内閣委員会 第6号
- 発言数
- 205 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2000/11/07
会議録
○佐藤委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案を議題といたします。 本日は、本案審査のため、参考人から意見を聴取することにいたしております。 本日御出席の参考人は、IT戦略会議議長出井伸之君、慶應義塾大学環境情報学部教授村井純君、慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授國領二郎君、全国障害者問題研究会事務局長薗部英夫君、トキワ松学園横浜美術短期大学講師福冨忠和君、以上五名の方々であります。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。 次に、議事の順序について申し上げます。 出井参考人、村井参考人、國領参考人、薗部参考人、福冨参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。 なお、参考人の方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。 それでは、出井参考人にお願いいたします。
○出井参考人 おはようございます。 私は、去る七月に設置されましたIT戦略会議議長の立場で、これまで同会議で議論されてきました問題に関しまして意見陳述を行うことといたします。 IT革命は、経済社会システムを単に効率的にしていくものではなく、情報流通の費用と時間を劇的に低下させ、密度の高い情報のやりとりを容易にすることによって、人と人との関係、人と組織の関係、人と社会の関係を一変させ、この結果、世界は、知識の相互連鎖的な進化によって高度な付加価値が生み出される知識創発社会に移っていくと考えられます。 これまで、我が国は、いわゆる生産者主導の工業化社会にふさわしい国家基盤の整備を素早く実現することで経済発展を実現してきました。我が国が引き続き経済的繁栄を維持し、豊かな国民生活を実現するためには、情報と知識が付加価値の源泉となるにふさわしい国家基盤を早急に確立する必要があるように思います。このためには、耐えなければならない痛みも覚悟しつつ、社会構造の大変革をみずから実行することが今望まれております。 産業革命に対する各国の対応がその国の経済の繁栄を左右しましたが、IT革命においても同様のことが言えると思います。諸外国に見ても、アメリカは言うに及ばず、アジアにおいても、例えばシンガポールでは、シンガポール・ワンという国家プロジェクトを国家戦略の旗印として明瞭に掲げております。また、ブロードバンド時代のハブになることを目指しております。韓国では、サイバー・コリアという戦略を打ち出し、二〇〇二年までに世界十指のIT先進国になるべく、二〇〇五年までに高速インターネットのインフラの整備に四兆円を投入するという計画でございます。香港、台湾、マレーシアといった国も、全部このような戦略を首相みずから直轄でビジョンを打ち出すなど、各国ともIT基盤の構築を国家戦略として集中的に進めておるのが現実でございます。 このような観点から見たときに、我が国のIT革命の取り組みは大きなおくれをとっております。インターネットの普及は主要国中の最低レベルであり、アジア太平洋地域においても決して先進国であるとは言えません。また、電子商取引の普及状況や電子政府化の進展という状況から見ても、ITがビジネスや行政にどれほど浸透しているかという点から見ても、我が国の取り組みはおくれていると言わざるを得ません。 こうしたインターネットの利用のおくれは、地域通信市場における通信事業の事実上の独占による高い通信料金と利用規制によるところが大きいと思います。また、インターネット網が低速で非効率な音声電話網の上につくられていることや、従量制の通信料金もデータ通信料金を高いものにしている原因だと考えられます。 一九八五年にNTTの民営化が行われ、最近になって外資規制の緩和などが行われましたが、まだまだ多くの規制や煩雑な手続があり、通信事業者間の公正かつ活発な競争を妨げております。これに加え、書面主義や対面主義による旧来の法律もインターネット利用の妨げになってきたと言えます。このような意味では、インターネットの普及のおくれは、すぐれて制度的問題であったと考えられます。 このような八五年以降の我が国の状況に関し、米国政府は、八四年にATTを分離分割し、九六年にはすべての通信会社が垣根を越えて自由に競争できるようにしております。この結果、シリコンバレー型企業が台頭し、技術革新とともにインターネット産業が開花していると考えます。 米国商務省が作成した「デジタルエコノミー二〇〇〇」を見ると、一九九五年から一九九九年の間の五年間に、米国経済の成長の三分の一はITが寄与したとされております。 また、ウォールストリート・ジャーナルが六月三日に出した記事では、ATTが分割される前の一九八三年には、企業価値が約六兆円だったが、分割後二〇〇〇年には、分割したすべての会社のトータルの企業価値が九十二兆円になったと報道されております。競争原理の導入によってアメリカの経済の活性化がもたらされたわけだと考えます。 IT国家基本戦略、我が国がこれまでのおくれを取り戻し、必要とするすべての国民に世界最先端のIT環境を提供し、さらに世界への積極的な貢献を行っていくためには、必要とされている制度改革や施策を当面の五年間に緊急かつ集中的に実行していくことが必要であります。そのためには、社会経済の構造改革の方向性と道筋を具体的に描いた国家戦略を、その構想を国民全体で共有することが重要であると考えます。 また、国家戦略において、民間が自由で公正な競争を通じてさまざまな創意工夫を行い、IT革命の強力な原動力となることができるように、政府は、縦割り行政を排し、国、地方相互に連携して、市場原理に基づく開かれた市場がうまく機能するような基盤整備を迅速に行っていただく必要がございます。 このような国家戦略を通じて、我が国が目指すべき社会は、IT戦略会議では、第一に、すべての国民がIT活用技術、リテラシーを備え、地理的、身体的、経済的制約にとらわれず、ゆとりと豊かさを実感できる国民生活を送ることができる社会、第二に、自由で規律ある競争原理に基づいて、経済構造改革の推進と産業の国際競争力の強化を図り、世界じゅうから知識と人材を集める魅力的な社会となり、世界最先端の情報技術やコンテンツを生み出す一大拠点となる社会、第三に、知識創発社会の地球規模での発展に向けて積極的に国際貢献を行う社会という社会像を基本として、教育、芸術、科学、医療、介護、就労、産業、生活、社会参加、行政の各分野において具体的な姿を検討しているところでございます。 そして、このような知識創発社会を実現していくためには、今後四つの重点政策分野に集中して取り組むべきであると考えます。 一つには、超高速ネットワークインフラの整備を民間主導を原則とし、政府は、公正な競争の促進、基礎的な研究開発、民間の活力が十分発揮される環境を中心に進めていくことであります。 二つ目には、だれでも参加できる、二、民間主導で形成される、三、スピードが速い、四、国境のない市場が形成されるのが特徴である電子商取引の発展、普及を図るために、新たなルール整備を行うとともに、その障害となる規制を取り除いていくことであります。さらに、消費者保護、プライバシー、セキュリティー、知的財産保護などについても必要なルールを整備していくことが重要であると考えます。 三つ目には、電子政府の実現であります。これは、行政内部で行われている行政や国民、企業との間の書類ベース、対面ベースで行われている業務をオンライン化し、ネットワークを通じて、省庁横断的、国、地方一体的に情報を瞬時に共有、活用する新たな行政を実現するものであります。これによって、行政の簡素化、効率化、国民等の負担軽減や利便性の向上が図られることとなります。 四つ目は、人材育成の強化です。国民全体のIT活用技術、リテラシーを高めるとともに、その指導を行える人材の確保、さらにはITフロンティアを開発する技術者、研究者の育成であります。 現在、IT戦略会議では、この四分野についてさらに具体的な提案を行っておるところであり、今後議論を深めていく考えでございます。 最後に、この高度情報通信ネットワーク社会形成基本法について一言コメントをさせていただきます。 私は、IT分野における我が国の現状を踏まえ、二十一世紀の我が国経済社会の発展を確実にするという観点から、今回政府が国会に提出された高度情報通信ネットワーク社会形成基本法に対して、賛成、支持するものであります。既に述べたとおり、国家戦略の基本方向は四つの重点分野になるが、これは迅速に実行しなければ、国家戦略は絵にかいたもちになるおそれがあります。 私としましては、この基本法が果断、迅速な実行を裏打ちする強力なフレームワークとなることを期待しております。ぜひ、本国会において基本法が成立し、柔軟、迅速な政策が推進されることをお願いいたします。 以上でございます。(拍手)
○佐藤委員長 ありがとうございました。 次に、村井参考人にお願いいたします。
○村井参考人 おはようございます。慶応大学の村井です。 私は、インターネットの研究開発に大分前から、八〇年代からかかわっておりまして、そしてまた、今回IT戦略会議の委員としてかかわらせていただいた、そういう視点から、専門のインターネットの視点から意見を述べさせていただきたいと思います。 まず、この高度情報通信ネットワーク社会というところの基盤、あるいはIT社会、IT革命、こういったことのすべての基盤は、本質的にはデジタル情報を基盤にしているということを最初に確認をしたいと思います。 それで、デジタル情報というのは、基本的には、知識や情報を数字であらわすということがデジタル情報の意味でございまして、文字、音、写真、ビデオ、映画、テレビ映像、こういったものをデジタル情報として扱う。デジタル情報、すなわち、すべてのこういった情報、知識が数字になってしまうわけですから、そうすると、我々は、人類の一番最初のときから持っている数学、算数、こういった知恵で、高速で効率的な処理ができる、これがIT社会の基盤となっているテクノロジーの部分の大変重要な側面でございます。記録、蓄積、配信、暗号化、マルチメディア、いろいろなメディアを同時に使うという意味です。こういうことが全部数字になってしまうのでできる、これが本質です。そして、算数や数学を利用した超高速処理の専門のツールがありまして、これがコンピューターや電子情報機器という位置づけになる、こういうことでございます。 それから、インターネットという言葉が今回の法案の中にも大分出てまいりますけれども、インターネットが何かということは、基本的にはノード、インターネットでつながっているものをノードという言葉で呼ばせていただきますが、つまり、インターネットにつながっているものは、普通はコンピューターですね、今は。デジタル情報を自由に共有して交換するインフラストラクチャーのこと、これがインターネットでございます。それで、もう一個の特徴は、地球全体で継ぎ目なし、グローバルな空間をつくっている、こういう特徴もございます。 それから、もう一個特徴がございまして、これがやはり法整備なんかを進める上では大変重要な側面になります。つまり、テレビは電波の使い方が決まっておりますけれども、それではなくて、インターネットの場合は、ばらばらの通信技術、つまり、それぞれのネットワークを自由に連結できる、ネットワークのネットワークだからインターネットという言葉ができております。すなわち、ローカルエリアネットワーク、メタル、光ファイバー、無線、衛星、どんな技術も連結して使うことができる、こういう側面を持っています。 それから、民間による運用。それから、公益のグローバル空間をつくり出すのだ、これがインターネットの使命だということは、現在、国際的な組織、技術を決めるITF、グローバルガバナンスを決めるICANN、こういったところも、最初はアメリカ政府とのコントラクトもあった部分を、民間による運用、そして公益のグローバル空間をつくる、こういう視点で組み立ててつくってきている、これがインターネットの実態でございます。 そして今回、IT戦略会議からの提案の中で超高速インターネットあるいは先端インターネットという言葉が使われていますけれども、では、これが今までのインターネットとどういうところが違うのかという点です。 まずは、インターネットは、最初は研究者あるいは大学、こういった一部の人から、すべての人のための技術になるのだという転身を遂げております。人数としても、非常に限られた数から全人口が対象になってまいりますので、この転身をしています。地域、職業、それから障害者、高齢者、子供、こういったものをすべて含んだ社会の対象ということになります。そういったところで、IPバージョン6というのは、数をふやしていくためにはどうしても重要な技術になるということになります。 それから、コンピューターがつながっていた、さっきノードと申し上げましたけれども、インターネットでつながっているノードはコンピューターでした。しかしながら、すべてのものへ今変わろうとしています。家電、携帯、自動車、センサー、こういったものがインターネットにつながって、新しい力を持とうとしております。ここにもIPバージョン6が必要になります。 それから、今までは、電子メールだとかワールドワイドウエブのホームページなんかの文字を中心にしたものでした。それから、すべてのメディア、今、音楽配信だとかビデオの配信、テレビ映像の配信なんかが始まっていますけれども、そういった意味で、文字からすべてのメディアへ、こういう転身もしております。この転身が今起こっているので、これからのインターネットというのは、この右側のところがすべて対象になる、こういうことになります。 それから、我が国でのインターネットの歴史は、基本的には、電電公社の民営化、つまり電気通信事業法があれしました一九八五年以降が実質的な発展になると思いますけれども、私は五年ずつのタームに分けて考えるのが適切ではないかと思っています。 最初、一九八〇年代の後半の五年間というのは、電子メールネットワークの発展の時期でした。このときに初めて電話回線にコンピューターをモデムを介して接続することができ、研究開発ネットワークのJUNETなどが発展をしてきたところです。 それから、九〇年代の前半は、研究ネットワーク等の発展、それから商用パソコン通信の発展の時期だということを申し上げたいと思います。研究機関、大学のインターネットがこの時期に発展をしまして、そして商用パソコン通信が大変大きく発展しました。一九九〇年代の半ばの阪神・淡路大震災のときにパソコン通信を使ったいろいろなアクティビティーが話題になったとともに、大学を中心としたインターネットの国際的な威力というのも話題になったということが御記憶にあると思いますけれども、こういった時期です。 そして、一九九五年以降は、商用インターネットの発展をベースにしたインターネットの社会展開の時期だったと思います。インターネットというのは、一九九五年の流行語大賞ということになっておりますけれども、本当に社会に浸透していったのはこの九五年から後半でございます。 さて、問題なのはどこかというと、最初の二つのブロックは、日本は多分二位だ、三位だと言われていたときです。それで、三つ目のブロックのときに突然、十何位だ、二十位だ、こう言われる事態になってしまったわけです。これはどういうことかというと、社会展開というところでブレーキがかかったというのが状況だと思いますけれども、では何が問題なのかというと、教育、経済、金融、公共サービス、こういったようなところの分野が、欧米と比べて、あるいはアジアのほかの国と比べての多少の立ちおくれ、ブレーキとなったというところが見られておりますので、そういうわけで、これから我々がすべきことというのは、こういった部分の課題になるかと思います。 それで、課題だけがあるわけではなくて、実はアドバンテージもある、この二つを申し上げたいと思いますけれども、我が国のアドバンテージというのは、まずはコンピューターの応用機器、例えば家電とか携帯とかゲームとか、こういったコンピューター応用機器というのは大変強力な力を持っております。それで、先ほど申し上げましたように、単純な普通のコンピューターからいろいろなものへという転換の時期でございますので、そういった意味では、我が国はアドバンテージを持っているということです。 それから、消費者用のソフトウエアというのは、消費者に非常に優しい部分、こういったものは大変日本は強いわけでして、例えばデジカメとかiモードというのは非常に日本では発展していまして、街角どこででもデジタルカメラから写真がプリントできるのは、多分日本ぐらいのものじゃないかと思いますね。というわけで、消費者系のところのソフトウエアは大変強いところがあります。 ホームページ作成用のソフトウエア、有名なホームページ・ビルダーとかありますけれども、あれは全部実は日本製のソフトウエアで、日本から海外に輸出されているソフトウエアですから、そういった意味で、消費者用のところは大変強い。 それから、高度通信技術、光技術だとか交換技術、それからIPバージョン6、これもアドバンテージを日本が大変持っているところですので、先ほど御説明した新しいインターネットというところでは大変期待が持てるということも申し上げられると思います。 ただし、課題は最後の五年間にあったわけで、社会展開への障害というのがいろいろありましてそれを除去しなきゃいけない、技術開発を推進しなきゃいけない、国民が、今マーケットの利用者が少ないわけですから、そのインセンティブをつくらなきゃいけない、そして国際責任あるいは国際戦略のようなものがきちんとつくられなきゃいけない、このあたりが大きな課題になるんじゃないかと思います。お配りした紙にあと細かいことが書いてありますけれども、というわけで、立ちおくれているのはこの五年間だという意味があります。 したがって、IT戦略会議の御提案の中でも二〇〇五年という数字が出てまいりますけれども、我々は二〇〇五年までの五年間、少し大きなコンセンサスを国民全体で持ってこういった課題を考えて、過去の五年間のいろいろな課題を解決すべきじゃないか、こういうのが私が考えていることでございます。決意と合意を持って国民全員が取り組むというメッセージがうまく伝わるといいんじゃないかということがありまして、それは皆さんが理解していないと、やはりいろいろな意味でのトレードオフが出てまいりますので、そういった中での一つの共通のコンセンサス、あるいはラフなコンセンサスというのは大変重要だと思います。 それから、この分野は、技術の発展とその応用のアドバンテージ、使ったときの利点というのが大変早く変わりますので、早い実行と随時の見直し、潔い修正の体制が必要でございまして、とにかく試行錯誤的な要素を含んでいるというのが高度なテクノロジーとのつき合い方の大変重要な問題になるかと思います。 それで、いろいろな分野がインターネットを支えて、そしてそれに対する基本的な技術がばらばらに連結しているという先ほどの御説明を絵にしたものなんですが、もう一つのポイントは、電話産業、電話のインフラという技術と一体化している、あるいは、テレビなどの放送の技術と一体化している、先ほど出井さんのお話にもありましたけれども、現在はこんな状況なんですね。電話のインフラストラクチャーの上にインターネットがあって、Eコマースや教育が多少進化をして、いわばこういう分野でインターネットの有用性を確かめたというのが現在の状況だと思いますけれども、電話のインフラの上につくっているとやはり料金の問題だとか性能の問題で限界がありますので、それならば光ファイバーや電波を直接インターネット用につくるということを考え始めているのが現在の状況でございます。 そして、それとともに、インターネットは非常に広がって各分野の基盤となるとともに、各分野に共通のコミュニケーションのチャンスをつくっていくということになります。電話や放送の一部はインターネットの上に乗ってまいりますけれども、デジタルコミュニケーションの基盤というのは社会でこうやってつくられていくだろうということでございます。 それで、いろいろなことは皆さんのお手元のところにありますけれども、最後に私が皆さんにもう一つお伝えしたいことは、インターネットあるいは高度情報通信ネットワークの環境というのは、私は人類にとっての新しい血管のような、地球全体での血管の役割だと思います。血管の中では、栄養であるとか、本当に体が動いていくために必要な要素を細胞の隅々まで送り届けるという大変重要な役割がありまして、これが今の情報インターネット網が地球を包んでいるという状況だというふうに私は認識しております。 ただし、この血管の中で何をどこにどういうタイミングで送っていくのかということにはポンプが必要でして、このポンプは血管の場合は心臓でございます。どうもこの五年間を見ていると、私は、こことここには心臓をつくってこの中に何を流し、経済、知識、情報、こういったものをどのように流していくのかという戦略をきちんと持っている方がいらっしゃるんじゃないかなというふうに思っています。 私は今、今回の法案をきっかけに、ここにも心臓をぜひつくって、きちんとした情報化時代の社会の戦略を考えながら、よりよい社会をつくっていくというきっかけにすべきじゃないかなというふうに考えております。 以上でございます。(拍手)
○佐藤委員長 ありがとうございました。 次に、國領参考人にお願いいたします。
○國領参考人 おはようございます。慶応大学の國領でございます。よろしくお願い申し上げます。 私は、個人的に、研究者といたしましては、電子商取引という経済活動をネットワークの上でどうやるかという研究をずっとやってまいりました。それから、大学ではアントルプレナースクールというところを担当しておりまして、新しいビジネスをどうやって起こしてこの国に活力を与えていくかというような、そういう人材を育てようというような活動をやらせていただいておりまして、きょうはそんな視点から少しお話しさせていただきたいというふうに思います。よろしくお願い申し上げます。 先日、ある方が、革命というのは民衆が起こすものであって政府に起こしていただくものではないというようなことをおっしゃっているのを伺って、本当にそのとおりだなというふうに思った次第です。今度のIT革命にしましても、お国によいものを用意していただいてそのお導きで国民がついていくというようなやり方ではうまくいかないのではないかというふうに思っております。そうじゃなくて、民の方でどんどん新しいおもしろい動きをつくり出していって、政府は後から追いかけていくというぐらいの姿にしたい。 規制改革につきましても、規制があるから何もできないなどと言っていないで、新しい技術を使って規制が想定していないようなビジネスをつくって、時代おくれの規制は有名無実にしてしまうぐらいのベンチャースピリットでいこうというようなことを学生には申しております。 もちろん、こういうような手法には危険が伴うわけなんですけれども、リスクフリーというのは実は幻想だと思うのです。リスクフリーを追求する余りに、何をやろうとしても事前につぶされてしまうような社会を日本はつくってきてしまったんじゃないでしょうか。 リスクというのは、なくせるものではなくて管理すべきものだというふうに考えます。アントルプレナーの試行錯誤を許して、もちろん危険はあらかじめ極力予知しておきまして、それが現実のものになりそうであれば事後的にチェックをかけていくという考え方でいきたい、政府にはしっかりそういう意味では後ろにいていただきたいというふうに考えます。 もう少し穏やかな表現をいたしますと、改革の基本理念は、国民参加型の経済社会の構築であるべきだというふうに考えております。この考え方が大切なのは、それで高齢化が怖くない日本をつくることができるからだと思っております。迫りくる高齢社会を考えたときには、生活の場面から遠く離れることができない子育て中の女性であるとか、高い能力は維持しながらも通勤などはできない健常な高齢者の方々などに経済活動に参画していただかないともたないんじゃないかと思います。 ネットワークを活用した在宅ワークなどの仕組みは、不完全燃焼していたこれらの方々にどんどん活躍していただくことを可能とします。デジタルデバイドという言葉がありますが、単にデバイドを解消するだけで満足していてはいけないと思います。単に強い人が弱い人を支える社会をつくるのではなくて、従来弱いと思われていた方々にも出せる力を発揮していただけるようなバリアフリーの環境をネットワークを通じて用意することで、みんなで社会を支えるという設計思想でいかないと、二十一世紀の日本はもたないのではないかというふうに思います。 情報技術が民主導の改革を可能にするのは、情報発信コストを大幅に低下させて、だれでもが世界に向けて声を上げることを可能とするからです。また、地理的に分断されていた志を同じくする仲間が横に連帯することを容易にしてくれます。情報発信コストが高かったころには、すべての情報を一たん中央に集めて、中央の方が有益だと判断した一部情報だけが多人数に配信される中央集権的な社会しかつくれなかったように思います。これに対して、ネットワーク社会においては、小さな個人の声でも共感を得て大きな渦となって、大きな影響を与えることができます。これが政治、例えば選挙のあり方まで変え始めていることは、国会の皆様も実感されているのではないかというふうに思います。 経済の分野でも、ネットワークは、従来、分断、散在していることで価値を生めなかった情報を結合して、新しい価値を生み出す機会を与えています。例えば、ネットワークの強力な探索機能を使うと、今までは引き取り手が見つからず廃棄物になるしかなかった中古品に、新しいユーザーを見出して資源化したりすることができます。同じように、今までだったらすれ違ってめぐり会わなかったかもしれない荷物を見つけたいトラックと、トラックが必要な荷主をマッチングすることができます。また、例えば、国内の顧客が減ってこのままでは消滅してしまいそうな伝統工芸産業が、ネットを通じて海外のファンを開拓することなどもできます。 もっと大きなところでは、消費者と大企業の開発部門、そして金型などの中小企業群の間に三次元CAD図面に代表される電子情報が自由に行き交う面的なネットワークを構築すれば、既に世界最強の日本の製品開発基盤を他国には追随できないところまで強化することができます。 日本にとって大いなる希望は、さまざまな革新的な仕組みの構築に向けて、困難な仕事に立ち向かっている多くの人々がいることだと思います。政府にできることがあるとすれば、彼らが活躍しやすい環境を用意することだと思います。 法案は、第三条において、すべての国民が主体的にネットワークを利用し、個々の能力を最大限に発揮するという思想を掲げている点で大いに評価できるものと考えています。気をつけたいのは、同じ条の、「恵沢をあまねく享受できる」という部分で、これがサービスのばらまきという意味ではなくて、すべての国民が未来に貢献できる場を用意するという意味であることを徹底していただきたいと思います。 このような基本的な考えを確認した上で、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法は、今後整備されるであろう個人情報保護法、書面の電子化に関する法律の制定、電気通信事業法改正、商法改正、税制見直し、知的所有権制度見直し等、具体的な制度改革に基本理念を与えるものであり、大変重要なものであると考えます。これらは民が活躍する環境を用意するものだからです。どれくらい国民の力を引き出せるか、国会の皆様の腕が試されているところだと考えます。 以下、各論になりますが、たくさんあるんですけれども、重要だと思うことだけちょっと選んでお話ししたいと思います。 第一は、通信インフラストラクチャーの構築についてです。 ここでは、第七条に掲げられた、民間が主導的な役割を担う、そのために公正な競争を促すという原則を徹底していただきたいと思います。大切なのは、これが現実のものとなるような環境整備を行うことだと思います。 特に重要なのが市内網に自由な競争を入れることです。この目標に向けて、NTTだけでなく通信、電力、鉄道など公益事業者が持つケーブル敷設可能な空間ないしは敷設済みのケーブルを電気通信事業者へ原則開放することを義務づけるほか、電波、道路、河川、上下水道など公共的に管理、設置されている通信伝送路が敷設可能な公共空間を、オークションを含む競争促進的な手法で民間事業者に開放することが有効だと思います。この施策によって、大小多様な民間通信事業者がみずからの技術とビジョンを市場において試すことができるからです。 実効を伴う競争導入にめどをつけた上で、NTT法は廃止し、完全民営化を行うべきだと考えます。半官半民の独占事業者が特殊な権益と特殊な義務を負いながら事業を行っている現状のシステムは、国内における競争の進展を妨げているほか、急激にグローバル化する世界のネットワーク産業への日本企業の対応をおくらせ、国益を損なっていると思います。 第二は、ネット上の資本市場整備による国民参加型の資本形成です。 インターネットは、経済や企業の情報を広く伝達することを可能にするほか、取引コストを大幅に下げることによって、個人が小さな金額でも投資家として経済に参加することを可能にします。国民が自分の判断で自分と社会の未来を託するに足ると思う企業に投資し、チャンスとリスクと発言権を共有する社会を構築するのです。これは国民のイニシアチブによる産業政策や産業金融を行うということだと思います。 持ち合い解消などで株価対策に頭を悩ます企業にとっても、個人投資家の層を厚くするということが急務となっています。これを実現するためには、株式分割規制や単位株制度の撤廃、改善などによる取引単位の小額化、取引の二十四時間化などによる利便性の向上、企業情報のディスクロージャーの徹底などの対策が有効であると考えます。 会社制度の整備はベンチャーの活躍を促す上でも大変重要です。ハイテクベンチャーだけでなく在宅ワーカーたちが安定的に仕事を受けるためには、会社組織で仕事を受けられるような体制づくりを進めないといけません。会社設立費用の低廉化、ネット上での取締役会開催などの解禁などが望まれます。 第三に、法案の第十八条にうたわれた電子商取引の促進に必要な措置の中には、税の問題が大きいことを御指摘したいと思います。 電子商取引の領域においては、従来とは全く異なるサービス形態が出現することが予想され、税の中立性を保つことが難しくなったり、徴税技術的に課税が難しくなったりする現象が起こることが想定できます。 当面急いで検討を進めなければいけないのは、デジタルコンテンツに対する課税です。デジタルコンテンツについては、国境を越えた流通市場ができ上がることが容易に想定され、海外に置かれたサーバーから日本向けに提供されたコンテンツに対して日本の消費税をかけることはかなり難しいことを覚悟しておかなければなりません。外国では間接税が免除され、日本では課税されるというようなことになりますと、コンテンツビジネスがどんどん海外に流れてしまいます。 いずれにしても、徴税技術が確立するまで課税が難しいなら、戦略的に今後三年間程度日本ではデジタルコンテンツは消費税非課税とする宣言を行い、この間に、より体系的な税に対する考え方を整理することがあってもいいと思います。 これで最後ですが、第四点は、政治の情報化への取り組みです。これは法案の第二十条ということになるのかもしれませんが、明示的には見当たりません。ネットワークは政治家と有権者の間の強力かつ安価なコミュニケーションの道具となります。識見の高い候補者がコストを抑えながら有権者に具体的な政策を提示することができますし、双方向性を活用すれば、有権者の意思を機動的に政治に反映させていくことができます。上手に活用することがこの国の政治のプロセスの進化につながると思います。 以上、いささか細かい点まで申し上げましたが、二十一世紀に向けて日本が活力を保っていくために情報技術が決定的に重要であり、政府としても、総理大臣のリーダーシップのもとに取り組みを進めていくという趣旨については敬意を表したいと思います。携帯電話の例などを見ても、日本人とネットワークの相性は実はとてもいいと思います。ぜひ、よい基本法の制定と重要な関連制度改革を実現していただき、民間が伸び伸びと革命を遂行できるようにしていただきたいと思います。日本の持つ力をもってすれば、五年と言わず、もっと早くキャッチアップすることが可能だと思います。 以上でございます。(拍手)
○佐藤委員長 ありがとうございました。 次に、薗部参考人にお願いいたします。
