法務委員会 第5号
- 発言数
- 150 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2001/03/16
会議録
○保利委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。 この際、お諮りいたします。 両案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長五十嵐忠行君、法務省大臣官房長但木敬一君、法務省大臣官房司法法制部長房村精一君、法務省民事局長山崎潮君、法務省刑事局長古田佑紀君及び法務省矯正局長鶴田六郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○保利委員長 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所中山総務局長及び金築人事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○保利委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。左藤章君。
○左藤委員 おはようございます。自由民主党の左藤章でございます。 まず法案の審議の前に、残念なことですが、過日、福岡地検、地裁において、検事、裁判官による捜査情報漏えい事件が発生し、三月十四日に処分が発表されました。大変残念なことであります。国民の司法に対する不信回復のため、今後、法務大臣、最高裁判所長官を初め司法当局挙げて、国民信頼回復のための御努力をお願い申し上げたいと思います。 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。 裁判の現状を見ますと、平成三年から平成十一年までの地裁の民事第一審事件は、十一万二千二百十五件から十五万一千百九件、約三五%の増加であります。また、民事事件の平均審理期間は、平成三年は十二・二カ月、平成十一年は九・二カ月と短縮されていますけれども、人証調べをした事件の平均審理期間が二十・八カ月となっています。まだまだ非常に長くかかっていると思います。 さらに、平成十二年十一月二十日にありました司法制度改革審議会の中間報告においても、裁判官制度の改革が問われています。特に、問題とされている金融、経済、行政、医療、知的財産、建築に関する訴訟案件が多発しており、専門知識、社会経験を必要とした裁判が増加していると思います。専門知識、社会経験を得るには、民間企業での長期研修、行政への出向、また弁護士事務所での一年以上の経験が必要と思います。国民から信頼され、的確で公正な裁判で、充実、敏速化するためにも外部研修制度が必要であり、さらに、裁判官、事務官の増加も必要と考えます。 これらを考え合わせますと、今回、判事三十人、裁判所職員九人の増員が提出されていますが、それ以上の増員が弁護士任官の推進をも含めて大切だと思います。最高裁の御見解を伺います。
○中山最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 裁判所では、委員御指摘のような民事事件の急増を踏まえ、毎年、裁判官及び裁判所書記官の着実な増員をお願いしてきているところでございます。平成八年度から十二年度までの五年間に、裁判官を百五十五人、裁判所書記官を振りかえを含め九百四十一人増員し、これらの増員分を東京等の大都市繁忙庁を中心に配置してまいりました。 裁判官について見ますれば、毎年平均三十人ということでございますけれども、これは大規模庁と言われております千葉地裁あるいは浦和地裁に匹敵する人数でございます。そのようなこともあり、新受事件が増加しているにもかかわらず、未済事件数は減少し、全体の平均審理期間のみならず、ただいま御指摘のありました人証を調べた事件の審理期間というものも確実に短縮化してきているところでございます。 しかしながら、今御指摘がありましたように、医事関係訴訟等を初めとする専門訴訟につきましては、依然としてまだ長期を要しているのが実態でございます。そこで、そういった専門訴訟に対応し得るような専門性を裁判官に身につけさせるために、司法研修所における選択研修制度というものを充実させ、あるいは、東京地裁などを見ますれば、知的財産部、商事部、破産部といった専門部を置いて、これまでOJTを通じて裁判官の専門性を高めるようにしてまいりましたけれども、この四月からは、医療過誤さらには建築瑕疵といった分野まで専門的な部をつくるということで動いているところでございます。 さらに、御指摘ありましたように、社会に出ての外部研修というものの充実にも努め、これらのものについても対応できるような体制をとってまいりたいと思っております。 平成十二年度の地裁の民事訴訟事件の新受事件数は過去最高になっており、そういった動向も踏まえて、本年度は、平成十三年度予算として、判事三十人、裁判所書記官二百四十人、家裁調査官五人の増員をお願いしているところであり、これをお認めいただくことにより、このような事件数の動向にも対応できると考えておりますが、さらに、御指摘のような点を踏まえて、人的充実を一層図ってまいりたいと考えております。 以上でございます。
○左藤委員 どうもありがとうございました。やはりもう少しスピーディーに専門的な知識のある裁判官をふやしていただきたいと思います。 それでは、選択的夫婦別姓制度の導入についてお伺いをします。 選択的夫婦別姓については、平成八年二月に法制審議会が婚姻制度に関する民法改正要綱を答申しましたが、この答申に基づく改正案が政府から国会に提出されていない状況にあります。また、同年六月に実施された世論調査においては、国民の意見も大きく分かれています。その後、平成九年から議員立法として野党から民法改正法案が提出されましたけれども、いずれも廃案となっております。 しかしながら、平成八年の世論調査からもう既に五年であります。社会や家庭のあり方に関する国民各層の意識も変化しつつあると思われます。さらに、平成十二年九月の男女共同参画審議会の答申を受けて同年十二月に作成された男女共同参画基本計画において、選択的夫婦別姓制度の導入について「国民の意識の動向を踏まえつつ、引き続き検討を進める。」とされております。 そこで、政府として、そろそろ選択的夫婦別姓制度について国民各層の意見を聞くために世論調査を行う時期に来ているのではないか、このように思いますけれども、法務大臣の御認識を伺いたいと思います。 〔委員長退席、奥谷委員長代理着席〕
○高村国務大臣 法務省といたしましては、従来から、この問題につきましては、社会や家族のあり方など国民生活に重大な影響を及ぼす事柄であり、大方の理解を得ることができるような状況で法改正を行うのが相当である、こう考えており、国民各層の御意見を幅広く聞き、また、各方面の議論の推移を踏まえる必要があるものと認識をしてきたわけであります。 他方、昨年九月には、男女共同参画審議会が、男女共同参画の視点から、夫婦同氏制などの家族に関する法制等について必要に応じて見直しを進めるべきである旨の答申を出しておりまして、これを受けて昨年十二月に政府が策定した男女共同参画基本計画におきましては、男女平等などの観点から選択的夫婦別氏制度の導入の検討を進めることとされております。 そこで、前回の調査から五年を経過していることもあり、この際改めて国民の御意見を幅広く聞くという観点から、事務当局に、選択的夫婦別氏制度の導入に関する政府としての世論調査の実施につき既に指示をしているところでございます。 今後、内閣府とも協議の上、できるだけ早く世論調査を実施して国民の世論の動向を把握し、この問題についてさらに適切に対処してまいりたいと考えております。 〔奥谷委員長代理退席、委員長着席〕
○左藤委員 ありがとうございます。 次に、保護司の制度に関して御質問をさせていただきたいと思います。 犯罪者や非行少年に通常の社会生活を営ませながら、一定の遵守事項を守るように指導するとともに、必要な補導援護を行うことによってその改善及び更生を図るために、保護観察制度があります。保護司の皆さんが無報酬でその一翼を担っておられます。 保護司は今現在約四万九千人おられますけれども、観察件数は、平成八年末の八万九千二百一件から十二年末は十万六千三百三十件と、約一万七千百三十件ふえています。一人の保護観察対象について保護観察官と保護司が共同して担当をすることになっていますけれども、平成十二年では保護司一人が二・二人を指導したことになります。 ところで、現在の保護司に対する実費弁償額は約七万四千円で、平成四年より設けられた社会資源開拓推進費を含めた金額だと認識しております。 ますます犯罪がふえる今日、保護司活動における拘束時間の長期化、精神的、経済的負担の増加も考えられます。そのためにも、弁償費の増額とか表彰、栄典の枠も現在より広げてその労に報いるべきだと私は思います。これについて、大臣、政務官の御所見を伺いたいと思います。
○大野(つ)大臣政務官 お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、現在、保護司の方々が四万九千人というお話でございますが、そのとおりでございまして、保護司の方々には、今ボランティアとして犯罪者の改善更生及び犯罪予防活動に従事していただいておるところでございますが、保護司法に基づき、給与は支給されておりません。しかしながら、その職務を行うために要します実費について弁償している現状でございます。 このようなことから、保護司の方々の職務の重大性と困難性にかんがみまして、今後とも財政事情を踏まえつつ実費弁償金の増額に努めてまいりたいと考えております。 また、職務上特に功労がある保護司の方々に対しましては、保護司法の表彰規定に基づきまして、毎年、法務大臣表彰を行っているところでございます。国家の栄典であります藍綬褒章が春秋叙勲で授与されております。 法務省といたしましては、保護司の方々の御労苦に報いるべく、できるだけ多くの方々がこれらの顕彰を受けられますよう引き続き努力してまいりたい、このように考えております。
○左藤委員 保護司の方は全く大変なお仕事ですので、なるべく表彰、栄典についてはもっと枠を広げて労に報いていただきたいと思います。 そのほかに、実は教誨師の方もそうなんですね。いろいろ刑務所に行ってボランティアをしております。国と宗教のかかわりが問題もあるとも聞いておりますけれども、やはり教誨師協会だけに頼らず、待遇の改善も含めて考えていただければありがたいと思います。 残念ながら、時間が来ましたので、これで質問を閉じさせていただきたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。 ありがとうございました。
○保利委員長 次に、漆原良夫君。
○漆原委員 おはようございます。公明党の漆原でございます。 法務大臣を中心に、きょうは、福岡地検の前山下次席検事による捜査情報の漏えい事件でお尋ね申し上げたいと思います。 最高検は、九日に、この前次席検事に対する国家公務員法違反被疑事件を嫌疑不十分で不起訴処分としております。法務省は、同日、これを懲戒処分として六カ月の停職処分とされております。しかし、国民は、この処分については身内同士の軽い処分ではないのか、また、臭い物にふたをしたんじゃないのか、むしろ国家公務員法百条の守秘義務違反による刑事訴追をすべきではないのかという思いを持っております。 今回の事件は、検察庁そのものが国民に疑惑の目で見られておる事件でございます。秋霜烈日の気風をもってたっとしとする検察庁としては、不起訴処分によって裁判所の判断を閉じてしまうよりは、あえて百条違反で起訴をし、司法の判断にゆだねた方が、みずからの疑惑を晴らし、国民の信頼を回復する方法ではなかったのか、こう考えるものでございますが、法務大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。 〔委員長退席、奥谷委員長代理着席〕
○高村国務大臣 本件につきましては、公開の法廷において司法の判断を仰ぐべきではないかという意見があることを私も十分承知をしております。 捜査におきましては、その過程で事件関係者に捜査情報を開示する必要がある場合があるということ、これは、委員も弁護士でありますし、私も弁護士でありますから、現実にあるわけであります。 最高検におきましては、この点を前提にした上で、山下前次席の行為については、いわゆる事件つぶしの意図は認められない。事件をやみからやみに葬るというような意味の事件つぶしの意図は認められない。捜査の目的として是認できる目的のもとに行われたものであり、目的自身は是認できる。ただ、その手段、方法について極めて適切を欠いた点が多々認められますけれども、本件行為が捜査の目的に違反するとまでは認められなかったことから、守秘義務違反の罪が成立するとまでは証拠上認められないと判断した旨報告を受けているわけであります。 この判断につきましては、厳正公平な捜査を遂げた上で、法と証拠に基づいて行われた厳正なものであると考えております。 検察官が被疑者の事件でありますから、一般の国民の事件の場合であれば起訴猶予にすべきところを起訴するというような判断というのはあり得ると思うんですが、犯罪が認められないという判断をした上で、これは検察官だから起訴するという判断は、私は、国民感情としてどういうことであっても、それはないのではないか、こういうふうに思っております。
○漆原委員 調査の結果によれば、捜査情報告知の目的としてこう言っておりますね。早期の証拠収集、被害者への謝罪、示談交渉による被害回復を実現した上で、被疑者に対する刑事上の適正な処分を行うことによって、早期にかつ可能な限り関係者の名誉が害されない妥当な事件処理ができると考えたと。 その理由として、本人はこう述べております。本件は男女間の特異な関係のもつれから発生した事件である上、犯人が裁判官の妻であることから、センセーショナルに取り上げられる可能性が大きく、そうなれば関係者の名誉が害され、多くの人に精神的打撃を与える、裁判所のスキャンダルとして報道されるおそれがあり、裁判所ひいては司法界全体の信用にもダメージを与えかねないことを憂慮した、こう述べておられますが、これは要するに、犯人が判事の奥さんだから、この事件がマスコミなんかでセンセーショナルに取り上げられてはまずい、だから早く示談をさせて、内々に処理をしよう、こういうことだと思います。 判事の奥さんだから特別に取り扱うということは、検察と裁判官の仲間意識そのものじゃないのかなと思います。このような不平等、不公平な取り扱いは断じて容認されるべきでないと私は思うんですが、大臣、いかがでございましょうか。 〔奥谷委員長代理退席、委員長着席〕
○高村国務大臣 判事の奥さんであるということも一つの要素になっていたということ、これは事実であろうか、こういうふうに思います。 ただ、判事の奥さんだから事件をやみからやみに葬る、事件つぶし、そういう目的であったということではなくて、むしろ、判事の奥さんだから、判事に話せば、古川判事の職業倫理、そういう面から、被疑者に対して説得して妥当な事件捜査が遂げられる、事件処理ができる、こういうふうに思った。ですから、事件つぶしするというような身内意識まではなかった。ただ、古川判事の倫理観、どうしてくれるであろうという期待感、そういったものを過度に抱いたということが、身内意識といえば身内意識である。 それからまた、センセーショナルに取り上げられるというのは、この事件自体が特殊な面もあります。極めて特殊な事件だという面もあります。それからまた、その中に裁判官の奥さんがということも一つあって、それが、そのことによって普通の事件以上にセンセーショナルに取り上げられるであろうということも、それはありました。 これは両面に評価され得ることだと思いますが、そういう仲間意識、事件つぶしをしようというような仲間意識ではないけれども、何らかの仲間意識はそこにあったということは否定できない事実だ、こういうふうに思っておりますが、その全体が国家公務員法の守秘義務違反、これは正当な理由なくして漏らすということ、そのことを、山下前次席検事のいわゆる犯意といいますか、そういう面において、私は、山下次席検事の主観的要素において正当な目的である、当時の認識の上においてそうであったと。客観的にそうならなかったということは私も重々承知しておりますが、犯罪が成立するか成立しないかという判断においては、成立しないという判断を検察がして、私もそれを了としたわけでございます。
