財務金融委員会 第3号
- 発言数
- 22 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 2001/02/21
会議録
○山口委員長 これより会議を開きます。 財政及び金融に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤公介君。
○伊藤(公)委員 自由民主党の伊藤公介でございます。 ことしは省庁再編が成って、明治以来変わらなかった省庁が大きく組織がえをすることになりました。そして、伝統ある大蔵省は財務省と金融庁という新しいスタートをすることになりました。その二十一世紀の財務金融委員会のまさにきょうは初日になるわけであります。政治家として、一つの歴史の一ページだと思うと大変緊張感があるわけですし、また今皆さんがこの席に座っていただいておりますのもまさにその一ページになるわけであります。我が国の政治に長い御経験のあります財務大臣の宮澤先生に、また今日、政界の中で最も尊敬をする政治家の一人であります柳澤金融担当大臣に、その最初の質問をできますことを大変光栄に思っております。 限られた時間でありますので、順次質問をさせていただきたいと思いますが、ことしの予算は景気回復に軸足を置いた予算であろうというふうに思います。最近、国際的な経済を見ますと、特に日本の経済に影響のありますアメリカは、自動車や住宅あるいは情報通信、そういった内需の三本柱がかなり陰りがある。経営者や消費者の景況感も落ち込んでいるようにも見受けられます。連邦の準備理事会は、最近、公定歩合を〇・五%引き下げるということにもなりました。依然、大きな影響力を持っているアメリカの経済も極めて不透明であります。 日本の株価も一万三千円前後を低迷している状況であります。個人の消費も余り改善しているとは私にも思えません。その背景には、財政やあるいは社会保障制度に対する、やはり将来に対する不安があるのではないかという御指摘もございます。私はサラリーマン生活をしてきたわけですけれども、やはり多くのサラリーマンの人たちは、定年後の暮らしをどのように生活設計できるか、年金や医療、昨今は介護、そうした社会保障制度を、給付と負担をどのようにしていくかということは、大変重要な問題だと私は思います。そして、それは景気対策にも大きな影響があると思います。 ただ、私は、きょうは財務委員会でありますので、社会保障制度について御議論をするのはまた改めてさせていただきたいと思いますが、日本の景気対策あるいは財政構造改革、日本の財政再建の道筋をどうするのかということは、これは政治家として共通して我々は考えていかなければならないことだと思います。景気対策を優先するのか、あるいは財政構造改革かという議論もあります。私は、今あえて言えば、増税をするという状況には今の環境はないと思います。したがって、増税なき日本の構造改革だというふうに、一言で言えば申し上げたいと思います。 かつて土光臨調のころに、増税なき財政再建という時代がございました。ちょうどそのころは鈴木内閣だったと思います。中曽根行政管理庁長官、そして宮澤官房長官の時代ではなかったかと思います。私は、今日本のこの景気を回復し、二十一世紀の日本をどうするのかということを、この日本の財政を預かる経験豊かな大臣としてどのように今考えているのか。 今申し上げたように、増税なき日本の構造改革ではないかと私は思っているわけでありますが、まず、宮澤大臣が我が国の二十一世紀初頭の財政再建の道筋についてどのような基本的なお考えに立っていられるかを伺いたいと思います。
○宮澤国務大臣 お時間が限られておりますので手短に申し上げますが、まず十三年度予算につきましては、一つは、来るべき二十一世紀の諸問題に備えまして、七千億円のいわゆる四つの重点事項について処理をいたしております。 また、公共事業自身は、まだ完全に景気回復しておらないということから前年度水準をいたしまして、並びに公共事業予備費を三千億円。私はこれは要らなくて済むといいなと思いつつ、しかし、ごらんのように、バトンタッチの中で企業活動はもう完全に期待に沿っておりますが、家計に全くそれが移らずに消費が振るわないということで、やはり、ここはもう一度用心をしておいた方がいいという意味で、つまり、二十一世紀をにらみながら、景気対策としても最後の手を抜くわけにはいかない、そして、しかし国債はもう減らしたい、両にらみのようなことをいたしております。それがこの予算の性格でございます。 