法務委員会 第2号
- 発言数
- 276 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2000/11/02
会議録
○委員長(日笠勝之君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に警察庁長官田中節夫君、警察庁長官官房長石川重明君、警察庁長官官房首席監察官竹花豊君、警察庁生活安全局長黒澤正和君、警察庁刑事局長五十嵐忠行君、法務大臣官房長但木敬一君、法務大臣官房司法法制調査部長房村精一君、法務省民事局長細川清君、法務省刑事局長古田佑紀君、法務省矯正局長鶴田六郎君、法務省訟務局長山崎潮君、法務省人権擁護局長横山匡輝君、法務省入国管理局長町田幸雄君、公安調査庁長官木藤繁夫君及び労働省職業能力開発局長日比徹君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(日笠勝之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(日笠勝之君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○佐々木知子君 おはようございます。 自民党の佐々木でございます。 過日の法務大臣のごあいさつに関連いたしまして、第一の司法制度改革についてまずお伺いいたしたいと存じます。 司法改革というのは以前から各種の審議や取り組みがなされてきたようでございますけれども、たまたま昨日、日弁連の総会が開かれて、司法試験合格者数を年間千人から三千人にふやすことを容認するというようなことが決議されたようでございますが、他に弁護士から裁判官を選ぶ法曹一元制の実現とか、陪審制の実現、さらには国民が必要とする法曹人口の確保、専門性と高い職業倫理養成のための法科大学院、ロースクールの創設などの柱があるようでございます。 一般国民からいたしまして、司法制度改革というのは実はよく聞くようで実際何をやっているのかよくわからないというところが本当のところだろうと思うんですけれども、一体その山というのが、頂上というのがどのようなもので、今どのような時点に来ているのか、何年後ぐらいにどのような形で実現するものなのかどうか、そういうような具体的なことを、もしわかるようでありましたら大臣からお答え願いたいと存じます。
○国務大臣(保岡興治君) 我が国の司法制度につきましては、これまで改革のためのさまざまな取り組みが司法関係者及び政府において行われてきておりましたが、二十一世紀を目前に控えて、社会の多様化、国際化などの変化や規制緩和等の諸改革の進展に伴って司法の果たすべき役割がより一層重要なものになると考えられる状況のもとで、内閣に司法制度改革審議会が設置されるに至ったことは御承知のとおりだと思います。 司法制度改革審議会においては、昨年七月二十七日に開催された第一回会議以来、これまで計三十六回の会議が開催されたほか、本年八月に三日間にわたる集中審議が行われておりますが、昨年の十二月には本審議会において審議すべき論点を司法制度改革に向けて論点整理として公表されまして、本年一月以降現在に至るまで、各論点を大くくりにまとめたテーマごとに審議が進められて、各委員の間で意見の一致した事項に基づいては審議結果の取りまとめなどの文書が作成されております。また、本年十一月十四日及び二十日の各審議会において、これまでの審議結果等を取りまとめた中間報告の案文についての審議を行い、同日決定、公表することを予定されていると承知しております。 審議会は、その後、来年七月までに取りまとめることが予定されている最終意見に向けて引き続き議論を続けられる予定と伺っているところでございます。
○佐々木知子君 続きまして、第二の民事、刑事の基本法の見直しについてお伺いしたいと存じます。 民事に関しましては、今回、民事再生法等の一部改正及び国際倒産法制の整備のための破産法の一部改正が閣法で参議院先議で提出されております。ちょっと難しいような気もいたしますけれども、これは端的に説明しますと何を意図された法律なのか、お答え願いたいと存じます。
○国務大臣(保岡興治君) 今回提出しております倒産法関係の二つの法律案でございますが、まず住宅ローン等を抱える個人債務者の経済的再生を図るための民事再生手続の特則手続の創設と、国際的に整合のとれた財産の清算または経済的再生を可能とするための国際倒産法制の整備を目的とするものでございます。 まず、個人債務者の再生手続の新設についてでございますが、いわゆるバブル経済の崩壊後の経済情勢の悪化や企業のリストラの推進に伴って、住宅ローンを抱えた個人債務者の破産件数が急増しております。一方、現行の倒産法制ではこのような個人債務者が経済生活の再生を図るための手続が必ずしも十分ではないとの指摘がされているところでございます。 すなわち、破産法上の破産・免責手続では、債務者はその全財産を清算されることになるために、持ち家住宅を手放さなければならなくなる上、破産者という烙印を押されることによって事実上の社会的不利益をこうむることとなる一方で、債権者も債権の回収がほとんどできないという問題がございます。また、民事再生法上の再生手続は主として中小企業の再生手続として構想されたものであるため、個人債務者が利用するには手続的な負担が重過ぎるなどの問題がございます。 そこで、民事再生法等の一部を改正する法律案におきましては、まず破産に瀕した個人債務者の経済生活の再生を図るための民事再生手続の特則手続として、住宅ローンを抱えた個人債務者ができる限り住宅を手放さないで再生できるようにするため、住宅ローン債権についての弁済の繰り延べを認めて、住宅に設定された抵当権の実行を制限する住宅資金貸付債権に関する特則を設けることといたしております。 また、継続的な収入の見込みがある個人債務者が破産しないで再生することができ、債権者も破産の場合よりも多くの債権回収をすることができるようにするための迅速かつ合理的な二種類の再生手続を設ける小規模個人再生及び給与所得者等再生に関する特則をも設けることとしております。 次に、国際倒産法制の整備についてですが、いわゆるボーダーレスエコノミーの進展に伴って、複数の国で事業を行い資産を保有する企業がふえておりまして、これに伴って、このような多国籍企業が倒産する事例も増加しております。ところが、我が国の現行の国際倒産法制では、国内で開始された破産手続などの効力は債務者の国外財産には及ばず、外国で開始された倒産処理手続の効力は債務者の日本国内の財産には及ばないという属地主義が採用されておりまして、国際的に公平、適正な倒産処理手続が行えないという批判があります。 このような中で、国際連合におきまして、三年前の一九九七年に国際倒産モデル法が採択され、加盟国に対してモデル法を踏まえた法整備が勧告されておりまして、アメリカ、EUにおいても立法作業が進められております。 そこで、今回の二つの法律案におきましては、国際的な経済活動を行う債務者について、国際的に整合のとれた財産の清算または経済再生を可能にするため、これまでの属地主義を廃棄して、我が国の破産手続や会社更生手続の効力を債務者の国外財産にも及ぼすこととするとともに、外国で開始された倒産処理手続の効力を日本国内の財産に適切に及ぼすための承認援助手続を新たに設けることなど、国際主義、普及主義の立場に立った国際倒産法制を整備することとした次第でございます。
○佐々木知子君 ありがとうございました。詳しくお述べいただきました。 住宅ローンを抱えて経済的に破綻に瀕した個人債務者等は本当に困っていると思いますので、一日も早く可決、成立させたいというふうに思っております。また、グローバルスタンダード化に伴いまして企業倒産事件の国際化、これも一日も早く実現したいというふうに思っております。 次に、少年法の一部改正でございますけれども、現行の少年法がどうなっているか、現行の非行少年の処遇の流れがどうなっているかということについてはさんざんいろいろなところで議論されているようでございます。果たして現行の少年法、昭和二十四年に施行になっておりますけれども、その前、日本には旧少年法、大正十一年にできたものがございましたけれども、そのもとでは非行少年はどのような形で処遇されていたのか、その少年刑事司法の流れについてお答えいただきたいと存じます。
○政務次官(上田勇君) 大正十一年に制定されましたいわゆる旧少年法の概要について御説明をいたしますが、まず同法におきましては少年法適用年齢を十八歳未満としており、少年を保護処分に付するための少年審判所が設置されておりました。もっとも、一定の重大犯罪を犯した少年や罪を犯した十六歳以上の少年は原則として少年審判所の審判に付さないこととして、検察官等から送致を受けた場合に初めて少年審判所の審判に付することとする検察官先議の制度を採用しておりました。したがいまして、このような少年については、検察官が刑事処分相当か保護処分相当かをまず判断して、保護処分相当と判断したときに少年審判所の審判に付することとしておりました。 審判の結果、少年審判所が保護処分を相当と認めたときには、訓戒、少年保護司の観察あるいは矯正院への送致などの保護処分に付することなどの処分ができるものとなっておりました。
○佐々木知子君 つまり、少年についても検察官先議であったということで、私が調べたところによりますと、大体一割が起訴をされ、その余が審判所というところに送られて保護処分をされていたというふうに承知しております。ちなみに、この制度はドイツやフランスもそうでございますし、現在の韓国もこのような制度だというふうに承知しております。 そして、なぜ日本が戦後、新しい少年法をつくったのか、その改正に至った経緯について法務省が承知しているところをお答えください。
○政務次官(上田勇君) 今、先生からのお尋ねでありますが、実は余り詳細な点については記録等に残っていないのが現状であります。 戦後、大正十一年制定の旧少年法の改正が行われましたけれども、司法省当局は、当初、旧少年法の骨格を維持した上で、その適用年齢を二十歳未満に引き上げるなどの内容を盛り込んだ少年法の改正草案をGHQの方に提出いたしました。これに対し、GHQの側から、検察官先議を改めること、刑事処分可能年齢を十六歳以上に引き上げることなどが提案され、折衝を経た後、少年法を改正する法律案が昭和二十三年六月に国会に提出され、同年七月に衆参両議院で可決の上、現行少年法が公布され、翌二十四年一月一日から施行されたという経緯でございます。
○佐々木知子君 随分簡単にお答えくださいましたけれども、アメリカはその当時実は国親思想という思想が隆盛でございました。国親というのは、かわいそうな親のない、監督者のいない少年に成りかわって国が少年の保護育成に尽くそうという思想でございます。これは、アメリカで移民の子がいろいろふえまして、適応させるために、一八九五年イリノイ州で世界初の少年法ができて、シカゴで世界初の少年審判所、少年裁判所というものができたというふうに私は承知しております。 アメリカで国親思想というのが始まって、だから少年は普通の成人とは違って、刑事司法の流れではなく福祉的な発想のもとで処遇しようという、これは非常に今までの流れと違う流れをアメリカが始めた。そして、たまたま日本を占領していたときにアメリカはその国親思想が全盛期であった。その後に大分変わってきますけれども、全盛期であった。それを日本に植えつけようとして、この少年法をGHQがつくったというふうに私は承知しております。 今さっき、十六歳に引き上げというふうに簡単におっしゃいましたけれども、日本で明治四十二年にドイツにならってできた刑法では、御存じのように刑事責任年齢は十四歳でございます。それを実質十六歳に引き上げるというのは、刑事責任年齢という国の基本中の基本であることに関してダブルスタンダードがあるということになるわけです。これはもう端的に十六歳でいいやというような簡単なものでは決してないわけで、私も国連極東犯罪防止研修所に勤めていた三年間、どれだけ質問を受けたかわかりません。どうしてこういうダブルスタンダードがあるのかということに対して答えが実は出ないんですよ。答えを出せないんです、なぜかということについて。これは私は非常に恥ずかしいことだというふうに思っておりました。 今ちょっと簡単に申されましたけれども、どうしてダブルスタンダードができるということにもかかわらず十六歳に引き上げになったのか。もしもう少し説明できるのであれば、していただきたいと思います。
○政務次官(上田勇君) 今、委員から御指摘がありましたように、十六歳に引き上げることについてGHQの提案があったということは記録に残っているわけでありますけれども、その後の政府の提案理由書にもその理由に具体的に触れているわけではありませんで、委員の御指摘にあったように、その辺の詳細、詳しい経緯についてはよくわかっていないというのが事実でございます。当時の国会において論議された記録もその点についてはほとんど見当たりませんし、確たることというのはなかなか申し上げられないわけでありますけれども、GHQの提案ということで、今、委員から御指摘がありましたように、当時のアメリカにおける考え方あるいは法律などの影響を受けたものというふうにも理解できるのではないかというふうに思います。
○佐々木知子君 法務省はなかなかお答えになれないようでございますけれども、私は、個人的なことですが、近々、少年法に関する本を出す関係でいろいろ調べさせていただきました。 司法大臣官房保護課が少年法改正草案をGHQ民間情報局公安部行刑課長ルイス博士に提出した。これに対して、ルイス博士は、全米プロベーション協会が提唱する標準少年裁判所法案、これは一九四三年版ですけれども、を基本として、みずからがかつて居住していたニュージャージー州の少年法制を加味した改正案を逆提案してきた。もちろん当時のアメリカで全盛だった国親思想に基づいたもので、これはもちろん旧少年法とは全く構造が違うものでございます。十六歳の引き上げはここに入っていたわけですけれども、当局はもちろん非常に抵抗したようでございます。それも、GHQの占領下にございますから、抵抗もむなしく結局ルイス案を基礎に法務庁少年矯正局が立案した法案が国会に提出され、公布、施行に至ったというふうに私は承知しております。このようにできた少年法だということをここでまず初めに私は定義しておきたいと思います。 次に、第三の治安の確保及び法秩序の維持についてお伺いしたいと存じます。 組織的な犯罪というのは毎回サミットでもいつも取り上げられることでございまして、どこの国でも選挙の公約になるというぐらい大きな問題であったりするわけですけれども、現在、日本において最も注目されている組織的犯罪というのは一体何でしょうか、具体的にお答え願いたいと存じます。
○国務大臣(保岡興治君) 最近の犯罪の傾向を見ますと、暴力団や外国人の犯罪組織が不法な収益の獲得を目的として多岐にわたる不法活動を行っておりまして、とりわけ薬物、銃器等の大量密輸入事件が頻発している。それに、覚せい剤については、約五百六十キログラムもの大量の密輸入事件を初めとして、百キログラムを超える密輸入事件も決して珍しくない状況でございます。また、けん銃八十六丁及び実包千百七発を密輸入した事件も摘発されました。こうした銃器を用いた暴力団の対立抗争事件や発砲事件も相次いでいるわけでございます。 このようないわば従来型の薬物及び銃器関連事犯に加えて、暴力団等による組織的な威力を利用した金融不良債権回収関連事犯も見られる。そのほか、外国人の犯罪組織による高級自動車等の窃盗事件や組織的なクレジットカードの偽造変造、偽造変造カードを利用した商品の騙取事案が急増しています。また、いわゆる蛇頭等が関与した集団密航事件も後を絶っていない状況であります。 このように、暴力団等の国内の犯罪組織が外国の犯罪組織と連携して国境を越えてこうした犯罪に及ぶことも少なくなく、事犯の多様化、国際化の傾向が非常に顕著で国民生活の安全と平穏に対して重大な脅威を及ぼしておりまして、これは治安を誇る我が国、経済も豊かで技術やいろいろな力もありますこういった国が組織犯罪によって侵されていくということは極めて重大な兆候だと思いますので、皆様にもお願いしてこういうものを絶つために組織犯罪関連三法などを成立させていただいているところでございますが、こういったものの適切な運用をもってかかる事案がないように全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
○佐々木知子君 それからもう一つ、オウム真理教のことについて触れられております。 オウム真理教の活動については、時々報道でいろいろあるわけですけれども、現在どういう状況にあると把握されておられるのか。心配している国民もたくさんいると思いますので、そこのところにつきましてお聞かせ願えればと思います。
○国務大臣(保岡興治君) オウム真理教は、現在もなお麻原彰晃こと松本智津夫を崇拝、絶対視してその影響を大きく受けておって、依然として本質的な危険性を内包している上、その閉鎖的かつ欺瞞的な性格にいささかの変化も見られないものと考えています。 組織面においては、全国各地に多数の信徒と施設を擁しておりまして、活動面においても、一連の事件の被害者に対する補償を名目にしてパソコン関連事業を展開するとともに信徒の指導を強化するなど、組織延命に向けた動きを活発化させております。 こうした同教団の動きに対する国民の不安や警戒感はいまだ払拭されておらず、公安調査庁におきましては観察処分の実施及びその他の調査活動を通じまして、引き続き教団の組織活動の実態を迅速、的確に把握し、国民の期待にこたえてまいりたいと思っております。
○佐々木知子君 ぜひそのようにお願いしたいと存じます。 第四に、人権擁護行政の今後のあり方についてごあいさつがございましたけれども、人権が侵害された場合における被害者救済制度のあり方ということが調査審議されているということでございます。 だれが人権を侵害するかといった場合に、やはり一番の加害者というのはマスコミだろうというふうに思うわけでございます。今回、少年法の審議に当たって六十一条のことも審議されたと思いますけれども、加害者である少年のみならず、実は被害者についても随分報道による人権侵害がきわまっているというふうに私は憂慮しております。 少年犯罪の被害だけではなくて、一般に犯罪の被害者というのは犯罪の被害に遭ったという一次的被害だけではなくて、後は刑事司法によって被害をこうむる、さらには報道によって非常な被害をこうむるということをよく言われておりますけれども、こういうことに対して法務省の方はどのように対処されるおつもりか、できるかどうか、そういうことも含めましてお答え願いたいと存じます。
○国務大臣(保岡興治君) 報道による人権侵害にどう対処するのかということでございますが、これまで刑事事件や少年事件の関係者のプライバシー等の人権が侵害されたと思われるような報道が少なからずある。委員御指摘のとおりで、これはもう人権擁護の観点から憂うべきことだというふうに考えております。 この問題については報道の自由というものにかかわりますから、まずは報道の主体であるマスコミが報道される側の人権に配慮して、その被害を受ける方の気持ちをそんたくして自主規制をするなどの取り組みが非常に望ましいと考えられますけれども、マスコミの行き過ぎた報道によって関係者の人権が侵害されたと認められる場合、中には非常に悲痛な思いを今度の衆議院の委員会で被害者の方が述べられたところでもあります。 こういった関係者の人権が侵害されたと認められるような場合には、法務省は従来、人権擁護機関として、当該出版社等に対して反省と再発防止を求める勧告を行うなどの措置を講じてまいりました。しかしながら、勧告等には法的な効力がないんですね。そういうことで、果たしてこのような現行の救済制度で十分であるのかどうか問題があります。事実、いろいろ勧告をしても、それに対する答えがほとんどありません。 したがって、人権侵害による被害者の救済施策のあり方については、法務省に設置された人権擁護推進審議会において、昨年九月から報道による人権侵害の問題も含めて調査審議されておりますので、その審議結果も踏まえて、勧告等の現行の救済制度で十分であるのかどうか、法的措置の必要性も含めて今後具体的な検討をしてまいりたいと考えております。
○佐々木知子君 非常に大変だと思いますけれども、ぜひやっていただきたいと思います。 第五に、出入国管理行政の充実強化について述べられておりますが、不法残留者は一時期三十万近いと言われております。最近は少なくなって二十五万人になったと言われますが、なお非常に多く、実際に犯罪に結びついていることも多々ございます。述べられている入管体制の強化が不可欠であるというふうに私も考えておりますので、ぜひ関係省庁と緊密な連携をとって、積極的な取り締まりを推進していただきたいと存じます。 ほかにも述べられていることは本当に喫緊の課題であると思いますので、ぜひ法務省は真摯に取り組んでいただきたいと思います。 時間が参りましたので、次に私の同僚が少年法に関していろいろ聞かれるようでございます。 私はこれで終わらせていただきます。
○久野恒一君 自由民主党の久野恒一でございます。 私は医師でございますので、まさに理科系と文系とで全く違った畑に来て、法律関係は全く無知でございます。そういう意味では、初めてのこの委員会に入りまして困惑している状態でございます。自分でも何を質問していいかということで、一般質疑ということでもって私が感じていること、すなわち国民が感じていることをやらせていただきたいなと、そういう意味で質問させていただきますので、保岡大臣、余りかたくならないでお答えを願えればありがたいなというふうに思う次第でございます。 私にとってはいろいろとこの法律関係はわからないことがたくさんございまして、御出席の先生方はみんな専門家でございますので、そういう意味ではもう本当に素人っぽい話になろうかと思いますが、先生方にお許しを願いまして質問に入らせていただきたいと思います。 最近は世間を震撼させるような凶悪事件、しかも低年齢の人がやっている、こういう傾向がございます。このことは社会問題としても大変なことでございますし、このまま放置していくことはできないのではないかなと私は思うわけでございます。 そこでお伺いしますけれども、教育問題を含めて家庭のしつけだとかなんとか、いろいろと周辺問題はあろうかと思いますけれども、まず単純に事件が凶悪化してきた、低年齢化してきた、そのことを大臣としては一体どういうふうに受けとめているのか、法律とは関係ないですけれども、ひとつよろしくお願いいたします。
○国務大臣(保岡興治君) もう先生も御指摘のとおり、この少年の非行、犯罪というのは、直接的な事案の原因ということもありますけれども、そこに至るまでの少年の育ってきた環境というものが非常に大きく影響する。そういった意味では家庭の問題が一番大きく影響しているようでありますし、また学校教育や地域などの関係でもいろいろな今の社会の大きな抱えている問題などもあるかと思います。 少年事犯も戦後幾つか山があって、最初の戦後間もないころは貧しさゆえというような犯行も非常に多かったように聞いておりますし、また昭和三十九年でしょうか、そのピークは、集団就職などやまたそこから生まれる都会型の犯罪あるいは学生運動に伴う少年事件と言われるようなものなどもあった。ところが、昭和五十八年から一つの大きな山があって、これが鎮静化するかに見えるんですね。それは多くは、遊び感覚といいますか、ファッションというんでしょうか、そういった窃盗事件が非常にふえたということが一つの特色であります。それが鎮静化してきて、最近また増加傾向にあるというような状況が見られるわけです。 この第三とか最近の状況は、やはり社会全体のあり方とか社会の変化とか、そういうことが大きく影響してきているんじゃないかと思えるわけです。はっきり言って非常に短絡的に、大した理由でもないささいなことで重大な結果を招く、切れると言われるような状況で犯罪を行うというようなことが一つの特色で、規範意識も非常に薄れている、そしてまた対人関係が非常に希薄で、ふなれで未熟であるというようなことなどが特徴ではないだろうかと思われます。 いろいろな原因が絡み合って、関連し合って少年の非行につながっていると思いますが、こういったことについては今後総合的に施策に対応していくということが大事だろう、今度の少年法の改正はそういったことの一助たり得るものだというふうに考えております。