○漆原委員 今大臣は事件つぶしということをおっしゃいましたが、確かに報告書の中にも、事件つぶしをする気持ちはなかった、こう書いてあります。 この事件つぶしというのがどういう意味なのか。やみからやみに葬ってしまうということなんでしょうけれども、しかし、これは後で述べますけれども、捜査を全部終えた上で、どう処理しようかという、この段階で和解させよう、示談をさせて不起訴処分で処理しよう、これは事件つぶしじゃないと思うんですが、何にもまだ地検に事件が来ていないという段階で、たまたま自分が知り得た、それで早くこれを示談をさせてしまおうという、これも一つの事件つぶし、内々処理の中に入るんじゃないかな、言葉はきついかもしれませんが、そんなふうに思います。 調査結果によりますと、今大臣がおっしゃったように、守秘義務違反については、捜査の目的に違反をして告知したとは認められないので守秘義務違反は認められない、こうしておりますが、しかし、目的が、先ほど申しましたように、法律家同士の身内のかばい合いという不公正な部分がある。 事件が、先ほど申しましたが、内偵中の未送致事件である。まだ地検に事件が来ておりません。内偵中である。さらに、被害者あるいは一生懸命調べてきた警察、この意向を全く確認しないで、検事が勝手に独走した、一人で動いてしまった、そういう意味があります。 もう一つは、当然、証拠隠滅工作防止のための措置をとるべきでありますが、とっていなかった、私はこう思いますし、現に証拠隠滅工作がなされたという可能性が高いわけでございます。 こう考えてみますと、確かに捜査機関あるいは検察官には、大幅な、合理的な範囲での裁量というのが与えられておるわけでございますが、しかし、今申しました四つの理由から考えてみると、私は、これは、法律が検察官に授権をしている、認めている合理的な裁量の範囲を超えているのではないかというふうに思うんですが、大臣の御見解はどうでしょうか。
○高村国務大臣 客観的に超えているかどうかという話と、主観的に超えているかどうかという話。その目的自体をどうとらえるか。 事件の適正処理をしようと山下次席検事がしたということは、私は事実だと思うんです。ただ、客観的に、今委員御指摘のように、送致前である、警察は事件の概要をよく知っている、その警察に相談することもなく、あるいは、警察は被害者の心情なども調べていますからよくわかっていたわけですが、そういうことも相談することもなく、そして証拠隠滅防止の措置もとらない、そういうことがあったということを考えれば、極めて重大な過失みたいなものは私はあったんだろうと思います。 ただ、委員も御存じのように、国公法違反、秘密漏えいの罪には、正当な理由なくして、これは構成要件だと言う人と違法性阻却要素だと言う人、両方いますけれども、いずれにしても、それが必要だということはほとんどの学説が一致しているわけで、少なくとも山下前次席検事はそういう事件を適正に処理しようとしてやったことは間違いない。ただ、客観的に見ると全くおかしいということでありますから私も懲戒処分をしたところでありますが、刑事事件というのは、まさに罪刑法定主義、そういう中でしなければいけないことでありますから、やはり国民がけしからぬと言っているという声には私は十分耳を傾けなければいけない、こう思います。 この起訴、不起訴の処分で、国民がすとんと腑に落ちたなんということがないということも私は十分承知しています。それは、起訴、不起訴を決めた後の反応を見て知ったんじゃなくて、その前から、そうなるであろうということぐらい、私もばかじゃありませんから、ばかかもしれませんけれども、そのくらいのことはわかっているわけでありますが、これは、刑事事件の処理としては、やはり犯罪が成立しないであろう、しないということを認定した以上、起訴するということはあってはいけないことだ、こういうふうに私は思っております。
○漆原委員 最高裁にお聞きしたいんですが、今、素朴な国民感情と大臣の解釈が分かれておりますが、これはもう明白に百条違反にならないというのか、あるいは事情によってはなるという事案なのか、最高裁、いかがでしょうか。
○金築最高裁判所長官代理者 何分個別の事案でございますので、こういった個別の事件に関する法律の解釈適用につきましては、裁判所の事務当局としては答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○漆原委員 最高裁のおっしゃることはよくわかります。大臣のおっしゃることもよくわかります。ただ、国民の観点から見ますと、自身が疑われている場合はみずからに厳しく、可能性があるのであれば、起訴をして、公開の法廷で事実関係を明確にして、判断をすべて裁判所に預ける、みずからを厳しく律するというのも選択肢の一つではなかったのかなという私の意見を申し述べて、質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○保利委員長 次に、野田佳彦君。
○野田(佳)委員 おはようございます。民主党の野田佳彦でございます。 まずは、今回提出をされています裁判所関連の法案二法について質問させていただきます。 まずは、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案、こういう法律案が出ていますが、下級裁判所の名称や管轄区域というものに変動があった場合には、何で政令ではなく法律で定めるのか、その根拠というものをお示しいただきたいと思います。
○房村政府参考人 お答えいたします。 憲法の七十六条一項に、「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。」こう定められておりまして、裁判所の設置につきましては、法律で設置をするという原則となっております。 それで、裁判所の名称それから管轄区域というようなものは、この憲法で言っています下級裁判所の設置の内容に属する、こう考えられますので、また、どこにどういう裁判所を置くかということは、国民の権利義務にも重要な関係を有するということから、現在のところ、この下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律で定めているということでございます。
○野田(佳)委員 今後いろいろと市町村合併などが促進をされた場合に一々法改正というのはどうかなという印象を持っていましたので、今そういう質問をさせていただきました。 次に、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案についてでありますけれども、裁判官の数をふやし、また裁判所の人的スタッフを充実させていくということは、基本的にはこれはあるべき姿であろう、もっとふやしてもいいだろうというふうに思います。したがって、今回の法律案については基本的には賛成でありますけれども、その賛成という立場で少し質問をしたいと思います。 裁判官の資格を持っていながら、しかし実際に裁判をしていない裁判官というのがかなりの数いるのではないかというふうに思います。一応、今二千九百名を超える定員があると思いますが、その定員法内で裁判をしていない裁判官は一体どれぐらいいるんでしょうか、お聞きしたいと思います。
○金築最高裁判所長官代理者 裁判所の定員の枠内で現に裁判を担当していない裁判官の数は、司法行政を担当しております裁判官が昨年の十二月一日現在で百十五名、一年間民間企業へ派遣されている裁判官は平成十二年度は二名、さらに海外留学研究員として派遣されている裁判官は本年一月三十一日現在で二十一名でございます。
○野田(佳)委員 たしか、今の定員が二千九百六十一名だと思いますけれども、今のお話ですと、司法行政にかかわっている方が百十五名、そのほか含めて何だかんだで百数十名になりますよね。加えて、定員法外になると思いますけれども、法務省を含めて行政庁に出向している裁判官はどれぐらいいるんでしょうか。
○金築最高裁判所長官代理者 行政庁等に出向しております裁判官は、本年一月三十一日現在で百三十九名でございます。
○野田(佳)委員 百三十九名、そのうち相当数が法務省だろうというふうに思いますけれども、先ほどの司法行政にかかわっている裁判官あるいは企業派遣や海外留学、そして今の行政庁を含めると、トータルで約三百名ぐらいですね。そうすると、定員の約一割は、裁判官でありながら裁判官の仕事をしていないということになると思います。 したがって、今回、裁判所の判事を三十人ふやしていますけれども、もちろんその方向は大事でありますけれども、確かに多様な経験を裁判官が積むことは必要だと思いますが、裁判の迅速化、適正処理が求められているときに、少なくとも私は、行政庁への派遣、特に法務省への派遣というのはもっと控えるべきだろうということを申し上げたいというふうに思います。 次に、捜査情報の漏えい問題について、主に大臣にお伺いをしたいというふうに思います。 今回は、法務省、最高検察庁の調査報告書、そして最高裁の調査報告書と、ちょうど出てまいりましたけれども、国民感情からすると、先ほど大臣も、すとんとその疑惑が晴れたわけではないだろうとおっしゃっていましたけれども、そのお気持ちはかなり濃厚になったんだろうというふうに私は思います。もちろん、要件を満たしていないのに起訴をするということはあってはならないとは思いますが、素朴な感情として、例えば、山下次席については守秘義務違反の嫌疑不十分、古川判事は証拠隠滅嫌疑不十分、柔道でいうとわざあり二つで合わせて一本というぐらいの司法不信に陥ったと私は思いますし、加えて、けさの朝刊で、判事、検事出身の公証人十名が申告漏れをしていて国税から追徴課税をされるという、まさに判事、検事のモラルというものが厳しく問われているなというふうに私は思います。 そこで、そういう印象を持ちながらの質問をさせていただきたいと思いますけれども、まずは今回の法務省、最高検察庁の調査報告書ですが、この調査・捜査チームというのが、検事九名、そして検察事務官十五名、応援者として福岡高検の検事とか検察事務官も加わっていて、相当なチームを組んで調査、捜査をしたということでありますけれども、そもそも最高検はこの事件の概要を事前に知らなかったのかどうか。 これまでの流れを見てみると、十二月の二十八日に古川判事と山下次席が面談をする前に、二十七日の段階で山下次席が、福岡地検の検事正、また高検の次席検事、検事長、それぞれに報告をしています。この図式でいうならば、当然最高検にも事前に情報が流れていた、報告があったと考えても私は不自然ではないと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
○高村国務大臣 最高検察庁に対しては古川判事への告知前に本件に関する報告がなされたことはなかったという報告を受けております。
○野田(佳)委員 なかったと言われればそれはもうしようがないんですけれども、ただ、疑惑として私はやはり持たざるを得ないなというふうに思っています。本当に厳正な調査が行われたかどうか。そのチームを大がかりに組んだとしても、もし事前に知っているような組織、機構であったならば、そもそもその捜査自体に甘さが出てくるんではないかなという懸念を私は持ちます。 中身の問題でありますけれども、調査報告書の中で、山下次席は記者会見で虚偽の話をしていること、これは事実関係で出てきていると思います。例えば、弁護士を紹介したかどうか、これはしていないと言っている。あるいは、事前に検事正に報告をしているかどうか、これもしていないと言っている、個人的に自分の判断でやったと言っている。今回の疑惑、事件のあやというものは、なぜ山下次席が会見でうそをついたのか、虚偽の話をしたのか。その虚偽の話があった中で、なぜそのうそをついたかということを調査報告の中で書かなければいけないと私は思いますが、その記載がありません。それについてお尋ねをしたいと思います。
○高村国務大臣 御指摘の点については調査報告書に記載されておりませんので、ここで補足して説明をいたします。 山下前次席検事が記者会見において殊さら虚偽の事実を述べた点は、今委員御指摘のとおり二点ございます。 その一つは、古川判事に対し警告し示談に努力させることについて事前に福岡地方検察庁検事正に口頭で説明し、その了承を得ていたにもかかわらず、記者会見では検事正に事後報告したと説明したことであります。このような虚偽の説明をした理由について、山下前次席検事は、古川判事に情報を告知することはみずからが提案し、告知の内容も自分で決めたことであったので、検事正には迷惑をかけたくなかったためと述べております。 二番目は、山下前次席検事が古川判事に対し知人の弁護士を紹介していたにもかかわらず、記者会見でその事実を否定したことであります。これについては、山下前次席検事は、当時全く想定していなかった質問であり、これを認めると、弁護士を紹介したことが問題視され、さらに追及されると考えたためとっさにうそをついてしまったと述べております。 いずれにいたしましても、広報責任者である次席検事が公式の記者会見の場でこのような虚偽の発言をしたことについては、極めて遺憾なことであると考えております。
○野田(佳)委員 その極めて遺憾なことについて今補足で口頭で御説明をいただきましたけれども、私は、その極めて遺憾なことはちゃんと報告書の中に盛り込まれるべきであったろうというふうに思いますし、そのことがないと、本当に調査をしたのかどうかという気持ちにならざるを得ません。 結果的には、国家公務員法の百条一項の守秘義務違反容疑については嫌疑不十分であって不起訴となるということでありますけれども、その前提となっているのが、山下次席は古川判事に、捜査協力をしてほしい、できれば示談に持ち込みたいというような目的があったということをアプリオリに認めている点にあると私は思います。その目的の正当性を完全に認めているところから始まっているところに余りにも好意的な解釈があるんではないかなという感じを私は持たざるを得ませんけれども、これは大臣の御見解はいかがでしょうか。
○高村国務大臣 福岡地検前次席検事の山下永壽に対する国家公務員法の守秘義務違反事件につきまして、警察の内偵捜査段階の未送致事件に関し、次席検事が被疑者の夫である高裁判事に捜査情報を告知したという事実の特異重大性にかんがみて、最高検察庁においては、特別に捜査班を編成して厳正公平に所要の捜査を遂げたと思っております。その捜査の過程におきましては、被疑者たる山下前次席の供述についても、いやしくも身内をかばうものとの批判を受けることのないよう、その信用性を慎重に判断する観点から、関係者の供述や関係資料との矛盾の有無等を十分に検討した上で守秘義務違反の成否を判断したものでありまして、山下前次席の弁解をうのみにしたり殊さら善意に解釈するようなことはなかったものと承知をしております。 ずっと経過を見ますと、山下次席検事は、まさに古川判事が奥さんを説得し認めさせる、こういうことを期待していたんだと思いますし、それがそうでなくなってからかなりびっくりしているような状況もあるわけでありまして、そしてそういう中で、別に、この事件が表に出たから、そういうことでなくて、その前から、これはもう強制捜査をやらざるを得ない、そういう方針を山下次席自身が関与して立てているわけで、そういった状況を見ると、山下次席検事がいわゆる事件つぶしというようなことを考えていなかったことは間違いないことだ、こういうふうに考えております。
○野田(佳)委員 調査報告書を含めての細かな内容については、恐らく来週あたりに集中審議がありますでしょうから、その場で、私になるかわかりませんが、私どもの党から詳細な質問があると思います。 私は、この後、調査報告書の総括の部分に触れていきたいと思いまして、こういう厳しい検察批判がある中で、どのように検察の体制を立て直してその不信感を取り除いていくかということはとても大事なことだろうというふうに思うのであります。 その中で、幾つか総括で改善策が書かれていました。その中で、検察審査会のあり方などについても触れられていまして、検察審査会の議決に一定の拘束力を持たせる等々、いろいろとるる書かれています。そのことを十三日の司法制度改革審議会において積極的に提言するというふうに報告書に書かれていますし、実際に御報告をされたんだろうというふうに思います。その内容と、どういう議論があったかについて御報告をいただきたいと思います。
