国土交通委員会 第7号
- 発言数
- 105 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2001/04/10
会議録
○委員長(今泉昭君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る六日、久野恒一君が委員を辞任され、その補欠として岩井國臣君が選任されました。 また、本日、筆坂秀世君が委員を辞任され、その補欠として林紀子君が選任されました。 ─────────────
○委員長(今泉昭君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(今泉昭君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に山内俊夫君を指名いたします。 ─────────────
○委員長(今泉昭君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 航空事故調査委員会設置法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に東京大学名誉教授井口雅一君、鉄道安全推進会議会長臼井和男君、航空宇宙技術振興財団理事長武田峻君及び航空安全推進連絡会議議長大野則行君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(今泉昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(今泉昭君) 航空事故調査委員会設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。 参考人の方々から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の本案審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。 本日の議事の進め方について御説明申し上げます。 まず、井口参考人、臼井参考人、武田参考人及び大野参考人の順序でお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきます。 また、参考人の御発言は御着席のままで結構でございますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おき願います。 なお、恐縮でございますが、時間が限られておりますので、なるべく簡潔に御発言くださいますようお願い申し上げます。 それでは、まず井口参考人からお願いいたします。井口参考人。
○参考人(井口雅一君) 日比谷線脱線事故の調査検討会の座長を務めます井口と申します。よろしくお願いいたします。 それでは、レジュメをお配りしてあると思いますので、それに従いましてまず初めに原因調査の経過を述べさせていただき、その次にそれを踏まえまして課題を述べさせていただきたいと思います。 日比谷線中目黒駅事故は昨年の三月八日に起こりました。その一年くらい前に、これはきょうも御出席の鉄道安全推進会議、TASKの方々の御活躍の効果が大きかったと思いますけれども、運輸技術審議会鉄道部会の中に事故分析小委員会というものがつくられました。それが、事故が起こりますと直ちに鉄道局長に属する事故調査検討会に移行するということが決められておりました。それで、三月八日に事故が起こりまして、直ちに、事故発生とともに事故調査検討会委員が八名、専門委員が三名、それに鉄道総合技術研究所のスタッフ、運輸省鉄道局の職員などでつくられた調査検討会が発足いたしました。 初動調査ですけれども、これは三月八日の九時一分に起こりましたが、昼ごろまでにほぼ全員が現地に集結いたしました。それで現地調査に当たりました。そのときにはもう警察が現場の保存をしておりましたけれども、我々も警察もそれぞれ自由にといいましょうか、お互いにごたごたするようなことが全くなく現場調査ができました。その日のうちに今後の調査計画を作成し、また、通勤電車ですのでなるたけ早く運転再開をしたいということで、運行再開のための緊急措置を決定し、即座にそれを適用いたしました。 一週間後の三月十六日に、現地で走行試験を行うということを決めました。当面の緊急措置を決定して、運輸省が事業者に指示をいたしました。二百メーター以下の急カーブに脱線防護ガードを導入するということでございます。こういう即座の対応ができました。これは行政に近いところにいたという利点ではないかと思います。 それから、事故調査の基本方針ですけれども、これは安全対策のための原因究明を目的とし、責任追及ではないということを確認いたしました。 それから、原因を客観的データに語らしめる。つまり、データは実験とコンピューターシミュレーションによって獲得します。それから、どのようなデータから結論を導いたかを報告書に明示します。すべて報告書に書いてあります。つまり、それは憶測を排するということであります。なぜそういうことをやったかというと、今後にそのときに望んでおりました常設の事故調査検討会、今ここで検討されている、御審議に係っているわけですが、その前例になると思っておりました。したがって、世界から信頼を得られる成果を出すということに傾注をいたしました。 それから、短期にまとめるということで、正式に決めたわけではありませんが、約半年で最終報告を行う、その中間三カ月で中間報告を行うということを決め、結果としては最終報告に七カ月、中間報告に三カ月かかりました。 それから、情報公開をこれ原則とします。車輪の浮き上がり画像などは積極的に適宜公開をいたしました。また、その委員会のたびに運輸省側が記者会見を行いまして、まとまったものがあれば報告をいたしました。この辺は運輸省側が随分きめの細かい対応をしたと考えております。それでも我々が望まない憶測といいましょうか情報が流れ、世の中で憶測が流れたこともありますのは、やはり情報公開が原則ですけれども、慎重な配慮が必要だという印象を受けました。 それから、対策の具体案の提案と即座の実施を決め、実行いたしました。 それから、一の四ですが、現地走行試験は、そこに書いてございます四日間、深夜、終電から始発までの時間を使って行いました。そこで車輪の浮き上がりという現象を再現することができました。これはテレビでも放映され、多くの方がごらんになったと思います。こういうことは今までにも余りやられたことはなかったのではないかと思います。 それから、事故調査に関する意見として、ぜひとも事故調査組織の常設が望ましいということも提言いたしました。 それから、中間報告と最終報告はそれぞれ六月二十七日と十月二十六日に公表いたしました。その日に記者会見を行い、私が一時間以上の時間をかけて記者の方々にできるだけわかりやすく説明したつもりでございます。ホームページへの掲載、全国の鉄軌道事業者を招集して説明するということも、運輸省の大臣、鉄道局の幹部、私も参加いたしまして丁寧に行ったと思っております。 残された課題といたしましては、浮き上がりから脱線に至るメカニズムの解明が残っておりまして、今年度やる計画となっていると理解しております。 対策は、脱線の前駆現象であります浮き上がりを防止するということを目的にちゃんと対策をとっておりますので、脱線に至るまでのことは再現しませんでしたけれども、浮き上がりを防止するということによって、より安全側の対策が行われたと考えます。 それから、衝突時、車体の乗客防護性能の研究、これはサバイバルファクターと呼ばれることもありますが、これには少々時間がかかりますのでこれからの課題として残っておりますが、壊れた車両がそのうちなくなる可能性がありますので、破損した車両の観察と分析結果は報告書に丹念に残してあります。 日比谷線脱線事故の特徴は、これは大変恵まれていたと思いますが、原因が技術要因に集中しておりまして、人間要因が少なかったということもありまして、警察ときめの細かい、何といいましょうか取り決めなどをしなくても済みました。それから、現地が東京でしたので関係者が集まりやすかったということもあります。これが地方だったら、大変苦労したと思います。それから、幸いなことに日本のこの方面の最高頭脳を結集できたと考えております。 それから、事故調査に関する課題でございますけれども、そのところに書いてございます、よく米国の例が引かれます。NTSBが事故調査を行い、FBIが犯罪捜査を行うということでございますが、向こうの考え方では、原因究明をし再発防止をするという調査と、責任追及をし処罰をするという捜査とを峻別すべきであるという考えがあります。 しかし、それが可能になっているのは、アメリカの社会的な認識といいましょうか、再発防止のための原因究明の方が処罰のための責任追及よりも利益が大きいという、そういう社会的な認識といいましょうか、感情かもしれませんが、したがって、過失は犯罪ではないという社会常識があって初めてNTSBとそれからFBIとのはっきりしたすみ分けが可能になっていると考えます。現在の日本ではこのような社会意識にまではまだ至っていないのではないかと私は考えます。 それから、調査結果は情報公開しなければ効果が半減します。しかし、個人情報、プライバシーの問題とかそれから秘匿条件、これは外に出さないからという条件で聞くことができたような情報は保護しなければいけない可能性があります。そのあたりの折り合いがこれからの課題だと思います。今回はそのような問題はありませんでした。 それから、最後に、被害者の、けがをされた方、それから亡くなられた方の御遺族の心に対する配慮、これはNTSBがそのような心のケアをするということが義務づけられているという話も聞いております。今回の検討会では、そのあたりのことが問題になったときには行政側が対応するということにいたしました。しかし、結果としては暗中模索でした。ともかくも、一刻も早く原因を究明して正しく被害者の方に御報告するということが少なくとも最初にやるべきこととして実行いたしました。 時間になりましたので、以上でございます。
○委員長(今泉昭君) ありがとうございました。 次に、臼井参考人にお願いいたします。臼井参考人。
○参考人(臼井和男君) 臼井でございます。 私は、平成三年五月十四日に起きた信楽高原鉄道事故の遺族であります。そして、鉄道安全推進会議、TASKの会長をしています臼井和男と申します。 信楽高原鉄道の事故が起こってからことしで満十年となりますが、そのとき突然に遺族の立場になったわけです。事故で娘を失ったことを知った瞬間から、すべての疑問が連続で山積みされていた、すべてが疑問であったということであります。なぜ事故が起きたのか、なぜ娘が死んだのか、だれに責任があるのか、私はどうすればいいのか。 加害者である鉄道会社に対しては、生身の娘を返してくれ、謝罪をしろと繰り返しました。が、その問いに対する答えは何も得られませんでした。信楽高原鉄道は事故の具体的原因に触れずに、済みません、申しわけありませんとただ頭を下げてそれを繰り返すばかりでした。一方の当事者であるJR西日本は、この事故は信楽高原鉄道の事故だ、責任はすべて信楽高原鉄道にあり、当社には何の関係もないと、私たち遺族には理解のできない失礼な応対に終始しました。 さらに疑問に対する答えを求めて、滋賀県警、大津地検、運輸省保安車両課に何度も何度も訪れて捜査、調査に対する進捗状況について説明を求めましたが、どこでも全くノーコメントで、手がかり一つ得られないで過ごしました。運輸省では、私よりはるかに若い担当者がロッカーとロッカーに囲まれた通路のような場所で面会しかしてくれません。家族を奪われた私たち遺族に対する余りにも冷たい態度に心のやり場のない悲しさを感じました。 ある人が、航空事故や船舶の事故には専門の調査機関があるが鉄道にはない、鉄道事故には素人同然の警察調査では大きな期待はできないと指摘したのであります。そんなことを聞きつけて、そうしたら、鉄道の分野で専門的調査を行っているアメリカはどうなっているのかという思いがしてきまして、アメリカ、ワシントンのNTSB、アメリカ国家運輸安全委員会に視察に出かけたのであります。NTSBでは、他国の遺族である我々に対して心を込めた丁重な親切な応対をしてくれ、アメリカと日本の余りの落差に衝撃を受けました。 そこで感じたことを幾つか申し上げますと、まず、遺族が本当に大切にされているということです。NTSBの調査官が強調したことは、事故について情報を一番知りたいのは遺族であるが、遺族が自分で事故の原因を調査するのは不可能なので、我々NTSBが遺族にかわって事故を徹底的に調査し、遺族にその原因を説明するのだということです。私は事故の遺族として、事故調査とは遺族を納得させるだけの質を持っていなければならないと思います。NTSBの調査官たちもそのような思いを持って日々調査に当たっているものと感じました。 アメリカの事故調査における遺族の立場はとても重要なものであります。本日、お手元に配付したアメリカの法律、一九九六年航空災害家族援助法にまでなっております。我が国の航空・鉄道事故調査委員会の今後の事故調査のあり方においてもぜひ真摯に受けとめていただきたいと思います。 NTSBで強い印象を受けた二番目の点は、サバイバルファクターについても徹底的な調査を尽くすということです。サバイバルファクターの調査とは、その事故でなぜ犠牲者が発生したのか、もっと犠牲者を少なくすることはできなかったのかという点です。徹底的に事故を分析し、その事故から将来の犠牲者の発生を防止するための教訓をくみ出すという調査です。 具体的には、列車の強度、列車の室内の設備の安全性、救急救命の日常的な訓練、事故直後の救急救命の活動の問題点など、犠牲者を一人でも減らすための要因を徹底的に調べるのです。そして、その結果を勧告にまでして各機関に是正を求めるのです。 この分野の調査も遺族にとっては非常に重要です。事故を教訓にして将来の被害を本当に少なくすることができれば、事故の犠牲はむだではないと考えることができるからです。 今回の法律では、サバイバルファクターの調査については全く触れられていませんが、今後の事故調査活動ではその分野にも十分調査を期待いたします。 次に、事故調査を進めていくと、必ずヒューマンファクターの問題が出てきます。これは、アメリカでは八〇%はそうであると言われています。現在の事故においてはヒューマンファクターの分析調査が大変重要であるとしています。このようなアメリカNTSBの視察を踏まえて、温かい人間の血の通った事故調査組織の設置をしなければならない、そしてそのような組織による、遺族としても信頼できる事故調査でなければならないとTASKが結成されたのであります。 その後、さらに我々は、ヨーロッパ各国を訪問し、ヨーロッパ各国に寄って、運輸分野の事故について、運輸省からも独立した事故調査機関による事故調査という考え方が一般的になりつつあること、事故調査機関が国際的な連絡組織であり活発に情報交換が行われていることを知りました。 そのような欧米の事故調査機関からの国際的な応援を得て、一昨年七月に東京で運輸事故調査制度に関する国際シンポジウムを開催することができました。その際は、運輸大臣やその他の国会議員、さらには旧運輸省から各部署の課長さんたちを初め多くの責任あるポストの方々に参加をいただき、我々の主張に耳を傾けていただいたことをこの場をかりて深くお礼を申し上げます。国土交通省として鉄道分野にも常設の事故調査機関の設置を決断されたことには深く感銘を受けております。遺族の一人として感謝を申し上げる次第でございます。 その上で、最後に一つだけ指摘させていただきます。このたびの法案では、事故調査委員会の委員は独立でその職権を行使するとされていますが、組織的な位置づけとしては国土交通省に置かれています。私たちとしては、国土交通省からも独立させて、内閣府に設置するべきでないかと考えています。人間はだれでも誤りを犯します。組織も同様であろうと思います。とすれば、事故調査の過程において国土交通省の活動や法規も調査の対象とすることに意味があると思います。アメリカを初め欧米諸国の事故調査機関が運輸省から次々と独立しているのも同じ趣旨であろうと思います。 お手元の参議院が作成した資料の中にITSA、国際運輸安全連合についての資料も含まれていますが、この組織は運輸省からも独立した事故調査組織の国際的な連絡組織です。我が国でも、国会の議論によって事故調査機関を国土交通省からも独立した存在にしていただき、これらの組織にも加盟し、お互いに事故情報や事故調査の経験を交流し合って、国際的にも調査の質を飛躍的に高めていただくよう期待します。 世界の事故調査機関と交流してきて感じることは、日本に対する期待の高さです。世界の最高の技術を持つ日本が、事故調査の分野でも経験を蓄積し、世界に発信することは、世界に貢献する道であります。 NTSBに紹介されアメリカで知り合った事故遺族、アーサー・ジョンソン氏は、事故後、議会に働きかけて次々と安全のための法律を実現させています。彼は、安全に終わりはありませんと言いました。参議院でも、この言葉をかみしめて安全のために英知を結集していただきたいと思います。よろしくお願いします。 ありがとうございました。
