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151回国会参議院2001/06/21

国土交通委員会 第19号

発言数
242
登壇者
19
会派数
9
開催日
2001/06/21

会議録

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨二十日、大門実紀史君及び八田ひろ子君が委員を辞任され、その補欠として緒方靖夫君及び筆坂秀世君が選任されました。  また、本日、緒方靖夫君が委員を辞任され、その補欠として大沢辰美君が選任されました。     ─────────────

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に金融庁総務企画局参事官田口義明君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長今田寛睦君及び国土交通省自動車交通局長高橋朋敬君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) 自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の一部を改正する法律案の審査のため、今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会座長西崎哲郎君、自動車損害賠償責任保険審議会会長倉沢康一郎君、社団法人日本損害保険協会専務理事荒木襄君及び全国交通事故後遺障害者団体連合会代表北原浩一君の以上四名の参考人の御出席をいただき、御意見を聴取し、質疑を行います。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、大変御多忙のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。  参考人の方々から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  それでは、本日の議事の進め方について申し上げます。  まず、西崎参考人、倉沢参考人、荒木参考人、北原参考人の順序でお一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  また、御発言は着席のままで結構でございますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おき願いたいと存じます。  なお、恐縮でございますが、時間が限られておりますので、簡潔に御発言くださいますようお願い申し上げます。  それでは、まず西崎参考人からお願いいたします。西崎参考人。

西崎哲郎今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会座長

○参考人(西崎哲郎君) おはようございます。私、国土交通省の今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会の座長をしております西崎でございます。  現在、参議院で審議中の自賠法及び再保険特別会計法の一部改正案について所見を述べさせていただきます。  御承知のように、自賠責保険は強制保険として民間の任意保険との二本立て制度をとっており、ノーロス・ノープロフィットの原則のもとに運営され、戦後約半世紀近くの長きにわたり、被害者保護、安定的な保険料水準の維持、無保険者の絶滅などに多大の成果を上げてきました。  戦後の金融、保険関係の諸制度が軒並み時代おくれとなって崩壊していく中で、自賠責保険制度は唯一例外とも言えるほどうまく機能しており、世界に誇るべき日本の社会的、経済的資産と言っても過言でないと思います。この制度を創設された先見性のある先人の方々、あるいはその維持発展に努力されてきていらっしゃる交通関係議員の諸先生方の御努力に深い敬意を表明するものです。  今回の改正は、自賠責制度の根幹の一つである政府再保険廃止を中心とするものですが、戦後混乱期の制定当時に比べれば保険会社の体力は格段に強化され、政府によるリスクヘッジの必要がなくなったこと、また民ができることは民に任せるという行革、規制緩和の大方針からして、政府再保険廃止は当然であります。  しかし、自賠法の目的である被害者保護、適正な保険金支払いに対する当局の監督などが政府再保険を軸に行われてきましただけに、再保険廃止に伴う新しい仕組みが必要であります。しかも、減少傾向にあるとはいえ、交通事故による死者数は年間九千人台に達し、また事故件数、被害者数の増大、特に重度後遺障害者数がこの十年間に倍増するなど交通戦争は深刻化する一方であり、被害者保護と安全対策の充実は喫緊の課題であると考えます。  このため、一昨年、当時の運輸省の中に、学者、マスコミ関係者、法曹界、被害者代表、保険業界代表など、広範な分野からの委員で構成する自賠責保険のあり方に係る懇談会を設置、政府再保険廃止の前提条件として五項目の要望を全会一致で決定いたしました。この議論は、時には激論を交わし、十二回の会合を経て、しかし申しましたように全会一致で決定したものであります。  この条件とは、一つは被害者保護の充実、政府保障事業の維持、運用益活用事業のうち必要な事業の継続、四番目、自動車ユーザーへのメリット、五番目、合理的範囲内のコストの五項目でありまして、政府は昨年三月、規制緩和推進三カ年計画としてこの五条件を前提に政府再保険廃止を閣議決定いたしました。  これを受けて、懇談会は、五条件実現の具体策についてさらに検討を行い、昨年十二月に報告書を提出、当時の金融監督庁の自賠責審議会の検討を経て今回の改正に至ったものであります。  被害者保護の新しい仕組みとして、紛争処理機関の設置が改正案に盛り込まれております。これまで運輸省が行ってきました保険金支払いの全案件を審査する事前チェック制を、死亡案件など一定の事案以外は事後チェック制に切りかえ、保険金支払いをめぐる紛争は新設される紛争処理機関の調停にゆだねるというものであります。この機関は民間組織ですが、国は業務全般について必要な監督を行うことになっており、公正中立な立場から紛争処理に当たり、被害者保護のセーフティーネットとしての役割を果たすことを期待いたします。  被害者救済の具体策としては、懇談会は高次脳障害対策、後遺障害等級表の見直し、介護手当の増額、療護センターのベッド数の増加、在宅介護支援のための短期入院制度の導入などを要望しておりまして、これらは段階的に実施される見通しですが、介護する親が高齢化、死亡した後の重度障害の子供たちへの対策も含め早急な実現をお願いいたします。  政府再保険特別会計の累積運用益は、基本的に契約者、つまり自動車ユーザーに帰属するものであり、被害者保護と並んで保険料軽減の原資として活用するのは当然であり、今回の改正案では、累積運用益の二十分の十一を保険料軽減に、二十分の九を被害者保護に配分することになっております。  自動車ユーザーは、契約者として保険料を負担する立場にあると同時に、いつ自分が自動車事故の被害者になるかわからず、その場合には被害者救済策の恩恵を受ける立場にあります。いわゆるユーザーメリットとはほどよく両方のバランスをとることにあり、今回の配分率は妥当と思います。  最後に、一連の環境整備について若干の要望を述べたいと思います。  まず、損保業界に対してでありますが、諸外国の業界に比べますと日本の業界はよくやっておられると思います。しかし、被害者の心情と窮状を十分に理解し、情報開示、説明などを充実し、誠心誠意適正な支払いに徹してほしいと思います。  また、今後は一〇〇%自主運用となりますが、業界は現在競争が激化し、再編の渦中にあり、くれぐれもリスク管理を徹底、安全かつ効率的な運用に心がけてほしいとお願いいたします。  次に、警察当局に対してでありますが、保険金支払いに際して事故原因の調査が決定的に重要であることは明らかであります。事故原因の科学的究明、捜査情報の提供、こういったことについて最近随分前進が見られますが、さらに一層の御努力をお願いしたい。特に、新設される紛争処理機関への協力をぜひとも期待いたします。  運用益活用事業の効率化につきましては、これは当然のことであり細目は省略いたしますが、事業の中心となっています自動車事故対策センターが、今春、業務見直しと業績評価システムをつくるため、専門家によるタスクフォースをつくり、これは私が座長をしておりますが、現在検討を続けていることを御報告いたします。  交通事故の原因は極めて複合的でありまして、交通事故安全対策の強化、これは事故減少に効果があることが既に立証はされておりますが、交通関係当局の総合的な安全対策の推進が必要であります。縦割り廃止は今回の行革の眼目の一つであり、関係省庁のこうした総合的な対策、協力関係を期待いたします。  最後に、今回の改正案に総括的に賛意を表明し、一日も早い成立を期待いたしますし、成立後は被害者保護の精神にのっとった適切な法運用が行われるよう期待するものであります。  以上、終わらせていただきます。

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) ありがとうございました。  次に、倉沢参考人にお願いいたします。倉沢参考人。

倉沢康一郎自動車損害賠償責任保険審議会会長

○参考人(倉沢康一郎君) 自動車損害賠償責任保険審議会の会長を務めさせていただいております倉沢でございます。  この自賠責保険審議会では、昨年六月に、自賠責保険制度に関して、今回の法案にも盛り込まれている政府再保険の廃止や、保険金支払いの適正化のための措置の必要性などを盛り込んだ答申を行っております。本日は、この答申の内容も踏まえつつ、今回の自賠責制度の改革について全体的な意見を申し上げたいと思います。  まず、自賠責制度に関する基本認識についてでございますが、我が国における交通事故の状況を見ますと、急速なモータリゼーションの進展などを背景に、交通事故件数、死傷者ともに昭和四十年代半ばまで急激に増加しました。政府による交通安全対策の実施などにより五十年代前半に事故件数などは一時減少いたしましたけれども、それ以後再び増加に転じて、近年一貫して増加傾向にあります。  この自動車損害賠償責任保険は、昭和三十年の制度創設以来、交通事故の被害者に対する損害賠償を保障する制度として被害者の救済に大きな役割を果たしてきております。日本発信の比較法的にもすぐれた制度だと思います。  ただし、この半世紀の間に社会経済情勢が大きく変化をしております。これが制度の環境として影響をもたらさざるを得ないことと、それから交通問題の内部においても、任意保険の普及であるとか救急医療の発達であるとか、それから三十年代には自動車を運転する人というのは一部の人たちでしたけれども、今は、先ほど西崎参考人のお話にもありましたように、加害者と被害者に互換性があるといったような状況が出てきておりますので、この際見直しをする必要があると考えております。  次に、二本立て制度でございますけれども、我が国の自動車保険は、強制保険で基本補償としての性格を有する自賠責保険と任意保険のいわゆる二本立て制度となっています。  この自賠責保険の大きな特徴というものは、自賠法によって契約内容が画一的に定型化されていて、そして迅速な被害者救済が図られるように支払い等についても法規制が行われ、また、ノーロス・ノープロフィット原則ということで保険料水準も抑えられているわけであります。一方、任意保険では、契約者が担保内容や各種サービスを任意に選択することが可能となっており、このようにそれぞれ異なった性格を有する自賠責保険と任意保険が今後も相互に補完し合って機能していくことが適当だと考えます。  加入を強制して基本補償ということに対する契約内容、契約条件の法的な画一性ということと、それからそれに上乗せをするものについて運転者が自助的に自分のライフプランの中でこれを選んでいくということが二本立て制度の眼目かと思います。  次に、保険給付水準についてでございますけれども、自賠責保険の保険金限度額は、従来から、任意保険の普及状況等を踏まえつつ、加害者が任意保険に未加入の場合でも基本補償を確保するという観点から改定されてきております。現在の保険金限度額については、死亡三千万、傷害百二十万という限度額については、これによって相当程度の賠償金額がカバーされていて、基本補償としての自賠責保険の性格を踏まえれば、基本的に適当な水準であると考えます。  この限度額というものの評価というのは、今申し上げました二本立て制度における役割分担の接点として適切か否かということで、現在の価額は適切であろうと思われます。  次に、政府再保険制度の廃止についてですけれども、政府再保険制度は、立法当時、保険金の支払いに関する危険の一部を国が負担することが適切であるということ、それから被害者保護の観点から保険金の支払いを国が審査することが適切であるという理由から、昭和三十年の自賠責制度創設時から実施されてきました。  しかしながら、近年、保険会社の担保力が向上していることやプール制度、あるいは保険業法の改正に基づく保険契約者保護機構の設立といった条件が加わっていることと、それから二番目に、保険金の支払いを再保険制度を通じて国がチェックするということですけれども、本来、適切な保険金支払いの制度的保障という問題は再保険とは別の問題でございまして、政府再保険自体は廃止しても問題ないということで、昨年六月の答申にもその旨を盛り込んでおります。  特に、再保険制度というのは、結局、一つの保険制度の中に二つの契約が組み込まれるということで、まことに今日の民にできるものは民にということと、それから契約自体が一本化するということのメリットが存在すると思います。  次に、保険金支払いの適正化についてですけれども、年間百万件を超えると言われる自賠責保険の支払いは総じて適切に行われていると認識しておりますけれども、一部に保険金支払いに関するトラブルが生じているのも事実でございます。  このため、政府再保険の廃止について自賠責審議会において議論を行った際にも、保険金支払いの適正化をいかに図るかということが議論になりました。被害者の方々も、保険金支払いの適正化を図るためには、信頼の置ける公正な第三者が保険金の支払いに関する紛争処理に当たる仕組みを整備する必要があると考えております。それが今回の法案には盛られております。また、死亡事案や重度後遺障害事案など一定のものについては、引き続き国がチェックを行うべきものと考えております。  自賠責保険の運用益についてですけれども、現在、国において再保険の運用益を活用して被害者救済対策や交通事故防止対策が実施されており、交通事故の状況が深刻化する中、これら被害者救済対策などの事業の重要性は一層高まっていると考えられます。他方、自賠責保険では、国と保険会社に残る運用益を財源として、本来受け取るべき保険料水準よりも低い赤字保険料が設定され、自動車ユーザーの保険料負担の軽減が図られております。  再保険の廃止に当たっては、その時点で国に残っている運用益について、これまでも充ててきた自動車ユーザーによる保険料負担の軽減と被害者救済などの対策の実施の双方にバランスよく配分することが必要と考えられます。今回の政府法案では、運用益の二十分の九を被害者救済等の対策に、残る二十分の十一をユーザーによる保険料負担の軽減に充てることとしており、これはバランスのとれた配分であろうと思います。保険料の果実であるということから、そのことの意味からいいますと、二十分の十一対二十分の九ということは、これはバランスのとれた配分であろうと私は考えております。  最後に二つ申し上げます。  今回の法案は、自賠責審議会の場でも多くの関係者が長年真剣な議論を重ね、必要な調整を行ってきた結果を反映したものであり、高く評価しております。この法案の成立の暁には、以上申し上げた観点から適切な運用が行われることを期待いたします。  どうもありがとうございました。

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) ありがとうございました。  次に、荒木参考人にお願いいたします。荒木参考人。

荒木襄社団法人日本損害保険協会専務理事

○参考人(荒木襄君) 私は、社団法人日本損害保険協会で専務理事を務めております荒木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  本日は、自動車損害賠償保障法、いわゆる自賠法の改正に関しまして、私ども損害保険協会に意見を述べる機会を与えていただきまして、まことにありがとうございました。  本日は、自賠責保険の実務を行っている事業者の立場から、自賠法の改正についての考え方を述べさせていただきたいと思います。  自賠責保険は、昭和三十年に制度が創設されて以来、保険責任の六割を政府に再保険するという仕組みになっております。すなわち、保険料のうち純保険料の六割を政府に納めまして、保険会社が被害者等に保険金を支払った場合にはその金額の六割を政府から回収するという仕組みであります。  このような仕組みが導入されました理由は、一つには、新しい強制保険の導入に当たりまして、当時の保険会社の担保力を考慮して、過半であります六割を政府が再保険として引き受けるということによりまして制度の安定を期したということでありまして、いわゆるリスクヘッジといった観点かと思います。  その第二は、自賠責保険の公的な性格にかんがみまして、とりわけ被害者保護といった観点から、再保険を通じて政府が事業の運営、特に適正な保険金支払いの確保について一定の関与をする必要があると考えられたことだと思います。  しかしながら、現在におきましては、この制度が創設されました昭和三十年当時と比べますと保険会社の体力は格段に向上しておりまして、例えば総資産ベースで申し上げますと約三百倍以上に成長をしているわけであります。  また、自賠法に基づきまして各保険会社は共同プールといったものを創設しておりまして、各保険会社間でこのプールを通じてリスクを平準化しているということであります。仮に、もしそのうちのどこかの会社が支払い不能といったような事態に陥りました場合には、その他の保険会社がこのプールを通じてその責任を負担するという仕組みになっているわけであります。  さらに、保険業法に基づいて創設をされました損害保険契約者保護機構という組織ができておりまして、これも保険会社の破綻に備えた仕組みであります。つまり、セーフティーネットとしては、自賠責保険については二重のセーフティーネットが張られていると申し上げてよろしいかと思います。そういう意味で、再保険制度が持っておりましたリスクヘッジとしての役割は極めて乏しくなってきているということが言えるかと存じます。  したがいまして、私どもといたしましては、民にできることは民にという規制改革の考え方に即しまして政府再保険を廃止していただきたいと考えているわけであります。  損保業界は、平成十一年二月に政府再保険制度の廃止の要望を提出いたしました。それ以降、この政府再保険問題を含めました自賠責保険制度問題について、我々損保業界を含めまして、政府の規制改革委員会、関係省庁、被害者の団体及び有識者、専門家といったような方々において幅広い論議が行われたところであります。  この論議を踏まえまして、平成十二年三月に、政府の規制改革三カ年計画の中で、自賠責保険の再保険については、次に申し上げます五つの条件の実現の方向を確認した上で廃止を行うということが閣議決定されたのであります。  五つの条件の一つは、被害者保護対策が充実されるということであります。その二は、政府保障事業を維持することであります。三番目は、現在、政府再保険の運用益を活用いたしまして、政府が被害者保護対策事業や事故防止対策事業を行っているわけでありますけれども、政府再保険廃止後もこれらの事業のうち必要な事業は継続をして行うこと。四番目は、自動車ユーザー等へのメリットがあるということ。五番目は、合理的な範囲内でのコストによる制度の改定であるということ。これらの五つの条件を踏まえた方向性が示されたわけでありますが、政府再保険廃止後の被害者保護のあり方について、その後関係当事者間で鋭意協議が進められたわけであります。  もとより、我々といたしましても、自賠法の目的であります被害者保護という機能は引き続き極めて重要であると考えております。したがいまして、政府再保険制度を廃止する場合には、再保険制度にかわる保険金支払いの適正化の仕組みを整備することが必要であると考えております。  昨年末に、次の三つの点を骨子といたします被害者保護対策を講じることによって、政府再保険を廃止するということで関係者間で協議がまとまりました。  その第一は、死亡あるいは重度の後遺障害のような一定の事案については、国が保険会社から届け出を受け一件ごとのチェックを行うということであります。また、その第二は、専門の有識者等によって保険金支払いに関する紛争を解決する仕組みを自賠法の中に位置づけまして、行政府がその運営の公正性を確保するために必要な監督を行うということであります。三番目は、保険会社は保険金支払いに関して、被害者あるいは被保険者等に対する説明義務あるいは情報開示の義務というものが示されているということであります。  現在、御審議をいただいております自賠法の改正法案におきましては、業界のかねてからの要望であります政府再保険の廃止という規制緩和を実現していただくと同時に、関係者間で論議を重ねた結果であります被害者保護のための必要な措置について、いずれも明確にしていただいた内容であると考えております。  損保業界としては、これまでも保険金支払いの審査体制の強化を初め、例えば、近年その問題が明らかになってまいりました高次脳機能障害の認定システムの確立、事故発生状況の分析体制の強化、被害者に対する請求手続を支援する業務の実施等、自賠責保険による被害者保護の充実に取り組んでまいりましたが、改正法施行後は、改正法案に示されました新たな紛争処理の仕組みや被害者に対する情報提供の充実などについて積極的に御協力をし、強制保険としての自賠責保険が果たしております被害者保護の役割が前進することはあっても、決して後退することがないように努力をしてまいる所存であります。  今回の制度改正を機にいたしまして、損保業界としては、業務全般の簡素化と効率化に取り組みまして、自賠責保険の運営に必要な経費の縮減に努めてまいりたいと考えております。  また、お預かりする保険料の運用について、保険会社の運用分がこれまでの四割から十割に拡大されるということがございますから、運用の一層の効率化、安定的な収益の確保といったことにつきましても積極的に取り組んでいきたいと考えております。  つきましては、今次改正法が速やかに成立をし、平成十四年度から政府再保険が廃止されることを強く要望するものであります。  以上、私の考え方を述べさせていただきました。御清聴ありがとうございました。

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) ありがとうございました。  次に、北原参考人にお願いいたします。北原参考人。

北原浩一全国交通事故後遺障害者団体連合会代表

○参考人(北原浩一君) 私は、全国交通事故後遺障害者団体連合会代表の北原でございます。  このたびは、交通事故による重度後遺障害に苦しむ私たちの意見を聞く場を与えてくださいまして、ありがとうございます。  私は、約二年前に、当時の運輸省で審議されていました今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会に意見を届けることを目的に、後遺障害者団体に呼びかけ、全国交通事故後遺障害者団体連合会を結成しました。今回は、この会の代表の立場で意見を述べさせていただきます。あわせて、最近設立した、全会員が交通事故被害者により構成する交通事故後遺障害者家族の会代表の立場からも意見を述べさせていただきます。  私が被害者救済活動にかかわることになったのは、十四年前に、当時十一歳だった長男が、英語塾へ行くため横断歩道を渡っていた際に前を見ないで右折侵入してきたトラックにはねられ、瀕死の重傷を負い、奇跡的に命が助かったけれども一級の障害者になったこと、加害者に自動車保険がなく、幾つもの民事訴訟を余儀なくされたことなどを通じて、交通犯罪の被害者救済につき、交通事故の真相を被害者が知ることが困難であるとか、加害者の処罰は被害者が知らないうちに罰金二十万円で終わっていたとか、自賠責保険金の上限が重度後遺障害者の損害額については実態を反映しない低額であるとか、ユーザーメリットとは自賠責保険料を安くすることだと理解されているなど、諸制度に不備が多いと感じたからです。  私たちは、被害者救済が充実するなど五条件が満たされる前提で、今回の自賠責保険再保険廃止はやむを得ないと承諾し、また、紛争処理機関についても納得できると思って今回の法改正については受け入れる考えになりました。しかし、被害者救済が十分だとは思っていないので、それらにつき若干言及させていただきます。  第一に、自賠責保険による救済は交通犯罪被害者救済という視点があると思います。同じ交通事故でも、労災保険で救済する場合は自損事故であっても過失相殺のない手厚い救済がされるのに、自賠責保険では救済されません。無責事故につき自賠責保険救済を求める考えはありませんが、交通犯罪の被害者として重度障害者になった場合の救済は特別の手厚い救済策を考えていただくことを求めます。  例示すると、重度障害者救済のための療護センターにつき地域格差をなくすため九州や北海道にも増設することや、あるいは重度障害者を一日二十四時間、年三百六十五日休みなしに介護している母親に休息を与えるための短期預かり制度であるショートステイを受け入れる協力病院をふやすとか、重度後遺障害者は将来にわたり介護料など多額の費用を必要とするのだから、これを反映した保険金に増額するなどの配慮を求めます。  また、植物状態になった重度障害者の場合や高次脳機能障害者の場合に、私たち介護をする親が亡くなった後も生きていくことができる仕組みをつくるなどの配慮を求めます。  高次脳機能障害者の場合は、昨年認定のシステムができたというものの、医療機関の理解度にばらつきが多く、現時点では大多数の医療機関が理解していないため、正当な認定を受けるために必要な事項を診断書へ記載することなど、資料を作成してもらうことが極めて困難です。  すなわち、脳の損傷を受けた場合は記憶力や感情抑制力の喪失、眼科、耳鼻科、泌尿器科、ほか全身症状が出るのに、高次脳機能障害につき総合判断をしてくれる脳外科の医師がいなくて困るなどの現実があるので、この困難を解決するため、医療機関あてマニュアル作成など施策を求めます。  脳障害者の場合は、症状固定判断のための病状回復程度の見きわめが難しいことと、介護の難しさに関心を奪われている間に、二年という時効に気づかない場合があります。民法第七百二十四条の規定により時効三年の余裕があるので、自賠責請求権を二年の時効で失った被害者は損害賠償を要求する相手に頼んで保険金を受け取る弱い立場になり、対等な話し合いができない現実があります。時効は三年に変更することを求めます。  第二に、自賠責保険でのユーザーメリットが保険料を還元することだと理解されている面について納得できないので意見を言わせていただきます。  昨年は百十五万人を超える交通事故負傷者がいたそうですが、車のユーザーはだれでも交通事故被害者になる可能性があり、また交通事故は同じ家族を何度でも襲うこともあるのです。  私の家内は、中学生のとき父親が交通事故に遭って植物状態となり、亡くなるまでの七年間、母親を助ける苦しい生活をしながら大学を出て中学教師になったのですが、長男が中学生として進学するのを楽しみにしていた矢先に一級の障害者になり、介護人生に変わってしまいました。  自賠責保険は、万一の災難に遭ったときのためにあるのですから、車一台当たりにするとわずかな保険料を還元することよりも、不運な被害者になった際にこの制度により十分な救済がなされることがユーザーメリットだというべきではないでしょうか。  死亡保険金を払う生命保険の場合は、保険料の運用益はお客様に還元するのが常識だとしても、自賠責保険は被害者救済のために使う方が目的にかない、ユーザーの理解も得られると思うのです。運用益の使い道について配慮を求めます。  また、重度障害者救済は福祉によるべきだという意見がありますが、何もかも国民が支える福祉に寄せるのではなく、労働災害の被災者が労災保険で救済されるのと同じように、交通犯罪の被害者救済の場合は自賠責保険による救済を優先していただきたいとお願いいたします。  自賠責保険制度が存在する限り、今後も後遺障害者救済について私たちの声を反映して改善を続けていただくよう要望して、意見陳述を終わります。  ありがとうございました。

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

野沢太三自由民主党・保守党

○野沢太三君 自民党の野沢太三でございます。  本日は、参考人の皆様には、お忙しいところ参議院国土交通委員会に御出席をくださり、貴重な御意見を陳述していただきまして、まことにありがとうございました。各先生に御質問を申し上げたいと思いますので、簡潔なお答えをお願いしたいと思います。  まず、西崎参考人におかれましては、平成十一年の九月に「今後の自賠責保険のあり方について」という報告を座長としておまとめいただいておりますが、この中で提案されました事故防止対策やあるいは被害者救済対策につきまして、このたびの法改正がどの程度こたえているのかどうか、御感想をお伺いいたしたいと思います。  事柄的に、保険料の水準の問題あるいは自動車アセスの問題あるいは保険金支払い適正化対策あるいは重度後遺障害対策等々、たくさんあろうかと思いますけれども、まとめてお話をいただければ幸いでございます。  また、最終的に総合的な安全対策の必要を御指摘されておりますけれども、特に政府や我々国会に対する御要望があればお伺いいたしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

