  水産関係の研究所でいいますと、国の機関としてはこれまでいわゆる国研という形でそれぞれ独立して研究所がございましたが、四月からは水産総合研究センターということで九つの研究所を統合いたしまして、独立行政法人、約八百名の体制で臨んでおります。この一つの独立行政法人になったことによってかなり機動的に運営がいくのではないかなというふうに期待をいたしております。  もちろん、戦略目標を立てて県の試験場やあるいは大学と連携をしなければならないこと、場合によりますと民間とも手をとり合うということも大事でありますが、いずれにいたしましても長期戦略、中期目標の中で業務の質の向上と内容の充実に支援をしていきたいと考えております。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 独立行政法人になりますと、費用対効果といいますか、その成果が求められるということになります。ところが、私の思うには、漁業水産関係の調査だとか研究というのはそう簡単に成果は出ない、長い年月をかけながらの調査というものが大事だというふうに思いますし、一方では、地方の試験場あたりも、すぐ成果を求められるとつらいなということになって、すぐまた合理化で減員、人が減っていくというようなことになると私はまずいんじゃないかというふうに思いますので、これは一言申し上げさせていただきます。  次に、後継者の育成、担い手確保、こういうところに一番、この後、焦点が当たっていくわけでございますけれども、今、水産関係の学校、水産高校だとか大学、いろいろあろうかと思いますが、これは事務的に結構でございますので、今幾つあって、毎年どれぐらいの卒業生が卒業して、どういう形で社会進出を果たしているのか、わかればお聞かせいただきたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) まず、高等学校ですが、水産に関する学科を置いております高等学校の数は現在全国で四十八校であります。平成十二年度の卒業生は三千六百三十二人、そのうち大学等に四百十九人が進学をしておりますので、就職者としては二千二百四十二人、漁業への就業は二百四十九人、七%という状況でございます。  それから、水産関係の学部を設置しております大学は八校ございます。学科を設置している大学は十校で、合計十八大学に水産の関係の学生がいるという状況になっております。水産関係以外の課程を含んでおりますので、大学ではちょっと先ほど申し上げましたような卒業者と就職といった状況はわかりませんが、この三月まで水産庁の直轄のもとにございました下関の水産大学校がございます。ここは卒業生二百二人、十二年度でありますが、就職をいたしましたのが百四十六人、水産関係企業には約二割の四十二人が就職をいたしております。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 そういう若い人たちにやっぱり水産に興味を持っていただいて、現場で頑張っていただく、あるいは研究機関に入っていただく、非常に重要だというふうに思います。  一方では、今度は本当に海に出ていく、そういう人たちをやっぱり確保、担い手。私の好きな演歌の中に「兄弟船」というのがございます。型は古いがしけには強い、おれとおまえの夢の揺りかごさ、その前には、親父の形見という、そういうのが実はあるんですけれども、お父さんから受け継いだ船を兄弟でやって、恐らくイカぐらい釣りに行くんだと思いますけれども、そういうようなことで後継者、こういうものが大事だというふうに思いますが、そこらあたりの施策として今度は国のバックアップが必要だというふうに思いますので、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) もちろん、これからの沿岸漁業等の発展のためには三つの課題、つまり、漁場づくり、資源づくり、人づくり、こういうことになるわけですが、三番目の人づくりというところが現状一番厳しく、また一番難しい問題であります。十二年度は千三百七十人という方が新たに水産業に従事をされることになりましたが、新規学卒者は六百人ということでございます。この千三百七十人という人数そのものが非常に小さい数字で、これで本当に水産業が回っていくんだろうかという心配を持っております。  そういう状況の中で、やはり何としても、漁業を現に行っている方々に対しては、漁業の技術プラス経営管理能力の向上という点で支援をしなければいけませんし、これから入ってくる方々につきましては、漁業の場が魅力があって所得がそこそこ得られて環境もいいというふうにこれから持っていかなければならないというふうに思っております。  とりわけ新規就業者の数がこういう状況でございますので、積極的に求人情報を提供したり新規就業者に対して研修をするといったようなことも現在行っておりますし、先ほど来話題になりました都市と漁村の交流の中でも、漁村サイドが漁業の持つ魅力というものを発信しなければならないというふうに考えております。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 そういう意味では、一緒に働くということで、女性あるいは高齢者の方がまさに一体となってその地域の水産漁業を守っていく、そういう姿が何か目に浮かぶような気もいたしますが、女性や高齢者の方々の参画、この促進施策をお聞かせください。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 基本法案の中でも女性の参画の促進を第二十八条に、それから高齢者の活動の促進を第二十九条に置いたわけですが、私自身は、女性の今の漁業従事者の数というのは二十七万人のうちの四万人ぐらいでしょうか、何を担ってもらいたいかというと、やはり経営の側面、経営管理能力を高めていただいて、言ってみると、パートナーとして経営面、経理面あるいは販売サービス面は私に任せてくださいというふうな対等のパートナーになっていただきたいというふうに思っているところでありますし、そういった女性方が漁村地域の中でいい生活環境で生活をし、そして産業に従事することができるというふうなことを例えば公共事業や各種の資金で支援したいというふうに思っております。  女性の経営管理能力の向上につきましては、ですから、研修の場を提供するというふうなことも重要だろうと思っております。漁協婦人部、三十数組合で女性が活動している顕著な例がありますけれども、つい先日、きのうですか、総会がございまして、そして、なかなか元気にいろんな実践活動をやるというふうに宣言もされておられました。大いに支援をしたいと思っております。  それから、高齢者という位置づけが、法律を書くときにも悩んだのですが、高齢者というよりは漁村地域にいらっしゃるマイスターというふうに呼んでもいいのではないかなと。そういう今まで経歴の中でいろんな技術を習得された、この技術をアドバイスなり都会の人との交流の中に生かしていくというふうな方向が、いわゆる後継者の活動の場という点で、知恵袋とマイスターといいましょうか、そういう位置づけがいいのではないかなというふうに、ここはもう少しいろいろ考えないといけないと思っております。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 今ほどもありましたように、現実には物すごく頑張っておいでになるんです、婦人部の方もあるいは高齢者の方も。いろんな知恵を出しながら何とか活性化をしたい、そういうふうに頑張っておいでになりますから、もう一押しが大事だというふうに私は思いますので、政策的にきっちり後押しできるような施策をやっぱりつくっていくべきだというふうに思います。  今ほど長官の方からもありましたが、問題は、漁業就業者の年収、後継者を育てたりあるいは新しく漁業に入ってきていただいたりするにしても、やっぱり一番肝心なのは、収入をどう確保するか、施策として見ていくか、そういうのが私は大事だというふうに思いますので、まずこの基本法で、漁業に携わる人たち、とりわけ海に出ていく人たちの年収目標みたいなものは定められるのか定められないのか含めてお聞かせいただきたいと思いますし、時間の都合もございますので、次に通告をしておりました収入の、一方ではいろんなアイデアを出しながら収入を確保していかなければならない、それは漁協の知恵もかりなければならないし、いろんな知恵をかりなきゃならぬと思いますが、その収入の確保のアイデア、そういう施策の後押し、両方あわせてお聞かせいただきたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 効率的、安定的な経営体といいますか漁業経営というふうに打ち出す以上は、やはり生涯所得において地域の他産業従事者と遜色のない水準というものが目標として掲げられ、実現をされていかなければならないというふうに思います。すべてのことを法律でやるわけにはいきませんが、いずれ基本法も、基本計画も打ち立て、そしてその達成のためのプログラムもつくっていくわけでありますので、その中ではやはり経営展望なり構造展望というものをやって、こういうやり方でいけばこういう所得水準というふうなことを検討していく時期に来ていると思っております。  現況は、押しなべて農家所得に比べれば八割水準、勤労者世帯に比べれば九割水準というふうな状況でありますが、漁業経営の実態によって相当差がございますので、やはり経営の類型別に展望を示すことになるのではないかなというふうに思っております。  それから、いろいろな工夫によって所得を上げていく、収入機会をふやすという点は私もまだまだ余地があると思います。恐らく四対一、つまり消費地での価格を四とすると、漁村、漁業者の手取りは恐らく一ぐらいの関係だろうと思います。したがって、残り三の部分は流通、加工、サービス、交流、そういう場から得ることもできるわけですから、全部を浜に落とさなくても、そのうちの一部を取り込んでいく、例えば産直でやるようなやり方もありますし、交流でやるようなこともございます。  私どもは、主としてこういうふうに制度化できますものは流通の分野でありますので、流通機能強化対策の中で産直といったようなこと、あるいは量販店との結びつき、そういうふうなことも支援をしていきたいと思っておりますが、一番大事なのは、地元の方々が工夫をして、知恵を出して、いろいろ宣伝をし、収入を得るということだろうと思います。幸い各地に優良事例が出てきておりますので、こういったことも紹介をしてまいりたいと考えます。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 これも後押しが大事なんですね。宣伝、各県各県、各漁協漁協が、一生懸命自分のところでとった魚を食べていただく、喜んでいただく、こういう思いもしながら一生懸命頑張っております。ぜひそういう後押しをしていただきたいというふうに思います。  次に、多面的機能という言葉が出てまいりますが、正直言って私、いま一つぴんときません。本当に、海、漁村、漁業、多面的機能というのは、ぼやっとしたものはわかります、それを法律に盛り込んで、そして施策でしっかり裏づけをして後押しをしていくというのがいま一つはっきりしませんものですから、意地悪な質問になるかもわかりませんが、この多面的機能という問題について少しお考えを示していただきたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 多面的機能を考えます場合に、やはり農業・農村、林業・山村とは水産業・漁村は違う性格を持っていると思います。つまり、水田が生産装置であると同時に水をためる装置である、森林が生産用の道具であると同時に炭酸ガスを吸収する装置であるというふうな即物的なものではなくて、水産業なり漁村というのは、そこに人が住んでいる、その人たちが果たしている機能を公益的機能というふうに位置づけられるのではないかなと私は思います。  これは、実は平成十一年度の漁業白書に初めて取り上げました課題でありまして、水産物の供給以外にも果たしている役割として、それは水産業を営みながら漁村に暮らす人々の活動を通じて発揮をされるものである。それは何かというと、例えば健全なレクリエーションの場の提供であったり、沿岸域の環境保全あるいは海難救助、それから防災、国境監視、伝統文化の伝承、こういうものは、すべからくそこに人がいて水産業が行われていることから発生をする、人によって担われている多面的な機能であるというふうに位置づけをいたしまして、これは多分御納得がいただけるのではないか。したがって、その機能が十全に発揮できるように、情報提供その他も含めまして施策の充実を図るというのが私たちの考えであります。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 わかりましたとはなかなか、難しいな、もう少し、ぼやっとしているなというふうに私は思います。これは島、離れ島、そこで漁業を中心にして頑張って、その島を守っているというような認識なら私はちょっとわかるような気もするんですけれども、ずっとずっとあって、そこで多面的機能というのは、もう少し理論的に研究する必要があるんじゃないかな、私もやります、国民の理解を得るためにはもう少し理論的に裏づけるものが必要ではないかというふうに私は思います。  時間の都合もございますので次に行きますが、森と川、いわゆる海以外とのかかわり、こういうものを実は少し議論してみたいというふうに思います。  よく森は海の恋人というふうな話を聞きます。私はそれがどこから出た言葉かなと思っていろんな人に聞いてみましたら、カキの養殖をしている方が本を書いて、そこでそういうことを言い出したということになって、山に植林をすることによって栄養素が海に流れてくる、そういうことを実は聞きまして、ちなみに熊谷武雄という詩人のお孫さんで熊谷龍子さんという方がそのカキの養殖をしている人に一編の詩、「森は海を海は森を恋いながら悠久よりの愛紡ぎゆく」、こういう詩を贈ったそうです。それがこの森は海の恋人という語源になっているというふうに私はきのう知りました。  そういうことを考えたときに、じゃどれぐらいやっているかということで農水省の出している資料を見させていただきましたら、北海道でもやっていますし、今言いました例が宮城県、これは十年以上前からやっている、あるいは三重県の宮川村というところでもやっている、広島県の広島市でもやっている、熊本市でもやっている。そういうふうに漁師さんが山に木を植えて、そして栄養が森林を通じて川を通じて海に流れ、海の栄養を確保しよう、こういう運動といいますか取り組みであります。  こういうことについて、農水省として、水産庁として後押しをするということが私は必要だというふうに思いますが、いかがでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 全く同感であります。これまでは水産の支援対象というのは水産業なり漁村そのものに限られておりましたけれども、漁業者が山に上がって木を植えるということについても支援をすべきではないかという議論になりまして、今年度からかなりの額を投じまして、漁業者が山に植林をすることに対する助成もスタートさせております。この水産基本法の中にも「水産動植物の生育環境の保全」という規定を置きましたけれども、衆議院におきましてさらに森林の整備ということもそこに加えていただきまして、より条文が明確になったわけであります。海と川と森、これはばらばらのものではなくて一緒になって効果を上げるものだと思っております。  先ほど幾つかの例を出されましたけれども、三十県近くにもうこの植林活動が広がっておりまして、富山県でも新湊の漁業者が神通川の源流を守る植樹活動というのをおやりになっていると承知しております。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 ぜひ、こういう運動がまさに子供たちを育てる、山を、海を育てるという意味とあわせて子供たちを育てるというふうに私は考えさせられました。  時間がございまして、できるだけ私うまくやったつもりですが、質問が一つ残りました。十八の質問の中で一つ残って、大分優秀だなというふうに思います。  最後に、大臣にお尋ねをいたしますが、お尋ねというよりも決意ということになろうかと思いますが、長い間かかりまして、先ほども言いましたように、水産基本政策検討会ですか、ここで努力をいただきまして、基本政策大綱ができ、改革プログラムができ、そしてこの水産基本法が今審議をされている。まさに水産の歴史を塗りかえる大きな法案だというふうに私は思っております。そういう意味で、冒頭もお聞きいたしましたけれども、今度は水産そのものの発展を考えていただきながら、その決意をお聞かせいただきたいというふうに思います。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 先生のこれまでの数々の御質問を聞いておりまして、非常に私自身も水産政策というものの重要性の認識を新たにさせていただいた次第でございます。  基本法の制定は、先ほど申し上げましたように、国民全体の合意として、今後の水産政策の理念を明確にし、基本的施策の方向づけを行うものとするものでございまして、制定後は、基本法に掲げられた理念を具体化し、実施に移していく不断の努力が必要だ、かように思います。  そのような観点から、資源を管理し、守り育てる漁業の推進、意欲と能力を持つ担い手の育成確保、消費者ニーズに即した水産物の供給体制の整備、漁港・漁場等の水産基盤の一体的な整備、さらには都市と漁村との交流の促進などの面で構造改革を推進し、積極的な施策展開を図ってまいりたいと考えます。

