共生社会に関する調査会 第2号
- 発言数
- 64 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2001/02/14
会議録
○会長(石井道子君) ただいまから共生社会に関する調査会を開会いたします。 共生社会に関する調査のうち、「男女等共生社会の構築に向けて」を議題といたします。 女性の自立のための環境整備に関する件のうち、女性の経済・社会的自立支援について参考人から意見を聴取いたします。 本日は、日本女子大学人間社会学部教授大沢真知子君、日本経営者団体連盟常務理事矢野弘典君及び株式会社ベネッセコーポレーション人財組織部人事サービス課セクションチーフ北川美千代君に参考人として御出席をいただいております。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。 本日は、御多忙の中を本調査会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。 参考人の方々から、女性の自立のための環境整備に関する件のうち、女性の経済・社会的自立支援に関し忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 議事の進め方でございますが、まず、参考人からそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただく方法で進めたいと存じます。 なお、御発言は、意見、質疑及び答弁とも着席のままで結構でございます。 それでは、大沢参考人からお願いいたします。大沢参考人。
○参考人(大沢真知子君) きょうはお招きいただきましてどうもありがとうございます。 女性の自立のための環境整備ということでございますが、私は、そこの経済的な側面に焦点を当ててお話しさせていただきたいと思います。 経済のサービス産業化が進みますとどこの国でも女性の社会進出が進むわけですけれども、その中で特徴的なことは、結婚している女性が働く、子供を持っても働くという、そういう点で、すべての国で働くお母さんがふえるというのが共通の現象でございます。 日本でもまさに今その現象が起きているわけですが、その大きな理由は、サービス部門ではより多くの人手を必要とする、それから知的労働力も必要とする、そして男女差よりも個人差が重んじられるような、そういう社会に変わっていくわけで、その中で女性がさまざまな部門に働き手として参加をしていきます。そういった女性が参加をしていくことが経済社会にとっても非常に大きな恩恵をもたらすということを申し上げたいと思います。 例えば、男性も女性も働くことによって税収がふえる。そして、現在私のところでも祖母の介護を母と一緒にやっているんですけれども、そういった介護も、私どもだけではなくて、今外部のヘルパーさんにもお願いしております。そういったサービスを外部に依頼することによって、また新たな仕事が生み出される。そうやって、女性が継続して働いて所得を得ることが家計の所得にとってもいい影響を与え、所得がふえると消費がふえるという形で経済がさらに発展していく。そういう意味で、女性の自立の環境を整えていくということは経済発展にとって非常に重要なことだというふうに考えます。 そして、女性が一人の人間として自分の能力を磨いて、それを社会に還元していくということが、そのための自立環境ということが非常に重要になってくるわけで、私は、今までの研究の中で、女性がどうやって自分に投資をして自分の能力を高めてそれを社会に還元していくのかという、そういう点についての国際比較をしてまいりました。その中で、おもしろいことがいろいろとわかってきました。 例えば、アメリカの変化を申し上げますと、一九六〇年から九〇年に非常に大きな変化がありまして、六〇年では大卒の女性で雇用されている女性が半数しかいなかった。それが九〇年で八〇%に上昇している。それから、九八年には一歳未満の子供を持つ母親の六〇%が働いております。これも七六年の二倍の数になっています。一歳未満の子供を持って働いている女性が三六%と、この三十年で物すごい大きな変化をしてきたわけです。 こういった傾向が高学歴の女性ほど顕著に見られるということは、人的資源の観点から見ますと、やはり自分に投資をして、それがまた個人にも社会にも還元される仕組みが整ってきた。その結果として、高学歴の女性の就業機会というのが、職場参加がふえてきたわけなんですね。 そういったことはヨーロッパ、ほかの国でも見られるわけですが、日本の場合は、若いときには大卒の女性ほど働く確率も高くて、それから長い期間働いてキャリアを積み上げるという傾向が見られるんですが、出産退職する女性も多く、一たんやめた後に再就職してくる確率は大卒の女性よりも高卒の女性の方が高くなります。 例えば、出産との関係で申し上げますと、若い世代では結婚まで働いている、雇用就業している人の割合が八八%。ほとんどの女性が働いているわけですが、結婚しますとこの割合が五八%、六割に低下します。 ですから、結婚退職というのはそれほど一般的ではないんですね。しかし、第一子の出産時に同じ数字を見ますと、それが二三・二%、四人に一人の女性が子供を産んでも継続して働くと。それから、第二子で一九・九%、第三子以降になりますと一七%という形でこの割合が低下しています。 それから、第一子を出産しても継続して働いている人たちはどんな人たちなのかというのを見てみますと、やはりそれまでの蓄積を積んだ人がその後も継続就業しているという面では、日本でも、アメリカと同じように大卒の女性が働き、就業意欲を持ってその後も継続するという傾向が見られるわけですが、ただ、その割合が四人に一人ということで非常に低いわけです。 私は、ここが日本の社会の一番の問題なのではないか。非常にいい教育を受け、意欲も持ち、今働いているんだけれども、第一子まで頑張っても、第二子ぐらいになりますと、もうどうしても限界に達してやめなければならない。そこの部分が、いろいろなファミリーフレンドリーポリシーその他の政策によってやめなくてもいいような環境が何とかつくれれば、日本経済にとって非常にいい影響があるのではないかというふうに考えます。 じゃ、なぜ第一子、第二子を産んだところでやめてしまうのかというふうに考えますと、保育所の数が少ないとかそれから労働時間が長い、日本の職場ですと専業主婦が家にいることが暗黙の前提になって正社員が働いているわけで、そういった子供を育てて働く女性には二重の労働になっているということもあると思います。それから、再就職の女性の就業機会というのはない。 こんなふうに考えると、日本の場合は二つの種類の仕事がある。つまり、一つは報酬はいいけれども時間の柔軟度がない、もう一つは時間の柔軟度があって自分の都合に合わせて働けるけれども報酬は低いと。この中間の仕事というとあれですけれども、時間の柔軟度もあって、かつ報酬も正社員並みである仕事というのが生み出されていけば、高学歴の女性の能力活用というのは可能になるのではないか。そういった仕組みというのをどういうふうにつくり上げていったらいいのかというのをこれから経営者の方々、組合の方々、私たち学識経験者の三者でいろいろと考えていかなければいけないのではないかというふうに思っております。 例えば、オランダの例を申しますと、オランダでは同じような問題を抱えていたわけですけれども、時間差差別禁止法というような、つまり短時間就労を選んでもそうじゃないにしても時間給は同じであって、その他すべての差別を禁止するような法律というのを九六年に制定しております。それからデンマークの場合は、パートタイムの仕事をふやすのではなくて、フルタイムの時短を進めることによって男女ともに仕事と家庭を両立できるような環境を整えるということでやっております。 最近私は、パートタイム、アルバイト就労の増加というのをうまく生かした国と、それからうまく生かし切れていない国とどう違うのかということで国際会議を持ちましたが、そのときに、オランダとそれからデンマークはそれを生かしたいい例としてその会議の中でも報告されました。そういったことなども日本が今後参考にする必要があるのではないかと思います。 そして、もう一つ申し上げたいのは、なぜパートタイムの仕事が低賃金の仕事なのかと。国際的に見ましても、日本の女性のパートタイムの仕事の給与が非常に低いということが気になります。低いから安い労働力としてしか使われず、能力が開発されない。結局はそれが正社員の高い賃金を穴埋めするという形にもなっているし、それから、そういったパートを多く使うことによって企業の構造改革もおくれていっているんじゃないか。何とかそのパートと正社員の待遇の均衡というのを図るということがこれから重要じゃないかと思います。 その関連で言いますと、最近の税制度、社会保障制度で、パートの女性が百三万円から百三十万円の間に所得を持った場合、それ以前よりも手取りが減ってしまう。労働時間を長くした分、手取りの夫婦の合算所得が減るという問題があります。収入調整の問題として非常に大きな問題になっているわけです。企業にとっても、賃金を高くしても収入調整をされるだけだから賃金を上げるインセンティブがないと。両方の状況が相まって、パートの賃金というのが安いものとしての意識ができ上がっているんじゃないかと思います。それで、こういった資源の効率的な活用ということを考えて社会保障、税制度の改革をせざるを得ないのではないかというふうに考えております。 もう一つの問題は、社会保険の負担にしましても、正社員に関しては企業もそれから労働者も非常に重い負担を求められているのに対して、非正社員は余り重い負担を求められていないんですね。ここも非正社員を雇った方がいいインセンティブにつながって、それがパートの低賃金化に結びついているというふうに考えております。具体的には、社会保障制度の問題いろいろと議論がありますけれども、そういった正社員、非正社員のどちらを採用しても社会保険の負担に差がないような、税制度で幅広く負担を求めるという社会保障制度が望ましいのではないかと考えております。 そのほかの政策についてはレジュメの方に幾つか書きましたので、参考にしていただきたいと思います。例えば、昔ですと企業に助成金を払って中高年の雇用を維持するような制度があったんですけれども、同じようにやはりファミリーフレンドリーな政策をとっている企業に対して補助金を出すとか、それから父親の育児休業取得などをもっと進めていくような制度、そういったものも検討されていったらいいのではないかというふうに思います。 長くなりましたが、以上です。
○会長(石井道子君) どうもありがとうございました。 次に、矢野参考人にお願いいたします。矢野参考人。
○参考人(矢野弘典君) 御紹介いただきました日経連の矢野でございます。 お手元に労働問題研究委員会報告というのを差し上げていると思いますが、それをもとに御説明をしていきたいと思います。 グローバル化、それからIT化の進展、そして少子高齢化など企業を取り巻く環境が大きく変わっていく中で、企業はその変化に積極的に対処するということが求められているわけでございます。特に少子高齢化は世界でも例を見ない急激な速度で進んでおりまして、中位推計によりましても、我が国の総人口は二〇〇七年をピークに減少に転じまして、二〇五〇年には約一億人、二一〇〇年には約六千七百万人にまで減少するというふうに推計されております。 その中で、世界屈指の長寿国である我が国では、少子化の進行とも相まちまして、人口に占める高齢者の割合が増加の一途をたどっておりまして、二〇一五年には約四人に一人が、二〇五〇年には三人に一人が六十五歳以上の高齢者になるというふうに予測されております。 また、労働力人口においても、二〇〇五年の六千八百七十万人をピークに減少に転じまして、二〇一〇年には六千七百五十万人になるというふうに推計されております。 少子化の進行による総人口あるいは労働力人口の減少にどのように対処していくかということにつきましては、今御紹介しました労働問題研究委員会報告、これ労問研と申しておりますのでそういうふうに省略いたしますが、その中でも各所に取り上げておりますテーマでございます。 例えば、まことに恐縮ですがこの資料をごらんいただきたいんですが、十五ページから十六ページにかけまして、十五ページの一番下の段落から「少子化の進行・労働力人口の減少」、十六ページにかけまして総論的な女性の活用の問題、母親の問題というようなことを指摘しております。また、二十六ページから二十七ページにかけましては、「多様な労働力の活用」ということで「高齢者、女性、外国人の積極活用を」、とりわけ二十七ページの下から二番目の段落にありますが、女性の積極的活用ということを訴えております。二十八ページから三十ページにかけましては、「多様な雇用形態の推進」ということで、私どもは雇用ポートフォリオというような言葉を言っております。特に三十ページには、いろいろな働き方があっていいんじゃないか、短い勤務を働く正規従業員というようなものがあっていいんじゃないかというような提言をいたしております。また、三十一ページからは成果主義賃金とか新しい人事制度ということを論じておりますし、四十三ページに参りますと、「社会保障改革、税制改革」の問題について問題提起をしております。四十七ページには児童手当に対する考え方、あるいは四十九ページには所得税についてのあり方というようなことを指摘しているわけでございます。 この全体を通じまして、ジェンダー問題というのは大きな一番基本的なテーマとして常に我々の考え方のベースになっておるということでございます。 ちなみに、この労問研報告は、昭和四十九年以来、毎年春の労使交渉の前に発表してきたものでございます。交渉に臨む経営者の指針でありますけれども、近年は日経連の政策白書というような意味合いを強めております。作成に当たりましては、三十五名の政策委員と七名のアドバイザーに参加願っているわけでございますが、ただいまお話がありました大沢先生もそのアドバイザーの一人としていろいろ貴重な御意見を賜っております。 現在の日経連の主張を要約いたしますと、一つは「人間の顔をした市場経済」をつくっていこうということであります。もう一つは多様な選択肢を持った経済社会の実現ということでありまして、昨年の労問研報告は「人間の顔をした市場経済」の建設ということをうたいまして、ことしはこの表紙の副題に書いてありますとおり、その「人間の顔をした市場経済」の実行策、具体策ということで「多様な選択肢をもった経済社会の実現を」ということを副題にしたわけです。一月ほど前に発表したものでございます。 さて、それでは本日の主題であります女性の積極的な活用というのをどういうふうに進めていくべきであろうかということにつきまして、時折この資料も引用しながら御説明申し上げたいと思います。 この報告の二十七ページをちょっとごらんいただきたいと思うのでございますけれども、上から三つ目の段落にその考え方が書かれております。女性を積極的に活用するためには、まず社会全体での男女共同参画社会の理念の徹底と実践が必要であると存じます。男女共同参画は、雇用の場だけで行っていくものではなく、社会全体で行っていくものと考えます。 したがいまして、第一には、社会全体での意識改革、意識高揚が必要であります。社会全体で固定的な男女の役割分業意識の見直し、男女ともに仕事と家庭の両立を目指した男女共同参画社会の形成、これを進める中で企業としても積極的に対応していくことが求められているというふうに考えております。企業におきましては、女性自身をも含む経営トップ層から管理職層、一般職層まですべての層での意識改革が必要であると考えております。 次に、仕事と家庭生活をどのように両立させるかという課題であります。もちろん、両立は女性だけでなく男性も含めたものであると認識しておりますけれども、家庭責任がより女性にかかっている現状からいたしまして、女性により一層活躍していただくためには、仕事と家庭生活の両立支援策が不可欠なものであるというふうに感じております。 この仕事と家庭生活の両立には、まず第一に保育サービスの拡充を急ぐことが必要であります。 