○委員長(今泉昭君) ありがとうございました。 次に、武田参考人にお願いいたします。武田参考人。
○参考人(武田峻君) 武田でございます。 座ってお話を進めたいと思います。お手元に簡単なレジュメが行っております。 私は、航空技術研究を長年やっておりまして、事故調査に関しましては、皆様御存じの、昭和六十年から七年ほど委員長をやりました。日航機一二三便事故と、それからもう一つ大きな事故では米子空港でYS11のオーバーラン事故というのがありました。これは幸いにして人身事故はありませんでしたが、そういう二つの事故調査の委員長をやりました。それで、そのときの経験からきょうのお話をしたいと思います。 一、事故調査の目的。もちろんこれは皆様御存じのことでございますが、原因の究明と、その結果得られたデータから航空安全の向上に役立てるということで、原因の究明はもちろん、科学的かつ公正な立場で事故原因を明らかにする、それから、よく問題になります責任追及にはかかわらないように注意して調査を進める、こういうやり方をしております。それで、調査結果から同種の事故の再発を防ぐための対策が導かれれば事故調査の結果が将来の航空安全に役立つということで、安全向上に役立てるということからこういう仕事をしております。 基本的には、航空は国際問題でございまして、国連にICAOという民間航空連合がございますが、そこで事故調査のやり方も国際的に取り決める。それは、ICAOのアネックス十三という冊子でございますが、日本語訳ではこういうのがあります。これはもちろん英文がもとですけれども。(資料を示す)これで非常に事故調査のやり方が国際的に認められています。 例えば、日航機事故の場合ですと、機体はボーイングが製作である、運航は日本がやりました、事故の起こったところも日本がやりました。どこが事故調査を中心にやるかというときは、事故の発生国でやる。ただし、事故の発生に関係している国々は共同して参加できる、参加するということで、日航機事故の場合はアメリカの今話が出ましたNTSB、国家運輸安全委員会が参加いたしました。日本が主導権は持ちますが、彼らは意見を述べて調査に参加することができる、そういう立場でございます。 二ですが、調査の難しさでございますが、巨大なシステムの事故であります。多くのサブシステム、例えば飛行機もそのサブシステムですし、パイロットもそうですし、航空管制をやるシステムもそうです。整備をやる会社もその一つのサブシステムになりますし、それから航空行政をやる運輸省航空局も一つのサブシステムと考えられます。多くのサブシステムに関連する事故で、事故には多くの要因、要因というのは、ふぐあい、不適切、異常状況等いっぱいありますけれども、それが引き続いて一つの連鎖をして大きな事故になったんだという考え方をとっています。私が関係した日航機事故の場合にも、修理、検査、整備点検、機体製作の規定、安全基準等にかかわる多くの要因が事故の発生にかかわったということがわかりました。 また、専門分野でいきますと、ある意味では制度の問題ですから法律の問題もあり、あるいは会社の経営の姿勢の問題があり、科学の問題はもちろんありますし、技術もありますし、もう一つは人間がその中でどう行動するかというような、行動力学というんでしょうか人間工学というんでしょうか、そういう問題もあります。非常に広い専門分野を要求します。また、先ほど申しましたように、一国にとどまらない国際事故という性質を持っています。 さて、こういうことで、事故調査を行う場合に、航空事故調査委員会は昭和四十九年から独立してもう二十何年の歴史があるわけですが、独立性の確保ということが非常に問題になっておりまして、先生方皆さん御存じのように、委員は運輸省が推薦しますけれども、国会で承認を得た委員がやっております。航空事故の場合は委員が五名おります。 それで、事故調査に関して委員会の独立性を損なうような外部からの干渉というのは、簡単なことはこれは干渉だと思えばあったかもしれませんけれども、実務上に差し支えるような干渉はありませんでした。委員会の方も干渉を受けないように行動しております。 具体的に申しますと、私は、就任したときには運輸大臣にあいさつに行きましたけれども、それからは運輸大臣とは絶対に会わないようにすると。それから、航空局の担当者のところにもこちらから伺うことは絶対しないと。ただ、事故調査に必要な場合は、航空局長以下、課長、部長、その他の人を呼び出して説明をしてもらう。そういうことで、運輸省の中にいても独立性を失うようなことは何も、注意しながら、そういうことに入るようなことを避けなければできません。歴代の委員長はそれと同じようなことをされたと思います。 それから、委員については、委員は五人おりまして、最終的には多数決でございます。それで、例えば事故調査報告書あるいは事故調査の結果として運輸大臣に勧告を行うこととか、あるいは運輸大臣あるいは運輸省、あるいは民間航空会社その他に建議で、こういうことをやったら安全が向上しますというような建議も行う権利は持っていますが、こういうものを決めるのは最終的に委員五名の多数決でございます。 それから、調査官でございますが、調査官は先ほど申しましたように非常に専門分野が、関係する分野が広いので、構造だとか操縦だとか整備、管制とか電子技術とか、大勢の人がおります。こういうような技術屋の集団でございますが、調査官は事故調査ばかりではなくて常に新しい勉強をしなきゃいけないということで、事故調査委員会では調査官十数名おりますけれども、これだけをずっと、例えば就職した人をずっと事故調査委員会の中でやっていても教育ができないということで、ある意味のローテーションとか若返りとか、それから技術の研修ということがあります。 問題は、調査官をどういうところから調達するというんですか、とってこようかということです。日本で非常に問題なのは、民間航空あるいは製造会社に非常にいい調査官としての素質を持っている人がいても、それをなかなか採用しにくいと。終身雇用制ということもありますし、それからそういう人を採用したときに、周りの方はそういう人が色がついているとか、日本は会社人間という考え方がありますので、色がついていると思われます。そうすると、何かの事故のときに、あの人はもとの会社がああだからこういうことをやるんだというような指摘を受けるとか、あらぬ指摘と言ってもいいんですけれども、そういうのを受ける可能性があります。調査官の調達ということはなかなか難しいです。現在は、調査官は大部分が運輸省の人で、一部外から来ている、防衛庁から来たり、そういう方がいらっしゃいます。 問題点ですが、航空事故調査はこの二十数年間、殊に最近の十数年間は非常に独立性を持って、かつインターナショナルな規則にのっとって諸外国とも協力しながらやってきました。その方針、従来どおりの方針、方法で今後進めることができるかという問題があります。鉄道と一緒になったときにそれが損なわれるようであれば、私は問題があると思います。 それから、先ほど申しました有能な人材の確保ということが今後必要でありますし、そのためには技術の進歩におくれないような再教育のシステムということも考えなければいけません。 それから、先ほど申しました国際問題については、諸外国が参加するということでちょっと鉄道とは違うような立場があると思います。 最後に、守秘義務と情報公開でございますが、これもICAOの事故調査の規定の中で非常に細かく規定しておりまして、情報公開は必要だけれども、将来の航空事故調査に差しさわりのあるようなことはやめなさいということが書いてあります。そういうことで、これも今後守っていきたいと思います。 時間になりましたので、私の話を終わりたいと思います。
○委員長(今泉昭君) ありがとうございました。 次に、大野参考人にお願いいたします。大野参考人。
○参考人(大野則行君) 航空安全推進連絡会議の大野でございます。 本日は、当委員会の審議に当たり、私どもの意見を述べる機会を与えてくださいましたことを厚く御礼申し上げます。 私ども航空安全推進連絡会議は、管制官、気象予報官、それからパイロット、航空機関士、客室乗務員、運航管理者、整備士など、航空の現場で働く労働者二万二千名を組織する六十二組合の団体でございます。昭和四十一年の例の羽田沖の全日空機事故、それからカナディアンパシフィックの羽田空港での事故、それから翌日起きました富士山頂付近でのBOAC機墜落事故、そのような連続した悲惨な事故が発生いたしまして、その重大さを目の当たりにした航空労働者が集まってつくった組織でございます。ことしで三十五年目になります。活動の目的は事故の絶滅を図ることでございます。そのために各方面にいろいろな提言や要請その他を行っております。 今般、一月三十一日に発生いたしました日航機同士のニアミス事故については、一瞬の差で六百七十七名の命が海に散ったところを何とか生還したというものでございます。改めて日本の空の不安全さを国民が思い知ったということですが、私たちは、このような事故が二度と起こらないようにするために、ぜひとも科学的で公正な事故調査によって原因を究明し、再発の防止を一刻も早く確立する必要があると考えております。まさにこれは国民の安全の問題でございます。そのために、現在この事故の調査に当たっている事故調査委員会の活動に注目をし、期待しておるところでございます。ただ、過去の航空事故における調査報告書を拝見いたしますと、必ずしも満足のいくものとなっていないというのが現場で働く者からの率直な意見でございます。 数多い例の中から申し上げれば、例えば武田先生が委員長時代に起こりました一九八五年八月十二日に発生した日航機一二三便の御巣鷹山での墜落事故でございます。五百二十名という命が失われた事故ですが、この報告書に書いてある推定原因の金属疲労による隔壁の破壊については、労働者としては大いに疑問を持っております。隔壁が破壊されれば一瞬のうちに機内は低酸素、低気圧状態となりますけれども、運航乗務員の音声記録や生存者の証言などからそのような状態になったとは考えにくい。事故調査委員会の実施した低酸素実験についても、被験者の話と報告書に記載された内容とは大きなずれがある。こういうことで、航空安全会議としては低酸素症実験を公開で行うよう今でも要請を行っております。 また、その報告書の中にあります運航乗務員の音声記録装置の解読についても大きな誤りがあるのではないかと疑いを持っております。例えば、オールエンジンと言っていると報告書には記載されておりますが、これはどうもボディーギアと言っているのではないかと。オールエンジンでは全体の事故推定原因とのかかわりがつじつまが合わなくなってまいりますが、ボディーギアというふうに読み取れば、それは一定の推定原因と関連がつけられるというふうに考えております。この部分は事故の原因に直接かかわるところであり重要なところでございますけれども、当時の調査に当たられた方々の中にこのボーイング747型機の運航の経験を有しておられる方がいなかったという致命的な欠陥が指摘されております。 この一二三便、御巣鷹山の事故は、当時、事故調査委員会も全精力をつぎ込んで増員もされ予算も大幅につけられた中で、メンバーの方々も人並みならぬ御苦労があったと伺っておりますが、なぜかその最終報告書はその苦労に報いるものになっていないと言わざるを得ないものでございます。十五年前には解明できなかったことも現在の技術では解明できるかもしれない。そういう意味で、今すぐにでもこの再調査をするべきであるというふうに私どもは主張しております。 航空事故調査は再発の防止を目的とする観点から行われるものであります。決して過去の出来事の記述に終わってはならない。この一二三便事故も、同型機が現在も飛んでおります。もし原因に機体構造上の問題があるのなら、今すぐ飛行をとめて点検しなければならない。航空事故調査は現在の問題であり、国民を事故から守る非常に重要な国家的責務であるというふうに考えております。この責務を果たすためにも、事故調査委員会の機能を見直すべきであると考えます。 お手元に配付させていただきました航空安全会議製作の資料に基づいて御説明いたしますが、「一、事故調査委員会の機関としての機能を充実させる具体的方策の検討を求める。」ということで、(1)から(5)まで書いてございます。 専門委員または専門委員に準ずる者として、航空の実情または事故調査に精通した者を加えるよう取り計らっていただく。(2)、予算を一層充実していただきたい。(3)、意見聴取会を原則として開催することに改めていただく、及び公述人を広く採用するよう取り扱っていただきたい。(4)、再調査の手続を法令に明記していただきたい、及び再調査実施の要件については事故調査委員会の裁量にゆだねられる部分を極力客観的な要件となるように変更していただきたい。(5)、事故調査技術マニュアルを作成して、事故調設置法の下位規定として位置づけていただきたい。 こういうことを考えますと、事故調査機能の充実を図るためには各政府機関から独立が保障される必要があるだろうと考える次第でございます。 そして最後に、事故調査と警察による犯罪捜査とのかかわりについて触れないわけにはまいりません。 航空事故が起こると、事故調査権と犯罪捜査権が競合いたします。この二つの権力の競合を事前に調整するために、事故調査委員会設立の前の昭和四十七年二月、当時の警察庁長官と運輸省事務次官とで覚書が交わされております。この内容は、調査権が競合するものについては警察の犯罪捜査を事故調査よりも明確に優先するというふうにされております。また、警察は押収した物件のうち、事故航空機のコックピットボイスレコーダーもしくはフライトレコーダー等早期の解析を必要とするものについては、押収後できる限り速やかに事故調査委員会に対して鑑定嘱託の手続をとるものとするというふうに明記されております。 しかしながら、先ほどもお話に出ました国際民間航空条約の第十三附属書によれば、そうは書いてございません。事故調査委員会が入手したすべての口述やボイスレコーダー、フライトレコーダーの内容は、その後の懲戒、民事、行政及び刑事上の処分に不適切に利用される可能性がある。もしこのような情報が流布されると、調査官に包み隠さず明らかにされるということがなくなるかもしれない。このような情報を入手できなくなると、調査の過程に支障を来し、航空の安全に著しく影響を及ぼすことになると書いてございます。 これは、加盟国の主権である司法政策に介入することができないものの、ICAOとしてはこの条約において事故調査を処罰に優先させることを求めているものでございます。 航空法第一条は、この法律は国際民間航空条約に準拠して定めると書いてございます。現行の事故調査委員会設置法第十五条第一項には、「委員会は、国際民間航空条約の規定並びに同条約の附属書として採択された標準、方式及び手続に準拠して、航空事故調査を行なうものとする。」と書いてございます。 国会で審議されて成立して施行されている法律の内容を、行政官同士の覚書がその内容を逆転させるということはあってはならないのだと私どもは考えております。事故調査委員会の中の方々についても、その点で大分御苦労なさっているとも漏れ伺っております。今回の事故調査委員会設置法改正に伴い、この警察庁との覚書も当然見直されるべきであると考えております。犯罪捜査が事故原因究明の技術調査の障害とならないことを明確にした新たな覚書の締結を私どもは望んでおります。 以上、御清聴ありがとうございました。