谷林正昭民主党・新緑風会

○谷林正昭君 ありがとうございました。  終わります。

郡司彰民主党・新緑風会

○郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司でございます。うまくいった質問の後でございますので、精いっぱい頑張らせていただきたいと思います。  まず、自給率についてお尋ねをしたいと思いますが、食用水産物の自給そのものということではなくて、食料・農業・農村基本法で言う、全体の自給率を四五%まで高めようという目標に向かって大臣が努力をされているわけでありますけれども、この四五%という自給率の中で占める水産の関係といいますか割合といいますか、そのことについて大臣にまずお尋ねをしたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 今御指摘がございました食料の自給率、長期的には五〇%を目指しながら、当面、二十二年度に四五%に向上させると、これはカロリーベースの自給率であります。  水産の寄与度というのは、総カロリー供給の中で、これはたんぱく質食料でありますので、大体五%というふうになっております。私どもの表示しておりますのは、カロリーベース自給率ではなくて、常に重量ベースの自給率ということになっております。平成十年度五七%、平成十一年度五五%という自給率は、重量ベースの自給率として算出をされているところでございます。  いずれにいたしましても、五%のシェアではありますけれども、水産物の自給率を高めていけば、そのことが日本の食料全体としての自給率向上にも寄与するものというふうに考えております。

郡司彰民主党・新緑風会

○郡司彰君 今、重量ベースということがございまして、漁業生産量そのものが最大時一千二百八十二万トンから、六百六十八万トンぐらいに現在はなっているというような数字がございます。この数字、おおよそ五百万トンぐらいは多獲性魚、いわゆるイワシ類の、あるいはニシンとか、そういったものの減少ということで認識をしていいのか。  それから、輸入をされているもののトン数が三百十万トンというような数字が出ておりましたけれども、この数字と、先ほど申し上げました千二百八十二万トンあるいは六百六十八万トン、この数字との兼ね合いといいますか、もし違いがありましたら教えていただけますか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 今、多獲性魚というふうにおっしゃられましたけれども、基本的にはイワシであります、マイワシ。ピーク時には恐らく四百万トンとれておりました。現在は二十数万トンというレベルだろうと思います、二十万トンちょっとだと思いましたが。そういうことで、日本の要するに総漁業生産量の減少の中で最も大きいのはイワシの減少、それから、中での交代が起きておりますのは、遠洋漁業が減少し養殖がふえている、こういう交代関係にあるわけでございます。  なお、輸入につきましては、当然のことながら、入ってまいりましたものを一定の数式によって原魚換算をして国内のものと数字を合わせておりますので、そういう操作をした中で、在庫調整もして重量ベースでの自給率を出しております。

郡司彰民主党・新緑風会

○郡司彰君 輸入については換算をするんだということであります。例えば国内の魚、おおよそその総トン数の七掛けか八掛けまで行くのかどうかわかりませんが、頭の部分、しっぽの部分、内臓の部分を取るということになると、相当数字が違ってくるわけですね。  私の方の認識では、この三百十とか三百五十万トン近いと言われる数字というものは、それを全部除いたものでありますから、この日本で言っている六百六十八万トンということに換算をすると五百万トン近いというふうな理解をしておるのでありますが、それはどうなんですか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 食用魚介類の自給率算出方法の中で用いております数式で換算をいたしますと、通関統計ベースの輸入量三百三十一万トンは原魚換算では六百万トンということになります。

郡司彰民主党・新緑風会

○郡司彰君 六百万トンということになると、総トン数でいうと昭和五十九年の最大時の漁業生産量と同じぐらいの形になると。しかし、これは中身がもう全然違ってきているわけですね。例えば、昭和四十三年の流通品目百八十一が十年には二百二十三品目、これも、なくなった、新たにふえたということの、足し算引き算の結果でありましょうから、今の数字を単純に引いただけではない数字の動きがあるんだと思うんです。  それから、購入品目等ももちろん違ってきている。いわゆる中高級品というような形に移ってきているというふうなこともありましょうし、先ほど森下委員からありましたように、切り身で泳いでいるのではないかというような子供さんがいらっしゃるというふうに、パッケージの問題もいろいろ変わってきているわけです。  こういう形の中で、日本の食生活、豊かになったということと飽食ということはまたちょっと違う面があるのかなという感じがしております。例えば、私ども子供のときには、サケは塩引きで、お正月の近いころにしょっぱいものを食べるというのが、しゅんかどうかわかりませんが、そういう感じだった。ところが、今はもう一年じゅう、サケはもっと新鮮味があるような形でもって食するような形になっている。  この豊かさというところと飽食というところのその辺の境というものは、今の現状から見て大臣、もし何かお考えがありましたら。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 食料消費というものが非常に多様化してきているとか高度化していると。その中で、水産物ではいわゆる大衆魚から相当部分を輸入に依存するという高級魚に消費が拡大しているというような傾向にあるわけでございまして、そういう意味で食料自給率の問題そのものも、なぜ五〇%だとか、あるいは十年間に四五%だとかという根拠になりますと、それで食料安全保障政策上大丈夫なのかというような問題の指摘もあると思うんです。私は、さような意味では、やはり軍事面と同じように、食料の集団安全保障といいますか、多国間の安全保障政策というようなことも今後検討していかなくちゃいけないんじゃないのかと、こう思うんです。  水産の分野におきますと、きのうも林業の関係で、いわゆる違法盗伐ですね、これを日本に持ってきて、日本が輸入しているということについて、そのことが結果的には地球の砂漠化だとか温暖化に影響を与えるという問題があるわけでありますし、水産についても同様だと思うんです。輸出国の環境への配慮や、また国民の健康な食生活というふうな観点から、国民への安定的な供給ということの中身、これはさらに今後検討しなきゃならないのではないかと。  今、先生の御指摘でございましたので、私どもはそういうような視点で、足りないものは輸入しなきゃなりません。輸入しなきゃなりませんが、むやみやたらに、相手国の事情もあるいは環境問題も関係なく日本人が食べるために輸入するというような視点ではだめだなと。こういったところの調整とかバランスというものは、やっぱりFAOでありますとか多国間にそういったものを研究し検討する、あるいは協力していくというようなそういう努力が必要になってくるんじゃないのかと。  その意味でも、我が国内でどういう目安を持って今後の水産政策を考えていくかという意味で、この基本法の水産物の安定供給ということの理念をここに位置づけるという意味も私は非常に重要になってきている、このように思うわけでございます。

郡司彰民主党・新緑風会

○郡司彰君 私は、余り古いことだけがいいというふうには思っていないわけであります。例えば、魚の名前を子供さんが幾つぐらい知っているのかというと、幾つぐらいかな、十いくのかなという感じがします。それから、魚屋さんで魚というものは買うものだというふうに思って育ったわけですけれども、今は魚屋さんというのはどこにあるのかなというようなところで、大体昔七割、今スーパー七割ぐらいというような数字で聞いておりますけれども、そういうような変化もあるわけであります。  そこで、これは、漁業の動向に関する年次報告というのを読ませていただきましたらば、世界の主要漁業生産国等の食用水産物の自給率を見ると、自給率が一〇〇%を下回っているのは我が国と米国のみだというふうに書いてあるんですね。しかも、米国に比べて我が国の自給率はもっとさらに低いんだというようなことがありますけれども、先ほどの話の流れも含めてですけれども、いわばこの食用の水産物というのは、自分の近海や、あるいは遠洋もあるでしょうけれども、とれてきたものでおおよそ賄うと。わざわざ大量に高価に値をつけて輸入をするというような食生活というのは日本ぐらいなのかなという、ちょっと気がしてしまうんですが、この辺はもしおわかりになれば。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) これは先ほど私はカロリーベースで寄与率五%という話を申し上げましたけれども、恐らく食生活と大きく関係をしていると思うんです。一人当たり消費量が世界で一番多い国というのは、たしかモルディブ、これが日本の二倍ぐらい魚を食べております。  ですから、アメリカの食生活を考えますと、これは本当はアメリカだけで供給ができるはずであります。ところが、やはり食べているものが、例えば日本のようにイワシとかアジとかサバを食べているわけではなくて、例えばエビを食べるというふうなことになりますと、アメリカ国内にはエビの生産が余りありませんし、それから、エビでもロブスターとかそういうものになりますと、なかなか輸入しなければ間に合わないというふうなことなんだろうと思うんです。  おっしゃったように、今は冷凍技術が発達していますから、マグロなんかでもマイナス六十度というふうなことで世界的に流通しますが、かつてはやはり余ったものを干して輸出するというふうなのが主力でありました。例えば、ノルウェーのタラなんかがそうですね。干したタラというのが輸出産品としてポルトガルやスペインに行っているというふうな状況でありますから、確かに地場消費性が強いということは間違いのないところだと思います。  ただ、実情、日本が世界の水産物貿易の中の二三%を輸入しているという状況は、これが正しいんだろうかどうだろうかというふうに問われますと、いささか、もう少し日本の二百海里を上手に使った方がいいんではないかなというふうに考えておるところでございます。

郡司彰民主党・新緑風会

○郡司彰君 先ほど、同僚の谷林委員の質問に、海は山がという話がございました。  実は、山の方に聞きますと逆なことを言うんですね。例えばクマが生息をしているとか、キツネとかシカとかいろんな動物も含めてですけれども、追っかけてみて、その死骸といいますか、そういうものからDNA、いろんなものを調べますと、結局、川が豊かなところで動物が生きられると。サケなんかが典型的ですけれども、遡上をして卵を産んだり、その間亡くなった亡きがらと言うのはおかしいですけれども、死んだ魚、そういうものがふんだんにあるようなところが豊かな森になっていくんだと。だから、森の豊かさというのは海がなければいけないんだという言い方を逆にするわけであります。  そういうことからいうと、百四十六カ国に及ぶ輸入先を日本の国が抱えているというふうなことも中高級化志向の中ではもう当たり前のことになってきているわけでありますが、一方で、やはり日本の国に戻ってくるような魚をきちんと戻るようなことも含めてやっていかなければいけないし、その際に、私どもしつこくこれまでも言ってきましたけれども、例えば河川のいろんな工事を行う場合には、やはり魚道というものがきちんと確保されているような、そういう工法も考えていただければなというような感じがしております。  次に、漁協の広域合併ということが出ておりまして、先ほどこれも質問が出されました。  大きな問題は、一番は漁業権の問題だろうというようなことでございまして、これは漁業法の改正によって、例えば部会方式をとるようなこともできるというようなことになっているわけであります。  私の方で、その他の合併に絡む阻害要因はどういうことなんだということをちょっと見させていただきましたが、水産庁の都道府県の担当者から聞いた阻害要因というのは、一番目が合併後のメリットとなるビジョンが示されていないではないか、それから、今言った漁業権の問題になるわけですね。逆に、漁協の連合会の方から見た場合はどういうようなことになっているかというと、一番目、六八%が役員の意識、感情問題、二番目が財務問題及び経営問題、三番目が推進体制の問題、四番目に先ほど言ったメリット、五番目に漁業権と、そういうようなことが出てきているようであります。  私は、いずれにしても、今の状況を見ると広域合併の必要というものをいささかも疑わないでいるわけでありますけれども、その際に問題は、農協系統の合併と同じように、まず目的がそこで漁業を営む生産者の所得あるいは生活のあらゆる面の向上に結びつくということが第一でなければというふうに思っておりますけれども、この漁業権が解決した後、今後急速に合併が進展をするというようにお考えでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 先ほどの説明の中でも、阻害要因を取り除き、かつ一定の方向について支援を行うと、その二つが両輪としてないと、それは進まないと思うんです。  今、先生、まさに御指摘があったように、ビジョンがないという話も、言葉としてはビジョンがないということかもしれませんけれども、漁協の合併については組合員のほとんどの方が賛成しなきゃいけないわけですね。そのときに、その組合員一人一人が、合併したってよくならないとか、それから、自分の子供や孫はもう漁業をやらないんだからこれで終わりにしようとか、そういう先が見えないときにはやはり合併が進まないわけでして、それにさらに漁業権というしがらみがあるわけでございます。  ですから、そういう障害を取り除くと同時に、将来をちゃんと見えるようにすること、そして、その方向に対して一定の支援をすることというのがついて回らないとやはり円滑に回っていかないというふうに思います。

郡司彰民主党・新緑風会

○郡司彰君 そのような長官の考え方のとおりかもというふうに思っております。  あと、私は、例えば小規模の漁協がございまして、実際には漁業権だけ持っているようなところも若干あるんではないかなというような感じもいたしておりますから、それらが先ほど言った漁業権の問題、部会等の関係で片づいてくれればいいなと。  もう一つは、産地市場のあり方ということも若干は関係をしているのかなという感じがいたしまして、これも私はよく存じませんが、いわゆる西日本の方と東の方で相当程度違いがあるようなことも聞かされております。例えば、先ほど長官がおっしゃった共販というか流通センターのようなものを積極的に西の方ではやっているけれども、どうも東の方では今までの競りという形を主流にもちろんやっている。  ところが、実態はどうなのかというと、競りのような形はもちろんとっているわけでありますけれども、中身からいうと、圧倒的に強いのはやっぱりスーパーとかその他の買い手の方がもうこれ以外じゃ買いませんよというような値段を決めて臨んでくるわけでありますから、どうしても、競りという形をとりながら、生産者というものがみずからとってきたものに対して本当に値段をつけているのか、そういうような気がいたしますけれども、この辺のところは合併によって何がしか変わるということは考えられますでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 先ほど、一市場当たりの取扱高という話もいたしました。非常に小さい市場で取扱額も少ないということになりますと、売上高対比手数料ということで利益も出るわけでございますので、そういうところでやはり統合によって力をつけていく、そして管理部門にかかる費用をできるだけ節減していくというふうなことは一つ力をつける道として大事だろうと思うんです。  それから、スーパーその他の大量に買う人との関係において力負けするんじゃないかという点についていえば、今の流通は相当複線化をしておりますので、確かに安定的に量販店と結びつくという道は一つ、物を安定的に納めるという点でいいかもしれませんが、同時並行的に、産直の道だって相当いろいろ流通システム、運搬システムが変わったわけですから、そういうのを、流通チャネル同士も競争させるということでこちら側に販売力をつけるということもございます。  いずれにしても、これからの市場というのは一体だれを対象にしてどういう市場に持っていくかという、先ほどの話じゃないですがビジョンがないと、ただ荷物をさばいて右から左という点では生きていけないと。都市・漁村あるいは都市・漁港、都市・産地市場交流型というのもあるでしょうし、いろいろな生き方があると思うんです。それをみずから模索をし計画を立てる、それを支援するということではないかと思います。