そこで、伊藤委員のおっしゃったことでございますが、これだけの大きな財政の負担でございますので、どうしてもこの改革をしなければなりませんが、そのためには税収ぐらいは見当がつきませんといけません。この何年間か、国会にお願いしました税収を途中で減額補正してまいりましたが、今度十二年度に初めてプラスが多少出るということで、幾らかその方の見当もついてまいりそうになっておりますにつきましては、財政改革ということも考えなければならない。 しかし、それは財政だけの問題ではなくて、お話しのように、一番大きいのはやはり社会保障でございますし、地方財政もございます。それから、もとより国の税制、それからいろいろな問題がございまして、ばらばらに解決することができずに、やはりマクロモデルをつくってシミュレーションをやって、言葉の上でなく、全部がこれならおさまる、そういう仕組みをつくらなければならないと考えまして、経済財政諮問会議におきまして、内閣の経済社会総合研究所、ここに浜田さんというイエールから専門家をお迎えして、そこでまずモデルをつくってもらいまして、そしてシミュレーションに入りたい。どういう歳出が切れるか、どのような歳入がやむを得ず必要であるかというようなところに入っていきたいと考えておるところでございます。
○伊藤(公)委員 私は、冒頭に増税なき日本の構造改革だと申し上げましたが、先ほど申し上げたとおり、日本は省庁再編をしてその組織もスリム化しましたけれども、国家公務員も、百十四万人、これから十年間に二五%削減をする。言ってみれば、私たちのこの国は、少なくとも小さな政府への大きな第一歩を踏み出したと申し上げていいと思います。 そこでもう一つ、我々が長い間議論をしてきて、我が党も今全力で取り組んでおります構造改革の中で、七十八あります特殊法人。 今、日本は、高速道路を走りますと一キロ二十四円かかると言われています。しかし、先進国の、無料な国もありますけれども、有料の高速道路を走りますと、イタリアやフランスを私も全部調べました、一キロ六円です。つまり、私たちは一キロ四倍の高速道路の料金を払い続けているわけであります。 これは一つの例です。道路公団、道路施設協会など、今七十八あります特殊法人を一たんゼロにして、そして見直そうということに私たちは取り組んでいます。そういたしますと、やはり財投そしてその原資のことを、議論を、我々は避けて通ることはできないと思います。 今、日本の、最近合併をしたみずほグループでも百兆円ちょっとだと伺っています。郵貯は二百五十五兆円とも今日言われています。これがこれからいよいよ自主運用をされる。日本の市場金融でどのようにこれが動いていくのかというのは、我が国の金融にとって、そして日本の経済全体にとっても、私はその影響は極めて大きいと思います。実は、これは私どもの党のことでございますが、かつて総裁選挙の大きな争点になった点でもあります。 私は、金融を担当されます柳澤大臣に、この問題についてはどのようなお考えでこれから日本の金融問題に取り組まれるのかを、大変恐縮ですが、端的に伺えればと思います。
○柳澤国務大臣 私、今民間金融を担当させていただいておるという立場でございまして、御提起の問題について、その責任ということからいうとちょっと論じるのがはばかられるのではないか、こういうように思います。しかし、我が国の金融全体を考えてみますときに、この郵便貯金あるいは財政投融資というようなものも非常に大きな問題であることは確かだというふうに考えております。 財投の改革もありまして今までのように義務的預託というものは外れましたけれども、一挙に、預託が外れたからといってその資金の運用をすべて市中で行うということになると、これは大変な混乱もあろうというようなことで、その間のいろいろな工夫が私はあるというふうに理解をいたしておりまして、混乱というものを生じさせるような状況にはないというふうにその点は考えておるわけでございます。 もう一つの問題として、今、財投の機関というものが国民に提供しているサービスが高コストではないか、高い料金を取っているんではないかというようなお話があったわけでございますけれども、これは、一つには、例えば道路公団の場合には、全体的なプール制をとっているというようなことも影響しているんではないかと思います。しかし、そういう技術的な問題のほかに、私も伊藤先生などと党にあっていろいろ行政改革に取り組んできたんですけれども、やはり、日本の社会全体にある高コスト構造というものがその背景にあるんだろう、このように考えております。 その高コスト構造については、やはり、今先生御指摘の構造改革という観点からこれを大いに改めていかないと、日本の国の経済の競争力というのは大変な危機に直面することになるだろう、このように考えておりまして、我々のサイドでもそうしたことを念頭に置いて行政を進めていかなきゃならない、このように心得ている次第です。