現在、保育サービスの拡充につきましては、政府の新エンゼルプランにおきまして低年齢児受け入れの拡大、延長保育の推進、休日保育の推進などの各項目について数値目標が設定され、その実現に向けて取り組んでいるところであります。しかしながら、厚生労働省の調査によりますと、昨年四月一日現在で三万三千人の待機児童がおり、これは前年同期から七百人の増、二・二%の増というふうに承っておりますが、依然として待機児童の解消が進んでいない状況にあります。 日経連では、平成十年一月に発表いたしました「少子化問題についての提言」及び本年の労働問題研究委員会報告の中で、仕事と家庭の両立を図るためには保育サービスの拡充を急ぐことが必要であると強調しております。保育サービスの拡充に当たっては、延長保育、一時保育、ゼロ歳児保育など利用ニーズの多様化に対応したサービスの提供とともに、保育所の設置運営基準のさらなる緩和や民間参入による効率化などが必要であると考えております。また、関係省庁が連携して、文部科学省の管轄であります幼稚園と厚生労働省の管轄であります保育所事業の一元化、いわゆる幼保一元化を実現していただきたいというふうに考えております。 第二点といたしまして、職場における取り組みでございます。 仕事の量、質、労働時間、勤務場所、処遇など、働き方に多様な選択肢をつくるよう、働く人と企業の実情、ニーズに応じて検討しておく必要があろうかと考えます。企業は、経営効率の向上と雇用コストの軽減を実現しながら、派遣、パート、アルバイト、契約社員などといった働く人のニーズに即した多様な雇用形態と、職種、勤務地の限定、プロジェクトの限定などの就労形態を組み合わせることによりまして働く人の働き方の選択肢をふやしていかなければならないと考えております。日経連では、従来、これを雇用ポートフォリオと呼んでおりますが、この考え方を一九九五年以来提唱しているわけでございます。 また、日経連は、九八年に発表いたしました「少子化問題についての提言」の中でも、男女を問わず優秀な人材を確保し活用していくために企業が考えていくべきこととして次のような三点を示しております。 一つは、労使の話し合いによる出産・育児休業制度の拡充、結婚退職、出産退職の慣行の見直しなど、雇用環境を整備することでございます。 二つ目は、男性の家事、育児参加などにも資する勤務、処遇形態の見直しであります。裁量労働制、フレックスタイム制度、時差出勤、在宅勤務などの柔軟な勤務形態の導入、成果主義、年俸制の導入などが挙げられると思います。 そして三つ目は、今でも各企業で配慮がなされていることではございますけれども、異動、配置転換、転勤制度の運用に際して、家族事情への配慮を高めることでございます。そして、出産、子育て後の職場復帰への支援であります。職場復帰前、復帰時における研修の充実、出産、子育てによる一時的引退後の職場復帰時における処遇の見直しなどを挙げることができると思います。 日経連では、各企業の実情に応じまして、これらのような施策や支援を行っていくことで、三十歳代前半に仕事についている女性の割合が落ち込むいわゆるM字型と呼ばれている働き方の改善にもつながっていくものと考えております。 また、女性の就労機会の拡大を目指すには、税制や社会保障の点においても解決すべき問題がございます。この労問研報告の四十九ページにもございますように、「所得税については、特に女性の就労機会の拡大を促し、働きやすい方向へとつながる改革が必要である。個人単位課税の原則を徹底するのも一つの考え方であるが、社会保険の負担のあり方などをも含め、多様な検討が必要になる。」といった問題提起をしているわけでございます。 さて、昨年の十二月二十二日、使用者側の委員として日経連も検討に加わっておりました当時の労働省女性少年問題審議会におきまして、「仕事と家庭の両立支援対策の充実について」という建議がなされ、それに基づいての育児・介護休業法の改正法案要綱が労働政策審議会で二月初めに諮問、答申されたということは御承知のとおりでございます。 建議に至るまでの審議会での議論の中で、日経連は当初から次のように主張してまいりました。 それは、第一に、両立支援の具体的な施策についての細々とした法整備をする前に、社会全体で両立を支援する雰囲気づくりや労使双方の意識改革、意識高揚を先に行うべきであるということであります。第二は、法律では最低限のルールを定め、それを超える部分については労使の話し合いで工夫して措置すべきであるということでございます。したがいまして、新たな法的措置や現行法制の拡充については強い疑問の意思を提示してきたわけであります。 法律案要綱は、使用者側としてまだいろいろな意見がありますけれども、これは附帯意見として提示したわけでありますが、労使及び公益の各側委員による真摯な検討を重ねた結果を取りまとめたものでございます。先生方におかれましては、三者各側委員の厳粛な結論であることに思いをいたされまして、御審議賜りますようお願い申し上げたいと思います。 職場における仕事と家庭生活の両立は、経営者の取り組みだけでなく、そこで働く人々の支援も必要であります。まずは職場においても両立支援に対する意識啓発を図ることが重要であると存じます。その上で、支援する人とされる人のバランスを考慮しながら、それぞれの企業の実態に即した対応を労使自治で行うことが一番よい方法であると考えます。もちろん、労働組合のない企業もございます。その場合は、経営者が従業員の意見を十分聞きながら対処していくことが望ましいと考えます。 社会全体での意識啓発につきましては、日経連は、各都道府県にございます会員団体の地方経営者協会や厚生労働省の外郭団体であります二十一世紀職業財団主催のセミナーでの講演、関連法律の解説本の出版などの活動を行っております。セミナーにつきましては、ここ三年で約七十回ほど、日経連の職員を講師として各経営者協会などへ派遣しております。 また、二十一世紀職業財団の委託を受けた経営者協会では、その趣旨にのっとった両立支援等の啓発、周知活動などを行うという御協力をさせていただいております。 加えて、昨年の四月二十日、日経連は連合と共同いたしまして、少子化問題についてのアピール、「子どもを産み育てやすい社会をめざして」というアピールを発表いたしました。これは、子供を産み育てやすい環境の整備のため、国、地方自治体、労使がすべき取り組みについて取りまとめたものでございます。日経連と連合は、こうした共通認識のもとでそれぞれの立場から取り組みを進めるものというふうにいたしております。 女性により一層活用していただくために両立支援が必要ということでお話しさせていただきましたが、最後に、別の観点から女性活用について述べさせていただきます。 現在多くの企業で取り組みを進めております個々人の成果をきちんと評価する人事処遇制度がより浸透していけば、性差はなくなっていくのではないかと考えております。年齢、勤続など年功的なものでなく、各自が担当する職務、業務の遂行の成果に応じた処遇であれば、仮に育児や介護などの理由で一たん労働市場から退出した場合であっても、男女にかかわらず能力を発揮できたかどうかということになるからであります。また、成果主義は、評価をする際、業務に従事した時間に左右されるものではないため、家庭生活と両立させる労働者にとって有効なものと考えております。 今、成果主義は企業に導入されつつあります。成果主義が浸透していく中で、女性の活用もより進んでいくと考えております。つきましては、業務遂行の手段や時間配分の決定を労働者が判断できる裁量労働制は、女性の活用に有効なものであり、より一層の規制緩和をお願いしたいと存じます。 なお、申すまでもありませんが、ただいまは働く場ということを主体にお話をさせていただきましたが、共生社会とは、職場だけでなく家庭や地域など社会のあらゆる場において各自が貢献していることが共生社会であると存じますので、改めてこの点を強調いたしたいと思います。 以上でございます。
○会長(石井道子君) ありがとうございました。 次に、北川参考人にお願いいたします。北川参考人。
○参考人(北川美千代君) ベネッセコーポレーションから参りました北川と申します。よろしくお願いいたします。 私どもベネッセコーポレーションは、旧名を福武書店というふうに申しておりまして、一九九九年度にファミリー・フレンドリー企業表彰というのを労働省の方で始められたときに、第一回優良賞ということで受賞させていただいたというような経緯から、本日は、女性の活用、それからファミリーフレンドリーな実態を、どんな状況で企業活動をやっているかというふうな現場からのお話ということでさせていただければというふうに思います。 私どもがファミリーフレンドリー企業ということで表彰いただいたわけなんですけれども、制度とかあるいは施策というところに関しましては、むしろ私どもよりももっとほかの企業さんで非常に進んでいらっしゃるところはたくさんございます。ただ、私どもの場合は、制度があるだけではなくてそれが使われているということ、それから女性の中でも、例えば管理職も使っていたりですとか、あるいは男性も介護休職を利用したりする実績があったというような形で非常によく使われていることと、それから企業風土の中に根づいているというようなところで御表彰いただいたというふうなことでございます。そういったところの経緯とか、それから状況についてをまず御紹介するところから始めたいと思います。 実は、それをお話しするに当たりましては、私どもの会社の特徴といいますか、特色のところからお話しさせていただければと思います。 私どもの会社は、一九五四年設立ということで、本社の方は岡山にございます。今も岡山市の方にあるんですが、地方から出てきた会社ということで、特に教育、語学、文化、生活、福祉というような事業を領域として活動の方を行っております。具体的な商品といたしましては、進研ゼミ、それから「こどもちゃれんじ」、進研模試、出産、育児というような「たまごクラブ」、「ひよこクラブ」という雑誌、それから託児サービスのチャイルドケア事業、介護サービスを行っております。 今御紹介しましたように、教育、家庭、それから女性に非常に縁の深い事業活動をしているというところが私どもの会社の特徴になります。 従業員構成の方は、現在正社員が千七百五十八名なんですが、そのうちの千三十一名が女性と、大体六割が女性社員で占められているというふうな、ちょっと変わった会社というふうに言えると思います。 女性が多い会社ということで今活動を行っているわけなんですが、なぜ女性が多いかと言いますと、女性優遇の施策をとってきたわけではございません。特に女性だからとか、女性をポジティブアクションというような形で引き立てようと考えてきたわけではありませんで、岡山という地方の企業だったものですから、事業が発展していく段階でいい人材を採りたいというふうに考えたときに、なかなかいい人材が採れないというふうな時代がございました。これは大体一九七〇年代の終わりから一九八〇年代の初めぐらいだったんですが、その当時、なかなか職場がなくて困っている女子大生ですね、大学卒の女性たちを採用していくというところに目をつけたわけです。そのころに男女均等待遇ということで、同じ処遇で採用する、しかも男女というのは分けずに採用するという施策をとったものですから、大学を卒業して働きがいのある仕事をしたいと考えていた女性たちが非常に多く志望していただいたというふうな次第です。 この時期に非常に女性がたくさん入ってきた、入り続けたということで、ある意味でいい口コミも広がりまして、女子大生の人気企業のベストテン入りをしたりというようなところから、企業としての認知度も非常に高まっていったりというふうな回路に入っていきました。 そうしまして、女性が戦力として非常に前面に出てきたわけなんですけれども、そういたしますと今度は、当時は女性の場合どうしても、入社して仕事をして、結婚、出産という形でやめていくというふうなことが社会通念上当たり前の時代でしたので、三年から五年ぐらいでやめていく社員の方が多く出てきてしまったというふうなところがあります。 これを見ていて、三年ぐらいたちますとようやく仕事も覚えてきて、非常に貴重な戦力になった段階でやめていってしまう社員が多いということで、ここを何とかしたいというふうに経営側も考えました。それから女子社員の側も、自分がせっかく覚えてここで仕事をしようと思っていたのに、そういう結婚というふうな理由でやめていかざるを得ないといったところは残念である、結婚、出産の後も続けていけるような施策はしてもらえないだろうかということで、自分たちでいろいろな提案をしていくというようなところから、当時で言いますと再雇用制度ということになるんですけれども、一たんやめた後でも三年以内であれば戻ってこれる制度というのが始まりました。これが昭和六十一年に始められたというような次第です。 こういった形でいろいろな制度が始まりまして、最初のころは利用者も非常に少なくて、しかも利用するときにも周りに前例がないものですからいろいろ戸惑いもあったんですけれども、一人、二人というふうに利用者がふえていったところで、ある意味で職場にも定着し、出産しても続けられるから大丈夫ということで、女子社員の中に浸透していったというようなところがあります。 あわせて、育児休業法が施行された関係で、再雇用という形ではなくて育児休職の充実というふうな形で現在は行っております。現在はお子さんが満一歳になった年度の終わりまで休職延長可能というふうな制度にしておりまして、復職率は九七%を超えるというような形で推移しております。おかげさまで、育児休業法が施行された後は出産を理由として退職するというふうな事例はほとんどなくなりまして、出産するならば休職に入るということが、休職取得が前提ということが当たり前というふうな風土になっております。 特に、性差よりも個人差の方を重く見るということで、職場全体といたしましては成果主義という考え方をとっております。ですので、人事制度におきましても、契約の概念、パフォーマンスに対するリワードということで、休職はするかもしれない、それから、育児中なのである程度勤務、時間におけるハンディはあるんですが、そこの部分は考慮しながらも、仕事の成果で本人を評価していくというふうな形で定着をしております。 そういったような経緯がございまして、ライフサイクル上の一時的な生活と仕事の両立困難には積極的に支援するというふうな考え方をとっておりまして、育児休職、育児時短制度だけではございませんで、介護休職、介護時短といったようなところも制度を拡充してきております。 現段階では、育児休業を取得した女性社員の数は全体で百五十名強に上っておりまして、女性社員の一三%が育児経験者といいますか、現在も育児中というようなところで推移しております。 こうしてきまして、組織の中の一割程度、一割以上が育児中の実態になってきますと、次にはまた新しい課題が出てきているというのが最近の状況でございます。 これはどんなことかと言いますと、ある程度出産、育児において休職をすることはできた、しかし、その後仕事を続けるわけなんですけれども、これは出産、育児をする社員に限らないんですけれども、キャリアアップをどのように考えていくかということ、それから仕事をどのように自分で深めていくかというふうな問題が、特に育児中の女性に関しては顕著に課題化してきているという問題がございます。 通常ですと、なかなか仕事がはかどらない場合には長時間労働で何とか挽回するというふうなところがあるわけなんですが、育児中の場合ですと長時間労働というのができかねますので、どうしても仕事が制限される部分が出てきます。それから、職場の中でフォローしていく部分も出てきます。そういった中で、じゃどういった職務でその人の成果を発揮するのか、自分のスキルを積んだりプロとしての成長をしていくのかという点が非常に問われることになっていきます。その一方で、家庭での育児というのもしていく必要がありますので、家庭でのそういった仕事、それから会社での仕事の両立をどうしていくかということについて非常にせっぱ詰まった状況になっていくというところが顕著に出てきているという状況です。 そういった人たちに関しまして、会社側といたしましても、どういった仕事につけていくのが本人にとっても会社にとっても一番よいのかという点についてを考慮せざるを得ないというふうなところで、人数の割合がふえてきている状況で、非常に仕事と個人のマッチングという点で課題が大きくなってきているというのが現状です。 