予算委員会 第16号
- 発言数
- 321 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2001/05/14
会議録
○野呂田委員長 これより会議を開きます。 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野呂田委員長 御異議なしと認めます。 それでは、理事に坂井隆憲君を指名いたします。 ————◇—————
○野呂田委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。 予算の実施状況に関する事項について、議長に対し、国政調査の承認を求めることとし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野呂田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————◇—————
○野呂田委員長 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。 この際、お諮りいたします。 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官田中節夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野呂田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○野呂田委員長 それでは、基本的質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。麻生太郎君。
○麻生委員 総裁選直後のことでもありましたので、テレビの前で、与党質問とはいえ、また小泉総理とやり合うのはいかがなものかと思って、差し控えさせていただきたいと思っておりましたけれども、政調会長としての義務だと筆頭に言われまして、それならばといってお引き受けをして、感じていること、お伺いしたいことを申し述べさせていただきたいと存じます。 総理は、日本を変えるという話を総裁選挙またその後の本会議等において述べておられます。どのように変えるのかというところが私どもの伺いたいところであります。 私は、二十一世紀の国家というものは、少なくとも自由で、規制が少なく、治安もよく、国家の安全保障もしっかりしていて、そして税金も安い、もちろん教育水準も高い、したがって、だれにとっても、新しく仕事を始め、事業家としてやっていくのにやりやすいという国がよい国だと考えております。 例えば、日本人以外の人が、能力もあり、才能もあり、努力もして、結果として巨万の富を得る。しかし、巨万の富を得たがゆえに、やっかまれる、嫉妬される、結果として迫害されるといった話はよくある話なんですが、そういった人たちが、その国から出ていかねばいかぬ、迫害を受けて出ていかねばならぬといった国に、どこに逃げ込むかということを考えたときに、思い浮かべる国として日本ということになるならば、私はそれはよい国の一つの象徴なんだと思っております。その例として、金持ちのユダヤ人という言葉を使って外国人特派員協会の前でやったものですから、いろいろ御批判も得たということですけれども。 私どもは、基本的には今申し上げたような背景の象徴としてその言葉を使わせていただきましたけれども、自分なりの考えの一端を申し述べてみましたけれども、まず、小泉総理の、日本を変えるというその変える国はどのような国を考えておられるのか、その点を伺わせていただきたいと存じます。
○小泉内閣総理大臣 私は、自民党総裁選挙で、候補者として麻生政調会長と討論番組に幾つか出ました。その際に、自民党を変える、日本を変えるということで、多くの国民にも訴えてきたわけであります。自民党が変われば日本も変わるんだという気持ちでやってまいりました。 私は、長年自民党に籍を置いておりまして、自民党議員として最近感じていることは、私が当選一回、二回のころは、二十数年前ですけれども、どの政党にも属していない人に一番自民党というのは好感を持たれていたのです。自民党党員でもない、自民党支持団体でもない、どの政党にも属したくない、いわゆる無党派層と言われる人に最も好感度が高かったのが自民党だったのです。 ところが、数年、違ってきましたね。自民党員でない、自民党支持団体でない、どの政党にも属していない人から一番反発を持たれる政党になっちゃった。これは何なんだろうか。 私たちが初めて当選したころ、特に、中選挙区制でした。そのときには、新人というのはほとんど、私のみならずほとんどの新人が何で当選してきたのか。現職議員にまじって、むしろ自民党の現職議員と戦って、それでも国民の支持を得て当選してきた議員がほとんどだったのです。 というときには、新人の場合は、自民党の支持団体にも、あるいは自民党党員にも余り好感を持たれません。それでもなぜ当選してきたのかとよく考えてくれ。それは、自民党の支持団体でないけれども、一般の有権者を大事にしたのです。どれほどミニ集会をやってきて新人は当選してきたか。町内会、自治会、公民館、そこに来ていただく方は、ほとんど自民党員でもない、自民党支持団体でもないけれども、この新人の気迫を買っている、この新人の抱負を見込んで、ああ、期待ができるなということでやってきて、結果的に自民党員も自民党支持団体も応援してくれて当選してきた。 それが、だんだん当選してきますと、特に現職議員のところには、自民党員とか自民党支持団体の方々が陳情とかいろいろ面会に来ます。自民党を支援してくれている、自民党の党費を払ってきてくれるという方々を大事にします。そういう方は幹部ですから、いろいろ影響力が大きい。何百票、何千票という票を動かす力もある。だから、必然、そういう方の意見をということになりますね。必然的に、現職議員、当選回数を重ねるに従って、そういう方を重視する余り、むしろ圧倒的多数の、党員でもない、支持団体でもない方に目が行かなくなってしまったのじゃないか。 そこで私は、本来の、二十数年前の自民党、一般有権者から最も好感を持たれていた、反発も少なかった、そういう政党に変えていって初めて自民党の将来はあるのではないかということを強く訴えて、そして、自民党がもっと国民多数の方に耳を傾け、目を向けていけば、日本の政治も変わるのではないかということでやってまいりました。今も、その視点には変わりありません。 そこで、今回、構造改革なくして日本の経済の再生、発展はないということで、私もこの内閣を組織して、これからもろもろの諸改革に取り組むわけでありますが、一言で言って、構造改革は何のためにあるかというと、生きがいを持って安心して暮らすことのできる社会をつくるために構造改革があるんだと思っております。 その際には、今まで通じてきた政策も、あるいはよかったと思う制度、機構も見直さなきゃならない、改革しなきゃならない。いわゆる二十一世紀に、新しい社会に対応できるような改革に立ち向かっていきたい。 その際には、今までの制度がいいと思ってきた方には反発を受けるかもしれない。しかし、そこにあえて踏み込んで改革することについて、多くの賛同を得られるような、理解と協力を求めることができるような努力を今後していって、二十一世紀の社会に、今麻生政調会長が言われたような、世界から信頼される、日本に投資してみたいな、日本に行ってみたいな、あるいは日本で仕事をしてみたいなという国にすることによって、日本が世界の中で協調しながら発展できるのではないか。 わけても、今の財政構造を見ておりますと、非常に問題が多い。 特に私は、自民党を変える、日本を変えると言ってきましたけれども、どんな時代になっても変わらない不変の真理というのはあると思います。また、変えてはならない哲理というものがある。それは、私は、自助の精神と自律の精神だと思います。みずからを助ける精神とみずからを律する精神、これはどの社会でも、どの時代でも、どの人でも変わらない不変の鉄則、哲理だと私は思っています。 みずからを助けることができる人まで助けてくれということを求めるようになると、本当にみずから助けることだけではできない人までが助けられなくなっちゃう。みずからどんな努力をしても助けられない人がいるわけです、やはりそういう人たちを助け合うことのできる社会が弱くなってしまいますので、この自助の精神、自律の精神というものを改めて思い起こして、本当に力強い、生きがいを持って、お互いが助け合いながら、支え合いながらできる社会をつくりたい。 そういうことでいいますと、今の財政構造、政治の面が一番みずからを助ける精神とみずからを律する精神が足りないんじゃないか。政治の目標をお金であらわしたのが予算であります。となると、いつの間にか、もう余り借金はしちゃいけませんよ、借金は後の世代の増税ですよというのを忘れてしまって、借金した方が今よくなるんだという積み重ねで今日まで大きな財政赤字を抱えてきてしまった。そこにやはり財政の面でも律する精神、みずからを律する精神もなくなってきたんじゃないかということを憂えて、この財政規律等をも変えていくのも構造改革の大事な視点ではないか。 まず政治の面から、みずからを助ける精神、みずからを律する精神を取り戻して、本当に生きがいを持って、希望を持って暮らすことができる社会をつくりたい、それが構造改革の主眼であるということを御理解いただきたいと思います。
○麻生委員 自由民主党に対する支持率が減ったら、通常は他党の支持率が上がるはずなんですが、他党の支持率も上がらぬ。ただただどこも支持しないという比率はどんどんふえていく。無党派というのは巨大なものになってきたという、その巨大なものに目を向けていないという点につきましては私も同じような意見で、いわゆる陳情政治の弊害がここに出てきていると言われているのは、私どももそう感じておるところであります。そういった意味では、政調としては、私どもとしては、この点については今国民の政治意識調査を大々的にやらねばならぬときに来ていると思っております。 また、自律自助の精神につきましては、これはイギリスのマーガレット・サッチャーという人が野党の党首をしているときに、強者をつぶしてだれが弱者を救うのかという名せりふを吐いたのは御記憶のとおりですが、もう一つ、ここに詩があります。これは第二次世界大戦が始まったときに、クリスマスにアメリカの前線で戦っている全将兵に贈られたクリスマスカードです。 「神よ、変えることのできないものは、それを受け入れるだけの心の落ちつきを与えたまえ。変えることのできるものについては、それを変えるだけの勇気を与えたまえ。そして、願わくば、変えることのできるものとできないものとを見分ける知恵を授けたまえ。」これは、プロテスタントの宣教師エジンガーが一九三四年、マサチューセッツで述べた布教のときの言葉の一節を時のアメリカ政府が使って、いわゆる前線の将兵に贈ったクリスマスカードです。 私どもは今、明治、戦後、そして現在、三回目の開国を世界から期待されておると言われて久しいんですが、その総理が最初にセーフガードを発令しなきゃならなかったということはまことに皮肉でもありまして、いわゆる開国に反対する方向にサインをするのが最初のお仕事になられたことは、まことに御同情を申し上げにゃいかぬところになっているんだと思っております。 そこで、グローバル化とか国際化がさらに進行すると、日本という国は国家としてどのような形になっていくのかということを伺ってみたいんです。そして、それをだれにさせようとしておられるのかということであります。 御存じのように、明治という時代は、徳川という二百七十年間続いた制度を倒すところから始まったんですが、その倒す計画の思想、倒幕という思想の中心をなしたのは、過日引かれました小林虎三郎、いわゆる佐久間象山の弟子で二トラと言われた一人が吉田寅次郎、後の吉田松陰、もう一人が米百俵で最近脚光を浴びておられます小林虎三郎、この二人が二トラと言われた人なんです。 この安政年間に、時の大老井伊掃部頭直弼を桜田門外で梶山静六先生の御先祖たちが斬殺をされまして、これで大きな流れができました。その当時まで、幕府という言葉は江戸時代に使われておりません。幕府という言葉が使われたのはそれ以後でありまして、それまでは公儀か大公儀という言葉が使われておったはずで、幕府というのは鎌倉以来倒れる対象でありましたから、幕府という言葉が使われたのはいわゆるこの事件以後の話であります。非常に大きな転換点だったと思います。 日本の場合も、今大きな転換点になっているのは、一体何から転換点だったかといえば、一般的には、御異論もあろうかと思いますが、テリー伊藤という人の書いた「お笑い大蔵省」というあの本が、多分歴史的な転換点をつくった本として後世歴史家に評価されると思いますが、「お笑い大蔵省」というあの本でありまして、その中で、ノーパンしゃぶしゃぶという言葉が出てきたのはあれからです。 これが、大蔵省という話が、一挙にその権威みたいなものががらがらと崩れ落ちたのと同じように、日本という国も、今回の総裁選挙で、新聞の予想は、スタートする前の予想とは大幅に外れて、勝てないであろうと思った小泉総裁候補が圧倒的支持を得られて総裁になられたのも、これは政治の転換点として、後世、日本という国はやっとという意味を多分何年かすると言われるだろうと思うんです。 私は、この変わったというところまで、倒幕までのところはそれでいいのですが、では、倒幕した後の明治という国家はだれがつくったか、明治という国家の思想はだれが考えたのかといえば、これは残念ながら佐久間象山でもなければ小林虎三郎でもありません。 これは、多分五カ条の御誓文というようなものは学校で習われたと思いますので皆さん御存じかと思いますが、上下心を一つにして盛んに経綸を行うべしとか、官武いちず庶民に至るまでおのおのその志を遂げ、もって人心をしてうまざらしめんことを要すとか、いろいろな言葉があの中でありました。古き陋習を廃し天下の公道に基づかんとか、いろいろ今でも通じる言葉が全部その中に入っております。これを書いたのは由利公正という人なんですが、こういった人たちが明治という国家の思想をつくって、これは国家のいわゆる基本戦略みたいなものだったと思います。 よく富国強兵、殖産興業という言葉が言われますが、これは当時の明治という国を取り巻く国の状況として、列強によるアジアの植民地化というのが進んでおった中で、対抗するためには強兵、そのためには富国、そのためには殖産興業、これは一種の対応策みたいなものであって、国家の基本戦略であったかとはなかなか言いがたいところだと思っておるんです。 その辺を、今申し上げた思想を結果的に実行していったのが多分伊藤博文以下の政治家、政友会、民政党等々のところだと思いますけれども、伊藤博文が吉田松陰の門下生だったとはいえ、この人が思想家だったわけではないのであって、この人は政治家だったのだと思うんです。 戦後も同じであります。これはマッカーサーという人が書いたあの草案が多分原案だと思うんですが、それを昭和天皇が決断をされ、そして鳩山、吉田以降の自由党、自由民主党の政治家がそれを実行していったのであって、いわゆる政治家というものは思想家ではなくて、決断と実行をしていったのが政治家ということだと思います。 そういった意味では、今回第三の開国と言われておりますけれども、ここの部分を、いわゆる思想の部分を、これは政治家に期待されても政治家の頭というのはそんなに思想的に明細にできておりません、もっと雑駁な頭からできておるのが我々政治家の通常ですから、例外もいろいろあるでしょうけれども。そういった意味では、総理としては戦略本部等々いろいろ考えておられるように伺っておりますけれども、この思想の部分というのが一番大事な、今回我々にはなかなか手に負えないところなんですが、こういった思想の部分というのは一体だれにやらせようと考えておられるのか、どういうぐあいにやらせようとしておられるのかというのが私どもの二つ目に伺いたいところです。
○小泉内閣総理大臣 政治家というのは確かに実行しなきゃならない。そこで、思想家としてはもう政治家以上に優秀な方々がたくさんいるわけであります。一国の総理大臣としては、みずからの力は限界がある、極めて限られたものである、そういう中で、できるだけ優秀な人の知恵をかりながら、いい政策を実行に移していくことが大事だと思っております。決して独断専行に陥らないように、いつも総理としてはみずからを戒めていかなきゃならない。万機公論に決すべしという言葉がありますが、多くの知恵のある方々の意見、提言を参考にしながら、政策をまとめていくことが大事だと思っております。 そこで、今回、小泉内閣におきましては、全閣僚のそれぞれの意見を大事にすることはもちろんでございますが、新しい省庁再編に伴いまして、内閣府も強化されました。さらに、経済財政諮問会議という知恵袋的な存在の機関もできました。経済担当大臣には、優秀な学者であります竹中さんが担当されております。そういう学界のいい意見、経済界のそれぞれの現場で実績を重ねられ、経験豊富な方々の意見、民間の意見を聞いて、これからの時代の変化に即した政策をどう実行していくか。これをできるだけ早急に練り上げまして、できれば六月を目途に大まかな基本方針を作成して、これを全内閣打って一丸となって与党の皆さんと協力しながら、短期的にできること、中長期的にできること、それぞれ見きわめながら、少しずつ実績を積むような体制をとっていきたい、そう思っております。
○麻生委員 総理は、自民党が変われば政治は変わる、政治が変われば日本が変わると言われ、総裁選挙の期間中そう言われ、党員、これは多くの国民の意見も代表していると思いますが、小泉候補に圧倒的支持を与えております。また、内閣の組閣が終わった後の昨今の世論調査でも八〇%を超す高い支持率を与えられておられることはまことに喜ばしいことなのであって、これは自民党の党員としても心より慶賀の至りと思っておるところです。 問題は、今改革をされるということになった、どういう結果になると思っておられるのか。この改革した結果がどういうことになっておられるのかというところが一番問題なんだと思っております。 江戸三大改革というものがあります。中学校の歴史で出てくるところでありますが、寛政の改革、享保の改革、天保の改革、江戸三大改革と学校で習うときには非常にいい改革だったと言われておりますが、改革には改良と改悪と二つありますので、その結果が改良になるか改悪になるかはやってみなきゃわからぬという、これは結果次第で改悪になるのです。 五代将軍綱吉公のときのいわゆる元禄時代と言われたときに世の中は腐敗したということで、我々は学校の歴史でそういったことで習います。しかし、どう考えても、江戸二百七十年間、あの元禄時代が最も、今あの二百七十年間のどこかに住まなきゃいかぬということになったら、あの時代が一番おもしろかったんじゃないのかなと考えるのは、普通の人だったら皆そう考えるのじゃないかと思うのです。 八代将軍吉宗公という人が紀州から出てくる。和歌山県から出てきている。享保の改革をやるということになって、これは非常に立派な改革だったと多く書かれておりますし、いろいろな方々の評価が出て、暴れん坊将軍がいろいろ出てきます。 この八代将軍吉宗公、この享保の改革というものを別の角度から、経済学的にこれを分析した本がありますが、そういった歴史書では、江戸の町につち音一つせず等々書かれて、江戸二百七十年間で農民一揆が起きたのもこの時代であります。一番多かったと言われております。そういった意味では、この時代にあって、徳川の人が書けば、あれはいい改革だったと書くのですけれども、果たしてそうだったかという点は、正確に学んでみなきゃいかぬところだと思っております。 この人がいわゆる超緊縮財政をやった結果、経済が著しく疲弊したことは経済学的にははっきりしております。この吉宗公という人は、紀州の田舎から出てきたと言えば和歌山県の人にしかられるかもしれませんが、紀州から出てこられた方々にとっては、当時の江戸時代の中にあって、少なくとも、この時代のいわゆる生活水準の向上と腐敗というものの区別がついていなかったんじゃないかというような批判も言えないことはないわけであって、確かに幕府には千両箱がえらくたまったそうですけれども、その金が流通してこそ経済というものは初めて活性化するものなのであります。 一千四百兆円を超します個人金融財産というものが今、流通せず、金融機関に眠っている状況、じっとしている状況というのと似たような状況だということは言えないわけでもないのであって、そういった意味ではどういう結果になると想像しておられるか、私どもとしてはその点が一番関心のあるところでありまして、これは総理でも竹中先生でもどちらでも結構です、お答えをいただければ。よろしくお願い申し上げます。
○竹中国務大臣 麻生先生の御質問に、紀州和歌山出身の私の方からお答えをさせていただきます。 恐らく日本の経済というのは、今先生御指摘なさったように、今非常に大きな潜在力を持っている。その潜在力を象徴するものは、実は千三百兆に象徴される我々の貯蓄資源であるわけです。それをどのように活用するかによって、私たちはそんなに生活水準を下げないで、実は今非常に大きな改革ができるチャンス、しかし、これはある意味で最後のチャンスかもしれないというふうに思っております。 その千三百兆円の資源をどのように活用していくかということに関しては、これはもう実は私の前任者は麻生先生でいらっしゃいまして、そのもとで取りまとめられた緊急経済対策の中に、資産市場活用のための大変重要な施策が既に織り込まれているわけであります。それが大変重要な入り口になると私は考えております。 小泉内閣が目指す構造改革があって初めて景気回復があるのだということの、その一つのつなぎの政策として、緊急経済対策の中に織り込まれたそのような資産活用の政策というのは大変重要なポイントになっているというふうに思いますので、これをまず入り口として、速やかに先生と協力しながら実現していって、さらに日本の経済が持っている活力を最大限発揮できるような社会をつくる、さらに、その私たちが持っている活力の、潜在的な力そのものを高めていけるような社会にしていく、それが先ほど総理がおっしゃった、まさに自助自律の社会の一つの姿でもあろうかと思っておりますので、そのような資産活用の政策を一つの改革の重要な入り口にしたいというふうに考えております。
○麻生委員 今日、国民の最大関心事は経済になっておるというのは世論調査を見ても明らかであります。そこで、経済問題に論点を移させていただきたいと思います。 昨今よくマスコミで取り上げられております、景気優先派、これも定義がかなりアバウトでいいかげんなんですが、構造改革派と二つに簡単に分けてあるような感じなんですが、この違いは何かといえば、これはマクロ重視かミクロ重視かということと同じなんだと思います。 私は基本的に、総裁選の最中も、竹中大臣の前をやらせていただいたときにも、マクロの点をかなり重視して、個人も企業もバランスシートの上では過剰債務になっておると感じているため、個人所得とか企業でいえば利益がふえても、いわゆる消費や、会社でいえば設備投資または賃金の上昇につながらない、得た利益や所得はほとんど借金の返済に回すという状況で、みんなが借金返済という極めてまともなことをやっておられますので、金を借りて物を買ったり設備投資をしたりする人がいなくなっておる、そこのところが減ってきておるという状況であります。これは、個人でやることはいいことなんですが、みんながまともなことをやるとこれはなかなかいいことにならないという、経済用語で言う合成の誤謬という問題が起きているんだという点を私ども指摘し続けてきたのですが、結果、総需要というものが大幅に落ち込むということになっております。 実際、法人の資金需要というものは、十年前に比べましたら、かつては五十兆円の借入金、今では二十兆円の返済超になっておりますので、その差約七十兆、GDP比で約一四%ぐらいの総需要が落ち込むという形になっておりますので、そういった意味では、この問題は、極めてここの点が大事なんだ、総需要が落ち込んでいるのが問題なんだという点が私たちの申し上げたところです。 傍ら、ミクロ重視派という方たちは、これは企業の生産性を上げるということが最も大事なんだという御意見でありまして、かつて世界一だった日本の国際競争力が今は十四番とか十六番におっこちておるというのは御存じのとおりなので、したがって、国際競争力の回復なしには景気回復はあり得ないという御意見なので、これはいかにも二つが対立しているかのようによく書かれるところなのであります。 マクロは、簡単に言えば、需要不足のときに供給力を幾ら強化したってこれは意味がないというのと、ミクロは、供給側の競争力の強化こそが景気回復のかぎだということで、二つを短絡して申し上げればそういうことになるんだと思います。 こういったようなミクロ重視、マクロ重視といろいろな意見があると思いますが、竹中大臣としては、こういったものは相反するもので全く両立しないとお考えなのか、やり方によっては両立するとお考えなのか、その点を伺ってみたいと思います。
○竹中国務大臣 大変重要な御指摘だと思いますので、考えていることを申し述べたいと思います。 まさしく今麻生先生御指摘になったように、よく景気か構造改革かという議論、私も学者として幾つかのそういう議論に巻き込まれてまいりました。 大臣就任の記者会見のとき、私は、実は私自身は景気という言葉は余り好きではないという話をさせていただきました。景気という言葉は、これは実はもともとは空気の景色というところから来ているそうで、もともと雰囲気。雰囲気がいいか悪いかという議論をしても余りよくないので、経済がいいか悪いかをしっかり議論したいという趣旨のことを、これはちょっと学者的ではありますけれども、申し上げた記憶があります。 実は、気がついてみると、景気か構造改革かというような場合の景気というのは幾つもの異なった意味で使われておりますが、特に、場合によっては非常に異なる二つの意味で使われているように私は思います。 一つのケースは、景気が悪い、景気云々というような、まさにおっしゃったように、短期の総需要のことを言っている。総需要が伸びないと景気が、いわゆる経済が伸びないわけで、それはそれで、まさしく短期の私たちの生活水準、GDPというのはこの総需要で決まるわけですから、総需要が重要であるということは間違いありません。 ただし、一方で、景気をよくしたい、景気がよくなってほしいというときには、実は私たちは、まさしく持続的な経済発展を実現してほしい、長期の持続的な経済発展という意味でも使っているわけです。構造改革なくして景気の回復がないという小泉総理の言葉は、まさに構造改革をしない限り経済の持続的な発展はあり得ないんだということを言っておられるわけで、これはもう全く否定のしようがない、そのとおりのことなんだと思います。 短期の、目の前の需要は、雇用等々の関連で極めて重要であるということも一方では否定できません。しかし、短期の需要を上げるためにも、実は今私は、企業も消費者もある意味で大変合理的、ラショナルというか、賢くなっているんだと思います。 我々が最近よく使う言葉で、将来最適こそが現代最適である、将来に一番いいことが結局は今も一番いいことなんだと。それほど消費者や企業は先を見越して非常に賢く行動しているんだということを意味しているわけで、幾ら目の前の、短期の需要を無理やりふやそうとしても、それが将来の持続的な経済発展につながらないというふうに考えるならば、結局その努力もむだに終わってしまうのだと。実はそういうことを我々、この何年かの間に、日本の経済は深刻に経験してきたのではないかと思います。 繰り返して言いますが、短期の総需要は極めて重要で、そのことを軽視する意向は全くありません。現実問題として、国債発行を三十兆に当面抑えるというふうに言っていますけれども、三十兆円の刺激策を行っているわけですから、これはかなりの需要刺激策を続けるということも意味しているわけで、その意味では、実は、景気という言葉を今申し上げたように解釈していただくならば、少なくとも経済の持続的な発展というふうに考えるならば、まさしく構造改革と景気というのは一つのウサギである、一匹のウサギであるというふうに申し上げてよろしいのではないかと思います。
○麻生委員 今の話のように説明できる人は、やはりなかなか代議士の頭の中にはおりませんので、やはり雑駁な頭じゃないところがいいところだなと思って、よく聞いていただいた方も多いと思いますので、大変感謝を申し上げます。 私は、なぜこのミクロ経済とマクロ経済の話をするかというと、皆さんがよくアメリカの例を引かれますので、僕は、このアメリカの例を引かれる方というのは、何となく、日本と全然違うものを持ってきて、これと比較してという話に無理があると思っておりますので今の話をさせていただいたんですが、アメリカの場合もイギリスの場合も、一九八〇年代の本当に落ち目になっていったあのときに使いましたあの状況というのは、日本と全然状況が違うんですね、あちらの場合は。 あちらの場合は、いわゆるサプライサイド、供給者側重視のいわゆるミクロ経済重視というのをやった最たる例なんで、マーガレット・サッチャーにしてもロナルド・レーガンにしても同じだったんですが、しかし状況は、この国は両方とも、あのときは貿易収支は赤ですよ、そして国際競争力は日本にやられてもうがた落ち、もう自動車なんか完全にやられているという時代であります。 通貨の価値もじゃんじゃん下落して、一九九四年四月十九日には、実に、驚くなかれ、瞬間風速とはいえ一ドル七十九円九十五銭まで、終わり値八十円で終わったと思いますが、三百六十円のときから計算したら実に四・五分の一にまでおっこったわけですから、それはもうえらい騒ぎだったと思いますが、それまで落ちた。そして、インフレはどんどん加速しておったという、いわゆるスタグフレーションと言われる言葉が言われましたけれども、それの最中だったのがアメリカであり、イギリスも同様なものです。 かつて一ドル千三円だったポンドは今百何十円、百何円までおっこっていると思いますが、つまり、国内に需要があったにもかかわらず企業の競争力がないから、どんどんどんどんこういう状態になったと思う。 他方に、今の日本という国を見ていただくと、今でも世界最大の貿易黒字国です。随分減ったとはいえ世界最大の貿易黒字国。円は、少なくともこの二十年間で見ていただくと、これは最も強い通貨の一つに挙げられる。通貨も日本であって、これはドルとはもう全然状況が違っております。もちろん、そういった意味では、スタグフレーションによるインフレどころか、今デフレということで、消費者物価は前年度比で二年続けてマイナスというような状況にもなっておる。 全く状況が違うというぐあいなところが大前提でして、僕は、問題点が何かといえば、これはどう考えても国際競争力のない企業もしくは産業が少なくともまだ日本の国内には多い。その多いことによって、結果として日本の国内における経済状況が極めて高コスト構造になっておる、高いコストになっておるということです。いわゆる合理化されていないとか生産性が低いとか、いろいろな状況がありますが、高コスト構造になっている。 したがって、日本で国際競争力を持っている企業も、その高コスト構造に耐えられないから海外に出ていくという形になるというところが一番の問題なんで、国外に活路を見出しているということなんですが、この高コスト構造の是正ということこそが真の構造改革になる。ここが一番問題なんだと思っております。 だから、高コスト構造の是正というために手口はいろいろあるんだと思いますが、この高コスト構造の是正が一番の構造改革になるというぐあいに考えているんですが、その点に関しては、竹中大臣はどのようにお考えでしょうか。
○竹中国務大臣 前半で、アメリカのサプライサイド政策と日本の比較、それとの関連で後半では日本の高コスト構造の御指摘がありました。私自身の問題認識は、今まさに麻生先生が御指摘くださったとおりだというふうに考えております。 アメリカで、実はサプライサイド、供給サイドが非常に弱っているというときに、しかし考えてみると、日本も同じ問題ですね。企業のバランスシートが傷んでいて、一方で国際競争力を著しく欠いている産業群が残念だけれどもたくさん日本の中にはある。その意味では、日本には、まさしくサプライサイドの競争力の問題が今存在しているわけです。 これは、大変著名になったマイケル・ポーター氏と竹内弘高氏の日本の産業競争力に関する非常にすぐれた文献、研究結果を見ても、日本は、別にバブルが崩壊したからこんなふうになったのではなくて、一九八〇年代から既にそういう兆候は明確にあらわれていた。数字は正確ではないかもしれませんけれども、日本にある千六百ぐらいの輸出産業のうち、八〇年代を通して、世界の中での生産シェアを高めたのはその一割ぐらいしかない、そういう状況に実は体質的に陥っていたのだと思います。その意味で、サプライサイドの強化をしなきゃいけないという点は、バランスシートが傷んでいるという点も含めて、まさしく日本の課題になっている。 ただし、私は、アメリカと比べた場合、日本ははるかに恵まれた立場にあるというふうに考えています。 それは、アメリカの場合は、経済の供給力を構成する資本とか労働とかが圧倒的に量的に不足していたわけですね。資本の源は貯蓄ですから、貯蓄を高めないと供給力は高まらないんだ。御承知のように、アメリカの貯蓄率は非常に低かったし、実はそれは今も低いままであります。さらに、当時のアメリカの人たちは働くインセンティブを失っていて、労働時間がふえない、だから労働の供給量をふやさなきゃいけないという、供給サイドから見た資本や労働や、さらには技術の圧倒的な量の不足に悩んでいた。 ところが、今先生が御指摘してくださったように、日本の場合は、労働も資本も量的には不足していないわけです。先ほども御指摘があったように貯蓄は世界一の貯蓄国にあって、では何が問題なのかというと、量が不足しているわけではなくて、それが質的に劣化しつつあるということとそれが効率的に配分されていない、まさにそこに尽きるわけです。 したがって、資本には幾つものものがあります。例えば公的な資本、これを行うのは公共投資ですから、それをもっと効率的にしようではないか。民間の資本についても、収益を上げられないまま塩漬けになっている不良債権については、これをもっと効率的な部分に移そうではないか。それがまさしく構造改革になるわけでありますけれども、その意味では、アメリカのように量が不足しているわけではない、質なんだ、配分なんだ、あと一歩なんだというところが、私は、むしろ日本は大変恵まれた立場にあるというふうに考えるべきだと思うわけです。 その点で、実は、二番目の価格構造の問題になるわけでありますけれども、これは実はかなり以前に経済企画庁を中心に行われた調査でありますので、ちょっと古い調査でありますけれども、生産性、まさに効率性でありますけれども、それを産業別に見て、それの絶対水準を比較した調査が引用されています。 生産性の絶対的な水準の比較というのは技術的には大変難しいわけでありますけれども、あえて幾つかの前提を行ってみると、ちょっとびっくりすることがある。それは、日本の産業とアメリカの産業、それぞれ、自動車なら自動車、電気機械なら電気機械というふうに比べてみると、日本の方がアメリカの水準を上回っている部分というのは、何と、日本の経済全体の二割しかありません。あと八割は日本はアメリカより生産性が低い。 これは、一部の保護された産業とかそういうところが生産性が低いというのは、日本は歴然としています。当時は新宿西口型産業構造という言葉を私、使ったのですけれども、新宿の西口に出ると、一部に高い物すごいビルがあるんだけれども、二階建て、三階建ての飲み屋がべたっとへばりついているという、そういう形になっている。 そこに何が起こっているかというと、結局のところ、しかし国内の労働市場は一つでありますから、いわゆる賃金は生産性の高いところも低いところもそんなに変わらないところで国民に開かれていて、その意味では平等社会なわけですけれども、生産性が国際的に見て低いところで高い電気機械や自動車と同じような高い給与水準を払ったらどうなるかというと、簡単です、ここの生産性の低い部門の価格は高くならざるを得ない。 だから、自動車や電気機械のような生産性の高い部門では内外価格差はないのです。生産性の低い部分でこそ内外価格差が出てきているわけで、内外価格差という言葉は、結局のところは、内外価格差というけれども、生産性の国内における内内格差の反映である。 結局、自動車や電気機械が典型的ですけれども、なぜここは生産性が高くなったのか。頑張って競争してきたからです。競争してきたから生産性が高くなっている。競争から隔離されたところは生産性が高くなっていない。 自助自律の精神からいうと、頑張ればできるところはたくさんあるわけで、そこにもう少し頑張るように、日本人全体が頑張ろうではないかというのが今の構造改革の趣旨なのであろうかというふうに私は考えております。
○麻生委員 同じような考え方を持っている人に質問をするというのは非常にばかばかしく聞こえるので、聞かれている方もあんたはわかっとるやろうがと言われたいところなんでしょうけれども、聞いておられる方は、ここだけの方が、全部わかっているという顔の方ばかりでもありません、そうじゃない方もいらっしゃいますけれども、テレビを通して聞いておられる方にもぜひと思っております。 もう一回重ねて伺いますが、そこで、生産性の低いところから生産性の高いところに明らかに労働人口が移動していくことになります。(発言する者あり)そういうところが問題にしている民主党の方と意見が違って大変ありがたいのですが、私どもは、基本的に変わっていかざるを得なくなる、もしくは、生産性をさらに高める。今の労働人口そのままで生産性が高まるというのなら、それでも結構。いずれにしてもそれは企業努力であり、もしくはそういうことによる。 かつて石炭産業というところに身を長いこと置いておりました。石炭産業というものはきれいになくなりました。私どもとしては、昭和三十五、六年から始まったエネルギー革命で昭和四十四年には大手の炭鉱はすべてなくなりましたので、そういった意味では非常に大きな縮小均衡を余儀なくされた業界に身を置いていたので、つらさがよくわかるところなんです。 その段階において、今回においても同じように、これは労働人口の移動を伴うことになるのですが、この労働人口がスムーズに生産性の低いところから高いところに、もしくは、企業間同士でも、また産業間の移動も含めて、いろいろなことが起きると言われているのですが、アメリカ等々は十年間で約一千万人の労働人口の移動に成功しております。日本の場合、人口が約半分ですから、約五百万。その五百万の人口を移動させていくことになると思います。 そういった中において、今、経済財政諮問会議でこの種のことを経済産業省やら一緒にやっておられると思いますが、この労働人口移動につきましては、五百万人から六百万人の転職ということになるので、ここは痛みを伴うところだと思っております。そういった意味で、これは机上で予測するというだけではなくて実際にやっていかなければいかぬことになりますので、過日出されましたあの数字の上から、この点についてはどのようにやっていこうとしておられるのか。その辺、対策がいろいろおありだと思いますので、その点について伺っておきたいと思います。
○竹中国務大臣 労働の移動の問題についての御質問がありました。 実は、経済政策というのは基本的には国民の安定した生活を実現するためにあるわけですから、その意味で、私たちは、マクロ経済学というのを勉強するときに、最大の政策課題は雇用の問題であるというふうにずっと教えられてきたし、事実、私はそのとおりなんだと思います。 ちょっと考えていただきたいのですが、今まで日本は、例えば高度成長期に非常に高い生産性の上昇を実現しました。一般的に考えられる方法というのは、きっと生産性の低い部門から生産性の高い部門に大量に労働人口の移動があったのではないだろうか。実は、そういうことに目をつけて研究したアメリカの学者がいます。アメリカ、日本、ヨーロッパの幾つかの国を比べて、多分、経済成長率の高い国ほど労働力人口の移動が大きかったに違いないというふうに考えて、リサーチを行ったら、結果はそうでもなかった。これはもう麻生先生よく御存じのように、日本の中では、部門間の労働人口の移動というのはそんなに実現しないで経済全体の生産性を著しく高めたということなんです。 これは何を意味するかというと、決していわゆる花形産業と言われる機械とかそういうところだけではなくて、非常に一見地味に見える産業でもみんな努力して努力してその分野でみんな生産性を上げてきたというのが、高度成長期以来の日本の一つの成長パターンだったわけです。 その意味では、労働力が生産性の低い部門から高い部門に移るということもあり得ると思いますけれども、今のそれぞれの既存の産業が頑張って生産性を高めてさらにマーケットを広げていくというようなことも、日本の中ではかなり出てくるのではないかというふうに私は考えます。それだけ高い日本の、私たちの経営資源が持っている世界の中での優秀さというのは、私は誇るべきだというふうに思うのです。 総理の所信表明の中にもありましたように、これだけ狭い国土で、わずかな資源しかない国で、一億二千七百万人の人間がこんな短期間でここまで高い世界一の消費水準を実現した例などというのは世界史の中にはないわけです。これはもう私たちの誇りであって、そういうことがもう一度私たちにはできるはずだというのが経済改革を考える前の基本的視点であろうかというふうに私は思います。 麻生先生直接お尋ねの、雇用創出の五百三十万の数字というのを御引用いただきました。 よく、雇用の受け皿はどこかという議論がたくさん出てくるわけですけれども、雇用の受け皿を国家が用意するというのは、これは資本主義社会ではちょっと考えられないし、そういう問題ではないわけであります。 しかし、あの数字は、こういうところに潜在的な雇用の需要があるはずだ、国民は決して、高い消費水準をやっているけれども、今の消費生活に満足しているわけではないわけで、何か足りないと思っている。その足りないところは、意外と身近な私たちの生活の直結産業の中にあって、そういうところを個別に積み上げていくと、うまくやればこのぐらいの需要は簡単に出てくるのではないだろうかというのが、あの経済財政諮問会議の委員会で出した一つの数字になっているわけです。 では、そのためにはどうしたらいいか。私は、基本的にはそれぞれの、あの中にはいろいろな生活産業がありますけれども、その産業で頑張ってもらうということが基本だと思います。今のシステムのままで新しいサービスを生み出して、新しい労働需要を生み出せる分野というのは意外とあると私は思います。 しかし同時に、幾つかの分野については、やはり政府が積極的に規制緩和をしていかなければいけない分野もあるわけで、まさにその組み合わせだと思いますので、あの中に示された数字に基づいて、ないし示された提言をさらに吟味して、具体的にどのような施策が政府として考えられるかということをぜひ詰めて議論してまいりたいというふうに思っております。