○薗部参考人 まず初めに、こうしてパソコンの画面を液晶ビジョンでスクリーンに投影することができるようにしていただき、委員長初め委員の皆さん、また、きのうからお手間を大変おかけしました事務局の皆さんに心から感謝申し上げます。 さて、私は、障害者の権利が守られ、ああ、生きていてよかったと実感できる社会の実現を目指す立場から、IT基本法について意見を述べさせていただきます。発言はスクリーンの画像と一緒にさせていただきますが、皆さんのお手元には既にプリントした資料もお配りしていますので、後ほど御参照ください。 まず、現状と問題点です。 ITは、障害者には無が有になる希望の道具です。しかし、厄介なのがパソコンで、インターネットも同様です。テレビのようにはすぐには使えない。何もしなければただの箱です。さらに、障害があることでさまざまなバリアが山積します。障害種別や程度の違い、日常生活の状態の違いも大きく、さらに相談、習得の場がほとんどありません。 次に、具体的に現状を紹介させていただきます。 これは足でタイプしている場面です。論文一つ書き上げると、疲れで一週間は歩けなくなってしまう。それでも自分で原稿が書けるってすばらしいと言う大阪のある研究者です。タイプの際の足首にかかる負担は、手首の数倍です。 次に、唇で電子メール。お父さんとメールで話ししたよと多摩地区の高校生です。彼は、唇の先でキーボードをタイプします。エンジニアで出張が多く、会話の機会の少なかったお父さんもうれしそうでした。 ヘッドギアで入力作業、もっと働ける場が欲しい。江東区の障害者作業所にて写させていただきました。筋ジストロフィーという筋力が低下していく病気の彼ですが、できる力で入力します。でも、重度の障害者を受け入れる企業は少数です。月収五千円という小規模の障害者作業所が圧倒的です。 ピンディスプレーと音声合成があれば。画面のテキスト文字を指先に、ピンが上下して、点字で伝えることができます。画面のテキストを音声合成装置が読み上げます。すると、働けます。全盲のエンジニアの職場進出のうれしいニュースが続いています。 次に、知的障害者のテクノロジー活用の例です。スウェーデンでは一九九一年から研究プロジェクトに取り組み、我が国でも最近実用化されました。お札や硬貨などの絵や写真を見ながら一対一対応させたりすることで、簡単につり銭がわかるシステムです。ただし、値段は一台百十万円です。 自作の補助具もそれぞれが工夫しています。この方の場合、割りばしに指サックをつけた補助具でマウスを操作します。しかし、ごらんのようにワープロでインターネットをしていますが、速度は遅過ぎます。在宅の彼の期待は、インターネット授業の受講です。 しかし、マウスの操作は不随意の動きがあるととてもつらいものがあります。四十歳あたりからの二次障害と言われる不随意の運動の無理の重なりによって新たに生じる障害の不安もあります。医療など専門機関との連携がとても大切なのです。 新潟の鈴木正男さんから、電子メールで意見をいただきました。三十歳ごろ、足で文字を書けなくなったので、足でキーボードを打ってワープロを使い始めました。四十二歳で障害が重度化して座ることができなくなり、寝たきりとなりました。もうだめかと思いましたが、科学技術の進歩を思うと、どんな障害があっても入力できる機器は開発できると信じることにしました。今は、あきらめるのではなく、人を介してもいいからと考えて、介護人と二人三脚で自分のホームページをつくり、介護情報を発信しています。 事例の最後は、福井にお住まいの長谷川清治さんの例です。重度の脳性麻痺者です。体の緊張が強く、歩行が困難で、重い言語障害もあります。わずかに動く一本の指でパソコンを操作します。ベッドが生活の場です。長谷川さんはインターネットを使いたいと願いましたが、近くに彼が学べる場はありません。そういう意味では、教育も福祉も医療もみんな必要なのです。彼は各地に出かけていって学び、インターネットの使い手となりました。すると、教えられるばかりでなく、自分も何かの役に立てるかもしれないと気持ちが変わりました。助けてから助け手へと、この夏、長谷川さんの介護ボランティアや先生、施設職員やエンジニアなど十名ほどで、パソコンボランティア福井を発足させました。長谷川さん自身が助け手となったのです。 こうしたたくさんの人たちの願いや希望にIT基本法はどうこたえているでしょうか。 情報バリアフリーに関する四つの課題について述べさせていただきます。 まず、情報、コミュニケーションは人権です。同年齢の市民と同じ人権を保障するとした障害者の権利宣言は一九七五年です。さらに、一九九三年には、国連は、どのような障害の種別を持つ人に対しても政府は情報とコミュニケーションを提供するための方策を開始すべきであると障害者の機会均等に関する基準規則で明確にしました。以後、アクセスの保障は世界のメーンテーマです。 我が国では、情報アクセス、情報発信は新たな基本的人権と郵政省電気通信審議会が指摘しました。それは、身体障害や知的障害、精神障害などすべての障害者を対象に権利として位置づけると、高齢者初めすべての人々が利活用できることにつながるからです。人間は、ITから恩恵を受けるという受け身の存在ではなくて、よりよく生きるためにITを道具として活用するものだと思います。この視点が基本法は明確ではないと感じます。 次に、緊急改善の三事項です。 一つは、日常生活用具にコミュニケーション機器を。ITの時代にパソコンがノーは時代錯誤でしょう。現行では、重度障害者に電動タイプライター、ワードプロセッサー給付はありますが、パソコンは認めません。パソコンは多機能だからというのが理由です。科学技術の日本だからこそ、最高のものを障害者にと発想を変えてほしいです。 さらに、公的機関にいつでも利用できる通信環境を。筋ジストロフィーの患者さんたちなど、病院で暮らす人たちがいます。携帯やPHSは病院では使えません。数日入院しただけでも大変なことなのに、そこで暮らす人たちを忘れてはならないと思います。また、北欧では図書館がインターネット利用の拠点でした。さらに、養護学校を含めた学校に通信環境は必須です。公民館も施設も、地域の公的な資源に通信環境を徹底することで利活用は飛躍すると思います。 同時に、人的サポートの体制です。通信環境が整備されても、相談できる人のサポートが必要です。そのため、障害がわかって、かつテクノロジーもわかるという専門家の養成が急務です。公的機関にだれもが使える通信環境が整い、そこに専門家が行政の責任で配置ないしは養成されるならば、そこのボランティアも力を発揮しやすくなります。 三番目に、国の責任です。 通産省の情報処理機器アクセシビリティ指針は力作と言えます。しかし、連邦政府が購入、用いる機器は障害者でも使えるものでなくてはならないというアメリカのリハビリテーション法に比して、強制力がありません。企業任せでなく、国のリーダーシップをぜひ見せてほしいと思います。 郵政省は、この五年間、調査研究会を組織し、地域での人的支援、ホームページのアクセシビリティーを強調しています。これも通産省と同様です。さらに、公的情報のアクセシビリティーの徹底、また、中長期的整備目標と財政計画をつくり、しっかりと総括が必要ではないでしょうか。IT補正で六十億円分のパソコンを福祉施設に配ると聞きますが、障害者の願いは、いつでも使える通信環境の整備と人的サポートこそ国としてやってほしいことなのです。 最後に、最大のポイントです。調査、研究、開発、決定への当事者参加をぜひお願いしたいと思います。 以上、ITはすばらしい可能性を持っています。それゆえに、どのように重い障害があっても人生は自由ですばらしいと実感できるように、もっと本格的な、すべての人のためのIT基本法を希望します。 以上です。(拍手)
○佐藤委員長 ありがとうございました。 次に、福冨参考人にお願いいたします。
○福冨参考人 おはようございます。福冨と申します。 私の専門はメディアコミュニケーションということになるのですが、別途、通信、インターネットなどを通じましてNPO活動を支援する通信NGO団体に関与しておりますので、そちらの方の観点からも幾つか意見を述べさせていただきます。 現在のように、インターネットなどの新しい通信手段が社会生活に不可欠なものとなりつつありますので、こういう時期にITの推進ということを政策として立案されたことにつきましては、賛辞を惜しむものではありません。しかし、法案を含めましてIT戦略会議など一連の議論を読ませていただきますと、全体の印象としては、やはり社会政策というよりは産業分野の施策に重点があり、電子商取引推進法という印象を強くするものであります。 以下、新しい社会を形成するために最低必要と思われるような点について意見を述べます。 まず、情報格差、いわゆるデジタルデバイドというものの解消に関する具体的な施策を早い時期に立案すべきではないかということです。 法案の方にも、すべての国民が情報通信技術の恵沢を享受できる社会の実現、あるいは利用機会などの格差の是正といったユニバーサルサービスとしての高度情報通信ネットワークがあまねく国民に提供されて、そこで発生するデジタルデバイドを是正していくということが理念として盛り込まれてはおります。しかし、これは具体的にどういう方法で是正されるのかということは、重点計画として明らかになるのかもしれませんけれども、現状でははっきりしておりません。 さきの沖縄サミットでも、グローバルな情報社会に関する沖縄憲章、いわゆるIT憲章の中で、発展途上国と先進国の間の情報格差を是正していくということをうたわれておりました。しかし、実際には既に、年齢、地域、収入、あるいは先ほど薗部先生御指摘の身体的条件などによる国民の間、国内の情報格差というのは広がっているというふうに考えられます。 具体的な例で言いますと、民間のシンクタンク、野村総研の九九年の調査では、パソコンの個人利用率、これが、最大である四十代男性三八・九%に対して、五十代の女性は七・四%という、大体五倍ぐらいの開きがあります。こういうのをデジタルデバイドと言って構わないかと思います。 この格差は、情報機器などの操作などのリテラシーの向上だけでは埋まらないわけです。例えば、現在の官邸のホームページ、ウエブの内容というのは、最も普及しているインターネットツールでありますiモードなどの携帯電話から読むということはほとんど不可能に近いです。こういった端末機が今後改善されていくとしても、まとまった文章の閲覧とか発信には、やはりパーソナルコンピューター、パソコンのようなものを使うか、それと同等の機器を開発していくほかないわけです。 ところが、そのためには、法案がうたうような低廉な料金のネットワーク利用条件の整備といったことでは足らないというふうに考えます。現在でも、機器と接続環境を整備するだけで一人当たり最低十万円ぐらいの出費というのが必要なわけで、これは、学生であるとか低所得者の方には決して低い金額とは言えないと思っております。 インターネットの普及ということでは先行しております米国で、九二年ごろに、NII、全国情報基盤整備構想というのがありまして、この中でも、ユニバーサルサービスの実現として利用者へのインターネットの無料公開といったことが施策としてうたわれておりました。これは、例えば公共図書館などコミュニティーアクセスセンターに無料のインターネット端末を置くというような方法でした。それにもかかわらず、商務省の電気通信情報局の昨年の報告書では、都市部、郊外、地方、人種、所得、年齢などそういう条件差によってかなりの情報格差が生まれているというふうに言っております。この段階でデジタルデバイドという言葉を使いましたので、一気にデジタルデバイドという言葉が使われるようになったという経緯があります。 この段階で、米国世帯の四〇%以上がパソコンを所有しておりまして、二五%がインターネットに接続しておりました。日本では、同時期に大体一三%ぐらい、半分ぐらいのインターネット普及率でした。 日本の方でも、生涯学習審議会の報告書で「図書館の情報化の必要性とその推進方策について」という報告書があります。ここで、公共図書館を地域の情報化拠点にしてそこでインターネットを利用してもらおう、そういう方針が述べられているのですけれども、日本のこの段階での公共図書館のインターネット開放率は全体の三・五%、日米比較でいいますと二十分の一ぐらいのものでした。 かつ、この報告書では、インターネット利用というのは図書館法で言う「図書館資料の利用」には当たらないので、無料ではなくて有料で提供して構わないというふうに言っております。つまり、政府の方でウエブ、ホームページを通じて情報公開を推進していらっしゃるのですけれども、これを公共図書館から利用する場合は有料になってしまう可能性があるという非常に皮肉な事態になっております。 ともあれ、企業や学校などでコンピューターやネットワークの利用環境にかかわることができない、かつ高額な機器を購入することができない退職者、低所得者層などの国民に情報格差が広がってくると思いますので、ここには早い時期に、例えば図書館など地域の施設に情報ネットワーク設備の無料利用といった整備を行っていく必要があるのじゃないかと思っております。 それから二つ目に、コンテンツの推進と人材育成が必要ではないかと思います。 コンテンツという言い方は難しいのですが、法案の方でも、高度情報通信ネットワークの拡充、「高度情報通信ネットワークを通じて提供される文字、音声、映像その他の情報の充実及び情報通信技術の活用のために必要な能力の習得が不可欠であり、かつ、相互に密接な関連を有することにかんがみ、これらが一体的に推進されなければならないものとする」とあります。これは読み解きますと、ネットワーク、いわゆるインフラや技術の向上だけではなくて、そこで配信される情報の中身、それを活用する能力というのも同時に向上させていかなければならないということだと思います。 インターネットがここまで発展した背景には、初期の利用者たちが質の高い、比較的技術寄りの情報を無料で提供してきたという経緯があったと思います。また、国内で利用者を広げておりますiモードのようなものも、当初から魅力あるコンテント、サービスではなくて情報の内容を提供したということが重要なポイントだったと思います。 しかし、こういうコンテントの制作、情報の中身を制作する人材というのは、法案、推進策の方で、はっきりとその育成に関して手法や指針が感じられません。 例えば、電子商取引を行う場合も、実際の商品やサービスを直接見せないで物を販売するわけですので、そこを広く訴求していくために、文章とかデザイン、画像、音声といったものを美しくつくり上げる必要がありますね。これは情報技術という分野の能力ではありませんで、芸術表現を含めた別の専門性を持つ人材です。技術人材とは言い切れないわけです。 何が言いたいかといいますと、既存のメディア産業で比喩して言いますとわかりやすいかと思います。例えば出版産業の場合ですね。出版産業というのは、印刷会社と本屋さんだけで成立はしないわけです。きれいな印刷ができるとかうまく売れるということでは出版産業は成立しないわけで、出版社というところに、情報を編集する編集者であるとか作家であるとかそれを装丁するデザイナーといった人がいて初めて成立する。この人材が最も重要ですね。 また別のメディア産業でいいますと、映画産業の例でいうとわかりやすいのですが、六〇年代に日本人の大半というのは邦画のロードショーを見ておりました。日本の映画を大体ロードショーで見ていたのですけれども、現在、日本のロードショー館の五割以上はハリウッド映画をロードショーしております。これはどういうことかというと、日本映画がテレビとかビデオなど新しい技術に対応できなかったということもありますけれども、ハリウッドの方で多くの大学などに映画関連学科や学部が設立されておりまして、関連人材の厚い層というのができてきた、そういうことが大きいと思います。 つまり、こういうコンテントの人材育成というのを怠りますと、高度情報通信ネットワーク環境というのが整備されたときに、日本人が見るのが海外のものばかりである、日本人が受けるサービスが海外のサービスばかりであるということが起こり得ると思っております。実際に、タイム・ワーナー・グループのような企業は、もともと映画産業ですけれども、映画、出版、音楽の産業がCNN、ニュース専門テレビ局、音楽専門テレビ局と合併しまして、さらにアメリカ・オンラインというネットワーク接続業者まで一つの企業にしてしまっております。ですので、こういうところの競争力というのはばかにならないものじゃないかと思っております。 日本の独自のコンテントといった場合、アニメとかゲーム産業を挙げる向きというのが多いのですけれども、今までパッケージメディアで提供してきましたゲーム産業というのはネットワーク環境についてはまだ未知数であると言えますし、また、アニメ関係では人件費が非常に上がっておりまして、今ではIT関連技術の導入ということも考えられておりますが、近隣アジア諸国であるとか欧米に制作を発注するというケースが目立っております。アニメーション映画などを見ていただくとわかると思いますが、日本人以外の方のスタッフのクレジットが並ぶということが多いと思います。 こういうコンテントレベルの人材育成が重要だということと、こうしたコンテントを受容してそれを活用していく能力、いわゆる情報リテラシーの振興というのも国民的なレベルで必要になってくるだろう。これは提供される情報の価値や真偽というのを読み解く能力でありまして、パソコンの操作方法といったこととは違います。これを情報リテラシーというふうに言っております。 それから三つ目ですね。では、そのパソコンの操作方法などはどうやって習得していくんだという話になると思いますが、これはNPOとの連携を通した国民運動化ということを推進していく必要があるのじゃないかと思います。 基本法案の十七条にも「教育及び学習の振興」ということが定められているのですけれども、パソコンの普及に関しましては、一九七〇年代に日米中心に、マニアであるとか技術者、専門家によるボランティア的な情報であるとかソフトの提供ということが行われまして、また同時に、社会的弱者がパソコンを利用することができるようにサポートする市民活動というのが底辺に存在して、これがパソコンの普及というのを推進してきた経緯があります。 インターネットについても同様でして、こちらにいらっしゃる村井先生のような技術者たちによるボランタリーな貢献というのが、現在のあり方を実現していると思います。何よりもインターネット自体が、それを統括していますISOC、インターネットソサエティー、先ほど話に出ましたICANNなどの組織自体、地球規模で利用者の総意をもとに非政府組織、NGOとして運営されているという経緯があります。これはインターネットガバナンスなどという言い方を現在はしておりますが、そういう意味で、ネットワーク社会というのは、こういうNGOやNPO活動などと極めて親和性が高いということが言えるかと思います。 現在も、中古パソコンを企業などから寄附してもらって、これを学校とか福祉団体に提供する活動であるとか、インターネットを活用した情報レベルのボランティア活動、あるいは災害情報を提供する情報NPOと言われるようなもの、それからボランティア関連情報を交換するホームページを運営しているような団体とか、そういうIT関連のNPO活動というのは既にかなり存在しております。税制優遇などNPO法人への支援政策が別途NPO法の方で議論となっているわけですけれども、IT革命を国民運動として進めるのであれば、民間という言い方を関連産業という範囲で定義していただかないで、NPOやボランティア活動、市民活動と役割を分担して進めていく必要があるのじゃないかと思っております。 最後に、幾つか細かい点ですけれども、一つは、IT革命は産業構造の転換をもたらすという言い方をされているわけですけれども、これは同時に、デジタルデバイドの解消と同様、例えば中間管理職の方の失業とか旧来の特定産業の急速な後退ということをもたらすのは間違いないわけですね。そういう意味で、ITを進める反面、そこで衰退していくようなものに対するセーフティーネット機能というのは必要だろうと思います。 それからもう一つ、ネットワーク利用に関して、多くの調査で、プライバシー侵害の可能性が利用者の感じる不安の多くを占めている。これに対して個人情報保護法の整備というのは行われているようなんですけれども、同時に、インターネットなどは双方向のネットワークですので、利用者みずから表現とか情報発信の機会を提供していくものですね。そういう意味で、個人情報保護のための施策が言論、表現の自由をくれぐれも侵害しないように、注意深い議論が要請されると思っております。自由な情報流通とITの発展というのは、ほかの国を見てもわかりますように、相補的なものですので、そういった点を御理解いただいて、IT推進ということに取り組んでいただきたいと思っております。 以上です。(拍手)
○佐藤委員長 以上で各参考人からの意見の開陳は終わりました。 —————————————
○佐藤委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阪上善秀君。
○阪上委員 おはようございます。参考人の皆さんには朝早くから御出席をいただきまして、心から感謝を申し上げ、質問をさせていただきたいと思います。 出井参考人にお伺いをいたします。 高度情報通信ネットワーク社会の形成に当たっては、民間活力を最大限に発揮させ、民間が主導的役割を担って実行していくことが基本であると思っております。国や地方公共団体の役割はあくまでも、民間ができるだけ公正で自由活発に活動できるように、現在あるさまざまな規制を緩和したり、さまざまな障害要因をできるだけ解消していくことが必要ではないかと思っております。 そこで、その一つの例として、過日このような話がございました。 それは、東京に進出したあるIT関連の外資系企業が通信ケーブルを敷こうとしたところ、ちょうど本社ビルの隣に川が流れており、河川法の関係で建設省の許可をもらわなきゃならない。ところが、許可が出るまで半年以上かかると言われて、そんなに待ってはおられないということで、やむを得ずこの会社は本社ごと引っ越ししてしまいました。こういう事例がございました。 この事例に見られるように、日本では小さな規制がIT促進の障害になっている例が多々ございます。また、規制同士が重なり合っていて、一つの規制を緩和しようとすれば次から次へと緩和しなければならず、規制緩和がなかなか進まないと言われております。 そこで、一つの提案として、私は、中国の経済開発に特区制度が設けられた例があるように、ある地区に限って規制を全部なくしたIT特区、すなわちITに関する一種の治外法権的なエリア、デジタル特区を例えば東京のような大都市圏に設けてはどうかと思っておるところでございます。 そこで、IT戦略会議の議長でもある出井参考人にお伺いをいたします。この考え方は日本にとって有益だとお考えでしょうか。その場合、どのような地域にIT特区を設けるべきだと思われますか。政治主導でIT特区制創設を目指すべきだとお考えになるでしょうか。以上の点についていかがお考えか、お伺いをいたします。
○出井参考人 お答えいたします。 現在のIT革命で今日本が直面している問題というのは、通信革命の中で、放送と電話につきましては国際レベルを抜いている水準にあると思いますけれども、甚だしくおくれておりますのがインターネットにおける通信だと思います。 具体的には、インターネットのスピードというものが各国に比べて非常に遅いということと、その料金が電話料金の体系に乗っているために、三分幾らというようなシステムに乗っておりますので、インターネットを切り忘れますと電話料金の請求が来るということで、インターネットそのものというのは、基本的には電話と違って、必要なときにかけるというんじゃなくて、いつもつなぎっ放しであるというような状態が当たり前なところです。電話料金が、欧米の場合は市内通話料金というのが一定になっておりますので、そこの矛盾が出ないわけですけれども、日本の場合、電話料金体系が従量制、要するに距離とか時間に乗っておりますので、ここが一番解消すべき点であるというふうに考えます。 それから、第二番目の御質問の特区の考え方でございますけれども、特区の考え方というのは、ごく初期であれば私は非常にいい考えだというふうに思いますけれども、現在のように日本全体のレベルを上げなきゃいけないという緊急の時代におきましては、特区の考え方と聞きますと、その地域だけの発展というふうになりますし、東京を中心としますと、現在のインターネットのエクスチェンジの体系というのはすべて東京に集中しておりまして、地方に対して格差をさらに広げる可能性があるというふうに考えます。 したがって、私は、特区という考え方に関しては、現在、二十一世紀の日本のインターネット戦略を考える上に関しましては適さない考えではないかと思いまして、日本全体のレベルを早急に、早く上げるということが非常に重要な問題であると考えております。 以上、お答え申し上げました。
○阪上委員 続いて出井参考人にお伺いいたしますが、来年一月の中央省庁の再編では、当初、情報通信も一本化する動きがございました。しかし、役所側の猛反対で断念をいたした経緯がございます。情報通信産業を抱える通産省、電波行政を担当する郵政省、この双方が我こそは情報通信の担当省庁と譲らなかったために、結局、情報通信行政はまた裂き状態のまま新体制に移行することとなってまいりました。 中川前IT担当大臣は、かつてフジテレビの番組で、いずれITを専門に担当する行政機関が必要になるかもしれないと述べ、将来、通産と郵政両省から情報通信行政を切り離して新たにIT担当省をつくるべきだと示唆されたことがございました。 このように現在、IT行政は通産省と郵政省にまた裂き状態になっております。このような役所間の対立状態をいつまでも解消せずに放置すれば、今回のIT基本法が目指すIT革命がおくれるばかりか、めぐりめぐって国民のためにもならないと考えておるところでございます。そこで、私は、現在のIT関係の役所を一本化して、例えばIT省のようなものを創設したらいかがなものかと考えておる一人でございます。 ソニーの社長でもある出井参考人にお伺いをいたしますが、IT関係の役所は一本化した方がよいとお考えでしょうか。ソニーの経営者として、IT行政が二つの省庁に分かれていることの不便を感じたことがおありでしょうか。アメリカなどはどのような行政事情になっているのでしょうか。御意見をお伺いいたします。
○出井参考人 お答えを申し上げます。 私は、IT戦略会議の議長を引き受けましたときに、当然ITに関する制度というものにはさまざまな問題点があるということは、IT戦略会議の基本戦略にも指摘したとおりでございますけれども、現在、制度改革の方に議論が行きますと、すぐできることがおくれてしまうという、問題の緊急性ということにかんがみまして、現在の制度でできることをすぐやるということを基本的にIT戦略会議の扱う範囲と考えました。 したがって、制度的な問題に関しましては、先生のお考えのとおりと思いますけれども、現在の日本の通信制度のおくれというものを制度から考えたらまた数年間の議論が費やされるという経済人としてのおそれがありますので、現在の制度でできることを早くやっていくということを優先順位としてIT戦略会議をまとめさせていただきました。それが前段のお答えでございます。 それから、経営者として、通産省がコンピューター、それから郵政省が放送及び通信ということを分離しているという点において不便があるかということでありますが、これは、同じことを二度説明しなきゃいけないとか、朝食会が別々にあるとか、それからハイビジョンの日が去年まで別々の日だったとか、そういう細かい点ではいろいろございます。 しかしながら、より基本的なことは、日本の行政というのは基本的に政策官庁と規制官庁が同居しているということがより本質的な問題でありまして、制度問題に関しましては、別の視点から十分先生方で御討議をしていただきたい重要な問題だと認識しております。 以上、お答え申し上げました。
○阪上委員 先ほど出井参考人はソニーの社長さんということを言いましたが、現在会長に昇進されておるということで、失礼をいたしました。何せ、きょうの八時五十分に出井さんの意見陳述の内容をいただきまして、何か見合いをせずにいきなり結婚式場に出席したような感じで、新婚初夜の気持ちでおりますので、お許しをいただきたいと思っておるところでございます。 最後に、平成十二年度の通信白書によりますと、インターネットに常時二十四時間接続した場合の東京とニューヨークの比較が載っておりましたが、東京が八千五十円、ニューヨークが五千百九十五円と、依然大きな開きがございました。今後、我が国が世界最高水準のネットワーク網によりインターネットの飛躍的普及を図っていくためには、この通信料金を、五年後の二〇〇五年までには、一般家庭の利用で二十四時間つなぎっ放しで現在のニューヨーク以下の二十ドル程度、二千円ぐらいにする必要があると考えます。出井参考人はこれに賛成でございますでしょうか。また、このことが可能だと思われますか。なすべきだと思われますか。お伺いをいたします。
○出井参考人 お答えを申し上げます。 今の、東京が八千円、ニューヨークが五千円というのはちょっと計算がよくわかりませんので、正確な計算かわかりませんが、私はもっと格差があるように思います。というのは、先ほど申し上げましたように、日本のインターネットの常時接続の料金というのは電話料金体系で、ニューヨークは一律月額幾らということになっておりますので、先生のあれは、月にたしか二時間ほど毎日使った場合、料金はニューヨークと差があるかと。 私は、日本とアメリカの電話料金体系そのものがそんなに高いとは思わないのです、というのは、長話をするのは個々人の責任ですから。ただ、インターネットの場合は長話じゃなくて、長くつなぎっ放しが常識ですので、長くつないだ場合に関してどうかという点がその一点で、その件に関しましては、私どもユーザーとしましては、安いほど望ましいというふうに考えます。 基本的には、三千円がどうかということよりも、もう一つは、時代とともにこの料金というのは非常に劇的に下がるという性質を持っておりますので、三千円と料金を設定するということは、スピードとの関連、要するに通信の速度の関係も非常に速くなっておりますので、スピードだとか料金というのは政府が決めるよりも早く下がる技術的な背景を持っている産業でありますので、基本的には、できるだけ通信速度が速くて安いという日本に一日も早く持っていきたいというふうに考えております。 以上、お答え申し上げました。
○阪上委員 きょうの日経新聞によりますと、出井議長は国際価格並みの二千円程度の期待感を示したということが載っておりますので、なお一層の御尽力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。 以上です。
○佐藤委員長 生方幸夫君。