それから、育児しながら仕事を続ける女性社員の方がふえてきたということで、最初はゼロ歳児の保育のニーズが高かったんですけれども、現在ではどんどんお子さんの方が育ってこられましたので、学童保育のニーズですとか、あるいは今回事例として出てきましたのは、例えば中学生ぐらいになって登校拒否になってしまったお子さんがいて、そのお子さんに対しての対応ということで、家族ぐるみでやりたいので介護休職というふうな形でとれないだろうかという事例が一件あったりしました。ということで、子供の成長段階に合わせた形での配慮あるいは処遇が必要になっていくといったところも新たな課題として見えてきております。 こういった形で従業員の方が年齢を経ていけば、それに応じた形での家庭の課題それから社会的な課題とかも出てきます。今後は高齢化に従って、例えば介護の課題とかといったところが今以上に切実な問題になっていきますので、そういった部分についても対応を考えていく必要があるかというふうに思います。 また同時に、それも行いながら、企業ですので企業の成長自体も両立させていかなければなりません。なかなかやっぱり働き方が制限されるといったところでの、先ほど言った仕事と個人のマッチングといった課題でも今までよりもより一層難しくなっていきますので、企業としてうまくやっていくそこの方法を見つけるというところも一つの課題であるというふうな認識をしております。 そういったことで、これから私どももいろいろ頑張ってやっていかなければならないと考えているんですが、現在、周囲を見まして環境的な部分で少し必要があるかなというふうに感じるところについて申し述べさせていただきますと、まず託児所の問題がございます。 これは以前に比べますと非常に充足してきておりまして、ゼロ歳児の保育とかにつきましても非常に拡充してきているというところを実感として持っております。ただ、やはり自治体による差が非常にまだ激しく、住んでいる場所によってはなかなかお子さんが託児所に入れないというふうな声を聞きます。ですので、どうしても仕事をしたい場合には、託児所が非常に拡充されている市を選んで、そこに住むというようなケースも最近では出てきております。 それから、これから女性がやっていくということを考えますと、男性の育児参画、それから家庭への参画といったところが非常にポイントになってくるというふうに考えます。 私どもの会社でも、育児と仕事を両立している女性社員はほとんどが、夫である男性の理解と協力といったところが大きなポイントになっております。ここができるかどうかが非常に大きな点ではないかというふうに考えます。 私からの報告は以上で終わります。どうもありがとうございました。
○会長(石井道子君) どうもありがとうございました。 以上で参考人からの意見聴取は終わります。 これより参考人に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○鶴保庸介君 自由民主党・保守党を代表いたしまして、二、三の質問をさせていただきたいと思うんです。 皆さんに、それぞれのお話を聞いていながら、具体的な質問が幾つか浮かびました。浮かびましたが、まず冒頭、総括的といいますか、私なりに今考えておること、立場みたいなものをまずお話をしながら議論を進めていきたいと思うんですが、これから、先ほど矢野参考人もおっしゃったとおり、労働力不足の時代、高齢者及び外国人労働者を含め、女性の社会進出がもっともっと進まなければならないという認識は私も同じであります。しかしながら、現在のところ、女性が進出するという旗振りはあっても、現実にはなかなかそれが進んでいない。 当調査会の中でも以前視察に行かせていただいたときのことを少し思い出したのでありますが、例えば育児休業をとってしまうと、会社としては育児休業何年間かのブランクが、これだけドッグイヤーと言われる世の中では大きな痛手になる、そういう女性をわざわざ登用する必要はないんじゃないか、こういう会社の論理もまたうなずかざるを得ない部分もあるのではないか。そういう二つの相反する要請、そのギャップを埋める方策として考えなければならないことが多々あろうかと思うんです。 そこで、先ほど各参考人がおっしゃっておられました、やはり社会の教育といったようなものがまずコンセンサスとして必要なんじゃないかということでございます。 そこで、私やや突拍子もないことを申し上げるのかもしれませんが、皆さんにその教育の問題についてまずどうしてもお伺いをしておきたいと思うんです。特に大沢参考人は教育の現場で教鞭をとっておられますから、女性の社会的自立について何が最も心構えとして必要なのか、またあるいは男性諸君に対してどういうことを心してと言っておるかということをお聞きしたいし、それからまた矢野参考人には、特に企業の側からどういうイニシアチブをとって社会教育を進めていかなきゃいかぬか。 以前、厚生省でしたか、「育児をしない男を、父とは呼ばない。」というポスターを張ったのを覚えておるんですが、私、あれを見て少し実は違和感を覚えたんですね。と言いますのは、国が、国家がああいうポスターを張って無理やり押しつける、押しつけると言ったら言葉は悪いんですけれども、私、男性ですから、男性の一人として、余計なお世話だという向きも多々あろうかと、実は男性の方からの声はそれがあるんだと思います。その辺について、やはり国家ではなく民間の側からイニシアチブをとっていかなければならないのではないか。そういうものも含めて、矢野参考人には特にその辺もお伺いをしたいと思います。 ベネッセの北川参考人には、現場の中で気づいたこと等あれば。 お三方それぞれにちょっとお伺いをしておきたいと思うんです。
○参考人(大沢真知子君) 御質問ありがとうございます。 現場にいる人間として、今の二つの御質問、両方とも何か現状を反映していまして、一つはやっぱり時代が変わったということを私たちが認識しなければいけないけれども、それを押しつけられたくないという若い人たちの気持ちとの何か両方が今大学の中でもあるように思われます。 一つの大きな変化は、仕事はしたいけれども組織にそれほど縛られたくない、自立的な働き方をしたい女性もふえているのではないかと思います。今までの日本の社会の中では、一つの会社でキャリアを続けていくということが一般的でありましたけれども、女性のキャリア形成を諸外国で見ておりますと、必ずしも一つの会社に継続して働いていなくても、いろんな会社で経歴を積みながら自分のキャリア、専門性を身につけるという、そういったキャリア形成のあり方が一般的でして、これからの日本はやはりそういった形で自分の選択肢をふやしながら、自分の好きなこと、やりたいことを見つけながら自分のキャリアを形成していくという新しい社会になっていくんじゃないかというふうに考えています。 ですから、私は現場の中では、もうこれからは専業主婦の時代ではないというようなことは一切言わないようにしております。むしろ、自由な選択なんだ、でも自分が選択したことには責任を持たなきゃいけない、そのために自分を磨く、自分の専門性、適性を磨くのが大学の四年間だというふうに言っております。 その観点で言うと、女性の活用を考えたときに、もう少し流動性の高い社会というものを想定していかなければいけないのではないか。やり直しがもっとできた方がいいじゃないか。 特に、私は今女子大で教えていまして、社会人入学の主婦、元主婦で非常に優秀な学生を教えております。それが教育上非常にいい効果を持つんですね。つまり、私が言っても意味がないけれども、彼女たちの経験というのを若い女性が聞くことによって、自分の将来像ということについて、あいまいとしたものではなくて具体的なイメージとして、専業主婦になるということはどういうことなのか、子供を育てるということはどういうことなのか、また、諸外国の例を見て、女性が自立していくことというのはどういうことなのかというのを見ていく。 そういうために、私はぜひ女性の再就職の機会というのを開いていただきたい。専門性を身につけた、そういった優秀な女性が物すごくたくさんいるんですね。そういう女性がなぜ日本の社会で今まで活用されなかったのか。専業主婦としていろんな地域の活動に携わってきている。だけど、同時に、その人たちの力を使わなかったということは非常に惜しい。 で、もう一度その過ちを繰り返すのではなくて、機会を与えるような社会というのをつくっていく。そのための流動性を持ち、例えば社会保障の制度にしても、ポータブルなもの、どこに移動しても権利を持ち、自分がそういった権利を獲得していくことによる自立。女性だけではなくて、個人が自立をして、自分の選択肢を持って、自分の人生を責任持って生きるような社会というのをつくっていただきたいというふうに思っております。 以上です。
○参考人(矢野弘典君) 大変重要な点についての御指摘があったというふうに思います。ただいまの御指摘の点について、三点に分けて御説明申し上げたいと思います。 一つは学校教育の問題でございますが、やはり基礎的な知識の教育、そして人間としての教育ということを学校教育では強く進めてほしいと思うわけですが、同時に、義務教育段階も含めまして、社会人としての職業教育ですね、これについてぜひ今後留意していく必要があるんじゃないかというふうに思います。 例えば、実習をするとか、学生だけでなくて学校の先生も企業体験をするとか、インターンシップと呼んでおりますけれども、そういった場をもっと広げて、やはり社会あるいは企業というものと学校というものがもっと密接に結び合う必要があるんじゃないか、このように考えるわけでございます。 そういう点では、単に高度な研究目的のための産学協同、これはもう不可欠なものでありますが、それだけじゃなくて、やっぱり人間教育という面から産学の協同というものをもっと進める必要があるんじゃないかと思うわけでございます。私どもとしても、そういうものについてできるだけの協力をする用意があるということを申し上げておきたいというふうに思います。 第二点は、雇用機会がどうやったらふえるかという問題とも関連するわけですが、私ども、これはエンプロイアビリティーを高めるという言葉で言っております。雇用され得る能力ですね。これをやはり高めていく必要があると。これは、学校教育にも関係するんですが、主として一番大きな役割は各企業、そして国や地方公共団体が果たすべき部分ではないかというふうに思います。 ここでエンプロイアビリティーと私が申し上げますのは、二つの意味を持っております。 一つは、自分の会社の中でも、今までやっていた仕事がなくなっちゃうという大変スピードの速い変化の時代にありますので、どんどん適応して新しい職場を見出し得るような、そういう力をつける必要がある。これは本人も努力せにゃいかぬですが、会社もそういう勉強の機会を与えるということによって成り立つものだと思います。 もう一つのエンプロイアビリティーは、自分の会社でなくて、A会社をやめて、そしてB会社に勤めるというときに高いエンプロイアビリティーを持っているということがその人の将来の職業生活を決めていくんだと思うんですね。そういう意味では、企業の場合は、自分の会社にずっと残ってくれるからと思って一生懸命お金も人も時間も投じてやったけれども、やめちゃったらどうするんだということはあるかもしれませんが、これはある意味ではある程度までは社会的コストとして各企業が負うべきであるというふうに思います。しかし、そういうものが成立するためには、何といっても本人たちのやはり強い意欲と努力ということが不可欠であるというふうに思います。 三番目に、社会全体としての意識高揚ということでありますが、基本的には法律によって意識が変わっていくというふうに考えないで、法律はやはり必要最小限のものを決めていくと。差別とか、そういうものをなくすための必要な最小限を決めていく。しかし、実際に社会を変えていくものは実際の社会の構成員だと思うんですね。そういう意味で、私は、日本の現状を考えてみますと、やはり労使の協力というのが非常に重要であると、この点について思うわけでございます。 そういう意味では、労使自治といいますか、これまで戦後のいろいろ苦しい時期を乗り越えて、今日のような相互理解を深めた労使関係というものに深い信頼を置いて、それに多くゆだねて、やっぱり実体が先行するという世の中にしなくちゃいかぬだろうと思うんですね。観念が先行するというのもある部分では必要ですけれども、やはり実体が先行するような、そういうやはり世の中、社会づくりをする必要があるんじゃないか。 そういう意味では、ぜひ、いろいろ足りない点も企業やそのプレーヤーの中にはあるわけでございますけれども、基本的には労使関係というものを重視して、そして話し合いの中から世の中の意識改革が行われる、そういう広い意味の社会教育というものをそういうプレーヤーが担っているんだというような点についての理解が深まる必要があるんじゃないかというふうに思います。 以上でございます。
○参考人(北川美千代君) 私がちょっと考えておりますこととしましては、女性の自立ということを話すときに、女性とか男性とかということではなくて、最後にはやはりあくまで個人をどれぐらい尊重して、その個人個人が自立できるかという課題になるのだろうというふうなことであります。 これは、私どもの会社におきましても育児中の女性という言い方はしがちなんですけれども、彼女たちが仕事をしている理由、お子さんの状況というのは千差万別でありまして、それぞれがそれぞれの環境の中でそれぞれの思いで仕事をしているというところがありますので、その点で、一人一人の個人をどう自立していけるようにするか、それから自立がサポートできるかという観点が必須なのではないかというふうに考えております。 それから、そういった意味で、特に教育というふうな観点からいきますと、社会人として一個の個人として自立することの責任というものが非常に重要なのではないかというふうに考えます。これは仕事においてもそうなんですけれども、会社とか職場でどのぐらい支援の環境を整えたりサポートするようにしたとしましても、最後のところは個人がどのぐらい自分の意志で頑張るか、自分の意志で切り開くかというところだというふうに考えます。ですから、そこはお互いの問題でありますので、どちらか一方だけが手を差し伸べたりとか、あるいは用意したりということではなくて、本人の方もこうしたいということで、そのために努力をし行動をしというところと、それに向けて周りが整えるというふうないい環境ができるということが大切だろうというふうに思います。 これは同じように家庭についても言えるのではないかというふうに思っておりまして、その意味で、女性も男性も家庭に対しての責任を持って、家庭をつくっていくといったところに向けての主体的な行動が求められるのではないかというふうに思います。 ただ、この主体的な行動のところが子育てということで時間を割くということとイコールかというと、必ずしもそうではないと思います。例えば、自分は仕事に生きるんだからその仕事をしている背中を、子供に対して責任を持っているお父さんの姿を見せたいというふうなことであれば、それは必ずお子さんにも伝わるというふうに思いますので、そこを御自分で選択していただいて、決然としてやっていただくということもこれは是なのではないかというふうに考えます。 ただし、やはり責任というものは持っていただいて、お子さんに対しての責任、それから家族に対しての責任は全うしていっていただくというところは今後必要になっていこうと思いますので、その部分を教育の部分で何か観点として持っていただけるといいのではないかというふうに思います。 最後に、そういった意味で、女性らしさ、男性らしさも含めまして、社会の中での役割認識というところに関してまだまだ根強い価値観が残っております。そういった価値観が、今後時代が変わっていくことでどんどん変わっていくと思いますので、一人一人が自分の意志で考えて行動できるような形で教育とかあるいは社会の動きとかができればいいのではないかというふうに思っております。 以上です。