○麻生委員 今の御指摘は正しいと、これも同じような話でちょっとあれなんですけれども……。同じ人に質問するというのは本当に難しい。 今の御意見の中で、例を引いた方がわかりやすいと思うのですが、基本的には、今日本で規制というものが非常に強い、法律がある、保護している、例えば、具体的な例でいえば、かつて大蔵省が大事にしていた銀行法、銀行業法によって守られた証券、保険、銀行、こういったものとか、また石油業法に守られていた等々いろいろなものがある産業と、全く規制が、いわゆるその業界のためだけの法律がない業界、例えば、最近で、若いものでいえばアニメーションとか、それから金型、モールズですね、凸と凹とでぴしゃっと。金型というものは中小零細企業のきわみ、昔キューポラの町と言われ、三K産業のきわみと言われた埼玉県川口等々がよく例に引かれましたけれども、ああいうようなものはこれまた全く業界法がない。けれども、国際競争力は世界一。 多分、今時計の針は日本以外でつくれないと思いますけれども、こういった精密というものは絶対的なものがある。アニメーションも今競争力世界一というのと、傍らの、今業界法で守られている業界と比べたときには、片っ方は国際競争力が圧倒的にある、片っ方はない。片っ方に、国際競争力がある方には法律がない、いわゆる規制がない。片っ方の、守られている方は、規制がある方が国際競争力がない。これは現実としてそういうことになります。 例外もありますよ。例外もありますが、基本的にはそうなっておるという現実を見たときには、これは、今後さらに国際競争力を高めるというミクロ経済の重視の立場に立てば、この経済、いわゆる規制を外すことによって新規参入の自由を認める、そういったようなことがさらに、もちろん民民規制も含めてですよ、官の規制じゃなくて民民規制も含めて、そういったようなものが、これはいろいろあるんだと思いますが、そういったものはさらに外していかれる方向でやっていかないと、これは短期的なものじゃなくて、中期的、長期的にはこっちでいかないと、これは先ほど言われたように、国際競争力の点で、同じ業界の中で勝ち残っていったところ、生産性が低かったんだけれども、いっぱいいたけれども、しかし、自分らは淘汰された中できっちりその中で残っていった、同じ衰退産業と言われたものの中でも残った企業というのはあるわけで、そういった方向に関しては規制を緩和される、外していかれるという方向で考えておられると理解してよろしゅうございますね。
○竹中国務大臣 私は、今のグローバル社会というのは大変厳しい競争社会であろうかというふうに思っています。私たち日本人がその中で今の世界一の生活水準を維持してさらに高めていこうと思ったら、やはり、これはよしあしの問題ではなくて、私たち自身にそれなりの力をつけていかなければいけない。今六十億の人たちが日本のようになりたいと思って日本人を追いかけてくるわけですから、私たちがこの生活水準を維持してさらに高めようと思ったら、私たちはある意味で、きのうからきょうにかけてもっと強く賢くなっていなきゃいけない、きょうからあしたにかけてもっと強く賢くなっていなければいけない、これが実はグローバルな競争社会の現実であろうかと思います。 実は、経済学者がこういうことを言うと、必ず市場原理主義とかというレッテルを張られるんですけれども、市場原理主義なんかあり得ないわけですね。経済学者というのは、市場のメカニズムがいかに重要か、自由に競争することがいかに重要かということと同時に、いかなる場合にその市場が失敗して政策の介入が重要かということを一貫して議論してきたわけで、やはりそのバランスを保つということが大変重要だと思います。 ただ、総じて言えることは、私は、この十年間に、競争、市場メカニズムの重要性というのは画期的に高まったというふうに認識しています。それは、いわゆる市場メカニズム、完全競争とか競争メカニズムという言葉がありますけれども、これはぜひ経済学の入門の教科書をもう一度見ていただきたいのですが、先生方はもうちゃんと御存じだと思うのですが、申し上げたいことは、競争メカニズム、完全競争が働くためには必ず三つの条件が必要だと書いてあるのです。 三つの条件とは何かというと、まず、参入と撤退が自由である。だれでも入ってこれる。二番目が、売り手と買い手が多数いるということです。売り手と買い手が多数いて、初めていろいろなことが始まる。第三番目に、情報が完全に行き渡っている。つまり、どこが安く、どこが高い、どこがいい、悪いということを消費者が全部知っている。 これはすごい単純なんですけれども、例えば一九七〇年代、八〇年代にこういう条件はなかったんです。例えば、売り手、買い手というのはそんなにたくさんいたわけではない。要するに、グローバリゼーションによって売り手と買い手がたくさんふえて、それで参入と撤退が自由になって、IT革命によって情報が完全に行き渡った。私は、そういう歴史的な認識というか世界の経済のシーンが、九〇年代以降、グローバリゼーションとIT革命によってやはり大きく変わったんだという認識が必要なんだというふうに考えております。 その意味でいいますと、もちろん政府の役割、市場の役割のバランスをとることは重要だけれども、方向としては、この競争のメカニズムを活用することが今の時点では大変重要になりつつあるという、一種の、ちょっとオーバーでありますけれども、歴史的な時代認識を持つことが必要だというふうに考えております。
○麻生委員 立派な答弁でありがとうございました。 そこで、この今回の予算委員会に当たって、経済のところに関してぜひもう一つ確認をしておきたいことが一個あります。教科書問題です。 これは、去る四月、平成十四年度から使用されますいわゆる小中学校の教科書の検定結果というのが発表されておりますが、その中で、中学校の歴史教科書につきましてのいろいろな話が出たのはもう皆さん方御存じのとおりです。これに、国の中はもちろん、国外からもいろいろ論議がされたんですが、特に韓国政府から再修正要求がなされております。 現在、この歴史教科書の問題をめぐり、検定制度も含めてさまざまな議論がなされておるところですから、今回の教科書検定についての政府の基本的な考え方を改めて総理に確認させていただきたいと存じます。
○遠山国務大臣 御質問の件についてお答え申し上げますが、歴史教科書の検定、これは民間の教科書発行者が創意工夫を凝らして著作、編集したものについて、いわゆる近隣諸国条項を含む検定基準に基づきまして、教科用図書検定調査審議会の審査を経まして、厳正かつ適切に実施しているところでございます。 今回の中学歴史教科書の検定につきましても、同様に、修正すべきところは修正をし、慎重な手続を経て行ったところでございます。 御指摘のように、五月八日に韓国からの修正要求があったわけでございますけれども、政府といたしましては、これを真摯に受けとめて、まずは文部科学省内において専門的、学問的な見地から精査を行っているところでございますが、今後さらに、歴史学者など外部の専門家の意見もお聞きした上で、誤った事実の記載がある場合などのほかは訂正できないという教科書検定制度の枠組みの中で、誠意を持って対処したいと考えております。
○麻生委員 基本的には、誤りがなければ、歴史的認識は当然従来と変わりないものと考えているんですが、少なくとも、政府のこれまでの歴史観とか歴史認識に相反するものだという認識がよく言われているんですが、今回の検定について、特定の歴史観、歴史認識を持つ教科書が合格したということが政府のこれまでのいわゆる歴史認識などと相反するものだという指摘をされている方も一部いらっしゃいますけれども、政府の歴史認識は従来と当然変わりないということなんで、歴史教科書の検定と政府の認識との関係について、重ねて文部大臣に御見識を伺います。
○遠山国務大臣 大変大事な点でございますのでお答え申し上げたいと思いますが、歴史教科書の検定は、国が特定の歴史認識あるいは歴史観を確定するという立場に立って行うものではありませんで、あくまでも申請のあった教科書の具体の記述について、検定基準にのっとって、検定の時点における客観的な学問的成果あるいは適切な資料等に照らして、明らかな誤りあるいはバランスの欠如など、記述の欠陥を指摘することを基本として実施しているものでございます。 教科書検定におきましては、執筆者の歴史認識等の是非を判断するということは、思想、信条の自由を保障した憲法の規定に抵触するものでございますので、執筆者の基本的歴史認識やその意図するところについて検定で修正することはできないのでございます。このために、検定、決定したことをもってその教科書の歴史認識あるいは歴史観が政府の考え方と一致するものと解されてはならないわけでございます。 御存じのように、平成七年の内閣総理大臣談話などに示されました政府の歴史認識につきましては、現内閣としても同様に考えておりまして、文部科学大臣としても、いささかも異なっていないところでございます。
○麻生委員 次に、外務大臣に伺います。 就任時の記者会見のインタビューで、新しい教科書をつくる会について触れられた中で、まだああいう教科書をつくって事実をねじ曲げようとする人がいるとして、問題があるという趣旨の発言をされたと報じられております。また、先日の報道によれば、閣僚懇談会の場で、事実をねじ曲げることを承知の上でつくった教科書を合格にするような検定制度は問題だと発言をされたと新聞に書いてあるんです。 これは失礼ですけれども、新聞に書いてあったことがすべて正しいなんて思ったことは一回もありませんので、すべてどうとかこうとか申し上げるつもりはないんですが、これまでの総理や文部科学大臣の御答弁によれば、教科書検定では執筆者の歴史観や歴史認識は検定できないという御意見だと私ども、これまでのこの二週間ぐらいのお話でそう理解をしておるんですが、教科書というものを検定で行えば、これは下手すると検閲になりかねないという大きな問題を抱えているところであります。 外務大臣として、歴史観や歴史認識の検定を教科書検定でやるべきということを発言したのではないというぐあいに理解をしておりますが、この点につきましては、外務大臣の御認識について確認をさせていただきたいと存じます。
○田中国務大臣 お答え申し上げます前に、今、日本全国田植えの最中で、新米が突然大臣になって出てきましたので、さぞ皆様戸惑っていらっしゃると思いますけれども、よろしく御指導いただきたいと思います。 私の最初の発言ですけれども、あれは大臣に就任した直後でございまして、メディア等で報じられていることに基づきまして発言をいたしました。ところが、就任後いろいろと勉強をいたしました結果、やはり政府というものの中で、国際法上の問題というのはあると思うんですけれども、検定は、先ほど文部大臣がおっしゃったことに尽きると思います。要するに、近隣諸国条項を含む教科書検定基準に基づいて、そして我が国が厳正に検定をして、その実施された結果、合格をしたものであるというふうに承知をいたしております。 まずは文部科学省が今真摯にこの制度にのっとって精査をしていらっしゃるわけでございますけれども、韓国それから中国もそうですけれども、近隣諸国との友好関係を損なわないように私たち知恵を絞っていかなければならないというふうに考えておりますことは間違いがございません。 ただ、この検定合格した教科書について修正が行われるというのは、明白な誤りがあった場合などに限られております。ですから、まずは文部科学省において十分に精査がされているということでございます。 それから、少し先走るかもしれませんけれども、韓国側も、今回修正の要求意見を日本側に伝達するに当たりまして、日本の歴史教育に干渉する意図はないという旨を明らかにされておりますことも付言させていただきます。
○麻生委員 ありがとうございました。 ここのところで、非常に大事なところでして、これは閣内不一致になりかねない騒ぎなんで、外務大臣、一言だけ御忠告を申し上げておきますが、就任直後のインタビューでの発言につきましては、先日の衆議院本会議の答弁だったと思いますけれども、まだその教科書を読んでいないときでの発言であったとのことでありますけれども、外務大臣というのは、国内ならともかく、外国との話になりますので、今後とも、いわゆる現物に触れないで発言されるということは、これはいろいろ影響も非常に大きなものが出ますので、外務大臣というお立場として、今後この種の発言については慎重に御発言を申し上げていただきたく、あえて御忠告申し上げます。 これまで文部科学大臣にいろいろ基本的な考え方などを伺いましたけれども、各閣僚におかれましても、これは基本的な考え方でありますので、今回の教科書問題につきましては、ぜひ適切に対処されることを強く要望をさせていただきます。 最後になりましたけれども、もう一点申し上げておきたいことがあります。 今回の検定をめぐる動きの中で、新しい歴史教科書をつくる会の教科書について、民主党の鳩山代表が訪韓をされて、この教科書を全国の各教育委員会が採択しないよう党としてマスコミなどを通じて呼びかけるとの考えを記者会見で明らかにしたとの報道がなされております。 重ねて申し上げますが、これも私どもは、本当にそう言われたかどうかは、これは新聞でしか知りませんので、ここのところもどれぐらい本当のことを言われたかどうかわからないんですが、これは公正さを欠きますので、自民党の方は新聞が当てにならぬ、野党の方は常に正しいなんという、そんな偏向したことを言うつもりはありませんので、これは公平に申し上げます。 しかし、教科書の採択というものは、採択の権限を有しておりますのは各県の教育委員会ということでありまして、公正に採択の決定がなされていることが極めて重要であるところでして、今回の鳩山代表の発言が事実ということなのであるならば、これは公正であるべき教科書の採択に好ましくない影響を与えるということも十分考えられるのであって、ひいては児童生徒がどのような教育を受けるかということにまで影響を与える、私どもはそう思っておりますので、そういう意味でこのことは極めて問題ではないかということを最後にして、教科書問題その他につきまして質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○野呂田委員長 この際、久間章生君から関連質疑の申し出があります。麻生君の持ち時間の範囲内でこれを許します。久間章生君。
○久間委員 総理、このたびの御就任、おめでとうございます。私どもも、あそこまで全党員から支援されるとは思っていなかった点もございますけれども、御就任されたわけでございますので、これから先の二十一世紀の我が国を背負って頑張っていっていただきたいと思います。 なおまた、各閣僚の皆様方も、このたびの御就任、おめでとうございます。それぞれの立場で総理を支えながら、日本の進路について誤りなきように頑張っていただきたいと思います。 ただ、総理が適材適所だと非常に強調されるわけですけれども、国会議員というのは自尊心が非常に強いわけですから、ならなかった人は、何であれが適材でおれは不適材だ、そういうふうに思いますので、余りそういうような言い方ではなくて、それぞれが一生懸命頑張りますからというような程度で言っていただければ、みんなも留飲を下げるんじゃないかと思います。 ところで、麻生政調会長の方から大まかな経済政策を中心とした話がございましたので、私は、総理の発言なりこれまでのいろいろな経緯の中での細かい点について、二、三お聞きしたいと思うわけでございます。 まず、総理は、総裁選挙のさなかだったと思いますけれども、靖国神社に公式参拝を八月十五日にされるというような御発言があったようでございました。私はそれを聞きながら、それは結構なことだ、国のためにお亡くなりになって、しかもそのとうとい犠牲のもとに今日の我が国があるということになると、それはもう、真摯な気持ちで行かれるのは非常にいいことだなと思いました。 ただ、公式参拝、公式参拝と言うのが、かつて中曽根内閣のときだったと思いますけれども、非常に言葉が躍りましてそれが非常に諸外国を刺激したような、そういう経緯もございました。 私は、もともと公式行事とか公式と言う場合には、特に役所が行う場合には、機関決定をして、一定の稟議なりなんなりをした上でやる、そういうのが大体公式行事であり公式の何々ということになっているわけですね。だから、国の金が使われる場合もあるし、使われない場合も実はあるわけでして、例えば、よく皆さん方のお役所が予算が終わった後打ち上げをされます。おすしをとったりなんかして打ち上げをやりますけれども、それは恐らく私的な金じゃないかもしれませんが、これなんかは公式でもないわけですね。ところが、どこどこ省の記念日だということで公式のパーティーがございます。ここの場合は、どういう人を招待するか、どういう形でそれをやるかというのをきちっと決めた上でやるわけですから、同じ内容でもこれは違う、役所がやる場合でも違うわけですね。 だから、私が例えば防衛庁長官として公式に参拝するとなれば、ことしは例えば統幕議長を連れていこう、あるいは何々局長を一緒に同行させよう、あるいはことしはやめて陸幕長にしようとか、そういう形でやるのが公式参拝だというふうに、本当の意味ではそうだと思うんですよ。 だから、私は、個人であっても公人であっても、肩書を行って書かれる分にはそれは全然差し支えないと。それは、例えばどこかの美術館に行かれて、どうぞと記帳されるときに内閣総理大臣小泉純一郎と、そういうふうに内閣総理大臣としておれは来たんだということを言われてもそれは結構ですけれども、公式というようなそういうことにはならないんじゃないか。秘書官に、おい、今から行くぞと言うて行かれて、秘書官とかSPがついていったとしても、それは公式という言葉が余りにも強調され過ぎているんじゃないかなと、そういう気がしますので、どうかひとつ、今度の件についてももっと気楽な気持ちで参拝をしていただければ大変ありがたいと思うわけでございます。 ただ、そのときに、私の気持ちとして申し上げますと、小泉総理もそのときは橋本内閣の一員で一緒におりましたけれども、あのとき、橋本総理大臣という方は遺族会の会長もされた方でございますから、今までもよく参拝もしておられたわけでございますけれども、外国からの要人が間もなく来る、しかも、ガイドラインの問題等を控えていろいろ理解してもらわなきゃならない、そういうときに、来られる直前に行ったがいいかどうか、いろいろな判断の中から時期をずらされたことがございました。多分私はそうだったと思います。 そういうこともございますので、国の公益といいますか大きい目的のために、ここは、自分の、個人的にはこうしたいと思う気持ちとそれをどう調整するか、それはやはりそのときそのときの状況を見ながら慎重に対処していっていただければいいんじゃないかと思いますけれども、これらの問題について、現在における心境等について御披瀝いただければありがたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 私は、厚生大臣在任当時も厚生大臣として靖国神社に参拝いたしました。千鳥ケ淵の戦没者墓苑にも参拝いたしました。もちろん、武道館で行われました政府主催の慰霊祭、追悼式にも参列いたしました。私は、戦後、今日の平和と繁栄の基礎は、あの大戦でとうとい命を犠牲にされた、あの犠牲の上に築かれているのではないかという思いから、総理大臣に就任しても靖国神社に参拝するつもりであります。 しかし、これが公式とか非公式とかよくマスコミに取り上げられますが、いまだに私はわからない。聞かれても答えたことは一度もありません。厚生大臣のときにも聞かれました。何が公式で何が非公式か私はわからない。総理大臣に就任してからも、二十四時間SPが、警護というか監視というか、どっちかわかりませんけれども、常に私のそばにいてくれます。このSPの皆さんは、まさに職務に忠実に総理大臣の警護に当たってくれているわけであります。そういうことを考えれば、私の二十四時間の行動に私生活はないといえばそうかもしれません。そうする中で、公用車で行ったとかSPがついているから公式だとか公的だと言われても、これはどう答えていいかわからない。 私は、今までの自分の気持ちとして、まず、二度と戦争を起こしてはいけないという気持ちから、そして、本人は本来戦場に行きたくなかっただろう、しかし、家族のことを思い、国のことを思い行かざるを得なかった、ああいう方々のとうとい気持ちというものに対して心から敬意と感謝をささげたいという気持ちで行ってきたわけでありますし、これからも、そのつもりで総理大臣として靖国神社に参拝するつもりであります。 その際、どういう批判があろうとも、これは日本人としてこの気持ちは、宗教とかそういう関係はありません、自然な人間の気持ちではないか。それを、よそから批判されてなぜ中止しなきゃならないのかというのはいまだに理解に苦しむわけであります。 ですから、私は、きちんと、自分の気持ち、総理大臣として二度と戦争を起こしてはいけないという気持ちからも、靖国神社には参拝しなければならない、また参拝したい、今でもその思いに変わりはございません。
○久間委員 そういう姿勢で臨んでいただければ、憲法上の問題等も出てこないんじゃないかと思っております。 公式か公式でないかというのはよく言われるんですね。年中行事になりますか、年の初めの行事として、伊勢神宮によく参拝されますね。これは最近、慣例化している点もあるし、行くに当たってかなり行事化、公式化しているなという感じはしますけれども、これも厳密に言うと公式参拝にはなっていないんじゃないかな、そういう気が私自身はしておりますが、今総理が言われたような形で靖国神社に参拝されることについては、私もそれで非常に結構じゃないかと思っております。 それから、総理はよく郵政事業の民営化ということについておっしゃられます。これは、三年後に公社化がスタートする、そのときは公務員でやるという、そこまでは決まっているわけでございます。それから先はどうなるか、これから議論すればいいことでございまして、そのときにいろいろと、いろいろな意見を酌み取りながら決まっていく。これは総理が幾らやろうと思われても、国民世論が、あるいはまた国会の中での法律がうまく通らなきゃなかなかやれない、民間の参入についてはある程度出てくるんじゃないかと思いますけれども、そういう問題だろうと思います。 ただ、そのときに、これまでの民営化の話をされるときに私がちょっと気になっておりますのは、現在の国民のみんなが、郵便局といいますか、そこに対する信頼が強いというのは、やはり官に対する信頼ということが根っこにあるんじゃないかなという気がするんです。 例えば、大学の受験の締め切りを郵便局の何月何日までの消印は有効ですという形で受け付けているわけですよ。これが民営化されたときに、そういうようなことができるだろうか。新聞とかあるいは週刊誌とか、いろいろなクイズもございます。私なんかも時々囲碁とか将棋とかを出しますけれども、水曜日までの消印ならいいですという形があるわけですね。これはもう言わず語らずに、今の郵便局なら信用していい、間違ったことはしないというのが根っこにあるんじゃないかな。この辺の、やはり国民の素朴な、官に対する信頼感というのは果たして民営化したときにどうなっていくのかな、そういう気持ちがございます。 それと今度は、郵便局が津々浦々までありますから、例えばパスポートをそこで渡すとか、あるいはまた登記簿謄本をそこでとっていいとか、そういう形をやったらどうか、そういう議論もございますけれども、そのときも、民営化してしまったときにそういうことが可能になるんだろうか。今の宅配業者のところでそういうことがされるということを国民が認めてくれるかなというと、その辺で若干国民世論がそこまでいかないんじゃないかなという気が、私は正直言って素朴なそういう気持ちを根っこに持っておりますので、これらについては総務省が中心となられて、いろいろな国民世論の動向等も三年間の間に調査しながら、どういうふうに集約していくか見ながら議論をされると思いますけれども、民間参入がいいという前提に立ってやれるほかの事業との違い、特に簡保とか郵貯と違って郵便といいますか、郵便法に基づく郵便、今まで培った、こういうみんなによってでき上がった官に対する、郵便局に対する基本的な部分での信頼感というのをどうとらえるか、これは非常に大事なことと思いますけれども、その辺について総理の御所見を聞いておけばいいと思います。
○小泉内閣総理大臣 その点の考え方については若干私と久間議員とは違うと思うんですが、それは、規制緩和一つ見ても、品物の配達、これも当時は役所は反対しましたね。ところが、民間が参入してからどうでしょう。既に品物の配達は郵便局よりも、民間が八割を超えているんじゃないですか、現在。そして、過疎地でも離島でも今すべての地域で民間は配達できる体制が整いました。 過去の、今までの経緯を見ますと、官のサービスと民間のサービス、どっちがいいか。サービスの展開、すべてと言っていいぐらい民間先行であります。民間が夜間配達を始めてから郵便局は夜間配達を始めた。そうすると今度は、民間は午前、午後、夜、サービスを始めます。するとまた後から追随して郵便局がやってくる。それから、重量もそうです。何キロ以上は受け付けないというと、民間はそれ以上やりますよと。後からまた、役所は後追いです。では、生もの、生鮮食料品、これは民間は独自で、みずからの金で研究開発して、夏の炎天下でもアイスクリームが解けないような形で民間の配達は北海道から東京あるいは沖縄、大阪、運ぶような体制ができた。設備投資をする。生ものも運べるようになる。となると、後からまた今度は役所は予算を要求して同じような設備投資をやらせている。全部と言っていいぐらい民間先行で、だからこそ国民は民間の方を利用するから、今八割を超えて民間に頼っているわけであります。 今言った消印にしても、今郵便事業は郵便局しかやっちゃいけないといいますけれども、既に年賀状なんかアルバイトを雇わないと配達できないんですよ。民間はやっちゃいけないといいながら、アルバイトは民間人ですよ。配達の車もほとんど民間会社を利用しています。これはどうかしているんじゃないか。 この前本会議で言いました。商品券は民間企業が配達していい、地域振興券は配達しちゃいかぬ、なぜかと。こういうおかしな論理を何で国会議員は承認しているのか。そうでしょう。これをおかしいと思わない方がおかしい。 商品券は特定の人にやらないから、地域振興券は特定の人にやるからいかぬと言っていました。商品券だって特定の人にやるんですよ。しかし、使う人は自由なんですよ。地域振興券だって特定の人にやるけれども、使う人は自由、どこでも自由なんです。それを、民間企業が自治体と契約を結んで入っていったときに民間はやっちゃいかぬという妨害をするから、私は憤慨して、役所は何考えているんだ、民間の活力をいかに発揮させるかが政治の役割だろうということを国会議員はどう思っているのかといって、全部の国会議員にチラシを配って、これをおかしいと思わない方がおかしいんじゃないか、私は変人と言われているけれども、どっちが変人かというのを皆さんにまいたことがありますよ。 そういう意味において、私は、郵便局をなくせと言ったことは一つもありません。郵便局は今三事業しかやっちゃいかぬということの方がおかしい。あれを自由に民間の経営者に任せれば、三事業だけじゃない、貯金や簡保やこの郵便宅配だけじゃない、今考えられるようないろいろなサービスを展開してくれるだろう。しかも、今税金を納めていないけれども、税金を納めて多様なサービスを展開して、多様な商品を国民に提供してくれるだろう。それがひいては日本経済の発展につながるし、民間ができることを役所がやってろくなことはないということから、私は、行政改革の大事な視点だと言ってやっているのでありまして、今の問題も、電報にしてもファクスにしても民間ですよ。官が信頼があるといってこれだけ普及していますか。今ファクスなんてすごい、世界にやっているでしょう。あれは郵便局がやっているんじゃないんですよ。 そういうことを考えると、役人がやることが大事で、民間でやることは大事でないという観点を直さなきゃいけないんじゃないか。民間にできること、民間企業が役人よりも商売がうまいんだ、創意工夫を発揮できるんだという視点が大事じゃないか。そういうことによって公務員も減らすことができる、今まで税金を使った役所も税金を納めてくれるようになる、これがひいては日本経済の活性化につながるという観点から、私は、民間参入をどんどん進めていけばいいと。ひいては、今の三事業は民間で十分やれるから、民間のやっているのを役所がやったり役人がやっているのではろくなことはないから、民営化がいいんじゃないかという議論を展開しているわけであります。 いずれ、来年はこの民間参入の基準を決めます。これも、私としては、民間でできる郵便配達をやってもらえばいい。旧郵政省、役所が、独占部分を、これは役所でなきゃだめなんだと決める必要はない。まず、民間ができるものは全部民間にさせて、どうしても民間はできないけれども国民が必要だと思うところだけ役所が補完すればいい。あるいは、民間に優遇措置をつけて、あるいは促進措置をつけて民間にやってもらう。その方がはるかに日本経済の発展につながる、また国民サービスにいろいろないい影響をもたらすということを言っているのであって、私は、議論を続けていけば、郵政三事業を国営にとらわれることはないなということを多くの議員も賛同してくれるものと確信を持って言っていることを御理解いただきたいと思います。
○久間委員 総理の熱意というのはよくわかりますけれども、国民の中にやはり、さっき私が言ったように、官に対する、最後、守らなきゃならないとりでというのがあるんだというような意識が非常に強い点についても、どうかひとつ頭の隅に置いておっていただきたいと思います。 それからもう一つ、集団的自衛権についても一歩踏み込まれた発言をされました。 かねてからこの集団的自衛権という言葉が、法制局あるいはそれを受けた形で内閣がいつもこの説明をしているわけですけれども、集団的自衛権という言葉は日本の憲法にもありませんし、また日本の国内法にもないんですね。強いて言えば、国連憲章の五十一条に、集団的自衛権と表から名前を定義した形じゃないですけれども、それに関する規定がございますし、あるいは安保条約で、個別的または集団的自衛の固有の権利を有するということを確認するみたいな、そういう表現が実はあるわけですね。それなのに法制局が、これまでの国会答弁あるいはまた歴代の質問主意書に対する答弁をしておりまして、それを受けた形で、先日も参議院での質問に対して総理は答えておられますけれども、「政府は、従来から、我が国が国際法上集団的自衛権を有していることは主権国家である以上当然であるが、憲法第九条のもとにおいて許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、」ここまではいいんですよ。「集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されない」と考えていると。 一番最後のところが、何でここに来て行使することが範囲を超えるというふうに断定してしまっているのかな。ここのところは、私自身も若干、もう一回今の時点で考えたときに、この当時これをもう一回踏襲したことがそのままいいかどうかというのは議論する余地があるんじゃないかな、そういう気がしておったわけです。 この集団的自衛権というのは言葉がなかなかわかりにくいので、もっとわかりやすく言いますと、例えば戦国時代に、毛利元就が尼子から攻められる。自分の国だけではそれを守ることができぬから、隣国と同盟を結んでおる。隣国までずっと来たときに、そこがやられたら次は自分がやられるというときに、そこがやられるのを一生懸命応援する、こういう場合、そういうようなことも一つの集団的自衛権の範疇に入ると思うんですよ。そのときに、そこに一生懸命援助して、物資を援助したり何かする。ここはやられたら次は自分だというときに、自分がまだやられてないからといって何もしないでおるというのが果たして自衛権と言えるか。やはり集団的自衛権というのは、そういう場合、組んででもやっていいというのが集団的自衛権なわけですね。 よくここの議論で、集団的自衛権を認めたら、ホンジュラスあるいはまたベトナム、そういったところに米軍が行くときにそれを支援することになるかと言うけれども、それはそもそも自衛権じゃないわけですから、自衛権の範疇に該当するならば、さっき言うように、それを超えたらできませんというような言い方で言い切ってしまうというのはいささか、ちょっとかた過ぎやせぬかなと思うわけです。 だから、これについては、これから先議論するにしても、総理自身がやはり法制局にも、これは政府だけで解釈する話じゃなくて、本来は、憲法は衆議院、参議院とで両方で発議することになっているわけですから、衆議院の法制局や参議院の法制局あるいは学者、そういったところも入れながら、今までの解釈でいいのかということをもう一回基本的に議論すべき時期に来ているんじゃないかなという気がしますので、総理は一歩踏み込んでおられるというのは私は結構なことだ。役人が言われるような、それをそのまま踏襲していくのは進歩がないんじゃないかな。 その当時の法制局としては、やはり一番政府としては無難な、妥当な解釈をして、これで言っていけば非常にみんながうまくいくんだという感じでやってきたんじゃないかと思いますので、ひとつそういうような幅広い態度で対処していただきたいと思いますけれども、この問題についても再度お聞きしたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 集団自衛権または日米安保条約、憲法九条の問題というのも私なりに勉強してきましたが、これは、時々によって、また人によって解釈が変わる場合が結構あるんですね。 そういう中で、この集団的自衛権、日米安保条約を今締結して、日米関係の協力のもとに日本の安全保障を確保しているわけですが、この集団自衛権というのは、例えば米国が攻撃された場合、日本が一緒に戦うということは恐らくほとんどの議員は考えていないと思うのです。 あるいは、これが集団的自衛権だと解釈する方もいます。と同時に、憲法九条のもとで、国際紛争を解決する手段として、武力の行使、武力による威嚇は永久に放棄するということをうたっているわけでありますので、これは個別自衛権として、日本がそういう危機に瀕したり侵略された場合は、その武力行使は当然許されるというのは大方の賛同できることだと思うのであります。その間にすごく中間線がたくさんあるんですね。 例えば、三十五年の岸内閣の解釈は、集団的自衛権の保有は認められたんだけれども、行使は認められていない。しかし、それは海外の領土、領空、領海ではそういうことは集団自衛権として認められないけれども、自国の領海あるいは公海上では、場合によってはその集団的自衛権の行使も認められるのではないかというようにとられるような答弁もされているわけです。あるいは、日米が日本の領海内で訓練していた場合に、それは日本に危機が起こった場合で米軍が一緒に活動してきた場合に、日本の艦船が攻撃されなくても、日本の危機のために一緒に動いている米軍の艦船が攻撃を受けた場合に、日本の領海、領空、領土の中で行われた場合に、それは一緒に活動をしているから、集団自衛権を行使してはいかぬ、あるいはこれは個別的自衛権に含まれるんじゃないかという解釈もあるわけです。 そういう場合、あるいは公海上の場合にもいろいろな解釈があるから、私は、そういう点についていろいろ、今までの憲法解釈を変えるのは難しいけれども、そして憲法を守るのは当然であるから、その点でもっといろいろ熟慮、研究していい余地があるのではないかということを申しているわけであります。 ですから、かつては自衛隊は憲法違反だという人たちも、最近では憲法違反じゃないというふうに変わってきている人もおられます。あるいは、日米安保条約は憲法違反なんだから廃棄すべきだという方々も、最近は、これはやはり合憲で、日米安保条約を堅持すべきだというふうに変わってきている人もおられます。 いろいろ考えが、同じ法律の中で解釈がいろいろ変わりますから、こういう点については今後もっと研究して、熟慮して、いろいろな意見を聞いて、お互い日本の安全保障を確保するためにはどういう方法がいいかということを考えるべきではないか、あるいは日米協力関係を緊密にしていくためにはどうしたらいいかということをもっと真剣に議論しても、研究してもいいのではないかということを発言していることを御理解いただきたいと思います。
○久間委員 よくわかります。そういうような柔軟な姿勢で、しかし今までのものにとらわれないでやはり研究をしていくということは大事なことでございます。 ただ、総理、どうも世間の受け方が、総理あるいはその前の森総理、そういった方々はタカ派だというような、そういうイメージをみんな持っているんですよ。私なんかは、総理と一緒に閣僚もしておりましたし、そうでなくて、憲法なら憲法を遵守する必要があるとか、平和国家を維持する、また近隣諸国との関係もとか、非常なそういう感じを受けるわけですけれども。 振り返ってみると、やはりどうも中曽根さん、福田さん、こういったところはタカ派で、大平さん、田中さんというのはハト派だったとか、そういう系譜的な流れがあるのか知りませんけれども、何かこう一連の、さっきの靖国の参拝にしましても、あるいは今度の集団的自衛権にしても、至極当然なことを発言しておられるんだけれども、何か非常にタカ派的なイメージとしてとられておりますので、その辺は、どういうふうな反響があっているかということも絶えず考えながら、慎重にやっていっていただきたいと思います。 それで、次に田中外務大臣にお尋ねしたいわけですけれども、質問の前に、ちょっとこれも、やはり総裁選挙のさなかに起きた発言のことで気になりますので、一言だけ私の考え方を言わせていただきますけれども、いわゆるおだぶつ発言というのがおもしろくマスコミ等でも出されました。 おだぶつというのは、まあ仏様になるということですから、亡くなられるということですから、これ自体は私は余り気にはしてないんですが、最後の、その後に自業自得だという言葉があったんですよ。だから、これはちょっとどういうことかな。 あのときは確かに百兆円といいますか、国債を発行して借金王になられたのは事実ですけれども、これは財政特例法を出して、やはり自民党だけではなくて国会としてそれを認めて、借金して、そのときには我が自民党員もみんな賛成しているわけですから、それを小渕さんの自業自得だというにはちょっと酷じゃないかという気がしますので、この辺については、質問の前にまず所感を聞いておきたいと思います。
○田中国務大臣 御指摘の発言でございますけれども、今回の総裁選挙は大変熾烈でございました。極めて熾烈でございました。当選三回しかやっていない私にとりましては、こういう場も大変緊張いたしますけれども、五千、六千、一万人という群衆が、駅前等にたくさん不特定多数の方が集まられて、そこでマイクを持って、街宣車で、短い時間でコンパクトに、私どもの主張、ほかとの違い、その政策を説得するということの難儀さは、当選七回もしていらっしゃる大ベテランの久間先生はよくよく御存じでいらっしゃると思います。 ですが、結果として言葉が走りましたことは認めます。そして、きょうは小渕元総理の御命日であるということも承知いたしておりますので、御温容をしのびながら、以後、反省をいたします。
