P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
151回国会参議院2001/02/21

共生社会に関する調査会 第4号

発言数
132
登壇者
17
会派数
6
開催日
2001/02/21

会議録

石井道子自由民主党・保守党

○会長(石井道子君) ただいまから共生社会に関する調査会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る十九日、小川敏夫君が委員を辞任され、その補欠として郡司彰君が選任されました。  また、昨二十日、高橋千秋君が委員を辞任され、その補欠として木俣佳丈君が選任されました。     ─────────────

石井道子自由民主党・保守党

○会長(石井道子君) 共生社会に関する調査のうち、「男女等共生社会の構築に向けて」を議題といたします。  男女共同参画基本計画に関する件について、内閣府より説明を聴取いたします。坂井内閣府副大臣。

坂井隆憲自由民主党内閣府副大臣

○副大臣(坂井隆憲君) 内閣府副大臣の坂井でございます。よろしくお願い申し上げます。  先般の中央省庁再編に伴い、内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けること等を任務として内閣府が設置され、その内閣府に新たに男女共同参画会議と男女共同参画局が置かれました。  このうち、男女共同参画会議については、一月二十三日に第一回会議が開催され、男女共同参画社会の実現に向けたさまざまな課題について審議を開始しております。また、森総理大臣の御指示を受け、男女共同参画会議のもとに仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会を設置し、この問題に関する検討を開始したところであります。  男女共同参画会議では、今後、女性に対する暴力対策、政府の施策の実施状況の監視、政府の施策が男女共同参画社会の形成の促進に及ぼす影響の調査など、幅広い分野にわたる調査審議を行っていくこととしております。  一方、男女共同参画局は、男女共同参画会議の事務局としての機能も担いつつ、男女共同参画社会の形成の促進に関する事項の企画立案、総合調整を行うとともに、昨年十二月に策定された男女共同参画基本計画を推進し、施策のさらなる充実を図っていくこととしております。  それでは、引き続き男女共同参画基本計画について御説明いたします。  昨年十二月十二日、男女共同参画社会基本法に基づく初めての計画として男女共同参画基本計画が閣議決定されました。この計画は、政府が一体となって施策の総合的かつ計画的な推進を図るためのものであり、いわば男女共同参画社会の形成のための道筋を示したものであります。  お手元の「男女共同参画基本計画の策定について」という資料に沿って説明させていただきます。  一ページ目をごらんください。  まず、2の男女共同参画基本計画の基本的考え方でございますが、計画の策定に当たっては、平成八年十二月に男女共同参画推進本部が決定した国内行動計画、男女共同参画二〇〇〇年プランの内容を基礎といたしました。また、男女共同参画審議会からの二つの答申、すなわち男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方、女性に対する暴力に関する基本的方策についてを受け、さらに昨年六月に開催された国連特別総会、女性二〇〇〇年会議の成果も踏まえつつ策定しております。  策定の過程では、国民の皆様から幅広く御意見、御要望をお聞きし、これを可能な限り反映するよう努めました。  次に、3の構成ですが、この基本計画は三部構成となっており、第一部では計画の基本的考え方について述べております。第二部では、男女共同参画社会の形成に当たって十一の重点目標を掲げた上で、それぞれについて、今後十年の施策の基本的方向と、平成十七年、西暦二〇〇五年度末までに実施する具体的施策を記しております。また、第三部では、本年一月六日の中央省庁再編によって新たに設置された男女共同参画会議の機能の発揮や、地方公共団体、NGOに対する支援など、施策を総合的かつ効果的に推進するための体制の整備強化について述べております。  それでは、第二部の十一の重点目標について御説明いたします。  一枚目をめくっていただき、資料の二ページをごらんください。  まず、1の政策・方針決定過程への女性の参画の拡大では、基本法の積極的改善措置、ポジティブアクションの規定も踏まえて、これを具体化する取り組みとして、国の審議会等委員への女性の参画の促進に関する新たな目標の早期達成や女性国家公務員の採用、登用等の促進などについて盛り込んでおります。  2の男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革では、例えば政府の施策が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響についての調査の実施について記述しております。これは男女共同参画会議の新しい事務の一つでもあります。  3の雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保では、グローバリゼーションの進展を背景に、男女雇用機会均等法を踏まえた施策の推進、多様な就業ニーズを踏まえた就業環境の整備などについて述べております。具体的には、男女雇用機会均等法の履行確保のための方策の検討や、在宅勤務、SOHO等、新しい就業形態等に係る施策の推進などについて盛り込んでおります。  4の農山漁村における男女共同参画の確立では、食料・農業・農村基本法を踏まえ、女性の社会参画及び経営参画を促進するため、農山漁村における男女共同参画の確立に向けた総合的な施策の推進に努めることについて述べています。  5の男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援では、職場、家庭、地域のバランスのとれたライフスタイルへの転換の必要性に触れた上で、男女がともに職業生活と家庭生活、地域生活を両立することができる基盤を整備していくこととし、新エンゼルプラン等に基づいた保育サービスの整備、育児休業、介護休業の定着等、仕事と育児・介護の両立のための雇用環境の整備、地域の教育力の再生などについて盛り込んでおります。  一枚めくっていただき、三ページをごらんください。  6の高齢者等が安心して暮らせる条件の整備では、高齢化の一層の進展への対応や高齢者の役割を積極的にとらえることの必要性について触れた上で、介護保険制度の着実な実施、高齢者の社会参画の促進、社会全体のバリアフリー化による高齢者等の自立を容易にする社会基盤の整備などについて述べております。  7の女性に対するあらゆる暴力の根絶では、女性に対する暴力が社会的、構造的問題であることを示した上で、具体的には、夫、パートナーからの暴力への対策の推進について既存の法制度の的確な実施や一層の活用を行うとともに、新たな法制度や方策などを含め、幅広く検討することなどについて盛り込んでおります。  8の生涯を通じた女性の健康支援では、リプロダクティブヘルス・ライツの視点から、女性の生涯を通じた健康を支援するための総合的な対策の推進について述べており、女性の健康問題への取り組みについての機運の醸成、学校における性教育の充実、総合的なHIV・エイズ対策の推進などについて盛り込んでおります。  9のメディアにおける女性の人権の尊重では、情報通信技術による社会構造の変化の中における女性の人権を尊重した表現の推進のためのメディアの取り組み等について述べており、メディアにおける女性の人権の尊重のための取り組みの支援、児童買春、児童ポルノ法に基づく児童を対象とする性暴力表現の根絶、メディアリテラシーの向上などについて盛り込んでおります。  10の男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実では、自立の意識をはぐくみ、男女平等の理念を推進する教育・学習の充実や、男女が各人の個性と能力を十分に発揮し、社会のあらゆる分野に参画するための多様な選択を可能にする教育・学習機会の充実などについて盛り込んでおります。  最後に、11の地球社会の平等・開発・平和への貢献では、国際的な取り組みの成果や経験を積極的に生かし、また世界の女性の地位向上に貢献するための国連諸機関の諸活動への協力などについて述べております。  第三部では、以上のような取り組みを推進していくための体制等について記述しているところです。  男女共同参画社会の実現は、二十一世紀の我が国社会にとって最重要課題の一つであります。今般の中央省庁再編により、男女共同参画の推進体制も一段と強化されたところであります。  今後も、各省と連携をとりつつ、基本計画に基づき、社会のあらゆる分野に男女共同参画の視点を反映させ、男女共同参画社会の形成を総合的かつ計画的に推進してまいります。

石井道子自由民主党・保守党

○会長(石井道子君) ありがとうございました。  以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

阿部正俊自由民主党・保守党

○阿部正俊君 自由民主党の阿部正俊でございます。  きょうは、副大臣及び参考人の方に御質疑をさせていただきますが、わずか三十五分の時間でございますので、できますれば、この調査会というものは何か政府を問い詰めることではないだろうというふうな気がしますので、もっと調査会としてのいわば自由な意見交換といいましょうか、そんな気持ちでやらさせていただきたいと思っています。あと、できれば余りぎすぎすしないでといいましょうか、楽しくやりたいなというような気もいたしますので、どうかひとつ御理解願いたいと思います。  同時に、多少今までの議論されてきました男女共同参画社会というイメージとは別の視点で物をしゃべりますので、あるいは、何だおまえ理解していないじゃないかというような、特に女性の参画されている方が大変多いものですから、おしかりを受けるかもしれませんけれども、そこは少し御勘弁いただきたい。  実体としての共同参画社会、建前論ではない男女共同参画社会というものを日本はこれから先つくっていくというふうなことを考えなきゃいかぬのじゃないか。そのための、かけ声ではなく、あるいはお坊さんにしかられるかもしれませんけれども、お経ではなくて、社会構造改革としての男女共同参画社会というのをつくっていきたいものだなと、またそうしないと我が日本は少し左前になるんじゃないかと、そんな感じがするわけで、そういう実体面から少し、私もよくわかりませんけれども、そうした認識を持っていく必要があるのではないかというような観点から取り上げてみたいと思いますので、副大臣及び局長さん、ひとつどうぞ御協力のほどをお願い申し上げます。  最初に、男女共同参画社会というのを十年以上前からでしょうか、言われました。そもそも何かが今そうなっていないんでしょうね、日本というのは。参画できていない、参画社会になっていない。だから、そういう社会に向かって頑張りましょうと、こういう話なんだと思うんです。あるいは、政策的に誘導していきましょうということでしょうけれども。  では、そもそも男女共同参画社会というのはどういう社会なのか。何が悪くて、そこがどう変われば実現したことになるんだということを国民みんなが意識しているかなとなりますと、私はちょっと首をかしげます。  実際に私のようなごとき者が、山形なんかでそういう会合なんかがありますと、私は呼ばれます。男女共同参画社会について話をしろということで女性の方々とかの会にも何度か出ますけれども、そのときに、特に男の方々の御認識というものは、すぐ目にするのは、例えばセクハラだとか、あるいは審議会の委員の数だとか、そういうふうにみんなおっしゃる、イメージしているんです。だけれども、本当に自分たち自身の役目なり実体なりというものが、就業構造なりあるいは家庭の中の役目なりというのが変わり、自分らも何らかの負荷をしょって実現するんだと、変化があるんだというふうな認識を持っている方というのは意外と少ないんではないかなという気がするんです、正直申しまして。  どっちかというと建前論で、まあ女性が最近うるさいからとは言いませんけれども、非常に強いからしようがないんだといいましょうか、というふうな受けとめ方をしている向きが、きょう自民党の諸君は全員男性でございますが、あっ、先生除いてね、まさかそう思っていないと思いますけれども、どうですかね。本当に心の中を聞いてみなきゃいかぬし、あとまた野党の先生方は全員女性でございます、今出ているのは。なぜ来ないんでしょうか、男は、逆に。そういうふうなことなのではないかと。女性の問題なんだというふうに意識している向きがあるのではないかという感じがするんですよ、私は。そうでないということを祈りますけれどもね。  もっとやはり根本的に、これから社会の大きな変革の中で、日本という国が今までの生活水準を維持しながら、あるいはさらに向上させながら、世界の中で有数の国として立ち行くにはその改革が必要なんだというふうな認識が私はどうしても必要なんじゃないかと思うんですけれども、そこが少し弱いのではないかというふうに率直に感じますので、その点に絞って申し上げます。  まず最初に、一般論でございまして恐縮ですが、そういう意味で総花、総括的に、この計画は計画でございますけれども、副大臣、率直に、さっき言ったように、どこが悪くて、そこがどうなったときに男女共同参画社会が日本において実現するんだというふうにお考えでしょうか。どういう社会をつくろうということなのか。  審議会のメンバーが多いとか、国会議員が多いとかいうことは申しわけないけれどもちょっと置いておいて、それはわかります、結果ですから。その前にどういう社会を実現しようとするのかということについて、もっと実体的なものでお答えいただければ幸いだと思います。

坂井隆憲自由民主党内閣府副大臣

○副大臣(坂井隆憲君) 男女共同参画社会基本法というのを読み直しまして、第三条に「男女の人権の尊重」というのがありまして、「男女共同参画社会の形成は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、」、すなわち社会経済政策としてもですが、まず女性も個人としての尊厳が重んぜられる、これがやっぱり一つ重要な私は課題だと思っております。そして、男女が、この法律にも書いてありますが、「性別による差別的取扱いを受けない」、「男女が個人として能力を発揮する機会が確保されること」、法律に書いてあることですが、「その他の男女の人権が尊重されることを旨として」行う、まさにこれが基本の前提です。  すなわち、男女共同参画社会というのは、女性と男性が、女性もお互いに人権が尊重される、喜びも責任も分かち合うことになる、そして性別にとらわれることなくその個性と能力を十分に発揮することができる社会である。単に社会経済政策でどうするかという問題もさることながら、まず人間として女性の人権が尊重され、みずからの喜びをもっともっといろんな意味で深めていくことが基本的な私は男女共同参画社会の理念ではないかなと思っているところでございます。

阿部正俊自由民主党・保守党

○阿部正俊君 副大臣、できれば、先ほど言ったように、尊厳、人権、性差の解消、人権の尊重、差別をなくすること、人間としての尊厳の尊重、正直言ってお経のように聞こえるんですよね。  例えば、これから、配られていました女性の虐待の問題だとか家庭内の暴力の問題だとか、あるいはいろんな意味でのセクシュアルハラスメントとか、さまざまな、いわば相当おくれた部分を直すということは、それは大いに結構だし、やらなきゃいかぬことだし、ある意味じゃ我々男といいましょうか、あるいは今までそれが中心になって動いてきました社会の認識というのをどうしても改めていくということは、それはそれで私は大事だと思います。  だけれども、そういう社会であればいい社会だということなのかな。この我々の目指す男女共同参画社会というのは、一言で言えば、副大臣言われていましたように尊厳ということだということなのでしょうか。私はむしろ違うんじゃないかと。本当の意味で、これからどっちかというと女性の持てる能力と位置と、それから社会へのいろんな活動というものをもっともっと活発化して、そうしたいわば経済的にも社会的にも活力ある社会をつくり上げていくというふうなことが一番基本にないと、やはりどうしてもかけ声になってしまうおそれはないのかなと。  そういう男女共同参画社会というのを実現することによって、経済的にもトータルとしてのより合理的な社会であってほしい、あるのではないかというふうな認識がどうしても必要なんじゃないかと思うんです。それは、倫理的な意味でこうあるべきだというようなことで物を言うんじゃなくて、そういう例えば、例を出されませんでしたけれども、就業構造の問題だとか家庭の中での役割だとか、あるいは保育といいましょうか、私はもう子育てというよりも次世代をいかに用意するかというふうな発想だと思うんです、社会全体として考えればですね。  お母さん、お父さんが子供を育てる、それは当たり前のことですけれども、我々が今社会的にあるいは政策論として論じなきゃいかぬのは、まさに次世代の日本の未来を背負う子供たちあるいはまだ生まれていない世代を、社会として、大人として用意できる社会をつくり上げていこうじゃないのと、こういうことなんじゃないんですか。  となると、やはり従来の子育て、あるいは子育ちというふうに私は言いますが、というふうなことでいいのかねということを直していくというのが一番の、私は就業構造なり今言った保育なりの問題について、それを本気で五年ぐらいの間に変革していくということこそが本当の意味での参画基本計画であってほしいなというふうに思うんです。そういうより切実といいましょうか、実体を変えていくんだ、社会構造的なものを変えていくんだというふうな意識と考え方が欲しいなという気がするけれども、できますれば副大臣、もう一度その辺についてお触れいただければありがたいと思いますけれども、よろしくお願いします。

坂井隆憲自由民主党内閣府副大臣

○副大臣(坂井隆憲君) 男女共同参画社会基本法にも男女の人権が尊重されるということが一つと、かつ社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現することの緊要性となっています。それから、女性の個人としての尊厳の尊重のための施策もさることながら、社会経済情勢の変化に対応した女性の参画というものが必要であることは、これはもうもちろんのことであります。  例えば、我が国の女性の就業を見ても、年齢階級別労働力率というのが二十代前半では非常に高くて、結婚、出産、子育て期に低下して、四十代で再び高くなる。M字カーブを描いているわけですが、これらは我が国では育児等の家庭責任が女性に大きくかかっている。みずからの意思に反して仕事を中断している割合が比較的高いなというのはこういうところから読み取れるし、そういう社会経済情勢の中で変化に対応できる社会が実現できるようなことをしていかなければいけないと。これが一つのもちろん政策だと思います。  例えば、雇用者の数を見てみましても、非農林業でちょっと雇用者数の伸び率を見てみたんですが、全体の雇用者数が一九七五年で総数三千六百十七万人。そのうち女性雇用者数が三二%というんですが、明らかに女性雇用者数がふえていまして、平成十一年、一九九九年で四〇%にまで高まっている。ですから、それだけ女性の社会参加というのもふえてきているんですが、今言ったようなM字カーブを描いているとか、そういうネックがあるわけであります。  私は、平成五年に自民党の中で勉強会をやっていまして、家族の経済学というのを勉強していました。家族の経済学というのでノーベル経済学賞をとった人がいまして、そういうのを勉強して、あと男女共同参画会議のメンバーでもある八代先生を講師で招いて、結婚の経済学なんかの勉強をしたことがあるんです。  そのときに、女性の、さっきの個人としての尊厳の話もかかわりますが、経済政策として、社会政策としてそういうことをするということと、それとあわせて、やっぱりそういうものに対する喜びを女性が持つ、そういう中に、単に国家として社会的にこういうふうにしなければいけないということだけでなくて、女性自身がそういうものに対することによって喜びを得るということから考えていって、男女共同参画社会基本法に書いてあるように、人権も尊重し、そしてまたそのことが社会経済情勢の変化に対応した政策としても両立してやっていかなければいけないことであると、そういう認識のもとでこの男女共同参画社会の実現というものをしていく。そのことが国としてもいいし、また女性としても性別にかかわりなく多様な生き方も選択でき、そして社会全体としての労働力の確保とか育児、家事とかの負担の軽減などとかで喜びを女性自身も見出すことができる、そういうものが理想的な男女共同参画社会の実現じゃないかなと思うわけであります。  そのために、いろんな政策決定過程にも女性が参画されて国民各層の意見が十分反映されていく、そのこと自身も民主主義ということから考えても非常に望ましいことだなと思うわけでありまして、そういうことを考えて仕事に当たっていきたいと思っているところであります。

阿部正俊自由民主党・保守党

○阿部正俊君 ありがとうございました。  一歩踏み込んで、何か少し理解していただいているのかなという感じはいたしますけれども、どうかそういう意味で、実体としての社会を変革するんだということ、よく経済構造の改革とか言われますけれども、私は男女共同参画社会へのまさに転換だと思うんですね。というのは、社会構造改革ですから、経済構造改革よりもかなり難しいものなんだということなんではないかと思うんです。意識改革とも絡んでまいりますので、そういう難しい中でそれを実現していくことが日本の未来を切り開くというふうな考え方でひとつ取り組んでいただきたいなと、こんなふうに思います。  それで、局長、ちょっとお聞きいたしますが、そうした場合に、ある社会を、そんなに何十年もかけてということではなくて、いわば転換点ですから、転換を図っていくための幾つかの指標というのを私は持ってしかるべきなんじゃないのかなというふうに思うんです。抽象的な表現で、一生懸命啓蒙していくということだけではだめなんじゃないかなという気がするわけです。  例えば、就業率の問題とかM型カーブの問題だとか、あるいは育児についての男女の役割分担の度合いだとかいうようなことについて、幾つかの指標をつくって、目標管理をしながら、ことしから来年、来年から五年後ということで見ていったらどうかなと、それがまさに基本計画ではないかなという気がするわけでございます。そういう意味での幾つかの指標というものを挙げていただき、それから見ると日本は、そうでない国と比較した場合にどうなんだというようなことをちょっと御説明いただければなというふうに思いますけれども、お願いします。

坂東眞理子内閣府男女共同参画局長

○政府参考人(坂東眞理子君) お答えいたします。  先生おっしゃいますとおり、本当に女性の進出の度合い、男女共同参画の実現の度合いをはかるこれといった指標があれば大変わかりやすいと思いますけれども、現在のところは一般的に、先ほども言われたように、女性が強くなっているとか、オリンピックでもメダルをとるのは女性ばかりだとか、今、日本で元気なのは女性ばかりだとかと言われておりますが、例えば世論調査をしてみますと、男性の七〇・九%、女性の八一・四%がまだ男性の方が優遇されているというふうに答えております。  こういったような意識調査というのは何によってもたらされるかというと、恐らく現実の実態が反映しているんだろうと思いますが、国際比較でよく使っております指標としましては、UNDP、国連の開発計画が使っております人間開発に関する指標、HDIと言っておりますけれども、例えば平均寿命ですとか教育水準ですとか、そういったような指標ではかりますと二〇〇〇年で百七十四カ国中九位。しかし、女性が積極的に経済界や政治活動に参加して意思決定に参加しているかどうか、例えば議員さんですとか、あるいは所得ですとか、管理職、行政職、専門技術職にどれだけ女性が進出しているかという観点から見たジェンダー・エンパワーメント指数というので見ますと七十カ国中四十一位というふうなことで、国際比較をしてもまだまだ日本は能力を開発はしているけれども十分には発揮していないのではないかというふうなことが見れるかなというふうに思います。  今後、この局あるいは参画会議の方でも何かそういった男女共同参画の実現の度合いをわかりやすく示すような指標を開発するというのは大変重要な仕事だと考えております。

