法務委員会 第10号
- 発言数
- 234 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2000/11/17
会議録
○長勢委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、参議院送付、民事再生法等の一部を改正する法律案及び外国倒産処理手続の承認援助に関する法律案の両案を議題といたします。 お諮りいたします。 両案審査のため、本日、政府参考人として警察庁警備局長金重凱之君、法務省民事局長細川清君、法務省矯正局長鶴田六郎君、法務省入国管理局長町田幸雄君及び労働省職業能力開発局長日比徹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長勢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○長勢委員長 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所千葉民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長勢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○長勢委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山内功君。
○山内(功)委員 民主党の山内功でございます。 本日は、倒産二法の質問に入る前に、一点だけ確認をさせていただきたいことがございます。 ことしの八月に当委員会で、名古屋刑務所からの受刑者リストの流出問題につきましてただしました。その後判明しました事実関係、そしてどのように対処してこられたのか、大臣あるいは矯正局長にお聞きしたいと思います。
○保岡国務大臣 山内委員にお答え申し上げます。 名古屋刑務所における受刑者リスト流出事件の調査結果等について御報告申し上げたいと思います。 本事件は、平成十二年八月二日、新聞の取材を受けたことが端緒となって判明したものですが、名古屋刑務所では、同日以降、所長以下の職員合計二十二人による調査体制をとりまして、流出経路などの調査を開始するとともに、特別司法警察員など五名による専従班により内定調査を開始したものでございます。 その結果、九月六日、名古屋地方検察庁が、元受刑者を本件受刑者リストの窃盗事実により逮捕し、同月十四日、名古屋刑務所特別司法警察員からも同地検に対して、元受刑者について事件送致し、同月二十六日、同地検は、この受刑者を本件受刑者リストの窃盗事実などにより公判請求をしたところでございます。 本件受刑者リストは、同刑務所において、平成十年一月以降、受刑者に日用品等を交付する際に便宜上作成され使用されていたものでございますが、同刑務所受刑者のほぼ全員である合計二千人の称呼番号、それから氏名及び就業先工場名が記載されていたものでございます。 今回流出した受刑者リストは、平成十二年四月十九日に作成され、同月二十日に同刑務所の工場等の担当職員四十三人にその写しが配付され、受刑者に対する日用品等交付事務に使用されたもので、使用後、各自において廃棄すべき旨幹部職員から口頭指示がなされていたところ、第四B工場の担当職員がこれを廃棄せず同工場内の担当台の上に置いたファイルの中に保管していたため、同月末ごろ、同工場で就業する受刑者により窃取されたものであり、担当職員の受刑者リストの取り扱いが不適切であったと認められます。 また、受刑者は、工場内に持ち込みを許されていた訴訟関係記録の写しの中に同リストをとじ込んで舎房に持ち込み、さらに、同年の五月六日の釈放時に外部に持ち出したものであり、工場から舎房への移動の際の物品検査、釈放時の物品検査が不十分であったと認められます。 同刑務所では、これらの調査結果等を踏まえ、本件受刑者リストの使用を中止した上、研修等により個人情報の保護、管理に関する職員の意識の高揚を図るなどの改善策を講じました。 また、法務省矯正局においても、同年八月三日、全矯正施設長に対して、被収容者の個人情報の管理の徹底と出所時等における物品検査の徹底を指示した上、同月八日、全矯正施設を対象に、電子情報を含め、個人情報が含まれる文書等の調査を行ったところ、本件受刑者リストのように、矯正施設において作成、使用、保管及び保存している文書のうち、被収容者の個人情報を含んでいるものであって、法令等により当該文書等の作成根拠等が直接定められていないものが合計一万一千百二十八件存在することが確認されましたので、この結果をもとに、同年十一月十三日、電子情報を含めたこれらの文書等について新たに内部規定を定め、管理責任者を指名するなどして、その作成、保管、管理の徹底を図ることを内容とした通達を発出するなど、再発防止策を講じております。 こういうことを教訓に、今後とも、このような事態の発生がないよう万全を期したいと考えているところでございます。
○山内(功)委員 このような不祥事が二度と起こらないように対処していただきたいと思っております。 では、倒産二法の問題について質問に入らせていただきます。ただし、参議院の法務委員会で随分詳しいやりとりをしておられますので、重複しない範囲でお聞きしたいと思います。 まず、国際倒産法制についてお聞きいたします。 法制審議会では、倒産法部会を組織して倒産法制全体の見直しを進めておられ、ほかにも多くの検討課題があるとお聞きしております。ところが、倒産法制全体の見直しの中で、今回、国際倒産法制の整備を前倒しされたのはなぜでしょうか。局長、お願いいたします。
○細川政府参考人 倒産法制全体の見直しの中で、国際倒産法制の整備が他の検討課題から切り離されて前倒しされた理由でございますが、まず第一点といたしましては、厳格な属地主義を採用する現行の倒産法制では、最近急増しつつある国際的な経済活動を行う企業の倒産事例に的確に対処することができないという問題がございます。そして、この属地主義は、利害関係人の利益を損なう事態を生じさせておりまして、国際的にも強い批判にさらされていることから、これを早急に解消する必要があるということがあります。 第二点といたしましては、平成九年に国連の国際商取引法委員会で国際倒産モデル法が採択されておりまして、以後、国連総会の勧告に基づきまして、各国においてモデル法を踏まえた法整備が進められております。このように、国際倒産法制の整備は世界的な潮流になっておりまして、我が国も、これに歩調を合わせて、早急な法整備を行う必要があるわけでございます。 また、第三点目といたしまして、昨年の臨時国会で成立いたしました民事再生法におきましては、国際倒産に関して、緊急の措置として必要最小限の規定を設けることにとどめたため、再生手続の効力は国外の財産にも及ぶこととなっておりますが、外国の倒産処理手続の効力は日本の国内の財産には及ばないという内外手続の不平等を来しておりまして、この状態をできる限り早く解消いたしたい、このようなことが理由でございます。
○山内(功)委員 今回の法案は法制審議会での議論を踏まえたものと承知しておりますが、審議会ではどのような議論が行われたのでしょうか。特に時間をかけて議論した論点についてお聞かせ願いたいと思います。
○細川政府参考人 国際倒産法制整備について、法制審議会の倒産法部会においての議論の対象は、国際倒産管轄、国内倒産処理手続の対外的効力、外国倒産処理手続と国内倒産処理手続との相互関係、外国倒産処理手続の対内的効力、外国人または外国法人の倒産手続上の地位というものが論議の対象であったわけでございますが、とりわけ、国際倒産管轄について明文の規定を設けるかどうか、承認援助事件を東京地方裁判所の専属管轄とするかどうか、承認の決定によって当然に何らかの具体的な法律効果が生ずるものとすべきかどうか、承認援助手続に否認権に関する規定を設けるべきかどうか、日本国内で複数の承認援助手続が同時並行的に進行することを認めるかどうかなどの事項について、大変活発な議論がなされたわけでございます。 〔委員長退席、杉浦委員長代理着席〕
○山内(功)委員 外国管財人は、日本国内における倒産処理の方法として、新しく創設されました承認援助手続を利用するほか、みずから破産手続や再生手続などを申し立てることもできるということですが、外国管財人にとって、二つの方法にはそれぞれどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
○細川政府参考人 外国管財人等が承認援助手続を選択した場合のメリットについてでございますが、まず第一点として、手続費用等の重複が避けられる、つまり外国の裁判所でも日本の裁判所でも両方手続費用を払うという、そういった重複が避けられるということが第一点でございます。次に、外国倒産処理手続において定まった方針に基づきまして日本国内での倒産処理を進めることが可能となりますので、手続間の調整に困難を来すおそれがないことがあります。第三点といたしまして、債権の届け出や債権者に対する配当等を外国倒産処理手続において一元的に行うことができますので、全債権者を公平に取り扱うことができまして、国際的に整合のとれた財産の清算あるいは経済的再生を実現しやすいということなどのメリットがございます。 他方、承認援助手続については、これと国内倒産処理手続が競合した場合には、原則として国内倒産処理手続が優先することになります。また、国内債権者の利益を不当に侵害する場合には、国内財産の処分や国外への持ち出しが制限される場合があります。こういったことなどから、国内倒産処理手続及び国内債権者との関係で承認援助手続が一定の制約を受ける、こういうデメリットがございます。 これに対して、外国管財人等が破産手続等の国内倒産処理手続を申し立てた場合、いわゆる並行倒産を選択した場合でございますが、この場合のメリットといたしましては、まず原則として国内倒産処理手続が承認援助手続に優先するために、手続遂行が他の手続によって制約を受ける可能性がないということが言えます。これがメリットでございます。 他方、並行倒産を選択した場合のデメリットといたしましては、手続費用等の重複が必ず起きますし、我が国の管財人と外国管財人とが相互協力をすることになりましても、清算を行うか、あるいは事業再建を図るかなどの基本方針で対立して、調整が困難な場合が生じることがあり得るわけでございます。また、両手続に参加する債権者は必ずしも一致するとは限りませんから、全債権者を完全に公平に取り扱うということは難しい場合があるということでございます。
○山内(功)委員 そうしますと、承認援助手続と破産手続や再生手続とが競合した場合には、どのように調整されるのでしょうか。
○細川政府参考人 同一の債務者について、外国倒産処理手続の承認援助手続と、御指摘の破産手続や再生手続等の国内の倒産処理手続とが同時に係属して、並行して手続が進行した場合には、それぞれの手続で矛盾した処分が行われることによって法律関係が混乱する可能性があります。 そこでこの法案では、外国倒産処理手続の承認援助手続と国内倒産処理手続とが競合した場合には、原則として国内倒産処理手続が優先して進行するものとしておりまして、こういうことによって両手続の調整を図っているわけでございます。 もっとも、これには例外がございまして、外国倒産処理手続が外国主手続、つまり債務者の住所または主たる営業所等がある国で開始された手続であること、外国倒産処理手続について援助の処分をすることが債権者の一般の利益に適合すると認められること、外国倒産処理手続について援助の処分をすることにより日本国内において債権者の利益が不当に侵害されるおそれがないこと、こういう三つの要件を満たしている場合には、外国倒産処理手続の承認援助手続を優先して進行させることといたしているわけでございます。
○山内(功)委員 承認援助手続が国内手続に優先する要件の一つとして、「日本国内において債権者の利益が不当に侵害されるおそれがないこと。」が掲げられております。日本国内において労働債権を含め各種債権者の利益が不当に侵害されるおそれがないとは、具体的にはどのような場合を指すのでしょうか。
○細川政府参考人 御指摘の条項は、端的に申し上げますと、国内倒産処理手続を進行させた場合と比較して不利益をこうむるおそれがあるということを意味しております。 例えば、一般の優先権を有する労働債権者が国内に多数存在する外国企業の倒産事案におきまして、承認を申し立てられた外国倒産処理手続のもとでは労働債権に優先権がない、そういう場合には、承認援助手続を進行させて外国倒産処理手続において配当が実施されますと、国内の手続を進行させる場合よりも労働者への配当が少なくなります。そういうような場合には、この条項に言います日本国内の債権者が不利益をこうむるおそれがある場合に当たるわけでございます。 また、手続的に申しますと、承認を求められた外国の手続において、例えば既に債権の届け出期間が過ぎてしまっているということから手続に参加できないとか、あるいは法律上は可能だけれども参加するのに費用、労力等の面で過重な負担を強いられるという場合には、やはり日本の債権者が不利益をこうむるおそれがある場合に当たると考えられるわけでございます。 それが御指摘の条項の意味でございます。
○山内(功)委員 最高裁判所にもお聞きします。最高裁としても、今述べられました立法趣旨、立法理由を踏まえた運用がされると聞いてよろしいんでしょうか。
○千葉最高裁判所長官代理者 個々の規定をどのように解釈、運用していくか、これは最終的には事件を担当する裁判所が判断する問題でございますけれども、一般論として申し上げますと、裁判所が法律を規定の趣旨に従って運用すべきことは当然のことでございます。適正な運用を確保するため、最高裁といたしましては、施行に当たりまして、国内債権者保護に関する規定も含めまして、本法の規定の内容について各裁判所に十分周知されるような必要な措置を講じていきたいと考えております。
○山内(功)委員 外国倒産処理手続の承認の申し立てをすることができるのは外国管財人等に限定されておりますが、それはどのような理由によるものでしょうか。労働債権者や労働組合その他の利害関係人にも申し立て権を認める必要はないのでしょうか。
○細川政府参考人 御指摘のように、申し立て権を外国管財人等に限っております理由は、承認援助の対象となる外国手続において業務及び財産の管理処分権を有する外国管財人等が、その手続の効力を日本における業務及び財産に及ぼす必要があると判断した場合に限って、これを承認し援助することが必要であり、かつ、それで十分であると考えられたからでございます。 仮に、外国管財人等以外の、例えば労働者や労働組合等の利害関係人に申し立てを認めて、日本側で援助、協力の態勢を整えたといたしましても、外国手続において財産の管理処分権を有する外国管財人等が援助、協力を求める意思がないという場合には、結局、承認援助手続の円滑な進行は期待できないということになります。したがって、外国管財人等以外の人に申し立て権を認めないことといたしたわけでございます。
○山内(功)委員 では、引き続きまして、個人債務者の民事再生手続についてお聞きしたいと思います。 個人債務者の民事再生手続を創設することを内容とする民事再生法の一部改正法案は、その規定が、読んでもすごく難解ですし、法律の専門家にも理解が困難であろうと思うのですが、今回の法案が民事再生法の特則という立法形式を採用していることがその一因なのではないかと思われます。 個人債務者の民事再生手続を民事再生法の特則という形で創設することとしたのはなぜでしょうか。
○細川政府参考人 法案の条文がやや難解であることは、私どももそう思いますが、これは実体法でなくて手続法なものですから、細部にわたっても厳密に規定しなきゃならない、そういう理由によるもので、やむを得ないものだと思っています。これは、内容をよく理解できるようなパンフレット等、広報をぜひ進めさせていただきたいと思います。 御指摘の、民事再生法の特則にすべきだったのか、あるいは別の法律にすべきだったのか、こういう御質問でございます。 民事再生手続の特則にした理由でございますが、現行の民事再生法は、その利用対象者に法律上の限定はなくて、法人、個人、事業者、非事業者のいずれも利用できるものでございます。これに対して、個人債務者の民事再生手続は、その利用対象者を継続的な収入の見込みがある個人債務者に限定した再建型の倒産処理手続でありまして、これは、現行の民事再生手続を基礎にしていまして、個人債務者が利用しやすいように手続を簡素合理化したものでございます。したがって、個人債務者の再生手続は現行の民事再生手続の特則という位置づけになるわけでございます。 これを別の法律で定めるといたしますと、総則に関する規定あるいは再生債権に関する規定、債権届け出に関する規定など、現行の民事再生法と同じ内容の多数の規定を新たに設けなければならないこととなります。また、どの規定が民事再生法の特則としての意味を持つのかというのがわかりにくくなります。これに対して、民事再生法の特則という立法形式にすれば、こういった問題はなくなりまして、通常の民事再生手続と異なる点が何であるかが明確になるわけでございます。 また、我が国の法律の数につきましては、現在でも多過ぎるという指摘がなされておりますので、民事再生法の特則という立法形式を採用いたしますれば、似通った法律をふやすことを避けるということができるという利点もあります。 こういったことを考えまして、民事再生法の特則手続といたしたわけでございます。
○山内(功)委員 今、改正法案が出ているのですが、現行の民事再生法の制定時に一緒に提出することができたのではないかとも思われるのですが、それができなかったのはなぜでしょうか。
○細川政府参考人 法制審議会では、平成八年十月から、大臣の諮問を受けまして倒産法制全体の見直しの作業を行っていましたが、いわゆるバブル経済の崩壊後、中小企業の倒産件数が激増したということに伴いまして、平成十年の九月から、主として中小企業以上の規模を有する事業者にとって利用しやすい再建型倒産処理手続について、他の検討課題と切り離して、最優先で集中的な検討を行うこととなりまして、その結果、昨年十二月に民事再生法が成立したわけでございます。 この民事再生法は、ごらんいただければわかるとおり、条文数が本体だけで二百十五条に及ぶ非常に大きな法律でございますし、また、これと同時に関係法令の整備も多数に上りましたので、その立案につきましては大変労力がかかったわけでございます。時間も大変かかったわけでございます。 個人債務者の再生手続は、利用対象者を個人債務者に限定した再建型倒産処理手続でございまして、一からすべて制度設計をしなければならないという問題でございます。また、法務省から、「倒産法制に関する改正検討事項」を平成九年に公表いたしまして、意見照会をいたしましたところ、個人再生手続の重要論点について関係団体の意見が大変多岐に分かれておりまして、その調整に多大の労力と時間を要するものであったわけでございます。 したがいまして、民事再生法の制定の際に個人債務者の再生手続も一緒にできればよかったわけなんですが、そういったように多大の労力を要するものですから、それを一緒にいたしますと、結局民事再生法全体の制定をおくらせるということになりますので、結局このように二段階に分けて改正ということになったわけでございます。 〔杉浦委員長代理退席、委員長着席〕
○山内(功)委員 法務大臣にお伺いいたします。 今回の個人債務者の新たな民事再生手続のような緊急を要する立法課題について、破産者が十二万人を突破する事態になるまで法案を提出できなかったのは、立法作業についての法務省の人的な体制が十分でないこともその原因となっているのではないかと思われます。 今後も、緊急の立法を要する課題を多数抱えている状況からいたしますと、法律案の立案に従事する法務省職員の増員が必要ではないかとも思えるのですが、大臣の所見を伺いたいと思います。
○保岡国務大臣 今、山内委員のお尋ねは、立法のスピード、あるいは時代の変化と状況に対応する的確な立法というものをお考えでの質問かと思います。 倒産法制の見直しについても、実は、当初は五年かけてという方向でございましたが、今局長などから申し上げたように、バブルの崩壊後の不況が非常に急速に進行した、あるいはそういったいろいろなことで、倒産法制の見直しを緊急にしなきゃならぬという状況が生じたので、民事再生法は二年半前倒し、そして、今日提出させていただいた二法については一年半の前倒しをして、五年の期限を経ないで成案を得て国会に提出させていただいた。そのために、民事局は、その他の立法ニーズにも対応するための準備もありまして、実は死ぬような思いをして必死で対応しておるところでございます。 そこで、私は、やはりこういう時代というものをきちっと認識して政府も立法体制をつくらなきゃいけないという考え方に立ちまして、実は、国の定員管理については総務庁が責任を持っているところでございますが、総理や官房長官にも御相談をして、政府全体としてそういう方向をとることについての御理解をいただいて、総務庁とよく相談をして、おっしゃるその立法体制を担う、企画立案をする、特に中心部分を担うそういった職員の増強について、横並びの定員管理から一歩踏み出す、立法ニーズにこたえ得る増員要求をする努力をしてきたところでございます。 とりあえず、この十一月の八日に、法務大臣を中心とする経済関係の民刑基本法整備の推進のプロジェクトチームを、今申し上げました企画立案機能を担当する部分において十七名の体制を、実は通産省から参事官補佐のクラス二人を派遣していただいて、そういう緊急な立法体制をとりまして、さらに、要求してあるところの定員、機構あるいは予算というものが認められた来年の四月からは、推進本部と名を改めまして、このプロジェクトチームよりかはるかに規模を超えた、立法ニーズにこたえ得る体制をとるつもりでおるところでございます。 また、国会でも、十分こういった点についての必要性について御理解をいただいて、力になっていただきたいと存じているところでございます。