○生方委員 民主党の生方でございます。本日は参考人の皆様方には大変いいお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。 それでは、早速質問をさせていただきます。 政府が提出いたしましたIT基本法ですが、私は、ITという言葉が、森総理が急にお使いになり出して、まだ国民の間に十分消化されていないのではないかなというふうな気がしてなりません。やはりIT基本法をつくるときに一番大事なことは、IT革命を通してどんな社会ができるのか、あるいはどんな社会を日本の政府は目指しているのか、その部分を国民の皆様方に広く知っていただくことが非常に重要だと思うのです。 しかし今、残念ながら、IT基本法の基本理念のところを見ても、抽象的な言葉が並んでいるだけで、実際IT革命を通して日本の社会がどういうふうに変わっていくのか、あるいは世界がどういうふうに変わっていくのかというところがどうも見えないような気がしてなりません。まず、どういう社会をつくるのかというところがあって初めて、IT基本法がどうあるべきかということが論議されるべきだというふうに私は考えております。 私は十五年ぐらい前から、やはり情報革命を通して日本の経済構造あるいは社会構造を変えなければいけないというような意見を持っておりまして、早く情報革命に取り組むべきだということを提言してまいりましたが、残念ながら日本では一九八〇年代の後半にバブル経済というのが起こりまして、情報革命に対する取り組みというのが十年ぐらいおくれてしまったのではないかなと、私は非常に今残念に思っております。 そこで、私の基本的な考え方なんですが、情報革命、まあITというふうにTを入れる必要はなくて単にIRでいいと私は思うのですが、どうして情報革命を起こさなければいけないのかという理由の根本には、工業社会、特に先進工業国と言われる国々が壁に突き当たっている、その壁を突き破る道具として情報革命というものを位置づける必要があるのではないかなというふうに考えております。 その先進工業国が突き当たった壁というのは、一つは、私は供給過剰の壁だというふうに考えております。もう一つが環境、エネルギーの制約という壁、この二つの壁が先進工業国と言われる国々の前に立ちはだかり、それをどのように乗り越えていくのかというところでIT革命を位置づけるというのが非常に大事ではないかなというふうに私は思っております。 これは詳しく話すと長くなってしまいますので、ごく単純に考えれば、情報革命が起こる前に起こった大きな革命は産業革命というふうに位置づけていいと思うのですが、産業革命というのは、御承知のように、機械が発明されたことによって産業革命が起こってくるわけで、その機械の特徴というのは生産性を非常に高めるというところにあったわけですね。 この産業革命が起こってから、先進工業国というのは、日本でも百年たっているわけで、生産力は飛躍的にアップしていく。それに対して需要がそれほど伸びるのかといえば、需要の伸びというのは人口の伸びにほぼ比例するのでしょうから、先進工業国はいずれ供給過剰の状態に陥らざるを得ない。そこで初めて何かしらの革新をしなければいけないということがあらわれてくると思うのです。 だから、私は、工業社会の限界というのは、大量生産、大量消費をすることの限界、これはイコール大量廃棄につながるわけで、それがエネルギーの危機あるいは環境の破壊ということにつながっていくのではないかなというふうに思っております。 そう考えますと、今度のIT基本法も、こうした根本的な問題にメスを入れるような発想がなければいけないと私は考えております。 先ほど國領参考人がおっしゃいましたように、この情報革命を起こすことによって、国民の意識というのも大きく変わってこなければいけないというふうに言われております。 ただ、残念なことに、アメリカを見ましても、情報化が非常にアメリカでは進んでいるのですけれども、かといって、じゃ、政治が変わったのか。今度の大統領選挙等を見ますと、インターネットを利用した選挙運動というのが非常に活発になって、ケネディとニクソンのテレビ討論以来の変化だというふうに言われておりますが、もっとその根本にある、我々が今とっている代議制、間接民主主義に対して、ITが導入されることによって直接民主主義というのが今や可能になっているわけですね。そのときの選挙は一体どうあるべきか、あるいは代議制はどうあるべきか、政治はどうあるべきかという論議が、世界的にも日本にも非常に不足しているように思うのです。 そこで質問なんですが、國領参考人は、ITを利用することによって、直接民主主義というのですか、それが可能になったときの選挙制度あるいは政治というのはどういうふうに変わるべきだというふうにお考えか、御意見を聞かせていただきたいと思います。
○國領参考人 御指摘のとおり、この基本法の中で一番薄いように見えるのが政治プロセスの部分のように思います。 政治、選挙のプロセスにつきましては、これは手放しで何でもいいというふうに言うことはできないように実は思っております。非常に一時的な感情で振れたりするようなときもありますので、気をつけることは気をつけて考えていかなければいけない。 このことを踏まえた上で、ただ、やはりこれほど低いコストで意見を世の中に訴えかけることができる道具、これはないということ、それから、いろいろな人がイニシアチブをとって意見を取りまとめる中でこういった決定をする仕組みの中に意見を入れていくことができること、こういうことを通じていろいろなことが可能になってくるんだと思います。 ですから、当面、ちょっと短期的にどんどん取り組んでいくべきことと、それから中期的に様子を確かめながら進んでいく部分があると思うんですけれども、短期的に公職選挙法で選挙期間中にほとんど使えないというような状況になっている、このあたりからまず手をつけて、これは逆に今何にもできないようにしてあるので、かえって不健全な動きをしていたりするように私には見えます。そういった形で、できるところから手をつけていきながら、最終的には大きな仕組みの変化につながっていくというような絵を描いております。
○生方委員 今申し上げましたように、IT革命を通して一番変わっていくのは、これから生活の仕方とか働き方とかいうものが非常に大きく変わっていくと私は思うんですね。それに伴って、当然都市政策のあり方というものも変わっていかなければいけないというふうに考えるんですが、残念ながら、これを見ても、そういうライフスタイルやワークスタイルの変化に伴って、ではどのような規制緩和をするのか、あるいはどのような規制をしていくのかというようなものが盛り込まれていないような気がいたすのです。 都市政策との絡みにおいて、國領先生は御専門ではないかもしれませんが、インターネットが普及することによって、これは地方分権も当然、地方分権というようなことではなくて、地方で東京と同じように働く環境が整えられるということで地方分権がおのずから進められるというふうに思うんですが、都市政策あるいは地方政策との絡みで、インターネットの普及に関してどのような点に注意をしたらいいのかということを御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○國領参考人 いろいろな角度から考えられると思うんですけれども、やはり工業化社会の中で、働く場と生活の場がどんどん遠くなっていくという現象がこの百年ぐらいあったんだろうと思うのです。同じように、生産者と消費者の間、今我々はほとんど、だれがつくってくださったかわからないものを食べたり使ったりしていますけれども、これは歴史的に考えると、むしろ今の方が例外でありまして、生産者はだれが使ってくださるかわかるような形、逆向きも同じというようなことで、とにかくいろいろな意味で、働く場、生活の場、こういうようなものの組み合わせが、今までいろいろ分離、分断されていたものがつながっていく。 必ずしも物理的につながるだけじゃなくて、ネットワークの上で遠く離れた人でも実質的につながっていく、そんな形の社会ができていくし、その中で、先ほどの政治の話ともつながってくるわけですが、生活の場にいらっしゃる方の意見がもっと大きな国全体の仕組みの中に反映されていく、消費者の声が企業に反映されていく、そんな仕組みをつくっていくということなんじゃないかと思います。
○生方委員 出井参考人にお伺いしたいんですが、IT革命が進むということは究極には非常に合理化が進むということで、各企業単位で見れば人がどうしても余るという形になると思うんですね。だから、これは新しい産業が生まれてくるとか新しいサービス業が出てくるとかいうことと同時に進めていかないと、各企業単位で見れば業績は非常に上がっていっても、社会全体として見れば非常に失業者がふえてしまうという不安定な状態になってしまうおそれがあるのではないかと思うんですが、IT革命と雇用の問題についてどのようなお考えをお持ちか、お聞かせをいただきたいと思います。
○出井参考人 お答えを申し上げます。 雇用の観点というのは、一つは、私は、雇用というのを政治の観点からとらえた場合、基本的にはマクロの雇用政策の問題だと思いますが、これはミクロの政策の一つの企業の例を挙げますと、やはり情報革命というものが産業革命から変わっていくという点に関しては、産業構造そのものの変換というものが迫られております。 アメリカの例を見ますと、一九八〇年代というのは日本がひとり勝ちと言われていた時代でありまして、そのころ一番日米摩擦で問題だったのが自動車産業の問題であったというふうに考えます。 自動車産業そのもののアメリカにおいての歴史を見ますと、自動車産業の基本的な町でありますデトロイトというのは、当時百五十万人ぐらいの人がおりましたが、今現在どれぐらいになっているか知りませんけれども、かなり減りました。しかしながら、雇用全体としては、カリフォルニアを中心とするシリコンバレーの新しい企業というものが、自動車産業その他の製造業の雇用の問題というものをしのぐような大きな雇用を生み出し、また新しいベンチャー事業をたくさん生み出しました。したがいまして、アメリカはこのプロセスに約二十五年間かけてやってきたわけです。 したがって、雇用問題を、要するに既存事業というものをIT技術でもって活性するということと、新しい事業を創出して産業構造を活性化するということに関しましては、日本は過去十年間、別の問題に取り組んでまいりましたので、その意味ではリストラに取り組んできたと言えるかもしれません。したがって、アメリカが過去二十数年でやったことを、この五年、十年という時間をかけて、産業構造を製造主体のものから知識社会というものへ転換をするということの中で、雇用問題をマクロとして解決していく問題であるというふうに考えます。 以上、お答え申し上げました。
○生方委員 雇用の問題ですけれども、アメリカの場合は、製造業でいわば余った人材を一番引き受けたのはサービス業でございますよね。シリコンバレー等ではそれほど人員の吸収という点では進んでいなかったというふうに私は理解しておるのですけれども、アメリカの場合、非常に重要なのは、一九九〇年前後にリエンジニアリングという運動がございまして、インターネットとあそこは位置づけられてはいなかったのですけれども、インターネットあるいはコンピューターシステムというのを前提にした物づくり、前提にした組織、前提にした経営は一体どういうものであるのかというような非常に大きな運動があったと思うのです。 日本を見ますと、これを産業構造の改革に結びつけていかなければいけないことは明らかなんですけれども、残念ながら、これだけを見たのでは、どういうふうに産業構造の改革に結びつけていくのかという視点が欠けているんではないかなというふうに思っております。 今出井会長がおっしゃいましたように、雇用問題を解決していくためには、ただ単に新規産業ができたというようなことで雇用がすべて吸収できるというふうに私は考えておりません。もっと重要なことは、やはり組織を変えたり、経営を変えたり、あるいは働き方を変えたりという変化に非常に大きな需要が発生するんではないかというふうに考えて、その変化に対してきちんと対応できるような、ある意味の規制緩和も必要でしょうし、ある意味の規制も必要でしょうが、その観点についてどのような御意見をお持ちか、お聞かせをいただきたいと思います。
○出井参考人 先生御指摘のように、ITそのものがすばらしい需要を創出できる、一夜にしてというふうには考えません。私はITというものが、企業にとって幾つかの側面がありますけれども、現代のインターネットということで考えますと、まず、新しい事業というものがインターネットを使って今日本でもたくさん出ております。これはE何とかという、ドットコムとかいう会社がたくさん出ていることがその例でございますけれども、それがどんどん出てきますと、その中から大きな会社になる。戦後、ソニーとかホンダが焼け野原から出まして大きな会社になったように、今の情報革命の中から将来のソニー、ホンダみたいな会社が出てくる可能性というのは十二分に秘めたものだと思います。 しかしながら、既存産業ですね、ソニーを含めましてもう五十数年の歴史がありますので、先生御指摘のように、組織そのものをIT技術を使ってリエンジニアリングをし、または経営効率を改善するということがIT産業の一つの側面で、これは経営効率の改善ということになります。 そういう面での雇用対策という面に関しましては、一つ一つの企業の自己革新という側面と、それから産業全体でどういうふうに協調していくかという競争、協調の側面、この二つの側面があるように考えます。 以上、お答え申し上げました。
○生方委員 最後にもう一点だけ、村井参考人にお伺いしたいのですが、私は、基本的に工業社会というのはピラミッド形の社会だったというふうに思っております。一番上にメーカーがあって、真ん中にサービスがあって、一番下に消費者がいるという社会だと。これが、さっきも申し上げましたように、需要と供給の関係が逆転することによって、真ん中に消費者というかユーザーというのができる社会に大きく転換をするんじゃないかなというふうに考えているわけです。 今、政府がやろうとしている行政改革も、縦割りの行政を何とか変えようということで、その縦割りの数字を二十二から十二に減らしたということはあるんですけれども、根本的には、発想を転換して、真ん中に国民を置くような形の組織というのをやはり行政側も考えていかなければいけない。私は、具体的にどのようにしたらいいのかというアイデアは残念ながら持っていないのですが、村井参考人、何かアイデアがございましたら、ぜひ教えていただきたいと思うのです。
○村井参考人 お答えさせていただきます。 私、今先生のおっしゃることに全く賛成でして、情報の環境あるいはインターネットの環境の大変重要なところは、先ほど工業社会からの変遷というのがありましたけれども、私は、このIT社会というのは、基本的には、工業社会が私たちの足や体、そういった運動的なことをブーストしているという役割を持って社会の変遷を行ってきたことに対して、私たちの発想だとか頭の中身、そういった知識だとか情報、基本的には脳をブーストするというのが情報社会の根本であるというふうに考えております。 そうなってきますと、今おっしゃったような、人間と人間のコミュニケーションであるとか、人間の新しい発想だとか、そういったことから社会をつくっていく。今おっしゃった、今まで縦に閉じていたことが横につながってくるのは、これは知識や情報の流通を介した人間と人間の連携や協調、ここから新しいものが生まれてくるということだと考えておりますので、まさに行政の中での縦割りあるいはそのほかの組織の中での閉鎖性、こういったものが情報の流通によって新しい力を生み出していく。しかも、これは人と人との協調ですから、いい方向に新しい力を生み出していくということを考えていくべきだというふうに考えております。
○生方委員 これで終わります。
○佐藤委員長 若松謙維君。
○若松委員 公明党の若松謙維です。 参考人の皆様、きょうは大変に御苦労さまです。 まず、出井参考人にお聞きしたいのですけれども、うちの事務所はVAIOを使っておりまして、NECを使わなくてよかったなときょうは思っているんですけれども、事務所の全員が持って、実はこれで仕事を効率化して、余り秘書を採用しないで、かつ、政治資金を集めないように、こういうコンセプトでうちの事務所はやっているわけです。 電子政府についてお聞きしたいんですけれども、きのうの夜、ファーストガブという、ことしの九月からだと思うのですけれども、アメリカの政府がいわゆるワンストップサービスを始めまして、そこのホームページですか、ポータルに入りまして、そこからアクセスすると、いわゆる省庁の垣根というものを全く感じないんですね。ですから、国民が必要とする情報または申請、そういったものがすっと入る。 これが、何といってもこの電子政府の最大のメリットだと思うのですけれども、今ずっと戦略会議の責任者をやられて、今、日本の電子政府としては二〇〇三年を目指して電子化を進めようということで計画が進められておりますが、その内容、またそういった時期について、出井参考人はどのようにお考えですか。
○出井参考人 私は政府専門家じゃなくて会社の経営者ですので、政府そのものが電子化するということに関してどういうふうになるかという各論に関しましては、正直なところはよくわからないんですけれども、私が一番おもしろいなと思うのは、予算のときに何か厚い紙が出てきまして、こういうふうに予算の認可がされておりますけれども、あのようなことは先進国においては例を見ないものじゃないかなと思いまして、ああいう紙そのものをやるというのは、いささか、非常に難しいなというふうに思います。 それから、国そのものがコンピューターをどんどん使うということは、さっき先生おっしゃったように、いろいろなものが縦割りになっているわけですけれども、縦割りになっている省庁というものと横割りをつなぐという面に関しては非常に有効な技術でありまして、政府に物を納める業者なんかにとっても、一つの官庁でそれが認められれば次のところ、例えば、通産省でオーケーになれば郵政省で同じような業者そのものが認定ができるとか、そういうような、非常な業務改善というのは電子技術を使ってできると思います。 それから、政府そのものは基本的には自動車をつくるとかテレビをつくっているわけではありませんで、すべてがビット化しやすい、要するに紙に書いてあるものはすべてビット、電子化できるわけですから、そういう意味では、すべての業務が電子化できる内容であるというふうに考えます。したがって、銀行とかそれから納税とか、将来は選挙とか、そういうことも含めて、人と人との接点というものと業務を、政府そのものの仕事のやり方というものがすべて電子化できる。 ただし、現在のネットワークの仕組みにおいては、それはできません。非常にスピードが遅いですし、図面みたいなものは送るのに大変時間がかかるという状態ですので、私は、そういう電子政府を実現するためにも、通信インフラというものを優先的な課題として取り組み、その上で、先進国で一番電子化されているという仕組みにしていただきたい。これは、各国、電子政府のあり方というものはやっておりますし、また私どもの同業の日立におきましては、電子政府のショールームをつくって展示もして、地方自治体の方なんかを招いて、電子政府というものを実感する、体験するショールームもできているように思いますので、政府が積極的に電子化というものに取り組んでいただくようお願いしたいと思います。 以上、お答え申し上げました。
○若松委員 同じ質問でちょっと角度を変えて、村井参考人にお聞きしたいんですけれども、今出井参考人の方からいわゆる企業家としての御説明がありましたけれども、ちょうど法案の中に、三年後に見直すという条項があるわけです。特に今、電子政府が二〇〇三年を目指して、私は常に行革の立場からこれを推進しているわけですけれども、この法案の中の三年以内の見直しというのが、ある意味で、適切な見直しの時期なのか、早過ぎるのか遅過ぎるのか、これについて、もし御答弁いただければと思うのです。
○村井参考人 三年が長過ぎるか短過ぎるかということは、大変難しい判断であるということが言えると思うのですけれども、やはり私の理解では、こういった法案で三年というのは、設定としては比較的短い例ではないかなというふうに考えています。そして、それは三年が短過ぎるという意味ではございませんで、この分野、IT戦略あるいはIT国家戦略というのは、大変重要な、いろいろな新しい動き、こういうことを考えていかなきゃならない分野ではございます。そして、先ほどから繰り返し、多くの方がおっしゃっているように、要するにこのアクションを急ぐ、早くやらなきゃいけない、そしてかなり緊急的な事態じゃないか、こういう意見も大変多く言われているわけですが、私もそのように思っています。 そうだとすると、つまり、この方向性として、新しい動きであって、そしてこれはどうも急ぐ必要がある、そうなったときには、実際のアクションを起こしていく中で、きちんとした評価ときちんとした見直しの仕組みがなければ、この新しいステップというのを踏み出すことが大変難しくなると思います。 そういった意味で、この見直しというのは、こういった戦略図全般に関しまして大変重要なことであるというふうに私は考えておりますので、そのほかのことと同様、この法のアイデアそのものがきちんと見直されるという時期が定められているというのは、大変有意義なことだというふうに考えております。
○若松委員 引き続き、村井参考人にお聞きしたいのですけれども、ちょうど先生が教えられている慶応大学、たしか湘南の方でしょうか、二十四時間大学とか、かなりユニークなことをやっていると思うんですけれども、インターネット大学とか、こういった、今放送大学というのがあるでしょうけれども、これと、まさに放送と通信ですか、ミックスしたような、そういう放送通信大学、インターネット大学、そんなものが出てもいいのかな、もしかしたら出ているのかもしれませんけれども。 それについてはいかがでしょうか。もし慶応大学の学長だったら、どういうことをしたいでしょうか。
○村井参考人 慶応大学の学長とも何度もお話をしておるテーマでございますけれども、大学審議会の委員長をされておられますので。 それで、実際に私の授業、それからここにいらっしゃる國領先生の授業は、今はインターネットを介して提供していくという実験をずっとこの二、三年進めているところでございます。それから、アメリカとの関係の中でも実験を進めております。 ですから、この成果は大変良好でございまして、大変有効で、教育の機会、そしていろいろな方がインターネットを介して学習していく、あるいは学んでいく、そして学位へ結びついたような動きを、専門的な知識を有していくというために大変有効だということはわかっているわけです。しかしながら、やはり教育の分野にもさまざまな、対面で授業をやらなければいけないとか、その場所を限定する、そしてその対面を要求する、そして制度そのものが大変複雑で、インターネット上での大学の授業というものを進めていくための幾つかの課題があるということがわかっております。 したがって、そのほかのさまざまな領域での法の見直し、規制の見直しと同様に、この経験に基づいた教育の面、大学の授業の面での規制やルールの見直しということでもって進めていくべき事柄だというふうに考えております。
○若松委員 出井参考人にお伺いしたいんですけれども、日本のコンピューター、ハード面はかなりいいものがあろうかと思うんですけれども、いわゆる中身というんでしょうか、コンテンツ、これについては、ソニーさんの場合には非常にコンテンツ重視というか、いわゆるエンターテインメント型というか、かなり幅広く、ブロードバンドの戦略を展開されているわけですけれども、このコンテンツが日本は弱い。 特に、NHK関係者はいないと思うんですけれども、ハイビジョンは、非常に画面はいいんですけれども、地球をゆっくり回っている。こんなものを見たってつまらないわけですよね。中身がない。特に、またこれもテレビで見たんですけれども、インドのバンガロールですか、あそこのソフトの人が、日本のソフトはソフトじゃない、日本人がつくるソフトは全く世界のレベルに達していないと、かなりけちょんけちょんに言っていたんですね。 そういうことで、やはりこれからコンテンツをいかに深くしていくか、よくしていくか、そういった点について、今日本に求められているものは何なのか、それについて御意見があればいただきたいと思います。
○出井参考人 お答えさせていただきます。 コンテンツというと、大変幅広い概念なんですね。私どもソニーとしては、ハリウッドでも映画を経営しているわけですけれども、ハリウッドのソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントの売り上げを見ていますと、大体三分割されておりまして、一つが映画館で映画を上映するということでございますが、例えば今週封切ったのが「チャーリーズ・エンジェル」という映画ですけれども、これは初めから世界的なマーケットをねらってつくっているものでございます。したがいまして、アメリカの多民族性といいますか、要するに多様性というのがハリウッドの映画を国際的なものにしているというふうに思います。 逆に、今度フランスに参りますと、日本の漫画そのものはテレビでも非常に放映されておりまして、日本の漫画そのものが世界的に流通する兆しもあります。 それで、ハリウッドのソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントのつくっているテレビでございますけれども、テレビというのは、かつては日本に大変輸出されておりましたけれども、今日本のテレビのコンテンツそのもののレベルが大変上がった結果、ハリウッドのテレビに関しましては、ほとんど日本には輸出されていないというような状態です。 といいますのは、コンテンツそのものというのは非常に地域性を持ったものだということが、エンターテインメントのコンテンツに限りましては、例えば固有名詞が出てくるだとか、サッカーだったら選手の名前が出てくるだとかいう意味で、アメリカのベースボールというのは日本では大変人気がありますけれども、世界的なコンテンツにはなっておりません。そういう意味で、基本的にエンターテインメントコンテンツは地域性があるものであるというふうに思います。 したがいまして、日本のコンテンツというのは、例えばスポーツでいえば、サッカーだったら日本がどんどん強くなればなるほど世界的なコンテンツにはなっていくわけで、そういう意味で、コンテンツの多様性というのがある。 インドのバンガロールでお話しになったのは、恐らくPC、パーソナルコンピューター関係のソフトウエアのことではないかなというふうに思いますが、それに関しては、私は、日本の技術がそんなにおくれているとは思いません。ただ、ソフトウエアの技術というものが、現在のパーソナルコンピューターというのはアメリカのマイクロソフト、インテルがつくったフォーマットに乗ったものでございますから、今後、デジタル放送とか、また日本の通信が高速化すると、新しい日本発のソフトウエアというものが新しい機械の上に乗ってくるというようなことで、私は、日本のコンテンツ業界というのは、今回のIT戦略によりましてより活性化するものだと思っております。 ただ、先ほど申し上げましたように、民族の多様性というものがインターナショナルなマーケットを築くということにしますと、非常に伝統的な日本の文化に沿ったものというものに関しては、日本的なコンテンツにならざるを得ないという側面があることだけ申し添えておきます。 以上、お答え申し上げました。
○若松委員 時間の関係で、もう最後の質問になるかと思うんですけれども、再度、出井参考人にお聞きしたいんですけれども、いわゆるITの世界の中で、日本がリードできるというか確立できる、これからのデファクトスタンダードというんですか、そういったものはどういうものがありますか。
○出井参考人 お答え申し上げます。 インターネットそのものというのは、グローバルでオープンな形式のものを持っております。したがって、例えば閉じた世界では、デファクトというのはつくりやすい。ソニーの例で挙げると、余り自慢した例ではありませんけれども、デファクトスタンダードをつくり損なった件というのは、ベータマックスというのがあって、VHSとの戦いで一番利用されるものですけれども、あれは、もしくはネットワーク時代であれば、そう簡単には負けなかったというふうに思います。というのは、ネットワークに機械がつながった途端に、そのフォーマットそのものが意味がなくなるからだと思います。 そういう意味では、インターネットというのは、グローバルで、世界的で、かつオープンな通信のプラットホームをつくるというところでありますので、その中につながっていくものが、日本のデファクトスタンダードそのものが、グローバルなネットワークの間ではかなり古い概念かもしれないと私は思っております。 ただし、日本では得意分野というものがありまして、それは日本の家電メーカー、または通信メーカーのつくり出す機械の多様性です。例えば、iモードみたいなものは、アメリカ人は、日本に来ると珍しくて、もう先を争って、iモードを見たことがあるかとか、使ったことがあるかというふうに言っています。これはヨーロッパでは、日本にはちょっとおくれておりますけれども、同じようなサービスを始めました。 そういう意味で、このような携帯機器ですとか携帯パソコンだとかカムコーダーとか冷蔵庫、そういうあらゆるものがインターネットにつながってくるという多様性というものが日本の強さだと思いますけれども、これは必ずしもデファクトということをねらったことじゃなくて、新しいサービスと技術というものがつながって、新しい産業が今オープンな環境をつくりつつあるというふうに私は理解しております。 以上、お答え申し上げました。
○若松委員 まだちょっと時間があるので、村井参考人にお願いしたいんですが、当然、IT産業はアメリカが最大のライバルですけれども、それ以外にライバルと考えた場合に、どういった国があるか。 実は、七月もアメリカのITロードを視察したり、電子政府推進本部を視察したり、また、先月も大連に行ってきまして、かなり進んでいるんですね。油断できない。そういうふうに考えると、アメリカ以外で、どこの国がライバル視すべき国か。 これで質問を終わります。
○村井参考人 いろいろな分野によって多様だと思いますけれども、一般的に欧米、それからアジアの各国も大変力をつけてきておりますけれども、私は、特にモビリティー、それからインターネット技術に特化いたしたところでは、北欧の各国が最近は急激に伸びてきているなというふうに思っております。
○若松委員 ありがとうございました。
○佐藤委員長 塩田晋君。
○塩田委員 自由党の塩田晋でございます。 本日は、各参考人におかれまして非常に貴重な、有益な御意見、またお話をいただきまして、ありがとうございます。感謝を申し上げます。 福冨参考人が、今提案されておりますIT基本法案についての印象として言われましたこと、電子商取引推進法ではないか、また、ゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現はこれによって可能かということを印象として言われたと思うんですが、やはり国民の素朴な受け取り方というものもそこにあるのではないかということを改めて考えさせられるお話でございました。 それから、薗部参考人におかれましては、身障者の立場から、身障者にとってITというものは希望のツールである、バリアフリー化の努力を非常に熱心にやっておられる、そして成果を上げておられるということ、そしてまた国の責任についても言及されたわけでございまして、新しい分野について目を開かせていただきましてありがとうございます。 出井参考人並びに村井参考人におかれましては、日本のITの国際的水準というものは非常におくれておる、現状においては非常にレベルが低いんだという認識を話されたわけでございますが、これは共通認識ではないかと思うのです。 ハードとソフトとコンテンツ、それぞれ水準が違うと思うんですが、私は、ハードは非常に強いと思っていたんです。ところが、中国へ行きましても、例えば携帯電話ですが、六千万台を超えたと言われている日本の台数よりも中国の方がこれを超えている、しかもすごい勢いで伸びているということを知りまして愕然としたわけでございます。また、有名大学におきましても、レベルの高い人たちは必死にITに取り組んで、しかもそれは日本を見ていない、アメリカを目指している、こういうことを現実に見たわけでございます。中国の携帯電話を見ましたら、日本製はほとんどないというか皆無に等しい状況でございました。 ハードではレベルが高いと思っておりましたが、中国はそういう状況で日本に向いていないということ、この現実を見て、本当に日本のレベルは大変だな、大変おくれをとったなという感じがするわけでございますが、これにつきまして出井参考人はいかがお考えでございますか。
○出井参考人 日本のハードウエアの技術そのものは、半導体をベースにするということとソフトの技術そのものということに関しましては、決しておくれているものではないというふうに思います。 中国でごらんになった電話ですけれども、電話に関しましては、各国また各エリアでもってシステムそのものの熾烈な戦いというものを国益をかけてやった結果、日本のシステムが複数になったということと、それから、中国のシステムがヨーロッパ・システムのGSMを使っているということに原因いたしまして、北欧系の、今村井先生もおっしゃったようなノキアとかエリクソンとかいうものが非常に強いというのが現実であります。 日本の各社としても、中国マーケットに関しては生産もしておりますし、またヨーロッパから輸出もしているという格好になっておりますが、残念ながら、ヨーロッパ・システムを日本でつくって中国に輸出するというパターンをとっている会社というのは、あることはあると思いますけれども、非常に少ないと思います。それはハードのシステムでなくて、ヨーロッパのGSMというシステムに起因することが大だと思います。 電話につきましては、今それが二世代ですけれども、三世代目ということに関してはヨーロッパと日本とはほぼ同じシステムになるということで合意ができておりまして、これはまたアメリカが違うんですけれども。これが次の世代、三年ぐらいで一つの周期ができるんですけれども、電話に関しましては第四世代ぐらいで完全に統一されるというふうに思います。したがいまして、システム上の問題と技術の問題というのは別問題だと思います。 以上、お答え申し上げました。