○伊藤(公)委員 多分、郵貯の問題は総務省などで、当然担当でありますから、いずれその機会に議論を深めたいと思いますが。 きょうは大変限られた時間でありますので、国債の管理政策や財投機関債についても伺いたいと思いましたが、最後に、金融の構造改革について一問させていただきたいと思います。 これは今、我が国は、ことしの末には六百六十六兆円の債務を抱える国だ、今私たちがここで一時間議論をしている間に十二億円もの金利がかさむ、こう言われているわけであります。しかし一方では、国民一人一人が汗していただいた金融資産、一千四百兆円を超える。この金融資産は、私たちの国にとっては大変な財産、宝だと私は思います。問題は、その一千四百兆円の金融資産、しかもそのうちの五四%は貯蓄です、この金融資産がどのように運用されるかというのが、私は、二十一世紀日本の経済がどのようにこれから浮上できるか、非常に大きなかぎを握っていると思います。そして、恐らく、今減税をしていこうというアメリカと日本の大きな違いはまさにここなのではないかというふうに思います。 例えば今、株式の個人投資家が、日本は一八・九%ですが、アメリカは四八%、約五〇%です。それから、一番日米で違うなと思いますのは、日本は、中小企業でも大企業でも皆銀行からお金を借りている。しかし、アメリカの場合には、一人一人の大切なお金を直接企業に投資をする。恐らくここが一番決定的な違いなんだろうと。企業の資金調達の割合を見ますと、日本の借入金は、いわゆる銀行から借りているのは五二・三%、しかし、アメリカはわずかに一〇%です。 私は、この日本の金融の市場というものが、もっと個人投資家が大切なお金を優良な企業に株式投資ができるという環境をつくらなければならないと思います。そこで、最近三党の連立で株価対策もされました。しかし、私は、もっと踏み込んで、税制の問題に踏み込まなければならないのではないかというふうに思います。例えば、特に譲渡損失の取り扱いについて、日本は株でしかそれは調整できません。しかし、外国の場合には企業全体として相殺できる。あるいは、フランスの場合にはそれは五年間も含めてできるという状況です。 私は、そういう意味で、この予算は予算として、予算が上がればいろいろな税制改正もできるわけですから、この個人株主が株式に投資ができるような税制の状況をつくっていくべきだと思いますが、この点について大臣の御所見を伺いたいと思います。
○山口委員長 時間が過ぎておりますので、簡潔に御答弁願います。
○宮澤国務大臣 先ほど委員が言われましたように、我が国の国民の財産の保有というのは極めて銀行預金に偏っているということ、また、逆に申しますと、企業の資金というものがまた銀行からの金融に頼っておったということ、これはもう今になりましてまことに改めなければならない我が国にとっての大きな問題だということは委員の言われるとおりでございます。 先祖から二宮尊徳のところまでは教わっていましたが、それを投資するというようなことについては何となく罪悪感すらあったような社会の風潮がございまして、そこをやはり変えるとともに、今までそういうことで考えてつくられていたいろいろな制度、私は税制もその一つだと考えておりますので、これは税制調査会等いろいろな御議論がございます、具体的にはございますが、しかし、そういう観点から物を見ていくということは大変大事なことだと思っております。
○伊藤(公)委員 ありがとうございました。
○山口委員長 次に、石井啓一君。
○石井(啓)委員 公明党の石井啓一でございます。まず、宮澤大臣に財政健全化についてお尋ねを申し上げたいと存じます。 昨年の秋の臨時国会でも私は質問申し上げたのですが、公明党といたしましては、二〇〇一年度、二〇〇二年度、経済を民需中心の自律的な回復軌道に確実に乗せた上で二〇〇三年度から財政健全化に取り組む、こういうことを提言しております。 そこで、宮澤大臣としては、これはなかなか時期を明示するのは難しいかもしれませんけれども、どのようなタイミングで、あるいはどのような条件が整ったときにこの財政健全化の方にかじを切るべきだというふうにお考えでいらっしゃるのか。その財政健全化に向けての道筋について、まず御所見を伺いたいと存じます。