○久野恒一君 ありがとうございます、御丁寧な御答弁をいただきまして。 確かに、このような子供さんはごく一部だと思うんですね。大半の人は、マスコミで騒がれて、十七、八歳が本当に全体的に凶悪な人間みたいに思っているわけでございまして、大学等、東大のアンケートを見ても、三悪といいますと万引き、ぽい捨て、それとカンニング、そういうのが三悪になっているようでございます。そうなりますと、本当にこの一部の人たちのおかげで、おかげというわけではなくて、その人たちの行った行為でもって全体の子供が悪くなっているような感じもするわけでございます。 そういう中で、無差別なことをやらかすという、これは本当に大臣が今おっしゃったように、そういう世相になってきていると言えばそれまでかもわかりませんけれども、そういう無差別的なものをゲーム感覚でもってやっていく、そういうふうなところに我々は抵抗があるわけでございますが、最近の少年犯罪の一般的な傾向を教えていただければ幸いだと思います。これは政府参考人の方でも結構です。
○政府参考人(古田佑紀君) 一般的な傾向というお尋ねでございます。 先ほど大臣からも御説明申し上げましたとおり、平成七年以降、少年犯罪はトータルで見て増加傾向にあるということが言えると思います。絶対数はもちろん昭和五十八年とかそういうふうな状態までは至っていないわけでございますけれども、人口比等も見ますとかなり高い数値になってきているという状況でございます。 もう一つ特徴的なこととして申し上げるとすると、強盗を中心といたしましていわゆる重大凶悪事犯、これの検挙件数が増加しているということが言えると思います。 また、個別には、委員からも御指摘がありましたように、最近でも世の中がびっくりするようないわゆる重大凶悪事犯、バスジャック事件でありますとか、殺人をしてみたかったというふうな動機からと言われる事件とか、そういうようなたぐいの事件が相次いでいるという状況だと考えております。
○久野恒一君 新聞なんかで見ますと、いろんな事犯が出ておるのはわかっておりますけれども、大体そういう傾向になりつつある。無差別化というのはもう本当に我々には信じられないことでございまして、そういうことでもって例えば世間一般の大人が、そういう非行少年のこれからやりそうだなというところを見まして何とか注意しようと思っても、最近はおやじ狩りなんという事件もございまして、そうするとなかなか大人も注意しにくい現状にあろうかと思います。そこで、実際には見て見ぬふりをしてしまう、そういう傾向が親も学校の教師もあるのではないかなというふうに思います。 これはかえって少年非行を増長させる結果になってしまうのではないかなと、そういうふうに思うわけでございますけれども、これに対してどのような形で対応していったらよろしいのか、大臣、その辺のところの御所見をお願いいたします。
○国務大臣(保岡興治君) 先ほども申し上げましたとおり、少年といえども社会の一員でございますから、社会に生きる者としての責任を自覚するということはやっぱり必要なことだと思います。未熟だから、まだ必ずしも完全な一人前ではないからということで社会的な責任までなしというわけではないと思うんです。そういった意味で、私はやはりそういった規範意識というものを少年に求める手だてというのもとても大事なことであって、確かに少年を教育改善していく努力というものはいろいろ尽くされるべきだろうと思います。 少年は生育過程にありますから可塑性にも富むし、本当に立派な社会人として更生させていくということに重点を置かなきゃならないことは事実でございますが、一方で世の中に対するけじめというのもあるということをきちっと認識させることは大切なことで、今度の少年法の改正なども、従来の少年法の理念は変えずに、しかし一方で犯した罪の結果については認識をしていただくということで、事実認定をきちっとしようとか、あるいは被害者に審判で意見を述べる機会を設けて、そういう被害者の姿も少年に見るチャンスを場合によっては考えるとか、あるいは場合によっては厳しい処分、刑事的な対応も含めて、事案によっては少年に厳しい刑事司法的な対応も求められるのではないかという点について選択の幅を広げて、そうして適切な具体的な事案に応じた対応を促していくという点で、これも一つの大切な要素ではないかというふうに思っております。
○久野恒一君 ありがとうございます。 大臣がおっしゃるように、確かに世相に応じてそういう施策も必要なのかもわかりません。 そこで、少子化の問題が、結局は親が子どもを大事にし過ぎて、その反面、子供が親や学校の先生あるいは社会と接する機会が必ずしも十分ではなくなっている、私はそう思うわけでございますけれども、そのために非行少年については親など周囲とのコミュニケーション、接する機会が必ずしも十分ではない、そういうふうに思うわけでございます。それが非行に走らせる原因の一つでもある。したがいまして、そういうような施策を一方では立てるべきではないかなと、コミュニケーションの場をですね。そうはいっても、幾ら場をつくっても子供の方が歩み寄ってきてくれなければどうにもならない問題とは存じますけれども、その辺の対応策をどのようにお考えになっておられるのか、ちょっとお尋ね申し上げます。
○国務大臣(保岡興治君) 保護観察の現場から見た場合に、最近の少年非行の特徴として、自己中心的で忍耐力に欠けているということがあります。また、人間関係が希薄でそれぞれの少年が孤立している。面接時などの対応では比較的素直で、指導に従っているように見えますが、実行が伴わないということなどが挙げられています。 これらの原因の一つとして考えられているものは、親が子供の生活を十分に把握していないということがあるのではないかと思います。また、自分たちの都合を優先して子供と深いかかわり合いを持つ時間を失っている、持とうとしていない、子供のわがままを結局許しているという点も挙げられております。 この種の少年の保護観察に当たっては、社会福祉施設等における社会奉仕活動に参加させるなどの社会適応を促進するための指導などを行うとともに、必要に応じて少年と家族との関係の修復を図るために家族に対する援助も行っています。 また、平成十年に法務省から刊行しました少年院等の現場から少年非行をとらえた「現代の少年非行を考える」という冊子がございますが、これにおきましてもおおむね同様の事柄が指摘されておりまして、その対策としては、人と人とのつながりを通じて少年たちに対して自分が必要とされているという実感を持たせるということが大切だと。加えて、大人が自分の成長の過程において必要であったと感じられる経験を少年に豊富に与えていく、体験させるというようなことも有益な方法ではないかということが提言されているところでございます。
○久野恒一君 私は、このようにつまらないというか内容に乏しい質問をしておりますのは、これからの社会、ノーマライゼーションというものが言われております。そのノーマライゼーションの中には精神障害者もいるし、あるいはいろんな方、障害を持った人、そしてその中には当然犯罪者、無意識のうちの犯罪者もいるであろう、それがノーマライゼーションと言われているわけでございます。 こういう方向に今世相は進んでいっているんではないかなというふうに思うわけでございまして、そういたしますと、犯罪者とか精神障害者もいる中でもって我々はともに生活をしていかなければならない。そういたしますと、これから若年層で例えば無期懲役でもって非常にまじめであった者が世の中に出てきてノーマライゼーションのもとに社会でもって働くようになった、ところが雇用の場というのが本当に開かれているんだろうか、そういうことも考えなければならないと思います。 そういうふうにしてやっていきますと、この問題はこの場でディスカッションする問題ではございません。そういうノーマライゼーションに向かっているということを考えますと、いろんな問題が、今、大臣がおっしゃった問題が、こういうことをやっている、こういうことをやっていると言っても、有機的に活用されなければ私は意味がないんではないかなというふうに思うわけでございまして、今質問ではなくてちょっと述べさせていただいているわけでございます。 本人の将来のことを考えますと、服役中だった、ちょっと言葉は悪いですけれども、殺人事件など凶悪犯罪を起こして服役した、それが無期懲役になった、あるいは非常に中でもってまじめだったから出てきたと。ところが、雇用の場所が実際にはないじゃないかと。ところが、御承知のように二十歳から年金も掛けなくちゃならない、そして医療保険も支払わなければならない。そういう中で、三十、四十になってもし出てきた場合、介護保険も払わなければならないが、そういうものを払っていないわけでございます、現実的には。 そうなりますと、老後の安定とかいろんなものがその人にとって将来非常に重いペナルティーとして残っていくんではないかなというふうに危惧するものでございまして、そういう意味では、罪を憎んで人を憎まずという言葉がございますが、要は少年にそういう犯罪を起こさせないような組織づくりが必要なんではないかなというふうに思うわけでございまして、それが少年法であるならばあるでも結構でございますけれども、その後に何かしら救済の手を差し伸べておかないと私はいけないんじゃないかなというふうに思うわけでございます。今、年金の話とかなんとか言ったってお答えになれないと思いますので、これはここだけのお話にしておきます。 そういうわけで、近い将来には、大臣に今いろいろお話ししましたそういう事案を厚生省とか労働省とかあるいはいろんな省庁、文部省も含めて総合的にこの問題を取り上げていってほしいなというふうに私は個人的に思うわけでございますが、これは質問ではございませんのでお答えはしなくて結構でございます。
○委員長(日笠勝之君) 手を挙げておられますよ。
○久野恒一君 そうですか。では。
○国務大臣(保岡興治君) 先ほど少年の非行、犯罪の原因には社会全体の要因もあると申し上げましたけれども、本当に家庭や地域社会というんでしょうか、そういうところで少年の犯罪や非行の芽をつくらないように、あるいは芽の段階で摘むようにいろいろするとか、あるいは初期の段階でこれを改善の方向に持っていけばそれにこしたことはないわけで、そういうことの地域の力とか家庭とか学校、それらの相互の連携とか、こういう少年非行、犯罪を芽のうちにつぶすというような対応のできる受け皿といったものを、先生が御指摘のように、関係省庁や地方公共団体やいろいろな関係機関が力を合わせる努力が今後非常に求められているんじゃないかという気がいたしていますし、そういうことについて、事実、厚生省などでも既に方法等について具体的な検討や答えを求めているようです。 また、犯罪者が偏見なく社会の中で更生改善ができるように、保護司の方の全国で約五万人に及ぶボランティアのすばらしい組織もありますし、またBBSと言われるような団体の支援もあります。また、更生保護施設で、受刑者が出てきた場合に、しばらく社会に復帰できるまでそこを拠点に社会になれていくまでの間は御支援するというような、そういう体制もあります。そういった犯罪者に対する偏見をなくして社会全体で受けとめていこう、社会全体の責任として対応していこうという、これは私は日本はすぐれたものを持っていると思います。特に保護司の方々の組織は世界に誇るべきものだと思います。 そういうことで、先生の御指摘の点は本当に本質をついた御意見だと思いますので、法務省としても全力を挙げて御意向に沿って努力をしていきたいと思います。
○久野恒一君 ありがとうございます。通告にないことを言ってしまいまして、またお答えいただいてありがとうございました。 確かに、そういうふうに総合的に物を見ていかないと、ミクロ的に物を見ていってもなかなか犯罪というのは減らないんではないかなと、そういうふうな気持ちで申し上げたわけでございまして、ぜひとも省庁横断的にこの問題は解決していただきたいなというふうに希望するところでございます。 次に、また素人っぽい話になっちゃうんですけれども、いじめとかそういうものが学校などでもあります。そういうものが非常に陰湿になってまいりまして、子供の深層心理というものが非常にわかりにくいんではないかなというふうに思うわけでございまして、非行の原因の解明が難しくなっているんではないかなというふうに思うわけでございます。 また、非行事実が争われるような場面で、現行の少年審判手続では適切な事実認定を行うことには限界があるんではないかなと。聞くところによると、二割方ぐらいしか網にひっかかっていないようでございますが、それを全部事実認定いたしますと、もう本当に大変な事業になっていくんではないかなと。事業というのは法務省関係の方々のです。 そういう意味で質問するわけでございますけれども、その辺のところを一体これからどんなふうな対応でもってやられるのか御質問申し上げますので、詳しく、事務当局でも結構でございますので、よろしくお願いいたします。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 御説明申し上げます。 家庭裁判所は創設以来五十年たったわけでございますが、この間、運用上の工夫改善を加えながら、その時々の少年非行の実態を踏まえた適正、迅速な処理に努めてきたところでございます。 ただ、委員から今御指摘のございましたとおり、最近の少年事件を見ていますと、どうも事案の解明が難しい事案がふえてきているというのが率直な実感でございます。これは、動機自体を聞いてもよくわからないという事案でございますとか、あるいは少年が述べている動機と行っている行為の間に大きな乖離があるという、こういう事案が少なくないように考えられるところでございます。 こういった事件につきましては、人間関係諸科学の専門家でございます家庭裁判所調査官を中心として、その少年の持っている資質上の問題でございますとか、あるいはその置かれている環境、家庭であれあるいは学校であれ友人関係、こういったところなどをつぶさに調査いたしまして、その非行のメカニズムを的確に把握し、それを踏まえた適切な処遇選択を行うよう努力しているところでございまして、これは引き続きそういった面での努力を重ねてまいりたいと考えているところでございます。 もう一点は、委員から今御指摘のございました事実認定の関係でございます。多くの事件においては事実認定の関係については適正に処理されているところでございますけれども、ただ激しく事実が争われるような事案におきましてはなかなか困難な場面があるというのが実務の実感でございます。 三つの場面があろうかと思うわけでございますが、まず一つは、一人の裁判官で的確な判断をするのになかなか苦労する場面があるということでございまして、これは記録が大量なものであるとか、あるいは証人が多数であったり、供述関係が相当ふくそうしている、こういった状況におきましては、証拠を吟味するという観点から見た場合には、一人の裁判官ではなくして複数の目で吟味をした方がいいんじゃないか、こういう事案があるというのが一つの場面でございます。 二番目の場面といたしましては、客観的な観点からの吟味を要するという場面でございまして、事実認定を行うについて、少年側の立場からと同時に、少年側と異なる幅広い角度からの証拠関係の吟味が必要な場合があるように思われるわけでございます。従来、裁判官が審判を行うに当たりまして、少年と異なる観点から吟味をしようとすればするほど少年と対峙するかのような状況に置かれることから、一人二役はなかなか難しいというのが実務の実感であるわけでございます。 三番目の点は、期間の関係でございますけれども、身柄を拘束するいわゆる観護措置と言われております期間は現在四週間に限られているわけでございます。この四週間の期間内に、証人が多数ある場合などにおきましては、的確な事実の審理を行うことはなかなか難しいのが実情でございまして、とりわけ少年事件におきましては共犯事件が多いものですから、少年についての証人の数が多くなるというのが一つでございますし、また少年が家裁に送致された後においてアリバイの主張をして事実を争う、こういった場合などもあるわけでございます。そういった状況の中においては、四週間以内での事実の確定がなかなか難しいというのが実務の実感でございます。 こういった意味合いにおきまして、裁判官等におきましては現在の法制度のもとで運用上の工夫には限界がある、そういった意味での立法的手当てをお願いしたいというのが裁判官の多数の声であるというふうに承知しているところでございます。 以上でございます。
○久野恒一君 大体時間が来たようでございますが、最後に、最近の病院も医療事故がいっぱい新聞に出ております。あれは氷山の一角でございまして、つっつけばまだまだいっぱい出てくると思います。そういう意味では、医者は国家試験に八千人ぐらい毎年受かっているわけでございますが、司法試験の場合は千人足らず、そういう状態では今言われたようになかなか審議が濃くなっていかないんじゃないかという発言もございました。そういう意味では、当然これをふやす方向にあることは存じておりますけれども、非行少年に適切に対処するためには、法務省、検察庁及び裁判所の人的体制、そういうものは大体どのぐらい必要なのか、これを言っていただければありがたいなというふうに思いますが、よろしくお願いします。
○政府参考人(古田佑紀君) 検察庁の人的体制等についてのお尋ねでございますが、御指摘のように、近年、大型経済関係事犯あるいは組織犯罪その他、非常に労力を要する事件が増加しておりまして、検察の業務が著しく増大していることは事実でございます。 そこで、法務省といたしましても、平成八年度以降、検事につきまして合計百七十二人の増員など、必要な検察体制の整備を図ってきたところでございます。また、先ほどから御議論にもなっております少年事件、これも最近、凶悪重大事犯が相次いでいるというふうなことから、これに対する一層適切な対処が求められているということも考慮いたしまして、青少年対策推進会議の申し合わせの重点事項で捜査・検察体制を充実強化するということも含まれておりますので、こういうことも受けまして、これに対応する体制を整えるように鋭意努力中でございます。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) ただいま委員御指摘のとおり、このような困難な非行に適切に対処するためにはマンパワーの充実が大切であることはおっしゃるとおりだと思います。 そういった観点から、裁判所におきましても必要な体制整備を行うとともに、その研修などを通じまして資質の向上にも努めているところでございますが、今後も引き続き努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
○久野恒一君 済みません、時間オーバーしまして。 終わらせていただきます。
○小川敏夫君 小川敏夫でございます。 法務委員の一人として質問するわけでございますが、同時に民主党のネクストキャビネットの司法担当大臣という立場でもございますので、与党の施策よりも民主党の打ち出している施策の方がより国民から評価されるのではないかということを国民に御理解いただかなくてはいけないという立場からも、私どもの提案している諸政策等について、あるいは今国会での法務委員会での問題点あるいは昨今の状況等についていろいろ質問させていただきたいと思います。 まず、これは質問通告をしていないんですが、昨日、日弁連の総会が開かれまして、司法改革の点につきまして法曹人口の増員などが議題となったんですが、大変に議論が分かれて、執行部案に賛成が八千人ぐらい、反対が四千人ぐらいですか、と聞いております。司法制度改革を実行する上において非常に意見が対立して大変な部分もあるんではないかと思うんですが、そうした点について、きのうの日弁連の総会の状況等を踏まえて、司法制度改革に臨む法務大臣の所感といいますか、あるいは感想等、もし述べていただければと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(保岡興治君) かねて申し上げているとおり、二十一世紀の我が国の司法のあるべき姿ということを考えたときに、今まで我が国の成功の秘訣というのは、一つは官僚が、非常に優秀な人たちを陣容に持って国内を効率よくうまくまとめて発展させてきた、これが一つの大きな力になったと思うんです。 ところが、こういうふうに行政が管理していくという行き方が、世界の新しい時代の流れというんでしょうか、これは自由とか民主主義とか市場原理とかそういうもので、一つの連なる理念で地球が覆われていくような、そういう価値観が世界に広がっていくような時代ですから、やはりそこには競争というものを支えるルールと自己責任というしっかりした土台がなきゃいけない。我が国はそういう行政が管理した国から、司法を土台とする一つの国際的な舞台に躍り出していくようなところがあって、これは行政の果たしていた重要な国の基盤から司法へ大事な機能がある意味で移っていくという時代でもあると。 そういうようなことで、私はその大宗を担うのはやはり弁護士先生だと。法律家というのは形式的だとか、理屈っぽいとか、冷たいとかいう印象が国民に強いのですけれども、一方で、やはり司法を正しく運用するためには、豊かな人間性とか、人間や社会の本質を正しく理解するというようなことが非常に大切で、こういう資質を持った人が初めて法律的な知識や技術を駆使できるということだと思います。 そういうことで、二十一世紀の日本の大事な基本的なインフラとしての司法の大宗を担う弁護士の先生方が、それを担うだけの人の数と質の向上を目指すという方向を今回の臨時総会で方向づけられたことは高く評価されるべきことではないだろうかと。それは産みの苦しみでいろいろな議論もあると思いますが、そういうものを乗り越えながら改革は進められていくものだというふうに思います。 今、先生が御指摘のように、賛成の方が反対の倍以上の数だったということは、これは大変な意味を持っていると私は受けとめております。
○小川敏夫君 民主党の方も、法曹人口の拡大ということに関してはそういう方向性を打ち出しております。 司法制度改革等につきましては、審議会で今審議中でございますし、またいずれ十分に議論する場があると思いますので、この程度にしたいと思いますが、民主党の考えとしては、やはり司法というものをより国民に身近に利用しやすい、あるいは国民の声がダイレクトに反映されるような、そういう制度づくりをしたいという基本方針で臨んでおります。そのことを申し上げまして、またいずれ議論させていただきたいと思っております。 少年犯罪について、いわゆる少年法の問題に関連しましてお尋ねしようかと思ったんですが、既にほかの委員の方からの質問等で大分議論がありましたので、まずポイントだけお伺いしたいと思います。 少年犯罪の現状ですが、数がふえているという意味の増大化あるいは事件の悪質化ということがしばしば出ているんですが、ただ数字からいってどうも少年の犯罪の件数そのものは必ずしもふえていない、あるいは先ほどの答弁にもありましたように昭和五十八年の方が多いので、それに比較すればまだ少ないというような問題がありました。 あるいは悪質化というと、私の少年時代ですからまあざっと三十五年ぐらい前ですか、そのころにも首を切る事件とか通り魔が突然何の関係もない被害者に危害を加えるというような、高校生が小学生の男性器を切り落としちゃったなんというそんな通り魔事件もあったりして、そういう特異な悪質事件というのは別に今現在になって突然起こったんじゃなくて、前からあったようにも思うんです。そういうことを考えると、今少年法を変えなくてはいけないというほどの緊急性は余りないのではないかと私は思っているんですが、そこら辺のところの大臣の御認識はいかがでございましょうか。
○国務大臣(保岡興治君) これは今度の選挙を通じて国民に触れる機会が非常に身近にあったわけですけれども、恐らく多くの国会議員が少年法の改正については国民の関心が非常に高いと感ぜられたと思います。 これは国民の世論に情緒的に流れてはいけないよという御指摘もありますが、しかしながら、少年犯罪の数の推移を見ても、先ほども申し上げましたけれども、戦後間もないころは貧しさが一つの大きな要因、第二の山は、先ほど申し上げたように集団就職とか学生事件というものが一つの特色、五十八年の犯罪傾向もどうも世の中が変わってきたことによる傾向が大きく動き出したと。それは鎮静化するかに見えるけれども、またそれが増加傾向に転じていることは私は注意を要することだと思うんです。 そして、私は、戦後の日本の社会を見ても、やはり大人全体の風潮としても、自由や平等や権利は非常に大切なことですから、これは最大限尊重する姿勢、まだこれが熟していないところもありますからもっと熟していくようなプロセスも必要だと思いますが、一方で、やはりそれに内在する義務とか責任とか、こういった社会性というんでしょうか、ルールというんでしょうか、こういった側面も私は社会全体がもっと大切にする、そういう折り目、けじめをきちっとできる社会でなければ将来はないと思うんですね。その辺のところの戦後の反省というものを私は社会全体でもすべきだ、そういった社会全体のありようというものが最近の少年犯罪のベースにあるんじゃないだろうかというふうに思えてなりません。それが一つ。 それともう一つは、少年といえども社会の一員である、したがって行った行為の責任はきちっととるべきだというのは、やっぱり被害に遭われた方々の率直な気持ちであろうと思いますし、また、社会の一般的な予防という点からいってもそういった機能は決して無視してはならない要素だと思います。 そういった意味で、今度の少年法改正というのは、そういった世の中のあるいは時代の要請を踏まえた検討であると。そして、とりあえず与党で緊急にまとめた内容あるいは閣法の成立していなかった部分を取り入れていただいた一つの成果としてこの国会に提案されているものであって、今度の少年法改正は私はこういった傾向の犯罪対策の一助たり得るものだというふうに考えているところでございます。
