共生社会に関する調査会 第1号
- 発言数
- 87 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2000/11/01
会議録
○会長(石井道子君) ただいまから共生社会に関する調査会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る八月十日、佐藤雄平君、千葉景子君、松崎俊久君、小川敏夫君及び福山哲郎君が委員を辞任され、その補欠として本田良一君、岡崎トミ子君、木俣佳丈君、羽田雄一郎君及び高橋千秋君が選任されました。 また、九月二十五日、有馬朗人君が委員を辞任され、その補欠として水島裕君が選任されました。 また、十月四日、釜本邦茂君が委員を辞任され、その補欠として有馬朗人君が選任されました。 ─────────────
○会長(石井道子君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(石井道子君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に水島裕君及び本田良一君を指名いたします。 ─────────────
○会長(石井道子君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 共生社会に関する調査のため、本日の調査会に社団法人日本家族計画連盟事務局次長芦野由利子君、津田塾大学学芸学部国際関係学科教授金城清子君及び千葉大学看護学部母子看護学講座教授森恵美君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(石井道子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○会長(石井道子君) 共生社会に関する調査のうち、「男女等共生社会の構築に向けて」を議題といたします。 本日は、女性の自立のための環境整備に関する件のうち、生涯にわたる女性の健康支援について参考人から意見を聴取いたします。 本日は、社団法人日本家族計画連盟事務局次長芦野由利子君、津田塾大学学芸学部国際関係学科教授金城清子君及び千葉大学看護学部母子看護学講座教授森恵美君に参考人として御出席をいただいております。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、大変御多忙の中を本調査会に御出席いただきまして本当にありがとうございます。 参考人の方々から、女性の自立のための環境整備に関する件のうち、生涯にわたる女性の健康支援に関しまして忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 議事の進め方でございますが、まず、参考人からそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じます。 なお、御発言は、意見、質疑及び答弁とも着席のままで結構でございます。 それでは、芦野参考人からお願いいたします。芦野参考人。
○参考人(芦野由利子君) 本日はお招きいただきましてまことにありがとうございます。 戦前、産めよふやせよが国家の人口増加政策として推進されていた時代に産児調節運動を進めて投獄をされた女性がいました。申し上げるまでもなく、ほとんどの方が御存じでいらっしゃると思いますが、その女性は加藤シヅエさんといいます。戦後三十年、二十数年間ですか、参議院議員としても活躍をした女性でございます。その加藤シヅエさんが会長を務めます社団法人日本家族計画連盟から参りました芦野由利子でございます。ただ、きょうこれから申し上げますことは、家族計画連盟という組織を代表してというよりも、私個人の立場で発言するということをあらかじめ御承知おきいただきたいと思います。 時間の制約がございますので、多少早口になるかもしれませんが、それもあらかじめお許しくださいませ。 本日のテーマでありますリプロダクティブヘルス・ライツ、正確にはリプロダクティブヘルス・リプロダクティブライツでございますが、これは産児調節運動からさらに発展した概念と言うことができます。 御存じのように、リプロダクティブヘルス・ライツは、一九九四年の国際人口・開発会議、カイロで開かれましたこの会議で提唱され、翌年北京で開かれました第四回世界女性会議で重要な女性の人権の一つであると確認されました。日本語では一般に性と生殖に関する健康及び性と生殖に関する権利と訳されますが、言いかえますと、性に関すること、産む産まないに関することを、人口政策や道徳ではなく健康と権利という視点からとらえようという考えでございます。 リプロダクティブヘルス・ライツの定義はカイロ会議の行動計画及び北京会議の行動綱領に詳しく説明されておりますけれども、その最も中心にある考えは、レジュメをごらんいただきたいと思いますが、私のレジュメの二ページ目に女性の図がございますので、それをごらんくださいませ。この図に示されていると思います。この上の図は……。ありませんか。済みません、レジュメがない。──はい、わかりました。 それでは、このパンフレットはお手元にございますでしょうか。──はい。図を事前にお送りしましたが、それが印刷されていないようですので、二十二ページ目をごらんください。よろしゅうございましょうか。 ここに二つの女性の図がございます。この上の図は、国の人口政策や優生政策、あるいは宗教、家父長制、道徳などによって女性の体と性が管理され、産む産まないの選択の自由が奪われている状況を示しています。日本には現在なお刑法堕胎罪がございますが、堕胎罪はまさにこの図の状況でございます。下の図は、女性自身が自分の体と性の自主権を手にしている状況でございます。この下の図にリプロダクティブヘルス・ライツの基本と目指しているものが示されていると思います。 ところで、なぜこの図が女性なのかといいますと、リプロダクティブヘルス・ライツは男女双方にかかわりのあることでございますけれども、女性にとってその重要性ははるかに大きいものがございます。 それには二つ大きな理由がありまして、その一つは、申し上げるまでもなく妊娠、出産あるいは中絶するのは女性だけであるという生物的な性差があるからです。生物的性差のことを、ジェンダーに対してセックスと申します。国連の統計によりましても、世界では妊娠、出産が原因で年間約五十八万人もの女性が死亡しております。そのうち危険な中絶による死亡は年間約八万件と言われます。なお、これにつきましては同じパンフレットの五ページ目に男女別の疾患が割合になって示されておりますので、それを御参照いただきたいと思います。 なぜ女性の図かという理由の二つ目は、先ほど生物的性差と申しましたが、それに対しまして社会的、文化的につくられた性差、これをジェンダーと申しますが、ジェンダーがあり、それによって女性が社会的弱者、男性が強者という力関係が構造的に社会に組み込まれているからです。そのために女性が不利益をこうむる、例えば女性の賃金が男性の六割しかないというようなこともその一例でございますが、女性が不利益を受けることが多いということが二つ目の理由として申し上げられます。 昨年、日本ではバイアグラと低用量ピルが承認されました。承認までにかかった年月はピルが九年間、バイアグラはたった半年でした。ここに日本におけるジェンダーによる女性差別が象徴的にあらわされていると思います。 このように、リプロダクティブヘルス・ライツは女性により深くかかわりますので、性と生殖に関する健康・権利というかわりに、女性の健康と権利と端的に表現することもできます。 それでは、リプロダクティブヘルス・ライツにはどのような課題が具体的に含まれるのでしょうか。 まず妊娠、出産がございます。それから、その調節手段である避妊、避妊には一時的な避妊とそれから永久的避妊、一般的には不妊手術と申しますが、永久的避妊がございます。それから、中絶がございます。月経や子宮がんのような女性特有の体の変化や疾病もあります。そのほか不妊や思春期の問題も重要です。また、長寿によって三十余年にも延びた中高年、老年期の性と健康の問題も無視できません。性にかかわる問題としては、性感染症やHIV、エイズ、性暴力や売買春なども含まれます。 このように、リプロダクティブヘルス・ライツは、妊娠可能期だけに限られるものではありませんで、生涯にわたっております。つまり、母子保健や家族計画よりも広い概念でございます。これにつきましては、パンフレットの八ページ目にWHOが作図した大変わかりやすい図がございますので、これも御参照いただきたいと思います。今、私が申し上げました課題のほかにもなお幾つかの課題が、生涯を通して見たときに、性と生殖に関する健康・権利に含まれることがこの八ページ目の図によっておわかりいただけると思います。したがって、リプロダクティブヘルス・ライツは、まさに本日の議題でございます生涯にわたる女性の健康でございます。 ただし、だからといって、これは男性を排除することを意味するものではありません。男性は全く無関係ということではございません。性感染症やHIV、エイズは男性にとっても問題ですし、避妊に対する男性の協力と責任は重要です。このように、リプロダクティブヘルス・ライツを確立する、先ほどの女性の図で申しますと下の図でございますね、あの状況を確立するためには男性の参画が不可欠であることを強調しておきたいと思います。 リプロダクティブヘルス・ライツは、このように範囲が広うございます。したがって、現場で取り組む際には優先順位を見きわめる必要があります。 きょうは時間の都合がありますので、私は主に産む産まないの選択に焦点を当てて、現状を検討し、残り時間で幾つか提言を述べたいと思います。 なお、最初にお配りしましたレジュメでは、人工生殖技術、これは生殖補助医療というふうにも言われますが、具体的には人工生殖や体外受精、あるいは出生前診断などが含まれますけれども、それに触れませんでしたので、急遽レジュメを追加させていただきました。したがって、私のレジュメは三ページございます。後ほどこの問題にも少し言及したいと思います。 まず、産む選択に関してどうか、現状を見てみたいと思います。 日本には、仕事と家庭の両立が難しい、教育費が高い、子育ての精神的負担などのために、産みたいけれども産めないという状況がございます。望むときに安心して子供を産み育てられる環境をつくるためには、保育所の充実や育児休業の所得保障の引き上げ、仕事と家庭の両立支援、さらに男女の賃金格差の是正や性別役割分業意識の見直しなどが必要と思われます。 次に、産まない選択に関してはどうでしょうか。先ほど低用量ピルの承認には触れましたけれども、同時に、昨年は銅付加IUD、それから女性用コンドームが日本でも承認されまして、ようやく日本の避妊法の選択肢も先進国に近づきました。 なお本日、承認されました避妊器具をお持ちいたしましたので、さらに詳しくごらんになりたい方は後ほどどうぞお手にとってごらんいただきたいと思います。(資料を示す)これが銅付加IUDでございます。これが女性の子宮の中に入ります。それから、これが低用量ピルでございます。ピルはもっと種類がございますが、詳しい御説明は時間の都合で省きますけれども、何種類かございます。それから、これが女性用コンドームでございます。実際はここに潤滑油がついておりまして大変にべとべといたしますので、あえて潤滑油を取ったものをきょうはお持ちいたしました。これが女性の膣にかぶせるものです。それから、ついでながら、日本ではほとんど使われておりませんが、ペッサリーというのもございます。コンドームは皆さん御存じだと思います。それからマイルーラという殺精子剤もございますから、これもおいおい御回覧くださいませ。 ところが、このようにようやく避妊の選択肢がふえたわけですけれども、ことしの毎日新聞の家族計画世論調査を見ますと、相変わらず避妊法の約七割がコンドームです。ピルはわずかに一・五%にすぎません。つまり避妊に関する包括的で公正な情報、教育がそれだけ不足しているということが言えると思います。 それから、緊急避妊法という方法もございます。これは外国ではかなり広く普及しておりますし、フランスやノルウェーでは医師の処方せんがなくとも緊急避妊法が使えるというところまでいっておりますが、日本ではごく一部の医者が使っている段階でございます。 それから、ピルがせっかく承認されましても自由診療のために大変高うございます。したがって、経済的に使いづらいという問題が起きております。 人工妊娠中絶につきましては、これまで毎年減少しておりましたけれども、昨年、約四千件でございますが増加に転じました。年齢別には、十代と二十代でわずかながら中絶率が、人口千人に対する中絶の数ですけれども、ふえております。その背景には、性行動の低年齢化と活発化にかかわらず性教育が不十分である、ジェンダーによる力関係のため女性がノーと言えない、経済的にまだ自立していないなどがあります。 マスコミでは十代の中絶だけがとかく大きく取り扱われますけれども、年齢別の中絶割合を見ますと、実は二十代が一番多くて四五・二%、それから三十代が三四%強ございます。十代はわずかに一一%程度でございます。 中絶は女性にとって精神的、身体的負担であるだけでなく、経済的にも大変に大きな負担になっております。中絶費用は、ちなみに妊娠の初期中絶でも平均七万円という高額でございます。 時間が大分迫っておりますので、人工生殖技術に関しましてはレジュメをごらんいただきたいと思いますが、二つだけポイントを挙げておきたいと思います。 基本的に、女は子供を産んで一人前という社会通念、私たちの社会の中にある旧来の価値観、これを問い直すということがまず必要だろうと思います。それから、生殖技術が導入されることによる生命倫理的な問題、女性に与える身体的、精神的、経済的負担の問題。それから、出生前診断に関しましては、それが生命の質を選別する、そのことによって障害者差別、優生思想の強化につながるという懸念がございますので、そのことをとりあえず問題として申し述べたいと思います。したがって、人工生殖技術に関しましても、何らかの抑制的な使用に向かった歯どめが必要、ルールづくりが必要と考えております。 以上、申し述べたことに加えまして、最後に幾つかの提言をしたいと思います。 まず第一に、来年度は省庁の再編成がございます。したがって、この機会に母子保健中心の厚生行政を、生涯にわたる女性の健康を保障するための女性保健課、あるいは女性健康課を設置していただきたいと思います。 二つ目に、現在でも母子保健課の事業の中で不妊相談の予算は拡大されております。しかし、産まない選択である避妊や中絶には重点が置かれておりません。性や避妊、中絶を中心に相談できる場がぜひとも必要です。それには新たに立派な建物をつくる必要はございません、既にある女性センターや保健センターのような施設の中に相談室を設ける、あるいは民間団体に委託するなどの方法があるでしょう。 ただ、政府の予算で運営される相談所に対しましては、かつての優生保護相談所のようにならないように、個人の自己決定権、インフォームドコンセント・チョイスの徹底を大原則とするということが肝心だと思います。もし中絶についても気軽に相談できる場所があれば、水子供養に流される女性も少なくなるでしょう。 ちなみに、欧米には、情報や避妊具、避妊薬が無料あるいは安価に入手でき相談もできる家族計画センターや女性クリニックなどの施設が数多くありまして、多くの場合、政府から公的援助が出ております。 三つ目の提言でございますが、情報やサービスの提供者の役割と責任は重大です。したがって、保健・医療従事者のような専門家の養成カリキュラムの見直しを提案したいと思います。 四つ目の提言でございますが、医師を介する避妊具や避妊薬、すなわちピルやIUDでございますが、それと中絶手術に対しては健康保険を適用してほしいと思います。 西欧では、イギリスやフランス、スウェーデン、イタリアなど、避妊及び中絶手術の経費が全額国によって負担される国もございます。ほかにも女性が負担するのはごく一部で済むという国が西欧には数多くございます。 五つ目の提言でございます。堕胎罪が先ほどごらんいただきました女性の図のまだ上の段階であるということを御説明申し上げました。すなわちリプロダクティブヘルス・ライツが全く確立されていない状況を堕胎罪は象徴していると思いますが、堕胎罪と母体保護法という二重構造から成る中絶に関する法制度を廃止して、新たに女性の自己決定権を尊重した避妊と中絶に関する法律をつくる必要があると思います。 その主な要点といたしましては、女性の要請に応じて中絶が許可されるものとする、配偶者の同意は不要とする、望まない妊娠の予防対策を重視する、優生思想の強化につながる胎児条項は導入しない、減数手術は緊急避難とするといったようなことが考えられます。 なお、政府は少子化対策に現在大変力を入れております。つい先日発表されました健やか親子21の最終報告を見ますと、思春期対策や妊産婦死亡率の改善など評価すべき点もございますけれども、全体といたしましては少子化対策そして相変わらず母子保健という枠の中で論じられているというふうに思います。また、不妊対策が少子化対策と関連づけて扱われていることも、不妊の人たちへのプレッシャーをさらに強める危険がございまして、私は問題だと考えております。 今必要なのは、出生増加のための少子化対策ではありません。その意味で、国会に上程されると聞いております少子化社会対策基本法案も私は要らないと思います。重要なのは、障害の有無にかかわらず、いつ、だれと、子供を産むか産まないかを選択できる自由であり、障害があっても子供がいなくても差別されない社会をつくることだと思います。それはこの調査会のテーマでございます共生社会をつくっていく上での基本となると思います。少子化対策のかけ声が、平成版の産めよふやせよにならないことを切に願います。 最後に、一言だけつけ加えたいと思いますが、これも政府の男女共同参画審議会基本問題部会が作成した「男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方 二十一世紀の最重要課題」が発表されました。それを拝見しますと、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツへの今後の取組」のところのたしか最後の箇所だったと思いますが、「ライツの概念については、種々の議論があるため、世論の動向を踏まえた検討が必要である。」という記述がございました。この表現に対しましては、私は正直なところ疑問を感じております。 リプロダクティブヘルス・ライツを一本の木に例えますと、リプロダクティブライツは幹、リプロダクティブヘルスはそこから伸びる枝や葉と言うことができると思います。木が存在するにはそのどちらが欠けてもいけません。幹であるライツについて、今後、後退することのないよう、ここにいらっしゃいます国会議員の皆様そして政府には積極的に取り組んでほしいと思います。 済みません、時間が超過したかと思いますが、どうもありがとうございました。