○久間委員 反省していただきまして、ありがとうございます。 政治家というのは、えてして戦いの場では激しく、感情的にもなるわけですけれども、そういう中でもやはり言っていい言葉と悪い言葉というのはお互いわきまえながらしなければいけない。私なんかも時々口走ってしまうことがあるかもしれませんけれども、その辺は大事にしなければいけないと思っております。 それから、これは答弁に立たれる必要はございませんけれども、最近のマスコミ等の報道で、外務大臣が役所の官僚から恫喝されたというふうな、そういうせりふが躍ったわけですね。まあ田中外務大臣を恫喝するような官僚がおるだろうかと、まず世間は、そういうことはあり得ぬと思いますけれども。国家公務員法上、こういう降格はできないんですよというふうなことを言う、それはそれで一種の理屈、へ理屈なんですよね。 だから、そういうときには、恫喝されてびびるのじゃなくて、あなた、じゃ、それをどうやって乗り切ったらいいかやりなさいよと、あなたはキャリアでしょう、もし知恵が出なかったら相談に来なさいと言えば、今の役人で、知恵が出ませんでしたといって相談に来る役人なんて一人もいないわけですからね。あなたに任せるからそこは上手にやりなさいよと、そういうことで済むのじゃないか。 そもそも、大臣がその役所の役人から恫喝されるというようなことを、また一般に対して言うこと自体がやはり大臣の権威にかかわりますので、こういうふうなことについてもやはり絶えずそういうような考え方で対処していただきたいと思います。 個別の話に移りますけれども、この間、私は、連休中にワシントンに行って向こうの要人と会ってきたのですけれども、その後、帰りがけにニューヨークに行きまして国連大使と会ってまいりました。そうしたら、国連は、来年から再来年にかけてPKO関係の部局を百五十人以上ふやすそうです。 したがいまして、そうなってくると、PKOにも我が国からもたくさんの人が参加できる、参加してもらいたいんだけれども、そのときに、PKOの部隊の運用とかあり方については、やはり自衛隊の皆さん方に出てもらうというのが非常にいいんじゃないかというような話でございましたし、私もかねがねそういうふうに、PKOは、今ゴラン高原に行っていますけれども、ああいう現場に行くだけではなくて、国連のそういう部局において、PKOのあり方、PKOのいろいろな計画、こういう練るときから参加することは、これは非常にいいことじゃないかと思うのです。 したがいまして、これについては外務大臣になるか防衛庁長官になるかはわかりませんけれども、防衛庁が直接は、自衛隊を出すとなると防衛庁の所管になるわけですけれども、ただ、やはり外務省の方がそういうのに出そうという決意をしてもらわないといかぬわけでございますので、両大臣からこの辺についてのお考えを、防衛庁長官からでも結構です。
○中谷国務大臣 PKO部局に自衛官を派遣すべきだという御意見につきましては、私は全く同感でございます。 これほど交通や通信が発達した現代の社会におきましても、世界じゅうには二千五百万人の難民がおりますし、八億人の飢餓がいるわけでありますが、これも紛争とか対立に起因するものであります。国連のPKOというのは、世界各国がそういう世界平和のために努力をしようと設けた局でございまして、日本国憲法の前文の趣旨からしましても、こういう国際貢献をやっていくべきだ、国際社会から尊敬される日本になるべきだと思っておりますので、防衛庁といたしましては、積極的に対応してまいりたいというふうに思っております。
○田中国務大臣 まず、今のお尋ねにお返事申し上げますけれども、PKOへの自衛官の派遣には、これは積極的に検討すべしというふうに考えております。従来から、国際機関における邦人職員の数は増強して、積極的に取り組んできておりますけれども、さらにPKOへの問題も取り組んでいきたいというふうに思っております。 それから、先ほどちょっとお漏らしになったことで、これは多分ほかの委員の方からも、午後でも、アーミテージの問題であるとか、やれどうだこうだという、それこそマスコミの報道だけを信じた質問が、どんどん矢が飛んでくると思いますので、ちょっと久間先生からの質問に、ポイントだけ申し上げます。 基本的に、やはり役所というものは、外務省も五千人も職員がおられますし、言ってみれば一つの企業のような状態で各省庁、各大臣はお一人ずつおられるわけですけれども、そういうメカニズムで動いておりまして、しかも何百年、千年近い長い歴史があるわけですね。千年もない。そういう中に、最近たくさんの議員がくるくる回って大臣がかわってくる中で、過去の経緯を説明したりする中で、ファクトはファクトとしてありながら、やはりちょっと意見が、こちらが申し上げてそごを生じそうになると、それをすごい勢いでもって抑え込もうとする。私があの広い大臣室にちょこんとかわいらしく座っていても、大勢が来られてやられるわけですから、その中でもって、ねっちりの方もいますし、大声を現実に出す方もいまして、こちらは本当に、それがトータルですごい役所防衛のための恫喝であるというふうに感じたことがあったということは申し上げさせていただきます。
○久間委員 そういうのは、恫喝と思うかどうかですけれども、大臣ですから、恫喝なんて思わずに、あなたのお父さんが役所を上手にコントロールされたみたいに、丸のみにしてうまくやっていただきたいと思います。 今、防衛庁長官と外務大臣と御両名から積極的に参加させたいということでお返事いただきましたので非常にありがたいと思っておりますが、ただ、平成七年にできました国際機関等に派遣される防衛庁の職員の処遇等に関する法律というのがございまして、これで派遣される人たちについてはどういう処遇をするかになっているわけです。 ところが、これをつくるときに、PKOのそういう本体部局に行くことについては外れたわけですよ。そして、これはむしろ防衛庁や外務省というよりも法制局も交えての議論になりますけれども、PKOの本体のところに行くと、これは戦闘行為まで含む作戦行動その他があるから、そういうところに派遣することについてはいかがなものかというようなこともあって、まず現実にも行っていないから外していいじゃないかということで、法律から外れておるわけですね。だから、今度行くとなると、この法律を改正して堂々と列挙するか、この「等」というところで読めるか、この辺の問題を検討する必要があるわけなんです。 ところが、国連の職員としてPKO部隊の本部のところに行くのが、自衛隊ならだめで背広の職員ならいいということにはならないわけですね。憲法九条の問題があるならば、日本国の職員が参加すること自体が問題なわけですから、そこのところをわきまえておってもらわなければいかぬ。どうも今までの法制局の議論は、そういうものはえてして無難な方へ無難な方へ議論しますから、戦闘行為と一体化するような、そういう作戦行動をとる部分に出ていくのはいかがなものか、そういう発言から、外してしまうわけですよ。そんな外し方をしておったら、制服じゃなくて背広の連中が、外務省の職員が行くことだって、日本国として、憲法は日本国の話ですから、できないことになりますからね。それはおかしいと私は思うので、そんなことを言ったら、安保理常任理事国に日本が参加することすら憲法九条上できないじゃないかという議論にもなってしまうことになりますから、やはりこの辺の問題については、法制局も含めて、派遣することになりますと、間違いのないように準備しておっていただきたいということを申し添えておきます。もう答弁は結構でございます。 それから、どうせまた後刻、民主党の菅議員の方から諫早干拓の問題等について発言があろうかと思いますので一言だけ、今までの経緯等について、総理と農林水産大臣に知っておいていただきたいと思うんです。 実は、あそこの干拓というのは、非常に不思議なところでございまして、普通、川の上から土砂が流れてきて、堆積して州ができるとか干拓地ができるということはあるんですけれども、あそこは福岡県の筑後川を初めとするよその方からずっと流れてきた泥流のうちの一番粒の小さいのがずっと流れてきて、たまって、もう百年、二百年、三百年とずっと堆積してあの諫早市というのはでき上がった土地なんですよ。だから、河川というのが、ほとんど大きい河川がないわけなんですね。だから、外からずっと来ますから、今度は堤防をつくりましても、その外側にまた堆積していく、堆積すると排水が非常に悪い、そういう地形なんですよ。 しかも、あそこは非常に集中豪雨が降ります。菅さんは、いつかここで、上にダムをつくって水害などを防げばいいじゃないかということを言われましたけれども、そういうことができないんです、あそこは。(発言する者あり)いやいや、建設省も言っていないんです。できないからみんなが困って、そして、あそこの場合に、ほかに方法がない。平野部に降る雨が一度に海にどっと流れる形になるわけですよ。ところが、その海が高いと、干満が非常にありますから、満潮になりますと、はけないということで、方法がないというようなことから、水害がたびたびありまして、昭和三十二年、私が高校生のときに大水害があって、たくさんの人が死んだわけですね。 そういうようなことから、あそこを水害から守るためには何か方法はないか。それで、干拓と一緒に干拓堤防をつくって、水位を下げて、排水をよくするようにしておいて、その一方で農地をつくるという形で計画がされて、ずっと来たわけです。そのために、あそこの干潟が確かになくなるということで、私たちも、どっちがいいかについては地元としてもう悩みに悩んで、そして反対もあって、そういう形でもうずっと何十年とやってきたわけですね。 だから、菅さんがここで一生懸命質問されますけれども、長崎県の民主党の議員さんも、社民党、昔の社会党の議員さんも、県会議員も市会議員も、全部賛成だったわけですよ。市会議員は共産党の市会議員まで賛成決議だったわけです。というのは、もうあそこの場合はそれしか方法がない、そういう中でやってきたわけですから、決して、農業土木者を食わせるために、土建業者を養うためにつくったんだ、そんなけちなことで、あれだけ県民挙げて今でも誘致運動、推進運動をしないですよ。そこのところを、農林大臣も総理もぜひ知っておっていただきたい。 ただ、確かに今ああいう形でノリの問題が出てきています。ノリについては不作だと。ところが、諫早湾から出ていった水は、佐賀とか福岡に回るんじゃないんです。時計と反対側に回るんですよ。うちの島原の方に回って、熊本に流れていくんです。だから、島原とか熊本の方の反対ならある程度まだ聞けるわけですけれども、こちらの方は、有明海全体のノリの問題については、全体が最近非常に問題になってきているという背景の中にノリの不作問題が出てきている。 ところが、それをするには時間もかかるということもあったんでしょうけれども、目の前に締め切られたこれが原因だという形で抗議行動がありまして、非常に農林省も苦労された。しかし、その中で農林水産省も非常に慎重にやられて、調査委員会をつくられて、第三者委員会をつくられて、しかも、その第三者委員会の中に漁連の関係の人を入れたということは、私は気にしておりましたけれども、今思えば、入れた上で非常に冷静な判断を出していただいたというような、そういうことになったわけです。 だから、あれをすぐあけるんじゃなくて、締めたままでまず調査しましょう、そして、将来あけて調査をする必要があれば、あけて調査もしましょう、将来ということも入っているわけですね。そのかわりに、そのときには、昔の堤防がもう何十年と放置したままですから、そっちの方に越えて被害があってはいけないから、そういう環境を十分整備した上で調査もしましょうというふうに非常に慎重な判断を出していただいたわけです。 だから、そういうものを踏まえて、今後、どこまで工事をするか、あるいは、再開するにしてもどこまでするかということをやはり決めていかなきゃならない。今みたいな中途半端なままに置いておったのではいけないと思いますので、これについての農林水産大臣の所感をお聞きしたいと思います。
○武部国務大臣 先週も地元の皆さん方がおいでになりまして、いろいろお聞かせをいただきました。また、久間先生はさまざまな問題を熟知して今お述べになられたと思います。 私といたしましては、いかなる予断も入れずにできるだけ早く現地も見させていただいて、どんな問題がさらにあるのか、あるいはまた、どのような解決方法があるのか、そして、有明海を宝の海に復元するためにはどのような観点から努力していかなければいけないのか、そういったものをしっかり勉強して対応してまいりたい、かように存じます。
○久間委員 小泉総理は、今度、新しいというか、すべていろいろ変えていくんだと意気込んでおられます。私は、そういう中で地方のいろいろな制度の改正も必要でしょうし、それと地方の財政の改革も必要だと思います。 そういうときに、戦後、今の地方交付税制度ができ上がりましてからもうかなりたっているわけですね。そういう点では、総務大臣は自治省の御出身でもございますし、非常に熟知しておられる方でございますから、まさに水を得た魚みたいなものでございますので、今、参議院選挙の前哨戦の真っ最中で本当につらいと思いますけれども、どうか地方交付税のあり方について研究してもらいたいと思います。 昔は、地方交付税の算定基準の場合に、人口とかあるいは道路の延長とか海岸線の長さとかそういうのが一つの基準になって、それをいろいろ補正もされてまいりましたけれども、今日は過疎化した市町村ほど非常につらいんですよ。そして、いろいろ金も要るんですよ。人口が多いところは、例えば下水にしても一人当たり負担金はわずかで済むわけですけれども、少ない町で下水を維持していこうというと物すごい金がかかるわけですね。 だから、人口が多いのが基準になるのかというと、私は逆に人口が少ない方がかえって交付税をやってやる必要があるんじゃないかと思いますし、道路延長でも、植樹をしていったところは、今度はそれを剪定する。植樹をするまでは道路の補助金でやるんですよ。あるいは、高速道路でもやるわけですけれども、道路をつくってしまった後の維持管理は全部県や市町村に任されるわけですね。 そうした道路にはみ出す枝を剪定したりなんかするのは、これは大変ですから、だから、道路の単なる延長じゃなくて、そういうきめ細かい配慮をしなければならなくなってきた最近の需要に応じて仕事をやっていく、需要が増しているということについて、この辺、地方交付税の制度なんかについても研究する時期に来ているんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○片山国務大臣 御承知のように、地方交付税というのは、一つは、地方の財政力がばらばらですからそれを調整するという役割と、もう一つは、ナショナルミニマムというのでしょうか、一定の行政水準はちゃんとできるように財源保障してやる、こういう二つの機能がありまして、なかなか制度としては難しい制度になっているんですが、今久間委員が言われるように、例えば、国のいろいろな施策に対応してやる、あるいは国の補助制度の後の管理運営をやる、こういうものも、地方団体の要望もありますし、しっかり見ております。 ただ、それを見ておりますから、大変、精緻と言えば言葉がいいんだけれども、複雑になっているんですよ。だから一方では、もう少し簡素化してくれ、こういう要請もあるので、それはしっかり見るということと、どうやって簡素化する、その二つの要請に十分にこたえるように考えてまいりたい。 もう出口では二十兆になっておりますから、地方財政平衡交付金が地方交付税になったわけですから、制度全体の国と地方の関係、地方税財政制度のあり方との関連で考えていきたい、こういうふうに思っております。
○久間委員 最後に、国家公安委員長を担当しておられる村井大臣にお聞きしたいんですけれども、私は、この間、これもアメリカに行きまして、サイバーテロについていろいろ話を聞いてきました。向こうの場合はFBIというのがありますからいいんですけれども、日本の場合は全部地方自治体の制度になっているわけですね、指揮権が。ところが、サイバーのテロとかああいうコンピューター犯罪の場合は、犯罪現場が一カ所じゃない。しかも、全国一斉に、一度に起きる場合があるわけですよ。 だから、時代が変わってきているわけですから、現在の地方のそういう制度だけでいいのかなという疑問を持っておりますけれども、今度の制度改革なんかをやるときにはそういうようなことも含めて検討してもらったらいいと思うので、余り今までのものにこだわる必要はないと思いますけれども、いかがでしょうか。
○村井国務大臣 戦後、日本の警察制度は、御案内のとおり、執行段階はすべて地方事務として地方の警察に任せる、こういう形になっておりました。 その観点から、今久間委員が御指摘のような問題が出てきているわけでございますが、サイバーテロのような、本当に瞬時にして全国に広がる、こういうような問題につきましては、当然全国的な対応が必要と私どもも考えておりまして、そういう意味では、サイバーフォースという組織を私どもは平成十三年度から警察庁とそれから管区警察局につくりまして機動的な対応をしているところでございますが、今後とも、今御指摘の点を生かしまして工夫をしてまいる決意でございます。 ありがとうございました。
○野呂田委員長 これにて麻生君、久間君の質疑は終了いたしました。 次に、斉藤鉄夫君。
○斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。 小泉総理、今、町では、今回の小泉政権の誕生は一種の平時の革命だなというような声もございます。私もそう思いますし、またそうしなければならない。 革命といいますと、資本主義、共産主義という経済体制の転換ということですが、我々の転換はもっと奥深い大きな転換でなければならない。すなわち、これまで経済大国を目指し、達成し、しかし、バブルがはじけて今行くべき方向を見失っている、そういう中で本当に私たちがもう一度この日本のあるべき姿、世界から尊敬をされる国のあるべき姿を見つけ出す、そういう大転換でなければならない、このように思います。 そういう意味で、きょうは私、総理それから文部科学大臣に文化政策、文化芸術政策について質問をさせていただきたいと思います。 その前に、総理は音楽、特にオペラが大変お好きだ、こういうふうにお聞きをしました。新聞にも先日コンサートを楽しまれたと出ておりましたけれども、ふだんどのような音楽、芸術を楽しまれているか、まずお聞きいたします。
○小泉内閣総理大臣 私は、音楽は好きなんですが、オペラだけじゃなくていろいろな音楽が好きなんですよ。だから、音楽を聞く点に関しては、どの国会議員よりも私が一番聞いているのじゃないかと自負できるぐらいいろいろな音楽を聞いています。 そこで、クラシックが好きなんですが、オペラだけじゃありません。よくオペラが好きだと言われていますけれども、あれは豪華けんらんな総合芸術ですから、行くとなると、やはりオペラに行った方が楽しめる。ふだんは、CD等では普通のシンフォニーとかコンチェルトとかいろいろなのを聞いているのです。 私は、子供のころからロックのエルビス・プレスリーも好きです、今でも好きです。あるいは演歌も好きです。映画音楽、現代音楽も好きです。X—JAPANも好きです。だから、クラシック、ポピュラー、演歌を問わず、何かしら聞かないとおかしくなるぐらい音楽が好きなのは事実であります。
○斉藤(鉄)委員 まさに文化芸術が生き方の、生活の根本にあるというのを、また非常に造詣が深いということを感じさせていただきましたけれども、結論から申し上げますと、私ども公明党は、二十一世紀の日本のあるべき姿は文化大国、文化芸術大国でなければならない、このように提案をしております。 それでは、文化大国というのは何かといいますと、それは、私たち一人一人が創造性が重んじられ、自立をしていくその基礎になるもの、これが文化でありますし、今都市化が進んで大変個々人がばらばらになっておりますけれども、文化というやわらかいきずなで私たちを結んで、同じ時代、同じ空間を今私たちは生きているんだ、したがってこの社会をよくしていこうというふうに、みんなをそういう気持ちにさせるもの、これが文化だと思います。また、日本の固有の文化を世界に紹介し、貢献し、そして信頼される国家、これが二十一世紀の日本のあるべき姿、文化国家ではないかと思います。 ここで、一つクリアをしておかなければならない問題があります。 そういう文化芸術大国を目指していくためには、いわゆる国家の支援、税金による支援ということがどうしても必要でございます。しかし、文化芸術というのは、先ほど総理がおっしゃいましたように、極めて個人的なものでございます。つくる方も自由な精神の発露としてつくります。また、それを楽しむ方も自由な精神のもとでの楽しみ方でございます。あくまでも個人的なもの。しかし、文化芸術大国をつくっていくためには国の支援が必要だ。この公の支援と自由な精神の発露、これを結びつける理念を私たちは持たなければ、文化芸術大国を目指して国が支援するということにならないわけでございます。 第二次大戦後、一九四六年、イギリスに英国芸術評議会というものができまして、文化芸術に対して国が積極的に関与していこう、振興していこうということを決めるわけですが、その初代議長があの経済学者のケインズでございます。そして、ケインズが、BBC放送を通じて全国民に次のように訴えます。第一に、この評議会は、芸術文化の創造者や専門家の芸術の自由を保障し、その成果を国民がひとしく享受し得るようにする、第二に、芸術文化に対する公的な援助は自由を擁護する政府の責任であると。 すなわち、自由、国民の自由の擁護のため、また国民の精神の自由の擁護のために国の文化芸術支援政策があるんだという大理念でございまして、私は、ここに公の援助と、しかし自由に属する芸術文化の活動とを結びつける理念があると思うわけでございますが、総理の文化芸術に対する基本的な考え方をお伺いいたします。
○小泉内閣総理大臣 文化芸術の重要性は、私もよく承知しているつもりであります。 音楽のみならず、芝居に行きましても、一つのあるべき姿など、芝居を通じて、ああ、人間かく生きたいな、自分もこういうふうに生きたいなと教えられるのは、芝居を見ても多いですね。そして、沈んでいるときには音楽を聞いて勇気づけられる場合もたくさんある。また、芝居を見て、ああ、自分もまた頑張ろうという気持ちを起こさせるような芝居もたくさんある。だから、人間生活に非常に大きな影響を与えるのが文化芸術だと思います。 私はもし、わがまま、独断が許されるんだったらば、ワグナーの芸術に魅入られて、ルードウィヒ、当時の王様が、国家財政を破綻に導かせるぐらいワグナーにのめり込んで、ワグナーを育て上げましたね。王様として、政治家としては非常に批判されていますけれども、いまだにドイツ国民はワグナー芸術を育てたということで敬愛している。だから、それほど文化芸術というのは多くの国民に潤いと一つの安らぎ、励みを与えると思うのであります。 特に、いいものはなかなか、それを見きわめて援助する人がいないと残らないのも文化の一つの宿命だと思いますので、民間の活力をどうやって文化芸術振興に生かすか、同時に、足らざるところを公的な支援がどの程度まで必要かというのは大事でありますので、斉藤議員のいろいろな御提案等も聞かせていただきまして、私の内閣でも支援できるところがあれば、ぜひとも支援したいなと。もっと文化芸術の重要性というものを国民が理解してくれることによって、質の高い生活が維持でき、発展していくのではないかということを思っております。
○斉藤(鉄)委員 大変、文化芸術に対する深い理解と哲学、その哲学で政治を運営されれば本当にすばらしい政治になるのではないか、私はこのように思います。 しかし、町でこれを話しますと、この大変厳しい景気の状況の中、不景気の中、何が文化芸術だという声もございます。しかし、今の日本以上に厳しい経済状況であった第一次大戦後、一九三〇年代のアメリカ、ここに文化芸術政策の一つの学ぶべき点があります。 一九三〇年代、ルーズベルト大統領があの大恐慌を乗り切るためにニューディール政策を行うわけですけれども、ニューディール政策、新規まき直し政策といいますと、我々はどうしても、テネシー渓谷開発公社だとか、ダムをつくったり、土木事業中心というイメージがあるんですが、しかし、勉強してみますと、このニューディール政策のもう一つの大きな柱が、実は文化芸術政策でした。フェデラル・ワンとして知られておりまして、連邦美術プロジェクト、連邦音楽プロジェクト、連邦劇場プロジェクト、連邦作家プロジェクト、歴史記録調査、五つのプロジェクトを設ける。 美術プロジェクトは、五千三百人の美術家を政府が直接雇用して、二千五百カ所の公共建築物を使用した壁画制作、一万八百の絵画、一万八千の彫刻をつくる。 それから、音楽プロジェクトでは、あのクリーブランド・オーケストラの指揮者のニコライ・ソコロフがプロジェクトリーダーになりまして、一万六千人の音楽家を直接雇用する、それで毎週およそ三百万人の聴衆を前に公演を行う。教育面では、十三万二千人の老若男女が毎週音楽教育を受ける。 それから、劇場プロジェクトでは、これは有名なハリー・フラナガンがプロジェクトリーダーで、一万二千七百人の劇場関係者を直接雇用、毎月千公演、観客は百万人、そのうち七八%は無料公演。あの大不景気、大恐慌の中で、もう徹底した文化芸術政策を遂行しております。 そして、そのことが、実は不景気で沈んでいたアメリカ国民の心に明るさを取り戻し、よし、アメリカ国民として頑張っていこうという勇気を奮い起こさせた。そして、そのことが、第二次大戦後、芸術の中心がパリからニューヨークへ移り、ブロードウエーのミュージカルがあの繁栄を示し、そして西海岸ではハリウッドが巨大映画産業に成長していく基礎になった、こう言われております。 不景気の今だからこそ、この文化芸術というのを大切にしなくてはいけない、こう思うわけですが、しかし、日本の文化芸術政策、大変お寒い状況でございます。ちょっと図を……。 これは国家予算全体に占める文化関係予算の比率ですが、フランスは、やはり文化国家フランス、国家予算の一%です。日本はその十分の一、〇・一%でございます。お隣の韓国は〇・六%程度でございます。ヨーロッパは、国家で直接支援をする直接支援が非常に大きいということがわかります。アメリカが非常に小さいわけですけれども、これは実は、先ほどのニューディール政策のときの国家直接支援が非常にうまくいきまして、先ほど総理がおっしゃいました、うまい民間支援の形に移っていきます。つまり、税制で援助して、民間支援という形になります。 そのアメリカと日本の民間支援を今度は比較してみますと、日本には特定公益増進法人制度がございまして、いわゆる寄附をすれば寄附をした人が税制優遇が受けられるというものでございます。アメリカはパブリックチャリティー制度でございます。しかし、文化芸術関係は、日本はわずか五十六、アメリカは、七十万と書いてございますが、これが全部文化芸術関係ではございませんが、数万あると言われております。その結果として、日本の芸術文化関係の寄附金額は二百億円、アメリカは、八割が個人ですけれども、一兆一千三百億、日本の六十倍でございます。先ほどと同じようにグラフにしようと思ったのですが、グラフにしますと日本がほとんどゼロになるものですから、グラフにできなくて数字で書きました。 このように、民間支援それから公的支援、ともに日本は非常に文化芸術に対して支援が少ないという状況がわかっていただけたかと思うのですけれども、これを見てどのようにお感じでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 実際にそういうグラフ、実績で指摘されてみますと、なるほどな、文化の重要性を口で言っても実績で残さなきゃいかぬなということを感じております。 これから文化関係予算につきましても、塩川財務大臣おられますが、今後、予算配分も変えるということを言っているわけでありますので、私も、どこまでできるかわかりませんが、今の斉藤議員の提案を誠実に受けとめて、日本も世界の先進文化諸国に遜色のないような文化予算のきっかけをつくってみたいなという意欲がわいてまいりました。
○斉藤(鉄)委員 ありがとうございます。 我が国の文化、芸術への支援の少なさは、文化活動の中核となっている文化、芸術を職業としている人たちの所得にあらわれております。 芸術家団体の調査によりますと、芸能実演家の平均年収は何と四百七十七万円。先日、あるオーケストラの方の話を伺いましたら、日本を代表するオーケストラ、そのトップアーティスト、本当に一流の演奏家ですけれども、この方の年収が何と四百五十万円ということでございました。文化庁の調査によりますと、プロの芸術家で芸術活動だけの収入によって生計を立てている人は、わずか一五%だけでございます。 そのためにも国の支援をふやしていかなくてはならないのですけれども、国の支援の仕方に、先ほど申し上げました、よくアメリカ型、フランス型と言われているそうです。アメリカ型というのは、民間の寄附が集まるようにする。これはまあしかし、それに税の優遇をしているわけですから、税金が安くなるわけで、間接的な国の支援でございます。税金を直接投入する、これがフランス型でございます。 まずアメリカ型、先ほど総理もおっしゃった民間活力ということでございますが、その典型であるアメリカ型についてちょっとお話をさせていただきたいと思いますが、寄附が集まりやすくするということでございます。(パネルを示す)本当にポンチ絵で申しわけないのですが、芸術家、芸術家団体。企業が寄附をすれば、これは一般寄附金も損金算入されますが、芸術文化関係については損金算入限度額がその分だけふえるという形で優遇税制をされております。個人については、寄附をすればそれが所得控除になりまして、後で税金が返ってくるというものでございます。 しかし、現在、この芸術団体として、先ほど申し上げました特増法人の五十六しかないわけでございます。身近にないから私たちも寄附しようという気持ちにならない。 この制度でございますけれども、まず文部科学大臣にお伺いしますが、この特増法人、もっと芸術文化関係の公益法人はたくさんございます。そういうたくさんある公益法人、もちろん公益性について厳密にチェックすることは当たり前のことでございますが、そういうチェックをして、この基準を緩和し、もっともっと寄附が集まるようにすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○遠山国務大臣 先ほど来の質疑応答を聞いておりまして、総理から大変力強い日本の文化振興についてのお約束といいますか、お話がございましたので、もう私も申し上げることがないくらいと思っているところでございますが、まさに先生が仰せのとおり、一国の文化芸術、そういうものを高めていくことは、個人の心が豊かになるだけではなくて、社会も潤い、また、一国としてのイメージもよくなり、それから国際的にも、日本の国を見る場合にすばらしいイメージをつくることもできるわけでございまして、広い意味では日本の安全保障にもなるぐらいに思っております。 今の件でございますが、確かに国によってそれぞれの芸術振興のための制度も違い、あるいは組織も違いということで、一概には言えないのでございますけれども、やはり、日本の場合に、芸術公演団体あるいは文化芸術活動への助成を行う団体について特定公益増進法人として認めておりますけれども、ただ、五十六でございます。しかもそれは、プロの芸術家たちだけを相手にして、しかも、そのプロの芸術家たちの活動が七割以上芸術活動である場合の団体についてなどの厳しい基準によって認められているわけでございます。 御提案は、さらに民間からの文化芸術活動への支援を活性化するためということの大変有意義な御提言と私は考えております。文部科学省といたしましても、その趣旨を踏まえながら、民間からの支援の促進方策について幅広く検討してまいりたいと思います。
○斉藤(鉄)委員 ぜひその検討をお願いいたします。 ここで一つ、勉強していくうちに大変おもしろい制度があるのに気がつきました。いわゆる企業メセナ協議会でございます。この企業メセナ協議会は、五十六ある特定公益増進法人の一つでございます。この企業メセナ協議会を通じて寄附をすれば、かなりいろいろなところに寄附ができて、それが税制の優遇が受けられるという制度があります。 具体的には、芸術団体が寄附者、個人または企業に寄附の依頼をする。この寄附者は企業メセナ協議会を通して、それでこの企業メセナ協議会は一円もピンはねすることなく、一〇〇%指定したところに寄附金が行く。そして、この企業メセナ協議会は特増法人ですので、税の優遇が受けられるという制度でございます。しかし、現実には、この芸術団体、個人というのは今大変限定をされておりまして、プロの公演団体もしくはプロの個人、また公益性ということも厳しく問われております。 それを、先ほど総理がおっしゃいました、民間がいかに支援をするかという仕組みを考えていきたい、これを大きく使っていったらどうかと思うわけでございます。もちろん公益性は大変大事でございますが、今、町では、本当に町の文化を保存していこう、また子供たちの教育、町での地域と学校と一体となった教育という形、それを振興する意味でも、地域で大変文化芸術の普及に頑張っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。また、いわゆる町の芸術家と言われる人たち、小さな教室だけれども、その地域の文化芸術の維持発展に懸命に、自分の懐からお金を出しながら頑張っていらっしゃるという方も地域にたくさんいらっしゃいます。 そういう方、もちろん公益性ということについて、税務当局も文化庁もこの企業メセナ協議会もきちんとチェックをしなければいけない、これは当然でございますけれども、そのチェックの後、公益性が認められれば、この企業メセナ協議会の制度を大きく活用して、幅広く税の優遇が受けられる。このようにすれば、アメリカ型の民間による文化芸術支援、そして、それはある意味では国が間接的に支援していることになるわけですけれども、こういう制度を大きく使っていったらどうかと思いますが、文部科学大臣、いかがでしょうか。
○遠山国務大臣 企業メセナ協議会は、御指摘のように平成二年に設立されておりまして、平成六年には特定公益増進法人に認定されたところでございまして、これは、民間の御協力を得ながら芸術文化活動を支援していくという意味で大変有益な活動をしていただいております。 さりながら、平成六年からそういうふうにやっていただいておりますけれども、平成十二年度の実績を申し上げますと、八百七十九の会社、個人からの寄附金に基づきまして、芸術文化団体の行う百六十五件の事業に対し、総額五億三千万余ということでございます。先生の御構想の広大なお考えとはややまだ差があろうかと思います。 文部科学省といたしましても、先生の御提案を十分考えさせていただきまして、またこの問題についても検討してまいりたいと思います。
○斉藤(鉄)委員 総理、先ほど、民間活力を活用する文化芸術政策、特増法人を大きく広げていく、またこの企業メセナ協議会を活用するという提案をさせていただきましたけれども、いかがでございましょうか。総理の御感想をお聞かせ願えればと思います。
○小泉内閣総理大臣 外国のいろいろいい例も参考にしながら、また今斉藤議員の提案も参考にしながら、実際どのように有効にそのお金が生きていくか、またそういう文化芸術振興策につながるか、よく検討させていただきたいと思います。
○斉藤(鉄)委員 次にフランス型、いわゆる国の直接支援による文化芸術振興策についてお伺いします。 奨学金についてでございます。これまで日本育英会奨学金といいますのは、いわゆる学校法人に所属している学生に対する奨学金でございました。しかし、この文化芸術の分野では、小さな教室でレッスンを受けている、学校法人になっていない教室でレッスンを受けてプロを目指している、また、いわゆる個人について、お師匠さんについて一生懸命わざを磨いている、こういう人もたくさんおります。そういう人はこの奨学金の対象になっていないわけですけれども、若い文化芸術の担い手を育てるという意味で、今ではもうなかなかお金持ちの子弟しか芸術家になれないという現実もございます。 そういう意味で、文化芸術奨学金制度というのを新たにつくって、これは文化庁に基金を置き、当然厳正な選定基準等を置く必要があるかと思いますけれども、こういう制度をつくってはいかがかと思いますが、文部科学大臣、いかがでしょうか。
○遠山国務大臣 新進若手の芸術家を育成していくということは大変重要なことであると思いますし、その支援のための施策といたしましては、これまでも芸術フェローシップによる若手芸術家の研修機会の提供とか、アーツプラン21による芸術団体の人材養成事業に対する支援などをやってまいりました。 御提案の、小規模な教室などでプロを目指して個人的にレッスンを受けている芸術家に対しての支援につきましての奨学金制度の整備ということについての御提案は、大変御示唆に富むお考えかと存じます。そういう御提案も含めて、全体としてこの分野の支援を増すための方策を検討してまいりたいと思います。
○斉藤(鉄)委員 すぐれた文化芸術を継承、発展させる、また私たち日本が持っている固有の芸術文化を伝承し、発展させていく、そのためには、若い人たちに、若い才能のみずみずしい生命力のうちから伸びてもらう教育をする必要があるかと思います。 そういう意味で、先ほどフェローシップ制度の話がございましたけれども、現在のフェローシップ制度、つまり芸術家の国内留学、海外留学等でございますけれども、非常に狭い、パイプの細いものでございます。芸術大学の中でもトップクラスのわずかな人しか行けないというふうなものでございますので、これをもっと拡充するなどで若い才能を育てるということにももっと力を注ぐべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○遠山国務大臣 斉藤先生御指摘のとおりでございまして、その分野の充実も大変重要だと考えております。 御存じのように、これまで若手の芸術家の支援につきましては、最も有効に働いておりますのが芸術家在外研修という制度でございます。昭和四十二年にこの制度ができまして以来、非常にすぐれた芸術家たちが、この制度を活用して欧米の諸国でわざを磨き、世界水準の実力を身につけていただいております。 例えばソプラノ歌手の佐藤しのぶさん、それからバレエの森下洋子さんを初めといたしまして、すぐれた芸術家がこの制度によって自己研さんをし、そして、今日の日本の文化水準ないし世界の文化水準を高めていただいていると思いますけれども、なお、先生おっしゃいましたように、そのパイプについても考えていかないといけませんし、また、芸術インターンシップという制度がございまして、日本の若手芸術家に国内研修施設などで研修の機会を提供していくという事業もございますが、これがわずかに一年で六十四人を対象というようなことでございます。 今御提案の趣旨も含めまして、若手の芸術家への支援について、さらに一層充実のための政策を考えてまいりたいと存じます。
○斉藤(鉄)委員 文化芸術と教育について、ちょっとお伺いします。 子供のころに本物の文化芸術に触れるというのは、本当に人格形成に大きな影響を与えます。私も、島根県の山奥で生まれまして、いわゆる石見神楽というのが大変盛んな地域でございまして、ちっちゃいころから本当に、私の村にテレビが入ったのは私が中学校一年のときですから、小学校時代はまさに神楽を見て育ったような人間でございます。本当に私は日本の誇るべき伝統芸能だと思いますし、私の人格形成にあれが非常に大きな影響を与えたと自分でも思っております。今でもそのはやしを聞きますと体が踊ってまいります。そういう機会が今の子供たちになくなってきているのではないか。学校も芸術文化を教えない、地域も教えない、そういう状況になってきております。 そういう中で、もっともっと学校に子供たちが本物の文化芸術に触れる機会をふやすべきではないか。例えば、今文化ホールがたくさんできましたけれども、ほとんど使われていないと言われております。ここで地域の伝統芸能でありますとか芸術家の公演をする。そこに子供たちが行く。また、舞台裏を見る。また、学校にも行く。また、地域の文化芸術のリーダーに学校のクラブ活動に行って直接指導してもらう。こういうことも教育改革の一つになるのではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。
○遠山国務大臣 子供たちがすぐれた芸術文化に接するということは、非常に豊かな心をはぐくむ面で大変大事だと思っております。 たまたま私は、十年以上前でございますが、中学校課長をいたしておりまして、荒れた教室ということで全国が騒然となったときがございます。そのときに、中学校芸術鑑賞教室ですか、そういうものの授業がございまして、そのすぐれた演奏を聞いた子供たちの感想文を読んだことがございます。それは、大人のしっかりした、本物のプロが各学校に行きまして、そして見事に演奏してみせる。そのときの、整然とした、しかも美しいメロディーが流れてくることによって、自分たちは初めて本物の芸術に触れることができた、この感動を忘れることができないという綿々たる感想文をたくさんいただきました。 また、ついせんだってまで国立西洋美術館で勤めておりましたけれども、都内のある中学校の先生が子供たちを連れてきまして、そして美術館を見せてくれました。そのときに、子供たちが学校に帰り、その感想文を寄せてくれました。その中身もまた、今までの自分たちの知見の中になかったすばらしい芸術に触れることができて、その感動がいかばかりであったかということが非常に率直に、素直に、しかし感動を持って書かれておりました。 そういうことから考えましても、私は、本物の芸術に触れるということがいかに幼いとき、小さいときに人々の心を豊かにする源になるかということをつくづく実感した次第でございます。 そのようなことから、今申し上げましたような授業としての芸術文化ふれあい教室を今年度から始めようといたしておりますし、さらに、公立文化会館もたくさん各地にできております。そのような会館を利用しまして、すぐれた舞台芸術の鑑賞だけではなく、公演の背後にある舞台裏の装置とかそういうものを見ていただくような体験、あるいは学校の文化部活動を盛んにするようないろいろな支援の実施など、本物の芸術文化に触れてもらう機会をますます充実してまいりたいと思います。
○斉藤(鉄)委員 ちょっと細かい問題になりますが、芸術文化団体の方からいろいろヒアリングをする中で、こういう懸念が示されました。 いわゆる邦楽、日本古来の音楽でございます。来年度の学習指導要領から邦楽がカリキュラムに入ってまいります。しかし、学校現場ではそれを教えられる人はだれもいない。ピアノは弾けるけれども、尺八は吹けない、こういうことでございました。しかし、地域には邦楽を支えていらっしゃる地域のリーダーがいらっしゃる。そういう方も学校に来て指導できるような体制等をとらないと大混乱が起きるという声も聞きましたけれども、この点について、ひとつ。
