政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会 第10号
- 発言数
- 213 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2000/11/20
会議録
○委員長(倉田寛之君) ただいまから政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会を開会いたします。 公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○池田幹幸君 おはようございます。日本共産党の池田幹幸でございます。 政治家が口ききをしてわいろを受け取るということは、これはもう倫理にもとることだと、これに異論を唱える方はないだろうと思うんです。 今回、与党が提出したあっせん利得処罰法案も、提案理由説明で、「公職にある者の政治活動の廉潔性・清廉潔白性を保持し、これによって国民の信頼を得ることを目的」とすると述べています。つまり、口きき政治を放置していたのではこの目的が達成できないということだと思うんですね。それならば、制定される法律は口きき政治を追放する上で実効性のあるものにしなければならないと思います。 そこで、まず処罰の対象から私設秘書を除外したことについて伺いたいと思うんです。 法案の第二条では議員秘書あっせん利得を規定して、国会法で規定している公設秘書が、議員の権限に基づく影響力の行使としての口きき行為をして財産上の利益を収受した場合、罰することになっていますが、口きき行為という点では、私設の秘書であれ公設の秘書であれ同じではないかと思うんですね。この点について発議者の答弁をお願いします。
○衆議院議員(山本有二君) その口きき行為をするという事実だけに限定して注目をしますと、公設でも私設でも変わりない行為と評価できようかと思います。
○池田幹幸君 同じであるにもかかわらず、公設の場合は処罰の対象、私設の場合は対象から外すということは、権限に基づく影響力を行使して対価を受け取る行為、これを公設秘書がした場合はこの法律の目的である国民の信頼を得られなくなる、私設秘書の場合だったらそうはならないということになりますか。
○衆議院議員(山本有二君) 先生にはつとに御承知おきのとおり、この法律ができました淵源をたずねますと、現代の間接民主主義制度におきまして公職選挙法に基づいて選挙をし、かつ当選をするならば、いわばぬれ手でアワ、甘い汁を吸えるというような間接民主主義に対する批判がございます。その批判に的確にこたえるためには、公職選挙法に基づく選挙によって公務員になる政治公務員に対してしっかりとした身を正す法律、すなわち政治に関与する公務員の活動の廉潔性、清廉潔白性と、これに対する国民の信頼を保護しようとする保護法益をうたっているところでございます。 その意味におきましては、例外は認めるわけにはまいりませんけれども、公設秘書という限定的に、かつまた政治公務員等に準ずる影響力の行使、それをなし得る立場に明確にある者に限って例外を認めた、こういう考え方でございますので、その例外をむやみに広げるわけにはまいりません。そういう意味におきまして、私設秘書は除外をさせていただきました。
○池田幹幸君 ですから、私、最初に質問したんですよ。公設の秘書であれ私設の秘書であれ、この口きき行為、それが影響力を大いに発揮するという点では同じですね。そのことを認めながら、今度は、私設秘書の場合はそういった行為が行われてもこれは国民の信頼を失うようなことにはならないんだと、なぜそうなるんですかと私は伺っているんです。
○衆議院議員(山本有二君) これは憲法にうたわれています三十一条のデュープロセスの原理、すなわち国民に対して刑罰法規を科する場合には、極めて明確に刑事事件である限り身柄を拘束されます。その意味におきましては、一般国民と同等以上に評価されるべき立法権の主人公でございます政治公務員、そういった者の身柄にまで影響するわけでございまして、そう考えた場合に構成要件の明確性、何をしてはならないのか、何をすれば自由なのかということの分水嶺をきっちりとしなければ、これは日本の国家の基本が崩れてしまいます。 そういうような要請が憲法上あるという考え方のもとに態様がさまざまであり、私設秘書といいましても二十そこそこの方の名刺に秘書と書いてある例もあれば、政治公務員以上の貫禄と見識を備えた秘書という名刺の人もおるわけでございまして一様に語られないというわけでございまして、その意味においては極めて合理的な理由を持っている私設秘書の除外ということであろうと考えております。
○池田幹幸君 そのことは後で伺いますが、私が質問していることに答えていただきたいんです。 公設秘書がこういう口きき行為をしたら国民の信頼を失ってしまうんだ、私設秘書だったら失わないんだということでしょうが、処罰しないということは。なぜそんなことになるんですかと、国民はそんなことをだれも思っていませんよ。私設秘書が口きき行為をしてわいろを取った、国民の信頼を失うことにはならない、何でそこで言えるんですか。
○衆議院議員(山本有二君) 刑法典には身分犯という考え方がございまして、身分を有していない私設秘書は処罰されないということは明確であろうと考えております。
○池田幹幸君 それでは、後でそのことにまた戻ることにして質問を進めたいと思います。 これまでの金権腐敗事件、これを見てみますと、私設秘書が大物議員の金庫番として重要な役割を果たしてきております。このことは国民的な常識です。公設であれ私設であれ秘書が議員の影響力、これを背景にして各方面にさまざまに圧力をかけて、そしてまた自分の懐を暖めたり、秘書が議員の政治そのものをゆがめていくという、こういったことがやられてきておることは周知のことなんですが、そういったことをやっている私設秘書を処罰対象から外すということにした場合、これはもうそのような私設秘書が影響力を行使してどんどんわいろも取るわ政治もゆがめるわ、本法の場合には、正当な行為をしているということであってもどんどんやっていくということになったら、結局そういう実態を放置するということになるんではありませんか。
○衆議院議員(山本有二君) そういう実態がありましても、政治公務員の指図のもとに私設秘書を使って利得を得るというような社会的指弾を受けるべき者につきましてはしっかりと本人に責任を問うことができるわけでございますし、さらに、勝手にやった場合まで政治公務員が責任をとるということはその逆でありまして、政治公務員に対する社会的評価に対して逆の意味で、私設秘書に責任をあえて負わすことによって政治公務員の廉潔性あるいは清廉潔白性、これに対していわばゆがめた解釈を世間にするというようなことになりかねないものでありますから、やはりその意味におきましては、私設秘書の勝手にやった行為、それはそれなりにきちっと他の法規で評価できるというように考えておるところでございます。
○池田幹幸君 この場合、秘書に対して指図をしない限り議員は罪に問われないわけですね。つまり、議員が秘書に指示をしてやらせたということが立証されなければ、これは議員は当然罪に問われない。そうしますと、私設秘書の場合は、これはもともと処罰の対象になっていないわけですから、わいろを受け取っても正当な行為をやらせているという限りにおいては、これは罪にならないわけだからへっちゃらけでやりますわな。片やその行為が、議員が指図したんだということ、これを立証というのは大変な困難ですよ。ほとんどこれはもう無罪放免ということになっちゃうんじゃないですか。
○衆議院議員(山本有二君) むしろ、その権限に基づく影響力を行使し得る立場の私設秘書の場合は、立証は極めて容易であろうというように解釈しております。
○池田幹幸君 何でそんなに容易なんですか。
○衆議院議員(山本有二君) 社会的あるいは客観的に見て、政治公務員に準ずる影響力を行使するという場合と先生の御質問を受けとめて考えますれば立証は容易だと、私はそう思っております。
○池田幹幸君 私は逆だと思いますよ。 それだけ影響力を行使できるだけの力を持った秘書がやっておる。議員の指図も受けないでどんどんやっている。しかし、以心伝心でやっているんだと私たちは思いますが、しかし、その一件については指図していない、指示していないということになれば罪に問えないじゃないですか。 大体、私設秘書の場合、口ききした、金をもらった、その場合でも、あっせんされる被あっせん公務員ですか、これに対して正当な行為をやらせている限りにおいては罪に問われないわけでしょう、全く。不当な行為をやらせればまた別です、あっせん収賄罪となるから。その場合、その本人が、私はこれは議員に指示されてやったんではありません、私の判断でやりました、こう言い張ると、片や議員の方は、私は秘書に何も指図をしていませんと、これもこういうふうに主張する。そうなりますとどうですか、全く立件できなくなるじゃありませんか。
○衆議院議員(山本有二君) この影響力の行使におきましても、その行為態様をつぶさに分析してまいりますと、明示もしくは黙示、黙示の場合も含まれるわけでございますし、さらに共犯理論におきます最高裁の判例の中にも、謀議を凝らすというときに黙示的謀議もこれに含まれるわけでありまして、必ずしも自供だけ、自白だけに証拠が偏重しているというようには思っておりません。したがいまして、事実認定における支障は全くない、こう考えております。
○池田幹幸君 何を言っている、詭弁ですよ、あなた。 大体、秘書が口ききして金をもらっても罪に問われないんですよ。だから幾らでも認めますよ。私がやりました、だけれども議員から指示されたんじゃありません、私の判断でやったんだと。何が明示か黙示か知らぬけれども、こんな形で、あなた、取っ捕まえることできないじゃないですか。被疑者としても扱えないんですよ、秘書は。片一方の議員は、実際自分が口ききをやっていない、秘書を通じてやらせているんですからやっていないということははっきりしている。私は指図していませんと言うだけなんだ。指図したなんてその証拠をどうやってとるんですか。 もともと秘書を処罰の対象としないことからこういうことが起こるんでしょうが。立件をどうやってするんですか、あなた。
○衆議院議員(山本有二君) 立件をするしないについては法務行政当局にゆだねられ、かつまた総合的に判断されるべき事案であろうと思いますが、この与党案におきます私設秘書を除外したという理念におきましては、これは憲法上の要請と考えるところでございまして、いわば先生の御懸念につきましては、法務行政当局にぜひ先生もこの法案成立の後、督励をいただければと、こう考えるところでございます。
○池田幹幸君 あなた、憲法上の要件がどうのこうの言いながら、片一方ではこんな法律をつくっておいて法務の方で取り締まれと。できないじゃないですか。あなた、言っていることが矛盾しているじゃないですか。 大体、こういう法律になったらどういうことになるのか。あなた方自民党の中堅議員が、こういうあなた方が法案をつくった途端に何と言っているかというと、私設秘書が除外されたことですべての行為を私設秘書に一本化すればいいと、こう言っているというんですよ。そのとおりなんですよ。全部、私設秘書が自分の判断でやったというふうにさせておけば全然問題にならないわけでしょう。そう言っているんですよ、これ。ここに与党の本音、この法案の本質があるんじゃないですか。そう思いませんか。全部任せればいいんでしょう。罪にならないじゃない。
○衆議院議員(山本有二君) 私どもは、本法案自体、適法な行為まで処罰する、しかも刑事事件としていわゆる疑いを持たれただけで捜索、差し押さえ、逮捕、勾留、そういうことのできる法律でございまして、特に立法機関における政党政治の中で、数あるいは選挙というときになりますと非常に神経質な場面、ナーバスな場面が出てまいります。そのことにおいてできる限り明確性がなければ行政機関から立法権を守りきれない、その意味におけるあいまいな面は除外したい、そういう切なる気持ちで私設秘書を除いたということにおいてぜひ御理解をいただきたいと心からお願いを申し上げます。
○池田幹幸君 どうも答えが全然出ないです、答えになっていないんですよ。 そうおっしゃるなら、ともかく何でもかんでも秘書だということならというふうに、秘書にもいろいろあるとかいろいろ言っています。要するに、私設秘書を外した理由としていろいろ言っているわけだけれども、今さっきの答弁の中にもあったけれども、とても普通の感覚では、常識ではまともに答弁しているのかなと思わざるを得ないようなものがあるんですよ。 例えばどこかというと、これは発議者の大野議員、座っておられるけれども、十五日の委員会でこう答弁しているんですね。私設秘書等を入れた場合どこまでが私設秘書なんだ、勝手に名刺を持って歩き回っている人まで私設秘書なのか、そんなことを言うとそんな変な秘書がおるのかとまた反論を受けますけれども、実態は政治公務員との関係でいろいろな態様があると答弁されています。 そこで伺いたいんですが、ここでは当然変な秘書の存在を肯定しておられるわけです。大野さんに伺いますけれども、あなたが雇っているわけではない、あなたが雇っていない人で、給料も払っていない勝手に名刺を持って回っている大野議員の秘書がいるんですか。
○衆議院議員(大野功統君) 個人的な問題というのはこの法案の審議に直接関連しませんのでお答えしにくいのでありますけれども、あえて個人的な質問にお答えしますと、わかりません、それは。わかりませんけれども、私自身が把握している範囲では、私個人の場合にはありません。一般論として答えているわけではございません。
○池田幹幸君 大野議員の秘書にはそんな勝手に名刺を持って回っている秘書はいない。当たり前だと思うんですよ。普通、そんなの考えられないでしょう。勝手に自分の名刺を使っている人がいるということがわかれば、これは摘発すればいいじゃないですか。そういう人がいても、おれの秘書だというふうにおおように構えている人でもいるんですかね。
○衆議院議員(大野功統君) 選挙などの場合には、自分は親しいとかそういう意味でいろいろ活動してくれている、一面において大変ありがたい方もいらっしゃると思います。そういう人が一般の方々にどういうふうに受けとめられるか、これはまた別問題でございますけれども、そういう意味で私は、秘書とそれから政治公務員との関係がまちまちである、このことを申し上げたわけでありまして、わかりやすい意味で変なという表現を使わせていただきましたけれども、私が申し上げたいのは、政治公務員と私設秘書との間で極めて関係がまちまちである可能性が大きい、このことを申し上げております。 ついでながら申し上げますと、これは何遍も申し上げていることでありますけれども、この法律は身分犯としてとらえていくべきである、公務員の廉潔性、これを目的としているわけでございますから、そのところは十分御理解をいただきたいと思います。
○池田幹幸君 今の後半のところについては何度も伺っているので結構です。 そうしますと、結局そういういろんな種類の秘書がいるということなんですが、そうだとすれば、議員の権限に基づく影響力を行使するようなそういった私設秘書ですね、それはきちんと定義づければいいんじゃないですか、きちんと。結局、議員が政治活動する上で一体不可分だと、そういう仕事をしている秘書をこの法律で言う処罰の対象に扱う私設秘書であるというふうに定義づけができるはずです。できるでしょう。
○衆議院議員(山本有二君) 定義づけ自体も随分検討させてもらいましたけれども、数におきましての違い、態様におきましての違い、この違いは各議員において相当な隔たりがございます。その意味におきましての定義づけ、それを含めての定義づけは困難だと、こういう結論に達しましたゆえに除外させていただきました。
○池田幹幸君 例えば、公選法での秘書の定義は明確になっていますよね。公設も私設も区別していません。ここでは秘書の定義を「公職の候補者等の政治活動を補佐するもの」と明確にしているんです。この今度の法案でも、公職にある者の政治活動を補佐するものという形で明記できるでしょう。さらにもっと縛りたいのであれば、もっと縛りをかければいいじゃないですか。できないことはないでしょう。
○衆議院議員(山本有二君) 公選法の連座制における秘書の定義それ自体は明確になっているというように考えるところでございますが、それはあくまでも公選法における連座制の場面での定義でございまして、そのことを考えましたときに、直ちにこのあっせん利得罪に援用できるかといいますと、それに対する検討はもちろん与党でも何度も何度も行いましたけれども、無理であるという結論に達したわけでございまして、御理解をちょうだいしたいと思います。
○池田幹幸君 全く理解できませんね、無理だと言われても。 大体、ちょっと法務省に伺いたいんですが、元衆議院議員野田実氏秘書の公選法違反、連座制適用ですね。この事件で、秘書の定義について争われたんです。大阪高裁の判決が出ていますね。そこで秘書についてどう定義しているのか、そこのところだけ紹介願えませんか。
○政府参考人(古田佑紀君) ただいま御指摘の大阪高裁の判決書きにおきましては、秘書につきまして、連座制規定に言う秘書とは、公職の候補者等の政治活動を助けるためにその指揮命令のもとに種々の労務を提供する者のうち、相応の権限、裁量と責任を持って担当事務を処する者を指すというふうに判示されております。
○池田幹幸君 お聞きのとおりなんです。きちんとできるんですよね。 だから、本案で私設秘書を含むことが、本当に実態から見れば私設秘書を入れなければこれはざる法になっちゃう。これは国民だれでも知っているんです。ですから、もし本当に、あなた方がこれは難しい難しいといってできないと言ってきたにしても、本当にやる気があるんだったらきちんと私設秘書を定義してやらなけりゃいかぬ、それこそが実態に即して国民の信頼をかち取れると、この法律の目的を達成するためにどうしても必要なことだということを申し上げたいと思うんです。結局やらない、やらないという答弁だからもう求めません。 結局、私、伺っていますと、発議者の答弁、私設秘書を外すための口実をあれこれあれこれ言っているとしか思えないんです。最も一般的な口ききのケースが私設秘書なんです。私設秘書を通じての口ききの、何といいますか、このままで行きますと私設秘書を通じての口ききを合法化させる、そういうための法案だと、そういうふうに言われても仕方ないんじゃないかというふうに思うんです。結局これは、口ききをやってそれで法律に触れないやり方、それを指導する、そういうものとなりかねない。さっきの自民党の中堅議員の発言がそうでしょう。全部私設秘書に一本化してやっていけばいいんだ、ここにあらわれているということを私指摘せざるを得ません。 続いて、私設秘書の問題はこの辺にしておきまして、権限に基づく影響力の行使のことについて伺います。 権限に基づく影響力については、本委員会でも権限とは何かということの定義づけが答弁でありました。そこでは大体、公職にある者等の職務権限ということで、国会議員の場合には幾つかの発議権、質疑権等限られたものだと言っていますが、さらにつけ加えて、こう説明しているんです。党役員あるいは団体役員等の権限は本法案に言う権限そのものには当たらないと思っておりますと、そういう説明です。 ところで、公明党の発議者に伺いたいんですが、九月二十日の公明新聞に北側政審会長への与党案についてのインタビュー記事が出ております。これは二面ぶち抜きで大がかりな記事なんですが、そこで北側氏はこう言っています。「「影響力行使」には、法律上の地位だけではなく、事実上の立場、党の役職など一切合切含めて持っている影響力を積極的に利用することが含まれます。 例えば、私の場合、公明党の政策審議会長という党内の役職がある。この政審会長という立場の影響力を利用する、ということも含まれるわけです。ですから、決して狭い概念ではありません。」と述べているんです。これはこれまでの発議者の答弁と百八十度違います。公明党の発議者、どう説明されますか。
○衆議院議員(漆原良夫君) 我が党の北側、今、政務調査会長の話を引用された質問がございましたので、まず結論から申しますと、政党の役員、これは政党の役員としての権限というのは本法案で言う権限には当たりません。 もっとも、具体的な証拠関係に基づく事実認定の問題でありますが、国会議員である政党の役員が影響力を行使して公務員に対してあっせんする場合には、政党の役員としての影響力の行使のみならず、みずからの国会議員としての権限に基づく影響力の行使を含むのが通常であると考えます。 その場合に、権限に基づく影響力には、他の国会議員に対して法案への賛否等を働きかける事実上の職務行為から生ずる影響力も含まれるわけでございますので、当該議員の権限に基づく影響力の程度の判断においては、当該議員の政党役員としての立場も考慮されることになると思います。北側政調会長の話も同じ話だと私は思っております。
○池田幹幸君 十分読んでおられるんでしょうけれども、わざわざ私も読み上げたんです、強調して読みました。「「影響力行使」には、法律上の地位だけではなく」と言っているんです、わざわざ、「だけではなく」と言っているんですよ。今おっしゃったのは法律上の地位に限定しています。違うでしょう、明らかに。党の役職とか事実上の立場まで言っている、事実上の立場も入るというんです。一切合財を含めて影響力なんだと、だからそんな狭いものじゃないんだと言っているんですよ。そこまで明確に言っているんです。 百八十度違うでしょう。その違いをどう説明するんですか。政党としてはこういう立場なんでしょう。あなたは、発議者はこう言っていて、全然違うじゃないですか。どう説明されますか。政党としてはこういう立場なんでしょう。