阿部正俊自由民主党・保守党

○阿部正俊君 今もちょっと触れられましたけれども、事前にちょっと教えていただいたもので、そういう指標というものとしてGEM、ジェンダー・エンパワーメント測定、ジェンダー・エンパワーメント・メジャーというようなのがあるそうでございますが、それによると第一位がノルウェー、二位がアイスランド、三位がスウェーデン、四位がデンマーク、五位がフィンランド。いわば北欧型の社会が一位から五位というのは何かちょっとおかしくないでしょうか。その社会が理想なのかなということになると、私は日本人のみんなに、国民に言うと、へえ、それはどこの国の話というような感じになるのではないかなという感じがするんです。北欧型に日本を変えていくんですかというふうなことではないかと。  それで、じゃどういう指標なのかというふうに少し聞いてみますと、女性の所得、それから専門職、技術職に占める女性の割合、行政職、管理職に占める女性の割合、国会議員に占める女性の割合、これを用いつつ算出したんだそうです。だから、四つの指標のうちの三つは女性の幾つかの集団の中の割合なんですね。それがすべてなのかなという、それが社会の実体の変革の指標としては私はむしろふさわしくないというふうに思います。  むしろ、そうではなくて、そうしたふうな何か進出の割合ということは、逆に言うと男は後退するということですよね。後退するということは逆に言いますと、いや、何かお首をかしげておられますけれども、ここの中で女性の割合をふやすとなったら男は少なくなる。当たり前の話じゃないですか。ということは、逆に言うとその負荷といいましょうか、あるいはその変化というのをだれかのいわば負担というか負荷というかコストということで許容していかなきゃいかぬということになるわけなんで、そういったふうなものだけじゃなくて、環境問題なりについてはISOとかというのもありますよね。  別な意味で、例えば女性の就業率の問題だとか保育環境の問題だとかいうことまで入れたもっと実体的な指標というようなことをぜひ、せっかく内閣府に男女共同参画局というのをつくったんですから、保育は厚生労働省、労働もそうだ、教育はあれだ、あるいは審議会の委員の数は内閣府だ別なところだというふうな、こんなことで、あとはホチキスでとめて調整するんだという役目で私は男女共同参画局ができたのではないと思います。むしろ、社会構造改革の柱の一つだということで私はできたんじゃないのかな、こんなふうに思います。  その辺のやはり手法というのを、正直言ってここにおられる先生方、まことに申しわけないかもしれませんけれども、よく出てくるのは女性の割合なんです。国会議員の数とかいろんな審議会の数とか、それはそれで結構です。だけれども、そうじゃなくて、それを実現するためにもまさに共同参画という実体をどうつくり上げるかということについて我が日本はこれから取り組まなきゃいかぬのじゃないかなと、こんなふうに思うわけで、その目標管理をして、五年、十年あるいは十五年かかるのはあるかもしれませんけれども、実現していくにはどうするか、そのコストとある種の許容というものをどうシェアリングするのかということを私は国民に率直に訴えていく必要があるんじゃないかと、こんなふうに思うわけでございます。  でないと、どうも五十、六十代の男は、私も含めまして、お葬式に行くと少し居眠りしたくなるお経のように聞いている面があるいはあるのではないかなという気もしますので、そういう具体的な指標というのを、試行錯誤だと思いますけれどもぜひ提起して、目標管理をしていっていただきたい、こんなふうにも思うし、その目標管理に従って、まさにきょう、今手元に持っていませんけれども、中央省庁再編法で内閣府の中での局長さん、副大臣、大臣の権能というのが従来とは変わっているはずでございますので、リーダーシップをとって、それこそまさにリーダーシップと言うんじゃないですか。ゴルフ場から電話することがリーダーシップだと思いません。どうかひとつそういう意味でのリーダーシップをつくってほしいなと。それだったら女性の票が相当ふえるんじゃないかと思うんですけれどもね。それこそ私は現政権に望みたいなと、こんなふうに思います。  さて、その中で、私自身としてやはり女子の就業の問題というのは一番の基本かなといった感じがいたします。M型カーブの是正にとどまらず、できれば男性と同じような就業率を維持できるような、子育てで引っ込んだ者をもとに戻すということにする。女性もやはり同じ就業率、逆に言うと勤続年数なんかも同じような形に、勤続というのは別に同じ会社にという意味ではないですよ。ほんの数年間あるいは育児休業その他で就業という形から離れる割合があるいは多いかもしれませんけれども、それ以外はほとんど同じであってしかるべきなんじゃないかな、当然なんじゃないかな。しかるべきといいましょうか、そういう状態なのかなと、こんなふうに思うんです。  昔、私は農家の三男坊でございますが、農家では専業主婦ということはありませんでした。女性はともに働いておられました。と同時に、言ってみればサラリーマンの世帯も、いわば共稼ぎという表現がありましたけれども、一般的でございました。これはやっぱり、どうも共稼ぎというのは何か貧しいといいましょうか、食えないからしようがなく働くんだ、そういう時代もあったとは思います。  私自身も、昭和四十一年に厚生省という役所に入りましたけれども、四十三年に長男が生まれまして、女房が働いていたものですから、実は女房は、こんなことを議事録に残されると困っちゃうのかもしれませんけれども、今で言えば保育士でございまして、ほかの子供さんを早朝保育から預かっているわけですね、ほかの保育所で。女房は六時ぐらいに出かけます。私は九時過ぎぐらいまでに役所に入らなきゃいけませんので八時過ぎに子供を連れて、正直言ってむずかるわけです。それで、本を読んで聞かせたり、あるいは保育所まで連れていく間に消防署があるものですから、消防署で朝の訓練でライトをつけてぴかぴかやったりするわけです。そんなことを見せながら、機嫌とりながら、早く子供が行ってくれないかなと内心思いながら連れていったりした記憶があります。  ただ、厚生省におりながら、残念なことながら二人目の子供が生まれたときはもう耐えられませんでした。というようなことで、女房はやめたわけでございます。そんな思いをしていますが、いわゆる男女共同に働くということ、これが男女共同参画社会の基本なんだろう、そういうふうな感じがするわけでございます。  そうなると、いわゆる共稼ぎというふうなこと、あるいは専業主婦ということ、その辺のイメージも含めて私は相当変えていく方向性を持つべきなんじゃないかなと、こんなふうな気がするわけです。今の夫婦一緒に働くというのは、何も一人のあれではどうしても食えないから二人働くという人はどれだけいるでしょうか。むしろ、それぞれの能力を実現するということで、それなりのコストをかけながらもやっておられる方、頑張っておる方々が圧倒的に多いんじゃないかな、こんなふうな気がするわけですね。そういうのを応援し、実現していくということが大事なんじゃないのか。  何か、多分お聞きすると、専業主婦もあれも両方とも中立にとかとおっしゃるんだと思うんです。いろいろ問題がございましてということなら、私はこの男女共同参画社会の目標設定そのものが、あるいは方向性そのものがどうも本気でやる気がないというふうに言わざるを得ないんじゃないか。どういう社会を目指そうとするのかということについて、どういうふうな税制なり年金なり保育政策なり雇用政策なりとっていくのかということについて明白な方向性というのはやはり例示されるべきじゃないかな、こんなふうに私は思います。それが日本のより経済合理性を含めたこれからの社会の変化のためには必要なことだからこれに取り組むのでございまして、そういう意味で申し上げたいな、こんなふうに思います。  あと、山形は、幸か不幸かといいましょうか、貧しいからかもしれません、子供さんのいる女の方の就業率は圧倒的に高いのでございます。いろんな職業がございますが、多分、もしかしたらいわゆる専業主婦の一番多い地域は東京周辺じゃないですか。その辺、どっちが男女共同参画社会らしいのかということをどう思いますか、局長さん。

坂東眞理子内閣府男女共同参画局長

○政府参考人(坂東眞理子君) 女性の就業率、特にゼロ歳から六歳までのお子さんを持っていらっしゃる方の就業率という点で見ますと、山形県はトップです。それに比べますと、奈良県ですとか神奈川県ですとか大都市の周辺のところでは就業率が低くなっている。埼玉県なんかも非常に低うございましたけれども、そういった地域差が大変あるというのは、恐らく貧しいか豊かか以前に、三世代同居の方が多いかどうかとか、あるいは通勤時間の問題ですとかどういう就業機会があるかとか、いろいろな要素が影響しているのではないかと思います。

阿部正俊自由民主党・保守党

○阿部正俊君 時間になりましたので、最後に二つだけ言います。  一つは、今、内閣府の状態が男女共同参画が実現されているかどうか、あるいは局長さんの部下を含めて局内が男女共同参画局になっているのか、名前じゃないですよ、実体として。その評価が一つ。  それから最後に副大臣に、今申し上げた私のような考え方が誤っているんだとするならば、それはそれで指摘してもらって結構でございますが、そういうふうな目から見たときに、これからの戦略というのをどういうふうに立てていかれるのか、その辺の御決意をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。

坂東眞理子内閣府男女共同参画局長

○政府参考人(坂東眞理子君) 私どもの内閣府男女共同参画局は、今三十七名職員がおりますうち女性の割合が二十二人で約六割ということで、まさに大体六、四と、数の上でも、また府令職以上のいわゆる管理職八人のうち女性が三人ということで、非常にバランスがとれているのではないかなと思っております。  政府全体としましても、国家公務員全体の登用等々、いろいろな分野で女性たちが力を発揮できるように環境を整えていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

坂井隆憲自由民主党内閣府副大臣

○副大臣(坂井隆憲君) 男女共同参画社会実現のためには、基本計画にも十一の重点目標を掲げていますし、内閣府が各省庁よりも一ランク上の形で位置づけられていますから、今までと違って。この基本計画の中にも、そのあと総合的な推進体制の整備・強化ということで、フォローアップだとか年次報告等の作成とか、そういういろんなことも書いてありますので、施策の総合的かつ計画的な推進を図りたいと思っております。  なお、幸か不幸かわかりませんが、私はこの男女共同参画の担当であると同時に経済財政の担当の副大臣でもありますから、男女共同参画のときの子育て両立支援のときにもごあいさつしましたが、こういう一つの重要会議となっている会議の案件の中で、いろいろ予算、税制、そういうものに引き継げるものがあれば引き継ぎたいということで経済財政担当大臣にも男女共同参画会議の議論の報告を逐次しているところであります。  そういう決意で今後ともやっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

阿部正俊自由民主党・保守党

○阿部正俊君 終わります。

岡崎トミ子民主党・新緑風会

○岡崎トミ子君 民主党の岡崎トミ子でございます。よろしくお願いいたします。  基本計画についてどのような問題意識でこれが策定されたのかということを中心に伺っていきたいと思います。  まず、この基本法が制定されましたときに大変関心を集めました間接差別の取り組みなんですけれども、この間接差別の取り組みにつきましては、九六年七月に男女共同参画審議会の答申しましたビジョンが策定作業に入っておりますときにはもう既に議論もずっとありましたし、また調査もそれまでにされているという状況でしたから、一体何が間接差別なのであるかということに関して具体的に挙げられてきておりますので、その辺の問題の所在というのは大体明らかになりつつあるというふうに私は思っております。  基本計画では、この間接差別の問題に関して、合意形成のための十分な議論が必要だ、諸外国の施策や判例の動向や事例の収集に努める、引き続き検討を行うということなんですけれども、この間接差別についてはもうある程度検討されたその成果というものがあるだろうと思いますし、今後の課題についてはどう考えていらっしゃるのか、厚生労働省に具体的にお話を伺いたいと思います。

岩田喜美枝厚生労働省雇用均等・児童家庭局長

○政府参考人(岩田喜美枝君) 間接差別についてのお尋ねでございますが、今、先生おっしゃいましたように、何をもって間接差別と考えるかということについてまだ社会全体のコンセンサスができているというふうには思われません。特に、職場の問題でございますから、労使の間でそういうコンセンサスができることが大変重要であろうかというふうに思います。そういうことで、基本計画にもございますように、どのようなケースが差別となるかについて、合意形成のための十分な議論が必要であるというふうに考えております。  現在、厚生労働省では、諸外国の法制あるいは諸外国の判例などについても引き続き調査を進めているところでございますが、こうして収集しました情報をもとにいたしまして、基本計画の計画期間内にこの問題について検討を行う場を設置してまいりたい、なるべく早い期間にそういう場を設置したいというふうに考えております。

岡崎トミ子民主党・新緑風会

○岡崎トミ子君 相当これまでにも欧米先進国の中の問題ですとかアメリカの問題ですとか、それぞれ法律もできていて、そしてイギリスなんかでは性差別禁止法の中ではっきりと、女性にとってそのことが不利益をこうむる場合はそれは間接差別とみなしているというようなこともございますので、ぜひその具体性を持ってやっていただきたいなというふうに思うんです。  この基本計画は一応二〇〇五年度末を実施施策というふうなことでありますので、二〇〇五年までには具体化のめどをつけるという理解でよろしいのか、ぜひ目標を示していただきたいと思います。

岩田喜美枝厚生労働省雇用均等・児童家庭局長

○政府参考人(岩田喜美枝君) 先ほど申し上げましたように、検討の着手はなるべくこの計画期間内の早い時期にいたしたいというふうに思っておりますけれども、その後どういう検討の展開になるのか、したがって、いつまでにどういう形で取りまとめができるかということについてはまだこの段階で申し上げるような状況ではないというふうに思っております。なるべく早く検討の場を設けたいというふうに思っております。

岡崎トミ子民主党・新緑風会

○岡崎トミ子君 ぜひお願いしたいと思います。  九五年の女子差別撤廃委員会が日本国内に差別是正ということの状況について提出した報告書を審査しまして、女性が直面している間接差別について、企業の中においての賃金ですとかあるいは昇進、こういう問題について日本政府はきちんと対処すべきだというふうにコメントをしております。ですから、もうそのころから取り組んでいるんだと。  今回この基本計画ができたということですと、やはり基本法の精神や理念にのっとって前進させるためのきちんとした間接差別の取り組み、ぜひよろしくお願いしたいと思います。それも実効性のあることを私は望んでいきたいというふうに思っております。  差別をなくしていく社会というためには現状分析ということをしていかなければならない、そういう役目も内閣府の中にあるというふうに思うんですけれども、前文のところで法律の場合には人権の尊重というところを男女というふうにしておりますので、印象として男女間の相互間の問題になりがちなんですけれども、今おっしゃったみたいに、企業の責任ですとか行政の側の責任、この辺があいまいになってきているというふうに思いますので、ぜひこの辺の指摘を踏まえて、これまでの議論の積み重ね、それから踏み込んで、先ほど副大臣がおっしゃったみたいに政府全体としてとらえていくんだということですから、政府一体なんだということですから、政府全体を引っ張っていくような形でこの間接差別の問題の取り組みをお願いしたいというふうに思います。  政府はきのう育児休業、介護休業の一部改正の法律案を閣議決定されましたけれども、この中で看護休暇制度というのが新規につくられたということで、この中では、残念ながら事業主の努力目標ということで罰則は設けないということになっております。  私は、この看護休暇制度の導入というのは大きな企業だけじゃなくて中小零細のところまでやっていけるように国としては支援策をしなければいけないというふうに思うんです。男女共同参画社会というのは、本来、育児あるいは介護ということについて男女が休みをとることが当たり前の社会だというふうに私は思うんです。だとすると、企業も頭の切りかえが必要になってくると思います。しかし、体力のない中小企業は移行期は大変困難になってくるだろうと思いますので、その辺の支援策を国がどういうふうにやっていくのか、具体的にこの辺の取り組みを考えているかどうか、お聞きしたいと思います。

岩田喜美枝厚生労働省雇用均等・児童家庭局長

○政府参考人(岩田喜美枝君) 子供の看護休暇の普及について、特に中小企業でどういう形で普及をさせていくか、支援が必要ではないかという御指摘かというふうに思いますが、今回の育児休業法の改正案の中で初めて看護休暇について取り上げさせていただいているわけでございます。現状の普及率がまだまだでございまして、普及率が八%という中でどういう形で法的な手当てができるかということで、関係の審議会、公益、労働側、使用者側代表の三者構成の審議会で長く御検討していただいた結果、とりあえず努力義務規定ということではありますけれども、初めて育児休業法の中で子供の看護のための休暇制度の普及のための事業主の努力義務を規定しようということになったわけでございます。  ですから、まずはこの法案を速やかに御審議していただきまして成立をさせていただきたいというふうに思っておりますが、法律が成立した後については、いかに中小企業の皆様方にもこの制度の必要性を理解していただくか、周知徹底のための努力を私どもの地方の機関を挙げてやりたいというふうに思っておりますし、また、さらに具体的にそれ以上の支援が何かできるかということについてはこれから検討してまいりたいというふうに思っております。

岡崎トミ子民主党・新緑風会

○岡崎トミ子君 ぜひその検討をお願いしたいと思います。  今回は育児休業、介護休業の一部改正という形でこれが出されてきておりますけれども、この中に転勤の問題が入りました、看護休暇の問題が入ったということで前進のように思えるんですけれども、やはりまだこれでは小手先だというふうに思うんです。  働いている方の側ではもう両立支援法が必要だと。介護休業、育児休業ということを本当に両立支援策として抜本的に改正していかなければいけない。民主党でも両立支援法という形で準備をしているわけなんですけれども、その先を行ったことについての検討というか、その辺についてはいかがでしょうか。

岩田喜美枝厚生労働省雇用均等・児童家庭局長

○政府参考人(岩田喜美枝君) この分野の対策は、真に職場で男女の機会均等を進めるという観点から大変重要な課題であるというふうに思っております。ですから、将来に向けてまたさらなる対策の強化が必要であるということは御指摘のとおりかというふうに思いますが、この育児休業法の施行後の進捗状況などを見まして、そして先ほど申し上げました関係の審議会でも大変な回数の審議をしていただきまして、現状ではここまで踏み出そうというところで取りまとめたものが今回の改正案でございます。  したがって、現状ではこれがベストだというふうに思っておりますので、これから将来的にどういう姿でこの施策を進展させていくかということについて具体的なことを今申し上げる立場にはございませんが、改正された育児・介護休業法の施行状況を見ながら、また将来必要であればさらなる対策を講じていきたいというふうに思っております。

岡崎トミ子民主党・新緑風会

○岡崎トミ子君 私たちはそれがベストだというふうに思っていないんですね。本当に小手先なんだというふうに思っておりますので、やはり働いている側の声にしっかりと耳を傾けていただきたい。  抜本的な対策の両立支援法というものについて、これから私たちの方も運動をきちんとして、そういう連携の中でこれをぜひ提出していきたいというふうに思っておりますが、その実効性ある制度設計のためには現状の把握が大切だというふうに思います。今度、厚生労働省で女性のライフコースについての調査を行うということなんですが、これは両立支援施策を設計するために非常に役に立つというふうに思っておりまして、共同参画社会づくり前進のためにも、可能性を持ったそうした調査をぜひしていただきたい。  調査に当たって、この厚生労働省とそれから内閣府の中の男女共同参画局の連携をどのようにとられていくのか、その点と、今後各省庁が行います男女共同参画にかかわる調査の手法の開発の仕方、それから結果の蓄積とかあるいは共有化についてはどのように検討されていくのか、その二点について伺いたいと思います。内閣府です。

坂井隆憲自由民主党内閣府副大臣

○副大臣(坂井隆憲君) 厚生労働省との連携は、もちろん十分連携していきたいと思っています。  内閣府自身がもともと内閣官房を助けて内閣の重要政策をやることになっています。その中の重要な一つの会議が男女共同参画会議でありますし、男女共同の問題については厚生労働省と密接な連携をとらなければもちろん仕事がはかどっていくわけではありません。当然のこととしてやっていきたいと思います。  また、私はたまたま昔、労働政務次官をして岩田秘書課長でいろいろ支えていただきました。今後もそういう形で支えていただきたいと思っていますから、よろしくお願いします。

岡崎トミ子民主党・新緑風会

○岡崎トミ子君 連携の強化をよろしくお願いいたします。  今、地方自治体ではこの基本計画の策定ということで一生懸命やっております。私どもの宮城県では、日本で初めての町の条例ということで男女共同参画条例を岩出山町でつくっておりますけれども、地方自治体がこういうことに取り組む場合には、国の出先機関の労働局との連携というのはすごく重要なんだと。いろいろ聞いてみますと、うまく連携できていない部分などもあるということですけれども、現状はどのようになっておりますでしょうか。

岩田喜美枝厚生労働省雇用均等・児童家庭局長

○政府参考人(岩田喜美枝君) この基本法では、もちろん当然のことでございますが、男女共同参画社会を形成促進するための施策を実施するのは国の責務であると同時に、地方自治体の責務であるというふうに明確にうたわれているところでございます。そういうことで、地方公共団体が男女共同参画計画を策定されたり新しい条例をつくられたりということで取り組んでおられるということは承知をいたしておりまして、こういう自治体の動きと私ども国の出先であります地方労働局が密接に連携をいたしまして、国と地方自治体双方の努力で整合性を持った施策が効果的に実施されるということが大変大事であるというふうに思っております。  そういうことから、私どもは各都道府県にあります労働局に対しまして機会をとらえて、地方公共団体との連携、そして情報交換を密にするようにということで指導してまいっております。うまくいっているところもございまして、例えば自治体の方で条例を制定するに先立ちましてそのあり方を検討する懇談会が設置されましたような場合に、その県の雇用均等室長がメンバーに入っているというケースですとか、それから働く女性の問題についても、県に例えば相談の窓口、苦情処理の窓口を設けるケースもございますが、それと地方労働局雇用均等室の窓口の間の連携といいましょうか、必要であれば事案を相互に移送するシステムをつくるなど、うまくいっているケースもあるというふうに思っておりますが、なお先生の御指摘のように不十分な面があれば改善の努力をしたいというふうに思っております。

岡崎トミ子民主党・新緑風会

○岡崎トミ子君 ぜひ具体的に、この新しく基本計画が閣議決定されたきょうの審議を踏まえてやっていただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。  男女共同参画宣言都市奨励事業というのがあって、これまでに幾つかの自治体が手を挙げたと思いますけれども、今どのぐらいになっておりますでしょうか。

坂東眞理子内閣府男女共同参画局長

○政府参考人(坂東眞理子君) 平成十二年度の男女共同参画宣言都市は七自治体ですけれども、今までに行いましたのを全部足しますと三十七自治体になります。だんだん希望する自治体もふえてきております。

岡崎トミ子民主党・新緑風会

○岡崎トミ子君 だんだんといいましても、まだまだという感じもしますよね。そうすると、首長に対しての情報の提供ですとか啓蒙ですとか、そこを積極的に働きかけていかないとなかなか手を挙げ切れないというふうに思います。私たちの方でも柴田町ですかね、もう一つぐらいあるかなというところで、こういったことの人材育成というか、そういう情報の提供、人材の育成を促進していかないと非常に難しいだろうなと。それから男女共同参画推進センターというのもそれぞれの自治体のところでできて、そういうところが機能していかないといけないんだろうなというふうにも思っております。  先ほど経済財政担当副大臣なんだということで、内閣府は、国の最重要課題をこうして促進していくときの財政上の措置というのは考えていらっしゃるのか、連携の強化と一緒に自治体への財政支援というのを積極的にできる方向を考えられるかどうか、お願いしたいと思います。

坂井隆憲自由民主党内閣府副大臣

○副大臣(坂井隆憲君) 経済財政担当としては、国の全体的な予算の基本的な方針などは決めていきますが、個別の予算査定は財務省ということで今一応区分けしておりますけれども、男女共同参画会議の中でどういうものが重点になっていくかということが大体方向が出ましたならば、それはそれで尊重していくことに当然なると思います。  ただ、地方公共団体や民間団体との連携支援というのはただいま委員からお話がありましたように極めて重要なことであり、また厚生労働省でも今の答弁にありましたように十分連携をとっているところであります。我々内閣府としても、全国的な取り組みとして男女共同参画社会づくりに向けての全国会議において、地方公共団体や民間団体関係者、各界各層の国民が一堂に会するような連携の場をつくったりしていますし、先ほどお話がありましたような男女共同参画宣言都市奨励事業というのも実施していまして、私も副大臣になってまず最初にあったのが、私の地元の県で参画都市宣言がありました。宮城県は今のところちょっと少ないみたいなんですが、そういうことで一生懸命そういうムードをつくっていきたいと思っております。  そういう意味で、国と地方公共団体の協力、連携の促進に資するために男女共同参画担当の行政ブロック会議も開催しておりますし、男女共同参画推進連携会議、えがりてネットワークというもので情報交換のネットワークづくりなんかもやっていまして、私も個人的な感じとしましては、私は佐賀県というおしんの里ですか、そういうところでも女性の参画、雰囲気、イメージが大分強くなってきたと思っておりますから、地方自治体と連携をとっていくことが本当の男女共同参画の実現につながっていくと思っておりますので、十分今後とも意を配してやっていきたいと思います。

岡崎トミ子民主党・新緑風会

○岡崎トミ子君 昨日、副大臣のホームページを繰って、大変男女共同参画には積極的な方だということを調べてまいりましたので、ぜひいろんなところの働きかけを財務の方にもお願いしたいというふうに思います。  次に、選択的夫婦別姓の導入と婚外子差別の解消、再婚禁止期間の短縮などを内容といたします民法改正についてなんですが、基本計画の中では「国民の意識の動向を踏まえつつ、引き続き検討」するということなんですが、世論の動向というのはどのように把握しているのか、直近の調査について調査の手法と結果を教えていただきたいと思います。法務省。

山崎潮法務省民事局長

○政府参考人(山崎潮君) 世論調査につきましては、平成八年に行っております。その結果、総数として申し上げますけれども、別姓に賛成という者が三二・五%、それから通称使用に賛成という者が二二・五%、それから別姓反対という者が三九・八%と、こういう数字になってございます。

岡崎トミ子民主党・新緑風会

○岡崎トミ子君 平成八年、一九九六年の調査から大分たっていますよね。ただいまのような古い五年前のことを直近だというふうに言われますと、これは急いで対処すべきだったのではないかということを指摘したいと思います。  法務省としては、一九九六年の二月にこれは法制審議会で結論が出ているんですね。しかも立派な法律案要綱までできておりまして、普通ですと、法制審議会が答申しましたら次は法律になるというのが当たり前だったというふうに思うんですが、これは与党の反対で残念ながら通りませんでした。  男女共同参画審議会の答申では、ぜひ必要に応じて制度の見直しをすべきだということを言った上で、さらに外国の社会制度についても「総合的な視点から調査研究を行う必要がある。」ということなんですけれども、ここまで来なくても、この要綱の中で、例えば今私がこだわっている非嫡出子の相続の問題、第十のところで「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分と同等とするものとする。」ということで、きちんと明快に書かれてあるものなんです。  ぜひ私は、この非嫡出子問題について、平等の原則と、それから子供の権利というか、子供の利益をまず基本として第一に考えるべきだという子どもの権利条約と、それから国際機関からの指摘もあるということから、非嫡出子に対する差別はぜひ解消しなきゃいけない。  権利条約を批准していてもはね返りがこの程度なわけなんですけれども、ぜひこの際、人権の尊重、子供の権利の確立という観点から、あるいは別姓制度と再婚禁止期間の短縮の問題もすごく大事なことですけれども、これとセットで非嫡出子相続、婚外子差別の解消ということも含めて、家族全体の問題として考えるべきだというふうに思うんですけれども、この相続に関する差別の問題についてどのようにお考えでしょうか。

山崎潮法務省民事局長

○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘の点につきましては、婚姻制度あるいは離婚法制、制度、これを全般的に見直すという観点から、法務大臣の諮問機関でございます法制審議会で調査審議が行われました。  そして、先ほど御指摘がございましたが、平成八年二月にただいま提起されました選択的夫婦別氏制度あるいは嫡出の子と嫡出でない子の相続分の同一化、そういう論点のほかに、女性の婚姻適齢の引き上げ、あるいは裁判上の離婚原因の見直し、そういうものも含むものとして民法の一部を改正する法律案要綱ということで答申がされたという経緯がございます。残念ながらこの点は法律案として提出されなかったという経緯はそのとおりでございます。