○遠山国務大臣 確かに、だれがどのように教えるかということはその教育の成果を高める点で大変重要でございますが、今の御指摘の点につきましては、三つの方策を考えております。 一つは、教員養成のレベルでございますが、邦楽を指導できる教員の養成のために、中学校、高校の音楽の免許状の取得要件といたしまして邦楽に関する内容を必修としたところでございまして、今年度から大学の教職課程において実施されております。 二番目は、現職教員の研修についてさらに力を入れようということでございまして、国立劇場の協力も得まして、日本の伝統音楽についての解説あるいは講演を行う伝統音楽研修会を開催するなどをいたしております。 第三の点は、まさに御指摘のとおり、各地に、教員免許状はお持ちではないですけれども、いろいろな邦楽のわざを持った、あるいは心を持った人たちがおられるわけですね。そういう方を招きまして、社会人を非常勤講師に充てる特別非常勤講師制度、あるいはボランティアの活用によって邦楽に関する外部人材の積極的な活用を図って、学校教育を充実してまいりたいと思っております。
○斉藤(鉄)委員 現場ではかなり心配されているようでございますので、よろしくお願いいたします。 文化芸術関係、最後の質問です。大臣と総理にお答えいただきたいと思います。 文化芸術振興についてこれまでいろいろ提案をしてまいりました。国が、また地方公共団体が税金を使って、もしくは税金を安くして文化芸術を支援する、これは大変なことでございます。そういう意味で、その基本となる、法律的な根拠を与える基本法、これは文化芸術基本法といいましょうか、振興基本法、いろいろな名前があるかと思いますけれども、こういう法律を定めるべきだと私ども提案をしているところでございます。 この文化芸術基本法もしくは振興基本法についてのお考えを大臣と総理にお伺いいたします。
○遠山国務大臣 文化の分野につきましては、現在、文化財保護法でありますとか著作権法など個別の法体系はできているのでございますが、御指摘のように、芸術文化の全体的なプランに基づいて振興していこうということにかかわる法律はございません。 今の御提案につきましては、大変貴重な御示唆を含んでいると考えております。今後その御趣旨も踏まえて十分に検討してまいりたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 文化芸術と一口に言っても、その範囲というのは広範多岐にわたると思います。今文部科学大臣言われたように、趣旨については私も賛同でありますので、どういう法律がいいのか、また法律以外によってどういう振興策があるのか、それも含めまして検討をさせていただきたいと思います。
○斉藤(鉄)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 それでは、最後に総理に、文化芸術とも関係いたしますけれども、教育の問題、教育改革について御質問させていただきます。 今国会は教育国会になるというふれ込みでございました。教育改革国民会議の提言を受けまして、例えば教壇に立ってほしくない先生、その配置転換を可能にする法律など、今、国会に提出をされております。大いにこの教育改革について議論をしたいところですけれども、まだ議論の緒にもついていないというところでございます。 教育改革について、小泉政権になって少し熱が冷めたのではないかというふうな論調もあるところでございますが、先ほどの文化芸術についてのお話を聞いて、そんなことはない、非常に根本的なところで教育改革を考えていらっしゃるということがよくわかったわけでございますが、教育改革に対しての総理のお考えを最後にお伺いいたします。
○小泉内閣総理大臣 確かに、私の所信表明演説の中には教育改革という言葉が少ないじゃないかという御批判はいただいておりますが、基本的に、森内閣が最重点課題として掲げた教育改革、その点は引き継ぎたいと思っております。すべてを変えるということじゃなくて、いいものは当然継続、発展させなきゃならないという視点で、言葉は短かったんですが、教育改革の重要性は私の所信表明演説でも触れたつもりであります。 中には、米百俵精神を言ったのはいかなる教育論よりもよかったというお褒めの言葉までいただいているくらいでありますので、私は、教育改革というのはそれぞれの人が意見を持っておられる。教育論を言わなくても、これは大きく教育論につながるような発言もたくさんあるわけです。 そういう点も含めて、教育、人材づくり、これは一番大事なものであるということをわきまえつつ、いかに有為な人材がこれからの日本に羽ばたいていくか、また国際社会で活躍していけるか、こういう点は本当に基本的な大事なことでありますので、今の文化、芸術のみならず、教育全般にわたり、大きな視点から取り組んでいきたいと思っております。
○斉藤(鉄)委員 ありがとうございました。 同僚議員とかわります。
○野呂田委員長 この際、福島豊君から関連質疑の申し出があります。斉藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。福島豊君。
○福島委員 公明党の福島豊でございます。 総理大臣御就任、まことにおめでとうございます。 本日は、主に雇用対策についてお伺いをいたしたいと思っておりますが、それに先立ちまして、先週の十一日でございますが、熊本地裁におきましてハンセン病の国賠訴訟の判決が出されました。らい予防法のもとで、家族そしてまたふるさとを失い、隔離政策のもとで、差別と偏見のもとで苦渋の日々を送られてきたハンセン病の多くの患者さんのことを思うと、この判決について真摯に受けとめる必要があるだろう、私はそのように思っております。 とりわけ、その判決におきましては、国会議員の立法行為についての責任ということが下されております。遅くとも昭和四十年以降に新法の隔離規定を改廃しなかった国会議員の立法上の不作為につき、国家賠償法上の違法性及び過失を認めるのが相当である。立法府におきましては、さまざまな法律の制定ということを通じて国民の生活に深くかかわっているわけでございます。 この判決を読みましたときに、私も立法府の一員として、その責任の重大さというものに対して改めて思いを深くした次第でございます。総理大臣にこの判決についての御感想、御意見、まずお伺いしたいと思います。(発言する者あり)
○野呂田委員長 担当大臣にやっていただいて、後に総理大臣に。——いいですか。 内閣総理大臣小泉純一郎君。
○小泉内閣総理大臣 この判決文はまだ詳細には読んでおりませんが、私も、厚生大臣を担当していた時代から、あのハンセン病で苦しんでいた方々の実情はよく伺っております。そういうことから、今後この判決の重さというものを考えながら、法務省、厚生労働省、よく検討していただきまして、今まで我々がとってきたものに対する判決の重さというものを受けとめて、どういい決断を下せるかなということを、厚生労働省、法務省、両方ともよく協議して、適切な対応をとっていきたいというふうに考えております。
○野呂田委員長 福島豊君。——委員長の指示に従ってください。厚生労働大臣坂口力君。
○坂口国務大臣 申しわけございません。 ただいま総理からお話がございましたとおり、私も今、非常に心を痛めながらいるわけでございます。本日午後、原告の皆さん方とお会いをさせていただくことにもいたしております。厚生省に対しましても大変厳しい内容でございますし、また、今お話がございましたとおり、国会に対しましても厳しい内容でございますので、これらの点も踏まえまして、総理あるいはまた法務大臣ともよく御相談をさせていただきたいと思っているところでございます。
○福島委員 それでは引き続きまして、雇用対策についてお伺いしたいと思います。 私ども公明党は、九八年の金融危機を経まして、九九年に連立政権に参加をいたしました。これは、日本が抱えている現在の危機を克服していくためには政治の安定こそが大切である、そのように判断したからにほかなりません。小渕内閣、そしてまた森内閣、そして引き続く小泉内閣におきましても、この改革の道筋というのはまだ途上にある、私はそのように思っております。二十一世紀の日本の安定した土台を築くためには、引き続き改革というものを全力で推し進めていかなければならない、私はそのように思っております。 現在取り組まなければならないことは何か。私は三つあると思っております。 一つは、緊急経済対策にも盛り込まれておりますけれども、不良債権の処理。この不良債権の存在というものが、日本経済の自律的な回復を阻害する大変大きな要因になっている。これを一定期間のうちに処理をしなければいけない、清算をしなければいけない、そのことがあろうかと思います。 そしてまた、二十一世紀型の日本経済に構造転換をしなければいけない。IT、グローバル化に対応する競争力のある経済というものを再構築していく必要がある、そう思っております。 そしてまた三つ目は、財政の問題でございますけれども、二十世紀型の予算構造と申したらいいかと思いますが、その予算構造から二十一世紀型の予算へと転換をしていく必要がある。 どれをとりましても大変大きな課題でございます。とりわけ不良債権の処理については、先般も民間の研究所が報告を出しておりましたけれども、それによって五十万人から百三十万人の失業者が発生する見込みがある、このように書かれておりました。 現下の雇用情勢というものも大変厳しい情勢でございます。それに加えて、五十万人から百三十万人の失業者が発生するかもしれない。となれば、改革を断行するに当たって大切なことは、雇用に対しての万全のセーフティーネットを確立するということであろうかというふうに思っております。 現下の雇用情勢について、若干御説明いたしたいと思います。 そこで、図を用意いたしました。これが完全失業率と有効求人倍率の推移でございます。 平成十一年、四・七%という高い数字を示しました。平成十二年も四・七%でございました。そして十三年に入りましてから、一月には四・九%という高い水準になり、現在も四・七%で推移をいたしております。これは、かつての日本の完全失業率の状態から比べれば、極めて高い水準であると言っても過言ではありません。そして、この四・七%という数字は全国平均でございますから、地域によってはもっと高いところがあるわけでございます。北海道では六・三%、そしてまた、近畿では六・一%という水準でございます。 この失業率の問題、そしてまた、先般、総務省からの御報告がございましたけれども、その中で、一年以上の失業者、一年以上失業状態が継続している者が八十三万人おる、これは過去最高であるということも述べられておりました。極めて厳しい雇用情勢であるということは論をまちません。 私ども公明党はホームページを開いておりますけれども、そのホームページに対してもさまざまな意見が寄せられております。具体的に一、二例御紹介いたしたいと思います。 こんなメールがございました。私の取引先で四十八歳で三年前に失業した人から、今の職につくまで一年半以上かかり、失業保険が切れた後は電気代も払えなくなり、家族に非常事態を宣言してろうそくで夜を過ごさざるを得なかったことを聞きました。また、このようなメールもあります。私は、一昨年にリストラで会社をやめることになり、再就職でかなり苦労しました。IT系の会社に再就職したのですが、軌道に乗らずまた失業してしまいました。現在も就職難で苦しんでおります。先日も、失業をきっかけに一家心中をしたというような大変痛ましい事例も報道されておりました。 現在、国民の中にある不安、さまざまな不安がありますけれども、その最も大きなものは雇用に対しての不安であると言っても過言ではないのではないかと思います。 なぜ、このように失業率が高いまま改善をしないのか。景気が悪い、そういう答え方もございますけれども、そこのところはもう少し詳しく見る必要があると思います。 それでは、次の図をお示しいたします。 これは、日本の欠員率及び雇用失業率の推移というものを示したグラフでございます。欠員率というものは、企業においてどれだけ欠員があるかということを示したものでございます。こちら側が失業率でございます。 注目すべき点はここのところでございまして、九九年の第一期、そして、これは二〇〇〇年の四半期、第四・四半期になりますけれども、そこのところは失業率は変わらないけれども、欠員率が上がっていっているという現象があるわけでございます。 これは何を意味しているかといえば、雇用におけるミスマッチというものが拡大をしているということにほかなりません。実際にはさまざまな形で雇用、求人というものが生まれてきているにもかかわらず、そこにうまく労働力が移動していっていない。これを全体的な推移で示したのが次の図でございます。 これは完全失業率に対して構造的、摩擦的失業率、これがミスマッチによる失業率。そして、需要不足失業率、これは景気による失業率ということでございますが、それの推移を示したものでございまして、この構造的、摩擦的失業率の比率というものが一貫して上昇いたしております。 先ほど、現在の完全失業率が四・七%であるということを指摘いたしましたが、そのうち、三・七%がミスマッチによる、八割がミスマッチによるものであるというふうに指摘をされているわけでございます。雇用をどうしていくのかということを考えていくに当たりまして、このミスマッチが大変大きな役割を果たしているというところに力点を置いてこれからの施策を考えていかなければならないというふうに思っております。 先般、公明党は、緊急提言といたしまして、百万人の雇用創出をという政策提言を行わせていただきました。その政策提言、四月七日に行いましたけれども、三つ柱がございます。 一つは、もちろん雇用のパイというものをふやさなければいけません。百万人の雇用の創出をしよう、これが一つ目の柱でございます。 そしてまた、二つ目の柱は、まさにこのミスマッチの問題でございまして、失業の長期化を防ぐために教育訓練をもっと拡充しなきゃいけない。そしてまた、雇用に関しての情報提供というものももっと広げていかなきゃいけない。これは、いろいろな規制緩和も必要でございますけれども、そういうものを同時に進めていこうと。 そして三つ目には、生活の安定ということが必要でございますから、失業保険、雇用保険というものに対して、その充実を図っていくということをこの中に盛り込ませていただきました。 こうした施策を一体として行っていく、改革を小泉総理が前進させていく、その過程にあって、この雇用の問題については万全を尽くしていただきたいと思っております。 この点につきましては、三党の政策協議の中でも私どもは強く主張させていただき、そしてそれを反映する形で、先週の十一日でございますけれども、産業構造改革・雇用対策本部が設置をされ、産業の構造改革と新規雇用の創出、そして能力開発支援等による雇用対策を一体的に進めるということが決定をされたわけでございます。この本部の本部長は総理大臣に御就任をいただいたわけでございまして、小泉総理の本部長としての御決意というものをお聞かせいただきたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 構造改革を進める上において当然痛みを伴う事態が生ずるということを私も所信表明で述べたつもりでありますが、それは、わかりやすく言えば、職を失う人も出てくるだろう、また離れざるを得ない方も出てくるだろうと。そういう方が新しい職につけるような支援策をどうして講じていくかというのが、構造改革を進めていく上においても大変重要なことであります。 人間は、必ずどこかで失敗します。失敗は成功のもとという言葉があるように、失敗を恐れるよりも、失敗でくじけてはいかぬ、失敗したら次の成功に向けていける意欲というものをどうやって促進していくか、支えていくか、これが大事でありまして、今、雇用形態も、現場の企業では実に変化が進んでおります。終身雇用から、むしろ個人の方から逆に短期間なら勤めてもいいとか、企業の方も短期間ならば雇いたいとか、今まで終身雇用が望ましいという方が多いという前提が、ある場面によっては違っている状態が出てきております。 そういう点も含めて、企業も雇用を受け入れやすい、一般の方々もこういう仕事だったら仕事につきたい、また転換したい、両方の条件がお互い望むような形で、これからの雇用形態、どういうふうに一つの変化に対応できるようなものをつくっていくことができるか、これは大変重要な問題でありますので、今までの、過去のものに余りとらわれず、新しい時代に適応できるような雇用形態も模索していく必要があるのではないか、終身雇用のよさ、あるいは別の面の新しい視点という点を、両面から見て雇用対策というものを考えていく必要があるのではないかなと思っております。
○福島委員 次の質問は、雇用のパイの拡大ということでございます。 これは、ただいまも総理から御指摘ございましたが、二つあると私は思っております。一つは、新規産業の創出ということで、二十一世紀型の産業構造というものを進めていかなきゃいけない、もう一つは、多様な働き方というものを認めていく、この二つの視点があるというふうに思っております。 それで、新規産業の創出ということにつきましては、今まで規制改革、そしてまたITへの取り組みというものが進められてきたわけでございます。携帯電話の利用者、そしてまたインターネットの利用者も着実にふえておりますけれども、さらにそれを加速させる必要があると思います。 現在、一つは、経済財政諮問会議において、五百万人の雇用創出をということが検討されております。これは竹中大臣にお答えいただきたいと思います。 そしてまた、経済産業省におきましても、先般の報道では、平沼プランというものをつくってこれに取り組んでいくという意向が示されたわけでございます。平沼大臣にも引き続き御答弁をいただければと思います。
○竹中国務大臣 けさの議論でも少しさせていただきましたけれども、雇用に対する問題というのは、経済財政諮問会議の今後の経済運営に当たっての一番重要な問題というふうに位置づけております。 それで、御承知のように、六月をめどに骨太の方針というものを発表することになっておりますけれども、その中で、構造改革を進める中で一体どのような経済のシナリオが描けるんだろうかということを、これは具体的な数字に至るまではもう少し時間がかかるんですが、かなりのはっきりした姿というのを出したいと思っておりますし、その過程で、実はどのぐらいの雇用吸収の可能性があるかということも検討してきたわけです。その成果の一部が、先般五月十一日に発表された雇用拡大専門調査会の数値になっております。 御指摘のように、非常に狭い意味での労働市場の中での問題だけではなくて、社会のシステム全体にかかわる部分が、今回の雇用対策にはここも重要になってくると考えておりますので、その骨太の方針の中でそういった議論をぜひ深めて、先ほど総理がおっしゃったような雇用の具体策の方向性というのを出していきたいというふうに考えております。
○平沼国務大臣 福島委員にお答えをさせていただきます。 御指摘のように、経済構造改革を進めるに当たりまして、やはり新規の産業を起こして、そして雇用を吸収していくというのは非常に必要なことでございまして、それは御指摘のとおりだと私は思っております。 昨年、御承知のように、産業新生会議あるいはIT戦略本部、戦略会議でかんかんがくがく議論をいたしまして、そして昨年十二月末に一つの行動計画というのを出させていただきました。 これは二百六十項目から成っておりまして、ドッグイヤーと言われているこういう時代でございますから、その基本的な考え方というのは、総理が提唱されている、官から民へ、それからまたいわゆる独占から競争へ、それから規制から自由へ、こういうことで二百六十項目リストアップをさせていただいて、ドッグイヤーと言われておりますから早くしなきゃいけないということで、そのうちの百をことしじゅうに達成しようと、既にその八割方は着手をしたか、進行中であります。 これだけでも小泉内閣というのは改革断行内閣であり、こういう形で聖域なき構造改革を進めていこう、こういうことでございますので、今御指摘のありました、新たに産業構造そして雇用対策本部、これがこの二十五日に開催をされます。それに向けて、そういう基本的な中で、二百六十項目にプラスされる情報通信分野でございますとか、あるいは福祉関連の中で成長エンジンになるものはないか。あるいはまた法的な面だとか、あるいは規制緩和の面で、徹底してもう一度リストアップをして、さらに強力な形で新規産業の創出、そして雇用対策、これをやっていこう、こういうことで今鋭意作業を進めておりまして、二十五日にはそういった形で、少し大げさな名前ですけれども、平沼プランという形で提示をさせていただきたい、このように思っております。
○野呂田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 正午休憩 ————◇————— 午後一時開議
○野呂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。福島豊君。
○福島委員 午前に引き続きまして、雇用問題につきまして御質問させていただきたいと思います。 雇用のパイを広げるということが大切であるという御指摘をさせていただきました。新規産業の創出、そしてもう一つは働き方の多様化を図る、この二つの視点を申し上げたわけでございます。公明党の緊急提言におきましても、労働者派遣法の規制緩和などを盛り込ませていただきました。これは、多様な働き方を認めるということが、逆に雇用機会というものを創出し、社会全体で雇用を支えていく、そのことに合致すると考えたからにほかなりません。 先般、厚生労働省におきましても、ワークシェアリングに関する調査研究報告書を発表されました。ワークシェアリング、近年注目を浴びておりますけれども、これも多様な働き方の一つに位置づけられると思います。今後、厚生労働省として、こうした多様な働き方を進めるためにどのような取り組みを進めていかれるのか、この点についてまずお聞きをいたしたいと思います。 そして、それと関連しまして、二つまとめてお尋ねいたしますが、多様な働き方を認めるということが、逆に労働者にとって不利な雇用条件というものを押しつけることになってはならないということは当然のことであります。現実に、パートタイム労働者、そしてまたフルタイム労働者の間には処遇の格差というものが存在いたしております。先般のワークシェアリングに関する調査研究報告書におきましても、処遇の決定方式や水準について両者のバランスをとることが必要である、このようにも述べられているわけでございます。 同一労働同一賃金という考え方を踏まえたパート労働者等の今後の雇用条件の改善についても、雇用の多様化というものを図ると同時に進めていかなければならない大切な課題であると思っております。厚生労働大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○坂口国務大臣 今御指摘いただきましたとおり、最近働き方がかなり多様化されてまいりまして、パート労働の人たちも一千万人を超えました。女性で見ますと、もう全体で三六%を占めております。こういう状況になってまいりました。中には、非常にそうした働き方を要求される方もございますが、しかしこれは、雇います側からこのパート労働というものをやはり要求しているという面もございますし、その内容は多様であるというふうに思っております。これから先も働き方は非常に多様でなければならないというふうに思っております。 ワークシェアリングのお話がございましたが、一つは、アメリカでも起こっておりますように、さまざまな事業をSOHOのような形で家庭で展開をするというような行き方もこれからふえてくると思います。また、それだけではなくて、派遣労働といったようなこともふえてくる可能性もございます。 派遣労働につきましても、最近とみに、もう少し期限を長くしてほしいとか、あるいはまたその業種を拡大してほしいとか、そうした御要求のあることも承知をいたしておりますが、またこれに反対をされる皆さんもお見えになることも皆さん御承知のとおりでございます。しかし、全体としては、多様な働き方というものができるようにしていかないといけないというふうに思っておりまして、そういうふうに好まれる方も非常にふえてくるわけでございますから、そういう多様な生き方を好まれる皆さん方にやはりおこたえのできるような体制をつくっていかなければならないというふうに思っているところでございます。 そうした意味で、派遣業の問題にいたしましても、ひとつもう少し今よりも規制緩和ができないだろうか、そうした面も含めましてこれから検討をしていきたい、そういうふうに思っておるところでございます。
○福島委員 次に、円滑な労働移動の実現ということについてお尋ねをいたしたいと思っております。図をお示ししたいと思います。 これが新規求人の状況、どういった産業で新規求人が生まれているかということをあらわした図でございます。これを見てわかりますように、繊維工業ですとか鉄鋼業ですとか従来型の製造業というのはほとんどふえていない。それに対して、急速に伸びをいたしておりますのが、情報サービス産業、そしてまた医療、教育、社会福祉といった分野であることが一目瞭然でございます。 こうした求人の状況が産業によって大きく変わっているということを考えた場合に、円滑な労働移動をするために大切なことは、いかにその教育訓練の場を提供し、そして適切な能力を培っていただくことができるかということであろうというふうに思っております。 私どもの政策提言の中では、アメリカのコミュニティーカレッジに倣って日本版のコミュニティーカレッジを創設してはどうかということを盛り込ませていただきました。現在も公共職業訓練制度や、そしてまた教育訓練給付制度というものがございますけれども、それを抜本的に拡充することによって高度な能力を身につけていただく、そういう機会を提供すべきではないか。 より詳しく申し上げますと、公共職業訓練を、民間委託を進めることによってホワイトカラー重視の能力開発というものを拡充していく、また、職業訓練と職業紹介を一体的に進めていく、そして、高度な訓練ということですから、大学や大学院というものを活用した能力開発の促進を図るべきであるというようなことが指摘できると思います。 この点につきましての厚生労働省の御見解をお聞きしたいと思います。 また、あわせ、現在、緊急雇用創出特別奨励金、そしてまた新規・成長分野雇用創出特別奨励金等の助成制度がございますけれども、現在のハローワークによる紹介要件というものについて、これが一つの足かせになっているという部分がございます。ここのところも撤廃をするような方向で見直しをしていただくべきではないか、そのように考えておりますが、同じく大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○坂口国務大臣 これも進めていかなければならない問題でございますが、なかなか難しい点も正直申しましてございます。今御指摘になりましたような面につきまして、私たちも今一生懸命検討をさせていただいているところでございます。 ハローワークでいろいろの職業を皆さん方に御説明申し上げますときに、あわせて職業訓練のことにつきましても、こういう制度がありますよということを一体で皆さん方にお教えするようにいたしております。 それだけではなくて、その皆さん方がいろいろの職業についていただきますための訓練を国だけがやっているのでは、これはどれだけやりましてもやはり限度がありますから、やはり民間の皆さん方にそこをお願いしなければなりませんのと、それから、これは文部省の方にもお願いをしなければならないわけでございますが、大学や大学院等にもそうした職業訓練との関連を密にさせていただいて、そして、そこに行っていただく皆さん方にも補助金が行き渡るようにしていきたいというふうに思っております。 昨年度も、平成十二年にこの職業訓練をお受けになりました方、これは学卒の方も含めてでございますけれども、全体で五十万人ぐらいお見えでございます。これを今年は八十万人にふやしたいと思っておりまして、さらに拡大をしていきたいと思っておりますが、まだまだ不足するだろうというふうに思いますから、ミスマッチをなくしますためには、やはり多くの皆さん方により多くの訓練を受けていただいて、そしてそれに対応していただくようにしていくように努力したいと思っております。
○福島委員 ぜひ積極的な取り組みを進めていただきたいと思っております。 時間の関係もありますので、通告いたしておりました質問を若干省略させていただきたいと思っております。 次にお尋ねしたいことは、中高年の再就職ということでございます。 先ほども申しましたように、公明党のホームページにさまざまな御意見が寄せられております。その中で非常に多いのは、年齢制限というものがあってなかなか再就職ができない、これを何とかしてくれないか、何とか撤廃してくれないかというような御意見が非常に多うございます。これは、現実に五十五歳以上の求職に対しての有効求人倍率が、現在では〇・一五と極めて低い水準にあることにあらわれているわけでございます。 今国会におきまして、雇用対策法の改正等におきまして、再就職における年齢による差別を防止するための規定が盛り込まれておりますけれども、これをいかにして実効性のあるものとしていくのか、中高年の方であったとしても再就職がスムーズにいくような、そういう条件というものを整備していかなければならないと思っております。 アメリカにおきましては、雇用における年齢差別を禁止する法律が存在するわけでございますけれども、ヨーロッパには、しかしながら存在いたしておりません。一律にこういう法律で禁止するということが現在の雇用慣行というものに照らして適切かどうかということは、さまざまな意見があるところでございますけれども、そのような意見を踏まえた上で、今後厚生労働省としても具体的な取り組みというものをさらに進めていく、その方向性をぜひともお示しいただきたいと思います。大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○坂口国務大臣 今お話をいただきましたように、雇用対策法の改正によりまして、求人年齢制限の緩和というものをその中に盛り込ませていただきました。 これは、もう緩和ではなくて禁止したらどうかという御意見もかなりありますが、しかし、禁止ということになりますと、例えば大学を卒業した、その後、大学卒業と同時に就職をするというその年限の問題、あるいは六十歳ないし六十五歳の定年の問題等、そうした問題も、果たしてそれじゃそれは許されるのかということになってまいりまして、日本の雇用全体にかかわってくる問題になってまいりますので、一度になかなか禁止とまではいかない、大きな混乱も起こりますので、まずは緩和というところからいかざるを得ないというふうに思っております。緩和をするだけでも大変だろうと思います。 ミスマッチというふうに一口で言っておりますが、中高年のミスマッチの第一番は年齢制限でございますから、入り口のところでもうカットされてしまうということでありますので、これはどうしてもやはり見直していかなければならないというふうに思います。 年齢制限をしておみえになりますいろいろの事例を拝見してみますと、本当にしなければならないのもありますし、しかし、これを本当にしなきゃならないんだろうかと思うような年齢制限もあるわけでございます。 一、二例だけ挙げさせていただきます。例えば、企画、広報、編集というのは、平均しますと三十二・四歳、これがこの年齢制限の平均でございます。それから、配達便などの配達職、これが四十一・一歳。もうちょっと上でも配達職などはできるのじゃないかというふうに思うわけですが、それでもきちっとこういうふうな年齢制限があるものですから、そうしたところはもう少し御勘弁をいただくといったふうにしていかないといけない、そんなふうに思っている次第であります。
○福島委員 先ほども申し上げましたように、失業期間が延びていっている、そういう現状がございます。一つには、ただいま大臣おっしゃられましたように、年齢というもののミスマッチというものが、八十三万人、一年間以上失業しておられる方の中には多々あるんだろうというふうに私は思っております。ぜひとも実効性のある取り組みというものを進めていただきたいと思います。 そして、雇用対策全般におきましてそれを推し進めていくために必要なことは、やはり予算の裏づけではないかというふうに私は思っております。先般、私どもの緊急提言の中で、二兆円規模の緊急雇用対策基金の創設をということを盛り込ませていただきました。 ここで、図を一つお示ししたいと思います。これは、各国における「GDPに占める雇用政策予算の比率」ということでございます。日本はどこにおるかといいますと、下の方でございます。日本は〇・六一という数字、アメリカが〇・四二という数字でございます、九八年度でございますけれども。九八年といえば、アメリカというのは景気が非常にいい状態、それと余り変わらないというのが日本の現状であるという数字が示されておるわけでございます。 これからの改革の断行ということを小泉総理はおっしゃっておられますが、私もぜひとも推し進めていただきたいと思いますが、それに伴って起こってまいる雇用の問題、失業の問題、これに対してどのように対応していくのかということについては、機動的かつまた適切な予算措置というものもぜひとも行っていただきたいと思っているわけでございます。この点につきましての総理大臣の御認識をお聞きしたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 雇用の重要性については御指摘のとおりであります。それゆえに、産業構造改革・雇用対策本部を設置して、これから本格的に雇用対策の拡充に努めようということでありますので、今言った御意見等も参考にさせていただきまして、検討を進めていきたいと思います。
○福島委員 次に、雇用とは若干離れますが、年金の問題について一点だけお尋ねをしたいと思っております。 年金というものも将来どうなってしまうんだろうか。先ほども言いましたように、国民の不安というものの中の一つのファクターになっているのではないかと私は思っております。 先週、平成十一年の国民年金被保険者実態調査の結果が公表されました。リストラ等によりまして、厚生年金から国民年金への異動がふえている。そしてまた、適用対策というものによりまして、第一号被保険者自体は増加をいたしております。しかしながら、保険料を納めていない者の数は、平成八年に百七十二万人だったものが、平成十一年には九十二万人増加をいたしまして、二百六十五万人となっているわけでございます。 本格的な高齢社会を迎え、公的年金というものの重要性は今まで以上に重くなっていると私は思っております。しかしながら、その中で未納者が増加しているということは大変憂うべき事態であると思いますし、こうした未納の原因がどこにあるのか、保険料が高いというような意見もございますけれども、果たしてそういうようなことでふえているのかどうか、実態をお教えいただきたいということが一点でございます。 そしてまた、今後、この未納対策というものに対してどのように取り組んでいかれるのか、厚生労働大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○坂口国務大臣 国民年金の未加入、未納対策についてでございますが、二十になりますと、その人たちに対しまして、加入をしてくださいというので、最近は年金手帳をお送りいたしております。年金手帳をお送りいたしておりますから、未加入者というのは減ってきているわけです。送っていますから、その人たちは加入していることになる。ところが、その人たちは、手帳はお送りしておりますけれども、全部が全部払ってくれないものですから、かえって未納者はふえてきている、こういう結果になっているわけでございます。 今回の調査結果を見ますと、未納者の割合は大都市と若年層が高くなっており、それから、納めている人と未納者、納めていない人との関係について見ますと、所得分布の状況に大きな差はございません。これは両方ともよく似た所得分布でございます。それから、未納者でも半分以上の方が生命保険や個人年金に加入しておみえになります。 したがいまして、公的年金というものがいかに将来役立つかということについての意識というものをちゃんと持っていただけるようにしないといけない。そこが、今まで、保険料を上げるものですから、大変だ大変だということが余りにも浸透し過ぎた嫌いがございまして、やはり大変ではありますけれども、他のものに比べましたらこれほど安定しているものはないということを御理解いただく以外にないだろうというふうに思っております。
○福島委員 私は、公的年金制度というのは一つの人類の知恵だろうというふうに思っています。みずからの三十年、四十年先の人生、一体いつまで生きるかということはわからない。そしてまた、そのときに経済がどうなっているかもわからない。ですから、自分で貯金して対応しますよといっても、一億あれば足りるのか、二億あれば足りるのか、こんなことはわからないわけです。 ですから、みんなで支え合っていこう、そして、リスクをカバーしようという大変大切な制度であると思っております。これから高齢化がさらに進む我が国におきまして、公的年金制度をきちっと維持していく、このことは国民の安心にとっては大変大切な課題でございます。 厚生大臣も務められた総理大臣の、この公的年金制度を守っていくんだ、その決意をぜひともお示しいただきたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 確かに、自分は保険料を払い続けていってその後生きているんだろうかと心配する方も、若いときから払っていただいて、支え合う社会をつくろう、これは議員御指摘のとおり、いい知恵の一つじゃないか。 今厚生労働大臣のお話がありましたけれども、未納者も、必ずしも低所得者が保険料を納めていないという状況じゃない、所得に関係なく、保険料を納めない人は納めないんだというお話がございました。それで、公的保険には保険料を納めないのに民間の保険に入っているというのですから、それだけ政府が信頼されていないのかなという憂うべき点と、いや、そんな政府なんか頼りにしないでおれは自分でやるよというたくましい点と、両方見方があるわけですが、考えてみますと、厚生年金にしても国民年金にしても、今三十代、四十代の人が親に十万、二十万毎月仕送りできるかというと、とてもできない。そのかわり、毎月二万円なり三万円なり負担することによって自分の親の世代が十万、二十万もらえるんだという仕組みですから、これはぜひとも支え合いの精神のもとで維持していきたい。 公的年金というのは損得の問題じゃなくて、お互い支え合いの制度なんだ。なおかつ、民間保険に入っている人も、これは公的年金の方が、有利不利という点を問うと必ず有利なわけですよ。なぜならば、公的年金は税金投入されていますから。だから、自分の負担している保険料よりも、今までの人から比べれば給付は少ないけれども、いかなる民間保険よりも公的年金というのは圧倒的に有利だということを御理解いただきたい。 そういうPRが政府も不足しているんじゃないか。いろいろ未納者の実態等を調べながら、いかに公的年金というのは若い世代、高齢者が支え合う大事な社会保障制度かということをよく理解していただきまして、これが持続可能な、健全な、大事な社会保障制度の柱であるということを御理解いただけるように、これからも積極的に取り組んでいきたいと思います。
○福島委員 以上で質問を終わります。大変ありがとうございました。
○野呂田委員長 これにて斉藤君、福島君の質疑は終了いたしました。 次に、井上喜一君。
○井上(喜)委員 保守党の井上喜一でございます。 このたび、小泉総理、まことにおめでとうございました。 先週、小泉総理のお考えは、所信表明演説、それから本会議の質疑を通じましてよくお聞きをいたしたところでありまして、大変明快なところが多かった、こんなふうに思います。きょう私が質問いたしますのは、それよりもう少し中に入ったところを、必ずしも所信表明演説なりあるいは本会議での質疑の中で明らかにされなかった部分について、総理の明快な御答弁をお願いいたしたい、こんなふうに思うのです。 緊急経済対策を速やかに実行していくということに触れられております。当然のことだと思うのです。不良債権の処理がその中で非常に大きなウエートを占めております。不良債権の処理を一定のルールに基づいて着実に進めていく、あるいは不良債権処理に伴う問題、雇用対策などはそうだと思うのでありますが、そういうことを処理していけば万事がうまくいくような考えが最近強くなっているのじゃないかと思うんですね。 不良債権の処理は大切でありますけれども、経済の構造改革といいますのは、企業自身の努力がまず第一ではありますけれども、やはり大きな産業構造を転換していくとか、あるいは新しい産業をつくり出していく、あるいは企業の体質を強化するということにつきましては、相当周到な計画のもとに政府も努力をしていかないといけないのじゃないかと私は思うのでありますが、お考えはいかがでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 構造改革の重要性というのはいろいろ見方があると思いますが、私は、この十年来、政府は景気対策をやってこなかったわけじゃない、むしろ目いっぱいやってきたと言ってもいいのではないかと思っております。なぜならば、経済学者の方でも、不況になったら、有効な経済政策は二つあると言いますね。一つは金融政策、もう一つは財政政策。金融政策はどうかというと、これ以上金利を下げることができないほど下げていますよ。しかし、これがうまく働いていない。では、財政政策はどうか。これだって、これ以上借金できないぐらい借金の増発。それでもなかなか景気回復しない。 そこにこそ、今まで成功してきた、うまくいっていた機能がもう今までどおりの対策では有効に機能してこなくなったのじゃないかということから、今までのやり方を見直そう、有効な国民の資金が生産性の低いところに使われているのじゃないか、今までのむだな構造はないかということから、私は、行政の分野においても財政の分野においても経済の分野においても雇用の分野においても、いろいろ改革しなきゃならない。だからこそ、構造改革なくして景気回復なし、経済再生はないということで取り組んでいるのであって、今までの成功してきた事例、うまく機能してきた制度とか機構というものをこの際総点検して見直そうというのが私の言う聖域なき構造改革なんです。 いかに公的資金をむだのない形で有効に使うかというのと、そして多くの皆さんが言うように、いろいろな行政機構の改革、あるいは雇用の形態も今御承知のとおり変わってきております、この面についても、痛みを恐れず、もしも失業者が出た場合には、どうやって新たな産業に立ち向かっていく勇気と気力と、また政府としての促進策を拡充していこうかということを考えていかなきゃならない。 この点につきましても、私は、この二カ月、六月を目途に、経済財政諮問会議で各般の方々からの意見を聞いて、早急に基本的な具体策を、方針を示さなきゃいかぬと思っておりますので、その際には、またいろいろ貴重な御意見もお聞かせいただきたいと思っております。
