青少年問題に関する特別委員会 第3号
- 発言数
- 109 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2000/11/16
会議録
○青山委員長 これより会議を開きます。 青少年問題に関する件、特に児童虐待問題について調査を進めます。 この際、お諮りいたします。 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長黒澤正和君、法務省民事局長細川清君、文部大臣官房審議官白川哲久君、文部大臣官房審議官玉井日出夫君、文部省初等中等教育局長御手洗康君、厚生省児童家庭局長真野章君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○青山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ―――――――――――――
○青山委員長 まず、政府参考人から順次説明を聴取いたします。警察庁生活安全局長黒澤正和君。
○黒澤政府参考人 警察といたしましては、児童の生命、身体を守り、また、当該児童の精神的な立ち直りを支援することによりまして問題行動等に走ることを防止するという観点から、児童虐待問題を少年保護対策の最重要課題の一つとして位置づけまして、取り組みを強化いたしているところでございます。 そこで、警察における児童虐待の取り扱いの現状と、取り組みに当たりまして留意している事項につきまして御説明をさせていただきます。 まず、児童虐待事件の検挙状況でございます。 平成十二年の上半期でございますが、都道府県警察で検挙いたしました児童虐待事件は九十四件でございまして、前年の同期と比べますと三十三件、五四・一%の増加となっております。検挙人員につきましては百三人でございまして、四十人、六三・五%の増加となっております。被害児童数にいたしますと九十四人でございまして、前年同期と比べますと三十二人、五一・六%の増加でございまして、それぞれ大幅に増加している状況にございます。 これを罪種別に見てみますと、傷害が三十九件、殺人が、未遂を含めて十二件、傷害致死が十件、致傷を含めた強姦が八件、児童福祉法違反が八件、保護責任者遺棄が、致死を含めまして八件という順番になっておりまして、前年同期と比較いたしますと、傷害が二十六件と大幅に増加をいたしておるのが一つの特徴でございます。一方、死亡しました被害児童数は二十人でございまして、前年同期と比較すると六人の減少となっております。 加害者を、罪種別、そして被害者との関係別の状況で見てみますと、実母が三十一人、約三割で最も多く、次いで実父が三十人、これも三割弱、実母と内縁関係にある者が二十二人、約二一%、それから養父、継父が十二人、こういった順番となっております。昨年同期と比較いたしますと、実父が十四人の増加、実母と内縁関係にある者が十二人増と、それぞれ倍増をいたしております。 次に、被害児童の年齢別で見てみますと、一歳未満が十五人、一六%で最も多くなっております。次いで三歳が八人、八・五%、十五歳が八人、八・五%となっております。六歳までの被害児童が五十二人でございまして、五五・三%と高い割合を示しておるところでございます。 それから、平成十一年、昨年一年間に警察の少年相談に寄せられました児童虐待に関します相談は九百二十四件でございまして、平成十年に比べて二・二倍となっておりまして、統計をとり始めました平成六年の七・六倍となっております。 次に、児童虐待に対する取り組みに当たりまして留意している事項について申し上げます。 冒頭に申し上げましたが、警察としては、児童虐待問題の重要性にかんがみまして、取り組みを強化してまいったところでありますが、児童虐待の防止等に関する法律の施行を踏まえまして、次に述べますような諸点に留意しつつ、児童虐待への適切な対応についてさらに努力してまいる所存でございます。 その一は、児童虐待事案の早期発見と通告でございます。 法律第五条におきましては、児童の福祉に職務上関係のある者は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童の早期発見に努めなければならない旨が規定されております。警察職員もこれに該当し得るとされておりまして、さらに法の六条では、児童虐待を受けた児童を発見した者に対しまして、児童相談所等への通告義務が課されております。 この趣旨を踏まえまして、警察といたしましては、改めて、組織全体として児童虐待事案の早期発見の徹底を期するとともに、児童虐待を受けた児童を発見した者は、速やかに児童相談所等に確実に通告することに努める所存でございます。 そのため、少年部門のみならず、地域部門、刑事部門、被害者対策部門といった各部門におきまして、児童を被害者とする事案等の捜査、街頭補導、少年相談、一一〇番事案の取り扱い等の各種警察活動に際しまして、児童虐待事案の伏在を念頭に置きまして、児童虐待に係る情報の把握を図ってまいります。 その二は、児童相談所長等による立入調査等に対する適切な援助でございます。 従来から、児童相談所長等による立入調査、一時保護等に際しましては、必要に応じ、警察官の支援が行われていたところでございますけれども、児童虐待の防止等に関する法律第十条で、児童相談所職員等による児童の安全確認、立入調査または一時保護に際しての警察官への援助要請が規定されている趣旨を踏まえまして、援助を求められた場合には、警察の責務と権限に基づきまして、児童相談所職員等の職務が円滑に行われるよう、適切に援助を行ってまいります。 その三は、児童の適切な支援等でございます。 児童相談所等の関係機関との適切な連携と役割分担のもとで、少年相談専門職員、少年補導職員等による児童のカウンセリングなど、保護者に対する助言指導、家庭環境の調整等の支援を的確に実施してまいります。 また、児童を保護する観点からも、関係部門が緊密に連携し、事件として取り扱うべき事案につきましては適切に事件化を図っていく所存でございます。 その四は、体制の充実強化と関係機関との連携の強化でございます。 児童虐待の早期発見及び児童虐待を受けた児童の迅速かつ適切な保護を行うために、少年サポートセンターを中核とする被害児童に対する保護体制等を充実強化いたしますとともに、児童相談所を初め、保健医療機関、学校、民間被害者援助団体等関係機関、団体との実質的かつ効果的な連携をより一層強化してまいります。 その五は、職員に対する指導、教養の徹底でございます。 広く関係職員に対しまして、対応要領、児童虐待の防止等に関する法律の内容等につきまして、あらゆる機会を活用して指導、教養を行いますとともに、児童の保護及び保護者への支援を行う職員に対しましては、児童虐待問題に関する専門的な知識、技能の向上のための教養を充実強化してまいります。 以上、申し上げましたように、警察といたしましては、今後とも、児童虐待の防止等に関する法律の目的、趣旨を踏まえ、より一層、児童虐待問題への適切な対応に努めていく所存でございます。 以上でございます。
○青山委員長 次に、厚生省児童家庭局長真野章君。
○真野政府参考人 それでは、厚生省関係につきまして、児童虐待の防止等に関する法律の施行準備状況について御説明を申し上げます。 順次、資料に沿って御説明をしたいと思います。 表紙にございますとおり、本日は、児童虐待の防止等に関する法律施行スケジュール、児童虐待防止に係ります政府広報、児童虐待に関する相談処理件数、それから児童虐待対策関係予算につきまして御説明をいたします。なお、参考資料といたしまして、児童虐待防止法の概要を最後に添付いたしております。 それでは、まず一ページをお開きいただきたいと思います。 まず、児童虐待防止等に関する法律の施行スケジュールでございますが、児童虐待防止法につきましては、法律の附則第一条におきまして、法律の公布の日、これは五月二十四日でございましたが、その日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するということになっております。これに基づきまして、十一月七日の閣議におきまして法律の施行期日を定める政令を閣議決定し、十日の金曜日に公布をいたしました。十一月の二十日から施行をすることになっております。 この法律の施行日でございます十一月二十日は、くしくも昭和三十四年、一九五九年に、国連で児童の権利宣言が採択された日に当たります。この法律の施行日が、今後の児童の権利の認識を深め、虐待の予防の機運を高める日になればというふうに考えております。 なお、もう一つ、児童相談所長及び児童福祉司の任用資格に係ります改正につきましては、法律の公布の日から二年以内に施行することとされておりますが、こちらにつきましては、別途の政令により施行日を定めることといたしております。 次に、(2)の、児童虐待の防止等に関する法律施行令でございますが、児童虐待防止法第十六条に基づきまして、都道府県知事が処理することとされている事務につきまして、政令指定都市の市長が処理することとする施行令を法律の施行にあわせて制定をいたしております。 具体的に政令指定都市が処理することとされている事務は、①から③までにございますように、都道府県知事が、児童虐待のおそれがある場合の立入調査などを実施する事務、都道府県知事が、児童虐待を行った保護者に対して児童福祉司などの指導を受けるよう勧告する事務、児童養護施設などに入所した児童につきまして、その措置を解除するに当たって、都道府県知事が、児童虐待を行った保護者などへの指導を担当した児童福祉司の意見を聞くこととされている事務の三つの事務でございます。 次に、二ページをお開きいただきたいと思います。 通知関係でございますが、児童虐待防止法の施行に際しまして、以下の三つの通知を出しまして、都道府県等に対しまして児童虐待防止法の趣旨、内容の周知徹底を図ることといたしております。 まず一つは、児童虐待防止法の要点や施行に当たっての留意点につきまして記載をいたしました児童虐待防止法の施行通知でございます。 また、児童相談所の運営指針及び児童相談所や児童養護施設等におきまして相談を受けた場合のいわば実際の対応、実務のノウハウを解説いたしましたマニュアルでございます子供の虐待対応手引につきまして、従来より、児童虐待の事例におきます児童相談所や関係機関の具体的な対応について記載をしてきたわけでございますが、児童虐待防止法の施行にあわせまして、今回、内容を大幅に改定いたしました。この二本の通知につきましても、施行通知と一緒に都道府県等に対して通知をするということにいたしております。 3の、諸会議の関係でございますが、都道府県の児童福祉主管課長会議、それから全国の児童相談所長の合同会議を開催いたしまして、都道府県への周知徹底を図ることといたしております。この会議につきましては、法律の公布後すぐ、六月の十五日にお集まりをいただきまして、法律の概要その他について説明をいたしておりますが、この実際の法律の施行の準備のために昨日十五日にも開催いたしまして、私どもから御説明をいたしたところでございます。 また、関係機関等との連携を強化するため、児童虐待の防止に関する関係省庁や関係団体に御参加をいただきまして、昨年十一月に児童虐待防止対策協議会というのを設置させていただきました。これも六月の九日に、法律成立後すぐでございますが、開催をいたしまして、その概要を御説明いたし、協力を求めておりますけれども、この協議会につきましても、法律施行後速やかに開催をいたしまして、関係者が連携して児童虐待の防止に取り組みたいというふうに思っております。 次に、三ページでございますが、児童虐待防止に関しまして、今年に入りましてからのテレビ、ラジオ、刊行物等を通じて行いました広報の実施状況を一覧表にまとめたものでございます。 特に、今回の法律の施行に当たりましては、下から二段目にございますように、啓発ポスターを地方自治体に配布することといたしております。 このポスターは二種類用意をいたしておりまして、一つは大人向けということで、児童虐待防止法の施行を周知いたしますとともに、児童虐待の禁止、通告義務などについて普及啓発したいというふうに思っております。また、子供向けでございますが、保護者から虐待を受けている場合に児童相談所へ相談してくださいという内容を普及啓発するポスター。この二種類のポスターで普及啓発をしたいというふうに思っておりまして、施行後速やかに配布する予定でございます。 次に、四ページをごらんいただきたいと思います。 これは、十一月の一日に公表いたしました、昨年度の児童相談所におきます児童虐待に関する相談件数について取りまとめたものでございます。 児童虐待に関する相談処理件数の推移でございますが、統計をとり始めました平成二年度には千百一件でございましたが、十一年度におきましては約一万一千件強ということになっております。十年間で十倍以上の伸びを示しております。特に、近年急激にこのように児童相談所におきます相談件数が増加している要因といたしましては、児童虐待の防止や早期発見に係る対策に地方自治体等が積極的に取り組んでいただいた結果、相談や通告が促進された面もあるのではないかというふうにも思っております。 二つ目の表は、児童虐待相談についてどのような経路で相談があったかを分類したものでございます。 主な経路別相談といたしましては、家族が二三%、近隣知人が一五%、福祉事務所が一三%、学校等が一二%という状況でございまして、これら四つの経路で全体の六割強を占めております。 また、近隣知人の欄でございますが、近隣知人からの相談につきましては、平成十年度、全体の九%でございましたが、十一年度におきましては全体の一五%と、伸びを示しております。これは、これまでの広報啓発活動の充実やマスコミ報道等によりまして、地域住民の方々の児童虐待に関する関心が高まったことが背景にあるのではないかというふうに考えております。 三つ目の表でございますが、これは、児童虐待防止法におきまして定義されました児童虐待を、身体的虐待、保護者の怠慢ないし拒否、いわゆるネグレクト、性的虐待、心理的虐待に分類したものでございます。 この内容別相談件数といたしましては、身体的虐待が全体の半分を超えているという状況でございます。また、心理的虐待につきましては、全体に占める割合が、平成十年度の九・四%から、十一年度は一四・〇%へと増加をいたしております。これまで発見、認知が困難であった心理的虐待が国民の間にも認識されてきているという状況ではないかというふうに思っております。 五ページをお開きいただきまして、主たる虐待者を分類した表でございます。おわかりいただきますように、実母による虐待のケースが全体の五八%となっております。昨年の数字と比較をいたしましても、全体に占める割合が増加している状況にございます。 また、次の表、虐待を受けた児童の年齢構成でございますが、これらの分布につきましては余り大きな変化はございませんが、ゼロ歳から三歳未満の児童と三歳から学齢前児童を合わせたいわゆる就学前児童の占める割合が、十年度の四四・七%から四九・六%に若干増加傾向を示しておりまして、被虐待児童の低年齢化が見られるのではないかというふうに思っております。 また、6の虐待相談を受けた後の対応でございますが、施設入所が一七・九%、面接指導が七二・九%となっております。 それから、六ページをお開きいただきたいと思います。 こういう状況に対しまして厚生省のとっております虐待防止対策でございます。平成十三年度概算要求におきましては、児童虐待の発生予防、早期発見、早期対応、児童の保護などの総合的な対策を実施するため、十二年度の九億五千万という予算から倍増以上の二十一億五千万弱の概算要求を行っております。 具体的内容でございますが、(1)の、①市町村におきまして関係機関や関係団体から成ります市町村ネットワークを整備していただくというものの倍増、②地域におきまして家庭や児童に関する相談などに応じます児童家庭支援センターの拡充、それから③といたしまして、一歳半及び三歳児の健康診査のときに心理相談員や保育士を配置いたしまして相談体制を充実する事業、④といたしまして、児童福祉司の任用資格取得のための通信教育の実施、⑤一時保護所におきます心理職員の配置、⑥虐待に関します専門相談、関係職員の資質の向上のための研修の実施など、虐待の防止、早期発見、早期対応のための要求をいたしております。 七ページをお開きいただきたいと思います。 虐待を受けまして心身に被害を受けました児童を適切に保護するという観点から、(2)の①の、(ア)児童養護施設におきまして被虐待児童に対して個別にケアを行う職員を配置する予算、(イ)心理的被害を受けました児童に対するケアを行います心理療法担当職員の配置、(ウ)地域におきます小規模の児童養護施設の設置といった、児童養護施設等における運営の改善や、②でございますが、(ア)児童養護施設におきまして心理療法を行うための部屋の整備、(イ)心理療法器材の整備、(ウ)親子生活訓練室の整備などハード面におきます児童養護施設等の処遇の改善を図ることといたしておりまして、さらに③といたしまして、児童相談所におきます保護者へのカウンセリングの充実などを通じまして児童虐待への対策を推進してまいりたいというふうに考えております。 八ページをお開きいただきまして、この十日に提出をさせていただきました今年度の補正予算案におきましても、児童養護施設の処遇改善のための整備の促進や、先ほどちょっと申し上げました児童虐待防止の広報啓発を推進するためのリーフレットの作成を盛り込んでおります。 児童虐待は、児童の心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えるおそれがございまして、この児童虐待の予防から発見、通告、児童の保護に至るまで、政府や関係機関、地域住民とも連携協力いたしまして取り組んでいく必要があるというふうに考えております。 厚生省といたしましても、児童虐待防止法の円滑な施行、関係機関との連携によりまして、児童虐待防止対策の一層の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。 以上、厚生省関係の御説明を申し上げました。