岡崎トミ子民主党・新緑風会

○岡崎トミ子君 繰り返しますが、九六年の調査でとまっているということもございますので、ぜひその点の積極的な調査も含めて、意見も聞きながら、それからもう一度要綱も読み直していただいて、私たちも連携をしていきたいと思っておりますので、取り組みについて積極的にお願いをしたいと思っております。  ずっと基本計画全体を見てみますと、どうも具体的に施策としてはなくて、検討するというのが目立ちますよね。二〇〇五年度までにその結論を得るということについて先ほどちょっと伺っても難しそうなんですけれども、やっぱり基本計画を策定しっ放しではいけないので、二〇〇五年時点での達成の状況の確認方法についてどのように考えているか、伺いたいと思います。

坂井隆憲自由民主党内閣府副大臣

○副大臣(坂井隆憲君) ただいま御指摘のように、具体的施策中、検討するという項目が多いという御指摘ですが、この点については、ただいまの夫婦別姓の話でもそうですが、合意形成のためにやっぱりなかなか時間がかかります。十分な議論がそういう意味では必要ですし、国民の意識自身も踏まえる必要がありますから、検討するということで盛り込んでいるわけであります。  ただ、もとより、これら検討するとした項目についても、二〇〇五年度末までに必要な検討を行うこととしておりますし、この基本計画にも書いてありますように、いろんなフォローアップ、白書の作成、あるいは監視とか、そういう項目もありますので、そういうようなものも十分配慮しながらフォローアップの中で必要な検討はやっていきたいと思っています。

岡崎トミ子民主党・新緑風会

○岡崎トミ子君 年次報告もしっかりしていっていただきたいなというふうに思います。  私は、ちょっと今、民法改正の問題と、それから均等法絡みで言うと間接差別の問題ですとか触れましたけれども、そのほかにDV法とかリプロダクティブヘルス・ライツ、女性と健康の問題について、それからきょうはパートについては触れませんでしたからパート労働、派遣労働について両立支援法、ここを個別法を一つ一つつくり上げていくということがこの法律の精神、理念を実現することにつながっていくので、その個別法の整備の重要性とその決意を伺いたいと思います。

坂井隆憲自由民主党内閣府副大臣

○副大臣(坂井隆憲君) 個別法の話は、確かに男女共同参画社会の形成を促進する上に非常に重要なことだと思っています。民法の問題もパートタイム労働の問題も、これは社会保険の保険料の百三十万というものの問題とかいろいろなものにかかわってくる問題でありますし、より幅広い観点から民法の問題、さっきの非嫡出子の問題などを含めていろんな重要な事項が多いわけでありまして、これらの個別法の整備に係る事項についても当然のことながら検討する旨記述しているわけであります。  ただ、先ほども申し上げましたように、国民の意識の動向とか、あるいはみんなの意見の集約とか、そういうものも必要ですから、そういうものを十分配慮しながら検討を進めていくべきものと思っております。

岡崎トミ子民主党・新緑風会

○岡崎トミ子君 ありがとうございました。

大森礼子公明党

○大森礼子君 公明党の大森礼子です。  今、岡崎委員の方からも質問があったんですが、選択的夫婦別姓のことについて私もまた冒頭に聞きたいと思います。  今、岡崎委員は、九六年、平成八年の調査でとまっているので積極的に対応していってほしいと、こういうふうに御意見を述べられました。私は、選択的夫婦別姓の部分については、今から調査するよりも早くやっちゃった方がいいんじゃないかと、こういうふうな考え方を持っているものであります。  平成八年のこの調査の結果でも、先ほど数字を挙げられました、賛成三二・五%、通称使用二二・五%、反対が三九・八%なんですね。大事なのは、賛成が何%かというよりも反対が何%かということが大事なのではないかと。反対が三九・八%しかいなかった、こういうふうに見ることもできるのではないかと、こういうふうに思います。  それから、これはあくまで選択的でありますから、同姓でやりたい人はこれまでどおりやればいいのでありまして、そうでなくて、いろんな事情からどうしても別姓が必要だ、それで結婚の意思ももちろんある、こういう場合に選択的、これでもだめなんだという合理的な理由があるのか、こういうアプローチをすべきではないかと私は思っています。  世論調査ではすぐ数値だけは出るんですけれども、じゃどういう方が答えているか。例えば二十代、三十代、四十代、五十代、もしかしたら八十代の方にも聞いているかもしれません。例えば八十代の女性に選択的夫婦別姓はどうですかと言って、いいですねと言ったら、これはまことに希有な女性であろうとは思うわけで、要するに若い方が、二十代、三十代、四十代、これからの女性のあり方を考えていく場合に、こういう方が何を望んでいるかということを私は考えるべきだと思います。  そうすると、これまでのこの世論調査、そして世間でいろんな動きを見ますと、もう既に少なくとも選択的夫婦別姓、この部分については大体もう実現すべきときになっているのではないかなと、こういうふうに思っております。  それで、調査はいいのですけれども、じゃこれからゆっくり調査しますからその結果を待ってくださいといいますと、また先になるんじゃないかなという、ここを一点心配するわけであります。  冒頭に副大臣にお尋ねしますが、副大臣はこの別姓、選択的ですよ、に賛成ですか反対ですか。まずここからお聞きしたいと思います。

坂井隆憲自由民主党内閣府副大臣

○副大臣(坂井隆憲君) 選択的夫婦別姓については、自民党でもいろいろ議論がありまして、当時から私は賛成論者であります。  私は、ちょっと話は延びますが、これから少子化になっていくと子供が女の子だけとかいう場合も多いし、例えば墓なんかもどうするのかなとか思うわけですね。それで、だんだん、私の家内も娘二人の家ですけれども、その実家はやっぱりもう墓を守る人がいなくなってくるんです。墓なんかもどうすればいいのかな、じゃ女房も最初からもう夫婦別姓にしておいて、おまえ実家の墓にも入れやというふうなことを言ったり、昔していたぐらいであります。  ただ、さっきの岡崎委員の話じゃありませんが、国民の意識、議論というのはいろいろ違いまして、私は賛成論者ですが、私の郷里佐賀県では別に八十歳の女性に聞かなくても、五十代の女性でもやっぱり反対という人はいるんですよ。ですから、そういう意味で、やっぱり十分意見を踏まえながら意見の集約を図っていかないといけないなと思っているわけであります。

大森礼子公明党

○大森礼子君 いろいろ意見を聞きながらですが、ある程度、じゃいつまで意見を聞くのかということがございまして、どこで決断するかということだと思うんですよ。それで、私が申し上げるのは、いろんな事情から、中にはお墓の問題で悩んで、これも大事な悩みだと思いますよ。だから、夫婦別姓というのは家制度を壊すと言って反対している方は、こういう点もちょっと見ていただきたいなと思うぐらいであります。  やはりこれから一番大事なことは、女性にとっての自己実現といいますか、ずっと女性として仕事をしてきた、そうするとその人の業績といいますか行為というものは名前ということでアイデンティファイされる、同一化されるわけでありまして、これが途中から変わりますと、その後の活動といいますか業績といいますか、これはまた別人であるかのような印象を与えてしまう。一貫して女性が仕事を持つ場合なんかでも、やはり社会的に認識され、その名前が同一でなくてはいろんな不利益を受けるという、私はここら辺をベースに考えるべきではないかなと思っております。  それから、中には先ほど言った一人っ子とかそういうことで祭祀を承継するとかお墓を守るとか、そういうことで全く御夫婦と変わらないのに婚姻できないままでいるという、こういう方もこれはもう今までもいらしたと思っております。  それで、副大臣、僕は賛成ですがこれから意見を集約してじゃなくて、賛成でしたら、その考えは正しいと思いますから、自民党の中で、特に今自民党の女性議員の方もまずこの選択的夫婦別姓をやろうじゃないかと声を上げていますから、こういう女性議員の方のぜひサポーターとなって元気に活動していただきたいなと、このように思っております。  いろいろきょう質問しようと思ったんですけれども、例えば平成八年十二月の男女共同参画二〇〇〇年プラン、これと比べて全然今回のは変わっていないじゃないかという、これが先ほどの御質問でした。  それから、十二年九月に要するに男女共同参画審議会が、政府が基本計画を策定するに当たっての基本的な考え方を示した、あのプランの方ですね。ここのところでこう書いてある。「例えば、夫婦同氏制など家族に関する法制」、これは見直しの対象として挙げているわけです。それから「個人のライフスタイルの選択に大きなかかわりを持つものについて、」「必要に応じて制度の見直しを行うべきである。」、これは基本的な考え方の八ページですけれども、非常に積極的な表現をしたなと思って、私はうちの党の機関紙であります公明新聞で女性局長としてここでも非常に積極的に評価したんですね。評価したのに今度は基本計画を見ましたら全然また元に戻っている、むしろ後退した感があるわけであります。  それから、今回の計画の中で個人のライフスタイル、この言葉は出ていますけれども、ここの部分から選択的夫婦別姓というものが落ちているんです。  そこで、もうまとめて質問しますが、表現が非常に後退しているんですよ。これは何か理由がありますか。それとも、単にちょっと余り深く検討しなかったからこういう後退したような表現になっただけだということなのか、これをちょっと確認させてください。

坂東眞理子内閣府男女共同参画局長

○政府参考人(坂東眞理子君) この基本計画は二〇〇〇年プランを踏まえておりますし、また審議会の方でもおおむねいただいた意見に沿っているというふうに御承認いただいておりますので、後退ということはないと思います。

大森礼子公明党

○大森礼子君 私が今お聞きしたのは、平成十二年九月に出ました基本計画を策定するに当たっての基本的な考え方、この答申を基準にすると何かすごく後退しているように思うんですが、これはいかがでしょうか。後退していないと。それでよろしいんですか。

坂東眞理子内閣府男女共同参画局長

○政府参考人(坂東眞理子君) 先生方の、答申をいただいた審議会の方で、この基本計画についてはおおむね趣旨に沿っているというふうに御承認をいただいておりますので、その線に沿っているというふうに考えております。

大森礼子公明党

○大森礼子君 では、要するに結論からいうならば決して後退してはいないんだ、こういうことでよろしいわけですね。

坂東眞理子内閣府男女共同参画局長

○政府参考人(坂東眞理子君) はい、そのとおりでございます。  また、先ほど副大臣の方からお答えしましたように、まだ消極的な意見、いろいろな考え方を持たれる方もおられますし、また選択ということについて御認識していらっしゃらない方もいらっしゃるのではないかと思いますので、いろいろな機会、それこそいろいろなシンポジウムですとか地方のフォーラムですとか、あるいは情報提供とかを通じてこの問題についての認識を深めていただくようにせいぜい努力をしていきたいと思っております。

大森礼子公明党

○大森礼子君 ありがとうございます。  今も触れられましたけれども、この平成八年当時ですと、本当に選択的なんだということも理解しないまま、みんな別姓なのかと思って、国会の中ででもですよ、国会議員さんの中でも反対反対とかと言っておられた、その時代でも先ほど言った世論調査の数字であるということですね。ともかく、選択的であるということをもう間違える人はいないと思うんですけれども、いると不幸ですから、こういうことをまず啓蒙していく必要があると思います。  それから、先ほど言った氏名の同一性が途中で変わると非常に不利益を受けるという例で、これは二月十九日付の朝日新聞の記事なんですけれども、これは女性研究者のことについて書いていまして、「学会では旧姓…補助金申請は戸籍名」ということです。それで、科学研究費補助金の申請については現行法では戸籍名を書いてそれから旧姓の併記方式と、これが限界であるというように文部省はしておられます。こういう女性研究者の方は、学界の方で一般化している旧姓使用を国の科学研究費補助金の申請でも認めるようにと、こういうふうに要望しております。これについていかがお考えでしょうか。

結城章夫文部科学大臣官房長

○政府参考人(結城章夫君) 文部科学省の科学研究費補助金の申請におきましては、申請者の同一性を把握する必要がございます。そのための最も確実な方法といたしまして氏名を戸籍名で取り扱うことを原則としておりますが、また同時に申請者が旧姓の表示を希望する場合には旧姓を括弧書きで併記するという取り扱いをしてまいりました。  しかしながら、今、先生お話しございましたように、旧姓など研究活動において使用する姓名のみによる表示を求める声が女性の研究者の間などで高まってきているということから、今後はこれまでの取り扱いを改めまして、旧姓や通称のみによる表示を認めていく方向で具体的なことを検討してまいりたいというふうに思っております。

大森礼子公明党

○大森礼子君 すばらしいお答えですね。  実は、これまでの従来の御主張をなさったら、そんなのだったら研究者の名前を記載して、括弧の中に戸籍名を記載したらいいじゃないですかなんて、せめてここら辺は勝ち取ろうかなと思ったんですけれども、はるかにそれを超えたお答えで、非常にこういう方は喜ばれると思います。そういう使っている名前とそれから戸籍上の名前をやはり一致させるためにも別姓ということは推進していかなくてはいけないと考えています。  時間の関係で次へ行きます。  次にドメスティック・バイオレンス対策なんですけれども、基本計画六十八ページに、「夫・パートナーからの暴力への対策の推進」と、これは記載がございます。夫婦別姓の記載とは違って、こちらの方は踏み込んだ対策の打ち出しだと思っております。  ここのところで、民間シェルターの活動支援について伺いたいと思うのですけれども、基本計画の中には「民間シェルターや社会福祉法人など民間組織との関係や、活動の支援等の連携の在り方についても検討する。」とあります。それから、基本的な考え方、答申の方ですね、あちらの方でも「民間シェルターについても、関係機関との関係の強化を図るとともに財政支援も含め様々な支援の在り方の検討が必要である。」と、こういう基本的な考え方の方では「財政支援」という具体的な言葉も使っております。それで、一応検討の対象となっているわけですけれども、財政支援という方向についてはどういうふうにお考えなのか、お尋ねいたします。  それから、あわせて民間シェルターや社会福祉法人など民間組織との関係や活動支援等の連携のあり方についてもどのように進められていかれるのか、お尋ねいたします。財政支援の方については、まず内閣府の方にお尋ねいたします。

坂東眞理子内閣府男女共同参画局長

○政府参考人(坂東眞理子君) いわゆる民間のシェルターあるいは社会福祉法人などの民間組織が大変厳しい運営状況の中で立派な自主的な活動をされていることは十分承知しておりまして、国としてもできる限りの支援をしていきたいと思っております。  具体的には、公的機関との連携を密にしていくこと、あるいは最新の情報を逐次提供していくことなど、御指摘の財政支援に限らず、いろいろな支援のやり方があるのではないかなと思っておりますが、今後、関係省庁においても具体的な措置を検討していく必要があるというふうに思っております。  内閣府としては、平成十三年度におきましては、夫・パートナーからの暴力の被害者の対応に当たる官民の機関が必要な情報を共用でき、一層連携が図っていけるようにデータベースを構築する、作成するということをしておりますし、こうした措置を通じて民間組織を支援していきたいと思っております。

大森礼子公明党

○大森礼子君 それから、厚生労働省の方からも、実は月曜日に婦人相談所などの機能強化という点について質問したのですけれども、やはり同じようにこれからDVについては婦人相談所の役割が重要になりますので、この点どういうふうに民間とかと連携を図っていかれるのか、簡単で結構です、お尋ねします。

岩田喜美枝厚生労働省雇用均等・児童家庭局長

○政府参考人(岩田喜美枝君) これまでも公的な機関として婦人相談所、婦人保護施設、そして子連れの場合には母子生活支援施設などで被害者の保護、支援をしてまいりましたけれども、今、先生御指摘のように、暴力の被害を受けた方は精神的な面あるいは身体的な面、さらには経済的な自立といったような面でさまざまな問題を抱えておられます。  そういうことで、一つの機関だけですべてができるということではないということで、関係機関が、民間も含めてネットワークをつくって連携するようにというふうに考えておりまして、厚生労働省としては平成十一年の四月に配偶者からの暴力への対応について都道府県に初めて本格的な通知を出したわけでございますが、その通知の中でもボランティア団体等との協力推進をうたいましたし、また毎年各都道府県を集めた会議をやっておりますけれども、そこでも民間シェルターを初めとしたボランティア団体とよく連携強化するように、各地域ごとでそのドメスティック・バイオレンスの被害者の保護支援ができるようなネットワークをつくるように、あるいは既にあるネットワークに入るようにというふうなことで指示をいたしております。

大森礼子公明党

○大森礼子君 今のお答え伺いましたけれども、これからは全部が国とか地方の公務員が考えるというのではなくて、やはり民間団体のそういうノウハウとか、こういうものも大いに生かしていくという、こういう時代になってくると思います。ぜひこの民間団体との連携強化を図っていただきたいと思います。  時間の関係で、最後にメディアにおける女性の人権の尊重のところについて第三者機関とかお聞きしようと思ったんですが、時間が来ましたので以上で質問を終わります。

林紀子日本共産党

○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。  今まで何人かの方から指摘がありましたけれども、今回の男女共同参画基本計画、これを見ますと、男女共同参画社会基本法が制定され、そしてこの計画というのも閣議決定ということで格上げはされたということですけれども、中身を見るとどうかということなんですが、二〇〇〇年ビジョンやプランよりも後退しているのではないかというふうに思わざるを得ない点があるわけです。女性の地位向上や男女平等の実現に向けて、これは実効性が高いのではないかと女性たちが大いに期待している、そこのところが抜け落ちているというふうに思うわけなんです。  例えば男女賃金格差の是正の問題。我が国の男女賃金格差は欧米諸国と比べても非常にその差が大きい、こういうことはもう残念ながら常識というような事態になっていますのに、ビジョンやプランでは施策の大きな柱としてこの賃金格差解消に向けた取り組みというのがうたわれていたのに、基本計画では全くここが抜け落ちているんじゃないかというふうに思うわけです。また、二〇〇〇年プランにあったグラスシーリングの解消のための取り組み、これもなくなっております。それから、昨年九月の審議会答申に指摘されていた選択議定書の批准とか男性中心の働き方の見直し、一日当たりの実労働時間の短縮、こういうものも計画から落ちている。真の男女平等な社会実現に向かって前進をしていくんじゃないかと思うのに、こういうところを見ると何だか後退しているようで大変心もとない思いがするわけです。  私は、そこで具体的にお聞きしたいと思います。  まず、厚生労働省岩田局長の方にお聞きしたいんですけれども、基本計画では均等法に基づく行政指導の強化ということを挙げていらっしゃいます。労働省は九四年に金融業界、民放業界の六百五十五社を均等法違反の疑いで一部立入調査を含む調査と個別指導を行った。これは当時の新聞に大きく出ております。そしてその上で、日本民間放送連盟、全国信用金庫協会に対し文書で改善指導を行ったということなんですけれども、どんな点を指導して、そしてそれは指導によって改善されたのかどうか。これは九四年の話ですから前の話になりますが、お聞きしたいと思います。

岩田喜美枝厚生労働省雇用均等・児童家庭局長

○政府参考人(岩田喜美枝君) 先生のお尋ねに直接お答えする前に、まず均等法の施行の流れを簡単に御説明させていただきたいと思います。  均等法は昭和六十一年に施行になりまして、それから数年の間は、業種を問わずテーマを問わず、とにかく均等法の考え方あるいは均等法によって事業主がどういう義務ができているかということを広く徹底するということで数年間やってまいりました。そういった施行の経験を通じまして、業界によっては業界特有の問題があるケースがあるということがわかってまいりまして、そして、そういうようなことから、平成四年から七年にかけてでございますが、行政の内部でですけれども、特定の業界を重点指導対象業界というふうに位置づけ、あるいは特定のテーマを優先的に取り組むテーマというふうにしてやってきたわけでございます。  そういう中で、例えば今お尋ねの金融業界についてですけれども、金融業界につきましては、当時、大卒の採用区分あるいは総合職の採用区分に女子が排除されていたとか、あるいは排除はされていないけれども自宅通勤ということを条件とするといったようなケースが多く見られました。また、配置についても営業職などから女性が排除されているというケースもございました。さらに定年制では、定年が男女別に決められているというようなケースも当時はまだございまして、そういうような重点業種を対象とした。当時婦人少年室でございましたが、婦人少年室の個別指導結果を取りまとめまして業界の団体あてに、おたくの業界にはこういう問題がありますから傘下の企業をよく指導していただきたいという旨の要請書を出したということがございました。  そして、平成十一年から均等法が改正されまして、次の強化された均等法を今度はどういうふうにまた業界を問わず全体的に定着させるかという段階に参りましたので、ここ数年は特定の業界を特定してということはやっておりませんけれども、業界横断的に改正均等法を周知徹底するための努力をいたしております。  この施行を通じて、新たに特定の業界について特定の問題があるようだというようなことになれば、またかつてとったような手法も検討に値するかというふうに思いますが、当面は十一年の改正内容を周知するということでやっているところでございます。

林紀子日本共産党

○林紀子君 いろいろしてくださっているということなんですけれども、しかし女性に対する差別的取り扱いの実態というのはほとんど変わっていないんじゃないかというふうに思うわけです。  当時の新聞では、特に問題が多かったのが各地域で有力企業とされる信用金庫、こういうふうに名前を挙げているわけですが、その問題の多い信用金庫、東京の芝信用金庫で働く十三人の女性労働者が十四年前に昇格差別で会社を訴えていた裁判、昨年末、十二月二十二日ですけれども、東京高裁は原告らを課長職として処遇すると。今までにない判決だということですね。そして、過去にさかのぼって課長職と現職との差額賃金や慰謝料、弁護士費用を支払うように命じる画期的な判決を出したということなんです。  同期の男性はほぼ全員昇格したのに、なぜ自分たちはいつまでも平にとどめ置かれるのかと訴えた女性たちに、金庫側は課長への昇格試験に受からないからだと、こういうことをずっと言ってきたわけです。しかし、裁判所は、男性であれば年功順に全員昇格していることを総合判断すれば、昇格試験のうちの五〇%を占める人事考課で男性を優遇していると推認できると判断をしたわけです。  この判決につきまして朝日新聞は、「いわれなき差別に今も苦しむ女性たちに勇気と希望を与える判決といえよう。」と社説を掲げておりますし、多くの女性たちが本当にこういうふうに思ったと思うんです。裁判所が労働基準法違反ということでこういう判決を下したというのは大変重い事実だというふうに思うわけです。  厚生労働省として、この判決が指摘した差別的取り扱いを是正する行政指導、直ちに行ってほしいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

岩田喜美枝厚生労働省雇用均等・児童家庭局長

○政府参考人(岩田喜美枝君) 地方の雇用均等室では、例えば女性労働者から相談がありまして、こういう問題を抱えているから解決をしてほしいという、そういう御相談があった場合には、問題解決のために調査をし、必要であれば企業に対し行政指導をいたしておりますし、またそういう相談がなくても、年間その職員が計画的に各企業を訪問しまして、法違反が見つかれば適切な指導をやってきているわけでございます。  今、先生が御指摘の個別の事案につきましては、まだ引き続き裁判で係争中であるというふうに伺っておりますので、本件について雇用均等室が現時点で企業を指導するというのは適当ではないというふうに思っております。

林紀子日本共産党

○林紀子君 今、局長がおっしゃったように上告を芝信用金庫側はしてしまったわけです。しかし、十四年間闘ってきた。生まれたばかりの子供がもう中学生になる、そのくらいの年限の間を本当にこの十三人の人たちは頑張ってきたわけですけれども、既に四人の人たちが、これに勝利判決は得たけれども、課長になれないまま退職をしてしまった、あと一人の人ももう間もなく退職を迎えるという、こういうことになっているわけです。上告をしてまた延々かかってしまったら、本当にこの十三人のうちの何人かが、高裁が差別である、これはもう許すことができないんだというふうにはっきり認定をした、ここに、きちんとした状況にならないうちに退職をしなくちゃいけない。だから、上告をしたということは、芝信用金庫側は退職するのを待っているんだというふうに思わざるを得ないような状況もあるわけです。  だから、これだけはっきりと労働基準法の違反であるということが、今までいろいろ大変な思いをしながら判決をかち取ったわけですから、ここは行政が手を差し伸べて、ですからこの判決とは別でもいいです、裁判によってでなくて、こういう事実があるじゃないか、九四年のときにももうずっと調べてきているわけですからね。ですから、それがまだずっと是正されないで課長になれなかったということで、これは大変重い事実だと思うんです。その事実に対してぜひ是正勧告、是正措置というのを行政指導でしていただきたい。  このままだったら本当に十四年間闘ってきた十三人の人たちのその思いというのは晴れないんじゃないかと思いますが、もう一度お伺いしたいと思います。