○小川敏夫君 私が感じるのは、少年法というのは犯罪あるいは非行を犯した少年についてどう対処するかということの手続法規でございます。そうすると、そもそも根本は、犯罪や非行を犯した少年をどう処遇するかということよりも、そもそもなぜ少年がそのような犯罪や非行に走るのか、すなわち少年犯罪を的確にとらえて少年犯罪そのものが減るような措置を講じることが根本の問題ではないかと思っております。 そういう意味で、どうも少年法を改正すればまさにそれが少年犯罪対策なんだというふうに世論も誤解している面があるんではないかと思うんです。先ほども大臣のお言葉の中でそういう基本的な認識の点は十分持っておられるというふうに聞いておりますが、どうでしょうか、少年法の改正の問題と少年犯罪の防止、減少の問題、これとの関連についてお考えをお聞かせいただきたいのでございますが。
○国務大臣(保岡興治君) これはもう先生も御質問の中でそういうお考えがどこかにあるように感ずるんですが、私は、少年犯罪というのは、社会全体という大きな背景もあるし、また地域社会のあり方とかあるいは学校教育、一番近いところでは家庭の問題が一番大きいと思うんです。こういったことなど、やはり総合的に原因は求めなきゃならないし、またそういった少年の犯罪の芽になるようなあるいは原因になるようなものをどう取り除くかということについては、やはりこれに当たる関係者が協力し合って、それをいい方向に持っていく受け皿というものの工夫もとても大切だと思います。 また同時に、起こってしまった犯罪については、先ほど申し上げたように、もちろん少年の更生改善、社会復帰ということも大きな少年の特性をとらえた大切な努力だと思いますが、一方で、少年が犯した罪の社会における取り扱いという、これまた本当に本質的ないろんな問題を含んでおりますから、そういったことについての対応というものもきちっとしていくことが大切だと思っております。
○小川敏夫君 私も犯罪を犯した少年をそのまま放置してよいとは全く思っていないわけでございまして、一般論として、少年にきちんと自覚をしていただく、あるいは被害者あるいは社会の立場に立ったそうした観点から対処するという、そのことについては私は異論を持っておりません。 ただ、では少年院で処遇するいわゆる今の少年法における保護措置が、これは少年に対して何の自覚も求めないのか、あるいは社会がその非行を犯した少年に対して対処してほしいという期待に全然こたえていないのかというと、決してそうではなくて、まず警察に捜査をされて家裁に送致される、そしてそこで少年院収容その他の保護処分を受けるということは、十分に少年に対してその行為の自覚を促しておるし、あるいは社会も少年に対する対処がなされていると考えていると思いますので、これはあえて保護処分ではなくて、あるいは少年院ではなくて少年刑務所という刑罰でなくてはならないという必要性は必ずしも乏しいんではないかと思うんですが、法務大臣、その点はいかがお考えでしょうか。
○国務大臣(保岡興治君) 私は、さっきも申し上げたように、少年審判などで少年事件を扱うときに、やっぱり起こした結果の意味を少年によくわからせるということは非常に重要なことで、そういった意味では事実認定というものがきちっとできる仕組みを工夫していくことも大切だと。これは先ほど裁判所からお話があったとおり、非常に短い期間に少年の調査からいろんな複雑な関係者も多い事案を一人の裁判官が少年と向き合って全部の答えを適正に求めるというのはなかなか大変だということが言われましたけれども、今度の少年法改正などはそういう点に着眼した改善点も工夫をいろいろしているところでもありますし、私は一方でまた保護処分だけじゃなくて場合によっては刑事処分をせざるを得ないような少年も事案によってはあるだろうと思います。 これは、犯罪の刑事的な対応というものは、一般予防というものもありますし、それから被害者の感情というものをどう配慮するかということもありますし、したがってそういう刑事的な対応というんですか、刑事処分のような対応というものも少年になくていいかというと、決してそうではないことも先生が御理解いただいているとおりだと思いますし、要は適切に事案に応じた対応をするということで、そのために選択の幅や置かれているそういう審判をする場をより合理的で適切なものに工夫していくということに尽きると思います。
○小川敏夫君 今、一般予防というお話がありましたが、確かに少年に対していわゆる犯罪や非行に対する処遇を厳しくすれば一般予防効果があるだろうということはあえて否定しませんが、別の見方をして、そうした非行、犯罪を犯した少年の悪性を刑務所ということによって固定化させて、さらにまたその少年が少年あるいは成人になって再犯を犯すということよりも、やはり過ちを犯した少年がしっかり保護矯正して再犯を起こさないということによって犯罪を減らすという意味の社会防衛といいますか、そういう観点の見方もむしろ重要じゃないかと思うんですが、そういった点については法務大臣はいかがでございましょうか。
○国務大臣(保岡興治君) それは先生御指摘のように非常に重要なことで、少年事犯というものはそういうことをよく考えて対応していくことにするべきだということが少年法の一つの大きな理念で、そのことについてはみんな一致しているし、今度の少年法改正もその点に変更を加えるものではないということで審議をしてきていると承知しております。
○小川敏夫君 それから、先ほどの大臣の答弁の中で、現行少年法は事実認定についての手続規定が不十分であるというお話をいただきまして、その点で与党案で改正点があるんですが、今の制度、現行少年法の制度あるいは与党案のその改正点を見ますと、結局、捜査記録がすべて審判を行う裁判官に送られてくるということで、どうも事実の有無を判断する上において裁判官の予断排除、あるいは刑事訴訟法で定められた証拠の能力の問題等がございませんので、さらにその場において検察官が立会するとなると、どうも事実認定が少年に負担を与えるような方向で、あるいは不利益な方向で短期間に解決してしまうんではないかという不安を持っておるんです。 そういう意味で、民主党は対審構造に基づいた事実認定手続を設けるような修正案を衆議院で提出したんですが、そうした事実認定のあり方について大臣はいかがお考えでしょうか。
○国務大臣(保岡興治君) 先生も御案内のとおり、現在の少年法というものは少年審判というものを職権主義的な審問形式で行うということで、より柔軟な、形式にこだわらない、少年法の目的の実質に照らして柔軟に対応できるような方法をとっているわけです。 これを当事者主義の対審構造ということに変えるということは、私は非常に審判の本質を大きく転換することになるんではないかと思います。そういった意味で、少年審判の審判の方式も、和やかに行わなければならない等の方式についての規定もありますけれども、やはり成人と同じような対審当事構造、当事者主義的構造、厳格な証拠あるいは伝聞法則というものを取り入れた成人と同じような審理のあり方は決して少年事件には必ずしもいい意味でなじまない、私はそういうふうに思っております。
○小川敏夫君 そうした点、私どもの考え方と異なるわけでございますが、少年法の審議が間もなく始まりますので、またそのときにゆっくり議論させていただきたいと思います。 次に、民主党は民法の成人年齢あるいは公職選挙法に基づく選挙権の付与、それから少年法の適用年齢も含めて成人年齢を十八歳に引き下げるべきではないか、いわゆる十八歳、十九歳の現在少年に対して、責任も持ってもらう、権利も与えるが責任も自覚していただくという発想で提案しておるわけでございますが、こうした考えについて法務大臣はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(保岡興治君) 民法の成人年齢でございますけれども、これを満十八歳に引き下げるべきであるという提案がされていることは承知しております。 成年年齢のあり方は国民生活に大きな影響を与えるものでございますから、その引き下げの問題については、人が独立して完全な法律行為を行い得る程度に精神的にも社会経済的にも成熟すると一般に認められるべき年齢に関する社会的な考え方というものを踏まえなければならないと思っておりますし、また他の法律における年齢の扱いなどとの関連を含めた幅広い観点から十分な論議を尽くすべきテーマだと思います。そういったふうに理解をしているところでございます。
○小川敏夫君 私どもも十分な論議を行うべき案件であることはよく認識しております。ぜひそうした議論の場を設けるようにしていただけたらと希望いたしまして、次の質問に移ります。 また、同様に、民主党はほかの政党との共同提案で、民法を改正して夫婦別姓制度というものを採用すべきではないかと提案しております。この点についても、これまでの日本の伝統的な家庭制度というような問題もあって反対意見もあるということですが、私どもの案は全員が夫婦別姓にしろというのではなくて、選択制でございまして、どうしてもその必要がある人について、あるいはそれを希望する人についてそれを認めていいのではないかというような制度でございます。また、これを認めることによって、その弊害というものも私どもの考えるところ余りないように思いますので、ぜひこれを早急に審議して採用していただけたらと思っておるんですが、その点について法務大臣のお考えはいかがでございましょうか。
○国務大臣(保岡興治君) 選択的夫婦別氏制の導入については、国民の各層や関係各方面に先生も御指摘されたとおりさまざまな議論があって、国民の意見が大きく分かれている状況にあるものと認識しています。 例えば、この問題に関する平成八年の総理府による世論調査の結果、これいつも我々申し上げるんですが、選択的夫婦別氏制度の導入に賛成の意見が三二・五%、反対の意見が三九・八%、通称の使用を認めるべきとする意見が二二・五%となっています。また、地方自治法第九十九条の規定に基づいて地方議会から提出される意見書には選択的夫婦別氏制度に関するものがございますけれども、これは現時点までに法務省に提出された意見のうち、導入に積極的な意見が五十三件、慎重ないし消極の意見が三百八十八件と圧倒的に多い数になっているんです。 このように、この問題については国民の意見は大きく分かれていることがうかがわれるわけでありますが、民法は基本法であって、法務省といたしましては、特に御指摘の問題のように社会や家族のあり方など国民生活に重大な影響を及ぼすべき事柄でございますので、大方の国民の理解を得ることができるような状況で法改正を行うのが相当であるというふうに考えています。 したがって、この問題については国民各界各層で議論が今後深まることを期待したいと考えておりますし、関係各方面における御議論の動向も見守りながら適切に対応してまいりたいと思っておるところでございます。
○小川敏夫君 この点についても、ぜひまず議論すること自体を積極的に進めていただきたいと申し述べさせていただきます。 また、同じ民法改正の中で相続の点でございますが、非嫡出子の相続分を嫡出子の二分の一ということにしておりますが、これはどうも生まれた子供のことを考えますと、いわゆる婚外子かどうかという身分によって不公平な、不平等な扱いをするということで、私はどう考えても憲法に、法のもとの平等原則に違反するのではないかと。ですから、これは早急に同じとするべきではないかというふうに思っております。 確かに、家庭の中で生まれた子供とそうでない子供は父親に対する財産の寄与の程度とかさまざまな違いがあるかもしれませんが、それは個々具体的にその状況に応じて実際の遺産分割の中でしんしゃくすればいいことでありまして、そうした前提の相続分という法律で決めた相続分について差別を設けるのは、これは不適切というよりもはっきり違憲ではないかと私は思っておるんです。したがって、早急にこの点についても民法を改正すべきだと思うんですが、法務大臣のこの点のお考えはいかがでしょうか。
○国務大臣(保岡興治君) 憲法に違反していないかという御指摘もございましたけれども、先生ももちろん御案内のとおり、最高裁はこの点について憲法十四条第一項に反しないという判断を平成七年七月五日の大法廷での判決で述べているわけで、民法上、嫡出でない子と嫡出である子の相続分に差異が設けられている。この点の解消についても、先ほどの選択的夫婦別氏制の問題と同じように国民の意見が大きく分かれております。 平成八年の総理府による世論調査の結果では、これに賛成の意見が二五%、反対の意見が三八・七%、どちらとも言えないとするものが三〇・八%となっております。 先ほど申し上げたように、こういう種類の問題については国民の大宗の理解のもとに法改正を進めていくというのが相当であると思いますので、今後、国民の間で議論が深まり、一定の方向が生まれていることを受けて我々としても適切に対処してまいりたいと思っております。
○小川敏夫君 どうも法務大臣がどう考えるかという具体的な賛否のお考えをいただけなかったのが残念ですが、あるいはいただけたのかもしれませんが、いずれにしろ早急にぜひ議論することがまず必要ではないかと思いますので、その点を要望いたします。 次に、通信傍受法、昨年の夏にこの参議院でも大変な状況の中で成立したわけでございますが、その点についてお尋ねします。 まず、警察庁の方にお尋ねしますが、実際にこの法が施行された後、これを実施したという例は現在までのところあるのでございましょうか。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 通信傍受の実施の有無につきましては、これを公にいたしますと、そうした捜査上いろいろ支障があるということで、答弁を差し控えさせていただきたいということで御理解いただきたいと思います。
○小川敏夫君 私は具体的個別の案件について行っているかどうかを聞いているのではなくて、実施例があるかどうかについてお伺いしておるわけでございます。 また、この法によりまして国会に報告義務がある、これは随時じゃなくて、たしか年に一回だったと思いますが、そうした事項でございます。具体的な捜査に影響するとは思えないので、ぜひお聞かせいただければと思うんですが。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 傍受の実施の有無だけでございましても、随時質問にお答えしていくということになりますと、実施の時期が明らかとなりかねず、また傍受の対抗措置をとられかねないということで、捜査に支障を生じさせるおそれも考えられるわけです。そこで、傍受の実施状況につきましては、法で定められた国会報告において一括して報告させていただきたい、このように考えております。
○小川敏夫君 私どもはこの通信傍受法を即時廃止すべきだという法案を提出しておるわけでございますが、これはそもそもこの通信傍受法が、そもそもそういう捜査方法はいかぬという議論ももちろんございますが、それだけではなくて、その通信傍受のあり方、これは昨年さんざん議論したんですが、いわゆる立会人制度等とかそうした問題、さまざまな問題があるのではないかというふうに思いますので、その廃止を求めておるんです。例えば通信事業者の一部にはこの通信傍受法による立会人になることを拒否するという態度を明確にしたようなところもあったと報道されております。 それで、私どもは、実際に立会人の協力というのがこの通信傍受法では大変に大きな、通信事業者にとっての負担となっておりますので、そういった点、スムーズに実施されているのかどうか、大変に関心があるところでございます。 そういった意味で、通信傍受を実施した場合、立会人の協力がスムーズに得られているのかどうか、こういったことも聞きたいものですから、ぜひそういった点も踏まえて、この通信傍受法の実施状況についてお答えいただきたいのでございますが。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 再度同じ答弁で申しわけありませんけれども、先ほどの答弁と同様でございますが、傍受の実施の有無につきましては、それを質問の都度答弁していく、お答えしていくということになると、やはり実施しているということが特定されてしまうという危険性もあるわけでありまして、そうなりますと非常に捜査に支障があるということで、国会の報告のときに一括して答弁させていただきたい、このように思います。(発言する者多し)
○小川敏夫君 ちょっと大変に納得できないお話なんですが、まずそれに関連して……(発言する者多し) 今の点、納得できませんので、ぜひ答弁を具体的にいただくよう協議していただきたいと思います。 速記をとめていただきますようにお願いいたします。(発言する者多し)
○委員長(日笠勝之君) 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(日笠勝之君) 速記を起こしてください。
○小川敏夫君 通信傍受法の審議の際に、とにかく通信傍受の捜査手法を取り入れるに当たっては、覚せい剤事犯が非常に増大しているというようなさまざまな点が強く指摘されたんですが、実際、通信傍受法の対象となる犯罪、四種類あるんですが、これにつきまして直近の趨勢はいかがなんでしょうか。ふえているのか、減っているのか、横ばいなのか、教えていただければと思います。
○政府参考人(五十嵐忠行君) まず、薬物関連事犯の関係でございますが、今年九月末までに通信傍受の対象となる薬物犯罪で検挙した人員は七千二百四十四人、前年同期比で五百十人増であります。また、本年九月末までの押収量につきましては、覚せい剤が六百三十二・二キログラム、同じく前年同期比でございますが五百三十一・二キログラムの減、コカインが七キログラムで、同じく〇・四キログラムの減、ヘロインが一・四キログラムで、同じく前年同期比〇・七キログラムの増、それから大麻が三百二十七・六キログラムで、前年同期比で百四十一・〇キログラム増となっておりまして、検挙人員、押収量ともに高水準で推移しております。また、検挙事例を見ましても、依然として暴力団、外国人グループが組織的に薬物の不正取引に深くかかわっているという状況が見られるところであります。 次に、銃器関連犯罪についてでございますが、まず九月末までのけん銃使用凶悪事件の発生件数でございますが、これは百二十三件ということで前年同期比十一件の増、うち強盗事件は九十件ということで前年同期比十四件の増となっております。また、本年九月末までのけん銃密輸入事件による押収丁数は二十八丁ということで、前年同期比十五丁の増となっております。けん銃の密輸入事件につきましては、四年連続でフィリピンルートの摘発が見られるところであります。ちなみに、本年九月末までのけん銃の押収丁数は五百六十八丁、前年同期比で百二十八丁減、暴力団の武器庫の摘発は七件、二十八丁ということで、前年同期比六件、三十丁の減となっております。 次に、集団密航関連事犯についてでございますが、本年九月末までの集団密航者を不法入国させる行為など及び集団密航者の輸送、収受等の罪の検挙人員でございますが、十五人ということで、前年同期比で五十一人の減となっております。また、最近の集団密航の態様は、従来の密航船を仕立てた大規模なものから、一般の貨物船やコンテナ等を利用して少数規模で潜伏する方法や不正取得した査証を使用するなど、手口が巧妙化、多様化する傾向があります。 最後に、組織的殺人ですが、本年二月に施行された組織的犯罪処罰法第三条第一項第三号を適用して検挙した事例は現在までのところございません。 以上でございます。
○小川敏夫君 今、覚せい剤の押収量が六百三十二キログラムあって、これは前年同期比よりも五百三十二キロ減ったというふうに聞いたんですが、それでよろしいわけですね。ちょっと確認します。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 再度申し上げますが、覚せい剤が六百三十二・二キログラム、前年同期比で五百三十一・二キログラムの減でございます。
○小川敏夫君 どうも通信傍受法の審議のときを思い出すと、覚せい剤の押収量がこんなにふえた、こんなにふえたと、件数はそんなにふえていないんだけれども、押収量がふえたということを非常に強く主張されて、だからどうしても通信傍受法が必要なんだという議論があったと思うんですが、どうもほかの数字を見るとそれほど特筆すべき増減はないように思うんです。覚せい剤はほぼ半減になっているわけで、そうすると、どうも通信傍受法を施行しなければならないというような状況は、数年前に比べて特段強まったというよりも、逆に覚せい剤の押収量を見れば必要性は減ったんじゃないかとも思えるんですが、数字的なものは別としまして、法務大臣に所感をお伺いしたいんです。 この通信傍受法について廃止あるいはさまざまなそういう背景事情の点もございますが、あるいは乱用防止策とか見直した方がいい点が多々あると思うんですが、法務大臣、どうでしょう、廃止や見直しの考えはございますでしょうか。
○国務大臣(保岡興治君) 法律を廃止する考えは全くありません。この法律は先生がおっしゃるように厳格かつ適切な運用が必要であることはもちろんでありますし、そういうことはきちっと踏まえた上、断固とした決意で組織的な犯罪に対処してまいりたいと思っております。 先ほど私も申し上げましたが、本当に組織犯罪というものをとらえてこれを検挙していくには、やはり相当の武器を持つ必要がある。そういうことについての必要性というものは、国民的な立場でもこれは必要不可欠なことだというふうに認識しております。
○小川敏夫君 ここでの一言のやりとりじゃなくて、通信傍受法の廃止を含めたあり方について議論の場をぜひ設けていただきたいというふうに希望しておきます。 次に、警察庁の方にお尋ねします。 いわゆる前科前歴に関する記録、この情報の開示についてお尋ねしたいんですが、これまでの、例えば今国会の参議院の予算委員会での質疑では、原則開示しないけれども例外として開示することがあるという趣旨の御答弁をいただいておるんですが、そうすると、例外的に開示する場合はどのような場合にこれを開示するのか、御説明いただきたいんですが。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 犯罪経歴の使用の関係でございますが、これは犯罪捜査等のために必要な場合に限定されまして、このような目的以外での犯罪経歴の開示は原則として行わないということをこの間答弁したところでございます。 ただし、海外への渡航や海外での事業のために外国政府から犯罪経歴証明を求められる場合がありますが、このような場合には、その求めに応じなければ本人に著しい不利益が生ずることが明らかで、ほかに方法がないことが明らかでもあることから、犯罪経歴を開示することにより得られる利益と開示しないことで守られる利益、これを比較考量した上で、例外的な措置として犯罪経歴証明を本人に交付することがございます。
○小川敏夫君 本人に報告するということですが、それはそういう証明書を発行するということですね。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 相手国から要請されるものですから、本人に犯歴の証明書を渡して、その人が相手国なりに渡す、こういうことでございます。本人に交付するということでございます。