○青山委員長 以上で政府参考人からの説明は終了いたしました。 ―――――――――――――
○青山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田義昭君。
○原田(義)委員 児童虐待防止法の施行を直前にいたしまして、ただいま行政の方からその準備状況についてお聞きをいたしました。大分準備態勢も整ってきたようでございますけれども、もとよりこの問題、根の深いといいますか、本当に私どもに深刻な心配を与えておるわけでございます。限られた時間でありますけれども、何点か質疑をさせていただきたいと思います。 親と子を取り巻く環境に起因すると思われる事件の報道が相次いでおります。児童虐待についての報道もほとんど連日でございますし、また、狭義の児童虐待ではないものでも、子供に係る事件、カラスの鳴かない日はあってもこの記事のない日はないというぐらい、本当に私どもを悲しい気持ちにさせるわけであります。この原因を何とか取り除いて明るい社会をつくらなければいけない、私どもひとしくそういうことを願っておるわけでございまして、ぜひとも政治、行政挙げて努力をしなければいけない、こう思っております。 最近でも、岡山県における母親と同級生のバット事件とか、大分県において隣の家族を殺害した事件とか、佐賀県のバスジャック事件、新潟県の監禁事件、こういう世間を大きく騒がせた事件が報道されております。 佐賀県のバスジャック事件なんかは、私の選挙事務所の真ん前を高速道路が通っていまして、その真上を通っていった事件なものですから、実は、選挙の告示の日に、私も自分の出馬宣言の中で子供の問題、教育問題を取り上げたんですけれども、そのときにそれも指摘しました、この高速の上をあのバスジャックの犯人が佐賀から関西の方に乗っていったんだと。本当にみんな大きなショックを受けておるわけでございます。 こういう事件は、親子の問題とか子供の事件は、言うまでもなく、初めはささいなことから親子の信頼関係にひびが入って、それが家族の崩壊につながって大きな事件として顕在化していく。近隣住民との関係も非常に孤立しているとか、そういう社会的な実態も浮き上がってくるわけでございます。本当に涙なくして聞けない、そういうような事件でございますけれども、何とかしてこういう悲劇が起こらないように私どもも考えていかなきゃいけないと思います。 実は、ことしの二月十七日に、私の選挙区でも大きな事件がございました。端的に言えば、中学生の男の子二人が、これは年子の兄弟なんですけれども、四十九歳の母親を殴って死に至らしめたということでございます。これだけとりますと、これはいわば家庭内暴力で、どっちかというと少年法の領域といいますか、十三歳、十四歳の子供をどう処罰するかというようなことにもなりかねませんけれども、大体こういう家族に係る事件というのは、現象はそういうことです。しかし、当然のことながら、極めて根が深い背景のあることが多いわけですね。 ちょっと別な話ですけれども、昔、刑法に尊属殺というのがありましたね。戦後、尊属殺はなくなりましたけれども、親を殺したのだから罪は重いはずだというのが昔の刑法の考え方だったと思うのです。しかし、尊属殺というのは、調べれば調べるほど同情すべき余地が大いにあるというような議論も当然行われまして、戦後、これがなくなったわけでありますけれども、こういう家族事件というのは、常に根の深い問題があり、また考えさせられる問題、そしてまた、我々が行政とかいろいろなところで取り扱わなければならない課題、題材が非常に含まれていると思います。 本件も、簡単に説明いたしますと、親子五人、男の兄弟二人と下に妹がいて、そしてお父さん、お母さんと平和な五人家族だったのですけれども、二年前に不景気で会社が倒産して、お父さんが失業した。それをきっかけに夫婦仲が悪くなりまして、一年前、去年の三月ごろに離婚して、今や母子家庭になっておったわけです。 お母さんがアルコールにおぼれるようになりまして、もうずっと酒ばかり飲んで自暴自棄になっておったということから、子供三人、家で食事も食べさせてもらえない。特に一番下の小学生の女の子は、家に帰るのが嫌で非行に走るようになったということで、この女の子は保護施設に預かってもらっていた。 実は、この事件の日に、男の子がお母さんを無理やり連れ出して、妹に会いに行こうということで三人で行っていたのだそうです。ところが、お母さんが、お酒の影響だろうと思うのですけれども、その施設の前になって、急におなかが痛くなったといって家に戻ったのだそうであります。そしてまた家で寝転がっていた。男の子はまだ御飯も食べていないものだから、お母さんに、とにかく御飯をつくってくれ、つくってくれと言ううちに、余り動かぬものだから暴力を振るった、それが死に至ったということでございまして、情景を頭に描くだけでも、本当に気の毒な、かわいそうな事件でございます。 その後、子どもたちは司法の側に移って、今その段階にあるようでございますけれども、これは、何とかこういう悲惨な結末にならないように食いとめられなかったのだろうか、当然のことながら、そう思うわけですね。そういう意味では、少しでも早くこの母親やら子供たちに救いの手が差し伸べられればよかったのになと思いますし、もっと言うなら、経済が悪くさえなきゃ、お父さんの会社も倒産しなかっただろう、失業もしなかっただろう、そういう悔いは残ります。 こういうような家庭、現実に事件にはなっていないにしても、恐らく世の中にはかなりのところまで来ている家庭もたくさんあろうかと思います。しかし、その中で悩んでいる子供たち、何とかして事前にその芽を摘むというか、事前にその状況を察知する、こういうような体制ができていなければいけないな、こう思うわけであります。 先ほどの厚生省、警察庁の御説明でも、今度の虐待防止法の最大の眼目は、その状況をまず事前に察知する、早期に察知して、それにすぐに対応する、手当てする、これによって事前にそういう芽を摘むということでございますから、そういう意味では、そのための体制が十分整っていかなきゃならない、こう思います。 子供たちは毎日学校にも行っているわけですから、恐らく一番これに接触できるのが、まずは学校だろうと思うんです。そういう意味では、事前の察知というか、家庭内暴力とかいじめとか、そういう前段階でそういう人たちのサインを敏感に読み取るような制度、これがなければならないと思いますけれども、それは今言いましたように、まず学校が一番だろうと思います。 文部省、質問ですけれども、こういう観点から、学校で今どういう体制になっているか、このことについてちょっとお聞きをしたいと思っております。
○玉井政府参考人 大変心の痛むお話を伺いました。それから、先生から、サインの大切さという御指摘をいただきました。そのとおりだろうと思っております。 子供たちは、友人関係、あるいは親子関係、または学校生活そのものにおいても、さまざまな問題を抱え、心の悩みを抱く場合がございます。そのときの心のサインをまず見逃さないということが何よりも肝心だろうと思っております。 したがって、学校、それから当然のことながら、学校だけではなくて、地域のいろいろな関係機関もございますので、そこが、どのように子供たちの心のサインに気づき、また同時に、子供たちがそれを訴えるときに、気軽にそこに相談できるような体制をいかに整えていくかが課題だ、かように思っております。 既に学校におきましては、学級担任が当然中心になりますけれども、生徒指導担当、養護教諭、さらには近年、スクールカウンセラーの配置が始まっておりまして、こういった関係で、できるだけ子供の心のサインを見逃さない、そして相談を十分できる体制を整える。さらには、地域におきましても、児童相談所あるいは福祉事務所、さらには少年サポートセンター、あるいは教育相談所等々ございます。これらの連携が十分整えられなければなりませんし、同時に、例えば都道府県教育センター等におきましては、子供たちが二十四時間いつでも気軽に相談できる、こういう電話相談体制という仕組みも今整えつつございます。 そういう意味におきまして、学校においては、まず教育関係者が心の悩みにこたえる体制を整えるとともに、どういう機関でどうしたらいいのかということが十分関係者の間で共通理解が図られている、そのことをもって子供たちに、いわば個々具体の実情に応じてではございますけれども、きちんと対応できる、そういう仕組み、そういう体制に今向かっているところだろうと思っておりますし、私どもとしても、そういう心のサインの大切さに十分気づきながら、しかも関係省庁と連携を深めて、今申し上げました関係機関がきちんと対応できる、そういう方向に最大限の努力をさせていただきたい、かように思っております。
○原田(義)委員 今、学校の中の対応についていろいろお話を伺いました。こういう児童虐待の環境というのはいつでも起こり得ることでございますから、子供たちがSOS、助けてくれ、こういうことをどこに発すればいいかというようなことについては、学校の中ばかりじゃなくて、社会全体にこれができていなければいけないわけであります。特にこういう事件は、昼間というよりもむしろ夜、みんなが寝静まったときとかに起こるのではないか、さっきの統計でも、実母、実父が七、八割の加害者になっておるわけでありますから。 そういう意味では、本当に、何か起こったときに瞬間的にそれに対応できるようなシステムができなければならないと思います。児童相談所、各地にいろいろ配備されておりますけれども、この辺は、当然のことながら二十四時間体制というか、むしろ夜間にこそそういうようなものが必要だろうなと思います。 厚生省にもお聞きいたしますが、その辺の体制の整備、先ほども大体説明がありましたけれども、もう一度、ここにちょっと絞って御説明いただければと思っております。
○真野政府参考人 先生御指摘のとおり、子供からの相談へ常時対応できる体制というのは大変大事であろうというふうに思っております。 私どもといたしましては、全国に、中央児童相談所というのが都道府県、それから政令指定都市に必ずございますが、そこには一時保護所というものが附置をされておりまして、これは児童を預かる施設でございますので夜間、休日の緊急時にも対応できるということで、夜間、休日の緊急時にはそういうところを通じて対応するという体制をとっておるところでございます。 また、さらに全国の中央児童相談所におきましても、例えば二十四時間の電話相談をやっていただいているところが十三カ所、それから二十二時まで、十時までというのが一カ所、そのほか八時過ぎまでやっているというようなところもございまして、夜間の相談にも対応しているという状況でございます。 また、都市部にございます児童養護施設では、都市家庭在宅支援事業というのも実施しておりますし、それから先ほど御説明をいたしました児童家庭支援センターには、こういうような児童や家庭の問題につきまして二十四時間相談できる体制をとるということをお願いいたしておりまして、それぞれそういうような形で体制を整備しているところでございます。 さらに、私どもといたしましては、先ほど文部省からも御答弁ございましたように、文部省におきましても電話の相談体制をしいておられますし、警察庁の方でもそういう体制をしいておられるということでございますので、地域にそういう窓口というのは幾つかあり、それとやはり連携するということと、それからその窓口があるのだということを子供たちに伝える。 先ほど申し上げました一時保護所の休日、夜間での対応というものも、では十分PRされているかというと、いささか胸を張れる状況ではないようにも思いますので、そういう面につきまして、地域のそういう窓口のネットワークと、それの窓口があるんだということを、ここに電話をすればいいんだということを子供たちにわかってもらえるような仕組みというのをさらに一層考えていきたいというふうに思っております。
○原田(義)委員 今、局長がいみじくも、いささか自信がないというようなことをおっしゃいましたけれども、私は、この広報、PRといいますか、これがむしろ非常に大事だと思うのですよ。 先ほどから説明されるように、恐らく行政、地域全体が相当な体制をもってこのことに備えておられるというのはわかってはきているのだけれども、そのことを肝心かなめの家族が、子供が知らなければ、いざというときに役に立たなければ、これは何の意味もないわけですね。一般的な広報なんだけれども、要するに、万が一のときにはここにこういう助けるところがあるんですよ、相談窓口があるんですよということを子供たちが知っておかなければなりません。 そういう意味では、ただ、こういう制度があるよ、掲示板に書いているよということだけではなくて、学校やら地域、いろいろなところで常に広報を怠らないようにやっていただいて、子供たちに、万が一のときにはそういう安心の窓口があるということを知ってもらうということが私は必要だろうと思います。 これは何もこの問題に限らず、大体、行政庁の意識と国民の側の意識というのは大きな差があるんだよ。どんな政策でも、例えば中小企業の政策でも、こんな厚い本が毎年出て、このときにはこう、緊急避難のときにはこうとあるけれども、しかし国民のサイドは一向にそこを知らない。そのために、万が一のときに、もう助けをかりるまでもなく諦めてしまったり。ですから、そういう意味では、広報、パブリケーションの重要さというものを改めて認識してほしい。本件は、事命やらそういう家庭の問題にかかわりますから、これはぜひお願いをしたいと思っております。 それの関連で、児童虐待については、近隣の皆さんといいますか近隣社会の役割というのは非常に大事だということが言われます。これは我々の実感でもわかります。大体、何か事件が起こったときは、隣のおばさんが、これは大変だということで警察やら相談所に駆け込む、それによって発覚するということが間々あります。 いただいたデータでもそういうことをはっきり書いておりますね。いただいたデータによりますと、「虐待の経路別相談件数」というのがあって、これによると、近隣の知人が教えてくれた場合が一五%、こういう数字が出ております。平成九年が八%だったということからしますと、パーセントポイントが倍になっているわけであります。これは、恐らく地域社会のこの問題に対する認識がふえてきたのも一つだろうと私は思いますね。この傾向はいいことだと私は思います。いずれにしましても、近隣社会がどういう役割を演ずるかということの大事さ、これはもう言うまでもないと思います。 最近でもいろいろな事件が起こっておりますけれども、愛知県でつい最近、ベランダに子供を縛っていたら、いろいろ事情があるのですが、二日間のうちにとうとう亡くなってしまった。後で聞きますと、近所の人は、あそこで何かあれしてかわいそうだなと思いながらも、結局、そのうちと思っているうちにこういう重大な事故になったということです。近隣への呼びかけというものもむしろ積極的にやっていただきたいな、こう思っております。 虐待防止法の施行が始まりますと、私どもいろいろ事前に防ぐということができるようになる。それが期待できるという意味では、これを施行されてから、いよいよ自信を持ってまた多くの国民に呼びかけていただくということをぜひお願いしたいと思っております。 それで、時間もありませんけれども、この子供、児童に関して、また広く教育に関して私の申し上げたいことは、事件が起こったからこれを何とか対策する、一つ一つこうやって、例えば刑法犯が多くなったから少年法を強化するというような対応の仕方では、この問題というのは根本、基本はなかなか解決できないなという心配を私は持っていまして、これはもう、言ってみれば、家族というものは何か、子供というのはどういうふうに育てなければいけないか、そこから出発しなければならない問題ではないかな、こう思うわけでございます。 私はここに、青少年アンビシャス運動という概念を一つ持ち出したいと思っています。 これは、端的に言えば、私の福岡県の県知事の主唱で、子供たち、青少年を育てるには、このアンビシャス運動というのを通じてやろうということなのです。ボーイズ・ビー・アンビシャス、少年よ大志を抱け。志ということをやはり子供たちに持たせなければ、どんなに規制をし、予防しても、まず子供たちを根っこから鍛え直す、育て直さなければ、教育問題には本当の意味の解決というのはない。これは、恐らく古くて新しい問題、人類にとって、また国やら行政にとっての永遠の課題であると思いますけれども、そういう観点から子供を育てていかなければいけない。要するに、子供たちに夢やら志、野心とは言いませんけれども、そういうものを持たせるような教育、社会をつくっていくということがやはり必要であると思います。 それには、例えばスポーツでも、もちろん勉強でも、芸術でも、科学でも、趣味でも、何か社会において積極的な価値に向けて邁進するんだ、子供たちがそれを持つことによって一生懸命それに向けて努力をする、要するに、中から自然に努力するような子供たちをつくっていかなければならないな、こういうふうに思っているわけであります。 