○衆議院議員(漆原良夫君) 今のお話は、権限に基づく影響力、これは権限に直接または間接に由来する影響力、すなわち法令に基づく職務権限から生ずる影響力だけではなくて、法令に基づく職務権限の遂行に当たって当然に随伴する事実上の職務行為から生ずる影響力も含まれるわけでございます。したがって、その判断においてその当該議員が、国会議員が党のどういう役職にいるか、これもその影響力の程度の判断において考慮される一要素であるということでございます。
○池田幹幸君 そんな法律ないでしょう。大体ここで党役員あるいは団体役員等の権限は除くと明確に答弁しているんです。片や政審会長はそれが入ると言うんですよ。党の役職、一切合財の立場、例えば私の場合は政審会長という立場、影響力が入るんだと言っているじゃないですか。ごまかしちゃだめですよ、きちんと明確に答えてください。個々人の差ですと、法律に基づく影響力の個々人の差、そんなものじゃない、明確に述べているんだから。
○衆議院議員(漆原良夫君) それは、先ほど申し上げましたように影響力の行使の程度の判断においてはその議員の党役職が考慮されるという、そういう意味で私は理解しております。
○池田幹幸君 それじゃ、答弁を訂正されますか。党役員あるいは団体役員等の権限は入らないという答弁を訂正されますか。それとも公明党の側のそれを訂正するんですか。
○衆議院議員(漆原良夫君) 何回も申し上げておりますが、政党の役員としての権限というのはここで言う権限に含まれない、これは先ほど申し上げました。そして……
○池田幹幸君 だから、違うでしょう。
○衆議院議員(漆原良夫君) いやいや、そしてその当該議員の党の役職というのは影響力の行使の程度を判断する一ファクターになる、申し上げたとおりでございます。
○池田幹幸君 これはもう本当、国民が聞いたらはっきりするでしょう、明確に言葉まで同じなんだから。党役員あるいは団体役員、これはこの法の対象になりませんよと、その権限は、ところが片一方は入るんですと、わざわざそんな狭い概念じゃありませんまで説明しているんですから。こんなごまかし通用しません。 とにかく、もしこのままで済まそうというなら、私は、公明党、とんでもないところだと言わざるを得ませんよ。政審会長は、こういうものだ、盛んにいいものだと宣伝している。羊頭狗肉ですよ、片一方ではそれは入りませんよと言っているんですから。だれが見たって、国民はそんなもの納得しませんよ。
○衆議院議員(久保哲司君) 羊頭狗肉などという余りにも公党を非難する言葉ですので、お返しをしておきます。 先ほど来漆原発議者が答弁していますけれども、国会議員である政党役員、だから国会議員としての権限、これは一議員であっても政党のいろんな立場にある人であっても、これは同じであります。ただ、その上で幹事長であるとか政調会長であるとか、あるいは代表であるとかいうことによってその影響力の広がり方というのは違うでしょうと。 したがって、北側の場合は、新聞の中で申し上げているのは、自分自身が衆議院議員という立場での権限を持っている、その上で政調会長という立場を今持っている、党として。したがって、普通一議員である人よりは自分が持っている影響力は広いけれどもそれも含まれるんです、随伴する影響力なんですということを申し上げている。羊頭狗肉でも何でもございません。
○池田幹幸君 それならば、前の質問の答弁の、党役員あるいは団体役員等の権限は本法案に言う権限そのものに当たらないと思っておりますと、影響力の問題、はっきり訂正すればいいじゃないですか。個人が自分の持つ役職等々も利用してやる、それも影響力の行使に当たるんですと訂正すればいいじゃないですか、それだったら答弁を。
○衆議院議員(久保哲司君) 何度も引用してくださっていますけれども、それは一切矛盾をしないものでございます。 といいますのは、いろんな政党、支部長あるいは地域の大きな形での府県の本部長とかという立場の方もおいでであるでしょうけれども、その方が政治家でない場合には、そういう立場というのは一切この法律に関与しませんということを申し上げている。
○池田幹幸君 具体的な例で伺いますが、例えば佐川急便事件がありましたね。ここでは当時の金丸自民党副総裁が五億円をもらってトラブルの解決とか許認可等の口ききをした事件、こういう事件です。 当時の報道によりますと、佐川急便の元幹部はこう言っているんですよ。政権党自民党の最大派閥竹下派の会長にどんと金を積めば、みずからや配下の族議員を使って行政に影響力を行使できる、小物議員に一々頼むよりははるかに効率が上がるからだと、こう言っているんですね。その佐川急便の元役員は言っているわけですよ。 そうしますと、この場合、派閥のドンが請託を受けて配下の族議員を使って口ききをしたと。つまり、その議員の権限に基づく影響力を行使させたわけだ。この場合、この法律で派閥のドンを処罰できますか。できないでしょう。 委員長、答弁させてください。
○委員長(倉田寛之君) どなたがお答えになられますか。
○衆議院議員(山本有二君) 逮捕できるかどうかについては具体的な証拠やあるいは諸般の事情の認定が要るだろうと思いますけれども、派閥のドンが必ずしも逮捕できないというわけではなくて、先ほど来漆原発議者、久保発議者が仰せのとおり、すなわちその権限はあくまで国会議員個人の国会議員としての権限でありまして、いわばその権限に対して一国会議員が影響力を集団的に行使し得る場合があるわけでございます。そのことを称して北側政調会長がかの論文を書かれたというように把握をするところでございまして、その意味におきましては、私は、政調会長という党役員あるいは派閥の長としても、国会議員一個人個人の権限に基づく影響力を集団的に行使し得る場合は大いに影響力の程度に差が生じてまいる、影響力の程度の認定の問題だろうというように考えております。
○池田幹幸君 結局取っ捕まえられないんですよ。そうでしょう。ドンは請託を受けた金をもらったかもしれないけれども、権限、影響力を行使したのは自分じゃないんですからね、これは捕まえられないですよ。 それから、しかもこの例の場合、その請託を受けたのは派閥のドンで……
○委員長(倉田寛之君) 池田君、既に質疑時間が終了しております。
○池田幹幸君 はい、わかりました。終わります。 影響力を行使した議員がわいろのおこぼれをもらったかもしれないけれども、しかし請託は受けていないわけです、その個人個人の議員は。だから、請託を受けていないからその議員個人個人も処罰されない。結局、だれも処罰されないということになるじゃありませんか。こんなに大がかりなことであればあるほど、この法律ではもう全くざるになっているということを言わざるを得ないと思うんです。 こういった状態は絶対改めなきゃいかぬという点で、野党六会派が出しておる修正案を真剣に検討すべきだということを申し上げて質問を終わります。
○大脇雅子君 法務省作成の資料によりますと、平成七年から十一年までの過去五年間のあっせん収賄罪の公判請求員数、これを見ますと三十四人というお答えがありました。国会議員は二名ということは明らかでございますが、この三十四人の内訳をお伺いしたいと思います。各年度ごとの対象者のポストの内訳、あっせん内容、公判請求の結果等について法務省の方から御答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(古田佑紀君) 過去五年間全部ちょっと調査ができないところもございまして、平成十年及び十一年の二年について調査した結果について申し上げますと、平成十年につきましては、実際の人数で六人を公判請求しております。その内訳は、都道府県議会議員が一名、市町村議会議員が三名、いわゆる一般職の公務員が一名、公務員以外の者で共犯に該当する者が一名です。 あっせんの内容につきましては、二名につきましては内容虚偽の土地買い付け証明書の発行交付に関するものでございますが、そのほかは入札に関する公示価格の漏えいに関係するものであります。これらにつきましては、すべて有罪判決を受け、確定しております。 次に、平成十一年について申し上げますと、実人員で七人を公判請求しております。その内訳は、都道府県議会議員が二名、市町村議会議員が五名でございます。 あっせんの内容は、すべて入札に関する公示価格の漏えいに関係するものであります。このうち二名については公判係属中ですが、その余は有罪判決が確定しております。
○大脇雅子君 公判請求し判決が確定した者の中で、請託の認定はどのようになっておりますか。請託が要件になっているあっせん収賄罪を初め、受託収賄罪等について具体的にどうかということをお尋ねします。
○政府参考人(古田佑紀君) 平成七年から平成十一年までの五年間で請託を要件とする収賄罪、それは受託収賄罪、事前収賄罪、第三者収賄罪、事後収賄罪及びあっせん収賄罪でございますが、これらの事件で公判請求されたもので無罪の判決が言い渡された例はないと承知しております。と申しますことは、いずれの事件におきましても請託の存在が認定されたということであるわけでございます。
○大脇雅子君 そうしますと、請託ということが要件になっている場合に、法律の発動の困難性というところはあるのでしょうかないのでしょうか。あるとすればどこにあるのでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 請託という要件が入っておりますと、もちろんその検察官として立証しなければならない事項がふえることはそれは事実でございます。 しかしながら、実際に立証の問題を考えてみますと、それは個々事件ごとでいろいろでございまして、請託という要件があるということが直ちに一般的に立証が困難になるとかそういうものではないというふうに考えております。
○大脇雅子君 議員の政治活動について、今まで権限の影響力を行使してという点で非常に議論がいろいろされてまいりました。口きき行為を行う際に、公職選挙によって国民や住民の負託を受けた議員の口ききというものは国会と地方議会等における議員及び首長であれば同じ取り扱いなのかどうか、その議員のついている役職等の違いで口ききの効果に違いがあって法的判断にも影響するのではないかと、さまざまな議論がされておりますが、確認をしておきたいと思います。
○衆議院議員(大野功統君) まず、国会議員と地方議員と首長という区分けでございます。それぞれについて職務は若干違っておる。 時間をとりますが申し上げますと、国会議員、これは御存じのとおり、議院における議案発議権、修正動議提出権、表決権、委員会等における質問権、地方における議員につきましては、条例の提出権、議会における表決権等でございますし、また地方公共団体の長につきましては、規則の制定権、予算の作成、執行、会計の監査、その他ございます。 したがいまして、端的に申し上げますと、国会議員、地方議員それから首長、それぞれによって職務により有する権限というのは異なってくる、これはそのとおりでございます。権限に基づく影響力を及ぼす範囲、これもまたそれに応じて異なってくることだと思います。 それからもう一つの問題は、先ほども議論されましたけれども、直接的あるいは間接的な行使という問題でございます。これは議論されましたけれども、もう一度復習の意味で申し上げますと、直接の権限というのは今申し上げましたような権限に直接由来する権限でありますし、それから間接というのは、その職務自体によって法律的に由来するものではないとしても、例えばその人が他人を、他の同僚議員を巻き込んでやる、こういうのが間接的影響力だと思いますし、また明示的、黙示的ということを申し上げております。これは直接、質問をするよとか、あるいは黙示的といった場合には、わかりやすく言いますと、例えばこれをやらなければ毎日毎日議員会館にどうなったか呼びつけてやるよとか、いろんな黙示的なことがあると思います。 以上でございます。
○大脇雅子君 そうしますと、地方議員が、この問題は大変重要な問題だから国会の有力な議員に言って国会でも取り上げてもらうことを考えているとか、今後行政のあり方として考えていきたいと言って口ききの件について直接言及するのではなく、暗に議員としての政治活動としての発言をした、この場合、与党案ではどのような解釈になりますか。
○衆議院議員(大野功統君) 地方議員が、国会でも取り上げてもらうと、こういうような発言は、この法律の構成からいいますと直ちにはそれは本法の対象にはならないことは明らかでございます。しかし、今後このような問題を地方議会でも取り上げていくような示唆があれば、それは一つの影響力の行使ということになろうかと思います。しかし、それはすべてそのときの立場の問題それから言動の問題それから被あっせん公務員の職務内容の問題、いろいろ総合的に勘案しました上での具体的な証拠関係に基づく事実認定の問題、こういうふうになろうかと思います。
○大脇雅子君 重ねての質問になりますけれども、議員個人の持っている権限あるいは職務ということではなくて、議員のついている役職等で口ききの効果、先ほどはボスの場合は程度の差という御説明ありましたけれども、法的判断には役職の違いということで影響が出るのではないかと思うのですが、この点はどうでしょうか。
○衆議院議員(大野功統君) この点も先ほど議論されたところでございます。 直接的には法的に由来する権限には当たりません。しかしながら、その人が例えば同僚議員に働きかけるその力が強ければ、事実上随伴する権限としてこれは対象になる可能性はある、このような問題でございます。 したがいまして、例えば先ほどの政党の議論でいいますと、政審会長あるいは幹事長、こういう方々は幹事長あるいは政審会長としての問題ではないわけでございますけれども、それに随伴して大勢の同僚議員を結束するあるいは指示できる、こういう意味では事実上随伴的な力、影響力が出てくる、このように解釈できるわけでございます。
○大脇雅子君 犯罪主体と客体についてさまざまな議論がありました。 私設秘書については他の議員の方がたくさん御質問されておりますし私もしておりますが、とどのつまり、私設秘書の政治活動というものについて、汚れ役だとか危ない仕事をしているというような感じで、そうした国会議員の公設、私設の秘書の採用は議員の裁量に任されている場合に予断を与えるような悪い影響が出てくるのではないかという点を危惧しますが、いかがでしょうか。
○衆議院議員(大野功統君) 予断を与えるような悪い影響力というのはちょっとよくわからないんですが、どういう意味でございましょうか。
○大脇雅子君 結局、この本法で規制されるのは、選挙で選ばれた公職者の廉潔性と公務員の廉潔性、公正さというふうに言っておられるんですが、私はこの二つのストレスのかけ方というかどちらが主体か。 今までの法案の趣旨でいえば、選挙で選ばれた公職にある者というものの高度な廉潔性ということが法案の主たる目的であるにもかかわらず、私設秘書を除外する場合には、あっせん収賄罪との比較において公務員の廉潔性とか公正さということに今度はストレスがかかって私設秘書を除かれるわけですけれども、この点はまずどちらが主たる本件法案の目的かということと、私設秘書というのは、選挙で選ばれた議員のいわば仕事をサポートするわけですから、それを除くということになると、そういう汚れ役をするのが私設秘書だという世間一般の予断が生じないかと、こういうことでございます。
○衆議院議員(大野功統君) まず第一に、この法律の目的というのは、政治公務員並びに政治公務員を補佐する公務員、公設秘書でございます、身分犯としてそういう公務員の廉潔性を確保し、これによって国民からの政治に対する信頼を確立する、こういう法益、保護法益でございます。ですから、そこが一番であります。一般法に対して特別法、いわば自然犯に対して行政犯、こういう区切りをきちっとつけているわけでございます。 したがいまして、そういう意味で補足的に、刑法のあっせん収賄罪に比べて犯情が軽い、その犯情が軽いものと重いものとを比べて、あっせん収賄罪においても私設秘書は処罰の対象になっていない、こういうことを申し上げているわけでございます。それが第一点でございます。 第二点の方は、しからば私設秘書にみんな罪をかぶせるようなことになってしまうじゃないかと、こういうわけでございます。こういう御質問かと思います。 しかし、もし私設秘書も対象にするということになると、公設秘書はだれにするか、私設秘書をだれにするか。これは、秘書が大勢いる中で、それが国会議員の判断で決められているのがおかしいじゃないかというところから始まるんだろうと思いますけれども、それはもういたし方ない。国会議員がそういうふうに判断する、これはもうどういう説明も不可能だと思います。国会議員のまさに判断で、恐らく相当の国会議員は自分が一番信頼する者を公設秘書にしているのではないかと。こういうことを言いますと、またほかの私設秘書が自分は信頼されていないのかということになりますので言いたくありませんが、そういう面が大きいと私は理解いたしております。 それから二番目は、やっぱり先ほども議論しましたが、私設秘書との関係はまちまちである。どこまでで区切ればいいのか、それはきちっと定義づければいいじゃないかと、こういう御議論もありますが、それは一番の問題に戻って、きちっと身分犯として決めていこうと、こういう問題だと思います。 したがいまして、もうこれは議論されましたからくどいんですけれども、要するに、仮に政治公務員と私設秘書とが意を通じていれば共同正犯になるし、それからもう一つの問題は、仮に私設秘書も処罰の対象にすれば、いわば私設秘書にすべてをおっかぶせてしまうという現象が逆に起こってくる可能性だってあるわけでございます。つまりトカゲのしっぽ切りと言えばわかりやすいのかと思いますけれども、そういう現象も起こってくる。こういうさまざまなことを考えて、公設秘書だけに限るのが一番いいのではないか、このように我々は考えておる次第でございます。
○大脇雅子君 選挙で選ばれた公職にある議員あるいは首長、それを補佐する仕事に差異はないということで、公設、私設のこの区別ということは、法の建前で公務員というところに線を引いたとしても実態上は全く納得がいかないということを申し上げて、次の質問に移ります。 これまで、第三者供与の規定を設けないということで、第三者に供与された財産上の利益でも、本人の事実上の支配力、実質的な処分権の有無を認定して本法が適用される、こういうふうに言われたんですが、議論の中を聞いておりますと、政治献金処理を適用除外とするような線引きの中で、実態上、本人の事実上の支配力、事実的な処分権があると推定される資金管理団体、後援会、後援会の会長、親しい友人の預金口座、政党支部の口座あるいは親族というようなもののどこに線が引かれるのかということが全然明快ではないわけですけれども、この点についてお尋ねをしたいと思います。
○衆議院議員(大野功統君) 第三者供与は対象になりませんので、これはそういう御疑問があることも十分理解はできます。 しかしながら、本件はまず第一に、正当な行為をさせる、不正なことをさせない、こういうことも倫理を確立する上できちっと犯罪の対象にしている。したがいまして、刑法のあっせん収賄罪とのバランスの関係でまず第三者供与は除いてある、このことを御理解いただきたいと思います。 それから第二には、しかしながら本人性、それから対価性、二つの要件でございますが、事実上の支配力、事実上の処分権、こういうような本人性がある、それから対価性がきちっとある、そういう場合にはどんなことがあっても本件の対象にする。したがいまして、そこも問題はありません。 そういう意味で、私は、今御質問にあったような、例えば後援会の会長の預金口座に入るとかそういう問題ではなくて、側面を、本人がもらうんだ、本人が処分権を持っているんだと、そういうふうに絞って考えているわけでございますから、事実何にも問題がない。 もし仮に第三者供与を入れますと、政治資金との関係がありますから、これはむしろ政治資金規正法の方は政治家のお金の流れの透明性を確保するわけでございます。もし第三者供与を本件の構成要件に入れますと、恐らく政治資金の透明性が薄れるようなことになってくるおそれだってあるんじゃないか、私はそういうことも考えていただきたい、このように思います。
○大脇雅子君 具体的に、資金管理団体というのは本人が代表者となっていて出し入れも自由なわけですが、この資金管理団体は、この本人の処分権、対価性、本人性というところに当たるのですか、当たらないのですか。
○衆議院議員(大野功統君) 本人がその代表者になっていようとなっていまいと、これは第三者であることには間違いございません。したがいまして本罪の対象になりません。 問題は、あくまでも構成要件として本人性、対価性、これを資金管理団体であろうとその他の政治団体であろうときちっと見ていく。それは、具体的な証拠関係に基づく事実認定の問題として考えさせていただく、このような構成になっております。
○大脇雅子君 客観的外見性ということをきちっと見て法律というのは解釈されるべきでありまして、本人が代表者になっている資金管理団体が第三者に該当するということは全く納得がいかないと思うのですが、それでは、本人の事実上の支配力、本人性、対価性がある場合の事例を挙げてください。
○衆議院議員(大野功統君) まず第一の点でございます、これは御質問ではございませんけれども。例えば何々党総裁で、その政治団体が総裁の名前になっているかもしれません。しかしながら、総裁は自由勝手にその党のお金は使えないはずでございます。そういう意味で、名前の問題ではない、私はこのように解釈しております。 それから第二に、じゃ具体的にどういう場合に当たるのか。これは一概に言えません。申しわけございませんが一概に言えません。それは、例えば会計責任者がきちっとしていて、そして一々会計責任者を通してきちっと処理されていれば恐らくこういうケースはいいのだろうと思いますけれども、これはもう申し上げましたとおり、具体的な証拠関係に基づく事実認定の問題でございます。他人の名前が代表になっておろうと、政治公務員がもういつでもその中から金を持っていく、引き出し自由、そういうことになるとまただめだろうと、こういうことでございます。これも具体的証拠関係に基づく事実認定の問題である。そこは一概に申し上げられませんが、大体方向性としては今私が申し上げたようなことになろうかと思います。