○井上(喜)委員 最近、財政再建問題なんかに絡みまして、ややもすれば景気対策というようなことが幾分差し控えられているような感じがするのでありますけれども、しかし、緊急経済対策の中にも言われておりますように、やはり景気の動向には十分配慮して、機敏な経済財政運営あるいは金融対策が必要だ、ただし、その中身についてはよくよく再検討してやらないといけない、こういうような趣旨の御答弁と承りまして、そのように理解をさせていただきます。 最近、景気が少し悪い、後退をしているということで、先ほどの経済の月例報告なんかにもそれははっきり出てきているのでありますけれども、本年度の経済成長率は一・七%、こうなっているのですね。総理は、これについてはやはり達成していかなくてはいけない目標とお考えですか。
○小泉内閣総理大臣 経済成長率というのは一つの見通しでありまして、目標ではありません。できれば達成することがいいに決まっているのですが、やるべき改革をしていくのが必要ではないか。私は、三十兆円も国債を発行して財政政策を打っている状況で、目標の経済成長率が達成できるかどうかというのは今後の問題でありますので、むしろこれから提示いたしますやるべき改革をやっていって、その状況を見て判断すべき問題ではないかな、そう思っています。
○井上(喜)委員 そういたしますと、平成十四年度以降につきましても、いかなる成長率を目標とするのが適当かということをこれから検討していきたい、こういう趣旨でよろしいのですか。
○竹中国務大臣 井上先生の御質問の、中期的な経済成長の姿と短期的な姿の関連でありますけれども、御承知のように、今、現行生きている九九年に策定された政府の経済計画、これは実はその計画の中ではありませんけれども、参考資料として、日本の経済には二%程度ぐらいの成長力があるのではないかということが示されていたと思います。 これまた政府の決定そのものではありませんけれども、九八年から九九年にかけて私も参加させていただいた小渕内閣のもとでの経済戦略会議の中での一つのめどの数字として、日本の経済には本来二%ぐらいの成長力があるのではないかというような姿が示されていたと思います。 したがって、多くの専門家の間には、そのぐらいの力は日本経済にはあるのではないかというふうに想定されてはいるというふうに思われますけれども、先ほど総理のお話にもありました経済財政諮問会議の骨太の方針、さらにはそれに続く一連の作業の中で、そういった中期的なシナリオというのは、改めて、最近の状況を踏まえてもう一度見直そうという作業を今一生懸命やっております。 その中でそういった姿が次第に明らかにされてくると思いますし、もう一点、単年度の経済成長につきましても、ことしが一・七か何%かということは、単年度で意味するということは私は余り意味がないと思っておりまして、そういった中期的な姿の中で、ことしが改革の新しいスタートとしてどういう位置づけになるかということを、少し立体的に議論していかなければいけない段階ではないかなというふうに考えています。
○井上(喜)委員 次に、財政改革についてお伺いをいたしたいと思います。 ことしの予算を見ましても、実に財源の三四%余りを公債発行によって賄うという大変異常な状況になっておりまして、そういう意味では、もちろん税収の確保も必要でありますけれども、歳出の見直し、これはもう必至の状況になってきていると思うのであります。 しかし、最近の議論を聞いておりますと、何か公共事業費が悪であるというような議論が大変横行しているように思うんですね。公共事業につきましても、確かに見直すべきところはあるのでありますけれども、そもそも悪だというようなことで、公共事業費だけを何か見直せばそれで財政改革ができるんだというようなごとき議論は私はおかしいと思うんですね。 確かに、今一般歳出を見ますと、大体、社会保障費が二一%ですね。それから交付税交付金が二〇%です。公共事業が一一%ですね。この三つが非常に大きな費目でありまして、この三つ、やはりそれぞれこれは見直していかないといけない項目だと私は思うんですが、その点について、総理のお考えをお聞きいたしたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 これは、必ずしも公共事業が悪だという見方はいたしませんが、今後の財政構造を考えていきますと、今、国の予算状況を見ますと、一番使っている部分が社会保障関係と地方に行く地方交付税交付金と公共事業なんですね。今後とも、この三つの予算をどうしていくかということが、財政規律を保つ上において非常に重要なわけです。 となると、社会保障関係の費用というのは、これは当然伸びていきます、高齢者がふえていきますから。といいますと、どこか減らさなきゃならないだろうということを考えると、公共事業というのは今までのように伸びていくわけにはいかぬということから、削減が必要だろうという議論が出てきているんだと思います、大方の見方は。それで、今後、予算配分においてもこの問題は大きな問題になると思います。 そういう点で、これからの時代にどういう予算の配分が必要かというのは、財務大臣初め我々特に与党が苦労するところではございますけれども、その中で聖域なく見直していかなきゃならない。今までどんどんふえて当たり前という事業も、場合によっては減らしていかなきゃならないという観点から、あらゆる予算について、公共事業のみならず、いろいろ配分構造を見直していこうというのが我々の基本姿勢であるということを御理解いただきたいと思います。
○井上(喜)委員 社会保障費が増大をする、あるいは社会保障費の問題が出てくるといいますのは、一つは、少子高齢社会が進展をいたしまして若い世代の負担が重くなってくるとか、あるいは経済の成長以上に社会保障費の給付がふえてくる、こういうところに大きな問題があるのであります。 総理も所信表明の方で、やはり給付と負担のバランスをとらぬといかぬ、こういうことを言われておりまして、しかも制度的には長くもつような、そういう制度を構築していかないといけない、こういうことを言っておられるのでありますが、社会保障費につきましては、給付についてはどういうお考えですか。給付はやはり大体今の水準ぐらいで保っていくのか、あるいは多少給付の水準そのものについても見直していくのか、少し立ち入った議論になりますが、どのようにお考えですか。
○小泉内閣総理大臣 給付というのは、年金だけでなく、医療でもあります。介護でもあります。これが給付と負担の均衡を図るという、一口で言えば片づけられる問題ですが、中身は多種多様、年金一つとってみても一人一人違います。こういうことで、どの程度の給付と負担と、また、個人の利益を得る場合の受益者負担、医療なんかですね。保険料と税金、それから患者さんがかかった場合の自己負担とかいう問題が出てくるわけです。 いずれにしても、今までの状況の給付のままでいくと、負担する人が少ないのですから、大幅に負担しなければならない、これが問題なわけですね。そういう点で、税金を幾らでも投入しろというのだったらばそれは増税してやればいいのですけれども、そうはいかぬ。増税も嫌だ、保険料値上げも嫌だ、個人負担、これも嫌だというとなると、この三つの組み合わせをこれからの少子高齢社会を見ていかに組み合わせていくかしかないわけです。その点は今までのとおりにいかないということは事実なんです。 こういう問題は、広く国民に説明をし、理解を求めて、社会保障というのは天から降ってくるものじゃない、自分たちが、給付も受けるけれども負担もしていくんだと。医療保険一つとってみても、病気にならないと損だという考えを持っては困る。保険料を負担してでも、むしろ病気にならない方がいいんですよ、そういう気持ちを持ってもらわないとこの医療保険というのは成り立たない。 その点をよく理解してもらうような説明と、お互い、給付と負担のバランスが必要か、これは非常に難しい仕事でありますけれども、粘り強く、多くの国民の、大方の賛同を得られるような形の改革をしていかなければならないなと思います。
○井上(喜)委員 次に、交付税交付金でありますけれども、これも大変大きな金額を占めるのであります。 よく、財源を国から地方へ移譲すれば、移せば問題は解決するんじゃないかと言われますけれども、そういうことでは必ずしもこれは解決しない問題でありまして、地方の行財政その他、抜本的にやはり見直していかないといけないと私は思うのですね。町村合併なんかももっと促進をしていくとか、あるいは、明治初にできました都道府県制なんかも検討していくとか、幅広い、本当に抜本的な改革をしていかないといけないと思うのでありますが、この点につきまして、総理、どのようにお考えですか。
○片山国務大臣 御指摘のように、国もこれから聖域なき構造改革をやる、行財政改革をさらに切り込む、こういうことですから、私も今まで地方の行財政改革を相当、地方行革大綱なんかつくってもらいましてやりましたけれども、さらにさらにやっていただく。 それとともに、今お話しのように、二十一世紀は地方の時代、私はこの地方の時代は市町村の時代だと思っておりますから、地方分権の主役に市町村がなってもらわなければならない。そのためには、市町村の規模、能力の強化は必至ですよ。 それと同時に、合併することによる行財政の効率化、その意味で市町村合併をぜひ強力に推進いたしたい。与党三党は、千を念頭に、こう言っておられますから、今、三千二百二十六ありますけれども、三分の一ぐらいを目標に、平成十七年三月までの合併特例の期間までに強力に推進いたしたい。その見通しができた上で、それでは、明治以来の都道府県制度をどう考えるのか。道州制の議論もありますよ。かつては都道府県合併論もありました。あるいは、もう思い切って我が国も連邦制に直してしまうか、こういう議論もありますよ。ただ、これは、市町村合併がかなり進んだ段階で、まさに国民的な議論の中で将来の見通しをつくっていく、こういう必要があるのではなかろうかと思いますが、御指摘の地方の行財政改革もさらに強力に推進いたします。
○井上(喜)委員 次に、教育改革についてお伺いをいたします。 所信表明演説では割かし大きくは取り上げられていないと思うのでありますが、先ほどの御答弁にありましたように、米百俵の例にもありますように、教育の大切さというのは十分認識の上で触れられた、こんなふうに思うのであります。ただ、教育基本法につきましては、広く議論を深めていく、こういう表現になっているのでありますが、単に議論をするだけじゃなしに、できるだけ早く結論を出すようにお願いをしておきたい、要望しておきたいと思います。 そこで、私はきょうは、平成十年改訂の学習指導要領、小学校、中学校、これについてお伺いをし、考えを申し上げたいと思うのであります。 いよいよ、新しい学習指導要領によりまして、小学校は来年から、中学校は再来年からこの要領に基づく新教科書で授業が始められるということでありますけれども、この新しい学習指導要領ほど、現実に実施される前に問題になった学習指導要領はないと思うのですね。しかも、その中身は大変評判が悪い、私はそう思うのですね。 理由が二つほどあると思うのです。 これは私の理解なのですが、一つは、週休二日制なんかになりまして総時間数が減るということは、これはしようがないことでありますけれども、理数科を中心として大変時間数が減っているわけですね。 ちょっとこの表をごらんいただきたいのです。 昭和四十三年、五十二年、平成元年、平成十年と、四十三年以来四回学習指導要領の改訂がございまして、小学校、中学校の、それはこの表に挙げませんでしたけれども、その中で、算数・数学と理科を取り上げました。それで、この四十三、四十四年を一〇〇にいたしまして、ここは小学校が八三%になっているのですね。それから、中学校については七五%です、四百二十時間が三百十五時間。小学校は、千四十七時間が八百六十九時間。理科になりますとこれが、六百二十八時間が三百五十時間、実に五五・七%なんですね。中学校が、四百二十時間が二百九十時間、六九%であります。こういう状況なんですね。 これを外国と比較してみますと、もっとおもしろいのです。これは必ずしも資料が十分でありませんで、文部科学省からいただいた資料であります。アメリカの場合には括弧にしてありますので、そのまま入れましたけれども、ちょっとこれは問題だということだと思うのですね。 それで、算数・数学を見てみますと、新の、ここですね、これが新しい学習指導要領なんですが、二百七十時間ですね。一〇〇にいたしますと、アメリカはこうでありますが、イギリス九五・九、ドイツ一三〇・〇、フランスが一四四・〇%ですね。それから、小学校は、百二十五時間を一〇〇にいたしますと、アメリカ一二一・六、イギリス一四三・〇、ドイツ一〇八・〇、フランス一四一・六なんですね。 あるいは、理科なんかを見ますと、これも非常にはっきりしているのですね。まず中学校からいきますと、一〇〇にいたしますと、イギリスが一二三・〇、ドイツが一二一・二、それからフランスが一三六・六ですね。小学校も同じような傾向なんですね。 それで、こんなことで本当に科学技術立国なんかできるのか。この間決定されました科学技術基本計画なんかは、これからノーベル賞をどんどんもらうような、そういうことをやっていくなんて言っているのだけれども、果たしてこんなことでそんなことができるのかということですね。 それから、私は、もう一つの理由は、現場で今いろいろな問題に直面しております。一つは、なかなか授業ができないということですね。生徒がうろうろして授業ができない、あるいは規律が守られないような状況、結果として学力が低下する。文部科学省は認めないんだけれども、いろいろな言いわけをするんだけれども、現実はそういうのが進行しているわけですね。そういう要求にこたえていないと思うんですよ。私は、そんなことで大変この新学習指導要領の評判が悪い、こう思うんですね。 私は、やはり子供のときの教育というのは、きちっと学校の規律を守らせるような教育とか、あるいは基礎的なことをきちっと教え込むような教育、そういうのが必要だと思うんですよ。今は、ゆとりの時間を持つとか、あるいは今度の新学習指導要領では、何か総合的な学習時間ということで、結局、何をやっているかわからないような時間、現実の運用を見ましても、余り成果が上がっていないと思うんですよね。社会体験をさせるとかなんとか書いてあるけれども、能書きは立派だけれどもなかなかそういうぐあいになっていないということで、私は、早期にこの学習指導要領の抜本的な改正をやるべきだ、これはもう国民の声だと思うんですね。 どうも今までは、文部省と文部省が任命した委員、これを中心にこういうことが行われていたと思うのでありまして、国民の目線で、国民が皆納得するような中身の学習指導要領をつくるべきだと思うんですが、総理の見解を伺います。
○遠山国務大臣 先生の御意見は、まさに日本人の将来を考えて、もっと学力をつけてしっかりとした力をつけようではないかというお考えと承ります。私もその意味では大賛成でございます。これはぜひ、日本の将来を担ってくれる子供たちが本当の学力を身につけてもらいたいと思う次第でございます。 新しい学習指導要領というのは、やはり本当の力とは一体何なのかということから出発していると思います。これからの時代は不透明な時代でもございまして、科学技術はどんどん発達する、また、今からは想像もできないようないろいろな変化が起こる。いろいろな変化が起きたときに、本当に考える力を持っているということが大事ではないか。そのようなことを考えますと、細々した知識を詰め込むよりは、基礎、基本をしっかりして、基礎、基本をしっかりすれば問題が起きたときに応用力が出ます。また、いろいろな事態を見ながら課題を考えて、自分で挑戦する力もできるのではないか。そういうふうなことから新しい学習指導要領はでき上がっていると思うのでございます。 今、表にしてお見せいただきましたけれども、一見、授業時数だけを比べますとかなり減少しているかのようでございますが、お話にもございましたように、総合学習の時間でありますとか、あるいは中学校に参りますと、本当に興味を持った子供たちが選択する時間というのがございます。そういう選択する時間もかなり十分に与えております。 そういうことを総合的に考えますと、私は、日本のこれからやろうとしている新しい学習指導要領は、本当の実力をつける、そういう方向に向かっているように思うのでございます。 しかしながら、御存じのように、私は、これをそのままずっと続けるということではなくて、学力調査もし、実際に学力が落ちるということであれば、これを柔軟に考えていきたいということでございます。
○井上(喜)委員 文部科学省はいろいろな能書きを言うんですよ。能書きどおりには現場ではいっていないわけでありまして、そういう現場に目を向ける、現場を直視して、本当に国民が納得するような学習指導要領にしないといけないと思うんですよ。文部省に言わせますと、いやいや、学習指導要領は最低基準でどうのこうのとか、学力は低下しておりませんよとか、厳選をした中身になっておりますとかいろいろ言うんだけれども、こんなものはそういう能書きなんですよ。 だから、総理、この私の質問に対してどういうふうなお考えですか。お答えいただきたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 私も、子供のときと今の子供を比べると、随分かわいそうだなと。私のころの小学校時代は、学校から帰るとほとんど遊んでいましたよ。めんこ、ビー玉、べいごま、あとセミとり、トンボとり、鬼ごっこ。学校から帰って勉強したことなんかほとんどないですね。それに比べると、今の子供は学校から帰ってくると、また塾へ行く、おけいこごとをやる。 私は、必ずしも算数とか理科の授業数が減ったから学力低下に結びつくとは思っていないんです、率直に言うと。それより大事なのは、わかるまでよく教えることが大事だ。わからないまま上に行ったら、授業はますますつまらなくなりますよ。それと同時に、わかっている子にもうわかり過ぎるぐらい当たり前のことを教えると、これもまたつまらない。だから、今三十人学級と言っていますけれども、小学校の段階から余り三十人学級にこだわらないで、わかるように教えた子は次の段階へ進む、わかる子はどんどん先へ進むような体制をとった方がいいんじゃないか。どんなできない子に幾ら教えたって、やろうとしないですよ。好きな子は黙っていてもどんどんやる。だから、そんなに私は授業数が減ったから心配する必要はないんじゃないか。 むしろ、これまで減ってきたのは、余りにも詰め込みに問題があったんじゃないかという視点から、少しはゆとりを持たせようということで出てきたんですから、その点もよく考えながら、私は、もし学習指導要領に問題があれば、直すべき点は直していけばいい。ともかく、できるだけ子供たちの選択の幅を広げる。能力のある子はどんどん伸びてもらう、わからない子には十分わかった段階で上に進んでもらう。高校生になっても大学生になっても分数の割り算ができないというような状況はやはりなくさなきゃなりませんが、私は、必ずしも授業数が減ったことで伸びる子が伸びられないというような状況でもないんじゃないかなと思っておりますが、今後、委員の意見も参考にしながら、もしよりよき学習指導要領があれば変えていけばいいのではないかなと思っています。
○野呂田委員長 これにて井上君の質疑は終了いたしました。 次に、宇田川芳雄君。
○宇田川委員 21世紀クラブの宇田川芳雄でございます。 私ども21世紀クラブといたしましても、小泉内閣の誕生に心から拍手を送りたいと思います。そして、勇気ある政治姿勢に対して大きな期待を寄せ、御活躍を御祈念申し上げるものでございます。 私の持ち時間が極めて短いものですから、私も簡略に質問をいたしますので、総理の御答弁も簡潔に、ひとつエキスの部分だけお願いできればありがたいと思っております。 小泉総理の経済政策の基本は、構造改革なくして景気対策なしという理論づけでございます。経済再生に向けての大変力強い意思表示である、私どもはそう受けとめております。 長岡藩の米百俵のお話も、まことに的を射たものでございまして、大いに共感を持っておりますが、問題は、構造改革の痛みを一番負うであろう弱者の企業経営者、中小零細企業の皆さんが、今まで十数年我慢してきたんだ、ぎりぎり頑張ってきた、ここへ来てまた、米百俵のお話のように、自分たちの生きていく糧をほかへ回されて、それはやがては立派な成果を上げるだろうけれども、あるいはもう間もなく飢え死にするかもしれない我々にとっては一体何を食べさせてくれるんだろうか、そういう答えが政府からは出ていない。この点を庶民感覚で中小零細企業者の人は非常に心配しているわけでありますが、この点について総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 後ほど経済産業大臣に御答弁いただきますが、当然、構造改革を進めていく際には、今言われたような中小企業の方々、これに対してもしかるべき対策は講じなきゃいかぬ。それについては、新しい産業に立ち向かうような策の具体策については、経済産業大臣の方が詳しいですから、せっかくの機会でありますから、平沼大臣に御答弁をいただきたいと思います。
○平沼国務大臣 それじゃ、簡潔にお答えをさせていただきます。 宇田川先生御指摘のように、日本の企業の基盤を支えている、経済の基盤を支えているというのは九九・七%の数の中小零細企業の皆様方です。そこで、構造改革を強力に推進してまいりますと大変痛みを伴うわけでございますから、せっかく努力をしていただいている方が連鎖的なそういう被害にお遭いになる、そういったことはあってはならないことでございますので、種々のセーフティーネットを我々は構築をいたしております。 具体的に、たくさんございますけれども、きめ細かくやらせていただいておりまして、政府系金融機関を通じての対策でございますとか、あるいはまた税制上の問題でありますとか、きめ細かく対応して、そして不当なそういう不利益をこうむらないように、きめ細かくこれからもやらせていただきたい、このように思っております。
○宇田川委員 国の構造改革を実現するためには、それによって地方自治体に大きな影響を及ぼすことになるだろうと思います。と申し上げるよりは、むしろこの地方自治体の協力と連携がなかったら今回の国の構造改革を成功させるわけにはいかない、そう思います。 しかしながら、総理も御承知のように、今地方自治体は大変な財政の苦しみの中にあります。しかも、自治権拡充、あるいは地方分権の大きな波がうねってきているわけでありまして、そういう形の中で、今回の国の構造改革に自治体をどう巻き込んでいくのか、協力させるのか、自治体と一緒にやっていくのか、そこら辺をどうお考えになっているか、お聞きをしておきたいと思います。
○片山国務大臣 宇田川委員御指摘のように、今地方は、実際の仕事の七割は地方がやっているんですよね。財源の方がなかなかそこに行っていませんけれどもね。 それが一つの大きな議論ですが、この構造改革も、具体案が順次固まってまいると思いますから、地方団体も今までの役割分担に応じて、場合によってはそれ以上にしっかりと協力させていく、こういうことでございますけれども、現在の地方分権推進委員会が七月二日で期限が切れますので、何か新しい、中立で権威ある機関を総理の了解を得てつくらせていただいて、そこでさらなる分権の徹底と税財源の移譲問題等についての議論を始めたい、こう考えております。 よろしくお願いいたします。
○宇田川委員 ペイオフの問題を簡単にお聞きしておきたいと思います。 来年、平成十四年の四月からペイオフの解禁を控えているわけでありますが、これは、緊急経済対策の不良債権の処理とあわせて金融機関にとって大変大きな問題、とりわけ小さな信用金庫や信用組合は、このペイオフに大変な脅威を覚えております。 この点について、金融庁としてはいろいろ調査をされておられると思いますが、その調査の結果に基づいて対応をどうされるか、今の時点でのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○柳澤国務大臣 ペイオフにつきましては、本来でしたら、当初の予定でしたら、ことしの四月から実施されたはずのものでございましたけれども、信用組合の所轄が都道府県から国に移って幾ばくもない、検査も終わっていない、こういうような実情を勘案しまして、今先生御指摘のように、来年四月からということにいたしたわけでございます。 これについては、今検査をしておりまして、検査の結果を踏まえて、いろいろな御相談をさせていただいたり、残念ながら破綻をしているというところについては、その処理に当たっているという状況でございます。 しかし、そうしたことをしっかりやりさえすれば、私どもとしては、ペイオフについて、第一線の信用組合に至るまで、それに対する対処の方法がしっかり講じられるであろう、このように考えております。そもそも一千万円超の預金の比率が非常に少のうございますし、また、貸し出しと相殺をするというような預金協定というものも着々進行いたしておりますし、小さな金融機関の場合、他の金融機関を紹介して、お互いに紹介し合って、預金をできるだけ一千万円以内におさめるというようなことも施行されておるようでございまして、この対処の姿勢が着々整備されている、このような認識を持っております。
○野呂田委員長 時間でございます。
○宇田川委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○野呂田委員長 これにて宇田川君の質疑は終了いたしました。 次に、菅直人君。
○菅(直)委員 小泉総理、見事な総裁選の戦いぶりで総裁になられ、総理になられました。ただ、今日本の置かれた状況は極めて厳しいわけでありますから、そういった点では、おめでとうというよりも大変御苦労さまですと、まず激励を申し上げておきたいと思います。 また、各閣僚の皆さんにも、特に竹中先生には火中のクリを承知で入閣された。前の内閣にもそういう民間の方はおられましたが、いつの間にか何か政治家になられたようなところもありましたけれども、どうか専門家として不退転の決意で、おかしいときにはまさにしりをまくる、その決意でこれからもやっていただきたいし、そのことを国民の一人としても期待をいたしております。 そこで、小泉総理は、自由民主党を変える、そして日本を変える、こういうスローガンで総裁選に当選されました。私たちはよく似たことを言ってまいりました。自民党を壊す、そして日本を変える、こう言ってきたので、大体似たようなことかな、こんなふうに思っておりますけれども、最近八〇%を超す支持率の中で、何か小泉さんの悪口を言うとそれはもうけしからぬことだ、そんなムードも私の周辺を含めて漂っております。 しかし、やはり国会というところは徹底的に議論をすることによって、この小泉総理が本物の日本の救世主なのか、それとも単に自民党を助けるための救世主なのか、それを見きわめるまさに論争の場ですから、多少厳しい点があるかもしれませんが、手心を加えないで議論をさせていただきたい、このように思っております。 そこで、まず申し上げたいわけであります。 小泉総理、自由民主党は現在の時点で少しは変わったと言えるんでしょうか。きょうの新聞などを見ておりますと、あるいはきのうのテレビも見ておりますと、森前総理が小泉さんの後見人気取りでいろいろ話をされております。ここにおられるメンバーを含めて、自由民主党の国会議員、一人も森政権のときからかわっておりませんし、参議院の候補者も都議会議員の候補者も一人もかわっておりません。 私は、ブレア政権が生まれたときの経緯を見ておりますと、ニューレーバーという形で、まず労働党そのものを大きく数年かけて変えた上で政権をとりましたから、思い切った改革をブレア政権、スタートからできました。 しかし、小泉さんの場合は、何一人かわっていない自由民主党の中で、まさに森派の会長、その小泉さんが派閥を離脱したという形で、そして総理になった。それが何か国民の中では本当の、細川政権のときのような、自民党政権から他の政党の政権にかわったようなそういういわば感覚を持たれた。しかし、実際はそうではなくて、森総理から、直前まで森派の会長であった小泉さんにかわっただけでありまして、それを本格的な政権交代、疑似政権交代を本格的な政権交代に見せるところに、小泉さんのマジックのすばらしさといいましょうか、すさまじさがあるように思います。 そこで、一言決意を含めてお聞きしておきます。 自由民主党を壊してでも改革をする、そういう覚悟をお持ちですか。
○小泉内閣総理大臣 自民党は変わったのか変わらないのかというお話ですが、私が総裁になった、総理になったということは、まず大きな変わりようですね。 それと、閣僚人事におきましても、今までの自民党の手法とは全く違っている。 なおかつ、先ほどの議論からいっても、かつて郵政事業について民営化なんか言ったら私は袋だたきでしたよ。それが全く変わっている。むしろ、政策についても自民党は大変柔軟になってきた。柔軟になってきたというか、おもしろいことに、変化を真剣に受けとめようという雰囲気が出てきた。これは非常に変わっている。 なおかつ、細川政権と比べますけれども、私は、ある意味においては細川さん以上に大胆な変革を目指していると言ってもいいと思いますよ。なぜならば、細川政権ができたときに私が一番びっくりした発言は、自民党の路線を継承しますと言ったのですよ。それで反自民政権を掲げた。これは何なんだということで私は疑問に思った。 そういう意味においては、私は自民党総裁でありながら自民を変えるというのも、ある面では驚いているんでしょうけれども、自民党は非常に変化を前向きに今受けとめていますから、だんだん実績を積んでいって、ああ自民党も変わってきたなと。これから、予算配分が目の前に迫っています、この配分構造を変えることによって、やはり自民党も変わってきたんだなという姿を私は見せていきたい、そう思っております。
○菅(直)委員 マジックなのかマジックでないのか、まさに議論を通して明らかにしていきたいと思います。 ここに総理の所信表明で述べられた三つの言葉があります。痛みを恐れずに、既得権益の壁にひるまずに、過去の経験にとらわれずにやりたい。これを私流に少し変えてみました。もしかしたらこれが本音かなと思って変えてみたのですが、自民党を壊すことを恐れずに、族議員の抵抗にもひるまずに、自公保連立の枠組みにもとらわれずにやりたい、こう理解してよろしいのでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 まさに、古い自民党を壊すことを恐れず、民間でできることはできるだけ民間に任せる、これに対する族議員の抵抗にもひるまない。 自公保連立の枠組み、これも、民主党が三十兆円以内に国債発行を抑制しようと。これは基本的に賛成です。過去の枠組み、自公保連立は大事にいたしますけれども、民主党が協力してくれるのだったら、今までの枠組みにとらわれずに、できるだけ多くの政党の協力を得たい、そういうふうに思っております。
○菅(直)委員 入り口のところはこの程度にして、まさにその覚悟を今から……(発言する者あり)
○野呂田委員長 静粛に願います。
○菅(直)委員 その中身を今から具体的にいきますから、やじを飛ばすときにはそれを聞いてからにしてください。 まず、小泉総理はいろいろなことを過去に言われているように見えて、私もいろいろ調べてみましたが、郵政事業の民営化以外では、厚生行政について少し言われていますが、余りいろいろな機会の話が少ないのですね。ですから、私ばかりではなくて、多くの国民は、最近いろいろ発言がふえていますが、小泉さんがどういう考え方を持っているのか必ずしもよく知らない方が多いと思うので、ちょっと内政、外交、いろいろな問題について幾つか、かなりの項目について順次質問していきますので、できればできるだけ端的にお答えをいただきたいと思います。 一つは、先週の金曜日にハンセン病の国賠訴訟の判決が熊本で出されました。私が厚生大臣になったときの最初の仕事がらい予防法の廃止法案を出す仕事でありまして、そのときにも、らい予防法の廃止が少なくとも四十年はおくれたということを含めておわびを申し上げましたが、今回の裁判は、まさに行政の責任、さらには立法府、国会の責任を含めて、もっともっと早い段階でこの法律が廃止されるべきであった、そういう判決が出されたわけであります。これに対して、国としてどうするか。 今回は、法務大臣や厚生大臣もおられますが、行政に対する責任だけではなくて、国会、立法府に対する責任も問うているわけですから、私は、もし控訴をするとかしないとかということであるならば、国会の意見もきちんと聞くべきではないか、まずそう思いますが、いかがですか。
○小泉内閣総理大臣 先週行われた判決というものを重く受けとめまして、今菅議員が指摘されたような点も含めて、厚生労働、法務大臣ともよく協議して適切な対応をとっていきたいと思います。
○菅(直)委員 含めてというのは、立法府の責任も問われているわけですから、立法府に関しても相談をする。例えば各党の党首会談を開くのか、あるいは衆参の議運で協議するのか、あるいは本会議で何らかの決議をするのか、いろいろ手だてはあると思いますが、立法府がこのらい予防法の廃止を少なくとも一九六〇年にはしておくべきだった、こういう判決が出されたわけですから、それに対してそれが不服かどうか。私は黙って従うべきだと思っておりますが。今、法務大臣と厚生労働大臣については相談すると言われましたが、国会について、今申し上げたような各党になるのか議運や議長になるのかわかりませんが、国会について相談をされる、そのことについてお約束いただきたい。
○小泉内閣総理大臣 今言った御意見も参考にさせていただき、適切な判断をしたいと思います。
○菅(直)委員 きょうはその程度でとどめておきますが、国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律というのがありますけれども、法務大臣が代表できるのは、あくまで行政庁についてはできますけれども、立法府についてできるという規定は入っておりません。ある意味で、本格的な判決としては初めてだと思います。ですから、そういう意味では、行政府だけで判断をされないように、そのことを重ねて申し上げておきます。 あわせて、原告、元患者の皆さんが厚生大臣にはお会いをされるようですが、総理大臣にも直接お会いしたいと強い希望が出ております。ぜひお会いいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 本会議でも答弁させていただきましたけれども、その原告団の御意向も十分前向きに検討していきたいと思っております。
○菅(直)委員 次に、小泉総理は、首相公選についていろいろな発言をされております。我が党の中でも、昨年の衆議院では首相公選制の検討ということを公約に掲げました。私自身も、この問題について多少調べていろいろな意見を聞いております。特に、森政権の時代は、密室の五人組で決まって、我々が何度不信任案を出しても不信任案を通さない、こんな総理大臣の決め方はかなわない、多くの国民が、国会に任せるよりは、まして与党が自民党である国会に任せるよりは直接選びたい、私もそういうふうな思いを強くいたしてきたわけであります。 しかし、森政権がかわったから言うわけではありませんけれども、もし首相公選をとるとすれば、大きく言って二つの考え方があります。小泉総理の考え方、少なくとも大きいところぐらいはお示しをいただきたいと思います。 一つは、アメリカのような大統領制というイメージで言われているのか。それとも、議院内閣制を維持する中で首相だけ公選にする。これは、知り得る限り、イスラエルでやっていて今度やめるそうでありますが。議院内閣制、つまり、閣僚も日本憲法では過半数は国会議員でなければならないとなっております。そういう、国会がいわば現憲法では総理を選ぶわけですが、総理だけは公選にしておいて、しかし議員が何人も入閣をするということを当然とした、あるいは不信任案を認めたような議院内閣制における首相公選なのか。大きく言って二つの考え方がありますが、いずれのお考えでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 私は、この首相公選の会については、超党派の議員連盟がございます。たしか鳩山由紀夫代表もメンバーだったと思いますし、菅さんもメンバーかどうかはわかりませんけれども、超党派で研究していたことがある。野党の時代から始めておりまして、野党になっても与党になっても、現在総理になっても、この首相公選制がいいということを提唱しているわけであります。 そこで今の御質問ですが、これはアメリカ型でもないしイスラエル型でもない、日本型だと思っています。それはなぜならば、天皇制を持っているのは、アメリカもないしイスラエルもないからです。天皇制と共存する、天皇制と矛盾しない首相公選制を考えております。同時に、議院も廃止する気持ちはありません。国会も廃止するつもりはない。 そこで、私は、今考えているのは、何名かの国会議員が推薦する候補が候補者の資格要件としてなる。そして、それに全国民に投票してもらった、その人は必ずしも国会議員でなくてもいい。首相の公選による候補者は国会議員でなくてもいい。しかし、国会議員の何名かの推薦が要件となった方がいいであろう。同時に、ほかの閣僚は、必ずしも議員半分以上という規定は設けない方法も一つかなと。 私は、私の独断専行をする気はありませんから、この問題については、懇談会を立ち上げまして、憲法学者初め学者、識者を交えた懇談会で、天皇制と矛盾しない、議会も廃止しない、そして国民が首相選びに参加し責任を持てるような首相公選制を検討し、具体案をまとめていきたいというふうに考えているわけであります。
○菅(直)委員 何か誤解があるようですが、議会を廃止なんてだれも言っていませんよ。アメリカ型だろうがイスラエル型だろうが、議会は議会で当然あるわけでありまして、立法府ですから。 今のお話を聞いていると、結局、まだアメリカ型なのかイスラエル型なのかもよくはっきりしないと。(小泉内閣総理大臣「日本型」と呼ぶ)日本型は日本型で結構ですが、日本型としてどういうことをお考えなのかということを聞いたんですが、推薦人が国会議員であるということを考えられているようですが、それ以外でいえば、議院内閣制ではない。憲法四十一条の、国会は国権の最高機関であるという規定も変えるということをイメージされているのかな。どうもあいまいですので、これ以上は申しません。 もう一つだけ申し上げておきます。 私たちは、小選挙区制は、うまく活用すれば、それぞれの二大政党あるいは二大政党グループが、それぞれのリーダーを首相候補として戦うことによって、国民が、いわば国会議員を選ぶことを通して総理大臣を選ぶ、そういう機能を持たせることができると思っております。 今日行われているイタリアの選挙では、オリーブと言われる中道左派連合と、自由の家ですか、中道右派連合が、ルテッリというローマ市長とそしてベルルスコーニ氏をそれぞれの総理候補として戦って、きょうの夜ぐらいには結果が出るようですが、そういう形であれば、どちらかのグループの候補者に各小選挙区で投票すれば、ある意味では総理に入れたと同じ意味をあわせて持つ。あるいは、イギリスにおける保守党、労働党の場合もそういう形でありまして、小選挙区制というものを活用することによって国民が直接総理大臣を選ぶという、そのこと自体が重要なんでありますから、そういう機能を持たせることも可能だということをあわせて申し上げておきたいと思います。 そこで、靖国神社の公式参拝について、きょうの朝の御意見もありました。法制局長官、おられますか。 憲法二十条に言う「国及びその機関」の「その機関」の中には総理大臣は入りますか。
○津野政府特別補佐人 お答えいたします。 内閣総理大臣は内閣の首長でございますので、当然国の機関に入ります。
○菅(直)委員 入るという答弁であります。 憲法二十条には、国及びその機関がいかなる宗教活動もしてはならないと書いてあります。靖国の問題は、この問題が一つあるんですよね、総理。そして、もう一つの問題が、いわゆるA級戦犯合祀の問題があるわけです。 この間の総理の発言を聞いておりますと、自分は、戦争で亡くなった人たちの、そのとうとい犠牲に弔意をささげたい。これは、私を含め、大部分の、ほとんどの、すべての国民の思いだと思います。 しかし、総理大臣という、今の法制局長官の言明にもあったように、国及びその機関である機関なんです。その機関が少なくとも宗教活動をしてはならないというのは憲法二十条に規定されているんです。そして、これとはまた別ですが、いわゆるA級戦犯の合祀問題と二つあるわけでありまして、この点についての総理の見解、これをどういう理解のもとで、それでも構わないと言えるのか、いやそれは知らなかったと言われるのか、はっきりお答えをいただきたい。