○会長(石井道子君) どうもありがとうございました。 次に、金城参考人にお願いいたします。金城参考人。
○参考人(金城清子君) きょうはこういうところにお招きいただきまして、意見を申し述べる機会を与えられましたこと、大変うれしく思っております。 私は、今、芦野参考人がお話しになったその後を引き受けまして、法律の問題に限定してお話をしてみたいと思っております。さらに、具体的な提言もしたいということです。 まず、リプロダクティブヘルス・ライツという性と生殖の健康・権利、こういうことが国際社会の中で人権として認められる中で日本の法制度を見てみますと、それに真っ向から反するようなところがたくさんございます。そういうことにつきましては一日も早く国会で法律の改正ないし新しい法律の制定ということをやっていただきたいということで、幾つか指摘していきたいと思います。 まず、堕胎罪の問題でございます。これは一番新しい成果文書七十二項(o)というところに出ているんですが、そこに書いてあるとおり、「違法な妊娠中絶を受けた女性に対する懲罰措置を含んでいる法律の見直しを考慮する。」というのが出てきているわけです。自己堕胎罪、これは現在一年以下の懲役ということで刑法に存在しておりますけれども、これはまず廃止をしなければいけないと思います。 そのほかの堕胎に関する罪についてはいろいろ議論のあるところだと思いますので、議論を踏まえてということでございますけれども、少なくとも自己堕胎罪を廃止することは、日本の国にとって現在では国際法上の責任となっているのではないかと考えております。 ちなみに、現在の日本生命倫理学会会長、そして有名な刑法学者であられる中谷瑾子先生はもうずっと昔からこの自己堕胎罪の廃止ということを提言しておられます。 三番目でございますけれども、避妊と中絶に関する法律、これ仮称でございますが、新しい法律の制定が必要ではないかということです。 これにつきましては、優生保護法を改正して母体保護法になったということで、日本では優生思想に基づく法律はなくなったんだと、だから問題がないんだというふうにお考えの方があるいはおられるかもしれません。しかし、この改正問題は、国民の世論というのはほとんど反映されないうちに、あっという間に成立したという事情がございます。そして、実は女性たちは、この改正が間もなくあるだろう、したがって、国際的な状況を踏まえた上での新しい法律をつくらなければいけない、そのためにはどういうことが必要かということをかなり検討をしていたわけでございます。ところが、できてしまったのは何と母体保護法ということで、もうみんなびっくりしていると言っても過言ではないと思います。 きょうの会議は、女性の生涯にわたる健康支援ということが必要だということですよね。しかし、この母体保護法というのは母体ということだけを強調いたしまして、子供を産む体だから保護しようということで、生涯にわたる健康を支援していくということから考えれば極めて限定的だし、しかも子供を産むということだけを女性について大変に強調をするということですから、非常に望ましくない名前ではないかと思います。ですから、この名称をめぐりましては、母体というのはもう使わない、そしてやはりその法律の内容を直截に表現している中絶とそれから避妊、これを正面に出した法律をつくっていくことが必要だと私自身は考えております。 では、その法律の中にどんな条項を挿入する必要があるかということでございますが、第一番目は望まない妊娠の予防に関する規定、これはぜひ法律できちっとこういう問題について規定をしていく必要があると思います。 先ほど芦野参考人のお話の中にありましたけれども、ずっと中絶が減ってきた、にもかかわらず去年は四千件ふえてしまったと。やはりその背景には、こういう問題についての情報の提供が十分ではないということがあると思うんですね。ですから、学校教育だけではなく社会教育を通じて、そして一般の人たちに避妊についての知識を十分に提供できるような、そういうことが大変重要だと思います。 成果文書でございますけれども、そこに書いてあるとおりでございます。「望まない妊娠の防止は常に最優先課題とし、妊娠中絶の必要性をなくすためにあらゆる努力がなされなければならない。」。そのためにはやはり法律が必要だと思います。 ちなみに申し上げますと、スウェーデンというのは非常に中絶の少ない国です。これはどうしてかと言えば、やはり避妊についての教育が徹底している、そのことが中絶を非常に少なくしていったと言われております。ピルの合法化ももちろん結構でございますけれども、何よりも大切なことは避妊についての情報を一人一人に提供することだということを強調しておきたいと思います。 二番目でございます。これはやはり人工妊娠中絶の合法化ということです。これはあくまでも胎児が母体外で生存できない期間、この間においては妊娠中絶を合法化していく、これはもう国際的にどこの国でもほぼコンセンサスとして行われていることでございます。ただ、そのやり方といたしましては二つのやり方があるようでございます。一つが期間規制、一つが適応規制ということなんです。済みません、適応ではなく適用の方がいいと思います。 期間規制というのは、中絶可能期間は十週から十二週、かなり短い。しかし、そのために中絶を受けるための要件はなしということです。ですから、期間規制であれば女性の自己決定権の保障ということから考えて理想的だと言えるわけです。ただ、中絶可能期間が短いので、その点が問題だということになります。 それに対して適用規制ですけれども、これは二十二週未満、現在ではそのようになっておるようでございますけれども、大体胎児が母体外で生存できない期間、この間について妊娠中絶可能期間として認めます。ただし、要件としては、精神的、肉体的健康を害するというような何らかの要件が入るということなんです。 ですから、この二つを見てみますと、女性の自己決定権の保障ということからすれば期間規制がいいんだけれども、この場合には若干その期間が短くなるという問題があるわけです。 この点について非常な問題になってくるのは胎児条項とのかかわりです。多くの妊娠中絶では、今は、問題がなければ、子どもが欲しくないということであれば初期に行われているんですけれども、障害があることが胎児診断の結果わかった、その場合にどうしても中絶しなければならないというような大変重い障害である、障害もさまざまでございますので、そういうこともないわけではないわけです。そういうときに、十週から十二週の間に胎児診断の結果が判明するというのは現状ではまだ難しいということです。ですから、そういう場合までもすくい上げるということを考えれば適用規制の方がいいだろうということです。 期間規制をとっている国では、ほとんど胎児条項を入れております。しかし、私も芦野参考人と同じ意見でございまして、胎児条項は法律の中に書くべきではないと考えております。やはり、障害があったら長い間中絶をしてよろしい、一方、そうでない場合には短い期間で中絶をしなければいけない、これは明らかに障害者に対する、障害というものに対する差別的な規定だと言わざるを得ないと思います。 そういう意味で、胎児条項は入れない、その上で人工妊娠中絶ということをかなりうまく運営していくということを考えますと、私は混合規制というようなやり方でやるのが一番望ましいのではないかと思っているわけでございます。この場合には、十週までは女性の請求で認める、ですから要件は要らないということです。そして、あと二十二週未満まで、これは要件として精神的、肉体的健康を害するということです。女性の健康を害するということにつきましては、もうイギリスなどでも、子供を産みたくないその人に対して産みなさいと強制することは、どんな場合でも精神的、肉体的健康を害することになるんだという考え方が強いですので、そういう場合には二十二週までは、一応要件は入るけれども、ほぼ中絶が可能だというようになるのではないかと思います。 次は、夫の同意でございます。これは、もう国際的な動向からいたしましても削除ということではないかと思います。 ちなみに、女子差別撤廃条約十六条1(e)では、「子の数及び出産の間隔を自由にかつ責任をもつて決定する」男女「同一の権利」ということなんです。中絶に対して夫の同意が必要だということになりますと、これは男女同一の権利以上の権利を夫に与える、拒否権を与えるということになります。ですから、この条約を既に批准している日本といたしましては、夫の同意の削除というのは必要不可欠なことだと考えます。 次に、不妊手術に関する規定、これを削除する必要があると思います。 法律には、三条、二十六条、二十八条で不妊手術については一定の要件が課されたり禁止されたりしております。しかし、現在では不妊手術というものが避妊の手段としてまれではございますけれども日本で行われておりますし、それから性同一性障害の場合にその治療として生殖を不能にする手術などが行われております。やはり子供を産むという能力も人間の能力の一つとしてそれぞれ自分がどうするかについて決定できる、そういうものと考えていく必要があるのではないかと思います。 ちなみに、成果文書では、リプロダクティブライツには、「人権に関する文書にうたわれているように、差別、強制、暴力を受けることなく生殖に関する決定を行える権利も含まれる。」こういうことが書かれてございます。 最後になりましたけれども、不妊治療に関する法律、これも仮称でございますが、制定の必要があるのではないかと考えております。 現在、厚生省では生殖医療をめぐりまして委員会を置いて検討を重ねております。どういう結論が出るかまだわからないのでございますけれども、できるだけ望ましい方向で出ることを祈っているわけです。ただ、私は、やはり生殖医療というものは大変大きな意味を社会全体に対して持つ医療だということを考えると、政府のガイドラインだとか医者のガイドラインだという、そういうことで行っていくことについては大変危惧を感じます。やはりきちっとした法律でこの医術の適用の方向は考えていかなければいけないと思います。 そのときにその法律に絶対に入れなければならないこととして二つばかり指摘しておきたいと思います。 一つは、不妊治療を受ける女性やカップルが自己決定権をきちっと持てるようなことを保障していく工夫をしなければいけないということです。日本の場合には、女性は子供を産んで一人前ということですから、こういう生殖医療が可能になってくる中でそういう不妊の御夫婦に対して子供を産めという圧力が非常にかかっている、そういう問題について考え方を変えるということももちろん大切でございます。少子化社会の中で圧力はますます強まるのではないか。そういうことについて社会全体で反省していかなければいけない。同時に、一人一人の不妊の女性なりカップルがそういう力が持てるような援助をしていくことが大変重要だと思います。そのために何があるかといえば、現在のところカウンセリングということになるのではないかと思います。 それから、不妊治療というのは、言ってみれば、例えばクローンだって生みかねないような技術なんですね。そういう意味ではこういうことを治療する機関についてきちっとした規制をしていかないと、気がついてみたらクローンが世界で初めて日本で誕生してしまったなんということになりかねないと思います。そういう意味で、不妊治療を実施する機関、これは許可制にして、そして万が一法律に違反するようなことがあったらもうこういう技術はできないんだというようなことできちっと規制をしていく必要があるのではないかと思います。 最後になりましたけれども、これは法ではございませんけれども、最近アメリカでも経口中絶薬、RU486が認可になったという話がございました。これはアメリカでは非常な議論があって認可がおくれたわけでございますけれども、フランスなんかではもう十年近く使っております。これは、やはり中絶ということで医療的な、外科的な手術を受けなければいけないというのは女性にとって大変負担ですし、健康にも経済的にも大きな負担になります。そういう意味で、お薬を飲めば中絶できるんだというお薬があるわけですので、そういうものについても認可していく必要があるのではないかというふうに考えております。 長い間ありがとうございました。
○会長(石井道子君) どうもありがとうございました。 次に、森参考人にお願いいたします。森参考人。
○参考人(森恵美君) 御紹介いただきました千葉大学看護学部の森でございます。 まず、若輩者であります私にこのような機会を与えていただきましたこと、まことに光栄なことと感謝申し上げたいと思います。 さて、私の専門は母性看護学というものでございます。母性看護の目的は次代の健全育成、次の世代が健全に育成するということを目的とした看護学でございます。ですから、母性看護の対象者ですが、将来母親となる女性、今母親である女性、そして母性を継承していく女性並びに母親と子供、それから女性を取り囲む家族を看護の対象者としております。母性看護学は、母性の健全な成長発達を促し、健康の保持増進、発達課題の達成を促すために女性、子供の健康生活をヒューマンケアの立場から支援する応用的な看護学の一領域です。 これからお話しいたしますリプロダクティブヘルス・ケアは母性看護学の領域のケアと非常に重なりますし、母性看護学教育プログラムで中心課題とされ、助産婦教育プログラムではさらに実践的な面でより多くのことを教育している次第です。 そこで本日は、母性看護学を教育研究する立場から、このリプロダクティブヘルス・ケア、この課題について述べさせていただき、提案をしていきたいと思っております。 レジュメをごらんいただけますでしょうか。 まず最初に、日本のリプロダクティブヘルス・ライツの現状と問題ということで現状を幾つか掲げて、その中から主要な課題を四つほど導き出してお示しいたしました。 一つ目には、大きな課題として、望まない妊娠が多い、十代で非常に望まない妊娠がふえているというような状況があります。(OHP映写) 先生方のお手元の方には資料としてカラーの図を御用意していると思います。図1を御参照ください。これはそれと同じものです。一九七〇年、昭和四十五年の当時の人工妊娠中絶件数が七十万件ございました。その時期の十代の人工妊娠中絶率はこの折れ線グラフであらわしております。こちらがその値です。この実数に対して十代がどのぐらいの中絶率であったかというのを示した棒線グラフです。平成十年の結果では、全体として中絶件数は減ってきておりますが、十代の方々の人工妊娠中絶率、全体に見る率ですが、一〇%以上とふえてきているという状態です。 望まない妊娠というのが日本は諸外国に比べて非常に高い。妊娠した人の四分の一は中絶に至っているということは先進国では本当に珍しい状況にあります。それから、望んだ妊娠が三分の一にすぎないというのも本当に珍しい状況。それと、十代の人工妊娠中絶率がどんどん上がっている。十代の性行動の開始が非常に早まっていることと、その十代がそのまま避妊行動がよく身につかないままに二十代、三十代というふうになっていきますと人工妊娠中絶を繰り返す危険性も高いというふうにも考えられます。 それから二番目には、不妊夫婦のさらなる増加とそれによる問題でございますが、不妊原因となります性感染症、クラミジア感染症も増加しております。これは十代、二十代の性行動が活発だと言われる世代で増加しているというのが特徴的です。それは不妊原因につながるということ。女性の場合はクラミジア感染症の自覚症状がございませんで、初めその自覚がないですから重症化してからわかるというようなことで不妊症になってしまうというようなことになります。 それからあと、ストレスによる性機能障害や拒食症、十代の拒食症が非常に問題になっていますが、そういうふうな月経障害などによって不妊の原因となる疾患が増加しているというのも特徴的です。そのように不妊夫婦、不妊カップルが今後さらに増加するだろうということは予想される問題です。 また、不妊夫婦になりますと、日本の産めて当たり前、女性は産んで当たり前という社会の圧迫がございますので、どうしても生殖医療に頼って不妊治療をするという夫婦もふえるだろうというふうに考えられます。費用は非常に高額、体外受精に関しては一回五十万以上かかりますので不妊の当事者は非常に経済的にも負担ですが、精神的な悩みも深くて孤立化しやすいというような問題もございます。 それから三番目ですが、子産み子育ての困難性の増大です。これは、少子社会に至って、先生方もう十分御存じだと思いますが、ここで強調したいことは、高齢出産がふえたということだけではなくて、生殖補助医療技術によって妊娠した女性がふえていて、多胎妊娠が非常にふえているということ、それだけ濃密な医療とケアの必要な妊産婦がふえている。出産する人の数は減っておりますが、濃密な医療とケアの必要な妊産婦がふえているということと、その人たちが産んだ赤ちゃんがすべて濃密なケアとか医療が必要な状態になっております。それが図2でございます。(OHP映写) 資料の方の図2に、出生数と二千五百グラム未満児の出生率、これも一九七〇年、昭和四十五年から追っております。左側が出生数です。出生数は棒グラフであらわしていまして、出生数が本当に減ってきたのがよくわかると思うんですが、この出生数に対して二千五百グラム未満の赤ちゃんがどのぐらい生まれているかというのを折れ線グラフであらわしました。その値がこちらにございますが、一九七〇年代では六%ぐらいだったのが、今、一九九八年、平成十年をとらせていただきましたが、一〇%以上の赤ちゃんが二千五百グラム未満で生まれている。すごくそういった面で育てにくい、育てるのにお母様方が苦労する赤ちゃんがふえているということが言えると思います。 それから四番目には、リプロダクティブヘルスの健康障害の拡大と連鎖。これは一番から三番までの問題が非常に重なってきている問題だと思っております。 それは、十代で望まない妊娠をする、あるいは性感染症がふえているということから、今度、次の世代、十代の人たちが産んだ赤ちゃんたちが感染をもらってしまう、感染症にかかるというような危険性が高まっている。あるいは薬物やアルコールなどによる先天異常などもふえる可能性があるんではないかというような危惧もしております。 それから、それ以外に女性の健康という面では、女性の食生活が欧米化したために乳がんが非常にふえている。それから、中高年の女性の骨粗鬆症による問題。骨粗鬆症によって骨がもろくなりますので、転んだときに骨折をしやすいんですね。それで、大腿骨を骨折しやすいものですから、大腿骨を骨折することによって寝たきりになってしまうというような、高年、七十歳以降の女性が寝たきりになったときに、やはり健やかな老後というのは望みにくくなるんではないかなというふうにも考えられます。 それから、一人の女性の生涯にわたる連鎖ということで例を書きましたが、望まない妊娠、そして中絶。