○高村国務大臣 司法制度改革審議会では、昨年十一月の中間報告で、司法参加制度の一つとしての「検察審査会制度の機能を更に拡充すべく、検察審査会の一定の議決に対し法的拘束力を付与する方向で、被疑者に対する適正手続の保障にも留意しつつ、検察審査会の組織、権限、手続の在り方や起訴、訴訟追行の主体等について検討すべきである。」としているわけであります。 そこで、三月十三日に開催された同審議会では、この問題を含む国民の司法参加についての議論がされることになっていたことから、検察審査会の改革案について文書を提出し、あわせて出席した官房長からその内容を説明いたしました。 この中で、法務省としては、公訴権の行使や検察運営に関し民意を反映させることは、検察が独善に陥ることを防ぐとともに、検察に対する国民の信頼と理解を得る上で大きな意義があり、具体的には、検察審査会の一定の議決に法的拘束力を与えることに加えて、検察審査会が検察事務の改善に関し検事正に対して行う建議、勧告の制度を充実・実質化すること等の制度改革が重要であると考える旨を提言いたしました。 当日の審議会では、訴訟手続への新たな参加制度が中心になったこともあって、検察審査会についての具体的な議論はなかったものの、検察審査会の機能を拡充する方向で引き続き審議することとされたとの報告を受けております。 法務省といたしましては、今後とも同審議会の審議に最大限の協力をしてまいるとともに、六月に予定されている最終報告の中で改革の具体的な方向性が示されたときは、その実現に向けて所要の措置をとることとしております。
○野田(佳)委員 総括の部分の一番後半のところで、人事交流について、裁判所と法務省だけではなくて、弁護士や民間を含めての交流を拡大していくような、そんな示唆が出ていました。私は、それ自体は必要だと思うんですが、むしろ、その前に、判事、検事の交流は基本的にはもうやめるという方向まで打ち出すべきではないかなという印象を持っています。 今回の事件というのは、単に山下次席の独断専行だったのか、あるいは古川判事との個人と個人の問題だったのかというよりも、私はもっと根っこが深いように思っていまして、これまでの裁判所と法務省との組織間交流というのがかなり根っこの部分にかかわっているんではないかなと思っています。 判検交流については、さきの質疑のときにも質問をさせていただいておりますけれども、昭和二十三年からずっと見てくると、例えば、裁判所から法務省へは延べで八百人を超える人たちが行っている。法務省から裁判所も約八百人近く、合わせて千六百人近い交流がありました。少なくとも平成三年から平成十二年までの十年間というのは、この流れがどちらかというと拡大、加速をしている傾向にありまして、裁判所から法務省へは三百五十四人、一年間で平均三十五人ですね。法務省から裁判所へは三百十五人、合わせて六百六十九名の判検の交流があるわけであります。 この根っこの部分を勇気を持って変えていくということが必要ではないか。裁判の中立公正を考える点においても、私はそういう措置が必要ではないかというふうに思いますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○高村国務大臣 法務省の所掌事務の中には、司法制度に関する法令、民事及び刑事の基本法令の立案等の事務、訟務事件の遂行等の事務があり、これらの事務を適正に行うために、法律に精通し、訴訟手続等の専門家である裁判官の実務経験を有する者の中から任用することは相当の理由があるものと考えております。そもそも法曹は、裁判官、検察官、弁護士のいずれの立場に置かれても、その立場に応じて職責を全うすることができるとの理念に立脚しているものと承知しており、このような人事交流により公正な裁判が阻害されることはない、こういうふうに思っております。 しかしながら、今回の事件に関連して検事と裁判官の関係のあり方が問われていることから、法務省への出向者が裁判官に偏っている現状を改め、社会経済の急激な変化や新しい時代の要請に迅速かつ的確に対応するために、弁護士や民間の専門家あるいは他省庁の職員など、多種多様な経験を有する者を受け入れることなどを検討してまいりたいと考えております。 前回お答えしたところから出ないわけでありますが、できるだけバランスをとってまいりたいと考えております。
○野田(佳)委員 この問題だけでももう少し続けたいんですけれども、通告をしているテーマが少しありますので、続けたいと思います。 今、法務省、最高検察庁の調査報告についてのお尋ねをしましたけれども、最高裁の方の調査報告について今度はお尋ねをしたいと思います。 これは素朴に読んで思ったことでありますけれども、令状を五回にわたりコピーして、それも複数のコピーをしている。そこにかかわった福岡地裁や高裁の幹部や書記官の数は結構相当数に上っているわけであります。これだけの人たちがコピーを知っているという状況の中で、だれもそのことをやめろと言わないというのは、確かに異常な事態ではあったとはいいながらも、余りにも、心構えといいますか基本姿勢に組織として問題があるのではないかというふうに私は思っています。 この点についてお尋ねをしたいと思います。
○金築最高裁判所長官代理者 まず、本件が裁判官の妻を被疑者として令状請求がされるという前代未聞ともいうべき希有な事態でございまして、そういった場合によるべき具体的な基準も準則もなく、日ごろの職員の指導にも、本件のような事態に対処できるだけのものが欠けていたということもございまして、正確さを期したいという思いから、現場の方で過剰に反応して、不適切だという認識を欠いたのではないかというふうに推測をしております。 今後は、速やかに準則を設けまして、本件を教訓として日常の指導に当たりたいと思っております。
○野田(佳)委員 準則がなかったから慌てふためいたということでしょうけれども、そうしたら、同じことは山下次席についても古川判事にも言えることであって、準則あるなしという以前の、私はやはりモラルの問題というのが厳しく問われるだろうと思っています。 次に、古川判事は妻の実質的な弁護を行っているということは明らかだろうと思いますが、実質的な弁護を行っている古川判事が証拠を隠滅しなかったとは私はにわかには信じがたい。そこまでやっていたならば、隠滅の可能性は十分にあると思いますが、この辺はどう思いますか。
○金築最高裁判所長官代理者 最高裁の調査委員会といたしましては、古川判事が妻の実質的な弁護のための活動を行っていたものと言うほかないというものであり、その行為は、無実であると言う妻の弁解を信じてとった行為であるとはいえ、裁判官に課される職業上の倫理に照らして問題とすべき点があったものと言えるというふうに考えております。 しかしながら、今申しました職業倫理上の問題と証拠隠滅行為の問題とは一応別次元の問題であると思います。最高裁の調査委員会が調査した結果によりますと、古川判事が妻の刑事事件に関する証拠を隠滅したと認めるに足りる証拠はないというふうに判断しておりますし、この点は捜査機関による捜査結果も同様であったというふうに承知しております。
○野田(佳)委員 ちょっと通告をしていませんけれども確認をしたいんですが、古川判事は、妻が容疑を否認している、そのことについては信じている、信じての行動ということでございますか。
○金築最高裁判所長官代理者 調査委員会の委員に対してはそのように述べたということでございます。
○野田(佳)委員 では最後に、国民の司法参加の問題、特に、骨格が見えてきましたけれども、訴訟手続への新たな参加制度についてお尋ねをしたいと思います。 これについては、私ども民主党としては、いわゆる裁判員の数は職業裁判官の二倍以上と。今回の司法制度改革審議会の中ではこの人数的なバランスの問題は先送りをされたようでありますけれども、ほかの部分では、かなり方向性としては妥当な方向に向かっているなと私は思いますけれども、問題は、このバランスをどうとるかということがとても大事な問題で、実質的な国民参加になるかどうか、とても注目をする問題だろうと思っています。 その中で、最高裁は、今までは、どちらかというとコンパクトな体制で、むしろ裁判官の数の方が市民より多い方がいい、少なくとも同じぐらいがいいというような御意見を持っていたようでありますけれども、今はどのようなお考えなんでしょうか。
○中山最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 昨年の九月の司法制度改革審議会における国民の司法参加問題についての裁判所の意見を述べましたときに、裁判所側としては参審制の方が望ましい、あるいは、その場合の参審員の数については、職業裁判官三人に参審員二名というドイツ参審制の構成例を議論の素材とされてはいかがか、こういう御意見を申し上げたわけであります。 これは、陪審制の場合には基本的に、判決に至る理由、判決理由といったものが明確にされない、そういうことが、説明責任、アカウンタビリティーというものの重要性を増してくるこれからの時代に果たしてマッチしたものなのか、こういう観点から参審制を推奨するようなことを申し上げたわけでございますが、他方で、そういった判断過程というものが明確になるためには、裁判官と参審員あるいは裁判員の間で十分なコミュニケーションが図られる必要があるというふうに考えているわけであります。 フランスの参審制では、裁判官が三人、参審員が九人ということになっておりますけれども、これだけの数になりますと、どうしても合議にはならず、各人がそれぞれの意見を言いっ放しであり、十分な議論がないまま多数決になるという実態であり、その結果、裁判官ではなく、書記官が作成する判決書も非常に簡単な、判決理由だけを書くということになる。これでは、本来目指している国民の司法参加の意義が大きく減殺されることになるのではないか、そういうような観点から、そういった意見を申し上げたところでございます。 以上です。
○野田(佳)委員 それは人数の問題というよりも運用の問題に尽きる話であって、私は全く異なる意見でありますが、もう時間がありません。最後に、法務省のお考えを簡単にお聞きして終わりたいと思います。
○房村政府参考人 お答え申し上げます。 法務省といたしましても、国民の司法参加の意義は、個別的な事件の評議、評決におきまして、職業裁判官とそれから裁判員とが一緒に協力して事案を解決していく。裁判官の持っている知識、経験、緻密な分析力というような専門家としての能力と、裁判員による常識に基づく新たな観点の提示、こういうものが相まって、より適切な判決に到達するというところに意義があるだろうと思っています。そういうためにはやはり緻密な、密度の濃い意見の交換、そのために、法務省としては、やはりコンパクトな構成の方がそういう緻密な議論をしやすいのではないかということから、コンパクトな裁判体がいいのではないかということで考えております。
○野田(佳)委員 終わります。ありがとうございました。
○保利委員長 次に、山花郁夫君。
○山花委員 民主党の山花郁夫でございます。 裁判所定員法の一部を改正する法律案に関して質問をさせていただきます。 これは最高裁判所にお尋ねしたいと思いますけれども、この裁判所職員定員法の一部を改正する法律案によりますと、裁判官以外の裁判所の職員の員数を九人増加することとございます。本法案の提案理由、さきに法務大臣よりございましたけれども、これによりますと、地方裁判所における民事訴訟事件、倒産事件、民事執行法に基づく執行事件並びに家庭裁判所における家庭事件の適正迅速な処理を図るためということなようでございます。 昨今、倒産事件やあるいは民事執行事件が大変増大している、こういう景気の時代でございますので、そういうお話を耳にするわけでありますが、具体的には、裁判官の一人当たりの手持ちの事件数がふえてきているということなのでしょうか。平成五年の百二十六回の国会におきましても同じような質疑があったようであります。そのときには、全国的な把握は困難であって統計はとっていないという話だったようですけれども、東京地裁についてはこんなであるという話が記録に残っているわけでありますけれども、現在の状況などについてお尋ね申し上げます。
○中山最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 東京地方裁判所におきましては、バブル経済の崩壊後、事件が非常に急増し、繁忙であるということでございました。一時は、裁判官の一人当たりの手持ち件数が二百件台の後半にまで立ち至ったという状況でございましたけれども、その後の着実な裁判官の増員の結果、現在においては、一人当たりの手持ち件数はほぼ二百件程度にまで減少してきているというところでございます。
○山花委員 それでは、九人の増員ということに関しまして、その内訳を見ていきますと、裁判所の書記官を二百四十人、そしてまた家庭裁判所の調査官を五人、計二百四十五人増員するという一方で、裁判所事務官等二百三十六人減員して、差し引き九人増ということになっております。 この減員の対象には、裁判所速記官百人ということが含まれております。民事訴訟法の改正に伴いまして裁判所書記官の権限が広がったということで、事務官と速記官からその補充に充てるということは理解はできるわけでありますが、ただ、ちょっと気になりますのが、この速記官の減員ということでございます。 今回百人減ということで、平成九年から十二年までの間に百人減というペースで来ておりまして、既に三百人減員となっております。この法律案が成立いたしますと、速記官の平成十三年度の定員が五百三十五人ということになります。また、速記官の募集というのは既に停止されております。機械の関係であるとか、あるいは速記官の労務としても非常に厳しいという事情は理解はできるのでありますけれども、ただ、百人ペースで減っていって、現在五百三十五ですから、このペースでいくとそのうちゼロになってしまうのではないかなというような印象を持ったわけであります。 平成九年の第百四十国会で、最高裁は、現在の速記官の制度は残しつつ録音反訳方式を導入するんだという形で御答弁がございますけれども、この速記官の制度というのは今後、その答弁のとおりであるとすると、減ってはいくけれども維持されるという理解でよろしいのでしょうか。
○中山最高裁判所長官代理者 平成九年の二月の裁判官会議におきまして、速記官の養成を停止するということを決めたわけでございますが、御承知のように、速記官という職種が現在裁判所の中におりますので、彼らのやる気、士気といったようなところも十分考えなければなりません。そういう意味では、速記官がいる限り速記制度というものは留置させていかなければならないと考えておりますけれども、他方で、時代の要請と申しますか、そういう観点から録音反訳制度というものを、弁護士会の意見を聞き、二千二百時間もの実験を行った結果、導入してきておるわけでございまして、緩やかにそちらの方に移行していく、こういう考えでおります。
○山花委員 速記は、従来ですとタイプライターのようなものでやっていたものだと思います。録音反訳方式というと、一回テープにとってそれを起こすという形なわけでありますけれども、こういった形をとりますと、速記の場合に比べて調書の作成の方がちょっと時間がかかるのではないのかなということを懸念いたしております。つまり、速記の場合ですとその場でとるわけでありますけれども、録音反訳ということになると、裁判所で審理をしている間テープがずっと回っていて、その後から作業が始まるわけですから、そういうことを懸念いたしているわけであります。 二千数百時間の実験を行ったという際に、約九五%の弁護士さんから内容の正確性については大丈夫だという意見をもらっているということだったようでありますが、そのスピードのところはいかがでございましょうか。
○中山最高裁判所長官代理者 録音反訳の場合の反訳書の提出期限というものは、録音反訳業者との契約で決まっているわけでございますが、提出期限はおおむね十日から二週間程度とされております。また、特に急を要する場合にはこれよりも短い提出期間、おおよそ三日程度ということでも出していただいているところでございます。 平成十年から新しい民事訴訟法が施行され、そこで集中審理、集中証拠調べというものが行われているわけでございますけれども、むしろ、その集中審理、集中証拠調べの中で、長時間にわたる証人尋問等についてはこの録音反訳方式というものがこれを支えている、またそういった評価を受けているというふうに私どもとしては認識しております。