○鶴保庸介君 この件についての質問はこれで終わろうと思っていたんですけれども、ちょっと一つだけ、もう非常にうなずけたものですから、皆さんが異口同音におっしゃった自己責任であり、そしてまた個人の意志、志の部分であるという話、それが大事なんだということなんだろうと思うんですが、そうしますと、例えばベネッセの北川参考人がおっしゃっておられましたとおり、ポジティブアクションは特にとっておられないということでした。しかも、それは女性の意志に任せてここまで、何とかその努力によってこういうことになってきたんだという話ですが、当調査会では果たしてそれでいいのかどうかというのが大問題なんですね、実は。 大沢参考人お一方だけにちょっと聞きたいんですけれども、その辺どう思われますか。自己責任ということを前面に出して、そしてまた共存の条件を提示すればいいんだという部分は、これはこの調査会そもそもの議論の一番重要な部分だと思うんです。意見があったら、ちょっと教えていただきたいんですけれども。
○参考人(大沢真知子君) 時代の流れの中で変わっていくものも随分あると思います。実際に自分がそう思ってもうまくいかないということで、少しずつ変えなきゃいけない。個人の意識が変わることもあると思いますが、ただ、そういう変化を促す、変化をとめるんじゃなくて、変化を促進するような政策をとっていくということはいいことではないかと思います。 私は、ポジティブアクションではないんですが、アファーマティブアクションをとりましたアメリカにちょうどそういった制度が導入されるときにおりましたので、そのことのインパクトというのはやはり非常に大きなものがあったと思います。 つまり、そういう時代に動いているんだという自覚を促したことによってその変化が速まったという、それは多分高齢化の速度が非常に速い日本にとってはそういったことを促すことが必要だというのと、あと保育所に関しては、やはりある面で実際にそういうところがなければもうやめざるを得ないわけですから、そういった働きたいのに働けないような障害というのはもうなるべく早く取り除く必要があるというふうに考えております。
○鶴保庸介君 ちょっと意地悪な質問だったかもしれませんが、よくわかりました。 それで、先ほど矢野参考人もおっしゃっておられたとおり、社会全体として実体が先行するような形で進んでいかなきゃいかぬのではないか、特に教育ということが先行したのではやはりちょっとおかしいのではないかというようなことをおっしゃっておられましたけれども、その実体のことについて、やはり先行させるために個別の議論、今までのお話の中で二、三気がついたことをちょっとお聞きしたいんです。 例えば、女性が就職をして、その就職の中で差別もいろいろあると。それは、やはり一番大きいのは家庭との両立ということで、育児、家庭環境の両立だろうと思います。 そこで、託児所関係のことをよくおっしゃっておられたベネッセの北川参考人にお伺いをしたいのでありますが、例えば、今実は厚生労働省の内部の議論で、出産後復職をされた女性についての特別不利益扱いについて、具体的にそれを禁止していこうといいますか、法的に守っていこうというような議論もなされているやに聞いております。 そこで、一たん育児休業をされて帰ってこられた方を、先ほど成果主義をとっているという話でしたけれども、具体的にはどういうふうにこの成果を正当に評価されておられるのか。先ほど言いました厚生労働省の中の議論でも一番問題になっているのは、では一体特別不利益扱い、特別な不利益扱いって何なんだと、あいまいもことしているじゃないかと。現実に、これは不利益じゃないんだと企業が言ってしまえば、不利益扱いをしていないんだと言ってしまえばそれまでの話なんですね。 そこで、ちょっとこの具体的な話を聞いておきたいことと、話が前後しましたけれども、託児所のことで、東京支社の多摩センターに移転により設立されたということですが、私は友人にこれは聞いた話なんですが、会社の近くにあってほしいという方と、会社の近くだったらやはり子供をいっぱい連れていかなきゃいかぬので、ちょっと大変なので自宅の近くがいいという、この二つの議論に今分かれているんだというような、ある女性の友人同士の話でそんな話になっているという話を聞いたものですから、その辺について何か御意見があったら、この二点についてちょっとお伺いしたいんです。
○参考人(北川美千代君) それでは、最初の方の出産後の特別不利益の事例あるいは具体的な成果をどう評価するのかというふうなお話なんですが、恐らくというふうに考えます事例といたしましては、出産後大体半年ぐらいの間は非常に勤務が不安定になる事例が多いというところが一点ございます。 これはどういうことかと言いますと、お子さんを託児所に預けて勤務に復帰するわけなんですが、お子さんも小さなお子さんですので託児所になかなかなれないということ。環境が変わったことで病気になりやすかったり、非常に状況が悪くなったりというようなところがありまして、例えば体調を崩してすぐ迎えに来てほしいというふうな連絡が入ったりというケースがありまして、仕事を中断して帰らなければならないというふうなところがありまして、非常に勤務が不安定であるということが一点です。 それから、親御さんの方、女性社員の方も、まず出産した後の生活ペース自体に自分もなれていないというふうなところで仕事を始めなければならないということで体調を崩しやすいということと、それからいわゆる子育てが非常に重労働であるというところも含めまして、精神的にも参ってしまうということがよく見られる現象です。ですので、半年ぐらいの間は非常にそこの部分を慎重に対処することが必要であろうというふうに考えております。 私どもの場合は、大体半年から一年程度といったところでは、そこのペースをつかむというところが大切だろうというふうに考えまして、一応休職前の仕事に復職するということを前提としております。そういった家庭との両立といったところでの負荷に加えて、新しい仕事を始めないといけないというような負荷がありますとなかなかしのげないところがありますので、以前の仕事、なれた仕事を再び始めるというところからペースを徐々につかんでもらうというふうな配慮をしております。 ですので、一年目、半年から一年の間は直接的な成果、非常に二倍にも三倍にも成果を上げるということではなくて、ペースをつかみながらマイナスにならない仕事をしていくというふうなところを目指してはどうかというふうな形で本人にもアドバイスするというようなことをしております。それで、ペースをつかんだ後に、例えば管理職だったらば大きな規模、大きな組織のマネジャーを任せるといったようなことも二年目以降はしておりまして、そこから成果を発揮してもらえるようにしていくというふうな仕事の方とのマッチングのところで工夫している実情があります。 ですので、例えば出産後戻ってきてすぐの段階で、勤務が不安定だからとか、あと仕事がなかなか成果が発揮できていないというような理由で、そこの部分を追及したりしますと、復職後の女性にとっては非常に不利に働くのではないかという点が、私が今お話を伺って思い当たるところになります。 それから、二点目の託児所の方なんですけれども、これおっしゃるとおり、会社の近くにあってほしいという方と、それから自宅の近くがいいという方と両方あるかと思います。 特に、会社の近くにあってほしいという場合なんですけれども、会社が都心の方にある場合ですと、途中の通勤の問題がどうしても出てきます。ですので、お子さんを連れて満員の電車に乗っていくということが果たしてできるのかというようなところから、自宅の近くの方がいいというふうなお話が出てきます。 ただし、会社の近くにあると何がいいかと言いますと、先ほどちょっと触れましたけれども、小さな子供はすぐに熱を出したり体調を崩したりしますので、そのときに会社の近くにあればすぐに迎えに行ける、すぐに状況を確認できるというようなところがありますので、そこでの便利さというところがあると思います。 また、仕事の時間の点でも、普通ですと託児所のお迎えの時間というのが決まっていますので、それが六時としますと、会社からその託児所までのお迎えに必要な時間という分を見越して会社を出なければなりません。一時間なり三十分なりのロスの時間が非常にある意味もったいない。会社の近くに託児所があれば、その分だけ仕事ができるというようなところもありまして便利であるというふうな意見になろうかと思います。 ですので、ここにつきましては、やはり会社の位置、自宅の位置、それからお子さんが健康なお子さんか、あるいは体調を崩すお子さんかといったことによって、どちらがより望ましいかという点は非常に分かれてくると思いますので、状況に合わせて考えていただいて選んでいただくということが必要になっていくのではないかというふうに思います。 以上です。
○鶴保庸介君 よくわかりました。 では、ちょっと時間が迫ってきましたので、矢野参考人に二つほどお伺いをいたします。 先ほど北川参考人にも前半お伺いをいたしました第一点目、休職後、女性の職業能力の点で見劣りはしないかという部分、経営者の側から多くの声が上がっていると思うんですね。そんなところで気がついたことがもしあれば教えていただきたいこと。 それからもう一つは、これは具体的な要望として出てきたことなんでありますが、今労働省の方ともちょっとかけ合いをしようと思っておりますが、例えばパートさんの採用について、給料上の、百万円ですか、以上出してやると保険だとか年金だとか掛けなきゃいかぬと、もうちょっと緩やかにしてくれないかと、この不景気に正社員を一々雇っていたら大変だというような声がいろいろ上がってくる。この辺について、立場また要望等あればちょっとお伺いをしておきたいんです。
○参考人(矢野弘典君) 育児休業に入る前と後の能力差とか、あるいはまた復職するときの不都合の問題なんでございますけれども、そういう意味でこれちょっと冒頭の御説明のときにも申し上げたわけでございますけれども、やはり職場復帰時だけでなくて、職場復帰前の研修といいますか、ちゃんと職場の方も本人も自覚するというような、そういう場をつくるということが必要なんじゃないかなというふうに思うんですね。問題が起こってからの対処ということも大事ですけれども、その前にやはりお互いに自覚を高めておくというような研修ということが必要なんじゃないかと思います。 それから、処遇の面なんですが、これはどういう仕事に従事していたかによってもかなり影響すると思うんですね。非常に変化の激しい種類の仕事に従事している場合には、一年というのはかなり長いブランクになりますので、場合によっては戻ったときに、もとの職場に戻るのがいいのか悪いのかという判断は個別にしなくちゃいけないと思うんですね。ただ、金銭的な処遇とか、あるいは時間的ないろいろな便宜とか、そういったものはきちっとやるにしても、本当にその職種あるいは仕事、業務そのものが何が一番いいのかという問題は個々に判断していく必要があると思います。 御指摘がありましたように、企業の方は経済原則というのを重んじますし、また一緒に働いている人とのチームワークとか、成果というのは一人で出る種類の仕事もあるし、チームで成果を出す仕事もあるし、いろんな要素が絡まっておりますので、そういうのを配慮して、一たんはちょっと少し楽な仕事をしておいて、まただんだんと戻すとか、それは幾らでも自由にできると思うんですね。企業にとって人というのは一番最大の、一番大事な財産でございますので、やはりその方々が男女の区分けなしに本当に意欲を持っていい成果を出してくれるということを何より望んでいるところでありますから、そういう観点に立っての人事管理とか労務管理というのが行われていく必要があるだろうというふうに思います。 それから、パートの採用につきましては、これは企業にとっての一方の経済原則というのもありますが、同時に、働く側の人たちのいろいろな多様なニーズというものもあって、そこの両方がありませんと新しい仕事の形態というのが生まれてこないわけで、そういう意味ではやはり世の中が今大きく変わりつつあるということを私ども経営の現場においては感ずることが多うございます。 ちょっと御説明の中でも冒頭申し上げたんでございますけれども、社会保障との関係で、百三十万円で三号被保険者になるというようなことで、一号とのバランスの問題というのもありますし、そういう点についての配慮も必要だと思います。また税制の面で、今は扶養家族であるということによって非常にメリットもある反面、収入制限ということがあることによって雇用機会というのが考えてみると少し制約されているんじゃないかという問題もあるわけでありますから、やはり個別税制というようなことについての検討が必要なんじゃないだろうかというふうに思うわけです。 ですから、ほかにもいろいろあると思いますけれども、社会保障、それから税制、そういったもの全般について、新しい働き方というものとの対応でやはり検討をする必要があるんじゃないだろうか。私どももできるだけいろいろな具体的な提言を今後ともさせていただきたいというふうに思います。
○鶴保庸介君 もう時間がありませんので、最後に一つだけ。 大沢参考人、先ほど自由と自己責任というようなお話があったのは、私、本当にうなずけるんです。子供たちで今一番共通して特徴的に問題になっていることは無気力だと言うんですね。無気力はなぜ来るかと言うと、志を立てられない、自分たちの夢に向かって進むことができないと。これは男女共生の問題だけに限らず、人間としての社会をこれからつくっていく上で非常に大切な問題だと私は思っております。 その意味においては、先ほど矢野参考人もおっしゃっておられましたが、女性に対して、これは女性がいわゆる育児休暇をとった後、そのブランクが決定的なものになってしまう、致命的なものになってしまうという職種もあろうと思いますし、それぞれの能力に応じた職種の選び方なんというのもあるんだろうと思うんですが、その辺も含めて、大沢参考人、何か最後に御感想があれば、ちょっとお伺いをして終わりたいと思います。
○参考人(大沢真知子君) 難しい質問で、私も自由と自己責任ということが原則だと思っておりますし、若い人たちの中の無気力というのは非常に問題なんじゃないかと思います。 経済学者の立場から若者の無気力の問題を考えますと、一つは、やはりいい仕事が随分減っていることが問題なんじゃないかなと思うんですね。特に高校生の、十代のパート、アルバイト比率が非常に多くなっているんですね。今は正社員の仕事が減っていて、そういう意味でフレキシブルな仕事といいましょうか、ある意味ではアルバイトで気楽に生活できるんですけれども、アルバイトからその後のキャリアをなかなかうまく形成できないような若い人たちがふえてきているのではないかと思います。そういう無気力というのが仕事がないことによって起きているのであるとすれば、やはり政策を立てる必要があると思うし、私がさっき申しましたようなもう少しセカンドチャンス、サードチャンスが与えられるような、再参入ができやすい労働市場というのが必要なんじゃないかなというふうに思います。 以上です。
○鶴保庸介君 ありがとうございました。
○高橋千秋君 民主党・新緑風会の高橋千秋です。よろしくお願いいたします。 きょうのテーマは、自分の家庭に置きかえていろいろ反省させられる部分もかなりあるので、それをもとにいろいろ質問をしてみたいと思います。 私は三人子供がおりまして、一人が小学校五年生、あと小学校二年生の双子がおりまして、「こどもちゃれんじ」をずっとやらせていただいております。 ベネッセさんの方からまず聞いていきたいと思うんですけれども、私も民間企業にいたんですが、御社の場合は随分やっぱり特殊かなというふうに私は非常に感じたんですね。日本じゅうの民間企業がベネッセさんのような感覚を持っていれば、きょうのテーマのような話というのは随分変わっていくんだろうと思うんですが、もともとそういう優遇制度を、特にインセンティブとしてやったわけではないということだったんですけれども、実際これを見せていただくとかなり普通の民間企業よりは進んでいると思うんですね。 経営者サイドから見ると、こういうことを導入するに当たって、やっぱり経営にかなり影響を与えるだろうというイメージが絶対あると思うんです。そのときに早くからこういう制度を導入されて、経営者の姿勢としてどういう考えでおられるのかということと、実際、経営にこれが影響を与えているということを感じられているのかどうか。そのことをまずお聞きをしたいんです。
