政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 第8号
- 発言数
- 72 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2000/11/07
会議録
○自見委員長 これより会議を開きます。 亀井善之君外十七名提出、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律案及び菅直人君外十二名提出、公職にある者等による特定の者に利益を得させる目的でのあっせん行為に係る収賄等の処罰に関する法律案の両案を一括して議題といたします。 本日は、両案審査のため、参考人として弁護士浜田弘幸君及び日本大学法学部教授板倉宏君に御出席をいただいております。 この際、一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。本委員会での審査に資するため、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。 次に、議事の順序について申し上げます。 御意見は、浜田参考人、板倉参考人の順序で、お一人十分程度お述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 念のため申し上げますが、発言する際には委員長の許可を得ることとなっております。また、参考人は委員に対して質疑することはできませんので、あらかじめ御了承願いたいと存じます。 それでは、まず浜田参考人にお願いをいたします。
○浜田参考人 参考人の浜田でございます。 公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律案及び公職にある者等による特定の者に利益を得させる目的でのあっせん行為に係る収賄等の処罰に関する法律案、この二つの法案について私の意見を述べさせていただきます。便宜上これから、前者につきましては与党案ということで、また後者につきましては野党案ということで述べさせていただきたいと存じます。 まず、この二つの法案の提案理由の説明にもありましたように、国会議員を初めとするいわゆる政治的公務員は、主権者であります国民の厳粛な信託を受け、高度な倫理観、正義感に基づき職務を遂行すべき責務があることは言うまでもないところでございます。その一方で、一部の国会議員らの不祥事件が報道されるたびに、国民から厳しい批判を受け、国民の政治離れが進んでいることもまた事実でございます。 国民の信頼を確保するために、従来からも、公職選挙法の改正、政治資金規正法の改正など種々の措置が講じられてきたところでございます。そして今回、国会議員らの倫理観を確立し、そのための方策の一つとしてこの二つの法案が提案されたものと考えております。 しかし、本来の目的であります政治公務員の倫理観の確立と、政治公務員や政治そのものに対する国民の信頼の保持を図るために、政治活動を制約するおそれのあるわいろ罪の一類型のような規定を設けて対処しようとすることについては、私自身としましては必ずしも賛成できるものではございません。 このような法律の制定には、国会議員ら政治公務員が本来遂行すべき政治活動を制約してしまう問題をはらんでいると考えられるからであります。つまり、政治公務員の政治活動は萎縮し、積極的な政策実現のための職務の遂行に支障を来すおそれがあることを指摘しておかなければならないと考えております。 先般、参議院において参考人として出頭された立教大学の新藤教授も、政治理念の原点に立脚するならばこのような法律は不必要であると陳述しておられました。私も同感でございます。 国民の信頼を確保するためには、政治公務員倫理法のような法律を制定して、政治公務員としてみずからを律しなければならない内容を規定するとともに、政治公務員がみずから高度の倫理観を持って職務を遂行することが何よりも必要不可欠であると考えております。 本法を制定したといたしましても、直ちに国民の信頼を回復することになるのか否か、それについてはいささか疑問を抱いております。 しかしながら、国民の政治に対する信頼を少しでも回復するためにこのような法律を制定しようとするのであれば、解釈に疑義の生じることのないような明快なものにしていただきたいと考えております。政治活動をする上で支障を来すことのないよう、規定上の配慮がなされることが必要であろうと考えます。 新藤教授も、参議院において参考人として述べられた際に、皆様に悪い思惑を持って近寄ってくる人間を近寄らせない、そのためにこの法律が必要なんだと考えて法案を審議すべきだと言っておられますけれども、一理あることだと考えております。私も、政治公務員がみずから襟を正すための一つの防波堤としての必要性からこの法案を制定するのであれば、それなりの意味があろうと考えます。 その前提で、この二つの法案の内容につきまして、若干の私の意見を述べさせていただきます。 まず、いわゆる野党案について申し述べたいと思います。 この法案全体について検討しますと、やはり刑法二十五章、汚職の罪のわいろ罪の一類型としての色彩が非常に強い法案であろうと考えます。このような法案を審議するからには、やはり刑法の一部改正として、刑法体系全体の中で検討されるのがまず適切ではないかということが気になります。 さらにこの法案では、公務員の職務行為のすべてについてのあっせん行為を対象としていることから、広範囲にわたる行為が処罰の対象となるわけでございまして、政治活動をする上で種々の制約が加わるのではないかという危惧が持たれます。 また、主観的意図を立証する必要があり、しかも目的犯であるため、この「特定の者に利益を得させる目的」という点についても立証上の問題が残るのかなという疑念がございます。また、「特定の者」の概念につきましても、解釈次第によっては広くも狭くも解釈できるという難点がございます。むしろ、与党案のようにずばり「請託を受けて」というようにした方がすっきりするのではないかと考えております。 このような請託という要件を付さない場合には、政治公務員が我が国の将来を考えて自己の政治理念に基づき行動した場合、あるいは国民の民意を吸い上げて特定の政策活動を行った場合でも、場合によっては本法が適用されるという可能性が残るわけでございます。特に、前述のように、公務員のすべての職務行為についてこれをあっせんの対象としているということから、その適用範囲が広範となりまして、将来政治活動の自由を制約するような場面が出てくるのではないかという危惧が残るのでございます。 それからあと一点申し上げますと、この法案の中には「公職にある者の政治活動を補佐するもの」が含まれております。いわゆる私設秘書と言われる方々のことだと思いますが、この概念が極めてあいまいであります。議員あるいは法律で定められた秘書、いわゆる公設秘書を補佐するとなりますと、かなりの範囲の方々がここに当たってくるのではないか。この範囲がどんどん広がることについては、かつて公職選挙法の改正によって認められた拡大連座制の中でも、この秘書の身分をめぐる問題というのは既に判例の中で生じてきております。 このように、野党案では、あっせんを受ける公務員の範囲が広い上に、さらに、処罰の対象となる主体がまた広い範囲で含まれてきている点については、いささか賛成しがたい、こういうふうに申し上げたいと思います。特に、この法案の保護法益につきましては、政治公務員の政治活動の清廉潔白性が言われておりますが、政治公務員でない私人を行為者として処罰の対象とするという点について、この辺の論理一貫性についても欠けるものがあるのではないかと思います。 次に、与党案についての私の意見を述べさせていただきます。 法案それ自体についての印象は、全体として、国会議員を初めとする政治公務員の主たる任務でございます政治活動について、この法律ができるだけ制約を加えないように配慮がなされていることが認められるのであります。また六条で「この法律の適用に当たっては、公職にある者の政治活動を不当に妨げることのないように留意しなければならない。」ものとするとして、捜査機関等に対する一つの指針を条文化しております。 次に、「請託を受けて」という要件ですが、これによって要件が厳しくなる、立証が難しくなるとかいう御意見があることは承知しております。しかし、この請託を要件とすることにより、先ほど申し上げたように、悪い思惑を持って国会議員らに近寄ってこようとする者を近寄らせない一つの防波堤としての機能を果たすことが、この法案では非常に意義あることであろうと思っております。この要件が外れた場合の弊害等につきましては、既に野党案に対する私の意見の中で述べたとおりでございます。 次に、あっせんの対象となる公務員の職務範囲を明示したことは、この法律が政治活動の自由に制約を加えるものでないということについて配慮を示すものとして、評価してよいと私は考えております。 ただ、その後に出てまいります「その権限に基づく影響力を行使して」という要件がついておりますが、この要件につきましては、かつての収賄罪等におきまして「職務に関し」としたのでは範囲が狭過ぎる、それによって多くのあっせん行為が職務権限の問題で除外されてしまうという問題が生じたことから、これを回避しようとするために設けられた要件であると考えられます。 しかし、この「権限に基づく影響力」というものも、解釈によってはやはり広くも狭くもなるという疑問が残ります。特に公設秘書も主体に入れていること、政府関係法人の職務もあっせんの対象としていることを考えるときに、この要件が加わることによって問題が残らないかという疑問が残ります。本法案の審議の中で十分な御検討をお願いしたいと思います。 いずれにしましても、法律というものは、一たん制定されますと、その後は、その時々の情勢によってひとり歩きするものでございます。附帯決議等も、そのときにはなるほど尊重されるかもしれませんけれども、時代がたつに従って十分な考慮がなされないというようなおそれもあります。したがいまして、このような政治活動の本質にかかわる性質を持った法案の審議に当たられては、十分慎重な審議をお願いするのがよかろう、こういうふうに私は考えております。 以上をもちまして、私の意見を終わらせていただきます。(拍手)