○山内(功)委員 次に、最高裁判所の方にお伺いいたします。 今回の個人債務者の民事再生手続を利用する債務者の数は、参議院法務委員会における法務省の答弁によりますと、一年間に三万人から四万人にも及ぶことが見込まれるという御発言がありました。このような多数の債務者に迅速なセカンドチャンスを与えるためには、多くの裁判官と書記官を配置することが必要ではないかと考えています。また、裁判所は、倒産事件のほかに多数の訴訟事件なども抱えており、その適正かつ迅速な解決も要請されている状況にあります。 したがって、この際、裁判官及び書記官の相当な増員も必要なのではないかと考えるのですが、どうお考えでしょうか。
○千葉最高裁判所長官代理者 裁判所といたしましては、これまでも、倒産事件の新受件数の増加に対応いたしまして、いろいろ、OA機器の配備、それから事件の急増する繁忙庁に対しまして人員の増配置等の施策をやってまいりまして、事務処理体制の整備を図ってきたところでございます。 この法案が成立いたしますと、多数の事件が裁判所に来るということは予想されるところでございます。この事件だけではございませんけれども、この事件、さらにそれ以外の倒産事件、執行や破産、それから通常の訴訟も迅速な処理が望まれているわけでございます。 こういう状況を踏まえまして、我々といたしましては、十分な人的、物的体制の整備を考えております。今、増員の点の御指摘がございましたけれども、増員につきましても、裁判官、書記官を含めた増員を前向きに検討していきたいと考えております。
○山内(功)委員 これから、少し条文の解釈の問題についてお聞きしたいと思います。 住宅資金貸付債権に関する特則は、住宅ローンを抱えて破産に瀕している債務者が住宅を手放さずに再生を図ることができるようにするという手続ですが、この特則の対象となる住宅の定義について、まず「個人である再生債務者が所有し、」という要件が設けられていますが、この所有にはほかの者との共有を含むと理解してよろしいんでしょうか。
○細川政府参考人 共有は所有の一形態でございますので、当然含まれます。
○山内(功)委員 住宅の定義について、自己の居住の用に供することも要件とされていますが、これはどういう意味でしょうか。再生債務者が現に居住していなければならないのでしょうか。
○細川政府参考人 これは、百九十六条を見ていただきますと、第一項一号では「自己の居住の用に供する建物」と言っております。他方、例えば二号を比較していただきますと、「住宅の用に供されている土地」と言っております。ですから、「供する」と「供されている」とは意味が違うわけでございまして、「供されている」あるいは「居住の用に供している」、こう言えば、現実に居住しているという意味なんですが、「居住の用に供する」というのは、現に居住していることまでは要しないわけでございます。 例えば、サラリーマンが転勤等の事情で、一時的に自宅に家族を残して自分はそこに住んでいないとか、あるいは一時的に自宅を他人に貸している、こういう場合でも、本来は居住の用に供する建物でございますので、当然含まれるわけでございます。
○山内(功)委員 住宅の定義について、「床面積の二分の一以上に相当する部分が専ら自己の居住の用に供されるもの」という限定が付されているのですが、これはなぜでしょうか。
○細川政府参考人 この特則の目的が生活の本拠である住宅を手放すことなく経済的再生を図るということにありますので、要するに居住の用以外の部分、例えば事業用の部分が居住用の部分より多いような場合にはその目的にそぐわないということでございます。 所得税の住宅ローン減税についての租税特別措置法でも、やはりこういった、床面積の二分の一以上に相当する部分が自己の居住に供されているものということが要件とされておりますし、金融機関等における住宅ローンの実務においてもこういう二分の一という要件を満たすものについて住宅ローンとして取り扱われている、そういうことから二分の一という要件を定めたわけでございます。
○山内(功)委員 この点については最高裁判所にも伺いたいと思います。 裁判所は、床面積の二分の一以上に相当する部分が専ら自己の居住の用に供されているという要件が具備されているかどうかをどのようにして判断されるのでしょうか。
○千葉最高裁判所長官代理者 具体的な事件処理の関係でございますので、最高裁の立場ではお答えしにくいテーマでございます。 規則の整備などを今考えてございますので、そういった資料の回収ができるような体制なども考えていきたいと思っております。
○山内(功)委員 法案の百九十九条の中に、例えばこういう規定があります。「一定の基準により住宅資金貸付契約における弁済期と弁済期との間隔及び各弁済期における弁済額が定められている場合には、当該基準におおむね沿うものであること。」という要件が定められているのですが、この「一定の基準」とか「おおむね沿う」とはどういう意味なのでしょうか。
○細川政府参考人 まず、お尋ねの「一定の基準」でございますが、これは、弁済についての当初の住宅ローンの契約で合意されている弁済期と弁済期との間の間隔とか各弁済期における弁済額についての基準という意味でございまして、具体的に申し上げますと、弁済期と弁済期との間隔については、例えば月賦払いであるとか半年賦払いであるとかいうことがございます。また、弁済額につきましては、例えば元利均等払いであるとか元金の均等払いとかそういうものがありますので、そういうことを言っているわけでございます。したがいまして、当初の住宅ローンの契約が元利均等月賦払いである場合には、住宅資金特別条項においても基本的には元利均等月賦払いにしなければならないということを言っているわけでございます。 次に、「おおむね」の意味でございますが、基本的には一定の基準に沿うわけですが、再生債務者の収入が減ったということで、当初の住宅ローンの契約どおりに払うことができないという場合があります。例えば、従来は月賦払いと半年賦払いとを併用していたんだけれども、ボーナスが非常に少なくなったので月賦払いのみに変更するということもできるように、そういう意味で「おおむね」ということにしているわけでございます。
○山内(功)委員 一定の基準におおむね沿わなければならないのは、元金と認可決定確定後の利息と規定されています。そうすると、再生計画認可の決定の確定時までに生ずる利息と遅延損害金についての弁済期の間隔や各弁済期における弁済額は自由に定めればよいのでしょうか。
○細川政府参考人 御指摘のとおり、その点につきましては法案には特別の条文はございません。したがいまして、自由ということになるわけですが、ただ、この認可の要件として、住宅資金特別条項を定めた再生計画は遂行可能であると積極的に認められるものでなければなりません。ですから、例えば遅滞している利息等を弁済期の最後にどんと払うというようなものですと、それは遂行可能性という問題から見て疑問があるわけでございます。 ですから、最終的に御質問にお答えしますと、遂行可能性という観点からの制約はあるということでございます。
○山内(功)委員 小規模個人再生の利用対象者の要件の一つに、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」がある者との要件があります。具体的にはどういう方を指すのでしょうか。例えば農家や個人商店主もこの要件に該当するのでしょうか。
○細川政府参考人 この小規模個人再生の手続では、債務者が、その収入の中から原則として三年間にわたって三カ月に一度以上の割合で債権者に弁済を行うという再生計画を作成する必要があります。したがいまして、その対象者は、このような再生計画を現実に遂行する見通しが立つ者でなければなりません。 そういうことを言っているわけなんですが、こういった趣旨に照らしますと、まず、弁済原資である収入が少なくとも三年以上にわたって三カ月に一度以上の割合である、こういう人は当然含まれるわけでございます。また、収入の間隔が例えば半年に一回という人もあるわけですが、そういう場合であっても、一回の収入から弁済原資をプールしておいて、次に収入を得るまでの間の三カ月に一度以上の割合による弁済を履行することが可能だということがありますれば、この方もその要件に当たるわけです。 他方、三年間のうちに一回か二回しか収入がないという人は、やはりこれは継続的に収入を得る見込み、あるいは反復して収入を得る見込みというものはないと言わざるを得ません。 以上が一般的な解釈でございまして、例えば御指摘の個人商店主のように毎日収入のある人はもちろんでございます。農家も最低年に一回は収入があるはずですから、そういう場合は、これはその収入をプールしておいて三カ月に一度払うことが可能であると思われますので、これは要件に該当するということになるわけでございます。
○山内(功)委員 給与所得者等再生の利用対象者は、定期的な収入、かつ、額の変動の幅が小さいという要件がございます。年俸制のサラリーマン、タクシー運転手のような歩合制の労働者、サラリーマン兼業の農家、こういう方々は該当するのでしょうか。
○細川政府参考人 年俸制のサラリーマンにつきましては、次年度以降において契約の更新や年俸の額について全く保証がないということでございますと、この要件に当たることは難しいと思います。これに対して、年俸制のサラリーマンであっても、契約が自動的に更新されることになっていて、年俸額の変動について制限がある等の理由によって、各年の年俸額の変動の幅が少ないと見込まれる場合には給与所得者等再生を利用することができるということになります。 御指摘のタクシーの運転手の場合ですが、これは歩合給の労働者でございますが、歩合給であっても、結果として年収の幅に大きな変動がないという人が多いと聞いております。ですから、そういう場合は今後も同程度の収入が得られる見込みがあると認められる場合が多いわけですから、そういう場合にはこの手続を利用することができるということになります。 それから、サラリーマンと兼業の農家でございますが、給与所得の部分については給与明細書等の書類に基づいて将来の収入の額を確実かつ容易に把握できるわけですが、農業の収入については、その年の天候等の状況によって収入額が相当異なるということになりますので、将来の額を確実、容易に把握することができないということで、結局、給与所得者等再生を利用することはできないので、小規模個人再生を利用していただくということになろうかと思います。
○山内(功)委員 アルバイトをしている主婦は該当するのでしょうか。
○細川政府参考人 これも事案によるわけでございます。アルバイトで、非常に仕事が定期的でなくて、年収を基準にしても収入の変動の幅が小さいと言えない場合には給与所得者等再生の対象にならないわけですが、アルバイトであっても、通常のサラリーマンと同じように継続的に勤務していて、年収を基準とした場合に収入の額の変動の幅が小さいと見込まれる場合にはこの給与所得者等再生の対象になるわけでございます。
○山内(功)委員 この法案では、最終弁済期が三年と規定されており、特別の事情がある場合には三年を超える場合もあるということですが、特別な事情がある場合とは具体的にどういう場合を言うのでしょうか。 そして、五年を超えて最終弁済期を定めることはできないとされていますが、そのようにしたのはなぜでしょうか。
○細川政府参考人 三年を超えて弁済期を定めることができる特別の事情でございますが、原則として三年間としておりますのは、個人債務者の小規模の事件について余り長期の分割弁済を認めることは、債権者、債務者の双方にとって負担が重過ぎるということでございますが、三年間の弁済期間では、裁判所の認可を受けることができる再生計画案を作成することができない場合があります。 まず、個人再生の手続における弁済総額は、破産の場合における配当総額よりも多額であることが要件でありますし、さらに、無担保再生債権の総額の二〇%または百万円のいずれか多い額以上であることが要求されております。さらに、給与所得者等再生では、弁済総額が可処分所得の二年分以上の額であることも要求されております。したがいまして、再生債務者の収入が低額である場合には、三年間の弁済では、そういった法律で要求されている最低の弁済総額に達しないという場合があります。 ですから、そういう場合には、これを五年に延ばして最低弁済額に達するようにするという意味でございます。 それでは、そういう場合でも五年を超えて延ばせないのはなぜかという次の御質問でございますが、三年間という期間の限定をされましたのは、もともと長期にわたる分割弁済が債務者の負担になることだけでなくて、債権者の債権管理上も相当の負担になるということも考慮したことでございます。先ほど申し上げましたような特別の事情がある場合であっても、三年間の二倍である六年間まで延長することは、債権者の負担の面からも適当ではないんではないかということで、五年は超えられないということにいたしたわけでございます。
○山内(功)委員 最後に、この法案は、個人債務者用の簡易で迅速な再生手続を設けることによって、個人債務者が破産しないで生活を再建できるようにするというものですが、その規定の内容は、これまで質問させていただきましたところからでも、多少難解で、素人の個人債務者が自分だけで利用するには困難があろうかと思われます。したがって、弁護士その他の専門家による個人債務者に対する助力が必要であろうと思われるのですが、そのような体制の整備の状況はどうなっているのでしょうか。簡潔にお願いします。
○細川政府参考人 この手続を利用される方につきましては、やはり弁護士等の専門家による助力が必要となることは御指摘のとおりでございます。 それで、最も専門家として考えられるのは弁護士でございますが、日弁連では、今回の再生手続の申し立て代理人を弁護士が引き受けるという体制を整備するため、全国の弁護士会に呼びかけを行うなどの活動を行っているというふうに承知しております。 もっとも、個人再生手続は非常に事件数が多数に及ぶ可能性がありますので、弁護士が少ない地域などにおいては、すべて弁護士さんにお願いするということは難しいかもしれません。したがいまして、そういう場合には、裁判関係事務の専門職である司法書士が、再生事件の申し立て書等の書類作成を通じて個人債務者を補助していくことも必要になってくると思います。日本司法書士会連合会においても、この手続を担っていくという方針のもとで、適正な事務処理を行うためのマニュアルを作成するなどの準備を進めていると聞いております。 こういった動きにつきましては、法務省としてもできるだけ支援してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○山内(功)委員 適正な運用がなされることを期待して、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○長勢委員長 佐々木秀典君。
○佐々木(秀)委員 民主党の佐々木です。 私は、個人再生法のうち、今も山内委員から話が出ましたけれども、特に農業経営者に対するこの再生法の適用、その効果などについてお伺いをしたいと思います。 これは御承知と思いますけれども、私の地元の北海道は、日本のいわば食糧基地と言われまして、あらゆる作目の農業を専業的にやっている方が非常に多いわけですね。北海道から、本州などを内地と言うんですが、内地の方々は兼業農家が割合多い、一種兼、二種兼、二つありますけれども。北海道の場合には、そういう他の職業をやりながらという条件が余りないんですね。むしろ、やる方は専業で一生懸命やっているわけです。ところが、そういう専業農家が今経済的には大変苦しい状態にあります。 この原因は、きょうは農林水産委員会じゃありませんから余り詳しくは申し上げませんが、ごく大ざっぱに言うと、一つは、やはり時代の状況変化ということもありますけれども、農業基本法が今度新しくなりまして、最近変わったわけですが、それまで、たしか昭和三十六年だったと思いますけれども、つくられた農業基本法、それに基づく政府の農業に対する政策の基本というのは、国際化の中でだんだん自由化の波が襲ってくる、その中で、生産力を高め、競争力を強めるためにも農業経営の規模というのは大きくしていかなきゃならない、いわゆる規模拡大に力点を置いたわけです。その結果として、経営農地面積も特に専業農家においては拡大をしていきました。 北海道では、各種の作目がある中で、代表的なのはいわゆる米作、それから野菜などの畑作、それともう一つは酪農、畜産、大きくこの三つに分かれると思いますが、いずれもそれぞれ規模拡大をしてまいりました。 規模拡大をするためには、当然のことながら、耕作面積も大きくしていかなければならない。そのために農地の買い入れあるいは借り入れ、両方ともただというわけにいかないわけですから、相当な資金を伴うわけですね。また、酪畜などの場合には、これまた大型化することによって、それに伴う設備も拡大していかなければならないし、これにも相当のお金がかかるわけですね。 それと同時に、それだけ規模を大きくしますと、人力だけではなかなかやっていけないということで、機械などもだんだん大型になってまいります。この農業用の機械というのも値段からいうとまたばかにならない高さなんですね。全部それを自己資金でやる人なんというのはほとんどいないわけですから、制度資金を借り入れたり、または他の融資を受けたりしながらやってくる。 それと同時に、そういうように規模拡大をすることによって、いわば土地改良、これが全部公的にやってくれるのならいいんですけれども、公的な負担ではなくて一部はどうしても受益者負担ということになるものですから、土地改良負担金だとか、これもまたばかにならない金額を負担することになる。 ところが、それだけ規模拡大したんですから、それに見合って生産性が大きくなることは確かにしても、それによる収益が伴っていればいいんですけれども、どうも残念ながらそれに伴わないというか、逆現象が起きてきた。これは私は、やはり国の責任が大きいと思うんですけれども、片方で国は、農産物についても自由化の門戸を大きく開きました。そのために、自給率がだんだん減少してきたということもあります。 そういうことの中で、例えば、代表的なのはお米なんですけれども、北海道の場合には、嫌な言葉ですけれども、かつては北海道の米作というのは、量的にはたくさんとれるけれども質的にはよくない、いわば厄介米だなんて言われたこともあったわけです。しかし、これは農家の皆さんの努力、それからまた研究機関の努力などもあって、品質は非常に改良されました。野菜類なんかはもちろんですけれども、お米についても大変いいお米が今とれるようになって、内地米と全く遜色がないような良質米がとれているにもかかわらず、その価格は一向に上がってまいりません。 特に、食管制度がなくなりまして、お米の価格決定についても市場での取引を基準にしながら決定されていくということで、食管制度のときには政府が全量買い入れしていたわけですけれども、今そうはなっていない。そしてまた、私たちの周りには飽食の時代と言われるほどいろいろな食糧もあるという中で、お米についても消費量が必ずしもふえてこないというようなことも相まって、お米の価格というのは、ことしあたりの価格は、六十キロ当たり、一俵当たり、北海道の上質米でも一万五千円にならないのですね。 私たちが農業者の皆さんに聞くと、米作農家の場合には、やはり一俵、六十キロ当たりで、最低ぎりぎりのところで一万四千円の値がついて、それが懐に入ってこないと来年の再生産のコストが出てこない、費用が出てこない、だからコスト割れになっちゃうんだという話を聞くわけですが、ことしはそれを下回っているわけで、実際には一万二千円から三千円というところでとまっているわけです。これはいわば昭和五十年代後半のお米の価格と変わらない。ほかの物価がどんどん上がっているのにそういう状況なわけです。 そういう中で、さっき言ったようなことから多額の負債を抱えている農家の皆さんは、一生懸命努力をしているんだけれども収入がそれに追っつかない。そして一方では、これは借入金はどうしても返済しなければならないわけですから、借りたものは返さなければならないけれども返すに返せないという状態で、精神的にも経済的にも非常な負担を負っている人が多いわけですね。中には、にっちもさっちもいかなくて農地なんかも手放したり、あるいはもう離農するというような状況が続いているわけです。このことは、私は、日本のこれからのことを考え、また北海道の基幹産業である農業のことを考えると非常にゆゆしい事態だ、そんなふうに思っているわけです。 そこで、そうした方々は、今度の民事再生法、特に個人再生が、そうした窮状にある農家の方々の経済的な破綻を克服して、そして何とか意欲を持って農業経営に当たっていくために役に立たないものだろうか、また立つことを望んでもおられるわけですね。 先ほど山内委員からの質問で、今度のこの法律が、職種を問わず個人、あるいは法人もそうだろうと思いますけれども、特に個人について、その経営再生といいますか、それを念頭に置いて、その破綻状況を克服させる、一定のめどをつけるということに役に立つものだというお話がありました。これは、法務大臣はおられなくなりましたけれども、法務大臣も、この法案の準備段階で、前の臨時国会だったと思いますけれども、参議院の本会議で、農業経営者にも適用ができるようなものを考えているんだというお話だったし、それからまた今の民事局長のお話でも、職種を問わず、特に農家の方々にも使っていただけるものだというお話が出てきたわけですが、さて、本当にそういうことでこれが使われていくのか、効果があるかということになると、なかなかやはり問題がないわけではなさそうだと思うんです。 いずれにしても、先ほど局長からもお話があったように、農業者も反復継続的に収入を得る見込みがある者になる、だから対象になるというお話でしたね。 それと、ちょっと懸念していたんですけれども、再生計画が認められた場合に、一定の時期に一定の額を弁済していくということにはなるわけだけれども、これは三カ月に一度ぐらいの分割弁済ですか。ただ、農業経営者の場合には、確かに、収入の時期というのは、大きく入ってくるのは、特に米作の場合なんかは年に一回なんですね。だから、その三カ月に一回というのは、定期的にというのは難しいんだけれども、先ほどの御答弁だと、例えば一時期に入ってきたものをプールしておいて、それを分割して払っていくということでもいいんだというお話だった。この点をもう一回確かめさせていただきたいと思います。