○大脇雅子君 だから、私は事例を挙げてくださいと。こういうのは当たらないという御説明は非常に熱心にされるわけですけれども、こういう場合は当たるよという例が全くないのはどうしてでしょうか。
○衆議院議員(大野功統君) こういう場合はといって、どういう場合を想定されて御質問なさっているのかよくわかりませんけれども、問題点としては、明らかに政治公務員がもう全く自由自在に第三者である政治団体あるいは政治資金管理団体に入金されている資金を自由自在に持っていく、使っている、こういうケースはそれに当たるのではないかと。しかしこれも、くどいようですが、具体的証拠に基づく事実認定の問題でございます。そういうふうに判断されたら、それはもう本法の処罰対象になることは明らかであろうかと思います。
○大脇雅子君 どうも説明を聞いていると、本人名義の預金に入ったときしか何か適用がないような感じになってくるんですが、じゃ妻の名義はいけませんよね。
○衆議院議員(大野功統君) 先生の御質問は、あっせんの報酬としての対価が妻の名義に入っていると、こういうことでございますか。
○大脇雅子君 そうです。
○衆議院議員(大野功統君) それも第三者でございます。だから、理の当然として、それは対象にはならないという法の建前になっております。 しかし、奥さんの名義の口座から本人が自由自在に取り出して使っている、こういう場合であれば、それは本人性、対価性が十分あるとすれば、これは事実認定の問題としてそういう判断が下されるケースとなる可能性が大きいと思います。
○大脇雅子君 そうすると、本人が自由自在に処分できる場合でしたら、資金管理団体、後援会会長、あるいは親しい友人の預金とか政党支部の口座、親族、すべて本人が自由に使っているというメルクマールがあればそれは当たる、こういうふうに解釈させていただいてよろしいでしょうか。
○衆議院議員(大野功統君) それがまさに刑法のあっせん収賄罪と全く同じような解釈になっております。くどいようですが、もう一度申し上げますと、本人性並びに対価性でございます。
○大脇雅子君 時間が来ましたので、これで。ありがとうございました。
○松岡滿壽男君 無所属の会の松岡滿壽男です。 きょうは不信任案提出の日ということで、答弁者の方々のおしりが定まらぬような状況であろうと思うんですけれども。 昨日、ちょうど私風邪を引いていましたので一日テレビを見ておりました。改めて、最近どうも日本人の言葉遣いというものが軽くなってしまっているなという思いがしておったんですが、野中さんと加藤さんとのやりとりを聞いておりまして、久々に言葉のやりとりの大切さといいましょうか、そういうものを感じました。 現在の保守政治の岩盤を崩そうという加藤さんの気持ちというのは我々も聞いておってわかりますし、長野の知事選挙、栃木の知事選挙等を見ていますと、既存政党とか既存の政治家の体質に対する国民の疑念というものが出てきておる。私の地元でもやはり現職の市長がことしは三人続けて負けています。それは、当面の国の政治に対する不満というものが目先の現職に向けられているという部分が私はあるんではないかと実は思うんです。そういう点で、やはり我々政治家として大いに反省をしていかなきゃいかぬという思いがいたすわけです。 そういう中で、今度また耳新しい言葉が出てまいりました。政治公務員とか、今度参考人でいらっしゃる先生のお言葉ですと政治家公務員という言葉が出てきたんです。こういう法律用語というのは過去あったのかどうなのか。 私自身、市長になりましたときは地方公務員特別職という名前、国会議員は国家公務員特別職という名称だったと思うんです。だから、当然公設秘書ということでひっくるめて新しい言葉をつくらなきゃいかぬというのはわからぬでもないんですけれども、改めて政治公務員という言い方、どうも耳に入りにくい話なんです。しかも、その中で、本当に一体であるべき私設秘書は分けてやっているということです。この辺の言葉についてのひとつ御説明をまずきちっといただきたいというふうに思います。
○衆議院議員(山本有二君) まず、先生の時代認識についてはまさにそのとおりだと思います。 また、政治公務員の意味でございますが、この用語は法文上の用語ではございません。答弁におきましては、その活動の廉潔性、清廉潔白性を保護すべき政治に携わる公務員という意味で用いておりまして、本法案におきましては衆議院議員、参議院議員、地方公共団体の議会の議員及び長、並びに国会議員の公設秘書を指すというように定義されております。
○松岡滿壽男君 それでは、今の御説明ですと政治公務員というのが正式な呼び方になるんですか、政治家公務員、どちらになるんでしょうか。
○衆議院議員(山本有二君) 政治公務員でございます。すなわち、公設秘書も含めた以上を政治公務員とさせていただいています。
○松岡滿壽男君 ちょっとやはり無理があるんじゃないでしょうか。公設秘書は政治家でもないし選挙で選ばれたわけじゃありません。その他、国会議員と知事、市長、村長、それから県会議員、市会議員は明らかに国民から選挙で選ばれた人です。そして、公設秘書は明らかに任命されるわけですから、あるいは政策秘書は採用試験で合格と。だから、まるで違うものをどうして一緒にしておくんでしょうか。それは理解できないですね。
○衆議院議員(山本有二君) 先生のおっしゃるとおりでございます。 すなわち我々は、間接民主主義における今日の我が国の現状、国民から信頼を得るという程度がだんだんと薄くなっている、この危機感を持ってこの法案を提出したわけでございまして、その意味におきましては選挙によって選ばれる者の襟を正すという意味が本来のところでございます。 したがいまして、これはいわゆる公職選挙法で選ばれる公務員に限らせていただきたいわけでございますが、しかしながら、これまでの犯罪の実態、すなわち戦後におけるあっせん等における犯罪実情からしますと、どうしても秘書というものを何らかの形で絡めていかざるを得ない状況がございます。その意味におきまして、唯一どこまで例外を認めるかという判断の中で、万やむを得ず公設秘書を思い切ってこの犯罪の対象にさせていただいたという苦肉の策であるという理解で、先生に御理解賜りたいと思う次第でございます。
○松岡滿壽男君 苦肉の策ということもよくわかりますし、政治家がみずからを律していくという法律をみずからつくったということは歴史上初めてのことだと思います。 そういう点ではその意気込みはわかるんですけれども、少なくとも私どもは国家公務員特別職とか地方公務員特別職ということにはなじんでおるわけですけれども、しかし秘書はあくまでも公設秘書でありますから、政治家とは別のものでありますね。だから、政治公務員と公設秘書という呼び方ならまだわかりますよ。しかし、政治公務員の中に公設秘書もひっくるめてしまうということは、やっぱりどう考えても、国民から見てもおかしいなと。そこまで入れるんだったら私設秘書を入れろという議論に必ずなるわけですよ、実態的には私設秘書がやっておるわけですから。 そういうことをもう少ししっかり議論していかなきゃいかぬと私は思うんですが、どうも今のお話でも国民が聞いておってわかるかなという思いがいたします。
○衆議院議員(山本有二君) 先生の御懸念はそのとおりであります。 しかしながら、公職選挙法によって選ばれるという意味に重点を置きますと、政治公務員、その中での国会議員等の議員や長、要するに選挙で選ばれる政治家はまさに選挙で身分を失う。あるいは本法案の成立後適用を受けて身分を失うということになりますと、その権限に基づく影響力を行使するに足る準政治家たる公設秘書も、いわば選挙で政治家が身分を失えばそれに準じて身分を失う立場でございまして、私設秘書は政治家が身分を失ってもその身分は失いません。その意味におきまして、いわば公設秘書は本法案の対象の中に含める。すなわち、公職選挙法で選ばれるという結果に対して極めて近似した存在になっているという観点から、この公設秘書を入れることにおいて合理性がある、こう判断した次第でございます。
○松岡滿壽男君 言葉を新しくつくっていくときにはやはり慎重にやっていただきたいということを要望いたしておきたいというふうに思います。 実名を出して申しわけないんですけれども、最近の例を挙げた方がわかりやすいので御了解いただきたいんですけれども、西川先生の私設秘書、山崎都議会議員の秘書、吉田先生の元政策秘書、東京信用保証協会の融資保証制度をめぐる出資法違反事件で、この法律が成立した場合には適用されるのかどうなのか、具体的に伺いたいと思うんです。
○衆議院議員(山本有二君) 現在捜査中の事件で事実関係がはっきりいたしませんので、具体的なことを申し上げることはできません。 しかし、なお現行のあっせん収賄罪というもので考えますれば、当然公務員のみをあっせん行為の相手方としておりまして、また不正な行為をさせるようあっせんした場合でなければ処罰できないというように現行の刑法ではなっております。 他方、本法案におきましては、あっせん行為の相手方を公務員のみならず、国または地方公共団体が資本金の二分の一以上を出資している法人の役員または職員にまで広げておりますので、これに該当するものであれば本法案の適用の対象となり得る可能性がございます。また、本法案では、不正な行為のみならず正当な行為をさせるようあっせんした場合でも処罰し得るものとしております。 本法案によって処罰されるか否かは、なお具体的な証拠関係に基づく事実認定でございますので、端的に申し上げることはお許しをいただきたいと思います。
○松岡滿壽男君 私設秘書でも国会議員の方から指示があったということが認められた場合はこの法案の適用を受けるという御説明があったんですけれども、それは事実でございましょうか、あり得るんですか。
○衆議院議員(山本有二君) 国会議員の命を受けてそのような行為をした場合には、当然国会議員本人が罰せられるということは事実でございます。
○松岡滿壽男君 きょう、参考人の先生方に対する御質疑の時間もあるようですけれども、やっぱり参考人の先生方のメモを見てみましても、刑罰についてもやはりあっせん収賄罪との比較を言っておる方もおられるわけです。 あっせん収賄罪の適用例が最近五年間で三十四件あると言われましたけれども、法廷で争っておる内訳等を教えていただきたいというふうに思います。
○政府参考人(古田佑紀君) 個々の事件の公判の状況について必ずしも承知はしておりませんが、先ほども申し上げましたところでありますように、平成七年から平成十一年までの過去五年間の事件について見ますと、無罪判決に至ったものはないということでございまして、請託が認定されたということで理解されるところでございます。
○松岡滿壽男君 自社さの政権時代の政治倫理法案の方が実態に即しておってすぐれておるという見方もあるんですけれども、これについてはどのようにお考えでございましょうか。
○衆議院議員(山本有二君) 直ちにすぐれているかどうかについては即断はできませんけれども、自社さ政権におけるあっせん利得罪をつくらなければならないというそういうモチベーション、動機づけがしっかりとなされたという意味におきましては大きな意義があると解釈しておるところでございます。
○松岡滿壽男君 本委員会でかなりあっせん利得の問題につきましては議論が尽くされてきておるというふうに思うんですけれども、尾身さんの方は百点満点という御答弁だったんですけれども、こういう議論の結果でもなおそのようにお感じでしょうか。あるいは、昼から参考人の質疑があると思いますけれども、参考人すらかなり批判的だ、精神論はまさにそうだ、大したものだと言っていますけれども、それでもなおかつ百点満点だというふうに胸をお張りでございましょうか。
○衆議院議員(尾身幸次君) 松岡委員を初め多くの議員の方々が政治倫理の確立のために極めて熱心に御議論をされてこられましたことに対しまして、心から敬意を表する次第でございます。 もとより、政治倫理の確立あるいは政治の浄化というものはこの法案だけでできるものであるとは思っておりません。基本的には私ども政治家個々人の心がけ、生きざまの問題にもなろうかというふうに考えている次第でございます。 この法案は基本的には政治浄化を目指すものでございますが、目的あるいは保護法益、犯罪構成要件の明確化あるいは政治活動の自由との関係等につきまして、私どもといたしましてもかなり真剣かつ入念に検討を加えて提出したものでございまして、私どもといたしましては、この法案こそが将来にたえ得るものであり、現時点においては百点満点、ベストな法案であるというふうに考えている次第でございます。
○松岡滿壽男君 今こういう状況のときにあえて政治家が襟を正すという形での法案でありますし、第一歩であるというふうに私どもも受けとめております。 きょうは私が最後の質問者ということでございますので、これで終わりたいというふうに思います。
○委員長(倉田寛之君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。 午前十一時八分休憩 ─────・───── 午後一時三十分開会
○委員長(倉田寛之君) ただいまから政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律案を議題といたします。 本日は、本案審査のため、参考人として中央大学総合政策学部教授渥美東洋君及び日本大学法学部教授岩井奉信君に御出席をいただいております。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 参考人の方々から忌憚のない御意見を承りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 本日の議事の進め方でございますが、参考人の方々からお一人十五分程度ずつ御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。 それでは、まず渥美参考人からお願いいたします。渥美参考人。
○参考人(渥美東洋君) まず最初に、議会の方々御自身のお立場に対して厳しい規律が加わるような法案を御自身で与野党ともにお出しになったことに敬意を表します。 ところで、今までの我が国に定められておりますいわゆる汚職罪といいますか贈収賄罪と、今度の提案されている両方側の御提案とも、時代の変化と政治構造の変化を前提として考え方が根本的に違っているところに気がつきましたし、その点、皆様の御提案、両方の側の御提案に高く敬意を表します。 絶対主義体制にあります社会の構造のもと、政治の構造のもとでは、公務員は与えられた枠内の職責を行使するに当たって、その限界を超えたりあるいはそれを売却するような行為を行った場合に十全性を害する、こういう理解の仕方で物事を考えるようになっておりましたが、今度の御提案は、公務全体を全体の奉仕者性という観点からおとらえになられた、これは今の憲法の基本的なあり方に合致するものでございます。したがって、最後には我が国の現行の刑法にあります汚職罪の定め方それ自体をもしかすると変えるような方向に進むかもしれない。そうなっていただければ非常にありがたいというふうに思います。 全体の奉仕者性というのはどういうことかといいますと、政府とか公務とかというものはいわゆる公共財、共用財、みんなのものという考え方ですので、一部の者がそれを利用して他の者を犠牲にすることが許されない、こういう性格を非常に強く持つものでございます。 与党案が衆議院を通過してここへ上がってまいりましたので、恐縮ですが、与党案を中心として若干御進言申し上げる点がございますので、お聞きいただきたいと思います。 一部の者を利することによって他の者を害すること、公共財というのはだれのものでもないがすべての者のものであるという性格を持つものですが、そうしますと、大多数の者といいますか、に不利益を与えて一部の者が利益を得る行為は正義に反しますし、しかもいわゆるただ乗り行為に当たります。日本語で言えば、平たく言いますときせるの行為になります。したがって、このような行為は強く批判されることになりますが、それを考えてみますと、野党案には特定の者の利益を図りというのが上がっておりますが、やはり今の考え方からすれば、与党案の方々も恐らく同じお考え方だと思いますけれども、一部の者あるいはグループというものの利益を図って全体の利益について配慮をしないというのが今度の場合の基本的に考慮すべき点であるというふうに考えますと、特定の者に利益を与えることがこの犯罪の成立の目的になってきていいのじゃないだろうかと思います。 次に、与党案によりますと、全体の適用の幅を余り不明確にするといけない、政治的な活動というものを余り窮屈にしてはいけないというお考え方から政治公務員、ここでは公職にある者というふうに言っておられますが、公職にある者が影響力を行使するということが示されておりますけれども、その立場で影響力を行使しようとしまいと、御自身の政治家の立場で公職におありになる権限を行使しまして一部の者の利益を図る目的で利益を取得されるということ、それ自体が許されないと考えるのが本来であって、ここで示されておりますその権限を行使して影響力を及ぼすという御趣旨が私にはよく解せませんで、余りにも限定してしまいますと、せっかくお考えの政治不信を払拭しようとするお考え方に必ずしも適合しなくなるのではないだろうかという疑問を持ちます。 次に、あっせんに当たって、与党案では限定を加えておられて、野党案では限定を加えておられません。その点もいわゆる請託の問題です。請託の問題が、普通、請託をもって活動するというのが当然の前提であるということになるんだったならば、それが普通の議員の皆さんの不当な活動を行われる場合の典型であるというふうに考えるならば、それは推定できるように規定してしまった方がいい。 したがって、推定規定のように置いてしまって、もしもそのような請託がない場合、その場合には罪を軽減するといいますか、軽くするといいますか、そういう処理の仕方をすることで推定規定あるいは挙証責任の転換を図って考えるという方法が妥当ではないだろうかというふうに私は思います。 それから、ここでは公職にある者というのが前提になっていまして、公務の公共性というものを保とうとするわけですが、その際に、公務についている側が公務についていない者からどういうような働きかけを受けて、どう行動するかが問題となっておりますので、したがって、犯罪の行為主体の中に私人を入れるというのは、私はどうも、野党案でいろいろお考えになったんでしょうが、全体としてすっきりしていないという感じがするんです。それについては共犯の構成によって問題を考えればいいんで、共犯で問題を処理していけば、刑法の共犯規定六十五条を利用いたしまして、いわゆる身分ある行為について身分なき者が加功する場合の処理で済むと思います。 次に、両方の案とも法を曲げた行為というものを中に掲げておられませんが、もしも行為をさせたりさせなかったりすることによって、その行為それ自体を法に従ったものでなくさせた場合は、私は加重をすべきだと思います。そういう点等々を考えて、全体の公務が一部の者に利用されて他の者の犠牲になることがないような対処をする配慮をなさった上で結論をお出しになるのが適切だろうと思います。 両方の案の対立はそう大きいものでは私はないと思います。運用によって処理できることは随分ありますし、解釈によって処理することのできる分野も相当に私はあるように思います。 例えば、第三者供与の問題なんというのは、特別に第三者供与の場合が多く出てくればこれから考えればいいんですが、意図的に第三者に収受させる形式をもってみずからが利得を得る、あるいは別の団体をつくってみずからが利得を得るという場合は、これは立証の問題で、本人が利益を得るという実態になっていれば事実認定上そういう形式をとっていても本人が責任を負うことができることになりますから、多くの場合はそういう場合だろうと思うんです。 今後、この制度ができまして、特に第三者に利益を与えるために政治家の方々が特別な配慮をされてどこかへ逃げていかれるような御措置を今までとは違ってたくさんおとりになるということになれば、またそのときに考えなきゃならないことかもしれませんが、野党側が御心配になっておられるような点、審議中御心配になられたような点は通常の事実認定で処理ができるのではないかというふうに思います。 それから、できたらば、当選された方でまだ公職についておられない方についても、通常、外国でこういう立法をする場合には手当てをいたしますが、その点についてもしかして時間が間に合えば手当てをなさってもよろしいだろうと思います。 それから、一部の人々といいますかマスメディアの中で、こういうような規定を置いて、日本の政治がこんなに汚くなっているのは恥ずかしいじゃないかというようなことを書いているものがありますけれども、恥ずかしいと思う必要はないと思います。どこの国だっておかしなことをやっておりまして、その点についてきちっとした制度を設けるということで信用を高めようという努力をしている証拠になりますから、したがって、皆様の御努力が高く評価されることはあっても、こんなものを通して外国人から冷笑される結果になるなどという一部のマスコミの批判というのはおよそ当たらないと思います。 ともかく、両方の御提案ともにそう大きく異なっているものではございません。だけれども、公務というものを守ろうという点から考えると、私は、私人である、どういう人が私設秘書になるかわかりませんけれども、そういう人を巻き込むことによって、それこそ処罰の範囲が極めて不明確になったり、あるいは一時のイギリスにありましたように、他方の政党の者を害する目的を持って他方の政党の者がそういう人を利用して責任を追及するというようなことがあってはいけませんから、その点については皆さんよくお話し合いになれば、当然ながらその人まで含めている場合は共犯の処理で扱えますから、そのようにお考えになればよろしいのではないかというふうに思います。 一番中心なのは、やはり公務が公共財であるということを皆さん、御両者とも、両方の提案とも中心になって上がってきて、そうやって真剣にお考えになっておられるのに時代の大きな変化を感じます。そういう方向へ向かって御努力なされる、しかも、まず最初に普通の公務員じゃなくて政治家公務員の方々が襟を正そうとしていらっしゃることに心から敬意を表します。 以上で終わります。(拍手)