ちなみに、ここにこういうラフなデータがあります。外国との比較で、休日にしていることを中学生に聞くと、ぼうっとしているというのは、日本は五五%、アメリカは四五%、中国は四・八%。日本の中学生は暇なときにぼうっとしているのが半分以上だ。それからもう一つ、将来の目標をはっきり決めているというのは、日本の中学生は一七・五%、アメリカは四六・七%。高校生は、日本は二三・九%でアメリカは四四・七%。要するに、ぼうっとしている、それから将来の目標を持っているかどうかについては、これはアメリカと日本だけの比較で見ますと、いずれも半分以下ですね。やはり、目標を持つ、志を持つということの大事さというのを訴えなければならないと私は思っております。 この福岡県のアンビシャス運動の会長に江崎玲於奈博士がおられるんです、この方は福岡の人かどうか知りませんけれども。この人がいろいろ書いているんです。子供たちをアンビシャスにするためには、大人もアンビシャスにならなければならない。子供を育てるのに、例えばスポーツがうまくなれとか、ピアノがうまくなれとか、こういうことを、やはり子供だけじゃ足りませんので、大人が一緒になって育てていく。ですから、そこには、親が子供を虐待していじめるとか、子供が非行にいくような、そんな暇がない。 暇がないということが実は大切なことなんですよ、人生において。実は、私なんかも選挙で忙しいんです。選挙で忙しいものだから実は悪いことをする暇がない。本当なら、暇ならちょっとは非行にも走りたいなとか、そういう誘惑に駆られることもないわけじゃないけれども、何しろ選挙が忙しいものだから、その暇がない。 暇があるないは別としまして、とにかく一つ事にきちっとした目標を定めて突き進むというところが大事であって、今の日本の子供たちがこういう形で十分でない、アンビシャスでないということについて実は根本的な問題があるのではないかというのが私のきょうの結論ではあるんですけれどもね。 だから、確かに、虐待はきちっと予防せないかぬ。それは社会の制度として非常に大事です。しかし、それはそれとして、まず根っこからつくりかえるということを私どもしていかなければならないな、こう思っているところであります。志を持て、これを大人も社会も、また政治も行政もそれを推し進めるということが大切ではないかな、私はこう思うわけであります。 私は、長い目で見れば少子化問題なんかもそれに似たようなところがあると思うんですね。やはりそういう子供たちを持たせるとなると、親も、たくさん子供を産んで立派な子供を育てたいという希望が親の中からわき上がってくるような、そういう社会にしなきゃいけないな、こう思います。 子供は天使、国の宝、子供は未来への投資である、私はこういうような標語を持って今の教育問題、少年問題に取り組もうと考えております。折しも演歌の「孫」というのが大衆化しましたけれども、こういうように、やはり将来の私どもの国の宝は子供なんだという観点から行政も政治もこれからしっかりやっていかなきゃいけない、こう思っておるところであります。 時間が参りましたから、私の意見陳述、質問は終わらせていただきたいと思います。以上であります。
○青山委員長 次に、中津川博郷君。
○中津川委員 民主党の中津川でございます。 いよいよあと四日後に児童虐待防止等に関する法律が施行されるということでございますが、それに至るまで、この委員会においても平成十一年の七月二十二日から大変御熱心な議論がなされて、関係各位の皆さんたちに心から敬意を表したいと思います。 先ほどいろいろ資料をいただきました。まずもってびっくりすることは、虐待の相談件数が非常にふえている。平成九年度が六百八十七人、平成十年度が八百九十五人、十一年度に至っては千四百三十一人である。この法律が五月に成立したわけでありますが、この半年の間にもかなりの数増加している。 折しも、きのうも夕方のテレビで、三歳児せっかん死、容疑の母親逮捕、佐賀県、こういうニュースが流れました。これは、三十一歳の主婦が三歳の長男をせっかん死させた、子供が言いつけを無視して冷蔵庫をあけたことに腹を立てて、四時間半にわたって、手足をビニール袋で縛り、頭などを殴って死亡させた疑いだというふうに報じられておりますが、非常に悲惨で、また悲しい事件であります。 今回の法律は、所管が厚生省、警察庁であるというふうに承っておりますが、実は、先ほどの委員の質問にも文部省がお答えになっておりましたが、これはやはり教育の問題ではないだろうか。 幼児体験、児童体験というのは、子供の成長に非常に影響を、大きくなってからも与えております。きのうの事件も、まだ正確な情報ではありませんが、実はこの母親も幼児のときに虐待体験を受けていたという報道も一部の報道機関でなされておったように承っております。要するに、小さいときに経験したこと、体験したことというのは、その成長過程だけでなくて、大人になってからも、非常に大きく心の中に、ぬぐい去ることのできないものとなって残っている。ですから、それだけ幼児と児童のときの体験、経験というのは非常に重い意味を持つんだということを改めて感じているわけであります。 幼児期の母親のぬくもりとか、お母さんが読んでくれた絵本とか、語ってくれた昔話とか、あるいは父親と一緒に行った遊園地、一緒に遊んだキャッチボール、時には勉強も教えてもらって、お父さんはよく漢字を知っているなとか、親を尊敬する気持ち、そういう親子のコミュニケーションというものが成人になって非常に大きな影響を与えるというふうに思っておるんです。ですから、児童虐待というものを幼児期に持ったら、もうこれは一生消すことのできない深い傷となって残ってしまう。 そこで、私は、まず文部省の考えを聞きたいと思っているのですが、教育の現場で、やはり児童虐待が起こらないように、親が愛情を持って子供に接することができる、母親業でも、そういうふうに呼ぶこともありますけれども、親に対する教育といいますかPRといいますか指導、これも非常に大事だと思うのです。 それと同時に、先ほど、虐待の予知、心のサインというものがあったときにどうするかということにお答えをいただいたわけでありますが、今度は、虐待を受けた子供についての対応、これはまさに学校を挙げて、地域を挙げて、生徒とともに取り組んでいくべきものではないかというふうに思っているわけであります。 今回のこの法律が施行するに当たり、ひとつ文部省のお立場としての御所見を承りたいというふうに思います。
○白川政府参考人 お答え申し上げます。 まず、今回の法律の成立を受けましての文部省の取り組みでございますけれども、先生御指摘のように、私どもも、児童生徒が健全に成長していく上で最も信頼を寄せるべき親からの虐待、これは子供の心に非常に大きな傷を与える、非常に憂慮すべき問題であるというふうに考えております。 まず、学校におきましては、子供の日常生活を含めまして、日ごろから子供の状況を先生がよく把握をしながら教育を行っていくということが大切なわけでございますけれども、こうした中で、把握した情報に基づきまして、児童虐待の早期発見のために児童相談所等との連絡を密にして適切に通告をしていくということは、大変重要なことであるというふうに認識をしております。 文部省はこれまでも、児童虐待を発見した場合の通告義務につきましては関係者への周知に努めてきたところでございますけれども、本年五月のこの新しい法律の成立を受けまして、学校教育関係者に対しまして、新法の趣旨について、文書でございますとかいろいろな会議の場で繰り返し周知方の指導を行ってきたところでございます。いよいよ来週月曜日から法律が施行になるわけでございますけれども、文部省といたしましても、この機会に改めて学校教育関係者に通知を出すつもりでございまして、児童虐待に対する適切な対応、これについての周知方を図ってまいりたいというふうに思っております。 それからもう一点、先生の方から、保護者と申しますか親に対する働きかけが重要ではないかということの御質問がございました。 私どもの方で、きょうはここに持ってきたのでございますけれども、家庭教育手帳、ノートというのをつくりまして、これは、親御さんが家庭を見詰め直して、自信を持って子育てに取り組んでいただく契機となるように、母子保健の機会等を通じまして乳幼児を持つ親、それから小中学校等を通じまして小学生、中学生を持つ親御さん全員に配付をしておりまして、その中では子育てについてのいろいろなヒントを盛り込みまして、親御さんに利用していただいておる、そういう取り組みもしておるところでございます。
○中津川委員 まだ現場の先生においてはこの法律が十分に周知徹底していないようなところも感じられますので、とにかく現場の先生によくこの内容を知ってもらうと同時に、お母さんたちにも、保護者の方にも、これこれこういうふうに、今度はこういう法律が施行されるんだ、みんなで一緒になって児童虐待をなくすようにしていこうということで、それをひとつ頑張ってやっていただきたいというふうにお願いを申し上げます。 そこで、少し児童虐待防止法に関する法律の中身に入っていきたいと思います。 今回は、今まで親がしつけと称して実は虐待だった、こういうことが許されないと申しますか、児童虐待の定義が明文化された。第二条、四項目にわたりましてあるわけですが、一番目が、「児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。」二が、「児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。」三番が、「児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。」四番目が、「児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。」一番目が身体虐待、二番目が性的虐待、三番目が保護の怠慢、拒否、英語でネグレクト、こんなふうに言われておりますが、四番目が心理的虐待ということであります。 先ほどいただいた資料を拝見しておりまして、相談の内容が、性的虐待が五%、平成九年、十年、十一年度、非常に少ない。これはある専門家に言わせますと、日本の場合は非常に顕在化されていないのではないだろうかと。外国の場合は物すごく多いらしいのですね。日本人の国民性といいますか、なかなかそれを表に訴えることができない。三十代、四十代になって落ちついたときに初めて、自分は過去にこういうことがあったんだと語ることがある。この辺のところをどの程度把握しているかという点が一つでございます。多分これからは性的虐待の数字が非常にふえていくのではないだろうか、こんな危惧もされているわけであります。 次に、心理的虐待の増加が物すごく著しいわけですね。平成十年度が六百五十人だったのが、十一年度は千六百二十七人であります。特にこの心理的な虐待というのは、他の虐待と違って非常に目に見えないものでありまして、これをいち早く発見し、そして対応していくということが大事だと思いますが、これの早期発見のためにどういうような対策を講じているのか、お伺いしたいと思います。
○真野政府参考人 二つ御指摘がございました。 一つ目の性的虐待の件でございますが、御指摘のとおり、相談所におきます統計といたしましては全体の五・一%というような数字になっております。この数でございますけれども、性的虐待ということについていえば、児童がそういう虐待を受けていることについてなかなか外部に相談しにくいのではないか、また心理的虐待と同じようになかなか外からはっきりわかりにくいというようなことから、先生御指摘のとおり、やはり表面化しにくい面が非常に強いのではないかというふうに思っております。 そういう意味で、これをどうやって、きちんとした相談、そういうことができるような状況にするかということでございますが、やはりそういう状況を考えますと、電話での相談など、児童から相談しやすい体制を考えていく必要がある。それから、それを相談することが恥ずかしいことではないというような、そういう相談をきちっと受けとめてくれるところがあるのだということをPRしていく必要があるというふうに思っております。 それからまた、心理的虐待でございますが、非常に目に見えない状況であるというようなことから、これもなかなか発見が難しいということでございますが、ケースがふえてきているということについて言えば、やはりそういう状況が、恥ずかしくなく相談をするのだというようなことが徐々に浸透してきたのではないかと思います。 そういう地道な相談窓口の整備とともに、先ほどちょっと御説明を申し上げましたが、一歳半健診なり三歳児健診のときに、心理相談職員でありますとか保育士が観察をするような予算要求を今いたしております。なかなか外に見えにくいという状況に対して、やはりプロの目で見て、ひょっとしたら何か異常があるのではないか、それで、もしそういう相談で悩んでいるようなことがあればということをできるだけ端緒としてつかみたいということで予算要求もいたしておりまして、そういうような面で努力をしてまいりたいというふうに思っております。
○中津川委員 心理的虐待を受けた子供に対するケア、対応、もっとこれから突っ込んだ議論をしたいところなのですが、質問時間が制限がありますので、ぜひ、特に心理的虐待を受けた場合の対応、体制を充実してやっていただきたいということを強く要望しておきます。 最後の質問となりますが、今度の法律の九条におきまして、幼児虐待の立入調査の規定が設けられております。第九条、要するに、都道府県知事が、児童虐待が行われているというおそれを認めた場合、立入調査ができるということが明記されているわけであります。 児童相談所の現場の人たちから聞くところによりますと、従来、児童福祉法第二十九条にもこういうようなものがあるわけで、余り変わらないのではないか、実効性はどうなのだろうかというような心配があるようでございますが、それについてお聞きしたいというふうに思います。
○真野政府参考人 この児童虐待防止法をおつくりいただきますときに、当委員会でも御議論がございまして、この二十九条の立入調査というのが、法文上は児童福祉法第二十八条の規定による措置、要するに、家庭裁判所におきます判定というものをとるため、必要があると認められるときは立入調査が行えるということになっておりまして、私どもは、家庭裁判所との関係ももちろんでありますが、児童虐待のおそれがあるときにはこの二十九条で立ち入ることができるのだということをお示ししておったわけですが、現場の児童相談所の方々の中には、やはり明文でもってそれが可能になるようにしてほしいというお話がありまして、この第九条が規定されたというふうに思っております。 明確に虐待が行われているおそれがあるときは立入調査ができるわけでございますので、そういう意味では非常にはっきりしたし、そしてまた、先ほど警察庁の方からお話がございましたように、警察官の協力も得られる、それも明文上はっきりしたわけでございます。 私どもとしては、従来、ぎりぎりの段階で現場としていろいろ判断に御苦労があったというふうに聞いておりますが、そういう面に関しては、今回のこの法律の九条によってきちっと対応はできるようになったというふうに考えております。
○中津川委員 今のお答えに関連しまして、この法律の第十条に、今度は警察官の援助の規定が設けられております。警察庁としては立入調査にどの程度かかわっていくのか、具体的なことと決意をひとつお聞きしたいと思います。
○黒澤政府参考人 ただいま厚生省から立入調査について答弁がございましたけれども、児童福祉法による立入調査に際しましても、具体的規定はございませんでしたが、かねてより必要に応じまして警察官による支援を行ってきたところでございます。 今回、この法律によりまして、今委員御指摘されました十条で警察官の援助という規定が明記されたわけでございまして、私どもといたしましては、児童相談所長等と私どもとの連携協力がより一層円滑かつ効果的に行われるものになる、また、そうしなければいけないと考えておるところでございます。 そしてまた、私どもの具体的な対応でございますけれども、児童相談所長等の立入調査に際しまして、保護者あるいは第三者から抵抗を受けるおそれがある場合などであって、児童相談所の所長等だけでは職務執行することが困難な場合に警察官の援助が求められるのではないかと考えておりますけれども、そういった場合に、警察官は、例えば職務執行の現場に臨場したり、あるいは現場付近で待機をいたしましたり、状況によっては児童相談所の職員と一緒に立ち入る。あるいはまた、保護者等が暴行、脅迫等により職務執行を妨げようとする場合、児童への加害行為が現に行われようとする場合、こういった場合等におきましては、警察官職務執行法に基づきまして警告を発する、あるいはその行為を制止する、あるいは住居等に立ち入る。さらにまた、現に犯罪に当たる行為が行われている場合には、刑事訴訟法に基づきまして検挙措置を講ずる。こういった活動を行ってまいるという考えでございます。 私どもといたしましては、法の趣旨を踏まえまして、適切な援助に努めまして、児童の保護に万全を期してまいる所存でございます。
○中津川委員 ぜひお巡りさんも、毎日いろいろ不祥事が出るような御時世でありますので、この法律で、ひとつ市民の中に溶け込んで、頼れるお巡りさんに、アメリカなんかはスクールポリスなんというものがあるそうで、非常にこれが機能しているというふうにも聞いておりますが、子供たちを救うのだ、子供の教育の一環にお巡りさんもかかわっていくのだ、そういう汚名挽回ということも含めて、ひとつ期待にこたえて、この法律が有効に実施できるように頑張ってもらいたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせてもらいます。