○塩田委員 アメリカも中国市場に対しては弱いといいますか、余り進出していない状況にあることは、まあヨーロッパが強いということは今言われたとおりでございますが、ソフト面におきましてはやはりかなり劣っている。例えばインドの技術を学ばなければならぬ、また技術者も輸入しなければならぬというような状況であるわけでございますが、そのおくれを取り戻し、アジアにおけるITの最先端を五年以内に達成するというのは森総理の言明でございます。 本当に五年間でアジアのリーディングカントリーとしてIT面で達成できるかどうかということにつきまして、ハード、ソフト、コンテンツを含めまして、いけるのかどうか、その辺につきましてお伺いしたいと思います。 そのおくれを取り戻すためにはどうするかということについて、かなり全般にわたりましてバランスのとれた見解を述べていただきました出井参考人でございますが、やはり問題は、料金の問題であり、規制の問題であり、また制度の問題だということに尽きるかと思うんですが、その点について出井参考人にお伺いいたします。
○出井参考人 まず、私は、日本はもう少し自信を持つべきだというふうに思います。日本そのものの工業生産力の強さとか、それを支える工業製品を生産する上のソフトウエアとか、いろいろなものに関しましては、アメリカが今現在日本を学んだ結果これだけ日本に追いついてきたことはあっても、日本がすべて劣っているという前提で物を話すというのは、戦後のこれだけ成功した過去の歴史そのものを否定するようなことになりますが、我々は戦後の成功というものはもう少し自信を持つべきだというのが一点です。 その二番目の、成果として、日本はさまざまな通信分野における技術も発達させました。先生の御質問にお答えしますと、日本に関しましては、五年間で必ず各国を凌駕するような仕組みもありますし、それはインターネットのプロトコルそのものがソフトウエアですし、ハードとソフトの分け方というのがなかなかできなくなってきている。こう音を立てるとどっちがハードでどっちがソフトだと言えないぐらい、今のハードとソフトというのは一緒になったものでございます。日本の通信技術ですとか、またネットワークそのものは、最先端の技術というものは十分持っております。 ただ、それが、例えばファイバーなんかに関しますと、電力会社は自分用にネットワークを引き、それからNTTは自分で持ち、また県はそれを持ちということで、その利用法が制定されていないとか、そういう制度面のおくれが甚だ目立つわけです。それは、行政の問題もありますし、それから独占している会社の性格もありますし、そういう電力会社か通信会社という非常に特別な会社が独占していたものを開放していくということでもって日本は急速にこの分野でも発展し、先進国最先端の技術立国になることは必ずできるということに関して私は確信しております。ただ、制度面ばかりはいたし方ないところなんです。 現在のこういうIT基本法とかそういうものを議論している中で、各関係者とも大変柔軟になってきたというような、状況のいささかの変化というのが見られますけれども、ただ、ここで基本法が通って、本当に政府がやるぞということになって、国民一人一人のためだとみんなが思って、これは自分は関係ないと思わなくて、自分一人一人に関係のあることだと。また、ジャーナリズムにおきましても、新聞そのものも電子的になったらどういうふうに変化するかということは自分の経営そのものですので、そういうもので国民一人一人、企業一人一人が自信を持って、アメリカに追いつけじゃなくて、アメリカがiモードなんかに関しては日本から学んでいるわけですから、さらにその先を行って、日本というものは隆々とした技術先進国で、また文化的な側面も備えてコンテンツその他を充実できるというふうに私は確信いたしております。 以上、お答え申し上げました。
○塩田委員 IT革命の最先端を進んでいっていらっしゃる、また指導しておられる出井参考人が、日本人は自信を持ってこの問題に立ち向かえば必ず達成できるということを言われまして、意を強くするところでございます。確かに、iモードにつきましては日本が現に今最先頭を切っているということも言われたわけでございまして、本当に意を強くしたところでございます。ありがとうございました。 そこで、國領参考人にお伺いいたします。 IT革命という、革命というものは国がやるべき問題じゃなくして民間がやるべきもの、民間主導、この法案にも民間主導を原則としてということをうたっておりますから、そのとおりであろうと思うのでございます。 そして、先生が言われました中で私はおもしろいと思いましたのは、各種の規制というものは、もちろん撤廃のための努力はしないといけませんが、規制がもうきかなくなるような新しい技術の発明をして、規制を有名無実なものにしてしまう、こういうことも発言されたわけで、これは非常におもしろいアイデアだと思うのでございます。具体的にはなかなか難しい問題ではあると思いますけれども、そういう点について指摘をされました。 それからまた、弱い人の力を大いに活用して、また高齢化していく日本の社会の中で、高齢者の力というものも大いに活用して、自信を持って社会に貢献できる、IT革命の推進に貢献できるという、これは大きい力ではないかということを言われました。これも注目すべきところだったと思います。 そして、参考人は、五年と言わずもっと早い時期に必ず達成できる、日本のレベルを国際水準どころかリーディングカントリーに押し上げることができる、こう言われましたけれども、本当にそういうことが、どういうことを根拠に民間主導でやっていけるか、お伺いいたします。
○國領参考人 先ほどの最後のところで、五年と言わずという表現をさせていただきました。根拠は、片側には、先ほど出井参考人がおっしゃったように、現状で日本が、要素要素としては非常にすぐれたものをたくさん持っているのですけれども、これがばらばらになって、つながっていないという面が非常に多い。 ですので、全面的に全部で勝つというようなところまでいかないにしても、突破口的に、ここは強い、やはり私は物づくりあたりが突破口だと思っております。日本は、消費者も法人ユーザーも両方なんですけれども、非常にうるさいというか厳しい消費者がいるのが日本の実は一番強みなのではないかというふうに思っておりまして、ここで鍛えられたメーカーが開発した製品というのは、世界に持っていって通用する可能性が非常に強い。 ただし、例えば今消費者とメーカーがネットワークでつながっているかというと、余りつながっていない。メーカーと金型屋さんとか試作屋さんとか、この辺がつながっているかといったらつながっていない。さらにもっと川下までいっぱいあるのですけれども。こういうようなところを情報化していくことによって、突破口的に戦略的なものを育てていくことが可能だというふうに考えております。 それからもう一つ。これはちょっとこの法案でなくて、きのう出てきた基本戦略という中に、五年以内のほかにもう一個、「一年以内に有線・無線の多様なアクセス網により、すべての国民が極めて安価にインターネットに常時接続することを可能とする。」というふうに書いてあるわけでございまして、私は、実を言うとこれが一番大事ではないかと思います。 ベンチャーから考えると、五年先というのは永遠の先で、関係ないんですね。一年後に何がビジネスになるかというところが非常に重要でございまして、一年後くらいに全員が常時接続できるようになりますと、これは非常にいろいろなアプリケーションが出てきます。いろいろなビジネスが起こってきます。千数百万人ではなくて一億人くらいの市場ができるとすると、ペイするビジネスがいっぱい出てきます。 そういうビジネスが立ち上がったところで、今こんなちっちゃい画面で動画が動いて、いいなとかと言っているわけです。国会のこの記録も多分今流していると思うのですけれども、こんなちっちゃい画面です。声も何かよく聞こえないです。これを本当にもっと速いスピードで欲しいというような話になってきて、それが私は理想だと思うのです。 先行投資して需要が立ち上がるのを待つよりも、需要に引っ張られて投資が行われるサイクルをつくることが非常に重要であって、それはこの一、二年にできることで、その引き金を引けるような方策がいろいろある。その一つがこの「一年以内」というものだと考えておりまして、それがうまく回せたら、五年なんて言わず大丈夫だというふうに考えております。
○塩田委員 ありがとうございました。 時間が参りましたので最後に一言だけ、もう質問でなしに、質問したかったことで一言触れさせていただきます。 ITは確かに利便性また効率性、いろいろな面でプラスのことがいっぱいあるわけでございますが、やはり国の安全とかあるいは商取引の信頼性、その他国民生活の上の、あるいは個人の人権の問題とかその他につきまして、本当に危険な分野がかなりあるわけですね。いわゆるセキュリティーの問題です。 この間も質問しましたら、イタチごっこで、お互い技術を競い合ってやっていくしかない、ウイルスとかハッカーの問題ですけれども。そういうことでこれは本当に重大な問題でございます。個々の役所内、個々の分野でその対策をやるのでなくして、やはり国家的にセキュリティー対策をやるような体制が必要ではないかというふうに思いますが、時間が参りましたので終わります。 ありがとうございました。
○佐藤委員長 松本善明君。
○松本(善)委員 日本共産党の松本善明でございます。 きょうは各参考人、貴重な御意見を賜りましてありがとうございます。 二十一世紀を前にして、コンピューターを初めとした情報通信技術の発展というものは、人類の文化、技術の発展の中でも画期的な一段階を開きつつあるのではないかと私ども思っております。日本共産党は、この新しい技術を社会全体が活用できるように国民の共有財産にして、その成果を国民すべてが受けられるようにするということを特に重視をしております。 そういう観点から各参考人に伺いたいと思うのでございますが、この法案につきましては、そういう観点から見ますと、民主主義という観点が非常に弱い。言葉としても一言もありません。政府案の目的、理念、基本方針、どこにもそれがありません。これは大変大きな理念上の欠陥ではないかと私どもは見ております。この新しい技術を利用して多くの国民が情報を入手するとともに発信できるという、言論の自由を新しい段階にも広げる、そういう観点がないというのは、これはせっかく基本法をつくるという上で非常に弱点になっているというふうに思うのでございます。この点についてどのように各参考人はお考えかということが一つ。 もう一つは、この法案の第三条には、すべての国民が情報通信技術の恵沢を享受できる社会の実現ということで規定がなされております。これは当然そのとおりだというふうに私ども思うんですけれども、このことをやはり国民の権利として保障するということが大事なのではないか。この一言があるかどうかによって、これは非常に大きな違いが出てまいります。権利として保障する、そしてその実現を政府の責務とする、そういうことにして初めてすべての国民が成果を共有することができるようになるのではないか。 この二点について各参考人の御意見を伺いたいと思うのでございます。最初は民主主義の問題、二番目は、権利として保障し、それを政府が保障することを責務とする、この二点について出井参考人から順番にお聞きをしたいと思います。
○出井参考人 お答えを申し上げます。 IT基本法というものは、基本的には、インターネットをみんなが使うということと、みんなが発言する自由があるということが基本になっておりまして、インターネットそのものの普及というものは、基本的に、民主主義と言論の自由をコントロールしている社会では非常に難しい。要するに、企業とユーザーとの間にもコミュニケーションというのが直接生まれますし、また、政府とそれから国民との間の情報というのも、距離がうんと近くなります。 インターネットそのものの技術の本質論というものは、基本的には、一人一人に情報が格差なくあまねく広まるという性格を持っておりまして、例えば企業そのものが隠そうとする情報というものは、顧客の方がお互いにそれを広めるというようなところがあって、例えば製品欠陥、そのあたりの通知関係につきましても、情報そのものというのは完全に自由に国民の一人一人に、また顧客一人一人に情報が移ります。 したがって、インターネットそのものというのは、民主主義と言論の自由というものに立脚している、基本だというふうに考えております。 それから、あまねく知る権利、使う権利というものは当然と思いますけれども、これは段階的に、今目指しているのは、工業レベルでもってアメリカに非常に立ちおくれたものを優先的にやろうということと、それから、電話料金そのものを常時接続して安くすることによって広く使われることを確保しようというこの二つの側面を、遅くても安い、それから速くて安いということを一年、五年という目標でもって立てたものでございます。 したがって、基本戦略を民間がやっておりまして、それが十分反映された基本法になるというふうに考えておりますけれども、電話と違いまして、インターネットの必要性というものは、非常に必要性の高いところと、それから必要性の低い方、低い企業というのと、段階的にこれはありますけれども、究極的にはあまねく広くということが考えられますけれども、段階的にこれをやっていくというので五年という目標を立てているというふうに私は解釈しております。 以上、お答え申し上げました。
○村井参考人 現在、インターネットはグローバルなエンティティーでございまして、インターネットの国際的なコミュニティー、インターネット全体の責任を持っている幾つかの団体があって、私もそこに所属をしておりますけれども、そこでのテーマもインターネット・イズ・フォー・エブリワン、すべての人のためのインターネットというわけで、今先生がおっしゃったような趣旨の中でどういうふうに進められるかということを国際的に議論をしている最中でございます。 その中で大変重要な側面は、インターネットというのは本質的にグローバルな空間でございますので、これをつくっていくというのは、それぞれの国、それぞれのつくっていく民間、こういったものの力を合わせてその目的を達成していくという方向で進んでいるわけです。その中で、最初に私の御説明のところでも申し上げましたように、インターネットをつくっていく環境を整備していくというのは、民間の力によって基本的には進めていこう、こういうことが大変大きな国際的な意味の挑戦であるということになっております。 その中で、今おっしゃったような、すべての国民が権利として得ていくということを実現するための方法論というのは、可能な限りの民間での競争でその公益的な空間を実現する、これが第一でございます。そして、そこで手の届かないところ、実現できないところをどのようにするかというのは、各国で個別のさまざまな努力をしている最中でございます。その中で、日本には日本なりの、そして日本としても、幾つかの多様なそれを実現するための方法があって、これを検討しつつ進めていくべきだというふうに考えております。
○國領参考人 今の村井参考人の話とほとんど同じなんですけれども、民主主義の道具である、これはもう本当にそのとおりでございます。第三条にその思想が見えるように思うんですけれども、これが十分かどうかというのは、これは御議論いただければというふうに思います。もう明らかにこれはみんなの声を結集する道具だろうと思います。 権利化という話なんですけれども、これもインターネット・イズ・フォー・エブリワン、本当に全員のためのものなんです。それで、明らかにその状態をつくりたいんです。ただ、それをつくる主体がだれなのか。国にやっていただくのか。それこそ、国というのはだれなのかというような話で……。 我々の思想は僕らがつくる、つまり国というのは我々なんだ。我々がつくるから、国にお願いすることは、まず邪魔をしないでということと、それから、制度、ルールなんかの整備でやりやすいような状態をつくってください、それから、国が持っている設備、施設ないしは国の管理下にあるようなものについては、我々にぜひ使わせてください、この辺のようなところであります。ここから以下は別にビジネスだけじゃなくて、NPOも含めて民間イニシアチブでどんどんつくっていく、結果としてその力が結集したところで本当にみんなが使える状態をつくる、それが目的、目標であることは、これはもうはっきりしているというふうに考えます。
○薗部参考人 先ほどの私のお話の中で、国連の中で一九九三年の障害者の機会均等化に関する基準規則というのがとても大切な規則として考えられていまして、そのポイントは、やはりどのような障害の種別を持つ人に対しても、政府はというところをはっきり出しているんですね、情報とコミュニケーションを提供するための方策を開始すべきであると。これが一九九三年の国連決議で、それ以後、やはり政府はどうするかというのが各国で障害者の分野では考えられています。 それともう一つ、障害者にとってITが保障されるならば、やはり二つ激しく変わると思うのです。一つは、働くことができるようになる人がたくさんふえる。これは、一般就労を含めて飛躍すると思います。それともう一つは、広く社会、文化に参加できるということだと思います。これが民主主義の基本だと思います。今まで参加することが大変困難だった人たちが、参加にとどまらず、もう一歩進んで参画できるというところまでいくようになるというのが、社会の厚みというか、社会の希望なのではないかなというふうに思います。
○福冨参考人 まず、民主主義の理念ということなんですけれども、全くそのとおりだと思っております。 今まで電気通信の分野では、憲法及び電気通信事業法の言論、表現の自由を守る、それから検閲の禁止、通信の秘密、その三つの遵守というのがうたわれてきたわけですけれども、これはどちらかというと行政主導で行われてきた中でうたわれてきたのですが、民間分野に行くときにむしろないがしろになるのではないか、そういう危機感は抱いております。 ただ、逆に、高度情報通信ネットワークが民主主義の手段になるというふうにも考えられるわけで、そういう意味で、これは後退させるというふうには考えておりません。 それからもう一つ、アクセスの権利について。これは、日本の法律ではそれをうたったものというのはほとんど見たことがないのですけれども、もしそういうものが盛り込まれれば非常に歓迎すべきことではないかと思います。 以上です。
○松本(善)委員 アメリカやヨーロッパでも、そういう方向で政府の責任というものがかなり強調されているように思います。 時間が余りありませんので、出井参考人に伺いたいのであります。 日本の光ファイバー網の整備、先ほどもかなり強調されておられましたが、これはアメリカの二倍ぐらいの普及の状況というふうに聞いておりますが、料金が非常に高くて利用度は極めて低い、こういうふうに聞いております。 この現状について出井参考人は、そのとおりかどうか、あるいはこれについてはどうしたらいいのかということについて、御意見を伺いたいというふうに思います。
○出井参考人 お答え申し上げます。 日本では確かに光ファイバー網というものがアメリカよりはあることにはあるわけですけれども、基本的には用途別に、電力会社が電力のために、自分のために持っておりますとか、電話が自分のために持っている、電話網のために持っているというふうに思います。 現在、料金云々というよりも、日本はデータ通信に関しての光ファイバーを利用するための仕組みそのものというのが全くありませんで、回線に関してそれが開放されているという状態ではないわけです。したがって、光ファイバーはあるのですけれども、それを利用して通信事業をやるということが極めて制限されているというのが現状でございます。 アメリカに関しましては、電話会社というのは一応コモンキャリアといって、要するにインターネットの専門の業者はIPキャリアというふうに分けているわけですけれども、IPキャリアが非常に早く発展しておりまして、日本にも、もう既に光ファイバーというのはコモディティーのようにたくさん余っているものですから、電力のように売ろうというようなビジネスをやる人があらわれております。したがって、現在日本が光ファイバーを持っているといっても、これは利用していなければ何にもならないわけで、アメリカは、光ファイバーは少ないかもしれませんけれども、急速に進んでいくというふうに思います。 したがって、日本は光ファイバーの利用というものを完全開放して、だれでもが使えるような状態に持っていくということが一番重要なことで、IT基本戦略におきましても、それを前提として五年で競争に勝てると言っているわけで、それがなければ競争にも何にもなりません。 そういう意味で、現在、競争の原理が、競争政策というものが通信分野においてはとられていないというところが我々の一番の危機意識でございまして、技術の問題ではございません、制度上の問題であると我々は認識いたしております。 以上、お答え申し上げました。
○松本(善)委員 時間がありませんので、各参考人に聞きたいところですが、薗部参考人にだけ一問お聞きします。 今もお話がありました料金の問題ですね。障害者が利用できるようになるということは健常者もみんな利用できるようになるということで、そういう点で薗部参考人にお伺いしたいのですが、料金問題について言いたいことがあればお伺いしたいと思います。
○佐藤委員長 時間をオーバーしていますので、一言お願いします。
○薗部参考人 今の料金はともかく高過ぎるというのが実感です。 ただ、たまたま北欧に行って聞いたところでは、先ほど村井さんの中でもライバルは北欧系という話も出ていたのですけれども、したたかだなと思ったのは、だれもが使える地域の図書館に本当に最高の通信環境が充実していて、そこを障害者を含めてたくさんの人が使うということで、したたかに利用しているというのは参考になったなというふうに思いました。
○松本(善)委員 終わります。
○佐藤委員長 原陽子君。
○原委員 社会民主党・市民連合の原陽子です。 本日は、参考人の皆さんにお越しいただきまして、そして貴重な御意見を聞かせていただきまして、どうもありがとうございます。 それでは、早速質問の方に移らせていただきたいと思います。 私は、この高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案、これを読ませていただいたのですが、実は、私が正直持った印象というのは、これは高度情報通信ネットワーク産業社会形成基本法案という名前の方がぴったりくるのじゃないかなというふうに感じました。そして、その産業に関する部分の方向性についてはある程度理解はできるものの、私たちの生活においてITというものがどのように位置づけられるのか、なかなか理解ができません、想像ができませんでした。 先ほどからいろいろ参考人の皆さんの意見を聞いていましても、IT革命、革命とおっしゃるまでの熱意というのが私はなかなか感じられなかったというのもありますし、また、出井さんのような専門の方々が頭の中では理解はできていても、結局、そのIT革命とかIT社会というのを実際に担っていくであろう私たち若い世代とか一般の方々がきちんとこのIT社会というのを理解して、その内容を描けるような内容にはなっていないなというふうに感じます。 実際にIT社会というのを担っていく私たち若い世代というのがしっかりと理解できる、その内容とか、IT社会がどういうふうなものになっていくのかということが描けるようなものこそがこの基本法のあるべき姿だと私は考えています。 先ほどから政府は、非常に積極的にIT革命を主導していらっしゃいますが、先ほども参考人の方からありましたように、政府主導で社会に革命を起こすことができるのかということです。 もちろんITについてはハードがあっても何にもならなくて、むしろそれをどう使いこなすかということが重要になってくると考えます。そこで、国の主導ではなく、市民自身が、国民一人一人がこのITというものをどういうふうに自発的に自分たちのものにしていくのかということが重要になってきます。必然的にそうした中で、国民が自発的に自分たちのものにしていく中で、そうした取り組みを政府が支えていくべきだと私は考えます。 そしてまた、その活動の中でどうしてもはじかれてしまう存在、先ほどからもお話がありますように、例えば高齢者とか障害者または低所得者などに対してどういうふうに対処をしていくのかといった姿勢が問われると思います。 この点について、福冨参考人はどのようにお考えになっていますでしょうか。
○福冨参考人 先生おっしゃるとおりだと思っております。 今までも、技術が社会を変えるというような、そういう構想というのは幾つもありまして、ニューメディアとかマルチメディアという形で言われてきたわけですけれども、現実には、人間はかなりたくさんの技術をつくり出してきましたけれども、そのうち採用されて生き残っていくものというのはわずかにすぎないわけです。問題は、その技術が社会生活の中で選択されるのかどうかということが大きいポイントじゃないかと思います。 その中で、パーソナルコンピューターについてはこれまでのニューメディアといったようなものと若干様相が違っておりまして、一九九〇年前後にクリントン政権が、情報スーパーハイウエーというのを打ち出しまして、これがインターネットを推進させたのではないかという誤解もあるのですけれども、あの構想にはインターネットのイの字もありませんでした。つまり、政府主導ではなくて、むしろクリントン政権は、規制緩和とか政府がそれについて触れないことによってインターネットというのが進展したという経緯があると思います。 ですので、やはり社会主導のテクノロジーというか、社会が選択したテクノロジーがインターネットであり、現在の携帯電話である。それをいかに豊かに導いていくかというのが政府の役割ではないかというふうに考えております。
○原委員 ありがとうございます。 ところでITは、政府が強調しているような便利で快適な光の部分と、情報の格差とか個人情報の漏えいといった影の部分の両方があるというのは、皆さんも先ほどからおっしゃっているとおりだと思います。そして、やはりこの影の部分に対してどのような手だてを立てていくかが大きな課題になっており、それへの回答となる方策の方向性もまた私はこの基本法にはまだまだ欠けていると思います。 日本においていまだに電子商取引が本格的に広がっていないその背景には、やはり個人情報の保護について十分な対応策が示されていないことがあるからだと考えます。例えば、電子商取引でなくても、クレジットカードを不正に使われたというような話は実は私の周りでもある話で、それほど珍しいことではありません。このように、日常的に見聞きする中でさえ情報の漏えいが起こるような現状の中で、消費者の皆さんは、情報のセキュリティーについてその不安を高めているというのが現状です。 ITを阻害する情報のセキュリティーの問題について、政府がどのような姿勢でこれに対処していくつもりなのか。やはりまだまだ基本法案の中では明確に語られていないと思うのですが、福冨参考人はどのようにお考えでしょうか。
○福冨参考人 そのとおりだと思っています。ちょうど日本インターネット協会というのが出しております「インターネット白書二〇〇〇」に、一般の利用者の調査で、今後のインターネット利用に関する課題は何かという調査があります。一位が、通信費用がかかり過ぎる、通信速度が遅いというインフラにかかわる問題なんですけれども、その下が、データや情報のセキュリティーの問題。これは三七・六%。プライバシーについては三六・二%。そういうふうに、プライバシー、セキュリティーの問題がユーザー側の不安として挙げられているわけですね。個人情報保護大綱というのが別途法案化が進んでいるというふうに聞いているのですけれども、ちょっと遅いんじゃないかなというのが正直な印象です。 これはどうして遅くなったかというのは見当がつきまして、多く誤解を受けやすいのは、プライバシー侵害とか個人情報の漏えいというのは、ある特定の悪意ある個人が行っているわけではなくて、情報が集まっているところから漏れるわけで、ほとんどは政府機関とか企業などから漏れるわけですね。警察官の不祥事というのがありましたけれども、そこに情報がなければ漏れないわけです。ここにやはり規制的なことをかけるということをせざるを得ない、個人情報保護の政策はかなりおくれたというふうに考えられます。 実際には、一九八〇年にOECDがプライバシー保護ガイドラインをつくって、その後、EU議長指令というのを出しているわけで、こういうものに対してまず先に個人情報保護法を整備すべきで、それより先に、例えば通信傍受法のようなものを制定してしまった。そのあたりにもユーザー側の不信というのはあるんじゃないかというふうに考えております。
○原委員 私も全くそのとおりだと思うのです。確かに、基本法の中で個人情報の保護云々ということが書かれてはいます。でも、先ほども参考人からあったように、第百四十五回の国会では盗聴法が可決をされた。一方では個人情報を保護するといいながらも、一方で個人情報の侵害を可能にする法律を成立させるというようなことが、私にとっては、政府の主張は矛盾しているというふうに思います。 欧米においては、ECHELONという国際的通信監視システムがあり、日本の三沢基地にもECHELONのための傍受施設があるとのことです。この耳なれないECHELONというものについて、それがどのようなものか、福冨参考人の御見解をお聞かせください。
○福冨参考人 私もちょっと、調べた範囲でしかお答えできないのですけれども、ECHELONというのは、米国の国家安全保障局、NSAが主導しております通信傍受のシステムの名称でして、NSAのほかに、オーストラリアのDSD、国防通信理事会、英国のGCHQ、政府通信局、あと、カナダ、ニュージーランドの各諜報機関によって運用されているとされています。これは、知られている範囲では、インターネットの検索エンジンのような仕組みで、傍受した通信の中から特定のキーワードであるとか特定の信号を抜き出して、それについて情報を取り出すという仕組みになっています。これはコンピューター技術で比較的簡単にできることです。 九六年にニッキー・ヘイガーという人がこのことを書いたときは、うわさ半分で、これは冗談ではないかという話だったのですけれども、九八年にヨーロッパ議会、ヨーロピアンパーラメントですね、欧州議会の科学技術選択アセスメント、STOAというところが政治コントロールテクノロジーに関する報告書を出しておりまして、この中で、ECHELONというのが存在するというふうに明言しております。これが要するに市民の通信などを傍受しているのではないか、それは遺憾を表明しておりまして、米国議会でも議会答弁でこの存在自体は認めたという形でございます。 私が気になるのは、日本の三沢基地に通信衛星傍受用のシステムが置かれているということなどを含めて、あるいはこの五カ国のシステム運用に、サードパーティーとして、オーストリア、タイ、韓国、ノルウェー、デンマーク、ドイツ、イタリア、ギリシャ、トルコに加えて日本が入っている。そういう意味合いからいうと、これは実態としてはっきりしないだけに、何か不安感は覚えております。 以上でよろしいでしょうか。
○原委員 福冨参考人のお話にもありましたように、やはり個人情報のセキュリティーということが何よりも保護されなくてはならないということをしっかりとこの基本法の中に取り込んでいくべきだと考えます。 また、障害者の皆さんがITというものを有力な力として、積極的に社会に参加をするために利用できたり、また、中高年の方々や高齢者についても、ITを使いたいという方々についてはきちんとした教育やフリーソフトの配布といったことを含む方策がとられるべきだと考えます。 また、中にはITが必要じゃないというふうに感じる人も少なくないとは思うのです。その人たちがITというものを強制されないで生活していけるような配慮をすべきだと思います。ただ、今のIT革命、IT革命ということだけ聞いていると、何かITがなくては生きていけないんじゃないかぐらいの大げさな話に聞こえてくるんですね。そうではなくて、ITを決して強制されるものではないというものをもう少し、ITが必要じゃないというふうに思っている人たちにも配慮していただきたいなというふうに思います。 また、もう時間がないので、ちょっと手短に私の意見を述べさせていただきたいのですが、もちろん、子供たちの間でも、今インターネットの普及率というのはふえてきていると思います。確かに、子供たちについては、技術的には大人以上のかなりの高い能力、しっかりとした指導を受ければ高い能力を持ち得るとは思うのですが、一方において、情報への判断力についてはまだまだ訓練が必要であると思います。それなのに、本当にさまざまなサイト、どんなサイトにでもアクセスすることが基本的には可能になってしまうわけですから、ちゃんと子供たちについても、性とか命といったことについての教育というのは徹底的にしていくことが必要だというふうに考えています。 最後なんですが、IT革命、IT革命というふうに言っておられる中で、現時点で、人と人との関係がただでさえ希薄になっている中で、バーチャルな世界というものを推進することの危険性を政府がどのように理解しているのかということに、私はまだまだ疑問を持っています。 私は、何か一つのものを考えるときに、やはりその対極にあるものを忘れてはいけないと思います。もちろん、世界じゅうのいろいろな人たちと瞬間にコミュニケーションをとれるということはすばらしいことだとは思うのですが、たとえ二十一世紀であろうとも、私たちが生きていく社会の基本は、やはり人と人とのつながりだということを前提にしてほしい。その人と人とのつながりが基本だということ、それが前提となることを改めてここで確認させていただいて、私の質問とさせていただきます。 済みません、ふなれで。どうもありがとうございました。
