農林水産委員会 第15号
- 発言数
- 159 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2001/06/07
会議録
○委員長(太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告申し上げます。 去る五日、日出英輔君及び櫻井充君が委員を辞任され、その補欠として井上吉夫君及び羽田雄一郎君が選任されました。 また、昨六日、渡辺孝男君、三浦一水君、井上吉夫君、大野つや子さん、金田勝年君、和田洋子さん及び小川勝也君が委員を辞任され、その補欠として荒木清寛君、有馬朗人君、加納時男君、阿南一成君、日出英輔君、本田良一君及び峰崎直樹君が選任されました。 ─────────────
○委員長(太田豊秋君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 農業協同組合法等の一部を改正する法律案及び農林中央金庫法案の審査のため、本日の委員会に農林水産省経営局長須賀田菊仁君及び金融庁総務企画局参事官浦西友義君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(太田豊秋君) 農業協同組合法等の一部を改正する法律案及び農林中央金庫法案、以上両案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○笠井亮君 おはようございます。日本共産党の笠井亮です。きょうは農林中央金庫法案について質問をしたいと思います。 最初に、まず確認をさせていただきたいんですが、農林中金は系統金融機関を会員とする協同組織金融機関であります。つまり、農協などの金融機能補完を通じて農協組合員に奉仕する、こういう趣旨の金融機関だと思うんですけれども、これは間違いないですね。
○国務大臣(武部勤君) 農林中金は、農協等の協同組織を会員として構成される協同組織金融機関でありまして、その全国機関として極めて重要な役割を担っております。 したがって、今回の法律改正においては、農林中金が会員である協同組織のために金融の円滑を図り、その業務の実施を通じて農林水産業の発展に寄与するとともに、国民経済の発展に資することを目的とする組織であることを第一条の目的規定において明確にしたところでございます。
○笠井亮君 その上で、今度の改正、今、目的のことについては言われたわけですが、改正全体の中心ということでいいますと、農林中金の貸し出しに関する業務規制、これの大幅な緩和をするということにあると私は思うんです。農林中金はペイオフの解禁、それから金融ビッグバンということで、そういう激動がある中でいわば生き残りをかけて急速な業務展開というのを行っていると思うんですが、今回やろうとしている業務拡大はいわばそのために行われるという趣旨であるということで理解してよろしいんでしょうか。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 農林中央金庫の基本的性格につきましては、ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、農林水産業の協同組織の全国金融機関でございまして、会員への貸し出しを第一義的使命とする金融機関でございます。しかしながら、これまでもそういう性格を変えない範囲内で、余剰資金の有効利用を図りながら会員に収益を還元するという観点から貸出範囲の拡大を図ってきたわけでございます。 今回も、資金の余剰が見られる中で、一定の枠内で業種限定のない貸出枠をこしらえるという従来からの考え方を踏襲して措置をしたものでございます。 これを先生言われたような観点から見ますと、確かに来年四月からペイオフ解禁になるということで金融の大競争時代に突入する、従来のような業種限定のあるような貸し出しではなかなか農林中金を中心といたします系統金融の発展が制限される、また貸し出しが限定されることによって、なかなかきちっとした自己責任での審査というものができないというようなこともございまして、他の、例えば信金連合会で措置されているように、行政庁の認可を受ければ業種限定のない貸し出しができるということとしたものでございます。
○笠井亮君 今、局長答弁ありましたけれども、現在農林中金は、会員である農協、漁協、信連や、それから農協組合員以外への貸し付けは法律で、農林水産業関連産業、企業、それから国や地方公共団体、特殊法人等金融機関に限定されて、それ以外の貸し出しは行えないと。それが今度の改正によって、会員である農協、漁協、信連や農協組合員以外への貸し付け相手先の規制をなくして、いわばそういう点では農林水産業にかかわりない企業に対しても貸し付けを行うことができると、もちろん先ほど前提は幾つかありましたけれども。そういう改正であるということで理解してよろしいわけですか。
○政府参考人(須賀田菊仁君) おっしゃるとおり、制度上、主務大臣の認可の範囲内であれば今のような業種限定のない貸し出しが可能となるものでございます。
○笠井亮君 今、主務大臣の認可というふうに言われましたけれども、貸し付けの認可というのは具体的にはどういう形でされるのか。貸し付けごとに一々、一本一本大臣が認可という形になるのか、あるいはどういう形での認可ということを考えておられるのか、その点について御答弁をお願いしたいと思います。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 従来の貸し出しの中にも大臣の認可という規定があったわけでございます。原則はそういう仕組みの枠内で農林中金が自己の責任において個々の貸し出しは決定をするということとしているわけでございますけれども、この主務大臣の認可の基準につきましては、一つは先ほど申し上げましたように、農林中金は会員への貸し出しというものを第一義的使命といたします協同組織の金融機関でございますので、こういう新しく設けました業種限定のない貸し出しによりまして、そういう会員に対する融資に支障が生ずるようなことがあってはならないという観点が一つでございます。 それから、農林中金の経営がそればかりやりまして急激に変化する、著しく悪化するということのないように、これは一定の資金枠を設けるということが第二点目でございます。 それから、我が国経済社会、金融システム全体の中で農林中金は活動をしておりますものですから、その全体に対しまして他の業態との分野のそれなりの調整が行われまして、金融システム全体に著しい影響を与えないようにするということが第三点でございます。 そのようなことにつきまして、今後内容を詰めまして認可の基準にしたいというふうに考えておるところでございますけれども、いずれにいたしましても、具体的な認可の基準は今後金融庁と協議、検討をして決定をしていきたいというふうに考えております。
○笠井亮君 幾つかのことを言われましたけれども、いわば個々に一本一本やるんじゃなくて、三つぐらいの要素でいわば量的に規制をかけてやるというふうに私は今聞いたんですけれども、一定の枠内というのはどの程度かということも今後一切これからということになりますか。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 具体的にどういう枠内で貸し出しを認めるかということにつきましては、現在、類似の信用金庫連合会等に同じような仕組みがございます。そこでの考え方が資金量の百分の三十だとかそういう考え方がございますので、そういうことを念頭に置きながら、農林中金の場合はどの程度が適切かということにつきまして金融庁と協議をして決めていきたいというふうに考えているところでございます。
○笠井亮君 今、会員への融資が第一義的だということを繰り返し言われたわけですが、配付させていただきました資料をごらんいただきたいんですが、一枚目であります、三枚組みの資料ですが。 農林中金の総資産、それから預金残高、貸出金の推移をまとめたものでありまして、備考欄で一番右のところに員外規制対象貸付となっているのは、農林中金の貸し付けを今度の改正の考え方に従って分けてみると、大臣の認可の対象となるものということで印をつけたものであります。 これを見ますと、員外規制対象貸付ということで区分されるような割合が非常に高いということが言えると思うんです。二〇〇〇年三月末で十八兆九千九百五億円ということで、貸付金総額の八八・八一%ということになっておりますし、総預金額に対しても五六・八九%ということであります。 さらに、ちょっと二枚目をめくってごらんいただきたいんですが、員外貸付額の推移をグラフにしてみました。この間、二年、三年ほどの間で急速に伸びているというのがおわかりいただけると思うんです。 それで、今回、最初に伺った貸出規制を緩和するというのが中心的な問題であるということなんですが、こうした既にある現状を追認するというような意味を持っているんではないかと思うんですが、それはいかがでしょうか。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 繰り返し申し上げますが、農林中金は農林水産業の協同組織を会員といたします金融機関でございまして、あくまでも会員への貸し出しを第一義的使命にしているわけでございます。 ただ、このグラフでも、表でもわかりますとおり、現在、農林水産業が停滞をしているということで、投資意欲の減退等を反映いたしまして会員貸し出しというのは減少傾向にあるわけでございます。 翻って、農林中金の性格を考えますと、系統の全国金融機関といたしまして、やはり外部経済との接点に立ちまして系統全体の資金を運用し、その収益を会員に還元するということも今の状況では主要な使命の一つではないかというふうに考えているところでございまして、そこにございます、順次これまでも貸出先を、農業、農業に関連するもの、農山漁村の開発に関連するもの、そして公益的・公共的法人と、その基本的性格を変えない範囲で拡大をしてきたわけでございます。 今回、さらに資金の余剰があるという中で、一定の枠内での貸出枠を設けるわけでございますけれども、その貸し出しに当たりましては、やはり安全確実に運用するということにウエートを置きまして、会員への収益の還元ということを旨といたしまして行うということにしているわけでございます。 これは、このグラフ、表でもございますように、総資産の中で貸し出しのウエートが四割程度ということになっておりまして、金融機関としての健全性というものを確保するためには、やはり貸し出しのウエートというものをもう少し高めるということもまた金融機関としては重要なことではないかというふうに考えまして、基本的性格を変えない範囲内で貸し出しの拡大を図るものでございます。
○笠井亮君 基本的性格を変えないと言っても、この比率見たら全然変わっているわけですよ、それは。それはいろいろ、意欲が減退している、停滞しているからなかなか農業関係あるいは本来のところには行かないんだという話は今言われたわけですけれども、しかし、そういうことで関連にまず広げると、それから関連じゃなくても広げるということで、もうこの比率を見れば一目瞭然ですね、基本的性格を変えないと言うけれども、実態としてはもう全く変わっているものになっていると。 金融庁に伺いたいんですけれども、きょうお越しいただいていますが、農林中金と同様の協同組織金融機関である信金中央金庫の員外規制、これがどうなっているか、それから信用組連、こちらの方の規制はどうなっているかお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(浦西友義君) 員外貸出規制についての御質問でございますが、まず信金中央金庫についての員外貸出規制でございます。 まず、公共法人、公益法人、それから証券取引所に上場されている株式会社、またこれらに準ずる法人に対する貸し出し、プラス非居住者に対する貸し出しの最高限度につきまして、総資金、これは預金のことでございますが、総資金の百分の三十に相当する金額が限度となっております。 次に、全国信用協同組合連合会につきましての員外貸し出しの最高限度でございますが、まず会員でございます信用協同組合の組合に対する資金の貸し付け及び手形の割り引き、それと金融機関に対する資金の貸し付け及び手形の割り引きを除きまして、総貸し出しの百分の二十に相当する金額を限度としております。
○笠井亮君 私、今限度という話があったわけですが、信金中央金庫、あるいは信用組連に現状を問い合わせてみました。 信金中金の場合は、員外貸し付けは三兆四千二百六十六億円で、預金額の二二・二%ということであります。三〇%以内と。また、信用組連の場合は九百五十五億円で、預金額の五・八九%ということであります。だから、もうもちろん二〇%以下と。 これに対して農林中金の場合、先ほど見ましたように、十八兆九千九百五億円で、預金に対して五六・九%というのは、これは同じような協同金融機関と比較しても突出しているというふうに思うんですけれども、金融庁、その辺はどういうふうに感じていらっしゃるでしょうか。
○政府参考人(浦西友義君) 限度の計算でございますが、限度の枠に計算されるもの、つまり認可の対象になるもの、ならないもの等ございまして、それらを勘案いたしまして、法律上で員外、会員ということでございますと、信金中央金庫の場合でございますと、会員に対する貸し付けは二・三%、会員外九七・七%でございます。それから、全国信用協同組合連合会の場合は、会員につきましては四一・二%、会員外は五八・八%でございます。これは貸出金に占める割合でございまして、全体の総資産ではないんですが。 この会員と申しますのは、信金中央金庫の場合は信金そのものが会員になっております。全国信用協同組合連合会の場合は信用組合が会員ということで、そういう信金、信組以外の貸し出しという意味で、会員外の割合ということで申し上げました。
○笠井亮君 私は、今、数字も言ってもらいましたけれども、いずれにしてもこの農林中金の場合、今回の法改正による業務拡大というのは、既にある基本的性格を変えないと言われているけれども、実態としてはもう変わってきているようなことに一層拍車をかけて、組合員の助け合いによって、それから農協、漁協、信連などの金融需要にこたえる協同組織金融機関のあり方には、私これは逆行すると言っていいんじゃないかと思うんですけれども、その辺はいかがですか。ちょっとこれは本当に大事な問題だと思うんですが。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 協同組織形態の金融機関、信用組合、信用金庫、そして農協、漁協等々ございます。それぞれがそれぞれの段階で組織をつくりましてお金の運用をしているわけでございます。現在のようにお金が余りぎみという状況のもとでは、全国レベルのそういう系統金融機関でございましても、資金を有効に運用して、会員に収益を還元していくというところにやはりウエートを置かざるを得ないような周辺の状況になっておりまして、本来望ましいか望ましくないかという議論はございますけれども、そういう外部経済との接点に立って資金を運用して、収益を会員に還元していくというところに現在の状況のもとではウエートを置かざるを得ないということになっているわけでございます。
○笠井亮君 本来望ましくないということは、最後の前半の方で言われたわけですけれども、しかしウエートは、金余りぎみの中で有効に運用するかどうかだというふうに言われました。それから、安全確実だとか会員、組合員に迷惑を及ぼさない、それから収益を還元するということを強調されたわけですが、じゃ、果たしてペイオフに備えて農協組合員が安心して預けられるような金融機関を守る道かどうかというのは、これは問題があると思うんですよ。 例えば、農林中金を含む系統金融機関がそごうに対して貸し出しを行っていて、多額の損失を出していると思うんですけれども、これは間違いないですね。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 御指摘のように、全体の四%程度でございますけれども、中金、信連等が貸し出しをしているわけでございます。
○笠井亮君 そごうに対しては農林系の金融機関が六百六十七億円貸し出しを行っていたのは事実だと思うんです。そして、そごうの破綻によって相当な損失を出していると。この間、そごう以外にも、少なくても兼松だとか三井建設、トーメン、セッツ、日本リース、クラウンリーシングなどの債権放棄や破綻などで農林中金が損失をこうむったということが言われております。それらを合わせますと数百億から千億円程度の損失を出しているんだと思うんですよ。 リスク管理債権も、貸付金に対する内容を見たら、大手十七行の平均を上回っている。現状でもそうですから、貸出規制の緩和が進むということになると、これ、荒波の中に今後ますます入っていく状況で、問題が深刻化しないというふうに言えるかというと、むしろ逆に深刻化することは明らかだと思うんです。 ですから、本来望ましくないけれども運用のことを考えたら余っているんだからと、安全確実というふうに繰り返し言われるわけですけれども、農林漁業者の資金を安全に運用するどころか、私、そういう点で言ったら一層危険にさらすということになるし、そうならないと断言できないと思うんですけれども、これ、いかがですか。