○青山委員長 次に、田中甲君。
○田中(甲)委員 二十五分間の時間をいただきまして、質疑をさせていただきたいと思います。 児童虐待防止に関する法律、二十日に施行されるわけでありますけれども、その経緯を少し振り返ってみます。 一九九九年に、通常国会が始まると同時にこの特別委員会が設置されました。三月のことであります。この児童虐待を集中的に審議していこうと決定されたのは、その年の七月、昨年の七月でありました。その年の十二月に、この特別委員会で決議を行う、そんなことが最初にこの委員会の総意として提出がされました。そのときの議事録が残っておりますけれども、八項目、早急に対応していかなければならないという項目が挙げられた後に、「また、立法府は、本問題の早期解決を図るため、児童福祉法その他関連法の必要な法整備を早急に講ずることとする。」この一文がつけられました。 その後、年がかわって通常国会に入るわけですけれども、この通常国会では、当特別委員会が存続されることが難しい、存続が危ぶまれるということなどもありまして、いっときは、かなり当時の理事のメンバーで力を合わせて国対に申し入れをして、特に青少年問題は大切なんだということの理解を得なければならない、そんな時期もございました。 四月に、またこの審議を進めていく中、五月、衆議院本会議で全会一致、同じく五月の十七日、参議院本会議で全会一致、その後解散を迎えるわけでありますけれども、現百五十臨時国会で、十一月の七日閣議決定、十日公布、そして二十日に施行ということになるわけであります。 建物を建ち上げるときのことに例えて申し上げるならば、きょうは竣工、披露式とでも申しましょうか、やっと法律ができて施行されるのかなという感があります。大変にうれしい部分もあるのですけれども、しかし問題が問題だけに、建ち上がった建物に住んでみて、本当に住み心地がいいのか。つまり、現場の皆さん方に使い勝手のいい法律ができたということをしっかりと言ってもらえるものにしなければいけない。そういう意味では、今は、この法改正を行ったのは、現状を後追いして法律をつくり直した、やっとできたのではないか、そういう感があるのです。 先ほど局長のごあいさつの中で、十一月二十日の施行日は、くしくも一九五九年、今から四十一年前ですが、国連第十四総会において児童の権利に関する宣言が採択された日ですということを言われました。確かに、この児童宣言では、「児童は、あらゆる形態の放任、虐待および搾取から保護されなければならない。」と第九条の中に書かれておりまして、そういう意味では意義深いのですけれども、余りにも時間がかかり過ぎている。現場が運用の中で対応してきたけれども、法的には定義すらなかったということですから、これは余り褒められたものではないと思うのです。 これからが勝負なわけですけれども、三年後に、さらに見直し規定というものが設けられています。この見直しのときに、虐待という問題で残念ながら家庭の中でトラブルが発生した親子の再統合に向けて、一緒にまた生活することができるように現場組織というものがいかにあるべきかというものに三年後は踏み込んで、そのときに、さらに新たな法整備も必要になるのではないか。 そんなことを考えながら、前置きが長くなりましたが、きょうの質問の中では、運用面での確認とあわせて三年後を洞察しながら質疑をしていくことができればと思っています。 まず冒頭に聞かせていただきたいのは、新しい法を施行する前に当たりまして、関係者、各都道府県、政令指定都市の体制整備、この状況は厚生省としては今十分にできている状態と考えているのか、受けとめているのかいないのか。簡潔で結構です。
○真野政府参考人 先ほど御説明のところで申し上げましたように、施行を間近に控えまして、昨日、都道府県の児童福祉主管課長、それから児童相談所長さんにお集まりをいただきまして御説明いたしました。相談件数が急増しているという状況の中で、都道府県も児童相談所も対応に大変な努力をしていただいているというふうには思います。そしてまた、一部の県によりましては、児童福祉司並びに心理判定医を倍増したという県もございますけれども、正直に申し上げまして、では万全かという先生の御質問に対しては、なかなかまだそこまで胸を張ってお答えのできる状況にはないと思っております。
○田中(甲)委員 そういう答弁があると、委員の皆さんが錯覚するといけませんからあえて言わなければならないのですが、青森県の場合には確かに合計で倍増する、十六名が三十二名に、これは任用の部分も含めてですけれども。そういうのはありますが、それは極めてレアケースであって、そこまで伸びている県というのは数えるほどしかない。 私もきのう、実は、説明がありました全国児童福祉主管課長並びに全国相談所長合同会議に同席しておりました。話を聞いておりました。厚生省が法を直したので、法のよしあしを問うよりも、今度は各都道府県における、あるいは児童相談所の運用自体、あなた方の努力が問われる番ですよと言わんばかりのあいさつがあったとも聞いているのですけれども、そういうことではまだまだ、そういうことを言っていいような、理解されるような状況には、残念ながら立法府サイドあるいは厚生省も至っていないと私は言わざるを得ないと思うのですよ。 それで、具体的に問題を確認していきたいと思います。 法改正をして現場が混乱しないために、児童相談所の運用指針あるいは子供虐待対策の手引というものが事前につくられて配付されてしかるべきだと思うのですけれども、昨日行われたこの会議ぐらいでありまして、まだまだ現場は戸惑っていくというふうに考えるわけですね。あるいは補正予算の中で、あなたの通報が子供たちを守ります、仮称でありますけれども、こういうものがつくられると言われているけれども、まだ実際にはできていない。そうですね。
○真野政府参考人 確かに児童相談所の運営指針なり手引も、早くお示しをすべく努力をしておったわけですが、施行間近になり、また昨日の課長会議で初めてお配りをするような状況で、おくれたことは私ども大変申しわけなく思っております。
○田中(甲)委員 了解です。議員立法ですから議員の責任もありますので、それは同罪だと思っているのですけれども、まあ罪ということはないのですが、一緒に努力をしていかなければならないと思っています。 予算も概算要求で倍増させた。非常に評価したいと思うのです。もっと予算をつけていかなければならないし、それはこの特別委員会の野党の議員の中でも積極的に応援する、大蔵省に対して出向けと言うなら出向きますから、子供たちの命を守る環境を整備していくという面でどんどん予算をつけていってもらいたい。今回の補正予算の中でも、たしか二百八億円ですか、その補正予算を随分有効活用するということを聞いていますし、十三年度の予算も、今申し上げたように後押しをしていきたいと考えています。 ただ、相当通告がふえてくると思うのです。今の段階でも、この法律改正が行われたというところで、一千件以上も増加しているというそんなデータも私のところに入ってまいりまして、またさらに、整備が進んでいたアメリカを見てみますと、人口では倍ですけれども、アメリカの件数は三百万件、認定されたものがそのうちの百万件というぐらい通告がふえてきて、現場がどうしようもない状態、パンク状態になっていくのではないかという危惧が持たれるわけですね。 最初に、人材、人の問題でお聞きをしてまいりたいと思います。 この交付税の措置をもって各県に児童福祉司が増員されるということになっていますが、私の試算では百七十万人について一名増員という計算が出てきたのですが、それでよろしいですか。
○真野政府参考人 先生の御試算が、もし、児童相談所が人口百七十万に一つ、そういう児童相談所の児童福祉司を標準団体当たり十六名から十七名ということで、標準団体が人口百七十万ということで想定しておればそういう計算になります。
○田中(甲)委員 各県で一人ぐらいという目安でいいですか。
○真野政府参考人 標準団体がそういうとり方をしておるということであれば、そういうことになります。
○田中(甲)委員 これではまだまだ対応が十分にできる体制に改善されたとは言えないと思うのですが、来年度の予算要求の中、これからどのように考えていらっしゃるか、お考えをお持ちでしたら。
○真野政府参考人 昨年も十六人から十八人と二名増をお願いしたわけですが、結果として十七名ということで一名増になりました。 私ども今、今年度は自治省の方に二十名にしてほしいということでお願いを申し上げております。
○田中(甲)委員 私たちも応援しますので、積極的にその交渉を進めていただきたいと思います。 任用資格についてお聞きをいたします。 この任用資格に社会福祉士を加えたということでありますけれども、さらに、前各号、心理学の専攻者あるいは医師などに準ずる者であって、児童福祉司として必要な学識経験を有するものというその内容を今回改正しました。「前各号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者であつて、厚生省令で定めるもの」というふうに改正したわけであります。 ある意味では、厚生省を信頼して、内容を厚生省で定めるということになったんですが、この準備はいかがですか。
○真野政府参考人 これも先生よく御承知のとおり、任用の問題につきまして、法律をつくるときに御議論がございました。そのときにも申し上げましたように、すぐれて自治体の人事の問題にも関連をしてくる、そして、そういう資格をお持ちの方をどうやって自治体が確保していただけるかというところも……(田中(甲)委員「いっぱい聞きたいものですから、済みません、簡潔な答弁を」と呼ぶ)はい。また御質問があろうかと思いますけれども、そういう状況を踏まえて私ども早急に検討したいと思いますが、今のところは、どういうものを想定しているというところまでは詰まっておりません。
○田中(甲)委員 早急と今答弁されましたが、期間的にはどのぐらいを考えていらっしゃいますか。
○真野政府参考人 二年以内ということでありまして、私どもとしては、やはり来年の人事それから十四年の人事というようなことを考えまして、できれば十四年の人事には間に合うようにいたしたいというふうに思っております。
○田中(甲)委員 もっとスピードを上げていただきたいという意見がこの委員会の中で出された。二年以内というのは、理事懇の席の中で随分、三年後の見直しですとか、任用の規定の改正に関しては何年後にするんだとか、いろいろありました。しかし、二年以内、以内という言葉の方を強調して受けとめていただきたい。いろいろ大変な面もあります。だから二年後に判断をしますけれども、二年以内に整備するんだということですから、早急な対応ということを求めます。 さて次は、来年度予算の概算要求で、児童福祉司の人材養成として児童福祉司任用資格のために通信教育を実施する、ここに三百万円を要求していますが、これは非常に評価したいと思います。しかし、十分と言えますか。
○真野政府参考人 これは今との関連もございまして、児童福祉司、かなりの方がいわば準ずる資格ということで入っているわけですので、私ども、できるだけ二年以内ということを目標に、少なくとも手を挙げていただける方がそういうふうになれるような形で要求しているわけですが、これで十分とは思っておりません。
○田中(甲)委員 私も十分とは思いませんので、ぜひこれを積極的に進めていただきたいと強く要望いたします。 と申しますのは、現行福祉法で規定されている任用資格の一つは、厚生大臣が指定する施設を出た者、修了した者となっていますね。この指定した施設というのは全国に三カ所しかない。そうですね。これだけではやはり十分とは言えないと思うんです。今後も増設していただきたい、そう希望するんですが、いかがでしょうか。
○真野政府参考人 確かに、福祉司を養成する施設としては三カ所でございます。ただ、福祉司になれる資格は、先生も御承知のとおり、心理学でありますとか福祉学を修めた方でございます。最近、福祉学科は大変ふえてきております。そういう意味では、いわば基礎的な能力のある方はふえてきているんではないかというふうに思っております。
○田中(甲)委員 埼玉県は国立の児童福祉施設に併設、東京都は上智社会福祉専門学校に併設という形ですから、やはり基本的には、国立の福祉施設への併設ということを積極的に考えていく、しかし、それでも補えないところはこの通信教育を実施してのそういうシステム、それをバランスよく、機能的な体制というものをつくり出していただき、そして、先ほど来質問させていただいているように、現場の人材の不足ということに対応していただきたいと思うわけであります。 きのう会合に出席をさせていただいて、おやおやということを聞いたんですが、厚生省の計画では、来年度から、親へのカウンセリングとして、嘱託として年間七十万円の謝金を精神科医に払うとしている、そういう話を聞いたんですが、これは事実ですか。
○真野政府参考人 児童相談所におきましても精神科医がおるということになっているわけですが、実際いろいろな面でこういう問題がふえてくるだろうというようなことで、さらに地域の精神科医の協力も得るという意味で予算要求をしているものでございます。
○田中(甲)委員 その際に、児童精神科医について非常に措置が薄いように思うんですね。もっと求められていく、非常に重要な経験を持った児童精神科医師に対する対応というのはいかがでしょうか。
○真野政府参考人 先生御指摘のとおり、児童精神科の専門の先生が日本の場合には非常に少ない、私どもそういうふうに聞いております。これは、特に精神科のお医者さんをどういうふうに確保していくかという問題とも関係をいたしておりますし、さらにその分野で、児童精神に関心を持っていただくお医者さんをどうして確保していくかという問題もございます。そこはやはり、逆に言いますと、社会的な要請が、どの程度そういう医学を勉強される、特に精神医学を勉強される学生にあるのかというようなこととも大きく関連をいたしておりまして、また私ども、障害福祉部とも協力して、そういう面の確保に努力していきたいと思います。
○田中(甲)委員 ありがとうございます。 さらに、全国に入院施設を持つ児童精神科はたった十二カ所しかないということでありますね。心のケアを行う施設というものが圧倒的に不足している。そのことは、やはりこの施行に当たっての委員会質疑の中で出されたということを議事録にしっかりと残して、三年後の見直しに、三年後、私は議員でいるかどうかわからないんですけれども。局長でいらっしゃらないですね、多分。やはり、しっかりとここで残しておかなければいけないということを思います。将来の議員に、ここをまた引用して、三年後の見直しのときにはしっかりと、児童精神科医、全国で四百人未満の数しかいない、つまり、水島議員に聞くと、専門医であって生活できる環境ができていないということのようであります。その辺を、やはりこの問題とあわせてしっかりと対応していかなければならないと思います。 さて、施設の問題に入りたかったんですが、残り時間があと五分を切りましたので、この辺ははしょってまいりたいと思います。 例えば、恩寵園のような、あの問題が起きて、子供たちの精神的な問題、トラウマというものを取り除いていくためには、やはり精神科医というものが必要になっていくでありましょうし、そのための施設というものが大切だという指摘をしたいと思います。 それから、認可外保育園の問題でありますけれども、特に神奈川県のスマイルマムの問題が浮き彫りになってきた中で、つまり、全国では八千八百五十六カ所、子供の数では二十一万四千人に上るということが言われていますが、本当に各都道府県の中で、あるいは厚生省がそのことを把握されているのか。認可外の保育施設ということでありますから、立入検査や指導があっても、認可外ということで、逆に、認可を取り消されるという心配がないわけですね。ここは今回の児童虐待問題を考えていく中で網羅されていない点でありますから、やはり本質的な解決ということを厚生省は常に考えてもらわなければ困る。つまり、これは、認可保育園や公立保育園の絶対的な量の不足ということが、指摘しなければならない点なんだろうと思います。 我が党のPRをするわけではありませんけれども、ゼロ歳児保育並びに二十四時間保育の確立ということを目指して、厚生省も積極的な対応を行ってもらいたい、児童虐待の防止というものを、つくった法律の中で完結していくことも大事ですけれども、やはり、そこから外れてしまっている問題点にもしっかりと目を向けてもらいたいということを御指摘させていただきたいと思います。 法務省にきょうはこの委員会室に来てもらっていますけれども、懲戒権について御質問をさせていただきたいと思います。 私は民法が不磨の大典だと考えているわけではございません、必要があれば見直していくことは常にやっているし、これからもやっていきたいということを民事局長は九九年の七月二十九日の答弁で発言されておりますね。 私は、この児童虐待というのは、親権を行使して、懲戒権の名のもとに最悪な結末を迎えるケースが多かったのだろうと思うのです。 懲戒場という言葉も、いまだに民法の中には残っています。明治の一時期に懲戒場ということが存在したのですけれども、それから既に百年を経過しているという中で、懲戒権あるいは懲戒場という文言までが入っている、懲戒という言葉が入っている民法の改正ということを、二十一世紀を迎えるこの際、しっかりと我が国日本も考えていくべきだと思うのですが、簡潔な答弁を求めて恐縮でありますが、よろしくお願いします。