○細川政府参考人 専業農家のように年に一回だけの収入しかないという方であっても、御指摘のように、それをプールしておくことによって三カ月に一回以上の弁済ができるということであれば、他の法律の要件が満たされていれば、小規模個人再生が利用できることには間違いありません。
○佐々木(秀)委員 それから、この個人再生の場合に、小規模個人再生の利用対象者の要件の一つとして、再生債権の総額が三千万円を超えないことが要件だ、これの算定に当たっては、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる額は除くということですね。別除権というのは、いわゆる物的担保がある場合のことを言っているんですね。 先ほど申し上げましたように、農家負債のほとんどは、土地だとか農地だとかそれから農機具類なんかが物的担保になっているわけです。しかし、そのほかに、個人保証による融資、借り入れというのも相当あるんですね。これは、人的な担保の場合には、別除権との関係では別扱いになりますか。
○細川政府参考人 別除権の扱いになりますのは、担保物件でございます。それから、仮登記担保につきましては、仮登記担保法において、抵当権と同じ扱いをするという規定がございますので、これらは別除権の扱いになりますけれども、要するに個人が保証しているという場合は、これは無担保の債権の扱いでございます。
○佐々木(秀)委員 実際に農家の場合には、今のように人的担保による保証によって借り入れているというケースもあるんですけれども、全くの一般債権、無担保というのは、そうないのですね。ただ、種代だとか飼料だとか農薬だとか、こういうものの取引の場合には、継続的取引で、人的な保証の場合もあるけれども物的担保は入れないということもありますから、それは恐らく一般債権になるんだろうと思うのですが、それらは割合知れているんですよね。だから、制度的な担保を入れての借り入れというのが多いわけです。それがまた、かなり長期にわたっての融資になっているものですから、利息が当初は高いんですよね。これを何とか減らせないかという意見も非常に強いのです。例えば、それを返済するための別な融資なんかで今までは賄ってきているようですが、なかなかそれでは追っつかないものですから、そこでとことんまでいった破綻状態が出てくる、これをどうやって克服するかということになるわけです。 ただ、中には、にっちもさっちもいかなくなった場合に、農地だとか機械が担保に入っている。これが別除権。別除権は、この再生債権とは別にそれを行使するということが、債権者は権利としてできますね。もしも抵当権を実行されてそれを取り上げられるということになってしまうと、経営の再生なんということはとてもおぼつかないわけですけれども、この担保外しといいますか、これについてこの法律ではどういうようなことが考えられているのか。
○細川政府参考人 民事再生法では、担保権について、担保権の消滅の制度というのがございます。これは、通常の民事再生手続でも小規模個人再生でも適用があるわけでございます。 この制度の対象は、事業の継続に不可欠なものに限られておりますが、専業農家のような場合には、農地や御指摘の農業用の動産というものも、当然これは事業の継続に不可欠な財産でございますから対象となります。 もっとも、この担保権消滅制度は、担保権者の利益をも考慮しなければなりませんので、対象財産の価額に相当する金銭を裁判所に一括納付させた上でこれを担保権者に配分するという制度でございます。ですから、一括払う必要があるわけです。農地が、うんと土地の値段が下がっている場合には、実はその下がった値段を一括弁済すればいいわけです。ただ、いずれにしましても一括弁済しなければならぬということはあるので、それに必要な資金はやはり必要だということになってまいります。
○佐々木(秀)委員 これも御案内のように、農地は、取得したときには結構高かった、ところがその後、これは農地に限らず土地の評価そのものがずっと今下がってきているわけですね。特にあのバブルのときなんかに比べると、もう大変に激減しているわけですけれども、農地もひどいんです。恐らく、かなりの優良な田んぼでも、北海道の私の近辺ですけれども、十アール、つまり一反で三十万なんということにしかならない、それでもなかなか買ってもらえないというようなこともあるわけです。 そうすると、今のお話だと、例えば、買ったときに一反歩当たり百万だった、しかし現在は三十万ぐらいの時価しかないよという場合には、その時価を適用することによって、ただし一括でなければいけないけれども、それを適用することによって担保を外すことができる。これは機械などもそうですね。機械も使っていくとどうしたって安くなるし、減価償却のこともありますけれども、そうすると、それの時価評価をしてもらって、その金額を一括支払いに充てれば担保を外すことができることになるんだということですね。ただし、その資金手当ては別建てでしなければならない、こういうことですね。それを確かめさせていただきました。 それから、時間が大分なくなりましたけれども、今回設けられたいわゆる住宅資金貸付債権の特則ですね。これは、住宅ローンについて、再生計画によって弁済の繰り延べが認められている。その場合でも、住宅ローン債権者の同意がないと債権元本の減額が認められない、こういうことになっているわけですね。 担保つき債権については、債権者の同意なくしてその元本を減額した上で残額弁済を繰り延べるというような制度を設けることはできないものでしょうか。工夫の余地があるのかどうか。
○細川政府参考人 抵当権等の担保権は、対象財産を換価して優先弁済を受けることを本質的内容とする権利でございまして、担保つきの債権について債権者の同意なしに元本を担保財産の価額以下に減額した上で残額の繰り延べを認めるという制度を設けることは、やはり、担保権に対する本質を侵害して、憲法上問題があるのではないか、このように考えております。
○佐々木(秀)委員 時間が参ったようですけれども、確かに局長お話しのように、職種を問わず、個人債務者についても今度の再生法というのは適用になる。そして、一定の再生計画によって認められる金額を弁済することによって、それを超える債務について免責をされるというか免除をされるということでその債務者の立ち直りを図るという点では、私は大変いい法律だと思うのですね。 ただ、これが、先ほど山内委員からもお話しのように、使い勝手の悪いものだと、せっかく法律をつくっても魂が入らないことにもなりますし、どこでどういうように活用できるのかということをわかりやすくお知らせしていただきたいものだと思っているのですね。したがいまして、確かに農業経営者の場合にも限界はあると私は思いますけれども、いろいろなそういうケースを想定していただき、あるいは実際の債務者などからも事情をお聞きになった上で、こういう場合にはこういうようなメリットがありますよとか、これは債務者だけじゃない、債権者にとってもメリットがなきゃいかぬわけですけれども、そういうことをできるだけ広報活動として御尽力をいただきたい。皆さんによくわかっていただいて、そしてよく使っていただくようにしてもらいたいものだということを申し上げたいと思います。 それと、農業再生のためには、なかなか法律でなどということは全部できないのはわかり切っております。私ども民主党としては、それをカバーするように、そして意欲のある農業経営者の方に苦境を克服して頑張ってもらいたいというような思いで、今、農業経営の再建特別措置法案というのを立案の努力をしております。いずれはまた皆さんの御助力を得て、これを法律として、議員立法の形になると思いますけれども、成立させたいものだと考えていることを御披露申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○長勢委員長 杉浦正健君。
○杉浦委員 杉浦でございます。 この両法案は参議院先議の法律案なんでございますが、私は、参議院の法務委員会における審議結果を踏まえまして、さらに突っ込んだ質疑をやらせていただきます。そして、今回提案されている個人債務者の民事再生手続が、債権者の利益を十分確保するものであることを確認するという観点から質問させていただきます。若干細かくなりますが、よろしくお願いいたします。 まず、通常の民事再生手続には、債務者の財産に設定されている担保権を強制的に消滅させる担保権消滅制度が設けられているわけですが、それに対して、この住宅資金貸付債権に関する特則では、住宅ローン関係の抵当権を消滅させるのではなくて、住宅ローンの繰り延べ弁済を認めるという方法によることにしておりますけれども、その理由をお伺いいたします。
○細川政府参考人 御指摘の担保権消滅制度は、事業の継続に不可欠な財産を対象といたしまして、その財産上のすべての担保権を消滅させるというものでございます。これに対して、持ち家住宅を保持することは、個人の経済生活の再生に不可欠なものとまでは言えませんので、担保権の消滅という債権者の権利に重大な影響を及ぼす制度を導入するのは適当ではないというふうに考えられます。 また、担保権消滅制度において担保権を消滅させるには、対象財産の価額に相当する金銭を一括弁済する必要がありますが、破産の危機に瀕している個人債務者が住宅の価額に相当する金銭を一括納付するということは困難でございますので、担保権消滅というスキームは住宅保持という目的を達成するには必ずしも十分に機能しないのではないかということで、このような制度にしたわけでございます。
○杉浦委員 参議院の法務委員会の審議におきましては、住宅資金貸付債権に関する特則によりまして住宅ローン債権を他の債権とは別枠で処理することになっておりますが、そうしても住宅ローン債権者以外の一般債権者の利益を害することはないと御答弁されておりますけれども、住宅ローン債権がいわゆる担保割れになっている場合には、住宅ローン債権者を優遇することになり、他の一般債権者の利益を不当に害することになるのではないかと思うのですが、いかがですか。
○細川政府参考人 通常の民事再生手続では、確かに、担保割れになっている場合には、手続外で抵当権を実行した上で、その不足部分につきまして、再生手続に参加して、再生計画による債権カットを受けた上で弁済を受けるということになります。ですから、この住宅ローンの特則では、元本、利息、損害金の全額を払うということになっておりますので、担保割れになっている住宅ローンの債権者は、額面上は通常の再生手続よりも多くの弁済を受けることになるというのは杉浦先生御指摘のとおりでございます。 しかし、この住宅資金特別条項を定めた再生計画が成立しますと、住宅ローンの債権者は、再生債務者が弁済を継続している限り、抵当権を実行することができなくなります。ですから、住宅の価額が高い時期を選んで抵当権を実行するという利益は制約を受けることになります。 また、一般の再生債権に対する再生計画に基づく弁済期間は、通常は十年以内というふうにされております。これに対して、住宅資金特別条項が定められた場合における住宅ローンの弁済期間は原則として当初の住宅ローンの約定に従いますので、著しく長期になりますし、さらに弁済期を十年の範囲内で延長されることもありますので、住宅ローンの債権者は、一般の再生債権者に比べて非常に弁済時期がおくれることになるわけでございます。 また、住宅ローンは一般の個人向け融資の中でも融資額が著しく大きいものですから、担保割れである場合に、担保割れ部分につき他の再生債権者と同様の取り扱いを受けることになりますと、個人債務者の限られた収入を原資とする弁済額の多くが住宅ローンに配分されることになります。 したがいまして、住宅資金特別条項を定めた場合には、住宅ローンの弁済は他の再生債権と比べて著しく長期に分割して行われることになりますから、他の再生債権の弁済期間中には、住宅ローンの債権者に支払う額は、これを定めない場合に比べましてかなり小さくなります。したがって、結局、一般の再生債権者には有利な結果になるわけでございます。 また、この住宅資金特別条項を定めた再生計画案の決議につきましては、一般の再生債権者のみが議決権を有して、住宅ローンの債権者には議決権が与えられていません。 また、給与所得者等再生では、再生計画案の決議が省略されておりますけれども、ここでは二年分の可処分所得のすべてを一般の再生債権者の弁済に充てなければならないということになっておりまして、住宅ローンは、これ以外の原資で払うというふうになっております。 ですから、こういうことをいろいろ考えますと、担保割れになっている住宅ローンの債権者を特に優遇するものではなくて、また反面、他の一般債権者の利益を不当に害するものではないというふうに考えております。
○杉浦委員 住宅ローンの対象となる住宅が定期借地権つき建物、最近多いですが、こういうものである場合には、借地権の期限が近づくにつれまして当該住宅の価値が急激に下落いたします。このような場合についても、住宅資金特別条項による弁済の繰り延べをすることができるのでしょうか。
○細川政府参考人 弁済の繰り延べの仕方が三通りあるわけですが、百九十九条第一項の期限の利益の回復のみを内容とするものは、弁済期の全体としては延びませんから、ただいま御指摘のような問題は起きないわけでございますし、二項、三項に従って弁済期間の延長をした場合でも、延長後の最終弁済期が定期借地権の期限よりも相当早い時期であれば、御指摘のような問題は生じないと思います。ただ、これが相当長期間に延長されまして、定期借地権の残存期間がわずかしかないという場合には、これは住宅ローン債権者に不当な不利益を与える場合があります。 ただ、この法案では、住宅ローンの契約にもともとついている付随的な約定というものは、すべて住宅資金特別条項によって変更された後の権利についても効力を有するとされております。それで、住宅ローンの契約においては、債務者が提供した担保について担保価値の減少等の事態が生じた場合には債務者が相当な担保の追加を行わなければならない、これに違反した場合には期限の利益を喪失する、そういう約定を定めているのが通常でございます。 ですから、定期借地権の期限があとわずかしかないという場合には追加担保を提供する必要が出てまいりますので、その追加担保をつけられる見込みがない場合には、結局、最終的には再生計画が遂行可能であると認められないということになりますので、再生計画は不認可になるということで、この場合でも再生債権者には不当な不利益は及ばないというふうに考えておるわけでございます。
○杉浦委員 住宅資金特別条項を定めた再生計画案の決議におきましては、住宅ローン債権者や保証会社には議決権が付与されておりません。この場合、住宅ローン債権者や保証会社は、住宅資金特別条項よって弁済が繰り延べされるなどの不利益な権利変更を受けるわけでありますので、議決権を与えられないことによって不当な不利益を受けることになるのではないでしょうか。この点はどうでしょうか。
○細川政府参考人 確かに、御指摘のとおり、住宅ローンの債権者は議決権を有しないものとなっておりますが、これによって住宅ローン債権者が不当に不利益を受けないように、何点か措置を講じております。 まず第一点目でございますが、権利の変更の内容については、弁済の繰り延べのみを認めて、元本、利息、遅延損害金の全額を支払わなければならないものとしているわけでございます。 それから、住宅ローンの繰り延べの方法につきましても、できる限り住宅ローンの債権者の不利益が少なくなるようにするため、期限の利益を回復することを基本といたしまして、それができない場合に限って、最長十年間、七十歳までの範囲で分割払いによる弁済期間を延長することを認めるというようなことにしておりまして、権利の変更の内容を厳格に法定しております。 また、通常の再生計画では、計画遂行の見込みがないことが不認可の要件なのですが、この住宅資金特別条項を定めた再生計画の場合には、遂行可能であると裁判所が積極的に認める場合でなければ認可はされないわけでございます。 そういったことから、この住宅ローンの債権者については特に不利益はないもの、このように考えているわけでございます。
○杉浦委員 住宅資金特別条項を定めた再生計画案が提出された場合、住宅ローン債権者には議決権が与えられません。しかし、その意見が聴取されるということになっておりますが、意見聴取の結果は当該再生計画の認可、不認可の判断に当たってどのように考慮されるのか、お伺いいたします。
○細川政府参考人 住宅ローンの債権者が述べました意見は、裁判所が再生計画を決議に付するかどうか、あるいは、再生計画の認可の決定をするかどうかを判断する上での重要な資料となるわけでございます。 この住宅資金特別条項を定めた再生計画の遂行可能性が要件でございますが、これは、現在の再生債務者の収入とか財産の状況、あるいは、住宅ローンの返済を遅滞した経緯とか、返済を遅滞した後の再生債務者の行動等をも考慮して判断されるべきものでございますが、こういった理由につきましては住宅ローン債権者もよく知っているわけでございますから、その述べた意見は裁判所にとっての極めて重要な判断資料になる、このように考えております。
○杉浦委員 住宅資金貸付債権に関する特則では、保証会社が住宅ローンの保証債務を履行した後であっても、住宅資金特別条項を定めた再生計画を提出することができ、これが成立した場合には保証債務の履行はなかったものとみなす、こうしておりますが、このようにしたのはどういうわけでしょうか。
○細川政府参考人 住宅ローンの貸し付けの実務では、一般に、保証会社による保証を受けることを融資の条件とすることが広く行われておりますので、この住宅ローンの特則を実効性あらしめるためには、保証会社が代位弁済した後も住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出することができるようにする必要がございます。 しかしながら、保証会社が代位弁済をして再生債務者に対する求償権を取得した後に、その保証会社が有する求償権を対象として住宅ローンと同様の弁済繰り延べを行うことといたしますと、保証会社に対して住宅ローン債権の管理の業務を行うことを強制するに等しいことになりますので、保証会社には不当な不利益を与えるということになります。 他方、このような場合に、住宅ローンの債権者は、もともと長期の弁済を受けることを予定していたものですし、また、再生計画で住宅資金特別条項を定めることもできるという可能性があるのに早々とそれを見限って代位弁済をさせたという場合ですから、その立場を保護する必要は保証会社と比べて低いのではないかというふうに考えられると思います。 そこで、保証会社が代位弁済した後も住宅ローン債権を対象として住宅資金特別条項を定めることができるようにという意味で、このような規定を置いたわけでございます。
○杉浦委員 保証債務の履行がなかったものとみなされることによりまして、債務者、住宅ローン債権者、保証会社間の法律関係はどのようになるのでしょうか。また、これによって法律関係の安定性が害されることにはならないのでしょうか、お伺いいたします。
○細川政府参考人 履行がなかったものとみなされる場合には、履行されたことによって生じた法律関係が履行前の状態に遡及的に復帰するわけでございます。 具体的には、保証債務の履行によって消滅した保証債務が復活する。それから、保証債務の履行によって保証会社が取得したもともとの債務者に対する求償権が消滅して、民法五百条によって代位取得した住宅ローン債権も従前の債権者のもとに復帰する。それから三番目として、保証会社が保証債務の履行として交付した金銭については、保証会社が住宅ローン債権者に対して不当利得として返還請求権を取得するという効果が生じることになります。 一般論としては、遡及的な権利変動を生じさせることは法律関係が不安定になるわけですが、この法案では、そのような不安定な事態にならないように幾つかの措置を講じております。 まず第一点としまして、保証債務が履行された日から六カ月を経過した後に再生手続開始の申し立てがされた場合には、住宅資金特別条項を定めることができないものとしております。これは、遡及的な権利変動についての時限的な制限を全く設けないことといたしますと、保証債務の履行を受けた住宅ローン債権者が、その債務者との取引が終了したものとして経理上の処理をした後も、今度は保証債務の履行の効果が覆滅されるという危険性を際限なく負担しなきゃならないということになりますので、そういうことはないようにということで、六カ月という期間の制限を置いたわけです。 それから第二点目といたしまして、保証会社の求償権について再生債務者が既に一部弁済していたときは、その弁済額は、従前の債権者のもとに復帰した住宅ローン債権に当然に充当される。当該の住宅ローン債権者は、保証会社に対してその弁済額の交付を請求することができるものとしております。これは、一たん戻してまた払うという迂遠な関係を整理したわけでございます。 それから、既に保証会社が再生債権者として手続上なした行為の効力については影響を及ぼさないということとしているわけでございます。 このような措置を講じておりますので、履行がなかったものとみなされることによって法律関係の安定性が害されることはないものと考えているところでございます。
○杉浦委員 小規模個人再生、給与所得者等再生という個人再生の特則手続におきましては、債権調査手続を簡素合理化いたしておりますが、通常の民事再生手続における債権調査手続とどこがどう違うのでしょうか。簡潔に御説明願います。
○細川政府参考人 相違点は次のとおりでございます。 まず、通常の民事再生手続における債権調査手続では、争いがある再生債権について査定の裁判が行われ、これに不服がある場合には異議の訴えを提起することによって、債権の内容を実体的に確定することになります。これに対して、個人再生の特則手続では、争いのある再生債権については、再生債権の評価の裁判によって、債権の額を手続内のみで確定する、実体的には確定しないということにしているわけでございます。 あとは細かい点が幾つかあるわけですが、今の点が一番違うわけでございます。