郡司彰民主党・新緑風会

○郡司彰君 それから、認定漁協という形を考えていらっしゃるということをお聞きしております。自立漁協という名前も出されておるわけでありまして、行く行く流れとしては、全体そうなるかどうか、これはそれぞれ自立的な組織でありますから検討する中でのことと思いますが、一県一漁協、そういう形になるやもしれないという流れだろうと思いますが、この認定漁協、自立漁協あるいは一県一漁協というような形になりましたときに、どのようなそれぞれ役割ということになりましょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 自立漁協という言葉は、全漁連その他系統がわかりやすいということで、運動の一つの旗印として出したと思うんです。  この言い方が適切かどうかよくわかりませんけれども、すべての漁協をばらばらでそれぞれ自立させていくということはなかなか、先ほどの農協との対比で取扱高その他を見ても、信用力についても無理ですから、そうなりますと、やはり統合をして、どこまで統合をし、どこまで合理化をしたら漁協が漁協の組合員の期待にこたえられるかというところを自分たちで探さなければいけないと思うんですね。そういう道を決めたところに対しては国の支援を重点的にやるというのが認定漁協なんです。  その結果、地域によっては一県一漁協になるというケースも出てきましょうし、あるいはそういう自立した漁協が幾つか併存することができる地域では、そういう道も一つ考えられると思うんです。それは、ですから、地域の状況に応じ、その漁協の力に応じて道を選んでいく、自助、自立の道を国が支援するという方向ではないかと思います。

郡司彰民主党・新緑風会

○郡司彰君 いただいた資料によりますと、認定漁協とは、指導事業を実施する一定の組織規模、一定の財政基盤、一定の地域の広がりというようなことが書いてありまして、私、系統農協の場合と漁協の場合、総収益における構成比というのが非常に違うんだろうと思うんですね。私は、どちらかというと漁協の方が本来の協同組合的なのかなと。大体、販売が四〇%ぐらい、購買が二、三〇%、信用が今落ち込んでいますから大体一〇%ぐらいですかね。  そういうような比率の中で、この指導事業を実施する規模、これは私、逆に言いますと、自立漁協という形に、それを行うために、行うというか実現するために、それぞれもたれ合って基盤が弱いところどころが合併をした場合にはなかなかうまくいかない。その合併の核になるような漁協をきちんと育てていく、その核というのが要するに認定漁協かなと、そういうような理解をしておりましたけれども、そのようなことなんでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) むしろ先生の御説明の方が丁寧でありまして、そういうことであります。  確かに販売事業の面においては、先ほど私、いろんな面で大体漁協は農協の十分の一以下の規模というふうに申し上げたんですが、販売事業だけは大体三分の一ぐらいのところまで来ておりまして、販売部門が主力をなしているということは漁協の特徴でもありますので、ですからそういうところをきちんと、いろいろな指導ができる人がいて基盤があって運営ができるということに育っていってもらいたい、それがその地域のリーダー格になるということだと思うんです。

郡司彰民主党・新緑風会

○郡司彰君 いずれにしましても、職員の数あるいは指導を行う方の人数が〇・六人ぐらいなどというような数字も出ておりますから、なかなか、系統全体として取り組んでも、いろんな事情、これまでの地域的な問題等も含めてあるんだと思います。水産庁としての後押しをしっかりやっていただきたいなというふうに思っております。  それから、漁協の周辺には多分に、私の住んでいるところなんかもそうでありますけれども、加工業者の方がいらっしゃるわけで、時にかなり大きな事業を営んでいる方もいるわけでありますけれども、おおよそかなり規模が小さいといいますか、そういうところが私の身の回りには多いわけでありまして、このような中でも、いわばこれからの消費者に対する安全性の確保その他を含めると、いろいろなことを行っていかなければならないんだと思うんですね。  ややもすると、この加工業者に対する窓口というのは農林水産省ということだけではありませんから、当然、これまでのところでいうと、新しい省庁、経済産業省ですか厚生労働省ですか、そういうところが中小企業の窓口としてかかわっているんだと思いますが、私は農林水産省としても十分に意を用いていかなければいけないだろうと。  例えば、HACCPというような方式を導入するに当たっての融資の問題ということがあるかもしれませんし、あるいはまたそれを導入する際の、あるいは導入した後の運営のあり方の中には専門的な知識を持った人を養成するということも出てくると思いますが、その辺について水産庁の取り組みはどのようになっておりますか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 確かに、中小企業と協同組合ということになりますと、一定程度、経済産業省と分野が重複をしたり競合したりするところがありますけれども、それは私はそれでいいと思うんです、その地域がよくなっていけば。  今おっしゃったように、これからの水産物の世界でいえば、やはり安心、安全ということになりますと衛生問題というのは非常に重要です。しかも、HACCP方式をきちんとクリアしなければ、これは極端な話ですが、輸出をする場合にも輸入国が受け付けないというぐらいのところまでHACCPというのは成長しておりますので、これを取り入れていかないと力はつかないというふうに思っております。  低利資金も融資をしますし、HACCP方式についての講習だとかマニュアルの作成、それから場合によりますと、そういう衛生管理の徹底した流通・加工施設をつくるということにも助成、支援をしていきたいと考えております。

郡司彰民主党・新緑風会

○郡司彰君 廃棄物というような言い方をすると申しわけないと思いますが、食用の水産物の残渣といいますか残滓といいますか、このようなものがどの程度出ているのか、どのような形でもってそのうち活用をされているのか、おつかみになっていれば教えていただきたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 平成十一年度の食料需給表からの計算でありますけれども、食用に仕向けられる魚介類は八百二十一万トン、このうち実際に消費者の口に入りますのは四百四十八万トン、したがって、残り三百七十三万トンが流通・加工過程や販売店等における廃棄物ということになりますが、そのうち約百五万トンは魚粉、魚かす、ミールの状態などで再資源化をされております。  また、ある研究によりますと、残りました焼却や埋め立てをしている二百六十八万トンの中にも再資源化できるものが百万トン程度はあるのではないかという研究もございます。

郡司彰民主党・新緑風会

○郡司彰君 大臣がいつも言われておりますが、循環型の社会を目指そう、循環型の農林水産業に切りかえていこう。三百七十三万トンのうち百五万トンが再資源として利用されているということでありますが、私は意外と、意外とという言い方は大変恐縮でありますが、再利用されているんだと思うんですよね。例えば、ホタテガイなんかもかなり粉状にして浄化槽に使ったりとかということを三陸の方ではなされているようにお聞きしておりますし、かなりの部分うまく機能しているのではないかなと。  ただ、しかし問題は、加工をする段階での問題としては結構うまく業界として取り組んでいる、じゃ先ほど言った飽食化、過食化というところで、例えばパーティーのときにいつもお刺身がいっぱい出るけれども残っているじゃないかとか、そういう形のものがなされているのかというと、これも大口は結構なされてきているんだろうと思うんですね。  先ほど言いましたように、四百四十八万トンとの差、三百七十三万トンの百五万トンを引いたものが全部そうだと思いませんが、今後、考え方としてどのような方式を用いてこの廃棄物の処理ということについて行っていくつもりなのか。実際の技術的なことではなくて、そういう気持ちが大事だということも含めて、大臣の方でもしございましたらば。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 食料の輸入、水産物もそうですけれども、これは先生の今のお話から類推しましても、かなり廃棄物を輸入しているというふうにも言えると思うんですね。一方においては、発展途上国などは砂漠化が進んでいて、我が国としてそういったところに有機質肥料としてこれを何とか援助したいと思っても、逆に廃棄物を日本は持ってくるのかという、そういう現象面でのまだ理解がなされていないというふうに思うんです。こういうことは、当然、食料の輸入とか食料の需給の問題ではしっかり今後の農林水産業の政策の中に組み入れて検討していく必要がある、かように考えております。  同時に、食料の自給率の問題については、食生活のあり方とか、食品産業でありますとか、消費者にもかかわりを持って協力していただかなきゃならない。いわゆる循環型社会の構築という意味におきましてもこのことが非常に重要でありまして、これはひとり農林水産省だけじゃなくて政府全体として真剣に取り組むべき課題だ、かように思います。その前提として、実態というものをしっかり把握する必要があるのではないか、かように考えております。

郡司彰民主党・新緑風会

○郡司彰君 今、大臣から最後に言われました、実は、どういうルートでどのぐらい出ているかというのは、調査そのものも困難でありましょうし、余り実態としてつかんでいないかと思いますので、今大臣の発言を聞いて意を強くしましたので、調査ができる範囲でお願いをしたいというふうに思っております。  それから、先ほど長官の方からありましたように、三百何十万トンか入ってくる中、生産量換算でいけば六百万トン近いということになりますと、日本に持ってくる水産物の外国での処理をしたものがやはりその国において適正に処理をされているのか、廃棄物としての扱いについても、これもまたよくわからないところが多いと思いますので、この辺については指導監督を含めて、日本に送るためにとっている魚がうちの国をこんなに汚しているということにならないように、こちらの方もお願いをしたいというふうに思っております。  それから、これも森下委員からもありましたが、便宜置籍船のことについてお尋ねをしたいと思いますが、これも事実関係含めて長官の方からも話がありましたので、FAOの決議の問題その他については私の方からは申し上げるべきでもないかと思っております。  それで、日本と台湾の行動計画の推進というのが一九九九年の二月に合意をされておりまして、日本側では、日本起源のFOCのスクラップ化を行うということになっているわけですね。国費として三十三億円というふうに予算化されているのかと思いますが、私はよくこの辺は存じ上げませんで、こういう廃船に伴って、しかも台湾の船を廃船するためのお金を国費として支出するというのは、どういう項目、どういう理由で出されるのでありましょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) かなりの程度、日本起源の船があるということがしばしば言われます。そして、日本がマグロ漁船を出すから、それでマグロの資源が乱獲をされる、しかも国際的な取り組みで対象から外せば便宜置籍で行ってしまうと。ですから、そこの根元を絶たなきゃいけないということになりますと、やはり完全にスクラップをする、つまり中古船が出ていかないようにする。今までも計器を外したりいろんなことをしたんですけれども、そうじゃなくて本当につぶしてしまおうということが大事だということで、今回、廃絶に向けた早急な取り組みということで便宜置籍船を買い取ってスクラップする。もちろんこれには、国だけじゃなくて、それによって便益を受ける関係者も参画をするわけでありますが、そういうことを始めたわけでございます。

郡司彰民主党・新緑風会

○郡司彰君 単純に割り算をすると、六十二隻でありますから、三十億円ちょっとということは、一隻五千万相当ということになるんだろうと思うんですね。これは、長官よく御存じのように、台湾の実際の漁業といいますかマグロをとっているような方から言わせると、大体最低一億円だという話が聞かされておるわけでありますが、この辺の話し合いは都合よく話がついているということなんでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 最終的にこれだけの船をつぶすということについては合意が結ばれたというふうに承知しておりますけれども、その各プロセス、各年どのぐらいずつつぶしていくかということについては相当交渉が難航したようであります。といいますのは、このスクラップの予定船それぞれについて、一年目につぶすのか、二年目につぶすのか、三年目につぶすのかということによって業界の負担の額も違ってまいりますし、船が残っている間はマグロがとれるわけでありますので、そういう点で相当厳しいつばぜり合いがあった後、当年のスクラップの隻数と最終スクラップの隻数が合意をされたという状況であります。

郡司彰民主党・新緑風会

○郡司彰君 先ほど、長官は森下委員の質問に対して、中古になったものを向こうへ行って売っているという発言がございましたが、私は、それまで漁をしていた人が自分で持っていって売っているんではないんだろうと思うんですね。そこに何が入ってくるのかというと、よくわからないわけであります、ブローカーなのか、そういう業者がいるのか、シンジケートがあるのか。  もとを絶つといった場合に、そこのところを絶たないと同じじゃないかという感じがしますが、そこはどういう現実になっているんですか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 先ほど申し上げたんですが、結局その船がいかなる形にせよ完全につぶされてマグロがとれないようにするということが最終目的なわけです。  これまでの制度、これは欠陥であるのか足らない部分があるのかわかりませんけれども、かつては中古漁船の輸出はオーケーでした。それから、中古漁船の輸出はだめになりましたけれども、上の計器を外せばいいというふうなことになりました。そうしますと、外された船が行って、計器が後から追いかけていって、ついているじゃないかという指摘もあるわけでございます。  そうなりますと、やはり船体そのものもつぶしてしまうということにしないと、せっかくFAOで減船計画を立てて資源管理をしよう、日本は率先して二割切ったという状況の中で動いていかないとという中からこの仕組みを考えたわけでございます。

郡司彰民主党・新緑風会

○郡司彰君 後ろのところから話をすると長官の話は非常によくわかるのでありますが、とりあえず、台湾の人たちからすると違法な形で買ったという認識はないわけですね。それで廃船にしろということになると、これは何だということに感情的になってきているわけであります。  私が言っているのは、今あるものを、そのもとを絶つためにきちんと廃船をするということ、これはこれでもう台湾のそういうふうになっている船についてはいいわけでありますが、今後ともまた同じように台湾の船になる可能性があるとすれば、そこのところは難しいわけですね。その目的かどうかというのは行って見ないとわからないというふうな答えになるのでありますから難しいのでありますけれども、この悪の循環といいますか連鎖をどこかで絶つようなことをしませんと、最後は国費でもって台湾の廃船を行っているということになると、これはどうもおかしなことだというような感じがするんですが、大臣、これはちょっと感覚として私の方ではそのような感じをどうしても持ってしまうんですが、どうでしょうか。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 先生の御指摘のような、そういう感覚というものも私も感じますけれども、ここのところはなかなか難しい問題だろうと思います。現実問題としてこういったことを抑えるということが当面非常に大事なわけでございまして、しかし、抑えなきゃならないという背景に何となく釈然としないなというものが残るということも事実なので、極力そういう心にひっかかるもののないような方策というか、そういう時代にしなくちゃならぬ、こういう感じを強くいたします。