○政府参考人(須賀田菊仁君) お話でございます。最終的には金融機関でございます農林中金が自分の責任において貸し出しを行い、リスクをとって収益を上げるということにならざるを得ないわけでございますけれども、過去の反省の上に立ちまして、農林中金の方でも、貸し出しに当たりましては、従前の経営状況の審査に加えまして、さらに精密にこれを分析して、内部格付を精密化していくというようなことで厳格な審査を行うということが一つでございますし、貸付先業種ごとに融資バランスを考慮して、特定の業種に融資が集中しないようにする等々の貸出基準を内部で決めておるようでございますので、最終的には農林中金の方におきまして、自己責任で安全確実な運用というものが行われるということを期待しているわけでございます。
○笠井亮君 自分の責任で農林中金がやるからとおっしゃるんですが、法律でそれをやれるようにしてやるというのが今度の趣旨ですよね。そういう危険や危惧がありながら、それはもう自己責任なんだからと、後は農林中金がその責任でやるんだから大丈夫だということにはならないし、それから、ますますハイリスク・ハイリターンになっていくわけですよ。だから、リスクは高いけれどもやっぱり高いリターンがあるというところに貸し込んでいくという傾向に今の流れで言えばなるわけですよね。 だから、そういう点では、今回の法改正で冒頭大臣が言われましたけれども、目的に農林漁業の発展に資するということを盛り込んだ、これ自体は私重要なことだと思うんですが、それと比べても、業務範囲での拡大というのは、農林中金が員外のところへどんどん貸し出すということを認めていくという法改正であって、盛り込まれる本来の目的とは逆行することになるんじゃないかと。 資料の三枚目のところでごらんいただきたいんですが、現状でも農林中金は系統金融機関から集めた預金のほとんどをそれ以外のところに貸し出して、逆に農協や組合員の貸し付けは、額、率とも減らしているということは一目瞭然だと思うんです。それは、先ほど停滞し意欲減退ということを言われましたが、しかしそれだけとは言えない。 そして、ますますこういう形で員外が広げられる道を開くことになれば、よりもうかる方向にと、本来のところに貸すよりこっちの方がいいんだということになっていくような改正になって、それでは農林水産業者の農協離れが進むばかりになってしまうと思うんですけれども、これは目的との関係がありますので、大臣に認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(武部勤君) 過去のさまざまな経験を教訓にいたしまして、適切なる運営に努めていかなければならないことは言うまでもないと思いますが、農林中央金庫の機能は、会員のための金融の円滑化及び系統への収益還元ということが基本になるわけでありますが、会員外への貸し出しの拡大により、安定的に収益を系統内に還元するということは可能でありまして、運用に当たりましては、農林中央金庫の目的に反しない範囲で認可をするという、そのことを原則にして目的を遂行していくということに努めるべきだと、かように考えます。
○笠井亮君 過去の教訓、いろいろ問題があったということは今も言われたと思うんですが、それに対して、それに立って適切に運営の保障というふうに言われますけれども、私が伺っている範囲でいきますと、結局は後は農中の自己責任というところに最大の保障を見出しておられるわけで、そういうことになると、これは法律をつくるに当たって本当に責任を果たしたということにはならないというふうに私は思うんです。 協同組織が協同組織の枠を超えて、専業でやっているプレーヤーと同じ立場で勝負しようとしたら、私、もともと基盤が違うのでなかなか勝負にならないというのが冷厳な状況だと思うんです。大競争で勝ち残る道というのは、私はこういう形での業務拡大ではなくて、本来、組合員あるいは会員一人一人を大切にした改革であると、そういう道にこそ生き残りがあるという主張を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
○須藤美也子君 私は、農協法の改正について質問いたします。 今回の農協法の改正のまず第一の事業として、これまで貸し付けが第一の事業だったのが、今度、営農事業、これが第一の事業に変わりました。しかしながら、これはいろいろ全国各地を回ってみますと、組合員の要求が一番強いのは営農指導と販売事業であります。そういう点で、今回営農事業を第一に掲げたということは当然のことだと思うんですね。 しかしながら、農協の営農指導員が年々減少しております。そういう中で、法律だけ改正しても、実際、その中身はどうなのか、裏づけとなる営農指導の体制をどのように強化していくのか、まずその点、最初お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(武部勤君) 営農指導の重要性は今先生御案内のとおりでございまして、少し詳しく説明させていただきますと、まず、技術指導水準が低く、篤農家や法人経営、先駆的青年農業者のレベルにははるかに及ばない、昨日の議論にもあったとおりでございます。また、農家の知りたい栽培技術等を十分身につけていない、合併により少なくとも組合員とのつながりが希薄化するのではないか、また、営農指導員の数をふやさない等の、今先生のお話などの御批判が今日寄せられているということは承知しております。 したがいまして、今後、厳しい農業情勢のもとで、担い手の育成、食料自給率の向上等を図るための構造改革を進めることが急務となっているわけでありますから、その意味で、営農指導を農協の第一の事業として明記したところでございます。 このような考え方のもとで、地域農業改良普及センター等と連携を図りながらその実を挙げていく。また、法人経営、大規模家族経営等とのネットワーク化を図りながら指導の重点化を図る。試験場、肥料・農薬等のメーカー、地域農業改良普及センター等の協力を得て営農指導員の資質の向上を図る。そして、マーケティング、消費地での店舗展開等を視野に入れながら農産物の有利販売の観点からの対応を戦略的に実施していく。かように、生産から農産物販売までをカバーすることを旨として営農指導の質の向上を図ることが重要だと、かように認識しております。
○須藤美也子君 改良普及員と一緒に連携をしながらとおっしゃっていますけれども、その改良普及員も数が減少しているんですよ。ですから、質を変える、中身を変える、それだけでなくて、やっぱり体制を強化していく、こういうことをきちんとやっていただきたい、こう思います。 さらに、合併の問題が出ました。合併しない前の組合員の方々は、それまでは懇切丁寧に営農指導を受けていた、いろいろな相談に乗ってくれた、しかし大型合併したら、肥料や農薬の問題について相談に行っても窓口ではわからないと、こう言われる。そして、農薬や肥料について、その現物は基幹支店にあるとたらい回しにされている。こういう農協合併でいいのか。だから、組合員の皆さんは農協を利用できないようなそういう仕組みに合併によってされてしまっている、こういう問題が起きているわけです。ですから、組合員から農協が利用され、そして農協が頼りになる、こういう農協に変えていかなければだんだん農協離れが進んでいく、こういうふうに思います。 そういう点で、組合員の要求を実現するために、せっかく営農指導を第一に掲げたわけですから、この法の精神に基づいて裏づけとなる営農指導体制を強化してほしい、さらに合併農協に対してもそういう指導を強化してほしいと思うんですが、その問題について簡潔に答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(武部勤君) 簡潔にという御注文でございますが、実際、合併によるメリットもたくさんあります。それは効率的な面のメリットもありますし、合併によって、弱い農協に人材がなかった場合、今度、優秀な人材が幅広く活動、活躍できるというようなことも考えられるわけでありまして、例えば、石川・能登わかばJAのように、能登白ネギを戦略的作物として栽培技術の高位平準化に取り組み、産地ブランドを確立して有利に販売しているという例もあります。 それから、先生の地元でありましょうが、山形のさがえ西村山JAのように、多数の資材購買店舗を一—数カ所の広域配送センターに集約することでコストを削減しているなど、手元にまだまだありますけれども、簡潔にということですから二つの例を挙げましたけれども、このような取り組み事例を見てもおわかりのとおり、合併によって多様化する、また高度化する組合員のニーズにより的確に対応できると。 私は、営農指導の強化というのは数ではないと、かように思うわけでございます。やはり優秀な人材をいかにして確保するか。一人の人材でも数多くの人々に的確な指導をするということができると、かように思いますし、やはり自己責任原則というのは生産者の側にもあるわけです。本当にいい農業をやりたいといったら、出かけていってでも、探してでもそれにこたえる、そういうものを生産者自身これから持たなきゃならぬ。 そういう意味では、合併によって優秀な指導員がここにいるということになれば、今道路も整備されましたし、出かけていって訪ねて、あるいはまたインターネットもありますし、それは生産者みずからの努力と、数少なくとも優秀な営農指導員の存在ということが私は問題を解決できるんじゃないか、かように思います。
○須藤美也子君 人材と質の問題もあるかもしれませんけれども、組合員が多様な要求を持っているわけです。多様な作物をつくっているわけですよ。ですから、そこの現場に出かけていって指導をする技術指導や営農指導、あるいはそういうさまざまな相談に乗ってやるにはやっぱり体制も人の数も必要だと思うんです。ですから、そういう点では、今回の法改正の裏づけとなる営農指導の体制を強化する、質の問題も含めて数の問題も、これをぜひ取り入れなければ、法を改正しても意味がないんではないかというふうに思いますので、そこを強く要望したいと思います。 次に、今回の法改正の三十条三項、これは非常に問題がある法改正だと思うんです。つまり業務の執行体制についてです。政府は規制緩和、規制緩和と言いながら、一方で農協に対しては人事の役員の体制まで法律で決める、規制する、義務化する、これは矛盾があると思うんです。特に、信用事業を行う組合は、役員として信用事業を担当する専任理事一人以上を含めて常勤の理事三人以上を置かなければならない、こういう改正案ですね。三人の常勤理事を置かなければならない、その根拠は何ですか。これは局長さん、お願いします。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 現在の平均的な農協の実態からいきますと、常勤理事が一・九人、そして実務に精通しているいわゆる学経理事が〇・四人ということでございまして、なかなか複雑高度化する業務に対応し切れない状況にあるということでございます。 特に、何回も申し上げておりますとおり、来年の四月からペイオフが解禁されるということで、特に信用事業についての業務執行能力というものを抜本的に強化することが必要であるということがございまして、今回、考え方といたしましては、信用事業のみを担当する常勤理事が一人以上、そして信用事業以外の他の事業を担当する常勤理事が一人以上、これらの両理事の独断専行を防止して牽制機能を確保するための全体を総括する常勤理事を一人以上という考え方で、少なくとも三人の常勤理事が必要であるという改正を行ったものでございます。
○須藤美也子君 三人になればうまくいく保証というのはないと思いますよ。例えば、組合長が悪いことをして、そしてそのあとの二人がそれにはいはいと言っていれば悪くなるわけです。そこをチェックするというふうになれば、一人のものが三倍になって、ますます悪くなるというケースもあるわけです。 ところで、現在、三人以上の常勤理事を置いている農協は幾つあるんですか。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 常勤理事を三人以上置いている農協は、平成十一事業年度で三百三十二組合ということでございまして、全体の約二割でございます。
○須藤美也子君 たった二割でしょう。八割の農協が常勤理事をふやさなくちゃならないわけです。それは大変なことですよ。各地には、私の方も、山形県の例が先ほど出ましたけれども、山形県でも合併しないで頑張っている農協がたくさんあるんです。そういう農協が全国至るところにあると思います。 ここで、一つ例を挙げたいと思うんですが、浜松の三方原開拓農協、ここは信用事業を行っている小規模農協です。財政状況はまことに健全であります。昨年決算における自己資本率は三一・四八%、不良債権はない、農協に対して組合員の結集と信頼は非常に大きいと。農協とは農家の経営を助けるための組織という協同組合の原則を貫いて地域活動を行っている組合であります。常勤役員は組合長一人です。あと参事と金融課長がしっかり運営をしている。さらに、単協独自の信用事業等組織問題対策委員会をつくって、独自の将来構想を持っている。 こういう農協がなぜ三人必要なんですか。ここはどうですか。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先生今言われたように、小規模な農協の中で、一人の組合長を常勤にして、極めて優良な経営を行っている組合があるということは承知をしているわけでございます。 しかし、翻って考えますと、今後金融業務というのはますます競争が激化して、その運営が非常に難しくなっていくと。大事な大事な組合員農家の貯金を預かっているわけでございまして、一たん破綻ということになりますと、その組合員農家だけではなくてほかの農協にも、大きく言うと全国的に系統に迷惑をかけるというようなことがございますので、何とかそういうようなことを防ぐということが必要になってくるわけでございます。 これからのことを考えますと、一人で信用、販売、購買、営農指導、共済といった、今後ますます高度化し複雑化していく業務を完璧に行うというのはなかなか実際問題無理ではないかというふうに考えておりますし、執行体制というのは、意思決定と牽制する理事と、それから業務執行に当たる理事というふうなものを分けるというのが世界的潮流にもなっているわけでございまして、そういう意味で、今回三人以上の常勤理事ということを措置させていただいたわけでございます。コストがかかるかもしれませんけれども、やむを得ない状況であるということを御理解いただきたいというふうに思います。
○須藤美也子君 何か答弁がつらそうですね。 ということは、ペイオフ解禁に向けてそういう体制をつくるということは金融の論理ですよね。銀行の論理で農協を律していく、そういう考え方ですと、最初の第一の目標、事業、営農指導が第一と、こう言ったにもかかわらず、第一の目的は、第一の事業は金融になるわけですね、貸し付けとか。そういう矛盾もあるんじゃないですか。 ここの組合長は、常勤理事三人制などは大規模農協では必要かもしれませんが、私の方の組合ではこのようにしっかりやっている、しかも三人の常勤理事を置くという財政的な余裕もない、そういう余裕があるのであれば組合員の営農とか組合員の暮らしのために向けたい、こうおっしゃっています。 法案は、一生懸命地域のために頑張っているこういう農協を苦しめる法案になっているんではないですか。
○国務大臣(武部勤君) 御心配の向きも否定するものではありませんが、今局長が答弁しましたように、今後合併なども相当進んでいくだろう、かように思います。そういう過程で、幾ら優秀な組合長でも、信用事業、販売事業、購買事業、営農指導、こういったこと、しかも今後こういった事業が高度化し、複雑化していくということについて、一人で完璧に行うということは実際上無理であろう、かように思うわけでありまして、こうした規制をかけることはやむを得ない、少なくとも現時点ではやむを得ないことではないかと私は考えます。 なお、常勤理事を新たに設置する場合に、自組合の金融担当職員が職員の身分のまま常勤理事を務めることも可能でありまして、これにより常勤理事の設置に関する過度の負担ということは、ある程度軽減できるのではないか、かように考えます。
○須藤美也子君 この間の郡司委員の質問にもケース・バイ・ケースとしてという御答弁があったようですけれども、例えば組合の職員の金融担当の人が理事になったりする、そうすると、金融担当は独立しなくちゃならないんでしょう。兼務できないわけでしょう。そうすると、職員はほかの仕事をやっているわけです、担当職員は。そうすると、一方で職員のリストラをしながら、一方で常勤理事をふやすために、営農担当をしている人、あるいは組合員の暮らしのために一生懸命頑張って回っている人たち、職員が削られることになるわけです。 ですから、この問題も含めて、実施は十五年ですね、それまでの間に、こういう全国各地にある、一生懸命地域経済のために頑張っている農協の方々が苦しまなくて済むように、そういう援助をしていただきたい。それから、むしろ、こういう地域のために頑張っている農協に対してこそ支援すべきだと思うんです。 その点で、もう一つ、大臣が今合併の方向に向かっているというようなことをおっしゃいましたが、今回の法案をてこに無理やり農協を合併に追い込んでいくような、そういうことはやらないでしょうね。どうですか。
○国務大臣(武部勤君) 無理やりやるということはできないでしょう。しかし、合併のメリットというものは先生も既に理解いただいているを、かように思いますので、今回の改革法の内容も、組合員に対するメリットを最大限に発揮することを旨として事業、組織の全般にわたって見直しを行った結果であることを御理解いただきたいと思うのであります。 特に、組合員等の大事な財産を預かっているという以上は、信用事業の破綻ということは絶対避けなければならないというふうなことは、やはり今回の法律の極めて重要な原則であるということを御理解いただきたいと思います。 先日、ケース・バイ・ケースということを私申し上げましたけれども、それは一つの大原則、この法律のもとにいろいろなやり方、多様な農協の運営、経営の中でいろんな方法があるのではないかというようなことで申し上げた次第でございます。