○委員長(倉田寛之君) ありがとうございました。 次に、岩井参考人にお願いいたします。岩井参考人。
○参考人(岩井奉信君) 御紹介いただきました岩井でございます。 政治情勢が非常に混迷、緊迫している中、参議院が粛々と審議を進めますことに対して、敬意を表したいと思います。 私の方は、今度は政治学の立場から、このあっせん利得処罰法についてお話をいたしたいと思います。 私は、政治学者としての立場からあっせん利得処罰法のこの問題が出たときに、これは政治学者として若干の疑問を持ったことがあります。というのは、この議論の中でも、あるいは事前の議論の中でも出たと思いますけれども、あっせんという行為が確かに日本の政治の場合は特に政治そのものだというような議論があったりするようなことがあって、ここでも課題になるかと思いますが、やはりこういった行為といったようなものによって政治、政治活動といったようなものが不当に制限されるといったようなことに対する危惧がちょっとあるということ。 さらには、議会が、特に国会のようなところがこういった問題について司直の手に問題をゆだねるといったようなことが果たしていいのだろうかといったような疑問を持ったわけでございます。とりわけ、やはり議院の自律権というものは私は非常に重視されるべきで、いたずらに司直の手が議会の中に伸びるといったようなことはなるべく避ける方が望ましいというのが、私の、議会政治を研究してきている者としての考え方でございます。その点からいきますと、特に欧米などの場合は、法律によって、特に刑事罰によるこういったことを処罰するといったようなことは余り見られないというところがあるわけであります。 ただ、その一方で、日本の非常に日本的な条件、すなわち官僚が非常に強く、中央の持っているさまざまな権益が非常に大きいという日本的な条件を考えてみますと、やはり国民が、これは両方の側、いろいろな側でございますけれども、政治家の方々に対して非常に期待感が大きい。その一方で、政治家の方々が何かその辺で不正なことをやっているのではないかというまた国民の不安というのもこの辺から出ているのではないかという感じがするわけであります。 その点から、そういった国民世論の、とりわけ近年の政治に対する不信が非常に高まっているといったようなことを勘案いたしますと、本来でありますと、私は、法制度、とりわけ刑事罰でこういったものの処理をするということに対しては疑問を持っているところでございますけれども、国民の信頼を回復するという観点からこういった法律をつくるといったようなことは、皆様にとって苦渋の選択であったのではないかというふうに拝察するわけでございます。 また、当然のように、この法律をつくることによって、国民の方々に対して政治の世界というのが非常に不当な世界ではないんだということをアピールするというような意味合いにつきましては、やはり与党案、野党案ともに評価をするものであります。 さて、このようないわゆるあっせん利得処罰法的なものというのは、こういう具体的な形のものというのは、私もいろいろ見てみましたが、欧米などに具体的な法律というのは必ずしもあるわけではございません。 例えばアメリカなどの場合は、六〇年代にいろいろ汚職事件が起きて、六八年に議員倫理規範というのがつくられる。あるいは職務行為規範といったようなものが、これは議会内部の規範としてつくられます。さらに、七八年の改正政府倫理法というものによって、これは政府全体、政府といいますか政治セクター全体、すなわち大統領から公務員、議員まで含めた処罰法といいますか規制法でありますけれども、こういったようなものがアメリカの場合は法律で処理といったようなことを部分的には考えるところというのがあります。 しかし、その一方で、議員の方々には当然のように院内での活動の自由権を最大限に認めなければならないということがございますので、この法の適用そのものはやはりなかなか難しいというところがあるようでありまして、実際は院内処理的なもので、院内規律的なもので処理をしていく、すなわち院内の倫理委員会といったようなもので処理をしていくというのが一般的であります。 また、イギリスにつきましては、伝統的に、やはり先ほどお話をしましたように、権力の装置と言われます司直が議会内に入り込むということを阻止するといったような考え方が非常に強うございますので、確かに収賄罪などというものがございますけれども、実質的にはイギリスの議会の名誉を傷つけた、いわば議会内部の規範として処理をしていく、あるいは問題も議会内部によって処理をする、すなわち法的な制裁よりも政治的な制裁というものを優先させるという考え方でやってきているわけであります。 ある意味では、この背景にはとりわけ政治資金の問題との絡みというのがございます。両国ともに事実上、企業・団体献金など、アメリカは表向きは認めておりませんが、事実上認めている部分というところがある。そうなりますと、どこまでが実は政治資金であり、どこまでがわいろであるのかというのが非常に不明朗であるといったような問題が生じる。となりますと、やはり法でもってそれをきちっと定義をしていくのがなかなか難しい。むしろ定義をすることによって抜け道を示唆するといったような問題が起こってまいります。 その点から、やはり議会内部でいわば常識との照らし合わせといいますか、世論との照らし合わせの中で処理をしていくといったようなことの方が有効性が高いのではないか、あるいはこれは法律に書かれていないから適法だといったような言い逃れができないのではないかというような処理がなされている感じがいたします。 と同時に、そこで見られるのは、これも欧米の場合一般的にそうでございますが、やはり議院の自律権というものを非常に重要視して考えていくという考え方であります。すなわち、議会内部におけるそういった不正の問題というのは議会内部で処理をする、すなわち自浄作用といったようなものをみずからが持つといったようなことに重点を置き、むしろ司直の手に問題をゆだねるといったようなことは避けるというようなことがあるようであります。 ただ、先ほど言いましたように、日本の場合はなかなか現在の状況、また国民世論あるいは政治不信といったようなものを考えますと、こういうものを法制度として制定をするといったようなことはやむを得ないことであるという感じがするわけでございますが、それを考えますと、では、このあっせん利得処罰法のようなものをつくるときに何が必要なのか、すなわち実効性が上がる条件といったようなものは一体何だろうかというふうに考えた場合に、やはりこの問題、この法律をつくることによって政治への信頼を回復するということが第一であろう。これは先ほど渥美先生がおっしゃいましたように、皆様がこういう法律をつくるのだというふうに決断なさったことというのは、それなりに私は高く評価をしたいと思っております。 と同時に、このあっせん利得処罰法的なものが成立することによりまして、問題を処罰していくということよりも、むしろそれによって抑止力がなければならない、抑止力の方にやはり私は重点を置くべきだと。その点では、もしそういう行為が行われてそれが有罪となった場合に、やはり非常に厳しい罰が与えられるというようなこと、すなわち理に合わないというようなことがそこで認められていかなければならないだろうという感じがいたします。 それらを考えていきますと、一つの参考例となりますのが、同じ問題ではございませんが、やはり私は拡大連座制の成果というものではないかという感じがいたしております。この前の政治改革の中で最も成功したと一般的に言われておりますのがこの拡大連座制でございまして、まさに組織的選挙運動管理者等という、あの等という一言によって非常に適用範囲が広がった。 これに対しては、政治家の方々からさまざまな意見がございましょうが、やはりこれによって、実際、選挙運動といったようなものが非常に以前と比べて変わった、いわば日本の選挙風景を変えたとさえ言われているわけであります。その意味では、それなりにその成果が私はあったんではないかというふうに考えておりますが、そのように適用が非常にしやすいと。すなわち、政治家本人だけではなくて周りの者の不正行為といったようなものも、場合によっては政治家へ責任が行くんだといったようなことがやはり大きな抑止力につながっていくのではないかというふうに考えます。 また同時に、こういった法律といったようなものは適用が非常にやりやすい、問題の捜査の着手といったものがやりやすいというようなことで、これもまた抑止力につながっていくのではないかというふうに私は考えております。 さて、こういったような観点をベースにして本法案、特に与党案というものについて評価あるいは問題点を指摘させていただきますと、やはり常にこういった法案の問題点は、この法案をつくるのはいいけれども、ざる法になってしまったのでは仕方ないのではないか、こういう観点から実際問題、さまざまな問題点の指摘というのがなされております。 この中で、私もそれなりに政治改革等々にかかわってきたという経験、あるいは政治倫理、政治資金などの研究をやってきた経験から申し上げますと、第一によく言われますように、政治家の秘書の問題といったようなことが、公設秘書に限定すると、いわば制度上の秘書というものをどう限定していくかということについてはやはり現行の案ではやや問題があるのではないか。 私設秘書というのをどういうふうに加えていくか。まず実際問題として、政治家の方々の活動のかなりの部分というのは私設の秘書によって担われている。この実態を考えますと、やはり私設秘書を除外しているということは問題が私はあるのではないかというふうに考えます。 さらには、請託を条件とするということでございます。これはあっせん収賄罪そのものを見ましても、請託という要件があるがために非常に適用がしにくいというのが言われておりまして、実際、国会議員の適用例は二例しかございません。となりますと、法発動というのが請託という言葉一つにおいて非常にこれは難しいのではないか。やはり法発動がしやすいようにしておくことによって、むしろ抑止力にするといったようなことが大事なことではないかという感じがいたします。 それから、第三者への利益供与の問題でございますが、その中で私がとりわけ指摘しておきたいのは、政党支部の問題でございます。あるいは政党の問題でございまして、これはヨーロッパなどでもいつものように問題になるものでございまして、政治家個人に対する供与、便宜供与でありますとか利益供与というのは直ちに問題になりますが、じゃ政党に対する献金といったようなものはどうなのか。これがヨーロッパなどでも抜け道になりまして、問題とされているわけであります。 とりわけ、日本の現在の実態としては、政党支部が事実上政治家個人の持ち物のように扱われる。実際、支部長が政治家の方々の場合がほとんどでございますので、そうなりますと、これがよく言われますように、二つの財布ということにもなりはしないか。こういった実態を踏まえたところで、特に政党への献金の扱いといったところはより深く議論をすべきではないかというふうに思っております。 それからもう一つは、本体としましては特に秘書の問題が一緒に入っておりますので、刑事罰が前提になっておりまして、確かに公選法の規定の改定によりまして、政治罰といいますか、政治的な権利の制限といったようなものが加えられておりますが、私はやはり大事なことというのは、先ほどもお話をしましたように、特に政治家、政治周辺というところの罰というものは、政治罰といいますか、政治的な制裁というものに重点を置くべきではないか。その意味では、第一義的に刑事罰を置くということに対しては、やや懸念を私は持っております。 ただ、最初にお話をしましたとおり、実際、国会議員の活動というものはさまざまな分野に及んでおるものでございますし、また最も自由度が保障されなければならないということであります。そういった意味でいきますと、議員の活動といったようなものの中には当然のようにさまざまな利益を代表するといったような活動も含まれております。これは何が特定の利益であるのか、何が一般的な利益であるのかの境界線を引くのは非常に難しい。そして、そういった中で法律をつくることによって活動に制約を加えるといったようなことがあるのならば、むしろ議会制民主主義にとってマイナスになる可能性というのもあるだろう。私はどちらかというと、政治家の方々というのは、官僚に比べるとこれは裁量権が非常に広く認められるべきだというふうな考え方を持っているわけであります。 となりますと、これはなかなか難しい問題でございます。それは、この法を余りにも厳格に適用いたしますと、政治家に対する例えば善意の献金の問題であるとか、あるいは善意の活動といったようなものが非常に排除をされてしまいはしないか、この辺の線引きというのが非常に難しい。ということは、その辺の御議論というのはやはり十分になさる方が私はよいのではないかなという感じがいたします。 いずれにいたしましても、この法案というのは、実は政治家の政治倫理の問題を扱っているといいながら、実はそこで問われていることは、政治とは何か、議員の仕事とは何かということではないかという感じがいたします。 また、さらに現実問題として、民主主義にコストがかかるということは事実でありまして、そのコストをどういう形で賄っていくのかといったような実は非常に深い問題が私はこの法案にはかかわっているのではないかなという感じがいたしました。 その点からいたしますと、この法案が提起している奥深さといったようなものを私は感じざるを得ないという感じがいたします。すなわち、政治家とは何か、あっせんをするという行為、その政治家の行為というのは一体どういうものであるのか、何をして何をしてはいけないのかといったようなところ、これは私は政治家の役割についての深い議論というのが必要なのではないか。 その意味では、この法案が単なるいわば対症療法的なものに終わってしまったのではその意味がない。むしろ、これを契機にしながら非常に深い議論をするといったような、これの始まりにしていただきたいというふうに考えております。とりわけ、ここ何年間かの政治改革議論の中ではいろいろな議論が行われましたが、どちらかというと本質的な議論というのが抜け落ちて、これがある意味では混乱の原因になっているのではないかというふうに私は感じております。 その面からいたしますと、参議院は良識の府と呼ばれております。具体的な話は恐らく衆議院のところで議論をしてきたのだろうという感じがいたしますので、残された時間は少のうございますけれども、やはり参議院らしい本質を突くような議論というものをこれからお願いしたいと思っております。 終わります。(拍手)
○委員長(倉田寛之君) ありがとうございました。 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。 これより参考人に対する質疑に入ります。 なお、参考人にお願い申し上げます。 御発言の際は、その都度委員長の許可を得ることになっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたしたいと存じます。 それでは質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○長谷川道郎君 自由民主党の長谷川道郎でございます。 両先生には、本日、大変貴重なお話を賜りましてありがとうございました。 まず、渥美先生にお伺いをさせていただきます。 先生、先ほど、請託の問題でございますが、請託は推定規定でもいいのではないかというお話がありました。私も今お話を伺って、一つの御見識であると思うわけでありますが、一点疑問に思うのは、例えば法の執行というのは厳正であるということが一つの要件でございます。それともう一点は、この委員会の審議で捜査当局のお話なんかをいろいろ伺いますと、請託という件に関しては立証はさほど困難ではないというお話がございました。そうなりますと、請託の規定を置くか置かないかによって、例えば政治家の通常の政治活動が抑制をされるというような、そういうようなもしおそれがあるとしたら請託の規定は当然あってしかるべきではないかと思うわけでございますが、いかがでございますか。
○参考人(渥美東洋君) 推定規定を置いた場合には、お金を受け取ったということまでははっきりしていまして、それが対価であることまで立証されています。そうしますと、その立場にある者は自分がどういう行為をしたかということはよく知っております。 そこで、その推定の内容をどういうふうに理解するかということになりますが、合理的な疑いを入れさせる程度に請託を欠いていたということを示すことができれば責任を逃れることができる。そうすることで、さほど大きな立証上の困難を被告人側に課すものとは思いません。むしろ、立証の時間が長くかかってしまうようなことになるよりも、自分の方で、被告人が訴追をされた場合にそのような事実はないんだということを疑わせる程度の事実を出せば事柄がはっきりしますから、そのものの処理の方が政治家の皆さんの活動がおかしなものではなかったということがはっきり示されることになるのでよろしかろうと、私はそう思います。そんなに大きな負担を課そうとするものではありません。
○長谷川道郎君 ありがとうございました。 冒頭、渥美先生、本法の提案に敬意を表するというお言葉がございました。大変ありがたいお話でありますが、こういう法律を出さざるを得ないということに対しまして、私ども全員が恐らく内心じくじたる思いがあることは御理解いただけると思います。 次に、岩井参考人にお伺いさせていただきます。 先生、先ほどわずかな部分しかお触れになりませんでしたが、院内での自律といいますか、倫理委員会的なもので規定するのが本来の姿であるというのは全くおっしゃるとおりで、国会の活動、行動が司直の手にゆだねられる、これはこんな恥ずかしい話はないわけです。 そこで、先生、わずかな時間しかお触れになりませんでした米国のお話がございました。 米国の政治資金、私、状況はよくわかりませんが、今回の大統領選挙でも数千万ドルを集めた陣営がある、またロビイストの活動に対しては莫大な資金が動かされたと。例えば、これはちょっと正確かどうかわかりませんが、全米ライフル協会という強大な組織があって膨大な資金を集めている、それによってアメリカの銃規制が一歩も進まないというような状況があるというような話があるというふうに伺っております。 アメリカの例として、この政治資金の問題についてどういう世論といいますか、今どういう状況でありますか。私が先ほど申し上げました全米ライフル協会や米国大統領選挙のような大量の資金が動くということに対して米国民がどういうふうに感じているのか、ちょっとお伺いいたします。
○参考人(岩井奉信君) アメリカにつきましては、日本の場合は総額規制的なものが割と中心になっておりますが、アメリカの場合、確かに規制はございますが、基本的な原則というのはやはり情報公開ということに置かれているわけでございます。 政治資金収支報告書を一つとってみますと、年間に四回公開でございますし、また大統領選などが近づきますと二週間に一遍公開という形になります。かつ、これもインターネットを通じて現在は全部見られるようになっている。特に、その報告書提出から四十八時間以内の公表という形になっておりますので、そういう情報公開というのが基本原則で、そういった意味では、ある意味では青天井的な使い方というのがされてはおりますけれども、その一方において非常に細かい報告というのがなされて、だれもがそれを見る、それによって監視と抑制というのがなされているんだと言われております。 ただ、それにしてもメディア選挙という時代に入りまして総額が非常に大きくなってきている。あるいは、当然どこの国でも問題でございますが、ソフトマネーというふうに、大統領選挙で使われる予定のお金、その集めたお金を実際の議員選挙の方に使う、流すといったような問題も起きておりまして、今、選挙の後になりますとは思いますけれども、これは両党側からやはりお金集めのあり方、それから政治資金のあり方等について大分問題がだんだん出てきているというところがございます。ただ、これまでは民主党の方が比較的、一般的に集めておりましたものですから、なかなかその改革が出にくいと。この選挙が終わりますとそういったようなことが話題になるのではないか、特に世論、メディアの面でもそういった批判がなされておりますので、そういうことが話題になるかと私は思っております。
○長谷川道郎君 ありがとうございました。 終わります。