○山花委員 なぜこのような質問をしたかと申しますと、従来の歯医者さんの治療方式でと言われたりであるとか、そういった週に一回あるいは二週間に一回ぐらいちょっとずつやっていく審理の方式であれば、むしろ逆に、調書の作成に多少時間がかかっても、直前に見ることができるので支障は生じなかったのではないかと思っているわけでありますが、そういった集中審理、集中証拠調べという形になってきた場合に、弁護士の立場であって、本当に争うようなケースであると、すぐにでも速記が必要になるというケースが出てくるわけであります。 先ほどの御答弁で三日ぐらいでできるというお話がございましたけれども、例えば訴訟事件ですぐにでも欲しいということで特急という形でお願いすれば、長さとかいろいろあるとは思いますけれども、三日ぐらいでできるということで、手当てが十分になされているという理解でよろしいでしょうか。
○中山最高裁判所長官代理者 おっしゃるとおりでございます。
○山花委員 その点の手当ての方もよろしくお願い申し上げる次第でございます。 それでは、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。 先ほど我が党の野田委員からも似たような質問がございましたけれども、この法律案は、平成十三年の五月一日に埼玉県の浦和市、大宮市、与野市が合併してさいたま市というものが発足するということに伴いまして、浦和地方裁判所、浦和家庭裁判所の名称をそれぞれ、さいたま地方裁判所、さいたま家庭裁判所に改めることなどを内容としているわけであります。簡易裁判所などではこういったケースはあったようでありますけれども、地方裁判所あるいは家庭裁判所において、市町村合併に伴って名称変更が行われるというのは初めてのケースのようであります。 市町村合併が推進されるという時流の中で、こうしたケースは今後も出てくるものと考えられますが、先ほど野田委員は根拠などについて質問をいたしておりましたけれども、ちょっと観点を変えまして、市町村合併がなされると、自動的にそれに合わせて裁判所の名称変更というのが必要になってくるということなのでしょうか。
○房村政府参考人 お答えいたします。 裁判所の名称につきましては、所在する市町村の名称を付するのを一応原則とはしております。したがいまして、所在地の市町村が町村合併等をして名称が変わるというような場合に、これを変えるかどうかという問題が生ずるわけでありますが、必ず変えなければならないというものでもございませんので、地元の意向であるとか、そういったものを十分配慮しながら、これは変えた方がいいという場合には、名称変更の手続をとって法律の改正をお願いする、そういうことになっております。
○山花委員 では、自動的に名称の変更をしなければいけないというわけではなく、地元の意見を聞いてということでございますけれども、それについては、何か法律上ないしは何らかの規則上の根拠などがあるのでしょうか。
○房村政府参考人 特段の根拠があるわけではございませんが、やはり地元が最も密接な関係がある、利用する方々もそこにいらっしゃる人が多い、こういうことから、わかりやすさとかそういう観点を含めて、地元の御意見も聞いた上で名称をどうするかを決めているということでございます。
○山花委員 法律上地元の意見を聞かなければいけないというふうになっているわけではなくて、運用の上でそうするんだということと理解したわけであります。 そういたしますと、恐らく今までの簡易裁判所でもそういうふうにしていたのかなという印象を持ったのですけれども、少なくとも、地裁とか家裁のケースでは今回が初めてということになるんですけれども、今回のような名称変更が必要となるケースでは、同様に、やはり運用として地元の意向を聞いて、例えば地元の人がもうなれ親しんでいるからこの名前を変えないでくれとか、そういうような意向を聞いた上で名前を変えるかどうか決めていくというような運用が今後もなされるというふうに理解してよろしいでしょうか。
○房村政府参考人 御指摘のように、今後もそのような運用になるものと考えております。
○山花委員 それでは、裁判所の関係について関連して質問をさせていただきたいと思います。最高裁判所にお尋ね申し上げます。 本年より、裁判所が判決を下して、それを記録したいわゆる判決書、これが横書きになって、国際標準ということもあるのかもしれませんけれども、A4判ということになっております。 このように改められた趣旨は何なのでしょうか。また、改めるに当たっては、これも同様に何らかの法律上の根拠などがあって改められたのか、それとも、そうではなくて運用の上でこうしましょうということで改められたのでしょうか。
○中山最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 今委員御指摘のような国際化、あるいは行政省庁においては既にA4横書き化というものが実践されていること、さらには、OA化が進展し、A4判用紙というものが一般的にも使われてきている状況、そういうような状況にかんがみまして、裁判所としても、判決書のみならず、裁判関係書類、要するに、裁判所に提出いただく書類についてはA4横書きということにさせていただいたものでございまして、これについては書式や表記を通達で定めて周知徹底したところでございます。
○山花委員 ということは、要するに、今まで縦書きにしていたということは所与のことであって、法律上縦じゃなきゃいけないとかそうなっていたわけではなくて、運用の上で通達によってこうしましょうということになったということだと思います。 ところで、この委員会の委員の皆様もお手元にあると思いますけれども、一般に、国会の方でも、例えばこの審議に当たりまして衆議院の調査局法務調査室というところから資料をいただいたりするのですが、やはり横書きになっております。ところが、法文の方になりますと縦書きになっておりますね。ささいなことのようですけれども、縦書きのものと横書きのものがあると、ファイルをしたときに非常に不便を生じるわけであります。 私は、個人的には横書きでやった方がいいのではないかと思いまして、ちょっと、いろいろ関係各省に当たってみたのですが、どうも余り色よい返事がございませんでした。要するに、これは縦にするかどうかということは、委員の皆さん、御理解いただけるかと思いますが、これは閣法であっても衆法であっても法文になってくるといきなり縦書きになるわけであります。 最初、法務省の方に伺ったところ、うちから答弁と言われてもちょっと困るという話でありました。基本的に法律をつくるということは国会のやることですからということで、それならばということで、私、衆議院の法制局に伺ったところ、法制局が答えるという筋合いのものでもということでありました。また、法制局が言われるには、これは、衆議院だけじゃなくて参議院の法制局の問題もあるということで、結局どこが仕切っているのかよくわからないようなことなんであります。 ただ、どうもちゃんと答えられないというにはそれなりの理由がありまして、例えば、法律改正をするに当たっては、大体一部改正という形で、この部分を改めるという形になっておりますので、既存の法律を改めるときにはやはり縦書きが前提になるのではないかとか、あるいは、図表の取り扱い、それも縦書きのものですので改めなければいけなくなったりであるとか、そういったことがあるようであります。 個人的な意見ですので、関係各省に聞いたところ、国会議員の先生方からそういう機運が盛り上がってきて、こうしようという話になればまた別だということだったので、ぜひ委員の皆様の御理解を賜りたいということだけ申し上げておきます。 さて、裁判所の判決書が横書きになったということに伴いまして、ファイリングしたときだけじゃなくて、ちょっと日本語的にもどうかという部分が出てきております。つまり、法文では、縦書きですから左記のという形になりますね。ところが、例えば条項を引用したときに、左記のと書いてあるのですけれども、横書きですと、気にしない人は気にしないのですけれども、気にする人は、これは、日本語的には下記のが正しいのではないかとか、あと、縦書きにすると普通は漢数字で表記するものを、アラビア数字にしないと漢数字が横にだっと並んでいて大変見づらいということがございます。 そこで、最高裁判所にちょっとお尋ねしたいのですけれども、判決書を横書きにするということに際して、こういった表記などについて何か統一的な指示を出していらっしゃるのでしょうか。先ほど、通達で横書きにというお話でしたけれども、例えば漢数字を引用する場合でもかぎ括弧を引いてアラビア数字に直してもいいのかどうかとかについて、何か統一的な基準というのはあるのでしょうか。
○中山最高裁判所長官代理者 お答えを申し上げます。 書式や表記もあわせて通達で定めているところでありまして、今問題にされましたところは、かぎ括弧で漢数字ということで引用しているわけでございます。
○山花委員 これは裁判所の公式な文章ですから、そういうことで結構かと思います。 ところで、先ほど、横書きにするということで、OA化などということも一つ理由にされておりましたけれども、最近、パソコンとかワープロなどによって、民事訴訟の場合、訴状もそういったもので作成するケースがふえてきているものと認識いたしております。 ところで、法律には常用漢字にない文字が使用されているケースも多々ございまして、例えば、よく使うかどうかはわかりませんが、民法なんかでも滌除というのがありますけれども、これはワープロで打っても出てまいりません。また、相隣関係の規定なんかにも随分難しい漢字が使われていることがあるんです。また、民法などはまだ漢字片仮名まじりなんです。 これも、ささいなことかもしれませんけれども、OA化ということを申しますと、ぱあっと打ったときに、一々また後で直さなくていいというのも一つのメリットではないかと思うのですが、弁護士あるいは当事者訴訟なんかの場合に、当て字の形になっていたようなケース、あるいは、片仮名となるべきところを平仮名で表記していたという場合でも、当事者はそれによって不利益をこうむらないように運営していただきたいと思っているわけであります。仮にこのような場合に補整しろなんということを一々言われますと、業務効率を大変損なうと思うのですけれども、この点、御配慮いただけますでしょうか。
○中山最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 一般的には、常用漢字を用いて出されてきているというような場合が多うございますけれども、そういった場合に、基本的には訴状を受け付けるという姿勢で臨んでおります。 もっとも、例えば商号など、当事者とされる会社の名称というものがどうしても正確であるということが必要な場合がございますので、そういった場合には、例外的に補整を求めるということもございます。
○山花委員 それでは、ちょっと法務大臣にお伺いをしたいと思います。 本国会では道交法の改正案というのが提出される予定になっております。ところで、この道交法ですが、最近、極めて悪質な道交法の事犯がありまして、例を言いますと、酒酔い運転で死亡事故を惹起するような悪質交通事犯でありますが、厳罰化を求める声というのが非常にふえております。 本来、道交法の改正は法務委員会にかかるものではないと存じますが、ただ、今回、道交法の悪質交通事犯についての厳罰化が見送られたというふうに聞いているのですが、その経緯について、法務省と警察とで協議をして、どうも協議が調わなかったというような報道もされているわけでありますけれども、この辺の経緯について御説明いただきたいと思います。
○高村国務大臣 近時、飲酒や無免許運転等を伴う悪質重大な業務上過失致死傷事件が御指摘のように後を絶たないわけでありますが、被害者やその遺族の方を中心に、その量刑や法定刑についてさまざまな御指摘がなされており、昨年十一月二十四日には保岡前法務大臣が、また本年二月九日には私が、それぞれ、このような事犯について業務上過失致死傷罪の法定刑を引き上げる法改正を望む旨の合計約二十六万人の署名の提出を受けているわけであります。 悪質重大な交通事犯は、国民に広く普及している自動車等の運転に伴う国民生活に密接した犯罪類型であり、所要の法整備を行うに当たっては、このような事犯に適切に対処するとともに、その処罰範囲を的確なものとするため、悪質、危険な運転行為の範囲等について、事案の実態などを踏まえた十分な検討が不可欠であると考えております。 そのような全国警察庁の実態調査や諸外国の法制等の調査を行っており、これらの点については警察庁とも協議をしてまいりました。さらに、関係各方面の御意見を広く伺うなどして、今後の施策の参考とする必要があることから、警察庁とともに、交通関係事犯問題意見交換会を開催しております。 このように、法整備に向けて鋭意検討を行っておりますが、この問題は国民生活に密接な重要な問題であり、現に悪質重大な交通事犯が後を絶たない状況にあることから、刑法改正等の検討を含め、早急に検討を行い、所要の法整備を行いたいと考えております。 警察庁とは意見をすり合わせておりまして、大体同じ方向で了解がついていると思っております。
○山花委員 世論の要請もあることですので、これは急いでやった方がと考えております。 ちょっとこの交通事故の問題に関連いたしまして、法務省刑事局長にお願いいたしたいのですけれども、交通事故で、例えば人身事故が起きた場合に、被害者の側が民事訴訟を提起するケースがございます。ところで、起訴されて確定記録があるような場合であれば、その民事訴訟に当たりまして調書などを原告が入手するということも一応可能なのでありますけれども、不起訴の場合、こうした記録を入手することが基本的にはできません。弁護士照会の方法をとれば実況見分調書を入手するということは可能でありますが、それにいたしましても一、二週間かかりますし、金額も一万円以上はかかるわけであります。 この実況見分調書が有力な証拠となるというケースもありますけれども、しかし、死亡事故のケースなんかの場合に、その実況見分調書を見ても加害者の側の意見しかわからないということがしばしばあります。そういたしますと、民事訴訟を提起しようとする場合に、そもそも目撃者がいたのかどうか、あるいは目撃者がだれなのかということすら原告の側で集めなければいけない。証拠を集めるために、まず目撃者捜しから始めるというようなことになってしまっております。 また、死亡事故に至らないような場合であっても、被害者の側が自分の調書をもう一度点検したいであるとか、あるいは、あのとき自分がその場でどういうふうに言っただろうかということを点検したいような場合に、自分の調書なんだから出してくれと言っても、これは出てこないのであります。 こういった目撃者の有無であるとか詳細、あるいは事故の調書について、何で出せないのかという理由について、また、出せない理由があるのであるとすると、その法的な根拠についてお伺いいたします。