○佐藤委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼申し上げます。 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時五十二分休憩 ————◇————— 午後二時三十分開議
○佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 午前に引き続き、内閣提出、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案を議題といたします。 この際、お諮りいたします。 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣内政審議室内閣審議官藤井昭夫君、内閣官房内閣内政審議室内閣審議官古田肇君、内閣官房内閣内政審議室内閣審議官平井正夫君、文部省初等中等教育局長御手洗康君及び郵政省電気通信局長天野定功君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田敏雅君。
○山田(敏)委員 山田敏雅でございます。どうぞよろしくお願いします。 私は、本日、政府案につきまして基本的な問題点があるということを御質問していきたいと思います。そして、その問題点について修正をお願いしたいと考えます。よろしくお願いします。 まず第一に、政府案の問題点としまして、大きな点が二つほどございます。 一つは、この基本法は本当に国民本位、市民本位、消費者本位の基本理念がこの中にないのではないかということを指摘申し上げたいと思います。 その第一は、雇用の問題がこの基本法には、政府案には触れられておりません。昨日、通産大臣の方の答弁ございました。これは、アメリカのアンダーセンというコンサルタント会社に依頼されたそうですが、日本においてこのIT革命が行われた場合には、新たに約百六十三万人の失業者が出るという報告がございます。また、これは後ほど通産省の方にお伺いしますが、その中で一体国民本位の理念が問われているのかどうか。 それから、本来このネットワーク社会というのは、余剰なもの、それを足りないところに持っていく、そして社会的な公平感をもたらすものであります。したがって、社会福祉的な要素、弱者やハンディのある方が積極的にこの恩恵を求められる、そういう視点も必要ではないかと考えます。 まず、質問を始めるに当たりまして、IT戦略会議、きのうも出てまいりましたけれども、理想と現実のギャップがいかに大きいか、これは関係される方は皆さんよく認識されております。ただ、本日の質問をさせていただく前に、その理想と現実のギャップが日本においてはいかに大きいかということを、若干、堺屋国務大臣にお伺いして、明らかにしていきたいと思います。 本年七月に、マイクロソフトは、カナダと米国間の国際長距離電話を無料にいたしました。すなわち、国際長距離電話が無料になる、ネットワークを通じてやるわけですが。我が国においては、国際電話というものとネットワークというものはこのような形で実現されておりません。すなわち、電話というものがこれから先、無料のものになっていくという概念がもう既に出てきております。 そして、御存じのとおり、それが日本で実現されないのは、日本の接続料はアメリカの十倍かかる、そしてそれを電通審、電気通信審議会において何とかしようということでございますが、NTTの算定根拠、データをチェックするために今後二年間かかるということを言われております。さらに、NTTは九〇年代に今の通常の電話回線に十兆円の投資をいたしましたので、これを回収することを優先しているというようなことがございます。 そこで、大臣にお伺いいたします。 高速ネットサービス、DSL、アメリカでは現在、月三十ドルで利用できます。そして、利用されている方は約二百万人。同じようなサービスを韓国では百万人の方が利用されております。我が国では一体何人の方がこれを利用されているのか、お答えいただけますでしょうか。
○堺屋国務大臣 日本で今DSLを利用している人は、大体二千人ぐらいだと思います。多少このデータは、ちょっと古くなりましてあれですが、昨年の末でございますけれども、大体二千人ぐらいですね。
○山田(敏)委員 アメリカにおいては現在二百万人、韓国においては百万人、それが現在、日本では約二千人の方が利用されているという実態でございます。さらに、BツーC、すなわち消費者が会社から買うビジネスですが、アメリカにおいては二〇〇〇年において約七兆円、日本では大体幾らぐらいのBツーCのビジネスがあるか、お答えいただけますか。——きょう、これは前もって質問を出しておりませんで、申しわけありません。大体四千三百億円ということでございます。 このような理想と現実のギャップにおきまして、私ども民主党の方で御提案申し上げております情報通信省の設置を明記したらいかがでしょうかということでございますが、大臣の方にお答えいただきたいと思います。
○堺屋国務大臣 この基本法案では、さまざまな官庁にまたがっているものを総理大臣の強い指示のもとに、リーダーシップのもとにIT本部をつくりまして、そこで取りまとめていこうということでございます。 特に電気通信関係を担当するだけの省をつくるということではなくして、むしろ内閣全体の責任として、総理大臣の強いリーダーシップでやっていく方が適切だと考えております。
○山田(敏)委員 政府案の第三十条にそのことが述べられておりますが、この本部、本部長は総理大臣がなられますが、第三十条の第二項でございますが、本部は、その所掌事務を遂行するために特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対して必要な協力を依頼することができるというふうに述べられております。 すなわち、この本部は各省庁の調整役、指針を示して、それに対して調整をする、そして必要であれば協力を求めるという機能があると思います。 今申し上げましたように、我が国がこのように世界的に大きくおくれ、そしてまた今、現実と理想のギャップが大変大きなものの中でこの政府案が無事に遂行されるためには、行政機関としての省庁が必要ではないのでしょうか。
○堺屋国務大臣 行政機関として今まで郵政省、通産省、いろいろな省庁があったわけでございますが、やはり行政官庁というものをつくりますと、そこに必ず時代の変化に応じて複雑な問題が生じてまいります。これが今日本で大変大きな問題を起こしておりまして、ドッグイヤーと言われるほど変化の激しい情報分野におきまして、今、固定した部門の、固定した範囲内の省庁をつくるよりは、この三十条にございますように、本部を設けまして、そこからあらゆる行政機関、関係行政機関あるいは地方公共団体、そして独立行政法人あるいは特殊法人等に、総理の指導のもとに常に柔軟に対応して協力を求め、基本方針を打ち出し、基本戦略を打ち出し、そして協力を求めていく。これが、今のこの変化の激しい電気通信、IT関係において我々は最良の体制だろうと考えております。
○山田(敏)委員 私は行政機関におりましたので、今回のその御答弁には非常に危惧を抱いております。 第二点でございますが、先ほど申しました雇用の問題、これについて正確な分析がなされているかどうか、そしてそれを政府案の中に織り込んでいく用意はあるのかどうか、お聞きいたします。
○坂本政務次官 お答え申し上げます。 議員の御質問は、情報化が雇用にもたらす影響について通産省が行った調査でございまして、九九年九月に発表したものでございます。これによりますと、今後五年間で約百六十三万人の雇用が削減されると推計しております。その内訳は、電子商取引の社内業務効率化による過剰雇用の削減、あるいは今後の企業内情報化による過剰雇用の削減であり、電子商取引により職務内容に影響を受ける雇用減ということが言われております。 一方、新規産業の創出やIT技術者の雇用拡大などにより、五年間で二百四十九万人の総雇用が創出されるわけでございます。この内訳は、電子商取引による創出、あるいはIT活用型新製品・サービス事業による創出、情報通信産業による創出等々でございます。 この結果、先生御指摘のとおり、差し引き八十六万人の雇用が創出され、全体としては雇用にプラスの影響が出るという算出結果が得られております。この調査の結果は、産業の競争力強化に欠かせない情報化が雇用の削減という負の効果をもたらすのではないかという懸念を払拭するものに役立つと考えております。 通産省としましては、情報化の持つプラスの効果を一層推進すべく、新規産業の創出に向けた環境整備などさまざまな施策を実行するとともに、雇用削減効果に対しては、中小企業の情報化支援、社会人の再教育を含めたIT人材の育成などによる雇用対策を推進することにより、すべての人がIT革命の恩恵が受けられる社会の実現を目指しております。 〔委員長退席、阪上委員長代理着席〕
○山田(敏)委員 私、きのうも電子政府の推進をしております日立の方を見学してまいりました。印鑑証明や転入転出の手続が非常に簡単にできる施設がもう既に完成しておりまして、そういう公共サービスではほとんど人は要らなくなるというような社会が出てくるのがもう目の前に見えてまいりました。 そこでお伺いしますが、このような非常に急激に進む社会変化、それから一番大きいのは、今おっしゃいました、失業者と、それから新規雇用者の間にこれだけの需要があるわけですが、ミスマッチ、すなわち、膨大な失業者が生まれるにもかかわらず、それに必要な人材がほとんど手に入らないということでございます。このミスマッチについてはどのような対策を、具体的にあるかどうか、お願いいたします。
○堺屋国務大臣 この基本法におきましては、基本理念といたしまして、四条及び六条に就業機会の増大について明記しているところでございます。この基本理念をより確かなものにするために、働く人々すべてがIT化に対応できる職業能力を開発して身につけることを促進するとともに、IT関連分野における良好な雇用機会の創出と、それら雇用増が見込まれる分野に円滑に労働力が移動できるように図ることが重要だと考えております。 このため、政府といたしまして、今後成長が見込まれます新たな産業分野に必要な人材を早期に育成していく、着実に就職を促進していくことを目的といたしまして、ミスマッチ解消を重点とする緊急雇用対策や、先般策定いたしました日本新生のための新発展計画などにはこのような対策を盛り込んでおります。特に、この新発展計画におきましては、百五十万人程度の人にITを職場でプロとして使えるような技能を習得していただこうというような対策を加えている次第でございます。
○山田(敏)委員 そのような政策が行われましても、アメリカと比べまして、今のミスマッチの問題、それからここの第四条に書かれていますような、中小企業が新しい産業を起こしていくについては、非常に日本は今構造的に問題があって、なかなかうまくいかない、そういう現実があり、また将来、それが見えてこないわけでございます。 そこで、ちょっと通産省にお伺いいたしますが、アメリカは全米にインキュベーターというものをつくっていきまして、これがインターネット、そしてソフトウエア関係の新しい産業を生み、雇用を促進していったという実態がございますが、我が国においては非常にうまくいっていない。それをまねして三カ所ぐらいできたそうですが、それもほとんど成功していないということでございます。その実態についてお答えいただけますでしょうか。
○坂本政務次官 二〇〇〇年五月時点の全米インキュベーター協会の調査によりますれば、米国におけるインキュベーターの数は約八百となっております。また、そこから育った企業数は、過去十五年間で約一万九千社となっていると聞いております。 これに対しまして我が国の場合、二〇〇〇年二月、ことしの二月時点の日本新事業支援機関協議会の調査によりますと、日本における公的インキュベーターの数は約百三十、そこから育った企業数は約八百社と聞いております。我が国の場合は、例を挙げれば、地域振興整備公団により整備された施設例でございますが、相模原の産業創造センター、あるいはクリエイション・コアかずさ、これは千葉県の木更津でございます。それから三鷹産業プラザ、東京三鷹、こういったところでそれぞれ行われております。 このように、我が国のインキュベーターの整備は、米国に比べ大変おくれていると考えております。インキュベーターは新事業の創出に有効な政策手段であると認識しており、今後、インキュベーターの整備の促進、インキュベーターにおいて起業家支援を行うソフト面の専門家の育成等の施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
○山田(敏)委員 それに関連しまして、第四条に関係しますが、中小企業者がさらにこのITを使って新しい事業、新しい産業を起こすということが書かれております。 ただいまもありましたように、インキュベーターそのものの社会的な支援が、実態上、今百三十ということでございますが、ほとんど、機能しているものは本当に少ない状況でございます。さらに、中小企業が新たにそういう事業を起こしていこうという場合には、今、日本は大変な銀行の貸し渋りが行われております。例えば中小企業の方が一億円の土地を持っていらっしゃって、そして返済していって五千万円になった、そして銀行から新たに借り入れをして事業を起こす場合には、もうその担保が既に三千万円の評価ですというようなことで、現実に、日本の金融システム、銀行からお金を借りて事業をやるということは、実質的にもう既に崩壊して意味のないものになってしまっている。そこで、特別信用保証制度が大変有効だったわけでございますが、来年の三月に打ち切られます。 今のインキュベーター及び中小企業の新しい産業について特別信用保証制度がないと、政府案の新規のIT産業というのは実質的に成り得ないと思うんですが、その点についてはいかがでございましょうか。
○坂本政務次官 特別保証制度は、一昨年の未曾有の信用収縮に対するあくまで臨時異例の措置ということで、いつまでも延長させるべきものではない、こう考えております。 中小企業をめぐる金融環境が一昨年の信用収縮の時期に比べ顕著に改善している中、本制度は来年三月末の期限到来とともに終了させまして、一般保証制度の充実を図ることが適当であると考えております。これは、今の特別保証制度が五千万でございますけれども、来年四月からは八千万に拡大しまして、中小企業及びベンチャーの皆さん方に大いに活動していただきたいと考えております。 もちろん、ベンチャー企業は、産業の新たな分野の拡大や新たな関連産業と雇用の創出に資する存在でありまして、その支援は非常に重要でございます。このため、昨年の臨時国会において、中小企業の私募債発行に対する信用保証の付与制度の創設や、公的機関からのベンチャーキャピタルへの出資の拡充など、ベンチャー企業に対する資金面の支援の強化を図ってまいりました。また、ナショナル支援センターを初めとして、都道府県等支援センター、地域中小企業支援センターによるソフト面からの総合的な支援体制の充実を図ることといたしております。 今後とも、こうした施策の総合的な実施により、ベンチャー企業対策に万全を期してまいる所存でございます。
○山田(敏)委員 今、坂本政務次官の御説明ですが、ベンチャービジネスの振興について通産省は多くの政策をやっておられるわけですが、国民の実感として、このような政策はうまく機能していない。実際に、私の知り合いでもたくさんの方が、起業される場合に、今の制度では非常に難しいと。まして、必要なお金は、そんな八千万などというお金じゃなくて、何百万のお金で起業するわけですから、特別信用保証制度がなくなるとさらに今のベンチャービジネスの起業は大変難しいと思います。 その今のベンチャーのいろいろな諸制度、本当に実効が上がっているのかどうか、坂本政務次官、お答えいただけますでしょうか。
○坂本政務次官 お答え申し上げます。 平成十二年四月から九月末までの保証承諾実績は、特定社債保険に係る保証実績という面で、承諾件数が二千四百六十四件、それから承諾金が千七百九十八億円に上っております。 〔阪上委員長代理退席、委員長着席〕
○山田(敏)委員 今のお答えは私の質問とちょっと違うのです。今、通産省を中心にしてベンチャービジネスの支援政策が行われておりますが、現実にベンチャーをゼロから創業してやっていく件数あるいは助成した件数、そのようなものは過去五年間なり、その政策によって実際に効果が上がったのかどうか、それをお答えいただきたいと思います。
○坂本政務次官 お答え申し上げます。 中小企業の私募債発行に対する保証として、平成十二年四月から七月までに六百二十九件、六百六十六億円でございます。それから、中小企業総合事業団からベンチャーキャピタルへの出資としまして、平成十二年七月末に五組合、四十億円でございます。それから、担保に乏しい中小ベンチャー企業への資金供給といたしまして、平成十二年二月から七月末の間に十二件、九億円でございます。さらに、新規開業者向けマル経融資制度、これが平成十二年七月末の段階で九十七件、三億七千万円でございます。それから、小規模企業者等向けの設備資金無利子融資、設備貸与制度、これにつきましては、平成十二年四月から七月末までの段階で、設備資金貸し付けが二百二十二件、二十二億円、設備貸与については六百九十一件、百億円。 以上でございます。
○山田(敏)委員 ありがとうございます。 今、数字を述べられましたが、その数字を見ても、いかに日本のベンチャービジネスが振興されていないか、そしてその実効が上がっていないかということがよくわかります。私募債についての保証、これは私募債をできるような規模のベンチャービジネスでございますので、今ここでITで取り上げるような企業とは全く違います。 それから、ちょっと今忘れましたが、一件当たり一億円ぐらいの補助でございますので、これも今私が述べましたように、創業を何百万円、一千万円以下で行う方々、企業に対して実効が上がっているというものではございません。まして、その後申されました資金供与とか新規のマル経については、九億円とか三億円とか、日本のベンチャーをこれからやるという人に対してもうほとんど実効が上がっていないと思いますので、ぜひこの際、ITの金融政策をやる最も有効な方法は、私どもの経験で、やはり特別保証制度による無担保の融資でなければこれは現実的には動かないものだというふうに思いますので、ぜひ御検討していただきたいと思います。 次に、労働政務次官にお伺いいたします。 労働省として、今申し上げましたように、相当、社会の広範囲にわたって失業される方がふえるわけですが、その点について詳細な分析をされ、そして対策をとられておりますので、お教えいただきたいと思います。
○釜本政務次官 IT化の推進における雇用の問題についてということでお答えさせていただいたらよろしいでしょうか。 IT革命が雇用に及ぼす影響としましては、企業の情報化投資による業務の効率化に伴い雇用削減が見込まれる一方で、IT関連ビジネスの成長により新たな雇用が生み出されるなど、雇用へのプラス効果も期待することができると考えております。 その際、職業能力に関する先ほど来お話が出ておりますミスマッチの発生も懸念されるところでありますが、働く人すべてがIT化に対応できるようにすることを目指した対策の推進により、こうしたミスマッチの解消を図ることが重要であろうかと考えております。 具体的には、あらゆる職業分野の労働者がパソコン等の操作能力を向上させることができるよう、公共職業能力開発施設での訓練や専修学校等での委託訓練により十分な職業訓練機会を確保するとともに、情報通信分野の求人の増加に対応した高度な人材育成のための訓練コースの開発、拡大を図ってまいりたいと考えております。 以上です。
○山田(敏)委員 今の御答弁では、ほとんどこのIT革命による対策というのはなされていないような御答弁でございます。 過去四年間に百二十万人の新たな失業者が生まれました。それが、このIT革命によってさらに百六十三万人の失業者がふえるということで、国民の皆様は、職を失うことの恐怖というものが今広く日本には行き渡っております。怖くない失業というものを実現しないと、日本の経済もそしてこのIT革命も成功しないと思います。失業しても怖くないということを実現するにはどうしたらいいかということを、労働省、通産省、IT担当大臣、抜本的に検討していただきたいと思います。 例えば、中高年の方が、五十歳以上の方がいきなり解雇されたり、ITによってもう要らなくなったということが今どんどん現実に起こっているわけでございます。ですから、中高年以上の方には、失業保険の期間を例えば二年間に延ばす、そして職業訓練の内容も抜本的に見直す、そのような思い切った政策がないと、今、日本における怖くない失業というものは訪れないのではないかと思います。 この点について、労働政務次官、お答えいただけますか。
○釜本政務次官 政府といたしまして、数次の雇用対策を行ってまいりましたが、本年五月にはミスマッチ解消を中心とした雇用対策を策定し、着実に実施しているところであり、今後とも全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
○山田(敏)委員 今お聞きいただきましたように、今の状況ではこの政府案に非常に大きな問題点があるというふうに言わざるを得ないと思います。 次に、郵政省にお答えいただきたいのですが、NTT法。 今、IT戦略会議でも言われております二つの大きな問題があるわけですが、一つは、ラストワンマイルをいかに自由で競争政策を取り入れていくかということをやらなきゃいけない。もう一つは、高速で大容量のネットワークをつくらなきゃいけないということでございます。その点に関してきのうも質問させていただきました。NTT法の廃止とNTT完全民営化、これを進めていく、さらに公正取引委員会によって自由で公正な競争が行われる、そういうことを実現していくことが一つの問題点の解決だと思います。 昨日の郵政大臣のお答えで、完全民営化についての問題点はユニバーサルサービスであるということでございました。公益性のあるサービスをNTTはやらなきゃいけないということでございますが、この点についても、公文俊平さんを初め、こういうふうにやればいいという解決法を示しております。それについてお答えをいただきたいと思います。
○佐田政務次官 今、電気通信審議会で審議をしていることでありますけれども、今先生言われましたラストワンマイルの問題であります。これも今いろいろ、建設省においては下水道を使ったらいいのではないかとか、そしてまた電力関係だと通産関係でありますけれども、そしてまた饋線点からのDSL、そしてまたCATVを使ったやり方であるとか、これは早く調整をして、各省庁にも広がることでありますから、しっかりと議論をして、早急に競争政策がとれるようにしていきたい、こういうふうに思っております。 もう一点の、NTTの民営化の問題。 民営化はもう進んでおるのでありますけれども、今のところNTTは、持ち株会社制によるグループ運営をしておるところであります。これはいいところも悪いところもありまして、一元的研究開発の体制等国際競争力の強化であるとか、グループ内人事の交流であるとか、メリットもあるのですけれども、先生の御指摘のように、デメリットの部分におきましては、グループ会社間の自由な競争やグループ会社の自主的、機動的事業運営が抑制されるおそれがあるということと、またグループ会社間における反競争的行為を招いているというデメリットもあるわけでありまして、この点につきましても、全力で低廉化を目指して、できる限りの努力をしていきたい。 そして、電気通信審議会におきましては、これは国民の意見を反面では聞くということでありますから、早急にこの意見も加味して議論をしていきたい、かように思っております。
○山田(敏)委員 今のお答えで、もう少し掘り下げて今のNTTの問題をやっていただきたいと思うのです。 さらに、早急に高速ネットを、五年以内にほぼ全世帯にやるという構想でございますけれども、それはライト・オブ・ウエーというふうに総称しますけれども、今の通信、鉄道、電力、ガス、道路、河川、そういった利用し得る公共的な施設をすべて動員して、早急にやって初めて五年以内にほぼ全世帯に高速のネットができるのではないかと思います。また、その意味でも、先ほど申し上げました情報通信省を設置して、非常に強力な調整機関を設けないとこのようなことは実現しないのではないかと思いますが、郵政省の見解をお願い申し上げます。
○佐田政務次官 今先生が申されましたように、基盤整備は一刻を争う問題でありますから、とにかく二〇〇五年までの整備ということで全力で、もちろん民間主導ということもありますけれども、あらゆる地域イントラネットを使ったり、そして、先ほども申し上げましたように電力関係、そしてまた、建設の下水道はユーザーのところまでつながっておりますけれども、法的な規制もありますし、技術的に細い管に光ファイバーを入れられるかどうか、こういうこともあります。いずれにいたしましても、低廉化に向けて全力で今いろいろな技術を使ってやりたい、かように思っておるわけでございます。 それと同時に、先生申されているとおり、本当に諸外国との格差をできるだけ是正していかなければいけないということは確かでございます。そして、三年で接続料も二二・五%まで下げなくてはいけませんし、そしてまた、二年目には見直しをしていく、そういう関係もありまして、二年目の見直しに際しましては、ことしのトラフィックデータ、去年のトラフィックデータをしっかり見まして、その上で考えていきたい、こういうふうに感じておるわけであります。 先生、競争政策の中でできる限りのことをやっていきたいわけでありますけれども、また反面に通信主権ということもありまして、これはもちろん、あらゆることはやりたいのですけれども、日本の情報を守っていくという観点もございますので、その辺も加味しながらやっていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。 それと、先生が先ほどお聞きになりまして大臣からもありましたけれども、情報通信省の問題であります。 これは、大臣の繰り返しになって大変恐縮ではありますけれども、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部、これを内閣総理大臣を本部長としまして構成しまして、内閣に置くということになっておりますので、ここを中心に、リーダーシップを持って、一元的な取り組みを行うにふさわしい体制をつくっていきたい、こういうふうに思っております。
○山田(敏)委員 アメリカにおきましては、電子政府の実現をやろうということで、既に進んでおるようでございますが、約六十名のスタッフで、今私が申し上げました情報通信省の前身となるような組織をつくりまして、今、集中的に電子政府の実現に向けて省庁を超えた権限を持ってやっております。この点から、私は、情報通信省を設置することが日本のIT革命の大きな力になるんだというふうに信じております。その点をちょっと申し上げます。 それから次に、IT革命による構造変化というのは非常に急でございます。その中に、いろいろな法制度がございますが、特に税制の問題について、ちょっとこの政府案においては触れられておりません。御存じのとおり、インターネットで取引をする、それから外国で国際的な取引をすると、消費税、所得税、法人税の捕捉はほとんど不可能な状況になってまいります。このことについて、堺屋国務大臣、この政府案について問題点があるというふうにお考えになりませんでしょうか。
○堺屋国務大臣 政府案では、この高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策の実施のために必要な法制上、財政上という文字が、十二条に、「法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。」と出ております。この「財政上の措置」という言葉は、他の法律でも税制を含むと理解されておりますので、ここに財政と出ております以上、当然税制の問題も含めて考えていただいて結構だと思っております。
○山田(敏)委員 この税制の問題は、今の電子商取引におきましても非常に大きな、恐らく国家の財政を大きく変えてしまうほどの影響がございます。実際に、インターネット上で取引したものの消費税というのはほとんど捕捉することは不可能でございますし、それから、外国において日本人同士が商取引をやった場合には、ほとんど所得税、法人税の捕捉も不可能になります。ですから、これはかなり真剣にやらないと日本の財政そのものがおかしくなってしまうほどの問題だというふうにとらえておりますので、その点をしっかり修正していただきたいと思っております。 次に、「世界最高水準」という言葉が出てまいります。この点について、堺屋国務大臣、この世界最高水準とは一体何なのか、お答えいただけますでしょうか。
○堺屋国務大臣 本法案十六条でございますが、「世界最高水準」ということを書いております。 我が国の情報通信ネットワークの現状を見ますと、携帯電話の普及率は世界の高い水準にあります。また、多様な事業者間の競争を通じて、光ファイバーや今大変おくれておりますDSLあるいはCATV、そういったものを多様化する一方で、インターネットにつきましては、利用料金が高額である、通信速度が遅い等の問題がございます。 このような状況にかんがみまして、今後の我が国における情報通信ネットワークの発展のために、携帯電話の一層の発展、あるいは放送のデジタル化、これは間もなく始まりますが、この進展や、技術革新に伴う通信・放送の融合化を初めといたしまして、サービスの多様化、高度化等とともに、インターネットの普及に不可欠でございます低廉な料金で利用できる高速度の、大容量のネットワークを実現する、こういうことが大事だと思っております。 したがって、ここで申します「世界最高水準」というのは、こうした携帯電話の発展動向と、多様な業者間の競争を通じたサービスの多様化、高度化、そして世界的におくれをとっておりますインターネットの普及率と料金の水準、そういったものを総合的に評価いたしまして、世界の最高水準と認められるような、多様で総合的で、そして安くて安全というようなネットワークをつくり上げることだと考えております。
○山田(敏)委員 冒頭にも申し上げましたように、世界最高水準と今大臣が御説明いただきました内容についてはかなりほど遠い内容になっておりますので、今、ちょっと最初、何が世界最高水準なのかということがはっきりわからなかったのですが、それはかなり抜本的な問題で、解決法がないと世界最高水準というのはかなり無理であるというふうに思います。 そこで、世界最高水準をもし目指すのであれば、私は、世界最高水準の情報公開をやっていただきたい。いろいろな政府の指標をできる限り公表していく、これが国民に対する本当に質の高い世界最高水準のサービスであるというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○堺屋国務大臣 この法案の十三条に、「高度情報通信ネットワーク社会の形成に資する資料」について公表する、こう定めております。 先ほども申しましたように、いろいろな多様性、あるいは料金の問題、安全性、いろいろな尺度がございますから、百メーター競走のように一つのタイムだけで世界最高とはなかなかはかれないものでございますから、こういったいろいろな観点を資料として公表することによりまして、この世界最高水準を目指すという法の精神を世間に公表していくことが順当ではないかと思っております。
○山田(敏)委員 大臣にちょっと言っていただきたいのですが、情報を随時公表しなければいけないと書いてあるのですが、今、このIT革命を機会にして、多くの国民が政府のそういう情報に接することができるわけですから、この中に、世界最高水準の情報公開を目指していくんだということを、ひとつ決意を述べていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
○堺屋国務大臣 先ほども申しましたように、尺度がいろいろございますが、この法の精神に基づきまして、それぞれの、適時、随時、重要なものは公表して、国民の目にもさらし、世間の評価を受けながらこの法の精神を追求していくことにしたいと思っております。