郡司彰民主党・新緑風会

○郡司彰君 時間の関係で次に進めさせていただきたいと思いますが、先ほど長官からの答弁の中で、基本法ができ上がって後、水産審議会ができ上がる、そういうような流れになっているわけでありますね。  私は、長官が前の構造改善局長時代から環境との調和ということでしつこく質問をさせていただいておりますが、改めてお聞きをしたいと思いますが、このでき上がります審議会、ここに、環境との調和をうたった基本法の理念からいって、環境に関する専門の方が委員として入るというようなことはお考えとしてどうなんでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) やはり幅広い見地からの審議をお願いするということになろうかと思います、大原則は。  そうしますと、やはり大学の先生であるとか、水産関係の方々、地方公共団体の方々、消費者、マスコミ関係、各層から選んでいくわけですが、環境関係についても二つ、一つは水産資源の保護、これにやはり学識経験をお持ちの方は入れたいなと思いますし、それから地球環境の保全ということも、二百海里の中外で資源管理をしっかりしなきゃいけないということも言っていることもございますから、地球環境の保全の観点からの専門家も、委員になるのか、委員などということで特別委員だとかそういうのもございますので、とにかく参加をしていただかないことには事態が進んでいかないなという気持ちを現在持っております。

郡司彰民主党・新緑風会

○郡司彰君 環境という概念についてでありますが、この水産基本法で言いますところ、多面的機能との兼ね合いもございますけれども、この環境というのは例えば社会的な環境というようなことも含まれるわけでございましょうか。環境という場合に頭に冠するものがもしあるとすれば、何々の環境、いわゆる環境一般ということで理解をする場合に、こういう環境だよ、こういう環境だよと、もしそのようなことがございましたらばちょっと教えていただきたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 環境という言葉が何カ所かで使われているわけですけれども、水産関係の漁港、漁場、漁村の整備を進めるという意味での環境は、主として自然環境との調和であります。それから、それ以外にやはり社会環境ということも一部含まれると思っております。それぐらいがやはり今当面すぐに考えなければならない環境との調和なり生息環境の保全という事柄だろうと思います。

太田豊秋自由民主党・保守党

○委員長(太田豊秋君) 武部大臣、何かございますか。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 長官が答弁されたとおりだと、かように思っております。自然環境が主であろうと思うんですね。  それから、環境に配慮するということと環境保全との兼ね合いについて衆議院においてもいろいろ議論がありました。恐らくこの後、先生から質問があるのかもしれませんが、先取りしてお答えいたしますと、私はサロマ湖の例を挙げたんですが、サロマ湖が非常によどんでまいりまして、ホタテ等の排せつ物が堆積してまいりまして、このままじゃ大変だ、環境を何とか浄化しなくちゃいけないという問題が提起されて、やったことは、サロマ湖にもう一つ湖口を切り開いたわけです。ところが、これは自然保護団体からすれば、湖口を切り開くということはなかなか抵抗があります。しかし、現実はどうかというと、新しくもう一つ湖口を切り開いたことによって潮通しがよくなって、そしてサロマ湖はよみがえったわけですね。  こういう意味で、単に保全ということでなくて、場合によっては環境を改良するとかいうこと、また一面においては修復するとか、そういうような両面があると思います。あるいは社会的な環境で今後こういう問題があるのではないのかなというときに、漁村集落というのは細かく散在しているんですね。ところが、高齢化あるいは過疎化というふうなことで、現実問題もう共同生活ができない。こういった集落の環境でいいのかということになりますと、そこに住んでいる人たちに、漁港を中心に新しく移転して、そこで共同生活が営めるようなそういう環境をつくって、そこで移ってもらうというのは、それはある面では、社会環境ということもそういう面では言えるのかもしれません。集落移転など、そのままに放置しておくわけにはいかないと。  そういう意味では、水産基本法というのは漁村のあり方ということも規定をしておりまして、そういう確かに必ずしも自然環境だけじゃなくて、今申し上げましたような例で例えて言いますならば、社会環境あるいは地域環境ということも言えるのかもしれません。

郡司彰民主党・新緑風会

○郡司彰君 長官にまたしつこい質問で恐縮でございます。  前回、食料・農業・農村基本法のときにもお尋ねをいたしたのと同じでございますけれども、私は、長官がお使いになったミティゲーションの原則というのをいろいろなところでもって日本の行政の中に確立をしていただきたいなという思いがございまして、今回の水産基本法に言う環境との調和、いわゆる長官が二年ほど前に述べていただいたミティゲーションの一のアボイダンス、回避ということも当然あり得るということの理解をしてよろしいでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 事業を実施するときには、当然事前の評価というのを行います。環境との調和が図れないという判断が出ましたならば、それは事業の内容の変更をする、あるいは事業自身、実施を取りやめるということも含まれると思っております。  ミティゲーションという言葉がいろんな意味で使われているんですけれども、一番いいのは、やはり環境のトータル、ネットのロスを起こさせないということが束ねる言葉かなというふうに思います。

郡司彰民主党・新緑風会

○郡司彰君 時間がなくなりましたので、最後に大臣に感想があればお聞きをしたいと思いますが、今回、水産三法ということで趣旨説明を行って、今質疑をさせていただいておりますが、実はもう一本、漁港法というのが出てくるわけでございます。  私は、その中身について今、云々ということは申し上げませんが、予算とすれば水産庁の七割弱ぐらいの予算を使う関係の法案が九度にわたって五年ごとに議員立法という形でなされてきた。これは、中身についてよりも、そういう予算の配分からいえば閣法という形でもって、あるいは実質的に議論ができるというような場をつくりませんと、水産庁の七割の予算が議論もされずにずっと通ってくるということ自体がちょっと不自然ではないかなという感じがしておりまして、これは質問ということではございませんので、もし大臣の御感想があればお聞かせをいただきたいと思います。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 今回、漁港と漁場の一体的、総合的な計画制度下で、地方公共団体がより主体的に事業展開ができるように適切な事業運営に努めてまいるという、そういうようなことで本法律案の成立後も努力していきたいと、こう思っておりますし、本委員会等でも水産政策あるいは漁港、漁場の整備のあり方等も含めて御論議をお願いしたい、かように思います。

郡司彰民主党・新緑風会

○郡司彰君 以上です。終わります。

太田豊秋自由民主党・保守党

○委員長(太田豊秋君) 午後一時五十分に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時三十二分休憩      ─────・─────    午後一時五十二分開会

太田豊秋自由民主党・保守党

○委員長(太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、小川敏夫君が委員を辞任され、その補欠として小川勝也君が選任されました。     ─────────────

太田豊秋自由民主党・保守党

○委員長(太田豊秋君) 休憩前に引き続き、水産基本法案、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の一部を改正する法律案、漁業法等の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

山下栄一公明党

○山下栄一君 財務省、来られていますね。それでは先にタコの話から。  具体的な事件のことで、まず、法案の中身にもかかわる話でございますので、この冷凍のタコの輸入脱税事件の件なんですけれども、企業犯罪と言えると思いますし、非常に重たいこれは事件だなというふうに感じております。それで、こういう特恵関税にかかわる犯罪は初めてだそうなんですけれども、この事件の概要について財務省からお願いします。

寺澤辰麿財務省関税局長

○政府参考人(寺澤辰麿君) お答え申し上げます。  冷凍タコの関税率につきましては、一般税率は七%でございます。特恵関税制度を利用した場合には、これが開発途上国を原産地とするものについては五%の税率が適用となります。さらに、後発開発途上国を原産地とするものにつきましては無税となっているわけでございます。  先生御指摘の本事件でございますが、大手水産会社が西アフリカから冷凍タコを輸入するに際しまして、実際には原産地が五%の特恵税率が適用されるセネガルまたはカナリー諸島等であったにもかかわらず、無税の特恵税率が適用されるガンビア共和国またはモーリタニア・イスラム共和国を原産地と偽って輸入申告をいたしまして、関税額約四億円を免れていた嫌疑のものでございます。  本件につきましては、去る五月八日、東京税関が関税法違反嫌疑事件といたしまして東京地方検察庁あて告発しております。

山下栄一公明党

○山下栄一君 これ、なぜ発覚、わかったのかということですね。これちょっと教えてくれますか。

寺澤辰麿財務省関税局長

○政府参考人(寺澤辰麿君) お答え申し上げます。  私ども、通関をいたしました後も、それぞれの輸入申告の内容について、適正であったかどうかを担保いたしますために事後調査等を行うことがございますが、いろいろな業界紙の情報等を踏まえまして、事後的に調査をして、この事実をつかんだということでございます。

山下栄一公明党

○山下栄一君 それはいつわかったんですか。

寺澤辰麿財務省関税局長

○政府参考人(寺澤辰麿君) 平成十二年の一月ぐらいに業界紙にいろいろなタコの輸入に関する疑惑が掲載されておりますので、そういったものも参考にしながら内偵を進めてきたということでございます。

山下栄一公明党

○山下栄一君 業界紙を通してわかったと。今、平成十二年とおっしゃったけれども、平成十一年じゃないのかなと思うんですけれども。  これ、だから、告発されたのはつい最近ですよね。何でこんな時間がかかったのかということと、今、大手水産会社とおっしゃいましたが、これ一社だけなのか、どうなっているのか。この辺ちょっとお聞かせください。

寺澤辰麿財務省関税局長

○政府参考人(寺澤辰麿君) 具体的にどういう調査をしてどれぐらい時間がかかったかといった個別の内容及び現在調査をしております内容につきましては、答弁を控えさせていただきたいと存じます。

山下栄一公明党

○山下栄一君 私の質問聞いていただいていなかったのと違うかなと思うんですけれども、なぜこんな時間がかかったのかということは、そんな別に中身にかかわるとかいう話じゃなくて言えると思うんですけれども、何で時間がかかったんやと。それと、大手水産会社というのは、一つなのか二つなのか三つなのか、その辺ちょっとわかりませんかということです。

寺澤辰麿財務省関税局長

○政府参考人(寺澤辰麿君) 先ほどお答えいたしましたように、その業界紙等の情報等を踏まえて東京税関におきまして内偵調査を進め、いろいろ調べたわけでございますが、具体的にどういう調査をしてどれぐらい時間がかかったかといったことにつきましては答弁を控えさせていただきたいと思いますし、現在、私どもが冷凍のタコの輸入に関します関税法違反で告発いたしておりますのは一社のみでございまして、現在調査中のものにつきましては答弁を控えさせていただきたいということでございます。

山下栄一公明党

○山下栄一君 だから、検査していたということですな。内偵していたというお話。立入検査、強制検査、それぞれいろいろやられた上で事実が確認できたので告発したということだと思いますけれども、一社以外にも調査の会社があると。  私、これ非常に国際的な信用にかかわる事件だと思うんですね。本来、途上国への、またそういう、これからしっかり国づくりをして、支援する必要があるという使命を感じて、日本が国際貢献ということも考えて特別関税制度の対象にした国だと思うんですね。国際貢献の本来そういう貿易制度であるにもかかわらず、それを悪用したと、それも大手の会社が悪用したということは、国際社会においても大変なこれは信用失墜だと思うし、日本の資源管理のもとで一生懸命操業されている国内漁業者にとっても、何やっているんだ、やってられないよというふうなことじゃないかなと私は思うんですよ。  こういうことは、今、西アフリカのガンビアですか、特恵関税ゼロというのは別にこの国だけじゃないと思いますし、またこういうことは、多分税関の方も、もう横行しているというのが新聞の記事ですけれども、横行しているのかどうか、その辺はわかりませんけれども、こういうことは理屈で言ったら考えられるなと。ほかにもあるのかもわからぬなというのが税関の態度になかったらいかぬと思うし、大手といえども信用できないな、ちゃんとやらにゃいかぬなということで今いろいろ仕事をされていると思うんですけれども、これは税関にとっても、何をやっていたんだと追及されるべき、国民の税金で仕事をしていて何をしているんだというふうなことだと思うんですよ。  この事件に対して、これは氷山の一角なのか、これは特異な例なのか、それの判断とか、今後こういう問題にどういう対処をしようとされているのか、その辺をお聞かせください。

寺澤辰麿財務省関税局長

○政府参考人(寺澤辰麿君) お答えを申し上げます。  先生御指摘のように、特恵関税制度というのは、この制度の趣旨は、開発途上国の輸出所得の増大、工業化の促進を図るために、開発途上国を原産地といたします貨物につきましては一般の税率よりも低い関税率を適用して開発途上国の経済発展を助けようという制度でございますので、私ども、その当該開発途上国の原産地証明を見て判断をしているわけでございます。  今回の事件は、その原産地証明が偽造されたという事件でございますので、この事件を教訓といたしまして、関税局、税関におきましては、適正な通関を確保するために、特恵関税の適用を受ける輸入申告に対する審査を強化してございます。さらに、輸入量の多い特恵関税適用物品等の取引形態等につきまして輸入者からヒアリングを実施する。また、外交ルートやWCO、これは世界税関機構と言っておりますが、こういった国際機関を通じまして、原産地証明書の発給状況、また特恵受益国に船籍を有します漁船名等につきましての情報収集を行うとともに、必要があれば現地調査も実施してみたいと考えております。さらに、外交ルートを通じまして、適正な証明書が発給されるように関係国に要請をする等の対策を講じているところでございます。

山下栄一公明党

○山下栄一君 原産地証明書の偽造も何か非常に、大変巧妙だったそうですけれども、こういう事件は大変困った事件なわけですが、この大手の信用あるはずの会社が、マルハですか、そういう事件を起こしたということは、業界にとっても大変なこれは話だと思うんです。また、水産庁、農水省としてもこれはゆるがせにできない事件だと思うんですけれども、どこまでこういう問題について水産庁が権限あるのか私もよくわかっておりませんが、水産庁としてはどういう取り組みをされたのか、されつつあるのか、お願いします。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 事件の報道がございました五月九日、この日にマルハの社長が私のところに参りました。  私からは三点申し上げました。一つは、水産物流通業界のリーダー的地位にある会社が特恵関税制度を悪用したことはまことに遺憾である。二点目には、事件の関係者と会社自身がしっかりとけじめをつけること。そして、三点目でありますが、再発の防止のための組織的な対応をしてほしいということで、五月九日の報道を受けましてそういった指導をいたしました。  その後、五月十一日に、水産庁長官名で輸入業者の団体である社団法人日本水産物輸入協会を通じまして、再発防止の指導を文書で行ったところでございます。なお、この点につきましては、たまたま五月二十九日にメンバーの総会がございましたので、担当課長が直接そこに出向きまして、その点をさらに重ねて指導いたしております。  いずれにいたしましても、私どもとしては、こうしたことが再発しないように、システムとしてチェック体制を社内に設けるということを重点に指導しているところでございます。