○古田政府参考人 多岐にわたるお尋ねでございますが、まず、目撃者のいわば住所、氏名などの認定事項、こういうたぐいのことについて御説明いたしますと、御指摘のとおり、公判になりますれば、これは調書等が出る、あるいは証人として出ていただくということで、公開になるわけでございます。ただ、不起訴の場合には、目撃者の方々も、自分がそういうことにたまたま居合わせたとか、非常に率直に申し上げますと、何でこの人がこういう場所にいたんだとか、いろいろなことがやはり懸念される方もいらっしゃる。そういうことから、直ちに目撃者の認定事項のようなことをお知らせするというのは、目撃者の方の御意向に反する場合も結構あるわけでございます。ただ、実際問題としては、目撃者の方の御同意を得て、それでお知らせするというふうなことも例としてございます。 それから次に、ほかの記録でございますけれども、これは、原則といたしましては、代替性がない、あるいは非常に入手が困難なもの、こういうものにつきまして、基本的に御要望があれば提供をするということでございまして、これは、ただいま弁護士照会ということでお話ございましたけれども、被害者あるいはその親族からの請求ということでも、そういう御要望に応じるという取り扱いをしております。 次に、御本人の調書等の開示の問題ですけれども、これは本人のものだから、供述だからということも、確かにそれはそのとおりなんですけれども、一方で、やはりこういう調書類というのは、当初作成したときに、当然読み聞けを行い、あるいは閲覧をしていただいて、内容を確認していただいている。また、それに基づいて、ほかのいろいろな捜査も行われるとか、そういうふうな事情がございまして、御本人のものだから常にお見せするということで弊害が起きないという問題でもない。つまり、やはり弊害ということは考えざるを得ない場合があるということでございます。 ただ、検察庁におきまして、昨年から被害者支援員制度というのを設けておりまして、そういうところで御相談等がありますれば、御本人のどういう点を確認したいのかとか、そういう点について確かめた上で御要望に応ずる、例えばどういうふうに述べておられたかとか、そういうことについての御要望に応ずるということは考えられると思います。 法的根拠は何かというお尋ねもございましたけれども、これは御存じのとおり、刑事訴訟法四十七条で、不起訴記録、あるいは訴訟に提出する前の書類については公開は禁止されており、その趣旨は、そういう不起訴記録等につきましては、原則として、その内容を外部に公表と言うと変ですけれども、外部に開示することは禁止されているといいますか、捜査あるいは裁判のさまざまな意味での適正を保つ、そういうことによるということでございます。 〔委員長退席、田村委員長代理着席〕
○山花委員 時間ですので、質問を終わります。どうもありがとうございました。
○田村委員長代理 これにて山花郁夫君の時間を終わります。 続きまして、西村眞悟君。
○西村委員 警察力の問題、この警察の力が低下すれば治安が悪化するという連鎖の中にありますから、警察がしっかりしてくれておる組織の体制にあるのかということに重大な関心を払わざるを得ません。 したがって、警察の懲戒事例の増加傾向、犯罪検挙率の低下傾向、この二つは、警察が本当に本来の任務として機能し得る体制にあるのか否かを判断するのに一つの重要なバロメーターだと思いますので、この懲戒事例の増加傾向と検挙率の低下傾向について、今までの推移を概略御説明いただきますようお願いします。
○五十嵐政府参考人 検挙率の関係でございますけれども、全刑法犯について見ますと、かつては五〇%台から六〇%台であったのですが、平成元年には初めて五〇%を切りまして、四六・二%と割り込みまして、平成十二年には二三・六%という状況になっております。 これを殺人と強盗について見ますと、殺人では、戦後一貫して九〇%台を維持しておりまして、平成十二年には九五%となっております。また、強盗については、認知件数が千五百八十六件と戦後最低であった平成元年の検挙率は七五・六%でしたが、平成十二年には、認知件数が約三倍の五千百七十三件に増加しており、検挙件数もこれに合わせて、平成元年の約二倍の二千九百四十一件に上っているわけですが、検挙率にいたしますと、相対的に低下いたしまして五六・九%となっております。 なお、懲戒された者の関係ですが、私は刑事局長で把握しておりませんので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○西村委員 今までの強盗の件数でも明らかなように、かなり増加しておる中で検挙率が低下しておる。懲戒事例については、奈良の問題とか、昨日ストーカーのような行為をしてということもテレビで放映されておりました。増加傾向にあるわけでございます。 なぜこの二つの警察の力を示すバロメーターが両者悪化する方向に行っているのかということを考えますと、やはり警察官は社会正義を実現するという使命感を持たねばならない。また、その使命感に基づく連帯感を組織として持っておらなければならない。したがって、昨日報道された警察官のストーカー行為、ああいうことは、使命感に基づく連帯感があれば、仲間のために申しわけないとか、そういう抑制が働くわけですね。したがって、それがないのではないか、ばらばらになってきたのではないか。何か事が起これば、昨年どおりの風潮で、懲戒処分はばっと上司にまで行ってしまってマスコミの批判をかわすという、場当たり的な対応になっているんじゃないか、このように思うわけです。 したがって、このまま放置しておれば、マスコミの諸君はいろいろな事例を報道して、それはアメリカでもそうです、新聞が売れなければ警察と消防をたたけ、そうしたら新聞は売れるんだ、日本も同じ商業的なマスコミの体制ですから、そういう傾向にあるんでしょうけれども、肝心の国民の治安が悪化していくということについてはだれも責任をとらないという状況が生まれるわけですね。 警察は、本来、内部的にだれが何を、不祥事をやっておるのかということを調べるのが任務ではありませんので、警察力を向上させるためには、組織としていかにこれから改革していくのか。現職警察官の処遇問題、退職後の警察官の処遇というふうな問題も含め改革を、場当たり的ではなくて、持続的な意思のもとに実行していくという体制が必要なんだと思いますが、その方策について、具体的また長期的にございましたら、御答弁いただければ幸いでございます。
○五十嵐政府参考人 先ほど答弁いたしましたように、非常に最近犯罪が増加してきている、なかなかその犯罪の増加に検挙が追いついていかないというような状況にあるわけでございます。 こういった原因といたしましては、犯罪の増加により、初動捜査への捜査力の投入が非常に増大している。特に、先ほど言いましたように、凶悪犯がふえているということになりますと、これは国民に非常に不安感を与えるものですから、そういうところには重点的にといいますか、徹底して検挙していかなきゃいかぬということになります。 それから、新たに発生した事件を、そういう重要事件を初めといたしまして、早期に解決しなきゃいかぬという要望があるわけでありまして、そういったことから、例えば窃盗で検挙しても、その余罪を幾つも割り出していくというところになかなか手が回らないで検挙件数が減ってくるというようなこともございます。余罪の解明率が下がる。あるいは、外国人等の組織犯罪が増加して捜査が困難化している、あるいはハイテク犯罪とか新しい型の犯罪が増加しているというような状況にあるわけであります。 そういった中で、限られた警察力でいかにしてこういった増加する犯罪情勢に対処していくかというのが非常に重要な課題でありまして、組織としての持てる力を最大限に発揮するというのはもとよりでありますけれども、一つは科学捜査力をアップする、科学的な装備、資機材を充実させるということもございますし、また、マンパワーの、一人一人の能力をアップさせる。一人一人の能力をアップさせることによって、捜査の処理能力といいますか、捜査能力をアップすることによって、いわゆる処理能力を上げるということも考えられます。そういうことで、捜査力の充実強化を図る。 あるいは、その限られた捜査力をどういうところに重点的に振り向けていくんだ。国民が本当に不安を感じているところ、そういうところに重点的に振り向けていく。全部の検挙率というのは認知件数と検挙件数の関係で決まるものですから、全般的に、ただそれを金太郎あめ的に全部同じにやるわけにいかない。やはり国民が不安を感じている、警察として取り締まってほしいということについて、積極的にあるいは重点的に取り締まっていくということが必要ではないか。 そういう対応をするについても、先生言われましたように、やはり組織としての力といいますか、お互いの連携とか協調意識とか、こういうものをアップしていく必要がある、さらに必要になっているというふうに感じているところでございます。 〔田村委員長代理退席、委員長着席〕
○西村委員 今の現状において、警察が苦悩しておられるのはよくわかります。その中で、やはり警察官が生きがいを感じて職務に専念できる、ある意味ではオープンかつ明るい、力強い体制にしていただくために、抜本的な、重点的な予算の投入ということも必要なら、大いに、めげずにその要求を出していただきたい。これについては与党も野党もありません、治安力の問題ですからね。どうかよろしくお願いします。 それで、私、この十年、余り刑事の弁護にはタッチしていなかったんですが、具体的な事件を言うわけではございませんが、数日前から、どうしても、窮鳥懐に入らば猟師これを撃たず、私が五年来親しくしている人が逮捕されたんですね。それを見ておりますと、結局、警察が、犯罪がないのに犯罪者をつくってしまうという体制から逃れられない社会状況の中に置かれているのではないか。 つまり、リストラ等々が叫ばれる中、地域社会の有力者と警察の長年のつながりの中で、退職金を払わずして職員を退職させるために、その組織の内部の情報だけを操作して被害届を出して、警察に逮捕させる、そして懲戒処分だと、現下の不況下で、ある意味ではそういうふうなことを考えるやからもおる。そして、内部社会から出てきた一方の被害届、これはなぜ被害届を書くのかといえば、こういうふうに書かなければ退職させるぞと言えば、やはり書く状況にあるのでしょう。こういうふうなことで、直観ですよ、今、警察が捜査しているから具体的なことは申しませんが、この人ははめられたんだなという事件に遭遇したんです。 したがって、警察のモラルというのはやはり使命感に基づかねばならない。その使命感は社会正義を実現することだ。しかし、若い熱心な警察官ほど、大きな社会的背景の中で、犯罪者をつくる方向に利用し、民事の問題をその策謀した人間の有利な方向に解決する道具とされておるとするならば、それは警察官として極めて心外な任務に携わらざるを得ない事態なんだろうと思います。 こういう事態を私は今実体験をしておるわけですが、実体的真実は捜査を経なければわからないといいますけれども、素人の、本当に何も逮捕の経験のない人間からすれば、任意同行もなく逮捕されるということは驚天動地のことですから、既に地域社会ではかなりのダメージを受けるわけです。 具体的な事件について申すわけではありませんが、私が認知した限り、こういうふうな憂慮をしなければならない事態もあり得るんだという問題意識で、警察の力の増強に携わっていただきたい。 御答弁いただけましたらありがたいんですが。
○五十嵐政府参考人 ちょっと長くなりますけれども、答弁させていただきます。 言うまでもなく、捜査は事案の真相を明らかにいたしまして社会正義の実現に資するものでございますけれども、捜査に当たっては、個人の基本的人権を尊重し、かつ公正、誠実に捜査の権限を行使しなければならないというのは当然のことでございます。 このため、捜査を行うに当たっての心構えとか捜査の方法、手続その他、捜査に関し必要な事項を定める犯罪捜査規範が国家公安委員会規則として制定されておりまして、また、個々の事件捜査においては、警察本部長または警察署長等の各級幹部がその指揮に当たりまして、組織捜査を推進して、適正捜査の確保に努めているところでございます。 具体的に申し上げますと、被害の届け出等があった場合に、届け出等にためにする虚偽あるいは著しい誇張がないかどうかという点も含めまして、証拠資料を収集し、事件着手に当たっては、諸事情を判断の上、捜査方針を検討しておりまして、その過程では逐一幹部による捜査指揮を行っているところでございます。 警察といたしましては、今後とも、職員に対する指導教養を徹底いたしまして、公正、誠実に捜査権を行使し、警察の責務の遂行に遺漏なきよう万全を期してまいりたい、このように考えております。
○西村委員 今、完璧な御答弁をいただきました。その御答弁に沿う現実の捜査が個々に行われることを希望して、本日は、警察頑張れというふうな言葉を残して、質問を終えさせていただきます。
○保利委員長 次に、瀬古由起子君。
○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。 私は最初に、福岡前次席検事及び地裁判事の問題で質問をいたします。 これについては、法務省と最高裁判所の調査結果が出てまいりました。この問題では、後日予定されている集中審議で時間をとって取り上げたいと思っていますが、きょうは、この二つの報告書を読んで一点だけ質問をさせていただきたいと思います。その内容は、証拠隠滅に関して携帯電話廃棄問題についてです。 最高裁にお聞きいたします。 法務省の調査結果では、福岡地検の山下前次席検事は、容疑者の夫が判事なので、可能な限り関係者の名誉等が害されない妥当な事件処理ができると考えたと報告しています。これは、裁判官に特別な配慮をしたものと受けとめられるものだとしております。そして、その特別配慮の結果として、夫から容疑者に捜査情報が伝わって、携帯電話のうち少なくとも二台が廃棄された疑いが濃いと記しております。妻の証拠隠滅の幇助をした疑いが大きいと思われます。 ところが、最高裁の報告書では、「古川判事が、妻園子の刑事事件に関する証拠を隠滅したと認めるに足りる証拠はないといわざるを得ない。」として、古川判事自身が証拠隠滅をした証拠はないとあるけれども、妻の証拠隠滅を幇助した事実、可能性について述べておりません。あえて避けているのか。法務省の報告と比べてみても、証拠物である携帯電話の廃棄について、古川判事は妻の実質的な弁護活動をやっていたというふうに報告書で述べておりますように、古川判事の果たした役割というのはどういうふうに説明できるんでしょうか。お聞きしたいと思います。
○金築最高裁判所長官代理者 最高裁調査委員会の調査によりますと、古川判事が証拠隠滅の行為をしたり、加担したりなどの関与をした事実は認められなかったわけでございます。この点は、捜査機関の結論も同様でございます。 そこで問題となりますのは、古川判事は、意図的に証拠隠滅にかかわったのではないとしても、山下元次席検事から告知を受けまして、電話によって古川園子に容疑事実を問いただしたために、園子が問題の携帯電話を廃棄するきっかけを与える結果になったのではないかとの疑いを持たれた点であろうと思います。 しかしながら、この点は園子の起訴事実そのものに関係する事実でございまして、今後刑事公判で審理の対象となることが予想されるわけでございます。そうした園子の嫌疑そのものにつきましては、捜査機関ではない裁判所の調査委員会といたしまして認定することが適当かどうかという問題がございますし、そもそも、園子の容疑事実を確定すべき種々の捜査資料を持ち合わせておらないわけでございます。 したがいまして、園子が携帯電話を廃棄した疑いが濃いということを前提に古川判事の行為が軽率であったと断定することが難しかったという事情を御理解いただきたいと存じます。
○瀬古委員 意図的でないとしても、今後の捜査の結果によっては、ある意味では証拠隠滅をした、それに加担したという結論も出るというふうに思うわけですけれども、古川判事というのは刑事事件の専門家でもあるわけですね。ですから、彼は、証拠隠滅にどうやったらなるのかならないのかということはよく御存じなわけですよ。そういう点では、みずから罪になるということは多分かなり警戒をして、一定弁護活動というか、弁護的な活動になっているというふうに思うんです。しかも、妻に連絡した結果として、プリペイド式の携帯電話のうち少なくとも二台は廃棄されてしまって証拠が残らないという状態になって、証拠隠滅が証明されなければ、証拠隠滅を助けたということもなかなか成立しないという、いろいろ考えられる。 まあ今後これは出てくるかもわかりませんが、今の段階では、何だか法律をかいくぐったやり方というのは、国民にとっては到底納得できない、こういう状況にあるというふうに思います。そういう点では、司法に対する国民の信頼を失うという意味でも、身内に甘いという結果はとるべきでないというふうに考えますけれども、その点はいかがでしょうか。
○金築最高裁判所長官代理者 最高裁の調査委員会としては、できるだけの手を尽くして調査をしてこの報告書をまとめたつもりでございます。 古川判事の行為の評価につきましては、報告書にも記載しましたように、一つの問題点はある。証拠隠滅の事実は認められなかったけれども報告書に指摘しましたような問題点はある。その点につきまして分限の申し立てがありましたので、この点は今後分限裁判によって判断されるというふうに考えております。