○自見委員長 ありがとうございました。 次に、板倉参考人にお願いいたします。
○板倉参考人 板倉でございます。 政治倫理を確立するためには、政治的公務員が特定の者の利益のために口ききをして利益を得るといったことを処罰しなければならない、そのための立法措置を講じなければならないということについては、これは喫緊の課題でありまして、速やかな法案の成立を期待したいわけでございます。 しかし、与党案は、一部に、これはもりではなくてざる法だなどと言っている人もいますが、私はそれほどとは思いませんが、しかし、実効性を上げるという意味では、かなり不十分なものであろうというふうに考えております。 まず第一に、与党案は、私設秘書を犯罪主体にしていない。これは共犯で処罰できるじゃないかと言う人もいますが、刑法では、共犯従属性説というのがありまして、正犯が成立しなければ教唆犯とかそういうもので処罰することはできないわけです。では共同正犯で処罰できるではないかと言う人もいますが、しかし、共同実行の意思というものを証明するというのも、これも容易なことではない。私設秘書と公設秘書といっても、私設秘書も秘書として行動するわけですし、大実力者の私設秘書が金庫番をやっているというようなことも言われておりまして、やはり私設秘書を主体にしなければならないと思います。 それから、請託を要件にしておりません。やはり請託というのは密室で行われますし、物証、書類なんかを残さないようにやるのが普通ですから、そうすると、容易にこれは、請託が証明できないということになって、立件ができなくなってしまうということが多々あるのではないかと思うわけです。 また、与党案では、「権限に基づく影響力を行使して」という、「その権限に基づく影響力」というのを構成要件にしております。しかし、これですと、刑法のわいろ罪の「職務に関し」というのとそう変わりがなくなるわけです。政治的公務員の直接の職務に関しない口きき行為、口をきいて利益を得るということを処罰するための法律であるのに、これでは、刑法の収賄罪が適用できないときは、結局は今度のあっせん利得罪も適用できないということになってしまうのではないかと思うわけです。 また、あっせんの対象とされる公務員の職務の範囲でありますが、契約とか処分とかに限定しております。こうしますと、いろいろの業者が、自分でここで観光事業をやりたいとかいったときに、そこに予算を配分するというようなことをさせたとしても、これは犯罪にならないということになりますね。予算措置だとか税制の問題だとか、いろいろな問題に関して行った場合は、与党案のようですと、犯罪は成立しないということになってしまいます。 それから、わいろの概念ですけれども、収受されるものを刑法ではわいろと言っているわけですが、わいろですから財産上の利益に限らないわけです。就職の面倒を見るとか、選挙でただ働きするとか、そういったものを皆含むわけですけれども、与党案では収受されるものを財産上の利益に限定しているわけです。これは、刑法のわいろ罪よりもわいろ概念を狭く限定しています。これでは十分の効果が上げられないのではないかというふうに考えております。 それから、何よりも、第三者供賄の処罰規定を置いておりません。これは、あっせん収賄罪のときも、第三者供賄を置くべきだというので衆参両法務委員会での附帯決議があるわけですが、ずうっと実現しなかったわけであります。 国会議員レベルでは、一九五八年にあっせん収賄罪は制定されたわけでありますが、一九六八年に野党の参議院議員の方があっせん収賄罪で起訴されました。その方は、一審で有罪になりましたが、お亡くなりになったので、控訴棄却の決定がされております。あと、それから二十六年ぐらいたって、一九九四年のことでありましたが、与党の衆議院議員の方があっせん収賄罪の適用をされた。この方も一審は有罪になりましたが、今争っておりまして、係属中であるわけですね。そうしますと、今まであっせん収賄罪で有罪が確定したのは、今のところ一件もないという状況であります。 これは、なぜそうなったのかというと、恐らく、政治的公務員、政治家が政治団体をたくさんつくって、そこに献金をさせていて、そこであっせん収賄罪の適用を免れてきたのではないかというようなことが言われています。政党の支部長とか政治資金団体というのは第三者に当たるわけですが、そこへ持っていっても、議員の支配下にあれば、議員が受け取ったのと、政治的公務員が受け取ったのと同じだという解釈もされているようでありますが、しかし、政党の支部長といっても、その議員さんが大体支部長であるとは限りませんし、政党の支部というのは議員さんとはかなり独立したものであるわけなのであって、支配下にあるというふうに言えるような場合はそんなにないと思うわけですね。結局、第三者供賄は与党案では処罰されないということになるのではないかと思うわけです。 それから、没収の点でありますけれども、刑法では「情を知った第三者が収受した賄賂」となっているわけですが、与党案では第三者が収受したわいろは没収の対象になっておりません。刑法の百九十七条の五なんかは、はっきりと、情を知った第三者も含めておるわけであります。この点も不十分ではないかと思うわけです。 ところで、今度は野党案でありますが、野党案では「特定の者に利益を得させる目的」と、目的という主観的要件を構成要件にしております。目的という主観的要件の立証というのは結構難しい問題があるわけです。刑法の背任罪でも、第三者図利目的というのが背任罪の要件になっております。そのためになかなか背任罪は立件できないということが言われているわけであります。ですから、目的という要件は不要なんじゃないかなと思うわけですね。ですから、目的とはっきり言わないで、「ために」とか、どういう表現が適切か、いろいろ問題はあろうかと思いますが、目的という要件は要らないのではないかと私は思います。 それから、これは利益供与者側が一年以下の懲役というふうになっているわけです。日本のわいろ罪というのは、もともと、公務員の涜職、職を汚すという行為を中心に考えてきたわけですね、涜職行為。ですから贈賄側は軽くなっていたんですが、アメリカなんかは、腐敗行為を処罰するんだということになっております。アメリカの合衆国の連邦刑法では、収賄側も贈賄側も十五年以下の拘禁刑。アメリカは懲役と禁錮の区別はありませんから拘禁刑といいますが、同じであるわけですね。 もともと、考えてみたら、業者の側が政治的公務員の方に、口をきいてくれ、見返りを出すからと頼むからこういうことが行われるのではないかと思うんですね。議員さんの方で、御用聞きみたいに、何かそういう人はいないか、そして金をくれとか言って頼む人はそんなにはいないと思うんですよ。中にはいるかもしれませんが。 ですから、問題なのは、頼む方が本来は腐敗行為を巻き起こしているわけですから、そうしますと、秘書の方が二年以下の懲役となっていますから、将来は二年以下の懲役、私は個人的には同じ刑罰でいいと思っておりますけれども、いろいろなバランス等がございますので、二年以下にすればいいんではないかと思います。 それでは、私の陳述を終わります。(拍手)
○自見委員長 ありがとうございました。 —————————————
○自見委員長 これより参考人に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩崎忠夫君。