○参考人(北川美千代君) 「こどもちゃれんじ」、ありがとうございます。 経営の方でのこの施策に関しての姿勢ですけれども、そもそもは女性の従業員が多いというところで、その従業員たちへのモラールアップというふうな観点からも女性を使っていくという姿勢を示すということが大切であるというふうに、これはどちらかというとトップの方針として実行してきているというふうな経緯がございます。 ですので、女性従業員の側からの、こういう制度があったらいいな、こういうふうに働きたいという声と、それを生かして女性従業員を活用していきたいという経営側の意志とが一致して施策の方が実現してきているという経緯がございます。 ですので、経営サイドとしても、従業員を活用するのに、六割いる女性が元気になるような施策をどんどんやっていきたいという一つの、これは戦略として持っていたというところがあります。 それから、経営への影響のことなんですけれども、これはよくお尋ねを受けるんですけれども、数字的な、経済的な効果としましてはなかなか見えにくい部分であるということは正直なところです。ただし、私どもの場合、顧客がそれこそ御家庭だったり女性だったりというふうなことがありまして、そこでの認知度を上げる、それからベネッセコーポレーション、進研ゼミ、「こどもちゃれんじ」といったような商品ブランドへのプラスのイメージアップというところに関しては非常に貢献しているというふうに考えます。 少し前に私どもの方で市場調査というふうな形で、女性に対して、ベネッセコーポレーションとかベネッセコーポレーションが出しているサービス、商品についてどのようにとらえているかというふうな調査をしたことがあったんですけれども、特に女性の高学歴層に関しましては、就職のときに一度はベネッセコーポレーションを考えたというふうなところがありまして、そういった意味で、非常に女性の味方ベネッセというふうな感じでとらえられているというようなところが結果から明らかに出ておりまして、そういった点では形にはなっていないんですけれども、大きな影響を与えているというふうにみなしております。 以上です。
○高橋千秋君 先ほどのところで、制度があるだけでなくて使われていることが非常に特徴的だというお話がありました。 よくいろんな企業で、例えば役所なんかで言うとノー残業デーのような、無理やりそういう権利を使わせて、そういう権利があるんだよということを知らせるようなやり方というのがあると思うんですけれども、ベネッセさんの場合は使われている率が非常に高いと。 そのことに対して何か会社として、使いなさいよとかそういうような指導をしているというか、教育をしている部分があるのかということと、それからもう一つは、細かいことであれなんですが、役員の中に女性の方はお見えになるのか。お見えになるとすれば、何%ぐらいお見えになってそういう意識を高めているのかということですね。それからもう一つは、男性でそういう育児休業制度を使われている例があるのかということもお聞きをしたい。この三つをお願いいたします。
○参考人(北川美千代君) 制度の利用促進の方なんですけれども、これに関しましては特に利用を呼びかけたことはございません。制度ができたということを通常の業務連絡の形で連絡している程度なんですけれども、ほかの福利厚生のいろいろな制度とか施策に比べまして非常に認知度も高く、利用状況も高いというふうな状況です。 これは、原因はと言いますと、最初に導入してから長い年月たっておりますので、職場の中で子育て中の女子社員がやはり存在してきていますので、子供ができたら休職してそのまま仕事を続けられる、できるんだといったところが非常に目に触れる機会が多いということが一つの大きな原因であろうというふうに思います。ですので、これを特に促したりということはしておりません。 ただ、職場によっては、子育てをしながら初めて復職してくる人が出る職場もございますので、その場合、周りの人が戸惑ったりですとかちょっとネガティブな発言があったりということもないことはありませんので、そういったときには人事サイドの方からいろいろ御説明に行ったりということもしております。 それから、制度を導入してしばらくの間は、職場に復帰してきた後同じような形で無理なく職場定着ができているかどうかというようなところについて一人一人のケースを見ていって、問題があればそこを解決していくというふうな動きをしておりますので、どちらかというと広くあまねく告知するよりも、一つ一つのケースで十分使えるような形で支援していくというふうな方策をとっております。 それから、二点目につきましては、役員の方ですけれども、昨年六月の改選で女性取締役の方が一名出現しております。それまでは男性だけでした。 それから最後に、男性の育児休業制の取得の方なんですけれども、残念ながら育児休業の取得の方の実績はございません。ただ、育児を事由とした有休の取得ということは若干ございます。育児休業という形になりますと、どうしても休職ということで無給になりますので、そこまで日にちはかさまずに、有休の取得の範囲でお休みして出産中の家庭のことなどに対応するというふうな事例はございます。
○高橋千秋君 これは北川参考人と大沢参考人にもお聞きをしたいんですが、高学歴の女性の再就職という部分で非常に悪いと。私なんかが住んでいる田舎で思うと、東京と田舎のギャップというのはかなりあると思うんですね。それで、むしろ私たちのところでは、そういう大卒の方の就職も当然そんなによくないんですが、いわゆる高学歴でない方々の再就職というのも非常に問題だと思うんです。 この点について、きょうは、ベネッセさんなんかの場合だとどちらかというと大卒の方が多いような職場だと思うんですが、そういう高学歴でない方々を救う道というか、そのことについて今の現状と、それからどういうふうに考えていけばいいのかということをそれぞれにお伺いをしたいと思うんですが。
○参考人(大沢真知子君) 私は、別に高学歴とそれ以外のグループと分けたわけではなくて、何というんでしょう、それだけの知識を得た人がその後の能力を開発できる道というのは開かれてしかるべきだという点で申し上げたのですが、実際問題として、今、女性の就職そのものも非常に厳しくなっていると思います。 女性は、昔は仕事がないと家に戻るという形で失業者になりにくかったわけですけれども、今は仕事を探しているという形で失業者になってきますから、それが現在の失業率を高めていくということがあると思います。 ただ、こういった女性の自立に関する政策をとっていくことは、すべての学歴の女性にとって非常に有益なことではないかというふうに考えております。
○参考人(北川美千代君) 学歴によらず働くというふうなことになろうかと思いますけれども、例えばこれから新しくできていくいろいろな事業領域、それからサービスの分野で仕事ができていくような形になっていけばいいのではないかというふうに考えます。 私どもの場合でも新しく介護サービスを実施しておりまして、それも全国の拠点で展開をしているんですが、なかなかそこで有能なスタッフの方々を探すのが難しいですし、なり手がいてもなかなか定着しなかったりとか、重労働ということですぐやめてしまわれたりというようなところがあります。そういったサービスの必要なところはありますし、そこで仕事もあるんですけれども、それに見合った例えば資格ですとか技術といったところを身につけていただいて、それに合わせて就職をしていっていただくというふうなところがこれからの展開としては一番望ましいのではないかというふうに思っております。 以上です。
○高橋千秋君 これは大沢参考人と矢野参考人にそれぞれお伺いしたいと思うんですけれども、企業に対する男女雇用機会均等の理念の徹底というのが必要だということで矢野参考人の方からもあったと思うんです。それで、法制的にそれを変えるのではなくて、そういう理念の部分を企業にある程度期待をする、教育も含めてやっていくことによって浸透していくだろうという御意見だったかと思うんですが、私はそこだけでは難しいのかなというふうに思うんですね。 特に、矢野参考人の日経連の会員のような大企業であればある程度それは可能かもわからないんですが、いわゆる地方の小さな企業なんかでは、そこだけに期待をしてはなかなかそれが浸透するということははっきり言って難しいというふうに思うんですが、その点についていかがかなと。 そして、大沢参考人の方で、三十年でアメリカの方が随分変わったというお話がありました。そういう理念の徹底というところである程度期待をして変わっていくだろうということなんですが、そういう法制的なことも含めて変えていかないとなかなか三十年、三十年というのは非常に長いとは思うんですが、もっと急速に変える必要があると思うんですけれども、そういう部分も含めて御両人からお伺いをしたいと思います。
○参考人(矢野弘典君) 日経連のまずちょっと御紹介もさせていただきたいと思うんですが、現在、各都道府県に地方経営者協会というのが全部で四十七ありまして、そのほかに業種団体が六十あるわけですね。それぞれの団体のもとに各企業が会員として入っているわけでございますが、大体その事業所の数が全国で十二万カ所ぐらいですか、ちょっと正確な数字は、流動しておりますので確定しにくいんですけれども、そこで働いている人の数が大体、非常に大ざっぱでございますけれども二千万人、こう言っておるわけです。 実際のそういうメンバー会社は大部分が、特に地方の場合は大部分が中小企業でございまして、たしか東京とか大阪とか名古屋とか、そういう大都市に本社を持っている会社の場合は大企業もございますけれども、日経連の事業としては、どうすれば地方、どうすれば中小企業というものに対して我々がお役に立てるかということをいつも考えているわけですね。ですから、大企業の意見は当然尊重しますけれども、中小企業の意見や問題というのも負けずに大事にしていくということを事業の根幹に置いておるということをまずちょっと冒頭申し上げておきたいと思います。 それで、その理念、意識というものがどういうふうに変化していくのか、それでどういう役割をそれぞれの社会的なプレーヤーが果たせるかという問題でございますけれども、やはりまず一つは、中央政府あるいは地方公共団体、あるいはその関連するいろいろな団体がございますね、二十一世紀財団とか。そういうプレーヤーはこの意義を本当に周知し、PRし、なるべくたくさんの人に知ってもらうというためのキャンペーンを非常に重視して続けるべきだと思いますね。これはやはりそれぞれの企業単位、それぞれの民間の組織単位でやっていることを非常に強くバックアップするものだと思いますから、その点については非常に私は重要視しております。 それから、そうは申しましても、やはり意識の変化というのは時間がかかると思うんですね。先生、御家庭のお話なさいましたので、ちょっと私も申し上げますと、私のおやじの世代と私の世代と、私、子供が四人いるんですけれども、四人のうち三人が結婚しておりますから、子供が全部で七人いる勘定になるんですね。家内もいる、孫がいますから、全部で十人家族でやっておるわけですけれども、その私の子供の世代の考え方はやっぱり随分違うんですね。 そういうふうにして世の中の変化というものがあって、それぞれのプレーヤーが、それが労使であろうと国であろうと地方公共団体であろうと、いろいろ一生懸命取り組んでいる問題というのは、世の中の意識を間違いなく、ある時代の流れとともに変えているんですね。それを加速するかどうかというのがやっぱりそのときの当事者の現状認識の問題だと思うんです。大事な問題は、やはり加速する努力をすべきだと思うんですね。そういう意味では、政府、労使、地方公共団体も含めたそういう重要なプレーヤーがその役割を認識して積極的に取り組むべきであると思うんです。 その場合に、これは先ほどの御質問のときにも申し上げたんですけれども、余り先行した形の法律によってそれをやるんじゃなくて、やはりそのプレーヤーが本当に真剣に必要か感じて事実をつくっていくということに努力するということでないと、本当に地に足のついた改革、変革というのは生まれないんじゃないかというふうに考えるわけでございます。 お答えになったかどうかわかりませんけれども、以上でございます。
○参考人(大沢真知子君) 今までの質問で、私も余りいい答えになっているかどうかわからないんですけれども、先ほどからの議論を聞いていますと、女性を活用していくことによっていろいろとコストもかかるし税金もかかるけれども、それから会社にとっては不都合があることもあるけれども、女性を活用していくことがそれでもメリットになるのかというような、そんなふうな趣旨に思えたんですね。 私は、今まで日本が女性を活用しなくてもよかったのは、やはりそれほど市場の中で競争しなくても済むような環境があったのではないかという、何かある面で非常に日本の社会というのは国際競争から守られて、みんなで和気あいあいと仲よく共存してきたんじゃないかというふうに思うんですね。特に八割以上の人は、輸出主導型経済発展ではあったけれども、主に国内で生産し国内で消費をして、中小企業で働いて生活していたというふうに思います。今何が起きているのかというと、やはりグローバルなレベルでの競争が非常に厳しくなってきた状況の中で、女性を差別していくことが企業にも許されない社会が来たのではないかというふうに考えています。 やはりアメリカもそうだったから女性を活用せざるを得なかった、せざるを得なかったという表現が正しいかどうかわかりませんが、一人の人間の能力を最大限に生かしていく、それはもう男性、女性にかかわらず、そういう人たちを育てていき、かつその人の能力が社会に還元されるという、そこにおいては年齢もないんだと思います。やっぱり努力した者、成果を上げた者が報われると。アメリカの女性たちはそうやって成果を上げたので、ファミリーフレンドリーなポリシーの中でキャリアを継続していったんじゃないかというふうに思います。そういうものが合理的であったからそういう制度があって、それが次の世代の女性に新たな機会を生み出していったということなんですね。 ですから、そういう面では、先ほど矢野参考人の方からも少子高齢化時代が来るという話をされましたけれども、そういう中ではもう待ったなしなんじゃないか。そういう優秀な女性たちというのは結婚でやめていくものと思って今まで日本は採用し、育成してきたわけですけれども、これからはもうそういうことができなくなる。そういった人を一生かけて能力を活用していくためにも、やはり出産、育児などで就業が図らずも続けられなくなるというような状況は、もうある面でつくっていくことはできないんじゃないか。そういう選択があって、子供を預けられる場所があって、そして自分は家庭と仕事を両立していけるという環境整備の中で、個人が能力開発をしていく時代にこれからなるんじゃないかなと思います。 そういう意味では、ここにお金をかけるということは、日本の将来にとってやはり経済合理的なことであって、非常に重要なことだというふうに考えております。
○高橋千秋君 きょうこの調査会に出席されている方は、皆さん何とかしたいという思いで参加をしているのは事実だと思うんですね。 それで、大沢参考人にもう一度伺いたいんですが、我々男性サイドから見ると、先ほどお話で出た時間の自由度と報酬の比率の問題ですね。ちょうどいいのが男性にとってもそれはいい話でありまして、なかなかそれがいかないので、男性でも例えば単身赴任をせざるを得ないだとかいろいろなことがあると思うんですね。これが一番ぴったり合えばいいと思うんですけれども、現実問題としては、なかなか男性でもそこは自由度と報酬の問題はうまくいかないし、大変苦労をしていると思うんですが、その点についてどうお考えでしょうか。