○委員長(今泉昭君) ありがとうございました。 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。 それでは、これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○野沢太三君 自民党の野沢太三でございます。 参考人の皆様には、お忙しいところ御出席くださり、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。 私どもに与えられております時間はおのおの十五分ずつでございますので、簡潔に要点をお答えいただければ幸いでございます。 まず最初に、井口参考人にお尋ねいたしますが、過日の地下鉄日比谷線脱線事故の原因究明とその対策につきまして、多大な御指導と御尽力をいただきましたことに、まことに感謝にたえない次第でございまして、改めて御礼を申し上げる次第でございます。 そして、先生には、この報告書を取りまとめられる中で、平成十二年の七月に事故調査検討会の意見として、専門技術的立場から事故調査を実施することのできる常設、専門の調査体制を整備し、再発防止策を構築することを御指摘になっておられますが、今回、この航空事故調査委員会を改組して鉄道事故調査を加える改正を行うわけでございますが、先生の意図されました目的は本法案並びにこれの附属資料等について達成されると考えてよろしいかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
○参考人(井口雅一君) 一〇〇%かどうかわかりませんけれども、意図しておりましたことがほとんど達成されると考えております。
○野沢太三君 先生は最終報告書の中で、今までの脱線事故にはなかった現象、私どもも現場の事故調査に赴きまして、軌道も車両もおよそ保守基準の中におさまっているにもかかわらず、あるいは走行速度についても同様な制限の中で、かつ脱線が起こったと。しかも、三十五年間以上にわたって走行している中で、途中の八両目の前軸という極めて異例なところで脱線が起こったということについて大変疑問を持ったわけでございますが、今回の事故がさまざまな要因の競合であるということを御指摘いただきまして、これについての保守基準、すなわち車でいえば軸重のアンバランスを正すこと、あるいはレールの削正方法、さらには車輪のフランジ角度をもう少し深くしたらどうか、あるいは軌道の狂い、平面性といった面の管理をしていない会社もありますので、この辺もしっかりしたらどうかと、御提言を具体的にいただいております。 もう一つ、推定脱線係数比ということで新しい手法を御提案されていらっしゃいますが、私ども現場を今までやってきた立場としては、ややこれは難し過ぎるんじゃないかと。多少これ抽象的で、現場を管理する技術者にもう少しわかりやすい物差し、考え方、基準をお示しいただければやりやすいかなと、こう思うんですが、御感想いかがでしょうか。
○参考人(井口雅一君) あの方式を提案する過程でもそういう議論はいたしました。しかし、鉄道の安全を守るプロであればあの程度のことはやってほしいという意見が大宗を占めました。同時に、最近はコンピューターが使いやすくなっておりまして、あの計算式はフロッピーに入っておりまして、インプット、どういうデータを入れるかというインストラクションもございます。そのとおりやれば結論は一応出てくるという、その取り扱いのしやすさも考えてあれを提案いたしました。 あれが完全かというと、まだ一〇〇%完全とは思っておりません。つまり、車両によってはちょっとあれになじまないものもあるという意見もその後聞いております。特にJRの人からそういう意見がありまして、それはJRでもってデータを出してもらって、それでまたそれを修正するという方向で改良することになっていると思います。 以上です。
○野沢太三君 今回の、この調査委員会の体制がそういった問題を引き続き研究していただくようなテーマを持って取り組んでいただけるとありがたいと私も思っておるわけでございます。 続きまして、臼井参考人にお伺いしたいと思います。 先ほどもお伺いしましたが、臼井参考人におかれましては、九一年五月の信楽線事故におかれまして娘さんを亡くされたということでございまして、そのお苦しみを乗り越えられまして鉄道事故再発防止の運動を起こされまして今日まで活動を続けておられると伺っておりますが、私も事故発生後、当運輸委員会から派遣をされまして現場に赴いた一人といたしまして、心からお悔やみを申し上げ、あわせて鉄道の安全対策についての御活動に心から敬意を表する次第でございます。 そこで、今、臼井参考人が会長を務めておられます鉄道安全推進会議、TASKの目的の一つに公平な専門機関の設置を求めておられるわけでございますが、これは米国のNTSBのような組織を想定されているものと思われますけれども、そのお立場から今回の改正をどのように評価されておるか。先ほども独立性について、国土交通省の中でなくて内閣府に置いたらどうかと、こういった御指摘もいただいているわけでございますけれども、例えば議会直属であるとかそういったあり方も考えられる。いろいろ、イギリスの例ではこれは別途安全健康省に置くと、こんなケースもございますけれども、この面での本法案の評価についてお伺いしたいと思います。
○参考人(臼井和男君) 今おっしゃったことについて、私たちは事故当初、このTASKを、アメリカへ行く前と言ったらいいですか、そのころには飛行機と船には調査機関があるということで、我々鉄道の遺族としては、それにないのは本当におかしい、同じ納税者でありながら我々は調査されないのかというようなところから始まったんですが、アメリカを回りヨーロッパを回りしていきますと、ヨーロッパの流れも大体はアメリカの流れをくんでおるわけですが、結局独立した中立公平な調査機関ということが今、世界的な流れであります。 そこで、我々はこの改正法案の提出ですか、これでも本当に喜んでおるわけですが、ただ世界を勉強してきてちょっと日本を眺めたら、ここまでやっとたどり着いたけれども、するっと世界は前へ進んでいるということを感じます。 それは、本当にさっきも言いましたように、調査は遺族のためにするものだということが根本に流れているわけです。そして、その結果、再発防止にそれをつなげるというあれです。そういうことで、今現在ではそういうことで、当初はこれで満足だったんですが、今となっては少し不満があるというところでございます。
○野沢太三君 イギリスでも分割・民営という改革をやる前に、やはり事故防止に関する中央組織としてHMRIですか、これをつくられたと、こういったことを伺っておるわけでありますが、日本においても、その意味でいえば国鉄の分割・民営時点にこれができていてもしかるべきであったと私も思っておりますが、遅くなりましたけれども、いかにしてこれを活用するかが今後の課題であると思っております。引き続きの御活躍をお祈りする次第であります。 続きまして、武田参考人にお伺いしたいと思いますが、武田参考人におかれましては、長年航空事故調査のお仕事に携わって調査委員会の委員長もお務めいただいたわけでございますけれども、今回の改正の中で、重大インシデントということで兆候の取り扱いを法的に定めたというのは、これは大きな前進だと私は思うわけでございます。これに関して、御経験の中からどのようにこれを考えられるか。 そしてまた、先ほど大野参考人からも御指摘がございましたけれども、航空事故調査委員会設置当時、四十七年の二月と承っておりますが、警察庁長官と運輸事務次官の取り交わされた覚書を拝見したわけでございますが、どうもこの内容は、参考人も御指摘のように刑事責任追及の方に重点があって、事故の原因究明と再発防止という点が二の次になっているんじゃないかというイメージを私も受けるんですが、御意見がございましたらお願いしたいと思います。
○参考人(武田峻君) 初めの重大インシデントの件ですが、先ほどもちょっとお話ししましたように、一つの大きな事故が起こると大体それの三十倍ぐらいの重大インシデントが既にあるということで、事故を起こす前に航空輸送システムのふぐあいをそのインシデントでよく検討して、事故が起こる前に安全対策をとるというのは大変結構なことだと思います。 ICAOの昔の規定は、重大インシデントということは指摘していましたけれども、それを完全に調査するということにはなっていなかったのが、最近ICAOもそういうことになりまして、日本もそれに応じてやるということで、これは大変結構なことだと思います。 実は私は、こういう法改正の前に、運輸省の中の重大インシデントの検討会がありまして、そこのメンバーをやっておりまして、二、三年前から重大インシデントが起こるとすぐ招集されて、安全上どういう問題がある、将来の安全対策として何をやったらいいかということのお手伝いをしてまいりました。 それから二番目ですが、警察との関係でございますが、日本は警察は刑法というんですか、そういうことで動きますし、事故調査委員会は、運輸省の中の省令ですけれども事故調査委員会法で動いています。それで、これがお互いにそれぞれの目的がありますので、何らかの取り決めをしないと、どちらが優先ということではなくて、取り決めをしないとスムーズにいかないということであります。そういうような協定が結ばれたのも知っておりますし、それが随分前からですが、一番初め、協定を結ばれた当時は、現場の調査官、我々からいくと調査官と警察官の間で優先順位でトラブルがありましたけれども、最近は両方とも、警察庁の方も我々の方もお互いの立場を侵さないで協力するということで、そう大きなふぐあいは出ておりません。 それからもう一つは、事故調査で調べたデータが犯罪捜査というか責任追及に使われるかという問題ですが、これにつきましては事故調査委員会としては絶対に外へ出さないということで、事故調査委員会が一般に国民に公表されたデータは、これは公表されておりますから警察の方がどう使おうと我々の関知することではございませんけれども、我々が事故調査に使うデータは外へ出さないと。我々の決心としては、警察がそういうことを要求しても断る、どうしても出したいなら裁判所で決着をつけましょうと、そういう考え方で、裁判まで持ち込まれたことは一度もございません。 お答えになっているかどうかわかりませんが、そういうことでございます。
○野沢太三君 ありがとうございました。 最後に大野参考人にお伺いしたいんですが、今回やはり同様にこのインシデントが取り上げられるということは、これは私非常に評価をしているわけでございますが、十四項目にわたって一応事柄が指定されております。しかし、参考人が主宰しておられます航空安全推進連絡会議、この提言は毎年膨大な内容の御提言をなさっておられまして、今手元に私は二〇〇〇年の分をいただいてありますが、百七十二ページにわたる詳細な法律、施設あるいは職場環境にわたる御提案がここに載っているわけです。これがどの程度毎年改善され、更新され、解決されているか、この点についてちょっとお伺いしたいと思いますが、よろしくお願いします。
○参考人(大野則行君) 最初に御指摘の重大インシデントの内容が今回、事故調査委員会設置法の中に盛り込まれるということについては、私どもも大変評価いたしております。 それと、二番目の御質問の、私どもが毎年行っております旧運輸省、それから旧厚生省に対する要請についての御質問でございますが、残念ながら大きな改善がないままに毎年問題が膨らんでいくということでページ数がふえていくという御認識をいただければ幸いでございます。 ただ、中には私どもの主張が取り入れられて改善された部分もございます。例えば、重大インシデントとして認定されました去年の羽田空港の誤進入については、その表示方法、滑走路、これは使ってはいけないという滑走路の表示方法が、一応法律にのっとった形で航空局の方はしておったわけでございますが、しかしパイロット側から見にくいという御指摘をいたしましたところ、それが改善されたということもございますので、徐々にではございますが改善されている内容もございます。 以上でございます。
○野沢太三君 以上で終わります。
○山下八洲夫君 民主党・新緑風会の山下八洲夫です。 きょうは参考人の先生の皆さん方、本当にありがとうございます。 まず最初に、大野参考人にお尋ねさせていただきたいと思いますが、先ほどの御説明にもあったわけでございますが、事故調査能力を高めるために専門員または専門員に準ずる者として航空の実情または事故調査に精通した人をぜひ入れていただきたいということだと思うんです。そこにパイロット以下、航空機関士とかいろいろと報告があったわけでございますが、航空事故の特性といいますと、あってはならないわけでございますが、事故の発生率は比較的ほかの交通から比べれば低いんですけれども、一たん事故が起きますと大変な事故になってしまいますし、またそういう意味から考えますと特に安全性は高めなくてはいけないというふうに思っております。 そういう中で、先ほど日航の一二三便のことが触れられました。あるいは私も専門家じゃないからわからないんですが、航空機内の気圧の変化の問題とか、あるいはボイスレコーダーの聞き取り方の問題とか、そういうものについて調査委員会とかなり食い違ったように私は伺ったわけでございますが、確かに、私はそういうものでいいますと自動車ぐらいしか運転できませんのでよくわからないんですが、例えば自動車を運転するのに、本当に運転しかできない人、あるいは一定の整備までできて運転できる人、そういう方で同じ車の危険性ということもかなり認識が変わってくるんだろうなと。この車はブレーキがちょっと甘いぞとか、早目にわかれば安全性は高まるわけでございますから。 そういう意味から申しまして、今日まで、これから未来は別にしまして、過去にはそういう専門的な方がやはりどうしてもいなかったと、簡単に申しますと、そのように判断なさっていらっしゃるんでしょうか。そして、もしそういう専門的な例えばパイロットさんのような方が、あるいは整備士さんのような方が入っていらっしゃればもっと深く解明が早くできたというふうに御理解なさっていらっしゃるんでしょうか。