○瀬古委員 では、この問題は引き続き次回に譲りたいと思います。 では、質問させていただきます。 事件数の年ごとの推移、九〇年から九九年を見ますと、民事の一審地裁事件は一・四倍にふえている。刑事事件も一・三倍。事件の増加とともに内容も複雑困難になっているというふうに言われます。例えば、事件数の数字自体は小さいけれども、医療関係の事件は一・八倍になっているとか、知的財産権の関係が一・七倍。これらを適正迅速に解決していく上で裁判所の機能というのは果たしてどうなのか、十分国民の期待にこたえるものになっているのかという問題です。 特に、私は、やはり人員不足が最も大きな原因の一つだというふうに思いますけれども、裁判官数については、先進諸国と比べてみると、人口十万人当たり比較で、ドイツは二十五・六人、アメリカは十一・二人、フランスは八・四人、イギリスは六・一人に対して、日本は二・三人という状況なんですね。日本が少な過ぎるという数字であることは論をまちません。司法制度の改革審議会の中間報告でも、裁判官の大幅増員が不可欠だと、裁判所職員の適正な増加について指摘をしているところでございます。特に裁判所の職員の定員増については、当委員会でも五年連続で請願が全会一致で採択されています。それでもなかなか今の現状というのは追いついていかないという実情だと思うんです。 本改正案にはもちろん私たちは賛成ですけれども、職員定数がこれで十分だというわけではないので、これまで以上、さらに努力を求めたいというふうに思います。 そこで、きょうは、私は、裁判所における男女共同参画問題についてお聞きいたします。 裁判所は、女性職員が三分の一占めています。行政の各省庁と比較しても一定多いと言われております。職員が不足している実情が、実は、そこに働く女性職員、とりわけ妊娠中の職員の置かれている状況に端的にあらわれているわけですね。繁忙と職員増員のおくれという実情が、母性保護の点でもしわ寄せを及ぼしているわけで、全司法労働組合が「ママを救え大作戦」、こういうものを呼びかけて、出産者にアンケート調査を行っているわけです。 国公女性ニュースによりますと、妊娠中の障害があったのが四五%になっています。つわり、出血、流産、早産がここ数年多くなっている。仕事の繁忙により妊娠したことさえ言い出せない。通勤緩和も遠慮する職場になっている。それから、妊産婦の残業が四割にもなっている。制度があっても周りに気兼ねして活用できないような状態になっている。最高裁はそれに対して遠慮せずとってくれと言うけれども、仕事は山ほどあるのでいろいろな休暇もいろいろな制度もなかなか利用できない、こういう仕組みになっている。これはやはり人員削減という問題があるわけです。 それから、全司法の二〇〇〇年度の出産者の調査の中間結果なんですけれども、これを見てみましても、妊娠中、出産後、業務軽減を当局に申し出ましたかと質問されているんですが、申し出たという方が二三%いらっしゃいます。申し出てないという方が七六%になって、多くの方は業務軽減を申し出てないという状態なんですね。 持ち帰り残業はありますかと聞きますと、あると答えた方が二三%、ないという方が七四%なんですが、四分の一が出産後仕事を家に持って帰っている、こういう深刻な実態があります。 妊娠中に障害がありましたかという質問に対して、あったという方が五二%、要するに半分以上になっている。ないという方が四八%。障害の内容はどういう内容でしたかというのが、早産しかけたという方が二九%です。流産しかけたという方が二五%です。 それから、妊娠中または産休、育児休業中の当局の対応はどうかという具体的な内容がこのアンケートに載っています。突然配置がえを言われて断ったがだめだった。交渉してもらったら、妊婦のための楽な仕事にかえてやるのにどこが悪いと逆ギレされた。その上、断ったらあなたの席はありませんよ、昔の農家の嫁は臨月まで働いたと言われた。これは裁判所の職場なんですね。 当局は、帰らせろと上司に電話でしかるだけだ。上司はしかられるから帰るように促すけれども、仕事はたまるし、他の人も手がいっぱいで頼みづらい。ちゃんと現場を見てもらいたい。妊娠中は残業するな、通勤緩和は取得しろと、でも、実際には事実上の業務軽減は認めない、これでは形だけの母性保護でしかないとかなり厳しく告発しているわけです。 最高裁は、裁判所の女性職員の労働環境の実情、とりわけ母性保護の問題について、具体的にどういう状況であるかということを認識しておられるんでしょうか。
○金築最高裁判所長官代理者 母性保護の必要性と重要性については十分に承知しており、女性職員の働きやすい職場環境づくりにはこれまでも配慮しているところでございます。 管理職に対しては、研修等を通じまして、母性保護のための権利行使の重要性を認識させるとともに、そういった権利行使が認められている趣旨を徹底いたしまして、女性職員が諸権利を行使しやすいような環境づくりを指導しております。また、管理職以外の職員の理解と協力も不可欠でありますので、管理職のみならず、職場全体で母性保護の重要性の認識と理解を深めるように配慮しているつもりでございます。 さらに、女性が働きやすい職場環境づくりを維持運営するために、セクシュアルハラスメントの防止につきましても、その防止と排除に努めております。管理職に対する研修及び新採用等の管理職員以外の職員に対する研修におきまして意識啓発を図っておりますほか、最高裁及び各高裁にセクシュアルハラスメント相談窓口を設けまして、職員からの相談に当たっているところでございます。
○瀬古委員 実際には、権利行使をやりやすい環境づくりといったって、全体の職場の理解といったって、仕事量が全然減らないで、ほかの人にも頼みづらいという状況があるでしょう。そうすると、やはり無理してやらざるを得ないわけですね。少なくともこういうところで人の配置が緊急に必要だということは思われませんか。その点、いかがでしょうか。
○金築最高裁判所長官代理者 各職場におきまして、母性保護の観点から問題が出てまいりました場合には、その原因を調査して適切な改善策をとって、その解消に努めているところでございます。今後とも、女性の働きやすい職場環境づくりが一層図られますように、管理職員に対して指導を徹底していきたいと考えております。
○瀬古委員 だから、管理職に働きやすい職場と言ったって、今の実情は、さっき言いましたけれども、早く帰れ早く帰れと言うわけです。そうすると、女性職員は、妊娠中であっても出産後であっても仕事を持って家に帰っちゃうわけですよね。こういう状態が今深刻な実態をもたらしているということは、ぜひ受けとめていただきたいと思うのです。 時間がないので次に進めます。 今、裁判所の女性の幹部登用についてはどういう状況にあるでしょうか。
○金築最高裁判所長官代理者 昨年の十二月一日現在で、女性職員の幹部の割合を見てみますと、まず裁判官で見ますと、高裁長官、地裁所長及び高裁、地裁の部総括者の総数は四百四十四名でございますが、うち女性が十二名で、割合としては二・七%でございます。ちなみに、これに家裁所長及び家裁の部総括者を加えますと、四百九十一名中十七名ということで、割合は約三・五%になります。 裁判官以外の、書記官、家庭裁判所調査官、事務官等の一般職の職員につきましては、幹部職員とされております九級以上の職員に占める女性の割合は五%強、八級以上ということになりますと約一二%でございまして、行政省庁をかなり上回っております。 今後とも、裁判所におきましては、女性を積極的に採用いたしますとともに、資質、能力等を備えたすぐれた女性職員につきましてはこれを積極的に上位ポストに登用していきたいと考えております。
○瀬古委員 先ほど出ました数値ですけれども、裁判所としてはまずまずよくやっているんじゃないかみたいなお考えなのか。先ほど出ました高裁の役職で言うと二・七%とか、家裁の関係で言うと三・四六%、実際には、一般職でも九級以上は五・五%なんですけれども、何でこんなひどい、少ない数になっているのかというふうに私は思うんですけれども、その点はいかがなんですか。まあまあやっていると思われるのか、これはちょっと少ないと思っておられるのか、いかがでしょうか。
○金築最高裁判所長官代理者 ただいま申し上げましたように、行政省庁に比べると、裁判所の幹部職員に占める女性の比率というのは高くなっておりまして、人事当局の方でもそういう点を十分に考えている結果と受けとめていただければと思いますが、なおこの点はさらに努力をしていかなければいけない問題だと考えております。
○瀬古委員 関係省庁の水準が余りにもひど過ぎるので、それと比べればという話なんですが、全体には、日本の政府の場合に、女性職員の幹部登用は全くおくれております。ぜひこの点も改善をお願いしたいと思います。 次に、質問いたします。 昨年十二月に政府の男女共同参画基本計画が決定されました。二〇〇〇年プランや男女共同参画審議会答申から後退したところも少なくありませんが、この基本計画では、女性国家公務員の採用、登用などについて、人事院に対して早期に検討を進め策定することを求めると同時に、各府省において総合的かつ計画的に取り組みを推進するとしております。 政府が設けた男女共同参画推進本部は最高裁は含まれるものではありませんが、最高裁はこの基本計画をどのように受けとめていらっしゃるんでしょうか。裁判所として、三権分立ということがありますから、基本計画を策定する御予定があるのかどうか。いかがでしょう。
○金築最高裁判所長官代理者 裁判所におきましては、これまでも女性の職員を積極的に採用いたしますとともに、先ほども申し上げましたけれども、資質、能力を備えたすぐれた女性職員については積極的に上位ポストに登用してきておりまして、その実績が着実にあらわれてきているところであると考えております。 また、女性職員の働きやすい職場環境づくりにも配慮してまいりました結果、育児休業取得可能な職員のほとんどが育児休業を取得する、こういう状況になっております。 今後も、男女共同参画基本計画等の趣旨や人事院が策定することになります指針等を踏まえまして、積極的にその趣旨に沿った施策に取り組んでいきたいと考えております。
○瀬古委員 計画をつくるんですか、つくらないんですか。それはいかがでしょう。
○金築最高裁判所長官代理者 この点につきましては、日ごろの施策の中で十分に反映してやってきておるというつもりでございます。
○瀬古委員 本当にけしからぬと思うんですよ。先ほど出ました三・四六%、二%台なんということが、これで十分やっているなんということにはとてもならないわけですし、男女共同参画基本計画は、今までやっているからいいなんということを言っているわけじゃないんです。 この比率をどうやって引き上げるか。今あなたが言われたように、女性の職員も大変すぐれた職員が頑張っていらっしゃるということは、それはそうですよ。しかし、すぐれた職員が、全体でいうと一般職でいったら五・五%でしょう。すぐれた職員はこんな数しかいないのかということが、今度の男女共同参画基本計画、ここできちっと是正しようということで今各省庁は取り組んでいるわけです。ところが、裁判所だけはよくやっておりますよということで計画もつくらないなんというのは、今、日本の政府がやろうとしている、そういう大きな全体の流れや世界の流れからいうと、何か裁判所だけ取り残されちゃうということがあるわけですね。 そういう意味では、ちゃんと女性の職員も入れて、女性の声もちゃんと聞けるような基本計画をそれぞれ部署によってつくっていくわけですよ。ですから、裁判所だけ、よくやっていますから例外でなんという、こんなことは通用しないと思うんですね。いかがですか。
○金築最高裁判所長官代理者 裁判所だけが例外ということを申し上げているわけではございませんで、男女共同参画基本計画の趣旨は十分踏まえて施策を進めていく、今後の検討に当たっては女性の立場に十分配慮していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○瀬古委員 この基本計画では、積極的改善措置というのがございます。ポジティブアクションと言われているものなんですが、例えば、今も極端に女性の職員の登用が低いという場合は一気に引き上げるという是正措置が求められるわけですね。そうしたら、何年以内で裁判所の裁判官の女性の比率をどう高めていくのか、それから一般職の人をどう幹部に採用していくのか、何年までにどれだけやるのかということが求められるわけです。単なる今までの延長線上で頑張りますよという程度じゃ済まされない、かなり積極的な改善措置が必要だ、こういうことも踏まえて、ぜひ計画づくりをしていただきたいというふうに思います。 時間がございませんので、進みます。女子差別撤廃条約の選択議定書の批准の問題なんです。 女性差別で、国内で手を尽くしても救済されない場合、解決が不当に引き延ばされている場合などに、国連の差別救済を求めることができるというのがこの議定書の内容なんですね。昨年末までに、フランス、イタリアなど十五カ国が批准しております。六十三カ国が署名をしている。直ちに批准をするべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。 政府は、今まで、司法権の独立の点でも問題がある、こういうふうに言われているということも聞いておりますが、そういうことがあるんでしょうか。法務省が批准の足を引っ張っているということはないと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。法務大臣にお聞きします。
○高村国務大臣 女子差別撤廃条約選択議定書に規定されている個人通報制度につきましては、条約の実施の効果的担保を図るとの趣旨から注目すべき制度であると考えております。 一方で、司法権の独立を含め、司法制度との関連で問題が生じるおそれがあると考えられるところでもありまして、今後の制度の運用状況等を見つつ、真剣に検討を進めてまいりたいと考えております。足を引っ張るんじゃなくて、真剣に検討してまいりたいと考えております。
○瀬古委員 これは、男女共同参画審議会の中でも積極的な批准の推進の問題を取り上げています。そういう意味では、今、国内との関係、裁判との関係なども見ましても、例えば、国内で係争中の場合でも、国際的な提訴が行われて、そして、例えばILOなどが勧告している例なんかもございます。ですから、とりわけ女性差別問題については国際的な水準にふさわしい積極的な取り組みを日本の政府がやっていただきたいと思いますし、今後の御努力をお願いしたいと思います。 最後の問題なんですけれども、選択的夫婦別姓の問題でお聞きいたします。 この問題は、多くの女性の願いとして取り組まれてまいりました。男女共同参画審議会の答申の中でもこの指摘がされているところでございます。九六年の法制審議会の答申もございます。これはすぐ立法提案すべきだと私は思うんです。 先ほどの質問の中で、政府としても例えば世論調査などを準備されているということも言われておりましたけれども、世論調査をやる場合にも、積極的にこれを進めるんだという立場でやるのか、さあ皆さんどうですかという程度で進めるのかは、かなり中身も違ってくると思うんですね。 そういう意味では、この選択的夫婦別姓の民法改正問題は、積極的に政府としても進めるという立場でそういう世論調査などもやっていただきたいし、直ちに立法提案をするというところに踏み出せるように御努力いただきたい。その決意を伺いたいと思います。
○高村国務大臣 五年前に調査をしたときは、まさに国論が二分しているというような格好でありました。四十歳代までの若い層ではむしろやった方がいいんじゃないかという人が多くて、五十歳代以降は、年をとるにつれて反対だという人が多かったわけでありますが、こういう問題については、できるだけ国民全体の意見、全体といっても全部が賛成だというふうになる必要はないわけでありますが、全体として、した方がいいではないか、そういう意見を得た上で実施してまいりたい、こういうふうに考えているわけであります。 そういう観点から、まさに、私から事務当局に、五年たった今の段階で世論調査をまたしてみたらどうか、こういうことを言って、事務当局も既に内閣府と相談しているというふうに承知をしております。