○須藤美也子君 では、この法案をてこに無理やり合併するような指導はしない、こういうふうに理解をいたします。 そこで、先ほど来の御答弁の中で、やっぱりJAバンク構築のためのそういう至上命令によって農協をそこに構築していく、こういう構想を持っているのではないか、こういうふうに思うんです。全体をそういう体制にしていくと。 そういう中で、住専問題の教訓は、これはもうしっかり学んでいらっしゃると思うんですけれども、地方の信用金庫などがあの当時バブルに踊らなかった。地道に地元の企業を育てて共存して、経営も健全に発展させていることから、農協も信用事業もこれに学ぶべきだと思うんですね。金融専門家の方々も、農協はもっと消費者や国民と結びついた事業のやり方ができるし努力すべきだ、こうおっしゃっています。 常勤理事が多数いる広域合併組合での金融不祥事が多いこと、こういうことを見ても、常勤理事の数を三人にしたから、もう一度繰り返しますけれども、うまくいくという保証は、私は現時点ではそういう保証はない、こう言わざるを得ないと思うんです。まず、大型合併した農協のこういう金融不祥事がなぜ起きているのか、こういうことからも教訓を引き出して、どういう体制をとっていくのか、そういう点を真剣に検討していただきたいと思います。 一方で、この三方原開拓農協のように協同組合の原則を守って、地べたに根を張ったような運動や事業を展開しているところはやっぱり強いです、地域にとっても強いです、そういう農協は。 ですから、そういう点では、こういうところにも強制的に三人体制でやりなさいとかというようなことを今回の法律で義務づけるということ自体、大変私は疑問を感じます。 さらに、今回の改正案で、なぜ事細かくそういう人事面を法律で義務づけるのかというのが、私は非常に腑に落ちないんですよ。農協や連合会のそういう人事、経営管理委員会もそうですけれども、それはそこそこの農協の定款というのはあるわけですから、そういう法律で義務づけるということ自体、非常に問題があるんではないか。農協というのは自主的な組織であって、民主的な運営を保障すべきであって、このように事細かく法律で規制するというこのこと自体、私は今の規制緩和のこういう方向からすれば逆行している、こう言わざるを得ません。 そこで、時間がありませんので、通告していたものをはしょりまして、農民を農業者にして法人を正組合員にしていく、この問題の法改正があるわけですけれども、この矛盾についてお聞きしたいと思います。 今回の改正案十二条、組合員資格の規定で、これまで法人経営は農業以外の事業を行っている場合は正組合員になれなかったわけです。以外の事業をやっているところはですね。ところが、今回の法改正で、一括してそういう法人、農業以外の事業をしている法人も株式会社も三百人未満のところは全部正組合員になれると。このことによって農協が農民の協同から事業体の協同に変質していくのではないかと思うんですが、こういう心配はありませんか。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先生の、法人経営の問題でございます。農協の問題というよりも、農政全体の問題だろうと思うわけでございます。 今後、農政が国民の理解と協力を得て円滑に推進されるというためには、やはり効率的で安定的な経営体が農業構造の相当部分を占めるような農業構造を樹立するということが急務になっているわけでございます。 その経営体のことを考えますと、やはり主体は家族経営の大規模経営というものが発展をしていくとは思うわけでございますけれども、一方におきまして、担い手のいないところでございますとか、あるいは生産条件の悪いところでございますとか、あるいは意欲的な経営でございますとか、そういうところを中心に、法人経営、組織経営というものも一つの方向ではないかというふうに考えているわけでございます。 そこで、今後、地域農業の中核として農協を位置づけていかないといけないというときに、法人経営は農協の組合員にしないんだというようなことではなかなか地域農業のシステム化、戦略的振興というのが図れないと。そこで、やはり農業を営む法人、他の関連事業を営む場合も含みまして農協の正組合員資格を与えまして、法人、家族経営を問わず、地域の農業者全体の組織として発展をさせていきたいというふうに考えたわけでございます。
○須藤美也子君 それも矛盾がありますね。私が組合員になって、そして私が二百人ぐらいの従業員を使って企業経営をすると、私は個人としての組合員の議決権一票と法人の立場での議決権一票、一人一票制から一人複数制になっているわけですね。 それともう一つは、三百人未満ですね、正組合員になれるのが。私が二百人の株式会社をつくったとする、農業もやりながら。協同組合に加わる。そして、私は量販店と契約栽培や出荷もする。農協組合員の生産者からも野菜を買う。こういう場合、農協と、株式会社は利益を追求する企業です、競合するわけですよ。農協も大きくしていかなくちゃならない、利益を上げなくちゃならない、法人も企業として利益を上げていかなくちゃならない。その場合、私は正組合員ですから、その調整はどうするんですか。それで農協が活性化するんですか。生き生きとなるんですか。私は決してならないと思います。 最後に大臣からお答えいただきますけれども、農協そのものがますます企業体になっていく、それに対して組合員が大変不安を持っているんです。 私は若いとき、鶴岡生協の役員をしておりました。選挙に出ましたから役員は首になったわけですけれども。生協は中立ですから、ほかの団体と違いまして。そういう立場で何をやってきたか。今も消費者運動に参加しています。今、鶴岡の私の地元の近辺の農協が生協と契約を結ぶ、どんどんふえているんです。全農山形支部も生協と契約を結んで生産者のつくったものを買ってほしいと、そういう契約で産直をやっています。消費者と生産者がそこで結合するわけです。 地域の協同というのは、ましてや自給率の向上とか地域の農業振興を図るためにも、生産者と消費者が一緒に手をつないで地域を変えていく。協同組合同士の連携というのが私は非常にこれから重要になっていくと思うんです。 同時に、そういう立場で企業を正組合員にするのではなくて、企業との共同の連携、連帯、そういう立場で私は農協がこれから事業なり運動を進めていくことが重要だと思うんです。 それから、民主主義の原則を根底から翻す、一人一票制を覆すようなそういう法の改正は、これは農協を変質し、組合員がどんどん農協を離れていくと。 そういう点も含めて、もっと深く現場の組合員の立場に立って法の改正もやるべきだと思うんですけれども、まずこの問題について、基本的な問題ですので、これからの二十一世紀の地域農業と農協のあり方も含めて私は今問うていますので、大臣から答弁していただきたいと思います。
○国務大臣(武部勤君) この改正も私は一つの過程の中にあると、このように思います。 農協は大きく変質しなければなりませんし、農協の目的だとか使命というものも大分変わってきたし、変わらなくちゃいけない。その中で、地域政策といいますか営農指導とかサービス部門、こういった部門はいずれ行政と一体になっていくのだろうと、私はこのように思っております。産業政策といいますか経済行為、こういったところは今までのような農協とは違った形で私は脱皮していくんじゃないかと、このように思います。 先生御指摘の問題意識は私もかなり共通点を感じていると思いますけれども、現時点にありましては、農協がダイナミックに変わっていく、そしてこれがさらにダイナミズムを生んで、場合によってはこれが新たな時代の要請にまた分化していったっていいんじゃないのかなと、私はこう思いますが、いずれにしても、その過程の中の一つの大きな転換というふうに理解をいただき、議決権の問題にいたしましても、まあいいじゃないかと、私は、法人も一票ですから。しかし、それで構成されている人たちが農業に従事するのであれば、その法人が百人でも二百人でも新しい雇用力を抱えて大きくなっていくというのなら、そして農協にもいろんな新しい考え方、意見を反映させていってそれが前進するならこれも結構じゃないかと、私はそのように考えております。
○須藤美也子君 時間ですので、終わります。
○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。いよいよこの農協二法の最後の質問になろうかと思います。よろしくお願いいたしたいと思います。 まず冒頭に、先ほど須藤委員からの御質問に対しまして大臣の御答弁の中で、農協の営農指導の優良事例として能登わかばの例を挙げていただきました。私は、担当していた一人として、御評価いただいたこと、大変感謝をいたしたいと思っております。そういう答弁をいただきますと質問が大分鈍るんじゃないかというような感じもいたしますので、鈍らないように頑張らせていただきたいと思います。 法律に関します細部の質疑はもう皆さんおやりになりましたので、農協一般について日ごろから考えておりますことについて質問を、私の場合はその点に関しての質問をさせていただきたいと思います。 〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕 私が言うまでもなく、農協、これは農家にしろ農民にしろ、そういうものに対する役割としてはもうこれ以上ない大変重要なものでありますし、今までも実績もあるわけですし、これからもそういう立場をずっと継続していかなきゃいけないというふうに私は思っております。 それは、やっぱり農協というものはいわゆる農業という特殊産業に対してのものだと思うんですね。一般企業なんかではやっていても、農業といいますと、どうしても個人経営。法人が今度施行されているようですし、大分進んでおりますけれども、例えば法人にしても、よく見ますと、私のおります北陸なんというのは個人法人みたいな法人が非常に多いものですから、いわゆる法律的ないろんな優遇措置を受けるために法人化していくというようなもので、実態は個人と同じというようなのが結構あるように私は受け取っておりますので、そういう個人的な経営、小規模な経営であるものに対する、それを助けるというような意味で農協というのが大変大きな役割を果たさなければいけないんではないかと。 具体的に言えば、例えば、一つの産業ですから、一般の企業であれば、もうけの中でいろんなことをできるわけですね、将来の見通しに対して。ところが、個人経営ですと、そこまで財政的にも労力的にもなかなかできない。具体的に言えば、新しいものに対する試験研究、あるいは情報をどうやって得るか、情報の提供、あるいはこれはいろいろ出ておりますけれども、流通面なんかも、個人であればなかなかそういう技術は持てないという面をどう補うかというためにあるのであると私は思っております。そのために、農協そのものにも、いろんな面で農協を育成しようという、優遇措置と言っては言い過ぎかもしれませんけれども、いろんな助成なりがあるんだと思うんです。 〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕 そう思っておるんですが、実は最近ちょっと疑問だなといいますか、私なりの疑問なんですけれども、いわゆる他の一般の企業に比べまして、そういう保護されているといいますか、ある程度育成されている、そういうものを持って有利なはずであるのですが、それが本当に生かされているのかどうかという面でちょっと疑問を感じまして、私、具体的にはわかりませんけれども、例えば信用事業なんか、農協なんというのは営業せずに金が集まってくる。一般の金融機関とは全く違うんだと思います。お米を売ったら大体農協に入ってくるというようなそういう有利な面もございますし、また販売、購買面についても、お客様はほかの企業なんかと比べて確保しやすいと。 その面を本当は生かさなければいけないはずなんでございますが、これも質問にいろいろ出ておりますけれども、大規模農家なんかはいわゆる農業資機材を商系から入れた方が安くなるからそっちから入れるというような、ちょっと矛盾したような点が見受けられます。私の経験でも、農協のSSですか、ガソリンスタンド、あれなんか、ガソリンは、いろんな地域性があるかと思うんですけれども、私の知っている限りではどうも農協系の方が高いというような印象を受けてしようがない。 そういう面で、なかなか農協の、本来あるべき農家を助けるとか、有利な面を生かしていくという面が生かされていないんじゃないかなという漠然とした思いがあるんですが、その辺の実態を農林省の方はどうとらえられておるのか、まずその点から質問をさせていただきます。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 農協は、ガソリンスタンドでございますとか、肥料や農薬等の生産資材の提供を行っているわけでございます。 まず、先生言われたガソリンの小売価格でございます。一般的にはガソリンスタンドの競争というのは非常に激しゅうございまして、近隣のガソリンスタンドの価格を考慮して価格が決められるということで、身内の全農の調査では、農協系のガソリンの小売価格の全体平均ということで見れば、商系と比較して大きな差はないということになっておるわけでございますけれども、場合によりましては、人口の少ない農村地域で競争も余りないというようなところに立地をしているところは、競争原理がうまく働かないということで、割高になっている面もあるのではないかというふうに考えております。 それから、農薬とか肥料とか、個々の物資の実際の購入価格を直接に把握することは非常に難しゅうございますが、全中が大規模農家に対して行った調査によりますと、やはり大規模農家の受け取り方は、農協の価格は高いとか、値引きがない、大口の割引がないというような不満が全体の四割を占めておりまして、やはり価格は商系に比べますと高いのではないか、そういうことが不満になっているのではないかというふうに思っております。 そして、その原因は何かということでございます。やはり一つは、物流が全農、経済連、単協と三段階であるという物流の非効率でございますとか、あるいは農協の平等主義ということで大口割引を思い切ってしないでございますとか、あるいは余り言いたくはないんですけれども、やはり営業努力の面で殿様商売的な原料購入みたいなものをしているのではないかとか、そういう批判がある、そういうのが原因ではないかというふうに認識をしております。
○岩本荘太君 今のお話で、細かいことですけれども、ガソリンが地域性、おっしゃりたいのは、余りスタンドがないところであれば少し高目になるだろうというようなお答えだと思うんですけれども、そうじゃなくて、実際にいっぱいあるところも高いんですよ。私なんか、そういうものを担当した立場から、高くともこれは育成のために買わざるを得ないかなという思いで買っておりましたけれども、実際そういうものがあるということを御認識いただきたいと思います。 私、その原因はどこにあるのかということを次にお尋ねしようと思いましたら、今お答えがあったわけですけれども、殿様商売、物流の非効率化というような御指摘ですが、これは結局、経営のやり方が悪いということだろうと思うんですね。これは適切な例かどうかわかりませんけれども、例えば信用事業なんかについても、本来であれば、例えば一般銀行なんかを卒業された方でもいいから、そういうものになれている人が本当は農協でいろいろ助言を与えるとか、そういう方向の方がいいんじゃないかということで私、随分試みたことがあるんですけれども、それがなかなかそういうところへ行かない。これは一つ殿様的な要素かなというような気がいたします。 それと、やはり合併というような面から見ますと、もう一つは人の数が多いということはないんですか。その辺、いかがでしょうか。
○政府参考人(須賀田菊仁君) ガソリンスタンドでございますとかが赤字体質であるということの理由の一つで、事務管理費が高くなっているということは、やっぱり人件費が高いのではないかということがあると思います。それから、顧客が余り来ないというのは、設備が老朽化したものを使っているというような面もあるのではないかと。それから、営業日数も、休日は休む、書き入れどきの休日に休むとか、そういうこともあるのではないかというふうに言われております。
○岩本荘太君 これは、今の競争社会の中で農協が生き残るための大きな仕事であると思うんです。したがって、農協の問題、中心の問題になろうと思うんですけれども、農林省としても今のような実態をおつかみになったとすれば、何らかの方向性といいますか、具体的には関与はできないんでしょうけれども、指導といいますか、そういう働きかけをしなきゃいけないんじゃないかと思うんです。傍観しているだけではいけないんじゃないかと思うんですが、その辺についてどういうふうに農林省はお考えか、お願いいたします。
○政府参考人(須賀田菊仁君) ただいま申し上げましたような原因を分析いたしまして、やはり組合員農家に安定的な価格で資材等を供給するという農協本来の使命を果たすことが重要ということで、現在、系統とも協議をしているところでございます。 系統の方では、一つはやはり物流を、物流コストが高いという批判にこたえまして、広域集中システムの構築ということで物流コストを削減すると。具体的には、全国事務集中センター一カ所を設置し、そして全国の配送拠点を三百カ所に集約をして、これまでのような全農、経済連、単協といったような物流を著しく効率化してコストの削減を図るということが一つでございます。それから、大口の利用者、担い手の方々に対してロットとか配送形態を考慮して有利な価格帯、まあ割引でございますけれども、そういうものを設定する。それから、低コスト資材の拡大のために、営業努力でございますとか近代的設備に更新していく。この三点を中心にして、平成十七年度までに最大で二割程度の価格引き下げというものを目標にしたいということを系統も申しております。 我々としても、そういうような努力を、取り組み状況を定期的にチェックしながら、着実に改革が進展するということを期待しているところでございます。