○石田美栄君 民主党・新緑風会の石田美栄でございます。よろしくお願いいたします。 お二人の先生、日本の政治の現実に随分お心遣いいただいて、精神論というところで今回の法の提案に対してかなり評価のある御発言をいただいたのかなと思って伺っておりました。 今、参議院の方では与党案のみが審議されている状況でございまして、与党案、野党案を比較して云々という論議をもう超えておりますので、私は与党案についてのみ質問させていただきます。 刑法のいわゆる収賄罪、あるいはその一角のあっせん収賄罪と比較して、一体このたびの法案にどういう意味があるのか、より厳しくなっているんだろうかというふうに思います。確かに、政治公務員というような新しい用語をつくって、国会議員とか地方議員、首長、それに公設秘書を特定するということで、いかにも国民にとっては、普通の人にとってはやり始めたのかなという見せかけ、耳によく響くかもしれませんが、恐らく少し事のわかっている人たちにとっては、出すことによって政治家はまた自分たちは全部抜けられるようにうまくつくってと見え透けて、かえって政治への不信を増幅させるのではないかというような印象、私も女性ですから、男性の権力や利権の社会とはやっぱり一歩離れた場にいますから、そういうふうに私には見えてならないんです。だから、実際、中身はより緩やかなものになっているんじゃないかというふうに思うんです。 確かにいろんな対照表を見ていきますと、あっせんの対象者が公務員だけだったのを、公務員と国等が二分の一以上出資している法人役員、職員というのを入れたり、あっせんの内容から不正を抜いているけれども、結局職務の範囲が限定され、罰せられる行為というのは要求とか約束が抜けている、収受のみというようなことになっていますので、一体この法案、最初に申し上げた既存の法案と比較してどういう意味があるのか、お二人の参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
○参考人(渥美東洋君) 私の意見を申し上げます。 確かに御指摘になりました点がないわけじゃないんです。特に枉法、法を曲げた場合について何の規定も置かれておりませんので、先ほど申し上げましたけれども、その点もつけ加えた方がいいだろう、その点は加重した方がいいだろうというふうに思います。 もう一つは、職務の範囲を非常に限定していらっしゃる。これは先ほど、権限を行使して影響力を及ぼすということもそうですし、それから一定の範囲に限定しておられるので、一番重要な予算の個別づけ等の問題が入っておりません。それらは公務員に対するあっせんとしてまともでないというふうに見られる場合を考えるとすれば、今御指摘になられましたように、余り職務の権限について限定を加えるということは望ましいものではありません。私はそう思っています。 ただ、その点をお考えいただきたいと思うんですが、枉法性ということ、法を曲げるということを刑法のあっせん収賄罪では要件にしておりますが、ここでは問題になっていない。それを処罰しようとしておられるという点は厳しく臨んでいかれようとしておられるものだと評価しました。 繰り返し申しますと、私は、もしも法を曲げて行動させるようにした場合は、この規定の中で加重する処罰を行ってもいいのかなと思います。そうしますと、刑法の規定が適用されない場合にも政治公務員について要件が緩やかになって責任追及がされますから、厳しくなるのかなというふうに思います。
○参考人(岩井奉信君) 私も最初この法案が出るというふうに聞いたときに、刑法上にあっせん収賄罪があるではないか、そことどういうふうに違えるのだろうというふうに思って、やや疑問を持ったことがあります。 ただ、刑法の中の一条文としてこのような問題を取り扱うということと、こういった独立した形で取り扱うということはかなり扱いが違うだろうと。やはり立法の趣旨等々、ここや衆議院での御議論などを通じて、この法案というのは政治倫理の確立といったようなものを目的としてなされている。ということは、やはりその分だけ厳しいものになっているという環境というのがこの法律ができることによってつくられるのだろうという点では評価できるものではないかというふうに思います。 ただ、その一方で、六条にございますとおり、適用に当たって公職にある者の政治活動を不当に妨げることのないように留意しなければならないという項目がございまして、これをどう解釈するかということによっていかようにでも適用あるいは不適用できるといったようなところ、とりわけこの判断を一体だれがするのであろうかと。 これは、先ほど院の自律の問題とお話をいたしましたけれども、これは議員同士の中で、いやこれは余りにも常識を外れているのではないかということであるならばまだしも、私は、先ほどお話をいたしましたように、司直の手によっていわば検察、警察当局がこれを判断するということが果たしていいのかどうか、そこにやはりこういう一文が入っていることによって消極的にならざるを得ないということが起きることがあってはならないと、この辺がやや懸念材料であるというふうに感じております。
○石田美栄君 ありがとうございました。 ちょっと感想として、私は法律家とかそういう立場じゃないですから、精神論であれば、処罰法なんという法律ですから、処罰する法律ができるかなと思うとやっぱりいろいろ疑問を感じるのでございます。 次の質問に移らさせていただきます。 議員や首長を対象にするのなら、いわゆる秘書の仕事をしている人を含めないと意味がないと恐らくだれでも感じるところだろうと思います。でも、この法律はうまく公職にある者という言葉を最初に持ってくることによって、議論の中でも、だからという議論がずっと続きました。 これも最初に申し上げたように、とつけることで逃げているように見えるわけですが、私設秘書を外しているということについて、法律の実効性ということから考えてどのようにお考えになっておられますか、お二人にちょっとコメントをいただければと思います。
○参考人(渥美東洋君) 私、最初申し上げましたように、公務というものを公共財というふうに考えて、それを他人を犠牲にして一部が利益を得るということは、これは不正行為ですから、したがって倫理の問題じゃなくて、不正行為ですから処罰されるべきことです。これはアメリカの場合でもきちんと処罰しています。 だから、その点はその点でいいんですが、そう考えていきますと、私人が政治マシンの中に組み込まれているんだったら処罰されますけれども、政治マシンの中に組み込まれているということが示されていない場合に処罰するというのは、これは基本的な考え方として私は疑問を感じます。 だから、処罰されなくなって、私設秘書、私設秘書、秘書ですよ、秘書ですよと逃げてしまうのはいけないという御指摘については、これはその者をマシンの中に入れているか入れていないかという事実認定の問題になってまいりまして、その者が中に含まれている場合だったらば刑法六十五条を使って共犯として処罰できますから、特にそれを中に入れた入れないで大きな変化が起こってくるとは私は思いません。
○参考人(岩井奉信君) 私は政治学者でございまして、そのマシンという話というのはやはり全体としては一体として考えていくべきものでありますし、そうであるとするならば、やはり私設の秘書というのもこれはその中に含めて、それも一緒にきちっと定義づけた方がいい。やはり制度というのは何らかの形でそこで制限がなければならない。というのは、ここで議論をされたことというのが何年か、何十年かたったときに、その議論の内容が忘れられて法文だけがひとり歩きをするという場合も懸念されますので、そういうことを考えてまいりますと、やはりそこはきちっとその範囲の定義づけをした方がいいのではないかというふうに考えております。 この点については、拡大連座制の適用の事例などを見てまいりますと、やはりああいう形で、ややちょっとあいまいな表現ではありますが、それがむしろ功を奏しているという特典がございますので、全くの同列に論じることはできませんけれども、私は拡大連座制のある種の成功例というのが一つの基準といいますか、ガイドラインになってくるのではないかなというふうに考えております。
○石田美栄君 ありがとうございました。 渥美先生の御意見を伺ったんですが、公設秘書がこの中に入っていますから、ちょっとまた全部はすっきりしないなと伺っていました。 さて、この法律によって実際具体的にどんなケースが処罰の対象になることがあるんだろう。私たち野党の方ではざる法だとか底抜け法だとか言っていますが、実際ひっかかってくる側とすればどういうケースがあるのか。私たちみんな政治の立場なものですから、先生方だったら簡単に、こんな場合だったらひっかかるんじゃないかという例があったら具体的にそれをお二人に一例くらいお挙げいただけたらと思います。
○参考人(渥美東洋君) 典型的な場合は、与党案に出ております契約等に関してとか、特に日本の場合に談合との関係が公共事業との関係で非常にやかましく論ぜられますが、それについて少しでも金品が対価として動いたということがわかればすぐにそれに対処できる。ですから、申し上げるのは、請託があるかないかというのをもっとぴしっと働けるようにするためには推定規定にした方がよろしいですし、そういう場合が非常に典型的な場合だと思います。 それ以外に、やはり利益になるように、ある特殊法人を設置して、そこから出ていく収益等々がある特殊法人の利益になるような法案を通し、その予算づけを行うというような場合もこの中に入ってくるんだと、今まで考えておりましたところでは、頭の中にありますのでは、そういう特殊法人に対する配慮を行って行動をされた場合がございました。それからもう一つ、いわゆる談合の問題もございました。両方とも埼玉県中心に二つのものがございましたけれども、ああいうものをすぐ頭の中に浮かべました。
○参考人(岩井奉信君) 私は、一番関係してくるのは恐らく補助金関係ではないかなというふうに考えておるんですが、補助金を増額してもらう云々といったようなところに請託云々があるかないかにかかわらず、ここの辺の問題が絡んでくるかなというふうに私は考えておりました。
○石田美栄君 最後にもう一問できるかなと思うんですが、先ほども岩井先生の方はもう言及されておりましたけれども、六条ですね、どのように評価されるか。その点、政治活動を不当に妨げるとはどういうことなのか渥美先生に伺って、岩井先生にも、その点はもう具体的に触れられたんですが、幾ら口ききというか働きかけをいろいろしても金品をもらわなければいいわけなんですけれども、きょうの議論の中でも第三者供与というところで、例えば妻名義の口座にあっても、それに本人性とか対価性、だから自由にその口座を使わなければいいというようなそういうお話でありました。日本一般、だんなさんの口座のキャッシュカードを持っていて奥さんがどんどん使うというのはもうごく一般にありますけれども、その逆というのは、奥さん名義のカードを御主人がどんどん使うということはまずないですから、そういうことを考えますと、一体これもどうなのかなと思いますので、御両人にお伺いいたしたいと思います。
○参考人(渥美東洋君) その点、抜け道として利用される可能性があるとすればある。ただ、それは事実認定の問題だと私は思います。 その事実認定の問題として起こってまいりますのが、一方で先ほど申し上げました、これはまさに不正な行為ですから、公共財を他の者の犠牲の上に自己が利益を得るというのはただの倫理の問題じゃありません、これはもう完全に不正な行為ですから、それは処罰すべきであるという基本的な原理があります。他方で、政治活動はできる限り自由であるべきだという原理があります。その原理と原理の衝突をどうやって考えるかという非常に難しい問題になります。 その際、今御指摘になられましたような口座について、それが第三者といいますか、その者が本当に独立してそこの口座に含まれてその者が独自に利用するという関係があり、犯罪を行った者がそれによって利益を受けることがほとんどないという場合ならば、事実認定上、本人が利益を受けたということになりませんけれども、そうでない場合は本人が利益を受けたものと事実認定されます。 今までもそういう事例、妻のところに入っていた場合あるいは子供が受け取った場合等々で本人が収受したものとして贈収賄罪の成立を認めた裁判例は幾つもございます。
○参考人(岩井奉信君) この手の法律でこの問題というのは非常に難しゅうございまして、法の適用というのは厳格になされなければならないというのは当然でございますけれども、一方において、法の中に厳格に細かく書き込みますと、それはだめだけれどもそれ以外はいいんだという形でむしろ抜け道を示唆してしまうということがある。その点では今、渥美先生がおっしゃいましたように、この点の適用範囲、適用については司法判断にゆだねるというのが私は望ましいのではないかという感じがいたしております。
○石田美栄君 ありがとうございました。
○弘友和夫君 公明党の弘友和夫でございます。 両参考人には、大変貴重な御意見をまことにありがとうございます。 私、時間の関係で端的に二点両参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、まずこの法案に対する評価といいますか、この法案が成立することによって日本の政治の改革にとってプラスになるのかマイナスになるのかということですけれども、この法案というのは、今までの行政に対し口をきいてそれに対して対価を得るとか、そういう当たり前だというような全体的な雰囲気の中で、正当な行為であってもそれに対して利得を得るということを処罰しようという大変な私は大きな前進の法律だというふうに思います。 ただ、これはざる法じゃないかとか、むしろそういう部分を奨励するんじゃないかとかいう御意見もありますけれども、私は本質的にこれは一歩前進の、先ほど来、渥美参考人、非常に敬意を表するということを言っていただいて本当にありがたいなと、また、岩井参考人もこれは苦渋の選択だ、本来だったら法案とか法律とかなんとかでなくて、だけれども評価をするというお話がございました。まことに私はこの法律ができることによって、先ほど岩井参考が言われたように今から奥深い議論というか、その質が変わってくるという第一歩だと思うんですけれども、お二人の参考人の御意見、評価という点についてお聞きしたいと思います。
○参考人(渥美東洋君) 弘友先生がおっしゃるように、公務について口をきいてセールスマンをやるというのは政治家の本来やるべきことじゃないです。それが外れるんだということを明らかにする点で私は高く評価させていただきますというふうに申し上げました。苦渋の選択というよりも積極的に選択なさったんだというふうに私は思っています。そんなことを日本の政治家は本来やろうとしているんじゃないよ、やっている人間もいるかもしれないけれども、しかしそればかりやっているわけじゃないということを表にはっきり示そうというお気持ちで、その点は日本の行くべき方向をかなり変えていくのに一石を投ぜられた、私はそう見ております。 それだけで今の御質問にお答えして済ませておいてよろしいんでしょうか。
○弘友和夫君 はい。
○参考人(岩井奉信君) これまで一九八〇年代ぐらいまでの政治改革の議論といいますと、必ず政治改革というのは大体与党を縛ろうという議論でございます。当然これに対して与党側が反発をするということで、議論は高まりますけれども実際にこういう形で成果が出てくるということはこれまでなかったことである。とりわけ、一般の刑法の中に規定をどうこうするということではなくて、特別にというとおかしいですが、一つの独立した目的を持った法律をつくる、それもある意味では与党の方をむしろ縛る可能性が高い法律をつくるというような意味では、私は非常に意味のある法律だと思います。 ただ、先生がおっしゃったように、やはりこれは大きな政治改革の中の一つでなければならない。悪い言い方をすると、私はこれはある種の緊急避難ではないかというふうに考えております。その面では、これを契機にしながら非常に大きな政治倫理の確立あるいは政治の改革といったような御議論をさらに進めていただければというふうに思っております。
○弘友和夫君 苦渋の選択と私が言ったんじゃないんですけれども、事実、例えばこれがきょう採決になって本会議が開かれない方がいいな、何らかのあれで流れたらいいなと思われる方もいらっしゃるかもしれませんので。 もう一点、私設秘書の件ですけれども、渥美参考人は私人である私設秘書を入れるべきじゃない、岩井参考人は入れるべきだ、こういう御意見でございました。 私は、まず公設秘書という言葉はないんだ、政策と第一と第二とだと。だけれども、三人ははっきりしているわけです。私設秘書というものの概念といいますか、これは本当にバッジをもらえるのは二人いるんです、私設秘書として通行できるバッジを。じゃ、それが私設秘書なのか。事務所から給料をもらっている人が私設秘書なのか。ただお茶を酌んでいる人も給料をもらっているから私設秘書なのか。給料をもらっていないでも、名刺を使って何とかの秘書だということで動いている人もいます。じゃ、給料をもらっていない場合はどうなんだと。それから、この間の逮捕された人はこちらの方の秘書と名乗って、また別の人の秘書ということを名乗ってやっている場合もあるんです。どこまでが私設秘書なのかということでこれは規定できないと思うんです。 それを入れるということは、それこそ先ほどのお話じゃありませんけれども、敵方の人が私設秘書だと名刺をつくって動いたらというようなこともあるので、私は現実的にこれは入れられないというふうに思っておりますけれども、もう一度そのお考えをお聞きして終わりたいと思います。
○参考人(渥美東洋君) 御指摘のとおりです。 それともう一つ、先ほども申しましたように、これは公務の完全性というんですか、それを保護しようとするものですか、その周りにおられる方々が本当にマシンに組み込まれて活動をしているということが事実認定されれば処罰されるのは当たり前。ところが、それが非常にあいまいな場合に処罰をするというふうに考えるのは二つの観点から見て適切ではない。おっしゃるとおりだと思います、私は。
○参考人(岩井奉信君) 確かに、私も今まで政治の現場、実態を随分見てまいりますと、秘書という定義がどこまでなのか、あるいは選挙のときも運動員という定義がどこまでなのか非常にあいまいな部分がございます。確かに、全体としてはスタッフという言い方が一番いいのかもしれません。 ただ、私は、この法律というのは皆様御議論のとおり政治倫理を確立してそして政治の信頼を得るということを目的にしている。その点では、国民に対してみずからの姿勢を明らかにするといったようなアピールという点からすれば、やはり疑義を与えない、すなわちこういうところ、ここも抜け道はありませんよというようなところをアピールする必要がある。その点では、私設秘書という概念は非常に難しい概念でございますけれども、やはり公設秘書に限らないというようなところを何らかの形で表現をするべきではないかというふうに考えているわけでございます。
○弘友和夫君 これは処罰を伴っているわけです。ですから、やはり概念であいまいな部分であっても入れるというのは私はちょっとどうかなというふうに思うわけでございまして、一言意見を述べさせていただいて終わります。
○林紀子君 きょうはお二人の参考人に来ていただきまして、本当にありがとうございます。日本共産党の林紀子でございます。 まず私は、渥美参考人、岩井参考人、それぞれお二人にお聞きしたいと思うんですが、そもそも政治といいますのは国民の意思を反映させ、そして要求を受けてなされるものだというふうに思うわけです。ですから、要求をくみ上げるということは政治家にとっては大変大切なことだし、当然の責務だというふうに思うわけです。 ところが、それにお金が絡んでくる、これが一番の問題だというふうに思うわけです。口ききというような形で見返りとしてお金を受ける、これが腐敗政治の温床となる。ですからこういう法案も今出されていると思うわけですが、このお金の問題というのはこれまた、それぞれ先ほどお話しいただきましたけれども、大変どこで線を引くのかというのが難しくて、もっともっと論議を深めるべきだというお話もありましたけれども、今後論議をもっと深めるに際しまして、それぞれ企業・団体献金というようなものがありますとどこが利得になるのかというのがなかなか判然としないということは今までの論議でもありましたので、その辺をどういうふうに今後の問題として考えていったらいいのか、より議論を深めていくためにどうしたらいいのかということをそれぞれ御意見を伺わせていただきたいと思います。
○参考人(渥美東洋君) ちょっと気になったことがございますが、国民の負託にこたえて行動することは当然でございますけれども、その場合、政治にかかわる者は全体の奉仕者として考えられます。これは政治や法というものが力や利益じゃなく動くということ、非常に微妙に難しゅうございます。だから、法による支配というのと法の支配というのは非常に微妙に違うんです。戦前の日本というのは法による支配でしたけれども、現在は法の支配です。法の支配の場合には、やはり直接的な要求、政治的要求や利害がそのまま入って政治を動かすというものであってはならないという前提に立っております。 だから、議会の中では法外要素が入ってきますけれども、その法外要素をできるだけ法外要素でないように処理するという役割を議会というものや政治というものは持っている。そういう点も問題になっている。ただお金を取ってはいけないというだけではなくて、その点も今度は問題になっている。お金を取るのはもちろんいけませんから、そう思います。 さて、肝心の御質問のところへ戻りますと、団体献金や企業献金のことです。 これは、私昔から申し上げておりますけれども、本来投票権というのは、また政治活動というものはすべての者に平等の機会が与えられなきゃならないという基本から考えますと、そういう組織というものを後ろに持っていない者が政治活動を行う場合は自分で支持者を切り開いていかなきゃなりません。ところが、利益を持とうとしている団体が存在する場合は、そこにお願いしますと、そこが持っております力で、一人で活動をする人よりははるかに大きな力を発揮することができます。これがいけないということなんです。 アメリカ人なんかが特にそれについて、一人一票制ということで問題にしているのはそれです。現在、日本ではなかなかそういう方向へ向かって、個人が個人に寄附をするということになれておりませんので、そこへどうやって軟着陸していくかという問題がございますけれども、近い将来にやはり団体・企業献金というものは禁止する方向へ向かって進むべきだろうと思います。 ただ、アメリカ合衆国の場合に、ポリティカル・アクション・プログラムとかポリティカル・アクション・コミッティー、PACというものがありまして、そこへお金を渡してしまえばいいという抜け道があるんです。彼らもそれで非常に悩んでいるんです。決して日本だけが汚いんじゃなくてどこの国でも汚いんですけれども、基本的な前提としては、アメリカ人が言うのには、アメリカ合衆国最高裁判所も言いますのに、一人の人間が行動するときと、それから多くの者を既に持って影響力を及ぼすものとを比較しまして、一方の側が不利益を受けて他方が大きな利益を受けるというのはおかしいと、こう言っております。私は、その考え方は一人一票制、それから個人主義の原則に基づいたら当然のことだろうというふうにかねがね申しております。