○山田(敏)委員 次に、この政府案に欠けているもう一つの問題は、消費者保護の問題でございます。 大変議論の多いところでございますが、電子商取引における消費者保護をぜひこの政府案で力強くうたっていただきたいというふうに思いますが、大臣の御意見をお願い申し上げます。
○堺屋国務大臣 ITの普及に際しましては、電子契約に関する契約成立の時期の明確化など、電子取引の特質に関して、消費者の保護、対策ということが必要になっていることは、我々も十分に承知しているところでございます。 このような認識で、基本法の第二条に、高度情報通信ネットワーク社会を定義づけるに当たりまして、安全という言葉を前提に入れました。その施策の基本方針におきましては、十八条に消費者の保護、ネットワークの安全性や信頼性の確保、それから個人情報の保護について明記しております。また、三十四条の二項四号でございますが、政府が講ずべき施策として、消費者保護対策を含む電子商取引の促進に関する施策を重点計画に盛り込むようにしております。 具体的に申しますと、この基本法の考え方を踏まえまして、次の通常国会におきましては、個人情報保護に関する基本法案、あるいは電子商取引の特性に応じた新たなルールをつくるなど情報化社会の基本ルールの制定のための法律案を提出するように準備しておるところでございます。 そのほか、現在、経済企画庁で所管しておりますが、国民生活センター等におきまして、苦情の処理あるいは消費者情報の提供等を通じまして全国の消費者センターと提携いたしまして、万全を期するように考えている次第でございます。
○山田(敏)委員 私は、今の政府案の問題点は以上申し上げたとおりでございます。 今明らかにされましたように、新規事業、ベンチャービジネスの政府の施策は大きくおくれております。実態的にもほとんどIT戦略会議の言うようなものにはなっておりません。そのことをまたひとつ考えていただきたいと思います。 それから、失業者の問題。これはもう日本経済を大きく今揺るがしておる。失業は怖い、その心理が今大きく日本を覆っております。ぜひこの機会に、IT基本法案の中に、失業が怖くない措置に万全をもって取り組んでいくということを盛り込んでいただかないと、この法案は実効のあるものにはならないというふうに思います。 そうしてまた、最後になりますが、縦割り行政の大きな弊害が今どんどんITを進めていく中で出ております。この中で、現実に今消費者は、三十歳未満の方で、過去五年間に電話代が倍になっております。大体一月に四千円だったのが、現在一月に八千円になっております。こういうことがIT革命を大きく今、阻害しております。 この問題を抜本的に解決していこうという決意を持ってやるならば、やはり大きな権限を持った情報通信省というような行政機関で力強くやっていかないと、日本はさらにアメリカの後塵を拝する、さらに世界からおくれていくという状況になるというふうに考えます。 以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○佐藤委員長 佐藤公治君。
○佐藤(公)委員 自由党の佐藤公治でございます。きのうに続きまして、きょうもよろしくお願いいたします。 多少きのうの続きから入らせていただきます。 まず最初に郵政政務次官の方にお尋ねをしたいと思いますが、私、一応事前通告はしておりますが、多少の通告していないことも織りまぜながら聞かせていただければと思います。ただし、私どもの方は変に揚げ足をとったりというつもりはございませんので、わかる範囲で結構でございますので、お考えを聞かせていただければありがたいと思います。 政務次官にお尋ねしたいんですけれども、きょう新聞等でも、IT国家戦略案というか、基本戦略案が出されたと思いますが、それをごらんになって、その感想というか、実現性、可能性というものの判断を政務次官が何かお感じになられたら、お答え願えればありがたいと思います。
○佐田政務次官 本来でしたらば、きのうの戦略会議で、大臣等がうちの方は出席をしておるわけでありますけれども、その中のいろいろな雰囲気等を私もお聞きしておりますので、私の私見ですけれども述べさせていただきます。 まず第一に、ITというのは基本的にはこれは道具でありまして、目標じゃありませんから、そういう意味におきましては、今の通信の問題、通信の低廉化、そして高度な技術を発展させる、そういう意味におきましては、いろいろな形で規制緩和もしていかなくてはいけない、そういうふうな形の組織をつくっていくとか、そういう議論もされたようであります。 また、競争の促進のための競争政策をより強く進めていくということが述べられておったように記憶しております。 私は、これは非常に大事なことであって、先ほどの御質問にもありましたように、できる限りの低廉化をしながら、ベンチャー企業の育成であるとか、ひいては景気の回復を図っていく、非常に重要なことだと思っております。そういう意味におきましては、先ほどもお話ししましたように、三年間で二二・五%接続料を下げろ、そして、いろいろな意味でインターネット関係につきましても、DSLであるとかCATVを利用するとか、そういうふうな形でできるだけの努力はしている。 反面、気づかなくてはいけないのは、そういう中においても、二律背反かもしれませんけれども、低廉化して、そういう意味でベンチャー企業育成をしていくということと、もう一点は、やはり情報の安全保障もあるんじゃないか、私はそういうふうに感じております。そういう意味におきましては、二律背反になるかもしれませんけれども、その中でしっかりとできるだけのことは競争政策をやっていかなくてはいけないんじゃないか、そういう印象を受けました。 それと、もう一点でありますけれども、光ファイバーは二〇〇五年までに何とか民間主導で引いていくという方針であります。それと同時に、各省庁にも協力をいただくわけでありますけれども、その中で基盤整備に関して感じましたのは、過剰投資にならないようにしっかりとやっていきたい。 以上です。
○佐藤(公)委員 一応、基本戦略案を見ますと、かなり大変な作業かなというふうに思いますけれども、その実現性、可能性に関してはいかがでしょうか。政務次官、お願いいたします。
○佐田政務次官 これは、先ほどのは私見であります。私もまだ全部細かく精査したわけじゃありませんので、それはぜひまた、この後にまだ、きのう戦略会議がありまして、またやりまして、それで戦略本部へ上がっていくことでありますから、そういう意味におきましては、公的な発言としてはこのぐらいにさせていただきたい、かように思っています。
○佐藤(公)委員 やはり、この問題になりますとNTTの問題がかなりいろいろな問題で引っかかってくると思います。 まず、NTTのことで、民営化ということもいろいろな議論として上がってくると思いますが、そういうことをするか、もしくはその前にすべきことなのかということになってくるかもしれませんが、もともとNTTは電電公社という国家の財産で形成された会社でもあり、まだまだその資産は、新たな競争や新規産業参入の促進に十分貢献しているとは言いがたいというふうに私どもは考えております。日本においてNTTが基礎的な研究を多く行ってきているんですが、その資産はこれからの情報産業全般に生かされるべきではないかという考え方もあると思います。 そういうことになればそういう考えがあるのか、また、そういう方向性があればそれは開示、提供されていくのか、今後あくまでも一企業の成果として扱うのではなく、場合によってはもっと国がバックアップすると同時に、日本国全体でその成果を今こそ享受すべきではないかというふうにも考えますが、政務次官の御意見をお聞かせくださいますか。
○佐田政務次官 先生言われますように、研究開発というのは、非常にこれは重要なことでありまして、NTTにおきます研究開発につきましては、NTT法において、NTT三社に対して研究の推進及びその成果の普及を義務づける、こういうことになっておりまして、これに基づきましてNTTは基礎的な研究の成果の普及に努めており、また民営化以降、開示件数は増加していますが、昨今の情報通信分野の競争環境の変化に伴いまして、今後のNTTの研究開発体制のあり方について、我が国全体の研究開発体制のあり方の中で研究をしていきたい、考えていきたい、こういうふうに思っております。 情報通信分野の国の研究所としましては、今言いましたNTT、そしてまた通信総合研究所がありまして、情報通信分野の基礎研究を実施しているところでありますけれども、来年、二〇〇一年からは独立行政法人化されるという予定であります。しかしながら、国の研究ということで、しっかりとこれはやっていかなくちゃいけない。こういう状況の中で、我が国全体の技術力をさらに向上するための研究開発体制について検討をする必要があるために、現在、NTTのあり方を審議している電気通信審議会及び我が国の研究開発体制を審議している電気通信技術審議会の委員会が、合同でこの審議をしておるところであります。 先生言われるとおり、NTTは民営化をして今の体制になっておるわけでありますけれども、まだユニバーサルサービスであるとかNTT法はあるわけでありますから、その研究も郵政省の研究も一体となって、日本全体の研究として非常に重要なことでありますから、推し進めて議論をしていきたい、かように思っています。
○佐藤(公)委員 今政務次官のお話の中で研究所の話がございましたけれども、今お話しの中からすると、国として、今いろいろと審議をされておりますが、新たなるというか今以上の情報通信研究機関を強めていく、設置をするというところまでの可能性、また予算も含めて、かなり力を入れてやっていこうというふうに考えてよろしいのでしょうか。
○佐田政務次官 この通信技術の、今申し上げましたように審議会で今議論をしているところでありますけれども、国の方では、独立行政法人になるということを今も私は申し上げましたけれども、これはあくまでも、そういう中におきまして今のNTTの競争政策であるとか、そういう中にNTTがあるわけでありますから、そういうことを考えたときに、決してグローバルな中において研究がおくれるなんということがないように、しっかりとやっていく方向で進めたい、かように思っています。 そしてまた、NTTの関係におきましても、今申し上げましたように、今度の接続料の関係で、NTTの西の方は大変な赤字になっております。その中でユニバーサルサービスであるとか技術開発をしていかなくちゃいけない、こういう関係がありますから、この辺もぜひ先生方に御配慮をいただき、世界に比べて一歩でも研究がおくれるようなことがないように、ぜひ応援をしていただきたいですし、我々もそういう形で進めていきたい、こういうふうに思っております。
○佐藤(公)委員 その辺は、政務次官のお考えには私どもも全く一緒であり、一層研究に力を入れてやっていただきたいと思います。 そういう中で、今までも幾つかあったのですけれども、民間は、やはり一つのスタンダードというか規格というか、そういう統一性のものを早く国として、行政指導なのか、民間が主導型とはいうものの、全体国益を考えた場合にはその規格というかスタンダードを早く提示してもらいたい、そういうものを民間はみんな望んでいる部分があるかと思います。そういう部分でも、研究がもう何よりも重要な分野になり、そこでいち早く、やはりどういう形が今後の日本にとって国益になっていくかということを考えて研究していかなきゃいけないと思いますので、それはぜひお願いしたいと思います。 それで、その規格に関して、国益を考えた上で、スタンダードとかそういうものを迅速に御提示を願えればありがたいと思いますが、それに関して政務次官の御意見をお伺いいたしたい。
○佐田政務次官 スタンダードというのはいろいろな形であろうかと思いますけれども、これは先生の言われるとおり、グローバル、世界的な競争だと思います、はっきり言って。そして、国民にいかに利益があるか、こういう観点も私は非常に重要だと思っています。低廉化することによって、いろいろな形でユーザーにサービスをしていく。これも非常に大事なことでありますけれども、先生の言われるように、技術革新によって、一歩でも一秒でも早く世界に先んじてスタンダードを確立していく。これは重要なことだと思いますので、我々もその方向で頑張りたいと思っております。
○佐藤(公)委員 ぜひお願いいたします。 また政務次官に続けてお聞きしたいのですけれども、今、来年の四月一日からの例の電子署名及び認証業務に関することということで、来年の四月から行われるわけでございますけれども、これに関しての今現状を把握している範囲でお答え願えればありがたいと思いますので、よろしくお願いします。
○佐田政務次官 この法律は、非常にこれは重要なことでありまして、実は先日私もマイアミに、GBDeという電子商取引の会議に出たときに、大変各国の方々が注目しておりました。 これは、電子署名及び認証業務に関する法律については、先般の第百四十七回国会の審議を経て、本年五月に公布されたところでありまして、現在、平成十三年四月一日の本法の施行に向けて、郵政省としては、通産省及び法務省と共同で関係政省令等の検討を進めている段階であり、専門家の方々から認定基準等について御意見等をいただくために、電子署名及び認証業務に関する法律における特定認証業務の認定基準等に関する検討会を設置し、詳細な検討をいただいているところであります。 また、今後郵政省としましても、通産省そして法務省と協力して、電子署名の国民への普及啓発活動の実施等により、電子署名について国民の理解の増進と利用の促進を図りまして、同法による業務の円滑な実施が図られるよう努めてまいる所存であります。 これにつきましても、先生には釈迦に説法でしょうけれども、これからいろいろと、設備のセキュリティーの問題やら細かいところを省令の中で、本人確認の方法であるとか、これも一つの技術でありますから、その中で業務管理体制等、こういうことも全力で、早くこれをやれるようにしていきたい、かように思っております。
○佐藤(公)委員 では、来年の四月一日からそれは心配なくできるというように理解して構わないということでよろしいでしょうか。
○佐田政務次官 そういうことです。全力でやります。
○佐藤(公)委員 よろしくお願いいたします。 私が知り得ている中では、大変来年の四月に行われるに際しては不安材料が多くあり過ぎて、本当に大丈夫なのかなということを心配しております。それで、一番あれなのは、やはり始まったはいいけれども、トラブル等、セキュリティーの問題もありますけれども、責任の所在がどこにあるのかということが非常に不明確な状態の中で、なすりつけ合いみたいな状況が起こるのではないかな、こういうことが幾つも勃発するような可能性がございます。そういう意味で、きちんとした、責任の所在をはっきりした状態で進めていただくことをお願いしたいかと思います。 まだまだ話したいことはあるのですけれども、時間の関係もございますので、済みませんが、堺屋長官の方にお尋ねさせていただきます。 堺屋長官、先ほども政務次官の方にお聞きしましたけれども、基本戦略案が出されましたが、これにおける御感想と、その可能性というものが長官のお考えの中であれば、ぜひともお聞かせ願えればありがたいと思います。
○堺屋国務大臣 我々の方でもさまざまな基本戦略を立てております。そして、IT社会が成立してまいりますれば、社会全体の状況が大きく変わってくるだろう。単にこれは産業、経済の問題だけではなしに、人間の生き方、社会の構造、そして恐らくは文化の形態、そういった人間の価値観に及ぶような大きな変化が生まれてくるだろうと思っております。 そうした中で、私たちが新しく情報でつながり、知識で結ばれた社会が形成され、より安心な人間関係も生まれてくるんじゃないか、楽しみの多い社会が生まれるんじゃないかという期待を持っております。
○佐藤(公)委員 実現可能性についてはいかがでしょうか、長官。
○堺屋国務大臣 日本はエレクトロニクスの政策では大変高い能力を持ちまして、世界最高の性能と競争力と生産量を持つようになりました。ところが、インターネットの世界で大変おくれた。これは、やはり通信というものに対する発想、特に光ファイバー、大容量という通信の量と速度ということがもう一つ、日本国民あるいは政府、企業も含めて日本全体に認識がなかったからだと思うんです。 これだけ高い技術力を持っておりますし、経済的にも大きな力を持っておりますから、この点、今度の基本法案を通していただきまして、いよいよ日本が本腰を入れてやれば、この法案あるいは重点政策、重点戦略が考えておりますような、二〇〇五年までに世界最高の水準のものをつくることは決して不可能ではないと思っております。
○佐藤(公)委員 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法において、もう少し具体的に社会全体を考えたものに踏み込むべきではないかというお話をきのうもさせていただきました。長官はそうすべきではないということをきのうお述べになりましたが、一晩たちまして、考えがお変わりになられることはないのかなというふうに私ども思います。 今回の基本法案で幾つかの、私どもやはり足りないというか追加をしていかなきゃいけない、でないとせっかくの基本理念のこの法案が大変中途半端なものになってしまうのじゃないかという心配をしております。具体的な将来像を明確にすべきであり、またIT社会による社会的不安を取り除くべく最低限の前提を踏まえた事項や何かを入れたり、やはり将来のものを具体的にもう少し踏み込んだ形で絶対に入れるべきではないかというのが一つですが、きのうからきょうにかけて、一晩お休みになられて、その考えは全く変わりませんでしょうか。
○堺屋国務大臣 変わっておりません。私どもも、この法案を提出するにつきましては、やはり熟慮していろいろとさまざまな面を考えてまいりました。この法案において、インターネット等の高度情報通信ネットワークを通じて自由かつ安全に多様な情報や知識をグローバルに入手し、共有し、発信することにより、あらゆる分野における創造的かつ活力のある発展が可能になる社会、これを高度情報通信ネットワーク社会、こう定義しておるのでございまして、ITの分野、情報通信の分野といたしまして、情報通信の基本法として考えますと、この定義が非常に妥当なものだと思っております。 これを受けまして、この法案では、インターネットその他の高度情報通信ネットワークが今後の我が国の飛躍的な発展のために不可欠な手段であるという認識のもとに、高度情報通信ネットワーク社会の形成の意義、その方向及び重要な配慮事項を基本理念として書いている。そして、それに基づきまして、基本方針を明らかにしている。そういう仕組みになっておりまして、IT基本法といたしましては、これが一番過不足なく、満たされたところではないか。これ以上にいろいろなことを書きますと、だんだんと情報通信の分野を超えていろいろなところに抵触してきてやりにくいところも出てくる。そういう意味で、過不足なく描かれているのじゃないかと思っております。
○佐藤(公)委員 この辺は議論がかみ合わないところでございますけれども、多分、私の推測というか思いかもしれませんが、きのうもお話ししましたように、長官はやはり国家観、道徳観、倫理観、哲学というものを本当にお持ちになられているというふうに私は思います。 まさにこの基本法というのは、先ほどからもお話がございますように、将来像に関して踏み込むべきではないとか、入れるべきではないというような見解というか発言ですが、総理みずから、我が国の重大なことであり、革命であり、国を大きく変えるということを意識、発言されている以上、やはり私もしくは私たちは、どういう国にすべきかということも踏み込んだ形で、理念と哲学がここに必要ではないかと思います。 これはかみ合わないところなのかもしれませんが、ぜひとも、与党さん側にも日程があるのかもしれませんが、私は、ここは本当に大事なところなので、国会を多少会期を延長しても、そんなに急がず、もう一回考え直して、やはりやるべきことはやる、入れるべきことは入れて、そこからスタートしてもいいというふうに思いますが、お考えになられるのであれば、また何か御意見をいただけたらありがたいと思いますが、お願いします。
○堺屋国務大臣 もちろん、政府といたしまして、特に変化の大きいときでございますから、これからの国の形、心、気持ちというものは描いていかなければならない、これは総理大臣の所信表明、施政方針、あるいは政府全体の政策としてはそのとおりでございます。 しかし、そういうものが今重要であり、かつ必要であり、また我々として心に持っているということだから、この高度情報通信ネットワーク社会を形成するというこの法律にすべての将来像を描くのがどうかということになりますと、これはやはり高度情報通信ネットワークに関する部分、それを描くのが基本法の本筋でございます。また別の法律あるいは基本法、そういったものの中で違った部分も描かれて、全体像としての社会はきっちりとしなきゃいけない。そういう意味で、これは過不足なく、過分なところも不足なところもなくできているんじゃないかと私は思っております。
○佐藤(公)委員 この議論はどうもかみ合わないというか、きのうも私ども自由党の達増が申しましたように、最初から長官がずっとやっていただけたらばもっと違う形で出てきたのではないかというふうにちょっと残念に思うところがありますが、この議論はこれぐらいにします。 二点目に、やはり私ども思うのは、このままでは省庁間や業界団体、または政治的介入によって、調整がつかなかったり、つぶされたり、妥協したり、目的が達せられない事態に毎度のことのようになるようなこともあり得るのではないか、おそれがあるのではないかということを考える、また感じるところがあります。この基本理念において、よりもっと強力なというか、強い理念というか、実行していくという考え方、その表現がもっとあるべきではないかというふうに思います。 この中でも十分それは達しているというふうに長官はおっしゃる、お思いになっているかもしれませんが、私どもはもっと、より一層強いリーダーシップが発揮できるような理念であり、感じられる理念であってもらいたいと思いますが、長官の御意見はいかがでしょうか。
○堺屋国務大臣 この法案には、理念そして重点政策が書かれております。また、形といたしましては、内閣総理大臣のリーダーシップのもとに、優先順位に基づく政策課題を設定、遂行し、重点計画に基づく政策資源を迅速に、かつ重点的に投入するという仕掛けになっております。 この基本法の考え方を踏まえまして、いろいろな政策を総合的に、やはり行政の部で見ますと、総理大臣の総合調整力というのは今度の省庁再編成でも非常に集約的に強くした。そういう省庁再編の形等から見まして、やはり総理大臣のイニシアチブというものを大切にしていく、これがこの法案として、またIT革命を遂行していく上で一番有効な方法だと考えております。 これは、別に省をつくりますと、またその大臣だけの話になりまして、その上にまた総理が乗ると二重、三重になってまいりますので、ここはやはり総理大臣のイニシアチブによる本部という形が理想的なんではないかと思っております。
○佐藤(公)委員 長官がおっしゃられることもわからないではないんですが、今までの政府を見ていますと、そういう本部というか審議会、いろいろな会議がありますけれども、いろいろなタイプに分けられると思いますが、何か情報交換の場になってしまって、本当に決定をし、断行していく、やっていくというようなものに関してはなかなかそうなりにくいことが政府では多いのかな。もしもそういうことが今までできていたのであれば、もっともっと今、日本全体が、社会が構造改革をしていると思います。 そういうことで、これが一つのきっかけにもなるかもしれませんが、絶対にこれが情報交換の場であったり、失礼な言い方をすれば本当に何か、座談会じゃないのですが、お茶飲みのような場にならないように、長官にぜひともこういう部分でリーダーシップをとってもらいたい。 リーダーシップ、長官に僕は本当に期待をしています。ただし、そこの部分で、基本理念にもっともっと強い権限を入れられるような理念を持ってもらえたらばいいのではないか。そういう部分がまだまだ弱いというふうに私どもは、二点目、考えております。 三点目ですが、うまくいかなくなったときとか、責任の所在が不明確であいまいなままに終わってしまうケースというのが多々ございます。今この状態でいきますと、きのうも話をしたのですが、法案一つ一つに担当者の名前をつけて、責任をきちんと個々に持たせ、全体としては、当然ですが、政府であり、総理なり担当大臣が持つべきでありますが、その一つ一つの法案に役所の担当者の名前も入れてもらいたい。 こういうお話をきのうもしたかと思いますけれども、長官は、それは一時的に効果はあるけれども継続的な法案に関してはいかがなものかという御答弁でした。ただ、私が思うことは、一時的であっても、このIT社会、この基本法、本当にスピードだと思います。急いで、またできる限りどこまで完成度を高くしてやるかということに関して、ドッグイヤーとかラストワンマイルとか言われるように、逆に言えば、一時的という言い方がまさにぴったり合う。この一時的期間においても、きちんと名前をつけて、それを公表して、役所においても一人一人が責任を持って、全体を担当大臣、総理が持ってやっていくという作業、こうやって責任の所在を明確にすることが、基本理念をもとに、各省庁においてもより成功に導くと思いますが、長官のお考えを聞かせてください。
○堺屋国務大臣 確かに今IT革命というのは、世界じゅうで時間単位の競争になっておりまして、スピードが重要でございます。その意味では、それぞれの者がその役割を十分に果たさなければならないという気がいたしますけれども、すべての責任が総理大臣のもとに集約するというのが今回の行政改革の主題でもございます。 日本は、明治憲法の時代から非常に縦割りが発達しておりまして、なかなか集約できない。ITのような問題になりますと、非常にばらばらといいますか、多岐にわたっておりますので、これを一つ一つ権限を持たせますと、一回目、非難、こういうところがサボっているからいかぬというようなことを明確に追及するのはいいのですが、今度はそれが固定化してまいりますと、にっちもさっちもいかないということになります。 今日本がやろうとしている行政改革というのは、まさに総理の発議権と調整権、この発議権を特に強めていこうということでございますので、総理のもとにIT本部をつくって、そして担当大臣、これは兼務かもしれませんが、担当大臣がその職務を代行するような形をつくりまして、明確に、総理の責任と代行します担当大臣の役割というもので推進していく、これが一番いい方法だと思っております。
○佐藤(公)委員 ということは、長官、名前をつけてやっていくことに関しては、そういうことは考えてもいないし、するつもりもないというようなことでよろしいんでしょうか。
○堺屋国務大臣 外国の場合には、よく法案にタフト・ハートレー法とかグラム・ラドマン法とかいうような名前をつけて、その提案者などの名前をつけておりますけれども、日本には、法案にも、施設、飛行場なんかにもそういう習慣がございません。この法案だけ特にそういうことをすると、そのこと自体がまたさまざまな波紋を呼ぶと思いますので、今は名前など固有名詞はつけない方がいいんじゃないかと思っております。
○佐藤(公)委員 私は本当に、この法案だけじゃなくて全体の法案に関して全部名前をつけて、責任をきちんきちんと持っていく、その政策、法律がいいものであるのであれば、それは国民がきちんと判断をして評価を受けるべきであるし、やはり失敗したらばそれなりの悪い評価を受けていく、そういう責任の所在を明確にしていくべきだと思います。 そういう意味で、これにだけではなくて、長官も多分私の言っていることは十分わかっていらっしゃって、本当はやりたいけれどもできない、こんなような状況ではないかと思いますので、これに関しては、この法案だけじゃなくて全般にわたってそういうようなことを与党、政府内でいろいろと御発言をしていただいて、そういう方向に持っていっていただきますことをお願い申し上げたいと思います。 四点目ですが、これは、地方分権とか行財政改革、経済構造等の、国と社会全体の部分部分とのつながりの関連がやはり弱いのではないか。幾つも書かれておりますが、ITによって構造改革をするに際して、もっと社会全体のパートパート、部分部分とのより強い結びつきを考えて、それにおける理念であるべきだと思いますが、やはりこれが限定的理念ということであって、そういう部分がまだまだ少ないというか、少なくならざるを得ないのかなと思いますが、もっと強い形でのものを求めるように私どもは考えておりますが、長官、いかがでしょうか。
○堺屋国務大臣 IT社会ということになりますと、今まで以上に、多様な知恵、そして次々と起こってくる新しい事業計画や発想というものを大事にしていかなければならないと思います。また、地方分権も今後どんどん進めなきゃいけない。そういうことを考えますと、IT社会におきましては、自由な発想を束縛しないという面が大事だろうと思います。 本法案では、インターネットを通じて自由かつ安全に多様な情報や知識をグローバルに入手し、共有し、発信するということを目指しておりまして、さまざまな個人の活動、そして、生活様式や社会経済の活動などを自由に広げるということを重点に置いておりますので、余り強い指導力といいますか規制ということはやらない方がいい。それぞれのところに、地方公共団体、独立行政法人、それから関係行政機関が資料を提出しという形をとっておりまして、そういう形で情報的に結合していく、これがいいのじゃないかと思っております。
○佐藤(公)委員 これはかみ合わないというよりも、堺屋長官のお話を聞いていますと、長官は、もっとこういうふうにしたい、でももうできちゃったものだからしようがないやというふうに受けてしまうように私は思えます。多分、きょう聞かれている皆さん方も、そういうようなことをみんな思われているのではないか。 きのうも、私も知人等といろいろとお話をする中、長官に対して質問をさせていただいたということに関して、長官らしくないな、堺屋先生らしくないなということをみんなが口をそろえて言ったことを思うと、担当大臣になられて、これからどう変えていくのか、また軌道修正をしていくのかということに期待をしてまいりたいと思いますが、私どもとしましては、今挙げた四点、具体的な将来像に踏み込んだ法案であっても、その哲学というか、そういうものがあっていいと思いますし、そういうところまでいくべきだと思います。 二つ目は、やはりもっとより強力なものをこの理念に押し込めてやるべきではないか。このIT戦略に関しての基本案が出ておりますけれども、これは大変なことです。本当にこれから多分いろいろな壁が、障害がたくさんあると思いますし、政治的介入もしくは政治家における圧力もあって、ねじ曲げられることなんというのはたくさんあると思います。そういう意味で、やはり強い理念をもっと入れてもらいたい。 そして、三つ目は、責任が非常に不明確になりがちな今のこの日本の政治というか政府自体に、やはりきちんと一つ一つ明確な責任を持たせるような理念である。 そして、四つ目は、地方分権、行政改革、経済構造改革等、やはり国の、社会全体の構造全体を変えていくに際して、ITがいかにつながりを強く持ちながらやるのかというところを、規制という考え方だけじゃなくて、やはり変革、構造を変えていくという起爆剤になっていくようなつながりを考えたものを理念にもっともっと押し込めるべきではないかというふうに私どもは思います。 最後になりますけれども、そういうものを入れないこの今のIT基本法というのは、余りにも中途半端であり、こういうものを法律化させることは、私どもとしては決していいとは思っておりません。そういう部分を再度考え直して、本当に国会を会期延長しても、やはりそれはもう一回議論をし直し、考え直して、再度そういうものを組み立てながらこの基本法をつくってもらいたいという希望を申させていただければありがたいと思います。 最後に、長官、何か一言ございましたら、よろしくお願いします。