○参考人(大野則行君) お答えいたします。 私どもの主張は、航空事故調査に当たって大型機並びにそういう航空運送事業の用に供するような航空機の専門性の知識を持っている人間をぜひとも参加させていただきたいという要請でございます。 事故調査委員会の中の調査官並びに委員の方々の御見識なり御意識というのは非常に高いというふうに私たちも認識しておりますが、残念ながら大型機の運航は非常に高い専門性を有しております。一たん事故が起きましたときに、例えば客室乗務員が乗客を避難誘導する際にどういう不手際があったのか、どういう必要が生じるのかということについては、やはり現場で働く客室乗務員の声を聞く必要があるだろうというふうに考えております。 例えば、一九八八年に起きました米子空港の事故におきましては、これは離陸に際して雪氷滑走路の上を、離陸するときに機長が操縦桿が動かないということでそのまま離陸を中断したために滑走路をはみ出してオーバーランしたという事故でございますが、この事故の調査に当たっては私どもは雪氷滑走路の性能それから航空機の氷結の問題を取り上げました。そして、日本乗員組合連絡会議、日乗連のメンバーがアラスカに飛びまして、アラスカでYS11同型機をチャーターしてそこで実験を行い、その実験のデータを持って帰りました。当時、隣におられます武田委員長の高い御見識の結果、そのようなデータが事故調査の中に非常に高く評価されて盛り込まれたことは私どもとしてもうれしい限りでございます。 そういうことを、今後も事故調査の中でぜひともやっていただきたいという主張でございます。
○山下八洲夫君 恐れ入りますが、武田参考人にちょっとお伺いさせていただきたいと思います。 今のお話にも少し出たわけでございますが、先ほどの意見陳述の中でも有能な人材の確保というような御報告もございました。有能というのはいろんな有能があるわけでございますが、私もやっぱり事故調査というのはある意味では現場の皆さん、そういう方も入っていた方がいいような気もするわけでございます。デスクワークで大変有能であるのと現場で有能であるのとまた若干違いがございますから、そういう方はまた参考人としてお呼びしていろいろとお聞きすることができるではないかといえばそういうこともできるわけでございますが、特にこれから航空機というのはますます発着便も世界的にふえていくと思うんですね。あってはならないわけでございますが、事故というのはますますこれからふえても、一つ間違うと減少しないんではないかというような状況が生まれてくるのではないかという気もいたしております。 そういう狭い空の中で、しかも大型化する、一たん事故が起きれば大変な大きな悲惨な事故になってくるということになるわけですから、それがあってはならないわけでございますが、早目早目にやはりこの問題というのは先手を打って取り組まなくてはいけないというふうに思います。 そういう中で、今までの経験上から、そういう現場の専門知識を持たれた方をメンバーに入れるというようなことはお考えになったことはございませんでしょうか。
○参考人(武田峻君) お答えいたします。 実際の事故調査をやるときに、我々は調査官というのを抱えているわけです。調査官は運輸省の現場にいた人、あるいは防衛庁から来ております。そういう人は一応は抱えております。ただ、先ほど隣の方がおっしゃったように、パイロット、大型機のパイロットは抱えていないということで、実際調査をやるときにそういう方の協力は不可欠なわけです。 例として日航機事故を取り上げますと、そのときに日航のパイロットを使うわけにはちょっといかないだろうというのが私どもの判断で、そのときに専門委員として、これは私のおりました航空技術研究所の飛行力学、運動力学の専門家、これは小型機の免状を持っておる、そういう人を専門委員として使い、さて実際のあの飛行を解明しようというときにシミュレーターが要るよと。シミュレーターは各社持っておられますけれども、これはちゃんとした飛行機のためのシミュレーターで、事故機をシミュレーションできませんので、では事故調査委員会はお金を出して日本の中のある会社のシミュレーターを借り上げて、その中に事故機の尾翼がなくなった状態を模擬するようなソフトウエアを入れて、そこで実際のジャンボのパイロットの方に操縦していただくということで、これは日航とは無関係でありますが、ほかの会社の人、それからアメリカのNTSBの人、そういう方で、パイロットの実際のジャンボをやった経験を織り込んで、ああこの飛行機はこういうことになったんだというような調査をいたしました。 それから、またちょっと違います、米子事故の場合ですけれども、これはオーバーランした事故でございますが、この場合も、私どもは現場のパイロットの意見を聞いたわけでございます。あの報告書に書いてありますけれども、事故にはならなかったけれども、YS11が、雪が降っている状態で、あるいは着氷状態で、着氷しやすい状態で飛び上がった。かじが重くてなかなか上がらなかった。一生懸命引っ張ったけれども上がらなくて、やっと雲の上へ抜けたら、太陽が差したらかじが軽く動き出した。そういうような前例が十七ほどありました。 これは皆さん現場のパイロットから我々が情報を収集したということで、現場の技術者のというか、現場の、そういう従事している方の御意見は非常に重要で、かつ事故調査をする上で必要不可欠だと思っております。そういうことでよろしいでしょうか。
○山下八洲夫君 日本も航空機はかなり歴史が古くなりましたので、多分、大型機に何万時間もお乗りになったパイロットのOBもいらっしゃると思いますので、ぜひ、例えば調査官ですか、あるいは専門官ですか、そういうのをまた前向きに検討いただければなおいいのではないかなというふうに思いますので、要望だけさせていただきたいと思います。 それから、臼井参考人にお尋ねをさせていただきたいと思います。 それこそ、信楽鉄道事故で大変な被害に遭われまして心が痛むわけでございます。私も当時たしか、地方行政委員会か交通安全委員会かちょっと忘れましたが、早速委員会で視察に行きました。先ほど私も臼井参考人のお話を伺いながら、そういえば当時JR西日本は大変横柄な対応をしたなと、私も現場へ行きましてちょっと立腹したようなことを思い出したものですから、遺族の皆さんあるいは被害者の皆さんはなお大変なお怒りだったと思います。私もそれは何となく推察をするわけでございます。 今回、鉄道についても調査委員会がこうやってできたことは、私は一歩前進だろうなと思っております。それから、鉄道だけでなくて、もう一つは、船については海難審判があるんですが、そうではなくて自動車につきましても、最近見ておりますと、高速道路で五十台、七十台ともう大変なまとまった大きな事故があるわけでございますね。そうしますと、やはりアメリカと同じようにNTSB、このようなシステムにするのが私は自動車を含めましていいんではないかなと思ったりしているんですが、その辺についてどのようにお考えかお尋ねいたしたいということが一つです。 それからもう一つは、一九九六年ですか、航空災害家族援助法というのがアメリカではできて、そして特に遺族の皆さん方の心のケアを中心として一生懸命やっていらっしゃると。これについては私は大変重要なことだと思うんです。昨今の地下鉄日比谷線の事故のあれでも、一回忌のときに遺族の方がまだ大変御立腹なさって、その現場ではなくて隣の駅からあのようにお参りをなさっているということを見れば、なおそういうことも重要だなというふうに感ずるんですが、遺族の立場からその辺のことをちょっとお聞かせいただければと思います。
○参考人(臼井和男君) 私は、先ほど本文というのか、初めの意見で申しましたように、家族支援法が外国ではできていまして、アメリカにはハイウエーもパイプラインとか、そういうものも含んで事故調査委員会がNTSBの中にはあります。 ちょっと質問と変わるかわかりませんが、インシデントの収集ですけれども、インシデントを収集して再発防止をするということはなかなか、これも刑事法との境でもって、こういうことをしたらというようなことを報告したら自分は後ろ手にくくられるんじゃないかというようなことで、なかなかインシデントは集まらないというようなことも日本では起こり得るということを僕らは考えています。 そして、先ほど文章の中でもちょっと話させてもらいましたけれども、オランダのITSA、国際運輸安全連合ですけれども、ここなんかが活動しているのは、自分の国内だけのインシデントを集めただけではとてもすばらしい事故調査、防止をすることはできないということで、世界じゅうのインシデントを一国に集めて、そして自分のところの国の安全を守っていくというような考え方で、オランダの女王陛下の弟さんですけれども、ITSAの会長をされているんですけれども、そういう考え方まで世界はもう進んでいっている。もうそれが今、アメリカ、カナダ、オランダ、スウェーデン、デンマーク、そういうふうにどんどん世界は独立調査機関ができて、そしてなおかつ自分らの国だけじゃなしに、よその情報を集めて安全を進めていくというふうなところまで進んでいます。 そういうようなことで、僕はほかの方のことはあれですが、ハイウエーとか自動車の事故ですね、僕もこんなことをやっていますから少し市民活動のところへ首を突っ込んだりしていますけれども、皆さん一遍そういうところへ行ってみてください。すごいですよ。僕らは一年一年風化していきます。何ぼ頑張ってやっても風化します。しかし、彼女らの集会へ行ったら、きのう家族を失った人、一週間前、一月前、三カ月前の、遺族が集まった会議に行ったら、我々はどうして話していいのか、どういう言葉を投げかけていいのか、もう本当に迷います。そういうすごい悲しみの中で運動されておる方がいっぱいおられますので、ぜひとも自動車のこと、それからハイウエーのこと、やはり人間の安全についてはぜひとも、皆さんの関係か関係がないか知りませんが、一考を、政治でなかったらこれはなかなか解決できぬと思いますので、ぜひとも考えてもらいたいと思いますし、私たちは今度の法案を上程していただいて本当に感謝しています。ありがとうございます。
○山下八洲夫君 時間がなくなりましたので、大変恐縮です、井口参考人に一言だけお尋ねさせていただきたいと思います。 重大インシデント、こういうところは前進しているわけですが、特に鉄道事故なんかで小さなインシデント、それの積み上げが一つは重大インシデントにつながっていくということに当然なろうかと思うんです。そういう中で、三菱のリコール隠しではございませんが、小さなインシデントだったら報告しなくてもいいんだということで、それがいつの間にか重大インシデントになったというようなことになると大変危険なわけでございますし、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。
○参考人(井口雅一君) 先生のおっしゃるとおりで、何を重大と評価するか、そこが問題だと思います。それで、私のレジュメの一番下の方にインシデントのリスク予測法、これをもうちょっと学問的にも研究してはっきりさせてほしいと思います。 以上です。
○山下八洲夫君 どうもありがとうございました。
○森本晃司君 最初に、井口参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。 日比谷線の脱線事故でいろいろと調査に当たっていただきまして御苦労も多かったことかと思いますが、三カ月で中間報告をされて、半年でおまとめになった、ある意味でスピードが、早い段階で結果をまとめていただいたと思うんですが、先生、いろいろとこういった調査に当たられるときに、例えば鉄道会社の障壁とかあるいは役所の障壁とか、調査に当たられて、いろいろとどういう壁があったのか、あるいはそういうものはなくて調査委員会独自で進めることができたのか、それから一番御苦労された点はどんなことであったのかということを、まずお伺いしたいと思います。
○参考人(井口雅一君) どういう壁があったかという御質問ですが、一つは鉄道局に所属していたという利点でしょうか、その辺のことは役所が適切に処理してくれたのではないかと思いますが、非常に壁があって情報が得られないということはなかったと思います。大変幸いでございました。 それから、苦労という点ですけれども、日比谷線脱線事故は複合脱線という言葉で呼ばせていただきました。いろんな要因が絡んでいるわけです。ただ、絡んでいるだけじゃ結論になりませんので、その要因の影響度の大きさの順序、何が一番大きくて、その次は何か、それを決めました。そこが一番苦労した点ですけれども、これは技術者のプロとして当然やるべきことで、外に向かって苦労しましたと言えることではないような気がします。 私は、座長として一番気を使いましたのは、先ほどもちょっと申したと思いますが、被害者の方々に失礼がないようにといいましょうか、被害者の方々の心を逆なでするような情報が世の中に出ていくことを大変恐れました。それで、情報を報告するときには非常に注意をいたしましたけれども、それでも多少そういう面がございました。その辺、これからどうしたらいいのか、まだはっきりと結論は出ておりません。 それからもう一つは、全員がパートタイムでした。本職は別に持ちながらこの仕事をしたわけです。ということで、皆さん、これも一つの奉仕だということで一生懸命やってくれましたけれども、その点、今度、常勤でしかもちゃんと給与が払われるという形になりますので、大変喜んでおります。 以上でございます。
○森本晃司君 公明党の森本でございます。失礼いたしました。 これは、引き続いて井口さんにお尋ね申し上げたいのと同時に武田先生にもお尋ね申し上げたいんですが、先ほど臼井さんのお話の中で、外国では遺族に対する納得性を調査委員会が全力を挙げてやっているということでございました。我が国の方でもそういう形でやっていただいていると思いますが、一つは、臼井さんのそういった御意見に対して両先生はどのようにお考えなのか。 それから、ともすれば情報の一部をマスコミが先行して流してしまうことがありまして、時には調査の妨げになったり、あるいは時には御遺族を逆なでするような、これは一部マスコミの中でもあるわけでございますけれども、そういったことについての御苦労、御判断はいかがされておられたか、お二人の調査委員会の先生方の御意見をお伺いしたいと思います。まず、井口先生からお願いいたします。
○参考人(井口雅一君) 情報提供に関しましては、委員会のたびに、これはほとんどが運輸省の担当でしたけれども記者会見を行いまして、まとまった情報は公開する、提供することにいたしましたけれども、その段階、つまりかなり我々として自信を持って出せるような情報までまとまった段階で出すということ。それから、それの表現法です、言い方です。これには相当注意を払ってそれを行ったということでございます。お答えになっておりますでしょうか。
○参考人(武田峻君) 遺族への対応ということですが、私の場合は日航機事故で五百二十名の方が亡くなったわけです。それで、私は事故のちょっと後から委員長、前の委員長が御病気でかわるということで、八月十二日じゃなくて十月から委員長をやりました。 それで、遺族の方と何回お目にかかったかわかりません。もちろん、あれだけの大勢の遺族ですから幾つかのグループでお会いしました。遺族の方の中には、技術的にもすごく詳しい方、構造の方だとか科学分野の方がいらっしゃいますので、そういう方とは面会を求められれば会うということにしました。一番初めは事務局が対応していたわけですけれども、技術的な事故調査というような問題ですので、それはこちらへ回してくれ、私は幾らでもお会いしますよということで、何回お会いしたかわかりません。それから、例えば遺族の方の中で大学の学長、工学系の学長をやっている方もいらっしゃれば、科学にすごく詳しい方もいらっしゃるので、そういう方とは議論を始めますと、そういう方の事故に対する見解をお伺いすると二時間でも三時間でも議論するということで、遺族の方との対応としては、我々は事故調査のためにお話ししていけないことがあります、外へ漏らしてはいけないことはお話ししませんけれども、公表した資料の範囲での御説明と、それから技術的な御意見というのは承るということでやりました。 ただ、事故調査そのものとしては、遺族は事故に関係されましたけれども、事故の被害者であって、事故の発生には直接関与されていませんので、遺族の方からいろいろな情報を積極的にとるということは行いませんでした。もちろん、日航機事故の場合は四名の方が生き残られたわけですけれども、こういう方は実際の飛行状態をある程度御存じの人ですね、御意見ということで伺うことはありました。 ということで、事故調査委員会としては、遺族の方が御意見があれば幾らでも伺うし、それからお話ししていいことについては御説明をすると。既に発表したものや技術的な資料はこれはどういう意味なんだと聞かれれば、それはこういう意味で、こういうものがありますよ、これは事実ですから公表いたしますと、そういう接触をしましたので、事故調の対応として、先ほどちょっとほかの方が話されましたけれども、どこかの裏で、そういう何というか運輸省の片隅でそういう方と対応をするということでなくて、どうぞ委員会の席に入ってくださいということでお座りいただいて対応したつもりでございます。 遺族の方が、私どういう印象を持っていらっしゃるかはわかりませんが、私の方としてはそういう対応をしたつもりでおります。