○岩本荘太君 よろしくお願いしたいんですが、農業者はなかなかいわゆる商売人になり切れませんし、商売人であってはやっていけないのが農業だろうと思いますけれども、かといって実際に生活をしているわけですから、厳しい世の中との対応といいますか、その接点として機能するのが農協の役割だと思いますので、それを指導されているのが農林省かと思いますけれども、時代はどんどん変わっていくわけですから、その時代に合わせたそういう指導をぜひお願いいたしたいと思います。 それと、次に、農協合併といいますか、合併助成法がたしかことしの三月で切れたというようなことでございまして、これは随分前から相当力を入れて農協合併というのはやられたと。私の理解では、これは例えば共済とか信用面、先ほど大臣は、営農指導面でもいろんな広い方が、いろんな専門家がおるというような、確かにそういう御指摘もあると思うんですが、どちらかというと信用面とか、そういう面の安全性その他でスケールメリットがあると私は思いまして、そういうものに協力してきた身ではございますが。 きのう、ちょっとレクのときにお聞きしたら、共済は全国一本化しているけれども、JAバンクですね、私はJAバンクは最近組織がえして名前を変えましたのでてっきり統合されているものと思っておりましたら、何かそうでもないと。今回のこの法改正も、中金の役割を見ると必ずしも一本化するようなことは書いていないと思うんですが、相当世の中でもJAバンクと言って宣伝されている。これは競争の厳しい時代ですから当然のことだと思うんですが、私が考えていたのとちょっと違うような印象を受けておりますので、その辺、今、JAバンクというのは統合化されているのかどうか、いわゆる業務の運営はどんなふうな仕組みになっているのか、それをひとつ御答弁いただきたいと思います。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 現在、金融面、いわゆる信用事業面での系統の現況は、まず単協が組合員農家から貯金を受け入れまして、自分のところで運用し切れなかったものを信連に預け、信連が自分のところで運用をして、運用し切れなかったものを農林中金に預ける、そして農林中金が外部経済との接点に立って運用してこれを順次還元をしていくという、資金の流れは一つの系統というふうになっているわけでございます。 ただ、やはり住専の反省後、信用事業を中心に組織の二段化を要請していたわけでございますけれども、やはり一つ一つが独立性を持って資金運用をしておりますし、あるいは農林中金の要求するようなきれいな、不良債権のない形態にあるという信連が少ないというようなこともあって、なかなか組織の二段化というのが進まないということで、大変頭を悩ませている点でございます。 ただ、各単協、各信連がばらばらに資金運用をしておりますために、能力を超えた運用をいたしまして破綻をするというケースが見られるわけでございます。 今回はこういうことに対処をいたしまして、一つは、名実ともに一つの金融機関となるようなシステムとして農林中金を中心に信用事業の自主ルールというものをつくりまして、それに基づきまして問題農協を早期に見つけまして、事業譲渡でございますとか合併でございますとかの指導をする体制にするということを一つの柱として改正をしているところでございます。 そのほかに、やはり破綻のないような運営をするということで、農林中金が中心となりまして、全国一元的なコンピューターネットワークシステムというのを、まだできていないというのが金融業界の中ではちょっと手おくれのような気もしますけれども、今回、全国一元的なコンピューターネットワークシステムというものを構築して、全国で統一的かつ高水準の貸出審査等の金融業務を行えるようにすることによりまして、実態を伴った真のJAバンクシステムというものを確立することを目指しておるわけでございます。一方において、組織の二段化ということも鋭意努力することとしているところでございます。
○岩本荘太君 そうしますと、合併というのは何のためだったのか、単協の合併によって片づけようとするだけのものだったのかなという、ちょっと元気の出ないような感じが、私が考えていた印象とは異なるような感じがするわけでございます。 それで、今のお話で、結局何かやるようなお話がございましたけれども、負債の温度差といいますか、差は随分あると思うんですね。だから、そういうものを解決するために、いわゆる信用事業みたいなものはスケールメリットを求めるような、そういうものに進まなきゃいけない。それは、現実にそういうものがあるからできないというのは何かちょっと逆のような考えがいたしますので、そういう信用等はその辺でしっかりと統合といいますか、そちらの方に私は向かってもらうべきじゃないかなと思うんですけれども、大臣、その辺、どうお考えですか。
○国務大臣(武部勤君) 農協の合併というのは、先生御指摘のように、さまざまなスケールメリットを求めているものだと思うんです。同時に、さまざまな事業運営体制の強化、人員あるいは施設の効率化など、コストダウンというようなことも当然でありますし、信用事業についても、今先生御指摘のようなことを想定して、今、努力の過程にある、かように思っております。特に営農指導などについては、先ほど来御議論がありますように、人材がどちらかというと偏っているという現状を考えましたときに、小さいところと大きいところですね、そういった面では大きな期待ができる、このように思っております。 これから、まだ過程にあるということを私、先ほど申し上げましたが、農林水産省としても、さらに農協の本来のあり方ということに照らして、多様化、高度化によって組合員のさまざまなニーズにこたえられるようにしていかなきゃなりませんし、また組合員のニーズだけじゃないと思うんです。これは、国民や社会の農協に対する厳しい目もありますし、理解と協力がなければ成り立っていかないということを前提に今次の合併に対する期待があるんじゃないか、かように考えております。
○岩本荘太君 要するに、いろんな難しい問題はあると思いますけれども、やはり農業所得、これは御存じのとおり減る一方ですから、それだけ考えたら農家の経済というのは非常に厳しいと思うんです。それを打ち破るのは、たしか大臣も、二次産業、三次産業、例えば流通とかサービス、そういうものを取り入れてということで、そういうことによって農村に回るお金なりそういうものも変わらなくしなきゃいけないのじゃないかと思うんですけれども。そういうことも含めて、難しい問題があると思いますけれども、より農村の活性化のためにひとつよろしくお願いしたいと思います。 それと、合併で、先ほども出ましたけれども、営農指導といいますか、そういう面で確かに専門分野の人を一つの農協が広く抱えられるというメリットはございますけれども、今、合併と逆といいますか、いわゆる営農の面からいきますと物すごい地域性が求められているんですね。先ほどの能登わかばの話も、あれはたしかネギだったと思うんですけれども、あれも一つの地域で、あそこは合併した後でもそういうことを取り入れたわけです。 一般的に見ますと、やはり営農指導の面からいくと、焦点を当てる地域がだんだん小さくなってくる、小さくしなくちゃいかぬ、その特性を生かさなきゃいかぬというふうに変わりつつあるように私は思うんですが。そういう点から見ますと、合併とちょっと方向が逆のような感じがいたしまして、片や合併をしなきゃいかぬ、片やそういう地域性を重視しなきゃいかぬという二面性を持つ。 これは大変難しいことかと思うんですが、そういう面について農林省の方ではどういうふうにお考えになっているか、御所見をお聞きしたいと思います。
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先生おっしゃるように、合併自身は、信用事業でございますとか、共済事業を中心とした事業基盤を強化するでございますとか、あるいは施設を効率化してコストダウンを図るでございますとか、そういう意味でこれは非常に有効な手段になっているわけでございます。 一方で、営農指導について見ますと、やはり先生言われるような地域性、しかも地域の特徴を生かした高付加価値化、こういうものを目指すということが一つの方向でございますので、営農指導は広域合併によりまして組合員との関係が一般的に希薄化する、特に営農指導については業務運営体制の効率化ということでさらに不十分になるという批判が寄せられているわけでございます。 そして、営農指導員の数がふやせるかという話でございますけれども、やっぱり営農指導というのは組合員の賦課金で主として賄われておりますものですから、組合員の負担もそうかけることができないということで、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、その中の質の充実ということで、普及組織の協力を得、またITではございませんけれども、担い手等のネットワーク化を進める、そしてマーケティングだとか、あるいは消費地へ店舗を設置する等々、そういう支援体制を整えて、中の質の向上を図っていくという方向で対応したいというふうに考えている次第でございます。
○岩本荘太君 なかなか苦しい御答弁で、私もそれですべて納得するわけじゃないんですが、今の段階では問題として指摘させていただくだけにしておきます。 最後に、農協に限らないで、農業政策といいますか、そういう面で私なりの考え方をちょっと申し述べさせていただきまして、大臣の御所見をお聞きしたいんです。 というのは、やっぱり今、地方分権の時代で、農業についても地方中心型ということで、もっと施策をつくる場合もそういうふうな方向に行った方がいいんじゃないか。今、農産物の地域性もいろいろありますし、消費者のニーズもいろいろ変わってきています。国がいわゆる地方分権と言っているのは、今は全国一律でやれない時代で、地方のそれぞれの思いどおりにやらないとなかなか満足感、幸福感が得られない。それが国としてとっぴな方向に行けば別ですけれども、そういうことにならないように機能するのが国じゃないかという思いがいたしまして、そういう面で、農業についても、いい例かどうかわかりませんけれども、例えば減反の方針、これは中央が出すと物すごく反発が出るし、反発しやすいわけですね。 それと、中央が計画を立てるときは全国を同じようにやらなきゃいけない。そうするとどうしても、あいまいと言っては失礼かもしれませんけれども、そうならざるを得ない。逆に言ったら、農業のいろんな面で地方から声を出させて、地方を中心にして、それを先ほど言いました地方分権の考え方で、全国ベースとして見たときにおかしな方向に行くか行かないか、それだけを中央でチェックするという方が、農水省としても例えばその地元、ほかの地域に説明するのに、あそこはこういう事情があるんだということで言いやすいんじゃないのかなと。 自分のところですべて何でも、農林省ばかりでない、全中なり全農もそうかもしれません、そういう農業団体の中央もそうかもしれませんけれども、むしろ上からやるんじゃなくて、下からやったやつを調整するという、そういう方向に私は行くべきじゃないかと。 言うはやすく行うは難しいと思います。それは地方の認識もあると思います。地方がどのぐらいそういうふうに動くかどうか。これは私も自分の地元では随分そういう話をしているんですけれども、なかなか正直言って動きません。動かないですけれども、だんだん、徐々にではあってもこの改革の時代にそういうふうな方向に農業も行くべきじゃないのかなと思うんですが、その辺、大臣の御所見をちょっとお願いいたしまして、質問を終わります。
○国務大臣(武部勤君) 経済の論理からすれば、市場原理ということで競争政策をどんどん取り入れてやっていくということが活性化の原動力になる、このように思うんです。 しかし、そういう意味では、農協などのあり方ということについては大いに見直しをしなきゃならないというようなことで今回法改正をお願いしているわけでありますけれども。特にこの中で大事なのは、公共の原理ということを忘れちゃならないと思うんですね。これは国民の皆さん方の理解と協力を求めていかなきゃなりませんけれども、やはり地域を支えているというのが農協の存在価値として非常に大きい、このように思います。 でありますだけに、農林水産省が中央からメニューをつくってこれを提示して無理やり食べさせるというやり方ではなくして、地方分権というよりも、遠藤副大臣あたりは地方主権ということを盛んに言うんですけれども、一人一人が自立することによって地域が自立していくということになれば、やはり地域が自立していくということで国全体がよくなっていくんだという意味では、今の先生のお話は全く同感でして、今後の農林水産行政の上でそのことを十二分に考えて、全国画一的な政策展開にならないように、それぞれの地域の自立性というものを、自助、自主ということを尊重した農政の展開に努めていきたいと思います。
○岩本荘太君 どうもありがとうございました。 以上で質問を終わります。
○委員長(太田豊秋君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。 農業協同組合法等の一部を改正する法律案の修正について郡司君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。郡司彰君。
○郡司彰君 私は、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党及び社会民主党・護憲連合を代表して、農業協同組合法等の一部を改正する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付をされております案文のとおりでございます。 これより、その趣旨について御説明申し上げます。 近年、我が国の農業及び金融をめぐる情勢は急激に変化しており、農協系統組織の体制整備・体質強化を行うことが重要な課題となっております。 このため、政府原案におきましては、組合員の多様なニーズに対応した事業運営が確保されるよう、組合の業務執行体制を強化するための各種の改正が行われております。 しかしながら、今回の改正が真に農業者の利益の増進につながっているのかどうか、一定の期間が経過した後に検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとする必要があります。 修正の内容は、法律案の附則に、「政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後の規定の実施状況等を勘案し、組合員である農業者の利益の増進を図る観点から、組合の役員に関する制度の在り方、組合の事業運営の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」との検討条項を追加することであります。 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○委員長(太田豊秋君) これより両案並びに修正案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○須藤美也子君 私は、日本共産党を代表して、農業協同組合法等の一部を改正する法律案及び農林中央金庫法案に反対の討論を行います。 農協改革で最も大切なことは、組合員が主人公の視点に立って組織、事業を見直していくことです。ところが、政府案はこれら協同組合の基本原則、民主的運営原則に反するものとなっています。 反対の第一の理由は、業務執行体制強化のために、信用事業を行う農協に三人以上の常勤理事を置くことを義務づけることです。これでは、非合併・小規模農協をつぶそうとするものです。広域合併しなければできない無理な業務体制を義務化して、合併を強制するものです。 第二の理由は、経営管理委員会に関して、これまでは定数五名以上ですべてのメンバーが正組合員としていましたが、これを外して准組合員や員外にも認め、さらには代表理事の選任権も与えることです。組合員の代表でもなく、組合員によって選ばれた者でもない理事が代表として日常業務の最高責任者になることは、農協の民主的運営を形骸化しかねないものです。 第三の理由は、中央会と農林中央金庫の機能、権限を強化することは、組合員主体の農協運営と単位農協が主役の系統組織という協同組合の民主的運営の原則に逆行するものと言わざるを得ません。当面する金融情勢への対応策とはいえ、中央集権的に早期発見、早期是正のための自主ルールによって経営困難な単協が行う信用事業の権限を奪い、強権的に信連や隣接農協に合併や事業譲渡をさせ、さらにその勧告に従わないときには除名まで行おうとすることは、協同組合にあってはならないことです。 次に、農林中央金庫法案についてです。 今回の改正の中心をなす業務範囲の拡大は、従来の貸出先業種を会員団体中心に限定列挙するやり方から、会員以外の業種限定のない貸し出しを農林水産大臣の認可で認めようとするものです。これは、野方図な融資につながる可能性を拡大するとともに、農林中金の系統金融としての性格を変質させることにつながり、賛成できません。 なお、総則で農林中央金庫の農林水産業の位置づけを明確にしたことは賛成できますが、業務範囲の拡大の問題点が大きい以上、法案全体には反対するものです。 なお、農協法の修正案について、政府案により講じられる措置を実行する立場から五年を目途に点検、見直そうとするもので、賛成できません。 以上で両案についての反対討論を終わります。