○細川政府参考人 民法は、御承知のとおり、親権者は必要な範囲内でみずからその子を懲戒することができるとしております。これは、親権者が子の監護上、子の非行や過誤を矯正して、それを指導するために、必要かつ相当な範囲内で子に対して一定の措置をとることを認めたものでございまして、私どもとしては、これは合理的な制度だと思っているわけでございます。 これを見直すことは、家族のあり方に対する非常に大きな変更になりますので、慎重な検討が必要でございますが、いずれにいたしましても、こういった点の議論を踏まえまして児童虐待防止法が制定されて、近く施行される運びとなっておるわけですので、この運用状況を見きわめた上で、民法の改正が必要だということであれば、その改正を検討していくということになろうかと思います。
○田中(甲)委員 十四条に関連して、今の親権、懲戒権の問題を質問させてもらいました。 懲戒とは、訓読みにすると、懲らしめ戒める権利というものでありますね。ドイツでは、この懲戒権は監護という言葉にかわっていますし、イギリスでは、これは親の責任という言葉に既にかわっています。日本が懲戒という言葉あるいは懲戒場を残した民法を持っているということは、私は恥ずかしいことだと思うのですが、検討していただきたいと思います。 親権の一時停止。これは、身上監護権の喪失、停止、いわゆる一部一時停止というものに切りかえていかないと、現在の児童虐待防止法のこの運用の中でもまだまだ障害が残っていると思います。親権をドイツのように身上監護権と財産管理権に分けて、細かく対応のできる、現場が使い勝手のいい法改正がされたということにはまだまだなっていないということを最後に申し上げまして、私からの質問とさせていただきたいと思います。 ありがとうございました。
○青山委員長 次に、池坊保子さん。
○池坊委員 公明党の池坊保子でございます。 私の四年間の政治生活の中で、私が最も喜びを感じ、そして充実感を感じたのは、この委員会で児童虐待防止法を成立させたことでございます。 先ほど田中委員からもお話がございましたように、この委員会は新しくできた委員会だし、そこで新法をつくるのはどうかという声もありましたし、またさまざまな障害もありましたけれども、私たちは、党派を超えて、二十一世紀の日本を支える子供たちに、もし有害な環境があるならば、それを排除し、心安らかに、そして温かな環境をつくってあげたい、その目的を一つにしてこの虐待防止法を成立させることができました。 今、国会は騒がしいですけれども、少なくともこの委員会では、みんなが政治家として何をなすべきかの責務を考え、その役割のために一生懸命頑張った。これこそが私は政治家の原点ではないかというふうに思っておりますし、私はいつもこの心を忘れてはならないのだと自分自身にも言い聞かせ、この委員会でこの法律ができたことを誇りとも思い、また大切にも思っております。 でも、子供を産むのは易しいけれどもそれを育てる方が難しいように、これをどんなふうに運用していくかが私たちつくった者の責務でもあると思っておりますので、私は、この児童虐待防止法に対しては、深い愛情を持ちながら運用を見詰めていきたいというふうに思っております。 運用するに際しては、言うまでもなく、行政の方々のお力添えがなくては運用ができないわけです。 現場で、地方自治体で私はいろいろと聞いてまいりましたところ、例えば、この新しい法律では警察の力をかりることが多いわけですけれども、警察は、今まで民事不介入でやってきた、一体何をしたらいいのかという戸惑いもございますし、それから、どういうことをしなければいけないかというような通知もまだ受けていないということです。 そしてまた、例えば保健所なんかでも、乳幼児健診というのがありますから、そういう中での通告というのがあればいいと思っておりますけれども、乳幼児健診は障害の発見であって、そのような児童虐待までは心配りをしていないという回答などがございました。 私は、運用に対しては一体どうなっているのだろうか、これは厚生省が中心となって他省庁との連携強化が大切と思っておりますけれども、その点については、例えばまだ手引とか指針というのもできていないという実情だと思いますので、お伺いしたいと思います。
○真野政府参考人 先ほど田中先生からもおしかりを受けましたように、まだ、指針それから手引、昨日の課長会議で初めて、しかも案としてお示しをしたような状況で、大変準備がおくれていることを申しわけなく思っております。 ただ、おっしゃられましたように、いろいろな関係機関がこれに一致協力して当たるべきだ、それは、私どももそう思っておりますし、警察庁もおられますが、全員そう思っておると思っております。 また、虐待防止の協議会もつくっております。また、都道府県レベルにもそういうのがございますので、大変施行間際になったわけでございますけれども、施行後速やかにそういうところに私ども説明をいたしまして、関係機関での連携を十分とれるようにということをしてまいりたいというふうに思っております。
○池坊委員 警察はどういうふうな対応をしていらっしゃるか、ちょっと手短にお教えいただきたいと思います。
○黒澤政府参考人 ただいま手引、指針等のお話がありましたが、私どもは私どもの立場で準備をいたしておるところでございまして、厚生省の手引、指針等を踏まえた立派なものをつくりまして、全警察職員に事案の認知、対応要領についての指導教養を徹底いたしまして、そして早期発見に基づく確実な通告に努める。また、警察官の具体的な援助要領ですとか児童の保護の役割分担等についての意見交換、児童相談所を中心としたネットワークへの積極的な参加、こういったことなど、関係機関それぞれの特性を生かして、その持てる機能を十分に発揮することができるよう、効果的な連携をより一層強化してまいる所存でございます。
○池坊委員 おっしゃったことを、文章だけでなく、必ずやっていただきたいというふうに思っております。 私は、保健所を中心とした合同チームをつくったらどうかというふうに思っておりますので、厚生省の方は、ぜひそういうことも検討していただきたいと思います。 それから、実際の問題になってくるのですけれども、児童福祉法施行令の見直しを含めた専門職員の配置など、児童相談所の相談体制の充実を私は図るべきだと思っております。 言うまでもなく、児童福祉法施行令では、人口十万から十三万に対して一人。これは一九五七年につくられたんですね。つまり、四十三年前そのままで、この間家庭局では、検討するけれども見直しは検討中だという大変に心もとない答えを私は伺ったのですけれども、十年前よりも十倍の相談数を受けているというのが現状ですから、これを同じ人間がやるということでは、とてもパニックになってしまうと思うのですね。 これを調べましたところ、本当に人数というのが足らないのが現状だと思います。それについて、今までと質問が重複するかもしれませんけれども、それだけ私たちが心配しているということなので、お答えいただきたいと思います。
○真野政府参考人 先ほど、田中先生からの御質問もございました。 私ども、できるだけ、まずは現状に対してぜひ増員してほしい。先ほど青森県の例を挙げましたが、決してそれだからうまくいっているという意味ではなくて、各自治体に対して、こういう取り組みをしている自治体もあるんだ、だからもっとそれぞれ各自治体で力を入れてほしいという意味で申し上げたわけでありまして、あれがあるからもういいんだというつもりで申し上げたわけではございません。そういう意味で、ぜひ地方財政当局にも引き続き要望してまいりたいというふうに思っております。 それと、そのほか、今年度も、これは予算措置でございますが、児童相談所に児童福祉司のOBを一名ずつ増員するような予算措置もいたしました。まずは体制整備をして、そして基準の方は、申しわけございませんが、少しお時間をいただきまして検討させていただきたい。 基準を変えても、今、交付税措置でございますので、実際にそういう人員配置をするのは自治体側でございます。そういう意味では、我々は、まずは自治体側にそういう努力をぜひお願いをしたいというふうに思っております。
○池坊委員 今おっしゃったように、地方交付税として出ておりますが、それをすべてこのような問題に使うとは限らないわけですから、国の指導というのが大切だと思いますことと、やはり今地方自治体というのは財政難にあえいでおりますから、どうしてもこういうところが削られていくんです。ですから、私は、厚生省の国のとしてのしっかりとした財政的援助とともに指導というのが必要ではないかというふうに思っておりますので、ぜひこれはしていただきたいと思っております。 それから、先ほど田中委員が恩寵園のお話をなさいました。恩寵園だけでなくて、今世界的に問題になっている児童福祉施設内での子供への暴力、それは、この間の十月五日、国連子どもの権利委員会で暴力行為に対する具体的措置をとるように各国に勧告することで合意したと思います。御存じだと思います。 そして、その勧告草案では、十八歳未満の子供を対象とした児童福祉施設について、体罰を全面的に禁止すべきだと指摘し、国が十分な補助を行うこと、また、施設を充実したり、これは私ぜひやっていただきたいと思うんですけれども、第三者機関を設置して、それが抜き打ちに訪ねて体罰が行われていないかチェックをする、そういうようなものをつくってはどうかということが書いてございます。 それからまた、国が、被害を受けた子供やその家族が被害実態を告発したり相談できる二十四時間のホットライン、あるいはまた市民活動、NPOなんかと連携をとって、そういう苦情なんかが行きやすいようなシステムをつくること、あるいは内部告発を行った子供が罰せられたり――子供たちというのは、例えば、自分たちが苦しんでいる、虐待を受けた、それを県に言う、あるいは地方自治体に言う、だけれども、またその施設に戻らなければならないということがあるわけですから、言ったがために施設の中でいじめられたりすることがないように、そういうようなシステムの構築というのが大切であるという勧告があったと思います。 では、日本としてはそういうことに対してどのような対策をとっていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
○真野政府参考人 二十四時間の相談窓口につきましては、私ども、児童相談所がそういう体制をしいておりますし、また、先ほどちょっと御紹介をいたしました児童家庭支援センターなどの体制をとっております。 冒頭、原田先生に申し上げたんですが、いろいろなところで、文部省もやっておられますし、警察もやっておられます、厚生省もやっております、そういうところで窓口がございますので、それをやはり子供さんにわかりやすく、そういうSOSを発信できる場所があるんだ、そしてそこに気兼ねなくそういう相談をすることができるんだ、そういうことをやはり整備をしていきたいと思いますし、それから、関係機関の間で連携をとって、いわばせっかくのつかまえた端緒を逃がすことのないようなネットワークをつくりたいというふうに思っております。 それから、体罰の問題は、これはもう先生御指摘のとおりでございまして、虐待を受けた子供がまた施設内でそういう虐待を受ける、これはもうあってはならないことでございます。私どもといたしましては、施設の最低基準を改正いたしまして、施設長の懲戒権の乱用というのを禁止いたしております。それから、ことしの九月から、入所している子供たち、それから保護者からの苦情に対応するという、施設にそういう苦情対応の窓口をつくるべきだ、つくらなければならない、そういうことをしております。 それから、都道府県社会福祉協議会に運営適正化委員会というのが設けられることになっておりまして、これがいわば施設内のいろいろな問題に対して指導監督をするということが、今度の社会福祉法の改正で体制が整えられました。いわば、施設を開かれたような形にするということで、そういうものの運用を期したいと思います。 それからまた、先生がおっしゃられたような、相談所に虐待の相談を持ちかけて、またそのもとの施設へ戻るのがいいのかどうか、これはもう逆に言えば児童相談所側の判断権の問題でございますので、そういうようなことは、逆に言いますと、今は、まず、そういうことをせずに、受けとめているんだと思います。 そういうようなことで、今おっしゃられたようなことについても十分配慮していきたいというふうに思っております。
○池坊委員 私は恩寵園の虐待を受けた子供たちとの交流を図りましたけれども、その子供たちが何度も県に訴えているんですね。訴えているにもかかわらず、却下されてしまったという事実。養護施設に入っている子供たちというのは、いろいろな傷を負った子供たちです。虐待を受けた子供とか親に遺棄されている子供たちです。そういう子供たちにさらなる被害というか虐待を加えるということは、本当にその子の人格形成に、立ち上がれないような強い力、強い傷を負わせると思いますので、私は、これは地方自治体への要請をしっかりと行っていただきたいと思うんですね。 恩寵園と同じような事件で、神奈川県の大和市で、御存じのように、無認可の託児所で幼児虐待死事件というのが起こりました。これも、既に死んでしまった子供が、そういう事件が起こる前に、鼓膜が破れたとか、それから手足を骨折したというような不審な出来事が何回も起きていて、この保育園は、そういうことがあるにもかかわらず一年半も営業を続けていたわけです。 では、これは何の訴えもなかったのかというと、そういうことではなくて、昨年七月から計四回にわたって立入調査を実施し、しかも二回目の調査の際には、保育士の増員の指導を行ったにもかかわらず、虐待があったんではないかというような事実があったにもかかわらず、いや、ありませんよということをうのみにして、明らかに責任が施設にあるという確実なる証明がない限り営業妨害になるんじゃないかという弱腰で、県が一たん引いてしまったわけですよね。それで、最後に、死ぬような事件が起きて初めて、もうこれじゃしようがないというふうになった。 つまり、子供が死ぬという事実がなければ県は弱腰であるというのは、私は物を言わない子供たちを保護する立場からいうと、大変に弱いのではないかと思うんです。国としても地方自治体に、そういうことをも踏まえて、適切な指導助言を行っていくべきと私は考えておりますけれども、いかがですか、厚生省。
○真野政府参考人 大和市のスマイルマムは、先生御指摘のとおりでございまして、私どもも非常に、残念にといいますか、遺憾に思っております。 ただ、これも決していいわけではございませんが、無認可保育所の施設閉鎖命令でありますとか、そういういわば伝家の宝刀をこれまで発動したことがないというようなことが、結果として、神奈川県が立入調査を行ったにもかかわらず、踏み切れなかったんではないかというようなこともございます。 私ども、そういう意味では、きちんとした立入調査の結果に基づいてそういうことが行われるような、手続といいますかプロセスをきちっと明示して、こういう場合には、確かに先生が御指摘のように営業権との問題もあったのではないかと思いますが、そういうような問題も含めて、いわばプロセスをきちんと示して、自治体、県の指導がきちっと行われるような道筋をつけるというのが一つ。 それから、私ども、今、実際に都道府県が立入調査をしたときに、どういうところをきちっと見て、どういうところを指摘してくればいいのか、フォローアップの方法もまたあるわけですが、そういうようなことから、専門家の方にお集まりをいただいて、具体的な指導方法をどうするか、それから、困ったときに御相談をいただくような体制、それから、私どもの担当課にそういう無認可保育所への指導を担当する職員を発令して自治体からの相談に対して指導ができるような体制というのをしいておりまして、この無認可保育所への指導というのは、自治体の御協力も得ながら万全を期したいというふうに思っております。
○池坊委員 大人の犯罪に対しては疑わしきは罰せずでいいと思いますけれども、子供の虐待に関しては、ちょっとでもおかしいならば調査をするという気持ちでないならば、私は、通告の義務というのが課せられても、これを徹底することは本当におぼつかないのではないかと思います。ですから、これをぜひ徹底していただきたいと思います。 最後に、私はいつも言っておりますけれども、やはり行政の指導だけじゃだめなのであって、民の力をおかりしなければこの児童虐待というのは対応できないというふうに思っております。 東京都では、都の児童相談所と社会福祉法人子どもの虐待防止センターとが協定書を締結し、お互いに情報交換をしよう、それから役割分担でいろいろな仕事を分け合いましょうというような協定を結んだそうでございます。私は、これは大変いいことではないかと思います。これこそは、本当に官民一体となって子供たちを守るという気持ちが必要だと思いますので、各地方自治体へのこういうような制度の導入の手助けというのを私は厚生省にやっていただきたいと思っております。それについてはいかがでしょうか。
○真野政府参考人 私どももこの問題については、行政機関だけで対応できるというふうには思っておりません。そういう意味では、虐待防止協議会にも、いわゆるボランティアを初め関係民間団体の方にも御参加をいただいておりまして、それぞれその地域におきますそういう団体の御参加をお願いいたしております。 市町村でのネットワークづくり、それから都道府県でのネットワークづくりにそういう方々にも参加をしていただいておりますし、逆に言えば、行政の方からそういうものにぜひ参加してほしいという声かけもしておるはずでございます。そういう意味では、そういうボランティア、民間団体の御協力を得ながら、一体となって対策をしていきたいというふうに思っております。