○小川敏夫君 今のお話をお伺いしまして私は思いまして、今述べられた事情と比較して、例えば総理大臣が何らかの疑いを持たれた、あるいは総理大臣が国会で答弁した内容についてそれが真実であるということを証明する必要があるというような場合、それがまさに唯一の方法であるというような場合に、これは総理大臣である人がそういう必要性で求めれば、そうすると、これは犯歴に関する証明書を交付してもいいように思うんですが、その点、いかがでしょうか。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 実際には具体的な要請を踏まえて検討すべきものでありますが、一般論として申し上げれば、犯罪経歴に関する情報は犯罪捜査等の警察の任務遂行のために警察が収集、保有しているものでありまして、先ほど申し上げましたように、これを開示すれば自後の警察活動に支障を来すものであることなどから、このような目的以外でこれを開示することについては特に慎重な判断を要すると、このように考えております。
○小川敏夫君 いや、一般論はいいんですけれども、例外的に証明書を発行することがあるということで、具体的な例として先ほどお話しになったわけです。それで、それに比較してまた私は一つの具体的な例を例示しているわけですが、内閣総理大臣をしている個人がそうした犯歴があるんではないかと。しかし、ないということで民事訴訟を起こしている。まさにそうした犯歴があるかないかを、つまりその方本人からいえばなかったことを証明する唯一の手段だと思うわけでございます。また、国会でもないということを言っておるわけですが、それを、あるかないかを証明する唯一の手段であると思うわけです。 ですから、そうした方が、つまり犯歴に関する証明をしてほしいということで証明を求めてくれば、やはり応じる立場にあると思うんですが、どうでしょう、私が指摘した例の場合に、御本人がそういう証明を求めてきた場合に、これは応じることになるんでしょうか。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 個別具体的にそういう要請があればその時点で考えたい、検討したい、このように思います。
○小川敏夫君 先ほど、一般的な例として、国民が海外渡航をするに当たって相手国からその証明を求められるような場合には発行するというようなことでした。 では、国民が民事訴訟を提起して、これも一般論で聞いているわけですが、国民が民事訴訟を提起して、その犯歴に関して立証しなくてはいけない、あるいは立証義務があるかどうかは別にして、そのことが訴訟における争点であるという場合に、これを証明する資料として使用するからその証明を出してほしいと求めてきた場合、これは応じることになるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 先ほど外国政府からの犯歴証明を求められた場合について申し上げました。この場合は、その求めに応じなければ本人に著しい不利益が生ずることが明らかで、ほかに方法がないことが明らかであることからということを先ほど申し上げました。犯罪経歴を開示することにより得られる利益と開示しないことで守られる利益を比較考量した上で、例外的な措置として犯罪経歴証明書を本人に交付するということであります。 民事訴訟の関係で、例えば調査嘱託、先ほど小川議員が例を出されましたけれども、このような例外措置を講じるべき事由が認められなかったという判断で犯罪経歴の開示は行わなかったものであります。
○小川敏夫君 どうも何か議論がかみ合っていないような感じがするんですが、今具体的に裁判所からの調査嘱託に応じなかったことについての点がございました。外国から証明を求められた個人に対してはそういう求めがあれば個人の利益のために証明するということでございますが、国民が民事裁判を起こした、その訴訟において裁判所が調査嘱託を決定したという場合、どうしてその調査嘱託に応じないんでしょうか。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 民事訴訟法による調査嘱託では、一般に被嘱託者に回答の義務があるということは承知しております。 しかし、先ほど来申し上げておりますように、犯罪経歴に関する情報は犯罪捜査等の警察の任務遂行のために警察が収集、保有しているもので、このような目的以外での犯罪経歴の開示は原則として行わないものであります。したがいまして、今回の民事裁判における調査嘱託についてもこれに応じることはできないということで判断したものでありまして、これは民事訴訟の調査嘱託があった場合に犯歴照会する、犯歴開示する場合の基本的な考え方でございます。
○小川敏夫君 例えば森総理大臣の場合、ちょっと今具体的な年数がわからないんですが、四十年ぐらい前のことだと思うんですが、その四十年前の犯歴のことについてこれを裁判所に答えることがどのような捜査に障害があるんでしょうか。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 犯罪経歴に関する情報は犯罪捜査等の警察の任務遂行のために警察が収集、保有しているものでありまして、この中には捜査上の参考となる情報も含まれています。したがって、その記載事項や保存期間を明らかにした場合、現に警察が保有している捜査情報の内容が明らかとなり、被疑者等が警察の捜査への対抗手段をとることが予想され、事後の警察活動に支障を来すおそれがあるということであります。また、犯罪経歴は個人のプライバシーに最も深くかかわるものでありますので、このような理由から、犯罪経歴に関する情報は一般に非開示、原則として非開示としているものでございます。
○小川敏夫君 ですから、まず一点、捜査に障害があるということですけれども、ですから私は聞いておるわけで、四十年前の、四十年前かちょっと正確な年数はわかりませんが、ざっとそのくらい、四十年前ぐらいのことの、その捜査の結果、捜査があったかどうか、に基づく結果を今明らかにすることが今現在の現実の捜査についてどのような障害があるのかと聞いておるわけです。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 前回のときに答弁したところでありますが、犯罪経歴は個人のプライバシーに最も深くかかわり、公務員法上の秘密に当たるとともに、これを開示すれば自後の警察活動に支障を来すものであります。したがって、犯罪経歴に関する情報は、その収集、保有の目的以外で開示することは特に慎重な判断を要するものであり、原則としてできないということで考えているものでございます。
○小川敏夫君 だから、質問に答えていただけていないと思うんですが。 先ほどのお話ですと、国民が海外渡航するに当たって渡航先の国から証明を求められた場合にはその利益を考えて証明することがあるということですね。その場合に、捜査の障害というようなことは考えるんですか。
○政府参考人(五十嵐忠行君) これは捜査の障害とかそれを全部含めた上で総合的にいわゆる比較考量したということでございます。
○小川敏夫君 今度のこの裁判所の調査嘱託を、回答を拒否した件については、では今度は具体的に聞いておるわけです。一般論じゃなくて私は個々具体的な話として聞いておるわけですが、この調査嘱託について、ではそれを答えることについていかなる捜査上の支障があったのか、これを具体的に説明してくださいと聞いておるわけです。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 回答することにつきましては、プライバシーの問題とか、それから捜査上の支障とか、守秘義務に違反するかどうかとか、その辺を総合的に考えて判断しているわけでありまして、捜査上の支障だけということではございません。
○小川敏夫君 だから、質問に答えていただいていないんですよ。今、捜査上の必要とか、プライバシーとか、守秘義務とか言われましたね。私はそのどれにも当たらないと思っているから、まず一つずつ順番に聞いておるわけです。 ですから、捜査上の支障というのは具体的にあるのかないのか。あるとすればどういうふうにあるのか聞いておるわけです。私はないと思っているんです。あるはずがないから、だから、ないものを一般論ですりかえて、あるかのようにお答えになっているので、私はないという前提で聞いておるわけです。ですから、どのような捜査上の支障があるのか、具体的にお答えください。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 犯罪経歴の保存期間につきましては、先ほども保存期間についても捜査上の支障があるということで申し上げたわけでありますけれども、出すことによりまして保存期間の関係も明らかになるおそれがあるということでございます。
○小川敏夫君 全然質問に答えていただいていないんですよね。 出すか出さないかは、ですから、犯罪に支障があるかどうか、プライバシーを侵害しないか、それから何か守秘義務に反しないかどうか、この三つのことを言われましたよね。だから、その三つのことで、ではその三つの要件、この森総理の裁判に関する裁判所の調査嘱託、これを拒否したのはこの三つの理由のどれですか。すべてですか、それともその中の一つですか。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 先ほど申し上げましたように、出すことによって得られる利益と失われる利益、それを比較考量して判断したものでございます。考慮する場合の判断要素としては、委員に申し上げたようなことが含まれておるということでございます。
○小川敏夫君 いや、だから質問に全然答えていないんですよ。いいですか、森喜朗さんが「噂の真相」を相手に名誉毀損で損害賠償を求めた裁判、その裁判において裁判所が犯歴を出すように調査嘱託を求めたわけです。これについて、その回答を、回答というか内容を、やっぱり回答になるのかな、だから、要するにその調査嘱託に応じることを拒否したわけです。ですから、その拒否した理由について聞いているわけです、具体的に。その拒否した理由がどれなのか。今言われた捜査上での支障なのか、プライバシーの問題なのか、守秘義務の問題なのか、どれなのかと聞いておるわけです。だから、全然質問について答えをいただいていないんですけれども。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 犯罪経歴はプライバシーに深くかかわり、個人情報の中でも特に重要なものでありますが、犯罪捜査等の警察任務の遂行ために警察が収集し、保有しているものであります。したがって、犯罪情報の使用は犯罪捜査等のために必要な場合に限定され、この目的以外の犯罪経歴の開示は原則として認められないということでございます。 例外的に犯罪経歴を犯罪捜査等以外の目的で開示する場合はその必要性等を慎重に判断するわけでありますが、具体的には、開示することのメリット、開示により得られる公益、その際のポイントは、その求めに応じなければ本人に重大な不利益が生じる、あるいは警察の保有する犯罪経歴を開示する以外にその求めに応じる方法がない、いわゆる非代替性でございます。それから、開示することのデメリット、非開示により守られる公益でありますが、具体的には、警察の保有する捜査情報を開示することによる捜査の支障あるいは本人のプライバシーの重大な侵害等を比較考量いたしまして、前者が後者を上回る場合にのみ必要最低限の事項を開示するということが可能になる、こういうことを基本的な考え方として対応しているものでございます。
○小川敏夫君 速記をとめていただきたいんですが。 私は一般論はもう既に答えは聞いておるわけです。その一般論を聞いた後、個々具体的に実際の裁判において調査嘱託の回答を拒否したわけです。その拒否したのがどういう理由なのかということを再三聞いておるわけですけれども、もう五回も六回も聞いておる。それに対して具体的なことは何にも答えないで、実質質問に関係ない一般論をまたずるずると述べて時間だけ延びておるわけです。 ですから、これは私が聞いた具体論について端的に答えるように、実質的には私の質問に何にも答えてないわけですので、この点についてもしっかり答えるようにぜひ委員長の方から指示していただきたい。あるいは、もし答えないのであれば答えるべきだということで理事会で協議していただきたいと思います。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 渡航証明の関係の犯歴の関係でございますけれども、これは本人に証明書を渡すわけですね。ただ、この犯歴が一般にオープンになるということになりますと、要するに第三者の捜査の協力が得られなくなるという心配があるわけでありまして、そういった面で捜査に支障があるということが考えられるわけであります。また、プライバシーの問題とか守秘義務の問題があるということで解除していないということでございます。原則として解除していないということでございます。
○小川敏夫君 では、ここで時間を一たん区切って、また休憩後に行いたいと思います。
○委員長(日笠勝之君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十五分まで休憩いたします。 午後零時十二分休憩 ─────・───── 午後一時十五分開会
○委員長(日笠勝之君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○小川敏夫君 警察庁の方に重ねてお伺いしますが、通信傍受法施行後、実際に通信傍受を実施した例がございましたでしょうか。
○政府参考人(五十嵐忠行君) お尋ねの件でございますが、この法制度が対象としております犯罪は組織的にかつ密行的に敢行されるものでありまして、捜査についてもひそかに行う必要があります。したがいまして、八月十五日の施行から間もないことや、お尋ねの都度実施状況を御説明した場合に、現在内々に捜査中の事案について傍受が実施されているのではないかといった捜査実態を犯罪者に推測されて内偵捜査の妨げとなるなど捜査活動への影響少なからざるところがあることから、答弁を控えさせていただきたいというふうに思います。ぜひとも御理解を賜りたいと存じます。 なお、傍受の実施状況につきましては、法で定められた国会報告において御報告をさせていただきたいと思います。
○小川敏夫君 私自身は答弁をいただきたいのでただいまの答弁は納得しませんが、ただ一つ申し上げておきますと、年に一度国会での報告が義務づけられておりますが、これは、それをすればあと答えなくていいということではなくて、最低それをやらなくてはいけないという話ですので、今回の、きょうのこの私の質問に関しては、施行後間もないという特殊事情ということを考慮して、この点に関する質問は終わらせていただきます。 次に、森喜朗さんが「噂の真相」を相手に起こした民事訴訟におきまして、裁判所が森喜朗さんの犯歴について調査嘱託をしたことについて、その回答を拒否したということについてでございますが、そうした犯歴を回答することについて、答える場合、答えない場合の原則について一般論をお答えいただきました。 拒否する場合について、捜査の支障、プライバシー、守秘義務との兼ね合いという三点の御説明をいただきましたが、では、この森喜朗さんの裁判、裁判所が求めた調査嘱託について回答を拒否したのは、そのどの要件に該当するから拒否したのでありましょうか。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 先ほど答弁申し上げましたが、考慮する場合にプライバシーの関係、それから捜査上の支障、それから守秘義務の関係ということを申し上げました。 その引き合いとして渡航証明をちょっと例に出して説明したいと思うんですが、渡航証明の場合は、例えばプライバシーの関係について言いますと、これはあくまでも本人の申請であると、出さないと本人の不利益になるということ。それから、出す場合にこれは密封して本人に渡します。外国政府に直接渡すものではございません。そういうことで、公になるということももちろん心配ないわけですが、今回の民事訴訟の場合は、その点を考えますと、まず本人からの申請でないということがございまして、このプライバシーについてどういう判断をしたらいいのかというのは必ずしもこちらの方で判断できないというのがございます。 それから、現在、民事訴訟の過程でございますので、プロセスでございますので、訴訟上犯歴が公になる。公になった場合にそのプライバシーへの影響というのも、これは当然我々としては考慮せにゃいかぬということがあるわけでありまして、そういうことも踏まえまして、プライバシーの関係についてはプライバシーの問題もありということでございます。 それから、守秘義務の関係でありますが、我々につきましては何を出してもいいというわけにはなっておりませんで、例えば昭和五十六年の最高裁の第三小法廷の判決があるわけでございますけれども、これにつきましても、「前科等の照会文書」につきましては、ここでちょっと飛ばしますが、「「中央労働委員会、京都地方裁判所に提出するため」とあったにすぎないというのであり、このような場合に、市区町村長が漫然と弁護士会の照会に応じ、犯罪の種類、軽重を問わず、前科等のすべてを報告することは、公権力の違法な行使にあたると解するのが相当である。」ということでありまして、裁判所から調査嘱託が出たからすぐ何でも回答していいという状況にはなっていない、守秘義務の関係も考慮しなきゃいかぬと、そういうことを踏まえまして回答しなかったというものでございます。
○小川敏夫君 プライバシーと守秘義務の点、いただきました。そうすると、念を押しますと、捜査に対する支障という要素はなかったということでよろしいわけですか。
○政府参考人(五十嵐忠行君) これは先ほども申し上げましたけれども、これを出していきますと保存期間がわかってしまうというのが一つ気になるわけでございます。 それともう一つ、先ほどちょっと言い落としましたけれども、渡航証明の場合は調査項目といいますか証明項目が非常に少ないということでございます。これについて、今回については調査項目も相当多いということで、その辺も捜査への影響というのが大きいんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
○小川敏夫君 具体的に犯歴カードそのものを出せばいいので、余り関係ないんじゃないか。逆に、特にその争点となる犯歴は一つの検挙歴だけですから、全くその項目は多くはないと思うんですが。 まず、プライバシーの点ですが、調査嘱託を求めた裁判所が、そもそもその調査嘱託に反対した原告の意見を排除して、重大な公益に関することだからということでプライバシーの点は調査嘱託の支障にはならないと裁判所が判断した上で調査照会をしておるわけですけれども、そうすると、警察庁は裁判所の判断に従わないということになるんでしょうか。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 裁判所がどういう判断をされて調査嘱託をされたかということについては、我々は承知しておりません。
○小川敏夫君 では、プライバシーの問題はその御本人、この件については森喜朗さんですが、森喜朗さんが自分のプライバシーよりも公開されることの方が大事だからプライバシーの点で犯歴の公表については拒否しないでほしい、こういうふうに申し出ればよろしいわけですね、プライバシーの点に関しては。森喜朗さんが公表についてそれを同意すればよろしいわけですね。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 仮定の問題でございますので仮定で答えますと、本人が承諾しているということになればそういうことになろうかと思います。
○小川敏夫君 守秘義務の点に関しても、その守秘義務を上回る公益上の必要があればこれは当然よろしいということになると思うんですが、その点、いかがでしょうか。
○政府参考人(五十嵐忠行君) それは個別具体的な判断になろうかと思います。
○小川敏夫君 時間なので、犯歴の点についてで質問を終えたいと思います。 ちょっとお昼に、おもしろい資料がありまして、「無事故無違反の証」と、これはプライバシーは放棄していると思いますので、江田五月さんが無事故無違反であるということの証明を岡山県警察と自動車安全運転センターからいただいておるわけです。 これは交通、つまり道路交通法に関する犯歴証明の一つだと思うんですが、そういうことについてはどうですか。案外、道路交通法に限っては非常に、安易にというのはおかしいけれども、幅広くこういう証明書を出していると思うんですが、これも一つの犯歴証明じゃないんでしょうか。 ちょっと御意見をお聞かせいただきたいんですけれども、警察庁の方に、犯歴に関して。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 今、先生から話を伺ったんですけれども、どういう経緯でそういうのをやっているのかわかりませんので、ちょっと答弁しにくいのでございますが。
○小川敏夫君 犯歴に関して絶対的に出せないということではなくて、出す場合があるということ、それからそうした具体的な一般論について大分お答えいただきましたので、大分わかりましたところがありますが、なおこの点については、個別なことについてはまた別の機会にさらにお尋ねしたいということを申し述べて、本日の私の質問はこれで終わらせていただきます。
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。 先般の所信的ごあいさつ、決意を込められたお話を拝聴したところでございますが、課題が山積している法務行政でございます。最近耳新しい言葉と言ったらちょっと私の不勉強がばれてしまうんですが、法整備支援ということが一生懸命取り組まれているようでございますが、法整備支援、これはどういうことなのか、ちょっと御説明をいただけますでしょうか。
○政務次官(上田勇君) お答えいたします。 法務省で行っております法整備支援とは、外国が実施する基本法制、司法制度及びこれらを運用いたします法律家制度の基本的インフラ整備及びこれに携わる人材の育成を支援するものでありまして、具体的には外国におきますこれらの基本的なインフラの整備に携わる専門家などに対しまして、我が国の法制度及びその運用のシステムを紹介したり、またこれらの専門家が法律及び運用システムを構築するに当たりまして助言をするなどの内容となっております。
○魚住裕一郎君 我が国は、明治維新以降、それまでの律令体制というか中国法制を中心にした法体系から近代西洋的な法制度を移入してきた。その中で、大変な努力の積み重ねで今の我が国の法体系があるわけでございますが、私から見ても、日本の法制度が、例えば難しい漢字もいっぱいございますし、現代用語にもなっていない我が国の制度でございますけれども、日本が外国に法整備の支援をする意義といいますか、それは那辺にあるのでしょうか。
○政務次官(上田勇君) 今、委員からも御指摘がありましたように、我が国におきましても、明治維新以降、欧米の法制度に学びながら我が国の実情に合致した独自の法制度を構築してきたわけでございます。 そうした経験を生かしまして、これから法整備を必要とするアジアの地域の諸外国というのは、我が国同様、欧米とは若干異なったような法律文化を持っていることなどから、我が国によります協力というのはこうしたアジア地域の諸外国が法整備を進める上で有益なものであるというふうに考えております。 他方、我が国にとりましても、協力によりましてアジアの国との共通の法的基盤を築くことができるという意味では大きな意義があるというふうに考えております。
○魚住裕一郎君 日本も、明治以降の法律制度をヨーロッパから受継するに際し、ドイツ大陸法系を中心にしながらもイギリス法的なものも入れておりますし、また戦後においてはアメリカ法の影響力が大きいと思うんですね。一つの法律の中でも、アメリカ的な要素もあれば大陸法的な要素もあるというような状況にあるわけです。 アジアの諸国においても、昔の旧植民地時代の宗主国の法体系もあれば、また近年の国際化の波をかぶっているわけで、その中で、例えばベトナムもかなり一生懸命やっておられると思いますが、ベトナムは昔はフランスの影響力が大きかったんではないか。あるいはマレーシアも、ルックイーストというふうに言っておられますけれども、英連邦のもとでコモンローの支配する地域だというふうに私は思うんですが、特に私ども日本が積極的に支援するのはどの辺になるのかなと、まだちょっと理解がいかなかったところであります。 法整備支援といっても大きく分けて民事、刑事あると思うんですが、刑事ではどういうようなことを中心に支援をされているんでしょうか。先ほど佐々木理事の方からアジ研という言葉も出たと思うんですが、そういうことも活用しながらやっているのかなとは思うんですが、いかがでしょうか。