○岩崎委員 自由民主党の岩崎忠夫でございます。 早速でございますが、質問に入らせていただきます。 さて、本国会には、いわゆるあっせん利得の課題について与党、野党の二つの法律案が提案されているのでございますが、これまでの審議で明らかになりましたのは、与党のあっせん利得法案の、政治倫理法制として一歩前に出た世界にも類例を見ない先進的な法制の姿であり、一方、野党案の、政治活動の自由という、民主主義の重要な価値であり、かつ憲法上の権利に対する驚くほどむとんちゃくかつ冷淡な態度であります。 以下、その点を明らかにしつつ、参考人から御意見を伺ってまいりたいと思います。 今回、与党三党は、最近の一連の不祥事に端を発する深刻な政治不信を重大に受けとめ、いわゆるあっせん利得の課題について真摯な議論を積み重ね、国民の政治への信頼を回復させるため、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律案を提案いたしました。 この法律案の最も特筆すべきことは、第一に、公職にある者の政治活動の廉潔性及びこれに対する国民の信頼を保護法益とした法律構成でございまして、これにより、公職にある者の行為に罰則で担保される一定の枠をはめたことでございます。 第二に、この法律案の罪が対象とするあっせん行為は、公務員の職務上の不正な行為に限らず、広く公務員に適正な職務行為をさせるもの一般を対象としていることであります。 そこで、浜田、板倉両参考人にお伺いしたいと思いますが、選挙で選ばれて公職にある者が公務員に正当な職務上の行為をさせるようあっせんして処罰されるような立法例が諸外国にありますでしょうか、まずお伺いしたいと思います。 私が調べましたところ、我が国に比べ国民の議員に対する働きかけに相当に激しいものがあるアメリカにおいて、合衆国法典や政府倫理法にもこのような規定は見当たりません。また、フランスの刑法にあっせん利得類似行為を禁止する条項があるというので調べましたところ、影響力の乱用で処罰される例はあるようでございますが、単なるあっせんで処罰されるような立法例はないようでございますが、どうでございましょうか、お伺いしたいと思います。
○浜田参考人 世界の立法例につきまして、私自身つぶさに全部調べたわけではございませんが、私の知る限りでは、そのような立法例はない、そう考えております。
○板倉参考人 世界の立法例でありますが、あっせん自体では処罰されないわけです。今回の野党案でも、口きき自体で処罰されるわけではなく、口ききの見返りに利益を得ている、そういうものはアメリカなんかでも私の解釈によりますと腐敗行為として処罰されるというふうに考えております。
○岩崎委員 腐敗行為というのは、贈収賄罪の一つの類型としてとらえておることと思いますけれども、諸外国に現在、いわゆるあっせん利得をめぐり今回審議されているような立法例はないということで理解いたしたいと思います。 国民の間に政治不信が高まっているとはいえ、与党三党は、真剣に議論をしました結果、政治倫理の確立のため、世界に類例のない、厳しく自戒する先進的な法律案を取りまとめられたわけで、与党三党の提案者の御見識には改めて敬意を表したいと思います。 そこで、公職者あっせん利得罪は、世界にも類例を見ない高い政治倫理を求める先進的な法制であること、また、正当な職務行為をあっせんしても処罰されるということから、それだけに構成要件や対象行為は明確かつ厳密に定めることが必要ではないかと考えるのでございますが、その点、浜田参考人に、どのように考えたらよろしいか、御教示願いたいと思います。
○浜田参考人 まず、政治的公務員の政治的倫理そのものの高揚という基本的な問題について、みずからが考えていくのが一番必要であろう。それを何らかの法律によって制約するということになるのであれば、やはりその政治活動の自由を制限する、そういうことを最小限に食いとめる必要があろう。この二点を中心に、いろいろな方策を考えていくべきであろうと考えております。 〔委員長退席、鈴木(宗)委員長代理着席〕
○岩崎委員 政治倫理法制をつくる場合に当たりましても、政治活動を不当に阻害しないように、十分慎重に、明確に、最低限の形で定めるべきだ、こういうような御意見を賜ったわけであります。 それでは次に、与党案、野党案につきまして、憲法上の権利でもありますそうした政治活動の自由との調和が十分に図られているかどうか、お伺いしたいと思います。 言うまでもなく、公職にある者は、国民の要望を受けて、公務員に働きかけて政治活動を行うことが多いのでございます。国民の声を政府や政策に反映させるため公務員に働きかけることは、政治家の本来的な政治活動の一環であります。行政が国民のニーズと要望に沿ったものとなるよう働きかけることは、重要な政治の役割でもあります。それを口ききなどといって矮小化するようなことがあってはなりません。 政治不信の一因に国民の声が政治、行政に正しく反映されていないのではないかということがあると言われますとき、私は、今回の立法によって、こうした民意の反映、そのための必要な政治活動が制限されるようなことがあってはならないと考えております。 昭和三十三年のあっせん収賄罪の制定に当たりましても、こうした点が危惧されまして、あっせん収賄罪の実施に当たっては、政府は、検察権、警察権の乱用を厳に戒め、政治活動を阻害することのないよう留意すべしという附帯決議が付されているところでもあります。 与党案は、このような点に配意しまして、あっせん行為による利得の禁止と政治活動の自由とのバランスを考慮し、構成要件を明確に定めますとともに、本法律案の適用に当たっては、政治活動を不当に妨げることのないよう運用に留意しなければならないとの規定を設けまして、政治活動の自由との調和を図っているのでございます。 一方、野党案におきましては、処罰規定があいまいなために、検察、警察の裁量によって処罰の対象になるか否かが決まり、検察権、警察権の乱用につながるおそれなしとしないのであります。そのため、野党案のままでは、正常な政治活動が萎縮、阻害ないしは制限されるのではないかと懸念されるのであります。 具体的に、幾つか政治活動の自由との関係で野党案で問題となる点を挙げたいと思いますが、次に述べます諸点につきまして、浜田、板倉両参考人のお考えを伺いたいと思います。 第一に、野党案において、特定の者に利益を得させる目的を要件としておりますが、特定とはいかなる広がりまでを指すのか、特定の者の概念があいまいで、検察、警察の裁量いかんによって処罰の対象になるか否かが決まることになりはしないか、政治活動の自由の観点から甚だ心配になるものでありますが、この点、浜田、板倉両参考人のお考え、先ほど意見陳述の中でお伺いいたしましたが、さらに改めて政治活動の自由との関係でこの点についてまずお伺いしたいと思います。
○浜田参考人 まず、特定の者という概念ですが、一般的に言えば、個人、法人を問わない、単数でも複数でもいい、したがって、諸団体、これも、あるいはそれが一つではなくても、二つの諸団体でも、特定できれば特定の者、こういうふうに一般的には考えられます。 したがって、宗教法人も労働組合もこういう中には入ってくるわけですね。そういう者のためにというものが入りますと、やはり解釈によってこれは特定と言える、特定と言えないという概念というのは、非常にあいまいになってくるんじゃなかろうかと思います。 今、どれが特定できてどれが特定できないとここで決めるのではなくて、実際に起こった問題のときに、そのときの解釈によって差が出てくるんじゃなかろうか。やった人は特定とは思わなかったといっても、いや、これは特定だと司法が決めつければそれは特定になるわけでございまして、そういう意味で、できるだけあいまいな概念を排除していただきたいということは先ほど私も申し上げたわけでございます。
○板倉参考人 刑罰法規というのは、余りあいまいなものであってはいけないわけです。非常にあいまいで何が処罰されるかわからないような刑罰法規をつくるということになりますと、罪刑法定主義を定めた憲法にも違反することになりますが、今回の与党案はもちろん野党案でも、そのような意味であいまいであるとは到底思えません。 特定の者、これは個人、業者、団体、そういったものをいうわけですが、特定の者という概念をさらに解釈等で詰めなければいけない面があるかもしれませんが、刑罰法規の構成要件として特定の者という表現はしても、罪刑法定主義に反するとか、あるいは政治的自由を侵害するということにはならないと私は思っております。