○瀬古委員 男女共同参画基本計画自体は、大変不十分な面も持っていると私は考えています。しかし、母性保護だとか女性の採用、登用の促進などは直ちに実行に移すべきだというふうに思っています。同時に、日本の女性の諸権利を国際的水準に高めることは政府が責任を持って行うべきだ、それでこそ真の男女共同参画社会が実現することにもなります。 国の機関として最高裁もまた他の模範になるよう実行していただきたいというふうに御努力の要請を申し上げて、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
○保利委員長 次に、植田至紀君。
○植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。 きょうは、裁判所職員定員法改正案について、幾つかの点にわたって最高裁の方にお伺いしたいと思います。 既に、従前から言われておりますように、また、きょうの質疑でも何度か話題になったとは思いますけれども、民事事件を中心に、やはり裁判がかなり増加している一方で、裁判官の数が非常に足らないということは既に指摘されているところです。人口十万人当たりにすれば日本は二・四人、でも一方は、ドイツでいくと十万人当たり二十五・五人とか、国民数ですると、日本は大体四万二千人当たり一人の裁判官、ドイツでいくと大体四千人弱で一人の裁判官、そういう状況でございます。 やはり、まずこの深刻な人手不足の問題をきちっと解決していかないことには、仮に司法制度改革で幾ら立派なシステムが整備されたとしても、十分な人員の確保がない限り、画餅、絵にかいたもちになってしまうんやないやろうか、私はそういうふうに思いまして、まず、裁判官の適正な配置のあり方にかかわって幾つかお伺いしたいのです。 先ほどの質疑の中でもし御説明あったのであればちょっとダブるかもしれませんけれども、今、一人の裁判官が抱えておられる事件件数が大体どれくらいあって、その一つの案件が結審に至るまで平均したらどれぐらいの日数を要しているのかということについて、まず教えていただけますでしょうか。
○中山最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 地裁の民事訴訟事件数は、バブル経済の崩壊後急増し、特に繁忙であった東京地裁においては、一時、裁判官一人当たりの手持ち件数が二百件台の後半ということでございましたけれども、その後の裁判官増員を進めてきました結果、現在は二百件程度まで減少してきている状況にあり、この数字は、それほど大きな負担なく対応できるものとなっているというふうに考えております。 その結果、地裁の民事、これは全国でありますけれども、平均審理期間は九カ月程度となっており、十年前と比べて四カ月程度短縮されてきている、こういうことでございます。
○植田委員 やや改善しておられるということですけれども、とはいえ、やはりかなり深刻な人手不足だということにさほど変化があるというふうには言えないだろうと思うのです。恐らく、現場でもやはり増員してほしいという思いはかなりあると思うのですけれども、ここでお伺いしたいのは、裁判官の適正配置にかかわりまして、いわゆる裁判をしない裁判官の数というのがどうなっているのかということでございます。 少なくとも、弁護士の方々からも、やはり裁判官の有資格者はなるべく裁判をやるべきだというような話は当然あるわけですし、司法改革での論点にもなっているところでございますから、司法行政事務に携わる裁判官の数というのは必要最小限にして、適正かつ効率的に、合理的に組織運営していくということがまず基本原則だと思うのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○金築最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の司法行政に携わる裁判官の数につきましては、御指摘ありましたように、これは必要最小限度の数になるように考えていくべきものと思っております。
○植田委員 この間も、人事局長も恐らく何度か国会で御答弁されてきた御記憶もあろうかと思いますけれども、いわゆる司法官僚の問題、要するに、裁判実務の通算年数よりも司法行政に携わっている期間の方が長いというような問題がこれまでも指摘されてきたのじゃないかと思います。 例えば、もう三年前、九八年になりますけれども、九八年十二月三日の参議院の法務委員会で、これは中村敦夫議員だったと思いますけれども、当時の質疑の中で、中村委員が、いわゆる事務総局での裁判官の配置にかかわって御質問された際に、人事局長が、裁判官は裁判に携わるのが本来の仕事、法律の専門家を充てざるを得ない司法行政事務の仕事もあるが、できるだけ少ない人数で抑えたい、そういう答弁をなされているわけです。 ちなみに、誤りがなければ、誤りがあれば御指摘いただければいいのですが、このときの段階、九八年十月ぐらいの段階ですと、事務総局にいる裁判官というのは五十一名だというふうに伺っております。 この答弁以降、この点について、できるだけ少ない人数で抑えたいという人事局長の御答弁もあったわけですが、その後何らかの改善がされたのでしょうか。現段階では、事務総局にいる裁判官の数はどれぐらいいるんでしょうか。その点、まず事実関係だけ教えていただけますか。
○金築最高裁判所長官代理者 現在、最高裁事務総局におります裁判官の資格を有する者は五十七名でございます。 御指摘ありました年の数をちょっと今持ち合わせておりませんが、そういうふうな数になりましたのは、その後、司法制度改革審議会の対応部署を設置いたしましたり、それから、少年法改正に伴う事務などが増加いたしましたために、若干ふえているという現状でございますが、今申しましたような事項は司法にとりまして極めて重要な課題でございまして、これに取り組むためのものであるという御事情を理解していただきたいと存じます。
○植田委員 今の説明でいきますと、そうした司法にかかわる重要な問題があるので、事務総局でも裁判官が少なくとも五十一人であったのが五十七名にふえておるということですよね。でしたら、全体としては減らしているんだけれども、そうした仕事があるからふえたという、その配置の分が説明されないことにはちょっと納得しかねるのですよ。今おっしゃられた、こういうことがありますからその分ふえているんですということであれば、そういうことがありますからふえた分というのは何人おるわけですか。そんな難しい話じゃないのですが。
○金築最高裁判所長官代理者 これは、事務総局の中で、できるだけその時々の重点的なことに、裁判の経験がある裁判官、法律的なことに通じている裁判官の資格者を充てるということで、いろいろ配置を柔軟に見直しております。 ですから、一つ一つの仕事にいろいろな部局から携わるということで、今申しました事柄に、これは何人これは何人と言いがたい面が多々ございます。例えば司法制度改革審議会の関係ですと、これは民事局にも、刑事局にも、ほかのところにもいろいろかかわりますので、そういうところを個別的に申し上げることはちょっと難しいということでございます。
○植田委員 いずれにしても、ふえていることは事実でございますから、少なくとも、できるだけ少ない人数で抑えたいとおっしゃったこととは必ずしも合致しないというのは、これは数字を見れば明らかなんで、今後もこれについては、その都度点検させていただきたいと思うんです。 ただ、事務総局の機構図を見ていますと、確かに、いわゆる裁判官を配置しなければならないような、そうした職務も当然あるだろうと思うんですが、私も素人なんですが、総務とか人事とか経理とか、そういうところも裁判官が課長級で入っているのも、私自身個別に調べた範囲ではかなりあるんです。 この辺のところ、私としては、実態がどうなっているのか、そして、例えば経理局の営繕課、営繕課長が別に裁判所の裁判官である必要があるのかななんて私なんかも思うんですけれども、いや、ひょっとしたら私の勘違いかもしれませんが、要するに、今、裁判官の数が足らぬということですから、できるだけここからは外していった方がいいと私は思うんですけれども、実態を含めて御説明をお願いします。
○金築最高裁判所長官代理者 最初に申し上げましたように、司法行政に携わる裁判官の数はできるだけ抑えたいという方針でやっておりますが、今御指摘ありましたように、いわゆる官房事務といいますか、人事とか経理とか総務とかいうところにも裁判官がおるわけでございます。 この点、人事ですと、それは裁判官の人事でございますので、やはりそういう裁判官人事に携わるところの部局には裁判官の資格者がいないと困るということがございます。 総務局の場合は、これは、司法制度、裁判所の制度関係を所管しておりまして、現在、司法制度改革審議会に対応するような仕事も担当しております。これは、裁判制度、裁判手続の全般にわたる問題を取り扱っておりますので、やはり裁判や法律に通じた方がいないと困る。 経理の方も、営繕課長は裁判官ではございませんが、局長とか総務課長、主計課長は裁判官資格を持っておりますけれども、裁判所の予算というのは結局裁判をやるための予算でございますので、裁判の手続、あり方というものに非常に裁判所の予算というのは深くかかわってきております。そういうことで、やはり裁判の現場、裁判のあり方、仕方というものについて通じていないといけない。一つ施設面なんかをとらえましても、これは法廷のあり方とかそういうところにかかわってくるということがあるわけでございまして、その辺のところを御理解いただければと思っております。
○植田委員 これは裁判所の中の話ですけれども、もう一つ、これも先ほどの審議でも何度か問題にはなったかと思いますが、いわゆる出向の問題にかかわってです。 大体百四十人前後でここのところ推移しているように記憶いたしておりますけれども、問題は、法務省に出向している方々のうちかなりの部分が、いわゆる訟務局というんですか、国が訴えられた訴訟の国側の担当者になる、例えば法務局の訟務部長、そういうところに裁判官がおるわけです。この点については、やはり私は三権分立の点からして問題だと素朴に思うわけです。 というのは、例えば、私が国を訴えました、訴えた先の裁判官というのは、もともと何度も政府に出向経験のある裁判官が裁判官で座っている、そして、国側の代理人も最高裁から出向した裁判官だということはあると思うんですよね、同じ案件で入れかわったりということはないだろうと思いますけれども。実際裁判してみると、片一方が出向経験のある裁判官で、一方は出向してきて、やってきた国側の代理人もまた裁判官である、そういう案件が結構、間々あると私は思うんですが、この点について、そういう事例がどれぐらいあるのかということ、それと、そういうことだったら三権分立が空洞化しているやないか、国民の司法に対する信頼というのはどこへ行っちゃうんだろうという、これはやはり素朴な疑問として当然生起されると思いますので、その二点、簡潔にお伺いできますか。
○金築最高裁判所長官代理者 御指摘ありましたように、訟務検事のときに担当した事件を裁判官になってやるということはございません。同一事件で裁判官と国側の代理で行っている検事が会うということは、これは個々の事件でその種のデータをちょっと集めておりませんのでお答えできないわけでございます。 訟務検事への出向をやめるべきではないかという御指摘なんですが、これは前からいろいろな機会に申し上げておりますけれども、法律家というのは、現在自分が役割として担っている仕事をその立場で全力を尽くす。代理人になれば代理人の立場でその職務を尽くす、裁判官になった場合は、それはもとはどういう立場からなったにせよ、公正中立という立場を堅持して裁判に当たる。これはひとり検事から裁判官になった場合に限りませんで、弁護士からなった場合でも、その他の立場からなった場合でも、これは同じでございます。 その辺、今後、法律家の間で、法曹の間で相互交流を進めるべきだという御議論が今改革審議会等でもなされておりまして、裁判所の方でもそういう方向に努力したいと考えておりますけれども、その基本にあるのは、先ほど申し上げましたような法律家の責務といいますか、あるべき姿を基本にしているということでございますので、この辺を御理解賜ればと考えております。
○植田委員 時間がありませんので先に進みますけれども、ちょっといつの答弁だかは忘れましたけれども、人事局長がこうした疑問に対して、いわゆる判検交流は裁判官の経験と見識を広げるための制度だ、そして裁判官は自分の良心と憲法に従って判断するから心配ない、そういう答弁をどこかでなされているというふうに伺っておるんですけれども、良心と憲法に従ってやっているから悪いことせえへんといったら、世の中警察要らぬということになってしまうと私は思いますので、これはやはり引き続き、具体的には集めていないのでわからないということですけれども、あくまで国民の側からすれば、どっちも裁判官やったということであれば、これは本当に三権分立に引っかかる話ですから、いずれちょっとそれは調べてください。 次、裁判官の評価システムにかかわってお伺いしたいんですけれども、裁判官の報酬を決める基準、また、その人事の基準というのは恐らく事務総局のどこかなのかなと思うんですけれども、そういう給料を決める、報酬を決める内規とか、また、昇給、昇格、異動、人事等については、だれがどういう基準でどのように決めているのか。その辺について簡単に御説明いただけますか。
○金築最高裁判所長官代理者 裁判官の昇給につきましては、これは最高裁の裁判官会議で決めることになっております。 ただ、実際を申しますと、判事の四号までは、特段の長期病休等がない限りは、大体同じように上がっているというのが実情でございまして、それ以上のところについては、そのポストでありますとか仕事の状況でありますとかその他が勘案されて、これもやはり最高裁の裁判官会議で決められておりますが、この場合には、高等裁判所等の意見を十分に聞きまして、適正なものになるように努めているということでございます。
○植田委員 要するに、内規みたいなものはないわけですね、そういう基準というのは。四号までは年次で決まるけどということですね。いや答弁は結構です、そういうことでうなずいていただければ結構です。 そこで、私自身、これは平成十一年度のデータしかないんですが、聞くところによると、裁判官の号別在職状況という、この表をいただいたんですが、これもなかなか最高裁は出したがらへんという話も聞いているんですが、ここで判一以上、いわゆる事務次官級以上の報酬をもらっているのは二百人超えておるということなんです。このいわゆる次官級以上で、私が関心を持っているのは、裁判官がたくさん報酬をもらう場合、評価というのは、どんな裁判をやってきたか、裁判官としての経験が問われるだろうと思うんですよ。 ですから、そこで私がお伺いしたいのは、先ほどの出向とのかかわりで、実は幾つか私が個別に調べてみますと、例えば、九年裁判官をやっていました、二十九年間は出向していました、そういう方がしかるべき職について、判一以上の方でいらっしゃるという場合もあるようです。ですから、これは個々の事例になると個人が抽出されてしまうので問題だと思うわけですけれども、少なくとも判一以上の者が経験した、まさに裁判官としての実務経験数というのは平均すればどれぐらいになるのかということ、また、裁判官としての経験よりもいわゆる司法官僚の方、裁判してへん経験の方がむしろ長くて判一以上になっている人というのはどれぐらいいるのかというのはわかりますでしょうか。
○金築最高裁判所長官代理者 御指摘ありましたように、判事一号の裁判官の総数が約二百人もございますので、その経歴を全部出しまして分類、分析する作業というのは結構時間がかかりまして、現在のところそういうデータは持ち合わせておりません。
○植田委員 事前に資料を請求したときも、期限内に御依頼の資料をつくるのは困難だ、なかなか大変だということを伺っておったんですけれども、これについてはお調べいただきたいということだけ申し上げておきます。必ずまた聞きますので、そのときまた、時間がかかりますということは言わぬでください。 次に移りますけれども、裁判官の話をやってきましたが、書記官と事務官、裁判所の職員にかかわっての話なんですけれども、今回の改正案でも、裁判官の増員数もさることながら、それ以外の職員にかかわっても、果たして適切な対応なのかというのは、やはり疑問を持つわけです。 やはりもうちょっとふやしてあげぬとあかんと違うやろかと思うわけですが、OA機器とかを導入して、今まで三人がかりでやっていたことを一人でできるようにしているんですというふうに恐らくおっしゃられるかと思うんですけれども、OA機器を導入していくということ自体は私は理解できるんですが、何か五月雨式にそうした機器の導入もやっているということも関係者から伺うんです。 もちろん、予算の関係もありますから一遍にはできないとは思うんですが、ただ、具体的にどういう導入計画なり構想、計画を持っているのかということと、そうした機器の導入に伴って、研修体制なりサポート体制というものをやはり万全にしていかないかぬと思うんですが、その点についてはどうなんでしょうか。