○参考人(岩井奉信君) この問題は非常に難しい問題でございまして、私も政治資金の研究をやってまいりまして、確かに一番望ましいのは、当然個人の浄財によって政治が賄われるというのが一番いいということでありますし、またそういった意味でいきますと、確かに企業・団体献金は富による支配といいますか富による影響力行使という問題がどうしてもついて回るということがあります。 ただその一方で、民主主義という仕組みというのは非常にぜいたくな仕組みでございまして、非常に多くのコストがかかってしまうという側面もございます。実はどこまでがコストでどこからコストでないのか、これもまた難しい問題でありますが、最低限のコストというのはかなりかかるというのを認めざるを得ない。では、このコストをだれが負担するのかと。私個人としては、政党助成のように国家がという考え方もございますでしょうが、私は国家がというのは余り望ましいことではないというふうに考えておりまして、一番いいのはやはり個人が賄っていく、そういうような自発的な浄財によって賄われるのが一番望ましいというふうに考えております。 ただ、現実の政治というのは、これは日本だけではございませんで、どこの国もそうでございますけれども、実際問題として、じゃこのコストをだれが負担するのかというところで、これもある種の避難行為的な形で結局企業・団体献金を認めている。あるいは、もう一つ積極的に踏み込んだ論理としては、企業、団体も社会の一員であるといったような積極的な評価で認めているという感じもありますけれども、この辺は我々でも、じゃほかにどういう手段があるのかというところでなかなか解答の出ないところではございます。 ただ、やはり渥美先生が御指摘になりましたとおり、富による支配といったようなことがあってはならないということで、やはりこれをなるべく減じていく方向でということで、以前に比べましたらば、特に政治家個人というものに対してはわいろ性が高いというような認識を持たれたんだろうと思いますが、政治家個人に対する企業・団体献金は禁止されるといったような方向で順次日本の場合も、少しずつではございますけれども、よい方向に動き始めているかなという感じはしております。
○林紀子君 ありがとうございました。 将来に向かって、個人が個人にという献金が一番望ましいというお話を聞いて、何か私も大変希望がわいてきたわけです。 次に、渥美参考人にお伺いしたいんですが、請託の問題です。 この問題につきましては、先ほども、なかったということを実証すればいいんじゃないかというお話がありましたし、これは新聞で発言をなさっているところを読ませていただいたんですが、本委員会などでもいろいろ論議がありましたが、発議者側はあっせん収賄罪との整合性、バランスということを盛んに言って、やはりこの請託要件が必要なんだということを随分言っていたわけですが、渥美参考人は、それならば、その整合性と言うならあっせん収賄罪の請託要件の方を削ればいいんじゃないかというお話がありまして、これは大変わかりやすい、そうだとうなずけるお話だと思うんです。こちらも請託要件を削るし、あっせん収賄罪も請託要件を削る、それで何の不都合もないですよね。そこのところをちょっと御説明いただけたらと思います。
○参考人(渥美東洋君) 刑法のあっせん収賄の場合には法を曲げるというのが入っておりますから、そこでその点が厳しいので、それと比較してみますとこっちは刑も軽いですから、そこで請託を要件にしないで済むだろうというような考え方もとれないわけはないんです。 ところが、通常は、人から頼まれないで何かをするということは普通ないですし、自分の利益のために行動をするということだけで人から金をもらうなんということも想定できませんし、そういう場合を無理につくり上げると、それこそ政治活動を規制する、規律する可能性の方が強くなるんじゃないかというふうに私は思いました。 ところで、本来こちら側から、まず政治家公務員の側の方から、通常はこちらでだれかにサービスをしてあげてそのための口きき料を取るのが一般的であるというふうに考えられるので、そこで請託を入れるというのはわかるんですけれども、その場合、請託は一般的につきまとっているものだと考えれば、むしろ推定と考えた方がいいと私はそう考えたんです。 ところが、これで一歩を進めていかれれば、当然ながら、政治公務員がそれだけ厳しくされているならば普通の公務員だって同じく処罰されるべきだろうという考え方に及び、しかもその場合、請託がなかったということは、ほかの行為を行っていることはその人間について全部立証されているわけですから、その人間が請託がなかった点について立証するのは非常に難しいという立場に立ちませんので、しかもその要件をそう重たくしないで合理的な疑いを入れる程度のものを出せばいいというようになれば、それが出されない場合には請託を受けたものだろうというふうに考えて処罰してしまえばいいと。それは、今までそういうことはしておりませんでしたから、処罰されない人々が非常にふえてきた。最終的にはそういう方向に向かって処罰すべきだと思うんです。 そういう活動を頻々と行っていくという活動は、アメリカ合衆国の例を挙げて恐縮ですけれども、アメリカ合衆国の場合でしたらば、反復的に継続的にそういう行為を行えば、これはいわゆる組織犯罪規律の中に入ります。よく言われるRICO法の中に入ります。非常に厳しく処罰されます。 政治活動の自由というのは当然あります。そのバランスをどこでとっていくかということが非常に難しゅうございますけれども、他方で、公務というものを金で買うというのは、本当に一部の者の利益のために大多数の者の利益を踏みにじるわけですから、これは許されないということをはっきりさせる方向に進むべきだと。 御紹介賜って恐縮ですけれども、私は、政治家公務員に対する規制が厳しくなるという道を選んだらば、当然に普通の公務員に対しても厳しく臨むというのは当たり前だというふうに考えております。
○林紀子君 ありがとうございました。 次に、岩井参考人にお伺いしたいんですが、参考人は族議員ということを非常につぶさにごらんになっていらっしゃるという論文も読ませていただいたんですけれども、権限に基づく影響力の行使というところで規定をされまして、一年生議員、二年生議員、それから族議員という非常に長い経歴を持った議員もその要件は同じなんだということも盛んに言われておりました。 この権限に基づく影響力の行使などという規定、それから対象行為を契約と行政処分に限定してしまったということで、そういう意味では、箇所づけもそれこそ外されてしまうわけですし、行政指導も外されてしまう。族議員が存分に跳梁できるという道をこれは残してしまっているのではないかという気がいたしますが、その辺についてどのようにお考えになるか、お聞きしたいと思います。
○参考人(岩井奉信君) 権限の問題というのは特に収賄関係のときには常に問題になることでございます。 国会議員というのは、国会というのが男を女にし、女を男にする以外何でもできると言われますように非常に広範な権限を持っているというふうに、これはイギリスの議会のことわざでございまして、最近はちょっとそういうのは通用しないのかもしれませんが、そういった意味では、私は、国会議員の方というのは非常に広範な権限を持っておられる。ですから、かつての諸事件にあらわれましたように、どこどこの委員会のメンバーであるから云々といったようなことでやる、そのことで権限がある、ないというふうに考えるべきではないと。それをむしろ規定化するがゆえに立法の中心といったようなものが国会院内から院外に動いてしまうというような問題があるんだというふうに私は考えております。 その意味では、私は、国会議員の権限というのは非常に広範に及ぶというふうに理解されるべきであるというふうに考えております。 また、これも確かに問題でございまして、その適用範囲といいますか、それをどこまでにするのか。確かに、行政行為にある種限られているというところは問題で、特に予算の問題などにつきましては、これが及ばないと。しかしその一方、予算あるいは税制の問題でございますね。実際問題としては確かに税制のところが一番陳情の多いところでございまして、実際に何が起きているのかわかりませんが、そういう可能性もあると。 この辺につきましては、やはりもう少し御議論をいただいた方が私はいいのではないか。むしろ、こういう議論の中で、いやこれも実は解釈の中で範疇に入ってくるんだと。私は、法律の文面そのものもさることながら、こういう御議論のところでいろんな議論をすることによって、それが議事録に残ると、これがやはり一つの規範になっていくんだろうと思っておりますので、そういった意味では、より御議論をいただいた方がいいと思います。
○林紀子君 どうもありがとうございました。 時間になりましたので、終わります。
○大脇雅子君 両先生にお聞きしたいのですが、このあっせん行為、いわゆる口きき行為というのが日本では非常に政治活動の本流のように受けとられていて、私は議会に参りましてから、その点がいま一つ感覚的に納得がどうしてもいかないところなんです。今、渥美先生もあっせん行為それ自体を御批判なさいましたし、岩井先生は族議員というものに対してさまざまな御研究を積んでおられまして、やはり官僚制度と族議員と結びついたところに日本の政治のゆがみであっせん行為がかくも肥大化しているところがあると思うんですが、その点について御意見はいかがでしょうか。
○参考人(渥美東洋君) 特に官僚体制が強いところと言いますか、お役人の力が強いところでは口ききを政治家が行う、そういう傾向が強うございますね。そういう意味では、そこに一種の後進性を見出すことができるかもしれません。 今までですと、国がいろいろ活動する際に、国がどういう活動をしているのかということは一般の人々は知りませんので、したがってその間の導線といいますか、そういう役割を、特に法による支配が行われていた戦前までは国民がよく法律の内容を知りませんし、法運用の実態とか行政の実態を知りませんから、政治家がそういう活動を営まざるを得ない。そうする方が、何も知らない国民にとって利益になることがあったと思います。 ところが、今の時代に入りますとそうじゃないと思うんです。みんなの代表が国会へ出てきて、国会で行うことはもっと基本的な政策の議論がなされるべきところであって、そういう仕事はアメリカ流に言うんだったらロビイストに任せておいて、ロビイストに一定の資格を求めて活動の限界を定めるというようなことを行うのが本来で、政治家がもう少し、ロビイストみたいな活動ではない本来の議論と政策を実現するための御努力をなされる場所だというふうになっていくんだと思います。 そういう方向へ向かって当然今度進もうという御意思が示された。その点、先ほど申し上げましたように、僕はある意味で画期的だと思ったんです。両方の法案説明を読んでいまして、特に与党案を読んでおりましたら全体の奉仕者性ということを非常に強く言っていらっしゃる。これは考え方が変わられたんだなと。それなら、その目的に沿うようにいろんな規定をきちんとおつくりになるべきだと、そう思いました。
○参考人(岩井奉信君) 先ほど、私も申しましたとおり、これはある意味では緊急避難的な法律なのではないか。 もともと、今、渥美先生などが御指摘になりましたとおり、日本の日本的なシステムに問題がある。欧米では余りこういったことがそれほど議題にならない、あるいは問題にならない一つの要件というのは、やはり中央の官僚システムあるいは中央集権のシステムがそれほど大きな権限を持っていない。それからさらに、やはり国会を通じてかなりのものが議論をされて政策決定がなされる。 ところが、日本の場合は、例えば特別会計の問題などを含めてやはり国会でもって余り議論をされない部分があったり、あるいは官僚の裁量権が非常に大きいし、権限が非常に中央に集中している。そういった意味では、やはり国会議員の方が口ききというと悪い言葉で、よい言葉でインターフェースという言い方もあるんでしょうけれども、やはり両者をつなぐ役割といったようなものをどうしてもやはり地域の人々あるいは社会の人々に期待される部分というのがある。その意味では、やはり非常に日本的であろうと。 イギリスなどで要するに余り問題にならないのは、やはり非常にこれは徹底した分権が進んでいると。特に、徴税権まで含めた税の分権が進んでいるものですから、国会議員がこういうところに介入するというとおかしいですが、そういった余地がもとよりないんだと言われるんです。 そういった意味でいきますと、問題の本質というところは、この処罰をどうするかということもそれは確かに大事な問題ではございますけれども、この中央集権の仕組みをどうするか、その意味では、私はやはりこれから分権が進んでいけば随分その状況というのは改善されるのかなというふうには考えております。
○大脇雅子君 ありがとうございました。 渥美先生にお聞きしたいんですが、全体の奉仕者性というのは、確かに法案の大きな私も前進的なところだと思うわけですが、ただ具体的な議論を聞いておりますと、例えば町内会に頼まれて橋をかけるとか公民館を建てるということはこれには当たらないと、特定の行政処分には当たらないというんですが、しかし私は、やっぱり橋をかけたり公民館を建てたりするということが、例えばごみ焼却場に反対をするところは避けて建てるとか、原子力行政でもこれはもう日常的に行われているところで、やはりもっと重要なところに予算を回さなきゃいけないときにそういうことをするということは、全体の奉仕者性から見て政治活動としてよろしいのかなと思うわけです。 こういう特定のものと一般的なものの線引きというのは非常に難しいとおっしゃったんですが、これについて何か御意見ございましたらお教えいただきたいんですが。
○参考人(渥美東洋君) 非常に難しい御質問です。線をどこで引けばいいかというのは非常に難しゅうございまして、むしろ御議論いただく必要があると思いますけれども、私は、線を引く具体的なものが非常に難しいのであれば線を引かないでおいた方がいいという立場をとりました。当然、それが皆さんの利益になって特定の者の利益を図るものではないということがわかった場合、その場合にはそこから外れるんだというふうに考えた方が健全ではないだろうかと、私はそう考えたんです。どこで線を引くかというのが難しければ逆から考えてみるということを考えてみました。
○大脇雅子君 それからもう一点、渥美先生にお尋ねしたいのは、法定刑の問題ですけれども、あっせん収賄罪との比較考量で法定刑が少し下がりますけれども、例えば土本先生なんかは、選択刑として罰金刑を入れた方が、もっとフレキシブルで柔軟な構造がそういう汚職をなくするのに役立つではないかというようなことを言っておられるんですが、それはどう思われますでしょうか。
○参考人(渥美東洋君) この場合、罰金を科さなくても利益の追徴がございますから、本来そういうバランスをとっているわけです。この行為は土本教授はどうおっしゃっておられるか存じませんけれども、全体の奉仕者性ということを前提にしますと、一部の利益のために多くの人々の公共の利益を台なしにするというのは、これは大変重たい犯罪ですよ。そのあらわれている、外から見てそのかかわり合い方で刑罰を刻んだわけですけれども、罰金で済ませていいというものでは僕はないと思うんです。 得られた利益の分、その分だけを取り上げるか、場合によれば、調整するならばそれについて二倍、三倍、五倍というようなものを考える。そうすることで、いかにそのときに受け取った財産上の利益が不正なものによって汚染されているかという特徴を示すことができる。普通の罰金とは性格が違うんだということを涜職罪等の場合には明らかにしておくべきだと思いますので、通常の罰金のところに持っていくのは、土本教授はどう考えておられるか知りませんけれども、私はその考え方は妥当じゃないというふうに思います。
○大脇雅子君 きっと、構成要件が非常に厳格ですと、有罪ということにならないと没収ということはできないわけですから、併科ですから、だからその点で非常に疑わしいときにその罰金刑で考えるということはどうだろうかという御意見の趣旨だとは私は思ったわけですけれども。
○参考人(渥美東洋君) それでしたら、民事、行政、刑事全体を働かせていって、この場合には行政的な措置をするという方法が考えられます。罰金を行政的な措置と同じように考えるというのもおかしいですし、それから罰金ならば疑わしい場合でも処罰していいというのは、これまた非常に僕はおかしい話だと思います。
○大脇雅子君 疑わしいときに罰金刑を科すというのはおかしいんですが、例えば情状酌量で起訴猶予になるときにでも罰金刑と、こういう趣旨だと思うんですが、確かに先生の御意見は拝聴させていただきました。 それから、岩井先生にお尋ねしたいのは、世界七十五カ国以上に支部を持って汚職の監視活動を行っている国際的なNGOがございます。トランスペアレンシー・インターナショナルというもので、世界九十カ国の二〇〇〇年度版の汚職度認識指数というんですか、これを九月十三日に公表しておりました。最も清潔度が高いのはフィンランドで、以下デンマーク、スウェーデン等北欧諸国が上位を占めておりまして、米、英、独、仏、日の五カ国を比較しますと、イギリスが十位、アメリカ十四位、ドイツ十七位、フランス二十二位で、日本は二十三位となっております。国際貿易などにおいてわいろを支払う国と認知されているわいろ支払い指数というのも、日本はその五カ国中の最下位だと。 こういう指数はどこまで、どうやって出すのか、これは幾つかの国際機関のケースから抽出しているようでございますけれども、清潔度の高い国が国際競争力でも高い順位を持っているし、発展途上国というのは非常に清潔度が低いという分析がなされております。 こういう一つの日本的な風土というものがこの法案によってどの程度改善されていくのか、そういう可能性というものをどのように見ておられるか、お尋ねをいたします。
○参考人(岩井奉信君) いきなり難しい御質問でございますけれども、私も計算方法をちょっと存じ上げておらぬのですが、恐らく今の順位を聞きますと、大体情報公開度の高い順にきれいというような感じなのかなと。とりわけ北欧は、我々のプライバシーまで他人がのぞけるというぐらい情報公開度が高いということがありまして、それから特に国民総背番号でお金の流れというのが完全に把握できるというような国でございますので、そういった意味ではなかなかこういう利得というのを隠しておけないというのがあるんだろうと。 私は、これから先の問題というのは、二十一世紀の日本の政治の一番の課題というのは、やっぱり透明性であろうというふうに考えております。ただし、透明性というのもある法律があってきちんとそれに対する処罰がなされなければならないということで、そういった意味では、先ほども私は申し上げましたが、こういう法律を特別につくっていこうという姿勢というものはやはりそれなりの抑止力というものにつながっていく。中身がざる法だ云々というふうに言われつつも、実はお互いにこういう法律があるのにといったような形で相互に監視し合うといったようなことが出てくるのではないか。その意味では、やはり襟を正す役割というのは非常に私は大きいと言えるだろうと思います。 ただ、法律をつくってしまえばそれっきりというのではなくて、常時これをよりよい形にしていく、あるいはより効果的な形にしていく、常に見直していくということがこれから求められていくのではないかなと、それがよりよい政治倫理の確立というものにつながっていくのではないかと。 お答えになっているかどうかわかりませんが、私はそういうふうに感じております。
○大脇雅子君 最後に、渥美先生にお尋ねしたいんです。 さまざまな欠陥がございまして、私どももこの後修正案を提出することになっておりますが、この法律案は、あっせん収賄罪が非常に摘発率が少なかった、国会議員に関して、それに比較して、より要件が緩和されているとはいえさまざまな制約がいっぱいとげ抜きがなされておるわけですが、この法律的な効果、取り締まりの実効は上がるだろうかという点について、法律家のお立場からお教えいただきたいと思います。