山下栄一公明党

○山下栄一君 今、いろいろ御指導されているそうなんですけれども、特に社団法人日本水産物輸入協会、これは所管外だと思うんですけれども、この協会に指導したという、その指導できる根拠は何なのかなということを教えてくれますか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 物資を所管する省庁として、言ってみれば農林水産省設置法に基づいて、所掌物資に係る輸出入並びに関税、国際協定等云々に関することという所掌事務がございますので、それをよりどころとして行っております。  もちろん関税制度自身は、国内の漁業者を守るために通常の関税が設けられているところでありますので、それを特恵関税制度という形で相手国のことを考えて低くしているわけでございますから、そういう点からも私どもとして意見を言う立場にある、指導する立場にあると考えております。

山下栄一公明党

○山下栄一君 五月の初めに指導したと言いましたよね。それまでは全く知らなかったということですか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 事柄は、事実に基づいて、しかも相手方が認めたという状況がございましたので指導いたしました。それまではこういったことは承知をしておりません。もちろん、業界紙でいろいろなうわさがあるということはどの世界でもあることでございますけれども、司法当局が強制捜査に入った、それも、相手方がそれを認めたということを機として指導したところでございます。

山下栄一公明党

○山下栄一君 これ、ガンビアからのタコの輸入が激減していますよね、平成十二年。平成十一年が五千五百二十六トンで、平成十二年、四百七十八トン。十分の一以下に激減している。  十二年の統計のとり方はちょっとよくわかりませんけれども、平成十二年に激減しているということは、つい最近、多分この事件と関連があって減っていると思うんですけれども、多分、関連があると私は思うわけです。これは、だから、起訴されたとかそういうことで減ったんじゃなくて、業界紙とかにうわさでそんなことが一遍に広まって、これはちょっとやばいというようなことがあったのかということからこれは減ってしまっていると思うんですよ。それを最近になって指導し始めたというのも全然わかりません、私はわからない。と同時に、この取り組みがちょっと甘過ぎるなということを感じます。  日本水産物輸入協会という社団法人は、さっきも質問しましたけれども、これは、だけれども、水産庁は指導できない協会じゃないんでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 先ほども御説明いたしましたが、法人としての所管は経済産業省でありますけれども、私どもは、水産物の輸出入その他所掌物資でありますから、それについて、そういう場をかりた指導をすることは可能でありますし、先ほど重ねてと申し上げましたけれども、メンバー会社に対しまして担当課長がさらにそれを口頭で、きちんと目の前で説明をするということも所掌事務の範囲内であろうと思います。

山下栄一公明党

○山下栄一君 組織はそうかもわからぬけれども、実際事件を起こしているのは全部じゃないし、マルハの名前をさっき出しましたけれども、こういうところを組織的にちゃんと指導を何でできるのか僕はよくわからない。経済産業省とはよく連携をとられているんですか。きょうは来ていませんけれども。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 関税問題は財務省、そして、この団体の所管で輸出入一般を行っておりますのが経済産業省でありますので、経済産業省の農水産物の貿易を担当しておりますところとは連絡をしております。

山下栄一公明党

○山下栄一君 きょうは経済産業省に来てもらったらよかったんですけれども、経済産業省にヒアリングした段階では、これは該当業者が悪いんだと、だから組織的にこの協会を指導する気もないしという話だったんですけれども、どういう連携でこれをやっているのかなということを感じました。大臣の頭に入れていただきたいと思いますけれども。  水産行政一般の観点から指導はできても、だけれども、きちっとやるかどうかなんというふうなことまでちゃんと監督できるんですか、これは。御指導は呼んでされたとしても、ちゃんときちっとそれが、御指導が担保されるというのは、そういう権限はないんじゃないかなと思うんですけれども、水産庁には。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 重ねて申し上げますけれども、関税制度というのは、言ってみれば、国内のこの種の業に携わる方々のためのある種の防護壁でもあります。それが悪用されたということでありますから、そういった観点からの指導は所掌事務の範囲内にあると私どもは考えておりますし、指導をした結果、それがどうなったかということにつきましては、報告を求めるという形でフォローアップはきちんとしたいと思っております。

山下栄一公明党

○山下栄一君 ちょっとよくわからないな。社団法人の監督責任は経済産業省にあるはずだと僕は思うけれども、この組織そのものは。指導はできても、それは指導の入りぐあいというのは僕は疑問だと思います。  何が言いたいかというと、経済産業省と財務省とそれから水産庁がよくしっかり連携をとって、危機感を持って臨んでもらいたいということの御要望でございます。これが広がっていってどんどん、どんどんというか、ほかにも、つい最近、どこだったかな、山口県の会社の報道がされておりましたけれども、広がる様相を見せておるわけですから、より厳しく指導していかにゃいかぬ、そんなことができるのかなと。大臣、どうなんですかね、これは。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 今回の関税法違反事件につきましては、漁業者のみならず国民の水産物輸入制度に対する不信感を起こすことになりかねないわけでありまして、さらにまた輸入相手国との信頼関係を損なうことも懸念されているわけでありますので、我々はまことに遺憾なことだと、かように考えているわけであります。  したがいまして、今先生、どんな指導ができるんだ、そういう権限が農林水産省にあるのかということでございますが、これは再発防止に向けましては、権限があるとかないとかという、そういう問題ではないのではないか、ただいま申し上げましたように。  したがいまして、この日本水産物輸入協会に対しては、傘下の会員企業に対してもきちっとしたチェック、監視体制を整備されるようにという、これはお願いということになりましょうが、しかし、農林水産省としては一種の指導だと、かように考えているわけでありまして、その結果いかんによって、徹底されなければ、これは政府、関係府省とも連携をとり、協議をした上でしかるべく改善を期していかなきゃならぬと。  そういう意味では、私ども、これは所管外だとは思っておりませんで、むしろ第一義的に水産物の輸入制度というものの信頼性を確保するために、またこれは漁業者にも影響してまいります、国民に対しての信頼関係、輸入国に対する信頼関係というものは、今国会で今審議をお願いしております水産基本法の理念というのは、水産物の安定供給ということを一つの理念にしているわけでありますので、このことは看過できないと、そういう考えで臨んでまいりたいと思います。

山下栄一公明党

○山下栄一君 TAC法改正、今回の法改正、これは漁獲の作業もそうですし量もそうだと思いますけれども、これをさらに制限をしていこうという法改正だと思うんです。それにかかわる今回の事件じゃないかなと。これ輸入割り当てのない、タコというのは輸入割り当てがない、そんな中でこういう形で輸入されていると。まさにこれは、先ほども申しましたけれども、国内業者にとっては水産行政は一体どうなっているんだという不信が高まっていく話だというふうに思うわけです。  今回の法改正の中でこういう事件が起きたということについて、水産庁長官はどのように受けとめておられますか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 事件そのものは、まことに遺憾な、あってはならないことだと思っております。  ただ、私ども、情報収集体制を、やはり国内外ともにもう少しアンテナをしっかり磨いて、いろいろなものを集め、常にそういう問題意識を持っておくということが大事だろうと思っております。  もちろん、財務省の貿易統計あるいは在外公館を通じた調査というのはあるんですが、それ以外にもいろいろなルートで資源の動向なり貿易の状況というものを掌握してかかる必要があると思っております。

山下栄一公明党

○山下栄一君 こういう状況について、先ほど統計をちょっと出しましたけれども、ガンビアからの輸入状況はそれまで、平成十一年までどんどんふえておったと。事件が発覚してから激減しておるわけでございまして、こういう把握の仕方なんですけれども、漁獲、それぞれの輸入量もそうなんですけれども、例えばタコにしてもどこの国から、原産地はどこの国からどれだけ入っているんだという形の掌握の仕方が私は必要だと思うんですけれども、されていないんだったらこれはやっていかなければいかぬし、そういう把握の仕方の工夫というか改善についてはどういうふうにお考えでしょうか。

寺澤辰麿財務省関税局長

○政府参考人(寺澤辰麿君) 例えば、今問題となっております冷凍タコの輸入貿易統計につきましては、毎月、冷凍タコの輸入数量、金額を公表しておりますが、それはすべて国別にも公表しておりますので、この統計を活用していけばそういった異常な動きというのはキャッチできるのではないかと考えております。

山下栄一公明党

○山下栄一君 異常な動きがキャッチできるはずだけれどもできていなかったということだと思うんですけれども、それは所管それぞれの連携かもわかりません。いずれにしても、ちょっと何か御指導し始めたのも五月からなんというふうなことをおっしゃっているし、だから、私は、これは、取り組みとしては水産庁、農水省、それから、今答弁いただきました財務省、税関業務もそうだと思いますし、それから経済産業省、この辺の連携の問題ではないかなと思うんです。この指導のあり方もそうだと思いますけれども、僕は、経済産業省からきょう来てもらっていないからどうしようもないですけれども、余りにも危機感がないなと思いました。  そういう意味で、ぜひ大臣にこの辺の、今回の事件を教訓として、国際的な信用をなくし貿易行政は一体どうなっているんだということ、そして国内の業者に水産基本法をつくろうという段階でこういう事件が起きている、TAC法を改正しようというところで事件が起きているということについて、水産行政の根幹を揺るがす事件だというとらえ方が大事ではないかと。  そういう意味でも、先ほど大臣もおっしゃいました、危機感を感じておられると思いますけれども、連携が物すごく大事だというふうに思うんですけれども、この点のお考えをお聞きしたいと思います。大臣に聞きます。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) まことに今回の違反事件は遺憾にたえないと思います。それは、先ほど来申し上げましたように、漁業者のみならず国民の水産物輸入制度に対する不信感を起こしかねない、また輸入相手国との信頼関係を損なうという、そういう懸念もございますし、ただいま先生御指摘のように、世界の垣根、国境というものは低くなっておりまして、輸入国というものが、これがどこからどのような形で国内に輸入されているのかということについては十二分に注意を喚起する必要がある、かように思います。  したがいまして、諸外国における水産物貿易と水産資源の関係に関する調査等も含めまして、関係府省と連携をさらに強化するように努力したいと私は思います。

山下栄一公明党

○山下栄一君 財務省、結構でございます。ありがとうございました。  次の質問。  多面的機能、これは午前中もこの話、質問ございましたけれども、午前中の答弁でも、渡辺長官の答弁では、多面的機能も林業と農業、それから水産業、水産業はちょっと違うんだという話、御答弁ありましたですね。もうそれは全然納得できなくて、何でかなと、私は基本的におかしいなとは思ったんですけれども。これは今回の法律の中にも書いてありますけれども、水産業・漁村が持つ多面的機能、こういう表現が法律の文章にあるんですけれども、これは中身はどういうことなんですか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) もう少し言葉を足して言いますと、水産物の供給というのが水産業そして漁村の基本的な機能です。それ以外にもたくさん機能を果たしているだろうということで、水産物の供給以外の多面にわたる機能、これを総称して多面的機能と言っているわけです。  多面的機能という言葉がかなり広く水産業と漁村について出てまいりましたのが、平成十一年度の漁業白書でございます。平成十一年度の漁業白書で、いわゆる多面的機能として例示をされておりますのは五項目ございます。一つは「健全なレクリエーションの場の提供」、それから二つ目には「沿岸域の環境保全」、三つ目は「海難救助への貢献」、四つ目は「防災、国境の監視」、五つ目は「固有の文化の継承」。  これを一つ一つ見てまいりますと、水産業や漁村そのものが物理的に果たしている機能というよりは、そこに人がいて、人が果たしている機能というふうに考えるのが素直ではないかなと私たちは考えたわけでございます。  それから、重ねて申し上げて恐縮ですが、農業・農村なり林業・山村につきましては、既にこれまで勉強の成果があり、これを数字に幾つかのやり方で換算をしたものもあるわけでございます。水産の世界ではそういうものがございません。そういうふうな実態、あるいは海外でもこのことを前面に押し出しているというふうな状況にもございませんので、多少位置づけが他のものとは違っているなというふうに思っているところであります。

山下栄一公明党

○山下栄一君 基本理念の中にもそれが明記されていないところにあらわれていると思うんですけれども、僕は、基本理念の中に入れるべき考え方がないのがおかしいというふうに思います。人とのかかわりの中で機能、それはそうかもわからない、確かに海難救助とか国境監視への貢献、そういう役割、漁村、漁村というよりもそこにいる漁場従事者ですよね。僕は、例えば農業・農村、林業・森林か、そういうような基本法、名前になっております。この法律は水産基本法になっているわけですね。ちょっと言い方が違うわけですな。  そこにもあらわれているのかもわかりませんけれども、第一次産業としての水産業というあり方ではない、別の観点からの公益的機能、国民全体、人類全体への役割があるんだと、それは水産業にはないのかという、多面的機能、特に公益的機能という観点、こういう観点は余りないんですかね、水産庁長官のお考えには。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 公益的機能という言葉と多面的機能という言葉を先生二つ使われましたけれども、公益的機能というのがどちらかといえば、これまで農林水産の世界で使ってきた中ではやや狭い。それは具体的に何を意味するかといえば、酸素を供給する、水を供給する、土砂の流出を防止する、そういった非常に装置なり物がストレートに果たしている機能を言ってきたわけですね。その外側にもう一つ、伝統文化の継承であるとかレクリエーションの場の提供であるとかというものが加わって多面的機能というふうに言っているわけでございます。  水産の場合には、酸素の供給であるとか水の浄化であるとか土砂の流出の防止であるとか、そういうのは水産業なり漁村そのものがやっているわけではなくて、そこに人がいて初めて果たせる機能なものですから、そういうふうな位置づけが多面的機能としてはふさわしいのではないかというふうに私たちは、これは論理の世界ですけれども持ってまいりました。  そうすると、水産業の健全な発展、そのための漁村の振興、こういう近くに施策として入れて、多面にわたる機能はだれも否定するわけではないけれども、それが十分に発揮できるように施策を充実していくというのが法律の構成上、一番落ちつきがいいというふうに思ったわけでございます。