○委員長(太田豊秋君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 それでは、これより農業協同組合法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。 まず、郡司君提出の修正案の採決を行います。 本修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(太田豊秋君) 多数と認めます。よって、郡司君提出の修正案は可決されました。 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。 修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(太田豊秋君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。 以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。 次に、農林中央金庫法案について採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(太田豊秋君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(太田豊秋君) 漁船法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。武部農林水産大臣。
○国務大臣(武部勤君) 漁船法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 漁船法は、漁船の建造等の事前許可制度と漁業に従事している漁船の登録、検認の適切な実施を通じて、漁船の用途、性能について確認を行い、不適切な建造計画を排除するとともに、無許可操業漁船の出現を未然に防ぐことにより、漁業調整に貢献してまいりました。 しかしながら、近年、省エネ化による漁業支出の低減、漁獲物の鮮度を維持するための高速化等を図るため、漁船の長さが長くなる傾向にあり、漁業の許可を行う者と漁船の建造等許可を行う者が一致しなくなってきているため、建造等許可の申請先の統一による手続の円滑化及び漁業者負担の軽減が求められているところであります。 また、平成十二年三月三十一日に閣議決定されました再改訂規制緩和推進三カ年計画において、都道府県知事が行っている漁船工事完成後の認定及び登録票の検認について、第三者機関による統一的な実施を含め検討を行い、平成十二年度以降早期に措置を講ずることとされております。 このため、漁業者の負担を軽減し、また、規制緩和に資する等の観点から、建造許可制度及び漁船登録制度の見直しを行うこととし、この法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、建造、改造及び転用の許可の対象となる動力漁船の区分の見直しであります。 農林水産大臣及び都道府県知事が行う動力漁船の建造等の許可について、これまで長さ十五メートルを基準としていた区分を見直し、漁業許可を要する漁業に従事する漁船については、漁業許可を行う行政庁が建造等の許可を行うこととしております。 第二に、漁船の登録票の検認期日の延長であります。 登録をした漁船及び登録票について、都道府県知事の検認を受けなければならない期日を、現行の三年から五年に延長することとしております。 第三に、指定認定機関についてであります。 農林水産大臣または都道府県知事は、指定認定機関に、動力漁船の工事完成後の認定の業務の全部または一部を行わせることができるものとすることとしております。 第四に、指定検認機関についてであります。 都道府県知事は、指定検認機関に、漁船の登録票の検認の業務の全部または一部を行わせることができるものとすることとしております。 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○委員長(太田豊秋君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本案に対する質疑は午後に譲ることといたします。 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。 午前十一時四十三分休憩 ─────・───── 午後一時三十分開会
○委員長(太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、加納時男君が委員を辞任され、その補欠として亀井郁夫君が選任されました。 ─────────────
○委員長(太田豊秋君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 漁船法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に水産庁長官渡辺好明君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(太田豊秋君) 漁船法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○谷林正昭君 民主党・新緑風会の谷林正昭でございます。 いよいよ水産の方に審議が入ってまいりまして、私の出番となってまいりました。これまでは郡司理事がやっていたんですが、私は魚津市出身で、前の大臣にもちょっと言ったんですが、魚津という魚のつく町でございまして、全国に四つしかない自治体の出身でございます。あわせまして、そういうこともありまして、私は演歌が大好きでございまして、カラオケへ行けば大体演歌、北島三郎、得意なのは「北の漁場」でございます。 そういうこともありまして、きょう質問に入る前に、何を食べようかなと思って、昼飯を実は魚たっぷりの握りずしを食べてまいりまして、少しでも気持ちが水産に行こうというふうな思いで今、立ちました。少し気合いを入れていきますので、三十分間でありますが、よろしくお願いします。 まず、漁船法が参議院先議ということで審議をされます。この後、水産基本法関連法案が回ってまいりまして、まさにこれからの日本の漁業のあり方を真剣に議論する、そういう基本法を含めた議論の展開がされると思いますし、漁業に携わる人あるいは流通に携わる人たちが、国民全体が関心を持ってこの審議を見ているというふうに私は思いますし、それにこたえるような審議をさせていただきたいと思います。 そこで、漁船法でありますが、漁船法の目的の中に「漁業生産力の合理的発展に資する」というものがございます。ところが一方では、これからの漁業は二百海里というものを無視できないということになってきますし、二百海里内の資源の保存という責任もついて回ります。 北島三郎の「北の漁場」の中に、二百海里ぎりぎりに網をまいていくという歌詞もございます。そういうことを思いますと、この二百海里時代にあって水産基本法が出る、その二百海里というところにあって水産資源の管理、確保ということになってきますと、この漁船法はどういうふうなかかわりで貢献をしていくのか。単に規制緩和だけでこれをやるんだ、あるいは地方分権で少しでも漁民の方の負担の軽減ということだけでは私はないと思います、この漁船法の果たす役割は。 そういう意味で、もう一遍、大臣の方から、漁船法の果たす役割、これについてお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(武部勤君) 先生がサブちゃんを愛唱しておられるということは、私と全く趣味が一致しておりまして、一度お手合わせをお願いしたい、かように思いますが。 今、先生お話しございましたように、二百海里時代になりまして、四万五千平方キロメートルの二百海里内における資源をどのように守り、育て、そして、この資源に見合った操業秩序、つまり資源管理型の漁業を定着させていくかということが日本の水産の道しるべだと、かように思います。 そういう意味では、漁船法は、漁獲努力量の重要な要素である漁船の隻数、総トン数、馬力数を管理するものでございまして、今回、TAC制度に加えて、漁獲努力量を管理するTAE制度を新たに導入することとしておりまして、TAE制度が機能するためには、漁獲努力量を正確に把握する必要があるわけでございます。したがいまして、資源管理の面で漁船法の果たす役割は一層重要になってきていると、かように思います。 なお、漁船法につきましては、今回の改正によりまして、漁船の建造等許可の区分を見直し、漁船の建造許可を行う者と漁業の許可権者とを一致させることとしておりまして、漁業許可権者が漁獲努力量の把握をより的確に行うことができるというところが非常に大きな意味を持つと、かように存じます。
○谷林正昭君 非常にこれからも大事な法律だという認識、私も持っております。 それで、ちょっとこれは通告していないんですけれども、このTAE制度、水産庁長官、これは言いにくいんですね。TAC法のように何かそういう略語はないんですか、今のところ。
○政府参考人(渡辺好明君) 私たち庁内では、日本の女性の名前、タエと言っております、タエ制度と。ちょっと言いにくいかもしれませんが。
○谷林正昭君 それでは、これからタエ制度ということで、命名は水産庁長官がつけられたということで。これまで全部ティーエーイーと言っていたんです。言いにくいんです、正直言いまして。 それじゃ、タエ制度という言葉を使わせていただきますが、今大臣がおっしゃいましたように、これからのタエ制度だとかTAC法、こういうことにあわせて、あるときは休船をしたり、あるときは漁業を休んだりというようなことが必要になってまいります。そういうときに、今、大臣漁業許可漁船というのと知事許可漁船という、そういうものがございます。とる魚によって、とる手法によっていろいろあろうかと思いますから、これからそういう検認制度、認定、検認、そういうことになってきますと、この隻数というのがちょっと問題になってくると思いますので、今、大臣許可船数と知事許可船数、どれぐらいありますか。
○政府参考人(渡辺好明君) 年々の推移で申し上げますと、建造許可は、平成十一年で大臣許可をしたものが三百六十三件、それから都道府県知事が許可をした船が二千七百九十七件、こういう状況でございます。 ちなみに、ちょっと平成三年からの数字で申し上げますと、累積数が大臣許可の建造許可で二千三十隻ございますけれども、その二千三十隻の中で、漁業の方での大臣許可が四百九十五隻、それから知事許可の漁船が千八十八隻ということになっておりまして、ここが、先ほど大臣が御説明申し上げました、建造と漁業許可の間に一致がないという状況でございます。
○谷林正昭君 今その一致のないやつを今度の法律で一致をさせていく、そういうふうに思います。 それで、重複、許可を二つ持っている船もあると思うんです。これは何隻ありますか。
○政府参考人(渡辺好明君) ただいま平成三年度から十一年度の数字を申し上げましたが、この二千三十隻の中で六十六隻、全体の三%ですが、これが大臣許可と知事許可を両方持っている。事例で申し上げますと、サンマ棒受け網漁業と小型底びき、あるいはイカ釣りというものが重なって許可をもらっているケースがございます。
○谷林正昭君 少なくともこの六十六隻はこれからは便利になるということになりますね。これまでは両方の認定を受けていた、検認を受けていたということなんですね。そういうことを考えますと、少なくともこの六十六隻は、そういう法律改正で負担が軽減されるというふうに思います。後ほどまたこういう数に触れていきたいと思います。 少し勉強させていただきましたところ、二百海里時代にあって、一隻の船で一つの種類あるいは一漁法しかできないというのがこれまでの大体のパターンでした。ところが、これからのことを考えたときに、この魚がとれないときはこの魚をとろうとか、そういう一隻の船で何種類もの魚をとれるようにしたらどうかという考え方だとか、いわゆる多目的な漁船、マルチパーパス漁船というんですか、こういうものの開発、導入というものが検討されている、勉強されている、そういうことが出て、勉強させていただきました。 これまでにどれぐらい研究、検討あるいは試験、こういうものが進んで、今後の見通しを聞かせていただきたいと思います。
○政府参考人(渡辺好明君) 今、先生から御指摘がありましたように、マルチパーパス漁船というのは資源管理の時代にふさわしいと私どもは思っております。ただ、この研究を始めましたのが十二年度からでございまして、十二年度、十三年度、十四年度と三カ年間にわたって行う予定にいたしております。 一つの魚種、漁法ですと、やはりどうしてもそこに漁獲努力が集中をいたしまして資源の収奪につながりかねないということで、漁業法の世界でも許可の承継を複数もらえるようにするというふうなこともやっておりますので、そういったことも目指しまして、とりあえず沿岸の船から実態を調査するということで、平成十二年度は沿岸の状況を調べようということでやっております。 十三年度から試みの設計ができるのではないかなというふうに思います。といいますのは、沿岸の漁業は非常に多様でございますので、地域地域で、二つの魚種、三つの漁法というふうな点につきまして実態が違っているものですから、底びきと流し網とか、あるいは底びきとまき網といったようなことで、十二年度は実態調査、十三年度から試みの設計というふうにもくろみを立てております。
○谷林正昭君 私は遅いと思うんですね。やはりこれからのことを考えますと、もう少しスピードを上げて実用化、あるいは漁民の皆さんのニーズにこたえられるような、それがやっぱり国の責任だと思うんですね、役割だと思うんですね。 そういう意味では、お金は余りかからないと思うんですよ。何千億とか何百億かからないと思うんですね。私はすぐできると。あとは研究をやる気があるかないかだと思うんですね。私は、少しでもやっぱり早くやるべきだと、進めるべきだというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(武部勤君) 積極的に努力すべきだと、かように存じます。
○谷林正昭君 ぜひお願いをいたします。 さて、法律改正のポイントであります規制緩和、これについて少し質問させていただきたいと思いますが、まず、規制緩和になるということは、これまで公的機関でやっていたことを民間に代行させるということになろうかと思いますが、そのときにはやっぱり全国各地それぞれのところでやられると思いますが、適正な検認だとか認定というのが大事になってくると思いますので、適正に行われる体制といいますか、適正に行われる体制の担保というものは、何がなかったらだめだとか、ただ罰則だけでは私はだめだと思います。その担保について考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(渡辺好明君) やはりきちんとした基準を公にし、明確にするということなんだろうと思います。今回、法律でも三十一条あたりからその種のことを指定しておりますけれども、指定基準を技術の面、経理の面できちんと客観的なものを掲げること、それから、その法人自身が、機関自身が業務運営規程を持つこと、それから、運用の公平性という点で、例えば公務員みなし規定のようなものを置くというふうなこと、さらには、今先生がおっしゃった、一度指定をされたらそのままということではなくて、定期的にこれをチェックしていくシステム、これを制度上明らかにしたいというふうに思っております。
○谷林正昭君 ぜひ、そういうものが水産基本法の中の漁船法の役割の大きなポイントを占めてくるというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。 その次に、民間に代行させる以上は、民間が採算が合うということも一方では大事になってくるというふうに思いますので、それじゃ、年間にどれだけの認定、検認が行われるのか、あわせて、時間の関係もございますので、その手数料を、今、手数料決まっていますね、これをどのようにしていくとお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(渡辺好明君) 今、認定と検認に分けて御質問がございました。認定の方でありますけれども、現状は大臣認定と知事認定になっております。大臣の認定件数はここ数年三百件台でございます。それから、知事認定がここ数年千二百件台になっております。合計しまして、認定は千五百件台、それから、検認はちょっと振れがあります、九万から十二万ということですが、総じて、過去三カ年平均ぐらいで一年間に十万件ぐらいの検認が行われているという状況でございます。 それから、手数料でありますが、認定のところは、大臣については手数料の定めがございません。したがって無料であります。それから、知事認定のところは、もちろん手数料令等で取れるんですが、取っているところはございません。それから、検認につきましては、おおむね三千五、六百円から四千円ぐらいの水準を定めまして徴収をされているという状況でございますので、さて、この新しい制度になったときに、今まで取っていないところを取れるかということになりますと、そこはなかなか難しいだろうというふうに思っておりますが、検認の方は既に有料で走り出しておりますので、それが引き継がれるものと理解をいたしております。