○参考人(渥美東洋君) まず第一にそれを申し上げて、その次に若干関連するので繰り返して申し上げますが、確かに、契約行為等々に限定をされたり、あるいは種々権限を用いて影響力を与えとかそういう限定が加えられたりすることになりますと、その立証をしなければなりませんのでそれがない場合に比べて実効性は低くなるというのは、それはもう予想されるとおりでございます。ただ、その後実効性が低いという場合にはどうやってこれを変えていこうかという声が国民の間に出てくる、あるいは政治家の皆さん方がそれをお考えになって変えていくというような方向が出てきてくれればいいと思います。 次のところに入りますが、先ほど来申し上げておりますように、全体の奉仕者性ということを考えれば、そういう限定した要件をつけるのは整合性に欠けるんじゃないかと思うんです。ですから、目的をきっちりお立てになったのは僕は非常に感心しました。やはり時代は変わったなと思ったんですが、それであれば、全体に対する奉仕者性から考えますと、なぜこういう限定をお加えになられるのか、それがわからない。限定はなるべく少なくなさって、本当に全体の奉仕者としての政治家の立場を明らかにするという観点から考えて、そういう要件をつけ加えて運用できなくするような方向へ向かうのは望ましくないと。ただ法が実効性があるかないかというだけの問題ではないように受け取りました。目的と書かれている要件とが果たして整合性があるかなという疑問を感じました。
○大脇雅子君 どうもありがとうございました。
○松岡滿壽男君 両先生には御苦労さまでございます。無所属の会の松岡滿壽男でございます。 けさほども提出者に対してちょっと質疑をいたしたんですけれども、両先生、特に渥美先生にお伺いしたいんですが、どうも最近簡単に日本語をつくり変えていくということがありまして、政治公務員という言葉が出てまいりました。渥美先生は政治家公務員という言葉でくくっておられるんですが、あえてこの公務員という言葉をつけたのは、やっぱり私設秘書を外すためにつけたかなというような皮肉なとり方をするわけですけれども、この政治公務員とか政治家公務員、この内容ですね。先生のおっしゃる政治家公務員の内容について御説明をいただきたいと思いますし、その政治公務員という呼び方ですね、私も田舎で市長をやったことがあるんですけれども、地方公務員特別職とか国家公務員特別職という形で今まで呼んでいましたね。それをあえて公設秘書をつけて政治公務員という言葉をつくったと。この言葉の意味、これは正しいのかどうかということについてお伺いいたしたいと思います。
○参考人(渥美東洋君) 何という言葉をつけたらいいのかということで私も悩みましたけれども、選挙によって選ばれている政治的なポジション、あるいは法的なポジション、公的なポジションを得た者、シビルなポジションを得た者、これを想定したんです。 アメリカの、先ほど岩井先生がおっしゃられた法律の中では、二つ分けてあるんです。片っ方はエレクテッドな者ですね。実際に職についてしまった者、それからまた選挙で選ばれているけれどもまだ職についていない者、それともう一つがもともと任命された者。それとの、三つをどうやって扱うかで全体について要件を定めてみんながおかしなことをしないようにという全体の公務というものですね、公務というものが円滑に動いていくようにということを想定して私も公務員という言葉を使いました。 公務員という言葉を使いましたのは、公務全般というものを念頭に置いたからです。決して私設秘書を外すということを私も念頭に置いたわけではございませんし、与党の方々もそう置いたわけではないだろうというふうに私は思っております。分け方の基準はそんなところです。
○松岡滿壽男君 先ほどマシンという言葉をお使いになりましたけれども、やっぱり政治活動のマシンの中に私設秘書というのはかなり重要な役割で実は入っているんですよね。 それで、この前から秘書の報酬のピンはねとかいろんな問題が出ましたけれども、衆議院ですと普通秘書を十人から二十五人ぐらい抱えているわけですよ。公設は三人しか出ないという悩ましい問題がありまして、そういう政治風土の中から、やっぱりある程度あっせん利得行為というものがずっと尾を引いてきているという背景が実はあるわけですね。 今回も新潟の知事選挙に続いて栃木の知事選挙とかありました。私どもの地元の山口県でも現職の首長が随分やられてしまう、負けてしまうというような状況が出てきているんですね。それは、一連の先ほど岩井参考人もおっしゃいました政治改革、そして政界再編がうまくいっていない、世の中どんどん目まぐるしく変わっていくのに、どうして政治だけが大きな岩盤のまま、加藤さんじゃないですけれども、あるんだということに対する疑義がやっぱり私は背景にあるだろうと思うんですね。やっぱり変わってほしいと。 その中から見ると、かつて自社さきがけが、これだけではないですけれども、あっせん利得の問題をめぐって崩壊してしまっている、そういう背景から見ると、大きく今度の法案は勇気を持って取り組んだ法案だろうというふうに私どもも評価は実はしているんですね。 そういう中において、しかし先ほど渥美参考人の御答弁にもございましたように、この法律をつくったからどうなるかという実効性についてやっぱり当初からいろんな疑義もあると、またこういうことをやったのというとり方が国民からされるという疑義が非常にあるわけですよ。 そういう点について、どういうふうにこの法案の成立の後国民に対して説明できるのか。なかなかいい知恵も出てまいりませんので、お二人の参考人からそれぞれこういうふうに説明したらいいよというお知恵をおかりしたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○参考人(渥美東洋君) 私が答えるよりも松岡先生が答えていただいた方が適切な答えができるだろうと思うんです、私などはそういう問題についてはほとんどうぶというほど素人ですから。ただ、法施行を行う場合とか、法の適用をしたりする場合とか、裁判をしたりする場合にどうだろうかということを考えるんですが。 そこで、先ほど申しましたように、これは、きちんと出ていって理念に従って動いていくためには、その理念が死んでしまうことがないように、余り重たいものをつけない方がいいし、それから推定規定を設けてきちんとおやりになった方がいいだろうというふうに思いました。 先ほど御指摘になりました私設秘書の問題は、私マシンという言葉を使いましたけれども、マシンであるということが、マシンの一環であることが認定されれば刑法六十五条で処罰できるんです。ですから、その点さえ立証することを明確にしていけばいいと思いますし、それから一人一人の方々がそういう制度なんだということをお考えになった上で御自身の中に規範意識を植えつけられるという必要があり、各党でこういうことをやってはいけないんだということをお互いにきちんと確認し合うということが一番大切で、あらゆる規範性というのは、一人称、二人称、三人称ございます。適用されるものもありますし、相手に対する関係での問題がありますし、自分自身がその規範をどれだけ内容化するか、内実化するかということが問題になります。 一番大切なのはそこだと思うんですよ。その点をこうすれば逃げられるだろうというふうに感じられるようなものはなるべく少なくすべきだ。しかし、公務性というものから離れたものまで徹底的に糾明をすることになれば、今度は政治的な活動の自由というものが大きく損なわれてしまう。その両者の兼ね合いだと思います。これをやってみて、なお今の政治家の方々が不信を買うような行為をなさった場合には、当然これは御提案なされた皆さんが改正を考えられるんだと思うんです。 先ほど来皆さん、日本の政治が云々と言っておられましたけれども、政治だけじゃなくて大学だってみんなそうです。みんなよどんでおります。動かさなきゃならない時期に来ているわけで、その点、最後に申しますが、これは実行されるように御自身の身をきちっとお示しになられることと、律せられることと、それから内部からきちんと告発が生まれてくるぐらいの体質を各党がお持ちになられるようになっていただきたい、そう思っております。
○参考人(岩井奉信君) 非常に難しい問題ではございますけれども、先ほど私もお話をしましたように、法律ができ上がってしまいますと、その条文がひとり歩きをするというところがある。やはりその立法の趣旨というのは常に継承されていくように御努力をなさるということが非常に大事だと。とりわけ、この法律は国会議員の方々みずからを律する。そのまさに自分たちの活動の自由というものを多少犠牲にする、あるいはそういったものを覚悟の上でこの法律をつくられた、そういった面では非常に評価をするものでありますけれども、この立法の御趣旨といったようなものを次の世代の、あるいはほかの議員の方々に伝承していく努力というのがやはり大事なのではないか。 それからもう一つは、その適用については、やはり基本的には世論との関係、すなわち世間一般との、常識との中において乖離があるのかないのか。確かに、政治の世界における特殊性といったものを認めざるを得ない部分というのはありますけれども、その一方において、やはり政治倫理の確立と国民への信頼性の問題というのは、いわゆる永田町の論理と呼ばれるような永田町独特の価値観といったようなものではなくて、やはり有権者の持っている価値観と比べた場合に余りにも乖離をしないような適用というのが大事だと。 先ほど与党の方から告発があるようにというようなことも言われましたが、イギリスの政治倫理委員会の綱領などの規定なんかによりますと、与党によって与党議員が処分された、処罰されたといったようなケースもございます。そういったようなある種の気概でございますが、これがやはり必要なんではないかなという感じがいたします。
○松岡滿壽男君 両先生、大変ありがとうございました。 終わります。
○委員長(倉田寛之君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々に一言御礼のごあいさつを申し上げます。 本日は、長時間にわたり大変貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 五分間休憩いたします。 午後三時十七分休憩 ─────・───── 午後三時二十四分開会
○委員長(倉田寛之君) ただいまから政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会を再開いたします。 公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律案を議題といたします。 本案の修正について山下八洲夫君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。山下八洲夫君。
○山下八洲夫君 私は、ただいま議題になっております公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律案に対し、民主党・新緑風会、日本共産党、社会民主党・護憲連合、無所属の会、自由党及び二院クラブ・自由連合を代表いたしまして、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。 以下、その趣旨について御説明申し上げます。 第一は、犯罪の主体に私設秘書を加え、秘書の処罰範囲を拡大することであります。 与党案は、公職にある者以外であっせん利得罪の処罰対象となる者を公設秘書に限定しています。しかし、金庫番を務めたり、政治家にかわって役所に口ききを行っているのは、専ら私設秘書であることは政界の常識であります。現に、本法律案が衆議院の特別委員会で可決された十一月九日、東京信用保証協会の融資制度をめぐる出資法違反事件で、衆議院議員の私設秘書がブローカーの依頼を受けて協会に口ききをし、その見返りとして法外な仲介手数料の一部から謝礼を受け取ったとされる容疑で東京地検特捜部に逮捕されました。 あっせん利得行為を行うのは地元にいる私設秘書であることが多いわけですから、私設秘書を犯罪の主体から除くということは大きな抜け道を認めることにほかなりません。したがって、犯罪の主体に私設秘書をぜひとも加え、本法律案の実効性を高めるべきであります。 第二は、「その権限に基づく影響力を行使して」との要件を削除することであります。 この「その権限に基づく影響力を行使して」という要件については、本委員会の質疑において繰り返しその意味が問われましたが、提案者は、法令に基づく公職者の職務権限から生ずる影響力などを被あっせん公務員の判断に影響を与えるような形で、被あっせん公務員に影響力を有する権限の行使、不行使を明示的または黙示的に示すことなどと、全く意味不明の抽象的な答弁を繰り返すばかりで、一向にその具体的内容は解明されませんでした。 このような不明確な要件は、刑罰法規の構成要件として不適当であるばかりでなく、解釈や運用によっては大きな抜け道となります。よって、「その権限に基づく影響力を行使して」との要件は削除されなければなりません。 第三は、対象となる行為について、契約と行政庁の処分に限定しないことであります。 契約と行政庁の処分に限定すれば、公共事業の箇所づけ、特定業界を擁護するための税制改正等の政策決定への関与によって金品を得た場合は対象外となり、ここにも大きな抜け道をつくることになります。 あっせん利得罪の創設が求められているのは、口ききの見返りに報酬を得ることを当然とする我が国の政界における長年のあしき風習を断ち切ることが、今求められているからであります。したがって、対象となる行為を、衆議院に提出された野党案と同様に、公務員等の職務に関する行為全般とすべきであり、あっせん利得罪の構成要件から、「国若しくは地方公共団体が締結する売買、貸借、請負その他の契約又は特定の者に対する行政庁の処分に関し」を削除すべきであります。 第四は、その他所要の規定を整備することであります。 以上でございます。 与党答弁は、この間エンドレス答弁ばかりでございました。何とぞ、修正に委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(倉田寛之君) これより公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律案及び山下八洲夫君外五名提出の修正案について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○齋藤勁君 発議者、そして修正案提出者の皆さん、御苦労さまでございます。民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。 発議者の方に、どなたか代表で結構でございます、私も修正案を出した立場の会派の一員でございます、修正案について応じる考え方があるのかどうか、冒頭お伺いいたします。どなたでも結構です。
○衆議院議員(亀井善之君) 御提案でございますけれども、いろいろ考えますときに、先般来御答弁申し上げておりますとおり、修正の要求につきましてはこれに応ずることはできないわけでございます。
○齋藤勁君 大変残念に思います。 既に本法案は衆議院で野党四会派が修正案を出し、それを与党の皆さん方は残念ながら受け入れられなかったわけでございます。そしてまた、私どもの参議院の方では、六会派によりまして、送付を衆議院からされて以来、まずは修正をするということで、このことは最低限与党の方々も御納得いただけるのではないかということで三項目と絞りまして、この間いろいろ話し合いをさせていただきましたけれども、それにつきましても拒まれたわけでございます。さらに、きょうの修正案の提出に至りました。 そこで、ただいま修正案趣旨の朗読をされました山下議員にお尋ねいたしますが、衆議院、参議院、そしてこの後この法案が採決に後ほど行く、そんな事態になっているわけでございますけれども、修正案を実現したいというそういった提案でございましたけれども、この野党の申し入れに対し与党が拒むということで、私自身は、議員立法というのは極めて幅広に大きく門戸を開いて受け入れるべきだという基本的な姿勢が国会としてはあるべき姿ではないかというふうに思いますが、そのことも含めて考え方をお示しいただきたいと思います。
○山下八洲夫君 まず、この法律案は議員の身分にかかわる問題でございますし、同時に、そのようなことを考えますと、すべての議員が賛成できる、このようにしていくことがまず一番大切だろうなというふうに思います。 そういう中で、衆議院におきましては、今お話ございましたとおり野党四会派で七項目の修正をいたしました。それを一顧だにされなかったわけでございます。そして、原案が参議院に送付されまして、参議院でも何とか修正をしていただきたい、こういう気持ちから、もっと現実性のあるということで、ただいま提案させていただきましたとおり三項目に絞らせていただきました。まずこの三項目を中心にいたしまして、率直に申し上げたいと思いますが、与党の理事の皆さんとも随分協議をさせていただきました。そういう中で、それこそこの三項目全部を修正するのは難しいけれども、場合によっては私設秘書は含めてもいいのではないか、このように若干前向きな話し合いも一時あったわけでございますが、これも最終的にはなかなか応じていただくことができず、今日こうやって三項目を提出させていただいた次第でございます。 私も与党の皆さん方の答弁をお聞きしておりまして、これは百点満点だと、よくそういう言葉が出ました、答弁が出ました。この三項目のもし修正に応じていただければ百点満点が百五十点満点あるいは百八十点満点に上がるのではないか、このように思いますので、ぜひそういう前向きの修正に応じていただきたいなというふうに考えております。
○齋藤勁君 ただいま山下議員からの答弁の中に百点満点の与党の発言ということで、十一月十三日付の参議院本会議のこの法案の趣旨説明そして答弁について、今速報が手元にございます。 百点満点というのはどういうところに出てきたのかなと思いましたら、尾身幸次衆議院議員が、前文省略いたしますが、「入念な検討を加え提出したものでございまして、」、確かに入念な検討をされたと思うんですね、「私どもといたしましては、本法案こそが将来にたえ得る法案であり、百点満点、ベストであると考えています。 したがいまして、修正に応じるのは適当でないと申し上げざるを得ないところであります。」と、これはもう提案のその日から修正に応じるのは適当じゃないというこういうことをいきなり言われているわけで、議員立法というのは一体何なんだろうかということになるわけでありまして、三党それぞれいろいろ私は入念な検討があったのではないかと思います。それをよりよい法案にしていくというのが国会のありようだと思うんです。 さてそこで、きょうは原案そして修正案ともう採決の時点でございますので、尾身幸次議員が「私どもといたしましては、本法案こそが将来にたえ得る法案」だ、あるいは「百点満点、ベストである」と、これは自民党の立場であるのか、あるいは公明党、保守党、それぞれの方々も、いやそのとおりですというふうにおっしゃるのか。発議者それぞれいらっしゃいますが、各党、代表で結構でございますので、公明党、そしてまた保守党の方々、よろしくお願いいたします。
○衆議院議員(亀井善之君) 私ども与党三党十分議論をいたしまして、我が党自由民主党も百点満点と、こういう考え方のもとにおるわけでございます。
○衆議院議員(久保哲司君) 今、亀井発議者からございましたように、私ども与党三党重々協議を重ねた上での結論でございますので、私どももそのように考えております。
○衆議院議員(小池百合子君) 保守党といたしましてもそのとおりでございます。
○齋藤勁君 言わざるを得ない立場なのかなということも少しは思いますけれども、甚だ残念に思います。 きょう、衆議院の方々、発議者の方々は、衆議院本会議の中で野党によります森内閣総理大臣に対する不信任案の提案そのものに対するいろいろやりとりあるいは動きがあるので、心中穏やかならずというところがあるのではないかというふうに思いますが、これは今、森内閣総理大臣の支持率そのものは確かに総理のリーダー性の資質、資格が問われている点があろうと思いますが、小渕政権から森政権にかわり、そしてさまざまな法案、とりわけこの臨時国会をめぐりまして今回のこの法案、あっせん利得処罰法あるいは非拘束名簿式の問題を含めまして、国会は野党に対し、国民に対し耳を傾けていないのではないかということが森内閣総理大臣に対する支持率の低下、不支持率の増大、そのことにつながっていくのではないかというふうに思いまして、森総理個人に、私はそうお思いではないと思いますが、総体的に言わせていただければ、極めて今与党の皆さん方の態度というのは不遜であるというふうに言わざるを得ないと思います。よりよいものにしていく、このことがベターではないかというふうに思います。 先ほど参考人のお二方から聞きまして、いろんな御見解があるんだなと、それなりに勉強をさせていただいた点はございます。しかし、世論、支持率、いろんな声があろうと思いますが、とりわけ言論、マスメディアが、衆議院で可決をされそして参議院に送付をしたときに、それぞれの社説を見る限り、参議院で補強をすべきだとか抜け道だらけだとか、これは大変な与党案に対する評価でございます。これに対してきちんと耳を傾けていくということが私は本来、国会議員、国会のありようではないかというふうに思います。 政治公務員、政治家公務員、新しい言葉が登場してまいりました。選挙によって選ばれた政治家。そして、一体性のあるところで本人が任命する公設秘書、落選すれば秘書はやめていく。しかし、私設秘書も落選すれば私設秘書をやめていくのは当たり前な話でありまして、私設秘書は身分を失わない、こんな議論なんというのはあり得ないわけでありまして、少なくとも国会の議論であれば、三党でこの私設秘書を含めるか含めないか、大変な議論をしたのではないかと思います。これにつきまして、じゃ与野党こぞってこの私設秘書について真剣に議論をして、どういうふうにしたら、定義づけをしようかということがあるべき議員立法の皆さん方の姿勢ではないですか。 なぜ私設秘書を加えられなかったのか、定義づけについていろいろ山本衆議院議員から先週も今週にもわたって伺いましたけれども、改めて、検討したけれども何が問題だったのかも含めてお聞かせいただきたいというふうに思います。