西崎哲郎今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会座長

○参考人(西崎哲郎君) いろいろ広範にわたっておりますが、まず一番被害者保護で重要なのは、保険金が適正に支払われるかどうか、それをチェックして、紛争が起きた場合にいかにしてそれを公正に解決していくかという、やはりまず保険金支払いの適正化という問題があると思います。  これは、今度の改正によって、事前チェック制は死亡案件あるいは重度後遺障害、一部に限定して、あとは事後チェックになるわけですが、業界の方でやっておられる再審査会ですね。ここも機能は非常に充実してきておりますし、それから紛争が起きた場合の紛争処理機関の設置、これも民間、民の組織としてつくられるわけですが、監督当局が業務全般に対して監督をしていくということで、そこの委員構成も、これは業界からは入らない、中立な第三者、専門家によって構成するということで、ここで出される調停に対しては業界の方も従うということを表明されておるので、私は、今回の改正によって、これまでと比較してそんなに後退することはないと。むしろ、そういう紛争処理機構の活用によって、それから情報公開、説明ですね、業界の被害者に対する、それによって前進、充実していくのではないかと思います。  それ以外の重度後遺障害、被害者の救済策ですね、これについては先ほどの私の冒頭の陳述で述べましたが、この法律の改正を待って来年四月から政令で実現していく部分、あるいはそれ以前、もう既に本年度から実現している部分、いろいろあるわけですが。いずれにしましても、この基本は、よく社会保障でいう一般の脳障害者ですね、それと比較してどうかということがいつも問題になるんですが、この交通事故の場合は、いつ、だれでもそういう被害者の立場になり得る。それから、比較的この重度後遺障害は若い人が多いわけで、親が年とって看病していくという、こういう特殊性もあり、それから、先ほど、交通犯罪による被害者ということを北原さんがおっしゃいましたけれども、私は、ですから、この交通事故をまず減らしていくこととその被害者に対してできるだけ手厚い援助をしていく、これがやはり日本のこれからの車社会のセーフティーネットとして非常に重要だというふうに考えております。全体的に見まして、大変私はいい方向に今進んでいると思います。  総合対策については、これはもう、例えば運輸省と建設省が今回一緒になって、そこで、交通安全対策というのはこれ道路から信号、みんな入ってくるわけで、ここに対して総合的な安全対策、非常に期待しているわけです。  あと、先ほど言いました警察関係とかいろんな面があると思いますので、専門であられる交通関係議員の皆様、先生方のひとつ御努力をお願いしたいと思います。  以上です。

野沢太三自由民主党・保守党

○野沢太三君 ありがとうございました。  確かに、その再審査が非常に意義を持ってきたということは大変私も結構なことだと思いますし、加えて、紛争処理機関を新設するということについては、これからそれが有効に機能するよう我々も大いに目を光らせてまいりたいと、かように思う次第でございます。  続きまして、倉沢参考人にお尋ねいたしたいと思いますが、参考人におかれましては、平成十二年六月に会長としてまとめられました自動車損害賠償責任保険審議会の答申におかれまして、この自賠責保険と任意保険の二本立て制度というものが非常に機能しているんだということを御指摘され、本日もまた同趣旨の御陳述をいただいたと思うわけでございます。  これは、大変その意味で、日本の持っているすぐれた制度とも言われておりますけれども、逆に、この任意保険というものについて、まだまだ全部これが一〇〇%入っていないとか、あるいは資力によって保険の内容に格差があるとか、さまざま問題が含まれているように思いますけれども、この二本立てのもう一本をもう少し機能させることが非常に大事ではないかと、かように私思うわけでございます。  そういうふうに考えてまいりますと、責任か無責任かということを含めまして非常に微妙で、いつ自分が被害者になりあるいは加害者になるかもわからないという状態が、自分で運転をしてみればこれ感ずるわけでございますので、諸外国でも既に採用されておりますノーフォールトの保険というものが大変これ注目すべき制度ではないかと思いますが、これに対する御意見等についてもお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

倉沢康一郎自動車損害賠償責任保険審議会会長

○参考人(倉沢康一郎君) 昭和三十年に我が国でオリジナルに考え出されました自賠責保険制度採用の際には、政策的な選択肢として幾つかあったと思うのでございます。  自動車の人身事故の被害者に対して、税金ないしは目的税を取って社会保障で被害者を救済するというような選択肢もあり得たかと思うんですが、そのときに、この自賠責保険制度というものをとったということは、一方において被害者の救済は厚くなければならないけれども、他方において運転者が、どうせ被害者は政府で救われてこちらにはかかってこないんだというようなことでモラルの低下が起こってはいけないと。  そこで、ともかく第一次的には、加害者の責任を自賠法三条で一般不法行為よりもずっと重くした上で、それでそれが絵にかいたもちにならないために自賠責保険というものによってその履行の確保をしようということで、その制度がつくられたわけでございます。  ノーフォールト保険ということになりますと、やはりこれも一つの選択肢ではございますけれども、どうも保険というものの非常に大きく抱えているデメリットは、保険に入っているから注意を欠くというようなモラルハザードの問題というのは保険制度には初めからございまして、そういう意味でいいますと、まず責任を負う者が責任を履行すべし、その履行保障について団体的に保険金から払うというこの制度のメリットは私は十分あると思っております。  それから、強制保険と任意保険でございますけれども、確かに一〇〇%強制、一〇〇%ということはないかもしれませんけれども、保険金の支払い限度額をずっと上げていって大体強制保険だけでという考えもあるかと思いますけれども、やはりまず強制加入の保険というのは基本補償として被害者救済に日本国民が全く平等な扱いを受けるというようなことで、これに対して、自分がいつ加害者になるかもしれないという人が自分の生計の維持というような自助的な考え方で自分で商品を選んで、あるいはこれからの商品によっては自賠責よりもっと厚い保険に入っておくというような人もあり得るかもしれないので、やはりこの二本立て制度というものは私は非常に大きなメリットを持っておると今も思っております。  以上でございます。

野沢太三自由民主党・保守党

○野沢太三君 それでは荒木参考人にお伺いいたしたいと思いますが、荒木参考人におかれましては日本損害保険協会の専務理事さんという実務を担当しておられるお立場でお話を伺いたいんですが、今回の法改正によりまして、政府の再保険が廃止された場合に効率的なる業務量というものはどのくらいになるのか、その辺の見当で結構ですが、概略をお聞かせいただければありがたいと思います。  それから、今回つくります紛争処理機関でございますね、これの公正中立性というものをどう担保していくかということが大事なことではないかと思いますが、この点。  それからもう一点、恐縮ですが、今回の法改正ができ上がった段階で日本の自賠責保険法が国際的な各制度と比較してどの程度の評価ができるのか、お考えがあったら聞かせていただきたいと思います。

荒木襄社団法人日本損害保険協会専務理事

○参考人(荒木襄君) まず、御質問の第一点であります再保険が廃止された場合の効率化というのはどういうことかという御質問にお答えをいたします。  政府の再保険制度が現在あるわけでありますが、例えば自賠責保険の保険契約の件数というのは一年間に大体三千六百万件ぐらいございます。保有台数と比べると少ないのは、二年契約とか三年契約があるからであります。この三千六百万件について全件政府再保険をお引き受けいただいております国土交通省にデータを、明細を提出するわけであります。それから、事故を処理いたしますのが大体年間百十万件余ございますが、これも全件支払いに関連した明細を再保険を引き受けている国土交通省にお届けするということになります。そのためにいろんな事務が発生するわけでありますし、当然のことながらコンピューターなども使いながらデータを整備して、そういう作業をするわけであります。  それから、そういうデータをお届けしますと、これは当然のことながらチェックが行われますから、チェックをいただいた後でいろんな御照会だとか、ちょっと御不審な点などについてお問い合わせがあったりいたします。そのことに対して一件一件お答えをしなけりゃならないということが当然ございます。  それから、再保険の仕組み全体をより円滑にといいますか順調に運営するためにいろんな御調査の御依頼が時々ございます。それは必要なことなんですが、そういうことについていろいろ調べたり、お答えしたりするというようなことがございます。  そういうもろもろの再保険にかかわる事務の負担が再保険制度をやめればなくなるということがありますので、これにかかわっております従業員の人数というよりもむしろ工数と言った方がいいと思いますが、そういうものを調査いたしまして、それからコンピューターに関連したコストとかいろんなことを調査いたしまして、なかなかこれは正確に測定するというのは非常に難しいのでありますけれども、少なくとも二億円程度の節約効果があるであろうというのが私どもの結論であったわけであります。  それから、第二点の御質問であります第三者的な、あるいは中立的な調停機関ということでありますが、これは設立をいたしますのは民間で設立をいたしますから、今のところ財団法人という考え方のようでありますから、基本財産について一定の出捐をいたしますとか、あるいはその後の運営について経費が出てまいりますから、そういったものの応分の負担は業界で行わなければならないと考えております。  しかしながら、この法人の設立の目的はあくまで中立的、第三者的な立場で被害者あるいは被保険者と保険会社との間の保険金支払いをめぐる紛争の解決ということでありますから、この法人の運営、つまり理事でありますとか評議員でありますとか、そういう法人の運営にかかわる役員については損保業界から出すという考え方はございません。一口で申し上げれば、資金は応分の負担をいたしますけれども、その運営については一切口出しはしないというふうに考えております。  当然のことながら、この新しい機関が事故の事実関係をいろいろ調査なさるとか、あるいは調停案をつくっていく上でいろいろと技術的な御質問等もございますから、私どもとしてはそういう技術的な面でいろいろ御協力するのはこれはもう当然の話でありまして、その点は十分やっていきたいと思いますが、事運営に関しては一切業界から口出しはしない、それからそこで出されました調停案については業界としてはこれを受け入れるということを原則的に申し上げているわけであります。  それから、自賠責の再保険制度が廃止された場合に、そういう廃止されたという状態でこの自賠責保険というものが国際的にどういう評価になるかということでありますが、まず第一点は、政府が再保険を引き受けるという政府再保険制度、かつ政府が再保険について保険会社に義務づけをする、強制的な再保険制度というものを政府がやるという例は大変国際的には珍しい、皆無ではございませんが珍しいわけであります。どちらかというと発展途上国にそういうことが時々行われているということであります。  かねてから実はOECDはこの問題を大変重要視しておりまして、損害保険の再保険取引はもともとかなり国際間で行われるということが、これはもう明治の初めからあったわけでありまして、OECDとしても再保険取引が国際的に広く自由に行われるということが望ましいと考えておりますので、我が国の自賠責保険の政府による強制的な再保険制度はOECDの立場からいえば問題があるということで、OECDに我が国が加盟して以来たびたび審査の対象になり、たしか四度ぐらい審査の対象になっておると思いますが、そのうち二度ばかり廃止の勧告も受けている。我が国はそれについて保留をしているということがずっと続いてきたわけでありますが、これが今度は廃止されますので、というか廃止されますと、その点ではOECDの指摘あるいは勧告に沿った解決になりますから、国際的には大いに評価されるのではないかと考えております。  それから、自賠責保険と任意保険との関係というのは、これも国際的にはかなり珍しい制度でありますけれども、やはり何といいましても基本補償である自賠責保険について、車検とのリンクでありますとか解約の制限等によって日本では無保険者というのが極めて少ないわけであります。これは国際的に見て大変すぐれた点であると私は考えております。  ただ、一方において、商品がどうしても画一的になってしまいますので、基本補償ですから、それを補うものとして任意保険があって、これはいろいろと多様性のある商品を保険会社が提供している、それから昨今では自分自身が被害者になったときの保障も任意保険の中に入っているというような保険も生まれてまいりました。そういう意味で、自賠責保険と任意保険との二重構造というのは、これは実は国際的に見て、ちゃんと説明しますと比較的好評といいますか、それはなかなかいい制度じゃないかと言う人が私は多いと思います。  そういうことで、かねがねOECDで問題にされておりました再保険制度がなくなることによって、自賠責保険というものは国際的にも大いに高い評価を受けるんじゃないかと、私はそう思っております。  以上でございます。

野沢太三自由民主党・保守党

○野沢太三君 時間が参りましたので、北原参考人にお伺いしたい質問はちょっと省略になってしまいますが、北原参考人におかれましては、身内の方が交通事故で被害を受けられたことに関して大変な御苦労をいただいて今日いらっしゃると伺いました。日夜事故防止に御尽力くださいましたことについて心から敬意と感謝を申し上げまして、いただきました御意見は我々の今後の活動の中に十分生かしてまいりますことを申し上げまして、質問を終わります。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 まず、西崎参考人にお伺いいたします。  本日は、有益な御意見を御披露いただきまして、ありがとうございます。  先ほど来、再保険が廃止された後の保険金支払いの適正化が弱まるんではないかということの懸念に対して措置をする必要があるということから指定紛争処理機関等を設けたというお話がございましたけれども、私は結構なことだと思うんですが、ただ、考え方として、現在は審査会、再審査会、それでも不服であれば裁判に訴えるといういろんな方法があるわけでございます。  それから、現に再審査会の構成メンバーというのは直接業界に関係のない方で構成するという状況であるとすれば、今回のように別に指定紛争処理機関をつくるのではなくて、再審査会の独立性を高める、あるいは法人格を付与するというようなことも一つあったんではないかと思うんですが、あえて新しくこういう機関を設けられた背景といいましょうか、検討経過もお聞かせいただければ幸いだと思います。

西崎哲郎今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会座長

○参考人(西崎哲郎君) 今おっしゃった点は運輸省の懇談会でも随分議論されまして、率直に言って、初め損保業界の方からは、今の再審査会その他、それをより強化して活用するのがいいんじゃないか、それから逆に被害者代表の方からは、国の機関として設置して全面的に国が介入してやるべきであるという意見も出て、先ほど激論と言ったんですが、それも一つ随分議論の対象になったわけです。それで、最終的には被害者代表の方もそれから業界の方も、今提案されている民間組織としてつくり、国がそれに対して全面的に業務全般について監督をしていくという、こういう形になることで意見が一致したわけです。  それで、その背景には、先ほど私が言いましたように、業界の今の再審査会その他、これは非常に私は充実してきていると思いますが、ただ、被害者にとってまず一義的に保険金の支払いが適正かどうか、それから、言ってみますとこれは不満の構造ですね、満足できるということはまずないと思うんです。  そうすると、そこにおける保険金支払いについての信頼感が確立しているかどうかというのが非常に大きいわけで、残念ながら、懇談会をやっていましても、保険会社、日本の保険業界は私は諸外国に比べると随分よくやっているとさっきも申し上げたんですが、やっぱり基本的に利益相反といいますか、信頼感が一〇〇%確立していないという状況があり、それからまた支払い適正化に対して国がやはり、事後チェック制になるだけに、紛争処理については国が監督できるような、それによって一種の信頼といいますか、これがやはり必要だと、現段階では私もその必要性を考えますし、特に、先ほど言いましたように、車社会におけるセーフティーネットとしてみんなから公正中立を信頼され、その調停が双方にとって受け入れられていくという、そういう一種の今の土壌の中での意味づけも非常に重要でありますし、これは将来的にこの紛争処理機構もどうなるか、これは検討の余地があると思うんですが、いずれにしても、再保険を通ずる国の直接的な監督の仕組みがここで変わるというこの変わり目においては、私は、今のこの制度があるいは妥協の産物かもしれないんですが、非常に効果的だろうというふうに思います。  以上です。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 ありがとうございました。  倉沢参考人にお尋ねいたします。  今回の法改正というのは長年にわたる関係者の御議論と御努力のたまものである、集大成であると受けとめているわけでございますけれども、この法改正の過程で、自賠責審議会が十分国民の期待している機能を、権能を発揮したんだろうかという若干の疑問を持っております。と申しますのは、自賠責審議会というのは、いわば保険料率を決めるという意味では、国会の審議にかわって行うというぐらい大事な権能を持っていると思っているからなんでございます。  今回の経過を私なりに調べてみますと、改正法案が閣議決定されたのが三月二日、そして自賠責審議会が行われたのが三月十六日というように伺っておるわけでありますが、再保険制度が廃止されれば、当然、例えば平成九年に決まった現行料率に影響を与えるであろう、あるいは設計した設計図に影響を与えるであろうということは予想されるわけなので、だとすれば、閣議決定される前に十分に保険審議会で議論されていいテーマではなかったのかと、課題ではなかったのかと思うわけであります。  そんな疑問があるものですから、今後の自賠責審議会のあり方も含めて、御見解を賜りたいと思います。

倉沢康一郎自動車損害賠償責任保険審議会会長

○参考人(倉沢康一郎君) 自賠責審議会としては、非常に委員の皆様の熱心な御協力によりまして、六月に答申を出しまして、そこで制度の現段階における問題点と改めるべき方向というようなものを決めさせていただきまして、その後、例えばこれが再保険廃止の際の運用益のその後の配分であるとかといったような問題については、かなり政府部内での御調整があって、また、自賠責保険の審議会としては制度の方向を出すというところまでの合意がその役割かと考えまして、その後さらに個々の今度は単年度ごとの料率の問題が起こりますと、これはまた自賠責審議会として一々審議しなければならないと思います。  制度の骨格、方向というもの、ぜひそれに即した、あるいはそれの指摘を踏まえた法改正を政府でやってほしいといって、その後それを、何といいますか注目していて、そしてできた案については三月に自賠責審議会の、懇談会という形で法案を示してもらいまして、それについての承認の機会は持ちました。  それで、自賠責審議会のあり方でございますけれども、自賠責審議会は、改正前の自賠法の三十二条でございましたか、あそこで諮問のあった事項とそれから自賠責保険制度に関する重要な事項についてということが権限として定められておりましたのが、今度の改正で、自賠責審議会としては諮問事項についてのみ権限があるという形になりました。  自賠責審議会としては、法定の権限に基づきまして、諮問があったらそれに対して真摯に検討いたしたいと思いますけれども、一方、金融審議会の自賠責部会というものがございまして、この交通安全に関する問題は非常に多くの省庁に関係する問題だと思いまして、それぞれの省庁においてそれぞれの問題意識に基づいて御検討なさることにつき、それが自賠責保険制度の重要な内容に関連するというときには、ぜひ我々はそれを真摯に検討したいと。そういう今考えでおりますが、これでよろしゅうございましょうか。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 ありがとうございました。  私の意見を述べる場ではございませんので、いろいろ申し上げたいこともありますけれども、この程度にさせていただきます。  北原参考人にお尋ねいたします。先ほど大変貴重な御意見をありがとうございました。お尋ねしたいのは、過失相殺の問題でございます。  自賠責保険では、過失相殺というのは被害者に有利な運用ができるようになっております。よく御存じのとおりであります。しかしながら、ひき逃げとか無保険車あるいは盗難車が原因で事故に遭った場合には、保障事業から保険金が支払われるにしろ、被害者の過失が七〇%であれば七〇%ということで、自賠責とは違う扱いになっております。これにはいろんな理由があったんだと思いますけれども、さはさりながら、被害者間の公平性という観点からいうと、今の過失相殺の率というのはそのままでいいんだろうか、保障勘定のですね、というようなことをいつも悩んでいるんですが、この点についての御見解を賜りたいと思います。

北原浩一全国交通事故後遺障害者団体連合会代表

○参考人(北原浩一君) 過失相殺につきましては、本来、事故の真実、これを反映するものが過失相殺でなければいけないと思っております。  それで、実は、御存じのように、重大な交通事故は、死人に口なしあるいは意識不明に言葉なしの形になるわけでして、加害者になった方は、やはり我が身を守る本能がありますので、やはり立場を正当化して、急に飛び出してきて間に合わなかった、実はよそ見をしていて間に合わなかったものが、やはり我が身を正当化する立場に変化するというのはある意味では自然なことだと思います。そして、そういうものが警察の記録になったときに、警察官は事故を見ていないわけです。そしてしかも、刑事訴訟法四十七条の規定などを見ますと被害者にそういう情報は出さないような決まりにもなっておりますし、そういう非常に被害者の立場を公平に見るというような土台がない中で過失相殺の議論が起こってきます。  実は、最近、ある東北の御婦人、六十三歳の方が高次脳機能障害で我が娘の名前も忘れるような、非常に気の毒な状態になった人を支援しました。その方が去年の九月に民事裁判を提訴して、ことしの五月二十五日に判決がありましたけれども、その事件については、加害者の言い分は被害者の過失が八〇%であるというものでしたけれども、判決では五%しかないというふうに変わりました。そういう事実を見たときに、過失相殺について私たちが非常に現状に不信を持っているということは理由があることだと言いたいわけです。  ですから、自賠責は二階建て構造の一階部分ですので、その辺では、やはり気の毒な被害者を救済するという視点でできるだけ緩やかに見てほしいと思うわけです。そうしないと、やはり今言ったような構造から被害者は救われないと思うわけです。  以上です。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 荒木参考人にもお尋ねしたかったんですが、私の持ち時間が参りましたので、またいずれ機会を見まして拝聴させていただきたいと思います。  きょうはありがとうございました。

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) 参考人の方々に委員長の方からお願い申し上げます。  質問者の方、手持ち時間が限定されておりますので、答弁はできるだけ簡略にお願いを申し上げたいと思います。

続訓弘公明党

○続訓弘君 公明党の続でございます。  本日はお四方、大変お忙しい中、貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。心から御礼申し上げます。  さて、まず西崎参考人にお伺いいたします。  平成十二年三月の政府再保険の廃止の閣議決定後、政府再保険廃止の具体的なあり方について運輸省の懇談会で議論が行われ、その結果が今回の法改正に反映されたものと承知しておりますが、この懇談会の座長をお務めになりました西崎参考人に、まず第一に、懇談会における議論では何が問題になったのかということ、それともう一つは、どのような点で取りまとめに御苦労されたのか、この点についてお伺いいたします。

西崎哲郎今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会座長

○参考人(西崎哲郎君) 運輸大臣の懇談会として、今後の自賠責保険のあり方に関する懇談会ということで、続先生も当時大臣をしておられまして、報告書も提出させていただいたりしましたが。一番やはり問題だったのは、再保険廃止に対する是非でございまして、特に被害者代表の方々は政府再保険が、先ほどもずっと、繰り返しになりますが、支払いの適正化あるいは被害者保護、政府の監督権行使の軸になっているわけでありまして、再保険が廃止されることによってこうした被害者保護、支払いの適正化が後退するんじゃないかという懸念が非常に強く、その後の議論にかなり時間を費やしました。  それで、初めのころは、被害者団体の方と業界代表の方が対立するというそういう構造でスタートしたわけですが、しかし、いろいろ議論を深めることによって、保険業界で随分努力されているわけで、そういう実態も被害者代表の方もかなり理解され、それから業界の方も被害者の今の被害の、マクロ的なあれではなくて、もう実に、きょうも北原さんから伺ったわけですが、そういう悲惨さとか、それから交通事故のそういった犯罪性、それから単にお金だけではなくて被害者に対する保険会社のパフォーマンス、それも非常に重要で、いろいろあって理解が深まって、最終的には全会一致ということで提出した報告書となった次第です。  あとは紛争処理機関をめぐる問題、先ほどちょっと触れまして、今後、被害者救済の具体策の充実というのはこれからどういう形で実現していくかという、この辺が懇談会としても非常に実は期待しているわけでありまして、特に交通関係の先生方、この委員会に大変期待しております。  以上です。

続訓弘公明党

○続訓弘君 どうもありがとうございました。  次に、西崎参考人と荒木参考人に伺います。  懇談会や自賠審の結論を踏まえて、最終的に紛争処理の枠組みは公正、中立性を確保するため、紛争処理機関に対して国が監督を行うこととなりました。私は、この機関を国の八条機関とするのではなく、民間機関とするこの法案の考え方に賛成でございます。一方で、公正、中立性を確保するために、国の監督や財政上の支援が必要ではないかと思いますけれども、この点についてお二人の御意見を伺いたいと思います。

荒木襄社団法人日本損害保険協会専務理事

○参考人(荒木襄君) 新しくこれからつくってまいります指定法人、調停のための組織でありますが、今のところまだ具体的にその資金をどういう形で調達するかというところまで詰めた議論をしておりません。  私ども業界としては、ともかく設立に必要な基本財産を拠出するとか、あるいは運営のための必要な経費を応分のものは負担しようということまでは考えて、そういう方向で議論しておりますが、国にそういう御負担をお願いすることが妥当かどうか、あるいはお願いするとしたらどういう考え方でお願いをしていくかということについてはまだ十分検討しておりませんし、具体的に御相談もしておりません。設立に向けて一つの課題だと思いますので、引き続き検討してまいりたい、そのように考えております。  以上でございます。

西崎哲郎今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会座長

○参考人(西崎哲郎君) この紛争処理機関を、先ほど申しましたように、運輸省の方は初め国の機関として設置するという案で、それが最終的には民の機関として、しかし国は業務全般について監督権を行使していくということになったわけです。国の機関として設立されていれば当然これは国が財政的に面倒を見るわけで、今、民になって国は監督ということですが、一番重要なのは業務が本当に公正中立に執行され、敏速に調停案が示され、しかもそれが非常に信頼される妥当な調停案になっていくという、これが重要で、特に最初が大事なので、業界の方で資金の負担は覚悟していらっしゃるようですが、国としても、これはもう極めて重要かつ必要な事業ですから、状況に応じて負担するのは当然だろうと私は思います。

続訓弘公明党

○続訓弘君 どうもありがとうございました。  そこで、次は荒木参考人に伺います。  政府再保険制度の廃止は保険業界から御要望があったと承知しておりますが、再保険制度の廃止により保険業界にはどのようなメリットが生ずるのでしょうか。具体的な数字があればお聞かせください。

荒木襄社団法人日本損害保険協会専務理事

○参考人(荒木襄君) 再保険制度がなくなることの具体的なメリットの問題でありますが、先ほどもお話しいたしましたように、直接的にメリットとして出てまいりますのは事務処理の面でありまして、これまで再保険があるがために要しておりましたいろんな事務のコスト、少なくとも二億円ぐらいのメリットがあるだろうということを先ほど申し上げたわけであります。  そのほか、私は、そういう具体的な金額というよりむしろ経営の立場から申しますと、これまで何といいましても、最も国民に広く関係しておりますこの自賠責保険という非常に大事な保険について国が六〇%の責任を負う、民間は四〇%だけ責任を負うという点が、やはり保険会社の経営という観点からいえば、何か国の仕事をお手伝いするというような感じにどうしてもなってしまう点があったかと思います。  そういうことではいけませんけれども、そういうことになりがちだということが私はあったと思いますが、これから文字どおり一〇〇%この保険について私ども保険会社が全責任を持って運用を行っていく、経営を行っていくということでありますから、経営としては、当然のことでありますけれども、この機に十分襟を正しながら被害者の保護のあり方あるいは契約者等に対するサービス、特に保険金の支払いに関する事前事後の情報の開示といったような、法律でこれから義務づけられるわけでありますけれども、そういう非常に重要な点についてはきちんとやっていきたい。そういう点でいえば、やはり十割保険会社が責任を負うということが、保険の経営に当たる者の立場からいえば大変大きなメリットといいますか、非常に大きな変化になるだろうと。  そういう意味で、自賠責保険の運営について、損害保険会社も随分変わったなと世間の皆さんから思われるようにこれから努力していきたい。そういうことのきっかけに十分なり得ると、私は考えております。