○谷林正昭君 これは通告はしてありませんでしたけれども、この検認の仕方をちょっと勉強させていただきましたら、今そういう検認する人も少ないということもあろうかと思いますが、何月何日に船集まってきなさいよと言って船を集めて、それをぽんぽんと五分か十分程度で見て回って、そして判こを押して、はい、よしと、こういうふうに理解してもいいんですか。
○政府参考人(渡辺好明君) いろいろなやり方がありますけれども、先生がちょっとお触れになったかと思うんですけれども、各県のこの種の漁船の検査に当たる人員配置というのは大体五人ぐらいです。国の場合で九人だと記憶しておりますけれども、そんな状況なものですから、かなり時間がかかっているケースもございます。 最大で、要するに申請時がそろっていますと、今おっしゃったように何月何日、検査のときに持ってくると早いんですが、それから外れたすぐのときに持ってきますと、例えば一カ月かかるようなケースもまれにはございます。
○谷林正昭君 なぜそういうことを質問したかといいましたら、年間十万件の検認をするときは、やはり三百六十五で割るわけにいきませんから、少なくとも土、日休みということになれば、休みじゃないかな、今の民間は。少なくとも三百日で割るということになれば、相当の数を一日にこなさなきゃならないというふうに思うんですね。本当に大丈夫かなというふうに思ったりもするんですが、そのときに、全国にどれだけのそういう指定する機関を設けるのか、これがポイントになっていると思います。それから、五年に延ばすということになれば、それだけ間隔があくということになりますから、そういう数は要らないかもわかりません。 しかし、全国にどれだけの機関を設けて何名ぐらいの方々がそれに携わってやるのかということがポイントとなってきますし、一番大きなポイントは、どういう人が検認に当たるのか、ここがポイントになってくるような気がしますね。 例えば、水産庁で何かそういう試験をやって、認定者許可証みたいなものを出して、それを持たないと認定できないとか、そういうことになるのか。あるいは、一定の技術があればということになっていますけれども、一定のそういうものがあればということになっていますが、だれがどこで認定してもいいですよということを許可するのかということをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(渡辺好明君) まず機関の数でございますけれども、これは指定要件を客観的なものとして定めますので、数に制限を付する、そういう気持ちはございません。 それから、さっきちょっと私の話が途中になってしまったんですけれども、例えば検査をするときには、日本ですと十キロに一つ漁港があるわけですね。漁協や漁港に集めて検査をするというふうなことで、かなり合理化が図られる面がございます。 それから、検査職員の基準なんですけれども、これは例示として小型船舶の検査をする検査員のケースでございますけれども、例えば教育の程度とそれから実務経験、こういうものを組み合わせまして公示をして、それに合致をしていれば、そういう方が例えば複数いれば検査の職員の要件として充足するというふうな形にしたいと思っておりまして、改めて検査士とかそういう検査資格を公的に設けて資格を付与するというふうなことは今は考えておりません。
○谷林正昭君 私、自動車の車検のようなものを実は頭の中に描いていたんですね、安全面を含めた。船の底に穴があいていないかとか、全部船を回って見るとか、エンジンの調子は、調子というかそういうもの、あるいは排気ガスを違法に出していないかとか、そういうふうに思っていたんですけれども、今長官がおっしゃったような状況でいきますと、これは単なる、登録してある船であるかないかというものをチェックする程度の認定ということになるんですか。
○政府参考人(渡辺好明君) 登録をいたしますと、登録の内容が帳簿に記載をされておりますので、その登録と現況が合っているかどうかというのが一番大きなチェックポイントであります。 例えば、こんな話を申し上げてどうかと思うんですけれども、途中で改造して、二つに割って中に足したりして寸法が長くなっていないかとか、総トン数が登録トン数を上回っているんではないかとか、それから、無線機や漁労機械についてきちんと登載をしているかというふうな、主として設置をすべきものと現況がどうなっているかというふうなチェックが重点になろうと思っておりますので、もちろんその分野に対する知識経験は必要でありますけれども、それを改めて資格認定というふうな形で何々士というふうなところまでやる必要はないのではないかということを申し上げたわけでございます。
○谷林正昭君 よくわかりました。 そこで、今の法律改正の中で、漁業者の負担軽減というのが大きな目玉商品となっています。五年間に延ばす、これはわかります。そのほかに軽減されるものが何かありますか。
○政府参考人(渡辺好明君) 検認が五年に延びるということ、それから漁業許可と認定のところが同じになるというふうなことのほかに、民間でこの認定、検認をやるということになりますと、これは申し上げにくい話ですが、認定待ち日数が短縮をされるとか、先ほど先生がちょっとおっしゃっておられた土、日にも検認作業が多分民間であれば行われるのではないかといったようなことがございまして、通常、漁労はウイークデーにやって土、日休むというふうな漁業の形態であれば、むだな日にちを費やすことなく認定、検認が受けられるのではないかというふうなことも想定をいたしております。
○谷林正昭君 漁船を使って漁業をするというのがこの基本でありますから、一番大きな道具でありますから、一番大事なものでございますので。 今、質問を繰り返しているうちに一つ思いついたのは、漁船というのは、何年たったら廃船にしなさいとか、そういうのはあるんですか。済みません、ちょっとこれは通告してありませんでしたけれども。
○政府参考人(渡辺好明君) 俗に言われる、このぐらいでそろそろというふうな話はあるんですが、何年たったら廃船の措置をとるというふうなことはありません。イカ釣りの船ですと、もう二十年たったからそろそろかえなきゃいけない、代船建造の時期に来たというふうな話は聞きますけれども、現在の漁業の状況ですと、むしろ皆さん、延ばし延ばしにしているというのが、なかなか代船建造ができなくてというふうなのが現状でございます。制度的に何年たったら廃船ということはなくて、きちんと検認をしながら何とかもたせているというのが現状でございます。
○谷林正昭君 なぜこういうことを聞いたかといいましたら、やっぱり古くなればかえたいという思いが出てくると思いますし、イカ釣り船でも、話を聞きますと、隣の船が明るさを倍にしたらイカがそっちの方へばかり行って、それに負けないようにまた明るさを強くしたらというような、もうイタチごっこみたいなことをしておるという話も実は聞きました。 そこで、私の方は、船をつくり、あるいはかえる、そういうときに、水産基本法のときにも議論させていただきますけれども、これからの水産業は担い手の確保というものが第一だということはうたっているんですね。ところが、肝心かなめの、どうやって担い手の確保をしていくか、これが余り読み取れないんですね。水産基本法のときにもう少し議論をさせていただきますが、今この漁船法の質疑をするに当たっていろいろ聞いてみました。 そうしたら、若い人たちというのは、例えばトラック運転手、私はトラック運転手出身ですから、トラック運転手をやろうという人が、ドイツ車のトラックに乗せてくれとか新車に乗せてくれとか、ワンマン運行ですから、そういう居住性を大事にしながら、そういうところに人が集まってくるんですね。そして、給料は安くてもいいから、そういう車をあてがわれた人が頑張る、そういうようなことなどもありまして、今思っているのは、今度は漁船というものも、担い手ということを考えた場合は、やっぱりそういう若者に魅力のあるような漁船、口で言うのは簡単ですけれども、なかなかそんな簡単なわけにいきませんけれども、そういうような漁労環境の改善の中心はやっぱり漁船に置いて今後考えるべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(渡辺好明君) 私は三つぐらいのことを考えておりまして、一つは、やはり労働がきついということから、労働の省力化をするということ。それから、今先生がおっしゃられた居住性。居住性の問題については、居室は一人当たりこれぐらいまでとらなきゃいけないというふうな指導は実はしているんですが、実際上はやはりどうしても魚の方を優先しますので、ぎりぎりのところまで縮めてしまうということが行われます。そして、何よりもやっぱり所得がきちんと得られない限りは、そこに魅力がないわけですので、そういう三つの側面から、これからいろいろと経営合理化をしていかなければならないのではないかなというふうに思っております。 非常に歩みは遅いですけれども、遠洋の船であれば、カツオにしてもマグロにしても、カツオの自動カツオ釣り機とか、それから、冷凍したものをリフティングしておさめやすいようにするとか、それから、はえ縄を自動的に巻き取る機械とか、そういうものは研究をしておりまして、きついという部分の改善は進んでおりますが、快適というところまでまだ進んでいないのが現状でございまして、そういうところにも力を注ぎたいと思っております。
○谷林正昭君 残り時間が少なくなってまいりましたが、伺うところによりますと、水産庁の予算の六割以上が、六割六分かな、六割五分かな、漁港の整備の方に、漁場の整備に使われているというふうなことも聞きました。漁港法が回ってきますが、これは質疑なしでやろうじゃないかという今、理事会で話をしていますけれども、この際、言わせていただきますが、別にそこにお金を使うなという意味じゃありません。 大臣、今ほど言いましたように、これからはやっぱり、担い手の確保だとかそういうことを含めたときは、本当にやっぱりお金をつぎ込むところにはどんどんつぎ込んで、そして早く体制を整える、そして新しい水産業の出発点とする、こういう気持ちで基本法を審議するというのが私は大事じゃないかなというふうに思いますし、二十一世紀の漁業、水産業、そういうものの発展のためにも大事じゃないかなというふうに最後に申し上げまして、大臣、所感があれば一言お願いいたします。
○国務大臣(武部勤君) 今後、水産基本法の御審議をお願いする際にもいろいろ御論議いただきたいと思いますけれども、やはり資源の問題、そして、これをどう育て、守るかということに加えて、担い手ですね、水産業の担い手というものをいかに確保していくか。そのためには、漁労環境の改善ということも大事な施策として我々は真剣に考えていかなければならない、かように存じます。
○谷林正昭君 終わります。ありがとうございました。
○山下栄一君 最初に、時間が限られていますので、民間機関の活用、この問題を取り上げたいと思います。 漁船法改正の目的は、規制緩和に資する、それから、漁業者の負担が軽くなるというようなことがこの提案理由に書いてあるわけですけれども、そうなるのかなというふうに疑問を持ちました。 船の工事、建造その他工事をして、完成後、認定すると。認定のところで民間機関の活用と。登録は、そこは活用しないですけれども、今度は検認という手続のときに民間機関を活用すると。 〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕 先ほどもちょっと質問がありましたけれども、民間機関として手を挙げる可能性のあるのはどれぐらい考えておられるのか。どんな方々が手を挙げるのかな。こういう作業は、船はどんどん減っていく。漁船がどんどんふえていくということは考えられない。もっとわかりやすく言ったら、県ももうもてあましている仕事と違うかなと思うんですね。そういうのを民間に押しつけるみたいなことにならないのかな。 何か基本的な疑問がありまして、どんなところが手を挙げるのか、どんなところを想定されているのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○政府参考人(渡辺好明君) 漁船を、通常の船舶でもいいんですけれども、建造しているメーカーの例えば技術者の方々が一定の組合のようなものをつくって検認部門を扱うというふうなこともございますし、それを専門にするということでなくて、一定の株式会社がこの業務をあわせ行うというふうなこともあり得ると思いますし、中には、公益法人の中でこういう漁船関係のものをやっているところが手を挙げる可能性もあるというふうに思いますが、現状では特にどれというふうなことは決めておりませんで、道を開いて、そして事態の推移を見ながら手を挙げてもらいたいなというふうに思っております。 といいますのは、十万件、これは検認期間が延びますから五分の三になりますけれども、十万件という件数は非常に多いわけであります。全国に散っておりますので、できるだけ近場でそういうことができるというふうになれば、漁船を所有される方々にとっても利便があるのではないか。民間に押しつけるということではなくて、民間を指定してそこに行わせることもできるということでございます。
○山下栄一君 私は、ほとんど手を挙げるところはないんじゃないかなというふうに思います。 造船業界で何かつくってそこでやるとか、この認定とか検認の事業だけで手を挙げるところなんて、もうそんなの採算が合わないと思う。今おっしゃったけれども、知事の認定は千二百件でしょう。検認の方は、これは三年から五年に延ばすわけだから、毎年減るわけですわな。十万件じゃなくて七万件以下になるわね。余りふえへんと思うね、僕は。そんなの、どんどん手を挙げる部門じゃないと思うんですよね、僕の感想は。だから、これは競争原理なんて働かないと思う。 特に私は、便利になる利便性はあるかもわからぬけれども、そんな全国展開するような業界なのかなと思いますけれども、少なくとも費用面では安くならない、なりようがないというふうに思うんです。 それどころか、例えば、先ほどもちょっと触れられましたけれども、今、認定料はただですよね。これ、認定料をただでやらせるわけにいきませんわな、民間にやらせたら。どうするんですか、これは。
○政府参考人(渡辺好明君) まず、前段のところでありますけれども、御承知かと思うんですけれども、浜々へ行きますと小さな造船所がたくさんございます。そういうところが集まって、この検認作業をやりたいというふうな声は一部あるわけでございます。 俗な話で申しわけないんですが、ガソリンスタンドをやっているスタンドが民間車検をやるというふうなケースもあるわけで、これが独立して全国展開をするというようなマーケットになるかどうかは別でありますけれども、少なくとも、日本全国に散らばっている数多くの漁船について、そういう場を提供することはあり得ると思いますし、検認をすればそれが費用の低減にもつながる、あるいは土曜、日曜にも検認をするというふうなことになっていくんだろうと思います。 それから、認定料の問題ですけれども、先ほど私が申し上げましたように、現在ゼロですから、これを新たに取るというふうなことには多分ならないと思います。そうしますと、これまで国がやっていた、あるいは県がやっていた事業をかわってやってもらうことになりますので、その部分について県なり国が一定額の費用を、業務の合理化ということで、出していくようなことはケースとしてこれから考えられると思います。
○山下栄一君 ということは、認定料を国民が負担するということですね。税金でやるんだということになると思うんですよ、今の話は。 だから、規制緩和して民間参入して競争原理が働いたら普通は安くなっていくのに、規制緩和して国民の負担がふえると。認定手数料を取っていないのを、民間にさせたら取るわけにいかぬから、だれが払うんだと。それは税金で払うんだということでしょう。そうじゃないんですか。税金で払わないんですか。
○政府参考人(渡辺好明君) 釈迦に説法のようなことで恐縮なんですが、国や都道府県がやっておりますとどうしても、それにかかる費用はやや合理的でないものを支出することもあるわけですが、民間におろすことによって本当にかかる部分だけを負担するということになりますから、現在国が負担している部分であっても、現在都道府県が負担している部分であっても、民間にそれをさせることによってもっと合理化が進む余地も私はあると思うんです。 ですから、新たに国民や都道府県民に負担を求めるということではなくて、現在でも国や都道府県がその検定の部分は負担しているわけです。その費用が、民間に道を開くことによってあるいは減っていくことが、合理化をされることが考えられるというふうに私は思うわけです。 その反面で、例えば県や国のその検定にかかっていた費用はいろんな意味で合理化をされ減っていく。こちらが減ってこちらに移る、そのときの移り方が、一〇〇のものが一〇〇ではなくて、一〇〇のものが八〇になったり六〇になったりすることが、民間を活用することによって生じるのではないかなというふうに私どもは考えております。
○山下栄一君 だから、税金で負担するけれども、公務員がやるよりも民間がやったら、結果的には減るのかもわからぬということですね。だけれども、僕はおかしな話だと思いますけれどもね、そういう話は。 交通費なんかも今まであれでしょう、公務員がそこへ行って、これ、現場確認ですよね、どちらも。交通費も今までは税金でやっていた。民間は交通費は要らぬのかな。すぐ近くで歩いていけるところだったらいいけれども、民間といえども、交通費はどうするんですか。
○政府参考人(渡辺好明君) 個々の費用、コストをどういうふうにこれから見ていくのかということは十分研究しなきゃいけないと思います。合理化をし、かかって、それに足るだけの費用を負担していくということになると思います。少なくとも、国や地方公共団体がやるよりは、民間に行わせて競争の余地がある方が合理化努力というものが働くのではないかなというふうに私は考えております。