○杉浦委員 ただいまの再生債権の評価の裁判に対してでございますが、これは不服申し立ては認めていないようですけれども、この不服申し立てを認めないと、債権者の利益を不当に害することにはならないかと思うんですが、どうでしょうか。
○細川政府参考人 この評価の裁判は、再生手続内において取り扱うべき再生債権の額を確定するためのものでございます。例えば、三千万円を超えていないかとか、最低弁済額は幾らになるかとか、そういうところを定めるためのものでございまして、実体的に債権の額を確定するものではございませんので、再生債権者は別途、訴訟で債権額を争うことができます。その訴訟で確定した場合には、評価の裁判において存在が認められた債権の部分と同等の地位で、再生計画に基づく弁済を受けることが可能となります。 したがいまして、評価の裁判に不服申し立てを認めなくても、再生債権者に対して特別の不利益が及ぶということはないものと考えております。
○杉浦委員 参院の法務委員会の審議におきましては、御答弁の中で、債務者は個人債務者の民事再生手続と破産免責手続とを自由に選択できるという答弁がなされております。 法案の立案の過程では、個人債務者の民事再生手続の利用対象者については、破産免責手続の利用を制限して、個人債務者の民事再生手続によって破産者に一定額を弁済させるべきであるという意見もあったと伺っておりますが、そのような考え方を採用しないで自由選択制を採用した理由をお伺いいたします。
○細川政府参考人 御指摘の問題は、立案の過程で大変重要な問題でございまして、法制審議会でも十分議論された点でございます。 まず、選択制を採用している理由でございますが、個人債務者の再生手続の利用対象者であっても、収入の額が少なくて、最低弁済額や破産した場合の配当額以上の弁済をすることができないという人がおります。こういう人たちは個人の再生手続が利用できないわけですから、この人たちのために、破産免責手続を利用できないということになってしまうと経済的再生への道がなくなってしまうということで、その場合にはぜひ必要だということになります。 では、最低弁済額以上の弁済が可能な人については、選択制じゃなくて、まず再生手続をすべきじゃないかという問題があるわけなんですが、そこでは、まず、将来の収入の額を確実に把握して、最低弁済額以上を弁済できるかどうかというものを、破産免責手続が始まる前にすべての債権に対して確定しなきゃならないのですが、それは実際上不可能じゃないか、個人の破産手続で十二万件ぐらいあるわけですから。 それから、今度は、負債の額が三千万円を超えていて、個人債務者の再生手続の対象にならないという人には、これは現在でも破産免責手続が可能になっているわけなんです。ですから、そういう個人の手続の対象者だけ選択ができないということはちょっと平等ではないという問題が生じてくるわけです。こういう三千万円を超えている再生債務者は、免責手続の利用を制限いたしますと、手続を進めていったら、今度は債権者の同意を得られないという場合もあるわけですね。ですから、やはりこの場合でも、免責手続の利用を制限するということは問題だ。 そういうことを考慮いたしまして、最終的には、双方選択できるということにいたしたわけでございます。
○杉浦委員 ちょっと質問が戻りますけれども、保証会社の場合についてお伺いします。 最近、金融機関の倒産事件もふえておりますが、仮に、保証会社が倒産した場合にも保証債務の履行はなかったものとみなされるといたしますと、住宅ローン債権者は倒産した保証会社に金銭を返還しなければならない一方で、保証会社の保証のつかない住宅ローン債権が戻ってくるということになりますが、債務者は保証会社が倒産した後であっても住宅資金特別条項を定めることができるのでしょうか。
○細川政府参考人 この法案では、住宅ローンについて、住宅資金特別条項を定めた場合は、住宅ローンの契約の付随的な約定は、例えば期限の利益の喪失約款ですが、変更された後の権利についても効力を有するものとしております。これは二百三条の第二項で定めております。そして、住宅ローン契約におきましては、一般に契約の約款で、保証人が倒産した場合には住宅ローン債権についての期限の利益が失われるという約定が設けられているのが通常でございます。 したがいまして、ただいま御指摘のように保証会社が倒産した場合には、住宅資金特別条項を定めた再生計画が成立いたしたとしましても、再生債務者は、住宅資金特別条項によって変更された後の住宅ローンの債権についての期限の利益を結局失ってしまうわけですから、住宅資金特別条項を定めた再生計画の遂行が可能であるというふうに認めることができないことになりまして、認可されないことになります。 そこで、保証会社が倒産する事態が生じた場合に、再生債務者がこの手続を利用しようという場合には、あらかじめ住宅ローンの債権者と協議して、従前とは別の保証会社を保証人とすることについて住宅ローン債権者の同意を得るということが必要となってくるわけでございます。
○杉浦委員 再生手続における決議についてお伺いします。 小規模個人再生における再生計画案の決議におきましては、反対する債権者が半数に満たず、かつ債権総額の半分を超えないときは再生計画案の可決があったものとみなすという、いわゆる消極的同意要件を採用しておるわけでありますが、再生計画の賛否について回答しなかった者についても賛成したものとみなしてしまうのは、債権者に不当な不利益を与えることにはならないのでしょうか。
○細川政府参考人 確かに御指摘のとおり、本法案では、棄権した人は賛成とみなしているわけです。 その理由でございますが、小規模個人再生の対象者である個人債務者の方々は、ほとんどが倒産処理手続について知識のない方々であります。これに対して、債権者の大多数は貸金業者やクレジット業者などの専門業者であって、倒産手続にもなれているのが通常でございます。このような専門業者に対して、再生計画に同意しない場合にはその旨を裁判所に通知することを要求しても、過大な負担を課すというものではないだろうというふうに考えられるわけです。 また、再生計画案の決議に際しましては、事前に裁判所から債権者に対して、再生計画案に同意しない者は裁判所の定める回答期間内に書面でその旨を回答すべき旨を記載した書面を送達することになっております。したがいまして、債権者は、再生計画案の賛否について回答しなかった場合には賛成したものとみなされるということを知った上で議決権を行使する機会が保障されているわけでございますし、また、同意しない旨の書面には理由等を記載する必要はなくて、単に同意しない旨を記載して裁判所に提出すれば足りるということになりますので、簡易な方法での議決権の行使が可能でございます。 したがいまして、棄権の人を賛成とみなしても問題はないのではないかというふうに考えたわけでございます。
○杉浦委員 小規模個人再生におきましては、再生計画案の認可要件といたしまして、最低弁済額基準を採用しておられるわけであります。そのこと自体は、モラルハザードの防止だとか、債権者の利益を確保する上で必要なことと思うわけでありますが、「基準債権の総額の五分の一が三百万円を超えるときは三百万円」として、その上限額を設けている点は、債権者の利益を不当に害することにはならないのでしょうか。
○細川政府参考人 最低弁済額が必要であることはただいま御指摘のとおりでございますが、これが相当高いものになってしまいますと、債務者がこういう個人再生手続を利用することはできなくなって、破産免責手続を利用するほかはないことになりますので、結局、債権者は債権の回収を図れないということになります。 ですから、最低弁済額を定めるにつきましては、債権者において、その額を下回る金額を三年から五年にわたって分割弁済を受けることに応ずるよりは、債務者が破産免責手続を選択する方が債権管理コストをも考慮すると有利であると一般に考えられるであろう額とするのが相当だということでございます。 債権者は、破産宣告を受けて全債権が免責手続で免除になりますと債権管理コストはなくなりますし、また、全額を経費として処理することができるわけですね。ですから、免責についても債権者に利益があるわけですから、それよりも下回ってはならないということになるわけですが、逆に、それが余り高いと、債務者が破産手続を得て、全く払わないで済んでしまうということになります。ですから、そういうふうに三百万円という上限を設けますと、回収する債権額は結果的にふえるのじゃないかということで、そういうことにいたしたわけでございます。 〔委員長退席、横内委員長代理着席〕
○杉浦委員 小規模個人再生におきましては、通常の民事再生手続とは異なって、否認権に関する規定の適用を除外しております。この理由はどういうわけでしょうか。また、これによって、否認権を行使される行為をした債務者を不当に利することにはならないのでしょうか。
○細川政府参考人 否認権は、最終的に訴訟によって行使されるものでございます。その決着についてはそれなりの期間を要することになりますので、小規模個人再生について否認の制度を設けますと、その決着を待たなければ債務者の総財産の価額が明らかになりませんので、それまで再生計画を決議に付することができなくなってしまいまして、個人債務者の簡易迅速な再生を可能にするという小規模個人再生の趣旨が大きく損なわれることになるわけでございます。そこで、否認権の規定の適用を除外したわけでございます。 しかし、否認権の適用を除外した場合には、否認行為をした債務者を不当に利することにならないかという問題が次に生じてくるわけでございますが、否認の対象となる行為をしていたことが再生手続開始前に判明した場合には、破産による否認権の行使を回避するという不当な目的で再生手続開始の申し立てがなされたものというふうに認められますので、これは二十五条の第四号で、申し立ては棄却ということになります。 また、手続開始後に否認権該当行為がされたことが判明した場合には、否認権の行使によって回復されるであろう財産の額を加算して算出される額以上を弁済する再生計画案が提出されない限り、手続の廃止または不認可の決定がされます。これは、そういうふうに加算がされないと破産の場合の配当額を下回ることになりますので、債権者の一般の利益を害するということになって、廃止または不認可の事由になるということでございます。 したがいまして、こういう手当てをしておりますので、否認に関する規定の適用を除外することにいたしましても、否認行為をした債務者を不当に利するということにはならないというふうに考えているところでございます。
○杉浦委員 最後に、本法とは関係ありませんけれども、最近、個人破産申し立てが激増しているということを聞くわけなんですね。その中には、パチンコだとか、遊ぶ金がかさんで払えなくなったとか、あるいは、我々から見て分不相応にぜいたくな生活をするということのために借金がかさんで申し立てをする。中には、安易に自己破産して債務を免れる、そういう者も多いと聞き及んでおるところなんです。程度問題はわかりませんが、多いと聞いております。 破産法の改正、いつ予定されているかわかりませんが、今後の改正に当たっては、このようなモラルハザードといいますか、安易な自己破産を防ぐ観点からの改正が必要なのじゃないかとも思うのでございますが、その点について、御見解はいかがでしょうか。
○細川政府参考人 現行の破産法におきましても、債務者が賭博や浪費によって著しく財産を減少させた場合等につきましては、免責不許可の事由があるわけでございます。 ですから、安易な自己破産によるモラルハザードを防止する措置は講じられていると思われますけれども、この免責の不許可事由は、昭和二十七年に免責制度が導入されたときに定められたものでございますので、現代社会に適合していないとか、概念が抽象的で規定の内容が不明確である等の指摘もされているところでございます。 この点につきましては、現在、倒産法制の全面的な見直しの作業の中で、破産法の免責のところも検討の対象になりますので、こういった御指摘も踏まえてさらに検討を行ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
○杉浦委員 そういう場合には、免責手続から強制的にこっちの手続へ移行させて、少し長期にわたって払わせるとか、あるいは子供が遊びまくった場合には親に補償させるとか、そういうようなことが、なかなか難しいかもしれませんが、しっかり責任を持って借金を返す、借りたものは返す、今少年法をやっていますが、悪いことをやったら罰せられるというふうにしなきゃいかぬと思うのですね。そういう観点を踏まえて御検討願いたいと思います。 まだ一分ありますから、最後に、一言文句を言わせてもらいます。 これは本当は民事再生法と一緒にやられるはずだったのですね。皆さんの労は多とするけれども、一年ちょっとたったのですが、住宅ローンによる倒産が激増しておったわけで、法制審議会の審議、あなた方の努力、一時は僕らも議員立法でやろうかということまで考えたのです。もっと世の中の実情に合わせてスピーディーに対応するように、大臣もおられますけれども、法務省全体として、世の中スピードの時代ですから、これから真剣に検討していただきたい。御労苦は多といたします。
○保岡国務大臣 激励を込めての御意見であったと思いますが、本当に時代が大きく変化して、スピードも速い。これは世界的な規模で起こっているのに対応しなきゃならない点もあるし、転換期におけるいろいろ困難な経済状況、特に構造改革によって生ずるいろいろな問題などを抱えた状況に的確にこたえていくための基本法、これは民事刑事問わず、立法の洪水が押し寄せてくる時代で、大立法時代と言っていいのじゃないかと思います。 そういう時代に対応する法務省の責任を強く自覚して、政府全体として、また国会の御協力をいただいて対応していきたいと存じますので、よろしくお願いします。
○杉浦委員 終わります。
○横内委員長代理 高木陽介君。
○高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。 ただいま杉浦委員の方から民事再生法関連についての御質問がございましたので、私は、外国倒産処理手続の承認援助法案について質問をさせていただきたいと思います。 今まさに、今大臣がお話しされましたスピードの時代、時代が大きく動いている、変わっている、そういうような中で、グローバル化がここ数年来ずっと言われ続けております。経済の分野ではまさに国境がなくなってきた、そんな中で、今回国際倒産法制の法整備というような形で行われていると思うのです。 その中でも特に、この法律の提案理由の説明で、「国際的な取引が活発になり、資産の国外移転も容易になったことから、複数の国で事業を行い、資産を保有する企業等がふえるとともに、国際的に経済活動を行う企業等が経済的に破綻する事例も増加」しておる。経済がどんどんグローバル化して活発になるのはいいのですけれども、倒産もそれに応じてあるわけですから、そんな中で、「我が国の国際倒産法制においては、国内で開始された破産手続等の効力は債務者の外国にある財産には及ばず、他方で、外国で開始された倒産処理手続の効力は債務者の日本国内にある財産には及ばないものとする属地主義が採用されており、」云々とずっとあるのですけれども、必要だな、これは多くの人たちが実感していると思うのです。 そんな中で、これが行われなかった場合、具体的にどんな不都合が生じるのか、ここら辺のところをまずお聞かせ願いたいと思います。
○細川政府参考人 御指摘のとおり、現行法の倒産法制では、いわゆる厳格な属地主義が採用されておりまして、多国籍企業等の倒産事案につきましては、さまざまな不都合が生じております。 まず第一点といたしまして、破産手続等が開始された場合であっても、一部の債権者が手続の開始した国以外の国にある債務者の財産から抜け駆け的に債権回収をすることができることになっています。 例えば、日本で破産宣告を受けた債務者が外国に有する財産について、一部の債権者が、強制執行を申し立てるなどの方法によって、事実上優先的に満足を得る可能性があります。しかも、外国における債権回収額を国内の破産手続における配当額に反映させて調整する規定も整備されていないため、外国で抜け駆け的な債権回収を行った債権者も、国内の破産手続においては、他の債権者と同じ割合の配当を受けることができます。このように、国外財産からの債権回収を図ることができるのは、外国にある資産の存在を把握するだけの情報収集力があり、海外での活動を可能にする組織力と資金力を持った企業に限られておりますので、それ以外の債権者との間で公平を害する事態が生ずることになります。 また、外国で再建型の倒産処理手続が開始された債務者の日本国内にある財産について、それが事業を継続する上で必要不可欠なものでありましても、債権者は、日本で強制執行を申し立てて、競売等に付することができるわけでございます。こうした場合でも、現在の倒産法制のもとでは、強制執行手続を中止させる、あるいは担保権の実行を中止させるという方法はないものですから、国際的な規模での合理的な再建計画の策定が難しくなってまいります。 他方、債務者が弁済に充てるべき財産を手続が開始された国以外の国において使ってしまう、あるいは隠してしまうということも可能でございます。 例えば、日本で破産宣告を受けた債務者が外国に有する財産については、日本の裁判所が任命した破産管財人の管理処分権は及びませんので、債務者がこれを自由に換価して処分してしまうことができます。しかも、それを債権者への弁済に充てればいいわけなんですが、そういった義務もないものですから、みずからこれを使ってしまうということもできるわけです。もっとひどい場合には、もともと海外にあった財産だけではなくて、債権者から破産宣告を申し立てられそうになったので、それを隠すために外国に持っていってしまう、そういうことまでもできるものですから、結局、結果的には、不正行為が国際的な場面では野放しになっているという問題があるわけでございます。
○高木(陽)委員 今具体的な例を幾つか挙げていただく中で、それだけ不都合があったということですね。そういう不都合を解消していく、そういった意味では、この法律は本当に必要だなと思うのです。 ただ、感ずるところ、平成九年に、国連の国際商取引法委員会で国際倒産モデル法が採択されて、加盟国に対して、モデル法を踏まえた法整備を勧告した。平成九年ですから、そう考えますと、もう少し早くできなかったかなという思いもするのです。 それはそれとして、そういう努力をされたということで、そういった中で、今お話が出てまいりました属地主義が撤廃されたことによって、債務者の外国にある財産にも国内倒産処理手続の効力が及ぶということですが、ただ、日本の破産手続の破産管財人は外国財産に対してどのような措置をとることができるんでしょうか。
○細川政府参考人 ある特定の国で開始された倒産処理手続の効力が、他の国にある破産宣告を受けた債務者の財産に対してどのような効力を持っているかということについては、これは法律屋の仲間では倒産処理手続の対外的効力の問題といいますけれども、こういう問題については、条約による国際法上の統一的な規律はございません。ですから、これは各国の国内法の規律にゆだねられているわけです。 したがいまして、当該の外国の国内法においてこのたび御提案申し上げているような承認の手続が設けられている場合には、日本の破産管財人は、その承認の手続に従って、その国にある債務者の財産を換価して日本の破産手続における配当の原資とすることができるわけでございます。 また、当該外国の国内法において自動承認の制度がとられている場合、自動承認というのは、特に申し立てがなくとも、一定の要件を備えている場合には当然にその効力を自分の国でも認める、こういう意味なんですが、そういう自動承認の制度が設けられている場合には、特別の手続を経ることなく、その国にある債務者の財産を換価して日本の破産手続における配当の原資とすることができることになります。 また、その外国の国内法において承認の制度そのものは整備されていないという場合もありますが、そういう場合でありましても、外国の破産管財人に裁判手続における当事者適格を認めるという場合もあります。そういう場合には、日本の破産手続の破産管財人は、その外国において債権回収のための訴訟提起や強制執行申し立てをすることができるということになるわけでございます。
○高木(陽)委員 今るるお話のある中で、制度が整備されていない国、これに対してどうなるか、承認援助の手続のような制度が整備されていない国で開始された外国倒産処理手続を日本で承認することはかえって不公平ではないかな、そんなふうにも考えられるんですけれども、承認援助手続において相互主義、お互いの関係ということになりますけれども、この相互主義の考え方をとらなかったのはなぜなんでしょうか。
○細川政府参考人 外国倒産処理手続の承認につきまして相互主義を採用した場合には、外国倒産処理手続の開始国において日本の倒産処理手続が承認される場合に限って、当該外国倒産処理手続を承認することになります。こういう場合には幾つかの問題があるわけでございます。 第一は、相互主義というのは、他国あるいは他国民に対してこちらの手続の利益を与えない、そういう制裁をすることによって国と国との間の法秩序の不整合を是正しようというものでございまして、この考え方自体が国際協調の理念に反するのではないかということが第一点でございます。 第二点目は、相互主義を採用いたしますと、外国倒産処理手続を承認するに当たってその外国の承認制度を調査検討しなければならないために、承認援助手続が係属する裁判所に過度の負担を強いるということにもなります。 先ほど言及されました国連の国際商取引法委員会において採択されました国際倒産モデル法におきましても、今申し上げましたような問題点を考慮しまして、相互主義を採用しないということにしているわけでございます。 そういうことから相互主義をとらなかったものでございますが、国家間の法秩序の不整合を是正するというのが相互主義の目的でございますから、各国がこの国際モデル法に従った国内法の整備をいたしますと実質的には同様の目的が達成されるということで、各国がこのモデル法に沿って早急に整備することを求められているということになろうかと思います。