○宮澤国務大臣 経済回復が、企業はよろしゅうございますが、家計に移っていないというところで、もう一つはかばかしくないということはございます。しかし、まあまあプラス成長になって、ここ何年間で初めて税収も、法人税ではございますけれども、見込みより少し余計取れるようになった、幾らかプラス成長が継続的になるという気配は見えております。 それで、先般、経済財政諮問会議で私からお願いをいたしまして、財政再建といっても、これは税制、中央、地方、殊に社会保障、すべての問題にかかわりますから、一つ一つ解決することはできないので、全部を一義的に解決するとすればやはりマクロモデルが大事だと考えまして、内閣の研究所にそのことを依頼いたしました。 既にいろいろ考えてもらっておりまして、半年ぐらいしたら一応のものができるのではないかということでございます。そのころには、幸いにして日本の経済も少し家計にも火がともりまして、そういたしますと、そのマクロモデルに、いろいろな問題を一義的に、シミュレーションに向かって進むということになります。その時期が、したがいまして、仮に半年でマクロモデルができたといたしまして、どういうものを作業していくかということを、やはり経済財政諮問会議で会議をしながら進めていくということになるのではないか。 もう御想像のように、一番つらいところは最後の、例えば給付と負担であるとか、中央、地方であるとか、そういう相対立する要素をいろいろにしなければならないという極めて難しい問題が残っております。したがいまして、おっしゃるようなタイミングになるのかなと。 とにかく、既に仕事を始めようとしているところでございます。
○石井(啓)委員 昨年から大臣はモデルをおつくりになるということを随分おっしゃって、ことしは実際に作成の方に乗り出された。半年ぐらいしたらできるだろうということですから、恐らくことしの後半あたりからシミュレーションをいろいろして、今後の我が国の社会経済のあり方を見た上で検討していく、実際のタイミングとしては、やはり景気の動向を見た上で、そういう感じで受けとめてよろしゅうございましょうか。
○宮澤国務大臣 申し上げるのを忘れましたが、実は、そのことは経済財政諮問会議にも申し上げ、麻生大臣にもおわかりいただいておるのですが、今のような、何となくプロセスとしてはまだお決めを願っていない、しかし、そのための準備をいたしておりますので、順調にいきますと、いろいろ議論があって、そして、石井委員のおっしゃるようなぐらいに本格的な、しかし、これは大変に国民的な議論を起こしますものですから、歳出の切り方にしましても歳入の問題にしましても。 しかし、そういうふうに一義的に決めなければ、結局何も将来に向かっての結論がないということになりますから、これは決心をしてしなければならない仕事ではないかということを、経済財政諮問会議に再び私はお願いをしようと思っております。
○石井(啓)委員 ところで、昨日の予算委員会でございますけれども、宮澤大臣の答弁の中で消費税引き上げに言及されているところがございまして、本日の朝刊においても、消費税値上げの地ならしだ、こういう見出しもございました。 私どもは基本的に、安易な増税には走らない、まず徹底的な行革を行うべきであるしまた歳出の削減、歳出の見直しもやはりきちんとやるべきだ、これは当然のことでありますけれどもそういう立場でございますから、大臣の昨日の答弁が誤解されて世の中に喧伝されるのじゃないかという、ちょっと心配がございます。 といいますのは、なぜか財政再建が、まず何か増税ありきだというような誤解を受けるのではないかということもございますし、何かまた、この自公保の連立三党が続くと、この政権は直ちに消費税上げを考えているような、そういう誤解も受けるのではないかというふうに私は懸念をいたしますので、この際、ぜひ宮澤大臣の御真意をお伺いしたいと存じます。