○堺屋国務大臣 委員のおっしゃるように、私どもにも、IT、特にインターネットを中心といたしました高度情報通信システムにおいて日本が立ちおくれたということに、ある種非常な焦りといいますか焦燥感はございます。したがって、急激に進めたいという気はあります。 しかしながら、それによって、一つの理念あるいは一つの技術をもとにした社会の構造というものを法律で押しつける、確立してしまうということの危険は十分にあると思うのです。ITが大変大きな力を持つものだけに、これが法律として成り立って、どんな人が法の執行に当たるか、将来わかりません。そういうときに、悪用されることもやはり十分考えておかなきゃいけない。 したがって、国民の自由な発想、民間主導の体制、そして各省を総理が束ねるという、そういった体制を置いておかないと、かえってこれが非常に国民を圧迫する、そういった形になってくる。そうすると、歴史で見ますと、独裁者というのは最初何年かはみんなうまくやる、だからこそ独裁者としての権力を手に入れるわけですが、その後、その人の理念、その人のやり方、そういうものにこれが利用されるという可能性がなきにしもあらずでございます。 したがって、いささか物足りないところはあるだろうと思いますけれども、そういうことが、民主主義で、かえってみんなでこれを育てていく、その時々の実行にゆだねる部分があり、またそれを批判する部分があり、そういう自由度を持たせていくという意味では、この法律が最適だろうと考えております。 ぜひ、委員にも、会期延長などとおっしゃらずに、今よくお読みいただきまして、御決断、御賛同いただくようにお願いいたします。
○佐藤(公)委員 どうもありがとうございます。ただ、これに関しては、まだまだ私どもは、絶対に、確かに長官のおっしゃられるような形であれば本当にそれはそれでいいのですが、現実の政治の世界というか社会全体はそういうふうにいくとは思いませんので、その辺を十分気をつけていただけたらありがたいと思います。 政府の介入のこととか、見直しがどの程度行われるのかということも聞きたかったことでございますが、その辺に関しては、もう時間がないので、また機会を改めて聞かせていただければありがたいと思います。 以上でございます。どうもありがとうございました。
○佐藤委員長 矢島恒夫君。
○矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。 私、前回、一日の日ですか、当委員会で、基本法の第一条目的、あるいは基本理念の問題、さらには第二十四条以降にあります戦略本部の問題などなど取り上げてまいりました。その中で、提案されている基本法というものは、どういう社会を目指すのか、国民に何をもたらすのか、こういう点がはっきりあらわされていない、つまり、国民的視点が後景に押しやられているのではないかということを中心に論議してきました。特に第三条の「もって情報通信技術の恵沢をあまねく享受できる社会が実現されることを旨として、」こういう問題についても、長官と論議してきたわけです。 きょうは、そのことを繰り返すつもりはありません。ただ、一つだけ確認させていただきたいことがあります。それは、現在、電話につきましては、NTT法の三条で、「国民生活に不可欠な電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保」という、いわゆるユニバーサルサービスをうたっています。 そこで、堺屋担当大臣にお尋ねいたします。提案されているこの基本法は、政府として、電話だけではなくて高度情報通信ネットワーク社会でもユニバーサルサービスを実施していく、こういうことなのか、明確にお答えいただきたいと思います。
○堺屋国務大臣 第三条の基本理念において、「すべての国民が、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを容易にかつ主体的に利用する機会を有し、その利用の機会を通じて個々の能力を創造的かつ最大限に発揮すること」、もって情報通信技術の恵沢をあまねく享受できる社会を実現することと規定しておりますが、高度情報通信ネットワークの社会形成の意義を定義したものでございます。 したがって、御指摘の点を含めまして、個別の具体的な施策については、この第三条の規定を含む本基本法の規定する基本理念及びその施策の基本方針を踏まえて、政府の重点計画及び各省庁の個別施策において対応していくべきものと考えております。その意味では、電話の場合のユニバーサルサービスとインターネットの場合の問題とはちょっと書き方が違っていると思います。
○矢島委員 書き方は違っていても、基本的な精神といいますか、これは同じだ、このように理解してよろしいんですか。
○堺屋国務大臣 その基本的な精神、旨とするという意味では同じでございますが、現実に、直ちにそのようにできるかどうかということは、個別の施策としてお考えいただきたいと思います。
○矢島委員 今、基本理念の第三条、あるいは第五条や第六条などにもそれらしいことが盛られています。 しかし、私が、前回もそうだったのですが、それをだれがどう保障していくのかが明確ではないんだと。前回の質問に対しましては、基本理念や基本方針、こういうものにのっとって第三十四条以降の重点計画、これで具体化していくんだと、今の長官の答弁と同じことをお聞きしました。 この基本方針というものを見ましても、それから重点計画の中にも、ユニバーサルサービスにかかわるものというのは何になるのか。とりわけ、九月に、内閣の内政審議室IT担当室というのがありますが、そこでIT関係資料というのをいただきました。その四ページのところには、ことしじゅうに結論を出すんだというので、検討課題というのがあります。一からずっと六まで書かれているのですけれども、この中にも、ユニバーサルサービスという言葉はともかくも、その基本理念をどう具体化していくかということもないわけであります。 つまり、私が言いたいのは、基本理念の第三条というのをどう実現し、どう保障するか、この法案の中を見ても見えてこないのです。国民の情報アクセス権を保障するということが重要であることはもちろんでありますが、これから重点計画で検討していくんだ、これではなかなか国民は納得できないんですよ、見えないのですから。なるほど、こういう基本法をつくるとこういうところまでいろいろ便利さがあらわれてくるんだなということ、つまり、この法律によって何がもたらされるんだろうかというところがわかりにくいから、どうしてもまだまだこの基本法に多くの国民が関心を寄せてこないという点があるのです。 ですから、私は、どう保障するのか、このユニバーサルサービスについて。いかがですか、これは明確にお答えできませんか。
○堺屋国務大臣 幾つかの条項に、委員の御懸念のようなことが書かれております。例えば八条には、「地理的な制約、年齢、身体的な条件その他の要因に基づく情報通信技術の利用の機会又は活用のための能力における格差が、高度情報通信ネットワーク社会の円滑かつ一体的な形成を著しく阻害するおそれ」があってはいけないというようなことが書かれております。 委員御指摘の点は、まさに具体的政策において、何年までどこそこをどうする、何々をどうするということになりますと、やはり基本法を超えて個別の施策、あるいは個別にまたそういうような法律をつくっていただくか、そういう形になると思いまして、基本法としてはやはり、こういう理念、そして基本方針、そしてそれを重点政策でやっていくんだというところでとめるのがいいんじゃないかという気がいたします。 その具体的なところまで議論しておりますと、基本法はできなくてなかなか前へ進まない、やはりここで基本的な理念をはっきりさすことによって次の施策に進めるんだろうと考えております。
○矢島委員 それらしいことがそれぞれの条文に出されているということは、私も条文を読んでいましたから、第十六条などには「広く国民が」と、「すべての国民」が「広く」になっちゃっていますけれども、いずれにしろいろいろ書かれているわけです。 ただ、私は、いわゆる重点計画の中身で論議する中で、なるほどこれでいこうじゃないかという、ここの国民的な合意が得られるんだろう。そういう意味では、来年一月六日に発足して、それから重点計画の中身をきちんとやって、それから進めるんだというお話なんですけれども、論議そのものはそれも含めてやっていくのが本来だろうと私は思います。 そこで、私、郵政省にお聞きしたいのですが、ことしの七月二十六日に電気通信審議会に、IT革命を推進するための電気通信事業のあり方についての諮問を行ったと思うのです。その中に、ユニバーサルサービスの確保及び研究開発の推進について検討していこうというようなのがありますので、この審議会の現状について、今日の状況について、特に、インターネットなど高度情報通信ネットワークについても電話と同じようなサービスの提供、こういう問題が審議されているのか、もしそのような意見が交換されているならば、その中身はどういうものか、お答えいただきたいと思います。
○天野政府参考人 先ほど委員御指摘のように、現在のNTT法におきましては、電気通信分野のユニバーサルサービスにつきましては、NTT三社、NTTの持ち株会社と東西の二社でございますが、これの電話サービスにつきまして、あまねく公平かつ安定的な提供を確保する義務がある、こういうふうに規定しております。 先ほど御指摘のように、現在電気通信審議会におきまして、「IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方」ということで、広く競争政策全般につきまして御審議いただいているわけですが、その中で、今後のユニバーサルサービスのあり方につきましても、競争政策と一体となって検討すべき非常に重要な課題であるというふうに位置づけて、この審議会の中のIT競争政策特別部会のもとにユニバーサルサービス小委員会を設けまして、現在審議いたしております。 この審議の論点を御紹介いたしますと、従来のようにユニバーサルサービスを電話に限定しておくのがいいのかどうか。あと、インターネットだとか携帯電話が非常に急速に普及している中で、これからのユニバーサルサービスの範囲はどこまで定めたらいいのか、こういった具体的な範囲の問題。それから、範囲が決まった後に、ユニバーサルサービスのコスト負担、だれが負担をするのか、現在はNTTが内部相互補助で負担しているわけですが、それのコスト負担の問題。それから料金水準の問題。いろいろな論点がありますが、このような多様な論点につきまして、現在精力的に御審議をいただいているところでございます。 審議会としましては、年内に第一次答申をおまとめいただく運びになっておりまして、郵政省としましては、答申がいただければ、ユニバーサルサービス確保のために必要な諸施策を適切に講じてまいりたいと考えております。
○矢島委員 アメリカやEUでは、国民の権利としてユニバーサルサービスを認めています。 例えば、アメリカでは、九六年の電気通信法の二百五十四条、ユニバーサルサービス、こういう項目の中で、それぞれ、すべての国民が公正で、かつ、できるだけ低廉な料金で高度情報通信ネットワークにアクセスできること、過疎地や離島であっても都市部と同等の料金で高度なサービスが受けられる、また学校や図書館、医療機関などへの低料金でのサービスの保障、それから障害者に対する特別の対策、こういうようなことが明記されているわけですね。 そこで、今天野局長のお話ですと、ことしじゅうに一つの答申を得て今後やっていこうということらしいのですが、電気通信審議会での審議が、今のお話のように、インターネットやそのほか、そういう高度情報通信ネットワークについてもやっていくんだ、そのことも審議していくんだというように今の御答弁で受け取れたのですけれども、そういう受け取り方でいいのか。また、その答申を受けますと、その後、法律を変えなければならないとか、いろいろな問題が起きてくるんだろうと思いますが、それは来年の通常国会を想定されているのか、その辺についてのお答えを。
○天野政府参考人 ユニバーサルサービスの範囲につきまして、インターネットの関係で申しますと、まだ結論は出ておりませんけれども、インターネットにつきましては、現在急速に普及しておりますものの、必ずしも全国の世帯に普及しているものではございません。例えば、平成十一年度の世帯普及率は一九・一%というふうになっております。そういうことから、こうしたサービスの提供を通信事業者にユニバーサルサービスとして法的に義務づけることが適当かどうかについては、いろいろ御議論があるところでございます。 いずれにしましても、ユニバーサルサービスのあり方につきましては、先ほど御紹介しましたように、今いろいろな論点で議論しているところでございまして、まだ結論は出ていないという状況でございます。
○矢島委員 もう一つアメリカの電気通信法の二百五十五条を見ますと、障害者による利用ということで、電気通信機器あるいは顧客宅内の装置、こういうものについて、製造事業者に対しては、障害を持つ個人がアクセスでき、かつ使用できるようにその機器を設計し、開発及び製作しなければならないと決めておりますし、電気通信サービスの事業者には、障害を持つ個人がアクセスでき、かつ使用できるようにしなければならない、こういうような法律の中身になっています。 きょうも午前中の参考人質疑の中でも、全国障害者問題研究会の事務局長の方が発言されていました。障害者の社会参加の中でどのようにインターネットというものが利用されており、重要なことかという観点です。私も、障害者の社会参加には、政府の責務で保障することが必要だと思うのです。 通信白書の中で、インターネット等の利用による生活の変化、グラフにもなっておりますけれども、白書の第一章の六十三ページです。それを見ますと、インターネットを利用した、しかしそれで悪い方向に変わったという人は一人もいないんですね。つまり、よい方に変わったという障害者の方が五一・三%ある、どちらかといえばよい方に変わったという方が三九・二%ですから、合わせますと、もう九〇%以上の障害者の方が、インターネットを利用することによって生活がよい方向へ変わった、こう答えていらっしゃるのです。 そこで、この問題は堺屋担当大臣にお聞きしたいのですが、やはりバリアフリー技術や障害者のためのシステムづくりを行政の支援で確立することが必要だと私は思うのです。 これは日本経済新聞の十月一日のものですけれども、「「森IT革命」の忘れ物」というので、バリアフリーの問題で取り上げているわけです。行政の支援も極めて必要だということを十月一日の日経で書かれておりました。つまり、第八条の「利用の機会等の格差の是正」、こういうことではどうしても後回しにされかねない。日経が言うように「「森IT革命」の忘れ物」になったのでは大変だということなんです。 ですから、国の責任を明確にする、重点計画で具体策をきちんと示していく、そうしないと解決の前進はあり得ないと思うのです。政府としてどう具体化を図るのか、大臣、ひとつよろしくお願いします。
○堺屋国務大臣 御指摘のように、年齢、地域、身体的条件その他によってデジタルデバイドになる、そういうことを避けなければいけない。私もその日経新聞の記事は読みまして、我々決してその記事に書いてあるように考えているわけではございませんで、特に身体に障害のある方々のためにはいろいろな方策を考えなければならないと思っております。 具体的に申しますと、既に障害者基本法におきまして、電気通信事業者等が障害者の利用の利便を図らなければならないというのが入っております。また、通産省、郵政省等の関係官庁におきましても、障害者が情報通信機器を容易に利用できるようにするための指針づくりに取り組んでいただいているところでございまして、今後は、さらにこの基本法の規定する理念に基づいて、積極的に技術の開発とか機器の普及とかあるいはさまざまな施策をとっていきたいと考えております。
○矢島委員 実際にこれも具体化の方向になれば、重点計画の中でということになろうかと思います。 私は、先ほど申し上げましたように、基本法の中心問題やあるいは具体的な問題になりますと重点計画で、こういうふうになるわけなので、この重点計画をつくり上げて、その上で、これも含めて基本法全体についてもう一度論議すべきだ、このことを要請いたしまして、次の問題に移りたいと思います。 情報リテラシーへの対応についてお伺いしたいと思います。 堺屋長官が出されましたいわゆるIT講習券、この構想は見送られてしまいました。しかし、自治省がIT講習推進特別交付金に五百七十億円、郵政省も労働省も文部省も、補正予算を要求しています。新聞記事等によれば、ばらまきという字が目立つわけで、「IT花盛り 補正予算要求」というので、「官邸主導でバラマキ」だなんという、これは朝日新聞の十月七日のものですが、ほかの新聞も、多かれ少なかれ、補正予算のIT関連予算という問題については、どうも評判がよくないようであります。 インターネットというのは確かに便利です。国民の側からも発信できるなど、利点も多くあるということはそのとおりなんです。しかし、その中身は玉石混交といいますか、その情報をどう判断していくのかの能力、いわゆる自己責任の世界であろうと思うのです。 そこで私は、文部省に来ていただいているので、まず文部省にちょっとお尋ねしたいのですが、インターネットへのアクセスをユニバーサルサービスとして国民すべてがアクセスできるようにすることと同時に、この技術というものを我が国の民主主義の発展だとか国民生活、文化の向上に資するように国民が活用できるようにすること、これが大切だと思うのです。その土台にあるのはまさに教育であるということは広い一致点であると私は思います。 そこでまず、このITをめぐる教育の現状ということで、現在、インターネットを利用している小中学校あるいはその他の学校がどれくらいあるかということと、それからインターネットを活用して授業のできる教員はどれくらいいるのか、お答えいただきたいと思います。
○御手洗政府参考人 現在、平成十二年の三月末時点の調査でございますけれども、全国の公立学校でのインターネット接続率は、小学校で四八・七%、中学校で六七・八%、高等学校で八〇・一%、盲・聾学校含めまして全体では五七%の接続率となっておりまして、昨年の三六%から二〇ポイント以上の急激な増加となっております。 文部省といたしましては、今後も、平成十三年度までにはすべての学校がインターネットに接続できるようにということで、これは財政当局とも御協力をいただきまして、地方交付税によりましてそのための経費を措置するということで、全国的に計画的な接続を図っているところでございます。 また、インターネットを活用して授業を行える教員ということにつきましては、自己申告制でございますけれども、現在、コンピューターを操作できる教員は全体で六六%でございますが、そのうち三一・八%、全体でほぼ三割、コンピューターを活用できる教員のうちの半分程度はコンピューターを使って授業ができるという状況でございます。 これにつきましても、文部省といたしましては、当面、平成十三年度までに、すべての教員がコンピューターを操作でき、またそのうち半分程度の教員がコンピューターで指導できるという状況まで教員の研修を充実してまいりたいということで、各都道府県や市町村と協力いたしまして、各学校段階まで及びます研修、校内の研修体制をつくっていただきまして、文部省は全国レベルでの指導者の養成、都道府県は各学校段階でのリーダー養成という役割分担をしながら研修の充実に努めているところでございます。
○矢島委員 今、コンピューターを使って授業できる、三一・八%。これはインターネットを教えられる教員の数ではないんですね。つまり、コンピューターを使って授業ができるという範囲ですね。それが三一・八。そうすると、インターネットを教えることができる教員というのはどれくらいいるんですか。
○御手洗政府参考人 学校におきますインターネット接続率も全体では五七%に達しているということから見ますと、教員は一般的にコンピューターを教える場合に、インターネットを利用しながら、教材の一部に取り込みながら教えているということは想像できますけれども、そういう厳密な意味での調査はいたしておりませんので、一応、指導できる、この教員につきましては、私ども、インターネット接続率の状況から見まして、それも操作できるもの、こう考えているところでございます。
○矢島委員 できるだけ、そういうデータもつくっていただきたい。実際にインターネットを教えることができる教員、これと同じなのか、イコールなのかどうかわかりませんが、ぜひそういう調査もよろしくお願いしたいと思います。 そこで、このインターネットというメディアは、二十一世紀に生きる子供たちの大きな可能性を開花させる——失礼しました。天野局長、質問は終わっていますので、済みません、お忙しいでしょうからお引き取りいただいて結構です。 インターネットという可能性を開花させるこの道具、同時に、使い方によっては非常に否定的な影響を与えかねないんですね。 私は、このインターネットを教育の場で本格的に活用するには、何といっても、先生方がインターネットを教育に活用できるような環境整備、例えば教員の大幅な増員によって三十人以下の学級を実現するとかです、こういう環境整備が欠かせないと思うのです。ところが、私は、政府やIT戦略会議にはこうした発想がどうも希薄のように感じるんです。 このIT基本法の下敷きになっているのは、これは前回私がここで論議したことですけれども、出井議長の四大戦略だと。その出井議長は、この問題については、インターネット関連の事業をやると人手が足りなくなる、したがって、今インターネットリテラシーを持つ人は求人が盛んなのだが、子供の教育から含めて抜本的に取り組むべき非常に大きなテーマであると思う、こう述べておられます。将来、インターネット技術者が足りなくなってくる、だから教育を強化すべきだ、こういう発言なんですね。 もちろん、インターネット技術者の養成は私は必要だと思います。思いますけれども、肝心の小中学校のインターネット教育環境を抜本的に改善する、どうもこういう議論は今までの戦略会議の議事録を読む限りでは出てまいりません。この問題ではどのような論議が戦略会議あるいは戦略本部との合同会議で行われているのか、長官からお願いいたします。
○堺屋国務大臣 戦略会議におきましても、教育の問題は非常に重要なことだ、特に人材を養成することが大切だということも言われております。また同時に、このインターネットを知識としてだけではなくして、マナーであるとか、倫理であるとか、道徳であるとか、そういった面の教育にも活用すべきだという意見も盛んに出されております。 そういう観点から、インターネットの教育ができるようなハードウエアをつくるだけではなしに、教員も養成しなければなりませんし、また教科書に当たるもの、こういったものもつくらなければならないと思います。 私も、ついこの九月でございましたでしょうか、兵庫県の方の高等学校へ行きまして、インターネットで七つの高等学校が連合して小説を書こうという、私もインターネットノベルというのを一回やったことがございますので、そういう現場も見せてもらいました。 先生方はいろいろと工夫しておられます。こういう観点も今戦略会議で重点項目の中に取り入れようとして議論しているところでございます。
○矢島委員 文部省にお尋ねしますけれども、そういうものを進める具体策ですが、補正予算で、このIT関係については非常勤教員の配置ということで要求されているかと思うんですが、わかりましたら、どれくらいの人数のIT関係非常勤講師を予定しているのか、教えていただけますか。
○御手洗政府参考人 来年度の予算におきまして、文部省といたしまして、特別非常勤講師制度というのを設けまして、正規の免許状を持たない社会人の専門分野の方々が小中高等学校の教科の一部を指導できるという制度を設けておりまして、さまざまな分野で今日来ていただいているところでございますけれども、現在も、この中でIT関係の方々においでいただいておりますし、また緊急雇用対策事業におきましても、各都道府県、知恵を出しまして、このIT情報技術者を取り入れて子供たちや教師の指導に当たるという工夫をしていただいております。 文部省といたしましては、特別非常勤講師制度、来年の補助金を五千万円ほど要求いたしているところでございますけれども、その中でIT分を措置いたしたいと考えているところでございます。
○矢島委員 これも堺屋担当大臣にお聞きしたいのですが、今、IT関係で五千万円、大まかに言って千人分ぐらいになりますかね、非常勤の人たち。そういうことでの予算というようですけれども、私、ほかの教育問題についてのいろいろな施策をこれから行っていくと思うのですが、ぜひ、補正予算で一回きりの対策じゃなくて、やはりこれは恒常的なメディアリテラシー教育を実施していくという観点から継続的に考えていってもらいたいのですが、戦略本部としてはどんなふうに考えていますか。
○堺屋国務大臣 教育の問題、人材養成の問題は、日本の将来を考えましても最も重要な点でございます。したがいまして、通常の予算におきましても大いにそういう点には力点を置きたいと思いますし、また、教員養成の段階で、インターネット、ITができるような課程をつくって、文部省さんでも近く一〇〇%の人がパソコンを使えるようにする、これをさらにインターネットを使えるような形にして、教員養成の段階から変えていくことが基本だろうと思っております。
○矢島委員 そして私は、そういう教育をする中で、もう一つ重要な問題があるということを指摘したいのです。 今政府が個人情報保護法の制定だとか、電子商取引での消費者保護、こういう法整備を急いでいます。つまり、現在インターネットを国民が利用する上で必要な法整備がこういう面ではおくれている、一刻も早くやらなきゃならない、こういうことを示していると思うのです。そして、そうした法整備を整えたとしても、インターネットでの取引においては自己責任の比重が大きくなる。だからこそインターネットの情報を読み解く力を身につけることが重要だと思います。 そこで、これらの、今出てきました補正予算での内容を見ますと、インフラの整備やあるいは技能講習のための予算が計上されておりますけれども、文部省にお尋ねしますが、その講習で、技能だけではなくて、サイバースペースでの商取引やトラブルや、あるいは個人情報をみずから守る、こういうための教育を行っているのですか。
○御手洗政府参考人 学校教育におきましては、コンピューターを使う技能の習得とあわせまして、誤った情報や不必要な情報に惑わされることなく、必要な情報を主体的に収集し、判断し、創造していく、そして、みずから情報として発信できる能力という意味での情報活用能力を中心にしながら行っているところでございます。 具体的には、中学校におきまして「技術・家庭」、あるいは高等学校におきまして、普通科目といたしまして、平成十五年度からは全員が「情報」を必ず必修として卒業するというような仕組みにいたしておりますが、そういったことの中で、情報のさまざまな社会的な影響あるいはモラルセキュリティー、こういった点も含めまして、教育を体系的に行うということにしているところでございます。
○矢島委員 そういう意味から、消費者に安心して参加できるネットワークの形成、これは非常に重要なことだと思うのです。 それで、いわゆる全体に係る個人情報の保護という保護法はもちろんですけれども、重要な個人情報を大量に管理しているところもあるわけですね。例えば国もそうですし、自治体もそうでしょう。そういうところの特別の体制と責任が私はあるんじゃないかと思うのです。この個人情報の管理ということは、民間機関でも、金融機関でも医療機関でも、特に重要な個人情報が集中しておりますから、その流出は非常に大きな被害をもたらす、こういうことが言えると思います。 さらに、消費者保護の点で、また今の教育の問題とも関連するのですけれども、最近、新聞にたくさん、子供が危ないということがいろいろ出ております。これは毎日新聞です。 いろいろインターネットを使って、バナー広告などを使って、お金がすぐもうかるような広告になっていて、そうしたら大変なことになったという記事だとか、あるいはおいしい話として、三択クイズ全問正解なら百万円なんというのが出てくるとか、それから、新手の悪徳インターネット商法というものが急増しているために、長官の経済企画庁に関係する国民生活センター、ここへの苦情や相談というのが、そのほかの国際的な電話会社も含めますと、月に三万件もあるというのですね。不当な料金を請求されたということです、いろいろな方が。 こういう面についてきちっと対策を立てないと、NHKで堺屋長官が、五千万人でしたか、普及するんだと。安心してできないことには、そんなにふえないわけですから、その点にきちんと力を入れていただきたいのですが、いかがでしょう。
○堺屋国務大臣 委員御指摘の問題は二つあったかと思います。 一つは個人情報保護の対策でございますが、これにつきましては、個人情報保護法制化専門委員会というので検討いたしまして、去る十月十一日に法案の大綱を取りまとめまして、これを法制化して、電子機器で大量に管理しているようなところはその対象にしていきたい、こういう法案にしております。 それからもう一つ、今おっしゃいました取引の方でございますね。これは訪問販売法の改正等いろいろと措置もとっております。 ことしの春に成立いたしまして、来年からは消費者契約法というのもできまして、錯誤によるときは取り消しもできるということになっております。 特に、この訪販法の今回の改正におきましては、電子取引で消費者に大変大きな便利がありますけれども、うっかりクリックしてしまうと、無料だと思っていたところが有料だったというようなことも起こりますし、また、悪質な商法も登場することも想像されるわけでございます。これらの諸問題に対応いたしまして、政府といたしましては、今のこの国会に訪問販売法の改正案を提出いたしまして、事業者に対する、申し込み画面でのわかりやすい表示あるいはマルチメディア商法の誇大広告の禁止等を盛り込んでおります。 また、電子商取引は技術やニーズの変化とともに日々変わりますので、この進展に伴いまして、法規制のみではなく、民間による自主規制ということもあわせて考えなければいけないのではないかと思っております。 具体的に申し上げますと、民間団体によるオンライントラストマーク制度とか、ガイドラインの策定、普及、あるいは消費者団体による情報の提供や相談等々、いろいろな対策を考えております。我々の方の国民生活センターもそういったことでできるだけ尽力したいと思っております。
○矢島委員 時間が参りましたので、終わりますが、このITの問題というのは生産の部分だけの変革ではなくて、やはり人間の文化とか技術全般にかかわる一大改革だと思うのです。二十一世紀の日本国民の生存とか生活、こういうものを大きく左右する問題だと思います。ですから、目先の対策も重要ですが、やはりどういうような社会を目指していくのかという大きなビジョンを持ちながら、国民にはどういう利便が与えられるのかという点をきちんと国民に示しながら、進めていかなければならない問題だと思います。 きょうはユニバーサルサービスの問題、教育の問題、それから今の個人情報の保護の問題などをお聞きいたしました。ぜひこれらの面をきちんとやっていただくということを要求いたしまして、私は質問を終わりたいと思います。
○佐藤委員長 植田至紀君。
○植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。よろしくお願いします。 きょうも革命前夜のようですけれども、相変わらず寂しい状況だなという印象をまず受けます。やはりなかなか一大国民運動になっておらないなというふうに思うわけですけれども、冒頭まずちょっと担当大臣にお伺いしたいんですけれども、私自身、この間の質問するに当たってのいろいろ資料を収集する過程でおもしろいなと思った文章が一つありましたので、それについての御意見を伺いたいんです。 八月七日の毎日新聞に、技術評論家の星野芳郎さんが、いわゆる今企業にバブルの後遺症が深く残っておる、そして日本的経営を再認識せよ、そういう主題でお書きになっておられるんですけれども、その一番末尾のところで、ITにかかわりまして、「IT革命がいよいよ本番にさしかかり、それが日本経済を押し上げることは確かだが、モノと人への密着という日本産業の強味が、IT革命の裾野をがっちりと抑えてこそ、日本経済の未来があり得ることもまた疑いない。IT革命万能論もまたバブルの後遺症である。」というふうなことを書かれておられる。 この星野さんのお話というのは非常に示唆に富むと私も思うんですけれども、もちろん担当大臣の方が、IT革命万能論を振りかざしておられるんじゃないかということを申し上げるわけじゃないんだけれども、ただ、やはりこの間、そこのけそこのけITが通る、ITと名を冠すれば予算もつくんじゃないですかというふうな風潮はやはりあろうかと思うわけでございますので、そういうことを踏まえまして、今のこの星野さんのお話を受けて、堺屋担当大臣なりのそうじゃないんだよというところの御見解をまずお伺いしたいと思います。