続訓弘公明党

○続訓弘君 せっかくの御努力をお願い申し上げます。ありがとうございました。  続いて、倉沢参考人に伺います。  累積運用益の二十分の十一を今後六年間で保険料の軽減に充てることになっておりますが、この仕組みについていかがお考えでしょうか、伺います。

倉沢康一郎自動車損害賠償責任保険審議会会長

○参考人(倉沢康一郎君) 今、先生方御承知のように、この自賠責保険は損害率百数十%というようなことで行われているわけですけれども、これはある意味でいえば保険料を安くする。もともと保険契約者が払った金で、できた果実から保険料を安くするという機能は持っているんですけれども、一方において、保険というのは総保険料と総保険金というものが等しくなって、したがって事故を起こさなければ保険料は安くなるといったような仕組みが保険なわけで、そういう意味でいうと、保険の加入者がちょっと保険自体について勘違いしがちといいますか、どうせ保険料はこんな安い金の事故しか起こっていないんだというような感じになるわけで、そういう意味でいえば、本来一〇〇以下にロスレシオがなるのは健全な姿だと思うんですけれども、今まで運用益というものによって、そういう形でやってきて、これを一挙に今度ある時期にユーザー還元をしてゼロにいたしますと。  その次からは、今度は今までにない高い金額になるということで、もともとその運用益というのが前の代の人たちの保険料の果実というもので、ある時期の人たちだけがその恩恵を受けるというようなことも問題ですし、社会的に大きなインパクトにもなりますので、その点で何年か低減していって、やがて本来の保険制度というものになるべきであろうというときに、それが何年かということはちょっと理論的にあるわけではございませんで、数年から十年の間ぐらいだろうというようなことで低減をしていくということが、いわば長い間積まれてきたものを今度は長い間還元していくというような意味で六年というような数字が出てきたというふうに私どもは了解しております。

続訓弘公明党

○続訓弘君 ありがとうございました。  それでは、北原参考人に伺います。  最近、後遺障害の方に対して介護料の支給や療護センターの整備などの措置が拡充されてはきておりますけれども、後遺障害者団体の代表として、このような措置をどのように評価しておられますか。それともう一つは、被害者救済のためにどの点を一番要望されるのか、この点について御意見を伺いたいと存じます。

北原浩一全国交通事故後遺障害者団体連合会代表

○参考人(北原浩一君) 療護センターが拡充されてきたとおっしゃいますけれども、私は、この陳述書に書きましたように、地域的に、例えば沖縄に住んでいる人は療護センターに通うのは非常に絶望的に遠いんだと思います。そういうことを考えますと、やはり行政の方々は今のままでいいと思っていらっしゃるのではないかと思いますけれども、私はまだ足りないと思っているわけです。ですから、ここでは北海道とか九州にもつくったらどうですかという提案をしました。  それから、一番、重度後遺障害者のための望むこととおっしゃいました点については、一つには、親亡き後、私たちは、自分の息子が自分が面倒を見られなくなったときにどうなるんだろうかなという問題があります。それと、やはり重度の後遺障害者を介護しているお母さん方の実態を聞いてみますと、一日二十四時間の中でも、のどに穴をあけて、そこからたんを吸引するような作業があったりするために、夜中でも二時間置きに起きなきゃいかぬとかいうような事情があるので、病気をすることもできないような状態で介護をしているということがありますので、その辺に対するもう少し手厚い手当てというものを考えていただけないものだろうかと思うわけです。  以上です。

続訓弘公明党

○続訓弘君 どうもありがとうございました。

大沢辰美日本共産党

○大沢辰美君 日本共産党の大沢と申します。  本当に、参考人の皆様、大変お忙しいところを本日はありがとうございます。  最初に北原参考人にお伺いしたいと思うんですが、ただいま御本人も被害者の関係者として大変御苦労されたことをお伺いしました。また、被害者の団体の役員としても多くの事故被害者への協力をされて、さまざまな体験をしてこられていると思います。そうした体験の中で、保険支払いの問題で被害者がいかに御苦労されているのかを目の当たりにしてこられたということで今お聞きしました。  そこで、お尋ねしたいんですが、保険会社の提示する支払い額の根拠となる損害の調査、そして査定のあり方について、被害者の立場から、保険会社が提示する過失割合、余りにもかけ離れている事例が多々あると聞いておりますが、どうしてそういうふうになるのか、その要因、背景についてお伺いしたいと思います。

北原浩一全国交通事故後遺障害者団体連合会代表

○参考人(北原浩一君) 支払い額の苦労ということになりますと、やはり私たちは、被害者の視点から見ると、自賠責だけを見ているわけじゃありませんで、自賠責を含めた損害賠償総額を見ているわけです。そうしますと、その中で、先ほども例示しましたけれども、先ほど例示したものでいいますと、三千二百万の提示したものが判決では一億二千八百万になったわけでございます。そういうように大きな格差が出るというのは事実でして、ある事件では四千万と提示しているものが、最近、民事訴訟で提訴した数字というのは、でたらめじゃなくて、私が見てもおかしくないと思うんですけれども、二億二千万の要求をしております。これが全部認められるとは思いませんけれども、この数字の格差というのはかなり大きなものだと思います。ある方は、介護料一級の全面介護をする御主人の事例ですけれども、損保会社の提示額は日額三千円でございます。そういう事例が多々ありますので、やはりその損保の支払いについては非常に私としては納得できないと思うわけです。  損害調査については、先ほど事故の原因についていろいろわからない点があって不信があるということを申し上げました。それでかえさせていただきます。

大沢辰美日本共産党

○大沢辰美君 そこで、荒木参考人に、今、北原参考人が述べられたああした事態についてどのようにお考えでしょうか、お伺いします。

荒木襄社団法人日本損害保険協会専務理事

○参考人(荒木襄君) 自賠責保険の保険金支払いについては、ある種の公平性、保険会社間の考え方の違いとか、あるいは被害者なり被保険者間の公平性を保つという意味で保険金支払いの基準がこれまでも国によって定められており、保険会社がそれを遵守してきたわけでありますが、今度の改正法案の中ではさらにそれは自賠法に関連したものとして国できっちりとそれは定め、かつ保険会社の遵守義務も法の中に定めるということになりました。  これは、基本補償としての自賠責保険の役割にかんがみまして、一つは、迅速な処理ということもあるし、先ほど申し上げた公平性ということから、かなり画一的な支払い基準というものを定めております。それから、過失相殺の問題なんかにつきましても、自賠責保険の基本補償という考え方から、一般の民事責任の考え方から見ますと大変緩和をいたしまして、七〇%以上の過失がなければ過失相殺はしない、そういう考え方をしているということは御承知のとおりであります。  一方、任意保険の方の考え方はどうであるかということでありますが、これは賠償責任の保険ということでありますから、賠償責任保険としての損害額の算出という場合には、一般の不法行為責任の考え方に沿って算出していくということにどうしてもなります。その場合には、もちろん裁判のいろんな判例といいますか、あるいは各地の弁護士会で持っていらっしゃるいろんな基準、そういった点も参考にしながら、各保険会社がそれぞれの考え方で損害の調査をし、具体的な金額を被保険者なり被害者に御提示をして示談を進めていくということになります。  この任意保険の損害額をどう認定するか、どう交渉していくかということは、これは自賠責保険と大分性格が違いまして、要は、任意保険で損害額をお示しし示談をするというのは、交通事故全体、民事関係の紛争全体を最終的に決着をする、解決をするということも一つの大きな役割でありますから、全体としての民事責任をそこで決着をしてしまおう、示談という形で決着をしようということでありますから、どうしても、全体としての過失相殺のあり方でありますとか、あるいは慰謝料をどうするかという問題については、今申し上げましたように、民事事件としての不法行為責任に関する裁判例その他を参考にしながら全体的な解決を図っていくということになります。そして、これについては保険会社間で一定の支払いの基準を、共通の物差しを持つというようなことはこれは独占禁止法にも触れるわけでありますから、これは各社でそれぞれ自分なりの考え方でやっていくというほかないかと思います。  この際、もう少し申し上げますと、御存じのように、二年半ぐらい前から実は損害保険会社も猛烈な競争場裏に入っておりまして、大変激しい競争関係の中にあります。したがいまして、任意保険の領域につきましても、不当に安い金額を被害者に押しつけるとか、そういうようなことをもし意図的にやる保険会社があれば、恐らくその保険会社は市場の中で淘汰されるほかないだろうと私は確信しております。したがいまして、そういうこと等を考えますと、自賠責と基本的に考え方が違いますから、そういう特性はあるにいたしましても、一般の民事責任の解決の仕方から大きくかけ離れたような損害額の認定とか、そういうことを土台にした示談の交渉を保険会社が意図的に進めていくということは、私は、少なくとも今後においてはできないといいますか、起こり得ないのではないかというふうに確信をしております。  以上であります。

大沢辰美日本共産党

○大沢辰美君 やはり損害の調査、査定のあり方が問われてくることになると思うんですが、そこで、倉沢、西崎参考人にお伺いしたいと思います。  特に、自算会ですね、保険会社から依頼されて調査、査定に当たっているわけですけれども、被害者の救済の立場に立っているのかどうか、実態はどうなっているかということなんですけれども、自算会は自賠責の損害調査をやっているわけですから、当然、公正中立、適正でなければならないはずですが、この点と損害調査のあり方についてお伺いしたいと思います。

倉沢康一郎自動車損害賠償責任保険審議会会長

○参考人(倉沢康一郎君) 自算会が実際にどういうふうにやっているかということは、私つまびらかには存じませんけれども、制度的に申しますと、結局、自算会はある種の客観的な基準に基づいて、今度は支払い基準が法定されますけれども、そういうものに基づいてかなり技術的な調査の役割を果たすべき機関だと思います。  したがって、それに対して審査会、再審査会というような三審制みたいな構造を内部に持っているわけでございまして、それでその再審査会においてはかなり専門家である部外者が公正な立場で審査をするという制度をとっているのだと思います。実際にどういう調査をしているかというのは、私見学には参りましたけれども、その実質についてはなかなかつまびらかにはできませんので、御容赦いただきたいと思います。

西崎哲郎今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会座長

○参考人(西崎哲郎君) 業界の自算会それからこの再審査機能、私も自算会に何回か行っていろいろ状況をお聞きしたり見たり、御存じのように数年前にいろいろ問題が起きてこの再審査機能を強化したわけですが、その効果は随分出ていると思います。  私、ですから、業界も随分努力されてやっていらっしゃると思うんですが、一つ問題は、先ほど北原さんも言われたんですが、交通事故の原因、これがどういう原因によって、つまり責任の所在ですけれども、この出発点が非常に大事なわけです。それで、警察のこれは初期捜査になるわけですが、警察も随分捜査については改善、努力しておられるようですが、しかしこれはやっぱりいろんな複合的な要因もあるわけですから、科学的な事故原因の究明、調査というのは、これはもう必要不可欠だと思うんです。  そういう立場からすると、これはもうまだまだ改善の余地がある、それから捜査情報の活用も、これも限定的に自由化はされつつあるようですが、もっと積極的に保険会社、自算会、あるいは特に新しくできる紛争処理機関には警察の捜査情報もフルに提供していただいて、やはり事故原因をはっきり客観的に究明し、その責任の分担に応じて支払い額を決めていくという、このシステムが非常に私は重要だろうと思うんです。それがしっかりしていないと、いろんな形で不信感ができるし、非常に不満がうっせきしていくということにもつながっていくと思います。

大沢辰美日本共産党

○大沢辰美君 もう一度北原参考人にお伺いしたいんですけれども、本当にまだまだ課題は山積みしていると思うんですが、そこで、被害者の救済対策を実施していく上で、どうしても私は国の予算を大幅に充実していかなければならないと思うんです。  しかし、今度の法改正に伴って、運用益の問題で先ほどもお話がありました、二十分の九の九千億円を基金として運営していくことになる。だから、年間大体百九十億円が予算枠として固定されるのではないかなと思うんですけれども、私たちはなぜ二十分の九なのかという疑問を持っているんです。しかし、この枠内でどう被害者の救済費に充てるのかという点で真剣に検討しなければならないと思うんですが、百九十億円の内訳を見てみますと、被害者救済対策は百二十四億円、そして事故防止対策は六十二億円となっています。  この事故防止対策にはノンステップバスとか購入費の助成も入っていますし、それからバス活性化事業費も含まれていて、私、これらは交通バリアフリーの問題じゃないかな、バス事業対策であると思うんですが、もちろんこれは必要な事業なんですけれども、なぜこの少ない中から被害者救済なのかな、この中から出ているのがちょっと理解ができないんですが、これらは一般会計で私は見るものだと思っています。  そこで、これを本来の被害者救済対策に充当することを私は見直すべきだと思いますが、今陳述の中でその点も少し強調されていたと思いますけれども、その点をさらにもう少し詳しくお話しいただきたいと思います。

北原浩一全国交通事故後遺障害者団体連合会代表

○参考人(北原浩一君) 今の質問のことを聞きますと、私も全くそう思いまして、実はノンステップバス等のバリアフリー対策は、何も乏しい被害者を救う仕組みであるこの自賠責に依存しなくてもいいのではないか。例えば、今道路関連予算で道路建設費、道路関連税金を見直すという議論が国会でなされているように、報道で見ておりますと、あれでは例えばバリアフリー対策をあの予算でも行うというようなことも報道されております。  ですから、ああいう予算というのは非常に金額的にはたくさんあるということもありますし、百何十億のお金に目をつけるよりはそういうお金を使って、バリアフリーと言っておるわけですから、もっともそちらの方で、道路の税金というのは車が、加害者になるような立場にある車が社会に使われてそこで税金が出てきているわけですから、やはりそっちの方で補っていただくべきであろうと思います。  ですから、この目的に照らして、やっぱり障害者の体の救済ということに比重をもう絶対にスイッチしていただきたいと思っております。

大沢辰美日本共産党

○大沢辰美君 以上です。ありがとうございました。

渕上貞雄社会民主党・護憲連合

○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。  参考人の方々、本日は御苦労さまでございます。  まずは、西崎参考人に御質問申し上げます。  今回の制度改正において、今も議論になっておりましたが、運用益の二十分の十一をユーザーに還元をする、残りの二十分の九を被害者救済対策と事故防止対策に充てることとされています。やはり交通事故による悲惨な被害者を軽減していくためには、被害者救済対策や事故防止対策により多くのお金を使うべきだと考えていますし、その対策をさらに充実強化させるべきであろうと考えております。  また、ユーザーへの還元と言いながら、平成十四年から平成二十年という期間が設定されています。累積運用益は今までのユーザーが納めてきた保険料が原資となっているわけですから、保険料を納めたユーザーに還元するというのが本旨ではないかと考えますが、この二つについてお伺いいたします。

西崎哲郎今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会座長

○参考人(西崎哲郎君) 最初の御質問ですが、二十分の九で一体十分な被害者保護の充実、これが前提になっているわけですけれども、できるかどうかという、それから最近の交通事故状況を見ると、その面からも強化していく必要があるということで、二十分の九で大丈夫かという、実はそういう不安は被害者団体の方が非常に強く持っておられますし、私も実は心配しているわけです。  しかし、やはりユーザーへの還元というのは、保険料の契約者としてはやっぱり支払う立場で、確かに現在利用しているユーザー、前のユーザーが、しかし継続的に皆大体同一契約者だと思うんですが、しかしこれは順繰りになっているわけですから、これは時系列的に見るとそう遮断すべきものではないということと、それからこの被害者救済事業、さっき私ずっと並べたわけですが、これが一体どの程度拡充されていくかということを、やっぱり私も懇談会の座長の立場でよく注視したいと思います。それでもし不十分なら、二十分の九をふやすということは、これはなかなか難しいわけで、国としてはしかし、安定的に運用益活用事業も含めて継続していく、それから被害者保護は充実していくという約束をしているわけですから、これは当然国として必要な被害者救済策について財政的に面倒を見るべきだろう、そういうふうに思います。

渕上貞雄社会民主党・護憲連合

○渕上貞雄君 次に、倉沢康一郎参考人にお伺いいたしますが、事故が増加するにつれて、損保会社の保険金支払いが適正に行われているかを国がチェックして、さらに保険料を運用した利益で、例えば植物状態など重度の後遺障害を背負った交通被害者を救済する事業を行うなどの点がますます重要になってきました。  再保険制度の廃止というのは、政府がこれまで行ってきた被害者対策を損保会社に譲り渡してしまうことになりはしないか、また被害者保護が大きく後退するのではないかという心配がございます。その点、どのようにお考えなのか。  政府の再保険の果たしてきた役割についてリスクヘッジ機能があると考えますが、近年の損保会社の破綻もありまして、本当に政府再保険を廃止しても保険の支払いは大丈夫なのかどうかということについて、お伺いいたします。

倉沢康一郎自動車損害賠償責任保険審議会会長

○参考人(倉沢康一郎君) 政府の再保険の廃止は被害者保護を廃止するというふうにはこの審議会答申は考えておりませんで、百八十度違う立場で、この自賠法の目的が被害者救済と健全な交通の発展というようなことで、その場合に被害者保護の手法として賠償責任保険制度というものを取り入れた。そこで、賠償責任保険制度として被害者保護というものはより図られるような形でいくべきだというのが今度の答申の骨子でございます。  それでございますから、政府の再保険という二重構造を取り払って、一番被害者保護に問題がもしあるとすれば、先生が御指摘のように、保険会社が破綻をして支払い不能になるおそれはないかという点でございますが、これはいろいろな見方があるかもしれませんけれども、私は、現在の保険会社の個々の資産の問題というよりは、むしろ国の制度として、国というか業界の制度としてのプール制度と国の制度としての保険契約者保護機構等によって、これは現在はもう問題ないというふうに考えております。  それで、再保険の運用益で行われていたものについて、これが本来必要なものであるといたしますと、その事業として継続していくということは、これはもう当然のことでございますけれども、その場合に、自賠責保険の保険料の運用益というようなもので行われるべきものかどうかということがやっぱり問題になると思うのでございます。これは運用益で行わないということはやめるということに事実上はなるじゃないかと言われたら、ちょっと制度論としては困るんでございますけれども、本来行われるべきものは行われるべきであって、自賠法において、被害者保護というのが賠償責任保険というシステムを通じて保護するということの中に、さらにそれに加えて、保険給付のほかに補助的にもさらに給付を加えていくという形で自賠法制度の中の目的に入るものがこの場合の運用益による被害者救済事業ということになるんだと思います。  私も、本来、交通事故の、人身事故の被害者の方の救済ということについて、これが手厚く行われるべきであるということについて全く異論があるわけではございません。違った考えがあるわけじゃございません。

渕上貞雄社会民主党・護憲連合

○渕上貞雄君 次に、荒木襄参考人にお伺いいたします。  交通事故被害者救済のための強制保険である自賠責保険で、損保保険会社が、国土交通省から被害者や遺族に適正な保険金が支払われていないと指摘をされて、被害者側に保険金を追加払いしたケースが、過去十年間で三千八百十二件、総額にいたしまして五十七億四千三百八十三万円にも上っております。これは損保業界の払い渋りであり、損保業界が被害者救済という自賠責の目的をゆがめてきた実態ではないかと思います。損保業界の姿勢がこれらの問題について問われるのではないかと思いますが、その点、いかがでございましょうか。  次に、被害者救済の充実のためには、保険料が民間の一〇〇%運用になり、より多くの運用益の発生が見込まれるわけですから、保険会社の運用益を活用して実施している被害者救済対策も充実させていただく必要があると考えますが、参考人の御見解をお伺いいたします。

荒木襄社団法人日本損害保険協会専務理事

○参考人(荒木襄君) お答えを申し上げます。  まず第一点の、被害者に規定を下回るような保険金が支払われたケースが過去にあって、是正をしたということがあるじゃないかという御指摘はそのとおりでありまして、過去にそういうことがあったことは事実であります。  我々としても、そういうことは本来あってはならないことでありますので、その原因についていろいろ調査をいたしましたが、再三申し上げておりますように、自賠責保険については支払いの基準というのが、かつては運輸省の自動車局長の通達ということで指示をされて、それを保険会社が遵守をするということをずっとやってまいりましたので、本来そういうことは起こるはずもないわけでありますけれども、実態をいろいろ調べてみますと、交通事故の事実関係の調査とか認識、あるいは支払い基準の適用ということについて、その現場で仕事をしている損保会社の社員なり、あるいは調査をゆだねられております自算会の調査事務所の職員の方々の中に、若干誤認といいますか錯誤というか、そういうものがあって、計算上のミスが行われたケースがあったということだと思います。  決して、何か意図的な払い渋りといったものではないと私は確信しておりますけれども、しかし、そういうことが事実上起きているわけでありますから、それを早く是正しなきゃいけないということで、一つには保険会社の中での支払い結果と支払い基準との間の点検を厳格化いたしました。また、調査事務所におきましても同様に支払いの結果と支払い基準についての点検を大変強化いたしました。その結果、平成十一年度あるいは十二年度においてこのような支払い基準を下回るような保険金の支払いというケースは激減しているというふうに私は承知しております。

渕上貞雄社会民主党・護憲連合

○渕上貞雄君 なお、先ほども参考人の方からお話ありましたように、制度に対する不信というものがどこから生まれていくかというのは、おぼろげながら事故原因の調査だとか事故にかかわる問題のように思いました。恐らくそういうものが、今言われたことで、やはり基準と結果についての点検というものがされれば、制度に対する信頼というのは私はより増してくると思いますので、今後ともひとつ、どうか荒木参考人におかれましても御努力いただきますようお願いを申し上げておきたいと思います。  最後になりますけれども、北原浩一参考人にお伺いいたしますが、再保険制度の廃止についてどのようにお考えになっているのか、ひとつ御質問申し上げます。  被害者保護の目的に国が介入を義務づけている自賠責保険が、信じられないような厳しい査定をなされて、長い間苦しんできている人が大勢いる。恐らく査定の基準によって悩んでいるというか苦しんでいるというか、そういう印象を受けられているようなお話が先ほどございました。  したがって、このような状況がなぜ発生するのか、その原因は何とお考えなのか、どういう点をまず改善すべきなのか、そしてやはり国に望むことは一体どういうことなのかをお伺いして、質問を終わります。

北原浩一全国交通事故後遺障害者団体連合会代表

○参考人(北原浩一君) 廃止については基本的には私たちは反対だったわけです。ただ、規制緩和でやはり行政がスリムになるという考えについては私たちは反対しているわけじゃありません。ですから、非常にそこにジレンマもあるんですけれども。  我々被害者の救済については、先ほどもお話ししましたように、大変申しわけないけれども、損保会社の対応に対して不信があるわけです。ただ、私は、損保という仕組みがあるということは、通り魔に傷つけられた人たちよりもはるかに助かるわけですから、ありがたい仕組みだと思っている前提で損保の駆け引きに対する不信を持っているわけで、損保の仕組みに対して敵視したり感情的に反感を持っているわけではないんです。  ただ、やはり、こういう利害が対立する人たちが査定するよりは、そういう立場に立たない国が関与した方がベターだと思っているわけです。ですから、廃止は反対であったのだけれども、時と流れで仕方がないと、そのかわりきちっとした国の関与でいろいろ被害者が泣かないような方策を講じていただきたいと思っているわけです。

田名部匡省無所属の会

○田名部匡省君 最初に倉沢参考人にお願いしますが、この保険料が昔は高かったと思うんですね。自賠責保険はノーロス・ノープロフィットだと、こう言われて、ずっとこうして拝見しておって、保険に入ってすぐ事故は起きないだろうとみんな思っているんですね。それから、場合によっては事故発生から保険金支払いまでのタイムラグというのはあるし、そんなことで運用利回りが比較的好調であったし、運用益は累積してきたと、こう私は認識しているんです。これは生命保険の今逆ざやともう全く違いまして、そういう意味では累積運用益が二兆円だったと。いろいろとその配分の仕方も考えられているわけでありますけれども。  特別会計に繰り入れるということですが、この累積の運用益というのはどこに帰属するんでしょうか。

倉沢康一郎自動車損害賠償責任保険審議会会長

○参考人(倉沢康一郎君) これは純粋に理論的な発生源からいいますと、これは保険契約者に帰属するべきもので、本来からいいますと、保険の理屈でいえばそんな運用益がずっと出るというようなことは、もっと早くから還元がなされるべきであったという理屈になるんだと思います。これでお答えになりましょうか。

田名部匡省無所属の会

○田名部匡省君 先ほど来、これについて各委員からもお話がありましたが、どうしても、私も、自賠責が赤字料率になる以前に車を所有しておった、あるいはその以降、車を持っていない人には還元されないと。もう年をとって車に乗らなくなりましたなんという人もおるし、そういうことを考えると、運用益の累積に全く貢献していない人に還元するというのはどういう理屈から考えられてきたのかなと。たしか、保険相互会社を株式会社に転換する場合でも、どの時点で社員つまり契約者に株式を渡すかという問題が生じますよね。  この点について、法案によると、運用益の配分には保険理論上全く問題はないんでしょうか。

倉沢康一郎自動車損害賠償責任保険審議会会長

○参考人(倉沢康一郎君) 理論的にはかなり問題は含んでいると思うんですけれども、やっぱりユーザー還元という言葉にある意味でいえば二つの意味があって、例えば継続して入っている人に対してはまさに事実上還元されるわけですけれども、将来あるべき姿として自賠責保険制度のあり方というものを考えると、ユーザーがしかるべき保険料を払うようなシステムにしていくと。で、こんなべらぼうな運用益がたまらないような保険料率にしていくということで、そういう意味では将来のユーザーに対する還元といったような意味もこれに含まれるかと思います。

田名部匡省無所属の会

○田名部匡省君 北原参考人にお尋ねしますが、私は四人の方々の話を伺って、やっぱり事故に遭った人とその経験がない人との差というのはこんなにあるのかなと、こういう感じでお話を伺って、本当にお気の毒だなと。  私は、保険というのは、何のために保険に入っているのか、あるいはだれのためにある保険なのかというのを忘れると、これはおかしな方へ行って、運用益もあっちへ使ったりこっちへ使ったり、もう最近、KSDを見ても、車庫証明のあれを見ても、もう全く金があるとでたらめに使って、でたらめとは言いませんが、本来の目的から離れた方にばっかり気が向いていっているなという気がしてならぬわけです。  そこで、この運用益の配分をどうお考えになっているか。あるいは自動車保有者は常に被害者になるという立場にも立つわけですから、保険料の形で微々たる私は金額を還元するよりも、事故の被害者となった場合に手厚い保護が受けられる方が政策的にもいいんではないかと。これ、少しぐらいもらったって、今度、自分も加害者になったときのことを考えるとですよ、私はそう思うんですが、どうですか。北原参考人。