○宮澤国務大臣 ありがとうございました。 したがいまして、私にとりましては、財政再建のプロセスで、どういう税負担なりあるいは保険料なり、いわゆるコストというものの問題は今の問題ではございませんで、まだかなり先の、シミュレーションをした結果、どれだけが入り用であってどういう給付ができるかというような段階になって初めて問題になる問題でございます。その点は三党の合意もございまして、まさに私はそのとおりだと思っております。 昨日は、実は、消費税の問題についてのいろいろ構想をお持ちの田中眞紀子委員が予算委員会で御質問になりまして、彼女としては、もうそういう先の問題として問題を出されたものですから、そして田中委員は、どうしてもやはり消費税というものが入り用になるのだろう、その場合、しかし今の一本の税率というのは無理であって、やはり日用品であるとか食べ物であるとかいろいろ工夫をしてであれば、代議士はなかなか選挙が心配だが、あちこち行って話をするとみんなわかってくれる、いかがですかというような、そういう設定の御質問なものですから、まだそんなことは先のことで、一切考えておりませんと申し上げたのではお答えになりませんで、それで私は、もしそういう状況になりますと、確かに仮に西欧並みの税率になりましたら、今の行政ではちょっとやはり少し難しいかな、いろいろ考えなければならない問題が出てまいるのではないかと思いますと。その点はおっしゃるとおりであるかと思いますが、ただいまの問題として考えていることはございません、そう申し上げたところでございます。
○石井(啓)委員 今、大臣からもお話がございましたように、三党連立政権合意の中でも、「安易な増税に向かうのではなく行財政改革が重要であるとの認識のもと」中略いたしますけれども「大胆な改革に取り組む」、こういうことで位置づけられておりますので、大臣、その前提をちょっと省略されてきのうは御答弁されたようですから、ちょっと世の中に誤解を招いたと思いますので、きょうは確認をさせていただきました。 それでは、続いて柳澤大臣にお尋ねを申し上げたいと存じます。 予算委員会の中でも、不良債権処理について随分議論をされているというふうに伺っておりますけれども、私も、不良債権の処理の中で、やはり直接償却を進める、最終処理をやっていくということが非常に重要なことであるというふうに認識しております。 それで、昨日の大臣の記者会見の中では、三月末をめどにこの不良債権の直接償却を促すような枠組みをつくるということの会見が報じられておりますので、それはどういう方向でお考えなのか。その枠組みはまだ決まったものではないと思いますけれども、その概要についてきょうはお伺いしたいと存じます。
○柳澤国務大臣 時間も制約されておりますので、余り長話はいたしませんけれども、今先生おっしゃったように、我々の不良債権処理につきましては直接償却が必要であるということは、もう明らかだろうと思います。 一つには、銀行の収益力の点からいっても、いつまでもノンパフォーミングローンを抱えていたのでは、十分な収益力を持った金融機関は生まれないということ。それから二つには、もうちょっと広い意味で、そういうものを抱えていますと、金融の疎通そのものも過剰に慎重になって、円滑に疎通しないというようなものも懸念されますし、また、我々の金融機関の貸出先企業におきましても、収益力のある分野に投資したいと思っても、なかなかそこに投資が行われないというようなことで、そこでもまた収益力に制約が生じてしまう。そういうようなことが相まちまして、結局、日本経済全体の成長力というか、そういうようなものにも大きな障害になるのではないか。このように考えまして、私どもは、やはり直接償却というものにもうちょっと重点を置いた処理をしていく必要がある、このように考えるわけでございます。 その場合に、では、これまで直接償却というものがややいろいろと、円滑に、十分に行われなかったということにはどういう障害があるのだろうか。何か障害があるとして、その障害について、行政の側に何かできることがあったらやりたいというようなこともございます。それからまた、金融機関が不良債権の処理をする場合に、あるものについてはいきなり直接償却する。あるものについては間接的な処理にとどめる。あるいは、間接的処理にとどめたものの中から直接償却に移行していくものもある。そういうようなものを判断していく場合に、どういう条件のもとでプライオリティーをつけていくのだろうか。こういうようなことも、我々としてもうちょっと詳しく知りたい。そういうようなことを通じて、私どもの方で何かインセンティブがつけられるものがあったらつけていきたい、こういうようなことを考えまして、今、金融機関からそういった問題についてヒアリングをいたしております。 このヒアリングを取りまとめまして、我が行政側としてできることがあれば、そういうものをひとつパッケージで示して、これを誘導、奨励していきたい、こんなふうに考えておるわけでございまして、今その具体的な中身についてここで私が言及するまでには至っていない、こういうことでございます。