山下栄一公明党

○山下栄一君 環境保全の観点から、先ほど漁業白書の中で、「沿岸域の環境保全」という、これ、沿岸域の環境保全だけでいいのかと。田んぼも森林も自然環境の観点から大きな役割を果たしている。それで、水産業の観点では、沿岸域、自然環境の保全という役割が海、川、湖にあるんだと。そういう自然環境の中で人が水産業を営んでいる。漁村そのものも、農村、山村と同じように、多面的な機能というか公益的機能というか、どういう言い方がいいかわかりませんけれども、言葉のイメージはそれぞれ勝手に理解するからわからないんですけれども、重みを持ち始めた時代だと、それが自然と都市との共生という大臣が何遍もおっしゃるようなことじゃないのかと思うんですけれども。そういう面が非常に水産基本法になってくると突然薄くなってくるというのは何かおかしいなというふうに思えてならないんですよ。森林と同じように、田んぼと同じように、海の文化、湖も川も含めてですけれども、そういうものをどのように漁村、そして漁村に住む方々が取り組み保全していくかという観点が、非常にこれが大事になってくると。魚をとるにしても、資源を維持していくためにもそういう観点が大事だと。  海の環境、湖の環境、川の環境、そういう面が何となく薄いような私の印象なんですけれども、この辺はどうなんですか、大臣、ちょっと教えていただけませんか。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 先生の御議論は非常に重要だろうと思いますね。今後の課題に私はなってくるのではないかと思うんですね。農業基本法も、食料・農業・農村基本法と、こういうふうに農業としてとらえていないわけですね。農村だとかあるいは食料の問題でありますとかと、非常に大きな概念でとらえている。林業基本法でもないわけですね、森林・林業と。  だから、私は個人的な考えですけれども、森には森の多面的機能がある、海には海の多面的機能というものは紛れもなくあると思います。そういう意味で、今後、海洋の問題というのは、本当に未知の世界が非常に多いんですね。  私どもの地元で流氷が一番大きな漁民の、またそこで生活する者の災いだったわけですよ。しかし、最近になりましてから、自然環境という問題あるいは資源問題という観点から、流氷が来るおかげで今日まで永続的な漁業の振興、地域の発展につながっていると、最近は観光客も来ますから。  そういう意味では、海というふうにとらえると親水の問題だとか、あるいは森が大気浄化作用があるとすれば、海は、最後は何でも水に流せという言葉があるように、ここで自然生態系の回復力といいますか、そういったものがあって我々は生き長らえているんだろうと思います。  そういう意味では、今回この基本法に多面的機能ということを理念として位置づけてはおりませんけれども、問題提起はしているわけでありまして、そういう意味では山下先生の御議論というものは我々も重く受けとめなきゃならない。今後、国内的にも国際的にもこういった議論や調査の積み重ねによりまして、今お話のありました多面的機能というものをどのような法体系でどのように位置づけていくかと、あるいはいずれこの基本法の改正ということも将来はあり得ると、こう思うわけでありまして、そういう意味では多面的機能を有していないというような考え方は毛頭ありません。そういう問題提起を抱えながら、施策の中できちっとやっていくべきものはやっていくし、追求していかなきゃならない問題については追求、調査をしていくと、こういう考え方で臨むべきだと、かように思います。

山下栄一公明党

○山下栄一君 渡辺長官もそういうふうに言ってくれたらわかりやすいんだけれども、お立場があるから難しいのかなと、よくわかりませんけれども。  それで、これ私、あれは一般質問のときでもさせていただきましたけれども、農業も国民が支えると、林業、これから審議するわけですけれども、林業も国民が支えるという、水産業も国民が支えるという、そういう考え方というのは大事だなというふうに思っています。ところが、この水産基本法では、国民というよりも水産物の供給を受ける消費者という、それが新しい考え方なのかもわかりませんが、何でこれは消費者だけなのか、消費者という観念だけなのかなというふうに思うんです。だから、国民が水産業という産業を支えるんだという観点が必要ではないかと。そういうのが余り水産基本法では、国民というのが消費者になってしまっているのはなぜかなと思うんですけれども、この点をちょっとまた教えていただけませんか。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 消費者という、そういう狭い考え方といいますか、消費者も決して狭くはありませんで、全国民は消費者であり国民であると。先生の言わんとすることは、いわゆる食の安全だとか安心だとかそういうことだけではないと、もっと広い意味で水産の問題というものをとらえるべきであろうと。昨今、プレジャーボートなども非常にふえております。やっぱり海に対するあこがれというものが幅広く国民の中にあるんだろうと思います。しかし、そこで漁業をする者とプレジャーボートでレジャーに興ずる者との間にいろんなトラブルがあります。そこで、海難事故などがありますと、本当に地域の漁業者は大変な苦労をさせられているわけですね。  そういうようなことを考えると、しかも、さらにつけ加えて言うならば、輸入海産物につきましても、それこそ向こうの海でどういうような形でどんな操法で漁業が行われているのかと。そういったことが自然環境にあるいは資源に影響を与えていないのかというようなことは、やっぱり国民の幅広い理解とあるいは合意というものがあってしかるべきだと、私はかように思います。  そういう意味では、基本法の概念もやっぱり人間と自然、生産者と消費者、都市と漁村との共生というふうなことにも結びつく幅広い効果をもたらすものを期待しているというふうに理解しているわけです。

山下栄一公明党

○山下栄一君 それに関連して、基本法三十一条に都市と漁村との交流というのがあるわけですが、この観点も都市の、都市は確かに消費の場かもわかりませんけれども、そういう観点でこれ都市と漁村の交流ということを考えられているのかなと、それだけかなと。都市と漁村の交流を推進する目的をお願いします。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 私が就任してから、都市と農山漁村との共生、対流という言葉を使っております。必ずしも交流ということだけではないと。交流というのは、都市の住民と農山漁村の住民とが交わるという考えですけれども、一人の人間に都市的生活もあるいは漁村的生活もともに享受できるということを理想としているわけでありますので、今後、いわゆる都市と農山漁村の対流、共生というような考え方に立ちますと、例えば今IT革命が進められているさなかでございます。やはり都会の人たちが漁村に来ても、広々とした海、青い空、さわやかな潮風、おいしい魚だけじゃない、やっぱりそこで泳いだ後、釣りをした後、部屋に戻れば、そこでインターネットを利用してすぐ自分の職場とつないで仕事の延長がそこでできるというようなプラットホームといいますか、共通社会基盤というものを完璧に整備するという意味の漁村であり農村であるということを我々は想定して、この法律の目指すところも具体的にはそういう方向づけを念頭に置いて今後の政策展開をする必要があると、かように考えているわけであります。

山下栄一公明党

○山下栄一君 私も、対流ですか、大変重要なことだと思いますし、交流することによって、特に教育の場としてもこれはとらえられているわけですけれども、そういう漁業という第一次産業の技術、そしてそこから出てくる文化に触れることによって、そういう生産とか技術とかいう観点を超えた全人格的な価値が漁村また漁村の地域にあるということを発見するといいますか、そういう観点からの漁村の再発見というのか、そういうことがないと、担い手の問題にしても何の問題にしても非常に未来の面で暗くなってくるというか、そういうふうに思います。  漁業をされている方も、もちろん魚をとるわけですけれども、魚をとろうと思っても最近非常にとりにくい、魚がとれなくなってきていると。したがって、生態系の保全という観点が漁業者そのものにも求められているということを実際携わっている方もおっしゃっておるわけでございまして、そういう時代なのだなということ。第一次産業のとらえ方がやはり新しい観点でとらえ直さないと、全国民がやはりもっともっと理解する努力をしないと、食の安全保障の観点からもそうですけれども、人間の豊かな心を養うという意味でも、全く違う観点からのとらえ方が非常に必要な時代になってきているということを感じております。  次に、自給率の話、午前中もお話がございました。これはカロリーベースじゃない、重量ベースだと。  この自給率の目標については、食料・農業・農村基本計画ですか、ここには平成九年度六〇%、食用ですね、これは平成二十二年度六六%、こういうふうに書かれてあると。  今回の水産基本法でも、水産基本計画の中にこの自給率の目標を設定するということがうたわれておるわけですが、午前中の質疑では、この食料・農業・農村計画、平成十二年閣議決定されたこの六六%、これはそのまま踏襲されるのではないかと思うんですけれども、何かそうでないようなことをちょっと感じたんですけれどもね。これは水産基本法でも水産基本計画の中にこの目標の設定がうたわれている。この具体的な中身はどうしていくのか、どういうふうにして積算されていくのか、六六%が変わるのか、そんなことはないとは思いますけれども、この点、どうなっているんでしょう。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 午前中の御議論の中でもお答えをいたしましたけれども、基本計画を年度内につくります。その中で自給率の目標というものが出てまいります。これは水産政策審議会にお諮りをして御審議いただきます。具体的に水産物の自給率の目標を、いつをスタート台にし、いつを目標年次にして何%にするか、そのときの表示をどうするか、各具体的な品目の何らかの目標を示すのかということはこれからでございます。  ただ、水産物というのは日本人の食生活の一構成要素であります。午前中、カロリーへの寄与率が五%ぐらいというふうに申し上げましたけれども、そういう中で、ある種、この新しい水産の資源管理という哲学を織り込んで、日本の二百海里水域を最大限持続的に利用するとした場合には、これだけ水産物を供給することが可能であろうという計算を当時いたしまして、それが積算基礎として六六%。ですから、このこと自身が閣議決定ではなくて、積算の基礎ということでありますが、相当な努力をしてこの数字を積み上げております。これは大きな参考になると思っておりますが、具体的な審議はこれからさせていただきたいと考えます。

山下栄一公明党

○山下栄一君 ずっと自給率が減ってきているわけですね。それで、十二年度は五五%でしたか、それを二十二年に六六%を設定しても、何となく本当かなというふうな考え方しか出てこないんですけれども、いろいろ苦労されて積み上げたというお話がありましたが、なぜこう下がってきているのが上がっていくのかということを教えてくれますか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 食料・農業・農村基本計画の自給率を算定をいたしましたときに……

太田豊秋自由民主党・保守党

○委員長(太田豊秋君) 簡潔にお願いいたします。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 参考として出しましたのが、このまま自然体でいくとどうなるかという数字が食用で五〇%、それから相当な努力をすると六六%と、こういうことにしたわけでございます。そのときの前提条件は、望ましい食生活の姿として適正な栄養バランスの実現や食べ残し、廃棄の減少に向けて消費者及びその関係者が積極的に取り組むことを前提に設定をする。  それから、生産努力目標については、漁獲努力量の削減や、資源の積極的培養による我が国周辺水域における資源の回復、新規漁場の開発等遠洋漁業における漁獲量の確保や養殖業の積極的展開、食用への仕向け割合の向上等の具体的な課題に関係者が一体となって取り組むことを前提に設定したと。趨勢でいくと五〇%を六六%まで引き戻せるのではないかということでその当時は積算をいたしました。

山下栄一公明党

○山下栄一君 済みません。時間過ぎておりました。えらい申しわけありません。ちょっと時間を間違えまして、申しわけありませんでした。  終わります。

須藤美也子日本共産党

○須藤美也子君 沿岸漁業振興法以来三十八年たちました。この間の最大の情勢の変化は、本格的な二百海里体制が施行されたと、こういうことだと思います。    〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕  私は、きのうまで韓国で開かれましたIPAAFの国際会議に出席のため、五日間ほど韓国に行ってまいりました。感じたことは、それぞれの国で食文化があるということを痛切に感じてまいりました。やっぱりお魚は日本でとれたお魚が一番おいしいと、こういうふうに感じて帰ってきたわけですけれども、私も日本海に面した地域に住んでおります。  そこで、我が国周辺の海は世界有数の漁場になっていると思います。ここをいかに管理し有効な利用を図るかが基本とならなければならないと考えます。  今まで沿振法では、沿岸から沖合へ、沖合から遠洋へと、こう漁業を拡大していった、こういう歴史だったと思います。その一方で、沿岸部の漁場は埋め立てとか藻場、干潟の喪失という形で沿岸が崩壊しているといいましょうか、そういう状況に今なっていると思います。  また、輸入の増大で、先ほどサケの問題ありましたけれども、サケは養殖のノルウェー、チリのものに置きかえられました。ワカメは七割が輸入物になりました。総じて魚価が低下をいたしました。そういう点で、生産者は大きな打撃を今受けていると思います。  その中で、今回の基本法は、まず第二条に我が国漁業生産の増大、それから第十一条に自給率向上、第十五条に水産資源の適切な保存と管理、こうした積極的な条項があると思います。  そこで、本法案の施行によって、漁業を深刻な事態にした沿岸の開発優先から漁場を守る行政に転換するのか。輸入水産物をふやすのではなく、国内生産を増大させる、こういう行政に転換するのか、この点をまず大臣にお聞きしたいと思います。    〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 水産基本法の制定は、沿振法のもとでのこれまでの施策全般を総合的に見直し、いわば国民全体の合意としてというところが非常に大事なわけであります。その上に立って新たな水産政策の理念を明確にしていこうと、そして基本的施策の方向づけを明らかにしていこうというものでございまして、水産業全体を食料供給産業として健全に発展させることを通じて、国民に対する水産物の安定供給を確保していくと、かような政策理念を明確にするとともに、まず第一に、我が国の漁業生産の増大を基本として国民に対する水産物の安定供給を図る。  このことにつきましては、具体的には四百五十万平方キロメートルの、二百海里時代になりました、排他的経済水域、ここでの増殖、資源をしっかり管理し、守り育てるということを建前にして安定供給を図るということ。それから第二には、水産物の安定供給の基礎条件というのは、やはり資源を守り育てる漁業の推進、水産動植物の生育環境の保全、改善などの面で積極的に施策展開を図るという方向を明確に規定しているわけでございます。  こうした方向に沿って政策の改革を進めていく考えでありますが、最後に一言つけ加えますと、先ほど来議論ありましたように、国民の視点、消費者の視点ということをしっかり重視していかなければならないということになりますと、国内でとれないものについては安定的に外国から輸入がなされ、安定供給ができるようなことも視野に入れて努力していくということでございます。