北原浩一全国交通事故後遺障害者団体連合会代表

○参考人(北原浩一君) 全くおっしゃるとおりで、私も息子が交通事故に遭うというのは全く信じておりませんでした。気も動転したわけですけれども、それからこういう世界のことについて多少学んできておりますので、今の質問について思うことですけれども、やはりこの保険の制度というのは被害者救済という制度であって、車のユーザーは第三者ではなくて、いつ我が身に降りかかるかわからぬということがありますし、これが、保険料が安いことがいいのでしたら究極的にはゼロになればいいわけです。ところが、そうなっていいんですかという問題。  保険というのは何のための保険なんですか。まさかのときに備える保険ではないですか。保険を掛けない、ゼロという選択もあるわけですよ。ところが、まさかのとき役に立たなきゃ、この保険は存在価値がないわけです。ですから、やはりそのことを考えると、通常の経済的なお金の運用の視点でこういうものを見るというのは、やはり傍観者の立場である、経済の理論の、まあちょっと失礼ながら、もてあそぶ学者の立場であると、ちょっと過激なことを言って申しわけありません、そんな気持ちがいたします。  ですから、やはり被害者を救済、あすは我が身なんだということをやはりしっかりと考えて、あるべき姿を考えてほしいと思います。

田名部匡省無所属の会

○田名部匡省君 荒木参考人にお尋ねしたいんですが、最近、任意保険の引き受け拒否という問題が起きているということを伺うんですが、自由競争の結果、保険料は安くなった人もいるけれども、逆に高くなって保険に入れないという人たちもおると聞きますが、一体どういうことなのか。消費者のための競争が逆に悪い結果を生んでいるんでないだろうかなと私は思うんですが、いかがですか。

荒木襄社団法人日本損害保険協会専務理事

○参考人(荒木襄君) この引き受け拒否の問題は、もちろん自賠責の問題じゃなくて任意保険の問題だというふうに理解をいたしますが、私自身は具体的に引き受けの拒否という事実をまだ承知をしておりませんが、そういうことが起きてはならないというふうにもちろん思っている立場で申し上げますが、保険料率が自由化されまして、確かに保険会社はいろいろリスクに見合った保険料を提示するということでやっておりますから、理論的に言えば、保険に入ろうにも保険料が高過ぎて入れないという人が起こるということは理論的には可能性がございますが、そういうことを防ぐために自動車保険については、一般の住宅の火災保険もそうでありますけれども、金融庁が事前の料率認可制度をとっております。  したがって、金融庁の事前の認可の審査の中で、保険に入りたくても入れないような高い保険料を保険会社が仮にもし申請をしたとしても、恐らくそれはなかなか認可にならないのではないか。そういう事前の認可制度の中でそれは防がれているというふうに私は考えております。  純粋に、全く理論的にリスクに見合った保険料を全部適用するということになれば、まさに先生がおっしゃったように、理屈の上ではそのような高い保険料が生ずるということはあり得るわけでありまして、例えばアメリカなんかで現にそういう問題が起きております。そういうことが日本に起きてはならないので、そういう事前認可制度の中でそういうことが未然に防がれているというふうに私は思いますけれども、逆に言えば今度は、カリフォルニアの電力危機ではありませんが、保険料が抑えられるということのために保険会社としてはもう引き受けができないというようなことになる可能性もあるわけでありますね。そういうことがあってはいけないので、なかなかこの辺は難しいところでありますけれども、現状においてそこまで来ているかなという感じを率直に申し上げて私は今持っております。そういうふうにならないように努める必要があるというふうに思っております。

田名部匡省無所属の会

○田名部匡省君 特に若い人たちというのは危険だと見られていると思うんですね。それから、お年寄りの方々もだんだんブレーキの踏みぐあいが悪くなってくると事故を起こすだろうということで、この辺がやっぱり入りにくくなっている。しかし、事故を起こしたときにはこれは大変なことになるということになると、これは何かやっぱり考えなきゃならぬと思うんですね。  西崎参考人にお尋ねしますが、自賠責懇談会の提言によると、事故を起こした者を政府保障事業で救済するプランが出ておったようですけれども、自賠責審議会の答申ではこれが受け入れられなかった。せっかく先生が座長を務められておる懇談会が被害者救済のために一歩を踏み出そうとしたんだろうと思うんですが、これが踏み出せなかったというのはどういうことだったのか、お聞かせいただきたいと思います。

西崎哲郎今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会座長

○参考人(西崎哲郎君) それは、政府保障事業は、つまりひき逃げそれから無保険者、これは政府保障事業は継続してやっていくということで、今回の改正でもそれは貫かれていると思いますが、問題は、先ほどから出ている、要するに無責の問題とか、それから自損をどうするかとか、これは非常に難しい問題が、先ほど倉沢先生がいろいろおっしゃったわけですが、これについては、ですから懇談会としては明確な意見統一はできなかったわけです。それで、今おっしゃった高齢ドライバーの、よろしいんでしょうか、時間は。

田名部匡省無所属の会

○田名部匡省君 いや、もう時間がありませんので。

西崎哲郎今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会座長

○参考人(西崎哲郎君) そうですか。じゃ、もういいですか。

田名部匡省無所属の会

○田名部匡省君 自損事故のことをお伺いしたいと思っておったんですが、この辺もやっぱりきちっと対応してやらぬと、この間も委員会で質問したんですけれども、NHKのテレビを見まして、猫が飛び出してきて慌ててハンドルを切って対向車の方へ行ってぶつかったとか、電柱にぶつかったとかというようなことというのはあり得るわけでして、そういうことの被害者救済というのも考えていただきたい。  それで私は、この日本というのは、自動車にかかわる税とか料金というのは多過ぎるんでないかなと思うんですね。例えばガソリン税、軽油、あるいは免許の書きかえ、自動車取得税、車庫証明、それから外国から入ってくるたび、私も一遍ドイツから買おうと思ってやったら、物すごい手続と金がかかるんですね、自分ではもう買えませんでした。そういうトータルのことも考えながら、特に運用益等については、本当にやっぱりきちっとした対応をとって、国民の負担をなるだけふやさないと。高速料金も皆もう全部かかりますから。どうぞそういうことも念頭に、今後審議会等でまた御議論いろいろあると思いますので、いずれにしても国民の立場に立って、被害者の立場に立ってどうするかということでお考えいただきたいと、こう思います。  時間ですから終わります。ありがとうございました。

戸田邦司自由党

○戸田邦司君 戸田邦司でございます。  先生方、大変お忙しいところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  自賠責保険に関してですが、私は、この法案は最終的には非常によいまとまりといいますか、落ちつくべきところに落ちついたのかなと、こういう感じで受け取っております。私自身、今でも車を運転していますし、海外で車を運転していたこともありますし、そういう意味で、この問題については非常に関心があります。  この自賠責保険を基本的な点で考えますと、これは日本の社会の成り立ちとか、そこまで行き着くような問題だと思いますね。これは先ほど来お話しありましたように、こういった形の強制保険が存在している国というのは非常に少ないんじゃないかと思います。  私は雪の多い国に住んでいまして、それで任意保険だけです。それで、保険を掛けない人がいるかというと、いませんね。これはやっぱり自分のその社会における存立にかかわる問題だから、もし自分が事故を起こして、それが保険で支払われなければ自分自身がもう一生償っても償い切れない、一生を棒に振る、そういうようなことで、こういうことについて非常に重大な関心を一般の人が持っている、そういうことだったと思います。  ですから、先ほど荒木参考人から、OECDで御説明されて非常によくできた仕組みだなとわかってもらえたと思うという話をしておられましたが、私は、特にヨーロッパの国などの人たちは理解できなかったんじゃないかと思いますね、この二段構え、二本立てのこの制度というものを。  それで、まず西崎参考人にお伺いしたいと思いますが、この任意保険だけでやっている国と、それから日本のように自賠責、強制保険がある国との違いといいますか、そこの違いをどういうふうに受けとめておられますでしょうか。

西崎哲郎今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会座長

○参考人(西崎哲郎君) 違いはいろいろ、例えばまず無保険者の問題ですね。日本は、二輪車は別として自動車に関してはもうほとんど無保険者はゼロに近い。アメリカは御存じのように二〇%台ですね。欧州でもやっぱり一けた台の無保険者がある。これはまず一番大きな違いだと思います。  それから、強制保険を通じての運用益の活用、被害者保護あるいは被害者救済、これも例えば今、日本の療護センターがやっている事業は、これはやっぱり世界でもかなり先端的な水準で、もう日本だけだと思いますね。  それから、任意保険との二階建てによって、これが要するに基礎的な部分は強制保険で補い、あとはニーズに応じて積み上げていくという、これも実にうまく考えたものだと私は思いました。最初に、ですから私は世界に誇るべき社会的経済的資産じゃないかと申し上げたんです。  政府再保険の廃止というのはこの一部分、根幹ですけれどもその一部分で、制度全体のノーロス・ノープロフィットの原則も含めて私はこれは実によくできた制度であり、しかし状況の変化に応じていろいろ改善、努力を加えていく必要はあるとは思いますが、先生のおっしゃることに全く同感いたします。

戸田邦司自由党

○戸田邦司君 自動車損害関係についてだけ考えますと、そういうことも言えると思います。それは非常に説得力のある意見だと思います。  ただ、ヨーロッパにしてもアメリカにしても、第三者に対する損害賠償についての保険というのは一般的にありますね。ですから、自動車事故で被害を与えようとほかの何かで与えようと、そこは救済の道があるというような保険に加入しているから私は自動車損害のこういう保険には、任意保険には入っておりませんという人もおりますね。ですから、必ずしもそのパーセンテージがそのまま自動車事故の救済に当たらないかといえばそうではないと私は受けとめておりますから、その点、日本の場合と若干の違いがありますねということになるかと思っております。  それで、重度後遺障害の人々の救済、そういったことを考えていきますと、国によってはこれは医療制度の中できちっと担保されている国があります。つまり、医療はただであると、そういう社会保障制度を持っている国がありますから、そうしますと、そちらの方のスキームの中に吸収されて特別に自動車の方で立てなくてもいいと、そういうようなことにもなっていると思いますので、その辺は、自動車の方できちっとした制度をつくって救済できるようにしていると、本来国がやるべきことをやらないで済んでしまうという、そういう危険もありはしないかと私は思っております。  そういう点について、被害者救済全体を見た場合の、今の自賠責の中の仕組みというのはよくできた仕組みだと思っておりますが、そのほかの部分と考え合わせますと、必ずしも整合性がとれていない場合があり得るなと、こういう気がしておりますが、その辺については、倉沢参考人、どんなふうにお考えでしょうか。

倉沢康一郎自動車損害賠償責任保険審議会会長

○参考人(倉沢康一郎君) おっしゃるとおりで、自賠責審議会の答申も、「被害者の苦しみを軽減するための費用を、社会全体がバランスよく負担するという視点も必要である。」という点の指摘もあるわけですが、自動車事故の被害者の救済ということを目的とする強制保険制度ができて、ある意味でいいますと、我が国の保険の普及の中で責任保険の普及の先駆けを昭和三十年という時代にしたと思うのでございますね。  そのとき、先ほど理論的に運用益の帰属ということで申し上げましたけれども、政策論的にいいますと、その場合の自動車事故の被害者保護ということを自賠責という枠組みの中で、一種の何といいますか、補助的といいますかあるいは補充的といいますか、そういうような仕組みとして、先ほど西崎参考人も御指摘になりました例えば療護センターといったようなものが、これが今非常に大きな、十分とは言えないまでも大きな役割を果たしているというような中で、そういう運用益の働きというものも、ある意味でいえば、自動車保険の一つの効果として存在しているということは事実だと思うのでございますね。  もちろん、ほかの被害者との何というか公平とかいろんなことを国全体としては考えなきゃいけませんけれども、現在その自賠責保険というものの運用益の利用ということで自賠法の目的達成の一翼を果たしているというふうに私は認識しております。

戸田邦司自由党

○戸田邦司君 今のいろんな制度の立て方では、まさしく先生御指摘のとおりだと思います。  それで、先ほど北原参考人からも提起されておりましたが、道路特定財源、ああいったものも検討に値するではないかという話がありまして、自動車事故関係の被害者というのは加害者が特定できるものですから、これまた違った点があるかと思いますから、今後の課題として、例えば通り魔などもあわせて国としてどう考えるかという課題はあると思っております。  そこで、北原参考人にお伺いしたいと思いますが、事実関係を明らかにする、これは非常に難しいんですよね。まず警察が出てきて調べます。それは、先ほどの話ではありませんが、刑訴法の問題で中身は明らかにしてくれない、訴訟に関係あろうとなかろうと明らかにしてくれないと。ですから、事実関係だけははっきりさせてもらうような仕組みができるかできないか。まず警察が調べ、それから通常ですと損保関係が調べ、それから自賠責関係がその事実関係の確認に出てくるというような段階を考えますと、時間が非常にたっているんですよね。その辺について、事実関係をはっきりさせるという点一点に関して、北原参考人に何か新たな提案なり提言なりがありましたら、お伺いします。

北原浩一全国交通事故後遺障害者団体連合会代表

○参考人(北原浩一君) 事実関係を知ることが本当に大事なことだと思いますけれども、一つには警察の捜査情報を初期の段階で知ることができるような手段というものを検討していただきたい。例えば目撃者、時間がたつと目撃者も言ったことを忘れてしまうとか、現場の状況や地形も変わるとかあって、真相が非常にわかりにくくなります。ですから、最初の情報が被害者の求めに応じてわかるようなルール、そういうものをつくっていただきたいと思います。  やはり、何といっても真実を知りたい。被害者も泣いてばかりいてそういうことに目が回らないということもあるんです。そうしますと、それを何か手当てして守ってあげるというような手段もあるのではないかと思います。  以上です。

戸田邦司自由党

○戸田邦司君 最後に、荒木参考人にお伺いしたいと思います。  私は、今回のこの自賠責関係の問題について、最初にいろいろ問題を提起され指摘されたのは損保協会ではなかったかと思っております。それで、損保協会として最初にそういうような問題意識を持って検討されてきて、今回の法案がまとまった段階で、もうすぐ通るだろうと思いますけれども、このできばえといいますか、その辺の評価などもあわせてお伺いできればと思いますが。

荒木襄社団法人日本損害保険協会専務理事

○参考人(荒木襄君) 政府再保険の廃止というのは私ども損保協会の中から出てきた要請でありまして、それを取り上げていただいて今日御審議いただいております法案に至るまでの過程、いろんなことがございました。それは冒頭私が申し上げたとおりであります。  でき上がりました法案を拝見いたしまして、もちろん私どもが要望いたしました政府再保険制度の廃止も盛り込まれておりますが、それに伴うといいますか再保険制度にかわる被害者保護の考え方、保険金支払いの適正化に対するいろんな措置、これも十分盛り込まれておりますし、さらには被害者と保険会社との関係の情報開示について、保険金請求を受けたとき、あるいは支払いをするとき、書面でちゃんとした根拠を示しなさいというようなことがこの中に盛り込まれております。  私は、保険金支払いの適正化というのは保険会社としては大変大事だと思っておりますので、そういう立場から考えまして、今回のこのような規定は大変いい規定だと考えております。こういうことを通じまして十分な情報開示が行われ、そのことが保険会社の信用といいますか、信頼関係をより高めていくというのは、保険会社としても全く賛成であります。総じてこの法案については、私どもとしては大賛成であります。  以上です。

戸田邦司自由党

○戸田邦司君 終わります。

島袋宗康二院クラブ・自由連合

○島袋宗康君 二院クラブ・自由連合の島袋宗康でございます。  本日は、大変お忙しい中、参考人のお四名の方々、おいでいただきまして本当に御苦労さまでございます。  私は、まず西崎参考人にお伺いしたいと思います。  今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会座長として報告書の取りまとめに御尽力されましたが、同報告書は、自賠責保険の目的である被害者の保護を基本に据えつつ検討を進められ、「被害者保護のセーフティネットとして、専門の有識者で構成する紛争処理機関を設けて自賠法に位置づけ、行政府がその業務全般について必要な監督を行うことができるようにすることが適当である。」という提言をされました。  これを受けて、今回の改正案では指定紛争処理機関を設けることになっております。この機関が保険会社の立場に偏することなく真に公正中立の機関として被害者の保護のために機能するためにはどのような点に留意すべきであるとお考えになっておられますか、御意見を承りたいと思います。

西崎哲郎今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会座長

○参考人(西崎哲郎君) まず、中立公正な立場で調停案を示し信頼を高めていくという、結局まずそれは人の問題だと思います。要するに専門家、専門能力とそれから全体の運営についての人材の問題だと思います。  それで、先ほど荒木さんも言われたように、保険業界としては運営には口を出さない、お金は出す、それから保険業界からはスタッフも参加しないという、専門家として、そういうことになっていますが、これは大変私は重要で、特に初めの段階では、そういう機構の構成、これが、だれが見ても専門家がそろって中立公正な第三者機関であるという、これがまず大事です。  それから同時に、どのぐらいの紛争処理のクレームが来るか、これはまだ予想がつかないわけですが、いずれにしても、クレームが来た場合はできるだけ早く敏速に処理する、しかもその調停案が双方から受け入れられる、内容の濃い、レベルの高いものである必要があるので、そこにはそういう専門能力とそれから処理能力、それとかなりのスタッフが要るわけです。そうしますと、これは当然資金の面でだれがファイナンスするのかということで、先ほど業界の方からは資金提供ということがありましたけれども、私も言いましたように、必要ならば国も面倒を見て、それでこの紛争処理機関がきちんとワークしていくような手当てが必要であろうと。  それから、運輸省は業務全般にわたって監督権を行使するわけですから、これも、運輸省は状況を絶えず把握しながらこの機関を立ち上げていく必要があると。特に私は、初めの一年、二年というのは非常に大事だというふうに思います。

島袋宗康二院クラブ・自由連合

○島袋宗康君 どうもありがとうございました。  荒木参考人にお伺いいたします。  平成十二年十二月二十六日の今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会報告書の被害者保護に関する一項に、「支払の適正化のための仕組みが変わることに応じて、保険会社等は、これまで以上に、被害者、被保険者に対する情報開示を進める必要がある。 具体的には、一括払いの場合も含め、支払基準を被害者、被保険者に事前に示すとともに、自賠責保険に係る支払額の内訳や根拠を明らかにすべきである。また、被害者や被保険者からの資料請求にも応じなければならないこととする必要がある。」との指摘を受けて、今改正案では、保険会社に書面の交付等を義務づけております。  これらの指摘に対して、保険会社の立場として荒木参考人はどのように対処されるおつもりなのか、お聞かせください。

荒木襄社団法人日本損害保険協会専務理事

○参考人(荒木襄君) お答えをいたします。  これまでも自賠責保険についてのいろんな相談、情報開示の御要請については、極力それには十分おこたえできるように、各保険会社ももちろん努力をしたと思いますが、私ども損害保険協会としても全国に十五カ所に、これは自賠責保険に限らず保険一般についての相談コーナーを設けておりますし、さらに五十二カ所については自賠責保険、任意保険についての相談センターを設けております。大体年間七万件ぐらいの御相談がございます。  そういうことで情報開示に努めてまいりましたが、今度の改正案ではさらに一歩進めて、保険金請求を受け付けたとき、それから保険金を支払うとき、いずれも書面によってその金額の根拠となるものを示しなさいということになっております。私は、それは大変重要なことだと思っております。そういうことを通じて、保険会社の内部の点検体制の強化ということももちろんやらなきゃいけませんけれども、そういう説明義務ということが加わったことによって保険会社の示す支払い額に関する世間の信頼度というのは一層高まってくるであろう、そのことが自賠責保険の評価を高めるという意味で非常に重要なことだと考えておりますので、法律で決まることですから守るのは当然でありますけれども、この趣旨にも私どもは強い賛意を持っております。  以上でございます。

島袋宗康二院クラブ・自由連合

○島袋宗康君 どうもありがとうございました。  倉沢参考人にお伺いいたします。  自賠責制度に関する基本認識について述べられた中で、交通事故件数、死傷者数が昭和四十年代半ばまで急激に増加をし、昭和五十年代半ばに一時減少しておる、以降、再び増加に転じて、近年一貫して増加傾向にあるとの御認識を示されております。そして、昭和五十年代前半の一時減少の原因に交通安全対策の実施が功を奏している点を挙げられております。  しかし、交通事故が近年一貫して増加傾向にあるということは、政府による交通安全対策の実施が以前ほど熱心でないのかあるいは不十分であることにも一因があると言えなくもないという気がいたしますけれども、どのようにお考えになりますか。深刻な交通事故件数の増加を抑制する何か有効な手だてはないものかどうか、お聞かせください。

倉沢康一郎自動車損害賠償責任保険審議会会長

○参考人(倉沢康一郎君) 私、あるいは言葉が足りませんで、政府の交通安全対策の効果として減ったものが、その政府の対策が何か怠られてふえたということではございませんで、依然として交通安全対策というものはさらに増強されているんだと思いますけれども、やはり一つは、事故数というものは数で出しますけれども、自動車の普及の急拡大みたいなものが背景にあるというようなことも一つ考えられるかと思うんですが、私、保険法を勉強しているので、そういう、ちょっと社会的な事実の原因については格別な知識はございませんので、御容赦いただきたいと思います。

島袋宗康二院クラブ・自由連合

○島袋宗康君 最後に、北原参考人よろしくお願いします。  「交通事故による重度後遺障害者等に対する救済策充実の方向」と題する平成十二年六月六日の今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会後遺障害部会中間報告書は、被害者本人だけでなく、家族も犠牲となる窮状について述べておられ、そして自動車保険の支払いや医療福祉制度だけでは救済できない重度後遺障害者等の救済をどのように進めていくか、問題は、現在の重要な政策課題として認識すべきであるとの考え方をいろいろな点で御指摘されております。  北原参考人は、政府として一番真っ先に取り組むべき課題はどのようなことであるのかを、もしお考えがありましたらお聞かせください。

北原浩一全国交通事故後遺障害者団体連合会代表

○参考人(北原浩一君) 真っ先にとなると大変難しい質問だと思いますけれども、今まで話したことの繰り返しになるんですけれども、やはり例えば療護センターあるいはショートステイ対策、あるいは高次脳の人たちの認定が非常に難しい点についての補強、そういう点について、特に脳神経関係の障害者の現状が大変悲惨ですので、その辺にポイントを絞って手厚い施策をお願いしたいと思います。

島袋宗康二院クラブ・自由連合

○島袋宗康君 終わります。

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々に一言御礼のごあいさつを申し上げます。  参考人の方々には、長時間にわたり御出席をいただき、有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  午後二時まで休憩いたします。    午後零時四十三分休憩      ─────・─────    午後二時開会

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、鈴木政二君が委員を辞任され、その補欠として山下善彦君が選任されました。     ─────────────

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) 休憩前に引き続き、自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 先日の質疑に続きまして行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず、政府参考人にお尋ねしますけれども、たしか保障勘定にも滞留資金があるはずだと承知しております。およそ千三百六十億でしょうが、この取り扱いはどうなるのか、伺います。

高橋朋敬国土交通省自動車交通局長

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。  保障勘定におきまして、従来より保障事業の財源としましてユーザーに御負担いただいております保険料の一部の部分、つまり賦課金部分でございますけれども、の水準を大幅な赤字レベルに設定することによって累積運用益のユーザー還元といったようなことをやってきておりまして、その財源として累積運用益があるわけでございます。  平成十四年度以降につきましても、ユーザー還元措置を継続するということによりまして保障勘定の累積運用益をユーザーに還元してまいるというような考え方で取り扱ってまいりたいと思っております。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 今ちょっと私は聞き漏らしたかもしれないんですが、新保障勘定に引き継ぐということでしょうか。

高橋朋敬国土交通省自動車交通局長

○政府参考人(高橋朋敬君) そのとおりでございます。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 確かに、保障勘定というのは賦課金で賄われている勘定ですから、保険料とは考え方の違うものであることは承知しております。しかしながら、この千三百六十億というのはかなりの余剰とも考えられますので、私はこの際は付加率を引き下げる、つまり保険料に還元するべきではないかと思いますけれども、そういう御検討はされたんでしょうか。

高橋朋敬国土交通省自動車交通局長

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。  先生御指摘のように、累積運用益がたまっているわけでございまして、これにつきましては従来からユーザー還元に努めてきているわけでございます。今後さらに、適切な賦課金の水準の設定ということも踏まえまして、累積運用益の一層のユーザー還元に努めてまいるという考え方でいくべきものと考えております。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 もう一つ、政府参考人にお尋ねいたします。  自賠保障事業特別会計法、改正案の附則第十九項、第二十項、保険料等充当交付金の交付が終了した後は同勘定の権利義務は新保障勘定に帰属させ、剰余金は新保障勘定に繰り入れられる、今お答えのあったとおりでございます。しかし、この交付金に万一欠損金が出たようなときはどう処理するのかという規定はなされておりません。これをどうするのか。剰余金の処分だけを規定して、不足のときの取り扱いは別というのは法律としてのバランスを欠くんではないか。不足のときに保障勘定あるいは事故対勘定から繰り入れるのか、または足りないといって保険料率の引き上げを行うのか。少なくとも、新保障勘定は赤字も引き継ぐんだというような規定を設けた方がわかりやすいんではないかと思います。  それからもう一点は、交付金勘定に規定する権利義務という定義、あるいは範囲というのはどういうものか、お尋ねいたします。