○池坊委員 児童福祉法の大家でいらっしゃる吉田先生は、大都市では今の児童相談所の職員数では処理が追いつかない、対応できていない、児童虐待防止法は、国や地方自治体が今後どう対処していくかの仕組みをつくった法律であり、本格的な対応はこれからどう運用していくかというふうに述べていらっしゃいます。 本当に、先ほど田中委員がおっしゃったように、家は建てた、だけれどもそこに住む人はいない、あるいは立派な家は建てたけれども、立派とは言いがたい、これから三年後にまた見直しをしなければならない家ですけれども、家は建てた、だけれども、だれもそこに住まないで、それが荒れてしまったということにならないように、それは、これから運用がどうなっていくかを見届けてまいりますのは私どもつくった人間の責任でもあるとは思いますけれども、ぜひ行政機関の方々に、未来の私たち日本を支える子供たちの行く末に大きな影響を与える、日々のことでございますので、私は多大なる支援強化というものを心していただきたいと願って、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○青山委員長 次に、樋高剛君。
○樋高委員 自由党の樋高剛でございます。 本日は、発言の機会を賜りまして、委員の皆様方に感謝を申し上げますとともに、また政府参考人の皆様方におかれましては大変にお疲れさまでございます。本当にありがとうございます。 さて、この春先に児童虐待防止法が成案に至る過程の中で、議員の先生方そして関係各位の皆様方が大変な御尽力をなさったということを改めて私は検証させていただきましたし、勉強もさせていただきました。本日、ここにおいででいらっしゃいます議員の先生方の中で、本当に大変な御苦労をなさった先生方も多数おいででございます。その先生方に対しまして、まず私、一議員といたしまして、心から敬意を表する次第でございます。 さて、今回、児童虐待防止法におきましては、児童虐待の早期発見とか早期対応、早く見つけ出して、そして早くそれに対応しようじゃないかということが規定されておりまして、言ってみますれば、いわゆる児童虐待が発生してからの取り組みが中心になっている、もちろん全部が全部ではありませんけれども、中心になっているというふうに私は認識する次第であります。 児童虐待というものは児童の発育、成長にとりまして心身に大きな影響を及ぼすということから、虐待が発生をしたケースにおける対応ももちろん物すごく重要であります。しかし、その一方で、そもそもその発生を予防することも同様に重要なのではないかと私は考える次第であります。 近年の虐待が発生する原因といたしましては、いろいろな文書にも書かれてありますけれども、核家族化によりまして家庭が密室化していってしまったとか、また育児不安など、ほかにもたくさん理由があると思います。そういった児童虐待が発生する構図というのは、そもそも我が国における社会問題が具体的な形としてあらわれた一つのケースではないかと思うわけでありまして、やはりこのような社会問題に政府としてしっかり取り組む必要があるのではないかと私は思った次第であります。 こうした児童虐待の原因に適切に対応するというためには、やはり家庭内におきまして、それぞれの家、個人個人の家庭におきまして、良好な家族関係の構築、私自身も個人的にもいろいろ反省をいたしますけれども、よい家庭関係の構築とともに、また家族と家庭の役割というものを改めて認識をする、また家庭教育の充実というものが求められているのではないかと思うのでありますが、こういった点につきまして質問をさせていただきたいと思っております。 まず、家庭内における良好な親子関係の構築についてでありますけれども、そもそもこの児童虐待防止法というものは、家族のきずなを一層深め、そして良好な、よい親子関係の構築を図るというための法律でもあると私は思います。 児童虐待というものは、そもそもあってはならないものでありまして、児童虐待防止法の施行により、こうした行為に歯どめをかけるということは重要でありますけれども、一方で、健全な児童を育成するという観点からは、先ほど来委員の先生方がたくさん議論になっておりますけれども、やはり親が子供に必要なしつけをしっかりするということも同時に求められているのではないかと思われるわけであります。 この児童虐待防止法の第十五条におきましては、こうした観点から、親権者、つまり親によるしつけを口実にした児童虐待というものを一方で否定いたしておりまして、適切なしつけが行われるように規定がされているわけであります。親が、時には厳しく、そして時には優しく子供に接することを通じまして、児童が成長していく過程で必要な人格とか知識を身につけさせて社会に送り出す必要があるのではないかと思うわけであります。 こうした親による適切なしつけということは、単に児童の健全な育成のみならず、昨今増加いたしております少年から親に対する犯罪、暴力、また青少年の心の問題の解決にもつながっていくのではないかと総論として私は思うわけであります。 そこで、法務省さんに伺います。 児童の人格形成。児童というものは、そもそも人格形成の過程にあるわけであります。時には、今申し上げましたとおり、親がしっかりとしたしつけをする、そして健全な人格が形成されていくべきものであると私は考えます。 民法上に規定されております親権者のいわゆる懲戒権のあり方について、改めて伺わせていただきます。
○細川政府参考人 御指摘のとおり、民法は懲戒権を定めております。親権者は必要な範囲内でみずからその子を懲戒することができるという規定を置いているわけでございます。これは、親権者が、子の監護上、子の非行や過誤を矯正して、これを指導するために、必要かつ相当な範囲内で子に対して一定の措置をとることを認めたものでございまして、子のしつけを含む教育指導のために必要なものでございます。 乱用等の問題でございますが、児童虐待防止法の十四条でも、児童のしつけに際し適切な行使に配慮しなければならないという規定は設けられたわけですが、民法上も、例えば体罰との問題を考えてみますと、懲戒権の行使には体罰も含まれますが、それは、子の監護上必要かつ相当なものでなければなりません。そういうものであるかどうかは、社会とその時代の健全な常識によって判断されるものであるとされております。 裁判例等によりますと、許容される体罰の程度は、懲戒を受ける子の性格、親権者が矯正しようとする子の非行の種類、性質、程度等によって定められるというふうになっているわけでございます。
○樋高委員 ありがとうございました。 今まで申し上げましたとおり、親によるしつけというものは、子供の成長にとって非常に重要な役割を持っていると考えられるわけであります。 ところで、現在、我が国の現状をかんがみますれば、子育てをどのようにしていいかわからない、また、児童虐待の問題がどのようにして起こるのかわからないといった親たちが非常に多くなっていると思われるわけであります。 かつては、我が国でも兄弟がたくさんいたりして、学生のときから、小さいときから子育てに直接接したり、また近所の年下の子供と接することも多うございました。子育ての大切さ、親としての責任といったことを、日常生活を通じて自然と学んできたわけであります。 こうした子育ての重要性とか子育ての難しさ、また家庭、家族のそもそものあり方について、今の社会ではなかなか日常生活を通じて覚えていくという状況にはなくなってきている。そういった中で、学校教育における役割というのが期待をされてきているのは御案内のとおりであります。 そこで、文部省さんに伺いますが、学校教育におきまして、子育ての重要性、また子供の成長の仕方、家族のあり方ということをもっとしっかりと教えていくべきではないかと漠然と思うわけなんでありますが、いかがお考えでしょうか。
○白川政府参考人 お答え申し上げます。 先生今御指摘になりましたとおり、学校教育において、児童生徒が将来親として必要な基礎、基本を習得できるように、子育ての意義やあり方、家庭を持つことの重要性について理解を深めることは、大変大切なことであるというふうに考えております。 学校教育の現場におきましては、従来から、児童生徒の発達段階に応じまして、小学校の道徳あるいは中学校の技術・家庭科や高等学校の家庭科を中心に、男女が互いに協力して家庭を築き、子供を産み育てることの意義などの学習を行っておるところでございます。 さらに、平成十四年度から新しい学習指導要領に移行するわけでございますけれども、この新学習指導要領の中におきましても、例えば中学校の技術・家庭科でございますけれども、ここで保育に関する内容を、これまでは選択でございましたが、それを必修にするとか、幼児の心身の発達の特徴や家族の役割などについて指導をすることにしておりますし、さらに高等学校の方では、家庭科で、家庭のあり方や子育ての意義など、保育に関する内容の充実を図るとともに、乳幼児との触れ合いや交流などの体験的な活動を取り入れようとしておるところでございます。 本年度から、実は、高校生の保育等の体験学習を進めるために、高校生保育・介護体験総合推進事業というのを都道府県の方にお願いをいたしまして実施をしておりますが、現在、百七十四校におきまして、保育に関する実践的な活動に取り組んでいただいております。 さらには、子育て理解教育というふうな視点に立ちました、教師の方が参考になるような指導資料を現在作成中でございまして、私どもも、先生御指摘のように、各学校においてこういった学習活動が一層推進されるように、さらに努力をしていきたいと思っております。
○樋高委員 ありがとうございました。 若いうちから子育てに接したり家族の機能について十分に認識をする、わかった上で親になるということが、ひいては虐待の予防につながっていくもののうちの一つではないかと思うわけであります。 次に、大人になりましてからの、実際に親になった場合の問題について質問させていただきます。 近年の都市化とか核家族化によりまして、育児の場が家庭の中だけに限られてしまったり、子育ての相談相手が現実問題としていないといった状況がふえてきていると思います。こうした状況が親のストレスを発生させ、増加させ、虐待にまで発展をするというケースがあると聞いております。 一昔前でありますれば、近所づき合いもありました。先ほど申しましたとおり、さまざまな近所のつき合い、コミュニティーとの触れ合い、また家の中におきましても、例えば三世代一緒に住んでいるということがありまして、子育ての相談をしました。子供の教育について相談が、すぐ身近、そばでできたわけであります。ところが、最近は、近所づき合いがほとんどない地域も現実にあったり、昼間は共働きで仕事をして、近所の人を知らない、すぐ隣の家の人を知らないという状況が多くなってきていると思われるわけであります。 こうした家庭と地域社会とのつながりが薄くなっているという現状におきまして、家庭におきまして教育機能とか子育ての機能が低下しているのではないか。こうした家庭教育の充実とか子育ての悩みを解消することによって、虐待に至らずに済むケースもあるのではないかと思うわけであります。 そこで、厚生省さんに伺います。 家庭におきます育児不安の解消とか子育ての悩みを軽くするために、子育てにかかわる相談とかカウンセリングなどの機能をより充実すべきではないかと思うんでありますが、いかがお考えでしょうか。
○真野政府参考人 先生御指摘のように、都市化や核家族化の進行によりまして家庭や地域の子育て機能が低下しているというのは、そのとおりではないかと思っております。 このような子育て家庭を支援する方策といたしまして、地域子育て支援センターというものを設けておりまして、育児不安に悩みます保護者への相談助言、それから子育てサークルというようなものを育成していくというようなことを行っておりまして、新エンゼルプランでは、平成十六年度までに三千カ所を整備したいというふうに考えております。 また、実際に保育に携わる保育士さんに対しまして、特に、最近の状況をかんがみまして、乳幼児の保育というものを十分研修をしたいというふうに考えております。 また、母子保健施策におきましても、母子健康手帳の交付、または両親学級などを通じまして子育ての支援を行っておりますが、十三年度予算では、一歳半、三歳、そういう健康診査の場におきまして、心理相談員を配置して、そういう相談に応じる体制も整備をしたいというふうに考えております。
○樋高委員 ありがとうございました。 こうした取り組みによりまして、家庭が教育の力を、また子育ての機能を高めていくということが虐待の予防につながっていくんではないかと自分は考える次第であります。 最後の質問とさせていただきますが、児童虐待の問題というのは、先ほどもお話出ておりましたけれども、親から子へ連鎖するということも言われております。低下しつつある家庭の教育機能を取り戻して、子供を持つ親が安心して子育てをすることができる社会を構築することが連鎖を断ち切っていくことにもつながっていくんではないかと考える次第であります。 最後に伺いますが、児童虐待の発生原因を根本から解消して、親子のきずなとか家族が果たす役割を社会で再認識すること、改めてみんなでわかることということを通じまして、虐待のない社会を目指していくべきことがそもそも重要であると考えますが、厚生省さん、いかがお考えでしょうか。
○真野政府参考人 先生御指摘のとおり、この児童虐待防止法第四条におきましても、児童の健全な成長のための良好な家族の関係及び近隣社会の連帯に関する留意規定が設けられておりまして、そういうこともあって、地域、家庭、いろいろな社会それから行政機関が一体となって、そういう児童虐待をなくし、防止をしていこうということであろうと思います。 そういう意味で、我々としては、この法律を適切に運用いたしまして、また関係機関等にも御協力をいただきまして、虐待のない社会の構築に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○樋高委員 ありがとうございました。
○青山委員長 次に、大森猛君。
○大森委員 日本共産党の大森猛でございます。 これまでの委員と重なる部分はありますけれども、私として、基本的な点、幾つかお尋ねをしておきたいと思います。 まず最初に、いよいよ新法の施行であります。私も、きょうの委員会に当たって、改めてこれまでの当委員会の議事録をめくってみました。各委員のそれぞれの質疑、議論はもとよりでありますけれども、地域でのさまざまな実践あるいは民間での取り組み、そういう現場で大変な苦労をされている参考人の皆さんの御意見などもこの間聞いてまいりました。 そういう議論やらあるいは取り組みの一つの大きな到達点として、今日、法律がこの立法府においてつくられたということで、これは本来ならば大臣の決意をお聞きしたいところなんですが、大臣の出席がないのがそういう意味では大変残念でありますけれども、立法府でつくった、その法律を執行していく行政の責任として、厚生省の厳粛な決意をまずお示しいただきたいと思います。
○真野政府参考人 この児童虐待防止法は、この委員会の先生方の大変な御努力と御熱意によって成立をいたしたものでございまして、私ども、その熱意、御議論を厳粛に受けとめまして、この虐待防止法の施行に万全を期したいと思っております。 そういう意味で、先ほど御説明申し上げましたように、十三年度概算要求なり今年度の補正予算におきましても、いわばそういう面の裏づけという意味で、いろいろな施策を盛り込んで施行に対応したいというふうに考えております。
○大森委員 私も、法施行直前の横浜市や神奈川県の児童相談所等を調査もしてまいりました。厚生省の方のこの間の統計でも、虐待にかかわる児童相談件数が一万件を突破する、前年度よりも約七割近く増加する。これは、横浜市あるいは神奈川県でも同様でありました。 これもこれまでの質疑の中でありましたが、アメリカのある州では、この児童虐待にかかわる法制度の改定に伴って一挙に通報件数が、数百倍ですか、当委員会でもかつて紹介したこともありますけれども、飛躍的に増大をするということもありました。 既に、一昨年あたりから昨年にかけて飛躍的に増加しているわけなんですが、今回の法制度、その執行、そういう中で、通報件数、相談件数がさらに飛躍的に拡大していくことが予想されると思うわけなんです。その点、厚生省はどういうぐあいに認識されているのか。来年度の概算要求で一定の改善措置をとっておられるようでありますけれども、本当にそういうもので大丈夫だろうかという強い懸念を私は持つわけでありますが、その点はいかがでしょうか。
○真野政府参考人 一昨年来のこの委員会での御議論、新聞報道その他によりまして、大変この問題についての関心が高まり、また一般国民にも、通報の義務があるんですよ、通告の義務があるんですよというようなことが周知されるというようなこともあって、今回統計をとりましたところ、相当な増加を見た。そういう状況で、さらに、来週の二十日から施行されますと、そういうものについてもまた一段と報道がなされるでありましょうし、私どもも、また関係方面、各自治体にいろいろな形で周知をしたいと思っておりますが、そういう意味でもまた相談件数がふえてくるというふうに私どもとしても考えております。 そういう意味では、十三年度予算その他におきまして、また地方財政計画への要求その他を通じまして、そういう状況の中でも、まずは児童相談所を中心にしっかりとした体制をつくっていただく。そして、児童養護施設その他での体制を整備して、そういう相談件数の増加にも対応していきたいというふうに考えております。