岩田喜美枝厚生労働省雇用均等・児童家庭局長

○政府参考人(岩田喜美枝君) 先ほどのお答えを繰り返すことになって大変恐縮でございますが、まさにまだ裁判所で係争中でございますから、そういう事案については、本件に限らず、私どもの方で積極的に出向いて行政指導するというようなことは控えておりますので、本件についても引き続きそういう対応でやってまいらざるを得ないと思っております。

林紀子日本共産党

○林紀子君 今言いましたように、それはもう本当に両者のあれが違っているわけですけれども、労基法違反だというふうな実態があるわけです。その実態があるというところにぜひ着目をしていただきたいというふうに思うわけです。  だから、かつて企業が男女別の雇用管理を総合職と一般職というコース別管理に置きかえたように、企業は依然として労働基準法や均等法を何とかすり抜けて差別的取り扱いというのをしているのが今の実態だと思います。  コース別雇用管理の実態も含めて、行政指導の状況や企業の実態についてももっと情報公開をして、だから、芝信用金庫は裁判になったからこういうふうに明らかになっているわけですけれども、まだまだ同じような実態がたくさんあるからこそこの朝日新聞も「いわれなき差別に今も苦しむ女性たちに勇気と希望を与える判決」だと言っているわけですからね。その実態というのを行政側としてもちゃんと調べて、それに対してきちんと対応するということはぜひ必要ではないでしょうか。

岩田喜美枝厚生労働省雇用均等・児童家庭局長

○政府参考人(岩田喜美枝君) 今、先生が問題として御指摘されておられます個別の企業にということではございませんで、均等法の施行状況全般について実態を把握して、それを情報公開するというのは大変大事なことであるというふうに思っております。  二つのやり方があろうかというふうに思いますが、一つは統計調査という手法で、定期的に企業の雇用管理の実態、企業の中における女性の地位の実態を調査しまして、その結果を公表するというのが一つのやり方であろうというふうに思います。もう一つは、私どもの出先の雇用均等室で年間を通じて多数の相談を受け、それを処理しておりますし、また法違反があるということで均等室は是正指導をしているということもございますので、これも一年に一回取りまとめまして、全体的な状況とあわせて、まさに先生が言われるように、ほかの企業の働く女性の御参考にもなるように、またほかの企業の経営者にも参考にしていただくようにということで、幾つか代表的な事例は、プライバシーの保護ということも考えまして固有名詞は付しておりませんけれども、御参考になるような事例情報も取りまとめまして、それは一年に一回公表してまいりました。  引き続きこういった実態把握の努力、そしてそれを積極的に国民に公表していくということは続けてまいりたいというふうに思います。

林紀子日本共産党

○林紀子君 そして、その情報公開の中に、どうしても男女平等というのをきちんと担保していかない企業は企業名を公表するという企業名公表制度というのも計画では書かれております。これは答申より前進をしている面だということで私も評価をしているわけですけれども、しかし九四年のときに指導をしてきて、そして今までずっとやっているのに、裁判でこんな判決が出なければ救われないような、そういう状況があるということでは……。  では、今の裁判にかかわっている分じゃなくて結構ですから、そういう実態というのを企業名公表まで含めてするべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

岩田喜美枝厚生労働省雇用均等・児童家庭局長

○政府参考人(岩田喜美枝君) 企業名公表につきましては、平成十一年の均等法改正のときに初めてその制度を法律上位置づけております。  その均等法の企業名公表の仕組みでございますが、まず国が違反をしている企業に対しまして助言、指導、勧告という行政指導がございますが、行政指導の中で最も強い勧告ということで指導いたしまして、勧告をしたけれども是正されないという場合にその企業名を公表するという、こういう仕組みを設けたわけでございます。  現在のところは、例えば直近の数字ですと、平成十一年度に企業に対しまして是正指導いたしましたのは全国で七千百七十六件でございましたけれども、いずれも企業名公表に至る前の段階で企業が是正をしてくださいましたので、企業名公表に至ったケースは今のところはございません。

林紀子日本共産党

○林紀子君 企業名公表ということになっているけれども、まだ一度もないということなんです。  ちょっと坂井副大臣にお聞きをしたいんですけれども、先ほどこの基本計画を御説明いただいたときに、男女共同参画にかかわる情報の収集・整備・提供というのは、これは新しいものだということで、ここを特に強調して御説明くださったわけですが、今のお話、やりとりを聞いておりまして、基本計画には、政策・方針決定過程の透明性の確保ということも含めて全省庁で取り組むこと、国を挙げて取り組むことだというふうなことがうたわれておりますので、内閣府も含めてこれは頑張っていただきたい。そして、本当に必要なときは企業名公表というのを、まあ今まで全然ないというのは差別の実態から見たら本当に不思議に思うわけですけれども、そういうところはきちんとやっていくように、情報公開もするべきだということもぜひ、厚生労働省とも先ほど連携をとってということを言っておりましたので、その辺については厚生労働省の方にもきちんとお話をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

坂井隆憲自由民主党内閣府副大臣

○副大臣(坂井隆憲君) 先ほど各委員からいろんなお話がありまして、厚生労働省との連携というのも当然必要なことであります。  ただ、ただいまお話のような個々の企業の名前を出すということは、これは場合によっては非常にいろいろと問題を生ずることもありますので、そういう面については、ただいま厚生労働省の方からお話があったように、個々の企業の違反状況を公表するということは、個人的には私自身も適当ではない、必ずしも適当であるとは思わないというふうに思っているところであります。  いずれにしても、今後とも内閣府と厚生労働省との間における、内閣府の男女共同参画会議と厚生労働省とは緊密な連携をとって、またいろんな議論を進めていきたいと思っています。

林紀子日本共産党

○林紀子君 企業名公表というのは、それだけの重みがあるからこそ設けられて、それが男女平等というのを担保する力になっているわけですから、坂井副大臣のお答えというのは所管する副大臣というふうにも思えないような御答弁だなということを思いましたけれども。  あと一点だけ坂東局長の方にお聞きしたいんですけれども、今回のような裁判などにかかわって、雇用の場における性別による差別的取り扱い等差別の有無が疑われるような場合には、申し立ての立証責任を軽減して相手方の反証責任を重くしていくような方法について広く検討する必要がある、これは答申に指摘されているわけですけれども、これは答申の中でも最も先進的な指摘ではないかと思っているんですが、残念ながら基本計画からはこの反証責任、企業側の反証責任が抜けているんですね。  今の芝信用金庫の裁判のことなども考えますと、本当に原告側は苦労して苦労して自分たちが差別されているんだということをようやく立証できたわけなんです。ですから、この反証責任、差別していないんだったらしていないんだということを一番資料を持っている企業側がちゃんと出す必要がある。  ここの反証責任というのをぜひ今からでもこの基本計画に盛り込んでいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

坂東眞理子内閣府男女共同参画局長

○政府参考人(坂東眞理子君) 男女共同参画基本計画では、昨年九月の審議会の答申、男女共同参画基本計画に当たっての考え方を受けて策定しておりますけれども、委員御指摘の箇所につきましては訴訟における立証責任のあり方という司法制度のあり方に係る問題を含んでいるということで、政府、行政側が策定する男女共同参画基本計画には記述が行われておりません。  しかしながら、雇用の場における性別による差別的取り扱いをなくするために、男女共同参画基本計画においても、例えば雇用機会均等法に基づく機会均等調停委員会等による個別紛争の迅速な解決が図られるよう積極的な援助や相談機能の強化、あるいは調停制度を含めて均等法の履行確保のための方策についての検討などを織り込んでいるところでございますが、将来にわたって、先生のおっしゃったことについては十分その趣旨を踏まえて検討していきたいと思っております。

清水澄子社会民主党・護憲連合

○清水澄子君 社民党の清水です。  「雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保」、この項では「就業は人々の生活の経済的基盤を形成するものであり、男女共同参画社会の実現にとって、この分野は極めて重要な意味を持っている。」と、非常に問題意識ははっきりされております。しかし、その後の方は均等法の説明だけに終わっているという点で非常に甘いと思いますけれども、それは一応置きまして、雇用上の均等待遇で最も重要な課題というのは、やはり男女の賃金格差の是正ということをどのように今後十年間で実施していくのかということがほとんどこの中からは見られないわけです。  日本は一九六七年にILOの百号条約、つまり男女同一価値労働の同一報酬の原則という条約を批准しております。三十四年を経過しているわけですけれども、男女の賃金格差というのはむしろ拡大している、そして他の国のように縮まっていない。この実態、現実というものをもっと重く受けとめるべきだと思うんです。  ですから、これらにつきましても、国連の女子差別撤廃委員会においても雇用における平等というところでは非常に明確に、もちろん雇用の機会等は言っておりますけれども、同一価値の労働についての同一の報酬及び同一の待遇についての権利並びに労働の質の評価に関する取り扱いの平等についての権利というものを明確に打ち出している。これは私たち日本は批准をしているはずですし、私は男女共同参画社会基本法ができるときにも随分この差別撤廃条約の基本理念はすべてこの基本法に反映していると見ていいかということを確認してきましたが、すべてその理念、精神は反映しているというお答えであったわけです。  しかし、これらについても、ほとんどILO百号条約のいわゆる現実的な適用というものが、絶えず日本政府はILOの条約勧告適用専門家委員会からも勧告を受けておるわけです。それに対して非常に狭い範囲で政府は反論をしております。それは、日本は年功序列賃金体系であったとかなんとか、そういうことばかりを述べて、百号条約は日本ではしっかり実行していると。  私は、いつも国際社会で先進国の中では日本だけが、他の国は同一価値労働同一賃金というのを非常に厳密に実行していくためにいろいろな労働裁判所などを通して、機会均等委員会とか平等委員会というのは差別をする者に対してペナルティーをかけた非常に厳しいものをつくって、そしてその努力をしているわけです。日本ではそういうペナルティーというのはかけられていない。  そういう中で、どのようにこの実効性を上げていくかというのは大変大きな課題だと思うんですけれども、あくまでも厚生労働省は、日本の女性の低賃金はこれら、例えば雇用管理のコースのもとに置かれている、あるいは何ら法的な平等の保護を受けていないパート等に女性が集中している、そのことが男女間の賃金格差をつくっているということは、これらの条約とは何ら関係がないというふうに認識をされているのでしょうか。

岩田喜美枝厚生労働省雇用均等・児童家庭局長

○政府参考人(岩田喜美枝君) 先生がおっしゃいましたように、男女間で大変大きな賃金格差があり、それが縮小しないということは大変重い問題であるというふうに思っておりますので、それを軽視しているということは決してございません。  そして、今いろいろな角度から御質問いただいたんですが、まず、男女が同じ仕事についていたのに賃金が違うという、男女同一労働同一賃金についてはどういうルールになっているかと申し上げますと、これがまさにILO百号条約の問題でございまして、これを担保するために労働基準法の四条が昭和二十二年からあるわけでございます。これは違反をすると罰則がかかりますし、実際の履行確保は労働基準監督官がやっているわけでございます。ですから、同じ仕事、全く他の条件が同じであるのに男と女という違いだけで賃金に格差があるということはILO百号条約の問題であり、労働基準法四条の問題であり、これは罰則つきの労働基準法で履行確保を図っているということがございます。  そういう問題と、それからもう一つは平均賃金、統計上平均賃金で見ますと、正社員だけで比べても一〇〇対七〇弱の格差がございますし、パートタイマーを入れますと約一〇〇対五〇ぐらいにまで下がってしまうという、こういう平均で見た男女間の賃金格差の問題があるというふうに思います。  そして、平均で見た賃金格差は、それを是正するための一つの特効薬というのはございませんで、それは格差を生んでいるさまざまな要因に対するさまざまな対策が必要であるということで、大事なことを三つだけ申し上げますと、同じ仕事に男女がつくようになる、同じ職階に男女が昇進するようになるということを保障するための男女雇用均等対策というのが一つの大事な対策であるというふうに思います。また、日本は年功的な賃金でございますから、そういう中で仕事が継続できない状況をなくするということで、仕事と家庭との両立支援対策というのが二つ目の大きな対策であろうかというふうに思います。さらには、パートタイマーその他非正規の労働者がふえておりまして、それも女性がそういう形でつくケースが多いということからくる平均賃金の差という問題もございます。  そういう今申し上げましたような対策を総合的に講じて、これが効果を上げることができれば、その結果として平均賃金の男女間格差というのは縮小するということだというふうに思います。そういう問題意識は十分持って、今回の基本計画の中にも今申し上げましたような三つの大きな対策の必要性については盛り込んでいただいているところでございます。

清水澄子社会民主党・護憲連合

○清水澄子君 それであるならば、ILOに対する政府の二〇〇〇年度の年次報告、それらに対しても、そういう理由だけじゃなくして、やはりいろんな雇用、性別に基づいて差別的な待遇というのが賃金格差につながっていることが日本は非常に多いわけですから、それは結果として間接差別になるわけでしょう。  ですから、さっき同僚議員の方が間接差別について伺ったときに、間接差別とは何かわかりませんという、まだそれらの実態がわかっていないというようなことを言っておられましたけれども、例えばコース別雇用管理が結果として男女の賃金格差を生んでいるということは労働省自身が報告されているわけです。それはなぜかというのは、やっぱり男性と女性と同じコース別で採用してもそこに賃金差別が生ずるような、そういう扱いをされたわけです。それはやはり間接差別に私は当たると思うんですが、もっと間接差別については真剣な取り組みをしていただきたいと思いますが、いかがですか。

岩田喜美枝厚生労働省雇用均等・児童家庭局長

○政府参考人(岩田喜美枝君) 間接差別についてはさまざまな議論がございました。おっしゃいますように、コース別雇用管理がそれに当たるんではないかという御指摘ですとか、それから例えば諸手当の中で世帯主要件を課しているようなものがそれに当たるのではないかなど、多くの議論がなされているということは承知をいたしております。  間接差別について、何が間接差別か、それを是正するためにどういう対策を講ずることができるかということについては、先ほども御答弁申し上げましたように、なるべく早い時期にそういうことを議論する場を設けまして、コンセンサスの形成がなされるよう努力してまいりたいと思います。そのことは男女間の平均賃金のまた格差是正にも大きく寄与するものであるというふうに思っております。

清水澄子社会民主党・護憲連合

○清水澄子君 ことしの六月のILO総会で百号条約について日本の問題が取り上げられますね。これは国立病院の臨時職員の問題について賃金上の差別というのが提訴されているわけですが、やはりそういう面でも私は、もう日本の中ではこれまで裁判でも、今こちらの林さんも言いましたけれども、芝信用金庫の裁判でもそれから長野の丸子パートの裁判でも非常に女性差別、賃金差別であるという判決がもう出ているわけですから、日本政府はただILOの条約勧告適用専門家委員会に言いわけだけしているんじゃなくて、もうはっきり日本みずからが賃金差別をなくすために我々はこうするんだという、そういう態度で六月には臨んでいただきたいと思いますが、いかがですか。

岩田喜美枝厚生労働省雇用均等・児童家庭局長

○政府参考人(岩田喜美枝君) ILOの仕組みでございますが、六月にILO総会がございます。そして、ILO総会の中に条約勧告適用委員会が設置されまして、具体的な個別のケースについて、批准している条約に照らして加盟国がきちっと履行しているかどうかということの議論がなされるわけでございます。そこでどの国のどういう案件を取り上げるかということは六月のILO総会の中で決まることでございますから、日本の百号条約問題がそこで取り上げられるということが今決まっているわけではございませんが、そういう動きがあるやに私も内々情報は得ております。  そういうことになりましたら、日本の賃金格差の現状、そしてそれを是正するための対策について国際的に御理解をいただけるようにきちっと御説明したいというふうに思いますし、また諸外国の政府、労使が日本の賃金格差についてどういうふうに見ておられるかということについてもきちっと聞いてまいりたいというふうに思っております。

清水澄子社会民主党・護憲連合

○清水澄子君 次に、アンペイドワークについてお伺いしたいわけです。  基本計画の二十一ページ、二十ページに、無償労働について数量的な把握の必要性については強調されている。この点では私は少し進んだのかなと思ってはおりますけれども、これらについてはもう国連の二〇〇〇年会議の成果文書の中でもはっきり、あらゆる国の統計とかそういうものがほとんどそういうジェンダー視点で統計がとられていなかったとか、特にアンペイドワークについてはいろんな国が、特に先進国では統計が非常に進んでおります。そして、それらの統計の結果出てきた問題を政策に転換しているわけです。  男女共同参画局としては、この基本計画の中でも今後どういうふうにアンペイドワークの問題の調査の開発、そういうものをどうやろうとしているのか、それからそこから何をつかんで、どのような政策に反映させようとされているのか、お伺いしたいと思います。

坂井隆憲自由民主党内閣府副大臣

○副大臣(坂井隆憲君) アンペイドワークについては、ただいま委員御指摘のように、男女共同参画基本計画において、まず無償労働の数量的把握、時間量をよく把握するということを一つの課題として掲げております。  この無償労働の時間量というものが実際どのくらいあるかというのもまだなかなかはっきりした把握ができておりませんので、社会生活の基本調査、ここに書いてありますように、基本調査などで生活時間の配分に関する調査をよく行って、無償労働時間量を把握し、どういうふうに女性のアンペイドワークの果たす役割、少子高齢化の中でのアンペイドワークの果たす役割というものをよく認識していきたいと思って、その中で基本計画に沿って男女共同参画会議の中で議論を深めていきたいと思っています。

石井道子自由民主党・保守党

○会長(石井道子君) 午前の調査はこの程度とさせていただきます。     ─────────────

石井道子自由民主党・保守党

○会長(石井道子君) この際、御報告いたします。  女性に対する暴力に関するプロジェクトチームの協議の経過等につきましては、去る一月三十一日の本調査会におきまして座長の南野知惠子君から中間報告がなされたところでありますが、その後、保護命令の内容等についての協議を重ねまして、昨日、お手元に配付いたしました法律案骨子の概要を取りまとめた旨、本日の理事会に報告がありました。  今後、これをもとに条文化の作業を進め、各派での調整に入ることになりますが、委員の皆様方におかれましては、内容をよろしく御検討の上、一層の御支援、御協力を賜りますようにお願い申し上げます。  午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会

石井道子自由民主党・保守党

○会長(石井道子君) ただいまから共生社会に関する調査会を再開いたします。  午前に引き続き、共生社会に関する調査のうち、「男女等共生社会の構築に向けて」を議題といたします。  午後は、女性の自立のための環境整備に関する件のうち、女性の経済・社会的自立支援について参考人から意見を聴取いたします。  本日は、中京大学経済学部教授都村敦子君及びお茶の水女子大学生活科学部助教授永瀬伸子君に参考人として御出席をいただいております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、大変御多忙の中を本調査会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。  参考人の方々から、女性の自立のための環境整備に関する件のうち、女性の経済・社会的自立支援に関して忌憚のない御意見をお述べいただきまして、調査の参考にしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  議事の進め方でございますが、まず、参考人からそれぞれ二十分程度御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じます。  なお、御発言は、意見、質疑及び答弁とも着席のままで結構でございます。  それでは、都村参考人からお願いいたします。都村参考人。

都村敦子中京大学経済学部教授

○参考人(都村敦子君) 最初に、共生社会に関する調査会において意見を述べる機会をお与えくださいましたことを感謝申し上げます。  我が国の女性雇用者は、一九九九年には前年に比べて八万人減と、一九七五年以来の減少となりましたが、趨勢として見ると増加傾向にあります。その背景には、女性の強い就労願望、家計の経済的必要性、経済の労働力需要の増加、それに国際的な男女平等の潮流等があります。  しかし、増加傾向にあるとはいえ、他の国と比較すると対照的です。  我が国では、十五歳以上の女性の二人に一人しか働いていませんが、北欧諸国の女性労働力率は七〇%強、北米諸国のそれは五七%から六〇%です。また、我が国の年齢階級別の労働力率は、いまだに三十歳から三十四歳層をボトムとするM字型カーブとなっています。先進諸国の十年前と二十年前の女性の年齢階級別労働力率をお手元に配付しました図表1に示しましたが、この時点で既にほとんどの国が台形型になっております。二十年前にM字型であったイギリス、オーストラリアも現在台形型になっています。  OECDによる我が国の経済成長の予測を図表の3に示しましたが、将来も資本集約度は上昇しますが、労働力の減少により経済成長率は低下する見通しになっています。  我が国では、三十歳から三十四歳の女性の半数強しか働いていませんが、働いていない女性の六〇%が就労したいと表明しています。図表2の点線のカーブです。これは、無業者のうち就業希望者を足し上げたカーブです。もし働きたい女性がすべて働くことができれば、労働力率は上昇し、出生率の低下による労働力の減少を十年間で相殺することになります。  少子高齢社会では、活動的な社会的役割を果たす機会を持つ人々の数、及びそのような活動を経験できる人生の期間をできるだけ多くすることが公共政策の役割と考えられます。それらの活動は、労働市場へ参加することであり、または労働市場外の活動、すなわちボランティア活動、地域活動、市民活動、文化活動などへ参加することです。  アクティブソサエティーの実現には、経済・社会の担い手としての女性に対する新しい視点が必要です。  まず、女性が経済・社会に十分参加することを阻害する主たる要因について取り上げたいと思います。  第一は、税制、社会保障制度等における配偶者の位置づけです。  我が国の所得税、相続税の課税単位は、原則としては個人単位ですが、実際には、配偶者控除、配偶者特別控除、配偶者税額控除という世帯単位の考え方を取り入れています。社会保障制度においても、国民年金第三号被保険者の拠出、社会保険加入の制限、遺族厚生年金の存在、医療保険や介護保険の被扶養配偶者など世帯単位の考え方を取り入れています。公務員の配偶者扶養手当は年収百三十万円以下の配偶者に、また、多くの民間企業における配偶者手当も、その支給条件は配偶者の年収が税制、社会保障の配偶者要件を満たす者となっています。  税制も社会保障も配偶者手当も、伝統的な男女の役割を前提とした世帯単位の考え方を基本としています。妻が夫の被扶養者の範囲内、すなわち妻の年収百三十万円以下で働く世帯を優遇し、一見有利なシステムになっています。このため、例えばパートタイム労働者の中には、所得が一定額を超えないように就業調整を行う者がいます。厚生労働省の実態調査では、女性パートタイム労働者の三九・七%が就業調整を行っています。  これらの制度は、女性の就労に対し抑制的に働き、また、パートタイム労働者の処遇や労働条件の改善にも抑制的に働きます。さらに、このような取り扱いは、妻が個人として社会保険の受給資格を得ることを制約しており、個人にとって、長期的に見た場合、その権利を保障するものではありません。  第二は、職業と家庭の両立が難しいことです。  一九九七年の総務庁調査をもとに女性有業者の離職理由を見ると、二十五歳から三十四歳層では「育児のため」が約三割、四十歳から六十歳層では「看護・介護のため」が約一割を占めています。子育て後に再就職する場合の障害については、「家庭と両立」を七七・三%の者が挙げています。図表9に示しましたように、女性が働き続けるのを困難にしたり障害になることとして育児や家族の看護・介護を挙げる者の割合は十三年前より増加しています。  家族責任と両立させやすいことから、パートタイム労働者が増加しています。しかし、一般労働者との間に処遇、労働条件、社会保険加入等の格差が大きいのです。  育児休業の取得率は、一九九八年には五六%と初めて半数を超えました。男性の取得率は〇・四%でした。西欧諸国では、育児休業の取得率は非常に高いのです。育児休業の取得率と育児休業期間の経済的支援、すなわち給付レベルの間には密接な関係があると思われます。  第三は、社会における慣行及び男女の意識です。  総理府の世論調査によると、二十年前に比べて、夫は外で働き、妻は家庭を守るべきであるという考え方に賛成と答えた者の割合は低下し、反対と答えた者の割合が上昇しています。しかし、賛成と答えた者の割合は男性の既婚者でかなり高いのです。我が国では、社会全般に男性優位の考え方や慣行が根強いこと、家庭や地域活動よりも職場を優先させる意識が強いこと、男女共同参画の考え方が広く浸透していないことなど、女性の自立を妨げる要因が今なお色濃く残っております。  次に、女性の経済・社会的自立支援改革の方向について意見を述べさせていただきます。  第一は、税制及び社会保障制度における配偶者の取り扱いを見直すことです。  成人二人の一方のみが稼ぎ手であることを基本的な規範とする制度は、個人の生活の中で雇用と家族責任を両立させる男女の平等な選択を阻害する効果を及ぼしています。被扶養者に対する優遇措置の撤廃は、積極的雇用対策としてのみならず、片働き世帯と共働き世帯、単身世帯との間の不公平を是正する点からも望ましいと思います。図表12に示しましたように、夫の所得が高くなるほど専業主婦の割合は上昇します。  既婚女性の有業率の上昇、離婚率の上昇等の実態、そして社会のあらゆる分野で男女共同参画を必要不可欠な課題としていることを考えれば、世帯単位から個人単位へ組みかえる必要があると考えます。  制度を見直す際には、損得論議ではなく、新しい世紀の経済・社会状況を見据えて、それに適合する制度改革を目指すべきです。  第二は、就労と育児・介護との両立支援を拡充することです。  男女双方が生活の質を維持しつつ、職業生活と家庭生活の両立を図ることができるためには、労働者像の変化を反映した新しい制度的、社会的枠組みを発展させることが不可欠です。  一つ目は、労働時間にフレキシビリティーを導入することです。総労働時間の短縮はもちろん、フレックスタイム、フルタイムへの復帰の可能性を残した一時的なパートタイム労働、在宅就労、ジョブシェアリングなどさまざまな選択肢があります。  二つ目は、育児休業、介護休業、家族看護休暇等の定着及び普及促進を図ることです。と同時に、休暇の質、すなわち休暇にフレキシビリティーを持たせることが必要です。例えば、育児休業の期間を分割して取得できる、パートタイムベースで取得できる、あるいは就学年齢まで利用できる等です。  三つ目は、育児・介護サポートシステムの整備です。女性の労働市場への参加を前提とした社会では、保育及び家族に係るサービスや施設を整備することが不可欠です。育児休暇制度の定着も必要ですが、この制度により対応できるのは一年から三年が限度です。介護休業についても、介護休業の最高付与日数は限定されます。家族と就業者のニーズに対応できるか否かは、育児や介護を社会的に支援するインフラストラクチャーの存在に左右されます。とりわけ、保育所は昼間の家庭であり、その基本理念は家庭の延長線上に位置づけることです。サポートシステムには、公的サービス、民間サービス、地域社会を基盤とする協力、事業主によるサービス等の活用が考えられます。  第三は、子育て家庭、介護家庭に対する経済的支援を改革することです。  子育て家庭では、図表16に示しましたように、年間収入の低い階層に属する児童の割合が増加しています。現行の経済的支援は児童手当と扶養控除ですが、扶養控除は、高所得層ほど減税効果が大きく、低所得層は対象にならないなど、公平の視点から問題があります。税制の扶養控除を廃止し、社会保障の児童手当を通して支給することです。多くの国々がこの方向で改革を行いました。  ひとり親家庭については、一九九三年厚生省調査によると、母子家庭の平均年収は二百十五万円で、一般世帯の三三%です。常用雇用者は母子家庭の五三%です。図表20に示しましたように、先進諸国ではひとり親家庭に手厚い経済的支援が行われています。雇用促進のための職業能力支援とともに、所得保障の充実が図られるべきです。  介護家庭では、一九九八年国税庁調査によると、約五八%が平均給与以下の世帯です。民間サラリーマンの非課税世帯で介護されている寝たきり者は約十九万人います。現行の経済的支援は税制上の所得控除ですが、逆進的効果をもたらしています。介護家庭への経済的支援も、税制上の控除ではなく、社会保障制度を通じた現金給付によるのが望ましいと考えます。  育児休業給付、介護休業給付の給付率は、本年一月より四〇%に引き上げられました。これは大きな制度改善であり、取得率は上昇することが期待されます。諸外国の育児休業給付の給付率は、スウェーデン八〇%、ノルウェー八〇%、フィンランド六六%、カナダ五七%です。我が国の給付率のさらなる改善が望まれます。  第四は、男女共同参画の考え方を国民に広く浸透させることです。新しい世紀は、社会のあらゆる分野において女性と男性とが対等のパートナーとして活動することが求められます。国民の理解が深まるように教育や意識啓発に努める必要がありましょう。労働市場における女性の有業率を高める要因の一つとして、男女平等に向けての社会の努力、すなわち男女共同参画社会の実現に向けての努力が重要であると思います。  最後に、国際比較すると、非高齢者への社会的支出に対する高齢者への社会的支出の比率は、図表21で示しましたように、北欧諸国では〇・六から〇・九、その他先進諸国では一から二ですが、我が国は五・五であり、最も高くなっています。北欧諸国では、家族政策や積極的労働政策を重視することにより、このようなバイアスは弱められてきました。現役世代の労働市場の改善や所得保障に今後一層の努力を傾けるべきであると考えます。  長い間、御清聴ありがとうございました。