○参考人(大沢真知子君) 難しい問題だと思います。いつもこういう話をしていまして、柔軟度がある仕事、じゃどうしたらいいんですかというふうにいつも聞かれていて、例えばということでデンマークの例とかオランダの例などについてのお話はしているんですけれども、実際それを日本にどうやって導入していくのかということは私も今いろいろと調べているところで、オランダでも職種によってそういうことができるところもあるし、責任度が高い仕事ではなかなか難しいということで、それがすぐに導入できるというのは難しいと思います。 例えば、私がオランダの人に聞いた話では、学校の先生なんですが、二人の先生が一つの仕事をしているというような形で、ポストは一つなんだけれども、それが二人の先生によってやられているというような例を聞いて、それは妹さんが実際に先生でやっていて、子供が生まれたばかりなので非常にありがたい、そういう制度があっていいんだというような話をしておりました。ですから、管理職にそういう柔軟度が高い仕事というのは無理かもしれないんですけれども、仕事によってはそういうことが可能なんじゃないでしょうか。 特に、仕事の内容とか責任度が明確になっていて、こういう仕事をしなければならないという裁量がある仕事であれば、例えばその仕事を週三日でやっても五日でやってもいいわけですよね。私たち研究者の中では、そういう形で裁量性と言いましょうか、子供を三人産みながらフルタイムとして働いている人が多いですが、そういう人たちはやはり仕事の権限と言うんでしょうか、明らかになっているからそういうことができると思うんですね。今、日本の会社の中でそういった仕事、職域をもう少し明確にしていこうというような動きがあるというふうに聞いているんですが、そういう形で各個人の仕事の内容とか責任度が明確になっていくとワークシェアリングのような考え方を導入することもできるのではないかと思います。 それから、例えば今サービス残業というのは非常に多くて、特にリストラで人数が減っているために正社員にしわ寄せが行っているというようなことも聞くんですけれども、そういったことを規制していくためには、やはり残業手当の率を上げるとかそういったことも考えてもいいかもしれません。
○高橋千秋君 時間が来たので一言だけお伺いしたいと思うんですが、日本の現状の一番大きな問題というのは、高齢化よりも少子化の方だと思うんですね。少子化が解決すれば高齢化も解決する話だと思うんですが、特に矢野参考人の方でいろいろこの少子化のことに対する対応というのが提言もされていますけれども、児童手当、現行の制度ではそれを拡充するのは反対だということが書いてあったかと思うんですが、一言でこれは解決できれば簡単な話だと思うんですが、それについてどういうふうに思われているのか、お聞きをして終わりたいと思います。
○参考人(矢野弘典君) 非常に大きな問題で、なかなか妙案が生まれないのでみんなが苦労してどうしたらいいかというふうに悩んでいるテーマだと思うんですね。 先ほど私、配偶者も入れると七人子供があると言いましたが、よく、一緒に食事をしながら、おまえたち、どうして子供をもっと産まないんだという話をするんですね。どうすればじゃその気になるんだと。私どもや私どものおやじの世代と比べてみますと、女性が、大人の子供が四人いるわけですけれども、物すごくみんな経済的に独立したいとかキャリアを形成したいと、非常に強い意欲を持っていまして、ぜひやりなさいと。 そのうち孫をつくった一人は、先ほどのお話があった駅のそばの保育所があって物すごく喜んでいるんですね。それで、亭主と交代で送ったり迎えたりしながら何とか一生懸命やっていると。最初のうちは勤務時間も日数も少なかったんですが、その間はコンピューターで会社の仕事をして、在宅勤務ですね、そういうことをやってくれる会社なんですね。そのうち週三日が四日になり、四日が五日になりということで勤務できるようになって非常にハッピーに暮らしているわけです。 ですから、私どもは少子化対策ということを考えると、児童手当でお金を出すということ、私どもの子供七人、皆それぞれ子供を産みませんと言いますから、これは日本全体に適用できるかどうかわかりませんけれども、少なくとも選挙権を持った大人の子供がみんなそう言うんですね、それはちょっと余談になっちゃうんですが。 そうじゃなくて、やはりキャリア形成をするために一番欲しいのは保育所だと言うんですね。延長保育とかそういういろんな便利なものがどんどんふえていったらどんなに幸せだろうと言うわけです。みんなやっぱり子供が欲しいわけですよね。それをつくりやすい、仕事と家庭が両立するようなそういう環境づくりをするというのはやっぱり我々の世代の務めなんじゃないかと、役割なんじゃないかと。当事者もそういう努力せにゃ、いろいろ声を上げる必要があると思いますけれども、やはりそれが可能な立場にある人たちの大事な仕事なんじゃないだろうかというふうに思います。 そのほか、社会保障でのいろいろな問題とか制度の改革とか、それから税制改革とかという環境整備もありますが、まず一番身近なところから言うとやはり保育所ではないだろうかと、保育サービスということではないだろうかというふうに考えます。決してそれがすべてを解決する妙案だとは思わないんですけれども、どうもこれは単に私が家族と一緒に相談している話だけじゃなしに、日経連という場でいろんな委員会がありまして、いろんな企業の、いろんな人が来て意見を言ってくれるわけです。その中のコンセンサスとしてもやっぱり保育サービスだということを言ってくれております。そういう多くの人の意見を代弁して、その点を政策の課題としていろいろ主張させていただいているわけでございます。
○高橋千秋君 終わります。
○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。参考人の皆さんには大変貴重な御意見をお聞かせいただきましてありがとうございました。 私の方からは、まず最初に、私は山形県に住んでいるわけなんですが、参議院の方の委託研究で、「女性の経済・社会的自立支援に関する委託研究報告書」があって、前田正子さんというライフデザイン研究所副主任研究員の方がお書きになっているんですが、山形県は一番共働きが多い県だということで、それは、地方ではやはり男性の所得が低いために女性の方が働かざるを得ないということで、よく女性が家庭よりも仕事の方を優先していくというような非難がされることがあるわけですが、そういうのではないので、やはり所得が低いということも大きな原因で、それで女性の方が共働きをしているんだという最初の分析があるわけですけれども、そういう山形県におりますので、本当に女性が働いていく環境を整備するということは非常に大事なんだなと、そのように思っております。女性が働いている環境というのは、正社員で就職され、子育て後も子育てしながら正社員として働いている人もいるわけですけれども、やはりパートで働いている人が多いと思うんですね。 それで、先ほど大沢真知子参考人の方からドイツの例ですか、時間差差別禁止法ですか、これでパートタイマーの方の労働が非常に適切に、適切にといいますか公正に評価されるようになったというようなお話がありまして、こういうものは日本でも応用していきますと、導入していきますと、そういうパートタイマーとして働いている女性が多いわけですが、そういう方々のためにも労働の適正な評価というものができてくるんじゃないかというような考えを持ったんですが、その点はいかがでしょうか。
○参考人(大沢真知子君) オランダの例を申し上げて、時間が短い労働者を差別しないという法律なんです。 今、厚生労働省の方でもやはりパートタイマーと正社員との待遇差というのがこのままでいいのかということで問題にされておりまして、そのためにどうやったらいいのか、どうやったらお互いに納得できるような制度がつくれるのかということで、今回の報告書では、均等ではなくて均衡、バランスを考えて両者が納得できるような雇用管理制度をつくっていこうということで提言しております。 具体的に、仕事が同じであれば同じ賃金を払うと、仕事が違ってもバランスを考えてと、ここら辺が何かちょっとあいまいで読んでいてよくわからなかったところなんですが、しかし、ほかで同じような仕事をしている人とか、そういった人の相場を考えて、それに合わせて給与を払っていこうと。なるべくバランスをとった賃金体系に変えていかないと、パートタイマーは今六割ぐらいの人が正社員と同じような仕事をしているというふうに答えているんですね。今後の企業もやはりパートをもっとふやして能力活用していきたいというふうに考えているわけで、にもかかわらず賃金が低いという、ここに非常に矛盾があるわけです。 時間差差別禁止法がオランダで通ったのも九六年なので、そういった法律が今通せるかどうかというのはわかりませんが、とりあえず今やっている段階というのは、どういう賃金体系が一体公平な賃金なのかというバランスを考えていくところなのではないかと思います。いずれは、そういった職務が同じであれば同じ賃金が支払われる労働市場というのがつくられてくると女性の選択肢というのが非常に広がっていきますので、先ほど言ったフレックスタイムの導入ですとか、正社員の働き方をして労働時間が短いというようなことに対しても、時間給で考えていけば、その成果に対しての給与を払うということで合理的なわけですから、そういうような労働市場に変わっていくことが必要で、そうなってきたらやっぱり時間差差別禁止法というのも通すことに意味があるというふうに考えております。
○渡辺孝男君 ありがとうございます。 パートタイムの労働者で、私も病院に勤めておったんですが、看護婦さんでもわざわざ子育ての期間はパートタイマーとして働いている。それはやはり所得税の非課税の限度までの間だけ働くということがあるわけですけれども、この所得税の非課税の限度を、これをもうちょっと広げて大きくした方がいいんじゃないかみたいなお話もあるわけですが、この点は矢野参考人、それから大沢参考人はどのようにお考えでしょうか。
○参考人(大沢真知子君) 矢野参考人の方からもお話があったと思いますが、こういった制度が逆に就業機会を狭めているのではないかといったことがあったと思いますが、私もそうではないかと思います。 つまり、それによってより高い能力を要求されているようなパートの仕事というのがなくなってしまっているんですね。そういうことを考えると、私はむしろ、こういった配偶者控除手当でありますとかそれだけではなくて、社会保険料の第三号被保険者の問題ですとか、そういうのも含めてなるべくそういったものを外していく方向で考える。非課税限度額を引き上げるのではなくて、違った形で、厳しい状況にある人に対して最低の生活を保障していくことが必要だと思うんです。非課税限度額のようなある条件を設定して、その人にだけ当てはまるようなそういう制度はなくした方がいいんではないかというふうに思っています。
○参考人(矢野弘典君) 今の大沢先生の意見に私も賛成でございます。 ちょっと違う観点から少しコメントさせていただきたいと思うんでございますけれども、これから雇用形態がどうなっていくかということなんですね。いろんな形態の雇用のあり方というのは、働く人たち、それからそれを雇う企業側、双方にとって一致するメリットがあるはずだと、こう思うんですね。そういうものがあるからこそいろんな働く形態が生まれてくると思うわけです。 大きく言って、企業という立場でどういう雇用形態になるんだろうかということをちょっと私どもも研究したんですが、これまで終身雇用ということで新入社員に入ってもらってずっといくというのが基本パターン。それは必ずしもすべての企業がそうだったとは言いませんが、多くの企業でそういう考え方がとられていたわけですね。しかし、そういったものがだんだんとやっぱり様子が変わってくると、こう見るわけです。 私どもは三つのグループにこれから分かれていくんじゃないかと思うんですね。一つは、そういう従来の終身雇用型の長期蓄積能力活用型のグループ。言ってみればコアというか、中核になるそういう社員グループというのがあると思うんです。それから、もう一つのグループは高度専門能力活用型のグループであると。これは言ってみれば、非常な高い専門性を持って、ある有期間、会社と契約を結んで仕事をし、そして報酬をもらうというタイプですね。もう一つは、雇用柔軟型グループ。これは有期契約なんですけれども、パートタイマーとかそういうのもみんな含まれるグループに分かれる。大きく言ってそういう三つに分かれていくだろうというふうに思うわけですね。 その場合に、やはり仕事の種類によって、時間によって、時間給の概念が当てはまる仕事とそうでない職種があって、時間給の概念が当てはまる制度というのは雇用柔軟型グループということなんじゃないだろうかと、こう考えるわけですね。 ですから、そういう分野の仕事はかなりいろいろな形で、今までにないような新しい雇用形態が生まれてくると思うんです。例えば、この労問研の報告にも書いておきましたけれども、週三日間だけ働く勤務であるとか、あるいは成果主義との連動で在宅勤務をやるとか、そういうような形でいろいろな雇用形態が生まれてくるということだと思うんですね。 ですから、時間ではかれない仕事、企画業務とかいろいろ裁量性を持った業務というのはそうなんですけれども、そういったものはなかなか時間の観念にはなじまないということが言えると思います。 ただ、私どももオランダに行っていろいろ調べてみたんですけれども、ホワイトカラーにつきましても、結構時間概念みたいなのを取り入れてやっているんですね。あの国の失業率がもう急速に低下して、今、最近の一番新しいのはわかりませんが、十何%あったのが三%ぐらいに落ちたわけですね。 これは、夫婦一緒に働くようになったと。本当だったら、前の給料は一足す一だから二人合わせると二の給料になるだろうというのが普通の我々の計算なんですけれども、そうじゃなくて一足す一が一・五だというような雇用形態も生まれてきているわけです。ですから、御主人の給料が今まで一だったのが〇・八になって奥さんの給料が〇・七になって、それで勤務時間も短いという両方ともやると世帯の収入は一・五になっているとか、そういうような取り組みもなされたというふうに聞いているんです。 これはやはり、オランダの場合は国が小さいということもあるにしても、非常な危機感を持って政労使が社会的なコンセンサスをつくったということの中にそういう答えがあるわけでありまして、そういう意味では、日本も新しい働き方ということを考えるについては相当な社会的なプレーヤーのコンセンサスが必要だろうと思います。 そういう意味では、今の新しい働き方というようなことにつきまして、去年は日経連はワークシェアリングということで提唱したわけですが、ことしはもっと多様化したニーズにこたえる、そういう選択肢を提供する、生み出すという意味で一歩進んだ形での短時間勤務とか、週のうち三日勤務とかなんとかというようなことを言い出しているわけです。 連合ともちょっと相談しようということになりまして、これから一緒の答えが生まれるかどうかわからないんですけれども、少ししっかりやってみようと。できれば、そういうものを生み出せるものならやってみようじゃないかというのがちょうど今始まったところです。
○渡辺孝男君 次に北川参考人にお伺いしたいんですが、私たち、そういうふうに子育てをしながら共働きをされている若いお母さん方にお話を聞く機会が多いんですけれども、もちろん児童手当、それから保育所の整備、総合的な配慮でいろんな子育て支援というのはしていかなければならないと思うんですが、その中で声として大きいのが、一歳六カ月健診と三歳児健診、これは国で決められていると、そういうときにお休みをとって赤ちゃんというか子供さんを連れていくと。こういうときにはやっぱり特別な休暇、有給休暇以外に休暇が欲しいんだという声があるわけなんですが、どうでしょう、ベネッセさんの方ではそういうお声というのは大きいでしょうか。あるいは、そういうときにどういう配慮をされておられるでしょうか。
○参考人(北川美千代君) 私どもの場合ですと、勤務形態のところでフレックス制度を導入しておりまして、いわゆるスーパーフレックスというふうに呼んでいるんですけれども、コアタイムなしで勤務時間を自分の自由で設定できるというものなんです。ですので、そういった健診とかで必要な場合はお休みをとる、もしくは例えば半日だけそちらの方に充てるというふうな形で対応ができるようにしております。 何分、子育て中ですと、やはりお子さんの病気だとかで年次有給休暇の方もどんどん使って、使い切ってしまうので、休暇についてはやはり切実な問題だろうというふうに思います。私どものところではこういったフレックスタイム制度があるので声としては従業員から上がってきていないんですけれども、そうでなければ休暇面での配慮というのは必要な施策ではないかというふうに思います。 以上です。