○堺屋国務大臣 お説のとおり、ITが非常に人口に膾炙いたしますと何でもITで解決するというような考え方がふえてまいりまして、中小企業、あるいは全くITで何をやるのかその目的がはっきりしないままに機器だけ入れるというような現象も一部にあることは事実でございます。 政府といたしましては、もちろんITを名前につければ何でも通るというようなことは絶対に許してはならない、厳しくこの重点項目は絞っていきたいと思っておりますが、民間企業の中にも、かつては、土地を買えばいい、あるいはリゾートをやればいい、その次にはテーマパークだというので次々と流行に乗って失敗した例もございます。 そういうことを考えますと、ITをいかにも万能のごとく言うのは危険なことでございまして、ITを使ってその次にどういう仕事をするのか、ITはあくまでも道具でございまして、それを使って何をし、どういう付加価値を生み出し、どういう楽しみをつくるのか、これをやはり明確にしなければならない、それは我々も繰り返し皆様にお伝えしなければならないことだと思っております。 星野さんの記事、私も読みましたけれども、古きよき評論家の論説だと思っております。
○植田委員 ありがとうございました。やはり冒頭まず担当大臣の御講義を聞いた上で質問を始めていきたいと思っておりましたので、特に、この星野さんのお話というのは、古きよき日本的経営のありようというものにやはり着目しておられ、ただ、それを全部転換してしまえばいいという話でなくて、その中にIT革命をどういうふうに、ITというものを、情報通信技術を位置づけていくのかという意味では非常に参考になるんじゃないかと思います。 引き続きまして、当初質問通告しておった順序がちょっと逆になるわけですけれども、せんだってお伺いしましたときに、ここはなぜか担当大臣は珍しく原稿を読み上げられた部分でございますので、それぞれの各省庁、ちょっと御面倒をおかけしておる部分ですが、いわゆるIT革命の光と影の部分、特に影の部分において、特にハンディキャップを抱える方々への具体的施策の展開にかかわって、やや詳細にきょうはちょっとお伺いをまずしたいというふうに思うわけです。 法案には、すべての国民が情報通信技術の恵沢を享受できる社会の実現、利用機会等の格差の是正など、先ほどの質疑の中でも出ておりましたけれども、いわゆるユニバーサルサービスとして高度情報通信ネットワークがあまねく国民に提供され、発生する情報格差を是正していくことが一応理念として盛り込まれているわけでございます。 では、それが具体的にどういうふうになるのか、是正策としてどんな配慮がなされるのかということについては、当然ながらこれもこの間質疑で何遍もやりとりをいろいろな先生方がされていると思うのですが、言ってみれば、重点計画で書き込みますので、これは基本法ですから、こういうことで、配慮するんですよというところを出していないと思うわけです。 ただ、やはりそこでユニバーサルサービスというときに十分配慮しなきゃならぬのは、いわゆるいろいろな障害を持った方々であるとか、一般的に大づかみに中高年者といったら、中高年者の方でも自在に操られる方はいらっしゃいますけれども、どうも今さらITと言われてもちょっとなじめぬな、なかなか取っつきにくいなという高齢の方々もやはりいらっしゃると思うわけでございます。そうした方々の利用機会等の格差是正ということはやはり大きな課題であろうと思うわけです。 特に、例えば障害者の場合でいきますと、いわゆるパソコンの世界でいくと、パソコンというのは障害、バリアが非常に少ないために障害者にもいろいろな可能性が出てくるということは常々言われているわけですから、IT技術を適切に活用すれば、今まで以上に身体に障害を持つ等々のハンディキャップを抱えた人の社会参加というのが非常に広がってくる、そういうことはやはり言えると思うのです。そういう意味で、このIT革命の推進というのは大きな役割を果たすだろうというふうに私自身期待するわけなんです。そしてまた、社会とのつながりを閉ざされている障害者の状況を大きく変えることができるんじゃないか、そういう希望もやはりあるわけでございます。 実際、森総理自身、所信表明の中で「IT社会の実現を国民的課題と位置づける」とか「国民一人一人がネットの主役」ということをおっしゃっておられるわけです。それゆえに、せんだっても担当大臣には、非営利団体、企業等だけに任せるということでなく、もっとそういう意味で政府や行政が責任を持ってその環境整備を進めるべきではないでしょうかということを申し上げたわけなんです。 そこで、きょうまずお伺いしたいのは、既に基本法の議論は基本法の議論で今やっているわけですけれども、概算要求、もう既に来年度の要求をされているわけです。見ましたら、いろいろとIT革命の推進にかかわっていろいろな予算を要求されておられます。 それで、きょうは、文部、厚生、通産、郵政、労働、それぞれ各省にお伺いしたいわけですけれども、障害者であるとか、そういうなかなか取っつきにくいなという中高年齢者の方々などへの配慮というものが、実際、具体的に要求段階でどのようになっているのか。そして、その施策を今後どのように展開していくのかということについて、それぞれ、やや詳細にわたっても結構でございます、ただ、うちの省としてはITと言われたらこれやという目玉を一つぐらい設定してもらって、これだけはやはりきっちりやりたいという目玉も当然あるでしょうから、そういうことも踏まえて、それぞれの省庁からその辺の中身についてまず御説明いただけますでしょうか。
○松村政務次官 お答えいたします。 政府におきましては、全国民がインターネットを使えるよう、国民運動を展開することとしているわけであります。 高齢者や障害者がパソコンやインターネットなどの新たな情報技術を容易に活用できるようにするためには、身近な施設において、ゆっくり時間をかけて、また、繰り返し継続的に学習を行うことができる環境を整えることなど、特別な配慮を払う必要があるわけであります。このため、高齢者にとりまして身近な施設であります学校や公民館等で、パソコン操作やインターネット活用方法等についての学習機会を提供するとともに、公民館等で高齢者がいつでもパソコン及びインターネットが利用できる環境を整備することが最も有効な方策であると考えられます。 このため、文部省では、現在調整中の平成十二年度補正予算におきまして、平成十三年度概算要求で考えておったわけでありますが、前倒しに要求しようということで、平成十二年度補正予算におきまして、公民館等社会教育施設におきますIT学習環境の整備として約百八十九億円を要望しているところでありまして、この中では、障害者対応のためのパソコン整備についても配慮することといたしております。さらに、盲、聾、養護学校の情報化のため、点字プリンター、モバイル端末等、障害の状態に応じた情報機器の整備等を推進しているところでありまして、平成十三年度概算要求二億一千万円を要求しているところであります。
○佐田政務次官 先生も今お述べになりましたように、この基本法の中の八条には、年齢、身体的な条件等の要因に基づく情報通信技術の利用の機会等の格差の是正が積極的に図られなければならないということが明記されておるわけでありまして、まさにそういう意味におきましては、非常に重要な部分としてこの法案に盛り込まれておるわけでございます。 デジタルデバイドは、年齢、教育、地理的要因、障害などさまざまな要因により発生しているということが考えられ、その解消に向けてはそれぞれの要因に応じた方策を講じていくことが必要でありまして、郵政省としましては、これまでの取り組みをさらに加速すべく、平成十三年度予算の概算要求におきましては、重要施策の一つとしてデジタルデバイドの解消を挙げまして、九十四億円を要求しているところであります。 例えば、年齢、障害面でのデジタルデバイドの解消に関しましては、障害のある方を含め、だれもが情報通信の利便を享受できる情報バリアフリー環境の整備に向け、体に障害のある方向けの通信・放送サービスの提供、開発に対する新たな助成制度などの施策を要望しているところであります。先生も御案内のとおり、具体的に申し上げますと、お年を召した方々に対しましては、各郵便局でパソコン教室を開いているとか、例えばデジタル放送なんかでは、聞き取りにくい場合にはゆっくりと話すようなものを整備しておるとか、あらゆることでデジタルデバイドをなくしていきたい、かように思っております。 そしてまた、基本理念にのっとりまして、家庭、企業、地域など、生活のあらゆる場面においてすべての人々がITを十分に使いこなせるデジタルオポチュニティー社会の実現に向けましてしっかりと網羅していきたい、かように思っております。
○福島政務次官 お答えいたします。 厚生省におきましても、IT化が進展する中、ハンディキャップのある高齢者そしてまた障害者が情報通信技術というものを積極的に利用することは、自立そしてまた生活の質の向上につながるものであり、高齢者、障害者の方がそうでない人と同様に情報を享受できるようにする環境を整えるということが極めて大切である、そのように認識をいたしております。 このために厚生省が従来から取り組んでまいりましたことは、具体的に申し上げますと、一つは、情報へのアクセスが困難な視覚障害者の方々が音声による情報を入手しやすくするためのデジタル録音図書システムというものを開発いたしまして、その機器整備というものを図ってまいりました。これは今まで、平成十年度の補正予算、そしてまた補正予算が何回かございましたので、その中で整備を進めてまいりました。 そしてまた、障害者の皆さんに対してインターネット上で各種の情報を提供するためのノーマネットの整備を進めてきたところでもございます。これにつきましては、平成七年、平成十年、平成十一年の補正予算で総額約十億円を使いまして、その整備を進めてまいりました。平成十三年度も、その運用に関しまして四千四百万円の予算要求をいたしておるところでございます。 さらに、本年の補正予算に関しましては、障害者情報バリアフリー設備整備事業というものを要求いたしておりまして、これは、身体障害者そしてまた知的障害者等の施設に情報機器というものを配備することによりまして情報バリアフリー化を促進するという事業でございますけれども、これに関しましては、国におきまして三十一億円を予算要求いたしておるところでございます。 このような形で、さまざまな施策を推進してまいりまして、今後とも関係省庁とも協力しつつ、高齢者そしてまた障害者の方が情報通信の利便を享受できる環境づくりに努力したい、そのように考えております。
○坂本政務次官 各省とも同じでございますが、ITの進展に伴いまして、高齢者、身障者等がITを活用して社会経済に積極的に参加することが重要となってきております。 そこで、通産省は、こうした認識のもとに、高齢者、障害者等が容易に利用できるような情報処理機器の基本仕様などを盛り込んだ情報処理機器アクセシビリティ指針を平成二年に策定し、本年六月改定するなど、高齢者、障害者の使いやすいパソコン等のITの普及に取り組んできたところでございます。 また、高齢者、障害者が使いやすいITの開発につきましては、これまでも平成十年度補正予算等で実施しているところでありますが、これは公募をして、いろいろなアイデアを実は募集しておるわけでございます。 例を挙げますと、肢体の不自由な方々は、マウススティックを口にくわえて、文字を指したり数字を押す、あるいは頭にそれをつけて、頭で動かしながらやるとか、あるいはまた視覚障害者の方々には、声でこんにちはと言えばこんにちはと、そうしたら電子メールでも何でもそれで送れるような、そんなことをアイデアとして募集しております。また、知的障害の方々には、絵文字を用いて、食事ですとかいろいろな注文メニューを絵文字で表示するといった、いろいろなアイデアでもって今日までやってまいっております。 平成十二年度補正予算と平成十三年度概算要求においても、ITバリアフリー事業として、高齢者、障害者が使いやすいIT機器・システムの開発等を推進するため、合わせて二十九億円の要求を行っているところであります。さらに、こうしたIT機器・システムの普及を進めるため、開発成果の展示、紹介、全国各地での説明会の開催等に取り組んできたところであります。今後も引き続き、取り組んでまいりたいと思っております。 これらの施策により、高齢者、障害者等がITを活用して、社会経済に参画することが促進され、今後、高齢化時代を迎える我が国経済社会の活性化にも貢献できるものと考えております。
○釜本政務次官 ハンディキャップを抱える人の雇用につきましても、IT化の対応は大変大切なことだと思っております。 労働省といたしましては、障害者につきまして情報機器の活用による重度障害者の社会参加、就労支援のためのモデル事業として、インターネットを活用しつつ、パソコン技能の向上等を図るための事業を行うこととし、平成十三年度予算としましては約四千九百万円を要求するとともに、障害者の職域を拡大するための研究の一環として、障害者の就労促進に資する情報機器の開発等を行うこととし、平成十三年度予算として約四千六百万円を要求しております。 また、中高年齢者については、IT化に係る職業能力のミスマッチやデジタルデバイドの発生が懸念されることから、働く人すべてがIT化に対応できるよう、ITに係る多様な水準の職業訓練コースの抜本的な整備、拡大など、さまざまな職業能力習得機会を確保、提供していくこととしております。これにつきましては、平成十三年度予算として約二百五億円を要求しているところであり、また平成十二年度補正予算においても約二百十八億円の計上を要望しているところであります。 これらの施策を通じまして、IT化が進展する中での障害者や中高年齢者の雇用の確保に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○植田委員 ありがとうございました。 ただ、今一通り、限られた時間の中で端的にということでございますので限界はあろうかと思うわけですけれども、今のお話だけを伺っているだけでは、どうも、そういういろいろなハンディキャップを持っておられる方々へのまなざしはどういうところに向けておられるのかということがなかなか見えてこない部分はやはり否めないと思うのです。 例えば、通産の方で、ITバリアフリープロジェクト、私のいただいている資料では十億円新規とあります。これなんかは、読めば非常にわかりやすいです。わかりやすい、いい例なんですよね。というのは、高齢者、身体障害者等が使いやすいIT機器やIT関連ソフトウエアの研究開発の支援、その成果の普及をやると。これは読めばそのとおりですから、ぜひこういうことは進めていただきたいと思う、いい面での例として挙げさせていただいたんです。 しかし、例えば、文部省さんの方で挙げておられる、IT授業や二十人授業のための新世代型学習空間の整備ということで約百五十一億円ということなんだそうですが、実際、IT革命の推進ということで、新世代型学習空間におけるIT授業等のイメージといって、わかりやすく図はかいてある。IT授業や少人数授業など、学びの形の変化に対応するには、普通教室、特別教室に続く第三の学習スペースとして新世代型学習空間の整備が必要云々とあるわけですけれども、では、こういう教室を新たに第三の教室としてこしらえたときに、障害を持った子供たちは、この新世代型学習空間でITというものを習得できるのかどうなのか。私が見ても、これは難しいんじゃないかと思うんですよね。 こういう一つ一つの施策の中に、では、果たしてこの施策で、確かにハンディキャップを持った方々に対して配慮する施策だと言っているけれども、実際そこに、入るところにもうバリアがあるんじゃないかというような問題がいろいろな施策であると思うんですよ。 今、何も私は文部省だけをやり玉に上げようということじゃなしに、文部省のこの施策がわざわざ丁寧にこういう教室の授業等のイメージまで示しておられるので、このイメージからいったら、例えば車いすの子供、車いすの子供自体が教室に入れるかどうかということもありますし、いろいろな障害を持った方々が、ではこのイメージの中に入り込める余地があるのかどうなのか。やはり入れへんのと違うやろかというふうに思わざるを得ないんですよね。 だから、やはりそういう意味でのまなざしというものが、一つ一つ、確かにいろいろな施策が名を冠して積み上げられているんだけれども、どうもそういうまなざしがどこかで途切れてしまっているというふうに思うのです。 せっかくですから、文部政務次官にお伺いしたいんですが、例えば今の新世代型学習空間の整備ということでいえば、障害を持った子供たちに対するどういう配慮がここではなされているのか、されていないとすれば、どういう配慮が必要になってくるとお考えか、お教えいただけますでしょうか。
○松村政務次官 現在、IT基本法を制定して、その中に、デジタルデバイドをなくそう、国民ひとしくこれを享受できる仕組みにしよう、こういう中で、文部省として基本的な計画を今決めたところでありまして、先ほど申し上げましたように、公民館や教室等を使うような教育におきましても、まず文部省として基本的な予算を用意して、県、地方自治体にこれを提供する。それで、地方自治体において現実にこれを国民に提供する段階で、先ほど申しました基本的な基本法の考えに沿って、障害者に対して優しい、しっかりと法の基本に合致するように持っていこう、こういうふうに考えているところであります。
○植田委員 それはわかるんですけれども、では、もし、今私が申し上げた学習空間の整備、これに特化させたところで、その辺のところの問題点なり課題というものはどういうふうにお考えでしょうか。もちろん、全体像としては今のお話だろうと思うんですけれども。
○松村政務次官 先ほど先生がおっしゃいましたように、それこそ教室へ入るときの廊下、階段のバリアフリーの問題を初め、いろいろな問題があるわけでありまして、その点につきまして、何でしたら、後ほどまた先生の方へ御説明に上がりたいと思います。
○植田委員 よろしくお願いいたします。 要は、いろいろな施策、私もざっと見まして、どれもこれもとはいきませんけれども、非常にそれぞれ工夫をなさっているという印象は確かに受けるわけです。 でも、例えば、話は変わりますけれども、中小企業でひいひい言うているおっちゃんたちがいろいろな融資の制度があることを実は知らないということもあるわけで、例えば、こういう施策があって、そういうことでいろいろな設備というのは整えられているんですよという情報を、できるだけそうした、特に情報が閉ざされがちな方々に啓発する、広報するということが、やはり一つ大きな課題だろうと思うわけです。 そういう意味で、悪平等ということではなしに、それぞれの人がこういうことにコミットする機会を平等に提供するという観点で、言ってみれば、いろいろなものを、ここには設備をつくりました、どうしましたということだけじゃなしに、それらについて、こういうふうに活用できるんですよ、活用するためにはこうすればいいんですよと、簡単にそういうものは活用できるような、そういう仕組みというものをこれから考えていただきたいと思います。 ただ、この辺についてはまたいろいろな場面で、特にITにかかわってこれから議論するところも出てくると思いますので、詳細についてはまた別の機会にやりたいと思います。 では、もう一点、続きまして、これもこの間、いろいろな議論がこの委員会の中でもあった件なんですけれども、プライバシーの保護、いわゆる情報セキュリティー、通信の自由等々にかかわってでございます。 あと、それぞれの担当の省庁の政務次官の皆さん方、関係しない部分についてはもう席を外していただいて結構でございます。お忙しいところありがとうございました。 いわゆるプライバシー、個人情報の保護等々にかかわりまして、特に情報化の進展に伴って、情報がデジタル化されてコンピューターに蓄積される、そうしたら、この情報をインターネットなどを経由して容易に共有、転送が可能になるわけですけれども、当然ながら、このデジタル化された情報の中には個人のプライバシーにかかわる情報が含まれるわけです。そして、ネットワークが広がる、グローバルになる、なればなるほど、そうした保護の重要性というのが高まるのは、当然のことだと思います。 ただ、今のところ、そういう意味では、そういうプライバシー保護の重要性というのが、国境を越える課題であるということなんですけれども、実際、個人情報保護にかかわっての考え方、取り組みというのはそれぞれ各国によってさまざまですし、やはり統一的なルールというのはまだ存在していないんじゃないかと思うわけです。 特に、今インターネットの問題等々というのは、消費者の個人情報等は国境を越えて流通、管理されているというふうに考えるべきなんじゃないかと思うんですけれども、そういう意味で、例えば、これからどんどん広がっていくであろう電子商取引に対する消費者の信頼性を高めるというためにも、ネットワークを通じて収集される個人情報の取り扱いにかかわって、国際的な統一ルールというもの、ガイドラインがやはり必要になってくるんじゃないだろうかと思うんですけれども、その点について御見解をお伺いできますでしょうか。
○佐田政務次官 先生言われることは非常に重要なことでありまして、先般私も、先ほどもまた申し上げましたけれども、電子商取引の国際会議、GBDeがマイアミでありまして、行った折に、やはりセキュリティーであるとか個人情報保護、この観点についていろいろと、各業界の方々、政府の方々が大変心配しておった。それほどまでに非常に重要なことであろうと思っています。 昨年来、電気通信事業者が保有する個人情報が、その従業員やいわゆる代理店等を通じまして外部に漏えいするなどの事案が相次いで発生しておりまして大きな社会問題になっているのも現実であります。 郵政省としましても、こうした問題に対しましては、従来、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインを策定しまして、告示し、これに基づき、事業者への指導、そしてまた周知徹底に努めてきたところでありますけれども、実際に、事業者からの漏えい事件が発生している現状にあって、ガイドラインの実効性が疑問視されることなどを踏まえまして、なかなかこれが守られないという現実がありまして、昨年九月から、電気通信分野における個人情報保護法制の在り方に関する研究会を開催しまして、電気通信分野における個人情報保護の法制化に関する検討を進めているところであります。 なお、政府全体としましても、情報通信技術、IT戦略本部の個人情報保護法制化専門委員会において、先月、個人情報保護基本法制に関する大綱が取りまとめられました。現在、基本法の次期通常国会への法案提出に向けて立案作業が進められているところであります。 郵政省としましても、今後とも、これは非常に重要なことでありますから、基本法大綱の内容を踏まえまして、引き続き、電気通信分野における個人情報保護の実効性を確保するという観点から、電気通信分野の個別法の要否や内容等について積極的に検討を行っていく所存であります。
○植田委員 わかりました。別途、個人情報の保護にかかわっては法整備されていることはよく承知しております。ただ、それをやるのでここでは別にさほど書き込まなくても結構だというのはちょっと私は納得いかないわけですけれども、その件について今議論をしようとするわけではございませんので。 引き続いて、特に、今もありましたように、今申し上げましたような、いわゆる個人情報というものが漏れてしまうということであるとか、またネットワーク上のいろいろな事件というのが起こっているわけですね、詐欺であるとかネズミ講というんですかね。そういうものによる被害者なんかも出てきているという状況で、特にネットワークの持つ匿名性で犯罪者のリスクが小さくなるということで、こうした犯罪というのはこれからやはりいろいろな形で規制をかけないことにはどんどん起こってくる、その可能性は否定できないと思うわけです。 しかも、それが国際的な、国境を越えた犯罪になってしまうということもあるわけですから、特にそうした事件の未然の防止策であるとか、そうした被害者の救済ルールでありますとか、例えばまた、誇大広告や虚偽広告に関する規制であるとか、またそうした広告に関する発信者側の自主的なガイドライン、また広告審査、苦情処理等々、それにかかわる体制整備というものをやはり国際的な調和の中でつくっていく必要があろうかと思うんですけれども、その点についての御見解はいかがでしょうか。
○佐田政務次官 先ほどもお話に出ましたように、そういう事件に対しましても今法的に整備を行っているところでありまして、例えば電子商取引に関しましては電子署名及び認証業務に関する法律ということで、この法律は通っていますけれども、その中のいわゆるセキュリティー部分であるとか本人確認の部分であるとか、こういうことも、今徹夜の作業で省令をつくっているという現状であります。 もう一点は、インターネットにおいていろいろな、個人を誹謗中傷するような内容であるとか、そしてまた余り悪質なもの、こういうものに対するプロバイダーの責任もこれから考えていこうということで、今議論をしているところであります。
○植田委員 そこと続いてなんですけれども、日本では既に個人情報保護法は制定されているわけですけれども、また地方公共団体でも条例で個人情報の保護が進んでいるわけですが、民間のデータ収集等についてはまだ法律の規制対象外ですよね。そこが、まだ今のところ自主的なガイドラインでとどまっているというその部分が、やはり日本における個人データの保護のおくれということにつながっているんやないかと思うわけですけれども、その状況についての認識と、若干答弁がダブっても結構ですので、その問題の解決に当たっての方向性についてお答えいただけますでしょうか。
○藤井政府参考人 委員御指摘のとおりでございまして、今まで民については法律による規制というのはなかったわけでございます。それで、御案内のとおり、去る十月十一日、個人情報保護法制化専門委員会で大綱が示されて、そこでは、今も御論議ございましたが、高度情報通信社会のもと、個人情報の有用性に配慮しつつ個人の権利、利益を保護するということを目的といたしまして、まあほとんどは個人情報を取り扱うべき人が何人でも守るべき基本原則とか、あるいは、特に高度情報通信社会で企業等がたくさん個人情報を蓄積されておられるわけですが、そういった取扱事業者が守るべき法律義務、そういったいわば基本法の大枠となるべき大綱を示されたところでございます。 政府といたしましては、先ほども御説明ありましたが、直ちにIT本部で方針を決定いたしまして、次期通常国会に法案提出を目指すということで、今政府部内で鋭意作業中でございます。 何せ、この大綱というものは基本法のいわば枠組みを示していただいたということでございますけれども、細部については相当政府で詰めなければいけないことがございます。例えば、用語の定義から始まりまして、あるいは適用対象をどうするかとか、あるいはいろいろな義務規定があるんですが、それを具体的にどうするかというような細目的、技術的な問題が残っているわけです。 ただ、これらにつきましては、あくまでどちらかというと立法技術上の問題でございまして、既存の法制でのいろいろな言葉の使い方とか、あるいは各省を通じまして実情を調査するということがやはり大事だと思っていますので、そういった調査結果を踏まえながら、鋭意次期通常国会を目指して法案をまとめていきたいと作業中のところでございます。
○植田委員 よくわかりました。その法案が出そうなときに、また改めていろいろな議論はさせていただきたいと思うのです。 それで、昨日、連合審査で私どもの大島令子議員の方からも要望ということで、消費者や企業が安心してインターネットを利用できるようにするには現実の世界と同等以上にセキュリティーレベルの向上が必要だろうという趣旨の話をされたと思うんですけれども、特に、このためには情報セキュリティー分野における早期の警戒ネットワークの形成等々が有効だという指摘もあるわけです。特にインターネットによって世界が結ばれる今日、そうしたセキュリティー面での向上も世界的規模の協力のもとで行われる必要があると思うわけです。 先般のサミットは別名ITサミットとも言っておったわけですけれども、IT憲章も採択されたんですが、特に沖縄サミットでそういう情報セキュリティーの国際調整、国際協力について具体的にどんな議論が、協議が行われたのか。また、情報の共有に始まって技術やルールの国際的な調和、標準化、ガイドラインの作成等々、そうした国際的なセキュリティーレベルの向上についてはどんなふうにお考えなのか、御所見をあわせてお伺いできますか。
○堺屋国務大臣 情報のセキュリティー、特にサイバーテロ対策につきましては、年内を目途にサイバーテロ対策にかかわる特別行動計画を策定するというようなことで、政府各省の間では、情報の漏えい、不正アクセスの脅威から政府の情報を保護するなど、情報セキュリティーポリシーを策定することに取り組んでいると承知しております。 沖縄サミットにおきましては、こういうことを含めましてG8でこの対策を練ろうというような申し合わせが行われたと承知しております。
○植田委員 わかりました。 ちょっと時間的に、五時三十一分までだそうですので、時間は守りたいと思いますので、最後の質問をやりたいと思います。通告しておりました他の質問もあったわけですけれども、それはまた別途、機会を改めてさせていただければと思います。 特にネットワーク利用にかかわっては、いろいろな調査を見ましても、利用者がプライバシーの侵害の可能性というものを感じている。これは十分我々は理解すべきだろうと思うのです。そして、今も先ほどこの間ずっと議論も出ましたように、審議の中でもありましたように、それに対応した個人情報保護の整備も行われつつあるということも当然我々も承知しているわけですが、ただ、この間先ほど来指摘していますように、やはり安全、安心なアクセスを可能にするには課題が残っていると私も思うわけです。 特に双方向の高度通信ネットワークの利用については、午前中、私ども御推薦させていただきました福冨参考人の意見陳述の中でもあったと思うんですけれども、利用者にみずから多様な表現や情報発信の機会を提供するものだというふうに考えるべきだろう、そういう意味では、個人情報保護のための施策が言論、表現の自由を侵害することがないように、そういう配慮も一方で必要になってくる、そういう中でこそやはり自由な情報の流通とIT革命の進展というのが相互補完的に進んでいくものだと私は思うんですけれども、その件についての御見解をお伺いいたしまして、きょうの質問はここで終わりにしたいと思います。御答弁お願いいたします。
○堺屋国務大臣 情報の手段が発達するということはいろいろな意味での表現の手段がふえてまいります。特に、インターネットになりますと、文字だけではなしに、音響、映像、いわゆるマルチメディアの表現ができます。したがって、文章が苦手の人であれば絵でかくとか写真で知らせるとか、そういうような非常に多様な手段が出てくる。そういう意味で、同じ情報リテラシーといいましても、自己表現の範囲が広がってまいります。こういったことが、それぞれの人に好きなこと、得意の手段、そういうものを与えまして、大変世の中が楽しくにぎやかに、そして格差が少ない世の中になっていく。 それにあわせて、それにふさわしい機器をつくる、ソフトをつくる、あるいはその方法を教える、そういうことに社会としても努力しなければなりませんが、個人としてはそういう機会が非常にふえてくる。その意味で、私は、これからすべての人が情報発信手段を持てるという意味で、これは大変楽しい、いい社会になり得る手段だと思っております。
○植田委員 私が今申し上げたのは、個人情報の保護にかかわっての施策はやらなければいかぬ、やらなければいかぬけれども、言論、表現の自由を侵害せぬように配慮する必要があるのではないですかと。そういう意味で、IT革命の進展というのは自由な情報の流通と相互補完的なものでしょう、その点についてどうですか。 要するに、二律背反するのではなくて、やはり個人情報保護について今伺ってきたわけですけれども、一方で、それが常に言論、表現の自由を侵害しない配慮が必要だと思うのですが、その点についての配慮はどういうふうにお考えかということだったのです。済みません、もう一度。
○堺屋国務大臣 もちろん言論の自由、表現の自由というのは大前提でございますから、これは断固守らなければいけないと思います。しかし一方においては、こういう個人情報の保護というようなことがございます。例えば通信傍受法というようなものもございますが、そういう犯罪取り締まりの方も十分やらなければいかぬし、一方では表現の自由、これもますます、文章だけではなしに、マルチメディアな表現の自由ということも考えていかなければなりません。これは、憲法で保障された表現の自由というのはますます重要になってくることは心しなければならない点だと思っております。
○植田委員 お疲れさまでした。終わります。 ————◇—————
○佐藤委員長 この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は、理事に塩田晋君を指名いたします。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時三十四分散会