石井道子自由民主党・保守党

○会長(石井道子君) どうもありがとうございました。  次に、永瀬参考人にお願いいたします。永瀬参考人。

永瀬伸子お茶の水女子大学生活科学部助教授

○参考人(永瀬伸子君) お茶の水女子大学の永瀬伸子でございます。  本日は、お招きいただきましてどうもありがとうございます。当調査会にて参考人として意見陳述できることを大変光栄に存じます。  本日は、男女共生のための税・社会保障制度について、大枠で三つの問題についてお話ししたいと思います。  一番目の問題は、女性の雇用市場における能力活用及びパート労働者と正社員の問題。二番目の問題、子供の保育の質と多様性の確保の問題。三番目の問題、子供コストの負担と社会保障のあり方です。この三つとも大変大きな問題でございますが、問題点の指摘、そして変化の方向についてお話ししたいと思います。  まず、お手元のレジュメに沿ってお話をいたしまして、最後の時間でOHPを使いまして、配付した資料について御説明したいと思います。  まず、最近の女性の就業と子供の養育がどうなっているか、その現状認識を申し上げたいと思います。  女性の社会進出といったことは、私たちは毎日新聞で見ますけれども、実は、これは実態をやや伴わない点がある。第一子出産後の専業主婦比率は、実は労働経済を専門としている私自身が驚いたのですが、若い世代の方が上がっております。若い人が集まる都会ほど専業主婦比率が高く、しかも四十代と比べると、今の三十代、二十代の世代では、第一子を出産した後の労働力率を比較しますと、大体、大都会では一五%ぐらいしか仕事は持っておりません。残りの八五%は専業主婦をしております。  これは、事前配付いたしました東洋経済のエコノミックスの私の拙論をごらんいただきたいのですが、国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査平成九年」を用いた比較、配付した資料の十八ページあたりに書いてございますけれども、そのようなことなのです。  そして、育児休業制度、これが九二年に施行されまして、九五年には中小企業にも及びました。また、さまざまな改善もされてきました。ところが、九五年以降の出産者を見てみますと、その中で育児休業を利用した人というのは一割です。勤め続けている人の中で利用した人はふえていますが、育児休業そのものを利用した人というのは大変少のうございます。妊娠中は働いていても、出産をめどに退職する人が多うございます。  女性の高学歴化、雇用就業化、あるいは意識変化、これはほかの先進国でも進展しておりますが、若い世代で専業主婦化が進むという変化は、実はほかの国では見られておりません。ほかの国では、子供が幼い間は短時間就業が増加しておりますが、では日本ではどういう変化がこの二十年にあったのかと申しますと、結婚しない、結婚を遅延する、そうでなければ、専業主婦で子供を見て、その後パート労働に出るという、そういう二極化が進んだのでございます。  このように、近年、むしろ専業主婦中心の育児が強化されております。これは望ましいことだというふうにおっしゃる識者の方もいらっしゃいますが、それは恐らく現代の子育てという現場に立ち会っていらっしゃらないからではないかという気がいたします。狭いマンションの中で子供と主婦のみが向き合い、夫は夜遅くでないと帰ってこず、その中での密室育児での過剰な保護、あるいは虐待といった問題、主婦の育児不安や取り残されたような思いは、さまざまな近年の研究が指摘しております。  その一方で、育児休業を取得し正社員として復帰した女性はどうかというと、そのストレスも大変なものでございます。家事育児負担、職場で要求される仕事水準に伴うストレス、残業ができないことに対する同僚への気兼ね、時間の足りなさなどでございます。聞き取り調査を行いますと、おばあちゃんと同居している世帯はかなりうまくいっているのですが、そうでない世帯では非常にストレスが強い。そして、そのおばあちゃん資源というのは若い世代ほどなかなか利用できなくなっております。  夫の家事育児参加が諸外国と比較しても日本で特段に低いこと、帰宅時間が大変遅いことは皆さん御承知のとおりでございます。一方で密室育児と閉塞感、もう一方で長時間保育とゆとりのない育児、父親不在、このどれも、子供のためにも母親のためにも、また父親のためにも望ましいこととは私には思えません。働き方及び子育て支援の人的資源のあり方の変更が今望まれております。  一たん離職した女性は、パート労働者として末子年齢の上昇とともに雇用市場に戻ることが多いのですが、パート労働者の賃金水準が低く、また昇進が限られたものであることは広く知られているところです。この正社員と非正社員の賃金格差、あるいは昇進ルートの格差は非常に大きな問題だと思います。短時間のより良好な雇用機会がつくられることが重要と思われます。  また、保育園の充実に厚生労働省が旗振りをしておりますが、都会に住む者の実感としては、相変わらずなかなか入れないのです。これは後ほどOHPをお見せいたします。  また、無業の主婦層に対する子育て支援は進められておりますが、本格的というよりは追加的な位置づけです。ファミリー・サポート・センター、すなわち無業の主婦が働く女性を支援し一時的に子供を預かろうという発想のサポート・センター事業も始まっていますが、これも、預かってほしいという側は多いけれども、預かりたいとする側は余り多くないという状況があることを聞いております。つまり、全体に仕事と働くことのバランスがとれる社会へのかじの転換はまだなされていないのです。  ここでレジュメの2に移りまして、出産、子供の養育と就業とをどう社会保障の中で位置づけるか、より広い目で少し考えてみたいと思います。  女性の就業環境の整備は、現実的には子供の養育の問題とまさに表裏の関係にあります。八六年の男女雇用機会均等法が成立した後に入社をした総合職女性の多くがやめていきましたが、これは、法律が雇用を中心に考えられていて、家庭生活への視点が弱かったためだというふうに私は思います。  高齢者や子供へのケア活動。これらは、従来は見えないもの、国政で話し合わないもの、家庭内で私的に当然のこととして行われるものでした。しかし、社会保障の充実によって、高齢者へのケア活動、高齢者への仕送り、これが国レベルで行われるようになり、家族機能の一部を国が行うようになるにつれ家族の形が変わってきました。あるいは、家族の形が変わったのでそうした社会保障の充実が必要だったとも言えます。  子供の養育、介護といったケア活動を国がどう暗黙に社会保障制度の中で位置づけるか、ジェンダーの視点からセインズベリーは福祉国家の類型化というのをしています。それを多少書きかえたのがレジュメに示しました三つの類型であります。①のタイプというのは、世帯の主な稼ぎ手への所得保障をする、そして世帯の主な稼ぎ手の仕事を保障し老後の年金を保障することを通じて暗黙に妻に保証をする。つまり、ケア活動を暗黙に担う妻を、世帯主を保障することで保証するというのが①のタイプです。②のタイプは、ケア活動そのものに対して社会保障を給付するというものでございます。そして③のタイプは、男女の雇用を前提とした上で、それが可能になるような保育や介護を充実させるというタイプです。  この②と③の違いですが、②は、無償労働に対して、つまりケア活動など無償で行われている活動に対して年金受給権や所得給付などをいたしますが、ある意味では女性の無償労働がある程度前提とされております。その有償化を社会保障の中で図るというのが②のタイプです。③のタイプは、無償労働の社会化を図ります。③では最も女性の労働力率が高くなるというふうに言われております。  この暗黙の税制、年金のあり方によって福祉国家のタイプは分かれており、女性の就業や賃金構造、ケア活動の男女負担に大きな影響を与えるということが指摘されております。  私は、日本は今現在①ではないかというふうに考えております。第三号被保険者の制度は①の派生ではないかと。妻名義の年金が八五年改正で出ることになったことは進展ではありますが、②には行っていないために現在さまざまな問題が起こっております。  ②に行っていないというのは、例えば、被用者の妻でなければその無償の活動が年金権につながらない、自営業、母子家庭、フリーターの妻では免除の恩典というのがないという点です。また②では、例えば、子供を育てるために離職したことに対して手当を出す国などもございます。③の方の国では、男女とも働くことを前提に年金制度等が組まれておりまして、ただ介護活動等が社会的に行われるような仕組みをつくっているような国でございます。  ②に行くのか、それとも③に行くのか。日本の方々の意識等を考えますと、当面はまず②への移行かなというふうに思いますが、少子高齢化、そして人口減少社会を考えますと、方向としては③に行かないと社会がもたないのではないかという気がしております。  日本の現状の制度、つまり私の解釈では①に基づく制度というのは、これがいいと思われる方が年輩の方に、あるいは中年の方にいたとしても、もたないだろうと思います。既に現実に主な稼ぎ手になれるだけの賃金を得られないフリーターが若者にふえていますので、たとえこの①の制度を維持してほしいと頑張っても、現実問題としては難しいでしょう。  フリーターが年間二千時間働いたとして、これは全くのフルタイム労働なのですが、年収は百六十万から二百万程度です。二百万程度で妻子が養えるでしょうか。今のままでは、主な稼ぎ手となれる、労働市場に入れる男性が減っているので、これに付随して、将来、より合計特殊出生率は低下するのではないか。つまり何らかの手を打つ必要があるということを感じます。  次に、レジュメの4に移ります。  これからの方向性ですが、レジュメの①に「「妻」優遇から「児童ケア」優遇へ」と書いたのは、被用者の一定収入以下の妻に与えられている配偶者控除、配偶者特別控除、第三号被保険者の制度を、ケア活動を実際に行っている者に対する恩典に組みかえて、ケア活動に従事していない場合には、基本的には雇用市場への参加を考えるということです。この組みかえが、単に社会保険料や税額の免除あるいは控除という消極的評価のみでよいのかどうかですが、子供のケアコストの負担はより積極的に、例えば給付の増加などに反映させるべきだろうと思います。  片働き世帯に限らず、子供のコスト負担者に対する社会保障給付の積み増しは共働き世帯にもされるべきと思いますが、共働き世帯により重要なのは子供ケア施設の充実ですので、共働き世帯に対してはこちらへの補助に比重を置くべきかと思われます。これが②に書きました「多様な児童ケア施設の供給体制の整備、助成の拡大」でございます。  保育園が足りない分、現在無認可保育園がふえております。もちろん、よい無認可保育園もあるとは思いますが、子供の育つ環境として到底足りないところも多いと思われます。助成が全くない中で子供を預かり、都会で借りる高額な家賃まで出そうとすれば、アルバイト比率を高めざるを得ません。子供の育ちを見守るというよりは、とりあえずけがをしないように預かる所がふえることは想像にかたくありません。しかし、それでは子供の育ちには不十分です。  高齢者の年金は、新規裁定の厚生年金で見ますと月二十万円を優に超えております。また、厚生年金の積立金も十分あります。そして、実際に年金を受給された高齢者の年金のかなりの部分は貯蓄に回っています。それなのに、財源がないということで、将来の年金の担い手である子供が不十分な施設に預けられているという場合も多いのです。  また、子育て中で所得が低い、例えばフリーターの夫婦も年金保険料が賦課されております。さらに、そのような現状を見込んで子供をなかなか産まない、子供が生まれないということは大きな問題ではないだろうかと思います。厚生年金の積立金の自主運用が検討されているそうですが、子供施設の充実に運用の一部を回すべきなのではないでしょうか。  妻優遇の制度を廃止すべきということは先ほども述べましたが、これは、労働市場に戻る三十代以上の女性が働くインセンティブを弱めることを通じて低賃金を助長しているからでもあります。そのメカニズムについては、事前配付いたしました「日本労働研究雑誌」二〇〇一年四月号掲載予定の論文をごらんください。  私の感触では、末子年齢が上がるにつれて、例えば末子が八歳から十歳程度くらいでこの壁に突き当たる人が多いように思います。しかし、単に妻優遇の恩典を取り去るだけでは不十分です。こうした人々が積極的に労働市場に戻れる政策をとらなくてはなりません。  私は、一つは短時間公務員の制度はどうだろうかというふうに思います。公務員でなくてもよいのでしょうが、ファミリー・サポート・センターの充実、家庭、保育園のネットワーク化などについて、本当に子育ての現場を知っている者が、特に供給側の主婦のサポートができる人材が仕事に当たる必要があると思います。経験の長い保母の技能を生かすということもありますでしょうし、また、主婦層から人材を登用するということがあります。年功賃金の必要はありませんが、アルバイトではない形で、責任がありまた評価もされる形で、さらに登用と昇進が可能な形で女性の視点を行政に生かすことが必要です。  最後に、働いていない主婦からは保険料が取れないという議論があります。私は、これは雑駁な議論なのですが、時間提供でもいいのではないかと思います。現在、夫の扶養から外れて健康保険、介護保険、基礎年金の保険料を自分が払うとしますと、最低で大体月二万円程度かかります。これは大体四日分の仕事、収入と考えれば、社会保険を払えない働いていない者の場合には、月四日役務提供するのでもよいように思います。役立つ仕事は多くございます。そして、そのかわりに、それ以上に働きたい人に対しては年金保険料を払うことで将来年金の給付がふえる制度とするべきです。  御存じのように、現在の形では、サラリーマンの妻が年収百三十万円以上働きますと、大体の計算で、自治体によって違いますが、年間二十四万円程度の保険料負担が必要となりますが、年金給付あるいは健康保険、こういったものは被用者年金に入れない限り給付の方はふえないのです。  男女共生社会に向けての政策は、既に結婚、出産、離職、再就職などの選択を行っている世代と、これから行う世代を対象としたものでは少し異なったものになるのではないでしょうか。三十歳代から四十歳代以上、つまり出産等の決定は既に行ったが、まだ老年期にまで間があり、今後の選択を変え得る世代については、子育て支援を充実する一方で妻の身分を優遇する現状の制度を、より個人の努力が反映する制度とし、妻の能力をより活用し、雇用労働市場へ、また社会へのより均等な参加を可能とするようなことを前提とする制度に是正することを私は提言いたします。  一方、より若い、これから選択を行う世代については、仕事と育児、家庭生活のバランスを男女ともにとることが通常の労働者にとって可能であり、そうした生活に魅力が感じられる社会に向けての環境整備を提言いたします。つまり、非常に子供が健康で、非常に自分も健康で、もうどこまでも働ける人しか仕事と家庭が持てないのではなくて、普通の人がそれを持てることが必要だということです。  幾つか実態をお示しするために図表を持ってまいりました。これらはさまざまなプロジェクトの中で再集計を行ったものが多く、知られていない部分が大きいと思いますし、多少説明が必要ですが、時間がなくなりましたので、質問の中でもお答えいたしたいと思います。(OHP映写)  簡単に申し上げますと、まず最初の図1、表1、これはお手元にお配りしましたものですけれども、表1の方では左側が税額と社会保険料になっておりますが、これは家計調査の一九九五年の再集計でございますけれども、税金に比べて社会保険料の負担が大変高いこと、そして、社会保険料は基本的には世代間の助け合いになっているにもかかわらず、子供が多い世帯に対する考慮が全くされていないことが示されております。  上の図は、実線は私的な保険の累積保険料、波線は社会保険の保険料、子供数別にプロットしてあります。これで見るとおわかりになりますように、定義からして当然ですが、子供数によっても社会保険料はほとんど変わりません。一方、私的負担というのは、私的保険に加入できるのは子供の少ない人でございます、加入累計が高いのはですね。  次の図に移りたいと思います。図3でございます。これは一九九六年の調査でございます。なお、添付資料に、どこからとったものであるかというのはOHP資料としてつけてありますのでお断りいたしませんが、これは、社会保障の経済的な分析研究会というか、私も入っておりましたので、全自治体にアンケート調査をしたものから書いたものでございますが、待機児童がどこで高いかというのを見ますと、関東1、これは東京圏です。それから近畿1、これは大阪圏です。つまり大都市、若い人がどんどん集まってくる大都市の仕事のあるところで待機率が、特にゼロ歳、一歳、二歳あたりで高いということが示されております。  次の表2をごらんくださいませ。これは首都圏のA自治体の例とスウェーデンと対比したものです。一九七〇年代あるいは八〇年代の子供数に対する保育園入園者の割合をごらんください。スウェーデンでは七五年に一〇%、A自治体では八〇年に九%と、ほとんど差がございません。ところが、その後の十年で、スウェーデンは九〇年に四〇%、A自治体は一三%。そして、九〇年からさまざまな少子化対策がとられ充実が叫ばれはしたのですが、スウェーデンはその後も九〇年から九六年にかけて五七%に上昇しておりますが、A自治体では一三%から一四%に上がっているだけです。もちろんA自治体も努力はしているのだと思いますが、充実が本当に進んでいない状況というのがおわかりになると思います。  その下にあります一九九六年七%、二〇〇〇年一二%というのが、入れないで待っている人の入っている人に対する割合です。それから、その下の一九九六年六%、二〇〇〇年一一%というのが、入っている子供に対する無認可保育園に行っている子供の割合です。この四年間でも、子供が入れない、あるいは無認可に行くという状況がふえていることがおわかりになると思います。  最後のOHPは省略いたしますが、実はそのほかに幾つかOHPをつくってまいりました。時間の関係もあると思いますので、もしも質問がございますればですけれども、図5は、末子年齢が一歳上がるごとにどの程度女性の労働力化が進むかというものでございます。  図6は、第三号の妻と夫の収入の関係が上側、これ無業の場合。そして、末子年齢でどう変化しているかということですけれども、ここで特に強調したい点は何かというふうに申しますと、今、第三号被保険者に保険料を賦課した方がいいという議論がございますが、夫の所得が高い層で無業が多いということは実際にあるのですが、それだけではなくて、子供の幼い世帯での無業も大変多いということです。なので、それを一律に考慮しないわけにいかないということです。  次に、大変汚くて申しわけありませんが、図9は、これは第一号の妻と夫の年収、収入との関係でございます。妻の年収が百万以上百五十万未満の世帯、つまり妻が第一号になる可能性が高い世帯なので一応第一号と書いたのですが、これは夫年収が低い世帯に高いことを示しています。特に、子供が十五歳以上の世帯等で見ますと、夫が被用者であるとすれば、夫の年収が低い世帯で第一号の保険料が妻によって負担されており、これは垂直的な公平性が保たれない状況というふうになっております。  簡単でございますが、御傾聴、長いことありがとうございました。

石井道子自由民主党・保守党

○会長(石井道子君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取を終わります。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 自由民主党の森下博之でございます。  両参考人におかれましては、大変御多用のところ、わざわざ御出席賜りましてありがとうございます。  今、るる御説明、御意見を賜ったわけでありますが、直接関係のないといいますか、間接的に関係のある部分への質問も若干あろうかと思いますが、お許しをいただいて御教示賜りたいと存じます。  今、当委員会で女性の社会的、経済的自立について議論をする場合に必ずと言っていいほど問題となりますのは、所得税における配偶者控除あるいは配偶者特別控除、また年金における第三号被保険者、あるいは離婚をした女性の夫の年金受給等の問題であろうかと思うわけであります。そして、これらの問題は、女性の就労のあり方を抜きにしては考えられない問題であると思います。  そこで、両参考人にお伺いをいたしたいのは、これらの税制や年金の問題が女性の社会進出を阻害するものであるという議論をよく聞くわけであります。私自身は、本当にそういうことなのかなという素朴な疑問を持っております。一人の女性がどのような形で社会進出をするのか、どのような働き方をするのかということは、まさにその女性のライフサイクルにかかわる問題ではないかと考えるものであります。その点、両参考人に順次お答えをいただければありがたいのですが。

都村敦子中京大学経済学部教授

○参考人(都村敦子君) 最初に申しましたように、女性の労働力率は長いトレンドで見ると日本の場合上がってきているわけですけれども、その背景には、私、女性の強い就労願望と申し上げたのですけれども、それは非常に現代の社会で大きなことではないかというふうに思っております。  社会保障・人口問題研究所の人口動態社会経済面調査。いろいろなテーマについて行われていて大変興味深い調査なんですけれども、その平成五年の調査で、仕事をしていない母親の約七六%が仕事をしたいと、だけれども、子どもを預けることができないことで仕事をあきらめているというふうに調査結果が出ているわけです。  それから、先ほど申しましたように、お配りしました資料の図表2で、パートも含めて、自営業も含めて働いている人の年齢階層の割合は、この一番下の実線ですね、こういうふうなM字型になっているんですけれども、総務庁の方で調査をいたしまして、無業者の中で就業を希望する者はどれだけいるかというのをあわせて調査をしているわけです。それを、現に働いている人に、今は子育てとか介護とかいろいろな事情で働いていないけれども働きたいという希望を持っている人を足し上げますと、真ん中のこの点線ですね、点線になって先進諸国のような台形になるわけです。  ですから、個人で見れば確かに、家庭で専業主婦でゆったりした人生を送りたいという人もいらっしゃるかと思いますけれども、かなりマクロ的に見ると、こういう調査結果によると、これは既婚女性、特に三十から三十四というようなボトムになっているようなところではかなり既婚女性の割合が多いと思いますけれども、三十から三十四歳の働いていない女性の六割が就業したいというふうに希望しているわけです。それを足し上げたら、こういうふうなかなり高いところでの台形になるということなので、女性の就労意欲というのは、現代社会でやはり否定できないのではないかというふうに私は思っております。