○小泉内閣総理大臣 戦没者にお参りすることが宗教的活動だと言われればそれまででありますけれども、靖国神社に参拝することが憲法違反であるとは思っておりません。
○菅(直)委員 言われればとかと、私が言っているんじゃないんですよ。だから、総理は、お参りをすることは宗教的活動でないからいいんだ、そういう意味ですか。それともう一つ、先ほど申し上げたA級戦犯の合祀についてはどう考えられているのか、きちんとお答えください。
○小泉内閣総理大臣 宗教的活動であるからいいとか悪いとかいうことではありません。また、A級戦犯が祭られているからいけないということにもとりません。私は、戦没者に対して心からの敬意と感謝をささげるために靖国神社に参拝するつもりであります。
○菅(直)委員 拍手なんかをしても仕方ないでしょう。私は論理的に議論しているんですからね。 今の答弁は、少なくとも不十分です。私は、個人的見解なんか聞いているんじゃありません。宗教活動でないという認識でいくのか、それとも、宗教活動であっても構わない、憲法二十条違反であっても構わないと言われるのか。言われるのであれば、それは立場を変えられた方がいいと思います、総理大臣という立場を。 ですから、こう思うからということを聞いているんじゃありません。憲法二十条の解釈で、国及びその機関はいかなる宗教活動もしてはならないと書いてあるわけです。その機関に総理大臣は入るんです。宗教活動でないということを、中曽根総理のときに形をつくるためにいろいろな、何拝するとか、お金を国が出さないとか、いろいろ言いました。だから、それが公式とか非公式とかいう言葉で言われたのかもしれませんが、少なくとも宗教活動はしてはならないんです。どうなんですか。
○津野政府特別補佐人 靖国神社への参拝の問題でございますけれども、これは従来から私どもは、憲法二十条三項との関係でいろいろ議論が政府としてされてきております。 それで、御承知のとおり、憲法二十条三項によって禁止されております宗教的活動とは何かということからこれは説き起こしているわけでありますが、これにつきましては、昭和五十二年の津地鎮祭事件判決におきまして最高裁判所の見解が示されているわけであります。 ここで言っておりますのは、宗教的活動とは、およそ国及びその機関の活動で宗教とのかかわり合いを持つすべての行為を指すものではない、当該行為の目的が宗教的意義を持ち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進または圧迫、干渉になるような行為をいうものと解するべきであるというふうに言われているわけであります。そして、ある行為が右に言う宗教的活動に該当するかどうかを検討するに当たっては、諸般の事情を考慮して、社会通念に従って客観的に判断しなければならないというようにされているわけです。 それで、国務大臣の靖国神社への公式参拝につきましては、これは昭和六十年八月十五日に中曽根総理大臣が公式参拝を行ったわけでありますけれども、この問題につきましては、一つは、国民や遺族の多くが、同神社を我が国における戦没者追悼の中心的施設であるとして、同神社において国を代表する立場にある者が追悼を行うことを望んでいるという事情を踏まえまして、専ら戦没者の追悼を目的として行ったものでございまして、神道を支持するとか、あるいは同神社の祭神に祈りをささげるとか、あるいは祭神を礼拝するとかいった宗教上の目的によるものではございませんで、このことは上記の参拝に対しまして追悼を目的とする参拝であるということをあらかじめ公にいたしまして、神道儀式によることなく、追悼行為としてふさわしい様式によって追悼の意を表したことによってその外観上も明らかであるというようなことから、この行為が宗教的意義を持つとか、宗教に対する援助、助長等の効果を有するということにはならないものと考えられる。 したがいまして、このような公式参拝であれば、憲法二十条第三項の禁じる国の宗教的活動に当たることはないというふうな見解でございます。
○菅(直)委員 総理、よくおわかりになったでしょう。私は、もちろんあのことは全部知っていますよ。だから聞いているんですよ。小泉総理は公式であろうが非公式であろうが関係ないとかいろいろ言われるけれども、公式、非公式じゃないんですよ。宗教的な活動に当たらないか当たるかの問題なんです。ですから、当たらないような形でという認識なのか、当たっても構わないという認識なのか、一言も言われないから私はあえて聞いているのであります。 では、もう一つだけ。憲法のことがせっかく出ましたから、憲法六十六条って御存じですか。私、個人的には中谷さんというのは大変すばらしい人だと思いますが、憲法六十六条には、閣僚は文民に限るという規定があるわけですが、いろいろ説があります。このことも含めて、ちゃんと検討された上で任命されたんですか。
○小泉内閣総理大臣 そうであります。そのとおりであります。
○菅(直)委員 説はいろいろありまして、制服組の自衛官であった経験者はこの文民ではないという解釈もあるということも御存じの上でやられたわけですね。
○小泉内閣総理大臣 憲法に違反しないというもとに中谷さんを防衛庁長官に任命したわけであります。
○菅(直)委員 いろいろ自由民主党の方はやじを飛ばされていますけれども、ちゃんと国民の皆さんに、そういうことがわかってやったのならわかってやったと言っていただければいいんです。それを判断するのは国民ですから。 私は、少なくとも靖国の問題について言えば、そういう意味で、宗教的な活動のおそれがあるということが一つと、それから、A級戦犯の合祀の問題については、実は戦前の戦争責任について戦後の政府が一貫してはっきりしたみずからの判断を下していない。ただ唯一、極東裁判の結果を受け入れるという形で消極的にそれを認めてきたという形があるものですから、そういうけじめのなさが、この問題がここまで尾を引いていると思っております。 ですから、私は、この問題はまさに小泉政権のもとでもう少しどちらかの形にすっきりしたらどうか。宗教的行事でないのであれば、必ずしも靖国神社にこだわる必要はないのかもしれません。ですから、そこをはっきりしないと何を言われているかよくわからないから、私は、少なくとも国民の皆さんにかわって問うているつもりであります。 次に移ります。 中村喜四郎氏に対する辞任勧告決議案を野党は出しておりますが、総理は聖域なき構造改革とかいろいろ言われていますが、この問題について、与党の自民党総裁として、採決をさせると約束していただけますか。
○小泉内閣総理大臣 基本的に、議員が辞職するかどうかというのは、議員個人の判断だと思います。参議院においても、辞職勧告決議案が通過したにもかかわらず、やめない議員もおられたようであります。そういう意味におきまして、これは基本的には議員個人が判断するものでありまして、私は別にそれをとめる気は全くありません。
○菅(直)委員 とめないということですので、国対委員長かどなたかわかりませんが、とめないという前提で対応していただきたい。 それから、これは森政権のころに大変議論がありました。まだ決着がついていない問題がたくさんKSDの問題で残っておりますが、特に自由民主党に対しての幽霊党員あるいは党費の立てかえ、そういった問題が少なくとも、いろいろな計算式によりますが、十七億とか二十一億とかいろいろあります。これらについて幹事長に調査をさせているということがありましたけれども、はっきりしたらちゃんと返却をされますか。
○小泉内閣総理大臣 現在、幹事長にこの調査をするように指示しておりますし、結果が出たら明らかにするように言ってあります。
○菅(直)委員 ですから、かなりそういう事実があるということがもう関係者から言われているわけですから、そういう事実がはっきりしたら返却をされますかと聞いたんです。
○小泉内閣総理大臣 党として、返却も含めてどういう形があるか今検討中でありますので、国民に明らかになるように、しっかりとした説明のもとにきちんとした処理がなされるものと期待しております。
○菅(直)委員 ちょっと歯切れが悪いですね。歯切れの悪いところでとめておきましょう。 次に、外交問題についてお聞きをいたします。 小泉総理は国連の常任理事国入りについて、かねがね慎重ないしは反対に近い立場を表明されておりましたが、総理になっても同じですか。先ほどは靖国は全然変わっていないとか言われていましたけれども、同じですか。
○小泉内閣総理大臣 変わっておりません。 なぜかというと、私が今、かねてから言ってきた主張は、日本国民と国際社会に誤解させないような形で、常任理事国になりたいんだったら手を挙げなさいということを言ってきたわけです。 なぜならば、今の国連常任理事国は、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国、いずれも国際紛争を解決する手段として武力行使を放棄していません。日本は、国際紛争を解決する手段として武力行使を放棄している国であります。そこで、常任理事国になって同じようなことができると国際社会に思わせちゃいかぬ。日本国民に対しても、後から、入った後に、国連常任理事国なんだからこんなことをやるのは当たり前だと言って、そういう形で日本国民に理解を強制してはいかぬ。 だから、なる前に、日本国民に対しても、国際社会に対しても、日本という国は国際紛争を解決する手段として武力の行使はしないんだとはっきりわかるように説明して、なおかつ、そのほかの面で今の常任理事国よりも国際社会に貢献できる分野はたくさんあるだろう、そういう点で理解を求めるんだったらなって結構だし、そういう誤解をさせないように、私は、国連常任理事国として手を挙げるべきだという考えは過去も現在も変わっておりません。
○菅(直)委員 聞きようによれば、九条を変えない限りは入るべきではないとも聞こえるわけでありまして、そこはまさに総理になられたんですから、きょうのこの場所ではこの程度にとどめますが、少なくともきちんとした説明を世界に向かっても日本の中でもしていただきたいと思います。 そこで、次の問題に行きます。 えひめ丸の問題に関してグリーンビルのワドル前艦長は、結果的には、軍法会議にはかけられないで、いわばファーゴ司令官の裁量による処分で終わりました。内容は、一定期間の謹慎の後、自発的な除隊ということであります。日本の法律で、かつて自衛隊の潜水艦「なだしお」が釣り船にぶつかってかなりの死傷者が出た事件がありました。この場合は、最終的には業務上過失致死で艦長は有罪になっております。 このグリーンビルのワドル前艦長に対するいわゆる一定期間の謹慎そして自発的な除隊、総理は、これでいいんだ、仕方がないんだと納得されているのか、これではやはり問題ではないかと思われているのか、いかがでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 これは非常に不幸な事件でありまして、二度とこういうことのないようにしなきゃいかぬというのは当然でありまして、今アメリカ政府も日本の申し入れに対してきちんとした対応を行っている、なおかつ潜水艦の艦長は有罪と判断されましたものですから、私は、アメリカも誠意を持ってこの事件に対処しているなと思っております。
○菅(直)委員 ちょっと今のは間違いじゃないですか、有罪として対応されたと。有罪になんかなっていませんよ。つまり、軍事法廷は開かれていないんですからね。つまりは、単なる調査が行われただけで、あとは行政的な処分が行われただけですから、有罪にはなっていませんよ。事実の認識からして違っているじゃないですか。
○小泉内閣総理大臣 これは、司令官による処罰によりワドル前艦長は有罪とされたわけであります。
○菅(直)委員 横文字で何と言われるか知りませんが、私がすべて知る限りでは、少なくとも軍事法廷にはかけられておりません。ですから、いわば行政処分と刑事罰の中間的とも言われていますけれども、いわゆる司令官の裁量による処分が行われたと。一説には、軍法会議にかけると無罪になる可能性が高いから逆に行政的にやったんだと言われておりまして、少なくとも正規の裁判にはかかっておりません。ですからそれは、表現としてギルティーという言葉が使われたかどうか私は確認しておりませんが、裁判における有罪判決は出ておりません。少なくとも日本では、日本の事件の場合ですから当然ですが、日本では業務上過失致死という判決が出ております。
○小泉内閣総理大臣 国の制度は、日本の制度とアメリカの制度は違います。今回の措置について、アメリカは、米国の制度のもとでこういう処置を決定したものだと私は理解しております。
○菅(直)委員 ですから、それに対してどうお考えですかと聞いているんですよ。それで仕方がないということですかということですよ。
○小泉内閣総理大臣 日本としては、その決定を受け入れたということであります。
○菅(直)委員 私は、多分被害者の皆さんの感覚からすれば、これで何人もの命が亡くなって、やはり常識的に考えれば、日本的に言えば業務上過失致死に当たるわけですから、その処罰が重い軽いは別として、そういうきちっとしたけじめがなかったことにやはり何らかの遺憾の意を表明するのが当然だと思いますが、歯切れのいいはずの総理も若干歯切れが悪いですね。 次に申し上げます。 金正日総書記の息子というふうに見られる金正男氏の入国問題に関連いたしまして、入管局で本人に対して口頭審理が行われたわけであります。その結果は森山法務大臣には伝えられ、私は、当然のこととしてその内容は外務大臣や総理にも伝えられて、そして、その内容を含めた何らかの事実関係を判断した上で国外退去処分にされたのだと思いますが、まず、本人の確認はきちんととれたんでしょうか。 そしてもう一つ、以前日本に入国したという記録があったわけですが、それについて本人は認めたんでしょうか、認めてなかったんでしょうか。まず法務大臣にお聞きします。
○森山国務大臣 この件につきましては、私も、事態が発生いたしました直後に報告を受けまして、さらに、内閣官房関係者の会議、情報交換がたびたび行われ、その節々に報告をもらっておりました。金正男ではないかと思われる人がまじっているということも最初から情報提供されておりましたが、最終的にその本人であるという確認をとることはできませんでした。 また、その前にそのパスポートを使いまして三回ほど日本に入国していたという形跡がうかがわれましたが、そのパスポートを使った人が五月一日に日本に入国を試みた人物と同じであるかどうかということは確認できませんでした。
○菅(直)委員 もう一度聞きますよ、森山大臣。 あなたは関係の会議の中でと言われましたが、関係の会議とほかの方が言われるのは結構です。しかし、法務大臣は入管の責任者で、私は入管の関係者にヒアリングをいたしましたが、内容を言ってくれと言ったら、言えないと。では、大臣に報告をしたかと言ったら、当然報告しましたと。あなたは自分の部下から報告を受けたはずでありまして、関係会議ではないはずです。 ですから、本人の確認がとれなかったということは、本人が否定したということですか。
○森山国務大臣 おっしゃいますとおり、私は入国管理局長から報告を受けたのでございまして、入国管理局長は、官房関係者とそのほかの関係担当者との会合を二度か三度いたしまして、その折々に、このような情報がありましたとか、あるいはこのような話し合いが持たれましたというようなことを私に報告してくれたという意味でございます。 そういうわけでございますので、私自身が会議に参加したわけではございません。
○菅(直)委員 一体どういうことですか。結局、私は、あの直後の総理の記者会見を聞いてみても、法律にのっとって処理されたと承知していると。承知しているというのは、自分が判断したという意味なのか、だれかが判断したということを聞いているという意味なのか、はっきりしませんでした。 今は、担当の法務大臣に聞いても、私は直接はよく知らないというふうな話になると、全部お役人任せでやったということをみずから認められたということで理解していいんですね。
○森山国務大臣 私が会議そのものに自分が出席したのではないということを申し上げたのでありまして、その会議の情報交換の様子、各関係者の意見その他を一々報告をもらいまして、私は、それらを聴取し、総合的な判断をいたしまして、方針を決定し、指示したのでございます。 また、そのことについて、総理以下関係の大臣方も御了承をいただいたというふうに考えております。
○菅(直)委員 外務大臣、一般的には、外務省が強くできるだけ早い時期の強制退去を望んだと言われていますが、それは田中大臣の判断ですか。
○田中国務大臣 お答え申し上げます。 このことを私が直接耳にいたしましたのは二日の午前中でございましたけれども、役所には一日の夜、法務省から第一報があったというふうに聞いております。 それは夜遅かったので私に遠慮したのかと思いますけれども、いずれにしましても、私がそのときは、人定と、それから偽造パスポートを持って日本に入国しようとした目的は何であったか、この二点についてはぜひ外務省として知りたいということは申しました。
○菅(直)委員 ですから、その人定ができてないわけでしょう。
○田中国務大臣 人定はできておりません。
○菅(直)委員 それでも帰すようにということを了解されたわけですか。今言っていることと違うじゃないですか。人定をちゃんとしてからという話をしたけれども、人定ができなかったのに、それでも仕方ないという判断をされたんですか、大臣としては外務大臣として。
○田中国務大臣 本人は、その四人のうちの一人の方は、ずっと自分は金正男ではないという、別の名前を言っていらしたというふうに聞きました。それでだんだん、情報交換をしておりましたのですけれども、普通の法律にのっとって、一般の不法入国者と同じように法にのっとって適正に処理をするということになりました。
○菅(直)委員 私は、外務大臣に聞いているのであって、入管法のことを外務大臣に聞いたんじゃありません。入管法に基づけば裁量なんですよね、これは。五千人ぐらいのうちの二十人ぐらいは、いろいろな意味で悪質だ、薬だとかいろいろな問題がある、それは告発をする。告発をされたケースでは全部が起訴されている。そして、起訴された上で、もちろん裁判になった上で執行猶予がつけば、もう一度入管が収容して帰す。五千件のうちの二十件以外はそのまま帰す。 今回の場合、過去の例で帰した例に当たるのか、帰さない例に当たるのかと詰めて聞きましたら、少なくとも、そのときの担当者の見解は、私が詰めたからですが、こういうケースは初めてですと。当然でしょうね。薬ではありません、不法就労でもありません。 しかし、三回も記録がある。それは、確かにその記録にのっとって御本人が来たかどうかはわかりません。名前も名乗らない。しかし、何らかの情報があったから、当然、金正男氏ではないかということをわかってやったわけでありましょうから、少なくとも、人定はできない、それから入国したこともよくわからない、しかしやはりすぐ帰そうという判断は、私は、当然総理が総合的に判断されたんじゃないか。入管の問題だけではなくて、外務省の問題を含め、あるいは他の情報を含め、総理が最終的に判断されたんじゃないかと思いますが、総理は承知をしたという言い方をされていますが、判断をされたんですか。判断をされたんなら、どういう理由で強制退去すべきだと判断されたんですか。
○小泉内閣総理大臣 法務省と、報告を受けまして、これは本人確認が非常に難しい問題だな、そして法令に基づいた退去強制という措置が適切だなということを考えまして、いろいろ総合的判断を加えた上でこの措置を了承いたしました。
○菅(直)委員 この問題は、また機会が同僚議員からあると思いますが、総合的という形で余り総理、逃げないでくださいね。 私は、もうちょっとはっきり言われた方がいいと思うんです。未確認だけれども、かなり有力な筋からこういう人物だということが指摘があったので、それも含めて最終的な判断を自分でやったんならやったと言われればいいんであって、外務大臣からは人定をきちんとすべきだと言いながらそれもなかった、それから三回の入国についてもはっきりしない。いろいろなことがはっきりしないまま、総合的、総合的という言い方であれば、何が総合的なのか、国民に対して説明責任に全くなっていない。そういう意味で、私は、この説明は不十分だということを申し上げて、次の問題に移ります。 次に、米中軍機が接触事故を四月の初めに起こしました。そして、その後、乗員がアメリカに帰って後に再度、偵察行動が再開をされております。このいずれの飛行機も沖縄の嘉手納米軍空軍基地から飛び立って戻る予定であった、あるいは新しい偵察機は戻ってきたというふうに聞いております。再開をされたのは小泉政権になってからであります。この事故及びこの偵察の作戦行動の再開について、アメリカから日本政府に説明があったんでしょうか。
○野呂田委員長 どなたにお聞きですか。
○菅(直)委員 総理大臣がわかれば、総理大臣に。
○野呂田委員長 外務大臣田中眞紀子君。
○田中国務大臣 それは聞いておりません。
○菅(直)委員 総理は聞かれておりますか、米側から。
○小泉内閣総理大臣 聞いておりません。
○菅(直)委員 どういうことなんでしょうね。 それは、日米安保条約によれば、日本国の米軍基地から直接、軍事行動に飛び立つ場合には事前協議の対象になるけれども、偵察作戦行動であれば事前協議の対象ではないという解釈だそうであります。その解釈は結構です。 しかし、それはそれとして、少なくとも日本の領土の中にある嘉手納の米軍基地から飛び立ったこの問題で、米中関係は、ある意味では一触即発の危険性もあったし、場合によれば、それを護衛したりした場合に、米中の軍事衝突だって全くないケースではありません。まさに日本の周辺における事態の発生にもつながりかねない問題でありまして、それが起きたことも、そして再開をするということも、日本政府の外務大臣も知らなければ総理大臣も知らない。これが主権国家なんですか。総理、感想を聞かせてください。
○小泉内閣総理大臣 これは米軍自身の行動範囲の問題だと私は思います。
○菅(直)委員 ですから、それでいいんですかというのですよ。米軍が何をやっても、知らされなくても仕方がない、今の答弁はそう聞こえますよ、知らされなかったのは仕方がないと。
○小泉内閣総理大臣 これは事前協議に入る問題ではないと私は理解しております。
○菅(直)委員 ですから、私があらかじめ申し上げたじゃないですか。事前協議の範囲ではないということはちゃんと私が説明した上で、決して私は落とし穴で質問したんじゃないのですよ。そうではない、直接の軍事行動の場合はなると。例えば、嘉手納から爆弾を持ってベトナムに落とす場合は、これは事前協議の対象になるけれども、どこかにおりた場合とか偵察飛行は軍事行動じゃないから、ならない。 しかし、先ほど申し上げたように、ちょっと間違えばいろいろな軍事的な衝突になりかねない、現実にそうだったわけですから。それが、報告もなければ、再開についての報告もない。それについてどう思うかと言っているのです。
○中谷国務大臣 公海上の活動におきましては国際法によって権利が担保されておりますので、米軍の情報活動という点につきましては、米国の判断のもとに行われるわけであって、我が国が関与するべき問題ではございません。
○菅(直)委員 これも国民の皆さんに聞いていただければいいのです。何回も申し上げるように、日米安保上の事前協議の範疇には入らないという説明を受けています。ただ、それはそれとして、日本の領土内にある基地から発進した偵察機が起こした事故なり、ある種の衝突なんであって、それを、報告がなくてもいいという話と、ないことが、政治的には日本を無視されているのじゃないかということとは全然違うわけですから。日本の領土の中ですよ。 きのう、これはテレビの場でしたけれども、保守党のどなたかが、日本の国内から米軍が出ていけば、集団的自衛権なんて言わなくたって、もう集団的自衛権と同じようなものだなんという発言をテレビでされておりましたけれども、少なくとも日本国の領域の中にある米軍基地から発進した問題を、報告がなくても仕方がないと総理が言ったというのは、私は、日本の主権を侵害されても総理は黙っている、そういう一つの事例だと思いますので、これ以上は申し上げません。 そこで、次に申し上げます。 北方領土について、きのうの、これもテレビの場でしたでしょうが、前森総理が、簡単に言えば、二島先行返還について事実上の合意をしていた、あとの二島については協議をすることにして、そして、そのことについては、小泉首相はプーチン大統領との電話による会談で森氏のこの方針を継続することを表明している、これはある新聞にそういう報道が出ております。これは事実ですか。
○小泉内閣総理大臣 私は森総理からいろいろお話を伺いましたが、北方四島の帰属問題の解決なくして平和条約を進めるなんという話は、森総理からも一度も聞いていませんし、私の内閣におきましても、この方針には変わりありません。
○菅(直)委員 小泉さん、国民の皆さんはがっかりしますよ。私が今そんなことを聞きましたか。ちゃんと中身を聞いたのですよ。二島については先行返還で、あとの二島については協議をするというところで森さんとプーチンさんのイルクーツクでの合意があって、それを、小泉首相はプーチン大統領との電話会談でその方針の継続を表明している、これについて事実ですかと聞いたのですよ。済みませんが、質問したことについてちゃんと答えていただきたい。
○小泉内閣総理大臣 森総理とのイルクーツク会談を踏まえてこれから日ロ関係の友好改善に尽くしたいということを私、発言しましたが、二島先行論とか、日本で言われます二島先行返還すれば四島の帰属はどうでもいいということではないんです。四島の帰属を明確にした上で、そして二島先に返すとかいう話はいいけれども、二島先行返還してあとの二島の帰属はあいまいにしたままでは平和条約交渉には臨まないということですから、それはいわゆる二島先行論と俗に言われているものと違うのですよ。まず四島の帰属を明確にするというのが我々の方針でありますから、そこを誤解しないでいただきたい。
○菅(直)委員 私が誤解しているんじゃないんですよ。だから、もしこの報道が全然違っている、あるいはテレビでの森総理の発言が全く違っているというのなら、違っているとはっきり言ってくださいよ。 森総理がテレビでしゃべり、そしてそれを聞いた記者がこういういうふうに、この新聞によれば、日経によれば、「二島分離 森政権時に協議」、こう書いてある。こちらによれば、「歯舞・色丹 国後・択捉 切り離し協議、露も賛成」と書いてある。三月に提案したということを森総理が明かすと書いてある。森総理が言ったことが間違っていると言われるのですか。
○小泉内閣総理大臣 私はその新聞の記事はわかりません。見ておりませんし、テレビで森総理がどういう発言をしたのかわかりませんが、私の内閣においては、四島の帰属を明確にしない限り、二島分離返還でおしまいというような誤解を与えたくない、これであります。
○菅(直)委員 これも相変わらず、きのうも何か森総理とはたしか福田長官も含めて何時間かにわたって懇談をされたと報道には出ております。今言われた帰属の明確化ということと返還の分離ということはあり得る、あり得るというのは別に論理として矛盾していないわけで、そういうことなんですかと聞いたら、そういうことであるようなないような。 田中外務大臣、この件についてはどう理解されていますか。
○田中国務大臣 北方四島の問題につきましては、ずっと、この四島の帰属について、まずこの問題を解決する、今総理がおっしゃったとおりですけれども、それから平和条約を締結するというのが我が国の一貫した立場でございまして、事務方もあらゆる意味でそれを確認いたしております。 それから、森総理の御発言については確認をいたしておりません。
○菅(直)委員 今後、森前総理がみずから発言された中身でありますから、別にマスコミが勝手に書いたというのであれば、森総理から抗議をしていただきたいけれども、テレビの生の放送ですから、前総理みずからが行った日ロ首脳会談でこういうことだったんだ、それを引き継いだ小泉さんも継続しているんだ、普通そう考えるのが当然でありまして、もし継続していないというのであれば、継続していないということをきちっと行動で示して、国民に説明をしていただきたい。今の答弁では決して満足ではありません。 次に申し上げます。 田中外務大臣は、大臣就任以来、いろいろ頑張っておられます。私も役所といろいろトラブルがあった自分の経験がありますので、憲法十五条に、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」ここに立ち戻っていつも考えておりました。つまりは、公務員の選任とか罷免は国民に与えられた固有の権利である、その憲法十五条に基づいて国民に与えられた固有の権利を、ある意味では選挙で国会議員が預かり、その国会議員が総理大臣を指名し、その総理大臣が大臣を任命して、その大臣に国民固有の権利がいわば預けられている、そういうふうに私は理解をして、人事というものに対して考えたわけであります。 そういう点で、その国民固有の権利という原点を外さない限りにおいては、私は、官僚の抵抗にまさにひるまないで、大いにやるべき人事はやってもらいたい、このように思っておりますが、外務大臣、いかがでしょうか。
○田中国務大臣 私は民主党員ではございませんけれども、一議員といたしまして、菅先生とこの点は非常に考え方が似ておりまして、以前からエールも送っていただきましたし、私もお送りしておりましたので、今の御発言、大変ありがたいと思っております。 要は、公平に国民の皆様が納得する形であらゆる事柄を決着させていくということが基本にあるということは、骨身にしみて思っております。
○菅(直)委員 そこで、少し中身に踏み込んでいきます。 田中大臣は、たしか就任直後の記者会見でしたか、機密費問題について、必ずしも前政権、前外相の段階での処理は十分だとは思わない、こういうことを言われておりましたし、これは私たちも全く同感であります。あんないいかげんな調査で、あんないいかげんな処分で国民が納得しているとは思いませんし、もっと実態調査をすべきだと思います。 そこで、前政権のもとでは、たしか荒木副大臣が責任者で調査委員会が設けられておりましたが、副大臣がかわったわけでありますけれども、どういう形かでこの問題について調査委員会あるいは調査プロジェクトを設けて再調査をするという趣旨だと思いますが、その再調査のための委員会なりプロジェクトはスタートしておりますか。
○田中国務大臣 まさしく現在進捗いたしておりまして、私がそれをアクセレレートするように、できるだけ詳しく、透明度を高めて国民の皆様に御報告できるような形にしたいというふうに思っております。
○菅(直)委員 私が聞いている限りは、まだその新しい責任者を、みずからがやられるのか、だれか副大臣を命じられるのか、どういう形になるのか、動き出していないというのを先週段階で聞いております。やはり、先ほど申し上げたように、機密費問題というのはなかなかややこしい問題ですから、私は、きちんとした委員会をつくられて、必要なら第三者でも入れて、きちんとした調査をされるのがいいのではないか。それでないと、ややもすれば大臣の恣意的な判断というふうに見られかねないところもあります。 そこで、上納という問題があります。外務省の報償費、いわゆる機密費の相当額が官邸の方に上納されているということがいろいろな人たちによって言われていますが、さきの政権では、そのことは否定をされ続けました。これについて、外務大臣としてはどういう認識をお持ちですか。
○田中国務大臣 このことにつきましても、私個人としても関心を持っておりました。今現在は調査中でございますので、今月中に、私は早くしろ、早くしろと言っております、せっかちなものですから言っているのですけれども、要綱が五月中にでき上がることになっております。 それで、この間は、副大臣がお二方いらっしゃいますので、副大臣からいろいろ、若手の方たちからアトランダムに出ていただいて、そういう方たちからもいろいろとヒアリングをしたりして、今後どのように外務省があるべきかというふうなことについても、細かい点から意見を聞いておりましたことを付言いたします。
○菅(直)委員 要綱というのは、もしかしたら改革案の要綱かもしれませんが、若干調査と改革案は違いますので、調査は調査で、上納金があったのかなかったのか、これはもうはっきりありかなしかですから、これはいつごろまでに調べられますか。
○田中国務大臣 できるだけ早期にいたします。
○菅(直)委員 所信表明で、総理は減額という表現をされております。私たち野党が、減額の組み替えあるいは修正を衆参で出しました。そのときは、与党の皆さんはそれを否決されました。そのときには小泉さんも、総理大臣ではないけれども、与党の一員でありました。今になって凍結といったようなことをにおわせる所信表明でありましたが、この減額については行うべきだし、また行うとすれば予算修正で行うべきだと思いますが、どうされるおつもりですか。
○福田国務大臣 報償費のことでございますので、私からお答えいたします。 報償費につきましては、国政の円滑な遂行という目的にかなうものでなければならないということ、また、真に目的にかなうものであるかどうか、すべてについて再点検を行う上で執行する、そしてまた、執行及び管理の一層の適正化のための体制を整備する、こういうふうな考え方のもとで厳正かつ効果的に使用すべきであると考えております。 そして、この考え方のもとで、平成十三年度につきましては、執行に当たっての方針を明確にし、効率的な使用への努力の徹底を図る、そういう中でもって減額も含めた具体的な対応を検討しているところでございます。
○菅(直)委員 少なくとも言葉として減額という場合は、予算減額なんですよね。凍結というのは、使わなかったというので、減額ではありません。ですから、やはり、所信表明で減額と言われた以上は、ちゃんと予算を減額すべきじゃないですか、総理。
○小泉内閣総理大臣 民主党のそういう御意見も参考にしまして、減額ということには変わりないわけです。やり方は政府にお任せしていただきたい。
○菅(直)委員 これが国民に対しての説明責任とはとても言わない。予算で減額しないで、執行で最後にこれだけ残ったからこれだけ減額したのと同じだと。それは個人の、小泉家の家計だったらだれも文句は言いません。予算主義というものがあって予算を審議しているんですから、予算を審議した上で、決めた後になって、予算が執行されてからまだ一カ月半しかたっていないにもかかわらず減額だなんということを言っている。それはあとは任せろと言うんだったら、国会は要らないじゃないですか。 私は、今の任せろという話は撤回をしていただきたい。どうされますか。
○小泉内閣総理大臣 それは、今執行中ですから、将来、補正が必要であれば補正予算で減額措置は講ずることができますし、減額というのは、国債発行でも全部使い切る必要はないんですから、ほかの措置でも、予備費でも、予算に計上しても全部使う必要がない場合はほかにもあるわけですよ。 そういう意味において、これはもう予算で計上されていますが、いろいろな御批判も考慮に入れて、実質的にその意見も入れて減額する、執行上で十分対処できるということであります。
○菅(直)委員 聞いておられる国民の皆さんが、どちらの方が透明性が高いか、これはもう議論は明らかですので、これ以上は言いません。 そこで次に、アーミテージ国務副長官が来日をされました。結果的には官房長官と総理が会われたようですが、アーミテージ氏の来日の目的は、一説にはブッシュ演説についての考え方の説明ではなかったかと言われておりますが、総理、そういう理解でよろしいのでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 私に対しましては表敬訪問したいということでありましたので、お会いしました。 中身よりも、これからの日米関係の重要性、そして今後ブッシュ大統領との早期会談の希望、そういう点をお話ししたわけでありまして、非常に友好的雰囲気のもとに、お会いしてよかったなと思っております。
○菅(直)委員 ということは、ABM条約に関する話はなかったということですか。
○小泉内閣総理大臣 ありませんでした。
○菅(直)委員 ところで、田中外務大臣、大臣はパウエル長官との電話で、アーミテージ副長官が来られることは楽しみにしていると言われていたと報道されていますが、実際に来られたときには直前にキャンセルをされた。 私が理解するところ、アーミテージ国務副長官は、アメリカの国務省の中でも、アジア、特に日本に関しての実質的な責任者とも言える大変重要な人物であって、今、総理は聞いておられないということですが、日本と韓国を回ってかなり重要な案件の説明に来られたのではないかと言われております。その会談をキャンセルするというのはかなりのことだと思いますが、どういう理由でキャンセルされたのですか。
○田中国務大臣 このことに関するいろいろな誤解、揣摩憶測が飛び交っておりますので、弁明をする機会をお与えいただきまして本当にありがたいと思っております。 ちょっとお時間をいただいてよろしゅうございましょうか。時間がなければ早口でしゃべりますが、少しゆっくり、正確に言わせていただきます。 私は、五月二日の日に、私のカウンターパートでありますコリン・パウエル長官と電話で会話をいたしました。その中で、アーミテージさんと、あちらからは全然メンションをしなかったのですけれども、私の方から、お目にかかるのを楽しみにしていますと。事務方からそういうペーパーが、見えますよというスケジュールペーパーがありましたので、私がそういうことを申しました。先方も大変忙しくて、本当に短い、そういう会話で終わりました。 ところが、このときの状況を客観的に申し上げます。これは全国の皆様によく誤解のないように、同じ質問が参議院等でもないことを期待して申し上げますが、四月の十二日でしたか、総裁選挙が始まった日ですけれども、あのときから私は、当時の小泉候補、現総理大臣でございますけれども、のバックアップ隊として二週間本当に全国津々浦々走り回っておりまして、そして本当に精も根も尽き切ったそういう極限の状態で、そしてこの要職をいただきました。本当になだれ込むような形で、そして今現在までもとまらない列車に乗っているようなぐあいでどんどんとスケジュールが入っておりまして、ちょうどその状態のときに、本当に心身ともにえらくパニック状態になっていました。 その一つは、こういうときのための外務省イシューについてのレクチャーもありますし、来客もありますし、そのほかいろいろな、また外務省の中の機密費の問題があって、そのほかもあるのでしょう、特殊な幹部の、非常に特殊な雰囲気の中に飛び込みました。ですから、その疲労の極限の状態の中にあって、楽しみにはしておりましたけれども、どなたかほかに会ってくださるのか。 ところが問題は、私は、これは正式なんですが、先方と会うという約束はしておりません、調整中でした。メディアが結果としていろいろな、総理を初め防衛庁長官、官房長官、副大臣二名、事務方が会ったのに田中眞紀子はキャンセルしたのではないかというような話が先行したのです。これは調整中でしたから、会談をセットしていない。したがって、キャンセルということはあり得ないのでございます。 何か、アメリカ側、しかも親書もじかに総理に手渡しておられるのでありまして、今申し上げたように、総理が会われ、官房長官が会われ、防衛庁長官が会い、副大臣二名が会い、役人、事務方も時間をかけて……(発言する者あり)いや、ちょっと待ってください、大事なことですから。ちゃんと話をいたしました。アメリカの政府から今、田中眞紀子が何で会わなかったのかというような批判とか不満が出ているのでしょうか、お教えください。 以上が実情でございます。
○菅(直)委員 少なくとも私の耳にはいろいろなことが入っています。ただ、それがすべて事実かどうかはわかりません。 ただ、今の話だけで考えても、少なくとも田中外相は、事前のパウエル長官との電話会談で、アーミテージ氏が来られることを楽しみにしているという話をされたことは認められました。具体的に何時何分にどこで会うかということを決められたのか、調整中だったのか、これはそのうちだれかがはっきりさせるでしょうが、少なくとも長官との話でそう言った以上は、来られたら、ほかによほどのことがあればともかくとして、当然最優先の外交日程だと思います。 パニックというのは個人的にはわからないじゃありません。しかし、外務大臣がパニックなんか起こしてもらったのでは、日本の外交に、それが理由だ、個人的に忙し過ぎたとか総裁選挙が忙し過ぎたとか余波が残っているとか、そんなことが理由にはなりませんから、私は、謝るべきことはきちんと謝られて、今後は十分に気をつけると言われた方がいいのではないか。何か、調整中だったんだからキャンセルなんてした覚えはないと言われるのは、私はちょっと田中眞紀子大臣らしくないと思いますが、どうですか。
○田中国務大臣 人間ですから、やはり壊れることも一年に一回ぐらいはございまして、そのとき私は、とにかく役所のいわゆるレクチャーも、菅先生も大臣経験者でいらっしゃるのでよくおわかりと思いますけれども、すさまじい勢いで、しかも、あのときの外務省がいろいろな問題を抱えていて、新任の大臣が飛び込んできたという中で大変密度の濃いものがありまして、私は、外務省イシューについて自分が整理をしなければつぶされてしまうというような意識もありました。体も疲れておりました。 そこで、私は国会図書館に参りました。自分の意思をまとめる。そこで民主党の議員さんにお目にかかっております。御本人はよくわかっておられます。そこで私は自分でちょっと体も休めて、本当に短時間でしたけれども、自分で大学ノートを持ち込んで、附せんをつけて、外務省イシューの頭で自分で整理を一度いたしました。そのことを、先ほど先生は後でわかるといけないからとおっしゃったのであれば、こちらから先に申し上げます。 ただ、調整中であったということは間違いございませんので、ドタキャンでありますとか、ほかのケースもそうですけれども、そういうことではございませんので、お間違えのないようによろしくお願いします。