○森本晃司君 臼井参考人にお尋ねしたいと思います。 お嬢さんの悲しみを乗り越えていろいろと今後のために今も御尽力をいただいておりますことをまず心から感謝申し上げる次第でございます。 今回の法案について、今日までいろいろと御尽力をいただいた、その結果としての今度のこういう法案づくりにもなっているんではないかと思っておりますが、評価についてはどのようにお考えでございましょうか。 また、特にこの点についてさらに要望をしていきたいという点がございましたら、お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(臼井和男君) お答えします。 この法案が提出されたということで、今まで鉄道には調査委員会がなかったと、済みません、これが提案されたということで、感無量というか、本当に四十二名の死がむだにならぬでよかったなと、今の本当の感想です。
○森本晃司君 ありがとうございました。 今のお気持ちを私たちも大事にさせていただいて、法案がただ単につくられたものだけではなしに、実りあるものにさらに我々もしていきたい、お気持ちを拝しまして、我々もまたしっかりとやってまいりたいと思っております。これからもいろいろと御意見、御尽力をよろしくお願いいたします。 大野参考人にお尋ねをさせていただきます。 今回の航空機事故ニアミス、もし間違っておれば大変なことになっておったわけでございますけれども、お伺いすると、調査委員会が入る前にまず警察が動いていって、そこで機長さんがいろいろと事情を聞かれたということを伺いました。その辺はNTSBとFBIの関係とちょっと日本の調査のあり方というものと異なってくるんではないだろうかというふうに私も思っております。事故の再発防止のために調査委員会があるわけでございますが、その調査委員会が動く前に、機長さんがその任務を十分にまた同時に果たせなかったんではないだろうかというお話も聞いておりますが、その辺についての御意見をお伺いしたいと思います。
○参考人(大野則行君) 森本先生の御指摘のとおりでございまして、今回のニアミス事故の事故機が羽田空港に戻りました後の警察当局の対応は、私たちは非常に大きな問題があるというふうに考えております。 問題のポイントは二つございまして、一つは航空法に定められております航空法第七十四条及び第七十五条の機長の責務が果たせられない。例えば、けがをされている乗客の方々の搬出の責任は機長が持っておりますが、それらの機長の責務を果たす前に警察の方々の事情聴取に入ったということについては、これは大きな問題があるだろうというふうに考えております。 それからもう一点は、事故調査との関係でございます。そこで何が起こったのか、もし緊急に改善が必要な場合、例えば航空機の操縦系統に問題があったのか、あるいはその他の点で何か問題がある場合には、事故調査委員会がそこへ入っていって機長から事情を聴取し、即刻改善すべき内容がそこにあるかもしれない。そういうことでいえば、警察が入っていって長々と航空知識の確認から始まるということについてはやはり大きな問題があるだろうと。 その二点について、今回のニアミス事故の警察の初動態勢については私どもは意見を持っております。 以上でございます。
○森本晃司君 同様のことを、武田先生のお考え方はいかがでございますか。それから、独立性の問題について、先生は保つことができたという御感想でございますが、さらにその上で独立性についてはどのように考えておられるのか。お願いします。
○参考人(武田峻君) 今のニアミスのことについては、私は全然データも持っておりませんので、その席に警察がどう入ったのか、それから事故調査委員会にいつ報告があって調査官がいつ行ったか、現場に到着したかと、そういうことがわかりませんので、ちょっと何の御意見も申し上げられる資料がございません。残念ながらありません。 それから、独立性のことですけれども、我々事故調査委員会はどこかの、国の、政府の機関のどこかに属さなきゃいけない。どこに行ってもいろいろな問題がある。運輸省は必ずしもいいとは申しませんけれども、どこに行ってもいろいろな問題が出ると思いますが、幸いにして航空事故調査委員会は、業務に関しては大臣の指示を受けないということがはっきりしておりますし、それで通してこれたので、今後もそういう意味で、事故調査に関してはだれの指示も受けなくて独立に行動できるような組織の中の一つのシステムでありたいと思うわけでございます。 お答えになっているかどうかわかりませんが、失礼します。
○森本晃司君 終わります。
○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。 きょうは参考人の皆さん、本当に貴重な御意見ありがとうございました。 まず、大野参考人にお伺いしたいと思います。 ちょうど今お話がありました事故調と警察の関係についてなんですけれども、事故調は事故原因の究明を行って再発防止の対策を立てるという役割を持っていると思います。ところが、警察の犯罪捜査が優先されて、事故調の調査目的を阻害することがある、また起こってきたということについての御指摘があったと思います。 それでは、これについてどのような解決の方法があるのか。その点、第一点、お伺いしたい。それからもう一つ、ちょうど今話になりましたニアミス事件に関係してのことなんですけれども、この件でも警察のそうした捜査、問題があったということの御指摘がありました。大野参考人は機長として仕事をされていると伺っておりますけれども、機長の責務と今度の警察の対応についての問題点、それから警察と事故調の覚書、細目を新たに結ぶことを提起されておられるわけですけれども、これらはかなり、今のものは古い時期に結ばれているようですが、現在の航空機の進歩あるいはハイテク機等の状況の変化があると思いますけれども、その点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
○参考人(大野則行君) 最初に、警察の犯罪捜査と事故調査委員会の事故調査とのかかわり合いについてどのような提言があるかということでございますが、私どもは具体的にはアメリカのNTSBが行っている方法が最善かというふうに考えております。 その内容はどういう内容かといいますと、現場保存及び交通整理、例えばけが人の搬出であるとか、現場保存の、関係者以外を立ち入らせないというようなことについては警察が行うことが必要であるというふうに考えております。しかし、例えば事故現場に散らばっている一つの、かけら一つあるいは傷一つについても、事故調査においては非常に重要な参考となるものでございますので、それは専門的な知識を持った事故調査委員、事故調査官がそこに立ち入って調査するべきである、そういうふうに明確に役割を分担するものが今回新たにつくられるべきであるというふうに考えております。 二番目のニアミス事故の機長の責務でございますが、機長は航空機が到着して乗客が完全に降機するまで、飛行機から降りるまで、危難の場合の措置の責務を負っております。また、航空法第七十六条の報告の義務を負っております。また、その航空機の整備状況について、整備士に引き渡す際にその航空日誌にサインをしてその状況を伝達する義務を負っております。そのような各種の義務をすべて行う前に警察官が操縦室に立ち入って事情聴取を始めた、これは任意であるというふうに聞いておりますが、しかし、機長の責務を果たす上で非常に障害になったということをまた新たに御指摘させていただきたいと思います。 以上でございます。
○緒方靖夫君 武田参考人にお伺いいたします。 先ほどおっしゃられましたけれども、事故調査に当たっては、パイロットとか整備士とかスチュワーデスなども含むと思いますけれども、専門家の力をかりて行うということ、このことはやはり大事だろうと、そういうことを指摘されたと思います。 確かにこれだけ大型機、ハイテク機が次々と出て、その飛行便も飛躍的にふえている、そういうときだけに、もっと幅広く各専門分野の方々からどんどん意見を聞いて、時には調査の協力も得ていくということ、これが事故調査を進める上でも非常に大事になっているかなと、そんなことを思う次第です。あらゆる力をくみ尽くす、その点で今後の課題、そういう点から今後の事故調査の課題という点についての御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(武田峻君) 今おっしゃられたことは、そのとおりだと思います。ただ、日本ではなかなか幾つかの難しさがあるわけです。 一番初めに考えることは、よい専門家の話を聞こうと思っても、国民全体がやはりその人は組織のどこかに属している人だと、組織に属していない専門家なんというのはいないわけですから、組織に属した人であって、我々はその人、専門家としての個人の意見を聞くわけですけれども、なかなかそれは個人と考えていただけないということがあります。それが一つ。 それからもう一つは、我々は、そういう方が事故調査委員会の常勤のメンバーといいますか、調査官になっていただきたいと思うんですけれども、やはり国家公務員とそうでないというところの違いがありまして、簡単に人の出入りができないという、これも、何ですか日本流の考え方なんでしょうか、そういうことで、なかなかとりにくいということで、我々の場合は、専門家としては国立の研究機関とか大学の教授、助教授の方をお願いすることが一番多くて、日航機事故の場合は、そういう意味の専門委員を十五名ですか、十六名ですか、お願いしまして、するとこれは、みんなそこで給料をもらっていて、ただ働きなんですけれども、事故調の専門委員としてアメリカに二回か三回行っていただきましたし、それで、NTSBと議論をするというときもそういう専門家に入っていただくということで、そういうことを自由に我々の要望に沿ってやっていただけるのは、国立の機関とか大学という、だれが見てもこれは公正で独立した仕事をする方だと、そう認めていただける方だけに限られると。そこが一番つらいところだと思います。 アメリカの場合ですと、あるときにNTSBのメンバーだと思っていたら、その次に会ったときには会社のメンバーで、そうしたらまたNTSBへ戻っているとかFAAに移っているとか、もう同じ方が私がいる間にも三カ所ぐらい航空の中で移り歩いているわけですけれども、どうもちょっと社会が違うというのを一番感じました。
○緒方靖夫君 次に、臼井、井口両参考人にお伺いしたいと思います。 今度の法改正で鉄道事故も調査委員会の対象となることになります。まだ取り組むべき課題、いろいろあるわけですけれども、私はこの点非常に大事だなということを痛感しております。その点で、臼井さんを初め多くの方々がこうした方向に持っていく上で運動されてきたことの重要な成果かなということを痛感している次第です。それからまた、日比谷線地下鉄脱線事故の調査委員長として原因究明に当たられました井口参考人においては、またその点大変御尽力があったということを改めて痛感する次第です。 臼井さんは、先ほど事故の被害者、遺族に対するケアについて述べられました。本当に同感だと思います。日本の事故調査委員会では被害者の遺族の意見聴取すら対象となっていないのが現状です。その点についてのあり方を含めて臼井参考人の御意見をお伺いいたしたいと思います。それからまた、あわせて井口参考人にもその点についてのお考えをお伺いしたいと思います。 それから、ちょっと時間がないのであわせてお伺いしますけれども、両参考人に、調査委員会の独立性についてどうお考えか、これからどうあるべきかについてお伺いしたいと思います。
○参考人(臼井和男君) 私は、先ほどから申しましたように、独立性については絶対に、世界の流れとして、世界の流れと一口で言いますけれども、これは世界の人々が試行錯誤していろんな失敗を重ねながらここへたどり着いておると思うんですね。だから、日本は日本流だといって勝手にすっと水に流すようなことなく、世界のよいところはやっぱり取り入れて、ぜひともそういう自分自身が反省できるような、だから国土交通省なら国土交通省のやっていること自身を批判してくれ、訂正してくれというような前向きの姿勢で取り組んでいってもらうような組織にしてもらいたいというのが私の考えであります。
○参考人(井口雅一君) 遺族の方々への対応ですけれども、半年ぐらいの間、これは万一私の子供が例えば被害者になったりすれば、多分私も半年ぐらいは冷静でいられないんじゃないかと思うんです。その期間の対応とそれからその後の対応とは違うのではないかという気がします。 日比谷線の場合には、七カ月で終わりまして、その後のことについては十分なことをやっていない可能性があります。本当はその後から心のケア、NTSBの役割の一つに心のケアという役割があるのだということを聞いているんですけれども、それをやらなければいけなかったような気がいたします。私自身も、一仕事終わってしまってちょっと別の方向に、宇宙の方に移ってしまったものですから、少しその辺十分でなかったかもしれません。
○緒方靖夫君 ありがとうございます。 もう一つ、井口参考人には独立性についてのお考えをお伺いしたいと思います。それから、最後になります、もう時間がありませんので。大野参考人にもお伺いしたいと思いますけれども、鉄道と航空機でそれぞれ独立性ということについてお伺いしたいわけですけれども、とりわけ私、日本での調査委員会の調査の独立性、この点でいうとやはりかなり制約があるように思えます。その点で、世界との比較でこれがどうなっているのかということについて井口、大野両参考人にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○参考人(井口雅一君) 独立の方がいいという面もあると思います。ただ、現実の問題として、鉄道事故では初動捜査、航空でも同じだと思いますけれども、最初に専門家が駆けつけていって何がポイントかというものをちゃんと目をつける、そうでないと、鉄道だと復旧せざるを得ませんから、数日のうちに全部取り払われてしまうわけですね。そういう意味では初動調査が非常に大事です。 そういう専門家がいるという状態は、今は例えば国土交通省だと思います。そういう人たちをうまく使いながら、もし将来独立にするんだったら、そこの人、相当の時間と人、教育をしなければいけません。そういうことを努力していかなければいけないんではないかという気がします。 したがって、結論としては、現状からの漸進主義というんでしょうか、改良主義が一番よろしいんではないかという気がいたします。