○渡辺孝男君 ありがとうございました。 もう一つ北川さんにお伺いしたいんですが、先ほどいただいた資料で、カフェテリアプランですか、ポイント制で自由にいろんな援助が得られるような制度があるんですが、こちらの方は利用実績というのが書かれていないんですが、余りこれは利用されていないということなんでしょうか。
○参考人(北川美千代君) こちらの方なんですけれども、利用実績としましては年間付与ポイント数の六割程度は使われております。特に、子育て中の社員に関しましては利用実績が非常に高い状況です。 ただ、このカフェテリアプラン自体は、ほかの例えば財産形成ですとかリスク管理といったような保険関係の補助ですとか医療費補助といったこともメニューの中に含んでおりまして、一般社員全員が使えるようになっておりますので、そういったところから考えますと独身で若い社員の利用率が低いというふうな状況です。子育て中の社員にとっての利用率は高い状況です。
○渡辺孝男君 これはもう時間がないので質問ではないんですけれども、先ほど北川参考人の方から高校生でしたか、不登校の方、これは育児でなくて介護休暇になるんでしょうね、そういうものに使わせてもらいたいというようなお話もありまして、なかなかいい御配慮かなというふうに思っております。 今、非常に不登校の方もおられて、やはり親が一緒にいなければならないというようなこともふえてきていると思うので、そういうときにこういう休暇を利用できるということは非常に大事だなというふうに思いまして、これからいろいろ検討させていただきたいなと思いました。 どうもありがとうございました。
○八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。 きょうは、参考人の皆さん、ありがとうございます。 きょうは、女性の経済的、社会的自立支援の中でも雇用関係がテーマになっているわけで、まず最初に私、大沢参考人に女性の賃金格差の是正の問題について教えていただきたいなと思うんです。 女性が経済的、社会的に自立する上で最も大切なことの一つというのが、今問題になっておるのは低賃金とか労働時間が長いとかそういうのがあるんですけれども、女性も男性も日本国憲法で言っている健康で文化的な生活を営むために働く権利がきちんと保障されること、人間らしい生活ができること、これは働いているときもそうですし、働けなくなった、そういう生涯のすべてを含めてきちんと保障できる賃金というのが大事ではないかなというふうに思うんです。 労働省の調査で、この調査会ではいろいろ資料をいただいているんですけれども、男女の賃金格差というのは一般の男女常用雇用労働者でも近年拡大傾向にあると書いてありますが、その上に女性に多いパートを含めると、女性の賃金は男性の五一%、諸外国と比較をしても異常に低いわけです。 こういう賃金格差の原因が、いろいろな先生のこういうのを見ますと、社会的、文化的に女性に対する差別が日本で言うと根本的にあるんだけれども、雇用の面で言うと昇格、昇進の男女の差別がある。これは裁判などでも明らかになっているんですけれども、またコース別の雇用管理という名のもとに賃金の低いところに女性が追いやられているということとか、あるいはパートの低賃金に女性が多いとか、それから女性が家事や育児、介護の家庭的責任をより多く担っているので両立ができない、こういうのが関連しながら男女の賃金格差の要因になっているというふうに示されています。 きょうも三人の参考人の皆さんからもいろいろお話を伺っているんですが、先ほど「なぜパートは低賃金なのか。」というのが大沢先生のペーパーにあって、二枚目のところにパート賃金のことが書いてあるんですけれども、憲法や労働法制、均等法でも男女差別を日本は禁止しているんですが、現実にはそうなっていない。 先ほども女性を差別している時代ではもうなくなったんだとおっしゃったんですけれども、特に女性の中で低賃金と言われるパートなど不安定雇用が広がっている中で、男女賃金格差と言うんですか、女性のパート化で雇用形態の男女格差と言うんですか、そういうことも言われているんですけれども、今のそういう日本の現状の中で打開策は、先生としてはどこから手をつけてどうしたらいいというふうにお思いなのか、お示しいただけたらと思うんですけれども。
○参考人(大沢真知子君) 何かだんだんと質問が難しくなってきて、私は、そちら側に座ってそういう質問をできたらどんなにいいだろうなと、そういうふうに教えてくれる人がいない不安を今感じながら、私たちはどういう要因によって賃金格差があるのかというふうな研究はしておりますけれども、じゃ、どうしたらいいのかというようなことになってくるといろんな要因が絡んでいるのでとても難しいと思います。 今、それで、お答えにはならないんですが、最近の賃金格差の研究でどういうことがわかっているのかちょっと思い出しながら、記憶が正確ではないんですけれども、日本の場合大企業で男女間賃金格差が非常に大きいです。大卒で男女間賃金格差が大きくなっているという結果が出てきたような気がしますが、今疲れてきて本当にそうだったのかなとわからなくなってきたのでちょっと違うかもしれませんが、何か中核の部分で女性の進出がそれほど進んでいないようなレポートをよく目にします。 だから、中小企業での男女間賃金格差というのは、特に高学歴では男女間賃金格差は小さいんですね。規模別に見ても男女間賃金格差は小さいと思います。ただ、大手の部分で男女間賃金格差が大きくて、いろんな研究レポートを見ているとむしろ若い層で出産、育児でやめる人がふえているんだというような結果が随分出ているんですね。何かそこら辺がやっぱりネックなのか、一番のコアの部分に女性がなかなか入っていけない。そこの部分で、管理職になっていく、キャリアを積み上げていく女性というのが少ないんですね。いないわけではないし、ふえていることも事実なんだけれども。だから、そこの部分がやはり非常に何か日本的な雇用慣行がまだまだ残っているせいなのかわかりませんが。 賃金格差ということに話を戻しますと、一つはパート対正社員の賃金格差ということだと思うし、もう一つはコアの部分に女性がもっと入っていってそこで生き生き働いているというのが社会に出てくると、例えば意識を変えるときにも、あっ、そうかと、何かそんなに力を入れずに女性が活躍してかつ業績を上げているんだというのは、男女共生社会に向けての一つの大きな一歩になるんじゃないかなと思います。 多分、矢野参考人の方がそこら辺について御存じだと思うので、もしあれでしたらお伺いください。
○八田ひろ子君 ありがとうございます。 本当に人口の半分の女性の能力がまだ生かされていない社会だなというのを思いますし、日本で言うと時短も進まずに労働分野における女性の地位も低いというのが今お示しいただいたとおりだと思います。 これは、東京女性財団の「大卒女性のキャリアパターンと就業環境」という資料をいただいているんですけれども、ここの提言でも、男女労働者が家庭生活、個人生活を両立して享受できるためには適正な労働時間と労働諸条件の整備が必要だというのもありまして、先ほどから労働時間が長いということでなかなか大変だというのもあるんですが、今、大沢参考人からも言われた矢野参考人に伺いたいんですけれども、先ほどこの報告でお示しいただいたところなんですけれども、男女共同参画、仕事と家庭の両立についてで、私は今の大沢先生のお話もあるんですが、男性の働き方、これについて長時間働かされ過ぎている慣行があるんじゃないかと。 これを読ませていただくと余りそういうことは書いてないんです。ほかのいろいろな調査を見ますと、会社人間を阻止しないと過労死はなくならないとかそんなようなこともいろいろ書いてあるんですが、男性がどう仕事と家庭の両立をみずからが支えていくか、そういう視点ではどうでしょう。ここの中には十六ページに、「企業としても、男女の雇用機会の均等と公正な処遇の定着のために、より一層の努力が必要であり、」「企業に課せられる責務も大きい。」と書いてあるんですが、そういう面ではどうなんでしょうか。
○参考人(矢野弘典君) 大変難しい質問であり、同時にいろいろ身にしみるお言葉のように思います。 裁量労働制というものが採用されたときの思いは、時間ではかれない、ある意味では始まったらもうとめられないような仕事があるんだと、技術開発とか企画とか、ということで始まったわけでありまして、そういう種類の仕事というのは世の中にたくさんあるわけでございます。ですから、時間で拘束されずにもう本当に存分にやるという分野もあるかと思えば、ある程度時間で整理してやれる仕事もあるということで、これからはやはりそれぞれ働く人御本人の考え方や希望にもよりますけれども、そういういろんな種類の仕事があって、自分のキャリア形成の中でこれをやりたいということと、企業あるいは社会のニーズとが一致する必要があるんじゃないだろうかということを第一点に思うわけでございます。 その働き方の中にも、本当にやむにやまれず、例えばカリフォルニアのシリコンバレーの働き方というのを見ますと、みんな寝袋を担いで会社に行っても出てこないんだそうですよ、もう、終わるまでは。ちょっとすごいなと。高度成長時代の日本にもそういうことは随分たくさんありましたし、今でもは技術者の中にはそういう人たちも、ある意味では彼は気違いではないかと、日本の企業の中ですら思われるような人たちもいるわけですね。 そういうのが一面支えてきたことは事実ですが、同時に日本の悪い文化的風土の中で人の目を気にして遅くまでおらぬとよくないというようなことになっちゃって、まことに生産性の悪い長時間労働というのもあったと思うんです。そういうのはやっぱり直していかなくちゃいけないし、そういうようなものが働き方のあるパターンであり理想型であるとするならば、これは家庭責任を持った男女労働者はとてもやっていけるわけがないんで、これからはまず一つは成果主義というのを、本当に客観性を持った基準のもとに成果主義というものを強く人事管理制度の中に取り入れるということが私は大事なんじゃないかと思うんですね。 そうすると、時間ではなくて、あるいは年功でもなくて本当に自分が担当する業務で上げた結果に対して報酬が支払われるという要素がふえればふえるほど、そこに男女のいろいろな問題というのが解消していくんじゃないだろうかというふうに思います。 日本の企業はグローバル競争の中にさらされているわけでございまして、これは大沢先生のお話にもあったとおりなんですが、それは単に外国に工場を持ったり自分の製品を海外に輸出しているという会社だけじゃないんですね。本当のグローバリゼーションというのは、日本から海外に出かけていくだけがグローバリゼーションではないんです。逆に海外の企業が、今、大手町や丸の内をお歩きになればよくおわかりのとおり、もう外国人の数がどんどんふえている。東京は随分遅くそうなったわけでございまして、ロンドンに行ってもニューヨークに行っても、もう行ったら自分が外国人だという気がしないぐらいたくさんの国の人たちが、顔色の人たちが歩いているわけですね。これがあるいはある意味では世界の常識になっているわけでございまして、だんだん日本もそういうふうに変わりつつあると。 そういう環境の中で、企業は競争に打ちかっていかなくちゃいけない、そして会社というものを発展させないことには雇用もふえないという状況にあるわけで、そういう意味では先ほど大沢先生がおっしゃったように待ったなしの状況に来ているというのは本当にそうだと思います。ですからこそ、男女を問わず、本当に能力があって、そして本当にいい結果を出す人をしんから欲しがっているというのが現状だと思います。 ですから、ぜひそういうようなものに向かっていろいろな制度設計も企業としてしなくちゃいけないし、同時に個別の人事管理というのもしていく必要があるんじゃないかと、このように考えております。
○八田ひろ子君 ありがとうございます。 過労死は英語やフランス語はなくて日本語が世界共通語だそうで、とても残念だなと思いますし、女性も過労死をばんばんするぐらいの働き方というのはどうかと思って、私どもは、サービス残業が横行するような長時間過密労働でなければ企業、大企業のコアの部分に上っていけないという、こういう働かされ方が大きな問題ですし、家庭責任をみんなで担うという二十一世紀ではこれを大きな問題としてみんなで考えるべきことじゃないかなと思うんですが、そういう中で先ほどファミリーフレンドリーな企業としてお話を聞いていて、私も本当にすばらしいなというふうに思ったんです。 北川参考人に伺いたいと思うんですが、約六割が女性が働いていらっしゃって、九九年にファミリーフレンドリー企業の労働大臣優良賞をお受けになっている会社なんですけれども、先ほどは、働きやすい環境整備に御努力されていて、働く人のモラールアップや優秀な人材が確保できるんだというお話もあったんですが、女性の管理職はどういう比率で、全員総合職で転勤があるというふうに伺ったんですけれども、そういう方々の家族的責任との関係ではどういうお話し合いがあるのかということも教えていただけたらと思います。
○参考人(北川美千代君) 女性管理職の状況なんですけれども、実を申しますと管理職の任用というところでは女性の割合が減っているというのが実情でございます。全社員の六割が女性なんですけれども、管理職になりますと、全管理職の中で女性の占める割合が二八・一%、約三割ということで、若干落ち込んでいるというところが実態です。 この原因といたしましては、女性の採用が拡大しましたのがここ二十年ぐらいのことですので、キャリア的に四十代初めぐらいまでが女性が多いんですけれども、それ以上の年齢になりますと女性が極端に少ないというようなことで、管理職になっていったのが、今までの年功序列形式ですと男性が中心だったというようなこともありまして、役員になったのも去年が初めてというような企業の今の状況です。 そういったところがありまして、男性管理職が中心だった組織から、そういった育児休業を取得する女性がふえて女性の平均勤続年数が上がってきて、組織の中で占める人員構成の方も徐々に変わりつつあるというところが今の状況です。 その中で直面している課題といたしましては、ある意味、管理ですね、組織管理といったところが、従来ですと年輩の男性上司が部下を指導していくという形だったものが、例えば成果主義を導入していることとも相まちまして、非常に若い人材が抜てきされて管理職になっていく、それで若い上司が同年輩の部下を使うというふうなところから、そしてまた部下の方も多様な、例えば育児中だからすぐに帰らなければいけない社員ですとか、あるいは非常に若い社員ですとか、少しリタイアしかけている人であるとかというところも含めての組織管理をしていくというふうなことになってきております。そういった意味で、従来よりもいわゆる経営管理が難しくなってきているということは非常に感じているところです。
○八田ひろ子君 ありがとうございます。 そういうファミリーフレンドリーな企業が本当にもっと一般的になるといいなととても思うんです。 最後に大沢先生にちょっとお伺いしたいんですけれども、ファミリーフレンドリー、日本でいろいろ指定を受けているんですけれども、例えば、労働委員会でちょっと取り上げたことがあるんですが、シティバンクという銀行で、愛知県に住む方で介護責任を負っている労働者に昨年の十二月四日に東京配転を命じたんですよね。それは困るからといって話し合っている最中に、東京転勤をしないんだったら退職をというのが一月二十三日に文書で通告されていて、この方は今までも大阪に転勤しなさいと言われたときも名古屋から新幹線で大阪に通勤していた方なんですけれども、まさに介護責任をもって退職を強要するみたいなことが実際に行われて、すごいファミリーフレンドリー企業だなと思うんですけれども。 これはほかにも、ここの調査会でも私は御紹介したんですけれども、日本IBMで、両親と祖母の介護責任を負う方が配転を命令されて抗議したら、ILO百五十六号条約は国が批准しているので、企業は国内法がないから従う必要がないんだという文書が出されたんですね。 こういう状況では働く人は働き続けられませんし、経済的、社会的自立の基盤であるこの労働ができないと非常に大きな問題で、事業主の責務を果たしていただきたいと私は思うんですが、アメリカではファミリーフレンドリー企業というのは社会的にどういう評価があるのか、最後に一言お伺いしたいと思います。