永瀬伸子お茶の水女子大学生活科学部助教授

○参考人(永瀬伸子君) 私は、働く働かないは全く個人の好きにしていいことだろうと思います。ただ、それを阻害するような制度はよくないのではないかというふうに思います。また、強制的に税金や社会保険料が取られる限りは、やはり垂直的、水平的な公平性のあるものでなくてはいけないだろうというふうに思います。  私が今とりあえず非常に大きな問題だと思っておりますのは、事前配付いたしました「なぜパート賃金は低いのか 百三万円、百三十万円の壁の影響」という資料の十四ページでございますけれども、そこに書きましたが、例えば時給八百円の労働者が年収百三万円の壁まで働こうと思った場合には、ちょうど百三万円まで働くのには週平均約二十五時間働くということなんです。その中で、とても働きぶりがいいので、じゃやってもらおうということで、雇い主が時給千円にもしも上げたとします。そうすると、壁が非常に高いものですから、百三万円まで働こうと思うと、週五時間労働時間を減らさないと百三万円の壁にぶつかっちゃうわけです。そうすると、よくやってくれるから賃金を上げよう、賃金が上がると意欲がふえるというのが通常の労働市場でありますけれども、ここの市場では賃金を上げると、それではもう少し短い時間働かさせていただきますということになってしまう。そのことが、パート労働がどうして最低賃金近くに張りついた上に、人によって差がほとんど出ていないのかということの原因になる。  そのいいところというのは、いつも仕事がどういう人にも比較的あるんですね、最低賃金に近いものですから。その悪いところというのは、優秀な、賃金が高い人の方がより阻害される。つまり、夫の所得の高い人の方が配偶者手当ですとか配偶者特別控除、配偶者控除等の利益というのが大きいものですから、夫の所得の高い人の妻ほど抑制される。そして、そこには潜在的に非常に優秀な労働力が、特に女性の高学歴化が進んでおりますから、例えば私世代の女性などで、非常に能力のある方が家庭内にいて壁に突き当たっているという事実はございます。それは、その阻害している制度でございますので、自由は全く自由でいいと思うのですが、そういう形の非常に大きな阻害というのはよくないのではないか。  それが一体どの程度の収入減になるかですが、百三万を超えた後は、大体配偶者手当が年間十万から二十万、それから、先ほども申しましたけれども、社会保険料等を払いますと大体年間二十五万、あと、夫の配偶者控除や特別控除による、それは夫の所得に依存しますけれども、その世帯収入増減がありますので、百三万を超えたら、人によっては百三十万まではいいけれども、その次は大体百八十万と言われています。百八十万働くためには、先ほどの時給八百円で計算しますと、週二十五時間働きますか、それとも週四十三時間働きますかという、そういう選択なんです。そうすると、まあ短時間にしておこうと思うのはかなり合理的な選択のように、そう考える方がいたとしても不思議ではないと思いますので、そういう意味で、その大きな壁が、特に子育てが終わってこれからやってみようという世代の優秀な労働力を阻害するという意味で問題があると考えているわけでございます。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 次に、税制の問題についてお伺いをいたします。  これまでの所得税制においては、配偶者控除や配偶者特別控除については妻の内助の功といいますか、そういう点に力点を置かれておったということは否定できないと思うわけであります。しかし、これからは男女共同参画社会の時代でありますし、女性の社会進出も当然のごとく進んでいくわけであろうと思うわけであります。  昨年七月ですか、税制調査会の中間答申において、配偶者に係る控除については、そのあり方に検討を加える必要があると指摘をされておるところであります。先般の当調査会でも、財務省の答弁としては、広く国民的議論を踏まえてという答弁があったわけでありますが、両参考人におかれましては、この点についてはどのような方向が検討されるべきとお考えか、それぞれ承りたいんです。

都村敦子中京大学経済学部教授

○参考人(都村敦子君) 税制の人的控除は、お配りしました資料の図表4にお示ししてございます。所得税の控除額とそれから住民税の控除額も書いてございますけれども、ここの中で、やはりこれは所得のある者、給与所得者であれば給与所得者の生活ということを考えていろいろな控除が設定されているわけですけれども、例えば重度障害者に対する同居特別障害者控除とか、そういったものと配偶者控除というのはちょっと性格が違うと思うんです。  これはかなり前に導入されたので、そのときは確かに、夫は外で働く人、それから妻は家庭で家事とか育児とか、あるいは病人の看護とかをする人という役割分担があったと思うんです。そういうときに導入されたわけですけれども、昭和五十八年、ですから一九八三年に、専業主婦とそれから働いている主婦、共働きの主婦、それが数が逆転したんです。だから逆転してもう十八年たっているわけです。その間ずっと働いている共働き主婦の方が、働いていないいわゆる専業主婦よりも多くなっているんです。それで、先ほどもちょっと申しましたように、夫は外で働き妻は家庭の中でいろいろな仕事をするという、そういう考え方に賛成する人がどんどん低下してきているんです。そういう実態です。  だから、女性とか若い人たちのライフスタイル、あるいは女性が活動するということについての価値観、それがこの二、三十年ずっと変化してきた。それは西欧諸国もそうですし、日本も同じような方向をたどっているわけです。そういう中で、個々のいろいろな所得控除があるわけですけれども、大変重度の障害者が生活をしていく上で、あるいは稼得をしていても、あるいは家族と両方あるわけですけれども、いろいろな必要経費がかかるとか、そういう意味での控除と配偶者控除というのはちょっと意味が違うと思うんです。  いろいろな予測によりますと、専業主婦は二十一世紀になって将来的にはどんどん減少していくというふうに予測されております。ですから、現代社会においては女性も、先ほども申しましたけれども、アクティブソサエティーという労働市場で活動するか、あるいは労働市場以外のところで活動するかということはありますけれども、何らかの形でそういうふうに経済的なあるいは社会的な活動に参加するという、そういう視点が大事なわけです。そうすると、この配偶者控除というのは現代社会では余り意味を持たないものになってきておりますので、私は、配偶者控除、配偶者特別控除は廃止した方がいいというふうに思います。  それから、生活を考えますと、先ほど申しましたように、図表の12にありますように、夫が所得の高いところで専業主婦が多いんですね。ですから、この配偶者控除の例えば三十八万がなくなって少し税がふえたとしても、そんなに基礎的な生活を維持するのに困難になるということはないと思われます。  以上です。

永瀬伸子お茶の水女子大学生活科学部助教授

○参考人(永瀬伸子君) 私は、今の現状を見ますと、子供が幼いうちに家庭にいる女性が、例えばゼロ歳ですと八割や七割家庭におりますので、そこの考慮はすべきなのではないかと思います。ただし、先ほどの図でもお見せしましたが、末子が七、八歳ぐらいになってくると、パートの壁というのが非常に労働を阻害するようになっている。ですので、この配偶者控除というのは、子供の養育控除あるいは要介護者の介護控除というような、実際のケア活動をしている人に対する、つまり働けない、活動をしている人に対する控除にするのがよいのではないかと思います。  でも、それは経過的にそう思うのであって、本当はそうではなくて、子供の養育に対して児童手当を出す、あるいは仕事をやめた離職者に対する子供への養育手当を出すとか、あるいは保育園に入っている子供に対して手厚い助成をする方が私はいいと思っております。ただ、急にそうできない、財政上できないというのであれば、配偶者控除はやめて子供の養育控除、つまり子供が例えば八歳ぐらい、それを何歳にするかによってまた非常に労働市場に大きなインパクトを与えてしまいますので、そこを何歳にすべきかは議論のところだとは思いますが、そういう形の養育控除にした方がよろしいのではないかと思います。  さらに児童手当についてですが、五千円や一万円程度の児童手当が全体に行っても余り意味がありませんので、それよりは、今ふえております無認可で、全く助成がないもとでケアされて育っている子供たちへの助成拡大をしていただきたいというのが私自身の意見でございます。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 ありがとうございました。  次に、今お話が出たわけですが、パートの問題、いわゆる百三万の壁の問題について承りたいんですが、我が国の場合はM型就労と言われておるわけでありますが、女性は結婚、出産までは正社員でフルタイムで働き、子供が小さいうちは専業主婦で、子育てが一段落したらパートタイマーとして働くというライフサイクルが一般的であろうと思うわけであります。特に、子供を持つ女性にとってはフルタイムで働くというよりも短時間労働が魅力的だと考える方もおられましょうし、最近ではパートタイマーの戦力化が進んで、正社員と同じような管理職につかれるケースもあるやに承るところであります。  しかし、多くの女性が百三万円の壁を意識して就労調整をする。その結果が、パートタイム労働の賃金が抑制され、また正社員に比して低い賃金を強いられるということも指摘をされておるところであります。その解決策といいますか、例えばパート労働に限って百三万円の限度額を上げるとすると、なぜパート労働者だけ所得税法の優遇をするのかという問題もありましょうし、引き上げの限度額のところでまた就労調整が起こるという問題もあろうかと思います。  それでは、百三万円を引き下げるということになりますと、百三万円の就労調整の中にいる人たちに大変な反対の声が上がるのではないかとも思うわけであります。  そこで、この百三万円の壁の問題について永瀬参考人に承りたいと思います。

永瀬伸子お茶の水女子大学生活科学部助教授

○参考人(永瀬伸子君) まず、百三万円を引き上げることは反対です、同じことが起こると思われますので。今後の人口減少、高齢社会を考えますと、さらにパート的な働き方を伸ばす方がいいとは思いません。  次に、この百三万円を取るということでございますが、それは、既にさまざまな助成を受けている方、利益を得ている方々からは反対があると思われます。  しかし、例えば子供のケアで、子供が身体障害者であるとかあるいは同居している介護者がいる、あるいは同居でなくても常にケアしている要介護者がいる、そういった事由にリンクさせ、そういった事由がない方については、先ほど時間提供というのを申しましたけれども、そういう事由がなくて所得税を払わない、社会保険料を納めない理由というのは、非常に失業率が高い社会であればあると思いますけれども、今はパートの仕事で月二、三万取ることはできるのではないか。そしてまた、それができないとしても、時間提供という選択肢を提供するのであれば、そういう形で働く女性の子供のケア、あるいは高齢者への買い物のつき合い、さまざまなことができるような気がいたしますので、いいのではないかと思います。ただし、それは当面でございまして、そういう措置をしますと、ケアをする人がいる女性は家庭にいなさいというようなものになってしまうかもしれません。  しかし、今目前の問題として、やはりパートの壁の問題は特に中年女性の労働市場に悪影響を与えていると思います。ただ、壁を取っただけでは不十分でありまして、壁を取ると同時に、パートと正社員のより均等な待遇、より年齢制限のない採用あるいは登用ルートの拡大、こういったものを同時に行うべきだろうというふうに思います。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 税制との関係で都村参考人に承りたいわけでありますが、児童手当の問題については、次代の担い手である子供の養育については広く社会連帯の考え方によって対応すべきであり、現行の扶養控除を廃止してすべての給付を児童手当を通じて支給すべきであると承っておるわけでありますが、先生の御主張は一つの見識であろうと思うわけであります。  ただ、私考えますに、この児童手当につきましては、平成十三年度に支給対象、所得制限を緩和するということが言われておるわけでありますが、どういう理由をもって所得制限額の引き上げをするのか。あるいは、ばらまきではないかというようなことも言われておるように承っております。現金を給付するのではなくて、育児休業や時間外保育の充実を図るべきであるとか、手当をいただくよりも保育所が欲しいといった要望等もあるやに承っておりますが、当調査会におきましても、十四日の日経連の矢野参考人からも述べられたところであるわけであります。  この点について都村参考人の御所見を承りたいと思います。

都村敦子中京大学経済学部教授

○参考人(都村敦子君) 前の人口問題研究所、人口動態社会経済面調査で「働く女性の出産」というので一九九六年に実態調査が行われているんですけれども、その中で、理想の子供数を持てない理由は主に養育費、教育費の負担であると。  それで、行政への要望として一番多いのは養育費、教育費などの負担の軽減というのが、いろいろ調査によって若干数字とかは違いますけれども、やはり子育てをしている世代にとって養育費、教育費の負担というのはかなり重くて、先ほど図表16でもお示ししましたように、義務教育終了前の子供がどういう所得階層に所属しているかというと、一九七五年、八二年、九八年と見ていきますと、Ⅰというのが一番低い所得階層なんです。低所得階層なんですね。それで、ⅠとⅡを合わせたところに約四五%ぐらいですか、低いところに属しているわけです。  ですから、子育てにとって養育費とか教育費というのはやはり今の現役世代にとってかなり重いものであって、特に高齢者がふえてきて年金、医療、介護に費用がかかるということで、どんどん現役世代の負担が重くなってきているわけです。そういう税とか社会保険料の負担が右上がりにある中で子育てをするというのは、コストが非常に重荷になってくるわけです。  ですから、児童手当というのをやはりきちっと位置づけて、今まではとにかく児童手当というとばらまきというのが一番に出てくるわけですけれども、先ほど森下委員が最初におっしゃってくださいましたように、これからの社会を考える場合には、人間というのは一人では絶対生きていけないわけですね社会連帯の仕組みなしには生きていけないわけです。、ですから、年金とか医療とか介護については現役世代がいろいろ負担をして、それを退職した世代についてサポートしていくという、そういう社会連帯の仕組みがきちっとできているわけですけれども、それと同じようなことを、子供世代の養育についてもやはり同じ平面でとらえていくという考えが必要だと思うんです。  今までは、子供世代と現役世代とか、あるいは子供世代と退職世代というのは関連づけて考えるという視点がほとんど日本にはなかったんです。ですから児童手当等が軽視されてきたわけですけれども、これはやっぱり世代間連帯を醸成する非常に重要な要因となるわけです。ですから、児童手当はますます拡充しなければいけないと私は思います。  そのためには、先ほどお配りしました資料の17あるいは18をごらんいただきますと、例えば高校生が二人いる家庭で平均給与の所得のところでは、月額一万四千円の扶養控除を、税制の方から手当をもらっているんですけれども、裕福な家庭、平均給与の五・五倍の給与があるという世帯では、月額四万八千円、約五万円の児童手当が税制から来ているのと同じなんですね。  そういうふうに、せっかく児童手当という制度はつくられているんですけれども、税制の逆進性が強いために、それで打ち消されて、図表18のように合計で足し合わせると、所得の低いところでは国からの子育てへの援助というのは低くて、所得の高いところでは大きな援助を受けているという、公平性の点から非常に問題があるのが現行システムなんです。ですからこれは、扶養控除を廃止して、すべての子供に社会保障を通じて給付をするということです。それで、高い所得のところは要らないじゃないかということであれば、外国なんかでは税で取り戻しているわけですよ、高所得のところは。だから、それはまた方法があると思います。  以上です。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 引き続いて都村参考人に承りたいわけですが、先生がマスコミの論調等で述べておられるようでありますが、個人が就労、結婚、離婚などといった人生の選択を行う場合に、どのようなライフスタイルを選ぶとしても、それによって影響を受けないような社会の仕組みの確立が年金制度においても必要ではないかというのを述べておられるようですが、この点は私も同感であります。  しかしながら、そのために、年金制度において世帯単位から個人単位に変えようとしていく場合に問題となりますのが、現在一千八百八十万人にも上ると言われる第三号被保険者の存在、あるいは男女の賃金格差の問題。さらに、家庭内での役割分担の是正が進むといたしましても、女性に育児や介護に携わる負担が多いという現状等々を勘案いたしますと、なかなかこの年金制度の個人単位化への道というのは非常に厳しいのではないかという思いをいたしますが、率直な御意見を最後に承りまして、時間を若干残しますが、委員の皆さんに喜んでいただけると思いますので、やめます。

都村敦子中京大学経済学部教授

○参考人(都村敦子君) 確かに、世帯単位の組み方をしている今の年金制度とか、他の制度もそうですけれども、それを個人単位に急激に変えるという点は、約一千二百万人の専業主婦の方がいらっしゃいますので、いろいろな問題があると思います。  私はだから、その上のところに諸外国の動きを、お配りしました「論点」のところでお示ししたわけでございますけれども、外国でいろいろな工夫がなされているわけです。その一つは、育児期間とか介護期間を年金制度の中で評価するということです。それからもう一つは、夫の年金を婚姻期間に応じて平等に分割するということを行っている国も数カ国あるわけです。  そういう外国でも、結局女性をどういうふうに年金制度の中で位置づけるか。女性と一言で言っても、確かにずっとシングルでいく人、それから離婚をする人、死別をした人、あるいは共働きで働く人と、やはりライフスタイルというか生活がいろいろ違うわけです。ですから、それを同じように公平に適正に位置づけるというのはすごく難しいことだと思います。海外ではいろんな工夫がなされていますので、そういう経験等も踏まえて段階的に考えていく。  年金の分割なんというのは、例えば六十歳になってどうしても離婚したいけれどもできないというのは、やっぱり年金がかかわっているわけです。そういうこともありますし、それから、一たん離婚した人が老齢厚生年金がなくて今度は基礎年金だけで生活するというのは、これは厳しいですよね、高齢期に。  そういうこともありますので、夫の年金を婚姻期間に応じて平等に分割するとか、あるいは育児期間とか介護期間は年金の中で評価していくということとか、そういう部分的な改正を検討するということから始めるという方法もあって、いきなり世帯単位から個人単位ということはなかなか難しい問題もあるでしょうから、女性の労働の状況とか、そういうことも見ながら段階的に改革を考えていくということが考慮されてもいいんじゃないかなというふうに思います。

森下博之自由民主党・保守党

○森下博之君 ありがとうございました。

千葉景子民主党・新緑風会

○千葉景子君 民主党・新緑風会の千葉景子でございます。  きょうは、参考人のお二人の先生に大変興味深いお話を聞かせていただきましてありがとうございます。限られた時間ではございますけれども、忌憚のない御意見をまたさらにお聞かせいただければというふうに思っております。  質問に入る前といいますか、質問にかかわるんですけれども、きょうこの共生社会に関する調査会があるということを頭に置きながら、私は折に触れていろいろな分野で活動なさっている皆さんとよく懇談の機会を持たせていただいております。取り上げるテーマはその時によって違うわけでして、介護の問題であったりあるいは経済の問題であったり、全く損得を抜きにしていろいろ語り合うということなのでございますが、偶然に昨日、この男女共同参画社会へ向けて一体お互いにどうしたらいいんだろうと、こういう懇談が持たれました。  大変活発な意見交換になったんです。つかみ合いまでは行きませんでしたけれども、かなり意見の対立もあったりあるいは錯綜したりいたしましておもしろかったんですけれども、そこにたまたま集っている皆さんは、いろいろな専門職を持っておられる皆さんであったり、仕事場で今管理職を務めておられる皆さんであったり、あるいは中小企業の経営者の方であったり、女性で経営をなさっている皆さんであったり、また珍しく芸術家の方が参加をしておられたり、そんな各層多様な皆さんとたまたまきのうこの男女共同参画についての話をしておりました。  そういう意味では、それぞれ皆さん、これからの社会の中で男女共同参画社会を築いていく必要があること、それから、そうしていかない限り、日本の経済も含めてこれから立ち行かなくなっていくだろうということもよくよく御理解をされている。それぞれの自分の分野でもできるだけそれに努力をされているということが見受けられましたんですけれども、さはいいながら、いや、実はねという話になりますと、かなり本音というんでしょうか、やっぱり意識の中にまだまだ男性と女性の役割分業意識とかそういうものがあるんだということを何か改めて聞いた思いがして、この状態だと本当にどうやったら本格的に男女共同参画社会が実現できるんだろうかと、ちょっと私も心配な思いもしてきたわけです。  例えば、たまたまお医者さんがいらっしゃいました。医師の世界はそれぞれ専門職ですから、そういう意味での男女の差別はないのであると。しかし、例えばそこで何かを組織するというようなことになると、そのトップあるいはそこをリードしていくところにはなかなか女性は出てこないんだよねと、こういう言い方になってくるわけですね。  それから、私もそうなんですけれども、弁護士の方がおいででした。ここもそういう意味では差別がないというところですけれども、いや、でもやっぱり女性の裁判官というのはちょっとやりにくいんだよねとかいう言葉が出てくるとか、それから経営者の方も、できる限り働きやすくしていきたいんだけれども、やっぱり女性はどうしても結婚とか育児なんかでやめてしまうので、なかなか使いにくいんですよねとか、あるいは休業補償をしたくても代替する要員がこういう御時世ではなかなか確保しておけないから余りそういう人を使いたくはないんですよねと、こういう話になったり、また、みずから管理職の皆さんも、自分のときはいろんな制度もなくて本当に必死の思いで頑張ってきた、だから後輩にもぜひ能力を発揮してほしいけれども、なかなかついてくる人が少ないんだわねと。  こういういろいろな話になりまして、いろいろな工夫あるいは制度の改革等も含めて一歩一歩進められてはいるんですけれども、こういう何とはなしの意識とか、これは決してそれぞれが努力をしないという意味ではないんですけれども、何かすとんとこの社会に向けてやっぱり力を入れていこうというふうにならない部分がこんなところに潜んでいるのかなということも若干感じたりしたんですけれども、どうでしょうか。  お聞きしたいろいろな課題というのは、私も十分理解をし、そしてまた取り組みをしていかなければいけないということを考えている一人ですけれども、これから先、一番大切な重要なことというのは何なんだろうなと改めて感じてしまったんです、私のある意味ではつぶやきのようなものですが。  両参考人、こういう実態といいましょうか、そういうことについての何か御感想なりあるいはサゼスチョンがあれば、お聞かせをいただければ大変ありがたいと思います。

都村敦子中京大学経済学部教授

○参考人(都村敦子君) 今、千葉さんがおっしゃいました問題というのは、確かに日本の社会で根強くある部分だというふうに思います。  先ほども申し上げましたように、夫は外で働き妻は家庭を守るべきであるという考え方は男性の既婚者に多いんですね。だから、この男女共同参画社会を実現するというのは、まず男性のバリアを越えなきゃいけないんです。  そのためには、既婚男性を再教育するというのは、意識を変えるというのはなかなか難しいことだと思いますので、私は最後にも申しましたように、ちょっと長期的な視点に立って、小学校とか中学校とか高校とかの学校教育とかの中で、特にまだ育っていく前の男の子などを中心に、これからの二十一世紀の社会というのは男女共同参画じゃないとやっていけないんだ、絶対必要不可欠なんだということを意識啓発して、その人たちが成人して社会人になり、いろいろな社会に出ていったときに、各企業なり活躍の場で女性と男性は対等なパートナーとして活動するんだというのがもう身についていると思いますので、少し長期的な視点に立って、小さいときからの教育に力を入れていっていただきたいなというふうに思うんです。もう意識が固まってしまっている人を再教育するのはすごく難しい。だけど、社会の半分は男性ですから、男性に意識を変えてもらわないと進まないわけで、それはもう大変大きなポイントなんですけれども、私はやっぱり教育に少し期待したいというふうに思います。