○岩崎委員 まず第一点についてただいまお伺いしたところでございますが、政治活動の自由との関係で以下質問を続けてまいります。 第二に、あっせんは請託を受けてなされるのが通常の形態でございますが、野党案において、請託の要件がありませんと、例えば特別な依頼を受けることなく、国民の声を吸い上げて通常の政治活動として働きかけを行うような正当な政治活動までも制限することになりはしないか懸念するものであります。 また、第三に、行政計画や予算等に民意を反映させますことは、政治活動として公職にある者に期待されているところでございます。したがいまして、あっせん対象者の行為を限定しなければ、野党案ではあっせん対象者の行為を限定しておりませんが、予算要望などの正当な政治活動を萎縮させ、本来の政治活動が制限されることになるのではないか懸念するものであります。 第四に、野党案の保護法益をどのように考えたらよいかということであります。 わいろという言葉は、一般に職務の公正性に係っている言葉でございまして、あっせんすること自体公正でないと思われてしまい、民意の吸収、反映機能を阻害し、政治活動の自由を阻害するようなことはないでありましょうか。 第五に、野党案の第三者供与の規定でございますが、公職にある者の支配を超えた利益まで当該公職にある者の収受と同一視されるならば、当該公職にある者とはかかわりが希薄な第三者に供与されるもの、例えば育英資金にするとか社会福祉に寄附するとか、そういったものまで罪に問われることになりまして、正当な政治活動を不当に妨げることにならないかどうか危惧するものであります。 以上、野党案は幾つかの点で政治活動の自由を阻害させる懸念がありまして、現代民主政治に最も必要とされる民意の吸収、民意の行政への反映、あるいはそのための政治活動の自由が重大な制約を受けるおそれはないかと危惧されるところでございます。 野党案の政治活動の自由の観点からする問題点について、どのように考えたらよいか、浜田、板倉両参考人にお伺いをしたいと思います。
○浜田参考人 最初の私の意見陳述の中でも申し上げましたけれども、やはり野党案においてはあらゆる公務員の職務行為が対象となる。他方、国会議員を初めとする政治公務員の活動としては、政策立案、そういう諸政策全般にわたっての活動が求められてくるわけでございます。 いわゆる地元からの陳情、それを取り次ぐ政治、これだけをもってよしとするのではなくて、我が国の将来を考えて、例えば我が国の現在の宇宙開発がほかの国に比べておくれているとかいうことで、そこに一生懸命力点を置いて、政策をつくって、そして関係省庁と調整し、また民間の業者ともいろいろとやり合って、我が国の宇宙開発のために尽力しようとする政治公務員の方がもしいたときに、それが何らかの形で、請託もなくて、自分で一生懸命にそのためにやったことがその宇宙開発に関する会社の利益のためにやったというふうに見られた場合、一体どうなるかというような問題が出てくるわけですね。明確な請託が何もない。 そういうふうに、何か自分で一生懸命やっているのに、それが結果としてこのような法律の罪に問われる、そこを、私、今一番懸念するわけです。具体的な請託があれば、これは金をもらっちゃならぬというのは当然でございまして、そういうことに対して動くことを処罰するならともかく、自分で一生懸命やったことを、何かの目的があったと。特定の者が結果的にどういうものになるかということがございますので、その辺も含めまして、できるだけ厳格な規定を望みたい、こういうふうに思っております。
○板倉参考人 刑法のわいろ罪でも、これは職務に関しているからということもありますが、正当なことをしても、その見返りにわいろを取っていればもちろん収賄罪になるわけです。違法なことをすれば、加重収賄罪ということで、より重く処罰されるということになるわけです。 政治的自由といいましても、民意を反映して口ききをするということは、これはそうすべきところも多々あろうかと思います。しかし、その見返りに利益を得なければいいわけなんであって、利益を得るということがまさに問題であるわけですね。見返りに利益を得るということ自体、これはいけないことでありまして、それが処罰されるから政治的自由が侵害されるというのは、非常におかしいことだと私としては思っております。
○岩崎委員 私は、あいまいな規定の仕方、あるいは包括的な規定の仕方で政治活動が不当に妨げられることになるのではないか、そういう点を問題にしているわけであります。正当な行為でも処罰しようとするわけでありますから、適用条件は厳格に定めることが最低限必要だと思っています。 私は、さまざまな国民の声、要望を積極的に政治、行政に反映させる努力をしていくことこそが、民主政治の今の状況から見て、最も求められているものと考えております。そのため、今回の立法措置によって正常な政治活動が萎縮、制限されるようなことがあってはならない。また、政治資金の拠出も、拠出する側にとって一つの政治参加の手段でございまして、今回の立法措置によって拠出をちゅうちょし、憶するようなことがあってはならないと考えております。 民主主義社会におきましては、政治活動の自由は何よりも大切なものであります。そうした意味からも、野党案の何でも刑罰で物事を処そうという態度、捕まえさえすればよいという態度は、政治活動の自由、ひいては民主政治に対する正しい理解に欠けていると言わざるを得ません。 それだけに、角を矯めて牛、この場合は民主主義でありますが、牛を殺すことのないよう、野党の皆さんの御理解を願いまして、質問を終わりたいと思います。
○鈴木(宗)委員長代理 長浜博行君。
○長浜委員 長浜博行でございます。 連日こういう委員会を開かせていただいて、きのうも質問をさせていただいておりますし、きょうは両先生がお見えになるということで、浜田先生の場合は参議院の議運の委員会で参考人としてしゃべれられた資料をいただいておりましたので、若干予習をさせていただきまして、板倉先生の場合は論文等々書かれておられますので、そういうことをベースにしながら、短い十分間のお話でありましたが、そういった点でお話をさせていただければ、御意見を伺えればというふうに思っております。 今の与党の方の質問を聞いていても、あるいはきのうの質問を聞いていても、何をそんなに恐れているんだろうかなという気が正直言って私はいたします。後ほど、政治活動を不当に妨げる、つまり政治活動の自由を束縛する何かがこの法案の中に潜んでいるかということはお聞きをしますけれども、もちろん、言い方は極端ですが、政治家は、あっせんする動物かどうかは別にしまして、いろいろ問題を抱えている方々の意見をヒアリングしながら仕事をしていくというのは当たり前でありますから、極めて単純なことは、それに対する対価というか、わいろというか、不当な見返りをもらうかどうか、これもきのう議論が出たのです。では、どこまでが不当の見返りで、どれまでが浄財だという議論もきのうやったわけであります。 まずもって私が強調したい点は、浜田先生が参議院の議運でしゃべられましたけれども、ここは政治倫理の確立に関する特別委員会ですね、もちろん公職選挙法の改正も行いますけれども。衆議院には常任委員会として法務委員会もあります。これが、先生先ほどおっしゃられたように、わいろ罪の類型としての議論と、もちろんそういう側面もあるのかもしれませんが、しかし、やはり議論している場が、政治倫理の確立をするためにどうしたらいいか。しかも、この保護法益が政治公務員の政治活動の廉潔性とこれに対する国民の信頼ということでありますから、先生の御指摘になった点、もっともだと思う部分、私はいっぱいあります。なぜこんな議論をしなければいかぬのかな。こんな法律なんか、与党案も野党案も要らないじゃないか。何でこんな法案を審議していなければいけないのかな。 しかし、現実になぜここまで政治不信が堆積をしてしまっていたかといえば、公職選挙法を改正しました、これも先生から御指摘のあった連座制をつけたり何やかんや。政治資金規正法も強化をしてまいりました。しかし、それでもなお、請託の問題も含めまして、立件はされませんけれども、この保護法益の中にある国民の信頼というものが回復されていない状況にあるわけであります。 それで、政治倫理の問題ということで、私はこの衆議院手帖をいつも持っております、スケジュールが書いてあるのですが。これには日本国憲法とそれから国会法と政治倫理綱領と行為規範があります。昭和六十年の六月二十五日につくられたものであります。倫理、倫理というこの倫理の問題によって、直接の議題ではありませんが、今回の法案のもとになっているというかベースであるところの保護法益が、倫理の問題を深めていくことによって、先生のお言葉ですと政治公務員倫理法ですか、こういったものをつくることによって改善すると本当にお思いになっておられるのか、浜田先生にお伺いをしたいと思います。 〔鈴木(宗)委員長代理退席、委員長着席〕
○浜田参考人 政治倫理綱領ですか行為規範でしたか、往年つくられていることは承知しております。ちょっと今資料を探したのですがすぐ出なかったので、その制定がちょっと今言えないのですが、ただ、これも規定が極めて抽象的ですね。もっとそこを強化して、いろいろと問題になっていることをその都度その都度改正していって、加えていって、自分たちでそういうものを律したらいいのじゃないかというのが、私かねがね考えていることであります。 こういうことを改正しましたよというのをよく国民に知らしめて、我々はこういうことを決めているのですよ、国民の皆さんも我々の立場を理解してくださいというのをもっともっと訴えていただければ、皆さんの姿というものがよく国民に見えてくるのではないか、こういうふうに私は考えております。