中絶が次の妊娠を流産させるということもございます。そういうふうに繰り返していますと不妊になるというようなこともあり得ます。それから、不妊になったことで生殖補助医療技術によって妊娠する。今の状況では双胎妊娠になる可能性も非常に高いですから、双胎の赤ちゃんを育てるというような課題を女性は背負わなくてはいけない。その子育ては、二人の赤ちゃんを三十代後半の女性が育てていくというのは非常に大きな育児労働になります。特に、生殖補助医療技術で四十代で二人の子供を抱えたとなると、かなりな周りのサポートが必要となります。それから、やっと子育てをし終えたら今度は更年期障害の問題がやってくるということで、一生にわたって健康の問題にさらされるのは女性なのではないかなというふうにも考えられます。 二番目の、日本のリプロダクティブヘルス・ケアの現状についてちょっとお話をしたいと思います。 今挙げましたリプロダクティブヘルスの問題に対応してリプロダクティブヘルス・ケアがございます。定義としては、男女の性と生殖に関する健康を守り増進するためのヘルスケアで、内容としては、このような①から⑧というような非常に多岐にわたるような対応をしていくことになります。 下線の事項は、看護職の中でも特に助産婦、助産婦というのは、法律的に助産と妊産褥婦、新生児の保健指導ができるという立場にあります。それから、他の看護職に比べまして受胎調節実地指導員の資格を有する者が多数です。この受胎調節実地指導員というのは、受胎調節、避妊に関する指導ができる。実地にコンドームあるいは先ほど芦野先生もお配りいただきましたいろいろな女性コンドーム、ああいうものは受胎調節実地指導員が配付する、実地に指導して、それを販売する資格も有しております。ですが、銅付加IUDは、そのような器具に関しては医師がやるということになっています。それから、ピルに関しては、医薬品ですので、今のところ受胎調節実地指導員にはその資格はございません。ですが、多くの部分で避妊に関する指導を担当することができるというふうに考えられます。 それから、先ほど申し上げましたが、妊娠、出産に伴うリスクはかなり増加している、高度な医療やケアが必要なお母様方、妊産婦の方々がふえているということをお示ししましたが、少子化社会だからそんなに、マンパワーは大丈夫なんじゃないかということを思われると思うんですね。 確かに出生数は減ってきております。(OHP映写)赤が助産婦、そして緑が産婦人科の先生方の数を示した年代別のグラフです。そして青が出生数です。出生数は非常に減ってきております。この数をごらんになれると思うんですが、産婦人科医の数は変わっておりません。助産婦数、一九七〇年の年はまだ助産所で分娩する人たちがいた。昭和三十五年、家庭分娩とそれから施設内分娩がちょうど半々だった年からほぼ十年たった時点での助産婦の数なんです。そういうふうに地域で開業して、助産所あるいは家庭分娩をしていた助産婦さんたちが非常に減ってきて、そして今はこれだけの数に減ってきています。 ただ、先ほど言ったように、非常にケアが必要な妊産婦がふえておりますので、どうしてもリプロダクティブヘルス・ケアのところの⑦安全な出産と出産前後のケア、⑧乳幼児保健について、助産婦が非常に重点を置いてケアをやっていかなければいけないというような状況です。そういうふうな、本来でしたらリプロダクティブヘルス・ケアすべてを担当したいという思いがみんな助産婦はあるんですが、どうしても⑦と⑧をやらざるを得ない、そちらが優先事項だというような状態です。 ですから、日本のリプロダクティブヘルス・ケアにおける問題として少し考えてみたいんですが、さきに挙げた四つの課題に対応するようなヘルスケアが十分に準備され、機能することが必要だというふうに考えますと、ヘルスケアにおける課題というのは幾つかに焦点が絞れるんではないかというふうに考えまして、三つほど挙げさせていただきました。 一つは、生涯を通じた全人的かつ系統的な性教育の場がないということです。 これは、誕生や死が家庭から病院に移ったことによって、生命の営みが日常生活から、私たちの前から見えにくくなったというような現象にもよっていると。これはいろいろな専門家の方々が言っていることですが、私もそのように感じます。そういった意味で、いろいろな場で全人的な教育、全人教育が叫ばれて久しいんですが、性教育についてもそのような場として使っていくということが必要だと思っております。 先ほど芦野先生から御紹介あったとおり、ピル初め有用な避妊法が認可されたにもかかわらず、避妊法の正確な情報が提供されていないというのが大きな問題としてこの背景にはあると思います。情報としてははんらんしておりますが、自分にとって必要な情報を取捨選択して獲得していく能力もなかなかまだ国民の皆さんの中には培われていないような印象も持っております。 それからもう一つは、学校教育の中でやはり全人教育、命の教育、性教育などが系統的に行われていない。一部、群馬県あるいは高知県の開業助産婦さんたちが小学校で命の教育というのを行っております。これは命の大切さを教える出前授業として非常に話題を持っておりまして、子供さん方あるいは学校側から好評であるというふうに伺っております。そのような活動をもっと全国的につなげていけたらいいなというふうに考えております。 それから命の大切さ、自分も他者をも尊重するという、人間として生きていくのに必要な理念から始まるこのような系統的な性教育が行われていくということも必要だというふうに考えています。 二番目には、各世代、各年代の女性にとってリプロダクティブヘルスに関連したトータルな健診・健康教育機能を中心としたケアの場がないということも問題だと思っております。 若年女性、働く女性、子育て中の母親、中高年女性が気軽に受診、相談できる場がありません。女性の健康は臓器別、子宮がんは産婦人科、乳がんは外科、胃が痛いと思ったら内科というようにいろんな臓器別で行われていますので、女性の健康をトータルに診るような場がございません。それから、カウンセリングを受けるところもございませんし、情報を得るところもなかなか得られておりません。そういうような点で、女性の生涯にわたって健康を診てくれるホームドクターのような方が必要だと思っております。 三番目には、リプロダクティブヘルス・ケアを行う専門家の不足ということで、ここのレジュメに示させていただきましたが、助産婦が非常に不足しておりますので、そのような点でぜひふやしていくような方策、対策をとっていただきたいと思っています。 最後に提言ですが、三つのことを提案させていただきます。 一つ目には、保健所、保健センター、女性センター、市町村の看護職として助産婦の常勤採用枠を定め人材を確保し、地域や学校、企業におけるリプロダクティブヘルス・ケアの場を整備すること。ここに挙げたように一番、二番のことです。それから三番に、男性へのリプロダクティブヘルス・ケアの推進が挙げられると思います。これは、男性の理解と協力なくしては女性の健康は保てないというふうに考えているからでございます。 二番目には、助産婦養成数の増加と助産婦の質の向上です。ここに掲げています四つの事項についてぜひ推進していただくようによろしくお願いしたいと思っています。 三番目には、リプロダクティブヘルス・ケア推進のために、学校、国公立保健医療機関、民間医療福祉機関、産業保健等の連携・協同システムと、地域住民のネットワークを構築、整備するということでございます。 以上、三つのことを提案させていただきます。 ちょっと長時間にわたりまして御迷惑をおかけしましたことをおわび申し上げます。 どうもありがとうございました。
○会長(石井道子君) ありがとうございました。 以上で参考人からの意見聴取を終わります。 これより参考人に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○水島裕君 自民党の水島裕でございます。 この調査会に初めて参加させていただきまして、大変重要な、大切な調査会であるということがよくわかりました。 私個人としましては、いろいろな仕事で大変女性の協力があっていろいろなことができましたし、また人生に潤いその他を得ることができましたので、一般論として女性の方にはできるだけ幸せになっていただきたいというふうに思っております。 それで、私はほかの方にもぜひそうしていただきたいと思いますけれども、やはり女性は妊娠、出産という本当に人類にとってなくてはならない貢献をしているわけでございますから、その分だけ、ちょっと言い方は悪いかもしれませんけれども、私は哲学としてげたを履いてもらって評価することにしております。ですから、仮に同じ能力で同じ時間働きましたら、なかなか難しいですけれども、女性の方に給料はたくさん払いたいというふうに思っております。 それから、もう一つ哲学としましては、特に今は少子化の世の中でございますので、子供を産むというときは休むことができるだけ負担にならないように、給料もできたら同じぐらい払って、私は国会議員でございますけれども、そのほか大学の研究指導とかベンチャー的なこともちょっとやっておりますので、産んで、ゆっくり休むといっても、本当に有能な方でしたら時々でもいいから来てほしいと申しますけれども、給料は十分に払いたい、そういうような考えでおります。私は、一番この問題の大切なところは、男性がそういうふうに哲学を持ってくださるのが一番いいんじゃないか。余り細かいところを言ってもなかなか難しいところもございます。 それは前置きにしまして、三人の方のお話を聞きましたので、時間のある範囲で御質問したいと思います。 まず芦野参考人でございます。一つだけでございますけれども、中絶をするのを無料にしたらどうかというお話で、今は少子化の時代でございますので産むのは無料にしても、中絶はお金を取ってもいいんじゃないかというような人の方が多いんじゃないかと思います。例えば、犯罪とか本当に好ましくないものとか、何か特別なものに関してなら無料でも賛成できるような気がしますけれども、その点はいかがでございましょうか。
○参考人(芦野由利子君) 出産は無料でもいいけれども中絶は有料にとおっしゃる根拠は何なのかということを逆に私の方からお聞きしたいと今思いましたけれども、まずお答え申し上げますと、それこそがまさに長いこと議論されてきたこと、つまりなぜリプロダクティブヘルス・ライツということをわざわざ言う必要があるかということにもなるんですけれども、先ほど冒頭にも御説明いたしましたように、とかく中絶はこれまで道徳あるいは宗教といった範疇で語られ、そのことによって女性が中絶を禁止されて大変に生命や健康が脅かされてきたというような事実、これは歴史的にもそうですし、現時点でも、例えば中絶を禁止している国がたくさんございまして、中絶をしたがために投獄されている女性などがたくさんいらっしゃいます。戦前の日本もそうでした。そのような状況がある。 それでは本当に女性が自分の人生を生きることができないのではないかということから、つまり女性の健康・権利という視点から中絶を合法化する必要がある、医学的にきちんと安全にできる必要がある。そして、ヘルスサービスの一つとして中絶も受けられるような状況をつくる必要があるという考えが出てきたわけでございます。 したがって、先ほどもちょっと申し上げましたが、主に西欧には既にこういう考えが十分浸透しております。つまり、女性の自己決定権の問題である、女性の健康の問題であるという観点から避妊も中絶も扱われておりますので、たくさん例を申し上げることができますが、国が中絶の費用を負担して女性が経済的な負担を受けないで済むような状況をつくっているわけでございます。
○水島裕君 今御質問したのは、罪になるとかそういうこととは全く関係なしに、例えば知識のなさとか、きちんとその他の理由で産んでも産まなくてもいいというときに、ただと有料で少し判断が違うんじゃないかなというようなことで申し上げたんで、ちょっとこれはこれでやめさせていただきます。 次は、金城参考人の方にお尋ねいたしたいんですけれども、母体保護法という名前が余りよくないと。もっと一生通じてとかという意味かとも思いますけれども、そうしたら仮にどういう名前がよろしいかというのが一つ。 それからもう一つが、好まざる妊娠というところで、あらゆる努力をできるようにということで、そのうちやはり一番教育が多いとおっしゃいましたし、私もそうだと思いますけれども、それは後でネットワークその他いろんなことを利用して、学校教育などもということが中心だと思いますけれども、そうかということと、教育以外に、好まざる妊娠を防ぐためのあらゆる努力がどういうことがあるかということが二番目の質問です。 それから三番目の質問は、夫の同意は要らないと言うんですけれども、やはり子供は夫もちょっとは、ちょっとといっても半分は自分の子供ですので、もちろん妻の権利、権限の方がずっと多くてもいいですけれども、夫は何の権限もないというのもちょっとかわいそうなような気がします。その辺を、その案をおつくりになるときはどのくらい入れてあげるつもりがあるのか、その三つをお尋ねいたしたいと思います。
○参考人(金城清子君) まず、どういう名前かということでございますが、母体保護法にかえまして避妊と中絶に関する法律、こんな内容をそのままあらわすような言葉でいいと思うんです。日本では、例えば強姦を婦女暴行と言ったり、何となく中絶するなんという言葉を使うと法律の名前としてはふさわしくないというようなことがあるのかもしれませんけれども、そうではなくて、やはり事実は事実として、言葉として法律の題名にも使っていっていいのではないか、そういう意味で、避妊と中絶に関する法律というのが妥当ではないかと私自身は考えております。 それから、二番目の教育以外にということでございました。 若い方には教育ということでもいいと思うんですけれども、私はやはり情報提供というのが一番ふさわしい名前ではないかと思います。ですから、学校教育だけではなくて社会教育で、いろんなところでそういう情報を提供する。そしてまた、いろいろ迷った方が、どうしたらいいかなということで困っていらっしゃる方が非常に多いと思うんです。そういう人に対して気軽に相談できるような機関なんというのも大変いいのではないかと思います。 それから、今避妊についてのいろんな方法がございますけれども、例えばピルはそれなりにお金がかかるわけです。ですから、そういうものに対して健康保険を適用していくということになれば、そういう問題で問題がなくなるのでだれでも使えるということになるのではないか。いろいろあると思いますけれども、思いつくままにそのようなことを指摘させていただきます。 第三番目でございますが、これはよくわかるんです、御質問の趣旨は。ただ、これは夫の同意を削除するというのはあくまでも、両方でお話し合いをしてもどうしても最終的に話し合いがつかないというときには、もう女性の決定なんだということです。子供は父親と母親双方から遺伝子を受け継いでいるわけですし、お父さんとしてもこの子はぜひ産んでほしいということはあると思うんです。ですから、それは御夫婦の間で仲よくお互いに説得してほしいと。 特に若い人たちなんかの場合には、今お仕事が忙しい、今ちゃんと自分のキャリアを積んでから子供が産みたいというようなことで、御夫婦間での意見の違いがあるようです。そういう場合には、では僕が子育ては半分やるからということでもいいと思うんです。そういう形でお二人でよく御相談し合って納得がいけば、これはお父様の権利というのも十分保証していくことがお二人の間でできると思うんです。 ただ、どうしてもだめなときには、やはり妊娠、出産するのは女性なので、女性の決定を優先させるというより仕方がないのではないかということでございます。
○水島裕君 少し早目に終わってもいいと思いますが、余り早目でも格好悪いのでもうちょっと今のお答えについて言いますと、一番最後はそれで全く結構だと思います、私個人はですね。どうしてもしようがない、意見が合わなかったときはいいんですけれども、そういうふうに言ってくださると我々も納得するんだけれども、最初から夫はもう何の権利もないなんというふうにおっしゃられると、やはり男性としては一言ということでございます。 それから、その前もあらゆる努力とかというふうに書かれますと、何かいろんなことがあるんじゃないかというふうに思いますから、やはりそれは教育それから相談所とかそういうふうに書いていただくと、それで非常によくわかりますし、あるいは、ピルを保険、なかなかこれはほかの薬との関係でそういうものを保険適用にするというのは難しい、現実にちょっとしにくいんですけれども、それは別途そういうふうに書いていただければ、男性ばかりじゃなくて女性の方も皆さんよく理解していただくと思います。 それから、最初の母体保護法を中絶と何でしたっけ、おっしゃいましたけれども、私も不勉強で母体保護法をそう知りませんけれども、恐らくそれ以外のことがたくさんあるんじゃないかと思いますので、きっとその名前ではもう一つぐあい悪いんじゃないかなという気もします。詳しいことは知りませんので、私のコメントだけにさせておいていただきます。それでよろしいですね。 では、最後に森参考人にお尋ねいたします。 前の方も、子供ができないというので圧力が非常にあるというふうにおっしゃいましたけれども、そういう地方もあるのかもしれませんけれども、少なくとも私どもの周りを見回して、それで圧力をというのはもう今ほとんどないんじゃないかと思います。むしろ、子供が欲しいのにできなくて気の毒だということはありますけれども、そういう社会もあるということをひとつ認識していただいて。 ですから、私は、せっかく子供を産みたくても生まれないために、むしろ生殖医療をもっと進めるべきじゃないかと思っている方で、金城さんなんかはそれをどんどんやるのは何か問題だというようなお話がありました。私は、科学技術が進歩してクローンも、差し当たりそういうものを生殖医療に利用するのは今の時点ではよくないですけれども、将来は、せっかく愛し合っている夫婦がいて両方の遺伝子を持った子供が欲しいというのを医療で助けるのは、我々本当に、私は医者、科学者でございますけれども、任務じゃないかと思ってやっておりますので、何かお三人のお話を聞くとちょっと逆なような意見がいたします。 それからもう一つが、高齢初産婦は確かに問題がございますので、これはお尋ねするほどでも、当然かと思いますけれども、やはりなるたけ若いうちに産んで、仕事もちゃんとできるような社会をつくるというようにしなくちゃいけないんじゃないかと思います。 あと、女性科、女性が行けば何でもわかるお医者さんがいたらいいと言うけれども、医者の方はそうじゃなくてもやぶ医者が多いわけですから、頭から下まで全部わかる人なんというのは絶対、絶対ということもないですけれども、プライマリーケアのできる人はいます。それは、かえって変な誤診とかトラブルがあってぐあいが悪いから、やはり専門の方に診ていただいた方がいいんじゃないかと思います。 ですから、余り質問がなかったけれども、一つぐらい何か答えてください。