○政務次官(上田勇君) 今、委員のお話にありましたように、刑事、民事両面あるわけでありますけれども、刑事につきましては、法務省では、国連と日本政府との協定に基づきまして昭和三十七年から法務総合研究所国際連合研修協力部が運営いたしますアジ研、国連アジア極東犯罪防止研修所におきまして、アジア太平洋諸国等の刑事司法関係実務家を対象にいたしまして犯罪の防止あるいは犯罪者処遇に関する国際研修などを実施しているところでございます。
○魚住裕一郎君 では、民事的にどうでしょうか。今、先議案件で外国倒産処理手続云々の法律が出ているところでございますが、確かに同じような法制度が、倒産法制度もあればかなり有益だなとは思うんですが、その点はいかがですか。
○政務次官(上田勇君) 民事の面では、最近は市場経済化が進んでいるわけでありまして、特に近年、市場経済化への円滑な移行とそれに伴います国際商取引の活性化が必要になってきております。自国の民商事関係法令及びその実効的な運用システムを整備することが急務となっている特にアジアを中心とした発展途上国からも非常に要請が高いわけでございまして、それにこたえる形で、平成六年度から、法務総合研究所を主たる実施機関といたしまして、先方の法律専門家等を招聘いたしましたり、あるいは我が国からも専門家を先方に派遣するというようなことを行って、日本の法制度の仕組み、その運用の実情等を紹介させていただくと同時に、直接民法、民事訴訟法等の起草作業にも協力するというようなことをさせていただいているところでございます。
○魚住裕一郎君 我が国においても、例えば商法を考えてみても、利益を上げるためのそういう法人制度、会社法、それについても旧ドイツ法的な考え方からアメリカ法的な考え方に大きく考えを変えていくべきではないかというようなことが国内的にも、新聞記事に書いているわけでございますが、そういう点はいかがなんでしょうか。 つまり、中国大陸を見ても共産主義市場経済というんですか、そういうような状況がございますが、この日本の法制度がそのままいけばいいのか。逆に言えば、デファクトスタンダードみたいなことはアメリカ法的なことなんじゃないのかなとは思うんですが。
○政務次官(上田勇君) 特に会社関係の法制につきましては、企業活動がグローバル化する中で極力統一、あるいはそれに共通するような形で整備をしていくことが望ましいのは、もう委員御指摘のとおりだろうというふうに思います。ただ、今お話にもありましたけれども、法律制度はその国の経済、社会、文化の全体を形づくっている枠組みの一つでありますし、背景としましてもいろいろな歴史的な背景とかが異なっているわけでありますので、外国の法制度を参考にしながら主体的に決めていかなければいけないものだろうというふうに思っております。 我が国におきましてもそのような取り組みをかつてしてきたわけでありますので、法整備の支援を実施するに当たりましては、我が国の制度や考え方を一方的に押しつけるというだけではなくて、支援を必要としている国の実情をよく理解した上で支援を行って協力していくということに留意する必要があるのではないかというふうに思っております。 また、効果の面でいえば、こうした法整備の効果というのはなかなか短期的にあらわれるものではありませんけれども、そういう短期的な見方だけではなくて、相手の国が今後自立的な発展を行うための基礎となるような地道な支援を行い続けていくことが重要だろうというふうに考えております。
○魚住裕一郎君 おっしゃるとおりだと思います。相手の文化を大事にしながらということでございますが、ただ、法制度というのはある意味では文化そのものみたいな部分があって、しかしながら謙虚に広めていくみたいな、そういうようなことなのかなと、そんなことも実は考えておりますが、今度何か国際協力部というのができるんでしょうか、この法務総合研究所の中に。これは規模はどういうようなことになるんでしょうか。 それから、大阪の方に設けられるということのようですが、地方分権の時代ですから何も東京ということではないんですが、何で大阪なのかということをちょっと御説明いただけますか。
○政務次官(上田勇君) 今、委員からの御質問にありましたが、今大阪に新たな部署を設置する予定で検討させていただいているところでございます。法務省としては、アジアを中心とした発展途上国に対しまして民法、商法分野の法整備支援を実施するために大阪に関係機関を設けるということが適当ではないかということで、今準備をさせていただいているところでございます。 なぜ東京でなくて大阪なのかということでございますけれども、それはいろいろ地理的なことや既存の施設の態様などを考えてそういう方向が適当であろうというふうに考えているところでございます。
○魚住裕一郎君 確かに地元財界でありますとか今まで関西方面の各大学等が積極的にかかわってきたということもあるのかなというふうに私も考えるところでございまして、小さな規模から出発するのかもしれませんが、大いにしっかりやっていただきたいというふうに希望を申し述べておきたいと思っております。 続きまして、法務大臣のごあいさつの中で、二十一世紀は人権の世紀だということで、人権侵害の被害者救済制度ということで具体的施策を策定してまいりたいというお話でございました。 十月に日弁連の人権シンポというのがございまして、たまたま当日は参議院において、正常か不正常とかいろいろ立場によって違うのでございますが、時間ができたものですから人権シンポに参加してまいりました。お隣の江田五月先生も御一緒させていただいたわけでございますけれども、国内人権機関、そこで議論してきたことは、かなり具体的に、法務の人権擁護というよりはもっと一まとまりの人権機関をつくるべきではないかというようなお話でございました。 いろいろ資料を見ますと、国連でのパリ原則というのがあるんですか、一九九三年の国連総会決議でございますが、その中では、この機能として人権救済機能、それから人権教育機能、そしてまた政府等への政策提言、そういう機能を持つべきだというふうに承知をしているところでございます。法務大臣のごあいさつの中では、救済制度の確立のためというようなお話でございますが、この教育機能でありますとか提言機能といいますか、その辺は大臣としていかがお考えでございましょうか。
○国務大臣(保岡興治君) 人権機関のあり方については、今、先生が御指摘のように、国連総会において承認されたパリ原則等が示されていますけれども、これらを踏まえて、人権擁護推進審議会において人権救済制度のあり方について今御審議をいただいているところでございます。 その中でも、人権救済機関のあり方についてさまざまな議論が行われておるものと承知しておりますが、今、先生がおっしゃった人権救済機関の独立性とか、あるいは人権啓発及び政策提言を含んだ所掌事務のあり方など、いろいろ議論が行われているものと承知しております。このパリ原則などでも指摘されているところに沿って行われているわけでございますけれども、こういったパリ原則の指摘などは非常な重要な指摘だというふうに承知しております。
○魚住裕一郎君 今のお話にありました審議会でございますが、今後どういうような予定といいますか、現在の進捗状況と、それからいつどんなことをやって、最終報告というんでしょうか、それはどういう形になりましょうか。事務当局で結構です。
○政府参考人(横山匡輝君) お答えいたします。 人権擁護推進審議会におきましては、昨年九月から諮問第二号であります人権救済制度のあり方に関して本格的な調査審議を行っておりまして、諸外国の取り組みに関する海外調査や関係団体からのヒアリング、関係省庁からの行政説明等を経まして、本年七月二十八日に今後論議すべき論点整理を終え、これを公表したところであります。 九月からはこの論点整理に掲げられた各論点についての審議が進められておりまして、今月末ころを目途に人権救済制度充実のための基本的な考え方を中間取りまとめとして公表し、広く国民の皆様の御意見を伺う予定であると承知しております。 また、答申の時期についてでございますが、現時点ではまだ審議会では明らかにされておりませんけれども、法務省としましては来年の半ばころまでには答申をいただけるものと期待しているところでございます。 以上でございます。
○魚住裕一郎君 今審議をやっている最中ではございますが、例えば人権教育というような面につきましてはどのような議論が出ていましょうか。いろんな話によれば、例えば裁判官とか検察官、あるいは拘禁施設の職員はしっかり人権教育をすべきではないか、人によっては弁護士までしっかり人権教育をやった方がいいんじゃないかと言う方もおりまして、それはごもっともだなという気もするところでございますけれども、この教育面はいかがでしょうか。
○政府参考人(横山匡輝君) ただいま委員が御指摘されました人権教育・啓発の基本的なあり方に関しましては、人権擁護推進審議会では、これは諮問第一号として調査審議を進めまして、昨年の七月に答申を取りまとめて提出しております。その中で委員今御指摘のような問題についても触れられておりまして、現在は諮問第二号について、被害者救済のあり方に関して今調査審議しておるところであります。 現在の調査審議の中におきましては、救済に当たる機関、これを人権救済機関と呼ぶとしますと、この人権救済機関がこの救済のほかにも所掌すべき事務があるのではないかというような議論の一つとして、ただいま言いましたような人権啓発も所掌すべきではないかというふうなことが今議論の内容として出てきているところでございます。
○魚住裕一郎君 また、先ほど御紹介しました政策提言機能といいますか、そういう中には政府あるいは立法府に対する提言でありますとか、あるいは国際機関との連携とかあるいはNGO、NPOですか、人権活動を一生懸命やっているところ、そういう連携というようなことも言われているところでございますが、この提言機能につきましては審議会の中でどんなような議論が出ていますか。
○政府参考人(横山匡輝君) ただいま委員が御指摘されました政府への提言機能、あるいは国連等の人権関係機関との連携等の問題、これにつきましては、先ほど申し上げました七月にまとめられました「今後論議すべき論点の整理」の中でも、この人権救済機関が所掌すべき事務の一つとしてそのようなもの、政府への提言、あるいは国連等の人権関係機関との協力あるいはNGOとの連携、そういうふうなものが掲げられておりまして、それについて今論議されておるところであります。そういう状況でございます。
○魚住裕一郎君 では、組織面はどうなんでしょうか。国内人権機関といった場合、どういうような組織が模索されているのか。あるいは単に今までの行政府の一部門というよりは、やはり独立性というようなことも要請されてくるのではないかと思うんですが、この点はどうですか。
○政府参考人(横山匡輝君) 先ほど来申し上げておりますこの論点整理の中では、一つの柱として救済機関の組織体制のあり方が取り上げられております。 その中のさらに一つの項目としまして、まず救済の措置や調査手続・権限の充実強化に対応して、人権救済機関の組織体制をどのように整備すべきかという中で、一つとして、「現行の内部部局型の組織の充実で対応可能か。何らかの独立性を有する合議制又は独任制の組織を考える必要があるか。」、こういう論点が掲げられておりまして、この論点に沿って現在審議が行われているところでございます。
○魚住裕一郎君 人権救済といっても、する側、される側一方だけということじゃなくて、人権同士がぶつかるような事案も出るんだろうというふうに思います。政府の方で検討をされております個人情報保護法制の問題でも、報道の自由との関係で大変注目をされ、議論されているところでございますが、例えば先ほども議論されました報道被害というような場合、表現の自由、報道の自由とその犯罪被害者の人権という問題がぶつかってくるんだろうというふうに思うところであります。 また、人権といっても、個別の人権によって要素が、いろんなことを配慮しなきゃいけないのかなというふうに思っておるところでありまして、例えば信教の自由の場合もかなり個別にデリケートな問題が出てくる、さらに学問の自由についてもかなり配慮しなきゃいけないだろうなというふうに思うんですが、人権救済といっても、個別のどの程度まで細かく議論がされているんでしょうか。
○政府参考人(横山匡輝君) 論点整理の中では、人権侵害の類型ごとにどういう救済措置が相当なのかというような観点から議論されておりまして、その中の類型としましては、大きく分けますと、差別の問題、虐待の問題、さらに公権力の問題、マスメディア等のメディアの問題等の類型、それからまたいろいろな人権侵害に共通する部分を抽出して、それについての共通項目についての検討というふうな形で、今そういう類型に沿っていろいろと審議が進められているというところでございます。
○魚住裕一郎君 人権救済制度ですから、救済を何らかの形で人権機関というところが行動を起こして、行政処分まではいかないでしょうけれども、いろんなことをやるんだろうなと。当然言うことを聞いてもらわなきゃ困るわけで、裏づけというものをいろいろ考える必要があろうかと思いますが、その点はどういうことが考えられているんでしょうか。
○政府参考人(横山匡輝君) その点につきまして、この論点整理の中では、救済の措置の項目では「検討対象となる救済手段・手法の例」としまして、任意的なものであります相談、あっせん等から調停、仲裁、勧告・公表、命令・裁定、訴訟援助等の項目が掲げられておりまして、こういう項目に掲げられた措置等につきまして、その可否あるいは当否等について議論が進められているところでございます。 それからもう一点、対外的にいろいろ活動する中では、調査手続、調査権限の問題がありますけれども、これにつきましても、実効的な救済を図るためにはどのような調査手続あるいは調査権限が必要か、またその調査の範囲についてはどう考えるべきか、このような観点から今議論が進められているというところでございます。
○魚住裕一郎君 人権教育・啓発というような側面からいったら、先ほど局長がちらっとおっしゃった諮問第一の関係で、いわゆる人権教育・啓発の推進法というようなものを与党内からも提案するというような状況かというふうに認識しておるところでございますが、この諮問第一に関連する人権教育・啓発という側面と、それから国内人権機関、先ほどの論点整理の中で出てきている人権教育という部分との関連性といいますか、それはどういうふうに整理されるんでしょうか。つまり、国内人権機関も、先ほど申し上げた救済機能、教育機能というものも入ってきますと、諮問第一でやってきた人権教育というのがあるわけですが、重なっちゃうといいますか、この点はいかがですか。
○政府参考人(横山匡輝君) これはまさに現在調査審議中のことでありますけれども、昨年七月に出ました諮問第一号に関します答申では、まず人権教育・啓発を総合的かつ効果的に推進するための諸方策、いろいろな施策について提言されておるわけでございます。 一方、ただいまは人権侵害の被害者の救済に関する制度との関係でいろいろ調査審議が進められているわけでありますけれども、この救済に当たる機関があわせてこの人権啓発を所掌すべきではないかという議論が今そういう観点から行われているところでありまして、そこでもし、これはまさに仮定の話でございますけれども、そこら辺が積極というふうになるとすれば、当然、一号の答申に出ましたいろいろな施策等につきましてもそういう機関があわせ担当すべきではないかというような議論も、これはまさに審議会の中の議論のあり方ですけれども、そういうような議論も中には出てくるのかと、このように考えておるところでございます。
○魚住裕一郎君 しっかり議論をしていただきたいなと思って、期待を持って注目していきたいと思います。 終わります。
○橋本敦君 私は、今問題になっておりますKSDの関係法人でありますアイム・ジャパン、これについて伺いたいと思います。 アイム・ジャパンは外国人研修生の第一次受け入れ機関として法務省から認定されている業界大手と聞いておりますが、その点は間違いありませんか、法務省。
○政府参考人(町田幸雄君) 間違いありません。
○橋本敦君 報道によりますと、このアイム・ジャパンから研修生のあっせんを受ける傘下の企業は約千五百社、かなりのものですね。これまで外国人研修生はインドネシアを中心といたしまして約一万四千人を受け入れている、こういう実情と伺っておりますが、これも事実ですね。
○政府参考人(町田幸雄君) 平成四年から本年の九月までの間の合計で今御指摘のような数字だと思っています。
○橋本敦君 問題は、このアイム・ジャパン傘下の受け入れ企業の大半で、外国人研修生を受け入れた後で、その研修生に旅券の保管依頼書を半ば強制的に書かせて、研修生の旅券、パスポートを企業が預かって取り上げておる、企業が一括して保存をしておる、こういう状況が明らかになって、この問題について法務省がこれは問題だということで対応されたという状況があるわけですね。 なぜこういうことをするのか。逃走防止という観点からするなら、いわば我が国戦前の問題になったタコ部屋的労働ということにもなるし、国際社会から見て、こういうことをやっていいのかということが人権上の問題として問われかねない重大な問題です。 そこで伺いますが、法務省が平成十一年二月に作成された、私も手元にいただいておりますが、「研修生及び技能実習生の入国・在留管理に関する指針」、これがあります。いいのをつくられております。ここのところで「不適切な方法による研修生の管理の禁止」という項目がありますが、どう書いてあるか御指摘いただけますか。
○政府参考人(町田幸雄君) 「第二次受入れ機関も、研修生の失踪等問題事例の発生の防止を口実として、宿舎内に閉じこめたり、旅券及び外国人登録証明書を預かったりという不適切な対応を行ってはいけません。これらは研修制度の趣旨に反するばかりか、法令違反に問われることにもなりかねません。」、そのように書いてあります。
○橋本敦君 法令違反にも問われかねないというのは、具体的にはどういうことですか。
○政府参考人(町田幸雄君) 先ほど委員が御指摘になりました労働関係法令、あるいは直接は直結しないと思いますが、入管法の旅券の関係法令に違反する、そういう趣旨でございます。
○橋本敦君 要するに、外国人研修生を正当に受け入れて、その研修生の旅券を預かって企業が保管するというのは、まさに逃亡防止にも役立つということを考えたのかもしれないし、合理的理由が全くないどころか、全く人権侵害に類することになる。法務省がわざわざこの指針をつくられて、そういうような意味で外登証あるいは旅券を預かったりする、こういう行為は不適切だということをはっきりとおっしゃっているのは私は正しいと思うんですね。 ところが、このアイム・ジャパン傘下の受け入れ企業の大半でこういうことが行われていたということは、これは国際的にも極めて恥ずべき、また我が国の指針からいってもこれに違反する重大な問題ですが、どういう指導をなさいましたか。
○政府参考人(町田幸雄君) 委員も御指摘のような点は私どもも問題だと思いまして、口頭で繰り返し指導をいたしました。
○橋本敦君 それは指針に反し人権侵害の疑いがある、そういうことはやめなさいと、こういう趣旨を伝えたということですか。
○政府参考人(町田幸雄君) 委員御指摘のとおりです。
○橋本敦君 昨年十二月にこのことを伝えた当時、理事長は問題の古関さんであったことは間違いない、御存じですね。
○政府参考人(町田幸雄君) 理事長はそういう人であるということは知っております。
○橋本敦君 その十二月の法務省の指導に対してアイム・ジャパンは、言いかえれば古関理事長はどう対応しましたか。
○政府参考人(町田幸雄君) 私どもの方から口頭での指導を行ったわけですが、必ずしもその趣旨が十分理解されていないということで、私どもの方からは古関理事長直接ではなく、同財団の研修担当の理事に対しまして文書をもって、再度注意というのでしょうか、指導をしたということでございます。
○橋本敦君 あなたの方が研修担当の責任者に対してしたと言うけれども、この法人の責任者は古関さんですから、会社に対して指導したんでしょう。担当者に個人的に指導したんじゃありませんね。はっきりしてください。
○政府参考人(町田幸雄君) 当然のことながら、研修担当の理事がいわば窓口でありますから、窓口を通してその法人に対してしたということでございます。
○橋本敦君 十二月に口頭で注意され、三月に文書で注意したと。その文書の中身は、概要は。
○政府参考人(町田幸雄君) 受け入れ企業において旅券を保管していること等、そのことにつきまして受け入れ企業が研修・技能実習生の旅券を保管管理することは人権侵害につながる場合があること等から、それについてやめるようにという内容、その他何点かでございます。
○橋本敦君 その文書の指示に対してアイム・ジャパンは誠実に対応しましたか。今はどうなっていますか。
○政府参考人(町田幸雄君) 近々、同財団から当局に対しまして改善の報告がされるものと承知しておりますが、当局としてはその報告内容をよく検討しまして、その報告された内容が今後きちっと履行されるかどうか、そういったことも注視した上で、改善の実効が上がり、同財団の研修がより一層適正に行われるように今後とも指導してまいりたいと考えております。
○橋本敦君 大臣、お聞きのように、このKSD、そしてアイム・ジャパン、余りにもひどいじゃありませんか。去年の十二月に口頭で注意した、ことしの三月に文書で注意した。それに対していまだに誠実な回答もないんですよ。本当に政府の指導、人権侵害があるというこの問題に対して、アイム・ジャパンはまさに不誠実きわまるじゃないですか。何でこんなことになっているんだ。私は、これは本当に許せないことだと思いますよ。 外国人研修生に対する人権侵害のおそれがあると法務省は言っているんですから、だから少なくともこの文書による指導に対して直ちに誠実な答えをし改善処置をとるのが、これが本来当然だと思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(保岡興治君) 今、局長から述べたとおり、近々報告が来るものとは思いますが、この点についてはしっかりした対応にさらに努めてまいりたいと思います。
○橋本敦君 大臣がそうお答えにならざるを得ないほど不誠実きわまりますね。 そこで、お配りしております質問資料の二をごらんいただきたいんです。 このアイム・ジャパンを調べてみますと、古関忠男氏が理事長ですけれども、役員のほとんど、見てください、全く天下りですね。例えば法務省の場合は、これまでに地方の入管局長が天下りをしています。それから、そのほか労働基準局長、また県警本部長、地方の税関長、元大使、警視庁方面本部長、こういう方が天下っていますね。 入管の問題で指導された当のアイム・ジャパンには入管局長である人たちが天下って理事をやっているんですよ。何ということですか、これは一体。何のために天下ったんですか。入管局から適切な指導を受ければ、入管局長であった者が天下っているその人は直ちにそのことを誠実に恥じて、直ちに対応するのが当たり前でしょう。役人がほとんど天下って、逆に政府の施策をなめてかかっているとしか言いようがありませんよ。こんなことを許してよろしいですか。 私はこういうことは天下りの政府とのなれ合いを疑わせる重大な問題だと思いますが、大臣、この実態についてお考えがありますか。入管局長が天下っているんですよ、それで入管局の指導を今言ったように誠実に対応していないんですよ。こんなことが行政として、政治として起こっていいですか。
○国務大臣(保岡興治君) それぞれ御指摘の資料に、元地方入国管理局の局長が就職しているようですが、その経緯は私もよくわかりません。今お話があったばかりでよくわかりませんが、先ほど局長からお話しもし、私もお約束したとおり、今御指摘のパスポートの預かりの問題については適切に対応するように努めてまいりたいと思います。
○橋本敦君 適切に対応をすぐしないというところに天下りした官僚と行政とのなれ合いがある、疑いがある、大変な問題だということを指摘しているわけです。 労働省に伺いますけれども、このアイム・ジャパンは労働大臣認可の財団法人であることは間違いありませんね。
○政府参考人(日比徹君) そのとおりでございます。
○橋本敦君 このアイム・ジャパンは、許可申請がなされたのが九一年、平成三年の十一月二十五日、許可がなされたのが十二月二日、その月に登記がされておりますが、この事実関係も間違いありませんね。
○政府参考人(日比徹君) そのとおりでございます。