○長浜委員 先生のそういう温かい目で政治家を見ていただく視点というのは大変ありがたいとは思いますが、現実問題として、長い戦後の歴史、疑獄と言ってはなんでありますが、その連続の中において、必ず政治家はそのたびたびに反省をしてまいったはずであります。 ですから、私は個人的にはこの倫理という問題が大変大事ですが、むしろ倫理法という形で法律にしていくことの方がそぐわないのではないかなというふうに感じているわけであります。大体、懲罰とかあるいはこういう委員会が一部の政治家の不届きな行為によって開かれているわけでありますから、ほとんどの政治家にとっては全く問題のない部分においての議論でありますから、さっきも申し上げましたように、このエネルギーの使い方の問題も言ったわけでありますが、しかし、今申し上げたその歴史的な意味も含めて、先生は、やはり今回の与党案、野党案、どっちもあっせん利得という問題で、選挙で選ばれる公務員を、縛るわけではありませんが、より厳しく対処していかなければならない状況に置くという法律に関しては賛成できないというお考えでございましょうか。
○浜田参考人 だから、私は、必ずしも全面的にもろ手を挙げて賛成というわけにはいかない、つくらなくて済めばそれが一番いいのだろう、こういうふうに考えております。 しかし、つくるなら、疑義のないように、まずできるだけ範囲を狭めて、本来の政治活動が萎縮することのないように配慮していただきたいというのが私の基本的な考え方でございます。
○長浜委員 その先生がおっしゃられた本来の政治活動を、毎日与党も野党も議員は、もちろん県会議員も市会議員も町村会議員も首長も行っているわけでありますが、特に野党案の場合に、政治活動を非常に縛られる、この野党案が通ってしまったら何も政治なんかできないじゃないか、私は全く縛られないと思っておりますが、そういうやつは仕事をしていないのだ、こういうふうに言われかねないようなこの野党案に対しての状況。この法案だと政治ができなくなるということでありますが、板倉先生、この点に関してもう少し教えていただければと思います。
○板倉参考人 私自身の考え方からいたしますと、たとえ野党案のようなものを前提としても、何か政治的な自由が脅かされたりすることがあるというふうにはとても思えないわけなんですね。もちろん、何も見返りに金銭を、利益を得るというようなことをしなければいいわけですから、見返りを得て政治活動をするということはもともといけないことだと思うんです。 今回のは、涜職行為、公務員の職を汚す行為を処罰する、これは刑法のわいろ罪がそうなんですが、そのことに加えて、むしろ政治倫理、そういうものを確立するためと。だから保護法益は政治倫理、そういうふうに考えるべきだと思うんです。アメリカなんかでも、コラプション、腐敗を処罰するということに主眼が置かれているわけです。
○長浜委員 先生おっしゃられるとおり、先生が書かれたものでも、政官業癒着のもとで行われる族議員の日常的な不正行為にメスを入れるものであり、あすは我が身かと心配な議員も少なくあるまい、議員活動を制約するおそれがあるとの指摘もあるが、正当な職務行為をするようにあっせんした場合は本罪にならないし、あっせんの報酬としてのわいろを収受しなければ処罰されないのだから、余り政治活動と直接関係ないんではないかというようなコメントもあるわけであります。 その一方で、浜田先生のように、これは先ほど申し上げた議運のときでありますが、本法案には国会議員が本来遂行すべき活動をむしろ制約してしまう問題をはらんでいると、これまたはっきり先生もおっしゃられておりますが、浜田先生はいかがですか、この点は。
○浜田参考人 先ほどから申し上げておりますように、法案というものはできますとひとり歩きします。先ほどお話ししましたけれども、ごく一部の腐敗した政治的公務員に対処するために、多くの議員の先生方その他の政治的公務員の皆さんが今後何かするのに萎縮するような、そういう事態は避けてほしいなというのが私の気持ちでございます。
○長浜委員 大先輩の先生に申し上げるのも大変恐縮ですが、しかし、先生、その一部の議員の問題をしっかりととらまえていかないといけない。多くの方は問題ないんですから何にも困らない、極端な話どんな厳しい法案をつくっても困らない人はいっぱいいるわけですから、その一部の部分をつぶしていかなければならないのではないかなと私は思っています。 結局、この議論で、ざる法か、そして、衆議院の本会議の趣旨説明でしたか、検察ファッショかというおどろおどろしい言葉が飛び出してまいりました。こっちは、ざる法じゃないか、何を言っているんだ、あんたの方を通したら検察ファッショじゃないか。この両極の議論の中で、与党案、野党案と言ってもいいのかもしれませんが、ざる法でもなく検察ファッショでもない、その中間というものは、この両法案をごらんになって何か存在をするかどうか、その部分の御指摘をいただければと思います。 両先生にお願いします。
○浜田参考人 私、どちらの法案につきましても、この法案が制定されましたら検察ファッショというわけでもなければざる法でもない、基本的にはそう考えております。 ただ、今後の運営に当たって、与党案の方は非常に範囲が限定されている、そういう姿勢は明らかにあります。私としては、政治活動について将来に何らかの危惧を残す、これをやっても大丈夫なんだろうかというようなことのないようにというのが一番の配意でございまして、特に、結果として政治資金団体に政治資金が入ってくる、これがやはり一番問題で、これが利益じゃないかというふうにとらえられたときどうなるのかということを危惧しております。 私は、たくさんの方に政策を知っていただいて、たくさんの方に後援会に入っていただいて、たくさんの方に政治資金をいただいて、そしてしっかり活動していただいて、そしてますます皆さんの活動を国民に知らしめていただいて、国民といい政治をやっていただきたい。私の理想としてはそういうふうに考えているわけでございます。
○板倉参考人 私は、与党案は、ざる法というのはちょっと言い過ぎかもしれないと先ほども言いましたが、いずれにしても、実効性がかなり上がらない不十分なものだと言わざるを得ないと思います。 野党案でも、検察ファッショになるとはとても思いません。先ほども申し上げましたように、あっせん収賄罪でも、今まで国会議員レベルでは二件しか適用されていませんし、まだ有罪が確定したのは一つもないわけですから、日本の今の検察庁などの実態ではファッショというようなことは考えられないように思います。そして、刑罰法規は厳格に解釈しなければならないという鉄則がございますし、ですから、検察ファッショになるというようなことは考えられないと思っております。
○長浜委員 質問を終わります。どうもありがとうございました。
○自見委員長 塩田晋君。
○塩田委員 自由党の塩田晋でございます。 参考人の各位におかれましては、非常に貴重な有益な御意見をいただきましてありがとうございます。 まずお伺いしたいと思うのでございますが、今回の法案、こういったものは本当にない方がいいという御意見も述べられたわけでございますが、やはり基本にあるのは政治倫理法だ。倫理の確立なくしてこういう問題は本当に根本的には解決できない。一部の政治的公務員の不心得によりまして、非常に国民の批判を受け、また政治不信を招いておるということは、我々にとって、また大部分の政治公務員にとって残念なことだと思っております。 しかし、今日、ここまで政治に対する不信が起こっておるわけでございますから、この際、この国民的世論を踏まえて、国会で政治公務員に対するあっせん利得罪等の法律をつくるということは意味のあることだと考えておるわけでございます。先ほども出ました、またこれは板倉参考人が言われたわけでございますが、一部にざる法と言われるというお話もありましたが、二、三点、この点がざる法と言われかねないと考えておられるか、まずお伺いいたします。
○板倉参考人 私は、個人としてはざる法とまでは思いませんけれども、ざる法だという批判があることは確かです。 まず、先ほど申し上げましたように、請託を要件にしている、これは立証が非常に難しいということがございます。それから、私設秘書を犯罪主体にしていない。それからさらに、その権限に基づく影響力の行使といったことを要件にしている、それは証明が非常に難しいことになります。それから、収受すべきものを財産上の利益に限っているということもありますし、また、あっせんの対象となる職務を処分とか契約とかに限定している。それから、何といっても、第三者供賄を処罰する規定がない。自分の政治資金団体あるいはそういったところに持っていく、政党の支部に献金させるといったようなことをすれば罪を免れるということになると、本来政治倫理を確立するという面からは処罰すべきもののかなりの部分が処罰を免れることになるということで、ざる法という批判がされているのではないかと思います。
○塩田委員 今幾つか挙げておられますけれども、その中で私が特に問題にするところは、国会議員を初めとして地方公共団体の議員または長、これが、「国若しくは地方公共団体が締結する売買、貸借、請負その他の契約」、そしてもう一つは「特定の者に対する行政庁の処分」、この契約と処分ということに限定をしている。これによって、特定はされますけれども、かなりのものが免れるということになる可能性を秘めていると思うんです。この点につきまして、両参考人、いかがお考えでございますか。