○高木(陽)委員 二十一条に、「次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、外国倒産処理手続の承認の申立てを棄却しなければならない。」このように書かれておりますが、一、二、三、いろいろありまして、三番目に、「当該外国倒産処理手続について次章の規定により援助の処分をすることが日本における公の秩序又は善良の風俗に反するとき。」とあります。よく法律で、この「公の秩序又は善良の風俗」、出てくることが多いと思うんですが、これは具体的にはどういうときということなんでしょうか。
○細川政府参考人 「公の秩序又は善良の風俗」という言葉は、一般には余り聞きなれない言葉かもしれませんけれども、司法の関係の法律の中には割とよく出てくる言葉でございます。 その意味は、ここでは、その外国倒産処理手続が我が国の法秩序から見て容認しがたいような著しく不合理な内容を含んでいるということでございまして、その問題は、実体法的な側面と手続法的な側面と両方から検討することになります。 まず、具体的に申し上げますと、外国倒産処理手続において配当等を受けることとなる債権の配当順位について、債権者の国籍、性別、宗教等が考慮されていて、極めて不合理な差別が存在する場合には、これは、実体法上の面においてこれを日本として容認しがたい、日本の公の秩序、善良の風俗に反するということになるわけでございます。 また、その外国の手続が日本国内にいる債権者に対して手続の参加を与える通知を一切しないというようなことになりますと、手続保障に著しい不備があるということになりますので、そういう場合には、手続法的側面において日本における公の秩序または善良の風俗に反するということになるわけでございます。
○高木(陽)委員 今そういう説明を受けると、ほう、そうかという形になりますけれども、本当に法律の用語というのが、法律の世界では使われるんですけれども、具体的な部分、ここら辺のところがなかなかイメージできない。ここら辺のところは、これは今回のこれだけの問題じゃないんですけれども、いろいろと御検討いただければな、そんなふうに一般の感覚として思います。 その上で、外国倒産処理手続が承認された場合に、今度は国内の債権者の利益、今まで国内の債権者というのは今までの法律でやってきたわけですけれども、その利益が損なわれることがないんでしょうか、そこら辺のところをお答えいただきたいと思います。
○細川政府参考人 まず、ただいま御指摘になりました、申し立てがあって承認することが日本の公の秩序または善良の風俗に反するときは、それは承認はされませんので、そういう不合理な外国の制度の場合は、日本の債権者は守られるということになります。 それから、承認援助手続におきましては、国内の債権者の利益を保護するために、債務者が国内にある財産の処分や国外への持ち出しをするためには、そういった行為や裁判所の指定する行為をする場合には裁判所の許可を要する旨の決定をすることができます。それから、承認管財人が任命された場合には、財産の処分とか財産の国外への持ち出しについては必ず裁判所の許可を要するものとしておりますので、日本の債権者の利益が不当に害される場合にはその許可が与えられないということになりますし、また、許可を得ないで持ち出した場合には罰則を整備しているわけでございます。 それから、国内倒産処理手続と承認援助手続とが競合した場合には、原則として国内の債権者の利益にかなう国内倒産処理手続を優先させるものとしておりまして、例外的に承認援助手続を優先させるのは、日本国内における債権者の利益が不当に侵害されるおそれがないことを要件の一つとしております。 したがいまして、承認がなされましても、日本の債権者の利益が不当に侵害されるということはないものと考えております。
○高木(陽)委員 続きまして、承認援助手続において、事件記録に関する閲覧についてどのような規定が置かれているか、それをお尋ねしたいと思います。さらに、営業秘密等の情報が公開されて、再建を図ろうとする債務者の利益が損なわれること、こういうことはないのでしょうか。
○細川政府参考人 承認援助手続に関する記録の閲覧につきましては、民事訴訟法の規定が準用されるほか、この手続の特殊性にかんがみまして、第十三条で、裁判所に提出された文書等の閲覧の請求権者、対象となる文書の範囲、閲覧等の時期的制限について規定を定めておりまして、この手続にふさわしい文書等の開示制度を設けているところでございます。 他方、利害関係人に対する閲覧を広く認めることによりまして、承認援助の目的の達成に著しい支障を生ずるおそれがある場合があります。 例えば、承認管財人が訴えの提起について裁判所の許可を得るために提出した文書を被告となる者が閲覧すれば、それは不利益が生じますし、承認管財人が営業譲渡について裁判所の許可を得るために提出した文書が債務者と競業関係にある者の目に触れることになりますと、競争力の低下を招く、あるいは、承認管財人が債務者による財産隠匿を裁判所に報告するために提出した文書が債務者の目に触れれば、証拠隠滅を招くおそれがあるというようなことで、そういうことを考慮しまして、第十四条におきまして、一定の文書等については、閲覧により承認援助手続の目的の達成に著しい支障が生ずるおそれがある場合には、閲覧を制限することができるというふうにしているわけでございます。 それから営業の秘密が文書に載っているものが閲覧等によって公開されると債務者の利益が損なわれるのではないかという問題ですが、先ほど申し上げましたような規定がございますので、先ほど申し上げましたような文書に載っている場合には、それを制限することができるわけです。ですから、それ以外の場合にはその営業の秘密は載せることは必要ないわけでして、営業秘密を公開してもいいと判断した場合だけ、公開の対象となる文書に載せるということを債務者が判断すればいいわけです。したがいまして、債務者の意に反して営業秘密が公開されて、債務者の利益が損なわれるということはないものと考えているところでございます。
○高木(陽)委員 時間も大分なくなってまいりましたけれども、冒頭にも申し上げましたように、今グローバル化の中で、こういう国際倒産法制という法制度の整備というのをきっちりとしていく、本当に重要な問題だと思います。逆に言えば、これも最初に申し上げましたように、もっと早くできなかったのか。それは相手の国もあるわけですから、日本だけこうこうこうですという形にはいかなかった、平成九年の国連でのモデル法の採択ということが一つの節目となったと思うのですけれども。逆に、これからの時代、さらにグローバル化という形が進んでいくと思うのです。そういった中で、今回のこの法整備が、これでこれから成立をして行われていくわけですけれども、もっといろいろな問題がこれから出てくると思うのです、それは私たちの予測がつかないような形で。そういったときに、やはりスピード感を持って、先ほど杉浦委員の質問で、民事再生法の部分で大臣は決意を述べられましたけれども、この国際倒産法制という形でもしっかりとやっていただきたい、これをお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○横内委員長代理 この際、休憩いたします。 午前十一時四十五分休憩 ————◇————— 午後一時四十六分開議
○長勢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。藤島正之君。
○藤島委員 まず最初に、倒産法制の整備のこれまでの経過と本法案の位置づけ、これで大体この関連のものは打ちどめというか、終わりになるのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
○上田政務次官 今、このたび御審議をいただいております二法案、今日までの経緯についての御質問でございますので、少々細かくなりますが、お答えをさせていただきます。 まず、民事訴訟法の全面改正作業が終了しました直後の平成八年十月から、倒産法制の全面的な見直し作業に着手をいたしました。平成九年十二月には「倒産法制に関する改正検討事項」を策定し、関係各界に意見照会を行うなど、倒産法制全体についての統一的な見直しを図るべく作業を進めてきたところであります。 しかし、いわゆるバブル経済の崩壊後の不況の深刻化と、これに伴います倒産事件の増加にかんがみまして、平成十年の九月からは緊急性の高い課題から順次検討を進めることといたしました。そして、まず、最も緊急を要する、中小企業等に利用しやすい新たな再建型倒産手続の創設につきまして、他の検討課題と切り離して集中的に検討を進め、昨年の秋の臨時国会に民事再生法案を提出したところであります。 ところで、住宅ローン等の債務を抱えた個人債務者の破産事件が急増していることや、国連の国際商取引法委員会が平成九年に採択した国際倒産モデル法に準拠した国際倒産法制の整備作業が各国で進められているというような状況にかんがみまして、個人債務者の新たな再生手続の創設と国際倒産法制の整備が民事再生法の制定に次いで緊急を要する課題というふうに考えて、今回御審議をいただいているところでございます。 そこで、これからのことでありますが、今後の検討課題としては、倒産手続におきます労働債権、租税債権等の各種債権の優先順位の見直し等についてもいろいろ御意見があるところでありますので、その辺の倒産実体法の見直しという課題がありますし、これを含めました破産法の全面的な見直しも行うこととしております。 また、会社更生法が定める更生手続や商法が定める会社整理、特別清算の手続についても、今の経済社会の中で合理的に機能しているかどうかというようなことについてもいろいろと御意見があるところでありますので、こうした面も見直しを行うこととしております。 これらの検討課題については、御承知のとおり、現在、法制審議会の倒産法部会において審議を行っているところでありまして、できる限り早い時期に成案を得て、関係法案を国会の方に御提出をし、御審議をいただく予定にしております。
○藤島委員 鋭意いろいろな問題を前向きにお進めいただきたいと思います。 さて、法案の個別のものに関係するんですが、次に、個人債務者の破産件数は最近どういうふうに推移しているんでございましょうか。
○千葉最高裁判所長官代理者 個人債務者の破産事件の新受件数でございますが、最近五年を見てみますと、平成七年には四万三千六百四十九件でございましたけれども、以降、毎年、平均しますと二万件という大幅な増加を続けまして、平成十一年の新受件数は十二万三千九百十五件となったわけでございます。これは平成七年の新受件数の二・八倍、こういう数字でございます。
○藤島委員 住宅ローンの破産件数はいかがでございますか。
○細川政府参考人 住宅金融公庫の住宅ローンについて見てみますと、個人の債務者がローンを支払えなくなったために、保証人であります公庫住宅融資保証協会が代位弁済した件数でございますが、これは平成二年度には五千件弱でございましたが、昨年度は一万五千件を超えておりまして、十年間で三倍にふえております。また、代位弁済の額を見ますと、平成二年度では合計約三百七十億円程度であったんですが、平成十一年度には二千二百億円ということで、金額的には十年間で六倍となっているところでございます。 民間の金融機関が融資したローンにつきましては、これは件数が公表されていないんですが、貸出残高を見てみますと、住宅金融公庫が十二年の三月末で約七十四兆円、それから民間の住宅ローンの残高が約八十八兆円でございますから、民間のローンについても相当件数の不払いが生じているんではないかというふうに考えております。
○藤島委員 今、両方の数字を言っていただいたわけでありますけれども、こういうふうに急増している、これが今回の法案になってきている、こういうふうに理解をしておるわけです。 ところで、この法案では債務者の保護を非常に強く打ち出しているわけですけれども、住宅ローンの債権者の方の保護はどういうふうに考えておるんでしょうか。
○細川政府参考人 この法案は、御指摘のように住宅ローンを抱えた債務者が経済的に再生できるようにということを目的としておりますが、他方、住宅ローンの債権者が不当な不利益を受けないようにということで幾つかの措置を講じております。 まず第一に、住宅資金特別条項による権利変更の内容については、弁済の繰り延べのみを認めて、貸付債権の元本、利息、損害金の全額を支払わなければならないものとしております。また、弁済期間を延長する場合には、延長される期間についても必ず約定利息をつけなければならないものとしております。 また、住宅ローンの繰り延べの方法についても、できるだけ債権者に不利益がないようにということで、既に分割払いの期限が過ぎている部分、すなわち遅滞に陥っている部分を原則として三年以内に弁済するとともに、まだ分割の弁済期が来ていないものについては約定どおり弁済することというのを原則としておりまして、この方法によっては遂行可能な計画が立てられない、そういう場合に限りまして、最長十年、七十歳まで延長を認める、こういうこととしております。 また、三番目で、手続的な問題ですが、通常の民事再生手続では、再生計画が遂行される見込みがないときに限って計画不認可の決定を裁判所がすることになるわけなんですが、この住宅資金特別条項を含んでいる再生計画の場合には、その再生計画が遂行可能であると裁判所が積極的に認定する場合でなければその計画を認可することはないということになっております。 また、住宅ローンの債権者につきましては、必ず裁判所が計画認可について意見を聞かなければならないということを保障しております。 そういったことから、住宅ローンの債権者にも不当な不利益が及ばないようになっているものと考えております。
○藤島委員 それでは次に、住宅ローンの債権者以外の一般の債権者、その保護はどうなっておるんでしょうか。
○細川政府参考人 住宅ローンの債権者以外の債権者の保護のための措置でございますが、まず、住宅ローンについての特別条項がある再生計画の決議については、住宅ローン債権者には議決権がなくて、それ以外の一般の債権者のみが議決権を有することとしております。したがって、住宅資金特別条項を含む再生計画案を受け入れるかどうかは、他の債権者の意思にゆだねられているということになります。 また、給与所得者等再生では債権者の決議というものを省略しておりますけれども、これはその債務者の二年分の可処分所得のすべてを一般の再生債権者への弁済に充てなければならないこととしておりまして、住宅ローンの弁済にはこれ以外の原資を充てなければならないものとしています。 それから、住宅ローンの特則を定めますと、住宅ローンの債務者は、破産して免責を受けるということではなくて、住宅を保持したまま再生手続をしたいというふうにインセンティブを与えることになります。しかし、再生手続では、必ず破産手続よりも多くの配当を一般の債権者にしなければ計画は認可されないことになっておりますので、一般の債権者にとってもこれはメリットがある、こういうことになるわけでございます。
○藤島委員 それでは次に、この法案では個人だけが対象になっておって、法人が一切対象になっていない。しかし、個人でも、小さい、家族だけで有限会社とか、そういうケースも多いと思うんですね。ですから、小規模の法人といいますか、そういうのはなぜこの対象にしなかったんでしょうか。
○細川政府参考人 現行の民事再生手続は、主として中小規模以上の企業の再生のための手段として構想されたものですので、個人債務者が利用するには手続の負担が重いということがありまして、そこで、先ほど御指摘がありました経済情勢等がございますものですから、個人債務者が利用しやすい特則を設けようということになったわけです。 継続的な収入の見込みがある個人債務者の場合には、その将来の収入を弁済の原資として再生債権を分割して弁済するという割と単純簡明な再生計画を作成することになりますので、手続自体も簡素にすることができます。これに対して、法人の債務者の場合では、いかに小規模な債務者でありましても、やはり事業計画とか事業資産の処分とか、さまざまな事項を再生計画に盛り込む必要がありまして、その内容は個人債務者の場合よりも相当複雑にならざるを得ない。このように複雑な再生計画を作成せざるを得ない法人に対して、小規模個人再生が予定している簡素な手続を利用させることは難しいという判断であったわけでございます。 また、現実的にも、小規模零細な場合であっても、法人である以上は無担保の再生債権の額が三千万円以下ということは余りないと言われておりまして、そうしますと、三千万円以下の無担保債権についての特則を法人を対象とする実益も少ないんではないか、そんなようなことを検討いたしまして、これは法人を対象といたさなかったものでございます。
○藤島委員 手続の簡素化と、対象として余りないだろう、こういうことですか。
○細川政府参考人 御指摘のとおりでございます。
○藤島委員 三千万円に頭を打ったということにも関係しているんだろうとは思います。 それから次に、これによる取扱件数、これは大体、今後どれぐらいの数が一応予想されているのでしょうか。
○細川政府参考人 個人債務者の破産件数につきましては、先ほど最高裁の民事局長からお答えがありましたように、約十二万件でございます。アメリカの連邦倒産法では、破産免責手続とそれから個人債務者の今回御提案申し上げているような手続と二つありまして、その後者が連邦倒産法の十三章に規定されているわけですが、この両者の事件数を対比してみますと、破産が七で個人債務者の再生が三と言われております。ですから、十二万件を七対三で割ってみると、三万とかそんなような数字が出てきます。 それから、本年二月から施行された特定調停法がございます。これは二月から施行されまして、五カ月間で約十万件があります。裁判所の事件の数の勘定の仕方は、特定調停の場合には債権者の数で勘定していまして、一件当たり大体七、八人の債権者がいると言われています。ですから、それを割りますと、さっきの十万の七分の一とか八分の一になるわけですが、それを今度一年分に引き直しますと、やはり三万とか四万とかいう、そんな数になってまいります。 それから、特定調停では通常、利息とか損害金は免除することがありますが、元本自体は全額払うという、でないと調停が成立しないと言われているのですが、今回のものは元本も免除することが可能でございます。 そういったことをいろいろ考えてみますと、これから制度の周知徹底がどの程度できるかにもよるわけですが、相当の件数に上るというようなことを考えているわけでございます。
○藤島委員 それでは、最高裁の方にお伺いします。 今お答えがありましたように、相当膨大な数が予想されるわけですね。そういうものに事務処理が間に合うのかどうか。間に合わないで、結局時間が大変かかるということになると、せっかくつくった法律も、現実には利用者が思うような利用ができない、こういうことになりかねないわけですが、その辺はどういうふうにお考えですか。
○千葉最高裁判所長官代理者 裁判所としましては、これまでも倒産事件の新受事件数の増加に対応するためにいろいろな施策を講じてまいりました。OA機器等の導入とか、執務資料の整備、手続をわかりやすく説明したパンフレット、それから定型の申し立て用紙の備え置き等でございますが、そのほか人的な面でも、事件の急増する繁忙庁に対して必要な人員の増配置を行ってまいりました。 今回の御審議の法案が成立した暁には、この手続を利用する申し立て件数というのは、今法務省の民事局長の御説明のとおり、大変多数になるものというふうに予想されております。その処理も、委員御指摘のとおり、遅滞なく処理をしないといけないということになろうかと思います。 したがいまして、裁判所といたしましては、他の倒産処理事件も含めた事件の動向等も踏まえまして、的確な事件処理が図れるように、迅速な事件処理が図れるように、引き続き必要な人的あるいは物的な手当てをしていきたいと考えております。
○藤島委員 ぜひその点を怠りのないようにお願いしたいと思います。 では、法務大臣にお伺いしたいのですが、この法案はある種の平成の徳政令のような感じがするのじゃないかと思うのですけれども、借り手のモラルハザードといいますか、こういう点についてはどんなふうにお考えでしょうか。
○保岡国務大臣 これは、債権者、債務者の間の利害調整を裁判所が入ってみんなでまとめて、経済資源を生かしながら、また債権者は回収をより多く、債務者は再挑戦の機会を得るというようなことで進めるので、私は、単なる徳政令とは全然性質の違うものだと思っております。 そこで、小規模個人再生及び給与所得者等再生において、次のとおり債務者のモラルハザードを防止するための措置を講じております。 まず、両手続とも、わずかばかりの金銭の分割弁済により破産しないで再生することが可能となることによってモラルハザードを招くとの懸念が生ずることを防ぐという観点から、法の定める最低弁済額以上の額で、かつ、破産の場合における配当額以上の額を無担保債権者に弁済しなければならないこととしております。 次に、小規模個人再生においては、債務者が作成した再生計画案に対して債権者の半分以上が反対した場合には手続が廃止されることとなっており、債権者の意向が手続に反映されることになっております。 また、給与所得者等再生においては、債権者による決議を省略はしておりますが、そのかわりに、債務者の可処分所得の二年分に相当する額が前述の最低弁済額を上回る場合には、その額以上の額を弁済しなければならないこととしております。しかも、この可処分所得は債務者の収入から生活保護レベルの最低生活費のみを控除して算出するということになっておりまして、債務者にとっては、生活を切り詰めて、相当に厳しい弁済を行わなければならないということになります。 以上のような次第で、今回の新しい再生手続の創設によって借り手のモラルハザードを招くという懸念は、先ほど申し上げたように無用であろうと思います。