○参考人(大野則行君) 独立性についてお答えいたします。 日本の事故調査委員会の独立、中で働いている方がどういうふうに感じていらっしゃるかはわかりませんが、私どもの考えとしては、そこから出てきた一つの事故の事故調査報告書を読むと、なかなか完全に独立が確保されているというふうには考えられないというふうに考えております。 それからもう一点、世界との比較を考えますと、アメリカのNTSBは御存じのとおりでございます。ヨーロッパについては、一九九四年、ECの民間航空事故とインシデントの調査を統括する基本原理設立に関する理事会指令というのが出ておりまして、これによって、調査当局または調査機関というのはあらゆる部門に対して独立していなければならないというふうに明記されております。したがいまして、ドイツなども、その点を踏まえて法整備をして独立を確保しているというふうに私どもの内部調査では判明しております。 以上でございます。
○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。 参考人の方々、本日は大変御苦労さまでございます。 まず、井口参考人にお伺いいたしますが、鉄道事故調査検討委員会の座長を務められて、今回の日比谷線脱線事故の事故原因の解明のために大変御努力願ったことに感謝を申し上げます。 そのときに、初動調査の問題を含めて、情報をかなり的確にその都度報告され、結果として私は、非常に利用者に安全と安心というものを気持ちの上で与えたのではないか、こういうふうに思っておりまして、大変うれしく思っておるところです。 同時に、NTSBの今回のアメリカ原潜の衝突事故の情報公開を見ますと、まだまだ我が国、少し努力しなきゃならないのかなと、こういう思いがするところでございますけれども、やはり私は、事故調の情報公開というのはそこを利用する多くの利用者の安全と安心に多大な影響を与えると思うんですが、その点、今回どういう印象をお持ちなのでございましょうか。
○参考人(井口雅一君) 今回の日比谷線脱線事故につきましては、人間の因子が余り大きくなかったという意味でそういう警察との関係がスムーズにいったといいましょうか、お互いに独立に調査できたという、多少調査しやすかった環境があったと思います。 それで、もう少しそうでない状況のもとではどうなっていただろうかと想像いたしますと、いろいろな問題が出てくると思います。その点、NTSBとFBIとの関係というのは非常にすっきりしていると思います。そのもとは何かといいますと、過失は犯罪でないということが社会的に認められているわけです。したがって、過失であってもこれは事故調査、NTSBが担当します。犯罪のときになって初めてFBIです。ところが、日本の場合には過失はたしか刑事訴訟法で、これは犯罪なんだろうと思いますけれども、そうしますとその辺の線引きがはっきりしていない状況があります。 したがって、そのあたりの国民意識とか法的な整備が進めば、アメリカのようなすっきりした関係になると思うんですけれども、現状はそうではありませんので、やはり今の状態からいろんな実績を重ねながら、また国民の意識もそちらの方に、何といいましょうか誘導するというか、その点ではこのお隣のTASKの今までの活動は大変私は高く評価しています。そういうものが実ってからアメリカのような形になるのがよろしいのではないかという感じがいたします。
○渕上貞雄君 我が国では、まだまだそういう国民意識の啓蒙というんでしょうか、そういうものは大変大事なことだと思いますが、したがって、事故現場だけでなく事故原因について、その背景というものをやはり調査をしなくてはならないと思うんですが、その点のお考えはいかがでございましょうか。
○参考人(井口雅一君) おっしゃるとおりだと思います。その点だと、今回も背後のマネジメントがどうだったか。結論としまして、報告書に出しているのは直接な技術的な原因だけです。その裏に何段階にも原因があるわけで、そうすると、だんだんマネジメントの問題まで変わってきます。そうすると、事によると警察とのコンフリクトが出てくると思います。その辺は、今回はそこまでいきませんでした。そのあたりのことは同時に法的な行政的な課題でもありますので、技術的な、私がすべて考えられることではなく、先生方もお考えくださいますと大変ありがたいと思います。
○渕上貞雄君 ありがとうございました。 では次に、臼井参考人にお伺いいたしますけれども、臼井参考人は、先ほどの報告の中でもございましたように、遺族の立場から事故調査機関の設立を目指してさまざまな運動をされてきました。今回は、また鉄道事故調査委員会の設置をこの国会の場で審議しているその場に参加をして、どのような印象をお持ちでございましょうか。
○参考人(臼井和男君) 私は、事故から先ほど言いましたように十年目、TASKをつくってから八年目でございます。 TASKをつくったときには、何とか鉄道にだけ調査機関がないのでつくってほしいという思いから、どんなことがあっても四十二名の死をむだにしてはならぬ、賠償金をもらったり裁判に勝つことだけでは納得できないという思いからこの会をつくり、そしてアメリカにも赴き、それでその結果をいろいろ話というのか遺族の愚痴というのか、そんなものを各議員の方、各政党の方、運輸省の方、みんな本当に耳を傾けて八年間聞き続けてくださいました。そして、一昨年、国際シンポジウムをここの弁護士会館でやって、世界のもう最高レベルの調査官あるいはこういうことを提案しておられる方々のお話を、ともに勉強することができました。 そして、今日、こういう法案が提出されて、衆議院を通り、参議院で審議されるということ、本当に感無量で、先ほども、本当に私も年をとると泣けてしようがないんですけれども。そんなことであれですが、まことにうれしいことですが、ただ世界を眺めてみると、まだまだ先ほどからおっしゃっているようにNTSBが最高なものではないと僕は思います。 今では日本はこの程度かと思いますが、またこれが日がたつと進んでいき、またすばらしい組織になると思います。仏つくって魂入れずじゃなしに、何とか魂を入れなければならないと。これから私は、命終わるまではその仕事をするんだろうなというふうに自分で思っていますが、頑張ってやっていきます。 皆さん、本当にこの調査機関というものは、遺族のためでもあり、再発防止、次の方がいかに死から、十名亡くなるところを五名にし三名にし一人にする。しかし、一番最後に、先ほど申しましたように、事故は絶対に終わらない、事故は必ず起きるという精神のもとに、終わりはないんだということで、諸先生方の御協力を願って、調査も大事ですけれども、どんな調査をしてもどんな規則をつくっても必ず事故は起こります。我々が、娘が殺されたというとちょっと言葉は悪いですけれども、そういう鉄道会社には、絶対事故は起こりません、当社では起こりませんと言うような会社もあります。日本で名立たる会社であってもそういう見識におられますが、世界を回って、そんなことをおっしゃる人々には一人も出会いませんでした。 そういうことで、本当に最後の最後まで、我々は欠陥を持った人間であると、ヒューマンファクターです。だから、一生懸命我々は安全に向かって前進したいと思うし、それの一ページがきょう開かれておるんだというふうに私はうれしく思いました。 ありがとうございます。
○渕上貞雄君 被害者でなければわからないお気持ちだと思いますが、先ほどの報告の中で、調査は家族のためにするものだと、非常に感銘深い言葉をいただき、今はまた、事故はなくならない、なくならないけれどもどう少なくしていくかと。我が国土交通省のこの委員会も事故撲滅のために努力をしてまいりたいし、今後ともどうかひとつ臼井参考人、我々に対して貴重な御意見をいただきますようにお願いを申し上げておきたいと思います。 次に、武田参考人にお伺いいたしますが、やはりこの種問題で一番大事なことは、国民が期待しているというのは機関の独立性の問題だと思います。 先ほど、外国とかの比較で、国民性の違いなどお話しをいただきました。実はそのこともよくわかる気がするわけです。ですから、そのことはもう少し国民が努力をして考えなければならないことだということもわかりましたけれども、やはり事故調に対する信頼性をどう高めていくのかということ、同時に、そのことと独立性との関係、ここらあたりで何が阻害しているか。国民の意識、感情というのはわかりましたが、ほかに何かそういう信頼性、独立性を高めていくための障壁になるようなことは何か、お考えでございましょうか。何かあるか、またお教えいただければと思います。
○参考人(武田峻君) お答えにはなかなかならないと思うんですが、いずれにしても、どこかの機関に属さなきゃ、事故調は政府の機関に属さなきゃいけないので、どこに属したときに国民が納得し、あるいは大勢の方が納得するかということで、それは一番納得される格好がいいと思います。 それで、先ほどヨーロッパとかアメリカのお話が出ましたけれども、NTSBも私の考えではある問題を抱えています。 たしかレーガン政権になったときに、委員は、あそこはもう二つの党の間で変わりますと委員は全部交代なんです。レーガン政権になったときに、あそこの委員は全部、カリフォルニア族というんでしょうか、カリフォルニア航空産業ですか、そこの方がなりましたと。もっとも、そこの方がなっても、やはりアメリカは個人というのがありますから、大統領の言うことを聞いて事故調査をやっているわけではありませんけれども、そういう意味の委員の交代というのは政権の交代と一緒に変わっていくという問題があります。 それから、ヨーロッパの場合ですが、これは私の推測ですから申しわけありませんけれども、EUはフランスを中心として、民間航空におけるボーイングというか、アメリカ社会に挑戦しているわけでございます、エアバスということで。それですので、私が、エアバスが日本で事故を起こしました、そういうデータを見ていますと、国を挙げてエアバスを応援するわけです。それで、エアバスの方がボーイングよりいいんだという、これはこれの方がシステムが進んでいるからいいんだと。いいところもある、悪いところもあると思いますが、いろんな意味では、エアバスは世界の方々へ飛行機を提供していますけれども、殊に低開発国ではエアバスをちゃんと運航できるような運航会社の教育がなされていないというような幾つかの問題があるわけです。ですから、どこの政府のやり方がいいかというのはなかなかちょっと一言では言えないと思います。 今、運輸省に属しているのが私はいいとは思っていませんけれども、その中でどういうふうなやり方がいいかというときに、やはり独立性というものについては非常に関心がありますし、それで今後とも、私の心配というよりこれは杞憂かもしれませんけれども、鉄道と航空はちょっと立場が違うと。航空の場合は国際的な取り決めの中でやります、鉄道の場合は国の、日本の中の取り決めでやりますと。それで、二つの委員会が一緒になったときに、それをお互いの業務を変にかかわらせないでやっていかなきゃいけないなというところで、今後はそれは運輸省にできるとすれば運輸当局と、それからその事故調査に関係する人の、殊に委員の考え方と、それからそれを国民がどういうふうに支援するかということにかかわると思っております。どうも長くなりました。
○渕上貞雄君 最後になりますけれども、大野参考人の方にお伺いしたいと思うんですが、今、羽田空港に行って書店を眺めますと、墜落事故にかかわる書物がたくさん出ています。それに、いろんな御意見があることも本の中から読めば、それが事実とすればそのとおりであろうというふうに思います。 そこで、一つの事故についていろんな疑問や、同時に報告書に対する問題点というようなものもございますし、先ほどはそれらに加えて技術の問題もある、技術の進歩の問題もあるというふうに言われました。そこから、事故調の報告書に対して再度、再調査すべきではないかという御意見があったようにお伺いしたわけですが、なぜ再調査を考えられるのか、なぜ再調査が必要なのか。もちろん、それは国民の安全のためだということではあろうと基本的には思いますが、その点、再調査の必要性についてどうお考えになっておるのかをお聞きして、私の質問を終わります。
○参考人(大野則行君) 再調査の必要性についてお答えいたします。 現在、事故調査委員会設置法及びその下部規定であります運営規則の中に再調査に対する規則はございません。先ほどから紹介されております国際民間条約機構の第十三附属書に、新たな証拠が見つかったときには再調査を行うというふうに書いてございますが、政府答弁ではそれで満足しているんだというふうに考えております。しかしながら、この四半世紀の事故調査委員会の事故調査の中で再調査が行われたということは、私の記憶ではないというふうに覚えております。 新たな証拠が見つかった場合に、もしくは事故証言、事故関係者の証言と事故調査報告書の内容が食い違っている場合に、これはもう一度再調査をしなければ真の原因が追求できないのではないか、真の原因が追求できない限りにおいては再発防止策というのは間違った再発防止策になるのではないかということで、私どもは強く再調査の制度そのものを整備されるように要請いたしておるところでございます。 以上でございます。
○渕上貞雄君 ありがとうございました。
○田名部匡省君 無所属の会の田名部匡省と申します。きょうは大変御苦労さまでした。 私は、事故が起きたときにいろんなこういう問題が出てくるんですけれども、所管する委員会としては航空、船舶、鉄道、自動車、全部あるわけです。そのうち航空、船舶は外国との交流がある、鉄道と自動車は国内だけですね。法律をつくるときにこれは一体どういうふうにやるのがいいのかなと実は疑問に思っているんです。自動車事故に至ってはもう大変な死者でしょう、一万人以上。事故の件数からいくと、これが一番大変な問題なんですね。これをどういうふうにつくるのが一番いいのか、みんなばらばらにつくるのがいいのか、まとめてやろうとすると難しい問題があるなと、こう実は思っております。 この辺についてお考えがあれば、それぞれ簡単で結構ですから、井口参考人からずっとお答えいただきたいと思います。
○参考人(井口雅一君) 私は、非常勤ですけれども、日本自動車研究所というのがつくば市にございまして、そこの所長も兼ねております。 自動車につきましては、現在、交通事故総合分析センターというのが警察、昔の運輸省、建設省、今は国土交通省ですけれども、共管でできております。そこがもう既にミクロ調査とマクロ調査、ミクロ調査といいますのは、事故が起こりますと車両、それから心理とか医学とかそれぞれの専門家がチームになって、すぐに現場に駆けつけて調査します。それから、マクロ調査というのは統計分析です。 それからもう一つは、運輸省が、今度国土交通省の自動車交通局が監督します事業者が事故を起こしたときに調査に当たると。これは全国組織を持っていますから、そういうこと、今現状はそうです。まず、そこをもうちょっと充実させてほしいと思います。先ほど言いました現場調査のミクロというのはつくばの周辺でやっているだけです。年間三百件ぐらいです。それを全国にして、もうちょっとたくさんのデータをとってほしいと思います。 それからもう一つは、先生もおっしゃいましたように、自動車事故というのは百万件あるわけです。それを全部はそれはとても無理です。どこで重大事故とそうでないものを選ぶかということも問題です。それから、現場調査が、現場保存が数時間しか許されないんです、すぐに開通させませんと渋滞が起こりますので。そういう非常に難しさがあります。 それからもう一つは、ドライバーは職業運転手だけじゃなくて我々みたいなプライベートな運転手も多いものですから、そういう人たちからいろんな話を聞くというのは、現場調査に当たっている人に聞きますと、これは外には出さないから教えてくれということでようやく教えてもらうことが少なくありません。プライバシーの問題もあります。そういうことで、情報公開の問題がありますので、基本的にはほかの事故調査と同じなんですが、技術的にそういう細かいことの違いがあります。 その辺もありますので、現在の組織をもうちょっと充実することから始めて、将来一緒にする方向で考えていくのが現実的ではないかと考えます。