○石井(啓)委員 時間が少なくなってきましたので、ちょっと最後、まとめてお尋ねを申し上げたいと存じますけれども、金融再生と産業再生が両輪だ。不良債権の直接償却をやるということは、これは借り手側の企業の過剰債務をなくしていくということでありますから、企業側のリストラあるいは整理再編を促していくということになります。 そういうことで、今、金融庁と経済産業省あるいは国土交通省が事務局のレベルの連絡会を設けて、そこの議論を始めたというふうに伺っておりますけれども、これは非常に大事な観点の取り組みでございますから、せっかくですから、私どもは、ぜひ閣僚クラスの会議にこれを格上げして、IT戦略会議ではございませんけれども、やはり日本の今の経済改革にとってはこれは非常に重要な問題だということでお取り組みになったらどうかなというふうに思いますので、その点についてひとつお伺いしたい。 もう一つは、これは直接償却を進めるとすると、先ほど言いましたように、やはり借り手側の企業の整理、淘汰ということにつながってまいりますから、直接償却を進めることによる企業破綻、企業破綻が連続するということもあるでしょうし、あるいは大きな企業が破綻するとその連鎖的な影響をどうするか、こういう問題もやはり考えなければならない。この点について、どういうふうにこれはお考えなのか、あわせてちょっとお伺いをしたいと思います。
○柳澤国務大臣 手短にお答え申し上げたいと思いますが、第一に、今の、たまたまでございますけれども、二つの省との関係を大臣レベルの協議の場に格上げしたらどうか、こういうお話でございますが、もちろん、私、このスタートに当たっては、両大臣にお話を申し上げまして、両大臣の御賛成をいただいているわけでございます。その上に、さらに大臣同士での恒常的な話し合いというものが必要ではないか、こういうお尋ねでございます。 私、今の感じを率直に申し上げますと、やはりこの話というのはどこまでも民間の話でございまして、金融機関とその貸出先企業との間の話ということに尽きるわけでございます。我々としては、その話がうまく転がっていくように環境を整備するということでございまして、そういうものにとどまるということを考えますと、余り大臣がそこに何か顔を出すというようなことも今現段階では余り必要ではないのではないか。逆に、何か官主導というか、そういうようなものでこの問題が処理されるというような印象を与えるのは、かえって誤解を招くのではないか、そんなふうに感じております。 それから、第二番目の問題で、そうした直接償却というのは、相手方企業を倒産に追い込んだり、倒産に追い込めば同時にそれが連鎖的にいろいろなところに波及していくというおそれはないのか、こういうお尋ねでございます。 私、ここで余り直接償却というものを軽く考えているという印象を与えるつもりはありません。そういうことは、私、適当でないと考えているわけでございますけれども、一つ申し上げたいのは、私どものこれまでずっとやってきている技術的な意味での倒産というものについても、清算的な倒産というものよりも、やはり生かしていくところは生かしていこうという再建型の倒産処理というのが圧倒的に多いわけでございます。倒産という名を冠してしまいますので、その意味でちょっと非常に厳しい印象を与えるかもしれませんけれども、やはりそうではなくて、むしろ再建ということの方に大きな重きを置いて、ここのところは国民の皆さんにも受けとめていただきたい、このように考えるわけでございます。 もっと俗な言葉で言わせていただきますと、要するに、相手先の、貸出先の企業全体の中で、バイアブルな部分とそうではない部分を切り分ける、そして、このバイアブルでない部分についてはこれを清算する、それをどれだけ金融機関の側が支援できるかという問題。そして、それを切り捨てた後、バイアブルな部分については、むしろ金融機関の側がこれにさらに融資なりなんなりをしていく、こういうことを考えているわけでございまして、もちろん現場の厳しさというか、ケース・バイ・ケースで、厳しいケースも全くないとまで私も言うつもりはありませんけれども、我々の考え方としては、今言ったようなことをコアに考えているということをぜひ御理解賜りたい、このように存じます。
○石井(啓)委員 この問題はもっとじっくり詰めたいところでございますけれども、きょうは時間が参りましたので、また別の機会によろしくお願いいたします。 以上で終わります。
○山口委員長 次回は、来る二十七日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時十四分散会