○藤島委員 それでは、まだちょっと時間がありますので、以下、条文について若干お伺いしたいと思います。 まず、百九十九条の関係でございますが、再生債務者の年齢が七十歳を超えない範囲ということと、最終弁済期から十年を超えない、こういう条件のこの数字の根拠はどこから来ているのでしょうか。
○細川政府参考人 住宅資金特別条項による期限の猶予は債権者の同意なしにするものでございまして、これを自由に延長できることといたしますと、住宅ローン債権者に不当な不利益を与えるということになります。 他方、住宅ローンの実務におきましては、当事者間の話し合いでリスケジュールが広く行われておりますが、この合意ベースでのリスケジュールに関して銀行等が設けている基準がございまして、この基準を参考といたしまして、そのうちで債務者に最も厳しい内容のものが十年、七十歳なんです。ですから、それを法律上の基準といたしますれば、債権者に対して不当な不利益を与えることはないだろうということでいたしたわけでございます。
○藤島委員 次に、二百二十一条の関係ですけれども、再生債権の総額が三千万円を超えないもの、その三千万円という数字はどこから来たのでしょうか。
○細川政府参考人 個人債務者であっても、負債額が多い場合には再生計画による債権の免除の率が非常に高くなりますので、結局、債権者に与える不利益も大きいわけですから、簡素な手続を利用させるのにはおのずから限定があるわけでございます。そこで、適格要件として総額を基準とした上限を設けたわけです。 御指摘の三千万円の根拠でございますが、まず一つは、外国の例でございますが、先ほど私が申し上げましたアメリカの連邦倒産法の十三章の手続では、利用者適格は二十五万ドルになっておりまして、約二千八百万円でございます。それから、我が国の方の個人債務者の破産事件を見てみますと、一件当たりの破産債権の総額が五百万から一千万円が普通でございまして、商工ローン等で保証債務を負っている場合でも二千万円を超えることは余りない。三千万円といたしますと九〇%以上の人がカバーできますので、この程度の上限が最も適当であるというふうに考えたわけでございます。
○藤島委員 政府の無担保保証が五千万円というのもありますので、もうちょっと大きくてもいいのかなという感じもしますけれども、これは、時代の趨勢とか何かを見ながら、また考えていく余地のある金額かもしれないなという感じはいたしております。 次に、二百二十三条の個人再生委員の関係ですけれども、この任務はここに、再生債務者の財産状況等の調査とかそのほかあるわけですが、資格及び費用、費用も余り多額になるようであればこの制度を使いづらいことになるわけですけれども、どんなぐらいに考えておるのでございましょうか。
○細川政府参考人 お尋ねの個人再生委員の資格につきましては、法律上は特に制限は設けておりません。したがって、裁判所が適任者を選ぶというふうになるわけです。一般的には弁護士さんが適当だと思いますけれども、地域によっては弁護士さんが得られない場合もありますので、そういう場合には、例えば司法書士さんとか特定調停の調停委員になっているような方も考えられると思います。 それから、費用でございますが、ただいま御指摘がありましたように、小規模個人再生につきましては、通常の再生手続のように監督委員とか調査委員を置かないで、職務が三つに限定されたものに限って、これらの中から裁判所が事案に応じて必要な職務を指定するということになっておりますので、通常の民事再生手続に比べますと非常に低額になるであろうというふうに思っています。具体的な額につきましては、裁判所が事案の内容を比べまして定めるということになるわけでございます。
○藤島委員 次に、二百二十九条の新設関係ですけれども、権利の変更の内容が三年、こうなっているわけですね、弁済期の到来しているものについては。この三年とした理由はどういうことでしょう。
○細川政府参考人 小規模個人再生でも、弁済額は百万円から三百万円ぐらいになるわけなんですが、これが余り長期間になりますと、そしてそれがおのおのの債権者に分割していくわけですので、非常に双方にとっても管理の負担が大きいということと、余り少額だと送金の手数料も比較的に大きい金額になるということがございます。そういったことから、三年間ということでいたしますれば、双方にとっても負担の少ない額になるであろう、このようなことを考慮したわけでございます。
○藤島委員 次は二百三十条ですけれども、半数に満たず、かつ、その議決権の総額の二分の一を超えないときということで、「再生計画案の可決があったものとみなす。」こういうふうな規定があるわけです。私は、この規定は現実的には非常にいい規定だなという感じがするのですね。実際問題、債務者が賛成の数をとるというのは、仕事の合間にとるのは大変なことだろうと思うので、反対者が少なければ自動的になるというこの規定は非常に意味がある規定だろう、私はこういうふうに評価をしているわけであります。 それから、もう時間でありますので、最後でございますけれども、二百三十一条で「五分の一又は百万円のいずれか多い額」を規定しているわけですけれども、この数字の根拠をお伺いします。
○細川政府参考人 小規模個人再生は、やはり破産免責に比べると相当、債権者にとっても裁判所にとっても労力がかかるものでございます。ですから、そういう労力をかけてもするだけの社会的に意味のある額でなければならないということになろうかと思います。 他方、破産免責の場合には、残額は免除になりますが、その場合には、債権者はその額を経費として全額一時に落とせるわけですね。それから、債権管理のコストがなくなるわけですから、余り小さい額ですと、その利益を下回ってしまいます。ですから、そういったところをいろいろな業者の方々から意見を聞くなどいたしまして、最低限社会的に意味のあるのはただいま法文にあるような額ではなかろうかということでいたしたわけでございます。
○藤島委員 まだ幾つかお伺いしたい点があるのですけれども、時間ですので、終わります。
○長勢委員長 木島日出夫君。
○木島委員 日本共産党の木島日出夫です。 民事再生法等の一部を改正する法律案、そして外国倒産処理手続の承認援助に関する法律案、いずれも我が党は賛成であります。しかし、これはいずれも参議院先議でありまして、参議院で大分論議がされておりますから、それを踏まえて、幾つかの点について要望的な質問をしたいと思います。 最初に、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律でありますが、私も、我が国の倒産法制の属地主義を改めることは必要だと考えております。国連国際商取引法委員会、UNCITRALモデルとこの法案との大きく異なるところは、承認がなされますと、モデル法によりますと自動的に強制執行手続や訴訟手続が停止される、それから債務者の財産処分権も当然停止となるということかと思いますが、法務省が提出された本法案は、そういう仕組みをとらずに、これらを一つ一つ裁判所の個別的決定にゆだねている。二重手間のようにも感じるわけでありますが、国際モデルと違って、このような個別的な裁判所での決定にゆだねたのはなぜなのか。ちょっと質問通告しておりませんでしたが、答弁いただきたいのです。
○細川政府参考人 モデル法と今回の法案の最大の相違点は、ただいま木島先生の御指摘のとおりでございます。 それで、承認があった場合に、当然に債務者の管理処分権がなくならない、あるいは債権者が強制執行できないということの、そういう制度をとらなかった理由でございますが、これは、各国の倒産法制では、手続の中止効それから処分の禁止効について適用除外があるのが通例でございますし、その範囲もさまざまでございます。したがいまして、承認の決定により当然生ずる効力の内容をこの法律案で一義的に規定することは難しいということでございます。 ですから、そこのところをあいまいなままで、外国の法律に生じた効力が日本でも当然生じるということになりますと、やはり取引の安全を害する、あるいは債権者、債務者が不知の間にいろいろな制限効ができている、こういうことになりかねませんので、承認の決定をしてその資格があることを前提とした上で、我が国の裁判所が、申し立てによって個別的な処分の禁止等に付す方がより適切ではないか、このように判断したわけでございます。
○木島委員 続いて、現在の我が国内外の多国籍企業の状況を見ますと、ほとんどの場合、我が国企業が海外へ資本投下して事業を展開しているについては、現地法人を設立してやっているのじゃないか。また、外国の企業が我が国内で事業活動をする場合も、我が国の法制に従って、子会社としての法人を設立して事業活動を展開しているのではないかと思うのです。 ところが、この法案では、こうした海外子会社が倒産手続に入った場合適用されるのか、別法人になってしまった場合適用されるのか、また、我が国にある外国法人について、本国の親法人について倒産手続が行われた場合にも承認という行為手続が適用されるのか、まずお伺いしておきたいと思います。
○細川政府参考人 御指摘の場合には、いずれも適用されないということでございます。
○木島委員 そうなんですね。適用されないと思うんです。 そうしますと、適用される場合が非常に狭くなりやしないか。せっかくこういういい法律をつくって、属地主義の原則を根本的に転換するんですから、それは広く適用された方がいいと思うんですが、ほとんどの場合、さっき言ったように、子会社には適用されないということになってしまいますと、法の目的が達成できないんじゃないか。 ちょっとお伺いしたいんですが、我が国の企業が海外事業活動を行っている場合、何割ぐらいが子会社なるものをつくらずに、直接日本の法人の名前と法的形態で事業しているのか。その逆に、外国法人の何割ぐらいが我が国内で子会社という形をつくらずに、その外国法人の名前そのもので事業活動を展開しているのか。なかなか難しいことかと思うんですが、そういう経済実態を法務省はつかんでおられるんでしょうか。
○細川政府参考人 これは、御指摘のような統計ですか、それはないのではないかと思います。私どもは承知しておりません。 ただ、このようにした理由を若干説明させていただきたいと思うんですが、実は国内の倒産法制でも、倒産処理手続というのは独立した法主体を単位として行っておりますので、日本国内にある親子会社でも、手続はそれぞれ別になります。民事再生手続では、そういう場合に一体として、同じ裁判所が取り扱いをできるようにする管轄の特則はございますが、手続はあくまで別個独立でございまして、これは実は外国でも同じでございます。ですから、ただいま御指摘の問題は、実は国内にもあります、また外国との間にもあるわけでございます。 こういった複数の法的な主体の間で、御指摘のように密接な経済的な関連性がある場合には、それを一体に処理できればそれはよいわけなんですが、ただ、それぞれの法主体の倒産処理における利害関係人の範囲とか、それから利害関係の内容が同一でございませんから、一つの手続で公平に調整する規律を設けることは技術的に極めて困難でございます。 実は、この点はUNCITRAL、国際商取引法委員会でも議論されたんですが、最終的には、法技術的困難性から規律を設けることが断念された、こういう経緯がございますので、これは今後の検討課題でございます。
○木島委員 国際的にも今後の検討課題だということのようですが、私は、国内の倒産法制で、親子会社があったときに、それは確かに現行法制も別です。別なんですが、目の前に親会社があり、子会社があればわかりますからね。法人格の否認の法理とかいろいろな法理を尽くして財産の持ち逃げ等を封じ込めることはできると思うんですが、これが国際間で親子会社になりますと、子会社が見えない。ですから、適正な倒産処理として非常に困難を来すんじゃないかというふうに思うんです。そしてまた、特に私先ほど言いましたように、私の知る限り、海外事業展開している企業はほとんど現地法人をつくりますから、ほとんどが別法人ですから、せっかくの法律が動かなくなっちゃうんじゃないかというふうに懸念をしたので、このような質問をさせていただいたわけです。 今後、国際社会の場で、こういう親子関係の国際倒産法制をどうするか、非常に大きな論点になるかと思いますので、注意を喚起した次第であります。 続いて、民事再生法の一部改正法について、幾つかの問題について立ち入って質問をしたいと思います。 最初に、二百二十六条、届け出再生債権に関する異議の問題であります。 小規模個人再生、またその中の特例としての給与所得者等再生手続におきまして、再生債務者は債権者一覧表に記載していないものについては異議を述べることはできないとされております。 なぜこのような制約をつけたのか。債権者一覧表は、再生手続開始の申し立てと同時に提出しなければならないものであります。なぜ最初からこういう異議の留保をしないといかぬのか。一般異議申述期間内に異議を申し出ればよいではないかと私は思うんです。したがって、法二百二十六条ただし書きは削除すべきだと私は思うんですが、なぜこのようなただし書きをつけたのか、御答弁願います。
○細川政府参考人 債権者一覧表は、再生債務者がみずから記載して裁判所に提出するものでございまして、これを当初に提出する必要があるのは、やはり三千万円以下という要件がございますので、その要件が満たされているかどうかということを知ることが必要であるからでございます。 個人債務者の中には、これまでの金銭の借り入れや利息等の支払い状況がはっきりわかっていない、残元利金が幾らであるかを正確に把握できないものも少なくないと思われますので、再生債務者がみずから記載した再生債権の額についても、一覧表に異議を留保する旨の記載をすることを条件に、後に異議を述べる機会も与えることができることといたしたわけでございます。 したがって、債務者が一覧表に異議を留保する旨の記載をしない場合には、その債務者は、みずからがその存在を認める額を記載して、それを裁判所に提出したということでございますので、いわゆる禁反言の考え方ということに従いまして、後に異議を述べることを認めていないわけでございます。
○木島委員 禁反言の法理という立場からですか。 多くの多重債務者の場合、どういう状況にあるかといいますと、利息制限法第一条の最高限度を超える超過利息払いを大体続けているものなんです。しかし、多くの貸金業者の方は、御案内かと思いますが、貸金業規制法第四十三条、任意に支払われた場合のみなし弁済のあの規定の要件を大体満たしていないんですね。ちゃんと書類上の手続をきっちりやっていない、そして超過利息を取得している業者が多いわけなんですね。 そういう場合に、支払い済みの超過利息は元本充当されて、そして債務残高は実際表に見える債務額よりはるかに少ないことが通例だと思うんです。実際、貸金業者は、超過利息は利息として計算して債務者に通知しますから。しかし、それは利息制限法または貸金業規制法に反するということで、本来、きちっとした債権確定手続が行われるならば、超過利息は元本充当されて、元本が減る。しかし、現実には、そういう手続をとらずに、債権額がひとり歩きしているんじゃないか。こういう場合が多いんです。 そうしますと、債務者の方は、貸金業者から来る通知の上に書かれる表面上の債務額を債権者一覧表に記載をして、そしてほとんどの場合、異議を述べる旨の留保などしないで個人再生手続に入っていくんじゃないかというふうに私は思うんですね。そうしますと、法第二百二十六条のただし書きをくっつけることによって、利息制限法違反、貸金業規制法違反、そういう営業をしている悪質な高利業者のみを利する結果になっちゃうんじゃないか。著しく正義に反することになるんじゃないか。 何で入り口のところでそういう異議の留保を求めたのか、私、本当にわからないんです。手続の中でちゃんと異議申述期間というのがあるんですから、そこでいいじゃないですか。何でしょっぱなからこういう異議の留保を債務者に、現在の実際の高利金融業者と借入人との慣行を考えたら、こんなものを冒頭から要求することは過酷じゃないかと思うんですが、どうですか。 〔委員長退席、杉浦委員長代理着席〕
○細川政府参考人 この個人債務者の再生手続で債権者一覧表を提出することを義務づけたのは、先ほども申し上げましたように対象たる債権の額を知るということが第一点ですが、もう一点は、債務者が自認したものについて債権者に争いがなければ、改めて債権の届け出の必要がないということにいたしまして、手続を簡素化するためにであります。 そういうことを前提として御説明した上で、さらに説明申し上げますと、この債権者一覧表に記載する債権額は、債務者が現在あると自分で判断する金額を記載すればよろしいわけでして、これは法定利息を超過しているので、それを元金に充当していきますと現在残元本はこれしかないはずだ、そういうふうに思ったら、その金額を書けばよろしいわけなんです。その本人が計算して、やはりこれまでは少なくともあると思った額を書いていただければそれでいいわけです。 ただ、よくわからないで書いておきまして、これは一応裁判所に全体の金額がどの程度かと知ってもらうために書くわけですので、しかし、それでも自分は疑問があると思えば、それは異議を留保しますと書いていただければ、今度は、評価の手続では、債権者の方がその債権額があることを証明しなきゃならぬ、こういうことになるわけでございます。 さらに、この評価の手続は、実体的な確定をするわけではなくて、手続内で債権総額は幾らか、あるいは議決権の行使の額が幾らかというように決めるためにやるものだけでして、実体的な権利は確定いたしません。したがいまして、当初異議をとどめなかったのが間違っていたという場合でも、これは訴訟によって争うことができます。 ですから、異議をとどめるというのは、そういう手続を簡素化するための方策だということを御理解いただきたいと思います。
○木島委員 今最後に述べられたような実体的な債権が確定しないのだという答弁を、参議院の審議で江田五月議員の質問に対して答えておりますが、私はこれはごまかしだと思うのです。 なぜかというと、事実上、ちゃんと超過利息を元本充当して、しっかり計算して、金額を小さくして届け出る、そういう立派な債務者だけじゃないのですよ。表面上、高利貸し、金融業者から来ている通知の最後の元本額を書いて提出する、大体そうなんですよ。 そういうことで、実際はもっと債務は少ないのだけれども、高い債務額を書いて債務者は届け出をする。そうすると、異議申し立ての留保がありませんから、もちろんそういう高い数字が書かれていますから、債権者たる金融業者は黙っておる、知らんぷりしておる、だれからも異議が出ない、そうすると、その数字が確定してしまうのじゃないですか。その債務額が、この法体系によると議決権の額となるのでしょう、そして再生計画の基礎債務額として扱われるのでしょう。そして、何割かカットされて弁済に回っていくわけでありますが、そうすると、事実上、確定債権額として扱われていくのじゃないのでしょうか。そういうことが現実に想定されるのです。 だから、余りにもこの形は、法務省は冷た過ぎやしませんか、そういう高金利、高利貸しによって苦しんでいる多重債務者に対して冷た過ぎるのじゃないかと指摘しているのですよ。
○細川政府参考人 通常の民事訴訟でも、債権者がこれだけ債権があるから支払えという訴訟をしてきた場合に、債務者がそれを認めると言えば、それはそれで、自白の拘束ということで、その額で請求が認められる、こういうことになるわけでございます。 この手続では、要するに限られた弁済原資をどうやって分けるかということを決めるのが議決権ですから、かつ債権額は実体的に確定しておりませんから、そこは最終的にはこの手続では決まっていない。ただ、多くの場合に、債権者、債務者に不満がなければ、この手続で決められた金額で弁済が進められていくだろう、このように考えているわけでございます。
○木島委員 第三者にはわからないことなんですね。貸金業者と債務者との債権関係がどうなのか、利息制限法に反する超過利息の支払いがあるのか、それが本来、元本充当されて元本が下がるべきなのかどうなのか、第三者に見えません。それが見えるのは、金融業者と実際に借りている債務者と、そして裁判所でしょう。それが見逃されていくおそれがあるのじゃないか。 現在、破産手続におきましては、破産管財人は、通常、利息制限法を超過する金利を取得している業者に対しては、取引経過の提出を求めて、利息制限法を超える分については異議を出してちゃんと計算をやり直させていると聞いております。私もそういうことをやらせたこともあります。 本年二月十七日施行の特定調停手続におきましても、債権者に対する取引経過について、提出命令に従わない場合は制裁規定などが定められて、ちゃんとああいう特定調停手続においても利息制限法による引き直し、計算が一般に行われていると聞いておるのです。 さらにまた言いますと、最近の任意整理におきましても、利息制限法を超過する超過金利については元本充当して債務残高を下げる、きちっとした処理がなされていると聞いておるのです。 そうしますと、民事再生法の小規模個人再生手続、給与所得者等再生手続等においても同様な手続がちゃんと保障されなければ、せっかく実務では超過金利についてはちゃんと元本充当で計算のやり直しが行われているのにもかかわらず、この法律をつくることによって、最初の申し立てのときに異議の留保をしないとそれが見過ごされてしまうというような法律をつくり出したのじゃ、せっかくの実務のよき慣行が後ろ向きになってしまうのじゃないか、そこを心配しているわけです。 どうですか、そういう実務があるのですから、それの実務に倣って、超過利息の元本繰り入れがやりやすいような手続上の仕組みをつくるべきなんじゃないでしょうか。くどいようですが、大事なところですので、答弁を求めます。