高橋朋敬国土交通省自動車交通局長

○政府参考人(高橋朋敬君) まず、後の御質問にございました権利義務の関係から御答弁申し上げます。  保険料等充当交付金勘定におきましては、平成十三年度までの既契約分の再保険の支払いを行うことになっております。これは平成二十年度までにほとんどの支払いの完了を見込んでおりますが、しかし自賠責の支払いは裁判等によって相当長期にわたるものもございます。平成二十年度までに支払いが終了しないものがあるというふうなことも想定されるところでございます。このため、平成二十年度末時点におきましても、再保険金を支払う債務など、それから再保険を支払うための資産、財源でございますが、これにつきまして保険料等充当交付金勘定の権利義務として残るというふうになるわけでございます。  これが、ユーザー還元が終了を予定しております二十一年度以降につきましては再保険の支払いのためにのみ勘定区分を設ける必要がなくなるために、保険料等充当交付金勘定を廃止しまして保障勘定に統合するということになるわけでございます。  それから、保険料等充当交付金勘定の不足と申しますか赤字ということについてのお尋ねがございましたが、保険料等充当交付金勘定によりまして毎年度のユーザーの保険料負担の軽減、これをどうするかということにつきましては、自賠審におきまして、保険収支やそれから契約件数の動向などを厳正に見きわめながら御議論いただいて決めていくことになるんだろうと思っております。したがいまして、保険料等充当交付金勘定で赤字が発生することはないのではないかなというふうに思っております。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 次は、保障事業の過失相殺の問題についてお尋ねいたします。  自賠責保険制度では、言うまでもなく、被害者の重過失があったときだけ保険金額を減額するという、いわゆる過失相殺の緩和制度がとられているわけであります。しかしながら、これのらち外というんでしょうか、適用外になっているのが、保障勘定で支払うひき逃げ事故だとかあるいは保険に入っていない車、盗難車だと思いますけれども、例えば保障事業の場合には、過失相殺といっても、五〇%以下の過失であれば保険金は丸々お支払いしますというのを前提にしておりますけれども、保障勘定の場合には、過失が五〇%あれば五〇%カット、七〇%であれば七〇%カットということになっております。  これは財源が違うという理由もあるんだと思いますけれども、ただ、仮に車にはねられた、あるいはそのことで死亡したという人から見れば、相手の車が盗難車であろうと保険に入っていようといまいと余り関係のないことで、当てられた方が不幸というのはちょっと考えにくいなと。バランスを欠くんではないかと思うし、現に自賠審答申でもしばしば、「自賠責保険では過失相殺を緩和し被害者に有利な運用をしているが、政府保障事業では厳格な過失相殺が適用されている。」と、今申したような内容だと思います。「被害者間の公平性の確保という観点から、そのあり方の見直しについて検討すべきである。」と、同趣旨のことがこれまでもたびたび言われてきております。今読み上げたのは、昨年、十二年六月のものでありますけれども、何年もこうした指摘がされております。  それで、こういう答申を受けた国土交通省としてはどんな検討が今されているのか、それについてお知らせいただきたいと思います。

高橋朋敬国土交通省自動車交通局長

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。  保障事業につきましては、先生御指摘のとおり、ひき逃げ、無保険車による被害者につきまして政府が自賠責保険と同様の基準に基づきまして損害をてん補いたしておりますが、これは自賠責と異なりまして過失割合どおりの過失相殺を行っているという御指摘のとおりの状況にございます。この保障事業の過失相殺のあり方につきましては、先生御指摘の平成十二年六月の自賠審の答申におきまして、そのあり方について検討すべきとされたところでございます。  この答申を受けまして、私どもの方で今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会の場におきまして実務的な観点から検討を行わさせていただいたわけでございますが、一つは、保障事業における損害のてん補というのは、加害者の損害賠償責任について政府が立てかえ払いを行うものであることという性格を持っておりますことと、二つ目は、被害者へ損害をてん補した後、本来損害を賠償すべき加害者に対して国から求償を行うことということがございます。こういった点から、加害者の損害賠償責任の範囲を超えて損害をてん補することは、保障事業の立てかえ払いという性格上難しいというふうな結論をいただきまして、なお今後の検討課題であるというふうに報告を承ったところでございます。  これを踏まえまして、国土交通省では引き続き検討を進めてまいりたい、こう思っております。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 自賠責保険審議会、あるいはあり方懇談会が検討すべしと言うからには、国土交通省としての検討を進めなければいけないと思うんですが、ちょっと考えますと、あり方懇談会というのは本来、こうした問題についてこの程度のことはやりなさいという提言があってもいいのかなということを思わないでもありません。  それで、例えば、もし計算がされていればですけれども、保障事業の過失相殺を自賠責保険並みに直したら、実際に支出増になるのは幾らぐらいのものでしょうか、わかりますか。

高橋朋敬国土交通省自動車交通局長

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。  保障事業におきまして、自賠責と同様の過失相殺の緩和を行ったとした場合の仮定計算をいたしましたが、保障金の支出が年間約四億円程度増加するのではないかというふうに思っております。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 四億円が多いのか少ないのかという判断がありますけれども、一兆円の保険料からすると私はもっと大きくなるのかなと思ったんですけれども、そういう意味ではちょっと意外でした。認識不足だったと思います。  ところで、過失相殺の場合には、保険で一応払うにしても、差額が出ることがありますね。これの財源については、事故を起こした人、ひき逃げをした人、そういう人を捕まえて払いなさいといういわゆる求償ということをやると思うんですけれども、求償というのはどれぐらいの実績があるのか、またそれに対して回収できているのはどれぐらいかというのはわかりますか。

高橋朋敬国土交通省自動車交通局長

○政府参考人(高橋朋敬君) 後ほどお答えさせていただきます。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 よろしくお願いします。  それから、過失相殺とも関係のあることですけれども、何%、どれぐらい相殺されるかというのは被害者の主張がどこまで認められるかという問題でもあるわけです。事故調査によれば、交通事故というのは運転ミスだけではなくて、そうした人為的な要因に起因するものではなくて、例えば道路の環境が悪い、車両の特性、あるいは車両のメンテナンスの問題、運転管理の問題、いろんなことで事故というのは発生するんだと思います。  したがって、こういう事故を調査したりしている現場の情報というのは大変大事なわけでして、例えばそういう事故の原因究明、解明をするための技術レベルを上げるということも大事でしょうし、それから専門に扱っております警察の事故調書、そういったものが開示できればもっと過失相殺の場合にでも納得のいく結論が出せるのではないかというような気がしているわけでありますけれども、事故調査の充実、警察調書の開示等について国土交通省として何らかの働きかけをやっているのかどうか。もしあれば、その辺をお知らせいただきたいと思います。

高橋朋敬国土交通省自動車交通局長

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。  自賠責保険の損害調査の際には、できるだけ適正な事実の認定を行っていくということが必要だということはそのとおりでございます。その意味で、他の機関の各種の情報も可能な限り入手した上で損害調査を行っていくことが適当だというふうに思っております。  警察や検察におきましても、不起訴の場合の実況見分調書の開示など、被害者保護の観点からの情報提供の取り組みが進められているというふうに認識しております。自賠責保険の損害調査の際にも、このような警察とか検察の情報を積極的に活用して適正な損害調査を行っていくよう指導したいというふうに思っております。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 国土交通副大臣にお尋ねいたします。  事故対策計画作成の考え方についてお尋ねしたいと思います。  このたびの法改正によりまして、事故対策勘定、言ってみれば基金を使って事故対策計画を執行するということになるわけでありますけれども、事業の規模とか中身をどう決めるのかということについては明示されていないと思います。方向性は示されているものの、内容についてそんなに具体的ではないように思います。あるのは唯一、これまでどういうことをやってきましたという実績であろうと思います。  そこで、今後、計画をつくる際には、確保できる資金量をもとに計画をつくるのか、あるいは計画が先で資金量を調達するという考え方をとるのか、整理をしておきたいと思うんです。  と申しますのは、今回は基金運用でこの計画を賄うわけであります。基金の量が仮に九千億とします。一%の運用利益が出るときと五%の運用利益が出るときには、全く使えるお金というのは変わってくるわけであります。それなりのニーズ、節度というのがあるんだと思いますけれども、何を念頭に置いて決められるのか、その辺のお考えをお尋ねしたいと思います。

泉信也自由民主党・保守党国土交通副大臣

○副大臣(泉信也君) 先生御指摘のように、金利の上下によって活用できる資金量は変わってまいりますので、被害者救済という観点からしますと、もっともっと密度を濃くした活用の仕方を考えなければならないという思いもございます。  私どもは、いわゆる事業の必要性というのが先にあるべきである、事業の必要性を吟味して実施していくことだというふうに考えておりまして、資金量は先に決まってという考え方ではございません。ですから、今やらせていただいておりますような被害者救済事業の密度を濃くするという事柄にできるだけ力を注いでいくべきではないかというふうに思います。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 事業の必要性に応じて計画をつくるというのが基本だとしますと、安定的な財源が必要だと思います。そういう意味では、今御紹介しましたように昨今は二%ぐらいの運用利回りかもしれませんが、これが一%になるかもしれない、五%になるかもしれない。一%になったらこれは大変なわけです。  そういうことを考えますと、例えば基金方式というのは不安定なので、事故対策勘定は一たん全額ユーザーに戻した上で、必要な金額を調達するために賦課金をお願いする、賦課金で調達するという考え方もあるんではないかと思いますが、これはどういうふうに検討されたんでしょうか。

泉信也自由民主党・保守党国土交通副大臣

○副大臣(泉信也君) 確かに、二兆円というものを一たんユーザーにお返しする、それとは別に賦課金をちょうだいして被害者救済に充てるという考え方も私はあったと思います。また、今でも場合によってはあると思っております。  しかし、先日も御答弁をさせていただきましたけれども、また先生から反論もございましたが、一方で保険料を下げながら片方で賦課金を徴収するということがどうかということもございまして、今回はこういう二十分の十一と二十分の九という体制をとらせていただきました。  そして、衆議院の附帯決議もございますように、今後賦課金というものを全く想定しないということではないという趣旨で検討しろという、たしか決議をちょうだいしておると思いますが、これからの課題として私どもも念頭に置きながら当面の運用をさせていただきたいと思っております。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 次は、事故対策計画に対する国会の関与という面から国土交通大臣にお尋ねしたいと思います。  この改正法では、附則第四項に国土交通大臣が自動車事故対策計画を作成し、または変更することを規定し、その場合はあらかじめ財務大臣及び国家公安委員会と協議しなければならないということがうたわれております。この財源というのは、今お話もありましたように自賠責保険料を原資として、その運用益を使って執行する事業であるわけです。その際に、なぜ国会の関与というのがなくて、財務大臣に相談するとか国家公安委員会に協議するとかという規定があるのか。むしろここであるべきは、国会に相談するということをもっと前面に出した措置を講じておく必要があるんではないかと思います。  というのは、確かにいわゆる税金をもとにして国の事業を行うというのとは違いますから、扱いは違ってもいいわけでありますけれども、少なくとも、先日も申し上げたように七千万を超える人から保険料をちょうだいしてやっている事業でございますので、もっともっといろんなところで関与する人がいてもいいんではないかと思いますけれども、国会はこういう計画に対してどのように関与していくんでしょうか。  それから、財務大臣とか国家公安委員会に相談するというのはどういう意味があるんでしょうか。

扇千景自由民主党・保守党国土交通大臣

○国務大臣(扇千景君) 先生も御存じだと思いますけれども、もともとこの運用益を活用する事業というふうに今も副大臣が申し上げましたけれども、自陪審の答申というのがされておりまして、その中で、「その使途をより明確にするとともに、決定プロセスの透明性を高める観点から、当審議会でも十分議論を行うようにすべき」と、こういう答申をされました。  もともと自動車の事故対策計画の策定につきましても、これは今後とも金融庁、先生は財務省とおっしゃいましたが、一般財源の意味だろうと思いますけれども、これは金融庁の方でございまして、今度は金融庁になっておりますので。これは金融庁と少なくとも相談をしていくということが、今回の改正でこれが金融庁になりましたので、そういう意味では私は、これは答申に従って金融庁と今後とも相談していきたいと思っております。  また、今申しました計画の策定というものはパブリックコメントを求めていかなければならないということも、これも私は新たに国民の声を募っていくということにおいては、今、先生がおっしゃった趣旨、七千万の人たちが関与しているという話ですけれども、これはやっぱりパブリックコメントを大事にしていきたいというのが二つ目でございます。  そしてさらに、自動車の事故対策計画に基づきまして実施する事業という、今も副大臣が申しましたように、予算にこれを組み込んで毎年度の予算審議においてこれは国会の御審議をいただける。これはもう予算審議ですから、当然国会の審議を経なければなりませんので、先生がおっしゃいました国会で何をするのかということも、私は予算の審議上これは国会で御審議いただくということで、すべてが国会にもパブリックしてあるということになると思います。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 私はもう一歩進んで、もう一歩踏み込んだ審議の仕方もあるんではないかというイメージを持っております。  例えば、道路整備五カ年計画のようなものを審議するときは、やっぱり一つの法律として審議するわけなので、相当時間もかけて論議しているわけです。予算の中でやりますと、気がついた人がいれば取り上げるかもしれませんけれども、それだけに集中して議論をするということは少ないと思います。まあ、最近はおかしな使われ方というのはしていないと私は思いますけれども、かつては、この再保険分ではないにしろ、事故が減るからといって白バイを寄贈するとか消防車を寄贈するとか、そういうことをやっていた例もあるわけなので、そういう使われ方というのは余り適当じゃないなと。それをチェックするには、今申し上げたような道路整備五カ年計画のようにこの事故対策計画というのも扱えないものだろうか。  つまり、特別法にしてやるというアイデアもあるんじゃないかということを申し上げたんですが、大臣、何かありますか、御意見。

扇千景自由民主党・保守党国土交通大臣

○国務大臣(扇千景君) 先生ももう既に御存じですけれども、従来から自賠責の特別会計から一般会計に繰り入れていたという経緯がございます。やっぱり一般会計として繰り入れたものに対しては、少なくともそれに利子をつけてお返しするということになっているわけですから、もともと一般会計の予算を審議するときにこれも審議されているわけです。  ですから、自賠責の中からの特別会計を一般会計に入れるというのは、これはもう法律で決まっているわけでございますから、その意味においては、先生が今おっしゃいましたように道路の計画の五カ年計画に入れるようにということとはまた別に、自賠責の特異性といいますか、これに皆さん方が、七千万人の人が参加してくださって、みずからの安全のためにと、保障金といいますか保険金といいますか、そういうために掛けていただいておりますので、その特異性から考えれば、特別にそういうことをしなくても、一般財源に繰り入れるということも含めて、また予算でこれを利子をつけて返すということも予算書の中で明記されることでございますから、そういう意味では透明性もあるいは審議いただくという手続もすべて、今までも私はクリアできていると思いますので、その辺は御理解賜るというか、国会での御審議も十分にしていただけると思っております。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 次は、事故対策センターの合理化の問題についてお尋ねいたします。  副大臣にお尋ねいたしますが、このところ自動車事故対策センターの問題がしばしば話題になっているように思います。例えば、平成九年十二月閣議決定の特殊法人等の整理合理化についてという中で、自動車事故対策センターについて、「今後の事業運営に当たっては、事業の効率化の見地から、組織・人員の縮減に努めるとともに、受益者負担の拡充を図る。」とされております。また、平成十一年九月のあり方懇談会報告では、同センターは、従来から事業推進体制の合理化や国庫補助金の抑制の必要が指摘されている、事業分野ごとに受益者負担の拡充を検討すること、そして、できるだけ受益者負担の原則で運営を行うこととされているわけでございます。  事故対策センターの人員縮減の検討はどうなっているのか、あるいは療護センターの運営経費の合理化、国庫補助金の縮減の状態はどうなっているのか、検討状況についてお尋ねいたします。

泉信也自由民主党・保守党国土交通副大臣

○副大臣(泉信也君) 自賠責懇談会の報告書で、今、先生御指摘のように、効率的な運営についてしっかりやるようにという御指摘をいただきましたのが昨年の十二月末でございました。今、懇談会から御提言をいただきましたような、公認会計士、民間コンサルタントの特別なタスクフォースをつくって検討させていただいているところでございますので、その結果をいただいてさらに方向を見きわめていきたいと思っております。  ただ、今日まで事故対センターで経費節減のための合理化に努めてきたことは事実でございまして、例えば療護センターについては三年間で約五億六千万円、それから運行管理者に対します指導講習等については三年間で五億一千万円の経費の削減を行っておりまして、これはおおよそ全体の事業費の一割に相当するところでございます。また、人員の合理化につきましても、いわゆる定員削減の分十一名、そしてさらに自主的削減十二名等の合理化を実施しておるところでございまして、なおまた先ほど申し上げましたように、今検討していただいておりますようなタスクフォースの御提言をいただいて、引き続き合理化、効率化に努めてまいります。  もう一つだけ申し上げますと、事故対センターでの千葉療護センターも民間委託をさらに進める方向で今努力をさせていただいているところでございます。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 もう一つお尋ねいたします。  例えば、今まで運用益事業として行われた中に、事業用自動車の運転手等を対象にした講習に対して補助をしていたという実績がございます。この今紹介したようなあり方懇談会等の指摘によれば、受益者負担の拡充をしなさい、国庫補助金は縮減しなさいということを言っているわけですけれども、安全向上に資するといえばそのとおりかもしれませんが、これを継続するというのが本当にこの指摘の趣旨に合っているのかなというのを時々思うわけですが、副大臣はどう感じられますか。

泉信也自由民主党・保守党国土交通副大臣

○副大臣(泉信也君) 表現がちょっと悪いかもしれませんが、風が吹けばおけ屋がもうかるみたいなやり方ではないかという先生の御指摘であろうかと思います。私も正直そういう感じを持たないわけではございません。  ですから、見直しはほかの方々からおっしゃられるまでもなく国土交通省としてもやっていくつもりでございますが、先ほど申し上げましたように、基本的には今御検討いただいているものの御報告をいただいた上で検討させていただきたいと思います。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 ぜひ、今お話にありました趣旨に沿って御検討いただきたいと思っております。  平成十二年十二月のあり方懇報告の一節に自動車事故対策センターについて、同センターは、評議員会に業績評価などに精通している公認会計士、民間コンサルタントの参加を新たに得て特別なタスクフォースを設け、センターの事業の計画において効率化、サービスの向上等の目標を定めるとともにこの実績を厳しく評価し、こうした評価に基づいて事業内容の見直しを行い改善を進めるべきである。また、こうした目標・評価結果などは公表するべし、そして自動車事故対策センターの事業内容についても情報提供に努めるべきであるという指摘があるわけですが、この報告書が出てから既に半年がたっているわけです。どういう取り組みになっているか、あるいは指導されているのか、副大臣、よろしくお願いします。

泉信也自由民主党・保守党国土交通副大臣

○副大臣(泉信也君) 先ほど申し上げましたように、ことしの三月に公認会計士あるいは民間コンサルタント等で構成します特別なタスクフォースを設置して、現在検討を進めさせていただいているところでございまして、このグループ、タスクフォースでの業務の評価の検討結果をいただきまして、新たな取り組みが必要であれば取り組まさせていただきたいと思っているところでございます。  また、事故センターでの情報公開については既にやっておるところでございますが、さらにこれまたタスクフォースの検討結果をいただいて、より広く情報公開をするように、一般の意見、御要望等も受けて業務の改善、サービスに努めてまいりたいと思っております。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 ことし四月三日、行革推進事務局から特殊法人等の事業見直しの論点整理というのが発表されました。それぞれ対象となる特殊法人の名前を挙げて、これはこういう面から検討すべし、こういう面から検討してもらいたいという指摘をしているわけです。  例えば事故対策センターについては、政策金融、調査・研究、医療・療護施設の所有、情報収集・提供、この四項目にわたって検討しなさいと。これは、同センターが検討するだけではなくて所管の国土交通省も検討しなさい、抜本的な事業見直しをしなさいということを求めているわけでありますけれども、これはどういう場で今後検討することになりましょうか。

扇千景自由民主党・保守党国土交通大臣

○国務大臣(扇千景君) 今、寺崎先生がお読みになりましたとおり、この特殊法人の合理化につきましての指摘がされました。そして、我々は政府として、現在の聖域なき構造改革という小泉内閣のこれは公約として方針を国民の前に示しているわけでございますので、昨年の十二月、今、先生がお読みになりました、これは閣議決定されているわけでございますので、行政改革の大綱に沿って、新しい時代にふさわしい行政の組織あるいは制度への転換を目指す観点から、私どもとしても特殊法人の改革について鋭意検討を行っておりますし、また国土交通省独自の改革をしていこうということで、きょうも幾つか私は、先ほど午前中に記者会見をさせていただきました。  少なくとも、自動車事故対策センターにつきましても、その中でしっかりと議論をしなければならないし、また本来、皆様方がこれに加盟していただいている自動車事故対策センターにおきましても、車社会のいわゆる危険度を考えますときには、その危険度に対しての負の部分、そういうものに対しましても、対応するために必要な被害者の救済対策というものをぜひ事故防止対策と併用して行っていかなければならないし、また先ほどから検討いただいております事業の重点化あるいは効率的な実施に努めてまいらなければならない。その意味で、改めて国土交通省として検討しているというところでございますので、ぜひ貴重なこういう委員会での御意見も加味しながら、今後も推進するための検討をさせていただきたいと存じております。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 国土交通大臣にもう一つお尋ねいたします。それは、重度障害者救済事業の今後のあり方という問題でございます。  交通事故による重度障害者等を対象にした被害者救済事業の一環として、療護センターが現在四カ所開設されております。しかしながら、この療護センターで収容できる人数というのは限られております。ベッド数でいうと百八十と聞いておりますが、したがって同じような重い障害を抱えている人の中に、入れる人、入れない人ということがあるわけで、この辺を解決するということも大事な課題になっていると思います。  そうしてまた、今後も傾向としては重度交通事故被害者がふえるかもしれないというようなことを考えますと、この被害者の公平公正な救済ということももっともっと意を用いなければいけないと思います。そうはいっても、すぐその施設ができたり体制ができたりするわけではないとすれば、広く一般の病院に協力を要請する、一般病院への介護委託というようなことも考えなければいけないのかな、あるいは一定額の補助金を拠出するシステムというのも導入しなければいけないのかなというように思っているわけでありますけれども、今後の重度障害者を対象とした救済事業についてお考えを伺いたいと思います。

扇千景自由民主党・保守党国土交通大臣

○国務大臣(扇千景君) 今、先生から二つの御提示がございましたけれども、少なくとも平成十三年一月末の現在で見ますと、今約九十二名が療護センターへの入院を待っておられます。本年七月の中部療護センターの開業が一つございますし、また既存のセンター内におきます併設の介護病床の整備によりまして、できる限り待機患者の解消というものを図っていくというのは今御指摘のとおりでございますし、また外傷性の脳障害の発生件数の約八割が交通事故によるものとされております。  そういう意味では、療護センターは、こうした外傷性の脳障害によります、いわゆる植物状態という患者がいらっしゃいますので、その植物状態の患者からの脱却というものに関しては治療方法等いまだ明快でない部分もたくさんございますので、全国各地の整備を整えながら、その解決方法を図るというのが第一の目的でございます。  そして、今私が申しましたように、先生が御指摘になりましたように重度後遺障害対策、これに関しましても、少なくとも脳障害一つとってみても八割が交通事故だという原因が出ておりますので、そういう意味では介護保険が六十五歳以上を対象とするなど、必ずしも一般の福祉ではこれが見られていないという、十分に対応できていないという現状が一つございます。  そういう意味で、これからの被害者につきましては自賠責制度の中で対応を図っていくことが、これは今、先生がおっしゃいましたように、社会的にこれは要求として求められておる。そのためのユーザーの皆さんの加入も、頭の中ではそういうことも気にしながら自賠責に加入していただいていると思っておりますので、救済のためには、療護センターの設置、運営あるいは介護料の支給など、あらゆる面で今後対策を講じなければならないと思っておりますけれども、また、今年度、十三年度からは御存じのとおり、介護料の支給対象範囲を拡大したということもございますので、介護料の支給対象は今、大体約千人と言われているんですけれども、この拡大によって少なくとも五千八百人になるであろう、こう言われております。  それも含めまして、病院だけではなくて在宅で治療していらっしゃる、あるいは療養していらっしゃる皆さん方がいらっしゃいますので、先生がおっしゃった重度後遺障害の短期の入院を受け入れる体制、ずっと御家庭でというのでは家族じゅうが大変ほかのことでお疲れになりますので、短期でもいいから入院できるような制度も取り入れるべきである、そのことも私は考えなきゃいけないと思っておりますので、少なくとも国土交通省といたしましては、あらゆる制度の救済範囲等を考えつつ、今後とも重度後遺障害患者に対しまして支援を行ってまいりたい、そのように考えております。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 今、介護保険の保険料の話をされましたけれども、確かに自賠責からも介護料が支給されております。しかし、これで足りるというような、十分だというような状態でないことはもう言うまでもありません。  そもそも、自賠責保険の中で介護料を負担するには、恐らく財政的な限界というのもあるんだと思います。ということを考えますと、この問題については労災保険制度とのバランスを考えながら、昨年四月から実施している介護保険制度の中で充実をさせていくという考え方に立って、今お触れになりました被保険者年齢の見直しを含めて検討するということが大事なのかなと私も思っております。そういうことを念頭に置いて御検討いただければありがたいと思います。  これは大変流言飛語のたぐいかもしれませんけれども、今回の法改正に当たって、自賠責からはもっともっとたくさん介護料が支給されるんではないか、期待なのか約束なのかというような流言飛語が飛んでおりますけれども、これを機会に介護料を増額するなんというアイデアがあるんでしょうか。

高橋朋敬国土交通省自動車交通局長

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。  今回の制度改正に関して、先生御指摘のような何か約束のようなものがあるということはございません。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 それから、きょう午前中に参考人の方々に対する質疑を行いまして、そのときにも質問したんですけれども、今回、再保険制度を廃止するに当たって、適正な支払いをするために指定紛争処理制度というのを設けようということになっております。言うまでもなく、今は審査会、それから全く人をかえた運営ということで再審査会、これには弁護士さんとかそういう方々が大勢入っておられます、があるわけなので、ひょっとするとこの紛争処理機関というのは屋上屋を重ねるということになりはしないかという懸念があります。  もし必要であれば、再審査会の機能を充実させる、あるいは法人格を取らせる、独立性を高めるという中で体制を整備するというアイデアもあったのではないかと思います。それによって政府が関与することもできるわけなので、何も新しく指定紛争処理機関をつくることもなかったのではないかと思うんですが、なぜこれを新設されたのか、改めて伺います。