○参考人(森恵美君) まず最初に、子供を産めない方への圧力があるんだというお話をしたと思うんですが、これは産めない方にとっては、私たちは圧力を与えているつもりはないんですけれども、子供のいらっしゃらない方にとっては子供のいる御夫婦に会うだけでも圧力を感じるという人もいるんですね。 もっと言えば、年賀状にお友達から、私たち夫婦に赤ちゃんが生まれました、とても幸せですという写真をもらっただけでもとてもいたたまれない気持ちになるというような、そういうふうな形で、何か私も早く子供が欲しいというような気持ちにさせられたり、社会から普通じゃないというふうに評価を受けているというような、一人前というか、普通になれない、普通の家庭を築けないというような見えない圧力を感じてしまうというようなことが、私は不妊の女性の研究を通して百人以上の方にお話を伺う中で、そういうところでの圧力も感じている。 子供はまだですかとか、お一人いても二人目を不妊という方もいて、お一人しかいないの、そのたった一言なんですが、お一人しかいないのというような言葉も、この少子化の社会では二人目をどうして妊娠しないんだという裏のメッセージに伝わってしまって、何となく立場がないというような気持ちになってしまう。その当事者にとっては圧迫を与えられているというふうに感じるということです。 それからもう一つ、女性を専門に診る先生がいたらいいなと本当に思うところで、でもそれはまず無理だと思うんですが、ただ、女性を専門とした病院は一、二カ所既に日本でできています。そこに行きますとトータルに診てくれるんです。だから、産婦人科から乳がん、すべて女性の先生が診てくれる。そしてカウンセリングもしてくれるし、いろんな意味でちょっとした相談にも乗ってくれる助産婦もいる。そこの施設は、妊娠、出産でお世話になったら中高年になって更年期でも行けるような、ずっとカルテを持って、先生はお一人ではないんですが、いろんな先生にもわたると思いますが、そういうふうな女性専門のセンターみたいな形のところがふえるといいのではないか。それはアメリカやカナダではもう既にございます。そういった意味で、ちょっと言葉足らずだったんですが、そういうふうなことを日本でもどうかというふうに御提言させていただきました。 以上でお答えになったでしょうか。
○水島裕君 お三人の方、私も望むこういう立派な仕事をやっていらっしゃるわけでございますから、どうぞなるたけ誤解を与えないように。今のだって、普通にただ聞くと、どうもしゅうとめがいじめるとかというふうに聞こえると思いますので、皆さんからの賛同を得るためにはそういうふうにいろいろなところも考えて、今後もぜひ御活躍なさることをお祈りして、終わりにしたいと思います。 どうもありがとうございました。
○鶴保庸介君 毎度のことでありますが、この調査会でお話を聞くたびに、へえ、なるほど、そうだったのか、そんな考えもあるのかというような勉強をさせていただく、そんな感激を覚えております。先ほど水島先生も質問をされることについてちゅうちょされておられた、質問の数が少ないということをおっしゃっておられましたけれども、なるほど、へえという納得の方が多くて、質問をするべき事項というのは余り見当たらないのであります。したがって、ちょっと瑣末的なことなのかもしれない、皆さんのお話をお伺いしておって、こうなのかなといったことの確認も含めて、二、三だけちょっと質問させていただきたいというふうに思うんです。 先ほど水島議員の方からのお話でありましたけれども、女性が中絶することについて、その考え方を女性の自己決定権というふうにとらえていらっしゃった、芦野参考人でしたか。そういうふうにとらえてしまうと、重複するんですが、男性から産んでほしいというような場合がありますよね。こういう場合、男性の権利というのはどうなるのかなというふうなことを考えるんです。芦野さんがおっしゃっておられたことなので、芦野さん、その辺どうですか。
○参考人(芦野由利子君) 今の御質問はかなり頻繁に男性の方々からお聞きする質問でございます。私も心情的にはわかるような気がするんですね。ですけれども、先ほど金城参考人からも御説明がありましたように、最初から私どもは男性は要らない、男性を排除すると言っているわけでは決してなくて、むしろ男性の方々とパートナーシップをとって一緒に考え、一緒に決めていきたいというふうに思っているわけです。 ですけれども、そうならないケースというのもあるわけです。例えば、ティーンエージャーの場合に、女の子が妊娠した途端に男の人が逃げてしまうなどというケース。私どもの姉妹団体、家族計画協会というところにクリニックがございまして、たくさんのティーンエージャーが毎日参りますけれども、そういうケースは後を絶ちません。そういうこと。 それから、何と申しましても、妊娠、出産そして中絶する体を持っているのは女性なんです。そのことによって女性の人生というものがかなり左右されてしまいます。ですから、基本的にはといいますか、出発点は女の人、男の人両者が十分話し合って理解し合って、二人が納得のいく結論が出せればそれにこしたことはないんですけれども、そういかないケースがあるとすれば、最終的にだれが決めるかとなりましたら、その妊娠、出産、中絶する体を持っている当事者は女性でしかありませんので、やはり女性にその最終的な自己決定権は認めるべきではないかという考え方でございます。
○鶴保庸介君 よくわかりました。 金城参考人のレジュメでしたか、カップル自己決定権と、こう書いてあったんですね、不妊治療に関することですけれども。この言葉というのは私は初めて聞いたんですが、こういう二人の協議が調わなかったときに出てくるものなのかなというふうに私は私なりに理解をさせていただきたい、女性の自己決定権という意味は理解をさせていただきたいというふうに思うんです。 森参考人がOHPで御説明をいただきましたその資料の中で、人工妊娠中絶の件数が昭和四十五年から比べると格段に減少しておると。少子化の傾向もこれありだったろうと思うんですが、森参考人、これが減少した理由というのはどういうことなのか。その少子化の問題もいろいろ原因はそれぞれに複合的にあるんでしょうけれども、どういうふうにこれをとらえていらっしゃいますか。
○参考人(森恵美君) 人工妊娠中絶件数が減ってきましたのは、やはりリプロダクティブヘルス、その前の家族計画の概念が日本の中にかなり入ってきたということも言えると思います。それと、その技術、コンドームの使用が日本は世界一、先ほど芦野参考人から七割のコンドームの使用率、コンドームの避妊率も正確に使えば高いということもございますので、望まない妊娠が確かに減ってきてはおります。ですが、諸外国に比べるとまだまだ高い。女性の避妊の選択肢がようやくことし諸外国並みになったという事実も考えますと、望まれない妊娠もまだ多いというふうに思っております。
○鶴保庸介君 家族計画もしくはその技術的なことということが主な理由だというふうにお答えをいただきました。 そこで、家族計画という考え方あるいはそのスタンスといいますか、そういうものはやはり社会教育といいますか、社会的な教育だろうと。教育という言葉で一くくりでくくってしまっていいのかどうかわかりませんけれども、先ほど各参考人もそれぞれ異口同音に同じようなことをおっしゃっておられました。中絶あるいは避妊といったことについてもう少し勉強させるべきではないか、学校教育あるいは社会教育としてもそういう勉強をさせていくべきではないかというお話をされておられました。お三方それぞれにちょっとこのことについてお伺いをしたいんです。 学校教育をどう変えればいいかというのは必ず議論になるんですね。私個人も、たしか小学校、中学校のときに性教育という時間はあったような気がしますが、まあまあ御多分に漏れず興味本位で終わってしまったようなところがあります。 どんなふうにこれを変えていって、どんなふうにしたらおっしゃられるような趣旨を達成することができるとお考えなのか、アイデアがあればで結構でありますが、お三方それぞれにちょっとお答えをいただけますでしょうか。
○参考人(芦野由利子君) それでは私から。 大変に大きな御質問をいただきましたので簡単にお答えするのは難しいように思いますけれども、今の学校教育を考えますと、だれしもがおっしゃることですが、受験教育のための教育になっているということが大きくあるだろうと思います。そういう中で、性教育は受験とは関係がございませんので、一応カリキュラムに、指導要綱に十分ではございませんが多少あっても、どんどん先送り先送りされてしまうというようなことがあると思います。 ですから、その辺のところから考えていきませんと、性教育のところだけを充実しようと言いましてもなかなか難しいものがあるのではないかという気がいたしますが、それでも、その構造的な問題を変えるのは難しいとすれば、性教育をもっと文部省なり、今度は省庁再編成で文部科学省ですか、名前が変わるようですけれども、せめても性教育を本当に人間教育としてもっと重視していく必要があるだろうと思います。 そのときの性教育はどういう内容が必要かということなんですが、下手をしますと純潔教育になる危険性がございますので、そうではなくて、端的に申し上げますと、私は三つぐらいポイントがあるかなというふうに日ごろから考えております。 一つは、私の発表の中でも申しましたジェンダーによる性差別をなくす。つまり、女と男の平等な人間関係という、そういうことを一つ根底に置くということ。それからもう一つは、自分の体、自分のセクシュアリティー、自分の生き方を自分で決定できる、自己決定できる力を養えるような性教育であるべきだということ。そして三つ目に、性の多様性というものを尊重するということが必要だろうと思います。 私たちの社会では、とかく異性愛の女と男が結婚して子供を産むことが正しい性であるというような社会通念が、私たちの社会の中にある考え方を一枚一枚はがしていきますと、実は依然として根底にあるような気がするんですね。 ですけれども、現実を見ますと、先ほど金城参考人からも性同一性障害の問題が提起されました。あるいは、同性愛の方もいらっしゃいます、両性愛の方もいらっしゃいます。障害を持つ人の性、高齢者の性というように、セクシュアリティー、つまり性の意識や性の行動様式というものは大変多様なものがございます。そういった多様性を認めていくということも盛り込んだ性教育というものが必要だろうというふうに考えております。 以上です。
○参考人(金城清子君) 今、芦野参考人がおっしゃったようなことは全部援用させていただいた上で、少しつけ加えさせていただきたいと思います。 実は、日本でもかなり理想的なこういう教育をやっているところがございます。私はそういうところに娘をやりまして、大変自律的な娘になりましてびっくりしているというようなところがございます。名前を挙げさせていただきますが、吉祥女子高校というところでございます。ここではかなり意欲的な女性を教育しているということで、大変有名な学校でございます。 二番目といたしまして、性教育というのはモラル教育ではいけないということですね。私は、やはり科学的な情報を提供するということが非常に重要だと思います。 そういう意味で、芦野参考人もおっしゃっていましたけれども、どうも性教育というとモラル教育になって、むしろ罪悪感を子供たちに植えつける、そういうことではやはり問題は残ってしまう。そして、科学的な情報を提供するとともに、性は恥ずかしくないんだ、ちゃんとみんなで語り合っていくんだというような形で教育をしていく必要があると思います。 それから第三番目として、私はいつも考えているんですけれども、今の学校教育では中絶は非常に危険であると、そういう教育をしているんですね。ところが、科学的な実証的なデータで言えば、中絶というのは自然の出産よりはもう十分の一ぐらいの、ある資料によれば二十分の一ぐらいの危険度だということになっているわけで、これもやはり中絶なんかさせたくないから危険だと言うんではないかというふうに私たち今考えているわけなんですけれども。 ですから、やはりこういう中絶は危険、何もしないことに比べれば危険だと思います。だけれども、物すごく危険なんだという教育は間違っているのではないか。やはり、客観的なデータに基づいて教育していく必要があるだろうと思います。そして、命を大切にしようということはそういうこととはかかわりなく、ほかの方法で伝えていく必要があると思っています。
○参考人(森恵美君) 私も、芦野参考人、金城参考人と同様に、人間教育は非常に重要だというふうに考えております。全人的教育というような言葉を使わせていただきましたが、そのような意味で、今実際助産婦の中で、先ほど話しましたように命の教育というのが行われております。 それはどのような教育かと申し上げますと、助産婦さんが出産、誕生を小学校五年生に対して、その場面を大きな子宮のモデルをつくって見せる。赤ちゃんが誕生するのは、その子宮の中から出るのはいかに大変かというのを小学五年生に体験させて、参加型の教育をしているんですね。 というのは、お母さんがどんなに苦労して産んでくれたかということを実際に体験して、命が非常に大切だということを、一人一人の命、人権が非常に大切だということを参加型で教育していくところから始まっています。 それはどうしてかというと、どうしても自己中心的に子供たちはなりがちなんですね。他人を思いやる心というのは、一人一人の命が大切だということをまず知ってから芽生えてくるというふうにも思いますので、そういった意味で、まずはその取っかかりとしては命の教育のようなものをやっていくということが必要かと考えております。ただ、モラル教育に本当になってしまってはいけないと私も思います。 もう一つ重要なのは、芦野参考人が言ったように自己決定です。女性が性について自己決定、自分の体について自己決定できる能力を養う教育が必要だというふうに思っています。 男女のコミュニケーション能力がなかなか育っておりません。同じ世代で言葉を交わすのに、ほとんど言葉等は使わないで性交渉が行われてしまうということも考えられております。そういった意味で、言葉によって嫌だという表現をする力が若い女性に養われていない。どのようなふうに断ったらいいか、自分の考えを述べたらいいかというようなところまで性教育の中で推し進めてもらいたいというふうにも思っております。性行動、避妊行動以外の部分で、避妊、性行為に至るまでの過程のコミュニケーションのとり方も自己決定能力の中に入ると思いますが、そういった意味での教育が必要かと考えております。 もう一つは客観的なデータ、本当に避妊の手段に関してはいろいろと避妊の実行率、あるいは失敗した場合など、非常に失敗率も高いということもございますので、そういった面で正確な情報提供が必要かと思っております。 以上です。
○会長(石井道子君) ありがとうございました。 時間です。よろしいですね。
○小宮山洋子君 三人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。 きょうは、この共生の調査会では新しいテーマとして女性の健康・権利、リプロの話をしましたので、一回目の参考人のお話としては初めてお聞きになる方にはかなり難しかったのかなという感じもいたしますが、そこから入るとこの先進み方がいいのかなとも一面思ったりしております。 それで、私は二十九分時間をいただいておりますので、お三人の方に均等には伺えないかもしれませんけれども、なるべくこれからこの共生調査会でプラスの方向で成果を得るために必要だと思われることを何点か伺いたいと思います。 まず、芦野さんに伺いたいんですけれども、このリプロダクティブヘルス・ライツという舌をかみそうな言葉、日本では性と生殖に関する健康・権利と訳していますが、性といった途端にもう何となくちょっとタブー視するような嫌いもございまして、何で妊娠と出産に関するじゃいけないのかということを私も何回も言われました。その言葉が、もとの言葉も訳した言葉もわかりにくいということもあるかと思うんですけれども、どうしてもまだ妊娠、出産、そして母性保護というところから人の意識もそれから行政の方の対応もまだまだ出られないでいると思うんですけれども、この認識をもうちょっと進めていくためにはどういうことが必要だと思われるかをまず伺いたいと思います。
○参考人(芦野由利子君) それはもう繰り返し繰り返し飽きることなく話を続けていく、説得を続けていくほかないのではないでしょうか。 例えば、セクシュアルハラスメントという言葉、今ではセクハラというふうに短くされて、かなり広く用いられるようになりました。もちろん、セクシュアルハラスメントについて果たしてどれだけの人が正確に理解しているかということになりますと疑問なところもあるかもしれませんが、でも、この言葉が日本に紹介された当時に比べますと相当日本の社会の中にも共通認識が生まれつつあると思うんですね。果たしてリプロダクティブヘルス・ライツがそれと同じように広まっていくかどうかということは、今の段階では何とも申し上げられませんけれども、でも、そういった方向にできれば私も持っていけないものだろうかというふうに考えております。 一番いいのは適切な日本語があることなんですけれども、残念ながら、海外から来た言葉はこれまでなかった概念に新しい言葉をつくっているがために日本語にもなりにくいという状況がございますので、ならばリプロダクティブヘルス・ライツ、これは大変に長い名前なものですから、私ども実はリプロヘルス、リプロライツというふうに、これが短縮形のぎりぎり妥協できる線かと思いまして、そういった短縮形で使うこともございますけれども、その呼び名でできるだけ広めていくという努力を差し当たりはしたいというふうに考えております。 なお、逆に議員の皆様からも、いろいろアイデアなどがおありでいらっしゃいましたら、ぜひ私どももお聞きしたいと思っているところです。
○小宮山洋子君 それで、そのリプロヘルス・ライツの中でも特に、わかりやすく言えば産む産まないの自己決定を女性ができるということにもなると思うんですけれども、その点からいって、何人かの方がおっしゃいましたように、今、日本の中では刑法に堕胎罪があって、女性の側だけ、それを行った医者とかもそうですけれども、男性は原則としてそうではなくて、女性だけが罪を負わなければいけない、罰を受けなければいけない。先ほど御紹介いただいた女性会議などでの成果文書にもこういうことをしちゃいけませんよと、そのことをちゃんと日本政府も同意をしているにもかかわらず、依然として刑法の中に堕胎罪がある。 そして、おっしゃったように、優生保護法を改正するとき、優生思想だけは外れましたけれども、最初は母性保護法という名前になりそうだったのを何とか母体保護法まで持っていったという経緯がございまして、このときも全くこの部分については一言の審議もなく法律が改正されてしまっているという現実があるわけなのですが、一つは芦野参考人に、NGOのサイドでも随分いろいろな検討が女性の体と性の法律の問題についてあると思いますので、そういうところからどんな方向でこの法律を改正していったらいいかということを伺いたいことと、それから金城参考人からは、随分この法律について詳しく御説明をいただきましたけれども、このことをこういう形で進めていくためにはどのような私たちができることがあるのかも含めて、この法律について考えていらっしゃることを、時間が足りなくておっしゃり足りなかったと思いますので、芦野参考人と金城参考人に伺いたいと思います。