○細川政府参考人 この個人再生の特則におきましても、利息制限法に違反するような超過利息を払うことを強制するというようなことは毛頭考えていないわけでして、実体的に引き直したものを再生債務として弁済していただきたいということになっているわけであります。ですから、そのためには、要するに、債務者の方が、申述する人が、安易に、異議をとどめないという債権者一覧表を提出しないということが大事なことであります。 この点につきましては、既に、日本弁護士連合会等では、こういった手続に備えて、適切に処理できるように、各単位の弁護士会とも連絡してこれからの処理のやり方を決めていくということになっておりますし、また、日本司法書士会連合会におきましても、そういったマニュアルをつくるということで、ただいま御指摘のような問題が生じないように今しているわけです。 また、異議を留保するかどうかというところに問題がある場合には、民事再生手続では、債務者から債権者に対して資料の提出を求めるということが最高裁規則では定められておりますので、この小規模個人再生につきましても、最高裁規則で、債務者から債権者に対して資料の提出を求める手続を設けるということを今検討しているというふうに聞いておるところでございますので、運用がきちんとすれば御指摘のような問題は生じないものと考えておるわけでございます。
○木島委員 だから、私が言っているのは、異議申し立て手続がちゃんと行われなければ超過金利がそのまま合法化されてしまうのじゃなかろうか、ですから、異議がきちっとできるような仕組みが必要だ、それを冒頭やっておかなきゃ異議申し立てする機会が奪われてしまうのですから、そういう無法な高金利を容認することに結果的になってしまうのではないかと指摘したわけですが、まともな答えになっていないかと思います。 この問題だけをやっていますと時間がなくなりますから、次に、再生計画認可の同意についてお聞きをいたします。 再生計画案の認可につきましては、給与所得者等再生手続では、債権者の意見聴取だけで議決は不要であります。ところが、小規模個人再生手続では、議決権者の二分の一、議決権総額の二分の一という、これは消極的同意を条件としております。なぜこのような区別をしたのでしょうか。小規模個人再生手続全体について債権者の同意を不要としてもいいのじゃないかと私は思うのですが、どうでしょう。
○細川政府参考人 給与所得者等再生においては、可処分所得の二年分以上の額を弁済原資に充てることを条件として、再生計画案について債権者による決議を省略しています。これは、給与所得者等再生の対象となる債務者が、サラリーマンのように将来の収入を容易、確実に把握することが可能である者であることから、債権者の決議を経なくてもその利益を害するおそれがないと考えられたためであります。 これに対して、小規模個人再生においては、その対象者に小規模個人事業者のように将来の収入の変動の可能性の高い方を含んでおります。このような方について、過去の収入から可処分所得を算定したとしても、その確度は必ずしも高いとは言えないものですから、これと引きかえに債権者による決議を省略することは、債権者の利益を不当に害するおそれがあるということでございます。
○木島委員 法案によりますと、小規模個人再生につきましても、将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあること、これが要件になっているのですね。再生計画におきましても、認可決定から三年、特別の事情がある場合は五年の範囲内で、かつ弁済期が三カ月に一回以上到来する分割払い方法で支払う、そういう条件がついているのです。給与所得者等再生の場合はもっときちっとした条件であろうと思いますが、しかし、小規模個人再生手続にもそういうような条件が前提なんですね。 そうすると、給与所得者等再生の場合と私は質的な差異はないのじゃないかなと思うのです。現在も、抜け駆け的な債権回収の目的で、十分な理由もなくて破産の免責に対して貸金業者などが異議申し立てを乱発する、また免責許可決定に対して抗告を乱発するという状況もあります。そうしますと、貸金業者が結託して不同意だという態度をとり、再生計画認可をつぶしてしまうということだって想定されるのですね。 ですから、私は、給与所得者等再生手続だけじゃなくて、もっと広く小規模個人再生手続全体について、こういう貸金業者の無法なやり方を防止するためにも、もう質的に違いがないのですから、債権者の同意は必要ないと一歩踏み込んでもいいのじゃなかろうかと思うのですが、いかがでしょうか。
○細川政府参考人 やはり民事再生手続の原則は、通常の手続に見られますように、債権者の半数以上の同意が必要だというのが大原則でございます。ですから、債権者の債権額を一定の割合で免除するということですので、やはり原則として同意が必要だということになるわけでございます。 ただ、給与所得者等再生の場合には、対象者の将来の収入が容易、確実に把握できますので、したがって、どの程度がこの人のぎりぎりの弁済額だということがわかります。無理なものは要求できませんので、そのぎりぎりの額を返済していただければ、これは債権者としても同意していただくほかはないというのが給与所得者等再生で債権者の同意を不要としている理由なんです。 ところが、小規模個人再生では、そういう将来の収入を確実、容易に把握するということができませんので、それを債権者の同意なくしてできるということになれば、これは債権者の利益を不当に侵害するということになるわけで、ここのところはやはり本質的な差異であると私どもは考えているところでございまして、この点は法制審議会でも十分検討されたのですが、最終的にはこのような結論に至ったわけでございます。
○木島委員 答弁は本質的な差異だとおっしゃいますが、私は余り本質的な差異ではないのじゃないかと思うのですね。 いずれにしろ、個人の再生手続というのは、多重債務者が立ち直ること、生活再建を立法目的としているわけです。しかも、破産手続と比較して債権者にとって不利とならないために、将来の所得を弁済に回す。程度の違いはあれ、いずれにしろ法定されているわけでありますから、破産に比べてはるかに債権者の利益が図られる仕組みになっているわけなんですから、債権者の同意を要件としなくてもいいのじゃなかろうかと私は思います。 もう時間ですからこの辺で切って、同僚委員からも再三指摘されておりましたが、三番目に、対象債権額が三千万円以下としていること、これはちょっと狭過ぎるじゃないか、また、弁済総額が基準債権額の二〇%または百万円のいずれか多い方としていること、条件が厳し過ぎるのじゃないかと思うのです。これはできるだけ条件を広げて、個別個別には裁判官が判断できるわけですから、再生計画という形でいかようにもやれるわけですから、入り口から狭めてしまうというのはいかがなものかと思うのです。 時間ですから終わりますが、せめて対象債権額は三千万じゃなくて、論議にあったように五千万円にすべきじゃなかろうかな。無担保無保証の融資制度の限度額が今五千万なんです。しかも、補正予算では八千万円に引き上げるというような状況も生まれているわけなんですから、三千万というのはいかにも低過ぎると思うのですが、御意見だけ申し上げまして、時間ですから終わらせていただきます。
○杉浦委員長代理 次に、保坂展人君。
○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。 まず、民事再生法の一部改正案についてお聞きをしたいと思いますが、これに先立って法務大臣に、そもそも個人破産、こういう人たちが大変な勢いでふえているわけですね。十二万人台に上った。どうしてここまでひどい、そういう個人個人の破産者がウナギ登りにふえてくるという状況を招いたのでしょうか。
○保岡国務大臣 個人破産の件数が激増していることについては、いろいろな要因があるだろうと思います。しかし、大きくとらえれば、やはりバブル経済の崩壊後、景気の低迷がずっと長引いてきている、その中で企業が倒産したり、あるいはリストラして、いろいろ人員の整理その他がふえている、こういったことが反映して倒産件数が激増してきているのではないか、そういうふうに思います。
○保坂委員 それをお聞きしたのは、やはり政府としてこれ以上、今ますます経済状況、人によっては非常に厳しいところに置かれている方々も多いので、ぜひ責任を持って行っていただきたい。 細かい点に入りますけれども、住宅資金特別条項、これは二百二条関係なんですけれども、民事再生法の不認可事由では、百七十四条二項で「遂行される見込みがないとき。」というふうにされていますけれども、今回の改正案で住宅資金特別条項のところでは、二百二条の二項二号では「遂行可能であると認めることができないとき。」つまり「遂行される見込みがないとき。」と「遂行可能であると認めることができないとき。」この両者の違いはどうして出てきているのでしょうか。
○細川政府参考人 通常の民事再生手続におきましては、御指摘のとおり、不認可事由が「再生計画が遂行される見込みがないとき。」でございます。したがいまして、裁判所が再生計画の遂行の見込みがないと認定する場合に限って再生計画を不認可とすることを意味するものでございます。 これに対して、住宅資金特別条項を定めた再生計画の場合には、不認可事由は「遂行可能であると認めることができないとき。」というふうになっております。これは、裁判所が遂行可能であると積極的に認定することができる場合以外は再生計画不認可の決定をするということを意味しているわけでございます。 その際の理由でございますが、通常の民事再生手続では、再生計画案が債権者の多数の同意を得て可決されたということですから、要するに、多数の債権者の判断をできるだけ裁判所も尊重する、こういう意味があるわけでございます。 ところが、住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の場合には、そもそも住宅ローン債権者の同意がなくてもいいわけでございまして、債権者の同意がなくてもいいということがあります。それからもう一つは、再生計画が遂行されなかった場合には、住宅が値下がりしたりとかする場合には、結局、担保権者が損をしてしまうということがあります。 そのような不利益をこうむらせないという意味におきまして、それから、同意がないという二つの理由から、やはり要件を変えるのが適当である、このように判断されたわけでございます。
○保坂委員 それでは次に、小規模個人再生の要件について伺います。 これは二百二十一条ですが、将来の継続的収入ということをどういうふうに考えているかということなんですけれども、労働の対価ではない所得、例えば年金収入であるとか保険が入ってくるとか、こういうことも含まれているのかどうか、ちょっと確かめたいと思います。
○細川政府参考人 法案におきましては、継続的または反復した収入の中身について、何ら限定をしておりません。したがいまして、年金などの労働の対価でない所得もこれに当然含まれるわけでございます。
○保坂委員 続いて、二百二十三条の個人再生委員をどういうところから供給してくるか。弁護士が選任されることが多いと思いますけれども、弁護士のほかに、例えば司法書士、行政書士、公認会計士等が選任される場合があるのか、あるいはこれは法人もできるのかということについて法務省に伺います。
○細川政府参考人 個人再生委員の選任資格につきましては、法律上制限を設けておりません。職務が三つありますので、指定される職務の内容に応じて裁判所が適格者を選任するということになるわけでございます。 御指摘のとおり、通常の場合は弁護士さんが最も適任であろうかと思いますが、ただ、この事件は相当多数に上ることが予測されますし、都会地だけでなくて地方でもそういう案件があるだろうと思います。ですから、弁護士さんだけに個人再生委員を限りますと非常に問題が生ずるということになりますので、職務の内容に応じて広く適格者を求めるということになると思います。 具体的な候補としましては、ただいま挙げられました裁判関係事務の専門職である司法書士さんとか、あるいは特定調停に携わっている調停委員さん、そんなようなことが考えられるのではないかと思います。 それから、法人も個人再生委員になることができます。これは明文の規定を置いております。
○保坂委員 同じことを最高裁に、具体的にどういうふうになさるのかということを聞きたいと思うのです。 大変な数がこの手続をとるということも予想される、そしてまた、例えば弁護士ということで言えば、地域によっては大変手薄な地域もございますよね。この個人再生委員を速やかに充てていく、適任者を確保するために、どういう方策を最高裁はとろうとしているのでしょうか。
○千葉最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、個人再生委員の候補者として適任の者を確保する、これは重要な問題であると考えております。 個人再生委員といたしましては、今法務省の民事局長の説明のとおり、弁護士がふさわしいというふうに考えられておりますので、候補者の確保につきましては弁護士会の協力が欠かせないというところでございます。 倒産事件における機関の確保については、従前から各裁判所が地元の弁護士会との間で協議の場を設けられておりまして、そういう協議をしているわけでございます。個人再生委員につきましても、今後、各裁判所の実情に応じまして、これまでの協議の実績も踏まえて、この給源を確保するために、弁護士会との協議等を行うことになるというふうに考えております。 また、弁護士以外の給源でございますけれども、こういうものを開拓する必要がある場合に、やはり地域の実情に応じて、各裁判所において関係団体とも協議を持って候補者の名簿を作成する、そういう必要な準備を行うことになるものと考えております。 最高裁といたしましては、そうした各地方裁判所の協議がスムーズに行えるように、日弁連などの上部団体に働きかけをしていきたいと考えているところでございます。
○保坂委員 それでは、民事局長に、これに関してあと一点だけ。 民事再生法の審議のときに、私どもは、労働債権がどういうふうに帰属していくのかという点について関心を持って質問を申し上げました。今回、再生債務者が個人事業主である場合、つまり、その個人事業主が雇っている労働者の給与が労働債権として取り扱いを受けるのか、先取特権として優先弁済を受ける権利などは確保されているのかという問題。そこに加えて、例えば解雇予告手当とか、あるいは、個人事業者ですから、下請さんに手間賃を払う予定であるとか、このあたりはどういう扱いになっていくのか。そこの一点、ちょっとお願いしたいと思います。
○細川政府参考人 個人事業者である債務者が小規模個人再生を利用した場合においても通常の民事再生に関する規定は適用されまして、適用除外になるのは二百三十八条で具体的に列挙をしております。その二百三十八条の中には、労働債権を保護するためのいろいろな規定というものは除外規定の中に入っておりません。 ですから、被用者の労働債権の保護については、民事再生手続の関係と、通常の場合と全く同じでございまして、そのほかの場合も、この前の再生法の御審議のときに申し上げたのと全く同じでございます。
○保坂委員 それでは、今度は国際倒産法制の方に行きたいと思うのですけれども、これもまた同様の点だけちょっとお聞きしたいと思うのです。 裁判所が承認の決定をしたときに、債務者の日本国内の労働組合あるいは従業員の代表者に通知をするということになっていますけれども、この規定がどういう役割を果たすのかという点。 さらに、労働組合はこの種の通知を受けた場合にどういう対応をとるのか、どのように考えられるのかという点について伺います。
○細川政府参考人 この国際倒産処理の法律が適用になる会社というのは相当大きな規模の会社ですので、従業員の方も多数おられるということになると思いますけれども、そういった場合に、雇用主が倒産するということについては重大な利害関係があるということになります。ですから、そういう場合にはさまざまな手続を自分たちの労働債権を守るためにとらなければなりませんので、その前提として、そういう承認手続があったということを労働組合に知らせる、それで労働組合を通じて労働者にも知らせることができるようにという意味が、この通知の意味でございます。 そして、この通知を受けた場合にどのような対応ができるかということでございますが、労働組合なりその代表者が通知を受ければ、当然のことながら、その構成員たる従業員に対してそれを知らせて、適切な措置をとるようにということをアドバイスするわけですね。 そういう場合には賃金債権を有する労働者がとるべき道筋は幾つかあるのですが、まず第一番目は、その外国倒産処理手続に参加して、配当をその外国手続から受けるということが一つあります。そのために、債権の届け出を外国の手続にするということが一つ考えられます。 それから、それではいろいろ問題が多い、その手続では労働債権が保護されていないとか、手続上非常に費用がかかるという場合には、今度は国内の倒産処理手続を労働者としては申し立てるということもできます。その中からその債権の弁済を受けるということができます。 それから、そうでなくて、承認手続はそのままにしておくんだけれども、個別の権利行使をして、日本にある債務者の財産から労働債権等の弁済を受ける。三つぐらいやり方があるわけでございます。
○保坂委員 用意していた質問の多くを同僚議員が指摘していただいたこともあって、残りの時間を、アイム・ジャパンという、これは今問題になっているケーエスデー中小企業経営者福祉事業団、この理事長が古関さんという方なんですけれども、同じ古関氏がやはり理事長を務めていたこの財団について、何点かお聞きをしたいと思います。 まず、この古関理事長は、先日、業務上横領八千百万円ですか、ということで逮捕されているという事態があるわけですけれども、このアイム・ジャパンにも多くの問題点がある。例えば、パスポートの問題とか、あるいは外国人研修生がかなり悪い条件でいわば搾取されているのではないか、そういう点も指摘をされてきました。 まず、法務省入管局長に伺いたいんですが、このパスポートの件も含めて、参議院の委員会でも出ていたようですけれども、アイム・ジャパンに指導した、こういうことですよね。この指導は、昨年十二月に口頭、ことし三月には文書で指導した。アイム・ジャパンのどなたにしたのか、これを簡潔にお答え願えますか。
○町田政府参考人 いずれもアイム・ジャパンの常務理事にしたわけであります。当方は、十二月のときには本省入国在留課の補佐官、それから文書は入在課長名で三月にやった、そういうことです。
○保坂委員 常務理事のどなたにされたんでしょうか。入管局長。
○町田政府参考人 本年の三月までは松平という理事であります。
○保坂委員 この松平さんという方は、法務省の福岡入管局長なんですね、そのとおりですね。現在は、高松入管局長であった黒田さんという方が常務理事で勤務をされている、こういうことでございます。 労働省に伺いますけれども、アイム・ジャパンの中で、法務省の入管局長経験者、この方たちはどういう役割を果たしていたのか。常務理事としてどの分野の担当をされていたのか。入管の担当だったんじゃないかと思うのですが、いかがですか。労働省、お願いします。
○日比政府参考人 大変恐縮ですが、詳細存じませんが、アイム・ジャパンで入国管理に関する事務、国の事務そのものではございませんが、それに関連する事務を担当していたように記憶しております。
○保坂委員 それではもう一点。先ほど、法務省の入管局長がおっしゃいましたよね、昨年十二月には口頭で、ことし三月には文書で指導したと。これは、パスポートを全員取り上げて会社が預かるようなことはやめなさい、こういう内容だと思うんですけれども、労働省としては、法務省がそういう指導をされたということをその時点で御存じでしたか。
○日比政府参考人 指導したという事実につきまして明確に知りましたのは、非常に残念なことですが、たしか十月末か十一月初めであったと思っております。
○保坂委員 入管局長に伺いたいんですが、やはり外国人の、特に若い、未来ある研修生を日本の中小企業が受け入れて、そして技能を磨いて母国に帰ってもらおう、この制度はこういう趣旨ですよね。ところが、パスポートを取り上げられて、何だかいわば強制労働、つまり過酷な労働に携わっていたり、あるいは賃金の問題、いろいろトラブルもあるということも聞いています。 まず、原則として、パスポートを取り上げるみたいなことをやってはならぬわけでしょう。やってはならぬことを、OBの方が常務理事にいたにもかかわらず、何の注意もしなかったんでしょうかね。あるいは、その方がそういう指導をしていたのか。そしてまた、今労働省の答えもありましたよね、どうしてすぐに労働省にも通知しなかったんですか。
○町田政府参考人 私どもの考え方というのは非常にはっきりしておりまして、一律旅券を預かるというようなことをやってはいけないということは明確でありまして、それは、私ども、昨年の二月に研修生及び技能実習生の入国・在留管理に関する指針というものをまとめまして、それを公表し、そしてそれを理解を広めるというのでしょうか、そういう努力をずっとしてきたわけでありまして、そういう観点から、先ほど申しましたように指導をしているわけであります。ですから、我々としては、ぜひそういうことを実現してほしいという考えでやっているわけであります。 労働省に通知したかしないかということは、正直言うと私もよくわかっていないんですが、恐らく担当者の方は、その財団の出入国部というところがそういう関係の仕事をしているということから、指導したものと思います。 なお、御質問の最初にありました、その常務理事等がパスポートの取り上げの関係でどういう考えでどのような働きをしていたのかについては、私どもよくわかっておりません。
○保坂委員 入管局長、余り時間がないので端的に聞きますが、OBの方が常務理事にいて、こういう財団で、世界から見ても恥ずかしいようなことが出来するということは、恥ずかしくないですか。つまり、OBの方に問題ありというふうに私は思いますが、どういうふうに思いますか。
○町田政府参考人 いわばその法人が全体としてどういう方針のもとに、どういう意思決定でやっていたのか、私ども知りませんので、今私どもの方から問題があるとかないとか言うわけにはいきませんが、結果として、やっていることについて私どもは反対でありまして、それについて、そういうことのないようにということで指導し、その結果、十一月の六日ですか、財団の方から、このように改善いたしましたという報告を受けております。