○衆議院議員(山本有二君) 何度も同じことを申し上げるようで恐縮ではございますけれども、我々与党案といいますものは、今日ここに至るまでに、自社さ政権のもとにあっせん利得罪の必要性を議論し、それで合意をしましたものの、中身において自社さ政権が崩壊し、かつあれから数度政権がかわったわけでありまして、やっとここまでたどり着いた。すなわち、議員みずからがみずからを縛る。それは単に今日までの倫理綱領だとか単なるモラルだとかいうことの域を脱して、刑事罰にまでこれを昇華してきたというようにとらえるならば、我々はもう党内、我が自由民主党の中にも多くの発議者、提案者、このあっせん利得罪の法案にかかわった者に対してかなりの批判もありましたけれども、それでまとめ上げたという意味において、先生にも与党の苦労も多少はわかっていただきたいということがございます。 しかし、それは別といたしまして、私設秘書というものにおきましては、本罪が政治に関与する公務員の活動の廉潔性、清廉潔白性とこれに対する国民の信頼を保護しようとするものであるという保護法益でございまして、身分犯である以上、身分を有していない私設秘書までこれに含めるわけにはまいらないということでございます。
○齋藤勁君 今回の法案は、従来なかったところから比較をすれば、私は、何歩かどうかは別にしてそれは評価は当然させていただきたいと思います。 ただ、少なくとも問題は節穴だらけ、抜け穴だらけ、ざる法だ、実効性はどうなんだろうかということについて衆参それぞれで指摘をして、こういうふうにすることが国民の世論に、期待にこたえるんではないか、ざる法というそういった批判も私は当てはまらないのではないかということを真摯に提案させていただいたわけでありまして、このままでは政治腐敗の防止に実効性は何ら上がらないのではないかという危惧を率直に申し上げざるを得ません。 御努力は御努力で評価をさせていただきます。完全な法律というのはなかなか実際困難だとというのもこれはもう長い間の歴史の中で証明されると思います。しかしながら、与党の皆さん方から三党そろってベストであります、百点満点でありますということで、改めて伺いますと、本当に本気でお答えになっているのかなということを考えざるを得ません。 こういうようないわゆる口きき政治がなかなかおさまらないということについて、法で罰則を科す、我が国の政治家として率直にこのような法律をつくらなきゃならないということについて私は恥じなきゃならないというふうに思います。このことは共通認識だと思いますし、まさに与党案の立法趣旨、趣旨説明の全文はそういったことが脈々と流れているわけですから、この立法の趣旨を見る限り、実効を伴うということになりますから、野党から指摘をしていることについて実効性を担保するということが本来与党のとるべき姿勢だということを再度指摘したいというふうに思います。 残る時間なくなりました。このようないわゆる抜け道だらけ、ざる法を御提案されました与党の皆様方が必ずや厳しい国民の皆様方から審判を下されるだろうということについて御指摘させていただきまして、私は原案に反対をし、修正案に賛成する立場で発言を終わりたいというふうに思います。
○林紀子君 ただいま野党から修正案が出されましたので、私はまずこの野党の修正案の提案者にお伺いしたいと思います。 池田議員にお答えいただきたいと思いますが、こういった法律にとって実効性というのは本当に命だというふうに思うわけです。ところが、刑法第百九十七条の四、あっせん収賄罪は、四十二年間たっているのに政治家への適用例というのはわずか二件だということです。口きき政治をなくそうとするならば、こうしたあっせん収賄罪の二の舞ということにならないように本当に実効性のある法律を制定しなければ国民の期待には到底こたえられないと思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。
○池田幹幸君 お答えします。 政治家が口ききをしてわいろをとる、こんな政治はもうやめようじゃないか、なくそうじゃないかというのが国民的な合意になっていると思うんです。今回、与党が提出したあっせん利得処罰法案も、その提案理由説明では、「公職にある者の政治活動の廉潔性・清廉潔白性を保持し、これによって国民の信頼を得ることを目的」とすると述べているわけです。 そうであるとしますと、今度制定される法律は、林委員御指摘のとおり実効性のあるものにしなければならないと思うんです。では、実効性のあるものにするためにはどうすればいいんだということなんですけれども、まず実際に行われている口きき、それについてその実態をきちんとつかむ必要があると思うんです。少なくとも、だれがどんな形でやっているのかということ、どんな分野でなされているのかということ、そういった点に、実態にメスを入れるものにしなければならないと思うんです。 その点で与党案を見てみますと、口ききのあり方においても対象分野においても、最も一般的にやられているところにメスを入れない、というよりもメスを入れることを拒否しているというふうに言わざるを得ないものになっていると思うんです。したがって、実効性を持たせないように一生懸命工夫したとしか言いようのないものだと思うんです。 例えば、私設秘書を処罰の対象から外しているという問題です。口ききをするのは、議員本人が行うケースもありますけれども、圧倒的多数がやっぱり私設秘書がやっている。また、圧倒的に口ききの対価を受け取る窓口、これもまた私設秘書になっているんです。ですから、こういった私設秘書を外すということは著しく実効性を欠くと言わざるを得ないと思います。 また、口ききのやり方、これを見てみましても、実態から見て議員の質問権など狭い範囲の影響力にとどめず、党内の役職や族議員としての影響力などの行使こそ対象にされなければならない。そうじゃないと意味がないと思うんです。 また、どんな分野で口ききが最も多くなされているかという点ですけれども、これは過去の贈収賄事件を見てみますと圧倒的に多いのは行政指導分野、それから予算、予算措置ですね、それから税制、そういったところに集中しています。行政処分と契約に絞ったのでは口ききの大部分が処罰対象から外されるということになってしまいます。 したがって、与党案に実効性を持たせるためには、野党六会派で提出いたしました修正三項目、少なくともこれを盛り込むこと、これが不可欠だと考えております。
○林紀子君 よくわかりました。 ただいま御説明のありました第三の対象となる行為について、契約と行政庁の処分に限定しないというところをめぐって私は発議者に御質問したいと思います。この法案の処罰の対象行為というのをこれに限定してしまって、予算の箇所づけや行政指導というのを対象行為から外している、これが大変大きい問題だと思うわけです。 発議者にお聞きしたいのですが、ロッキード事件、これはもうだれでも知っている疑獄事件ですけれども、田中元首相が外為法違反とか受託収賄罪で実効判決を受ける大変な事件でした。そのとき、田中元首相が運輸大臣に指示して、民間航空会社に対し特定機種の選定、購入をしろという、こういう行政指導を行わせた。ですから、この事件で運輸省の行政指導というのが大変大きな問題になったと思いますけれども、このことについてはどうお考えになっているか。また、このロッキード事件ではロッキード社と丸紅という特定の者が利益を受けた、これも紛れもない事実だと思いますが、いかがでしょうか。
○衆議院議員(小池百合子君) ただいまロッキード事件という具体的な例を出して御質問があったわけでございますが、そもそも与党案の考え方におきます契約、行政庁の処分に限定しているところは、まさに共産党がいつも言っておられます憲法を守る、憲法の第二十一条におきます政治活動の自由を守るということ、これが一番大きな目的でもあるわけでございます。 そしてまた、政治家に求められることは、特定の者からの要求にそのあっせんをする、そしてそことの対価を求めるというものではなくて、広くあまねく国民のいろいろな要望を聞いて、それを予算案などに反映させていくということがまさに私どもに求められている政治活動であるということから、今回のこの契約、行政庁の処分に限ったということにつきましては、行政計画、予算案作成等に関するあっせんについては政治活動として公職者等に期待されるところでありまして、今回は処罰の対象としないこととしたわけでございます。 それから、行政指導につきましては、行政指導といいますのは、もう御承知のとおり、行政機関が行政目的を実現するために私人または他の行政機関に対しまして法的拘束力のない手法によって働きかけをする行為というわけでございます。すなわち、行政指導には法的拘束力がございません。そしてまた、直接国民の権利義務を形成し、あるいはその範囲を確定することが法律上認められている行政庁の処分とは異なりまして、特定の者に明確に利益を与えるものとまでは言いがたいことから、今ロッキードの具体的な例はございましたけれども、私どもの案の中におきましてはあっせんの対象とはしておらないわけでございます。 直接のお答えにならなかったかもしれませんけれども、現在この法案の審議でございますので、私どもの法案の御説明をさせていただいたところでございます。
○林紀子君 お認めになったように本当にお答えになっていないんですね。ロッキード事件ではこの行政指導というのが本当に大きな役割を果たした、それから丸紅とかロッキード社に対して特定の者に利益を与えた、そのことについてはペーパーを読まなくてもお答えいただけるんじゃないかと思いますので、もう一度答えてください。
○衆議院議員(小池百合子君) もう一度繰り返しになりますけれども、行政指導……
○林紀子君 ペーパーを読まなくて、時間がありませんので。
○衆議院議員(小池百合子君) あくまでも法的拘束力はないわけでございますので、当事者もこれに従う義務を負わないということから外しているわけでございます。
○林紀子君 どうもかみ合わなくて、大変質問していても困ってしまうんですけれども。これについては、私は確かに質問通告しませんでしたけれども、ロッキード事件なんというのはもうだれも知っていることですから、ペーパーから離れて答えていただけることできるんじゃないですか。運輸大臣が行政指導をさせて、そして非常にロッキード社と丸紅に大きな利益を与えさせた、それがイエスかノーか、答えてください。
○衆議院議員(小池百合子君) ロッキード事件、既に歴史の中で風化している部分もございますが、しかし政治のいろいろな病巣を抱えていることも事実かとは存じます。しかしながら、この法案、私どもは今あっせん利得処罰法に関して審議をしているわけでございまして、その当時の諸般の事情、そしてまたそれが既に裁判のもとにおいて、ロッキード事件に関しまして必要な罪状のもとでさまざまな裁判が行われてきたものと承知をいたしております。
○林紀子君 このロッキード事件というのは、まさにこの行政指導を大いに使って、そして特定の者に利益を与えさせた、そういう事例だったわけです。また、リクルート事件でも同じわけです。ですから、ペーパーを使って今お答えになりましたけれども、その中で行政指導というのは特定の者に利益を与えさせない、行政処分だったらそういうことだけれども、行政指導というのはそれに当たらないということを言っているわけですけれども、もう具体的な事実が、このロッキード事件はまさに行政指導が利益を与えたということは明らかじゃないですか。そのことまで否定をなさいますか。
○衆議院議員(小池百合子君) むしろ、この法案の審議を行うに当たって質疑と答弁がかみ合っていないのではないかと思うわけでございます。行政指導につきましては先ほどから何度もお答えしております。時間も少ないので、先ほどの御答弁以外改めてつけ加えることはないということをお答えしておきたいと思います。
○林紀子君 ですから、法案を審議するにしても、具体的な話でしなかったらということで私はこれを出しましたのに、それを逃げてとうとう一番明らかなこともお答えになっていないということは非常に不誠実だと思います。
○衆議院議員(小池百合子君) 委員長。
○林紀子君 まだ私が質問を続けております。 行政指導が日本の行政全般にわたって支配的な政策手段となっているときにこの行政指導を対象から外しているということは、まさに法律の実効性というものを損なうものだと言わざるを得ないわけです。
○衆議院議員(小池百合子君) 委員長。
○林紀子君 まだ私が申し上げておりますので。
○委員長(倉田寛之君) 質疑を続けておられますので。
○林紀子君 予算の箇所づけということも対象から外されているわけですけれども、例えば決算委員会で問題になりました建設省の河川局が個別の工事箇所が衆議院のどの小選挙区に該当するのか資料提出を自治体に要求いたしました。どうしてこんなことをするのかということに対して、建設省は、担当者は、今までいろいろな先生からあの工事はどうなっているかという問い合わせを受けたことがあり、そういうときに混乱しないためだと答えている。まさにこれも箇所づけに多くの議員が口ききをしている、明らかじゃないですか。ここもまた問題だと思いますが、どうですか。
○衆議院議員(小池百合子君) まず、ロッキード事件という具体的な事案についての御質問がございました。ただ、これは議員立法でございます。お互いにこれは質問の通告をしっかりしていただかないと、一つの事案に対してどういう罪状で何年の法律的な結果が出たということをここで正確にお答えすることは残念ながらできないわけでございます。その意味で、議員立法の中で審議を中身のある、深めていくためには、やはりそれはお互いにルールを守っていきたいということをまず申し上げておきたいと思っております。 そしてまた、国会議員というもの、国会議員ならず今回の主体となっております政治公務員というのは、先ほども申し上げましたように、地域の声、そして国民の声を聞いてそれを実現するということがどこが問題なのか。そしてまた、今回このあっせん利得処罰罪ということにつきまして、議員がこうやって議員立法してみずからを律するルールをつくるということは私は大きな一歩につながっていくものと思いまして、お答えをさせていただきたいと思います。
○林紀子君 私が質問したことには何も答えていないわけですね。箇所づけの問題についても何も答えていないでしょう。でも、ロッキード事件について特定の者に利益を与えたかどうか、そんなことまで……
○委員長(倉田寛之君) 林君、質疑時間が参っておりますので結論を急いでください。
○林紀子君 はい、私の質問に答えておりませんので、私は今申し上げているわけです。ロッキード事件が特定の者に利益を与えたか与えなかったか、そんなことまで答えられないんですか。
○衆議院議員(小池百合子君) ロッキード事件の問題につきましては、裁判結果を改めて御確認いただきたいと存じます。
○林紀子君 もう一つ質問しておりますが、答えておりません。
○委員長(倉田寛之君) 林君、時間が過ぎております。
○林紀子君 答えていないのはおかしいじゃないですか、私が質問したことに対して。ちゃんと答えてください。私が次に質問……
○委員長(倉田寛之君) 時間です。
○林紀子君 私は次に質問したのに、それに対してちゃんと答えをしないで、私が質問で求めていないことを長々としゃべったわけですよ。それはルール違反……
○委員長(倉田寛之君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(倉田寛之君) 速記を起こして。 他に御発言もないようですから、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律案及び山下八洲夫君外五名提出の修正案に対する質疑は終局したものと認めます。 これより原案及び修正案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○池田幹幸君 私は、日本共産党を代表して、あっせん利得処罰法案に対する野党共同修正案に賛成、与党の原案に反対の討論を行います。 与党案は、国民の政治に対する信頼を回復することを目的に本法案を提出したとしています。しかし与党案は、その目的とかけ離れ、およそ新法をつくる意義さえ疑わざるを得ないほど幾重にも抜け道が用意され、清潔な政治を願う国民の期待を裏切るものとなっています。 反対の第一の理由は、私設秘書を処罰の対象から外していることであります。私設秘書は議員と一体不可分であり、口ききの効果は公設秘書と何ら変わることはなく、現実にも私設秘書が重要な役割を果たしています。与党案は、このような実態を放置して省みず、殊さらすべての行為を私設秘書に一本化し、罪を逃れる道をつくるに等しいものです。 反対の第二は、犯罪の構成要件を議員の権限に基づく影響力の行使としていることであります。提案者は、あっせん行為の際に、やらなければ国会で質問するなど、議員の権限を示す行為がなければ犯罪とならず、幾ら被あっせん者が影響力を感じたとしても、本法案の構成要件には、この該当する処罰の対象にはならないと明言しました。これでは、族議員などの口ききによる政治の腐敗を見逃すことにならざるを得ません。 しかも、現行刑法の賄賂罪規定において、政治家と金をめぐる腐敗を立件する上での壁となっている請託を犯罪の構成要件にわざわざ加えています。提案者は、現行刑法規定のバランスを理由に請託を犯罪の要件とすることに固執しますが、それは、殊さら不十分な現行法に合わせることを口実にして実効性のない法案にするというものにほかなりません。 第三は、処罰の対象行為を契約と行政庁の処分に限定し、行政指導や予算の箇所づけなどをその対象から外していること。これは、政官財の癒着、腐敗構造の中心問題にメスを入れる道を閉ざすものです。 また、第三者供賄を除外したこと、政治活動を不当に妨げることのないようとの留意事項を設けていることも問題です。 これに対して野党六会派の修正案は、私設秘書を加える、「権限に基づく影響力を行使して」を削除する、対象となる行為を契約、行政庁の処分に限定しないというものですが、与党案の抜け道を防ぐ必要最小限の措置です。 最後に、与党側が、これほどのざる法案を、事もあろうにあえてみずからの案を百点満点などと自画自賛し、野党の修正要求をすべて拒否し、わずかの審議時間で法案を採決しようとしていることは極めて遺憾であることを指摘しておきます。 以上、原案反対、野党修正案賛成の理由を申し述べ、討論を終わります。
○大脇雅子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表いたしまして、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律案に関し、与党案に反対、修正案に賛成する立場で討論いたします。 社会民主党の中心的な政策課題はあっせん利得の禁止でありました。これまでの衆参の審議を通じて明らかになりましたように、与党案は、法の趣旨及び目的との整合性を欠くと参考人が指摘するほどに法案の実効性を注意深く骨抜きにしており、竜頭蛇尾のそしりを免れません。すなわち、政治家の私腹を肥やさせ、行政をゆがめ、国民、住民の政治不信をもたらす口ききによる利得行為を根絶することはこの与党案では期待できず、いまだ国民の信頼と負託にこたえるものと評価することは全くできません。 それゆえに、私は、与党案に対する修正を求めるものであり、その具体的理由は次のとおりであります。 第一に、私設秘書を除外していることです。与党案の審議中に国会議員と都議会議員の複数の私設秘書が出資法違反で逮捕されたことは、与党案の欠陥をまさしく浮き彫りにしました。選挙で選ばれた公職にある者と業務で一体性を持つ者を除外することは、抜け穴をつくることにほかなりません。 第二に、「権限の影響力を行使して」という文言の中で、「権限」や「影響力」という文言は非常に幅のある、立証が困難で不明確な要件であります。 第三に、与党案のように法の客体を財産上の利益に限定することは、政治浄化のために廉潔性、公平性を担保するには不十分です。情交関係や票の取りまとめ、後援会、選挙活動などがすべて規制の対象から除外されてしまうので、政治家の高度な廉潔性を損なう意味では、財産上の利益にまさるとも劣りません。 第四に、政治家本人以外が金銭を受け取った場合の第三者への供与について明文で規定しないことは、巧妙な抜け道づくりと指摘できます。 第五に、対象となる行為を契約、行政処分に限定することも不徹底であり、これまでの実態から見て、例えば予算案、法令の策定、税制の改定や優遇に対する口ききが特定の者の利益に資することを看過するものであります。 最後に、自律的自浄作用、衆参議院の自治を確立するための第一ステップであるということを本法案の位置づけにしたいと思います。 企業団体よりの献金、特定者、特定業界のために働くことを招くこうした政治資金規正法附則十条の見直しを行うことを提言して、私の反対討論といたします。 ありがとうございました。
○委員長(倉田寛之君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 それでは、これより公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律案について採決に入ります。 まず、山下君外五名提出の修正案の採決を行います。 本修正案に賛成の方は起立願います。 〔賛成者起立〕
○委員長(倉田寛之君) 少数と認めます。よって、山下君外五名提出の修正案は否決されました。 それでは次に、原案全部の採決を行います。 本案に賛成の方の起立を願います。 〔賛成者起立〕
○委員長(倉田寛之君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(倉田寛之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時九分散会