○参考人(芦野由利子君) ありがとうございます。 女性の体と性、健康を考える女性のグループというものが今結構日本にもございまして、小規模ながら大変いい活動を続けております。私もそういったグループの一つにかかわってささやかなボランタリーな運動をしているんですけれども、からだと性の法律をつくる女の会というグループでございます。そこで、優生保護法が一部改正され母体保護法になった時点で、これもおかしい、ならば、ただただ反対をしていても始まりませんので、私たちはこういうものを欲しいという対案を考えてみようじゃないかということでこのグループが始まりまして今日に至っております。 時間の都合で余り詳細には入れませんけれども、何を目指しているかというポイントだけ申し上げておきたいと思います。 基本的には堕胎罪と母体保護法、これはいわばセットになっている法律体制でございますので、この両方の法律をなくすということを考えております。では、なくして全く法律がない状態でいいのかとなりますと、やはり女性の健康と権利を守るという意味では、法律によって安全に合法的に避妊手段が得られ、中絶ができるという状況は必要ですので法律が必要だということです。 金城参考人が御提示くださいましたこと、私もかなりの部分は同じ意見でございます。特に不妊手術が要らないというところは私もまさに、私といいますか、その女性のグループでもそのように考えておりますし、法律の名称もそのものずばり避妊と中絶に関する法律でよろしいのではないかというふうに思っております。ヨーロッパには文字どおりアボーションローですとかアボーションアクトという法律を持つ国がたくさんございますので、日本でも同じような法律名でよろしいのではないかと思います。 その法律の内容といたしましては、先ほど最初の発言のときにもちょっと触れましたけれども、金城参考人と私が活動をしておりますグループで多少違いますところは期間規制にするか適用規制にするかというところなんですけれども、ほかのところはほぼ同じでございます。夫の同意が要らない、それから不妊手術という項目も削除する、名称も同じでございます。期間規制か適用規制かというところで、私どももここで実は行きつ戻りつしている現状ではございますが、現時点では中絶をする当事者が女性であるということから、胎児が母体外で生存できない期間の間は女性が申し出れば中絶を認めてもいいのではないだろうかという方向で今検討を進めております。 実はここ二、三日、オランダやスウェーデンから私いろいろな情報をもらっているんですけれども、例えばオランダの法律、オランダはちなみに世界で一番中絶率が低い国でございます。避妊が大変普及しております。 そのオランダの中絶法はどういうものかと申しますと、原文がございませんので、済みません、これは人づてといいますか、原文どおりの翻訳では必ずしもないんですけれども、女性が望まない妊娠をしてそれを継続することにストレスを感じているときには、胎児が母体外で生存できない時期であれば女性の自由意思で中絶ができるという法律になっているということでございます。 そうしますと、女性の自由意思に任せたら胎児の生命が、つまり生命が尊重されなくなる、とんでもない事態になるのではないか、中絶がふえるのではないかというような御意見がこういう議論では返ってくることが多いんですけれども、今申し上げましたように、オランダは中絶が世界で一番少ない国でございます。 そこから、改めて御説明するまでもなくおわかりいただけると思いますが、例えばそのような法律がございますので、私たち、その女性のグループでも一応今そういう方向で考えているところでございます。したがって、胎児条項を設けるということはせっかくなくした優生保護法時代に逆戻りすることになりますので、これは不要であるというふうに考えております。 それと、当然のことながら、女性はだれしも中絶を好んでする人は一人もおりません。ですから、望まない妊娠を防ぐための手だてをどうとるか、やはりそこに重点を置いた法律にしていきたいというふうに考えております。 その中で、先ほど冒頭にも御説明いたしました相談所のことですとか、それから女性、男性もそうですけれども、避妊のサービスへのアクセスが得やすいようにするために、健康保険の適用ですとか、それから相談も非常に安価に気軽に受けられるようなそういうシステムが必要だというふうに考えております。大体大まかなところはそのようなことでしょうか。 もちろん、女性の意思に沿わない、女性の意思に反して行われた中絶、あるいは不妊手術の場合、女性、男性両方にかかわりがありますので、当事者の意思に反して行われた不妊手術に関しては、これは傷害罪に当たりますから処罰の対象になるという考えでございます。 以上です。済みません、長くなりました。
○参考人(金城清子君) 続けさせていただきます。 今、女の健康を考える会の御意見ということでいろいろ伺いましたけれども、私もそちらの方に行きたいですね。 混合規制と言ったのは、やはり現状で国際社会の中で一番進んでいるものを全部集めてみても、胎児が母体外で生存できない期間、もう何の理由もなしに中絶できるという国はなかったものですから、ちょっと日本でも無理だろうと考えたわけなんです。 しかし、今オランダのようにストレスを感じるんだったらこれはよろしいというようなことでしていくということであれば、混合規制ではなくて期間規制、そして中絶可能期間を二十二週未満というふうにすれば、これは現状では国際社会の中でも一番進んだ人工妊娠中絶に関する法律になるのではないかと、そういうふうなことで日本ではぜひつくっていただきたいという気がいたします。 実を申し上げますと、歴史的に見ますと、日本では戦後間もなく中絶が合法化されているんです。もちろん、これは女性の自己決定権を保障するためではなく人口政策のためだったということはもうよく知られているわけです。でも、人工妊娠中絶を合法化したという意味では国際社会の中で一番進んでいる。しかし、それがあいまいなままにということですから、女性たちがこの問題について意識的に取り組む機会を実は逸してしまったというところもございます。 今回は、ぜひ女性たちがみんなこの問題について十分に考え、そして発言する機会が提供される中で、国際社会の中でも一番すばらしい法律をつくっていく、今そういう時期なのではないかと思っております。ぜひそういう方向で御努力いただけましたら、うれしいと思います。
○小宮山洋子君 法律については、今それぞれ取り組んでいる党もあると思いますし、ぜひいろいろな形で、一足飛びにそこまで行くかどうかわかりませんが、その地ならしをここの共生社会でできればいいなというふうに私も思っております。 それで、もう少し具体的な話で言いますと、今現状でそうしたリプロを守るためには、先ほど鶴保さんが教育の話を聞かれましたので教育のことは大体おっしゃっていただいたと思いますが、教育をするにもそのする人をどう養成するか。特に、学校の先生なんかまだ雌しべと雄しべの世界というのが結構多いと聞いています。中には、養護の先生が積極的にもう十何年取り組んでいるとか、先生の属人性にまだまだ任されている部分があると思いますので、そのあたりの教えられる人をどう養成するか。 それから、相談の機能を現状としてどこでどういうふうにすれば、そうした法律で何かが、こう十分なものができるまで何をしたらいいかを手短にお三人の方に、欲張りですけれども、伺えればというふうに思います。
○参考人(芦野由利子君) これも冒頭の発言の中で触れましたけれども、小宮山議員おっしゃるように、情報やサービスを提供する、プロバイダーと申しますけれども、そのプロバイダーがどのような知識を持っているか、どのような意識でサービスを提供するか、これは大変重要なことでございます。プロバイダーがその人のモラルでクライアントを判断してしまって、そのことによってクライアントの側が大変に傷つくという現実もございますので、決してモラルジャッジメントしてはいけないということ、これは原則だろうと思います。できるだけ公正な情報を提供する。 その教育の場でございますが、私がおります日本家族計画連盟では、現行法で定義されております受胎調節実地指導員の認定講習会を過去何十年間でございましょうか、ずっと続けております。毎年そのプログラムの中身も、もちろん法律に則しながらでございますが、できるだけ現在のニーズに沿った形で内容を見直しているところでございます。 と申しますのは、専門家の方々がこれまで受けていらした教育を拝見しますと、どうもやはり、森参考人がいらっしゃる前で大変失礼かもしれませんけれども、母性保健ですとか母子保健といったところにどうしても焦点が当たってしまって、ライフサイクルという視点が不足してきたように思います。 それから、女性の自己決定権というような視点、インフォームドコンセント・チョイスという視点も必ずしも専門家に十分教育されていない現状があるように見受けますので、そういったことを現行の、例えば医者に対するカリキュラム、あるいは看護婦さんや保健婦さん、保健士さん、助産婦さん、看護士さんもいらっしゃいます、そういった方々、専門家に対する教育カリキュラムの中にどんどん盛り込んでいく、その見直しをするということ、これはとても必要なことだろうというふうに思っております。 それから、相談所につきましても、先ほどの繰り返しですけれども、私は決してそんなに大規模なものは必要だとは思っておりません。すなわち、それほどたくさんの予算を必要とするものではないと思うんです。マンパワー、予算ともにかなり小規模なものでも十分相談のための場づくりというものはできるのではないかというふうに思っております。 例えば、スウェーデンでは一九七〇年代に中絶法ができました。そのときに同時に、何と避妊のサービスを無料で提供するための法律がつくられております。さらに、相談室が全国にたくさんつくられました。 若い人たちが主な対象ですけれども、どういう相談室かと申しますと、日本風に申しますとマンションの一室、例えば二DKなり三DKの一見普通の家の居間のようなそういうところにドクターがいる、助産婦さんがいる、あるいはカウンセラーがいる、せいぜいそのぐらいの人数なんです。そうしますと、行く人も、病院ですとか、何か物々しいクリニックですと、ちょっと足を運びにくいということがあるでしょうけれども、大変くつろげる普通の居間のような雰囲気の相談室ですと、自由に出入りができるし、そこでいろいろなことが話し合える、相談に乗ってもらえる、そして同時に必要な避妊法も入手できるというような状況がスウェーデンなどではもうつくられておりますので、私はスウェーデンの例などは大変日本としても見習うものがあるのではないかというふうに思っております。 以上です。
○参考人(金城清子君) まず教育の場でということですけれども、教職課程の中でこういう問題について先生になる人に教えるということはないようです。介護なんかについてはもう教職課程の中にきちっと入って、介護経験をしなければ免許証が取れないということになっています。それと同じぐらいこの問題についての教育は大切なことだと思いますので、教職課程の中に、今、芦野参考人がおっしゃったようなところで行っていらっしゃるような教育を入れていくというのも一つのアイデアではないかと思います。 それから、相談機関でございますけれども、今、日本全国に女性センターというのがいっぱいできております。市町村がやっているものとか県がやっているものとか、それから国がお金を出しているものとか、いろんなところがございます。そういうところは最近は女性センターを男女共同参画センターに変えているんです。私はそれはいいことなのではないか。女性というと男女で行くのは難しいですけれども、男女共同参画ということになれば男性にとっても行きやすい場所になるのではないかと思います。 ですから、そういうところで社会教育としてさまざまなこういうリプロダクティブヘルス・ライツに関する情報を提供していく、そして相談をしたい人はそういうところに行けばいつでも相談ができるというようなことにしていったらいいのではないかと思います。 それから、私はこういう問題を隠さなければいけない、大っぴらに声を出してはいけないということではなくて、恥ずかしいことではない、人間として大変重要なことなんだという意識の変革が必要だとは思うんですね。でも、やはり恥ずかしい人もいるでしょうから、例えば顔が見られないで電話相談ができるというような機会も大いに提供していただきたいし、それからインターネットを使っていろいろな情報が得られるような、そういう場も提供していくことが大切なのではないかと思っています。
○参考人(森恵美君) まず、養成課程のことですが、このような役割を担えるのは看護職だというふうに考えております。その中でも助産婦は、先ほど申し上げましたように、受胎調節実地指導員の資格を得られるようなプログラムが組まれておりますので、そういった意味で、すぐにでもそのような役割が果たせる人材だというふうに考えています。 ただ、今のところ、助産婦は医療施設で妊産婦の助産看護に当たっておりますので、その人材が地域にいないという事実がございます。地域に常勤で配属する枠がないということもあると思います。助産婦の中には地域でぜひ働きたいというような助産婦が非常に多くおりますので、ぜひそのような枠をつくっていただけるとその役目を果たせるという、昔の産婆さんのように、身近にいつでもリプロダクティブヘルスについて相談できる人がいるということは非常に重要だと思います。 資料の方に示しましたが、今、市町村の中で老人介護の方にどうしても保健婦が充足されておりまして、母子保健、母子のケアのことに関して、新生児訪問でさえも非常勤の助産婦が担当しているというような実態でございますから、ぜひそのような助産婦を一人配属していただいて、性教育から女性の中高年の更年期教育、あるいは介護を受けなくてもよいように生き生き生きられるような教育に携われるようにしていただきたいと思います。 教育プログラムの内容としては、看護教育はどんどん高度化しております。対象者の人権を尊重する、そのような意味での看護倫理の教育も、対象者の自己決定権を支えるという意味での看護職の役割についてはかなり基礎看護の教育の中で充実してきておりますので、そういう面で、養成プログラムは充実してきているということを御承知おきいただきたいと思います。 それから、相談の場ですが、やはり女性が利用しやすい、女性がリラックスできる、プライバシーの保護をできる相談の場というのはぜひ必要で、女性センターなどに女性のサポートグループなども会を持っているようですから、そういうところに助産婦を置いてもいいのかなというふうにも思っていますし、保健所などにいる助産婦がそのようなところに出向くというようなこともできるかと思います。 以上です。
○小宮山洋子君 残された時間が五分ちょっとで、これから切り出すには大きな問題なんですが、時間がなくて余りお触れいただけなかった生殖医療の問題、これから非常に大きいと思います。 おっしゃったように、厚生省の委員会が秋から年末にかけて報告を出すと言われておりますけれども、例のクローンの問題にしても、これはクローン技術の問題だけじゃなくて、各国とも生命倫理、生殖医療の枠組みがあった中でやっている、そこが逆転しているというところがどうも日本の場合は非常に問題だと思っておりまして、生殖医療がどこまでどうするかというのは非常に難しい問題ですけれども、芦野参考人とそれから金城参考人に生殖医療について、残りの私の持ち時間が五分弱ですので、ほんの一言ずつですが、一番おっしゃりたいことを伺って終わりにしたいと思います。
○参考人(金城清子君) それではお話しさせていただきます。 私は、生殖補助医療について制限するべきだともチェックしていくべきだとも全く思わないで、こういうふうに技術が進歩してきているわけですから、不妊の人たちにとっては妥当な方法できちっと利用するべきである。これは性と生殖の権利・健康の中にこういう技術を利用する権利というのも当然入るんだというふうに思っております。 ただ、今のように全く法律がない、そういう中でお医者さんのガイドラインだけで実施していく、ないしは国のガイドラインだけで実施していくということは大変望ましくないというふうに考えているわけです。ですから、これはもうこういう技術を使っているところはどこでもそうなんですけれども、不妊治療に関する法律というようなものをきちっとつくって、そしてその法律に規定されたルールに従ってやっていくことが必要であろうというふうに考えております。 これは本当にいろんなことができることなんですね。外国ではそういう人間を変えてしまうということに非常に関心がありまして、こういう問題についてはきちっとした委員会なんかを置いて、その委員会の監督のもとで医療を実施していくというようなことをしております。日本でもやはりそういう形できちっと法律の枠をやった上で、しかし技術はどんどん使用していく、使っていくというのが重要なことなのではないかと考えております。 詳しいことは、ちょっと時間がございませんので、必要とあればまた何かの機会に申し上げたいと思っております。
○参考人(芦野由利子君) 生殖技術に含まれる問題、先ほど申し上げましたような生命倫理上の問題、女の体が結局産む道具化されてしまうのではないかといったような問題、さまざまございます。子供の親はだれかといったようなこと、そもそも人とは何かといった大変人間にとって本質的な問題を提示しておりますので、これを今の日本のように全く何の歯どめもなく市場原理に任せるまま放置しておくこと、これは問題だろうと思います。 したがって、何かルールが必要だろう。技術がもう現在ございますから、とすれば、やはりそれを全面的に禁止すること、これは非現実的ですので、今ある技術はそれを使いたい人は使えるような選択の自由というものは保障せざるを得ないのだとは思いますけれども、かといって、どんどん開発される技術を際限なく認めていいのかとなりますと、私はどこかで線引きが必要なのだろうというふうに思っています。 ただ、それ以上、私は残念ながら医学の専門家ではございませんし、本当に日進月歩する生殖技術、追いつくのがもうようやくという状態ですので、一つ一つについて具体的にここがこうであるという問題提起はできませんけれども、大枠のところはそのように考えております。 ただ、ルールをつくるときに、国の法律という形になるときに一つだけ注意したいと思いますのは、やはりこれは個人の生殖にかかわりのある法律になるわけですから、それが個人の生殖に、何と申しましょうか、これは一般論ですけれども、法律といいますのは個人の権利を保障するためにあるべきなわけですが、他方では法律があることによって国の介入がある程度認められるというような危険もあるわけですから、個人の性と生殖にかかわりのある生殖技術の法律であればこそ、本当に個人の生殖に過度な介入のないような法律をつくることが大切なのではないかというふうに思っております。 済みません、ちょっと抽象的になりました。