泉信也自由民主党・保守党国土交通副大臣

○副大臣(泉信也君) 御承知のように、自算会そのものが損保会社の損害調査を受託してやるという今日までの性格がございました。また、再審査会も同じような枠組みの中で機能してきたわけでございます。  ですから、今回の自賠責のあり方の議論の中で、特に被害者の方々から紛争処理機関の中立性、公正さあるいは迅速さというものが大変求められたわけでございまして、そうしたことを考えて第三者機関としての紛争処理機関を設けさせていただき、国が監督を行うという仕組みをつくらせていただいたところでございます。  新たに設立します紛争処理機関と自算会の審査会、今、先生がおっしゃいました再審査会を法人にしてというような議論も確かにございましたけれども、先ほど申し上げましたように、やはり紛争処理機関としての審査会の結論に誤解を与えないような仕組みとしては今回提案させていただいておりますような方法論がよかったのではないか。八条機関というような議論もございましたが、これは今日の行政改革の大きな流れの中ではなかなか難しいということで、この提案をさせていただいたところでございます。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 私は、今の再審査会をそのままにしておくということを前提にしているわけではありません。先ほど申し上げたように、必要であれば民法上の新たな法人格を取得してもらうように改組してはどうかということも含めて申し上げたようなわけであります。  ところで、この紛争処理機関というのは公益法人になるわけでありますけれども、公益法人というのは基本財産というのが必要だと思うんですけれども、これはどこから調達することになるんでしょうか。まさか自賠責保険の運用益の中から出すなんということはないと思いますけれども、どうなんでしょうか。

泉信也自由民主党・保守党国土交通副大臣

○副大臣(泉信也君) 新しい機関の設立に要します基本財産につきましては、これからの検討ということになるわけでございますけれども、基本的には、この紛争処理機関の設立を提案した損保業界との調整が必要であるというふうに考えております。今、先生御指摘のように、運用益から出すというようなことは考えておりません。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 国土交通大臣にお尋ねしますが、今の指定紛争処理機関の人選はこれから進められるのかなと思います。どういうふうに進められるのかというのはまだわかっていないわけでありますけれども、ここへ関係省庁から天下るということは節度を持った方が、あるいは原則禁止ぐらいのことをやった方が私はいいのではないかと思いますけれども、何らかの規制をされるのかどうか、大臣に伺います。

扇千景自由民主党・保守党国土交通大臣

○国務大臣(扇千景君) 新たな紛争処理機関、これは先生も御指摘のように専門性とか独立性、それがなければ私は意味がないと思っていますし、必ずそれが必要である。それなれば、公正中立な紛争処理が確保されるような適切な役員が選任されるということが必要条件でございます。  特に、今回、衆議院におきましてこの法案に対しまして審議していただきましたけれども、その中で、紛争処理機関の独立性、中立性を確保し、所管官庁の出身者がその役員になることは厳に抑制することという附帯決議をいただきました。私たちは、この附帯決議で御指摘のありましたように、これに沿って適切に対処していくつもりでございますし、附帯決議をいただいた重みというものを十分に勘案しながら行ってまいりたいと思っております。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 最後に、大臣にお尋ねいたしますけれども、それは自賠責特会から今まで一般会計に貸し付けたお金を取り戻す算段でございます。自賠責特会は平成六年度、平成七年度にそれぞれ保険勘定、保障勘定から合計で一兆一千二百億円を一般会計に繰り入れております。もちろん後日利息をつけて返済するという前提がついております。  しかしながら、これまで返ってきたのは平成七年、九年、十二年、十三年、合計しても六千三百五十三億円にすぎません。利息は入っていないわけであります。また、保障勘定も四百九十億繰り入れているんですが、この分も戻っておりません。今後の措置としては、四千三百五十八億は、つまり保険勘定から繰り入れた分は事故対勘定に入れる、それから保障勘定の四百九十億は新保障勘定に繰り入れるということになっているわけでありますけれども、およそお金を借りるということは返す計画があるから借りるというのが常識であって、たまたま政府が預かっているからといって、それは勝手にあっちの財布、こっちの財布に移していいものではないと思います。  少なくとも、この事故対勘定を設けることを機に、この際、元本と利息がいつ戻ってくるのか、返済計画を出せということを財務省に要求するべきだと思うんですが、大臣はいかがでしょうか。

扇千景自由民主党・保守党国土交通大臣

○国務大臣(扇千景君) 今、寺崎先生がおっしゃいましたとおりでございまして、借りたものを返すのは当たり前のことでございます。  従来の自賠責特別会計から一般会計に繰り入れておりますお金につきましては、先生がおっしゃいましたように、平成六年度及び七年度におけるいわゆる財政特例法によりまして後日利子をつけて自賠責特別会計に繰り戻すと法律に、したがってこれは確実に繰り戻すということになっておりますけれども、現実的に毎年の予算に従って行われるということになっているんですけれども、私も手元の一般会計の計算を見ておりますけれども、少なくとも十二年度繰り入れ戻し金が四千三百五十二億円、元本の残額が六千八百四十八億円、利子の相当額というところ、額未定と書いてあるんです。これでは失礼な話だなと思っておりますけれども、平成六年、七年度繰入額の一兆一千二百億円、適切な利子を付して繰り戻しということになっておりますし、なおかつ、申しわけないんですけれども十三年度の残高見込みというところも、これもきちんと明記されているんですけれども、十三年度の残高は元本が四千八百四十八億円、利子相当分がこれもまた未定と、こう書いてございまして、大変申しわけないと思っております。  少なくとも、十二年度の予算と同様に元本の二千億円を一般会計より繰り入れるというふうになっておりますし、また平成十六年度までに繰り戻す旨繰り戻し期限を変更したと、十六年まで待ってくださいねと申し入れたと書いてあるので、私も申しわけないなと思いますけれども、借りたものは借りたものでございますので、国土交通省としましては、この繰り戻しに対して予算要求をしっかりと行って、予算審議をしていただくときには少しは十六年を前倒しにしてお返しできるように努力させていただきたいと存じております。

高橋朋敬国土交通省自動車交通局長

○政府参考人(高橋朋敬君) 先ほど数字の件で、後ほどお答えさせていただくという件でございます。  保障事業、平成十一年度に支払い総額三十七・六億円ございますが、そのうち、ひき逃げが二十一・四億、それから無保険が十六・二億円でございます。この無保険の方が求償の対象になるわけでございますが、平成十一年度で債権回収額は九億円となっております。  それからもう一点、十九日の御審議で自賠責のカバー率の推移についてお尋ねがございました。これもあわせてお答え申し上げますけれども、平成七年から十一年まで五年間の数字を見ましたけれども、傷害で各年八五%、それから死亡で六二%程度の数字で推移しているということでございます。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 終わります。

続訓弘公明党

○続訓弘君 十九日の当委員会の審議や本日午前中の参考人の方々とのやりとりを通じまして、今回の自賠責保険制度の改正について相当の議論が深まったと思います。  そこで、この改正が被害者保護の充実を図りながら規制緩和を行うという所期の目的を達成できるようにするためには、必要と思われる何点かに焦点を当てながらお尋ねいたします。  まず第一点。再保険の仕組みにかわって保険金の支払いの適正化を図る新しい制度は、関係者に十分周知し、政府はしっかりとこれを運用していく必要があります。殊に四十数年ぶりに大きく制度が変わるわけですので、保険会社などの各職員はもちろんのこと、一般の国民にも新しい保険金支払いの適正化の仕組みをよく理解していただくことが大切です。  そこで、今後どのようにして新しい制度の周知徹底を図っていくのか。なるべく具体的に説明いただきたいと思います。

扇千景自由民主党・保守党国土交通大臣

○国務大臣(扇千景君) 今、先生がおっしゃいましたように、今回の制度の改正、昭和三十年の自賠責法の成立以来の初めての大改正でございます。  先生がおっしゃったとおりでございますので、特にこの支払い適正化の仕組みにつきましては、再保険制度によります政府の事前チェック、これが一番大事だと思っておりますし、御論議をいただいておりますけれども、紛争処理制度の枠組みの創設、あるいは被害者に対します情報の提供等、そういう充実化に関しましても事後チェックの仕組みへ大きく今度変わってまいりますので、ぜひその意味で、先生が御指摘のとおり、この一般の国民に対しての制度の周知徹底を図るというのは一番必要なことであろうと思っておりますし、昭和三十年ですから、もうほとんど最初の改正のこの制度ができたことを知らない方も大勢いらっしゃって、ただ掛けていらっしゃいますので、そういう意味では本当に周知徹底が大事であろうと思っております。  また、国土交通省としましても、保険会社に義務づける支払いの基準あるいは情報提供の内容と手続、そういうものを、新たな紛争処理制度の内容など今回の制度の改正の内容というものをホームページあるいはポスター等さまざまな手段を通じて多くの皆さん方に徹底してまいりたいと存じております。  また、保険会社に対しましても、支払いの基準、あるいは先ほどからお話しになっております情報の提供、そして新たな紛争の処理制度の枠組みなどにつきましても、全国の各保険会社の担当者に至るまで少なくとも周知を図るように会社で徹底していただきたいと。そのことも一環として、国土交通省として、例えば地方ブロック、そういう単位ででも説明会をするようにというふうに心がけて周知徹底を図っていきたいと考えております。

続訓弘公明党

○続訓弘君 今、大臣がお答えされましたように、ぜひ徹底的な周知をお願い申し上げます。  そこで、二番目は、自賠責保険制度の本旨が被害者保護にあることは改正後も同様でございます。したがって、事後チェックを基本とする新しい支払い適正化の制度を運用する政府においては、死亡事案などの重要事案の審査であれ、支払い基準や情報開示義務に違反した保険会社への指示、公表などであれ、具体的な個別事案についても被害者保護の立場に立って厳正に取り組めるようにする必要があると考えます。  この点について、十四年度以降の対応についての考え方をお伺いいたします。

泉信也自由民主党・保守党国土交通副大臣

○副大臣(泉信也君) 御指摘のように、今回の改正の後も、被害者保護を目的としてこの法律の運用を図っていくべきことは私どもも十二分に認識をしておるところでございまして、制度を設ければそれでいいというものではなくて、個々の事案につきましても適正な支払いが確保できるように運用して初めて被害者保護という目的が実現されるものであると認識しておるところでございます。  具体的な国土交通省としての組織でありますとか人的な配置とか、そういうことにつきましてはこれから十二分に検討させていただく所存でございますけれども、政府再保険制度にかわる新たな支払いの適正化の措置が個別事案につきましても十二分にできますように万全を尽くしたいと思います。

続訓弘公明党

○続訓弘君 新しい民間紛争処理機関は、保険会社や保険会社主導の自算会による損害調査と保険金の支払い決定の方法への被害者の不信感を考えるとき、公正、中立性を確保するために国がちゃんと必要な関与を行うべきであるという意見が多いと思います。  この観点から、改正法の施行に当たりましては、支払いをめぐる紛争を紛争処理機関や民間の関係業界に任せ切りにするのではなく、改正法にある国の関与と監督のための仕組みをしっかりと政府が実行できるようにすることが必要であると考えますが、今後の対応ぶりについてどうお考えでしょうか、お伺いいたします。

泉信也自由民主党・保守党国土交通副大臣

○副大臣(泉信也君) 御指摘のとおりに、支払いをめぐります紛争につきましては、国が被害者の保護のために保険制度を設けておるという趣旨に照らしまして、紛争処理機関でありますとかあるいは民間の関係業界に任せ切りということではなくて、国といたしましてもしっかりと関与をして監督してまいりたいと思っております。  このためにも、紛争処理機関の公正、中立性を十二分に確保しますために、これまでも何度か御説明をさせていただきましたが、その人選等に当たりましても国土交通省として十二分に対応できるような体制を整えていく所存でございます。

続訓弘公明党

○続訓弘君 一方で、紛争処理機関の運営は効率的である必要があると考えます。その事務所もできるだけ多くの地域につくれば便利であることは確かでしょうが、通信手段の発達した今日、それよりも、各地で交通事故の相談にあずかっている日弁連の無料法律相談所などともよく連携をとって被害者の利便を図るべきであると考えます。関係する各機関との連携をどのようにとっていくお考えでしょうか、伺います。

高橋朋敬国土交通省自動車交通局長

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。  御指摘のとおり、紛争処理機関を効率的に運営していくためには、紛争処理機関自体の事務所の設置というだけではなくて、関係する各機関との連携をとっていく、図っていくということが非常に重要だと思っております。  こういった観点から、紛争処理機関の運営におきましては、各地で交通事故の相談などを行っております日弁連などの組織との連携を行っていく予定でございまして、地方レベルにおきましてもこのような組織の協力もできる限り得まして、被害者の利便を図る方法を検討してまいりたいと思っております。

続訓弘公明党

○続訓弘君 自賠責保険の運用益、つまり果実を活用する被害者救済や事故防止の事業は、改正後は累積運用益の二十分の九を基金的に充てて行うことになります。審議会を通じて一部にユーザー還元を優先すべきであるとの御意見もありましたが、むしろ、今でも安い保険料をさらに引き下げるよりも被害者救済などの目的にもっと多くの運用益を充てるべきであるとの御意見の方が多いように思います。今後は、保険料の全額を運用することになる保険会社は、従来四割を運用していた時代よりも運用益の額がふえるわけです。  金融庁は運用益の使途について審議会の場でも被害者の意見を聞く方針のようですが、十四年度以降は従来以上に被害者救済のためにその運用益を充てていくべきであると考えますが、どうでしょうか。また、被害者救済に充てる額が実際にふえるように、金融庁は保険会社を指導すべきではないかと思いますが、御意見を伺います。

村田吉隆自由民主党内閣府副大臣

○副大臣(村田吉隆君) 自賠責保険制度におきましては、被害者救済が一番大事であると、私どももそう認識するわけでありますが、従来から民間運用益の一部を被害者救済対策に活用してきた、こういうことであります。  自賠責保険の民間運用益の各年度の使い方、具体的な支出の内容につきましては、これまでは損保協会の諮問機関であります運用益使途選定委員会の審議を経て決定するということになっておりましたけれども、その使途をより一層明確にして決定プロセスを明らかにする、こういう観点から、今年度分より自賠責にかかわります審議会の議も経て決定する、こういうことに変えていこうと考えているところでございます。  今後は、保険会社が運用する運用益、資金が増加することもありまして、被害者救済対策の充実を含めまして、本制度が法令の趣旨にのっとりまして適切に運用されるよう金融庁としても保険会社を指導してまいりたい、こういうふうに考えております。

続訓弘公明党

○続訓弘君 政府の説明では、二十分の九の運用益の財源で必要な事業は今後も安定的に実施できるということでございますけれども、交通事故による重度後遺障害者の数がこの十年間で倍増しているような深刻な事態の中で、将来一〇〇%大丈夫とまで言えるかという心配が残ります。  政府において、こうした対策に遺憾なきを期するため、効率的に対策を充実していってほしい、そしてその財源を有効に活用してほしいと希望するものですが、将来の問題として、仮にこの二十分の九ではこうした対策に不十分というような事態が発生したときには追加的な財源の検討を行うべきではないかと考えますが、大臣の御見解を伺います。

扇千景自由民主党・保守党国土交通大臣

○国務大臣(扇千景君) 今、続先生がおっしゃいましたように、今回のこの改正、大改正と言っていいと思いますけれども、この制度改正に当たりまして、少なくとも運用益の、今、先生御指摘の二十分の九を充てるという、これを活用していくという、このことに関しましては、私は被害者の救済対策等を今後も安定的に行えるものと思っております。例えば、今現在の金利情勢では大体年利約二%という大変有利なことになっております。そうしますと、年間今百八十億円の発生運用益が見込まれるわけでございますから、平成十三年度の予算の被害者救済対策等に関しましては約百八十億円の歳出規模ということになっておりますので、今後も事業の効率化あるいは重点化を通じて被害者の救済対策をしていかなければいけない、そう思っております。  今、先生が御指摘のように、相当程度の長期にわたって安定的な被害者救済対策を実施できるものと思っておりますけれども、もしも仮に先生がおっしゃったように累積の運用益の財源が不足した場合はどうするのかということもおっしゃいましたので、改めて私はそういう場合には賦課金方式というものを改めて追加財源の検討が行われなければならないと思っておりますので、これは少なくとも安定的な運用益を図れるように最大限の努力をしてまいるというのが今の状況でございます。

続訓弘公明党

○続訓弘君 強制保険、最低保障としての自賠責保険と任意の自動車保険のいわゆる二本立て制度は相互に補完しながらうまく機能しているというのが政府や自賠責審議会の評価であります。しかしながら、最低保障の不足分を補うべき任意の保険の加入が困難になるような事態がさらに悪化すればこうした補完関係は崩壊してしまいます。  金融庁の説明では、任意保険の対人賠償の加入率は約八五%で、数字の上では高い率かもしれません。しかし、近年、任意の保険は、自由化による競争は望ましいことではありますが、一部の若者などの保険料率が著しく高くなったり、保険会社が一部の人々の保険契約を引き受けないなどといったことにより、加入が難しくなってきていると承知しております。  金融庁はこうした実態をどの程度把握しておられるのか、お答え願いたいと存じます。

田口義明金融庁総務企画局参事官

○政府参考人(田口義明君) お答えいたします。  任意保険につきましては、契約者のリスクの実態に応じて保険料を算出することになっているわけでございますが、若い方、若年者は一般に事故率が高いということでありますとか、運転経験年数が少なくて割引率が低いといったようなことなどから、保険料が相対的に高くなる傾向にございます。また、保険会社が任意保険を引き受けるに当たりましては、保険事故を繰り返し起こしていましたり、あるいは違法改造車であるような場合におきまして対物賠償等の引き受けを拒否する場合というのはあり得ようかと思いますが、そうした特別な事情を除きますれば、基本的に引き受けを拒否することはないというふうに聞いております。  なお、任意保険におきます年齢条件別の契約構成を見ますと、二十六歳未満の方を担保する契約の割合が約三割を占めておりますなど、任意保険は若い方々にも活用されている状況にございます。

続訓弘公明党

○続訓弘君 二本立ての相互補完関係をきちんと機能させるためには、任意の保険の保険料率をなるべく低廉なものとし、また保険会社による引き受け拒否などを是正していく必要がありますが、金融庁はどう対処していかれるのか伺います。

村田吉隆自由民主党内閣府副大臣

○副大臣(村田吉隆君) 任意保険の保険料率をできるだけ安く、それからいろんな引き受け拒否がないようにと、こういう御質問であります。  任意保険制度でございますが、民間の保険制度の中で、保険金の支払いとそれから経費、これが賄えるようなそういう中で保険料率が各保険会社ごとに決まっていく、こういう仕組みでありますけれども、保険料率はただいまのところ自由化されてございますので、原則的には保険会社間の競争によってコスト削減が図られて保険料の引き下げにつながっていくということを基本的には私どもは期待しているわけでございます。  ただ、一方におきまして、保険会社の対人賠償保険の取り扱いにつきましては金融庁が事務ガイドラインというものを定めておりまして、真に危険が特に大きいと認められる場合を除きまして、保険契約の締結に応じるような対応が行われているかといったような点を監督上の着眼点としているわけでございます。さらに、保険事故を繰り返しているような極めてリスクが高い契約者の対人賠償保険についても保険会社が共同で引き受ける、そうしたことによりまして引き受け拒否が生じないような仕組みを認めているところであります。  それから、保険料の自由化が進展していく中で、若い運転手をターゲットといたしまして、保障の対象、保障を必要な範囲内にとどめまして、それによって保険料を低く抑えた商品も出てきておりまして、こうした動きがさらに進展しまして、任意保険の分野でも被害者救済の確保が図られるようになるということを期待しているわけでございます。

続訓弘公明党

○続訓弘君 一方、最低保障としての自賠責保険の保険金の限度額は、時代とともに見直して引き上げていく必要があるということは言うまでもありません。国土交通省の説明では、現在の限度額でかなりの事故件数がカバーされているということではありますが、これに安住することがあってはいけません。  そこで、今後、政府としては保険金の限度額の見直しをどのように進めていくおつもりなのか。特に、近年深刻化している重度の後遺障害の限度額を速やかに改善すべきであると考えますが、どうでしょうか。

高橋朋敬国土交通省自動車交通局長

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。  自賠責保険の限度額は、自賠責保険の基本補償としての性格を踏まえまして、賃金水準や医療費の動向などを勘案して政令で規定しているところでございます。  現在の保険金の水準につきましては、平成十二年六月の自賠審答申におきまして適当とされておるところでございますけれども、御指摘のとおり、経済情勢等をよく見きわめて、将来見直しが必要になることも想定されると考えているところでございます。特に、重度後遺障害者の介護に要する費用につきましては、保険金としての支給を検討すべきことはこの答申にも指摘されております。  来年四月の新制度施行時までに、政令改正に向けて早急に具体的な方法を考えていく所存でございます。

続訓弘公明党

○続訓弘君 最後に、大臣にお伺いいたします。  悲惨な交通事故から国民を救済していくためには、一たん事故が発生した後の被害者救済策の充実が必要なことはもちろんでございますけれども、同時に交通事故を未然に防ぐ対策を強化することも大切だと思います。この法案の審議を通じて、各議員からも交通事故の未然防止のためにさまざまな対策の提案がございました。各省庁が連携して取りまとめる必要があることはもちろんではございますが、少なくとも交通事故を救うための制度である自賠責制度の仕組みの中で、今後どのように事故防止対策を充実していくお考えなのか、お伺いいたします。

扇千景自由民主党・保守党国土交通大臣

○国務大臣(扇千景君) 今、先生が御指摘のように、現在の自賠責特別会計の累積運用益を活用しまして事故防止対策事業を行っておりますけれども、なお、御指摘のとおり、私たちは事故によります被害を軽減するために、事後の被害者救済対策と並んで、事前の事故防止対策というものがなければならないと思っております。  そして、先ほど私がお答えしましたように、自賠責特会の運用益、大体約二兆円ということになっておりますので、この二兆円の中でも、少なくとも運用益、二十分の九ということでございますから約九千億でございます、それを運用益として、先ほど申しました年二%ということで約百八十億円と。そしてまた、残りの一兆一千億円はユーザーに還元いたしますけれども、この百八十億円というものの運用益の中から特に私は事故防止対策にも充てるということを考えておりますし、これらの事業につきましても、安定的に実施する、絶えず安全を呼びかけるということが大事だと思っておりますので、事前の安全対策にこれらの費用も使っていきたい。  今後とも、交通事故によります被害者を極力発生させないという観点から、私が今申しました事業の効率化も配慮しながら、事故防止対策の充実に一層の努力をしていきたいと思っております。

続訓弘公明党

○続訓弘君 終わります。

大沢辰美日本共産党

○大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。  まず最初に、政府の再保険の廃止について伺います。政府の再保険の廃止に伴って、保険金の支払いが適正に行われているかどうかの政府の事前チェックも廃止することになると考えられます。  そこでお聞きしますが、年間の事前チェック件数と、その結果の実績はどうでしょうか、まずお伺いします。

高橋朋敬国土交通省自動車交通局長

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。  政府再保険制度に基づきまして、自賠責保険の支払いに関しまして一件ごとに審査を実施いたしておりますが、審査件数でございますが、平成十年度で約百二十万件でございます。このうち、死亡事案の審査件数が約一万一千件、後遺障害事案の審査件数が約一万二千件、こういう状況でございます。

大沢辰美日本共産党

○大沢辰美君 今度の改正で、死亡それから重度障害の重要案件については事後のチェックをするということになりますが、死亡件数が十二年度で約九千六十六人ですか、重度障害者が一万件余りになるわけですが、つまり事後チェックの対象となるのは、事故総数百十六万件年間あるわけですけれども、そのうち約二万件ぐらいになるわけですね。ですから、全体のわずか一・七%にすぎないわけです。ですから、あとの百十四万件、約九九%はチェック対象外となってしまうのであります。だから、保険会社の払い渋りがある中で、政府が支払いのチェックを放棄するということはやっぱり重大な影響が出てくるのではないかと思います。  自賠責保険は被害者の救済保護を目的としているということは、これはもう本当に、繰り返し申しますけれども、どうしてチェックまで廃止するのか、政府として本当に不適正な支払いがなくなるという約束、それができますか。

高橋朋敬国土交通省自動車交通局長

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。  今回の制度改正におきまして、再保険制度が果たしておりました支払い適正化の機能、これを代替するわけでございますが、これについて引き続き必要だという観点から、制度改正後もまず死亡事故等一定の重要事案につきましては国が引き続きチェックを行うシステムといたします。新たに紛争処理の仕組みや被害者に対する情報提供の義務づけなどの措置を講じることにいたしております。これらによりまして、被害者に対して一層の支払いの適正化を図ってまいりたいと思っております。  また、国土交通省といたしましても、この一定の重要事案のチェックのほかに、紛争処理機関そのものに対する監督、それから情報提供の義務違反があった場合に対する命令などを通じまして、保険金の支払いの適正化のための責務を果たしていきたいと思っております。こういった新しい仕組みをしっかりと運用することによりまして、保険金の払い渋りが防止できるのではないかと考えております。

大沢辰美日本共産党

○大沢辰美君 被害者に情報提供を義務づける、紛争処理機関を設置した、このことについては当然のことだと思いますけれども、支払い額の根拠を示すこと、当たり前のことであって、今までがいかに保険会社に都合がよかったかということを示すのではないかなと私は思うんです。しかし、そのことと、政府がチェックをしなくてもよいということにはならないと思うんです。  現に、皆さんが十分とは言えないチェックでも、資料で出ていますけれども、毎年、十年度は二百六十九件ですけれども約六億円、四年度なんかは六百四十一件ですから約十一億円の過少支払いが出ているわけですね。本当にこれは指摘せざるを得ません。だから、被害者の救済を目的としているにもかかわらず、あとの百十四万件、約九九%の被害者を政府のチェックから外す、これはやっぱり重大なことだと思うんです。私たちは、むしろチェック機能を強化してすべての人たちを対象にしたチェックをすべきである、そのことを指摘して次の質問に入りたいと思います。  次に、自算会、いわゆる自動車保険料率算定会ですか、このことについてお伺いいたします。  損害調査について、自賠責の保険審議会答申でもこう述べていますね。「損害調査に当たって、まず、事故現場の状況を的確に把握することが重要である。」「警察等において的確に事故の状況が把握されることがまずもって重要である。これに加え、自算会等も、極力、事故現場の状況の的確な把握に努める必要がある。」。さらに、「被害者の立場に十分配慮した損害調査を実施していく必要がある。」としています。  このように、自算会みずから事故現場の的確な把握、被害者の立場に十分配慮した損害調査の実施を求めているわけですね。こうしたことを保障する上で、具体的にどう進めていくのか、お伺いします。