○山下栄一君 何となく、感想としては、規制緩和という大義名分の一環としてはやるけれども、確かに手を挙げるところがあるかもわからぬ、しかし大げさに、規制緩和でやったというふうなことを言えるような部署じゃないと。それは、仕事はふえることは余りないわけですから。船がどんどんできるんやったらいいですけれども、船は減っていくわけですしね。検認も五年に延ばすわけですから、仕事は減るはずですよね。仕事が減るところに民間参入させるというわけやから、非常にわかりにくい話だなと。感想です、これは。 別の話に行きます。 二点目は、建造等許可と工事完成後の認定ですけれども、これは水産基本政策大綱では、建造等許可制は見直しをして廃止するということが書いてある。これは農水省がつくった政策でございます。ところが、法律ではそうなっていない。なぜそうなってしまったのかということをお願いします。
○政府参考人(渡辺好明君) 大綱の中の前段の部分を先生引用されましたが、「漁船の建造許可制度を廃止し、事前確認制に改める」と、こういう方向で検討したわけであります。事前確認も結果的には実質許可と変わりはないということで、そういうことであるならば、許可制はとりあえず維持をし、むしろその中での合理化を何か図れないかということで、今回、この漁船法の改正ではそこまで踏み込んでいないというふうな状況でございます。 ちなみに、建造許可制度を廃止いたしますと二つの難点が出るというのが私たちの庁内での議論でございまして、一つは、建造後に大きな基準との不一致が出たときに、改めてこれを改造しなければならないということで経済的なリスクが生じること、それから、無登録漁船などによる操業というふうな漁業秩序の問題も生じて、やはりどうしても建造着手前に審査をする必要がこの資源管理の時代においてはあるのではないかなというのが今日までの結論でございます。
○山下栄一君 いろいろ御検討された結果なんでしょうけれども、僕は、二回もチェックする必要はないんじゃないかなと、素人の感覚ですけれども。どうせつくったらチェックされるわけですから、初めからでたらめなものをつくるというようなことは考えにくい。それはもう決死の覚悟でするような話でもないんじゃないかなと。登録してなかったら不法な漁船になるわけですし、登録は絶対せないかぬわけですしね。 だから、工事にかかわるのに、事前と、つくってからと両方せよというようなことは、そんな時代なのかなという、これも感想にしておきたいと思います。 もう一つの質問。 検認という、車検のチェックみたいな、ちょっと違うのかもわかりませんけれども、作業がございます。先ほども説明がありましたけれども。船を登録帳簿に基づいてきちっと定期的にチェックしていく、これは絶対、安全の観点、その他の観点が必要だと思うんですけれども。それともう一つ、船舶安全法、これは所管は農水省じゃないと思うんですけれども、この検査もありますよね。 それで、僕は、これは船舶行政の一元化、もともと一元化の時代もあったようですけれども、いろんな時代の変遷とともに二元的な、同じ船でも漁船だけは農水省でチェックするんですよ、ほかの船、例えばタンカー、これはどこになるのか、経済産業省も関係あるんですか、防衛庁の船だと違うのかもわかりませんけれども、船舶行政にかかわる法律というのは船舶法ですか。それと漁船法。漁船法だけ特別扱いになっている。それに伴って手続も、安全検査を中心としたものは船舶安全法に基づいて国土交通省の所管になる。検認は、これは漁船法に基づいて農水省所管の手続になる。これはもう一本化していいんじゃないのかなと。もちろん、検査機関が違う部分があれば、それを統一するなりして、こういう漁業者の負担軽減ということをやはり大事にせないかぬと。それであるならば、検認のときは農水省の管轄で、検査のときは国土交通省というふうなことを、国なり都道府県も両方だと思うんですけれども、それはもう一本化することを前向きに検討したらどうかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(渡辺好明君) 先生から御指摘がありましたので多くは申しませんけれども、私たちがやっておりますのは、漁業の許可がきちんと船舶という道具を使って守られていくかどうか、そして資源が守られていくかという観点からやっておりまして、それで、認定なり検認の中身というものも、登録の内容と実際の漁船の状態の照合ということであります。船舶の検査は、これは詳細かつ技術的な検査を具体的な項目に従ってやっておりますので、そういう点では内容自身が相当違っているというふうに思います。 ただ、私たちが漁船の所有者から聞いたところでも、むしろ、船舶検査について欧米の基準を受け入れてほしいとか、外国の部品の利用が可能になるようにしてほしいとか、いろいろ要望があります。 それから、船舶検査と漁船の認定なり検認がどの程度実質負担を減らすことができるかということは、ちょうど私たちの許可なりの更新の時期が十四年とか十五年ですから、その時期までにどういうことが果たして実質負担軽減として可能なのか、もう少し勉強させてもらいたいと思います。
○山下栄一君 僕は工夫すればできぬことはないと思いますわ。許可という手続、それから認定の手続は別にあるわけですし、少なくとも検認作業は検査のときにそれを一本化することぐらいはできぬことはないのではないかと。素人の考え方で大変申しわけありませんけれども、ぜひ研究していただきたいというふうに思います。 以上で終わります。
○須藤美也子君 そもそも漁船法の質問をするのは私は初めてであります。恐らくこの漁船法の法案審議というのは何十年ぶりなんじゃないですか。そういう点では初めてでありまして、余り勉強もなかなか時間がなくてできないので、ダブるかもしれません。 〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕 先ほど来、認定、検認の規制緩和の問題が質問されております。これまで、国なり県が民間にその業務をやらせた場合、漁業者にとってどうなるのか。これは、検認が三年から五年になるというのは現場の漁業者は大変喜んでいるわけです。ところが、民間機関のサービス、つまり負担金、検認料ですか、この料金がどのようになるのか、そういう点で漁業者が大変不安を持っております。 現在、認定手数料は取られていなくて、検認だけが先ほどおっしゃいましたように三千六百円。これはそれぞれの漁協に県の職員が出張してやっているからできるわけですね。これが民間になった場合、こういう形では採算がとれないと。こういうことで、民間になった場合はその手数料、こういう検認料が非常に高くなるんじゃないかと、漁業者はこれを心配しております。 その問題と、もう一つは、私の地元でも、この漁業の漁船の問題でなくて、プレジャーボートとかそういう問題でいろいろトラブルが起きております。それは、民間の場合には一つのところに集めると、漁船を。そして、そこで一括して認定したり、あるいは検認すると。こういう合理化、漁船を回すというような、そういうようなことがないのか。そういう点では逆に、民間に移った場合、漁業者にとって大変不利益なおそれがあるんでないかということで大変心配しております。 そういう点で、そういう心配がないのかどうか、今回の法案でこの点をどう保障するのか、この点について長官から御答弁をお願いしたいと思います。
○政府参考人(渡辺好明君) 私たちは、民間参入の道を開くことで、民間が複数になればその間に競争が働きますし、それから民間と地方公共団体の間にも競争関係ができると思っておりまして、そういう意味で、サービスは低下するよりもむしろ向上するのではないかというふうに思っております。 それから、負担の問題でありますけれども、これは今回、民間へ道を開いた場合にあっても、都道府県の条例で、手数料令になりましょうか、その額を決めますので、そういう点できちんと必要にして最小限のものを定めていくということになろうかと思っております。 それから同時に、今回、第三十一条、第三十五条におきまして、きちんと知識を持っている人が認定、検認をしなさい、それから迅速にやりなさいという実施義務を課しております。加えまして、業務規程の中で、認定の場所だとか実際どれだけ時間をかけてやるかというふうなことも記載をさせることになっておりますので、そういう点ではサービスの低下という問題は起こらないというふうに確信をいたしております。 また、漁船の場合には根拠地である漁港がはっきりしておりますので、そこに集まっておりますから、漁協単位になることが多いと思いますが、そこで検査をすることで合理化の余地はまだまだあるというふうに思っておりますし、負担もこれまでよりも多くなるというケースはちょっと想定しにくいと思っております。
○須藤美也子君 認定、検認のこういう業務というのは非常に専門性のある仕事だと思うんです。そういう点で、公正な業務ができるように指導すべきだと。それから、指定基準を甘くして認可するようなことがあってはならないと思うんです。そういう点で、先ほど来お話あったように、民間の企業、企業というか民間機関がそんなに競争できるほど参入するというような形では、私は余り期待はできないというふうに思います。 例えば、県が一たん民間にそれを任せて漁業者の不満が大変高まった、そういう場合は、この四十条関係で、「認定の業務の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとする」云々とありますよね、廃止することもできるわけですね、この民間の機関を。その場合、民間に業務をやらせたけれども、こういう理由で、何らかの理由でこれをできなくなったとき、これは法律の四十五条と四十七条に、国や都道府県が「自ら行う」という規定が盛り込まれていますね。そのような場合に、この規定に基づいて国や県が業務を行うと、こういうことをお約束できるでしょうか。
○政府参考人(渡辺好明君) その点につきましては、制度上きちんと明文化をしておりますので、お約束ができるものであります。 ただ、その前段に、やはり迅速な認定、検認の実施義務だとか、それから行政庁の認可を受けた業務規程に基づく業務の実施、基準に適合しなくなった場合の適合命令という前段の手続があって、きちんとやりなさいよと。それでだめならば、指導をして、取り消しをした上で国や都道府県にもう一度引き揚げるということになります。
○須藤美也子君 もともと国や県が許可をした漁船なわけですよね。その認定、検定をみずから行うのが私は望ましいと、こういうふうに思います。せめて、指定機関の業務がうまくいかなかった場合、国や県が最低の備えをしておくと、こういうことが必要だと思うんです。 大臣、この法律は農水省、国の責任で提出されているわけですね。民間指定機関に任せて、手数料の不当な値上げや、漁業者にとって検認、認定の不都合、そういうことが起きた場合、法律の運用の責任上、農水省は適切な指導を行うのかどうか、その点どうでしょうか。
○国務大臣(武部勤君) 現行漁船法において、工事完成後の認定、登録漁船の検認等は自治事務とされております。今回、新たに設けられる都道府県知事の指定認定機関や指定検認機関に対する指導監督についても自治事務ということになります。 したがって、民間機関に業務を行わせる場合も含め、認定、検認に関する業務については基本的には都道府県が責任を持って指導するものでありますが、必要がある場合には、農林水産大臣は他の自治事務と同様に、地方自治法に基づいて技術的な助言や勧告、是正の要求を行うことができる。 したがいまして、これらの措置により、都道府県の認定、検認業務の適正かつ円滑な実施が図られるよう努めてまいりたい、かように存じます。
○須藤美也子君 漁業者へのサービスの低下にならないように国が強く指導することを期待いたしまして、次の質問に入りたいと思います。 漁船労働の安全問題で質問したいと思います。 非常に不幸なことですけれども、最近、海中転落による死亡、行方不明者は年平均百七十五人、うち漁船が百十人、六割を占めています。また、衝突事故による海難の死亡、行方不明者は百九十一人、そのうち漁船が百九人、これもまた半数以上です。 安全対策は総合的なものですけれども、その中で救命胴衣の着用問題、この三月に小型船舶用救命胴衣の常時着用化に関する評価検討会の提言が出されました。 漁業者にとっては、救命胴衣を着て漁労作業をするのは確かに大変なわけだと思います。しかも、漁業者は大変誇りを持っていますから、絶対海には落ちないと、そういう事故はないと、こういう信念も一方ではあると思います。そんなものをつける必要はないと、そういう海の男というか、そういうあれがあると思いますけれども、実際はこれだけの死亡者が出ているわけです。そういう点で、漁協を通じて救命胴衣ですか、そういうものを着用するように啓蒙普及というのが、提言にもあるように、非常に重要だと思うんですけれども。ところが、救命衣は一万円から二万円の負担があるわけです。これは非常に漁業が低迷している中で大変な負担にもなっていると思います。 そういう点で、農水省として、国土交通省と連携した救命胴衣の改善、あるいは啓蒙普及活動、負担の軽減への援助についてどういうふうに考えているのか、その点をお聞きしたいと思います。
○政府参考人(渡辺好明君) 先生の御指摘はまことにそのとおりでありまして、現在、漁船の場合、救命胴衣の着用率が、始終着用というのは二八%、全く着用していないというのが三三%というふうな状況であります。 これは意識の問題と同時に、やはり面倒くさい、着にくいというふうなこともあるんだろうと思っておりますので、各種の研修会等を通じましてそういった啓蒙に努めているところでございますし、それから最近、日韓、日中の協定も結ばれまして、同じ海域でやはり競合するというふうなこともございますので、これへの対応の一環として、平成十一年度、十二年度には、私の手元の実績ですと、それぞれ作業安全衣を二万着あるいは二万八千着というふうに助成をして整備しているケースもございます。
○須藤美也子君 国土交通省の技術水準の検討、民間企業の開発を側面から努力していくと。さらに、水産庁の研究所では高性能、転覆防止などの漁船の安全対策についての研究をなさっているようですけれども、救命胴衣についてまで手が回らない、こういう状況じゃないんですか。全国大会を開いているわけですけれども、これも年に一、二カ所ですね。 パンフの作成と、私も、これ、いただいて初めて見せていただいたんですけれども、これを確かに身につけて漁業するというのは面倒くさいと思いますよ、漁業者がこういうのを着て作業するわけですから。ですから、面倒くさくないような、もっと性能のいい救命胴衣を開発する。例えば、国土交通省の扇大臣はみずから何か黄色いようなものを着て宣伝していますよね。ですから、そういう問題も含めて、水産庁としても救命胴衣の講習会等、啓蒙、宣伝、普及、こういうものにもっと力を入れるべきだと思うんですよ。 漁業労働者の安全対策、この予算は十二年度まで四百万円、十三年度で三百二十万円、これしかないわけですよ。これで足りますか、大臣。これで漁業労働者の安全を守れるでしょうか、どうですか。
○国務大臣(武部勤君) 先生、先ほどお話ありましたように、海の男というのは、救命具をつける必要はおれにはないんだという一種の誇りがあるかもしれませんし、別な言葉で言えば面倒だというのもあるかもしれませんが、私は、みずからの命はみずからが責任を持つということが基本だと思いますよ。 私も海難事故なんかを聞いて後で愕然とすることがあるんです。船舶なども近代化され、技術が進んで、ほとんど機械に頼って漁業ができるというようなことになりますと、やはりそこに心の緩みが出て、そして船の上で酒を飲んで、たまたまそのことが影響して海に落ちてしまう、そして死んでしまうというような、そんな話も実際聞いたことがあるんです。これは海の男として失格ですね、そんなことは。 ですから、予算のことはともかくといたしまして、農林水産省としても、海で働く人々というのは陸上労働よりも危険が伴うわけでありますから、漁労の安全対策というものは非常に重要な政策課題だと思います。 したがいまして、このために、水産基本法案においても、基本的施策の方向として、漁労の安全確保、漁業従事者の労働環境の整備、こういったことに対して必要な施策を講ずる、そういうことを明確に規定しているところでございますから、今後こうした漁船の安全対策に関する啓発活動や救命胴衣の常時着用等についても関係省庁や関係団体とも連携をとりながら必要な施策を講じてまいりたいと思います。 私も海に面した町に住んでいる男です。そういうことからして、やはり家族も抱え、そして海に転落したときには全漁民が、組合員がもう寝ずにその捜索に当たらなきゃならないんです。やはり命を大事にするということについて、もう少し徹底した普及活動というものをお互いしなくちゃいけないんじゃないのかなと。 予算の面は予算の面といたしまして、そのことを最大努力していかなくちゃいけないと思いますし、救命具についても、先生御案内のとおり、まだまだ開発の余地があるんじゃないかと。最近、プレジャーボートなどもありますし、それは活発になってきておりますし、そういった面についても関係省庁と連携をとってその開発に努力する必要がある。そのための必要な施策は農林水産省としても前向きに検討したいと思います。