○菅(直)委員 同じことを繰り返しませんが、繰り返しはもうこれ以上は避けますが、やはり国民が、田中大臣に限りませんが、期待しているのは、もちろん、機密費問題で場合によっては大いに役所とけんかをすることも期待をしているかもしれませんが、しかし同時に、特に外交関係というのは、国内の役所の問題がこうだからああだからということではなくて、まさに国と国との関係でありますから、一説にはその後のロシアのイワノフ外相との電話会談も取りやめられたとか、それは一つ一つ違うのかもしれませんが、それなら、違うのであれば、一つ一つよくマスコミ報道に対して抗議でもしておいてください。我々、ごく普通のマスコミ報道で聞いているので、それ以外から聞いた話は、少なくともこの場ではしておりません。 これ以上は重ねませんが、調整中であったにしても、やはり会われるべきであったろうということを申し上げておきます。 そこで、少しいろいろな課題について申し上げましたが、話を本題といいましょうか、小泉総理の言われる聖域なき構造改革という問題に戻してみたい、こう思います。 構造改革の中にはいろいろな課題がありますが、やはり何といっても今日の最大の課題は、日本の経済の状況をどうやって立て直すのか、経済の構造改革が最大緊急の課題ではないかと思います。 私たち民主党は、御承知のように、少なくとも森内閣当時以前から、あるいは小渕内閣当時、さらにその前から、同じように構造改革の必要性を訴えて、かなり具体的な課題を政策として積み上げてまいりました。 私流に大まかなことを申し上げますと、やはり日本の今の経済の低迷は、個人消費の低迷が大きな原因である。そのさらに原因をたどってみれば、やはり国民の一人一人が大変不安感を募らせている。例えば、年金が受け取れるんだろうか、医療は大丈夫なんだろうか、介護保険は大丈夫なんだろうか、失業するんではないか、あるいは失業したときは大丈夫なんだろうか、そういう不安感が大変募っている。そのために、一人一人の皆さんは、給料がふえても減っても貯金の方はしっかりとする。それによって個人消費が伸びない。 そこで、自由民主党政権はどうやったか。歴代政権は、その預け入れた国民のお金を国債等で引っ張り出して、そして、諫早湾の干拓から始まって、そこらじゅうにばらまくことによって、日本経済のいわゆる個人消費の不足分を公共事業で穴埋めしようとして、とうとう六百六十六兆という巨額の国、地方の負債を招いて、それがますます国民の不安をより募らせた。こういう悪循環が続いた結果が今日だと思います。 私たちは、そういった意味では、多少費用がかかっても、失業した場合の、例えば失業手当の期間を一時的には三年程度に延ばすとか、あるいは、それによって、失業した人にきちっとした再職業訓練教育を施すとか、そういうことなどを含めて、まず安心感を回復する。安心第一の社会をつくった中で、同時に、思い切った経済構造の改革をやるんだ。第一が安心した社会で、その上で思い切った経済構造の改革をやるんだ、これが私たちの基本的な考え方であります。それにのっとって具体的な雇用政策や年金政策を提案いたしているところであります。 そして同時に、思い切った構造改革については、三年前に、我が党が中心になって金融再生法に加えて、厳しい査定を伴う健全化法を出しましたけれども、いわば底抜けの健全化法を与党の皆さんが通されたために、三年たった今日も、柳澤さんは三年前の金融担当大臣でもありますけれども、不良債権の処理が結局中途半端に終わってきた。これも失われた十年の中の失われた三年。率直に申し上げて、我が党が政権をとっていれば、この三年間は、時間がこんなことはなかった、このように確信をいたしております。 そこで、総理にお考えをお聞かせいただきたいと思います。 総理はいろいろ、改革、改革と経済構造についても言われておりますが、なかなか中身が見えてまいりません。総理の言われている改革の中では唯一かなり見えるのは、ここに「郵政民営化論」という、小泉純一郎、松沢成文、我が党の若手代議士と二人で書かれた本を読みますと、郵政民営化についてはある程度具体的なことを述べられております。そこで、一番おはこのこの問題から入っていきたいと思います。 片山大臣、地域振興券は信書であると歴代郵政大臣は野田聖子さんを含めて言われておりますが、片山虎之助大臣はいかがお考えですか。
○片山国務大臣 今お尋ねの信書問題でございますが、信書というのは、御承知のように、自己の表示を特定の人に伝えるとか、ある事実を特定の人に伝える、そういう文書ですね。そこで、今までの伝統的な考え方は、判例等もありまして、かなり昔から、そういう特定性がある文書についてはこれは信書だ、そうでないものは信書でない、信書は郵便局しかやれない、これは法律に書いてありますから、そういう今までの考え方でいうと、地域振興券は信書で商品券は信書でないのかな、こういう役所の判断だったと私は思います。 ただ、総理の答弁にもありましたように、民間にできるものはなるべく民間にやらせよう、しかもその区分は国民にわかりやすくしよう、こういう観点の御議論も私は確かにあると思います。 いずれにせよ、この問題は、次の郵政公社にするときは、郵便事業にどこまで民間の参入を認めるかという議論ですが、その中できちっと議論をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
○菅(直)委員 今のお答えは大変重大ですよ、今の答えは。小泉総理は本会議の場で、我が党の枝野議員の質問に対して手を振り上げて、我が小泉内閣ではそんなことはさせないと。片山さん、あなたは小泉内閣の総務大臣じゃないのですか。もし変えないというのだったら、やめるのか、どちらかがやめられるのでしょうね。総理、どうですか。
○小泉内閣総理大臣 今の片山大臣の答弁、いいのですよ。なぜか。今まではそうだったのです。私の内閣では変えると言っているのです。しかも来年の問題です。来年、民間参入、法案を出すのです。そのときに今までの考え方は通用しないよということを私は言っているのです。信書も民間参入を認めるのですから、民間にできることはできるだけ民間に任せるように、これから来年の法案の準備を進めますよ。これから来年の法案を出すのですから、今、変えるための検討を始めればいいのですから、何ら片山大臣の答弁に問題はありません。
○菅(直)委員 小泉さんも、私に負けずなんと言ったら怒られるかもしれませんが、大変言葉がうまいのですよね。 私の内閣ではやらせませんと言ったら、今起きたってそんなことはやらせないというふうに国民が受け取るのは当たり前じゃないですか。もう地域振興券なんというのは果たして二度も三度も出せるものであるかどうかわかりません。ですから私は、結局のところは、公社化を待ってその段階に入れたいという希望的なことを言われただけで、今の大臣の答弁を含めて、少なくとも、公社化したときに小泉内閣が存続しているという保証はないわけですから、少なくとも小泉内閣の間にやるというのであれば、その部分だけだってこの国会に出せばいいじゃないですか。 そして、もう一つ言います。次々に言いますからそんなに慌てないでください。この中には、公社化について、小泉さん、賛成されているのですか。「新型公社では、解決しない」とか「第二の国鉄の道を歩み始めた」とか、公社にすること自体に反対だというのが小泉さんの持論ではなかったのですか。それをまず確認しておきます。
○小泉内閣総理大臣 これは、菅さん、混同しないでくださいよ。私は、自民党議員として、今「郵政民営化論」に含まれているような議論を述べてきました。しかし、党内で決まれば、多数意見に従うのが自民党議員であります。しかし地域振興券とか商品券はおかしいと、民主党自身もこれに対して、一部の議員は異論を唱えましたけれども、全体として異論を唱えなかったじゃないですか。今までの郵政省の考え方を支持してきたのが民主党じゃないですか。私は、自民党に対してもおかしいと言っているけれども、民主党についても、他の野党に対してもおかしいと言っているのですよ。 しかし、これからは、こういう考えは小泉内閣では通用しないから、来年法案を出します、民間参入の。そのときには、私の主張に沿って、民間にできることは民間に任せるような法準備をして、公社化に進めていく。それで、公社化の後はどういう姿がいいのかというのは、これはまた懇談会を立ち上げて検討していきたい、そういった答弁です。
○菅(直)委員 私は、小泉さんが今言われたことはちょっとおかしいのですね。(発言する者あり)私がおかしいと言っているのですから、黙って聞いてください。自民党内で多数に従うのは当然だと。あなたはかつて郵政大臣もやられましたね。それで、多数に従った結果、何もできなかった。ですから、多数に従わないというからみんなが支持したのじゃないですか。自民党を変えるということは、自民党のままではないと。今のままやったら、多数に従ったら、ほとんどが反対ですよ。多数に従うというのだったら、初めから自民党を変えるなんて言わないでください。 では、もう一つ聞きましょう。特定郵便局について、現状がいろいろ書かれてありまして、最終的にはこれを廃止すべきだという趣旨のことが書いてありますが、そういうことでよろしいのですか。
○小泉内閣総理大臣 多数に従わなかったら独裁ですよ。民主主義は多数決なんです。私が総裁・総理になって、今まで少数意見だったものを多数意見に変えていくということは、大変私にとって重要な役目なんです。 そして、今、特定郵便局のお話が出ました。将来民営化になれば、郵便局はなくならないと思います。しかし、特定郵便局で今の形態は変わっていく。それを、それに向けていろいろ意見を聞きながら、いい具体案があればこれから検討していく。私は、郵便局はなくすなんということは一言も言っていません。特定郵便局にしても普通郵便局にしても、経営形態が変われば、もっと国民に対して多様なサービスが展開できるということを言っているわけでありまして、これを、そういう改革に向かって、今後小泉内閣のもとで、小泉内閣が続けば進めていくということでございます。
○菅(直)委員 特定郵便局について田中大臣は、まだ大臣になられる前ですが、父が郵政相のときにつくったのが特定郵便局だ、そこをつぶすのじゃない、私が見張っているからつぶさせないと、これは総裁選のときの街頭遊説ですから、多分このとおり言われたのでしょう。これは矛盾しているのですか、していないのですか、小泉さん。小泉総理、この田中眞紀子さんの発言と今言われたことは矛盾しているのですか、していないのですか。
○小泉内閣総理大臣 これは、郵便局をつぶさないということでは一致しているでしょう。そして、特定郵便局がどういう経営形態になって、どうサービス展開されるかというのは、これから民営化の過程の中で変わっていくでしょう、当然。国営維持がいいのか、民営化した方がいいのか、これは今後具体案を出して、国民に理解と協力を求めるような形で、あるべき改革に持っていきたいというのが私の考え方であります。 ですから、田中眞紀子さんの考えもその線に沿って、私が郵便局をつぶすなんということを言っていないということをわかりやすく表現してくれたのが田中眞紀子さんじゃないかと思います。
○菅(直)委員 とにかく、言葉の遊びをするのではないのですが、総理の話を聞いていると、いつの間にか特定がなくなったり、私は今、特定郵便局というこの独特の制度について話をしているのであって、それが一番、自由民主党にとっては大きな大きな支持母体なわけですから、それについて言っているわけでありまして、それをまた一般的な郵便局の話に変えてみたり、結局は、ある意味での国民をだましていることになりませんかね、そういう言葉じりをどんどん変えていくのは。 次の問題に、まだまだこの問題にかかわってありますから、申し上げてみます。 郵貯の資金が二百五十兆ぐらい、簡保を含めれば四百兆近い資金が、これまでは財投の制度の中で特殊法人に多く流されてきました。 私は実は、さきがけの当時、今から四年、もうちょっと前ですか、一九九五年ごろに、当時九十二ありました特殊法人の全面的な改革案をまとめまして、当時は自社さでしたから自民党の方も御一緒でしたが、案を与党の政調の会議に出しました。大変な大騒動がありました。もう今はなくなりましたが、環衛公庫の関係者、地元の美容、理容の関係者から電話がかかるし、住都公団に住む皆さんからは、私たちが住んでいる住都公団をなくすのかと言われましたし、そうじゃないんだ、それこそ民営化したからなくなるわけじゃないと、今の小泉さんと似たようなことを地元でも申し上げましたが、九十二の特殊法人が当時十幾つ改革をされましたが、まだまだ現在七十七か八残っております。 これは、郵貯が国営的な形であるから特殊法人があるのか、逆に、特殊法人があるから郵貯があるのか、入り口か出口かという議論がありますけれども、総理は、この財投制度、若干変わっておりますが、ことしから変わりますが、それも含めて、特殊法人、こういうものについて、基本は全面的に廃止なんだという姿勢で臨まれるおつもりですか。
○小泉内閣総理大臣 これは、ゼロベースで見直すというのは、今我が党でもそういう方針でやっておりますから、ゼロベースで見直す、統廃合、民営化含めて見直していかなければならない、そういう点においては、菅さんと基本的目標は共通できる点が随分あるんじゃないかと、この行政改革について。お互い、自民、社会、さきがけの連立政権でやっていたわけでありますし、その行政改革の抵抗のすさまじさは菅さんもよく御存じでいると思います。 私は、今言ったような特殊法人の見直しというのは、基本的に財投制度の改革、郵政三事業の民営化、これが全部一体となっているんだということを早くから主張してきたのです。ですから、その線に沿って思い切った改革をこれから進めていきたい。御協力いただける点はぜひとも御協力いただきたいし、私も貴重な御意見は参考にさせていただきたい。共闘できる可能性は随分あるのではないかと期待しております。
○菅(直)委員 ゼロベースという言葉を、私は役所の説明でもよく聞くのですよね。ゼロベースというのは全く違う二つの意味があるわけですよ。今の状態をゼロベースと思っている人と、もともとないことをゼロベースと思っている人とあるのです。お役所はほとんど今の状態をゼロベースと思っていますよ。違いますか。よく体験されるでしょう。 ですから、例えば、きょう偶然ですが、ここにある新聞が本四架橋のことを書きました。私は、連休中に高松に行きまして、ちょうどこの児島ルートを通って山口県まで行きましたけれども、利用料で利子分も出ない、どうするのですかと地元の記者に聞かれまして、私も、小泉さんならすぐ答えるかもしれませんが、一瞬どう答えようかなと、もちろん問題があることは知っていますと答えましたけれども。例えばゼロベースで考えたら、これなんかどうなりますか。今つぶしても、ここの試算によれば二兆数千億はお金がかかりますという形です。 あるいは、いろいろな政府系金融機関、これも小泉さんは一本にするということを言われておりますが、一本にしたとしてもしないにしても、例えば苫東、むつ小川原、物すごい不良債権があるはずです。不良債権があるんじゃないのと聞いても、不良債権はありません、なぜないんだ、それは国から利子補給とか無利子融資とかいろいろ来ますから、それと換算するとちゃんと返せますと。 つまり、結局は右のポケットと左のポケットなわけですよ。数値が合わなくなったら、何らかの形で補助金なり出資金なり無利子融資を一般会計からして、それで薄めることによって、そして期限を二十年を三十年、五十年にやって、なる。国鉄だけが民営化をすることによって、その先延ばし的な処理ができなくなった結果、あの二十何兆というのは、もともとは財投資金じゃないですか。郵便貯金は焦げついたんですか。焦げついていないじゃないですか。全部国民の税金で穴埋めすることになっているじゃないですか。 何がゼロベースなんですか。どちらのゼロベースなんですか。七十七を全部なくすることをベースにして、どうしても必要なものについては、じゃ補助金でやろうとか、じゃ利子補給でやろうとか、じゃこれだけはこういう特殊な問題があるから一般会計でやろうとかというので残すんならともかく、今のベースでやる限りは、私は、動かない。どう思われますか。
○小泉内閣総理大臣 なるほど、ゼロベースというのは現状維持のゼロベースもあると。確かにそういう傾向はありますよ。私はそうじゃない。だから今まで郵政民営化を主張していたんです。不良債権はないと必ず役人は答弁しますよ。税金の補てんがあるから不良債権はないんですよ。そのために、今、石原担当大臣にも指示しておりますけれども、まずこの情報公開、明らかにしなさいと。 そして、ゼロベースというのは、特殊法人も、統廃合、民営化含めたゼロベースの見直しなんです。現状維持なんて考えていません。そして、明らかに、内部の会計とか国民にわかりやすいような情報を提示して、いかに現在の財投制度、特殊法人に問題があるかということを国民にわかりやすく説明しなきゃならない。私は、こういう点においては民主党の協力も得たいと思いますよ。これは断じてやっていかなきゃならない。
○菅(直)委員 小泉さんは、我が党の鳩山代表が幾つかのことについて、法律を出せばそれを判断すると言われました。私も、小泉総理がそこまで言われるんなら、きちんと法律を出してみてください。それが私たちの考えに一致するならもちろん賛成します。幾ら、ゼロベースでやる、私は変えていないと言ったって、これまで郵政大臣をやったって変わらなかったし、あるいはいろいろな役職をやられたって、自由民主党はほとんどそれに反対してきたわけですから。ちゃんと法律を出してみてください。 そして、私はここで非常に重要なことがあると思うんです。これは特に国民の皆さんに理解を得たいんですが、法律が出せるかどうかという問題なんです。 私も与党も経験しましたから、与党のルールでいえば、内閣が法律を出す場合には与党のいわば事前の承認が要る。自由民主党であれば政調なりあるいは総務会ですかの合意が要る。そうすると、幾ら小泉さんが本会議でライオンのごとくほえてみても、本音のところで、人間が全く変わっていない本音のところで、賛成する人が急に出るのか。それは説得すると言われるけれども、自分たちのいろいろな利害関係が絡まっているときに出るのか。 私は、もし小泉総理が本当にやる気なら、与党の反対があってもきちっとした案を法案として出されるべきだ、そのときに閣内で反対があったら閣僚を罷免させてでも出すべきだと。それで通らないんだったら、衆議院を解散してでもそれを国民に信を問うべきだ。つまり、自民党が怖くて何ができるのか、内閣の中の全員一致で何ができるのか、その気がない限りは、幾らライオンのごとくほえられても、ここで幾ら言われても、これまでの小泉郵政大臣や歴代内閣がやられたことと同じで、いや、やろうと思ったけれどもやはり党内の多数に従うのは当然ですと。 私は、独裁者になれとは言っていません。しかし、党内の多数に従うと言うんだったら自民党なんか変わりっこないですよ。党内の多数に従わない、少数になったら、だから最初に言ったでしょう、自民党を壊してでもやるんだと。そういう気持ちがない限り私は党内の多数、常識的に考えてみてくださいよ。この間だって、マスコミやいろいろな力で自由民主党の中で多数はとられましたけれども、本音で、小泉さんがこういうことをやろうとしたときに賛成される人がどれだけいるか。大変怪しいじゃないですか。 そのところについてのお考えを、つまりは、与党の賛成がないときにはどうするのか、与党が賛成してくれなかったらあきらめるのかどうか、まずお聞かせいただきたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 よその党のことについて、そう決めつけるのは早いんじゃないですか。 私は、党員の支持も受けましたけれども、自民党国会議員の多数の支持も受けて総裁になって、総理になっているんです。自民党は話せばわかるんですよ。今、一郵政大臣のときはできなかったことでも総理ならできることがあるんです。その可能性を求めてこれから改革に向かって立ち向かおうと。 自民党がやはり変わらなきゃならないと思ったから小泉を支持してくれたんじゃないですか。私は、そういう自民党議員の変革に対応する、この変革の時代の風を真摯に受けとめる考えを信じております。期待しております。それに向けて国民の多数の理解を得ようと思っていますので、協力できることがあったらどうぞ協力していただきたい。
○菅(直)委員 総理が自由民主党を信じられるならどうぞ御自由に。私たちは自由民主党の政治を信じていませんから。 それから、今、郵政大臣だったらできないけれども、総理大臣だったらできると言われた。しかし、郵政相のときに法案をつくっても同じように与党が賛成しなかった。当時、たしか逓信委員長は野中さんじゃなかったですか。たしか郵政省の政務次官は、笹川さんが辞任したんじゃなかったですか。つまり、あなたがやろうとしたことを自民党は全部骨抜きにするか廃案にしたわけでありまして、そのときできなかったけれども、今度は信じると。 よその党のことだと言われましたけれども、よその党のことですよ、もちろん。しかし、小泉総理が国民にやれると言ったときには、さっき聞いたでしょう、自由民主党がオーケーじゃなくても出すんですかと私が聞いたのはそのためですよ。オーケーでなかったら出さないというんだったら、国民の皆さんには約束したけれども、やはり自由民主党はなかなか変わらなかった、申しわけない、私も独裁者じゃないから、そういう話に、十年前の郵政大臣のときと同じことになるのではないですかとお聞きしたんです。
○小泉内閣総理大臣 十年前の自民党だったら私を総裁に選ばなかったと思います。私は、かつての自民党を変えたいから総裁に就任して、総理になっているんです。私の考え方を自民党の多くは支持してくれるものと信じています。また、そうしてくれるように私は努力をしていきたい。私の提案を自民党がけっぱぐるなんということは考えていません。
○菅(直)委員 手をたたいている人は多分無条件で小泉さんの案に賛成するんでしょう。しかし、先ほど久間さんも一生懸命、長崎の諫早の干拓になったら絶対にやめちゃだめだという話ですから、果たして具体的になったときにどうなるか。ちょっと具体的なことを申し上げてみます。よろしいですか。 それでは、公共事業に関連して。 総理も言われました、あるいはどなたかも言われました、一方で三十兆を超えない国債で、そして一方で増税はしない。そういうことになれば、当然歳出の厳しい削減が必要になる。そして私たちは、先ほど申し上げたように、安心できる社会ということを考えますと、社会福祉に関連しては、必ずしも削減というよりは、場合によっては増額をしなきゃいけない部分もできる。そう考えますと、相当に公共事業に向かっている財源を振りかえなきゃいけないということは、少なくとも予算を見ている人から見れば当然のことだと思います。 そこで、道路特定財源というものがありますよね。これは、塩川財務大臣も何か最近積極的な発言をされたようですが、こういう席ではありますが野党ですからざっくばらんに言えば、橋本派の聖域なんということをある雑誌は書いておりました。つまり、ガソリンなどから取られる五兆円前後の税金を、道路特定財源、ぐるぐる回していろいろやっていますから特定財源としては五兆弱ですが、そこに振り向ける。そうすると、道路以外は一切使っちゃいけない。道路が多いか少ないかじゃなくて、道路という範疇以外は絶対使っちゃいけない。 こういう財源があって、私どもも公共事業の見直しを考えるときに、この特定財源を一般財源にすべきだ。本当に必要なら道路に使えばいいけれども、必ずしも道路でないものに使うこともあっていいじゃないか。例えば、国鉄がああした状況が生まれたときに、道路があって自動車がたくさん走るから、ある意味では、鉄道から道路にいろいろなものが移った。それの処理についても、外国では道路の、あるいはガソリン税というようなものを使った例もある。いろいろなことを考えたら、当然一般財源化すべきだ。私たちは、強く以前から民主党としては主張しています。御存じですよね。これはなかなか聖域なのですよ、自民党にとっては。 具体的な、この道路特定財源について一般財源化するかどうか、総理のお考えをお聞かせください。
○小泉内閣総理大臣 本会議の代表質問で、塩川財務大臣も検討するというような答弁をされていました。私も、聖域なき構造改革ですから、これは聖域なく見直しの方向で検討したいと思います。これはかつての自民党では大変な抵抗を受けましたけれども、今回は聖域なき構造改革ですから、予断を挟まず、どの方向に使うべきか、これは予算配分にもかかわってきますから、今までの民主党の主張も十分参考にさせていただきますし、党内の議論も賛否両論あるのも承知しております。しかし、聖域なき構造改革の一部として検討したいと思います。
○菅(直)委員 こういうところで自民党の席から拍手でも出れば多少はやるのかなと思いますが、こういうところでは一つの拍手も出ない。これが、本音がやはり出るというところなのですね。 そこで、もう少し具体的なところをお聞きします。 先ほど、午前中でしたか、お隣に座っておられる久間さんの方から諫早湾の干拓の必要性が得々と述べられました。私も何度か足を運びました。率直に申し上げて、あの潮受け堤防が存在し、水門を、いわゆる外から内に水を入れない限りは、本明川から流れてきた家庭雑排水を含む水を数カ月、数年ためて……(発言する者あり)ちゃんと言いますから。ためて、腐らせて、しっかり腐ったところで、一日か、時々少しずつ、水面がマイナス一メートルよりもちょっぴり上がったら、その分だけ出していく。つまり、本格的に流しているのではなくて、ためたものがたまり過ぎたら、ちょっぴりその分だけ出していくという仕組みをつくっているのです。私は現地に行っていますから。しかも、干拓によって農地をつくる。 今、長崎県においても全国においても減反、減反で、すぐそばの水田の減反もたくさん私はこの目で見てまいりました。私は、そういう意味で二千五百億円かけたこの干拓事業は、もうとてもではないけれどもその正当性はなくなっている。即座に中止ということを決めた上で事後的な処理に行くべきではないか。 あるいは熊本県の川辺川ダム、私も何度か足を運びました。いろいろ言われる方はありますが、三千億円かけて、今から着工しようとして、せんだって地元の漁協が反対を決めて、今着工がたしかとまっているはずです。これが大体三千億円と言われております。 私たち民主党は、もうコンクリートのダムをこれ以上つくることは基本的には望ましくない。外国の事例を見ても、ダムを逆に壊していくところ、あるいは水門を壊していくところ、オランダなどでもいろいろ出ております。そういう意味では、コンクリートのダムから緑のダム。最近、田中長野県知事が脱ダム宣言をされましたが、民主党はその脱ダム宣言が出される以前からこうした緑のダムの構想を掲げてきているわけであります。これも一つの聖域なのですね。これは目の前におられるからなかなか言いにくいでしょう。 やはり諫早湾の干拓なんという一番わかりやすい事例をまず中止するのだというところから始めないと、先ほどのゼロベースというのが現状からのゼロベースで、さきの森内閣のときでも、そろそろ水門をあけるとかあけないとか、いろいろな議論があったわけですが、結局もとのもくあみになっている。私は、農水省のお役人の圧力だ、こういうふうに見ておりますが、どうですか、総理大臣。
○武部国務大臣 午前中の論議にもございましたけれども、先週、諫早市長を初め、湾岸の自治体の皆さん方や漁業関係の皆さん方がおいでになりました。民主党の国会議員さんも一緒においでになりました。長崎県の知事がおいでになりましたときにも、民主党の国会議員の皆さんもおいでになりました。 この干拓事業についてのこれまでの長い歴史的な経緯、もう既に御案内のとおり、高潮とか洪水等に対する防災機能の強化や、今、菅委員お話のありましたような優良農地の造成を目的として、着実に推進してきているわけでございます。進捗率は八五%ということでございますが、潮受け堤防については大変感謝されているということは御案内だ、こう思います。 今般のノリ不作の問題に関しまして諫早干拓事業が取り上げられているわけでございますけれども、私は原因究明を徹底すべきだと思いまして、この件について、干拓事業だけが原因だというような予断を持って考えるべきではない。現地にも参りまして、しっかり私なりにつぶさに見てまいりたいと思っておりますし、さまざまな要因、予断を入れずに、これはもう政府を挙げてやらなければならないことだろう、かように思っております。 そういったものをしっかり対応した上で、さらにどのような問題があるのか、あるいは解決の方法があるのかということについて、しっかりとした検討をし、対応をしていきたい、このように考えております。
○菅(直)委員 私の持ち時間がもう少しですので、今のに関連して、自由民主党の中にはむだな公共事業発生装置というのが備えつけられているのを、総理、御存じですか。 例えば農水省であれば、かつての構造改善局が、それこそ一兆円を超える予算を使わなければ翌年も予算がとれない、だから干拓事業をと。唯一残った干拓事業はこの諫早ですよ、国営干拓事業は。あとはスーパー林道とかなんとか山のようにつくっていく。むだを承知で、せっかくの天下り先にもなるし、やりましょう、ダムをつくりましょう、道路をつくりましょうと。そして、それを推進するのがいわゆる族議員でありますけれども、その中でも、ことしの七月に予定されている参議院の比例選挙で自由民主党の候補者が何人か決まっていますよね。 この中に、いろいろありますが、公共事業官庁出身者が少なくとも数名おられますね。元河川局長、再選を目指されているようですが、川辺川ダムを直接やられたかどうか知りませんけれども、少なくとも河川局というのはそういう河川のダム工事をやったところであります。あるいは、土地改良事業の代表などというポスターをつくってばらまいている農水省出身の人もいます。土地改良事業というのは、まさにこの干拓事業もその一つであります。 だれがこの選挙運動をやっているのか。国民のお金を、農林省なり建設省がいろいろな業者を使ってそういう事業をする。そこの事業にかかわる業者に、おまえたち、ちゃんとやらなきゃ、また民主党が言って予算が減ったら、おまえたち仕事がなくなるぞと言って、そういうやり方でどんどん運動をして、そして当選した人たちは、いろいろな理屈をつけて、やはりことしも予算が要る、来年も予算が要る、一切シェアの配分は変えさせない。そういうやり方をやっているのが自由民主党の長年の構造です。 これはもう皆さん方が一番よく御存じでしょう。それをむだな公共事業発生装置と呼ばないで何と呼べばいいのですか。そういうむだな公共事業発生装置を強化するような候補者をまたぞろ比例から出そうとしている。 よくやじで、よその党のこと、よその党のことと言われますけれども、自由民主党を変えてと言われたのは総理なんですから、これじゃ自由民主党が全然変わらないじゃないですか。こんな人たちを出している限りは、幾らゼロベースと言ったって、先ほど来の農水大臣の話も、予断を持たないでと。予断を持たないでというのは、今の段階のベースがゼロベースなんですよ。もとの段階、つまりその工事がなかった段階、海の水が干潟に当たっているときがゼロベースじゃないんですよ。もともとなかったときをゼロベースで考えているんじゃなくて、今の状態をゼロベースに考えているわけですから。そして、よくわからないから、じゃ、しばらくはこのままでいこうというのがゼロベースですから。どうですか、総理。 やはり冒頭も申し上げましたように、痛みをというのは、国民の痛みから始めたのでは理解されません。やはり、これまで一番政権を長くとり続けてきた自由民主党自身の痛みをまず国民に見せなければ、私は、言葉だけだと。まして、むだな公共事業発生装置を強化するような参議院の比例候補は、たとえ一たん決めた公認候補でも全部外す。そこまで言われれば私は少しは本気かなと思いますが、いかがですか。
○小泉内閣総理大臣 これは、いろいろな団体から候補者が出ているというのは自民党のみならず各政党もあると思いますが、必ずしもその団体の言うことを聞かなきゃならないということとは別問題なんです。いろいろな団体の意見は聞くのは重要ですが、決定するのは、やはり党内の大方の意見に従ってもらわなきゃならない。 そういう意味において、私は、今までの役所の積み上げ方式では、国債発行を三十兆円以内に抑制するというのと増税しないという予算は、組むのはなかなか難しい。三兆円程度削減しなきゃならないというところに、今回の予算編成の重要さがあると思っています。 そういう中で、たとえ同じ候補者でも、政治がしっかりとした方針を示せば、それに従ってくれるのが役所です。現に、今までの役所とだんだん雰囲気が違っています。政治の方針が決まれば役所はその決まった方針に従うのが本来の政治主導であって、私は、役所、役人を全部変えなきゃ政治は変えられないとは思っていません。同じ人でも、方針が変われば同じ候補者でも、私は、自民党内は新しい時代に沿って変えるべきは変えていくという形に持っていきたいと思っております。
○菅(直)委員 すべては国民の皆さんが判断することですから。 私から見れば、特に比例選挙の、公共事業官庁、これは税金を使うんです。税金を使って、いわば天下り先という形、業界という形、そして典型的にはそこから出てきた候補者。これは、KSDの場合は役所という関係も若干ありますけれども、同じ構造があったわけです。そういう団体と業界と政治家、それが長年公共事業に関する役所でやられたことはもうよく御存じのとおりであって、小泉さんは自民党の皆さんを大変信用されているようですから、それで考え方が変わるというふうに思われているかもしれませんが、私は、最初に申し上げましたように、自由民主党を変える、そして日本を変えられるという約束を国民にされた以上は、せめてそうした方針に反する可能性の強い候補者ぐらいはかえてみせるという、そういう決意を聞きたかったんですが、それも聞かれないようでは、やはり、ある評論家が言っておりました、小泉さんが総理になって自由民主党は参議院選挙に勝つかもしれないけれども、日本は沈没するだろう、最悪の政権だと言われておりましたが、そういう可能性があるということを申し上げて、私の質問を終わります。
○野呂田委員長 この際、岡田克也君から関連質疑の申し出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岡田克也君。
○岡田委員 民主党の岡田克也です。菅幹事長に引き続きまして、きょうは一時間、質問させていただきたいと思います。 まず、小泉総理、小泉さんが自民党総裁選挙に当選をされて、その直後の記者会見、大変印象的でありました。小泉さんは、そのときに、自民党を変えてくれという期待が私の当選に結びついたということを言われたわけであります。 そして、それに引き続いて、自民党の派閥政治についてお話しになりました。どういうふうにお話しになったか、覚えておいででしょうか。
○小泉内閣総理大臣 今までの派閥秩序にとらわれない組閣をやってみたいということを言ったはずであります。
○岡田委員 実は小泉さんがおっしゃったのは、それもおっしゃったかもしれませんが、こういうことをおっしゃっているんです。お忘れなのはちょっとがっかりですけれども、派閥あって党なし、派閥あって国なしと、国民の多くは自民党に怒りを感じている、そう思っている方々の声に今こそ真剣に耳を傾けなければいけないと思っている、そういうふうにお答えになったと思いますが、思い出されましたか。
○小泉内閣総理大臣 そう思ったからこそ、実行に移して、組閣人事を断行したわけであります。
○岡田委員 ちょっと総理の方は先走りして言われているんですが、それでは、それだけ派閥政治というものが自民党の政治を、あるいは日本の政治をゆがめているということであれば、具体的に、まず派閥を解消されることが総理がやられるべき第一のことじゃありませんか。いかがでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 まず第一に、党三役人事にしても組閣人事にしても、今までの派閥にとらわれない人事を断行したと思っております。 そして、私がこれから政治を行っていく上において、だんだん派閥があっても余り意味のないようなものにしていくのがこれまた私の一つの責任だと思っていますから、時間をかけて見ていただきたいと思います。
○岡田委員 その時間をかけてというのがよくわからないわけですけれども、かつて、自民党が大きなピンチに直面したことが何回かありました。一つはロッキード事件、あるいはリクルート事件。そのたびに党改革が叫ばれて、そして議論がされて、改革案が出された。今回も、KSD事件あるいは機密費の問題、同じような大きな事件がある中で、党改革についての具体的な議論が始まろうとしていない。それはなぜなんでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 これから、今始めているんですよ。まだ一カ月たっていないんですよ。スタートに立ったばかりなんですよ。余り性急に考えないでください。
○岡田委員 例えば一九九四年に、これは自民党が野党の時代、河野総裁の時代でありますが、派閥を解消するということを党議決定していることがあります。ですから、過去にはそういうこともあった。 それでは、あなたがそれだけ、派閥政治が日本の政治をゆがめている、あるいは自民党の政治をゆがめているとおっしゃるんなら、どうして同じことが今決められないのか。時間をかけて次第にやっていく、それは派閥が残ることが前提の議論ですよね。そうじゃなくて、やめる、どうしてそれが言えないんでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 私は、派閥があったとしても、今までの派閥を意味のないものにしたいと言っているんですよ。今までこのような人事をした総裁がありますか。なかったじゃないですか。一歩一歩しなきゃいかぬ。一挙に変えることはできませんよ。変えるべきものを一歩一歩、実績を積んでやっていきたい。これから見ていればわかります。
○岡田委員 なかなか小泉さんはお上手に言われますから、ついだまされてしまうわけですが、それでは、今回のこの内閣、そこは私は認めます、今までの派閥均衡ではなくて。もちろん、一国の内閣を派閥の推薦によって形成するというのはまことにばかげたことで、そんなことが今まで続いてきたことが本当に信じられない、国民からすればそういうことだと思います。 国を背負っているのが内閣でありますから、その内閣、その時点における最も能力のある、最も適材を配置する、当たり前のことだと思います。それが今まで、当選回数主義とかあるいは派閥の推薦によって総理ですら自由に組閣ができなかった、それは本当に異常なことだと思うんですね。それを乗り越えられた小泉さんに対しては、私は敬意を表します。 しかし、では、それが本当に今回貫徹しているのかどうかということを私はまず申し上げなければいけないと思います。 お手元に資料も配らせていただきました。つまり、これは内閣の問題でありますけれども、総理は、確かに閣僚については今おっしゃったような形で、旧森派が多いとかいろいろな話もありますが、基本的には派閥を乗り越えておつくりになった、そこは評価する。 それでは、お手元に紙もありますが、副大臣や政務官は一体どうなっているんだと。結局、比較をすると、森内閣と小泉内閣で、見事に派閥が均衡しているじゃないか。もちろん、森派は遠慮した。だから、森内閣から小泉内閣、副大臣は二人減りました。しかし、その分が江藤・亀井派と堀内派に行った。政務官についても、森派は二人減った。その分が橋本派と江藤・亀井派に行った。結局、これは従来と何ら変わらないじゃないですか。 あなたがもし本当に派閥を超えて組閣をしたとおっしゃるのであれば、副大臣だって政務官だって、同じように大事な政府のメンバーであります。そこについて、どうしてあなたはそれを変えよう、みずからのリーダーシップで決めようというふうにされなかったのか、ぜひお答えいただきたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 一つの政党の長として、独断専行に陥ってはいかぬな、できるだけ多くの方の協力を得て改革を進めていかなきゃならないというときには、大事争うべし、些事構うべからずという言葉があります。大事なことは争う、細かいことに余りとらわれない。 私のまずやるべき大事は、党三役と閣僚人事だと思います。あとは、党内のいろいろな方々の融和を図って、やるべき改革をするような体制を組むのが大政党の党首の責任だろうと思いまして、あとの人事は幹事長にお任せしました。
○岡田委員 今の御発言ですと、副大臣や政務官、その人事は些事ですか。
○小泉内閣総理大臣 それは言葉の揚げ足取りというものです。そういうことわざがあるだろう、組閣人事に比べればそれほどこだわることはないであろうと言ったのです。余り揚げ足取りに終始しないでいただきたい。
○岡田委員 今のことが揚げ足取りとは私は全く思いません。副大臣それから政務官というポストは、新しい体制の中でできたわけであります。そして副大臣、政務官というのは、まさしく大臣を補佐して、場合によっては大臣にかわって重要な役割を持っている。昔みたいな、一時盲腸とか言われた、そういう時代の政務次官じゃないわけです。その大事な人事について、例えばあなたが幹事長に対して、派閥にとらわれずにやれ、そういうふうに言ってもよかったわけですね。 それから今、私は本当に理解できない一言を聞いたと思うのですが、幹事長にとおっしゃったけれども、政務官や副大臣というのは内閣の人事であります。それを幹事長に任せ切ったというのは、私には理解できないわけであります。