○田名部匡省君 皆さん全員にお伺いしたいと思ったんですが、これだともう時間がなくなるなと思って、次に移らせていただきます。 独立をした機関ということで、私もそう思います。きのうも会計検査院を国会の方に置いたらどうかと。向こうに、政府の方に置いておくとどうしても甘い、手心が。しかも、天下って特殊法人に会計検査院の人も行っているわけですから、そこへ行って検査院が検査してきちっといくわけがないと私は思っているんです。ですから、もうこれは独立をして、一切だれにもいろんなことを言われないで、その判断によってやっぱりきちっと出すべきだと。 それから、今そのためには、今回の航空ニアミスでも事故でもそうですけれども、警察と、先ほど来質問ありますように、警察も行くんですね。こっちは現場保存して、どれだけの過失責任問えるか、事件にできるかということでやろうとしているものですから、どうしても航空、皆さんの委員会の方とは若干視点が違うんだろうと思うんですね。そのことを考えると、警察も事故調査委員会も事前に私はマニュアルというものをぴしっとつくっておかなきゃいかぬ、こういうことについてはもうこうですよということ。そして、この調査体制というものを強化するという事前の何かがないと、何か手柄を先に立てなきゃいかぬみたいなことをやっているとみんな迷惑する。 それから、臼井参考人の話を聞いて、私も本当に思いました。したがって、えひめ丸の事故のときも、どうしてもっとケアをする体制がとれぬのかなと。いつでも事故が起きると混乱ですよね、質問されて、遺族の人たちに。ですから、そういうことはもうきちっと体制の中で決めて、そういうことができる人、私は必要だと、こう思っております。 私は、今ではその面影はありませんが、昔アイスホッケーのオリンピック選手と監督をやりました。大野参考人のお話を伺って、カナダのUBC、ブリティッシュコロンビア大学の監督さんはスポーツ医科学と心理学をやって名監督になった。ところが、選手が監督になるのも多いですね。ですから、多様に参加して、どっちがいいというのはわからぬと思う。やっぱり現場を踏んでいって、能力のある人はそこでうんと活躍すればいいし、例えば家を建てる場合に社長が行ったって、大工さんが行ってくれなきゃ何が何だかという具体的なことはわからぬですよね。ですから、そういう経験した人たちもやっぱりその中に私は入ってもいい、そういうものはあるんです。 だから、過去に臼井さんのようにそういう経験した方もその中におって、こういうときにはこの遺族のケアはどうすればいいかというのを一番わかっておられると思うんですね。そういう考えで私はこうして皆さんのお話を伺って思っていました。 臼井参考人と大野参考人、それぞれお話をいただきたい、私の考え方について。
○参考人(臼井和男君) 遺族のケアの問題、本当に私こんな仕事をしかけてから、言っては悪いですけれども、日比谷の事故も犠牲者遺族の方からどんどん電話がかかってきます。また、けがをした人からもかかってきます。どうしていいか、もうみんなうろうろになっておるんですね。自動車事故は皆御存じのように警察へ行けば相談にも乗ってくれます。しかし、鉄道の事故に対して遺族になった人はどこにも相談する窓口がないんです。 私、亡くなられたところには全部私たちの運動の資料をもちろん無料で提供し、お花を届け、香典を届け、それでいろいろしていますが、遺族というのはなかなか難しい代物でありまして、私は自分もそう思っています、皆さんは立派な方ですからそんなことはないと思うけれども。遺族というのは原因調査、原因調査と言うけれども、原因調査しても何の得にもならぬわけですね。だけれども、何でか知らぬが知りたいんです。何で原因なんて知りたいんだとおっしゃるかもしれませんけれども、遺族になると原因、原因と本当に必死に、もう血眼になって探すわけです。それは、普通の人から見たら恐らく何を気違いみたいにやっておるのかなというような段階ですけれども、遺族はそういうことです。そういう人間に対してどういうケアをせにゃいかぬか。 例えば、先ほどからも出ているように、御巣鷹山の飛行機事故の方がおられました。だんなさんを亡くした人が一週間御主人を捜し求めた、遺体を捜し求められた。八月十二日です。もう腐ってしまって、ハエが卵を産みつけて、もうウジがぐじゃぐじゃしておる中を捜し求めて、そのにおいが一週間ふろへ入って洗っても消えなかったと。そういう中からこれはお父ちゃんじゃないか、これがお父ちゃんじゃないかと思って、骨をなぶり、肉をなぶり、皮を引き下げてやった。だけれども、自分は一週間後にはもう気違いの状態だと。それで、その方はどういうふうになったのか知らぬけれども、アメリカへ渡られてケアの勉強をされて、今度の阪神の大震災のときに相当活躍をされたように聞いています。御巣鷹山へ一緒に上がってそんな話を聞きましたけれども、本当にケアというのは、私もなかなかできるような器じゃないんですが、調査官がケアをするということもなかなか難しいとは思うんですけれども、本当にこれは国民挙げて、傷を受けた人間の心理というのは、私なんかもう風化してしまってもう忘れてしまっておるような状態ですけれども、本当に自動車の方なんか、先ほどもちょっと言ったかもしれませんが、一週間前、一月前、三年前という事故の深さとか、亡くなった人の立場によって心理が全然違うんですね。 だから、ぜひともこれは、私たちの力ではとてもとてもですが、政府のそういう機関でもって何とかこれはやっていかなきゃならぬ時代が来ているというふうに思います。
○参考人(大野則行君) 私は、御質問の中で警察との関与についてお答えしたいと思います。 議員の御指摘のとおり、マニュアルの必要性については私たちも非常に同感でございます。 なぜ警察が入ると悪いのかということについては、事故調査の妨げになるのかということについては、犯罪捜査の進行中に被疑者になり得る者、例えば運航会社、もしくは監督官庁、そういう者は刑事責任を追及されそうな発言をしないようにする、これは理解できるところだと思います。 例えば、過去にも同じような事故の事例があったけれども、対策が不十分だったとか会社の運航管理を改善する必要があったといったような再発防止に役立つ情報は当然警察の情報として採用される可能性がありますので、そういうものを出さないようにする。もしくは、改善対策を実施することで事故当時の管理の手落ちがあったというふうに認められることを怖がってなかなか改善をしようとしない。そういうことはやはり警察が犯罪捜査を優先するということの大きな弊害になるだろうというふうに考えております。 あと、遺族に対する情報の公開ということについては、私たちは深い議論をしておりませんが、国際民間条約機構の第十三附属書の情報の開示、これは守っていただく、しかし遺族等関係者に対する情報の開示ではなく公開については、ある一定の基準をもって行うべきであるというふうな意見を持っております。 以上でございます。
○田名部匡省君 最後に、武田参考人にお伺いしたいんですが、今も大野参考人の話があったんですが、警察が来てやるといろいろとまた難しい問題が起きると思うんですね。ですから、そこの経験のあるそういう人を警察から今の調査委員会に入れて、その経験を生かして、航空会社の事故調査委員会の妨げにならぬように、あるいは警察の後からの保存のためにも支障のないようにという、そのわかった人がいてくれる方が私はベターじゃないかなと、こう思うんですね、縄張り争いをするんでなくて。その考えには、どう思いますか。
○参考人(武田峻君) 先生のおっしゃるとおりだと思います。 事故調査委員会の調査官は、ローテーションはしておりますけれども、十年、十五年いる人はいるわけです。それで、そういうのが大体小さな事故でもチーフになって何人かと一緒に行くわけですけれども、彼らは、事故調査委員会は警察とこういう線を引いてやっておりますということで、例えば初めて事故を起こした県に行きますと、向こうは県警の本部長か何か知りませんけれども、出てきて、ともかく犯罪調査というか責任調査をわっとやるわけです。 我々は、今までいろんなところで事故をやってきて、それで警察とちゃんと境界を引きながらお互いに干渉せずということで、それから証拠物件については、証拠というか、事故の解析に必要な物件についてはすぐ事故調に渡してください、CVRとかDFDRはそのまま渡してくださいと。警察で一応は保管されてもすぐ渡してください、解析はこっちの方でしますよということで、そういうなれた人がチーフに行かないと警察とがたごとがたごといたします。 これは初めて航空事故を起こした県警では無理からぬことだと思いますが、そういう意味では、方々で事故は起こっておりますから、航空事故についてどう対応するということは、警察側も事故調とどこに線を引いてやるということは最近は随分理解されていると思いますので、行って少しの話はしなきゃいけないけれども、実際的なトラブルは起こらないと思います。 ただ、この間の、先ほども大野さんが申されたように、事故調が到達する前に警察が入ってパイロットを拘束するというようなことは、パイロットは飛行機の、飛んでまだお客さんがいる間はそれは機長としての責任者ですから、それを邪魔されるというか、責任が果たせなくなるような事態というのは好ましくないと思いますが、でも、それは警察の方でもうちょっと飛行機というものの、機長の責任ということをよく考えていただいて行動していただくよりほかしようがないと思います。事故調とは直接関係のないことでしたが。
○田名部匡省君 終わります。
○戸田邦司君 自由党の戸田でございます。 先生方、お忙しいところ大変ありがとうございます。 幾つかの質問がありますが、まず第一にお伺いしたいことですが、今回、航空事故に加えて鉄道事故についても原因究明をする、そういう組織になるわけですが、委員の皆さんもそうでしょうし、それから調査員の方々もそうかもしれませんが、鉄道系の方とそれから航空系の方と分かれるだろうと思うんですが、そこの連携といいますか、それが今まで以上にプラスになる面があるんですというのか、そうでないのか。双方の系統のところに事務局がついているという認識なのか、その辺について、まず井口参考人と武田参考人からお伺いしたいと思います。
○参考人(井口雅一君) 技術的に違いはかなりあると思います。それにつきましては、今回提案されております法律ではそれぞれ九人でしたでしょうか、委員が、それぞれの専門の人を選べるようになっていると認識しております。 そういう違いもありますけれども、ここで議論になっておりますように、被害者の心のケアだとか、警察との対応だとか、情報公開だとか、非常に共通する部分があるわけですから、その辺はお互いに情報交換してよりよいものにできますので、一緒にやっている効果が大きいと思います。
○参考人(武田峻君) いずれにしろ新しい委員会がうまく運営すればよろしいんですが、心配をしていることは、先ほど申しましたように、事故調査報告書、あるいはそれに伴っての勧告とか建議というのは、今までは航空にかかわる五人の委員の最終的には多数決で議決してやっていたわけでございます。 それで、鉄道の関係、委員の方との共通部分はあると思いますが、その辺はどうなるのかなということが、これは運営上の問題かもしれませんけれども、どういう運営をされるか私はよく知りませんけれども、そこで専門でない他の分野の人がその議決にかかわる、変にかかわるというようなことがなければいいなと思っております。
○戸田邦司君 その辺は運営の非常に難しいところかなと私も思っておりますし、それから、双方、系統の委員の方々で共通の部分というのもまたおありだろうと思いますが、最後に物を決める場合に、やはり原因究明で決めないとならないということがあるかと思いますから、その委員の先生方に、皆さんに意見を言ってもらう、そういうようなことに最後は相なるかと思います。その辺は今後の課題かなと思っております。 第二の問題ですが、先ほどからずっと独立性の話が議論されてきました。特に臼井参考人の場合は、今度の法案については相当大きなステップ、前進があったと、こう御認識のようですが、独立性について問題ありという御認識かと思いますが、私は、国土交通省、国土交通大臣のもとにあっても仕事の進め方といいますか、検討の仕方、仕事の進め方、結論をどう導くか、そういったことについては委員の独立性というのは非常に高く保障されているわけですから、それを内閣総理大臣のもとの国家行政組織法の三条機関として置いた場合とどう違うのかなと、余り違わないんじゃないかという考え方もあるかと思うんです。 内閣というのは閣僚が全部連帯して責任を負うことになっておりますから、もしある閣僚が影響を及ぼそうとすれば、それは内閣総理大臣のもとにあったって影響を及ぼし得る。そうじゃなくて、委員の方々の独立性さえ保たれていれば国土交通大臣のもとにあっても何ら問題ないんじゃないかと私は思っておりますが、その辺についてどういうふうにお考えか。
○参考人(臼井和男君) 私は、今おっしゃったこと、なるほどそうかというふうにも思いますが、私は先ほどから言っておるように、世界の流れということは、我々がここに集まったぐらいの人じゃなしに、大変な歴史の中で試行錯誤しながら考えついて、やっとたどり着いた姿が、世界の流れが独立した機関というふうな流れがあります。それにはわけがあってそっちに動いたものだと僕は思います。ただ単にそうなっておるんだ、よそはそうなっておるんだというふうに簡単なものじゃないと思うんです。だから、僕はそれを参考にした方がいいんじゃないかなと。 これから十年、二十年先にしもうたと言ってももう遅いということになって、それまでの犠牲者はどうするのかという問題もあります。とにかく独立して、運輸省から、先ほど言いましたように、自己批判が十分にできる組織、それはやっぱり大事なことだと思うんですね。みずから自分を罰して制裁をして、その罪を自分のものとして進んでいくというのか、やめたらしまいだ、国会解散したらしまいなんだという、そんなわけではぐあいが悪いわけですね、この事故調査というのは。すごく大事なことでありますし、人の命がかかわっていることですので、僕は絶対に独立した機関がいいというふうに、ちょっと信じ過ぎですかね、知りませんが、私はそう思っています。
○戸田邦司君 私の場合は、行政組織としての独立性という点で、臼井先生の主張なさっている独立性というのはどういうことなんだろうという疑問があります。その問題は委員会でもまたお話ししたいと思います。 次に、先ほどICAO条約の中で新たな事実が出た場合の調査の問題が出ておりまして、今までの航空事故調査委員会を振り返ってみますと、新たな事実と認めるかどうかというのはこれは一つ問題があるんですが、後でいろいろ問題が出て、それをもう一度検討してこれはそうじゃなかったよというようなことをしたことはなかったように思います。 例えば、東京湾で全日空の727が墜落事故を起こしまして、あのときに後で別の意見が出てきた。いや、最初からあったのかもしれませんが、航空事故調査委員会の結論にはなっていなかった。そういうようなことがありましたが、あれを航空事故調査委員会は否定したわけでもない、検討もしなかった。 そこで、条約の中にもあるわけですが、今後の問題としてそういう点はどういうふうに考えていったらよろしいか、武田参考人にお伺いしたいと思います。