○須藤美也子君 まとめて買う場合、沿岸漁業改善資金が活用できると思うんです。ですから、そういうものも活用しながら、先ほど谷林さんがおっしゃったように、港、漁港に随分と公共事業も使われているようですから、その辺も再検討していただいて、安全のためにもっと力を入れていくと。 例えば、全国漁業者大会のときの婦人部長さんの発言を私は忘れることができません。それは、自分の夫や息子、その息子がようやっと後継者になった、そして遠洋漁業に出ていった。しかし、その奥さんにとってみれば、その息子が本当にこのまま帰ってくるのか、そういうことを何日間も待っていると、こんなふうにして待っていなければならない妻の状況というのを考えてほしいと、こういう訴えがあったことを忘れることができません。 ですから、事故のない明るい浜、そして、救命胴衣をつければ家族の人たちも一応は安心できるわけです。夫や子供を救命胴衣をつけて漁場に送り出すことができるわけです。 そういう点で、前向きの答弁をしていただいたわけですけれども、さらにそういう待っている家族の人たちの気持ちを、誇りを持って出ていく男は男でいいですけれども、歌まであるわけですから、待っている妻や子供のこと、家族のことも考えていく必要があるのではないか、こう思います。 一言あるんじゃないですか、大臣。
○国務大臣(武部勤君) 全く同感でございます。
○須藤美也子君 ありがとうございました。 ─────────────
○委員長(太田豊秋君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、笠井亮君が委員を辞任され、その補欠として八田ひろ子さんが選任されました。 ─────────────
○谷本巍君 初めに大臣に、新規就業者の減少の問題について伺いたいと存じます。 大臣も御存じのように、船員不足で操業ができないという漁船をたびたび見かけるようになっております。そんな状況の中で政府は、例えば遠洋漁業の場合について申し上げますというと、平成十年から外人労働者の活用で、船員の確保と国際競争力にたえ得る経営確立に向けてマルシップ制度を導入されました。平成十二年の三月現在で見てみますというと、この外人労働力は三千三百五十八人に上っていると聞きます。さらにまた、この人数をふやせという声も一部では出ているというぐあいに承っております。 かつての海洋王国日本の漁業がどうしてこうなってしまったのか。日本人の新規就業者の減少の原因をどのようにとらえておられるか、伺いたいのです。
○国務大臣(武部勤君) 先生御指摘のように、遠洋漁業や沖合漁業の漁船乗組員の減少が進んでいるという原因でありますけれども、ただいまも申し述べましたように、漁船員の労働が陸上に比べて、航海の長期にわたること、あるいは家族と離れたものになることのほか、洋上作業という性質上危険が伴う、また労働強度も高いものが多いなどの特殊な内容になっていることが一つあると思います。さらにまた、雇用労賃につきましても、かつては陸上の他産業労働に比べてかなり高い水準であったと思いますが、現在は相対的に低下してきているということなどが考えられると思います。 漁船員の不足に対しましては、これらの漁業部門をコスト削減等の経営改善努力により、より高い賃金を支払い得るような魅力ある産業として発展させていくということが最も基本的な対策であろうと思いますが、さらに労働時間の短縮や船内居住環境の改善、省力機械の導入など、労働条件や労働環境の改善等に努める必要があると考えております。 さらにつけ加えて私見を申し上げますならば、私は、このごろの日本人に、世界観とか社会観とか人生観とか職業観とかということについて問題があるのではないのかなと、これは私の私見でありますけれども、そういうことにも思いをいたしている次第でございます。 特に昨今、農林水産省などに入省する優秀なキャリアが外資の方に、そっちの方が給与が高いか何かよくわかりませんけれども、かつては国家を背負っているというような気持ちで入省した若い方々が簡単に他に転職をするというようなことなどを見まして、職業観とか人生観とか、あるいは社会観とか、こんなことについての、前段申し上げましたこと以外にも感ぜざるを得ないといいますか、そういうことを感想として申し上げます。
○谷本巍君 今の答弁の中に、労働が過酷であるということと海難事故が少なくないといったお話が出ておるわけでありますけれども、平成十一年で見てみますと、全船舶の海難事故のうち、実に三六%が漁船だというふうに伺っております。 海難審判庁の底びき網漁船の海難事故調査によりますと、乗組員全体の五七%が死亡または行方不明となっていると言われております。そして、海難の原因の一つとして、何と、開放されていた開口部からの海水浸入が挙げられております。 そこで伺いたいのでありますが、危険を冒さずに効率的な作業を行い得る設計は、現在の規制の中で可能なのかどうか、その点いかがでしょうか。
○政府参考人(渡辺好明君) 今御指摘のケースは、ガーベージシュートの問題だろうと思うんです。これは、かつて昭和六十年にサハリン沖でその種の事故が起きまして、新造船についてはガーベージシュートはつけてはいけないと、それから、現存する船についてはガーベージシュートをふさげという通達を運輸省から出しております。 二つございまして、一つは、船体が傾いた後、復原する力を強くするような構造にすること、それからあとは、漁労長なり船長の操船技術について研修をするということ、その二つを重点にいたしまして私どもも研究を重ねております。 とりわけ船体の復原という点につきましては、水産工学研究所にもその宿題を出しまして、現在も検討を続けているところでございます。一定程度は可能でありますが、最終的には漁獲と操船というところで、ある種の線を越えるわけでございますから、その点についてもきちんと指導しなければいけないと思っております。
○谷本巍君 そうしますと、長官、現在の規制の中でそういう設計は可能だというお話ですね。 それで、ちょっとここで注文をつけておきたいのでありますが、もっと積極的に技術開発、これがあっていいのではないかというふうに私は思います。 例えばトロール船で申し上げますというと、日本の船のウインチは一つであります。漁業先進国の場合には数多くあると伺っております。また、漁業先進国の場合はコンピューターで自動化されておりますから、したがってデッキで仕事をしなくてもいいという状況にあります。つまり、省力化、効率化ということと安全性の確保というのがうまく両立されているという状況が多い。その点、日本の場合の技術研究というのが立ちおくれているのではないかと思うのだが、その点はいかがでしょうか。
○政府参考人(渡辺好明君) そういう側面があることは否定いたしません。ただ問題は、結局そういうふうな構造にするためには、これまでの漁船を処理して、そして新船を建造するときにそういう新しい構造にしていくということになるわけですね、基本論でありますから。ですから、今の日本の漁船、漁業にそれだけの将来展望があるかというところにまたつながってくると思うんです。もうかなりの船がピークを超えて船齢が高くなっていますので、これから代船建造は非常に大きな課題になると思いますから、そういう代船建造に新しい投資をすることが可能なような漁業経営に持っていくということを最終目標とせざるを得ないと思います。
○谷本巍君 今の点については、時間がありましたら、また質問をしたいと思いますけれども、次に伺いたいのは、先ほど来話が出ておりますが、漁船労働はなぜ他産業に比べて賃金が低いのか、端的に見解を承りたい。長官です。
○政府参考人(渡辺好明君) 要因は二つだと思います。過剰投資と漁獲量減少に伴う収入減、それが乗組員にやはり賃金という形で反映をすると。 大臣からお話し申し上げたんですが、かつては非常に魅力的な賃金であったのが、現況は一般製造業に比べれば恐らく八掛けぐらいだと思います。五人以下と比べても八〇%ちょっとぐらいではないでしょうか。そこに過剰投資と漁獲量減少、魚価安に伴う収入の減という悪循環があると思います。
○谷本巍君 その悪循環をどう断ち切っていくのかということについても、やっぱり私は技術問題があると思うんです。 日本の場合は、これは海の中というのは見えませんから、これまで漁業者の経験と勘でもってそこをうまくやっていくという手法が多くありました。漁業先進国の場合を見てみますというと、三次元の画像で海の中を見る、テレビになっていますわな。ですから、幼魚はとらずに大きい魚だけとる。つまり、金になる魚だけとるということが可能であります。この点も、やっぱり効率性と経済性と資源の管理性といいましょうか、うまく両立させているなというぐあいに私は感じるのです。 そういう点で、もっとやっぱり技術研究の問題、開発ですね、そこにもっと力を入れるべきじゃないかと思うんだが、いかがですか。
○政府参考人(渡辺好明君) 今提案をいたしております水産基本法案の中でも、資源管理の前提は科学的な根拠を持った資源の調査研究であるということを法律上明定しておりまして、水産庁の研究所も独立行政法人ということで一つにまとめて機動的、効率的にできるようになってまいりましたので、それをフル活用する体制を充実させるということを考えております。
○谷本巍君 次に、賃金問題と関連し、居住区の快適性の向上の問題について伺いたいと存じます。 外国の漁業先進国の場合は、業界の皆さんはホテル並みの居住区が必要だと、こうおっしゃっている場合が多い。また、女性が船員として乗り組めるような快適性の確保が重要だという声もあります。この点、日本の漁船というのはかなり立ちおくれておる。その辺の問題解決をどのようにしていくのか。 長官、どうお考えになっておりますか。
○政府参考人(渡辺好明君) 漁業の許可や取り締まりの省令の中で、居住環境について私たちは基準を出しています。出していますけれども、居住環境を額面どおりやろうとすると、結局、総トン数が上がるわけです。総トン数が上がればそれだけ費用がかかるということで、どうしてもぎりぎりのところしか義務を果たさないという側面があるわけです。 でも、これは大変重要な問題でありますので、これから就業者を確保していく上ではこういったところを充実させていかないと大変なことになると思っておりますので、もう少し勉強させていただいて、この分野について、間もなく一斉更新の時期も来ますし、代船建造の時期もやってまいりますので、そういうときに何ができるか研究させていただきたいと思います。
○谷本巍君 設備の最低基準を決めて指導をすると。これでよくなっていくんなら、これまでに問題は解決しているわけですし、問題は、経営が苦しい漁業者に居住区のサロン並みのものを求めるということ自身がかなりの難しさがある。だからといって、魚を積むための部分を大きくしちゃって居住区の方を狭くせざるを得ない、この現状をこのままにしておけばますます人が集まってこないというような状況にあるわけです。 ですから、そこのところは、先ほど来申し上げておりますように、効率化と人の確保、この両立というのは決して難しくはないわけですから、そこのところにもっと積極的に取り組んでほしい、こう思うんだが、いかがでしょうか。
○国務大臣(武部勤君) 積極的に取り組んでまいりたいと思います。
○谷本巍君 ありがとうございました。
○岩本荘太君 漁船法の最後でございますが、本国会、この漁船法を初めとして水産関係のいろんな法律も出てくるようでございますので、私は漁船法に限ってきょうは質問と考えたんですが、一つあったんですけれども、それはもう既に大分皆さん議論されておりましたので、わかったところがありますので、その辺は省略させていただきます。 といいますのは、工事完成後の認定、登録票の検認、先ほどから問題になっておりますけれども、これを民間機関に行わせる、こういう説明を受けたんですけれども、民間機関というのはどこなんですかということを何回かお聞きしたんですけれども、事務方の方、お答えがなかったんです。なぜそれじゃ入れるんですかと言ったら、規制緩和推進三カ年計画に入っているからだと。 だけれども、実際に考えて、出てこないものをこんなものに入れても規制緩和にもならないし、法律そのものを考えても、これはある程度いろんなところから要望が出て法律というのは大体改正されるべき代物であって、憲法みたいにもう長い間使うものであれば、これはいろいろなことを考えなきゃいかぬかもしれません。こういう法律は必要があれば幾らでも改正できるわけですから、そういう意味で、こういう委員会の場でこれは質問しなきゃいかぬなということで準備したんですけれども、先ほど来の御答弁で大体わかりました。 要するに、長官のお話では、小さな造船所等が集まってこういうものをやるんじゃないかというようなお話で、これは、そればかりじゃないと思うんですが、そういうことでこの中に組み込むという必要性というのは百歩後退して私もわかるつもりでございます。 先ほど、こういう経費、今まで国や県がやっていた部分を民間に任すんだから、これは経費は国や県が出すことになるであろうと。これは全体から見れば、日本の国の予算から見ればこれは確かにふえるものではないということはわかるんですけれども、これでお金を出した場合、当然こういう団体というのは公益法人なんかにも該当になると思うんです。そういう公益法人というのは、特殊法人も含めていろいろ今問題になっているわけでございますけれども、そういう経費をそういうところへもし出すとすれば、そういう構図というのは何か天下りの確保を助長するような、そんなふうにちょっと受け取れてならないわけです。 したがって、これがいわゆる規制緩和という名をかりて天下り確保みたいなことであってはまた非難を浴びるということをちょっと気がついたんですが、その辺について長官の御所見をお願いします。
○政府参考人(渡辺好明君) 費用負担の問題、私は先ほど、現状取っていないと。その現状取っていないということを踏まえると、これから先、新たに負担を求められるかという問題があるというふうに申し上げました。もちろん仕組み上は、都道府県が条例をもって認定であろうと検認であろうと取れるようになっているんですが、認定の部分について取っている県が皆無なものですから、国も取っていない、県も取っていないという状況の中で、民間へ移行して民間に、条例を定めて幾らというわけにはいかないだろうというお話を申し上げたわけです。そういうことでございます。 もちろん、天下りとかなんとか、そういうふうなことは想定しておりませんし、今回の民間参入というのは、一定の要件、基準をつくってどなたでもやれるということです。また、独占するようなことであれば通称言われる天下りという余地もないわけではないわけですけれども、どなたでもできるということになれば、そこのところはそういう余地はないというふうに申し上げたいと存じます。
○岩本荘太君 仮定の問題をいろいろがたがた言っても始まらないと思うんですけれども、やはり、経費を僕は国や県が出しちゃいかぬとは言わないわけですけれども、何かその辺がちょっと気になりますので、独占しなければそういう公平の原則から余り、国なり県なりが金を出してそういうところに人を送るというようなことはやりづらいのかもしれませんけれども、その辺、今後のことだと思いますけれども、ひとつよろしく指導といいますか注視をしていただきたい、こういうふうに思う次第でございます。 それで、今回、水産関係、恐らく来週になるんだろうと思いますけれども、議論があると思います。私の出身県も谷林議員の隣の県でございまして、大変水産資源に恵まれております水産県でございまして、とれる魚もブリとかズワイガニとかアワビとかいわゆる非常に高級な資源に恵まれておりまして、そして、割と水産加工が発達していないんです。一つあるのは、ナマコからできるクチコというんですか、高級な珍味があるんですけれども、加工でできるというのはそのぐらいなものです。水産加工が発達しないということは、そんな加工の手間をかけなくても十分漁業資源に恵まれている、こんなふうに受け取れるわけでございます。 そういうところでありながら、いわゆる漁協の組合長なんかと話をしていますと、我々の後を継ぐのがいるかいなという、非常に後継者の問題を強く言われているわけです。これはきょうは質問いたしませんけれども、認識としてお話しさせていただきたいんですが、今回の水産基本法案、あれ先ほど、これも谷林委員が御指摘されていましたけれども、私は斜めに見させていただいても、確かに資源、魚という物を対象にした面ではいろいろお考えになっているんですけれども、もう一つ、人という面、担い手あるいは後継者という面で、これも基本的な事項としてしっかり入れなきゃいけない問題だと思うんです。その辺がちょっと何か、大臣の御発言等では聞き取れるんですけれども、法律そのものの中にどういうふうに位置づけられているのかというような点で非常に疑問を感じている。 それからまた、漁業についても女性の進出といいますか、これが本当に必要なんですね。ところが、実態を聞いてみますと、農業なんかも大変なかなか難しいと。だけれども、農業以上に漁業というのは難しいというような面がございまして、そういう面について、やっぱりもう少し私は時間があるときに議論をさせていただきたい、こんなふうに思っておりますので、それを大臣と議論できますことを楽しみにしておりまして、きょうはこれだけで質問を終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。
○委員長(太田豊秋君) ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(太田豊秋君) 速記を起こしてください。 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 漁船法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(太田豊秋君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二分散会