○小宮山洋子君 ちょうど時間ですので、終わります。ありがとうございます。
○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。 きょうは貴重なお話を聞かせていただきまして本当にありがとうございました。私の方は、これまでもいろいろ委員の方から質問とかありましたのでダブらないようにしていきたいと思うんです。 今、いろんな方々、女性の方々、結婚された方々とお話しする機会も多いんですけれども、やはり不妊で悩んでいらっしゃる方が多い。私どもは、いろんな治療を受ける際に大変費用負担がかかっているということで、産みたいという意識があっても経済的な理由でやめようか、あるいはいろいろな情報不足のために悩んでしまって産まないというふうに決めてしまう、そういうようなお話も聞いておりまして、もしカップルが不妊で悩んでおってどうしても産みましょうということになった場合、やはり医療保険とか医療費控除みたいな形で支援をしていったらいいんではないかというふうに私は考えているんですけれども、その不妊治療に対しての医療保険適用あるいは医療費控除というようなことに関しまして三人の参考人の方から御意見をいただければと思います。
○参考人(森恵美君) 医療費控除に関しましては今、検討中だということを私は伺っております。 不妊の、体外受精等を一回するのに五十万円かかります。ただ、五十万円払ってするんですが、繰り返しする人のどこまで線を引くかという問題が非常に出てくると思うんです。この治療はやったら治るという可能性での治療ではなくて、子供を得るまで続けるという可能性があります。そうしますと、五十、更年期まで頑張るというような形で医療費控除をしたときに、かなりの多数の人がそういうふうになってしまうと医療費の破綻の問題が出てくると思いますから、何回までというような、何回以降の人にとか、その辺の線引きはどうするかという問題が非常に大きいかというふうに考えております。若い不妊のカップルに関しては、やはり医療費控除が非常に必要だというふうに考えております。
○参考人(金城清子君) 私もこれは健康にかかわる問題だと思うんですね。婦人の方々は普通であれば、健康上問題がなければ子供が産めるわけですけれども、そうではなくて産めない。ですから、やはり健康保険の問題でもあるし、医療費控除の問題としても考えていっていいと思います。 ただ、何か少子化につなげて健康保険を適用するべきだなんということが言われるんですけれども、それとは全く無関係だと思います。あくまでも産む産まないの自己決定権を保障する、そしてその健康を保障するという観点から医療保険の適用を考えるべきだと私自身は思っております。 ただ、今のように法的な規制がない中で非常にいいかげんな治療が行われている場合もあるわけですよ、そういう中で医療保険の適用というのは問題であろうと。そういう意味で、私が提言いたしましたけれども、不妊治療を実施する機関の許可制なんということを法律上きちっと決定をして、法的規制をした上での保険の適用が必要だと思います。 さらに、回数制限ですけれども、これはやはり更年期まで十何回やるからということで全部医療保険の対象にするというのは非常に問題だと思います。せいぜい三回だとか四回だとか、そういうことできちっと回数制限は入れる必要がある、こういうことを考えて健康保険の適用を考えていくべきだと私は思っております。
○参考人(芦野由利子君) 私は、現時点では不妊治療に健康保険を適用すべきであると積極的に申し上げられるところまでいっておりません、私の中の考えが。どちらかといいますと、いささか、六分ぐらい少し否定的なところがあるかもしれません。 と申しますのは、不妊の当事者の方たちの自助グループ、今幾つかございますけれども、そのグループの方たちとも私は接触ございまして、そういう方たちの御意見を聞きますと、健康保険が適用されると今よりもっと不妊治療を受けなければいけなくなってしまう。不妊治療を受けない自由もあるわけですね、選択の一つとして。 ですけれども、生殖技術があるがために、受けない自由、受けない選択というものがますますしづらい状況に今なっております。言いかえれば、治療を受ける方向に追い込まれていってしまうというような状況がありまして、私が話した方もそういう状況に悩んでいて、健康保険があるんだから、経費が安くなったんだからなぜ受けないのというふうに言われてしまう。もっと私はプレッシャーを受けるだろうと。したがって、その方は不妊の当事者でいらっしゃいますが、健康保険適用には反対のお考えでいらっしゃいます。私は、その方のお考えは大変よくわかるような気がいたしました。 ただ、不妊の当事者の方々の中でも、もちろん健康保険を適用すべきだというふうにおっしゃっている方もいらっしゃいまして、意見が二分、まあ二分まではいきませんでしょうか、いろんな意見がやはりまだあるようですけれども、そういった意見を聞くに及びまして、私は今のところは余り積極的になり得ないわけなんですけれども、ただ、経済的負担が大変であるという問題もわかります。 ですから、不妊治療に健康保険を適用するのであれば、私は同時に、先ほども提起させていただきましたけれども、避妊にも人工妊娠中絶にも健康保険をぜひ適用していただきたい、さらには出産にも公的補助をしていただきたいというふうに思っております。 以上です。
○渡辺孝男君 ありがとうございました。 私は、これは芦野参考人にお伺いしたいんですけれども、前もって少し参考の論文といいますか、いただいたところに今おっしゃっていただいたような考え方もあるんでしょうが、その中に「地方自治体の中には、子どもの誕生時に奨励金を出すところも現われた。しかし、いつ何人子どもを産むか産まないかは、個人、特に女性の自由意思に任せるべきであり、出生増加政策という形で政府が介入することではない、」というような、そういう文章がございました。こういう出産のときにお祝いを出している自治体も結構あるんですけれども、そういう場合の問題点といいますか、何かお考えがあれば。
○参考人(芦野由利子君) いわゆる奨励金あるいは物、最近は金塊を与えるところも出てきたと新聞記事で見まして私は本当に驚きましたが、何か物やお金で子供を産んでくれということ自体が、これは人口政策と銘打っておりませんけれども、私はやっぱり人口増加政策と言わざるを得ないのではないかというふうに思うんですね。 では、お金を出したら女の人は子供を産むかと申しますと、この出産一時金を出している、いわゆる出産奨励策をとっている地方自治体の中で明らかに出生率がふえたというところはどうもまだないようなんですね。そこで、この出産奨励策を、出産一時金を出すのをやめようということを検討し始めた自治体もあるというふうに報道されております。 それと、毎日新聞のことしの全国家族計画世論調査を見ましても、次の政策があれば子供数はふえると思いますかという質問がございまして、その中に、六つ設問があるんですけれども、今の児童手当を倍増して十六歳まで延長する、今そういう案が進められておりますね。そのような政策がとられたら子供はふえると思いますかという質問を女性にしております。ところが、半数以上の女性がふえないと思いますというふうに答えております。じゃ、どういう政策だったら子供はふえると思いますかと。一番多いのは認可保育所の保育料を今の半分にする。もちろん、料金だけの問題ではなくて夜間保育の問題ですとか、保育所の運営のシステムの改善ということも入っていると思いますが、これは六割ございます。それとほぼ同率で育児休業の所得保障を八〇%に引き上げるということがございます。 まさに仕事と子産み子育て、そして家庭の両立支援策こそが必要なんだという答えが返ってきておりますので、こういうデータを見ましても、私は出産一時金、祝い金というような形で出生増加あるいは少子化対策というふうに考えることは、実効性もありませんし、決して女性が本当に望んでいるものではないということを申し上げたいと思います。
○渡辺孝男君 私も少子化対策ですぐに産めよふやせよというような考え方ではいけないなというふうに思っておりますけれども、あくまでも子育て、子供さんを育てるための支援という形でもしそういう対策を組むのであれば、総合的な対策というのが当然望まれるわけだと思います。 森参考人にお伺いしたいんですけれども、バイアグラとピルの問題で許可までの期間に違いがあるみたいなお話も先ほどはございまして、森参考人の方からは、私も余り知らなかったんですけれども、「世界で最も安全とされる初期吸引法が日本では行われていない。」と書かれておったんです。これは日本で特殊な理由とか何かがあって行われないんでしょうか、どうなんでしょうか、その点。
○参考人(森恵美君) これは、一九八〇年の産婦人科の先生の教科書に出ていたところを引用させていただきました。その時代は、妊娠の四から六週の時点で妊娠を確定診断する方法がなかったという事実がございます。それもございまして、確定診断ができない状況の中で中絶をするということは難しいということがあって多分取り入れられていないんじゃないか、その産婦人科の先生の解説ではそのようになっております。今は妊娠の判定薬によって四週―六週でも妊娠の判定ができるようになってきております。 ただ、諸外国では専門の先生が中絶の手術をしないというような国もございます。専門医が吸引法をするということ、それから必ず中絶ができたという確定をその後フォローしていくというシステムがない状況の中では取り入れられない部分もあるのかな、副作用の面で。あと、中絶後の保健指導なども含めてまだまだ取り入れられていく状況ではない面もあるのかなというふうにも思いました。 ただ、今の状況では妊娠の四から六週の時点で反応がわかって、超音波で妊娠の確定診断ができる状況になっておりますので、その辺、どうして取り入れられていないのかということについては私はまだ調査しておりません。 以上です。
○渡辺孝男君 芦野参考人にお伺いしたいんですけれども、国の方でも自治体の方でも不妊治療の相談というのを行うような方向で来ているわけですけれども、先ほどの本当に子供さんを望むのか望まないのかというところをきちんとカウンセリングすることが大事であるというのは、私もそのように思います。すぐに治療に結びつけないでいくことが大事かな、本当に不妊のことできちんとカウンセリングしていくことが大事だなというふうに思うんですけれども、国とか自治体でそういう不妊相談をするときにこうしていったらいいとか、何かアドバイスがありましたらお伺いしたいんですけれども。
○参考人(芦野由利子君) 申しわけございません。ちょっと御質問を確認させていただきたいんですが、避妊相談ですか。
○渡辺孝男君 じゃなくて、不妊の。
○参考人(芦野由利子君) 不妊相談でございますか。 不妊相談に関しましては、先ほど来から申し上げておりますように、やはり不妊であることによる偏見や差別というものが大変根強くございますから、まず相談に当たる人自身がそういう考え方に束縛されていると困りますね。ですから、不妊のまま生きることも一つの選択であるというアドバイスもできるような、大変柔軟性を持たせた、先ほど性教育のところで私はモラルジャッジメント、情報やサービスを提供する人の道徳でクライアントを判断してはいけないというふうに申しましたけれども、不妊相談についても基本的には同じことが言えると思います。これは不妊に対しても、避妊についても、中絶に対しても、すべてのカウンセリングといいますか、相談に対しての基本であろうと思います。 そしてもう一つは、これもすべてに共通することですけれども、やはりインフォームドコンセント、そしてインフォームドチョイス、これを徹底させるということが大変重要だろうと思います。 不妊の当事者の方々からも、自分の自己決定が尊重されていない、行っていろいろ質問しても医者にとても嫌な顔をされる、あげくの果てにそんなに自分を信用できないのであればもう来なくてもいいというふうにつれなくされるとか、そういった大変嘆かわしい例がたくさん聞かれますので、そうであっては困りますから、やはりあくまで主人公はクライアントであって、その人の手助けをする立場にしかすぎないんだということを基本に置いて相談に乗っていただけるような場所が必要だろうというふうに思っております。
○渡辺孝男君 どうもありがとうございました。
○林紀子君 きょうは、三人の参考人の皆さん、ありがとうございます。 私は、三人の方々にそれぞれお伺いしたいので、芦野参考人から順次お答えいただきたいと思うんですが、それは人工妊娠中絶をどのように減らしていくか、そのことに対する行政の責任というか最優先課題は何かということなんです。 金城先生もここで成果文書の七十二項というのを引いて、「望まない妊娠の防止は常に最優先課題とし、妊娠中絶の必要性をなくすためにあらゆる努力がなされなければならない。」ということをうたっているということを引いてくださったんですけれども、私は厚生省の昨年発表した生涯を通じた女性の健康施策に関する研究会報告書というのを見せていただいたんですが、それには、向こう十年に人工妊娠中絶を二分の一に減少させる、そして十代の件数を減少傾向に転じさせるという目標を書いているわけですね。その目標はわかったんですけれども、それでは具体的にはどうしたらいいのかというのがなかなか見えてこないんです、これを読んでも。 それでお伺いしたいのは、女性の自己決定権を重視して、そして行政がまず最優先の問題として取り組まなければいけないということはどういうことなのか。女性の問題だけではなくて、やはり先ほど来男性ということもきちんと視野に入れながらというお話がありましたので、では男性に対してはどういうふうにしたらいいのか。その両面で行政はどういうふうにその課題を遂行していってこの目標というのを達成できるのか、させるのか。その辺をそれぞれお伺いできたらと思います。
○参考人(芦野由利子君) これまで申し上げましたことの繰り返しになるかもしれませんけれども、要すれば望まない妊娠をどう減らせるかということになりますから、やはりここでは学校での教育、学校だけにはとどまりませんが、主に学校での性教育、そして具体的な情報サービス、避妊法、避妊具も含めまして、それが簡単に安価に手に入れられるという、そういう場所が必要だろうというふうに思います。 つまり、基本的な教育と、そこで情報、知識が得られたとしても実際に避妊器具・薬がなければ妊娠、出産の調節はできないわけですから、その避妊法という手段が手に入りやすい状況をつくる。また、それに付随して、さまざまな性にかかわるいろいろな悩み事を持っている人に対しては相談に応じることのできる場所をつくる。そういう意味で、教育とそれから相談の場が必要だろうというふうに思っております。 そして、今、議員もおっしゃいましたように、妊娠は女と男がいて成立するものですから、女だけがこのことにかかわっていても、この問題に取り組んでいても本当の問題の解決にはならないわけで、本当に男の人の避妊の責任、それから女と男の対等な人間関係と申しますか、ジェンダーのところで、私は女と男の間に力関係がある、男が強者、女が弱者という力関係があるということを申し上げましたけれども、そのような男性支配ではない女と男の対等な関係をつくっていく、そういうことも教育そして相談の場でも徹底する必要があるだろうというふうに思っております。
○参考人(金城清子君) 今の芦野参考人の意見を全部援用させていただくんですけれども、その中では私は平等教育ということを強調したいと思います。 やっぱり妊娠するのは女性で、中絶も女性なんです。そして、そのために精神的な大変つらい思いをしたり、健康被害を受けたり、それはみんな女性なんですね。ですから、多くの場合、女性は避妊ということに大変敏感な感覚を持っているわけです。にもかかわらず、こんなにたくさんの中絶が行われるのはなぜなのかというと、これはやっぱり男性と女性の間に本当に平等な関係がないからではないかと思うんですね。 今、日本では七〇%がコンドームだということでございましたけれども、コンドームを避妊に使うというのはかなり煩わしいことだと、特に男性はそう感じる。したがって、コンドームなしにということから妊娠につながるということだと思うんです。ですから、そういうときにはっきりとノーと言える、そしてお互いにお話し合いの上で、妊娠して中絶というのはいかにつらいことかということを男性にも自分の問題としてわかっていただくという、そんなことが教育の中で大変重要なんじゃないかと思うんです。そのときに、じゃピルがいいじゃないかということに私は短絡させていただきたくないと思うんです。 これはアメリカの状況でございますけれども、もう今や避妊は女性の責任になっているというふうにアメリカでは言われています。ですから、万が一性的な関係を持って妊娠をしてしまった、そうすると男性は、何でピルを飲んでいなかったのということでおよそ自分の責任を感じない、こういう世の中には日本はしたくないと思うわけです。 参考のために申し上げますけれども、ピルが解禁されたときに、すぐ女子学生が、将来ピルを飲むことを強制されるような社会になってはいけないというふうに私に言ってきたんですね。それを見ますと、本当に避妊というのは両方の協力のもとに行われるものなんだということを特に日本では強調していく必要があるんじゃないかと思います。 それから、必要なことではないかもしれないんですけれども、一つ強調しておきたいんですが、望まない妊娠をしてしまった女性についてもやはり同じようにサポートをしていかなきゃいけないということです。できるだけ妊娠は避ける、でも失敗は必ずあるんですね。ですから、そういうときには、望まない妊娠をした女性に対しても十分にサポートしていかなければいけない。成果文書のここで引用したもののすぐ後ろに、望まない妊娠をした女性にはサポートしていこうということがつけ加えられていることをちょっと申し上げておきたいと思います。