○橋本敦君 このアイム・ジャパンがどういうふうに設立されたかという問題については、配付させていただいております資料三がございますが、KSDの三十年史、この中にいろいろ出てきます。アンダーラインをしておりますので、後でお読みいただければ事情がおわかりと思いますけれども、このアイム・ジャパンの基本財産を公開された基本財産で内訳を見てみますと、基本財産は一億円。その内訳は、KSD豊明会が六千万円、KSDそのものが三千万円、その他個人が一千万円となっています。言ってみれば、KSD関係、豊明会とKSDの丸抱えの公益法人だということが明らかですね。 その設立からもそうなんです。このKSDの三十年史を見てみますと、平成三年から四年にかけて、設立された時期ですが、この時期の活動を記述しておりますが、「国際化への一歩」という項目があります。この項目の冒頭に、「KSDは積極的な事業展開と並行して、この時期、もうひとつの注目すべき動きを開始していた。」と、こう書いて、外国人労働者の雇用問題について、「外国人研修制度を大幅に規制緩和し、研修生の就労に道を開くのが最も近道であるとの結論に達し、豊明会はただちに対外活動に入った。」と、こう書いてありますね。 そして、関係する必要な「法改正のためには、国会を動かす必要があった。そこで豊明会は、平成二年五月から数度にわたって有力国会議員と懇談会を開催、制度の変更を迫った。」。それで、九月に豊明会有志によって豊明会中小企業政治連盟、今問題の豊政連が結成され、この問題について豊政連が先頭に立って活動することになった。その豊政連は平成三年五月十四日、総決起大会を開いて、大会終了後、豊政連は法務、外務、労働、通産の四省を訪れて積極的に陳情を行い、活動を開始したと、こうはっきり書いてありますね。 これらの運動の結果として、この三十年史によりますと、「入管法の規制緩和を促し、「外国人技能実習制度」(平成五年四月施行)という新制度の実現に大きな貢献をした。」、こう書いてあります。そして、これに先立つ平成三年、九一年十二月に、外国人研修生受け入れを主目的とした新財団アイム・ジャパンを設立したと、こうなっているわけですね。 労働省に伺いますが、このアイム・ジャパンの設立に当たってKSDや豊政連からこのようないろんな働きかけがあり、要請があった事実は間違いないんじゃありませんか。
○政府参考人(日比徹君) 当時のことでございますのでつぶさには承知いたしておりませんが、この財団の設立に向けてKSDなりその関係者の方々がやっておられたのは事実として確認しておりますし、その過程では恐らく当然のことながら財団設立に向けての働きかけはあったろうと思います。
○橋本敦君 今お認めになったとおりですね。 それで、そういうふうにして、この申請が先ほど私が指摘したように十一月二十五日になされて、わずか七日後ですよ、たった一週間で許可されているんですよ。普通、私どももいろいろな法人の問題やあるいは認可の問題、いろいろ要請することがありますよ。しかし、官庁のいろんな調査その他で一週間で認可、許可してもらうというのは聞いた例がないぐらい速いですよ。異例ですよ。労働省、全く異例の速さだと思いませんか。
○政府参考人(日比徹君) 設立許可申請日から設立の許可日までは、今、委員御指摘のような期間でございます。 それで、公益法人の許可についての一般的な事務の取り扱いを申し上げますと、申請がありますればこれは速やかに許可をするというのが行政手続の一般的なやり方だと思います。それで、通常どうしているかといいますと、公益法人の場合、ところが寄附行為等がきちんと必ずしも整っていないことが多うございます。 したがいまして、この件も形式的な意味の申請日から許可日までは短うございますが、私どもがその当時のことを若干、これきちんとしたものが残っておりませんが、いつごろから相談があったのだろうかということで、精査したわけではございませんけれども、私どもが把握しておりますのは、同じ平成三年の夏ごろには寄附行為の案なるものがつくられて、事前の相談を受けていたのはほぼ間違いないというふうなことでございまして、事前の相談期間がその前にあったということでございます。
○橋本敦君 今のあなたの話は先ほど私が三十年史で言ったこととぴたっと合うんですよ。三十年史では、平成二年五月ごろから数度にわたって有力国会議員と懇談をし要請したと、こうある。いいですか。だから、始まっていたわけですよ。だから、そういう有力国会議員の紹介があり話があったので、下調べも済んで、そして出てきたときにはわずか一週間で認可するというスピードぶりになっていた、こういうわけですよね。 普通はなかなかそうはいかない。役所というのは慎重に検査し、検討し、資料を調べ、容易なことで設立ということの許可はしないので、皆さん苦労しているんですよ。 そこで、次の質問に移りますけれども、労働省、資料四をよく見てください。これは何のリストかといいますと、九一年、この申請が行われた年、この年にKSD秘書室から古関理事長と担当の柴田理事の連名であてた文書です。これはお歳暮発送先リスト、こういうことでお歳暮を送ってよろしいかというリストです。事実またこのとおり行われた。 ここに氏名が掲載されているのをごらんください。当時ですよ。労働大臣、元労働大臣、それから現職の事務次官、それから現職の官房長、秘書課長、そしてこういった申請を受け付ける窓口になる総務課長、それから職業能力開発局担当の大臣官房審議官、それからあとは労働基準監督、これも担当ですから、この関係の審議官、職業能力開発局長。以下、ずらっと並んでいるでしょう。当時の現職官僚、まさに政治家六名、労働省は二十七名、元労働省事務次官経験者四名、大蔵省事務次官など現職官僚六名、こうなっているわけです。全部で四十三名。 これを特、A、それからB、こうなっているんですが、調べたところによりますと、特は二万七千円相当です。お歳暮としてもかなりのものですよ、二万七千円相当。Aは九千円相当、Bは七千二百円相当、こうなっているんです。贈答の時期は、これはこの許可を受けて、我々の調べでは九一年十一月、まさにアイム・ジャパンが設立の許可申請をし、許可が行われた十二月二日、その時期にまさに合致してお歳暮という名目でこういうのが送られているわけですよ。いいですね、労働省。 こういうように、アイム・ジャパンというまさに労働省認可の法人がつくられる過程で、これだけ関係者、現職のお役人、高級官僚及び労働大臣がこういうところからお歳暮をこれだけ受けている。便宜を図らずにおれぬじゃないですか。もらって知らぬ顔するというようなことができますか。こんなものを歳暮として受けてよろしいんですか。労働省、どう思いますか。
○政府参考人(日比徹君) 今、資料で拝見しました件でございますが、私ども労働省はその当時も含めまして綱紀粛正の徹底を図っておりましたけれども、今御指摘のような点、平成三年当時の労働省幹部がKSDからお歳暮というものを受け取っていたとしますれば、非常に遺憾なことだと思っております。 現在は、御案内のとおり公務員倫理法もございまして、職務に係る倫理の保持を図っておるところでございますけれども、なお一層綱紀の保持に努めてまいりたいと考えております。
○橋本敦君 現在はそうですが、当時は受け取っていたんでしょう。今の伊藤事務次官、このリストの中にも伊藤さんの名前は当時総務課長として出てくる。伊藤事務次官は記者会見で、その当時、歳暮をアイム・ジャパン、KSDから受け取っていたということは、これは否定されていませんね。不明であったというようにおっしゃっているというように新聞で見ましたが、間違いないんじゃありませんか。
○政府参考人(日比徹君) 今般、週刊誌等でリストが出た際、私どもの方ではその件につきましてOBの方々含めましてお尋ねをいたしました。
○橋本敦君 現職もあるでしょう。今の現職の人もね、OBだけじゃなくて。
○政府参考人(日比徹君) はい。リストに載っていた方々につきましてお尋ねをいたしました。 十年近い前のことなので、きちんと記憶しておるという方はおられませんでしたが、つまり受け取ったという記憶を必ずしも持っている人はいませんでしたが、先ほど委員が次官の御発言を御指摘いただいたように、私どもの次官も、定かには覚えていない、しかしリストに載っているとすれば、受け取っていないと言い切れるかという問題については定かでないので、受け取っていたとすれば非常に申しわけない、遺憾なことだということを言っております。ほかの者も同様でございます。
○橋本敦君 受け取っていないとは言い切れないというように聞いていいでしょう。はっきりしてください。責任持って答えてくださいよ。
○政府参考人(日比徹君) 受け取ったという記憶はないが、受け取っていないと断言することもできないということは認めております。
○橋本敦君 受け取っているんですよ。たくさんもらっているからわからぬのかもしれぬが、リストはあるんだから。 だから、こういうように歳暮攻勢を役所にかけるということもけしからぬが、そういうことで歳暮はたくさんもらい、そして政治家からも豊政連を通じていろんな働きかけがあり、そういうことの中でKSDはまことにずさんなことをやり、KSD関連のアイム・ジャパンという財団法人も人権侵害を法務省の指針に反してまで侵すようなことを関係企業にやらせるという、そういうことまで起こって今まで何のチェックもできなかった。これは国政上の重大問題ですよ。この問題で法務省入管局は文書で指導したが、いまだ返事がない。これからちゃんとやらせると大臣も言いましたけれども、生ぬる過ぎますよ、実際。私はここに今の国政上の乱脈が政官業癒着の中にあるということを厳しく指摘せざるを得ません。 労働省の総務課長当時、Aランクで歳暮をもらった伊藤庄平事務次官は、十月三十日の記者会見で、このパスポート一括保管という人権侵害として法務省から指導された問題については労働省としても指導を徹底したい、こう述べておられますが、労働省としてはこの人権侵害の問題について今後どのように調査をし、指導を徹底するつもりですか。
○政府参考人(日比徹君) パスポート保管の件、私ども把握がおくれておったことはまず申しわけないと思っております。 今後の問題でございますが、私ども、実態解明といいますか、進行形のようでございますので、いわゆるアイム・ジャパンの方でも是正措置に踏み切っておるやに聞いておりますが、その間の事情をきちんと把握いたしまして、このようなことが起こらないよう必要な指導に十分努めてまいりたいと思っております。具体的にはいろいろなやり方があろうかと思っております。
○橋本敦君 具体的ないろいろなやり方は任せます。だから、きちっと事情を調査し、指導し、その結果について、どういう調査をし、どういう結果であり、どういう指導をしたか、報告をしていただくことを私はお願いしておきますが、いいですね。
○政府参考人(日比徹君) 私ども報告するにやぶさかじゃございませんが、報告の仕方等いろいろあろうかと思いますので、また御指示いただければと思います。
○橋本敦君 報告していただくことは約束していただきました。 委員長、ちょうど二十六分まであと一分ですが、中川官房長官の問題をやる時間はもうありませんので、きょうはこれで終わります。 刑事局長その他来ていただいて、警察庁恐縮でございました。御退席をお願いいたします。
○福島瑞穂君 先ほど小川敏夫さんの方から、まず民法改正の質問がありました。私も民法改正について法務大臣にお聞きをいたします。 先ほど最高裁は婚外子差別について合憲と出したということをおっしゃいました。私はこの裁判の代理人の一人でした。最高裁は、十五名中五名の裁判官は憲法十四条一項に違反しているとの反対意見を述べております。また、合憲意見を述べた裁判官の中でも、四名は、子の権利を重視する観点から本規定の合理性に疑問ありとする立場を生じているのは理解でき、立法で改正することが至当であるなどの意見を出しており、立法により改正すべきであるとしています。すなわち、一九九五年の最高裁判所の裁判官のうち過半数が現行の婚外子の相続分の規定について違憲ないし立法による改正の必要性を認めております。 また、御存じのとおり、東京高等裁判所は二つのケースについて民法九百条四号ただし書きは憲法に違反するとの違憲決定を二件出しております。そのようなことにかんがみても、婚外子差別撤廃については法務省は前向きに取り組むべきではないでしょうか。
○国務大臣(保岡興治君) 今、委員御指摘のように、最高裁は一応合憲の判断をしていることは間違いない事実で、そこに御指摘の少数意見があることも承知しておりますが、このようにいろいろ裁判所においても判断が分かれる、しかも世論も大きく分かれている、しかも消極的な世論の方が多数であると。こういう状況を踏まえて、先ほど来申し上げているように、国民の社会生活上も非常に大きな影響を及ぼす問題でございますから、法務省としてはそういった国民の大方の意向というものを踏まえて対処をしたいと存じておりますが、御案内のように議員立法も提出されていることでございますので、舞台は国会の場に移っているのではないかと思います。 そういった意味で、こういったものに対する政党の対応などを法務省としては見守っていくのが今の我々の立場だと承知しております。
○福島瑞穂君 世論調査のことをおっしゃいました。しかし、例えば一九九六年、東京都の生活文化局の世論調査によりますと、選択的夫婦別姓の法制度化については女性の四〇・八%が賛成、また女性では若年層ほど容認派が多い傾向にあり、二十歳代の女性では八割に上っております。 御存じのとおり、夫婦別姓選択制の問題については、性別差もありますが、むしろ世代間格差がありまして、結婚をする可能性が最も高いと思われる二十代、三十代の人たちの間、特に女性の間では非常に高い支持をするという答えが出ております。若い人たちがどういう結婚を望むかということに関して古いアンシャンレジーム世代が立ちはだかるというのはおかしいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(保岡興治君) 委員御指摘のような世代間に認識や考え方に差があることも事実でしょうし、またこの問題については、政府の男女共同参画審議会ですか、そこの答申もございます。世の中にはいろんな変化もあるわけですから、先ほどから申し上げているように、政府としては審議会の答申の内容をわかりやすくパンフレットなどで国民に広く公開もしておりますし、努力はしておりますが、先ほど申し上げたように、今の段階では国会の、あるいはそれに対する政党の対応というものを見守ってまいりたいと思っております。
○福島瑞穂君 法務省の努力をお聞きしたいんですが、現在もパンフレットを配布するなど世論を変えるために努力をしていらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(保岡興治君) 世論を変える努力をする必要がないかということですか。
○福島瑞穂君 はい。
○国務大臣(保岡興治君) その点については、先ほど申し上げたように、議員立法が国会に提出されておりますので、私はやはりその動向を見守るのが正しい対応だと思っております。
○福島瑞穂君 法制審議会で五年間議論をして法務省自身がつくられた、法制審議会の答申を受けていらっしゃるわけですから、今もその努力をし続けていただきたいというふうに思っております。 これについては、先日も総理府が出しました「男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方」、男女共同参画審議会が出したものに民法改正が盛り込まれておりますので、法務省としても取り組んでくださるように強くお願い申し上げます。 次に、千葉県警わいせつ事件についてお聞きをいたします。 平成七年十一月二十六日に発生した事件について、当時、警察はどのように事実関係を認識していらっしゃったでしょうか。
○政府参考人(石川重明君) 本件につきましては、平成七年十一月の事案が発覚をした時点でございますが、その直後から、事案の真相を究明するということで被害女性からの事情聴取あるいは職員の取り調べ等を並行して実施したというふうに承知をいたしております。 この際、被害女性に事実の詳細について語っていただくことができなかったということが一つございます。それから、被害親告、供述調書の作成も拒否をされる、こういうことでありまして、事実関係の全容を把握することができなかったわけでございます。 ただ、留置場におきまして女性被留置者に対して極めて不適切な行為があったということについては認定のできる状況でございましたので、それに対してきちっとした懲戒等の処分をもって臨むということで処理をしたというふうに承知をいたしております。
○福島瑞穂君 平成七年十一月の段階で、加害者とされた男性も事実を認めたんでしょうか。極めて不適切な関係とは、罪名でいいますと何を指すのでしょうか。強制わいせつでしょうか、強姦でしょうか、それとも単にさわったということでしょうか。
○政府参考人(石川重明君) 当時の時点におきまして、強姦というような事実関係は両者から出ていなかったと思います。
○福島瑞穂君 御存じのとおり、先日、この件について実刑判決が下されました。先週金曜日、元警官に二年六月の実刑判決。強姦があった。代用監獄のもとにおいて強姦があり、特別公務員暴行陵虐罪で実刑判決になりました。その判決の中で、事実認定は、当時その女性も男性も強姦の事実を認めている、調書もあったということが判決で認定をされております。今と事実認定が違うんですが、どうなんでしょうか。
○政府参考人(石川重明君) 私ども、五年近く前の話でございますから、手持ちの資料でお話をしておるわけでございますけれども、その時点においていわゆる被害女性に関しては先ほど申しましたようなことを言っておられるわけで、それから今回判決が下された元警察官につきましても強姦をしたというようなところまでの供述がなかったわけでございます。
○福島瑞穂君 そうしますと、刑事裁判の中の事実認定と違うんですね。それはなぜでしょうか。
○政府参考人(石川重明君) これはことしの三月だと思いますが、この女性の声というようなテープが報道されまして、それに基づきまして、その被害女性から、その当時の事情、それから現在訴追等についてどういう意思を持っておられるかということを再度確認をする必要があるということで調査を開始したわけでございます。 その調査の過程で、やはり女性からは最終的なお話もございませんし、それから被害調書にも応じられない、告訴の意思というものも表明されない、そういう状況があったわけでございますが、私どもは、この警察職員が極めて不適切な行為をしたというような判断のもとにこの警察職員をさらに取り調べをする、そういう過程において今お話しの判決で認定をされたような事実関係が今回の判決が下された元警察官から出たと。それによりまして、千葉県警察におきましては特別公務員暴行陵虐罪ということで地方検察庁に送致を行った、こういうことでございます。
○福島瑞穂君 特別公務員暴行陵虐罪と千葉県警が認定したのはいつですか。
○政府参考人(石川重明君) これは、ことしの三月二十九日の法務委員会におきまして事実関係の調査について千葉県警察がさらに進めるようにというようなお話がございまして、私ども警察庁からもその旨千葉県警察に伝えました。そして、五月二十三日に元巡査長を特別公務員暴行陵虐罪で書類送致をしたということでございますから、これの前の捜査段階、五月二十三日以前の段階だと、ことしになってからと、こういうことでございます。
○福島瑞穂君 刑事判決の中では、当初から二人は強姦であるということを認めていたということに事実認定がされているのですが、なぜ私は千葉県警が当時両者の言い分を聞いたときに強姦ということの事実認定ができなかったか非常に疑問なんですね。 もう一回お聞きします。女性はその当時、強姦である主張をしなかったんですか。
○政府参考人(石川重明君) 現在私どもが調査可能な資料では、そういう主張はなされておりません。
○福島瑞穂君 先ほど不適切なとおっしゃいましたが、具体的に男性は何をしたと言ったんですか。
○政府参考人(石川重明君) 今お尋ねの件につきましては、平成七年の十一月二十六日の夜に、千葉県の船橋東警察署の留置場で、当時の巡査長でございますが、留置中の女性の体にさわるなどの不適切な行為をしたと、こういうことを本人が言った、こういうことでございます。
○福島瑞穂君 細かくて済みません。それは強制わいせつが立件できるというふうに警察は考えられましたか。
○政府参考人(石川重明君) 当時の状況において強制わいせつということはあり得たと思います。 ただ、強制わいせつについては、本人が被害親告も被害届にも応じない、調書化にも応じない、それから告訴の意思もない、そしてこのことについて公にしたくない、こういう意思を非常に強固に持っておられたというふうに承知をいたしております。
○福島瑞穂君 この警官は諭旨免職になっているのですが、強制わいせつが本人の親告罪で、当時刑事告訴がなかったというふうにおっしゃいましたけれども、それは刑事裁判の中で明らかになっていることとは違いますけれども、なぜ警官は諭旨免職なんでしょうか。諭旨免職で退職金が出ているわけですが、なぜ懲戒免職ではないんですか。
○政府参考人(石川重明君) 現在、私ども、懲戒処分の基準というものを持っているわけでございますが、当時の時点におきましてはこの問題を立件するに至らなかった、証拠関係によりまして、という状況下で、どういう懲戒処分をするかということについて、懲戒免職というところまで至らない諭旨免職ということで対応した、こういうことだろうと思います。
○福島瑞穂君 当時、代用監獄のもとで警官が女性の体にさわって強制わいせつが成立する余地があったと。それであれば特別公務員暴行陵虐罪が成立すると考えられます。 そうしますと、これは女性側の刑事告訴は必要ないわけですし、男性側も代用監獄のもとで拘禁されている女性にそういう行為をしたことを認めているわけですから、諭旨免職でなく懲戒免職にすべきだと考えますが、いかがですか。
○政府参考人(石川重明君) 今たびたびお答えをいたしておりますように、当時、千葉県警察におきましては、関係者から事情聴取をするなど、この事案の解明に努めたわけでございますが、女性に被害親告の意思がない、事実関係の詳細な供述が得られない、またこの元巡査長についての供述も不明確である、そういったようないろいろな状況から事件化ができないという判断をその時点において証拠との関係でしたのではないかというふうに思います。 それから、懲戒免職とはせず諭旨免職処分にしたということについては、当時の時点で諭旨免職処分というのは懲戒免職処分に次ぐ重い処分という位置づけを行っていたのではないか、こういうふうに承知をいたしております。
○福島瑞穂君 全く納得がいかないんです。 先ほど体にさわったというふうにおっしゃったので、強制わいせつですかと言ったらそうだとおっしゃいました。ですから、特別公務員暴行陵虐罪が成立しているわけですから、事実関係は明らかです。 それから、もう一つ申し上げます。 刑事裁判の判決の中で実刑判決がちゃんと出たわけです。その中で、両方が当初から強姦を認めていたということも判決の中で裁判所で認定をされました。当時の警察はそこまで捜査できる能力がなかったんですか。身内だから捜査が甘くなったんですか。
○政府参考人(石川重明君) これは捜査によって立件をするときにどこまでの証拠をきっちり固めるかという捜査上の問題だろうと思います。 それから、当時、身内かばいのためにこの問題について何らかの手心が加えられたのではないかというような観点からの御質問だと思いますが、それにつきましては、この事案の発生につきましては警察庁も報告を受けておりまして、そのときに、この問題については厳正に処理をするようにということで千葉県警察に指示をしている、こういう経過がございます。
○福島瑞穂君 厳正に処分せよと警察庁から指示が出ているにもかかわらず、なぜ退職金を払って諭旨免職なんですか。それから、なぜ裁判の中で明らかになったようなことを当時明らかにできなかったんですか。やっぱり隠ぺいをしたと言うしかないというふうに思っております。 それから、当時、宮内博文船橋東署刑事課長は、千葉刑務所へ移監された彼女のもとに日参し、この人の刑事責任は問わない、事件は口外しない旨の誓約書を書くよう迫ったとありますが、これは事実でしょうか。
○政府参考人(石川重明君) この件について、その後の調査、現在判明している事項について申し上げるわけでありますが、まず報道において何か念書があるのではないかといったようなことが言われておるわけでございますが、この留置場の女性に対する不適切な行為を認知した平成七年当時、県警において事件化のために被害届の提出について説得を行いました。しかし、先ほど申しましたような経緯でございました。 そういう状況で事件化ができないということの判断になりましたので、本人の意思を確認するために処罰を望まない旨の上申書を書いてもらったというような事実はございます。ただ、この上申書なるものは女性から強制的に徴取したものではない、女性が自由な意思に基づき書いたものであるというふうに千葉県警察から報告を受けているところでございます。 それ以外に、念書あるいは誓約書と言われるような内容の書類はないという報告を受けているところでございます。