○参考人(武田峻君) 私は詳しく調べたわけではございませんが、事故調査委員会が報告書を出して見直した件がたしか二件あるかと思っております。一件は非常にはっきりしているんですが、行方不明で飛行機が見つからなかった、行方不明になりましたという事故調査報告書を出して、二年ぐらいたって北海道の山で、大雪山か何かだったと思いますが、墜落機が見つかったということで、これは報告書をやり直しました。それから、もう一つの方はちょっとよくはわかりませんが、二件ございました。そういうことで、見直しということは二回ありました。 それから、我々が出した報告書に対していろいろな意見が出て、不完全である、見直しということがありますけれども、私、自分が書いた報告書に対しては、そこへ書いた委員五名の責任でございますので、そういう御意見が出たときにはそれなりに我々は考えるわけですが、幾つかの、大体五つや十ぐらいの事故報告書はそういう意味のいろんな御意見がありますけれども、十分に私どもの報告書を読んでいただければおわかりいただけると思って、私の関係した事故に関しては今私は見直さなくていいと思っているわけです。でも、これは委員としての個人的な見解ですから、世の中が皆さん見直せと言えば、それはそういうことも考えなきゃいけないと思います。
○戸田邦司君 武田先生の時代にはそういうようなことはなかったということだろうと思いますが、過去にはやっぱり皆さんいろいろ言っておられることがあると思います。今後、運営の問題として十分御配慮いただきたい、こう思います。 次の問題ですが、これもまたICAO条約の附属書の問題で、先ほど大野参考人から指摘がありましたが、警察との関係で、今の法制度上のことで、調査を犯罪捜査に優先させるということはなかなか日本の法制上難しいんじゃないかと思うんですよ。警察の捜査を抑制しながらこちらの仕事を優先させると。このICAO条約には確かにそういうふうに書いてあるわけですが、大野参考人は何か法制上の手当てをもっときちっとすべきだと、そういう御意見ですか。
○参考人(大野則行君) 警察との法制上の手続について私たちは言及しておりません。 ただ、事故調査委員会の事故調査は国際標準にのっとりアネックス十三どおりにやっていただきたいということでございます。アネックス十三どおりということはどういうことかと申しますと、司法の犯罪捜査と事故調査とは完全に分離すべきであるというふうに考えております。完全に分離すべきであるということは、事故調査の中で知り得た意見陳述もしくはフライトレコーダーなりボイスレコーダーなりの記録は、警察当局は証拠としては取り扱えないということでございます。 警察の犯罪捜査は分離して別途やるべきであって、そこには人権の問題もかかわってくるでしょうし、それは刑事訴訟法の問題として取り扱われるべき問題でございますので、そちらの方についてはそのとおりやればよろしいのではないかというふうに考えております。それは、事故調査報告書を証拠として警察が取り扱う、もしくは事故調査委員会の中で関係者が陳述した内容を証拠として警察が取り扱うということはできないと、その意味で分離して犯罪捜査を行うべきであるというふうに考えております。その点については、その辺のルールを明確に定めれば、現在の司法上の日本の法体系の中で十分にできる内容であるというふうに考えております。 以上でございます。
○戸田邦司君 一番最初に井口参考人からお話がありました原因究明と責任追及の峻別、これは非常に難しい問題だと思います、日本の法制度を前提に考えますと。 ですから、原因究明は十分に行いますといってそこで話したことについて責任が問われないかといえば、そうはなかなかいかない。アメリカなんかは免責というような手法もありますから、ああいうことでもすればそれはそういうことが可能かと思いますが、実態的に非常に難しいことではないかと思いますが、その点、いかがでしょうか。
○参考人(井口雅一君) レジュメに書きましたところ、二の一の「国民意識と国民感情」の点ですが、峻別すべきであるけれども、そこで書いてありますのは、なかなか日本の社会意識、感情も含めてですけれども、難しい。ですから、それは徐々に徐々に世の中の、啓蒙という言葉がよろしいのかどうかわかりませんけれども、だんだん変わってきていると思います。それを踏まえて徐々に変えていくのがよろしいのではないかということで、その国民の意識、感情とは全く違ったことを今やろうとしても本当にうまくいくだろうか、私、技術屋で現実主義なものですから、そういう感じがいたします。 現実に、これはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、NTSB、FBIという非常に明確な組織のあるアメリカの鉄道の事故率と日本の鉄道の事故率を比べますと、確かにアメリカの鉄道というのは物を運んでいる、日本は乗客という差があるものですから、厳密な比較はできないにしろ、日本の方がはるかに少ないです。 以上です。
○戸田邦司君 終わります。
○島袋宗康君 私は、二院クラブ・自由連合の島袋宗康と言います。 きょうは、四名の参考人の方々、貴重な御意見を賜り、本当にありがとうございます。 そこで、同じ運輸省の中に航空事故、あるいは海難事故、あるいはまた今度設けられる鉄道事故というようなことでありますけれども、鉄道と航空との事故の発生のメカニズムというのは相当な違いがあると私は思うんですけれども、その違う事故を同じ委員会で九名の方々が携わっていくというふうなことについては、先ほどから問題が指摘されておりますけれども、本当にうまくいくのかどうか、その辺について非常に私不安に思っているところがあるものですから、まず井口先生とそれから武田先生に御意見を拝聴したいと思います。
○参考人(井口雅一君) 例えば、飛行機はとめてしまえばおっこちてしまいます。鉄道は基本的には何かあったらとめることの方が安全です。ただし地下鉄はだめです、トンネルの中は別な配慮が必要ですけれども。そういう違いはあっても、いろんな基本的な考え方、ヒューマンエラーの問題だとか、それからマン・マシンでマシンと人とがどう協調すべきだとか、共通したところが非常に多いと思います。ですから、前に武田参考人がおっしゃいましたように、運用次第だと思います。それで、運用がよければ別に大きな問題にはならないと私は考えます。
○参考人(武田峻君) 井口さんがおっしゃったとおりだと思います。 実は私、井口さんを大学院の時代から知っているわけでございまして、何かというとお互いに性能工学ということに興味を持っていたということで、それから井口先生の場合は東大、あるいは自動車それから鉄道、私の場合は航空なんですけれども、共通の技術基盤を持っておりますから、井口先生が航空の事故についてそういう立場に立たれて技術的な判断をされたときは、それなりの非常に重みがあると思います。そういう意味で、共通な点はもう非常にあります。 ただ、航空の場合でも、それから鉄道、自動車の場合でもそうですけれども、公共輸送機関とそれから個人での普通の自家用車、それとはやっぱり規制も違うし、それから事故を起こしたときに、個人の車だと自己責任ということがありますけれども、公共機関ではお客さんを乗っけている公共の乗り物ですから、そういうところで事故の調査のやり方、調査の深さ等も違ってくると思います。 一緒に、技術的には同じ分野でやっていますから、そう違和感はないと思いますけれども、その辺をどういうふうに考えるかということが今後の問題だと思います。
○島袋宗康君 ありがとうございます。 臼井参考人のさっきのお話の中に、この制度は内閣に所属をさせた運営と、内閣官房だと思いますけれども、先生、内閣とおっしゃったものですから内閣というふうなことで理解しますけれども、運輸省でなくして内閣官房だと思いますけれども、そこに要するに主管課を移した方がいいんじゃないかと、主管を移した方がいいんじゃないかというような御意見のようでありましたけれども、それについてはどういう御見解でございますか。
○参考人(臼井和男君) 私は、参考意見として申し上げたところで、サバイバルファクターということが、アメリカ、ヨーロッパあたりでは非常に強く叫ばれていることです。これはあくまでいかに遺族を少なくするかという観点です。事故をなくするのも大事ですけれども、事故が起こってしまったらいかに救助するかというようなことまで含めて、そういうことを重点に置いて事故調査がされていますので、サバイバルファクターを中心に考えますと、人間を救助するというようになると、日本でしたら消防署ですね。それから、病院へ運べば厚生省が関係すると思います。それから、事故調査とそれから犯罪調査となれば警視庁というか警察庁との関係がこれは出てくると思うんです。多面的な関係が出てきますので、これは国土交通省だけではなかなか解決しづらい問題も出てきますので特に言ったわけです。 それからもう一つは、先ほどからほかの方に質問されていろいろ出ていますが、世界的には統合性、やはり日本と同じように経済が大分苦しいんじゃないでしょうか。何改革と言うんですか、経済改革やら行政改革とか言いまして、どこの省庁も、外国ですよ、省庁も統合性が叫ばれているんです。それは、彼らに言わせると、それによって予算は一緒で人員は一緒で、それから提供するサービスは国民に同じ以上のものが提供できると言うとるんですね。アメリカの先ほどNTSBの話が出ましたけれども、遺族支援法なんかができても、人員もふえていませんし予算もふえていないというようなやり方をやっています。 だから僕は、統合してそしてやれば、悪いことを考えれば悪いこともあると思います。しかし、いい方を考えればどんどんいいことが出てくると思います。僕は本当言うたら、鉄道と飛行機が一緒になりましたけれども、僕らが今しゃべっている、会議でしゃべっておることは海難審判をぜひとも入れてもろうて、もう海難審判の予算と人員があったら全部できるんやないかと思う、今までと同じような調査ができるんじゃないかというぐらいまで考えております。まあ、政府のことを心配する必要はないかもわかりませんけれども、税金を払っている立場からやっぱり考えましてね。
○島袋宗康君 先ほども話がありましたけれども、例の九〇七の焼津沖のニアミス、その事故があって、そして先ほどから話があるように、警察が機長を拘束みたいな形で事情聴取したというふうなことについては、私たちは第三者として非常にこれはおかしいというふうな気持ちで、国民全般から見れば大変ひんしゅくを買ったんじゃないかというふうにさえ思うわけでありますけれども。 そこで、旧運輸省とそれから警察ですか、警察とで協定があって、その協定が、やはり警察を優先しているのか、あるいは運輸省が優先するのかというふうな点で、かなりその協定のいわゆる覚書といいますか、覚書をそういうふうなことで改正すべきじゃないかと、あるいは何といいますか、もっとマニュアルをきちっとやるべきじゃないかというふうな趣旨だと思いますけれども、その辺、大野参考人の意見としてはどういう時点で警察、いわゆる犯罪捜査をやるべきなのか、その辺についてもう少し詳しく御説明願いたいと思います。
○参考人(大野則行君) 非常に高い専門性を有する航空機の事故に対する調査に対しては、再発の防止の観点から、警察の当初の介入というのは必要ないものであるというふうに私どもは考えております。 ただ、事故調査当局の調査の中でもし犯罪性が明らかになった場合、犯罪性が疑われるような事態が発見された場合、これはやはり警察が介入して警察の犯罪捜査が行われるべきであるというふうに考えております。例えばテロであるとか、あるいは乗務員の違法行為であるとか、そういうものがもし明らかになれば、それは当然警察の手にゆだねられるべきであるというふうに私どもは考えております。 以上です。
○島袋宗康君 それから、大野参考人にお伺いしますけれども、たくさんの政府に対する民間航空の安全確保に関する要請書というふうなものを毎年出されているようではありますけれども、そういった問題について、もっともっと積極的にこういうものを改善してほしいとかいったようなものがあれば、御発言をお願いしたいと思います。
○参考人(大野則行君) それは各方面にわたりまして、私どももまた新しく二〇〇一年版をつくりましたが、各方面にわたって非常に多くあります。 ただ、現時点で私ども労働者の立場から申し上げれば、非常に大きな問題として取り上げられているのは整備の問題でございます。整備ミスが多発している、それはまさに原因がどこにあるのか、それを国の機関としてやはり厳重に調査するべきであろうというふうに考えております。それは、運航乗務員の勤務の問題もそうですし、客室乗務員の勤務の問題もそうですし、いろいろな分野でありますので、これはまた国会の方でもひとつ詳しく参照していただければ幸いでございます。 以上でございます。
○島袋宗康君 それから、各参考人にお伺いしますけれども、先ほど来話がありますように、やはり独立委員会にした方がいいんじゃないかというふうな意見がありますけれども、その辺の問題についてどういうふうに御認識なされておりますか、まず井口先生の方から。
○参考人(井口雅一君) 簡単に申しますと、制度の問題というのは確かに重要だと思いますけれども、あとは調査に当たる委員の倫理といいますか、私は、手前みそになるかどうかわかりませんけれども、極端なことを言いますと、調査をやっている間は常に亡くなった方に見詰められている感じがしました。そんな、もう手抜きなんかとてもできないという感じ。そういうことでやっていけば、多少制度が、少し問題があってもちゃんとした結論が出せるような気がします。 それで、今私は研究者の立場ですから、国立研究所には評価がもう義務づけられていますね。行政評価も何かそうなるようなことを伺っていますけれども、そういう委員会に対する評価制度があったって悪くないような気がいたします。 以上です。
○委員長(今泉昭君) 全員にですか、島袋君。参考人全員にですか。
○島袋宗康君 はい。
○参考人(臼井和男君) 先ほど、一番初めに申し上げかけたところでちょっと途中でどう忘れして言わなかったこともつけ加えて言います。 オランダを中心にして世界にできておる国際連合のことですけれども、ITSAですね、これはアメリカ、カナダ、オランダ、フィンランド、スウェーデン、ニュージーランド、インド。航空機分野だけはロシアも入っています。海難だけイギリスが入っています。そういうふうにして、これは皆独立機関だからこのところに加盟ができているんです。独立機関がいかに大事かということを彼らの国が示しているように、そのほかもアメリカのNTSBには、私たちがもう行って八年、九年ほどか、たつんですけれども、そのときにも中国もインドもカナダも勉強しに来ておるよといったところが、もうカナダやらインドやら加盟しておるんですね。みんな勉強しに行って、いかに独立した機関が大事かということを見て、それは本当にいいのかどうかやってみぬとわからぬですけれども、そういうことでどんどん進められております。 以上です。
○参考人(武田峻君) 私は、どういう格好にしろ官庁の中の一つの組織でありますので、それは日本の社会の中で受け入れられる一番いい格好を選んでいただきたいと思いますし、それから、事故調査というのは技術的な問題でございますので、そのときに一番大事なのは、もちろん調査官もそうですけれども、委員にどういう方を選ぶかと。 それで、独立に判断できて公正かつ科学的な判断ができる人を委員に選ぶということで、今、委員の人事は運輸大臣が推薦して国会承認になっておりますので、そういう観点からの委員をお選びいただくのが一番いいんじゃないか、そう思っております。
○参考人(大野則行君) 航空事故調査委員会の運営に当たっては、私どもは、一つの官庁として国民にこたえられるだけの責務を与えて、権限を与えて、事故調査に当たるべきであるというふうに考えております。 以上でございます。
○島袋宗康君 終わります。ありがとうございました。
○委員長(今泉昭君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々に一言御礼のごあいさつを申し上げます。 参考人の方々には、長時間にわたり御出席をいただき、有益な御意見をいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十二分散会