村田吉隆自由民主党内閣府副大臣

○副大臣(村田吉隆君) 委員が今お読みになったように、自賠責保険の損害調査につきましては、昨年六月の答申に今のような記述がございます。第一義的には警察等によって調査して、あと自算会も極力現場の調査をしろと、こういう記述になっていたようなことと思います。  具体的にですけれども、私どもも、自算会が損害調査に当たりましては事故現場の状況を的確に把握するということが重要である、こういうふうに思います。そうしたことで自算会においても、保険金が例えば支払われないケースとかあるいは減額されるケースにつきましては、減額されるおそれのあるような事案については、高速道路における事故など現場調査が非常に難しい、あるいは高速道路、自動車専用道路におきましては警察以外にその道路に入ることは禁じられておりますから調査することは事実上できないのでございますが、そういう場合を除きまして現場調査を行うこととしているようであります。  ただ、自算会による調査ですが、これは保険金の請求があってから出動するということでありますから、時間的に見ますとどうしても時間がたってから調査をする、こういうことでありまして、現場の調査、状況把握には正直言って困難が伴っていることも事実でございますので、平成十二年三月の法務省によります不起訴記録の開示制度の充実ということがございましたので、その実況見分調書等の資料を積極的に自算会が活用していく、こういうシステム、あるいは報道等で事故があったと認識できるような場合には保険金請求を待たずに自算会が現場に赴くということなどして補っている、事故状況の正確な把握に努めているというのが実情でございまして、私ども、こうした取り組みを通じまして保険金支払いの一層の適正化が図られる、そういうことを期待しているわけでございます。

大沢辰美日本共産党

○大沢辰美君 先ほど私は、払い渋りを含めた不適正な支払いがあるということ、年間数億円、そういう数字も指摘をさせていただきました。損保会社はもともと営利を追求する株式会社ですから、できるだけ支払いを抑えたいという私は払い渋りの傾向にあると思うんです。その払い渋りが自賠責保険にも大きな影響を与えていると思うんです。なぜなら、被害者と加害者の過失割合、この事実認定が行われて支払い額が決定される、その判断をする上で最も重要なのが損害調査であり、また査定であって、その損害査定は自賠責保険だけでなく私は任意保険にも活用されるから重要だと考えています。  任意保険は、文字どおり今、保険会社の利益を目的にした保険制度であることは言うまでもありません。それだけに、自賠責保険の査定をどう公平中立、公正に実施するかが私は決定的だと思います。何度も強調いたしますけれども、自賠責保険は交通事故被害者の救済、保護を目的としている強制保険であります。だから自算会は、今時間がたってからの調査が多いということを答弁されましたけれども、やはり損害調査の前提として絶対的に公正中立を守る義務があると思いますが、そのとおりですね。

村田吉隆自由民主党内閣府副大臣

○副大臣(村田吉隆君) 委員がおっしゃるとおりでありまして、自算会の事故調査、損害調査でございますが、それは公正中立にやらなければいけないということは論をまたないところでございまして、例えば、被害者が死亡して加害者側の証言のほかに証拠がないようなケースがございます。そういう場合にも加害者側の証言のみに依拠して被害者に不利な判定をしないということ、そういうことにも注意をしておるようでございます。そういうことを通じて客観的な事故状況の把握に努めまして、被害者の立場に十分配慮した損害調査を実施しているということを私ども承知しておるわけでございます。  それから、自算会では、今言ったように有無責、その事故に対して責任があるかどうかの認定等に万全を期したいということから、平成十年度に審査会と再審査会を設置しまして、死亡事故とか傷害事故で被害者側が事故状況の説明が十分できないようなケースで保険金が支払われないとかあるいは減額されるおそれがあるというケースについては、そうした審査会とか再審査会を通じまして、より慎重な審査が行われている、こういうことであると承知しております。

大沢辰美日本共産党

○大沢辰美君 公正、ちゃんとやっていますという答弁ですけれども、ところが、自算会は損保会社が出資してつくった法人ですね。ですから、役員にもずらりと損保会社の社長が並んでいます。しかも、被害者にとっては極めて重大な判断となる事故の状況がどうであったのか、過失割合がどうだったのかなどの損害調査をしているわけですね。この調査に被害者救済の決定権が事実上やっぱり握られているわけです。ところが、この損害調査を損保会社から受託して実施していることから、公正中立どころか、営利企業の損保会社のための役割を担っているのが実態ではないか、私はそう指摘せざるを得ません。  こういう新聞の記事がございました。毎日新聞ですけれども、自算会の元職員が証言しているんですけれども、自賠責の趣旨からいえば疑わしきは被害者の利益にのはずだけれども、私がいた、その自算会にいた職員が、調査事務所では、疑わしきは保険金の抑制をでしたと正直に述べているんですね。  実際、私たちも被害者の家族の方からも直接お話を聞きました。例えば、いわゆる損害査定から過失割合は八割と提示され、先ほども参考人の方がおっしゃいましたけれども、しかし余りのひどさに何年もかかって審査をしてようやく決定されたのが五%の過失であったと。ですから、八〇%の過失が五%になったと、このような一例を見ても保険会社に私は顔を向けた調査をやっているということが実態であると思うんです。  自賠責保険では、被害者に八〇%の過失があれば三〇%の減額となりますし、死亡した場合は約二千百万円となってしまいます。だけれども、五%の過失であれば減額もないし、三千万円の支給になるわけです。だから、本当にこうした査定は任意保険にも連鎖するわけですから、保険会社はできるだけ被害者の過失割合を多くし、保険の支払いを抑制しようとしていると思うんです。  こうした事態を私は幾つも聞いてきたわけですけれども、こんなやり方は直ちにやはり是正されるだけの私はちゃんとした指導をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

村田吉隆自由民主党内閣府副大臣

○副大臣(村田吉隆君) 自算会の損害査定あるいは損害調査につきまして、委員がおっしゃるような疑いを持たれるということは大変残念なことでございますけれども、確かに自算会の収支計算書を見ましても、自賠責の付加保険料の中からいただいている収入のほかに会員からの会費の収入があることも事実でございます。  しかし、人間構成を見ましても、公益側の理事とそれから損保会社側の理事という構成を見ましても、公益側の代表する理事の方が人数が多いというそういうようなことにも意を払っておりますし、先ほど申し上げましたようないろんな仕組みを持ちまして、公正中立な損害調査ができるということを我々は担保しよう、こういうふうに考えております。  今後とも、先生のおっしゃるようなことがありまして、自賠責保険制度というのはいわば社会保障的な制度でございますので、おっしゃるとおり被害者救済というのが一番の眼目、目的でございますので、今後とも御批判に当たることがないように、運営には我々も万全の指導をしていきたい、こういうふうに考えております。

大沢辰美日本共産党

○大沢辰美君 では、自算会の収入金額の内容を、入った分、教えていただけますか。

村田吉隆自由民主党内閣府副大臣

○副大臣(村田吉隆君) ちょっと、収支計算書で見まして、平成十一年度の収入で見ますと、自賠責保険収入が二百二十六億六千九百二十三万七千円、それから会費・入会金収入が二十三億二千七百五十万円、負担金収入は三千七百十五万一千円、そのほか、それくらいの収入、全部読みましょうか、受取利息とか雑収入とか、あるいは敷金・保証金戻り収入とか、特定預金取り崩し収入とかいろいろございますのですが、都合収入合計は二百五十五億九百六十七万五千円ということになってございます。

大沢辰美日本共産党

○大沢辰美君 概略で、私は収入は自賠責保険収入が二百二十六億六千幾ら、約七千万円ですね、自算会の収入の約九割をやっぱり占めていることになると思うんです。当期支出は二百三十一億円ですから、支出のやはり九八・三%が自賠責保険から出ていることになりますね。だから、今まで自算会の収入状況は一切知らされていませんでしたけれども、このために私は損保会社の負担はすべて補われていたと思っている人がほとんどであったのではないかと思う。しかし、実態はまるで違っている。つまり、被害者の救済を目的にした保険収入で損害調査、査定を実施しているのだから、私は絶対公平中立の立場が確保されなければならないと思いますね。  公平中立を守ると今言われましたけれども、本当にどのような担保をするのかという点でどう指導監督されるのか、大臣にお伺いしたいと思います。

扇千景自由民主党・保守党国土交通大臣

○国務大臣(扇千景君) 先ほど大沢先生がお読みになった新聞記事というのは私は大変残念なことだなと思っております。仮にそれが事実であれば残念なきわみだと思いますけれども、御存じのとおり、自算会によります損害調査の公正なあるいは中立性、今、先生がおっしゃったとおりのことを私たちは担保しなければならない、当然のことだと思っております。まして、損保会社などによります損害の調査が公正中立でないというようなことでは、これは支払いに関する紛争の私は最大の原因になると思っておりますので、今後とも損害の調査が公正中立であるという、少なくともこれを我々は保険金の支払いの適正化というものに関しましてはきちんと枠をつけてございます。  その適正化について、一つは、今回の法案によりまして保険金の支払い基準を定める、これが明記してございますし、また二つ目には、保険会社に対して保険金の支払いに関する情報提供を義務づける、皆さんにこれはわかるということでございます。また三つ目に、これらに違反していると認められるときには国は必要な命令等を行うこと、これは明記してございます。  そういう意味で、これら三つの仕組みによりまして、少なくとも損害調査の公正さというものは私は確保されるものと考えておりますので、国土交通省としましても、今回の法改正というもの、法の中に位置づけられました処置を実施することによりまして、今、先生が御指摘のような損保会社による損害調査が公正中立なものとなるという、それをしっかりと私たちも指導していきたいと考えております。

大沢辰美日本共産党

○大沢辰美君 今までの再保険制度がある中でも過少支払いという非常に件数の多い、金額にしても多い事態があって、そして今回三つの基準を設けて重々にその点を公平中立でやるということですけれども、私はやはり心配でたまりません。そのことを指摘させていただきまして、最後にもう一点お聞きしたいと思います。  午前中も参考人の方が述べられておりましたが、重度の後遺障害対策についてですけれども、高次脳機能障害対策は本当に重要な課題だと思っております。御存じのように、事故によって脳外傷に起因して言語、思考、記憶等の機能に障害がある方であります。本年一月から認定システムが開始されました。しかし、高次脳機能障害であることがわからないために認定を受けられない人もいます。事故から年月がたっている人も含めて柔軟に後遺障害として認定すべきであると。  それで、午前中来られた参考人の方は数字で、私たちは柔軟にと思いますが、三年ぐらいは時効を設定してほしいという希望も述べられておりましたが、その点についての考え方をお伺いします。

高橋朋敬国土交通省自動車交通局長

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。  高次脳機能障害というのは最近ありまして、脳外傷に起因する後遺症であるということが認識されるようになったというふうに承知しております。  このため、先生御指摘のとおり、本年一月から、自動車事故による高次脳機能障害につきまして、新たに医師などの専門家の合議によりますところの審査を行いまして、後遺障害として的確に認定して自賠責保険の支払いを行うということにいたしたところでございます。  その中で、既に後遺障害の認定を受けている方であっても、再度新たな認定システムによる審査を受けることができることにいたしておりますし、先生も今御指摘の時効の問題につきましても、その起算を弾力的に行うなどいたしまして、被害者救済に欠けることのないようにしていくことといたしております。  これまで、一月から三月までの三カ月で計八十七件の審査を行いましたが、七十一件につきまして高次脳機能障害としての等級認定を行っているところでございます。

大沢辰美日本共産党

○大沢辰美君 もう一分ありますので。最後と言いましたが、もう一点、介護の問題について。  後遺障害を持たれている家族や被害者にとって、治療、介護など大変な状況に置かれていることは今までの質問にもございました。特に、療護センターの整備拡充は急務であるということも指摘されていました。  最近の医療技術等の発展によって、いわゆる植物状態の患者さんが、入院患者の約二割の人が植物状態から脱却していると言われています。これは本当に大きな成果だと思いますね。待機者の解消など、療護センターの整備拡充を図るべきであり、また自宅での介護を受けている後遺障害者に対する支援措置について、私は特に自宅での介護についての対策について、大臣にお伺いしたいと思います。

扇千景自由民主党・保守党国土交通大臣

○国務大臣(扇千景君) 先ほども大沢先生は聞いていてくださったと思いますけれども、同じ御質問がございましたので、既にお答えしておりますけれども、再度、療護センターにつきましては、御存じのとおり、現在、七月で八十床、中部の療護センターを開業するということにもいたしておりますし、また既存のセンター内に併設の介護病床の整備を進めるということも先ほど申し上げました。  特に、今、先生は自宅介護のことをおっしゃいましたけれども、それも今後は介護料の支給範囲の拡大、あるいは短期入院制度の創設等をいたしまして対象を広めて、またそれを進めておりますので、今後も被害者救済対策の一層の充実を図っていきたいと思っております。ごめんなさい、五十床でした。失礼しました。

渕上貞雄社会民主党・護憲連合

○渕上貞雄君 社民党の渕上です。  被害者救済の強化についてお伺いいたします。国が損害保険会社の集めた保険料の六割を預かって運用して被害者対策に充てていた再保険制度を廃止することに伴う最低限の条件は、やはり被害者保護の充実強化であると考えます。そもそも、その運用益は自賠法によって発生をしたものであり、本来、被害者保護に使われるものであります。国の現行の被害者救済事業はまだまだ私は不十分だと考えております。  高度機能障害者の在宅介護料は一日当たりわずか二千二百五十円でしかなく、二十四時間介護で身体を休めることはできないと思います。精神的にも経済的にも追い込まれた家族にとって、たった二時間分のヘルパー代金にもならない。最重度の要介護老人に月額三十五万円分のサービスが提供される介護保険制度とは格段の差があります。  そこで、交通事故の被害者の苦労はまことに大きく、その事故にかんがみるに、やはり被害者対策を一層充実していく必要があると考えますが、被害者救済を強化するためどのような施策を講じようとしているのか、お伺いいたします。

高橋朋敬国土交通省自動車交通局長

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。  今回の政府再保険廃止の際の条件としまして、規制緩和推進計画の中でも五条件が示されておりまして、その中で被害者保護の充実ということが明記されております。被害者保護の充実が私どもにとって大変重要な政策課題であるというふうに思っております。特に、交通事故による重度の後遺障害者がここ十年で二倍に増加する状況にございます。重度後遺障害者対策が急務であるというふうに考えております。  そこで、十三年度予算におきましては、介護料の支給対象の拡大などの被害者保護対策の充実を図ったところでございまして、今後とも被害者保護対策、特に重度後遺障害者対策の充実を図ってまいりたいと考えております。

渕上貞雄社会民主党・護憲連合

○渕上貞雄君 次に、遺族の心のケアについてお伺いいたします。  不幸にして事故で亡くなられた遺族、家族への心のケアについても、やはり積極的に取り組まなければならない課題だと考えております。したがって、やはり調査したり研究をしたり、その対策を講ずるべきであると考えますが、これはぜひともどうかひとつ考えていただきたい大きな社会問題であると私は考えておりますし、遺族を代表しての参考人からの御意見などを聞いてみても、やはりこれから先、対応すべき課題ではないかというふうに思っておりますので、その見解をお伺いいたします。

扇千景自由民主党・保守党国土交通大臣

○国務大臣(扇千景君) 渕上先生が仰せのとおり、交通事故によって亡くなられた御家族の精神的な負担というものは本当に大変なものであろうと思いますし、私の身近なところにもそういう心の痛みを持った人たちがいらっしゃることも、大変な苦痛をしょって、こんなに悲しい人生があったのかと嘆く方もございます。  御指摘のとおり、私どもは、交通事故によって亡くなられた家族の負われる精神的な苦痛をいやすために、少なくとも自動車事故対策センターで、全国に自動車事故対策センターの支所が全都道府県に約五十カ所ございます。そこに家庭相談員を置きまして、そして交通遺児やその御家族の方々からの御相談に応じて必要なアドバイスを実施しているところでございますし、また今後さらに、交通事故によりまして亡くなられた方の御家族全般を対象とした心のケアというものに対処できるように取り組んでいきたいと思っております。

渕上貞雄社会民主党・護憲連合

○渕上貞雄君 かなり深刻な状況でございますし、今、大臣言われましたように、身近な問題を例に出されて言われましたように、今後、今全国で五十カ所、都道府県にあるということでございますので、私ども、実態を調査しながら再度また御提言申し上げたいと思っておりますので、よろしくお願いします。  次に、療護センターの充実についてお伺いいたします。被害者救済対策として、自動車事故による重度の後遺障害については療護センターがあります。特殊法人改革が進められていますが、療護センターは、一般病院では重度の後遺障害者の受け入れに十分対応ができない、こういうことから発足をした経緯がございますから、この経緯をやはり大事にしなければならないと思いますし、その経緯については今日もその状況は変わっておりません。したがって、今後も療護センターは必要であり、なお一層充実すべきだと考えます。  先ほど中部で五十床というお話もありました。けさほどの参考人の方からのお話でも、北海道、九州にも設置をすべきだという御意見が述べられておりましたし、やはり増設を考えるか、またはそのような施設というものをきちっとそれぞれの、近くにないところに設置をしていくべきだと考えますが、当分何か増設の考えはないとかというお話を聞きました。そういうことのないようにお願いしたいわけでありますが、見解はいかがでございましょうか。

高橋朋敬国土交通省自動車交通局長

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。  現在、療護センターの病床数、千葉、東北、岡山の三施設で計百三十でございます。お待ちになっている方が、一月現在で九十二名の方々が入院を待っておられるという状況でございます。  まずこれに対して対応しなければいけないわけでありますが、療護センターにおける受け入れの体制の整備につきましては、この七月に五十床の規模を持つ中部療護センターを開業するということにいたしております。あわせまして、既存のセンターの中に併設の介護病床の整備を進めることによりましてキャパシティーをふやしていくといったこともあわせて取り組んでいきたいと思っておりまして、まず、お待ちになっている方々、これに対してできるだけ早くその解消を図っていくという努力を、まず取り組んでまいりたいと思っております。

渕上貞雄社会民主党・護憲連合

○渕上貞雄君 どうか、これは今後ますます充実をさせていく必要があると思いますので、一層の御努力を要請しておきたいと思います。  次に、指定紛争処理機関についてお伺いいたします。再保険制度の廃止後は保険金額の適否をどうチェックするのかが重要となってまいりますし、新たな被害者保護の仕組みとして設けられる紛争処理機関は民間の機関である以上、被害者保護のセーフティーネットとして国が、保険金支払いのトラブルだけでなくて、やはり被害者支援全体について関与するシステムというのが求められるなど一定の関与が私は必要だと考えます。  そこで、紛争処理機関の運営が被害者の立場に立って行われることが必要だと考えますが、どういう姿勢で臨まれるか、お伺いします。

高橋朋敬国土交通省自動車交通局長

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。  紛争処理機関の公正、中立性のお尋ねかと、こう思います。二つの要素で担保してまいりたいと思っております。  一つは人的な要素でございます。一定の資質の確保を図るということになりますが、まず、中立的な紛争処理委員の選任をしなければならないというふうに規定をいたしております。それから、紛争処理委員の選任に関しましては認可にかからしめております。それから、秘密の保持義務をかけてございます。  それから二つ目は、業務を公正かつ的確に実施していくという点からの監督でございますが、紛争処理業務規程、紛争処理の手続を定めたものでございますが、これに対して認可にかからしめているということ、紛争処理機関に対する報告徴収権、立入検査権というものも確保しております。また、必要な監督命令をかけてございます。  これらを通じまして、被害者の立場も踏まえまして公正、中立性を担保してまいりたいというふうに思っております。

渕上貞雄社会民主党・護憲連合

○渕上貞雄君 次に、紛争処理機関の財政基盤についてお伺いいたします。  法案では、紛争処理機関の財政的基盤については明らかにされておりません。紛争処理機関の運営経費の原資については、その財政的基盤を保険会社に完全に依存するというふうに、朝の参考人の方はそのように報告をしておったように思いますが、金は出すけれども人は出さないと。金は出すけれども口も出すというのがだんだん、こういうものは金を出していればそうなると私は思うのでありますが、やはりそうなってくると紛争処理の公正性に疑問が出てくることも考えられますから、国として何らかのやはり財政的な支援を行うことが必要ではないかと考えますが、いかがでございましょうか。

高橋朋敬国土交通省自動車交通局長

○政府参考人(高橋朋敬君) 紛争処理機関に関する支援についてのお尋ねでございました。  紛争処理機関の運営につきましては、先ほど申し上げましたとおり、国が十分な監督を行うなど、国がその上に一定の関与をしていくということが大事かと、こう思っております。  紛争処理機関の財源の問題でございますが、紛争処理業務を行う団体を設立しようという提案をされました損保業界など民間関係者と調整を図りながら、今後、先生御指摘の国の支援も含めて検討を進めてまいりたいと思っております。

渕上貞雄社会民主党・護憲連合

○渕上貞雄君 次に、自算会についてお伺いいたします。  自算会の主な業務は、自賠責、任意保険の料率算出と自賠責保険の損害調査、データバンク業務などがございますが、中でも自賠責保険の損害調査は、中立公平の立場から損害調査がなされることが求められております。しかし、自算会の会員は損保会社によって構成されていることを見ましたときに、本当に中立公平の立場が確保されるかどうか少し疑問がわいてきます。  中立公平の立場について、午前中の参考人からは、一つは事故の調査の問題、それから一つは支払い基準の問題、そして支払った結果に対する点検の問題を通じて公正中立という問題を確保したいというふうにお話しになったと思うのでありますが、そこで、そのようなことは当たり前のこととして、なお中立公平な立場を確保するためにどのようにお考えなのか、御意見をお伺いいたします。

高橋朋敬国土交通省自動車交通局長

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。  損保会社などによります損害調査が公正中立に行われることが支払いに関する紛争防止の大前提であるというふうに思っております。  それで、今回の法律の中で、保険金の支払いの適正化という観点から仕組みを設けておりますが、まず、保険金の支払い基準をきちっと定めまして、また保険会社に対しまして保険金の支払いに関して情報提供をきちっと義務づけて、どういう基準、どういう当てはめを行ったのかということをきちっと情報提供することを義務づけております。さらに、これらに違反していると認められるときには国は必要な命令を行うことができるということになっております。これらの仕組みによりまして、損害調査というものは公正に行われなきゃならないというような観点から機能させていきたい、こう思っております。  今後とも、この損保会社による損害調査が公平中立なものとなるようにしっかりと指導してまいりたいと思っているところであります。

渕上貞雄社会民主党・護憲連合

○渕上貞雄君 次に、自賠責の査定に警察調書の活用をすべきではないかと思うのでありますが、死亡事故の無責事案が毎年五百件を超していると言われております。査定の結果を裏づける客観的な根拠があれば問題はないと思うのでありますが、自算会には警察のような人員も事故調査能力もないと思いますし、参考人の御意見でも、死人に口なしというような言葉が出ておりました。現場の調査を本当に徹底しようとするなら、やはり警察の協力、つまり実況見分調書開示は不可欠なことだと思いますし、警察と正式な協力関係はやはり結ばれるべきではないかというふうに思うのでありますが、その点、いかがでございましょうか。  多くの遺族や被害者が望んでいることは、事故の本当の真実を知りたいという一点に、やはり参考人からもお話がございました。一瞬にして起きた事故でございますから、れっきとした物理的な現象であり、例えば、タイヤの跡だとか微妙な濃淡や、事故車についたちょっとしたくぼみだとか塗装の落ちだとか、思わぬ真実が浮かび上がってきて事故の真相が解明されるというのがたびたび報道でもされておりましたし、そういうことを考えますと、現場の見取り図と事故車の写真ぐらいは自賠責の請求に活用できるようにすべきではないかと考えるんですが、その点、いかがでございましょうか。

高橋朋敬国土交通省自動車交通局長

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。  自賠責保険の損害調査の際には、できるだけ適正な事実認定を行っていくことが必要だというふうには思っております。その意味では、他の機関の各種の情報も可能な限り入手した上で損害調査を行っていくことが適当だと思っております。  したがいまして、自賠責保険の損害調査の際に、警察からの情報提供があった場合におきましては、これを積極的に活用していくように指導してまいりたいと考えておりますし、また、できるだけ警察に協力をお願いするように、私どもの方からもお願いしてまいりたいと思っております。

渕上貞雄社会民主党・護憲連合

○渕上貞雄君 最後の質問になりますが、これからもやはりこの件について改革は進めていくべきだと思っておりますし、本法案につきましては政府再保険制度の廃止を主な内容としております。  課題は山積していると思いますが、例えば先ほども御質問申し上げました遺族の心のケアの問題、PTSD対策、加害者無責の場合の被害者救済のあり方、示談交渉制度の見直し、命の値段の算出、恒久的事故防止ビジョンの策定、交通事故関連行政窓口の一本化など、早急にやはり取り組まなければならない課題があると思います。また、事故後の賠償問題で苦しむ二次的被害者の声についても、国土交通省や金融庁、自算会、保険会社はもっとやはり意見を吸い上げるべきではないかと考えます。  これらの課題の解決に向けて、国土交通省は引き続き根本的な改革に取り組んでいただきたいと考えております。大臣の御所見をお伺いして、質問を終わります。

扇千景自由民主党・保守党国土交通大臣

○国務大臣(扇千景君) 保険金の支払いに関しましての制度で、被害者の保護の立場に立った考え方をしていくべきだという渕上先生の御指摘、そのとおりでございまして、私どもは、少なくとも保険金の支払いに関しましては、被害者の保護の立場に立って適正な支払いがなされるように今後も確保していく、そういうつもりでございます。  このために、今回の制度の改正で死亡事故等一定の重要な事案に関しましては国が引き続きチェックを行うということを明示してございますし、また新たに、紛争処理機関の仕組みあるいは被害者に対します情報提供の義務づけなど、これも措置をしているところでございますので、私たちも一層の支払いの適正化を図るとともに、被害者からの信頼を得られるように努力していきたい、そういうふうに思っております。  また、制度施行後の実施状況、これをフォローしていくということも私は今後の大事なことであろうと思っておりますので、必要があれば、被害者保護の立場に立って、今後、支払いの適正化が確実にできるように措置してまいりたいと考えております。     ─────────────

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、長谷川道郎君、筆坂秀世君及び北澤俊美君が委員を辞任され、その補欠として矢野哲朗君、池田幹幸君及び藤井俊男君が選任されました。     ─────────────