○福島瑞穂君 非常に変だと思うんです。普通は被害に遭った人間が被害を訴えて加害者が否定するのに、おっしゃることですと、加害者は事実関係、特別公務員暴行陵虐を認めながら、女性側が言わないと。で、訴えないという書面にサインをしてもらったということで、やっぱりこれは隠ぺいではないかというふうに思います。 遠藤豊孝本部長、それから福島警務部長、二人がかかわっていたんじゃないかと言われておりますが、その後、遠藤豊孝氏は警察大学の校長になって、その後六千万円の退職金を受け取っております。 先日、神奈川県警の覚せい剤のもみ消しが出たときに、本部長は警察大学の校長にその後なっておりますが、これはこの件が明らかになって退職金を返還しております。 それほど厳しくもみ消しや隠ぺいやきちっと捜査をしなかったことについて責任をとっているのに、なぜ千葉県警の場合はこういう状況になっているんでしょうか。あるいは、先日実刑判決が出たことによって当時の捜査に対する反省というのはあるのでしょうか。
○政府参考人(石川重明君) 本件についての捜査の経緯につきましては先ほど来御答弁申し上げたとおりでありますが、事案の発生当時、千葉県警察において捜査をした、その結果、事件として立件できなかったものでありまして、そのこと自体が何らかの刑罰法令に触れるといったようなものではないとふうに思っております。 それから、当時もみ消しみたいな話をきちっとどこかで行われたようなことがあるのか、こういうようなことでございますが、そういったような事実は承知をいたしておりません。
○福島瑞穂君 ことしに入って、千葉県警はもう終わったことなのだから立件をしないというふうに言っております。この問題をもう一回洗い直すということは、ことしに入っても千葉県警自身が自発的にできたと思いますが、それはなぜなされなかったんでしょうか。
○政府参考人(石川重明君) 警察庁から法務委員会での御議論を踏まえて指示をしたということは事実でございます。 その後、千葉県警察としては、所要の体制をもってきちっとした捜査を遂げた、そして送致に至った、こういうことだろうと思っております。
○福島瑞穂君 この千葉の特別公務員暴行陵虐事件で、代用監獄下において拘禁されている女性が強姦をされたということが明らかになり、実刑判決が出ているわけです。ほかにも調べたところ、実際に事件になっているケース、代用監獄のもとで強姦をされているケースはあります。警察はひどい状況なわけですね、拘禁されている女性がいて、監禁されている状況のもとで警官が入って強姦をするわけですから。 こういう事件が起きていることで代用監獄制度そのものについても批判が当然出るべきだと思いますが、どうお考えでしょうか。
○政府参考人(石川重明君) 看守の勤務員がこのように女性の被疑者に対して違法行為を行うというようなことは絶対にあってはならないということであることは確かでございます。そして、この件につきましても大変遺憾に思うわけでございます。 今回の事案を見ておりますと、これはいろんな状況下の中で、行為者本人のモラルとか資質といったところがむしろ大きかったのではないか。いわゆる代用監獄制度の必要性の議論とこれが直ちに直接結びつくようなものではないというふうに考えております。 ただ、警察庁といたしましては、こうした事案については真摯に受けとめて、反省すべき点は反省をして、第一線に対する再発防止のための指導を今後も行ってまいりたい、こういうふうに考えております。
○福島瑞穂君 権力的関係における性暴力というのはひどいものですけれども、意識の問題、それから代用監獄制度の問題、それから事件が発生した後の警察の取り組みの問題、これはこういう形で新たに提起されない限り全く人目に触れることはなかったわけですから、そういう意味でも警察に本当に自浄作用があるのかどうか、警察法改正案が国会に出ておりますけれども、それが問われると。これはメディアが取り上げたことによって問題が明るみに出て判決になったわけですけれども、メディアが取り上げなければ一切私たちは知ることすらできなかったわけです。警察の自浄作用が本当にあるのかという点について厳しくこれからも質問していきたいと思いますし、ぜひ警察の中での意識の改革あるいは制度の改善をよろしくお願い申し上げます。 次に、証拠開示の問題についてお聞きをいたします。 司法制度改革の中でも証拠開示は議論になっておりますが、特に再審請求中の証拠開示のルールについてどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(保岡興治君) 公判に提出していない記録の開示につきましては、検察当局において個々の事案ごとに関係者のプライバシーの保護あるいは将来の捜査における協力の確保などの観点から個別に判断すべき事柄でございますので、法務大臣として答弁すべき性格のものではないと考えています。 なお、いわゆる狭山事件における証拠の開示につきましても、検察当局においてただいま申し上げた観点を踏まえて適正に対処しているものと承知しております。
○福島瑞穂君 捜査の段階と公判の段階と再審請求中における証拠開示は共通のルールもあると思います。ただ一方で、再審請求中ですと動的に動いているわけでもありませんし、ある程度捜査に影響を与えるということもないわけです。 そういう意味では、保岡法務大臣御自身で再審請求中の証拠開示についてどうお考えでしょうか。
○国務大臣(保岡興治君) 今、委員もお認めになったとおり、私が先ほど示した関係者のプライバシーの保護の問題とか、将来捜査に協力していただくのに、それに支障にならないかというような観点、これはやっぱり再審請求の記録でも私はないとは言えないと思うんです。 したがって、それは再審請求の事案であることも加味して、個々の事案ごとに先ほど申し上げた二つの観点に照らして適切かどうかというものを個別に判断するものだと思います。
○福島瑞穂君 どうもありがとうございます。 かなり時間がたっていれば、関係者が亡くなっていることもあるでしょうし、あるいはプライバシーと関係ない部分での証拠の開示は大いになされていいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(保岡興治君) 先ほどと答えは同じになるわけですが、再審の事件であるという事柄の持つ意味や具体的なその事件のどういう証拠を開示するかということも含めて、個別的な適切な判断にまつべきだと思います。
○福島瑞穂君 女子差別撤廃条約選択議定書の個人通報制度についてお聞きをいたします。 女子差別撤廃条約の違反を個人が国際機関に通報できる個人通報制度の制度的侵害を国際機関が調査できる調査制度を定めた選択議定書が十二月二十二日に発効されますが、日本政府においてはどのような検討状況にあり、いつごろ批准される予定でしょうか。
○政務次官(上田勇君) 女子差別撤廃条約選択議定書に規定されております個人通報制度、今、委員の方から御指摘がありましたけれども、につきましては、条約の実施の効果的担保を図るとの趣旨から、注目すべき制度であるというふうに考えてはおります。他方、我が国の司法権の独立も含め、司法制度との関連で問題が生ずるおそれがあるという点も考えられるところでございます。 この問題につきましては、男女共同参画審議会の答申の趣旨や、また委員の御指摘も踏まえまして、また本選択議定書発効後の制度の運用状況等も見つつ真摯に検討を進めていきたいというふうに考えております。
○福島瑞穂君 前向きの御答弁、大変ありがとうございます。 ところで、司法権の独立を批准しない理由に挙げているのは日本だけです。司法権の独立を持ち出すのは国際人権のスタンダードからずれているのではないでしょうか。 それから、法務大臣、法務省にぜひお願いを申し上げます。 ことしの六月にニューヨークでありました国連女性二〇〇〇年会議の日本政府代表団のメンバーに、外務省はもとより、厚生、労働、農水省などは入っているものの、法務省はだれも派遣をしておりません。国連の選択議定書の会議にも一度も出席されていないと聞いております。ぜひ法務省が積極的に選択議定書や女性会議に出席をされ、選択議定書の検討においても、国内の女性団体、人権団体とも積極的に意見交換されることを強く望みたいと思います。 保岡法務大臣、どうか御決意をお聞かせください。
○国務大臣(保岡興治君) お尋ねの国際会議に日本国政府としていかなる構成で代表団を派遣するかについては、その時々の個別の事情に応じて政府内で調整が図られておりまして、私からちょっとお答えしかねるところがあるわけでございます。 なお、一般論として申し上げれば、対外的な関係における日本国政府としての見解をまとめる過程で、法務省としてもその都度必要な意見は述べておるところでございます。
○福島瑞穂君 日本が最後に批准するということにならないように、ぜひ選択議定書の批准をよろしくお願いします。 終わります。
○平野貞夫君 先日、保岡法務大臣から当委員会にあいさつという、あいさつにしては結構中身のある所信的あいさつといいましょうか、受けまして、資料も熟読玩味させていただきました。保岡法務大臣らしい内容のあるあいさつであったと私も評価をしておるんです。 当面の法務行政、法務問題についてるる述べられておるわけですが、私、若干寂しい思いをしましたのは、組織犯罪の問題とかオウムの問題、法秩序のあり方について触れられておりますが、今何といっても国民的に関心の高いのは多発している政治家関係のいろんな事件でございます。中尾元建設大臣の事件以来さまざまな政治家絡みの事件が発覚していろいろな展開をしておるんですが、そういったことについて御所見があったら本当にもう言うことがなかったというふうな気持ちを持っておるんですが、それがない。なかなかあいさつとして言えない事情はわかりますが。 そこで、一連のそういう多発する政治家のいろんな事件に対して今どのような御感想、御所見をお持ちなのか、お聞かせいただけませんか。
○国務大臣(保岡興治君) 委員ももう十分御承知のとおりで、日ごろの御活動の中で強くそれを感じていますから共感を覚えておりますが、今は非常に大きな時代の転換期でございます。したがって、政治がリードして、未来の日本のあり方あるいはそれを支える戦略的な、体系的な政策群というものを用意しなきゃならない。それは官僚に任せられない部分で、本当に国民と一緒になって、そういった意味での政治のリーダーシップが強く求められる。そのために、政治改革、行政改革、さらにはその延長線上として司法改革の完結ということを求めてやっている、努力しているわけでございます。そういう中にあって、信なくば立たずと言いますが、やはり国民の支持を得て、そういった国民のエネルギーや国を思う気持ちを受けて政治をやっていく上で政治家にいろんな不祥事が重なっていることは極めて遺憾で大きな問題だと思います。 したがって、私としても、おっしゃるようにあいさつの中でそういうことに言及すべきではなかったかという御指摘だと思いますが、既に個々の事件として具体的な問題になっておったり世間の耳目を集めたりしております案件については、法務大臣としては、かねてから申し上げているとおり言及することは差し控えております。ただ、一般的には、検察にあって、もう御承知のとおり不偏不党の立場で厳正にそういった御指摘のような種類の問題についても対処してまいっておりますし、そのことを私としては信頼している立場でございますので、あいさつの中で特段触れなかったことを御理解賜りたいと思います。
○平野貞夫君 さまざまな凶悪な事件が発生しておるんですが、しかし何といっても法をつくりあるいは法を執行する立場の政治家が不正なことをやっていたら、これは世の中治まるはずはございません。ただ、非常にデリケートな問題も多うございまして、法務大臣がやれとかやるなとかと言うと、これはまた指揮権の問題にかかわります。そういうことを私は申すつもりはございません。また、与党の方には大変耳の痛い、耳ざわりな話になりますが、政権末期にはさまざまなこういう問題が起こって、検察当局にもさまざまな形での圧力がかかると思います。 そこで、ぜひ法務大臣には、やはり法と証拠に基づいて公正、厳正に対応していただきたいということをお願いしておきます。これは答弁は結構でございます。 そこで、若干個別の問題について触れたいと思います。もちろん具体的な問題については答弁しにくい問題もあると思いますので無理なことは言いませんが、構わない範囲でひとつ現状を説明していただきたいと思います。 といいますのは、新聞、テレビを初め雑誌を含めて物すごい報道があふれています。国民もそれに大きな影響を受けておりますし、またこれだけの報道があるのに国会の法務行政、検察行政を担当する法務委員会で何も話が説明されないということも、これもまた我々の立場からいってよくないことだと思いますので、可能な範囲でひとつ御説明をいただきたいと思います。 刑事局長さんにまずお聞きしますが、先般、東京地検が逮捕しました金融ブローカーの不正融資事件、この捜査の現状を御説明いただけませんか。
○政府参考人(古田佑紀君) ただいまお尋ねの件につきましては、本年の十月十七日、十九日及び三十一日に、いわゆる金融ブローカーと呼ばれている者計十九名をいずれも出資法違反、内容は金銭貸借の媒介手数料の制限違反ということでございますが、その事実で逮捕し、現在捜査中でございます。
○平野貞夫君 けさあたりのテレビですと相当具体的な報道がなされております。都議会とかあるいは元衆議院議員なんというような具体的な報道もされております。そういう方たちへの事情聴取も始まったというような報道がなされておるんですが、もうちょっと具体的に、例えば年内に捜査は終了するとか終了する目標でやっているとか、あるいはこの問題に対する見通しは相当時間がかかるとか、何かそういう時期的な問題でも結構ですから、もうちょっと詳しく説明してくれませんか。
○政府参考人(古田佑紀君) 何分にも現に捜査中の事件のことでございますので、ただいま委員からお話のありましたような時期等の見通しなども含めてお答え申し上げることは、捜査内容あるいは捜査活動にもかなり触れるところも出てまいりますので、御容赦いただきたいわけでございます。 しかし、一般論として申し上げれば、検察といたしましては、当該事件の真相を解明するために必要な捜査を尽くし、その過程で刑事事件として取り上げるべきものがあれば、当然これは法と証拠に照らして適切、厳正に対処するということになるわけでございます。
○平野貞夫君 わかりました。 報道によりますれば、与野党にわたっているようでございますし、非常に問題もデリケートなようでございますので、ぜひひとつ公正な捜査、そういったものを要望しておきます。 そして、これは実は自自連立を平成十年にやったときに自由党側から出しました信用保証枠をふやすという私たちの党の政策提言がもとになっている政策でございます。要するに、最終的には国民の税金によって処理される問題でございまして、この税金のいわば横食いのような、不正な食いつぶしのようなことが行われるということは、私たち政策提言をした立場からいえばまことに遺憾なことでございますので、ひとつ厳正な捜査、厳正な処分が行われるように要望しておきます。これは答弁は要りません。 続きまして、本委員会で既に問題になっておりますKSDの問題に関してちょっと聞いてみたいと思いますが、これも盛んに報道が行われています。 十月六日の各紙の夕刊によりますと、同日午前、KSD本部など関係箇所を背任容疑で東京地検特捜部が強制捜査に着手、家宅捜索した云々という、こういう報道が全紙で報道されておりますが、現時点でこの事件の捜査状況を説明していただきたいと思います。
○政府参考人(古田佑紀君) まことに恐縮でございますけれども、お尋ねの事件につきましてどのような状況になっているかということは、これは捜査機関の活動の内容に絡むことでございまして、御説明するのは差し控えさせていただきたいと存じます。
○平野貞夫君 そうすると、捜査をしていないということなんですか。
○政府参考人(古田佑紀君) 具体的な個別の案件について、御存じのとおり捜査というのはいろんな流動的な過程を経て行うものでございますので、ある一定段階まで捜査をしているか捜査をしていないかということも含めて、これを申し上げることにはいろいろな問題が出てくるということでございます。 したがいまして、そういうことで捜査機関の活動にわたることについては原則としては答弁を差し控えさせていただきたい、こういうことでございます。
○平野貞夫君 私は日ごろ刑事局長を尊敬していますので、余りここで変なことを言いたくないんですけれども、きのうの党首討論で森総理は捜査が行われていると答弁していますよ、森総理は。それから、十月の六日その日には吉川労働大臣は閣議後の記者会見で強制捜査が行われたとコメントしているんですよ。それから、労働省の事務次官も同じことを言っています。それから、問題になっている大物国会議員の事務所は、十月二十六日の読売新聞によりますと、「現在、KSDが(東京地検特捜部の)調べを受けており、コメントは差し控えたい」と。それから、KSD自身の広報部も、十月二十九日の産経新聞によりますと、「東京地検に資料が押収されているため確認できない」というコメントを出しているんですよ。 捜査しているのかしていないかということも答弁できないというのは、何かあなたに圧力がかかっているんじゃないかと思って、私、心配をするんですが、いかがでございますか。
○政府参考人(古田佑紀君) 新聞報道なり、あるいはいろんな事件の関係者の方がそれぞれどのようなことを発言されるかということにつきまして、私どもとしてそれについて申し上げるべき立場でもございませんが、私が申し上げましたのは、捜査当局の立場としては私が先ほど申し上げたようなことでございますということを御理解いただきたいということです。
○平野貞夫君 刑事局長の立場は理解しますが、ではこの委員会で何がどうなっているかということはわからぬわけですので、私は新聞のスクラップから若干報道を中心に例を私の発言時間の中で申し上げたいんです。 その報道は、関係者の話によるとということから始まって、結構詳しい資料に基づく内容のことを言っているわけなんです。ですから、関係者といったらやっぱりこれは検察関係だと思うんですよ。これは勝手に言っていることですから気にしないでください。 そこで、例えば十月六日の産経新聞の夕刊によりますと、「KSD 本部など捜索」という五段抜きの大きな見出しが出て、「労働省所管の財団法人「ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団」の古関忠男理事長が、親族が経営する関連企業に数億円を不正に融資していた疑いが強まり、東京地検特捜部は六日午前、背任容疑で強制捜査に着手、同本部など関係個所を家宅捜索した。特捜部では、すでに、古関理事長ら役員数人から任意で事情聴取している。」と。こんな話はよその人から出る話じゃございませんですね。 それから、代表的な話としまして、やはり同じ十月六日の毎日新聞の夕刊によりますと、これは固有名詞を出すのは非常にまずいんですけれども、既にもう国会に出されておりますので、「村上議員選挙に協力」というので五段抜きの記事がございます。「「中小・零細企業の味方」を叫び続けてきたKSD。その不明朗な経理に六日、メスが入った。KSDは政治団体を通じて幅広く献金を行って政界に浸透。特に自民党の村上正邦・参院議員会長の選挙では、比例代表名簿登載順位を上げるための党員集めに協力してきた。」ということで、全部読みませんが、そういう記事が掲載されております。 それから、KSDと取引のあった当事者のコメントも、例えば十月九日の朝日新聞朝刊にはこういう記載で載っております。「KSDと取引のあった男性は「昨秋の同党総裁選の前に、豊政連」、これは豊明会何とか政治連盟ということのようですが、「関係者から「党員になってくれ。党費は持つ」と頼まれた。自分と妻、息子の名前で入党申込書を書いた」と証言。その後、総裁選の投票用紙が送付され、党費を払っていないのに、党の機関誌が送られてきたという。」、こういう事実関係の話も載っかっております。 そこで、だんだんと日にちがたつにつれて詳細な記事になって、十月二十六日、「自民党費 数億円肩代わり」という、これは読売の朝刊の記事ですが、そこで、九年間、昨年末九万人の党員、党費の肩がわりが行われている。「参院選の際には、幹部が」、KSDの幹部ですね、「「村上議員に当選してもらい、KSDを支えてもらいたい。一生懸命に票集めをしてほしい」と号令をかけ、会員らが推薦名簿の署名集めに奔走したこともあった」という記事。そして、これはさまざまな金額的なことも書いてありますが、余りそれは申しません。 そして、KSDの機関誌それ自身、これは平成十年の六月号、二十七号の豊政連新報、これはKSDそのものじゃないですけれども、豊明会政治連盟の機関誌でございますが、ここにこういう記事が載っかっております。「豊政連では本年七月に行われる参院選挙にあたり、」、平成十年ですね、「比例区では村上正邦参議院自民党幹事長を応援しています。村上先生は「中小企業経営問題議員連盟会長」「国際技能工芸大学設立推進議員連盟会長」として、私ども中小企業の声を国政の場で代弁して頂いています。現在の貸し渋りなどに対しても、衆参両院に「中小企業対策委員会」の設置を提案し、この問題解決にあたろうと努力していらっしゃいます」。そして、速報という形で、「村上先生のご努力により、四月三十日参議院において「経済活性化及び中小企業対策に関する特別委員会」の設置が決定しました」と、こういう記事をこの会報に載っけております。 そこで、事実関係というのは捜査当局が調べることでございますが、KSDの事件の問題点を整理しますと、きのうは土井社民党党首は詐欺だと言って絶叫していましたが、そこまでは私は申しません。 一つは、KSDと関連団体関係者はある参議院議員と密接な関係があったと。国政の場にKSDの立場、例えば中小企業特別委員会を設置するとか、あるいはものづくり大学を設置できるようにするとか、先ほど橋本先生から話のありました外国人の問題もそうだと思いますが、そういう政策的な要求に中小企業の声を代弁する関係であったと思います、KSDと今有名になっている参議院の先生は。それが一番。 それから二番が、KSD豊明会、これは会員の福利等のための任意団体で、ここにKSDから年間約三十億が補助されていたというものなんですが、その豊明会から豊政連、豊明会中小企業政治連盟に年間約十億円の政治資金が寄附されていたと。これがトンネルと言われている部分でございますが、このお金で党費の肩がわりが行われていたんじゃないかと推測されておるわけです。 三番目に、この豊政連は村上議員の選挙対策のためにKSDの会員らに自民党員になるよう要請、名義借りの方法で党員を集めて、これが一九九七年には七万四千人、一九九八年、平成十年の選挙のときには九万人の党費の肩がわりが行われたと。それは先ほど申し上げましたように、豊明会がKSDから受けた補助金で肩がわりされていたんじゃないか、こういうことが報道を整理すると言えると思います。 これをまとめて言いますと、KSDと関係者は、密接な関係にある村上議員のために、参議院選挙、すなわち比例代表名簿登載順位を上げるために自民党の党員を集め、党費をKSDで集めた中小企業者の貴重な共済金をもとにして負担していた、こういうのが結論じゃないかと思います。 そこで、刑事局長、こういう新聞報道に基づく私の整理についてあなたにコメントを聞こうとは思いません、これは失礼に当たりますから。個別の問題でございますから申しませんが、これをごく抽象的一般化して、刑法の運用解釈としてお尋ねしたいと思います。 私は法学部に行きましたけれども、刑法の時間は一時間しか出ていませんで、刑法は暗うございますが、私はこの関係は刑法百九十七条の二の第三者供賄罪に当たるんじゃないかという推測をしております。 法律に疎うございますので、ひとつ勉強してみたいと思いますが、Aという人、これが公務員とします。それで、Bという人、これはAと関係が非常に密接な、請託関係をいつでも受け合えるような関係の人。それから、Cという団体があったとします。A、B、Cとこう置きます。 そこで、第一問は、Aという公務員はBの請託を受けて実行しました。これは抽象的に言うわけですから、何も問題になっている人がそうしたというわけじゃございませんよ。そして、Bは公務員AのためにCという団体に寄附をしたとします、その請託の実行のお礼といいますか感謝して。こういうケースが一般論としてあった場合に、これは第三者供賄罪という刑法の適用要件に入りますか、どうですか。