○浜田参考人 今、かなりのものが免れるという表現を使われたわけですけれども、かなりのものが免れるじゃなくて、何を対象にしたら間違いがないかといいますか、私はそっちから考えて言っております。 いろいろとこれから政策立案をやっていく上において、役所にもきついことを言わなきゃならない場面というのは出てくると思うんです。どちらかというと、今までの政策というのは行政主導で上がってきた伝統的な動きがございまして、それを何とか政治主導の立案という方に動かすためには、もっともっと行政庁に対して政治的公務員の活動というものは活発にしていかなければならないんだろうと私は考えております。 そういう中で、公務員のあらゆる職務行為に対して、政治公務員が何かあっせんしたら全部含まれてしまうという無限定の方がむしろおかしいんであって、それで足りなかったら、また改正して膨らませればいいと僕は思っております。
○板倉参考人 私としては、塩田委員のおっしゃるとおりに、かなりのものが処罰を免れて、ざる法に近いものになるおそれがあるというふうに考えております。
○塩田委員 ありがとうございました。 両参考人で意見がかなり違うわけでございますが、それはそれといたしまして、例えば、国会議員が国のある政策、経済政策あるいは税制等で政策を打ち出す。これは非常に影響はあるわけですね。直接受益者の立場になる人はかなり影響を受ける。それは、個々が介入して制約を加える、影響力を行使するということでなくして、制度として、政策として、党内の政策調査会なり政審でもって決めていく。それに対する政治活動として、大いに主張し活動する。そして決まる。決まった結果、その業界なりその受益者が非常に喜んで、その見返りとしての財産、物品を献金しあるいは供与するといったような状況については、これは全然問題にならない、それは結構だということでございましょうか、お伺いします。両参考人にお願いします。
○浜田参考人 党というフィルターを通せば、それで権限の行使あるいはその影響力の行使にならないかというと、そうでもないというふうに私は考えております。その党のその政策立案をしたそのメンバーのその政治資金団体に政治献金が行われたという場合に、この適用がどうなるのか、具体的な細かい点を詰めてみないと、いかようにも意見を言えないと思っております。必ずしもそれは除外されますよというわけではないと思います。
○板倉参考人 政治公務員がある業界などに有利な政策立案をして、その見返りに利益を得たとしたら、やはり今回のあっせん利得罪というようなことで処罰してしかるべきだと私は考えております。
○塩田委員 この問題はまだまだ追求したいんでございますが、時間が参りましたので、最後に一つお願いをします。 いわゆる与党案と野党案で違っております私設秘書を入れるか入れないかという問題ですね。野党案で私設秘書を入れるべきだということを我々は主張しておるわけですが、これは当然、政治公務員に直結した、指揮命令を受け、監督を受けている秘書は、公設であろうと私設であろうと変わらないわけですね。その影響力というのは、必ずしも公設が大きくて私設が小さいというわけではない、むしろ逆になっている。公設が終わった人が金庫番になったり、あるいは大物の政治家の秘書になっておる、こういう場合もあるわけですね。そういった点から見まして、やはり私設秘書を入れないとこれはざる法になるんじゃないかというふうに実際的には思われるわけでございます。 板倉参考人は、私設秘書も含めるべきだというお考えでございましたね。その際に、私設秘書の範囲をどういうふうに限定するか、お考えがございましたら、これはなかなか技術的に難しい問題も含んでいると思うんですね、御意見をお伺いいたします。
○板倉参考人 政治公務員と雇用関係にある者、それで、公設秘書でなくて政治公務員と雇用関係にある者というふうに考えております。
○塩田委員 雇用関係という関係一つ取り上げましても、指揮命令を完全に受けて動いている人、必ずしもそうじゃない、ある程度独立的に動きながら手伝っている、給料も、丸々その者についての世間一般の給料を支給されないで、ほんの一部を支給されて、あとは稼いでこいと言われるようなケースもあるわけですね。それから、他の会社の雇用関係がありながら派遣をされて、そして秘書として指揮、命令、監督を受けている、こういう場合もありますね。 そういったものをどう私設秘書の範囲に入れるか。刑罰の対象になるわけですから、かなり厳密に規定しないといけないことだと思うんですが、技術的に非常に難しい問題があるのじゃないかと思いますが、お考えをお聞きしたいと思います。
○浜田参考人 いわゆる野党法案では、「公職にある者に使用される者で当該公職にある者の政治活動を補佐するもの」という定義づけでございますけれども、これですと、実際に給与をもらっているか、もらっていないか、これは問うていないわけですね。 今おっしゃいましたように、ほかの職を持ちながら、秘書として議員の先生とつながりがあって、いろいろと補佐して活動をしておられる方、そういう方もいらっしゃると思いますし、それから今度は、雇用関係でいいますと、会館の受付の女性もその中に入ってくるのじゃないかということも言われますし、非常に広い範囲で秘書に対する適用というのは今後なされてくるのじゃないかと思います。 連座制の問題で、後援会の職員で現在は秘書としての立場にないという弁解が出たケースがございましたけれども、いや、後援会の職員とはいっても、かつて秘書という名刺を振り回していたじゃないかというようなことから、ついに秘書として認定されて、連座制で職を失ったという事例が生じております。やはりこれはひとり歩きするので、相当よく慎重に検討なさるべきであろうと考えております。
○板倉参考人 雇用関係にある、それから指揮命令に服しているということですね。そして、政治公務員そのものが対外的に秘書として活動することを認めている者というふうに考えればよいのじゃないかと思います。 勝手に秘書として振る舞ったときは、もちろん処罰の対象になる私設秘書には含まれません。それはまだ秘書として行動しているわけじゃありませんから、もともと秘書と言えないというふうに考えております。
○塩田委員 ありがとうございました。終わります。
○自見委員長 木島日出夫君。
○木島委員 日本共産党の木島日出夫です。 両参考人の先生には、大変ありがとうございました。 浜田参考人にお聞きをいたします。 野党案では対象が非常に広過ぎて、政治活動の自由が損なわれると心配されておるようでありますが、板倉参考人の方から、政治家が口ききをして、それでその対価として、見返りとしてのお金を受け取らなきゃいいじゃないか、何ら問題ないじゃないかということが指摘されたのですが、それに対してどうお考えですか。
○浜田参考人 野党案でいきますとわいろですね、与党案でいきますと財産上の利益、この範囲というのは非常に広いわけでございます。これこれをこの見返りで、ちゃんと幾らという約束をしてやるということならはっきりするわけですけれども、後援会に入ってもらったり、あるいは多数の者を後援会に集めてきて会費を納めてくれたりとかそういう行為、あるいは政治資金団体に資金の提供をしてくれた、そういうことまで入ってくる可能性が多分に私はあると思います。 だから、そういうふうなことが結果として、この先生はこういうことについて一生懸命やってくれたということで皆さんが応援しようということで政治資金の提供をしてくれた、これが厳密にいくと、特定の者に利益を与える目的を持ってあっせんして、そして利益を得た、わいろを得た、こういうふうになってはたまらないなというのが私の気持ちでございます。
○木島委員 要するに、政治家のあっせん行為、口きき行為と、対価性を持つ金の支払いとか後援会への活動その他、その対価性の認定があいまいになってしまうのじゃないか、そういう心配ですね。 それに対して、板倉先生、対価性の認定が非常にあいまいになって、検察が入り込んでくるのじゃないかという心配が指摘されたのですが、先生のお考えをお述べください。
○板倉参考人 これは、野党案では口ききの報酬としてわいろを収受する、与党案では財産上の利益ですから、そうしますと、やはり具体的な対価性というものがある場合に問題になるわけですね。 その対価性というのはそんなに認定が難しいというわけではないと思うんです。もしもそういった認定が難しいというならば、今の収賄罪なども、これはわいろではない、対価性がないなどという主張はかなりされているわけですが、しかし、普通の収賄罪ではかなりのものが立件、訴追、そして有罪になっているというわけでありますから、そんなに難しいとは考えておりません。