田名部匡省無所属の会

○田名部匡省君 もう大分同じような質問になるかと思うんですが、近年の交通事故の状況は死亡事故が減っている、こういうことですが、医学の進歩で、むしろあとの相当重傷な事故でも助かっているんだろうと思うんですね。  それで、死亡事故そのものはそういうことで私は見ておるんですけれども、いずれにしてもこのような被害者の保護をどのように充実させていこうと考えておるのか。また、介護費用の給付範囲の拡大はわかったんですけれども、その増額についてはいかがでしょうか。現行、自宅介護は二千二百五十円ということなんですけれども、これはもう少しふやしたらどうか、こう思うんですが、どうですか。

扇千景自由民主党・保守党国土交通大臣

○国務大臣(扇千景君) 今、先生がおっしゃいましたように、交通事故の死亡者数は減少しておりますけれども、逆に重度後遺障害を抱える人が多くなっているという事実もございます。  ですから、今、先生がおっしゃったように、金額が何とかできないのかということで、私もその金額を見ておりますけれども、平成十年度で二千二百五十円、少ないじゃないかと仰せでございますけれども、少なくとも今回改正いたしますことによりまして、逆に支給額で、介護も入りましたので、総トータルでは金額が多くなっているということと、そして今までは十二年六月現在では、介護料制度、労災保険制度と今、私比較しているところですけれども、少なくとも支給者も、十二年の六月で八百三十人でしたけれども、今回十三年度の見込みではこれを五千八百人にまで増大できるということも今回新制度でなっておりまして、金額も総トータルの金額で、今、先生がおっしゃいました日額二千二百五十円という額でございますけれども、これをトータルでいきますと、今までは月額六万八千四百四十円でございましたものが、今回は介護もふえるということで金額的には増額になるということも事実でございますので、月額がこれでトータルで、自宅介護を受けている人も見られるようになって、自宅介護の人も今、先生がおっしゃったように五万八千五百七十円にふえます。  ですから、そういう意味では、ヘルパー等による有料の介護を受けている人と、そして寝たきりで自宅で介護を受けている人にもこれは出るようになりましたので、そういう意味では金額的にはわずかでございますけれども、少なくとも自宅で療養していらっしゃる方にも、短期ではございますけれども、病院に一時短期入院して、そして療養していただいて御家族の苦労を緩和するということも今度創設してございますので、あらゆる面でできる限り、費用、そして心のケア、そして御家族の御負担等々あらゆる面で、今後も私たちは少しでも今回の改正によって何か先に希望が持てるような、みんなが元気になれるようなものができればということで、今後もあらゆる面で検討していきたいと思っております。

田名部匡省無所属の会

○田名部匡省君 厚生省、来ていますか。北原参考人に先ほど質問したときに、大変心配しておりました。NHKのテレビ番組でも取り上げておった問題ですけれども、若年者が事故で要介護となって、お母さんが必死になって介護していると。仮に介護している親が病気になったり先に死亡した場合、一体被害者の介護はだれがどのような形で続けていくことになるのか、あるいは障害福祉でこのような人々を介護していくことになるのか、厚生省の見解をお伺いしたいと思います。

今田寛睦厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長

○政府参考人(今田寛睦君) 御指摘の交通事故によりまして後遺症が生じた場合に、身体障害者福祉法の適用をまず受けることができます。つまり、原因が交通事故であれあるいは脳血管障害であれ、そのことを区別して対応しているわけではございませんので、一般の福祉サービスは基本的に受けられるということであります。  ちなみに申し上げますと、例えばホームヘルパーの派遣やショートステイといった在宅サービスを受けることもできますし、それから特殊寝台、それから入浴補助用具などの日常生活用具についても給付が可能であります。さらに、療護施設、親御さんが亡くなられたりして本当に重度で家庭介護ができないという状況の方に対しましての身体障害者療護施設のいわゆる施設サービスに係る利用、こういったものも可能であります。  繰り返しになりますけれども、交通事故にかかわらず、原因にかかわらず、そういった福祉サービスは基本的に給付するという考え方で運用いたしております。

田名部匡省無所属の会

○田名部匡省君 私はよくわかりませんが、参考人の意見では、もっとあちこちにこの重度の方々の施設をつくってほしいという要望があったんですね。でもしかし、事故だろうが労災だろうが、なぜこの種のものは縦割りで事故の病院をつくったり労災の病院があったり、これももう同じ国民を診るわけですから、そういうふうにやったらどうかなと思う。どうもここが私はよく理解できない部分なんです。  それから、これはお答えは結構ですけれども、被害者に対してきちんと支払われる保険金の明細等の情報を開示する、これは紛争処理機関の問題ですけれども、保険会社に査定要綱の遵守義務を課す、これで過少払いは防げるんですか。

高橋朋敬国土交通省自動車交通局長

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。  今回の改正案におきましては、一定の死亡等の重要な事案につきましてはチェックを行うシステムを設けておりますが、それ以外に紛争処理の仕組みを設けて、この仕組みあるいは機関と申しますか、それを適切に監督するといったようなことを考えております。それから、支払い基準とか情報提供の義務違反につきまして、被害者から国土交通大臣に申し出ができることになっております。また、この支払い基準や情報提供の義務違反があった場合には適正化の命令を行うことができます。  こういった手段を通じまして、保険金の支払いの適正化を図っていくことができるというふうに思っているところでございまして、保険金の払い渋りということにつきましては対応していきたい、こう思っております。

田名部匡省無所属の会

○田名部匡省君 この紛争処理機関に要する費用は、一体だれがこれを負担するのかということと、これは自賠責保険の保険料から出るのか、それとも自賠責保険料には一切どのような形でも含ませないで紛争処理を求める人の負担になるのかということをお聞かせください。

高橋朋敬国土交通省自動車交通局長

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。  紛争処理機関の費用の支弁の問題でございますが、新たな紛争処理機関の設立につきましては、政府再保険を廃止した後の保険金支払いの適正化を図るための措置として損保業界の方から関係者に提案したものでございます。  紛争処理機関は民間の機関ということになりますので、その費用につきましては民間関係者が、私ども国土交通省やあるいは金融庁とも相談しながら、今後検討させていただくということになる中身だと思っております。

田名部匡省無所属の会

○田名部匡省君 結局はユーザーの負担になるのではないか、こう思うんですが、再保険を廃止して、事務方が減りますとか、参考人の話もさっき伺ってそう思ったんですが、これによる経費の削減効果がどの程度かわかりませんがあるんでしょう、これが第一点。  次に、この新たな機関を設けることによってユーザーの負担がふえると、これはおかしなことになるわけですから、この点、紛争処理機関にどのぐらいの費用がかかって、それはユーザー一人当たりどの程度の負担になるか、試算があったらお知らせいただきたいと思います。

高橋朋敬国土交通省自動車交通局長

○政府参考人(高橋朋敬君) お答えいたします。  再保険の廃止に伴いまして、いろんなコストの削減といったこともできるということになっておりますが、保険会社の試算では約二億円程度のコストが削減できるというふうに言っております。さらに、この額にとどまらず、各種経費の削減に取り組みたいと言っておりまして、コスト削減の努力を期待したいと思っております。  それから、紛争処理機関の費用でございますが、先ほど申し上げましたように、民間機関として設立されることでございますので、その内容は今後検討を進めていくことになるわけでございます。いずれにいたしましても、紛争処理機関が効率的に運用されて、コストを節約できるように指導してまいりたいというふうに思っているところでございます。

田名部匡省無所属の会

○田名部匡省君 次に、任意保険の問題をお伺いしたいんですが、これは自賠責と一体となって非常に大きな役割を私は果たしてきたと思う。競争によって保険料が大分安くなったと聞いておりますけれども、これは全部の人が安くなったんではないだろうと思うんですね。逆に保険料が高くなった人もおると聞いておるんです。  それはどういう人かというと、事故を起こす危険の高い、特に免許を取得したばかりで、若い運転者、これは保険料は高いんだろうと思うんです。あるいは、だんだんお年寄りになると、これも危ないということで保険料が高くなっているんではないかと思うんですが、十八歳、十九歳の者が対人無制限の標準的な任意保険に加入しようとしたときに、保険料は一体どのぐらいですか。

田口義明金融庁総務企画局参事官

○政府参考人(田口義明君) お答えいたします。  任意保険におきましては、契約者のリスクの実態に応じまして保険料を算出することになっておりまして、若い方は一般に事故率が高いというようなこと、あるいは運転の経験年数が少なくて、割引率が低いというような事情もありまして、保険料が相対的に高くなる傾向にございます。  それで、お尋ねの十八歳、十九歳の若年の方が新規に契約する場合の任意の保険料でございますが、一例といたしまして、保険金額無制限の対人賠償責任保険の保険料、年額でございますが、排気量が例えば千五百cc以下という自動車の場合ですと六万円弱ほどになろうかと思います。

田名部匡省無所属の会

○田名部匡省君 そんな程度ですか。もっと高いのはないですか。

田口義明金融庁総務企画局参事官

○政府参考人(田口義明君) いろいろな例がございますが、最も一般的なものということで……

田名部匡省無所属の会

○田名部匡省君 一番上の、高いもので。

田口義明金融庁総務企画局参事官

○政府参考人(田口義明君) はい。これは新規に入るという場合でございまして、全年齢担保と申しまして、十八歳、十九歳の方を対象にするということで、こういう場合ですと約六万円弱ということで、同じような保険に、最もリスクの低い三十歳以上の担保ということですと二万円弱でございますが、そのような状況……

田名部匡省無所属の会

○田名部匡省君 月ですか。

田口義明金融庁総務企画局参事官

○政府参考人(田口義明君) いや、年額でございます。

田名部匡省無所属の会

○田名部匡省君 私が、友達が保険代理店におって、一体何ぼぐらいかかるんだと言ったら、物によっては五十万を超えるのがあるというんです。それは本当かうそかわかりません、五十万も保険料を払うとしたら、入れるわけがないんですよね。私もないんだろうと思ったから、きょう聞いたんです。ないですか。大体さっき言ったのが最高限度ですか。

田口義明金融庁総務企画局参事官

○政府参考人(田口義明君) 保険料は車種等によっても異なりまして……

田名部匡省無所属の会

○田名部匡省君 任意だよ、任意。

田口義明金融庁総務企画局参事官

○政府参考人(田口義明君) はい。任意でございます。営業用の……(発言する者あり)

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) 静粛に。

田口義明金融庁総務企画局参事官

○政府参考人(田口義明君) 営業用のものというような、営業車両というようなもので十万円近いというようなハイリスクのものについてはございますが、一般用のものですと先ほど申し上げたようなものでございます。

田名部匡省無所属の会

○田名部匡省君 私の聞き方が悪かったのかどうかわかりませんが、もう一遍聞いてみますけれども、余り保険料が高かったら逆に入らなくなって、保険自体またおかしくなるんではないかなと思って僕は話を聞いておったんです。  それから、盗難の多い車種、これも断られるというのは多いんだそうですね。よくテレビでインドネシアかなんかへみんなオートバイを盗んでは持っていって売ったりなんか、外車なんかはベンツなんか相当やられているようですけれども、そういう断る車種というのはあるんですか。

田口義明金融庁総務企画局参事官

○政府参考人(田口義明君) 対象となります車種等にもよって事情は大分異なりますが、例えば盗難が極めて多い車種、一例を申しますとベンツの新型のようなものでございますね、そういうものについて盗難の保険を掛けるというときに、御指摘のようなことが起こり得るということはございます。

田名部匡省無所属の会

○田名部匡省君 もう時間ですから終わりますけれども、この保険制度というのはだれのためにあるのか、何のためにあるのかというのをやっぱりきちっとやってやりませんと、運用益なんかもさっきも質問あってバリアフリーに使うとかなんとか、そんなものは道路財源でやればいい話で、余りこれを金があるからといってあっちで使ったりこっちへ使ったり、一般に全省庁多いですよ、金があると必ず使うことを考えるんだ。そういうことのないようにしていただきたい。  大体、それは事故だってかつて死亡者が一万人とかなんとか言われて、これは戦争をやったって一万人死ぬといったら大変な戦争ですよ、毎年。この意識が国民にもないし、人のことだと思っているんですよ、みんな。だから、あすは我が身と前も申し上げましたけれども、こういうものだけはきちっとしておいてやらぬと、起きたときに困らぬような仕組みだけは今後とも検討してやっていただきたいと、こう思います。  終わります。     ─────────────

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、佐藤雄平君が委員を辞任され、その補欠として高嶋良充君が選任されました。     ─────────────

戸田邦司自由党

○戸田邦司君 私は、今回のこの法案についていろいろ考えさせられるところがありました。  先ほど、参考人にもいろいろ質問したところでありますが、保険というものに対する日本社会での意識といいますか、これが海外と大分違うのかなという点があります。ヨーロッパの国で大体強制保険というのはないんじゃないかと思います。ですから、みんな任意保険でやっていると。だれもがとは言いませんが、大体の人はきちっと保険を掛けている。それで、自動車の保険に入っていない人が相当いるんですよ、ヨーロッパでもいます。先ほど一〇%とか言っていましたけれども、そういう人たちがおりますよと、こういう話がありましたが、その人たちは一般的な保険、例えばスポーツをしていてとかボランティア活動をしていてとか、それで他人に被害を与えた場合、そういった場合に備えて一般的な保険に入っている。それで私は自動車保険には入りませんというようなことを言う人もおります。しかし、日本の社会ではなかなかそういうことにはなっておりませんから、これは安全保障と同じことかなと思いますが、やはりこういった強制保険制度というのは必要な制度であった、しかもこれからも役割重大であると、こういうふうに理解しております。  そこで、第一に、今回の法改正で保険金の支払いの適正化という点が問題になりますが、これは基準に従って支払うと。それから、情報開示の保険会社への義務づけとか、あるいは死亡事故についての支払いは政府への届け出があって政府がチェックすると、こういうようなことになっております。  こういった点は、私は非常に評価すべきではないかと思っておりますが、この点については国土交通省の職員のノウハウとか能力、それに陣容といいますか、陣容といったってこれから人をふやせないわけですから、そういったところでやりくっていかなければならない。その辺について、国土交通省としてはどんなふうにお考えでしょうか。

泉信也自由民主党・保守党国土交通副大臣

○副大臣(泉信也君) 政府再保険の廃止によりまして、支払いの適正化というこのことに対します国の関与の仕組みが最も大きく変わるのが今回の一つの特徴だと思っておりまして、支払いの適正化に関します国土交通省の職員の資質の向上と申しましょうか、今、先生御指摘のように、紛争処理機関の監督でありますとか、あるいは情報開示に対する批判に国土交通大臣への申し入れ等にいかに対処するか、こうした事柄にどう対応していくかということは大変重要なことだと思っております。  これまでもある面では機械的処理をしてきたところもございますが、約百二十万件の案件について処理をしてきた実績、経験等をさらに磨きまして大きな陣容を整えるというようなことは、お話しのようになかなか難しい時代ではありますが、この適正な支払いを確保するために最大限努力していくつもりでございます。

戸田邦司自由党

○戸田邦司君 やっぱりそこに相当のエキスパートとしての運用といいますか、そういう点が要求されると思いますから、これは国土交通省としても特に力を入れて運用していただきたい、こう思っております。  次に、今回の法案の中で被害者救済、それから事故防止、そういったことについてこの法案の核心的な部分であろうかと思っております。  それで、その部分は後ほどまた大臣にお伺いしたいと思いますが、今回の支払い適正化措置の中で非常に重要な役割を果たしているのは紛争処理機関ではないかと思います。中立性とか公正性、これが非常に厳しく求められているところでありますが、この紛争処理機関の運用、先ほどもちょっと議論がありましたが、これが一方の当事者である損保協会の丸抱えというようなことであると被害者の信頼を得られないと、そういうことになるかと思っております。  ですから、自賠責の運用益、これまで日弁連の無料法律相談などにも使われてきたという経緯もありますから、この紛争処理機関についても活用して、紛争処理機関が損保会社寄りではないと、そういうような点からもこの点は非常に重要な点ではないかと思っていますが、いかがでしょうか。

泉信也自由民主党・保守党国土交通副大臣

○副大臣(泉信也君) 紛争処理機関の中立性、公正性というものは、先生御指摘のように、最も重要なことだと思っております。  ですから、この機関がいやしくも損保会社の丸抱えというようなことになりますと、被害者の信頼を得るということは大変難しいわけでございまして、こうした面からも国としてどのように関与していくか、これからの大きな検討しなければならない課題でございますが、財源面につきましても、御指摘の運用益等の活用も含めまして検討させていただきたいと思っておるところでございます。

戸田邦司自由党

○戸田邦司君 この点はやはりユーザーサイドから見て非常に重要な点だと思いますので、ひとつそういう観点を重要視して、それで御検討いただきたい、こう思います。  それから、今回の制度の中でやっぱり核心的な部分であります被害者救済あるいは事故防止、こういった対策が重要視されております。被害者救済につきましては、例えば外国の例などを考えますと、一般的な社会保障制度の中で吸収されてしまって格別問題にならないというようなこともあると思いますが、我が国の保険制度といいますか医療保険その他の制度も全然違っているわけですから、そうはいかない。しかも、自動車事故の特殊性ということを考えますと、この運用の果実、これを利用して、それでこれをユーザーに還元する、こういった仕組みをつくったということは一つのすぐれた点ではないかと私は思っております。金に糸目はついていないわけですから、そっちでやるか、あるいは保険料の方で、保険料の中で見るといったってそこは同じ結果になるので、仕組みとしては私は非常にうまく組み立てたと、こう思っております。  そこで、年間百万を超える事故の被害者を救済していく、それから一万人を超えるような死亡者が出ているというようなことを考えても、事故を少しでも減らしていく、そういうための運用益を活用した被害者救済と事故防止対策、これは国土交通省としてもこれから特に今回の法律改正を踏まえて重要になる点かと思いますので、この点をしっかり充実していただきたい、こう思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。

扇千景自由民主党・保守党国土交通大臣

○国務大臣(扇千景君) 戸田先生御指摘のように、自動車事故の件数あるいは死傷者数というのは現在も増加しつつあるというのは今、先生御指摘のとおりでございますし、自動車事故による被害者の救済というものがいかに事故防止対策も含めて大事であるかというのは、きょうもるる御論議いただいたところでございますけれども、先生がおっしゃいますように、運用益を利用して、約二兆円の運用益の中で二十分の九ということで、二兆円の中で約一兆一千億はユーザーに還元する、これは戸田先生に大変お褒めをいただきましたので、これはよかったというふうに言っていただいたんですけれども、残りの約九千億円、この九千億円の運用益によって、今後も安全対策等、あるいは事故防止という、少なくともそういうことに対して私どもはこの累積の運用益を有効に使うということで、今るる御審議いただきましたように、被害者の救済あるいは事故防止対策の充実をこの中から図っていきたいと、そういうふうに思っております。  少なくとも我々としても、被害者救済対策としましては十三年度で百二十四億円、そして自動車の事故防止対策に関しましては六十二億円、合計で百八十六億円、これは運用益を利用しながら安全、防止、そして被害者の救済に運用していきたいと思っておりますので、まずこのことをより皆さん方に周知徹底して御理解いただくということにも努めてまいりたいと思っておりますし、まず何よりも安全対策に万全を期すということを図っていきたいと思っております。

戸田邦司自由党

○戸田邦司君 私はこの自賠責の仕組み、制度、これはなかなか一般の人に理解されていないと思っています。車を持っているととにかくお金を取られるなという感じが非常に強い中で、この自賠責保険の重要性といいますか、仕組みは今度はこういうふうに変わりましたよ、こういうことになっているんです、そういうPRをきちっとやっていただけば、今、大臣がおっしゃられたようなことも一般のユーザーに浸透していくということではないかと思いますので、その点を特に強く要望しまして、質問を終わります。  ありがとうございました。     ─────────────

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、中島啓雄君が委員を辞任され、その補欠として海老原義彦君が選任されました。     ─────────────

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

大沢辰美日本共産党

○大沢辰美君 私は、日本共産党を代表して、自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の改正案に反対の討論をさせていただきます。  反対理由の第一は、再保険の廃止に伴って、政府が行ってきた契約関係の審査を全廃し、また支払い審査も死亡や重度後遺障害などに限って事後チェックをするだけで、それ以外は民間任せとなり、払い渋りや不適切なものがあってもチェックはできず、被害者救済、保護という国の行政責任の大幅な後退につながるからです。  政府の事前チェックでも、毎年約三百件、約六億円から十一億円の過少支払いが出ています。しかし、今度の改正により、事後チェックの対象となるのは二万件、全体のわずか一・七%にすぎません。あとの百十四万件、九九%の被害者は政府のチェックから外れることになります。保険金の払い渋りに歯どめをかけることができなくなって、ますます被害者救済、保護が後退していくことになります。  また、国が再保険事業を行う中でこそ、事故の調査、損害の拡大防止等の措置を速やかにとることが可能であり、自動車事故の原因等の究明、事故発生防止、被害をどう少なくするかなど、政府が責任を持って国民の生命、健康を守るためにも、再保険を廃止すべきではありません。  反対理由の第二は、再保険特会の運用益を財源に重度後遺障害の被害者救済が行われてきましたが、再保険廃止に伴って被害者救済対策に限界が生じ、後退するからです。  再保険を廃止し、累積運用益約二兆円のうち二十分の九を被害者救済に充て、その運用益で措置することになりますが、なぜ二十分の九なのか、大きな疑問を持っているところです。本来、自賠責保険は被害者救済を目的としているのですから、もっと大幅に被害者対策に充当すべきであります。また、基金的に運用することになるわけですが、低金利政策のもとで財政融資資金預託金利では、いずれ枯渇せざるを得ません。  最後に、紛争処理機関を設けるとしていますが、それ自体は問題としておりません。しかし、現在、自算会に設置されている再審査会と基本的には変わるものでなく、自算会や保険会社がつくった損害調査の結果を覆すだけの調査を事故から数カ月経過して調停機関で行えるのか、私は疑問であります。  以上、反対理由を述べて、討論を終わります。

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、寺崎君から発言を求められておりますので、これを許します。寺崎昭久君。

寺崎昭久民主党・新緑風会

○寺崎昭久君 私は、ただいま可決されました自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、無所属の会、自由党及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、自賠責保険制度に関する審議会の緊密な連携を図り、審議会の意見を十分尊重し、制度の充実、運営の適正化に努めること。  二、ノーロス・ノープロフィットの原則を堅持しつつ、保険料率の見直しを適時・適切に行うこと。  三、損害保険会社等は、保険料等を全額運用することになることを踏まえ、その安全かつ効率的な運用を図るとともに、再保険廃止による事務コストの削減を契機に、徹底した各種経費の節減及び合理化に努めること。  四、保険金等の過少払いと過払いを防止するための業務の改善を図るとともに、被害者等に対する情報開示・説明等を充実させ、また、損害査定の透明性、客観性の定着に努めること。  五、自賠責保険金の支払いと各種公的保険制度による給付が競合する場合、被害者救済に最もふさわしいものが適用されるよう、各制度との分担、調整の円滑化を図ること。  六、政府保障事業の保障金の支払いについて、公平性の確保の観点から、被害者の過失相殺の緩和、実勢を加味した治療費査定及びこれらの事務の早期処理等について検討すること。  七、指定紛争処理機関については、効率的な運用を行うとともに、紛争処理業務の独立性、中立性及び公平性を確保し、所管官庁の出身者がその役員になることは厳に抑制すること。  八、運用益活用事業については、財源が自賠責保険の果実であることに留意し、事業の必要性及び実施方法を見直すとともに、その情報を公開すること。  九、自動車事故対策センターの運営について、事業の内容を見直し、ニーズの高い事業の充実、低い事業の縮減を行うとともに、組織・人員の縮減に努めること。  十、重度後遺障害者等の自動車事故被害者の急増にかんがみ、遺族の心のケアを含めた被害者の保護の充実を図るとともに、いわゆる自損事故を起こした被害者の救済についても検討すること。  十一、療護センターにおける介護病床の整備とともに、一般病院への短期入院・委託等により、介護病床の拡大に努め、重度後遺障害者の療養対策の強化を図ること。  十二、医師会等の協力のもと、診療報酬基準案を作成しその普及に努めているが、未実施の府県があることから、その早期浸透に努めること。  十三、自賠責特会から一般会計への繰入金及び自賠責特会の当該勘定において生じていたと見込まれる運用収入は、速やかに自賠責特会に繰り戻すこと。  十四、自動車事故の被害者の救済及び自動車事故の防止については、この改正法の施行後五年以内に、社会経済情勢の推移等を踏まえ、賦課金制度の導入の可能性を含め、検討を行うこと。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) ただいま寺崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) 多数と認めます。よって、寺崎君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、扇国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。扇国土交通大臣。

扇千景自由民主党・保守党国土交通大臣

○国務大臣(扇千景君) 自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただきました。  また、ただいま可決されましたこの附帯決議案につきましても、提起されました自賠責保険制度の充実につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じております。  ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に心から深く感謝を申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。  ありがとう存じました。

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) 次に、小型船舶の登録等に関する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。扇国土交通大臣。

扇千景自由民主党・保守党国土交通大臣

○国務大臣(扇千景君) ただいま議題となりました小型船舶の登録等に関する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  総トン数二十トン未満の小型船舶の保有隻数は、近年のプレジャーボートの急速な普及等に伴い、五十万隻を超えようとしており、小型船舶は、国民生活において広く重要な地位を占めるようになってきております。しかしながら、その一方では、小型船舶をめぐり、約十四万隻とも言われる放置艇や公共水面における不法投棄が大きな社会問題となっており、放置艇の適正な保管場所への誘導や不法投棄の未然防止のため、小型船舶の所有者を確知するための制度が強く求められております。また、小型船舶の売買の急速な拡大に伴い、多重売買等の売買トラブルの防止や信用販売の円滑化を促進する観点からも、小型船舶の所有権を公証する制度が求められております。  このような状況を踏まえ、小型船舶の所有権を公証する登録制度を導入することが必要であるため、この法律案を提案することとした次第でございます。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、小型船舶の所有者は、国土交通大臣の行う登録を受けなければ、当該船舶を航行の用に供してはならないこととし、登録を受けた小型船舶の所有権の得喪は、登録を受けなければ、第三者に対抗することができないこととしております。  第二に、国土交通大臣は、小型船舶の登録に関する事務を登録の際に必要となる総トン数の測度に関する事務とあわせて小型船舶検査機構に行わせることができることとしております。  その他、小型船舶が国際航海に従事する場合における国籍証明書の交付等について定めることとしております。  以上が、この法律案を提案する理由でございます。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成賜りますようお願い申し上げます。  ありがとう存じました。

今泉昭民主党・新緑風会

○委員長(今泉昭君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十九分散会

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