○保坂委員 これがアイム・ジャパンの、中小企業の経営者に向けたパンフレットでございますね。「インドネシア・タイの政府が四カ月間特別に訓練した研修・技能実習生です」「規律正しく素直で元気な若者です。」と紹介があります。 このパンフレットなんですが、そちらにありますか、労働省の方に。ぱっと見て、いろいろ問題指摘いたしますけれども、この「研修費用について」というところで、企業がどれだけ負担をしなければならないのかという点について書かれている、一番後段のところにちょっとマジックで墨塗りされているところが私のものにはあるので、委員長、これをちょっと渡していいですか。そちらは墨塗りがないかもしれないので。わかりますか。ここの墨が塗ってあるところは何て書いてありますかね。
○杉浦委員長代理 ちょっと、どんな書類ですか、見せてもらえますか。示すときは事前に言っていただきたいと思うのですけれども。
○日比政府参考人 私が持っているものも墨で塗ってありますので読み取れませんが、もとあったもの、私の記憶でなくて恐縮ですが、賞与、退職金等の支給は必要ありませんというふうな趣旨が書いてあったのではないかという、ちょっと黒く塗ってあって読めないので恐縮ですが。
○保坂委員 直前に来たので、事前に示すことができませんでした。 これは、ちょっと光に照らしてみると、確かに「賞与・退職金等の支給は、必要ありません。」こう書いてあるのですね。つまり、こういう記載というのは、これは労働省が所管する法人として適切ではないと私は思うのですが、いかがですか。研修生受け入れの趣旨に合っていますか。
○日比政府参考人 賞与、退職金等労働条件というのは、当然のことながら、それぞれの労使関係で決めるべきことで、それについて、この研修生受け入れ事業というアイム・ジャパンを経由するものだからといって、どこまで枠をはめるのが適当か、これはいろいろあろうと思います。御趣旨の、退職金、賞与等を払う必要がないとまで言い切っていいものかどうか、疑義あろうと思います。 いずれにしましても、先ほどのアイム・ジャパン内部におけるいわば連絡体制の問題を含めまして、この労働条件といいますか、そういうものについてどう考えておるのかを含めまして、今後十分指導をしてまいりたいと思っております。
○保坂委員 どなたが墨を塗られたのかわかりませんけれども、こういう記載をなぜあえて指摘したのかというと、労働省に伺いたいのですけれども、アイム・ジャパンの研修生で、立派な研修ができるというつもりで日本に来たけれども、全然実態は違う、長時間労働あるいは賃金が満足にもらえないとか、あるいはさっきのパスポートの問題もありますよ。パスポートを取り上げられて、出るに出れない、こういう苦情は労働省の耳に届いていましたか。
○日比政府参考人 私どものところにもいろいろな形で、御要望、御陳情あるいは実情をお伝えに来られる方々がおられます。そのうち、文書で確認できるものの中、あるいはその他いろいろございますが、今例に挙げられましたパスポートの件については、正確な形での事実確認をする機会があったように思いますが、なしていなかったというのが実態でございます。したがいまして、かなりの事項をお聞きしたり、ペーパーで出していただいたりしておりましたが、御指摘のことが全部把握できていたかという点については、今はっきり申し上げることができない状態でございます。 〔杉浦委員長代理退席、委員長着席〕
○保坂委員 保岡大臣、きょうはもう時間がないので、最後にちょっとお聞きしたいのです。 今お聞きしたのは、参議院の法務委員会でもパスポートの問題が出ましたよね。そしてきょう私が指摘したのは、法務省の入管局長経験者が常務理事なんです。入管の担当を、恐らくやはり専門家ですからするでしょう。にもかかわらず、法務省から指導を受けながら、なかなか改善がされなかった。これはやはり、OBであれ、入管行政の透明性やあるいは信頼を損ねる、私はそう思うのです。そのことについて、大臣、どういうふうに受けとめられるのか、一言お願いします。
○保岡国務大臣 アイム・ジャパンの、元地方の入管局長であったその役員がどういうふうに仕事をしているかということは、ちょっと私もよくわかりません。しかしながら、どういう立場であれ、やはり入管の要請、指導には率直に対応してもらいたいところであって、改善措置をとったということですから、それについては的確に、きちっと把握、調査をしまして、そしてまたしかるべき方法で努力したいと思います。
○保坂委員 大臣が、的確に調査をした上で報告いただくということを言っていただきましたので、やはり法務、入管のOBが、そういうことをやめなさいよと言う役割であるのではなくて何も言わなかったというようなことがもしあったら、それはやはり厳重に注意をしていただきたいし、そういうことがないようにぜひ指導を強めていただきたいということをお願いして、終わります。
○長勢委員長 上川陽子君。
○上川委員 21世紀クラブの上川陽子でございます。きょうは、最後の質問ということで二十分いただきましたので、どうぞよろしくお願いをいたします。 今回質問するに当たりまして、少しデータを調べさせていただきました。昨年の自己破産件数ということで、十二万件を超えているというところでございまして、ことしも増加率でいきますと一〇%を超えているというところで推移しているということになりますと、今年度は十四万程度になるのではないかというふうな予測がございます。また、現状の多重債務者というところでございますが、百五十万とも二百万とも言われておりまして、さらにまた潜在的に見ますと、もっとかもしれないというところでございます。こうした人たちが自己破産というようなことになりますと大変大きな問題が出てくるということで、今回の特則による法案整備ということになったと思っております。 そこで、内容につきまして幾つか御質問をさせていただきたいと思いますが、個人の多重債務者の債務整理の方法としましては、現状でも、破産手続あるいは特定調停という形で幾つかの手続がございます。こうした手続と比べまして、今回の手続というのは、特則ということでございますけれども、利用者の側にとりますと少しわかりにくいんじゃないかなというところもございますが、こうした点につきまして、どのようにお考えでございましょうか。
○細川政府参考人 法案の個人再生の手続は、通常の再生手続に比べますと簡素な手続ではございますけれども、これは再建型の倒産処理手続の一つであることには変わりはないものですから、破産免責手続や特定調停の手続と比べれば、相当複雑な手続となっております。したがいまして、初めて見ますと、なかなか理解しにくいところもあるということも事実だろうと思っております。 ただ、これは民事再生法の特則としてあるから手続が難しくなっているのではないかという御指摘のようでございますが、この手続を別の法律で定めますと、総則の規定とか、再生債権に関する規定とか、届け出に関する規定とか、現在の民事再生法と同じような多数の規定を新たに設けなければならないという問題が生じます。また、別の法律で定めますと、同じような内容の法律がいっぱいできてしまうということもございますので、そういうことを考えまして、これを民事再生法の特則といたしたわけでございます。
○上川委員 利用者というのは一般の個人ということでございますので、本当にわかりやすい形で、また御説明をいただけるようなパンフレットとかいろいろなものを整備していただきたいというふうに思っております。 二番目に、今回の個人再生手続につきましては、従来の破産免責手続との関係につきましては法文上に明文規定がないということでございますけれども、その解釈といたしまして、いずれかの手続が優先的な立場にあるというふうに考えるのか、それとも個人の側あるいは利用者の側が自由に選択できる趣旨のものであるのかにつきましてお願い申し上げます。
○細川政府参考人 この新しい手続と破産免責手続の関係につきましては、御指摘のとおり、特に明文の規定はございません。したがいまして、債務者は、個人債務者の再生手続の申し立てもできますし、破産免責の手続の申し立てもできます。それは御本人の選択ということになるわけでございます。
○上川委員 小規模の個人再生手続におきましては、その要件といたしまして、継続的にまたは反復して収入を得る見込みのあることというのが要件に挙げられております。 主婦の場合におきましては、夫に内緒でお金を借りまして、そしてそのうちにいろいろ多重化しながら、最後は夫の収入で返済を迫られるといったような形のケースが実態的にはあるようでございます。このようなケースでは、先ほど申し上げました、継続的にまたは反復して収入を得る見込みのあることという要件ではないわけでありまして、先ほどの要件を満たさないというふうに考えるのか、あるいは、夫の収入も含めてというか、その中で考えるというふうにしてよろしいのかどうか、この点につきましてお願いいたします。
○細川政府参考人 小規模個人再生におきましては、将来において継続的に収入を得る見込みのある債務者本人が、その収入を弁済原資として再生計画案をつくっていく、こういう手続でございますから、御本人に収入がない場合にはこれは使えないということになっております。 そうした理由なんですが、実は、個人に対して貸し金をしている人の中には、中には悪質なやみの金融業者のような方がおられるわけでして、収入のない人が、例えば御指摘の妻が夫の収入で再生計画をつくることにしますと、それは再生計画上、夫を保証人にしなければいけないのですが、そういう手続を設けますと、逆に今度はそういった悪質な債権者が普通の場合にもすべて個人債務者に保証人をつけなければ同意しないというようなことも考えられるわけです。 ですから、そういうことも考え合わせまして、保証人をつけることを強要しないという意味で、本人の収入を当てにするという制度にしたわけでございます。ですから、御指摘のような場合にはこの手続は使えませんので、特定調停等を使っていただくことになろうかと思います。
○上川委員 次に、個人再生手続については、通常の民事再生手続と異なりまして、簡易迅速ということで、いわゆる厳格な債権調査手続を行わないこととされているわけでございます。そのため、届けられた債権額はあくまで手続内においての確定ということで、実体的には確定していないということであろうと考えられますが、そうだとしますと、それを根拠に手続の終了後に業者が別途訴えを起こすなどの請求をしてくることもあり得ないわけではないということでございまして、こうした点につきましてはどのように考えたらよろしいのでしょうか。
○細川政府参考人 御指摘の場合は、債権者が届けないで後から訴訟等で請求する場合というふうに考えられますが、そういった場合には、届け出ておりませんので、手続内では確定しなかった債権でございますので、再生計画で定める弁済期間中は弁済を受けることはできなくなります。これは二百三十二条の第三項で定めているわけでございまして、いわゆる劣後化するわけです。そうしますと、債権者が手続内で確定しなかった債権について別途訴訟を起こして勝訴したとしましても、三年間、最長の場合は五年間は支払ってもらえないということになります。 そういうことで、そういう場合にはほとんど経済的に引き合わないということになりますから、御懸念のような場合は実際上ほとんど生じないのではないか、こういうふうに思っております。
○上川委員 次に、個人再生委員についてお尋ねをいたします。 個人再生委員というのは、裁判所の補助的な機関として選任されることとなっておりますが、その選任される場合の基準あるいはケースにつきまして、どのようなところでございましょうか。
○細川政府参考人 個人再生委員の職務には、法案にありますように三種類ございまして、その職務の内容によってそれぞれ任命される場合が違うわけでございます。 まず、債務者の財産及び収入の状況調査を職務とする個人再生委員がございますが、これは、債務者に財産の隠匿とか偽装の債権届け出等の疑いがあって、債務者の財産の状況を解明しなければ、再生計画の認可、不認可等の裁判を適正に行うことができない、こういう場合には、財産及び収入の状況を調査するために個人再生委員が選任されるということになります。 また、債務者が適正な再生計画を作成するために必要な勧告をすることも個人再生委員の職務となっておりますが、これが任命される場合は、債務者の、つまり申立人の方に弁護士がついていないなどの理由によって、再生可能な債務者が法律をよく知らないことによって適正な再生計画をつくれないということが考えられます。そういうことがないように、個人再生委員を任命して勧告できるようにするというのが二番目の場合です。 それから、再生債権の届け出がありまして、それについて異議があり評価の申し立てがあった場合には、この場合には必ず個人再生委員を裁判所が任命しなければならないことになっておりまして、その任命によりまして、債権の存否を調査し判断してそれを裁判所に報告して、裁判所はその報告に基づいて最終的な評価の裁判をするということになるわけでございます。
○上川委員 今のような基準あるいはケースで選任された個人再生委員の金額、費用のことにつきまして、どの程度の金額を想定していらっしゃいますでしょうか。また、そのような金額でこの職務を担うことのできるというか、職能を担うということで、どのような方を想定していらっしゃるのか、お答え願います。
○細川政府参考人 法律上は、個人再生委員の報酬は事件の規模と職務の内容を考慮して裁判所が決定することになっております。 したがいまして、具体的な案件によって異なるわけでございますが、小規模個人再生あるいは給与所得者等再生では、手続の規模が通常の再生手続に比べて著しく小そうございますし、また、高額な経費を要する監督委員等の制度を設けておりませんので、このかわりに個人再生委員を設けて費用対効果で引き合うようにしている、こういう趣旨でございますから、個人再生委員の報酬は、監督委員とか調査委員の報酬に比べるとはるかに低い額になるであろうというふうに考えられます。 具体的な額は、なかなか難しいわけなんですが、裁判所の見込みでございますと、数万円から例えば二十万円とか三十万円ぐらいとか、そういうような間の金額になるのではないかというふうに推測されております。
○上川委員 そういう職能を担うということで、どういう方にお願いをするのですか。
○細川政府参考人 どうも失礼いたしました。 こういう手続ですから、やはり一番適任な方は弁護士の方なのです。したがって、この法案が成立いたしますれば、各裁判所と弁護士会と協議をいたしまして、選任の候補者をお互いに用意するということになろうかと思います。 ただ、過疎地域等で弁護士さんが少ないという場合ですと、弁護士さんだけでは足りない場合もあろうかと思います。そういう場合には、こういった裁判関係の書類を作成することを業務としている司法書士さんということも考えられるわけで、現に、日本司法書士会連合会では、こういうことを担当するためにいろいろなマニュアル、申し立て書類を作成するという意味を含めましてマニュアルをつくっているというふうに聞いているところでございます。 また、そういうことも得られない場合には、現に裁判所には特定調停を担当している調停委員さんがおられますから、そういう方はいろいろこういうことになれておりますので、そういう方でもお願いすることができるだろうというふうに思っております。
○上川委員 そうすると、金額的には数万から十数万、数十万、あるいは司法書士の先生方も含めてというような形でお考えになっているというふうに考えてよろしいんでしょうか。
○細川政府参考人 金額の点については、推測ですので、また個々の裁判所が決めますので、明確なことは申しませんが、数万円から数十万円、そんなような間ではないかと思っております。 また、司法書士さんが個人再生委員の候補者の一つになるということは間違いないわけでございます、法律上は資格の制限をしておりませんので。
○上川委員 その司法書士の先生方からちょっとこういう御指摘がございました。 司法書士は破産調停等の実務を担っている実績があるので、申し立てにつきましてもかなりかかわっていくはずである。個人再生委員の費用が少額、先ほど数万から十数万、数十万という金額でございましたけれども、少額であることを考えますと、この手続についてだけでも司法書士の資料開示請求権を法定するなどしておかなければ、新しい手続をつくったとしても機能不全になるのではないかというような御指摘をいただきました。 こうした御指摘に対しまして、どのような取り組みというかお考えでいらっしゃいますでしょうか。
○細川政府参考人 届け出があった債権に対して異議があった場合には個人再生委員が評価のために調査するわけなんですが、その場合には、個人再生委員は資料の提出請求権は付与されておるわけでございます。これは二百二十七条第六項に規定されているところでございます。 また、最高裁判所規則で今検討中のものには、再生債務者が異議を述べるかどうかを判断するために必要がある場合には、再生債権者に対して資料の提出を請求する権利を認める方向で検討されております。 ですから、このように、個人再生手続では個人再生委員や再生債務者に資料提出請求権を認めておりますので、司法書士さんに限って資料提出請求権を認めるということは法制上なかなか難しいんではないか、このように考えております。
○上川委員 その資料提供ということに関しまして、もし債権者の方で資料提供を拒否するというようなことがございましたときに、何か罰則的というか、それを担保するような実効的な措置というのはとられていますでしょうか。ちょっと、追加で恐縮でございますけれども、お願いいたします。
○細川政府参考人 改正後の民事再生法二百五十二条第二項において、再生債務者または再生債権者が正当な理由なく個人再生委員の資料提出請求に応じない場合には、十万円以下の過料に処することとしております。
○上川委員 私のお願いしました質問は以上でございますけれども、先ほど一番初めに、多重債務者の場合に百五十万から二百万の方がいらっしゃるんじゃないか、あるいはそれ以上の方がいらっしゃるんじゃないかということで、本当に個人の問題については簡易な形でのこうした手続が広く使われるように、できるだけ皆さんの御協力でやっていただきたいというふうに思っております。 どうもありがとうございました。
○長勢委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○長勢委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 まず、内閣提出、参議院送付、民事再生法等の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○長勢委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 次に、内閣提出、参議院送付、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○長勢委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○長勢委員長 この際、ただいま議決いたしました両案に対し、杉浦正健君外七名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合、21世紀クラブ及び土屋品子君の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。佐々木秀典君。
○佐々木(秀)委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。 民事再生法等の一部を改正する法律案及び外国倒産処理手続の承認援助に関する法律案に対する附帯決議(案) この法律の施行に伴い、関係者は、次の点につき格段の配慮をされたい。 一 民事再生手続の特則が、破産手続を回避しながら個人債務者の経済生活の再生を図るための手続であること、及び再生債務者の従業員等の地位・利益が害されるものではないこと等の制度の趣旨・内容について、関係団体はじめ広く国民に周知徹底されるよう努めること。 二 小規模個人再生手続及び給与所得者等再生手続において選任する個人再生委員の適任者の確保等の方策について、必要な措置をとるよう努めること。 三 外国倒産処理手続の承認援助手続においては、労働債権者の雇用契約上の地位及び優先的地位に配慮がされており、国内倒産処理手続と比べ、労働債権者に不利となるものではないことを周知徹底するよう努めること。 四 今回の民事再生手続の特則の創設及び国際倒産法制の整備に見られるような、近時における司法関係立法の急速な進展にかんがみ、法案の立案体制の強化と新たな法制度の的確かつ円滑な運用等に資するため、司法関係機関の人的基盤の充実・拡大に努めること。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○長勢委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 杉浦正健君外七名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○長勢委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。保岡法務大臣。
○保岡国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえて、適切に対処してまいりたいと存じます。 —————————————
○長勢委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長勢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○長勢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時三十九分散会