○参考人(大沢真知子君) アメリカのケースですが、アメリカでも介護のために生産性が下がり多大な損失が生まれているというようなレポートが出されておりまして、同じような問題を抱えております。ファミリーフレンドリー企業は優秀な男性を登用するためにファミリーフレンドリーポリシーが必要なんだという、何かそういうふうに聞いたことがあります。 それは、アメリカの変化を簡単に言うと、七〇年代というのは女性が非常に変化した時代なんですね。その後に、女性の反省もあって、男性並みに働くだけでいいのかというような反省もあったわけですが、その後にもう一つ大きな変化があって、離婚率も大分減少してきたんですね。 一つは男性側の意識が変化したんじゃないかなというふうに私は思っているんですが、男性の方も有能な人は仕事だけじゃ嫌だ、私生活も充実させたいということで、人材が希少な社会の中でやはり交渉力を持っていったので、これはそういう優秀な人を引きとめるためにファミリーフレンドリーな会社であるということを社会的にイメージづける必要があったというふうに聞いています。 それで、どちらかというと、まだ日本の場合、ファミリーフレンドリーというのは、女性が介護をして、女性が育児をして、そういった女性に支援をし、かつ短時間雇用を認めようということですよね。それはやっぱり何かまずいんじゃないかと思います。共生社会というのは両方で助け合おうというシステムですから、育児休業も一応男性も取得できることになっていますけれども、そういった家庭を大切にできる人間がやっぱり会社でも有用な人材であるというようなことで、両方がバランスできることが今後必要になるのかなというふうに思います。 私の近所にデンマークの人で会社経営をしている人がいるんですが、まだ若い人で、デンマークがどうして人材を育成できるのかということでちょっと話を聞いたことがありますけれども、その中でファミリーフレンドリーポリシーという家族に配慮した雇用管理というのが有能な男性を育てるというようなことを聞きましたので、これからは育児休業その他の制度を女性のために育てる、女性のために制度をつくるというよりは、やはり男女ともに、そういった介護もし育児もし、かつ外部のサービスにも頼れるというような環境整備ができればというふうに考えています。
○八田ひろ子君 今のシティバンクは男性の方で、すごく優秀な方なんですけれども、こういうことになって。
○参考人(大沢真知子君) もったいないですよね。
○八田ひろ子君 本当にそうですね。 ありがとうございました。
○清水澄子君 社会民主党の清水澄子です。 もう最後ですから、どうぞもうしばらくおつき合いください。十五分しかありませんので、幾つか絞ってお伺いいたします。 私は、まず矢野参考人にお伺いしたいと思います。 この労働問題研究委員会の報告を今読ませてもらっていて、やっぱり非常に気になることが多いんですが、二十七ページですね、「女性の積極活用は、従来の男性中心の社会とはまったく異なる男女共同参画社会の理念の徹底と実践から始まる。」とあったので、わあ、すばらしい、こういうふうに企業も今変わってきたと思って見ていたんですが、そうするとそれから何行目か下は、「女性が仕事と家庭を両立できる環境整備のために、幼保一元化」とか、これは一つだけじゃなくて今度また十五ページ、少子化のところも、女性が「社会活動に参画しつつ、母親としての生き方に魅力を感じられる選択肢をどう充実させるか」と。 両方とも何で女性だけなのか、これが今本当は共生という、男女ともにそういうものにどう価値を見出していこうかという時代じゃないかなと。最初の始まりの文言と全然違った表現が入ってきて、結論が幼保一元化で終わっているんじゃ余りにも何かちょっと違うんじゃないかなと思いながら見ていたんですが、その辺、ここでは「人間の顔をした市場経済」というのが今度前面に出てくるわけですけれども、そういうものと何か結びつかなくてちょっと迷っていたんです。 まずそういう意味で、至るところで女性にやはり家庭というもの、子育てとか家族というものの負担は当たり前というのがどうしてもどこか出ているなというふうに思ったんです。後から御意見があれば、なぜこういう文言になっちゃうのかということを聞きたいと思います。 そしてもう一つ、先ほどから、これからは賃金とか人事管理制度は成果主義でやることが、それぞれの個人の成果をきちんと評価していくんだと、そういう実力主義による人事制度を運用していくべきだということも書いてあります。今もおっしゃいました。 その場合に、私これもお聞きしたいのは、実態は今、日本の女性は正規社員から非正規社員、ここに出ているような非常に多様な雇用条件の中で働いていますね。そういう中で、どちらかといえば女性はサービス産業が非常に多いんですけれども、最近ではスーパーとかコンビニとか流通とか、サービス業のほとんどは女性の労働力が戦力になっています。そういう意味では実力を持っているわけです、そこでは。しかし、労働時間は物すごく長くなって、賃金が物すごく安くなっているんですね。 そうすると実力主義、そして成果主義ということとこれはどういう、なぜこういうことが起きるとお考えになるか。その一点と、成果主義というときに、女性がどうしても多く担っている家族の負担、家族生活、子育てから、そういうものはどのように評価をされるかという点についてお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(矢野弘典君) 大きく二つ御質問いただいたというふうに思います。 最初の両立の問題にいたしましても、実は女性のことを論じているだけではないかという御指摘なんですが、これをつくるときにもアドバイザーの先生にさんざんしかられながらやった点でございまして、大沢先生にもまだ足りぬまだ足りぬと言われて、最後にはこういう形になったわけでございますが、もちろん理念といいますか考え方としては男女一緒だと、こういう考え方でございます。 しかし、現実に日本の文化とか社会的慣行とか古いものを引きずってきている現状はどうであるかというと、やはり家庭責任の大部分は、いわゆる仕事との両立という面で言いますと、介護とかいうようなことも含めまして女性に大きな負担がかかっていると。だから、やはり現実に目の前の問題を解決するにはそこから入っていかなくちゃいけないんじゃないかという認識で、どうしても女性、女性というところに強く力点が置かれているような表現になっているわけでございます。 基本的には男女差なくこの問題に取り組むべきだ、そして家庭責任との関係をやっぱり男女ともに分かち合うべきだという考え方に立っております。 それから、二つ目の成果主義に基づく人事制度の問題でございますけれども、私どもは違う種類の職種に携わっている人たちを比較するのはこれは非常に難しいことだと思っております。同じ年齢、同じ勤続、従来的な発想から言いますと、それがどういう仕事についていても同じ賃金というわけにはいかないと思うんですね。これはどうしてもやっぱり職務の内容によって左右される、これは否めないことだと思います。 そういう観点から、世界的には同一労働同一賃金という言葉が言われておりますが、私どもは同一価値労働といいますか、余り難しい言葉をいっぱい使うのはどうかと思いますが、厳密に言うと同じ付加価値を生む労働というのは同じ賃金をもらうべきだ、こういう考え方に立っております。そういう観点から見てどうであるかというのが公平感を判断する基礎であるというふうに考えております。 現実にパートタイマーの大方が女性であるということを考えたときに、ではコアの従業員になれないのかという問題は、ある意味では言ってみれば大きな問題としては残っていることはわかるわけでございますけれども、今後はやはりだんだんと変わってくるだろうと思うんです。女性の保護規定が基準法の方で取り払われまして、ポスト激変緩和措置とかいろいろなことが経過措置としてつくられてはおりますけれども、基本的にはそういうふうにして働く状況というのも変わってきているわけでありまして、ある意味では同じ土俵に立って競争が始まったというふうにも言えるわけです。 しかも、内部で制度化するという動きと同時に、外からそういう能力を持った人が必要なんだという、グローバリゼーションとかあるいは企業の存続とか競争力とかいうような、ある意味では客観情勢がまたそういうものを非常に強く必要としているという状況になっておりますので、これから相当速い勢いで変わっていくんじゃないかと思います。 その場合に、やはり同一価値労働同一賃金、しかもその成果の反映というものを、一挙に全部成果というわけにいかないと思うんです。また、ある程度の期間勤務するということで勤務年数というものと能力とが並行して伸びていく職種もあるわけでございますので、一概に成果というのは何ぞやということを単純な答えで答えるというわけにいかないとは思いますけれども、やはり基本的には成果を重視するという考え方を核に置いて、同一価値労働同一賃金という考え方をどうやったら具体化できるかと。そうしないと、やはり本当にいい人を採用できなくなるんですね、企業も。働く人にとっても張り合いがないし。やっぱりそこのところはこれからの各企業が取り組むべき人事制度の大きな核心だと、コア、中核的な課題であるというふうに考えております。
○清水澄子君 随分勇気を持ちました。 それで、もう一つだけ続けてお伺いしたいんですけれども、この「多様な雇用形態の推進」、これはもう現実に非常に進んでいると思いますね、派遣労働なり。しかし、それに対して、やはりここでのそれらが今後どのように女性がそういう選択肢を得ていくかというところの結論は、いわゆる「労働法制面での諸規制の緩和・撤廃」となっているんですよね、この二十五ページもそれから二十八ページも。現在の労働法制はもう物すごく皆、規制緩和になっているんです。特に女性の働き方、残業とかそれから夜勤とかもほとんど規制緩和されてきているんですね。 辛うじて、今、そこを激変緩和というので現状にもっと適した法律をということでやっているんですが、そういう点では結論は、こういうことで本当に子育てとかそういうものを両立しながら女性が社会的に経済的に自立していけるというふうにお考えでしょうか。
○参考人(矢野弘典君) 先生方の御尽力によりまして随分そういう意味では規制緩和がこれまでなされてきたというふうに思います。そのことは私どもも非常に高く評価しているわけでございますが、正直申しまして、いや、まだまだ足りないということを申し上げているつもりでございます。 例えば裁量労働制の問題。裁量労働制というのを取り入れたというのは、もう本当に革新的な変化であったというふうに思います。しかし、現実に裁量労働制を採用している企業の数が少ないのは、これは一つにはやっぱりなかなか使い勝手がよくないという問題があるんですね。例えば、労使委員会の設置、そしてそれの手続なんというのもなかなか難しくなっておりまして、それからみなし労働時間についても、例えば深夜労働の問題とか一斉休憩の問題とかいろいろ制約条件がありまして使い勝手がよくないんですね。 ですから、非常に高い理念のもとにつくられた法律でございますけれども、一遍やはり現場の意見もよくお聞きいただいて、まだこういう点を変えた方がいいということがあったらぜひ積極的にお取り上げ願えればという意味でここにいろいろと書いているわけでございます。 これは単に裁量労働制の問題じゃなくて、労働者の派遣法の関係でも、例えば高齢者のいろんな雇用の問題について、現場の方にはつけちゃいけないということでなかったかもしれませんが、製造工程業務なんかについての制約があるとか、今、高齢者の再雇用がいろいろな問題になっているときに、やはりちょっと使い勝手が悪いところが幾つか見られるんですね。そういうことについてぜひ現場の意見をお取り上げいただきたいというのがここに書いた趣旨でございます。 よろしくお願いします。
○清水澄子君 では、大沢参考人に。 今、使い勝手のいい労働力と言われると、これは企業の側から使い勝手がよい場合と、働く側が働きにくいという関係がありますね。そういう中で雇用における柔軟性が今後高まってくるわけですけれども、それをどう家族にとっても働く人にとってもメリットにしていくのかという点についての考え方を聞かせてください。
○参考人(大沢真知子君) 私も、そういう点について考えてきたわけです。そういうふうに今まで、今の現状、九〇年代の変化を見ていますと、やはり雇用の柔軟化というのが企業にとって都合がいい形では進んでいますけれども、家族にとって本当によかったのかというと、必ずしもそうではなかった、余りメリットはなかったんではないかと思います。やはり非常に厳しい時代でありましたし、そういった雇用の柔軟化によって経営者も何とかその事業を立て直していくという時代ではあったと思うんですけれども、やっぱりこれからの時代は両方ともにメリットを享受する社会が必要なんじゃないかと思います。 今ちょっと研究しているのは、仕事の満足度について正社員と非正社員の派遣、パートという三つのグループで見ているんですけれども、正規労働者も必ずしも、賃金の上では正規労働というのは報酬が高いわけですけれども、満足度は高くない。むしろパートの満足度が一番高くて、次が派遣社員で、最後が正社員ということで、特に男性の正社員の中で大きな不満が出ています。それは、評価制度とか教育、訓練についての不満度が非常に高かったんですね。 矢野参考人もおっしゃったように、今、本当にそこら辺をどう変えていくかということで企業もその変化の最中だと思いますし、そういった中でやはり時間の柔軟度に対するニーズというのは非常に高まってきているんだと、これは男性にも同じようなことが言えるんだと思います。 先ほどのシティバンクの方は男性だというふうに聞いておりましたけれども、やはり高齢化社会になっていくと、男性でも妻とともに介護に携わらなきゃならない状況というのは非常にふえてくると思いますし、そういう男性、父親の育児参加というのもこれから要請が出てくるんじゃないかと思います。 そういう中で、どうやったら今の雇用の柔軟化ということが機会の多様化につながり、かつ生活者である私たちもそのメリットを享受できる仕組みに変えていくことができるのか、それをどうすればいいのかということを多分聞かれているんだと思うんですが、方向としてはそういう方向で今考えているわけです。そういう意味では、そういったビジネスの規制緩和によって企業がより経営を行いやすい環境を整えるということが一方であるとしたら、それと同時に、私たちが働きやすい環境というのもつくっていかないとますます生きにくい社会になっていくように思います。 今考えられることというのは、例えば矢野参考人がおっしゃったように、ホワイトカラーの中にも需給の概念というのを導入できないかというようなことを連合と一緒に考えていらっしゃるということでしたし、そういう形で私たちもそれによって効率が上がり、かつ働きやすい社会というのができる必要があるというふうに思います。そのためにも、ファミリーフレンドリーな会社の政策というのがもっともっと広がるべきだし、時短も進められ、男性の働き方が変わる社会が望ましいのではないかと思っております。
○清水澄子君 ありがとうございました。
○会長(石井道子君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々におかれましては、大変長時間にわたりまして有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。ただいまお述べいただきました御発言につきましては、今後の調査の参考にさせていただきたいと存じます。本調査会を代表いたしまして心から厚く御礼を申し上げます。 ありがとうございました。(拍手) 本日はこれにて散会いたします。 午後四時散会