○参考人(森恵美君) 私も、男女の対等な人間関係をつくっていくことが非常に必要だというふうに考えております。 避妊について話し合うということについて、男性は二、三割ぐらいしかその必要性を感じていないという調査結果があります。女性に関しては五割以上そのことについて話し合う。そういう今の女性の態度、男性の態度を考えますと、やはり避妊について話し合う関係ができるということがまず第一歩だというふうに考えております。 それから、望まない妊娠を防ぐ方法ですが、避妊の性教育を徹底するということのほかに、望まない妊娠をしてしまった後のフォロー、人工妊娠中絶後の性教育、避妊指導、これは個別な避妊指導になってくると思います。女性の人格を傷つけることのないような避妊指導が非常に重要で、その場合にはやはりカップルの自己責任を問うということで、カップルに避妊指導を行う、どういうふうなことで失敗が起こったのかということを含めて事実関係を明らかにした教育、指導が必要だというふうに考えております。 それからもう一つは、出産後の家族計画指導と言われていますが、二人、三人を産んだ人たちの人工妊娠中絶も高い割合だということは先ほどの資料の中には出ていませんでしたが、芦野参考人から意見として述べられていました。そういった意味で、出産後の夫婦への家族計画指導をさらにカップルで受けるような体制をつくっていくということも一つ方法だというふうに考えております。 以上です。
○林紀子君 どうもありがとうございました。 先ほどお話の中に、非常に人工妊娠中絶の少ない国の例としてスウェーデン、オランダというお話がありました。今お話をしてくださいましたそういうことが具体化されているんだと思うんですけれども、それぞれの国ではどんな具体化がされているのかというのがおわかりになる限りお知らせをいただけたらと思うんですが、芦野参考人にお願いしたらよろしいでしょうか。
○参考人(芦野由利子君) スウェーデンにつきましては、先ほども御説明いたしましたように、大変数多く気軽に相談に行ける場所がございます。私は日ごろから思うんですけれども、日本でもコンビニがあるほどに相談所があるといいなと。もっと言いますと、コンビニの一画がちょっとした情報提供や相談のできる場所に使えないだろうかというようなことまで考えたりしております。まだまだどれだけ実効性があるかどうかわかりませんが、私の頭の中だけのことですので。 それから、スウェーデンに関しましては、先ほども申し上げましたように、きちんと法律をつくって、その法律のもとに行政の責任を明確にしている。行政の責任には予算をきちんとつける、必要なサービスには予算をきちんとつけるということ、それが明確にされているということがとても大きなことだろうというふうに思います。 さらに言えば、法律をつくる段階で既にスウェーデンは女性がきちんと参画しているんですね。ですから、日本の場合にもこれから、ぜひきょうを出発点としまして、本当に女性が必要とする法律をつくるべく議員の皆様に御尽力いただきたいと思いますけれども、そのときにやはり当事者の女性の意見というものを十分くみ入れていただきたい。そういったさまざまな場面での、さまざまなレベルで意思決定の場に女性自身が入っているということ、これもスウェーデンに見習うべきことの一つではないかというふうに思います。 それから、オランダにつきましては、オランダも公的な資金援助がかなりございまして、大変安価に避妊法が手に入りますし、相談もできますが、オランダの場合は、もう一つうらやましいと思いますのは、ホームドクター制度が大変完備しております。これはドイツなどもそうなんですけれども、一人の家庭医が一つの家族をずっと代々診ているわけですね。 したがって、日本のように、あっ月経が来た、望まない妊娠が心配だ、ピルをもらいに行きたい、それでわざわざさてどの医者にしようと、余り行きたくない産婦人科に大変重い足を向けなければいけないという国ではなくて、もうずっと代々診てもらっていますから、極めて自然に性のことも相談できるし、それから避妊のことも相談できるという状況があるんだそうです。これはとてもうらやましいと思いました。それから、民間団体も非常に活発で、お互いの関連機関の連携がうまくできているようでございます、オランダの場合には。 今、ホームドクターのことを申し上げましたが、家族ぐるみで診ているということは、子供としては親に知られたくないこともありますよね、それも知られてしまうのかというふうな危惧を私は持ちましたら、そこはやはり専門家の守秘義務というものはきちんと守られているそうで、親に知られたくないことはきちんと医者が内々に取り計らうということも徹底されているということです。 また思いつきましたら。そのようなことで、済みません、余り私だけで時間をおとりしても申しわけありませんので。
○林紀子君 あと時間が限られておりますけれども、これも三人の方々にお聞きしたいと思うんですけれども、ことしの六月にILOが母性保護条約勧告を四十八年ぶりに拡充したということで、その中で、産休中の所得保障を従前の所得の三分の二を下回らないように、先ほど八〇%の保障があったらというお話をアンケートでなさっているというのを伺ったんですが、それから、適用される労働者も正規の雇用労働者だけでなくてすべての雇用されている女性、ですから日本などではパートなどにも適用されると。それから、産前産後休暇を少なくとも十八週にというふうに求めているということなんですね。 日本では男女共通の労働時間の規制がないままに女性保護規定というのが撤廃されてしまいまして、これはまさにこのリプロヘルス・ライツの基礎を掘り崩してしまうようなものではなかったのかなというふうに思うわけですが、この改正、今後女性の社会進出というのがますます進む中で大変重要な意味を持っていると思いますので、それぞれどうお考えかというのを一言ずつお聞かせいただけたらと思います。
○参考人(芦野由利子君) 一言だけ。 私は、もう日本政府も一日も早くこの条約をきちんと実行に移すべく御努力いただきたいというふうに思っております。
○参考人(金城清子君) 私もまさに同じでございます。特に日本では、パートと正規社員、全く異なって扱っていますよね。でも、あれは本当にルール違反だと思います。同じ働く女性として、パートの方も正社員の方も同じような保護の対象としていくというのがこれから非常に重要だと考えております。
○参考人(森恵美君) 私も同意見です。以上です。
○林紀子君 一言ずつだったので、ちょっと時間があれですが、どうも本当にありがとうございました。
○三重野栄子君 社民党の三重野栄子でございます。本日はいろいろとありがとうございます。 私がいただいているのは十五分でございますので、今から一点ずつそれぞれの参考人の方にお願いしたいと思います。四分は十分あると思いますから、よろしくお願いします。 まず芦野参考人には、先ほどちょっとお触れになりましたので、もう少し詳しくお伺いしたいんですが、政府の少子化対策の問題ですね。それから、男女共同参画基本計画に対する重要課題の問題について少し伺いましたから、もう少しお話しいただければと思います。それは芦野参考人にお願いします。 それから金城参考人には、先ほど吉祥女子高校のお話がございましたけれども、そこの学校じゃなくてもいいんですけれども、高校もしくは小中学校でも結構ですけれども、性教育に関してどのように具体的に進められているかということ、できましたらもうちょっとお伺いしたいと思います。そして、先生の授業に参加をしている学生たちは一体どのように将来展望を持ちながらやっているかということについて少しお話しいただければと思います。 それから森参考人には、先ほど助産婦と産婦人科医の数、それから看護婦数と保健婦、助産婦の図を見せていただきました。その中で、助産婦がほとんど変わらないというよりも減っていく原因というのはどのようにお考えだろうかということと、この図4を見てみますと、看護婦は少しずつふえていますし、それから保健婦もふえているわけですけれども、助産婦はずっと少しずつ減っていく。ここらあたりは、具体的にはどういうことによってこんなになっているのかということをお伺いしたいと思います。 それからもう一点は、助産婦の問題として、男性の助産士をどうかということがいろいろ意見も出ておりますので、そのあたりにつきましてお話を伺えればと思います。 よろしくお願いします。
○参考人(芦野由利子君) ありがとうございます。 少子化対策と男女共同参画審議会の報告書に関してもう少し言葉を添えたいと思います。 少子化対策と申しますのは、私はやはり人間の数を基本に置いた人口政策なのではないかというふうに思うんですね。先ほどちょっと触れました少子化社会対策基本法案を拝見しますと、その中で仕事と子育ての両立支援のことなども触れております。あるいは労働時間をもう少し短くすべきであるというような雇用の問題にも触れておりますが、もちろんそういった問題は、本来は、出生率が高いからどう、低いからどうということではなくて、女と男が生きて、妊娠し子供が生まれる、あるいは産まない選択をするというような、そういうさまざまな人間が生きている社会があれば出生率とは関係なく必要なことだろうと思うんですね。ですから、少子化対策という枠に対して、私はやはり基本的な疑問を持っております。 カイロ会議で、カイロ会議は御存じのように本来は人口・開発会議でございます。なぜ人口と開発の問題を論じる会議で女性のエンパワーメントですとか男女平等ですとか、あるいはきょうのテーマでありますリプロダクティブヘルス・ライツが語られたのか、それが主要テーマになったのかと申しますと、その基本にある考えは、女性の体は人口の数や質を調節するための道具であってはいけないんだ、対象であってはいけなくて、女性自身が主人公であるという、そういう考え方を重視して、それがなければ本当に女性の権利も健康も守られないという概念が国際社会で共有されたからなんですね。 ですから、まさにカイロ会議で提唱されたリプロダクティブヘルス・ライツを日本でも確立していこうとするのであれば、やはり少子化対策という枠は一度外して考えるべきであろうというふうに思います。 同じ理由から、男女共同参画審議会の報告書で、そのライツのところがいささかトーンダウンしているところを疑問に思った次第です。ここはカイロ会議でも、それから北京会議でも、さらには去年、ことしと、カイロ・プラス5、北京プラス5という五年目の検討をする会議が開かれましたが、そこでもこれは重要な女性の権利であるということは再々確認されているわけですから、決してここで後退することのないようにお願いしたいというふうに思って、レジュメにもあのようにお書きいたしました。 以上です。
○三重野栄子君 どうもありがとうございました。
○参考人(金城清子君) 吉祥女子高校について御質問でしたので、ちょっと私の知る限りのことをお話ししたいと思っています。 実はこの高等学校は、山本直英さんという方が早稲田を卒業して教育に携わる、そしてぜひ政治教育をしたいということでこの高等学校にお入りになられたようでございます。ところが、教育の実践の中で、そういう政治教育よりは人間教育が必要だということで、それを政治教育からジが抜けて性教育になったとおっしゃっておられるんですけれども、性教育ということに大変力を入れて教育をなさっておられました。これは女子校でございますので、自立した女性をつくるという教育だったようでございます。ですから、山本先生お一人がこういう教育をなさっていたわけではなくて、あらゆる科目の先生がそういうことを視点に入れて教育をしていただいたように思います。 その後、山本先生自身は高校をおやめになって、そして性と生の研究所とか、そういうのを建てられまして、「人間の性と生」という雑誌などを主宰なさって、そしてこういう問題について大変いろいろな問題提起をなさってこられました。しかし、四カ月前に残念ながらお亡くなりになったということでございます。でも、先生の遺志は大勢の方が継いでおられますので、いろんなところでこれから御活躍いただけるのだと思っております。 津田塾大学というのは女子とついていないんですけれども女子大学なんですね。私自身はそういうところで見ておりますと、共学校から来た学生、それから女子校から来た学生、何か違うような雰囲気がございます。いろいろ女子校もありますから学校によって違うんですけれども、女子校から来た学生というのはえてして自立して生きていくということを高等学校時代に何か教育されてきたという感じがするんです。それに対して共学では、そういうことをあえて意識しないで、男性も女性も平等なんだということをもう当然の前提としてやってきている。ですから、自立して生きていくということについての自覚が必ずしもしっかりしていないということをよく感じるんですね。 ですから、そういう意味では、性教育といいますけれども、これはまさに人間教育で、それがしっかりした女性をつくっていくのに大きな力になっているのだというふうに考えております。そんな教育を、私は女子校だけではなくて共学校でもぜひしていただきたいというふうに思っているわけです。 以上でございます。
○三重野栄子君 ありがとうございました。
○参考人(森恵美君) まず最初に、助産婦が減少している原因についてお答えしたいと思います。 助産婦が減少している原因は二つあるかと思います。一つは、少子化に伴って出生数が減っております。そうしますと、日本全国での出生数が減っていまして、主たる実習施設になる助産実習施設の分娩件数も減るということになります。それからもう一つは、対象者のリスクが高くなっている。先ほど申し上げましたように、非常に濃密なケアや助産が、医療介入が必要な妊産婦がふえているということで、助産婦になる学生が実践を学ぶ対象者の数が非常に減っております。それともう一つは、対象者の権利を守るというのが私たち助産婦の使命でございますので、どうしても助産実習をお受けいただく、断られる対象者もふえてきております。やはり未熟な学生よりはベテランの助産婦さんに、一生に一度か二度の出産だからこそぜひゆだねたいという対象者がふえてきています。そういった面で助産実習を受け入れる施設も限りなく少なくなってきております。 そういう制約がございまして、そして、今まででしたら一施設に助産婦の実習をする学生を五、六人とか十人というような形でお願いして実践を教育訓練していたわけなんですが、それがこの出生数の低下とハイリスクの妊娠がふえているということで一施設に二、三人、あるいは一人か二人というような現状がございます。そういう少子化からきている問題。 それで、助産婦になるための法律には分娩介助件数十例程度を目安にした助産実習をするということが義務づけられておりますから、当然それだけ目指すためには私たちは助産実習施設を確保するという、教育側としてみれば、今まで一つか二つの助産実習施設で済んでいたものが、それを五、六個、教育機関によってはもう一生懸命探して、それも教育機関から離れたところで助産実習をしなくてはいけない。ですから、朝早くから夜遅くまで助産実習をするということになりますと通うのにも大変で、分娩は自然に経過を見て私たちは実践を学ぶということが非常に重要なので、宿泊施設の確保される助産実習施設というようなことがあります。そういった面で助産実習が非常に大変になっている。 それから、教育機関としては、それだけ多くの施設を使うようになりますとそれを担当する、教育を担当する教育者の問題が出てきます。助産婦の教育をできる人ということになりますとその人数も限られて、先ほど申し上げましたように助産婦自体の人数がどんどん減っている。そして高齢化、一七%以上が六十歳以上というような、実践力のある高齢の助産婦さんが多いというような現場の問題もありまして、教育する人がなかなかいないという、それが言われているところであります。 それからもう一つは、大学教育が進んできて、短大の専攻科と言われるところがすべて看護系の大学の中に入って助産婦教育を行うような形がとられてきています。そういう中で、出産数の減少などのこともありまして、十五人、二十人養成していたところで、十五人、十人という枠で少し人数が減ってきているということもございます。 そういった意味で、大学の中で助産婦教育をやっていくときに担当教員の人数が確保できないというような問題もあります。他の領域にも人員が必要ですので、助産婦教育をやっていくときに人とあとお金ですね、実習施設への謝金の問題が非常に大きいです。そういった面があります。 それから、二つ目の男性助産士の件でございますが、私は、教育する立場からしますと、教育する権利、教育の機会均等を考えますと、学生から助産学を学びたいと言われたときに学ぶという、そういう権利を保障する立場にあると思いますから、男子学生でもその学ぶ権利を保障していきたいと思っています。講義や演習などは男子学生でも十分できておりますし、母性看護学の教育の中で、実習ということで妊産婦さんのケアに関係するところで男子学生が実際にケアして、受け持ちの妊産婦さんから喜ばれたというケースも多々あります。 ただ、助産に関しては、実践の場では対象者の受け入れる権利を保障していかなくちゃいけないということが非常にあります。女子学生でもまだ断られるということがございますので、男子学生を教育するに当たっては、私どもは十分な準備をしていかなくてはいけないという現状です。ただ、その準備ができないからといって男子学生を断るということはできませんので、そういった面で準備をしていきたいというふうに考えております。 以上です。
○三重野栄子君 どうもありがとうございました。
○堂本暁子君 きょうは、芦野さん、金城さん、そして森さん、ありがとうございました。それぞれの現場からの御意見を伺えて大変喜んでおります。やはり差は少しはおありになるのかもしれませんけれども、リプロダクティブヘルス・ライツという視点では大変共通した土台を持っておられるのではないかというふうな、暗にそういうふうに考えました。 芦野さんに私は伺いたいんですけれども、最初に、人口政策の視点からではなく、女性の健康と権利の視点から性や妊娠、出産、避妊をとらえて展開したいというふうにおっしゃいました。また、今最後に、少子化対策は本質的には人口政策なのではないかということもおっしゃいました。私も本質的には人口政策だというふうに思っておりますけれども、きょうは大変たくさん少子化対策の一環として不妊の問題とかそういう形で出てきているように思うんですね。 私、最後ですので、もう一回振り出しに戻って、そこのところをきちんと整理、あるいは深めていただきたい、伺いたいというふうに思っております。人口政策ではなく、女性の健康と権利の視点からのお考えの意味を伺わせていただきたいと思います。