須藤美也子日本共産党

○須藤美也子君 輸入水産物については非常に重要な問題だと思いますので、それを増大させるのではなくて、ないものは輸入すると、こういう立場であれば理解できるんですけれども、どんどんふやすような今のいろいろなそういうやり方から生産増大と、そういう方向に転換する、そういうふうに理解していいわけですね。──はい、わかりました。  そうすると、基本法が、今大臣がおっしゃったように、国民の立場から漁業に対して光を当てる、こういう点では非常に重要な問題だと思うんです。  そこで、あちこちで効率的な漁業経営とかいろいろ基本法の中にもあるんですけれども、経営を育成するためには効率的にというような、そういうことがあるわけですが、もっと経営合理化の努力をしなさいしなさいと言っても、現実的には今、漁業者のほとんどは多額の負債を抱えているのが現状だと思うんです。規模を大規模にするとか性能のよい漁船をつくるとか、とてもそんなことはできない、こういう状況であると思います。  そういう点で、二十一条に育成のための施策の基本方向が示されているわけです。どんな支援が具体的に考えられるのか。例えば事業を共同化した場合、農業は農業機械の補助があるように、新たに漁船建造の補助制度は考えられるのかどうか、これは局長、お願いいたします、答弁を。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 御説明を申し上げる前に、先生は効率的とおっしゃいましたけれども、効率的かつ安定的というふうにいつもセットにして使っていただきたいと思うわけでございます。  短期的な収益が高いだけではなくて将来にわたって収益が安定すること、そして継続的に漁業活動を担い得るということ、これが資源管理と安定供給ということの基礎をなすわけでございますので、そのための条件整備、支援はしていきたいと思っておりますし、また、共済等を通じた災害による損失の合理的な補てんであるとか、水産物価格の著しい変動の緩和、それから資源管理をした場合、経営に与える著しい影響の緩和、こういったものは一つ一つやっていきたいと思っております。  漁船のケースでありましたけれども、現在、中核的漁業者協業体、一緒にやる場合ですけれども、これはやはり沿岸漁業改善資金、無利子資金で対応しております。それを今回、十トン未満の船から二十トン未満の船にまで拡大をいたしますし、また貸付限度額も二千万円を五千万円に拡大するということ、その他もろもろ近代化資金その他で対応いたしたいと思っているわけでございます。伝統的に沿岸漁業構造改善事業などでも漁船を補助の対象にするということをやっておりませんで、融資の面で非常に有利な措置をとるということで当面対応していきたいと思っております。

須藤美也子日本共産党

○須藤美也子君 あくまでも融資ですよね。農業の場合はある程度補助ということでつけているわけですけれども、融資はあくまでも借金であって、いずれ返さなければならない。そういう点では、農業と同じように、そういう共同化した場合、あるいは船を一緒につくるといった場合の補助はこれから検討していただきたいと思うんですけれども、その点の検討の余地はございますか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 漁船については非常に私は難しいと思います。むしろそれ以外の、二十一条にも書いてありますけれども、創意工夫を生かした漁業経営の展開ということで、創造的な取り組みに対しましては、ほかの分野で補助事業は大いにつけていきたいと思っておりますが、漁船について補助の対象とするということはちょっと当面、先生の御指摘はありましたけれども、なかなか難しいと言わざるを得ないところであります。

須藤美也子日本共産党

○須藤美也子君 そういう要望があるということを強く申し上げておきたいと思います。  それから、二十一条の中で「効率的」という言葉の意味なんですけれども、これは経営上の問題なのか漁業操業上の問題なのか、ここの問題でお聞きしたいと思うんです。  なぜかといいますと、今、沖合の大型の効率的な漁法ということで沿岸漁業とのトラブルが非常に頻繁に起こっております。効率的といった場合、そういう沖合の一網打尽に漁獲をするような漁法、こういうことが優先されるというふうに誤解される、効率化といった場合に。ですからその辺は、経営なのかそれとも漁業操業上の面なのか、その点を明らかにしていただきたいと思うんです。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) この点は、全く経営上の問題ということを申し上げておきます。時代の趨勢は資源管理をしようということでありますので、資源の保存・管理に逆行するような効率的というふうなことは考えておりません。

須藤美也子日本共産党

○須藤美也子君 じゃ、あくまでも経営上の用語ということで理解をしたいと思います。  あわせてお聞きしますけれども、効率的、安定的とおっしゃいましたね。この育成の対象外になる人たち、こういう漁業政策、それから施策からこういう人たちは切り捨てられるのかどうか、こういう心配があります。そこはどうでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 大臣からも申し上げているんですけれども、資源を育て、資源に見合って資源を重んじながら操業していくということになりますと、やはり浜の資源に見合った大きさというのが必要であります。そういう中で、それぞれ役割分担ということがこれから重要になってくると思うわけです。  みんなが同列ではないかもしれないけれども、一定のリーダーのもとに中核的なグループが効率性と安定性を経営の面で求めてスタートする、それを一緒に手伝うような形で高齢者であるとかあるいは兼業されている方々が加わっていく、こういうイメージを描いていただいたらと思うわけでありまして、排除をするという考え方はございませんし、グループの構成員の中には、これまでの豊富な知識や経験、こういう技術、そういったものをひっ提げて高齢の方々が参加をし、助言をいただくなり相談役になるということを私どもは想定いたしております。

須藤美也子日本共産党

○須藤美也子君 漁業者がいるから漁村が守られ、そして暮らしとかその地域のさまざまな文化も含めて多面的機能が生かされる、こういうことをやっぱり基本に据えなければ、私は、漁村というのは生きていけないなというふうに思っております。そういう点では、やっぱりそういう切り捨てたり排除するというようなことは絶対にあってはならないというふうに思います。  さらに、基本理念の実現なんですけれども、これは国の責務としております。基本法は、資源の保存・管理に重点を置いたものと私は理解しています。これを国の責務として漁業者の理解や自主性を引き出してやっていく、そういう方向が示されたと思います。第十三条、国は、漁獲努力量を制限する場合には経営への影響を緩和する措置を定める、こう明記しております。これは私は、国の責任でやってほしいと思います。  というのは、水産基本政策大綱では、減船の共補償、負担の漁業者の範囲を拡大するとか、休漁の場合の支援も関係者全員にお金を出させるとか、こういうふうにしているわけです。漁業者負担の拡大の方向が出ていると思います。負担のできるところはいいかもしれませんけれども、しかし、今できるところは本当に少ないと思います。基本的に国が十分負担して、できるところは関係者が上乗せをする、そういう制度にしないと、資源管理とか漁獲努力量規制は実効性を持たない、こういうふうに思いますが、その点はどうでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) もちろん、資源の管理、資源の回復計画はなぜ立てるのか、そして休漁なり減船をした結果がだれにどういう効果をもたらすのかということをもう一度振り返って考える必要があると思っております。  大綱の中でも、ある種類の漁法、漁業だけで共補償するという考え方ではない、漁法横断的に魚種全体で負担をするやり方もあるだろう、あるいは資源が回復をして事業が経営に乗ってから負担を払い出すというやり方もあるだろうと、これを例示として出しております。  いずれにしても、今年度中には資源回復計画をつくりたいと思っておりますし、十四年度からは資源管理を滑り出したいと思っておりますので、それまでの間、この夏の概算要求あるいは年末の概算決定に向けて、減船と休漁に係る緩和のための措置をどういうふうに国としてやるのか、しっかり検討したいと思っております。

須藤美也子日本共産党

○須藤美也子君 漁民負担とセットの施策では参加者も少ないし、実効性がないと。こういう点では、ぜひ国の責任の方向で検討していただきたい、やるべきだということを重ねて申し上げたいと思います。  さらに、効率的、安定的経営の育成、こういうことで漁業法も改正されるわけです。定置網の免許の優先順位においては、株式会社を追加したり、みなし法人を廃止した、この件については衆議院でも論議されておりますので、この点についてはここでは申し上げませんが、ここでは指定漁業の承継の自由化についてお尋ねしたいと思います。  指定漁業でだれかやめたい人がいる。今までは条件の合う漁業者でないと承継できなかったわけです。これからはだれでも承継できると、こういうことになるわけですね。どうですか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) だれでもというふうにおっしゃられましたけれども、指定漁業の許可については、許可の不当な集中に至るおそれがある場合には行わないというふうに漁業法の五十六条第一項第二号に書かれております。そういうことにはならない。  しかし、現状を見ますと、むしろ指定漁業の許可の承継が一定の場合に限定されていると。制限されていることによって、指定漁業の体質が非常に弱い、あるいは無理に魚をとるというふうなデメリットがあるものですから、それをむしろ障害を取り払って、指定漁業の許可の承継の制限を撤廃をすることによって経営体質の強化と資源管理がしやすくなるという方向を目指す改正点でございます。

須藤美也子日本共産党

○須藤美也子君 そうなると、漁業と関係のない外部の企業、例えば流通産業、外食産業、商社であろうと、また大規模な漁業会社であろうと承継できると、こう理解していいわけですか。だれでも漁業に参入できると、こう理解していいでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 制度上はどなたでもということになります。現在でも、例えば、先ほど定置網の例を出されましたけれども、一般の株式会社が定置網の漁業権の最劣位順位で、たしか数十、その漁業権を取っている例もございますし、その浜の管理が、あるいはその漁業の管理がだれが適正かという中で、希望者の中から選んでいくということになります。

須藤美也子日本共産党

○須藤美也子君 それでは、法制上はそういうふうにだれでも参入できると、こういうことなんですが、だれでも承継できるようになれば、もう一面から見ると、一部の大規模会社が、例えば漁業会社が力を持ち、あるいは外部の企業の支配が強まる、こういう可能性が出てくるわけですね。そして、漁業者が共同して決めている資源管理や水産物流通の形態に影響を与えると、こう思います。  やはり、どんな企業でも承継、参入が可能になる規制緩和は大変問題だと私は思います。本来やるべきことは、今許可権を持っている人がやめなくて済むように、承継しなくても済むように経営の支援策、これを強化しなければならないと、こういうふうに思うんです。どうしてもやめなければならない、漁業者のためには十分な減船の補償、こういう補償策を充実させると、こういうことが国の施策だと思うんですが、その点はどうなんでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 減船の問題に話が入ってきましたけれども、減船についてはこれまでいろいろな枠組みを工夫してやってまいりました。  例えば、国際減船などについていえば、もう相当しっかりした枠組みができておりまして、もちろん許可自身が一定の期間でありますので、その期間に関する減船の対応というものは支援を相当手厚くやっておりますので、そのルールで今先生がおっしゃったようなことは対応が可能だろうと思っております。  先ほどちょっと、だれでも入ってこられるということや、あるいは大企業がというお話があったんですが、この承継というのは、期の途中にその許可のついている船を買った人がということですし、それから、船の数であるとか出漁の期間であるとか、そういうものはすべてまた周りから枠組みを決めますので、そういうふうな、幾らでももうかるというふうな、そういう世界ではないということをちょっと追加をさせていただきます。

須藤美也子日本共産党

○須藤美也子君 外部企業の無原則参入、今いろいろ、そういうのは資格を持っているとか、そういうのはあるかもしれませんが、大体規制緩和を行うということに対して、いろいろな企業とか多く参入するということで、漁業者の方々が非常に懸念を持っているわけですよ。  ですから、その懸念をやっぱり払拭するのが水産庁長官の考えだと思うんですが、その点はどうなんでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 十分、私どもの趣旨とするところをきちんと隅々まで浸透させていきたいと思います。

須藤美也子日本共産党

○須藤美也子君 では、十九条の輸入規制について質問したいと思います。  私は五年前から、水産物、サケ、ホタテなどの輸入規制、セーフガードを要求してまいりました。当時の橋本総理や大原農水大臣はその必要はない、こう否定しました。  漁業者と一緒に、当時水産庁長官であった、たしか東長官だったと思いますけれども、東長官は、セーフガードを発動するならば、もうその地域ががたがたとならなければ発動できないんですよと言われたことが非常に印象に残っているんです。がたがたとなってしまえば、何にもできないわけですよ。そういうようなやり方では、考え方では困るわけです。  ですから、それからもう五年たっていますし、いろいろな国々でもそういう輸入規制がやられていますので、アメリカなどで手続的にも簡単に調査、発動している制度も紹介したわけですけれども、その後の藤本農相なんですが、勉強してみると、こういうふうに言いとどまったわけです。  今回の基本法でセーフガードを意味する条項が入ったということは非常にうれしいことであり望ましいと、非常に歓迎いたします。  しかし問題は、これをやるのかどうか。この法案によって、必要な場合は機敏にセーフガードを行うと、こういうふうに受けとめていいのでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) セーフガードは、もちろんWTOという国際ルールの中で決められた手続がありますので、その手続を踏んで暫定なり本格発動なりということになるんだろうと思いますが、ここでは、水産物についておよそ考えられる輸入上の諸措置をきちんと整理をしたつもりでございます。  その始まりは、国際機関による取引の制限、マグロのような問題から、今、日本がやっておりますIQの問題、そして、それから輸入承認の問題であるとか、場合によると関税率の調整ということ、ですから、WTOの話とはある部分その関税率の調整とオーバーラップしていますけれども、それはそれで非常に環境としては整理をされておりますので、我が国の主張を対外的に鮮明にする上では寄与できるのではないかなと思っております。

須藤美也子日本共産党

○須藤美也子君 それでは、具体的にワカメについて質問いたします。  農水省は三月十四日に、政府調査要請を関係省庁に行ったわけです。しかし、それから三カ月もたつのに、調査に踏み切っておりません。  三陸ワカメは、平成十年ワカメ年度、十年の六月から十一年五月までですけれども、八十四億円の生産額があったわけですが、十一年は四十四億円、十二年度は三十一億円と激減しています。一方、七年度から十一年度まで、輸入は四一%もふえています。生産者は、いろいろ努力はしているが、このまま行ったら国内生産は駆逐されてしまう、もうワカメ養殖はことし限りでやめたい、こう悲痛な叫びが広がっています。  セーフガードを発動しないと、基本法が通っても、十九条があっても発動しないというのであれば、何のための基本法なのか、こういうふうに現地では非常に怒っているわけですけれども、この三陸ワカメについて、基本法が通ればこのワカメについては発動できる、そういう条件はどうなんでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 基本法が通ればということより前に、農林水産省としては、農林水産大臣から経済産業大臣と財務大臣に対して、ぜひ調査を開始してもらいたいという要請はしてあるわけでございます。その意味で、調査をしてほしいという農林水産省の立場は何ら変わっておりません。  じゃ、なぜこれまで手間取っているのかということでありますけれども、暫定にせよ本格発動にせよ、どうしてもやはり発動の要件というものをクリアしなければいけません。ワカメの場合には、その理論構築に時間がかかっているというのが実情でございます。理論構築は何かといいますと、ワカメ、七、八割が輸入でありますけれども、平成十一年までは輸入が増加をしてきましたけれども国内の価格が堅調であった。ところが、十二年になって輸入の動向に大きな変化がない、つまり、むしろ輸入の増加が鈍化をしているのに価格がどんと下がったというところで、輸入と国内の価格というところの因果関係に非常に説明がしづらい面があるわけでございます。私たちは、これを引き金論ということで、最後の一押しをしたからこうなったんだというふうに説明をしているわけでありますけれども、いずれにいたしましても、関係省庁間でこの因果関係の証明が現在大きな課題となっておりまして、その検討を行っている状況にございます。