○政府参考人(古田佑紀君) ただいまのお尋ねにお答えする前に一言申し上げておきたいんですが、私も新聞用語というのは必ずしも詳しくは承知しておりませんが、御指摘のようなときに関係者という言葉を使うのは、捜査当局を含まないような場合に普通使っているように私としては理解しております。 さて、ところで今のお尋ねでございますが、これはあくまで一般論ということでのお尋ねでございますので一般論としてお答え申し上げますと、刑法の第三者供賄罪は、御案内のとおり、公務員または仲裁人がまずその職務に関して何らかの請託を受けて、そのことに関連して第三者にわいろを贈らせるということが構成要件になっているわけです。したがいまして、今お尋ねのような関係の場合がこの要件にそれぞれ当たるようなケースでありますれば、これは第三者供賄ということになるわけでございます。
○平野貞夫君 大変うんちくのある御答弁をいただいておりますが、証拠とか要件とかそういうものが論理的に並ぶならば第三者供賄の可能性、適用もあり得るというふうに理解します。 その次は、もう一つは、Bという人がAという公務員のためにCという団体の、これはAとCの関係は非常に依存関係で、Aという公務員はそのCという団体の中で地位を上がりたいというふうにこいねがっているという、そういう関係を想定しますが、C団体の会員を世話してその会費を負担したというような場合にも、証拠とかそういう要件が整うならばこの第三者供賄罪というものは適用されますか、どうですか。
○政府参考人(古田佑紀君) なかなか言ってみれば純粋学問的といいますか、論理的といいますか、そういうふうなお尋ねであろうかとは思われるわけですけれども、一般論として申し上げましても、先ほど申し上げたような、要するに職務に関して請託を受けてわいろをその第三者に供与させたと。したがいまして、職務に関しているとか、わいろに当たるという場合に当たるかどうかというふうな問題というのが当然あるわけでございまして、それが実際の証拠関係からそういうものに該当するということになれば、それは当然第三者供賄になるということです。
○平野貞夫君 そこまで言っていただければ私も大分理解しましたが、抽象論はこれまでにしまして、ちょっとまたもとの具体論に戻りたいと思います。 例えば平成十年四月三十日、連休中でした。突然、中小企業特別委員会をつくると当時のこの当該の人が言い出して不思議に思いました、当時の議長さんもいらっしゃいますけれども。それで、中小企業信用保険法改正案を、拡大するやつをやるわけですね。そして、その年に、これは一種の請託だと私は思うんですが、だって豊政連の機関誌にそのお礼を書いているわけですから、それからたくさんの党費の立てかえをやってもらったということが事実ならば、これは僕は普通の犯罪じゃないと思うんですよ。非常に刑法上の厳しい犯罪になると思います。それから、このときに衆議院は、やはり連休が終わって五月十一日ごろ、特別委員会でほかのものと一緒にやろうとするんですが、特別委員会の設置をめぐって大もめにもめて、何と特別委員会の設置を記名投票でやっているんですよ。そのぐらい不自然な中小企業対策をやっておるんです。 ですから、私はここで言いたいのは、このKSDの問題というのは国会自身が使われているんです、政治家の犯罪に。この認識を私はこの問題に持つ必要があると思うんです。 それで、私、刑事局長に言うわけじゃございませんが、従来の例からいいますと、余り法的責任を問わないときに新聞にどんどんニュースが出るんですよ、私らのような素人から考えますと。そんなことはないと思いますが、こっちの方もきちっとした国民の納得のいく法的責任、そういったものをぜひ、法務大臣にやれとかやるなとかいうことを言っているわけじゃないですよ、法と証拠に基づいて国民が納得いく裁きを、裁きといいますか責任を追及していただきたいということをお願いして、終わります。
○中村敦夫君 判検交流に関して、特に訟務検事に関する質問をしたいと思います。 九月八日に熊本地裁である判決がおりたわけです。熊本県相良村というところで計画されております川辺川ダムの水を利用する国営川辺川土地改良事業というものをめぐって、対象農家らが実質的な事業中止、これを求めた川辺川利水訴訟というものに対する判決なんです。 この裁判を通じまして、土地改良事業計画の同意取得の際のいろいろな不祥事が判明したんです。極端なのは、数十名のもう既に死んだ人の署名があったということが出てまいりましたし、また署名を求める際に虚偽の説明をしたということも明らかになってきているんです。非常にずさんな署名の扱い方をこの担当の役人さんたちがやって回ったと。その結果これが成立してしまったということに対する農民たちの異議申し立てでありまして、四千人ぐらいの農民のうちの半分以上がこの訴訟に参加していると。大方が反対している。ですから、このような形で事業計画が開始されたということは、出発点から間違っているんじゃないかということが大きな問題になっているわけでございます。 結果的に、これは被告農水相の主張をほぼ全面的に認めた国側の勝利、原告側の敗訴になったわけです。しかし、これに関しては、幾ら何でもそんな判決が出るわけがなかろうというのが大方の人々の感想でした。裁判ですから、判決というのは賛成者も反対者も出ますし、微妙なものだとは思いますが、これは余りにも極端過ぎる。このことに関して、私はその判決直後に農水省構造改善局の局長に面会を求めましたけれども、結局、日本は契約社会なんだから一たび成立したものは後戻りできないというような乱暴な答えが出てきたわけですね。 しかし、契約というのは正当な手続と正当な説明に基づいて初めて成立するわけであって、そうでない、うそ八百、死人まで署名しているというような名簿をもとに成立させたのであれば、これはもう詐欺の次元になっているわけですね。こういう状況があるにもかかわらず、要するに国側が勝ってしまったという事実があるんですね。 単にこれは素人考えでおかしいと思っているのではなく、大方の専門家も余りにもこれはひど過ぎるんではないかと。 十月二日付の熊本日日新聞では、熊本大学の中川教授がこういうことを言っております。大きくこの判決の不当性ということを三つ挙げております。一つは、原告適格について範囲を最も狭く解釈し、受益農家全般に適格を認めなかったこと、これは異常だと。それから第二には、事業計画の必要性について行政の幅広い裁量権を認めて、厳密な審査を棚上げしていると。三つ目は、同意手続の違法性について行政庁に寛容な解釈をしたという三つの点を挙げておりますけれども、結局なぜこういう判決がおりたのか、極端な形で問題が出てしまったのかということになりますと、訟務検事の問題というのがどうしても浮かび上がってくる。 この川辺川利水訴訟のケースでは、政府側の担当訟務検事には訟務局局付の畠山稔という人がなっていますね。この畠山さんは一九八四年に横浜地裁の判事補に任命されて以来ずっと裁判官だったわけですね。それで、現在は法務省の訟務局に出向中であると。 こういう状況から見ると、要するに裁判官がいて、それで被告も裁判側がやっている。被告の代表という形になりますね。こういう構造の中では、もう初めから政府側の勝訴ありきというような形になるのは当然なんですね。ですから、全く日本の住民訴訟の公平性というものはこれでは守られない。私は普通のケースのことを申し上げているんじゃない。このケースは特に目立つんですね。 こういう点に関して訟務局長はどういうふうに考えているか、お答えいただきたいんです。
○政府参考人(山崎潮君) お答え申し上げます。 ただいま委員御指摘のように、この訴訟に裁判官出身者が国の代理人となっているということは事実でございます。 結論的に申し上げたいと思いますけれども、確かに今御指摘の点、裁判の公正の問題、公平の問題、御指摘がございましたけれども、その点では問題がないというふうに考えております。 以下、その理由を申し上げたいというふうに思います。 訟務の仕事というものは各省庁からいわば独立あるいは中立的な立場に立って仕事をしているわけでございます。法的紛争に関しまして論点を整理し、それから国の統一的な主張をいたし、最終的には適正な判例の形成に寄与する、こういう仕事をしているわけでございます。また、各省庁が抱えております法律問題点につきまして適切な意見を述べるということによって、法律による行政の確保に寄与して努めているところでございます。 それからまた、もともと法曹というものは、裁判官、検察官、弁護士、いずれの立場におかれましても互いに客観的、中立的な立場に立ちましてそれぞれの職務を全うしている、こういうふうに私どもは承知しているところでございます。 こういう中で、訟務検事も国の代理人といたしましてこのような立場で訴訟遂行に当たっておりまして、裁判官出身であることが裁判の公正を害したりあるいは裁判所の中立公正な立場を揺るがすことはないというふうに考えておるところでございます。
○中村敦夫君 要するに、建前ではなくて、結果的にもうそういう形が出てきていると。ですから、裁判官個人の資質の問題とかではなくて、やはりこれは構造的な問題なんじゃないかと。このケースに限らず、訟務検事というのは九九年十月現在で五十四人もいるわけですね。これだけ多くの裁判官が出向している。 そして、行政訴訟における住民側の勝訴率というのは一%以下という、これはもうとんでもない異常な状態がずっと続いているんですね。住民訴訟というのはおもしろがってやるような性質のものじゃないですよ。本当に住民が国を相手に闘うという、大変な覚悟をしてやるケースが多いわけですから、やはり住民側に理があるというケースの方が多いんですけれども、こういうふうな結果がずっと出ている。 これでは国民の司法制度に対する信頼というのはもうどんどん揺らいできてしまって、裁判そのものに対する、それを使いたいという思いすらなくなってしまうという危機があると思うんですね。ですから、私はこれは構造的な問題だと。その点に関しては前にも何度も質問しております。 元法務大臣だった中村正三郎さんが、そのときの私の判検交流についての質問に対しても、中村さんは確かにある面から見るとおかしいということをはっきり言われているんですね。ですから、この件に関して保岡法務大臣はどういうふうに思われるでしょうか。判検交流という構造的な問題がいろいろなゆがみを生じているということについてお答えいただきたいんですが。
○国務大臣(保岡興治君) 中村元法務大臣がどういう観点からそういうことを述べられたか私はよくわかりませんが、私としては、我が国の司法制度というものは、先ほど山崎局長から申し上げたとおり、法曹は、裁判官、検察官、弁護士のいずれの立場においても、その立場に応じて職責を全うすることができるという理念に立脚しているものと思います。 法務省としては、国に対して提起された複雑困難な訴訟、これを法律による行政の理念のもとに適正に解決するためには、民事裁判の実務の経験を積んだ法曹の能力を活用することが必要であると認識しておりますし、なお訟務検事としてこのような経験が行政に関する知識を磨いて法曹として素養を深めることはあっても、裁判所に戻られて裁判官として執務をされるに当たって、裁判官としての中立公正な立場を揺るがすことはない、これが私の少ない経験からいっても裁判官がその職務を全うするために心がけている点だと承知しております。
○中村敦夫君 ないと言われても、あるんですよね、実際。結果としてある。このことの方が重要なのであって、建前を幾ら言われても実態はちっとも進歩しないということがあるんですね。 法曹一元にするかどうかという問題はさておいて、今法曹三元だということになっていますが、事実上は法曹二元になっているという不思議な形が現実であるということを指摘したいと思います。 次の質問に移りますが、中川前官房長官のスキャンダルに関する質問をしたいと思います。 中川前官房長官というのは、役務の能力不足あるいは倫理的な欠陥ということについて世論の非難を受けて辞任に至ったわけですね。特に女性との不倫疑惑というものに関する批判がクローズアップされたようですが、この点は非難されても仕方がないと思うのですが、この問題をまた別の角度から見ると、中川さんがある種の被害者であるという視点が出てくるんですね。つまり、中川さんと関係のあった女性との会話がテープに入っていたり、奥さんの留守に自宅の二階の寝室で写真を撮るという、こういう異常な物的なものが出てきたわけです。これは要するに普通の愛人関係とか不倫関係の中でできるような仕事ではないというふうに私は考えておるんです。これはもう確実にあるグループが何らかの意図を持って仕掛けた、その中に中川前長官がはめられていたということは、これはだれも否定できないというふうに物事の成り行きから考えられます。 そうしますと、結局その特定のグループというのは、中川前長官を何らかの形でおどす、あるいは取引するということの材料をつくっていたに違いないし、この女性はそのために使われていたということは明確であると思うんです。このスキャンダルが外へ出てきたのは、やはりその要求に中川前長官がこたえられなかったということの報復というふうに考えられると思うんですけれども、法務大臣としてはどういうふうにこの不思議な事件を考えられているか、御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(保岡興治君) 中川前官房長官をめぐる今いろいろ言われた事柄につきましては、私としては事実関係を正確に把握する立場にございませんので、お尋ねの点については答えを差し控えるのが適当だと思っております。
○中村敦夫君 それでは、警察庁及び法務省にお聞きしたいんですけれども、一連のこのストーリー、私が説明しましたが、明らかにある種の恐喝事件であるというふうに推定できるんですけれども、この視点から捜査なり調査というものを開始しているのか、あるいはする意思がないのかということについてお答えいただきたいんです。
○政府参考人(五十嵐忠行君) お尋ねの件につきましては、事実関係を承知しておりませんので答弁を差し控えさせていただきたいと思います。 なお、一般論として申し上げれば、刑罰法令に触れる行為については法と証拠に基づいて適正に対処するというのが警察の立場でございます。
○政府参考人(古田佑紀君) ただいま警察庁の刑事局長からの御答弁もあったとおり、個別の案件については、これについて捜査をどうするかというようなことを特に法務省の立場から申し上げることは差し控えたいと存じます。 ただ、一般的に申し上げれば、犯罪がある、刑事事件として取り上げるべきものがあるという疑いがあるのならば、これは法と証拠に基づいて必要な処置をとるということでございます。
○中村敦夫君 警察庁も承知していないということですね。必要ならばするという答えを私は求めているんじゃないんですよ。私が説明したとおり、これはおかし過ぎるでしょうと、どう考えたって意図的に仕掛けられているんだと。はまったのが中川前長官であり、こういう重要な人物がこんな不思議な事件に巻き込まれているということに関して調べないということ自体おかしいんじゃないかということを言っているんです。 ですから、その理由としてはいろいろあると思うんです。それは、中川前長官のことは私は知りませんが、何らかのグループの中の抗争があるとか、あるいは金銭的な要求があったとか、あるいは利権関係の問題でもめたとか、何かなければこのようなとんでもなく難しい仕掛けができるわけはないわけですよ。そのことについてどういうふうに考えているのか。 もう一つ考えれば、時期的にいえば、官房長官時代にこれが出てきているということになれば、相手のねらいが官房機密であるというようなことすら推理できるわけです。ですから、これはただの女性スキャンダルだけじゃないと思うんです。 そのぐらいの疑問というものは感じないのかということを警察庁と法務省にもう一度質問したいんです。
○政府参考人(五十嵐忠行君) 個別の案件について捜査をしているかどうかということについては答弁を差し控えさせていただきますが、先ほど言いましたように、一般論として申し上げれば、刑罰法令に触れる行為については法と証拠に基づいて適正に対処するということでございます。
○政府参考人(古田佑紀君) 先ほどのお答えと同じ繰り返しになってまことに恐縮ではございますけれども、個別の案件につきましては、やはり捜査活動の内容でございますので、これについて捜査当局としてどうするかとか、そういうことについて申し上げることは差し控えたいと存じます。
○中村敦夫君 明確な答えが聞けないのは非常に残念ですが、内閣の中枢にこんな不思議な、おかしなことが起こっている。非常にやみの勢力との関係という疑惑が高いという事件なんですから、これはぜひ捜査してもらいたいんです。そして、これを明確にしないと、国民の内閣に対する不信、あるいは警察庁、法務省に対する不信というのは増大する一方だと思うので、これを強く要求して、質問を終わります。
○委員長(日笠勝之君) 本日の調査はこの程度にとどめます。 ─────────────
○委員長(日笠勝之君) 民事再生法等の一部を改正する法律案及び外国倒産処理手続の承認援助に関する法律案を一括して議題といたします。 両案について政府から趣旨説明を聴取いたします。保岡法務大臣。
○国務大臣(保岡興治君) 最初に、民事再生法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 近年、いわゆるバブル経済の崩壊後の経済情勢の悪化及びこれに起因する社会経済構造の変革等に伴い、住宅ローン等を抱えた個人債務者の破産件数が急増しておりますが、現行の倒産法制においては、経済状態の悪化した個人債務者が経済生活の再生を図るための手続が必ずしも十全でないとの指摘がされております。すなわち、個人債務者を対象とする現行の倒産処理手続のうち、破産法上の破産・免責手続につきましては、債務者がその有する全財産を清算されることになり、持ち家住宅を保持することができない上、破産者として事実上の社会的不利益をこうむるといった問題点が指摘されており、また民事再生法上の再生手続につきましても、主として中小企業の再生手続として構想されたものであるため、個人債務者が利用するには手続的な負担が重過ぎる等の問題点が指摘されております。 また、近年は、経済活動の国際化の進展により、複数の国において事業を行い資産を保有する企業等が増加しており、このような国際的な経済活動を行う企業等が倒産に陥る事例がふえております。ところが、我が国の倒産法制においては、破産法及び会社更生法が、国内で開始された破産手続等の効力は債務者の外国財産には及ばないものとし、他方、外国で開始された倒産処理手続の効力は債務者の国内財産には及ばないものとする属地主義を採用しているなど、企業倒産事件の国際化に十分に対応したものになっておりません。 そこで、この法律案は、住宅ローンその他の債務を抱えて経済的に窮境にある個人債務者の経済生活の再生を迅速かつ合理的に図るための再生手続の特則を設けるとともに、国際倒産法制に関し、同時に提出いたしております外国倒産処理手続の承認援助に関する法律案と相まって、国際的に整合のとれた財産の清算または経済的再生を可能とする手続の整備を図ろうとするものであります。 この法律案の要点を申し上げますと、第一は、住宅ローンを抱えた個人債務者ができる限り住宅を手放さないで再生できるようにするため、住宅資金貸付債権に関する特則を設けたことであります。この特則におきましては、住宅ローン債権について、再生計画による弁済の繰り延べを一定の厳格な要件のもとに認め、当該債権等を担保するために住宅に設定された抵当権の実行を制限することにより、住宅ローンに関する債権者、債務者間の利益の適切な調整を図っております。 第二は、継続的な収入の見込みがある個人債務者の小規模な事件を対象として、小規模個人再生と給与所得者等再生という二種類の再生手続を設けたことであります。いずれの手続におきましても、その対象を債務額が小規模の個人債務者に限定して、再生債権の調査手続や再生計画の認可のための手続等を簡素で合理的なものとすること等により、個人債務者が利用しやすい再生手続を整備し、債権者にとっても破産の場合よりも多くの支払いを受けることができるようにしております。 第三は、破産法、会社更生法、民事再生法等における国際倒産に関する規定を整備したことであります。破産管財人及び更生管財人の財産の管理処分権を債務者の国外にある財産にも及ぼすとともに、同一の債務者について外国倒産処理手続と国内の破産手続等とが並行的に進行する場合に相互調整を行う旨の規定や、国際倒産管轄についての規定等を設けることにより、国際的に活動する企業等について公平かつ適正な倒産処理の実現を図っております。 なお、この法律の制定に伴い、最高裁判所規則の制定等所要の手続を必要といたしますので、その期間を考慮いたしまして、この法律は公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。 続いて、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 近年、国際的な取引が活発になり、資産の国外移転も容易になったことから、複数の国で事業を行い資産を保有する企業等がふえるとともに、国際的に経済活動を行う企業等が経済的に破綻する事例も増加しております。ところが、我が国の国際倒産法制においては、国内で開始された破産手続等の効力は債務者の外国にある財産には及ばず、他方で、外国で開始された倒産処理手続の効力は債務者の日本国内にある財産には及ばないものとする属地主義が採用されており、国際的に公平、適正な倒産処理という観点から問題があるとの指摘がされております。さらに、平成九年には、国際連合の国際商取引法委員会において国際倒産モデル法が採択され、国連総会において加盟各国に対してモデル法を踏まえた法整備が勧告されておりまして、現在、各国で立法作業が進められている状況にあります。 そこで、この法律案は、モデル法の趣旨を踏まえ、外国倒産処理手続について、その効力を日本国内において適切に実現するための承認援助手続を創設することにより、国際的に整合のとれた債務者の財産の清算または経済的再生を図ろうとするものであります。 この法律案の要点を申し上げますと、第一は、外国倒産処理手続を承認する手続を創設したことであります。外国倒産処理手続の効力を日本国内に及ぼす必要がある場合には、外国管財人等は我が国の裁判所に対し外国倒産処理手続の承認の申し立てをし、申し立てを受けた裁判所は、その外国倒産処理手続について、日本国内において援助を与える適格性を備えているか否かを審査して、承認の決定をすることとしております。 第二は、外国倒産処理手続を援助するため、債務者の日本国内にある財産に関して各種の必要な処分をすることができるようにしたことであります。個々の事案に応じて、強制執行等の手続の中止命令等により債権者の個別的な権利行使を制限し、また債務者による財産の処分または債務の弁済の禁止を命ずる処分や財産の管理処分権を承認管財人に専属させる管理命令等により債務者の財産の管理処分権を制限することができるものとしております。 第三は、国内債権者の利益を保護するため、外国倒産処理手続の承認援助手続に入った債務者または承認管財人が日本国内にある財産の処分または国外への持ち出し等について裁判所の許可の制度を導入し、これに違反した場合の罰則についても整備をしたことであります。 第四は、同一の債務者につき複数の外国倒産処理手続の承認援助手続が競合し、または外国倒産処理手続の承認援助手続と国内倒産処理手続とが競合した場合について、手続相互間の調整の規律を設けて矛盾抵触を回避することができるようにしたことであります。 なお、この法律の制定に伴い、最高裁判所規則の制定等所要の手続を必要といたしますので、その期間を考慮いたしまして、この法律は公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、また証券取引法等の関係法律につき所要の整備をしております。 以上がこれらの法律案の趣旨でございます。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○委員長(日笠勝之君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。 両案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十七分散会