○大森委員 各児童養護施設あるいは一時保護所さらには児童福祉司、そういう設置基準の問題、私も当委員会でも取り上げたことがありますし、本日の質疑の中でも出されております。 そこで、新法の中でも極めて重要な役割を果たす児童相談所の設置基準でありますけれども、これは、運営指針によれば、人口五十万に最低一カ所となっておるわけなんですが、現状はそれから本当にほど遠いものになっているのではないかと思います。 政令指定都市でいいますと、例えば、人口二百十七万の名古屋市あるいは二百五十九万の大阪市ではそれぞれ一カ所にすぎない。こういう形で、とにかく政令都市の中で複数あるのは、川崎市が二カ所、そして横浜市が三カ所だけで、あとは全部一カ所となっているわけであります。 この横浜市、三カ所あるから多少はよいかということで、私も横浜の児童相談所の状況を調べてまいりましたけれども、これがまた、今現場からは悲鳴が上がっていて、大変な状況になっております。とにかく児童相談件数は増加の一途、市内三カ所の児相職員の仕事は大車輪だ、一時保護所は常に満杯、緊急時の対応に苦慮していると。最近、横浜市の児童福祉審議会でも、児童虐待の問題は深刻で、児相の拡充が実質的に一番必要だという答申が既に出されるという状況であります。 三カ所ある横浜市でもこういう状況でありますから、二百数十万の人口で一カ所しかない名古屋市や大阪市あるいは他の政令都市など、これはもっと深刻な事態が恐らくあるだろうと思うわけであります。 そこで、五十万人に一カ所、こういう児相の設置基準については、今日の時点で、新しい法律のもとで、新たな役割を果たすべき児相として、当然見直すべきだと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
○真野政府参考人 私ども、今回の新法の施行によりまして、児童相談所の役割がますます重要になる、そして地域での児童相談所の役割もますます高くなるというふうに思っております。 先生も御指摘ございましたように、私どもがお示しをいたしております人口五十万に一カ所程度の設置という基準そのものが、なかなか自治体で、それぞれ地域の実情があるということでお守りをいただいていないわけでございます。 我々としては、基準そのものの云々よりも、まずは地域の状況で、私どもが五十万に一カ所と言っておりますのは、やはり地域の状況をかんがみて、児童の状況、それに対して専門機関としての児童相談所の役割というものを考えて申し上げておるわけでございます。 特に、やはり大都市部で、先生御指摘のように、指定都市では中央児童相談所しかないというところもあるわけでございますので、そういうところでは、逆に言いますと、どういう考え方で児童福祉にお取り組みをされようとするのか、中央児童相談所一カ所と、あとどういう格好の体制をその自治体でお考えになるのか、そういうこともお聞きをして、できるだけそういう地域の状況に応じた児童相談体制というものを考えていただくように、これは自治体とよく御相談をしたいというふうに思います。
○大森委員 地方自治体のそういう点での役割、位置、当然あるわけですが、厚生省から財政的な支援も含めた積極的な姿勢で相談すること、そういうものがないままでの国と地方の協議という中では、なかなか前進もかち取れないのじゃないかと思います。そういう点で、国の姿勢をより積極的なものにしていくということを要望しておきたいと思います。 次に、これもお話がありましたけれども、児童相談所の職員の必置基準の問題であります。 これは、人口十万から十三万人に一人というお話もありました。これとても、各地方自治体、例えば横浜市ですと、人口三百三十万ほどでありますから三十人はいなくちゃいけないのですが、二十人少々ということで、満たされていない状況であります。 これも確かに地方自治体の中で、地方交付税で算定された職員数よりは少なくしか配置しない、そういう地方自治体もあるわけで、そういう面で地方自治体の努力もこれは当然必要でありますけれども、現状というのは、本当に国と地方がしっかり協力してこの体制を強めなくちゃならない、もう待ったなしの状況にあると思うのです。 大体これまで、ケースワーカー一人で四十件ぐらい抱えて、それで少しは仕事ができるという状況が、今、大体八十件から百件抱えている。ですから、以前より格段にふえた。これまでフォローできていたのに、扱う件数がふえたことで、どうしても手薄になってしまうという声がたくさん出されているわけですね。目の前の子供の命を預かっている、待ったなしだ、しかし、残業や休日出勤で補っても、虐待を受けた子供たちを十分にケアしてあげることができないということで、悩む職員が多いという状況になっているわけであります。もっと言えば、そういう中で、とにかく対応に追われて戦場のようだ、いつも追い立てられている、休みがつぶれ、仕事は夜に及び、病人が出ないのが不思議だというぐらいにまでなっているわけですね。 しかも、これはある児童相談所長さんのお話でありますけれども、とにかく今日の時点というのは、三つの困難、時間外が多い、それから中身が重い、そして件数が多いということで、かつてと比較にならない状況があるということです。 児童相談所の職員の増員も含めた体制の強化という点で、国と地方自治体でどう協力してこれを強めていくかという点で、厚生省の御見解をお聞きしておきたいと思います。
○真野政府参考人 私どもも、先生おっしゃるとおり、児童相談所の体制の整備をぜひお願いしたいということも、機会あるごとにお願いをしてまいりました。 先ほどもちょっと御答弁を申し上げましたけれども、地方交付税の算定措置の中で増員ということをお願いしておりましたし、来年度につきましても、交付税措置の中での増員という、いわば全体としてのそういう確保をお願いいたしまして、そして、あとはやはり地方自治体でどういう体制をしいていただくのか。我々としては、こういう状況に対応した児童相談所の体制の充実強化をぜひお願いしたいということを申し上げておるわけでございますので、引き続き自治体にもその旨お願いをしてまいりたいというふうに思います。
○大森委員 特に、そういう全体として非常に厳しい状況の中で、皆さんが一致して声を上げておられるのが一時保護所ですね。これは、横浜市中央児童相談所の場合、定員が三十人。昨年が、一時保護された子供の人数が定員を超えた日が五十五日、今年度は、十月十八日時点で既に八十四日という状況です。それから、十五人定員の神奈川県の中央児童相談所での一時保護所、定員を超えた日が百六十九日に上っている。非常に、これ以上放置できないという状況であります。 来年度の概算要求の中で、事項要求としてですか、基準面積が若干改善をされるようでありますけれども、私も児童相談所を実際に見まして、例えばシルバー人材センターとか他の施設と一緒になっている、これから要求する、親との分離、そういう面で、条件が危ういような、そういう環境にあるところもあるわけですね。ですから、これは特に、一時保護所の改善についてはとりわけ力を注いでいただきたい。こういう点。 もう時間がありませんので、二点まとめてお聞きしておきたいのですが、一つは、親のケアの問題。これは今度の新法でも、親のケア、児相の一つの役割として位置づけられていくわけでありますけれども、これについて、具体的なプログラムといいますか、それがないというのが現場の一つの悩みになっています。この点をどう改善していくか。 それともう一つは、家庭からの分離などの一定措置をとる中で、弁護士、法律上の専門家の協力がどうしても必要だ。この声も非常に、これまでの議論にない問題の一つとしてありました。この点、我々の研究課題、具体的に進めていく課題として、今後ぜひ検討していただきたいと思うのです。 三つ合わせてちょっと質問しましたけれども、よろしくお願いします。
○真野政府参考人 一時保護所でございますが、これはいわば児童相談所の機能として非常に不可欠、そして非常に特徴的な機能を持った部分でございます。 先生から今、定員をオーバーしている日が非常に多くなったという御指摘がございましたけれども、まさに一時お預かりをするわけでございますので、定員をオーバーするときもあれば、ほとんど子供さんがいないときもあるというようなことで、それに対する対応というのは非常に難しゅうございますが、やはり適切な定員設定をしていただく。 それから、私どもとしましては、これまで整備費の基準面積が大変狭うございましたので、これについては、先生今お話がありましたように、格段の整備が行えるような補助基準面積にしたいと思っております。そういう意味で、一時保護所の整備の充実というものも図ってまいりたいと考えております。 また、御指摘がございました、保護者のカウンセリングでございます。 本当に御指摘のとおりでございまして、児童相談所という名前のとおり、やはりどうしても児童の保護を最優先、どちらかといいますとそちらの方に正直手いっぱいということでございまして、この児童虐待防止法でも保護者へのカウンセリングということが議論されておるわけでございますが、こういう面につきまして私どもさらに検討をする必要がありますし、来年度予算では、精神科の先生方との協調ということで、若干ではありますけれども、カウンセリングのための費用を要求いたしております。 そういう意味では、ここの部分につきましては、おっしゃられたとおり、児童相談所全体としてどういうふうな方法論を持つのかということも含めまして研究をしたいというふうに思っております。 それから、法的にも難しいケースがふえるということが御指摘がございました。私ども、子ども虐待対応の手引きにおきましても、そういうケースの増加に対しまして、弁護士の先生方の御協力を得るようにということをお願いいたしております。 実際、今後、具体的な協力の得方、いわば児童相談所としての協力の得方ということにつきましても、これから特に弁護士の先生方とも御相談しながら検討したいというふうに思っております。
○大森委員 終わります。
○青山委員長 次に、原陽子さん。
○原委員 社会民主党・市民連合の原陽子です。よろしくお願いをいたします。 まず、私は、先日、資料を読んでいましたら、日本では、明治四十二年、一九〇九年に、原胤昭さんという方が、囚人の多くが幼少時に虐待され非行に走っていることを目の当たりにして、そして個人の事業として児童虐待防止の活動を行っていたという記事を読みました。そして、これはことしの新聞記事なんですが、こちらにある新聞記事によると、岐阜県の笠松刑務所の女性受刑者六十七人に対して聞き取り調査を行ったところ、その七割が子供時代にレイプやわいせつ行為などの性的虐待を受けていたことが明らかになったということを伝えています。先ほどの原氏の活動からほぼ百年たって、ことしやっと日本に児童虐待防止等に関する法律が施行されることは、たとえ三年後の改正を視野に入れた法の制定とはいえ、私は非常に大きな一歩であったと思っています。 虐待を受けた子供たちの心の葛藤というものはどういうものであったのか。少なくともこの百年の間に放置されていた子供たちのことを考えると、こういった子供を保護し、傷をいやして、そして回復させるためのケアをすることこそ、何よりも全力を挙げていかなくてはならないことだと私は考えます。子供たちにカウンセリングや個別対応といった細かな対応をより丁寧に行っていくことが必要であります。 ここでまた再度触れさせていただきますが、現在参議院で審議されている少年法の改正のように、厳罰化することによって子供たちに相対していこうという大人たちの考えは、いかに現実から目をそらして、時代錯誤をしているかということを、改めてここで指摘をさせていただきたいと思います。 それでは、早速、質問に移らせていただきます。まず、厚生省にお聞きをいたします。 今回の施行によって、専門職員などの人員も増員されると思われます。しかし一方で、ことしの八月のことだったと思うのですが、八月には、宮城県の中央児童相談所で、簡単な面接だけで採用されたアルバイト職員が、保護されてきた子供にわいせつな行為を行ったという事件が明らかになっています。 そこで、増員されることを見込んで、そういった職員の採用、教育についてどのようなことを行っているのか。また、こういったところで働かれる職員の方は、心理が不安定状態の人間と向き合うことは、その職員自身にとっても精神的に大きな負担になると考えます。こういった負担を取り除き、また保護施設内での虐待というような新たな悲劇を防止するためにどのようなことを用意しているか、お聞かせください。
○真野政府参考人 児童相談所におきましては、児童福祉司なり心理判定員というような職種の方々がございまして、そういう方々には一定の任用要件をお願いいたしておりまして、いわばある程度の専門性のある方を任用していただくことになっております。 また、児童養護施設におきまして、今回、来年度予算要求でも心理担当職員の配置の拡大ということをお願いいたしておりますが、それは、やはり心理相談に応じることができる方の採用をお願いしたいというふうに思っております。 また、こういう方々の研修でございますが、例えば、初任者から始まりましていろいろなレベルでの職務の段階に応じました研修を行っておりますし、平成十三年度、来年度の概算要求におきましては、特に児童虐待に関します専門相談、そういうものの関係職員の研修ということを行うための予算要求も行っております。 また、それらのこういう難しいケースに対応する職員への問題でございますが、私どもといたしましては、現在のところでは、虐待の手引等におきまして、いわゆる難しいケースを一人で担当して一人で抱え込まないように、できるだけチームで担当し、そしてまた、いわば経験者の、ベテランの意見も聞いて対応するようにということで、対応の仕方につきましてはいろいろそういう工夫をお願いしているわけですが、そういう方々がこうむりました心理的なダメージ、こういうことにつきましては、それぞれの自治体におきます職員管理といいますか、職員のヘルス面でのケアというような、職員福利の面での対応をお願いしたいというふうに思っております。
○原委員 ありがとうございます。 もちろん、各自治体に任せるということはわかったのですが、自治体に任せていながらも、あるところではしっかりと国の方がチェックを入れるという形をぜひとっていっていただきたいと思います。 また、これからは、そういった児童相談所とか警察とか医療など、さまざまな分野の専門家の人たちが緊密な協力によってこうした問題解決に当たっていかなくてはなりません。その効果的な対応を望むために、例えば警察庁では、この件に関して、現場に当たる職員に対してどのような教育を行っているのか、ぜひお聞かせをください。
○黒澤政府参考人 警察といたしましては、広く警察官、それから警察官以外の関係職員に対しましても、今度の法律の内容、早期発見、通告、児童相談所長の立入調査等に対する援助、児童の支援などの留意事項につきまして、警察学校での教養、職場教養等、あらゆる機会を活用いたしまして指導教養を行っておるところでございます。 例えば、せんだっても行ったのですが、警察庁においては、警察大学校での少年警察専科等の研修で教養を行っており、また、府県警察におきましても研修を行っているところであります。今後とも、指導教養の徹底を図ってまいる所存でございます。 なお、児童の保護及び保護者の支援を行う職員に対しまして、専門的にこういった仕事を行う職員に対しましても、カウンセリング技術専科等の研修において、専門的な知識、技能の向上のための教養を実施いたしておるところでございます。
○原委員 先ほど立入調査のことなんかもありましたが、先ほどもらった「取組み」に、児童相談所の所長から援助を要求された場合、適切な援助を行うというふうに書かれているのですが、この適切な援助というところをどのように考えていらっしゃいますか。
○黒澤政府参考人 立入調査等の援助でございますけれども、先ほどもお答え申し上げたところでございますけれども、児童相談所長等が立入調査に際しまして、今度明文で、援助を要請するということが規定されたわけでございます。 要請を受けました警察官は、児童相談所と対応の方法、役割分担、こういったことにつきまして事前に協議をいたしまして、児童相談所の職員の方々の立入調査等が円滑に実施できるように、それと私どもは、警察法、警察官職務執行法等の法律により与えられている任務と権限がございますので、それに基づいた援助を行ってまいるわけでございます。 先ほどと重複しますが、例えば具体的に申し上げますと、援助を求められた警察官は、職務執行の現場に臨場する、待機する、あるいは児童相談所の職員の方と一緒に立ち入る、いろいろなケースがあろうかと思います。それから、保護者等の暴行、脅迫等によりまして児童相談職員の方の職務執行が妨げられる、そういう場合でありますとか、それから児童に対する加害行為が現に行われようとする場合、こういった場合におきましては、先ほど申し上げました警察官職務執行法に基づきまして、警告を発する、あるいはその行為を制止する、また住居等に立ち入ることもこの警察官職務執行法でできますので、住居等に立ち入る、こういう対応もあるわけでございます。 それから、まさに現に犯罪に当たる行為が目の前で行われている、そういう場合には、刑事訴訟法等の規定に基づきまして検挙措置を講ずる、このようなことで、効果的な援助、適切な援助をしてまいる所存でございます。