○木島委員 戦前戦後の日本の贈収賄事件を全部総洗いしてみて、対価性の認定が緩過ぎて、検察が本来入るべきでない事件にまで入り込んで政治家を逮捕した、投獄した、そういう例があるのでしょうか。浜田参考人にお聞きいたします。 大体、すべての事件について政治家の側の弁解は、いや、これはわいろじゃない、対価性がない、政治資金だ、こういう弁解をするのは当たり前なんです。それを乗り越えて対価性を検察がきっちりした証拠で認定して有罪にまで持っていっているということが戦前戦後の日本の贈収賄事件に関する現状だと思うんですが、対価性があいまいにして、検察官が本来入るべきでない事件にまで入り込んだ、そういう例、御存じですか。
○浜田参考人 受け取りました資金の性質によって無罪になった事例はあろうと思います。 それから、今の対価性の問題でございますけれども、一般の公務員について、受け取ったわいろの額、利益、そういうものを考えますときには、対価性というのはほとんど問題になっていないわけですね。実際、ごくわずかなものでも収賄として立件されたり起訴されたりしているわけでございまして、今後、政治公務員に対してこのような法律ができて立件されあるいは起訴されるというときにも、対価性の問題というのは、これは大きいことだからうんともらわなきゃわいろにならないとか、そういうものじゃないと思うんです。やはり何らかの財産上の利益を得たら、ごく少額のものであってもやはり起訴されれば有罪という結果になってくるのであろうと考えております。
○木島委員 刑法ができてからわいろという概念が生まれ、わいろであるかどうかはまさに対価性が中心的概念であった。そういう中で、裁判例は、一つ一つの事件を積み重ねながら、これは対価性がありわいろ罪、対価性がなしで無罪、そういう判例を蓄積していると思うんです。そういう蓄積の上に立って、今回与党案もつくられ、野党案もつくられていると思うんです。 そういう中で、対価性が刑法学上あいまい過ぎる、これで野党案が成立したら対価性の問題であいまい過ぎて大変なことになるという状況が刑事法学上あるのでしょうか。板倉先生にお伺いします。
○板倉参考人 対価性がないということでもって無罪になった例はほとんどないと思います。私の記憶する限りにはないわけです。 ただ、わいろ性を認識していなかったとか、そういったことで無罪になったということがあると思いますが、対価性が崩れたとか、あるいは起訴された者が対価性の認定で無罪になるというようなことは今まではなかったと思います。今後も多分そういうことはないのではないか。 こういう対価性という概念を一つの要素にするのは当然のことでありまして、それがあいまいであるとか、そういうことにはならない。もしもそういうのがあいまいだといえば、どんな要件を持ち込んでも、これははっきりしないからだめだということになってしまうのではないかと思います。
○木島委員 浜田先生にお聞きします。 今回、私自身も野党の提案者の一人なんですが、簡単に言いますと、一九五八年、昭和三十三年にあっせん収賄罪がつくられた。芦田首相が起訴されましたが、職務権限なしということで無罪になった、その反省の上につくられた。しかし、あのときあっせん収賄罪がつくられたのだが、請託が入ったということ、被あっせん公務員については不正な行為だけに絞られてしまったということ、そして、きょう板倉先生からも御指摘がありましたが、第三者供賄罪が外れてしまった、この三つの点でほとんど使えなかった。国会議員については、起訴されたのが二件のみ、しかも有罪確定判決はまだ一つもないという状況だったわけですね。 あのあっせん収賄罪がつくられたときにも、法制審議会の委員からは、せめて第三者供賄はつくれ、請託は外せ、そして被あっせん公務員の不正というのは狭過ぎるから、せめて不相当ぐらいに広げたらどうか、そういう意見もたくさんあった。そういう衆参両院での附帯決議もあった。今回の野党案というのはそれを忠実に実行しようとしているだけなんですよ、率直に言いまして、刑事法的には。 この四十年間、あっせん収賄罪ができてから日本の政治はどうなったか。ますます金権腐敗事件が深刻になった。特に世上言われているのは、田中角栄総理が誕生して以来、金による政治支配ができてきた。そして、特にもう一つの特徴として、政治権力者が表に出ない。裏にいて、やみから政治、行政を支配する。職務権限がない人が実際上の権限をとって実際に政治を、行政を動かしていく。そして、たくさんの金を集める。そういう政治構造こそが批判をされている。それにあっせん収賄罪は全く無力であったということから、今回、一定の時間をかけてこういう形がつくり出されようとしているんじゃないか。そういう関係からいいますと、政治家に政治倫理を自律で期待するということはもう不可能だという状況だからこそ、刑事罰が求められているのではないかと思うのです。 そこで、山口二郎という北海道大学の教授は、たしか岩波新書の「政治改革」という本の中で、政治家については性善説はだめだ、性悪説に立たなければだめなんだということを政治学者として非常に厳しく指摘されておられます。浜田参考人は性善説に立っておられるようでありますが、この四十年間、あっせん収賄罪がつくられてから今日まで、総体としてどう認識して、政治活動の自由がそれでもなお必要だとお考えになる理由を述べていただきたい。
○浜田参考人 私、個人的にも国会議員の先生方ともいろいろと親しくさせていただいております。与党、野党を問わず、おつき合いのある方もいるわけでございますけれども、国民が信頼してこの議会に送り込んできて、皆さんここにおられるのだと思います。今までの状況を見て性悪説だという前提に立たなければだめだというお言葉かと思いますけれども、私はやはり信頼してまいりたい、それがまず前提でございます。 そして、とかく今までの政策というのが行政官庁主体で進められてきた。それを、与党の提案理由説明にもございますが、政治主導の総合政策立案型に転換していかなければならないということを言っております。これは私は、将来の政治の上で必要なことであろうと考えております。そういうためにも伸び伸びと自由な活動をしていただきたい。一部の腐敗した議員の方のために多くの方が何か活動するのに萎縮するような、そういう制約を加えないで進めていただきたい、私はこういうふうな基本的理念に立っております。
○木島委員 一部の腐敗した政治家とおっしゃいましたが、まさにその一部の腐敗した政治家が日本の政治の中枢にいて政治をゆがめているというところにこそ今日の問題が指摘されているんじゃないかと私は思うのです。 板倉先生にお聞きします。 先生は、政治家が口ききをやって行政を動かし、その見返りとしてお金をもらうことを刑事罰できちっと処罰することは喫緊の課題だとおっしゃられました。むしろ、私どもが提出している野党案ですらが緩過ぎるということで、特定の者に対する利益を得させる目的という目的犯にしている、これは主観的要素が非常に立証が難しいから、目的ではなくて、特定の者に利益を得させるためですか、ぐらいにして、もっと厳しく処罰の対象にしたらいいんじゃないかという、非常に励ましのようなお言葉をいただきました。 先生が、そういう今の日本の政治の状況で、野党案よりももっと厳しい刑事罰則規定が必要だ、そう考えております根本のところをちょっとお述べいただければと思います。
○板倉参考人 政治公務員がある特定の者のために活動をして利益を得る、これはもう根本的にいけないことであるわけですね。そういった目的を達成するためには、基本的には野党案のように考えておりますが、利益を図る目的なんというのを要件にしてしまうと処罰をかなり免れてしまうことになるので、私の見解としては、目的というものは取った方がよいというふうに考えているわけです。 そして、政治腐敗というのは癒着の構造から生まれるものでありますから、業者の方も問題だと思うのですね。業界の方が、政治公務員に職務公務員の方に働きかけてもらって、そのかわり多額の献金をするとか、そういうことでいろいろ政治がゆがめられるということがあってはならないというふうに考えているわけです。
○木島委員 ありがとうございます。 時間ですので、終わります。
○自見委員長 今川正美君。
○今川委員 きょうは、浜田先生、板倉先生、本当に御苦労さまであります。 質問は私がしんがりになるわけでありますが、社会民主党の今川正美でございます。 ここ二十数年前から古くをたどりますと、ロッキード事件、それ以来、例えばリクルートだとか佐川だとか、その都度、政治資金規正法だとか関連する法律をより強化するという流れは確かにあったと思うのですね。ところが、最近ですと中尾元建設大臣の汚職とか、相も変わらずやはりそういった一部の政治家の汚職がなかなか後を絶たないということでして、そういった意味では、特にリクルート、佐川のあの事件の後、あのころから、与野党を問わず政治改革の必要性ということが強く叫ばれました。ところが、結果的には、選挙制度をどう変えていくかというところに専ら議論が集中し、収れんされて、今の小選挙区制度に変わっていったという流れがあったと思うのです。 あのころから、多くの学者や専門家あたりからも、腐敗防止をどうするのかということが強く指摘をされていたと思うのです。そういう観点から見た場合に、今回、与党案、野党案、双方出ているわけですけれども、腐敗防止という観点から見て、両法案に関してもう一度御意見をお聞かせください。