永瀬伸子お茶の水女子大学生活科学部助教授

○参考人(永瀬伸子君) 大変大きな問題だと思います。  女性の就業行動ですけれども、第一子を出産した、第一子が一歳のときに働いていた方は、大体八割がその後も働き続けます。つまり、第一子出産の後にどうするかがその人の生涯を大きく決定づけます。  では、第一子出産後、一歳のときに働くかどうかという決断ですが、私自身も幾つも保育園を見て回りましたが、それを最初に手放すという、その決断というのは非常に大きいものです。皆さん自身も、今都会では本当に保育園に入れなくなっておりますが、ここしか行けないと思って無認可に行ってごらんになったときに、やはりやめようと決断するかもしれない方は大変多いのではないか、もしも所得上の不都合がなければですね、と思いますが。  私が大変驚いたことに、三年ほど前フランスの社会学者の方とシンポジウムをしたときに、私は日本には三歳神話というのがございましてというふうにお話ししたんです。そうしましたらその方は大変驚かれて、フランスの常識では社会学者のもう一致した見解であるが、フランスでは二歳からの幼稚園、それ以下ではクレシェという保育園がございますが、フランスではそういった保育園に入れた方が、幼稚園も含めてですけれども、子供の発達にいいというのがもう既に確立された研究上の見解であると言って、私はすごくびっくりいたしまして、そうなんですかというふうに伺い返しましたところ、高学歴の女性の場合には差がないが、低学歴の女性の場合には入れた方がよいというのがフランスでの見解だというふうに言われて、私は大変驚いたのです。  フランスは、かなり子供にはお金をかけている国でありまして、また保育園もアメリカと違って助成が多額に入っております。一方、アメリカは助成は入ってなくて自由市場でやっている国なものですから、日本以上にお金のある人にはさまざまな選択肢があるかわりに、お金がない人には劣悪な選択肢しかございません。  こういったことを考えてみますと、今の専業主婦でも、いや、むしろ専業主婦がうまく子供を育てることができないように地域社会がなくなっていき、また家庭内に入ってくる親族の人やなんかが少なくなっていると言われる今日にあって、私は、単に働く人だけではなく半ば家庭にいたい方についても、保育とまではいかないかもしれませんが、例えば二、三時間の青空教室でもいいわけですけれども、そういう形で人為的に子育ての場をつくっていく。さらに、保育園には多様性を備える。幾つか見て選択することができる。そして全体には、私自身この問題を随分考えてみた結果として思うのですが、やはり子育ては営利ではできないから女性を入れるということをすることで、それはすべての人にとってよりよい未来があり得るのではないかというふうに一つ思います。  それからもう一つの点ですが、かつては家庭内でできることというのは大変多かったと思うんです、家庭内で生活の質を上げることが。ところが、今日私たちが食べているものというのは、朝食べているものは海外から来たものでありまして、例えば食の安全を守るというのが、昔は上手な手づくりのものをつくることであったかもしれませんが、今はむしろ流通過程に関心を持ち、そして買うことに関心を持ち、その流通機構がどうなっているかを知り、さらに国際的にどういうふうに取引されているか、そこまで生活者の視点を持った人が考えるということが生活の質を上げることになっているように私は思います。  そういうことを考えますと、女性がもう少し社会的な部分に携わるということが、実は今一番生活の質を上げるのに必要なことなのではないかということを、それも単に家庭内で手づくりのものをよくつくるというだけではなくて、よりもう少し出ていくことがとても重要なのではないか。そのためには、一たん家庭に入った人がもう一度カムバックしやすい状況ももっとつくっていく、昇進経路なども含めてですね。  あるいは、先ほど短時間の公務員という提案をいたしましたけれども、いわゆる公務員の俸給表というのがもうできていますのでなかなか中途から入れないわけですが、そうではなくて、地域のために働く人に女性の視点が入るというのはとてもいいことのように思いますので、これを制度上どういうふうに可能にするのかはわかりませんが、そのようなことをしていくとよりよい社会になるのではないかというふうに思ったりいたします。

千葉景子民主党・新緑風会

○千葉景子君 私もなかなか焦点が絞れないでいるわけですけれども、都村参考人のおっしゃった、教育ということで長期的な視点を持って取り組んでいくということも一つであろうかと思いますし、それから多様なメニューを用意して、いろいろな経験といいますか、選択ができるような場をつくっていくというのは大変重要なことだろうというふうに思うんです。  というのは、男女共同参画社会というのは、反面、男性にとっても本来住みやすい、生きやすい社会になるはずなわけで、ところが、これまで男性の側も、自分のこれまでの人生の生き方でルートに乗っていますから、そうじゃない生き方というのに対してはどういうものかなかなかよくわからない。あるいは今の方がやっぱり住みやすいんじゃないかという、そういう気分も持っておられる。だとすれば、少し強引なやり方かもしれませんけれども、一度、逆転したような生活パターンができるようなメニューというか、ショック療法も少し必要なのかなという感じもします。  例えて言いますと、今育児休業制度のようなものも、男女ともに活用できるという制度にはなっておりますけれども、そうは言っても、それは賃金の問題とかあるいは取り巻く状況にも左右されております。やっぱり女性がというのが大体の状況ですね。だとすれば、例えばパパクオータのような形にして男性も必ず育児休業をとらねばならない、こういうことで一回育児というものを体験してみる、それによって両性が協力してやっていくというのはなかなかいいことじゃないか。あるいは、地域でいろいろな活動をするということで人生が極めて豊かになり、すばらしいことではないかということを感じたり、そういうことがあろうかというふうに思うんです。  そういう意味では、長期的な視点と、それから、そう待ってもいられないので、やっぱり今から一歩でも二歩でも直ちに何かを少し変えていくきっかけというんでしょうかね、そういうものと両面から考えていく必要があるのかなというふうに思います。  きょうお話しいただいたそれぞれの税制、社会保障のあり方、それから女性のパートで働く場合の賃金の問題、本当にこれはいろんな角度から取り組みをする必要があるというふうに思いますけれども、例えば第一歩、まずどういうものから着手、これもどれが一番、二番ということはないと思うんですけれども、今の制度の中でもこういうところを早く変えて、あるいはさらによい内容に充実させて前進をさせていく、こんな少し流れに沿っていくとすれば、どんなポイントが今一番早急にというか、緊急に取り組むべきところだとお考えでしょうか。そんな点がありましたら、それぞれお聞かせいただきたいと思います。

都村敦子中京大学経済学部教授

○参考人(都村敦子君) 今、千葉さんが最初におっしゃられた多様なメニューというのは、私、大変大事だと思います。これからは男性、女性のライフスタイル、それから雇用とか、そういうあらゆる面でフレキシビリティーを認めるという、与えるというか、それが非常に大事だろうと思うんです。ですから、必ずしも労働市場に参加して仕事をするということだけに価値があるのじゃなくて、労働市場以外の地域とかボランティアとか、そういうことも非常に価値があるということをやはり認識していくべきだというふうに思うわけなんです。  ですから、一番最初にとおっしゃいましたけれども、私は結局、国と家庭と企業と地域というか、そういうそれぞれの主体、それが変わっていこうとするエネルギーというんですか、そういうものを並行して持っていけば、きょう大きくは四つほど改革の方向を申し上げましたけれども、それは言ってみれば、国も制度についていろいろ検討してほしい。それから家庭についても、今男性の育児休業への参加というふうに言われましたけれども、私も子育てをしてみて、ある意味では、職業を持つよりも、一人の生きた人間を生まれてからずっと育てていくということは、子供を持って初めて、ああ人間というのはこういうふうにして生まれてこういうふうにして育ってきたんだなということがわかったわけで、こんな人間の成長を身近に見るほどおもしろいことはないわけです。  だから、ぜひ男性にも体験してもらいたいんですけれども、さっき言いましたように、〇・四%しか男性は育児休業を取得していないわけです。それはやっぱり、その背景には企業があります。たまに男性が育児休業をとりますと、新聞にこんな大きく写真入りで出たりします。そのくらい珍しいことなんです。  ですけれども、企業も変わり家庭も変わって、男性も、一年は無理であれば、そのうちのある部分育児休業をとってみようというような人がふえてくるとか、そういうそれぞれの領域で変わっていけば、どこにプライオリティーを置いていけば男女共同参画社会が促進するということではなくて、それぞれの家庭とか企業とか国とかで、それぞれの役割分担の中で何とかそういう男女共同参画を進めるような一歩が踏み出されればかなり社会は変わってくるんじゃないかというふうに思います。

永瀬伸子お茶の水女子大学生活科学部助教授

○参考人(永瀬伸子君) 私は、先ほど保育ということを申し上げましたけれども、一つは幼保一元化を進める、それから子育て支援センター機能の強化、保育園や公園に、センターづきの保母でしょうかあるいは指導者でしょうか、そういった人を配置する、それから家庭で子供を迎えるという家庭保育園の形成とネットワーク化、こういったような形で、一つは児童ケア施設の供給体制の整備と拡大が重要かと思います。  あともう一つは、育児休業は、今ふえている派遣社員ですとか契約社員ですとかアルバイトの方はとれないんですね。実は一番それをとりたい世代がとれないわけですので、正社員に限らず、そういったものを社会的に認めていくことが必要ではないかと思います。

千葉景子民主党・新緑風会

○千葉景子君 いろいろなまだまだ問題があろうかと思いますが、ひとつきょうは、残された時間で、先ほどから両参考人からもお話をいただいておりますように、社会のシステムをできるだけ世帯単位から個人を主体とした構造にしていくということについてちょっとお尋ねをしたいというふうに思うんです。  私は、ひとつこういう整理はできないものかというふうに思うんです。特に税の問題を考えたときに、税制というのは、特に所得税は、日本の制度はちょっと変なんですけれども、基本的には個人単位だと思うんです。所得を取った人が所得に応じて納めるという個人単位、世帯で合算したりするわけではありませんので。ただそこに、いろいろなこれまでの経緯によって、世帯の考え方とか、あるいは男性と女性の役割分業に基づくいろいろな要素が組み込まれてしまっているので非常に何かわかりにくく、そしてそれが性に対してなかなか中立に働かないという形に現在なってしまっているんだろうと思うんです。  例えば、先ほどからもお話がございましたように、配偶者控除のようなものも、これは考えてみると、所得を取った人の関係のことで控除がされるわけではなくて、配偶者の分を控除するという変な形になっている。扶養控除なども、ある意味では、本来社会保障などを中心にすべきものを、高齢者の扶養などは家族の問題よ、あるいは子供の育児というのは家族の責任よということで所得からそういうものを控除して、家族で頑張りなさい、どうもこういう構造になってしまっているのではないかというふうに思うんです。  そういう意味では税を簡素にして、そして公平性を保つという意味からも、でき得る限りこういう人的な控除を廃止して、そして例えば児童手当を厚くする、あるいは養育手当のようなものをつくる、あるいは高齢者だとこれから年金をきちっとした手厚いものにしていく、こういうこと。それから、男性と女性であれば、配偶者だから所得を得ない人ということではなくて、先ほどから話があるようにワークシェアリングをしたり、あるいは無償労働に対する評価をどうしていくのかという側面から考えていくということで、できる限り税制というのを、指摘があるように個人の単位で完結できるような制度にしていくということが必要なのではないかというふうに頭を整理してみたんですけれども、こういう整理の方向というのはいかがなものか、御意見やあるいはいろんな問題指摘があればお願いをしたいというふうに思います。

都村敦子中京大学経済学部教授

○参考人(都村敦子君) 全く賛成です。税制の人的控除については、早急に検討して整理をしていただきたいというふうに思います。  配偶者控除とか配偶者特別控除は、妻を夫の被扶養者として位置づけているわけです。ですから、伝統的な男女の役割とか伝統的な家族の役割を前提にしているわけです。それは変えていくべきだというふうに思います。  そうすると、雇用保険では実際、九十万というのは外しましたよね、今度。だから、雇用保険がもう一歩を踏み出しているわけです。ですから、この社会保険の被扶養者認定基準についても、あるいは税制のこういうふうな被扶養者の取り扱いについても、主として配偶者ですけれども、配偶者の取り扱いについても検討して変えることはできるわけです。  ただ、外してしまうと低所得の方の税とか社会保険の負担が重くなる。特に重くなるのは、社会保険料というのが逆進的なんです。低い所得のところでは重くなるわけです。ですからそこに問題があるんですけれども、私は前から、社会保険には逆進的な性格があるので、被扶養者認定を廃止して低所得者控除とか、それから所得が低い場合、人的控除というようなのを社会保険料についても導入すれば所得領域のかなりの部分で累進的にすることができると思うんです。  だから、そういう工夫を入れていって、少し働いて収入が少ないという人についても、そんなに税とか社会保険料の負担が重くならない、だけれども働いた分、手取りの収入は入るというような、そういう形での見直しが可能なんです。ですから、特に税制の人的控除の簡素化というのは、いろいろ税調とかでも議題になっておりますけれども、やはり早急に検討してほしいというふうに思います。

永瀬伸子お茶の水女子大学生活科学部助教授

○参考人(永瀬伸子君) 結局、ケア活動というのを国がどう評価するかということだと思うんです。  例えば、保育園に預けた、あるいはシッターさんを雇った、そういった費用をどういうふうに税額控除するのか、あるいは所得控除するのか、それとも暗黙に女性がやるものとして配偶者控除でよいのか、その辺はもう少しいろいろと検討すべき点ではないかと思います。  ケア活動を実際担っている人に関してはきちんと考えるべきなのではないかなと。ただ単に配偶者控除を全部撤廃してといっても、保育園に入れないのに、自分の子供のケアをして、そして仕事をやめて所得も下がってしまった、そういったような状況がある人のことを、そう簡単にただただ個人単位にというわけにもいかないというふうには思います。

渡辺孝男公明党

○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。  都村敦子様、それから永瀬伸子様、お二人の参考人の方から大変貴重な意見を聞かせていただきまして、本当にありがとうございました。  私の方から、今までも質問は出ておったんですが、少し抜けていたようなところもお聞きしたいと思うんですけれども、先ほど森下委員の方から児童手当のことを都村敦子参考人の方に御質問がありまして、税金の方の控除では逆進性というのが問題になってくる、児童手当の方で支給の拡大をした方がそういう逆進性を改善できるということですぐれているんじゃないかというようなお話もありまして、私もそのように思うわけです。  ただ、税額控除とかそのほかの点も考えて、例えば社会保障の面とそれから税制の面で国際比較を都村参考人はされておりまして、一九九八年の段階では十六カ国中日本は最低の二・一%だということを表で述べておられますけれども、この比較をされまして、いかに日本が子育て家庭への援助が少ないかということが改めて私もわかったわけですが、この結果を踏まえましてどういう感想と、日本の特殊性といいますか、そういうものを感じておられるか、その点お聞きしたいと思うんです。

都村敦子中京大学経済学部教授

○参考人(都村敦子君) やはり日本は、今までは子供の養育は親の責任であるという固定観念みたいなものが多かったので、児童養育家庭に対する所得保障というのが進まなかった。最初は、小さく産んで大きく育てるということで、二十八年前ですか二十九年前ですか、児童手当が導入されたんですけれども、そのような経路をたどらなかったんですね。それは、やはり先ほどのように、ばらまきであるというような考え方とか、あるいは子供の養育は親の責任であるということが強かったというふうに思うんです。  ですけれども、先ほど言いましたように、社会は世代間の連帯で成り立っているわけですから、子供がいずれ大きくなって生産年齢世代になるわけです。そうすると、かつて自分を育ててくれた退職世代を今度は医療とか年金とか介護で支えていくわけです。それから次の子供の養育をするという、こう順送りになっているわけです。そのことを理解すれば、現役世代が子供の世代を援助していく、子供を育てている世代を援助していくというのは当然考えられなければいけない社会保障の重要な課題なんですけれども、そこのところがぽかっと抜けていたわけです。ですから、それを今後拡充するという点で大きな課題にしてほしいというふうに思います。  先ほどの国際比較ですけれども、ILOの百二号条約というので家族給付に関する最低基準を述べているわけです。年金とかほかのところはクリアしているわけです。社会保障に関する最低基準を批准しているんですけれども、家族給付は全然、こういうような状況ですので批准できないわけです。これは平均的サラリーマンが税制と社会保障から手取りでどれだけ給与、年収に対して何%給付を受けているかというんですけれども、例えば上の国の方の十分の一です。  それから、先ほど申しました同じことは、私は、きょうのテーマである女性の経済・社会的自立ということで、ひとり親家庭、特に母子家庭に対する職業訓練とか所得保障の支援というのはすごく重要だと思うんです。それがまた、先ほどお配りしました資料の図表20にありますように、平均的なひとり親家庭でどれだけ税制と社会保障から援助を受けているかというと、上の方の国は手取り年収の四七%とか四〇%という公的な援助を受けているんですけれども、日本は何と四%にすぎないんです。  ということで、一般家庭に対する児童手当、あるいはひとり親家庭に対する税制及び社会保障を通じての給付というものが本当に先進諸国中最下位なんです。ですから、何とかこれを脱却して、もっとILO百二号条約の家族給付に関する最低基準が批准できるように御努力いただきたいというふうに思います。

渡辺孝男公明党

○渡辺孝男君 もう一点、都村参考人にお伺いしたいんですが、前もっていただいた資料で五ページのところに、「国際的動向をみると、子育て家庭に対する経済的支援は、税制の所得控除(扶養控除)から税額控除へ、そして社会保障の現金給付(児童手当)へと置き換えられる傾向が強い。」ということが書かれているわけでありますけれども、これもやはりそういう税額あるいは税制の所得控除等では逆進性が問題になってこういうふうに変わってきたということなんでしょうか、その点をお伺いしたいと思うんですが。

都村敦子中京大学経済学部教授

○参考人(都村敦子君) そうですね、外国ではかなり前から税制の児童扶養控除は逆進的であるという点が論点になっておりまして、スウェーデンなんかは、児童手当を導入する一九四八年に既にもう税制の方は完全に廃止をして、そのかわり児童手当を通じて家族政策を推進するということがかなり昔に導入されています。  その他の先進諸国についても、高所得層を公的に支援するということは公平の点から問題であるということで、最初、税額控除に置きかえるというところもあったわけですけれども、そこから今度は、やはり社会保障の現金給付を通じて行うのが公平性の点からも効率性の点からもわかりやすさという点からも望ましいということで、そういうふうに置きかえられてきているわけなんです。税調とかで一年ぐらい議論をしてぱっと変えるとか、割とスピーディーなんです、外国の場合は。  ですけれども、日本は縦割りになっているということもあって、児童手当と扶養控除の相互調整ということはかなり前に議論されたことはあるんですけれども、なかなか実効性があるところまではいかないわけです。それは行政の縦割りというのもあると思います。これは、先ほどのように高所得層で子育てしている家庭に多額の支援をするというのは問題があるわけでして、早急に検討すべきところだと思います。  以上です。

渡辺孝男公明党

○渡辺孝男君 次に、永瀬参考人にお伺いしたいんですが、前もっていただいていた資料の中でちょっと私も興味を持って見た点があるんです。それは、「上場企業OL約九十名のインタビュー調査からは、新しい家族のモデルができていないことを痛切に感じた。 たとえば戦前の「大家族の嫁」といったモデルに対して、戦後は、サラリーマンの夫を持ち、核家族で小綺麗に家を整える妻という新しい像が、企業社会という新しい生産方式に対応して、憧れをもって描かれた。ところが今日、消費に贅沢なOL、あるいはキャリアOLといった憧れを未婚女性について描くことはできても、子持ち夫婦についての新しい憧れの像を私は思いつかない。」というふうなことがありまして、今の若い女性あるいは働く女性の家庭像といいますか、理想的な家庭像のモデルが描かれていないということで、ちょっとショックといいますか、そういうものを感じたんですが、この点どうなんでしょう、そういうアンケートをとられたことをもとにしてお話をもう少しお聞かせいただければと思います。

永瀬伸子お茶の水女子大学生活科学部助教授

○参考人(永瀬伸子君) 今の日本では、正社員とパートとで非常に大きな賃金格差がございます。女性同士で比較しても、ボーナスを含めますと正社員の大体六割ぐらいしかパートタイム労働者ですと賃金を得ることができません。  正社員の働き方というのは、日本では非常に時間が固定されております。また、過去のキャリアの評価でございますけれども、基本的にはやはり内部昇進制というのが強いのではないかというふうに思います。新聞などを見ますと、随分中途採用がふえているようには書いてございますけれども、九七年あたりの雇用統計を使って私自身が行った研究ではごく限られたものでございました。そのようなことを考えますと、これは上場企業に勤めているOLの方々へのインタビューだったのですが、仕事をしながら子供を持ち家族を持てるという姿が思い描けないのだろうというふうに思います。  つまり、正社員の働き方というのは、基本的には家族のことは妻に任せると。だからそこには、会社に来ていない人が子供を育ててくれる、また家のことをやってくれるということが暗黙にあるのだろうと思いますけれども、そういう人が夫も妻もそうであった場合には、おばあちゃんでもいてそれをやってくれればどうにかなりますけれども、そうじゃない場合には非常に時間的なゆとりがありません。  ですので、私は以前、人口問題審議会に呼ばれて、大して若くはないのですが、若い世代ということで呼ばれたのかもしれませんが、そのときにもお話ししましたけれども、キャリア夫婦で子供を育てるあこがれの像というのはテレビドラマにもならないのではないでしょうかというふうにお話ししたんですけれども、なかなかあこがれの像が描きにくいような働き方でありますし、暗黙の前提があるのではないかというふうに思います。  そしてまた、これは人口問題研究所の岩澤美帆さんという方がなさった分析ですけれども、今は、仕事と家庭の両立というのをあこがれに思う、理想に思う人々はふえている。ところが、その多くは、自分はそういうコースはたどれないだろうと思っている。  それから、現在も専業主婦になりたいという層はいる。十年、二十年ぐらい前までは、専業主婦になりたいという理想と専業主婦になれるだろうという理想はかなり一致していたのですけれども、自分がたどるだろうというのは一致していたのですけれども、今は、専業主婦に自分はなりたいと思う層は、自分はなれないだろうと。つまり、自分は専業主婦をやっていけるような所得のある夫と結婚できないだろうということかもしれませんけれども、やっていけないだろうと感じている。一方で、両立をしたいと望んでいる層というのは、恐らく自分は両立は不可能であろうというふうに感じている。  ということで、新しい像が、つまり仕事をしつつ子供、家庭も持てるという像が描けない働き方の現実がある。短時間で雇用待遇のいい仕事というのがもう少しできてくればまた話が違ってくるのではないかという気もしますけれども、今現在はそれがないのではないか。

渡辺孝男公明党

○渡辺孝男君 私もちょっと別な観点で考えていることはあるんですが、女性の就労の賃金ですか、男性との賃金格差がまだまだ残っていると。  例えば、職業柄、交通事故等の患者さんを診たりもしたことがあるわけですが、お亡くなりになったりあるいは要介護状態になったりした場合に、逸失利益といいますか、民事の賠償なんかする場合に、逸失利益を算出する場合に男女差というものがあって、やはり女性の就労の賃金がある程度きちんと評価されていかないと、現状での女性と男性の賃金格差がそのまま逸失利益として算出されて、男女の格差が生まれてくるというのが現実であります。  そういう意味では、先ほど言ったパート労働されている方が就業調整をしていくとそれが影響し合って女性の正社員の方の賃金低下につながっていくと思っておりまして、こういうものを改善するのにもやはりさまざまな観点から、税の問題、年金の問題等していかなければならないと思っているんですが、そういう男女の賃金格差がそのほかにも、ただ単なる賃金の格差だけでなくて、社会的にいろんな面でまた影響を持っていると、逸失利益等も考えまして。  そういう何かほかにも、こういう影響があって早期に改善をしなきゃならないんだという、ちょっと離れた面での影響というのを感じていらっしゃればお二人の参考人にお聞きしたいんですけれども。

都村敦子中京大学経済学部教授

○参考人(都村敦子君) 老齢厚生年金の一番新しいデータで、新規に受ける方の平均が、男性が二十万四百九十円、女性が十一万五千百九円なんです。女性は少しずつ上がってきているんですけれども、男性の平均年金額に比べて五七・四%なんです、女性の年金。老齢年金というのは高齢期の、退職してからの所得保障ということなんですけれども、そこに至っても働いていたときの男女の賃金格差の影響を受けるわけです。  結局、年金額というのは保険料を掛けた期間と働いているときの所得水準によって決まってきますので、働いているときの賃金格差が老齢年金をもらう場合に二十万四百九十円と十一万五千百九円という、五七%もの差になっている。これは日本だけじゃなくて先進諸国でもそうなんです。  だから、それはもう顕著な例だと思うんですけれども、働いているときだけじゃなくて、長い高齢期においてもそれだけ年金の差が出ている。これは年金制度の方に問題があるのじゃなくて、社会の中での男女の賃金格差が、年金の計算方式からいうとやむを得ないわけです、それは。ですけれども、そんな差があるということ。長い間男性と同じように働いてこられた女性が、受ける段階になって、新規裁定の決定をもらって愕然とされる方が多いんです。余りにも低いということでびっくりされるんですけれども、それはみんな働いているときの賃金格差の反映であるわけです。  ですから、やっぱり社会の中でのいろんな男女平等というのが進まない限り、そういうふうな社会保険の給付も女性にとって不利な影響が出てくるということです。  以上です。