○中山最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 裁判所の事件数の増加に伴いまして、裁判官だけでなく、書記官の増員も図ってまいりました。既に、最近五年間で九百四十一人、書記官については増員したところでございますし、本年度の定員法をお認めいただければ、全部でこの六年間で千百八十一人の増員ということになるわけでございます。 その他、今御指摘のように、OA化というものも進めてまいりましたけれども、何と申しましても、裁判というのはその手続を間違えてはいけませんので、そのシステムをつくるという意味でも万全を期さなければならない。何度も何度も試行をし、ある小さな中規模庁でそういったものを実験してみて、その結果、問題がないということであればさらにその先に進めるという形で、計画的にそのシステムを全国的に広げようということで、今現在、民事裁判事務処理システムというものの開発、それからその試行を行っているところでございます。 それから、OA化がこのように進行する過程で、書記官研修所あるいは各庁におけるOA委員会等を通じ、研修についても万全を期してきているところでございます。
○植田委員 あと、この間、事件が複雑困難化している等々で、やはりそういう職員の皆さん方のサービス残業、休日出勤、持ち帰りの仕事というのは恒常化している、そういう現場の声も伺うわけです。 確かに、各職場で人員不足というのが慢性的なものになっている、こういう状況について果たして最高裁がちゃんと認識してくれているんかという声を私は聞くわけですけれども、今後の人員計画を考える上では、こうした今置かれている職員の皆様方の実態というものをやはりきちんと把握する必要があるんじゃないか。その点、やはりきちんと調査した上で、そうした現場の状況に応じた人員計画というものを考えていくべきではないかと思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○中山最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 先ほどの回答でも御答弁させていただきましたけれども、書記官については、この六年間で千百人を超える増員をお願いし、実現してくるということになっておりまして、それなりに裁判所の方としては人的充実に努めてまいってきたところでございますが、今後とも、書記官あるいは事務官の繁忙状況等を見ながら、適切な人的体制の充実を図っていきたいと考えております。
○植田委員 今一言でおっしゃられましたけれども、長時間労働の解消、例えば今どれぐらいサービス残業、持ち帰りの仕事があるのか、休日出勤があるのかということについて、では把握されているんでしょうか。どうなんですか。
○中山最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 裁判所におきましても、いろいろな部署がございます。執行、破産、そういったところにおきましては、やはりバブル経済崩壊後の状況を受けて相当繁忙になり、残業というものが相当多くなってきている、あるいは休日出勤も多くなってきているという状況も聞いております。私どもとしましては、そういったところが特に大規模庁を中心に出てきておりますところから、そういった実態の把握に努め、そういったことのないように人的な体制の充実に努めてまいりました。 サービス残業については、裁判所としてはないというふうに考えているところでございます。
○植田委員 そこは認識が違うようですけれども、やはり現場ではそうした実態があるとおっしゃっておられますので、時間がありませんからここでそれ以上議論しませんけれども、あるかないか、あるということで、これもいずれまた聞きます。 最後、時間がありませんので、一点だけ、裁判官等に対する人権教育にかかわってお伺いしたいわけです。 人権教育のための国連十年行動計画を受けまして、特定の職業に従事する者への人権教育というのが進められているわけです。国内行動計画、これは行政府でつくっておるわけですから裁判官は当然外れるわけですけれども、この前提にある国連決議及びそこでともに出されている国連の行動計画の中では、対象となる集団とされる一節の中で、警察、刑務所の管理者、法律家、裁判官、ここで裁判官が入るわけですね、そして教師、カリキュラム開発者、NGO、メディア、官吏、議員など、人権の実現に影響力を持つ特別な立場にある人々に対する研修に特別な注意を向けるということであるわけです。 現在、裁判官に対する人権教育の現状がどうなっているのか。まず、それはやっているのか、やっていないのか。やっているとすれば、具体的にどんな内容、どんなカリキュラムでやっているのか、その現状。もしやっていないのであれば、やる必要がないとされる理由について。それだけお伺いして、終わりにしたいと思います。
○金築最高裁判所長官代理者 裁判官に対する人権問題に関する研修でございますが、これにつきましては、これまでも司法研修所におきまして、被疑者または被告人の身柄拘束に関連する令状事務に関する共同研究や、少年事件に関する手続の運用をめぐる諸問題についての共同研究などを実施しておりますほか、国際人権規約、セクシュアルハラスメントなどの人権問題をテーマにした講義なども実施しております。 裁判官の研修におきましては、今後とも、裁判官としての技術の習得に限らずに、人権問題に関する研修などの充実を図るほか、人権に関する必要な情報を裁判官に提供するなどいたしまして、裁判官の人権感覚の一層の向上に努めてまいりたいと考えております。
○植田委員 それは、やっていないんじゃなくて、一応やっていますということですね。 では、後日で結構でございますので、その内容を、明らかにできる範囲でとりあえず結構でございますので、お見せいただきたいと思います。これは要請としてお願いしておきます。 以上、終わります。
○保利委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○保利委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 まず、内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○保利委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 次に、内閣提出、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○保利委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○保利委員長 この際、ただいま議決いたしました裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対し、杉浦正健君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。佐々木秀典君。
○佐々木(秀)委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 一 政府及び最高裁判所は、近時、急増を続ける倒産事件等及び社会・経済情勢の変化に伴い複雑多様化する各種紛争事件の適正・迅速な処理を図るため、また、司法制度改革審議会において行われている審議の動向をも踏まえ、裁判官及びその他の裁判所職員の増加、下級裁判所の施設の充実等裁判所の人的・物的拡充に努めること。 二 最近の福岡における捜査情報の漏えい問題によって、検察官、裁判官に対する国民の信頼が損なわれていることは誠に遺憾であり、政府及び最高裁判所は、速やかに司法に対する国民の信頼を回復するよう努めること。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
○保利委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 杉浦正健君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○保利委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。高村法務大臣。
○高村国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえまして、今後とも努力を重ねてまいりたいと存じます。また、最高裁判所にも本附帯決議の趣旨を伝えたいと存じます。 —————————————
○保利委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○保利委員長 次に、本日付託になりました大原一三君外五名提出、土地の再評価に関する法律の一部を改正する法律案、保岡興治君外六名提出、金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 提出者から順次趣旨の説明を聴取いたします。佐藤剛男君。 ————————————— 土地の再評価に関する法律の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○佐藤(剛)議員 土地の再評価に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨につきまして、提出者を代表いたしまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 土地の再評価に関する法律は、御承知のように、商法の特例といたしまして、法人が所有している事業用土地の適正な時価による評価を行うことができるようにし、再評価差額を貸借対照表に計上します。そして、資本の増強を図るとともに、株式消却を容易にできるようにいたしまして、金融の円滑化及び企業経営の健全化を確保するため、これが目的でありますが、商法監査特例法人等を対象として時限法として制定されたわけでございます。御承知のように、今月の三十日で期限切れになる法律でございます。 御承知のように、最近の日米の株式の動向等、株式の含み損が増大いたしまして、金融機関の自己資本に影響を与えかねない状況になっているわけであります。また、新しい企業会計基準、年金会計とか税効果会計とかあるいは有価証券等の時価評価、そういう企業会計基準が導入され、また検討されている中で、今、各法人が資本を充実する必要性が急速に高まっているわけであります。 このため、本年三月三十一日とそして平成十四年三月三十一日まで二期にわたる期限で使えるような、つまり、法律的には平成十四年三月三十一日まで延長の強い要請があるところであります。 さらに加えまして、その適用を受ける対象法人、現在は、資本金が五億円以上、負債が二百億円以上のものを対象にしているわけでありますが、それに加えまして、その適用を受ける対象法人を、証券取引法に基づき監査を受けている法人、例えばマザーズがふえたとか大阪証券が出たとか、いわゆる中小企業、中堅企業が対象になる、約四百社ぐらいが見込まれる予定でありますが、その監査を受けている法人に拡大するというものでございます。 確認いたしますと、まず第一に、商法三十四条の特例であります本法の期限を延長する、そして平成十四年三月末までとしまして、決算年度でいいますと、本年度の三月三十一日と来年度の三月三十一日、二会計年度に適用できるようにする、それから第二に、今申し上げましたような適用法人を拡大いたしまして、本法の対象法人といたしまして、今までの五億円あるいは二百億円という、いわゆる大会社に当たらないけれども証券取引法に基づき監査を受けている法人を加える、こういう改正であります。 こういう措置によりまして、目的でございます法人の財務内容の健全化、経営体質の強化、そして、金融機関等についての貸し渋りといいますか、資金の円滑なる融資ができるような体制に持っていく、これがこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 どうか、当委員会におきまして慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げまして、提案者を代表しまして、御説明申し上げさせていただきました。よろしくお願いいたします。
○保利委員長 次に、杉浦正健君。 ————————————— 金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○杉浦議員 ただいま議題となりました金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表いたしまして、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。 この法律は、平成十年八月のいわゆる金融国会におきまして、金融再生トータルプランに関する議員提出立法、四法あったわけでございますが、その一つとして提出されまして、同年十月に成立した法律でございます。 この一部を改正する今回の御提案は、その法律の有効期限が本年の三月三十一日までとなっておるわけでございますが、これを現下の状況にかんがみまして、あと二年間、平成十五年三月三十一日まで延長させていただきたいという内容でございます。 以下、この法律の要点及びお願いをする趣旨を概略申し上げます。 この法律は、いわゆる民法の定めております大原則を臨時に修正いたしまして適用するものでございまして、第一に、金融機関等が根抵当権により担保されております債権を整理回収機構、サービサー等の債権回収機関に売却しようとする場合におきましては、債務者に対しまして売却する旨及び新たに元本を発生させる意思を有しない旨を書面により通知することによりまして、民法の定める元本の確定事由に該当するものとみなすこととしております。 第二に、これにより元本が確定した場合の登記についてでありますが、根抵当権の移転登記とともに申請する場合に限りまして、債務者等の根抵当権設定者と共同で申請しなくても、根抵当権者のみで申請することができることといたしております。 適用期間の延長の必要性についてでございますが、皆様方御案内のとおり、第一に、前の通常国会におきまして、いわゆるペイオフが一年延長される、いろいろな措置を講じましたが、我が国のより強固な金融システムを構築するために、預金保険法等の改正など所要の措置が講じられたことは御案内のとおりでございます。 第二に、金融機関等においては、償却、引き当てや債権流動化などによりまして不良債権の処理を行っておりますが、ペイオフ解禁までの間に不良債権の処理を一層推進していく必要がいまだございます。 第三に、既に破綻を表明した金融機関等の処理が予定されており、まだ処理されていないものもございます。平成十三年、本年四月以降におきましても、破綻金融機関等からの買い取りを行うことが必要とされております。 また、行方不明者等への通知など、平成十四年三月末までに譲渡手続が終わらない場合も考えられることなどから、延長期間を二年間である平成十五年三月三十一日までといたしたものでございます。 以上が、この法律案の趣旨及び概要でございます。 委員各位の御理解と慎重な御審議をお願い申し上げまして、一刻も早く成立しますよう御配慮を賜りますよう、よろしくお願い申し上げる次第でございます。ありがとうございました。
○保利委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。 次回は、来る三月二十一日水曜日に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時六分散会