○原委員 ありがとうございます。 それでは、厚生省にお伺いをしたいのです。 先ほどの答弁で、通告義務について、発見というところは虐待の疑いがある場合も含まれるということをいただいたので安心をいたしました。 それで、厚生省さんにもう一つ、再統合のことについてお伺いをしたいと思います。 現場の方からお話を聞いたところ、再統合にはすごく長い期間、三年かかったケースもあるというようなことを聞きました。再統合をするには、本当にもう非常に繊細な扱いというものが求められると思うのです。この再統合の手続というものは、どのような過程を経て行っているのか、また、その責任はだれになるのかということをお聞かせください。
○真野政府参考人 先生御指摘のとおり、緊急的にどうしても必要だということで親子分離をするわけですが、それが最後の目的ではございませんで、やはり親子がもう一度一緒に暮らせるという状態に持っていくというのが最終目標であろうと思います。 ただ、実際問題といたしましては、おっしゃられるように、非常に時間もかかります。子供さんが小さい場合には、場合によっては相当な期間がかかるわけでございまして、その間、子供さんは分離された例えば施設であれば施設でのケアを行う、そして継続的に保護者に対してもカウンセリングを行っていくということで、そして子供さんを親に帰しても大丈夫だという判断をして初めて親子の再統合が成るということでございますので、そういうプロセスを経てやっていく。 そういう意味では、現場では、時間もかかり、しかもなかなかその効果も上がりにくいといいますか、実際問題としては非常に難しいケースが多いのではないかというふうに思います。
○原委員 そして、再統合の後に再発ということが起こってしまうということも否定できない事実だと思いますので、再統合の後にも、子供や家庭の様子というものをどういうふうにモニターしていくのか、また再統合というプロセスは本当にいろいろと大変というか繊細な扱いが必要だということで、最低限するようなことを、ぜひ国の方でモデルプログラムみたいなものをつくっていただけたらいいんじゃないかというふうに私は考えております。 あとは、法務省さんについては、親権のことについてお伺いをしたいと思います。 今回の法律の中に、第十五条のところに、親権喪失の制度の適切な運用という項目があると考えられますが、この「適切」ということが入ることによって、今後どのような処遇が可能となってくるとお考えか、法務省さんにお伺いをしたいと思います。 また、どうしても民法とのかかわりでなかなか児童の保護というのが優先されにくいというようなことを私はちょこっと聞いたので、三年後の見直しの際には、親権の一時停止や制限といった民法の改正も視野に入れて改良されるべきだと考えますが、法務省の御見解をお聞かせください。
○細川政府参考人 まず、児童虐待防止法の十五条の問題でございますが、この児童虐待防止法の審議の過程で、従来の親権の喪失の制度の運用についてさまざまな御意見があったわけで、実務は、児童の虐待の防止という観点から適切に運営をされているかどうかという問題点が指摘されたわけです。ですから、この新しい規定ができましたので、特に家庭裁判所の裁判官や調査官はこれを念頭に置いて今後運用していくということになろうかと思います。 それから、二番目の御質問ですが、親権の一時停止等の問題も随分御議論がここであったわけでございます。先ほど田中先生にもお答え申し上げたんですが、児童虐待防止法がこれから施行されるわけですから、そういった状況を私ども十分見させていただいて、今後そういう改正が必要になるということがはっきりいたしませば、私どもといたしましても、その点は検討しなければならぬというふうに考えているわけでございます。
○原委員 そろそろ時間が来たので、手短にしたいと思います。というか、私のお願いになるかもしれませんが。 この法律は三年後の再検討を付しているわけですが、再検討というものをより実りあるものとするためにも、ぜひ調査とか情報収集というものをしっかりとしていかなくてはならないと考えておりますので、そこは、私たち青少年問題にかかわっている委員も、その三年間に、しっかりとちゃんと調査をして、分析して、定期的に委員会なんかを開いて話し合っていくことが大切じゃないかなというふうに私は思います。 防止法を読ませていただくと、確かに早期発見と子供の保護ということが大切だということは第一にあることだとは思いますが、児童虐待を防止していくということは、もちろん同時に、親へのカウンセリングというのも大変に重要になってくると思います。 現場で働く方のお話を聞いていましても、虐待をしていた親が実は自分が小さいころに虐待を受けていたというようなケースがたくさんあるというお話を聞いて、そういった虐待の悪循環というのをなくしていくためにも、親へのカウンセリング、または、これから親になる者への教育といったものを徹底してやっていかなくてはいけないというふうに私は思っています。もちろん、子供を虐待することは言語道断ではあるのですが、親の幼少時代のそういう経験なんかを考えたときに、一概にその親だけを一方的に責めることはもしかしたらできないんじゃないか、そのように私は思っています。 ぜひそこは、子供の保護ということと同時に親のカウンセリングといったことを徹底してやっていって、この法案を通して児童虐待というものをなくしていきたい、なくしていくんだというような気持ちで、ここにいる委員の方々や、または、かかわっていく行政の方々と一緒に、徹底してやっていきたいなというふうに思っております。 では、ちょっと時間が過ぎてしまったんですけれども、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
○青山委員長 次に、谷本龍哉君。
○谷本委員 21世紀クラブの谷本龍哉でございます。時間が五分ですので、総論的に一問だけさせていただきます。 私ごとで恐縮ですが、私には五歳の娘とそして生後七カ月の娘と、二人子供がおります。単身赴任ですので週末しか会えませんけれども、非常にかわいくてしようがありません。恐らく子供を持たれた経験のある方は皆さん御存じの感情であると思います。 そうでありながら、その我が子に虐待を加える。これは、当然、加えられる子供は非常に不幸でございます。と同時に、そのかわいいはずの自分の子供に虐待を加えてしまう親も非常に不幸であり地獄であると私は思います。そういう両者の関係を救うためには、やはり周囲の人間がいかに早期にその状態を発見するか、そして早期に対応するか、この一点に尽きると思います。 報告にありましたとおり、大半の加害者は親もしくは保護者でございます。そして、それに対して被害者は、みずからその被害をなかなか他の人に伝えることのできない子供でございます。この場合、この法が施行されることにより、いかに周囲の人がそれに気づくか、特にこの法律の存在、そして周囲の者の虐待を発見したときの通告義務があるんだということを国民全般にどう広く伝えるかという点が非常に問題になってくると思います。 そして、さらにもう一点は、その周知徹底して得た情報を、一つの機関でとまってしまうとか、あるいは逆に、たらい回しになってしまうというのではなしに、速やかに対応できる各関係機関のネットワークを構築する、この二点が非常に重要であると思います。 厚生省と警察庁、両者に、まとめてお答えを願いたいと思うのですが、この二点、先ほど広報活動についても説明はありました。ただ、まだまだ十分だとは思えないと私は思っております。今後の活動も含めてどうお考えか、お答え願いたいと思います。 それともう一点、地域や自治体、病院、教育機関、児童虐待のサインを見つける関係機関はたくさんあると思います。その機関と児童相談所及び警察との連携のネットワークについて、現状及びこれからの考え方をお聞かせ願いたいと思います。
○真野政府参考人 先生御指摘のとおり、早期に発見して早期に対応するというのが一番大事でございまして、これはもう、行政機関だけではなくて、地域の方々にもお願いをしなければなりませんし、いろいろな関係機関の御協力が要るということでございます。 児童虐待を発見した場合に国民に通告義務があるんだということも、いわばこの委員会でいろいろな御議論がなければなかなか周知ができなかったことであります。最近やっといろいろな報道機関でも、そういうことが義務なんだ、見て見ぬふりはだめなんだということがようやく報道されるようになりました。そういう意味では大変私どもはありがたく思っておりますが、さらにそういう啓発を進めてまいりたいというふうに思っておりますし、今度は逆に、そういうのを受けました児童相談所、福祉事務所その他、そういうところがやはりどうネットワークを組んでいくかということであろうかと思います。 私どもは、全国団体では、警察庁初め関係省庁にもお入りをいただきました虐待防止協議会というものも組織をしておりますし、それから都道府県レベルでも、児童虐待ケースマネージメントモデル事業をモデルにいたしました、全県でのいわば連絡ネットワークを整備していただいております。ここには、児童相談所、福祉事務所、保健所、学校、警察、医療機関、その他関係団体にお入りをいただきまして、どこかで端緒をつかめば、その情報を共有して、最もふさわしいところが対応しよう、そういうネットワークをつくりたいと思っております。現在もしておりますし、それをより一層進めたいと思います。 今のは都道府県レベルでございますが、私どもは、市町村レベルでもそういうネットワークをぜひ構築したいということで、これは予算上の手当ても行いまして、市町村レベルでのネットワークの構築を推進していきたいということでのPRを。 それから、ネットワークにつきましては、中央、都道府県、市町村レベルそれから児童相談所単位というようないろいろなレベルでネットワークを組んで、そういう体制をとって対応したいというふうに考えております。
○黒澤政府参考人 まず、広報といいますか周知徹底の関係でございます。 関係職員に対してあらゆる機会を活用して周知徹底を図ることはもとよりでございますが、対外的にも、例えば、先週の委員会で広報誌「少年からのシグナル」というものを配付させていただきましたが、そういったような資料を活用し、各種の部外の会合等におきましても、法律が制定されたこと、あるいは児童虐待に対する警察の取り組みについて地域住民に知っていただく、このようなことにも心がけておりまして、児童虐待事案に関する情報提供が得られるように取り組んでいるところでございます。 今後とも、早期発見と適切な広報、周知徹底に努めてまいる所存でございます。 それから、他機関、関係機関等との連携、ネットワークの関係でございますけれども、先ほども申し上げましたが、こういった関係機関、団体との連携が大変重要だということでございます。 児童相談所を中心としましたネットワーク等に現場において積極的に参加しておることはもちろんでございますけれども、私ども警察が主体となった被害少年支援ネットワーク、こういったものも構築するなどいたしておりまして、それぞれの機関と役割を確認し合いながら、そしてまたそれぞれの機関が、特性といいますか持ち味といいますか、得意わざがあるわけでございまして、その持てる機能を十分に発揮することができるように、実質的かつ効果的な連携をより一層強化してまいる所存でございます。
○谷本委員 御答弁ありがとうございました。 もう時間ですので終わらせていただきますが、いよいよ四日後に施行でございます。法律はつくるのが目的ではございませんので、いかに実効性を上げるかという部分をこれからも絶えず努力を続けていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○青山委員長 次に、松浪健四郎君。
○松浪委員 松浪健四郎でございます。 児童虐待防止法の今月二十日の施行に当たりまして、児童と親との分離、いわゆる親子分離の問題について質問をさせていただきたいと思います。 先ほど厚生省の説明にもございましたけれども、児童相談所における児童虐待に関する相談処理件数というのは、平成二年度から十年間で十倍にも達しております。現代社会のゆがんだ構造を背景として、本来あるべき理想的な親子関係が構築されにくく、地域とのつながりもない密室化した家庭において、最初はしつけのつもりが、だんだんと児童虐待へとエスカレートしているのではないのか、こういうふうに思うわけでございます。 児童虐待の内容が大変深刻になっている場合については、一たん親子を分離して児童養護施設などへの入所措置などがとられることにより、虐待を受けた児童のケアと親への指導を通じて良好な家族関係を取り戻すのがベストでありましょう。 そこで、厚生省に質問させていただきます。児童虐待の相談件数が急激に増加している中で、親子分離を必要とするようなケースが増加するなど、児童虐待の内容そのものも深刻化しているのではないのかというふうに心配するわけですが、そのことについてお尋ねしたいと思います。
○真野政府参考人 児童相談所におきます虐待に関する相談件数は、先生御指摘のとおり、平成十一年度で、十年間で十倍を超えるという状況でございます。 これらの相談を受けました児童相談所におきます対応でございますが、児童が在宅のままで保護者などに面接指導を行った件数は八千四百八十二件、全体の七二・九%でございます。件数としては、去年に比べますと七五・八%増加をいたしております。これは、これまで取り組んでまいりました広報啓発の結果、児童虐待への認識が高まってきたなどによりまして、親子分離までは必要としない状態での相談が多く寄せられるようになってきたのではないかというふうに考えられます。 一方、家庭から子供を分離いたしまして児童福祉施設などに入所措置を行いました児童の割合は、十年度の二〇・六%から十一年度は一八・三%と減少はいたしておりますが、件数におきましては、千四百二十六件から二千百二十九件と、四九%と大幅に増加をいたしております。また、児童福祉施設への入所は基本的には保護者の同意を必要としているわけでございますが、保護者の同意が得られずに家庭裁判所の承認を得まして児童福祉施設への入所措置を行いました件数は、十年の二十二件から十一年は四十八件と倍増いたしております。 そういう意味では、先生御指摘のとおり、対応の難しい深刻な事例が増加しているということがうかがえるのではないかと思っております。
○松浪委員 児童虐待防止法は、児童虐待の防止等を推進することにより、最終的には、虐待の問題から親子が立ち直り、良好な家族関係を取り戻すことがその目的であります。実際に発生した児童虐待の問題を解決するためには、親子を一たん分離し、それぞれ、親については、カウンセリングを受けてみずから虐待に至った理由を省みて、再び虐待をしないように努力させる、被害を受けた児童については、そのトラウマを取り除いてあげなければなりません。こうすることにより、我々が目指すような良好な家族関係を取り戻すことが可能になるわけであります。 そこで、質問いたします。入所措置により分離された親子については、最終的に家族関係を回復することが可能となるような取り組みが必要でございますが、どのように取り組んでおられるのか、お尋ねしたいと思います。
○真野政府参考人 児童虐待の解決に当たりましては、先生御指摘のとおり、単に母子分離をするということにとどまらずに、虐待の原因を解明し、保護者による虐待がなくなって家族が一緒に暮らせる状態となることを最終目標にするということであろう。それはもう、そのとおりであろうと思います。 このような考え方を踏まえまして、児童虐待防止法におきましても、入所措置をしました児童の措置を解除する際には、保護者の指導に当たりました児童福祉司などからの意見聴取を行う旨が規定されております。 具体的には、私ども、現在では、親子関係の修復を目指しまして、児童及び保護者の心身の状況に応じまして、児童相談所の専門職員の活用、また、児童家庭支援センターや児童養護施設に配置されました心理療法担当職員の活用、それから、情緒障害児短期治療施設には医師、心理療法担当職員がおりますので、こういう方々によるカウンセリングなど、継続的な支援を行っておるところでございますが、先ほど御答弁申し上げましたように、実際問題としては、なかなか時間がかかり、困難な状況であろう、そういうことは思っております。 その中で、十三年度概算要求におきましては、児童相談所におきます保護者へのカウンセリングの充実のために、地域の精神科医の協力を得まして、保護者に対して効果的なカウンセリングを行うような要求、それから、家庭関係の調整を行います児童養護施設の職員の中で、特に虐待を受けた子供に対して個別に対応する職員の配置、それから、児童養護施設での心理療法室の整備や親子生活訓練室の整備などを要求いたしております。 大変難しい問題でございますが、こういう問題、さらには研究等に取り組みまして、児童が退所後に円滑に家庭生活に復帰できるように我々も支援をしてまいりたいし、努力をしてまいりたいというふうに思っております。
○松浪委員 いずれにいたしましても、いよいよ二十日からこの児童虐待防止法が施行されるわけであります。この防止法の精神にのっとり、各関係省庁がこの法律を生かして、一人でも多くの子供たちを救っていただければありがたい、このようにお願いをいたしまして、時間が参りましたので質問を終わります。ありがとうございました。
○青山委員長 以上をもちまして本日の質疑は終了いたしました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時十三分散会