須藤美也子日本共産党

○須藤美也子君 今、長官おっしゃっていますけれども、十一年度には、キロ、価格が百三十六円、それから十二年度では百十六円、十年度では二百十五円ですから、半分になっているわけですよ、十一年度も十二年度も。それは価格が下がっていないとは言えないでしょう。  ですから、そういう点では、ネギなど三品の場合は一カ月でこれは暫定発動をしていますよね。これがワカメは三カ月たっても調査決定もしていない。これは農水省は調査申請をした三月の時点で、生産が輸入で打撃を受けている、こう確信をしたからこそ申請したのではないですか。三月以降、新たに五月までのワカメの価格は下がっていますよ。そうでなければ申請しないでしょう、三月時点で。  ですから、そういう点では長官の答弁は私はちょっと言いわけにすぎないと思いますので、大臣、どうでしょうか、このワカメのセーフガードについては。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 長官からもたびたびお答えしておりますように、セーフガードの発動というのは、WTO協定に基づいて、関連国内法に照らして要件が認められれば発動するということでございます。  ワカメについては、輸入が急増する一方、三陸産ワカメの価格が、先生今御指摘のように、昨年急落し、ことしも昨年以上の単価安に終わっていると。また、ウナギについては、輸入が増加する一方、国内産ウナギの価格は一昨年秋以降約半値に下がった状態が続いていると。こんなことから生産者が極めて深刻な状況にあるということは認識しているのでございます。  こうした状況を踏まえまして、三月十四日に農林水産大臣から財務大臣及び経済産業大臣に対してセーフガードに係る調査開始要請を行っており、今現在、これは二品目の調査開始の可否について三省間で協議、検討しているという次第でありまして、私どもはこの発動に向けて財務省や経済産業省に調査要求をしているということでございまして、ぜひ発動できるようにさらに努力を続けていきたい、このように考えている次第でございます。

須藤美也子日本共産党

○須藤美也子君 この十九条には、「輸入の制限、関税率の調整その他必要な施策を講ずる」と、こういうふうに基本法で今度定めるわけですよね。ですから、三月十四日にもうそれを申請して四、五、六、三カ月たってもまだそういう状況にあるということは、やっぱり大臣の責任も問われると思うんですよ。やり手なように、拝見すると非常に押しの強そうに見えますので、ぜひ二品目について。  これは、先ほどここにいた彼女は初めて農林水産委員会に来たんですよ。そうしましたら、何で農水、林がないのか。農水省と言うけれども林がないのかと、こういうふうにおっしゃいました、初めて参加した人が。だとすれば、農は食べるもの、農、水は食べるものですよね。だとすれば、もっと水が頑張ったっていいじゃないですか、施策の面で。農だけでなく、農、水と対等、平等にこれを要求していくと、こういうふうにぜひこれは頑張って発動していただきたい、輸入制限をしていただきたい、こういうふうに思います。  さらに、この間、私は北海道の日本海、積丹半島の余市町に行きました。北海道水産試験場でニシンの放流の試験をやっておりました。そこの漁協の組合長さんともいろいろお話をしてまいりました。六年の研究が徐々に実って、日本海沿岸でニシンの漁獲が試験開始前に比べて二十トンから二百四十六トンへ、十倍にふえたというんです。まだまだ端緒的な成果ですが、ニシンは北海道日本海で象徴的な魚です。これがふえれば浜は非常に元気になり、明るくなります。この研究がもっと発展することを、そこに農協の組合長さんとか関係者の方々からお話を聞いて、非常に希望を持ったんですよ。  ところが、この辺はトドの被害が深刻だと言われたんです。いろいろ写真も見せていただきました。せっかくふえてもこのままならトドから網が破かれ、そして網にかかった魚は食われてしまう。余市町ではことし網の被害が七千九百万円、漁獲の減少と漁に出られなかった間接被害額は一億五千万円、こう報告されました。日本海沿岸を中心とする北海道全域で被害総額は七億一千万円だと、こうおっしゃっております。  トドは希少種と言われているわけですが、駆除するのが非常に制限されております。こういう生態系との共存は新しい課題だと思うんですけれども、この辺のトドに対する対策についてどのように考えているのでしょうか。これは局長、局長でない、長官の答弁をお願いしたいと思います。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 今御指摘のとおりでありまして、傾向としてやはりトドの来遊頭数が北海道日本海側、このところふえております。また、時期がタラやカレイの主要魚種と重なるものですから、被害が大きく、問題となっている状況にございます。  今までやってまいりました対策は、一つは定置網の網を強化するという強化網に変えていくという対策、それからもう一つはトドの駆除をする。そして、今始めておりますのは、一体どれだけ回ってきているのか、それで駆除の対象を広げられるのか広げられないのかというふうなことも含めまして生態系を少し調べてみようということでやっております。  一番問題といいますか、困っておりますのは、定置網の場合には強化網で対応がかなり可能なんですが、刺し網の場合は網を強化することができないものですから、そうなりますとやはり駆除という方向でやらざるを得ないのかということで、それでは生態系がわかっていなければ対応できないではないかということで、急遽、生態系を、これは北大だったと思いますけれども、委託をして調べることにしております。

須藤美也子日本共産党

○須藤美也子君 ちょっと、それだけでは対策にならないじゃないですか。  トドの被害対策について、これは共済はあるというのです。しかし、国として、例えばそういう定置網は強化する、その強化するための助成金とか補助金とか、そういうものはあるんですか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 今、共済の話をされましたけれども、それ以外に、漁網被害につきましては、公庫の施設資金あるいは近代化資金を融通するということで対応が可能なわけでありますが、被害がエンドレスになりますとなかなかそういうお金も借りるということがインセンティブがないというふうな状況でありますので、やはりどうしても、生態系をきちんとつかんで共生関係をどこまで持っていくかということをこれからしなければならないと思っております。

須藤美也子日本共産党

○須藤美也子君 全国共済連合会の会長である漁協の組合長さんがおっしゃるわけですけれども、このトドの被害は漁業共済の対象にならない、毎年必ず被害を受けるという場合は共済の対象にならない、こういうふうにおっしゃっております。  こういう北海道日本海沿岸は非常に厳しい自然条件だと思います。地形的にも漁業によってしか成り立たないところです。この人たちがトドの被害にうんざりして漁村を離れたら、国土の管理や環境保全、地域集落の維持は成り立たない。本法案で盛り込まれた多面的機能の発揮という視点から、新たな対策、つまり直接的な補助、助成が考えられないのかどうか、大臣どうでしょうか。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 大臣と言われましても、そんな専門家じゃありませんが、トドのことは、私も北海道出身ですからよく承知しています。心配なのは、だんだん南下している傾向にあるということが、これから山形の方に行かないように祈っておりますけれども。  そういう問題もこれあり、今長官からいろいろ説明いたしましたけれども、漁網の被害について、定置網については強化網の導入ができますから、かなり被害防止になるんだろうと思うんですけれども、刺し網などについてはそれが効力を発揮しないと、刺し網をそんなに固めるようなわけにまいりませんので。  したがいまして、今申し上げましたように、結局は農林漁業金融公庫の農林漁業施設資金とか、漁業近代化資金等で融通するということになるのでありますが、今長官も言いましたように、これはまた被害が続いたということになればとてもたえられないということがございますし、今、共済の話がございましたけれども、漁業収入が減少し、経営が著しく困難になっている沿岸漁業者の経営再建費等については、農林漁業金融公庫の沿岸漁業経営安定資金、この災害資金を融通することが可能でありますし、さらに漁業共済制度においては、かかるトド被害を原因とする年間漁獲金額の減少に対しては漁獲共済による補てんが可能になっているということでございますが、今先生の御指摘の件については、その実態を調べさせたいと思います。  これらの措置により、被害を受けた漁業者の経営安定を図ってまいりたいと、かように考えております。

須藤美也子日本共産党

○須藤美也子君 多面的機能の面から、漁業・漁村に光を当てると、そういう点からぜひ、トド被害については初めてのそういう対応策だと思いますので、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。  長官、まことに申しわけありません。ずっと去年一年以上、構造改善局長として論戦をしてまいりましたので、長官でなくて局長、局長とばかり申し上げて、大変失礼をいたしました。  次に、IQ制度について質問したいと思います。  この四日に北海道では、三市三十町一村で昆布輸入割当制度堅持自治体協議会をつくり運動をしております。昆布は、北海道の全漁業経営の二七%を占める五千二百三十一の経営があります。基幹産物でもあります。  私は、去年、増毛、留萌にこの昆布の状況を調査に行ってまいりました。ここで、地域集落を非常に守っている地域なんですけれども、現在昆布のIQ制度によって輸入量は一定に抑えられております。これが撤廃されれば、低価格の昆布が増大して、漁家の経営はおろか地域そのものの崩壊につながると、こういうふうに切実に増毛の町長さんからも留萌の関係者の方々からもいろいろお聞きをしてまいりました。そういう中で、外国の圧力やWTO交渉の成り行きもあると思いますけれども、IQ制度はぜひこれは守ってほしい、堅持、維持してほしいと、これが強い要望であります。  これは、我が国では、ノリ、昆布、ホタテ、こういった水産物についてもIQ制度の対象にしているわけですけれども、これらは全国の零細漁家を支える品目であり、これらの品目を自由化することは地域社会の崩壊にもつながると、これは農水省の農林水産物貿易レポート二〇〇一で、こう述べているわけです。ですから、そういう立場に立つならば、このIQ制度、少なくともこのIQ制度にあるこの量を減らしていくのがいいと思うんです。  こういう点で、この問題を大臣はどのようにお考えなのか、それをお聞きしたいと思います。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) IQ制度は、水産資源の適切な保存及び管理等に重要な役割を果たしていると思います。しかし、主要国では我が国のみがIQ制度を維持しておりまして、各国からは撤廃が要求されているという状況にあることは先生御指摘のとおりでございます。しかし、次期WTO交渉等において我が国のIQ制度が取り上げられる場合には、こうした制度が果たしている役割、機能が守れるように努力してまいりたいと思います。

須藤美也子日本共産党

○須藤美也子君 ぜひ、自給率向上のためにも、あるいは資源の保全のためにもこのIQ制度を日本で堅持して、WTO交渉でも守っていただきたい、これは北海道の増毛、留萌の方々の強い要望でもありますので、重ねて強く要望しておきたいと思います。  最後になりますけれども、第二十四条に経営安定や魚価変動の緩和等の措置が盛り込まれています。ここに漁業者は大変期待を持っております。その点で、漁業が果たしている多面的機能の面から、新たな視点から魚価所得制度をつくらなければならない、こう考えていると思いますが、どうでしょうか。これは長官ですね。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) こういう規定を置きまして具体的に何をやるかということにつきましては、基本計画の中にそういった施策を掲上し、それを具体的にどう進めていくかということをこれから急いで検討したいと思います。  もちろん、入り口のところは情報交換であり、需給の調整であり、さらには現在やっている調整保管制度をどういうふうに充実させていくか、もっと柔軟にしたらどうかというふうな問題もありますし、ひいては日本の水産業なり水産加工業、流通業が競争力を持てるようにしていくにはどうしたらいいか。午前中も申し上げましたけれども、消費地価格を四とすると産地の手取りは一ですから、その間の三の分野にどれだけ出ていけるのかというふうなことも含めまして、いずれにしても、価格の形成力の強化といったことも含めていろいろ勉強させていただきたいと思います。十三年度内には基本計画を策定する考えであります。

須藤美也子日本共産党

○須藤美也子君 全体の所得にかかわる共済制度の改善も非常に大事だと思います。しかし、現在ある生産調整保管事業も重要だと思うんです。EUでは、生産者団体が買い支えを行った場合に補てんするという魚価安定制度があります。現在の生産調整保管事業の拡充や改善は検討の対象になっているのかどうか、その点は、長官、いかがでしょうか。

渡辺好明水産庁長官

○政府参考人(渡辺好明君) 調整保管事業も長い歴史を持っているわけでございますけれども、その過程でいろいろと改善を加えてまいりました。  民間の方でもこの調整保管事業をどういうふうに変えたらいいかという勉強をされまして、つい一月ぐらい前、私のところにも御要請がございました。改善事項として、買い取り期間中は放出ができないとか、保管期間が短いとか、調整枠が小さい、機動的対応ができないというふうなことを指摘されておりますので、来年度に向けていろいろなことを検討していきたいというふうに思っております。

須藤美也子日本共産党

○須藤美也子君 大臣に最後にお尋ねしたいと思います。  今回の基本法は、国民的立場から漁業に光を当てる、こういう精神というか哲学が流れていると思うんです。そういう中で、これからの漁業の担い手をどうするかというのも大きな問題だと思います。  その点で、若い人たちがこう言っております。せっかく後を継いだ、しかし遠洋漁業に行って、命をかけて行くわけですけれども、その割には帰ってくると経営が赤字だ赤字だと言われる。何のために私は漁業を継いだのかわからない、これならば漁業をやめた方がいいんではないか。こういうことを家族で話し合ったと。さらには、私の方の漁村では、もう漁業は継がなくともいいと。子供たちにどういう教育をしているか、これわかりますか。勉強しないとおまえを船に乗せると、後を継がせるよと、こういうふうに子供たちに言っているわけですよ。  ですから、漁業が本当は重要な第一次産業なのにそういうところに追いやられていること自体、私は大きな問題だと思うんです。そういう点でもっと漁業に、今回の基本法を本当に実行していく、国民全体としてこの漁業問題について、基本法を実施していくという立場で私は進めていかなければならないというふうに思いますが、大臣はこの基本法の制定に当たってどういうお考えを持っているのか、最後にお聞きして、終わります。

武部勤自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(武部勤君) 勉強しないと船に乗せるよというほど海の男の誇りがなくなってしまっているのかなというふうに、私はまことに悲しい限りだと思います。しかし、そういう実情、実態があるということも事実なんだろうと思います。  したがいまして、海の男が誇りを持ってこの仕事に邁進できるような、そういう環境づくりということに全力を挙げたいと思いますし、同時に、この基本法は国民の合意、消費者の視点ということを大事にしておりますが、それは消費者に安定供給をしようという生産者サイドからの考えだけでありませんで、消費者や国民の皆さん方にも海の存在、私どもは森と海は命のふるさとだと、こういうふうに言っているわけでありますけれども、そういうようなとうとさということを理解していただいた上で、我が国の漁業に従事する人々あるいは漁村というものについて再認識していただけるような、そういう努力もしていかなきゃならないんではないか、かように考えまして、さような決意で努力してまいりたいと思います。

太田豊秋自由民主党・保守党

○委員長(太田豊秋君) 三案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時三十六分散会

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