○浜田参考人 先ほど来申し上げておりますけれども、できればこういう法案はない方がいいというのがまず前提でございます。しかし、腐敗防止のために、一部の倫理観のない、はしたない方あるいは先生方のところに何かよからぬ思惑で寄ってきて何かあっせんをしてもらおうという人たちを遮断する、そういう目的からこういう法案がつくられるのであればそれなりの意味があろうということを申し上げました。 それからもう一つ、公職選挙法の改正と政治資金規正法の改正を何回もやって現在に至っておるわけでございますけれども、そのほかに、昭和六十年に政治倫理綱領ができております。そこでまた行為規範なるものもできております。しかし、これについては、その後改正とか検討とかがどういうふうに行われたのか、私ども国民の目には見えてきておりません。少なくとも、改正されないまま、そのまま放置されているんだろう、こういうふうに思っております。もっとこういうところをみずから律していただいて、それをよく国民に、こういうふうにとりあえずやってきましたよというのを示してほしいというのが私の気持ちでございます。
○板倉参考人 今問われているのは政治倫理の確立でありまして、今の実態ではそういう倫理を踏みにじる人も結構いるわけですから、そうしますと、やはり刑罰の威嚇によって政治倫理を確立していくということは、今そうせざるを得ない、それはまさに喫緊の課題であるというふうに考えているわけです。 問題は腐敗を防止するということでありまして、そういった観点からしますと、野党案も与党案も業者の側が軽く、政治公務員と比較して、片っ方は三年以下、片っ方は一年以下というふうになっております。これはきっと刑法の方とバランスをとったのかもしれませんが、もともと、腐敗を招くようなことになっているのは、今のような政官業癒着の構造では、やはり業者、業者団体、そちらの方が、口をきいてくれ、自分たちに有利なことをしてくれ、そのかわり見返りに多額の献金をするというようなことが問題であるわけですから、利益を供与する側についてももう少し厳しくすべきだと私としては考えているわけでございます。
○今川委員 先ほど他の野党の皆さんからも質問があったと思うんですけれども、与野党の議論の中で、野党案に対して与党の皆さん方からは、政治活動の自由を束縛しかねない、活動が萎縮をしかねないという御意見を何度もお聞きしたんです。 例えば、これは前回の委員会の中で私も数字を出してみたんですが、単純収賄罪とそれから受託収賄罪の件数が、戦後昨年までに、単純収賄罪が一万六千三十七件、それから受託収賄罪が千九百五十三件というぐあいに、明らかにけた違いの数字、違いが出てきているということも踏まえますと、具体的に与野党案の相違は、もう御存じのとおり、例えば私設秘書を入れるか入れないかであるとか、犯罪の構成要件に請託を入れるか入れないかであるとか、あるいは第三者供与の処罰規定を入れるか入れないかだとか、職務の範囲を限定するのかしないのかという、非常に大切な幾つかの与野党案の相違点があると思うんですけれども、改めて、野党案を今回仮に成立をさせたとした場合に、政治活動の自由の問題も含めまして、どういう不都合が国会議員の活動として出てくるのか、どうお思いでしょうか。お二人から御意見をお聞かせください。
○浜田参考人 先ほど来申し上げておりますように、法律というのは制定されますとひとり歩きします。結果として、だれかの、特定の者の利益になるような政策立案をして、一生懸命役所にかけ合って予算をとったり政策をつくったりして、そのあげくにたくさんの支援者ができて政治資金が入ってきた。野党案でいくと、こういうのが適用されてしまうおそれがあるのではないかという心配があるわけですね。 今先生からも数字の御指摘がありましたけれども、受託収賄は戦後千何十件で非常に少ないとおっしゃいましたけれども、確かに、こういう法律はできても適用されるのはごくわずかな事例だろうと思います。だから、これをつくったからもうこれで政治倫理は確立したみたいな、そっちの方が私はむしろ怖いと思っております。本当に、真に政治倫理の高揚、みずから襟を正してこういうことをしているんだということをもっと国民に示していただきたい。それを、罰則規定ばかり広くしまして、こういう罰則規定を設けたからもうこれでいいんだというような風潮にならないように私はお願いしたいと思っております。
○板倉参考人 受託収賄罪で起訴された者と普通の収賄罪で起訴された者、これは一対十ぐらいだろうと思います、今御指摘のように。これは、普通は頼まれもしないのにやる人は本当はそんなにいないと思うんですね。ですから、神様の目から見たら請託があるケースがほとんどだろうと思うんです。しかし、立証上難しいということで普通の収賄罪で起訴しているのではないかというふうに私としては思っております。ですから、請託を要件にしますと多くの事件が処罰を免れるということになりかねないというふうに考えているわけです。 それから、何か正当なことをして、一生懸命やっていて政治献金をもらうというのが処罰されちゃ困ると。でも、純粋の政治献金は別に大いにもらっていいわけですけれども、やはり政治資金という名目であっても、特定の者のために口ききをしてその見返りに利益を得るということは、これはあってはならないことであって、そういったことは処罰されて当然のことであって、何らそのことが政治的活動を阻害するということにはならないというふうに考えます。
○今川委員 最後にもう一点だけ御意見をお聞かせ願いたいんです。 先ほど板倉先生からありましたように、口きき、あっせんを、国会議員それぞれ、各地方でも自分の選挙区でよくやるわけですね。しかし、お金、あるいはお金に限りませんが、わいろを受け取りさえしなければ、これまであったようなあっせん、口ききなどの活動はあってもいいわけですね。 ただ、私が思いますに、振りかぶって言いますと、いわゆる国会議員は国会議員としての、やはり天下国家のありようをめぐって政策を闘わす、そしてよりよいものをつくっていく。だからといって、では口ききやあっせんが極端な言い方すると一切だめなんだというふうには私も思わないんですけれども、専ら私ども政治家の側の課題としては、よく言われますように、そういうあっせんだとか口ききだとかをなくしていく、あるいはそれを必要としないような中央と地方のあり方だとか、あるいは国会議員としてのそういう政治倫理を含めて、これは法律でどうのこうのすることとは次元の違う話だと思うんですけれども、やはり極端な場合には、国の政策はそっちのけで、次の選挙を視野に入れながら専らあっせん、口ききに徹するという政治家も中にはいらっしゃるわけですので、今後の政治、政治家のありようとしてそこら辺のことをどうお考えなのか、最後に一言ずつお聞かせください。
○浜田参考人 私は、何よりも政治的公務員の政治における活動の状況について国民にもっと十分に知らしめてほしいと思うのですね、自分は何をやっていますよということを。それで票を集めていただきたい。 自分はこういうことをやっているということをあれしないで、先ほど板倉先生の方から密室政治という言葉が出てきましたが、裏でこそこそやって一般の国民に見えてこないようなことをするから、ついついそういう口ききが裏から頼まれてくる。それをなくすために、自分たちはこういうことをやっていますという、議会の倫理綱領みたいなものをもっともっと充実して、それを国民に知らしめて、そこからスタートして、それでもまだ悪い人が出てくるのならこういう法案をもっともっと検討してという順序が私は正しい順序ではないかと思います。なかなか国民の信頼を得られないからまずこういう罰則を盛った法案をつくるという発想自体が、私は、政治に対する国民の信頼が回復してこない、そういう悪循環といいますか、そういうものを招いているのではないかと危惧しております。
○板倉参考人 各紙に出ておりますいろいろな世論調査なんかを見ますと、このようなものをつくらなければいけないというのが国民の圧倒的多数であるわけですね。八割を恐らく超えていると思います。大いに国民の要望を踏まえて、いろいろなあるべき行政を実現するために働きかけをする、そのこと自体はそうあるべきだと思いますが、いずれにしても、それの見返りに具体的対価性のある利益を得るということはあってはならないわけであって、そのようなことは絶対にやらないようにしていただきたい。にもかかわらずやる人がいるということであれば、やはり刑罰をもって臨むよりほかないのではないかというふうに考えております。
○今川委員 時間が参りましたので、先生、ありがとうございました。
○自見委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人におかれましては、貴重な御意見を述べていただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。 次回は、明八日水曜日午後一時四十分理事会、午後二時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時十二分散会