○小泉内閣総理大臣 これも一々言葉の先々をとられると困るのですが、それは副大臣も政務官も重要ですよ。しかし、大臣に対してしっかりと補佐できる人を決めてくれということはもう前提として知っているわけですから、当然官房長官を初め、党内の情勢もあるから、私が一々これをしろあれをしろということをやるとまた党内秩序を壊すことになるし、これから先の党の挙党体制をつくる意味においても、余りそういう人事まで総裁が口出しするのはよくないと思って、官房長官を初め幹事長とよく相談してくれと言ったまででありまして、決して副大臣とか政務官が瑣末な人事とは思っていません。 今言ったのは、大事争うべし、些事構うべからずというのは、これは一つのことわざですよ。その辺は岡田さん、良識ある、見識ある方だから、その辺は御理解いただきたい。
○岡田委員 言葉を失うわけですけれども。 もう一つ言わせていただければ、例えば副幹事長の人事というのがありました。副幹事長の人事についても、当初は、これは期別に代表者を選ぶということを言われたはずですね。ところが、実際に見てみると、これも前回と変わらず各派からの代表になっている。結局、あなたの言っていることすらできていないじゃないですか。それなら最初から期別に選ぶなんて言わなきゃいいわけです。 ですから、そこで私は、国民の皆さんはだまされていると思うんですね。大臣はそういう形で選んだ、そのことに目を奪われて、全体がそういう趣旨が貫徹しているかというと、実態は何も変わっていない。頭の部分だけ変わっているけれども、胴体以下は従来と同じだ。それで本当に改革できるのか、その懸念を持つわけですが、いかがでしょうか。 〔委員長退席、小林(興)委員長代理着席〕
○小泉内閣総理大臣 これは一朝一夕に変わるわけではありません。時間をかけてあるべき姿に持っていくのが、政治家として大事ではないでしょうか。
○岡田委員 小泉さんは、所信表明演説の中でも、維新というお言葉をお使いになったんですね。時間をかけて微温的に変えていくということじゃなくて、思いきって変える、そのことに対して国民はみんな拍手しているんじゃないですか。今の、時間をかけて、秩序を重んじて、挙党体制でなんて言っていたら、結局、従来の総理とどこが違うんですか。いかがでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 まだ一月たっていないんですよ。これから変えていくんじゃないですか。まず変わったじゃないですか、やり方。私を総裁にしたということ自体、自民党では平時では考えられないようなことでしょう。このような組閣も、みんな予想を覆した。だんだん変わってきているんですよ。これは発言においても、今まで私がこんなことを言ったら、つるし上げで与野党大変ですよ。それが変わってきている。全然今までと違うじゃないですか。 余り党利党略に走らないということも、この予算委員会でも大事じゃないですか。私は民主党を敵と思っていませんから。そういう考えはないです。協力できることは協力したい、民主党のいいことは取り入れたい。それが小泉内閣の、自公保連立政権ですけれども、大事だと思っていますから、あなたを敵だなんか一つも思っていません。これからは、協力できることは協力したい。 ですから、いいものは賛成していますよ。受け入れるべきものはこれから考えたいと言っているじゃないですか。その点でも随分違ってきたんじゃないですか。その辺御理解いただきたい。
○岡田委員 私も総理を敵だとは思っておりません。ですから、後押ししようと思ってこういう質問をしているわけです。 それでは、ちょっと話題を変えますが、私は、派閥というのは、基本的には人事権とそして資金だと思うんですね。では、派閥の資金について、総理はどういうふうにお考えなのか。私は、派閥が主催する政治資金パーティー、そういうものは禁止されるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 これは、今後とも私は大変重要な問題だと思うんです。政党として、政治家として、あるべき政治資金、どうやって調達するか。すべて企業献金、団体献金を禁止すればいいというものではないと思っています。 問題は、その政治のコストを国民がどう負担すべきか。すべて税金で負担するのは私は感心しません。企業についても団体についても、政治的な意見を展開したい、政治に参加したい、あるいは資金的に協力したいというのはあるんですから、これは民主主義の国だったら大体どこでも許されているということで、私は、もっと忌憚のない、政治資金の調達方法がどうあるべきかというのは、もっとオープンに議論してもいい問題だと思っています。 そういう中で、各政治団体が法にのっとって資金を調達するためにパーティーを開くというのは悪いことではないというふうに思っております。 〔小林(興)委員長代理退席、委員長着席〕
○岡田委員 今おっしゃった前段の話と後段の話は、大分飛躍があるんですよね。 ですから、企業・団体献金を政党にするということは今も認められていますけれども、私が今申し上げたことは、政党じゃなくて各派閥がそれぞれパーティーを主催してやることが、そこに、派閥にお金が入るわけですから、そのお金を使ってばらまく、小泉さんも森派の総裁として衆議院選挙の前にはばらまかれたことだと思いますけれども、そういう形でやることが結局派閥の形を残すんじゃないか、それをやめるべきだというふうに申し上げているんですが、いかがでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 今、派閥が金をばらまくなんていう時代じゃありませんよ。パーティーを開いても、そんなにパーティー券をみんな買ってくれない。むしろ、事務所の経費とか、毎週の政治活動のためには食事もしなきゃならない、講師もお招きしなきゃならない、講演料ただで来てくれる講師は少ない、いろいろかかるんです、経費が。それをお互い分担して支えていこうというのがいわゆる政策研究集団とかいって、新聞では派閥と言っていますけれども、これは、派閥が資金を配るような潤沢な資金の調達ということはもう困難になってきている。だからこそ、今が派閥重視の政治から派閥脱却の政治のチャンスだと言っている。 特に、選挙制度も変わりました。各候補者、衆議院においても参議院選挙においても、一派閥の支援だけで当選できる候補なんかほとんどいないと言ってもいい、全党的な支援を受けないと。恐らくどの政党も同じだと思います。自民党もだんだん変わってきています。 そういう点において、私は、今後、今まで俗に言われる派閥主導政治から全党的な、近代的な政党に変えるいい時代にしたな、またそういう方向に持っていかなきゃならないなと思って、このチャンス、風を有効に改革の方に向けて生かしていきたいというのが私の趣旨でございます。
○岡田委員 小泉総理が派閥による金集めをやめるつもりがないということはよくわかりました。 これは、リクルート事件の後で自民党が平成元年に出した政治改革大綱、お亡くなりになった伊東正義さんやあるいは後藤田先生が、後藤田先生はもちろん今お元気ですけれども、中心になっておつくりになったものであります。その政治改革大綱の中では、派閥主体の政治資金パーティーは禁ずるということにしていたんですね。それが当時の自民党の良識ある考え方だったんです。今の小泉総理は、そのことを明確に否定された。 それじゃ、総理が目指す派閥解消に向けての具体的なやり方というのは一体何なんですか。人事権も大臣以外は自由にさせる、そして金集めもやる。じゃ、一体何をもって派閥を変えると国民に向かっておっしゃるのか、そこを明確にしていただきたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 これは我が党内のことでありますけれども、派閥順送り人事はやめる、そして、これから徐々に始まっていくと思いますけれども、もう派閥で資金を配る時代じゃありません。派閥でそんな資金は集まりません。全党で、全党所属の議員が政治活動に必要な資金は党で集めなきゃならない。そして議員個人の政治活動に支障がないように、党として十分そういう政治活動に配慮するような資金提供を全党でどうやって行っていくか。 まず、派閥の弊害といえば、人事権と資金供給、そして選挙応援ですね。これがもうだんだん党中心になってきます。そういう方向に向けて一歩一歩、今はいろいろ派閥会合を開いていますけれども、開いたとしても大して意味がないような改革に向けて今全党挙げて努力をしていこうというんですから、まだ一カ月もたっていないのにすぐやれやれと言ったって、徐々にやっていくんですから、これはもう少し時間をかけて見守っていただきたいと思います。
○岡田委員 小泉総理におかれては、ぜひ総裁就任のときのみずからの言葉、派閥あって党なし、派閥あって国なしという、国民の多くは自民党に対して怒りを感じている、そう思っている方々の声に今こそ真剣に耳を傾けなければならない、そうみずからおっしゃったことをお忘れにならないように、もう一度申し上げておきたいと思います。 次に、自民党の政治資金の問題について二、三聞きたいと思います。 KSDの事件、これはもちろんまだ終わったものではありません。そして、先ほど幹事長の方からも、これに関して、現状についてどうなっているのかという質問がありました。私がお聞きしたいのは、このKSD事件で古関理事長に対して、いわば自民党をトンネル機関として政治家に献金が行われた、古関さんから行われたということについてであります。 もう少し具体的に言いますと、古関理事長が国民政治協会に献金をし、五千万円寄附した、そして、国民政治協会はそれを自民党に寄附をした、自民党は逮捕された村上前参議院議員に一億円渡した、そのうちの約五千万はこの古関さんのお金が回っていったのではないか、こういうふうに言われているわけであります。 こういうことはほかにもあるのだろうと思うのです。なかなか立証は難しい。しかし、今や個人に対する企業・団体の献金は禁止されている、そういう中で、自民党というトンネル機関を使って、現実には個人に対する、政治家に対する企業・団体献金が行われてきているとすれば、これはやはり重大な脱法行為であり、問題だと思うのです。そういうことがないように、自民党総裁としてしっかり見ていく、その決意をお聞かせいただきたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 このKSDの問題では、架空党員とかあるいは立てかえ党員とかというのが問題になりました。そういうものはほかの団体でもないようにしていかなきゃならない。同時に、これから比例代表候補には、かつては党員の二万人をまず集めるということが比例代表候補の一つの公認基準になっていましたけれども、もうそういうことはやめよう、もう強制的に党員に加入してもらったり、あるいは立てかえをしてもらったりするのをなくそうという趣旨から、そういう基準もやめました。 これから、かつてそういう比例代表候補にどういう疑いの持たれるような資金提供があったということも含めて、今改善方向を党幹事長に指示を出しておりますので、これについても、政治改革に資するような形で改めていくべき面は改めていきたい、そう思っております。
○岡田委員 今のお話は、KSDの架空党員の問題は今調べておられるということだけれども、同じような話がこれからあるかもしれない、あるいは過去にあったかもしれない、そういうことは自民党総裁として許さない、自民党としてやらない、そういう決意だとお伺いしてよろしいですか。
○小泉内閣総理大臣 もう立てかえ党員とか架空党員のこういう問題は二度と起こさないようにしようということで、今、改革案を検討するように、鋭意しかるべき今の党の組織の中で検討しております。そして、政治資金の調達方法も、これは党としてしっかりと、政治資金を公明といいますか、そういう形で進めていかないと政治活動はできませんから、あるべき政治資金の調達方法、これについても真剣に検討を進めていきたいと思っております。
○岡田委員 KSDの架空党員の問題は、御案内のように、九年間で六十三万人、金額で約十五億円が自民党に行っていた、こういうふうに言われる事件であります。今、山崎幹事長のもとでお調べだということでありますが、基本的に、中小企業者の方が自分のために役に立つと思って月二千円の会費を払っていたら、それがこういう形で自民党に十五億円も流れていたというとんでもない話であります。 今調べておられるということだけれども、これが従来型のやり方だと、調べる、調べると言って半年、一年たっていつの間にか消えてしまう、そういうことにならないように、期限を切って、そしてきちんとした答えを国民に対して示していただきたい。そのことを申し上げておきたいと思います。 政治資金についていろいろ申し上げましたが、若干具体的になりますけれども、もう一つだけ申し上げたいと思います。 私は、政治資金の収支報告をもう少しわかりやすくした方がいい、そういうふうに思っています。情報公開法ができましてコピーは可能になりましたが、総務省に先日、ある党の、自民党ですが、政治資金収支報告書を情報公開法に基づいてコピーさせてくれ、こう言ったら、一週間かかると言われました。これはやはり非常に不便ですし、しかも、全国各地、都道府県にばらけてあったりすると、実際にはこれは集められないわけですね。 そういう意味では、私は、例えばインターネットでどこでもだれでもアクセスできるようにする、そうすれば非常に便利じゃないかと思うんですね。わざわざ役所に足を運んでコピーさせてもらう必要なんかないわけです。そういうことを総理はどういうふうにお考えなのか。 それから、もう一つお伺いしますが、その書類の保存期間を、我々かつて法律も出したことがありますが、刑法の時効期間である五年に延長する。つまり、刑事的に問題にしようとしても実際にもう書類の方はなくなっている、こういうこともありました。その点についてどういうふうにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
○片山国務大臣 今岡田委員御指摘の点は、前から私も耳にしておりまして、事務方から言わせるといろいろ理屈はあるんです、理由は。ただ、お気持ちもよくわかりますので、できるだけ早く交付するようにいたします。 それから、最後の点も検討させていただきます。
○小泉内閣総理大臣 この政治資金収支報告書を実際に扱っている秘書さんとか事務の方に聞くと、実に煩瑣過ぎるという声もありますね。だから、公開と違反した場合の措置については、今岡田委員指摘されたような視点も大事ですが、同時に、煩瑣な手続をもっと省略して措置できるようなことも必要ではないか、それも含めて私は検討していく必要があると思っています。
○岡田委員 議員によってはわざと複雑にしてわかりにくくしている人もいるやに聞きますが、インターネットでそれを公開する、そこまでいけばわざわざコピーをする必要もないわけで、お役所の手間も省けるわけですから、そこも含めて、我が党もその法案を用意しておりますので、ぜひ政府においても御検討いただきたいと思います。 さて、政策論の方に入っていきたいと思います。 まず、小泉総理の代表質問に対する答弁を聞いておりまして、やはり総論あって各論なしだなと。もちろん個別に、郵政のところなどは非常に具体的におっしゃっていたと思いますが、基本的には各論が非常にまだ準備されていないな、そんなふうに感じました。きょうは、私の方で民主党がどう考えているかということも御提案申し上げながら、議論を進めていきたいというふうに思っています。 始める前に、総理、こういう冊子を御存じですか。これは民主党の政策集であります。ぜひこれもまた勉強していただきたい、こう思いますので、ちょっとお渡ししておきます。そこから採用しても盗まれたと言うつもりはありませんから、どんどん採用していただきたいと思います。 さて、まず財政構造改革について少し議論したいと思っています。財政構造改革と景気回復の関係であります。 この点は、私は、小渕元総理の時代に本会議の代表質問で、小渕さんは、二兎を追う者は一兎をも得ずだ、だから景気回復に今は力を入れるんだとおっしゃった。それに対して私は、いや、そうじゃないんだ、二兎を追わなければ二兎は得ないんだ、つまり、財政の構造改革と景気回復というのは、同時に追求して初めて二つの目的が達成できる、逆に言いますと、二兎を追わない限り一兎すら得られないんだ、そういうことを申し上げた記憶がございます。 小泉総理のお話を聞いておりますと、構造改革なくして景気回復なし、こういうことでありますから、その構造改革には財政の構造改革も入っているというお話ですので、まさしく二兎を追わなきゃいけないんだ、でないと、景気回復すらあり得ないんだということをおっしゃっているように思いますが、いかがでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 全く同じじゃないですか。表現が違うだけであって、二兎を追う者は一兎をも得ずということだったから、それは違うんじゃないかと。構造改革と景気回復というのは矛盾しないんだ、二者択一じゃないんだということで、二兎を追えと言うのでは、これはちょっと受け取り方はどう思うかというので、私は表現を変えて、構造改革なくして景気回復なしと。言っている趣旨は似ているというか、同じじゃないですか。
○岡田委員 ですから、私が申し上げているのは、小泉首相のおっしゃっていることは、民主党が言っていることを追認されたんですね、今まで間違っていた、自民党の言っていることは間違っていた、民主党の言っていることは正しいというふうにおっしゃったんですねということを確認しているわけです。
○小泉内閣総理大臣 いや、私は、よその政党が言っているからだめだとか、自分の政党が言っているからいいとかいうよりも、いいものはどんどん取り入れていく、それが大事じゃないかと。 たまたま私の言っていることと今岡田さんが言っていることと一致した、一緒だったということで、民主党が主張していたからこれを取り入れたということよりも、たまたま似たような考えだった。そういう主張をしていた小泉を自民党が受け入れてくれたということ自体、随分自民党も変わったなということの一つのあらわれではないかと私は思っているのですが。
○岡田委員 小泉さんがどうというよりも、自民党として、従来は小渕総理、森総理のもとで、二兎を追う者は一兎をも得ずという考え方をとってこられたわけですね。 ただ、森さんだって、ことしの一月の所信表明でもこう言っているのですよ。引き続き、景気に軸足を置いて、経済を本格的に回復軌道に乗せることが最重要課題である、財政構造改革については、その実現に向けて議論を進めると、明らかにウエートを景気回復にかけていたわけですね。その自民党の政策が、あるいは政府の政策が、小泉さんにかわって、小泉さんは持論だったかもしれませんが、政府としては政策が変わった、民主党と同じ政策になりましたねと、そのことを先ほど申し上げたわけであります。 そこで、官房長官、よろしいですか。官房長官とそれから経済産業大臣、お二人とも経済財政諮問会議のメンバーですね。今総理がおっしゃった、二兎を追う者は一兎をも得ずから、いや、構造改革なくして景気回復なしだ、そういうふうに路線転換をしたことについて、お二人はそれぞれどういうふうに感じておられるんですか。今まで経済財政諮問会議のメンバーとして、まさしく森総理の言われた二兎を追う者は一兎をも得ずの考え方でやってこられたんじゃないんですか。いかがですか。
○平沼国務大臣 確かに、小渕政権のときには、今岡田委員御指摘のように、二兎を追う者は一兎をも得ず、そういう形で、国の膨大な借金を返していくのも経済の成長率を高めることが必要だ、こういうことでありました。 森内閣も、当初は軸足は御指摘のようにそういう形でありましたけれども、今御指摘がございましたことしの一月の経済財政諮問会議、この中で、やはり景気を持続的に安定状況にしていく、その上で、国や地方の財政まで踏み込み、あるいは社会福祉、そういった公的な分も総合的勘案をして、そして六月ぐらいまでには骨太の一つの方策を出そう、森内閣の中でそういう一つの作業が進みました。 したがいまして、私もそれにのっとって前森内閣から行動を継続してまいりまして、今度小泉新内閣におきましてさらにそこのところを強く打ち出していこう、こういう形でありますので、私としては、森内閣の一月の経済財政諮問会議の中でそういう作業が現実に進んでおりますから、そういう中で矛盾を感ぜずに、さらに私どもとしては一生懸命に財政の面も含めて検討していくことが必要だ、このように思っています。
○岡田委員 それでは、官房長官もお聞かせいただきたいと思います。
○福田国務大臣 確かに、森内閣のときに、一兎を追いかけるんだ、こういうふうなことでありました。そういうことで、景気回復というものに重点を置いたいろいろな施策をやったこと、これは事実であると思います。 今度、その後、経済の情勢というものも踏まえて、小泉内閣においては構造改革と景気、こういう問題を提起したわけでありますけれども、先ほど竹中大臣が非常にうまく言ってくださって、私も、これはどういうふうに表現したらいいのかな、こういうことはずっと考えておったのでありますけれども、二つ合わせて一匹のウサギというのは大変いい表現だというふうに思っておりまして、この考え方を実現するということに全力を挙げる、これが小泉内閣の経済構造改革だ、こういうふうに思っております。 そういう意味で、両方を追いかけるということでありますけれども、しかし、コンセプトはやはり構造改革をするということに重点があるのではないのかなということを私は感じております。
○岡田委員 先ほど、森総理も当初はとおっしゃったけれども、先ほど私が言いました、引き続き景気に軸足を置いて経済を本格的な回復にというその演説は、ことしの一月三十一日の本会議における森さんの演説でありまして、昔の話じゃないんですよね。 ですから、それがどこかでころっと変わった。つまり、小泉さんが総理になることで変わった。本来であれば、森政権のもとで森政権の政策を正しいとしてやってこられた経済閣僚は全部かわるべきだった、そういうふうに思うのです。それがそのまま続いていくところが、日本のあいまいな、摩訶不思議なところかもしれませんが、私はかなりいいかげんだというふうに御指摘を申し上げておきたいと思います。 これは坂口先生、公明党はどうなんですか。公明党も同じようなことを私はおっしゃっていたように思うのですが、いかがでしょうか。 念のために申し上げますと、これは四月二十八日の公明新聞の中で、冬柴幹事長がこういうふうに言っておられるのです。私たちは二兎を追う者は一兎も得ずとの立場で今日まで踏襲してきた、小泉首相が構造改革をまず進めましょうと言っても、それは絵にかいたもちになる、そういうふうに四月二十八日の段階で冬柴幹事長が言っておられます。これで本当に連立が組めるのですか。
○坂口国務大臣 小泉内閣も景気対策を進めておみえになることには間違いないと思うのです。ただ、その景気対策を進めるのに、それはやはり構造改革をやることによって景気対策を進める、こういうことになってきている、私はそう思っています。
○岡田委員 これ以上この議論を進めても仕方がないと思いますので、次に行きたいと思いますが、しかし、本当は政策というのはもっと大事なもので、そして、閣僚として政策について発言をしてきたのなら、その大方針が変わったらそこでやめる、そのぐらいの責任は持っていただきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。 さて、三十兆円の話であります。 本会議で、我が党の鳩山代表の方から小泉総理に対して、三十兆円に国債の発行を限るような法案を出したらどうするか、出てこないとわからないというふうに小泉総理はおっしゃいました。ですから、我々は、金曜日に衆議院に法案を提出いたしました。 中身は、今年度、来年度、再来年度の三年間、国債の発行額は三十兆円以内にそれぞれする、こういうものであります。この法案に対して小泉総理は賛成されますか。
○小泉内閣総理大臣 趣旨は賛成でありますが、なぜ三年間に区切ったのか。十三、十四、十五と言っていますよね、大ざっぱに中身を見たところによると。 私は、別に法律にしなくても、小泉内閣の基本方針ですから、あえて法律にする必要はないんじゃないか。その趣旨どおりに私はやっていきますよ。かえって法律で縛ってしまってやるよりも、内閣で方針を決めればできるんですよ。だから、私は、趣旨を生かすような予算編成をしたい、そういう点で協力できるんじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。
○岡田委員 法律にすることで、総理としての、あるいは内閣としての意思がはっきりと示せるわけですね。 総理みずから本会議で、鳩山代表の答弁の中で、法律を出してきなさい、それを見て判断するとおっしゃったじゃないですか。今さら何で出したんだと言われても、我々も困ってしまいます。
○小泉内閣総理大臣 私は、できたら、三年度に限りませんから、もっと継続して三十兆円以下に抑えていかないとこれは大変なことになるし、財政再建の道に進んでいきませんし、ただ、この中で、五年でプライマリーバランスを回復するということですが、これはちょっと厳し過ぎるのではないか、私はそう思いますね。 ですから、基本方針はわかる。そういう点で、別に法律で明記しなくても、縛らなくても、内閣の方針として示せばこれは十分やっていけるのではないかな、そう思います。
○岡田委員 我々はもう既に法案を出しております。ですから、それに対して、それじゃ総裁は反対するのですか。
○小泉内閣総理大臣 賛成しなければ反対するかというものでもないでしょう。反対しなくても、趣旨には賛成できるという点がたくさんあるのではないですか。 現にあの本会議の質問でも、私の三十兆円以内を目標とするというのに対して、中身がない、中身がないと批判している人が結構いましたよ。民主党の案も中身がないじゃないですか。私と同じじゃないですか。(発言する者あり)大事でしょう。方針が大事なんです。中身はこれから考えるんですよ。趣旨は同じなんですよ。この方針を出すことすら大変だったんじゃないですか。 政治というのは大方針を提示することが大事じゃないですか。あとは、中身はみんなでこれから考えよう。自民党としては、内閣としては、二カ月、この大方針、基本方針の中身をつくるのにどういう重点予算を組むかという骨太の方針ぐらいは、これから二カ月かけて、経済財政諮問会議で十分いろいろな意見を聞いて具体案を提示するということですから。 恐らく、私が三十兆円を目標にする、同じく民主党も三十兆円以下にする法案を出す、中身はなくてもこれから検討するという点では一致しているわけですから、これはお互い似たようなもので、今後の配分構造の中であるべき財政構造改革を考えていこうということだと私は思うのです。
○岡田委員 法案の賛否は、突然素早く出されて、どきっとされて、まだ答えができていないということであれば少しお待ちしますから、最後はこれは採決しなければいけませんから、それまでにぜひ考えておいていただきたい。私は、反対する理由はないだろうというふうに思いますよ。 そこで、その三十兆円。来年度は約三兆円ぐらい削減しなければいけない。本会議の中で、今も言われましたが、経済財政諮問会議で検討する。私はこれは絶対おかしいと思うんですよ。そんな、来年度の予算のことについていまだに答えがないのか。我々もないとおっしゃいましたが、我々はありますよ。公共事業を初め、公共事業で五年間で三割カットと言っているわけです。公共事業とその裏打ちになる地方交付税交付金を削減すれば、三兆円ぐらい出てきます。 小泉総理は、では方向性だけでも結構ですから、経済財政諮問会議といったってこれは総理が中心で、メンバーの大部分は閣僚ですから、それに学者の方と民間が入っているだけですから、そこにどういう形で総理としては諮られるのか、方向性だけでも国民にわかりやすく言っていただけませんか。
○小泉内閣総理大臣 これは毎年度の予算編成を見ればおわかりだと思うんですよ。いつも十二月に決めるんですよ。これを今回、概算要求の段階から基本的な方針は決めていかなければならないなということで、ふやすべき予算、減らすべき予算、まず総論を決めていこう、それに従って十二月までで各論の整理をしていこうというのですから、今の段階でどこに何兆円、どこに何割削減という段階は言う方が無理であって、無責任でも何でもないですよ、今言う方がおかしい。 予算執行を四月にしたばかり、これから状況も変わってくる。どれが必要か、どれがむだかというのは私の独断専行ではできません。各省庁の意見も聞かなければならない、識者の意見も聞かなければならない、野党の意見もあるでしょう。そういうのを聞いて、多くの方の知恵をかりながら基本方針をつくっていこうというのですから、まだ十二月までにはたっぷり時間があるのですよ。それは、なさ過ぎるというどころじゃない。むしろ、今やっちゃった方がおかしいですよ、そんながちがち。十分時間があるのですから。
○岡田委員 小泉総理が総裁の任期が長い方なら私は言いませんよ。九月までしか任期のないあなたが今きちんと方針を出さなければ先がどうなるかわからないから言っているわけであります。 あなたが三兆円と明確におっしゃったのであれば、やはり中身についてもきちんと示す責任があります。では、中身は何も決まっていなくて、三兆円というのをいきなり出したのですか。その三兆円の根拠は何なんですか。そこをきちっとおっしゃるべきだと私は申し上げているのです。
○小泉内閣総理大臣 今までの予算編成方針に従って歳出規模を見ると、来年は、増税をしない限り、増税なしの状況では、三十兆円の枠を超えて、三兆円か四兆円ふえる前提なんです、今の見通しだと。だから、一方では、三十兆円以内にするというのは厳し過ぎるという意見があると同時に、他方では、ことし二十八兆円なんだから甘いじゃないかという両方意見がある、本会議の質問でも。しかし、今までの予算編成を知っている方が見れば、これは三兆円から四兆円削らなきゃならないのだから相当きついなという見方が与党内では強いのは事実であります。 そういう中で、では、どこを切ってどこをふやすかというのは、まさにこれからの問題なんですよ。それを今決めろという方が私はおかしいじゃないかと。編成は十二月なんですから。その審議を来年の通常国会で御審議いただくのですから。それは、三兆円から四兆円を削る、それから、これからの景気状況を見なきゃならない、そういう点をやはり総合的に勘案してやっていくのが総理としての責任ではないか。 決して私は独断専行はしたくない。いろいろな意見を聞きながら、ふやすべき予算と減らすべき予算を、今まで役人に任せていたのを政治家同士で考えていこう。ふやす方は政治家は楽だけれども、カットする方は抵抗があって大変だ。それを役人に任せないで、政治家も一緒になって考えていこうというのがこれから大事な仕事だと私は思っております。
○岡田委員 だんだん、小泉総理と私の基本的考え方が違うことがわかってきました。つまり、私だったら、基本的な方向性が何もないときに、いきなり三兆円削るとか三十兆にするなんて言わないですよ。普通はそうだと思うのです。やはり、三十兆にするんだとおっしゃる以上は基本的な方向が示されるべきだ、私はそう考えているというふうに申し上げておきたいと思います。 では、最後に一言だけ聞いておきますが、来年度三十兆に抑えるという前提で、よく今までやってきたやり方というのは隠れ借金方式ですね。本来計上しなきゃいけないものをいろいろな形で潜り込ませてつじつまを合わせる、そういうやり方は少なくともしないとここでお約束いただけませんか。
○小泉内閣総理大臣 これも行政改革の一つの方針として情報公開、隠れ借金というものをできるだけ明らかにしていこうと思います。そういう中で、私は、今までの予算編成方針にしたら三十兆円におさめるし、そして、これからどういう隠れ借金が出てくるのかわかりません、そういう点も明らかにして、明らかに今までの予算編成と違うな、財政配分も違ってきたなという形を示して、御理解を得られる方法を模索していきたいと思います。
○岡田委員 私が聞きたかったのは、新たに隠れ借金方式で、本来きちんと計上しなければいけないものを隠して三十兆円のつじつまを合わせることはしませんね、こう聞いているのです。いかがでしょう。
○塩川国務大臣 岡田さんの質問をいろいろ聞いていましたら、断定的に物をおっしゃるからなかなかお答えしにくいと思うのですよ。そうではなくて、私たちは三十兆円に抑えるということの一つの目標を立てて、その中にはいろいろな要素を入れていかなきゃなりません。ただ数字の上だけで有意義なものができるものではございませんで、例えばあなたがおっしゃるように、公共事業を三割切れ、そして地方交付税を何ぼか切れ、そんな単純なことで政治は動くものではございませんで、私たちはそこにもっと知恵を働かせたいと思うております。 その一つとして予算の配分をどうするかということをもっと真剣に考えて、景気対策に役立つような方向にやはり変えていかなきゃいかぬし、そしてまた一方において、財源の使途の方法もいろいろ言われております。 例えば、道路特定財源がございますね。あれなんかは、私が言っておりますのは、何も道路だけに限ることじゃないじゃないかと。例えば、道路が原因、あるいは石油化が起こってくる原因というものを見るならば、環境の面にも使ってもいいじゃないか、低公害車の方に使ってもいいじゃないか、あるいは生活道路の方にもっと使っていいじゃないか。そういう方法をすることによって一般財源の節約にもなってくるだろう。 そしてまた、PFIの考え方を導入して、民間資金をそこへ導入する。そういうことをすることによって、景気対策にも役立つ。景気とそれから財政とを一体として考えなきゃいかぬ。 今まで二兎論を盛んに言っておられますが、私はコインだと思っておるんです、コイン。裏と表だと思うのです。だから、我々は今、表に景気対策というのを置いておるんです。しかし、裏を見たらやはり構造改革なんです。これは一体のものですから、そうはっきり分離して考えたら私はかえってわかりにくくなってしまうと思うのです。
○岡田委員 総理は三十兆円の国債発行ということを言われたわけですが、実は三十兆円というのは本当の第一歩にすぎないということですね。 お手元に紙でも配らせていただいていますが、これから財政構造改革をどうしていくか。 第一段階が、先ほど総理が例えばおっしゃった、国債発行額を三十兆円に抑える。これは、例えば来年度予算で見れば約三兆円、自然体に比べて削減しなければいけない。今議論していた話であります。 じゃ、次の段階としての、これも総理もおっしゃったプライマリーバランスの均衡、これは大変な話でありまして、我々も五年と言っているのは、我々が政権とって、本格的に改革を始めて五年かかると言っているんです。十五兆円です、来年度予算ベースで。国債発行額ゼロ、つまり、次の世代に負担を持っていかないという意味で国債発行額ゼロだと三十三兆円です、来年度予算ベースで。それに加えて、今までの借金を、例えば四百兆以上ある借金を返していくということになると、これに十兆、二十兆。すると、八十兆の予算で、借金返すだけで三十兆どころか四十兆、五十兆になってくるという、今これだけ財政は悲惨な状況にあるということであります。 ですから、私は、この三十兆円の問題というのは小さな一歩にすぎないんだ、そういうふうに考えますが、総理は、このプライマリーバランス均衡に向けて具体的にどういう道筋をお考えでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 手元にいただいた資料、そっちの資料を拝見しますと、確かに三十兆円以下は手ぬるいという批判がありますけれども、一方では、このままの予算慣行に従ってやっていくと十四年度、来年度も三十三兆円を超える。十五年度は三十五兆円を超えるという予想が出ていますよ。だから、三十兆円以下でも結構きつい。甘いと言っている人もいますけれども、結構きついんです。今までの慣行を相当見直さないとできないんです。 そういう中で、今、むだな部分をなくすということにおいて、今まで予期し得ない効果も出てくるんじゃないか。そこをやはり見る必要があると思います。税金のむだ遣いの機構を直していこう、あるいは民間に任せるところは民間に任せることによって、今まで税金を使っていた部分が税金を納めてくる部分もある。そういうのも少し見て、それからプライマリーバランスを何とか立て直していこうということでもいいんじゃないか。今言っている五年以内でプライマリーバランスを何とか回復するというのは相当きつい作業だと思いますよ、率直に言うと。 これは与党になればわかると思いますけれども、これは野党だから言えるかもしれないけれども、これは五年以内というのは相当きついんじゃないか。 だから、私はまだそこまで言う自信はありません。まず第一歩を踏み出す、そして、その状況を見て本格的な財政再建に乗り出す、いわゆる二段階方法、これを与党・政府としてはとっていきたい、そう思います。
○岡田委員 我々は野党ですけれども、責任野党ですから、実は、この五年間でプライマリーバランスということに非常に苦しんでいます。党内的にも、なかなか具体策をつくろうとしても、従来の発想の延長じゃこれは無理です。だから、相当考え方を変えなきゃいけない。つまり、それは、官と民の役割分担というものを根本的に変えない限り、これはできないわけですね。特に、増税なしでやろうとすればできない、こういうことでございます。 そこで、今、それは先に考えるとおっしゃって、具体案を言っていただけなかったのは残念なんですけれども、こういう財政状況の中で、私は総理に一言申し上げたいのは、今年度の予算に対して、あなたはこれを聖域と考えているのかどうかということです。今年度予算は確かに森内閣でできたものであります。しかし、まだ五月です。これから減額補正というやり方もあります。 例えば、整備新幹線の新規着工路線、これは森総理が御執心で、お決めになりました。新聞報道では、四月二十五日に国土交通省が実施計画を認可して、五月から着工だと。これは凍結すべきだと思いませんか。この整備新幹線はずっと、自民党の中でも推進論もあったけれども慎重論もあってとめてきたものを、森内閣のもとで、北陸新幹線を中心に新規着工路線を決めてしまった。しかし、これは一年で終わる話じゃなくて、これからずっと、全体では一兆円近いお金がかかる話ですよ。 そういうものに対して、勇気を持って、今ここでぴしっと凍結する、そしてやがて補正のときに減額補正する、そういう、国民に対して、今の財政状況が厳しい中で、小泉内閣としてわかりやすいメッセージを送るべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 これは全体の予算の中で聖域なく見直すということで、継続すべきものは継続しますけれども、この予算編成の中で私は考えていきたい、状況を見ながら、予算配分を見ながら、今後、検討課題だと考えております。
○岡田委員 ちょっと私の言ったことがわかっていただけないのですが、新規着工路線でことしの五月から工事が始まりますよ、とめるならもう今しかありません、工事が始まったらもうとめられません、これから何年間も続いて、膨大なお金がかかる話ですよ、それを今、総理のリーダーシップでまずは凍結して、もう一回見直すお考えはありませんかということを申し上げているわけです。
○小泉内閣総理大臣 そういう点も含めて検討させていただきたいと思います。
○岡田委員 そういう点ということは、整備新幹線の新規着工路線を凍結するお気持ちがおありだということですか。
○小泉内閣総理大臣 今までの継続性も考えながら、そういう御意見もあるということを考えながら、検討させていただきたいということであります。
○岡田委員 もう一つ、静岡空港というのもあるのです。これはもう、ことしの予算はわずか十五億ということですが、これも、東京、羽田もあれば名古屋もある、新幹線も通っているし、高速道路も通っている、そういう中でつくっても、ほとんど黒字になる可能性は少ないだろうと言われている。こういうものもおとめになるおつもりはありませんか。
○扇国務大臣 あらゆるところの公共工事を見直すというのは、私は、国民的世論の中で大事なことだと思っております。 むだ、丸投げ、すべてのものを公共工事から、正しい公共工事というもの、国民が喜ぶ公共工事をするために、昨年の臨時国会で、自民党から共産党まで賛成していただいて、公共工事の入札と契約に関する適正化法を通していただきました。それによっても、公共工事のあり方というものは、私は、一つの公共工事だけではなくて、今おっしゃったような静岡も、あるいは北海道も九州も、いろいろなところに空港がございますけれども、今までの政治家は、ずっと一県一空港と言い続けてきた政治家もたくさんいらっしゃいます。けれども、二十一世紀になって、それらも含めて検討していこうということでございますから、小泉内閣において全部見直していく、聖域を認めないということですから、そういう意味では、私たちも皆さんと討論していきたいと思っております。
○岡田委員 私は、今年度予算という具体的な問題について、具体的な整備新幹線、そして静岡空港というものを挙げてお話をさせていただいたわけですが、今のお答えは、総理も大臣も一般論に終始した。私は、これではやはり国民の皆さんが小泉総理に期待していることとは大分違うのじゃないか、結局従来の手法と同じじゃないか、そういう懸念を持ったということを申し上げて、私のきょうの質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○野呂田委員長 次回は、明十五日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時散会