永瀬伸子お茶の水女子大学生活科学部助教授

○参考人(永瀬伸子君) きょうはちょっと持ってこなかったんですけれども、私は、四十年間専業主婦でいる場合と、例えば十五年間パートで勤めて、それでそれが第三号以内であった場合と、それから第三号を超えて毎月保険料を払い、そして老後の年金にどのぐらいに反映されるかというのを計算してみました。  まず、基礎年金は四十年フルに入っていると、今ですと六万七千円月額来るわけですけれども、百三十万以内で働けば、毎月保険料は払わずに、だからその分だけ所得はふえる。現役世代の収入はふえる上で、老齢年金も変わらないでその金額なんです。  今度、パートで働いた場合の保険料は、年収百八十万ぐらいで計算してみたんですけれども、幾らぐらいになりますでしょうか、比較的払うんですね。比較的払ってその上に事業主負担が乗りますから、老後の年金はふえることはふえるんですけれども、パートで百八十万働くというのは、パートといってもかなりフルタイムに働いている働き方なんです。そして保険料も払い、税金も払う。その上で乗ってくる部分というのは小さいなというのが実感です。  それを夫婦モデルとしてぱっと見ますと、何か、ああ、これもいいかなと一見見えるんですけれども、その長い間の努力や払ってきた保険料等々を考えますと、パートで例えば十五年、二十年働いて、百八十万も得るぐらい頑張って働いて保険料を払っても、この程度なんだなというような乗り方だというふうに感じたりいたしております。

渡辺孝男公明党

○渡辺孝男君 ありがとうございました。

小池晃日本共産党

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  ありがとうございました。  育児休業の問題について最初にお聞きをしたいんですけれども、厚生労働省が女性少年問題審議会の建議に基づいて今国会に育児休業、介護休業法の改正案を提出しております。  この建議を見ると、給付水準が二五%から四〇%に引き上げられたと。休暇を取得した女性の割合が五六・四%と半数を超えるに至ったというふうに述べているわけですけれども、これは先ほど永瀬参考人もお話ありましたけれども、もともとの母体が非常に少ないというか、学卒後の約八割が正社員として勤務をするんだと。結婚を機に四割程度が専業主婦となる。四割程度が正社員として残って、その六、七割が出産を機に専業主婦となるということで言えば、働き続ける女性というのは約一割。そのうち結婚しない方もおられるし、子供を産まない方もおられるということで言えば、有資格の女性全体で見た場合に、過半数が育児休業を取得していると言っても、出産年齢の女性から見ると本当にごくわずかだと。非常に占める割合は低いんだと思うんです。  最初に都村参考人にお伺いしたいんですけれども、参考人もお書きになっているんですけれども、我が国の育児休業給付の水準、これはGDP比で〇・〇〇五%と。フィンランドとかスウェーデンと比べて二百分の一という指摘をされていますけれども、この大きな開きの原因が一体どこにあるのか。  それから、支給期間の問題もあると思うんですけれども、これも国によって違いがありますけれども、どのぐらいが適当であり、どういうふうに改善すべきなのかということについて御意見をお聞かせ願いたいと思います。

都村敦子中京大学経済学部教授

○参考人(都村敦子君) お配りしました図表20の資料に書いてあります「季刊 年金と雇用」の一九九九年五月号です。そこで家族政策の国際比較ということで、育児休業の先進諸国の導入年、それから育児休業給付がつくかどうかという資料も一覧表として出していますので、また御参照いただきたいんですけれども、導入された年次がまず違います。それから、先ほど取り上げましたように育児休業給付の給付率が違います。  給付率というのは、育児休業給付が休む前の給与の何%の所得保障がなされるかということで、日本は四〇%ですけれども、先ほど申しましたように北欧諸国は八〇%とか高いわけです。それが違うということと、それから取得率が、前もってお配りしました人口動態ショックを緩和する方法の最終ページのところに書きましたように、先進諸国では受給資格要件を満たしているほとんどすべての親が育児休暇を利用しているということがあるんですけれども、日本の場合はやっと五〇%を超えたというところです。  ですから、取得率が違うということ、それから給付率が違う、あるいは導入年が違うということで、外国でも、児童手当なんかのGDP比に比べると育児休業の対GDP比というのは今ふえつつあるところなんです。増加しつつあるところなんですけれども、ここに書きましたように八年間でそれぞれの国について上がってきています。それは、取得する者がふえてきたとか給付率の改善が行われているとかいうことがあるので、日本は導入された年次が若いので、そのためにまだ低いんですけれども、若い割には、労働省が大変努力されて、二五%をことしの一月からの四〇%へのレベルアップというのは、私は大変大きな改善であるというふうに評価しております。なかなかこういうふうに急速に制度というのは変わらないんですけれども、これは非常に大きな改正で、これによってことしからまた取得率は上がるだろうというふうに思います。  なぜ育児休業を取得しないかというのは、一位は職場の雰囲気というのがあるわけです。それから二番目に多いのがやっぱり経済的な理由ということで、若いカップルの場合は、二人で働いているときに一人が一年間育児休業をとって所得がゼロになると、家族は三人になるので厳しいわけです。ですから、経済的理由でとらなかったという人が多いわけですけれども、それが休む前の四〇%の所得保障がつくということになると、これから取得率はもう少し上がるんじゃないかと。  ですから、先ほど提言しましたように、さらにもう一歩給付率を将来的には引き上げるように御努力をいただきたいというふうに思います。  以上です。

小池晃日本共産党

○小池晃君 その育児休業の問題、永瀬参考人にもお伺いしたいんですけれども、これをどう変えていくべきか、どの点を改善していくべきかということなんですが、参考人が事前にお配りいただいた中にもあるんですけれども、育児休業法施行前と施行後で、それ以前に結婚した人とそれ以後に結婚した人を比べてどうなったかと。結婚後の就業の継続はふえるけれども出産自体はふえていないと、実際の出産と出産後の継続を引き上げる効果はいまだ生み出していないんだという御指摘がされています。  全体をどう変えていくべきかということと、参考人が指摘されているこの点で、引き上げていくために育児休業制度のどこをどう改める必要があるというふうにお考えかをお聞かせ願いたいと思うんです。

永瀬伸子お茶の水女子大学生活科学部助教授

○参考人(永瀬伸子君) これは九七年の調査を使ったもので、その後何年かたちましたので少しは変わった可能性もありますが、九七年時点で見た限りでは、育児休業が導入されたことで、ああ、勤め続けられるかもしれないなということで結婚後の就業継続はふえた。しかし、現実問題として、いざとろうかなと思ってみると、やはりとって働き続けることにはなかなか支障があるということで出産自身をふやすには至っていない。  ちなみに、育児休業の取得率が大変高いと言われる公務員だけを取り出しますと、公務員では、実は専業主婦よりもさらに早く子供を産んでいるんですね。ですから、必ずとれそうだということであれば若いうちに産もうということにもなるのかもしれませんが、とりにくいということであれば、なるべく勤めて、やめて産むということになるのだろうというふうに思います。  労働省の調査では、育児休業の取得率というのは四五%ぐらいですか、最新の調査はもう少し上がった数字が出ていたような気がしますけれども、女性雇用管理調査。これは、産んだときに企業に籍を置いていた人がとったということで、残りは産休明けで出てきたと、そのようなことですので、産む前に無理そうだなと思ってやめてしまった人というのは出てこないんです。それからあと、妊娠中まで勤めていたけれども申請しなかった、つまり妊娠でお腹が大きくなってやめようと思った人も出てきません。  ですので、全体においてどのくらいとっているかというのは実はほとんど調査がなくて、この国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査でわかったことなのですが、それによりますと、九二年からの出産、九五年からの出産というので見ていきますと、やはりだんだん取得率は上がってはおります。上がってはいるんですが、一番高い九五年から九七年の出産でもたしか九%だったと思います。つまり、生まれた子供の九%程度がこの育児休業を利用しているということです。  ですので、四〇%に改善されたというのは、私もああ随分改善されたんだなとちょっとびっくりしましたけれども、国際的に見て、北欧諸国に比べれば低いかもしれませんが、これはそう悪くはないというのが私の印象です。  いや、むしろお金よりも時間が要るのかなと。その時間というのは具体的にはどういうことかというと、例えば育児休業というのは一たん明けると、子供が病気になったからまたもう一度育児休業にしますとか、そういうことはなかなかできないんです。それから、保育園の入園が三月がやりやすいので早目に切り上げちゃう人が多いんですけれども、じゃその部分というのを少し短時間勤務で振りかえさせてくださいと、子供がもう少し大きくなるまで。例えば、一年分を短時間で削ると倍ぐらいに延びるかもしれませんけれども、そういうふうな融通というのはないのです。ですから、何度かとるとか、それから短時間パートに振りかえてそれを少し長い期間にするとか、そういうような融通性というのはございません。  それから、もう一つは保育園との連結の悪さです。四月に枠が大変広がるのでそこで入れなくてはといって早目に切り上げてしまうといったようなことです。その辺で柔軟性が必要かなというふうに思います。

小池晃日本共産党

○小池晃君 引き続き永瀬参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほどのお話の中で、百三万、百三十万のいわゆる主婦の優遇策の問題で、これを児童のケアとか高齢者ケアに対する考慮というふうに置きかえるべきだという御提案が大変興味深かったんですけれども、それを行うことによって具体的に、だれにどういう階層にどのようなメリットがあるのか、また逆にデメリットが生じるような階層はどこなのか、その辺をちょっとわかりやすく説明をしていただければと思うんですけれども。

永瀬伸子お茶の水女子大学生活科学部助教授

○参考人(永瀬伸子君) 都村参考人の方からおっしゃっていた児童手当ですとかそういった給付を大幅に、つまり本当はもっと全体を大きく変えなくてはいけないのですが、そのための提案を全く自由にしてほしいというのであればそれもまた別にあるかもしれませんが、それはなかなか難しいであろうということを考えて手直しという点で考えるのであれば、子供を養育している、あるいは要介護者がいるところだけに限るというのがいいのではないかという、そういうことなのです。そして、それでどういうことになるかというと、子供が一定年齢になった世帯については増税になります。あるいは、要介護者がいない世帯については増税になります。  ただし、税はどういうふうに決めるかというと、同じ生活水準だったら同じぐらいの負担ということだと思うのですが、同じ収入で二人が食べていくのと、つまり夫と妻が食べていくのと夫だけが食べていくのだったらば、夫と妻が食べていく方が生活水準が下がるだろうという、そういうことだろうと思います。  特に片方が働けない要因があるんだったらば、確かに生活水準は下がるだろうと。それから、仕事がないとか身障者のケアをしているとか、そういったことで働けないということだったら生活水準が下がるからそこを考慮すべきだということですが、そうではなくて、自分の選択として、仕事もあるけれども、家にいた方がむしろ生活水準が高いというふうに自分で考えて自宅にいることを選択したところについては、それはその方が生活水準が高いから家にいることを選択したわけですから、それについて税をカットするというのはややおかしい。つまり、余暇を楽しんでいるのかもしれませんし、あるいは外で働いていたら手づくりできないようなものを家庭内でつくって生産している。お金ではないかもしれないけれども、実物として生産しているわけですから、そういうところではむしろ税は本当はふえるのが、同じ生活水準なら同じ税という議論になるわけです。  ですので、そこの部分では増税になりますけれども、それはそういう生活を選択したということに対する負担であるので、働けない事情がないのであれば、また、夫の所得の高い層の方がその影響というのは大きいわけですけれども、世帯に与える税額の影響というのは大きいわけですけれども、余り、ということです。

小池晃日本共産党

○小池晃君 最後に、男女の賃金格差の問題が先ほどから出ておりますけれども、おとといの日経新聞でも、以前参考人で来ていただいた鹿嶋編集委員が、賃金格差が今逆に広がっているんだというような指摘もされています。  そういった中で、パートの賃金の問題、パートの壁の問題を解決することが前提としてはあると思うんですけれども、やはり今賃金格差が逆に広がっているような状況の中で、パートに対する同一労働同一賃金、平等待遇の確保あるいは不利益処遇に対する法的な規制、こういったものが必要になってきているんではないかというふうに私どもは考えているんですけれども、この件について永瀬参考人の御意見をお聞かせ願えればというふうに思います。

永瀬伸子お茶の水女子大学生活科学部助教授

○参考人(永瀬伸子君) この問題は法律の問題だろうというふうに思うんです。  私は経済学が出身でございますので、経済学で考えた場合には、生産性が高いところには高い賃金がつくであろうというのが基本的な経済学の考え方です。しかしながら、有能な方等が自主的にインセンティブを阻害してしまう、働く意欲を阻害されてしまうのであれば、その結果、高い賃金はつかないというのが経済学の理論です。  同一賃金を法律で施行することが果たしてどのくらいの効果があるかということで、生産性の差があるのにもかかわらずそうした法律をしくことがあったとすると、それはいろんな意味で回避されてしまう可能性もあるのですが、実効を伴わない可能性もあるわけですが、経済学の立場としては、やはり同じような賃金、同じような労働に対しては当然同じような賃金がつくような、そういう環境を整備すべきであると。それを法律でそうするというんではなくて、例えばそういうふうに人々が能力を発揮できるような、そういう環境を一つは整備するということであるかなと思います。  それから、あと具体的には、経済理論どおりに動いておりませんで、さまざまな賃金制度等があって、私は以前、日経連か何かが出している賃金のつけ方のような本を読んでああっと思ったんですけれども、それは、総合職にはこういう賃金のつけ方をしなさい、一般職に対してはこういう賃金階段にしなさいということが書いてありまして、なるほどこれは一たん一般職になったらばもうその賃金階段でしか上がっていけないんだなということを明確に提示している本なのです。そうすると、同じ能力であったら本当は賃金が上がるはずだというふうに経済学が思っても、そういう制度をつくってありますと、そう簡単には別の階段には移れないのだろうというふうに思います。  それと同じように、今度パートについては全くそれとは別に相場で採用されているのではないかと思うのですが、そういった方々がより昇進経路に乗れるためには、法律もあるでしょうけれども、使用者側、それから労働組合や労働者側、そしてまた政策全体でやはりそういう社会に変わっていかなくてはいけないのだということを認識して変えていくのかなという気がいたします。

小池晃日本共産党

○小池晃君 ありがとうございました。

清水澄子社会民主党・護憲連合

○清水澄子君 社民党の清水です。  まず、いつも同じことの質問を繰り返しているという感じがします。というのは、大体問題の所在はわかってきているけれども、政策的に実行できることがなかなか進まないという中で、結局、女性の経済的、社会的自立というときには、一つは働く条件、雇用の面と社会保障という面、この両面から保障されないとなかなか女性の経済的自立というのは難しいと思うわけです。  その場合に、私は絶えず賃金の格差がないようにしなきゃいけないというのは、先ほど出たように年金にすべて影響しますから、女性の賃金が非常に不当に男女格差があるままで行けば、これは生涯女性は年金で非常に経済的に自立しにくいという意味で、雇用の面でも私は賃金というところにもう一度きちんと視点を当てなきゃいけないんじゃないか。そうしないと、税制と社会保障の分野の個人単位というだけではちょっと問題が、一番基本的なところが残ってしまうんじゃないかと考えているわけです。  そういう中で、いわゆる雇用と家族生活、家庭生活への支援という政策、この両面から大体諸外国はいろんな法改正とか政策的なフォローをやっていると思うんですけれども、お二人の参考人がいろいろこれまでの先進国のあり方を見ましてどこが最も、例えば法的整備でも、政策的な優先度といいますか、そういうものでも最もモデル的にやっている、参考にしたいなと思うような国の例がありましたら教えていただきたいと思います。

都村敦子中京大学経済学部教授

○参考人(都村敦子君) 先ほど意見のときに述べさせていただきましたように、お配りいたしました資料の一番最後の図表21ですけれども、これは高齢者以外の方に支給された社会的支出を分母にとって、それから高齢者へ支給された社会的支出を分子にとって比率を出したものなんです。  これをごらんいただきますと、北欧諸国はみんな一以下なんです。ということは、高齢者への移転、社会的支出というのは、年金とか医療とか介護とか社会福祉サービスとか、そういうものと、それから今おっしゃった現役世代に対する雇用とか家族生活に対する支援とか、そういったものに対する社会的支出の方が、分母の方が大きいというのが北欧諸国なんです。それはそれだけ積極的な労働政策とか家族政策を非常に早い時期から推進してきたという結果でもあるわけです。その他の先進諸国も一から二ぐらいですから、まあまあそのバランスがとれているわけですね。  ですけれども、日本を見ていただきますと、五・五というのは余りにも高齢者への社会的支出にウエートがかかり過ぎているんですね。今、社会保障給付費だけを見ましても、年金と老人保健と高齢者の福祉サービス、それから継続雇用とかの雇用保険の高齢者向けのと、それを合わせたものが総社会保障給付費の六七%ぐらいを占めているわけなんです。だから、社会保障といってももう三分の二ぐらいは高齢者のための制度になっているわけですね。若い世代で社会保障とか年金について不信感とか将来に対する不安とかがいろいろな調査でだんだん高まってきているというのは、何か社会保障イコール高齢者に対する制度ではないかというようなところがあるわけですね。  これはやっぱり問題なんですけれども、今までの日本は、じゃ今、清水委員のおっしゃった雇用とか家族責任への支援というのはどういうふうに行われてきたかというと、それは国が行うのではなくて家族が自分で考える、あるいは企業がそれに対応していくということで、家族とか企業に頼ってきたわけです。頼ってきたために、そういう社会保障給付費とか社会的支出という公的な部分には出てきていないわけですね。  けれども、これからはちょっと無理です。先ほど申しましたように、少子高齢社会では結局現役世代の負担がふえるわけですから、大変厳しくなってくるわけです。ですから、これからはやはりもっと、一番最後にレジュメにも書かせていただきましたように、現役世代の労働市場の改善とか所得保障に日本も力を入れていかなきゃいけない。  そのとき参考になるのは北欧諸国でありまして、もしお時間がございましたらまた御参照いただきたいんですけれども、国立社会保障・人口問題研究所の方で先進諸国の社会保障シリーズというのを六冊ですか、最近出しております。その中に、先進諸国が出ているんですけれども、スウェーデンのがありまして、そのスウェーデンの家族政策がどんなふうに早い時期から力を入れてきたかということについてちょっと取り上げさせていただいておりますので、もし御興味がおありのようでしたらまた御参照いただきたいと思いますけれども、北欧諸国の経験というのはやはり参考になると思います。  以上です。

永瀬伸子お茶の水女子大学生活科学部助教授

○参考人(永瀬伸子君) 先ほどの話の中でもセインズベリーという方が書いた本についてお話ししたんですが、それによりますと、同じ北欧でもスウェーデン型とノルウェー型はかなり違うというのですね。スウェーデン型は、基本的には男女ともともに働く、そしてケアは社会化するというのがスウェーデン型だけれども、ノルウェー型というのは、比較的主婦の団体なども強くて、結局のところ主婦に対して、ケア活動に対して、無償労働に対して有償化するような方向に行ったということでございます。私自身の好みとしてはスウェーデン型でございますけれども、日本に近いのはもしかしたらノルウェー型の方なのかもしれないという気もいたしたりいたします。もちろん、私は北欧のことをそれほどよく知りませんので、ただ御参考までに。  そして、今高齢者にすごく手厚く、若い人に手厚くないというお話が都村参考人の方からございました。全く同感でありますとともに、もう一つ申し上げたいのが、若い人の労働市場への入り口が本当に細くなっているということです。大学におりますとそれは物すごく如実に感じます。  若い人の意識変化がフリーターを生んでいるということが言われたりもするのですが、その面もございます。その面があるというのはどういうことかというと、若い人は何らかの仕事につきたいと思っているのに、企業のどこのセクションに行くのか全くわからず、もう本当にインターネット上でどんどん企業に応募していくような形になっておりますので、実際に入ったとしてもそこが自分の行きたいところじゃないかもしれないということがあるのが一つです。つまり、職がなかなか選べないということです。職種が選べない、職のどこのセクションに行くかが選べないということがありますけれども、それ以上に非常に大きいのが、正社員の仕事そのものが本当に縮小しているんです。  どちらかというと、こんなことを言ったら問題があるかもしれませんけれども、子供と妻を養っている中高年の世帯賃金を得ている方々はどっかりといて、若い人はパラサイトシングルせざるを得ないというか、中高年の方は家族を支えていますので、そこで仕事が奪われると非常に雇用不安が強いので大きな政治圧力にもなりますし、マスコミでも大きく取り上げられます。そういったリストラに遭った家族の痛手というのは非常に大きいと思うのです。でも、その陰で、まあ好みでしょうというふうに軽く扱われている若い人が、訓練機会のある仕事につけないにもかかわらず、当面は親にも頼れるしいいだろうということで、そこのところがなおざりにされたままもう八年近くたっております。  このことはこれから非常に大きく日本の将来にボディーブローとなってきいてくると思いますので、世帯主と配偶者という、世帯賃金というそのあり方が今や若い人の雇用にも影響を与えているということを申し上げたいと思います。

清水澄子社会民主党・護憲連合

○清水澄子君 その次に、永瀬参考人は子供の養育環境の整備ということで問題を提起してくださっているんですが、最近、働く女性は本当に低賃金ですけれども非常にふえ続けているんですよね、非常に権利のない分野で。  それで、待機児童というのは数字はもうふえるばかりで減らないんですよ。そして保育所、それに対して、私は少子化対策という形で子供の養育というのは変な話だなと思うので、少子化でなくたって子供の養育はもっと以前からそういう環境が必要だったと思うんです。しかし、なかなかこの保育所というものが、逆に今非常に駅前保育とかそういうところで便利がいいということで、その便利よさというのは一面はいいんですけれども、でもそれだってそんなにたくさんつくられているわけではないんですが、それは窓も何もないところに一日子供を、荷物みたいなもんですよね。本当に子供の養育環境と言えるのかどうか。もう結局入れないからどこでもいい、働くためには、いわゆる荷物のように預かってほしいという形になって保育の質が非常に最近低下している。それから、延長保育は一方で私たちも希望してきたことなんですけれども、そこに対してそれだけの人的手当てがないと、保育所に来た子供を預かるわけですから、そういうものが非常に質が低下しているわけです。  そういう中で、今、都村参考人は、保育所というのは昼間の家庭、私もそう思います。そういうものが目指されていかなきゃいけないのに、逆にとにかく消化したらいいという形になって非常に質が低下している。それに対して、量だけが問題になっていて余り質が問題にならないで、そして児童福祉法というのは昭和二十二年にできたっきりで、変わっていないんですね、中身は。保育に欠ける子供を、母親が見るものなんだけれども、病気とか働いているときにだけ見てあげましょうというそのままで、保育そのものの、いわゆる子供の環境をどうよくしていくかということと、働く男女なり地域社会で子供と一緒にどう育ち合っていくのかというような視点はほとんどつくられていないんです。  そういう点で、お二人とも、どういう子育てということで、現状の問題を改善すべきだという意味で、特に保育政策で問題を提起していらっしゃるので、その点についてもう少し問題を提起していただきたいと思います。

永瀬伸子お茶の水女子大学生活科学部助教授

○参考人(永瀬伸子君) 私も、これは一体どうしたものかと、ここ何年か考えております。  実は、余り保育枠が広がっていない地域というのは大都市でありまして、その大都市というのは、かつて財政が豊かだったころに公立でもって保育園をつくって、かなり手厚くやったのです。その後何十年、二十年ぐらいたちまして、全体に保母さんの年齢が上がってきたんですね。それで、年功賃金になっておりますので、要するに、子供数がふえなくても、一人当たりの子供コストがだんだん保母さんの勤続年数とともに上がっていくような構造がそういったところではできてしまっています。  そして、国からの補助等ではそこの部分は賄えませんので、自治体からの持ち出しとなっております。そのために、国基準よりも手厚くしたところは、保育を拡大しようとすると持ち出しになるものですから、そういうところほどなかなか拡大できない。そして、それが実は大都市なんです。なかなか急には拡大できない。  そういう中で、民間の認可をもっとふやした方がいいのではないかといったような議論が出たりもしております。そのところはなかなか悩ましいところで、どうしたものかというのを私も本当に考えておりました。  では、そこで蓄積された保育の経験とか、保育の実践をかなり一生懸命やってきたという、そのことをより広く、専業主婦の方などの支援センター、育児支援のような形で、保母さんたちは年齢がだんだん上がっていって経験も積んでいくけれども、いつまでも保育園にいるのではなくて、より地域に出ていって、より広い専業主婦の人たちの育児支援センターのようなものの核となって、あるいは家庭で預かるという主婦の方々をネットワーク化し、たまにはその方たちを研修するような、そういう人材になっていって、そして保育園の中にはより若い人材が入っていく。ですから、効率的に保育コストをかける必要はあるけれども、でも、現在のような無認可のやり方がいいとか、そういうことは全くないと思うんです。そういうことは全くないと思うんですね。  そして、大都市でなぜうまくいかないかというと、要するに、ここでやり直しをしなくちゃいけないんだろうと思うんですが、それがなかなかなされていないのかなという気がいたします。

石井道子自由民主党・保守党

○会長(石井道子君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々におかれましては、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。ただいまお述べいただきました御発言につきましては、今後の調査の参考にさせていただきたいと存じます。本調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  まことにありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十五分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