○参考人(芦野由利子君) これもこれまで申し上げたことの繰り返しですが、まずカイロ会議自体が国家の人口政策に対する反省と申しますか、そのことがつまりはカップルと個人、特に女性の産む産まないの選択の自由を実は侵害することになるのではないか。途上国ではかなりの国で現在でも実は人口政策がとられておりますけれども、以前は相当大規模に強制的な不妊手術が行われましたり、強制的に避妊薬が配付されたりいたしました。家族計画の指導員が村に入っていくと石を投げられたり、大変に拒絶反応が人々の間から起こりまして、その結果として人口政策もうまくいかないというようなことがあったわけですね。ですから、そういう反省に立ってカイロ会議があったということがございます。 それと、カイロ会議でリプロダクティブヘルス、リプロダクティブライツが国際的に提唱されたわけですけれども、そもそもその原点と申しますか、さかのぼりますと、リプロダクティブライツというのは女性の運動の中から女性たちがつくり出した言葉なんですね、私が調べました限りでは。 なぜそういう言葉が出てきたかと申しますと、まさに、一つは非合法中絶、それから避妊も非合法であった。そういった状況の中で、女性の健康はもちろん生命が脅かされていた。そういうことに対して、女性が何とかこの状況を変えたいということで動きを起こしたということが一つございます。それからもう一つは、人口政策が強制的、半強制的に行われることによって、個人の健康、自由意思による選択が侵害されている。そういう中から、人口政策にノー、ポピュレーションコントロール・ノーという、そういう声が女性たちから起きたわけですね。 そういう経緯を経て、カイロ会議でリプロダクティブライツというものが提唱されたということを考えましても、私は人口政策のために女性の体、あるいは男性の体も含めましてあるのではなくて、あくまでやはり個人があって、その個人がどうしたらそれぞれに生きやすい、その人なりに生きやすい、健康が保障され、納得のできる人生が生きられるか、それを保障するためにどうしたらいいかということ、そこから発想を展開していくべきだろうというふうに思います。 繰り返しになりますけれども、人口政策のために女の体が道具になってはいけないわけで、あくまで女性の体は女性自身であるという、そのことを強調しておきたいと思います。私はそのような考えから女性の健康と権利を強調したいと思います。 カイロ会議では、結果として個々の女性あるいは個々のカップルの健康と権利、生きやすさが保障されれば、結果としては人口問題にもいい結果を生むであろう、開発問題にもいい結果を生むであろうということが結論として出されていたと思います。 以上です。
○堂本暁子君 ありがとうございました。 カイロ会議から六年の歳月がたちましたけれども、そういった個人個人のウエルビーイングと申しますか、その人なりの健康が保障されるということがとても大事なことだと思うんですけれども、残念ながら、日本の場合にはそれが行政のシステムとかそれから政策とかあるいは法律とか、そういったものに十分反映されないで来てしまったと思うんですね、カイロ以後も。カイロ・プラス5のときにもまた確認され、そしてその成果文書も日本は採択し、賛成しているんですけれども、なかなかカイロの国際的な合意が国内的な政策に反映されにくい。これからそれをしていかなければいけないんだろうというふうに考えますけれども。 法律的なことについて、金城さん、先ほどおっしゃってくださいました。法律的なことも確かに大事だと思いますが、そこのところの掘り下げを今後どういうふうに、例えば女性の運動とかそういった問題もなかなか起こってきていないんですが、金城さんには、先ほど法律のことはもうさんざん伺ったんで、どうやってそれを実現したらいいかという具体的なことをひとつ伺いたい。 それから、芦野さんにも同じようにそれを、実際に家族計画連盟はその一番かなめになる組織でいらっしゃるわけですけれども、今までも大変御苦労なさったとは思うんですけれども、今後実際に成果を上げるためにどのような具体策をお考えか、伺えたらいいと思います。
○参考人(金城清子君) 大変難しい問題なんですけれども、性と生殖の健康・権利もこれ人権なんですね。そして、日本では人権というとなかなか社会の中に根づいていない。そのことが運動としても大きくならないし、それから母体保護法なんてちょっと外国の人が聞いたらもうびっくりしてしまうような法律についても余り問題が起こっていない、反対が起こっていないということの背景にあるのではないかと思います。 そういう意味で、外国で性と生殖の健康・権利というのが、特に産まない自由ということで多くの人たちの関心を集めてきた背景には、人工妊娠中絶ができなかった、その中で多くの女性たちが時には自殺をしなきゃいけなかった、もう大変つらい思いをしてきたということがあったと思うんですね。日本の場合には、なかったことはこれはよかったことなんですけれども、やっぱり女性たちの意識というのが大変発展をしてきていないというのが背後にあるんじゃないかと思います。 ですから、私は、例えば戦前は人工妊娠中絶が認められない中で若い女性たちは自殺をしなきゃいけなかったなんて話をするんですね。そういう意味で、過去を振り返り、いかに性と生殖の健康・権利というのが女性が一人自立して生きるために大切なのかということをあらゆる機会をとらえてみんなが考えていくような方法をとっていく必要があるんじゃないかと思います。 その上で、女性のそういうNGOがいっぱいありますので、そういう人たちが中心になって多くの人たちに呼びかけていただきたいと思います。例えば、夫婦別姓の問題はいわば女性運動の何か中心にかつてなりましたよね。あんな雰囲気にぜひなっていったらいいなと思っているわけでございます。
○参考人(芦野由利子君) 堂本議員がおっしゃいましたように、本当にこの問題は日本では七〇年代の初めぐらいから運動としてはあると思うんですけれども、なかなか広がらないという問題がございます。 それはどうしてかというふうに思いますと、今、金城参考人が御指摘になった、日本では戦後間もなくいち早く中絶が合法化されてしまった。それがために、実は刑法堕胎罪があるにもかかわらず、実質的には中絶がかなり合法的にしやすい状況があるものですから、問題の本質が見えにくくなっているということがあると思います。 ですけれども、これをわかりやすく説いていきますと、この間もあるところで、私この話をしましたときに、二十代の若い女性がリプロダクティブヘルス・ライツ、初めて聞きましたという方なんですが、堕胎罪があるんですかと、堕胎罪はやっぱりおかしい。大変に私は、何と申しましょうか、非常に率直な反応だし、好感の持てる反応だなと思ったんですけれども。よく解きほぐしていきますと、やっぱりそのおかしさが見えてくるようなんですね。ですから、その辺のところを大変もどかしい思いをすることもありますが、めげずに時間をかけて繰り返し繰り返し説いていく必要があるだろうというふうに思います。 それからもう一つ、なぜこの問題が広がらないか、夫婦別姓のような勢いを持ち得ないかとなりますと、やはり私これは性が絡むことだからじゃないかというふうに思うんです。随分性のことを女性運動の中でも語るようにはなってきましたけれども、でもまだまだ、先ほど小宮山議員も御指摘になりましたように、性、セックスという言葉そのものに抵抗を覚えるような社会風潮というものが根強くあります。 そういう中で、女性自身が自分の性のことを語り、それから、女性の権利と言うだけでもかなりバッシングが実はあるんですけれども、産む産まないを選ぶのは女性の自己決定権の問題であるというようなことが言いにくいというような土壌がありますから、その辺も実は、性というのはそんなに恥ずかしいものではなくて、本当に私たち体で生きているわけで、不当に性や生殖器が今は体の中で差別され、髪の毛や手や足がありますのに、女性の図にありましたように、ほかのものは紛れもなく私自身のものだというふうに割に公言できますのに、性に関しては何となくちょっとこちらにおきましょうというふうにふたをしてしまうようなところがあると思います。そういう意識の、法律は制度の問題ですけれども、あるいは教育も制度が問題の一つであると思いますが、制度と同時に意識、私たちの頭の中を変えていくこともしつつ、具体的にはいろいろな出版物を出したりあるいはシンポジウムを開いたり。 そして、私何よりも大変きょううれしく思いますのは、この場でこの問題を議員の皆様と情報を交換でき、お聞きいただけたということ、大変に大きな大きな私は第一歩だと思っておりますから、そういったたくさんのステップを踏んで、ただし余り焦って、何と申しましょうか、決して速成でいいかげんなものをつくるのではなくて、いろんな人たちの意見を集めて、じっくり議論していいものをつくっていけたら大変にうれしいなというふうに思っております。二十一世紀の女性のと申しますか、日本の社会、共生社会をつくる大きな課題の一つとして、議員の皆様にも御討議いただけたら大変うれしく思います。 ありがとうございました。
○堂本暁子君 私も本当に同じ感想を持ちます。 私が議員になったちょうど十一年前、リプロダクティブヘルスということを委員会で出そうとしてもその言葉自体を受けていただけなかったことから見ると、この十年で大変な変わりよう。ましてや、きょう初めてこういう国会の場でリプロダクティブヘルス・ライツが正式に議題にされたので、感無量なところが私自身としてはございます。今までは、一生懸命そのことを取り上げていただこうと思っても、むしろ最初は拒否され続けてまいりました。 それがそうではなくて、そのことを議題にしようということはもう大変な変わりようで、今、芦野さんがおっしゃったように、二十一世紀に本当にこの調査会からリプロダクティブヘルスに基づいて新しい政策なり法律なりができていけば、日本の女性たちはもちろんですけれども、恐らく男性ももっと生きやすくなるんじゃないか、少なくとも少子化対策という短絡的な考え方よりはもっともっと一人一人が幸せになれるんだろうというふうに私は思っております。 ちょうど時間になりましたけれども、森さんには何か時間がなくなってしまってごめんなさい。だけれども、一番最後にとてもまとまった御意見が伺えてうれしいと思っておりますし、私たち立法府にいる方の側としては、本当に今おっしゃったように、いい法律なり政策なりがこの調査会から生まれていったらどんなにすばらしいかという期待と夢とを抱いております。 どうもありがとうございました。
○会長(石井道子君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々には、長時間にわたりまして有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。ただいまお述べいただきました御発言につきましては、今後の調査の参考にさせていただきたいと思います。本調査会を代表いたしまして心から厚く御礼を申し上げます。 まことにありがとうございました。(拍手) 参考人の方々は御退席されて結構でございます。御苦労さまでございました。 ─────────────
○会長(石井道子君) 次に、先般本調査会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。南野知惠子君。
○南野知惠子君 では、ただいまから派遣委員の報告を申し上げます。 去る九月十二日から十四日までの三日間、北海道におきまして、男女等共生社会に関する実情調査を行いました。 派遣委員は、石井会長、有馬理事、大森理事、三重野理事、仲道委員、岡崎委員、小宮山委員、高橋委員、小池委員、堂本委員及び私、南野の十一名であります。 以下調査の概要を御報告申し上げます。 一日目は、まず北海道庁におきまして山口副知事と意見交換を行いました。 副知事からは、北海道における男女共生に関する基本的な取り組み状況についての説明があり、派遣委員との間で、幹部職員における女性比率の拡大、特定の職種における男女比のアンバランスの解消の必要性及び北海道において民間シェルターに助成措置がとられている理由等について意見交換が行われました。 次いで、場所を北海道立女性プラザに移し、北海道庁及び道立女性プラザから男女共同参画の取り組み状況について、札幌信用金庫からは女性の就労に関する取り組み状況について、それぞれ説明を聴取するとともに、北海道内においてさまざまな活動を行っている七つの女性団体との意見交換を行いました。 北海道では、女性行政を総合的に推進するため、知事を本部長とする北海道男女共同参画推進本部を設置するとともに、民間有識者委員及び公募委員から構成される北海道男女共同参画懇話会を設置し、男女共同参画について総合的に協議しております。 また、平成十一年六月に施行されました男女共同参画社会基本法に先駆けて、平成九年三月に北海道男女共同参画プランを策定しています。平成十二年度の同プランの重点事項は、学校における男女平等教育の推進、女性への暴力根絶についての認識の浸透、審議会等への女性の登用の促進、農林水産業等における男女共同参画の促進、生涯学習の推進などとなっております。 北海道における審議会等委員への女性の登用状況は、平成十二年六月現在で二〇・二%となっており、国より低い数字にとどまっています。しかしながら、女性議員数は北海道及び市部においては全国平均をかなり上回った数字となっており、政策決定過程への女性の進出は着実に進んでいます。 このほか、家庭内暴力被害者に対する支援として、被害者の相談及び保護活動を実施している民間団体への助成措置等を行っています。また、家庭内暴力被害実態の調査のため、本年、アンケート調査、被害体験者面接調査及び関係機関ヒアリングを実施しています。 説明聴取の後、委員との間で、推進本部副本部長に北海道警察本部長を充てる理由、民間シェルターへの財政的補助に際しての制限の有無等家庭内暴力対策を中心に意見交換が行われました。 次いで、札幌信用金庫から、同金庫における女性の職域の拡大の実績について説明を聴取しました。同金庫は、従来は男性の仕事であった渉外業務に現在は女性職員の二割弱が従事しており、このような女性の職域拡大の取り組みによって、本年、北海道労働局長賞を受賞しております。 説明の後、実際に渉外業務に従事している二名の女性職員から体験談が披露され、女性の業務内容、研修体制及び今後の展望等について質疑が行われたほか、女性の担当する主な業務である年金に関して、日本の年金制度の現場における問題点等についても意見交換が行われました。 次に、北海道において男女共生社会の形成に向けて各種活動を行っている道内の女性団体からその活動概況等についての説明を聴取した後、男女共同参画と女性団体の役割、農村地域における女性の地位向上、健全な家庭づくりに視点を置いたカウンセリングの内容とその効果、家庭内暴力とマスメディアの影響等幅広い問題点について意見交換が行われました。 二日目は、まず札幌市役所を訪問し、札幌市における男女共同参画に関する取り組み状況について説明を聴取いたしました。 札幌市は、平成六年に第二次女性計画として、男女の共同参画型社会を目指すさっぽろ計画を策定し、あらゆる分野への男女共同参画の促進等を推進しております。また、札幌市男女共同参画サポーター事業を実施し、一般公募及び市の選定する十八歳以上の男女市民にサポーターを委嘱し、各種活動を行っています。 家庭内暴力については、女性への暴力対策関係機関会議を設置し、また被害女性の一時保護、自立支援策の検討のため、それぞれワーキンググループを設置して検討を行っています。さらに、セクシュアルハラスメント防止対策も行っております。 このような点につき、派遣委員からは、サポーター事業の内容、家庭内暴力に関する北海道庁との連携、市における女性の登用状況、セクシュアルハラスメントの苦情相談の方法、女性室の権限等について質疑がなされました。 次いで、北海道ガス株式会社を視察いたしました。同社は、女性の能力活用のための取り組みを全社的に進め、特に女性社員の職域拡大を推進した結果、専門職以外の女性職員が広範な業務に従事している先進的な企業であり、平成十一年度均等推進企業表彰女性少年室長賞を受賞しております。 同社からは、女性の業務拡大の内容の説明を聴取するとともに、実際に就業している女性の実情を視察いたしました。 委員からは、男女の給与面の格差の有無、職域拡大と今後の方向性、女性活用方針の決定過程、制服を廃止したことに対する評価などについて質疑がなされました。 次に、北海道立札幌女子高等技術専門学院を視察いたしました。 同学院は、女性の多様な職業訓練ニーズに対応するため昭和五十六年に開校した職業訓練校であり、OA事務、販売管理など四学科を有しております。学院からは、組織、就職状況等の説明を聴取し、実際にコンピューターを用いて行われている授業を参観しました。委員との間で、最近の就職率低下の原因とその対応策、学生の学力の低下の実情、最近の学生の気質等に関して活発な質疑応答がありました。 三日目は、石狩市において男女共生に対する取り組み状況を聴取いたしました。 石狩市は、札幌市の北隣の人口五万人ほどの市で、本年三月に「いしかり男女共同参画プラン」を策定し、その推進のため石狩市男女共同参画行政推進会議等を設置するなど積極的に男女の共生に取り組んでおります。 同市の女性議員比率は一八・五%、女性審議会委員の比率は三七・二%といずれも北海道全域の数字よりかなり高くなっております。また、女性管理職を全国から公募し採用するという北海道でも初めての試みを行うなど、女性の参画に関して先進的な取り組みを行っている自治体であります。 説明聴取の場には、応募者八十数名の中から採用された課長も同席し、公募採用を行った理由、女性比率を高める際の男性の理解と協力の状況、女性の意識改革の必要性、推進会議に女性が入っていない理由、今後の女性の職域拡大の方向性等に関して活発な意見交換を行いました。 以上の日程を通じて、日ごろ最前線で男女共生の問題と取り組んでいる方々のお話をつぶさに伺い、意見を交わすことができ、有益な調査を行うことができました。 最後に、今回の調査に当たりお世話になった関係各位の御協力に対し心から感謝を申し上げ、報告を終わります。 ありがとうございました。 以上です。
○会長(石井道子君) ありがとうございました。 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。 ─────────────
○会長(石井道子君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 共生社会に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(石井道子君) 御異議ないと認めます。 なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(石井道子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○会長(石井道子君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 共生社会に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ政府参考人の出席を求め、その説明を聴取することとし、その手続につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(石井道子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時四分散会